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69回国会衆議院1972/10/11

決算委員会 第4号

発言数
153
登壇者
25
会派数
4
開催日
1972/10/11

会議録

笹山茂太郎自由民主党

○笹山委員長 これより会議を開きます。  昭和四十五年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、まず運輸省所管及び日本国有鉄道について審査を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。吉田賢一君。

吉田賢一民社党

○吉田(賢)委員 第一に、交通遺児に関して総理府、文部省並びに警察庁に対しまして若干質疑をいたします。  近来の交通事故の激しい状況にかんがみまして、特に最近目立って悲惨な事実として交通遺児の問題が大きくクローズアップしてまいりました。交通遺児につきましては、すでに総理府においても詳細にその影響下にある遺児並びに家庭の生活の状況等お調べになってはおりますが、しかし、まだまだこの問題は掘り下げていくべき多大の分野を残しておる大きな社会的課題であると考えております。  つきましては、交通遺児の一応の数字はこちらも持っておりますけれども、数字的な最近の概況、それをまずひとつ簡単に説明していただきたい。時間の関係もありまするから、要点だけでけっこうです。

須藤博忠内閣総理大臣官房交通安全対策室長

○須藤説明員 お答え申し上げます。昭和四十六年五月現在、私のほうで行ないました交通遺児の調査結果によりますと、全国の国立、公立及び私立の乳児院、保育所、幼稚園、小学校、中学校、高等学校そのほか特殊教育諸学校に在籍する交通遺児の総数は六万三百六十六人という数字が出ております。これには未就学児童及び高等学校に進学しない者は含まれておりませんので、この人数を推計いたしますと、約六千人程度がこの六万三百六十六人の数字からは漏れておるのではないかというふうに考えております。  これらの遺児についての生活状態を見ますと、母子家庭が約九〇%、要保護世帯が八・二%、要保護世帯が、二九・一%というような数字になっております。  さらに、本年二月に入りまして、これらの遺児及び保護者について追跡調査を行なったわけでございますが、その結果、保護者を失ったことによる学業成績への影響については、特に成績が低下したという状況は認められませんでしたが、性格につきましては、一割程度が多少の変化を来たしておるということが出ておるわけでございます。これらの実態につきましては、関係省庁に十分連絡いたしまして、遺児の援護対策については遺漏のないように要望いたしておる次第でございます。

吉田賢一民社党

○吉田(賢)委員 母子家庭が九割、つまり保護者が母である場合が九割を占めておる。この六万余の交通遺児につきましては、いろいろな面から問題が起こっておるだろう、こう思うのであります。第一、この失った父は、職業といたしましては労働者とか独立の企業者とか、その辺はどうであったのか。  それから交通遺児の健康の状態ですね。事故後何らか健康に影響があったかどうかの点、これが一番根本的な大事な問題であろうと思うのですが、これはいかがでございましょう。

須藤博忠内閣総理大臣官房交通安全対策室長

○須藤説明員 交通事故でなくなられた保護者の方の職業については、特に調査をいたしておりません。  それから健康の問題でございますが、健康につきましては、特別にほかの児童と比べてどうこうという数字はただいまのところ出ておりません。

吉田賢一民社党

○吉田(賢)委員 私は保護者の職業を聞くのじゃなしに、失った父の職業を聞くのであります。これは家計その他生計に与える影響が大きいのですから、失った父はどういう階層に属する人であったか。

須藤博忠内閣総理大臣官房交通安全対策室長

○須藤説明員 失った保護者につきまして、職業を特別に調査はいたしておらなかったわけでございます。

吉田賢一民社党

○吉田(賢)委員 これはある資料には出ておったと思うのですが、詳細には知る必要はございませんけれども、大体、たとえば相当生計に苦しんでおる家庭の保護者たる父を失ったのと、それから生活にゆとりがあるし、社会的地位もあるし、その他の収入源も相当持っておるような家庭、それはまた経済的には影響が格段の違いがあるのでありますから、この点については相当資料が出ていると思うのですけれども、これはなんでしたらお調べになっている範囲でよろしいから、詳細にこの職業の種類を書く必要はございませんから、階層だけまた別に文書をもって委員会に出しておいてください。  それから健康につきましては、健康に与えている影響はなかったかどうか、これは重大なことでございます。やはり父である保護者を失った家庭、母のみの家庭が九割もあるといたしますと、何らかの影響があるのではないであろうかということは一応綿密に調べる必要もあったのじゃないであろうか。しからざれば、遺児対策はなかなか立たぬのではないだろうか、こう考えるのですが、どうですか。

須藤博忠内閣総理大臣官房交通安全対策室長

○須藤説明員 私どもの昨年度から行ないました調査では、実は交通事故で失った父親等の職業等は調査をいたしておりませんので、この点は御了承をお願いしたいと思います。  それから健康その他の面でございますが、健康そのものは特にどうという数字は出ておりませんが、体位について多少の面があるという数字になっております。

吉田賢一民社党

○吉田(賢)委員 母子家庭における、ことに児童の父親を失った場合の心理的影響というものは相当あるのが普通でございます。したがいまして、これらにつきましてもやはり相当注意をして見守っていく必要があるのではないだろうか。  それから初等学校における就学の実情でございますが、これは文部省も来ておりますのでそれなりにつかんでおるところもあると思うのですが、就学しております児童、これが学業に影響しておるかどうか。したがって、相当心理的な、さみしいとかあるいは悲しいとかいったようなことから仲間、友だちなどに対して何となく孤立感を催さすようなこともあるのではないだろうか。こういうようなことが学校におきましては顕著に目立ってくることがあるのかないのか。これも大事な問題である、こう考えるのですが、そこらについて御調査ができておりましょうかどうか。なければ、文部省において観察しておることが相当あると思いますので、この点をひとつはっきりしておいてもらいたい。  先般、昨年末でありましたか、伝えられるところによりますと、全国交通遺児何とかの岡嶋さんとかいうお世話をしておる方が、交通遺児の手紙を収録いたしまして、全国数万の小中学校図書館に寄贈したという事実が伝わっておりましたが、こういうようなことにつきましても、切々と語る父なき遺児の訴えというものは、これは一つの文学的な悲しみまで伝えておるというふうに聞くのですが、必ずこれは学業の上に影響しておると思います。したがいまして、文部省におきましてこの点につきまして何らか観察しておられる点があろうと思うのですが、いかがでございましょう。

須藤博忠内閣総理大臣官房交通安全対策室長

○須藤説明員 先ほど申し上げましたように、保護者を失ったことによる学業成績等への、そういった面への影響は、特に父親を失ったということで成績が低下をしたという結果は、私どもの調査の結果では出ておりません。ただ、性格といったものにつきましては、ある程度あるいは情緒が多少従来とは変わってきたというような面、一割程度の者が変化を来たしておる、それからそれ以外に、たとえば交通安全の面については、保護者を失ったことによって従来よりもそういう面の意識が高まってきたというような結果が出ております。  私どもの調査の結果は大体以上のとおりでございます。

遠藤丞文部省大学学術局学生課長

○遠藤説明員 たいへん恐縮でございますが、私どもの大学学術局では、大学生、高校生を含めまして、奨学援助と申しますか、そういった観点から、経済事情の悪いために能力がありながら高校や大学に進学ができない者に対しては奨学金を貸与するといった援助を行なうという観点からのある程度の資料は持ってございますけれども、直接交通遺児の学業成績との関係につきましては特に資料を持っておりませんので、御了承願いたいと思います。

吉田賢一民社党

○吉田(賢)委員 学生課長さん、こんなことを言うと釈迦に説法でありまするけれども、少なくとも児童の情緒が乱れるというようなことは人生のたいへんな不幸のきっかけになるおそれがございます。ことに全国的に御承知のとおりたくさんな非行少年もできておりまするし、また青少年にしまして価値判断を失うということが非行にあらざる多くの不幸を家庭自身に生んでおることも御承知のとおりであります。したがいまして、そのような影響があるかもしれぬ。ことに総理府においては一部でもありというふうな判断になっておるのでございまするから、教育に与える影響はどうか、したがって、これを教育をする者が、指導する教師の立場からいたしましてもこさいに観察をするということが必要ではないだろうか、そうしてもし何らかそこに教育上の対策が必要であるとするならば、それぞれと学校教育上考慮すべき課題として取り上げていくのが必要でないか、こう思うのでありますが、文部省といたしましても初等教育の重要性にかんがみまして、これらの点につきまして何名どこの小中学校にどのような生徒が在籍しておるかということをお調べの上、そしていまのような課題に対しましては交通遺児対策の一環といたしまして教育上の課題としてお取り上げになる、こういったおつもりでひとつ御調査になってはいかがです。大臣にお伝えを願いたいと思うのですが、この点はいかがでございましょうか。

遠藤丞文部省大学学術局学生課長

○遠藤説明員 担当の局のほうに伝えるとともに、大臣にも御意見のございましたことを十分伝えたいと思います。

吉田賢一民社党

○吉田(賢)委員 総理府におかれましても、交通遺児対策につきましては、これは保健の観点から、もしくは生活厚生の観点から、教育の観点から、あるいはその他治安等の観点から、行政的にも相当広範に各省庁と横の連絡をとりながら交通遺児対策を立てる必要があるということをお考えになりませんでしょうか。そういう総合的な施策の結果、初めて私は交通遺児対策というものが具体的な権威のあるものになるのではないだろうか、こういうふうに思われるのですが、その点はいかがでしょう。

須藤博忠内閣総理大臣官房交通安全対策室長

○須藤説明員 ただいまの御質問の件についてお答えいたします。  実は今度の交通遺児の調査につきましても、警察庁、文部省、厚生省、それから各都道府県あるいは学校の教師の方々の非常な御協力を得ましてこういう調査を行なったわけでございます。私どもといたしましても、こういった面の対策につきましては、従来とも関係省庁に対策を講ずる面につきましては絶えず連絡をとり、対策をお願いしてきたところでございますが、今後ともできるだけの努力は払ってまいりたいというふうに考えております。

吉田賢一民社党

○吉田(賢)委員 政務次官に御依頼しておきますが、交通安全の課題は運輸省の大きな問題であることは申すまでもございません。安全上の一つの問題といたしまして交通遺児の問題がいま俎上にのぼっております。申すまでもございませんけれども、昨年は児童憲章二十周年の年でございましたし、大きく日本の厚生行政上児童福祉の問題がクローズアップした年でございますが、私は、運輸省の交通政策の立場から考えてみましても、この問題の取り組み方につきましては、これはもういろいろな面から、安全対策、被害対策、したがって被害対策の一環としましての交通遺児問題、こういうものも考えていかなければいけませんので、やはり大きな角度から広い意味におきまして、交通安全の角度からだけでも遺児問題は大きく取り上げていいんじゃないかと思うのです。総理府で御調査になっておるのでございましょうけれども、これは実施官庁でございませんので、実施官庁はそれぞれ手分けしてやらなければいけますまいと思いますけれども、運輸省におきましても運輸行政上の大きな課題として今後取り上げていってもらいたいと思うのですが、その点いかがでしょう。

加藤六月自由民主党運輸政務次官

○加藤(六)説明員 先般来、先生が交通遺児の問題についてのいろいろな配慮、特に情緒という問題にまで触れられましておっしゃったきめのこまかさ、愛情のあふれた交通遺児対策ということは、私たちといたしましてもぜひ推進していかなくてはならないことだと思います。運輸省といたしましては、総理府あるいは警察庁、文部省、厚生省筆とも十分に相談してやっていきたい、また、運輸省の場合には、安全基準の問題あるいは自動車そのものの安全性といった問題こういった問題については一段と規制を強化し、また各営業行為を行なっておる自動車関係の会社に対しましては、いままで以上に安全管理といったものを十分に徹底さしていかなくてはならない、こう考えておる次第でございまして、先生の御意見、非常にわれわれは高く評価し、また実現していかなくてはならない、このように思っておる次第でございます。

吉田賢一民社党

○吉田(賢)委員 なお総理府におきまして、この点についてひとつさらに大きな関心を喚起するようにしてもらいたいと思うのですが、高校への進学率はほとんど九〇%ぐらいあると思いますね。そこで、遺児なるがゆえに高校への進学を断念する、遺児なるがゆえにおかあさんの手伝いを、あれこれと家計の手伝い等をしなければならぬ、こういう面がございますので、これらの面につきましては、私は行政庁の仕事というよりも、もっと目を広げまして、国民的な協力を要請する何らかの形と何らかの方法を打ち出しまして、全国六万の遺児を一人残らず、それこそ追跡調査、総点検いたしまして、その人生がほんとうにしあわせに全うし得るような方法を何か打ち出す、ひとつ、このぐらいな角度から問題の取り組み方もしてもらいたいと思うのですが、その点は、まず調査で、実態把握が前提になりまするから、しかる上、行政庁としてしかるべく御方針をお立てになって、そして社会的に訴える、国民の協力を要請するというふうにして初めて実を結ぶものでないか。いま交通遺児と申しましても、おそらくは専門の一部の方以外には多くの方は知らぬかもわかりません、というのが実情でございますので、世の中にそんな暗い谷間があったのかということになりましたならば、私は福祉時代にふさわしい一つの大きな政策上の柱が立つのじゃないかとさえ考えるのでございますが、この点についてひとつ何か御意見を伺っておいて、別の機会にまたしたい、こう思いますが、いかがでしょう。

須藤博忠内閣総理大臣官房交通安全対策室長

○須藤説明員 御指摘の点につきましては、私どもさらにまた各省庁と十分な連絡をとりまして、また上司とも十分相談申し上げまして、遺児の対策というものに一そう力を入れてまいりたいというふうに考えております。

吉田賢一民社党

○吉田(賢)委員 警察庁にちょっと伺っておきますが、警察の段階といたしましては、遺児の問題に触れることは少しらち外かもしれませんが、しかし警察もそうかたくなにならずに、やはり交通事故があったら、事後対策はどうなっておるであろうか、その一目標といたしまして、児童はどうであろうかというようなことについて何らかの資料はとるぐらいなことは警察庁はできぬものであろうかどうか。もう警察の仕事は取り締まりで終わり、反則者処分で終わりというようなこと、もしくは今後の安全措置について警察行政を行なうということで済むのだというのではなしに、被害の結果について、その成り行きはどうであろうかということは、今後の諸般の対策に重要でございますので、一番なまなましい血のしたたる資料を持っておるのは警察でございますから、そういう方面から、やはり交通遺児問題につきましても多少何か手を触れて、そしてしかるべく行政庁の他のほうへ連絡もする、こういうふうにあってしかるべきではないかと思う。これはまあ私のほんの私見にすぎませんが、どうでございましょうね。

片岡誠警察庁交通局長

○片岡説明員 仰せのように、警察の仕事は事故の未然防止、これが中心でございます。しかしながら、事故がございました場合のその実態の究明、これも本来私どもの所管に属している仕事でございます。先生御指摘のように、本来それは厚生行政の問題でありあるいは文部行政の問題であろうと思いますけれども、御指摘がございましたように、事故の実態をよく知っておりますのは私どもでございますので、厚生なりあるいは文部行政、あるいはその総合的な総理府を中心といたしました調査に従前からも積極的に協力いたしておりましたが、今後ともそのような面でできるだけ協力して、遺児の実態の解明に努力いたしてまいりたいと思っております。

吉田賢一民社党

○吉田(賢)委員 行政管理庁見えておりますね。  ちょっと伺いますが、いまお聞き及びのとおりに、交通遺児問題は相当重要性がございます。そこで、あなたのほうの行政監察も、遺児の被害対策もしくはこれらにつきまして行政運営上どうあるかというようなことは、監察したようなことはございましょうか。もしくは、ないとしますならば、一般にこの交通問題につきまして、特に交通安全をめぐりましての各般の行政行為の監察上の一環としまして、この問題はお取り上げになってどうかと思うのですが、いかがでございましょうね。

近藤輝彦行政管理庁行政監察局監察官

○近藤説明員 いままで交通事故につきまして何回か監察を実施しておりますけれども、被害者、特に児童につきまして深く究明したことはございません。今後こういうことを考えております。被害の量を算出いたしまして、その被害の量と各省庁の行なっております事故対策との関係はどうなのかというようなことを今後監察として取り上げたいと考えておりますが、特に先生が従来御指摘になっておりますこまかい点につきましても、今後十分配慮して監察をやっていきたいと考えております。

吉田賢一民社党

○吉田(賢)委員 今後の施策の成否いかんは、私は一面はこの行政の総合性の発揮という点に重点があるのではないか、こう考えております。いまの交通遺児問題につきましても、各省庁の協力によって、具体的な実態調査、追跡調査ができたらしいのでありますが、その対策を立てる上におきましても、同じく各省庁にかなり大きな関連分野がございますので、こういった機会に総合行政が行なわれて、従来の単なる事務的な連絡というよりも、ある政策を立案する、これを実行するという上におきまして、お互い任務はどうだろうか、お互いの所管からくる監察意見はどうであろうかというようなことが、常時かなり綿密につながっていくようにする、総合行政の実をあげるということを一つの例におとりになってしかるべきじゃないか、こう思うのですが、行政管理庁がかねてしばしば白書に出しておりまする総合行政の観点からいたしまして、好個の課題のように考えるのですが、この点ひとつ、できますれば、ほかの省にとも思いますけれども、きょうは、いまのところ時間の関係もありますから、一応行政管理庁、何かその点についてお考えがありましたらおっしゃっていただきたいのですが……。

近藤輝彦行政管理庁行政監察局監察官

○近藤説明員 現在私どもの監察官の特定の者を充てまして、総合的な立場からいかに交通事故対策を進めていくべきかということを検討しておりまして、その結果を待ちまして、今後総合的な視野からの施策のあり方ということについては十分研究していきたいと考えております。

吉田賢一民社党

○吉田(賢)委員 第二は交通安全問題でございますが、広範な課題を内包しておりまするので、時間の関係もありまするから、ちょっとその一面だけをきょうはお尋ねすることにとどめておきたい、こう思うのであります。  交通安全の問題は、私はやはり交通問題の最大の課題と考えております。一体何でこんなにひんぱんに交通戦争といわれるほど深刻な交通事故が起こるのであろうか、どうすればいいのであろうか。これは交通安全を推進する施策に関する計画など、六十八国会にもお出しになったものがございますし、科学技術庁その他、科学的検討もあらゆる方面からせられておるようでございますが、一体この交通安全というのは、これは単に、ある方法でずばりとこれによって解決する、安全が達成されるという問題ではないと思います。かなり副次的な多数の要因が相競合いたしまして、そして安全の目的に到達し得ると思うのでございまするが、最も大きな柱は何であろうか。もちろんそれは道路交通の場合は、道路環境の整備もありましょう、適正な運転者の指導教育もありましようし、あるいはまた人間がみずから注意して歩行することもありましょう等々幾多の条件もありましょうし、あるいは法律をよく守る、厳正に法を守っていくということに乏しいというような国民性の欠陥もないではありません。こういうふうにいろいろな原因が複合しておりまするけれども、交通安全ということはいつもいわれながら、ずいぶん研究されながら、何ぼでも事故はふえていくということですが、一体これはお手あげということになるんだろうか。この点とこの点をもっと力を入れて、そしてさっきの話じゃないけれども、あらゆる角度から安全目的への到達に向かって協力していく、こういうふうにせねばならぬ。そうなればだいじょうぶだ。私は、幾ら道を広げてたくさんの道ができても、これは交通安全の目的に必ずしも到達しないというふうにも思われますし、といって自動車を減らせというふうに簡単に言い切ることはできませんし、そういうこともいろいろございますが、安全問題につきまして一番大きな課題は一体何でしょうか。これはひとつどなたからでもよろしゅうございます、政務次官、あなたのお考えも一応なんでしたらお述べをいただいて、そして適当な方、どなたかひとつお述べ願えませんか。

加藤六月自由民主党運輸政務次官

○加藤(六)説明員 先生おっしゃいましたように、交通安全にはいろいろな方法、あるいはアプローチのしかたがあると思います。私たちが考えますのは、モータリゼーション、自動車化時代というのが急激にやってきた、したがいまして、いままでのいろいろな制度あるいは道路あるいは自動車そのもの、あるいはドライバーの心理、歩行者の心理、いろいろあると思いますけれども、今日一番大切なのは、こういう自動車化時代におけるところの新しい交通道徳の確立というものがもう最優先していくのではないかという考え方で、個々のいろいろなケースにつきましては、警察庁あるいは総理府のほうから答弁いたすと思いますが、私自身は、新しい自動車化時代における新しい交通道徳の確立ということが交通安全対策に最優先して確立さるべきものだ、このように考えております。

吉田賢一民社党

○吉田(賢)委員 なかなかむずかしい問題でございます。これはひとつ別の機会にいろんな角度から私の所見も述べましてお尋ねすることにいたしましょう。そこで私は、問題の一点だけお尋ねしておきましょう。  老人層の被害、それから幼児の被害がちょっと目立って増加しておる感じがいたします。すでに死亡者について見ましても、これは四十五年でございましたか、老人層は死亡者全体の二二・二%になっておりますね。幼児は、死者全体の八・一%になっておりますね。こういう数字でございますし、死者は四十五年は一万六千七百六十五人、四十六年は一万六千二百七十八人ですか、こういうことになっておるようでございますが、この老人の死、幼児の死ということにつきましては、一体どこに一番大きな反省が要るのであろうか。もちろんわれわれが経験的に考えましたならば、親の幼児に対する保護監督につきましても、相当反省を求めねばならぬ。その点につきましては、特に母親の厳重な反省が要るのではないだろうか。少しだらしないという感じさえ受けるのでございます。こういうこともありましょう。またそれぞれ施設の問題もありましょう。老人についてはどうかということになりましても、老人自身の注意も必要でしょうし、これは施設の問題運転者の問題等が相当大きな影響をいたしております。ことに道路によりましては、国道でガードレールの必要と見られるようなところにないとかいうこともございまして、あぶなくてとても歩けない道路を歩くということもわれわれは経験するのであります。こういうことでございますので、この老人層、児童層の交通被害の増、これにつきまして何らか安全対策上特段の配慮が行政上必要でないか、こう思うのですが、この点はいかがでしょうか。これもだれからでもひとつ答弁してもらえませんか。

須藤博忠内閣総理大臣官房交通安全対策室長

○須藤説明員 ただいま御質問ございましたように、確かにいわゆる交通戦争におきましては、幼児とそれから老人の被害が多いということは事実でございます。言ってみますれば、幼児及び老人というような層は、交通戦争における一番の弱者であるということが言えるわけでございます。そういうようなことでございまして、私どもといたしましても、交通安全対策、幼児及びお年寄りの事故防止という問題に重点を注いでいる次第でございます。  幼児の問題についてまず申し上げますと、日本の子供の事故の状況を見てまいりますと、小学校へ上がるようになってから、いわゆる義務教育を受けるようになってからは事故が減ってまいるわけでございます。もちろんこれは学校にいる間に交通戦争から隔離されているとか、あるいは学校において交通安全教育を受けておるというような結果と思われるわけでございます。しかしながら学校ヘ上がる前のいわゆる未就学児童の事故がわが国は非常に多い。外国に比べてもパーセンテージが非常に高いわけでございまして、私どもそういう面で何とか対策を打たねばならないというふうに考えまして、実は昨年から交通安全対策基本法に基づく中央交通安全対策会議に専門委員という制度がございますが、この専門委員という制度を活用いたしまして、幼児関係の専門家をわずらわしまして、そしてことしの四月までいろいろな幼児の事故防止対策というものを出していただいたわけでございます。これに基づきまして、幼児の事故防止対策というものを、現在各方面にまたがってはおりますが、関係省庁の協力を得まして推進をしておるところでございます。特に幼児の事故につきましては、やはり物的な設備だけでは十分でない、子供は衝動的に飛び出すというような事故が非常に多いということ、あるいは土曜、日曜に非常に事故が多いというようなこと、もちろん遊び場その他の物的施設を完備するということも大事でございますが、それと同時に母親というものが十分わが子の交通安全に関心を持って注意していただくということも大事でございます。そういったようなことから、さらに私どものほうは、そういう専門委員の御意見に基づきまして、関係省庁と十分横に連絡をとりながら、今後母親向けのそういう交通安全のテキストをつくろうというようなことで、現在そういう作業を進めておるような段階でございます。  それからお年寄りの問題でございますが、確かにお年寄りの事故が多いことも事実でございます。これにつきましても厚生省とも御協力を願い、また私どものほうといたしましても、特に秋の全国交通安全運動におきましては、子供とお年寄りを守るということを重点に実施しておりますし、今後またそういう安全運動期間中その他を問わず、できるだけ老人の方に働きかけて、老人の事故防止に役立つような施策を今後ともさらに推進してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。

吉田賢一民社党

○吉田(賢)委員 交通安全五カ年計画の実施施策のうちの一部といたしまして、「就学前児童に対する交通安全指導の充実」という一項がございますが、これは一種の社会教育的な角度からも観察し得るのでございますが、私はこのような問題の扱いは、単にたとえばある市役所が、ある町が、町の広報、市の広報で紙で知らしていくというようなこと、あるいは単なる指導者が少し講習的なお話をするというようなこと、そんなような中途はんぱなことではとてもこれはいくまいと思います。やはり一つの大きなキャンペーンを起こすというぐらいにいたしまして、社会教育的な角度から、お互いに母性は就学前の児童、幼児を交通危害から守るということに厳とした姿勢で臨まねばいくまい、こう思います。私どもは小さい車に乗りまして、あっちこっちへ回っておりますときに、三歳、四歳ないしは五歳ぐらいの子供がひょろひょろ出てくるようなことがどんなにあぶないか、これはもうしょっちゅう経験するところでございます。そして道ばたで立ったりすわったりしておるのを親は知らぬ顔して見ておる、こういうようなことをずいぶんと見るのでございます。でありまするが、学校に行きますと、小学校の学習要領等にもあるようでございまするし、それぞれ一つのものの判断もつく年齢に達するのですけれども、その以前の問題はどうしてももっと積極的に手を打ってもらわねばいくまいと思うのであります。でありまするから、社会教育は、単にそこで簡単にお話しするとか、何か紙を配るというようなことでは、これは徹底いたしませんので、いかに危険が迫っておるかというようなことをほんとうに理解させて、そしてわがこととして母親たちが、また父親もともに、また子のない近所も協力して、町内も一緒に力を合わせて児童を守る、こういうことにしていかねばならないと私は思うのです。そういうふうなことをするためには、これはやはり地方公共団体とも手を携えていくということ、それからまた学校から、学校に限らず社会教育の関係もありまするから、それぞれ専門家にも委嘱もしましょうし、それぞれの経費も必要でございましょうが、ともかく全国から就学前の児童もしくは一般に児童の交通危害を絶滅さす。交通無事故デーというものがございますけれども、デーデーで何かマンネリズムになってしまって、もう一つぴんときません。そしてだんだんとふえていくような傾向でございますので、そうではなしに、私はしゃんとした姿勢で取り組んでいくということがぜひ必要ではないか、こう思うのでございます。これは行政庁だけにまかすという筋ではありません。国民が協力せねばいけません。みずからのこととせねばいけません。そういうことでございますので、何も行政庁にしなさいしなさいと言うてできると思っておりませんが、いずれにしても、もっと何か花火を打ち上げねばいけません。花火を打ち上げるということにしてはいかがですか。私はほんとう言うなら、昨年あの児童憲章二十周年のときに、児童を交通の危害から守るためには大きく全国的な運動でもあったならとちょっとひそかに考えたことさえ実はあったのでございます。しかしいまからでもおそくありません。福祉時代に入るのですから、やはり児童を守ってもらいたい、老人を守ってもらいたい。老人が自転車にひょろひょろ乗って、むち打ちなんかやって、ひっくり返って足も腰も打って、骨をこわしておるという例が無数にあります。そんなのを見ます。老人ですから、精力というか生理的に弱いから、若い者のようになおりません。こういうことでございますので、特にこの点につきましては、五カ年計画の内容を充実するか、それとももっと具体的に大きく手を広げてやるか、絶滅の運動を起こすというふうにして、この汚名を払拭するということにしたらどうでしょうね。これも提案のようでございますけれども、御提言します。政務次官、一度あなたは大臣とも御相談になって、老人と児童がこんなにやたらに被害死亡者がふえていくということは、ほんとうに日本の恥さらしです。これは絶対に絶滅を期して進んでいくということでないと、安全国策なんてそんなものは絵にかいたもちでございます。どうでしょうね、ひとつ大臣とも相談してください。

加藤六月自由民主党運輸政務次官

○加藤(六)説明員 交通安全で老人と子供を絶対に守らなくてはならないということは、先生のおっしゃるとおりでございます。運輸大臣だけの力でこれが実現できるとは思いませんけれども、大臣が帰られましたら、いま先生のおっしゃいました趣旨をよくお伝えいたしまして、閣議なりあるいは交通関係閣僚協議会等においても大臣に強くその点を主張していただくように、またこの席へきょう来ておられます総理府の交通安全対策室長あるいは警察庁の交通局長さん、その他いろいろ文部省、行管、自治省の皆さん方等とも相談して、どうしても子供と年寄りを交通事故から守るということがある面では国民福祉に一番大切なことでもあるし、またある面ではそういった事故を完全に撲滅することが、話は飛躍しますけれども、世界で尊敬される日本というのは事故のない日本がほんとうに尊敬されるのではないか、こうも考えておりますので、先生の御意見をよくお伝えしておきます。

吉田賢一民社党

○吉田(賢)委員 中小の都市における公営バスの問題を、これもきょうはくぎ刺しだけにいたしまするが、一応お尋ねしたい、こう思うのでございます。  とかくバス問題は、民営にしろ公営にいたしましても財政難におちいっているということはよくわかるのでございます。そこで、まず伺いたいことは、赤字対策の一環といたしまして、従来もずいぶんと大きな累積赤字があるのはいずれもでございまして、例外なくそういうふうになっておりますし、といって経常の実態は、どんなに合理化いたしましても、いまの実情から見まするというと、中小都市は財政力その他貧弱な経営状態であるし、過疎にもつながっておりまするので、したがって、収益増ということは容易に見込まれませんし、あるいはワンマンカーにいたしましても、いたずらに時間を食っていくだろうし、さりとて自家用車がどんどんふえていく時代でございまするし、なかなか経常の収益を上げるような収益源が拡大する見通しは立ちません、どこから考えましても。でございまするが、しかしそうかといって各都市が、専門家に聞いてみても、そんならどうしたら解決するかということは、財政的観点からして解決の手はなかなか出てきません。そこで、自治省に伺うのでございますが、自治省の観点からいたしましても、今後各地方公共団体があらゆる国策の要請から財政需要がだんだんふえてまいる実情にありますことは申すまでもありません。そういう際でございまするが、特に公営企業のうち、公営バスの赤字は大きいウエートを占めております。自治省の観点からいたしまして、財政的にどういうふうにすればいいであろうかというようなことを、何らかこの際積極的に手を打っていかねばいくまいじゃないであろうか、こういうふうに考えております。これも時間の関係がありますので、私の所見を詳細に述べることはやめますが、結論的にその点を承っておきたい、こう思うのです。

森岡敞自治大臣官房審議官

○森岡説明員 御指摘のように、大都市、中小都市を問わず、公営バスはたいへん赤字を出しております。まあ率直に申しまして、破滅に近いような状況になっております。しかし、やはり市民、町村民の足は確保しなければならぬわけでございますので、私どもといたしましては、この際思い切った措置を講じて再建をはかりたいと考えております。いままでも公営企業の財政再建を一部の市町村で行なってまいりましたけれども、率直に申して十分な成果をあげ得ておりません。ただ、収支悪化の原因は、企業内部の理由と企業外部の理由双方あるわけでございまして、企業内部の理由といたしましては、何と申しましても経営の合理化をさらに徹底する。ただいまのお話では、限度があるではないかということでございました。もちろん、一定の限度はあろうと思いますけれども、しかし省力化でありますとかワンマン化あるいは経費の節減ということはぜひなお進めていかなければならぬと思います。同時に、料金の問題がございます。人件費はベースアップによって毎年上がってまいります。やはり料金の適正化というものも適時適切に行なうということがなければ収支は当然破綻することはもう火を見るよりも明らかでございます。企業内部の問題といたしまして、経営の合理化のほかに、料金の適正化というものもタイムリーに行なうという姿勢はやはり私どもとっていかなければならぬと思います。  それから企業外部の要因といたしましては、御案内のように、モーターリゼーシヨンの進展によりまして路面が混雑いたしまして、定時性をもった運行ができません。それで信頼を失って利用者が激減していくという悪循環を繰り返しているわけでございます。  そこで、それぞれの理由に即した再建対策を考えていかなければならぬと思っております。現在私どもの大臣の諮問機関に公営交通問題研究会というものを設けまして、いろいろ御検討を願っておりまして、十月末に御報告を得ることになっております。私どもは、大筋といたしまして、四十七年度末までの、いままでの不良債務というものを四十八年度からたな上げをするという措置、これは思い切った措置でございますが、講じなければならぬと思います。と同時に、今後は赤字を生じないために、先ほど来申し上げてまいりましたように、経営の合理化なり料金の適正化の推進というものを考えてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。  それから、中小都市ではございませんが、大都市では基幹交通がだんだん地下鉄というものに移ってまいっております。そこで、地下鉄に対する公共負担と申しますか、国や地方公共団体の助成を大幅に拡充してまいりたい。それによって資本費の負担の緩和をはかってまいるという措置を講じたい、かように考えております。  最後に、何と申しましても、バスが利用者の信頼を得て健全な運営をはかっていきますためには、交通面における大量公共交通機関の優先通行と申しますか、そういう措置を都市計画ともかみ合わせまして推進しなければならぬと思います。よく言われます優先レーン、専用レーンというふうなものも拡充いたす必要があると思います。あるいはターミナルの整備とかバスベイの設置とかいった各般の都市交通上の必要な施策を思い切って推進して企業環境を整える、そういうふうなこともあわせて推進していきたい、かように考えておるわけでございます。

吉田賢一民社党

○吉田(賢)委員 諮問委員会におきまして十月末に答申が出るようでございますが、おそらくそれはあると思いますけれども、私は、従来から、あらゆる交通事業に対するいわゆる合理化という問題は、何が合理化かというようなことにつきましてできるだけ具体性のある方法を指摘する、明示するということが必要である、こう思っておるのでございます。でありますので、単に抽象的な形容詞のようなことになりますと、合理化過程におきましていろいろな問題が発生いたしまするので、何が合理性ある経営の実情であるか、どの点に浪費があるか、どういうことをすることによってもっと科学性を発揮してサービスを向上せしむるのであるかという、物心両面から科学性を織り込みましたいろいろな角度から、合理性とは何ぞや、合理化とは何ぞやということをできるだけ明示することが必要でないか、こう考えますので、その点専門家のお集まりですから抜かりないと思いますけれども、特にひとつ希望を申し上げておきたい、こう思います。  それから、いまの中小都市につきましては、時間もございませんのでこの程度にとどめておきますが、民営バスの点につきまして一点また伺いたいのでございます。民営バスもまた実に財政的に困難な立場におちいっております。これにつきましても公営バスと類似の面がございますが、とりわけ民営バスにおきましては過疎地帯などを相当に抱いておるものもございまするので、一そうそれ自体の赤字要因は大きい、こう思います。そういうことでいろいろと業者からは対策、要望などがなされておりますが政府の立場といたしまして、民営バスはどうあればいいだろうかということを、これまた主として財政の見地とそれから国民生活に必要な足である交通機関である、こういう二面から考えましてどうすればいいだろうか。といって現状は、資力さえありましたならば、いなかのバス会社でも宅地造成などをやって幾らかかせいでいく、こういうことによって赤字埋めをやるようなことにもなるのかもしれませんけれども、これとても普通は別会社でやっておりますから、そう簡単にはいきませんが、結論的にバス自体といたしましてどうすればいいのだろうか。いまの点について何か対策はずばりとあるのでしょうかどうか。これを伺っておきたいのであります。

小林正興運輸省自動車局長

○小林説明員 先生御指摘のとおり、公営といわず民営といわず、現在バス事業は非常に経営難におちいっております。その理由、原因等については、公営、民営の差はないと思いますが、ただいま先生御指摘の、特に過疎地域を多くかかえているいわゆる過疎バスについては、その経営の困難さがより一そう激しいのは当然なことだと思います。従来からこの過疎バスについては欠損の一部を補助するという制度を設けてきたわけでございますが、最近は、いわゆる過疎地域ということにかかわらず、むしろ地方バス全体に同じような現象が出てきておるわけでございます。これは単に人口の流出ということでなくて、マイカーの進出というものが一番大きな原因だろうと思います。  そこで、運輸省といたしましては、自治省あるいは大蔵省と協議をいたしまして、四十七年度から新しい地方バス対策というようなものを樹立したわけでございます。簡単に申し上げますと、それぞれの地域につきまして都道府県知事が重点的に生活路線を整備していくという方式をとるわけでございます。そして重点的にどうしても最後の足として残さなければならない路線につきましては手厚い補助をやるということで、新しい制度を考えております。その際、地元市町村の御援助とともに、国及び県がそれぞれ応分の補助を出すという制度にいたしております。その際に、ただいま抜本的な対策としてお話がございましたが、基本的にはバス企業の体質というものをもう少し強化しなければならないというようなことで、主として企業基盤を強化するという観点から、各地域におきますバス企業を集約の方向に持っていきたい。そうした企業基盤を強化したバス企業について、バスそれ自体では今後収益性をあげていくということはむずかしいかと思うわけでございますが、そういった乗り合いバスの基盤の上に貸し切りバスであるとか、そのほか各地各地におきます考えられる観光事業等の開発というようなものもあわせて担当さしていくというようなことを考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、需給の構造というものが相当変わってきておるわけでございます。そういった点から、今後の地方の乗り合いバスというものをいかなる形でどうやって維持さしていくかということは、御指摘のとおり非常にむずかしい問題でございます。現状においては、先ほど申し上げましたような各地域におきますバス企業というものの企業基盤を強化していき、その上に最低の、公共性の最も強い乗り合いバスというようなものを維持さしていきたいと考えておるわけでございます。

吉田賢一民社党

○吉田(賢)委員 問題はたくさんございますが、ちょっとこの機会にひとつ希望的な意見を申し上げておきたいと思うのでございます。これは実は交通安全にもつながってまいりますが、民営といわずあるいは公営といわず、バスの客が雨の降る中をかさをさして路傍でじっと待つということは、これはたいへんにつらいことでございますので、この点につきましては、国の一つの負担くらいのつもりで、適当な個所に路傍のバスの待合所を、いま簡単なシートのようなものがございまするから、至るところに設置して、雨の降るときでもかさを持っておらぬでもいい、これは一つは安全につながる、そして時間の節約にもなるのでございますが、いろいろな面からいたしまして、小さな簡素なものを総点検いたしまして設置するということが必要でないか、こう思うのであります。実務者からもそんなことを私聞きまして、話し合って、現に多少やっているような市もあります。そういう点、すでに着手しておられるかと思うのでありますけれども、これは全国的に考えてもいいのじゃないかと思いますが、その点はどうでしょうか。

小林正興運輸省自動車局長

○小林説明員 バス事業の運営のむしろサービスの面かと思うわけでございますが、現在私どもが考えておりますのは、バス自体が従来の道路をできるだけ利用して今日に至っているわけで、そういったためにとかく交通機関としてわかりやすいあるいは乗りやすい、また信頼されやすいものになかなかなりにくい状況になってきておるわけであります。この点は道路の構造の問題もございましょうし、また駅前広場等、そういった場所のターミナル施設の問題もございましょうし、あるいはただいま御指摘の個々の停留所の施設というようなものも、従来のような状態ではなかなか利用されにくい、これがバスから利用肴を遠のけていくという一つの原因にもなっておるかと思うわけでございます。  そこで、そういったバス施設というようなものを今後整備していく、たとえば御指摘のような屋根つきの停留所というようなものを考えるのも一つの方法かと思います。そういった点につきまして現在対策を種々検討いたしておるわけでありますが、現状におきましては、何分にも経営の実態が非常に悪うございまして、こういった点については目下検討の緒についたばかりでございますので、今後若干時日はかかると思いますが、御指摘の方向で整備してまいりたいと思います。

吉田賢一民社党

○吉田(賢)委員 民営鉄道でございますけれども、これは問題がたくさんございますが、きょう一点だけ伺うことにしておきます。  中小の民営鉄道、つまり中小私鉄の場合に、私はかねて主張しておりましたのですが、踏切の不完全なために事故が続発するということがまだあとを断たぬのです。総点検を全国的になさったはずでありますが、これにつきまして、地方自治体やらその他関係地域の住民なりにももっと注意を喚起いたしまして、認識を深めまして、そして踏切の改良補助金などの制度もあるし、法律もあるし、六分の五は国と地方公共団体で負担する、経費を出すという方法もあるのでございますから、交通被害をなくするという角度から、踏切を全国的にさらにもう一ぺんシラミつぶしに点検してみたらどうか。もう従来なさって済んだところはよろしゅうございますが、落ちたところをさらに点検してはどうかと思うのであります。実は民営鉄道、私鉄につきましてはだいぶ問題があるのですけれども、時間の関係がありますので、委員長、私はこれも保留させていただきまして、いまのただ一点だけこの機会に伺っておきたいのです。

秋富公正運輸省鉄道監督局長

○秋富説明員 御指摘のように、踏切事故、これは鉄道の事故の中でも大きなものでございまして、社会的にも重大な問題でございまして、昭和三十六年に踏切道改良促進法を制定いたしまして、これを五年おきに更新いたしまして、さらにこれを昨年改定いたしまして五十一年まで延ばしておるわけでございます。この結果、全国的に見ますと、いわゆる踏切の整備改良というものは飛躍的に行なわれてきている現状でございまして、第四種踏切あたりは六万四千ございましたのが、すでに二万八千あたりに、半分以下に下がっているという現状でございます。  なお、個々の踏切につきましては、その指定ということをいたしまして、これは総理府の交通安全対策室を中心にいたしまして、建設省あるいは自治省、警察庁、運輸省と、いろいろと関係機関でいたしておりますが、その際に、その踏切の指定をいたしますとともに、踏切道の整備統合ということにつきましても関係各省と打ち合わして、これを促進して総合的に踏切の対策を講じていく、こういう現状でございます。

吉田賢一民社党

○吉田(賢)委員 実は海上保安庁、行政管理庁にいろいろ御質問したいことがございますけれども、お約束の時間も参っておりますので、本日はこの程度で保留さしていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。保安庁、行政管理庁、どうも相すみませんでした。御迷惑をかけました。

笹山茂太郎自由民主党

○笹山委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後零時十一分休憩      ————◇—————    午後一時二十三分開議

笹山茂太郎自由民主党

○笹山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  これより厚生省所管、医療金融公庫及び環境衛生金融公庫について審査を行ないます。  まず、厚生政務次官から概要説明を求めます。増岡厚生政務次官。

増岡博之自由民主党厚生政務次官

○増岡説明員 昭和四十五年度厚生省所管一般会計及び特別会計の決算について御説明申し上げます。  まず、一般会計の歳出決算について、予算現額一兆一千三百七十億八千三百十四万日余に対して、支出済み歳出額一兆一千二百二億四千十一万円余、翌年度繰り越し額二十七億五千六百二十七万円余、不用額四十億八千五百七十五万円余で決算を結了いたしました。  以上が一般会計決算の大要であります。  次に、特別会計の大要について申し上げますと、厚生省には五特別会計が設置されております。  まず、第一は、厚生保険特別会計の決算でありますが、健康、日雇健康、年金及び業務の四勘定あわせて申し上げますと、一般会計から八百億四千六百五十八万円余を繰り入れました。その決算額は、収納済み歳入額一兆九千百八十三億八千九百五十九万円余、支出済み歳出額一兆四百八十二億六千五十万円余でありまして、差し引き八千七百一億二千九百八万円余の剰余を生じましたので、これをこの会計の積み立て金として積み立てることとして、決算を結了いたしました。  第二は、国民年金特別会計の決算でありますが、国民年金、福祉年金及び業務の三勘定あわせて申し上げますと、一般会計から一千三百九十三億二千十四万円を繰り入れました。その決算額は、収納済み歳入額三千八百六十五億三千二十四万円余、支出済み歳出額二千百十八億七千三百四十四万円余、翌年度繰り越し額三十七億六千百五十八万円余でありまして、差し引き一千七百八億九千五百二十一万円余の剰余を生じましたので、これをこの会計の積立金として積み立てたほか、翌年度の歳入に繰り入れて、決算を結了いたしました。  第三は、船員保険特別会計の決算であります。  船員保険特別会計につきましては、一般会計から二十七億二千百三十四万日余を繰り入れました。その決算額は、収納済み歳入額五百三十四億四千五百五十八万円余、支出済み歳出額三百四億六千七百六十万円余、翌年度繰り越し額一億八千二百五十三万円余でありまして、差し引き二百十七億九千五百四十四万円余の剰余を生じましたので、これをこの会計の積立金として積み立てることとして、決算を結了いたしました。  第四は、国立病院特別会計の決算でありますが、病院及び療養所の、一勘定あわせて申し上げますと、一般会計から三百六十二億七千三百二十一万円を繰り入れました。その決算額は、収納済み歳入額一千二百十三億九千八百四十一万円余、支出済み歳出額一千二百三億三百八十五万円余、翌年度繰り越し額四億一千四百二十八万円でありまして、差し引き六億八千二十八万円余の剰余を生じましたので、これをこの会計の積み立て金として積み立てることとして、決算を結了いたしました。  第五は、あへん特別会計の決算であります。  あへん特別会計の決算額は、収納済み歳入額十億三千六百十四万円余、支出済み歳出額二億三千七百三十三万円余でありまして、差し引き七億九千八百八十一万円余の剰余を生じましたので、これをこの会計の翌年度の歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。  以上が、厚生省所管に属する昭和四十五年度一般会計及び特別会計の歳入歳出決算の大要であります。  最後に、昭和四十五年度の決算検査報告において掲記されております事項については、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、まことに遺憾にたえないところであります。指摘を受けました件については、直ちに是正措置を講じましたが、今後なお一そう厳正な態度をもってこれが絶滅を期する所存であります。  以上をもちまして、厚生省所管に属する一般会計及び特別会計の決算の御説明を終わりますが、何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

笹山茂太郎自由民主党

○笹山委員長 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めます。桜木検査院第三局長。

桜木拳一会計検査院事務総局第三局長

○桜木会計検査院説明員 昭和四十五年度厚生省の決算につきまして、検査いたしました結果の概要を説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項が四件でございます。  一〇号及び一一号の二件は、健康保険及び厚生年金保険並びに船員保険保険料の徴収に関するもので、いずれも保険料算定の基礎となる報酬月額の把握が適確に行なわれなかったなどのため保険料の徴収が不足していたものでございます。  一二号及び一三号は簡易水道事業の実施にあたり、工事の施行が不良となっていたり、出来高が不足したりしていて国庫補助金の経理が当を得ないと認められるものでございます。  なお、以上のほか、昭和四四年度決算検査報告に掲記いたしましたように、四十四年度検査の進行に伴い、  (1)簡易水道事業における管路布設工事費の積算について、  (2)児童福祉法による保護等に要する費用について、  それぞれ是正改善の処置を要求いたしましたが、これに対する厚生省の処置状況についても掲記いたしました。  以上簡単でございますが、説明を終ります。

笹山茂太郎自由民主党

○笹山委員長 次に、医療金融公庫及び環境衛生金融公庫、両当局より資金計画、事業計画等について説明を求めます。山本医療金融公庫総裁。

山本正淑医療金融公庫総裁

○山本説明員 医療金融公庫の昭和四十五年度の業務概況について御説明申し上げます。  昭和四十五年度の貸付計画額は、貸付契約額三百五十億円、貸付資金交付額三百三十五億円を予定し、その原資としては、資金運用部資金の借入金二百九十億円、貸付回収金のうち四十五億円、計三百三十五億円を充てることといたしました。  この計画額に対する実績は、貸付契約額三百五十億円、貸付資金交付額三百三十四億円でありまして、これを前年度と比較いたしますと、貸付契約額で九・四パーセント、貸付資金交付額で七・七パーセントの増となりました。  この貸付契約額の内訳は、設備資金三百四十六億円、長期運転資金四億円であり、また、貸付資金交付額の内訳は、設備資金三百三十億円、長期運転資金四億円であります。貸付残高は、前年度末一千二百九十一億円でありましたが、昭和四十五年度中に三百五十億円の貸付けを行ない、百二十一億円を回収いたしましたので、当期末においては一千五百二十一億円となっております。  次に決算状況について申し上げます。  昭和四十五年度の損益計算上の総収益は百四億六千八百四十一万円余、総損失は百三億五千三百七十七万円余でございまして、差し引き一億一千四百六十三万円余の償却前利益を生じましたが、大蔵大臣の定めるところにより、固定資産減価償却引当金へ七百十三万円余、滞貸償却引当金へ一億七百五十万円余を繰り入れましたので、結局、国庫に納付すべき利益金は生じなかったのでございます。  以上で昭和四十五年度の業務の概況につきましての説明を終わります。何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

笹山茂太郎自由民主党

○笹山委員長 次に大山環境衛生金融公庫理事長。

大山正環境衛生金融公庫理事長

○大山説明員 環境衛生金融公庫の昭和四十五年度の業務の概況につきまして御説明申し上げます。  昭和四十五年度の貸付金の事業計画は六百三十億円の予定でありました。これに対しまして貸付実績は、資金需要が順調でありましたので、ほぼ予定どおりの六百三十億円余であります。  次に貸付残高について御説明申し上げます。  昭和四十四年末における貸付残高は九百四十七億一千万円余でありましたが、昭和四十五年度における貸付金六百三十億円余が加わり、一方、貸付回収金が二百九十億二千万円余がありましたので、差し引き一千二百八十六億九千万円余の貸付残高となっております。  次に、昭和四十五年度の収入支出決算について御説明いたします。  昭和四十五年度における収入済み額は九十九億七千万円余、支出済み額は九十四億八千万円余でありまして、収入が支出を上回ること四億八千万円余となっております。  まず、収入の部におきましては、本年度の収入済額は九十九億七千万円余でありまして、これを収入予算額百二億三千万円余に比較いたしますと、二億六千万円余の減少となっております。この減少いたしましたおもな理由は、貸付金利息収入が予定より少なかったためであります。  次に、支出の部におきましては、本年度の支出予算現額百一億二千万円余に対し、支出済み額は九十四億八千万円余でありまして、差し引き六億三千万円余の差額が生じましたが、これは借入金利息等が予定より減少したためであります。  最後に、昭和四十五年度における損益について申し述べますと、本年度の総利益百十億六千万円余に対し、総損失は百六億円余でありまして、差し引き四億六千万円余の償却引当金繰入前利益をあげましたが、これを全額滞貸償却引当金及び固定資産減価償却引当金に繰り入れましたため、国庫に納入すべき利益はありませんでした。  以上が昭和四十五年度における環境衛生金融公庫の業務の概況であります。何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

笹山茂太郎自由民主党

○笹山委員長 これにて説明聴取を終わります。     —————————————

笹山茂太郎自由民主党

○笹山委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西宮委員。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 ちょうどだだいま予算編成の時期にも当たっておりますので、私は主として四十八年度の予算編成の状況等について、現在の厚生省の考え方、こういうことをお尋ねをしたいと思うわけです。  そこで、まず第一に、四十八年度の予算編成、あるいは大蔵省との事務的折衝が行なわれていると思いますが、まず第一にその概略について、どなたでもけっこうでございますから、政府のほうから御説明をお願いいたしたいと思います。

増岡博之自由民主党厚生政務次官

○増岡説明員 お尋ねの四十八年度の予算要求でございますけれども、厚生省におきましては、将来は老齢化社会といわれております、現在でも老齢人口が相当ふえてまいっておりますので、特に老後生活の保障ということから、年金制度を中心といたしまして老人福祉対策の充実をはかってまいりたいというふうに思うわけでございます。  さらに、日本じゅうでいろいろ難病その他で悩んでおられる方がございますので、その難病対策等、国民の健康を増進するための施策を講じたい。さらには、私どもの生活に密着いたしております廃棄物の処理施設の整備というようなものを中心といたしまして、総額二兆七百五十一億円、対前年比一三〇%プラスの要求をいたしておるところでございます。  そのおもな内容は、先ほど申しましたような年金、特に老齢福祉年金の改善につきましては、四十七年度の倍近い予算額になっておるところでございます。さらに、老人医療無料化の問題は来年の一月からスタートいたしますので、来年度が二年度に当たりますから、四十七年度の予算に比べまして八倍ぐらいの規模になる予定でございますし、難病対策につきましても、予算額の総額が約二百五十億円でございまして、四十七年度が八十五億円でございますから、約三倍程度の規模を考えております。さらに、健康増進のための健康増進センターというものにつきましても、四十七年度の四倍に当たります約四億八千万円程度のものを要求いたしておるところでございます。さらに、廃棄物の処理施設の計画につきましても、総額が百五十二億円でございまして、対前年度比約倍近い数字を要求いたしておるところでございます。そういうところが来年度の重点的な項目でございます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 前に厚生省の方針として、これは四十五年、六年当時ですか、その当時の厚生大臣のいわゆる重点事項というのは、老人対策と児童手当、さらに国民健康保険の抜本的な改善だ、こういうことを繰り返し言っておったわけです。そうすると、そういう意味で同じようなとらえ方をすると、来年の重点は、老人問題、老人問題というのは年金ですね、年金と難病対策と廃棄物の処理、こういうふうに考えてよろしいのですか。

増岡博之自由民主党厚生政務次官

○増岡説明員 従来から考えておりますものは、もちろんそれをやめるというわけのものではございませんので、やはり重点項目でございますけれども、さらに飛躍いたしたものと新しい考え方のものとを申し上げたわけでございます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 厚生省の予算、いまもちろん要求の段階でありますが、要求の段階では大体三〇%増というような形で要求をしているというふうに私ども聞いているわけです。私の手元に持っております資料によると、総額二兆七百四十八億という数字で、さっき言われたのと若干下のほうの数字が違うようですが、まあ大体において違いがないと思います。  こういう数字は前年に比べて大体三〇%近い増だということになりますが、しかしその中身は、いわゆる当然増に属するものが相当多い。たとえば児童手当にしてもそうだし、老人医療の経費もそうだし、そういう意味で当然増に属するものが相当多い。こういうことでむしろその当然増の圧迫を受けて、その他の経費、特に施設の措置費などの伸び率がたいへん急激にダウンしている、こういうふうに見られるわけですが、その点はどうですか。局長でもけっこうです。

木暮保成厚生大臣官房会計課長

○木暮説明員 来年度の予算は、ただいま先生の御指摘ございましたように三〇%増でございます。三〇%の額は四千七百九十二億に当たるわけでございますが、その中で自然増と考えられますものが三千億程度ございます。その自然増の中には、来年の一月からスタートいたします老人医療の平年度化等がございます。自然増と申しましても、そういう政策的な色合いの強いものもあるわけでございますが、その他のワクをもちまして各事項につきまして所要の改善を盛り込めたというふうに考えております。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 事務的に少し伺いますが、三千億が当然増だということになると、千七百九十二億がいわば政策的な増だということになるわけです。その政策に属する部面ですが、それは前の四十七年度の予算編成の時期に比べると、どういう比較になりますか。

木暮保成厚生大臣官房会計課長

○木暮説明員 四十七年度の計数、ただいま手元にございませんので、すぐ調べまして御説明申し上げます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 それでは、材料がなければそれを待つほかないのですけれども、とにかくたいへん大幅な増に見えるけれども、来年度の増加分四千七百億円のうちの三千億が当然増だということになると、大半が当然増に食われてしまう。したがって、ほんとうに政策的に実行しようという部面がきわめて狭められてしまうということがたいへんな問題だと思います。しかも政策増とはいいながら、物価の騰貴その他によって、その意味においては当然ふやさざるを得ない経費が、言うまでもなくそのうちの非常に大きな部分を占めているということが言えると思います。ですから文字どおり政策的に実行するという経費は、私にはそのこまかい分析はできませんけれども、何といっても非常に限られたものになってしまう、こういうことが一番大きな問題ではなかろうかと思うわけです。もし会計課長が、いまのように物価の騰貴その他でやむを得ず改定せざるを得ない経費三千億を除いた千七百九十二億の中で、ほんとうに純粋な意味で政策的な予算というのはどの程度あるかということがわかるならば、教えていただきたいと思います。

木暮保成厚生大臣官房会計課長

○木暮説明員 主要なものにつきまして御説明を申し上げますと、福祉年金でございますが、福祉年金につきましては来年度三百十一億の改善を予定いたしております。これは四十七年度も改善をいたしまして、その改善の内容は若干違うわけでございますけれども、三百十一億が福祉年金の改善に使用されておるわけでございます。それから老人医療につきましては、先ほど申し上げましたように来年の一月からスタートするわけでございますが、来年度はさらにこれに加えまして寝たきり老人の医療費を見るということで、七億九千万を計上いたしております。それから難病対策でございますが、難病対策につきましては、来年度二百五十一億を予定いたしておるわけでございますが、本年度これに相当します経費は八十五億でございますので、百六十六億を増額要求いたしておる次第でございます。それからごみ処理の関係でございますが、来年度は百五十二億を予定しておりますけれども、本年は八十二億でございまして、六十九億九千万の増を見ておるわけでございます。  主要事項はそういうことになりますが、各事項につきまして所要の改善をワク内で盛り込めたというふうに考えておる次第でございます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 私は先ほど、施設措置費等の伸びが急に落ちた、これは当然増に食われてしまって、措置費の伸びがとまってしまった、こういうことを指摘をしたわけですけれども、今後福祉予算として考えていかねばならぬ問題は、そういう施設の措置費というようなものにも相当な予算を計上しないと施設の経営が困難になり、あるいはまた収容されている人たちの処遇がきわめて劣悪な状況におちいるということは申すまでもないと思うのであります。その一つとして、たとえば施設について申しますると、いわゆる施設整備五カ年計画というのが進行中であるはずでありますが、ことしの、ことしといいますか来年ですね、来年の施設の運営費あるいは庁費、こういうものは今回もたいした改善が期待されないという状況にあるようであります。これは実際の支出から見ると非常に低い算定をして、基準を低く押えておる。こういう点でいわば実際の状況をほとんど無視しているというような状況があるわけですが、そういう点についての取り扱いはどうでしたか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤(威)説明員 施設の措置費につきましては、確かに伸び率等から見ますと、先生御指摘のとおり、四十八年度は四十七年度に比べますと伸び率が落ちております。これは要するに、四十七年度におきましては、先生からも以前にいろいろ御指摘を受け、御質問を受けましたけれども、施設の職員の処遇改善というのを大幅にやったわけでございます。その結果、施設職員の給与というものが国家公務員と大体同じになった、こういうことで、したがって、給与の大幅の引き上げという必要が一応なくなったわけでございます。もちろん地方公務員とのアンバランスというものはございますけれども、一応いまの地方公務員の給与というのは、これは地方公共団体によってそれぞれ区々でございます。それにまで合わせるということについては、国が八割持ちます措置費の性格からいたしまして、そこまではちょっとということで、私どもは目標としては国家公務員並みということで大蔵省に要求もいたしてまいりました。その結果、四十七年度非常に給与が伸びまして、大体国家公務員並みになったということでございます。したがって、今後は給与改善につきましては、要するに定期昇給財源、これは施設職員が四十七年度にも非常に強い要望をしたわけでございますが、それができる程度の財源を加えていくというようなことでしばらく推移を見たい、こういうぐあいに考えておるわけでございます。したがって、特に措置喪関係をおろそかにしたということではないわけでございます。その他、私どもは、四十八年度におきましては、むしろ人員の増という点にウエートを置いて考えたわけでございます。それから中に入っている収容者の処遇改善、そういうようなことを勘案して措置費の要求をつくったということでございまして、必ずしも措置費の点につきまして、これを非常に軽く考えているということではないわけでございます。  なお、施設整備五カ年計画につきましては、四十八年度は三年目に当たるわけでございますが、これにつきましても、いま非常に社会福祉施設の整備というものが国民的な、要望になっておりますので、老人福祉施設とそれから重度の身体障害者の施設に重点を置いて、四十八年度も整備をしていく予定にいたしております。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 定期昇給分について、四・四%の中に一・四%を定昇分として含めるかどうかということがだいぶ予算編成の当時には問題になったはずですけれども、そうすると、一・四%を定期昇給に充当するという問題は、もう全く定着をした、解決したというふうに見てよろしゅうございますか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤(威)説明員 実は先般も先生からの御質問があったと思いますけれども、その点につきましてはその際もお答え申し上げましたとおり、大蔵省としては、定期昇給財源というものを正面から認めるということは、これはほかのいろんな点に影響いたしますので、それは困るということで、定期昇給財源をやろうと思えばできる財源ということで、それは大体いま先生御指摘のとおり四・四%のうち一・四%でございますが、それに見合うもの、これは四十八年度も要求いたしております。大蔵省はまだそれを、最終的な予算折衝の段階になっておりませんので、認めるとも認めないとも言っておりませんけれども、われわれはあくまでも定期昇給ができる程度のものはぜひ確保するということで最後までがんばるつもりでおります。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 人件費については、たいへん人件費の問題を重点的に扱ったというお話でありますが、その点はそういう方向で努力をしているという点はわれわれも大いに多といたしますが、たとえば保育所等においては、長年勤続すると、要するに単価がきまっているわけですから、長年勤務してだんだん給料が上がっていくということになると、とうていその甲価ではまかない切れない。したがって昇給がストップしてしまうか、あるいはさもなければやめてもらうというようなことにならざるを得ない、こういうのが現在の現実ですね。たとえば保育所等においても、おそらくその後も改善されておらないと思うのだけれども、継続した勤続年数は三年を割っているわけですね。これは前の調査ですが、おそらくその後も大体大同小異だと思います。そういうことで勤続年数が非常に短い。つまり長く勤続すると、もうとても昇給には間に合わないから、もちろんそういう人にはやめてもらったほうがいい、こういうことを施設の経営者から暗に、言われる言われなくてもそういうことを感ずるから長く勤務しているわけにいかない、こういうことになってしまうというのが実態のようです。このことは職員にとってもきわめて不幸だし、あるいは同時に職員の扱っている収容者、ことにそれが児童等の場合は、与える影響がすこぶる大きいと思う。担当する職員が絶えずかわるというようなことは、被収容者にとっても非常に不幸なことだと思うのですが、そういうことが行なわれるというのは、要するにいまのように単価がきまってしまうという点にあると思うのですが、そういう点について何らかの改善策はありますか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤(威)説明員 個々の施設について見ますとその職員の年齢構成等によりまして、先生御指摘のように、給与の面、たとえは従業員のうち高年齢者が非常に多いというような施設については、確かにその給与の問題でいろいろ悩みがあるということも私ども承知をいたしております。そういうことで、実は四十七年度に入りまして、四・四%と先生先ほど御指摘のありましたのは、これは定期昇給をやり得る財源のほかに、民間施設との給与格差ということで四・四%の予算がついたわけでございますが、私どもは、それを配分する場合に、一率に配分するということをやめまして、高年齢者の多い施設、要するに平均勤続年数で三段階くらいに施設を分けまして、平均勤続年数の多い施設と中ぐらいの施設とそれから平均勤続年数の少ない施設と、こう三つのクラスに分けまして、大体三分の一ぐらいずつ分かれるわけでございますが、そういうことでその点を勘案いたしまして、四・四%の配分については、要するに高年齢者の多い施設については多目に配分するというようなこと、それから少ないところは一番少なくということで、大体五、四、三ぐらいの割合に割り振りいたしまして配分する、こういうような対策を講じたわけでございまして、今後も、そういった施設の個々それぞれ、一つ一つの施設に応じた措置費の配分ということはなかなかむずかしいと思いますけれども、なるべくその実態にできるだけ沿った形で措置費の配分を考えてまいりたいというぐあいに考えております。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 経営の実態は、新しい施設ができて大体三年ぐらいまでは黒字でいけるわけですよ。施設にもよりますから多少の違いはありましょうけれども、大体一年、二年、三年ぐらいまではりっぱに黒字でやっていける。ところが、四年、五年とたつうちに、どうしても勤続年数が長くなるわけですから、それ以降になると経常が赤字になってしまう。これが保育所等についてもまさに実態なんですね。私は、こういうことではたいへんに困ると思う、せっかくやって、しかも長く経営を継続して、それでりっぱな施設になっていくのでありますから。ところが、それが逆に長くなればなるほど赤字になってしまう。新しいうちだけは黒字でりっぱにやれる。こういうことは非常に矛盾だし、またさっき申し上げたように、三年も四年もたつと、いいかげんにかわってくれ、こういうことを職員等は感ぜざるを得ないような環境に置かれる。こういうことは私はどうしても見のがし得ないことだ。これは要するに措置費の単価が不十分だということにあると思うわけです。いまお話しのように、それを勤続年数の短いところ、あるいは長いところ、そういうところを区別をしながら予算の執行にあたる、こういういまのお話ですけれども、結局は総体的に措置費の額が足りない、そういうことからいま申し上げたような実態が生まれてくるので、公立の施設の場合は、その赤字の部分は要するに一般庁費と申しますか、別に独立会計でもありませんから、一般庁費から補てんするという、言い方は適当ではありませんけれども、とにかく一般会計からその分を支出しているということになって、その金がだんだん年々ふえていく。ところが民間のほうはそういうわけにはまいりませんから、さっき申し上げたような非常に望ましからざる事態が出てくる、こういうことになって、経営者もないしは職員も、同時にまた収容された子供たちもその被害を受ける、こういうことになるので、何とかしてその辺は安心して長年勤務ができ、安心して事業の経営ができる、こういう体制にしてほしいと思うのですけれども、それについての将来の見通し等はいかがですか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤(威)説明員 確かに先生御指摘のような点があろうと思います。総括的に申し上げると、措置費につきましては、これは現在の社会福祉施設職員の全体の構成、そういうものを勘案いたしまして、平均で出しておるわけでございます。したがいまして、トータルとしては、私は先ほども申し上げましたように、国家公務員のベースということから考えれば、一応の手当てはできている、不足はしていないというぐあいに考えております。しかし、個々の施設を見ますと、これは先生御指摘のとおり、高齢者の多い施設は非常に窮屈である、それから、できたばかりで、高校を卒業したような若い人たちを集めている施設は人件費が非常に楽である、こういうアンバランスがあろうと思います。要は配分の問題だろうと思います。これにつきまして私どもは、一方において、その配分のしかたをできるだけ簡素化してもらいたいという要望があり、一方においては、先生御指摘のように、しかし施設の実態に合わせた配分のしかたをしてもらいたいという要望もあるわけでございます。したがって、その配分の方法をどうするかという問題でございますので、確かに先生御指摘の点もございますし、私どもも、社会福祉施設の職員というものは練達の職員が多いということは望ましいという点はございますので、そういう点の配分の問題についてはさらに検討してまいりたいと思います。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 もう一つ、前にもお尋ねをしたことがありますけれども、社会福祉施設が金を借りて、金を貸す機関はちゃんとできているわけですね。ですから、そこから借りることはたやすいわけですが、今度償還する際に非常に苦労するということになるわけです。民間の企業等であれば、もうけた金で返すということですから簡単でございますが、福祉施設の場合にはそういうことができませんから、償還に非常に苦労する、こういうことになるわけであります。何とか措置費の中でこれを見るということができないだろうかということを、私は何回か指摘をしているわけですけれども、政府の答弁はそのつど、われわれも十分検討いたしましょう、こういう答弁を繰り返しておられるわけです。私は、社会福祉施設の場合は、この償還費を何かやはりそういうことで措置をしてやらないとたいへんに困るのじゃないかという気がするわけです。むろん民間の寄付等を仰いで、それによって借りた金を返す、返すほうはそれを期待しているのだと思います。もちろん民間の団体でありますから、そういう一般の市民の善意に期待をするという面があってけっこうだと思う。それはあってけっこうでありますが、何かもう少しこれを抜本的に改善をしないといけないのじゃないかと思う。  特に私がこのことを主張いたします理由は、最近往々にして新聞等に、社会福祉施設の不祥事のようなことが報道されるわけです。会計上の問題等でときどき新聞に出るわけであります。私は非常にそのことが残念だと思うのですが、そういう、借金をしてスタートしたまではよかったけれども、あとはその借金の返済に非常に苦しむということから、思わずいろいろ不祥事が起こるというようなことがあるのではないかというふうに想像いたしますので、もう一ぺん私はこの機会にこの問題を取り上げておきたいと思うのですが、それについてのお考えはいかがですか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤(威)説明員 民間の社会福祉施設をつくった場合に、相当多くの施設は、社会福祉事業振興会等、そういった社会福祉施設関係の金融機関から借金をして、あとは寄付金その他国庫補助もございますけれども、それで建てるという場合が圧倒的に多いわけでございます。問題は、その借金を返すのに非常に苦労がある、これも先生御指摘のとおりでございます。そういうことで、その借金を返す費用を措置費の中に入れたらどうかという御意見、これはもう社会福祉施設関係の非常に古くから議論されている問題でございます。それがいままでなお解決がついてないということは、それなりにいろいろ問題があるということでございます。先生もお詳しいことでございますので、一々ここで詳しくは申し述べませんけれども、とにかく全部それを措置費で返すということになると、全く素手でだれでも社会福祉施設というものができるということになるのが、はたして社会福祉施設としていいかどうかという問題もございます。やはり私どもは、相当貴重な国費を投じて社会福祉施設をやるという場合には、それが何か食いものになっては困るという気持ちが非常にあるわけでございます。いやしくも社会福祉施設をやるだけの人ば、少なくともある程度社会的信用があり、ある程度寄付金を集める能力もある、それからある程度の資産を集められて、それもつぎ込む、そういう人に社会福祉施設をやってもらうのがいいのではないかという意見もあるわけでございます。しかし、非常にまじめな社会福祉施設でも、先生御指摘のような点で非常に困っているということは現実でございますので、私どもといたしましては、社会福祉事業振興会がいま社会福祉施設関係に貸し付けをやっておりますが、その利子が五分一厘一毛でございます。それを三分に引き下げるという要求をことし来年度の予算要求として大蔵省に出しておるわけでございます。それを何とかがんばりまして、先生の御希望からいうと非常に微々たるものでございますけれども、しかし社会福祉施設関係者に少しでも負担を軽くしてもらうという意味から、その利子の引き下げを来年度ははかってまいりたい、こういうぐあいに考えておるわけでございます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 私もそのことを聞いておりまして、そのこと自体はたいへんけっこうだと思います。五分一厘一毛を三分の利子にする、こういうことで予算要求をしているという話でありますから、ぜひそれが実現されてほしいと私も願っておるわけですが、お話しのように私も、全部措置費で見て、社会福祉事業なるものがだれでも全く何の苦労もしないでできるのだ、そういうふうなものになるということが適当かどうかという点については議論のあることも確かにそのとおりだと思います。しかし、現在こういう物価騰貴の中で社会福祉施設は非常に経営に帯しんでいるということも、これまたまことに歴然たる事実でありまして、むろんそれはさっき申し上げたように、一般市民の善意に依存をして運営され経営さるべきでありますが、なかなかそういうことだけでは改善できないという問題が数多くありますので、いまの償還費を措置費で見る、こういう問題については、いまここで結論的なことを、それを引き受けたというような答弁はもらえないということは私も承知をしながらお尋ねをしたわけですから、さらに検討してもらいたいと思います。  さっき局長は、今度、従事する人員について重点的に取り上げた、こういうお話でありますが、それによって端的にいって八時間労働が実施できるか、あるいはまた労働基準法で定めている、たとえば休暇とか休業とか、そういう点がたくさんありますけれども、そういう点等も十分カバーできるかどうかということはいかがですか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤(威)説明員 施設職員の勤務条件の問題でございますが、現在半数以上の社会福祉施設が九時間労働になっております。それを八時間にしろという要望もあることは事実でございますが、社会福祉施設の特殊性ということからして、労働基準法でも社会福祉関係については九時間労働というものを認めておるわけでございます。したがって、それを全部八時間労働にするということについては、実態の問題としていろいろ問題もあろうか。しかしながら、やはり社会福祉施設職員が非常にオーバーワークになっているという事実もこれは否定できないところでございまして、私どもは、一応給与の問題がある程度片がついたら、今後はやはり労働条件というものをもう少し緩和すると申しますか、そういう点を厚生省としても努力しなければならぬということで、来年度はそういった面に一つの重点を置いたわけでございます。それは、九時間労働を八時間にするという、機械的にはじき出すというやり方ではございませんで、たしかいま先生御指摘のように、やはりそういった従業員についても、年次休暇とか、あるいは研修に出かけるための余暇と申しますか、そういうものが必要であり、そのためには、そのあきを埋めるための対策が必要でございます。そういう面を四十八年度には、たとえば休日につきましては、年間に十三日間の有給休暇をとれるとか、あるいは研修については五日くらいの研修に出れるというような、日数はまだ不十分でございますが、とりあえず来年度はそういうことを考える。そのほか夜勤職員の増員でございますとか、宿日直手当の増、そういうようなことについて来年度は大いに予算の要求をしてまいりたい。その他、こまかくなりますけれども、たとえばこれは寮母さん等の直接処遇職員ではございませんけれども、調理人等か非常に少ない。そういう点について増員をはかってまいりたい。その他各施設につきましては、四十六年、七年の二年にわたってある程度増員をやってきておりますけれども、その中での落ちこぼれ的なものがまだ相当あるということで、そういったところの施設の職員の増をはかっていく。そういうようないろいろな対策を含めまして、実質的にきちっと八時間労働まで下がるという保証はもちろんできませんけれども、施設職員が相当オーバーワークになっているのをできるだけ緩和していく。これは四十八年度で一挙にはできませんけれども、できるだけそういう方向で今後も努力してまいりたいと思っております。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 私は、いまの局長の答弁の中の冒頭のことばに若干ひっかかるわけです。別にことばじりにこだわるわけではないけれども、八時間勤務、八時間労働という説もあるけれども、社会福祉事業の特殊性に応じて労働基準法でも九時間労働を認めておるのだ、最初の冒頭の言い方はそういう言い方であったわけです。これはいかにも聞きようによっては、八時間という説もあるけれども、それよりもむしろ社会福祉事業の特殊性ということならば九時間が当然なんだというふうに聞こえるので、もしそれが局長なりあるいは厚生省の真意であるとするならば、私は非常に重大問題だと思うのです。それはいわゆる社会福祉事業なるものが、民間の施設の場合は、市民の善意によって経営される、それがたてまえでありますから、そういう特殊な事業でありますから、そういう特殊性は十分考えなければならぬけれども、したがってその中では勤労者が普通の全く機械的な勤労というよりははるかに精神的なものを要求される、人間と人間の接触、人格的な触れ合いといったような、そういう点で特殊な性格を持っている。ということは、全く機械的な勤務をする場所と全然違った職場だと思います。しかし、さりとて人一倍働くのが当然なんだというふうな考え方であるとすれば、私はその点はたいへんな間違いだと思うわけです。したがって、最初に言われた点について厚生省の考え方はどうなのか、もう一ぺん聞かしていただきたいと思います。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤(威)説明員 社会福祉施設の職員が人一倍きつい労働をしてもいいということではございません。労働基準法の規定の中にそういう規定があるということをたまたま引用しただけでございまして、したがって、ああいう社会福祉施設関係の職員とかあるいは医療機関の職員というものは、八時間労働といっても、なかなか八時間でぴちっとというわけにはいかないということで、労働基準法で九時間労働というものを認めておるということを申し上げたわけでございますが、確かに社会福祉施設関係の職員というものが非常にオーバーワークになっている、寮母さんなんかには腰痛症といいますか、腰が非常に痛くなるという病気が多いということも承知いたしております。そういうことで労働が非常にオーバーワークになっておりますので、これをできるだけ軽減する必要がある。しかし、私は、将来社会福祉施設をうんと整備していかなければならないと同時に、そこで一番問題になるのは、やはりそこに働く職員の確保の問題だと思います。施設がどんどんできても、そういった仕事に喜んで携わっていただける人を、その施設を運営できるだけの数が確保できるかどうかという問題もございますので、そういう点も勘案しながらやはり考えていかなければならぬという点もあるわけでございます。そういうことで、確かに社会福祉施設職員の労働というのは、非常にたいへんな労働になっておるということは承知いたしておりますので、それでけっこうなのだということでは毛頭ございません。やはりできるだけそういう重荷を解放していくという方向で努力しなければならぬというぐあいに考えております。そういう意味で、ことばの使い方が不十分であった点があれば、これはつつしんでおわびいたしたいと思います。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 ここで大臣にお尋ねいたしますが、ちょうどいま四十八年度予算を編成しております。それで、いま厚生省が要求している四十八年度予算、これらが全部達成できるといたしますと、日本の社会福祉事業はどの程度に前進をするのか、こういう点についてお尋ねをしたいと思います。これはたいへん抽象的な言い方ではありますが、現在、政府の出しております厚生白書等を見ても、日本の社会福祉が西欧諸国に比べてたいへんにおくれているということは、しばしば指摘をされているとおりです。例をあげて申しますと、たとえばいわゆる振替所得は、日本の場合には国民所得に対比をして五・四%だ。イギリスは一一%であり、西ドイツは一八・四%であり、フランスは二二・一%である。これは厚生白書に指摘された数字ですよ。ですから、かりにフランスに比べるならば四分の一にも当たらない。こういう程度にあるわけですね。そういう意味で、日本の社会福祉はこれらの西欧諸国に比べるとたいへんおくれているということは絶えず指摘をされている点ですが、四十八年度予算を実施することによって、それをどの程度にカバーできるかということをお聞きします。

塩見俊二自由民主党厚生大臣・経済企画庁長官事務代理

○塩見国務大臣 お尋ねは、日本の社会福祉が非常に外国に比べてもおくれておるが、来年それがどの程度に進んでいくかというふうな御趣旨のように承ったのでございます。確かにGNPや国民所得に対するわが国の福祉関係予算というものが非常に少ないということは事実でございます。日本の経済が御承知のとおり非常に急激に発展をしてまいりまして、GNPにつきましても、この五年間に二倍になるというような状況にございまして、社会福祉の予算がこれを追っかけている、まだついていっていないという状況ではないかと思うわけでございます。どうしても国民福祉の充実によりまして、こういった予算の配分につきましても、福祉のほうに重点を置いた予算全体の使い方をしなければならぬだろうということは、私も御意見と同様でございまして、明年もこれを充実さしていきたいということで、一応予算は現在まで要求をし、さらに年金問題等につきましては、このあとで繰り返し要求をしていきたいと思っているわけでございます。  特にもう一つ、日本の福祉予算が外国に比べて少ない一つの原因は、年金問題がまだ成熟していない、年金の受給者が非常に少ないというふうな点、あるいは年金の金額が少ないというような点も大きな関係があろうかと思うのでございます。したがって、こういったような年金の充実でございますとか、いろいろな施策をできるだけ推し進めていきたいということで予算の編成も行なったような次第でございます。  それが国民の所得との関係におきましてどういうふうな関係になるかということにつきましては、まだ十分な検討はいたしておりませんが、ともかくも量的にも日本の福祉関係予算が少ないということで、来年はこれを増額をさせたい、そういう方向で努力をしたいということでまいっておる次第でございます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 私がお尋ねをしたのは、端的に西欧諸国に比べてこんなに少ないというのが、その四十八年度の予算が実施をされたならばどの程度に回復をするのかということをお尋ねをしたので、どうかそういう点にしぼってお答えをいただきたいと思うのです。  たとえば昭和四十六年二月二十四日の予算委員会分科会で、私が当時の厚生大臣の内田さんにお尋ねをいたしましたら、内田さんは次のように答えておるわけです。「社会保障支出の割合あるいは振替所得の割合というものをわが国と西欧諸国と比べてみますると、わが国はせいぜい二分の一あるいは多いところに比べると三分の一くらいの低さでございます。私は、新経済社会発展計画の終わりごろには、できる限りその差を詰めてまいりたいという気持ちがいたします。」こういうふうに答えているわけですよ。だから、二分の一ないしは三分の一だけれども、新経済社会発展計画の終わり、これは昭和五十年でありますが、昭和五十年にはできるだけその差を詰めたい、だから西欧諸国並みにしたい、こういうことを内田厚生大臣は言っているわけです。昭和五十年がその目標年次でありますから、それでは四十八年はどうなのかということをお尋ねしたので、どうかそういう点でお答えいただきます。

塩見俊二自由民主党厚生大臣・経済企画庁長官事務代理

○塩見国務大臣 経済企画庁の作業も、御承知のとおり、八月でありましたか、総理大臣の特別な話によりまして、新しい五カ年計画というものもいま作業を進めておるような次第でございまして、従来から、ただいまお話がございましたとおり、この八%程度にはしなければならぬということになっておるわけでございますが、さて明年度につきましては、国民所得の伸びの関係、土台になるものの伸びの関係等がいま明確な数字がないわけでございまして、どの程度になるかちょっとここではお答えしかねるわけでございますが、従来の長期計画に従い、あるいは新しい計画に従って、予算の増額につきましても、それに見合うような福祉の充実をはかってまいりたいと思います。具体的な数字で申し上げられないので、まことに恐縮でございます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 そうしますと、だんだん予算をふやしていってということで、いわば漫然とその年その年の予算を計上しているわけですか。つまり内田さんは、さっき申し上げたように、新経済社会発展計画の終わりの年次までには西欧諸国との差を詰めたい、こういうことを言っておるので、それは目標として非常に具体性があるわけですよ。この新経済社会発展計画でも日本の社会福祉事業について明確に指摘をしておるわけです。それは非常に立ちおくれているという点を指摘いたしまして、その改善を要求しているわけですね。ですからそれに応じて内田厚生大臣は、さっき申し上げたような答弁をしているのだけれども、いまはそういう点は抜きにします。  その新経済社会発展計画には、その実質的な内容においては、所得補償部門、社会福祉部門及び関連する施設整備の立ちおくれが目立っている、大幅な消費者物価の上昇によってその改善効果は減殺されている、あるいは「生活扶助等の保護基準については、一般勤労者世帯の消費水準の向上を考慮しつつ適切な改善措置を講ずるとともに、被保護世帯のうち老人世帯や心身障害者世帯が増加している傾向に即応した基準のあり方について検討を進める。」こういうことを政府の出した新経済社会発展計画の中では明確にうたっているわけです。それに関連して内田厚生大臣は、さっき申し上げたように、この計画が完成する昭和五十年には西欧諸国との差を詰めたい、こういうことを言っておるわけです。だからその目標としてはきわめて具体的なわけですよ。どの程度に詰めるか。西欧諸国といっても、若干の差はあるわけですから、そのうちのどれをさすのか。そういう点はいろいろありましょうが、その二分の一と言われ、三分の一と言われ、あるいは四分の一と言われる日本の社会福祉施策を完全に西欧の水準にもっていきたい、こういうことを言っておるわけです。それに比べて、四十八年はちょうどまん中に当たりますから、どの辺まで来るのか、こういうことをお尋ねしたのだけれども、どうもそれに対するお答えがきわめて不明確ですね。もう一ぺんそれについて明確なお答えを、簡単明瞭にしていただけないでしょうか。時間もなくなりますから、できるだけ簡単にお答えいただきたいのですが。

塩見俊二自由民主党厚生大臣・経済企画庁長官事務代理

○塩見国務大臣 従来の経緯等もございますので、政府委員から説明させていただきます。

岸野駿太厚生大臣官房企画室長

○岸野説明員 ただいま先生御指摘のように、現在の新経済社会発展計画では、この六年間に二%ほど上げる、おおむね六%、八%ぐらいの目標でもって振替所得の増加をはかりたいということが、現在の新経済社会発展計画には書いてあるわけでございます。これは現在までに国民所得の結果がまだ七〇年度までしか出ておりませんので、これでは大体六%ちょっとでございます。  それで、率直に申し上げまして、国民所得の伸びが私どもが当初予定いたしましたよりもかなり多いわけでございまして、必ずしも振替所得の伸びが当初計画いたしましたようなぐあいには進んでいないということです。ただ、四十八年度予算要求をいたしましたときには、まだ年金の改定が今回の予算には入ってございませんので、西欧諸国との対比では、振替所得だけでございますと、年金部門の立ちおくれというのが決定的でございまして、年金部門の改善が四十八年度において大幅になされるならば、四十八年度においては国民所得に対する振替所得の伸びというのは、従来のような停滞は打破できるものではないかというぐあいに見ております。  それから、新長期計画を策定いたします際には、私どもも五十二年、今度の計画の改定では、従来の二%というような伸びではなく、年金の大幅な伸びを考えますと、それ以上の伸びになるだろうというぐあいに期待しておりまして、そのような方向で現在経済企画庁と折衝を進めておるような次第でございます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 とにかく大臣、もう少し目標を具体的にして、それに向かって進めてもらいたいと思います。ただ漫然と予算はふえたほうがいいというようなことではまことに心細いと思うので、ぜひ明確な目標を掲げて、それに向かって毎年毎年積み上げていくということが絶対に必要だと思います。  それから、大臣にもう一つだけ伺いますが、来年度の厚生予算の重点事項は何ですか。

塩見俊二自由民主党厚生大臣・経済企画庁長官事務代理

○塩見国務大臣 御承知のとおり厚生行政の場合におきましては、いろいろきめのこまかい施策の積み上げで国民全体の福祉を向上するというふうなたてまえでございまして、したがっていずれの施策もこれを軽んずるわけにはまいらないわけでございます。しかしながら、こういう時の流れの中で、私どもは、一応来年の重点としては、特に最近におきまして日本の人口の老齢化現象等も急速に進んでまいっておりますし、こういった老人対策、年金を中心にいたしましての老人対策、あるいはまた最近いろいろの難病と称されるものが次々と出ておるというふうな状況でございまして、こういった病気につきましては、まだ原因が不明であるとか、治療方法が明確でない、あるいは患者の負担が高いといったような非常な問題が起こっておりますので、この難病に対する対策、あるいは健康の増進というような点を一応しいて重点といえば重点として、これを強化したいというふうに考えております。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 私はさっき社会局長と質疑をしておったわけでございますが、それは職員の待遇改善という問題を議論をしておったわけです。これはことしの厚生白書でありますが、これにもこういうふうに書いてある。「福祉施設が真にその社会的使命を果たすためには、質量ともにじゅうぶんな職員が確保され、かつ、複雑困難な職務に安んじて専念できるような労働条件の整備と、給与その他の処遇が確立されていなければならない。」こういうことで、社会福祉の労働者には、「長時間労働、断続勤務、夜勤など、施設運営上の特殊性からくる困難な条件があるほか、最近、養護施設では、年少幼児が増加し、また心身障害児関係施設では入所児童の症状が重度化しつつある」、こういうことで労働条件が悪くなってきておる。したがって「職員の労働条件などに常時配慮を払い、適正な職種の職員を絶えず確保できるよう、その敏速な改正がはかられなければならない。」こういうことがいわれているわけです。私はまことにそのとおりだと思うのだけれども、私が昨年質問をしたときに児童家庭局長がこういうふうに答弁しております。「労働基準法と申しますか、労働条件というものを、従来と比べまして相当改善をしなければいけない、こういうような考え方から、明年度予算においては、」明年度というのは四十七年度であります。「この職員の定数というものについて最大限の折衝をいたしたわけでございます。その結果、大体二カ年計画で」「職員の定数増がもしこのまま二年後にできますならば、労働基準法との関係はそう大きな狂いはない、私どもはこういうような見通しを持っているわけでございます。」こういうふうに言っているのですが、労働基準局から指摘されている問題には、ずいぶんたくさんの問題があります。大臣の出席がおそかったために、私質問の順序や時間がたいへん狂ってしまったので、基準局から来ているのだけれども、あまり詳しく聞いているいとまもありませんが、そういう点について労働省からも指摘をされねばならぬ実態が至るところにあるということは、私はまことに残念だと思う。  そこで、具体的な問題でありますが、さっきもお尋ねしたが、大臣、このことは御承知かどうか。労働基準法では、当然に一日八時間、週にして四十八時間、土曜日は半分ですから四十四時間、こういうことになっているのだけれども、社会福祉関係の労働者は九時間という特例が認められておって、それがために特例で五十四時間勤務ということになっている。しかも、実態はそれに超勤その他が加わって、七十時間くらいになるものが必ずしもめずらしくない、こういう状況であります。職員の数をふやす、ふやすことによって一人当たりの負担量を減らしていく、こういうことが絶対に必要です。したがって、この厚生白露にあげているような、超勤あるいは長時間の労働、断続勤務、こういうものをぜひやめてもらいたいと考えるわけですが、端的に、それが可能かどうか、局長でけっこうです、答えてください。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤(威)説明員 先ほどもお答え申し上げましたとおり、私どもは、来年度の予算要求の一つの大きな項目として、社会福祉施設職員の労働条件の緩和と申しますか、負担を軽減するということに努力をいたしたいと思います。先生御指摘のように、ぴたっと八時間労働にいくかどうかということについては、いまここではっきり申し上げる自信はありませんけれども、先ほど申し上げましたように、職員の年次休暇あるいは研修がとれるような対策を講ずる。それから、いまも御指摘がありました夜勤職員の確保、宿日直手当の確保ということ。その他個々の施設につきまして、職員が非常に不足しているという点におきましては、四十六、四十七の二年で一応計画的な整備をしたわけでございますが、さらにそれ以外のものとして職員の増をはかってまいりたい、こういうことで先生御指摘のように、できるだけ職員の負担の軽減をはかってまいりたいと思います。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 その労働者の改善要項として、たとえば最低五万円の給与、あるいはまた通勤手当、超勤手当、夜勤手当、こういうものを労働基準法に従って支給できるようにしてほしいという問題、あるいはまたさっき申し上げたように、断続勤務はやらない、あるいは産休とか生理休暇とか育児時間であるとか、休息とか、年休とか、こういうものをこれまた基準法に従って完全にとれるようにしてほしい、あるいは産休に代替職員を配置するとか、産休の際の休暇は十六週間を見てほしいといったような問題が、いろいろ出ているわけです。これはどれを取り上げても、決して無理のない要求だと私は思うのですよ。おそらく局長もさっき言ったように、もしこういう点を改善をしないと、必要な従業員を確保するということができなくなるのじゃないか。あるいはまた、こういう従事する職員が疲労こんぱいしてしまって、したがってそのはね返りが収容された人たちに及んでいく、その収容された方々に非常に不愉快な感じを与えるというようなことが起こりはしないかということが心配されるわけで、とにかく改善を要する問題がたくさんありますけれども、そういう労働条件の改善について大臣としてもどういう方針で臨むのか、一言だけお聞かせを願いたいと思います。

塩見俊二自由民主党厚生大臣・経済企画庁長官事務代理

○塩見国務大臣 お話しのとおり、正常な時間で社会福祉関係者の能率をあげていただくということが最も望ましいことであるわけでございます。ただいまこの従事者の質、量の確保ということに一面におきましては非常に苦しんでおるわけでございますが、お話しのとおり、正常な時間で能率をあげていただく、また適正な給与を支給するということは、これは当然のことでございまして、今日までも努力をしてまいりましたが、明年度以降、さらに努力を重ねてまいりたいと存じます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 ぜひともその点は大臣に特に力を入れていただきたいと思います。  これは昭和四十五年の予算委員会の際に論議をしたことでありますが、そのときも内田厚生大臣は、「ことにそこで働く従業員などの身分あるいは給与等を考えます場合に、どうしても公務員の地位を持つ公立の施設の職員と比べますと、民間の施設のほうが引き比べておくれているように思います。」したがってこれを改善したいということですね。さらに社会局長からは、最近は民間のほうが相対的に低くなっている。これは事業の分量についてでありますが、こういう中で「社会福祉事業と申しますものは、なかなか公立施設では先駆的分野が開拓がむずかしいわけでございますし、また役人ではやれないきめのこまかい仕事もまた民間の分野に多く期待をしなければならないわけでございますので、民間の社会福祉事業の果たす役割りはなおきわめて大きいものがある」、したがってその改善をしなければならぬということをるる述べているわけですが、これは昭和四十五年の国会の論議でありますけれども、ぜひやってもらいたいと思います。  私は実はほかにお聞きしたい大事な問題をたくさん持っておったのですけれども、大胆の出席時間が狂ったために、たいへん私のほうでも狂ってしまいました。そこで、最後に一つだけお尋ねをし、さらにまたこの次に保留さしてもらって、あと残った問題を質問さしてもらいたいと思います。  質問を終わるにあたって一言だけお尋ねをしておきたいと思うのですが、これはけさの新聞に出ております。きのう東京の北区で七十六歳の老人が脳性麻痺の子供を殺してしまったという問題ですね。これはどうなんですか、こういう該当者は絶えず登録をして、したがってこれに対しては巡回指導をするというのが厚生省のたてまえになっているわけですが、そういうことをやられておったのですか。

穴山徳夫厚生省児童家庭局長

○穴山説明員 実は、申しわけございませんが、私も朝から国会におりまして、こまかいこと、東京都でいま調査さしておりますが、この非常にお気の毒でありました高根さん、いま先生がおっしゃった登録と申しますと、身体障害者の場合には、手帳を交付いたしまして、その登録管理の事務もございますが、この高根さんはむしろ精薄者ということで把握されていたのではないかと思われまして、したがって、いま保健所での登録というような対象にはなっていなかったようでございます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 そうすると、全く放置されて、あるいは、たとえば民生委員等にしても、そういう実態がわからない。精薄者というお話だが、精薄者の場合は、厚生省から出た通牒ですが、「上記の対象児が成人に逃しても、必要な医療と保護指導の継続が可能なように措置すべきである。」こういう通牒を出しているわけです。だから当然に、それを受けた都道府県は、成人に達しても必要な保護指導が継続されておらなければならぬはずだと思うのですが、なぜそういうことができないのですか。

穴山徳夫厚生省児童家庭局長

○穴山説明員 この方につきまして、東京都におきましては、昭和四十六年の十二月九日に都立の身障センターで愛の手帳の交付を受けられまして、その後は福祉事務所におきまして家庭訪問あるいは精神病院の入院のあっせんというようなことをやっていたわけでございますが、それがなかなかうまくいかなかったといううちにああいう気の毒な事件が起こったという報告がございます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 うまくいかないうちにという意味は、たとえば入所をさせるというようなことが進行しておったけれども、入所ができないうちに起こってしまった、こういうことですか。

穴山徳夫厚生省児童家庭局長

○穴山説明員 この関係は、もう少し私もこまかく調べましてお答えいたしませんと正確でございませんので、申しわけございませんが、いままでの報告によりますと、精神病院で治療するのが適当ではないかというような判定がございまして、福祉事務所で精神病院に入院をさせるようにいろいろあっせんをしていたけれども、それがたまたま病院が遠かったために、おとうさんの了解が取れなかったというようなこともあったようでございます。なお、これはいま私が情報を得たばかりで、こまかく調査をしておりませんので、いまの情報ではそういうようなことでございます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 私ども新聞で見る限りでは、ああいう結果になったということはきわめて当然なような気がするわけですよ。ああいう家庭で、かりにぼくがああいう状態に置かれたら、私もそうするより手がないのじゃないかというような感じがするわけですね。それほどせっぱ詰まった問題だった。しかもそれが、たとえば民生委員がおったり、そういういろいろな人たちがおって、しかもそういうことが全然顧みられておらないというようなことでは、全くわれわれ何をやっているかわからぬという感じがするわけです。ぜひもう少し詳しく調べて、どこに欠陥があったのか、この次の機会に報告をしていただきたいと思います。

笹山茂太郎自由民主党

○笹山委員長 次は鳥居委員。

鳥居一雄公明党

○鳥居委員 最初に、医師不足がいろいろ論議されまして久しいのでありますけれども、医師不足、これはもちろん絶対数の不足、それから医師の偏在による不足、大きく分けまして二とおりあるように思うわけです。人口急増地におきまして非常に深刻な事態が現出しております。そこで、まず医師不足対策ですけれども、どのような目標で進んでおられるのか、現状につきまして……。

滝沢正厚生省医務局長

○滝沢説明員 医師の不足の問題につきましては、昭和四十年ぐらいまで以前の姿は、わが国の医師の養成というものを積極的に考慮するという空気がむしろ少なかった点は、私率直に申し上げられると思うのでございますが、昭和四十二年と四十五年にわたりまして、厚生省から文部省に医師の不足を訴えまして、養成をお願いいたしたわけでございます。大学設置審議会等におきましても各般の御審議がございまして、先生御存じのように、最近に至りまして新しい次科大学の設置ができ、なお、旧大学にできるだけ定員の増を確保する、両面合わせまして、われわれが当面の目標といたしております昭和六十年、十万対百五十というほぼ西欧並みの数字、これは各国によって制度が違いますので数字だけの比較はできませんけれども、一応百五十程度の確保の見込みは立った次第でございます。それで十分かどうか、これはまた各般の論議を重ねる必要があると思いますけれども、一応その見込みは立ったということで御了承いただきたいと思います。

鳥居一雄公明党

○鳥居委員 そうしますと、厚生省が持っている現在の増強計画はどのようになっておりますか。

滝沢正厚生省医務局長

○滝沢説明員 増強計画は、いま申し上げましたように、厚生省としては、昭和六十年ごろをめどに十万対百五十という医師の確保を当面の増強計画にいたしておりまして、ただいま政府等でいろいろ論議されております各県に医科大学設置、十数カ所の医科大学設置という計画が今後具体的になるといたしますと、昭和六十年百五十の確保以上のものになり、なおかっこの予算措置はなかなか困難でございますので、ただいまわれわれとしては具体的に申し上げる数字を持っておりませんが、これが定員その他、何県の医科大学は何名というようなことが具体的になり、設置年度がきまりますならば、大体、医師の卒業年次等を勘案いたしますと、昭和何年ごろからは何名ぐらいになるという数字が出せるわけでございますが、いま私は、六十年までの計画が一応立ったという数字を持っておりますけれども、それ以上の数字はただいま準備してございません。

鳥居一雄公明党

○鳥居委員 歯科医についてはどうですか。

滝沢正厚生省医務局長

○滝沢説明員 歯科医については、大体ただいま、昭和四十六年ぐらいで十万対三十六でございますが、ただいまの養成計画を進めますと、やはり昭和六十年で十万対五十という数字になります。ただ、歯科医師一人当たり一口の診療がただいま三十件程度でございます、統計上の数字でございますが。将来の歯科医の医療問題がどのように変わっていくかということを含めていろいろ試算いたしておりますけれども、これもやはり医師と同様、かなりの増強対策をいたしませんと追いつかぬのではないかという考え方を持っております。

鳥居一雄公明党

○鳥居委員 この医師不足の現実ですけれども、非常に深刻であるわけです。具体的に逐次あげたいと思いますが、現状につきましては厚生省の一応のめどが、人口十万人に対して医師を百五十人充てる、これを目標にしているわけですね。現実の問題は、全国平均として医師は百十三人、これが現実のようであります。歯科のほうはどうかといいますと、十万人に対して五十人の歯科医を何とか充足したい、ところが現実は三十六人、これが現実の問題です。  そうすると、なお私のほうで調べてみたのですが、これから十三年後にほぼ医師百五十人並びに歯科のほうが五十人という充足ができるような目標である。十三年後にいきなりこの充足率一〇〇%ということではなくて、もちろん年次計画等があるだろうと思うのですが、その増強計画は、昭和五十年現在で医師が百三十一・六人、歯科医が三十九・八人、昭和五十五年は百三十九・九人に対して四十四人、ですから十三年後に一〇〇%ということで、非常にのろいテンポで次第に充足が行なわれるだろう、それを私ども期待しているわけです。  現実はひどいものです。たとえはこういう例があります。これは東京近郊の最近宅造あるいは宅地開発が非常に進んでいる地域でのことであります。千葉県の松戸市矢切では、歯医者にかかるのに朝五時起きです。九時から始まる窓口から診察券を受け取るのに、朝五時に起きましてそこに並ぶわけです。ひどいのは前の日から並んでいるそうです。そしてその診察券をもらいまして、一日がかりで歯の治療を受ける。同じようにこれも歯でありますけれども、千葉県の八千代市米本団地、ここでもやはり同様に早朝並びます。歯科医が不足でありますから、虫歯の治療に行ったところが隣の歯を抜かれて帰ってきた、文句も言えない、そういう非常に深刻な話です。せんだってはやはり同じく米本団地での話でありますけれども、歯を抜くのに骨を抜くからということで麻酔をされた、ところが抜いたのは虫歯であった、しかし医師に文句を言うと再び診療を受けられない、そういう話もあります。  それから、これもやはり東京から五十キロ圏の中にある千葉県の浦安町で、わずらった子供を連れて小児科に行った、朝の九時ごろ到着して午後の二時半に終わった、その間何をやっていたかというと、診察を受けるのに順番を待った。こういう事態です。実態は漸次ふえるということに期待をしていいのかどうか、そう考えてみたときに、厚生省では一体この不足をどのようにとらえているのか、私はこういう疑問を持ちました。私なりに分析もしてみました。厚生省ではこの医師不足の現状を現在どのようにとらえていらっしゃるか、まず伺いたいと思うのです。

滝沢正厚生省医務局長

○滝沢説明員 先生から具体的な事例が引かれたわけでございますが、特に東京周辺の人口急増しております千葉、埼玉、神奈川というところの医師の数は、先ほど来先生の御指摘のように、人口十万対百三十一という最近の数字に対して、七十とかあるいは八十七という程度の数字でございます。歯科医師についても同様でございまして、人口が急増いたします割合に医療陣の確保ができておらないという実態でございます。先ほどちょっと先生が触れられましたように、四十年以前、医師の増強対策あるいは増員計画というものを議論される前の姿は、むしろ偏在ということに対して非常に強い意識を持っておりまして、偏在を是正するので絶対数は不足じゃないという理論が一部にございましたけれども、私のほうでいろいろ検討しております点では、偏在も確かにあるかもしれませんけれども、診療各科が非常に専門化してまいるというようなことで、一つの手術をするのにも麻酔をする医師が必要である。手術をする医師の補助者も当然必要であるということ、あるいは過去には手術困難と思われた大きな手術がどんどん可能になってくる、したがってチームとしての医師の数は非常にたくさん要する。要するに医療内容の向上変革に伴います医師の需要と申しますか必要性というものは非常に高まっておりますので、私は率直に言って、十万対百五十という計画そのものも、むしろ十分でないというふうに考える方向に考え方としては傾くわけでございます。そういう意味で医師の養成というものは時期を失した、いわゆる終戦後のわが国の医療全体を考えるときに、時期を失したという感じは、私率直に言って厚生省の判断としてもあると思います。しかしながら、今後の計画は、特段医師の養成は非常に多額の費用と設備と、それを教える先生方の確保、こういうものを考えますと、あまりに急増ということはおそらく実行上困難でございます。しかし、できるだけの計画というものを立てて、早く確保して、実際に使える医師が確保できるのに十年かかりますので、そういう点も考慮いたしますと、御指摘のように非常に長期的しかも歩みがおそいという感じがございますが、これはやはり医師の養成の本質論からいってなかなかむずかしい問題である、これをカバーするものとして、今後ME等を利用するいわゆる医療情報システムの開発という問題に取り組む必要があるのじゃないか、これはそれだけの解決になるというよりも、それを補充していく、補完していく立場というものとあわせてこの問題に対処する必要がある、こういうふうに考えております。

鳥居一雄公明党

○鳥居委員 養成養成とおっしゃいますけれども、私は養成の前に現状をとらえていただきたいと思う。不足の現状をどうつかんでいらっしゃるのですか、伺います。

滝沢正厚生省医務局長

○滝沢説明員 先ほど先生が具体的に例を引かれたようなお話は各地にございます。特に歯科医師の場合は、予約制度というものをするために、先ほど申し上げましたように、一日の診療患者数がほぼ三十人前後ということになりますと、地域の歯科医師の存在のぐあいによっては、医療の面でかなり遠隔地まで行かなければ医療が受けられないという実態も地域的にはあると思うのでございます。先生の御要望の、実態というものをどうつかんでいるか、その御期待になる答えというものがどこにあるのか、私もちょっとわからない点もございますが、相対的にもう不足であるということは根本的に認識しているつもりでございます。

鳥居一雄公明党

○鳥居委員 それがぬるいと私は言いたいのです。正直に言いまして、厚生省から資料が出てこないので、各省かけ回った資料でございますが、まず歯科医とそれから一般の医師、内科、外科、産婦人科等一切を含めた医師、まあ便宜上医師と歯科医師と分けて申し上げますけれども、全国の様子を見ますと、現状は十万対で平均百十三、こういう数字が出ております。これも年度別に見ていきますと、全国平均は昭和四十年から漸増しております。百十一・三であったものがコンマ八になり百十四になり、漸増です。現在は百十三で、非常に微々たるものですが伸びているわけです。ところが、北は北海道から南は九州までやや全国平均が伸びているということでございますが、東京近郊の埼玉、千葉、神奈川、また大阪近郊、これらを見ていただきたいのです。昭和四十年にたとえば埼玉は七十四・六であったものが漸減です。七十一・九になり、七十一・五になり、七十・二に漸減です。同じく千葉県の場合も、九十四・六が九十三・二になり、九十・九になり漸減。昭和四十四年度で九十一・二、また神奈川の場合にも、昭和四十年に九十六・八であったものが漸減しまして、四十四年に九十・一。この資料による限り、何らかの対策を打たなければならない地域は明確なんです。もっとあえて言うならば、たとえば千葉県を例にとりますと、千葉県にも過疎化が非常に目立つ地域と人口急増地域とありますが、人口急増地域を例にとりたいと思います。千葉県の県全体の医師でありますけれども、昭和四十年に二千六百三十六人で、十万対にしますと、人口十万につき九十四・六人だったわけです。それが四十五年に八十七・四、医師はふえているのですけれども、人口の急増でどんどん減る一方であります。千葉県の中でも特に都市化の著しい船橋市、鎌ケ谷、この地域について見ますと、昭和四十二年の医師が二百三十人で九十四・五人、これが九十二・一人、九十一・〇人、昭和四十五年には八十一・〇と、きわめて減少が著しい。また京葉工業地帯の造成とともに発展をしてまいりました人口急増の地域であります市原市、こちらのほうは昭和四十二年に医師が七十九人、これが十万対にしまして六十二・五です。四十三年、四十四年と漸次減少の傾向で、昭和四十六年には四十五人です。こういう著しい傾向をとらえて何らかの対策を打たなければならないのが厚生当局だと思うのです。今日までの医師不足、特に偏在、この問題に対してどういう手が打たれてきたのか。絶対数の不足はわかっております。これは文部省に通達その他で働きかけをしまして、そして医師の養成機関を何とかつくっていこう、これも一つの方法です。しかし絶対数よりかも、むしろ問題は、偏在を何とかしなければならぬという大きな課題があるはずです。昭和四十年以来今日まで、人口急増地で、ひどい場合には救急車が一日に何回も動かなければならないという事態が起こっております。不安でならない。こういう事態をやはり県まかせですか。厚生省としてはどうですか、局長さん。

滝沢正厚生省医務局長

○滝沢説明員 先生のおっしゃるように、地域的に人口が急増していくために、先ほど来お話し合いいたしております人口十万対という数字の分母が多くなるために数字が低くなる、これに対してはきめ手になる対策というものば現状の日本の医療制度の中では非常に困難でございます。具体的に団地ができたようなときに先行して医療施設をつくるというようなことは、まずほとんど例がございませんで、団地が実態としてでき上がり、住民がお住まいになって、それから医療の問題についていろいろの形の医療機関の導入が具体的にはございます。たとえば大阪地区の千里ニュータウンの場合なども、大阪府の医師会が、ああいうニュータウンを新しく造成される場合、個人の医師一人一人が無計画に開業するというようなことを避けたほうがよかろうという議論から、医師会の千里ニュータウン病院をつくり、あるいは各科の医師を推薦制等をもちまして計画的に導入するというようなことをおやりになった例がございます。われわれといたしましては、決して日本の医師の配置というものに国が全然無策であるというわけではございませんけれども、実際問題として医師の配置なり医療の確保という問題に国が制度的に関与するということは、少なくとも金融制度であるとかその他の間接的な対策を通じてのみ、医師の不足対策については低金利で融資をするというようなことでございまして、実際の医師を具体的に確保する、あるいは医療を確保するということについても具体的な問題、直接的な問題というものの関与は現状では非常にむずかしいのでございます。そういう点を踏まえまして、今後団地等が造成された場合、医療を確保するということは必要でございますが、一面また団地に開業されたお医者さんの経営上の心身両面からの苦心を非常に多く聞くわけでございます。ということは、団地というものに人口がふえたので医師が開業してみた。ところが実際問題としては、従来のいわゆる団地の周辺の都市の中心地の医療機関を訪れて、団地の医療、開業のお医者さんをあまり利用しない、あるいは団地そのものがいろいろの知識の高い、あるいはいろんな批判力を持った方々が非常に多くて、一つの医療に対しても批判が一つあると、それが団地全体に一つの影響を与えるというような具体的な例をお聞きしますと、団地の医療の確保というものは、実際に個人で自発的に開業された方でもその経営上心身ともにいろいろの苦心をされておるということを考えますので、今後の医療確保、急増地帯の医療確保は、どうしても先回りということはむずかしいのでございますけれども、やはり計画的に法的な力をもってこれに関与することが必要ではなかろうか、こういうふうには考えますけれども、この点について、医療の確保は、いま申し上げたように、かなり住民の医療に対する判断というものあるいは批判というもの、そういうものもございますので、ここではどうしても、結論的には話し合いの上問題を進めていくという必要があるのではなかろうか、こういうふうに考えております。

鳥居一雄公明党

○鳥居委員 ちょっと議論がかみ合わないので具体的に聞きます。  その前に、いま医師について申し上げましたが、歯科医についてもっと著しい傾向がありますので、一応数字だけ申し上げます、認識なさってないようですから。  大都市近郊、もっと具体的にいえば東京です。東京の五十キロ圏、埼玉、千葉、神奈川。医師は人口十万につきまして五十人ということでありますけれども、現状は、埼玉が昭和四十年二十九・五です。これが漸次減りまして、昭和四十五年現在三十八・一。千葉県の場合に昭和四十年三十五・三だったものが三十四・二になり、三十三・五になり漸減しまして現在三十一・六です。神奈川は四十年に三十八・〇であったものが現在三十六・一、こういう現状です。  それで端的に伺いますけれども、通達を出したほかに、この医師不足対策は何をおやりになったか、伺いたいのです。

滝沢正厚生省医務局長

○滝沢説明員 文部省に対して医師の養成をお願いするということは出しましたが、そのほかは、医師の確保の問題について、厚生省として具体的な対策としては、やはり僻地と救急の医療の問題の確保に具体的な対策を進めてまいっておりまして、一般的な市町村地域における医療、いわゆる僻地以外の一般的な地域の医療の確保については、直接予算上政策上の問題については、具体的な対策は救急医療を通じて、あるいはガン対策あるいは小児医療という特殊の医療対策を通じてその整備充実をはかる、こういう対策をやってまいっております。

鳥居一雄公明党

○鳥居委員 つまり僻地における医師不足、この対策はありました。これは何も一〇〇%完遂できたという意味じゃないですよ。対策をとらなければならないことが医務局の頭にあった。それから同様に救急医療についても、やはり対策を考えなければならない時代の推移がありました。しかしこのベッドタウンになっている人口急増地における医療の確保、これは何もなかったということなんですよ。今後の対策はもうほんとうに急を要するわけですよ。この辺、大臣、どういうふうにお考えになりますか。今後どのような対策をとられるお考えですか。

塩見俊二自由民主党厚生大臣・経済企画庁長官事務代理

○塩見国務大臣 ただいまお話を承っておりまして、人口急増地域の医者不足の問題、たいへん深刻な問題だということをいま承っておった次第でございます。確かに従来の対策が過疎地帯の対策あるいは救急対策その他の難病対策等で行なわれておりましたが、人口急増地帯に対する体系的な対策がどうもなかったように私も思うわけでございます。今後たとえば地方における都市づくり等の場合におきましても、これは同じような事例が起こるのじゃないかと思いますので、急増地の医療対策というものにはまた対策として努力をしていかなければならぬではないかということをいま感じておった次第でございます。

鳥居一雄公明党

○鳥居委員 いま医療ということで医師、具体的には歯科医を取り上げたわけですけれども、施設の面でこれを見てみますと、施設を代表するものとしてベット数を調べてみました。まず厚生省としては、現在、かりに人口十万としますけれども、人口十万に対して何を目標に整備をなさろうとしておりますか、どのくらいのベット数をめどにしておられますか、まず伺います。おそらくないでしょうね。

滝沢正厚生省医務局長

○滝沢説明員 この病床の整備につきましては、医療需要の構造が非常に激しく変動いたしております。特に老人医療の無料化等による入院ベッドの必要性、それから老人人口が当然だんだん急増してまいります。そうしますと、平均的に、常識的に考えてどうしても老人は医療を受ける機会も多くなる、あるいは入院の必要性も起こりやすい、こういうことでございますので、要するに病床の整備につきましては、わが国の特徴として、特に結核病床が先進諸国に比べて依然としてその重要性があります。それから精神のベッドにつきましても、大体ピークがきましたけれども、一応かなりの必要性を残しております。そのほか長期慢性のいわゆる老人病疾患、難病対策等の問題について病床整備の必要がございます。これらにつきまして国立病院、療養所が全体に占める病床の割合からいうと直接的にはそう大きな役割りは果たしておりませんけれども、一つの使命感として、特に結核対策と関連いたしまして、結核の減少に伴い、精神対策に転換し、あるいは重症心身障害児あるいは筋ジストロフィーの障害児というような特殊医療対策に重点を指向してまいっておりますから、今後の難病対策で病院、療養所とも国立はまずその先駆的な役割りを果たすべき必要があるということで来年度予算等にその整備の計画を考えておる次第でございます。  一般的な意味で病床の整備計画というものはどのくらいあればいいかということでございますが、ただいままでのところ、いわゆる計画増床でなくて自然増床的な意味のものが大体四万床程度いままでの統計数字ではございます。これが今後、いま申し上げたように老人医療その他の対策の充実の必要性からいきますと、これを政策的にある程度特殊な目的を持った病床整備をする必要があるのじゃないか。  それからもう一点は、医療機関と関連して、アメリカなどにございますようなナーシングホーム、わが国でいえば特殊養護老人ホーム、特別の養護老人ホーム、こういうようなものの整備も老人医療の一環としてきわめて重要であろうと思います。  結論は、先生もおっしゃったように、具体的な計画数字というものはただいま持ち合わせておりません。しかしながら、まず基本は医療需要をどう予測するかという問題でございます。この予測についてはある程度作業が可能でございます。それともう一点は、その病床の性格をどうするかということでございます。これに対して具体的に国の役割り、都道府県の役割り、あるいは残った分について民間の役割りを期待する、これに融資対策等をどうするか、こういうふうな順序で計画を進める、それの基本になりますのが医療基本法の考え方ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。

鳥居一雄公明党

○鳥居委員 人口十万に対しましておおよその数字だそうでありますけれども、四万台を一応のメドに考えて自然増床ということで厚生省は見ている、こう受け取っていいですね。いまの説明、そうですね。

滝沢正厚生省医務局長

○滝沢説明員 四万というのは全国の自然増の病床数です。

鳥居一雄公明党

○鳥居委員 わかりました。  先ほども西宮委員からの御質問の中にございました。きのうはたいへん悲惨な事故がありまして、病気を病んで、もうこれ以上養うことができないということで、首を絞めて致死に、そういう事件が起こったわけです。これも収容する施設がなかったということでこういう形になってしまった。もちろん収容施設にもいろいろな種類があります。結核もあるでしょうし、らい病あるいは精神病、伝染病。医療施設を考えてみたときに、非常に大ざっぱな言い方なんですけれども、おしなべてこれらを総合したものです。その数字で押えてみたわけなんです。全国の平均もございます。これもやはり現状においては不足しているのですから、目標をもってふやしていこうという——自然増床にたよるなんというそんな弱い姿勢ではなくて、これを何とか計画増床していこうという姿勢でなければならないはずなんです。不足ですけれども年々四万床ふえるからという形なんですけれども、不足の実態をどのようにとらえていますか。特に人口急増地、医療が極端に不足しておりますけれども、医療の不足している地域、それをどのように具体的にとらえていらっしゃるのですか。まずそれからです。

滝沢正厚生省医務局長

○滝沢説明員 先ほど来お話のございました千葉、埼玉等の数字を申し上げますと、病床数について大体全国の病床数の七割程度しか確保できていないという実態でございます。もちろん先ほど東京近傍の三県の医師数がはるかに全国の平均値を下回っておる、それと同様病床数についても人口対比で見ますと、七割程度の病床しか確保できていない、こういうふうに思います。  ただ医療の面の病床の問題でございますが、これにつきましては、架という単位でとらえたときに、住民の方の利用される地域が、東京近辺の病床をかなり利用されるとか、あるいは各県ともに隣接の地帯をまたがって、よその県の病床を利用される、こういうようなこともあるわけでございます。それから目的病床によっては利用率が必ずしも充足できていないと申しますか、利用率としては七五という程度の平均値もございます。したがいまして、医師の偏在と同様、病床の偏在と申しますか、必要なところに必要な病床がないという感覚がもう一つございます。それから、特に先ほど触れましたように、老人医療等の今後の発展を考えますときに、かなり長期慢性に病床を利用すると申しますか占有すると申しますか、そういう在院日数が非常に長くなる、したがって、大ぜいの人がベットを利用できなくなる、こういう問題が今後の医療制度の中のきわめて重要な問題である。ですから、絶対数の問題、地域性の問題、それからその病床の回転をどうするか、したがって、特別養護老人ホーム的なものと長期に見ての病人の方の病床の利用の状況との勘案、こういうことが十分論議されて進められませんと、医療全体のバランスがとれないのではなかろうか、こういうふうに考えております。

鳥居一雄公明党

○鳥居委員 私は具体的に伺っているのですから、具体的にお答えいただきたいのです。  まず、たとえば都道府県、そういう区域があります。隣の県に行くから、こっちに一ばいあってこっちに不足がちだけれども、それはそれでいいんだなんという、これは私は詭弁だと思うのですよ。行政区画があって、都道府県別にこの数字も出てきております。この偏在という点で考えてみたときには、やはり何らかの対策を打たなければならないというのは、これは常識ですよ。ただ私はベッドの総数でいま言ったというところで、たとえばらいは、らい病に対する対策があって、これは特殊なものである、もちろんこういう理由があるでしょう。しかし大づかみな論議で、総数で申しました。全国平均が幾つで、理想的な数字からいくと幾つ足らないのか、まず伺います。

滝沢正厚生省医務局長

○滝沢説明員 全国の病床数につきましては、四十六年の数字がございますが、一応実数といたしましては百三十三万床でございまして、病院が百八万、その他診療所が二十五万、これは有床の診療所でございます。それから病院の中身は精神、結核、らい、伝染、一般病床、主として問題になります一般病床が六十二万ということが実態でございます。これが将来の推計は、患者調査、医療を受ける需要の高まり等から若干推計したものがございますが、公式でこの場で申し上げるような病床の必要計画というものはございませんけれども、一応一般病床についてはここ二十年くらいの間に百万台に乗せませんと、当然この需要にはこたえられないということでございます。この場合、一般と申しましても、老人のように長期慢性で寝ておる患者さんの場合というものはかなり療養所的になりますので、他の従来の病床の転用というようなことも一応考えられます。しかしながら、これはわれわれとしては全国的な数字で把握しておるのでございまして、やはり医療というものはどうしても地域的に考えなければならない。そこで、医療基本法に考えておりますような地域医療計画、都道府県医療計画審議会あるいは地域医療協議会というものを設定いたしまして、すみやかにこの問題に取り組みませんと、先生御指摘のように、全国数字の上ではいろいろの数字は言えますけれども、地域的な医療の確保というものが基本的に大事でございますので、できるだけ医療基本法に基づく地域医療計画というものは地域から出して、これに対して国や県がどういうふうに対処していくかということを早く実現しなければならない、こういうふうに考えております。

鳥居一雄公明党

○鳥居委員 では、先ほども数字を示しましたから、私の調べた数字、これは厚生省の数字ですけれども申し上げます。  総数で全国の平均を見てみますと、人口十万に対しまして昭和四十年に千九十六・九床ですね。これが漸増しています。次第に少しずつふえております。そして四十六年までに少しずつふえまして、千二百七十四・五床です。ところがやはり東京近辺を見てみますと、これが人口十万に対しまして漸減、漸減というかかなりのカーブで減っているのです。数字をお見せします。昭和四十六年に千二百まで全国レベルがいっているのですけれども、埼玉県の昭和四十年が六百八十四です。これが昭和四十六年で七百二十四。それから千葉県が昭和四十年に九百六十九床、これが昭和四十六年に漸減で九百五十九・九。神奈川県が八百七十床、これが八百九十三、こういうような数字です。そして千葉県の中で特に先ほど取り上げました船橋、市原、これをみてみますと、船橋市の場合が人口十万に対します比率が六百七十七床です。昭和四十二年の数字です。それが昭和四十六年まで漸減しまして六百三十一になっています。京葉工業地帯の市原市、これが昭和四十一年八百八十九床だったのが、漸減いたしまして、四十六年に八百七十五床、これはおしなべた数字で、しかしこれにその傾向ははっきり出ているわけです。やはり厚生省としての対策がなければ、これらの地域に対するてこ入ればもうどうしてもできないことになるだろうと思いますし、全国的な見地からこの対策が必要だと私は思うのです。これはベッドで申しましたけれども、医療施設ということです。医療施設を見る場合の一つとしてベッドの数字を取り上げたわけです。どうでしょうか、こういう数字をごらんになりまして、東京を中心にした、大阪を中心にした大都市近郊の医療ということについては、医師と同様に何らかの対策を予算の面で講じていかなければならないと思うわけです。どうでしょうか。

塩見俊二自由民主党厚生大臣・経済企画庁長官事務代理

○塩見国務大臣 特に御指摘の地帯におきましては、最近非常に急激な人口の増加でありまして、医療機関あるいは医師数等につきましても、これに追いついていけなかった、そういう時代が出てきておるのじゃないかと思うわけであります。ただ、先ほどもお話がありましたとおり、こういった人口急増に応じて機動的にお医者さんなりその他を配置するということがいまの状況ではなかなかその手がないというようなことで、きわ立った対策がとられなかったのじゃないかと思います。ただ人口が急増した結果、現実に人口は相当ふえているということは、これは事実でございますので、そういった方面における、あるいは公立につきましては、先ほどお話がありましたとおり、わが厚生省といたしましては、器材その他の助成措置を積極的に講ずるとか、あるいは私の開業医等につきましては、医療金融公庫等の既存の制度を活用するとか、あるいはその他新しい時代に応ずる対策を今後講じていかなければならぬと思うわけでございますが、確かに私は人口急増についていかなかった医療体制の現実がそういったような状況になっているのじゃないかと思うのでございまして、これが改善については努力をしてまいらなければならぬと考えます。

鳥居一雄公明党

○鳥居委員 最後に、いまお触れにならなかったのですが、全国平均で千二百からのベッドがあるわけです。それに対して急増地の中の特に急増都市、京葉工業地帯の市原市の場合六百です。こういう著しい差についてはやはり何らかの対策が必要じゃないでしょうか。絶対数がこれほど違うわけです。

滝沢正厚生省医務局長

○滝沢説明員 いろいろ先生の御意見をお聞きしまして、急増地帯の医療は、都会に無医村があるというようなことばがよく使われますけれども、実際に都会においてむしろ医療を受けることの困難性というものは前々から一つの社会問題的な提起があるわけでございます。したがって、この急増地帯に対して医療機関を整備する場合、都道府県あるいは市町村、国といういわゆる公的な形からの医療機関整備という方向がございます。それからもう一つは、年金事業団等からのいわゆる還元融資による、大企業等が進出する地域についてはみずから医療施設を持つという一つの方向は融資の上では行なわれております。あとは医師会あるいは個々の会員等を中心とする医師会病院ないしは個々の先生方の医療の進出、こういう問題がございますので、ただいま公的医療機関に対して不足地区には融資を低利でやるとか、あるいは医療機関の整備について補助制度があるということでございますが、やはり急増地帯に医療を確保することが、地域医療計画全体で、協議会等をつくってお話し合いの結果、どういう病院が必要であるかということについて方針がきまれば、今後の地域医療計画、廃案になりましたが医療基本法の中に、融資、財政措置等については国はこれを講じなければならぬとなっておりますので、これを私は具体的に進めたい、こういうふうに考えております。

鳥居一雄公明党

○鳥居委員 以上で終わります。これは非常に残念なんです。私もう一つございましたのですが、時間等の都合がありますので、次の機会にやらしていただくようにいたします。  以上で質問を終わります。

笹山茂太郎自由民主党

○笹山委員長 坂井委員。

坂井弘一公明党

○坂井委員 堀木訴訟に関連いたしまして大臣にお尋ねしたいわけでありますが、御承知のとおり、すでに神戸地裁におきましては、この年金の併給につきましては、憲法十四条に違反するというわけで、処分取り消しの判決を見ております。そういう中で、各府県におきまして、やはり障害年金を受けておりて、それに児童扶養手当を支給してもらいたい、しかしながら、県はこれを拒否しておる、そういう事例が相当数多くあるやに聞いております。事実、和歌山県におきましても、すでに六件出されておりますが、これにつきましては知事は、やはり併給禁止条項がある限りは支給はできない、こういう態度をとってまいりました。しかしながら、いま申しましたとおり、違憲であるとしてすでに判決を見た。したがって、この問題の取り扱いにつきましては、どうすべきかということにつきましては、かなり慎重な、そして前向きな検討がなされているやに聞いております。したがって、そういう中で、厚生省部内におきましても、当然この併給禁止につきましては法律改正をしなければならないのではないかというような論議がなされているようでありますが、ずばり大臣は、この問題に対して今後どう対処するか、法律改正に踏み切るのかどうか、ひとつ明確に御答弁をいただきたいと思います。

塩見俊二自由民主党厚生大臣・経済企画庁長官事務代理

○塩見国務大臣 神戸の裁判がございまして、この問題が出てきたのでございますが、しかし、私どもといたしましては、かねがね併給の禁止の問題あるいはこれに類した所得制限撤廃の問題、こういったような問題が、単にあの裁判所の事例のみならず、いろいろと論議がされておるのでございまして、このように福祉を重点に考えて施策を進めなくてはならぬというような時代でございますし、また、そういう時代の要請に応じましてこういった制度についても検討をしてまいりたいということで、いま検討中でございます。

坂井弘一公明党

○坂井委員 ただいま検討中であるという御答弁、私はこれではたいへん混乱が起こるのではないかと思いますよ。すでに兵庫県におきましては、当然国は法律改正の方向に向くであろうけれども、しかし実態をつぶさに直視した場合、もう待てない、したがって、県は見舞い金制度という中で、実質的にこの児童扶養手当額二千九百円に相当する額を見舞い金という形で支給しようというような動きがあるわけですね。そういうような形になってまいりますと、ほかの府県においては、一体この兵庫方式といいますか、これにならうべきかどうか、私はたいへんな混乱が起こると思うのです。こういう点につきましては、厚生省としては時宜に適してかつ速急に適切な方向を確立しなければ、いたずらに混乱を招くということになろうかと思うのです。もちろん、この年金の問題等につきましては、多年論議されてきたことでもございますので、併給が是か否か、いろいろその間議論は尽くされていると思いますけれども、事ここに至って、なおかつこうした事態を迎えながら延々と日を重ねるということになりますと、全く日本の福祉行政そのもののあいまいさあるいは貧弱さ、そういうことがたいへん大きな問題として糾弾されるのではないかという点を私は非常に心配するわけであります。したがって、大臣としては、ただ検討するというような形ではなくして、少なくともこの併給の禁止ということは改めて、そして実態に即応した実のある、あたたかみのある、そうした法律改正、ないし直ちに法律改正に踏み切れないとするならば、すでに兵庫県等においては見舞い金制度によってそれを支給するというようなことになっているわけでございますから、各都道府県等に対して適切な指導をする必要がある。またその責任がある。当然私は行政上のそれは大事なことであろう。こう判断いたしますので、大臣として再度いまのような角度から御答弁をひとついただきたいと思います。

穴山徳夫厚生省児童家庭局長

○穴山説明員 児童家庭局長でございます。いま先生のおっしゃいましたように、兵庫県では要綱をつくりまして見舞い金の制度をやろうということでございます。これは、この憲法の問題とは別に、いわば地方自治法の立場から障害者の福祉ということについての考慮であろうと思います。それで、各地方公共団体に対してというお話もございますが、私どもといたしましては、むしろこの問題については制度の改正というような見地から前向きに検討を進めたい、そのほうが本来の姿ではないかというように考えますので、いま大臣のおっしゃいましたように、障害福祉年金と児童扶養手当の併給につきましては、ただいま前向きな検討を進めているところでございます。

坂井弘一公明党

○坂井委員 ことばだけではなくして、ほんとうに前向きに実際面の検討を早急にやって、結論を見出していただきたいと思うのです。ただ障害年金と児童扶養手当との関係だけではなくして、老人年金あるいはまた母子年金等々との関係、かね合い等の問題もあろうかと思うのです。併給の問題ですね。それらを、たとえば和歌山県の場合を見ますと、潜在的にはまだ二十件程度あるであろうということもいわれておりますし、これはまことに根拠のあるといいますか、いますぐにつかめる数でありまして、なお実態はもっともっと数は多かろう、こういわれているわけでありますが、確かにこの併給禁止、制限ということは、所得制限と並んで年金制度の二つの柱である、この一つがくつがえりますと年金制度の根幹がゆさぶられるというようなことで、これは慎重にならざるを得ないというようなお気持ちはわからぬではありませんけれども、しかしながら、わが国のそうした社会福祉行政ないしこの年金等の制度そのものがそうした実情、実態に合わない、しかもその間すでに判決等によりましても、憲法第十四条の法のもとに平等であるという権利が侵されるというような、まことに大事な判決を見ているわけでありますので、これはただ単なる制度上の問題であるとか、あるいは法律の解釈の問題であるとか、そういうことにとどまることなく、まさにわが国のこうした年金制度そのものを、いわゆる福祉の立場からこれは改正、改善という方向に早急に取り組まなければならぬのだという認識を踏まえた上での前向きの検討に入っていただきたい。そうでありませんと、ただ単にいままでのような議論の繰り返しに終わりますと、私先ほど申しましたように、実態としてはすでに各都道府県において実情に即したような方向にいこう、見舞い金制度で出しましょう、こういうことに向いているわけですから、それだけにやはり当然この福祉行政の責任者である厚生省または厚生大臣におかれましては、これはひとつ深刻にまた厳粛に受けとめて、早く改善の結論を出していただきたい。これは要望しておきたいと思います。  次に、屎尿の海上投棄の問題に移りたいと思います。  海洋汚染防止法の一部改正案が出ました。施行令の一部改正がなされたわけでございます。つまり一応暫定期間を設けまして、屎尿の海洋投棄につきましては昭和五十一年三月末日までは十五海里以遠、それ以降は五十海里以遠、こういうことに相なったわけです。  ところで、そうなりますと、現在瀬戸内海に投棄されている屎尿が来年四月一日から十五海里以遠ということで実施されますと、紀伊水道に集中投棄される量たるや、日量実に三千キロリットル、確実にまず踏まえましても、この瀬戸内海沿岸の五県だけにしぼってみましても約二千五百キロリットル、これをドラムかんに換算いたしますと実に一万四千本。単位の違いはないと思います。これだけの多量の屎尿が紀伊水道に集中投棄される。これはまさにゆゆしきことであります。御承知のように、紀伊水道はアジあるいはサバ、マグロ、ブリ、日本有数の漁場であります。これで漁業関係者は壊滅的な打撃を受ける。そういうような事態を踏まえながら近畿知事会、瀬戸内海環境保全知肝会議、これが行なわれた。その中で、十五海里以遠としたこの三年間の暫定期間ば直ちにはずして、来年四月からは五十海里以遠にすべきだ、こういう議論がなされた。こういうわけでありますが、まず最初にお聞きしておきたいことは、一体この十五海里以遠、それから三年後におきまして、昭和五十一年からは五十海里以遠、おのおのそうきめた根拠は一体何なんでしょうか。

松田豊三郎環境庁水質保全局企画課長

○松田説明員 十五海里以遠にきめた根拠といたしましては、地元各沿岸の漁業関係者その他からの要望もございますけれども、十五海里離れていれば暫定措置として一応海岸に直接流れ着くことはないだろうというふうな考え方できめているわけでございます。五十海里のほうは、大体五十海里の距離、これは一律ではございませんで、全国地区によっていろいろでございますけれども、五十海里以遠になりますと大体海流に乗るといいますか、そういうことで、これは確実に外洋といいますか、外のほうへ流れていくというふうな考え方のもとにきめたわけでございます。

坂井弘一公明党

○坂井委員 それは実態を知らないあまりにも無謀なきめ方だと私はいわざるを得ませんよ。十五海里以遠といいますが、十五海里以遠になりますと、その辺の十五海軍の海域というのは黒潮の内縁部なんです。したがって、そういう十五海里内外以遠のような黒潮の内縁部に投棄いたしますと、黒潮の潮流のかげんで北上いたします。北上して、いわゆる和歌山沿岸、これに自然と回ってくる。もう最初からこの黒潮の流れのことはわかり切っておるのです。なぜそういう十五海里以遠というようなことをきめたのか。これはあまりにも無謀じゃありませんか。和歌山県知事が厚生大臣にあてて水第四百三十五号、これをもちまして要望護を出しております。全く紀伊水道は肥つぼだ、こういうわけです。これは一体どうしてくれるのだ、こういう要望を出しておりますが、どう回答されていらっしゃいますか。

松田豊三郎環境庁水質保全局企画課長

○松田説明員 先ほどちょっと説明が足りませんでしたけれども、本来は五十海里以遠ということで施行令ではきめておるわけでございます。本則は五十海里以遠にしようということでございますけれども、直ちに切りかえるにいたしましては、たとえば屎尿投棄船の問題がございます。屎尿投棄船の整備をしなければいけない。一方では、屎尿処理は五十年度までに陸上処理に切りかえるというような厚生省の御方針もありますし、この辺で、船の問題その他からいたしまして本則の五十海里以遠につきましては暫定期間を設けておる、こういうふうな事情でございます。それは十五海里、確かに近いので問題がございまして、御指摘のとおりに、たとえば瀬戸内海の沿岸等からの搬出につきましては、紀伊水道あるいは豊後水道等に、十五海里そのままでございますと、かたまって捨てられるおそれが出てくるわけでございます。そういうふうな事情でございますので、施行令の改正をいたすにあたりまして、厚生事務次官と環境事務次官共同で通達を出しておりまして、暫定期間は十五海里でございますけれども、その間におきましても、たとえば黒潮の外縁部に持っていく、あるいは優良な漁場は避けるというふうに、地元といいますか関係の府県とよく協議いたしまして、知事間でよく相談、協議をし、合意に達した上で捨て場所をきめるようにというような、いわば行政指導でございますけれども、そういうふうな通達を出しておりまして、たとえばこの間の広島の屎尿投棄につきましては、県内事情等がありまして、すでに外洋投棄を始めておるわけでございます。高知県その他と相談、協議いたしまして、海岸から八十海里程度の遠いところ、そういうところへ持っていって、あれはたしか一千キロリットル——九百キロリットルくらいあったと思いますけれども、それを捨てるようになりまして、いま実施しております。今後ともそういうふうな事情でございます。特に瀬戸内海におきましては集中して捨てられることのないように、同じような行政指導を関係県、市に対して行なってまいりたい、これは厚生省と共同でございますけれども、そういうふうに考えておるわけでございます。

坂井弘一公明党

○坂井委員 まさに実態に即応しない法律改正だと私はいわざるを得ぬと思うのですね。いま御説明にありましたが、指導しておる、これは行政指導だけの問題じゃないと私は思う。むしろ行政指導の前に、瀬戸内海環境保全知事会議でも、これがずいぶん議論され、そういう中で広島県もそれから高知県も、むしろ室戸岬七十海里沖合いに捨てるべきである、ここは黒潮の本流だ、そうしますと沿岸に屎尿は戻ってこない、こういうことがすでにきめられたわけです。そういう中で和歌山県としても、むしろ五十海里よりも——五十海里というのは室戸岬、潮岬を結ぶ線以遠五十海里、こういうことですが、この五十海里よりもむしろ六十四海里説をとったほうが無難ではないか、そうすべきだ、こういうところまで話が進んでおる。これは単なる厚生省の行政指導の問題じゃない。したがって知事会議として、このような十五海里以遠というような三カ年間の暫定期間を設けるという実態を知らな過ぎる国のこういう法律改正に対しては、その条項は削除してもらいたい、こう言っておるわけです。そうでしょう。削除するかどうかということを私は聞いておるわけです。削除いたしますか。

松田豊三郎環境庁水質保全局企画課長

○松田説明員 暫定期間の十五海里以遠の規定につきましては、全国一律でございますので、確かに御指摘のとおり瀬戸内海からの投棄につきましては問題があろうかと思います。そういう意味で実質的に問題のないような捨て方を協議してまいりたいというふうに考えておりますけれども、全国的な各地一律にかかってまいります基準といたしましては、先ほど申し上げましたとおり、いろいろ屎尿処理の将来展望といいますか、将来計画もございますので、十五海里で暫定期間は通していってもらいたい、このように考えておるわけでございます。

坂井弘一公明党

○坂井委員 全国的一律なことであるから、削除はできない、こういうことだろうと思うのです。そんなことは最初からわかっているのですから、そういう点も勘案して十五海里がいいのか、五十海里がいいのかというようなことは、最初から当然踏まえた上でこの法律改正に踏み切らなければならぬと思うのです。過ぎたことはやめましょう。  そういうわけで近畿各府県においては、五十海里以遠、直ちにそれに踏み切ろう、ないしは七十海里あるいは六十四海里、そういう積極的な考え、かまえをいま出しておるわけですね。しかし、法律上は十五海里ですね。五十海里以遠あるいは六十四海里、七十海里とはいっても、これに対する裏づけというものはどこにもないわけです。これを単なる行政指導によって指導しようとしても、はたしてこれが可能であるかどうか、非常に疑わしいものがある。不安ですね。十五海里以遠に捨てれば捨てたってかまわないわけです。だからそういう行政指導により、あるいはまた近畿各府県が協力し協議し合って、五十海里以遠ということであるならば、そういう方向で話し合いをよく重ねて、少なくとも五十海里以内に屎尿投棄してそして紀伊水道をよごすことのないようにという指導をなされるのだろうと思いますけれども、それにはそれなりの裏づけというものがなければなされないと思うのです。単なる通り一ぺんの行政指導でそれがなされると思ったらとんでもない。その辺の考え方はどうお考えですか。

松田豊三郎環境庁水質保全局企画課長

○松田説明員 確かに御指摘のとおり、いろいろの行政指導で地元県知事がただ約束するだけでは問題があろうかと思います。この前の広島県の外洋屎尿投棄にあたりましては、広島県と高知県両県で相当十分な協議が重ねられまして、たとえば船に対しまして監視員、そういうものを同乗させるとか、あるいはいろいろな記録を整備しておくとか、あるいは発着といいますか、そういうことにつきまして通知をするとか、さらに記録計、そういう計器の取り付けも検討しておりますけれども、そういうことで原則的に了解いたしました。  広島県の場合でありますと八十海里ぐらいになるということでございますけれども、そういうふうな黒潮の外縁部への投棄を担保するために、両県で十分必要な手段を講じまして、これはチャーターでございますので、その間、目を離すと、途中で捨てるおそれもあるということでございます。そういうことも十分勘案いたしまして、両県でこまかい覚え書きをつくりまして、これはいろいろ施設等との関連も考えながら、十分担保するような方法で実施していく、こういうことに相なりましたので、ほかの府県からの投棄につきましても、おそらくこのようなことがなされるでありましょうし、またそういうふうな十分な担保ができるように、われわれのほうでも考え、あるいは指導してまいりたい。これは厚生省との共同でございますけれども、そういうふうに遺漏のないようにいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。

坂井弘一公明党

○坂井委員 そういたしますと、念を押しておきますが、厚生省としては、近畿関係県知事の五十海里以遠に来年四月から直ちに踏み切ろう、こういうことですが、その方向に賛成ですね。そういう方向に指導されますね。——ではお尋ねいたしますが、そうなりますと今度はいわゆる遠距離投棄ということになるわけですね。五十海里以遠ですね。そうしますと、屎尿投棄船は必然的に大型にならざるを得ない。大型船を建造しなければいかぬ、あるいはチャーター船を用意しなければいかぬ、そういう問題が出てまいります。それに伴いまして、今度は屎尿の貯留槽、つまり大型でございますのでそれだけの量がふえる、一定期間陸上なりあるいはまた海上等にそれを貯留する施設をつくらなければならぬ、こういう問題が起こってくる。それらに対して具体的にどう指導なさっておられますか。

浦田純一厚生省環境衛生局長

○浦田説明員 昭和五十年度末を目標といたしまして、厚生省といたしましては海洋投棄は事実上全面的に解消いたしたいということで、それを一つの大きな柱として施策を進めてきております。すなわち屎尿の陸上処理施設を完備するということでございます。もちろんその陸上処理施設と申しましても、実はそのさらに大きな柱といたしましては、下水道の建設ということが軸になるわけでございますが、それと相補完いたしまして陸上の処理施設を厚生省としては年次計画をもって進めてまいる所存でございます。ことに瀬戸内海の関係府県につきましては、さらにこちらのほうから督励いたしまして、計画を繰り上げろ、促進しろというふうに、ただいませっかく勧奨いたしておるところでございます。したがいまして、お尋ねの海洋投棄は五十年以降は事実上なくなるということが私どもの願いでございますが、それまでの間のいろいろな問題であろうかと思います。  まず私どもは、大型屎尿船等を使うにあたりましては、それが陸上からそのような貯留槽なりあるいは特別の埠頭をつくりまして、そこから受けて海洋遠く運ぶということではなくて、従来の小型船を活用いたしまして、たとえばバキュームカーあたりから直接に小型の投棄船に移しかえ、さらに小型中継船を沖合いに運びまして、そこでもって大型の外洋投棄船に移しかえるというようなことで、そういったシステムで対処したいと考えておりますので、陸上処理施設の完備計画とも相まちまして、貯留槽は私どもとしては設備していくことは望ましい方向ではないというふうに考えております。

坂井弘一公明党

○坂井委員 あまり実態を知らな過ぎるのじゃないですか。バキュームカーで小型船に移して、小型船からまた大型船にそれを移しかえる、そんなことができますか。実際問題としてこれはたいへんですよ。五十年に至る間に陸上処理施設に全面的に切りかえる、これは願いです。全くむなしい願いでしょう。現在の公共下水道整備の進行状況、陸上処理施設のこの貧弱さ、これは絵にかいたもちですよ。本気になってやるのかどうなのか。実際問題としていま住民がやるのじゃない。地方自治体が、国が一体どう考えているのか。法律改正けっこうです。環境保全、公害防除、そういうことに対して法律をぼんぼんつくる、全くけっこう。しかし、地方自治体の実態がそれに合わないじゃないですか。現場で消化する、そういうあまりにも現場を知らなさ過ぎることに対してきわめて強い不満、反発を持っていますよ。その辺の踏まえ方を根本的に私は考え直してもらいたいと思いますね。具体例をあげましょう。和歌山市において「あおい丸」という新船を建造しました。これは百九十九トン、ことしの五月に進水です。四千八百万かかっている。この船は来年四月から使えないのです。つまり五十海里以遠には行けないのです。航行不能。十五海里ないし二十海里程度です。その間、厚生省それから県、さらに海上保安庁、自治省の指導を受けておりますよ。和歌山市は当初はもっと大型船をつくらなければならぬじゃないかという考え方だったらしい。ここに全部経緯があります。いつ幾日厚生省のだれだれに会って、どういう指導がなされたか。何回もためらっておりますよ。たとえば、ことしの十月には環境保全国際会議が行なわれる、そういう中でもし日本がこれを批准することになったならば、また十五海里、五十海里は改正しなければならぬような事態になるんじゃないか。苦しい市の財政の中から屎尿投棄船新船建造のために四千八百万円、こういう金を使うということは非常に惜しい。それが生きて使えればそれはいいけれども、また使えなくなるのじゃないかというようなことで、このことについてはずいぶん苦慮しております。何回にもわたって厚生省へ行っていますよ。沿岸だからだいじょうぶだということで、厚生省は指導しております、つくりなさい。環境庁とはまっこうから対立しておりますよ。環境庁はそれではだめだと言っている。厚生省は、よろしい。ですから、和歌山市はいま四千八百万円投じたこの「あおい丸」を、国が買い取ってもらいたいと言っています。こういうものを中継船に使って、海の上で大型船に屎尿を移しかえる、そんなことはできません、こういうわけです。いかがいたしますか。

浦田純一厚生省環境衛生局長

○浦田説明員 和歌山市が「あおい丸」を建造したいきさつについてでございますが、私どものほうでは少なくともこの点に関しての市あるいは県からの明確な照会と申しますか相談と申しますか、そういったものはどうも明確な形では受けていないようでございます。ただ、法改正の見通しといいますか、それから先ほど御指摘の、十五海里の線をどのように考えておるかということについての照会はあったようでございます。それで、その当時のことといたしまして、暫定的には十五海里の線で検討中であるというような回答をいたしておるという事実はございます。したがいまして、「あおい丸」に関して私どもが承知しておる限りにおきましては、どうも「あおい丸」の建造について賛成か反対かといったようなことではなかったというふうに承知いたしております。

坂井弘一公明党

○坂井委員 だから行政当局は無責任だといわざるを得ないというんですよ。海洋汚染防止法の一部改正が日程にのぼっておる、十五海里あるいは五十海里という話も出ておる、そういう中で地方自治体がわざわざ厚生省へ出向いてきておる。いかがいたしましょうか。相談を受けてつくれとかつくらぬとか言っているんではない。これは無責任だ。少なくともあなたのほうで、そういう新しい船をばく大な金を投じてつくろうというからには、いまこの法律改正の方向はこうこうだけれども、これらに対しては、環境庁は五十海里というようなことを言っておるんですから、五十海里以遠の投棄の可能な大型が必要でしょうというくらいのことを指導するのは当然じゃありませんか。これはむしろそういうような事態にあたって、厚生省が地方自治体に対してもっと適切な責任ある指導、あるいは財政的な援助もその間問題になってくるでしょうけれども、そういうことは事前に指導すべき性格のものだと私は思うのですね。いまになって、相談は受けたけれども、やれともやらぬとも言わぬ、これは無責任じゃありませんか。実際、広島県におきましては屎尿船の廃業補償をやろうということで、きまったようですね。これは一般の業者に委託している分、その船です。しかし地方自治体だって同じです。つくった船がいま使えない。新船ですよ。そういう将来の見通しのない、全く場当たり的な指導をされたのでは、たまったものではない。きわめて不満だし、そうした国の態度に対しては地方自地体としてはきわめて反発をしております。そういう中でまた新しく貯留槽もつくらなければならぬ。貯留施設のスペースがない。用地確保は地元は反対だ。これは一体どうするのだというような問題が付随的に出てきているわけですね。  そこで、一つの提案でございますけれども、広域的なこういう屎尿の処理処分が妥当な部分につきましては、国が屎尿処理公団でもつくって、そして処理をする。瀬戸内海廃棄物処理公団とでも名づけましょうか、あるいは瀬戸内海屎尿処理公団とでもいいましょうか、そういうような形でこの屎尿の処理に国が積極的に働きかけなければ、私はこの問題は必ず根を残す、非常に憂慮するわけです。  大臣、いかがでしょうか、けさほどの新聞を見ますと、産業廃棄物の処理船というような構想等もお考えをお持ちのようでございますけれども、差し迫っていまこの屎尿投棄に関係いたしまして近畿各府県においては戦々恐々としております。特に漁業関係者、紀伊水道は先ほど申しましたようにアジ、サバの重要な漁場でありまして、大体年間二万トン、この水揚げ高は和歌山県の漁獲総量の約三分の一を占める。そういう貴重なたん白資源、これを毎日毎日、ドラムかん一万四千本という肥をぶち込むというのですから、これはたまったものではない。そんな無謀な法律をつくって、瀬戸内海そのものはきれいになるかわかりませんけれども、紀伊水道が肥つぼになってしまう。これは何たるばかげたことだというわけで、それこそほんとうにたいへん深刻です。和歌山県知事のことばを借れば、私は近畿知事会を脱退しても、この問題については強力に、国に対し、なかんずく厚生大臣には要請をする、こう言っておるわけですが、いかがですか。

塩見俊二自由民主党厚生大臣・経済企画庁長官事務代理

○塩見国務大臣 ただいままで貴重な御意見として私は承っておったのでございます。現在の計画としては陸上で処理をするということに鋭意努力をしておるところでございます。それでこういった屎尿の広域的な処理ということは、確かに瀬戸内海のようなああいう広大な地域をかかえておるところでは考えなくちゃならぬ御発想かと思うわけでございますが、ただいま申し上げましたとおり、陸上処理ということをいま最高目標にしてやっておるわけでございますし、はたして御提案の公団のような組織がいいのかどうか、そういったような最終処理とあわせて、ただいまの貴重な御意見等を参考にさせていただきまして検討させていただきたいと思います。

坂井弘一公明党

○坂井委員 局長にお尋ねしますけれども、先ほど申しました和歌山市の「あおい丸」、いま市の実情は、先ほど私が申し上げたとおりです。このことに対して適切な指導なりあるいは援助なり、もちろん他の府県にもこのような事例はあろうかと思います、こういうことに対して具体的にどうなさるか、お考えがあればお聞かせをいただきたいと思う。

浦田純一厚生省環境衛生局長

○浦田説明員 従来、と申しましても、これはもうすでに十年あるいはそれ以上になるわけでございますが、特に瀬戸内海沿岸府県に対しましては、屎尿処理の海上投棄をできるだけ早期にやめるようにということで操り返し強くこちらのほうからも要請し、指導してきたところでございます。その結果と申しますか昭和四十二年までは、ちょっと数字をいま的確には記憶しておりませんが、その後瀬戸内海におきまする海上投棄は非常に量が減ってまいりまして、かつては一日一万トン以上でありましたものが、四十五年では毎日三千トン、さらにそれがいまでは二千五、六百トン以下に減っているのじゃないかと推量されております。そのようなことでございますが、依然としてやはり瀬戸内海への投棄があとを断たなかったということから、これを全面的に禁止する方向でもってさらに強く施策を進めてきたところでございますし、その結果が、黒潮の外側ということで、暫定的なものでございますが、そういうことでもって法改正に伴う実際上の運営として今日までまいったのでございますが、さらに和歌山県につきましては、和歌山市を中心とする屎尿処理施設、陸上処理施設の計画及び関連いたします下水道の計画、これらにつきまして十分にまた再検討をさせて、その促進をまず第一にはかるということを、あらためてこの時点でまた取り組んでみたいと思います。またそれまでの間におきまして、事実上起こりましたこの海洋投棄の問題につきましては、先ほど環境庁のほうからもお答えがございましたと思いますが、高知県と広島県の例におけるがごとく、事実上、和歌山県あるいは関係の県の方々の御迷惑のかからないように十分に相協議して、しかもそれが実行できるという条件を整えまして、これから先の暫定期間としての海洋投棄を進めていくようにさせたいと思っております。なお、それに伴います諸事業につきましては、これは関係各省庁とも十分協議いたしまして、できるだけそれが円滑に進むように努力いたしたいと考えております。

坂井弘一公明党

○坂井委員 時間が差し迫ってしまいました。この新船建造また屎尿投棄船の廃棄処分等についての明確な方針がいま御答弁にならないようでございます。たいへん残念に思います。しかし現状というもの、実情というものをどうかひとつつぶさに調査し、そして地方自治体が少なくとも国のそうした法律よりも先んじて海をきれいにしよう、また重要な国民のたん白資源である海の魚資源というものを守ろうというわけで、みずからが五十海里あるいは六十海里、七十海里沖黒潮本流に乗せるのだ、そういう努力をしているわけであります。それに伴うところのいま申しましたような小型の屎尿投棄船を廃船しなければならぬというような深刻な事態を迎えているわけでありますので、そこは国のほうがむしろそうした実情をよく踏まえて、地方自治体が少なくとも国の無責任な態度によって意欲を喪失する、あるいは不信感をあおるというようなことがないように厳にひとつ慎んで対処してもらいたいと思うわけであります。大臣、先ほど御答弁がございましたので、あえて申し上げるわけではございませんが、同時にまた、各府県、市等では出資公社というようなものをつくって、そしてみずからが広域的にこれを処理しようではないか、このような動きもいまあるやに私聞いておるわけでございますが、そうしたことに対しても十分な助成措置を講じていくというような方向で前向きに実態に即して進めていっていただきたいということを強く要望いたしたいわけであります。同時にまた、国の責任においてこうした海洋の汚染に対しては厳重に取り締まり、そういうことのないようにあわせて手を打っていかなければならぬと思うのです。そういう点についても、ひとつ十分な御配慮をいただきたいと思います。  最後に一点だけきわめて簡単にお伺いしておきたいと思いますが、世田谷における国立小児病院、これは約四百床というわけでございますが、実際には病棟として建てられた一階が全然使われていない。こんなばかな話はない。なぜかといいますと、先ほど鳥居委員の質疑にもありましたように、医師の不足ないしここは特に看護婦の不足が非常に深刻である。病棟としてつくりながら、一階が病棟として使われずに、半分はあいている、半分は何か倉庫みたいになっておる。こんなばかな話はないのでして、しかも七年間。国立小児病院は難病の小児病患者が全国からたくさん集まってくる。二年待たなければはいれぬというのです。こうして厚生白書を見ましても、これを一つの手本として各都道府県に小児病のセンターのような機関を置きたい、こう言っておるわけです。本家本元の世田谷の国立小児病院が四百床、それで実際に使われているのは二百八十、二百九十床である。しかも病棟として建てた一階が全然病棟として使われないで、それが、正確に申しますと、半分は倉庫、半分はあいておりますね。しかし検査機器を置くべく現在計画をしておる、こういうわけです。ベット数は八十二床あるのです。しかしそのようなわけで全然ベッドは置かれないで、半分はあき家、半分は検査機器を置く、これはどういたしますか。

滝沢正厚生省医務局長

○滝沢説明員 国立世田谷病院の実態につきましては、先生御指摘のとおりでございます。ただいきさつといたしましては、一階病棟は、看護婦の宿舎が未整備の間看護婦宿舎に使っておりましたが、この春整備を完了いたしまして看護婦がそちらに移りましたので、おっしゃるとおりまさにあいておるという実態になったわけでございます。この点につきましても、われわれも責任を感じておりまして、先般大臣にも御視察願い、私も再三参りましたが、いまのところ、一階の東側の病棟については、一般的な幼児の内科の病棟として使用したい。それから西側につきましては、特殊の外来をやるというようなことで病院側の希望がございます。御指摘のとおり、現在看護婦については、定員の百四十七に対して百八十一という数字を配置しておりますけれども、病院側としては必ずしも十分と思っておりません。この点については、病棟の再開問題とからめまして十分検討いたしまして処置いたしたい、こういうふうに考えております。

坂井弘一公明党

○坂井委員 一階病棟は再開するわけですか。

滝沢正厚生省医務局長

○滝沢説明員 はい。

坂井弘一公明党

○坂井委員 時間がきたようでございます。中身につきましてもっと議論を詰めたかったわけでありますが、残念ながら時間がございません。次の機会においてさらに具体的に質問をいたしたいと思います。本日は、これで質問を終わりたいと思います。

笹山茂太郎自由民主党

○笹山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時二十九分散会

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