社会労働委員会 第1号
- 発言数
- 211 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1972/08/08
会議録
○小沢委員長 これより会議を開きます。 この際、一言ごあいさつを申し上げます。 このたび当委員会の委員長に就任をいたしました。 御承知のごとく、本委員会は国民各層に大きな関心が持たれているところでありまして、その任務の重要性と職責の重大なことを痛感いたしておる次第であります。 もとより浅学非才な私でございますが、委員各位の御協力により円満なる委員会運営につとめ、その職務を遂行いたしたい所存でございます。 幸いにも、過去一年、皆さま方とともに当委員会の運営に苦労を重ねてまいったところでありますが、今後は一そうの御指導、御支援をお願いいたさなければなりません。 ここにあらためて衷心より御協力をお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。どうぞよろしく。(拍手) ————◇—————
○小沢委員長 まず、理事の補欠選任についておはかりいたします。 ただいま理事が三名欠員になっております。その補欠選任を行ないたいと存じますが、委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小沢委員長 御異議なしと認め、理事に 伊東 正義君 竹内 黎一君 向山 一人君を指名いたします。 ————◇—————
○小沢委員長 次に、委員派遣承認申請に関する件についておはかりいたします。 今閉会中審査におきまして委員派遣を行なう必要が生じました場合には、議長に対し委員派遣の承認申請を行なうこととし、派遣委員の人選、派遣地等その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小沢委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 ————◇—————
○小沢委員長 また、参考人より意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人の出席を求めることとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小沢委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 ————◇—————
○小沢委員長 この際、厚生大臣から発言を求められております。これを許します。厚生大臣塩見俊二君。
○塩見国務大臣 ただいま委員長からのお許しをいただきましたので、一言ごあいさつを申し上げたいと存じます。 私は、先般厚生大臣に就任をいたしました塩見俊二でございます。よろしく御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げます。 戦後の日本経済は、驚異的な発展を遂げ、いまやGNPは自由主義国家ではアメリカに次いで第二位となったのでありまするが、従来とかく経済成長に施策の重点が置かれ、経済発展の成果が必ずしも国民福祉の向上に適正に配分されているとはいえなかったのであります。 一九七〇年代は、福祉優先の時代といわれ、あるいは福祉なくして成長なしといわれる時代であり、福祉行政の積極的な推進をはからなければならないと思います。 まず、今後ますます重要となる老人対策についてでありまするが、さきの通常国会におきまして懸案の老人医療費の無料化、老齢福祉年金の引き上げがはかられたのでありまするが、老人対策は、生活保障、健康の確保、さらには生きがいを高めるための施策を総合的に推進する必要があると考えます。特に、老後保障の中心となる年金制度につきましては、国民の期待に沿う年金とするよう年金額の大幅な引き上げ等制度の充実をはかってまいりたいと考えております。 次に医療保険制度の問題でありますが、国民の医療を確保する上で政府管掌健康保険の財政再建をはじめとする医療保険制度の改善は緊急の課題と考え、私といたしましては、できるだけ早い機会に関連の法案を国会に提出したいと考えておりますが、いずれにいたしましてもこの問題につきましては、今後とも委員各位の御理解をいただきながら、その早期解決に努力してまいる所存でございます。 国民の健康に関する対策につきましても、ガン、脳卒中などの成人病対策や、いわゆる難病についての対策を推進するとともに、積極的に健康を増進するための施策についても力を入れていかなければならないと考えておるのであります。 次に、社会福祉対策についてでありますが、次代をになう児童の健全育成や社会的にハンディキャップを負っている身体障害者、心身障害児に対する施策、さらにこれら施策の推進の基礎となる社会福祉施設の整備及びその職員の確保について一そうの施策の推進をはかっていく必要があると考えます。 このほか、厚生省が解決すべき課題は、山積をいたしております。そのいずれをとりましても、国民一人一人の日々の生活に深くかかわり合いのあるところでありますので、一件一件迅速に、かつ、確実に処理していく所存でございます。 私は、皆さまの御支援を得つつ、全力をあげて厚生行政に取り組み、国民福祉の向上に努力する覚悟でございます。何とぞよろしくお願いを申し上げます。(拍手)
○小沢委員長 次に、厚生政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。厚生政務次官増岡博之君。
○増岡説明員 このたび厚生政務次官になりました増岡でございます。 ただいま大臣からお話がございましたように、たいへん大事な厚生行政の一端に参加いたすことになりましたので、今後とも従来同様、諸先生の御指導、御支援をお願いいたしまして、まことに簡単でございますが、ごあいさつにかえさせていただきます。(拍手) ————◇—————
○小沢委員長 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出があります。順次これを許します。山本政弘君。
○山本(政)委員 あしたは長崎に原子爆弾が落ちた日ですが、ここ数日いろいろな行事が行なわれております。その中で、たとえば原水禁の国民会議では「核実験国政府は被爆者の治療義務に加え、あらゆる物質的、精神的損害について補償の義務を負うべきだ」こういうふうにもいっておる。それから核禁会議では「韓国人被爆者救援のため、韓国に原爆診療センターを設立する」という宣言をやったのであります。それから原水協では川崎の場合に、被爆二世の治療費を全額市で受け持つというような、いろいろなことが行なわれております。 そこでお伺いしたいのですけれども、これは歴代の大臣がこういうふうにおっしゃっておるわけであります。たとえば原爆の被害者に対して国家補償という観点から考えることができないのか、こういう質問に対して、被爆者の対策というものを国家補償とするには、戦争の一般の犠牲者と比べてみて均衡を失するんじゃないだろうかと思う。だから国家補償というものは考えられない、こういうふうにずっと内田さんのときも、それから斉藤前厚相のときもお答えになっておる。両大臣とも実はこういうふうに言っておるのです。しかしながら原爆によって被爆をせられた方々の苦痛、被害というものは非常に大きいと、斉藤国務大臣は田畑委員の質問に対して、こう言われた。 それから当時の増岡委員、いまの政務次官の質問に対して、国民的意識の変遷ということもある。そういうことに対する意識の盛り上がりを考慮に入れながらできるだけのことをしたい、こう言っているのです。とすると、これほどの、つまりいま申し上げた三点、原水禁、核禁会議あるいは原水協、そういう団体の盛り上がりというものが現実にあるし、そして被爆者は援護法制定というものをやってほしいという気持ちがあるわけです。そのことに対して、一体厚生大臣はどういうふうにお考えになっておるか、これが第一点であります。第二点は、四十六年の三月十一日政務次官が国家補償をなすべきであるという質問を当時の厚生大臣になされた。いま政務次官におなりになった。私は皮肉で申し上げておるんじゃありません。増岡さんが政務次官におなりになられて、当時は国家補償というものを強調なされたということになれば、少なくともそのことを厚生行政の中に反映すべきだ、こういうふうに私は思うのであります心そうすると、そのことに対して政務次官は一体どのようにお考えになるか、まず大臣と政務次官のお考えをお伺いしたい。
○塩見国務大臣 ただいまの山本委員の御質問は、本質的な問題に触れた御質問だと承っておったわけであります。原爆の被害者に対しましては、従来から政府といたしましても、その被害の深刻さに対応して、それぞれの処置を講じてまいったところは御承知のとおりであります。 ただ、この問題を国家補償としてとらえるかどうかというお尋ねのようであったのでございまするが、私は従来からの考え方につきまして、いまこれを変更するというような特別の理由が発生をしたとは考えていないわけでございます。 しかしながら、これは決して原爆の被害者に対して、これを軽く見るということ等では毛頭ありませんで、やはり原爆の被害者にはその実情に応じまして国家補償という名前がつこうが、あるいはどういう名前がつこうが、その時代に応じてできるだけの対策を講じていく、こういうふうに私は考えておる次第であります。
○増岡説明員 当時の私の考え方は、いまも変わっていないと思うのでございますけれども、国家補償という名前を使おうと社会保障のワクの中でやろうと、ともかく被爆者の方々に対する処遇が年々改善せられていかなければならないという気持ちから、政府はどのように考えられるかということを当時お尋ねしたのだというふうに覚えておるわけでございます。 今日におきましても、まだ政府として踏み切るところまでいっておりませんから、特別措置法なり医療法なりのワクの中で最大限に救済措置ができるようにやってまいりたいというふうに考えております。
○山本(政)委員 厚生大臣は特別な理由がない、こうおっしゃったその特別な理由がないという理由をお聞かせ願いたい。 三十八年の原爆投下を国際法違反とした東京地裁の判決はこういっておるのですよ。「原爆被害の甚大なことは、一般災害の比ではない。」といっておる。「国がこれにかんがみ、充分な救済策をとるべきことは、多言を要しないであろう。」そして最後に、「本訴訟をみるにつけ、政治の貧困を嘆かずにはおられない」という結論を下しておるのです。 政府は、国家補償ということに踏み切らないという理由に対して、被爆者に対する補償というのは、戦災者との補償の均衡の原則に反するといっておるのです。だけれども、戦争による被害者、戦災者との補償の均衡に反するということは、戦災者というのはほとんどもう立ち直っておること、あるいは戦傷病者においては義手義足というものがつけられて、ある意味では機能が回復しておるというふうに理解していいだろうと私は思う、あるいは言い過ぎかもしれませんが…。しかし、原爆の被害者というのは、状況が悪くなりこそすれ、よくなるということはないのですよ。そのことは、あなた方はお考えになったのだろうかどうだろうか。 もう一つは、政府の考え方の中に、被爆時に国家との間に命令服従の関係がなかったということ、私はずっと調べてみて、そういうことがあるのに気がついたのです。そうすると、戦争を起こした責任は、政府に、国家にないのか。戦後が終わったということによって、その人たちに対して免罪ということを考えておるのかどうか。もし戦後が終わったということで、あなた方が免罪をされておるのだというふうにお考えだったら、私はたいへんな誤りだと思うのです。一体国家補償というのは何ですか。これが二番目の質問です。 特別の理由がないというその理由についてお聞かせを願いたい。それから国家補償というものは、どういうふうにあなた方は御理解になっておるのか。
○塩見国務大臣 私は特別の理由が発生をしておるというふうに考えられないということを申し上げたのでございまするが、御承知のとおり原爆が投下されて二十七年間、政府はこの被爆者に対する援護、被爆者に対しまして、できるだけいろいろな措置をとってきたと私は考えておるわけでありまして、そういうふうな過程の中で、今日まで国家補償という姿でのそういった措置でなくて、やはりそういう原爆によって悲惨な状況になった、そういう方々の具体的な実情に応じて、これに対する国としての措置をとってきたと考えておるわけでありまして、そういったような基本的な考え方を変更するような新しい事態というものは、いま生まれてきておるようには考えないという意味で、変わった理由を見つけるのは困難だという意味のお答えを申し上げた次第であります。 それから、国家補償でなければならないじゃないかというような御意見のように承ったのでございますが、なるほど戦争は確かに政府の決定によってやった、政府が責任を負う、政府に責任があるのじゃないかというお尋ねにつきましては、私もそういうふうな理解をするわけでございます。しかしながら、戦争をやったから、すべてのものが国家補償の姿で救済をしなくてはならぬじゃないかというふうに直接つながるかどうかということについては、私はさらに検討をさせていただきたいと思う次第であります。 お答えになったかどうか、一応いま私の理解で、質問に対してお答えした次第であります。
○山本(政)委員 前の厚生大臣は、国民的な意識の向上あるいはそういう意識の盛り上がりということによって、そういう考え方というものをやはり変えていかなければならないだろうという一応前向きな考え方を示されたことがある。しかもいま大臣は、さらに検討するというけれども、検討する検討するで二十七年過ごしてきた中で、それではいま大臣の検討するというお答えの中に、われわれは期待を持っていいのですか。そこをはっきりしてください。私どもが、要するに原爆の被爆者、犠牲者に対して、さらに一そうの前進を、期待を持っていいのか。きょう大臣のあいさつの中に、老人対策、医療、もろもろのことがあります。しかし被爆者のことには触れておらぬ。現実には、しかしここ数日、紙面はそのことにほとんど——ほとんどという言い方は言い過ぎかもわかりませんけれども、かなりの紙面がそのことにさかれておるのです。そういう事実というものをあなたはどういうふうに御理解なすっておるのか。検討するというんだったならば、二十七年間のお返事がずっと検討するということなんです。それでは今度の通常国会に私どもは何かを期待していいのですか。たとえば援護法の制定という前向きなことに対して期待をしていいのかどうか、それを聞かしてください。あなたは要するに厚生省の最高の責任者である。あなたがそういうことを決意なされば、私はできないことはないと思う。 〔委員長退席、橋本(龍)委員長代理着席〕
○塩見国務大臣 山本委員と私の応答に若干ギャップがあるような感じがするわけでございます。私はこの援護の姿等についてその検討をするというようなつもりでお答えを申し上げたわけでありまして、直ちにいまおっしゃられましたように、それを国家補償に切りかえる、その約束ができるか、こういうふうな質問をいただいたわけでございまするが、そこまでは私も考えていないわけでありまして、来国会には必ず援護法を提出しますということは、ここで申し上げたつもりはないわけでございます。 先ほどから申し上げましたとおり、とにかく援護の内容を充実していく。時代の推移によってもこれを充実していく。あるいは私もこの間テレビに出ましたが、二世問題という問題も新たに相当な関心を持って生まれてきておるというようないろいろな事態もあるようでございます。そういったもろもろの問題について、厚生省としてやはりいろいろ検討をさせていただきたい、こういうふうなことでございますので、来国会に性格をかえて出すのかどうかということについては、実は私からそういうことを申し上げることのお約束は、いまできないことをはっきり申し上げておきます。
○山本(政)委員 私も大臣のテレビを拝見いたしました。原爆の被害者というのは、放射能を浴びたということによってすでに第一次の障害を受けているのです。よく被爆者はひびの入ったからだ、こういうのです。と申しますのは、いま私が申し上げたことをさしている。そして第二の障害というのがそこから出てくるわけです。たとえばけさの新聞にもあります。足腰が感覚がないとかしびれて、そして認定患者としての要するに申請をしたら、それが退けられたということで裁判になったということが、けさの新聞に出ておりました。つまりひびの入ったからだというのは、そっくりそのまま健全なからだとしては社会復帰ができないということなんです。そして放射能を浴びた結果第二次障害が出てくる。たとえば、私も医学的なことはよくわかりませんけれども、がんになった場合には、がんを摘出することによって治癒するという場合には手帳が交付される。しかし手術をしたあとは、その手帳はなくなってしまう。取られてしまう。戻さなければならぬ。こういうようなことがあるわけです。あるいは被爆した事実というものが認められないということから、被爆者の中には、私は実は被爆したんです、要するに自分を世間にさらけ出すという形で、被爆の証人になってくれる人をさがし始めておるという話もある。つまり戦争で受けた被害を証言をしてもらわなければならぬという悲劇が一体あるんだろうかどうだろうか。そしてそのことに対して、政府は一体——私は何も考えないと申しておりません。しかしそのことによってもっと積極的な態度をとるという姿勢がなぜなされないのだろうか。実質的に詰めていくのだということになれば、援護法制定とまではいかないにしても、援護法制定に近いものをお考えになっているのかどうなのか、具体的に一体どうなさろうとしておるのか。そのことなしに、私どもは前向きにやりますと言っても、被爆者の人たちは私は納得しないだろうと思います。 そういうことで、この問題については最後にお答えをいただきたい。ぜひ前向きに何らかの措置をとるということをこの段階でやっていただきたい。これほどあなた、新聞にここ数日ずっと出てきている問題じゃありませんか。具体的にいまどうこうということは私は申し上げませんし、そしてそのお答えをいただこうとも思いません。しかし、もっと一段と進んだ対策というものを、あなた方がおとりになる必要は私は明らかにあるだろうと思うのですよ。現医務局長、前公衆衛生局長だってうなずいておられるのですよ。そんなら、あなた方はやはり何かの形でもう少し前向きの御返事を私はいただきたいと思う。ここらで何らかのふん切りをしなければ救われないですよ、実際。再度お答えをいただきたいと思います。
○塩見国務大臣 原爆の被爆者が二十七年間、今日もなお悩み続けているということは、私どもも全く心から御同情申し上げるところでございます。ただいまお尋ねがございましたが、私はそういったような現実の姿をよく把握しながら、さらにいままでやってきましたいろいろな施策、また新たにとるべき施策があれば、そういう施策、具体的に各被爆者に対してお世話のできるような対策をさらに充実して、ひとつ実行するように努力したいと思います。
○山本(政)委員 日曜の日ですが、私の区内に住んでいる人から訪問を受けたのです。四十三歳、被爆者であります。そしてまだ独身であります。結婚の話が出るというのです。だけれども、自分として被爆者であるということを隠すわけにはいかぬというのです。だから白血球が減っているのです、こういう話をしたら、結局は結婚の話が破れていっておる。私は直接その人から聞いた。つまり被爆者は就職あるいは結婚、すべての面で社会的な差別を現実に受けておると私は思うのです。あなた方どう思おうと受けておる。そしてその人たちの実際の状況というものは何一つよくなっておらぬという実態があるのです。 〔橋本(龍)委員長代理退席、委員長着席〕 だから政務次官も、おそらく政務次官におなりになるまでは、ずっと国家補償のことを叫び続けてこられたのではないかと私は思うのです。私は決して皮肉で申し上げているのではないのです。ある意味では期待を持ち、だからやっていただけるのではないだろうかと思うから、私は申し上げておるのです。 〔委員長退席、橋本(龍)委員長代理着席〕 私がいまから質問する朝鮮人の被爆者の人たちについても、私は同じことが言えると思うのです。その人たちは被爆者であると同時に朝鮮人であるがゆえに、現実に二重の差別の中に置かれているんですよ。 これはすでに御承知だと思いますけれども、孫振斗という人がおる。この人のおとうさんは大正五年に来日しているのです。そして一九四八年に原爆症で大阪で死亡なさっておる。おかあさんも妹さんもいま韓国におって、そして原爆症に悩まされておるという現実がある。しかも本人は昭和二年に日本で生まれて、小学校も高等科も日本の学校を出ている。そして卒業して芸陽製紙所という紙の工場に出ている。昭和十九年であります。そして二十年に広島逓信局の電信電話局のおとうさんの仕事を手伝っておる。そして専売局の構内の電信電話局の倉庫内で仕事をしておるときにこの人は被爆をされているのです。もちろん家族も全員被爆されている。そして二十六年に外国人登録令違反に問われて大村の収容所から帰っていった。帰っていって釜山の第一病院で彼は原爆症にかかったという診断をちゃんともらっているのです。白血球減少という診断をもらっているのです。四十五年です。そして治療したさに佐賀県に密入国をしてきた。それも私は無理もないと思うんですよ。生まれてからずっと育ってきて日本語しか知らぬ人たちが、ことばが通じない韓国で生活ということもなかなかできないということになれば、日本に帰ってきて、せめて日本で生活をしながら原爆の治療というものを受けたいという気持ちは私は痛いほどわかりますよ。そして唐津の日赤に来て白血球に異常があると診断されている。そして広島大学の森と広瀬という二人の先生から、放射能障害の精密検査が必要だと言われている。ところが密入国ということで懲役十カ月。そして結核になった。国立の福岡東病院に入院して、結核予防法と生活保護法の適用を受けておる。その中で「肺結核治療のため一年以上の入院治療と二年の治療を要する。尚原子爆弾に被爆しているので今後定期的に原爆症の検査を要する」と診断をされている。四十六年の十月の五日に被爆者の健康手帳交付を彼は申請したけれども、これがけられている。そして、四十六年十二月に特別在留を願う陳情書を法務大臣に提出したのであります。それ以後のことについては、私は、いまここでこういうことを申し上げるのはどうかと思いますけれども、増岡さんにもたいへんお骨折りを願いました。そして、これが却下されて、強制送還になるかもわからぬという、そういううき目にあっているのです。 〔橋本(龍)委員長代理退席、委員長着席〕 なぜ手帳がこの人に交付されないのです。ずっと日本で育って、日本人と同じ生活をし、そして戦時中は電信電話局に働き、その仕事のさなかに被爆をして、手続に粗漏があったかどうか、そのために送還をされた。しかし、本人は、自分の病気が原爆症にかかったということを知って、そして、治療を受けたいために密入国をしてきた。私は、法の運用というものは人間にあると思うんですよ。しかも、本人の、おれは原爆症にかかっているんだという主張ではなくて、ちゃんと唐津の日赤、広島大学、福岡の東病院、すべての病院がちゃんと、原爆にかかっておるという証明をやっておるじゃありませんか。なぜ、それが手帳というものが出されないのですか。なぜ出されないのです。答弁してください。
○増岡説明員 ただいまの孫さんの件につきまして、全く先生のおっしゃるとおり、被爆者であることも間違いないし、その症状があることも、そのとおりであります。非常にお気の毒に思うわけでございます。これは政務次官になる前でありますけれども、先生からそのお話を承りまして、厚生省とも、あるいは法務省ともいろいろ相談をいたしたわけでございますけれども、法律の特別措置法のたてまえからいって、日本人という限定はないわけでありますけれども、法の精神からいって、当然日本の国内に住み、日本の社会になじんでおる方々ということが、法にはございませんけれども、そのたてまえをとるべきであろうという法制局の見解でもございましたので、それでは、御本人が特別在留許可の申請をしておられまして、それで法務省のほうに話し合いまして、ぜひ特別在留許可をしてほしい。それが出れば、当然日本の社会になじんでおる人ということになるわけでございますけれども、たいへん残念なことでございますけれども、密入国の疑いで刑がもう言い渡されておるわけでございます。特別在留許可の手続をしますのは、その刑が執行されたあと、その願いを出し、それを法務省が取り入れるかどうかという判断を下す規則になっておるということでございます。また、御本人が御病気で、結核予防法の適用やら生活保護の適用やらを受けておられるわけでございます。これを一面でいいますと、原爆のいろいろな施策がまだ十分でございませんから、それよりもよほど手厚いことになっておるかと思うわけでございます。しかし、そういう実情でございますので、刑の執行ができない。したがって、特別在留許可というものの審理すらできない。法務省はそういう回答をいまのところいたしておるわけでございます。 しかし、人道上の問題でもありますので、法務省とは今後ともそういうかけ合いをいたしたいと思いますけれども、現状のところでは、そういうことから、特別措置法の精神でございます、日本国内の社会になじんでおる状態であるかどうかという判定がつきかねる状態でございますので、手帳の交付はなされていないというのが現状であろうかと思うわけでございます。
○山本(政)委員 増岡さんには私はたいへんお世話になったので、それは感謝申し上げます。 公衆衛生局長——いまの医務局長はその当時の公衆衛生局長です。きょうは公衆衛生局長がおられないので、当時の状況はあなたがよく知っておられると思うので、私はお伺いするのです。 厚生省が福岡県の衛生部に出した回答には四点あるのです。「原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の趣旨は、被爆者の特殊性を考慮した各種の法定の措置を行なうことにより、」これが第一であります。そして「日本国の領域内に成立している地域社会の福祉の向上を図ることにある」これが第二。そして「日本国内の地域社会において社会生活を営んでいない、いわゆる地域社会との結合関係を有してない者については、同法は適用されない」これが第三。第四は「不法入国」という点。これが手帳を交付されない、あなた方の理由になっているわけです。 お伺いいたします。 第一の「被爆者の特殊性を考慮した各種の法定の措置を行なう」このことについては、孫さんは適用されますよね。原爆医療法には、国籍排除の規定はないわけでしょう。適用されますね。その点どうでしょう。
○滝沢説明員 その点については、原爆医療法は外国人に対する適用を排除する特別の定めはございません。適用できると思います。
○山本(政)委員 「日本国の領域内に成立している地域社会の福祉の向上を図ることにある」これはどういう理由か、ひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
○滝沢説明員 原爆被爆者が放射能の影響を受けたということが、先ほど来御議論のございます国家補償の問題とからみますと、一般の戦争被災者と基本的に違う問題は、放射能の影響を受けているということにあるわけでございまして、そういう点でこの立法は属地法であって、日本の地域社会における社会保障という観点から、特殊な健康の状態、いわゆる放射能を浴びた特殊な健康状態を特に配慮して医療に関する法律あるいは特別措置に関する法律ができておる、こういうことでございますので、いわゆる法制局の解釈から申しましても、地域の居住性の確認をもってこの法の適用をいたすべきである、こういう解釈でございます。
○山本(政)委員 あなたは私の質問にはお答えになっていないのですよ。あなたのお答えになったのは第三点なんです。第二点は「日本国の領域内に成立している地域社会の福祉の向上を図ることにある」これは、このまま解釈するならば、要するに原爆の被爆者は放射能を持っているから、それをまき散らして社会福祉のためによくない、こうお考えになっているのかというのですよ。
○滝沢説明員 そういうことについては、からだの放射能の影響が他人に及ぶということの学問的根拠はございません。
○山本(政)委員 それならば、これは理由にならぬでしょう。第二点の「日本国の領域内に成立している地域社会の福祉の向上を図る」ということならば、まさに結核予防法がそれに適合するのですよ。結核予防法の目的の第一条「この法律は、結核の予防及び結核患者に対する適正な医療の普及を図ることによって、結核が個人的にも社会的にも害を及ぼすことを防止し、もつて公共の福祉を増進することを目的とする。」これが地域社会の福祉ということになるのですよ。そうすると、まさにここに書いていることは違うのです。原爆被爆者の医療等に関する法律の第一条(この法律の目的)は「この法律は、広島市及び長崎市に投下された原子爆弾の被爆者が今なお置かれている健康上の特別の状態にかんがみ、国が被爆者に対し健康診断及び医療を行なうことにより、その健康の保持」本人の、個々人の健康の保持「向上をはかることを目的」としておる。地域社会福祉とは関係ないでしょう。そうしたら、第二の理由というものは理由にならぬはずであります。少なくとも、そういう論理が成り立つでしょう。そうしてそういう論理は何人も否定することができないはずじゃありませんか。結核予防法の第一条の目的と、原子爆弾被爆者の医療法の第一条の目的と、全く同じような社会福祉という立場からやっているのですから、それはそうじゃないでしょう。そうすると、二番目の理由というものは理由にならぬということですよ。その点の答弁はどうなんです。
○黒木説明員 ただいまの点につきまして、確かに御指摘のとおり、目的の点の条文につきまして考え方、法律の立て方は全然違うわけでございます。おっしゃるとおり、結核予防法につきまして、地域社会ということにつきましては、結核という、現在でこそ対策が進んでまいりましたけれども、当時の伝染性疾患の問題ということで、直接、間接に一般地域社会の他に感染を防止し、あるいは患者自身につきまして保護を行なうという体制で目的ができておるわけでございます。これに対しまして、原爆医療法のほうは、いわば放射能を、先ほど医務局長が答弁申し上げましたとおり、地域社会におきましていろいろ放射能を受けたという特殊な健康状態にかんがみまして、それに対して対策を講ずることにより、地域社会の福祉の向上をはかるという意味のものでございまして、その点につきましては目的が違っておりますし、また地域社会と申し上げましたのも、いわばそういう意味でその地域内に住民として構成しておられる方々の福祉の向上をはかるという意味でございますので、趣旨は御指摘のとおり違っております。
○山本(政)委員 そうすると第一番、第二番は、要するに被爆者の手帳の交付を拒否する理由にはなっておらぬということですよ。それでは第三番目は、どうなんだろう。「日本国内の地域社会において社会生活を営んでいない、いわゆる地域社会との結合関係を有しない」こうおっしゃっているのです。それならば、生まれたときから小学校、高等科、全部出て、そうして日本の会社にずっと二十数年おって、そうして強制送還をされた。ただ強制送還をされた、密入国をした、そのことだけによるのかどうか。 いいですか。生活保護法にはこう書いているのです。生活保護法には「他法他施策の活用」と書いて、十二番目。ここにいろいろあります。身体障害者福祉法、児童福祉法、精神薄弱者福祉法、老人福祉法、ずっと書いてあって、十二番目に、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律、こういうものすべて適用しなさい。そうして最後に生活保護法の適用をするのです。こう、指導要項には書いているのです。厚生省の指導要項ですよ。そうして生活保護法を適用させているのです。そして生活保護法を適用することについての居住地と現在地ということに対する解釈も、ちゃんとここにあるのです。にもかかわらず、居住地がないということの理由によってあなた方は交付を拒否しているじゃありませんか。一つの法律については現在地というものを適用する。他の法律については、これを適用しないというばかな法律がありますか。ここには幾らもあります。厚生省の中には公衆衛生局、それから児童家庭局、社会局、たくさんありますよ。そういうことに適用するものが、生活保護法、身体障害者福祉法、老人福祉法、児童福祉法、特別児童扶養手当法、それから精神薄弱者福祉法、母子福祉法、全部あるじゃありませんか。そして公衆衛生局には結核予防法まである。ここには全部外国人の排除規定というものはないですよ。ただ一つあるのは、児童手当法があるだけです。これは私が自分で質問したからはっきり覚えておる。それなら、なぜ朝鮮の人なるがゆえに、そしてほかの法律には居住地というものがあって、居住地がもしはっきりしない場合には、現在地でいいという適用をしながら、原爆被爆者に対する外人だけに対しては、なぜ適用除外をされているのですか。そして第三番目の理由として、なぜあなた方は地域社会云々というものをやっているのか。それならば第三点においてすら、あなた方が拒否をする理由がないじゃありませんか。あるならば反論してください。ほかの法律で、居住地がもし定まらなければ現在地でけっこうです、こういっておる。にもかかわらず、その三の場合だけ、なぜ居住地でなければいかぬという法律の適用をするのか。私にはそれががわからないのです。だれか返事してください。
○黒木説明員 ただいま御質問の点でありますが、いま生活保護法以下いろいろ法律の特性によりまして実際の適用をし、あるいはその趣旨に基づいて、これを実施するという法制でありまして、その点につきまして、いわば国内の関係について適用するというのがたてまえでございまして、法律の居住の関係というものにつきましては、個々の法律の制定の目的あるいはその制度の趣旨に従って運用しているわけでございます。その趣旨に沿った解釈をしているわけであります。
○山本(政)委員 すべての法律を適用して、最後に生活保護法を適用する、こういうマニュアルがあるわけです。そしてそういう困窮者あるいは困った人、そういうものを救う法律という六つの法律というものが、全部居住地でなければ現在地でけっこうです、こう言っているのですよ。 それじゃ私お伺いをいたしますけれども、原爆医療法とほかの法律との特殊性というのはどこにあるのですか。
○黒木説明員 特に生活保護法との関係でお答えいたします。
○山本(政)委員 特に生活保護法じゃなくて、ほかの六つの法律をちゃんと言ってください。
○黒木説明員 その点につきまして生活保護法と他の福祉法との関係が違っておるわけでございますが、いわば他の福祉法関係につきましては、結局日本国内におきます地域を構成しておられる住民の方々につきまして、いろいろな福祉の施策を講じ、向上をはかっていくという趣旨で、それぞれ適用しているわけでございます。それにつきまして、その措置の内容、いわば保護の内容と申し上げましたものにつきまして、いろいろ緊急の差があるわけでございまして、特に生活保護法について申し上げますと、これはいわば最低生活の保障という最低の保障になっておるわけでございます。 それにつきまして、いわば生活保護については、現行生活保護法以前からある制度でございますが、特に外国人に関しましては、外国人の援護というものにつきまして特別の制度を持っておりまして、特に緊急の場合にこれを適用するという法制を踏襲し、現在生活保護法として踏襲いたしておる中に入っておるわけでございます。 そういう面で生活保護法の適用につきましては原則的な考えにつきまして、国内の関係の居住関係のものにつきまして、あるいは日本国内、いわば属地法というものが及ぶ範囲内におきますところの居住地あるいは現在地というものの考え方で適用しているわけでございます。
○山本(政)委員 それじゃ老人は老人ホームに収容することができます。外国人にもそれを適用することができるのですよ。それは一体どうなるのです。
○黒木説明員 その点につきましては御指摘のとおり、日本国内におきましてこの適法に居住しておられる方々につきましては、各福祉法につきまして、その中での構成される方々の福祉のためにいろいろな措置を適用するということは当然でございます。
○山本(政)委員 それじゃ原爆の医療で、からだというものが白血球におかされて、だんだんむしばまれていくその人を救うことは当然じゃないんですか。——ちょっと待ってください。大臣でも次官でも局長でもいまの話について答弁してくださいよ。課長の答弁はそうだ。それじゃ長年日本におって原爆の放射能を浴びて、治療したくても治療できないその人たちを救済する必要があるのかないのか。外国人を老人ホームに入れるここは——私は直接聞いたわけではありませんよ。しかし、外国人が行き倒れされちゃかなわぬから、こういう放言をした人がおるということを聞いているんですよ。もしあなた方に、外国人の原爆の犠牲者に対して、そういう同じような考えが根底にあるんだとしたら、たいへんなあやまちだと思うのです。少なくとも第三番目の理由はきわめて薄弱になるじゃありませんか。 第四番目は、何もあなた方が考慮する必要ないんですよ。不法入国だとかなんとかということは法務省のことなんです。厚生省としてはやるべきことをやったらいいんですよ。あなた方は法務省に一々お伺いを立てて原爆の被爆者に対する手当てをやるわけですか。外国人に対して、そういう気の毒な人に対してそれほど主体性がないのですか。厚生省の権威というのはどこにあるかということです。私をして言わしむるならば、不法入国だとかなんとかいうのは、何も厚生省が言う必要はないんです。もしあるとするならば、厚生省の関係で、かくかくしかじかだからできない、こう言うなら、まだいい。どこに法務省のことばをかり、そして拒否をする理由があるんですか。 一番は問題ない。二番は私の言うとおりの趣旨だとする。あなた方はそう肯定なすった。三番目はいまの理由ならばきわめて薄弱です。全部困っている人じゃありませんか、老人にしたって身体障害者にしたって。そしてそれが適用されるんだ。居住地でなければ現在地でけっこうです、こういっている。老人福祉法においてもそうなんです。気の毒だから外国人を収容する。そうしたら原爆の、要するに外国人の被爆者がなぜそのことによって救われないのか。気の毒じゃないという言い方なら、これはそれなりの筋が通ると思います。 あらためてお伺いします。外国人の原爆の被爆者というのは、気の毒でないんですか、あるんですか。
○増岡説明員 被爆者の方々に対しまして、心情的にたいへんお気の毒だということは全くおっしゃるとおりで、私どもそのとおりに思うわけでございますが、現在の法の立て方がただいままで御説明申し上げましたようなことになっておりますので、まあ多少のことがあるかと思いますけれども、私どもはこういう問題は、わざわざ日本にいらっしゃらなくても韓国で原爆症の治療ができることが一番望ましいことではないかと思うわけでございまして、ただいままでには外務省を通じ、あるいは民間の善意的な方々でお医者さん方が向こうにおいでになるとか、向こうのお医者さんをこちらに招聘して研修をしていただくとか、そういうような方法がとられているわけでございますので、その方面にも格段の働きかけをいたしたいと思います。 ただいまの目前の問題は先ほど私の申しましたとおりでございますので、私の申しましたような努力はいたしてまいりたいと思います。
○山本(政)委員 おことばを返すようですけれども、原爆の治療センターがないから、治療センターをつくるような努力をしようではないかというのが、せんだっての核禁会議での提案となって出てきているんですよ。 もう一つは、村中さんが公衆衛生局長のときの答弁の中には、聞くところによると韓国は原爆の治療というものが十分でないから、そういうことに対して十分な配慮は払いたい。大臣もやっぱりそういう答弁をなすっているんです。ここに速記録にちゃんとあるんです。そしてその中で、海外技術協力事業団というものがあります。東南アジアに医療協力などをやっております。したがって、それを利用して韓国のお医者さんたちをそこへ呼んで、そして研修をするような方法も講じてまいりたい、こう言っているのです。つまりそのことは、韓国では治療が十分なされないということの証明じゃありませんか。だから日本に来たいんですよ。 時間がないから次に進みますけれども、福岡県のほうから厚生省にお伺いを立てているんですよ。あなた方はそれに何らお答えになっていないじゃありませんか。ここに全部あるんです。私、写してきた。「被爆者健康手帳を受けようとする者は、その居住地(居住地を有しない時はその現在地とする)」とカッコが入っておる。これは法文にも入っております。「その居住地を都道府県知事に申請しなければならないと規定されているが、その居住地の解釈について左記の通り疑問点がありますから至急にご教示下さい。」と書いて、「記 1、外国人の場合、居住地とは外国人登録簿に登載された居住地(住所)を指すものかどうか。2、また居住地を有しない時は現在地とすると注釈してあるが、これはどのように解釈したらよいものかどうか。」三番目、被爆者が出入国管理令云々というのがある。これは私が申し上げたように法務省の事柄です。いいですか。二番目の「また居住地を有しない時は現在地とすると注釈してあるが、これはどのように解釈したらよいものかどうか。」ということに対して、何にもお答えになっていないじゃないですか。そうしてお答えになったのは法三章的な、私が指摘をした四点にしかすぎないということです。そして申請を却下しているという事実があるじゃありませんか。 なるほど出入国管理令というものは、あるいは外国人登録法というものは、対象を外国人に限っている。しかし、先ほどたびたび申し上げたように結核予防法、生活保護法、そういうものは外国人に対する排除規定というものはないわけです。原爆医療法もまたしかり。結核予防法とか生活保護法あるいは老人福祉法、そういうものは外国人適用が可能で、なぜ原爆医療法だけ外国人に対して不可能なのか。 私はその人の本人のためにここで名前は申し上げないのですよ。だけれども、いいですか、昭和三十七年に観光ビザで入ってきている人がおるのですよ。そして原爆病院に入って治療を受けている人がおるんです。そして原爆手帳までその人にはおりているんですよ。しかし三十八年以降、その人がだんだん治療を受けられなくなったという事実が現実にあるんです。これは政治的背景ですよ。戦後が終わったということで政府が免罪をするのと同じように——もし私が申し上げたことで何か反論があるなら、幾らでも私はお伺いいたします。五分前だという話ですから、私はやめたいと思いますけれども、お考えを聞かしていただきたいと思います。大臣、この人たちをどうしてくださるのか。この人たちだけではなくて、日本における原爆の被爆者の方々を一体どうなさるつもりなのですか。
○塩見国務大臣 ただいままでのお話を承りまして、心情的には私も非常に心を打たれ、同感の意を表するものであります。 被爆の問題につきましては、先ほど増岡政務次官からもお答えを申し上げましたけれども、私も従来の経過につきましては、まだつぶさに承知をいたしておりませんが、この法の適用にあたり、あるいは法務省でありますとか、あるいは法制局でありますとか、そういった点におきまして、厚生省としては、先ほど政務次官が言われましたとおり、いろいろとかけ合ったようでございまするが、まだその意見の一致を見ない。したがって、このお尋ねの場合におきましては、現在のところ手帳を交付せられていないというのが実情だと思うわけでございます。 さらにまたお話がありましたとおり、韓国国内での治療体制というものの整備等につきましても、私どもはこれに協力をして、その体制ができ上がることに努力もしなければならぬと思っております。 さらに、いまの具体的な孫さんでございますか、その方の問題等につきましては、いま申し上げましたとおり、今後、いまの居住地の問題、いまの解釈はどうも属地法的な考えでやっておると思います。したがって、これが居住が可能になるということなれば、問題は私は即座に解決するのじゃないかと思います。そういったような努力もなお重ねてまいりたいと思うのであります。 さらに原爆全体につきましては、二十七年たった今日、なお依然として日本あるいはまた国際的に見て大きな課題だと思うわけでありまして、こういった点につきましては、皆さん方の御意見もよく承りながら、さらにその内容の充実ということにつきまして努力を重ねてまいりたいと思う次第であります。
○山本(政)委員 これに書いてあるのです。生活に困窮する外国人が朝鮮人及び台湾人である場合に限っては、いろいろな手続が必要であるけれども、その手続を要しないということがあるのですよ。しかも、刑の執行を停止された者、仮出獄を許された者等が無登録である場合でも保護をしなさい、こう書いておるということになれば、そういうことをやはりお考えになっていいのじゃないか。しかも生活保護法の第一条のところには、外国人排除規定があるのですよ。しかしそれを、特例といったらおかしいが、要するに通達をもって、当分の間は外国人排除規定というものは適用いたしませんというものがきちんとこれに出ているのです。そこまでやっている。原爆医療法については外国人排除規定というものは何もないのです。一条にもどこにもないのですよ。排除規定があるものですら、そういうものがちゃんとあたたかい配慮がなされておるにもかかわらず、排除規定のないものに、なぜそれが適用されないのだろうか、非常に法の上の不備があるじゃありませんか。それを運用するのは、まさにあなた方だろうと私は思うのです。 繰り返して申し上げますよ。生活保護法の第一条には外国人排除規定があるのです。それが通達によって、当分の間はこの排除規定は適用しないで、あたたかく迎えてやろう、こう通達が出ているのです。原爆被害者の外国人に対して排除規定が、どこの条章をさがしても、ないのですよ。あるならば御指摘いただきたい。しかし、ない。ないならば、なおさらのこと私は、そういうことに対してあたたかい保護が必要でないだろうか。ぜひそういうことにひとつ配慮をしていただきたい。 そして私は政務次官のいままでのお心づかいに対して感謝いたします。重ねて大臣、ひとつその点について、ぜひ最大の御尽力をお願いしたいと思います。そしてもう一つは、今後原爆被害者の一般の人たちに対しても、できる限り最善の努力をひとつしていただきたい。最後の御答弁をお願いします。
○塩見国務大臣 ただいまお話のありました方向で努力をいたしたいと思います。
○山本(政)委員 終わります。
○小沢委員長 次に、古川雅司君。
○古川(雅)委員 広島、長崎に原爆が投下されて二十七年目の八月を迎えたわけでございますが、先ほど来山本委員から御指摘のありました点につきましては、私も全く同感であります。私自身、広島県選出議員の一人でありますし、また、かねがね被爆者団体の皆さんから御要望をいただいている、その内容に照らしても、先ほど来の山本委員の御指摘は、まことに被爆者の生活の苦しさからにじみ出た血の叫びではないかと思います。政務次官も広島県の選出でございまして、心情的には全く御同感ではないか。私は先ほど来政務次官のお顔を拝しながら、山本委員の御意見を拝聴していたわけでございますが、ただ政府を代表する立場に立っての御見解となりますと、いささか消極的に走るきらいがございまして、その点はたいへん残念であります。 先ほど来の政府側の御答弁を通して一貫して感じられますことは、一体この二十七年間にわたる被爆者の生活の苦しみ、これは単に放射線による身体の障害だけに限ったことではなくて、精神的にも、また生活の上でも、非常に過酷な生活条件をしいられてきた。そしてなおかつ国がいつかこれら被爆者の生活をはっきりと保障をしてくれる日があるのではないかと今日まで待ち望んできているということを、あまりにも実感としてはお持ちになっていないのではないか。これは年々、被爆者に対する特別措置法の法改正の審議にあたりましても、こうした議論は繰り返されてきているわけでございますが、あらためて確認をさしていただきますけれども、原爆の被爆者に対する援助の措置がすでに上限に達しているのである、あるいはまたほかの社会保障制度の措置をこれ以上越えることはできない、そういう見解を一方にはお持ちではないか、根強くそうしたお考え方を持っているのではないかという疑いを濃くするわけでございますが、まず大臣からその点についての御見解を伺ってまいりたいと思います。
○塩見国務大臣 被爆者に対する措置がもうすでに上限である、これ以上の改善の余地がないようなふうに政府のほうで考えておるじゃないかというような御質問のように拝聴いたしたわけでございまするが、少なくとも私は、そうはもちろん考えておるわけではございません。もちろん、二十七年たちまして、この間にいろいろの不幸なできごともございましたでしょうし、あるいは生活面なり、あるいはその他の面で、さらに従来よりも条件が悪くなったというような事例等もあり得るのではないかと思います。したがって、現状に即してさらに具体的に被爆者に対する援護の措置を考えていくということは、もう当然のことでございまして、もうこれで一ぱいだからどうだという、そういうふうなことは毛頭考えておる次第ではございません。
○古川(雅)委員 大臣、しかし一方においては軍人や軍属あるいは引き揚げ者、さらには旧地主までに国家の責任において補償が行なわれているわけでございまして、——私時間があれば先ほど来の山本委員の御指摘をもう一度繰り返して見解をただしたい気持ちで一ぱいでありますが、残念ながら私に与えられた時間は三十分余でありますので、そこまでは申し上げませんけれども、二点だけさらに確認さしていただきたいと思います。 被爆者に対する援助の措置が上限ではないということを、大臣は、いまはっきりおっしゃたわけでございますが、すでに論じ尽くされておりますとおり、問題の焦点は被爆者の援護法の制定いかんにかかっていると思います。少なくとも私はそういう見解を持っておりますし、今日三十四万人に達している被爆者の一人一人を援護していくためには、援護を確立していくためには、この被爆者援護法の制定という決断を下す以外にはないと思う。 まずお伺いいたしますのは、田中首相が就任の際の記者会見におきまして、被爆者援護を重要施策の一環としてあげているというふうに私伺っておりますが、これは確かでありましょうか。これが単なる外交辞令でないとするならば、当然総理から厚生省当局に対して何らかの指示があり、また私の立場でお伺いするならば、被爆者援護法の制定の準備について総理から意見があったはずであります。この点いかがでございましょうか。
○塩見国務大臣 前後するかもしれませんが、田中総理が新しい施策の重点として、国民福祉の拡充あるいは向上ということに非常に熱意を持っておることは、すでに御承知のとおりでございます。私どももこの総理の熱意を拝見して、と言ったら少し語弊があるかもしれませんが、こういった熱意と一緒になって、この国民福祉の向上をはかっていきたいというふうに考えておるわけでございまするが、まだ田中総理から具体的に援護法をどういうふうに扱うとか、あるいはまた原爆被爆者に対して、どういうふうにするとかいうふうな具体的な指示は今日まで出ておりません。しかしながら、私どもは田中総理が、この国民福祉の向上に非常な熱意を燃やしておるという事実は承知しておりますし、また当然私はそうあらなければならぬと思うわけでございまして、原爆の被害者のみならず、福祉行政全般にわたりまして、この際、この福祉の向上に努力してまいりたいと思います。
○古川(雅)委員 残念ながらこの社会労働委員会に総理を呼ぶところまできておりませんので、直接総理にお伺いすることはできないわけでありますが、厚生大臣がそういうお考えを持っているのであれば、むしろ積極的に、閣議で総理に対して被爆者援護法の制定に対しては総理がどういう決意を持っているのか胸をたたいて、そしてこの委員会で私どもに御報告をいただけるかと思いますが、この点はいかがでございますか。
○塩見国務大臣 先ほどもお答えを申し上げましたとおり、直ちに援護法を制定するかどうかということについては、私どもまだそういう用意がないわけでありまして、要するに援護の内容を充実してまいりたい、かように考えておるわけであります。
○古川(雅)委員 そうしますと、総理が被爆者の援護を重点施策の一環としてあげていながら、厚生大臣としては、援護法制定というところまでの決意が持てないので、総理の胸をたたくこともできないとおっしゃるわけでありますね。
○塩見国務大臣 繰り返してのお答えになって恐縮でございまするが、要するに内容の充実をはかっていきたい、かように考えるわけでございます。
○古川(雅)委員 非常に時間が気になって残念なんですが、少なくともこれまでの毎年繰り返されてきた議論は、援護の内容を充実していくのだということで繰り返されてきたわけでございます。しかし実質的には——これは私ここでくどく申し上げるまでもありません。先ほど山本委員の御質疑にもあったとおり、全くそのとおりでありまして、国の援護措置を受ける、その恩恵を受けるなんというのはごく一部の人であります。いろいろな制約があります。まだまだ貧弱であります。被爆者の援護法を制定するというその結論から出発しなければ、究極の目的から出発しなければ、ほんとうの意味の援護の充実ということもなかなか期しがたいと思います。 そういう意見を添えまして次に移りますけれども、第二点は、特に最近被爆二世の問題が非常にアピールされております。これは昨夜のおそくでございましたので、大臣あるいはごらんになっていないかもしれませんが、十二チャンネルの「ドキュメンタリーナウ、ヒロシマ・被爆二世の夏」という題名で、被爆二世の問題を非常に掘り下げて報道しておりました。それを見るまでもございませんけれども、新聞にキャンペーンを張っておりますから、大臣も十分御認識であろうかと思いますけれども、この被爆二世の問題について基本的に今後国としてどう取り組んでいかれるのか、見解をお伺いしておきたいと思います。 一つには、県あたりで部分的に被爆二世に対する健康診断を行なっておりますが、これに対してどうお考えか。これは国で直ちに着手すべきではないか。予算要求ともからんで、この点はどのようにお考えになっておるか。 また、先般二階堂官房長官は、被爆二世の問題について、爆心地から一・五キロ以内という見解をお約束になっておりますけれども、これも非常に根拠が薄いわけでありまして、むしろ被爆地点からの距離には関係なくというのが私たちの要望でありますし、意見でありますが、この辺のところについても官房長官の談話というのではなくて、責任ある関係厚生省当局の見解として、この際承っておきたいと思います。
○増岡説明員 実は官房長官の応答に立ち会っておりましたので、若干その応答の中でニュアンスが違う点がございますので、まず申し上げておきたいと思います。 二世の健康管理について御質疑があった際、その中で原爆病院の院長の発言を引用されたわけですけれども、実際には、原爆病院の院長は、爆心地から一・五キロとか二キロぐらいとおっしゃったのは、二世の学問的な研究をするためには、その範囲内の人が影響があるのであって、それ以上はないと思うから、その中の人を選んで二世の遺伝その他の問題を研究したらよかろう、こうおっしゃったのが、今度官房長官と記者会見の席では、一・五キロから二キロという中の人の健康管理は必要だと思うがどうかという話になりまして、それで官房長官としては前向きな御返答でありまして、厚生省にも検討したらどうかということでございます。 それでひとつ私お断わり申し上げたいと思いますのは、この問題と別に最初に、二世問題については非常に社会的な問題その他があらわれてくることが予測せられるので、非常に慎重に考えなければならないということを申しておられることと、すぐ二世の健康管理をするということとは矛盾をいたしておるように思うわけでございます。私ども、実際に前向きにそれを取り上げてまいる場合には、相当慎重な考え方をもって方法、時期というものを考えていかなければならないと思いますけれども、官房長官はそういうお話でございます。実はまだ大臣とも御相談申し上げておりませんので、私の気持ちとしては、前向きに取り組ませていただきたいというふうに考えております。
○古川(雅)委員 この場でひとつ大臣から御意見を承りたいと思います。
○塩見国務大臣 いま政務次官からもお答えを申し上げましたが、私はこの二世の問題につきましては、二世の方々も、もはや二十七年でございますから、結婚の適齢期にも向かわれてまいっておると思います。また、その後成長されておるような状況で、したがって、この二世の方々の、あるいはまたその父兄の皆さん方の心情等も慎重に配慮しながら、そしてこの問題に取り組んでいかなければならぬかと思うわけでありまして、健康診断等につきましても、そういったような配慮の上で、具体的にどうすれば一番いいのかというようなことも慎重に検討していかなれけばならぬと思うわけであります。非常にむずかしい、デリケートな問題、しかし、いろいろ具体的に、国としてこれに対して手を差し伸ばす必要があるということになれば、これは当然国としてもやらなければならぬと思います。ただやり方等については慎重な態度でまいりたい、かように考えます。
○古川(雅)委員 くどいようでありますが、被爆二世の健康診断の問題については、いろいろ微妙な問題もあると思います。それは私、わからないでもありませんけれども、すでに県等地方自治体によっては実施しているわけであります。それを国で手をつけないというのは、おかしいと私は申し上げておるわけでありまして、これは昭和四十八年度、来年度の予算でははっきり数字として出てくるべきものだと思いますけれども、その点のはっきりした大臣の御決意を伺えばよろしゅうございます。
○滝沢説明員 前のつながりで私からお答え申し上げますが、府県の実態の調査につきましては、京都、北海道、川崎等で実施いたしております。京都につきましては結果が出ましていわゆる被爆二世はない。すなわち、現在の二世の方で被爆を健康上把握できる実態というものはないという報告も受けております。しかしながら、御指摘のように健康上の不安に対して、健康の管理あるいは健康状態の把握、こういうような問題についての御要望が非常に高まっていることは承知いたしておりますので、私の担当しておる段階においては、来年度、調査研究の形で、しかも近距離被爆者というような方々の家族等を考慮に入れまして、調査研究を進めたいという内容を一応盛り込んで検討いたしたいと思っております。
○古川(雅)委員 時間の関係で被爆の問題は以上にいたしまして、次に移らしていただきます。 国民の健康管理体制についての議論が最近また非常に活発になってまいりました。報道によりますと、保健所問題懇談会からの報告を受けまして、厚生省としてもいろいろ検討を重ねられているようでございますが、全国八百三十九といわれている保健所の現状につきましては、どうも問題意識が薄らいだのではないかという感じを強くいたしております。しかも現状では、医師が約四割近く不足しているというようなことも先般予算委員会でお伺いをいたしましたし、また保健所でその職務に従事する職員の皆さんも、なかなかその充足が思うようにならない、そういう現状も指摘されているときでありまして、この保健所問題懇談会からの報告については、ひとつ厚生省当局としても積極的に——積極的なんということではなくて、本腰を入れて取り組むべきだと思うわけでございますが、この報告の内容に関して厚生省はどういう見解をお持ちであるか、まず三点ほどお尋ねをいたしたいと思います。 一つは、この報告によりますと、基本的には保健所のあり方については現在の保健所からいわゆる保健センターというような機能を備えた機構に脱皮すべきであるというような指摘をいたしております。これは保健所の業務内容が最近、時の流れに従ってずいぶん変わってきておりますので当然の意見かとも思いますが、これには相当の大転換といいますか決断が必要かと思いますけれども、厚生省としては、この辺をどのようにお考えになっていらっしゃるか。 第二点としては、先ほど申し上げた医師とか保健所の職員の確保の問題、これはこれまでいろいろ御苦労していらっしゃったと思いますけれども、現実としてまだ低迷しているわけでございまして、これを何とか打開しない限り国民の健康管理体制というのは、なかなか十分に進められない。これに対して今後どういう積極的な御意見を持っていらっしゃるか。 第三点は、大臣はこの報告をお受けになったときに、報道によりますと、各関係各省にも及び、また各局に関係するので、省内にプロジェクトチームをつくって実施できるものから実施したいというふうに見解をお示しになっておりますけれども、これはいまさら始まった問題ではないわけで、これからプロジェクトチームをつくってとおっしゃることは、何らこれまで検討をなされていなかったのかという疑問が一つありますし、また大臣のこの見解を前向きで受けとめさせていただきますと、四十八年度の予算編成に際しては、さしあたって、これとこれとこの問題については改善を加えて、この懇談会の報告にこたえていこうという具体的なものがすでにあらわれているかと思います。単なる予算面だけの問題ではないと思いますけれども、この点についてもひとつ具体的にお示しをいただければ幸いでございます。 以上、三点お伺いいたします。
○塩見国務大臣 ちょうど私の発言等も引用いただきましたので、私からまずお答えをさせていただきたいと思います。 私も今回のこの答申を拝見いたしまして、非常に御熱心な討議の結果、いまの保健所を中心とした現在の体制をもう少し積極的に前進をしなくてはならぬというふうな熱意が非常にあふれているように感じまして、非常に心強く思い、またこの線に沿って行政を進めていかなければならぬじゃないかというふうにまず直観をいたしたわけでございます。いろいろ内容が盛られているわけでございますが、ただいまお尋ねの保健センターの問題あるいは保健所の使命といいますか仕事といいますか、その質的な変化というものもあろうかと思うわけでありまして、従来は結核とかその他のものに非常な重点が注がれて、それだけの成果をあげてまいったわけでございまするが、今後はやはり公害とかその他住民の福祉に直結したような問題も、やはり保健所の新しい課題として今後力を入れていかなければならぬのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。 確かに御指摘のとおり、職員の確保等非常に第一線では苦労しておることは、もはや御承知のとおりでございます。やはりこれを改善していくということが、あの答申にも重大な柱として述べられておるわけでございまして、それにはこの職員の質的な向上と申しますか、そういうふうな意味合いで、さらに権威のある研修を行なっていきますとか、あるいは処遇の改善を行なっていくとかいうようなことで、りっぱな保健婦を、あるいはりっぱな従業員を養成していくということが今後の大きな課題だと思うわけでありまして、これについても努力をしてまいりたいと思うわけであります。 それからプロジェクトチームをつくってというお話がございましたが、これは何かの間違いではないかと私は思うわけでありまして、これについては、そういうことを申し上げたわけでなくて、実はほかの問題で私は申し上げたのでございまして、これはここでお尋ねの範囲外でございますが、そういうお話がございましたので、簡単に申し上げますると、いわゆる難病というような問題がございます。この難病というのはどうも専門家の離病と普通の常識における難病というものに相当の食い違いもあるようでございまして、私どもはやはりほんとうに治療の方法が明確でない、あるいは高額の負担がかかる、あるいは長期の療養を必要とするというふうな概念でこの難病というものをつかまえて、そうしてこの難病の対策をもっと積極的にやらなくちゃならぬじゃないか、そういう場合に、御承知のとおり厚生省ではいろんなこういった問題が各局に分かれておるものですから、やはりこれを総合してできるようなプロジェクトチームというようなものも考えて、総合的にこれを前進さすべきじゃないかというようなことを申し上げたので、そこでこの問題と混同されたのではないかと思いますので、その点はひとつ御了承いただきたいと思います。
○柳瀬説明員 いま御質問の第一点の保健所問題懇談会の報告の中に保健センターというような考え方があるが、これはどういうことだというふうなお話につきまして、ちょっと御説明申し上げておきます。 懇談会の中でいわれております考え方は、従来保健所の仕事というものがいろいろ種々雑多と申しますか、対人保健サービスにいたしましても、あるいはそのほかのいろいろ保健所の環境保健問題あるいは環境衛生、いまの取り締まりから職員の監視……。
○古川(雅)委員 時間がありませんので、この考え方に対して厚生省はどう受けとめていらっしゃるか。
○柳瀬説明員 保健センターは大体地域を分けまして、地区の保健センター、それから地域の保健センター、それから広域地域の保健センターというような考え方になっておりまして、地区の保健センターというのはいわゆる市町村レベルで処理をするようないろいろな仕事、これは対人保健サービスということを主体にいたしまして、対人保健サービスは、いわゆる保健所的な広域な地域から、さらに地区の市町村の段階にできるだけおろして、そこで処理をしていこう。それから地域の保健センターにつきましては、これはむしろそういう地区保健センターの調整的な仕事、あるいはそういうところでできないようなさらに広域な仕事の処理。それからさらに公害問題を含めましたような環境保健的ないろいろな仕事がふえてまいっておりますので、そういうものに対応する仕事をやっていく場として、それから広域の地域の保健センターといいますのは、これはさらに各地域ではできないようなもう少し大きな幾つかの地域を含めました広域な地域を設定いたしまして、その地域において重点的にいろいろな試験検査等を充実強化していく。これはわかりやすく言いますと、現在の保健所の組織でいいますと、幾つかの保健所の中の重点的な保健所を重装備をして現実の仕事に対処していく、こういうようなことが考えられて盛り込まれておるわけでございます。
○古川(雅)委員 大臣から予算要求についての御見解が聞けなかったわけですが、一言……。 〔委員長退席、田邊委員長代理着席〕
○柳瀬説明員 予算要求につきましては、この保健所問題懇談会に盛られた趣旨をできるだけ生かすように、地域における健康管理の体制というものを拡充、強化していこうというこの趣旨に盛られました内容につきまして、それに沿ったような予算編成を大幅にひとつ盛り込んでいこうということで、いま内容を検討し、そういう方向に沿って予算編成の準備を進めておるわけでございます。
○古川(雅)委員 国民の健康管理の体制の拡充につきましては保健所問題が焦点になります。具体的なこまかい問題も私ずいぶん聞いてきておりますので、次の機会にはそうした問題点をあげながら、さらに詳細に政府の見解、また今後の対策をお伺いしていきたいと思います。 次に、第三番目にお伺いしたいことは、診療放射線技師及び診療エックス線技師法第二十六条第二項第二号の中の「医師又は歯科医師の立会いの下に」ということについて、一点お伺いをしておきたいと思います。 厚生省のこの問題に対する見解につきましては、「医師が常時その場に居あわせる必要は必ずしもなく、一般的指示を与えること、及びいざという場合に直ちにかけつけられることができる程度の距離にいることが満たされれば立会いとみなせよう。レントゲン車で検診に出動する場合には出動する場所の近隣の医師に依頼して立会ってもらうことが実務上便利であろう。」厚生省あるいは県あたりでは、こういう見解を持っているわけでありますが、実際に現場で働く技師につきましては、同じ屋根の下、同じ敷地内あるいは同じ構内に医師がいるというふうに理解をしている傾向が強うございます。このようにはっきり理解しております。いざという場合にすぐ撮影現場にかけつけられる体制で「立会い」ということを承諾している医師が、レントゲン車または移動レントゲン装置のすぐ近くにいるということですね。 この点につきましては、去る四月二十四日、参議院の予算委員会分科会で公明党の塩出啓典議員の質問に対しまして、当時医務局長の松尾政府委員からこういう答弁がございました。「ただいま御指摘のような放射線技師法の中に「立会い」ということが明確にしてございます。それは万が一にも事故があってはならないということから、専門家の意見も聞いてきまったことと存じます。私も率直に、ただいま先生御指摘のような事態に現実に現場はあろうと私も存じます。しかもいろいろな機械その他がかなり新しく進歩しております現状でございますから、これはひとつ私もそういうものに携わっております専門家の方々の御意見も聞きました上で検討さしていただきたいと思います。」具体的なことは全然一言も触れていないわけでございますが、この「医師又は歯科医師の立会いの下に」ということについての見解は人によってさまざまであるということ、これが一つの大きな問題になっております。 したがいまして、こうした日々現場で業務に携わっている技師の立場から申し上げますと、「立会い」ということについては、あくまでも法のもとに業務に従事しているわけでございますので、これははっきりした法の上の改正なり検討を急いでいただかなければならないわけでございますが、エックス線の集団撮影も検診の一部ですから、医師が現場で診察に当たっていただくということは非常に望ましいわけでございますが、先ほどの保健所問題でも申し上げたとおり、非常に医師は不足しております。こうしたレントゲン車それから移動レントゲン装置のそばに一々医師が立ち会っている、くっついているということは、現実的に全く不可能であります。ということは、こうした現場で業務に携わっているレントゲン技師の皆さんとしては、自分たちが一々法にさからって、法に従わないで業務に携わっているんだ、非常に重苦しい責任感にさいなまれているわけでございまして、この点はさきの松尾医務局長のように、専門家の意見も聞いた上で検討さしていただくとおっしゃっておりますけれども、そんなのんきなものではない。業務に携わっている人々にとっては、その日その日の非常に大きな精神的な圧迫になっているわけでございます。一刻も早く結論を出していただきたいと思うのでございますが、さきの参議院の塩出委員に対する答弁のあいまいさがございましたので、私あらためてここで、この衆議院の社会労働委員会で再びこの問題を取り上げさせていただいて、政府の今後の対策をお聞きしておきたいと思います。 以上で、私の質問を終わります。
○滝沢説明員 この問題につきましては、松尾局長が前にお答えのように、放射線の機械設備その他の安全性が高まってまいっておる段階におきまして、一般的には医師の指示ないしは指導によるというような法制上の定めが多いのでございますが、このエックス線の問題につきましては、特に当時専門家なりあるいは放射線関係の機械器具の人体に及ぼす影響というものを考慮しまして、特に「立会い」という法文上の字句が使われておる。これが現実には、御指摘のように放射線の技師の皆さんが心の重い、非常に実態に合わない状態になっておる。これはむしろ法改正すべきではないか、こういう御趣旨でございます。 一方また配慮すべき点としては、この問題とはもちろん基本的には違う問題でございますけれども、集団検診に対する考え方がややずさんになりまして、特に会社、工場、中小企業等の検診に、根拠的に医師の背景のないようなレントゲン自動車等の横行しておるというような御指摘も一方ございまして、きょう先生からの御指摘の問題は、背景にも当然医師の立ち会いがある正常な状態で、なおかつこういう不自然な点は改正すべきだ、こういう御指摘でございますから、基本は、私はそれとからめてお答えすることは問題がございますけれども、しかし、行政判断としては、やはりそのような社会情勢をもうちょっと整理して、その問題との関連を含めて、機械の安全性その他が高まった点、それからエックス線技師の身分等が向上しておる点、こういう点を考慮しまして法律の改正というものを検討すべきではないか、こういうふうに受け取りますので、しばらくこの問題につきましては、そういう周囲の情勢と合わせ、また医療関係者、従事者の受け取り方が、単にこれをゆるめたという受け取り方ではなくて、合理的にされたというふうになるような方向を検討いたしたい、こういうふうに思っております。
○田邊委員長代理 大橋敏雄君。
○大橋(敏)委員 私は、カネミ油症の問題について若干お尋ねしたいと思います。 御承知のとおり、カネミ油症事件が発生しまして、もうすでに四年を経過したわけでございますが、その患者の皆さんの症状というものは、よくなるどころか、だんだん悪化の一途をたどっておるという実情にあります。そういう実態をわが公明党は調査いたしまして、その調査結果に基づいて、何とか油症患者の救済を、政治的な配慮をということで、厚生省に質問状を参議院の小平芳平の名前でやったわけでございますが、先般厚生省からその返事がまいりました。いわゆる回答がまいったわけでございますが、それは油症は公害ではない。そして公害関係法律による患者救済は困難である。このような趣旨の回答があったわけでございますが、私はこの回答を見まして憤りを惑じるくらいでございました。厚生省は一体油症思者をどう思っているのだろうか、人間と思っているのだろうかどうだろうか、非常に疑問を抱いたわけでございます。 私は思うのです。油症患者は決してモルモットではない。その小平参議院議員の質問に対する政府の回答は、あまりにも冷酷だ。小平参議院議員も言っておりましたが、味もそっけもない回答である。私は、味もそっけもないというよりも、血も涙もない冷酷な回答である。政府は民事と割り切って行政介入はしないのだ、こういう方針に立っているから、こんな答弁をしたのか。あるいは油症は食中毒であり、国には法律的にも行政的にも一切の責任がないのだ、こういう考えで、切り捨てた気持ちでああいう回答をしたのか。そういう点をまずお尋ねしたいと思うのです。どうでしょう。
○浦田説明員 カネミ油症の患者の救済に関します、参議院の小平議員からお出しになりました質問趣意書に対する政府の答弁の中身、ことに第三点といたしまして、カネミ油症を公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法を適用することのいかんということにつきましてのお尋ねに対して、答弁書におきましては、特別措置法を適用することは困難であるというふうにお答えしたことは、先生の御指摘のとおりでございます。 しかしながら、カネミ油症に対しまして、従来政府が無関心でおった、どうでもいいといったようなことは、決してそのように考えておるわけでもございませんし、政府の立場といたしましても、現実にいろいろと仲裁の方法等に関しまして、それぞれ県等を指導してまいったところでございます。油症発生当時におきましては、これはもうすでに先生御案内のところでございますが、さっそく治療研究費を投じまして、カネミ油症の治療研究班を発足させ、そこでいわゆる診断基準をおきめいただきまして、これを厚生省といたしましては関係都道府県に流しまして患者の救済、把握につとめさせたところでございます。また各府県におきましても、これに基づきまして検診班というものを発足させまして、その診断基準に基づいて患者の把握並びに救済につとめてきたところでございます。 また一方では、カネミ油症の根本的な治療法につきまして、これも厚生省が主体となりまして研究費を措置いたしまして、カネミ油症班の方々によりその実態の究明と治療方法の解明につとめてきたところでございます。 しかしながら、結果から申しますと、まことに残念なことでございますが、現在までのところ、そのものに対する特別の治療法というものが発見されていないということでございまして、引き続き、まだカネミ油症によっていろいろと身体的にも、あるいは精神的にも悩んでおられる方々に最終的な御安心感を与えることができないことは、はなはだ残念に、遺憾に思っておるところでございます。 さて、公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法を適用するかどうかということでございますが、これにつきましては現在の段階におきまして、先生御案内のように、この特別措置法を適用するということにつきましては、このカネミ油症が、原因が非常に明確になっておる、加害原因者が明白であるといったようなこともございますし、また現在すでに加害者のほうから医療費あるいは生活の救済の費用といったようなものにつきましての措置もとられているのでございまして、むしろ問題は、現在ありまする診断基準というもののの中身、これを検討し、いままだ十分に把握されていない患者さんに対する救済措置の手を伸ばすといったことが一番肝心なところではないか。それからまた現在検診班が行なっておりまする、たとえば健康診断のあり方といったようなものにつきましても、もう少したとえばその回数をふやすとか、あるいはまた実際に検診に加わっていただいているお医者さんの方のメンバーをさらに——民間にカネミ油症の実態について非常に詳しい方々もおられるようでございます、こういった先生方の御参加を求める。このようにして、私どもは現在長崎県あるいは福岡県を中心といたしまして、いま対象から漏れている方々を十分に把握し、また救済措置につきまして、もしも不十分な点があるならば、それらについては第一義的には、加害者であるカネミ倉庫株式会社にさらにこれを求めるといったような手を打つことによりまして、カネミ油症患者に対する救済措置のさらに今後一そうの拡充について考慮いたしたいという趣意でございます。 また一般的な問題といたしまして、このような事故につきましては、やはりその加害者がはっきりするまでの間、いわば、つなぎの措置として公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法の考え方に準じまして、一般的な救済措置を考えるということは、前国会におきましても、その具体的な準備、具体的な作業にかかるということは申し上げてきておるところでございます。この点につきましては、今後も事務局といたしましては、一そうすみやかに結論が出るように努力してまいりたいと考えております。
○大橋(敏)委員 時間が非常に制限されていますから、聞いたことに対して答えてもらえばけっこうです。 いま局長さんは、るる説明なさったわけでございますが、その説明の中身は、決して油症患者を軽視したんじゃない、われわれはわれわれなりに一生懸命救済してきたつもりである、こういうことのようでありますけれども、結果的にはそうじゃないのですよ。実態はそうではないのですよ。だから、私は、この前の厚生省の回答というものはけしからぬ、これはもう問題だと、つまり血の通った政治をやっているというのならば、もう油症患者がどれほど困り切っているかは十分皆さんも知っているのですから、少なくとも公害被害者に準じて行政上の救済措置を何とか講じましょうとか、あるいは被害者と発生源企業との話し合いのあっせんなどをやりましょうとか、そこには何か希望を持てる回答があってしかるべきだと、私はこう思ったわけです。 油症患者は、御承知のとおり、いまカネミ倉庫を相手どって補償を求めているわけでございますけれども、いまのところ話がまとまるめどは全くないのであります。この四年間、肉体はもちろん、精神も生活も破壊されておりますよ。よその火事は興味本位に見ることができるでしょうけれども、実際わが家が燃えた場合にどうなるか。同じように、この被害にあった皆さんは、法律の上でどうの、あるいは行政的にどうのこうのといわれた問題ではないわけです。現実に苦しんでいるんです。それはいま言いましたように肉体的だけじゃないです。それこそ生活上も精神上もなのです。これをこのようなゆうちょうな姿で何とかなるだろうというようなことでいったのでは、私は人間尊重の政治とはいえない、こう思うのであります。 そこで、先ほども話がありましたように、この四年間いろいろと研究もなされてきたかもしれませんけれども、治療法が四年間さっぱり変わらぬわけですよ。四年前の診断基準も同じでしょう。治療法も同じです。変わっていません。変わったといえばむしろ、いままでたくさん与えていた薬を、それは飲まないほうがよろしいといった程度のことだと思うのですがね。これは一体どうなるんですか、この治療法というのは。どうでしょう。
○浦田説明員 治療法は過去四年間カネミ油症研究班におきまして、それに対する特別な治療法を研究してきたところでございますけれども、いままでのところ根本的な治療方法はまだ発見されてないのでございます。しかしながら対症的な療法というものは、この症状に応じまして措置されているところでございまして、全般的に踏まえました場合には、油症患者の方々は、かなりその病状は改善されているというふうに報告を受けております。しかしながら問題は、先生の御指摘の健康調査の場合のその診断基準であろうと思います。これにつきましては、その後の新しい研究の成果も取り入れまして、たとえば内科的ないろいろな故障というものなども取り入れまして、カネミ油症の病状の実態に即しまするように診断基準について再検討を加えてまいりたいと考えております。
○大橋(敏)委員 大臣、これはあなたまだ詳しくは知ってないと思いますが、カネミ油症患者の苦悩というものは想像以上でございます。私は、これは直ちに公害に準じた扱いで救済していくべきである、こう思っているのです。先ほど局長から、認定患者についてはカネミ倉庫のほうから治療費も出ているし、生活救済の費用等も出ているというような話があっておりますが、これはきわめて表面的な話なのです。生活救済の補償などはまだ一銭も出ていません。カネミ倉庫は出しておりません。もしそういう報告があっているならば、これは欺満的な報告ですよ。実態を調べてください。出ていません。私は現地で患者に直接聞いております。また医療費だって、いま言うように、四年前に事件が発生した当時の皮膚疾患、皮膚がおかされている、それに対する基準をもって認定されているわけですね。それ以外のものについては医療費は出ていないのです。こういう中途はんぱな救済のあり方というものは、これはあってなきがごときものなのです。 そこで私は大臣に一言、たくさん実例があるのですけれども、一つだけ例を引いておきます。これは長崎県南松浦郡玉之浦にいらっしゃる方で貞方さんという四十九歳の方ですけれども、去年の三月に油症患者に認定されております。医師の診断によれば、心臓、肝臓、すい臓などの内部疾患のほか、全身倦怠感、神経症状などに異常を来たしているということであります。そうして四十三年の春、隣の村のN商店のライトバンがカネミのライスオイルを運んでくるまで、貞方さんは元気そのものであった。若いころはとび職で鳴らし、油症になる前の四十二年には、宮崎県で力仕事の灯台づくりでかせいだ。そのかせぎで家族八人はしあわせだった。だが貞方さんの人生は、カネミのライスオイルを食べたというちょっとしたことから不幸のどん底へ百八十度転換した。治療も困難だった。離島の玉之浦では、一日がかりで福江市の五島病院に通うほかない。一日通院すれば治療費と交通費で千数百円もかかった。しかも、油症が完治できるという保証はどこにもない対症療法なのだ。貞方さんは金目になる家財は全部売り払って治療費に充てた。だが症状は肝臓、すい臓障害などへと悪化の一途をたどっていった。気づいたときには金目のものはすべてなくなり、借金だけが残った。そして五島病院に入院。生活保護へ転落した。そんな病苦と経済苦にさいなまれている貞方さんに、新たな不安が起きてきた。それは未認定患者の五人の子供たちにも油症の症状があらわれており、自分と同じように、廃人同様になるのではないかという子供の将来に対する不安である。 これは、わが公明党の機関紙の新聞記者がつぶさに調査してきたたくさんの実例がここにあげられているのですけれども、この一つです。こういうのを見てまいりますと、ほんとうに何とかしてあげなければ、これはもう一家離散者が続出してくるのではないか、私はこう思うのです。大臣の気持ちを聞いてみたいですね。
○塩見国務大臣 先般参議院の委員会におきまして、小平先生から、この前の先生に対する回答につきまして、ただいま大橋先生の言われたことと同じようなおしかりをいただいたのであります。確かにそういうふうに身につまされる文章のとおりであるということになりますれば、私どもの気持ちに全く反することになりますので、今後そういう扱いにつきましても十分に慎重な配慮を行なってまいりたいと思います。 それからなお、これも先般お答えを申し上げたのでございますますが、確かに治療方法が明確でない、相当の長期にわたって療養を必要とする等の事情等もありまして、ほんとうにこのカネミの患者が御指摘のとおり非常な御苦労をなさっておると私も拝察を申し上げておるのであります。したがって、これに対して一体政府としてどういうふうな対処のしかたをしていくかということは、これはさらに積極的に考えなければならぬと思うわけでありまして、もちろん加害者である責任者がこれに対してその責任を負っていくということは、これは当然のことだと思うのでございますが、さらにそれだけではたしてその財政能力からいたしましても、あるいはその処遇の具体的な問題につきましても、十分であるかどうかということにつきましては私どもも当然考えなければならぬ問題でございます。先般もお答え申し上げましたとおり、公害病を適用するというところは考えていないけれども、こういったようないろいろな難病に対して政府がとっておる対策というものに、そこに隔たりのない、調和のとれた、そうして十分にひとつ政府としてめんどうを見さしていただくというふうな立場から、今後ひとつこの問題について真剣に検討して、実際政府がやったんだというようなことを納得いただけるような方向でぜひ勉強さしていただきたいというお答えを申し上げた次第でありまして、また同時に、明年度の大事な一つの施策として、こういった非常な難病と申しますか、非常にむずかしい病気に対する対策を、予算の要求を通じて具体的にひとつ推進をしてまいりたい、かように考えております。
○大橋(敏)委員 福岡県の認定患者が四百十九人と聞いております。九大に治療に行っている患者はわずか十数人だということでございますけれども、その理由は、九大ですすめられた治療法をやってみてもほとんど効果がない、モルモットにされるだけだということがどうやら理由のようでございます。実際私も患者の皆さんと懇談した際に、その家族の方々から示された実際の薬を見てきたのですけれども、これは発生当時です。対症療法的な治療だといまおっしゃいましたね。そうだからでしょうけれども、これだけの種類があるのです。二十種類飲めというのですよ。 これは少々の、病人だって、二つか三つの薬をあわせて飲むならばまだ飲めるでしょうけれども、十も二十も飲めといわれてごらんなさい、どんなに症状がひどくたってちょっと考えますよ。しかし患者の皆さんは、なおりたい一心でこれを飲んだそうですよ。そうして最近になってどう言っているか。もう飲みなさんな、飲むと害になると言っているのですよ。一体何を信じたらいいのですかと言っているのですよ。ほんとうに段ボール一ぱい薬が詰められているのを見て、私はあ然としましたね。それは、原因ははっきりしていてもその治療法が確立されていないから、薬を飲めばどうとかなるだろうというようなことであげたのかもしれませんけれども、これではひど過ぎますよ。ですから先ほど診断基準を確立するんだ、また改正するんだという話が出ておりますけれども、九大にしましても、これは好意的に良心的に油症研究班をつくってやってくれているのですよ。ところがその研究予算というものはきわめて少ないのですよ。国、県合わせてこの前だって五百万以下ぐらいでしょう。こういうことで何で本格的な研究ができますかと、その先生方が言っておりますよ。先ほど大臣は予算的に大いに措置をしていきたいというような話があっておりましたが、この研究費に対してどの程度大幅にそれをなさろうと考えていらっしゃるのか、ちょっとお伺いしてみたいのです。
○田邊委員長代理 簡明にお答え願います。
○浦田説明員 過去、カネミ油症の治療研究費といたしましては、四十三年に二千四百万へ四十四年に三千二百万、四十五年に一千万、四十六年に約七百万というふうなことで、この二年ほど多少研究費が減ってきておるということでございますが、これは常に油症研究班のほうからの御要望もお聞きいたしまして、そのつど必要な費用について措置してきたのでございますが、来年度におきましてはさらにPCB研究費ということで、PCBの全体の調査費等とも合わせまして、これは億というオーダーでもって大幅な要求をいたしたいと考えております。
○大橋(敏)委員 いま何か予算の関係の説明があっておりましたけれども、実態はそれこそ根本的な研究はできないという中身なんです。そこでこの次の予算編成にあたっては、その実態をよく掌握した上で適切な予算配分を希望します。要求しておきます。 もう時間がないようですので、最後に一言言っておきますが、診断基準の改正にあたって、いま長崎県の五島玉之浦町で、骨がはれて痛みを訴えているという中学生がたいへん出てきている。いわゆる骨端症。内臓疾患はもちろんのこと、こうした骨にまで及んでいるという診断が出ておるようでございます。こういうのも十分配慮された上で新しい診断基準を早くきめていただきたい。と同時に、それに対する治療法を確立していただきたいことを強く要求いたしまして、私の質問を終わるわけですが、それについて答弁をお願いします。
○浦田説明員 診断基準につきましては、いろいろとその後新しい知見も加わっております。また、権威者の方も民間にもおられるようでございますので、こういった方々の意見も聞きながら再検討して、できるだけ早く結論を得たいと思っております。また骨端症その他につきましても、私どもとしても実情をさらに詳しく調べまして、救済の対象とするものであるならば、これは直ちに措置をとらせるようにいたしたいと思います。
○大橋(敏)委員 最後に一言。患者たちは国からは救済の法的根拠がないとけられて、県からは世帯更生資金の返済を迫られて、裁判もいつ解決するかわからないという非常に行政的に見捨てられた、かわいそうな状態にあります。こういうのを十分理解を深めていただいて、あたたかい手を差し伸べていただきたいことをお願いして、終わります。
○田邊委員長代理 次に、田畑金光君。
○田畑委員 私は、新大臣に厚生行政一般についてお尋ねをしたいと思うのでございます。先ほど大臣のあいさつをお聞きいたしました。最近、田中総理をはじめ各大臣が、ほんとうにできることかできないことかわからないようなはでな宣伝を次から次になさっておいでです。秋の臨時国会で補正予算を出すのか出さないのか、出さないとも言うし、またそれを含めて、十五兆の予算を組むということも言っておるわけです。来年度の予算は十五兆円予算だ、実に本年度の三二%増、その中で、ことにこれからは社会資本の充実であるとか社会保障の強化、特に生活優先に重点を置きたい、こういうことを言っておるわけです。またこれに対して、とてもそのような財源はない、来年度の予算は重点的に効率的に予算を組まねばならぬことはわかるけれども、十五兆円という予算はとても財政規模としては考えられない、調整インフレなどということはまっぴらだというのが植木大蔵大臣の意向と伝えられておるわけです。また一方において、中曽根通産大臣は、補正予算を六千億から一兆円の規模を組んで、そうして当面の景気刺激、それによって円の再切り上げをとめねばならぬ、そのためにはある程度物価の値上がりなども甘んじなければならぬような言い方をしておるわけです。いろいろ言われておるわけであります。 ことに先ほど来の質問にもありましたように、最近総理をはじめ各大臣が社会保障等についていろいろな話をなさっておりますが、私は、やはりまず第一、補正予算を組むとすれば、社会保障を中心とする予算こそこの際政府としても最優先的に組むべきものではないのか、このように感じておるわけでありますが、まず、この点について塩見厚生大臣の考え方を承っておきたいと思います。
○塩見国務大臣 来年度の予算の規模その他につきましてお話がございましたが、こういった問題につきましては、これはまだ具体的な段階に至っていないような気持ちが私はいたしておるのでございます。しかしながら、田中内閣ができまして以来、あるいはまた現在の一般の予算の状況からいたしましても、やはりここまで経済が成長してきた、こういうような段階にまでまいれば、どうしても資源の配分というものに考えをいたして、そうして国民福祉のほうに重点を置かなくちゃならぬということは、内閣におきましても、一般世論においても支持せられるところであり、また、いま田畑さんから社会福祉をまず優先すべきではないかという力強いおことばを賜わりまして、私どもは、そういった方向で明年度の予算に取り組んでまいりたいと思うわけでございます。 ただいま補正予算でというお話がございましたが、補正予算の問題につきましては、まだ私どもは明確にその点を承知をいたしておりませんが、できるだけこのチャンスがあれば、まずその機会に福祉行政の充実発展ということに努力をしてまいりたいと思う次第であります。
○田畑委員 大臣のあいさつの中身を見ますと、第一に老人対策、これをあげて、そして年金制度の問題を取り上げておいででございますが、来年は年金の年だ、こう言われてきたわけです。まさにそのとおりだ、こう思うのであります。ところでこの間の六十八通常国会では、大臣御承知のとおり、医療関係の法案というものは全部廃案になってしまったわけです。 〔田邊委員長代理退席、竹内委員長代理着席〕 健康保険の財政対策法案も、また長い間懸案であったいわゆる抜本改正を目ざした健康保険法等の一部改正も、あるいはまた医療供給体制の整備を目ざしたといわれていた医療基本法案、この三つとも一蓮托生、全部廃案になったわけです。すでに政管健保の四十六年度の財政の収支決算については、先般新聞等で明らかにされておりましたし、あるいはまた日雇健保の問題等についても財政の実態というものが明らかにされておるわけであります。一体、この間の国会で廃案になった医療法案というのは、本来からいうならば、臨時国会において当然処理さるべき法案ではないのか。国鉄運賃あるいは国鉄再建整備の法案ととに、この間の国会の最重要法案が医療関係法案であり、健保法案であり、あるいは国鉄の財政再建法案、運賃値上げ法案、これは当然今度の臨時国会等で始末をつけて、そうして来年は年金の年だから、年金に政府も厚生省も全力投球するのかな、こう考えて見ていたところが、さっぱりどうもその辺がはっきりしない、こういうことです。一体、この医療関係の法律についてはどうしようというのか、政府並びに大臣の姿勢はどうなのか。見ておりますると、これらもまたすべて公共料金値上げに通ずる、あるいは野党が反対する、国会がトラブルを起こす、だから選挙前にはこういうようなものは扱うまい。万事が選挙を焦点に置いて法案も取り扱われておるような傾向を強くわれわれは見受けるわけでありますが、大臣としては、この問題についてどのようにお考えになっておるのか、明らかにしていただきたいと思うのです。
○塩見国務大臣 健康保険その他の問題につきましては、私も就任以来、この問題の処理をいかがすべきかというようなことにつきましてはいろいろと考えてまいったのでございます。御承知のとおり、廃案になったというふうな経過をたどっております。しかしながら、やはりこの政府管掌保険につきましても、赤字をそのまま累積させていくということになりますと、どうしても医療保険全体の充実発展というものにつきましても足かせになり手かせになるのではないか、やはりこれはこの問題として早く解決をしなければならぬのじゃないか、かように考えておるのでございまするが、ただ、御承知のとおり前の国会で、衆議院で修正になり、また廃案になった。こういう経緯等もございますので、これをできるだけ早い機会に国会の御承認を得たいという気持ちは、もちろんそういう気持ちでございまするが、それにつきましては、なお、政府だけの問題でなく、あるいは与党の方々、あるいはまたこの法案がはたしてどういう形で通っていくか、各党の御協力を得られるかどうかというような点等もこの期間に十分にひとつ検討させていただき、また各方面の御理解もいただいて、そうしてできるだけ早い機会に、臨時国会があれば臨時国会の機会にこの問題の処理をするように、そういう方向で努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
○田畑委員 いまのお話は、あれでございますか、この間の国会で流れた健保の財政対策の法案については、衆議院段階でも修正等がなされたが、そういうようなことにかんがみ、できれば臨時国会等でこの法案を提出したい、こういうことなのか。また、われわれ野党の側としては、財政対策法案だけ先に取り出してやることは、いままでの経過から見てもあまりにもかって過ぎるんじゃないのか。当然それは医療の供給体制を含めたいまの医療保険制度のもろもろの問題点等についてもこの際抜本的に改正する、そういうような全体的な、わが国の医療をどうするかという立場に立つ法律を提案するのが筋じゃないのか、こういうような本質的な問題等も提起しておるわけでありまするが、大臣としては、まあ臨時国会が開かれるならば財政対策法案だけはまず提案を先にしたいということなのか、それがまた政府の姿勢なのか、あるいはまた、その他の医療制度等についての法律改正等についてはまた大臣のもとで新たな構想に立って医療関係の法案については準備を進め、提出をなされようというのか、このあたりはどういう方針でおられるわけですか。
○塩見国務大臣 ただいま御指摘になりました問題、これは非常に困難かつ重大な問題だと考えるわけでございまして、もともと財政対策の法案にいたしましても、前国会では他の二法案とともに提出されておるというようないきさつもございまして、臨時国会で財政対策だけを出すのかどうかというようなことは、もちろんまだ何もきめてもおらないわけでございます。また、ああいう経過で廃案になったいきさつ等もございますので、したがってこれは与党のみならず、あるいは各党の皆さん方も、はたして提案をして、さらにまた再び流産になるというようなことでは——私どももそういうことのないように、できれば皆さん方の御承認もいただきたい、こういうふうな気持ちでおるわけでございまして、このもろもろの扱いにつきましては、今後政府だけの問題ということでなく、すでに国会で審議をせられた経過もございますし、国会の皆さん方の御意見もよく承り、また野党のほうとも御連絡を申し上げ、そして最終的な態度をきめてまいりたいと思うわけでございまするが、まだ臨時国会がいつ開くというふうなめどもついている状況でもございませんし、この機会に十分に各方面と御協議を申し上げて、そうして対策をきめてまいりたいと思う次第であります。
○田畑委員 臨時国会を開かねばならぬというのは、もう私は、これはいかに総理が解散ムードを打ち消すために、年内に臨時国会を開かぬ開かぬと言っても、そんなことはあり得ないと思うのですね。公務員給与の問題をとっても、生産者米価の引き上げの問題をとっても、あるいはまた災害対策予算の問題を取り上げてみても、さらにはまた、もっと景気を刺激しなければ円の再切り上げに追い込まれるかもしれぬなどという中曽根通産大臣の意見などを強く財界も支持しておる姿を見ると、補正予算を提案しない、臨時国会を開かないなどということは想像されないと思うのですね。すべて、私の見るところ、開かない開かないということが即開くということにほかならない。政府や総理の言うことばほどまともに信用できぬ話はない、こう私は見ておるので、開かぬというのは開くということ、解散しないというのは解散するということ、これにほかならぬわけです。 この際、私は臨時国会が開かれることは間違いない、こう思うのだが、そういう前提で私は、一体その臨時国会に対して、まず第一に、当然補正予算というのが出るであろうが、その補正予算というのは、やはり国民の期待するのは、総理をはじめあなた方の公約を、この補正予算が第一歩として実行する機会だ、こう思うのです。そのためには、やはり生活優先の予算、あるいは減税という問題もあろう、あるいは数々の社会保障についても、いろんな面からいろんな人がいろんな約束をしておる。たとえば先ほど原爆の話が出ましたが、原爆の問題もそうでしょう。あるいは難病奇病、公害病等については全部国が今度は見ますよ、そうしてこれが施設を来年から整備いたしますよ、こういうことも約束しております。ならば、やはり第一歩として、今度の補正予算等でそれが踏み出して初めて、ほんとうにやるかやらぬかということは国民が判断することでございまするが、私はそういうことを考えてみますと、当然今度の臨時国会等において、一体厚生省関係は何を出すのか、何をするのか、これが一番大事な問題だと思うし、これを国民は注目しているわけでありまするが、この点について、臨時国会を想定して、先ほど申し上げた医療関係の法案等についての再提出を考えておるのか、あるいはまた第二の問題として、社会保障等についてこの臨時国会において何か出す準備があるのかどうか、この点をはっきりしていただきたい、こう思うのです。 〔竹内委員長代理退席、委員長着席〕
○塩見国務大臣 臨時国会を開くとか解散とかいう問題、実は厚生大臣としてお答えするのは少し行き過ぎではないか、こう思うわけでございますが、私は、そういうチャンスがあればやはりそのチャンスを厚生行政の前進に向けていかなければならぬのじゃないか、かように考えておるわけであります。また、臨時国会を開くとしてその期間はいつになるか、あるいはまた補正予算の内容を、従来の例のごとく、あるいは公務員給与並びに災害その他に使って、そうして短期間で行なうような臨時国会の性格になるのか、このあたりのことはまださだかにわれわれは予測はできないような状況でございまして、したがってこの補正予算に福祉行政の何と申しますか大幅ないろいろな計画、それには法律も伴いましょうし、そういったようなものを実現をすることができるかどうかということについては、私はこれはまだいま何とも申し上げられぬ状況でございますし、私のほうといたしましては、ようやくいま予算の要求段階に来、そしてこれを大蔵省に折衝しなければならぬ、また皆さま方の御支援もいただいて福祉行政を実らせなければならぬということで、こういったような明年の施策の内容充実ということに懸命の努力を尽くしたいというふうな気持ちで、いま努力をいたしておる次第でございます。
○田畑委員 大臣がテレビで会談なされたり新聞で抱負を述べられたり、いろいろ拝見し、また読んでおりますが、老人福祉の問題を最重点に取り上げる、このようなお話をなさっておるわけです。具体的に来年、塩見厚生大臣の手で老人福祉については何を重点的に取り上げようとなされておるのか、それは一つは福祉年金の引き上げの問題、それからもう一つは、ことに老人福祉の問題で、この間の国会では老人福祉法の一部改正で、満七十以上の人についての医療の自己負担分についての公費負担制度が実現を果たしましたが、来年は老人福祉について何を重点に置いて考えをなされようとするのか、これが第一点ですね。 第二点としては当然、来年は年金の年だとあなたはお話なさっておりますが、まさにそのとおりだと思います。厚生年金は四十九年、国民年金は五十年が財政再計算期の年であるけれども、四十八年度はひとつ年金の年として、もう年金制度も大幅に改善しよう、言うならば、いま二万円年金といわれておるが、これを倍額にしよう、こういうようなことを言われております。しかし倍額にするといたしましても、大臣も御承知のように、わが国の年金制度というのはまだ未成熟である。年金額もきわめて低い。厚生年金等は、二万円年金というけれども、現実に四十六年三月末の資料によれば一万四千円というのが実情である、こういうことを考えてみまするならば、田中内閣の公約から見れば、年金等について大幅に強化するということはこれは当然なことだと思うが、その際どういうような考え方に基づいて年金の額を引き上げていくのか、スライド制の問題はどうなのか、完全スライド制に移行するのかどうか、あるいはいまのようにこの物価の値上がりの激しいときに、二十年、三十年の積み立てというようなやり方で老後の保障をやっていくいまのような積み立て方式でいいのかどうか。あるいは来年の年金制度の改正を機会に、大幅の修正賦課方式の方向に踏み切るべき時期に来ていると思うのだが、こういう問題等についてはどこまでお考えになっておるのか。幸いこの間厚生省の発表によれば、わが国の平均寿命は男がようやく七十をこし、女子が七十五歳をこした、非常に朗報ではありますけれども、ただ平均寿命が高くなったというだけで喜び得るような状況ではない。こういうことを考えてみると、大臣の老人福祉というものはどこに来年は特色あるものとして具体的な提案をなされるのか、この際それをひとつ明らかにしていただきたい。来年度の予算編成作業ももう事務段階では煮詰めておるわけでありますが、当然大臣としては、これを私は重点に置くということを事務当局に御指示なさっておると思いますが、その点についての大臣の考え方をお聞きしたい、こう思うのです。
○塩見国務大臣 せっかくのお尋ねでございますが、年金の問題でございますが、いまお話がございましたとおり、実は私どものほうで来年の予算に対する準備をいま行なっておるわけでございます。なお関係各方面とのいろいろな御連絡あるいはまたいろいろの折衝、あるいはまたそういったような問題がたくさん残っておる段階でございますし、あるいはまたこの年金に関する審議会の答申が大体十月ごろに予定をされておるような状況でございまして、したがっていまこの公式の場で幾ら幾らというふうな具体的なことについてはひとつ遠慮させていただきたいと思うわけでございます。 ただ、いまお話がございましたように、この年金問題は非常にむずかしい問題を多々かかえておるわけでございまして、積み立ての問題あるいはスライド制の問題、保険料払い込みに賦課方式をとるかどうかというふうな論議も行なわれているわけでありまして、今後年金問題というものは、老齢人口の増加と一緒にその内容につきましても十分に検討を重ねていかなければならぬ問題だと思うわけでございます。しかしながら、それにもかかわらずやはり年金制度を前進をさせていくということは、これは老人の皆さん方の希望であるのみならず、私は世論といたしましてもやはり老人問題というものを手厚く考えていくという方向で政策を進めるべきだというふうに私も理解をいたしておるのでございまして、そういういった方面で努力を重ねてまいりたいと思います。 また、老人問題について何を重点に置くかというお話がございましたが、やはりこの年金の問題あるいは福祉年金の問題と両方ございますが、そういったような問題等についても前進をはかっていかなくちゃならぬと思いますし、また医療の問題にも問題点がいろいろございます。そういった問題もできるだけ前進する方向で解決をしていかなくちゃならぬと思いますし、さらにもう一点は、これはやはり老人に生きがいを与える政策というものも重点として考えていかなければならぬじゃないか。もちろんこれにはいろいろな方法がございます。いろいろな方法がございますが。その中でも、私は老人が健康である限り、職場を開発して働きながら、あるいは社会に奉仕をしながら自分の生きがいというものを感ずるような、そういうふうなお手伝いを国としても当然していかなければならぬじゃないか。また老人のいろいろな活動、そういうふうなものを助成をするとかいうふうなことももちろん考えていかなければならぬと思うのでございます。さらにまた、老人の中でも寝たきり老人でありますとか、あるいはひとり暮らしの老人とか、こういった方々については、またそれ自体いまの施策を拡充していくというふうな方向で、考人問題といいましてもいろいろな問題がございまするが、こういった点を十分に勉強して、そして調和をとりながら前進する方向で努力してまいりたいと思っている次第でございます。
○田畑委員 大臣の答弁を聞いておりますと、もうそれはどこにも書いてあることなんです。そしてだれでも言っていることなんです。問題は、来年度どれに重点を置いて、予算面等においてどういう具体化をはかっていこうとされるのか。新聞やテレビなどではまことに具体的な数字をあげておるのに、一番大事な国会を通じ政府や関係大臣がものを言わぬということは許されないことだと私は思うのですね。総理大臣をはじめ、なぜ堂々と国会の中で自分の所信を明らかにしないのか。 たとえば、いま老齢福祉年金の問題を出しておられたが、これはすでに昨年の国会において当時の内田厚生大臣は、四十七年度予算から五千円にすると約束をされた。それがことしの十月から三千三百円になる。あなたは来年は五千円にするということを新聞、テレビではっきり言われておる。これはそれで予算を要求するのか。最近の社会保障の重点施行という全体の動きを考えられて、福祉年金等についてはもっと引き上げ措置を考えていらっしゃるのかどうか。あるいはまた、これはあなたもちゃんと新聞やテレビでお話なさっておるが、せっかく来年の一月から始まる満七十以上の人方の医療の公費負担についても、御承知のようにこの法律の適用を受ける人は三百八十万——三十万以上の、満七十以上の年寄りで適用を受けられないいろいろな除外者がいるわけだが、こういう人方については一体どうするのか。あるいは満七十以上についてはもっとこれを引き下げたいとあなたは言われているが、来年の予算措置等については、これを一体どうするのか。この国会の中で、なぜもっと数字的にはっきりとあなたの所信を明らかにできないのか。そんな抽象的な、長々しい、一般にいわれておるような答えを求めているのではない。具体的に何をなさろうとするのか、それをこの際はっきり答えてもらいたいと私は思う。
○塩見国務大臣 いま田畑先生から、あっちこっちで言っているのに、もう少し具体的になぜ言えないのか、こういうお話がございました。もちろん、私自身としての構想あるいはそういったものは持ってはおるわけでございまするが、もうすでに御承知のように、ちょうどいま予算編成のまっ最中でございまして、おそらく今月末までに厚生省案というものをつくって大蔵省に要求する段階でございます。それからまた、その中間におきまして関係方面の御意見等も伺って、厚生省案というものをひとつコンクリートにしたい、いまこういうふうな段階でございまして、決して委員会を重視しないという意味では毛頭なく、むしろそういうふうな固まった機会に正確なお答えをしたほうが、かえって委員会の重視にもなるのではないかというふうに、私ただいま考えておるものですから、まことに歯切れの悪いお答えになった次第でございます。 ただ、いまの問題の中で、福祉年金につきましては、すでに私のほうの関係委員会等におきましても五千円という線を出しておりますし、私はこの五千円をぜひとも明年は実現をしたい。これは厚生省の予算として大蔵省に提出をし、そしてこれが実現に努力したい、かように考えておりますし、また年金につきましても、諸外国の例から見ましても——まだこれは委員会からの答申をいただいておりませんので、委員会からの答申をいただいた上で具体的にきめたいと思っておるわけでございまするが、そういう現在の過程におきましては、いまの二万円を少なくとも倍額程度には増額するようにひとつ努力をしたい、こういうふうな気持ちでいまおるわけでございますので、御了承いただきたいと思います。
○田畑委員 私は年金局長にお尋ねするのでございますが、炭鉱年金基金というのがありますね。これはちょうどことしが財政再計算期なんです。四十二年にこの法律ができて、四十七年が財政再計算期です。昨年の私の質問に対して当時の北川年金局長は、すぐにでもこの財政再計算をやって引き上げ措置を講ずるような答弁をされたが、ついにやらぬままに、今度はどこかの局長に横すべりした。まあ栄転されたそうです。 そこで、この炭鉱年金基金は、この十月から支給が始まるわけです。この間から私は資料をもらっていろいろ見ましたが、四十二年当時できたこの法律で、坑内の人はわずか二千五百円、坑外夫は千二百五十円。こんな話はないでしょう。いま問題になっている福祉年金の額すらも、すでにこの十月から三千三百円に引き上げ措置が講じられてくるわけですね。これについては当然すみやかにこの年金基金法に基づいて是正措置が講じられるものと見ておるわけでありますが、あなた方のこれからの作業はどうなっておるのか、明らかにしていただきたい。
○横田説明員 石炭年金の問題でございますが、ただいま御指摘のように、この十月から五年年金が支給開始になるわけでございますので、御指摘の金額の引き上げの問題につきましては、支給開始時期に間に合わせまして改善を行なうつもりで作業を進めております。
○田畑委員 ひとつその点は約束を守ってもらいたいと思います。そしてまた金額等についても、いまの経済情勢、社会情勢を十分配慮して善処されることを強く希望しておきます。 さらに大臣にお尋ねするわけでありますが、すでに大臣御承知のように、社会福祉施設緊急整備五カ年計画というのがありまして、四十六年度から五十年度を目途に施設の整備計画が立てられておるわけであります。私は、こういう計画などは当然四十八年度を起点として内容を充実し、見直すべきだと思いますが、厚生省としてもそのような用意があるかどうか、これが第一点ですね。 第二点として私がお尋ねすることは、最近の大臣方の発言を見ると、もう全部選挙対策のためできもせぬことをラッパばかり吹いておる、こういうかっこうですね。これはほんとうに社会保障のような人間を大事にする政策の問題で、選挙対策中心に何でもかんでも、やれもしないのにやれそうなことを言っておる。 まず第一に、先ほどこれも質問があったようでありますが二階堂官房長官が広島の原爆の慰霊式、平和式典に出席した際、原爆の被爆者の二世、三世の問題等について、爆心地から二キロ以内の二世や三世の人方については毎年一、二回健診をして、ひとつ治療費も国がみる、こういうような発言をされたというのが載っておる。これは何か先ほど質問したところが、正確でないということで逃げておるようでございますが、さらにまた七月二十七日には田中首相が厚生省幹部と懇談会をやり、寝たきり老人や難病奇病患者の治療費は全額国庫負担にする方針で具体策を練りなさい、立てろ、こういうことを指示された。それを受けて八月二日に政府・自民党の連絡会議で、四日市公害裁判が出た直後でもあったので、それも確かに影響しておると思いますが、こういう公害病について、あるいは光化学スモッグの問題、このような公害やあるいは難病奇病等については、あるいは重度心身障害者等については全額国が医療費をみるように、そしてまたこれが収容施設について来年度から計画を立ててどんどん強化してやりなさい。まことにそれは朗報も朗報、われわれとしても大いに期待しておるわけでありますが、かりに四十七年度予算を見るならば、難病奇病対策予算として五億六千万の予算がとられておるわけです。この委員会でもスモン病あるいははベーチェットその他のいろんな病気等について権威者の方々に来ていただいて御意見も承ったし、将来どうあるべきか等についてのお話なども教えていただいたわけでありまするが、こういう問題等について来年は思い切ってやれ、全部公費でみろ、施設を整備しろ、こういう田中総理からの指示があったというお話でありますが、この指示を受けて、これからどう厚生省は来年度から具体化していこうとするのか、この際これをひとつ明らかにしていただきたい。
○塩見国務大臣 ただいまの、田中総理大臣が厚生省の幹部と会った際に、難病奇病について全額国庫負担というお話があったのでございまするが、しかしながら田中総理の言われたのは必ずしもそういうようなことではなくて、難病奇病等についてはさらに積極的に、必要な施設で拡充を要するものは施設の拡充をする、あるいはまたこの負担について、高額な患者負担あるいは長期の負担というような問題については、できるだけひとつ公費でこれを持っていけ、こういうような指示で、難病奇病対策にひとつ力を入れろ、こういうようなお話であったわけでありまして、私どもも当然このいわゆる難病奇病、これを少し範囲を拡大して、いわゆる難病奇病以外に、要するに高額な治療費を要するとか、あるいは治療方法がまだ発見をされていないとか、あるいは長期の療養を要するとか、こういったような非常にお気の毒な方々についてはさらに積極的にこの難病奇病というような——これはいかにも常識的な表現でございまするが、そういったような難病奇病につきましては積極的に来年はひとつ施策を推進をしていこうじゃないか、こういうようなお話でございまして、私どももかねがねこの面の施策をさらに拡充していく必要があると考えておったわけでありまして、明年度の予算の要求等にあたりましては、これら各方面の御意見も伺いながら、こういった面の施策の拡充に努力してまいりたいと思っておる次第であります。
○田畑委員 大臣、私が第一にお尋ねしましたのは、社会福祉施設整備五カ年計画というのがございますね。これは四十六年度から五十年度まで、その計画の中身は何か、こういうことを見ますと、「収容する必要があるねたきり老人、重度心身障害児(者)は全員収容する。」「社会経済情勢の変化に対応して保育所及び関連施設の充実を図る。」「危険な老朽木造施設の建替えの促進を図る。」「職員住宅、職員養成施設等の充実を図る。」 〔委員長退席、橋本(龍)委員長代理着席〕 このようにして、四十八年度は第三年度に入るわけでありまするが、たとえば寝たきり老人対策あるいは重度心身障害児の施設の整備等は、先ほどの田中総理の、ひとつ来年はうんと計画を充実強化してやれという趣旨からいうならば、当然このような施施整備計画等ではもう時代おくれだ、四十八年度を起点として、もっと新しい中身のある計画を立てろというのが、田中総理の指示を受けて厚生省、厚生大臣が取り組むべき問題だと私は思う。来年度の予算編成にあたっていま一生懸命作業をなさっておられるようだが、これを練り直す用意があるのかないのか。これを練り直さなかったら、田中総理の指示に忠実に従っていないということになるのじゃないか。やるのかやらないのかということを承っておる。それが第一の質問です。厚生大臣はこの委員会での答弁を非常に慎重にかまえておられるが、もっと大臣も、田中総理ほど大きなラッパを吹かなくてもよろしいが、あれの半分ぐらいラッパを吹いてやらないと、厚生行政は前向きにいかないと私は思うのですよ。この点、この整備計画をどうするのかという問題が第一点。 それから第二の問題として、新聞で伝えられておるいろんな報道を見ますと、難病奇病、重度心身障害児対策について、医療費の公費負担の強化あるいは施設の積極的な拡充等について、いまの大臣の答弁だったならば、いままでと何の変わりもないじゃございませんか。私は、この点についてもっと努力を払うべきだ、こう思うのだが、これが第二点。 第三点として、ここまでくれば、日本列島改造論というような、私たちわかるようであまりよくわからない。いい面もあろうしまた他面、これも結局いままでの経済成長中心の考え方にすぎないのじゃなかろうか、あるいはまたあのような考え方でいって、はたして自然環境や人間尊重の社会環境ができるだろうかという疑問を持つわけでありますが、それはそれとして、この際わが国の社会保障というものをどう持っていくかという、もっと高い立場に立った年度計画なり、社会保障の五カ年計画なり十年計画なり、その目標年次においてはかくのごとくわが国の社会保障もまた到達するのだ、こういうような計画なども、この際、日本列島改造論と並行しながら立てて、わが国の福祉国家建設の目標を明示する時期に来ているのではないか、こう考えておるわけでありますが、この点について大臣の考え方をこの際率直に承っておきたいと思います。その御答弁によって私の質問を終わりたいと思いますが、もっとひとつ明確に勇気を持って将来構想をこの際明らかにしていただきたい、こう思うのです。
○塩見国務大臣 いまの五年計画につきましては、これは御承知のとおり、その内容についてすでに大蔵省と了解ができ、相当進歩的な計画であると私は考えておるわけでありまして、それはそれなりにこれを評価をして前進をさしていかなければならぬと思っております。と同時に、ただいまお話がございましたとおり、いまの五カ年計画だけでは従来のとおりの政策ではないか、これでは一向前進はないのではないか、練り直すべきではないかというお話がございましたが、これは全く御意見のとおりだと思いまして、そういう御趣旨でいまの五年計画を検討してまいりたいと思います。 それから第二点が十分お答えできるかどうか、私ちょっとはっきり御質問の趣旨を十分に理解し得ていないかと思いますので、第三点から先にお答えをさしていただきます。 確かに日本の経済というものもここまで成長してき、またその成長についていろいろな問題が起こっておるわけでございまして、したがって、福祉計画というものもやはり長期的な展望に立った日本の福祉計画というものを考えていかなければならぬと思うわけであります。新全総におきましても、若干そういう長期的な数字も出ておるわけでございまするが、いまのお話の日本列島改造というようなものにも関連をし、この新全総につきましても、日本として将来の福祉はどうあるべきか、どういうふうなスピードでこれを進めなくちゃならぬじゃないかということは、私は国全体の計画としてもこの福祉の面について新しい計画の中へこれを取り入れていかなければならぬと思うのでありまして、厚生省としての計画を立てるのはもちろん必要でございまするが、それと同時に、日本全体の今後の経済計画の中に福祉というものをどう考えていくかということを取り入れ、この新全総のさらに再改定というような場合におきましては、十分この点を御論議を願い、そして新しい福祉計画というものが樹立されるように私どもも努力していかなければならぬと考えておるわけでございます。 第二点はどういうことでございましたか。
○田畑委員 第二点はよろしゅうございますから……。 ただ、お願いしたいことは、道路計画にしても港湾計画にいたしましても、上下水道計画にいたしましても、年次計画というのはしばしば、二年たち三年たつともう計画が手おくれである。そういうときにはその時点に立って、もっと予算の規模も、そしてもっと構想も大きくしたもので練り直されておるわけです。国鉄再建十カ年計画においても、四十四年から始まったのが、すでに三年後にして練り直さねばならぬ。そして新しい立場に立って、先般の国会で国鉄再建十カ年計画は提案されたわけです。私は、何よりも計画の更新を急がねばならぬことは社会保障の諸計画であろうと思うのですね。そういう意味において、願わくは、社会施設整備五年計画なんというのはもう手おくれになっておる。田中内閣ができた、それだけじゃない。社会情勢がまるっきり変わってきておる。そういうことを考えてみるならば、この際、新全総計画あるいは日本列島改造論と雄大な構想も提案されておるわけでありますが、何よりもその前にわが国の福祉計画を、どういう目標に向かってどういうプロセスを経て充実強化するかということが、これから一番大事な課題じゃなかろうか。やはりそれを厚生大臣が中心となって促進する大事な役割りをになっておられるわけでありまするから、そういう意味におきましてもっと大胆卒直にひとつ大臣の夢を、理想を、願望を、具体的な政策の面で実現できるように御努力を願いたい。このことだけを強く希望を申し上げまして、私の質問を終わります。
○橋本(龍)委員長代理 次に、寺前巖君。
○寺前委員 二十分の時間の間にたくさん聞きたいことがあるものですから、何を選ぼうかと思って困っているのですが、ひとつ関係者の皆さんには要領よく御回答いただきたいと思います。 第一番目の問題、保険医の課税問題についてお聞きをしたいと思います。 私はこの間、国会が終わって久しぶりに京都へ戻りましたときに、京都の医師会の幹部の方々から陳情を受けました。どういうことかというと、ことしの税に対する申告をやった。ところが六月以降になってから、各保険医の開業医の院所に税務署がいろいろ調査にやってくる。従来われわれは租税特別措置法の第二十六条によって社会保険診療報酬の課税について経費を七二%として見てもらっておったから同じようにそういう申告をやっていたところ、昨年の七月の保険医総辞退という特殊な事情が起こった。京都の場合には患者の皆さんに迷惑をかけたくないということで、また厚生省の御指導もあって、委任代行払いという措置をとった。したがって全体として収入は、保険医総辞退をやったからといっても、総辞退前と総辞退後とは同じ収入の状況にあった。この特殊な事態を考慮するならば、同じように申告を認めてしかるべきであるのにもかかわずら、国税庁はやいのやいの言って、われわれの患者をめんどう見ているそのめんどうを見ることに対する障害にもなってくる、こういう問題の訴えがありました。この問題について国税庁はどういうふうに見ておられるのか、お聞きをしたいと思います。
○系説明員 お答えいたします。 昨年の七月分の診療につきましては、先生御指摘のとおり、保険医を辞退しておりましたので、そうしますと、法律の解釈といたしまして、租税特別措置法の第二十六条で規定しておりますところの健康保険法その他各種の共済組合法等に基づきますところの、いわゆる社会保険の各種の法律に基づきます医療の給付、この医療の給付にかかわる支払われるべき金額ということには法律上ならないわけでございます。したがいまして、普通の所得税法の原則に返っていくということになります。したがいまして、七二%の適用ではなくて、やはりその収入金額から実際にかかった必要経費を控除して所得を計算していただく、こういうことになるわけでございます。
○寺前委員 その後の事態の中で日本医師会との間に特殊な事態であったという事実を認めて、それぞれの地方において料金の入りぐあいにおいての事情も違っているし、患者さんが減ってきているという事情もあって、しんしゃくをしようではないかという話をやられました。これに基づくところの内部通達もお出しになっているようです。そしてそれぞれの医師会との間にもしんしゃく率についての相談をなさっております。そこで私は、特殊な事情であるということをお認めになるという前提でそういうふうに処置をやっておられるならば、委任代行払いという特殊な事情のもとにおいて事実上従来と同じような診療の結果になっているところにおいては、その特殊性を考慮して従来どおりの申告を認めてはどうか、私は、当然のことだ、また京都の医師会の幹部の皆さん方がそのことを訴えられるのもそれなりに理由があると思うのですが、なぜそういうふうにしんしゃくというものを考えることができないのでしょうか。
○系説明員 所得税法の原則に返るわけでございますけれども、そうしますと、いわゆる社会保険診療ではなくて自由診療という扱いになるわけでございます。しかしながら、いま御指摘がありましたように、あるいは一点単価十円でやっておられるとか、あるいはまたそういうために患者さんが減ったとかといったようなことも考えられますので、普通の自由診療の場合とは少し違う要素があるというようなことで、これは全国、皆さんにつきまして一定の配慮をするということはやっておりまして、その点は京都も例外ではないわけでございます。
○寺前委員 特殊性を前提にああいう話し合いをされているということ自体を考慮してみたら、あの委任代行払いという、全くほかの月と同じような状況の診察をしている場合には、そのとおりをしんしゃくするということが最も妥当なやり方だと思うのですが、私は、そういうふうに取り扱われずに、逆に調べをやる、所得税法で云々ということをいわれるならば、個々について、それこそ税については本人の申告に基づいてやるんだから、全体としてのしんしゃく率をどうのこうの相談するということは筋の通らぬことになるんじゃないか。私はそういうことはあえて言いません。問題は、やはり特殊性ということを考慮してしんしゃくということを全体として考えるならば、委任代行という措置をとったところは、従来どおりの事実上の経過をたどっているんだから、そのようにすべきだというふうに言われる医師会の幹部の人の意見というのは、私は筋が通っていると思うから、私は、当然これは再検討してもらわなければならないと思います。 そこで私は厚生大臣に聞きます。大臣、いまのこの問題については歴史的な経過があります。昭和二十六年の閣議了解事項として、所得税にかかる行政措置を、国税庁通達として経費を七〇%ないし七五%にすることができるという措置をとったということからこの事態は始まっているのです。そうしてこれが議員立法となって出されたのが昭和二十九年です。議員立法として昭和二十九年にこれを出したには理由がある。その当時の衆議院大蔵委員会における内藤委員の発言の中からきわめて明確に出されております。「この改正の内容は、医師及び歯科医師の社会診療報酬よりなる所得に対する所得税については、所得税法第十条第二項の規定にかかわらず一定率、すなわち百分の七十二をもって必要経費とすることができるようにしようというのであります。しこうしてこれは昭和二十九年分所得から適用しようというのであります。また法人税につきましても同様の措置を講じようというのであります。この必要経費を法定しようというのは、昭和二十六年、二十七年、所得税につきまして、政府が閣議決定をもって行政措置で実行したこととほぼ同様であります。ただ従来のごとく行政措置をもって実行することが法律上いろいろ問題があり、またこういう問題を引起す根底には、医療報酬の決定が必ずしも適正を得ていないということがありまして、数年来いざこざが絶えないのでありましてこういう事情のもとにおきまして、さしあたりこういうふうにやったんだ、こういうふうにちゃんと報告しております。大臣、私は、昭和二十六年当時に行政措置でもってそういうふうにとられたという事実があるならば、それを法的に整理をされる特殊な事情下においてその当時の状況と同じ事態が発生している場合に、当時と同じような行政措置を閣議でとられるべきであると思うのです。わかりますか、大臣。従来の総辞退でないときの収入と総辞退をやったときの収入は一緒なんです。従来も総辞退をやっていないところの課税については、七二%を経費として認める。それは診療報酬が少ないからだ。七月段階もやはり同じような診療報酬の段階だ。とすると、同じような取り扱いを、もしも法律でやれないというのならば、行政措置としてやってしかるべしではないか。それが法律のなかったときの行政措置として閣議でとられてきたのだから、当然そういうふうにすべきだ。私は、診療報酬上の問題に関連するから、厚生大臣としてこれは大蔵大臣に申し入れ、国税庁にそのような措置をとられるようやられるべきだと思うけれども、大臣の見解を聞きたいと思います。
○北川説明員 ただいまお話のございましたように、この特別措置法ができました経緯は、確かに二十六年の国税庁の行政上の取り扱いから端を発しております。いまもお話しのとおり、二十九年に法制化をされまして、それ以後はただいま国税庁のほうからもお話がございましたように、また先生も御承知のとおり、この特別措置は医療保険関係の療養の給付という現物給付につきまして、家族療養費の支給も含めてこの措置が適用されております。しかし、こういった法制ができました後において起こりました昨年の事態は、いわゆる保険医総辞退ということであって、この場合には、先生も御承知のとおり、療養の給付という現物給付ではなくて、健康保険法上は四十四条の規定による療養費の支給が行なわれたわけでございます。それをたまたま被保険者の便宜とかあるいは療養取り扱い機関の便宜ということを考えまして、受領委任あるいは代理請求といったような方式をとったわけでございますけれども、基礎になる問題は、どこまでも療養費の支給でございますから、療養費の支給については特別措置の適用はないというふうに了解をしておりますので、そういう意味合いにおきましては、昨年の総辞退下におけるこの特別措置法の適用というものはないのではないか、私はこのように考えます。
○寺前委員 私は大臣に要求しますよ。それは、法律上の問題としては確かにそう書いてありますよ、特別措置法としては。だけれども、その特別措置法を議員立法でつくってきた精神があります。それは診療報酬が低い事態においてこのような措置をやろうじゃないか、これが前提でこの法律ができているわけです。昨年の七月の事態というのは特殊な事態です。その特殊な事態で厚生省が行政指導をやったわけでしょう。みんなが迷惑をしないように一括して事業所が受け取るとか、あるいは委任代行払いでその指定医療機関が受け取ってくれるというような措置をやりなさいという指導をやっているわけですよ。だから辞退の問題においては、やはり診療報酬の点数問題については少しも解決していない。そういう事情のもとにおいて、ただ執行上特殊なやり方をやったんだ。したがって私は、この問題については従来どおり、やはりその医師会の皆さんが言うように、特別な措置をとるというのはあたりまえであって、従来どおりの七二%でその特殊な事態の場合もやはりそのような——全く自由料金じゃないんだから、委任代行払いというのは、ちゃんと従来どおりの点数に基づくところの収入を保険者から取るという措置をしたんだから、私は、これはもう一度研究してもらう必要があると思いますよ。大臣はまだ任務につかれて間がないようですから、そのことを要求しておきます。よろしいでしょうか、大臣。
○塩見国務大臣 研究さしてもらいます。
○寺前委員 私は、もう時間がないので次に移りますけれども、私の手元に、ことしの二月だったんですが、こういう嘆願書が出ているんです。これは私のほうの舞鶴の松本さんという方からの嘆願書なんです。ちょっと読みます。 私は現在国鉄東舞鶴駅の配車掛として勤務致しておりますが、三年前ネフローゼにかかり国立舞鶴病院に長期間入院している私の二女松本英子(十三才)のことにつきまして、心痛のあまりに下記のような事情をもってここに嘆願に及ぶ次第です。どうかよろしくお願い申上げます。 英子はほっそりとしてはいましたが、極めて健康で明るくよく笑いよく気の付くやさしい子供でした。それが小学四年生になって日も浅い四月末のある日突然、二万人に一人とかいう病に犯されたのです。始めはかるい風邪とばかり思っていましたところ、胸部から下腹部にかけて異状にふくれ、遂にはその圧迫で呼吸困難を訴えるまでになってきたのです。早速医師の診察をうけましたところ、ネフローゼということでした。その後病状は一進一退をつづけながら舞鶴共済病院、福知山鉄道病院、そして今の国立舞鶴病院と転々としております。 写真でもおわかりのように全く別人のような姿になり、皮下脂肪が破れ、全身に無数のケロイド状のスジが走っております。このような英子の将来を考えると夜も眠れない日が何日も続いています。 私たち両親が年老い、やがてこの世から去った後、英子はどうして生きていくのだろうか、一人で生きていける丈夫な身体とたくましく生きてくれる精神力、また学力をどうしたら身につけることが出来るだろうかと、夜の明けるのも知らず私たち夫妻は話し合ったものです。 幸いにも数ケ月前、国立舞鶴病院内の養護学級に入れて戴き、療養のかたわら曲りなりにも人並に学校教育をうけられると喜んでいました。それまでは両親の膝の上で甘えたい年頃の幼い英子が、家族と離れて病院の冷たいベッドの上で夜一人で寝なければならないうえに、勉強も出来ない状態におかれていました。次の表がそれを冷酷に示しています。 四年生 欠席日数二百三十二、出席日数十二、五年生欠席日数百三十七、出席日数百八、六年生欠席日数八十七、出席日数ゼロ それが養護学級に入ることが出来てからは、かるい風邪で四日休んだだけでほとんど毎日他の子供たちと交わり、少しづつではありましょうが勉強にも取組み、笑顔もようやく見せ始めていたのです。それがあと数十日でこの学級から出て行かなければなりません。 英子には病院外の中学校への通学が困難であるばかりではなく、抵抗力のなくなった子供が普通学級に入ったとき、いろいろな精神的また肉体的な疲労、細菌等の感染などによって病状が悪化の一途をたどることは火を見るよりあきらかです。 やっとの思いで、細々とではあっても学校教育がうけられるようになった英子を何としてでも養護学級で医療をうけながら勉学させてやりたい。良い環境のもとで日のあたる教育をうけさせてやりたいとの思いに駆られ、ここに心からお願いする次第です。 云々ということが書いてあります。 そこで私は、新しく大臣になられてさっそくですが、この問題についてお聞きをしたいと思います。 その一つは、ことしの予算で初めてこれらのネフローゼの子供たちに対する予算が五千万円組まれました、これはずいぶんお金がかかる療養生活ですから、その療養費の自己負担分を持ってもらえるという問題については、多くの家族が期待をしております。ところが、一向にその具体案が出されておりません。早くこれを執行してほしい、いつからやられるのかというのが第一番目の問題です。 第二番目に、聞くところによると、その執行にあたってその対象になるのは療育施設のある医療機関に入院している者、要するにここに書いてあるような養護教育をしてもらえる学校があるとか学級があるとかいうことが一つの条件で、六カ月以上の長期入院者、所得の制限は都道府県できめるというようなことでこの予算が組まれているというふうに聞いております。実際問題として、たとえば私の県について言うならば、養護学級を持っているところというのは二つしかありません。この人の手紙自身に書かれているように、転々といろいろなところを回ってきてやっとここにたどりついて、最近になって養護学級ができたという状況です。そういうことから考えたときに、東京都が手を打とうとしているやり方、すなわち、入院中の者であるならば、入院期間とか所得制限なしに満十八歳未満の子供は全部対象にしてめんどうを見ましょうという問題提起がなされております。少なくともそのような措置をとらないと、現実に養護学級を持っている病院というのは少ないので、全体の子供をあるいは親御さんを喜ばしてあげるということにはならない。この問題についてどういうふうにお考えになっているのか。これが第二番目の問題です。 第三番目に、私は特に、ここに親が書いておられますように、小児結核のときと同じように、法的にもこういう子供たちに対してちゃんと養護学級を持った病院をつくるんだ、そうしてその子供たちが社会の中で教育を受ける権利があるんだ、そしてその教育を受ける権利を病気の面を保障しながらやってやるんだという、そういう立法措置の方向に向かって準備をする必要があると思いますが、その件についての大臣の見解を聞きたい。 以上です。
○穴山説明員 いま先生御指摘のように、ことし初めて五千万円の予算が通りました。ただいま関係方面とその実施について打ち合わせをしているところでございまして、私のほうもできるだけ早くこれを実施したいというように、ただいま実施の方法その他について相談を進めているところでございます。 それから第二に、御指摘のように、私どもが五千万円の予算を計上いたしましたときに考えましたのは、ネフローゼの子供さんたちがいろいろおられるわけでありますけれども、いまお話しのとおり私どもとしては、特に学齢期の児童がこういったような長期の疾病にかかりますと学校に行けない、またそれがひいては将来の健全育成というようなことにもつながってまいりますので、入院いたしまして、そこに養護学校があるいは養護学級が併設されているところにいる児童についてとにかく始めたいということで始めたわけでございまして、いま手紙の方はおそらく引き続いて養護学級の併設されているところにおられると思いますので、開始になりますと対象になると思います。 それから第三番目の、そういったようなところでない子供についての問題、あるいはその養護学校なり養護学級が併設されているのが非常に少ないということは全く事実でありまして、私どもも文部当局と相談をいたして、できるだけ早く、できるだけたくさんのこういった併設の機関というものをつくっていきたいというように考えております。
○橋本(龍)委員長代理 すでにあなたの質疑時間は過ぎておりますから、簡単に締めくくってください。
○寺前委員 そこで大臣に御答弁をいただきたいと思います。 いま私が提起した最後の問題、要するに、教育を受ける権利をこういう子供たちについて保障する法的措置を準備する必要があるのではないか、大臣の見解を聞きたいと思います。
○塩見国務大臣 ネフローゼでございますとかあるいは小児のガンその他小児の難病と申しますか、こういうものにつきましては確かに私どもも、家庭が破壊されるような——父兄、本人ともに非常に苦しんでおられると思うわけであります。したがって、こういった子供さんの病気の場合におきましては、また実際問題としてそのおとうさんなりという方々が三十歳とかあるいは四十歳の早い時代というふうに、必ずしも経済的にも豊かでないというような事情も話を承っておるわけでありまして、したがってこういった子供さんの病気につきましては、いまいろいろお話がございましたが、いろいろな施策をさらに進めてまいりたい。来年はひとつそういう点に力を注いで努力をしてまいりたい、かように考えておりますので、御了承を願いたいと思います。
○寺前委員 終わります。
○橋本(龍)委員長代理 この際、労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。労働大臣田村元君。
○田村国務大臣 このたび労働省を担当することになりました田村でございます。私は、誠意と熱意と愛情を持って労働者の福祉を守る労働行政の推進につとめてまいる考えでありますので、委員各位の御指導と御鞭撻をお願いいたします。 さて、本日、社会労働委員会が開かれる機会に就任のごあいさつとあわせて当面の労働行政の諸問題につき、私の考えの一端を申し上げ、委員各位の御理解と御協力を得たいと存じます。 私は、今後の労働行政の推進にあたっては、労働者の生活の充実と向上の目標に、清新で力強い行政を進めていく考えであります。 このため、次のような事項に重点を置いて今後の行政を進めてまいる所存であります。まず、第一は、労働者の福祉対策の充実であります。 働く人々が、職場の内外を通じて、健康で豊かな生活を送れるようにするため、週休二日制の推進、労働環境の改善などはもとより、住宅、余暇施設その他の労働者の生活問題に広く積極的に取り組んでいく考えであります。 第二に、労働者一人一人がその生涯を通じて働きがいのある職業生活を送れるようにしたいと考えております。 とりわけ、いまや国民的課題となっている老人問題については、定年の延長の普及をはかるとともに、高齢退職予定者に対する職業訓練をはじめとした再就職援助措置の充実につとめてまいります。 また、過密・過疎の問題にも労働面から積極的に取り組み、工業再配置の促進などを通じて国土の均衡ある発展の中で、すべての労働者が、より実り多い職業生活を送れるようにしていくつもりであります。 第三は、合理的労使関係の確立であります。 今日、労使関係の動向は、政治、経済、社会の各般に大きな影響を及ぼすようになっております。 政府といたしましては、労使が互いに国民的視野に立って話し合いにより問題を解決できる、う、その基盤づくりにつとめてまいる考えであります。 私の就任後、田中総理と労働四団体とのトップ会談が実現いたしましたが、今後ともこの種の意見交換の場を持ち続けるとともに、労使、学識経験者による産業労働懇話会の機能の拡充強化をはかるなど話し合いの機運を一そう醸成し、もって労使の相互理解の増進と合理的労使関係の形成に資してまいりたいと考えております。 以上、当面の労働行政の重要事項について私の考えの一端を申し上げました。 委員各位の一そうの御協力をお願い申し上げる次第でございます。(拍手)
○橋本(龍)委員長代理 次に、労働政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。労働政務次官塩谷一夫君。
○塩谷説明員 このたび労働政務次官を拝命いたしました塩谷一夫でございます。もとより浅学非才でございます。しかし、真剣に努力することをお誓い申し上げます。どうぞ委員の皆さま方の御鞭撻を賜りまして、ご指導をお願い申し上げる次第でございます。一言ごあいさつ申し上げます。(拍手) ————◇—————
○橋本(龍)委員長代理 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤俊男君。
○後藤委員 ただいま労働大臣から非常にりっぱなごあいさつと申しましょうか聞きまして、新しい大臣として、これから労働者のために今後ともがんばっていただきますようにお願いをいたしたいと思います。 ところで、そのあいさつの中の一部にもありましたように、今日労使関係というのが非常に大事だと私は思うのです。まあ景気がいい悪いにかかわらず、労使関係というのは非常に大事な問題であろう。これはもう大臣のおっしゃるとおりだと思うのです。ところが、今日民間企業で不景気という名のもとに工場閉鎖をするとか、あるいは合理化を、合理化という名前のもとに首切りを行なうとか、あるいは配置転換を行なう、こういうような問題が民間のいわゆる企業の中にも、あちらこちらに問題が起きておるのではないかというふうに私考えるわけでございますけれども、特にそういう考え方のもとに、一例としまして、これから御説明申し上げる問題について、先ほど言われた労働大臣の考え方に基づいて、ひとつ正しく労働行政を指導をしていただくように、そこで働く労働者の立場に立ちまして、りっぱな行政指導をしていただきますように、これはお願いをいたしたいと思うわけでございます。 滋賀県の——大臣御承知かどうかわかりませんが、信楽というところに信楽陶器の名産地があるわけでございます。滋賀県の甲賀郡の忍術屋敷のあるずっとまだまだ奥のほうでございますけれども、そこに三豊工業株式会社というのがございます。その工場が、かなり人数もおったわけでございますが、いろいろな問題が出てまいりまして、今日では工場を閉鎖してしまう。本社は大阪にあるわけなんです。本社は大阪にありまして、滋賀県に滋賀工場というのがある。いわば日本列島改造論からいいましても、これは賛成であるか反対であるかは別問題にしまして、普通ならば、滋賀県の信楽というのは山の中で非常に空気のいい場所でございますが、大阪がいなかのほうへ吸収されるということなら、これはわからぬことはないわけなんですけれども、この三豊工業株式会社というのは逆でございまして、せっかく四億から設備投資をした滋賀工場を閉鎖してしまう。閉鎖されますと、地元で働いておる百数十名の人は全部失業するわけなんです。しかもこの工場は滋賀県の誘致工場でございまして、滋賀県だけではなしに信楽町の町長が先頭に立って、道路の問題からいろいろな問題につきまして、全面的に協力をしてまいりました工場でございます。そこがいま閉鎖をされてしまうというようなことで、連日、かなり大動員がかかりまして、激しい戦いが行なわれておる。一口に言うとそういう問題でございます。 それが昨年の年末に合理化案が出てまいりました。いわゆる大阪の本社は現在これだけおるけれども、これだけに減らす、あるいは滋賀工場につきましても、現在これだけおるけれども、これだけに減らしてしまうというような合理化案が出てまいりました。そこには労働組合が結成されておりまして、全金に加入しておるわけですけれども、せっかく誘致した工場でありますから、いま言ったような合理化案に対しては反対である。そういうことをやらずに、全部を使って仕事をどんどん与えて工場をりっぱにしようじゃないか、こういうような立場で昨年からずっと闘争が続いてまいりまして、これらが一応撤回されたわけなんです。 それからさらにことしになりまして、またいま申し上げましたところの第一次、第二次、第三次というような合理化案が出てまいりまして、七月十七日の日には個人個人の家へも、工場はこうなってまいりまして、もうやっていけませんから、退職願いを全部出せというようなことで、個人個人の家に、いま申し上げました退職願いを出させるいろいろな印刷物を会社のほうから出したわけです。 ところが、一方、労使の間は一体どうなっておるかといえば、労使の間におきましては団体交渉を重ねておりますけれども、団体交渉できまったことと、工場が実際に行なうことと全然違うわけなんです。たとえば団体交渉におきましては、もうこれ以上首切りはやりません、あるいは賃金の遅配におきましても、もういたしません、あるいは滋賀工場は閉鎖をいたしません、こういうような約束で団体交渉でははっきり話がついておるわけでございます。それが終わるか終わらぬうちに、すぐ工場閉鎖をする。工場閉鎖をする以上、あなたは退職してもらわなければ困ります。あなたの退職金は計算しますると、これだけでございます。予告手当一カ月分はこれだけでございます。何月何日までの間にこれを出してもらわなければいけないというようなことで、労使の間できめたことが実行されない。工場が一方的に労働者の首切りを行なおうといたしておる。 これは一体どこに原因があるのだろうか。いま申し上げましたところの三豊工業というのは、重役さんが八人おるわけでございますけれども、八人のうち一名だけは常務の取締役じゃないわけです。七名が常務。その中の四名というのが神鋼です。神鋼株式会社のほうから出社というような形で出てきておるわけなんです。 〔橋本(龍)委員長代理退席、竹内委員長代理 着席〕 でありますから、私が調査した限りにおきましては、三豊工業株式会社の取締役の中には、自民党じゃありませんけれども、派閥抗争があるわけなんです。その派閥によっていろいろと三豊の会社の経営がむずかしくなってきておる。最終的には神鋼が三豊工業を全部乗っ取ってしまおうというような考え方も裏面には十分あるんじゃないかというようなこともうかがえるわけなんです。 さらにまた、いま申し上げましたところの退職の慫慂につきましても、この会社は朝日麦酒のタンクをつくっておるわけなんです。これは非常に大きなタンクでございまして、一つのタンクで二万リットルくらい入るそうですけれども、ここが、あとからお尋ねいたしますけれども、安全衛生管理工場に指定されておると思うのです。地方の労働基準局長ですか、これがその安全衛生管理の指定工場に指定するのだと思いますけれども、ところがその工場の中は全然舗装もしてない。土煙の立ちっぱなしのようなところで作業をいたしておる。この間もいま申し上げましたような情勢になってまいりまして、身体検査をやりましたら、現在のところ十人やりまして七人の者がじん肺にかかっておる、こういう情勢なんです。それからさらに労災関係を調べてみますると、現在通院中の人も含めますと、十二名の人が労災にかかっておる。ひどい人は片手がない。これも工場でやられたわけでございます。これらの人に対しましても、一片の補償とかそういうことを考えずに、あなたは退職金がこれだけになりますから退職しなさい、こういうようなものを労使の団体交渉を無視した形の中で個人個人の家に発送をして、そうして七月二十日付をもって工場閉鎖をしてしまう。こういう方向へ進めようといたしておりますのが、いま申し上げましたところの三豊工業の工場閉鎖の問題でございますけれども、そこで現在地方労働委員会におきましても、これは問題になっております。さらにまた裁判所へ持っていくというような形にもなっておるそうでございますけれども、団体交渉を大阪でやるか大津でやるか信楽でやるかという団体交渉をやる場所すら問題になる。 ただ、われわれ滋賀県の一県民として考えると、先ほど言いましたように、信楽町そのものが全面的に応援して誘致した工場でありますならば、十分なことはできないにしたところで、信楽町の皆さんのお世話になったけれども、工場がこういうふうになってこうなったからこういうふうになりますという説明をするくらいなことは当然のことだと思います。さらにまた、先ほど労働大臣があいさつの中で言われましたように、労使の慣行を全く無視して、いま言ったようなことをやっておる。これは会社経営者のやり方としては、非常に納得できないやり方だというふうに私は憤激を感じるわけなんです。 現在におきましてはガードマンを雇って、ガードマンが守衛のかわりをやっておる。しかもそのガードマンが労働組合の動きを察知するためのスパイ行為等もやっておるというようなこともいわれておるわけでございますけれども、まず第一番に、簡潔でございますけれども、情勢は大体いま言ったようなことでございますけれども、あの三豊工業株式会社というのは、大津には労働基準局があります。さらに水口には労働基準監督署があると思うのです。しかも労働安全管理の指定工場になっておると思うのですが、身体検査をやれば十人のうち七人がじん肺にかかる、あるいは労災で障害者がどんどん出てくる。こういうようなことに放置しておいた。いままで労働基準監督局としてはどのように指導されておったのか、その点を第一番にお伺いをいたしたというふうに思うわけです。
○渡邊説明員 三豊工業の滋賀工場につきましては、先生御指摘のように過去から労働災害は非常に多く出ております。四十五年度中を見ましても、休業八日以上の負傷は二十三件でございまして、度数率が四七というふうに、同業種の全国平均をかなり上回っておるわけでございます。そういう状況にかんがみまして、滋賀の労働基準局におきましては、四十六年度に同工場を安全管理特別指導事業場、いわゆる特安事業場と俗称いたしておりますが、これに指定をいたしまして、同事業場に対します監督指導に特に重点を置いて行政を進めておりまして、四十六年度中にも五回にわたりまして監督指導を実施いたしております。その結果、四十六年度には度数率は前年度の四七から三〇・九というふうに、前年度に比べますと、かなり減少を見たのでございますが、なお十分ではございませんので、本年度、四十七年度も引き続き特安事業場といたしまして指定し、指導に当たっておるところでございます。まだまだ災害発生状況が十分に改善されませんことにつきましては、まことに遺憾と存じますが、引き続き特安事業場といたしまして強力な監督、指導を進めまして災害、疾病の減少につとめたい、かように考えておるところでございます。 なお、じん肺の検診の問題につきまして御指摘があったのでございますが、四十六年の三月に実施いたしました監督の際には、検診が実施されておりませんでしたので、勧告書を交付いたしまして是正をさせる。その結果、じん肺検診が実施されましたが、そのときは異常がなかったという報告を受けておるわけでございます。ことしの七月になりまして、労働者の方から申告がございまして、その申告の内容というのは、ほとんどの労働者がじん肺作業であるのにじん肺検診が実施されてない。組合が自主的に京都の南病院で検査したところ、十名について結果がわかったが、そのうち七名までが要精密検査であったということで、六、七割の従業員がじん肺にかかっているのではないかという旨の申告があったわけでございます。 そこで監督署では、直ちにそれに基づきまして、この八月一日に監督を実施いたしましたが、その結果によりますと、申告がなされます前から、七月十四日から八月九日まで、十一回に分けて、従業員のじん肺検診を会社では計画的にやるということで、実施中であることを認めたわけでございます。しかしながら、ちょうど、いま申しましたように、七月から八月にかけてじん肺検診を実施中でございまして、そのじん肺検診の結果を証明いたします書面や、じん肺にかかっていると診断される労働者のエックス線写真は、まだ局のほうに提出されておりませんので、現時点におきましては、労働者がどの程度じん肺にかかっているかということは、まだ私どもでは断定はできないわけでございますが、会社としては、八月九日までにじん肺検診を終わる計画でございますので、検診が終わりましたならば、当然じん肺法に基づきまして、じん肺にかかっておると思われる労働者については、その診断の結果及びエックス線写真が提出されると思われます。提出されましたならば、じん肺法に基づき、基準局におきまして、じん肺診査医の判定を受けまして、管理区分を決定し、必要なものについては補償する、こういうようにいたすことに相なるわけでございますし、またじん肺にかかっている者が非常に多いということであれば、その是正措置につきまして、局として十分に監督を進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
○後藤委員 それで基準局長、いままでなぜ一体身体検査をおやりにならなかったかということなんです。先ほどお話ししましたように、去年の年末からことしにかけて、もうこの工場は閉鎖をします、最終的には七月二十日をもって閉鎖をする、全部首切りだ、そうなってから身体検査をばたばた始めたわけなんです。管理指定工場に指定されておるなら、当然身体検査をやらなければいかぬと思います。しかも、監督官の人が工場の中に入ればわかるように、私も入って見てきましたけれども、あれだけひどい作業をする中で、下は全然コンクリートでやっていない。土ぼこりのたちっぱなしというところなんです。しかも鉄粉は部屋の中一ぱいになる。あそこを見ただけでも、基準監督官としては、当然工場の経営者に対して、もっと早くあの工場の安全衛生については指示指導する必要が私はあったと思うのです。いまあなたが言われましたように、この間身体検査をしましたけれども、まだその結果は出ておりません。工場のほうは七月二十日で全部閉鎖をします、首を切りますよ、病院に入院しておろうと、じん肺にかかっておろうと、片腕がなかろうと、足がなかろうと、全部首切りしますと、各家庭に全部郵送しているわけなんです。しかも労使の間で団体交渉をやっていることは、何ら実施しない。三豊工業から出てまいります団体交渉委員というのは、当事者能力が全然ないわけなんです。神鋼が握っておるわけなんです。うしろにおる資本家が握っておるわけなんです。そういうやり方が今日までされてきたわけなんです。 そこで、これはえらいことだということになって、身体検査をやるのだ、いや何だと、ばたばたやってみますと、あなたの話ではないけれども、十人のうち七人がじん肺の懸念があるということなんです。それではいままで一体労働基準局としては何をやっておったのだ。これは信楽の——信楽といえば滋賀県の山のすみのほうでございますから、忍術屋敷のあるほうでございます。いままで一回も身体検査をやっておらぬそうです。全然やっておらぬそうです。今回初めて、こういう争議になって、これはたいへんだということでやりました結果が、先ほど言ったようなことになっておるわけなんですね。会社のほうは、そんなことはおかまいなしに、閉鎖だとか、いや不景気であるとか何であるとか、会社は経営者陣内における派閥問題で、神鋼の資本が入り込んで、それを乗っ取ってしまおう、そういうような方向へ進める。働いておる労働者は一体どうなるのですか。そこに私は問題があると思うのです。 だから、先ほども大臣が言われましたように、不景気あるいは景気とか発注の問題、いろいろ私は工場では問題があると思うのです。いい場合もあるし、悪い場合もあると私は思うのですが、それならそれで、なぜ一本労使の団体交渉できめたことをきちっきちっと秩序正しく守っていかないのだ、一方的になぜ工場がそういうことをやるかということなんです。何でもかんでも、とにかく閉鎖してしまえばいいのだ、つぶしてしまえばいいのだ。入院しておろうとおるまいと、そんなことはおれは関係なしだ。こういう態度が三豊工業株式会社の態度だといっても、これは私は間違いないと思うのです。 こういうやり方につきまして、労働大臣どういうふうにお考えになりますか。
○田村国務大臣 私は三重県の出身でございますから、隣県であり、かつ県境でございますから、地理的にはよく承知をいたしておりまして、人ごとならずという気持ちであります。 いまお話を承っておりまして、率直な私の感じを申しますと、お話を承った限りにおいては、いささか言語道断の感じがいたします。目下地労委あるいは監督署等で十分の調査をいたしておるやに聞いておりますが、この調査がはっきりいたしますまでは、労働大臣としての所見を明確に主観だけで申し上げることは、はばからなければならぬと思います、客観的な調査結果を私はまたなければなりません。けれども、いまおっしゃたようないきさつ、内容等であるとするならば、これはゆゆしき一大事でありますから、私は、なおも県当局あるいは監督署等を督励いたしまして、よりきびしく、より正確に、よく早く、調査結果を取り寄せることができますように努力をいたす所存でございます。
○後藤委員 まあ非常に慎重な発言でございまして、大臣としては、その実情というのは私が説明しただけでは、まだまだ不明な点があろうと思うのです。それはそのとおりだと思うのです。 この労使の関係につきまして、やはり労働協約がきちっと締結されておるわけなんです。その労働協約の内容を私は一々申し上げませんけれども、配置転換であるとか、職場がかわるとか、あるいは首を切るとか工場閉鎖というような問題がある場合には、労使の間できっちり協議をして決定する、それからすべて発動するのだということが、はっきりこの労働協約でも締結されておるわけなんですね。 だから、一言に言いますと、いまやっておる三豊の会社側のやり方というものは、労働協約も何もない、あるいは一週間前にやった団体交渉できめたことを破棄しますということで郵便で送ってくるわけなんですね。そうしますと、どこに一体労働基本権があるのだろうか、憲法でいう労働基本権というのは、一体どこで認められるのだろうか、使われておるというのは、こんな弱いものだろうか、こういう気持ちになるわけなんです。 しかも、くどいようなことを言いますけれども、信楽の町長さんというのは非常に穏健な人なんです。この人が一部始終聞いても、それは会社のやり方はむごい、むちゃくちゃだ。それはおれも三豊会社に行こうというので、大阪の本社まで、信楽の町長まで、あるいは町会の議長さんまで乗り込んでおるわけなんです。これが実情なんです。ですから、このまま推移をしていきますと、やられっぱなしのような形になるのじゃないかと私は思うのです。 私は、ここでまだまだこまかいことをいろいろ申し上げれば、たくさんあるわけでございますけれども、私が申し上げるよりかは、先ほど労働大臣も、労使関係の問題が非常に重要である、こう言われました。ただ私は、この三豊工業株式会社のことだけを言っておるのでなしに、全国的に民間労働組合、民間会社にはこういうようなのがあるのじゃないかと思うのです。ですから、こういうような使用者の悪いやり方に対して行政指導する上につきましても、一ぺん労働省として信楽へ行ってもらって、この三豊工業株式会社の争議について、労使の間から十分実情を聞いてもらう、さらに三豊の本社は大阪にあるのですから、その辺のところも十分実情を調査をしてもらう、その調査の上に立ちまして公正なる行政指導をしていただく。 いま大臣がせっかく、やがて調査結果がくるだろうから、それに基づいてといわれますけれども、現地に行ってまいりますと、そんななまやさしいものじゃないのです。いわば滋賀県の周囲の山のほうにありまして、赤旗がたくさん立っておりまして、あるときには、その地域の人が千人くらいの動員者が出てくる、町の人も出てくるわけなんです。それはひどいじゃないか、むごいじゃないか、そんなやり方が一体どこにある。労働組合が動員をかけるのと違って、町内の人、町長なり議長さんあたりが先頭に立って、この問題については非常に深い関心を持っておるわけなんです。しかも先ほどいいますように、入院しておる人がここには五名くらいあるわけなんですけれども、入院しておる人から、手のなくなった人から、そういう身体障害者までも問答無用の首切りの形になっておるわけなんです。じん肺の結果は、労働基準局長の話じゃございませんが、まだ確定的なものはないにいたしましても、第一回十名やりましたら、七名までそういう懸念がある、それらを片っぱしから工場閉鎖、不景気ということに名前をかりて、全部退職させてしまう、そして労働者というのは、退職金を計算して、何十万もらえるというと、すぐそれをもらいに来るだろうというような考え方で、あなたの退職金はこういうふうになりますといって、金額まで提示して、各家庭に発送をしておる、これが実情なんです。だから大臣、いま申し上げましたように、大臣が直接行くのはたいへんだと思いますけれども、民間の会社のこの典型的な工場閉鎖、こういう争議の問題に対して、実情を一ぺん調査をするという大きな考え方に立って、この信楽の三豊工業株式会社を労働省として調査団を派遣して、十分調査をしていただく、その結論に基づいて、りっぱな指導をしていただく、これだけはぜひひとつお願いをいたしたい、こう思うのですが、いかがなものでしょう。
○田村国務大臣 お話を承った範囲内においては、私自身も義憤を禁じ得ません。しかしながら、現に地労委あるいは現地の監督署、そういう県や国の出先で十分の調査をしておる段階でございますから、その調査段階において直ちに労働本省から調査団を派遣するということは、やや行政の——いいことは断じてやればいいのでありますけれども、行政の筋としていかがなものであろうかという感じがしないではありません。しかしながら、この問題は放置することはできません。特にお話しのような現状でございますならば、なおさら放置することはできません。でありますから、県当局また現地の基準局に、すみやかに調査結果を持ってくるように、しかもきびしい調査をして持ってくるようにということを私からあらためて指示をいたします。その上で、なお本省から直接調査団を送らなければならないと私が判断いたしましたならば、それは断じて送るつもりでございます。 それから、率直なことを申し上げますならば、まだ私はこの問題をそうつまびらかにいたしておりませんけれども、お話のような内容で、かりに親会社がそういう態度であるということが調査結果で判明いたしましたならば、あえて私は親会社の経営者を労働省に呼んで話を聞き、警告を発すべきものと判断したならば警告も発したい、このように、いまここにすわっておりまして、みずから考えた次第でございます。 いずれにいたしましても、現地の公的な調査をしておるわけでございますから、労働大臣としては、これを早くもたらされるように心待ちにいたしておる次第でございます。
○後藤委員 非常に慎重なかまえでございますけれども、この前もどこでしたか、労政局長、御承知だと思いますけれども、前の労働大臣のときに一ぺん調査団を出してもらったですね、何とか造機でしたね。
○石黒説明員 住友重機です。
○後藤委員 あそこにもわれわれは調査に行ってまいりまして、大臣、昔からいいますように、百聞は一見にしかずということがあります。いろいろ聞いてみるよりかは、行って見ていただくのが私は実情が一番早くつかめると思うのです。また労働問題の処置というのはかくあるべきだと私は思うのです。調査さして、調査さして、それが上がってきまして書面に基づいてとやっておりますと、それも間違った方法であるとは私は言いませんけれども、昔からいわれておりますように、百聞は一見にしかずでございます。いまは国会が開かれておるわけでもございませんし、忙しくないとは私は言いませんけれども、あれだけ多くの人が連日連夜——いま申し上げましたような工場のやり方、労使関係が非常にきびしくなってきておる。 ですから、七月二十日に閉鎖するというのも、閉鎖したがごとく、せざるがごとく、今日ガードマンが来て守衛のかわりをやっている。百数十名の人が連日出勤している、仕事は全然与えない。大阪の工場のほうでやっておるというような工場の経営のあり方につきましても、私はメスを入れる必要があると思うのです。何か意図するところがあって滋賀工場をああいう方向に持っていこうこれは突っ込んでいけば、ある資本と資本とのつばぜり合いのようなかっこうではないかとも私は思います。しかも先ほども言いましたように、誘致工場であり、地元から県から全部が応援してつくった工場でございますから、なおさら地元の人も非常に関心が深いわけでございます。地方労働委員会でも、この間も行きましたら、団体交渉を一体大阪でやるのか、大津でやるのか、信楽でやるのかという、団体交渉の場所すら地方労働委員会にあっせんしてもらわなければできない、こういうようなかっこうになってきておるわけなんです。そうなりますと、このままいってしまえば、どろ沼になるような気がするわけなんです。 そこで私考えましたのは、労働省として調査団を出して調査をしていただく、ここで新労働大臣にてきぱきとこの問題を処理していただく、これが今日われわれとして考えられる一番最高の方法じゃないかというふうに私は考えておるわけなんですけれども、労働大臣、いかがでしょうか。調査は調査でやっておるとは思いますけれども、現地に行って見ていただくと、何もかもすっかり一ぺんにわかると思います。しかも労働基準監督官がどういう指導をしておったかということも一目でわかると思いますけれども、工場の中に一歩入って思いただけば、これはわかることです。それはひどいものです。これはもうあそこで働いておる労働者の皆さん、からだをこわすのは当然のことなんです。七割までじん肺だ。なるほどそうだと私もこれは感じたわけなんです。そこへ仕事が荒い、大きな仕事でありますから、手をなくする、あっちを切られる、こっちを切られる、身体障害者が多い。それらの人を残酷無情に首切ってしまうということですから、あなたの退職金はこれだけ、早くお金を取りに来なさい、あなたはお金をほしいのでしょうと言わんばかりのやり方をされておるということにつきましては、十人のうち十人、聞く者全部が憤激を感じておるのが、この三豊工業会社のやり方なんですから、これらの典型的なのを労働省から行って一ぺん調査をしてもらって、これは私はぜひ、無理もあるかもわかりませんけれども、望みたいと思うわけなんです。ぜひひとつ大臣にお願いしたいと思うのですがね。そうすれば私が一々説明するまでもなく、詳細に握っていただけると思うのです。
○田村国務大臣 お気持ちはよくわかります。私自身すぐにでも自分で直接行きたいくらいの気持ちでございます。しかしながら私にとりまして、滋賀県の労働基準局につとめておる監督官たちはかわいい部下であります。この部下を、いかにずさんな点を指摘されましても、それが明確になるまではやはり信じてやりたいと思います。それから県当局がいま必死に調査しておるやに聞き及んでおりますが、やはりわれわれは地方公共団体を信じなければなりません。でありますから、調査団を送る必要はないと申しておるのではございません。やはり基準局やあるいは県当局の報告を聞きまして、その上で私が判断いたすべきものと思います。でございますから、決して忙しいから出さないの、あるいは小さい工場だから出さないのという問題ではございません。私自身、みずから飛んでいきたい気持ちでございます。信楽は、私は十分土地の勘もございます、御承知のように隣県でございますから。それだけにたいへん胸の痛む事件でございますし、また現実に労働災害も多い問題の工場でございますだけに、私自身そういう気持ちでございますけれども、ただ、いかにしても、いきなり労働本省から調査団を送るということにいたしましては、私率直に申して現地の役人たちがあまりにもかわいそうな気もいたします。 ただ、だからといって部下を信ずるばかりが能ではありません。先ほど申し上げましたように、すみやかに、きびしく調査をいたした結果を報告してこいということは、本日直ちにもう一回私から直接現地へ申しつけるようにいたします。その上でのことにいたしたい、このように考えるわけでございます。決して逃げるわけではございせまん。私自身前向きに取り組んでいきたいと思いますけれども、まあ労働省を担当いたしまして、やはり人間関係というものを私も考えていきたいと思いますので、そこいらの胸中、ひとつ御了承を願いとうございます。
○後藤委員 その話ちょっとあれしまして、労災問題でちょっとお尋ねしたいのですが、昭和三十九年ごろに、いわゆるからだを悪くした人、手をちぎられた、足をなくした、こういう人は一時金で終わりなんですね。年金はないわけですよ。それから昭和四十年ですか、四十一年に法改正があって、それ以後の人につきましては年金の支給ということになっておる、こう私は記憶しておるのですが、この点いかがでしょうか。
○渡邊説明員 労災保険法は昭和三十五年までは全部一時金だったわけでございます。三十五年の改正によりまして障害等級三等級、労働能力一〇〇%以上喪失の方がまず年金制度に相なりまして、引き続きまして昭和四十年の改正で障害等級七等級までが年金になりまして、八等級以下は引き続き一時金、こういうことで今日まで、障害を受けた方については労災保険の給付が参っておるわけでございます。 (竹内委員長代理退席、橋本(龍)委員長代理 着席)
○後藤委員 七等級というと、これは何級のことですか。
○渡邊説明員 七級でございます。
○後藤委員 七等級以上については年金だ、こうおっしゃるのですか。五級はどうなるのですか。
○渡邊説明員 五級も年金でございます。
○後藤委員 間違いじゃないですか、それは。
○渡邊説明員 先ほど申しましたように、四十年の改正によりまして四十一年二月一日からは五級の人は年金になっております。
○後藤委員 ところが現実はそうなっておらぬのですよ。この三豊工業でけがをされた人で吉川尚一という人がおるのですが、この人は五級なんです。五級なんですけれども、一時金をもらってそれで終わりになっておるのです。これはここの会社の身体障害者なのです。そうなっておるんですよ、現実は。
○渡邊説明員 御指摘の吉川尚一さんという方は右前腕を切断されて、障害等級五級ということになっておりますが、私どもの調査ではその治癒年月日は三十九年七月九日付で治癒ということになっておりまして、そういたしますと、先ほど申しましたように年金支給になりましたのが四十一年二月一日以降の人でございますので、四十年の法改正以前でございますために、その方は一時金ということになっておるわけでございます。
○後藤委員 それなら話は合うのですが、そうなってまいりますと大臣、三十九年なり四十年にけがをした人は一時金で終わりなんです。四十一年以降にけがをした人は毎年毎年年金がもらえるわけなのです。現地を回りますと、なぜ一体こういう不公平なことをやるのだろうか。計算をしてみますると、一年間にもらう年金と一時金でもらう年金と、そう大して差はなかったというのです、三十九年ごろに、現在の金額に比較すると。これは大臣に言わせれば、法の改正でそういうようになったんだから、それはしようがない、境目のところにはそういう不合理がどんなことでもあるんだという言い方ができるかもわかりませんが、相変わらずこの人はその工場で働いておるわけなのです。 ところが先ほどの説明のように、三十九年の六月か七月ごろでしたか、一時金五、六十万もろうてそれで終わり。ところが、四十一年以降のいま申し上げましたような人に対しては年金が支給される。その年金もいまの額でいいますと、その当時の一時金に匹敵するような額が毎年毎年支給されるのだと。これは労働者のその人の立場に立ちますと、なぜこの辺のところをもうちっと政府は考えてくれないのだろう、こういう気持ちになるの私は当然だと思うのです。これは何とか考える必要があるように私は思うのですが、いかがでしょうか。
○渡邊説明員 先ほど先生御指摘の吉川さんは三十九年七月に治癒で、五級といたしまして当時の労災保険法の定めるところによりまして、平均賃金の七百九十日分の一時金を支給されたわけでございます。現在五級の人の年金は一年に百六十五日、これは四十五年にもう一度改正がございましたので、一年に平均賃金の百六十五日分の年金ということでございますから、日数にいたしますと、決して当時の一時金がいまの年金の一年分と同程度であるということはない、相当高い一時金が当時出たわけでございますが、ただ、平均賃金はベースアップに従いまして、どんどん上がっております。三十九年当時と最近では、御承知のとおり四十年以降のベースアップが毎年一〇%以上続いておりますので、最近の根っこになる平均賃金が非常に上がっておりますために、その百六十五日分という年金支給額は、金額にいたしますと、約七、八年ほど前にもらわれました当時の一時金の額と、あまり差がないというようなことも生じておる、かように存ずるわけでございます。 そういうお気持ち、わからぬではありませんが、労災保険給付改善ということで逐次、何年かごとに給付の改善をはかっております。その新しく改善された給付というものは、その前の旧法当時すでに支給が済んでしまった人は一応対象からはずれまして、新法施行後に事由に該当した方に新法が適用になる、こういうことでいままでの改正がまいっておりますために、そのような事態が出ておるわけでございます。
○後藤委員 いま説明のありましたとおりで、七百九十日と百六十五日ですけれども、これはベースアップで変わってきますから、その当時はよけいもらったんじゃないかといえば、それで済んでしまうかもしれませんけれども、職場で働いておる人たちの受ける感じというのは、法律がどうとか理屈がどうとか、そういうことは考えておらないわけなんです。同じように同じ会社でけがをしながら、四十一年にけがをした人は毎年年金がもらえるそうだ、おれは三十九年だったものだから一時金で終わり、同じ日本の国民で、労働者でありながら、なぜこういうふうな差別扱いになってくるんだろうかということをやはり感ずるわけなんですけれども、そこをそうでないような方向へ、これは私は考える必要があると思うのです。法律が改正前だからやむを得ぬといってしまえば、それまでかもわかりませんけれども、この問題については、ぜひひとつ検討をしていただきたいと思うのです。これは三豊工業だけの問題ではないと思うのです。全国的に、一年かそこらの違いで片方は障害年金、片方は全然なし、こういうような形がいま各職場にあらわれておりますから、これはぜひひとつ早急に検討していただく必要があろうと思うのです。 それから、労働基準法から申しますと、こういう入院しておる人々の首を切る通告をするというのは、一体どういうふうに考えたらいいのですか。さらに、じん肺にかかっておるというような人を、先ほど話をしたように郵送して首を切ってしまう、こういうようなやり方に対して、法的にいえばこれはどういうことになるのですか。
○渡邊説明員 基準法では、先生御承知のように、十九条によりまして(解雇制限)というものがございまして、業務上の負傷または疾病にかかって療養中の期間およびその後三十日間は解雇できないことに相なっておるわけでございます。それで、三豊工業につきまして私どものほうで先般調べましたところによりますと、調べましたときに業務上で療養中であった者は二名あったわけでございますが、それに対して正規の解雇通告は出されておらないということでございまして、そういう意味におきましては、基準法十九条違反という事実は認めなかったわけでございます。 先生御指摘の、いまやめれば退職金がこれこれもらえるんだぞというようなことは、これは正規の解雇通告というのではなしに、退職金によりまして、それをえさにというと、ことばが悪いかもしれませんが、そういうことによって自発的な退職を勧誘しようとしておる意図ではなかろうか、かように考えるわけでございます。しかし労働者といたしましては、もちろん業務上負傷、疾病にかかって療養中は解雇されない権利があるわけでございます。私どもといたしましては、今後とも十分こういう点について監督を厳にいたしまして、いやしくも基準法十九条違反が行なわれるというようなことのないように十分監督をしてまいりたい、かように考えております。
○後藤委員 それで大臣、いま局長から話がありましたように、会社も弁護士がついて考えてやっておるのですね、これは。療養中の人であるとか、先ほど言いました身体障害の人には、あるいは全員について解雇通知というのは出しておらぬわけです。工場を閉鎖しますから退職願いを出しなさいという形になっておる。みずから退職するような形の中で全部をやめさせてしまおう、こういう意図なんです。 そうなってまいりますと、労働基準局長がさっき言ったような基準法の十九条ですか、外面から見たかっこうだけは違反にはなりませんけれども、中身としては違反だと思うのですよ、考え方につきましては。解雇通知は出しておらぬけれども、工場を閉鎖するんだから退職届けを出しなさいということで、退職届けを各家庭に全部発送しておるのですよ。一緒じゃないですか、そういえば。解雇通知ではないけれども、みずから退職したようなかっこうのもとに全部整理させてしまうということですから、そうなれば、労働基準法第十九条の精神を踏みにじっているということは、はっきりいえると思うのでございます。 それなら、それに滋賀の労働基準局はどういう勧告をしたのですか。全然労働基準局は行政指導しておらぬじゃないですか。見過ごしておるじゃないですか。労働基準局から何か手が入ったということは、現地に行っておりますけれども、私は全然聞いておりませんよ。そういうところに抜け穴があってどんどんやられていくというのは、そこで働いておる人がからだをそこなって病気になってしまう。基準法という法律があるから、法律にひっかからぬということで、解雇通知ではなしに退職願いを出させて、かっこうだけは一応つくろう、そういうようなことがやられておるわけなんです。これははっきりいえると思う。 それなら、滋賀の労働基準局は一体何をしておるのですか、基準局長にお尋ねするけれども。基準局は各家庭に全部郵送されておることはよく知っておるはずなんですよ。入院しておろうが入院しておるまいが、何であろうが、各家庭に発送されておることは、基準局だって十分御承知だろうと思うのです。それを見過ごしておるのが基準局じゃないですか。あなたが、ここで、いかにりっぱなことを言われましても、現実にそうやられておるのです。その問題は一体どう処置されますか。
○渡邊説明員 現地の基準局といたしましては、基準法違反がないように十分会社に注意をいたしておると思いますが、確かに基準法十九条の精神からいたしますと、解雇通告でないにしろ、そういうようなことは好ましいことではないというように私ども考えますので、基準局におきましても、そういう基準法の精神に反するようなことがないよう、今後とも会社側に対して十分指導するようにさせたいと存じます。
○後藤委員 今後ともと言われますけれども、こういうところは一ぺん首切ったら、もう二回目はないんですよ。またひとつ今度考えましょうということにはいかぬわけなんで、私はくどいようなことを言いますけれども、それなら、いまあなたが言われましたところの七月二十日に会社から各家庭に郵送されました退職願いのやり方につきましては、労働基準法の精神に相反する。だから、これは全部一ぺん撤回をしなさい、こういうように労働基準局はさっそく指導してくれますか。それをやるのが当然じゃないですか。いかがですか。
○渡邊説明員 いまの十九条の問題でございますと、現在何人の方が業務上の負傷、疾病で療養しておられるか、私つまびらかにいたしておりませんが、業務上の負傷、疾病で療養中あるいはそれの治癒後三十日間の方がそこにおられますならば、この方については十九条の精神から見て好ましいことと考えませんので、この方々に対しましては、それが決して強要あるいは強い干渉にわたらないよう注意をさせたいと存じます。
○後藤委員 それではこのじん肺関係は一体どうなるのですか、ちょっと聞きます。
○渡邊説明員 じん肺につきましては、先ほど申しましたように、ただいま私どものほうでは、業務上疾病であるかどうかまだ判明をいたしておりませんので、早急にエックス線写真等を——八月九日までに向こうはじん肺検診を終了する計画と聞いております。八月九日と申しますと明日でございますが、終わり次第エックス線写真を提出させまして、それによって業務上疾病であるかどうかの判定をすみやかに行なって、それによって処置したいと思います。
○後藤委員 それによって処置するということは、どういうことですか。
○渡邊説明員 それによりまして正式に業務上の疾病としてじん肺症にかかっておるということでありますれば、その方々につきましては、先ほど申しましたように、基準法十九条からいいまして業務上疾病として治療中に解雇するということは準基法で許されませんので、そういうことはないようにしたい、こういうことでございます。
○後藤委員 そうしますと、会社から出しておるところの退職願いは、もう各家に郵送しておるのですよ、病気であろうとなかろうと、全員に。ところが、その郵送しておる本人に、たとえば私後藤俊男なら後藤俊男のところへ郵送してきても、私のからだはじん肺にかかっておるかかかっていないかわかりません、あなたのおっしゃるとおり、わかれば職業病と認定されるわけです。その人は解雇をしちゃいかぬというのが労働基準法の精神だと思うのです。 ところが工場でやっておりますのは、一方では——何回も言いますけれども、労使の間で団体交渉を誠実にやっておりながら、片方ではそういうやり方をしておるものだから私は言うわけなんですよ。そうじゃなくて、労使の間で話がきっちりきまっていくならば、これはとやかく言う必要はないと思うのです。それを無視した形の中で、だれであろうとかれであろうと退職願いを出しなさい、退職金はこれだけですよ、こういうやり方を全員にやるのですから、そうなってくると、労働基準法十九条の精神に違反するのじゃないですか。精神に違反するのだったら、労働基準局がもっとこのことに対してとめたらどうか、撤回しなさい、これは間違いである。そこまで強く行政指導するのがあなた方の立場じゃないかということを私は言っておるわけなんですよ。 それをあなたが何かわかったようなわからぬような説明をするものですから、この辺のあいまいな、少し盲点みたいなところをついてきておるのが、いまの三豊工業のやり方なんですよ。じっくり考えてみると、労働基準法違反だ。外面だけ見ると解雇通知じゃない、退職願いだ。退職願いなら自発的に退職願いを出して退職したのじゃないか、あとになってもう何も問題は残らぬ、こういうやり方をしておるのです。そうでしょう。だからそれをそのままで放置しておいてもらっちゃたいへんなことになるというのです。それが放置されておるのが現実なのです。だからそれをはっきり、私はもっと労働省として行政指導してくれぬかということを言っておるのです。 そこで私は大臣にくどいことを言うけれども、現場で調査して、それを待つと言われますけれども、そんな余裕がないから、労働省からひとつ調査団を出してくれ。まあ初めてなられた大臣にあつかましいようなことを私は言っておるわけです。その辺のことはわかってもらえぬかということを私は言っておるわけです。それは働いておる主人だけじゃない、家族全部がたいへんなことになるわけです。おやじのからだはむしばまれておるわ、そして首切られてしまうわ、労働組合があっても全然無視されてしまう、労働者の基本権がどこにあるか、憲法もくそもあるか。しまいにはこうなってくると思うのです。そういうような方向にいま進まんとしておるのが三豊工業の争議なんです。 だから一刻も早く公正妥当な行政指導をしてくれと私は言っておる。基準局長の言われることもあいまいでしょう。それなら、工場から退職願いを郵送しておる、あなた、工場へ行って撤回しろと、なぜはっきり言ってくれぬか。入院しておる人にまで出しておるのですよ。じん肺にかかっておる人にまでも自発的のようなかっこうで出させようとしておるのです。そういうところに私は、問題がひそんでおると思うのです。それと、労働基準局そのものがあいまいな態度で指導するものですから、結局あいまいにいかれてしまうわけですよ。働く者が全部やはりひどい目にあうわけなんですよ。それをそうでないような方向で——何も私は、労働者だけをかばうという意味じゃなくてけっこうだと思うのです。労使という立場に立って、公正妥当な行政指導をしてもらえぬか、これを私は強く主張しておるわけです。 どうか労働大臣も——時間も参りましたから、あまり繰り返しませんけれども、いま申し上げましたような問題を一々数えていきますと、たくさんあるわけです、この中には。ですから、労働大臣はすぐ調査団を出すとは言われませんけれども、一ぺん大臣の命令でもけっこうですから、直ちに調査をしてもらう。それで現地を調査をする必要がある、こう大臣がお考えになりましたら、ぜひひとつ信楽の三豊工業株式会社の争議に対して、調査団を労働省として出してもらう、そうして間違いのない行政指導をしてもらうようにぜひお願いをいたしたいと思うのです。 それから労働基準局長に、いま申し上げました問題についても直ちに検討をしていただいて、現地の労働基準局と連絡をしていただいて、間違ったやり方については正しく行政指導をしていただく、こういう具体的な面についても、ぜひひとつやっていただくようにお願いしたいと思うのです。いかがでしょう。
○田村国務大臣 御趣旨のほどよくわかりました。先ほど申し上げましたように、とにかく調査を徹底させるように督励いたします。私自身で督励をいたします。そうしてその上で、調査団を出す必要がありと判断をいたしました場合には、調査団を出すこともあり得ます。 それから、これも先ほど申し上げましたように、調査の結果、あるいはいまお話しのようなことが現実にあるならば——あるならばと、たいへん失礼な話でありますが、私としては調査結果を見てからでなければ、やはりものが言えませんから、不当な行為があるとするならば、私は、三豊工業の経営者あるいはそれが全然発言権がないという先ほどのお話でありましたが、親会社の経営者を呼んで、事情を聴取し、場合によってはきびしく警告をするという処置をとるつもりでございます。 いずれにしても、調査結果を待たなければなりませんから、調査結果を私は待ちますが、その調査をきびしく、すみやかにするように指示することは、くどいようでございますが、私のほうで指示をいたします。
○後藤委員 終わります。
○橋本(龍)委員長代理 山本君。
○山本(政)委員 大臣のごあいさつに、合理的な労使関係の確立をする、こういう話がありました。いまそこに資料を差し上げましたけれども、地方公務員のいわゆる争議行為といわれる賃金引き上げ要求の全国統一行動で、たくさんの懲戒処分が宮崎県で出ておる。このことについて質問をし、同時に行政指導をひとつ要請したいと思うのです。 昨年五月から本年五月までの間の一年間に自治労関係の懲戒処分一覧表、そこにお手元にありますけれども、どうぞ自治省の方もごらんください。 全国的には、昭和四十一年の十月二十六日の最高裁の全逓の中郵判決が出ておる。四十四年四月二日、最高裁の東京都教組事件の判決が出ておる。そうして第一審判決だといいながら、行政処分取り消しを命じた昨年の八月十日の佐賀県の教組の事件の判決、そして十月十五日、東京都教組事件の判決がある。 こういうようなことで、少なくとも極端な処分行為が少なくなっておるように思うのですけれども、いまお手元にあるように、宮崎県の場合には特にそれが集中しておる。何か異様な感じがするわけであります。全国の総計の延べ数三千七百六十五人という懲戒処分のうちに、宮崎県だけが三千三百七十一人を占めておる。つまり全国の九〇%が宮崎に集中しておるという事実があるわけですね。私は、自治省が特に宮崎県に対してどうこうしておるというふうな感じは毛頭持っておるわけではありません、けれども、しかし、こういう状態が異常な状態であるのかないのか、この点をまず第一点にお伺いしたいと思います。
○林説明員 お答えをいたします。 いただきました資料と私のほうの数字とはやや違うわけでございますけれども、傾向としては、やはりほとんど同じ傾向を示しておりまして、この一年間は、市町村関係では宮崎県における行政処分が割合として、ずば抜けて多いというのは事実でございます。ただ、私たちはこれを異常であるとは実は思っておらないわけでございまして、私たちのほうの指導といたしましては、従来とも公務員の規律を厳正にし、法にもとる行為があれば、これに対して厳正な態度で臨めということを、宮崎県のみならず全国についても指導しておるわけでございます。現実に統一行動その他で争議行為が行なわれるということは、各県それぞれまちまちでございますけれども、相当の数にのぼっておる。こういう場合に対処して、統一行動が指示されます場合は、自治大臣談話その他で、公務員として軽率な行動がないようにという警告も発し、もしも不幸にして法にもとる行為があったならば、厳格な態度でもってこれの処置を考えなさいということを指導しております。 その関係から見れば、争議行為に対する処置というのは、やはり常に法に照らして厳格な態度でやるべきものだという指導をしておりますが、おっしゃるとおり、数字は宮崎県に片寄っておりまして、ほかの県ではあまり数が出てないということは事実であります。
○山本(政)委員 時間がないですから、ちょっと急ぎますけれども、それでは宮崎県に片寄っておるというのは一体どういうわけですか。ほかの県にないというのは、どういうわけですか。つまり、ほかの県は自治省の指導どおりやっておらぬということになるんですか。
○林説明員 争議に参加した態様がそれぞれによっていろいろと違うかと思いますが、それにしても、これくらい数字が違うということは、いまおっしゃるとおり、ほかの県では、こちらの常々の指導のとおりにはやってない面があるのではないかと考えます。
○山本(政)委員 そうすると、繰り返し重ねてお伺いいたしますが、宮崎県以外の県については自治省の指導どおりやっておらぬということですね。繰り返し聞きますよ。
○林説明員 もちろん皆無ではございませんので、宮崎県以外でも青森県、福島県、富山県、山梨県、そういうような県で市町村における懲戒処分を実施したこの一年間の事例もございまして、数として宮崎県に非常に集中しておることは事実でございます。
○山本(政)委員 だからその点について、労働大臣があいさつの中でこう言っているのです。合理的な労使関係を立てるとこう言っている。そうすると、自治省として合理的な労使関係は不必要だとお考えになっているのか。一方的に法だけを守れ、こういう指導だけをやっておるのか。つまり合理的な労使関係については、自治省は一切そういうことは考慮する必要がないというお考えなのかどうなのかということです。
○林説明員 公務員関係における合理的な労使関係というものは、私たちも常々必要と考えております。
○山本(政)委員 必要ならば、宮崎県の要するにそういう異常な、九〇%を占めるようなそういう労使関係というのは異常であるとお考えになるのだったならば、そこに何か、指導、被指導の中に問題がありはせぬかというふうにお考えになっておらないのだろうかどうかということです。
○林説明員 宮崎県に集中したことを特に異常だとは私考えておりません。やはり争議行為というものがあれば、それに対する厳格な態度は、宮崎県に限らず、各県とも同じような態度をとるべきであると考えております。
○山本(政)委員 あなたと私とのあれは平行線なんですよ。宮崎県に出ていることが異常でないというふうにお考えになるあなた方の神経が私にはわからぬのですよ。ほかの県はそこでちゃんと問題なしになってきているのが、宮崎県だけが何でそういうふうに九〇%になっているのか。それが異常でないのか、それがあたりまえなのか、私はその神経がどうもわからないのですよ。あなたとどうも議論がすれ違いになるようですけれども、これは異常でないわけですか。
○林説明員 ほかの県においても、昨年のいろいろな行為に対する処置というものの準備は相当しておる県もございます。ですから、ほかの県が何ら問題なしに、これで終わったとは実は思っておりません。
○山本(政)委員 だれも問題ないとは言っておりませんよ。なぜこれが異常でないのかということを言っておるのですよ。ほかの県が非常に少ないのに、なぜ宮崎県が多いのかということを言っておるのです。
○林説明員 これはそれぞれの県によっていろいろな事情があるかとも考えられますが、たとえば市町村で処分をするか、しないかという場合、いずれも近隣の市町村団体その他がどうしたかということが、やはり地方団体であればそれに相当注意を払うということであろうかと思います。したがって宮崎県の場合、たまたま宮崎県のその近隣の市町村、そういうものとの間にある意味での統一した歩調がとれたということもあって、そういうことが宮崎県において相当の処分の数が出たということの原因かとも思っております。
○山本(政)委員 つまり統一した歩調をとって、そして争議行為を誘発しておる、こういうふうに理解していいわけですか。
○林説明員 いや、争議行為を誘発しておるのではございません。争議行為が統一行動として全国的に行なわれたものに対する事後処置をどうとるかという御相談を、それぞれの市町村団体において御相談いただいたことは事実でありますが、宮崎県の場合は、それである程度結論が出たものと推察をいたします。
○山本(政)委員 全国的な統一行動が終わって、もうかなりの日にちがたつわけですね。その中で宮崎県を除いたところは、そうあまり問題がない。多少福陽会というものなどがありますけれども、福陽会についてはせんだってあなたにお伺いしたのですが、しかしそれ以外のところではあまり問題はない。岩手県が云々とこうおっしゃっておりますが、岩手県にしても、宮崎県に比べれば、件数としてはそんなに問題は多くないのですね。宮崎県がきわめて多い。 それでは、これから自治省のほうでは処分を出せという指示をお出しになるわけですか。
○林説明員 つい最近、鳥取県でも、昨年の七月十五日でしたかの行為に対する処分を出したということもございまして、昨年の争議行為に対する処置が、ほかの県では問題なくこれで終わっておるというわけではございません。聞くところによりますと、それぞれの団体で、こういう処置についてなお労使間でいろいろな話し合いが進められておるということをたくさん聞いております。自治省としては、従来から申し上げておりますとおり、綱紀の厳正な執行ということについて常に指導しております。
○山本(政)委員 私は綱紀の厳正な執行ということに対して、それがけしからぬということを何も言っておるのじゃないのですよ。間違えないでください。あなたは少しかたくな過ぎるのじゃないですか。 それでは、ちょっと労働大臣に伺いいたします。 いまさっき申し上げたように、全国総計三千七百六十五人のうち宮崎は三千三百七十一名ありますが、これは私は常識から考えたら、異常だと思うのですよ。とにかく大臣がお考えになったときに、これは宮崎県だけに多過ぎはせぬかという、そういうお考えはお持ちにならぬでしょうか。
○田村国務大臣 異常であるかないか、ちょっと私の所管外のことでございますから、論評を避けたほうがよいと判断をいたしますが、率直に申して、きわめて奇異の感を抱いたことは事実でございます。
○山本(政)委員 大臣さえ奇異の感を抱いているのですよ。異常であるかどうかは別として、きわめて奇異の感を抱いている。普通の人なら、私はやはり奇異の感を抱くのがほんとうだと思うのです。奇異の感を抱かないのはあなただけなんです。あなたの御答弁だけが奇異の感を抱かない。お笑いになっているけれども、私はそう思います。 宮崎県が統一的な行動をとる、ある場合には統一的な行動を各自治体がとることはあり得るかもわかりません。しかしその中で、単に綱紀厳正ということだけでなしに、むしろ正常な労使関係の、あるいは大臣の言った合理的な労使関係の運営ということをはかるとするならば、罰するだけが能じゃないでしょう。そうじゃないですか。その点はいかがです。
○林説明員 これは全くそのとおりだと思います。私たちのほうの指導も、法規の違反の行為に対しては厳格な立場をとれと言うと同時に、合理的な労使関係の樹立については、常々組合とよく話し合うように指導いたしております。
○山本(政)委員 統一行動に参加した人全員が処分になったケースもこの中には入っているのですよ。そうすると、私は全国で統一行動に全部参加した人がいると思うのですよ。そういうケースの場合にも、自治省としては全員処分をするというふうに、そういう態度をもっていつも臨まれているのかどうか。つまり、全国統一行動ですから、それに参加した者は全員処分をするような態度をもって臨まれているのかどうか。
○林説明員 法にもとる行為がある場合は、常に厳格な態度をもってこれに当たれということは指導しておりますので、たとえば勤務時間内に食い込むいろいろな行動というものについては、しかるべき処置があるべきだと考えております。
○山本(政)委員 全国的な統一行動をやるといった場合に、各都道府県段階で、やはり組織の中には指導、被指導というものがありますわね。組合の中ではあると思うのですよ。指導部というものがある。執行部というものがある。そういう中で、ある場合には、あなたのおっしゃるように綱紀というものを厳正にしなければならぬということで処分の対象になる人がおるかもわからぬ。しかし、組合というものの性格から、全員参加するといった場合に全員参加をする。それをしも全員含めて、そうして処分の対象とすることが、その後における正常な労使関係というものをきちんとすることに対して、いささかでもひびが入るということがありはしないかということをお考えになったことがあるのかどうか。 つまり、あなたは、正常な労使関係の反面に合理的な労使関係ももちろんお考えになっている、こう言っている。しかし、ぼくは先ほど申し上げたように、罰則だけが能じゃないだろうと言うのですよ。同時に宮崎の市町村が統一行動をとるということならば、賃上げについても統一行動をとるのですか。たとえば一律に十三%なら十三%という賃上げをやるのですか。それならばまだ話はわかる。最高に合わせて賃上げをやるなら、それはまだ話がわかる。必ずしもそうじゃないでしょう。じゃ、片一方については、責めるほうについては、つまり罰するほうについては一律行動をとります。しかし、待遇を改善することについては一律行動はとりません。宮崎県の市町村が一律行動をとったということが正しいというのだったら、逆な意味における待遇改善をするために最高のところに一律行動を合わせるということも私は正しいだろうと思うのです。しかし、その場合にはそうじゃない。できるだけそういう条件についてはなるべく押えていこうという一律行動をおとりになる。矛盾するじゃありませんか。そう思いませんか。
○林説明員 宮崎に、たまたまこのたくさんな数字が出た結果が、私は、あるいは宮崎の市町村が相互にいろいろ御相談なさって、ある程度態度を一致させたということがあるのではないかという推察を申し上げたわけでございます。反面、待遇の改善などについてもおそらく近接する市町村その他の状況を常に見なければなりませんので、宮崎における市町村会、市長会、そういうものがお互いに御相談をなさっている面があるのではないか。同時に、これは宮崎だけでなくて、全国においても同じように、市町村当局側がお互いに連絡をとっていることと思います。
○山本(政)委員 あなたの答弁を聞いていると、質問をやりたくなくなってくるのですけれども、そうなってくると、かつえて少し質問をやらなければならないと思のですよ。 憲法二十八条で、勤労者の団結権として「勤労者の團結する権利及び團體交渉その他の團體行動をする権利は、これを保障する。」とある。そうして、いろいろな中郵事件とか、それから都教組事件とか、それから佐賀県教組事件というものがあった。そして極端な処分行為というものが一般的には少なくなりつつあるような感じが私はしてきたわけです。しかし、あなたの話では、要するにそういう最高裁の判決とかなんとかいうものも一切無用だというふうな感じを、私は答弁の中で実は受け取らざるを得ないのです。最高裁の判決すらあなたは、何か答弁の中では、無用なことだというふうにお考えになっているような気がするわけですが、いま勤労者の範疇に地方公務員というものも入っているわけでしょう。これは学説の上では争いないですね。ありますか、ありませんか。
○林説明員 地方公務員も勤労者の中に入ることは当然のことであります。学説でも、この点は争いがないと思います。
○山本(政)委員 そうすると、いまさっき申し上げた裁判の判例を申し上げるまでもなく、地方公務員法三十七条、地方公営企業労働関係法十一条の争議行為の禁止規定、この辺についても私は実は多少考えてもいいような感じがするわけなんです。もちろん、かといって、その自治体の首長の解釈といいますか、あるいは裁量権といいますか、その範囲内に属するだろうとは思いますよ。思いますけれども、しかし、いま申し上げたような判例とかなんとかいうものを考え合わしてみると、一律に全員を処断をするというあり方が正しいかどうかというのが、いま問われているのじゃないだろうか、という感じがするわけです。そして私は、少なくとも宮崎県、あるいは福岡県も入れていいかもわかりません。宮崎県や福岡県を除く、以外の県のそういう責任者の人たちは、その処分についてかなり理解をしてきているのじゃないだろうか。 つまり、処分の方法について、一律に処分をすべきではないというふうに、つまり判例というものを考え合わせれば、世の中の移り変わりというものを考え合わせながらやっていかなければならぬというふうに変わってきているのじゃないだろうか、こう私は思うのですよ。その辺、一体どういうふうに自治省はお考えになっておるのか。それから労働省はどういうふうにお考えになっておるのか、この点をひとつ石黒さんからでけっこうでございますから……。
○林説明員 先ほども御質問にありましたように、地方公務員も勤労者であることは争いのないところでございますが、同時に、公務員ということで全体の奉仕者という位置づけも憲法上なされております。それから、諸権利というものはやはり公共の福祉による制約を受けるという点も憲法上に明記してございますし、地方公務員法の三十七条その他、争議行為禁止条項は合憲であるということも最高裁は判断しております。ただ、それとの均衡の関係でいろいろな説が現在ございまして、最高裁の四・二判決以後、佐賀地裁、東京地裁のような下級審判決においては、行政処分についての判断がなされておりますが、これも下級審の一致した意見ではございませんので、これと反対に、たとえば五分といえども勤務時間に食い込む争議行為は違法であるという判断をしている下級審もある。こういった点で行政庁処分に対してはまだ裁判所の見解は必ずしも統一されておらないようでございます。 当方の主張といたしましては、もちろん合理的な労使関係を樹立することについては常々気を配っておりますけれども、この勤務時間に食い込む争議行為云々ということについては、従来政府がとり、自治省がとってきた考え方を踏襲しておりまして、これはやはり三十七条に違反する行為であるから、これに参加すべきではないという態度で、なお指導を続けております。 地方では現実におっしゃいますとおり、なお昨年の統一行動に対する処分がおくれておりまして、なされていないところも相当多いわけでございますが、これを全部決着をつけて、もう以後しないんだという形になっているところはまだ少なくて、これに関する労使の話し合い、あるいは団体内部での検討というものを続けておるというのが実情でございます。
○石黒説明員 地方公務員の争議行為並びにそれに対する処分につきまして、私のほうからとかく論評する筋合いではございませんが、労働問題の一環として考えております場合に、法律によって禁止された争議行為をするということは、非常に好ましくない。万一そういう違法の争議行為が行なわれた場合には、法に照らした処分もなされるということは、やむを得ないことであるというふうに考えてあります。しかしながら、その処分につきましては、もちろん恣意的なものであってはならない。公正妥当なものである必要があるというふうに考えております。
○山本(政)委員 宮崎県の懲戒処分の特徴というのは、参加者全員に対して戒告処分が出ているのが特徴ですね。これは自治省御存じだろうと思います。そうすると、全員に昇給延伸をするということになりますね、戒告処分を受けた場合。そうすると、意識的にそういうことをやっていく、そうすると労働者のほうはまた反発をしていく。ぼくは意識的にそういう戒告処分をしていく態度というものは正しい態度じゃないと思うのですけれども、それを三回、四回繰り返してごらんなさい。現実に三回も四回もやられている連中がおるわけですね。そうすると、この人は一年間結局昇給しないのと同じことになりますよ。それがもう一つ逆に反発を招いてくる、こういうことになってくる。けさも私は申し上げたのですけれども、法律というのはやはりそれを用いる人の運用、法は運用する人によるのですよ。何かここに出ている異常な、労働大臣に言わせると何か奇異な感をするような、私はこう考えてみると、神武発祥の地というそういう古さというものが宮崎県に残っているのかという感じがする。そういう封建性というものが、つまり時代の動きというものに対して依然として古いことを守るという性格というものが、宮崎に依然として停滞しているんじゃないか。そしてそれをしり押ししているのがあなたのお考えじゃないかという感じがするのです。重ねて申し上げけれども、法というものを運用するのは人間なんですよ。ことさらに労使の対立というものをあおり立てるような指導というものが、自治体の責任ある人たちの態度だろうかどうだろうか、その点はどうなんです。
○林説明員 確かに法規で禁示しております争議行為というものを行ない、これに対する処分をやり、また反発して行なう、処分をするという繰り返しというものは、その間の労使間の正常な関係を維持する上には妨げになる形になる。これは私も全く同感でございます。できればこういうことをしたくない、できれば法規にもとる争議行為をしていただきたくないと、これは常に考えておるところでありまして、そのために常に組合との接触をよくし融和をはかるように、これは全国的に指導しておりますが、残念ながらいまだに法規にもとる争議行為というものがあとを断たないという現状でございます。現実に起こってしまったものについては、常々そういうことを起こすなと言っておりますが、起こしてしまった者に対しては厳格な態度をとれということでございますので、厳格な態度一本やりで労使間の対立をあおるような指導ばかりしているわけではございません。できればそういうことのないように常々話し合いを深め、接触を深める事を推奨しております。
○山本(政)委員 それでは申し上げましょう。昭和四十四年十一月十三日の統一行動で、宮崎県児湯郡川南町通山小学校で、集会に参加した教職員に対して教育委員会が、四十五年三月末の定期人事異動で全員を転勤させておる。私は、全員を転勤させることがこれまた異常であるかないかという問題ですけれども、このことについてあなたの御意見をちょっとお伺いしたいのですが、全員を教育委員会が転勤をさせた、そういう事実があったのです。これは異常であるかないか、あるいは奇異の感をお持ちになるかならないか。
○林説明員 そのことについては私は存じませんので、たとえば参加した教員の数が全体のうちの何分の一であったか。たとえば十分の一であったとすれば、たまたま通常の異動をやった場合に全部のるという場合もあるでしょうし、それが数が多い場合に全員を動かしたということがありましても、それが参加したゆえをもってということであれば、これはまさに異常だと存じますが、人事異動につきましては別の基準があり、それにのっとって行なった、それがたまたま一致したということはこれはある程度やむを得ないのじゃないかというふうに考えます。
○山本(政)委員 教育委員会の配転の理由で、組合員が統一行動に参加したということに対して追放しろ、追放配転を強く主張して全員を転勤さしたということです。労働大臣、奇異な感じをお持ちになりませんか、そういうことで。
○田村国務大臣 どうも私は、この件は全然存じませんので何とも言いようがありませんが、当然の異動であったのか、あるいはそういういまおっしゃるようなことであったのか、何とも言いようがございません。ございませんが、おっしゃるようなことであれば好ましいことではございませんでしょうし、また異動せしめる理由がおっしゃるようなことでない、当然の異動でありますならば当然のことだ、実はこの程度しか私としては申し上げようがないわけです。
○山本(政)委員 その教員たちは実は住民からつるし上げを受けた。この場合はPTAのTはないのですが、しかし住民の気持ちがある場合はそうあったかもわからない、神武発祥の地ですから。つるし上げを受けて、その人たちが教育委員会にかけ合って参加した組合員の追放を強く主張、そうして全員が四十五年三月の定期人事異動で転勤になった。隣の町に波及しているのですよ。つまり相談をして、そうして徹底的に弾圧をしろ、こういう考えが私はあったような気がするわけですね。その証拠に四十六年七月十五日、その翌年です。都農町の南小学校で、同じく統一行動に参加した教職員が半日間監禁されているのですよ。かりに授業時間に食い込んだということがけしからぬというのだったら、半日間監禁することはそれ以上の授業時間に食い込むことになるでしょう、理屈から言えば。そうでしょう。十分間授業時間に食い込んだ、それがけしからぬということで半日間監禁するのだったら、十分以上の時間が授業に参加しないという、結果的にはそうなっているわけですよ。そういう事実もあるわけですよ。そのことに対して何らとがめを受けておらぬわけですね。
○林説明員 いま御指摘の事実は全く初耳でございますが、監禁されたというなら一体だれが、どういうふうに、どういう形で監禁したのか、私のほうは全く聞いておりません。
○橋本(龍)委員長代理 山本委員に申し上げますが、すでに理事会で打ち合わせの時間を、山本委員一時間という話が一時間三十分余になっております。できるだけ簡潔にお願いいたします。
○山本(政)委員 できるだけ簡潔にしますが、もう少しわかりやすく御答弁をいただければすぐにでもやめますが、依然としてその前から、福岡以来——別に恨みを持っているわけでありませんが、あなたの態度というのは一貫して頑迷固陋だから言っておるだけの話で、宮崎県西臼杵郡日之影町、ここで町の職員組合がたびたび処分されておる。そしてその職員が地方労働委員会に提訴している。ところが、町の当局が徹底して組合委員長に対して個人攻撃をやっている。地労委の審問に参加する人に対していやがらせをやっているわけですよ。これだってあたりまえの考えからいえばおかしいでしょう。もし自分たちが正しいと町の当局がお思いになるのだったら、なぜそういう審問に参加する人に対していやがらせをやるのだ。堂々と審問に応じるようにしたらいいじゃないか。そして理非曲直を明らかにするのがほんとうだろう。しかし、委員長に対しては個人の中傷をやっている、審問に参加する人たちに対しては参加しないようにいやがらせをやっているという事実がある。あなたの場合は、私がこういうことを指摘すると、それは聞いておらない、これは聞いておらないと言う。いま町名を申し上げましたが、それは事実をきちんと調べて私に知らせてもらいたいと思うんですよ。
○林説明員 まさにお説のとおりと存じます。自分のほうが正しいと思えば審問に堂々と参加して争えばよろしいということは全く同感でございます。いま日之影町とおっしゃいましたので、直ちに調べるようにいたします。
○山本(政)委員 もう一つ都城、まさしくあなたのを言われるように統一行動で、ここでは組合運動を押えている事実がまさに明瞭になっていることは、統一行動に参加した給食センターの調理員を、住民が要するに就労をはばんでいるんですよ。就労をはばんで作業場に入れなかった。その結果逆に給食作業がおくれてしまっている、給食時間が非常におくれてしまったという事実があるのです。そうなってきたら、これは正当なノーマルな労使関係にならぬでしょう。それも調べていただけますか。
○林説明員 ただいまのお話ですと、住民が就労を拒否したということでございますから、市の当局がやったことではなくて住民がやったということでございますが、いずれにせよ事実口は調べます。ただ、統一行動に参加したということですが、統一行動が時間内に食い込む、法律で禁止する行為であった場合にはこれに対する批判があっても私は当然だと思います。
○山本(政)委員 つまり、就労をはばまれたときに市当局が一体どういうふうに——拱手傍観をしているかということですよ。給食時間がおくれるとか、あるいは授業時間に対してそれほどやかましいんだったら、授業時間に参加しようとしたときにそれを受け入れればいいだろうし、給食作業に従事しようとすればそれを受け入れる体制をとればいい。それを浜手傍観をしている市当局の態度が私はわからぬというのですよ。それも調べていただきたい。 環衛局長おいでですか——ちょっとお伺いしますけれども、清掃業務とか保育所関係——ではないでしょうけれども、しかしともかくも清掃業務とかその他の業務というものを民間に下請させるということが本来的なあり方なのか。私はそうでないように承っているんですよ。その点どうでしょう。
○浦田説明員 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の第四条、第六条では、一般廃棄物の処理に関する市町村の義務及び権限が定められておりまして、ことに一項、二項を読みますと、一般廃棄物の処理に関する仕事は市町村の責任において行なう、その運営は市町村の責務であるという考え方でございまして、これを実際に事業を遂行するという場合について考えますと、本来は市町村がみずからの職員の手によってこのサービスを遂行するというふうに考えております。しかしながら、一般的に広くこの問題を考えました場合に、必ずしも全域にわたりまして市町村がみずからの職員によって遂行するということができない場合もございます。そのような場合には委託という方式を定めまして、しかしながらその場合におきましても市町村の責任でこれを遂行する、こう考えております。また業者に請け負わせる、業者にやらせるという事実もございますが、これはいままでの清掃事業のあり方、歴史的な経緯を見ますと、民間の業者の果たした役割りというものも無視しがたい点でございます。また市町村の実態に応じましては、急激にその地域が増大するとかあるいは人口の移動等もございまして、業者にやらせるという事態もあるわけでございます。これらにつきましては、厳密に制限をしているわけでございます。
○山本(政)委員 委員長から時間のことをたびたび言われますので、はしょりたいと思うのですけれども、堀之内都城市長という人は六月の議会でも、清掃事業あるいは保育所を民営に切りかえるということを盛んに言っているんですよ。そして市職員がストライキに参加するならば保育所や清掃業務は民間に全部下請させる。いまの話は、後段は別としても、本来のあり方は市が直営するということがあたりまえだ、こう答弁したように私は承っております。簡単にこういうことが言える市長の神経というものは、私はやはりおかしいのじゃないかと思うのです。そして、これは市議会だけではないんです。ほかのところに行っても言っているんですよ。参考資料もある。ほかのところでもちゃんと言っている。ですからそういう人たちの考えは、一体地方自治がどういうものかということをわきまえているのかどうかと私は思うんですね。自治省はそういう態度が正しいというふうに理解をしているのかどうか。私は、そういうところから必要以上のトラブルが起こってきているのだと思うんですよ。 もう一つは、四十七年六月の県議会で武内という議員が質問したのに対して、地労委が答弁をしているのです。これはドライヤー報告についての見解を示しているのです。「苦情ないし申立の処理の遅延は、そのこと自体で最も有害である。苦情を有する労働者の不正義の感情はますます深まり、これが本人の同僚労働者に拡がってゆく。時間の経つにつれて、事実は不明瞭となる傾向を帯び、その立場と態度はますます硬直し、敵対してくる。対立点を調停しようという積極性と能力は減退し、比較的些細な紛争として出発したかに思われる問題も、味方と敵をもったひとつの事件になり始める。不満足な苦情処理手続きは、より大きな緊張と猜疑を創り出すひとつの要因となってくる。」こういうふうにいっているんですよ。 それで、宮崎県下の市町村の公平委員会というものがあります。公平委員会関係の係争事件の願末書があるんですが、驚いたことに、公平委員会に提訴して三年もたって何の音さたもないという市町村が九つもあるんです。これは公平委員会の機能を一体持っているのかどうだろうか、あるいは公平委員会の能力があるのかどうかということがたいへん疑問になってくるわけですね。ドライヤー報告、私が読んだのは二一七六号「苦情ないし申立の処理の遅延は、そのこと自体で最も有害である。」こういうふうになっている。そして二一八〇号、そのための委員会の構成までここにちゃんと指摘しているんです。私、写してきたんですけれども、しかしそれが現実にやられていない。——その赤いしるしのついたところだけがやられて、あとは全然やられていないんです。そんなことで一体きちんとした、要するに合理的な労使関係というものが行なわれるかどうかという問題ですよ。あなた方、これは一度だって指導したことがありますか。公平委員会とかなんとかいうことについて、どういうふうな問題が起きているのか、そしてどういうふうになっているのか。こんなことがあるから、実際に必要以上に解決がつかない。問題がよりこじれてくるという問題が出てくると思うんですよ。もう少しあなた方も、綱紀厳正だということを主張なさるのもいいけれども、しかしその反面に、合理的な労使関係をつくるということをちょっとは考えたらどうかと私は思うんですよ。時間がないから、私はもう一ぺんあらためてお伺いしようと思うんですよ、たっぷり時間をいただいて。しかしそういう考え方は、全く労使関係というものを悪化させる以外の何ものでもないでしょう。その点どうお考えですか。
○林説明員 合理的な労使関係の樹立ということは、御指摘を待つまでもなく日々それに気を配って指導しているつもりでございます。しかし法に反する行為については厳正な立場をとれということ、これは公務員の綱紀粛正の上からも必要でございますし、これについてもあわせてあわせてといいますか、これについても指導を行なっている次第でございます。 それから公平委員会の審理の促進については全く同感でございまして、小さな紛争というものを早く解決してやれば、それで何でもなく済む、それが時間がたつにつれていろいろ反目の度合いを強めるということは、ドライヤーも指摘しているとおりあると思います。私どもの公務員二課というところで公平委員会の審理の促進を常々機会あるごとに進めておりますが、現実には現地のいろいろな事情によって審理が思うように進んでいないという現実はあると思います。これはまた機会あるごとにさらに促進をし、公平委員会の審理を早く完全な解決をもたらすようにさらに指導をしてまいりたいと思います。
○山本(政)委員 最後の質問です。地労委に出席する場合に、各市町村ただの一度も市長の出席が地労委に対してないのです。しかも共通して出席する意思がないということを、これはみごとに統一した意思だと思いますけれども、そう言っている。しかもそれが最初は助役が出席する、その次に人事担当課長が出席する、ひどいところでは人事係長が補佐人として出席する、あとは委任された弁護士、これが代理人として出席をしておる、当事者はだれも出席をしないという事実がある。全部ですよ。そういうところで労使関係ができますか。つまり綱紀だけは、統一行動に参加した者についてだけは一斉に処分をする。あなた方が正しいと思うのだったら、なぜ地労委に首長が出席しないのだろうか。自分は出席しないで助役を出す。しまいには助役が出席しないで、人事担当課長が出る。人事係長が出ていく。そうして全部が弁護士が代理人として出るという、そんなばかなことがすべてですよ。全部ですよ。一件じゃないんですよ。そういうことが正しいやり方だろうか、どうだろうか。そういう統一した意思というものが正しいだろうかどうだろうか、これは労政局長にお伺いしたほうがいいと思う。
○石黒説明員 労働委員会の手続の場合に、一般の民間の場合では会社が多いわけでございます。この場合必ず社長が出てくると申しますと、必ずしも社長ではない。しかしながら責任のある労務担当重役というものはぜひ出てもらいたいものであるし、大体出ております。それからまれに弁護士にまかせっぱなしというのがございますが、こういう場合には審理がうまく進まないで非常に難航するので、そういう第三者にまかせっぱなしという形は好ましくないと思います。
○山本(政)委員 以上お聞きのようなんです。ですから、きちんと一ぺん調べて私に知らしてください、どういうふうになっているのか。その結果によって私はもう一ぺん、今度は時間を十分いただいて質問させていただきたいと思います。 きょうは、これで終わります。
○橋本(龍)委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時二十四分散会