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68回国会参議院1972/04/25

予算委員会第二分科会 第3号

発言数
297
登壇者
16
会派数
4
開催日
1972/04/25

会議録

矢山有作日本社会党

○副主査(矢山有作君) ただいまから予算委員会第二分科会を開会いたします。  まず分科担当委員の異動について御報告いたします。  昨日、須原昭二君、三木忠雄君及び岩間正男君が委員を辞任され、その補欠として、西村関一君、上林繁次郎君及び河田賢治君が、また、上林繁次郎君が委員を辞任され、その補欠として矢追秀彦君がそれぞれ選任されました。  本員工藤良平君が委員を辞任され、その補欠として羽生三七君が選任されました。     —————————————

矢山有作日本社会党

○副主査(矢山有作君) 昭和四十七年度総予算中外務省所管を議題といたします。  昨日の会議と同様、政府からの説明を省略して本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

矢山有作日本社会党

○副主査(矢山有作君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  それでは質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。

西村関一日本社会党

○西村関一君 外務省予算の重点事項について説明を承りました。その点についてこれから逐次御質問をいたします。  まず第一に、中国関係の外務省の職員充実についてどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。中国との国交回復については、現政府としてもその実現に努力しているわけでありますが、中国問題担当職員の充実については外務大臣も配慮しておられると思います。ついては、外務省といたしましては、中国との国交回復の際に対応すべく、職員の充実について、職員の確保についてどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。中国関係の外交官には語学力はもとより、中国の民族性、文化、伝統、現代中国政権の性格、本質などについて十分な認識が要請されると思うのであります。このような人材の確保、養成は緊急を要すると思いますが、その点についてまずお伺いをいたしたいと思います。私の知る限りにおきましては、現状においては、香港総領事館員二十数名が第一線として、外務省の窓口というよりは耳口になっているようであります。これでは十分と言えないと思うのであります。香港の岡田総領事のような有力な外交官も配置されておりますけれども、人員が足りないと思います。アメリカは香港に数百名の外交官研究員を常駐さしておりますが、少しこれだけでは、香港の総領事館員だけでは足りないと思うのでございます。それから北京駐在の覚え書き貿易事務所には五名ばかりの駐在員がおりますが、通産省で二名、外務省で一名、東銀、アジア研究所出身者一名、通産、外務省出身者はいずれも退官をして出向しているというふうに承知いたしております。昨年末の覚え書き交渉では十名に増員されることになっておるという報道がありますが、この方面は充実されているんでございましょうか。その点からまずお伺いをいたしたい。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) まことにごもっともなお話でございます。わが外務省といたしましては、まあ私はもとより中国問題を最大の課題として取り組んでおる。それから二名の外務審議官がおりますが、そのうち一人は経済担当でございますが、一人はまあ政務担当——政務担当と申しましても、大体中国政策を中心にして八方に目を配らしておる、こういう現状でございます。その下にさらにアジア局がありますから、アジア局の一番大きな仕事は何といっても中国政策である。こういう理解のもとに、それにふさわしい陣容を備えておるわけであります。  それから今後に備えましては、ただいまお話しの北京の覚え書き事務所の人員の充実、これもまあこれからもさらにその方向で進めていきたい。  それから外務研修生、こういう中にも中国語の修得、そういうことが必要でございますので、そういう方面にも意を用いております。まあとにかく中国問題は最大の課題でありまするので陣容の整備、そういうものにつきましても、まあこれも重点を置いた施策を進めておる、これが現状でございます。

西村関一日本社会党

○西村関一君 次にASPACに関しまして、ASPAC第七回閣僚会議が六月十四日からソウルで開かれるとの報道がございますが、日本はその国力から見ましてASPACの重要メンバーであり、常に指導的な役割りを果たしておると見られておるんであります。そしてこれが反共軍事同盟的なものでないということを歴代の外務大臣が、軍事的色彩は絶対に避けるということを言明しておられるんでありますが、今回のASPACの会議に対しましてわが政府はどういう態度でお臨みになりますか。ASPACは何と申しましても、アメリカが背後にあって中国封じ込めの反共的な性格を持っていたと伝えられておるんでございますが、今日ではニクソン訪中、国府の国連追放という事態を迎えまして、加盟国の間にはASPACの性格転換の機運が広がっているやにうかがわれるのであります。マレーシアは代表の格下げをし、フィリピン、豪州、ニュージーランドは対中接近を検討している、こういう状態でございまして、こういう情勢下に開かれますASPACの会議に日本政府としてはどういう態度で臨まれるか。すでにSEATOは有名無実になっておりますし、ASEANも大きな、従来の行き方を変えざるを得ない、また変えつつある。こういう事態に際しまして、私がこれからあと御質問を申し上げますアジア地域の地域協力機構につきまして、日本はこの事態に即してどのような役割りを果たそうとしていらっしゃるか。このASPACの機構の改革について外務大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるか、その点を伺いたいと思います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) ASPACにつきましては、これが創設されました時点におきましては、これが反共軍事会合であるとの批判もあったわけです。それに参加しましたわが国は、そういう色彩だとわが国はなかなかこれに積極的な協力がなしがたいと、こういうような立場で、これはアジアの純粋な友好、協力の場としたい、こういう主張をしてまいり、今日ではそういう方向にまいっておると、こういうふうに存じておるわけであります。  アジアは、わが国から見ますると、これはほんとうに近隣友好の関係を持たなければならぬ地域であるし、その地域にいまアジア開発閣僚会議というものがある。それからいまお話のASEANの会議がある。少しこう構成メンバーは入り組みますが、そこへ持っていって、まあこのASPACというものがある。そこで、私どものアジア善隣友好の関係を一体として打ち立てたいというこの場としても、そういう機構を考えてみますると、やはりこのASPACというものをここで解消してしまうということは、いかにしても惜しい感じがするんです。やはりこのASPACという会合ができておると、これをほんとうに平和な会合であるとまあわが国としても今後とも心がけまして、そしてもう道を誤らざるようにというようにいたすのがまあ現実的な行き方ではあるまいかと、そういうとらえ方をいたしておるわけであります。  ASPACの構成国の中で、まあある国は、ASPACについて改組、あるいはこれに対して消極的な意見を出しております。私もそれを承知しておりますけれども、これは、いまここでまあ消滅する、解散させると、これはまあちょっとアジアの話し合いの場としての機構を一つなくすと、こういうことになりますので、はなはだどうも私はそういう方向の考え方はとるべきではない。むしろこのASPACという場をほんとうに平和の場としてアジアのために活用する、そういうふうにしたらどうだろうか、かように考えております。

西村関一日本社会党

○西村関一君 外務大臣のおっしゃる点はよくわかりますが、私は、これをやめてしまえというようなことは申しておりません。ただアジアの急激な情勢の変化によりまして、従来の反共的な色彩をなくする、やはり平和共存という立場でこの会議が続けられる方向に動いていると私は見ますから、いま大臣がおっしゃった平和的なものとしていきたいというお考えであるならば、そのような方針で外務省も臨んでいただきたいことを希望をいたしておきます。  次の問題でございますが、沖繩のVOA放送の傍受の問題でございます。さきの沖繩国会におきまして政府は、VOAの放送内容をチェックするために、同放送の傍受を約束をしております。外務省予算にも、沖繩VOA放送傍受謝金というのが二千八百万円、及び沖繩VOA放送傍受庁舎費——謝金が二千八百万円に対して八百六十万円が計上されておりますが、どのような方法で傍受をなさるお考えでございましょうか、御説明を承りたいし、傍受した内容は国会に報告されるものと理解してよろしいでしょうか。  それから傍受施設は、VOAがあります沖繩の国頭村内に設置されるとのことでありますが、同施設の建設は予定よりおくれている。五月十五日の復帰と同時にこの傍受が行なわれるのには間に合わぬのじゃないかというふうに思われますが、この点いかがでございましょうか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) お話しのように、この傍受施設をいたし、傍受をいたすと、こういうことにいたしております。ところが、予算の関係等もありましてその施設の完成が五月十五日までにはできないんではないかと、そういうふうに予想されるのですが、まあ幾らかおくれると。しかし、そう長くおくれる状況ではございませんです。施設の整備を始めまして、直ちに傍受の作業を始めるということになりますが、これは前国会で、沖繩国会でもるる申し上げましたが、この傍受の結果を活用いたしまして、このVOA放送が誤りないように運営される、それを念願をいたしておるということでございます。  なお、詳細につきましては、アメリカ局長がおりますともう少し具体的に申し上げさせていただけるのですが、じゃ条約局長から補足いたします。

高島益郎外務省条約局長

○政府委員(高島益郎君) 私、主管でございませんけれども、一応読ませていただきます。  沖繩におけるVOA中継放送の傍受につきましては、このための技術的条件等を十分考慮した結果、沖繩本島内のVOA送信局に比較的近い場所に受信所を設置しまして、その放送番組を傍受する予定でございます。  五月十五日の沖繩返還後は、郵政省が毎日沖繩におきまして、その日のVOA放送の全内容をテープに収録し、これを航空便で直ちに東京に送達することになっております。外務省ではこのテープを受けまして、その全内容の項目別リストを作成し、そのうち特に重要と思われるものにつきまして和文に翻訳または再生する等のことを予定しております。  なお、この傍受のための経費といたしまして、四十七年度予算におきましては、外務省分として三千七百万円、郵政省分として三千七百二十六万九千円、合計いたしまして七千四百二十六万九千円が計上されております。  政府といたしましては、以上のように、復帰後沖繩のVOAの中継放送を傍受いたしまして、その内容を把握することとしておりますけれども、その結果必要と認められるときは、当該番組につきまして日本政府の見解を表明することとなっております。  VOAの放送内容についての責任は米側のみにございますけれども、他方米国政府は、かかる日本政府の見解を尊重しなければならないということは、交換公文に明らかに書いてございます。  わがほうといたしましては、VOAの放送内容が何らか問題を提起するような事態は予想しておりませんけれども、かりに万一そのような事態が生じました場合、いかに対処するかという点につきましては、そのときの情勢に照らし慎重に判断すべきものと考えます。

西村関一日本社会党

○西村関一君 次に、今日の世界、特に東南アジアの諸国の至るところにおきまして、日本に対する誤った認識が、誤っておると申しましても、幾らか反省しなければならないと思われる節がございますが、しかし、政府の予期しない認識が広がっておるというふうに思うんでございます。日本はエコノミックアニマルである、日本株式会社であるとかいうようなふうに呼ばれておるという面があると思うんでございますが、このような誤った考え方を是正するために、昭和四十七年度の外務省予算の重点事項の一つに、広報活動、文化活動等の強化という点について予算措置が講ぜられております。私は、これは大事なことだと思うんでありまして、そういう点に重点が置かれておるということはけっこうだと思います。昭和四十六年度に比べまして三億円の増、十二億円になっておるということであります。しかし、これだけのわずか三億円程度の増で、まあアップの率からいいますと大きいですけれども、十二億円くらいの予算で、世界じゅうに蔓延しておりますところの誤った対日認識をどの程度是正し得るか、私は問題だと思うんでございます。具体的にどのような広報・文化活動を展開するつもりでおられましょうか。また増額される三億円の内容を見ますると、対外特別広報費として、新たに二億八千七百万円が計上されております。これは外務省の説明によりますと、対米PRだということでございます。これは三月九日の参議院外務委員会における佐藤官房長の御説明にもございました。これは繊維問題をはじめ、日米間に生じた摩擦をなくするための一つの方策と思われますが、対米PRに特に重点を置いた予算の使い方は、安保体制を基礎とするアメリカ偏向の日本外交の基本姿勢をそのままにしておいて、ただ小手先だけの是正策をとろうとしている感がするのであります。私はさっき申しましたようなエコノミックアニマルなどという悪評は、アメリカよりはむしろ東南アジア諸国から発せられているのでありまして、この観点から、アメリカよりはむしろ東南アジア諸国に対して、正しい広報・文化活動を拡充していかなければならないではないかと思うんでございます。で、こういう点につきまして、外務省の広報・文化活動のあり方についてお伺いをいたしたいと思います。  なお、私は在外の、海外の公館がやっておられます文化センター、この文化センターの仕事は大事だと思うんでございますが、やはり人手が足りないために、つまり各公館の人員が足りないために兼務でやっていなさる。中には現地補助員、現地採用の補助員の人が実際そこにおって留守番あるいは仕事をやっている。これでは私は正しい広報・文化活動はできないと思う。その内容も私は問題だと思うんでありまして、また特に、それぞれの地域の人たちと接触をいたしますそのほうに専念できる担当者がいない。これは人員の問題にも関係いたしますけれども、そういう点が欠けているんじゃないかという感じがいたします。それらを含めまして外務大臣はどうお考えになっておられますか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これからのわが国の外交は、やはり世界社会の中の日本社会と、そういうとらえ方の行き方でなければならないと、こういうふうに考えるわけでございます。最近、日本に対する世界各国の期待が非常に大きく盛り上がってきておると思います。けさも愛知UNCTAD代表からUNCTAD会議における状況の報告を聞いたんですが、どこの国よりもわが日本が非常な注目を集めておるというような立場になってきておる、こういうような状況でございます。そういう状況下においてわが国の外交はどういうふうに展開するか。まず第一に、やはりこの外国の情勢をわが日本国において、よく正確にとらえる。つまり、一億国民が外交感覚を持つ、そして国民的基盤の上に外交政策が実現されるということが必要であろうと、こういうふうに考えます。同時にわが国の考え方、わが国の行き方というものについて、諸外国において正しい理解を持っていただく、こういうことが必要である、こういうふうに考えるわけであります。そういう中で、世界の中の日本国という立場で国民的なバックのもとに外交を推進する、これはこれからいよいよ重大な課題になってくる、こういうふうに考えます。  御指摘の広報活動につきましては、第一に、いま、アメリカ向けの広報活動が多いじゃないかというようなお話ですが、確かに、四十六年度におきましては、お話の繊維問題がありまして、これがきっかけとなりまして、日米間の政治問題化するおそれを感じたわけであります。そういう際に、わが国の立場についての理解、これをアメリカの方に持っていただく、これが緊急な課題であったわけであります。そこで、集中的にアメリカに対する啓蒙活動を展開をすると、こういうことにいたしましたが、まあアメリカの問題は一応繊維に関する限りおさまった。その後、日米の経済関係は小康を得ておりますが、わが国の対米輸出が非常な勢いでその後も伸びておる。また外貨も百七十億ドルというような状態に達しようとしておる。そういうようなことで、なお対米関係は楽観を許しませんけれども、しかし、主正面というか、主たる広報活動の対象地域をアメリカに限定するわけじゃございません。これからは世界各国、特にアジア諸国に対しまして強力に展開しなければならない、そういうふうに考えておる次第でございます。  それから第二のお尋ねの在外公館の広報活動の問題です。これは在外公館それぞれ広報担当官を置いておりますが、主たる公館二十三公館におきましては、広報センターを設けまして、わが国の施策の普及、宣伝につとめさしておる、こういう状態ですが、今後もこれを充実していきたいというので、四十七年度予算では、一公館になお一センターを設けると、こういう予算のお願いをいたしておるというような状態でございますが、冒頭申し上げましたように、この問題は非常に重要な外交政策の一環をなしておる、こういう認識のもとに今後とも努力をいたしてみたいという考えでございます。

西村関一日本社会党

○西村関一君 外務大臣が前段でいみじくもお話になりましたところの日本外交は国民的バックの上に立たなければならない、国民の支持、声援がなければならないということでございまして、私はまさしくそのとおりだと思うんでございます。しかし、必ずしも現状は国民的支持、国民的バックの上に立って外交が行なわれているかどうかという点については十分だとは言えません。それは、この間から問題になっております外交上の秘密等々の問題がありますから、十分なPRができないということがあろうかと思います。しかし、ややもいたしますと、霞が関外交という名で象徴されますような国民と遊離した外交が行なわれてたんじゃないかという点、私どものような立場にある国会の議員であります者も含めまして反省しなければならぬと思う。国民的な支持、国民的なバックがなければ日本の外交は推進することができない、外務大臣がおっしゃったとおりでございます。国外に対する広報活動も最も大事でございますが、しかし、国内に対する、国民に対する日本外交はこういう姿勢で、こういう基本方針、こういう考え方でやっているんだ、しかもそれは、大臣が言われたような一方的な陣営に片寄らないで、平和的な世界という基盤の上で考えておるんだ、やっておるんだという点についても、これはやはり十分な認識を国民が持っているとは言えない。世界的基盤の上に立つ外交、平和外交、ただそれはことばだけでなしに、実際はこのとおりであるということをPRなさることが足りないんじゃないか。PRするには内容がもちろん大事であることは言うまでもございませんが、同時に、広報活動に重点を置くと、この予算の組み方の中にありますが、海外に対する点がおもでありますけれども、国民に対する、そういう点について国民的基盤に立つ外交という点について今度の予算はどういうふうになっておるか、その点もあわせてお伺いしておきたいと思います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これからわが国において非常に重要なことは、おのれを知らしむるということも大事ですが、また相手を知るということが非常に大事になってきておる、その双方をひっくるめまして、私は国民全体が考え方を変えていかなければならぬ時期に来ておると思うんです。いままでは島国だというような色彩でずっときた日本でありますが、自分の日本国の立場だけを考えておるという小さい立場ではもう日本の国の今後は向上も発展も望み得ない、こういうふうに思うんでございます。やはり世界情勢というものを一人一人の国民が正しく身につける、そういう正しい認識のもとに政策、政府の施策等についても十分な評価が行なわれる、こういう状態で初めて雄渾な日本外交の展開というものが可能になる、こういうふうに考えておるわけでありまして、まあ、あらゆる努力をいたしましてそういう方向を進めていきたい。私が今回皆さんに御提案をしてお願いをいたしておりまする国際交流基金、これもそういう考え方が一つの大きな柱になっておるわけですが、在来の国内に対する外交政策の普及、これにつきましてもますます充実強化していく、そういうふうに考えておるわけであります。なお、詳細につきましては、その衝に当たっております和田情文局長がおりますので、そのほうから補足をいたさせていただきます。

和田力外務省情報文化局長

○政府委員(和田力君) 国内広報の関係では、本年度につきまして約三億円ばかりの予算でできるだけ外務省の立場を明らかにいたしたいと思っておりますわけでございまして、自主的な出版物、外務省の名を冠しました出版物もかなり出しております。たとえば「これからの日本外交」、あるいは「核兵器不拡散条約」についての説明のものであるとか、それから「新年を迎えた国際情勢と日本」、そういうタイトルのものでございまして、「世論と外交」、まあこういったものをいろいろと出しております。で、なおこのほかに、一般の定期刊行物の中で比較的啓発関係に役に立ちますと思いますものを購入いたしまして、これを配付するという仕事をやっております。それからもう一つはテレビでございますが、テレビは本年度はチャンネルが一つになりまして、日本テレビを通じましてテレビの毎週一回プログラムを持っておるわけでございまして、このプログラムには大臣にもときどき出ていただきまして、できるだけ外務省の立場というようなものを知っていただくようにいたしたいと、かように考えております。   〔副主査退席、主査着席〕

西村関一日本社会党

○西村関一君 次に、予算の面から見まして、外務省の定員についてお伺いをいたします。  現在二千七、八百名の定員のうち在外勤務の者が一千二、三百名程度であり、アメリカ、ソ連は別といたしまして、フランス、ドイツの半分ないしそれ以下であるというふうに承知するんであります。これを在外定員について見ますると、大使館、総領事館、領事館等を含めまして、わが国の在外公館総数は百四十一、一館平均の定員は七人程度ということになると思いますが、これでは十分な外交活動ができないんじゃないかというふうに思われます。私はいつも他国の状態と比較をするんでございますが、定員の問題、次には待遇の問題等がございますが、まず定員の問題からいいましても、これはいろいろ公務員の、国家公務員の定員の問題の制限等がございますから、思うようにはいかないことは承知しておりますけれども、純増は——外務省の定員の純増は三十四名であり、増加率はわずかに一・三%にすぎない。こういうことでは私は、このぐらいの定員では諸外国に比べまして十分な外交活動ができにくいんじゃないかということを心配いたしますが、大臣いかがでございますか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 定員につきましては、まあ事務当局からもどうも不足だと、こういうことを承知するんです。ところが、御承知のような国家公務員総定員法並びに定員増加抑制政策、そういうような制約がありましてなかなか思うようにならぬというのが率直なところでございます。しかし、外務省あげましてこの定員の増加には努力をしてきておる。普通の省でありますと減らすというのが一般であるところを、わが外務省はささやかながらではありまするけれどもふやしておるというのが実情でございますが、この問題は御指摘のように、これからの外交政策を進めていく上においてきわめて重大な問題であろう、こういうふうに思いますので、今後とも御声援を得まして努力をいたしていきたいと、かように考えます。

西村関一日本社会党

○西村関一君 定員の問題も大事だと思いますが、同時に私は、現地補助員制度の問題、現地補助員の中には優秀な人もおるように思います。現地補助員に対する待遇等を改善すべき余地があるんじゃないかと思うのでございますが、いかがでございますか。どなたか……。

佐藤正二外務大臣官房長

○政府委員(佐藤正二君) 御指摘のとおり、現地補助員につきましてはいろいろ各国によって給与の水準も違いますし、優秀な現地補助員を雇うためには、ある土地においては非常に高い給与を払わなければならないという事情もございます。したがって、現地補助員の待遇の改善ということには前からいろいろ努力しておりまして、大蔵省のほうでもいろいろ非常に理解ある態度を示していただいておるわけですが、この問題——待遇の問題、退職金の問題、いろいろございます。今後とも待遇の改善につとめたいと思っております。

西村関一日本社会党

○西村関一君 今回外務公務員法の一部を改正する法律によりまして休暇帰国制度が改善されまして、四年に一回の帰国が三年に一回ということになりますが、実際問題といたしましては、館員が三人ないし四人のところもあります。これでは円満な休暇帰国制度の実施ができにくいんじゃないかというふうに思われる。外務省といたしましては、公館の最小限度の規模を将来もう少し上げるお考えはないでしょうか。公館の最小限度の人員をどのくらいにするお考えがございましょうか。その点もあわせてこの際お伺いいたしておきたいと思います。

佐藤正二外務大臣官房長

○政府委員(佐藤正二君) これも先生よく御存じの問題で、御指摘のとおりなんでございますが、いままだ三名の公館が少数でございますけれどもございまして、三名の公館でございますと、やはりその休暇制度も十分にとれないというようなことがございまして、三名公館をまずなくして四名にしたい、それからだんだんに四名公館も減らしていきたいというふうに、これも大蔵省と、あるいは行政管理庁ともいろいろ話しております。その休暇帰国制度自体の問題でございますが、これはいままで四年に一度だったものを三年に一度、不健康地におきましては二年に一度を一年半に一度ということにいたしまして、これは公館長にも申しまして、なるべく励行してとらせるようにというふうに指導しております。ほんとうに仕事が非常に忙がしくなりますと、実際にとれない場合がございますけれども、なるべくそういうことを少なくしようということであります。

西村関一日本社会党

○西村関一君 休暇の問題も大事でございますが、私は、その前に待遇の問題、これは先進国並みの待遇——私はただ給与のことだけ言っているのじゃございません、待遇にはなってないと思うのでございます。たとえば、住居の問題、住居はやはり在外公務員にとりましては外交の場の一つだと考えます。やはり相手国の外交官を招いたり、またその外交官の自宅に招かれたり、また他の国の公館の人々との接触をいたします場合に、自分の住居が使われるということは、世界各国どこでもあることだと思います。また、それが大事な外交の場にもなると思うのでございますが、どうも見劣りがするんです。で、自分のうちにお招きをしても十分なことができないというひけ目を感じている点があると思うんです。特に私は、中級の在外公館に勤務しておられる方の状態が悪いと思う。こういう点。それからまた、いろいろその他申し上げたいことがございますけれども、まず、その外交行動を行なっていく場合において、そういう点の配慮が私は足りないんじゃないかと思うのでございます。もう少しく、たとえば二等書記官でありましても、三等書記官でありましても、大使、公使あるいは参事官のクラスの人は別といたしましても、一等書記官以下の方々の状態が、住居の面からいって私は見劣りがすると思うのですが、そういう点の配慮はしておられますか、どうでしょう。

佐藤正二外務大臣官房長

○政府委員(佐藤正二君) お話しのとおりでございますが、いろいろむずかしい事情はたくさんございますですが、今回、いわゆる在勤基本手当そのものをいじりまして、全面的に改定いたしました。これは、実は円が三百六十円から三百八円になったというその問題もございましたのでございますが、その通貨調整の問題と一緒にいたしまして在勤基本手当を全面的に改定いたしまして一三・五%ぐらいの増率で上げました。これと同時に、現在、在外公館が百三十八館あるわけでございますが、その中の八十一館につきまして住居手当を増額いたしました。まあ先生御指摘のとおり、むしろ逆に、あとからあとから追っかけて、苦しいところをあとから手当てしているような状態になっているかもしれませんのでございますけれども、とにかく、今度の予算で大部分の公館につきまして手当てをいたしましたわけでございます。

西村関一日本社会党

○西村関一君 時間がなくなりましたので、私は次の問題に移って、それで質問を終わりたいと思うのでございますが、それは経済協力の問題でございます。  経済協力行政は各省にまたがっておりますので、従来からこの一元化については指摘されてまいり、昭和四十五年の十二月に総理大臣の諮問機関でありますところの対外経済協力審議会、これは、対外開発協力省また庁といったような機関を設置すべきであるという勧告をしております。この国会におきましても、四月十九日でありますか、参議院予算委員会におきまして、外務大臣は経済協力省設置については検討する必要があるというような御発言がございましたが、この一元化の問題、経済協力の行政の一元化の問題、こういうことで省を設ける、新しい庁をつくるということも大事でございますが、その前に、現体制下において改善の余地はないかということであります。改善の余地があるといたしましたならば、外務省、大蔵省、文部省、農林省、通産省、こういうふうに各省にまたがっておるということもやむを得ませんが、外務省があくまでも中心でなければならぬと思うのであります。外務省には経済協力局なる局がございますし、昭和四十七年度の予算について見ましても、経済協力費合計一千億円のうち、外務省所管は、外務省が中心でなければならぬにかかわらず、わずかに二百億でありまして、大手を占めるところの七百七十五億というのは大蔵省についておる。それは経済協力に関する対外折衝等、協定づくりは外務省がすることになっているし、金の出所は全部大蔵省というのであればそれはそれでも話がわかりますけれども、実態はそうなっていない。すなわち賠償に関する特別会計が大蔵省所管となっておるのは一応別といたしまして、ビルマ、韓国、ミクロネシアに対する経済協力、国際小麦協定の援助規約に基づく対外食糧援助費、ブレクトノット、ダニムダムに対するところの特別援助費、ラオス外国為替操作基金等に対する一連の拠出金などの無償経済協力費の大半は大蔵省所管になっておる。一部の無償経済協力費、たとえば南ベトナムのチョウライ病院の改築費、韓国工業高校設立援助費、国連開発計画への拠出金等は外務省の所管になってますが、一体どういう基準でこのようにばらばらになっておるのか、当然外務省が中心となって予算を計上し、これが処理に当たらなければならぬと思うのでございます。私はチョウライ病院に、あるいは韓国の工業高校建設に一時的な出費をするということの是非は別といたしまして、こういう機構のあり方、予算の組み方、そういう点につきまして一体どういうところに基準を置いてこういうことになっているのか、その点をまずお伺いいたしたいと思います。

大和田渉外務省経済協力局長

○政府委員(大和田渉君) 御指摘のように、フィリピンに対する賠償、これは大蔵省のあれになっておりますが、同時にビルマ、韓国につきましても、いわば戦後処理的な性格があるということで、これも予算そのものは大蔵省についております。それからさらにいわゆるKR援助というものにつきましても大蔵省についておりますが、要するにいまの賠償的あるいは戦後処理的な性格のもの及び多国間のものについては大蔵省についております。ただその実施につきましては大蔵省の委任を受けて外務省がやるという形になっておりますので、したがって実施面においては何らの支障が生じてないというふうにわれわれ考えております。  それからそれ以外に、いま御指摘のチョウライ病院の建設についての無償授助というものにつきましては、ただいま申し上げましたような戦後処理的なもの、あるいはKR援助的なもののほかに、毎年いわゆる外交的考慮からなし得る無償援助という性格のものは外務省についておりまして、いま御審議願っております四十七年度予算にも約三十三億円強が計上されております。

西村関一日本社会党

○西村関一君 外務大臣は従来から、国の体制やイデオロギーの違いをこえて、いかなる国に対してもできるだけ援助、協力を惜しまないという御方針を打ち出しておられました。現在もそうであろうと思うのでございますが、予算面から見まして、アジア局関係の予算の中で、昨年度、北越、モンゴールに対する補助金を日本赤十字社を通じまして——現地の赤十字社を通じて北越、モンゴールに対する補助をなさいました。それがどういうふうに使われてまいりましたか、またさらに今年度も、四十七年度の予算を見まするというと、昨年が一千八十万円、わずかではありますが計上されておったが、一千四百四十万円になっておる、昨年どういうふうに使われたか、またことしはどういうふうなお考えでおられるのか、その点をお伺いしておきたいと思います。

吉田健三外務省アジア局長

○政府委員(吉田健三君) 北ベトナムにつきましては赤十字社連盟の要請による人道的な救済計画というものがございまして、必要品目のリストが一九七〇年度にわが国の日本赤十字社に手交されまして、それを受けまして政府と日本赤十字社が協議いたしました結果、本年四十六年度予算におきましては一万ドル相当の三百六十万円の緊急人道的な援助の費用が、予算がついたわけでございまして、これに基づきましてことしの三月に日本赤十字社が政府のその補助金を受けまして、それに自己資金の四十万円を加えまして調製粉ミルクを主体といたしまして北ベトナム赤十字社にこれを三月に送付したわけでございます。モンゴールにつきましては四台の医療車というものが予算上計上されまして、輸血車一台、これはすべに手配済みでございます。それと医療車が三台、その他医療機材を送付する予定になっております。この予算が約一万ドル、ことしの分についておりますが、来年度分につきましてはさらに二万ドル相当分として七百二十万円の同種の緊急援助を行なうという計画になっております。

西村関一日本社会党

○西村関一君 この問題につきまして外務大臣の見解をあらためてお伺いをいたしておきたいと思うんですが、たとえわずかの金でありましても、そういう国交のない国に対しても人道的な立場から援助を行なう、しかもリストを受けて、リストに基づいて向こう側のニードに応じてわが国としてはたとえ赤十字社を通じてでありましても援助を行なう、こういう道を開いたのでありますから、これをさらに拡大していく、こういうお考えはございますでしょうか、その点をお伺いいたします。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 国交のない国に対しましても、やはりバングラデシュがパキスタンから分離して承認を行なう前におきましても、人道上の援助ということをいたしておるわけでございますが、問題は、私は人道上の援助という以上、これは国交がなくともその必要に応じてこれを行なうべきである、こういう考え方をいたしております。その必要いかん、こういうことが問題であろうと思いますが、そういう基本的な考え方に立ちまして、ケース・バイ・ケースで十分検討した上対処したいというのが私の考え方でございます。

熊谷太三郎自由民主党

○熊谷太三郎君 私は外務大臣に対し、日中国交正常化の問題について、簡単に一言だけお尋ねいたします。  日中国交正常化につきましては、中国はかねてからいわゆる国交三原則を示し、日本がこれを受け入れない限り国交正常化の申し入れには応じないという態度を明らかにしております。しかし中国の示している三原則、特に日台条約は不法であり、無効であって廃棄されねばならない、すなわち、日華平和条約を廃棄せよという一項は、わが国としてはいま直ちに受け入れることができないことは、佐藤総理及び外務大臣が、何回となくこれを明らかにされているところであります。ところでこの事実は、中国政府としてもよく知っていることと思います。それにもかかわらず、中国は一向そういう態度を変えておりません。たとえば去る四月十六日、中国から帰国された民社党の春日委員長の談話を新聞で拝見しますと、日中国交三原則は、中国にとって不動の原則であり、中国はこの原則をゆるめたり、弾力的に運用する考えはないと言っておられます。また最近訪中されて、きのう帰国されましたわが党の三木先生の場合でも、中日友好協会の王国権副会長は、中国はこれまで訪中した日本各政党の間で何回も確認された中日国交回復の三原則は国交回復実現の大前提である、と述べたと報ぜられております。しかし、日華平和条約は、中国にとっては不法であり、無効であるかもしれませんが、わが国にとっては正式に締結された国際条約でありまして、これによってわが国と中華民国との間には、二十年にわたる信頼関係、経済関係等が築かれ、かつわが国はこの条約を含む国際環境の中で、現在の独立と、自由と、平和と、繁栄とを達成してきたわけでありますから、いかに日中国交正常化が望まれるとしましても、そのためにいま直ちにこれを弊履のごとく捨て去るということは無理であります。さればこそ政府はこの問題は日中国交正常化の交渉の過程において解決したいといっておられるわけでありまして、もちろんわれわれもこの政府の方針を固く支持するものであります。しかるに中国は、相手の日本ができないことであると知りながら、あえてそれを要求し、それができなければ交渉に応じないと言っているわけであります。それにけさの新聞に出ました三木先生のことばによりますと、日中関係の改善をはかるためには、まず日本政府の側から友好と国交回復のための具体的な措置がとられなければならぬ、それが原則中の原則であると中国は言っているようであります。  そこで、一体中国の真意はどこにあるのか。中国はほんとうに日中国交正常化を望んでおるのか、はたして正常化の熱意があるのかどうか、お差しつかえがなければ政府は中国の真意をどう受けとっておられるか御見解を承りたいと存じます。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 中国に対しましてはわが国の政府は非常にはっきりした態度を打ち出しておるわけです。つまり、中国との間にはもう二千年の交流の歴史がある、また地理的には一衣帯水という隣国である。しかも戦後国交がないのにかかわらず、そういう流れでありますので、経済の交流、これも非常なひん激な状態でございます。中国から見ますとわが日本は最大のお得意である、こういうような状態であります。わが国の中国を訪問する者も昨年のごときは実に七千人に及ぶというような状態です。これをアメリカが貿易百万ドルだというのに対してわが国が八億ドルだというんですからこれはもうたいへんな違い。人の交流もアメリカはほとんどいままではなかったわけですが、わが国が七千人の人が行っておると、これもたいへんなことなんです。  そういうことで私は日中国交正常化、これをはかることは、これはもうわが国の当面しておる最大の課題である、こういうふうに考えており、その正常化をはかるために、中国は一つである、中華人民共和国は中国を代表する政府であるとの認識のもとに政府間でとにかくいろんな日中間にわたる諸問題の話をいたしましょうと、そう言っておるんです。もう非常に明確な態度を打ち出しておるわけです。これをアメリカがいわゆる積み上げ方式でワルシャワで会談をやります。今度は大統領・首相間の北京会談をやります、こういうようなことで先々どういうふうにするかというようなことについて明瞭な意思表示をしておらぬということに比べますると、きわめて明解な態度を打ち出しておるわけなんです。  それに対しまして、いまお話しのように中国側は対日三原則ということを言っておるようであります。一つは、中華人民共和国を唯一正統の政府と認めよと、また第二には、台湾は中華人民共和国の不可分の領土であると認めよ、また第三には、日華平和条約を直ちに破棄せよと、こういうようなことであります。これはわが国といたしますると非常にむずかしい問題になるわけなんです。つまり私は、中国は一つであり、一つの政府ということが望ましいとは思いまするけれども、しかし現実には台湾には国民政府が建在であると、こういうような状態である。そういうような際でありますので、中国が三原則ということを言いましてもなかなかいま直ちにこれに応ずるということについてははなはだ困難が伴う、こういうような状態でございます。  私はしかし中国側が正しく日本の——正しくというか正確にわが日本の姿勢というものを理解するならば、これはかなりわが国の態度につきましては評価をなし得べきわが国の立場ではあるまいか、そういうふうに考えておるのです。つまり国交の正常化をやろう、これは正常化ということは承認を含み、あるいは大使の交換まで含むと、こういうような内容を持つわけでありますが、その話し合いをいたしましょう、政府間で正式にいたしましょうと、こういうのですから、これはかなりわが国とするとぎりぎりの対中国政策だと、こういうふうになってくるわけであります。私どもには私どもの立場がある、先方にも先方の立場がありましょう。それらこそ政府間接触で話し合うべきであると、こういうふうに存じ、ただいまも申し上げましたような明瞭なる対中姿勢というものを掲げまして、ただいまいかにして政府間接触を始めるかということについていま努力をいたしておる、こういうような現況でございますが、どこまでもわが国は主権国家でありますから、主権国家としての立場を踏まえてやっていかなきゃならぬ、こういう認識でございます。

熊谷太三郎自由民主党

○熊谷太三郎君 いまいろいろ日本としての立場をお話になりましたが、これはよく従来からも承っていることでありまして、われわれもよくわかっておりますが、ただ中国側がどこまでも、わが国として直ちには受け入れることのできない、いわばむずかしい問題をふりかざして、そしてどこまでもその主張を受け入れなければ正常化の折衝には入らないという態度を示しているようでございますから、見ようによっては、ほんとうに第三者的に見まして日中正常化を実現するという熱意が十分われわれとしてはくみ取ることができないのではないかということをお尋ねしたわけであります。  私は、中国は、日本の各層に広がっておりますいわゆる中国ムードを利用して、なるべく有利な条件で国交正常化をはかりたいと考えているのではないかとも思います。しかし私はいずれにいたしましても、日本の政府ほど中国は日中国交正常化に熱意があるとは思われないわけであります。そこで、相手の中国にそれほどの熱意がないのにひとり日本だけが一方的に国交正常化を急ぐということになれば、どうしても相手の一方的な言い分を聞かなければならぬことになると思うのであります。まず交渉の前提として日中国交三原則、すなわち特に日華条約の廃棄に踏み切らねば交渉には入れないということになるばかりでなく、その後の折衝におきまして取り上げられるでありましょう福田外務大臣のいわゆる主権の平等でありますとか、内政の不干渉、紛争の平和的解決、武力の不行使、平和、進歩、繁栄のための相互努力といったような各種の問題におきましてもすべて一方的に譲歩しなければならぬ羽目になるのではないかと思うわけであります。  そこで一体、そうまでしてひとり日本だけが一方的に国交正常化を急がねばならぬ理由がほかに何かあるかということでございますが、何か御所見がありましたら承りたいと思います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 日中国交正常化は私は歴史の流れであるというようなことばで表現をしておるんですが、とにかく中国大陸には七億五千万人という巨大な人口を擁した中華人民共和国がある。この中華人民共和国が国連においてはその加盟を承認されておる。こういうような大きな変化があったわけです。ですから、この中華人民共和国とわが日本、この間が不正常であるということは、これはアジアの平和にとって非常に問題だ、こういうふうな考え方をしておるのです。そういうために日中両国間の正常化をいたそうと、こういうんですが、ただ、中国側におきましては対日三原則、特に日華平和条約の廃棄というようなことを言っておる。わが国とすると、そういうことをいまここで掲げるわけにはいかぬ、わが国にはわが国の立場がある。わが国も独立主権国家でありまするから、わが国の立場を振り捨てて国交というわけにもまいりません。そういうような状態でまだ政府間、わがほうの望んでおるところの政府間接触は始まりませんけれども、私はそういうはっきりした日本の立場でございますので、この立場を十分中国側に理解してもらう、そういうようなことでだんだんと努力を積み重ねておる次第でございまするけれども、その努力は決して私はむだにはならぬ、こういうふうに考えておるのです。  およそ二国間の交渉というものは相手が言うことを聞かなければ始まらないんだということは、私はこれは二国間の交渉の性格にも反する、こういうふうに考えますので、わが国はわが国の立場というものを十分これは踏んまえましてこれを堅持して、そうしてわが国の、私は正しいと思うんですが、正しい立場を中国側に理解してもらうという努力をする。それが私は当面の中国外交ではあるまいか、そういうふうに考え、目下努力をしておるというのが現状でございます。

熊谷太三郎自由民主党

○熊谷太三郎君 いろいろ承りましたが、たとえば佐藤総理はアジアの緊張緩和のためにも日中国交の正常化が必要であると述べられておりますが、これはまさにそのとおりたと思います。しかしこの日中国交正常化がアジアの緊張緩和に必要だということでありましても、その正常化をしなければならぬ責任はその場合日中両国にあるわけでありまして、ひとり日本だけがその義務があるわけではないと思います。双方が双方なりに十分それに取り組む熱意があって初めてその責任を分かつことができるのではないかと思います。  それからまた、日中国交正常化は世界の大勢であるとか、あるいは歴史の必然であるとか、いろいろなことが言われておりますけれども、そういう理由だけで日本だけが一方的にその立場を没却しなければならぬという理由はないと思います。これらの点につきまして外務大臣からは、いままでもいろいろ御信念のほどを承っておりますので、また、いまいろいろお話もありましたので、重ねて御答弁は要りませんが、どうかひとつ一そうこの際、その御所信に向かって勇気を新たにして邁進していただきたいと、このように思うわけでございます。  私の質問を終わります。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 最近ベトナム情勢の緊迫化に伴って、岩国や横須賀などから米軍の出動という問題が起こっております一方、間もなく沖繩復帰が実現するわけですが、沖繩における主要な米軍基地はほとんどそのまま残されるのでありますから、その面でも新しい問題が起こることはこれは必至であります。こういうことから先般来われわれの質問に答えて外務大臣は、安保事前協議の再検討を約束され、洗い直すという見解を表明されましたが、先日は佐藤総理も、問題を整理再検討するよう指示されたようであります。また一方、アメリカのインガソル駐日大使も、米国としてもこの問題について討議の用意のある旨を表明されております。そこで外相としては問題を整理再検討する場合、日米間で討議せんとするこの主要な議題、案件としてはおおよそどのようなものをお考えになっておるのか、ただばく然と話し合ってみてということでもないと思いますので、どういうことを中心に話し合いをされんとするのか、まずその点からひとつお伺いをいたしたいと思います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私はこの事前協議制度の運用につきまして考えてみたいと、こういうふうに存じておるわけです。事前協議制度の根本を改定しようというような考え方は持っていないのです。運用なんです。運用面でどこに重点があるかといいますと、出撃の場合に主たる重点を置いておるわけです。そういうことをひとつ前提といたします。そこで新安保条約が締結されましてから十二年になります。いまお話のように、沖繩返還という問題が近く実現をされる、こういうことになる。そういういい機会でございますので、ここでしばしば申し上げておりまするとおり、おさらいをしておく、こういうことでございますが、おさらいの要点は、これはいままで十二年の間、国会においていろいろ論議が戦わされておる、そういう論議をここで振り返ってみたい、そういう論議の中においてわが国が安保条約の運用についていろいろな見解を述べているケースもあるわけであります。そのいろいろなケースにつきまして、これがアメリカがこれを了承しているのかというと、これはただ単にわが国の一方的な解釈にとどまって、アメリカの理解、了承というものがない、こういうような問題もあるわけなんです。そういうことを主として整理してみまして、そしてアメリカとの間で討議してみたい、こういうのが私の基本的な考えです。もとよりしかしその整理した結果、事前協議の運用をゆるめるという考えは持っておりません。事前協議というのは申し上げるまでもございませんけれども、この制度によってわが国が戦争に、他国の戦争に巻き込まれるという可能性に対する歯どめでございまするから、もちろんこの歯どめとしての役目を有効に果たし得るようにというその考え方のもとにやってみる、こういうことでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 外相のいまの答弁の中に非常にいいことが一つあるのですね。それは日本はそう了解しておってもアメリカは必すしもそう了解しておらないというこの問題ですね。これはあとからまた順次お尋ねをいたしますが、実は私、この事前協議問題を自分で質問するにあたっていろいろ考えてみて、自問自答しておるというと際限のない矛盾が出てくるわけですね。そこでぜひそういう個々の問題に入る前に基本的な問題からひとつお伺いしたいと思うのですが、事前協議の運用や問題点を洗い直す前の前提条件ですね、それは事前協議の性格そのものであるということですね。これは安保条約の交換公文においては言うまでもなく次のようになっております。「合衆国軍隊の日本国への配置における重要な変更、同軍隊の装備における重要な変更並びに日本国から行なわれる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用は、日本国政府との事前の協議の主題とする。」、こういうことであります。これを見れば事前協議の主題となることはこれはもう当然でありますが、協議に基づいて日本がノーと言った場合、それは権利として、拒否権として確立されたものであるかどうかという点であります。この根本的な問題、この性格ですね、これを明らかにすることがまずこの問題でお尋ねする際の前提条件ではないかと、こう思ってお尋ねするわけでありますが、それを不明確のままにしておいて運用面の問題を話し合っても大した意味がないと、こう思われますので、その点はどういうふうにお考えになるか。ただし、もし日本が拒否権ということばを好まないならば、日本がノーと言った場合に、それはそのままアメリカの受諾となるかどうか、ストレートにそうなるのかどうか、そういう表現でもかまいませんね。絶対日本がノーと言った場合には意思が通るという確実な保証があるかどうか、この問題について。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これは事前協議制度というものは、アメリカが特定の場合において日本政府に相談をする、それに対してわが国はイエスと言い、ノーと言う選択をなし得る立場にある。これはもう端的に言いますると、ノーと言おうがイエスと言おうが、わが日本国の権利でございます。これに対しましてはアメリカはイエスと言われようとノーと言われようとわが国のそういう立場に従わざるを得ないと、またそういう義務を負うと、こういうことでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 岸・アイク交換公文には確かに一定の日本の意思に反して行動しないということが書かれております。しかし、いまそれは権利としてというような意味のことを言われましたが、それは条約上にも、交換公文の上にも何にも出てこないわけですね。ただ共同声明の——岸・アイク交換公文じゃありません、共同声明です、これは訂正しておきます。だから共同声明の中にそういう文言が出てくるだけで、条約にも交換公文にも何にも出てこないのですね。したがって、しかも過去二十年間事前協議が——改定後ですから十二年間ですか、一度もないですね、そういうケースは。そうすると、はたして日本がノーと言った場合にそのまま拒否権として通用するかどうかというケースが過去にないわけですから、しかも条約にも交換公文にも何ら明記がない、日本はそう理解しておるということなんですね。その点はどうでしょうか。

高島益郎外務省条約局長

○政府委員(高島益郎君) 大臣の先ほどの答弁を補足して説明させていただきます。これは三十五年の新安保条約国会当時、非常に詳しく論議された点でございまして、当時の記録によりますと、交渉当事者たる藤山外務大臣とマッカーサー大使との間でこの交換公文を協議するに当たりまして、明確にこれは日本がイエスもノーも言い得る権利である、拒否をした場合にはアメリカはその拒否に反して行動しないということを明確に両者間で合意がございまして、その合意の結果を岸・アイゼンハワー共同声明によって確認をしたというふうにわれわれは解釈いたしております。したがいまして、ただいま先生おっしゃったとおり、この条約あるいは交換公文その他取りきめ等に何ら明文の規定をもって、事前協議の主題とするという意味は拒否をすることができる権利だというふうに書いてございません。ございませんけれども、この形式的な「事前の協議の主題とする。」ということばの解釈、論理解釈といたしましても、また当時のそういう交渉経緯に照らしましても、さらにまたこれを確認いたしました岸・アイゼンハワー共同声明の文言からいたしましても、私どもといたしましては、この意味は日本が拒否をすることができる権利であるというふうに解釈いたしております。  なお関連いたしまして、拒否権ということばを使わないのは、拒否権というのは法律的な観念といたしまして、多数国間の取りきめ等におきまして一国が反対すればその協議は成立しないという意味に従来解釈しておりますので、そういう意味での拒否権ではなくて、二国間でございますので、日本が拒否をすることができる権利だという意味では拒否権ということばを使っております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 これは実際には、一回何か現実に事前協議ということが起こって日本がノーと言った場合に実際アメリカがどうするかということにかかわる問題だと思いますが、質問をさらに先に進めてまいります。  もし、日本がノーと言った場合に、アメリカが日本にかかわりのない他国の紛争に日本の基地、日本本土から出撃したような場合、そのような場合に、日本がノーと言ったにもかかわらず出撃したような場合ですよ、私はその場合には単にアメリカに抗議をするだけでなしに、日本が声明を発する必要があると思います。それは相手国の不信を買わないために、また世界にもその立場を明らかにするために、私はその場合には単にアメリカに抗議をするだけでなしに、日本が明確に日本の意思を、日本はそれに対して不同意であったということを明らかにする声明を発表する必要があると思う。そういうことが、もしイエス、ノーで日本の意思に反したことをアメリカが行なった場合に、それをカバーする一つの道であると思いますが、いかがでしょう。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 日本が事前協議を受けまして、ノーと言う。その場合にアメリカ政府がそのノーにもかかわらず出撃を行なうと、こういうことはこれは予想できません。これはもう必ず制度上アメリカが日本の政府の意思を尊重しなければならぬという立場にあるわけです。予想されないことでございまするけれども、しかし、頭の中で考えて万々一そういう事態があったということになると、これは日米関係の最大の国交問題でありまして、一声明の問題じゃございません。これはアメリカと厳粛な条約を結んでおる、その条約に対してアメリカが違背をすると、こういうことでございまするからこれはたいへんな問題です。そういうたいへんな問題として対処するということに相なろうかと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 そういう決意で当たるべきだろうと思います。  そこで、インガソル駐日大使は、先日の記者会見で質問に答えた中で、安保条約そのものの再検討は考えていないが、いかなる場合でも協定とか条約の運営、解釈については話し合うことが必要だと、こう述べておりますが、いまも外相も安保の本質に触れる考えはないが、運用上の問題だと言われましたけれども、運用上の問題に触れていくと自然かなり私は本質的な問題にも触れると思いますから、これはかなり今度は勇気を持ってやっていただく必要があると思いますがね。そうしないと、これはあとからだんだん申し上げていくとだんだん根本的な問題に触れていくと思うのですね。  そこで、これは言うまでもなく、安保改定の際に、日本がアメリカの戦争に巻き込まれないようにするための何らかの歯どめが要るということでこの事前協議というものが取り入れられたわけですね。そこで本来そういうことになっていくと、日本の安全保障とはそもそも何かという問題にまでぶつかるわけですね。  そこで一番問題は、日本にとって危険と思われる問題について日本の意思が明確にされるということですね。それはこの前も私、関連質問の際でありますが、明らかにしましたように、相手国から日本が攻撃を受けた場合にのみ、直接攻撃ですよ、これは問題はないと思いますが、何にもそういう日本に対する直接の攻撃がないにもかかわらず極東の範囲を援用して、そしてイエス、ノーと言うことは、私はこれは非常に問題だと思うのですね。これはあとから、従来の質疑応答の経緯も若干引用して御質問することにいたしますが、やはりこれが一つ基本的な問題ではないでしょうか。幾つも基本的な問題がありますが、やはり第一に日本が直接攻撃を受けた場合、これはいざ知らず、この前藤山外相が日本にあるアメリカ基地が攻撃を受けた場合も日本に対する攻撃とみなすと、こう言っておりますが、その辺はどちらでもよろしい。直接攻撃以外の、何にもかかわりのない戦争に、日本がアメリカの出撃にイエスを与えるという、これは私は問題だと思うのですね。これは本質問題の一つではないかと思います。これは後刻だんだんに承ってまいりますが、とりあえず承っておきます。

高島益郎外務省条約局長

○政府委員(高島益郎君) 安保条約のたてまえといたしまして、日本に対する直接の攻撃の場合は第五条の問題でございますけれども、そうでなくて、ただいま先生おっしゃったように、日本に対する直接攻撃でない場合、アメリカの戦闘行為、これは安保条約のたてまえからいたしますると、第七条の規定がございまして、国連憲章の優先と明記しております。したがいまして、米軍の行動——日本の基地を利用しての米軍の行動といいますものは、すべて国連憲章に基づきまして、アメリカの個別的あるいは集団的自衛権の行使としてのみ許容される。それ以外の行動に米軍が日本の基地を利用して参加するということは、われわれとしては全然想定しておりません、安保条約のもとでは。したがいまして、そういうことを前提にして考えまして、われわれが、その米軍の戦闘に参加する行動が、はたして日本の国益、つまり日本の安全に直接かつ密接な関係があるかどうかという観点から事前協議の態度をきめるということを従来申しております。     —————————————

内藤誉三郎自由民主党

○主査(内藤誉三郎君) この際、分科担当委員の異動について御報告いたします。  ただいま西村関一君が委員を辞任され、その補欠として大橋和孝君が選任されました。     —————————————

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 イエスもあればノーもある場合に、いまのような基本的な立場が完全に堅持されるならば、しかもその場合に、私が先ほど述べてきたような直接攻撃の場合にのみ問題たり得るんで、その以外は私は非常に問題だと思う。そこで、もし事前協議の場合にイエスを与えた場合、その場合には日本の意思が加わるんですから、そうでなしに、アメリカが一方的に飛び立った場合は別ですね。事前協議でイエスを与えた場合には日本の意思が加わるんですから、これは先ほどの外相の御答弁と関連しますが、これはもう非常に日本にとっては重要な問題になると思う。だから、そんな場合には、むしろ私は事前協議がないほうがいいぐらいに考えるんですが、つまりノーということを言った場合に明確にその保障がない場合に、事前協議で安易な態度をとった場合には、私はこれは日本の意思が加わった上での米軍の出撃ということになって、非常に私はこれは重大な問題になると思うのですが、その辺はどうですか。

高島益郎外務省条約局長

○政府委員(高島益郎君) 新安保条約のたてまえは、旧安保条約と全く違いまして、日本の意思に全くかかわりのない行動に米軍が参加することを拒否するという態度でございます。そういう観点から、この第六条の実施に関する交換公文ができたわけでございます。したがいまして、日本は、もしそういう事態が起きまして、米軍が日本の基地を利用して出撃するという場合には、先ほど申しましたとおり、非常に重大な決意をいたしまして、日本の安全に直接密接な関係があるかどうかという観点から、日本の意思として、イエスあるいはノーもあるとしております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 実はその日本の安全にかかわるか、かかわらないかということで、これは答弁がどうでも変わるわけですね。非常に問題の点はそこにあるわけですね。まあ沖繩に関しては、私、ここにたくさん記録を持ってきておるんですが、ここに、返還後の沖繩からはベトナムヘの出撃を認めない。これは再三愛知外相が確認され、それをまたさらに佐藤総理が再確認をされると、そういうようにずっと一貫しております。それから福田外相も、ベトナムに関しては一応それを言われました。ただ、それはベトナムに関して言われたということは、あとからこれも御質問いたしますが、これは極東の範囲との関連で言われたと思う。したがって、台湾、韓国等を極東の範囲に入れておる限り、先ほど、日本の安全にかかわるという問題を考えると、必ずしもいまの条約局長の答弁そっくりそのままいただけるかどうか、非常に疑問になってくると思いますね。それが日本の安全にかかわるといえば、出撃を認めるということもあり得るんでしょう。それはいけないというのです、私。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) それはケース・バイ・ケースというか、そのケースによりまして、それが日本の安全とどういう結びつきになるかと、こういう問題だろうと思います。これは日本が直接攻撃を受けた。日本の基地が、あるいは日本の国土が攻撃を受けた。これは問題はないと思いますけれども、しかし、そうじゃない場合において、アメリカの要請を受ける。それに対してイエスと言うか、ノーと言うか。それはその出撃をめぐって日本の安全、これをどういうふうに考えるかと、こういう問題だろうと思います。ですから、これ、抽象的に、ある場合を考えてみまして、そしてそれに対してこういう見解だというふうにはお答えしにくい問題だ。起こってきたその事態、これはまあ極東全域のことを考えなけりゃならぬでしょうこそしてその中における紛争の局地の状態、それに対して米軍が日本基地から出撃をする。その出撃の事態が、どういう日本に対しまして国益上影響を持ってくるか、そういうことを総合的に判断してイエスあるいはノーを答える、こういうことだろう、こういうふうに思いますので、まあ抽象的に、こういう場合はこうだと、こう言うことは非常に困難なことじゃないか、御理解を願えるんじゃないかと、かように思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 私の場合は抽象的じゃない。最も具体的なんですよ。つまり、日本に対する直接攻撃以外にそういうことにイエスを与えることはあり得ないという立場に立っているんですから、これほど明確なことはないわけですね。抽象的じゃないです。非常に具体的、現実的です。  そこで、まあこの議論は別として、事前協議は日米双方で発議し得るのですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これは事前協議の性質上アメリカが発議をすると、こういうことになります。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 そうなると、事前協議でない場合は随時協議ですね。随時協議の場合にはイエス、ノーがあるんですか。しかもそれは事前協議の場合と同じような、明確な権利としての拒否権と同じような形のノーが貫き得るんですか。

高島益郎外務省条約局長

○政府委員(高島益郎君) お答えいたします。  随時協議自体は、条約全体の運用に関する問題、あるいは日本の安全、極東の平和及び安全に脅威を生じた場合の協議ということになっておりまして、何でも協議する、聞き得ることになっておりますけれども、事前協議との関連で従来政府がお答えしておりますのは、アメリカの一方的な発議権だけでは非常に懸念がある、日本が米軍の行動について何らかの疑念を持ち、これについて解明を求めるというような必要があった場合には、第四条の随時協議権に基づいて、米軍の行動についてそれを解明を求める。その結果、もし、その事態が日米両国間でこれが事前協議の対象になるということになった場合には、第四条の随時協議に基づいてではなくて、当然第六条の交換公文に基づくところの事前協議の対象としてあらためて提起されるというふうにわれわれは考えております。そういう意味で、従来、政府は日本のほうからも実際上は発議することができるということを申しておりますけれども、この意味はそういう意味だろうとわれわれは解釈しております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 まあアメリカがそう言っておったにしても、実際には事前協議というものがアメリカの発議によるということが、そういうことになっておる限り、日本が問題提起するという場所は、最初から事前協議という場はあり得ないわけで、随時協議になるわけですね。しかし、随時協議で論議をした結果、それじゃ事前協議の議題とするかどうかというようなややっこしいことをやっておったって、実際アメリカがそれを認めなければ、しかも随時協議の場で明確なノーを貫き得ないとするならば、これは全然道はないということになるようにも思うんですね。非常に不明確なものだと思う。これは安保改定を何とか実現させるために国会答弁用として苦心惨たんしてつくったいろいろな方法であって、現実にこれを一つ一つ考えてみると、矛盾だらけで、はたしてこれで日本が安全保障の基本的な問題に対処し得る体制と言えるのかどうか、非常な問題が出てくるわけですね。随時協議で事前協議と同様の権利を貫き得るかどうか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 随時協議には、これは随時協議でありますから、これについてわが日本が権利を主張するという立場にはないんです。しかし随時協議がおのずから事前協議につながっていく場合がある。そういう場合には、わが国はイエスと言い、ノーと言う、そういう権利を持つ、そういうことなんです。まあしかし緊急の事態等につきましては、随時協議、事前協議、これが一体となって動くんじゃないでしょうか、実際問題を想像してみますと。ですから、これを分けて、随時協議には権利は伴わないんだ、事前協議には権利は伴うんだ、ですから随時協議のほうは意味はないんじゃないかと、こういうような考え方は、まあ何かあまりに観念論的な面が強いんであって、随時協議というものも、実態においてはこれは重大な歯どめの役目を尽くすものである、こういうふうに理解するのがすなおな考え方じゃないかというような感じがしますがね。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 観念的じゃないんですね。私のほうが非常に現実的だと思うんだ。  ところで、それでは今度日米会談、どういうレベルでやるかは別として、日米会談の場合に、いまの事前協議と随時協議の場合で、随時協議でも事前協議と同じような性格を持たすこともできるということを議題として協議されますか。日本の一方的解釈でしょう。これは明確にしておかぬと、事前協議はアメリカの提起しない限り、全然これは問題になりませんね。だから、やはり随時協議も重要な意味を持って、事前協議と同じ性格を持たせるぐらいな話し合いを日米間でやらなければ、これは私は非常に問題だと思うんですね。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 随時協議に日本が権利としてアメリカ側の意思を制肘する、こういうことはこれはむずかしいと思います。そういうことになれば、これは安保条約第四条の変更ということになる。また、アメリカはこれは承知はいたしませんと思います。まあ問題はそこじゃなくて、随時協議で実際上の歯どめの役割りを果たすか果たさないか、こういうことだろう、こういうふうに思います。ですから、随時協議の制度を変更するんじゃなくて、随時協議の運用について話し合うということでありますれば、これは私はまさにそのとおりだ、こういうふうに考えております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 外相、たいへん失礼だが、そんなあいまいなことで、とても重要な問題が起こったときにこれをカバーできるものではないと思います。  そこで、今日までのような姿勢である限り、協議というものは、事前協議というものですね、これは空洞化なんというものではなしに、全くないに等しいと、私はそう思っているわけです。なぜなら、空液化ということは、以前に正当な運用の実態があって、それが漸次骨抜きになった場合には空洞化、こう言うわけです。何にもないわけです、いままで。空洞もなにもありはしないんだ、実態が一つもないんですから。無形のものと言ってもよい状態にあるわけです、日本の事前協議制というものは。しかし、これは制度や運用上の問題だけでもなければ、また私はアメリカだけの責任でもないと思うんです。これは実は日本自身の姿勢の問題に非常な重要なかかわり合いがある、こう思っております。  これはしばしば私が問題にしたケースでもあるし、それから他の機会にもいろいろ問題になったケースでもありますが、先ほど来私が述べてきたような重要な問題が日本の側からむしろ事前協議の対象とならないとして片づけられてきたのですね。たとえば随時協議というようなことでアメリカに問題を提起するより前に、日本のほうが一方的に、これは事前協議の対象にならない、これはこれこれの解釈ではこうだと、日本自身がもう事前協議以前にアメリカにイエスを与えると同じ立場を貫いてきたのだから、事前協議なんか起こるわけはないですね。したがって、じゃ過去十二年間そういう問題が一つもなかったかといえば、ずいぶん幾つかのケースがあったと思います。しかし、その場合に、アメリカの態度もさることながら、また事前協議の抜け穴の規定もさることながら、日本自身の外交上の姿勢にもあったんじゃないかと思う。この日本側の姿勢そのものを反省、検討しないと、実は問題の核心に触れないと思うのですが、どうでしょうか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) どうも羽生さんのお話を承っておりますと、安保条約にはある程度の歯どめがある。歯どめがあるにかかわらず、日本政府は脱法的にその歯どめを問題にしないという態度をとってきたと、こういうふうなお話のようでございますが、そういう考え方は私どもは持っておらないのです。たとえばこの間の岩国基地の問題ですね、F4戦闘隊が南方に移駐すると、こういう通報を受けたわけです。それに対してわが国は、これは事実上の出撃であるか、また形式的には出撃命令を受けておるのかどうかということをただしておるわけです。そうすると、先方は、これはそういう命令も受けていないし、事実上の出撃でもない、南方への移駐である、こういうことなんです。そういうことであり、今度はそれが南方の某地点、これはあとでわかったのですが、フィリピンのようですが、フィリピンからベトナムに出撃をする。出撃をする基地はどこになるかというと、フィリピンになるわけです。あるいはその先に、さらにフィリピンから移駐をいたしまして、そこから出撃をあるいはしているかもしれませんけれども、少なくとも岩国でないということは明らかなんです。そうしますと、わが国といたしましては、安全保障条約上のたてまえとして、これに対してノーという事前協議段階での問題まで進んではおらぬと、こういうふうな理解をする。これは私はいまの安全保障条約、前のずっとその経過を見てみると、そう考えざるを得ない性格のものじゃあるまいか。そういうふうに見ておるわけですがね。それをとらえて羽生さんは、どうも、権利の上に眠っておるというか、正当に権利を行使しない、こういうふうにおっしゃられると、私どももはなはだ当惑をせざるを得ない。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 眠りも眠り、大眠りをしておるわけですが、そこで、いまの岩国の例をあげられましたが、岩国にしても、横須賀にしても、この出撃の場合にはもちろん事前協議は一度もないし、事前協議以前に、いま外相が表明されたような態度を日本政府はとっておるわけですね。したがって、日本を出撃する前に何ら命令を受けなかったといえば万事は終わってしまうわけですね。したがって、この問題は拒否権の問題と同様に重要な問題であって、この点が明確にならなければ、空洞化といわれるものを実際の歯どめの作用にまで引き戻すことはもう絶対不可能だ。これはむしろ、運用の面というより基本的な問題だと思う。これは運用の面でこれをほんとうに今度の日米会談で何か決着をつけて前進する姿勢かできたらこれは原則の問題に触れたくらい私は重要な役割りを果たしてくると思うんです。それを、そういうことに触れて、いまの問題に触れて日米間で話し合いをされるお考えはありますか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) まあ岩国基地、この間問題になりましたからそれを例にとりますが、岩国基地から南方に移駐をした、その際に形式的には戦闘作戦命令を受けておらぬ、そういう状態なんです。しかし、問題はいま羽生さんがおっしゃったように、実態としてこれが出撃であるかどうか、こういうことだろうと思います。ですからその辺はアメリカとの間には必ずしも明瞭になっておらぬと思うんです。わが国はそういうふうに考えても、アメリカがそういう理解を持っておるかどうか、こういう点は疑問じゃないか、そういうふうに思うんです。その辺もひとつ論議をしていきたい、こういうふうに考えております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 これも私がしばしば述べたことでありますが、奇襲作戦ならいざ知らず、たとえばただいまのベトナム戦争のように、戦争が長期にわたって、しかもアメリカの空軍や艦隊の行動が逐一報道されてこれを世界周知のような場合に、米軍が日本から出動するときに、常識的に現地において作戦行動に参加するかどうかを事前に判断し、予知することができるわけですね。奇襲作戦なら別ですよ。そういう全体の状態を見て、それを判断の基準としない限り、軍隊が、米軍が出動時に行き先を明示し、それから作戦行動の命令を受けておったかどうかというような論議をしたところで、アメリカがそういう命令は発しておりませんと言えばそれまでの話です。ですから、全体をにらんで常識的な判断を下すことは可能であるし、またそうしなければ、絶対どんなことがあっても事前協議の対象になりませんね。これから出撃します、どこそこに行きます、さていかがでしょう、なんて言いっこないです。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) まあ実態はつかまなければならぬと、こういうふうに思いますが、要は岩国基地が戦闘作戦行動の基地として使われたのか使われないのかと、こういうことだろうと思うんです。あそこを進発しまして、そして直接ベトナムに行きます、また帰ってくる、そうしてそういう行動を反復する、これはまさに私は岩国基地が戦闘作戦の基地として使用されておる、そういう実態になるかならないか。ただ単に、南方に移動いたしました、時局は重大です、アメリカの配置は全面的にこれに備えなければならぬ立場にある、そういうような環境下において南方への移動が行なわれる、これは何も岩国基地が戦闘作戦行動の基地として使われるわけじゃないんですから、したがって、岩国基地が北ベトナムから報復爆撃を受ける、そういうような筋合いになるとは思いませんし、まあ私は、事前協議の対象となるかどうかというような判断としては、実態的まで広げていいんです。いまの御論議から、実態的に岩国基地がその戦闘作戦行動の基地として使用されるのかされないのか、この辺を詰めて判断をする、こういうことじゃないかと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 結局、ストレートに、直接日本本土から現地へ行かない限り、何ら日本としては考える余地もないくらい明確にそれは事前協議の対象にはならないという、そういう解釈ですから、それではアメリカはそんなこと言いっこないんですから、命令を発して現地へ行ってもらうんだ、戦争に行ってもらうんだと言いっこないんですから、これは永久に事前協議はないと同じじゃないですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) その辺が、私どもが話し合いたいと言っておるんです。つまり、実態的に岩国基地が当該戦争の戦闘行動の基地であるかどうか、そこが問題だろうと思うんです。ですから、私は形式的に作戦行動命令を受けておるということだけを問題にするんではなくて、実態的にこの基地が使われて戦闘作戦が行なわれておるのかどうか、それを判断する。ただ単に南方に移動いたします、こういうようなことだけじゃ、私はまだ事前協議の対象となる範疇には属しないだろう。逆に、直接ベトナムの上空に行って爆弾を落とす、そういうことでなければこれは事前協議の対象にならぬかというと、そうじゃない。要は、実態的に岩国は戦闘作戦行動の基地としての性格を持つか持たないか、そこにあるのだ、こういうことです。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 実態的の意味がわからないのですね。反復攻撃を行なうような場合のことを言っているのだと思いますが、一回でも二回でも、日本の基地が外国の攻撃のために使われるということは事実に変わりはないわけですね。ですからそういうことでは困りますが、質問を先に進めます。  そこで、事前協議というものが、この制度といいますか、これは交換公文に規定されたときには、日本の予知できる危険に対しての歯どめ、こういうことだったのですね。説明はそういうことで説明されてきたわけです。そこで、安全の基準がまたひとつ問題になるわけですね。これも、私がさきの質問の際に述べたことでありますが、安保改定前の三十四年参議院の予算委員会で藤山外相が私の質問に答えて述べた見解であります。すなわち、「日本以外の行動につきまするときには、協議事項としてこれを制限してまいりたいというのがわれわれの考え方であります。」こう言っておりますね。ですからこれが常識的な考え方じゃないでしょうか。つまりこのことは、日本に対する直接攻撃以外は全部事前協議の対象で、ノーと言うことを意味しておるわけです。いや、それはそういうことです。当時の前後の事情から言えば明確にそういうことですね。要するに日本に対する直接攻撃あるいは侵略の場合を除く米軍の出動については、協議事項としてこれを制限してまいりたい、こう言っておる、はっきり。ですから、やはりこの態度を貫くことが重要じゃないでしょうか。そうでないと、これはもう全然事前協議なんてあってもなくても私は全然これは問題にならぬと思うのです。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) その答弁、私見ておりませんけれども、羽生さんがいまお読みになった、協議事項としてその行動を規制していきたい、こう思いますと、こう藤山さんがお答えになっておるようですね。協議事項がつまりこの事前協議、そういうことを意味するのじゃないかと。私どもの見解は、直接爆撃をわが日本本土が受けた場合、これはもちろんでございまするけれども、直接その場合に限らない、わが国の安全に重大な影響があるかどうか、そこが問題になるわけで、事前協議の相談を受けた場合には、そのわが国の安全ということを踏まえましてイエスかノーかをきめる。イエスと言う場合もあるしノーと言う場合もある。ノーと言う場合におきましてはそれだけの歯どめになる、藤山さんの答弁はそういうことを言っているのじゃないでしょうかという感じも受けましたのですが……。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それは問題が二つあるわけですね。この問題は実にややこしくて、質問するにもおっくうになるくらいややこしいのですよ。まず第一番に、先ほど来議論しておるように、この問題は事前協議の対象にならぬと日本が先に判断したら、これはもう全然問題にならぬし、今度いよいよ事前協議の対象になっても、場合によったら日本はイエスを与える場合もあるんですね。ノーと言う場合に、直接攻撃以外は全部ノーと言うかというと必ずしもそうでもなさそうだ。二つ問題があります。  そこで、この問題に関してかつての藤枝防衛庁長官が在任当時、私の質問に答えて、いままでのところは福田外務とほぼ同じような答弁をしながらも、この次に非常に興味ある発言をしております。こう言っております。「日本において戦闘任務を帯びて、戦闘地域に対して飛び立つというような場合に、途中で給油、その他の——飛び石とおっしゃいますが——段階があるにいたしましても、日本から直接の戦闘任務を帯びて直接戦闘地域に行くと同様の形態をとると認められるものは、これは事前協議の対象となり得る」、「認められるもの」ですよ。同様の形態と認められるもの、それが先ほど来私が言っておることです。だからそれを、それすらもし回避されるようだったら、全然こんな制度、あってもなくても同じことですね。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 先ほど申し上げておるとおり、わが国といたしましては、実態的に見まして日本の基地が戦闘作戦行動の基地として使用される状態かどうかということによって、事前協議の対象とするかしないかということをきめられるべきものであるというところまで解釈を広げておるんです。つまり、藤枝防衛庁長官の答弁をいまお読みでございましたが、まさに私が言っておるようなことを言っておられると思うんです。ただ、アメリカ側がそういうふうな理解をしておるか、しておらないかと、今日レビューしてみますると、その辺はまだあいまいです。でありますから、その辺も含めまして今度話してみたいと、こういうふうに考えております。羽生さんも御満足のことかと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 その実態に触れて前進の姿勢が確立されれば、私は相当十分、満足はいたしませんが、一つの進歩であると私は思います。それは実は本質に触れる、実は事前協議制度の本質に触れる問題ですね。その抜け穴をふさがない限りこれは問題にならぬ。  しかしこれはまたあとで触れますが、そこで、個々の問題に少し触れたいと思いますが、個々の問題に触れる前に、私の原則的な立場をひとつ明らかにしておきたいと思います。それは艦隊の数とか、航空機の数、地上部隊の数が多ければこれは反対で、少なければイエスという問題でないと私は思うんです。その規模の大小にかかわらず、日本の基地から米軍の出撃が是か非かという、そういう立場から私は議論をしておる。私はそういう立場ですから、規模の大小ではないということですね。少なければいいという問題ではない。しかしそれにもかかわらず、政府が一応の統一見解を出しておりますね。事前協議の対象になる場合、たとえば艦隊の場合、空軍の場合、地上部隊の場合、そこで、その個々の問題について一、二触れたいと思いますが、第一に、事前協議の場合の配置における重要な変更の場合ですね、従来地上部隊は一個師団以上、空軍は一航空師団以上、それから艦隊は一機動部隊——タスクフォース、こういうことになっておりますが、これは統一見解で、いまも同じことなのですか、どうですか、この辺をお伺いいたします。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これはいまもそういう同じ考え方です。考え方でありますが、実際問題とすると、これはもう議論のための議論をするというだけの問題であって、もう実益はないと思うんです。つまり一個師団にせよ、それをさらに格下げしまして一個旅団にせよ、それが日本の内地において移動いたします、あるいは引き揚げていきます——引き揚げていくのはお歓迎でございましょうが、特に日本の内地において移駐をいたします、こういうようなことは、いまの米軍の規模からいいまして考え得られざることである。考えられることは、もうこれからは日本の内地を引き揚げていくことである。さらにもう一つは、日本の国土において整理統合が行なわれる、そういうようなこと。その際、一個師団、あるいは格下げしまして一個旅団、そんなような規模の問題は起こり得ない、こういうふうに思います。  それから同時に、この部隊の配置につきまして、そういう規模のことは書いてありまするけれども、小さな部隊といえどもそれが配置がえになるという際には、わが国の政府においてその配置のための施設をしなければならないというようなこともありまして、これはどうしたって日本政府の協力を得なければそういうことはできない。そういうようなことを考えまするときに、この配置の問題というのは、議論のための問題はありましても、実際上のもう何というか、実益ですね、そういう問題は起こり得ないんじゃないか、そういうふうに考えております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 実益の問題が起こり得ないという観点が私の考えておることと同じ立場で外相がおっしゃったなら、これは非常に私はけっこうだと思いますがね。これは調べてみますと、これは言うまでもないことでありますが、タスクグループが五つ寄ってタスクフォースになる。そうすると、これに該当する場合は第七艦隊以外にないわけですね。これはいろいろ調べてみたら明確になっております。第七艦隊以外はタスクフォースとは言わない。みなタスクグループになっておる。したがって事前協議の対象にならない。だからその場合に、いまこれも外相はかなり、私と同じ意味で言うならば的確に言われたことは、それではそれを幾らか減らせば事前協議の対象にならぬかと、そういう問題が出てくるわけです。もし一個師団がいかなければ、それをちょっと一個中隊減らすか、航空機六十ないし百機がいかなければそれよりちょっと減らすか、艦隊をいわゆる何隻か減らすか、それなら事前協議の対象にならぬかと、抜け穴は幾らでもありますね。ですからそういうことは、そういう意味で、私が言っているような意味で言うならば、こんなことは議論したってたいした意味がないのです。だからそういう意味で、つまり艦隊の規模で是か非かを論ずることは意味がないというふうにとってよろしいんですか。いまの外相の御答弁は。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私が申し上げておりますのは、もう米軍が、かつて新安保のできる当時は、おそらく三、四十万人はおったんじゃないか、こういうふうに思います。それが今日はもう全体で四万くらいになっておるわけです。ですから一個師団がどっかへ移駐しますとか、一艦隊がどっかへ配置がえになりますとか、一航空師団が移りかわりになります、そういうようなケースはもうない。そこで多少その程度を下げるというような規模を、事前協議対象の規模を下げるというようなことを考えましても、そういうことはない。該当するようなことはあるまい。これからあり得る大多数のケースは、もう米軍が国へ引き揚げていくケース。増強、しかもそれが相当の数の増強をするというようなことはとうてい考えられない。そういうようなことを考えますと、私はこの配置がえの問題、そういうことは、議論の対象にはなり得ましょうが、これは実益のない議論じゃないかと思って、そういうことに頭を使うよりは、むしろ出撃の問題、この問題に頭を使うべきだ、こういうふうなことを申し上げておるわけです。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それで、ただその場合、 ニクソン・ドクトリンで漸次アメリカが第七艦隊を引き揚げてくる場合、横須賀が基地となるようなことはないのですか。それは絶無とは言えないと思います。どうも外相の判断は少し甘過ぎるんじゃないかと思います。ですから艦隊の規模の大小を問わず私はそういうことはあり得ると思います。だからそういうことはないといま外相のおっしゃったことは、地上部隊のことです。私は艦隊あるいは航空機等については、必ずしも、外相の言ったような楽観論で——返ってくれば沖繩も本土と同じことですから、同じ問題が起こると思いますね。そんなに楽観すべき状態ではないと思う。特にニクソン・ドクトリンというものの体制を考えたらなおさらそうです。

吉野文六外務省アメリカ局長

○政府委員(吉野文六君) ニクソン・ドクトリンの結果、アメリカは東南アジアにおける兵力を、極東における兵力を漸減すると、これはもうたしかそのとおりでございますが、そのために特に日本の基地が一時的にでもふえるということはいまのところわれ一われは予想しておりませんが、もちろん全体として減っていく、その間に、日本は現状を維持するかあるいは減っていく方向にある、こういうふうに理解しております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それは私は重ねて多く申しません。空軍や艦隊については、私は沖繩についてもあるいは横須賀等についても、そんなにアメリカがみんなさっさと出て行って、問題にならないような状態が早急に起こるとは考えられないわけですね。ですからこれは依然として問題はあとに残ると思います。  それから次の問題。次の問題は、これは運用の面あるいは技術的な問題になるかもしれませんが、それぞれの航空機なりあるいは艦隊なりあるいは地上部隊——地上部隊は別として、別でもないけれども、地上部隊はそのケースが非常に少ないと思いますが、それが出動する場合、出撃する場合ですね、一々事前協議の対象にするのか。たとえば一日何回かあったとしますね。そうすると一々事前協議の対象にするのか、包括的にイエス、ノーをきめるのかという問題があるわけですね。これに対して、これは一昨年の四十五年五月九日ですね、参議院の外務委員会で、たまたま佐藤総理が出席されて、包括的なイエスは与えない。しかしそのつどというようなこともめんどうだ、という意味のことも言っておるわけですね。だからその辺は非常に、これは何かちょっと実際にどれだけあるケースかわかりませんがね、しかし一日何回も飛び立つことはあり得るわけですね。あり得るわけですが、一回一回事前協議をやるのか、こういうケースならよかろうというわけで一括してオーケーとやるのか、これらも一応考えておく必要がある問題と思います。これは必ず将来起こり得る問題ですね、沖繩の場合なんか。返還後の沖繩なんか、あり得る可能性がありますね、これは。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) それはケース・バイ・ケースの問題になろうかと思います。佐藤総理が一々やるのはめんどうくさいというようなケースも私は起こってくるだろうと、こういうふうに思いますし、一々イエス・オア・ノーを言うと、こういう場合もあるだろう。要はその事態がどういう性格のものであるかということによって、判断せられるべき問題だと、こういうふうに考えます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それは記憶にとどめておいていただいて、日米協議の際にもやはり問題にしていただきたいと思います。これは一つの問題点で、包括的に、こういうケースは全部よろしいという包括的なイエスを与えて、非常に広範な受諾をしたような場合、広範な範囲にわたって受諾をしたような場合は非常に問題になると思います。これはひとつ御検討おきを願いたいと思います。  それから装備の重要な変更ということは、もう日米協議で何か問題になるようなケースは考えられますか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) いま私の頭の中にはありませんです。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 そこで次に、これは事前協議と直接関係はありませんが、間接の問題になると思いますけれども、今度ベトナムヘの米軍の出撃、日本からの出撃にはおおよそノーと、これはずっと愛知外相から、佐藤総理から一応確認されてきて、先日福田外相も同様の意思を表明されたわけですが、それは、その根拠は、私の総括質問の際に若干触れた問題でありますが、この極東の範囲に関する問題、その周辺地域だから問題ないと、つまりノーであるというそういう解釈でしょうか。その辺は必ずしも明確でないから、この機会に明らかにしてもらいたい。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) そうじゃないのです。事前協議の対象となるかどうかは、これはベトナムが極東の地域の周辺になるかどうかということがありますが、これはもう考えられませんが、万々一考えて、そしてベトナムへ出撃をした、戦闘作戦行動命令を受けて、そしてまた実態的に装備をこらしてそして出撃をする、作戦行動に沖繩から直接移ると、こういうことですね。これは観念上のことだと思いますが、その際にわが日本がイエスと言うかノーと言うか、こういうことにつきましてはノーと言う。これはわが国益を踏まえまして判断してそう言うのだと、つまりベトナムの戦火ということを考えるときに、わざわざ日本の基地から飛び立ってその戦火がわが国のほうに波及をするというような冒険をおかすと、こういうようなことは拒否しなければならぬ、こういうことであります。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それは実際上は日本の周辺、極東の範囲の周辺地域でたいして実害はないという、そういう解釈からだろうと思いますね。実は愛知外相がしぶっておったのに、最後に結局ノーと言うと、しかもオール・ノーと言うと、ベトナムヘの沖繩からの出撃ですね、返還後の沖繩からの出撃はオール・ノーと言うと、これは佐藤総理も確認されておるのですよ。なぜそういうことになったかというと、これはちょっと余分なことですが、こういうことだったのですよ。ベトナムが日本を攻撃するとお考えになりますか。それはないでしょうね。だれが考えても、ベトナムが日本を攻撃をするということはないでしょう。したがってそれは軍事的脅威ではない。軍事的脅威でないとすれば、これはイデオロギー上、体制上の問題ですね。共産国家という一応体制上の問題です。これは北ベトナムの場合、あるいは南ベトナム解放軍の場合ですね。そうするとイデオロギー上、体制上の問題に、国連にしばしば紛争の平和的解決、武力不行使を唱えている日本が、何も関係のないところに、要するに軍事的脅威も何もないところになぜイエスと言うことがあり得るか、これはオール・ノーに値するんじゃないかと言ったときに、そのとおりだ、これはオール・ノーだと、こういうことになったわけですね。だからそういう意味で、つまりベトナムが日本に対して何にも直接の軍事的脅威とはならないという、そういう意味で外務大臣の場合もノーというお考えに立つわけですか。それはどちらでもいいですよ。日本の極東の範囲の周辺地域ということでもそれはかまいません。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) ベトナムが周辺地域であるからと、こういうことに立脚しておるわけではないのです。あくまでもこれは日本の国益から考えてノーと言うと、こういうことなんでありまして、この国益とは何ぞやというと、軍事的な側面もあります。またその他の日本の外交姿勢というような側面もある。総合的に判断いたしまして、わが国はベトナム戦に日本の基地は提供しないと、こういうことでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それで、返還後の沖繩からは、もう間もないことですから、一カ月もないのですから、これは急にベトナム戦争が休戦になるとも思えないし、それからいまの状態が急激な変化をするとは思いませんから、そうアメリカが簡単に他の基地に軍隊を移動するということも考えられない。したがって、しばしば起こり得る可能性があるわけですね。したがって、いまの外相の御答弁はどうか貫いてもらいたい。これは締めくくり総括等で社会党矢山委員等が質問されるときには、総理にも確認しておいてもらいたいと思うのです。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 はい。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 これは重要な問題だと思います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) そのとおりにいたします。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それからそういうことでベトナムについてはわかりましたが、台湾ですね。台湾は、これも私のこの間の総括質問の際に、中華人民共和国の一省となった、ここにありますが、一省となった場合には、それが——ちょっとまあよくわかりませんが、台湾が中華人民共和国の一省となった場合には、当然極東の範囲からはずれますと、明確にこれは答えられておりますね。これはもう再確認してよろしゅうございますね。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これは相手のあることですから、つまりアメリカと話し合わなければならぬ問題ですから、そうなりますと、そういうふうには申し上げませんが、そういう方向で、そういう方針でアメリカと話をしますと、こういうふうにはっきり申し上げます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 これはアメリカと話し合う必要ないのではないでしょうか。もうこれは中華人民共和国の一省となるときには、日本の態度がきまったときですよ。私の言っておるのはそのことですね。その場合に、なおかつまだアメリカと相談しなければならないということは、とても私は考えられないことで、これは日本の独自の判断でよろしいのじゃないでしょうか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これは独自の判断でいいんですよ。いいんですが、その判断をもとにいたしましてアメリカと話をする。これはどうしたって安保条約の運用の問題ですから、これはアメリカの理解を得なければならぬ、そういうふうに思います。アメリカもおそらく理解するだろうと思いますけれども、非常に私は慎重ですから、そういうふうに申し上げます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 私は、しかもそれはそんな五年も十年も先ではない、意外に早い機会だと。もっとも、後継総裁の方針にもよりますがね、後継首班の方針にもよるでしょうが、これは意外に早い機会ではないかと思います。必ずそういうことが起こってくる可能性があります。また、そうしなきゃならぬと思います。  そこで、次に韓国の問題ですね。これも国連で南北両朝鮮同時招聘、あるいは従来の決議の無効化、廃棄ということになるか、いわゆる無効化になるかわかりませんが、そういうことがことしの秋の国連の総会に起こり得る可能性もあるし、ことしの秋でなくとも、一両年中にはそういうことについてある程度の結着がつきそうなんですね。その場合には、一体どういうことになるでしょうか。日米共同声明にいう韓国の問題、それから安保の政府統一見解による極東の範囲の問題と関連して、その辺はどうなるでしょう。前提条件は置きますよ。解決した場合の話ですよ。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) いま朝鮮半島の南北問題を解決した、そういう場合においてどうなるか、こういう御質問ですが、それはその解決のしかたという問題があるだろうと思うのです。これは非常にいろいろなケースが考えられるのでありますけれども、そういういろんなケースを考えてみまするときに、一がいにこの場合はこうなるのだ、こういうような断定はいたしかねるのじゃないかと思います。これは朝鮮半島につきましては、平和の到来ということをこいねがっておりまするけれども、その形が一体どういうふうなことになるのか、その辺をよくしさいに検討いたしませんとお答えはできないのじゃないかと思います。ですからこの質問に対する答弁は、これは少し先のほうにおくらしていただきたい。もう少し具体的に御質問できるような状態にならぬとお答えがいたしかねる、こういうことであります。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 たぶんそういうお答えだろうと思いますが、私がなぜこの問題を提起したかといいますと、日本外交はずっと一貫して国際情勢待ちなんですよ。無難ですよ。これは非常に無難で、失敗も少ないかもしれませんが、しかし、すべて客観情勢を見ているわけですね。だから客観情勢は、私がこの前申し上げたように、外交政策を進める場合の判断の材料にはなるけれども、客観情勢だけで動いているなら、外交の主体性というのはもう全然ないわけですね。ですから、私がいま申し上げたような方向に沿って、むしろ積極的に緊張緩和をはかっていくという観点で、韓国問題、これは極東の範囲の政府の統一見解と、一九六九年の日米共同声明の台湾、韓国条項に関連をしてお尋ねしたわけです。しかし、おそらく外務大臣はこれ以上は答えられないと思いますから、これ以上は言いません。  そこでもう一つ、かりにそういうことが、いますぐは答えられないとしても、ベトナムはそういうように決着がつく、ノーというように態度がきまったと、台湾も中華人民共和国の一省となったと、そうして極東の範囲からははずれたと、韓国もどういう形になるか、いずれ平和的にそういう共同声明からも、極東の範囲からもはずれるような条件が起こったとき、当然安保というものをもう一度考え直してみてよいときじゃないかと思うのです。特に、第四条の極東の平和と安全に関する条項等は、考え直してみてもいいんじゃないかと思う。私どもは安保解消論ですね。しかし、いまそれを言うわけではないのです。そんなこと言っても、外務大臣に言っても始まりませんが、そういうような条件ができたときには、少なくとも安保の極東の平和と安全に関する第四条等については、あらためて考えを直さなければ、それこそ一体何が日本の安全なのかと、これは要するに社会主義国、共産圏はすべて日本の脅威となるという、そういう先ほど私が申し上げたイデオロギー上の問題で結びつくのじゃないかというような感じもするわけですね。一体韓国、台湾等がはずれた場合の脅威というのは、一体どこの国をさすのか、そんなものは何もないというなら、極東の範囲の修正、安保四条の極東の問題ですね、安保四条の極東の平和と安全に関する問題の再検討、それから極東の範囲に関する政府統一見解の修正というよりも、これは消えてなくなるわけですね。フィリピン以北が台湾、韓国となるのですから、これは消えてなくなるわけです。その辺を一体どういうようにお考えになるのか、これは私はほんとうにまじめに、そんな先の先のことと言うけれども、そんな先の先でもないと思う。これはおそらく二、三年のうちに起こり得る可能性を十分持っている問題だと思う。ひとつあらかじめの見解をお伺いしたい。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) まあ御承知のように、わが国は経済力はある。持たんとすれば強大な軍備も持てます。また、核兵器まで持てる。そういう国になってしまった。しかし、そういう道は選びません。こういうことをはっきり申し上げているわけです。そうすると、わが国の自衛力、これは憲法の定めもあります。また、他国を脅威するような軍備、つまり、再び戦争をするというようなことに対しては、これはしてはならない、こういう国民的コンセンサスもある。そういうことを考えますと、自衛力にはおのずからそこに限界がある。そういうように思います。そうするとあり得べきこの戦争というものに対しまして、わが国が十分な抑止力を持ち得るかというと、そうじゃない。やはり抑止力のギャップというものがある。そのギャップをどうやって埋めるかという問題が安全保障条約なんですから、この安全保障条約の体制、これについて、私はこれを変更する、こういう考え方はいささかも持っておりません。また、持つことはわが国の安全に重大なる影響がある、こういうふうに考えます。ただ、自衛力もだんだんと整備されます、そういうまた極東のわが国をめぐる環境というものも変わってきておる、そういうことに即応いたしまして、そして安全保障条約、安全保障体制の運用をそれに応じたものにしていく、これは当然のことだろうと、こういうふうに思っておるわけですが、安全保障体制をここで変えていく、こういう考え方は、せっかくのお話でございまするけれども、私は持っておりません。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 私、そんなこと言ったんじゃないです。そんなこと言っても無理だろうから、それは聞かないと言っておるんですね。いま言いたいことは、台湾が中華人民共和国の一省になり、韓国も南北両朝鮮が国連等において何らかの決着がついて、平和的な条件が整ったような場合に、日米共同声明における台湾、韓国条項は、これは消えるわけでしょう。それから、極東の平和と安全という場合にも、これらの問題も重要な国連における双方の中国問題も、あるいは朝鮮問題も、ほぼ国連において世界的な意思が合意ができた場合ですね、しかも平和的な環境ができた場合、なおかっこれを極東の範囲に入れて平和と安全を結びつけて云々するのはおかしいではないか。そのときには、そういう問題について再検討すべきじゃないか、それを言っているわけです。安保を根本的に変革しろ、それは私たちの主張であるけれども、政府に言ったって始まりませんから、そんなことを私議論するわけじゃない、限定的な問題です。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 先ほどもお答えしたとおり、安保の運用につきましては、これは客観情勢の変化に対応した弾力的なかまえをとらなきゃならぬだろう、こういうふうに当然そう考えているわけですが、安保体制、これが余分だったかもしれませんが、安保体制は考え直す、そういう立場にはない、こういうことでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 安保体制はと言っても無理だから、それはいいんですよ。私がいま述べたようなことについては、検討する必要が起こるんじゃないか、また、検討しなかったら怠慢ですよ、これ。条件変わってくるんですから、それを言っておるのです。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 条件が変われば、それに対応した弾力的な運用、こういうことを考えなきゃならぬ、これは当然のことだろうと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 この問題の最後、もう一つあとに残しまして、さっきのこまかい個々の中で、空中給油の場合ですね、沖繩等でB52等に空中給油する場合、これはどういうことになるのですか、これの解釈は。

高島益郎外務省条約局長

○政府委員(高島益郎君) ただいまのお話は、沖繩のKC価という給油機がベトナム等へ作戦する米軍機に対して給油している行動をどう見るかというお話かと思いますけれども、これは将来、五月十五日に沖繩が返還された暁に、そのKC135の行動は、沖繩の基地を利用しての米軍の行動ではございませんけれども、KC価の行動自体が沖繩の基地を利用しての戦闘作戦行動というふうにはわれわれは観念しておりません。したがいまして、このKC135の給油行動そのものをとらえて事前協議の対象になるというふうには解釈いたしておりません。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 その給油より前に、B52は返還後にはもう残らないわけじゃないですか。というのは、ここに私は明確に、佐藤総理、これは四十五年十二月十五日、参議院の予算委員会で、「返還後は核兵器の持ち込みは認めない、」「沖繩からのベトナム発進は認めない。」「B52の常駐は認めない。第三国のベトナム等——たとえばベトナム等の軍人の沖繩での訓練は認めない」、これは総理大臣に私が確認した問題です。これを「再確認してよろしゅうございますか。」佐藤首相、「そのとおりでございます。」存在しないわけですよ。存在しないのですから、それを認めた上でのような、いまお話ですが、その辺はどうですか。

高島益郎外務省条約局長

○政府委員(高島益郎君) 私が申しましたのは、空中で給油する活動ということでございますので、沖繩にB52等が配置されるということは全く想定しておりません。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 だから、いまのは、沖繩に常駐はしなくとも、いま他から行く場合ですね、給油を沖繩でする場合には、対象にはならない。

高島益郎外務省条約局長

○政府委員(高島益郎君) たとえばB52が沖繩へきてそこで給油を受けてそこから発進するという行動は、これは当然事前協議の対象になると思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 空中給油は差しつかえないということですね。

高島益郎外務省条約局長

○政府委員(高島益郎君) これはどうしても法律上の問題といたしまして、事前協議の対象といたしましては、日本から行なわれる戦闘作戦行動の基地としての施設、区域の使用ということになっておりますので、形式論でございまするけれども、そこはさい然と区別されなければならないというふうに考えております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 そうすると、それらの問題は、やっぱり運用の面で詰める必要があるのじゃないでしょうか。これはちょっとおかしいと思いますね。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) その辺はお話のような非常にデリケートな点なんです。そこで、今度事前協議の対象についてアメリカと話し合おうという際に、この問題も加えてみようかというので、外務省でいろいろ相談をしてみた。しかし、これはなかなかそういう話がしにくい問題だ。つまり、わが国とすれば、わが国に存在、駐留しない飛行機がベトナムに向かう、そのベトナムに向かう飛行機に、途中において、沖繩から飛び立つところのKC価が給油をする、こういうことになるのであって、これは一種の補給活動なんですね。そこで、戦闘との関係ということから見ますると、かなり距離の遠い問題だ。これを持ち出すのはどうかなあというので、いま外務省では話に持ち出しがたい問題じゃないか、そういうふうな一応の見解をとるに至ったんです。いろいろ相談をしてみた。     —————————————

内藤誉三郎自由民主党

○主査(内藤誉三郎君) この際、分科担当委員の異動について御報告いたします。  ただいま河田賢二君が委員を辞任され、その補欠として星野力君が選任されました。     —————————————

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 次に、ちょっと問題違いますけれども、沖繩返還時における核兵器の撤去の確認の問題ですね、これは私さきに昨年の沖繩返還協定の審議の際に、サンクレメンテで十分詰めてもらいたいと要望した際に、総理も外相もこれを確認されて、先日の総括質問の際にこれを承ったところが、近く何らかの形でアメリカから意思表示があると思うとお答えになったわけですが、その後、やはりわれわれ想像したように、ロジャーズ国務長官の福田外務大臣あて書簡という形になるらしいのですが、それは明確に核撤去ということをストレートに明記するものではなさそうな報道もあるんですが、その辺はどうなのか。  それからもう一つは、ついでに一緒にお聞きしておきますが、その場合、私どもが沖繩返還協定の国会で求めたことは、それもさることながら、それを検証する方法も含めて何か強力なアメリカの処置、強力なというか、確実な方法、あるいは、それについての日本が確認し得る方法、そういうものは取り得ないものかということをお尋ねして、最善の努力を尽くす、こういうお答えがあったわけですが、今度のロジャーズ国務長官の外相あて書簡というものはどういうものになりそうですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これはロジャーズ国務長官から福田外務大臣あて書簡の形式をとることになりました。そして、もっとも、書簡の形式はとりますけれども、大統領の命によりということで、大統領の意思表示ということと同じものでありますが、それで、内容につきましては、まだここで申し上げる段階にはなりませんけれども、これはアメリカ政府が完全に約束を履行しておる、こういうことをきわめて明瞭に通告してくる、そういうことになろうか、こういうふうに考えます。  それから検証という問題につきましては、これは私どもといたしましては、それだけのことがありますので、あえてその権利としての検証ということは考えておりません。つまり日米間の合意に基づきわが国が権利としてその基地内を調査して回るというような意味のことは考えておりませんけれども、もしいろいろ疑義があるというようなことでありますれば、そういう際には適当な不安、除去のための調査はいたしていきたい、こういうふうに考えております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 一時から衆議院の本会議があるそうですので、これで終わりたいと思いますが、私この沖繩返還協定の審議の際に、大統領またはロジャーズ国務長官ということばを使ってお尋ねしたのですが、まあ大統領の命によりということのようですが、しかも内容をそれに値するように、できるだけあらかじめ要望しておいてもらいたいと思います。これで終わりますが、先ほど来申し上げますように、事前協議の問題を詰めていけば実にむずかしい問題が出てくるし、それから原則的な問題と運用の面が必ずしも分けて考えることのできない非常な複雑性を持っておると思います。ですからその場合には、ほんとうなら私外相とロジャーズ国務長官と話し合われたほうがいいんじゃないかというような気もするんですね。大使と話し合うんでしょう。大使とだれですか、もう一人は。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 安保協議会ですから、先方は大使とそれから太平洋軍司令官、この二人になります。当方は外務大臣と防衛庁長官、こういうことになる。しかし実際上はその二人に連絡をとりながら、事務当局が下話を進めていく、こういうことになろうと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 どうかそれは十分いまの問題点等も心にとめていただいて、実りある協議をしていただくことを要望して、私の質問を終わります。

内藤誉三郎自由民主党

○主査(内藤誉三郎君) 午前の質疑はこの程度とし、午後二時から再開することとし、暫時休憩いたします。   午後零時五十三分休憩      —————・—————   暫時休憩 午後二時五分開会

内藤誉三郎自由民主党

○主査(内藤誉三郎君) ただいまから予算委員会第二分科会を再開いたします。  休憩前に引き続き、外務省所管を議題として質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 午前中もかなり事前協議につきましてこまかい議論が行なわれましたが、私も引き続きまして、あるいは重複する点があるかと思いますが、確認をしておきたいと思います。  最初に、先般来、この安保条約の事前協議についてアメリカと交渉をするということを再三言われておりますが、まず、この交渉の時期ですが、どういった時期をお考えになっておりますか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これは、国会が終わりましてから準備を始めますので、国会終了後、数カ月後になる、こういうふうに思います。十二年間も事前協議制度というものはあるわけです。それをめぐって国会の御論議等もあります。そういうものを精細に検討する必要も当方にあるわけです。かたがた先方、アメリカ側といたしましても、安保協議会の委員であるところの駐日大使の更迭が行なわれた。また、太平洋軍指令官、もう一人の委員でありますが、この方も更迭途上にある。こういうようなことで、先方には先方の事情があろうかと察しておるんです。そういうことを考えますと、いま直ちにと、こういうようなわけにはいくまいじゃないかと考えております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 いま言われた国会終了数カ月後というのは、日本側の考えであって、その点についてのアメリカとの話し合いはまだやってないわけですね、時期についての。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) まだ、時期につきましても、また、そういうものをやるという、やりたいというようなことにつきましても、アメリカと話をいたしておりません。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 数カ月後、国会終了後数カ月後ということは、大体秋ということになりますが、秋ないしは年末。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) はい。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 まあ現在ベトナム戦争が激化しておりますが、その当時までどうなるか、今後の予想はつかないわけでありますが、米軍の徹退の状況から考えまして、まあ非常にいま現在はこういう緊張した状態でありますが、やはりある程度おさまる可能性があるかと思います。もしベトナム戦争がおさまって、米軍の徹退がかなり沖繩及び本土においても行なわれた段階でも、現在において議論されておるような時点についてはさらにお詰めになるつもりですか。それともそのとき、おさまってしまえば、特に大きな問題が出ないという点で、また私は議論がされないでそのままいってしまう。そういうベトナム戦争の状況にかかわらず、あるいは、米軍基地が日本における状況にかかわらず、この事前協議というものは詰めると、こういうふうに解してよろしいですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) それはベトナム戦争が終結をしたという問題、これにはかかわりなく整理してみたいと、こういうふうに考えております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 まあいまベトナム戦争にかかわらず整理をしたいと言われましたが、そうなりますと、事前協議だけではなくて、やはり安保条約そのもの自体にも検討が加えられるべきではないかと、このように思うのですが、その点はいかがですか。あくまでも安保条約プロパーはいじらない。岸・ハーター交換公文もいじらない。ただ、運用面で話をすると、そういう理解でよろしいですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私が考えておりますのは、そういうことでございます。つまり、安保体制にはこれは触れるという考えはございませんです。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 いま安保体制と言われますが、安保体制と安保条約とは少し意味が違うのじゃないかと私は思うのですが、安保条約及びそれに関する交換公文、それも触れないと、こういうことですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 安保条約並びにそれに関連する基本的な取りきめには触れるという考えはありません。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 まあいま問題になっておりますこの事前協議の装備の変更、あるいは戦闘行動、あるいは配置の変更、こういったことに関する交換公文、それからあとの取りきめというのは、これは口頭になっておりますね。一機動部隊云々等については、口頭できたいわゆる約束であります。今度、もし事前協議を洗い直して、そうして整理をして話し合う場合も、ただ単なる口頭の話し合いだけにとどめられるのか、あるいは、きちんとした文書という形にされるのか、その点はどういうお考えですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私が事前協議云々と言っている主たる問題は、これはとにかく安保条約、新条約になりましてから十二年もたっております。その間に、いろんな論議が行なわれておる。時に、事前協議の対象についての論議がかなり多いわけであります。国会において、政府は政府なりの見解を示しておるのです。しかし、アメリカ側との間で、わが国政府の見解についてこれを話し合い、また、お互いにこれを了解し合っておるかというと、必ずしもそうでない問題が多々あるわけなんです。そういう問題を整理いたしまして、両方相互に間違いなく了解しておこうと、こういうのですから、当然文書になる、書き物としておくと、こういうふうに考えております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 文書になると、交換公文という形になった場合、やはり安保条約プロパーの変更ということになってこないかと思うのですが、その点はいかがですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 安保条約には触れませんです。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 この交渉に当たってでありますけれども、先ほど来ずっとこまかい、空中給油の問題、あるいは戦闘の命令をどこで受けたか、受けないか、こういった点が非常に議論になっておるわけでありますが、へたをすると、かえってアメリカに抜け道というか、やりやすいような方法を教えるようなことになってしまわないか。おそらく文書の形になりますと、かなり抽象的なものになりはしないか。そうすると、いま、安保条約プロパーもいじらない。あるいは交換公文もそのままであるとすれば、それにつけ加わってきた口頭での約束というのが、一個師団、あるいは一機動部隊、あるいはまた、戦闘行動と、こういうことだけでありますから、それ以上文書の形でこまかい点はそういう具体的なことは全部列挙されてくるのか。そうすると、何か米軍に抜け穴というか、抜け道を教えるようなかっこうになってしまうと、こう思うのですが、その点はいかがですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 安保条約による事前協議は、これは日本が戦争に巻き込まれないための歯どめなんです。そこをどこまでも踏まえての話し合いでなければならない、こういうふうに考えておるわけですが、その歯どめをゆるくするのだ、こういうたてまえでやる話じゃありませんから、歯どめをどこまでもきちんとしておく。歯どめはきちんとしておく、こういうことでございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 歯どめをきちんとすると言われましたが、そうすると、アメリカの軍の立場からいいますと、事前協議などは戦争になれば一々めんどうであるという考えもあるかと思いますが。さらに、現在のこの事前協議よりも強い歯どめ、そういうことなのですか。それとも、いまと同じ状態、ただ、そういう問題をきちんとしておくというだけなのですか。私は、もし歯どめをきちんとしたいとされるならば、さらにその手かせを強めると、こうあるべきだと思うんですが、その点はいかがですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 主たるねらいは、きちんとしておく。つまり、疑義を残さないというところなんですが、自然、そのきちんとしておく結果が、これが歯どめをゆるくするというような結果にはなる性格の話し合いじゃないです。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 そうすると、きちんとするけれども、ゆるくならないということは、現状と同じであって、決して強まらない、こういうことになるんですね。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 現状と同じで、強まらないということもないと思うんです。つまり、いまは非常にあいまいな状態に置かれておるという性格の問題が多いんです。あいまいなということは、つまり、歯どめとしての効用、効力、これが薄いということじゃないかと思うんです。そういうことの諸問題について、これをはっきりしておく、こういうことですから、そういうはっきりしたことによりましても、これは歯どめとしてかなり効果のある問題じゃなかろうかと。なお、歯どめとしての作用、そういうものについての話し合いを通じて、まあ歯どめでありますから、これをきちんとしたものにしておきたい、こういうのが私の考え方でございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 ということは、先ほども羽生委員のほうからも出ておりましたが、装備の重要な変更と、それから配置の変更についての基準ですね。装備の場合は核です。それから配置の場合は、陸海空の単位がございますね、この単位は下げないと、こういうことですね。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 配置の問題ですね、これについては、私はそう実益のある問題じゃない、こういうふうに考えているのです。米軍は、もうこれから減るばかりで、ふえるというような事態は私どもは予想しておりません。ふえることがかりにあったとしても、それは相当大部隊がやって来る、こういうようなことは考えられない。したがって、問題は、わが国の基地から米軍が戦闘作戦行動に出動をすると、いわゆる出撃の場合である、こういうふうに考えまして、その辺に重点を置きたいと考えております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 ということは、いま言われたその配置と、装備の変更については、全然いじらない。その口約束の単位もそのままと、こう解していいですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 配置につきましては、そう論議をする必要はなかろうと思っております。それから装備につきましては、全然ないかとこう言うと、これはBCですか、BCというようなこともありますが、触れることがあるかもしれませんけれども、主たる論議は、それは作戦行動に移るその出撃の場合であると、こういう御理解でお願いしたいと思います。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 私は、もし、せっかくここで協議をされるわけですから、戦闘作戦行動以外の、いま申し上げた二つの項目についても、ぜひその歯どめをやはり強める方向で、まあかって問題になったのは、エンタープライズの問題、あるいは原潜の問題も、いろいろ、これはサブロックを積んでいるか積んでないか、確認ができないわけでありますから、原潜だけの寄港であれば事前協議の対象にならないと、ずっと言われてきておるわけですし、また、エンタープライズ一隻では、一タクスフォースではない、こういうことで、あの場合も、たとえベトナムに行こうが、日本海へ行こうが、事前協議の対象にはならなかった。しかし、今後、一機動部隊が日本へ寄港する場合には、これは相当たいへんなことだと思うわけですが、やはり、この際、かなり強力な空母であるとか、あるいはそういうかなり戦闘に、何というか、非常に大きな影響を与える程度の単位であれば、たとえ空母一隻であっても、事前協議の対象にすると、これぐらいの装備の変更については、配置の変更についてはやるべきではないかと。要するに、日本の中にある移動じゃなくて、私はやはり日本の基地へ寄港してそうして向こうへ行く、あるいは日本本土へ私はある程度たくさんの空母が今後補給等で帰ってきます。それなんかもひとつの、もちろん出撃というものもからみますけれども、やはりひとつの配置の変更ということも考えて、その単位を、もっと、タクスフォースとかにしないで、また、一個師団にもっと落としていく、これではどうかと思うんですが、その点はいかがですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 寄港の場合は、これはもう全然われわれは安保条約との関連において考えておりません。これは自由に寄港せしむるという考えであります。問題は駐とんの場合ですが、駐とんの場 に、そんな大きな部隊が日本に来て駐とんをいたしますと、こういうようなところは考え得られざるところである。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 そういうことは考えられないから、今後協議する場合は、配置の変更の単位を落とすべきではないかと、こういうことなんです、私の言うのは。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 別に落とす考えは持っておりませんです。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 それからいまCB兵器について触れられましたが、これは昨年の沖繩国会においても、毒ガスの横須賀から佐世保への問題で、わが党の黒柳委員がかなり追及をしまして、結果うやむやになって、サンクレメンテ会談で総理が話をする、そういうことで、あの時点はわれわれとしてはほこをおさめたわけでありますが、いお触れるかもしれないけれどもという弱い線であるわけですね。それが非常にあのときの状態と比べまして、せっかくこういう事前協議という点で一つのテーブルがアメリカとの間に持たれるわけですから、ぜひCBR三つともきちんと事前協議の対象にするというふうにすることが、私はまたさらに歯どめを強めるということになるのではないかと思うのですが、アメリカが同意する、しないは別として、こちらからはきちんと要求を出す、この点でいいのではないかと思いますが、その点はいかがですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) BC兵器につきましては、黒柳さんの質問等がありまして、総理はよくこれを記憶しておりまして、サンクレメンテ会談では私どもがそばで聞いておってしつこいと、こういうふうに思うくらい話をいたしております。ことにヤギの話まで持ち出しまして、どうもこれは両巨頭の会談になじまない話だなと思いながら、私も傍聴しておったのですが、そういう話をしております。そういう話の経過もありますので、これを事前協議とどういうふうなからまし方をするか、そういうふうな点は検討してみたいという頭があるのですよ。そういうことから、いまこれを日米協議会の際の話にするかもしれないと、こういうふうに申し上げたわけです。サンクレメンテではそういう総理の非常に熱心な話に対しまして、アメリカの大統領は、日本政府の政策には協力します、こう言っておるのです。そういう話がありますから、その辺もどういうふうに結末をつけていくか、こういうことが私の念頭にある、こういうことでございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 それでは、いまの二つの問題については、大体の意向はわかりましたが、戦闘作戦行動については、先ほど来こまかく詰められましたので、あえて私は聞きませんが、結局問題は、日本における、もちろん沖繩返還後も含めまして、復帰後も含めまして、米軍基地の性格ということが一つの問題になるのではないか、米軍基地というものはどういうふうに性格づけをするか、それが大きな事前協議のこの事項とも私は関連が出てくると思うのですが、あくまでも、今後の、現在はベトナム戦争へのある程度まあ考え方はどうも違うようですが、われわれとしては、うしろの基地になっておる、後方の基地になっておるような気がしてならないわけでありますけれども、要するに、米軍基地の性格というものを今後はどういうふうに、現在ではどう考えられておるか、今後米軍基地というのはどういう方向で変わっていくのか、その点はどういうふうにお考えになっていますか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 米軍の基地は、これは安保条約できわめて明瞭に書いてある。第六条、「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設および区域を使用することを許される。」、こういうふうに書いてあるのでありまして、「日本国の安全に寄与し、」「極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、」に日本国に駐留するアメリカ合衆国の施設及び区域である、こういうことであります。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 それは、安保条約ではそう書いてありますけれども、だんだん米軍が少なくなってきて、これから先ほどの議論に戻りますが、いわゆる配置の変更なぞはもう米軍が少ないのだから問題はないのだ、こういうふうに言われているわけですが、だんだん米軍基地が少なくなるにつれて、やはりその安保条約に書いてある条文は条文として、軍事的な面の上からの米軍基地というものは、現在かなり補給基地みたいになりつつあるわけであります。しかも、その補給がやはりいろいろ問題があるわけです。直接いまの在日米軍ではたして日本の回りに大きな脅威が起こった場合、完全に守れるかどうかも非常に疑問な点が多いわけでありまして、そういうことがあっちゃならぬわけでありますけれども、とにかく米軍基地というものが、かなり補給基地のようになってきておる、そういう点についてはどう認識をされておりますか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) かつてこの新安保条約ができるころには、米軍はわが国に三、四十万駐留したわけですね。それがだんだんと減ってまいりまして、今日では三万人、先ほど四万人と羽生さんにお答えいたしましたが、よく調べてみると、今日ではもうすでに三万になっておる。それで三、四十万人の米軍が駐留しておるという際には、実戦部隊がかなりおったわけでありますが、だんだんそれが引き揚げてまいりまして、補給部隊また航空部隊また艦船、そういうものになってきておるわけであります。そういうことで、実戦部隊がだんだん減り、そして補給部隊を残しておくというような方向にだんだんと変わっているんじゃないか、民社党あたりで有事駐留、こういうことを言いますが、やはり実戦部隊がわが国には少なくなった。しかし、一たん有事の際に、わが国に実戦部隊がやってくる。そういう際に、ある程度の施設がなければならぬ、それから同時に補給機能ですね、これを持たなければならぬ、そういうようなことから補給機能、そういうものはそう急激に減るというようなことはないと思うのですが、客観情勢の推移、これと並行いたしまして、実戦部隊というものは今後も減っていくのじゃないか、そういうふうに見ております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 いま有事駐留の話も少し出されましたが、いまの大臣の話を聞いておると、今後はそういう方向のように聞こえるわけでありますが、そうなった段階では、かなり安保条約そのものが私は現在も過去から比べると変わってきておるとみておるわけですが、さらに大きな性格変更が行なわれてくる、こう思うのですが、その点はいかがですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) どういう点が変わるというふうな矢追さんの御見解かよくわかりませんけれども、私どもはそう安保条約の体制というものが基本的に変わるというようなことは考えておりません。ただ、この運用面におきましては、客観情勢の推移に応じてかなり変化は出てくるであろうと、こういうふうに考えておるわけであります。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 まあ政府ではございませんが、自民党の中曽根総務会長は、安保再検討ということを、これは四月十七日の会合で言われておりますが、総務会長自身は、かなり前々から安保改定論者であるわけでありますけれども、自民党の総務会長の私的な意見かと思いますが、やはりこの安保条約というものが、いま私は事前協議だけではなくて、やはり安保条約そのものを検討していかなくちゃいけない。先ほど羽生委員のいわゆる安保はなくすべきだということを、これはきかないということでありまして、私も同じような考えでありますけれども、こういうふうな議論が党内にもあるわけでありまして、それに対して、政府のほうとしてはこういった議論はどういうふうにお考えになり、長期に立ってどうお考えになろうとしているのか。というのは、私は安保条約の性格はだんだん変わってきて、現在では、安保条約というのは一つの補充的なものだということは、これはもう前々防衛庁長官の中曽根さんも言われておりましたし、きょうも午前中に外務大臣もそういうことを少し言われました。だんだん日本の米軍基地がなくなってくると、最後残るのは核だけになってくるわけですよ。そうすると、核安保に変わる、アメリカの核のかさがほしいために安保条約を置いておくと、こういうようなことに最終的にはなってしまう。そうすると、非常にいろいろな点でまずいのではないかと私は考えておるわけですが、その点も含めまして、どうお考えになっておるか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 安保条約の今後につきましては、在日米軍はだんだんと減っていくだろうと、こういう見方をしております。しかし、いかに減っても、この兵たん補給の任務を持った部隊の駐留、これは残るであろう。さらに、まあ非常にはっきりしておるのは、わが国は核は持たぬと、こういう考え方を堅持しておるわけであります。そこで、アメリカの核兵器はわが国には存在しないけれども、しかし核の脅威に対しまして、わが国の外に駐在するアメリカの核兵器というものが、わが国に対して、核攻撃への抑止力としての機能を持つであろうと、こういうふうに考えます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 で、事前協議の問題、もうこの辺で終わりたいと思いますが、要するに一九六九年、この前の佐藤・ニクソン会談のときの沖繩返還に対する代償というような形で、総理がナショナル・プレス・クラブで演説をされた中に、結局、その事前協議というものが、要するに、ある程度アメリカ側にプラスになるようなニュアンスの発言をされておるわけですね。事前協議へのすみやかな前向きの対応、こういうことを言われておる。この前向きというのは、歯どめを強くする意味の前向きてあればよろしいのですが、この場合は、むしろ逆であって、結局これがかなり自由発進であるとかなんとかいう議論になったと思うのですけれども、このナショナル・プレス・クラブの演説、これはいまの時点で外務大臣はどう評価をされるか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) あのナショナル・プレス・クラブの演説は、これはちょうど朝鮮半島ではプエブロの事件があって、あのプエブロ事件というのは、アメリカから見るとたいへんな事件でありまして、さてエンタープライズまで出動させるかと、こういうところまで発展したわけでありますから、これはたいへん朝鮮半島とすると緊張した事態であった、そういう時点ですね。その直後の日米首脳会談ですから、そういう客観情勢を踏まえないで会談が行なわれるというわけはない。そういうことから、ああいう表現の朝鮮半島に対する条項というものが出てきたんだろうと、こういうふうに思いますが、今日、私は、かなり事情が違ってきておる。今日、この時点における朝鮮半島の状態は、あのときの時点とはかなり様相が変わっておる、こういう見方をしております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 もし、アメリカ側がそういった六九年のときの共同声明あたりをたてに、特に沖繩の場合などは例外として、自由出撃等を許すような、かなりこう何といいますか、こちらがいま外務大臣がいろいろ整理をしてきちんとすると言われておりますが、ゆるめるような方向でくると思うけれども、それに対してはかなり強い姿勢で臨まれるおつもりですか、あくまでも。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私は、どこまでも安保条約、十二年間の間にいろいろ論議があって、まああいまいな点も多々ある。ことに、アメリカとの間の了解ですね、これがどういうふうになっているか、その辺を整理しておかぬと今後この事前協議条項の運営というものは事態が非常にむずかしくなる、そういうふうに考えておるのでありまして、この朝鮮の状態がどういうふうになるか、あるいはベトナムの状態がどういうふうになるか、そういうものにかかわりなく、まあ客観的に問題を整理してみたいという考えでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 関連。  いま外相がお話になったし、先ほど休憩時間にちょっと私が申し上げたように、もしアメリカが——もしでなしに、前に太平洋司令官、元司令官なり国務次官が、それは日本の一方的解釈でわれわれが関知しないところだと、こう言っているわけですね。したがって、もし日米間の話し合いをして、全く意見がととのわないと、全部アメリカが、一方的に、それは日本の解釈でわれわれはそれを認めないと言った場合には、これはどういうことになるのでしょうか。これはまた全部御破算になってしまうわけですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これはもう話をつけなければなりません。これはもう話ししかけて、つかないという場合は予想したくありません。これはまあ意見の相違はあるでしょう。あるでしょうが、お互いにお互いの立場を認識し合って妥当な結論に達すると、こういうことかと思います。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 いまの問題に関連して、最後にもう一度確認をしておきたいのですけれども、要するに、アメリカとの間の話し合いが、これはまあ見通しでありますけれども、いま言ったようにかなり強い姿勢で出てくるのかどうか。私はその強い姿勢で出てきたときはいいとかいうとちょっと語弊がありますけれども、私が最初お聞きしたのは、その数カ月後というのが、外務省としていろいろな作業というのでは、たいへんだと思いますけれども、やはりベトナム戦争がこういう状況になって、日本の基地からいろいろ向こうへ、間接的であるにせよベトナムへ最終的には行っているわけですから、沖繩を含めまして、沖繩がまだ米軍のもとにあるからこれはやむを得ないとしても、むしろ沖繩復帰後すぐに私は一応テーブルにまずつく。こまかい詰めば少々ずれてもよろしいわけでありますが、やはりそういった点では行動は早い時期に、しかも、いまこういう問題が出ているときにアメリカに対して強い姿勢をやらないと、私が心配するのは、ベトナム戦争がおさまってきたと、そういうようなときに、いま別に問題ないじゃないかと、こうなる可能性が十分考えられて、結局、また、現在問題になっているこの事前協議は抜け穴であると、形だけであると、今後一切行なわれないと、そういうことになってしまうおそれがありますので、私は、むしろすみやかに、数カ月後と言わないでやるべきであると思うのですが、その点に関してどうお考えになっておるか、それをお伺いして事前協議の問題は終わりたいと思います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) それは矢追さんと私は逆のような感じがします。つまり、ベトナム戦争が激化しておるというと日本の基地に対する関心が高くなる、そうして姿勢も強くなる。しかし、ベトナム戦争自体がおさまる、まあアジアの緊張全体としておさまるというようなことになると、わりあいにこの問題についてアメリカは話しいい相手になるのじゃないか、そういうふうな感じを持ちます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 事前協議の問題はまた締めくくり総括にあとを譲るといたしまして、現在UNCTADがまだ開催中でございますが、愛知代表が帰国をいたしまして、中国との接触の件について、くわしいことは報告は出ていないようでありますが、いろいろ話があったと、接触をしたと、こういう報告が出ておりますが、この点について外務大臣はどういう報告を受け、どういう評価と認識をされておりますか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 愛知前外務大臣から報告を聞きました。そうして、まあ主たる内容はUNCTADのこの会議の模様でありましたが、なお関連いたしまして、中国の代表が来ておった。そこで、中国の代表ともパーティー等で、あるいは会議の合い間等におきまして相接する機会があった。しかし、仕事の上の話はしない、仕事というか日中間の国交の話についてはしておりません。ただ社交的な辞令という程度のものであったというのですが、その限りにおきましては、きわめて友好的であった、そういう報告を受けております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 で、再び会議には行かなくてもよいという考えを明らかにされておりますが、今後の会議の発展次第ではかなり問題が起こるわけです。特に、通貨調整の問題あるいは政府間援助の問題、それから、特に中国が入ってきたために、かなり米ソに対しては強い批判をする演説をしておりますし、まあ何かと発展途上国と先進国の間にトラブルが起きる可能性も考えられるわけですが、私は、この前の総括質問の関連でも申し上げたように、やはり日本というのは、ある程度開発途上国の立場を理解しながら、むしろ先進国との調整役を買うべきだ。しかも援助は、政府が、さらに大きく他の国をリードするように経済援助というのはふやすべきだ。こう思うわけでありますが、そういった点で、今後の会議の成り行きによっては、さらに愛知代表を出されるお気持ちはあるのか、あともう二週間ぐらいで終わるわけでありますけれども、その点はいかがですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 愛知代表を再び派遣をするという事態はただいま予想しておりません。日本の代表部には、大蔵、通産、農林、それの前、元次官を顧問として参加をさせておるわけです。大体その方々のアドバイス等がありますれば片づき得るというような状態であります。御承知のように、首席代表は愛知前外務大臣でございますけれども、外務省からも代表を出しておりますので、その陣容でありますれば、問題は愛知首席代表の出馬を待たず解決し得る、こういうふうな見通しでございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 こういった発展途上国に対するまあ日本のあり方ということについて、いろいろな会議が行なわれておりますが、もう一つこの六月に行なわれる、今度はソウルで行なわれますASPACでありますが、これは非常にUNCTADと違いまして、いままで中国はもちろん参加していないし、韓国がリーダーシップをとってできた、しかも台湾がいま入っておる。それで日本は、もちろん会議に参加をすることなにると思うのですけれども、今度参加する場合は非常に日本の態度というものが注目をされると思うんですが、特に中国に対しての配慮になるかと思いますが、このASPACに臨む態度、これはどういうふうにお考えですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) この問題は、西村さんからけさほど話がありました。お答えもいたしたんでありますけれども、アジア諸国は一団として仲をよくしていく必要がある、それにはいろいろの仕組みを持たなければならぬ、こういうふうに考えておるんであります。あるいはASEANの仕組みあり、あるいはアジア開発閣僚会議あり、またアジア開発銀行という金融機構もできておりますが、まあ非常にざっくばらんにあらゆる問題について話し合いのできる場としてもう一つASPACがあるわけです。そこで、このASPACにつきましては、従来ともわが国は、いわゆる反共軍事体制というような色彩があっては相ならぬ、そういうものでありますれば、わが日本は消極的たらざるを得ないという立場を堅持してきたわけであります。まあわが国の主張も通りまして、今日ASPACの性格は全く文化あるいは福祉あるいは社会、そういう問題についての論議の場となっておる。そういう現況でありますので、私どもは常のごとき態度をもちましてこのASPACの会議には臨み、もしそういうわが国の姿勢に対しまして疑義が生ずるというようなことがありますればこれを是正する、こういうかまえでいきたい。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 それでは、経済援助の問題で、時間がありませんので、二、三お伺いしたいと思いますが、インドシナ半島に対する経済援助、これは南と北と二つになりますが、まず南に対する援助でありますが、現状と今後の方向、それから北に対する現状と今後の方向、まずこれをお伺いしたいと思います。

大和田渉外務省経済協力局長

○政府委員(大和田渉君) 南と北、要するに、ベトナムに対する援助の実情ということと了解いたしますが、経済援助は、御承知のように無償のもの、有償のもの、それから無償の一環としていわゆるKR援助、こういうふうに分かれます。  その実績を全部申し上げますと、かなりございますが、有償の経済協力の実績及び案件で申しますと、名前だけ申し上げますと、ダニム発電所に対する輸銀の円借款、それから経済開発借款に関する取りきめ、それからサイゴンディーゼル発電所に対する輸銀の円借款、それからカントウ火力発電所に対する基金の円借款、それからサイゴンの市内の電話網の拡充に対する基金の円借款というようなものがございます。その他、案件としてはダラット・カムラン送電線の計画、通信衛星地上局の計画、ファンランかんがい計画というようなものが有償のものとしてございます。  それから無償の援助といたしまして、ベトナムに対しまするものにつきましては、難民住宅の建設、それからチョウライ病院の改築、それから孤児職業訓練所、それからダニムの発置所の修復というような四件がございます。  それからKRのいわゆる食糧援助の問題でございますが……

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 わからなかったら、あとでもいいです。

大和田渉外務省経済協力局長

○政府委員(大和田渉君) KRの例は後ほど御説明いたします。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 北のほうはどうですか、北ベトナム。

大和田渉外務省経済協力局長

○政府委員(大和田渉君) 北ベトナムに対しましては、御承知のとおり、まだ外交関係がございませんので、政府間レベルの援助というものはいまのところ出ておりません。ただ、いわゆる外交関係のあるなしにかかわらず、人道的なものに対してはそういうことを考えずにやるという基本的な考えを持っておりまして、昨年の実績で申しますと、一万ドル、三百六十万円を日本赤十字社を通して援助として出しております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 北ベトナムに対して、いま赤十字を通じてと言われましたが、先日来かなり政府は三宅課長を通じ北ベトナムとの接触もされ、先日また代表団が参りましたが、北ベトナムは日本に対してかなり柔軟な路線で臨もうとしておると、こういうことを私は聞いておるわけですが、その点の感触はいかがですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私どもが判断いたしておりますとですね、北も南ももう長期にわたる戦争に飽き飽きしたと、早く戦争を終えたいと、こういう感じに満ち満ちておるという状態かと思います。そういう背景のもとに、わが国に対しましては、まあ戦争の当事者ではありませんけれども、アジアの友邦として、そういうことで何かできないものかという期待もあるようでございます。そういう状態で、日本に対しましてはかなり期待感というか、親近感というか、そういう悪くない感じを持っておるように見受けるんです。私どもも、この南北ベトナムが今日のような不幸な状態にあるということは、友邦といたしまして見るに忍びざることである。そういうようなことから、局外者ですから、なかなかきっかかりをつかむことはむずかしいんでございまするけれども、お役に立ち得ればという姿勢で事態をながめておるというのが現状でございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 かなり政経分離の立場で北ベトナムは日本に対して接触をしてきたいと、こういう意向であるということを伺っておりますが、やはり政経分離の立場で、現在の中国とのように、もちろんベトナムが平和にならなければいけないと思いますが、やはりその線で進めて、後に国交を回復していくという方向なのか、それとも、まず国交の回復を先にやってという考えであるのか、その点はいかがですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) いまベトナムでは南北に戦争があり、かつ、その南のほうとわが国が外交関係を持っておるというこの現実につきましては、北もよく承知しておるんです。それにもかかわらず、わが国に対してある種の期待感を持っておると、こういう状態でございますから、そこから出てくるベトナムの日本への接触、これは外交関係というようなところへ直行することはおそらく考えていないと思います。やはり積み上げ式な形で友好を重ねていきたいと、こういうことではなかろうかと思います。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 で、三宅課長が行かれたときの北ベトナムに対する打診の中に、ハイフォン港の改修というような問題があったということが新聞記事で出ておりますが、先ほど医療援助だけと言われましたが、もし戦争が終結をしたならば、そういった工業あるいは経済にわたる援助もされるおつもりなのかどうか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) ベトナム半島に平和が到来すると、そういう事態になりますると、これはたいへんな戦後処理問題が起こってくると思うんです。これは戦争の一方の当事者であるアメリカも責任を持たなければならぬ問題であろうと、また、北ベトナムの背後に強い関係を持っておるソビエトロシア、これも協力しなければならぬところであろうと、こういうふうに見ますが、わが国は、やはりアジアの友邦といたしまして、この南北のベトナムの戦後処理、復興というものには積極的な姿勢で協力をいたすべきであると、こういうふうに考えております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 現在、非常にきびしい戦争で、むしろこのベトナムの和平に日本政府が私はもっとアメリカに対しても強い姿勢で臨んでもらいたいんですが、なかなか傍観者的立場を捨てられないわけでありまして、非常にその点は残念でありますけれども、南の援助につきまして、先ほど言われましたチョウライ病院とか、そういった食糧援助、これはまことにけっこうなんですが、たとえば通信関係等はやはり現在の戦闘のためにかなり役立っておるわけでして、たとえばラオス空港の拡張にしても、あるいは通信回線などのこういうふうな援助というものは、やはりすべて戦略的な問題につながってくるわけですが、少なくも、ベトナムの和平が実現するまでは、そういった医療援助あるいは食糧援助、難民救済、これは北も南も同じようにそういった点ではやるべきだ、大いにやるべきであると思いますが、そういう間接的になりますが、軍事援助といいますかね、それに結びつくような援助は、やはりポストベトナムの場合は復興ということでこれは大いに意義があると思います。現在、南ベトナムに対してやられているこういうようなものは、いまストップすべきじゃないかと思うんですが、その点はいかがですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 援助が戦闘とどういうふうな関係になるか、これは限界がなかなかむずかしい問題であろうと思います。いま米なら大いに援助したらどうですと、こういうようなお話でもありますがね、これが一体この南北の戦争に全く縁のないものかといえば、そうも言えない問題だろうと思いますが、やはり私どもは、直接この戦闘に関連のないというところに限界を置いて対処しなければならぬかと、こういうふうに考えておるんです。これは、南のベトナムはわが国と国交関係も持っておるということで、その電気だとか、そういうようなものにつきまして援助をする、これもそう刺激的なことでもないんじゃないか、さらばこそ、北ベトナムでもわが国に対して親近感を示すということじゃないか、その辺は常識的に判断をして、この辺がまあまあ民生協力だというところでいくほかないので、これを理詰めにやっていけば、これは援助というものはできないようなことにもなりかねないと、こういうふうな感じもするんです。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 まあ同じような援助の問題になりますが、この三月の終わりにバングラデシュに対する使節団ですね、援助の視察団を出されたといいますが、このバングラデシュに対しての援助も、やはりバングラデシュをめぐりましてインドあるいはソ連と中国、いろいろと問題のあるところでありますが、ここもやはり将来の状況が変われば別でありますが、現在の時点からいえばやはり人道的な援助のみにとどめる、そういうふうなほうがいいのではないか、むしろ間接的にせよ、そういった軍事協力というか、そういうことになってくるといろいろ問題が出てくると思うんですが、その点については、やはり食糧援助とか、そういうことだけに限られるおつもりですか。それとも、かなり経済援助というのは、この使節団といいますか、このバングラデシュに対する政府のあり方が、そういった人道的立場だけ、また、それを目的とした人たちだけであればよろしいんですが、アンチ北京といわれるような人たちが介入をしてきたり、あるいは、いろんな問題が出てきた場合はやはり中国を刺激する場合も出てくる。何も気がねする必要は私は決してないと思いますが、やはりこれは慎重にすべきであろうと思うのですが、その点についてはいかがですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) バングラデシュの援助は、これはもう純粋にいままでは人道的な立場からやっておるのです。この間で千万ドルになりますか、それからバングラデシュの難民がインドに非常に流れておる、流入しておる。その方々のために別に五百万ドルというような援助をしたんですが、これはもう純粋に人道的なものです。しかしこれは、バングラデシュはすでに国をなし、わが国もすでにこれを承認し、多くの国々がこれを承認をいたしておるのであります。これが戦後復興のためにいろんな企画をするという際におきまして、わが国が手をこまねいておるということは妥当でないというふうに考えます。今後適当なプロジェクトがあり、ぜひ協力をしてくれという事態でありますれば、これはもとよりケース・バイ・ケース、そのプロジェクトを検討しなければなりませんけれども、この協力をするつもりであるし、また同時に、バングラデシュと対立する立場にあるパキスタンですね、まあ俗に西パキスタンともいわれるパキスタン政府において同様な企画がありますれば、これにもまた協力するという、両方に協力する立場をとることが私は妥当であると、こういうふうに考えます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 時間がありませんので、最後の問題に移りますが、これは留学生問題であります。  わが国に留学しておる学生というのは、ほとんど国費留学生ではなくて私費留学生が非常に多いわけでありまして、国費留学生の場合はそう問題はないのでありますが、私費留学生の場合が非常にいろんな問題点があるわけでありまして、特に国際学友会、これに対して政府から補助金が出ておりますが、これは昨年度から今年度にかけてかなり金額が減っておるわけですが、これはどういう理由で減らされたのですか。

加川隆明外務省情報文化局文化事業部長

○政府委員(加川隆明君) 実は、昨年は二億円ありまして、四十七年度の予算では約一億四千六百万円お願いいたしておりまして、これは仙台に昨年は寮を建てまして新しい施設をつくったわけです。それに一億円出していただいたものですから、大体一億円がベースになってやっておりましたけれども、昨年度は二億円、今年度、つまり四十七年度には一億四千六百万円ということをお願いしているわけで、実際問題としては五〇%近くふえたというふうに言えると思います。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 昨年の秋に、ここの会に入っておる学生たちが理事者を相手どってストライキをやっておるわけでありますが、このストライキの解決は、一週間ぐらいで、したわけでありますけれども、この要求と回答ですね、こまかいと時間がかかると思いますが、大ざっぱに、どういう点が問題になって、どういう点で解決をしたか、説明してください。

加川隆明外務省情報文化局文化事業部長

○政府委員(加川隆明君) 実は、食堂施設の改善とか、まあ要するに施設面での改善ということが主たる要求でございました。そこで大蔵省とも話し合いまして、特別に、まあ少額でありますが百八十万円の経費で、ただいま食堂施設の改善、バスケットコートを整備する、それから、ことに便所、洗面所についての要求もありましたので、これの修理等も実施しております。しかし、これは何と申しましても建設後三十年たっておりますものですから、相当老朽しておりますので、ただいま根本的対策として全施設の改築を行なうということを考えて寄り寄り検討しております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 この要求の中を見ますと、非常にもう何といいますか、かわいそうなぐらい身近な問題にほとんど限られておるわけです。いまも少し言われましたが、食堂のおかずですね、おかずの問題などだって問題になって、まあ委員を双方から選出をして協議する。それから、まあ換気扇がないとか、あるいはバスケットコートの照明、それからまあ暖房の時間ですね、これをもうちょっと時間延ばせとか、それからごみ処理、まあ非常にもうほとんどが生活環境の問題。特に、お湯だって、これ、一日じゅう出してくれ、ふだんは午前六時から午前十一時まで、及び午後四時から午後十二時まで、日曜、祭日は午前十時から午後十時まで供給する、これで話ついたわけでありますけれども、お湯が一日じゅう出なかったとか、非常にその中身がたいへんなわけです。しかも、現在でもまだ問題点は、設備においては非常ばしごがさびついておるわけですね。しかも修理はされていない。それから個室のかぎがもう全部こわれちゃっているんですね。何の役にも立たないで、ドアの外側についているわけです。窓ワクは全部さびてくさっている、ほとんどの個所が。そういう、非常に何といいますか、留学してくる人たちが、自分たちのもとの国の学校よりまだ日本へ来たほうが程度が悪いわけなんですね。せめて自分たちの国並みの待遇の改善を要求しておる。非常にささやかな要求によるストライキで、しかも非常に微々たる援助である。補助金しか出ていない。いま五〇%ふえたと言われますけれども、まだまだこれはもっと予算をつけなければいけないのじゃないか。東南アジアの人が多いわけでありますけれども、留学生というのは、向こうへ帰ればかなりの立場の人が多いわけでありまして、この辺をちゃんとしないで、幾らエコノミックアニマルじゃございませんと言ったって、どうしてもそうとられてしまう。やはりこれは根本的に建物あたり一ぺんに建てかえても私はいいんじゃないかと、こう思うんですが、大臣、その点はいかがお考えですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 学友会には、矢追さん御指摘のそういうような問題があるようです。そこで、今後の問題としては、そういう老朽施設の近代化、また待遇の改善、まさにいま問題になっておるような問題の解消にひとつ努力をしたいと、こういうふうに存じております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 それから、もう一つの問題は、先生の問題なんです、教員の。  これが非常にやはりこの要求の中にも出てきておりまして、教師の質と制度、この改善を言われておるわけです。で、やはり日本語を教える教師が非常に不足をしておる状態であります。これは文部省お見えであったら文部省でもよろしいのですが、この点については具体的にどのようにこれから——ここに限らず、どういう計画をお持ちですか。

植木浩文部省大学学術局留学生課長

○説明員(植木浩君) 留学生の日本語教育についてのお尋ねでございますけれども、まず国費留学生につきましては、府中に東京外国語大学の附属日本語学校というのが新設をされまして、ここで学部に進学いたします留学生についての日本語教育を中心とした全寮制の集中教育を行なっております。これはまだ始まったばかりでございまして、私どもとしては、この日本語学校において充実した日本語教育が行なわれるように努力をいたしたいと思っております。また、大学院レベルの留学生で、日本語の知識を持っていないまま日本へ来る者が多いわけでございますが、これらの留学生につきましては、大阪外国語大学の留学生別科というところで六カ月ないし一年の日本語の集中教育を行なっており、これらにつきましても寮を備えておるわけでございます。さらに将来、国へ帰って日本語の教員になりたい、こういう志望の外国人留学生につきましては、東京外国語大学に特設日本語学科というものをつくっておりまして、ここで日本語の教員養成というものを行なっておるわけでございます。しかしながら、外国人に対します日本語教育あるいはそういった日本語教員の養成という点では、先生御指摘のように、まだまだこれから改善の余地が大いにありますので、私どもといたしましても、さらにいろいろと検討してまいりたいと、このように考えております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 その検討でありますが、要するに、なぜこういうのが充実しないのか、給料の点が一つだと思いますけれども。それからまた身分保障といいますか、給料を含めて、そういった点がもう少し保障されないからこういった点が不足をしているのか、問題点がどの辺にあるのか。それをどういうふうに——ただ検討するだけじゃなくて、解決への道はどういうふうな形でされようとしておるのか、その点をお答えいただきたい。

植木浩文部省大学学術局留学生課長

○説明員(植木浩君) 日本語教育におきます問題点といたしましては、やはり何といいましても、従来、私どもが日本語というものを国語として学んできた、外国語としての日本語といいますか、外国人に教えるための日本語というものに対する見方が率直にいいまして足りなかったわけでございます。それでいろいろ先駆者はそういう点努力をしてまいってきておるわけでございますが、まだまだ何といいますか、学問としての日本語教授法といいますか、その点がまだ不十分でございまして、まず、そういった点の開発といいますか研究改善がなされなければいけないと思います。  それから次に、いま先生御指摘ありました日本語を教えている者に対する、日本語の教官の待遇等ございますが、私どもの行なっております国立大学におけるそういった留学生課程等では、これは大学の教官としての身分を持っておるわけでございまして、かなり保障をされておるわけでございますが、民間で日本語を教えておられます先生方は、いわば各種学校の先生、こういう身分になりますので、国立大学ほどはあるいは保障をされていないかも存じませんけれども、国立大学等で教えております先生は、そういったことでかなり保障をされておる。しかし、何といっても学問としての分野がまだまだ確立されておりませんので、そういった点と相まって今後日本語教官の地位が向上していくのではないかと、このように考えておりますので、私どもとしても努力するつもりでございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 次に、日本語の教科書なんですが、これはあまりこの点についてチェックをしろということになりますと、また教科書検定の問題とからまりまして非常に問題になりますのであまり私もやりたくはないんですけれども、この内容についてはちょっと問題があるように思います。これは国際学友会のほうではたしか使われていないと思う本でありますけれども、こういうのがあります。特に、これは文部省所管でありますけれども、外務大臣にぜひ御承知おきいただきたいんですが、たとえば日本に対する書き方ですが、「日本は太平洋にある島国で、その北にあるシベリアとの間に日本海があり、日本海の西にはちょうせんがあります。以前から人口が多く、その上世界大戦でまけて、たいわんやからふとなどの領地をなくしたので、せまい所にたくさんの人が住まなければならなくなって困りました。」と、それからちょっと飛ばしまして、「しゅふの東京は世界でも一番大きい市で、西洋風のたて物がたくさんあります。しかし、地震が多いから、あまり高いたて物をたてることはできません。」と、それからその次ちょっと飛ばしまして、中国の問題については、「中国はアジア大陸の一部で、日本のやく三十倍もある大きい国です。しなとよぶ人もありますが、中国人はこの名前がきらいだそうです。今はたいわんの中かみん国と大陸の中共に分かれています。」と、こういう三カ所出てまいりまして、これが非常に留学生の間で、特にこの最初の、台湾からの留学生がおりまして、台湾や樺太などの領地をなくして、狭いところに住まなければならなくなって困りましたと、この辺がだいぶカチンときているらしいんです。この教科書を見ますと、昭和二十五年初版です。で、再訂版が三十九年、訂正増刷が四十五年となっておりますが、ほとんど中身は変わってない。二十五年から二十年間そのまま使われてきている。これは教科書を全部チェックしろというと、また検定になると私は困るんですが、こういう著者の考え方もあると思いますから、自由でいいといえばいいんでありますけれども、やはり留学生を刺激するような個所については考えるべきであると思うんですが、文部省としてはどうお考えになっているか、また外務大臣は、こういう点についてはどのようにすればいいと思われますか、お伺いしたいと思います。

植木浩文部省大学学術局留学生課長

○説明員(植木浩君) ただいまの教材の中身についての御指摘でございますが、教材はいろいろ現在種類がたくさんございまして、私どもとしてもすべてについて詳細は存じてないわけでございますが、文部省あるいは文化庁といたしましても、教材の中身の改善ということについては、たとえば指導者の研修会を行なうとかモデル的な教材をつくるとか、そういう形でいろいろ努力をしておるわけでございまして、ただいま御指摘があったような点は、やはり留学生にこれを教えるには必ずしも適当でないと、このように存じますので、できるだけいろいろな機会をとらえまして、教材内容が適切にできますように指導をいたしたいと思っております。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) いま文部省からお答え申し上げましたのですが、なお外務省といたしましても、文部省と協力いたしまして、教科書の適正化に努力をいたしてまいりたいと考えます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 最後に大臣に、これを含めまして、まあいろいろ外交をおやりになっておるわけでありますけれども、やはり文化外交というものを日本としてはもっとやらなくちゃいけない。特に日本に対する理解が、最近エコノミックアニマルということで非常に反発を買っておるおりだけに、もっと対外といわず、要するに、外国におきましても日本に対する資料というか、そういうようなものも少ないし、いろんな各国の博物館を回りましても、日本のところに置いてあるものは古いものであったり、現在とはかなり認識の違ったものも、歴史の流れとして置いてあるのはいいのですけれども、いまの東京はこうだというのがかなりあるわけですよ。そういう点は大臣御存じだと思いますけれども、そういった点で、文化外交ということにはさらに力を入れて、ドルが相当あるわけですから、そして日本は平和な国なんだと、戦争なんかしないと、金もうけだけ考えているんじゃないと、そういう点は示す必要があろうと思いますので、その点の大臣の所信をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 矢追さん御指摘の点は、まさに私はいま日本外交が、外交がという以上に、日本国が当面している最大の課題である、こういうふうに考えます。わが日本は、わが日本だけでやっていくわけにはまいりません。やはり世界の繁栄、発展の中に日本の発展、繁栄を求める、世界の平和の中に日本の平和を求める、こういう姿勢をとらなければならぬし、とっておる日本とすると、おのれを外国に理解させるということと同時に、外国をわが国も理解する、それに思い切った努力をしなければならぬ時期にきている。国際交流基金を設置するなど、その考え方の一端でございますが、そういう方向に国をあげて全力を尽くしてまいりたい、かように存じます。

大和田渉外務省経済協力局長

○政府委員(大和田渉君) 先ほど矢追先生の御質問に私お返事できなかったのでございますが、ベトナムに対するKR援助でございますが、四十四年度に百万ドル分の農業物資が出ております。以上でございます。

星野力日本共産党

○星野力君 私は、ベトナム戦争の再拡大と日本の関係、それに対する政府の態度などについてまずお聞きしたいと思います。  御承知のように、ベトナムの戦局が非常に緊迫、激化しております。ニクソン政権は、ベトナム戦の作戦区域に空軍、艦隊を増強し、B52数十機を含む七百機からの軍用機、また大型航空母艦を中心とする五十隻の艦隊を投入し、南ベトナムには海兵隊などの地上戦闘部隊も新たに上陸さしております。そうして全面的北爆を再開し、しかも、いきなりハノイ、ハイフォンまでも爆撃しております。事態は一九六八年四月以前に逆戻りましてしまったわけでありますが、しかも、ジョンソンの時代まではB52が北緯十八度まで侵入したことはありませんでした。ニクソンは二十度以北のハイフォンやタインホアの爆撃にもB52を使っております。ハイフォンでは、ソ連や東ドイツの船舶が被弾し死傷者も出ております。これは国際的に重大事態を引き起こすおそれのある問題でありますが、日本政府は、このようなニクソン大統領の北爆再開を支持なさるかどうか、まずお聞きしたい。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) アメリカの北爆につきましては、これは、アメリカは、北ベトナムが中立地帯を侵犯して南進をした、これに対する対応であると、こういうふうに説明をいたしておるわけであります。また、いま無差別爆撃だというお話でございますが、無差別爆撃はいたしておりませんと、補給基地等一定の目標をきめての爆撃をいたしておる、こういうことを言っております。北ベトナムにつきましては、私どもは正常な国交を持ちませんものですから、言い分につきましては伺っておりませんけれども、とにかくそういうまあアメリカ側の言い分——これは今度の軍事的側面だけを見ますると、そういうことを、アメリカの言い分をというか、事実はこうだということを是認するという意見が多いようであります。しかし、それはそれといたしまして、わが国は、この南北の争いに対しましては局外者でありますので、その一方がよくて一方が悪い、一方だけを責め、一方だけはこれを支持するとか、あるいは非難するとか、そういうことはできない。そういう立場にあるわけです

星野力日本共産党

○星野力君 私は、まだ無差別爆撃ということは言っておらないんですから、大臣先取りしてお答えになったわけです。  実際、一般民衆に対する、無差別に一般民衆を殺傷する野蛮な爆撃だと思いますし、重大な戦争犯罪だと思うのでありますが、大臣はただいまの御答弁では、全面的にこれを支持するというわけにはまいらぬと、こういう含みのことを言われたと思うんですが、そうでございますね。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これには介入しないと、いずれが非であり、いずれが是であるという判断は下しません。

星野力日本共産党

○星野力君 私は、だれが見てもアメリカの現在の行為は正義人道に反するものだと思います。正義人道に反するだけでなしに、非常に愚劣な行動であると思うのです。愚劣と申しますのは、北爆をどれほど強化したところでベトナム人民の抗戦意思をくじくことができないことは、アメリカが北爆を本格化した一九六五年の二月から六八年十月末の北爆停止に至る四年近い歴史の現実がはっきり証明しておると思います。ニクソン、キッシンジャー、こういう人たちは、その教訓に少しも学んでいないという意味で愚劣だと、こういうわけであります。しかも、この北爆というのはきわめて残虐な行為であります。都市の人口密集地帯まで無差別に、ほんとうに無差別に爆撃するのでありますから、当然一般市民にたくさんな犠牲者が出ます。死傷者の大半が子供、老人、婦人でありますが、こういうことを許されると思いますか、そういう事態を。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) アメリカは、無差別爆撃をしておるとは言っておりませんです。先ほど申し上げましたように、一定の軍事補給基地等を目ざして爆撃を行なっておると、こういう説明をしております。

星野力日本共産党

○星野力君 あなた、繰り返してそういうことをおっしゃる。いかにもアメリカは、軍事目標や戦略的な施設を攻撃するのだと、こう言っております。しかし、このことは、ごく常識的に観測しても、私は信用できないことだと思います。都市、農村を問わず、北ベトナム住民の頭の上に大量の爆弾が投下される。都市の人口密集地帯にロケット弾が撃ち込まれておるんであります。ボール爆弾、時限爆弾、ナパーム爆弾、その他いろいろありますが、要するに大量殺傷用の残虐な爆弾が使われておるんであります。一般市民に多数の犠牲者が出るのは当然であります。  私は、一九六六年、北爆がハノイ、ハイフォンに及んだ直後から一九七〇年までの四年間、北爆の最も激しかった時期に北ベトナムに滞在して、その間、全土のほとんどの省を見て回りました。日本の半分程度の面積の北ベトナムでありますが、そこに当時すでに百万トンからの爆弾が投下されておった。——百万トン以上というのはアメリカ政府の発表した数字であります。太平洋戦争で日本の本土を焦土にした爆弾量が十六万八千トンということもそういう発表につけ加えられておりますが、それをもってしても、いかに北爆の激しいものであったかということが想像されると思います。四年近いこの北爆の結果、北ベトナムの全土で破壊されながらも形を残した都市というのは、第一の大都市であるハノイと、第二の大都市であるハイフォンと、ただそれだけであります。第三の都市であるビン以下全土の町らしい町というのは、文字どおり人間の住める家が一軒もないまでに破壊し尽くされました。瓦れきの山と化しました。ほんとうに、これは誇張でなしに、私が自分の目で確かめてきたことであります。それをいままた繰り返しておるんでありますが、アメリカに、ニクソン大統領にそのようなことをやる権利が一体あるとお思いになるかどうか、簡単でよろしゅうございます……。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 事は南北ベトナム間の問題であります。それで、南という中には、もちろんこの場合はアメリカも含むわけでございますが、そのいずれが是で、いずれが非であるか、いずれが正しいから権利がある、こういうような判断はわが国としてはできない立場にある、こういうことを先ほどから申し上げておるとおりでございます。

星野力日本共産党

○星野力君 まあ、いまの大臣の御答弁については、あとでさらにお聞きすることにしまして、とにかく、こういうようなことがいままた繰り返され、しかも日本の本土、沖繩を重要な拠点として行なわれておる。この事態は、われわれ日本の国民として、日本の政府としてもよほど重大に考えてみる必要があると思うのであります。  で、アメリカのベトナム戦争の理由が終始虚構の上に築かれてきたということは、さきに暴露されましたあの国防総省の秘密文書、いわゆるペンタゴン・ペーパーズによっても明らかであります。あなたは、先ほども北からの侵略というようなことばをお使いになったのでありますが、それではお聞きしたいんですが、一九五四年のあのジュネーブ協定、あすこで定められた十七度線の境界、あれは一体どういう性質のものか、お答え願いたいと思います。

吉田健三外務省アジア局長

○政府委員(吉田健三君) 一九五四年のジュネーブ協定の第一条では、「暫定的軍事境界線を設け、両当事者の軍隊を、その撤退後、同境界線の両側において再集結させるものとする。」という規定がございまして、この軍事境界線をほぼ北緯十七度の緯度線によって、さらにその前後に緩衝地帯として、敵対行為の再発をもたらすおそれのあるすべての事件を防ぐように、いわゆる軍事境界線の両側につくりました非武装地帯というものを設けるということに合意したわけでございます。また、このジュネーブ協定の第六条におきまして、軍事要員とか非軍事要員を問わず、合同委員会の明示の許可なく、暫定境界線を越えることは許されない旨、さらに、第七条におきまして、「いかなる者も、民政及び救援の実施について責任を有する者、並びに特に合同委員会によって立入りを明示的に許可された者を除くほか、非武装地帯内に入ることを許されない。」という旨が規定されておる。そういうことで十七度線というものが、一応非武装中立地帯として設定されておるということに相なるかと思います。

星野力日本共産党

○星野力君 いまのは、協定の条文をお読みになったのでありますが、まあそれはそれとしていいです。いまお読みになったところでも出ていますが、この戦争をやってきた相互の軍隊を引き離し、集結させるための暫定軍事境界線としてあの境界線がつくられた。ベトナム人民軍は北でも戦かっていましたが、北で戦っていた者はもちろん、南で戦っていた者も十七度線の北に集結する。フランス側は南へ集結する、そのための境界線であることを、いまお読みになったジュネーブ協定の「ベトナムにおける敵対行為の終止にかんする協定」の第一章第一条に書いてあるわけであります。また、ジュネーブ会議の最終宣言には、その軍事境界線が暫定的なものであり、いかなる点でも政治的もしくは領土的境界と解釈すべきものでないことを確認する——すなわち、十七度線がいかなる意味でも国境でないことも銘記するとともに、二年後の一九五六年七月に南北ベトナムを通じて総選挙を実施して、その結果に基づいて全ベトナムの統一政府を樹立すべきことも宣言しておる、そうではございませんでしょうか。

吉田健三外務省アジア局長

○政府委員(吉田健三君) 大体そのとおりでございます。

星野力日本共産党

○星野力君 そういうジュネーブ協定に基づいて、北からの何回もの呼びかけ、要求にもかかわらず総選挙が実施されなかった、それは一体どういう理由によるのか、だれのせいか、お答え願いたいと思います。

吉田健三外務省アジア局長

○政府委員(吉田健三君) これは暫定的な軍事境界線でございますが、一応武力抗争というものをそこで終止させる、敵対行為を終止させるというのが主たる目的であったわけでございまして、その後国連の国際監視委員会等ができまして、そういったものの活躍によって、武力紛争をお互いに抑止し、それぞれの範囲内において政治的に一応安定した独立した姿で選挙を行なっていくということが予定されておったものでございます。

星野力日本共産党

○星野力君 私は、それを聞いておるんじゃなしに、ジュネーブ協定でもって宣言されたところの総選挙が実施されなかったのは一体どういう理由かということをお聞きしたんです。

吉田健三外務省アジア局長

○政府委員(吉田健三君) この境界線が引かれましたけれども、なおかつ、そういうジュネーブ協定に予定したような総選挙が直ちに行なわれるような状態にはなっていなかったということであろうかと推定いたします。

星野力日本共産党

○星野力君 総選挙が行なわれるような状態になっておらなかった。どういうことを根拠にしてそういうふうにお考えになるんですか。

吉田健三外務省アジア局長

○政府委員(吉田健三君) 当時の政治情勢、情勢がそういうふうな状態にあったと推定するわけでございます。

星野力日本共産党

○星野力君 北のほうから何回も総選挙を呼びかけた、要求した、それにもかかわらず、それが実行されなかったということは、端的に言って、アメリカの干渉、妨害のせいではありませんか。

吉田健三外務省アジア局長

○政府委員(吉田健三君) ただいまの総選挙の点につきましては、一九五六年の申し入れでありますが、南ベトナム政府のほうは、その総選挙は、その協定は同意を必要とするということを前提として考えておったわけでございますから、そういう合意が成立しておらなかったということが一番大きな理由であります。その意味におきまして、五四年の最終宣言にも南ベトナムは同意いたしておりません。

星野力日本共産党

○星野力君 ベトナムというのはもともと一つ、統一さるべき国家であることは、ジュネーブ協定に照らしても明らかであります。北のベトナム国があり、南のベトナム国があるべきではないんであります。あるのではないんであります。そのベトナムの人民、その軍隊、これがアメリカの国土に一発の弾丸でも撃ち込んだというのでありましょうか。そんなことはありはしない。アメリカの軍隊がベトナムの国土に大挙して乗り込んでおる。だから、侵略者がだれであるかはきわめて明らかだと思います。北からの侵略というのは、みずからの侵略者であることをごまかすための虚構でしかないと思うんであります。  そこで一つお聞きしますが、これは大臣にお聞きしたいんでありますが、アメリカは南ベトナムからすべての軍隊を引き揚げる、ベトナム作戦に投入しておるところのすべての空軍、海軍、こういうものを引き揚げる、そして南ベトナムの内部問題は南ベトナム人民にまかせる、これはきわめて当然なことだと思います。その当然のことをやると平和が回復するんでありますが、大臣、そうはお思いになりませんか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) アメリカはアメリカで、ベトナムといろんな約束もあるわけです。そのベトナム国との間に援助要請を受けておる、そういうようなことからアメリカが出兵しておるというふうに私どもは承知しておるわけでありまして、その人の国と人の国との間の問題にわが国が介入するという立場にはございません。

星野力日本共産党

○星野力君 そういうことをおっしゃる。まあだれが見てもこれは当然のこと、正しいことなんです、いま私が申し上げたベトナムの平和解決の方法というのは。そして正しいことをやるのはアメリカにとって不名誉なことではない。少なくともこれまでやってきたことに比べれば不名誉なことではないのであります。アメリカに軍隊を引き揚げること、南ベトナム人民にベトナムの問題をまかせること、これを勧告する御意思はないんでありますか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) さような意思はありませんです。

星野力日本共産党

○星野力君 もう一度お聞きしますが、アメリカは何を北爆再開の理由としているとお思いになりますか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これは北ベトナム軍が中立を侵犯して南進した、つまり南を侵しておると、こういうことを北爆の理由としておると、こういうふうに考えます。

星野力日本共産党

○星野力君 そのアメリカの主張は正しい主張であるというふうにお思いになりますか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これは南北ベトナムの間に争いがある。南という中には、アメリカもまたこれに参加しているわけです。そのいずれが正しい、いずれが正しくないと、こういう判断を下すべき地位にわが日本国はありませんと、こういうことを申し上げておるわけです。

星野力日本共産党

○星野力君 大臣が先ほど言われたことは、アメリカは北爆再開の理由として、一九六八年の北爆停止の際の秘密交渉、そこでの約束、これはまあ非武装地帯の尊重など何項目かあるんでありますが、それを北が破ったからと言っておる、そのことを指すんではないかと思います。その問題については、パリ会談のベトナム民主共和国の首席代表であるスアン・トイ氏は、二十日、パリの記者会見で、北爆停止は無条件であると、それ以外の密約もなかったということを、きわめて明快に当時のいきさつを物語っております。アメリカでも、サイミントン上院議員などが、アメリカ政府が言うような秘密の取りきめはなかったはずだと、あるというならその記録を出してみろということを言っておるのを見ましても、ここでもまたアメリカが虚構の宣伝をしておると見るほかないんであります。一体、アメリカが非武装地帯を尊重してきたかどうかという問題でありますが、一九六八年の北爆停止以後も、常時北ベトナムの上空の偵察飛行を行ない、偵察機が攻撃された、あるいは攻撃されるおそれがある、こういう理由で爆撃や艦砲射撃をやってきた。独立の主権国家であるところのベトナム民主共和国の領空に偵察機を飛ばすのが、あたかもアメリカの権利であるかのような言い分を通してきた、言い続けてきたんであります。十七度線を越えて砲撃もしばしばやっております。一体、どういう根拠でこのベトナム民主共和国が中立地帯を侵犯したとか、約束を破ったとか断定できるんでしょうか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これは、わが国とすると、まあとにかく南北両方が戦争をしておる。その戦争の当事者であるどっちがいい、どっちが悪いということを言うべき立場にはないと、こういうことを申し上げておるんです。ただ、私どもは、アメリカは北が悪いんだと、北が中立地帯を侵犯している、それに対するこの対応の北爆であるということを言っておるということを御紹介申し上げておるわけです。

星野力日本共産党

○星野力君 あなたは最近、このベトナム戦争については日本は局外者だと、きょうもそのことを言われました。別の機会には中立というようなことも言われたと思うんでありますが、それをここでもう一度確認できますか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) わが国は南北ベトナム戦争の当事者ではございませんです。そういう意味で申し上げているわけであります。

星野力日本共産党

○星野力君 中立というのはどうですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 中立と言ったことはないです。

星野力日本共産党

○星野力君 私、どうも聞いた記憶があるんです。そうですか。  一九六九年の日米共同声明、あの四項の末尾の「日本としてはインドシナ地域の安定のため果たしうる役割を探求している旨を述べた。」と、こうある、あれはどういう意味でしょうか。ベトナム条項ですよ、日米共同声明。「日本としてはインドシナ地域の安定のため果たしうる役割を探求している旨を述べた。」とこう書いてありますね、この意味ですね。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これは、わが日本はベトナムの和平が一日も早く到来する、こういうことを希望しておる。そのために、わが国はこの戦争の当事者ではございませんから、主体的な動きをするわけにはまいりませんけれども、何かささやかなきっかけでもありますれば、そういうきっかけをとらえて南北和平のために努力したいと、こういうこと、そういう意味合いでございます。

星野力日本共産党

○星野力君 南北和平のために努力したいという意味であれをお書きになったんですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) そういうことです。

星野力日本共産党

○星野力君 それでは別の方向から聞きますが、外務大臣はさきに外務委員会で、インドシナ和平について介入の余地があれば介入していいと思っておるという意味のことを言われた。あれはどういう意味で言われたんですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これは、南北が非常にもう和平を待望しておる。それで、この南北ともにわが国はアジアの友邦として何か尽くすべきところがあれば尽くしてくれと、こういうことを期待しておるというふうにとらえておるんです。そういう期待にこたうべきである。この間外務省の役人を北ベトナムに派遣をしておるというのも、その一つのあらわれなんですがね、そういう意味合いを申し上げておるわけです。

星野力日本共産党

○星野力君 大臣は和平に介入する、和平回復に向かって事実上の影響力を及ぼす、わが国が和平への一つの媒体になる、こういうようなおことばも使っておられたと思いますが、この影響力を行使する、和平の媒体になるというからには、ベトナム和平、インドシナ和平について方針がなければならぬ、政府としての方針がなければならない、基本的な方針。どういう基礎的な条件の上に和平の媒体になるか、影響力を及ぼすか、それがなくてはならぬと思いますが、その基本的な方針、どこに置いておられるんでしょう。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 基本的な方針は、これは武器を捨ててテーブルに着くと、こういうことです。つまりパリ会談を再開したらどうだと、こういうことですね。そして、このパリ会談はジュネーブ協定の精神に従って妥結する、こういうことです。

星野力日本共産党

○星野力君 ジュネーブ協定の精神とはどういうことでしょうか。

吉田健三外務省アジア局長

○政府委員(吉田健三君) 先ほどからも関連質問が出ておったようでございますが、私たち自身はジュネーブ協定の当事者ではないことは明瞭でありますけれども、ジュネーブ協定の条文及びその関連の了解を読んでみますと、この軍事境界線というものは双方で守らなければならないということが前提になっておりまして、アメリカはこれに対しまして当事者ではございませんが、双方でこの協定が守られることを尊重するという宣言をやっておるわけでございます。その立場から双方の外部軍隊が撤退する。北のほうも、南のほうもベトナムからそれぞれ撤退していく。そうすることによって、南は南で自主独立と自由を持って一つの安定した体制をつくっていく。そういう武力抗争という、外部からの武力抗争というものを排除して、当事者の間で話し合いによって平和的解決が行なわれることが望ましい、これが基本的なジュネーブ協定の精神であろうかと思います。

星野力日本共産党

○星野力君 ベトナムは一つなんである。それを北ベトナムの軍隊が南におる。——おるかおらぬか私も知りません。北もおるとは言っておらぬ。これは外国の軍隊であるという結論というのは、私はどう論理をこねくり回しても出てこないと思うのです。アメリカの軍隊は明らかにこれは外国の軍隊、だれの目にも明らかであります。  それはそれとしまして、ジュネーブ協定の精神——私、お聞きしたのはそんなことをお聞きしたんではないのでありまして、ジュネーブ協定の一番肝心なところがどこかということは、これは非常に重要な問題。これは政府委員がお答えになる問題ではないと思う。アメリカもジュネーブ協定に基づいていると、北も、それから民族解放戦線、臨時革命政府もジュネーブ協定に基づいていることを言っておるんです。だからここのところを明確にしなければいけないと思うのですが、ジュネーブ協定のほんとうの眼目はどこだとお思いになりますか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これは武器を捨ててテーブルに着く、そして話し合いで事を決する、こういうことだと思います。

星野力日本共産党

○星野力君 そういうことも含まれるかもしれませんね。これは政治的に平和的に解決するということは含まれるが、一番大事な点はベトナム民族の独立、ベトナム国家の統一、これを国際的に承認したこと、外国はこれに干渉しちゃいけない、これをはっきりさした点にあると思うのですよ。そうお思いになりませんか。

吉田健三外務省アジア局長

○政府委員(吉田健三君) 先ほども説明申し上げましたように、外部の兵力、武力が撤退することが非常に必要である。その上で、初めて、相互に、平和的な民族自決による話し合いができるということを大前提にしておると了解しております。

星野力日本共産党

○星野力君 外国軍隊の撤退ということは、アメリカが撤退するということですね。

吉田健三外務省アジア局長

○政府委員(吉田健三君) 南に関する限りは、南になじまない北のほうの兵力も撤退し、アメリカ軍もそれに応じて同様に撤退するということと了解いたします。

星野力日本共産党

○星野力君 南に北の軍隊おりますか。どのぐらいおります。

吉田健三外務省アジア局長

○政府委員(吉田健三君) 私たち調べたわけじゃございませんからはっきりわかりませんが、南ベトナム政府は、自衛権及び国連憲章五十一条に言う集団保障権を発動して、米国にその北側からの武力浸透工作が行なわれておるということを要請し、これに基づいてアメリカがこれを支援したというのが、御存じのような経緯になっておるわけでございます。

星野力日本共産党

○星野力君 私、きょう、電車の中で毎日新聞を見ておったら、「ベトナム戦争激化と米ソ関係」という社説が載っておりました。この中に「もともと米国のベトナム政策は、ベトナムの民族自決権を否定する誤った前提から出発している。」こう書かれておる。これが私はいまのベトナム問題を見る場合の世界のごく普通の考え方、ごく一般的な良識というものだと思うのでありますが、どうもあなた方の立場は、そういうごく一般的な常識を御理解なさっておられないんじゃないかと、そういう気がいたします。  問題、少し別のほうからお聞きしたいんですが、四月十七日にアメリカの上院外交委員会で、フルブライト委員長が、ベトナムからアメリカが軍隊を引き揚げたらどういうことが起こると思うかと、こう質問したのに対して、ロジャーズ国務長官が何と答えたか、知っておられたら御説明願いたいと思います。

吉田健三外務省アジア局長

○政府委員(吉田健三君) ただいま御指摘になりました質問に対しまして、ロジャーズ長官は、いかなる形であれ、第一に米軍の即時撤退は問題外であろう。米国が長年にわたり南ベトナムを支援したあとで百八十度の政策転換を行なったとしたら、南ベトナムに大混乱がもたらされると考える。第二に、米軍の即時撤退は地域全体の不安定化をもたらすであろう。この地域には米国が条約上のコミットメントを持つ他の国家が存在する。米軍の即時撤退問題はことばのいかなる意味においても一国だけの関心事ではない。もし米軍が突如撤退するなら、韓国、日本、フィリピンのような地域及びインドシナ地域の他の諸国をも不安定にするものと考えるという趣旨の答弁をしておるようであります。

星野力日本共産党

○星野力君 外務省からいただいたそれについての資料がここにございますが、大体いまお答えになったようなことでありますが、テキストが違うのか、ちょっとニュアンスも違うようでありますが、ロジャーズ長官はこう言っておりますね。米軍の即時撤退などはばかげたことだ——問題外だといま言われたあそこですね。リィディキュラス——ばかげたことだ、笑うべきことだ、こう言っています。その結果は、おそらく血の海を現出するだろう、ブラッドバースを引き起こすだろう、疑いもなくおそるべき虐殺が起きるだろう、こう言っておる。大臣、そういうふうに考えられますか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私は、ベトナムの戦場のことはよく承知しておりませんですから、どういうふうになるか、私には想像がつきません。

星野力日本共産党

○星野力君 あなたは、先ほど来、しきりにアジアの「ゆうほう」と——「ゆうほう」というのは大きな国という意味で言われたのですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 友の邦です。

星野力日本共産党

○星野力君 ああそうですか。あなたが言われるとどうも雄大の雄のように聞こえたのですが、それは失礼しました。私はそう書いておる。今度機会があったら聞こうと思って書いておいたのですが、失礼しました。が、どちらにしても日本の外務大臣、この日本国の外務大臣、もう何年もやっておるベトナム戦争、日本に非常にかかわりのあるこのベトナムの戦争を、その状態について、何も知らない、わかりません、そんなばかなことありますか。私それじゃ申し上げますが、南ベトナム共和臨時革命政府も、南ベトナム解放民族戦線も、アメリカが米軍の全面撤退の時期を確約するならば、米軍の撤退の安全を保障し、捕虜も釈放する、こうはっきり言っている。またグェン・バン・チュー一人が除かれればそのあとにできるサイ・コン政権と話し合って民族和合政府をつくるということを、これは公式に声明しておる。血の海だとか、おそるべき虐殺などというのは、これはとんでもないつくり話であります。そのような恐怖のつくり話で、南ベトナム人民や、アメリカの国民をおどしながら戦争を続け、ベトナムで、そうしてカンボジア、ラオスで爆撃、砲撃、砲火、虐殺で血の海を現出し、しかばねの山を築いているのは、これはアメリカ自身ではないですか。これは知る、知らないの問題じゃない、もうはっきりしている事実じゃございませんか。そうではないですか、大臣。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私は、両方から情報があるように思うのですよ。アメリカのほうは、アメリカは正しいいぐさをしているのだ、北が侵犯をしたから、中立地帯を侵犯したから、それに対する対応をするのだ、こういっておる。その是非をわが日本としてこれを判定すべき立場にはないのだと、こういうことを申し上げておるわけです。ですから、一体現地の状況がどうであるか、これは行ってきて見た人はわが日本にはないのですから、そう詳細にわかりません。そういうのをこういう厳粛な国会の場において、いいかげんな答弁を私はできませんから、私はそういう意味においてはっきり申し上げておるのです。私は、そういう状況についても、また南北両当局の立場についても、言及をすべき立場にはない、こういうことであります。

星野力日本共産党

○星野力君 それなら外務大臣も同意できるようなひとつ問題を出しましょう。アメリカ軍の撤退に伴う混乱や、社会不安、それが心配なら、それについての話し合いをやり、必要ならその取りきめをやればいい。それが和平会議というものじゃないでしょうか、どうでしょうか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 要するに、私は南北両当局が武器を捨てて、武器で争うという形をやめて、そうしてまた南北会談に移るということを期待して——南北和平会談ですね、パリにおける会談に移るべきである、こういうふうに念願をいたしておるわけであります。

星野力日本共産党

○星野力君 その武器を捨てるために、また武器を捨てた場合のいろいろなおそるべき虐殺だとか、血の海だとかということを言われておりますが、アメリカの国務長官が言っている。そういう心配がかりにあるとするならば、そういうことの起きないような、武器を捨てた場合の処置について話し合うのが、これは和平会談でしょう。私はロジャーズ長官の論法からすれば、米軍というものが、ベトナムから全面的に撤退することは、永久にこれはできないと思う。撤退したならば血の海だ、おそるべき虐殺だということならば、これは永久にできやしません。血の海、おそるべき虐殺などと言っていること自体が、パリでまじめに話し合い、会談を妥結へ持っていく意思がないことを、言いかえますれば、戦争をほんとうにやめる意思がないことを証明しているのではないかと思うのです。アメリカ軍がベトナムから全面的に撤退したら、日本は不利益をこうむりますか、日本の安全がそこなわれるとお思いになりますか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) アメリカの立場、アメリカ国務長官の言動を批判するという立場には、私どもはありません。

星野力日本共産党

○星野力君 私は批判しろといっているのじゃなしに、日本の外務大臣として、いま米軍がベトナムから全面的に撤退したら、日本は不利益をこうむるか、日本の安全がそこなわれるか、日本の外務大臣の判断をお聞きしている。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これはお答えすることはできません。

星野力日本共産党

○星野力君 私の頭がおかしいのか、大臣がむちゃを言っておるのか、答えることができない。——まあ先ほど政府委員の方からもお読みいただいたわけですが、あの中にあるのですが、ロジャーズ長官は、フルブライト委員長の先ほどの質問に答えて、まず血の海、おそるべき虐殺、こう答えたのですが、それに続けて第二には、全地域——全地域というのは、おそらく東南アジアという意味だろうと思いますが、この地域を不安定にするだろう、こう述べております。その地域にはアメリカが、先ほどお読みになったように、条約を結んでおる他の国家もある、もし、アメリカが早急に撤退したら、大規模な血の海を現出するだけでなく、朝鮮——これは韓国の、南朝鮮の意味でしょうが、朝鮮、日本、フィリピンその他を不安定にする、それはたいへんな災難だ、だから早急の撤兵はできないんだ、こう言っておるのです。日本まで引き合いに出して、日本が困るから、ベトナム、インドシナからは撤兵できないのだ、こう言っておるのですよ。ベトナム、インドシナから米軍が撤退したら、日本はほんとうに困る立場にあるのかどうか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これは、私思いまするに、ベトナムとの約束を守らないでアメリカが撤兵をしたと、ベトナムの意思に反してアメリカが撤兵したということになると、これは相当大きな影響はあると思います。つまり、アメリカは約束を守らない国だと、こういうことになる。これはアメリカといろんな約束ごとをしておる日本にも、あるいは韓国にも、あるいは台湾にもずいぶん大きな影響、あるいはフィリピンにも、アジアの多くの国に対して非常に不安を与える問題になる、そういうふうに思います。

星野力日本共産党

○星野力君 先ほどの政府委員の御説明でおわかりと思いますが、この問題はフルブライト米上院外交委員長が、パリの会議を再開して、そこで話を取りきめて戦争を終わらせろと、そうして米軍が引き揚げなきゃいけないんだということで、米軍が引き揚げたらどういうことになるかということで質問して、それに対して国務長官が答えておるのでありますが、いまの大臣のような解釈、見解からしますと、日本の政府自身が、アメリカはベトナムから早期に撤退してくれては困ると、こういうふうに聞こえますよ。これは断然そう聞こえる。それでいいんですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) そうじゃなくて、アメリカ政府が、南ベトナム政府との約束に反して、南ベトナム政府の要請にもかかわらず、南ベトナムを撤退した。つまり、了解もとらないで、話し合いもできないで、そのまま撤退したということになりますと、これはその他の諸国、アジア、東南アジアの諸国はおおむね同様な約束ごとをアメリカとの間にしておるわけなんです、それらの国に対しまして、アメリカは約束を守らない国である、こういうことで相当大きな不安を与える、私はそう思います。

吉田健三外務省アジア局長

○政府委員(吉田健三君) 先ほどのロジャーズ長官の答弁に関しまして、一、二補足いたしておきますが、まず第一にジュネーブ協定に関しましては、合衆国はその宣言にはっきり言っておりますように、ジュネーブ協定を侵害するような新たな侵略に対しては重大な関心を寄せ、かつ、これを国際の平和及び安全に重大な脅威を与えるものと見なすという、まず基本的立場をとっておるわけであります。  そこで、先ほどのロジャーズ長官の答弁は、フルブライト委員長が、アメリカがベトナムから、早急に、即時撤退したらどういうことが起こるだろうかという質問があったわけでございまして、それに対しまして、ロジャーズ長官は、即時、突然撤兵するということになれば、しかじかかくかくというお答えをしたわけでございます。しかし、アメリカは御承知のように八項目の提案をいたしまして、合意が達成されたならば六カ月以内に撤兵するんだ、その合意と同時に停戦を行なうんだというふうに、積極的に軍事解決及び政府解決の提案を、八項目提案において今年行なったわけでございます。

星野力日本共産党

○星野力君 どういう意味でいまの御説明補足されたのかわかりませんが、アメリカ軍がベトナム、インドシナから即時全面的に引き揚げても、日本の国民は少しも困らないだろうと思います。困るどころか、絶対多数の日本国民は、一日も早く米軍がベトナムから全面的に撤退する、単に南ベトナムからだけでなしに、タイにおるアメリカの空軍、トンキン湾や南シナ海一帯にはりついておるアメリカの海軍部隊、こういうものが作戦区域から立ち去ることを願っております。アメリカでも、支配層の中でさえも、米軍の全面的撤退を要求する声というのは高まっております。上院はもとよりでありますが、上院よりも一そう保守的、タカ的であるといわれる下院でさえも、民主党・共和党を通じて撤兵期限をはっきりさせろという要求が強くなっております。青年、学生、婦人、ベトナム帰還兵、一般市民、さらに軍隊の中でさえ、ベトナム反戦運動が非常な勢いで高まってきておることは御承知のことだと思います。このことは世界的に見ても言えることでありますが、どうですか、日本国民大多数の要望にこたえて、アメリカ政府に、戦争やめろと、軍隊を撤退させろ、ベトナムの問題はベトナムにまかせろ、インドシナ諸国の問題はインドシナ諸国人民にまかせろと、これを勧告する考えはどうしてもございませんか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) どうしてもございません。

星野力日本共産党

○星野力君 それじゃいいですよ。  それじゃ、中立とか——中立は言わないんですが、局外者ということをおっしゃる。あたかも第三者のような立場を示しておられるんでありますが、実際は、日本の基地が重要な根拠地として、いまのようなベトナムにおけるアメリカの戦闘が行なわれておる、そういう実情でありますが、政府は沖繩返還時には、ベトナム戦争が終わっておるということを、いわば前提として考えておられたようでありますね。そのことは日米共同声明や、当時の愛知外相のしばしばの言明でも明らかであります。しかし、実際にはベトナム戦争は終わっておらない。大臣は、両方とも戦争にもう疲れて早く終わらしたい——戦争はだれでも早く終わらせたいに違いありませんが、大臣が考えておられるほど、そう早期に戦争が終わるという見通しも立たない状況であります。まあベトナム戦争は終わっておりませんが、批准書の交換も済んだのでありますから、五月十五日の沖繩復帰、施政権の返還、これは実現されるでありましょう。しかし、ベトナム戦争がなお激しく続いておるということで、アメリカ側が、日米共同声明第四項、これは申し上げぬでもいいと思いますが、「万一ヴィエトナムにおける平和が沖繩返還予定時に至るも実現していない場合には、両国政府は、南ヴィエトナム人民が外部からの干渉を受けずにその政治的将来を決定する機会を確保するための米国の努力に影響を及ぼすことなく沖繩の返還が実現されるように、そのときの情勢に照らして十分協議する」、あの条項に基づいて、沖繩基地の貸与、沖繩米軍の行動について、ベトナム戦争遂行に支障を来たさないよう、施政権返還後もこれまでどおりの機能をあそこの軍隊は発揮できるよう、日本政府に要求してくることが考えられる、あるいはもうすでに要求してきておるのかもしれませんが、この問題についてはどうお思いになりますか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) その問題は、協定が調印され、しかも批准をされて、もう効力の発生を待つばかりになっておると、こういうことで全部解決しておる、こういうふうに考えます。たとえば返還日を延ばす、そういうようなことはあり得ません、これは。  それから基地の態様につきましても、特例を設ける、つまり、自由発進を認めよなんというようなことは言ってきません。もう本土の事前協議がそのまま適用される、本土のいままでの米軍基地の態様がそのまま適用になると、こういうことになるわけであります。一切本土並みになると、こういうふうに確信をいたしております。

星野力日本共産党

○星野力君 しばしば言われたこと、私も申し上げてきたことでありますが、沖繩の米軍というのは、海兵師団をはじめとしまして有事則応戦力、随時出撃態勢をとっておるところの部隊が大部分であります。SR71などというものもおります。SR71なんかは、ニクソン大統領の中国訪問の時期には嘉手納から姿を消しておったそうでありますが、その後はまた出てきて飛んでおるそうであますが、こういうような性格の軍隊、これを沖繩のあの島に閉じ込めておくことができると政府はお考えになっておるんでありましょうか。もうすぐ五月十五日になる、これはあなたがおっしゃるように、施政権の返還というほうはこれは間違いないでしょう、返ってきますわね。そうしたらすぐこれは、またそのあとでも結果がわかることですが、政府は返還後もこういうものを沖繩に閉じ込めておく、ベトナムなんかへかってに出ていかない、SR71は朝鮮や中国の空へは飛んでいかないと、その確信ございますか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 五月十五日以降におきましては、沖繩に駐留する米軍はすべて安保条約の制約下で存在すると、こういうことになりますので、御心配のようなことは一切ありませんです。

星野力日本共産党

○星野力君 それじゃついでにお聞きしますが、これはいろいろ質問があったのだろうと思いますが、あすこの海兵隊がベトナムに出て行く、それはあれでしょう、軍艦に乗ってから、一度海へ出て、それからベトナムへ上陸するわけですが、あるいはまた、いろいろの軍用機がベトナムの戦場に運ばれる、これだってフィリピンや台湾を通っていく、あるいはタイに一度行って、それからベトナムの戦場へ行くというようなことになるが、そういうようなことが今後もひんぱんに続くと思いますが、これはどうなるんですか。

吉野文六外務省アメリカ局長

○政府委員(吉野文六君) 先生御指摘のとおり、沖繩の海兵隊の一部隊が第七艦隊の指揮下にある艦船に乗りまして極東の地域を遊よくしておるということは、これは定期的に行なわれているわけでございますが、これは一たん緩急ある場合には上陸作戦用として使われるわけでございます。しかし、その場合には、あくまでも船隊あるいは艦船の司令官の命令に従ってそのような作戦行動に移るわけです。なお、今回のベトナム戦争の急激な変化におきましても、これらの海兵隊は全然上陸しておらないというのが現状でございまして、したがって、従前どおり、ただ単に交代で、三カ月に一回ぐらいずつ沖繩にいる海兵隊の一部が、千二百名が第七艦隊の船に乗り込んで遊よくしておると、こういうことでございます。

星野力日本共産党

○星野力君 あれですか、大臣は依然として、日本の本土あるいは施政権返還後の沖繩、ここからアメリカの軍隊がベトナム戦場に直行する、その場合でも、日本の基地において、日本の国土、領海において戦闘命令を受けておらなければ、それは事前協議の対象にならぬと、そういうのは自由にやってよろしいんだと、こういう見解は堅持されておるわけでございますか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私は、日本の米軍基地が、対ベトナム戦の戦闘作戦行動のための基地になるということにならなければそれでいいんだと、こういうふうな見解です。一番端的に申し上げますれば、日本の基地から戦闘作戦命令を受けて米軍が出動するということでありますが、なお実態的にそういう体系を整えておると、こういうようなことでありますれば、これは事前協議の対象になる、その際にはノーと言うと、こういうことを申し上げたわけであります。

星野力日本共産党

○星野力君 そういうことを言いますと、この間から問題になっております岩国から出動しましたところのファントムの二個中隊ですか、これは事前に通告があったということをこの間おっしゃった。六日だと思いますが、六日以後に出ていっておる。それが七日、八日はどうか知りませんが、少なくとも九日に、ダナンの基地から北爆をやって帰ってきたという写真がAPの提供で出ておる——この間お見せしました。こういうのは実態としてベトナムの戦場に戦闘作戦行動のために直行したと、こういうのですか、ああいう場合は今後はチェックしていくと……。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私が申し上げておりますのは、日本の基地が戦闘作戦行動の基地として使われる場合、その場合には事前協議の対象となると、こういうことを申し上げておるんです。いまお話の岩国の場合、これは岩国から南方に移動をすると、そういう性質のものでありまして、岩国が戦闘作戦行動の基地となるという実態は備えておらんと、こういう見解でございます。

星野力日本共産党

○星野力君 そんなこと言っておったら、実態もくそもないじゃないですか。それは岩国から見ればベトナムは南方ですよ。南方に行動した。しかし、ファントムは岩国からベトナムまで一気に飛ぶことはできません。あれは沖繩にも着陸したそうでありますが、大体フィリッピンに勢ぞろいしておる。それから直接かまたどこかに寄ったか知らぬが、とにかくファントムの機能としては、できるだけ、考えられる一番早道でもってベトナムの戦場に出ていっておる。しかもその準備が岩国の基地でやられたということは、これはだれだって想像のつくことです。こういう場合、どうして大臣が言うように事前協議の対象にならないんでしょうか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) それは南方への移駐でありますから……

星野力日本共産党

○星野力君 これはもう皆さんみんな言われておることですから、そんなこと言っておったら事前協議なんというのは一片のほごにすぎない。あれでしょう、大臣も言っておられるように、事前協議が昭和三十五年に岸・ハーター交換公文でもってきめられた。あれは、日本が戦争に巻き込まれるのを防ぐその歯どめとしてああいうものが設けられたのでございましょう。そうじゃないんですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) そうなんです。

星野力日本共産党

○星野力君 そうですね。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) そのとおりです。

星野力日本共産党

○星野力君 そうするとこうですか。いまのこの状態というのは、相手がソ連や中国ならいざ知らず、ベトナムでは日本が当面戦争に巻き込まれる危険がないからこれでいいのだと、そう思っておられるんじゃないでしょうか、政府は。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) それは国益判断の問題なんですね、イエスと言うか、ノーと言うか。星野さんのおっしゃっでいるのはそうじゃない。事前協議の対象となるのかならないかという、その問題の前の段階のことをおっしゃっておられたわけです。つまり、事前協議の対象となるというためには、わが国の岩国基地から米軍が発進をする、その発進が戦闘作戦行動であるかどうか、こういうことなんです。戦闘作戦行動であり、岩国が戦闘作戦行動の基地として使用されるということであれば、これは事前協議の対象となる、そういうことなんです。事前協議の対象となりますが、それに対してイエスと言うか、ノーと言うかという問題につきましては、私どもはノーと言うんですが、これはベトナムの地域的な距離というような問題ももちろんあるわけです。

星野力日本共産党

○星野力君 いまのファントムの例などというのは、明らかにこれは日本の基地がアメリカの戦闘作戦行動のために使われた——普通の感覚を持った、普通の常識を持っている人間、まして専門的な知識を持っている人間はなおさらのことでしょうが、そう考えるのが普通で、そう考えないのは、考えないほうがよほどどうかしていると思うのであります。私は、岩国もそうですし、横須賀もそうでありますが、沖繩には、さっきも申しましたように、あぶない部隊がたくさんおる。こういう部隊をできるだけ早く、できるなら即時沖繩からもう撤去するようにアメリカに要求しなきゃならない。大局から見ればそれがアメリカのためでもあるが、何よりも日本国民の利益のためにそれをやらなければならぬ、こういうことを申しておるのです。どうも大臣がいま戦闘作戦命令を日本の基地で受けておらなければいいというような、そういう態度でこれが済む問題だと思っておられるとするならば、その態度は私は安易ではないかと思うのです。いまの情勢というもの、国際的な情勢、ベトナム戦争をめぐる情勢というものは、そう軽く見てはならぬ。アメリカは、いよいよ追い詰められたならば核兵器を使うだろうということさえ言われておるんです。そうなったら、世界戦争への危険さえ出てくるわけであります。  かりにそこまで考えないとしましても、いまの日本の立場、状態というものは、日本の安全という点からもきわめて重大であると思うんです。私はいま必要なのは、あなたも——結論は、ことばとしては同じようなことになるかもしれませんが、あなたも言っておられるが、ベトナムに平和を取り戻すことだと思います。アメリカがどれだけたくさんの航空兵力、海軍力あるいは陸上兵力、いろいろな残虐兵器をもってしましても、戦争でベトナムを屈服さす、ベトナム人民を屈服さす、ベトナム戦争を解決することはできないのであります。ベトナム戦争は政治的にしか解決できない、話し合いでしか解決できない。言いかえればアメリカが全面的に撤兵する、あとのことはベトナム人自身にまかせる、それがほんとうの民族自決じゃないですか。さっき、毎日新聞の社説を私紹介しましたが、あそこでも言われたとおりだ。アメリカはその点で初めから間違っておる。それしか私は解決の道はないと思うのでありますが、それはあなたに聞いても、言う立場じゃありませんといって答えないでしょうから、もういいです。  ベトナム和平のために影響力を行使したいと言いながら、国民世論を代表して、アメリカの政府に要求することも、勧告することもできないというのは、私はほんとうにおかしいことだと思う。それでは政府の言う影響力の行使というのは、結局アメリカの側に立ってベトナム人民の側に対して、あるいは北ベトナムに対して影響力を及ぼすというだけのことではないですか。佐藤総理も、あなたも、日ごろ、日本は平和に徹すると言ってこられた。しかし、平和に徹するということは、平和のために何にもしないということではないんだということを申し上げて、時間がきたそうでありますから、私、質問終わります。     —————————————

内藤誉三郎自由民主党

○主査(内藤誉三郎君) この際、分科担当委員の異動について御報告いたします。  ただいま羽生三七君及び大橋和孝君が委員を辞任され、その補欠として戸叶武君及び片岡勝治君が、また戸叶武君が委員を辞任され、その補欠として辻一彦君がそれぞれ選任されました。     —————————————

内藤誉三郎自由民主党

○主査(内藤誉三郎君) 以上をもちまして、外務省所管に関する質疑は終了いたしました。  明日は午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十四分散会      —————・—————

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