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69回国会衆議院1972/10/11

法務委員会 第3号

発言数
121
登壇者
12
会派数
4
開催日
1972/10/11

会議録

谷川和穗自由民主党

○谷川委員長 これより会議を開きます。  おはかりいたします。  本日、最高裁判所長井総務局長より出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷川和穗自由民主党

○谷川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————

谷川和穗自由民主党

○谷川委員長 裁判所の司法行政に関する件、法務行政に関する件及び検察行政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。沖本泰幸君。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 私は、とりあえず法務行政の内容について御質問したいと思います。  過日、私たちは委員長のお供をしまして、九州地方の裁判所、法務関係の各施設なり内容を視察してきたわけでございますが、そういう中からもいろいろと今後考えなければならない問題、そういうようなものを見てきたわけでございます。そういう点から考えてまいりますと、これから予算編成、いろいろな立場に立ってものを考えなければならないわけでございますが、とりわけ最近各地方で問題を出してきておりますのに、登記所の問題がございます。  それで、一例をあげてみますと、これは長崎の法務局からの視察のときの資料と要望事項で、いただいておるわけでございますが、「法務局の所掌事務は逐年増加の一途をたどり、特に経済、社会の進展及び各地方地域の開発の活発化に伴い登記事務の増加及び複雑多様化となってあらわれているところ、国家公務員の定員削減により、当局においては過去四年間に六名の削減を受けたので、職員の事務負担量がますます増加している。これに加え当局管内の特殊事情として多くの一人庁及び離島所在庁を抱え合理、適正な人員配置が困難であり、そのため職員の過重負担に一層の拍車をかけている結果となっており、円滑な事務処理に支障を来たしているばかりでなく、職員の健康管理上憂慮すべき事態に立至っているが、昭和三十九年以来一名の増員もない。」こういうふうな具体的なものも出ておるわけでございます。  しかし、これは大臣にもお伺いしなければならないことになるわけですけれども、九月十四日の民事行政審議会からの答申によりますと、「法務局および地方法務局の支局または出張所の適正配置の基準等に関する諮問に対する答申」で、いろいろな答申がなされてきております。こういうものが、ただごく限られた範囲内で法務省内で検討がされて、いきなり発表されてしまって具体化してしまう。そういう問題についてこういうことに関連する方々及び広く一般国民が利用するわけですけれども、ほとんど知らされていない。あるいはそういう機関を通じてある程度の発表がある、こういう程度で、実際に行ってみたらもうなくなっておったとか、あとになってそういうふうになっていたことは知らなかったとか、こういう事態がしばしば起きるわけですね。そういう点に関して現在法務省としてはこの問題をどういうふうにおとらえになってお進めになっていらっしゃるか、その点についてお伺いしたいと思います。

川島一郎法務省民事局長

○川島説明員 お答えをいたしたいと存じますが、その前に、沖本委員には法務関係官署を御視察いただきまして、登記所のいろいろな当面している問題についていろいろな角度から御検討いただきまして、私どもといたしましてたいへんありがたく存じております。  ただいま御指摘になりました登記所の整理統合の問題でございますが、これは御承知のように登記事務というのは法務局とその支局、出張所において取り扱っておりまして、中でも出張所の数は全国に千四百数十ございます。非常に多数に分散しておるわけでございます。しかもこの配置は、明治時代からほとんどそのままの状態でございまして、もともと明治時代の社会事情、特にその交通事情というものを考慮して登記所の配置がきめられましたために、非常に多数に分散している配置がなされたわけでございますが、それがそのまま現在に至っているという状況でございます。それから出張所はその大部分が非常に小規模の機構でございまして、職員の数にいたしますと一人とか二人とか三人とかというふうに非常に少ない。したがって、役所としてもあまり体をなしていないというようなところが多いわけでございます。それだけにまた事務の処理の適正、円滑という面から申しましても、あるいはまた予算、人事の効率的な執行という面から申しましても支障があるわけでございまして、法務省といたしましては、かねてからこの配置をもう少し整理いたしまして近代的な登記所をつくりたいということを考えておったわけでございます。たまたま昭和四十五年に、政府の方針といたしまして行政機構の簡素合理化ということがきまりまして、法務局につきましてはまずその出張所を極力整理統合するという線が打ち出されたわけでございます。そこで法務省といたしましても、従来から問題にしていたところでもございますので、この問題に積極的に取り組んでいこう、こういうことになったわけでございます。そこで、昨年昭和四十六年の九月に、当時の法務大臣が、法務大臣の諮問機関であります民事行政審議会に対しまして、登記所を整理統合するとすればそれはどういう基準によって行なうのが妥当であるかという諮問をいたしました。この民事行政審議会におきまして、一年間慎重に審議いたしました結果、ことしの九月に審議の結果がまとまりまして、九月十四日に法務大臣に対してその答申がなされたというのが現在までの経過でございます。  この問題につきましては、御承知のように、非常に地域の住民に関係の深い問題でございますので、法務省が自分の都合だけでもって事を進めるということは、確かに、おっしゃるような問題が多いわけでございます。そこで、民事行政審議会に諮問いたしましたのも、広く有識者の意見を求めるということが趣旨でございまして、民事行政審議会の委員には全国の町村会、市長会その他地方自治六団体の代表の方にも参加していただきましたし、そのほか学識経験者、関係官庁の責任者というような方にもまじわっていただきまして、三十数名の委員で組織する会議において慎重に検討をしていただいたわけでございます。  このようにして一応登記所の整理統合の基準というものが定まったわけでございますが、今後これを具体的に計画を立て、そして推進していくというためには、やはり地域の実情に合った方法で行なっていく必要がありますので、これからは答申の趣旨を十分に徹底させるとともに、また地域の実情について地方の方々の御意見も十分に伺い、それを参考とした上で適正妥当な整理統合を進めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 いろいろ問題点が出ておることは事実でございます。新聞でも、ここで問題になっていますのは、登記所にも過疎過密が始まっておる、こういうことで、最近特に行って感じましたことからいきますと、いわゆる不動産投資、こういうものにからんで、登記事務が非常に激しくなってきておるということで、新聞で取り上げておるのも、都会地の登記所で窓口は混乱のきわみであり、謄本一通に三時間待つのは常識で、登記手続に至ってはその証明は三日後においでをと、利用者の不満は爆発寸前だ、こういうことで、実際中に入ってみますとたいへんな人が都会地では待っておる。こういうことになりますし、それから地方のほうでいくと、一人庁のところ、特に長崎あたりは海岸線が非常に長く、離島がたくさんある、こういうところから、きめられた以上は行かなければならないし、行くことについての宿舎とかいろいろなものの関係から、その担当していらっしゃる方が非常に困った問題が起きてきている。それから、ほかの仕事もやりながらこの問題も消化していかなければならない、こういうふうなダブり仕事もたくさんできておるということも事実でございます。  また、法務省のほうがこういうふうに登記所の統廃合をいま進めておるということで、司法書士の方々やこれに関係する方々は色めき立っているわけですね。どういう形になるのだろうかということで、内容がさっぱりわからない。いまでさえこんなに困っておるのに、これを統廃合なんかされたら、たまったものじゃないという声が一ぱいということなんです。ですから、率直にこういう問題をとらえて申し上げれば、少し法務省のほうは、こういう関係者の方々に対して十分その内容を、こういう考えでこういうふうにしたいのだというようなことについての具体的な内容を知らしてあげたり、あるいはいまおっしゃったように実情を聞きながら問題を進めていく、こういうふうなことで一般に知らしめるというようなことが薄いのではないか、こういう感じが非常に強いわけです。そうでなければ、内容がわからなくてどうなるのかわからない、こういうことで心配して私たちにいろいろ突き上げをしてくるということは起きないと思うのですね。そういう点について、もう少し法務省のほうはこういう方々によく内容を知らせて、むしろ向こうから、ここにはこういう問題点があるし、これはこうしてもらいたい、こういうふうな要望が十分出てきて、それを吸い上げながら、そういう実情に合ったような配置のしかたをやっていただくというようなことをやっていただかなければならないのじゃないか、こういうふうに私は考えるわけです。距離的に非常に遠いところも、いま交通機関が非常に発達しておりますから、時間的に短縮されるところもあるし、統廃合という点についてうなずけないことはないわけです。ないんだけれども、何か全部縮小されて、登記所が減ってしまう。そうすると、いまでさえ混乱しているものがもう一つ混乱するのじゃないかという点が非常に多いわけです。それで人員はふやさないし、そういう指示に従って減らしていくのじゃないか、こういうふうな心配を一般ではみなしているわけです。そういう点に対するもう少し配慮のある前もってのいろいろなPRが行なわれてしかるべきじゃないか、こういうふうに考えますが、その点についてはいかがですか。

川島一郎法務省民事局長

○川島説明員 仰せのとおり、登記所は事件の数が非常に多くて、しかもこれは毎年増加しております。その関係もございまして、事務処理に迅速を欠くといった面があることは否定できません。私どもといたしましては、この面の改善も急務であると考えておりまして、毎年予算要求その他の面で改善につとめておるわけでございますけれども、事件の増加が非常に著しいという事情もございまして、なかなか思うようにいかないというのが現在の状態でございます。そこで、この点につつきましては、ただいまの整理統合の問題と別にいたしましても、さらに一そうの努力を傾けていきたいと考えておるわけでございます。  それからまた、そういう際にこの整理統合を行なうことはどうかという御趣旨かと存じますが、確かに登記所を利用されるのはその登記所の所在している地域あるいはその周辺の地域の住民の方々が一番多いわけでございます。したがって、そのような方々に対しましては統廃合の趣旨を十分に理解していただき、その御納得を得た上でこの計画を実現していきたい、こういうふうに考えておりまして、現在そういった説明資料のようなものもつくることを考えておりますし、また計画を実行いたします際には、いろいろな方法を講じまして、地元の御納得が得られるようにいたしたいと考えております。  答申の中にもそのような趣旨が書かれてございまして、「地域住民に対し、登記所の適正配置の趣旨および目的について十分の説明をし、その理解と協力を求めるとともに、統合後における登記所の位置等具体的な実施方法については、地域住民の意見をできるだけ尊重して決定すること。」とございますし、この答申の趣旨も十分に尊重して遺憾のないように処置してまいりたいと考えておるわけでございます。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 いままでの分ですと市町村単位に登記所が建てられたということになるわけですけれども、それがいまお考えになっている点からいくと全部今度くずされてしまうということになっているわけですね。ことばの上では適正ということになるわけですけれども、はたして適正になるのかならないのか、こういう点に疑問点が出てくるわけです。ですから、場所的な面で、あるいは距離的なもの、そういうもので適正配置、統廃合しなければならないのか、あるいはいわゆる人員の面とかそういうふうな面で行き詰まりが出てきておっていわゆる統廃合して適正化していかなければならないか、こういう二つに分けられてくると思うのですけれども、私がお話を伺っていて感じるのは、地域的なもの、場所的なもので適正ということになっていて、人の面での適正さというものに欠けているということになりますと、やはりすぐまた同じことが繰り返されるのじゃないか。最近一番日本じゅう問題にしてきている日本列島改造、こういう内容から二十五万都市が各県に幾つかできてくる、こういうふうな過疎と過密解決の方法がとられていく。こういうことになって、これが具体的に国民のほうに向いたような配置の方法に変わっていく場合に、もしこういうふうな統廃合をいまやって、それで今度はまた再び問題を変えていかなければならないんじゃないかという問題も出てくるわけです。その反面、またいま盛んに不動産の先買いがどんどん起きているわけです。そういうことで窓口はたいへんな混乱を起こしつつある、こういうものもあるわけですね。そういうものに順応していくだけの機能というものを持っておっていただかなければならない。ですから、そういう角度からいろいろ考えていきますと、登記所そのものの内容というものにもつと立体的な科学的なものの考え方を加えていただかなければ解決にならない、私こういうふうな不安を持つわけなんですが、そういう点についてどういうふうなお考えをお持ちなんですか。

川島一郎法務省民事局長

○川島説明員 まず人の面の充実かものの面の充実か、場所的な関係の合理化という問題でございますが、現在登記所は、町村の数にいたしますと二カ所か三カ所ぐらいを一つの登記所が受け持っておるというのが常態であろうと思います。これを整理統合いたしますと、それが三ないし四町村を一つの登記所が受け持つという形になることが考えられるわけでございます。それに伴いましてよくいわれますのは、法務省は登記所の整理統合を行なうことによって人員を浮かして、そして現在の事務量の増加に対処しようとしているのではないかということでございますが、この点につきましては、確かに現在の一人庁などにおきましては事件の数が非常に少ない、そのために職員がひまであるというところもございます。ございますけれども、幾つかの登記所の整理統合を行なうことによってどれだけの労働力が浮くかということになりますと、それは現在の登記事務量の増加に比べますと非常に微々たるものでございまして、どうしても現在の登記事務を円滑に処理していくというためには大幅な増員が別に必要であるといわざるを得ないわけでございます。試みに過去十年間の統計を見てみますと、約十年前には甲号事件、これは登記簿に記入を要する事件でございますが、甲号事件が大体一千万件あったわけでございますが、今日においてはそれが二千万件と倍に増加しております。それから乙号事件、これは登記簿の謄抄本を交付するとかあるいは登記簿を閲覧するという事件でございますが、これが十年前は約五千万件でございましたものが今日では二億件、四倍に増加しております。したがいまして、過去十年と現在とを比べますと、事務量から申しますと二倍をはるかにこえる事件を処理しているという実情になるわけでございます。  それに対しまして、登記事務の従事職員の数を比較いたしますと、この十年間に大体二〇%増加しているというにすぎない状態でございまして、それだけ職員の負担量というものは年々きつくなっているというのが実情でございます。  さらに御指摘にもありました最近の傾向を見てまいりますと、非常に不動産業者等による土地の思惑買いであるとかあるいはそのほかいろいろな事情が加わりまして、ことしと昨年とを対比してみますと約一割程度昨年よりも増加している、こういう状態でございます。したがいまして、忙しい東京とか横浜、浦和、大阪、神戸、京都とか、そういう地域の登記所の中には相当事務が遅滞しておるという現象も見え始めておるのでございまして、私どもとしてはこの点を非常に憂慮しているわけでございます。  そこで、こういう実情に対処していきますためにはどうしても人員を思い切ってふやしていただかなければならない。来年の予算要求におきましては千七百名の増員を要求いたしております。これはまだ政府内部の査定がございませんのでその結果を待ちませんとどうなるかわかりませんけれども、とにかく大幅な増員が必要であるということで、この増員の要求をいたしておる実情でござます。  それから現在の登記所の設備の点でございますが、庁舎が非常に古くなったり狭くなっているところが相当あります。そのために登記所に来られる申請人の方々が待っておられるにもすわるところがない、あるいは閲覧をするにも場所が非常に窮屈であるといったような苦情が相当あるわけでございます。また、職員のほうでも非常に事務室が狭くなっているために仕事がやりにくい。さらに登記簿の保管をいたしております倉庫が狭隘になったりあるいは古くなっておる。このため災害でも起こった場合にはたして登記簿が完全に守られるかどうかといったような点に不安のあるところがあります。こういった関係から登記所の庁舎なりあるいは倉庫というものをもっと改善していく必要があるというふうに考えまして、この点も毎年のことではございますけれども、予算的にもいろいろな面から資料を出して計画をいたしておる次第でございます。  それから事件の増加に対応いたしまして、最近はいろいろな機械ができております。ことに登記簿の謄抄本を交付いたします場合には、謄抄本の作成を機械によってする、複写機を使ってやるということをしておるわけでございますが、この複写機の中にもいろいろ性能のいいもの、悪いものがございます。これが大きな登記所で非常に事件数が多いというところでは、性能のきわめていい、ほとんど人手を加えないで機械的な仕事が全部処理できるといったような機械を使っておりますけれども、事件数の少ない、職員の少ない小規模の登記所におきましては、そういう機械を入れることは経済的に合わないということで、きわめて簡単な、そのかわり能率の悪い複写機を使っております。こういったことでございますので、登記所をなるべく適当な単位にまとめられるものはまとめまして、そうして庁舎の改善をはかると同時に、複写機などの物的な設備も性能のいいものを配置することにいたしまして、事務の取り扱いの上での改善もあわせてはかってまいりたい、こういう趣旨でございます。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 質問がばらばらになりますけれども、この新聞に出ている点でいきますと、都会地の混雑しているところですが、単純なミスがたくさん起きてきている。たとえば番地を間違って記入したり、所有者の氏名を間違って一郎を二郎と記入したり、抵当債権額が五百万円なのにけたを間違えて五百円と記入したり、こういうふうなミスが東京の法務局だけで毎月百五十件も発見されているということであり、またひどいのになると、一番抵当をミス登記したあと二番抵当が設定されたら更生登記はできない、こういうふうな取り返しのつかないような問題も裁判所へ持ち込まれており、全国で民事訴訟は二十五件起きておる。こういうふうな問題に対して、現在直ちにとこういう問題は起きないようにしていただかなければ、それぞれの影響する方々はたいへんな迷惑を受けて将来もたいへんなことも起きるわけですから、こういう問題についてどういうふうにお考えですか。

川島一郎法務省民事局長

○川島説明員 先ほど来申し上げておりますように、登記事件が非常に増加しておりまして、職員の負担量が多くなっている、そのため登記事務の取り扱いに若干粗雑な点が出てきておるようでございまして、それが御指摘のような取り扱いの過誤ということとなってあらわれているのではないかと思います。そういう点はわれわれとしては非常に反省すべき問題でございますし、今後そういうことの起きないように十分努力していかなければならないと思います。  現在、登記簿に間違って記載をするということが非常に多くなっているという話は私も聞くのでございますが、先般私のほうでサンプル的に調査をいたしましたところによりますと、一番間違いの多い登記は所有権移転登記である、それから次いで、抵当権設定登記、所有権保存登記といったようなものが多いようでございます。その間違っている内容を見ますと、登記原因とその日付の記載を間違っておるというもの、それから所有者あるいは権利者の住所とか氏名を間違えて記載したもの、こういうものが相当多いようでございます。こういう場合におきましては登記所で発見する場合もございますし、それから当事者が登記簿を閲覧して発見するという場合もございます。そうして発見いたしますと、法務局長の許可を得て、そうして登記官が更正の登記をするという手続になっておりまして、法務局の更正の許可、この件数が最近数年間特に多いようでございます。したがいまして、特に間違いの多い事故につきましては、記入の際あるいは最後に登記官が訂正をいたします、判を押します際にもう一度よく見直すわけでございますが、そういう場合にこういった間違いの多い事故については特に注意するようにということを指導しておるわけでございます。  それから損害賠償の請求の訴訟というものも、御指摘のように相当係属しております。この中には、実際に登記官の処理が間違った場合と、それから登記官の処理は間違っていないけれども、当事者が登記官の処理が間違いではないかと考えて訴えている場合と、いろいろございます。いろいろございますけれども、中には登記官が間違えたために当事者に財産上の損害を負わせたという場合も少なくないと思いますので、こういった点につきましては、実は毎年資料を作成いたしまして、法務局にこういう事件があった、ああいう事件があったということを通知して、その点についての十分な注意を払うように指導しておるのでございますが、今後ともこういうことによって国民の利用者の方々に御迷惑をかけることのないように、十分気をつけてまいりたいと思います。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 これは人員が足りないとか、機械設備が悪いとか、場所が狭隘であるとか、事件が山積するとか、こういうこととは別の問題なんですね。ミスが起きて、いろんな登記調査をなさる方々が困ったような問題が起きるということに対して、いま申し上げたような問題につきましては、これはもう責任をもってこういうことのないようにしていただきませんと、国民の一番のよりどころなんですから、そこのところで、本人の間違いで起きる問題ならこれは別ですけれども、国のほうの間違いで問題が起きるということは重大な問題だと思います。これは人が足りませんとか、場所が狭いですとか、そういうことは理由にはならないと思うのですね。そういう点をよく心得ていただきたいわけですが、こういう事情として更正登記ができないということは一つの問題ではないか、こう考えられるわけですが、それを含めましてお答えをしていただきたいと思います。

川島一郎法務省民事局長

○川島説明員 確かに人手の足りないことと関係がないとおっしゃられれば、そういう性質の問題であろうと思いますけれども、実際には、たとえば間違った印鑑証明書を出してくる、よく気をつけて見れば間違いに気がついたはずであるとか、登記済証が偽造であったというような場合に、その偽造の登記済証に押してあった判と登記所で使っている判とがほんのわずか違っておるというようなことがちょいちょいあるわけでございます。そういう場合に、それをゆっくり時間をかけて調査すれば発見ができたであろうと思われるような事件もあるわけでございまして、そういう場合によく時間をかけて調査をしろ——まあその必要があるわけでございますけれども、それを一々やっておりますと、全体の事務量が非常に多いために事件の処理が滞ってしまう、こういうことも事情としてはあるわけでございますので、私どもといたしましては、何といいましても庁舎の設備をよくして、そして人員を確保するということがやはりこの問題を解決する一つの要素として重要であろうというふうに考えておるわけでございます。もちろん、それを理由にして言いのがれをするわけではございませんけれども、そういう事情もあるということを御承知いただきたいと思います。と同時に、私のほうでも今後一そう注意するようによく法務局のほうにもその御趣旨を伝えたいと存じております。  それから更正登記ができない場合のお尋ねでございますが、それは、たとえば抵当権の設定登記をいたしましてその債権額を間違えて記載する。実際は一千万円の債権を担保しているのに百万円の債権を担保しているように債権額を少なく書いてしまったというような場合におきまして、その間違いが直ちに発見できれば、先ほど申し上げましたように法務局長の許可を得て登記官が職権で更正するということになるわけでございますが、その発見がおくれている間に二番抵当権が出てまいりまして、その二番抵当権者が登記の更正について承諾しないという場合があるわけです。そうなりますと、二番抵当権者との間の利害関係を調整する必要がありますので、法務局長の単なる許可によっては更正登記ができないということになります。その結果一番抵当権者は、実際には一千万円の抵当権を設定したにかかわらず百万円の抵当権の効果しか得られないということで損害をこうむる、こういう場合が出てくるわけでございまして、まあこれはもとはといえば登記官の過失でございますから国が責任を負うべき問題でございまして、そういう事件が間々ございますと訴訟になってあらわれてくる、こういうことでございます。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 もうあまり時間も残っていませんのでこの問題はまたあとで——これからあと次々と統廃合されていくわけですから、そういうことに順応しで一応質問を保留して今後もやっていきたいと思いますけれども、繰り返すようですけれども、そうするとこれは観点の違いじゃないかと思うのですが、国民の立場からすれば登記所のほうへ登記に行ったものを、国民の側の間違いはこれは間違いとして当然問題になるわけですけれども、登記所の、政府のほうで間違いを起こしてもらうと国民はどこによりどころを求めるか、こういうことになるわけです。そういう点からミスがあってはならないということになるわけです。  それは過疎過密問題が同じように起きて、そこに問題点が出ているから統廃合しよう、こういうお考えをお持ちになっていることは当然のことなんですけれども、また中を改造していただいてもっと国民の利用が便になるように手を加えていただくことも当然ですし、人をふやしていただくこともこれは当然していただかなければならない。こういうことで、人が足りませんからできませんとか、そういうことは国民に対しては言えない問題です。その点をひとつお考え違いしないようにやっていただきたいと思うのですね。ですからミスのないように万全を期してやっていただくし、またそういう点にいろいろ十分でないものもあれば、それを補っていただいて国民の便に供していただくということが一番大事なところではないか、こう考えるわけです。  そういう点で大臣、いま申し上げましたようにいろいろなミステークがふえてきている、こういう点について——まあ統廃合をすれば、あるいは人員をふやせばだんだん解決していく問題ではあるでしょうし、いろいろなことにはなるわけですけれども、いま申し上げたような点については、これは国民の側のほうからは納得ができないということになるわけですから、その点について大臣はどういうお考えをお持ちですか。

郡祐一自由民主党法務大臣

○郡国務大臣 沖本さんのおっしゃいますとおり、ミスのために国民に迷惑をかける、これはあってはならないことでございます。それが現に起こっている。これは急速にあらゆる手だてを講じまして——これは気持ちの問題もございましょう。人間の数の問題もございましょう。いろいろございましょうけれども、ミスは絶対になくすためにひとつ法務省としても全力を入れさしていただきたいと思います。  それから整理統合の問題につきましては、これは民事行政審議会の答申もそれぞれ非常に貴重な御意見を述べておられます。おられますけれども、何と申しましても、登記所というものは地域住民の利害、地域住民の利便と非常に関係しているものでございますから、それらの点を考えて善処いたしたいと考えます。沖本さんのおっしゃいますことは全く同感に感じます。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 じゃ、もう一、二点だけ御質問しておきたいと思います。  ただ、もう少し申し上げると、たとえば司法書士の方が、どういうわけで統廃合するんだというて、昔の点から考えると、非常に時間がかかって、十分利用に供されないから、そういう点、統廃合して短時間のところで行けるような、つまり交通事情も変わってきているから、そういう点を加えて統廃合するんだ、こういうようなことらしいですよと説明を加えると、納得していらっしゃる方も大ぜいいらっしゃるということを考えてみますと、そういう関係に向かっての法務省のほうのPRが足りない、説明が足りないからそういう疑問が起きているんだという答えになると思います。そういう点、十分御配慮していただきたいと考えるわけです。  それで、話を変えまして、今度は、拘置所の問題でちょっと大臣にお伺いしておきたいと思うのですが、これも、いま盛んにいわれている日本列島改造論で、都市の様相とか、人口の配置とか、過疎過密の問題がこれからいろいろ変わっていくということになるわけです。そういう点につきまして、東京の中野であるとか、大阪拘置所であるとか、こういうところは、現実に町のどまん中で、むしろそれがあるために、そこの市民は交通の面からあるいは災害時における面からいろいろな点で非常に迷惑をこうむってきておるということなんです。問題は、どこか移転していただけないかという問題が出てきますが、そうするとかわりの土地が必要だ、かわりの土地があればいつでも移転の計画には乗りましょう、こういうお話も出るのですが、はてさて、それをどこかへかえようということになると、かわる土地からまた反対が起きてくる、こういうことで行き詰まりになっている問題がたくさんあるということになるわけですけれども、もうそうも言っておれない。いま申し上げているのは、いわゆる都市の過密の問題から問題が起こってきておるということになるわけです。  で、最近また問題になってきているのが、兵庫県の尼崎市にある拘置所の問題ですが、これも都市の中心部にあって、非常に大きな問題を出してきて、地元の方が非常に迷惑して、最近になって移転の要求をどんどんなされかかってきておる、こういうことになるわけでございますが、そういう点について、ぜひとももう一度いままでの考えを少しお変えになっていただいて、前向きにこういう問題をかえていこう。いわゆる都市の分散もこれから考えなきゃならないときですから、拘置所のほうもひとつ分散を考えていただいて、そして拘置所のある土地を有効に住民の人に使ってもらえるような方向で、他のほうへ移転する御計画を立てていただきたい、こういうふうに考えるわけでございますが、その点についていかがでございますか。

郡祐一自由民主党法務大臣

○郡国務大臣 お話の拘置所でございますと、自然と裁判所との距離の問題がございます。したがいまして、そういう条件を考えながら、しかし、少々遠くても適地があればけっこうなんだから、何とか協力してくれぬか、地元の自治体に法務省の当局はいつも非常な苦心をいたしましてかけ合っております。なかなか地元の自治体も骨折ってくださるが、いざとなるとものがまとまらないというような事態が起こりまして、たいへん苦労をいたしておりますけれども、いつも自治体と、したがって、その住民とよく話し合いをつけながら、事をいたしたいということは、もう申すまでもないことでございます。これらの点については、自治体並びに地元の御協力をいつもお願いし、これからもお願いしなければならないことだと考えております。  具体的の尼崎というような問題になりますと、私つまびらかにいたしませんところがありますから、主管の局長から御説明いたします。

羽山忠弘法務省矯正局長

○羽山説明員 ただいまお尋ねの尼崎拘置所は、まことに遺憾でございますが、十年以上いろいろ苦心をいたしまして、結局現在地のございます周辺の方々の御要望に沿い得なかったわけでございます。これは簡単に申しますと、移転問題が起こりましたのは三十六年初めからでございますが、四十一年当時に、尼崎市が相当の御努力をしてくださいまして、適当な土地と認められるものを買収する市会の決議までしていただきまして、提示されまして、法務省も、そこに移ろうということをきめたわけでございますが、その後に至りまして、その周辺の都市並びに新しく移転をしようとするところからまた今度は移転反対ということで猛烈な反対がございまして、いろいろ折衝を重ねました結果、結局あきらめざるを得ないということになりました。昭和四十六年の七月ごろ、尼崎の市当局からは、もう従来の経過にかんがみまして適当な土地をあっせんすることが不可能であるという御回答がございまして、やむを得ず現地改築という方針に切りかえました。何分にも建物が非常に老朽化いたしておる関係もございまして、もう改築の時期がきておるわけでございます。改築するということで、予算もすでに入りまして、工期が、四十七年の十月六日から四十八年の三月二十四日という予定で、すでに着工いたしておる状況でございます。私は、その現場を見ておりませんので、今日現在でどの程度工事が進んでおるか存じませんけれども、着手いたしましたのは、測量とかなんとかこまかいことは別にいたしまして、工事らしいものが始まりましたのは、今月の初めごろというように承知いたしております。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 地元の方が、埋め立て地をつくってそっちへかえてもらったら、こういうような御意見も出しておるのですが、とりあえず、そこへ永久に居すわるという形は改めていただきたいというのが御要望なんです。改築すれば、また改築したことによって、そこにずっと永久的に置かれるということになるから、非常に心配していらっしゃる、こういうことになるわけなんです。理屈の上からいいますと、私鉄が町のどまん中あるいは国鉄が町のどまん中を通って、交通停滞のいろいろな要素になっておって、住民は非常に苦痛を感じて、高架にしてくれとかなんとかいう要求をしますけれども、これはおれのところの敷地だ、だからそんな金のかかることはいやだ、こういうことで対立してしまうわけですね。それでいつまでたっても問題が解決しない。国のほうでやっと立体交差計画やいろいろなのが出ると問題が解決していく、こういうような例があるわけです。法務省のほうも同じように、拘置所は法務省の持っているところだから、周囲の事情がどうあってもこうあっても、そこへおれのところがあるんだからというようなお気持ちを持ってもらうと、住民のほうは非常に困る。以前はたんぼの中あるいは町から相当離れているところで、住民がらあまり目に立つようなところではなかったわけですけれども、現在、過密の問題が起きてきて町のどまん中、こういう実情が起きているわけでございますから、大臣のほうも、その地元の自治体とよく話し合って、問題を進めていっている、裁判所との距離的な関係もあり、こういうことの御発言でございますが、そういうものも十分お考えいただいて地元の中にいわゆる敷地があり、建物があり、そういうことによって非常に住民が迷惑するという点については、やはりもっと向こうを向いて問題を砕いていくというお考えに立っていただきたいと思うのです。こまかい問題だと大臣も御存じないですから。ですから予算がついて改築をいま始めているということになるわけですけれども、改築されると、当分の間よそへ行く気がない、こういうことでございますか。

羽山忠弘法務省矯正局長

○羽山説明員 ただいま入りました予算は鉄筋コンクリート三階建てでございますので、これは完成いたしますると容易に移転は困難な状況になろうかと思います。ただ地元のいままでの御反対の理由の中に、たとえば被告が窓から声をあげて表の通行人をからかうとかいうような、まことに拘置所の運営管理上不適切だと思われる現象があるわけでございまして、ただいまお話がございましたように、法務省は、国有地だから、どうしてもあたりまえだからここへ建てるというような考えは持っておりませんで、現に神戸拘置所の本所につきましても移転を検討いたしまして、関係御当局に適地のごあっせんをお願いしておるような状況でございまして、決して国有地だから当然だというような考えは持っておられないわけでございます。ただ、何ぶんにも拘置所は、地元に拘置所を建てさせていただく反対給付といっては語弊がございますが、そのかわりに何か奉仕的に差し上げるというようなものが非常に少ないわけでございまして申しわけないわけでございますが、そのかわり、ただいま申しましたように、拘置所自体の構造などを十分に配慮いたしまして、できるだけ皆さまに御迷惑あるいは不愉快な思いをかけないようなことにしてもらいたい、こういうふうに考えておる次第でございます。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 いまのところはそういうことで、話の解決するめどもいまのやりとりからは出てこないわけですが、十分に地元からの要望なり何なりを聞いていただいて、それで一方的でなしに何か改善して、地元の人たちの気持ちをやわらげていただくようなとりあえずの方法もやはりとっていただかなければなるまいと思うのですね。そういう点、ひとつ突っぱねるということでなくて、やはりそこにあるわけですから、そこの住民の気持ちは十分尊重する、こういうふうにしていただきたいのです。最近、特に受刑者の方々のいろんな改善方法として、豚を飼ったりというようなことはまだずっとあるわけです。大阪の拘置所の場合でも、くさくて、ハエが一ぱい出てきて困るというようなことも私は聞いております。まだ具体的に調べてはおりませんが、そういう点もよく実情をお調べいただいて、そういうふうな内容で地域住民に迷惑をかけないように、十分御配慮していただきたいと思います。  それから最後にもう一つ、これは民事局長にお願いしておきたいのですが、供託所の窓口の締め切り時間が大阪なんか三時になっているところがあるのです。裁判所のほうでいわゆる取り消しのあれをもらって行っても、もうすでにだめであるということがある。時間的にどうだということであれば、銀行がそのとき締まるから同じように締めているとか、そういうふうな内容が伴っておって——これはもう一人の人あるいは一家族あるいは大ぜいの人たちが、その決定によってあくる日どうなるかこうなるかというような重大な問題をかかえ込んでいる場合が多いわけです。それを十分配慮していただいて、そういう問題があればやはり五時なり何なり時間をちゃんときめておいていただいて、その範囲内で受け付けていただく。ですからその日のうちに出たものについては裁判所のほうでそれを受け付けていただく、こういうようなことにしていただかないと、重大な問題が起きてくると思うのです。すでに競売問題やいろいろなことで不正事件が最近起きたりしているわけですから、こういう点も十分配慮していただいて、きめのこまかい内容の行政を行なっていただきたい、こういうふうに考えるわけですが、その点についてお考えありませんか。

川島一郎法務省民事局長

○川島説明員 三時で締め切りというのはおっしゃるとおり銀行にその日の金を渡さなければならないという関係であるかと思いますが、要急の事件につきましてぜひともという場合もあろうと思いますので、そういう点につきましてはよく調査いたしまして、できる限り善処いたしたいと思います。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 以上で終わります。

谷川和穗自由民主党

○谷川委員長 中谷鉄也君。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 九月二十日に発生をいたしました沖繩における米軍人の軍労働者に対する殺害事件についてお尋ねをいたしたいと思います。  お尋ねをする主要な問題は地位協定に関する問題に相なろうかと思いますけれども、まず最初に、私新聞の報道等を通じまして理解ができない点がありますので、刑事局長にお尋ねをしておきたいと思います。  第一回公判までは起訴状を拝見するわけにはまいりませんが、この米軍人の沖繩県民、軍労働者に対するところの殺害の動機というものは一体どういうことになっているのでしょうか。そういうものは起訴状に記載をされておりますか。要するに動機のない殺人などというものは私はあり得ないと思うし、もしそういうようなものがあるとすれば人命軽視もはなはだしいものだと私は思うのでありますけれども、その点についてまず冒頭にお答えいただきたいと思います。

辻辰三郎法務省刑事局長

○辻説明員 ベンジャミンに対します公訴事実でございますが、この点は本人が殺意を持って被害者の栄野川さんに対して発砲したというとらえ方をいたしております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 人を殺そうと思って殺したというのは、動機ではなくていわゆる犯罪の意思でございますね。何々何々の動機をもって何々何々であるから殺意を持って、こうあるのが、私は起訴状を拝見いたしておりませんけれども、普通であろうかと思うのです。新聞の報道等についてもその点が不明確。そういうふうなことは、かりにそれが無法ではあっても、このような理由がない殺人というようなものは全く人を人とも思っていないという態度にしか私は考えられないと思うのです。そうでなかったら狂人の犯罪としか考えられない。そういうようなことで、法務省としては現地から殺意を持ってというのは、とにかく私がお尋ねしている動機、理由に対する何らのお答えになっていないと思うのです。人間が人間に対する態度として、もし検察庁が捜査をされて、殺意を持ってとしか書きようがなかったというふうなことであったとするならば、あと地位協定の問題にも関連してまいりますが、私はきわめて遺憾であるし、そういうようなことは許しがたいことだと思うのでありますけれども、一体動機は何でしょうか。

辻辰三郎法務省刑事局長

○辻説明員 本件の動機でございますが、これはいずれ公判廷におきまして主張、立証がなされる、あるいは弁護、弁明がなされるということに相なろうかと思うのでございます。起訴状の段階におきましては、これが殺人罪であるという意味におきまして殺意を持って発砲したという旨の表示がしてあるわけでございます。捜査の過程におきまして検察官といたしましては、動機については十分捜査を尽くしたわけでございます。しかしながらこの問題はやはり公判廷において将来十分審理される問題であろう、かように考えまして、起訴状のほうにはその関係が表示されていないわけでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 刑事局長にお尋ねをしておきたいと思いますけれども、私は、動機を書いてないような、理由も書いてないような殺人罪の起訴状などというようなものを従前拝見をしたことはいまだかつてございませんが、もしかりにそういうふうな起訴状というようなものを刑事局長、検事長に御提出になったときに、部下の検察官がそういう起訴状を書いたというふうなことになれば、これは君、起訴状の体をなしていないよというふうに注意されることは当然でございましょうね。そんな起訴状というようなものはあり得ない起訴状じゃないでしょうか。私は、捜査を十分に尽くすことができなかった地位協定の問題をまずお尋ねをしたい。私は、地位協定の壁というものをきょうお尋ねしたいと思うのです。それは、とにかく公判廷において検察官の書いてある動機と違う動機だという主張が弁護側から出てくるかもしれません。しかし少なくとも検察官のほうでは、殺人罪の起訴状について動機を書いてないような、理由を書いてないような起訴状などというものは、それは率直に申し上げまして、刑事局長、長い間の検察官の生活の中でいまだかつてあったのでしょうか。交通事故だって前方注意義務を怠って、そしてどうしてこうしてと書いてあるじゃないですか。そうでしょう。もしそうだとすれば、それはちょっと異例の起訴状だというふうにお伺いせざるを得ないと思いますが、いかがでしょうか。

辻辰三郎法務省刑事局長

○辻説明員 中谷委員御指摘のとおり、通常の殺人罪の起訴状の公訴事実の摘記につきましては、殺人罪の場合には、殺意を持ってということを具体的にあらわすという一助といたしまして動機というのを書くのがむしろ多いと思います。しかしながら、特に動機の記載を必要としない犯罪につきまして一般の起訴状におきましてむしろ動機を書かないのが通例になっておると承知しておるわけでございます。  本件の場合は、これは動機というものを、私がただいま申し上げましたように、検察官としては十分捜査を尽くしたわけでございます。しかしながらなお検察官としては、起訴状に自信を持ってそれを書くということはやはりためらったのではなかろうかというような感じを持っておるわけでございまして、起訴状の書き方といたしましては、これはもう申し上げるまでもなく、殺意を持ってということを書くことによりまして殺人罪であるという摘記については十分である、かように考えておるわけでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 要するに起訴状としての体をなしているというか、起訴状としてそれで公判が維持できるということは私も承知いたしております。しかし、ではお尋ねいたしますけれども、動機について検察官がそれをどういうふうな動機だということをためらったということは、逆に言うと、捜査をする時間的な余裕その他がなかった。これは私あとできょうの本題としてお聞きする地位協定の壁の問題だというふうに私は理解せざるを得ないと思うのです。これは刑事局長の御答弁の中から当然出てきたことだと私は思う。  じゃ別のお尋ね方をいたしまするけれども、結局、現在刑事局長として報告を受けている動機は一体何ですか。

辻辰三郎法務省刑事局長

○辻説明員 この点につきましては捜査の過程におきまして動機と考えられることは十分あるわけでございます。しかしながら本件の場合にはいろいろとまだ公判廷におきまして審理を願わなければいけない問題があろうと思います。そういう関係で、私、この捜査の過程のことを実は申し上げたいのでございます。そして決してこれは地位協定による壁というものではなくて、御承知のように、この事件につきまして検察官は七名、検察事務官は十名をもって大捜査陣を組織いたしまして、検察官だけでも参考人を三十名近く調べております。捜査は十分に尽くしておりまして、決してそこに壁なんかはなかったわけでございます。ただ公判前におきまして、この動機につきまして、調べのときにはどういうふうになっておると言うことは、本件のいろいろの関係がございまして差し控えさせていただきたい、かように考えるわけでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 私に言わせれば、検察官が七名、検察事務官を十名も必要とする事件なのかどうか。三メートル前からぽかんと撃ったような事件、こんなものはことし任官した検事だって十分調べられる事件ですよ。逆にいうと、検察官七名を動員し、検察事務官十名を動員しなければ調べられないほど地位協定の壁は厚かったということがむしろ刑事局長の御答弁の中から出てきておるじゃないですか。そのくらいの大捜査陣をしがなければ、こんな単純かつはっきりした事件の捜査ができなかったというところは地位協定の壁じゃないですか、私はそう思います。その点について御答弁がもしあれば何かお答えいただきましょうか。  検察官七名なんというのは造船疑獄並みですよ。造船疑獄のときは検察官が何名であったか知りませんけれども、こんな単純な、こんなむざんな事件を、こんなものは検察官一名で十分調べができる事件です。それを七名必要としたということにむしろ捜査の困難性、その困難な理由は、何も事件そのものじゃなくて、地位協定の壁というものがあった、こういうふうに私は言わざるを得ないと思います。いかがでしょう。

辻辰三郎法務省刑事局長

○辻説明員 本件は、外形的な事実につきましてはただいま中谷委員御指摘のとおり比較的簡単な事案だろうと思います。しかしながらやはりこの事柄の、事案の重要性という点にかんがみまして、検察官としてはできる限りの真相の発見ということにつとめるべきものであるという観点から、かような多くの人手を用いて徹底した捜査を行なったというふうに理解をいたしておるわけでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 閉会中審査ですし、これ以上刑事局長に、もう言外の中に地位協定の——率直に言って非常に捜査は困難をきわめた、しかも起訴状に動機も書き得なかったようなお話、そして書くことを検察官がためらうような、逆に言うと心証がとれていない、そういうふうなことであったということはきわめて残念であります。  そこで外務省にお尋ねをいたしたいと思いますけれども、おいでいただいてますね。  どういうことになっておるのでしょうか。ピストル四十丁が沖繩において暴力団に横流しされた。白昼海兵隊が撃ち合いをする、こういうふうなことが新聞等で報じられ、現地からそういう話を聞かされておる。ベンジャミンという上等兵が、とにかく兵隊であるから鉄砲を持っておるのは私はわかりますよ。ライフルMとかいうライフル銃を持っておることはわかります。  そこでお尋ねしたいのですが、外務省は御存じですか。御存じでなければいかぬと私は思うのです。日本の自衛隊にしろ旧陸軍にしろ、とにかく実弾についての保管管理、こういうものは厳重をきわめたわけなんです。一体とにかく沖繩におけるところの在沖繩の米軍の実弾管理についてはどういう規則があるのですか。どういう規則で管理されているのですか。

角谷清外務省アメリカ局外務参事官

○角谷説明員 まことにこの事件は遺憾な事件でございまして、外務省といたしましてもアメリカ大使館なり関係方面の関係者を呼びまして厳重に注意を喚起いたした次第でございます。  御指摘の点につきましては、外務省といたしましても米側に照会いたしまして、やはり軍のことですから必ずしも明確にこまかい点はわかりません。米軍といたしましては当然のことながら銃器の保管につきましては内部のレギュレーションと申しますか、規則というものを持っておりまして、私たちの了解しておりますところは、それぞれ隊の特定の場所に場所を定めまして、それからそれの保管の責任者、大体兵長クラス、下士官というふうなところでございますが、そういう責任者を定めまして厳重に管理しておるということでございます。ただこのベンジャミンが、それでは何でそういうような弾薬を入手したかという問題でございまして、これはやはりそういうたてまえから申しまして、米側としてもやはり規則をおかして入手したということのようでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 気違いに刃物といいますけれども、要するに、とにかく実弾などの保管が、私はきわめてずさんきわまりないような状態にあったと思う。規則の名称をひとつここで言ってください。それは一体どういう規則になっているのですか。これは自衛隊にもちゃんとそういう典範令はありますよ。規則があります、厳重に保管しておるたてまえになっておりますというようなことでは私は承知できません。外務省はそこまでお調べになったかどうか。一体どういう規則、どういう典範令に基づいてそれは保管されておったのか。そして規則をおかしてと言われるから、一体いつどういうかっこうでそれはどろぼうをしたのかどうか。どろぼうをしてたまを持ち出したのか。このあたりが、どうも基地の中のことであって、従来からのこの関係に関する新聞報道等を詳細に読んでみたけれども、弾薬の保管に関して指摘をし、掘り下げたところの論評等を私は見ていない。気違いに刃物ですから、このあたりは徹底的に調べてもらわぬことには、また調べなければ、一度あることは二度ある、二度あることは三度ある。規則の名前はおわかりですね、言ってください。

角谷清外務省アメリカ局外務参事官

○角谷説明員 ただいま規則の正確な名前というものは私ちょっと存じません。これは調べまして正確な名前をお伝えいたしたいと思います。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 規則の名前はわからないけれども、じゃ保管の形態に関する、その部分についての保管様式、それについては答えられますか。

角谷清外務省アメリカ局外務参事官

○角谷説明員 具体的な保管様式がどうなっておるかというところまでは私も存じません。これはできる限り御指摘の点を踏まえまして、ひとつアメリカ側にも照会しまして調べたいと存じています。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 ピストルが四十丁横流しされた事件というのはベンジャミンの事件の以前のことですね。そうでございますね、暴力団にピストルが横流しされた事件というのは。そのころ外務省はこの問題について、武器弾薬等の保管は一体どうなっておるのかを——どうも私の感じではまくら元へでも置いておるようなかっこうのずさんきわまりない置き方をしているのじゃないか。要するにベトナムから帰ってきて、弾薬、銃器等が消耗品扱いになっておるというふうなことが、しかもとにかく血のついたかっこうで、硝煙のにおいのついた人間が帰ってくるというふうなことで、しかもいまなお沖繩において占領意識を持っておる。これがあの事件の基本的な背景だと思う。そんなことについて、私は、外務省の担当者であるなら、どうなっておるのだろうかということは当然調べるべきはずだと思うのです。拳銃横流しのときにその問題は調べられましたか。

角谷清外務省アメリカ局外務参事官

○角谷説明員 御指摘の点は拳銃横流しのときに調べたかということでございますけれども、その時点で特にそれを調べたということはございません。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 じゃ委員長にも私はお願いをいたしますけれども、弾薬取り扱いの規則がどうだというのは、それはたてまえの問題ですよね。実態はどうだということまで——じゃ規則をまず出していただきましょう。規則、典範、それを出していただくことが一つ。いま一つは、実態がどうだということまで調べてもらわなければいかぬ。そんなもの、旧陸軍でも盗み出せるもんじゃないのですよ、実弾なんというものは。それがとにかく盗み出されて——盗んだかどうか、私は盗んだと思いません。おそらく寝台の端っこに置いてあったのじゃないか。いつ何どきであっても気違いに刃物だ、そんな状態だ。だからあまりにもたてまえと実態が違うという状態がまずあったと思う。しかし私がきょう委員長を通じて外務省に要求をいたしたいのは、弾薬、銃器取り扱いに関する規則、それはとにかく陸軍その他全部の軍についての規則、まあ空軍はいいでしょう。それについて調べて、ひとつ届けていただきたい。これは私ひとつ委員長にお願いいたしたいと思います。外務省よろしいですか。

谷川和穗自由民主党

○谷川委員長 委員長から発言をいたします。  この問題は国民すべてきわめて関心が高く、また非常に重大な問題だと存じますので、私から外務省に強く要求いたします。

角谷清外務省アメリカ局外務参事官

○角谷説明員 ただいま米軍の当該関係の規則なり何なりを提出せよということかと存じます。もちろんわれわれといたしましても米軍なり米関係者に当たりまして、これは十分調べたいと思っております。ただ、その規則とか法規自体になりますと、これはもちろん米軍自体のことでございますから、それには当然米軍の了解なり何なりを得ませんと、これは私もすぐ承りましたと言うわけにはまいりませんので、その辺は、調べることはもちろん可能な限り調べたいと思いますけれども、そのもの自体につきましては、どうも確たることは申し上げかねるということでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 私は外務省に一言言わしておいてもらいますが、外務省きょうは出てきておられるけれども、規則の名前について先ほど記憶がないというふうな話をされたのだけれども、あなたはその規則を知らないのですね。逆に言うと、そんな規則を、これは県民の生命を守るという立場で調べてみようということで調べた事実がないわけですね。そしてそのたてまえと実態がどうなっているかということについて調べてみよう、アメリカと交渉してみようなどということは、この委員会に出てくるまではましていわんや一かけらもそんな気持ちは持っていなかった。ただどんなかっこうか知らないけれども、弾丸の保管はどうなっていたのか、やっております、それはとにかく兵長クラスです、というふうな話として聞いてきた、聞いた事実がありますということで、規則の名前などは知らないのですね、調べてないのですね。いまのこの段階で、要するに調べてきたけれども失念をしたというのじゃないのですね、あなたの話では。お尋ねしますけれども、一体そういう規則は、まず米軍において秘扱いのものじゃございませんよ。こんなものとはとにかく内閣委員の諸君が持っている米軍の典範令の中に出ているものですよ。そんなものを調べるくらいのことは担当者として当然じゃないですか。典範令に載っているのを御存じないですか。

角谷清外務省アメリカ局外務参事官

○角谷説明員 私個人は存じておりません。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 だれが知っているのだ。——そこで大臣に私お尋ねいたしたいと思います。今度の問題で問題になりましたのは、何と申しましても地位協定の問題であろうかと思います。そこで法務省の見解その他、各官房長官あるいは国家公安委員長等もそれぞれ見解をこの問題について述べられたようでありまするけれども、地位協定十七条五項の(c)号について県民感情、国民感情の面から見ましてまことに割り切れないものがあるということは、私当然だろうと思うのであります。そこでいまさらこの問題について地位協定の十七条を読み上げることもなかろうかと思いまするけれども、十七条の五項の(c)、「日本国が裁判権を行使すべき合衆国軍隊の構成員又は軍属たる被疑者の拘禁は、その者の身柄が合衆国の手中に、あるときは、日本国により公訴が提起されるまでの間、合衆国が引き続き行なうものとする。」こう書いてございますが、地位協定にこういう規定があるから結局十何日間、起訴するまで身柄の引き渡しについては米軍が拘禁をしておったのだ。これは地位協定の十七条五の(c)の問題であるということなのであろうかと思いますけれども、第一に私お尋ねしたいのは次の点なんです。この十七条の五の(c)は、五の(a)があるからといって、先ほどの起訴状を私拝見をいたしておりませんけれども、起訴状の記載の中に動機等も書かれてない。もしこれ第一次裁判権日本にありとして、直ちに日本の警察並びに検察庁がとにかくこの身柄を拘禁し調べたならば、私は率直に言ってそういう残念な起訴状のていさいにならなかったと思うのです。捜査が十分行き届いたと思うのです。そこで地位協定のこの問題については外務省にお尋ねいたしまするけれども、捜査という観点から申しまして、この十七条の五の(c)というのは、第一次裁判権が日本にある場合、日本の検察官が公訴を維持しなければならない場合に、これは捜査上、あるいはまた検察官が公判において攻撃防御の中において検察の立場を守って、そうして有罪の者を有罪にするという立場から見て、日本の刑事訴訟法のように二十一日間勾留できるのだというふうな規定に比べますと、捜査の障害になっておるということは、これは私事実だと思うのです。ですから、純然たる捜査上の問題として、検察権の行使の問題としては、これは地位協定の問題として私はまた別に外務省にお尋ねしますけれども、これは捜査上は非常に不便な規定だということは当然だろうと私は思うのですけれども、これはいかがでしょうか。

郡祐一自由民主党法務大臣

○郡国務大臣 今度のベンジャミンの事件を見ましても、米軍は、すぐ、向こうの拘禁施設に拘禁をいたした。そして、その後もわがほうの捜査に協力をいたしております。これはわがほうの求める捜査にはすべて協力をいたしておりまするし、したがって捜査として(c)号によって検察が支障を受けたということはないと私は存じます。今度のベンジャミン事件に限りましては私も及ぶ限り注意をして聞いておりましたが、これで捜査当局が、検察当局が、支障を起こしたということは私はなかったと存じております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 ではお尋ねをいたしますけれども、刑事局長にお尋ねいたしますが、この十七条の五の(c)の規定があるために、米軍の手中にあった……。一体ベンジャミンを何回、何時間、お調べになりましたか。

辻辰三郎法務省刑事局長

○辻説明員 何時間という点は計算すればわかると思いますけれども、検察官がこの事件の送致を受けましたのは、犯行が九月二十日でございます。検察庁が事件を受理いたしましたのは二十三日でございます。起訴いたしましたのは十月三日でございます。検察庁の手にありました二十三日から十月三日までの間、ほとんど毎日検察庁のほうに、あるいは場所は警察の場合があったかもしれませんけれども、本人を米軍側のほうで出頭させまして、検察官が捜査をいたしておるわけでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 そこで、では大臣にお尋ねいたしたいと思いまするけれども、政府部内で国家公安委員長が、十七条はやはり改定をしなければ困るというふうな発言をされたというふうな趣旨の新聞報道があるのです。私、率直に言いまして、国家公安委員長何を言われるか。ちょっと法務大臣と違いまして最近かなり放言癖がある方だから、私どういう趣旨で言われたかよくわかりませんが、十七条の五の(c)などを改定しようじゃないかという考え方について、法務省としてはどういうふうなお考えをお持ちなのか。要するに十七条の五の(c)については、では全然、とにかくベンジャミンの事件に限っていえばとおっしゃいましたけれども、十七条の五の(c)というものが今後の、日本が第一次裁判権を持っている場合、すなわち日本の司法権あるいは検察のために、ひいていえば日本の国民の生命、財産、身体を守るという観点からいって、合理的な、適切なものだというふうにお考えになりますかどうか、これはひとつその点をお答えをいただきたいと思います。

郡祐一自由民主党法務大臣

○郡国務大臣 私も木村長官が言われましたような話を新聞で拝見をいたしました。ただ、当時、したがいまして私も会見等で申しておりましたのは、県民感情として身柄の引き渡しは早くしてほしいということ、これは私は全くわかるし、そしてそういうことができれば望ましいと思うけれども、ということを私自身も言っておったのでありまするけれども、十七条五項(c)号に関する限度におきましては、私は、現在の地位協定が、これがあるから、先ほどもおっしゃいましたが、捜査に困るのだ、これが不合理だというところまで、どうも言い切れないように私は考えておったのであります。したがいまして、県民感情としてはこうである、しかし(c)号に関しては、私は極力検察としての本来の仕事を早くやって、それで早く解決をしたい、そういうことを申しておったのでありますが、その考え方はいまもそのまま同じでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 大臣、私、率直に申し上げまして非常に論理的な御答弁をいただいておるのですが、ではお尋ねをいたしたいと思います。  十七条の五の(c)という規定、この規定というのは、そうすると適切なものなのかどうか、これはいかがでしょうか。  捜査に支障がなかった、こういうふうにいまおっしゃいましたね。では一体、十七条の五の(c)というのは、第一次裁判権のあるほうが身柄の拘束ができないなどというもの、しかも公務執行中の事件については公務執行の認定をすればすぐ米軍に引き渡さなければならないという規定が片方にある、それから公務執行外であっても特別な必要性と理由がない限りは、とにかく米軍に返しなさいという規定がある。だからこれは、私はバランスがとれていないと思うのです。  では、現実の捜査には支障がなかった、ベンジャミンについてはなかったとおっしゃいますが、十七条の五の(c)という規定は、協定として適切なものなのかどうか、いわゆる合理性を持っているものなのかどうか。これは一体いかがなものなのでしょうか。大臣から……。

郡祐一自由民主党法務大臣

○郡国務大臣 ちょっと刑事局長から……。

辻辰三郎法務省刑事局長

○辻説明員 技術的なことがございますので、最初に技術的なことを申し上げさせていただきたいと存じます。  この地位協定十七条五項の(c)の規定でございますが、これは中谷委員つとに御承知と思うのでございますが、NATO協定におきましても全く同様の規定があるわけでございます。一言一句違わない規定があるわけでございます。これはなぜこういう規定があるのだろうかということに相なるわけでございまして、これはやはり外国軍隊の駐留を認めました場合に、軍隊が、この「手中にある」といいますのは、ただ営内に居住しておるという意味ではございません。この「手中にある」ということばの意味は、軍隊の権限ある機関によって逮捕、拘禁、禁足など、当該犯人の自由を拘束する措置がとられ、その結果としてその者の自由が拘束されている状態をいうというふうに解されるべきものでございます。またこのベンジャミンの場合は、ベンジャミンは営内におきまして殺人罪を犯したわけでございます。そこで米軍のほうは軍事警察権に基づいて本人を謀殺の規定によって逮捕した、こういうことでこの手中に入ったわけでございます。そういう場合に、これはやはり外国軍隊の駐留を認めた場合には、外国軍隊が軍の組織とその権限のもとにおきまして身柄の自由を拘束した、こういう事実がありました場合に、接受国のほうはこれに対してまず、起訴するかどうかがきまりますまでは、その組織的な拘禁力というものを尊重するというのが一つの国際的な考え方であろうというふうに解さざるを得ないと思うのでございます。そこにこの規定の法律的な意味があろうと私は存じます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 NATOの規定をお出しになりましたが、ではお尋ねしますが、十七条の規定全体が裁判権に関する規定でございますね。そうすると、刑事局長は自信をもって五の(c)のお話をされたけれども、全体についてこれは全くNATOと同じです、それから、この規定がさらに刑事裁判管轄に関する事項の合意議事録のその合意事項、こういうものがあることは局長百も御承知のとおり、これも全くNATOと同じだということをこの委員会で責任をもって言われるわけですか。

辻辰三郎法務省刑事局長

○辻説明員 御案内のとおり、この地位協定十七条は刑事裁判権に関する事柄を規定いたしておるわけでございます。これと同様の趣旨の規定が刑事裁判権の行使に関しましてNATO協定にあるわけでございます。  そこでこのNATO協定と、私いま宙でちょっと恐縮ですが、この公判審理の場合のことが、多少この字句が違っておった点があろうかと思いますが、規定そのもの、地位協定そのものは、刑事裁判権の行使に関します限り実質的に同様でございます。  合意事項その他の点については、ただいま私何とも申し上げかねます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 では、刑事局長そこまでおっしゃるなら、もう少し話を詰めたいと思いますけれども、五の(a)の運用はNATOにおいてはどういうかっこうに行なわれておりますか。

辻辰三郎法務省刑事局長

○辻説明員 具体的な運用状況は承知いたしませんが、この捜査の協力規定あるいは逮捕の場合の通告その他、やはり同様に行なわれているものと私は考えております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 この点について、私その点を承知せずに申し上げているわけじゃないのです。とにかく、じゃ、NATOの協定と、NATOの関係の刑事裁判管轄権に関する付属文書、これは法務省御提出いただけますか。

辻辰三郎法務省刑事局長

○辻説明員 NATO協定の訳は提出できます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 いや、付属文書。

辻辰三郎法務省刑事局長

○辻説明員 付属文書という点について、どういう段階にあるのか、その点が私、そういうものがあるのかどうかはっきりいたしませんので、お引き受けいたしかねますが、NATO協定自体の刑事裁判権条項は提出できます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 先ほどおっしゃったその「手中にある」ものという解釈は、どこのだれの解釈なんでしょうか。要するに、ことばをかえて言いますると、「手中にある」という解釈は、それは日本の法務省の解釈なのか、それはもうとにかく解釈としては確定していることなんだということなのか。そういう「手中にある」というのは一体何なのかということについての解釈が違った場合には、同じ文言であってもかなり違ったものになっていくと思うのです。その点がまず一つ。まず、「手中にある」という点についての解釈が、NATOと地位協定と全く一致しているのかどうか。そうしてその「手中にある」というのは一体何なのかということについての合意事項というものがこれはあるはずです。この点について、これもまた合意事項が全く一緒なのかどうか、この点はいかがでしょう。合意事項もその点は一緒でしょうか。

辻辰三郎法務省刑事局長

○辻説明員 「手中にある」というこの英文は、「イン・ザ・ハンズ」ということばであったと思います。このことばはNATO協定にもあったと思います。その点では同じでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 きょうは私、日文、英文両方持ってまいりました。そのことのことばはかりに一緒であるということと、その「手中にある」という場合は一体どの部分を含むのか。要するに空間的には一体どうなるのか、指揮系統その他においてはどうなるのかということが、NATOの場合と日本の場合とは一緒だということをはっきりと言い切れるのですか、とこう聞いているのです。

辻辰三郎法務省刑事局長

○辻説明員 地位協定の場合の「手中」の解釈につきましては、先ほど私が申し上げたとおりでございます。NATO協定の場合に、アメリカと当該国とがこの「手中にある」という解釈をどういうふうに解釈しておるか、それは私は存じません。しかし日米に関する限りは、この「手中にある」というものの解釈はただいま申し上げたとおりでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 外務省のほうから、「手中にある」ということばについての解釈は日米合意の間にどういうことに相なっているか、御答弁いただきたいと思います。

角谷清外務省アメリカ局外務参事官

○角谷説明員 解釈につきましては刑事局長と同じでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 日米間の合意としては外務省はどういうことに相なっておりますかと聞いているのです。

角谷清外務省アメリカ局外務参事官

○角谷説明員 お答えいたします。  「イン・ザ・ハンズ」ということばにつきましては、解釈につきまして特に合意というようなものはございません。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 では、この点についてお尋ねしますけれども、管轄権に関する合意の中で「手中にある」ということについて国民感情その他もこれあり、たいへん問題になりました。そういう点について合意がないということですけれども、アメリカと日本との間に解釈の食い違いがあるということもあり得るということになりますか、合意がないということになれば。

角谷清外務省アメリカ局外務参事官

○角谷説明員 もしそういうことになりますれば、当然これは合同委員会なりあるいは外交チャンネルで討議するという必要が生じてくると思います。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 いやいやそうじゃないのです。  現在、そうすると両者の間に解釈、理解についての食い違いがあるかどうかについては明確でない。これはもうとにかく米軍犯罪というのは、昭和二十何年かのアメリカ水兵の強盗殺人事件、それからその後公務執行中であるかどうかが争われたジラード事件、その他ずっと通じまして、いわゆるこの問題については、地位協定十七条の解釈、運用をめぐる問題などというところのレポート、これはもう法務省は当然お読みになっておると思いますけれども、外務省だって読んでいるはずでしょう。ずいぶんこういうものは何十とそういうレポートを学者や実務家が書いておるわけでしょう。だから読んでおるはずですよ。ところがどうも「手中にある」ということについての日米間の合意がはたして一致しているのかどうか、解釈が一致しているのかどうかという点については私必ずしも明確になっていないと思うのです。この点についていかがでしょう。だから問題が出てからこの点について合意をするというんじゃ話がおかしいじゃないですか。とにかくジラード事件が起こったのは一体いつのことですか。これは昭和三十二年一月三十日、もちろんこれは裁判権を放棄をしたということから起こった事件であることは私、承知いたしておりますけれども、もうとにかく十五年前の事件でしょう。その間にそれらの問題についていろいろな点についての解釈上の食い違いがないかということは外務省が積み重ねていくことは当然じゃないですか。その点についてどうも、両方の解釈が一致している、あるいは一致してない、こんな点にいろいろな問題が出てくると私は思うのですが、その点について、どうもあなたこのポストにつかれてから新しいらしい、どうも先ほどから答弁がもたもたしている。その点についてはっきりしませんか。外務省いかがでしょうか。

角谷清外務省アメリカ局外務参事官

○角谷説明員 外務省の承知しております限り、この「イン・ザ・ハンズ」という協定の解決につきまして日米間で意見の相違があったということはございません。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 いや、だから、そのことばについて解釈の相違がないというならば、それはアメリカのこの文献にあります、だからそれはとにかくという話まで出てこなければいけないわけなんですけれども、どうももたもたしておられるから、これ以上質問するのはお気の毒な気もするけれども、ではその根拠は何ですか。外務省の知っている限りにおいてアメリカの陸軍のこの文書だ、外務省としてはアメリカのこの文書に基づいてそれを読んでみた限りはということが前提として出てこなければおかしいでしょう。そうですね。私もうあなたに答弁を求めないけれども、そうでしょう。意見の食い違いがないと言う限りはこういう文書がありますということが出てこなければ、意見の食い違いがあるかないかということについての答弁はできないはずじゃないですか。そうじゃないでしょうか。これ以上あなたに——それはわかり切ったことなんだから、あなたがそういう文書を知っているならさっそく委員長に対して発言を求めるはずだ。どうもあなたは知らないで言っているようだ。だからそれはいいです。いいというよりやむを得ない。やはり私はこういう問題についてはっきりしておいてもらわぬといかぬと思うのです。  次に質問が進んでいきますけれども、ベンジャミンに栄野川盛勇君という軍労働者が殺された。全くお話にならないような殺され方です。民事局長おいでいただいておるわけですけれども、これはとにかく地位協定を離れて言いますと、一体被害の請求をするのはベンジャミン以外にないわけですか。いかがなんでしょうか。そうだとすれば殺され損になる。どういうことなんですか。

川島一郎法務省民事局長

○川島説明員 民事上の損害の賠償の問題でございますが、これにつきましては、やはり一般の原則に従いまして被害者の遺族から加害者であるベンジャミンに対して不法行為による損害の賠償を請求する、こういうことになるわけでございます。  そのほかに一応問題となりますのは、地位協定の実施に伴う民事特別法という法律がございます。この法律によりますと、合衆国軍隊の構成員がその職務を行なうについて他人に加えた損害の賠償の責任は国が負うことになっております。しかしながら、私この事件を詳しく承知しておりませんが、ベンジャミンが職務を行なうについて加えた損害と認めるのはいささか問題があろうと思いますので、その適用があるということはいまの段階ではちょっと申し上げられないわけでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 そうすると、あとは地位協定十八条の六項の(a)の関係、要するに地位協定の十八条の問題になってくると思うのですけれども、施設庁としてはこの問題についてはどういうふうにお考えになっておられますか。要するに一人の一家の大黒柱が殺された。しかも非常に無法な殺され方をした。しかも、一般的にはとにかくベンジャミンに対して被害者請求だと言ったってこれではどうにもならないと私は思います。そういうことになってくると、特別法の問題としては公務執行中の問題じゃないということになってまいりますると、地位協定十八条の問題としてこの問題を処理をするということは、政府としては当然の立場だろうと思うのですが、施設庁としてはこの点についてはどういうふうに考えておられますか。

河路康防衛施設庁総務部長

○河路説明員 この事件につきましては公務外ということでございますので、私どものほうは要するに十八条の六項の(a)によりまして日本国政府が公平かつ公正に請求を審査して、補償金を査定してその事件の報告書を作成するということになっております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 そこで、六項の(a)の話はもうよくわかっているんですが、結局こういうふうな問題について施設庁としてはそういう申し出をするということについて、慰謝料を払わぬというふうなことはあり得ないことでしょうね。そういうことについては、これの一体性格は何かという問題は、私はもう時間がありませんからやりませんけれども、大体私は、感じとしては、こういうふうな無法な行為は、金額を私から申し上げるのはおかしいけれども、どういうふうな作業を現在しておられますか。どういうふうにして慰謝料という名前によるところの、この人のために六項(a)を生かすための作業を施設庁としてはしておられますか。現在の作業の進捗状況を私はお聞きしたい。

河路康防衛施設庁総務部長

○河路説明員 私どものほうでは現在那覇局におきまして遺族の方などと相談をいたしまして、いろいろと、もちろんこの遺族補償の金額査定につきましては、公務上と同様に計算するわけでございますが、遺族補償につきましては、平均収入日額が基礎になっておりますので、現在私どものほうでは本人被害者の月収その他についてまだ調査中でございます。その額がまだ確定いたしておりませんので、遺族補償の全体金額についてもまだ申し上げる段階になっていないという状況でございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 補償金と慰謝料ですが、慰謝料については、少なくとも日本の施設庁としては、とにかくこの金額を下回るようなことはあってはならないということは言えるでしょう。これはその人の収入が幾らだったというような問題とは別の問題です。これは補償の問題とは別の問題です。この点についてはどういうふうに考えられますか。これは相手との交渉で、要求をして、断わってくるようなことは私はあり得ないと思う。慰謝料としては少なくともいろんなものを算定されるでしょう。遺族の精神上の損害ももちろん含みますね。それについてはこれを下回ることはない、いろんな計算をしてみますと、最低限これだけのものは下回ることはないというくらいは私は見識としてこの委員会で御答弁をしておいていただきたいと思う。いかがですか。

河路康防衛施設庁総務部長

○河路説明員 防衛施設庁といたしましては、まだ現在この金額を下回ることはないという、そういう金額を算定しておりません。私どもの計算といたしましては、現在査定の段階におるという段階でございますので、まだどの程度の金額がほんとうに最低のものであるというようなことについて、きまったものを持っておりません。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 最低のものを要求しようとはだれも言っていないのです。公正かつ適正なものでありますね。しかし、だれが考えても、どんな不公正な査定をしても、一千万をとにかく慰謝料は下回ることがないとかいうふうな話がまず出てくるのでしょう。それで計算してみたら三千万になったとか四千万になったとか五千万になったという話になってくるわけでしょう。いつまでに査定を終わるめどを立てておられますか。めどを聞かしていただきたい。

河路康防衛施設庁総務部長

○河路説明員 私どものほうとしてはできるだけ早く出したいと思いますけれども、まだ何カ月以内というふうにめどは立っておりませんが、少なくとも一カ月以内には相当金額が査定できるんじゃないかというふうに考えております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 従来の例からいいますと、支払いが行なわれるのはどのくらいでしょうか。

河路康防衛施設庁総務部長

○河路説明員 従来の例によりますと、現地米軍にまかせられます金額は非常に少ないものでございます。五百万円以上、要するに一万五千ドル以上になりますと、慰謝料につきましてはアメリカの議会の支出承認を受けるというような法律がございますので、相当の日にちがかかっております。例といたしましては四十一年に事件がございましたけれども、九百万円、一千万円の慰謝料につきましては、約三年ほどかかったという実例がございます。アメリカの議会の承認を得るような金額になりますと、相当な日数がかかるということでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 先ほど私、大臣にいろいろな点についてお尋ねをいたしました。十七条についてお尋ねをいたしました。私の質問に対して非常に論理的な御答弁を私はいただいたわけでありますけれども、たとえば日本弁護士連合会は、すでに大臣御承知のとおり、五項の(a)との関係において五項の(c)を理解すべきである。要するに拘禁をし得るというのは、合理的な理由がない限りは拘禁さるべきではないのだというふうな趣旨の見解を発表したことは、もうすでに大臣御承知のとおりであります。そこで私、率直に申しまして、国家公安委員長は思いつきとして発言されたのかもしれません。しかし、私は、この発言が一人の閣僚の口からなされておる、しかも私が注視するのは、日本弁護士連合会という法律家集団の、まず五項の(c)の解釈について、公訴が提起されるまで拘禁を行なうのだというのは、五項の(a)との関係においてそれを見るべきだという見解もあります。そこでこれは、外務省の参事官の方にお尋ねしたってお答えが出るはずがないわけなんだ。そこで私は率直にお尋ねいたしたいと思いますけれども、やはりこれだけ閣僚の中にもそういう発言をする人がいる、それがどういうふうな背景とどの程度この問題について掘り下げられてそういう発言をされたかについて、私ははっきりしませんけれども、また、法務省の中にだってこの問題について——大臣、先ほどの起訴状の問題で刑事局長と私のやりとりを聞いてくださっておったと思いますけれども、毎日何時間調べた、こう言ったって、率直に言ってあんな動機が書かれていない起訴状だとすれば、私はふていさいな起訴状だと思います。それはやはり私は五の(c)があったからだと思うのです。というようなことで、ひとつ、法務大臣の御所見ではありませんけれども、これはともかく刑事裁判権に大きくかかわっておる検察のお仕事というものを御所管になっておられるところの法務大臣として、この十七条が、刑事局長などと同じですという話をされたけれども、それを含めて、私は国民感情、そして捜査のあり方、また現実に今日まで行なわれている、また将来このままで、外務省のように弾薬保管の規定について明確でないというふうな状態、気違いに刃物持たせておるかもしれぬような状態においては、非常に好まぬことだけれども、こういう事件が起こるおそれなしとしないという中において、十七条の問題について全体的に検討される、私は直ちにきょう大臣から十七条の五の(c)を改めましょうという御答弁を求めるつもりはありませんけれども、ひとつ検討される、これは閣僚の中にもそういう意見を出している人もいる。まして私が言いたいのは、日弁連がこのことについて、解釈上の問題として強く問題を提起しているという問題の中で私は御検討をお願いして、その点についての私のきょうの質問を終わりたいと思いますが、いかがでございましょう。

郡祐一自由民主党法務大臣

○郡国務大臣 御指摘のように、日弁連が、十七条の五項の(a)の相互援助の規定についていろいろと御意見を承らせていただいて、承知しております。きょうの中谷さんの貴重ないろいろな御意見につきまして、おっしゃるように、十分解明されていない点があり得ると私ども思います。私どものほうもさらに他の省とも必要な連絡をとりましていたしたいと思いますが、最後に承りました御指摘の請求権の問題、これは総理府令に現に取り扱いについての規定もあるはずでございます。そういたしますならば、担当大臣に、どうすれば一番遺族に対して——おわびのしようはないのでございますけれども、それにしてもどうやって一番日本の国の当局としても誠意を尽くす、またアメリカも誠意を尽くす、そうした形をどうしたらとり得るか、そのことについては、十分担当大臣に早急に連絡をいたしまして扱いたいと思います。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 じゃ、終わります。

谷川和穗自由民主党

○谷川委員長 青柳盛雄君。

青柳盛雄日本共産党

○青柳委員 沖繩で起きました米兵の射殺事件というのは、非常に特徴的なものでありまして、それは、施政権が返還されたといわれた後における沖繩の米軍基地内で日本人労務者が射殺されたという、これが日本本土の基地内で起こった場合でも非常に大きな問題になると思いますけれども、ただいま申しましたように、本土並みになったといわれている沖繩で占領中と変わらないそういう事実関係があらわれてきたという、そこに大きな特徴があると思います。  このベンジャミンという上等兵が所属している第三海兵隊というのは、「世界」という雑誌の十一月号に福木という方が「沖繩——軍従業員射殺事件」というルポルタージュを出しておりますけれども、それによりますと、第三海兵師団というものについての秘密資料による指摘がございますが、この海兵師団の指令部の役割りは三つほどこの秘密資料によって明確にされておるそうですが、第二番目に「戦闘地区におけるベトナム補充兵員の交代に協力する任務」というのがあるそうでございます。また「この資料には海兵隊員がベトナムでつかうための七億個の手榴弾を保管していることや各種の訓練学校をもうけていることなどをしるしている。ようするに沖繩にいる海兵隊は米国のもつ強大な戦力の柱のひとつで、ベトナム戦争の主役である。」というふうに解説されております。これは、秘密資料とはいいますけれども、おそらく公然の秘密であろうと思います。施政権返還前において全く自由自在にこれらの海兵隊が沖繩の基地からベトナム戦争に参加していたであろうことは想像にかたくないわけであります。軍の秘密などといいましても、行ったり来たりしていたことは明白であり、現に、ベトナムで傷つき、沖繩を経由して、東京の野戦病院に移送されてきた兵隊があるというような事実を見ましても、この海兵隊の任務というものは少しも変わっていないと思われます。  また十月十三日付の週刊朝日によりますと、「いまだに動機不明のキャンプハンセン射殺事件」と題する記事がございますけれども、このジェームズ・S・ベンジャミンという人は、六年前に陸軍へ入って、一年間ベトナムに従軍したことがある。除隊して大学に復学したけれども、再びこの一月に海兵隊に志願入隊して沖繩へやってきたという経歴だそうでございます。そうしてベンジャミンと同じ二十五歳で在沖米軍に勤務していたレス・ウイズナーという人は、除隊で一時帰国したけれども、最近サンフランシスコからカメラマンとして那覇へやってきた。この人は、「白人だけが人間だという思いこみ方は全体的にアメリカ人の中にある。特にベンジャミンは、人種差別の激しいテキサス出身だからベトナムへいって、いっそう有色人種に対する嫌悪感を強くもったのではないだろうか。何のためにやっているのか分らぬベトナム戦争にいって、頭がおかしくなって帰ってくる米兵は多い。ところが沖繩にはベトナム人みたいな人がたくさんいる。頭のおかしいヤツから見ると撃ち殺してもいいような気持になるかもしれない」こう言ったと書いてあります。したがって、今度の事件は、ベトナム戦争と沖繩の基地ということと無関係ではないと思われます。  そこで、政府の当局者にお尋ねいたしますが、現在、この海兵隊はベトナムに参戦するために沖繩の基地から出かけていくというような事実はあるのかないのか、わかっておったら答えてもらいたいと思います。

松田慶文外務省アメリカ局安全保障課長

○松田説明員 お答え申し上げます。  ただいまの時点におきましては、米国政府は、地上戦闘軍をベトナムからすべて撤兵いたしておりまして、管理要員その他の顧問が少し残っておるものと発表されております。  御指摘の沖繩の第三海兵師団は、数年前、ベトナムの戦闘ピーク時におきましては、師団全体といたしまして南ベトナムに派遣されておりましたけれども、その後沖繩へ戻っておりまして、これが現在、直接的な形でベトナムの地上戦闘とかかわり合いを持っているという事実はございません。

青柳盛雄日本共産党

○青柳委員 次に、先ほどから問題になっておりました地位協定の十七条五項の(c)でありますけれども、これは日本の刑事訴訟法のたてまえとは全く異なったものになっております。つまり、被疑者の身柄については強制捜査はできない、すべて任意捜査以外はなし得ないというたてまえになっております。日本の刑事訴訟法の運営にあたりましては、強制捜査によって真相を発見することができるというのが検察、警察のたてまえのようでございます。現に、もう古いことになりましたけれども、造船汚職の時分に、時の自民党幹事長の佐藤榮作氏に対して汚職の強制捜査をしようということで検察庁は逮捕令状をとったようでありますけれども、いわゆる指揮権発動で強制捜査ができませんで、やむを得ず政治資金規正法で任意捜査のまま起訴せざるを得なかった。これはあまりにも有名な事実であります。ですから、日本で好んで強制捜査が行なわれる、これが乱用されることに対して、私どもは人権じゅうりんにおちいるおそれがありますので警戒しなければなりませんけれども、とにかく真実発見のために強制捜査ということが必要であるというのが刑事訴訟法のたてまえでございますが、この米兵の犯罪については、その身柄が米軍の手中にある限りは強制捜査に踏み切れない。その結果どうなるか。逃亡のおそれを防ぐことができるか。これは、米軍の協力義務というのがありますから、みずからの手中にあり拘禁しているものを、軍の移動に伴って他に連れていってしまう、事実上の逃亡に類するようなことをやる可能性が絶無だとは言いませんけれども、それはないといたしましょう。しかし、証拠隠滅の点になりますと、これは全く自由自在と言っても過言ではないと考えられます。これを強制捜査、逮捕によって防止するということは、日本の官憲には許されていないわけであります。絶対にありません。したがって、もっと進んで言うならば、合衆国軍当局が被疑者と共謀して証拠隠滅をはかるという可能性を持っていると言っても過言ではないと思います。今度の場合、動機がわからないといわれております。先ほど私が言いましたように、人種差別の問題、ベトナム戦争とのからみ合いということから、被疑者が非常な精神的な苦悩におちいってこういうような暴挙に出たということも考えられるわけでありますけれども、それは米軍当局にとっていうならば好ましい現象ではありません。これはあくまでももみ消しておいたほうがよろしいということにならざるを得ないと思うのです。どうやってもみ消すか。本人に対しては絶対に黙秘を求める、あるいはそれを指示する、示唆する、いろいろの方法があると思います。そして、この点に関しては何らの資料も日本のほうには提供しない、そういうことがあり得るのではないかというふうに思うのであります。  そこで、お尋ねをいたしますけれども、地位協定の十七条六項(a)によりますと、相互援助をする規定がございます。捜査について、証拠収集について相互援助をするということになっておりますが、米軍のほうではこの証拠収集についてどういう援助をしたのか。特に知りたいことは、この事件の裁判権が第一次的にアメリカ軍のほうにあるのか、あるいはその裁判権が第一次的に日本にあるのかということをまず判断するために、アメリカはいろいろの調査をしたと思います。本人の供述等も求めたと思います。これは本人が黙秘してしまえばやむを得ないことでありますけれども、少なくとも公務執行中のできごとであったかないかを判定するために、本人の供述を聞くというととは非常に重要な契機になりますから、やっていたであろうということが想像できるわけであります。だから、ライフル銃を提供したとか、あるいはその他のことについて協力したというようなことは、もうすでに新聞等で報道されておりますから質問する必要もないほどのことでありますけれども、本人の供述についての資料を提供しているかどうか。これを提供しておれば、まあ証拠隠滅に協力したというようなことはないということにもなりましょうが、そういうものは何もないのだからというようなことで少しもこちらに提供してくれないということであれば、これは示し合わせて一これは権利でございますから、黙秘することをわれわれは非難するわけにはいきませんけれども、とにかくそういうことにもなろうと思います。その点いかがでしょうか。

辻辰三郎法務省刑事局長

○辻説明員 ベンジャミンの事件につきまして、米軍当局はただいま御指摘の地位協定十七条六項の規定によりまして捜査の協力をいたしております。そのうちで、ただいま特に御指摘の本人の供述を求めてその関係の資料を出したかどうかという点でございますが、その点は、本人が事件を起こしまして直ちにこれは日本側の警察が調べておるわけでございます。もちろんその間に米軍側も調べたとは思いますけれども、むしろ犯行直後から終始日本側においてこの被疑者の取り調べをいたしたわけでございまして、事件について米側から供述についての提供があったかどうか——むしろ出す余裕もなかったくらい、終始日本側において取り調べを行なっておったというふうに考えております。

青柳盛雄日本共産党

○青柳委員 現行犯逮捕であって取り調べなどはもう必要がない、すぐ第一次裁判権を持っておる日本当局が調べたんだ、したがって何もこちらに提供してくれるものはなかったのだと、論理的にこういうことになるようでありますけれども、とにかく起訴するまでの何週間というものは身柄を自分のほうで留保しておったわけでありますから、その間に何が行なわれたかということについては、われわれは何も知る手だてがないわけです。ですから、調書にしたかどうか、ステートメントをとったかどうか、そこまではわかりませんけれども、またとっても、そんなものをこちらに提供すると不利だからということで、ないことにするかもしれませんけれども、いずれにしても何もなかったということがどうも判明したようであります。そもそもこの十七条五項の(c)というものは非常に屈辱的な規定だと私どもは考えます。特に、依然として日本の基地が沖繩を含めてアメリカのベトナム戦争に使用されているという状況のもとで、この種の犯罪が頻発するということを考えまするならば、その屈辱的な根拠はますます明白だと思います。現にこの事件が起きましたのは九月二十日、起訴されたのが十月三日、その数日後の十月七日には、タクシー強盗四人が沖繩で基地の前において強盗をやって基地の中に逃げ込んでしまった。したがって、ベンジャミンと同じようにこの身柄は米軍によって保護されているという事態、もう連続してこういうことが起こるわけであります。このような規定をいつまでも残しておくならば、沖繩の基地だけでなしに本土の基地においても不良な米軍人がいろいろの悪いことをやって、基地内をいわば避難場所のようにして逃げ込むであろう。米軍は十七条五(c)を利用してこれを保護する。日本の裁判権に服させるまでの手続が非常に困難におちいる。起訴もようできない。結局は泣き寝入りということもなきにしもあらずだと思います。だから私は、この規定を廃止することを日本政府が責任をもって米政府と交渉しなければならないと思いますが、この点について法務大臣あるいは外務省当局の方々はどう考えておられますか、質問いたします。

郡祐一自由民主党法務大臣

○郡国務大臣 タクシー強盗の事件を御指摘になりましたが、これはもし必要があれば事実関係でございますから担当の局長からお答えいたします。  十七条五項(c)につきましては、先ほども申しましたように、いままで捜査上格別の支障を生じたというようなことはございませんので、この規定をにわかに改めなければならないというような状況には私はないと考えております。

青柳盛雄日本共産党

○青柳委員 先ほどの同僚議員の質問の中でも、日本弁護士連合会の解釈などと法務当局の解釈とは違っているようでございます。いま捜査に支障を来たさないというような理由によって、あえてこれを変更する必要性がないというようにお答えでございますけれども、私は捜査に支障を来たすことは当然、むしろ主権がこれによって侵される。捜査に支障がないといいましても、それはやはり、もうくどく申しませんけれども、米軍の庇護のもとに犯人がかくまわれているという事実一つをとってみましても、起訴するまでにどんなに困難があるか、結局は証拠を十分にあげることができなくて公訴を維持できない、あるいは公訴を提起できない、そろいうことの可能性をたくさんはらんでいると思います。今後もこのような日本の主権を侵す地位協定を残しておくということについては、われわれはとうていそれを黙視することはできないと考えますので、今後ともこの問題についてはおりに触れて政府の態度、施策について質疑を続けたいと思います。本日はこれで終わります。

谷川和穗自由民主党

○谷川委員長 中谷鉄也君。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 いただいた時間を超過をいたしましたので、法務大臣に二問だけ私はお尋ねをいたしたいと思います。  法曹一元化というふうなことが言われてすでに久しいわけでありますけれども、私自身、先輩の多くの検察官あるいはまた同僚の検事諸君あるいはまた私の後輩の検察官、大ぜいの友人あるいは先輩を持っているわけでありますけれども、裁判官、弁護士、検事、それぞれ立場は違いまして仕事も別でありますけれども、いうてみれば司法界という一つの場における、非常に世間から見るとわれわれ自身が気がついてないところでかなり反省もし、あるいはまたさらに反面国民から非常に信頼をされている。そういう問題については、さらに一そうそういう点を伸ばしていくというふうなことでなければならないと思うのであります。  そこで最初の質問は、私、大臣御就任になりましたときにお尋ねをしたかった質問でありますけれども、非常に抽象的なと申しますか一般的なと申しますか、あるいは質問として適当かどうかわかりませんけれども、検察官の待遇の改善あるいは増員の問題いろいろなことがありますけれども、次のようなことを私は法務大臣に率直に、特に私の友人あるいはまた後輩、言うなれば若い検察官の諸君に対する一つの期待を込めて、法務大臣から御答弁をいただきたいと思うのであります。法務大臣は、法務大臣のお仕事におつきになって、いわゆる検察官の身分を持つところの法務省の課長あるいは課付の若い検察官などとも仕事の上でお話をされただろうと思うのですけれども、御就任になりまして、法務大臣として、検察官像というか、検察官をどのようにごらんになったか、またどのようにお考えになったか。こういうことは私は、大臣がそういう検察官に対する一つの期待と、国民の検察に対する信頼がないところに、国民の生命、財産を守るということもあり得ないという立場から、検事をどのようにお考えになっているかということについて、ひとつ御所見をまず最初に承りたい、これがきょうの質問の第一点であります。

郡祐一自由民主党法務大臣

○郡国務大臣 非常に大事なお尋ねをいただきまして、私も就任いたしまして、法曹三者というものはがっちり手を組んで、法秩序の維持をしていくということはもちろん、国民全体の力を合わせなければいけないものでございますけれども、特に法曹三者がその柱になっていく気がまえでなければ相ならぬと思うのでありますが、特に御指摘の検事、これは申すまでもなく、非常にむずかしい試験とされている司法試験を受けて、二年間の司法修習の時代を経てそしてその中から現在約千人という一団をなして検察という組織ができていている。これが質と量が十分必要を満たしているかどうか、検事という一千人ばかりの組織体が真に厳正、公平な立場を堅持しているかどうか。このことによってわが国の法秩序というものが維持されるか、将来さらにそれが維持発展をしていくことが期待できるかどうかがかかっておると思います。私は御指摘のように就任以来その点にかなりな関心を持って見てまいりましたが、十分信頼をしてよろしいものだと考えております。したがいまして、現に信頼し得るわが検察というものを、これからも国民の要望、期待にこたえ得ますようにいたしますためには、またそれにふさわしいいろいろな施策を講じていきたいものだと考えております。この点は当委員会の皆さまに特に御協力と御鞭撻をお願いいたしたいと思います。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 質問の第二点であります。  まあいろいろな問題はあると思いまするけれども、私はやはり役所の中で裁判所そうして検察庁という役所、あるいはまた裁判官、検察官というものが他の役所の人に比べて国民の信頼を得ているという観点からいうと、私は他の役所にまさっているというふうに思っております。しかし、国際社会の中における日本という立場を離れて考えられないような時代になってきている。そういうふうなことが一点。ところでそういうふうに国民の信頼を得ている割合といいますか、その程度においては他の役所の人に比べて高いものがあると私は思うのです。まあこういうことは考えられもしないことでありまするけれども、いまだかつて裁判官が汚職をしただとかあるいは検察官がややっこしいことの汚職めいたことをしたというような話は、そういうことがあれば民主主義の根幹を乱すことでありますけれども、寡聞にして聞いたことがないわけであります。しかしその反面、検察官がそういうふうに職務に忠実なあまり、ある面では検察事務あるいは捜査能力あるいは法律というものについては非常に詳しいけれども、いわゆる検察というものがただそれだけで、はたして従来のような検察官のタイプだけで検察あるいは捜査ということが行なわれるだろうかどうか。国民の信頼を将来にわたってつなぐことができるのだろうかどうか。こういうようなことを私は考えるのであります。そういたしますと、たまたま明年度検察庁に勤務をする検事を海外に派遣をするという計画があることを聞き及びました。この点について検察官にこの話をしてみますと、これはぜひとも、自分自身が行けなくてもそういうふうな計画があるということについては非常にいいことだ、その点は自分たちとしてはそういうことが実現をすれば将来の検察のために非常にプラスになるだろうということは異口同音にそのことを期待をし、そのことを言っております。私はこれほど検察官が海外研修をするということについて期待が深かったのかということをあらためて感じたわけであります。それで、そういう計画がほんとうにあるとするならば、その内容は一体どういうようなものだろうか。このことを私はこの委員会でこの機会に大臣からお聞きをいたしたいと思うのです。聞くところによりますると、検察官の海外派遣者の数を三十名というふうに計画をしておられるということでありまするけれども、そういうふうな人数を考えられた理由は一体どこにあるだろうかという点が第二の質問のまず最初のお尋ねであります。  次に、どこの国へ大体派遣をされる予定なんだろうか。派遣対象国は一体どこになるだろうか。これは検察官自身もたいへん関心を持っております。この点をひとつ大臣のほうからお答えをいただければ幸いであると思います。  それから次の質問は、検察官の中でそういうふうな海外研修についての意欲というものが非常に大きくなってきて、私の費用で海外留学をしたいというような申し出があった場合に、従来もそういう例がなかったとは聞きませんけれども、どのような処置を今後おとりになるか、この点をひとつお聞きをいたしたいと思います。  それからさらに、検察官をとにかく外務省に出向させて在外公館に勤務されている例なしとしないわけでありますけれども、待遇その他、一等書記官、二等書記官、どういうふうになるのだろうか、こういう点の問題もあろうかと思いますけれども、この点についての計画をどのようにお持ちになっているか、この点について私はお答えをいただきたいと思います。もちろんこの点は当然法務省としてお考えになっておられる。かりに五十名というような人間が、御計画は三十名のようでありますけれども、海外へ転出をしたという場合、たとえばいなかの支部というような場合、一人のよく仕事をする検事が抜けたという場合、あとの留学をしないほうの検察官の仕事が非常に過重になってくるのじゃないか、というような問題もあろうかと思うし、あるいはまた本来、海外留学というけれども、これはとにかく人によるでしょうけれども、私の感じではいまさら外国の大学へ行って法律を勉強するというふうなことが、期待される将来の検察官像というものを形成していく上においていいことだろうかどうだろうか。一体留学といわれるけれども、ほんとうに学者が留学するようなかっこうで勉強してこいということをおっしゃっておられるのかどうか。また留学期間の問題ですけれども、これは大体どの程度を考えておられるのか、こういうような問題。冒頭に申し上げましたけれども、検察官の中ではこの点についての期待が非常に強いようでありますので、お答えをいただきたい。  ただ、私のほうから老婆心ながら申し上げておきたいと思いますけれども、もう五十を過ぎた方はあまり留学をされないほうが本人のためにもいいのじゃないか、というような感じが私はいたします。その理由はあえて申し上げませんけれども、どうも向こうへ行って長い間の検察官の考え方や行動形式が身についておって、というようなこともこれあり、あるいはつけものや梅干しを食べたいというような人が留学して一体何になるかという問題もあるし、将来の検察を背負うというのは、私の見るところせいぜい任官されて十年くらいのところの方が適当じゃないかというふうな感じもするのですが、私は率直に言ってこの御計画には非常に賛成であります。またぜひともこれは実現をしていただきたいと思うのですが、この点についてまとめてお尋ねをいたしましたけれども、御答弁をいただきたいと思います。

郡祐一自由民主党法務大臣

○郡国務大臣 冒頭御注意のありました五十を過ぎました者はなるべく遠慮してもらいますように、非常にいい御示唆を受けましたので、これから頼まれましても当法務委員会のお名前を拝借いたしまして、私のほうも仰せになりましたように第一点、どこまでも若手の検事の能力を発揮させたい、そうして外国におきまする関係の検察機構や何かの実務の実態というものとそれから検察官の執務の態度というもの、これを身につけさせたいのであります。そして人間として国際的な感覚が備わった視野が高い、こうした検察官をつくりたい。  それから第二点といたしましては、犯罪がどうしても国際化してくる、それに対する基礎的能力を備えさせたい。仰せのように比較的若い検察官を適当と思います国に派遣をいたして研修をさせたいと思います。  その次のお尋ねの点でございまするが、本年度から裁判所でも海外に判事補を派遣しておられまするけれども、検察という司法権のサイドと密接な関連を持っております。あとうべくんばできる限りたくさん出したいのでありますけれども、これは中谷さん御指摘のございましたように、初めは五十人、一年ということを考えました。しかし現在の検察官の人員の状況では五十人、一年ではやや残ります者への負担が大きいようであります。したがいまして、三十人、半年ということにいたしまして、ことにねらいの二つの目的を申し上げましたけれども、検察官という任官当初から起訴、不起訴の決定とか非常に幅の広い裁量権を持っている属人制の官庁というものは、おっしゃるように法律なり捜査能力なり事務なりそれぞれがすぐ国民の生活、国民の基本的な人権に響いてまいります。これは私は検察官というものの能力というもの——明日から二日間定例の検事長、検事正の会同をいたしまするけれども、これはどこまでもみずからの権限と責任において検察権を行使するその自信のある、また正しく行使できる人間を養ってまいらなければならぬ。そういたしますると、御指摘のような三十人、六カ月といたしまして、どういう国へ出すことが一番検察の目的に合うかというお尋ねの点でありますが、これは非常に大事でございまして、これからもどうしてもこの予算は当委員会のお力を得まして通したいと思っておりまするけれども、さしあたって四十八年度では、アメリカ合衆国、ドイツ連邦、イギリス連合王国、フランス共和国、イタリア、オーストリア、スウェーデンこれらの七カ国を考えております。これらはいずれも日本の国の制度を範といたしましたところもありあるいは事務が非常に進んでおる。したがいまして、おっしゃいましたように、大学等で講義を聞くような留学というのではなくて、むしろそれぞれの場所の先方の検察の機構の中で実際に仕事に携わらしてもらう、そういう形で当初申し上げましたような能力をつけさせたいものだと思っております。  それから四番目にお尋ねの海外留学の申し出のありました場合でありますが、これは現在でもいたしております。検事のことでありますから、法務事務官あるいは法務教官に転官させまして、留学目的そのものを大学で研究いたし、職務に関連ある学術の事項の調査研究であります場合には休職をして留学を認め、留学から帰国いたしました後にまた官を転じて検事に任官させております。これは休職中は給与の百分の七十以内の休職給を支給しておりますことは申すまでもございません。  それから最後の点の検事を外務省に出向させます点でありますが、これは外務省等の理解を得まして現在二人一等書記官として在アメリカ合衆国の日本国大使館、在オランダ日本国の大使館両方におきまして法律の専門家として法律制度の改正の参考となる法律裁判例に関する資料の収集等いたしますとともに、在留法人の法的保護の職務に当たっております。この在外公館にアタッシェとして参りました者も、帰りまして非常に有益な働きをいたしておりますので、今後ぜひ、明年に相なりましょうかドイツ連邦にも法曹有資格者を送りまして、わが国と類似しております法制司法制度、こうしたものについての研修をさせ、また実際の運用をするようにいたしたいと思っております。最も期待いたしますものは若手の勉強でありまするので、これらについては四十八年度においてとにかく三十名という数を予算の面でも必ず獲得し、そして年を経るに従ってその方法についての改善を進めていきたいと思います。よろしく御協力を願いたいと思います。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 最高裁も判事補在外特別研究、裁判官の海外研修についての御計画をお持ちのようであります。けれども聞くところによりますと、人数は五人だということですが、これは検察官のほうが五十人ということを考えておって三十人にした。これは私、思うのですが、裁判官が五人ということだとすると、裁判官の場合だと留学年月が半年ないし一年ということになるかどうかわかりませんけれども、非常に少ないんじゃないか。またむしろそのことがいつも引き合いに出されるのは検察庁と裁判所ということになっていて、どうなんだ、裁判所は五人じゃないかというふうなことになる可能性があるんじゃないかと思うのです。これは一体どういうことでそういうふうにおきめになったのかどうか。  それから総務局長さんにこの機会に申し上げておきたいけれども、一番私たちが期待をといいますか、実務の上で勉強してもらいたい、また勉強する機会をぜひ持っていただきたいと思うのは調査官の方あるいはまたこれは独立の認証官としての書記官あるいは事務官というふうなことろまでとにかく私は幅を広げて、五人というのはちょっと意欲としても規模としても小さいのではないか。私は裁判官の方には留学の話を聞いてはおりませんけれども、そういうふうな感じがするのです。この経過を私は知りたいし、構想はもう少し——私は裁判官についても同様な希望を持ちますので、結局少な過ぎるという感じ、これについての御答弁をひとついただきたいと思うのです。  これで私のきょうの質問を終わるのですが、大臣に最後に一言聞いておきたいと思いますけれども、なるほど法源を同じくする国に対する海外留学、これは私けっこうだと思います。またそれは非常に実務的だと思うのですけれども、いわゆる社会主義国、たとえばソビエト、特に全くおそらく制度が違うであろうと思われる中国、こういうところへやはり検察官が行って、そこの制度を学んでくる。それが直ちに実務に役立たないとしても、将来日本の法制度をどうするか。日本の検察をどうするかという面で非常に私はいいのではないか。またそれは大事なことじゃないか。スポーツ、文化、経済、貿易、あらゆる面で中国との交流をやろうというときに、法律家——弁護士はどんどん行っておりますけれども、在野法曹だけではなしに、そういう法律家のいわゆる海外留学、ことに中国などという国は、非常な大きな建設をとにかくやっている国で、ここで学んでくることは非常にいいのではないか。四十八年は別として、あるいは四十八年の後半くらいには、半年ごとなんだからこういうワクをとっておいていいのではないか、私はこう思うのですがいかがでしょうか。

郡祐一自由民主党法務大臣

○郡国務大臣 私も同じようなことを考えまして、それで一年通しでやると、現在の検事の総数からいうとというようなことを聞きまして、なるほどと思ったのでございますが、実はことばの点などでも、大学などに行くんじゃなくて、向こうの検察の機関等で実務を習い、そこで調書も書くくらいのことをする、それにはどうしても一つはことばの準備と、それからこちらのほうであらかじめその国の法律制度を学んでおくこと、それから先方の理解を得ますこと、これにどうしても準備が要りますので、さしあたって、先ほど申しました、現在の千人の中でも、ことばの点でも制度の勉強についても、まあ二、三カ月の間があればどうやら準備のできそうなところということで選びましたが、私は、手近な国で、体制がどうありましょうとも、そこの国の法律をぜひ学んでもらいたい。余談でございますけれども、日中の国交も回復してまいる。そうすると、すぐ私どものほうで知りたいのはたとえば中華人民共和国の国籍法でございます。こうしたものはいま私のほうで知識がございません、それから材料もございません。そうしたところについての知識と実務の模様というものを、中華人民共和国はじめ、ソビエト連邦その他多いのでございます。これを、非常に希望が大きく出るのでございますけれども、一年とかしばらくの準備が必要かと思いますので、そういう点十分また勉強させていただきたいと思います。

長井澄最高裁判所事務総局総務局長

○長井最高裁判所長官代理者 ただいま中谷先生から御指摘ございましたように、判事補の海外派道につきましては人数が五名、各人の在留期間は一年という予算でございまして、この点につきましてはあまりにも少ないのではないかという御批判も現在のところかなり強くなされております。ただ、このような計画を昨年度予算としておまとめいただくにつきましては、何ぶんにも予算獲得については非常にその腕前がどうかというような御批判の中で先べんをつけたわけでございまして、現在の国政の状態で許される限度で、また裁判所の中におきましてやはり事務負担量が変わってまいります。いろいろ人数の小さい庁から出しますにつきましては、先ほど御指摘のございましたような問題もございますので五名の一年間ということで計画をいたしまして、ようやく本日最初のグループが出発するというようなところまでこぎつけたわけでございまして、この一年間の実績を見まして、この次の予算の要求の機会にはもっと多くの人が出されることが望ましいのでございますから、そのような努力をいたしたいと思います。それで、さしあたり来年度におきましてはこの予算でさらにもう一度実行させていただき、一方、日本の現在の国際的地位から申しますと、中堅クラスの人もこれはなおざりにできない緊急な状態に立ち至っていると考えられます。判事補のほうは年齢がどういたしましても三十歳未満の若い人に限られますので、五十歳は論外といたしまして、もう少し若い中堅の人にも現在の国際情勢を見、国際感覚を身につけていただくことは、裁判の運営上緊急欠くべからざるものに考えますので、そのような方々の、もっと期間が短いことになるかと思いますが、予算の要求もいたしまして、来年度予算の対策、このように考えているわけでございます。  それから裁判所調査官、家庭裁判所調査官、裁判所書記官、このような方々も、現在日本の方々が外国を見てこられるのに比較しますと、ぜひ必要なことでございますが、何ぶんにも裁判官につきましてようやくわずかの人数が認められたという段階でございますので、今後この方面にも努力をして、行っていただけるように、そういうことは必要なことだと痛感しております。努力させていただきたいと思いますので、御援助をお願いしたいと思います。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 終わります。

谷川和穗自由民主党

○谷川委員長 青柳盛雄君。

青柳盛雄日本共産党

○青柳委員 簡単に伺います。  最高裁判所が九月の十三日の裁判官会議で、いわゆる変則二人審理制というものを決定した。正確な文言は、地方裁判所における審理に判事補の参与を認める規則というのだそうでありますが、そしてこれを本年の十一月二十日から施行する。これに対しましては、このもとの案であったところの二人制の審理をやる規則、正確な文言は、一人制審理の特例に関する規則、これに対してはすでに当法務委員会でも論議されましたし、また在野の方面でも強く反対をしておりました。それが今度手直しをされて、先ほど申しましたようなものになっていよいよ実施される。こういう状況のもとで、当然のことながら在野の法曹は、日弁連をはじめ各弁護士会等が反対の決議を行なっておりますし、また今度は判事補、当の適用を受ける五年未満の判事補三百四十三人中二百人の人々が有志として、このような制度には賛成できないという反対の決定をし、最高裁判所に要請をしたようであります。  そのような世論の中で、新聞の論調などを見ましても、これには非常に問題があるという主張がなされております。単なるこういう事実関係の報道、それをめぐる動きについての報道というのではなくて、評論的な立場で、疑義を残す参与判事補制というものに対しては慎重でなければならないというような、たとえば中日新聞の九月十二日付とか、あるいは「納得できない変則二人審理制  「反対」の声をきけ」という九月十五日読売「今日の断面」、あるいは九月十七日北海道新聞「変則二人審理制に反対する」、週刊新潮「裁判二人審理制のねらい」その他等々でございまして、世論がこぞってと言っても私はあえて過言でないと思います、賛成という世論はほとんど聞きませんから。反対をしているのにあえて最高裁が踏み切ったというゆえんのものは一体どこにあるのか。どうも、伝えるところによれば、未特例判事の訓練がおもである、それから幾らか一人制の裁判官の手助けになる、この二つに尽きるようでありますが、どういうことで訓練になるのか、また手助けになるのか、これをお聞きしたいと思います。

長井澄最高裁判所事務総局総務局長

○長井最高裁判所長官代理者 どのような点でこの規則が現在の司法制度の上に効果を持つかというお尋ねに対して、まず申し上げたいと思います。  御承知のように日本の司法制度は、憲法及び裁判所法によってその性格が規定されておりますが、その理念といたしますところは、法曹一元の制度と解されております。法曹一元の制度というのは、裁判官は多年の実務経験の上に司直としてのすぐれた能力と識見を備えて信頼できる人が選ばれてなるべき地位であるというように解されておるわけでございます。ところが戦後、この制度への移行が理想の形で実現されることが困難でございまして、判事補制度がその過渡と申しますか、補充的な制度として設けられたわけでございます。判事補の任用資格は、司法試験に合格した後二年の司法修習の過程を経て、第二回試験に合格した方の中から任用されるということになっておりまして、法曹としての実務の経験、社会的経験も十分に豊かだと申すことはできないと存じます。で、このような人たちを裁判官の一翼に加えまして理想の司法を運営していくということはきわめて困難でございます。これらの若い判事補につきましては、やはり修習ということが、つまり自己研さんということがきわめて重要な使命ともなっていると考えられるわけでございます。ところが現在までのところ、若い判事補が裁判の実務に参与できますのは、御承知のように合議体の左陪席として参画する、特別の定めがある場合に判決以外の手続に当たるということに限られておりまして、運用の実際におきましては、事件が非常に多いために合議体の事件が少なくなってまいります。しかも、その結果としては非常に複雑困難な事件が多くなりまして、任官早々の若い裁判官がその事件に取り組むことは、実力をみがく上でも、また取り組む意欲の上でもいろいろな問題がございますので、比較的簡単な事件から実務の修練を積んでいくという道を設けることが適切なことであると考えられまして、今回のこの規則の制定となったわけでございますが、なおこれが審理の充実に役に立つということは、任官早々はまだ実務の経験がないわけでございますが、いわゆる未特例判事補としての五年の修練を積みます間には相当の能力がつきますので、五年近くなった人がこの手続によって裁判の事件について判事の仕事を補助いたす場合には、これは相当な実務上の実力になる、審理の充実に寄与するということに結びついていくものと考えておる次第でございます。  なお、法曹一元が実現されますれば実務経験の長い方が裁判官に任用されるわけでございますが、この方々も最初から独立して他の指導をまたないで実力があり、仕事をしたというわけではございませんで、実現されました場合でも、法曹としては先輩の指導あるいは指揮監督というような過程を経まして、法曹としての充実した識見、能力を涵養されるわけでございまして、判事補の過程においてもこのような場面を取り入れることは決して法曹一元の理念にそむぐものではないと考えるわけでございます。  それから、反対の意見が非常に多いという御指摘でございますが、二百人の判事補の諸君が九月十一日の日に、いわゆる一人制の規則案について慎重に審議してほしいという要望書を出されたことは御指摘のとおりでございます。この要望書は、今回制定されました規則の内容とは非常に異なりますところの、第一次案に多少の手直しをしました第二次案につきましての要望でございまして、今回の規則に対する反対という趣旨のものではないものと考えております。  それから、各新聞紙上で反対の報道ないしは論説が見受けられますが、有力な新聞の中にもあえて反対を記事として出されないものもございますし、またただいま御指摘の新聞の中の一紙につきましては、論説の中で、先ほど判事補の皆さんがそれについて要望しました第二次案に基づいての反対意見を論説として掲げられたというようなこともございまして、この案の内容につきまして十分な認識と理解とに基づかない、むしろある意味で予断に基づいた御批判もかなりあるのではないかと感じている次第でございます。この点につきましては、明後日にも会同も開催されますし、十分にその趣旨の理解、徹底に私どもも努力したいと考えておる次第でございます。

青柳盛雄日本共産党

○青柳委員 議論をいたしませんが、今度実施されることになりました第二条第一項「立ち会わせる」というのは、これはどういうことを予想しておられるのでしょうか。

長井澄最高裁判所事務総局総務局長

○長井最高裁判所長官代理者 立ち会うということばは、公開の期日に訴訟関係人が一堂に会しまして手続を進める状態を申すわけでございますが、公開の法廷でない場合には、かたわらにありましてその審理の手続を実際に経験するわけでございます。公判廷等におきましては、特にこの規定を設けない以上、立ち会う資格ができないので、その根拠を定めたものでございます。現実には裁判官の占められる地位の近くに座を占めまして、審理の進行を認識するということになるわけでございます。

青柳盛雄日本共産党

○青柳委員 きわめて即物的な質問ですけれども、法服を着て担当裁判官の隣にすわる。前回のときはそういう形がとられるらしいようなことでございましたが、今度もその点はそうなのか。それとも、いま修習生が判事席のかたわらで傍聴しているというのと同じような形態をとるのか。外観的にこれが参与判事である、判事補であるということがわかるような形、したがってまた当事者、傍聴人等にもこれが参与裁判官であるというようなことがわかるような形態をとるのかどうか。

長井澄最高裁判所事務総局総務局長

○長井最高裁判所長官代理者 この案を審議いたしました当初におきましては、法服を着る、あるいは並んで席を占めるというような立案当局の説明もございましたが、その後いろいろな御意見、御批判がございましたので、判事とまぎらわしい地位を占め、その構成員である誤解を与えることはまことに好ましくないという意見が圧倒的になってまいりました。ただ、規則が制定されましたので事務当局からこのようにあるべきだということは厳に慎むべきことと考えておりますので、明後日の現実にこの手続運用の衝に当たる裁判官の会同におきまして、この規則制定の目的に沿うような形でこの手続を進めるということを御検討いただき、結論を出していただきたいと考えております。  ただいまのところ、法服を着るあるいは並んですわるというようなことを立案当局者として考えて、これを維持しているわけではございません。司法修習生のようになるかという問題につきましては、司法修習生は大体もう壇の上にはおらないと思いますけれども、傍聴席におりましては審理の進行というものは認識することが困難でございますから、その認識の得やすい場所ということがその場所を決定する一つの事由になろうかとは考えておる次第でございます。

青柳盛雄日本共産党

○青柳委員 簡単に終わらせます。  二条の二項には「裁判所は、参与させた事件について、参与判事補に意見を述べさせることができる。」とあります。この意見は参与させる裁判官の裁判に参考にするという効果を持っているのかどうか。単にその人間の訓練のために意見を述べさして、そして適切な意見でなかったら注意してやるというような教官的な役割りを裁判所が持つのか。それを取り入れるということが一応義務づけられているのか。もちろん拘束は全面的にそれにとらわれるということはないにしても、これを参考にしなければならないということは義務づけられているのかどうか。そうでないと、単独裁判官の負担を軽減するというようなうたい文句がどういう形でなされるのか、ちょっと理解に苦しむので、それをお尋ねしたい。

長井澄最高裁判所事務総局総務局長

○長井最高裁判所長官代理者 述べられた意見を取り入れることを義務づけられているということはございません。やはり当初は教育目的がかなり前面に出まして、述べられた意見について、これはこうあるべきではないかというようなやりとりがあろうかと思います。またその意見の採否につきましては、受訴裁判所である判事の全く自由によるものでございまして、義務づけられることはございませんが、この過程を積み重ねていきます間には、先ほど申し上げましたように、能力の涵養によりまして有益な意見が出されまして、これが審理の充実促進に役に立つことがあるということは期待いたしておるわけでございます。

青柳盛雄日本共産党

○青柳委員 この第二次案というものが今度のきまった案のようになったのだから、第二次案に対する反対というのはお門違いのようではないかという先ほどのお話でしたけれども、私ども反対する人たちの根本的な理由をよくそんたくしてみますと、やはりどんなことがあっても裁判官は自主独立であるべきであって、池の裁判官の補助みたいなのであってはならない、こういうことが許されるならば自然に裁判の独立というものがむしばまれていく結果になるのではなかろうか。合議制の場合でももちろん独立して自分の職務を行ない、また意見を述べることが保証されているわけでありますけれども、これはその過程で訓練にももちろんなりましょうけれども、それはそれなりに合理的な根拠があるし、また法的にもそれは認められたものでありますけれども、法制的に国会の審議は全然必要としない形で最高裁の規則の変更という形で、何か裁判官の中に独自の職権行使が事実上できないような制度の中に組み入れられる人が出てくるということに対する大きな疑問ではないか。当事者のほうから見れば、未熟な裁判官が責任のない立場で裁判に参与されるのは迷惑だというような意見ももちろんあろうけれども、それはそれなりといたしまして、いまの御説明で、担当した裁判官が全責任を持ってやるのだから心配していただかなくてもよろしいということのようでありますが、少なくとも裁判官に自主独立にやらせるという気風を養う上においてはちょっと弊害になるのではなかろうか、そうして結局は地位の低下につながる、裁判の独立を侵す方向に行ってしまうという点が、私は反対の最も合理的な根拠ではなかろうかと思うのですが、この点について最後に御意見を聞きたいと思います。

長井澄最高裁判所事務総局総務局長

○長井最高裁判所長官代理者 独立の気風をそこなうことは厳に慎まなければならないところでございますが、申し上げましたように、まだ法曹としての実務経験のない方がただ独立のみを主張することもまた謙虚に反省しなければならない点でございまして、独立の気風を失わないと同時に、自分の識見、能力というものを涵養してまいりまして、一人前の法曹となるということが大切なことであろうかと存じます。法曹一元の制度のねらいとするところ、理想とするところもその点にあるわけでございます。いわゆるキャリア制の司法のもとにおきましては、後進裁判官の指導ということを裁判事務処理の中に取り入れることを制度として義務づけられているものと考えられますけれども、現在の司法制度のもとにおいてはそれが法曹一元ということに置きかえられておるわけでございますから、現在の合議体のような形での職務の遂行のみが唯一の方法であるというふうには解せられませんので、今回のような措置に相なったものと考えるわけでございます。御指摘の点については、十分に制度の運営上反省を加えながら、後進の方は後進者としての謙虚な自己反省に基づく研さんを期待するわけでございます。

青柳盛雄日本共産党

○青柳委員 終わります。

谷川和穗自由民主党

○谷川委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十八分散会

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