外務委員会 第2号
- 発言数
- 108 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1972/08/10
会議録
○福田委員長 これより会議を開きます。 この際、理事辞任の件についておはかりいたします。 理事正示啓次郎君及び理事永田亮一君より理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○福田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 次に、理事の補欠選任についておはかりいたします。 ただいまの正示啓次郎君及び永田亮一君の辞任による欠員のほか、去る七月十七日理事青木正久君が委員を辞任されましたので、現在理事が三名欠員になっております。この補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○福田委員長 御異議なしと認め、委員長は、石井一君、鯨岡兵輔君及び西銘順治君を理事に指名いたします。 ————◇—————
○福田委員長 この際、青木外務政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。外務政務次官青木正久君。
○青木説明員 ごあいさつ申し上げます。 このたび外務政務次官を拝命いたしました。当委員会の諸先生方には、長い間いろいろお世話になっておりまして、私の未熟ぶりもよく御存じだと思いますけれども、しかしながら日本の外交は問題が山積をしておりますので、私も精一ぱいがんばろうと考えている次第でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手) ————◇—————
○福田委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田久就君。
○山田(久)委員 本日は外務大臣のお時間もあるようで、時間もあまりありませんので、ほんのさわり程度というところで残念でありまするけれども、少しお尋ね申し上げたいと思います。 一つは、いまいろいろ進行しております日中国交正常化の問題でございまするが、むろん国交正常化そのこと自身につきましては、目下自民党においてもその方針には異存がない、こういうことでございます。しかし問題は、どのような条件で国交を一体調整するのかというこの条件の問題、これについてのわがほうの腹案というものが非常に重要なことだろうと考えるのであります。中国側では、すでにいわゆる三原則というようなものを従来示しておったようでございますが、この問題に対する対策——その後いろいろな柔軟な姿勢も見えるようでございますが、これに対するわがほうの態度、これを含めてひとつわがほうの折衝に臨む基本的立場、これについては十分慎重に、いろいろな情勢分析というものに基づいてしっかりやっていただきたい、こう思う。 ここで一つ要望しておきたいと思うことは、この基本的な条件についてのわがほうの腹案、これをつくり上げていくにあたりましては、単にこれまでの日中間の問題のあと始末という見地からばかりではなくして、あくまでも世界に平和を確立していきたいというわがほうの基本的な方針にもかんがみまして、日華百年の関係を定着化していく、こういう構想に基づいたものの中からわれわれの条件というものを求めていくということでなければならない、こういうふうに考えているわけでございますが、これらの点についての外務大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。
○大平国務大臣 いま日中国交の正常化問題につきまして、山田委員から将来の大計を誤らぬように慎重にやれというおさとしでございまして、御注意ありがたく拝聴いたしました。仰せのように私どもといたしましては、日中間の暗い過去に終止符を打つばかりでなく、仰せのように、これから将来にわたってアジアのこの地域に平和を創建してまいるという土台づくりということも十分頭に置いて問題に対処しなければならないと考えております。 それから、この正常化についての条件という問題につきましての御質疑でございましたが、この点につきましては、新内閣が発足いたしまして、首班指名の国会におきまして実質上の論議がなかった事情もありまして、各党の国会議員の方々から政府に書面をもって御質問をいただいたわけでございます。したがって、政府といたしまして御質問がありました問題につきまして、公式に見解を述べておいたわけでございまして、すでに山田委員におかれましては御高承のことかと思うのでございまして、あの返答はいまなお政府の公の見解でございます。
○山田(久)委員 さらにこれは私からの今後の折衝に臨んでの要望でございますけれども、実際上外交交渉というのは相手のあることで、いわば相互の歩み寄りというようなことでございましょう。が、同時に具体的な手段、方法を考えていく上については、十分これを取り巻くいろいろな国際関係というものをやはり入念に分析して、その分析の上に立脚しなければならないと思う。そういう意味においては、今後われわれが北京との折衝に臨むにあたっては、対米関係、対ソあるいは対台湾、その他隣接諸国との間の、予想し得る十分な外交的な根回しということについては、十分留意していただきたい。これはむろんおやりになっているとは思いますけれども、特にこのことを希望しておきたいと思うのでございます。と同時に、御承知のように共産圏におきましては、内政というものと外交というものは非常に、というよりはむしろ不可分の関係に立っていることは御承知のとおりでございます。中国においてはここ数年の間に劉少奇の事件、文化大革命、また近くは林彪問題というような内政上の大きな変動が起こっておる。こういう点を踏まえての中国の情勢の分析というようなことについても、十分これに対処される必要がある、こう考えます。デリケートな問題でございますから、これについてのいろいろな点についてのお答えをいただこうとは思いませんけれども、こういう点の必要性ということについては、ひとつ十分お考えいただきたい、こう考える次第でございますが、念のためにひとつ御意見を承っておきたいと思います。
○大平国務大臣 日中正常化問題は、ひとり日中間の問題ばかりでなく、わが国の外交の全域にわたりまして影響を持つ大きな外交的課題であると心得ております。したがいまして、仰せのようにこの問題をめぐります国際情勢の把握、解明につきましては、力を入れていかなければならぬと考えます。私どもといたしましては、わが国の外交機能を傾けて、できるだけ御趣旨に沿うような方向で対処してまいりたいと考えております。
○山田(久)委員 目下党と政府との間において、根本問題についての調整が行なわれていることは御承知のとおりであります。したがいまして、いずれあらためて、その後の段階において、政府が政府の責任においてそれを踏まえてやる、その段階において、いろいろお尋ねをすることが適当だと思いますので、きょうは日中問題についてはこの程度にいたしておきたいと思います。 さて、一方、前々からの関係で、この九月には日ソ間において平和条約の交渉が開始されるという段取りになっておることは御承知のとおりでございます。一体現在どのような順序、手続でこの交渉をやられようと考えておるかという点についてのお話を承りたいと思うのですが、これに関連いたしまして、ソ連の最近の対日態度というようなものは、今後の交渉の背景として非常に重要だと思います。昨今のソ連の日本に対する論調というようなものも含めて、参考になるような点、お聞かせいただければ幸いだと考えます。
○大平国務大臣 日ソ間の平和条約締結交渉につきましては、ことしの一月来日されましたグロムイコ外相と私の前任者の間で合意ができまして、今年中に開こうじゃないかということになっております。したがって、それを受けまして、先般、九月中に予備交渉をやろうということで、両国の合意を見ております。予備交渉におきましては、本交渉の時期、場所、それからどういうレベルでやってまいるかというようなことについて打ち合わせる予定にいたしております。 それから第二の御質問でございますが、ソ連の対日論調というようなものがあればという話でございますが、本年一月のソ連外相の訪日以後、日ソ間の協力関係を強調した論調が多く見受けられました。従来見られたような対日非難は一時影をひそめていたように見受けられますが、最近に至りまして、日本の軍国主義に言及したり、北方領土の問題につきましては、これは戦後の国境を修正しようとする日本の若干の政治家の露骨な試みであるという、警戒的な論調も見られないではないという状況でございます。
○山田(久)委員 結局、平和条約の交渉といいましても、わがほうに関する限りは領土問題というものが一番中心課題であることは、過去の経緯からいって明らかでございます。だから、外務大臣からお話がございましたソ連の態度も、いろいろなことで変わっておる部分もありますけれども、しかしながら、従来のソ連の領土問題に対する態度というところをフォローしてみますと、決してこれは甘いものではないと思う。要するにソ連がこの問題を再考するについて、つまりそれが得だと考えさせるような、つまり客観情勢をいろいろな形でつくっていくということが非常に必要なことじゃないか、こう考えておりますので、外交的にも国内的にもそういう点、ひとつ十分お考えおきいただきたい、こう考える次第でございます。 なおこの際、たまたま対ソ交渉と日中関係というものが並行していっているような関係になっております。私は、大体外交というものは一方だけを見ておってやり得るものではなくて、全部が密接な関係を持っておるし、また持たなければならない事柄である、そう考えております。御承知のように、諸般の情勢からソ連も、この中国の山一方、日中問題の今後の動きというようなことについては非常に大きな関心を持っておりますし、中国におきましてもまた同様のことであることは御承知のとおりでございます。全般といたしまして、いわばこの点、相互に対しての一つのバランスというようなことは、単なるテクニックというような問題じゃなくて、十分そういう点についてはひとつ腰を落ちつけてじっくりと考えていくことが必要だ、特にこういうことを私は深く感じておりますので、ひとつこの点について外務大臣としても十分留意していただきたい。私はこの希望を申し添えて、私の質問を終わりたいと考える次第でございます。
○福田委員長 堂森芳夫君。
○堂森委員 外務大臣に対しまして、時間が十五分しか割り当てられておりませんので、日中国方回復の問題につきまして主要な二、三点について伺っていきたい、こう思うのであります。もちろん事は外交関係の重要な問題でありますから、国会の席といえども、いろいろ表現等につきましてお答えにくい点もあるかと思いますけれども、せっかくの外務委員会でありますので、外務大臣もできるだけ率直にお答え願いたい、こう思うのであります。 まず第一に、日中両国の国交回復について、これからの政府、特に外務大臣である大平さんが持っておられるスケジュールの構想というものがあると思うのでありますが、相手のあることでありますから、こうこうという的確なことは、それは場合によってはむずかしい答弁もあるかもしれませんが、外務大臣としての、政府としてのこれからのスケジュール等について、この席で答弁し得る範囲の最大限のお答えをまずお願いしたい、こう思うのであります。
○大平国務大臣 いまの政府としては、御案内のようにこの問題に政府の責任で取り組む決意を表明いたしまして、その検討にいま入っておるところでございます。 段取りといたしましては、国交正常化に伴う基本的な諸問題を十分究明しなければならないわけでございまして、私どもはその仕事にいま全力をあげておるところでございます。と同時に、この問題は先ほど山田委員にもお答え申し上げましたとおり第三国との関連も持っておる問題でございますので、そういった点も十分検討しておかなければならないと考えておるわけでございます。しかしこの問題の日中間の交渉のスタートというものは、政府首脳と先方との間の公式の接触から始まるわけでございまして、いま世上でもいわれておりまするように、田中総理の訪中という問題が取りざたされておるのもゆえなしとしないと思うのでございます。したがって、田中総理の訪中ということになりますと、いま私どもが検討いたしておりまする基本問題につきまして十分の検討を遂げねばなりませんし、国内的にもいろいろの調整を必要とすることでもございまするし、いま的確にいつごろどうするというようなことを、率直に申しましてお答えできる段階ではないことを御承知願いたいと思います。
○堂森委員 それは外務大臣、外務大臣としてはそういう答弁ではおかしいんじゃないでしょうか。たとえば国内的な問題とおっしゃいましたが、政府・与党である自民党の中の機関は、総理の訪中はよいといっている、行くべきである、こういうような決定が満場一致でなされた、これは新聞報道でございますが、そういうようなことも書かれております。 それから、もちろんたとえばいろいろな場合があると思うのです。まず最初に外務大臣が行かれて、これは私の想像ですが、それからそのあと総理が行かれる、あるいはあなたも一緒に行かれる、あるいは初めから総理とあなたが行かれるとか、いろいろな場合があると思うのであります。しかしまた、たとえば向こうへ行く、北京を訪問すると申しましても、もういまごろ、どういうふうな態度で臨んでいくかというようなことはきまっていなければならぬ問題ではないでしょうか。たとえばホノルルへ、いますぐではありませんが、アメリカの首脳とおそらく日中国交正常化の問題等について話し合いに行かれることは、これはもうすでにきまっておる。いまになって、どういう基本的な態度で日中国交の正常化をはかっていくかというその構想等についてはまだ国会で答弁ができぬ、こういうようなことがあり得るでしょうか。それはまだ何もないということでありましょう。外務大臣は責任者として構想というものをお持ちだと思いますが、もう一ぺん答弁をお願いしたい、こう思います。
○大平国務大臣 先ほど申しましたように、国交正常化に伴う基本問題の検討をいたしておるということは、わが国政府といたしまして対中処理方針というようなものをつくり上げる素材でございまして、そういうものができないと、漫然と総理に訪中の決意をお願いするわけにもまいらないわけでございます。そういう勉強をいましておる最中ということでございまして、あり得ないわけでないので、あり得るわけで、そういうやらなければならぬことをいまやっておるというように御承知願いたいと思います。
○堂森委員 重ねてお尋ねいたしますが、勉強しておることはけっこうでありますけれども、責任者の外務大臣が、重大な問題であり、国民的に大きな関心が持たれておる問題であり、また世界じゅうがある意味では注目しておるこの問題について、もう八月も中旬に入ろうという今日、来月にも訪中しようといっておるときに、そういうふうなことがあり得るでしょうか。私はおかしいと思うのであります。 そこで、具体的にお尋ねしますが、あなたと総理、あるいは総理お一人、あるいはもっとほかの人も一緒に訪中するとしましても、両国の国交正常化のために、たとえば日ソの国交が回復したときのような姿でいくのか、あるいは講和条約としてそういう話し合いに入っていくというのか、あるいは総理が向こうへ行かれて、これから両国の国交正常化の話し合いを進めていこう、こういう糸口に入るのか。これは非常に外交的な重要な問題でありますから、外務大臣はそういうことはなかなか答えられぬとおっしゃるかもしれませんが、もう一度、私はそういう具体的な尋ね方をしますので、できるならば答弁を願いたいと思います。
○大平国務大臣 いまいろいろ正常化に伴う基本問題について検討をいたしておるということを率直に申し上げたわけでございます。それを素材にいたしまして、わが国の政府としての対中処理方針というようなものを一応ポケットに入れておかなければならないのではないかと思うのでございます。しかし、事は相手があることでございますから、相手と交渉が持たれ、その結果が出ないといけない問題でございますが、いままだそういう段階でございますので、堂森さんがおっしゃるように、それがどういう姿にまとまっていくかというようなことは、いまそこまで考えが及んでいないわけでございますので、その点もあわせて御了承をいただきたいと思います。
○堂森委員 では、変えてもう一ぺんお尋ねします。 きのうの新聞でございましたか、何新聞かちょっと私は覚えていないのですが、アメリカの国会の下院で、たしか国務次官か何か、そういう枢要な地位にいる人が、外交問題についての証言をしておるという記事を私は読んだのであります。そして、その国務次官の証言の中に、アメリカ政府の展開してきた対共産圏政策は、従来から同盟関係にあった国々に必ずしもよくない影響を与えておるというようなことをいろいろと証言をしておるのです。これは日中関係の改善についても、何か遠回しな表現で言及しておるように、私はきのう汽車の中で新聞を読んでおったのですが、そういうふうにとったのです。 そこで、ホノルルへ行きまして日米両国の首脳が話し合うと思うのでありますが、その会談の結果、いまの日中両国の国交を正常化していこうという方向に対して、また消極的な方向に逆戻りするというか、外務大臣はそんなことはないとおっしゃるかもしれませんが、そういうようなことはないのでありましょうか。これもお聞きしてお責たいと思います。
○大平国務大臣 来たるべきホノルル会談における両国の首脳の討議する議題というものをいま日米両国で打ち合わせ中でございまして、まだ最終的にきまっていないのであります。したがって、これから先は私の憶測でございますけれども、いま日本で日中正常化の問題が問題になっておるということは先方も御承知だと思いますので、いま堂森さんがおっしゃるように、こういう問題が話題になる可能性は非常に強いのじゃないかと判断をいたしております。その際は率直にこちら側の考えを先方に述べたいと考えておるわけでございます。 それからジョンソン国務次官の証言なるものは私も拝見いたしまして、それはそれなりのアメリカ政府の持たれておる見解として拝見をいたしたわけでございます。
○堂森委員 外務大臣の答弁、きわめて不満でありますけれども、時間がありませんので次の機会にします。
○福田委員長 大原亨君。
○大原委員 私は、きょうはアメリカが広島、長崎に設置をいたしております原爆傷害調査委員会、ABCCですが、このABCCの日本における活動の法的な根拠、それからこれからの組織や活動のやり直しに対する日本の政府の態度、こういう問題に集中して質問をいたしたいと思います。この問題は科学技術特別委員会あるいは社会労働委員会等で今日まで一昨年以来議論を重ねてきたところでありますが、いよいよ日本の政府がどのように腹をきめるか、この問題に対してどう対処するかという結論を出す段階にきたと思いますので、いままでの議論を踏まえながら質問を進めていきたいと思います。 その第一は、ABCCの存在については、法的には昭和二十七年のアメリカ大使館からの口上書、その中にはABCCの本国の職員、アメリカ側の上級職員について関税その他外交上の特権を認める問題を含めてのABCCの活動に関する口上書があるわけであります。この問題はいままでしばしば議論があって外務省側からも御答弁があったわけでありますが、この口上書だけでアメリカが日本において原爆傷害の調査活動をする根拠とするには、これは根拠としては非常に欠陥のあるものであり、私が指摘するまでもなく占領中はアメリカの占領軍のプレスコードその他があって、原爆のことはすべて秘密であった、公表してはならなかった。それは第二次大戦直後のアメリカの核独占時代とも関係をするわけでありますが、そういう経過を経まして、講和条約の成立以後ABCCのあり方についていろいろ議論があった。アメリカからも問題の提起があったけれども日本の政府はこれを避けてきた。そしてアメリカ側の口上書と日本側のそれに対する返答をもってABCCを占領の時代のままで継続してきた。そこで、加害国が被害国の被爆者を調査する活動の根拠としてはこれは問題ではないかということが広島あるいは長崎の市民間においてもあるいは国民感情の中においてもずっと続いてきたわけでありますけれども、いまやかなり長期にこれから二十年ないし二十五年にわたって調査をしなければ完結をしないというふうなテーマを持っておる調査の項目がある。そういう現状において約二十四、五年を経過したわけでありますけれども、今日あらためて再検討しなければならぬというふうな情勢である。外務大臣にまず外務省の見解をお尋ねしたいのですが、昭和二十七年にABCCの活動に関するアメリカ側の口上書に対して日本側が出した答弁、この答弁、やりとりはABCCの根拠の国家間の取りきめとしては法的な拘束力を持たないし、これはきわめて不備なものである、欠陥があるものである、そういう外務省の見解は外務大臣は十分御理解なさっておると思うけれども、それについてまず外務大臣の見解をお尋ねいたしたいと思います。
○大平国務大臣 いまのその問題につきましては、外務省と関係の省との間で話し合い、検討が進められておると私は承知しております。
○大原委員 ABCCの原爆傷害調査のアメリカの調査活動は、ABCCはアメリカ大使館の機関でもない、またアメリカの政府機関でもない、そういうものが単なる口上書を基礎にいたしまして日本において占領以来ずっとその惰性に流れた活動をしているというふうなことは、今日の段階から考えてみましてもきわめて欠陥がある問題ではないか、この点は洗い直すべきではないか、こういうことをいままで議論をいたしてまいりましたが、現在の段階で私が指摘した点については外務大臣は同感であるかどうか、お聞かせいただきたい。
○大平国務大臣 あの機関のわが国における活動につきましてはいろいろ評価されておるわけでありますが、大原さん御指摘のように、これが日本政府の手によってそういう機能が完全に代替されるという状態は望ましい状態だと思います。けれども、それには所要の予算その他の準備が要るわけでございますので、先ほど申しましたように、関係省との間で検討が進められておるように承知しております。したがって、あるべき姿としてはあなたが御指摘のような方向に処置してまいることが望ましいと考えております。
○大原委員 これからの問題についてのことでありますが、これからの問題の対策を立てていく際には、いままでの問題についてどこに問題があるのかということをはっきりしなければならないと思います。そういう意味で私は申し上げておるわけであります。申し上げておるように、市民感情、国民感情からいいましても、アメリカが原爆傷害調査をする際に口上書だけでその職員に特権がある、活動が占領——大統領命令から出ておるわけであります、海軍長官の要請に従って大統領が命令を出したわけでありますが、そういう根拠と経過だけに基づいてやることについては問題があるから、その手続の問題を含めてこれからABCCのあり方について政府関係機関は十分議論をして、そうしてその再検討をする、出直す、洗い直す、こういうふうに考えて政府としては対処する、そういうふうに理解をしてよろしいかどうか。
○大平国務大臣 いませっかく関係省の間で検討しておるわけでございますので、その検討の結果を待ちたいと思います。
○大原委員 大臣は専門家でないからですが、条約局長見えておりますね、条約局長、私が指摘いたしました点で条約上の問題についてあなたは前にも国会で見解を述べておられますが、その見解に変わりはないか、もう一度ひとつ確認いたしたいと思います。
○高島説明員 私前国会の衆議院の科学技術特別委員会で田中先生の御質問に対しましてお答えいたしました。その見解はいまでも変わっておりません。 それで、先生御指摘のいまの問題につきましては、せっかく現在大臣の仰せのとおり各省間でいろいろ検討いたしておりますので、その検討の結果を待ちましてこれをどういう形でもってアメリカとの間に約束をするか、約束のしかたについてどうしたらいいかということにつきまして考えたいと思っております。
○大原委員 それでは、このABCCを日本の国内の対応する機関といたしまして取り扱ってきたのは厚生省であります。厚生省は予防研究所の支所を広島、長崎のABCCに併置をいたしましてやってきたわけでありますが、これはどのような根拠でABCCとの間において今日まで協力関係を保持してきたのか。政府委員でもよろしいから、法律上のその根拠の問題と、そしてこれから取り組んでいく際に問題となるべき事項についてひとつ厚生省側の見解を聞かしてもらいたい。というのは、厚生省あるいは科学技術庁の放射線医学総合研究所もありますが、それぞれの対応する機関がABCCとの間において実質上どのような活動をしてきたか。それをどのように改めるかということが日本側の態度を決定する中身であります。それに基づいて外務大臣も交渉を積極的にするのだ、こういう意思表示でありますから、政府全体としては考え方も統一して外交交渉に臨むのだ、私はこういうふうに理解をするわけでありますから、厚生省の側のこの協力をいたしてまいりました法的な根拠と、そして問題があるとするなら問題点をどのように考えておるかという点をまずひとつお聞かせいただきたい。
○柳瀬説明員 ABCCと国立予防衛生研究所の共同研究の経過につきましては、昭和二十二年の六月にABCCのほうから国立予防衛生研究所に対しまして共同研究について協力方の要請がございました。これにこたえまして予防衛生研究所の支所といたしまして、広島、長崎に両支所を置きまして、これがABCCと共同研究を実施して今日に至っておるわけでございます。ABCCと国立予防衛生研究所との共同研究につきましては、その後二十余年にわたる長い間の研究で一応貴重な研究成果をあげていることもまた事実でござ、まして、今後の共同研究の強化に関しまして米国側の意見も十分に聞き、検討する必要もあるかと思っているわけでございます。
○大原委員 私は前からの議論を進めていく上において、前に進めてまいりますが、いまABCCの問題で関係者の間で議論をされ、それからこれからのあり方について議論されている中で、これはやや国民的なコンセンサスといってもいいものがあるわけであります。これは日本側が第一に研究の主体性を持つということ。そして原爆障害の後遺症等を研究する際において統計的、疫学的に五十年以上の長い展望をもって研究しているという、そういうスケールの大きい研究については各方面で評価が高いけれども、しかしこれが被爆者の対策——日本の主体の問題との関係でありまして、被爆者の立場、そういう市民感情、国民感情の上に立ち、しかも被爆者の対策について前向きに取り組むような姿勢でこの障害の調査研究か進められなければならぬということ。これはどういうことかといえば、たとえば遺伝その他の問題は軽率には判断はできない問題であるけれども、あるいは放射能がガン、胃ガンの原因になるということについての原因と結果についての結論を出すということについては慎重であるべきだけれども、しかしそういう疑わしいという場合がある場合については、政策の上にこれを反映さしていくということは今日の公害裁判を見たって非常にはっきりしておるわけです。アメリカはずっと占領以来の継続ですから、原爆はできるだけ影響は少なかったのだ——内容を隠すことができなくなったら、少なかったのだということで、こういうことでできるだけ自分の立場をカバーしようという、そういう政策をとることになれば、今日までも調査の障害がたくさん起きてくるだけではなしに、これからもこの調査に関係することはできない、そういうことになっておると思うわけです。ですから、日本側が主体性を持った研究にしていくということと、そして被爆者の立場を反映できるような、そういう研究体制を確立することが必要である、こういうふうにコンセンサスができつつあるというふうに考えてよろしいと私は思いますが、これからの対米交渉でいままでの関係を外交上も協力関係においても洗い直すということになれば、私が指摘をしたような点については厚生省はどのような考えを持っておられるか、ひとつ見解をはっきりお示しをいただきたいと思います。
○増岡説明員 ただいま大原先生からお話のありましたような合意というものがすでにできかかりつつあるということは私も全く同感でございます。しかしこれまでの経過から見まして、私は別段米国側が作為的に結果をつくったというようなことはないと思っておりますし、またこれまでの県民感情、市民感情の中では即時全面返還という人もおりますし、それからこのままでもいいという方もありますし、その折衷案、いろいろ意見が分かれておったところでございますけれども、昨今では先生御指摘のとおりそのような大かたの合意ができつつあるわけでございますけれども、その中で特に私どもが一番心配しておりますのは、こういう研究機関でございますから、施設とか金銭の問題でなくして、人の問題が一番課題になるわけでございます。その問題につきましては私どもは相当慎重に考えていかなければならない問題が残されておるように考えておるわけでございます。
○大原委員 最近、ことしの七月の二十日に「ABCCの在り方を検討する会」として、広島大学学長の飯島学長、県の医師会長あるいは広大の原医研の所長あるいは医学部長、原爆病院長、市の衛生局長、市の医師会長、市の原爆対策協議会の副会長の松坂義正氏をはじめ、原田東岷、湯沢県衛生部長等からなるこの「在り方を検討する会」がABCC再編成の四つの原則を出しておるわけです。これは最近も長崎、広島の市議会等においてもABCCのあり方について決議を出しておりますが、それと大体一致をいたしておるわけですけれども、その第一項に「占領行政時代継続の現状を断ち切り、その存在基礎を明確にしたる研究所とすること。」こういう項目があるわけであります。いままで議論してまいりましたように、政府も認めておるように、いまのABCCの基礎は、アメリカの大使館の付属機関でもないし、政府の機関でもないのです。アメリカの原子力委員会とアメリカの学士院との間の契約に基づく非営利法人の日本における活動、営利法人ではないけれども、非営利法人の活動でありますから、それが占領以来惰性で継続しておることについては、条約局長も答弁しておるように、口上書だけで扱うことについての欠陥を認めておるわけです、政府はいままで。ですから手続上も内容的にも洗い直す、そういう問題について早急に合意を得る、この一年来の問題でありますから、そういうことであります。ABCCのあり方に関する意見として出ておる、その存在の基礎を明確にすべきだ、こういう問題について、日本側の主体の問題と一緒に日本の政府がどのような態度で臨むのか、そのことを確定いたしまして、そして外務省を中心に対米折衝すべきであろう、こういうふうに私は思うわけでありますが、もう一回ひとつこの点をお聞きします。
○増岡説明員 外交上の交渉はもちろん外務省にやっていただくわけでございますけれども、その前提になります内容の詰め方につきましては関係各省、科学技術庁並びに文部省、厚生省でございますけれども、従来の経緯から申しまして、また米国側からいろいろな申し出がある関係上、それを直接タッチしておりますのが厚生省の予研でございますので、そこまでの取りまとめは厚生省がやはりやっていくべきだと私は思います。 そこで、どのような方法でどういう姿でどういう研究をする、もちろん先生のおっしゃいますような被爆者対策というものを十分に加味したものが出てこなければならないと思いますけれども、その結果によりまして担当がおそらく政府の内部できめられることと思いますけれども、そこまでの詰めは私ども厚生省のほうでやらなければならぬと思っております。
○大原委員 いままでの議論はこういうことであります。前の斎藤厚生大臣に私が指摘をいたしました点は、いまの厚生省の予防衛生研究所というのは赤痢とか腸チフスとかいう伝染病を中心とした研究機関なんです。ただし終戦直後にはたまたまお医者さんが多かったということで対応機関になったわけであります。しかし、被爆者対策については厚生省がやっておるから各研究機関を統括することは意味があると思うけれども、やらなければならぬと思うけれども、予研がABCCの活動に対応しておるということは組織規程や設置法にはほとんど基礎はない、実体もないわけです。ですからABCCが調査をいたしましたことについて、秘密があるなしの議論は別にいたしまして、その結果を検証するというふうな日本側で検証する機関ではないわけだ。極端に言うならば日本側の職員も単に走り使いをしているにすぎない。市民や被爆者に対しましては厚生省がやっておりますと、こういう名目になるにすぎない。ABCCの活動について市民に対してカムフラージュしているにすぎない。だから共同研究だといわれるけれども、共同研究の実体を備えていない。それはあなたも限界を認めているし、厚生大臣も前の国会ではそのことを認めております。したがって、対応する機関をどうするかということで、私は科学技術庁の放射線医学総合研究所、これは中曽根さんがもと長官のときに議論したことがありますが、それがやはり中心となって対応しながら厚生省の予研の支所や公衆衛生局やあるいは文部省の関係の広島医大や長崎医大の原爆に関する研究所がありますから、そこらがチームワークをとってABCCの疫学的あるいは統計的な調査の一環としてやるべきである、私がこういう提案をいたしましたときには、厚生大臣はその趣旨には同感であると二回にわたって答弁いたしております。しかし、科学技術庁のほうに異議があるやに私は聞いておりますが、科学技術庁は現在の段階ではどのような考え方を持っておるか、お聞かせいただきたいと思います。
○藤波説明員 原爆被爆者の疫学的な追跡調査につきましては、いま御指摘のように厚生省の予防衛生研究所がABCCと共同で昭和二十三年以来ずっと作業を続けてきておる、こういうふうに私ども承っておるわけでございます。科学技術庁の放医研のほうは放射線による人体の障害予防、さらに診断、治療等について総合的な調査研究を進めているわけでございます。その調査研究の成果につきましては従来も十分に活用し合って今日に至っている、こういうことでございます。 ABCCのいま先生御指摘の再編問題につきましては、かねてからあるいは中曽根長官時代あるいは平泉長官時代に御答弁申し上げておる向きもありまして、科学技術庁といたしましては、何ぶんにも歴史的な経緯から考えて厚生省が中心になってこの再編問題に取り組んでまいっておりますので、関係機関が寄り寄り検討を進めてまいっておるところでございます。いま厚生政務次官がらお話がありましたように、厚生省を中心として検討を進めていただいておりますので、科学技術庁といたしましてもその一環として討議を進めさしていただいておる、こういうことでございます。
○大原委員 ABCCには従業員が七百名前後いるわけでございます。したがってその処遇の問題等もあるわけであります。雇用関係等もあるわけでありますが、私はABCCの問題は、外務大臣、こういうことだと思うのであります。 一つは、条約局長も前の国会以来認めているように、外交上非常に欠陥がある。それでこれは洗い直さなければいけない。その際にはABCCをどういうふうに再編成するかどうするかというような構想ができなければできない、ABCCは意味ないというふうに撤去を要求する、あるいは日本側に移管をするのか、いまのままで日米間で協定を新たにつくり直してその研究の基礎をはっきりさせながら問題を処理していくのか、漫然たる外交特権とは認めない、こういうこと。そういう問題についてやるか、その問題が一つあります。 もう一つは、日本側に移管する際には特殊法人にするということも一つ考えられるわけであります。 もう一つ問題になるのは、アメリカが一年間に人件費その他研究費を約十五億円出しておるけれども日本は七千万円しか出していない、財政的にも全く対等でない、だから日本に発言力はない、日本の予研の支所の職員は、日本の厚生省の公務員は雇われているというふうな関係にある、アメリカの非営利法人に雇われているというふうな関係にある、これもおかしい。だから日本側がそういう態度をきちっときめなければならぬ。そのことは外務省の折衝にも重要な影響があることはもちろんである。しかしこれをいまの答弁のように各省ともなかなか一歩を踏み出すだけである。この研究について、二十数年間続けてきたことについて評価をする点はいままでしばしば答弁いたしておるわけですから、それに対して協力をしてきたのだというような責任もあるわけでありますが、それらを踏まえてABCCと日本の原爆後障害の問題の調査研究、治療との関係、被爆者との関係を考えながら、どういうふうに位置づけていくかということの日本側の政府の態度がきまらない、外務省もそのほうへおっかぶせておいて、自分たちがやった外交交渉上の手落ち、ミスということについて、これを早急に克服する努力をしない。先般広島市長が田中新総理にこの点を申し上げたところが、これはさっそく前向きに善処、研究しなければならぬということだけである、中身はなかなか進んでいない。 そこで私が本外務委員会に出て質問いたしますのは、外務大臣も有力な大臣である、それだけでなしにアメリカとの外交関係において責任を持っておるのであるから、この問題を総括的に考えながら、どうするのだということを外務大臣はひとつ責任を持って考えてもらいたい。私はこういう強い希望があったので質問をいたしたわけでありますが、この点について私はこれからの折衝に望む政府全体の態度について、国務大臣である大平外務大臣は、いままでの質疑応答を踏まえてどういうふうにお考えになるか、その見解をひとつ具体的にお示しをいただきたいと思います。
○大平国務大臣 いませっかく御指摘になりましたような問題点を踏まえまして関係各省でよく検討を遂げまして、あるべき姿を発見いたしたいと考えます。
○大原委員 まあきわめて善意に解釈すれば、抽象的ですが熱意を持ってやろうということでありますが、厚生省、科学技術庁、文部省の関係はもう少し積極的に協議をして、そして問題を避けて通るのではなしに期日をきめて、たとえば来年の予算編成期が来ておるわけですから、八月なら八月一ぱいにこの問題については協議をする。こういう問題についてはいままでしばしば議論してきたことですから、この問題についてはそういうふうにして意見をまとめて、そして外務大臣も御出席でありますから政府全体の意見を総理とも御相談になってまとめると、こういう方向で対米折衝をやっていくことが私は双方の利益にかなう問題であると思います。問題は調査委員会の一つの問題でありますけれども、きわめて原爆の核にかかわる問題であって、岩国基地との関係が国会で議論されたこともあるのでありますから、そういう問題については私は具体的に前向きに質問をいたしておるつもりでありますけれども、厚生省、科学技術庁、文部省等も協議をして八月中には意見をまとめて、外務省との間においても意見をまとめて、そういうことはいままでの経過からいえば、外務大臣、四月早々には意見をまとめて交渉するというようになっておったわけでありますから、全くこれは怠慢であります。沖繩問題その他があったとはいいながら、怠慢であります。したがって、厚生省と科学技術庁のそれぞれの政務次官からそれに対する見解を最後にお聞かせをいただきまして、さらに外務大臣の御答弁をいただきたい。
○増岡説明員 ただいまの大原先生の御発言もございますし、また社会労働委員会でもそのような附帯決議もいただいておりますので、厚生省のほうでできるだけ早い時期にそのような一応の成案をつくりたい、まとめ役をさせていただきたいというふうに考えております。
○藤波説明員 どういう形で進めるのが一番いいかいまABCCでお働きをいただいておる方々のお立場などもありましょうし、いろいろな形で一番いい方法を従来も検討を進めてきておるわけでございます。いま厚生政務次官からの答弁もございましたので、厚生省を中心として科学技術庁も十分協力をいたしまして、あるべき姿を見出すために努力をいたしたい、このように考えております。
○大平国務大臣 せっかく督促いたしたいと思います。
○大原委員 私はこれで終わるわけでありますが、これは外交的にいいましても実際上の運営からいいましても、外務大臣、まだ問題はたくさんあるわけです。私がここで指摘をいたしますと、政府の責任にかかわる問題がたくさんあるわけです。しかし、その問題はかなりいろいろなところで議論をいたしましたから、私は集約的な議論をいたしておるわけでありますが、この問題は、そういう点で問題を取り上げました以上は、決着をつけなければならぬ問題でありますから、申し上げましたように、また御答弁がありましたように、八月を目途にいたしまして早急に——早急にという御答弁でありましたが、厚生省が中心となって意見をまとめて、外務省が責任ある交渉を進めて、この問題についてケリをつけてもらいたい。こういうことを強く要望をいたしておきまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○福田委員長 西中清君。
○西中委員 私は、現在急ピッチで進んでおります日中問題について、最初に御質問をいたしたいと思います。 今日の田中内閣の姿勢というものは肯定的で、そしてかなり積極的な面も見えるわけでございまして、これはわれわれとしても当然協力をしていきたいというような気持ちで十分おるわけでございます。これはいささかの懸念でございますが、こういう流れの中で、当然流れとしてもこれは回復までいくものとは私は思っておるわけでございますが、きょうあたりの各紙の報道によりますと、日本の中国接近についてアメリカ側のほうから、ジョンソン次官の発言でございますが、いろいろの発言があるようでございます。要するに、日米が中国と接近することについては、ある種の警戒的な姿勢というものを発言しておるというのが現状でございます。そこで、九月に行なわれますハワイでの会談において、どういう態度でアメリカ側が出てくるかはわかりませんけれども、少なくとも、現状から一歩も下がらない、要するに、積極的な日中国交回復の姿勢を続けていかなければならない、こういうようなことであろうと私は思います。そういう点で、会談の結果、田中内閣の中国政策というものは後退をするようなことがあってはならないというように私は思うわけでございますが、外務大臣としてはどのような心がまえ、またお考えであるか、最初にお伺いをしておきたいと思います。
○大平国務大臣 日中正常化の問題の処理は日本の問題でございます。わが国の問題として自主的に考えてまいるつもりです。
○西中委員 自主的に判断をされるということで、進めるということで、ぜひともそういう姿勢をわれわれとしても、また国民の一人としてもこれは十分お願いをしておきたいわけでございます。 と同時に、現在そういう情勢の中で、アメリカ側として当然いろいろな面で日本側に圧力があるのではないかというような危惧を持っている向きもございますので、その点で何らか予想されるものがありましたら、この際お話しをいただきたいと思います。
○大平国務大臣 特別に伺っておりません。
○西中委員 それでは、昨日でしたか参議院の決算委員会におきまして外務大臣は、日中国交が回復した場合には日台条約は理論的には当然の帰結として失効する、こういう意味の御発言をされておるわけでありますが、こういう論理的な当然の帰結からいきますれば、日米安保条約にありますところの極東の範囲、この範囲の中から台湾は当然除外されるという理論的な帰結になるんじゃないかというように私は判断をしますが、その点はどうでしょうか。
○大平国務大臣 私どもお答えできますことは、ただいまの状況から申しまして、極東条項というものを発動するような事態は万々あり得ないと考えております。
○西中委員 現状においてはそういう事態はあり得ないということは私も十分わかります。いま申し上げておるのは、三原則を踏まえていくならば、従来の政府答弁ではいわゆる極東の範囲というのは共産圏を除く、こういうことでございましたから、三原則を踏まえた場合には、論理的には台湾は省かれるということが私は当然の帰結であろうというように思いますが、論理的にはいかがでしょうか。
○大平国務大臣 まあそういう事態は起こり得ないだろうという、万々起こり得ないという認識を持っております。
○西中委員 私が言っているのは、そういう実態的な問題、現実的な問題、それは大臣がおっしゃることはよくわかるわけです。しかし少なくとも政府が、また昨日の大平外務大臣御自身がお述べになっておる、論理的にはその帰結として日台条約は失効する、これは変わったわけではないと思いますね。そうなると、いま申し上げているように、台湾は中国の領土の一部だというそういう原則からいけば、おのずからそうなるのではないか。政治的に非常にむずかしい微妙な問題もあるということはよくわかりますが、論理的にはそうなるのではないかということでございますが、もう一度御答弁が願えれば……。
○大平国務大臣 論理学の演習をしておるわけじゃございませんので、私ども政治をやっておるわけでございまして、そういう事態は万々あり得ないというふうに心得ておると御承知をいただきたいと思います。
○西中委員 お答えにならないので、同じく佐藤・ニクソン共同声明の台湾条項も論理的には消滅するのではないかと思いますが、その点はどうでしょうか。
○大平国務大臣 いま極東条項について申し上げたとおりでございます。
○西中委員 きょうは初めての質問でございますので、これぐらいでおきますけれども、いろいろとむずかしい点はあろうかと思いますが、いま政府は積極的に中国との国交回復を進めるという姿勢でございますから、なおこの点も早急にお詰めをいただきたいというような気持ちでおります。 それから次は日中国交回復をする方式についてでございますが、現在政府はどういうお考えであるのかという点でございます。いろいろといわれておることは、一つは共同宣言方式ということであります。おそらくこれは日ソの共同宣言のような形になるのかと思いますが、当然これは条約と違って若干の問題も残されるというようなこともあろうかと思います。要するに、この共同宣言方式を通じて国交回復して、日中の国交を正常化する一つの方法であろうと思います。これは当然国会で承認が必要になろうかと考えております。 第二番目は平和条約の方式でありましょう。しかしこれはなかなかむずかしい問題も含んでおるように思います。 それからさらにいえば、ドイツ方式といいますか、アデナウアー方式というものがございますが、こういうアデナウアー方式でいきますと、日本と中国との関係でそのまま当てはめたとするならば、まず戦勝国といえるでしょう中華人民共和国、これが対日終戦宣言を行なう。それから第二番目に、それに対して日本政府が戦争終結宣言を行なう。歓迎するという旨の公式表明をする。それから次に、さらに中華人民共和国政府が日本と外交関係を設定して、外交代表の交換の用意のある旨の公式の意思を表明する。これは書簡とか公式文書ということになろうかと思います。それに対して、日本政府がこれを受けて同意する旨の意思を表明する。これはそのままそうなるという意味じゃなくて、アデナウアー方式をそのまま当てはめればそういうようなことになるのじゃないか、こういう意味で申し上げております。 以上のような方式、いろいろあろうかと思います。そのほかまだ外務省としては別な方式、新しい方式、こういうものをお考えであろうか。この辺の現在の大臣としてのお考えをお聞かせ願えればしあわせと思いますが……。
○大平国務大臣 先ほど堂森委員の御質問にもお答えいたしたわけでございますが、いま私どものやっておる作業は、国交正常化にからまる基本問題の実態的な検討をいたしておるところでございます。したがって、検討を通じましてそれをどういうような姿にまとめ上げたらいいかというところまではまだいっていないわけでございます。 さらにまだ相手方との折衝が始まったわけじゃございませんので、いませっかくの御質問でございますけれども、いまの段階で方式論について私が言及申し上げることはいささか早過ぎると考えております。
○西中委員 相手のあることでございますから、どういう形になるか、これはまだはっきりしたことはないかと思いますが、この問題を国内的に目た場合に、いま申し上げたいろいろな方法、大きく分けますと、一つは国会の承認を求める方式、これは共同宣言とか平和条約という形になりますでしょう。それからアデナウアー方式ですと、これはどうも国会の承認を経ないで、一応国交肝正常化するということになろうかと思います。その辺は大臣としては国会の承認を得る形にしていくというようなお考えなのか、いやそれはなくて、ともかく早く国交回復をするんだ、国会承認がなくてもいい形で進めたいというようにお考えなのか、その辺はどうでしょうか。
○大平国務大臣 いまお答え申し上げましたとおり、まだ方式論にまで検討がいっておりませんので、何ともまだ答えようがないこと、非常に残念でございますけれども、お許しをいただきたいと思います。
○西中委員 時間も参りましたので、問題が変わりますが、政府は横浜での米軍戦車の輸送阻止問題で、米軍戦車を国道十六号線を使用して、そして横須賀港に戦車を送るというような方針をお考えである、今週中にも輸送に踏み切りたいというようなそういう報道がございました。この点については現在どういうようになっておるか、お伺いしたいと思います。
○大平国務大臣 不幸にいたしまして、日米双方若干の手違いがございまして、先般の戦車の輸送がとんざいたしたわけでございます。そこで、政府といたしましては、地位協定に基づきまして米軍に施設区域間の移動を保障して差し上げなければならぬ責任を持っているわけでございますが、同時に国内法令を侵犯しないように注意してまいらなければいけませんので、道路管理当局にお願いをいたしまして、実行可能な方途についていま鋭意御検討いただいておるわけでございます。現在までのところ、どういうルートでいついつまでに輸送ができる、そういう御返答をまだちょうだいいたしていないわけでございますが、できるだけ早く片づけるべく鋭意努力中でございます。
○西中委員 それは国道十六号を使用するということはほぼ固まったというお考えでございますか。これは地元のいわゆる基地の拡大利用というような意味で、かなり批判的な面もございますので、こちらのほうを使うというようなお考えは固まっておるという意味でございますか。その上でアメリカと交渉しておるということでございますか。もう一ぺんその点を……。
○大平国務大臣 アメリカとの交渉ではございませんで、国内の法令の制約下のもとで輸送が可能な状態をいま探求中であるというわけでございまして、国道十六号線をという案も一つの案としてあるとは聞いておりますけれども、まだそれにきまったというようには私は報告を受けておりません。
○西中委員 ここで地位協定の第五条二項では「合衆国政府所有の車両」——少し飛ばしますが、「合衆国軍隊が使用している施設及び区域に出入し、これらのものの間を移動し、及びこれらのものと日本国の港又は飛行場との間を移動することができる。」これは移動自由の権利でございますね。それから地位協定の三条一項では、「日本国政府は、施設及び区域の支持、警護及び管理のための合衆国軍隊の施設及び区域への出入の便を図るため、合衆国軍隊の要請があつたときは、」「それらの施設及び区域に隣接し又はそれらの近傍の土地、領水及び空間において、関係法令の範囲内で必要な措置を執るものとする。」というように規定しております。ここで、この五条二項の問題、それから関係法令の範囲内等を含みました三条一項の問題を踏まえまして一、二御質問をしておきたい。これはあくまでも将来の問題を含んでおりますので、お伺いをしておくわけです。 アメリカ側が地位協定五条二項、これに規定されておる権利を根拠にして、日本政府に対して戦車の移動を可能にするように要求してきた場合は、政府はこれに対してどのように対処できるのか。言うならば、たとえば村雨橋を補強してどうしてもここを通りたいんだと、こういうように戦車の通過をするための補強を要求してきた場合に、政府はそれを受け入れるのか受け入れないのか。さらにまた、地位協定上これはどうしてもそれにこたえて橋の補強をする義務を負うのか負わないのか、この辺の見解をまずお伺いをしておきたい。
○大平国務大臣 アメリカといたしまして、戦車の通行がデモ隊にはばまれまして通行できなくなった場合、そのかいわいの治安をこれ以上乱すことをおそれて座間のほうに引き返したわけでございますが、これは地位協定上の権能を放棄いたしたわけではないと思います。事実上の判断としてそういう措置がとられたと思うのでございます。 私ども政府といたしましては、この問題、どうしてもそこを通るんだという申し出は受けていないわけでございます。先ほど申しましたように、現実に輸送ができる状態を双方の理解の上でつくり上げていけばいいわけでございますので、事実上そういうことが解決できるような方途を、政府として鋭意いま究明いたしておるわけでございまして、意地ずくでこうだああだというような処理はいたしたくないと考えております。
○西中委員 私の聞いておるのは、地位協定の五条二項を根拠にしてアメリカ側が要求をしてきた場合に、いわゆる村雨橋の補強、これを直してくれ、戦車が通れるような力のあるものに橋を直せというように言ってきた場合には、それを受け入れなければならないという義務はあるかないかという、この問題です。 時間がもうございませんから、あと二点一緒に御質問をしておきますが、地位協定の合意議事録第三条の関連の第二項、米軍は、自分の手で橋を補強して戦車を通過できるように、これを読んでおりますと感じるわけでございます。要するに米軍が、もちろんいろいろと話し合いなり折衝なりがあるかと思いますけれども、米軍自身の手でこれを補強して戦車を通過させることができる、こういうような合意議事録の取りきめではないか。こういう要求をしてきた場合は、政府はどういう態度をとるのか。 それから第三点は、戦車通行の拒否理由として出ておりましたいわゆる道路法、そういうものに抵触するということがありましたが、この場合に、米軍側が戦車の通行を可能にするため、地位協定三条一項の関係法令の範囲内で必要な措置をとるよう要求してきた場合には、日本政府はこの関係法令を改正する義務まで負っておるのかどうなのか。いろいろと変えなければならぬというようなお話も若干出ておったようでございますが、そういう義務がはたしてあるのかないのか、その辺のところ、三点について明快にお答えを願いたいと思います。
○大平国務大臣 いま申し上げましたように、そういう要請を受けておりませんので、事実上双方の理解で解決したいと考えておるわけでございます。
○西中委員 要請を受けていないのじゃなくて、これは条約局長でもけっこうですから、いまの三点、明快にお答え願えませんか。条約上の解釈としては一体どうなるのか。米軍側の要求が出た場合にはどういうようになるか。当然のものだというふうに判断せざるを得ないものなのかどうか。むしろ義務が生ずるのかどうかというところに、いま私の聞いておる論点のあれがございますので、お答え願いたいと思います。
○高島説明員 私、具体的な問題についてお答えする立場にございませんので、それは避けます。 一般論として申し上げますと、五条二項の趣旨は、米軍の車両等が基地間を移動することができるという権利を定めたもので、日本はこれに対して義務を負っているという立場でございます。ただ、しかしこの規定は、あくまでも日本の法令のもとでそういう権利を持ち、日本が義務を負うということでございますので、あくまでも日本の法令が基礎になります。したがって、全く移動できないような法令をつくるとか、あるいは移動ができないような法令を改正するということは、日本の義務違反になると思いますけれども、ある特定の道路を移動しなければならないというように、そういう米軍の要請に対しまして、特定の道路々必ず通れるような法令をつくらなければならないといろことまでも、この五条二項の規定は書いておるものとはわれわれは考えておりません。一般的に基地間を移動することができればそれで差しつかえないのではないか、この法令の解釈といたしましてはそういうように考えます。 それから三条のお話でございましたけれども、三条の問題は、今回のこの基地間の移動の問題と直接の関係はない問題ではないかと思いますので、これは、特に基地内でのいろいろな設備につきまして米軍が工作等のことができるというのが、この三条に関する合意議事録の趣旨でございまして、基地以外の地域についての米軍の、かってなと申しますか、自分の都合のいいような工作までも可能にした措置とは考えておりません。
○西中委員 時間が参りましたが、ちょっといまのお答えもおかしいと思うのです。関係法令の範囲内というのは、「施設及び区域に隣接し又はそれらの近傍の土地、領水及び空間において、」となっているのですから、いまの答弁、ちょっとおかしいのじゃないかと思いますが、その点どうでしょうか。
○高島説明員 先生の御質問が、三条に関する議事録の意味がどういう意味かというお話でございましたように解釈いたしましたので、三条の1の規定に基づいて、合衆国がとることのできる措置の中で特に詳しく説明しております。この議事録に関しましては、これは施設、区域内の建物その他の工作物を移動し、変更を加え云々ということができるということでございます。
○福田委員長 曽祢益君。
○曽祢委員 田中内閣ができてから、日中問題が非常なスピードで、中国側のきわめて弾力的な態度も出てまいりまして進行している。私は、これは歴史的に非常に重要でかつ好ましい傾向だと思うのです。ただ問題は、田中内閣でも特に総理自身が、外交問題は大平外務大臣に一任だ、私はこれは非常にいい名人事、名コンビだというふうに思います。コンピューターつきブルドーザーもけっこうだけれども、決断と実行もけっこうだけれども、やはり外交の詰めは慎重でなければならないということを、総理も踏まえておるのではないかと思います。 そこで、まあ御承知のように、これは自民党の中のコンセンサスをつくるのも重要です。これはしかし党内のことですから、私は申し上げるつもりはございません。やはり日中の詰めというものは非常に重要である。したがって、中国のいわゆる三原則の正当な解釈について、ずいぶんいままで日本側で、全然ゆとりのないような解釈みたいなことがかなり言われておりましたけれども、私は当時から、必ずしもそうでもないんじゃないかと言っておりました。私はそういう意味で、私どもの見解がむしろ正しかったことが証明されたように思う。しかし、その詰めば非常に大切です。さらに、言うまでもなく、日米がおのおのの歴史的の違いもありますから、中国との国交調整のやり方、方法、タイムテーブル、ずいぶん違うと思うのです。その違いを踏まえながらも、やはりこういうことはお互いに頭越しでやるべきことじゃ絶対ない。了解ずくで、そして別の道を行く。目的は大体同じだ。それから、むろんこれと並行的に、今度は衆議院の外務委員会が中心に、参議院の外務委員会も加わって、ちょうど九月の七日から十日間ぐらいソ連の議会の招待という形でソ連に参ります。これはむろん外交交渉をやる機関ではございませんが、ある意味の平和条約交渉の瀬踏みの役もするのじゃないか。そういう意味で、日ソ関係にも大いにいい影響を与えながら、両方が並行してというか、雁行してというか、進められるべきだ。 それからもう一つは、やはり台湾の国民政府が思い詰めたあまり、まあ報復というようなことに走らぬように、ここら辺のことに対して、やはり当然の外交の手が打たれなければならぬ。そういうような観点から、目下検討中の問題もあろうと思いますけれども、二、三の点について御質問申し上げたいと思います。 まず第一に、このいわゆる中国の三原則の中で第一原則は、これはお互いにわかっている。中華人民共和国だけが唯一の正統——正統というのは統べる、つまり中国の後継者は唯一無二にこの北京政府だということは、これはもうお互いにはっきりわかっていると思うのですね。これははっきりそのままイエスと言っていける。 第二の、この台湾に関する領有権の問題で、従来政府がこの点は非常に慎重にかまえ、発言権云々ということで、まあやや逃げておられたけれども、私はこれは、台湾に対する領有権は歴史的にも中国のものだ、中国の代表者は人民共和国である以上は、人民共和国政府である以上は、中国の領土、言うならば中華人民共和国に領土権が帰属するものだという、私はこの点も、国交調整の文書等でそれは認めて差しつかえないという論者なんですけれども、ただその場合にも、現実の領土権者は北京といいますか、中華人民共和国であっても、現実に一つの政権がそこを事実上占拠しているという事態は、これは事実上の事態としてあるわけです。 その場合日本としては、そういったような事態をまるくおさめてくれ、円滑、平和的に。その台湾問題ですね、領有権は人民共和国に認める、その立場は、われわれ日本国が外交文書ではっきりしていい、むしろすべきだ。しかし同時にその中間の地点で、ちょうど米中共同コミュニケでアメリカが慎重にいっているように、海峡の両側にある中国側の人民の合意する方法でやってくれる限りアメリカは異存ございません、そういう意味で台湾というものは中国の領土だということに異議はない、しかし、現実には台湾の処理というものは、これはひとつ両方の人民の平和的な話し合いでやってくれということ、期待という形で出しているけれども、現実の共同コミュニケの精神は、両方とも武力紛争を回避するという精神に貫かれていることは間違いない。だから日本としては、この領土権の主張を中華人民共和国に認めるが、そのことと台湾問題の平和的処理は、これはもう日本の当然な願望だということをためらっている必要はない。そのことは、決して内政干渉でも何でもないと私は思うのです。そういう点をどうお考えなのか、まず伺いたいと思います。
○大平国務大臣 先方のいわれておる復交三原則につきましては、すでに国会議員の御質問に対しまして政府からお答えいたしましたとおり、これは十分理解できる筋合いのものである。それでそういう認識に立ちまして、日中双方が合意できる具体策を検討したいということを御答弁申し上げてあるわけでございまして、そういうことで私どもいま考えております。 それから台湾問題の平和的処理につきまして、曽祢委員の仰せられたとおり全く同感でございまして、あらゆる手を尽くしまして、私どもといたしまして努力しなければならない課題であると考えております。
○曽祢委員 それに関連して第二点は、言うまでもなく日華平和条約の処理なんですが、これも私はこの点を強調したいのですけれども、あらかじめこの条約を不法不当だという中国側の主張は、これはもうあとからできた当時の革命政権が、前の政権の条約に拘束されないという立場からいうとわかることであるけれども、ひるがえってわが国としては、一応どういう状況であれこの条約をつくってそれを国会で批准している以上は、これをさかのぼって不法だ、無効だという宣言をするなんかということは私はすべきことじゃないと思う。だからそこら辺のことは、われわれの誠意が伝わるならば必ずわかるのだ。入り口論、出口論いろいろ聞かれましたが、どちらかといえば、入り口から不法宣言しなければ、日本政府の代表は相手にしないなんかということは少しおかしい。これはおそらく中国側の真意を必ずしも伝えないものだということを言っておったのですけれども、私は、その方向になりつつあることはたいへんけっこうだと思います。 そこでそういう意味で、大臣の、あるいは政務次官の御発言等で、そこを円満にやるためには、やはり本格的な相手である北京政府との話し合いができて、それが何らかの外交文書、これは共同宣言であるか法三章的条約であるか、二段階か一段階か知りませんが、何らかの区切りがついたときに、その外交文書、外交行為によって、ある意味で局地政権ということになってしまったところとやった条約そのものは事実上消されるといいますか、そういうような形が、法律的にもそういう説明が一番穏当であるし、政治的にもそこいら辺の解消のしかたが一番いいんじゃないかということを私は考える。その点をどうお考えでございますか。 これは非常に重要な点で、特に私はけさジャパン・タイムズ、英字紙ですけれども、これを読んでおりまして、蒋経国行政院院長が英文で発表したと書いてありましたが、非常に激しいことばで談話を発表している。これは私が見る限り日本の新聞にちょっと出ていないのですけれども、私の見落としかもしれません。かなり強いことばで、日本が中共、北京政府と国交正常化した場合には、中華民国との外交関係を断絶するということを表明した。これは断絶することを表明したのではなくて、断絶される、なくなる、根拠を失うという解釈をされたと思うのですが、そういうことを言って、それと、日本の首相と外相が九月中に中共を訪問することを計画しているという、この二つをおそらくかけたと思うのですが、この外交関係はなくなるということと、中国訪問は中華民国政府と国民に対する最も非友好的な態度である、中華民国政府はこれに対しきびしく非難する、最後に、こういうようなことのないように警告するというようなことばを使っておるようでございますが、こういうことも、これは事実としてあったのじゃないかと思うのです。そういうような激しい国民政府側の態度、これは当然に日本の大使等に、そういう同じような趣旨が述べられると思うのですが、私は政府の、外務大臣、外務政務次官のあの解釈でいいという立場に立つのですが、なおかつそういう場合に、それは台湾の政府に対するリパーカッション、反応といいますか、これに対して、友好な友人として、そういうあまり思い詰めたことをしないように、アドバイスするというような手がなされなければならない。新聞の伝えるところによれば、ハイレベルの特使を派遣する計画もおありだそうですけれども、そこら辺のことをどうお考えになっているか、お示しを願いたい。
○大平国務大臣 全体として、いま曽祢委員が御自分のお考えを含めて御質問になりましたニュアンスと、私も同じように考えておるわけでございます。 それから、誠意をもちましてあらゆる手段を尽くして、可能な限り国府のほうの理解を得てまいるように努力いたす所存でございますが、それをいつどういう姿でやってまいるかということにつきましては、まだ最終的にはきめていませんけれども、あらゆる手段を尽くしてみたいと考えております。
○曽祢委員 日中問題で、先ほど西中委員も触れられた点ですけれども、日中国交調整ができる、そして北京政府と日本との間に正式の外交関係が設定される。と同時にまだ当分、どのくらいの長さか知りませんが、台湾が別個の存在として残る。 したがって、これからの日本と台湾との関係は、国民政府がそのときに報復的措置なんかしないで済ましてもらいたいと思うのですが、のみならずやはり経済的、文化的その他の事実上の関係は残るわけですね。しかも、台湾問題がまだ最終的に解決されないのだから、そこでこの問題が、どうもとかくわれわれ日本人は非常に法律解釈に流れるので、そうなってくるとその中間的な事態ですね。北京政府との国交が回復できた。領土権は台湾も含めて、理論的といいますか、領土権者は北京政府になる。しかしそこに別の政府が現実に存在している。もし万が一、不幸にして台湾海峡で武力紛争が起こった場合には、日米安保条約との関係から、極東の平和のために駐留している米軍が、国民政府に対する条約が続いておりますから、米中共同声明でもはっきり続いているわけですから、したがってそこの出動の問題が出てくる。その食い違いをどう解釈するのかという問題の提起がされているのですけれども、この問題をあまり法律論で詰めても事実上なかなかそれはむずかしい。なし得るならば、極東のための駐留なんかということを漸次——これからの日米関係は、安保条約が残っても、常時駐留みたいなことは好ましくない、私はそういう立法論といいますか、今後の行き方の一つの政策を持っておりますけれども、いま直ちに台湾問題に関連して、安保条約のそこだけを削れというのは、ちょっと問題がむずかし過ぎるのじゃないか。 もちろん、佐藤・ニクソン共同声明及びナショナルプレスクラブにおける佐藤さんの、いわゆる朝鮮半島の戦争あるいは台湾付近の平和と安全が乱れた場合には、直ちに日本の安全にかかわるから、出撃の場合に、いわゆる事前協議の場合に、ほとんど自動的なオーケーが出るがごとき、あれは非常な行き過ぎだと言って、当時沖繩国会でも佐藤総理がその非を認めて、その点は撤回しているような経緯があります。しかし法律論としては、安保条約の極東条項と、それから台湾を含めた北京政府の領土権を日本が認めるという姿勢との矛盾が実際上出るわけですね。その問題については、私は法律論的なあれは別として、やはり政治姿勢の問題としては、だから私が先ほど申したように、中国側に対しても、領土権をあなたのものと認めて、日本が台湾を独立とか分離とか毛頭考えていないというあかしを立てる必要が当然ある。しかしそのことは、領土権者であっても、実力を行使してやるということではわれわれとしても迷惑である。だからそういう場合に日本としては、実力行使には賛成しかねるとはっきり言うべきである、法律上書く書かないにかかわらず。と同時に、アメリカに対しては、それは理論的には紛争が起こらないとは限らない。米中共同コミュニケで大体武力闘争はないというふうに承知しているが、起こった場合に、アメリカの駐留している軍隊を出動させるための事前協議に来る場合には、来るという権利はあるけれども、日本側はそういう場合に絶対不介入でノーと言うことは、そのくらいのことはおまえさんでもわかっている、またわかってもらわなければ困る。 つまり、安保条約のその部分を、何か修正するという法律解釈論にあまりとらわれたほうにいかずに、日本の政治姿勢、外交姿勢として、もう台湾海峡を含めて付近で米中が実力でぶつかり合うようなことはあり得ない、またあってはならない。だからそういう場合には、日本としてはどちらにも不介入であるというような基本姿勢を明らかにすることが必要なのである。そういう基本姿勢によって法律論をかわす、と言ってはいけませんけれども、あまり法律論の迷路に入らないほうがいいんじゃないかというふうに考えるのですが、その点はどうお考えですか。
○大平国務大臣 先ほど西中委員の御質問に答えましたとおり、あの地域におきまして万々武力紛争という事態が、起こり得ないというような認識に私ども立っておるわけでございます。 それから、仰せのとおり現実の事態はなかなか複雑でございまして、法律的なフレームの中で万事うまくおさまって解決できるというような、あつらえ向きの事態ではないようでございますので、その辺おっしゃるとおり、政治の問題あるいは政治姿勢の問題として、私ども関係各国と十分話し合って、了解に達しなければならないと考えております。
○福田委員長 松本善明君。
○松本(善)委員 田中内閣が発足して一カ月余でありますが、私は、外務大臣に外交の基本方針と政治姿勢、あるいはベトナム、日中問題について少し聞きたいと思うのです。 最初にお聞きしたいのは、内閣発足以来いまだに所信表明もないし、この外務委員会が初めての外交問題についての論議でありましたけれども、にもかかわらず、すでにハワイでの田中・ニクソン会談が予定をされておる、首相の訪中も取りざたされる、こういう事態になっておるわけです。この外務委員会でのいままでの質疑を聞きましても、たいへん外務大臣の御答弁は率直でありません。先ほど、ハワイへ行っては率直に自分のほうの考え方も述べたいとも言われました。そういうとを伺いますと、これは田中内閣の外交に関する政治姿勢というのは、非常に国会を軽視をしておる。国権の最高の機関である国会で所信表明をし、堂々とその問題について論議をし、内閣の考えはこうである、こういうふうになってから、この重要な外交問題の処理がなされるべきではないかと思いますが、この点についての政治姿勢の問題として、外務大臣のお考えを伺いたいと思います。
○大平国務大臣 まだ内閣ができまして一カ月程度でございまして、新内閣といたしまして、内政、外交にわたりましてどのようにやってまいるか、鋭意検討中でございます。国会を軽視するなんというとんでもない考えは毛頭ありません。
○松本(善)委員 ここでそういうふうに言われましても、実際上重要な外交日程がきめられていっている。鋭意検討中というのはことばだけであって、その検討した方針がなくして、そういうことがきめられるわけはないのであって、私は、外務大臣のそういう御答弁ではとうてい国民は納得をしない。この国会というもので一番先に、まず国会でその方針を明らかにするというのが政府の役目である、こう考えますけれども、この点についてはたいへん遺憾だということを言って、次の質問をしたいと思います。 まず、ベトナムの問題ですが、いま世界じゅうで最大の侵略戦争として、非常に非難をされているこのベトナムの問題について、もし平和をほんとうに望むという内閣であるならば、これについて積極的に平和を、侵略戦争に反対をするという立場の行動がなければならないと私は思います。この点につきまして、この主意書に対する答弁書で、政府は、「米軍がヴィエトナム紛争に対処する措置との関連でわが国の施設区域を使用することは、安保条約第六条に照らし、許容されるところである。」こういう答弁が私に対してもなされました。これに関連してお聞きしたいのでありますが、安保条約による施設、区域の使用というのは、米軍の行動が国連憲章に合致をしているということを前提にしていなければなりません。 そこで私は、外務大臣にお聞きしたいのは、ベトナムでの米軍の軍事行動は侵略とは考えないのか、これは国連憲章に合致する合法的な行動と考えているのか、このベトナムでの米軍の軍事行動に対する外務大臣の御見解を、まず伺いたいと思います。
○大平国務大臣 国連憲章に認められた、集団安全保障の一環であると承知しております。
○松本(善)委員 そうすると、ベトナムの米軍の行動は、全体として田中内閣は支持をする、こういう立場でありますか。
○大平国務大臣 そういう国連憲章に基づく集団安全保障措置の一つであるという見解を持っておるということでございますが、私どもは、この戦争に対して当事者でないわけでございます。どういう見解を持っておるかと聞かれれば、そういうものであるとお答えするほかないと思います。
○松本(善)委員 さらに、きょうは質問時間が少ないものですから概括的にお聞きしたのでありますが、ベトナムでの米軍の行動について、佐藤内閣当時にいろいろの見解が示されました。この佐藤内閣の当時の見解は、基本的に踏襲をされるおつもりでありますか。もし踏襲しないということであるならば、どこが違うのか明らかにされたいと思います。
○大平国務大臣 特別佐藤内閣と変わった見解を持っておるわけではありません。
○松本(善)委員 いま、ベトナムでの爆撃による堤防破壊の問題が、これはナチスがオランダでやったことに比較をされて、非常に残虐なる行為として、アメリカの国内でも、元司法長官などが非難をする、国連の事務総長も非難をする、こういう事態になっておる。この堤防破壊の行為について、大平外務大臣はどういうふうに考えておられるか、この点の御見解を伺いたいと思います。
○大平国務大臣 この問題につきまして、私どもは報道を通じて承知しておる限りにおきましては、北ベトナムの見解とアメリカ側の見解が違っておるようでございます。先ほど申しましたように、私ども当事者でありませんし、その現場を見ているわけじゃございませんので、それについてコメントする立場にはないと思います。
○松本(善)委員 事実はともかくとして、そういうことが行なわれているならば、これは非難をさるべきことだ、そういうふうにお考えになるかどうか、その点を伺いたいと思います。
○大平国務大臣 その事実関係がよくわかりませんので、見解が分かれておるように承知しておるだけでございまして、コメントできる根拠がないわけでございます。
○松本(善)委員 私は、ニクソン大統領でさえも、それは故意にやってはいないのだと言っているのです。それは、もし故意にやれば非難さるべき行為だということを自認をしておる。そういう行為でありますし、マクガバン民主党の大統領候補でさえも、これはナチスよりもひどいということを言っているのです。そういう行為について、事実関係がわからないというような言い方で、日本政府がこの非人道的な行為に対して積極的な見解を示さないということは、まことに遺憾だというふうに考えます。 もう一つ、この点については、これ以上お聞きしても進まないと思いますので、中国の問題について伺いたいと思いますが、中国との国交正常化の問題について、私たちは、平和五原則による国交回復というのは当然のことだというので前から主張してきたところでありますが、お聞きしたいのは、最近、共同宣言を発表して、平和条約の締結は先に延ばすということが伝えられております。こういうことが、共同宣言方式ということも含めて検討されているのかどうかということが一つと、それからもう一つは、すぐに平和条約を結ばないという一番大きな障害になっているものは何なのか、この二点について外務大臣のお考えを伺いたいと思います。
○大平国務大臣 数々の御質問にお答え申し上げましたとおり、ただいま基本問題の検討をやっておる最中でございまして、方式論にまでは至っていないわけでございますので、その最初の質問とその次の御質問に対しまして、お答えできる段階ではございません。
○松本(善)委員 それでは、外務大臣は、中国との国交が正常化すれば日華条約が失効するという趣旨のことを述べられましたが、共同宣言の発表というようなことによって、そういうような事態が起こるのかどうかということについてのおおまかな考え方を伺いたいと思います。
○大平国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、共同宣言とか云々のいろいろ報道がございますけれども、私どもそういうところまでまだ検討するに至っていないわけでございますので、何ともまだ答えようがないことを、たいへん残念でございますがお許しをいただきたいと思います。
○松本(善)委員 台湾から政府機関を引き揚げるという問題についての報道も出ております。どういう事態が生まれればそういうことになるか、伺わせていただきたいと思います。
○大平国務大臣 報道について私どもは責任を持てないわけでございますので、政府が対中方針がきまりまして責任をもってお話ができる段階まで、そういう御質問に対しましては、お答えを留保させていただきたいと思います。
○松本(善)委員 もう一つ伺いたいのは、安保条約の運用について、この中国との国交正常化に上り何らかの変化が起こるのかどうか、この点についての外務大臣の御見解を伺いたいと思います。
○大平国務大臣 私、一般的な考え方といたしまして、第三国の利害関係が日中関係でそこなわれることのないように、できたらいたしたいというような考え方で、いま鋭意検討いたしておる段階でございます。
○松本(善)委員 最後にお聞きしたいのですが、いま中国との国交回復の問題がいろいろ進んでおりますのは、当然中国を代表する政権が中華人民共和国であるという認識に立ってのことだと思います。そういうふうに考えて進んでいけば、私どもは当然に日華条約の廃棄というのは起こってくることだと思いますし、考えなければならないことだと思いますが、私が外務大臣に伺いたいのは、いままで自民党の政権のもとで、台湾の蒋介石政権が中国を代表するということで外交関係も持ってきた、この外交方針というものの誤りが、この歴史的な経過の中で明らかになったのではないか。いますぐどういう方向をとるかは別として、いま政府が進もうとしておる中国との国交回復ということをもしほんとうに考えるならば、このいままでの誤りというものを、中国側がどういうふうに言おうとも、日本の国民に対する関係で、あの蒋介石政権というものは中国を代表していなかった、虚構の政権だったということを、明らかにしなければならないというふうに私どもは思います。この基本的な、中国を代表する政権が何であるかということについての政府の見解、これが、いままで誤りだというふうには考えないかどうか、いままでの外交方針についての再検討なり反省とか、そういうものがないかどうか、この点についての外務大臣の御見解を伺いたいと思います。
○大平国務大臣 中国問題は、御承知のように戦後起こった問題でございまして、今日まですっきりとした解決に至らないまま経過いたしておりますことは、松本さんも御承知のとおりでございます。中国を代表する正統政府が何であるかという問題自体も、ずいぶん長く国連においても審議が続けられておったような問題でございます。 私どもといたしまして、その後の事態の経過を見まして、こういう事態をノーマルな状態にすべくひとつ検討を始めようというように考えて、いまそれに取りかかっておるわけでございまして、過去をせんさくするわけではなくて、これから先中国と日本という間柄の取り結び方につきまして、どういう姿がノーマルなものであるかということについて探求してまいりたいということで、せっかく検討を進めておる次第でございます。
○松本(善)委員 終わります。
○福田委員長 本日は、これにて散会いたします。 午後五時四十六分散会