科学技術振興対策特別委員会 第4号
- 発言数
- 189 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1972/10/19
会議録
○近江委員長 これより会議を開きます。 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。 科学技術の平和利用に関する問題について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石川次夫君。
○石川委員 ただいまから、科学技術行政の平和利用との関連において抜本的に方向転換がなされようということに対する質問をしようと思っておるわけでありますけれども、その前に原子力局長に二、三質問を申し上げます。 それはJPDRの判決、御存じですね。これは御承知のように、JPDRに関して労働組合がストライキをいたしておりましたが、ストライキを解除して、その後までロックアウトを解かなかった。民間においてそういう場合はどういうことが考えられるかというと、大体ストライキを解いたのにロックアウトを解かないというのは、その会社をつぶすという決意の上に立って初めて成り立つわけです。 法律論争はここではいたしません。常識的に考えて、日本にただ一つの原子力の研究機関であるところの原研をつぶしてもいいという態度に出たということに帰着をするのではないかと思うのです。こういうばかげたことは民間では考えられないことなんです。それかあらぬか労働組合から裁判になりまして、これは結局十月の十一日に判決が出ましたけれども、完全に労働組合方が勝訴になったわけであります。これをさらに重ねて控訴をいたしましても、およそどんな反動的な裁判官でも、そんな労働組合の言い分はおかしい、当局が正しいと言う裁判官は絶対にあり得ないと私は判断をいたしております。したがって、こういうふうな方法をとったことについては、原子力局が指導したかどうかは別にいたしましても、とにかく、是認したという責任は私はきわめて重大だと思っております。したがって、これは控訴をしても当然敗訴になります。明々白々であります。したがって、こういう控訴をして、これから後も争いを続けるかどうか、これは当然控訴は取りやめるべきではなかろうか、こういうことがいえるのでありますけれども、その点について局長はどうお考えになっていますか。
○成田説明員 原研のJPDRのロックアウトの判決につきましては、原研等から十分判決の内容等説明を聞いております。それで、控訴するかどうかの問題は、控訴期限が十月の二十五日になっておりますので、それまでに控訴するかどうかというのを、いま原研を中心にいろいろ法律問題あるいは事実問題あるいはその影響するところの判断等を検討しております。それで、十月十一日の判決は、四班三交代の切りかえは労働協約に違反するものであるという点が第一点。それから、ロックアウトを実施すべき必要性、緊急性が法律的に認められないという内容、これが第二点の理由になっておりますが、ただ当時の原研当局としては、ロックアウトをやるについて十分法律的な検討もやって、その上で必要やむを得ないという判断で行なったというふうに聞いておりまして、その間の法律問題についても、現在控訴するかという問題を原研が中心に、法律問題あるいは今後の政策的な判断の問題を検討している最中でありまして、原研の方針がきまった上で科学技術庁へ相談に来るものと思っておりますが、結論、どういうふうにやるかという点については、原研が検討中であって、まだきまらないという状態と承っております。
○石川委員 局長、どうもあなた方のほうは指導性が欠けてい過ぎると思うのですよ。その他についてもこれから申し上げますけれども、これはどう考えても、どんなに裁判を繰り返しても、絶対に勝訴にはなり得ません。法律論争は私は避けますけれども、常識的に考えて、労働組合がストライキを解除したのになおかつロックアウトを続けていくということは、そこをつぶすということなんです。その腹がなければできないのです。そんなばかげた裁判を繰り返して、敗訴に敗訴を重ねるというようなことは断じてやるべきではない。そのくらいの指導性を局長は当然持つべきだと思うのです。あなた方のほうは最近——去年の暮れに私が原子力行政のことについていろいろ提案をいたしましたところが、産業会議のほうは、むしろ危機感を持ってわれわれの提案を相当大幅に取り入れています。原子力局は何とも受け身です。国の方針だから国の方針だからということで、何らの新しい方途を見出そうとはしておらない。 あと一つ申し上げます。「明日を築く原子力開発」というのは、地方の基幹新聞でありますいばらぎ新聞の座談会、これにあなたは出席されておりますね。これは明らかに原発という会社のPRですね。これはいばらき新聞が主催になっておるようなかっこうになっておりますけれども、PRです。「九月十五日付、座談会記事「明日を築く原子力開発」は“PRのページ”の表記が脱落しました」こう書いてあります。そうすると、民間の企業の利益のために、原子力局長という肩書きを使ってこういう座談会に出るということが妥当だとお考えになっていますか。
○成田説明員 その座談会には私が東京から行って出ております。ただ、それにつきましては、いばらき新聞が主催して、そして岩上茨城県知事も出席される。県のほうからも、出てもらいたいというお話もありまして出たわけでありまして、その当時におきまして、実質が日本原子力発電会社のPRであるということは知らないで、いばらき新聞主催で、県知事も出るからということで出たわけでございます。
○石川委員 方々の原子力開発の問題についてのいろいろな討論会、あるいは住民からの要望があってそれにこたえて私が出席することもあります。そのとき原研の労働組合の人たちも出ております。ところが、労働組合の人は、私が非常に感心したのですけれども、学問的な工場でこういう問題点がある、こういう問題点があるということで、ことさらに反対運動をあおるという態度は全然ございません。それから、問題があるとすれば、そしてそれが定説になっておらなければ、学問的には定説ではないけれども、こういう疑問があるという言い方で、ことさらに反対運動をあおるというふうな言い方をしておらないのですけれども、その労働組合の連中が行くということについては、原研当局は徹底的に押える。そして国の方針にのっとるものは何でもいいんだということで、こういうふうな非常に無計画といいますか、新聞社の主催だからいいんだというふうな判断に基づいてここに出ている。しかしこれは、中身をよく見ますというと、まるきりちょうちん記事です。おかしいなと思ったら案の定全面広告の記事なんです。全面広告の記事に原子力局長が堂々と出ている。知事もこれは問題です。こういうふうな軽率なことをやっていいのだろうか、こういう反省はしておりますか。
○成田説明員 出席の経緯につきましては、先ほど言いましたように、いばらき新聞の主催である、しかも県知事が出て、県からも出てくれという話で出ましたが、その実質につきましては、日本原子力発電会社のPR的な色彩もかなりありましたので、結果的には反省しております。
○石川委員 十分に反省をしてもらわなければならないと思うのです。この中身を見ますと、原研の従業員あるいは原研当局に対するひどい誹謗が出ておりますね。これは県会議長の発言ですけれども、お話になりません。こんなしろうとのこんな無謀な発言を、堂々とこういう二ページ大に載せるというふうなやり方自体に、私は非常な疑問を感じるのです。国の方針だからということであなたはこれに御参加になって、新聞社の主催だからということで安易にこれに出席をしたのでしょうけれども、このようなことは十分に注意をしてもらわなければならぬ。十分なる反省をひとつ求めたいと思うのです。国の方針だからということで、皆さん方は堂々と出て、賛成運動あるいはPR活動に参加をしているというかっこうなんですが、その国の方針自体が、いまこれから本論に入るわけですけれども、あらためて問われようとしているのです。国の方針だから何でもかんでもよろしい、国の方針に批判的なものは絶対にいけないというようなことは、科学技術行政には許されることではないということを前もって申し上げておきたいと思うのです。 それから次に、原子力の問題で、非常に時間がないものですから、たいへん恐縮でございますけれども、私の質問した範囲に対してのみ簡潔に御答弁を願いたいと思うのです。 私は去年の暮れ、私ではありませんが、私の主宰する科学技術政策委員会といたしまして、「当面する原子力発電に関する見解と政策」というものを発表しております。このような原子力政策では住民の反対運動を押えることは不可能に近いではないか、したがって、かくかくこれこれのことをやりなさい、そうでなければ原子力発電はできませんよ、即時中止すべきではないか、こういうところまで極論をして反省を求めたのですけれども、原子力産業会議も、これを大幅に受け入れた形で最近政府への提言がなされておるのです。 そこで、御注意いただきたいのは、私どものこの案の中には、軍事利用ということは一つも書いてありません。原子力は軍事利用につながる危険性があるというようなことは全然言ってないのです。また、そういう意見が地方で出れば、現実の問題としては、プルトニウムは原爆に使われる可能性はあるけれども、しかしこれは国際原子力機関の査察が相当きびしいので、現実の問題としては不可能ではなかろうかという見解も持っております。 それから、濃縮ウランをアメリカから緊急輸入をするというと、すぐにこれは原爆だというような学者の意見もありますけれども、それは荒唐無稽である。大体二%や三%の濃縮ウランが軍事利用になるということはあり得ない。二〇%以上でなければあり得ない、こういう見解も私ははっきりさせております。したがって、原子力の平和利用ということは、公開の原則さえ守られる限り、これはいまのところはそう心配すべきことではないんではないか、こういう見解を持っておったのですけれども、しかし今度、国防会議に原子力委員長の資格を持って、宇宙開発委員長の資格を持って中曽根長官が参加をするということになれば、この原子力行政というものは、発足以来最大の転換期を迎えたということになると私たちは判断しないわけにはまいりません。 で、われわれとしては、もうこれからは百万べんの弁解をしようとも、原子力発電というものは軍事利用につながるんだ、こういうことを勢頭に立てて、原子力発電の設置に反対をする、こういうことにならざるを得ないと思うのです。中曽根さんはこれをどうお考えになりますか。
○中曽根国務大臣 お答えいたします。 原子力委員長を兼ねておる科学技術庁長官が国防会議の議員になるということにつきましては、そういう御議論もございますけれども、しかしわが国は、原子力基本法によってわが国の原子力利用は平和利用に限定されておるのであります。したがって、その責めにある原子力委員長を兼ねる科学技術庁長官が国防会議に入るということは、中において、これが軍事利用に転化されないようにこれを監視する、番人、お目付の役目を果たす、そういう非常に重要な役割りを一面において果たすだろうと思います。また、これが文民統制のためにも必要な措置でもあります。そういう意味において私はあながち否定すべきことではない。従来、科学技術庁長官は、オブザーバーとして出席しておりました。オブザーバーとして出席しているという意味もそういう意味を兼ねておったと思うのであります。
○石川委員 その説明は、新聞でも私は拝見いたしております。それは最初に、科学技術庁というものは別に平和利用だけに限らないんだというようなお話があった。それをあとで言い直して、防衛庁の仕事に協力をするという余地があるのだというふうに言い直しておられるようでありますけれども、しかしこの国防会議の中身は、これは防衛庁長官をやったあなたが一番よく御存じだろうと思うのですが、整備充実をはかるのが目的ですよ。その計画をいかに立てるかということが国防会議の本質なんです。 それで、いかに促進をするかということの中に入って——これを阻止するなんという目的の人が入るなんということはナンセンスだと思うのです。国防会議はもともと審議機関で、大体総理大臣に意見を述べることができるというかっこうにはなっておりますけれども、それをチェックするというのなら閣議でやればいい。整備促進をはからなければならぬということの中に、原子力委員長という肩書きを持ち、それから宇宙開発委員長という肩書きを持っているあなたが入って、それを阻止するなどということは、国防会議の方向を食いとめる障害になるということ以外の何ものでもないと思うのです。整備促進をはかるのは国防会議の任務であって、そのチェックをするというなら閣議でやればよろしい。われわれは、科学技術行政というものは、いままでずっと、平和でなければならぬし民生向上に寄与しなければならぬという、こういうことだけを念願して今日まで非常に協力をしてきたと私は思うのです。しかし、その信念、協力というものが非常に愚かなものであったということをいま反省をいたしております。国防会議に入るということになるのであれば、あとで結論を申し上げますけれども、どう考えても原子力の平和利用ということは信頼できない、こういうことにならざるを得ない。国防会議というのは、大体整備充実をはかるのが主たる名目でしょう。この整備充実を阻止するという任務を持っているわけじゃないでしょう。 次に、私は宇宙開発問題についてちょっと触れたいのでありますけれども、宇宙開発委員長の資格も持っておられる中曽根さんですからよく御承知だと思うのですが、宇宙開発は、この事業団の設置のときに、政府の原案は、第一条、「宇宙開発事業団は、平和の目的に限り、」という条項が入っておりませんね。これは研究調整局長、ちょっと答えてください。
○千葉説明員 いま御指摘のとおり、事業団法には、平和の目的に限るという条項が入っております。
○石川委員 第一条に「宇宙開発事業団は、平和の目的に限り、」という条項が政府のほうからは提示されておらないのです。それでわれわれとしては、あくまでも宇宙開発というものは平和利用に徹しなければならぬ。しかしながら軍事利用の危険性がきわめて高い。この前の委員会でも私御質問をいたしましたから中曽根さんよく御承知だと思うのですが、宇宙はロケットと衛星と二つあるのですね。われわれはあくまでも静止衛星、通信衛星、放送衛星あるいは気象衛星あるいは資源探査衛星、そういうものに重点を置かなければならぬ、こういう考え方に徹しなければならぬ。ロケットはそう急がなくてもいいではないか、こういう考え方を持っておるわけですが、ロケットに実は八割以上の力をさいているというのが現実です。何のためにロケットに重点をそれほど置かなければならぬか、こういう疑問をわれわれは前から持っておる。それで今度はソー・デルタの技術を得て、この次は、システムエンジニアリングが日本で完成しておりませんから、また一トン衛星を上げるということになれば、アトラス・セントールかタイタン3Cか、そういったものの技術導入が必要になってくると思う。それはもうほとんど秘密のままでこっちへ導入されるということもある。それから、システムエンジニアリングが完成されてないから、また新たな技術を導入しなければならぬという、非常にむだな技術導入をしなければならぬということは目に見えておる。したがって、何も日本の力で打ち上げる必要はないのではないか。ロケットに重点を入れてロケットを開発をして技術の波及効果はどこにありますか、教えてください。
○千葉説明員 ただいま御指摘の、宇宙開発におきましてロケットに八割程度お金を使っている、必要ないじゃないかという御質問でございますが、実はこの宇宙開発の基本的な手段は、何といってもロケットで衛星を打ち上げるという点でございます。それで、こういったような点につきましては、ヨーロッパにおきましても、衛星を打ち上げる手段を各国力を合わせていまつくっておるわけでございます。わが国におきましても、いまやっておりますソー・デルタの衛星は、もう御案内のとおり、百キロ程度のものを軌道に打ち上げる、こういったようなことは、宇宙開発におきましては義務教育の段階でございます。こういった義務教育程度の実力をつけるということは、わが国の宇宙開発を進めるための基本的なことでございまして、これはもう当然この程度のロケットは、まず義務教育段階、基本的な問題だということで必要である、こういったようなことで、宇宙開発委員会では、この開発を重点的に進めるということにいたしておるわけでございます。 それで、こういったものの波及効果につきましては、もう御案内のとおり、日本にはこういったような非常に精密な、たとえばロケットのエンジンでございますとか、そういったもののエンジンのようなものにつきましてはほとんど技術がございません。それで、こういった精密なエンジンの技術を身につけるということは、今後の航空の開発なり何なりにおきまして非常に波及的な効果がある、かように考えておるわけでございます。
○石川委員 私は、ロケットを打ち上げることは、技術波及効果が全然ないとは思いません。それは材料学的な進歩もあるでしょう。エンジンの改良にも益するところもあるでしょう。それからまた、コンプレッサーの改良段階にも影響するところがありましょう。しかし、それはそれで、別々に幾らでも研究のできる課題なんです。ただ自分の力でロケットでもって上げたいという願望があることは確かだろうし、それを私は一がいに否定しようとは思わないのです。しかし、カナダにしてもフランスにしても、自分の力で何でもかんでも上げなければならぬというふうには考えておりません。その打ち上げる時期になって、五十一年には気象衛星を共同で打ち上げようということになって、日本もひとつ打ち上げなければならぬということになっておりますけれども、まあヨーロッパは相当進んではおりますけれども、自力で上げられなければアメリカに上げてもらおうという淡々たる心境であるというふうにわれわれは聞いておる。カナダでもそのとおりであります。日本だけ、何でもかんでも国産技術だというようなことに、やみくもに膨大な金をつぎ込んでおられます。ここに非常な不安を感じる。私は、その技術の波及効果がこれだけの金に見合うかどうかということを、この前申し上げたように、テクノロジーアセスメントにかけられるとノーと私は出ると思うのです。なぜそんなに金をかけなければいかぬのか。軍事的なニード以外の何ものも考えられない。端的に私はそういう見解を持たざるを得ない。 したがって私は、この宇宙開発事業団ができるときに、本会議でもってこういう決議を要求して、満場一致で成立をいたしております。読み上げてみます。「わが国における地球上の大気圏の主要部分を超える宇宙に打ち上げられる物体及びその打上げ用ロケットの開発及び利用は、平和の目的に限り、学術の進歩、国民生活の向上及び人類社会の福祉をはかり、あわせて産業技術の発展に寄与するとともに、遊んで国際協力に資するためこれを行なうものとする。」こういうのを私は本会議でわざわざ決議をしてもらった。これでなければとても安心はできない。これを聞いて源田将軍大いにおこったという話を漏れ聞いております。しかし、それでもわれわれは、平和利用でこれは必要なことは必要なんだということを反面認めておるからこそ、こういう決議までしてもらって、そして宇宙開発には協力をしようという態度できたわけです。 しかし、国防会議に参加をするということになれば、私の不安が一ぺんに表に吹き出すということにならざるを得ないと思うのです。ここまでだめ押しをしながら、われわれは科学技術庁の仕事というものを、すべて平和の目的であり、民生向上のためのものである、福祉に関するものである、こういうことを信じなければ、どうしてわれわれは協力できますか。こういうふうな不安が宇宙開発にもまつわっておる。その宇宙開発の委員長の、最高責任者の資格を持った科学技術庁長官が国防会議に参加をする、許しがたいことだと思います。 それから海洋開発、三つのビッグプロジェクトでありますけれども、海洋開発の問題でありますが、海洋開発の問題は、科学技術センターができました。これは基礎的になさねばならぬことがたくさんございます。したがって、海洋開発の技術センターの責任者の方に来てもらいまして、商工委員会でいろいろ問いただしましたけれども、まだまだ初歩の段階でございます。潜水医学のことに関してだけいえば、日本では潜水医学の先生というものは梨本教授たった一人。したがって、潜水医学というものをこれから確立をしなければならぬ。これからの学問です。それなのになぜシートピアだけを急ぐのですか。もっと前にやることがあるのではないですか。この点、研究調整局長の答弁を伺います。
○千葉説明員 シートピア計画につきましては、おかげをもちましてたいへん成功裏にことしの夏終わったわけでございますが、この計画は、実は海洋開発の基本的な科学技術の一つである、かように考えておるわけでございます。 と申しますのは、要するに海洋を開発いたしますまず第一の問題は、海中でどういった作業がどこまで一体可能かというところが一番の基本でございます。それで、従来ですと御案内のとおり、普通の潜水方法ですとせいぜい五十メートルぐらいしかもぐれない。しかも、深くなれば一回もぐるのにせいぜい十数分とかという作業しか海中ではできない。これでは海洋開発は一つも進ませることができない。非常にむずかしい。こういったようなことで、いわゆる海底で飽和潜水をいたしまして、ああいったようなシートピア的なもぐり方をいたしますと百メートル以上までもぐれる。しかも十分な時間を海中で過ごすことができて、いろいろな海洋開発の基本になるような作業ができるわけでございます。 こういったような基本的な技術をまず開発し身につけるということ、これはわが国の海洋開発を進める基本的な課題であると思いまして、この意義が重大だと私は考えるわけでございます。こういったようなことでございますので、シートピアの計画を早々と進めたということは、申し上げましたような重要な意義がある、かように考えておるわけでございます。
○石川委員 私は、ここでこまかな技術的なことをせんさくをして議論をするつもりはございませんけれども、海底に居住をするというふうなことは、これはまず不可能に近い。遠い将来はどうか知りません。しかし、ヘリウムガスを入れて窒素を混入して、からだは冷え切ってしまうし、長いこと居住するということは現実の問題としては不可能です。したがって、海底資源の開発ということに結びついて考えられるのでありましょうけれども、それにもまして、潜水医学の確立というものが全然ないままでこういったものにいきなり飛び込んでいくというようなことは、少し時期尚早に過ぎるのではないでしょうか。もっと基礎的にやるべきことがたくさん、並べ立てれば切りがないのでありますけれどもあると思うのです。そういうことを怠っておいて、シートピア、シートピアと、目に見えることをやるということの必要性はどこにあるかというと、社会的ニードによってこれをやるんだというようなことを、この前も答弁をいただいたわけでありますけれども、社会的二ードじゃなくて、これは軍事的なニードじゃないんですか。 私は、それじゃ一つ伺いますけれども、海底に秘匿をするという技術と、これを発見するという技術とは、どっちが進歩しておりますか。海中に隠しておくという技術と、それからこれを発見する技術は、どっちが先行しておると思いますか。
○千葉説明員 いまシートピアの海中で居住するということがまず第一に軍事的な目的からで、これが一番ニーズが来ているということではないかという点につきましては、全くそれは逆でございまして、先ほど申し上げましたように、海洋開発を進めよう、これにはどうしても海中土木の関係の仕事がまず第一になってまいります。こういったような海中の土木を進めるにあたりまして、先ほど申し上げましたように、海中での長時間の作業を進める、こういう必要が出てきております。そこで、長時間海中におりましていろいろな作業をする、こういったような技術を何としても身につけなければならぬ、こういったような平和目的のためのニーズが非常に強く出てきておるという点で、まず第一にシートピアに手をつけたというのが実情でございます。 それから、第二点の海底の発見と隠すという点でございますが、どちらがという点は、私もちょっと御質問の趣旨がわかりませんので、答弁しかねます。
○石川委員 まあことばは重宝ですから、いかようにでも言うことはできるでしょう。しかし、海洋開発の軍事利用へのきわめて強い誘惑というものは、これは否定するわけにはまいりません。たとえば大陸だなへの兵器の配備というものはすでに可能になってきている。少なくとも近い将来可能であります。深海のほうは遠い将来になるでしょう。 それから、秘匿技術の関係ですけれども、これは発見技術よりもはるかに進んでおるということは言うまでもない明々白々たる事実です。したがって、地上に基地をつくるということよりは、大陸だなに基地をつくるという誘惑のほうが軍事的にははるかに強い誘惑になっていることは否定する余地はないと思うのです。それから、そのほか海底の機雷設置というふうなこともできますし、これは適宜に浮上させるという可能性もある。それからABMを配置することが可能だということもはっきりいわれておる。それから仮想敵国に近接してこういう基地をつくることができれば、これはきわめて軍事的に有利である、こういうふうなことで海洋開発の軍事的ニードというものは、きわめて強く出てくる可能性が多いわけです。海洋科学技術センター法、この法案には平和の目的ということを書いて原案を出されましたか。
○千葉説明員 海洋科学技術センター法の原案においては、平利の理念に基づきという点は入っていなかったと聞いております。
○石川委員 中曽根長官、いまお話しのように、宇宙開発委員会法でも、平和の目的に限りということが入っておりません。われわれは、何としても平和の目的に限りということを入れさせることで努力をした上で、先ほど申し上げたように、本会議の決議を取りつけた。それから宇宙開発委員会法におきましても、平和の目的に限りいう条項は、とうとうわれわれの要望は入らなかった。かろうじて「計画的な推進」のあとに「その民主的な運営」ということばを入れることによってわれわれは妥協し、宇宙開発については基本法をつくります、こういう約束になったまま宇宙開発基本法というものはいまだに提示される気配すらございません。われわれは、その宇宙開発基本法というものがあれば、これは公明党さんが非常に熱心に主張されたところでありますけれども、その中に平和の目的に限りということをぱちっと入れる、そのことで宇宙開発を推進をしょう、協力をしよう、こういう体制であったわけでございますけれども、いまだに宇宙開発基本法は出そうとする気配がありませんが、これはどうなっておりますか。
○千葉説明員 わが国の宇宙開発は、平和利用の原則はこれを厳守しておくのだということを再三にわたって表明しておるわけでございます。さきの国会におきましても、総理からそのような趣旨を言明いたしておるわけでございますし、歴代の科学技術庁長官も、平和利用の原則は貫いてわが国の宇宙開発を行なう、かように表明しておるわけでございます。したがいまして、先生の御質問のとおり、宇宙開発基本法を制定いたしまして、それで平和利用に徹するという点を法制化しろということは、これは決議にも確かにあらわれておりまして、実は政府といたしましても、これにつきましていろいろと検討を進めておるわけでございますが、御案内のとおり、基本法を制定する場合には、まずこの基本法の対象範囲をどうするか、それから宇宙開発にどのような施策を講ずるべきかなどの諸問題を含めまして明確にすべきでありまして、しかもこれらは、世界の宇宙開発の情勢に適応したものでなければならない、かように考えておるわけでございます。 しかしながら、御案内のとおり世界の宇宙開発は、きわめて著しい流動的な発展を示しておりまして、宇宙開発の定義をはじめ基本法制定をめぐる諸問題につきまして、現時点における経験知識のみをもって結論を出すことはきわめて困難である、かような情勢でございます。したがいまして、今後この宇宙開発全体の将来の方向を見きわめるべく積極的な努力を重ねまして、その上に立って基本法制定をめぐる諸問題について誤りのない結論を出すべくただいま検討を進めておりますし、また今後も検討を進めてまいる所存でございます。
○石川委員 宇宙開発のような先端技術は絶えず流動的です。流動的でいつ変化するかわからぬというようなことを考えたら、いつまでたってもやらぬということと同じことになる。この決議をしたのは四十三年ですよ。宇宙基本法というものについて検討を進め、その立法化をはかり、その検討にあたっては、原子力基本法第二条と同様の考え方に基づく——法三章でよろしいということを何回もわれわれは念を押しておる。しかも、平和の目的に限るということを法律の目的の中にちゃんと入れろと言ったら、とうとう応じなかったのは自民党、与党なんです。なぜこれを入れなかったのか。ことばの上で幾ら言ったって、法律改正に応じなければわれわれはその真意を疑わないわけにはまいらないのです。 いまの宇宙の問題もさることながら、海洋開発の問題でも「平和と福祉の理念に基づき、」ということは入っておらなかったのです。目的に入ってないのです。それを野党のほうからやいのやいの要求をして、その結果かろうじて「平和と福祉の理念に基づき、」ということばが入ったということは何を意味するのでしょうか。政府に明らかにこれを入れたら困るという事情があるからじゃないですか。そういう疑念をわれわれは絶えず持ち続けながら、しかし科学技術庁の任務というものは平和の目的に限るのだ、民生向上に限るのだ、こういうことを信じながら、自分を納得させながらこれまで協力をしてきたのです。しかしながら、軍事に関与しないはずの科学技術庁長官が軍事に直接関与をする形をとる国防会議に参加をするということは、幾ら百万べんのことばを費やして弁解をしようとも、弁解の余地はないと私は考えざるを得ない。 話は変わりますけれども、この前の委員会で私は、通産大臣と科学技術庁長官を兼務することは不適当であるということを意見として申し上げました。間に妙なことがはさまって恐縮でありますが、現在の科学技術政策というものは、科学の進歩によって経済成長を生み、それと結びついた形で公害が増大をし、人類の存亡にかかわるような危機にさらされておる。それから科学の進歩によって人間と人間の心の触れ合いというものはだんだん失われていく。人心の荒廃を招く。人間疎外がはなはだしくなる。そういう面にどう対応するかということを考える、それが私は科学政策の基本になってこなければならぬ重大な転換期にきていると思っているわけです。 たとえば例を一つ申し上げます。私は食品添加物の問題で終始一貫社会労働委員会でもって強調しているのですけれども、ほとんど検査をしないでどんどん食品添加物が許可になっております。これは製薬会社、化学会社との密接な関係があるからという以外に説明がつきがたい。そして、今日わけのわからぬ奇病というものがたくさん出ているし、それから昔、乳幼児の死亡率の第一、第二位を占めておった呼吸器、胃腸病というものがずうっと下に下がっている。一、二、三、四は全部先天性の異常児ではないですか。これは、PCBなどはほんとうに九牛の一毛で、そのあとフタル酸ジプチルという問題が出てまいります。血液に変化を与える。これが食品添加物でチューインガムに四%入っている。それからカルシウムを破壊する燐酸はコカコーラの中に存分に入っている。カフェインも入っている。それから、ある新聞によりますと、劇薬と思われる亜硝酸ナトリウム、それからニトロフラン誘導体、デヒドロ酢酸、こういうものは当然取り消すべきだと社説で強調しておる。ところが、そういう慢性毒性検査は何にもやっていないんです。ぼんぼん許可している。こんなばかな行政はありません。したがって、食品添加物は全部許可を取り消すべきだ。人間の生命にはかえられない。しかし、そうなれば製薬会社はつぶれます。それでもやむを得ないではないか。そのくらいのことを考えなければならぬたいへんなところに来ているんではないか。その場合に、通産大臣は企業を守る立場であります。そういう矛盾をどう解決をされますか。中曽根長官に伺います。
○中曽根国務大臣 通産大臣は企業を守る立場のみとは限りません。国民生活を守り、国民福祉を守るということが最も優先する立場であると思います。 先ほど冒頭に御質問なさいましたことでふえんして申し上げたいと思いますが、国防会議は閣議の前の段階でいろいろ審議をいたします。それでかなり詳細にいろいろな具体的な話を聞けるチャンスがございます。国防会議の議を経て国防の基本方針というものがきめられておりまして、現在できておる国防の基本方針の中にも国力国情に応じ自衛力を漸増する、そういう趣旨のことが書いてあります。国情というのは現在の日本の憲法あるいは原子力基本法あるいは国会における政府の答弁、決議等々が日本の国情として守らなければならぬ要素になっておるわけであります。したがって、科学技術庁長官として国防会議に入った場合に、それを監視し厳守さぜるということは、文民統制の上からも非常に重要な職責を果たすというふうに考えております。閣議でチェックすればいいとおっしゃいますけれども、閣議はわりあいにそういうこまかいところまで目が届く時間がないわけでございます。そういう意味においても、その事前の段階で精査しながらそういう点を監視していくということは、文民統制の上からも非常に重要な役目を果たす、そういうふうに考えております。 第二に、科学技術庁長官と通産大臣の兼任の点でございますけれども、いろいろテクノロジカルアセスメントというものが要請される時代になってまいりました。そういう意味において私らは、科学技術庁側の、特に資源そのほかの関係の意見もいれまして、通産行政に非常に大きな影響をいま与えつつあるわけです。食品衛生法あるいは製品安全法、そういうふうな関係の立法も今度やろうと思っておりますし、特に福祉という面を非常に重要視したことを考え始めて実行に移しているときであります。 それから、日本列島改造論ということもいよいよ緒につき始めておりますが、通産省としても非常に大きな仕事を引き受けるわけでございます。しかし、日本列島改造ということを実行していくために一番大事なことは科学技術の要素であります。そういう面から、科学技術庁がいままで検討してきた諸般の要素というものは非常に重要な影響力をもって通産省の政策にも響いてまいるところであります。あるいは原子力の面を見ましても、原子力は次第に成長してまいりまして、実用化の段階にもかなり入ってまいりました。そこで、たとえば高温多目的ガス炉を開発する、そういうような場合にいたしましても、科学技術庁と通産省の協力ということは非常に重要な段階にもまたなってきたわけでございます。そういう諸般の面を見ますと、科学技術庁長官と通産大臣が兼務するということは、こういう新しい段階にふさわしい仕事でもあるのではないかと私は考えておる次第であります。
○石川委員 私はこの前、ライフサイエンスというものを政府のプロジェクトに取り上げて中核議題にするということに対しまして、当面の問題ではない、これはきわめて重要な問題ではあるけれども、学者にゆだねるべき、検討すべき問題であって、当面する問題は、東京の緑が五十年後に枯れるということに対してどう対処するかという問題がある。テクノロジーアセスメントの手法というものをどう確立するかという問題がある。そのほうがはるかに優先する事柄ではないのか、こういうことを申し上げたわけでありますけれども、そういうふうなことを言ったときに、私は言いたくてのど元に来て押えたことは、軍事産業と科学技術庁との結びつきが、通産大臣が兼務することによってより強化されるのではないか、こういう懸念があったのですが、その時点ではあえて私はその質問を申し上げませんでした。しかし、今日それが公然と出てきたと私は考えざるを得ないのでありまして、軍事に関与しないというなら、軍事に関与することが目的であり、軍事の拡充整備を目標とした国防会議に参加をする——国防会議の目的はそうなんですよ。チェックするという目的じゃないんですよ。それに参加するということと、それから先ほど来私が申し上げておりますように、原子力についても、宇宙開発についても、海洋開発についても、平和の目的に限るというふうなことは、原子力はともかくとして、われ一われの側で入れておるのです。われわれの側で国会の決議をとっておる。何ら平和の目的ということが書いてないのです。そういう疑念を持ちながらわれわれが協力をしてきたのに、国防会議という関係がぽんと出てくれば、これは国防推進に科学技術庁が一役買うのだという明々白々たることが、われわれがおそれておったことが表面化したと考えざるを得ないのです。 日本列島改造論その他の問題についていろいろお話がありましたが、これは商工委員会でまたあらためてやりましょう。今日、高度成長を謳歌しておりますけれども、資源の関係からだけいっても、あと四、五年で高度成長政策は完全に行き詰まることは明らかです。今日の状態を見ますと、GNPが伸びて、大東亜戦争の緒戦のように勝った勝ったというような雰囲気ですけれども、戦線を拡大してみたら、あちこち行き詰まりができたということに必ずなると私は思う。この問題は商工委員会でばっちり私は議論したいと思うのです。 きょうはそのことは触れる場所じゃありませんから触れませんけれども、しかし今日、われわれがほんとうに科学技術でもって心配をしておるのは、人間の将来の生命と健康はどうなるのだということです。人間のしあわせとは一体何なのだということを考えた点に立って科学技術行政というものを考え直さなければならぬ転機に来ておると思うのでありますけれども、しかし、科学技術庁の仕事はあくまでも平和の目的に限るということを信ずればこそ、ほんとうにわれわれは協力してきたつもりなんです。自分が協力してきた過去を振り返って自分の愚かさに私は腹が立っております。今後は私は協力できません。 それで、科学技術行政の根幹に触れる問題で申し上げますけれども、たとえば昭和三十五年から四十五年までに国の予算は四倍にふえておりますが、研究機関の予算の伸び方は二・六倍、人間の生命と健康を検討する厚生省の研究機関の予算が二・二倍です。物価の値上がり程度なんです。そこで、遺伝の関係、予防の関係、それから毒性検査というものはほとんどなされておらないにひとしい。これでよくもぬけぬけと人間尊重が言えたと私は思うのです。そういうふうな形でありながら、今日それがあらためて問い直されて、人間の生命を大事にし、平和に貢献をしなければならぬ転換期に来ておるときに、国防会議に直接参加をして、われわれがおそれたことが一ぺんにここに表面化した。衣の下からよろいが出たという問題じゃないと思うのです。衣をかなぐり捨てたという感じをわれわれは受けざるを得ない。したがって、私はまだ質問の時間は残ってはおりますが、あとあとの方もおられるようですからあまり多くは申し上げませんけれども、中曽根さんはかつて原子力潜水艦の構想を漏らされたことがあります。日本の国防で核武装をやらなければいかぬということを言われたこともあります。いまでもそのお考えは変わっておりませんか。
○中曽根国務大臣 私は非核武装論者でありまして、核武装をしなければいかぬなんということは一回もありません。また、原子力基本法をつくりますときに、私は提案者で、その解説をいたしたことがございますが、そのときも、原子力を潜水艦等の推進力に使うという場合は、商船等に普遍化した場合にそれは初めて可能である、そういうふうに答弁をしておるのです。この考えはいまでも変わっておらない考えであります。
○石川委員 いまは潜水艦は千八百五十トンぐらいですから、涙滴型の潜水艦で、これは中曽根さん御承知でしょうが、千八百五十トンでは大体PWRのリアクターを入れるということはちょっと不可能です。しかし、これが今度の計画で二千二百トンという構想が出てきますと、これはPWRが入る可能性があります。そういう構想を持ってこの容量を大きくするということになったのではないか、国防会議に参加を決定した時点に、そういう疑惑をわれわれは持たざるを得ないのです。残念ながら、何とあなたが弁解されようとも、国防会議に参加をするということ自体は、百万書を費やしても、それをチェックをするために入ったなんということを信ずる国民は一人もいないと思うのです。ただの一人もいないと思うのです。いよいよ衣をかなぐり捨てた、よろいが出た、こういう感覚でしか受け取っておりません。 結論を申し上げますけれども、劈頭申し上げましたように、この原子力の問題につきましても、われわれはいままでかくかくしかじかのことをやらなければいかぬということは言ったけれども、軍事利用だということは三百も言っていないのです。ただ、公開の原則を守ることによって軍事利用に転化される危険を防ぐという一点にしぼっておるだけなんです。しかし、もはやわれわれはそういうことを押える論拠を失ってまいります。燎原の火のごとくふえていくところの原子力発電所設置反対の運動に対して、劈頭に軍事利用の危険性あり、これはわれわれは言わなければならぬ、そうなってもよろしいかどうか伺いたいのです。
○中曽根国務大臣 そう言っていただくと非常に迷惑いたします。われわれはあくまで平和利用で日本の原子力を一貫してまいるつもりでおりますし、そのために科学技術庁長官は国防会議にも入るということでございますので、どうぞいままでどおりご信用願いたい。日本国憲法あるいは原子力基本法というものは、厳然として国会で支持されておるものであり、かついままでの歴代政府あるいは担当国務大臣の答弁というものは、責任をもってわれわれは実行してまいります。
○石川委員 ですから、端的に言うと、あなた方は、われわれのほうが誤解をしていると言いたいと思うのです。しかし、誤解ということにしても、これは絶対に解けない誤解です。誤解と一歩譲ってもかまいません。しかし、国民は絶対にこれは誤解とは思わない。私も誤解とは思っておらない。国防会議に参加をするということで、いよいよ科学技術庁が防衛庁の下請機関になる、それなら、科学技術庁というものの存在は必要ない、そこまで思い詰めています。ですから、今後は、ありとあらゆる問題にずいぶん協力を惜しまなかったけれども、科学技術庁の施策に対しては徹底的に抵抗する。われわれは、あくまで平和のために科学技術行政が行なわれておると信じていたからこそ協力を惜しまなかったのです。その根底がくずれるということになれば、私は議会の運営というものについては責任を持ちません。あげて責任は政府にある。科学技術庁当局にある。それでもなおかつ国防会議に御参加になりますか。それを誤解だと言い切りますか。
○中曽根国務大臣 いままで申し上げましたとおり、これは誤解でございますので、ぜひ御理解願いたいと思いますし、国防会議に入るという方針は変わりません。
○石川委員 この話は平行線のようです。われわれとしては、軍事問題についていろいろ触れたいのですが、話が非常にこまかくなりますから……。 とにかく今度の第四次防計画になりますと、いろいろの問題についてどうしても非常に科学技術でもって貢献をしなければならぬ問題が相当出てきます。その一つの科学技術の躍進というものを目ざした転機が、飛行機の問題にしてもその他の問題にしてもたくさんあります。これは、ここで申し上げる場じゃありませんから申し上げません。したがって、そういう科学技術の進歩というものを目ざした第四次防計画に科学技術庁長官が参加をするということは非常にタイミングがよろしい、科学技術庁の成果をそのままストレートに持っていこうという、絶好のタイミングに国防会議に参加をされたとわれわれは理解をしないわけにはまいりません。したがって、誤解だとおっしゃるかもしれませんけれども、これは断じてわれわれは誤解ではないと確信をいたしております。どうあっても国防会議に参加されますか。内閣としてあと一回考え直す余地はないとおっしゃいますか。それならそれでわれわれのほうとしてはいろいろ決意をしなければなりません。
○中曽根国務大臣 科学技術庁は、いままでどおり軍事利用を目的とした研究はいたしません。それは防衛庁の技術研究本部が、防衛庁本来の任務に従ってやることであると思います。科学技術庁は科学技術庁設置法の趣旨に基づきまして、国民経済の発展あるいは福祉のために研究をやる、そういう趣旨でありますから、科学技術庁が行なう研究は、これは軍事利用のための研究をやることはないのでありまして、その長官である科学技術庁長官が、軍事利用の目的のために国防会議に入る、そういうことは誤解であると御理解願いたいと思います。
○石川委員 閣議であと一度反省をしてもらいたいと思うのです。何と説明しても説明はし切れません。私が先ほど来申し上げておるように、宇宙開発委員会には平和の目的ということがはずれている。海洋科学技術センターについても平和の利用ということがはずれている。全部こちらが入れさして、しかも海洋科学技術センターの場合には、とうとう平和の目的に限るという条項は自民党と政府が受け入れなかった、こういう数々の疑念を持っているのです。にもかかわらずわれわれは協力した、そういう実績があるのです。平和の目的ということをことさらにはずそうとしている。それをわれわれは何とか平和の目的に限らせる、こういう努力をしているという過去の実績から見れば、科学技術庁が軍事利用に直結しないということは絶対にいえない。何回も繰り返すようですけれども、私は閣議において十分に反省をし、取り消してもらいたい。そうしなければ、重大な決意をもって今後この委員会に臨むし、科学技術行政に対処する。 たとえば、私は原子力の問題につきましては、ただ単に放射能汚染の問題あるいはECCS等の安全装置の問題、こういう問題について疑問は提示いたしておりましたけれども、いまだかつて軍事利用ということで私が疑問を提示したことがありますか。しかも、核濃縮の問題では、ガス拡散法ではいかぬ、日本的な濃縮ウランということになれば、これはやはり遠心分離法に集中すべきではないかということで、ことしは膨大な予算が要求されております。私は非常にいい傾向だとこの間まで思っていました。しかし、濃縮ウランの技術をそうやってぐんぐん推進をする、積極的にやるということが、軍事利用に結びつかないという保障はどこにもないという感じがしてきております。したがって今度は、軍事利用ということを表面に立てて戦うということにならざるを得ない。原子力発電所設置はどこもとまります、その責任はあげて政府にある。そういうことを決意をした上で国防会議に参加をするなら参加をしてください。それだけを申し上げて、あとは、私の残された時間で関連質問をおやりになる方があるようですから、決意だけを表明をいたしまして私の質問を終わります。
○近江委員長 関連質問を許します。三木喜夫君。
○三木(喜)委員 中曽根大臣、私前にも一ぺん苦言を呈したことがあるのですが、それはどういう立場からかといいますと、私は中曽根長官はこのごろ非常に風格のある政治家としてのタイプを示してこられたと思うのです、国際的にも国内的にも。また派閥のことを言うて申しわけないけれども、一方の派閥の頭領でもありますし、それから言論も非常にさわやかで、国家百年のことについてもよく考えておられると思う。そういう点は敬服しております。それだけに私はあなたに苦言をこの前も呈したのですが、今回もひとつ呈したいと思う。そうではある反面、非常にあいまいなんです。 この前私が申し上げたのは、あなた防衛庁の長官だったときに、濃縮ウランの交渉をアメリカとやるんだということでちょっと話をなさった。まあ新聞には相当書かれました。それは論駁も相当なされました。こういう立場でこういう手続もとっておったとおっしゃいますけれども、そこに非常に国民はあいまいさを感じるのですよ。なぜ国防第一の防衛庁長官が原子力関係のことに特に関与なさるか、これだったのですね。今回も、なるほど三十六年から国防会議にオブザーバーの形にもせよ、科学技術庁長官は出ておられたようであります。しかし、今度は正式のメンバー。それはあなたが推進なさったのですか、それとも閣議の中で、まあ科学が大事だから、国防ということでなったのですか、私はその辺もひとつ聞いておかなかったら、あいまいさが解けないわけなんですよ。あなたはあなたの理屈を、非常にいい理屈を持って入っておられるようですね。国力、国情に応じて国防もやらなければならぬので、監視の形で入った、文民統制の形で入っておった、こういうことですね。そうすると、いまの防衛関係にはやはり監視しなければならぬところのものがあるのですか。あるいは文民統制が乱れるおそれがあるのですか。その文民統制の乱れるおそれは、一体だれがつくったのですか。あなたも防衛庁の長官だったのです。簡単にいうなら、どろぼうと巡査と両方やろうかいというようなかっこうになりますね。監視をやる前にはそれをどんどん進めておったのです。あなたのきょうおっしゃったことでも一つあいまいさがあるんですが、監視をやらなければならぬ、あるいは文民統制が乱れるおそれがあるからおれは入ったんだ、これはそういうおそれがあるとお考えになって入っておられるのか。あるいはまた、科学技術庁の長官が国防会議の正式メンバーになるということは、あなたの推進なさった考え方ですか、あるいは全体的にそうなったのですか。田中総理の考えですか。官房長官の考えですか。私は官房長官にこの問題については徹底的な抗議を今後やらなければいかぬ。石川さんじゃありませんけれども、そう思っておるので、きょうは関連ですからこの二つだけちょっと聞いておきます。
○中曽根国務大臣 科学技術庁長官が国防会議のメンバーになるということは、私は推進いたしません。これは内閣官房のほうでいろいろ原案ができてきて、私らの机の上に来たときにそういう原案になっておった、これをはっきり申し上げます。 それから、それじゃいまのやっておる防衛や何かは原子力が国防に使われるようなそういう危険性があるのかとおっしゃられますと、私はないと思います。ないけれども、原子力基本法あるいは憲法によって厳然と規定されておることをあくまで忠実に履行させるように手を加えて、いろいろな手だてをするということは政府の大きな仕事で、原子力に関する分野は特に注意を要する分野であると私は考えております。
○三木(喜)委員 そうなってくると、次に二つ質問しておきたいのですが、科学の持つ二面性、平和に利用すればこれは平和の女神にもなるでしょう。しかしながら、軍事目的にこれを使いますと、これは非常におそろしいところの悪魔になるわけですね。ジキルとハイドというのですか、こういう二面性があるのですね、科学に。その二面性があるところへもってきて、平和に徹し切っておらなかったら、科学というものがそういう軍事に傾斜するおそれを非常に持つのですが、それにあなたは防衛庁長官だったでしょう。いま石川さんが言われましたように、ものをつくらんかな、売らんかな、多少公害があってもやむを得ぬわいという通産省の立場でいままで公害問題も進めてきたいわゆる通産大臣でしょう。そして、いま言うチェックしなければならない、科学的に非常に重要な立場の科学技術庁長官が、軍事の体質を一ぺん持ってきた、いまは通産の体質を持っておる、その人がいかに器用にそれを使い分けようとも、私は不可能だと思います。ガンジー以下カストロ首相の言うように、ほんとうに政治の中にそのこと一点張りに平和に徹してこられたというのなら——国防は何も平和に徹しておらぬと言いませんよ。しかし、あの国防の問題についても、私たち非常に疑問を持っておりますから、軍事に関与した者が、軍事目的に傾斜しないのだという、そういうことができるのかどうか。科学の持つ二面性とあなたの持つ三面性とが、どういうぐあいにこれからなってくるかということを私は心配するんです。あなた、三面性を持っておられますよ。神さまみたいな存在ですよ。しかし、そんなことをなさると、あなたの政治生命にも私は関係してくると思う、非常に風格のできてきた政治家が。そういうことを私はおそれる。専門的にこれをやられる大臣にかわるという意思はございませんか、あなたは引く意思はございませんか。私は、あなたのためにもかわってもらいたいし、日本の国民のためにも、このあいまいさをこの際除去してもらいたい。あるいは自由民主党のためにも、自由民主党が非常に疑問を持たれておる、そういう疑問点を解消するためにも、私はあなたが引かれて、そうして専門にやってもらいたいと思う。片手間にやってもろうたら、あぶのうてかなわぬ。あなたは片手間じゃないですか、通産大臣と科学技術庁長官と。科学技術が非常に重要になったとおっしゃるんなら、専門家を置いたらいいじゃないか。専門の大臣を。私はそう思います。非常に素朴な論理で申しわけないんですけれども、それだけは聞いておかぬと、今後石川さんの言われたわが党として対処する方法がさだかになりませんから、聞いておきたいと思います。
○中曽根国務大臣 私らは特別職の公務員でございますから、憲法、法律その他諸般の法令の命ずるところに従いまして、忠実にその職責を実行してまいりたいと思います。現状を維持していきたいという考えは変わっておりません。
○三木(喜)委員 やめる気はないとおっしゃるのですか。明確に言うてください。特別公務員だとかなんとかおっしゃらぬと。
○中曽根国務大臣 現状を維持していこうという考えは変わりございません。
○近江委員長 次に、中谷鉄也君。
○中谷委員 じゃ一点だけお尋ねをいたしたいと思いますが、官房副長官にお尋ねいたします。 中曽根長官の答弁は、新聞報道によれば、転々としていると思うのですが、本日、目付役、監視役として国防会議の議員にという趣旨のことを言われた。そこで、だれも心配をするのは、そうすると国防の大綱、防衛の基本方針、それらの中に原子力の平和利用が軍事利用その他に転化をする、海洋開発がそのようなものに転化をする、宇宙開発がそのようなものに軟化をしていく、そのようなおそれがあるということでなければ、私はこれは百歩譲っての質問でありまするけれども、四次防その他にはそういうものがあるというふうに私はいわざるを得ない。副長官のその点についての御答弁をいただきたい。それが第一点。 あと一つ、法制局第一部長おいでいただいておるようだけれども、お尋ねいたしたい。 国防会議の構成等に関する法律の中に関係大臣ということばがありまするけれども、原子力の関係において、国防会議との関係において、科学技術庁長官が関係大臣たり得るというようなことがあり得ることなのかどうか。それは法律論として、そんなことが一体原子力基本法その他の関係においてあり得ることなのかどうか。これは国防会議の、まして議員になろうとしておる、私は関係大臣としても、とにかくそういうことは、原子力の関係においてはあり得ることではないというのが私の考え方、この点が第二点。 第三点として、官房長にお尋ねをいたしたい。 正式の議員になりたいというようなことをおっしゃるんだから、従来から科学技術庁は原子力等について防衛庁等に対して資料の提供をしておった事実があるのではないか、一体、防衛庁から資料の提供を求められた事実はないのかどうか、この点についてお尋ねしておきたい。以上三点、時間がありませんから、お答えいただきたい。
○山下説明員 お答え申し上げます。 科学技術全般についての政府の意見につきましては、先ほど来中曽根国務大臣からはっきりと言明されたとおりでございます。そのように御了承いただきたい。 ところで、国防会議にこのたび科学技術庁長官を議員といたすことをきめまして閣議決定いたしましたのは、あくまで文民統制の実をあげるための措置でございまして、その点ははっきり申し上げます。
○中谷委員 山下さんにお尋ねをいたしたいけれども、文民統制ということばそれ自体非常にむずかしいことばであり、同時に、この点については四十七年の通常国会においてわれわれ非常に議論いたしました。そこで、国務大臣中曽根大臣が国防会議の議員になるんじゃない、科学技術庁長官としての中曽根、長官が国防会議の議員になる、そうでございますね。 そういたしますと、重ねてお尋ねをいたしますけれども、国防の基本方針、防衛計画の大綱、それらの中において原子力の平和利用を、直ちにそれが軍事利用に転化するということ、あるいはそのようなおそれ、そのような可能性、そういうふうなものがあると言われる。そういうものがある。あればこそ入るんだ。私は百歩譲って聞いている、監視するとおっしゃるから。監視するというような立場をわれわれはとっていない。これは、いよいよ軍事利用の目的のために乗り出したとわれわれは理解している。しかし長官は、監視するんだと言われるから、監視するためには監視の対象がいるでしょう。監視しなければならないところの状況があるでしょう。科学技術庁長官という原子力平和利用ということをとにかく担当しておられる方が、原子力が軍事目的に利用されるおそれがある、可能性がある、国防の基本方針、それから防衛計画の大綱その他等々において、四次防等においてそういうおそれがあるんだということで、それが文民統制でしょう。科学技術庁長官としての、議員としての役割りでしょう。議長が総理大臣で、そうして外務、防衛、経済企画庁その他、これにプラスアルファ科学技術庁長官となれば、その科学技術庁長官の役割りというのはそういうことだということになれば、そういうふうなことが現在の防衛計画、あるいはまた国防の大綱の中においてそのようなおそれがあるということを、長官の答弁は裏書きしたことになるじゃありませんか。そういうことになると私は思う。何もそのようなものがなければ入る必要がない。私たちは乗り出したと言っている。しかし長官は、きょうは、監視だというふうに弁解をされた。私はあえて弁解と言う。そうだとするならば、監視しなければならない対象があるんだ、おそれがあるんだということになるじゃありませんか。国防の大綱その他は非常に短いものであることはあなたも御存じでしょう。防衛計画の基本方針というのは非常に短いものであることはあなたは御存じでしょう。これは、かつての防衛庁長官がここにおられる。山下さんも、あなた、見たことがあるでしょう。その中に隠されたものがある。一体、国防会議はいままで何べんやったかということは私はあえて言わない。いずれにしても、四次防というものの中にそういうふうなおそれがあるんだというふうに理解せざるを得ない。国民はそう理解しますよ。その点について明確に答えていただきたい。長官が答弁したとおりだという答弁では、国民も納得しないし、私も納得しない。
○山下説明員 原子力利用、宇宙開発、海洋開発等、科学技術全般の平和利用につきましては政府の見解は変わりません。国防会議におきまして科学技術庁長官をこのたび議員として加えるよう閣議決定いたしましたのは、従前とも科学技術が防衛力整備において重要な要素を占めておりますために、その面において文民統制の実をあげるために、従前慣例に従って出席していただいておりました科学技術庁長官を議員に加えるように閣議決定いたした次第でございます。
○中谷委員 長官の答弁と違いますよ。原子力の平和利用の話を先ほどから石川議員は何べんもして、三木議員はその話をして、それが軍事目的に利用されるおそれがある、転化する可能性がある、こういう話です。そうすると、これはそういうことに対するお目付役だと長官は言われた。そうですね。そう言われたのだったら、お目付役をしなければならないような実態、おそれ、可能性、そういうようなものがわが国の国防の基本方針の中に、防衛の基本大綱の中にある、四次防の中にあるといわざるを得ないじゃありませんか。そういうものがなくして、一体何を監視するのか。私は百歩譲っての質問をしておるのだ。そうでしょう、山下さん、私の言うことはわかるでしょう。質問の論理はわかるでしょう。その点について、いまさらあなたに原子力基本法の講釈を聞こうとして私は質問しておるのではない。そんなことは百も承知です。それを転化しようとしてきたのだなというおそれを国民は持った。そのことを聞いたら、それはそうじゃないのだ、監視役だとおっしゃる。それなら質問の角度を変えます。監視されなければならない対象があるでしょう。可能性があり、おそれがあるというのですね。現在の国の防衛方針にはそのようなおそれがある、そのことをお聞きしておる。そうでしょう。原子力に限って言ってください。
○山下説明員 ただいま御指摘のようなおそれは絶対ございません。
○中谷委員 おそれがないなら、お目付役とは一体何ですか。おそれがない、可能性がない、絶対にない。科学技術庁長官は、じゃなぜ国防会議の議員として正式議員にならなければならないのか。さっきから言ったじゃないですか、長官は。監視をしなければいかぬ、お目付役になりたいのだと言ったじゃないですか。——いやいや、中曽根さんちょっと待ってください。角度を変えて片一方から攻めていかなければいかぬ。言われたでしょう。そうでしょう。おそれがない、監視役だ、子供だってこんな理屈はわかりますよ。おそれがないのに何を監視しなければいかぬのですか。おそれがあるというなら、防衛計画は全く国民を欺いておる。これはたいへんな問題だ。どういうふうに山下さんお答えになるか。
○山下説明員 おそれは絶対ございません。ただ、科学技術全般につきまして文民統制の実をあげるために、科学技術庁長官に入っていただくことにしておるのでございます。
○中谷委員 科学技術全般についての文民統制というのは、しからば一体何か。文民統制という意味を山下さん御存じでしょう。科学技術全般についての文民統制、シビリアンコントロールというのは、要するに、とにかく軍事を政治が統制することでしょう、一言で言えば。科学技術の面においてやらなければいかぬということは、あくまでそれは原子力の問題であり、海洋開発の問題であり、宇宙開発の問題である、そうでしょう。全般という中には原子力は入るのですね、全般だから。——ちょっと待ってください。全般だから原子力は入りますね。全般だから宇宙開発は入りますね。海洋開発は入りますね。そういう点が問題になっておるのですね。その点について監視をしなければいかぬということは、そのおそれがあるということじゃないですか。まず山下さんから……。
○山下説明員 文民統制の本質が軍事に対する政治の統制にあることは御指摘のとおりでございます……。
○中谷委員 科学技術全般というのだから、それは原子力も入るのだろう、海洋開発も入るのだろうと聞いておるのですよ。
○山下説明員 したがって、科学技術につきまして所管の大臣である科学技術庁長官が文民統制の実をあげられるという趣旨に出ておるものでございます。
○中谷委員 科学技術庁の所管事項の中には原子力のことがずらっと書いてあるじゃないですか。そのことについて監視をしなければいかぬということは、四次防にそのようなおそれがあるというふうに国民は素朴に——本日の長官の答弁を一〇〇%受けて質問をするとすれば、そういうふうに質問するのはきわめてあたりまえの質問じゃございませんか。科学技術全般の中には原子力は入りますね。
○山下説明員 防衛政策も国の政策の一つでございます。したがいまして、この科学技術につきましての国の平和的な政策はその根本でございます。したがいまして、ただいまの御指摘のようなおそれというのは絶対ないのでございますが、この科学技術につきまして、その主管大臣である科学技術庁長官に文民統制の実をあげていただくために入っていただくのでございます。
○中谷委員 山下さんとぼくは同期だから、あまりとにかくなにしたくないけれども、自分で答弁しておられて、何かどうもうまい答弁だと思わないでしょう、はっきり言って。 そこで、これは部長にお尋ねいたしたいけれども、一体、原子力の関係において国防会議の構成等に関する法律の中で、とにかく第六条の「関係の国務大臣」というふうなことに当たる場合がはたしてありますか。そんなことがあったらたいへんなことですよ。そういうようなことは一体ありますか。原子力の平和的利用というのは、国の基本的な方針だ。単に原子力基本法に書いてあるだけじゃない。関係大臣がそういうことについて統制しなければならぬ、そのことについて軍事利用されちゃ困りますよと言わなければいかぬというような状態、それをまずわれわれはたいへんおそれる。その点について部長はどういうふうに考えられますか。部長の御答弁。
○角田説明員 どうも政治的な判断の問題と法律的な問題とが少しからんでいるようでございますので、それを分離してお答えしなければいかぬと思いますけれども、六条で「関係の国務大臣」といっておりますのは、まさに科学技術庁長官とか、そういう行政機関の長というような意識でなくて、要するに国防会議の所掌事務について何らかの関係のある国務大臣としてのお立場の国務大臣という意味が直接だろうと思います。したがって、直接的にこれが原子力の平和利用との関連というお尋ねについては、これはちょっとお答えしにくいわけです。次元が違うと思います。 ただ、おそらく御質問の趣旨は、原子力の平和利用というものが法律の上で確立されている。にもかかわらず、先ほど来、法律的な危険性が法律の上では禁止されているにもかかわらず、そのようなことに関係のある科学技術庁長官が国防会議に入ることの可否という問題に戻ってくるのだろう。それは法律論じゃなくて、少し政治的にそういうものを入れるかどうかという問題だろうと思います。国防会議に今度科学技術庁長官がお入りになるということについ——これはいずれにしろ将来この法律の改正を要することでありまして、そうなりますと私どもの問題になってくるわけでございます。現在のところ、どういう理由でお入りになるのか全然聞いておりませんし、ちょっとその点についてはお答えしにくいと思います。法律の改正を要しますから、まだ正式に入っておられないわけです。
○中谷委員 部長はその程度のことしか答えられないでしょうけれども、とにかく「関係の国務大臣」というようなものの中に科学技術庁長官、原子力の関係においてかかわってくるということがあれば、これこそたいへんだ。監視役と言われるから、私たちは、そうじゃなくて積極推進のために入られると先ほどから石川議員が質疑をした。しかし、監視役と言われるから、百歩譲って、それならそういうおそれがあるのですねと別の立場から聞いておる。 そこで、官房長に私お尋ねしたいけれども、事実関係だけ確かめておきますけれども、従来、科学技術庁長官が何年何月の国防会議に出られて、どんなことを述べられた事実があるか、あなた答えてください。
○進説明員 国防会議に出席しました内容については、ただいま手元に資料を持ち合わせておりませんので、後ほど説明させていただきたいと思います。
○中谷委員 では中曽根長官にお尋ねいたしますが、国防会議に科学技術庁長官としてオブザーバーでしょっちゅう出席しておられるようにもとれるような趣旨の御答弁が先ほどあったと私思うのです。私はそんな事実はないと思うのです。長官がおっしゃったのだから、長官答えてください。一体、いままで、昭和四十六年あるいは昭和四十七年になって——昭和四十七年になって国防会議が一体どうなっているのか、私よくわかりませんけれども、一体、科学技術庁長官が何年に出席して、どんなことを述べたというふうな事実がありますか。要するに、この質問の趣旨は、科学技術庁長官がとにかく正式議員になるというようなことの必要性はないという意味で私お尋ねをする。長官はオブザーバーで出ているのだ、しょっちゅう出られなかったけれども、出ておる、国防会議で精査しているのだというようなことを言われるから私は聞く。これは事務的な質問ですから、そんなことはきょうは質問に出ることがわかっているのだから、官房長、調べておきなさいよ。長官、答えてください。
○中曽根国務大臣 その前に、先ほどの御質問に関係することで御答弁申し上げたいと思いますが、日本はIAEA、国際原子力機関との関係、あるいは原子力協定を結んでいる諸国との関係で、平和利用をやるという国際条約上の義務を負っておりまして、そのために査察も受けているという状態でもあるわけです。したがいまして、これは国際的には非常に大きな波紋を及ぼすものであり、かつ国民も原子力の平和利用には非常に重大関心を持っておる、政府の大事な仕事でもあります。そういう意味において、科学技術庁長官が国防会議に入って国際的にも安心をさせる、そういう意味も私はあると思います。国民の皆さま方にも、そういう念の入った仕事をやっているということで御安心願う。四次防で原子力軍事利用というようなことはありません。しかし、プルトニウムがどういうふうに使われるかというようなことは、使い方によってはどっちにも使われるわけです。そういう点をわりあい知っているのは科学技術庁長官だろうと私は思います。それが政府の責任をしょい、国民の責任をしょって、法律どおり正しい処置を行なわせるということは非常に大事なポイントじゃないかと私は思います。 それから、いままで国防議員懇談会というのをやったと思いましたが、そのときに、たしか通産大臣とそれから科学技術庁長官はオブザーバーとして出すメンバーとしてあげられていたと私記憶しております。いつどういうときに出て発言したか、私つまびらかにしておりませんが、とにかく、いままで政府の考えにおいては、オブザーバーとして出す人間はこういう人間であった、そういうことになっていたと思います。
○中谷委員 先ほど大臣がおっしゃったのは、国防議員懇談会とはおっしゃいませんでしたね。国防会議にオブザーバーとして出ておりますとおっしゃったと私は聞きました。そうすると、そういう事実はないわけですね。あるかもしれないけれども、そんなことは、もう長官としても防衛庁長官も長くおやりになった、しかしそういうことについては、結局国防会議にいままで科学技術庁長官が呼ばれたというような事実はあるんですか、ないんですか。私、議員懇談会のことを聞いているのじゃないのです。いつどんなことで、じゃ答えられるのなら答えてください。
○山下説明員 国防会議議員懇談会と国防会議との関係について私から申し上げて御理解を得たい……(中谷委員「そんなことを聞いていませんよ」と呼ぶ)国防会議議員懇談会はたびたび開かれておりますが、決定いたしますのは国防会議でございます。したがって、通例国防会議といわれておる中に国防会議議員懇談会があるわけでございまして、その点だけ申し上げておきます。
○中谷委員 わかっている。何を言っているんだ。質問に答えてもらわなければいけませんよ。国防会議の話をしているのですよ。国防議員懇談会が文民統制の法律上の責任を持つものじゃないでしょう。そうでしょう。国防会議であり、閣議であり、そうして国会であるというかっこうになっていることは、これはもう明らかなことでしょう。国防会議にオブザーバーとして出席したと言われる答弁は、そうすると長官の思い違いとして理解してよろしいか。
○中曽根国務大臣 正式に調べたわけでございませんが、いま国防会議——国防会議でありますが、そのオブザーバーとして出席すべき要員として、いままで候補者としてあげられてきたのが通産大臣及び科学技術庁長官であったと私記憶しております。それによって出席したかどうか、それはまだつまびらかにしておりませんが、一回か二回ぐらいはしているんじゃないかという気もいたします。
○中谷委員 昭和三十一年であったと私は記憶いたします、この構成に関する法律ができたのは。正確に——そうですね。昭和三十一年に国防会議の構成等に関する法律ができた。すでに十六年。その間に国防会議に出席したのが、長官の記憶としても、つまびらかにしないけれども一回か二回ぐらいだと思う、そういう状態のもの。まさに国防会議の中に科学技術庁長官などというものは遠慮して、入っていくべきものでなかった。それを正式議員になるといわれるようなこと、これはだれが考えたって、原子力、海洋開発、宇宙開発——首を振ってもだめですよ、それを軍事目的に利用の転化をするという国民の疑惑を払拭することはできない。私は、本来そういうふうな国防会議の中に科学技術庁長官が足を踏み入れるべきではなかった。また、現に長官の御記憶によっても、せいぜい十六年の間に一回か二回、そんな状態のものが一体何だというふうに私は言いたい。 それで官房長にお尋ねいたしたいけれども、官房長、そうすると官房長のほうは、防衛庁に対していろんな点について、科学技術庁は防衛庁から資料の要求あるいは防衛庁に対する資料の提供、そういうことを従来からやっておったんじゃないのかということも私は勘ぐりたくなります。要するに長官の答弁によりますると、こういうふうに言っておられる。何もとにかく「科学技術庁がかかわる仕事のすべてが平和目的とは限らない。」この点があとで訂正されたかどうかということのなにはありますけれども、要するに協力できるんだ、科学技術庁が協力できる面があるんだ、こう言っておる。そうすると、従来事務レベルの段階において防衛庁に対して協力をしておった、資料の提供、調査結果の提供、そういうものをしておった事実があるのですか。あるのかどうかだけ、あとで調べますからね。とにかくそういうものについては詳細にあとで資料要求しますが、あるのかないのか、まず答えてください。
○進説明員 科学技術庁には五つの研究所でございますけれども、その研究所におきましてもっぱら軍事関係に使われますような研究については行なっておりませんし、したがいまして協力等も行なっておりません。ただ、一般的な研究、各省に共通しますような一般的、基礎的な研究につきましては、防衛庁のほうから、たとえば試験の依頼がございますとか、成果の提供等がございました場合には協力しております事実はございます。
○中谷委員 では委員長、最後に一問だけです。 官房長にお尋ねいたしたいと思いますけれども、そうすると、私のところは軍事利用のためにはやっておりませんというあなたのところの研究成果が防衛庁に提供された。防衛庁じゃどういうふうにというようなことは、いままで十分あったのかもしれないのですね。これで私は質問を終わります。そういう提供をいままでしたのですね。
○進説明員 各省いずれでも使いますような研究につきましては、試験の依頼に応じておりますし、たとえば成果の提供につきましても、そう多くはございませんが、たとえば硫黄島の火山観測につきましては、あそこにおります職員の人命のためというようなこともございまして、資料の提供、協力等を行なっております。
○中谷委員 終わります。
○近江委員長 中川嘉美君。
○中川(嘉)委員 去る十月の九日の閣議決定を見た文民統制強化のための措置について、科学技術庁長官がこの中に含まれておるということをめぐっていろいろな質疑が展開してまいったわけですが、科学技術庁長官が国防会議の議員になるのは何のためであるか、あるいはどういう意味合いでこの中に含まれなければならないか、あるいはまた、このことによってどのようなメリットがあるのかというようなことについて、すでにいろいろと論議が展開しております。先ほど来の答弁を聞いておりますと、軍事利用を監視するんだ、お目付役だということが言われておりますが、私は、国防会議の設置目的、防衛庁設置法六十二条ですね、この六十二条に照らしてみた場合に、何ら科学技術庁長官が入る必要はないんじゃないか、このように思うわけです。しかも、この四次防の計画の中に、技術開発あるいは研究活動を推進するために既存の国立研究機関を利用することになってしまうのではないか。すなわち、軍事力の増強とこういったことが結びつかないという保証はどこにもないんじゃないかということで、先ほど来のいろいろ論議の中に答弁があったようでありますけれども、この点について、この六十二条に照らして何ら科学技術庁長官が入る必要はないんじゃないかという点がまず一点。それからもう一つが、ただいま申し上げたような軍事力の増強と結びつかないという保証は全くないじゃないかという点、その点についてもう一度確認をしておきたいと思います。
○中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたように国防会議、閣議というレベルがございまして、国防会議は国防会議及び閣議を経た国防の基本方針を忠実に守って実行しているところでございます。国防会議は必ずしも国防力の増強ばかりをやるところではなくして、縮減をやる場所でもあります。それは、国際情勢等を見て、必要なければ縮減をするということもあり得るし、あるいは漸増を行なうということもあります。ですから、外務大臣が重要な構成メンバーであり、かつ大蔵大臣も重要な構成メンバーであります。それで、国力国情に応じということばがございまして、国情という中には憲法あるいはそのほかの諸法令があるわけでございます。その中でも特にわれわれ重視するのは、事原子力や宇宙開発等について、これが軍事利用に転化してはならぬという大事なポイントであるわけで、特にそれは国際的にも責任をしょっているところがあるわけでございます。そういう意味においても、この一番精査をしておる国防会議にその主管責任者が入って、かりそめにもそういうことが行なわれないように目を光らせておるということは、国際的にも国内的にも私は意義あることである、そう考えておりまして、科学技術庁長官が入ることは意味があることであると思うのでございます。
○中川(嘉)委員 次に進みたいところですが、先ほどお聞きしたところの軍事力の増強と結びつかないというこの保証ですね。こういった点でそれは必ずしも増強だけではないのだというような御答弁もいただいております。そういった点について、この国立の研究機関を利用するということに関連して絶対にそういうものには結びついていかないのだという、そういう何らかの保証ですね。そういったものについてどういうふうな形の御答弁をされるか。
○中曽根国務大臣 科学技術庁は軍事利用のための研究はいたしません。しかし、一般的な金属材料の性格であるとか、あるいは防災に関する問題であるとか、あるいは放射線医学に関する問題であるとか、そういう一般的な問題に関する成果を各庁が共用して使うということは、これは科学技術庁の趣旨から見ても使わるべきものであります。そういう意味において、防衛庁側も科学技術庁の一般的成果を利用するということもあり得ると思うので、それは官庁協力という形でそういう要請があれば、そういう範囲内のものは要請にこたえて資料を出す、そういうことはあり得ると思っております。
○中川(嘉)委員 中曽根さんは記者会見で「科学技術庁がかかわる仕事のすべてが平和目的とは限らない。」のだということをまず述べて、「従来、自衛隊は、ともすれば失業救済対策的なマン・パワーに頼ってきたが、これを改めて自衛隊の近代化をはかる上からも、科学技術庁長官が国防会議にはいることは意味があるのではないか。」ということを言っておられるわけですが、これは事実ですか。これを一回確認してから次に進んでいきたい。
○中曽根国務大臣 その点は、ことばが足りませんのであとで訂正いたしまして、防衛庁の仕事に協力することもあり得る、そういうことに直させていただきました。その意味は、たとえばコンピューターならコンピューターというものをかなり科学技術庁ではやっております。そういう場合に、コンピューターをどういうふうに使うかという点について、防衛庁のほうからその使用方法について質問があったという場合があるとすれば、それは科学技術庁がほかの官庁に対して一般的にやっているような協力の意味において、それに対して回答するということはあり得る、そう思っております。
○中川(嘉)委員 コンピューターの利用についてのお話もありましたけれども、いずれにしても協力できる部分ですね、ここが非常に私は突っかかるわけです。実際はこの協力できる部分があったとしても、協力すべき性格のものではないのではないか。この発言自体もまた私は非常におかしいのじゃないかというふうに感ずるわけです。特に、先ほども医療問題とか、あるいは救済の問題等に関連してお答えもあったようですが、こういったことを前提とした行政活動、このこと自体はもうすでによくないのじゃないか、こういうふうに感ずるわけで、このこと自体が、軍事利用とかそういうものにも結局は関連して結びついていく、こういうふうに考えざるを得ないわけですが、長官はそれに対してどういうふうに答弁されますか。
○中曽根国務大臣 法制局にも聞きましたところが、法制上はこういう官庁協力的な協力というものは禁止されていない、そういうことでございます。したがって、国家行政機関相互の協力という意味において、これは国民の税金を使っておることでありますから、協力するというととも私は妥当であると考えます。
○中川(嘉)委員 この訂正前の発言も、失言とはいえとんでもない失言だと、私はそれを読んだ瞬間に思ったわけです。訂正後の、先ほど申し上げた協力という面ですね、これもなかなかそうすんなりと納得がいくものではない、このように思います。非常にしつこいようでありますが、科学技術庁の手で開発された技術を防衛力増強に利用するという、こういう意図を示しているのではないか、われわれにはどうしてもそうとしか考えられない。それが、はからずも「科学技術庁がかかわる仕事のすべてが平和目的とは限らない。」というような失言に発展していったのじゃないか、こういうふうに考えるわけです。 科学技術庁は、原子力あるいは宇宙、海洋などの総元締めとして今日まで平和目的に限定をした研究開発を進めてきたわけです。中曽根長官が国防会議の正式議員として、防衛庁の近代化に力をかすという、特に平和目的とは限らないと失言をしたという、そういうことになると、それが軍事目的に使われるという可能性も十分に考えていかなければならない、こう思いますが、軍事目的に力を絶対に入れないのだという保証ですね、そういう何かここで明確な答弁ですね、そういうことはないという、それをはっきり、この際この場でひとつ言明していただきたい。
○中曽根国務大臣 科学技術庁は、軍事的目的のための研究はいたしません。
○中川(嘉)委員 私たちは、今日までの科学技術庁長官の発言なり、ただいままでのやりとり等を聞いていて、もう一つすっきりと明確に飛び込めないような気がします。いま、そのような軍事目的には力を入れないのだという、そういうお話ですが、科学技術庁の科学技術そのものの軍事利用への協力という問題と、それから平和利用とのけじめをつけ得ないようなそういう状態を、今日科学技術庁長官自身が国防会議に含まれたという点からして、そういう状態をつくり出すのじゃないか。いままでは、かりに軍事利用というものと平和利用というもののはっきりけじめがどこかでついたとしても、今日このような発表がなされますというと、なかなかけじめをつけ得ない状態というものができ上がってくるのじゃないか。さらに、文民統制の強化という、こういう目的にもむしろ逆行する結果になるのじゃないか、こう思いますが、再度確認の意味で、全然そういう逆行というようなことはないということをもここであわせて断言できるかどうか、この点を伺います。
○中曽根国務大臣 逆に、原子力や宇宙開発というものを軍事利用に使ってはならぬ、そういう強い意思表示と実行行為が国防会議を通じて行なわれる、そういう点を私は強調したいのであります。
○中川(嘉)委員 さきに中曽根さんが防衛庁長官として、十年先のいわゆる国際情勢というものを見通した国防白書をつくられたわけです。この十年先の国際情勢というものを見通した上での国防白書、十年先の国際情勢というものをどのようにとらえておられたか。これは別に外務委員会ではありませんけれども、当時長官が感じられたままでけっこうですが、どういうような十年先の国際情勢を想定されたか。
○中曽根国務大臣 十年先でありましたか、五年先でありましたか、たしか国防白書は五年先を目途にいろいろ書いてきたと思っておりますが、大規模な世界大戦の危険性は少ない、しかし、局地的動乱、紛争というものは起こり得る、日本としては、日本列島防衛に限定して、その意味の自衛力をやはりたくわえておく必要がある、そういう感じのことを申し述べたと思います。
○中川(嘉)委員 その国防白書の中で、防衛庁のいわゆる第四次防の原案なるものを作成したわけですけれども、当時日本が軍国主義化するということにおいて各国からいろいろな非難を招いた、まあ張本人と申しますか、そういうことでもあり、さらにまた、現在四次防の決定で世論の非難を浴びておるというのが実態ではないか、こういうふうに思うわけですが、そういう軍事関係のいままで専門家であった中曽根さんが、目がさめてみたら徹底した平和主義に切りかわるということ、これもなかなかそうたやすく考えられない。中曽根さんのこのたびの発言から見ても、いわゆる科学技術を防衛力増強に利用する意図を持っているととられても、これは否定のしようがない、こういうふうに思うわけなんで、こういう世論といいますか、国民の皆さんの考え方に対して、どのように弁明といいますか、どういうふうに説明されるか。もうほとんど国民の皆さんは、このたびのそういう発言なり、あるいは国防会議に中曽根さん自身が入られたということについて、非常な不安といいますか、一体全体、これはどういうふうになっていくんだという不安、こういうものを持っておるんじゃないか。それに対してどういうふうに説明をされるか、この点を国民に説明をしていただきたい。
○中曽根国務大臣 私はタカ派ではなくしてハト派であると自民党内でも思われているだろうと思いますし、私もそう思っております。ただ、国家が独立国家として存在していく以上、自分の列島を防衛するということは自分で行なうべきだ、こういう原則を持っている。ただ、それだけで足らぬ部分は、補完的に外国と提携することも必要である、そういう趣旨に立って四次防も考え、また防衛庁のことも考えてきておるわけでございます。 軍国主義云々ということばが一時はやりましたけれども、あれはむしろ外国から来たことばを日本の中でがやがや騒がれたということで、最近外国から言わなくなったらまた日本の国内でもそう誓わなくなった。むしろ日本の国情は、どうも外国からの声に非常に動かされている、そういう気持ちが私はしておるのです。ですから、日本の防衛力の現状や実態を見れば、そういう外国に対して侵略する可能性があると考えている国民はおそらく私はないだろうと思いますし、外国人も中身を見てみればそうだと理解してくれるだろうと私は思います。 最近の国際情勢を見ると、日中国交も正常化をいたしまして、中国側からそういう危惧の念も出てこない情勢にもなってきております。アメリカ側からもそういう危惧の念は出てこないことになっております。これは事態を冷静に分析し、判定して、そういう判断に落ちついてきているのだと私は思います。
○中川(嘉)委員 外国からそういうような考え方が入ってきた、日本にはそういう考え方はないという、いま非常に極端な表現のように響くわけです。あんまり思い切っておっしゃると、またどういうふうなことを国民が言うか、国民が一人も日本のこの状態に対して、四次防のこの予算をながめたときに、絶対に軍国主義、軍事大国というようなことばが、国民のだれ一人からも漏れてこないというふうには私は考えられないと思います。私の知る範囲でも、とにかくこの四次防の予算を見て、えらいことだという話から発展をして、軍事大国ということばが口をついて出てくる。そういう現在の国民を、全く無視するというわけではないにしても、そういう国民は一人もいないのだ、そういうことばは外国から入ってきたのだというふうに言ってのけることについては、発言を十分に御注意されたほうがいいのじゃないか、私はいまそういうふうに聞いて思ったわけです。 ここで防衛力の限界云々というようなことまでも論議するつもりはいまはないわけですけれども、先ほども質疑が展開されておった中で、それに関連して学術会議ですね、この原子力問題特別委員長の三宅さんにしてみると、こういうふうに言っていますね。中曽根氏はかつて防衛庁長官だったころ、原子力潜水艦を自衛隊で持つと言っていたが、この方向への技術開発が心配である、こういうことを述べております。これはさっき同僚委員の発言の中にも、この原子力潜水艦の問題は出てきております。また、濃縮ウランの問題、買い付けの問題ですね、こういったもので議論が出ておるようでありますが、これまでも軍事力増強ということで問題発言の非常に多い中曽根さんであったと私も記憶しておりますが、これでほんとうに科学技術の軍事利用というものは絶対にあり得ないという保証があるかどうか。さっきからも保証、保証と覆いますけれども、こういうことを踏まえて再度確認をしておきたい、このように思います。
○中曽根国務大臣 新聞に出た三宅君の発言は、これは全く誤解か、あるいは私を知らない無知の発言ではないかと私は思います。私は原子力基本法の提案者として国会でも説明いたしましたし、その後科学技術庁長官としても、原子力潜水艦の関係については、いままで申し上げたとおりのことを申し上げてきているので、いま原子力潜水艦を日本でつくろうなどということは一回も言ったことはございません。その点は、私をよく知らない人の発言であると私は思っております。
○中川(嘉)委員 御答弁を聞いていると、こういうふうに時代の焦点がこういう問題にぐっとしぼられてきている。四次防を初めとした今回の国防会議、そういうものに政局そのものもやはりずっとテーマがしぼられてきているだけに、非常に、誤解だとかあるいは無知ということばが飛び出しますと、聞いているほうではらはらする、そういうような感じがするのですが、そちら側に立つということでは決してないけれども、発言をひとつ十分注意していただいて、やはりこれは国民的な立場に立った一つの発言ととっていかなければならない、こういうふうに私は理解しているわけです。そういった意味からも、そういった保証ができるのかどうかということを確認をしたわけです。 関連して伺いますけれども、これは私は科学技術関係のこの委員そのものではない立場ですけれども、この潜水艦の問題、これはわれわれの考え方からすれば、当然戦争目的遂行のために使われるれっきとした兵器である。いまの御答弁を踏まえれば、もうこれ以上言う必要もないかもしれませんが、戦争目的遂行のためのれっきとした兵器ですね。科学技術庁のほうは、平和目的に限定した研究開発の遂行である。どうもうらはらなような、非常に潜水艦の動力云々ということばを聞くと、全然切り離しては考えられないような関連性というものを感じるわけです。防衛庁長官のときの、いわゆる原子力潜水艦は原子力法に触れないと長官は言っておられたわけですが、たとえ原子力法に触れないとしても、これを軍事目的のために利用すべきではないという、そういう前提に立つのが私はいわゆる平和的利用の本来の姿ではないか、こういうふうに考えるわけですが、この点についてはどのように考えておられるか。
○中曽根国務大臣 原子力推進ということは一つの人類の発明でありまして、これが商船に利用されて原子力商船というものが、いままでの従来の商船に比べて非常に人類の福祉に貢献するということが出てくる可能性があるところでございます。そういうものが一般商船に使われて普遍化してくるという場合には、推進としてのみ使うという意味においては、原子力潜水艦にそれが使われるということも将来あり得る、そういう事態になったらあり得る。そういうことは原子力基本法の説明のときにもはっきり明言しておるところなのでありますが、いまでも同じ見解を持っておる。しかし、その限度を維持すべく、それを逸脱してはならぬ、そういうふうに戒めておるわけであります。
○中川(嘉)委員 将来そういうことがあり得るという再度の御答弁をここではっきりと確認をしておきたいと思います。 中曽根さんは、国防会議にこの平和利用のお目付役として参加するということを言っておられますが、それなら本質的な国防会議の構成というものをここで考えるべきじゃないか。むしろ国民を代表するような民間人とか学者ですね、こういう人たちを参加させたほうがベターではないか、こういうふうに考えるわけです。そうでないというと、十月九日に閣議決定されたところの文民統制強化云々の意味がなくなってくるんじゃないかというようにも考えざるを得ない。少なくとも文民統制が強化されたなどという印象からほど遠いように私は感ずるわけですが、それに対して、民間人あるいは学者という人々の参加ですね、これに対してはどのような考えを持っておられるか、伺っておきたいと思います。
○中曽根国務大臣 国防会議構成法をつくるときに、そのメンバーに民間人を入れよという議論も一部にございました。しかし、これは行政責任と申しますか、国会に対する責任という意味において、閣僚のみで構成することが妥当であろうという当時の政府の判断によっていまのように閣僚メンバーにきまったのでございます。かなり論議もあったのです。私はいまの機構で、閣僚メンバーで適切である、そのように考えます。
○中川(嘉)委員 行政責任という面とそれから政府の判断で最終的にはそういうことにきまったということですが、やはり民間人ですね、学者ももちろんですが、こういった民間人の参加ということがほんとうに推進されていかなければならないという、その本来の文民統制ということばの趣旨に沿うように、そういう点から考えても、単に行政責任あるいは政府の判断でそうなったということだけではたして済まされるかどうか、今後の一つの大きな議論の焦点となっていくんじゃないか、国会の場でやはりこれは相当の論議の焦点になるのではないか、こういうふうにも思いますが、さらに、必要があるとするならば、国防会議の構成等に関する法律の第六条がありますが、ここに議長である総理大臣が関係国務大臣を出席させるという現行法ですね、むしろこの現行法のままのほうがいいんじゃないかというような気持ちすら、今回の発表を見ておりますとしてくるわけなんです。この点に関しては、この辺の相違についてどのように考えておられるか、最後にこの点を伺っておきたいと思います。
○山下説明員 この文民統制の措置を決定いたしましたが、これにつきましては、当然法律改正を要するわけでございまして、国会の御審議をいただくわけでございまして、その形につきましてはまだ結論を得ておりませんので、慎重に検討いたしたいと思っております。
○中川(嘉)委員 最後ですが、要するに、私の要望といいますか、主張といいましょうか、あくまでもこの法律にのっとってやるべきなんで、この問題は白紙に戻すのが当然であるということを私はこの場で強く主張しまして、一応きょうの質問を終わっておきたいと思います。 以上で終わります。
○近江委員長 吉田之久君。
○吉田(之)委員 初めに官房副長官にお聞きいたします。 去る十月九日の国防会議はどのメンバーで開催されて、その前に国防会議の議員懇談会があったのかなかったのか、あるいはオブザーバーに入ったのはだれとだれなのか、ちょっと詳しく御説明いただきたい。
○山下説明員 先ほどもお答え申し上げましたとおりに、通例国防会議といわれているもののうちに、正式の国防会議と、そうでなくて国防会議議員懇談会というのがあるわけでございまして、ただいまの内閣になりましてからも、国防会議議員懇談会は数回開かれておりますが、国防会議は十月九日が正式に開かれたものでございます。それは、このたびの国防会議におきましては、第四次防衛力整備計画並びにただいま御質疑をいただいております文民統制強化のための措置等を決定いたしますために、正式に国防会議議員懇談会が国防会議に切りかえられたのでございます。 ところで、そのときの国防会議に切りかえられる前の国防会議議員懇談会には、現在の法律に基づきますところの構成員である議員は出席いたしましたが、同時に、従来慣例として出席していただいております議員、すなわち通商産業大臣、科学技術庁長官、そして内閣官房長官がこれに参加いたしておるのでございます。
○吉田(之)委員 慣例として出席している議員というのは、資格は何ですか。
○山下説明員 これは国防会議の議員ではございません。
○吉田(之)委員 中曽根長官にも申し上げたいのですが、実はこの辺のところに今日の日本の国防会議のあいまいさ、権威のなさがはっきりと表明されていると思うのです。実はことしになってから、わが国の政治の一番の重要な問題は、このシビリアンコントロールがどうあるべきか、そして、その一つである重要な機構である国防会議というものが、正しくどう開かれなければならないか。全然、時によっては数年間もほとんどほうりっぱなされている。重要な決定が国防会議の議を経ないでどんどん進められている。ここに一番の問題があったはずなんです。その辺の事情は、中曽根長官は今日まで防衛庁長官をしてこられたお一人として一番よく御存じのはずですし、また責任を感じておられるはずだと思うのです。しかるに、その問題にもかかわらず、そしてその問題のすべてをもう一度きちんとやり直さなければならないという責任で開かれた今度の国防会議さえ、その関係議員の出席というものが、いま官房副長官のおっしゃるように、ただ慣例として出席しておった、じゃそれはオブザーバーなのかといえば、その辺がはっきりしない。一体、これは長官、どういう資格であなたはこの国防会議に出席されたんですか、この前の十月九日の場合は。
○中曽根国務大臣 おそらくあの条文に基づいて必要と認められた国務大臣として私は出席したんだろうと思います。いわゆるオブザーバーという名前——オブザーバーといっていいかどうか、いわばいわゆるオブザーバーという感じで出ておるのではないか、そういうように思いました。
○吉田(之)委員 そうすると、あなたは正式なメンバーとして、いわゆる必要として出席を要請された閣僚の一人として加わられたというふうに認識しておられるわけなんですね。
○中曽根国務大臣 正式の議員ではないと思うのです。ただ、あの中の国務大臣として指定されて官房長官から出席依頼がありましたから出たわけでございます。
○吉田(之)委員 じゃ、そのつど必要と認めて出席を求められる閣僚の一人として出席されたということでございますね。じゃ、いままで科学技術庁長官という資格でそういう必要に応じて呼ばれた例は何回くらいあって、だれとだれが出席しておるのですか。
○中曽根国務大臣 それは、先ほど申し上げましたように、詳細をつまびらかにしておりませんので、いままでの経緯は調べて御報告いたしたいと思います。
○吉田(之)委員 すぐ調べて報告してください。待っていますから。 じゃ、それはあと回しにいたしまして、それでは、そういう例は過去何回かあるんだろうと思いますけれども、そのつど国防会議の議長である総理からきちんときょうのこの国防会議にはどの大臣とどの大臣が出席してほしいというような通達というものはどういう形で行なわれておりますか。
○中曽根国務大臣 それは官房長官からそういう連絡がそのつどございます。
○吉田(之)委員 それで、そういう過去の経過を踏んまえて、いまあらためて正式メンバーとして科学技術庁長官を加えなければならないという必要がどこにあるか。これがいま一番問題になっているところでございます。私は、シビリアンコントロールという以上——あなたは、何も日本の場合は諸外国の例にならわなければならないことはないとさっきおっしゃいましたけれども、やはりこのシビリアンコントロールや国防会議のあり方というものは、先進諸国の例にならって、そのあやまちをおかさないために、いろいろとお互いに検討されてつくられた機構の一つであると私は判断いたしております。先進諸国の例において科学技術庁長官が正式メンバーとして入っている国はどこでありますか。
○進説明員 恐縮でございますが、ただいま手元に資料がございませんので、後ほど説明さしていただきます。
○吉田(之)委員 大体、きょうのわれわれの質問は、この国防会議のあり方について、特に科学技術庁との関係について質問をするということは御承知のはずであります。ところが、肝心のところが全然用意されていないということは、私ども非常に残念であります。 それで、私の手元にあります資料では、アメリカの場合、国家安全保障会議という名前で呼んでおりますけれども、その構成メンバーは議長が大統領であって、議員は副大統領、国務長官、国防長官、緊急計画局長官ということになっております。もちろん、その他大臣の任命する者というのが含まれてはおりますけれども……。だからここには科学技術関係の人は見当たりません。イギリスの場合は、委員長が首相でありまして、そして、委員は副首相、外相、蔵相、内相、英連邦植民相、国防相でございます。それからフランスの場合には、委員長が大統領でありまして、副委員長が首相で、委員は副首相、国防相、外相、内相、財政経済相でございます。それから西ドイツの場合には、委員長は首相の任命した国務相でありまして、委員は外相、国防相、内相、蔵相、経済相、国務相(総理府担当)。イタリアの場合には、議長が大統領でありまして、議員首相、外相、内相、蔵相、国防相、商工相、国防省参謀総長ということになっております。 こういう例に必ずしも日本がそのとおりならわなければならないという定めはありませんけれども、まず常識の線に従えば、通産大臣が国防会議のメンバーに入られることなどにつきましては他に例も大いにあると思います。しかし、あらためてこの段階に科学技術庁長官がなぜ入らなければならないか。あなたは先ほどから、国防の基本方針は国力と国情に応じてやるのだ、その国情の中に実は科学技術庁長官が入らなければならない一つの理由が現在あると思う、こういう御説明のように思います。しかし、私は全く逆に思うのです。日本の場合には、平和憲法があり、そして、日本の科学技術振興は、原子力といわず、宇宙開発といわず、海底、海洋開発といわず、すべて平和目的に限定されなければならない。そういう国情の中で、科学技術庁長官という立場では、そういう軍事目的推進のためであるべき国防会議の議員には、断じて絶縁状態にあるということのほうがよほどわが国の国情に合うし、国民もまた理解と納得を進めやすいというふうに私は判断いたしますけれども、あなたは、どうしてもあなたの説が正しいとお考えになりますか。そして、私の考え方は全く間違っているとお考えになりますか。
○中曽根国務大臣 国防会議はいわゆる軍事目的推進のためにあるのではなくして、私は文民統制のためにある、そう思います。日本で特に外国と違うゆえんは、原子力や宇宙開発等は平和目的に限るということが限定されていることで、これはアメリカでもフランスでもイギリスでもないことであります。そういう意味において、科学技術庁長官がその監視役として入るということは、日本独特の性格でもあり、また大切な意味を持っていることではないか、そう思います。
○吉田(之)委員 しからば、なぜきょうこの時点において突然そういう判断をせざるを得なくなってきたのか。わが国の国情というものはここ十数年全然変わっていないはずです。急にそれほど科学技術の力が大きくなったのか、急に原子力というものがへたをすれば軍事目的に利用される懸念が出てきたのか、シビリアンコントロールを徹底するためには、この際どうしてもそういうことにチェックを加えるために、また、そういう意味でのブレーキを確かに踏んでいくためにいま入らなければならないという、そういう変化、情勢というものが新たにどうして生まれてきたのか。
○中曽根国務大臣 一面においては、日本の原子力は非常に発展してまいりまして、プルトニウムも蓄積されてまいりましたし、また、一面において宇宙開発も次第に成長してまいっております。そのやさきに国防会議構成員をかえる、こういうような情勢が起きたものですから、それではこの機会にそういう監視役も入れる、そういう必要があると私は判断をしておるわけであります。いままででも、そういう構成員をかえるという議が起きてきた場合には、あるいはいまと同じような措置がとられたかもしれません。しかし、今回こういういろいろな政治問題のもとにこういう議が起きてきたので、この機会に入れよう、そういうことではないかと思います。
○吉田(之)委員 それほどプルトニウムはたまってきているのですか。それほどロケットの開発は推進されましたか。
○中曽根国務大臣 国防会議構成法ができたときにはほとんどまだ芽の状態で、あるいは幼児にも達しなかった状態だったと思いますが、いま小学生から中学生くらいに成長してきているんだろうと思います。
○吉田(之)委員 それでは、もしいま科学技術庁長官が国防会議に入らなくて、このままの状態でいくとするならば、いまおっしゃるような懸念というものは十分わが国においては起こり得ますか。
○中曽根国務大臣 ないとは思いますけれども、万全を期するために、入っていたほうがいいと思います。
○吉田(之)委員 何のためにわが国においては非核三原則があって、そして国会決議が行なわれ、そして平和憲法があり、断じて核兵器は使わないという定めがあるのですか。そういう定めがあるにもかかわらず、なおかつ国防会議にチェックするために科学技術庁長官が入らなければならないほど、国の憲法というものは、あるいは国会決議というものはいいかげんなものでございますか。
○中曽根国務大臣 いいかげんなものではございませんが、立法府あるいは憲法という非常に高い立場からのことと、行政事務において日常これを執行するという部面と、両々相まって目的は果たされる、そういう意味において、行政事務を執行するほうの者が責任をもって中に入っていて、そういうことを起こさせないということは万全の措置であると思います。
○吉田(之)委員 それはわれわれから考えますと全くの詭弁であります。そういう表現をして、科学技術庁と国防会議というものをジョイントしておいて、たてまえは科学技術が軍事に利用されないためにその役割りを果たすんだといいながら、一たん加わった議員というものはいつどのような変質をするかもしれないという懸念を、むしろ国民の側が持つことのほうがよほど当然でございまして、われわれは、一つの現象というものは必ずプラスとマイナスの作用を生ずることを知っておりますけれども、いま科学技術庁長官が国防会議に入るということは、よしんばあなたのお説のように念には念を入れて、より徹底したシビリアンコントロールのためにと思って入り込まれたとしても、受け取る国民の側は、やはり言わずもがなであった、論より証拠ではないか、最も平和目的に限定すべき科学技術庁の責任者が国防会議に入るということは、いつどのようにしてそれが変質して、科学技術の推進がそのまま軍事利用に直結していくかもしれないではないかという世論が必ず起こってまいります。現に起こっております。現にわれわれがこういう発言をせざるを得ないのは、そういう国民の心配が起きているからでございます。だから私は、いま科学技術庁長官が特別何の変化も起こっていない今日の国家の中にあって、ただ国防会議のメンバーをふやすというこの機会にわざわざ入り込むということそのことが、国民に与える心配と影響、そのことのほうが科学技術の振興に大きなマイナスになりはしないかということを考えるわけなんです。われわれは、科学技術をいかに正しく平和的に推進していくかということが、われわれに与えられた今日の責任であります。にもかかわらず、国民の協力を得られなくなる、正しかるべき原子力の平和利用、そして原子力発電の推進が、あなたが国防会議に入られることによって大きな抵抗を生じ、そして、わが国のエネルギーの調達が将来に向かっていろいろと支障を来たすようなことになれば一体どういうことになりますか。そういうデメリットの面を全然お考えになりませんでしたか。
○中曽根国務大臣 その点は、いままで申し上げましたように見解の相違だろうと思います。
○吉田(之)委員 見解の相違と突っぱねればそれでいいと思っていらっしゃるかもしれないけれども、私はシビリアンコントロールといい、国民合意といい、科学技術の振興においてもそういうことが必要である、そのたてまえは、あくまでも国民の気持ち、反応に沿わなければならない。ところが、国民がどう思おうとそれは誤解だ、それは知らないからそういうことを言うのだ、われわれのあずかり知らぬところであって、われわれのやっておることは正しいのだ、それだけで突っ走るなら、基本的に国民合意の精神が欠けている。ほんとうのシビリアンコントロールの精神というものはそういうものではないと私は思うのです。なぜその辺、今日まで科学技術庁長官をかつて経験してこられたあなたが、そして防衛庁長官をやってこられたあなたが、そのくらいのことにお気づきにならなかったか。こういう国民の反応が出るというくらいなことは、明敏なあなたであるならば当然お気づきになるはずだ。あなたならばわかるとわれわれは思っておりました。もしも田中総理が国防会議に科学技術庁長官を加えようというような話が出たときに、それは加わる必要はありません、わが国には厳然としたこういう国是がきまっているのではありませんか、憲法で定められているではありませんか、もしもあやまって科学技術が軍事に利用されるようなことがあるならば国民が承知しません、入ることがかえって誤解を招きはしませんか、ということをおっしゃってくださるのがあなただと思っておりましたのに、なぜそういう意見をお吐きにならなかったのか。私どもは非常に残念であります。
○中曽根国務大臣 この点も、先ほど申し上げましたように、日本は原子力平和利用等については国際的な責任を背負っておるので、そういう点を担保するためにも入っていたほうがはるかに国際的責任にも即応する、そう考えたわけです。
○吉田(之)委員 一般の国民の判断は、あなたがかつて科学技術庁長官をやられ、そして防衛庁長官をやられ、いま通産大臣になり、そして科学技術庁長官を兼務して、すべてを地固めして一挙に科学技術庁長官というものを国防会議に入れるために、あなたがその準備をしてこられたのではないかとさえ受け取っている現状です。そして、これが今後の科学技術の振興にいろいろ支障になってくることは、明敏なあなたがすでにお察しのとおりです。一体、この責任を今後どうとろうとなさいますか。私はいまからでもおそくはないと思う。まだあなたは国防会議の正式メンバーではありません。法律が改正されておりませんから、いまからでもおそくないから、これは誤解を生むもとであるから、あくまでも科学技術と軍事とが絶縁しているというあかしを立てる意味でも、ひとつこの際われわれはおりるべきではないかということを、御進言なさる気持ちはございませんか。
○中曽根国務大臣 そういう意思はございません。
○吉田(之)委員 これ以上言ってもあなたの意思は変わらないようでございますから、われわれはあらためてこの法改正の場で論議をせざるを得ないと思います。 私の質問はこれで終わります。 それから、先ほどの調査中のことにつきましては、いまわかりましたか。——じゃあとで文書でどうかひとつ……。
○近江委員長 松本善明君。
○松本(善)委員 最初に、官房副長官に伺いたいのでありますが、九日の国防会議で通産、科学技術、国家公安、内閣官房の四閣僚を国防会議のメンバーにするという方針をきめたということでありますが、その四閣僚を加えるということになりました理由、経緯、これを御説明いただきたいと思います。
○山下説明員 このたびの文民統制強化のための措置は、まず第一に、文民統制強化の実をあげるために、構成員である議員の数を増加するということは、種々の経過を経まして適当ではなかろうかということになったわけでございます。その際、この国の防衛に関する問題は、国政全般にわたりまして非常に関係の深いものでございますので、それに関連する比較的関係の深い国務大臣を議員として選ぶという観点から、通商産業大臣、科学技術庁長官、それから国家公安委員長を選びましたが、なお内閣官房長官は、当初のときには国務大臣ではございませんでしたために正式の議員になっておりませんでした。ただいまは国務大臣になっておりますので、これはもうこの性質上当然ではないか、かように考えている次第でございます。その他の議員につきましては、それぞれの所管の行政につきまして国の防衛に関する関係の深い大臣を選んだ次第でございます。
○松本(善)委員 通産、科学技術、国家公安についての関係が深いというのは、どういうことで関係が深いのか、この点を一つ一つについて御説明をいただきたい。
○山下説明員 通商産業大臣を議員に加えましたのは、防衛力整備につきまして、各種の装備を行なうに際し、産業全般との関連が重要でございますので、この面における文民統制の実をあげるために正式の議員にいたすものでございます。 科学技術庁長官につきましては、今日、防衛力整備におきまして科学技術は非常に重要な要素を占めておりますことから考えまして、科学技術の面において文民統制の実をあげるものでございます。 国家公安委員長につきましては、国防と密接な関係がある公共秩序の維持の責任者である国家公安委員長を文民統制の実をあげるために選んだのでございます。
○松本(善)委員 その理由は公式のものでありますか。
○山下説明員 政府といたしましては、このような見解に基づきまして正式に議員に選ぶようにこの強化の措置をきめました次第でございます。
○松本(善)委員 通産、国家公安についても問題がありますけれども、科学技術の問題についてだけここでは論じたいと思います。 長官、いまのお話では、科学技術は国防に非常に重要な関係があるのだということで入れられたそうであります。長官が先ほど来この委員会で言われたのは、原子力が軍事利用をされないためにその監視役として入るのだということです。しかし、長官が、この問題が起こってからの新聞や何かに語られたことは次々と転々としております。最初は、科学技術庁のかかわることはすべて必ずしも平和目的だけではないというふうに言われた。それを今度は、科学技術庁には防衛庁の仕事に協力できる場合もあるというふうに言われ、きょうは、主として監視役として入るのだ。わずかの間にこれだけくるくる変わり、そして、官房副長官の言っている公式の理由とも必ずしも一致しない。こういう事態について一体どう考えられるか。私には、長官が世論の批判が強いものだから、言い方をいろいろ変えているとしか考えられない。むしろ率直に、一番初めに長官が言われたように、科学技術庁のやることは必ずしも平和目的のためだけではないんだということを言われたのが本心ではないか。また、いま官房副長官が言われた、科学技術は国防に非常に重要な関係がある。まさに符合するのです。国民をごまかすのではなくて、率直に、科学技術が国防に関係するんならすると言って、それが正しくないなら批判を受ける、こういう態度をとるべきじゃないか。私は、この委員会で行なわれた論議をだれも納得しないと思います。この点についての御答弁を長官に伺いたいと思います。
○中曽根国務大臣 私は、あの国防会議が行なわれましたあとの記者会見で申し上げた中に、原子力平和利用を担保するために入ることも必要だとはっきりそのとき言っておるのです。それからそのほかに、たとえば防災技術センターというものもあって、自衛隊の行なう防災行為あるいは医療救護、放射線医学研究所、こういうものの問題から医療救護の問題なんかも、日本国民を防護するために出るかもしれない。そういうようないろいろな面からも協力することはあり得る、そういうことを申し上げたのであります。頭にあったことはそういうことであったわけです。それは一貫して変わっておりません。
○松本(善)委員 副長官に聞きますが、田中内閣は、原子力の平和利用、これを軍事利用させないということの方針のために科学技術庁長官を国防会議の中に入れたのですか。
○山下説明員 原子力の平和利用は国の政策の大原則でございまして、それはもう先ほど来中曽根大臣もはっきり申し上げておるとおりでございます。田中内閣におきましてもそのとおりでございます。
○松本(善)委員 副長官、よく質問を聞いて焦点にぴたっと合うようにお答えいただきたい。 なるほどあなた方は、それは田中内閣の基本方針だと言う。それならば科学技術庁長官を監視役として入れる必要はないはずじゃないですか。そんなことが一体、閣僚がたくさん入っておって、それが内閣の方針であるならば、なぜわざわざ科学技術庁の長官がそこへ入っていって監視をするということが必要になるのか。これは先ほど来論じられていますけれども、だれも納得しないです。一点の疑いもなく、その方針が、原子力を軍事利用しないという方針がきまっておるならば、何で科学技術庁の長官が入る必要があるか。
○山下説明員 その点につきましては、一点お疑いいただかなくてもいい明々白々のことでございます。ただ、先ほども中曽根大臣からお答えのございましたように、閣議と申しますのは、なかなか案件を審議いたしますが十分な時間がございませんので、この国防に関する重要問題につきまして、国防会議なり国防会議議員懇談会において十分審議するということは、国政全般の運用からいたしまして適当かと思うわけでございます。その際、防衛力整備につきましては、科学技術の占める分野が大きいのでございますから、ただいま申しましたような問題にも関連いたしまして、科学技術庁長官に十分その立場から国の防衛について御審議をいただくのが趣旨でございます。
○松本(善)委員 科学技術庁長官に伺いますが、いまの答弁を聞きましても、長官の先ほどの答弁を聞きましても、私はまことに異な感じがいたします。 田中内閣の基本方針が原子力を軍事利用しないということであるならば、そのことが閣議で問題になるのはこまかいことですか。閣議ではやりにくい。だから国防会議に入らなくてはいかぬ。精査する。先ほどはこまかいことはなかなか閣議では言えないということを中曽根さん言われた。そんなちゃちなものなんですか。私は、科学技術のことはわからなくても、どんな人であっても、原子力の軍事利用はさせないという方針がきまっていれば、別に科学技術庁の長官入らなくても十分にできるはずだと思います。そういう論理のつじつまの合わないことを言ってまでも、国民をごまかしながら、この科学技術行政を軍事利用するとしか考えられないですよ。一点の疑いもなく、山下官房副長官の言われるように、その方針が貫徹をしておるなら、科学技術庁長官入る必要は全くないですよ。この点、長官の答弁をお聞きしたい。
○中曽根国務大臣 先ほどから申し上げますように、ともかく原子力平和利用というものは、国民が最大の関心を持っておる大事な問題でもありますし、宇宙についても同様であります。そして、原子力については、国際責任も伴っておるところでもあります。そういうところでありますから、万全を期して、国防会議の中においてもそれを監視していくということは、非常に意義のあることであると私は思います。
○松本(善)委員 結論だけ聞きますが、じゃ、国防会議に入っていない閣僚は、そのことについては十分監視はできませんか。原子力の平和利用という問題については、十分監視はできない立場に置かれているのですか。
○中曽根国務大臣 そういう反対解釈は必ずしも成立するとは思いません。(松本(善)委員「成立しますよ」と呼ぶ)しかし、より万全を期しておる態度であると思います。
○松本(善)委員 そういうような答弁は、とうてい国民を納得させないと思いますが、もう一つ先ほど来の答弁の中で重要なことをお聞きしたいと思います。 科学技術庁が防衛庁に協力をしている。例として中曽根長官はコンピューターの例をあげられました。コンピューターといいましても、いまのコンピューターはたいへんなことですよ。四次防の中で、自衛艦隊はコンピューター艦隊になって、そして、アメリカの作戦コンピューターに連動されるということもいわれておる。ほかのいろいろな兵器の中にも、コンピューターは重要な意味を占めています。そういろ問題について科学技術庁は協力するのですか。それは一般的な科学だといって協力をするならば、これは全面的な協力をするということになりますよ。それをやるのかどうか、もう一回はっきり答弁をしてもらいます。
○中曽根国務大臣 科学技術庁は軍事目的のために研究いたしません。それはもう前から申し上げていることであって、官庁の研究しておることが一般性を持っておることで、各官庁から質問があった場合に、それが一般性の範囲内にあるような問題については、それはお答えするのは、行政組織法の関係においても当然のことであります。でありますから、たとえば防衛庁の事務運営等についてもあるいはコンピューター化する必要があるかもしれません。これは農林省がコンピューター化する必要があるのと同じようなことがあるでしょう。そういうような場合に、コンピューターについて質問があった場合には、これは官庁協力の範囲内において答えていいことではないか、私はそう思います。
○松本(善)委員 武器に関するコンピューターの場合はどうですか。
○中曽根国務大臣 それが一般的研究の成果として公表されている、そういうようなものについては、向こうが質問してきた場合に、一般性を持っている場合には答えてもいいのではないか、私はそう思います。
○松本(善)委員 そうすると、武器に関するものであっても、一般性があるならば答えていいということならば、私はすべての科学技術がそういう形で軍事的に利用されるということになると思いますよ。そのけじめはどこにありますか。
○中曽根国務大臣 それは一般性ということにあると思うのです。これは法制局にぜひお聞き願いたいと思います。
○松本(善)委員 私は法制局に聞いてもこれは意味ないと思うのですよ。一体、内閣がどういうふうにやるのか、そのけじめをどこに考えているかという運用の問題。私はいまの話であれば、けじめはないと考える。これは必要だ、一般性の範囲内だというふうに考えるならば、科学技術庁はどんどん防衛庁に協力をする、きわめて重大な問題だというふうに考えますが、いかがですか。
○中曽根国務大臣 たとえば、材料試験所である材料の研究をしている。それについて、それを公表してある。それを厚生省からも聞きに来る、あるいは農林省からも聞きに来るという場合に、防衛庁からも聞きに来たという場合に、防衛庁に答えて悪いという問題ではないのではないかと思います。
○松本(善)委員 私は、長官はここで答弁は取りつくろってされておりますけれども、しかし、実際の結果は、いまのように科学技術がいろいろ武器の中に取り入れられている中では、この科学技術庁のいろいろな協力が防衛庁に直接協力をするという結果になることを指摘をしておきたいと思います。 もう一つの例として、先ほど来長官の言われておりました原子力潜水艦の問題ですけれども、これは確かめておきますが、あなたはつくるということを言ったことはないと言われるけれども、四十五年の四月十四日の予算委員会の議事録も私どもちょっと調べましたけれども、商船に一般化されてきた場合にはつくるというふうに考えてもらってけっこうだ、こういうふうに答えておられますよ、あなたは。それはそういうふうに聞いておっていいわけですか。
○中曽根国務大臣 それは、原子力基本法を制定しましたときに、そういう問題も全部法制局とも打ち合わせ、また研究してもらいまして、そうして、将来原子力推進ということが商船について一般化した場合に、日本の潜水艦がそれを原子力推進として採用するということの可能性を否定するものではない、それが原子力基本法をつくるときの解釈でございました。その解釈を言っておるわけです。だから、将来そういうふうになった場合に、原子力推進の潜水艦ができる可能性を否定するものではない、こういうことです。
○松本(善)委員 そうすると、原子力潜水艦を将来にわたってもつくるということについて言うならば、これは原子力の平和利用に反しない、こういうお考えですか。
○中曽根国務大臣 それは、一般化して、商船がそういうふうに採用してどんどん使われているような状態になった場合には、それは反するものではない、こういう解釈です。
○松本(善)委員 そうしますと、原子力委員長を兼ねておる科学技術庁長官は、そういう場合には、国防会議のメンバーとして重要な役割りを果たすということになりませんか。
○中曽根国務大臣 それはそのときの、どの程度普遍化されて使われているかという判定は、国防会議全員が相談してきめることでありまして、何も科学技術庁長官だけの意見がどうということもありません。むしろ科学技術庁長官は、そういう科学技術的見地から原子力推進ということが普遍化しているかどうかという判定を、一つの自分の発言としてやる立場にはあるでしょう。だからといって、それが推進する役目になる、こう即断することは早過ぎると思います。
○松本(善)委員 原子力潜水艦というのは、簡単に動力のように言いますけれども、これは潜水時間は何十日と、うんと多くなるわけですね。そして、潜水して世界を一周することもできる。そういうどこまでいくかわからぬようなものを、日本がいまの時点で持てるということを考えておるのですか。持つということがあり得る。しかも、そういう長い潜水をする潜水艦というのは、これは単なる動力として使うだけではなくて、ポラリス型の攻撃型とかそういう——原水爆を持たない原子力潜水艦というのは考えられないのです。それなしに、何で原子力潜水艦、原子力の動力を持った潜水艦が必要なのか。これは防衛庁長官をされました中曽根さんにとっては常識的なことではないかと思います。そういうことが考えられるということなんですね。原子力潜水艦をつくるということは考えられるということなんですね。
○中曽根国務大臣 核爆発を伴う兵器を持っている潜水艦となるとこれは別であります。それは禁止されております。それは原子力であろうが、あるいは非原子力であろうが、禁止されております。原子力基本法の解釈においては、核爆発をもって人間を殺傷したり、直接これを破壊する、そういうものは原子力兵器として禁止されておるのです。これはもうはっきり申し上げておきます。ただ推進力として使うという点に関しては、商船が普遍化した場合には、潜水艦についてもそれを採用する可能性を否定するものではない、そういうことであります。
○松本(善)委員 私の言っているのは、そういう御答弁があるだろうことは十分に承知の上です。原子力を推進力にするということは、当然に原水爆を持つ潜水艦ということが前提になるんだ。遠くまで出かけていく潜水艦を考えるんだ、海底深くからポラリスのようなものを発射をするという潜水艦を考えているんだ。ただ、動力としてだけ使うということは考えられないということを言っておる。中曽根長官は、私は答弁をそらされたんだというふうに理解をいたします。きわめてこれは、そういうことを考えておられる科学技術庁長官が国防会議に入るということは、実質的にも非常に重大な問題だというふうに考えます。
○中曽根国務大臣 私はそんなことを全然考えておりません。
○松本(善)委員 そうですか。それではお聞きいたしましょう。あなたは、昭和四十五年の九月八日から九月二十日にかけてアメリカに行かれましたね。そして、そのときの記録を文書にしてつくっておられますね。お認めになりますか。私、手元にありますが……。
○中曽根国務大臣 どういう記録か知りませんが、防衛庁にそのときのまとめたものはあったと思います。
○松本(善)委員 こういうものです。 〔松本(善)委員、書類を示す〕 いかがですか。こういう報告をつくられたことがございますか。
○中曽根国務大臣 私はそれを直接つくった記憶はありません。それは防衛庁によく聞いてみないとわかりません。
○松本(善)委員 内容は御存じですね。こういう趣旨の報告書をつくったという内容については、当然に長官の視察のときの記録であります、御存じですね。
○中曽根国務大臣 その内容は、私どういうものであるかよく知りませんが、ともかく報告をつくったということは記憶に残っております。
○松本(善)委員 それではお聞きいたしますが、あなたはこの中で、レアード国防長官との会談を九月九日にしておられる。このときには、「日本は、アメリカの核抑止力が機能している限り核武装する必要はないと確信する。」それからロジャーズ国務長官と九月の十日に会談をして、「日本は、米国の核抑止力が有効に働いている限り、核武装しない方針である。」というふうに述べたことになっています。これは、裏返せば、アメリカの核抑止力が機能しなくなれば核武装をする必要がある、こういう考え方を述べておられるのだというふうに思います。長官の考えを伺いたいと思います。
○中曽根国務大臣 そういうふうに反対解釈されると困ります。ともかく持たぬ、そういうことを私は言ってきているわけです。安保条約についても、われわれは持たぬのだ、そして、抑止力についてはアメリカに依存するのだ、そういうことを言ってきたつもりです。
○松本(善)委員 もう一つ、レアード国防長官と九月九日に会談したときに、個人的見解だが、ということを断わりながら、「世界各国の誤解を避け、かつ、国民のコンセンサスを大切にするためにも、核武装をしないことを明示すべきだと思う。ただし、米国の核兵器の(再)導入については留保しておくほうがよいと考えている。これは事前協議の対象となるものであり選択の可能性を残して留保しておくのが賢明と考える。」というところがあります。これはそのとおりですか。そういうお考えですか。
○中曽根国務大臣 そのとおり言明したかどうかは知りません。ただ、非核三原則というものの中において、持ち込まずというものがあります。これは政府の方針で、持ち込まずという方針を持ってきておるわけです。だから、そういう方針を佐藤内閣が続く限りその内閣は続けていく。次の内閣もおそらくその原則を続けていく。しかし、未来永劫にわたってその点がどうであるか、これはNPT条約についても、政府は調印してもまだ国会の批准がしてない、それとの関連において、遠い将来のことまで結論を出すことを避けた発言ではないかと思っております。
○松本(善)委員 私は、いまのお答えを聞いても、また、この記録に出ております中曽根長官の発言を見ましても、中曽根長官が個人としても、国防会議に科学技術庁長官として入られるということについて重大な危惧を感じます。これは文民統制のためと言いながら、実際にはむしろ軍事力を強化していくという方向の措置としか考えられない。 私は、根本問題として長官に伺いたいと思いますのは、先ほど長官は、閣議ではなかなかこまかいことまで言えない、その前に国防会議だからこまかいことが言えるのだということを言われました。私はこの発言はきわめて重大で、この国防会議の性格を非常に物語っていると思う。文民統制というけれども、内閣の閣議をする前にやる、言うならば関係閣僚の打ち合わせのようなものじゃないですか、内容的に言うならば。これをいかに強めたからといって、この人員をふやしたからといって、これで文民統制が強化をされたというようなことには絶対ならない。きょうの答弁を聞いておりましても、私は決してならないと思います。 それで長官に伺いたいと思いますのは、私は、ほんとうの意味での国民の監視を受けるということになるならば、この国会で監視を受けるというのがほんとうじゃないか。私どもは、安全保障の基本方針だとか、長期計画だとか、あるいは外国との取りきめなんかは、いわゆる文民統制のほんとうのあり方として国会にかけるべきだというふうに考える。国防会議というようなことではやはり十分役を果たせないのじゃないか、国会での国民の監視ということこそ重要ではないかと思いますけれども、どう思いますか。
○中曽根国務大臣 それは全く同感でありまして、私はもう当初から国会に安全保障に関する常任委員会をつくって、それで監視すべきであるということを主張しておるので、その点は全く同感であります。
○松本(善)委員 簡単に同感されても、はたしてそうかどうか。私の聞いております中心問題は、安全保障の基本方針、あるいは長期計画や外国との取りきめなど、みな国会へかける、そうしてそこでやるべきなんだ。これは賛成ですか。
○中曽根国務大臣 その委員会で議論してもらって、国民がよくそれを理解し、あるいは批判する機会を与えることはいいことだと思います。
○松本(善)委員 かけるということは、議案として出すということです。賛成ですか。
○中曽根国務大臣 それは、法律となり、あるいは予算となり、定員法とかその他のいろんな問題で出てきているわけですから、安全保障のその委員会において、そういうことを通じて十分議論してもいいと思います。
○松本(善)委員 たとえば国防計画などをかけるということは賛成ですか。
○中曽根国務大臣 論議に付するということは大賛成です。
○松本(善)委員 直接は、議案にするということについては賛成とは言われないわけですね。
○中曽根国務大臣 議案にするという意味がどういう意味ですかわかりませんが、たとえば五カ年計画とか、そういうものを計画として承認を求めよ、そういう意味であるとするならば、それはやっぱり予算とかあるいは法律になってこれはみんな出てくるわけでありますから、それで十分チェックできる、そう私は思います。
○松本(善)委員 この問題はもう少しあとで詰めたいと思います。 いま長官が、国会で論議をされることは全く大切なことだというふうに言われた。もしそうだとするならば——この委員会で各委員が、科学技術庁の長官が国防会議に入るということについて重大な危惧を表明しているわけです。ここでの議論をもしほんとうに大事だというふうに考えるならば、この結果を考慮して、そしてそれはやめるというようなことが当然考えられてしかるべきではないかというふうに思います。長官はそういう意思は全くないというようなことを先ほど言われました。そういうことが一体、国民の監視を受けるという態度であろうかどうか。この点についての長官の答弁をいただきたいと思います。
○中曽根国務大臣 国民の大多数の世論がどういうふうに動いておりますか、また、自由民主党という、この国会において非常な多数を擁しておる国会議員の意見がどういうことでございますか、そういう点もよく考える必要があると思います。
○松本(善)委員 いまの御発言は、変える意思はない、自民党の多数の議員なんかの考えもあるから、きょうの議論があっても変える考えはないという答弁の繰り返しでありますか。
○中曽根国務大臣 この間の決定のとおりいたしたいと思います。
○松本(善)委員 私はいまの答弁をお聞きいたしまして、国会での国民の監視を尊重するというようなことは、これは実際には空語にひとしい。そうして、実際には四次防計画を契機として軍備の増強という方向に大きく踏み切っていくという方向が、いろいろな形で追及されても、いろいろつじつま合わせのような答弁はされましたけれども、私は国民はそれを見ておると思う。こういうようなやり方について抗議をして、私は質問を終わりたいと思います。 ————◇—————
○近江委員長 この際、理事補欠選任の件についておはかりいたします。 本日、理事貝沼次郎君の委員辞任により、理事が一名欠員になっております。その補欠選任を行ないたいと思いますが、先例により委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○近江委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 それでは、理事に貝沼次郎君を指名いたします。 本日は、これにて散会いたします。 午後一時二十九分散会