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68回国会参議院1972/04/28

予算委員会 第20号

発言数
362
登壇者
37
会派数
6
開催日
1972/04/28

会議録

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和四十七年度一般会計予算  昭和四十七年度特別会計予算  昭和四十七年度政府関係機関予算  以上三案を一括して議題といたします。  昨日に引き続き、締めくくり総括質疑を続行いたします。  矢追秀彦君の質疑を行ないます。  この際、白木会計検査院長から発言を求められております。これを許します。白木会計検査院長。

白木康進会計検査院長

○会計検査院長(白木康進君) 貴重な御時間をさきまして発言のお許しを得ましたので、一昨日の当委員会第一分科会におきまして、鈴木委員からの御質問につきまして当日私どもの鎌田次長から答弁いたしましたことにつきまして、私から若干答弁を補足させていただきたいと思います。  当日の鈴木委員の御質問は、私どもの役所におりました幹部職員が公団、事業団等に進出しておることは、会計検査院という機関の性格上適当ではないんではないか、こういう御趣旨であったと思います。御趣旨は、おそらく、世間一般にいわれております李下に冠を正さずというような意味におきまして、会計検査院の姿勢の問題としてお取り上げになったものと思いますが、原則論として、御趣旨には私も何ら異存はございません。ただ、私どもの役所からまいっております者は、いずれも長年会計検査の経験を有しておりまして、いわばその実績を買われて、主として公団、事業団等の内部監査の責任者というようなポストで転出しておるわけでございます。退職当時いずれもまだ相当若くて、元気な者ばかりでございます。そういうことならば、もっと会計検査院に長く使うべきではないかという御意見もございますけれども、御承知のとおり、会計検査院も、職員の任用、人事管理一般、すべて一般各省の職員と全く同一の基準によって行なっておるわけでございまして、これをいつまでも長くとめ置くということは種々の困難を伴う点を御理解願いたいと思います。そういう意味におきまして、今後も先生の御趣旨には沿いかねることを現状におきましては御了承願いたいと思います。  なお、鈴木委員の御質問の趣旨とは必ずしも即応するわけではございませんけれども、会計検査院という特殊の機関の性格上、職員の任用、人事管理その他につきまして、やはり各省とは違った特別の基準で運用するほうが適当ではないかというふうに私ども考えまして、現在、その実施について具体的に検討しております。もちろん、その場合には、職員の在職年数の延長ということも考慮いたしておるわけでございますので、ついでと申しては、なんでございますけれども、一言実情を申し上げておきたいと存じます。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 第一分科会での質疑の際の答弁が不十分であったので、御答弁をいただきましたが、ただいまの答弁で私が不満としているのは、会計検査院が、検査の対象としている団体に、住宅公団あるいは中央競馬会そのほかに四十年以降十二名も天下っておる。しかも、それが内部監査の役についている。そういった傾向というものは、できる限り改めてもらいたい。いまのは趣旨に沿いがたいという答弁です。それでは、はっきりそういう方向へ検討していくのか続けていかないのかわからないわけです。それが一つ。いま一つは、三十九年に千二百十二名だった定員が、いまだに変わらない。各省庁が膨大になってきているのに定員が変わらなければ、会計検査院としての検査は不十分にならざるを得ない。ですから、その面の改善というものを完全に果たしてもらいたい、この両面であります。ですから、はっきりと、こちらが言っているとまりに、十分検討していくのか、していかないのか、その点だけを、ひとつすっきりしてもらいたいんです。定員増は一体どうするのか。こんなことでは、国民の血税がむだづかいされていく心配も出てくるわけであります。その両点を伺いたいと思います。

白木康進会計検査院長

○会計検査院長(白木康進君) 鈴木委員の御趣旨は、私も当初に申し上げましたように、原則として全く同感に存じます。今後これをどういうふうに持っていくかということについては、先ほど申し上げましたように、いますぐとは申しませんけれども、やはり独立機関である会計検査院にふさわしいような人事管理に持っていくということで、漸次御趣旨に沿うような方向で善処したいというふうに考えております。  なお定員の問題でございますが、この点も従来からたびたび国会において御指摘をいただき、あるいは激励をいただいておるわけでございまして、私どもも、年々膨張し、また内容も複雑になります国、政府関係機関等の決算の検査につきまして、やはり手不足を感じておる点はいなめないのでございます。これに対応しまして毎年増員の要求をいたしておりますが、これもまた、国の全体の方針として一般公務員の数の増加に対する抑制の事情も、これは私どもも了とせざるを得ないのでございまして、結果的には現状維持、少なくとも減員は一切しないというようなことで推移してまいっておるわけでございます。  今後の対策でございますが、もちろん、今後といえども、機会あるごとに増員のお願いは続けるつもりでございますが、なおそのほかに、ただいまのような現状に即しまして、単に人の増加ばかりではなく、職員の自覚を促すための身分関係の再検討とか、あるいは職員の研修でありますとか、そういうことによって、少数精鋭と申しますか、できるだけ現状をもって国民の負託にこたえるりっぱな検査を実施していきたいというために努力をしておるわけでございます。趣旨御了解を願いたいと存じます。

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) 矢追君。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 私は、最初に、昨日起こりました五人の自衛官の、反戦の要求書を持ってきた、この問題につきまして、防衛庁長官から実情を御報告願いたいと思います。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) 昨日十六時十六分ごろ、小西元三等空曹外六名——これは、小西は懲戒免職処分にしまして、目下不服申し立て中の者であります。この弁護士でありまする角南俊輔弁護士、これも付き添って、制服着用の者合わせて五名が、沖繩派兵反対等の要求のため、防衛庁正門前に長官に面会を求めて来庁しました。  応対の守衛が制服着用者に対しまして身分証明書の呈示を要求しましたが、一名は身分証明書を取り出しかけましたが、他の四名はこれを呈示しなかったので、この点について、もめていたところ、本人たちは「時間がない」と言って要求書を読み上げて立ち去ったわけであります。  この行動に出るさきに、十四時ごろ、このメンバーが、六本木にありまする俳優座で、各社の記者に呼びかけまして記者会見をいたし、読み上げた要求書及び声明書を配布した模様であります。  要求書の内容につきましては、沖繩派兵の即時中止等十項目にわたるものであります。その末尾に、小西を含んで六名の署名がありました。で、その他の五名は、一等陸士四名及び一等空士一名で、いずれも現職と称しており、制服を着用して.おったのであります。  調査の結果、写真照合等の結果、いずれも本人に間違いない、これらは、二十四日から休暇中の者が三名、外出後未帰隊の者が二名であるということが判明いたしました。  で、現職の自衛官がこういう行為に及んだことは、はなはだ遺憾でありまするので、これらの行為は自衛隊法第四十六条に該当するものであるというわけで、昨夜十一時、それぞれ原隊司令官に厳重な懲戒処分の手続をとるように命じました。  なお、本人らの行動経過、その後の様子等については目下鋭意調査中でございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 いま、懲戒処分の通告をしたと言われましたが、この懲戒処分をされた理由は何ですか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) 確実に本人であるということがはっきりいたしましたので、これは自衛隊法第四十六条に基づきまする自衛官らしからざる行動ということで、直ちにそれぞれの原隊に手続をとるように命じたものであります。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 どういう点が、その自衛官にふさわしくない行為と認められたわけですか。

江藤淳雄防衛庁人事教育局長

○政府委員(江藤淳雄君) 自衛官は、法令の規定によりまして、まず入隊時に宣誓をいたしております。宣誓の際に、自衛官となった以上わが国の法令を順守し規律を守り部隊の命に従ってもっぱら自分の任務の完遂をはかるというような宣誓をいたしておりますが、その宣誓に対して違反しておる、それからまた、休暇をとって休んでおりますが、その休暇の理由も間違っておる、虚偽の申告をしておる、あるいはまた、休暇をとったままで帰ってこない、無断で帰ってこないというような面もあります。さらにまた、自衛隊法でいう服務の本旨にも反する行為でありますので、自衛官として、隊員としてふさわしくない行為をいたしたものであると判断をいたしております。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) 重要な点ですから、私からも詳しく申し上げておきます。  現職の自衛官が、自分の主義主張を実現するために集団をなして陳情行為等を行なうということは、部隊行動を主とする自衛隊においては、その統制を乱す原因ともなり、強固な団結と整斉たる部隊行動を阻害する結果ともなりかねないところであります。本件の場合は、組織といたしましての順序を経ることなく直接長官等に面会を求め、守衛が取り次ぎのため所要の照会を行なっている際、時間がないと言って、公衆の面前において、自衛隊の沖繩配備を「侵略のせん兵」などと、きわめて独善的にきめつける、しかも、これが中止を求める要求項目等を読み上げる行為、これは、先ほども申し上げましたように、自衛隊法第四十六条に規定する「隊員たるにふさわしくない行為」、これに該当することは明らかであります。その内容は、自衛隊の存立そのものを否定するような、きわめて重要な事項を包含していることにかんがみまして、さらに実情はもちろん十分調査をするわけでありまするが、すみやかに厳重な処分を行なう、こういうことで関係者に命令をしておるような次第であります。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 いま、要求の中に自衛隊そのものを否定するという項目があるという長官の御答弁でありますが、それはどの項目に当たるわけですか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) いろいろこれは言っておりますが、沖繩派兵はともかくとしまして、「尖閣列島略奪のせん兵となることを自らの良心にかけて拒否する。」、これは、尖閣列島というものはもともと日本の領土であるということは、すでに政府もしばしば見解を申し上げておるところでありまするが、これを略奪などと独断できめる、それから、要求項目の中にも、「われわれは、侵略のせん兵とならない。沖繩派兵を即時中止せよ。」——沖繩派兵はともかく、「侵略のせん兵とならない」、これはもう、専守防衛であり、日本は平和愛好国家であり、海外派兵もしないというのに、こういった自衛隊の平素主張しておるところとは全然趣を異にする主張を独断をもって判断する、これはやはり自衛隊そのものを否定しかねまじい言動であるというふうに考えられます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 いま「尖閣列島」のところと「侵略のせん兵」というところをあげられましたが、私はこの要求を見まして、もちろん、こういう要求書でありますから強いことばも出てきておりますが、この内容の中からうかがえるのは、やはり現在の国民が一番心配をしておる、自衛隊というものが一つの軍国主義復活の可能性ということを国民は非常に心配をしておる、あるいは沖繩の配備につきましてもいろいろ国民の中にも議論がある、また立川基地の移駐の問題にいたしましても非常に問題になったわけでありまして、そういう、やはり国民がいろいろ疑いを持ち、また非常に心配をしておる、そういったところから出ておるのではないかと推察をするわけでありまして、だから自衛隊そのものを根底的に否定しておるのかどうかは、これは問題であると思う。もし自衛隊自身を否定をしておるならば、こんな形の要求書では出てこないと、こう思うわけでありますので、懲戒処分というふうな、一挙にやる前に、話し合いをする必要があるのではないかと思うんですが、その点はいかがですか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) 私どもは、かりそめにも制服を着た自衛官がこういう挙に出て、そして声明書といい、要求書といい、きわめて不穏当な字句を並べております。もちろん、この一字一句につきましては慎重検討の余地があろうかと思います。また、慎重に検討をいたしております。しかし、少なくとも、さっき申し上げましたような点であるとか、あるいは、指揮命令の最も尊重されなければならない自衛隊において、第五項目では、「われわれは、不当な命令には従わない。」——なるほど不当な命令には従う必要はないでしょう。しかし、「命令拒否権を確定せよ。」とか、「幹部、曹、士の一切の差別をなくせ。」、いわゆる現在の階級制も全面的に否定しておるとか、勤務時間外のあらゆる拘束を廃止しろ云々に始まって、まあ非常に穏当を欠く要望が連ねられておることは、これは常識的に見ても私否定することはできないと思います。もちろん処罰にあたりましては十分調査の上実行いたしたいと思っております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 結局、その中身の主張と、それから抗議のやり方、要するに自衛隊の士気という問題から言われておると思いますが、しかし、この五人の自衛官はほとんどが休暇を取ってやっておるわけでありまして、確かにいろんな問題はあろうかと思いますけれども、すぐこれでもう懲戒免職、そして今度は自衛隊の規律をまた強化をしていくとなれば、やはりまた現在の他の自衛官にもいろんな影響が及ぼされるのではないか。まあいろいろ調査をされておるようでありますが、新聞によりますと、二十人いる、あるいはそれ以上もいわゆる反戦自衛官といわれるものがいるともいわれておりますし、ここで私は、いい解決の方向にいかなければ、むしろ問題は大きく発展をして、かえって現在の自衛官自身が国民がほんとうに期待をするような、そういう自衛官にはならない、変な方向へいってしまうと、こういうふうに思うのですが、その点はいかがですか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) もちろん処罰にあたって事情を詳細に調査することは当然であります。若者の集団であるだけにやはりその処罰の帰趨というものは納得づくでなければならぬことは当然でありまするが、やはり規律をもって立つ自衛隊としては、こういう問題には厳粛に臨んで綱紀を引き締めていくことが大事なことだというふうに考えております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 処罰にあたっては事情を調査してと言われますが、最初は懲戒免職と言われたわけでしょう。だから首はきまっているわけですね。どうですか、その点。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) 懲戒免職を含む厳重な懲戒処分と、こう申し上げたわけでありまするが、これはもちろん懲戒免職を含んでおります。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 まあこの中で要求されておることには、先ほど長官の言われました強いことばの点も確かにありますけれども、しかし正当なといいますか、そういう要求もあるわけであります。たとえば四番目の集会、出版の自由、表現の自由を認めよ、これは憲法で保障されておることでありますし、どこの会社であろうが、どこの団体であろうが、やはりその一つの規律の中で自由に認められておるわけです。しかし、こういった点が、おそらく現在の自衛隊の中では、まじめに考える人たちからいって、少し何といいますか、きびしいようなことが規律という名のもとに行なわれているのではないか、こう思うわけです。  私、昨日質問要求を出しましたが、調査ができないということで実はきょうは質問をやめようと思っておった問題でありますが、防衛大学校のことであります。直接のこの自衛隊とは別でありますが、やはり将来自衛隊員になる人であります。この防衛大学校の中におきましても、これは昭和四十五年のはずでありますが、第十八回の開校祭におきまして、学生さんたちが、上級生だけによって運営されておるこの開校祭に対して反対をいたしまして、一つのアピールをやってその開校祭のときに看板を立てた。実際始まるときにはすでに取り払われてしまいまして、それに対してはきびしい処分とまではいっておりませんが、あとでまあ相当しかられておるわけであります。この要求を見ましても、非常にささやかな要求なんです。予算は学校が出すこと、あるいは学生は軍人の性格を捨てること、要するに防衛大学校の学生は軍人であってはいけないんだ、市民といいますか、いわゆる普通の大学の学生と同じ人間でなくちゃならぬと、こういう要求をしておる。あるいは記念式典と文化祭の分離、そういうささやかな要求であるわけです。  一番最後に、私が非常に問題にしたいのは、初代の槇校長は学生さんから言わしても非常に期待され、尊敬されておった。ところが、現在はそうではなくなってきておると、こういうようなことが一つあります。  またもう一つは、きょう資料を残念ながら持ってまいりませんでしたが、現在の猪木校長になりましてから行なわれました褒賞制度、賞品を与えて表彰するその制度に対して、猪木校長の書いておる「政治学新講」という講義の中の一部分をゼロックスでとりまして配ったとか、要するにその中には、そういう賞品を与えるというやり方は人を治めるのには一番いい方法、効果のある方法である。特に程度の悪い人間ほど効果があるんだ、こういう一項があったということで、それを持ってきて抗議をした。そういうことに対しても非常にきびしい処分といいますか——しかられておるわけですね。非常に私はささやかな、こういう防衛大学校の学生たちの要求もつみ取ってきたんではないか。だから、実際の現職の自衛官になってくれば、こういう自衛隊の中で自由な一人のいわゆる市民としての——もちろん自衛官としての規律等があると思いますが、しかしやはりその前に国民であり、長官も総理も再々言われておる国民に愛される自衛隊であるからには、愛される自衛隊にならなくちゃいけない。そのためには、普通の市民でなくちゃならぬという、そこら辺の要求から出て、そして国民のいろいろ不安に思っておる問題、これに対していろんな批判が出てきておる。それを直ちに規律違反でけしからぬ、首にしてしまえと、こういう態度では私はかえって問題になりはしないか。むしろ、この五人の自衛官と教官がむしろひざ突き合わせて話し合いをして、そうして納得をした上で処分をされるなら、私はやむを得ないかとも思いますけれども、その点について、ただ組織を通して首を切っていくという行き方については、私は遺憾と思うわけでありますが、その点について重ねてお伺いしたいと思います。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) 防大の問題は私直接知りませんが、猪木校長になりましてから非常に学風が落ち着きを一段と増し、しかも猪木校長は将来制服の幹部たるものはいわゆる制服を着た善良な市民であれ、そういうモットーで教育方針を貫いておられるように報告を受けておりまするし、先ごろの卒業式においてもそういったことを主体とする訓示をたれておられたのを、この耳で直接聞いております。事件そのものについては、今回の問題とはこれは本質を異にする問題のように思いまするが、将来の幹部自衛官をまとめておるところでありまするだけに、十分その教育の内容等についてはわれわれも関心を持って今後監督をしてまいりたいと思っております。今回のこのことにつきましては、もちろん先ほどから申しまするように、事情の調査、状況の調査等々については、これは遺憾なきを期したいと思いますが、厳正な態度で臨みます。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 関連。  防衛庁長官、この要求書を見ますと、これははっきり申し上げてかなり政治的な面もあるけれども、待遇改善的な面が非常に大きいわけですね。この待遇改善的な面、たとえば第六項目ですか「幹部、曹、士の一切の差別をなくせ。」、このあたりは私も前に指摘したことがありますけれども、土浦でしたか、曹の宿舎ができたらそちらに新しい宿舎であるということで幹部を入れて、曹のほうを古い幹部の宿舎に回したということがあった。こういうことは、さっきは階級制をなくせというような分野だけのとらえ方だったんですけれども、私は、そういうことはやはりこれは不満の出てくる原因にもなるでしょう。もう一つは、私はこんなことはないと思ったんですが、この八項目にある「上官による貯金の管理」というような問題がありまするが、この辺は、これは昔の旧軍隊ならわかりますけれども、ちょっとこの辺は行き過ぎているんじゃないか。そういうような、当然として考えられるようなことがあるわけです。そういう声については、一体長官どう対処されていくつもりですか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) 若い者の集団でありまするから、やはり言うべきことを言えば聞いてやるということも大事ですが、言うべからざることを言えばやはりそれは厳重に反省を求めていく、これもやはり大事なことだと思います。いま御指摘の住居等をめぐりまして問題がありまする点等については、よくよく反省をさせたいと思いまするが、ただ自衛隊の場合、質素をとうとぶという精神から、たとえば曹の場合でも、官舎を十戸割り当てられますると、これを十三戸に水増しをして建てる、あえて粗末な家でしんぼうをしていく、こういう形で今日まできておることは事実であります。したがいまして、そういうことを含めて今後、官舎の整備状況というものを充実させていきたいというふうに考えております。  貯金等の問題につきましては政府委員からお答えさせます。

江藤淳雄防衛庁人事教育局長

○政府委員(江藤淳雄君) 自衛官は一般に任期制隊員でございまして、二年ないし三年の勤務でございます。また曹にしましても、非常に若年定年制をとっておりますので、やはり入隊した際に将来の生活設計を十分指導いたしております。したがいまして、その際、将来の本人の生活の面も考えまして、できるだけ貯金の奨励をいたしておることは事実でございます。しかしながら、これを特に貯金管理をしているとか、あるいは個人の貯金について出入りを直接統制するというようなことはいたしておりません。  なお宿舎の面につきましては、もちろん従来からの経緯からしますと、確かにその本人の勤務の重要度に従って宿舎の重点配分をしてきたことは事実でございますけれども、先ほど長官が言われましたように、現在では幹部、曹、区別することなく、特に曹の処遇改善につきまして重点的に宿舎の配分をいたしております。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 貯金の管理はやっていないと言うけれども、要求書にあるぐらいなんだから、やっていないわけはないでしょう。こういうように言ってくるからには、切実なものがあったからだろうと私は思う。そういう点は、やっておりませんというようなことじゃなくて、これは考えなきゃならぬことじゃないかということなんです。その点あらためて。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) なるほど、貯金等についてはどういうふうにいたしておりまするか、十分調査させます。不当な点があれば改めていくにやぶさかではありません。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 関連。  私も、要求書それ自体の全文を見ておりませんから、その全体を批判しながら話をすることはできぬと思いますが、いま江崎防衛庁長官の話を聞いておりますと、特に問題になりそうな点を引っぱり出して、それに主観的な判断を加えながら厳重処罰を強調しておられるような印象を私は受けます。  そこで、私どもが新聞の報道で見た限りで、この要求書全体を判断したときには、私は、あなた方が都合の悪いことを突っ込まれたときに、「全体としてお考えください」ということをよくおっしゃいますが、その論法で要求書全体を文字どおり全体として判断をしたときには、これは自衛隊の民主的なあり方に対する強い要求であると判断すべきではないか。これが一点であります。  それから要求書の中で、いろいろそちらで言われたことについて私のほうのことも申し上げてみたいのですが、一つは、「侵略のせん兵とならない」ということは、これは自衛隊が侵略の先兵になるということを主張していない以上は、これは当然のことでありましょう。さらにまた、「労働者、農民に銃を向けない」ということ、これも自衛隊が人民弾圧の道具でない限りは当然のはずであります。さらに、言論、集会その他表現の自由を求める、これもまた、現在の基本的人権が保障された平和憲法のもとでは当然な主張でありましょう。さらに「不当な命令に従わない」、これは戦前のきびしい反省の中から生まれてきたことばであって、不当な命令に従わないというのは、これまた当然なことであろうと思うのです。  だから、そういう点をあまり主観的な、曲げた判断をされないで、自衛隊は人民弾圧の道具でもなければ、侵略の先兵の役割りは果たさぬと言っておられるんだから、そういうことばが出てきたからといって、あえてそれに角をはやしてとやかく言うほどの問題ではないのではないかということであります。  それからもう一つは、私は、自衛隊として最近の全体的なあり方をまず反省してかかることが第一ではないかと思う。自衛官の中からいろいろな要求がなされたからといって、その要求をするほうの側が不当であるという判断のもとに、その要求を一切はねつけようとする、押えつけようとするところに問題が出てくるのであって、むしろ、諸種の要求が出た場合には、自衛隊の体質が間違ってはいないのか、自衛隊のあり方が間違ってはいないのかという反省をまず第一にしてみることが一番だろうと思います。特にその問題に関して感ずることは、五名の自衛官が異口同音に言っておることは、自分たちは自衛隊での生活を通じて、これが反人民的な存在であることがわかったと、こう主張しておるわけです。このことばは、私は感情的に受け取るのではなしに、はたしてそういう要素が自衛隊の中にないのかどうか、こういった点を、防衛庁長官としては深刻な反省の中から私はものを言ってもらいたいと思う。  特に小西元三曹の事件以来、夜間大学に通う自衛隊員、通信教育のスクーリングに行く自衛隊員に対しても非常に警戒が厳重になっておるということは、私どもが直接自衛隊員から聞くことばであります。一つの事件が起こったからといって、不当にきびしい抑圧をやると、これはやはりいいことにはならぬということになるのじゃないかと思います。したがって、あまりものごとを感情的にとらず、もう少し高次元の立場から判断をするということが必要ではないかということが一つです。  そうして、私どもの判断から言うなら、最近の自衛隊は、隊内における精神教育の面においても、あるいは防衛大学における教育の面においても、きわめて一方に片寄った教育が行なわれておる。そういうような事柄は、ここ二、三年来、私ども委員会等で追及をしてきたとおりであります。むしろ、そういう点のあり方を深刻な反省をしてもらいたいということを強く要求いたします。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) こういう事件が起こりましたときに、感情的にならないで理性的に高次元な判断をしろ、その点につきましては全く同感であります。若者の集団だけに、納得のいく形で、同じ処罰をするにいたしましても、全体の隊員に十分理解されるような姿で処罰をしていく。大事な点だと思います。これは重要な御意見として承っておきます。  で、今度のこの問題につきまして、もちろん憲法に保障されておりまする思想、表現の自由とか、いろいろありますが、やはり、あらかじめ記者会見をし、しかも制服のままで自衛隊の正面玄関におとずれて防衛庁長官に面会を求め、そして要求書を読み上げるという行動は、何といっても、志願をして自衛隊に入ってきた者らしからざる行動であることは、否定できないと思います。  一々の文章については、もう重ねてチェックして読み上げませんが、やはり要求書及び特に声明等におきましては、不穏当な個所が非常に多いようにわれわれ強く感じております。しかし、あくまで感情的にならないで、冷静に事を処置していくこと、これは二度と再びこういう不祥事を繰り返さないためにも大事なことだと思いまするので、十分留意をいたしてまいりたいと思います。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 私は、長官、処罰を肯定する立場に立ってものを言っているのじゃないのですよ。処罰を云々する前に、自衛隊の最近のあり方を、深刻な反省をしなさいと言っているわけです。  自衛隊のあり方は、私は、あなたはあまりよく御存じないと思う。一体、幹部学校でどういうこと教えられておるか、防衛大学でどういう精神教育がなされておるか、おそらくあなたより私のほうがよく知っておると思う。私は二年ほど前に、自衛隊の下士官に対する精神教育の問題を取り上げてやったことがありますが、これは防衛庁当局は徹底的に否定をしてまいりました。私は下士官の精神教育の教科書の原本の写しをもって話をした。それでも否定をされました。したがって話は平行線で終わりましたけれども、私は、自衛隊のあり方のほうに問題があるという指摘をしておきます。特に、あなたは民主的な気持ちの旺盛な長官だろうと思いますから、そういった反人民的な、反民主的な自衛隊のあり方を、徹底的に洗ってみるということのほうに全力をあげらるべきだろうと思います。そしてまた、何も制服で防衛庁の正面玄関に来て正々堂々と要求書を出したからといって、ことさらそれを私は目くじらを立てる必要はないと思う。むしろ正々堂々とした態度で自分たちの要求を掲げたのじゃありませんか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) 自衛隊全体の教育のあり方と、こういう行動に出た者の現実のあり方とでは、これは私は区別をしてかからなければならぬと思います。  で、この文章、一々読み上げたくないんですが、「自衛隊の侵略軍隊への強化は」なんという独断は、これはとんでもないことでありまして、われわれはしばしば審議の過程においても、軍国主義などと呼ばわれることをまっこうから否定をし、また事実、そういうことはごうまつもない、そのときに自衛官たる者が何か侵略の軍隊であるようなことを言うことは、これは不穏当きわまるものだと思っております。

向井長年民社党

○向井長年君 現下の情勢が、一部ではあるけれども、今日まで過激派学生の行動、皆さん御承知のとおり。今度また、ごく一部であっても、しかも国民が最も信頼しておる自衛隊の中でこういうような要求書が生まれた。こういう現状を政府はどう見ているかと、こう私は聞きたい。  ということは、ただその内容の問題だけではなく、また五人の諸君の要求だけではなくて、いま黙々とこの国の安全のために自衛隊の諸君が任務を果たしておる、こういう中で、その他の諸君がどうこれを受けとめているかという問題だと思う。これは私からいうならば、少なくとも今日まで一部において、日本が軍国化しつつある、こういう意見があるのですね。また一部では、現在の平和憲法をこれを改正しなければならぬ、こういうことを言っている諸君も中にはあるわけですから、こういう問題からくる今後の不安といいますか、元の軍隊じゃないけれども、そういう不安というものが自衛隊全般にみなぎったときどうなるか、こういう問題を考えれば非常に重大だと思う。そういう問題に対して、政府は、ただ単に五人の諸君がそれをやったという問題に対して処罰をすれば済むんだ、今後この規律を正していけば済むんだということではない。いま、まじめにやっている自衛隊員諸君に対して不安感を与えるということは、まことに重大だ。こういう問題を今後政府はどうとらえて、それから、今後の自衛隊の隊員諸君に安心感を与えると同時に、そしてまた待遇の問題とか、不安の問題とか、そういうすべての問題に対して、やはり下部のそういう諸君の意見も聞きつつやらなければならぬのじゃないか。まずそういうようにして、こういう問題はただ単に五人の諸君である、あるいは処罰したから済んだという問題ではなくて、今後のとらえ方についてどう対処していくか、お聞きしたいと思います。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) 御指摘の点は、きわめて重要な点だと思います。もちろん、これらの挙に出た者は全く例外中の例外でありまするが、こういう不祥事を起こしたこと自体、われわれ深い反省をいたしておるものであります。直ちにそれぞれ幕僚長を通じまして原隊に、今後こういうことを繰り返さないよう十分注意を喚起いたしますると同時に、これは防衛庁自体といたしましても、やはり綱紀を締めて、今後りっぱな、多数の自衛官が納得して、お説のように安心して勤務できるような環境をつくり上げていくよう努力をいたしたいと思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 委員長。

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) 岩間君、じゃ一問だけ。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 問題は非常に重大なので、ここでの論評は差し控えたいと思います。そのうちに明確にしますが、とりあえず事実の問題について二点だけ聞きたいと思います。  第一の問題は、このような事態を起こすようなそういう問題が、いま現在の自衛隊の運営の中にあるのかどうか、これをどういうふうにあなたたちは考えておるかという問題が一点です。  もう一つの問題は、この一人が記者会見の中で次のようなことを言っているのです。私の隊では、民間機が地上上空を通過するたびに、民間機を仮想敵機としてミサイル発射の訓練をしてきた、訓練は、レーダーで民間機を追い、ミサイルの方向を変えるなど実戦さながら、それなのに隊では外部に漏らすなと言うだけで反省もしない、こういうことを記者会見で述べているのです。こういう事実がはたしてあるのかどうか、この事実関係。この二点についてお伺いしたい。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) 第一点につきましては、少なくとも自衛隊のほとんどの、もうこれは全員といってよろしゅうございまするが、隊紀は厳正でありまするし、士気は上がっておるというふうにわれわれは考えております。  第二点につきましては、個々にまだ調査をしておりませんので、調査の上お答え申し上げます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 この行動が政治的行為であるかどうかということが、自衛隊法第六十一条との関係で問題になるかと思いますが、政治的行為と見ておられるわけですか。また記者会見によると、きよう四月二十八日の沖繩反戦デーに参加をしたいという意向を明らかにしておりましたが、そういう場合を含めてどうなるか、その点をお伺いしたい。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) あらかじめ記者会見をしたり、また要求書、声明等に見られまするように、まさに政治行為と思います。しかし、これが、いうところの法的な、法律的な政治行動であるかどうか、これについては目下、法務省、法制局等々と組織において検討中でございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 法制局長官はお見えになりませんので、次長にお伺いしますが、いまの件についてはどういう見解ですか。

吉國一郎内閣法制次長

○政府委員(吉國一郎君) 自衛隊法の第六十一条では、政治的行為の制限を規定いたしておりますが、そこで政治的行為と申しますのは、「政党又は政令で定める政治的旨的のために」一定の行為をするということでございまして、その一定の行為の範囲も政令で定めてございます。したがいまして、通常の社会通念をもって政治的行為と目されるような行為がすべて入るわけではございませんで、ただいま手元に自衛隊法の施行令、政令を持ち合わせておりませんので、具体的に申し上げることができないことは残念でございますが、おおむね国家公務員法に基づきます政治的行為の制限、これは人事院規則で同じように、一定の人事院規則で定める目的をもって、人事院規則で定める行為をすることを政治的行為として制限をいたしておりますが、それとおおむね同じ範囲であったと思います。したがいまして、先ほど申し上げましたように、単に常識的にあるいは社会通念をもって政治的行動であるというものが、すべて律せられるわけではございません。  で、本件につきまして、まだ最終的な検討をしたわけではございませんが、けさほど、ざっと内部で検討いたした限りでは、政治的行為には触れないのではないかという考えに立っております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 法務大臣はいかがですか。いま法務省は検討しておるということですが。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(前尾繁三郎君) まだ事実関係が明確でありませんので、事務当局で検討いたしておりますが、その見解についてはまだ申し上げるところにまいりません。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 この問題で、最後に総理にお伺いしたいのですが、総理はこの事件をどう受けとめておられるか。それから自衛官の人間像というのはいかにあるべきか、どういうようにお考えになっておるか。  やはりこれは、この最初にありますように「人間として」の要求ということを冒頭に言っておるわけでありまして、いろいろそれは議論があるかと思います。確かにきびしいことばも中に出てまいりますし、防衛庁長官の言われたことも私は全然否定はいたしません。しかし、やはり要求というのはかなり強い姿勢でくることは当然でありまして、最初にはっきり「人間として」ということがうたわれています。やはり、市民として、国民としてと、こういう点を強調しておる上で、自衛官の人間としてのあり方、その辺に立っての自衛官としてのあり方を、総理はどうお考えになっているか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これは自衛官のあり方、これを矢追君から聞かれますが、先ほど来防衛庁長官も、団体の規律と、こういう点を特に強調されました。  私は団体の規律、これは最も大事なことだと思います。しかし一面で、やはり人間としての集団でございますから、人間としての集団、それはいわゆる力だけであるいは規律だけでこの団結ができるものでないこと、これまた私ども思いをいたさなければならないと思います。これは言うまでもなく人間としての愛情、その愛情のもとにおいてまず団結ができるんだ、その団結を組織化する、そのためにやはり規律が守られる、そういうことでなきゃならないと、かように私は考えております。ことに自衛隊、国民の信頼を得、国民とともに国土を守るというそういうわが国の自衛隊の任務は、まさしくそこに思いをいたさなければならないのではないかと思っております。人間としての愛情、そのもとにおいてさらに団結を強固にする、こういう意味においての組織としての強化、その規律の強化、これが望まれるのではないか、かように私は思いますので、先ほど来からのやりとりを静かに聞きながら、この点は、十分これからの自衛隊のあり方についてわれわれも反省をし、思いを深くいたさなければならない、とにかく人の、人間としての団結の集団でございますから、その基本的なものを欠いてはならないと、かように私は思います。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 いま総理も反省をする、こういうことを言われましたが、私はこの自衛隊のあり方の反省のときに、政府の結局国防問題、要するに、特にこの国会になりましてから四次防の問題、あるいは沖繩への物資の運搬の問題、いろいろ問題が起こったわけでありまして、そういう政府の防衛に対する姿勢というものに対して、国民の中には非常に不安と疑惑というものが多い。例の電報の問題も含めまして、これは非常に強くなりつつある。やはりここではっきり政府が、国の防衛の構想、防衛のあり方、自衛隊のあり方というものに対して国民の納得のいく、いわゆるナショナル・コンセンサスを生み出すような努力をしなければならない。しかし、いま政府のやられていることは、むしろそれとは反対の方向を強くわれわれは感じておるわけであります。そういった点についても含めた反省を受け取ってよろしいかどうか、その点はいかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、昨日もお話をしたように、この国会くらい国防問題を各党の立場で審議されたことは、いまだかつてなかったように思います。したがって、たいへん国民としても、国防問題についての考え方、自衛隊のあり方等については、よほど私は認識を深めたことだと思っております。私はさらに本日、ただいまのような問題がこの場でやりとりされるということになれば、一そう政府の考え方も徹底するし、また皆さん方の、野党の立場もはっきりするだろうと思います。私は、皆さん方が必ずしも政府を攻撃するだけの立場ではないと、かように理解したいし、また理解しておりますが、どうか、政府の間違っている点はひとつ正していただく。やはり大事なのは何といっても国であります。国民であります。また、政治を遂行する場合において、お互いが政党を結成しておりますからそれぞれの政党のことも考えるでございましょうが、しかし基本的には、何といっても国民、国土、そういうものを考えなければならないし、そのことが民主主義国家として当然のことだと。  私はそのことに思いをいたすときに、日本がしばしば外国から、軍国主義化する、こういって非難をされますが、私自身は、さような危険はなしと、ほんとうにはっきりと国民の皆さんに申し上げ得るのであります。私は同じように、政治をする野党の皆さん方も、それぞれの立場にとらわれないで、大所高所からこれらの点を十分監視する、そうして正しいあり方を国民に示していただきたい。これは私がお願いするまでもなく、防衛力、日本の国土を守るという点については、野党の諸君といえども私は同じ立場だと思います。かつての軍国主義化、あるいは形が変わっても軍国主義化呼ばわりされる、あるいは侵略的な行動、こういうものは寸毫も許さない。これは野党の皆さんも私どももその立場でございます。そういう点は十分に私は国民にも訴えられなきゃならない、かように思います。とかく、野党あるいは与党、こういうような立場だとそれが対立的な形において国民に訴えられる。このことは私はまことに残念に思っております。たれ一人として、日本国民全体が平和を愛好しない者はないはずであります。それらの点にも思いをいたされまして、政府も反省をいたしてまいりますが、どうか、政府を鞭撻する、それだけの余裕もぜひ野党の方々も持っていただきたい。これは私はお願いをいたしておきます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 いま、反省をすると言われましたので、それを実際に形にあらわしていただきたいと思います。  次の問題に移りますが、これも今国会でいろいろ問題になりました安保条約の事前協議の問題でございますが、この際、整理の意味でお伺いをしたいと思います。  総理はこの事前協議の再検討について指示をされましたが、その真意は、事前協議が戦争の歯どめであるという、その歯どめを強める、こういった観点からの再検討と受け取ってよろしいですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 事前協議、これがどうも、安保条約が形骸化しておる、事前協議が形骸化しておる、こういうようなお話をしばしば聞くのであります。そこらでもう一度政府自身も原点に返って、この事前協議を洗い直す、そういう立場でなければならない、こういうことを申し上げ、それを、それぞれの機関にいま命じて検討さしておるということでございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 形骸化といわれておるので、それを実質的にするためへの再検討の指示と、そう言われて検討されておるようでありますが、少なくも私は分科会におきまして外務大臣ともいろいろ議論やりましたし、また社会党の羽生議員からも一般質問あるいは分科会でも相当詳しい詰めがございましたが、その議論を通じて感ずることは、結局、歯どめはちっとも強まらない、形骸化は相も変わらず変わらない、こう受けとめざるを得ない答弁なんですが、外務大臣、その点はいかがですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私が、事前協議の再検討をする、こういうことを申しておる、これは、再検討の結果、歯どめがゆるめられるんだというようなことは全然考えておりません。  私が考えておりますのは、とにかくこの制度が創設されましてから十二年になる。その過程におきまして、国会で幾多の議論が行なわれておるわけであります。そしてその議論に対しまして、政府側がいろんな答弁をいたしております。その答弁が定着したものもある。ところが、この政府の見解として示したものにつきまして、アメリカとの間に相互の理解が届いておるか、こう言うと、必ずしもさようでない面もあるわけなんであります。そういう点はこの際、日米間でおさらいをいたしまして、相互の理解を統一しておかなければならぬ、こういう問題があるわけです。また、この国会の論議におきまして、論議の結果というものが必ずしも明確になっておらぬという問題がある。そういう問題につきましては、これを明確にしておく必要がある、こういうふうに考えるわけであります。  ちょうど、沖繩が返還間近に迫っておる。沖繩につきましては、この事前協議をめぐりまして、沖繩県民もたいへんいろいろな関心を持たれておる。そういう際、いい機会でありますから、この辺でこの問題の総ざらいをいたしておきたいということで、考え方としてこれをゆるめるとかそういうのじゃない。私は日米安全保障条約というものは、これは堅持しなければならぬ、こういうふうに考えておりますが、しかしこの運用を誤りますると、わが国が戦争に巻き込まれるという危険なしとしない、そういうふうに考える。それに対しまする歯どめが事前協議でありまするから、この事前協議をしっかりしておかなければならぬ、こういう立場であります。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 いま大臣は、ゆるめる気はない、ゆるめる気はないと、それを一生懸命強調されておるわけですが、私はこの間から言っていることは、いまの事前協議が空洞化しておるから、この際きちんと内容を詰めて、むしろ歯どめを強める、強める方向にいかなければ、いまのままであれば全然アメリカは事前協議は一言も言ってこないわけです。また日本からも、それに対して要請もしておらないわけでありますから、結局、事前協議はあるけれども実際十二年間行なわなかった。だから、この際話を詰めるなら、もっと私は歯どめを強化すべきである、こういう議論をしておるわけです。  外務大臣は、ゆるめない、絶対ゆるめないと。ということは、いまと同じということです。だから、問題がいろいろ整理されて、たとえアメリカとの話し合いが、おさらいができたとしても、現在の事前協議というもの私は絶対詰まらない。これはこう言われればこうですと。ですから私はこの間言ったように、むしろアメリカに知恵を与えてしまう。要するにこの事前協議のワクを締めなければ、じゃ、戦争に行くときは絶対日本から直接は行ってもらっちゃ困る、どこかフィリピンに寄って行きなさい、寄るならけっこうです、こうなるわけでしょう。命令は絶対出さない、太平洋のどこかへ行ってから命令を受けて、それから行くんだ、これなら日本から幾ら出てもけっこうでございます、こういうことになってくるわけです。またKC135の空中給油にしても、これはけっこうでございますとか、これも、やるなら日本からこれぐらい離れたらけっこうですとか、それで、直接ベトナムへ行って爆弾を落とさないで、どこかへ一ぺん寄ってくれとか、結局、その事前協議の歯どめというものはちっとも要するに狭くならない。  この際、より戦争への歯どめを強めたいという御意図があるなら、私は、その歯どめを強化する、そういう面での話し合いへの再検討をすべきだと、こう思うのですが、総理はいかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 外務大臣も申したのを誤解されては困りますが、私どもは安全保障条約、日米安保条約、これは堅持する、こういうたてまえでございますから、先ほども答えたように、原点に返って、条約に書いてあるからといってそれで安心してはいけない、空洞化するようなことがあってはならない、そういうことをあらためて思い起こす、こういう意味で、協議をしたらどうか、協議すべきだと、こういうことを申しておるのであります。また、外務大臣もさように答えております。これは、どこまでも日米安全保障条約は堅持する、かように申しておりますから、この点はひとつお考えをいただきたい。  ただいま、われわれは戦争に巻き込まれること、これについては非常に敏感に、さようなことの起こらないことを一生懸命考えておりますから、よもや日米安保条約がありましても、そのことによって、事前協議することによって、戦争、これの防止役は十分つとめておる、かように私は、あの安保条約の原点における議論を思い起こすと、さように考えております。どうも最近は、原点にも返らないで、それがどうも空洞化しておる、働かない、看板倒れじゃないかと、こういうような事柄が指摘される。さような点を、もう一度ひとつ原点に返る、こういうことで思い起こすべきだと、こういうことを申しておるのでございまして、ただいま言われること、もっと厳格にしろ、かように言われると、いままでやってきた安全保障条約、その運用についての基本の観念が変わるかのように私どもに聞けるのであります。私どもは安保条約は必要だ、これは守る、そうしてこの戦争への歯どめはいわゆる事前協議、これがあるからだと、こういうことがいままでずっと言われてきておりますから、空洞化したらそれは歯どめにならないから、それが空洞化しないように、この際に、人もかわっておることだから、もう一度よく相談をし合って、そうして相互の理解を深めろ、かように実は申しておるのでありまして、おっしゃることと私の言っておることは、別に違っておるとは思いませんけれども、何だか、強めろ、こういうように言われると、この安全保障条約の中身でも変わるかのような印象を与えるから先ほどのような答弁になってくる、かように思いますが、私は、とにかく御指摘になりましたように、空洞化したら、どんな約束をしてもこれが守られない、私はそのことをはっきり申し上げておきます。  どうも、矢追君の御意見に必ずしも同調しないので御不満かわかりませんが、私はやはり原点に返ってこの点をもう一度追跡すべきだと、かように思っております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 私は何も安保体制——もちろん安保体制についてはわが党としても段階的解消ということを言っておりますし、これを議論し出すとまた平行線になりますから、これはさておきまして、一応安保条約が現実にある、それを踏まえた上で、どうして戦争の歯どめをするかということで、いま私が事前協議を強めよと言うことが、安保条約プロパーまでいじくれという議論をしておるのでは決してないわけです。要するに事前協議に言われておる事項、さらに配置の変更、それから装備の変更、そうして戦闘行動、この三つの具体的な内容、一機動部隊あるいは一個師団、一個空軍師団、そして核と、こういった点の、これは口頭ですよ、文書にはなっていないわけです。これは口頭できておる。ただそれだけの話し合いだけだ。この辺をもっと整理をして詰めれば、私は強めることが可能だ。しかもそれは安保条約プロパーをいじる必要は決してない、安保条約の本質まで変わるものには私は決してならないと、自民党の立場を踏まえた上で言っておるわけです。  だから、先日来福田外務大臣は、この話し合いの時期は沖繩返還後、数カ月後と言われました。そうして形式は文書にしたいと、こう言われたのですから、私としてはもっと早い時期にやってもらいたい気持ちでありますが、それだけ数カ月かけるなら、この際徹底的に洗い直して、たとえば一タスクフォースを一タスクグループまで落とすとか、あるいは戦闘行動というものを、そういう間接も含めて日本からは絶対にさせないとか、その辺で問題が、いま総理の言われた安保プロパーとの関係が出てくるかと思いますけれども、この際、少し歯どめを強める方向で、せっかく文書交換までするのですから、やるべきであると、こう思うのですが、その点、外務大臣と総理の御意見。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) いま具体的に、どういうところをどういうふうにするんだというお答えをすることはむずかしゅうございます。ただ私の気持ちは、あの事前協議三項目のうち特に重点を、日本の基地からの米軍の出動その問題に置きたいと、こういうふうに考えておるわけでございますが、いずれにしても、先ほども申し上げておりまするとおり、これは安保条約の歯どめというか、これが事前協議制度でございますから、その制度を洗い直そう、こういう。これは決して歯どめの役目を弱体化しようなんという考えはないのです。これをしっかりした歯どめにしよう、こういう意図である、こういうことです。御了解願います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま答えたとおりでございますが、当方からは、いわゆる事前協議という形ではございません、随時協議、これができるのでございますから、そういう意味で十分話し合ってみたいと、かように思っております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 私がいまの三つの問題にこだわっておるのは、配置の変更、装備の変更——これは装備になると思いますが、昨年の沖繩の国会におきまして、わが党の黒柳議員の質問いたしました毒ガスの問題について、総理はサンクレメンテで話をされた。そのときのニュアスも少し先日の分科会で外務大臣からも伺いましたが、このCB兵器も装備の重要な変更に加える、ここまで私はぜひしていただきたいと思うんですが、そのサンクレメンテ会談における総理のお話、ニクソン大統領の感触、さらにこの秋に行なわれる文書交換で入れるまでの焦詰めを、向こうが拒否するかどうか。その点の話し合いはどうなるかわかりませんが、政府としては、これを入れる方向で検討されるのかどうか。その点お伺いしたいと思います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) その問題は、去る分科会におきましても、御質問にお答えしたところでありますが、CB兵器もありますが、核兵器、これの問題につきまして、とにかくニクソン大統領に対しまして、佐藤総理は、私がそばで聞いておっても、あんまりこまか過ぎるんじゃないかという感じを持つくらい、執拗にお話をされた次第です。CB兵器の問題なんかになりますると、羊の話まで持ち出されまして御説明されると、こういうような状態であります。これに対しては、アメリカの大統領は、私が傍聴しておった限りにおきましては、深い理解を示しておると、そういう状態でありますので、この問題も、今度の安保協議会の場では話し合ってみると、こういう考えでございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 ぜひ、先ほどから盛んに、外務大臣はゆるめない、ゆるめないばかりおっしゃっておりますので、しっかりしたじゃなくて、強くしっかりした事前協議——こちらにしていただきたいことを要望いたしまして、次の質問に移ります。  いまの核の問題とからみますが、沖繩の核撤去については、もう復帰まであとわずか二週間少々であります。すでに終わったと考えておられるのですか。まだあると考えておられるのですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 終わったのか、終わらないのか、私、公式にこれを申し上げることができない。非常に残念でありまするが、いずれにいたしましても、五月十五日には、核は一切沖繩にはなくなると、こういうことが明らかにされるわけであります。私どもはそういうことを明らかにするための米国国務長官の私あての書簡、これの発出を期待しております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 いま明らかにできないのが残念だということは、通知がないということですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) そうじゃなくて、アメリカは、この核というものがどこにあるのか、ないのか、これに対しましては非常に注意深い態度をとっておるわけであります。私は、一月のサンクレメンテ会談でも、アメリカ側の話を聞いてみると、もうほんとうにこの核の問題は大統領の専管事項であるとまで考えておられるような状態でございまして、したがって、沖繩において、核がどういうふうな状態になっておるのか。また核がどういう状態によって撤去されるのか。そういうようなことにつきましては、これはひとつまかしてくれと、これは話せないことなんだと、こういう態度なんです。そういうことで、私どもが、この核がどういうふうに処理されておるかということについて知るよすがないと、こういうことで、皆さんにその状況が御報告できないことが遺憾であると、こういうことを申し上げておるわけであります。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 実際、いつどけられたかもわからないわけでありますが、現地で、いろいろ現地からの報告等聞きますと、とにかく核の撤去というのは相当の工事であると私たちは解しておるわけです。この前も、これも黒柳委員が質問いたしました例の核撤去に関する安全性の問題で、非常な相当な作業でなければならない。そういう作業がはたして行なわれたかどうか——非常に、これはきちっと調査をしたわけじゃございませんけれども、現地からのいろんな、そういった点の注意をしてもらうようにしておりますが、話を聞きますと、何かそういうのがないような気がしてならない。そのとたんに、現在、御承知のようにベトナム戦争が非常に激化をしてきている。そうすると、アメリカは、そういう作業をするよりも、むしろベトナム戦争のほうに気をとられてしまうと、核はどけられないのじゃないか。そういった点で、私は、先日来いわれておりますアメリカ側の書簡が固まってきた、このロジャーズの核抜きの保障は、非常に間接的な表現にしかならないのだと、こういうふうなことで、結局、共同声明とあまり変わらない内容になりそうでありますが、はたしてそれで私たちは信用していいのか。外務大臣の答弁は、おそらく絶対信用すると言われますが、この書簡については、もうそれをもらっただけで終わりであって、この書簡をかわすときには相当のまた議論、詰め等はされるわけですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) この書簡の内容につきましては、両国間で議論をいたしておるのでありまして、書簡が出ましたその後において議論をするというようなことはございませんです。書簡は、これは内容につきましてはもう大体固まりつつありますが、私は全国民がこの書簡をごらんになって、沖繩に核はないということ、また、わが国の核政策について、アメリカが深い理解を持っておるということについて、御安心が願えるような性格のものであると、こういうふうに思います。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 それは共同声明よりも、さらにもっと具体的な強い姿勢と言ったらおかしいですが、こちらから言いますと、そういうような線に落ち着くと思われますか。そういう見通しですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) とにかく、非常に明瞭に、五月十五日の時点において沖繩に核はありませんということが表示される、こういうことになろうと思います。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 この核が撤去されたということの点検ですが、これもいろいろ議論はされましたが、あらためてお伺いいたしますが、最小限、倉庫の点検ぐらいは必要と思いますが、それはされるつもりがありますか。それとも要求はされますか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) この核の問題は、もう六九年の大統領と総理との共同声明でもああいう約束がある。それから、その約束が、さらに今回の沖繩返還協定にも盛り込まれ、その上さらに、アメリカ政府が、大統領の指示によって核が撤去——核がなくなっておるということの書簡を国務長官から私までよこす。こういうのですから、私は、これはこれ以上の核の不存在についての保障、そういうものはあり得ないと、こういうふうに思うのです。ですから、私はこの書簡をもって核の問題について終止符を打ちたいというくらいな気持ちでございます。ただ、しかし、情景をごらんになりまして、どうも疑問があるとか、そういうようなことがありますれば、そういう際には、私どもは適当な解明の措置をとりたい。疑問解明のための措置をとりたいと、こういうふうに思います。ただ、これは米軍基地でありますから、その基地に立ち入りを行なうとか、それを権利として主張することは、これはいたしません。これは日米友好というような関係において妥当な解明になり、方法を求める。こういうふうなことかと思いますが、とにかく疑問がある、こういうようなことであれば、これに対しましては疑問の解明を行なうという努力は、これはもう決して私どもは怠るというようなことはいたしませんです。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 次に、沖繩返還協定にありますいわゆる基地のリスト、A、B、C、これが返還時にあの協定どおりであるかどうかというのは、非常に疑問であると思うんですけれども、もし、このA、B、Cのリストが返還時において違ってきた場合は、どういうふうにされますか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) A、B、Cのリストの変更をするという考え方は持っておりませんです。ただ、実体的に、A、B、Cリストに追加されるもの、あるいは削除されるもの、これが若干出てくると思うんです。削除されるというものは、A表には掲げましたけれども、この際まあ日本に返還しようというようなものが予見されるわけなんです。そういうものが二つあります。それから、返還時には提供すると言っておったものが返還されるというふうになってC表に掲げられておる、こういうものがある。また一時A表のような立場に立たされるというものが出てくる。これが那覇飛行場であります。那覇飛行場、これは五月十五日にもう完全にクリアされるということを期待しておったんです。ところがP3の移転が困難であるという事情が出てきた。これは矢追さんも御承知の事情でございますが、そこでこれは一応返還になりまするけれども再提供をする、しばしの間再提供をするという問題があるわけなんであります。それにつきましては、地位協定に従ってそれに必要な措置をとらなければならぬと、こういうふうに考えております。その辺がA表、B表、C表の実体と差異が出てくる問題でありまするが、形式といたしましては、A表を変更するとか、あるいはC表を変更するとか、そういう手続はとりません。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 いま那覇空港を言われましたが、那覇空港だけで終わりですか、C表が変わるのは。ほかに可能性がありますか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 政府委員のほうから……。

吉野文六外務省アメリカ局長

○政府委員(吉野文六君) いまのところ那覇空港以外にはございません。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 あと二週間少々ですから、現在の基地の状況によっておそらく私はCがそのままCでそのときにとどまると思えないのは、一つは、C表の七番目の奥訓練場でありますが、これが現在米軍によって増強をされております。こういった点でおそらく返ってこないのではないか、また、返還時にまだ返ってこないかあるいは自衛隊が来るのではないかと、こういう不安が現地においてあるわけですが、この奥訓練場は間違いなく米軍が施設を増強しておるにもかかわらず、こちらに返ってくるのかどうか。もう一つは、石川ビーチの例のケーブルでございますが、この二つの点についてはいかがですか。

吉野文六外務省アメリカ局長

○政府委員(吉野文六君) 奥訓練場につきましては、これは返ってまいります。それから石川ビーチのケーブルの件につきましては、先般も他の委員会で御説明申し上げましたが、一部地下に通信用のケーブルがある。で、このケーブルはA表の(注)によりましてすでに地位協定に従って必要な措置をとるということになっておりまして、その限りにおいてわれわれも予定していたわけでございます。で、六百七十メートルにわたるケーブルが地下にございまして、そのまわり三メートルくらいの間を一時——一時というのか、地主と賃借契約を結びまして、そしてそこにケーブルを布設したままに置いておくということになるだろうと思います。これはしかしながら、その土地をケーブルを破損しない程度に使うことに対しては何ら差しつかえないと、こういうことでございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 いまの政府の御答弁を信用すると、那覇空港だけの問題になりますけれども、これは協定違反と見ていいですか、外務大臣。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 協定違反とは見ておりません。あのA表、B表、C表は、御承知のように、前文でありましたか備考でありましたかに、ちゃんと書いてありまして、一応そういう目標でありまするけれども、地位協定に基づく手続によりまして例外を求めることができると、こういうふうになっておりますので、違反でも何でもないんです。A表、B表、C表は一応の目標を示しておると、こういうことでございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 さらに沖繩の米軍基地についていろいろやりたいわけでありますが、時間の関係で簡単にいたしますが、現在でもなおかつ基地が強化をされておるところがかなりあるわけです。衆議院におきましても沖繩返還協定の際に本会議で決議がされましたように、米軍基地は縮小をすると。ベトナム戦争が現在このように激化をしてきておるときになかなか縮小はむずかしいのではないか。しかも現実には基地が拡張強化されておる。これは私は昨年の沖特の委員会においても証拠を持って説明したとおりでありますが、現在強化拡充されておる基地はどのぐらいあると掌握されておりますか。

吉野文六外務省アメリカ局長

○政府委員(吉野文六君) われわれはいままでのところ、強化拡充されておる基地というものの実態について何ら聞いておりません。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 実際は強化拡充されておる。見方が問題かもわかりませんけれども、かなりあるわけです。これは一つずつ詰めますと、時間がかかりますので、また次の機会に譲りたいと思いますが、先ほど協定の核の問題について書簡でうたうということが出ておりますが、この基地縮小という問題については、その中にまた別に項目を設けて入るわけですか。その点はいかがですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 今回、五月十五日に国務長官から私あてに来る手紙はもっぱら核の問題に触れておるわけでありまして、基地の問題には触れません。基地の問題につきましてはすでに一月のサンクレメンテ会談におきまして両首脳の間で共同新聞発表をしておる、あれで私は十分であると、かように考えております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 もちろん核が最大の問題でありますが、やはり米軍基地の縮小も大きな課題であって、したがって二つの項目があの衆議院できめられたわけでありますので、ぜひこれを入れるように要求をしていただきたい。また今回が無理であるとすれば、またそれとは別の何らかの形で、私はこの協定を五月十五日の復帰を機会にやるべきだと思うのですが、総理はいかがお考えですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) ただいま申し上げたように、基地の縮小整理につきましてはサンクレメンテ会談で十分話し合っておるわけなんです。その結論をあの共同新聞発表で出しておるようなものになっておるわけです。これはもう声明だとか、あるいは書簡だとか、そういうものを沖繩返還時において必要としない問題なんです。つまりもう返還が行なわれました後におきまして、あの共同新聞発表におきましても話し合いを始めると、こういうふうになっておる。その話し合いをもうする段階であって、いまさら手紙のやりとりをするとか、そういうふうな種類の問題ではない、こういうふうに御理解願います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま外務大臣からお答えをいたしましたように、基地の問題とそれから核の撤去の問題と、この二つが沖繩にあると、またその他にもいろいろ問題がありますが、やはり問題を明確にするためにこの際は核撤去についてのみこの書簡交換をする。そうして基地の縮小の問題については、これはもう基本的な日本政府の態度でございますから、沖繩だろうが内地であろうが、これは同じように縮小の方向に向かうべきだと、かように私は思っております。一部、最近のベトナム情勢について心配する向きもありますけれども、大勢としてはやはりベトナムに一時爆撃は行なわれましたが、やはりパリ会談は再開されるようだし、またその他の陸上兵等の撤兵計画が行なわれるとか、それらのことをずっと考えると、言われるようにベトナム問題は非常に悪化の方向に向かっているとはどうしても見られない。また私どももやはりアジアが平和に、緊張緩和の方向に働くように、あらゆる機会をつかまえて努力するつもりでございます。したがって、ただいまの米軍の配置等につきましても、基本的な日本の考え方についてはアメリカ政府・ワシントン政府自身が十分理解をしておりますし、今後これにさらに時間をかしていただくことによってそういうものが実現していけばほんとうに平和な島になり得ると、かように私は確信するのでありまして、沖繩が祖国復帰、それを目の前に控えて、今後の課題、沖繩が本土に復帰する、施政権が返ってくる、それだけの問題でなしに、問題は今後に残っておると、かように考えますので、日本政府、日本国民、これがその方向であとの問題をひとつ解決するように努力しなければならないと思っております。それは矢追君のほうがただいま御指摘になりましたように、基地の縮小であり、さらにまたアジアの平和であり、緊張緩和の方向へ一そう努力すべきことだと、そうして沖繩と本土がほんとうに心からなる一体感、これをはかられる、こういうことでなければならないと、かように思っております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 いま総理は、ベトナム戦争について悪化の状況ではないと言われましたが、もちろんこれからどのように進展をしていくかは私たちはなかなか予測はつかないんですが、何かあまり楽観をされておる、それから非常に傍観者的態度である、こういう点が私は少しひっかかるわけでありますけれども、このベトナム戦争がやはり今後相当私は長引くのではないか、というのは、アメリカのベトナム化というのが八年ないし十三年かかるというふうな、こういうこともいわれておりますし、またこのベトナム化政策というものが、今回の北のああいった攻撃に対して挫折感になっておる。とすればかなり長期にわたる。そうすると、その間にいろいろな問題がやはり出てきて、戦争ということが起こる。それに連動して沖繩基地というものが絶えず問題になってくる、いまの状態では。さらに沖繩だけでなく本土の基地もやはり問題になる。これが全局的問題にからんでくるわけでありますけれども、ベトナムに対する総理の見方、これは予測といってもあれでしょうけれども、ただ傍観者的に見るのではなくて、どうしてこれを和平に持っていくか、日本としては手をこまねいて見ておっていいのか、その点はいかがお考えですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 国際情勢ですから、一喜一憂したり、あるいは将来どうなるとか、こういうことを予想を立てることは非常にむずかしいと思います。わがほうの外務省からの課長が北越を訪問した、その時分によもや北越自身が南ベトナムに侵入しようとは思わなかった、こういう状況でたいへん平静に帰しておると思っていた。ところが意外な事柄に、やはり北越と南越との対立はきびしいものがある。そこで、米軍もこれに対応しての爆撃が始まる。そうすると、これがまた相当長く続くかと思うと、やっぱりパリ会談、これを今度はやろうと、こういうようなことにもなっておる。これによって直ちに私はパリ会談が実を結ぶとは思いません。おそらくいままでと同じように双方で双方の実情をあばき合うような暴露的な交渉が行なわれるかと思います。しかしながら、やはり何といっても大事なことは、ここらに、戦争状態が永続することはこれは許せないのでありますから、おそらく見出し得る結論、双方で譲り合うものはきっと出てくるだろうと、かように私は期待するものでありまして、またそういう意味で日本もあらゆる努力をすべきだと、こういうことを私は申し上げておるのであります。別にパリ会談が再開されるからといって非常に楽観した言い方をするつもりはありません。これはちょうど私どもの外務省の課長がハノイを訪問した際、その際にたいへん私ども期待をしておったが、その直後において事態は非常に急変をしておる、そういうことなどを考えると、なかなか国際情勢は簡単に考えられない。だから絶えず注意しながら、また最善の努力を払う、こういうことで取り組まなければならない問題だと、かように思います。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 いまあらゆる努力を日本もしなければいけないということを言われましたが、政府のやっていることは、一つは、先日もこれは外務大臣の答弁でも出てきておりますが、北爆を支持するようなそういう表明がされております。それだけでは私は和平への努力をしたことにならぬと思います。またベトナムに対する援助にいたしましても、私はやはり南ベトナムについても、特に南北ベトナムのこういうお互いが戦争をやっている地域については、人道的な援助だけに限るべきである。ところが、いろいろな間接的に軍事援助になるようなそういう経済援助、ワン・クッション置いて。そういうのは私は避けるべきだ、むしろ医療援助あるいは食糧の援助等のそういった人道的な援助にそういった地域については限るべきではないか、こう思うわけでありますが、いかがですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 南北ベトナムがいま戦闘状態にある、こういうことから、わが国が南北両政府に対する接触のしかた、これは非常にむずかしいんです。というのは、わが国は南との間には正常な外交関係を持っておる。北とは持っておらぬ。そこで経済上の接触面におきましてもある程度の差異が出てくるということはやむを得ない、そう考えます。ただ、両者を通じましてこれは戦争状態をやめさせたいというのが私どもの念願でございまするから、北に対する接触、経済上の援助にいたしましても南に対する援助にいたしましても、それが戦争を激化させるというような性格のものであってはならない、そういうふうに考えますが、ただ南のほうは、わが国と外交関係を結んでいるというような関係で、北に比べればたいへん厚い協力関係になる、これはやむを得ないところではあるまいか、そういうふうに考えております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 非常に国際政局は多極化ともいわれ、また日本に対する接触は非常にいま高まってきております。最近各国から日本を訪問される元首の方あるいは閣僚の方も非常に数がふえてきておる。お互いの主義主張の異なる分裂国家も、両方とも来ておる。元首は来ないんですが、いわゆる接触が出てきておる。こういった中にありまして、やはりこれからの日本のとる外交姿勢というのが非常に大事になってくる。私は等距離中立外交ということを言ってきておりますけれども、やはりいまこそ私はこういった米、ソ、中国、そうしてまたその他の諸国を考えましたときに、どこの国とも仲よくするということを再三総理も外務大臣も言ってきておりますが、やはり等距離でなければならぬ、こう思うわけです。その点について、いろんな問題はあると思いますが、今後等距離ということはやはりきちっと政府としても考えてやられるのか、片方に厚くて片方に薄い、そういうことではなくて、やはり等距離の中立外交を私は展開すべきだと思いますが、その点はいかがですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私は常々申し上げておるわけでありまするが、いま世界情勢は、二極時代が終わって多極化しておる。それに対応するわが国の外交姿勢は多極化外交でなければならぬ、こういうふうに思います。  それからもう一つは、多極化の情勢の中に、世界的な動向といたしまして一つの緊張緩和への努力、これをしようという空気が出てきておることも見のがすことができない。わが国もこの方向をしっかりとらえ、その方向の施策をこらさなければならぬ、こういうふうに考えておるんです。ですから、多極化しましたが、それらの国々への接触は、やはり多極化の姿勢と同時に緊張緩和、つまりまた別のことばで言えばイデオロギーを超越した考え方の外交政策、これを考えるべきではあるまいか、そういうふうに考えております。ただ等距離、みんなそういう国と仲よくするということにおいては、まさにそういう意味においては等距離であります。しかし等距離とは申しましても、その相手方とわが国と両者が置かれておる状況、そういうものは違います。そういう状態でありまするから、何もかも一緒に、同じ姿勢でなければならぬと、そういうふうには考えてない。やはり、相手国とわが国との実体的関係をとらえてみまするときに、その関係に厚薄が出てくる、これはやむを得ない。まあ仲よくする、多極化外交である、また同時に脱イデオロギーの外交政策をとる、そういうような意味合いにおきましては、これは非常に抽象的な言い回しでありまするが、等距離と言っても差しつかえないと思いますが、実体的にはそれぞれケース・バイ・ケース、違いがあるということも御了承願います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま外務大臣が言っている、多極化したから——これはやはり、最近、一面で等距離外交ということが強くいわれております。いろいろ書かれたものを読んでも等距離外交、ところが、いま言われるように、等距離、中立主義だと、こういうような表現をされますが、なかなか等距離に考えようとしても考えられないものがある。御承知のように、私、申し上げますが、日米間には安全保障条約がある。これはもうはっきりしたものです。アメリカ、ソ連、中国、等距離にと思いながらも、日米間の安全保障条約はやはりわれわれは堅持すると、かように申しております。またソ連とは、平和条約をことしに何とかしよう——まだそういうことで平和条約が締結はされておりませんけれども、大使は交換をし、相互の国交は正常化している。その隣で、最も大事な国、この中国との間には、これはいいとか悪いとかいうことを言うのではございませんが、現実の問題として、中国を代表するものは中華人民共和国だと、こういう国連の決議があったにかかわらず、まだ日中間の国交の正常化ははかられておらない。国交の正常化どころか、その政府間の接触すらできておらない、こういうような現実を考えたときに、いまの等距離という、等距離外交であるべきだと、かように言われましても、現実はそこまでは行っておらない、この事実を認識せざるを得ない——私どもは差別をつけるような考え方はございませんけれども、しかし間接的には、日米安保条約の相手国であるアメリカを通じて米中会談が行なわれ、また私どもは、国交を持っておるソ連、これがやはり、ソ連を通じて、中ソの関係から、日本は事情を一応把握しておると、こういうようなことで、等距離外交を望んでも現実にはできないような状況にあること、ここらに日本が非常に苦しんでおるものもあるんだと、この点を御理解いただき、そうしてさらに、今後日本の外交の進むべき方向——ただいずれの国とも仲よくすると、こういうようなことを、その抽象的な大原則だけでは事柄が片づかない。ことに、最も大事な中国との関係、これが正常化されない限りにおいて、このことはできることではない——いまのような状況ではですよ。等距離外交というのは、これは全然空疎な話になりますから、現実を十分御認識いただきたい。そうして私どもも、いまの状況をそのままにしておく、こういうような考え方ではございませんが、さらに日中間の国交の正常化をはかろうと、かように努力しておることは、一応ひとつ評価していただきたいと、かように思います。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 いま中国の問題が出ましたので、これは昨日かなり中国問題が深く詰められましたので触れないでおくつもりでおりましたが、少し触れてみたいと思いますが、結局、政府の姿勢というのは今国会のあの統一見解から一つも出ていないと思うわけです。やはり中国というのは最も原則を重んずる国であることは十分御承知だと思うんです。原則を何か認めるとぐあいが悪い。台湾への気がねをして、そうして全然それを認めようとされない——わずか「理解できる」という程度でごまかしておられる。最近しかし、日本の各大手の会社がどんどん周四条件をのみまして、そして中国へ行き、中国との接触あるいは貿易を開始しようと、そういう姿勢になっておる。周四条件をのんでも、じゃ台湾との接触を全部やめているかというとそうではない。たとえば伊藤忠あたりは、昨年の終わりに周四条件をのみました。しかし現実には、台湾とは十三件、百六十万ドルをやっているわけです。それから韓国とは二件、三十万ドル、こういうふうにやっておるわけでありますから、周四条件そのままを見ますと非常にきびしい内容で、台湾とは取引なんかできないようなそういうニュアンスになっておりますが、原則をきちんと認めて、そうして誠意を持てば、いわゆる一つの段階的な面としてはこういうことはある程度認めておるように私は考えるわけです。政府はどうしてその原則を認められないのか、何にこだわっているのか、非常に私は疑問に思うわけであります。この統一見解の、こういう「理解できる」というようなことで窓が開けると、これをずっと推し進めていって中国との国交正常化の窓が開けると、こういう確信でやっておられるのか、その点外務大臣に見解を伺いたい。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) まあ、問題になりますのは台湾の問題だろうと思うんです。台湾につきましては、中国側は、台湾は中華人民共和国の不可分の領土であると、こういうふうに認めよと、こういうことを言っておる。それから日本と国民政府との間の日華平和条約はこれを廃棄せよと、こういうことを言っておる、この二つの問題じゃないか、そういうふうに思うんです。  で、第一の領土帰属の問題になりますると、先般統一見解でも政府の見解を示しておりまするとおり、わが国は従来のいきさつ、つまりカイロ宣言、ポツダム宣言、あるいは中華人民共和国が国連において加盟を承認されたと、こういうような経過から見まして、わが国は、中華人民共和国が台湾は中華人民共和国の領土であると主張しておるその気持ちはよくわかりますと、わかりますけれども、わが国は平和条約によって台湾の領有権を放棄しておる、そういう立場にありますので、法的に言いますると、わが国としては台湾の帰属について何ら発言することができないと、こういうことを言っているんです。私は、これはしごくもっともなことを言っていると、こういうふうに思うのでありまして、このことは中国側においても必ず理解できる問題である、こういう考えです。  それから、日華平和条約の問題につきましては、これは日本と国民政府がまあ結んだ条約である。で、これは平穏のうちに今日まで推移し、しかもこれを機軸といたしまして国民政府とわが国との間には友好が重ねられ、得られておる。それを、いま中華人民共和国とまだ政府間の話し合いも始められません、そういう今日のこの段階においてこれを廃棄する、これは私どもといたしましてはできないことである。私はこの考え方も中国側においてまあ理解せらるべき問題じゃないか、そういうふうに考えます。つまりわが国は、それら台湾の問題もありまするけれども、前提といたしまして、わが国は、中国は一つである、そして中華人民共和国は中国を代表する政府である、との認識に立って、日中間に横たわる諸問題を討議するために、そして最終的には日中国交の正常化を実現するために政府間の話し合いをいたしましょうという、この日中国交の正常化ということばは、かなりこれは包含するその意味合いが深遠である、こういうふうに考えるのでありますが、その辺を踏んまえまして台湾問題を中国側が考えるということになりますると、私は重ねて申し上げまするけれども、中国側においても理解さるべき問題である、こういうふうに考えるわけであります。私どもは中国側がそういう問題について理解を示す、そして日本との間に政府間の接触を始めるということを深く理解、期待をしておる。そして私どもの期待、これにつきましては、多少時間はかかりましょうが、必ず私は中国側においてはわが国に対し反応を示してくるであろうということを信じております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 いま中国側が理解をしてくれる、反応を示すであろうと言われておりますけれども、結局政府間接触がまだ行なわれないわけでありますが、まあ、いろいろいままで努力をされておったようです。アヒルの水かきの話は有名になりましたが、最近その話がちょっと消えておりますけれども、そういう政府間接触へのアプローチは今後ともどういう形でお続けになりますか。いままで行なわれていたような形ですか、それとも正面切って外務大臣がおれが行きたいんだ、そういうことでアプローチをされておるのか、その点はいかがですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これはいまこの段階で率直に申し上げるというわけにはまいりません。これは、これを申し上げることによりまして、日中間の関係の改善ということに必ずしも私はいい影響を持つものじゃない、そういうふうに考えるからなんです。ただ、抽象的に申し上げますが、あらゆる機会、あらゆる場所においてそういう努力をしておる、そうしてその努力は逐次これは効果をあげつつある、こういうことだけ申し上げさしていただきます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 一番先に行かれる場合、まあ可能性の問題ですよ、政府間接触ができた場合は外務大臣が行くか、あるいは総理が行くのか。まあ佐藤総理が総理でおられるかどうか、これはわかりませんけれども、総理大臣がまっ先に行くようになるのか、あるいは外務大臣が行くようになるのか、向こうが先に来るのか、その点はいかがですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 中国のほかの国との接触の状態を見まして、中国側がわが国にやってくるというケースよりは、わが国の首脳が北京を訪問するというケースのほうが多かろう、こういうふうに思います。そういう際には、総理大臣が北京を訪問するということも考えられる、あるいは外務大臣が訪問するということも考えられるし、あるいは特定の総理特使というようなものの日中間の相互接触、こういうことが北京訪問という形で行なわれるか、あるいは他の第三国というようなところで行なわれるか、そういうようなケースもこれはあろうかと、かように存じます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 中国との国交正常化は——いまのソ連とやられたような、一たんこういう領土問題をたな上げにして共同宣言という形で大使の交換をされておるわけであります。中国の場合は一挙に平和条約に私はなるべきだと思うんですが、やはりその方向での国交正常化と解してよろしいですか、アプローチのしかたは。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これはまだ政府間接触も始まらないという今日の状況で、その最終のゴールである日中間の国交の正常化をどういう形で実現するか、その形そのものが政府間接触で討議されるべき問題である、そういうふうな性格なものでございますので、いま今日その日中国交正常化の方式いかんということになりますると、まだ予測できない段階であるというふうにお答えせざるを得ないと思います。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 先日、自民党の三木武夫氏が訪中されたときに、総理と福田外務大臣が非難をされたということでありますけれども、総理は在任中にはおそらく行く機会がないんじゃないかと思いますが、総理でもおやめになったら中国へ行かれるお気持ちはございますか。(「修学旅行」と呼ぶ者あり)

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま修学旅行というようなことばが出ておりますが、私も中国にはたいへん関心を持っておりますから、中国を訪問する機会がくればいいがと、かように実は思っておる一人でございます。ただいまのお話にありました、三木武夫君、これは出かける前も、帰ってからも、実は私のところへ訪問して、いろいろ話をしてくれました。結果は、どうも佐藤内閣ではむずかしいぞ、こういうことを率直に三木君は伝えております。これは各野党の方々が中国を訪問された後に発表された事柄とあまり変わった意向ではございません。私は、したがって、そういう意味であまり驚かないのでございますが、しかし、どうも先ほどからのお話を聞いていて、公明党の竹入君その他がお出かけになって、そうしていわゆる中国の三原則、こういうものとまっこうから取り組まれた、そうして交渉された結果、やはり公明党の立場というものは十分言い尽くされ、これは公明党の立場ではなく日本の立場、日本人の立場、これをやはり伝えられたと私は評価しておるのでありますが、やはりお互いにそれぞれの立場の相違はありますから、自分たちの国の考え方それを相手方に押しつけると、こういうようなことではなかなか話がまとまるものではないので、戦争に負けても日本はやはり独立主権国でございますから、そういう立場に立ってやはりそれぞれの立場を十分理解していただくように、それぞれ話し合うということでございます。これはもう主義、主張あるいは政治形態その他を異にしているから、そういう事柄についてわれわれはとやかく言う筋ではございません。それこそ内政干渉になる、それはよくないから、内政不干渉、その原則のもとにお互いがお互いの立場をやはり尊重する、その寛容の度がなければ両国の間の交際、これも始まるものではないだろう、かように私は思います。しかし、私は今日までのところで野党の諸君がすでにもう行かれ、そうしてそれぞれがそれぞれの報告をしておられる。またわが党の藤山さらに三木、こういうような外務大臣の経験者が出かけて、そうして帰って来られて説明されている。そういうことを考えると、私はどうもこれらの方々も十分説明はされておることだと思いますが、しかしなかなか、外務大臣の経験者にいたしましても、相手方に対して十分納得のいくような説明ができておらない、こういうことがどうも残念に思う点でありますし、また、先ほど来言っておられるように、総理が行くのか、あるいは外務大臣が行くのかと、こういうような話ですが、やはり日中間のことを考えると、最高責任者が出かけるのが、これは望ましい形ではないだろうか、かように思いますが、その道を開くというのがただいまの段階であります。道はどういうように開かれるか、これにはやはり野党の方々の御協力も得なければならないし、これはやはり日本の国民、日本の国のことを考えて、隣国とやはり親交を結ぶ、国交の回復を——あるいは国交の正常化、そういうような言い方をしておりますが、とにかく国交が開かれると、こういうことを中国の代表者として国連が認めた中華人民共和国、これとの間に日本が交渉を持つということ、これが何よりも大事なことではないだろうかと思います。私は、その際にどういう形になるか、それをいまから明らかにしておけと、こういうようなことも、御心配のあまりだろうとは思いますが、私ども何よりもまずとびらが開かれること、日本が訪問し得る、日本の政府が訪問し得る、そういう機会ができること、それに最善の努力をただいま払っておると、こういう状態でございます。ただいま明らかにすることのできないものもございますけれども、それらの点は御了承を賜わりまして、ただいま申し上げるその真意をひとつ、野党は野党の立場において御理解賜わって、政府を御鞭撻いただくならば、これにこしたしあわせはないように思います。問題は、一日も早く中国の代表としてただいまはっきり国際連合で認められておる中華人民共和国との交渉を持ちたい、こういうことをすなおに受け入れていただきたいと、かように思います。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 まあ私のひがんだ見方かもしれませんが、いま公明党の五原則のことを評価していただいたのはまことにけっこうなんですが、何かこちらの立場、日本人としての立場を言っていないような、そういうニュアンに少しとれましたので、決してそうではない、日本の立場もきちんと主張した上で、国交正常化の原則はこれであるということでの合意があの共同声明でありますから、その点はきちんと評価をしていただきたい。というのは、相当土下座外交をやってきたという反論がかなり日本の中にもありますので、この機会に申し上げておくわけです。というのは、その後訪中された人たちの日中議連の方たち、あるいは今回の民社党、あるいはニクソン大統領のあの共同声明を見ましても、もちろん日本とアメリカという立場の相違はございますが、あの公明党の五原則の中にあるいわゆる日華条約、日台条約の問題以外は、米中共同声明と公明五原則はそんなに変わっていない。その点はよく御理解をいただきたいと思うんです。  次の問題に入りますが、PCBの問題でありますが、最初に厚生大臣にお伺いいたします。大阪におきまして、母乳からPCBが出たということで非常にいま不安になっておりますが、この点について御報告をいただきたい。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 大阪で、次いで京都で、また京阪神等で母乳の検査をいたしましたところが、おっしゃるようにPCBがある程度母乳から検出されたということで、まあいままで初めてのことでありますから、相当のショック的な影響を与えたと思いますが、しかし、これらの量はいずれもそうたいした量ではありませんので、その母乳を飲んでいる乳児の健康診査等も厳密にやっておりますが、それには何ら異状がないということでございまするし、また、同一の婦人の乳を一カ月後に調べたところが、非常に減退をしているというようなことでもあり、いまのところ、育児のために支障があるという程度のものでないというように判断をいたしております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 いま厚生大臣はたいしたことないとおっしゃいますけれども、どういう理由でたいしたことないと言われるわけですか。最高〇・七PPMがどうしてたいしたことないんですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) PCBは長くそれを摂取しておりますと蓄積をされますが、乳児はせいぜい六カ月ぐらいでございまするし、外国の文献等から見まして、この程度ならば差しつかえがないという専門家の意見でございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 環境庁長官はこれをどう思われますか。

大石武一自由民主党環境庁長官

○国務大臣(大石武一君) いまこれは厚生省でPCBの毒性なりそういうあり方並びにPCBの基準、と申しましても、暫定でもございますが、そういうものを作成中であります。そういう意味で、私は厚生省の見解を支持してまいりたいと考えております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 それから、先ほど厚生大臣は同じ人でやったら低かったということでありますが、それはそのとおりですか。具体的に言ってください。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 具体的な数字は、要すれば政府委員から説明いたさせますが、一カ月後同一人から取った乳を調べたところが、大体いずれも三分の一程度に減っている。これは乳量が、同一人でありますから、母乳でございますから、だんだんと乳量も減っていくわけであります。また、その中に入っている脂肪というものも減ってくるわけでございましょうが、まあ、実際の数字といたしましては、約三分の一に減じている。何パーセントであるかということは、要すれば、御必要であれば、こまかい数字を説明いたさせます。

松下廉蔵厚生省児童家庭局長

○政府委員(松下廉蔵君) ただいまの、大阪府におきます母乳中のPCBの検査の結果でございますが、前回発表されました時期におきまして、十五例を検査いたしております。最高が〇・七PPM、最低が〇・一PPMということで、平均値といたしましては〇・三PPM、国内で調べましたうちでは比較いたしますと一番高い価であったわけでございますが、その後、一カ月半ほどいたしまして、十五人全員を対象といたしましたのですけれども、すでにもう母乳の分泌のとまっておられる方もございまして、九例について検査いたしております。その結果といたしましては、今度の場合は、最低値は〇・〇三PPM、最高値が〇・二四PPM、平均値が〇・〇八PPMというふうに、前回に比べまして相当な低値を示しておる次第でございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 いま平均値が〇・〇八になっておると、その前は〇・二七だと、同じ九例の対象でいった場合には〇・二六ということで、平均値が三分の一に減っておるからいいんだということを言われますが、これはたった一例でありますけれども、〇・二PPMの方が依然としてそのあとの場合は〇・二四になっておる例がございますが、これはどういうふうに解されますか、結局減ってないわけですが、一例だからしようがないというかもしれませんけれども、その点はいかがですか。

松下廉蔵厚生省児童家庭局長

○政府委員(松下廉蔵君) ただいま先生御指摘のように、一例につきまして前回〇・二PPMであったものが〇・二四という数値を示しておることは事実でございます。ただ、現在におきましては、母乳の検査に関します技術的な基準と申しますか、そういった分析方法がなお必ずしも十分確立されていないというような点もございまして、分析関係の専門家の御意見によりますと、大体この数値と申しますのはオーダーと申しますか、〇・幾らという数値であるか、あるいは〇・〇幾らという数値であるか、その辺をめどにいたしまして判断すべきものであるという御意見を総合的にいただいております。したがって、いま御指摘の〇・二という数値と〇・二四という数値とを比較いたしますと、大体におきまして差はないものというふうに判断をしておる次第でございます。

小平芳平公明党

○小平芳平君 関連。  PCBの問題について、厚生大臣は心配ないとあっさりいま言われます。そこで特に大阪の衛研の数値が高いかのように児童家庭局長は言っております。そこで私は佐藤総理に、政府のPCBに取り組んできた姿勢を伺いたいのです。といいますのは、ことしの一月二十六日に私が国会法第七十四条によってPCBの国内総生産量、それから輸入量の質問をいたしました。それが佐藤総理大臣の名前で参議院議長あてに二月一日に総生産量及び総輸入量の返事がきております。ところが、この合計をしますと五万七千九百二十トンということになっております。けれども、どうもその後の調査によってこれはうそだと、数字が。こういうような政府が閣議決定までして、閣議で了解して国会に報告されたPCBの総生産量ですか——この方は京都の府衛研の方ですが、藤原先生も何の疑いなく、国会答弁よりとして、二月一日の政府の答弁された数字をこうした本に発表しておられる、掲載をしておられる。けれども、私が他の委員会でどうもこの数字はおかしいと、この数字の中で特におかしいのは、昭和二十九年に二百トンを最初生産したとなっている。そうして輸入は昭和四十二年に初めて六十トンを輸入したとなっている。けれども、昭和四十二年に初めて六十トン輸入したのではなくて、実は、最初生産したといわれる昭和二十九年以前に輸入するなり試作品をつくるなり、あるいは輸入も昭和二十七年ごろあったことは確実だということは、大阪府の衛研の発表でも明らかなんです。そういうことを、二十九年以来全く輸入がなくて四十二年になっていきなり六十トンの輸入があったのかどうか。そういうふうに政府が総理大臣の名前で国会に提出された答弁そのものが根本から基本的に輸入も信用できない、生産も信用できない、そんな取り組みについてどう思われますか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 通産大臣から御説明いたします前に、私、先ほど申しましたのは、いまのところでは心配がないと、こう申し上げたわけでございますので、すでに土壌あるいはその他に放出されたPCBが今後だんだんと食品汚染の中に入ってくる、それを摂取をするということになってくるといけないから、そういう面は今後強く監視をし、規制をいたしてまいりたい。しかし、現在の状態ではそう心配がないと、こう申し上げたわけでございますから、誤解のないようにお願いいたします。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中角榮君) 小平さんの政府に対する質問に対し、政府が閣議決定を経まして答弁をいたしました答弁の数量に対する疑義でございますが、御指摘のとおり、政府が回答いたしましたものは、政府が制度上知り得る限り調べた厳密な数字でございます。しかし、現在までのPCBの国内における総生産及び総輸入量と同一の数字であるかどうかというと、同一のものとは言いがたいのであります。しかし、政府が知り得る最高の精度の高い数字である、しかし、実際の数字とは、近似値ではありますが、全く同一のものではないということは事実でございます。それは知り得る方法がないからであります。しかし、それは誤差は非常に少ないものである。あなたがいま御指摘になったように、たいへんな誤差があるというものではないわけでございます。それは二十九年から四十六年までの国内総生産を年次別に掲上してございます。同時に、四十二年から四十六年までの輸入トン数を記載してございますが、この四十二年に初めてPCBを輸入したのではなく、四十二年以前、すなわち二十九年、二十八年ごろ大阪の電気工業の会社で試みに輸入をして使ったんではないかという事例がございます。これは松下のコンデンサー工場ということでございまして、そのうち、そういうようなことがわかりましたので、われわれも手を尽くして調査をいたしたのでございますが、非常に少量なものであり、その数量を確認することができなかったわけであります。なお、日本の通産省は、輸入、輸出に対しては世界では珍しいほど正確な統計数字を持っておるわけでございます。ですから、日本の輸出、輸入は全部通産省の行政指導によってやられておるのだというくらいに、この数字というものは外国から非常に高い、確実なるものとして信用を受けているわけでございますが、このPCBというものの輸入したときのものはどうなっておるのかと言いますと、PCBが、いつ、どのような経路で、どこから輸入されたかということを確認する方法がないのであります。それは、輸入の書類は二カ年間保存しなければならないということになっています。二カ年後は、秘密のものとしてこれを全部裁断破棄することになっております。ですから、これは全部破棄しておるのでありますから政府には資料はありません。  それからもう一つ、もっとこまかく追跡調査をやってみたのでございますが、これは輸入統計品目番号五一二−一七九というものの一部であるようでございますが、PCBだけを調べることはできないようになっております。この五一二−一七九というのは炭化水素のハロゲン化誘導体というワクでありますが、その中の非常に先なものであって、これがどのような方法でどこから入ったかということを調べることは現在の制度上は絶無である。これは国会に対するものでありますから、政府もいいかげんな状態で御報告をしておるのではありません。制度上、また現実的に調べられる可能の際限内一ぱいの努力をしたわけでありまして、現在の状態ではこの数字以外に実際に近い数字というものをつかむ方法は全くない、物理的にないのであります。ですから、政府が、ただ、輸入欄を空欄にしないで、把握できません、それから、不詳という、詳細にこれをつかむことはできませんというように記入することが最も合理的だったと思いますが、空欄でございまして、私もきのう、きょうずっとやりまして、政府の答弁書に、ずっと輸入欄がゼロという数字が入っておったら、これは虚偽に、ということを言われるかもわかりませんが、調べる方法がないし、現実的には、試みに輸入されて、そうして使われて、反応もあった、そしてその後使わなかったというような記事や何かを指摘をされて、通産省ができるだけ調べたけれども、わからなかったということで、この輸入欄は空欄にいたしておるわけでございまして、空欄というのは、輸入はない、ゼロを意味するわけではありません。空欄は不詳ということであります。不詳、さだかにわからず、こういうことでありますから、これはひとつそういう意味で御了承のほどをお願いいたします。

小平芳平公明党

○小平芳平君 不詳なら不詳と書くんでしょう、通産大臣。統計類にしろ数字にしろ、不詳のものは不詳と書くわけでしょう。ゼロである、空欄ならゼロじゃないですか。  それはともかくとしまして、通産大臣、そういうことをおっしゃるなら、私は、その前に労働大臣と厚生大臣にお答えいただきたい。それは、昭和二十八年一月から毎月労働者の健康管理のために大阪府衛研が研究をされた。そうして、この二十八年から三十八年ころまで十年間にわたって研究をされた、PCBによる健康被害の研究をされた。それはどのように報告を受けておりますか。つまり、それから五年してカネミ油症事件が発生した。厚生省、労働省はどういう報告を受けていますか。それが一つ。  それから、次に通産大臣、いま厚生大臣、労働大臣の報告がありますから、その後において、つまりこの空欄どころか欄がないです、二十八年という、そうでしょう。欄がないということは不詳ということですか。通産大臣、そんな欄のない時代において、しかも府の衛研は毎月、健康被害の調査をやっておるんですよ、労務管理の上において。その大阪の研究が十年でほぼ終わったと。それから五年して、研究の結果を、カネミ油症事件を契機としまして、その研究結果を埋もれさせるのは惜しいからといって発行されている。そうして、しかも通産大臣、国内総生産がカネミ油症のころから急上昇しているのはどういう意味ですか。  以上について。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) カネミ油症事件が起こりましたときに、どこかにそういう例症がないかとずいぶんと、厚生省だけでなしに、関係学者あるいは医者、九大病院でも一生懸命さがしたわけであります。やっと西独に、文献にあると、若干あるというのを当時見つけただけでございます。そこで、最近PCBの汚染が食品にまでどうも及んできているらしい、これはたいへんだと。そこで私も、このPCBを扱っている製造工場等において労務者が何らかの健康被害を受けておるはずであると。そこで、労働衛生の方面でそういう資料がないか、またそういう例症がないかと。それは労働大臣にも、ぜひそれを見つけて、これは今後PCBが人体にどういう影響を与えるかという重要な参考資料になるからいただきたい、こう言ってお願いをいたしているというのが今日の現況であります。大阪の衛研で研究をされたというのも、これはどうも当時公表されていなかったのか、不幸にして、厚生省も、また関係の医学者も知っていなかったというのが実情でございます。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(塚原俊郎君) 私の承知いたしておりまするところでは、四十七年の三月、四月からPCBを使用しておりまする事業場六つを中心として研究いたしまして、その結果の報告は、はっきりした、それによるものということは聞いておりません。しかし、もしそういうものがあれば、これは検診の結果、そういうものがはっきりあらわれれば、これは労災の対象として補償の措置をとることは言うまでもありません。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中角榮君) 先ほど申し述べましたように、PCBの輸入というものが制度上特掲をしておりませんし、これを証明すべき証票その他は二年ですでに裁断破棄をされておる状況でありますから、これを追跡することはできないわけでございまして、いま政府が公式な数字としてお答えするのは、お手元にお届けをしました、正式な書類に記載する数字は政府が責任を持てる数字でなければならないということで、私は、この閣議として、内閣からの答弁書の数字はこれで正しいものだと思います。しかし、御指摘がございましたように、二十九年以降も、四十二年までに輸入しなかったということを政府は言う自信はありません。輸入したかしないかも事実がさだかでないとしか言えないわけでございます。その意味で、二十九年から欄が書いてございますから、二十九年は国内総生産二百トンというスタートから書いてあるわけでございます。ですから、この二十九年二百トンから製造される過程において、四十二年に記録に存在する六十トンの輸入を行なったまでは、輸入されておるかされておらないかは確認することができませんでしたと、こう記載すべきだったと思います。それから二十八年、二十九年以前にも、御指摘になったように試用品として輸入され、事故が起こっておるというのがございますから、それは大阪の小さい工場、十人ばかりの工場だったようです。そこでも相当追跡調査をやったわけですが、PCBらしきものを使ったと、こういうことで、じゃ、どこから、どうして入れたのかというんですが、それを証拠づけるようなものを得ることはできなかったんです。ですから、二十八年以前においてもPCBが輸入された形跡はありますが、どのくらい使ったかは確認はできません、こういうふうに書けばよかったと思います。そういう意味で、配慮が足らなかったという点でおわびをいたしますが、しかし、政府が少なくとも閣議決定をして出すものでありますので、政府が責任を持てる数字でなければならないということで、正式にお出しした書類そのものには、政府が調べ得る可能な際限内一ぱいのものである、この誠意はひとつ認めていただきたい。これからは、やっぱりこういうものは御質問の趣旨を体して、それにかなうような状態を付記して御理解を得るということが望ましいだろうということで、以後気をつけます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 また、母乳にちょっと戻りますが、いま大阪で問題になっておりまして、厚生大臣は、いまのところたいしたことはないと、こういうことを言われましたが、それでは、これからどうされるのか。実際検査されたのが昨年の十月で、十五人で、追跡調査が九名という非常にわずかでありますし、また、その母体のほうがどういう経路でPCBが入ってきたのか、そういったことの調査もしなくちゃなりませんので、これは本格的に、本腰を入れて政府のほうでやらなければ大阪府の衛研のレベルでは非常にむずかしいのではないか、手一ぱいではないかと、こう考えます。  特に、いま一番衛研で問題になっておることは、その問題が一つと、もう一つは、非常に一般の国民、特に母親が不安になりまして、問い合わせが殺到してきておる。そういう点で、ただ厚生大臣が、いまのところ心配ないという程度の話では、なかなか国民の不安はとれない。これに対して、こういう措置で、こう臨むと、そういう点をはっきりしないと、これは、この問題はこれだけでおさまらないと思うんですが、その点はいかがですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) まず、PCBの汚染が一番ひどいのではないかと見られるのが京阪神と考えております。で、京阪神地区を中心にいたしまして、しかし、全国的に母乳の汚染状況を調べるようにというので、いま各府県に指令をいたしまして事務的にその方向で進めております。  なお、母乳の許容量ということをきめるのはむずかしいと思いますけれども、この前もここでお答えいたしましたように、食品全体のPCBの許容量を暫定的にでもきめたい、ここ一、二カ月の間にきめたい。その中には牛乳等も含まれるだろうと思っておりまするが、現在のところでは、京阪神方面の魚はPCBの汚染量が多いということでございまして、ほかの鳥獣の肉類、卵類というものについては、そう大したものはございませんが、これらも、PCBがどの程度含まれているかということを、もっと数多く調べまして、そして少なくとも一、二カ月の間には、そういったものの暫定許容量をきめてまいりたいと、かように考えております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 衆議院のほうでも決議が行なわれましたが、その中で母乳の問題もこれは入っておりますけれども、特に私が要望したいことは、この実態の把握ですね。これは非常にむずかしいわけでありますけれども、この把握が大体どれくらいまでの間に、現在の政府としては可能なのか、また、それに対しどれだけの前向きの努力をされるのか、その次には、この汚染経路、これをどうして断ち切るのか、それに対する研究、あるいはそれに対する体制、これはどうなっておるのか、その点を特にお伺いしたいんですけれども。

大石武一自由民主党環境庁長官

○国務大臣(大石武一君) PCBの実態をつかむことがその対策の一番の中心でございます。そういう意味で、PCBの実態をつかもうと、いま努力いたしておりますが、ただ、完全な測定法と申しますか、分析法がまだ十分に確定いたしておりません。ようやく厚生省、科学技術庁の努力によりまして、きれいな水とか、あるいは食品の中のPCBは大体その方向を知ることができるようになりましたけれども、まだ、汚水とか、あるいはヘドロ、土壌等そういうものの中に含まれるPCBにつきましては、明確な分析方法がないわけでございます。しかし、とにかく何らかの基準がなければ——よりどころがなければ、これに対する対策も立てようもございませんので、いま懸命の努力を厚生省に願いまして——いまこの分析の方法は必ずしも正確でなく、十分でございませんけれども、その汚水なり、ヘドロなりの分析のやり方——いままでのやり方を統一していけば、ある程度の判断はできる。たとえば、他の地域より多いか、少ないか、いろんな判断はできる。確実な数字はまだ出ませんけれども、一つの判断はできるということで、そういう分析のやり方をいま統一いたしまして、そういうことを各県に連絡をいたしまして、その方法でこれからいろいろな一斉点検を行なってまいりたい。そういう方針で、そして、どこに、どのように散らばっておるのか、どのように一体片寄っておるのかということを調べてまいりたいと、いまそういうことで努力いたすことになっております。ただ、その前にやはりわれわれが魚を食べる場合にも、あるいは牛乳を飲む場合にも、多少いろんな心配がございます。アメリカでは一応の基準はきめてございます。しかし、この基準も日本のカネミ油症事件を参考としてつくったそうでありまして、必ずしもアメリカ自身の正確なデータではないと思いますけれども、日本ではやはり何らかの基準がなければ、不安、心配を国民に与えるだけでございます。そういうことで、来月か、再来月中には、はっきりと、この一応の基準とは申しかねますが、暫定的な指針をつくりまして、それをいま申しましたようないろいろな分析方法を統一しまして、それで一応の規制をいたしたい。そうして、一応の国民に安心を与えたいと考えておる次第でございます。それから、どのような汚染経路で一体土壌から、あるいは水の中から、魚あるいはその他に入り、人間に入ってきて、どのような形で人間の中で蓄積されて害を及ぼすかということにつきましては、まだ十分な検討がございません。これにつきましても、厚生省がいま中心になりまして、いろいろと生物を実験体として努力いたしておりますので、できるだけ早い機会に、このようないろいろなメカニズムなり汚染経路なり、あるいは人体の中のPCBの作用のしかたというものを、早くその実態を知りたいと、こういうことでいま努力いたしておる最中でございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 このPCBはノーカーボン紙で非常に問題になってきたわけでありますが、ノーカーボン紙でないカーボン紙にもPCBが、これは新潟県の新発田が発見をされておるわけです。そうなりますと、非常に問題でありまして、結局そこらじゅうにあるということになって、ますます国民の不安が増大をする。さらに新しい製品の開発等がいまやられておりまして、これも先日来、一般質問で内田委員のほうからも質問がありましたけれども、たとえば富士フィルムがいままでのPCB使用のノーカーボン紙をやめた、今度のは絶対心配ございませんという広告を出しているわけです。これは、ちょっと読みますけれども、「新溶剤は問題となった塩素化合物と全く異なり、塩素を含まない炭素と水素のみによる純炭化水素系の極めて純度の高い化合物で、東京歯科大学衛生学教室講師医学博士河合正計先生による動物実験でも安全性の非常に高い一般物質であることが証明されております。」と、そういうことで、さらに富士フィルムは安心して使って下さいと、こういう宣伝をしておるわけですが、こういう新しいものができた場合、これはいま問題になっているPCBにかわるものが、はたして毒性がないかどうかということは、これはどの機関でチェックするのが妥当であるか。これはチェックされたのですか、されなかったのですか、されないとすると今後はやはりチェックをする必要がある。新製品の開発のときが私は大事だと思います。その辺はいかがお考えですか。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中角榮君) 新物質に関する特許申請等があれば十分審査をいたします。なお、高性能であっても衛生上有害であるというような場合には、特許法第三十二条五号という法制上の処置でこれは使わせない、特許しないということになるわけでございます。また新しい物質の毒性の試験や、JIS規格にこれを使うかどうかというような問題については、新物質の毒性試験方法というものは、工業標準化法で製造、販売の規制を行なうことは無理でありますが、現在軽工業生産技術審議会に学識経験者がおられますので、これらの方々に部会をつくっていただきまして、あらためて、この部会で新しい物質の検討を十分進めるということをいま考えておるわけでございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 いま工業標準化のことと、特許のことを言われましたが、現在の法律の中でそのことが可能なのか。私はある程度法改正が必要じゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。

山形栄治環境庁大気保全局長

○政府委員(山形栄治君) ただいま大臣から御答弁したとおりでございますけれども、事の重要性にかんがみまして、われわれといたしましては、関係省庁とも十分連絡をとりながら、今後法律体系の制定の必要性も含めまして、本問題を考えていきたい。したがいまして、必ずしも現法体系の中だけでやるという考えではございません。

大石武一自由民主党環境庁長官

○国務大臣(大石武一君) ただいま所管局長からお答えいたしましたが、政府といたしましても、そのような方針のもとに、御承知のように昨年の十月には、いろいろの化学製品を許可、販売、製造を認める場合には、十分な検査をしなければならないという申し合わせ、それからそのような努力をすることを閣議できめたわけでございますが、さらにこのPCBにつきましても、御承知のように、本日の閣議で私はその報告をいたしたわけでございますが、関係十省が集まりまして、事務次官並びに審議官を中心として、各省で十分なる連絡をとりまして、このPCBに対する情報の収集、これに対する総合的な対策、あるいは代替品に対する毒性その他の問題ということを中心にしまして、漸進的な対策を検討することにいたしておるわけでございます。そういうことで、現在は必ずしも、このような新製品に対する規制というものはないかもしれませんが、近い将来には、あくまで、どのようなりっぱな製品であっても、それが人間に対する毒性がないという証明がなされない限りは、あるいは廃棄物が、それが有害でないという証明がなされない限りは、そのような発売なり、製品は許すべきでないという方向に変わっていかなければならないと考えておる次第でございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 通産大臣にお伺いしますけれども、いま環境庁長官からも言われた点は通産大臣も賛成かどうか、それが一つ。  それからもう一つは、いまの新製品——物質だけではなくて、実は昨年の三月の予算の分科会で、当時は宮澤通産大臣でございましたが、公害防止機器、この公害防止機器がはたしてきちんと公害を防除できるかどうか、そのチェックが全然されてないわけです。たとえば集じん機であるとか、あるいは脱硫装置であるとか、いま非常にたくさんの公害防止機器というものが出回っておりますけれども、いろいろな宣伝がされておりますけれども、はたしてこれがほんとうに二次公害を起こさない、あるいはまた完全にその集じんがそこの効能にあるとおり可能なのか、その点が非常に問題であるので、いまのJISの対象にすべきではないかということでは質問したわけですが、そのときの大臣の答弁は、これは検定機関はつくるけれども、法改正は含まれないと、こういう答弁でありました。やはりそういった公害防止機器も含めて、この際物質と両方を考えてもらいたい。特に通産省関係の仕事は、結局産業ということになっておりまして、どうしても人命尊重という立場が弱くなるということはいままでも言われてきておりますので、この際、通産省のほうが、むしろ前向きに、こういった法改正を含めた機関等の検討を本格的にやっていただきたい、これをお願いしたいのですが、その点いかがですか。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中角榮君) 御指摘のとおり、特に化学物質というものは新しいものがどんどんどんどんと製造をされるわけでございます。通産省は製造をする、そういうものに対する公害その他につきましては厚生省、それから環境庁というような専門省があるわけでございますが、しかし、私はやはり、このPCBの例に徴するまでもなく、新しい製品で多量に使われるもの、これは国内的に法制、制度を整備しなければならないことはもちろんでありますが、それだけではなく、やはり世界的な問題として、国際的にも共同研究をするとか、毒性の有無ということに対しては、やはり証明できるような状態から始めて実用化すというチェックの制度はどうしてもつくらなきゃならないだろうというふうに考えます。  それから、集じん機とか公害防除のためにつくられるもの、これから脱硫装置その他がそのとおり働いておるかどうか、今度一斉検査を行なうということを実行するつもりでございますが、定期的に立ち入り検査を行ない、また機械の性能がそのまま維持されておるか、その状態を定期的に検査をするというようなやはり制度を確立しなければならないと思っておりますし、通産省自体はことしからこれをやろうということになっております。しかし、これを義務づけるには、やはり法制上の問題も必要な段階がくると思います。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 先ほど暫定基準を早急にきめたいと言われましたが、その基準が定められた場合、その基準によって破棄すべきいろんな食べものが出てまいります。これは環境庁でございますか、その場合、その損害の補償はどこがやるのか、政府がやるのか、あるいはそれを売った人がやるのか、いま早急にきめられた場合、その補償の問題が出てくると思います。これは政府が私は補償をやるべきだと思いますが、その点はいかがですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) これは、その事態に応じて適切な方法を考えなければならぬのではないだろうかと、かように考えております。たとえば、あるところで生産される米、あるいはあるところでとれる魚ということになれば、やはりそれはそれに応じた考え方を——おそらく政府は他に転嫁するということもできないであろうし、さしあたっては、政府の手でも補償をしなければならぬというような事態であれば考えなければなるまいかと、かように考えます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 それでは、これは質問通告していなかったですが、昨日報告がまいりましたのでお伺いいたしますが、山形県の南陽市の吉野川流域にイタイイタイ病の症状が出たということでございますが、環境庁長官は報告を受けておられますか。

大石武一自由民主党環境庁長官

○国務大臣(大石武一君) 山形県の吉野川の問題でございますね。これはいま、中間の報告とも言えませんが、中間の段階のものがけさ朝日新聞に出ておりますが、その内容についてはまだ報告が届いておらないそうでございます。ただし、その前に、検査をするということにつきましては、山形県とも打ち合わせをいたしまして、そのような検査を進めている段階でございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 で、これに対して報告を受けていないということでありますが、かなり出てくると思いますが、これがどれだけの症状であって、どういう状況であるかは、私もよくわからないのでありますけれども、これは環境庁として今後県に対して、住民検診あるいは対策を報告が来た段階で指示されますか。

大石武一自由民主党環境庁長官

○国務大臣(大石武一君) この山形県の南陽市ですか、南陽市を中心とした地区の指曲がり病の問題でございます。これにつきましては、山形県よりも環境庁にいろいろ連絡がありましたので、それを打ち合わせをいたしまして、四月、五月に検診をやろうということを計画を立てまして、その段階として検診を実施いたしてまいりました。その結果は、それに該当する地域の六百三十名の婦人について行ないましたが、そのうちの四百十三名が受診をいたしました。そのうちで三十七名に多少尿中のたん白が陽性であるとか、あるいは尿中の糖が陽性であるとか、あるいは指の関節にいろいろな異常があるとかいう実態がわかった、それが今日までの実態でございます。しかし、それだけではとうていイタイイタイ病と判定するわけにまいりません。今後さらにいろいろな検診の必要がございます。たとえば尿中のカドミウムをはかる問題がございます。そういうものは、さらに打ち合わせをして、次の段階において、五月に大体実施することにいま方針をきめておるわけでございますので、もちろん、われわれも責任を持ちまして、十分に山形県と連絡をとりまして、正しい判断が出されますように努力してまいる考えでございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 この場合、もちろん健康診断も必要でありますが、やはり農村でございますから、お米が問題になると思いますが、四十七年の産米あるいは四十六年の産米についてのカドミの調査は行なわれますか。

大石武一自由民主党環境庁長官

○国務大臣(大石武一君) この土壌につきましても、やはり一昨年、昭和四十五年にはカドミウムの問題が大きな問題になりましたので、農林省でも緊急一斉総点検をいたしたのでございますが、やはりその際には、多少その地区があやしかったそうでございます。そこで、昭和四十六年に的確な米のカドミウムの調査をいたしておるのでございますが、確かに、ある程度カドミウムがよそより高い。こまかい数字も多少ございますが、抜きにしまして高いということが出ておりますので、十分にこれは検討しておるところでございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 ところが先日の、これは二十五日の山形県議会において、県の農政課長が、四十七年産米については調査をしないと、こう議員の質問に対して答えている。非常にこの姿勢は不当であると思うのですが、その点報告は受けておられますか、それとも、御存じなければ、これに対してはどういう態度で臨まれますか。

大石武一自由民主党環境庁長官

○国務大臣(大石武一君) 昭和四十六年度産米には平均が〇・六五PPMでございます。これは食糧にできないというものではありませんけれども、最高のもので一・四二PPMというものがございますので、やはりこれは一応検討しなければなりません。われわれ報告を受けているかどうか、まだ職員から聞いておりませんが、いずれにしても、これはやはり昭和四十七年もこのような検討をすることが必要であろうと私は思います。そういう意味でそのような指示をいたしたいと考えております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 こういう一つの事例を見ましても、環境庁長官は一生懸命やる姿勢であっても、県の段階で、まだまだ公害に対する積極的姿勢のあるところ、ないところ、あるいはいま言った課長の段階になれば、去年そういうお米が出ておるならば、ことしももちろん調査をすべきであるにもかかわらず、調査はしないという発言を、しかも議会でやっておる。こういうことで、議会でも問題になっておるようでありますけれども、こういうふうな姿勢ではどうしようもないわけでありまして、やはりいま指示をすると言われましたが、特にきびしい指示並びに全国の全県に対して、こういった点の意識を変える指導はぜひやっていただきたいと思いますが、その点、重ねていかがですか。

大石武一自由民主党環境庁長官

○国務大臣(大石武一君) ただいまの御趣旨はごもっともでございます。その旨を体しまして努力いたす考えでございます。

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) 以上で矢追君の質疑は終了いたしました。  午後は二時再開いたします。  暫時休憩いたします。    午後一時二分休憩      —————・—————    午後二時六分開会

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行ないます。藤井恒男君。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 私は、まず、政府の福祉優先の政治とは何かという点につきまして、総理にお尋ねいたしたいと思います。  本国会における衆参両院の予算審議を通じまして私が痛感することは、総理のおっしゃる福祉優先の政治という主張が、依然あいまいのままに終始しているということであります。最近まで、経済成長と福祉との関係は、成長なくして福祉なしという、戦後の経済復興時代の発想が長く続いてまいったわけでございますが、これを総理は転換しようとなさっているはずであります。私の理解するところでは、それは、経済成長の見合いにおいて福祉を考えるのではなくて、福祉の向上を優先さす観点から経済成長を考える立場への政策の発想の転換だと思うのでございますが、総理はこの点についてどのようにお考えか、お聞きいたします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま藤井君も御指摘になりましたように、われわれの政治の目標、これをはっきり、国民生活の向上、いわゆる福祉国家の建設、そういう方向に向けなきゃならないと、かように考えて、おそまきながら、いわゆる福祉優先というような言い方で、ただいまの国民の感じをそこに集中させたい、理解を深めたい、かように思っておる次第でございます。  御承知のように、過去におきましては、富国強兵、そういうような言い方もございました。しかし、平和国家として今日発展する日本として、何が一体しあわせなのか、平和であることは当然ですけれども、同時に、内容、中身、われわれの生活の向上にあるのではないか、また、ことにそれが、力のある者、特別な富める者だけがしあわせになるような、そういう世の中では困る、ことに、もっとお互いに広く考えて、落後者に対する十分の思いやりをすること——落後者ということばが不適当なら、あるいは心身障害者、あるいは孤児、孤独、あるいは老人、そういうような点にもあたたかい思いをいたして、いわゆる特権階級だけがしあわせになるような世の中でない、そういうような世の中をつくることに、もっと力をいたさなければならないと、かように思っているわけです。しかし、口先で申すことは容易ですけれども、なかなか実効のあがりかねるものだ、ことに力がないと、お互いをしあわせにしようと、かように考えましても、どうも力が不十分でできない、そうすると、どうも、みずからが、自分がかわいいと、そういうようになりがちでございますから、その方向に思いが先に走る、これでは困るのだ、そうではなくて、とにかく世の中が明るく、しあわせになるように、また弱い者も強い者も、また富める者も貧しい者も、同じようなしあわせを受けるような、そういう世の中をつくることが何よりも大事だと、かように思っております。  そういう意味の努力、これはなかなか、しかし、ことばだけでは実現をいたしませんし、あせりながらも、ただいまのような点で低迷しておるというのが実情ではないかと思っておりますので、これは国民の各界各層の御協力を得なければ実現するわけのものではありませんので、そういう意味で、政府はもちろん努力もいたしますが、皆さまからも御協力、御鞭撻を賜わるようにお願いする次第でございます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 いま総理がおっしゃったわけでございますが、やはり福祉というものそれ自体、予算に反映されて初めて国民が潤っていくものでございます。そういった意味で、本予算案内の中で社会保障関係費は前年度比で二二・一%増、一般会計予算全体の伸び率二一・八%をややこえておりますが、しかし、伸び率から見れば、四十四年度、四十五年度に比べて、なお低いものがあるわけです。また、公共事業投資は戦後最高の二九%増でございまして、政府はこれを、すなわち生活環境整備投資であるというふうにおっしゃっているわけでありますが、むしろ、これは景気対策としての役割りのほうが大きいと私は思うんです。  そこで、私は福祉予算の量的な拡大というものをあくまでも求めるわけでありますが、これと並行して必要なのは、社会保障政策全体についての発想の転換、前進だと思うんでございますが、総理のおっしゃる福祉優先とは、やや予算の面から見ると、かけ離れた予算になっておる。総理は、一体どこに、今度の予算の中に福祉優先を織り込んだとされるのか、お聞きいたします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、藤井君、十分先を見込んでいらっしゃることと思うので、私から特に指摘するまでもないことですが、予算化された場合にどういう形になっているか。最初に取り組むものは、これは年度を通計してのものでございませんから、いわゆる予算に顔を出したと、こういう程度にとどまっておるものがございます。そういうものは、たいへん金額としてはわずかでも、将来性のあるもの、来年の予算を組むときには、それが通年になりますから大きい額になります。ただ金額だけで——これも大事でございますが、取り上げられた各項目、それが一体どういうものがあるか、それらの点をも十分御理解いただきたいと思うのであります。  私は、現状をもって、これで十分だと実は申したいのでございますけれども、いまのところでは、これはどうも不足がちだと、かように言わざるを得ない。ただいままた、社会保障の問題と社会資本の充実の問題と、分けてのお話ですが、社会資本の充実も、在来ならばいわゆる産業基盤整備、こういうような表現のもとにいろいろ計画された。しかし、今回はそうではなくて、これが直接住宅問題であったり、あるいは下水の整備であったり、いわゆる環境整備の方向、その方向に努力されておる、これは生活環境の整備でございます。そういうことも中身は同じかのように、いかにもとられるが、そういう意味で十分御検討願いたい。私は、今回の予算の編成方針は、先ほど来申し上げているその方向だ、したがって、金額は顔を出したばかりのものだ、こういう意味で、不定ではございますが、必ず御期待に沿うようにこれを育てていく、その努力が必要だと、かように思っております。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 一つの例をあげますが、今度の予算の中で、老人問題として、これは福祉優先政策のシンボルみたいな形に言われておるわけですが、二千三百円が、厚生省予算の五千円、これが結果的に削られまして、本年の十月から三千三百円ということになるわけでありますが、いま総理がおっしゃったように、これが芽となるものかどうか、また、これを将来伸ばしていこうとしておるものかどうか、その辺のところを厚生大臣に承ります。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 老人福祉全体にとりましては、まあ本年度はとにかく発想の転換と言えば言えないことはないと、老人福祉にとりましては。いままで比較的そこまで手が届かなかった。  そこで、まず福祉年金、これは芽であるのか、これでとまるのかと。福祉年金について考えますれば、やはりまだこれで十分とは考えません。他の老人福祉施策とあわせまして、今後さらに前進をはかりたいと考えております。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 総理にお伺いいたしますが、いま厚生大臣がおっしゃった福祉年金、それが月額、十月からやっと三千三百円になるわけだけれど、これは高いと思われますか、低いと思われますか。  当然低いと思われると言うんだろうけれども、それであれば、これを積み上げるということをお約束できますかどうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 現在の状態では低いと思います。将来さらに努力をしなければならないと、かように思います。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 実は、私ども民社党におきましては、社会保障を整備するための長期プランというものを策定いたして、これを提言しておるわけであります。政府は、予算が単年度という関係から、いつもその年度の予算の範囲内においてのみ、そのときばったりの福祉政策がとられる、これを、何とか中期的な、もしくは長期的なプランを策定して、たとえば四次防のごとく、治山治水の特別会計のごとき福祉政策というものがとれないものか、そういう発想があるかどうか、厚生大臣にお伺いいたします。   〔委員長退席、理事若林正武君着席〕

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 社会福祉と申しますと、非常に幅が広い。福祉国家ということになると、非常に幅が広い。ところが、福祉予算とかいうようになると、厚生省でやっているような仕事がおもだというようなことになってくるわけでございますが、さしあたって、焦眉の急としてここ五カ年以内に達成をしたいと思いますのは、いろいろな社会福祉関係の施設の不足、不完全、これを完備をいたしたいというので、福祉施設の整備五カ年計画というものを四十六年度を起点としていま設けまして、これをめどにして四十七年度予算も組んでいるわけでございます。  そのほかに、一体それじゃ年金制度の長期計画があるかどうかと申しますと、年金制度にはまだ長期計画というものができておりません。その他の、社会福祉施設だけでなしに、社会福祉施設に従事する人たちの待遇改善の方途も講じなければなりませんが、これはさしあたって国家公務員の給与ベースにまで引き上げようというので、本年度で一応落着いたしましたが、民間給与ベースに比べてまだ低いという点もあります。まあ、そういうような点を、実情に応じて、ここしばらくは火のついているような実情を改めたいと、かように考えております。  一番の社会福祉の施策の根底になるのは、憲法二十五条に保障されている、健康にして文化的な最低生活を営む権利をどう保障するかという事柄でございますが、これはいま、御承知の生活保護というのでやっておるわけであります。その生活保護基準はいまの基準でよろしいかどうか、これをさらにどう上げていくか、国民の生活水準あるいは勤労者の平均賃金の、それらの何割をもって最低基準を保障する基準にするかという問題でございますが、今日ではパーセントはちょっと違うかもしれませんが、平均の四五%ですが、それを五五、六%までをめどにして、そしてでき得ればこれは五カ年で成就をしたいと、かように考えておりますが、毎年生活保護基準は一四%ずつ、あるいは一昨年は一三%、昨年、今年は一四%上げておりますけれども、これは生活水準や賃金水準が上がっておりますから、そういった国民の平均の生活水準、所得水準から申しますると、その水準をずっと維持しているというだけであって、これをまだ水準を上げておりませんので、これが一つのめどだと、かように考えておりますが、そういう指標をとらえまして、今後経済全体の新全総計画の中で目標をとらえて、   〔理事若林正武君退席、委員長着席〕 総合的にやってまいりたい、かように考えます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 時間がありませんから、さらに突っ込みたいのですが、要するに、わが党でも提言しておるように、中期的なプラン等を立てて、予算のつく形で国民に先々を見通せるものを早くつくり上げていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  次に、大蔵大臣にお伺いいたしますが、大蔵大臣は、いままでの予算審議の過程で、公共事業の上期への集中に極力努力して、九月までに全体の七二%程度の発注をして財政需要を喚起したいということでございますが、それに間違いないかどうか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) もし予算が成立いたしましたら、直ちに各省大臣と御相談の上、公共投資がおくれないように、少なくとも昨年の進捗率は確保するような相談をいたしまして、暫定予算でありましても、おくれることのないような措置は予算通過後において至急とりたいというふうに考えております。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 そのことによって下期の財政需要が手薄になると思うのですが、景気の回復というものがはかばかしくいかなかった場合に、どのような措置をおとりになるか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) いまのところでは、この当初予算を編成するときの政府の見通しはまだ狂っておりません。で、昨年の予算措置、金融措置、非常にいま有効に働いておりまして、官需の増加ということを中心に商品市場にも明るさが出ておりますし、また、最近の在庫事情、それからこの三カ月の鉱工生産指数が、前月比が、わずかでありながら少しずつ伸びておるというようなこと、一連の経済指標を見ますというと、経済は不況の底固めはできて、この新しい予算が全面的に動き出しましたら、私は必ず、緩慢であっても経済は上昇過程に向かう、そうしてこの下半期においては明らかに不況回復の過程をたどるという、最初見通した方向は大体いまのところ狂わないと思っておりますので、そういたしますというと、この予算が働き出した後において様子を見なければわかりませんが、すぐにこのあとで不況対策の追い打ちの措置をとらなければならぬかどうかとういことについては、まだ、いまのところ何とも申し上げることはできないと思います。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 現在予算審議の過程にあるとはいえ、本日まさに予算は議了しようとしておるわけです。予算審議のまっただ中ならいざ知らず、現時点において、予算を発動してしばらく見てみぬとわからぬというのは、これはおかしいと思う。ざっくばらんに申し上げて、補正予算というものを当然用意しなければならぬと思うのだけれども、そういったお考えは、いまのところ全くないですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) いま予算が発足するときでございますから、補正予算というものをいまのところは考えておりません。もし予算が通過いたしますれば、来月の二日の閣議で、政府としては全閣僚御相談願って、このことしの予算が急速に執行される方途について御相談するつもりでございます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 景気が上向いていくだろうというお話ですが、そうであればけっこうなことです。しかし、景気がもし停滞すれば、先ほど申したように、下期においてさらに何らかの手を打っていかなければならない。そうした場合に、どういう形のものを、たとえば景気刺激策をとるための方法、何か妙薬があるかどうか、お考えがあったら聞かしてもらいたい。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 私は、これだけの大型予算を組んだ目的は、景気の回復でございますので、もうこれが二度、三度手を打たなければというようなことは考えないで、建設公債の発行限度も、もうぎりぎりのところという、思い切った予算措置をとっていることでございますので、私はこれによって景気がさらにまだ下降の状態を示して回復しないというような状態にはならぬと、いまの現状から見まして、緩慢ではあっても、もう上向きになっております以上は、この予算が動き出したら決して景気が後退するということはもうあり得ないというふうに考えております。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 総理も、そして大蔵大臣も、場所、場所において、年度内減税ということをおっしゃっておるように聞いておりますが、これはやはり景気刺激策として当然考えられるべきだと私は思うのだけれども、そういった点についてのお考えがあったら聞かしてもらいたい。見通しがあったら、また聞かしてもらいたい。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) いまおっしゃられましたように、景気が政府の予想どおり回復しないというようなときになったら、そういう問題もあるいは考えられるかもしれませんが、私はそういう事態にはならなくて済むというふうに考えております。  で、減税につきましては、どうも今年度減税、足らない足らないと言われましたので、あるいは去年やらなくて、やはりことしの減税にしたらよかったかなと考えたこともございましたが、しかし、去年の減税が非常に有効で、これがやはりいまの景気の下降をささえる大きい力になっておるということを考えますと、やはり何と言われても年内減税は私は非常によかったというふうに思っておりますので、もし景気が回復しないというようなことでしたら、先般総理が言いましたように、考えるときということがあり得るかもしれませんが、私は、ことしはこれによって景気は上向いてくるということになれば、年内減税を考えなくて済む状態になるのじゃないかというふうに考えております。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 総理、減税を期待してもらってけっこうだというやの発言をしたように承っておるけれども、いかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 減税が景気の浮揚策にやはり役立つという、その効果はございますけれども、いま言われている、私どもがこのやりとりで、国会の審議で、減税、これを言われたのは、浮揚もさることだが、もっと国民負担を軽くしろと、こういう意味で要求されたと思っております。したがって、私は、景気のあり方、これが期待するとおりにいっておれば、さらに国民の負担も軽減できると、かようにお答えをいたしたのでありまして、その点では、減税そのものが国民の負担も軽減するが、同時に景気浮揚にも役立つ、この両面があろう、こういうことを見のがさないで、私どもが答えたことをひとつ御理解いただきたいと思います。  また、景気の問題についていろいろ御心配のようでございますが、私は、このような大型予算をつくって、これで効果がない、こういうことはまずないと、かように思っておりますが、さらにこれでも効果がないとならば、なお次の臨時国会もお願いして、財政的な、あるいは税制上の措置が、あるいは金融上の問題等についても真剣に私は考えていかなきゃならぬ、かように思いますけれども、さような点はただいま議論することではなくて、基本的な線としては、政府は自身みずからが景気浮揚に積極的な意欲を持ち、そうしてまた意図を持ち、そうして諸計画を進めておる、また国民の負担軽減についても積極的な努力をする意図がある、これをひとつ御了承をいただきたいと思います。  また、金融の面におきましても、庶民金融を通じ、やや、なお現状においてこれでいいのかというような批判もあろうかと思いますので、それらの点も経済動向、推移を勘案しながら、それに時々適切なる金融政策、これをとっていく、かように御理解をいただきたいと思います。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 それじゃ景気浮揚策ということとは切り離して、国民の負担軽減という形での減税ということは考えの中にはあるというふうにとって差しつかえございませんね。  それじゃ、質問を先に移しまして、通産大臣にお伺いいたしますが、中小企業の輸出についてでございます。で、円切り上げ後の円レートは三百一円八銭、上限すれすれでございます。ことに先物につきましては、三百円の大台を割っておるというふうに私は承知するわけでございますが、最近の傾向についてお尋ねいたします。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中角榮君) 昨年末の平価調整後、大体固定相場制に移りましたので落ち着いております。まあ多少円高の状態でございまして、一ドル三百三円、先物で、三カ年先で二百九十八円五十銭、六カ月先で二百九十四円五十銭というような程度でございますが、固定相場制に移ってからは比較的に落ち着いておるということは言い得ると思います。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 いま大臣おっしゃったように、三月三十一日現在の三カ月先物は二百九十八円でございます。三百円台を割っておるわけでございまして、中小企業の場合、三カ月先物ことごとく大体三百円を割っておる。これは、以前のように固定相場制のもとに中小企業に対する外貨預託融資というようなことができないような現在でございますが、中小企業それ自体が出血輸出を余儀なくしておる現状を通産省としてどういうふうにお考えか、その対策をどうしようとしておるかお聞きしたいと思います。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中角榮君) 御指摘のように、一部では二百七十円ないし二百八十円というような状態で契約をしいられるというような状態がありますことは仄聞いたしております。いまそういう状態を調査をいたしております。いまでは輸出価格を引き上げなければならない。オーダリー・マーケティング、そういう意味からも輸出価格を一〇%ないし二〇%と引き上げようと、こう言っているときでありますから、下請や中小企業との契約を買いたたくということは実にいけないことでございますので、引き上げた分を中小企業価格に振りかえられるように、また、下請との間には元請が大体三分の一程度設備投資の負担をやっておりますから、そういう負担をこういうときにこそ軽減をしてやるようにでも考えられるじゃないかということで、追跡調査も行なっておるということでございます。いずれにしても、いま内需が非常に不景気だということで、どうしても輸出に向くということで、中小企業は安い価格をしいられるということであります。輸出業者との間にも話を進めながら、こういうときこそ上げられるものは輸出価格を上げて、中小企業にその恩恵が及ぶような体制をつくりたいということをまず指導しておるわけであります。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 大蔵大臣、本月の二十四日の米国の陶磁器関税の引き上げの方針が出されたし、それから財務長官が円切り上げの問題について発言したりしておるわけでございますが、国際的に貿易及び通貨交渉が再燃する日が近いというのが一般的な思惑です。これについてどのように判断しておられるかお聞きします。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 昨年の暮れに通貨調整が行なわれましたあと、各国の為替市場が若干ドル安のために動揺したことはございますが、これは期待されておったドルの還流が行なわれなかったということ、これは米国の金利が低かったということでございますが、この金利がようやく上がりぎみになってきたということ、それから金の価格引き上げが国会をなかなか通らなかったということから、ドルへの信認が非常に動揺しておりましたために、これもドル安の原因をなしたと思いますが、これもようやく国会を通過することになったということと、あのときの通貨体制を各国ともこれは維持しようということで、いまあの当時の十カ国の協調ができておりまして、それぞれの国内政策において、金利の引き下げが必要のあるところは引き下げるし、あるいは短資の流入を防ぐための為替管理の措置が必要だという国は為替管理の措置をとるということで、あの体制を守ることに協力をしておるというようなことから、ようやく各国とも現在は為替市場は非常に安定していま推移しておるという状態になってまいりました。したがって、そこの点からの問題はございません。ただ日本の場合は、依然として貿易が黒字基調であるということからいろいろいわれておりますが、しかし、これはいつも申し上げましたとおり、各国とも国際収支に通貨調整がすぐに響くということはないんだと、したがって、当分の間、米国の基調、日本の基調が変わらないだろうということは各国ともみな了承済みのことでございますので、この点についてのそう無理解というものはいまございません。したがって、十カ国当事者からの日本の円に対する再切り上げの要請というようなものが公式の場面において陰に陽にこれが行なわれておるというような事実は一切ございません。したがって、日本の黒字基調によって外貨がまだ依然として蓄積を続けておるということに対する問題は、諸外国においてはほとんど問題がない。依然としてこの黒字基調の続く原因についての批判というものは各国に相当出てきたということでございまして、これについての対策は日本としてもやはり考えなければならぬというふうに私どもは考えています。したがって、貿易の自由化、資本の自由化もやりましたし、関税の引き下げもやるし、特恵関税の問題もできるだけのことはやっておりますし、また外貨の活用手段も講じておりますし、対外援助の問題についても積極的な姿勢を示すというようなことをやっておりますが、しかし、何といってもこの黒字基調が続いておる一番大もとの原因は、内需が少しもふえないということから来る対外均衡の問題でございますので、ここで急速にこの内需の増大をはかってこの問題を片づけることが根幹でございますので、したがって、いまの大型予算の問題、この金融政策、これを早く実施して、そうしてこの問題に対処することが一番重要でございますので、もしこの点がうまくいって輸出圧力が減り輸入が伸びる、そうしてこの黒字基調というものについての変化が見えてくる限りは、私は日本が円の切り上げを迫られるというようなことはおそらくないことと、また、迫られても、これはかってにやり得ることではございませんし、あれだけ大きい、各国の長い努力のもとにできたものでございますので、単独にこれを変更するというようなことがあり得るはずはございませんし、したがって、基調となるものについての対策が日本としてある程度できて、その姿があらわれてくる限りは私は問題はないと、そういう点を考えますと、円の切り上げなんということは、いまの為替市場の問題からも、また各国間においていま各所にいろんな国際会議も持たれておりますが、そういう場合においてもこういう問題は絶対出ていない問題でございますので、この点についていろいろ言うことは私は少し行き過ぎじゃないかというふうに考えます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 大臣、そうおっしゃいますけれども、現に三月末のわが国の保有外貨が百六十六億六千三百万ドル、これを手をこまねていていれば二百億ドルに到達するだろうというふうにいわれておるわけなんです。外貨がふえていく、黒字基調ということは、これは否定できないわけなんです。ここに大きな問題があるわけなんで、緊急の問題として何か施策をお持ちかどうか、お聞きしたいと思います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 外貨の活用の問題につきましては、為銀への預託の問題、あるいは中・長期の外債の購入の問題とか、いろいろもう実行に移しておりますので、したがって、去年の十二月から一月までは七億ドル、二月が五億ドル、三月になって一億八千万ドル——二億ドルというふうに外貨の蓄積も鈍化してきましたが、四月はまだ統計出ません。わかりませんが、おそらく四月は外貨は三月末よりも減るということになるんではないかというふうに考えております。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 最近、新聞などによりますと、明確に一番大きな問題点は、外貨の外貨減らしだと、外貨減らしを有効にこれは操作しなければ、手をこまねいていれば円の再切り上げは免れぬだろうという論調が非常に多い。そのために、通産大臣とあるいは大蔵大臣との間にいろいろな意見の相違があり、調整しておるということを聞いておるわけです。通産大臣、外貨減らしについてどのようにお考えか。第二外為ということも聞いておるんです。お聞かせ願いたいと思います。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中角榮君) 外貨の活用については、大蔵大臣と基本的には意見は一致しております。この具体的な問題に対して想を練っておるということでございまして、予算が成立をすればそれを機に大蔵、通産の間で話をまとめようと、こういうことでございます。いま外貨の問題に対して円の再切り上げという問題がありますが、私はそういうふうには考えておらないんです。平価調整というものをやりまして一年ないし一年半という時間がたたなければ結果はわからぬといわれておりますが、それを待つまでもなく、アメリカの国際収支、なかなかよくなりません。そういう意味で、私は円の再調整ということは来ないと思うんです。そういうものよりももっと考えられるものというのは、やっぱり対EC貿易に対してバランスをとるようにと言われることは、これは非常に考えなければならぬことであります。いま景気が浮揚するというから先行きは明るいにしても、浮揚するまでの間、輸出を急激に押え込まれた場合にはどうなるかといったら、これはもう国内的には非常に困る状態を起こすわけでございますから、そうい状態を起こさないようにオーダリー・マーケティングとか、輸出価格の引き上げとか、また輸出入取引法によりまして輸出規制を行なうとか、いろいろなことをやっておりますが、そういうものだけでは済みません。どうしても外貨を積み増しをしないように、いまの百六十七億ドルを積み増ししないというのも一つの手ですし、百五十億ドル以上にはしないというのも一つの手ですし、百億ドル以下にできるということになれば問題は全く変わってくるわけであります。ですから、そういう問題にめどをつけないで百六十七億ドルがこれからふえないだろうなどという甘い考えだと、これはもう何か起こると思わざるを得ないのであります。ですから、そういう意味で百億ドルぐらいにするにはどうするかといえば、そんなむずかしい問題ではないと思うのです。これは外銀から八十億ドル近くを借りておるのでありますから、これを返せるからといってすぐ返せばしませんが、返せるとすれば八十億ドル減るわけであります。話し合いによって半分返すとすれば四十億ドル減るわけでございますし、低金利政策をもう少し推進すれば、少なくとも短資の二、三十億ドルは流出するだろうということも考えられますし、そのほかに、長期的などうしても輸入しなければならない原材料とか開発輸入に外貨を活用する、こういうことを考えることは、その場のやっつけ仕事では済まないような状態になっておるので、大蔵大臣と私との間で早く話を詰めよう、これはもう全く意見の相違はありません。早く詰めよう予算があがったら、こういうことでございまして、予算の成立を機にして結論を出したい、こう思います。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 早く詰めようということは意見の一致しておるようでございますが、少なくとも、いままでの本院あるいは衆議院における両大臣の御答弁の中にはやはり相違があるようにしか受け取れないわけなんです。で、通産大臣は、この際、一石二鳥で、直接外貨を貸してそして外貨も減らすし、また将来に資して備蓄をふやそうじゃないか、そういう積極的な方法を講ずるためには、やはり第二外為のような構想が一番早いというふうに言っておられるわけなんです。この考えはもうお捨てになったのかどうかですね。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中角榮君) 外貨を直接貸すことが一番メリットがあると思います。外貨を直接貸してもらいたい、なおしかし為替リスクは政府が負ってもらいたい、金利はうんと安くしてもらわなければならない、石油などは政府が公団をつくって備蓄すべきであるという議論が民間にあるわけであります。しかしそこまではできません。そこまではできませんが、当面外貨を活用して原材料を備蓄するという程度のものに対しては、それは三つも四つも要求がある中で全部聞けないにしても、外貨を直接活用するという程度の道を開かないで困難な状況を解決するとは思いません。そのためには第二特別会計、これも名前どっちでもいいんですが、第二特別会計というがごとき——これは仮称です。——そういうものをつくらなければならない。輸銀にちょっと貸してなどということで解決する問題じゃありません。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 大蔵大臣も全くこの意見に同感ということでございますね。どうですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) いつかこの席で御答弁申し上げたと思いますが、別の会計をつくるんだというときに、たとえば外貨をその会計へ持ってくるという方法はこれは簡単でございまして、円資金を準備すれば持ってこれる。たとえば政府の外為会計が保有しているドルを移しかえようとするためには、外為会計がいま外為証券を出して、そうして借りた金で民間からドルを買っておるものでございますから、この債務を残されてはいけないということですから、第二会計がその債務を払って引き取ればこれは引き取れるというような問題で、これは当然予算の問題となってまいりますので、そういう点一つ一つ詰めないというと、ただ第二会計をつくるといったって簡単につくれる問題じゃございませんし、もしそういう構想をしないでいくとして、現存の機関を使うとすればどういう方法があるかということも当然また考えられることでございますので、外貨を貸すという構想を貫こうとするなら、どの機関にどういう形で貸すかということを考えればいいので、そういうような点でいま一つ一つ両省でこの検討をしておるときでございますので、近いうちにこれは結論が出ると思っております。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 本院の予算委員会で大蔵大臣がおっしゃった、たまった外貨の活用ということよりも、何といっても景気回復によってこの異常な黒字基調というものを変えることが本質的な対策だ、どちらかといえば、第二外為の構想のようなものよりも、輸出をこの際抑制するような形で外貨のふえ方を防いでいくべきだというような答弁をなさっておるわけなんです。これを訂正なさいますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 輸出抑制というと正確なことばじゃないと思いますが、そうじゃなくて、外貨がずっと引き続いてたまるという原因についての調整を加えなければ、いま言われている円に対するいろんな問題は解消しないと、そちらのほうが一番重要な仕事であるということを申したわけでございまして、たまった外貨を散らすということについて、これはどこの国もほとんど関心を持っておりません。これは輸入の資金として使ってもいいんですし、預託してもいいんですし、外貨が統計から落ちる方法というものはたくさんあるんですから、たまってしまった外貨について、これが外貨が減るとか減らぬとかいうことについては外国の関心というものはほとんどないので、関心というものはむしろ日本の引き続き外貨がたまっていく形にあるんですからして、したがって、これを解決するためには、何といっても日本の国内の不況を解決することが一番本筋の手であるということを申したことでございまして、わざわざ輸出を減らすとかなんとかというそういうことではございません。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 問題は、現在百億ドルほどの外貨を持っておって、これがしばらくすると百三、四十億になるぞという状況じゃなくて、百六十六億ほどの外貨が三月末に現にあり、さらにこれがふえ続けて、手をこまねいていれば二百億ドルにも到達しようとしておる、この現状に立っていま何をやるか。いま一番やる方法は、円対策のいろんな問題はあろうけれども、一番最後の八項目目の外貨をどうするかということだと私は思うんですよ。だから、通産大臣がおっしゃるように、いまの問題として外貨をこうするのだとおっしゃるのに、いまの大蔵大臣のお話ですと、これからたまっていくものについてと、こういうようなゆうちょうなお話なんです。それほどゆっくりしておっていいものかどうか、再度お伺いしたい。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) まず、外貨の性質ですが、外貨は支払い準備資産であって、支払い準備のためにあるべき公的な資産でございます。ですから、その本質からいいましたら、流動性を確保しておかなければならぬということ、安全性を持った運営をしなければならぬとか、いろいろなことがあるでございましょうが、しかし、非常に多額の外貨を手持ちしているわけでございますから、ここで流動性よりも収益性、安全性を優先的に見た活用をしようということをいま考えているところでございまして、その方法としては、まずこれが輸入をふやすことに役立てるということができれば、これも活用方法でございますし、それから日本が対外経済協力をすべき義務は持っておりますから、こういう点に多く活用されることもそうでございますし、国内において大型予算が動き出して、そうしてこれによって内需が旺盛になり、外国からの輸入がふえるということになれば、この外貨は自然に使われることでございますので、そういう点において、何もしないで手をこまねいているのじゃなくて、景気回復策を打つし、それから各種の貿易為替の自由化、輸入の促進をはかると、いろいろなことをすることによって外貨減らしということはできるのでございますから、そういうことをしながら、外貨がふえたものの処置をしながら、今後いつになっても対外均衡が変わらない姿でいくことを是正する措置というものへ取り組めばいいのではないかというふうに思っております。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 そうしますと、いずれにしても、現在あるところの外為法は改正せざるを得ないということになるということですね。それと、話を煮詰めるのをいつごろを目標にしておられるか、通産省との間のですね。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 話は、いま事務当局間でも連日やっておるところでございますから、日は自然に煮詰まっていくと思いますが、もう外貨の活用については御心配は要りませんで、私どもは少なくとも七、八十億ドルの外貨活用策というものは現在もうできておりますので、自然に動き出しておりますから、今月においてもすでに外貨は減っていくと思いますので、この御心配はもう一切ございません。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 最後に、総理にお伺いするのですが、この外貨というのは、やはり国民が積み上げたもので、きわめて尊いものだと思うのです。しかし、いまの状況の中で手をこまねいておれば、おくれればおくれるほど、国益にとって私はマイナスだと思う。このまま、たとえが悪いが、無策のままに手をこまねいておれば、円の切り上げは避けられない、こういう状況の中にあるし、いまお聞きのように、やはり多少ニュアンスが大蔵・通産両省で私は違うように思う。総理大臣も思い切ってこの際外貨減らしの直接策というものについて意を用いていただきたいと思うわけですが、そのお考えをお聞きしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 藤井君の御意見、これはもう御意見として承っておくと申し上げる以外にはございません。実は、私は、長い間総理もやっておりますが、同時に、外貨準備が三十億ドルをなかなかこさないというのでずいぶん苦しんだものでございます。その当時皆さん方から批判されているものは、もっと外貨を獲得しなければだめじゃないかとずいぶん鞭撻を受けたものであります。今日こういう状態になってきて、変われば変わるもので、今度は外貨を減らせ減らせと言われる。これは減らせ減らせもけっこうなんです。適正な外貨を持つということ、これはもうこれだけ規模が大きくなる、世界経済の規模も大きくなった、そうして日本の位置づけもよほど変わったと、そういう立場でものごとを判断していかなければならない、かように思っておるのでありまして、ただいま大蔵・通産両大臣の言っていること、これは必ずしも私は食い違っておるとは思いません。また、いま藤井君が御指摘になりますように、この富、この外貨が、これこそは日本国民の努力のたまものじゃないか、その結集じゃないか。したがって、政府がこれを扱うことにおいて国民の利益に反するようなことにこれを使っちゃならないという御注意、これはもうしごくごもっともでございます。また、そういう意味でいろいろ両大臣も苦心しておるのです。ただ、ただいまの状態では、大蔵大臣からお答えをいたしましたように、現実にこれらの利用先と申しますか、活用先、そういうきまったものもあると、こういうことであるし、さらにその上に、わが国の経済を発展さす上に役立つような方向でこれと取り組んでいきましょうと、かように申しておりますから、もうちょっと事態の推移を見ていただきたいと思います。  ただ、私は最も心配なのは、このことが直ちに円の切り上げにつながると、かように論理的構想をつくること、これはややいまの状態では早いのじゃないかと、かように実は思っております。これは私が申し上げるまでもないことですが、国際通貨の交換レートがようやくきまった。その状態が半年も続かないうちにさらにまた大幅な切り上げがあると、こういうようなことでは、国民の通貨に対する信頼度が非常に変わってきますから、経済としてはそう簡単なものではないこと、各国の努力も実はそこにあるのでございます。日本もまた同じような気持ちでこの問題と取り組んでおる。したがって、直ちにこれはたいへんだたいへんだという声のみ大きくて、とかくその方向に行くことを実は心配しておりますから、そういう危険はいましばらくないように思っておりますし、いましばらくそのほうには声を小さくしていただいて、もっとその活用先、そのほうに声を大にしていただきたい、かようにお願いをいたします。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 質問を先に移します。  国鉄総裁がお見えでございますので、昨日国鉄の争議が終わったわけでございますが、たいへん御努力なさったことだと思うのですが、現時点において今度の賃闘についてのお考えをどういうふうにお持ちか、お聞きしたいと思います。

磯崎叡日本国有鉄道総裁

○説明員(磯崎叡君) 今度の春闘につきましては、昨日おかげさまをもちまして調停委員長の見解が出まして、労使ともに一応これは拒否いたしましたが、そのまますぐ仲裁に移行しておるわけでございますので、一つの山場を越したというふうに思います。私ども自体、いわゆる新聞でいう交通ゼネストの中の相当大きな部面を占めた国労、動労のストライキにつきまして、まず数千万の国民に御迷惑をおかけいたしましたことにつきましては、企業内の問題として私は非常に責任を感じ、申しわけなく思っておりますが、ただ、毎年同じように春闘のたびに、昨年は五月の二十日でございましたけれども、ああいった問題が起こり、国民に御迷惑をかけることは、非常に遺憾なことであるというふうに存ずる次第でございます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 私は、過日、三月三十日の衆議院の予算委員会、あるいは本院においての予算委員会において取り上げられました国鉄内における暴力問題について、三たびここで取り上げたいと思うのですが、国鉄総裁は、鉄労が出したところの三月二十八日と四月十四日の国鉄総裁に対する鉄道労働組合の安全就労の確保についての申し入れについて御存じだと思うのですけれども、それをどのように取り扱ったか、経緯をお聞かせいただきたい。

磯崎叡日本国有鉄道総裁

○説明員(磯崎叡君) 最近、国鉄の部内にいわゆる過激派学生と同じ名称を持ちましたグループがございまして、数はそれほどの大きな数ではございませんが、非常に行動が巧妙でございまして、中には、職員である者もおれば、職員でない者もございます。それがいろいろな暴力行為をいたしまして、場合によっては組合運動の仮面をかぶった暴力行為をすることもございます。あるいは全然組合運動と関係のない暴力行為をいたしたこともございます。これらによりまして、善良な職員——私は、私のほうの職員は大多数が善良でまじめであるという確信を持っております。その善良な職員の正常な業務の運営が阻害されるという事実が起きたこともございますので、それにつきましてはまず国鉄内部の力でもってそういった暴力を排除することが一番必要であるということで、そういう事態の発生する、また、した場所につきまして、相当数の職員を常置いたしまして、そして善良な職員の職務執行の妨害ができないような保護をするという手段をやっておりますけれども、私のほうの職場は、御承知のとおり、ことに乗務員につきましては、一人で行動する場合が多いわけでございます。集団で仕事をしないで、一人で仕事をする。そして、出る場合、帰る場合、一人でやるという単独行動が非常に多いものであり、しかも、深夜にわたるというふうなことでもって、その場所場所が非常に広範で、なかなか全体をカバーできないというふうな実情もございます。しかし、いずれにいたしましても、善良な職員の正常な業務の運営が阻害されるということは許せないことでございます。私どもは、まず、国鉄内部の力によってそういった暴力行為から職員を保護するということに全力を集中したつもりでございます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 四月十四日の鉄労からの申し入れについての経過とその措置はどうなったか、もう一度……。

磯崎叡日本国有鉄道総裁

○説明員(磯崎叡君) 四月十四日の申し入れと申しますのは、ちょうどそのころ御承知の新鶴見機関区におきますいろいろな問題、これは労働問題でなしに、やはり暴力問題である。この暴力問題を中心といたしまして、それとかかわりのある、まあ若干関係のあると思われた動力車労働組合——関係のあると申しますのは、たまたま動労の組合員がやっていたということで、もちろん動力車労働組合の組合活動としてやったのではない、これははっきりいたしております。そのことに関連いたしまして、動労のトップと私のほうの副総裁とがいわゆるトップ会談をしている最中に起こった事件、しかも、もちろん、動労としては、組合の指令としてまた組合の方針として暴力行為をやることはあり得ない、もし暴力行為があればそれは組合活動ではないということをはっきり言っておったその最中に田端の機関区で起こった事件でございます。これは、御承知かと思いますが、よその茨城県のほうから来た乗務員、すなわちお互いに顔を知らない乗務員をつかまえまして、いわゆる説得という行為に名をかりて暴力行為をしたということでございまして、その後間もなく事態は判明いたしまして、これは司直のほうに告発いたしたようでございます。その後、直ちに田端機関区長等を呼びましてその防護策もいろいろ考えておりますけれども、まあこれは管理者によりまして職員を派遣してもらって保護してもらうそれがいい場合と、自分たちだけの力でやるからしばらく待ってくれということ、いろいろ事態が場所によって違いますので、田端の場合には、機関区長が自分並びに助役等の管理者の手によってしばらくやってみるから待ってくれということで、いままではその現場の責任においてやってもらっております。しかし、もし手に余ることがあれば、過般の新鶴見のごとく、暴力行為をとめるために若干の職員を常置するということも考えております。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 四月十七日から四月末日までの間、安全が期せられないというために、行路変更を余儀なくしておることは事実ですか。

磯崎叡日本国有鉄道総裁

○説明員(磯崎叡君) それも非常に話がこまかくなりますが、行路変更と申しますのは、たとえば水戸の乗務員が東京へ乗ってくるという場合に、その水戸の乗務員の所属する組合いかんによって、それを田端なら田端で迎えて、そしてまあ組合運動という名前をかりた暴力行為——暴力行為という中には、脅迫、暴行あるいは有形無形のいやがらせ等がございます。そういったものを防ぐために、ある程度乗務行路を変えてそしてやったこともございます。

向井長年民社党

○向井長年君 関連。  重大な発言です。総裁、組合運動に名をかりた暴力行為というものがあるのですか。組合運動というのは暴力行為をやっちゃいけない。もちろんそんな組合はないはずであります。おそらく、国労にしても、あるいは動労にしても、暴力を目的とした組合はないはずであります。にもかかわらず、先ほどからの答弁を聞いておると、過激派学生と同じような考え方をもって、しかも組合運動に名をかりてそういう暴力行為をやっておる人がたくさんある、こういうことを言われた。そうするならば、それに対して当局はどうしたか。それは組合運動じゃありませんよ。そうでしょう。そうなれば当局としては当然これに対しての処分をすべきなんです。司直だけの問題じゃありません。この点についてどうなんですか。あいまいな答弁は、ぼくはいけないと思う。

磯崎叡日本国有鉄道総裁

○説明員(磯崎叡君) 組合運動に名をかりてと申しましたのは、先ほど申しました組合運動の仮面をかぶってという意味でございます。先ほど申しましたとおり、労働組合運動はあくまでも正常な行為であり、それが暴力を伴ってはならないことは、これはもう多言を要しないところでございます。したがって、暴力行為があればこれは労働組合運動でないということは、これはもう私のほうの組合もよく承知いたしております。したがって、かりにそういう問題があれば、これは個人、個人の行為であると、これもはっきりいたしております。私のほうの中におります過激派学生と同じ名称を持ったグループの職員の中には、先ほど申しましたように、国鉄職員としての身分のあるものと、国鉄職員としての身分がなく、単にある労働組合の組合員であるというものと二種類ございます。国鉄では職員の身分を失っても、それは労働組合員としてもちろん残れるわけでございますので、そういう二種類がございまして、職員としての者であれば、これは絶対それがはっきりいたしますれば、これは徹底的に処分いたします。これは当委員会におきましても、また衆議院におきましても私は、はっきり申し上げておるところでございます。ただ、非常に現認がむずかしい。深夜であるとかあるいは覆面をしているということで、だれだかわからないというふうな事態があることもございます。したがって、そういう問題は非常に私ども捜査当局じゃございませんので、非常に発見に苦慮いたしますけれども、極力現認と申しますか、現場を押えて、そしてもし職員であれば徹底的にこれは処分しなきゃいけない。職員でない場合、これは残念ながら私のほうはさっき申しましたとおり、たとえ職員でなかろうと、組合員でございますので、その組合員の資格において私のほうの構内に立ち入ることができるわけでございます。組合の事務所が私どもの中にございますので、そういう意味で構内の立ち入りを禁止することは非常にむずかしいということでございまして、組合員であっても職員でない者の取り扱いには、実は非常に苦慮しているわけでございまして、これは刑事事件として扱う以外に方法はないと、こういうふうに思っております。したがって、かりに職員である者がそういうことをした場合には、事実を確かめておいて徹底的に処分いたします。

向井長年民社党

○向井長年君 その組合員であってそしてそういうように暴力行為をやると、こういう職員に対しては組合の本部と話し合ったんでしょう、当該組合本部と。そのときに、組合の手でそれは解決しようと言ったのですか。それとも当然これは暴力行為はいけないから、場合によれば警察官導入とか、司直の手でこれを排除すると、こういうことに当局は考えたのですか。そのまま放置しておるわけじゃありませんか、どんどん起きていることは。また、こういう問題については、いまや国鉄の内部は各所で暴力化しておる、こういうことが世論では言われておりますよ。この点についてただ理屈だけではないんだ、国民の足を守って安全運転をしなきゃならぬ、こういう職員が、そういう状態で、各所にひんぱんに話し合った後もどんどんふえているという、このような状態をあなたはどう見ておられるのか。ただ口だけでここで答弁をしてはだめだ。あなたたちの力でできなければなぜ司直の手、あるいは警察官を導入してやらないのか。暴力というものは絶対排除しなければいけませんよ、どういう組合であろうが。これについて明快な答弁をいただきたい。

磯崎叡日本国有鉄道総裁

○説明員(磯崎叡君) 私のほうの組合の中にも、かりに職員たる地位を失います。そうすると、それをすぐよそへかえる組合もございます。そうでなくてじっとそこに置く組合もございます。これは組合の扱いでもっていろいろございますが、普通の場合には、やはり良識のある組合ならばそこからはずしてほかへ、本部なら本部へ持っていくのが普通だと思います。そういうことをしないでそのまま置いておくという場合には、やはりいま申しましたような事態の起こる可能性があるわけでございます。したがって、それについては、私どもはその人が出入りすることはいかぬというような仮処分の申請等は、非常に法律的にこれはむずかしくて、やはり組合員である以上、組合の自主的な行動としてそういう者は構内に立ち入ったりすることをしないようにしてくれというふうに話しをいたしておりますけれども、これは組合内部のことであって、なかなか徹底しない点がございます。したがって、そういう連中がもし正常な業務の運営を阻害するというおそれがある場合には、まず私のほうでは私ども自身の手によって善良な職員を保護するということに徹底しなければいかぬ。すぐ外の力を借りることは、いろいろ問題を起こしますので、まず部内の職員の手によって善良な職員を保護するということをまず行なって、どうしても力尽きればやむを得ません、そういうふうに思っております。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 総裁、三月三十日の衆議院の予算委員会、それから本院の予算委員会においてあなたは、以後職場内における職場規律を確立する、暴力は一切なくすようにお誓いしますというふうにおっしゃって、そうして四月の三日に四百名に及ぶ過去の暴力事犯についての通知を行なった。その通知をしに行った管理職が、実はその場でまた暴力を受けて入院したということを聞いたんだけれども、それはほんとうでしょうか。

磯崎叡日本国有鉄道総裁

○説明員(磯崎叡君) 具体的には、どこの地域か知りません。存じませんが、そういう事態があったことは聞いております。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 なお、あなたは三月三十日にそのように誓った以降、現在まで暴力事件がさらに続発して、毎日暴力事件が起きておる。その報告書を私、手元に持ってきておるので、これはひとつ総理も見ていただきたいと思うわけです。運輸大臣も。一体あなたはこの暴力を絶滅する、これはもういろはの「い」の字なんですけれども、その自信があるのか、ないのか、何をやってきているのか、このことをお聞きしたいと思っております。

磯崎叡日本国有鉄道総裁

○説明員(磯崎叡君) 職場におきます暴力を絶滅することは絶対もう必要でございます。先ほど申しましたとおり、いわゆる暴力を行使する、行なう職員と申しますか組合員と申しますか、これは一部の限られた者でございますけれども、これらは、何と申しますか、非常に訓練され、行動も非常に敏速でございまして、なかなか現認ができない場合がございます。したがって、私どもといたしましては、そういう事態の発生する個所には人間を配置する以外にない、私どもの職員を配置する以外にないということでございまして、場所によりまして相当多数の職員あるいは幹部の職員をそこに常置いたしまして、善良な職員を保護するということをやっておるわけでございます。もちろん、こういう集団——私どもが学生のときの、学生の騒動で見たようなこういう集団のやり口というのは、なかなか簡単には絶滅できないにいたしましても、私どもといたしましては、絶対に職場内の暴力というものはあり得ないことだということを前提としてその抑止につとめるということでございます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 同じことを、あなたは委員会でいつも同じことをおっしゃるのだが、それが全然実行されない。四月一日から二十四日までの間、その間にさらに二十五件の暴力事件が出てきておるでしょう。そうして、そのことによって国鉄再建につとめなければならぬという善良な国鉄マンが職場にあぶなくて入れない。そのために行路変更までしておる。あなたは一体どういう具体的な努力をしたのか、いつになったら国鉄内から暴力を排除できる自信があるのか、それをちょっとお聞きしたいと思う。

磯崎叡日本国有鉄道総裁

○説明員(磯崎叡君) 私といたしましては、まずそういう二種類ございまして、一つの、いま申しました暴力行為をする特別な集団、これは国鉄から排除する以外にない、こういうふうに思います。物理的にも排除する以外にないと思います。しかし、排除するにいたしましても、何ら理由なしに排除するわけにまいりませんので、やはり暴力の現場を確認し、被害者の陳述あるいは証人の陳述を取りませんと、ただ、そういう集団だからというて排除するわけにはまいりませんが、そういう方向でもって一人でもそういう人間の減るように排除する以外にないと思っております。  それから、やはりもう一つは、部内で暴力をあきらめると申しますか、そういうごく少数の人間のごく激しい暴力に対して、これをあきらめてはいけないということで最近も東京付近の、この付近の現場の責任者が数十名参りまして、そうしていろいろと自分たちでまずやってみる、そうして足りないところは、ひとつ上のほうで力をかしてくれというふうな話し合いも十分にいたしておりますし、現場長の中にはもうすでに自分たちがやるからという連中もおりますし、また力が足りないから少し人を貸してくれというのもおります。いろいろ種類がございます。したがって、現場、現場の実情によりまして、具体的な方策をとって一日でも早く暴力を絶滅するということをいたしたいと思っております。要は、やはり善良な職員が暴力に対してあきらめを持たないことだというふうに思います。非常に激しい過激な暴力を使うこともございますし、今度は有形、無形の非常にわからない暴力の場合もございます。そういう場合について、あくまでもやはりき然とした態度でもってそれに対処するということがないとやはり暴力が横行するということになりますので、その点はやはり職員の一人一人が、管理者の一人一人が暴力を憎むという気持ちを徹底する、これが一番基礎であるというふうに思います。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 運輸大臣、どうですか。

丹羽喬四郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(丹羽喬四郎君) 暴力行為は、これはもうすでに組合活動、労働運動以前のものでございまして、絶対に排撃すべきことは申し上げるまでもないことでございます。それがために正常なる職場の秩序が破壊される、恐怖、不信に基づいてやるということはもう絶対にこの民主主義社会においては許されないことでございまして、先般も総理のおことばで、私も答弁いたしましたが、絶対にこれらの者は厳重に排除するということを強く国鉄当局に申し渡している次第でございまして、それによりまして四月三日に処分を発表したのでございますが いまのいろいろの事例もございますので、引き続きそれらの点につきまして厳正なる処置をするように強く要望するつもりでございます。事はやはり職場内のことでございますので、国鉄当局の適当なる、適切なる処置を待つている次第でございます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 総理、国鉄出身ですからね、私一ぺんお聞きするんだけれど、総理もこの問題について、前回の衆議院の予算委員会でも、先ほど来の総裁の話を聞き、また運輸大臣の話を聞いても、これでは国民は納得しないと思う。国民が安心できる輸送機関としての役割り、これを信頼することはできないだろう、かように思いますので、その意味においての国鉄の管理者の責任は重いと、こういうふうにおっしゃったわけなんです。それ以降ですね、連日まだ現在に至るまで暴力が発生しておる。一体どういうふうにお考えになるか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これはもう藤井君と私と同じように暴力は憎むと。民主主義そのもとにおいて、民主主義のまあ、花と言ってもいいような組合運動、組合活動、それが暴力を伴うと、こういうことは許されないことだと、かように思いますから、これは断固暴力は排除しなければならない。ただ、私、考えますのに、国鉄、かつての国鉄の場合、私の当時は組合が単一でありました。ところが最近は、幾つも組合ができておる。そういうところに実は問題があるのではないかと思います。だから、これはやはりその管理者なり組合なり両者ともです、やはり単一な組合活動、そういうことが展開されるような、そういう情勢をつくることが何よりも必要ではないか。そうして派生しておる問題の一つ一つをつかまえてとやかく言うよりも、その基本的な路線が引かれると、おのずからそういう問題は解決するのではないかと、かように思います。いわば党の中の派閥活動、そういうものがいまのような批判を受けるようなことになっていると、かように私、思いますので、とにかく先輩である私、同時にまた、この場には先輩の方、また労働運動について組合活動について非常な経験者の方が多数いらっしゃる。私の言うことに御賛成願えれば、そういう方向でこれはやはり善導してもらう、そういうことを。やはり単一であるべきものが幾つにも分かれると、こういうところに問題があると、かように私、思いますので、そこで、その一つ出てきた現象だけでものごとを批判しないで、いま運輸大臣にしても国鉄総裁にしても、そういう本来のあり方、正しいあり方をほんとうに心から願い、苦労している最中だと思います。おしかりを受けることは、もうまことにけっこうでありますが、おしかりが同時に、鞭撻の方向であってほしいと、かように思いますので、何とぞよろしくお願いをいたします。これは私が先輩として申し上げるので、ただ、総理という立場から組合活動を云々したと、こういうことだと非常に誤解を受けると、かように思いますので、それだけは区別してですね、ただいま申したこと、ひとつ御理解いただきたいと思います。

向井長年民社党

○向井長年君 関連。  いま単一ということを言われましたが、組合運動は単一であることが正しいといま言われましたけれども、単一必ずしも正しくないと思うのです。正常な組合になるということはいいですよ。組合が単一になってこれが一本になるということは、これがいいというわけではないですよ。本来の組合の目的あるいはまた国鉄の使命、こういうものを考えた組合というものが、これが正しい組合であると思う。これが一本になるということはいいけれども、しかし、何が何でも組合が一本になることが正しいという考え方は、間違いであると私は言いたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) まあ、そういうところに一つの論点があると思います。これはもうそれぞれ職場、職場においての組合結成、これはまあ、それなりに理解ができますが、同一職場でありながらやはり組合が二つあるとかあるいは三つあるとか、こういうところに実は問題があるように私は原則的に思いますので、そういう意味から批判したと、かように御理解をいただきたい。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 私はですね、この出てきた現象面だけを、総裁何とか押えよう押えようとしておるところに私は管理者として不適だと思うのです。もっと本質的なものを考えなければならない。たとえば公共企業体としての適切な争議権を保障する。このことを運輸大臣、よく考えなければいかぬことだと思う。だから、出てきた現象だけを押えるんじゃなくて、本質的に国鉄というものを見直してみる必要がある。その上から暴力事犯をなくしてもらいたいと思うのです。あなたはいつ来ても同じことをおっしゃるし、運輸大臣もいつも同じことをおっしゃるにもかかわらず、一つもそれが直らない。そうなってくると、これはもうやめてもらわにゃいかぬと、これはみなやる気なくなるんじゃないかということになりかねないわけなんです。三十日の発言、首相の発言はそういうことをおっしゃったのかと思ったが、現在、そうじゃなかったので、私、残念に思うのだけれども、いずれにしても人命を扱う国鉄です。そしてみなが国鉄を愛しておるわけだから、どうか暴力をなくすようにもっと真剣に取り組んで国鉄再建につとめてもらいたいと思います。  次に移りまして、日中問題についてお尋ねいたします。午前中にいろいろ質疑がありましたので簡略に申し上げますが、私はつい先日民社党の訪中団の一員として中国に参りました。午前中、総理がおっしゃった、台湾は放棄したのだからわが国は発言する権限がない。また日台条約は現に結んでおるものなんで、これを中国の言い分によって動かすことができないし、このことは中国も理解してくれるであろう。そしてそれについて反応を示すであろう。これは外務大臣がおっしゃった——というふうにおっしゃったのだけれども、私が行った感触、あるいは自民党の藤山さん、三木さんが行かれた感触すべてですね、これはこのことを否定せざるを得ないわけです。そういう上に立って、なおかついまの政府の態度をやがて中国は理解してくれるだろうというふうにお考えなのかどうか、もう一ぺんお聞きしたいと思います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 政府でも春日委員長の中国訪問の結果の話は聞いております。三木さんの話も聞いております。その他各方面の話、聞いております。そこで、わが政府は、そういう日本の話ばかりじゃないんです。これは世界じゅうから情報を求めて、中国との接触をどうすべきかという判断の資料にしておる。そういう幅広い接触から見まして私どもは判断をいたしておるわけです。なお、私どもは、まあ先方にも先方の言い分がある、それは理解できます。しかし、わがほうにもわがほうの立場がある。これは中国には理解してもらわなければならぬと、こういうふうに思っておる。その二つから考えまして、私どもはただいまのような立場をとる。これが妥当であり、またこれが現実的な行き方である、こういうふうに考えております。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 大臣、それでは話し合いの糸口にならぬということなんです。ならぬのであれば、それじゃ、こちらは手をこまねいて待つしかないというふうになってしまうわけだけれども、そういうふうに理解されるわけですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 外交交渉は、これは交渉であります。相手の言うことを全部聞くということであれば、交渉の必要も何もありゃしないんです、これは。これはもういつでも話は立ちどころにきまっちゃう。わがほうにはわがほうの立場がある。その立場を踏んまえて話し合いを成り立たせなきゃならぬ。そこに外交交渉のむずかしさというものがあるんです。ただいま申し上げましたように、わが国はわが国の立場がある。しかし、同時に立場にばかりこだわっておったんじゃこの問題は片づきません。そこで私どもも、まあ、わが国から昨年は七千人も人が行っております。そういう中で、おも立った人の意見も聞いておる。それからわれわれ自身がまたいろんな手先も持っております。そういう人を使っていろんな話もさしておる。また世界じゅうにわれわれは情報網を張っておるわけなんです。その情報網もしさいにこれを検討しておる。そういうようなことから見まして、わが国の立場を踏んまえまして、そして、いま中国との間に国交の正常化をはかろうとしておる。これはただいまのわれわれの姿勢で私どもはできる問題である、そういうふうに考えます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 大臣、くどいようですが、私どももそのような考え方も一応持ち、原則の尊重と、その柔軟な適用ということにおいてなおいろいろ話を聞いてみたわけだけれども、それでもなかなかむずかしいという現実に立って、ひとつさらに進めていく上の決意というか方法があれば示していただきたいと思うんです。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これはどこまでも外交交渉ですから、わが国はわが国の立場を踏んまえてやりたいと、こういう考えでございます。そして、われわれはわれわれの立つべき立場、これを中国に対しまして示しておるわけなんです。で、私はこの考え方というものは、もう中国の主張、中国の立場を考えましても、わが国としてはぎりぎりのところのものだと、そういうふうに考えておるわけなんです。私は詳しくは申し上げません、この席でもう何回も申し上げましたから。しかし、必ず私は、中国はわが国のこの姿勢を理解してくれるものであるという確信を持っておるんです。その確信の上に立ってこそ、われわれはいま皆さんに、こういう姿勢をもってやるんだ、こういうことを申し上げておるのであります。私も、どうもただ手ぶらでやっているわけじゃないんです。ほんとうに世界じゅうのあらゆる情報を分析し、それから、われわれ自身もまた自身の直接の情報網というのを使っておる。皆さんからの話も聞いておる。そういうものを総合いたしまして、国益上、これが一番いいんだと、こういうことでやっている。私はこの考え方、これで実現性がある、こういうふうに確信をいたしております。

向井長年民社党

○向井長年君 関連。  外務大臣、いま中国は、五原則、三原則ですね、これをまず基本的に日本政府が認めなければこれに対する話し合いはできない、こういうことを言っておると思うんですね。過去において、日本の軍国主義時代に中国の国民に非常に大きな迷惑をかけた。こういうことで、大いにこれに対しては日本政府も反省しなきゃならぬと、こういうことを言っておるわけですから、そういうところで、この三原則、五原則という問題を日本政府が認識し、認めることによって話し合いは生まれていくと思うんですよ。しかし、それをしなければ生まれてこないということになれば、これをしないということでどれだけの国益があるのですか。これを認識しない、あるいはこれを認めないということによって国益があるのですか、それがまず第一。もし認めたら国益を大きく害することがあるのか。これはもう端的に答えてください。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 平和五原則、また政治三原則は、私はこれは承認をいたしますと、こう言っておるのです。ただ、問題になりますのは、台湾問題が入っております対日三原則、これはそのままはいただけませんと、こういうことを言っておるわけなんです。これをそのままいただきますると、これは重大なる国益の問題になる、こういうことをはっきり申し上げます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 総理、国鉄のお話のようだけれど、ちょっと……。  日中問題でございますが、いま同僚議員からも外務大臣にお話がありました。要するに、われわれは国連中心の外交を行なっておるという現在、現に中国が国連に回復して、台湾が国連から追放されたという現時点に立って、国交回復三原則を日本が認めることが日本の国益を害するのか、日本にとって不安全なのか、この点が国民がわからないところだと思うんです。これは逆説的な聞き方だけれど、ちょっとその辺のところを国民に知らせてもらいたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 藤井君がただいま非常に端的に表現されました。私どもも昨年の国連の決議、また中華人民共和国が中国の代表として国連に迎えられたこと、この事実を云々するものではありません。ただ、先ほど来外務大臣が申しておりますように、中国の代表としてわれわれは中華民国と日華平和条約を結んできた、そうして今日まで経過しておる、昨年の事態で急にそれが一方的に取りかわるわけでもないだろう、そこに交渉を持たなければならないんだと。そういう際に台湾の地位はどうなるか、あるいは日華平和条約はいかに処理されるか、その他等々、一般的な、全般的な問題を協議すべき、話し合うべきその段階に来ていると思う。そうして、われわれも国連で決定されたことをいま否定するものではないこと、これは先ほど来の外務大臣の答弁で御理解がいただけると思います。私は、戦後、サンフランシスコ条約——平和会議、そのとき中国の代表が参加できなかったこと、ここらにも一つの原因があるんではないだろうかと思います。そうして、私どもは中国の代表者として台湾にいる国民政府と日華平和条約を結んだと、そういうことで経過してまいりました。その当時はそれなりにこの事柄も評価されておりましたが、昨年の事態ではこれはもう非常にはっきりと中国を代表するものは北京——中華人民共和国だと。この点はこれをはっきりわれわれも認識せざるを得ない。そして、その認識の上に立って国交の正常化をはかろう、こういうのがいまの立場でございます。それについていろいろ各党党首がお出かけになり、それぞれ非常にアジアの平和のために両国友好親善関係を樹立すべきだと、こういうことで努力されてこられたことについては心から敬意を表します。同時にまた、わが党の外務大臣の経歴者、しかも戦後の経歴者ですよ、その藤山君、あるいは三木君等々が出かけて、中国における北京においていろいろ折衝をした、それがいままでの状況であります。まあ、私のところへ見えて私に報告された部分もあるし、必ずしも全部が全部だろうとは思いません。そういうような言外の問題も含んでおりますので、これらのことを踏まえながら、私はけさほども公明党のお尋ねに答えたように、それぞれの党がそれぞれの表現をしておられますが、私はやっぱりお互いに日本の立場、これを十分理解さすことに努力されておることを私高く評価する。しかし、こういう席になってまいりますと、日本側の立場の主張が全然なくって、中国の三原則や五原則はどうするか、こういう話ばかりに終始するもんですから、政府との考え方がどうも合致しない、すれ違う、こういうことになります。これはまことに残念なことでございます。しかし、私は、いま外務大臣がお答えしたように、国連における決議を否定するものでないと、そういう立場において、中国の代表は中華人民共和国であると、そういう立場において交渉を持ちたいと、こういうことを言っているんですから、これは必ずわかってくるんじゃないだろうか。たたけよ・しからば開かれんという、そういう意味の事柄を先ほどは答えたと思います。  われわれは、さらに、まだもっとこういう点が足らないとか、こういうことについて考えをいたせ、将来またここらも注意すべきじゃないか、こういうようなことは、お出かけになった皆さん方からいろいろ教えていただきたいと、かように思っております。たいへんいまの状況では私は不満であり、この状態で過ごすことはいかにも残念でありますから、これは日中の国交の正常化ははかるべきことだと、かように思っております。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 お願いだけして、もう質問を終わります、時間が参りましたので。  日中国交問題につきましては、ほとんどの野党の方たちがそれぞれ中国を訪れ、また、多くの文化人、スポーツ関係者なども訪問して親善を高めておるわけでございますが、何といっても、国交回復、外交の主権者は政府でございますので、政府がみずから国交回復の道を開き、そしてその実をあげなければどうにもならない問題でございますので、どうか、いま総理のおっしゃった決意を十分実行すべく御努力をいただきたいと思います。  これで、私の質問を終わります。ありがとうございました。

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) 以上で藤井君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) 次に、岩間正男君の質疑を行ないます。岩間正男君。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 最初に、一国の政治姿勢の問題としてお聞きしたいんでありますが、それは国有地を校地として使っている、公立のですね、学校の問題です。  で、まず最初に私は伺いたいんですが、現在公立の小学校、中学校、高校その他の学校でその敷地を国から借りているのは相当数にのぼると思うのですが、これは全国で何件、その面積はどれほどになっておるか、お聞かせ願いたいと思います。

小幡琢也大蔵省理財局次長

○政府委員(小幡琢也君) 大蔵省は一般会計の普通財産を扱っておりますが、普通財産である国有地を、公立の小学校一中学校、高校その他の学校に貸し付けておりますのが、全国で、これは昭和四十六年三月末現在でございますが、四百三十七件、三百二十三万八千平方メートルでございます。

高見三郎自由民主党文部大臣

○国務大臣(高見三郎君) 大蔵省の一般会計普通財産は、ただいま理財局次長がお話しになったとおりでありますが、公立小学校、中学校、高等学校等が借用いたしております国有地は、昭和四十四年の五月一日現在におきましての調査では八百三十一万一千平方メートルにのぼっております。これは、先ほどの一般会計国有財産のほかに、林野庁所管の国有林、それから建設省所管の河川敷、これらのものを含めてであります。そこで、この面積の中で河川敷につきましては、これは無料で貸与いたしておりますから、実際有料で貸与いたしておりまする面積は六百八十五万五千平方メートルにのぼるわけでございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 林野庁はどうなんですか。

福田省一林野庁長官

○政府委員(福田省一君) 現在、国有林を貸しております件数、面積、貸し付け料、これは詳細わかりませんですけれども、面積は四十四年に二百二十五ヘクタール、四十五年に二百九ヘクタール、四十六年二百ヘクタール、こうなっておりまして、学校施設用地だけの貸し付け件数、貸し付け料の全国の集計は現在のところ行なっておりません。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 これは文部大臣に伺いますが、これらの具体的な資料は出ておりますか。調査されておりすか。

高見三郎自由民主党文部大臣

○国務大臣(高見三郎君) 私のほうで調べましたのは、ただいま申し上げました八百三十一万一千平方メートルということになっております。ただし、これは昭和四十四年五月一日現在の調査でございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 私は三年半ほど前にこの問題を決算委員会で質問した。そのときにほとんどこれは資料がない。いまの関係者で全然これは出すことができない。しかも、文部省は四十四年のそれしか持っていない。こういうことですから、この問題のこれは対策を立てるということは非常に不十分だと思う。この点でもっと整備してほしいということをまず要望しておきたい。  次に、この賃貸料はどうなっていますか。

高見三郎自由民主党文部大臣

○国務大臣(高見三郎君) 先ほど申し上げました八百三十一万一千平方メートルの中で河川敷だけ賃貸料はただでございますから、残ります六百八十五万五千平方メートルの実際金を出しておる分、この賃貸料の総額は二億三千八百万円になっております。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 これは大蔵省お伺いしますが、賃貸料はどうなっておりますか。

小幡琢也大蔵省理財局次長

○政府委員(小幡琢也君) 大蔵省の数字は実は四十六年の三月末でございますが、先ほど申し上げました三百二十三万八千平方メートルに見合う年間の貸し付け料が二億四百三十万八千円でございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 営林署は……。

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) 営林署は……。

福田省一林野庁長官

○政府委員(福田省一君) 営林署は、賃借料は時価の四%で貸しております。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 全額は幾ら。

福田省一林野庁長官

○政府委員(福田省一君) 全額はいま手元に資料がございませんけれども、時価の四%になっております。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 かくのごとき統計ですね。文部省はっきり——これ文部省の関係ですから、しっかり統一してつかまなきゃだめですよ。  次にお伺いいたしますが、これらの賃貸料は最近どうなってるか、上がってるか下がってるか。

高見三郎自由民主党文部大臣

○国務大臣(高見三郎君) 物価の、地価の高騰によりまして幾らかずつ上がりつつあることは事実でございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 それじゃ話にならぬね。この答弁がすべてこの問題に対する熱意をはかるバロメーターになってる。こんなことですから全然この問題が問題にならない。  私は、なぜこの問題を問題にしているかといいますと、実は、どうですか、国有地を借りて、そうして公立学校——当然これは義務制もその中に入っております。この学校が賃貸料を取られている。ところが一方、たとえば自衛隊の演習地あるいは用地、こういうものを見れば、どうです、これは全部使用目的に転換されまして、そうしてこの理財局のほうから、これは国から自衛隊のものになっている。賃貸料払ったってこと聞いていない。  そこで、佐藤総理にお聞きをしたいんですが、佐藤総理いかがでしょうか、あなたは絶えず、教育は重大だ、文化国家と、こういうことをこれは言わないことはありません。施政方針演説の中では、まっ先にこれを掲げてあります。これはしかし賃貸料を取ってるんです。国有地を使ってるときに賃貸料を取ってるんです。ところが、自衛隊のほうは一文もこれは賃貸料をとったってことは聞いておりません。こう考えますというと、私は非常にやはり——額はそれほどたいしたことじゃないかもしらぬ、しかし、一国の政治の姿勢としては、非常に重大な問題だと思うんです。ことにもう憲法記念日はすぐ回ってくる。憲法二十六条の義務教育無償の問題、こういうものとも関連して、この問題をやはりはっきり私は明らかにするということは、一つの政治姿勢として非常に重大だと、こういう観点からこの問題を取り上げておるんですが、総理の見解をお聞きしたいと思います。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) 自衛隊が国有林を使ってただ使用しておる、いまそうおっしゃいましたか。——そうですね。自衛隊が演習地を使っておりまするのは、やはり支払っております。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 国有地ですよ。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) ええ、国有地を使います場合は支払っておる。詳細は政府委員に答えさせます。

鶴崎敏防衛庁参事官

○政府委員(鶴崎敏君) ただいまの国有林野の自衛隊演習場の用地としての借り上げの問題でございますが、特別会計所属の林野につきましては、国有でありましても、しかるべき使用料を払って使用承認を受けております。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 具体的に言ってください。

鶴崎敏防衛庁参事官

○政府委員(鶴崎敏君) 具体的には四カ所ばかりございまして、寿都の演習場という所がございます。これは面積が、使用承認を受けておりますのが約四万八千平方メートルでございまして、金額的には約五千八百円。それから白河布引演習場、これが使用承認を受けておりますのが約十六万五千平方メートルで、使用料が十九万六千五百円。それから富士の演習場、これが使用承認を受けておりますのが五百十三万八千平方メートルで、支払っております額が千三十七万四千円。それから大矢野原演習場、これが使用承認を受けておりますのが一万二千三百平方メートルで、金額的には約四千円。合計しますと、全体で五百三十六万三千平方メートルで、支払っております金額が千五十八万円ばかりになっております。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 いまの問題で明らかだと思う。十倍ものこれは面積を使っているのですね。そうして、払っているのはこれは十分の一だ、こういうわけだ。しかも、その金をだれが出す、結局はだれが出す、自衛隊が出すのですか、だれが出す。

鶴崎敏防衛庁参事官

○政府委員(鶴崎敏君) ただいまいま申し上げました使用料は防衛施設庁の予算で支払いをいたしております。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 防衛施設庁の予算はどこから出ている。

鶴崎敏防衛庁参事官

○政府委員(鶴崎敏君) それは国の予算でござい  ます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 明らかでしょう。ところが、一方は地方自治体がこれは出している。そうして、これが足りなくなれば、これは父兄負担というようなことになっている。全然違うのだ、性格が。こういう形で、これは自衛隊の場合はもうほとんど無償、こういう形でやられているときに、この教育施設、重要な教育施設、これは約六百七十件ばかりありますけれども、こういうものはこれは有料なんだ、これはどうなんです、どうする、どう思いますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 国有地は、原則として国が使う場合には無償で、これは当然だろうと思います。で、問題は、国以外のものの使用のときどうするかというのですが、地方公共団体にこれを譲渡するとか、あるいは貸し付けるというような場合には、原則として無償ではございません。ただし、道路とか水道とか公園というような、一般公共の用に供されるいわゆる公共物については、これは無償ということで、法律で無償の範囲を限定されております。そのほか公共性を持ったものはたくさんございますが、それは公共性の度合いに応じていろいろの措置がとられております。たとえば病院とか学校というようなものは、これは国立の学校は無償でございますが、地方公共団体のつくっておる学校は、これは無償ではなくて、減額するということになって、それぞれいろいろ公共性によってきめられておる。で、その場合に、これを無償で使わせるか、使わせないか、あるいは減額するかどうかということは、これは政府の財政援助と——実質的には財政援助でございますので、そうしますというと、各いろいろな施策とのバランスというものがあって、それを考えていろいろこういう措置がとられておりますので、たとえば学校にしますというと、用地は減額して払い下げるかわりに、用地については三分の一の国が補助を出す、教育機関でありますから三分の一補助を出す。それから校舎については、中学も小学校も今度から二分の一というような補助を出すというようなことになっておりますので、したがって、全体のバランスのいかんによってこれがきめられておるのでありまするから、もし学校が一応ほかの公共性のものとバランスを合わせていこれは無償のほうへ入れるんだというので、均衡をとった入れ方をするということならできないことはないかもしれませんが、いまのところはそういうふうに、無償と減額というものとを分けて、減額されたものについては、また公共性のいかによんって国の補助というものがつけ加わるというようなことで、各施策の均衡をとっておるということで、無制限に無償のワクを広げることは、いろいろなことで問題でございますので、そういう措置をとっているので、国自身が使うんでない限りは、原則として有償であって、これは一向差しつかえないと私は思います。教育が重要とか重要でないということと、この問題の、国有財産の使用の原則論とは、これは別な話だと私は思います。

河田賢治日本共産党

○河田賢治君 関連。  いま公立学校の国有地使用の質問がありましたが、私はこれに関連して、関係大臣に少し質問をしたいと思うのです。  御承知のとおりに、小中学校では、危険校舎面積は、文部省調査によっても、四十六年の五月一日で五百五十三万平方メートル、改築を要する校舎面積が三百三十万平方メートル、これは全国の——危険校舎では一〇・七%、後者で六・四%、公立高等学校では、この危険校舎または改築を要する校舎は、全国のうちの大体四%から五%ということがいわれておるのです。私は、この予算の分科会でも話しました。文部大臣の出ておられる静岡県では、韮山高校ですけれども、入学の寄付金が二万円、いいですか、学校の校債を三カ年無利子で六万円貸し付けろという、そして強制的に取るのです。それを八万円耳をそろえなければ、高等学校への入学を取り消すのです。  こういう事態が、今日高等学校の建設の——市長やあるいはまた学校当局者では、できるだけ早く改築をしようとしますけれども、無理をしてこういうことをやっているのです。これは自治法違反であることは明らかなんです。これは国の立場からも考えなければならぬ。  独立の気概を持てと言う総理大臣にしましても、何が一番大事なのか、いま一番大事なものは、自衛隊をふやすよりも、もっと子供たちの、これから日本の未来を背負う少年やあるいは若者の教育でしょう。プレハブの学校であなた方の孫たちがはたして学んでおりますか。夏は三十度をこえるのです。冬は寒いのです。そういう校舎がまだまだ幾つも残っているのです。こういうところに重点的に施策をしないで、国の予算は御承知のとおり約一兆円、四十五年の文教予算が。ところが会社の法人の交際費が約一兆円です。こういうことをほったらかしておいて、そして教育も何もあったものではないのです。なるほど国の法律では、いろいろと大蔵大臣がいま述べました国有地の使用について、いろいろの均衡があると申します。けれども、国の政策というものは、いま直接何をやらなければならないかというところに重点的な施策をする、法律もそれによって改正する、そしてそれが一段階落ちつけば、また他のほうに変えていっていいわけです。そういう施策をせずに、まんべんなく補助金をちよびっとやって、たくさんの地方自治体に負担をかける、こういうやり方をやっておる。学校の建築費もそうです。ですから私は、この立場から自治大臣にお聞きします。  地方財政がいま困難なときに、このような地方財政が、一つの町で六つの学校を持って、約百五十万の費用を納めている、地代に。そういうところは相当あります。だから、地方財政の危機をできるだけ早くのがれるためにも、その国有地のこれを無償にするとか、ないしはこれを減額するとか、そういう措置を自治大臣は大蔵省に要求すべきだと思いますが、この点はいかがでありましょう。  また文部大臣にもお聞きしますが、今日高等学校が、やがてどんどんと人員もふえます、就学率も大体義務教育並みになります。こういう場合に、まずいまからでもおそくはない、これらの公立高校に対するこの適切な施策を早めにつくって、そして安全に教育ができるようにしなければならぬと考えます。そのために、大蔵省に対する今日の租税特別措置法など、国有地の特別法などを改正するような要求をされるかどうか、この点をお伺いしたい。  また農林大臣にも——学校教育のために林野の実習やその他がい営林署と共同して、いろいろなこの改正をやるべきことが必要だと思いますが、この点についてそれぞれの大臣から所見を伺っておきたいと思います。

渡海元三郎自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○国務大臣(渡海元三郎君) 教育施設を充実することにつきましては、最も必要な問題でございますので、苦しい財政の中からでございますが、本年度の地方財政計画におきましても、いま大蔵大臣が答えられましたように、小学校の建築補助率を、三分の一から二分の一に上げますと同時に、地方財政計画の中におきましても、高校の建築費等の単価も上げさしていただいたような次第でございます。  なお、国有地の公共学校に対する借地料の件でございますが、国有財産特別措置法では、時価から相当減額して貸し付けるという制度がございますので、この制度によりまして、できるだけ地方負担が少なくなるよう期待いたしております。いま無償ということでございましたが、大蔵大臣も答えられましたように、これは国有財産管理の問題も含んでおります。しかしながら、地方市長会等の要望もございますので、今後も引き続いて十分話し合いを進めてまいりたいと思っております。

高見三郎自由民主党文部大臣

○国務大臣(高見三郎君) 河田先生御指摘の韮山高校の問題につきましては、ただいま文部省のほうで、府県の教育委員会に是正措置を要望いたしているところでございます。この種の問題は、しかし、韮山高校一つだけの問題でないことを私は承知をいたしているのであります。そこで、今年度予算におきましても、建築単価につきましては七%のアップをいたしまして、予算審議をお願いを申し上げている段階であります。ただまあ最近は、文部省の建築基準に比べまして、建築内容が非常に高級化いたしておりまするために、その点からまいりまするところのギャップというものは、相当大きいものがあるということも、これは避けがたい事実であると思うのであります。同時にまた、いま岩間先生から御指摘のありました国有地の払い下げの問題、あるいは無償貸与の問題、これらの問題は、非常に局地的な問題になる場合が多いのでありますけれども、できるだけ御希望に沿うように、文部省としても、自治省、大蔵省とともに十分検討を進めてまいりたい、かように考えております。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) お答え申し上げます。  これは、一つのたてまえだと思います。国で学校を経営している場合には、国有地を無償で貸したりしておりますが、地方の義務教育その他の高等学校、いまお話のあれもそうですが、これは地方団体が教育をやっていく、教育する、こういうたてまえにある。でありますが、教育は大事だということで、教育費をあまりかけさせないでやろうということでございまするから、これを補助でやるか、補助を多くしてやるか、あるいは貸し付けの料金を少なくするとか、あるいは無料にするとか、こういうたてまえだと思います。それで、いまのたてまえは、その補助金のほうで教育費を軽減しようという、国有財産法とか、あるいは林野でいえば、国有林野法等の規定に基づいて、補助のほうでやるというたてまえに従って、金を国のほうで出しているという形でございますので、国有林野もやはり国有地でございますから、その国有地の一般の法則に従って、地方公共団体に——ため池とか公園とか火葬場、墓地、道路、上下水道、水害、火災予防施設等の用に供する場合には、無償貸し付けをしているというような形になって、一般の国有地の例に従って、国有林野もやっているわけでございます。私はいまのお話から聞いて、たとえば学校林として児童等が林野を教育の用に使っているというような場合などには相当考えられると思いますが、経営者が地方公共団体という形でありますので、一般的な国有財産の使用方法と、こういうものにのっとってやっているのでございますので、国有林野だけを例外として扱うということは困難であると、私はそう考えます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 私は基本的にお聞きしているのです。だから問題は、金額からいってもあるいは面積からいってもそれほどでないかもしれない。しかし一国の政治姿勢の問題だということを言っているわけですね。そういう中で、とにかく国有財産を敷地にしているところの学校が賃貸料を取られておる。これは非常に文化国家とかそれから青少年の教育を重要視するということを口をきわめて言っている政府の立場としては合わないと思う。大蔵大臣はまた、減額をしておる、それからそうでない分については、これは交付税でありましょうが、そういうものでみておると、こう言っておりますが、これは単価も何も全く事実に合いません。そういうことが今日地方財政のこれは非常に大きな負担になっているのです。超過負担になっておるのです。そうしてまた、教育費全体のこれは貧困になっているのです。こういうような事態を考えるときに、私はほんとうに、この教育財政をもっと豊かにするという立場、それからたてまえとして、このような公教育、この子弟の教育に対して十全の力を尽くすというのは、これは憲法のたてまえから当然じゃないか、憲法記念日を前にして。しかも、佐藤総理も退陣間近と思いますが、これぐらいの問題が解決できないのですか。私はあえて総理の見解をお聞きしたいと思う。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 関係大臣から一応お答えしたから、私からあえては御要望にならないかと思いますが、しかし、どうしてもということです。ところで、私非常に疑問に思いますのは、岩間君が御指摘のように、いまの実情がまだわかっておらない。至急その実情を把握することが必要だと思います。そうして、一体地方自治体に対しましても、われわれは中央の予算からやはり自治省に対して各県に分ける財源を与えておるはずであります。こういうところで、片一方で賃借料、金を吸い上げるかと思うと、片一方ではやはり交付金を出しておる。それらのことを考えると、私はもっと合理的なあり方があってしかるべきだろう——これは予算だけの面からであります。またもう一つは、国が国有財産を使用すると、どうして自治体の場合に国に準じてその取り扱いができないのか、これは疑問なきを得ないと、かように思います。私はそういう意味で、これは前向きに取り組むべき問題だと、いま岩間君が言われた事柄が、もっと実情をはっきりさして、それによって私どもは前向きに取り組むべきものだと、かように私は思いますから、この点はもっと文部当局においても自治省と協力して、公立学校そのものが一体どのくらい国有林野、国有財産、国有の土地を使っておるか、そういうものも明確にならないと、これをいまここで云々することはちょっと材料が不足だと、たてまえは、まさしくおっしゃるように、教育を大事に考える、そういう立場からもっと前向きに処理されてしかるべきだと、かように私は思っております。そのことだけ申し上げておきます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 きょうは、時間の関係もあり、問題提起ということにしますが、資料をこれは関係者から出してもらいたい。文部省、それから農林省、それから大蔵省から出してもらいたい。もう一つは、全国市長会からこのような要望が再三出されているはずです。これは無料で払い下げをやり、それができなければ全免してくれ——賃貸料の全免、こういうことがありますから、これについて十全の力を尽くされることを要望します。  次にお聞きしますが、この前の総括質問で私は、東京・府中にある米第五空軍に、現在沖繩の核部隊などを管理、指導、点検する核中枢機構が存在し、最近それが強化されている事実をあげ、首都東京のどまん中にこのような核機能があることは、沖繩の核撤去が日程にのぼっているといわれているやさき許されないことであり、またこれは非核三原則を主張する政府の立場にも相反することではないか、したがってこのすみやかな撤去を米軍に要求すべきことを申し入れました。これに対し佐藤総理は、随時協議にかけて中身を十分に検討すると、こういう御答弁でありましたが、その後協議は行なわれたでしょうか、お伺いします。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 確かに、四月の初めにそういうような応答が総理と岩間さんの間にあったことは承知しております。そこで、これをどうするかということになりますが、近く事前協議の問題で日米安保協議委を開催する予定です。その際、米軍とこの問題を詰めてみると、こういう考えです。われわれは非核三原則というものを堅持しておるわけでありますから、それにもとるようなことがあってはならないわけです。そういうような意味において、重大な問題といたしまして、安保協議委員会の対象とすると、こういうふうな考えでございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 これはあれから二十日暮れたんですね。佐藤総理はあときの答弁では、ここに速記がはっきりありますからごらんいただけばわかりますが、私のほうもほうってはおかない、こういう考えでございますと、しかし二十日暮れたが何にもされていないのですね。これはどういうことでしょうか、佐藤総理にお聞きします。佐藤総理に聞いておるのです。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 佐藤総理までもなく、私もこの席でその応答を聞いておったんです。しかし、御承知のように、日夜国会並びに行政事務に忙殺されておりまして、アメリカ側とゆっくり話をするいとまがないわけであります。国会でも済みましたならば、この問題は日米間で詰めてみたいと、そういうふうに考えておった、そのやさきの再質問でございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 きょうは予算審議の最終日ですよ。これほど重大な懸案をこのままにすることは、今後にこれは悪例を残すんじゃないですか。具体的に一体、いまお話がありましたが、この二十日間何にもしなかったと、こういうことですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) かような重大な問題につきまして日米間で話し合うということになれば、それ相当の準備等も必要となるわけであります。したがいまして、このような忙しい私どもの事情、これも岩間さんもよくおわかりだろうと思う。そういうような事情で、まだ何もしておりません。これからするのであります。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 そんな政治の遅滞はないでしょう。二十日あるのです。この二十日の間にこれを空しくしていたんですか。あの応答があったあとに、これはテレビで放送されましたね。これは東京都民が非常に事の重大に気がついているわけです。現に第五空軍司令部に対してこれは抗議が行なわれておるのを御存じですか。こういう点から考えますというと、日本のいまの政治、あなたたちはたいへんな噴火山上にあるようなんだから、そういうことも起こっておるのかもしれませんけれども、しかし二十日もこれが放置されるということは、これは国民は納得できませんよ。どうです、この点、佐藤総理の見解を聞きたいですね。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 国会が終了いたしましたならば、準備を整えまして、日米協議委員会において相談をいたします。これははっきり申し上げます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 これはいつごろになりますか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 日米協議委員会は、事前協議の問題につきましても相談をいたすわけでございます。そういうようなことで、これは若干の時日を要すると思う。まあ一、二カ月ではちょっとできないじゃないかと思います。数カ月を要すると、こういうような見当でございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 そういうばかげた答弁で、これは了承することできません。あまりに人を食ったような、そういう答弁では、話になりませんね。これは悪例を残しますよ。近くなんて、近くというのは、あなた、そんなにかかるのですか。こういうことでは全くのでたらめで、国民の期待にこたえないことになる。  そこで、私は、次にお聞きしますが、この前の答弁で久保防衛局長は「たまは持っていなくても頭は常に持っておきたいというのが部隊の組織であろうと思います。」と言っていますが、こういうことでいいんですか。これは、軍事優先の発想じゃない、非核三原則に立つ政府の立場から、絶対に許すことのできない問題であると思いますが、これはいかがですか。これは政府の立場を聞いているんです。

久保卓也防衛庁防衛局長

○政府委員(久保卓也君) この前るる申し上げましたように、米軍の航空部隊といいますのは、何も永久に日本に駐留するわけではございません。したがいまして、世界のいずれにでも参り得る組織と機能というものは持っておりたいというふうに訓練をし、組織機構を持っておるだろうと思います。そういう意味で、一般的な組織機構、その中にはいざという場合に航空部隊が核使用し得るようなそういった機構を持っておってもふしぎはないということを申し上げたわけで、現実に横田にあるということを申し上げたわけではございません。なお、それは、そういった機構があるということと、それから核装備をしておるということとは、厳密に分けて考えるべきであろうということを申し上げたわけであります。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 まあ非核三原則の立場に立つ政府が、核戦力の中枢とも言うべき核機構はこのままこれは置いても差しつかえないと、こういうことなんですか。これは総理のはっきりした御答弁を願いたいと思います。重大な問題です。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、米軍がどういう組織で、どういう編成をしておるか、こういうことについては十分理解はいたしておりません。米軍自身が核戦力に依存しておる、そういう状態だと、米軍の中にただいま言われるような部隊があることは、これは一応わかるのでございます。で、しかし私はそういうものは日本には必要はないように思う。日本の非核三原則、これについてはニクソン大統領は十分理解しておりますから、そういう点では、日本に核が持ち込まれると、そういうことは心配は要らないんですから、どういうような有能な部隊がいても、これは核を持たない限り、それをとやかく言う筋はないように思っております。私はさように理解しております。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 この前も申しましたが、核戦力というのは核兵器だけじゃできません。運搬手段だけでもできません。結局は、これを指導監督する、そういう機構がこれは必要だ。そういう頭脳ともいうべきものをそのまま残しておいて、核撤去だとか、非核三原則と言っても、これは始まらないと思うのです。これはこの前の問題の蒸し返しになりますが、この点はっきりしておくべきだと思います。  ところで、分科会での防衛庁の答弁によりますと、府中の第五空軍司令部は基地の再編成に伴って近く横田に移転するということでした。これはいつ、どこできまったことですか。また、この件について日米安保協議委員会が開かれると思うのですが、そこで当然危険なこれらの核管理機構の撤去を要求すべきだと思いますが、いかがですか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) 関東平野の米空軍基地を中心に、これがまあ横田に移駐すると、こういう前提に立って、府中の空軍司令部もいずれ移るであろうと——移りますと言ったわけではないと思いますが、移るであろうという推測を申し上げたわけであります。しかし、いまはまだ事務的に両者で折衝をしておる最中でありまして、具体的にいつ、どういう形で移転をするかという確たる話にはまだ触れておりません。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 これはまあ推測の段階、しかしまあ、新聞あたりでは、これがそういう相当既定の事実として報道されているわけです。  で、これと関連してお聞きしたいのですが、そうすれば、現在第五空軍司令部と同居をしている航空自衛隊の航空総隊の司令部があそこにあるわけでしょう。これはどうなるんです、その場合は。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) 航空総隊がありまするが、いずれ移ることになれば、その時点で検討することになるわけです。まだ具体的にそこまで話が煮詰まっておりませんので、いま航空総隊をどうするか、これも具体的にきめてはありません。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 これは構想として腹案は持っていなくちゃならない段階ですよね。当然、あなたたちのいままでの言い分からいいますと、指導は別別だと言っている。そうすれば、何も五空と一緒にいる必要はない。ところが、おそらく一緒に移る、そういうことじゃないのですか。松前・バーンズ協定によると、そういうことになるのじゃないですか。どうなんです、その点。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) まだ具体的にはまさに検討中でありまするが、まあ移らない方向でいいのではないかと、いま防衛局長が私に申しますが、いずれこれは確たる方向が出次第またお知らせをいたします。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 移らない方向を確認していいですか。

久保卓也防衛庁防衛局長

○政府委員(久保卓也君) 横田に、これは確定したわけではありませんけれども、五空の司令部がおそらくは移るであろう。しかしながら、通信情報関係の一部の機能はあるいは府中に残るかもしれない。これはまだはっきりきまっておりません。そこで自衛隊のほうでは、航空総隊について格別横田に持っていく必要はなかろうというふうに私ども事務当局は一応考えておりますので、大体府中に残すつもりでおります。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 事務局案は、その点について確認をしておきます。  次に核撤去の問題についてお聞きしますが、沖繩の核撤去については、ロジャーズ書簡で、返還時にその意思が表明されることになって、政府はそれを唯一のよりどころとしていままで国会でもこれは答弁してきた。しかるに、新聞の報道するところでは、その内容は非常に期待に反して全く抽象的なもので、当てにならないんじゃないか。国民もこれを心配しております。だから、厳重な点検を要求すべきじゃないかということは、きのうもきょうも当委員会でこれは質問されている。これに対し、福田外相はこう言っているのですね、きのう。点検は基地の性格上権利としては要求できない、具体的問題について疑惑があれば徹底的解明を要求する、こういうふうに、答弁されている。これは間違いありませんね。ところが、徹底的解明とは一体何なんだ。ことばのあやだけじゃ、これは話にならないのですね。この徹底的解明とはいかなる具体的な処置をするのか、お伺いしたいと思うのであります。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これは、たとえば岩間さんのような方がまあ現地の情景を見られまして、どうもああいうところはおかしいぞと、核がまだ残っておるおそれがあるのじゃないかというような場合がありましたならば、そういうものに対しまして御安心願えるような説明のできるようなことにいたしたいと、こういうことを申しておるわけであります。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 具体的に言ってください。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 具体的に聞いてくだされば、具体的にお答え申し上げます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 全くことばのあやでここを濁そうといったって、そうはいかぬですよ。国民はこれは判断しますよ。  それでは、これと関連してお聞きします。沖繩の伊江島における模擬爆弾BDUによるところの核投下訓練ですね、これは返還時にはっきり中止されるものでしょうか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これはなるべくならば、まあ疑惑を残すというようなこともありますので、撤去というか、中止するようにいたしたいと思います。しかし、アメリカのほうでもアメリカのほうの立場がありまして、そう話が簡単に進まないと、こういう見通しもあるわけなんです。米軍とは話はしてみまするけれども、これは核の使用じゃないのだと、ただ単なるこれは爆弾の演習であると、それがなぜ悪いのだという場合に、なかなか困難な問題がある。まあ話はしてみまするけれども、この席で、引き受けましたと、アメリカにやめさせますと、そこまでの言明はいたしかねる現状でございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 非常にあいまいですね。保証もない。あのとき問題になったからそういう方向に努力しますと。その努力は現在何も進められていないということを示している。  もう一つ、きのうの、二十七日でありますが、米第三海兵隊の砲兵隊が、静岡県の沼津の今沢海岸に、二〇三ミリ、これは二台のようでありますが、一五五ミリ十一台、これはかつてない大量でありますが、こういうりゅう弾自走砲その他を持って上陸した、そして富士演習場で訓練に入った、こういうことであります。これは、アメリカのベトナム進攻が非常に重大な問題になっているときに、時節柄たいへんな問題であろうと思うのです。大体、この二〇三ミリ、八インチりゅう弾自走砲、一五五ミリりゅう弾自走砲、これは当然、小型の戦術核を発射できるところの原子砲です。これはダナンでもかつて大きな問題になった。ベトナムの戦場でアメリカがいま、あるいは核を使用するんじゃないか、そういうことを考えていると、そうもいわれているときに、これとの関係から考えますときに、この問題は非常に重大な問題を持っております。これについて、どうお考えですか。

久保卓也防衛庁防衛局長

○政府委員(久保卓也君) 米国といたしましては、世界的に、いわば有事即応の体制にあるわけでありまして、その際に各部隊が各種の訓練をやるのは当然であろうと思います。そしてまた、二〇三ミリ及び一五五ミリのりゅう弾砲は、御承知のように、常時海兵隊に備えつけられているということで、それを持って訓練をすることは必ずしもおかしいというわけではない。したがいまして、ベトナム戦争で戦術核兵器が使われるかどうかということはおのずから別でありまするし、私のきわめて確信するところでは、そういったものが使われるはずはなかろうというふうに思っております。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 使わないことを予想した訓練というのは、ほとんどこれはナンセンスじゃないかと思う。そういう意味から言いますと、この訓練そのものが、核と非常に深い関係を持ってくることは当然なんです。  いま、二、三の問題でお聞きしましたが、核投下訓練といい、あるいは原子砲の訓練といい、核管理機構の問題といい、非常にあいまいなままでそれをこのまま残すなら、核の完全撤去、こういうことは言ったとしても、これは実質にそぐわないと思うんです。私は、これらのものは撤去あるいは中止すべきだと思いますが、防衛庁長官の御答弁を願います。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) アメリカ軍が核の訓練をする、これはやはり核保有国として当然なことだと思います。さっきも防衛局長が申しまするように、ベトナムの戦局がこんなに長くなってどろ沼的になった場面でも、ついにアメリカは核兵器を使わなかった。こういうところに、アメリカ側の核に対するやはり厳粛な判断力というものもあるわけでありまするから、保有国として訓練をするということと使用するということとは、これは截然と区別して、かかるべきだというふうに考えます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 非常にこれは国民は不安を持っている。当然、これは日米安保協議委員会協議の対象になりませんか、または事前協議の対象になりませんか。装備の変更です。

久保卓也防衛庁防衛局長

○政府委員(久保卓也君) 何度もこの委員会で問題になっておりまするけれども、核専用のもの、これは当然事前協議の対象になりましょう。しかしながら、核と非核兵器と兼用のものがございます。で、その場合に、これは発射機が兼用であるということで、したがいまして、弾頭が核弾頭であれば当然事前協議の対象になりますが、その発射機を使って通常弾頭の砲弾を撃つということであれば、事前協議の対象にならないと考えます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 このような形で潜在するもの、そういうものをそのまま残しておくと、この潜在は顕在を呼ぶんです。そういう点で問題にしておるんです。国民の不安も解消しないのです。  私はさらに、次の点で、自衛隊と核の関係についてお聞きします。  まず、いまの米軍というのは、これは全く頭の先から足の先まで核中心で編成された部隊であるということは、いまやこれは周知の事実であろうと思います。したがって、これと協力し、これと共同作戦を展開する自衛隊だけが核と無関係ではあり得ないと、こう思うんですが、いかがでしょうか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) 当然、私どもは、政策として非核三原則を取り入れておりまするし、核のそういった攻撃訓練というようなものには全く無関係でございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 それじゃ、お聞きしますが、海上自衛隊や、沖繩派遣の自衛隊には、非核三原則が適用されますか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) 当然適用されます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 ところが、陸上自衛隊は——また海上自衛隊もですが、すでに、核教範というようなものを持っているんじゃないんですか。非核三原則とこれは矛盾するんじゃないんですか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) 核攻撃に対する防御教範、こういうものはあります。しかし、攻撃的ないわゆる核攻撃の教範さようなものは一切ございません。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 この実態を明らかにする時間の余裕がありませんけれども、そういうことにはならぬと思うのですね。  そこで、これは空軍のやつはまだできていないんだね、核教範は。どうなんです。

高瀬忠雄防衛庁参事官

○政府委員(高瀬忠雄君) 航空自衛隊のいわゆるCBRに対する防御用のための教範は、陸の教範を準用してこれは教育訓練を行なっております。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 できているんですか、できていないんですか。準用だけですか。

高瀬忠雄防衛庁参事官

○政府委員(高瀬忠雄君) 陸の教範がございまして、それを空では準用をして教育訓練を行なっております。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 空と陸とでは、特殊性があるでしょう。いいんですか、そんなことで。

高瀬忠雄防衛庁参事官

○政府委員(高瀬忠雄君) 陸、海、空、それぞれ組織的には分かれておりますけれども、陸と空におけるそういった防護のための教育訓練の内容は非常に似ております。したがいまして、現在、空におきましては、陸のものを準用して教育訓練を行なっているというのが実情でございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 ところで、海上自衛隊の応急教範という核教範でありますが、それは護衛艦その他の艦艇に適用される、こうなっております。そして、砲、ロケットによる攻撃ミサイルによる攻撃、航空機による攻撃、これらに対処するそういう方法をこまかに述べているわけです。また、その対処の方法として、これは実戦さながらの核攻撃を想定して、具体的にこれに対応する対処方法を述べているのです。これは、単なる核防御教範ではなくて実戦即応の核教範であると、こういうふうに言えると思うんですが、先ほどあなたは否定されましたけれども、もう一度はっきりお聞きします。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) 海上自衛隊の核防御教範は、私もつぶさに見ておりまするが、まあほんの小冊子、あくまで防御に徹するごく初歩的な解説書であります。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 そんなら、この教範を国会に出したらどうですか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) これは、先般内閣委員会でも御要求がありましたが、出さないことにしております。しかし、内閣委員会におきまして、まあお見せをする程度ならということでお話をしたように記憶をいたしております。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 これは七十万の機密文書の一つであると思うんだが、こういう形ですべてが機密にされている。これが今国会の大きな問題だったじゃないですか。これは出すべきだと思います。  そこで、この応急教範は、昭和四十四年につくられて、四十五年二月から使われている。ところが、四十二年八月に陸上自衛隊のこの教範がつくられた。これは特殊武器防護、こういわれているんですが、これと比較してみるというと、非常に実戦的にこれはなっている、こういうふうに思われますが、いかがでしょう。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) これはもう防御でありまするから、月と日とともに、その同じ防御の方法につきましてもだんだん詳しくなってくることは当然だと思いまするが、教範そのものはきわめて初歩的なものであることは、一覧いただければすぐわかるようなものであります。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 自衛隊に核は関係ないと言われましたが、分科会の審議で私は、日本海における日米合同演習による対潜水艦掃討作戦、これをまあ問題にしました。最近では、米旗艦には日本の海上自衛隊の幕僚監部が乗っている、日本の旗艦には米海上掃討部隊の幕僚監部が同乗してこの作戦を監督しておる、こういう事実が判明したわけであります。さらに、これは先ほどもらった資料ですが、防衛庁から出された資料によりますというと、昭和四十六年の九月の二十二日から十二月十日までの約八十日間、ハワイ沖で日米合同演習がやられている、日本の潜水艦がこれに参加している、こういうことなんですが、こういう事実を見ますというと、これほどまでに癒着を深めている日米混合の軍事体制でないですか。しかもその対象とするものは、核魚雷や核ミサイルで核装備されているソ連のこれは原潜であることはこれは明白でしょう。この核原潜対応こそが、いまアメリカが自衛隊に要請し、また共同作戦の体制を深めている、そういうねらいではないですか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) 四辺海に囲まれまして、あらゆる資源を海外から輸入するわが国としては、やはり海上の物資の安全航行、これはきわめて重要なことであります。したがいまして、特に、最近はアメリカにおいてもソ連においても、潜水艦は、従来の蓄電式のものでなくて、原子力による潜水艦であることは、これはもう御承知のとおりであります。したがいまして、この原子力潜水艦等から攻撃を受けたときに海上自衛隊はどう対処するのか、これはやはり海上自衛隊としての当然の常識的な訓練でありまして、そういう場面を想定して訓練をした防御的なものでありまするし、もちろん、この訓練は将来にかけても必要なものだというふうに考えております。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 むろん私は、いま自衛隊が核装備をしているなどと言っているのではありません。しかし、このような日米共同作戦体制を推進する限り、核への深まりは避けられないだろう、結局は核武装への道を歩むことになるだろう、これは非常に危険だということを指摘している。これについて総理の見解を最後にお伺いすることが一つ。  それから時間の関係から、ついでにもう一つだけ申し上げたいんですが、これは別な問題です。これは沖繩の軍用地の地目変更の問題です。米軍に強制的に取り上げられた沖繩の軍用地は、米民政府指令第三号によって実質的に地目の変更が禁止され、現在に至っています。そのため、二十七年前の占領当時山林であったが、現在は建物が建ち、宅地に変わっているところでも地目変更ができないために山林としての借料しか地代の支払いを受けていないのです。五月十五日施政権返還により、米民政府指令第三号は、これは失効することになります。そうすれば、当然現状に照らして地目の変更ができると思う。政府は早急に現在の使用目的に見合った地目変更をやるべきでありますが、その意思がありますかどうか。  地目変更がなされた場合には、新地目に対して借料相当の額を支払うべきだと、こういうふうに思うわけです。また、地目変更の手続期間を勘案に入れて、復帰後五月十五日にさかのぼって差額の支払いを補償すべきだと思います。この問題を同時に関係者からお伺いし、先ほど自衛隊との核の深まりの問題につきまして、総理からの御答弁をお願いしたいと思います。

島田豊防衛施設庁長官

○政府委員(島田豊君) 最初に、土地の地目変更のことについてお答え申し上げますが、先ほど御指摘のように、米軍は原則としまして土地の使用を開始したときの地目をそのまま変えておりません。その後土地借賃安定法によりまして五年問の借料の据え置きということもございましたが、地目そのものは変えておりません。そこで、今回新しく賃貸借を締結します場合に、その賃貸借契約書に表示します地目につきましては、これはまあ土地登記簿上の地目を掲げる、こういうことになります。土地登記簿の変更そのものは、実はこれは登記所でおやりになるわけでございましょう。しかしながら、実態的には賃借料を算定いたします場合には、登記簿上の地目のいかんにかかわらず、それにとらわれませんで、周辺の開発状況に応じまして適正なる借賃を算定をする、こういうつもりで、いま地主のほうと交渉いたしておるわけでございます。したがいまして、米側がきめましたところの地目にわれわれとしてはとらわれておりません。その実態に合うような賃借料で借料を支払うと、こういうことでございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 あとで地目は変えますか。

島田豊防衛施設庁長官

○政府委員(島田豊君) 地目の変更、これは、実は登記所の問題でございますので、ちょっとこれは問題は別になりますが、要するに、実態的には必ずしもその地目にとらわれないで借料を払うと、こういうことでございます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 日本の海上自衛隊と米海軍との訓練、これはなかなか有効に、また適切にもやられておると、この緊密な状態が、日本が核への道を歩むのではないかと、かような疑念を持たれたようでありますが、わが国の自衛隊は、申すまでもなく日本の自衛隊で、アメリカの自衛隊ではございません。したがって、日本の国会における非核三原則、これは厳守すべきであり、また政府もさような考え方で、国会の決議までしたこの問題を取り上げるつもりはございません。私どもが日米安全保障条約、これを必要とするのも、わが国の足らざる点、これは一に核攻撃に対する防御体制でございますが、これは全然足らないと、そういうものが、やはりアメリカとの安全保障条約によって補われるんだと、ここに日本の安全の確保ができるんだと、こういうことで、私どもも、今日なお日米安全保障条約を堅持すると、かようなことを申しております。私はこのことは、アメリカの中ではいわゆる安全ただ乗り論といいますか、どうも費用も払わないで日本はさようなかってなことをやっておると、こういうことを非難する者もございますが、同時に、一面に、日本自身がもしも万一核武装するというようなことがあったらたいへんだ、安全保障条約はそれに対する歯どめでもあると、こういう議論のあることも、これは承知していただきたいと思います。絶対に日本は国会の決議、それを守る、これはもう私どもはもちろんのこと、自衛隊においても同様の立場でございますから、そこらに何らの疑念を差しはさまないように、国会の決議はどこまでも守っていく、尊重していくと、かように御了承いただきます。

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) 以上で岩間君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) 次に、青島幸男君の質疑を行ないます。青島君。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 本予算委員会も私の質問をもって終局を迎えようとしております。総理も、総理として予算委員会で答弁に立たれるのは、これが最後ではなかろうかと思います。佐藤内閣最後の予算委員会に、予算委員会締めくくり総括の最終の質問者として私立ちましたことは、たいへん重大な意義を感じておりまして、そこで総理の政治姿勢につきまして若干質問を試みたいと思いますが、まず最近よく取りざたされておりますが、五月十五日の沖繩の返還に伴って恩赦が行なわれるんではないか。しかも、これはかなり総理の周辺を見ておりますと、確定化しつつあるんではないかというように承っておるわけで、恩赦がもし行なわれるような場合に、選挙違反者を含めて恩赦をなさるおつもりかどうか、その辺からお伺いしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いろいろ沖繩祖国復帰に際して恩赦の問題が議論されております。私も、各方面の御意見をただいま拝聴しておる段階でございます。たいへんな国家の慶事だと、かように私考えますので、当然あるものは考えてしかるべきではないか、かように思いますが、ただいま具体的にどういうようなものを構想しておる、こういう段階ではございませんから、御遠慮なしに御意見だけ述べていただければ大いに参考になる、かように思っております。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 明治百年恩赦が行なわれましたときにも、その前に総理は同様のことを大体おっしゃられておりました。事実、これは恩赦が行なわれまして、しかも選挙違反者もこれに含まれておりました。世論の多くはこのことをたいへんに非難をいたしましたが、総理のお話ですと、これは国民の総意である、支持するところであるという理由で強行されました。私は、本会議場でも反対討論に立ちまして、民主主義の基本にかかわることである、という意味で反対意見を申し上げたこともございます。しかし、あなた方常にみずから行なわれることが、多くの国民に支持されているという確信をいつもお持ちのようなんですが、その辺が私とたいへん違うところなんでございます。最近の世論調査によりますと、戦後、歴代内閣の中でも、最低の一九%という支持率だ、こういうふうに出ております。百人のうち、かろうじて二十人が支持しておるというわけで、この辺からしますと、総理の考えが国民に支持されているというような考え方はできないんですが、それをどう受けとめていらっしゃいますか。お答えいただきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 佐藤内閣の支持率は、毎日新聞の報ずるところでは、ただいま御指摘のとおりであります。しかし、わが自由民主党の支持率はさようなものではない。そこらの点は十分お考えをいただいて、個人の票、それだけでないということ。やっぱり議会民主主義、議会政治これはやはり政党政治でもありますから、そこらは区別されてしかるべきだと、かように思います。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 確かに大政党でございまして、いずれにしましても、三百議席があるということが、国民の支持を受けている根拠だというふうに、いつもおっしゃられますけれども、これは私そのとおりじゃないと思う。と申しますのは、この前の選挙のときですら明白な事実ですけれども、自民党の得票率は四七・六%でした。しかも選挙のメカニズムによりまして、国会の中では、それが七〇%近い発言力を持ってくる。その上に、相次ぐ強行採決は、これを無理やりに一〇〇%まで機能を高めているわけでして、しかも、四七・六%も二年前の話でございまして、本国会における相次ぐ政府の非民主的な言動には、国民は実にあきれ返っておりまして、いまの時点で、選挙という形をとって民意を問えば、手痛い非難をこうむるに違いないと私思います。その国民の怒りが一九%という数字になってあらわれておるというふうに私は確信しておりますし、これが国民の意思を——総理がおっしゃっておられるように、政府が国民の意思を全く代表しておるんだというふうには考えられないゆえんでございます。  続いてお尋ねいたしますけれども、総理は、先だって機密保護法の制定を表明いたされました。いろんな反撃にありまして、これを撤回されたようでありますが、その際に、これは私の持論であるというふうにおっしゃられたかに承っておりますが、そのお気持ちはいまもお変わりございませんか。お聞かせいただきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 最近、別にお話しするような変化はございません。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 いまだにそういう持論をお持ちになっていらっしゃると解釈してよろしゅうございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、これは個人の考え方を申しました、しかし私は具体的にさようなものを具体化するような考え方は持っておりません。こういうことをはっきり申し上げておりますから、その点を繰り返してただいま申し上げておるわけです。誤解のないようにお願いします。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 総理が、積極的に機密保護法を設けようという具体的な考えはいまない。しかし、そういうものがあってしかるべきではなかろうかと日ごろ考えておるというふうに解釈してよろしゅうございますね。その考え方は私たいへんに危険だというふうに考える。外交につきましても、防衛につきましても、ある程度の機密は必要であるということは私も認めます。われわれの身の回りの商売でも、物を売買する際でも、元帳を見られるということは、商売にならないということは明らかであります。その機密について考え方が総理とかなり違うわけです。二つ見解があると思います。その二つは全く異にしておりますけれども、一つは、でき得る限り秘密を少なくしていこうという方向であり、他の一つは、積極的に機密の質と範囲を拡大していこうという考え方でして、あなたが言われました持論は、この後者のほうに属すると考えます。これを突き詰めてまいりますと、これを知らしむべからず、依らしむべし、知らさなくても従わせればそれでいいのだという、実に専制主義的な考え方に帰結すると考えますけれども、機密保護法を設けようという持論、そういう持論を持っている総理の体質とその発想がファシスト以外の何ものでもないというふうに私は考えるわけです。それと、先ほど申し上げました選挙のメカニズムによる国会の機能の独善的な運営が相まったときに、まさに佐藤内閣がファッショ体制を確立したのだというふうに一部に言われることはそのことだと思います。これは議会制民主主義を根底からくつ返すものであると考えますし、先般、国益は国民がきめるものであるというふうに、政府は統一見解を出されましたけれども、国民の意思を全く無視したそういう考え方は、政府の見解と相いれないと私は考えます。その点、どうお考えになりますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 青島君もいま国家に機密がある。このことはお認めになりましたね。私どももそのことはちょうど個人にプライバシーというものもある。これはずいぶんあるからよくおわかりだろうと思う。国家にもやはり機密がある。その機密は守らなければならない。それをただいま私が秘密の範囲を拡大しようとしておる、本来秘密は縮小さるべきものだ、しかし佐藤の考え方は逆だと言ってきめつけられましたが、そのきめつけられるところにどうも民主主義的な考え方、これを無視されるのじゃないでしょうか。私はその点がまことに遺憾です。これはどうもかってに、佐藤の考え方はどうも秘密主義だ、だからあれは秘密を拡大しようとしておるのだ、これはどうも体質が気に食わぬのだ、こう言われる。そういうようなきめつけ方は民主主義の時代には、あまりやらないものなんです。また、自由主義のもとにおいてはさようなことは言わないものだ、かように私は思いますがね。これは議論になりますが、私はさように思っております。私は別に秘密事項を拡大すると、そういうことを申し上げたつもりはございません。必要なるプライバシー、また秘密、そういうようなものは守らなきゃならない、こういうことは言いましたけれども、秘密事項を拡大して、これを守れ、かように申したことはございませんから、さようにお考えになっていると、これはたいへんな誤解を招き、また将来もある青島君のために私それを惜しみますから、どうかその点は御訂正願いたいと思います。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 私の将来にまでもおもんばかりいただきましてたいへん光栄でございますが、しかし、ですから、私は再三総理にその意味でただしたわけです。いまやらなくとも持論としてお持ちなんですかと。持論としてお持ちなのは、そういう体質をあなたが持っていらっしゃるということは危険だということを申し上げているわけで、そういうことを、あなたからいまのように言われることは、私たいへん心外ですけれども、いかがでしょう。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これは議論になりますから、私は私の考えを申し上げておきます。青島君は青島君の考え方がおありだろう、その道を歩まれればいいと、かように思います。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 私は、一方的にきめつけて、総理に申し上げたわけではなくて、何回も念を押してきちんした言質を取って、その上に立って言っているつもりでおりますので、御了解いただきたいと思います。  引き続き総理にお尋ねしますが、中国要人の日本に対する最近の言動を見ておりますと、どうも佐藤あるいは福田というようなかっこうでは——敬称を略さしていただきまして恐縮ですが、佐藤、福田では、日中国交回復は望めないというふうに言っておるというふうにいわれておりますけれども、これは中国の日本に対する内政干渉にもとれるのではないかという声もありますけれども、これについてはどうお考えですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) まあ直ちにこれを内政干渉呼ばわりするのも、おとなげないことじゃないだろうかと、私かように考えます。もう少し具体化する、具体的な内容を持ったときに、初めてそういう議論についての批判ができると、現状においてとやかくすることは私のとらないところであります。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 去る三十九年に、総理が北海道開発庁長官のときに、中国の国際貿易促進委員会会長南漢宸氏に対して、二つの中国論は認めない、政経分離策はとらないとお約束なすったということもありますが、それは事実でしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これは事実と申しますか、日本で中国の物産展を開いたことがある。その際に、中国の代表者が日本を訪れた、そして私はその代表者とお目にかかった、これがただいま言われる南漢震氏との対談の模様であります。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 先月の三月二十七日のアジア・アフリカ問題研究会で、自民党の方がそういうことを発言していらっしゃるので、それを取り上げたわけですけれども、周囲の国際情勢が変わったから、意見が変わってもしようがない、かんべんしてくれというふうに時の官房長官が言ったという記事も新聞にあります。私どもの考えからしますと、特に国際情勢に変化があったとは思えないし、同年十一月に佐藤さんが総理になられた、そういうことから思い合わせますと、変化があったのはあなたの立場だけでありまして、立場が変わるとすぐ意見が変わるというようなかっこうでは、相手の信頼を失うのも当然ですし、今日の中国との国交問題がスムーズに展開しないのも、実はそもそも権力と引きかえに信義を裏切ったあなたの人間性というものに原因があるのじゃないかというふうに考えます。なおかつ中国の国連参加などには率先してそれを阻止するようなかっこうに出た、こういう罪は私はたいへん大きいと思うのです。総括でございますので、私、佐藤内閣の功罪を総括するというようなものを考えてみたのですけれども、どうも私の探したところでは、功に値するものは見つかりませんで、罪ばかりが目立っておりまして、日本の国際的信義と威信を傷つけた罪を初めといたしまして、そのほか、大いに批判的な態度で国民に見られておりますけれども、第二の罪は、これももう周知のことで、以下にあげます罪はもうあげつらうまでもないのですが、大企業本位の経済政策をとって公害を発生させ、公共料金の相次ぐ値上げによって物価の高騰を助長した。これは国民生活を圧迫した罪として告発されなければならないし、第三に、強行採決を常習化して、議会政治、民主主義を破壊し、国民を政治不信におとしいれたということ。第四に、みずからの保身のために責任を転嫁して、次次に大臣を更迭して、独裁者的な地位を確立した。第五は、四次防先取り、立川抜き打ち移転等によるシビリアン・コントロールの形骸化、また、在日米軍基地が事実上ベトナム米軍の後方基地となっていることに目をつぶって、事前協議を空洞化して、ベトナム戦争に加担、軍国主義への道を歩む罪は、これまた国民のひとしく見のがさないところであります。第六は、沖繩返還交渉における電報の存在をめぐって、国会と国民を欺き、なおかつ国民の知る権利を剥奪しようとした罪であります。最後に、民主主義と深いかかわり合いがあるのですけれども、政治資金規正法の改正を等閑に付した罪、これも重大です。昨年、私はこの席で国会の品位を汚す表現を用いたということで、懲罰動議にかかりそうになりました。国会の品位を傷つける、あるいは汚すというのは、むしろ総理御自身の国民を欺き、愚弄する姿勢にあると私は痛感いたしますが、その点いかがお考えになりますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの発言は、いわゆるはやりの特殊団体の総括に該当するような気がいたしまして、私はさような意味で承っておったのですが、どうもこれは私がとやかく申し上げるよりも、青島君にそのまま——御批判、これは御自由ですから、御批判にまかしたらいい。私はあえて答えることはない。その他何ものもないように思いますので、以上で私は失礼をします。

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) 青島君の質疑……。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 一分です。お願いします。

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) 簡単に願います。質問だけに……。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 いままでの質疑に見るまでもなく、総理のファッショ的な体質を私は実に明らかに痛感をいたしました。いまのおっしゃり方もけっこうでございますけれども、これは八〇%の国民、二〇%しか支持されていないわけでありますから、八〇%の人間が必ず腹にためて、いつの日か選挙というような形で、あなたに一矢を報いるだろう。そのことが私の意見の証明になるだろうと考えます。そのことだけを申し上げて質問を終わらせていただきます。

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) 青島君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、締めくくり総括質疑通告者の発言を全部終了いたしました。三案の質疑は終了したものと認めます。     —————————————

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) それでは、これより討論に入ります。  討論の通告がございます。順次発言を許します。発言者は賛否を明らかにしてお述べを願います。矢山有作君。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 私は、日本社会党を代表して、昭和四十七年度予算三案に対し、とうてい受け入れることができない理由を明らかにし、反対討論を行なうものであります。  昭和四十七年度予算に反対する理由を申し述べます前に、それ以前の問題として強く指摘したいことは、政府の基本姿勢が根本的に間違っているということであります。沖繩返還協定の内容について、国会、国民にうそをついた事実、政府の都合の悪いことは、すべて秘密のベールのもとに真実をおおい隠そうとする態度、国防、外交に関する基本問題について、国民を欺瞞する数々の言動など、国政の基本にかかわる重大問題について、政府は許すべからざるあやまちを犯していることであります。  さて、反対の第一点は、政府が持つ予算編成権をみずから踏みにじって恥じない態度についてであります。そもそも予算案を一たん国会に提出しておきながら、政府修正を余儀なくされ、あまつさえ長期にわたり国会審議を空転させ、暫定予算を組まざるを得なくなったこと自体、大きな失態でありますが、追及さるべきはその奥にひそむもっと大きな政府の基本的な態度の誤りであります。すなわち平和憲法をじゅうりんし、自衛隊を本格的な軍隊に仕上げるという、軍国主義復活への佐藤内閣の意図が明らかになった四次防予算の先取りは、文民統制を空文と化し、軍事大国への危険な一里塚であるということを指摘せざるを得ません。  反対の第二点は、発想の転換とはほど遠い、現実と遊離した予算案であるということであります。政府は、この予算案は七〇年代の激動する国際環境に対処する基本的なあり方や、体質が変化した日本経済のかじとりという二点について、正しい認識と十分な政策の選択が行なわれていないということであります。政府は、口先では発想の転換とか、政策の軌道修正とか言いながら、でき上がった予算案は、予算規模ばかりいたずらに膨張し、中身は旧態依然として総花的で、当然増経費のみが大きくなり、新規施策費は片すみに追いやられている結果になっているのであります。一体、産業優先、高度成長第一主義を反省し、国民の福祉を重視するという軌道修正の四十七年度予算は、その重点転換がどこに見られるのでありましょうか。国際通貨不安の中で、三百八円経済の構造改革をどう進めていくか、公債の増発とインフレ抑制の方途、過剰外貨の累積に対する輸出産業のあり方、福祉水準の向上目標、危機に瀕する農村を救う農業政策の方向、国鉄や医療制度の根本的解決策、地方財政に対する抜本的な財源措置など、転換すべき発想、修正さるべき軌道が予算案には一向に見当たらないのであります。いかに政権末期の予算案とはいえ、政策に総合性がなく、公害や物価対策に見るごとく、行政の怠慢とあと追い政策が異常にはんらんし、新しい時代に即応する政策の選択もなく、ただ一つ、政策の先取りといえば、軍事大国を指向する四次防先取りのみといった、今日のわが国の現実とは遊離した国民不在の予算案と言うべきであります。  反対の第三点は、政策の一貫性が予算に反映されていないことであります。政府説明によれば、昭和四十七年度予算は国民福祉の充実と景気浮揚の二本柱で構成されていると言いますが、そのいずれの面も不備、不徹底であり、斉合性が認められないのであります。不況だから公共事業費を増額するという、従来の政策の繰り返しだけが見受けられるのであります。これでは、政府がいかに社会資本のおくれを取り戻し、福祉社会建設への第一歩を踏み出したと宣伝しても、国民の側からすれば、文字どおりに信用することはできないのであります。高度成長のひずみを是正し、安定成長に軌道修正すると言いながら、税制や財政投融資を通じて、依然大企業優先の高度成長を夢み、あくまで輸出増進に大きな期待をかけていることは明らかであり、円の再切り上げを防ぐため八項目の実施を約束しておきながら、実績は遅々として進まず、これまた大企業や金融圧力に屈して、産業救済的な面のみが強く前面に押し出されているのであります。その他、蓄積外貨の取りくずしと活用方法、輸入自由化と物価抑制、環境保全と公害対策、住宅政策と土地対策等々、国民生活に深く関係するものについて、政策の一貫性が見られないのが現実の姿であります。そのほか、一般会計予算の隠れみのとして財政投融資計画を安易に利用する旧態依然たる態度、地方財政の窮乏化に拍車をかける政府の強引な施策など、国の予算全体に対する一貫性のなさは至るところで指摘できるのであります。  反対の第四点は、四十七年度予算が福祉型予算と特色づけるにはあまりにも羊頭狗肉であるということであります。四十七年度予算は、福祉重点が大きな柱であるとされておりますが、福祉の増大そのものが経済成長につながる体質に変化しているという基本認識に欠け、したがって、福祉型予算であることを具体的に証明する根拠はきわめて少ないのであります。四十七年度の社会保障関係費は、前年に比べて二二・一%の伸びで、これは一般会計予算の伸び二一・八%とほとんど同じで、特にこの面に財源配分を厚くしているとは言えません。福祉を重視するというからには、予算に占める構成比を高めることがいま一つ大切なことであります。しかるに、四十七年度の社会保障関係費の構成比は一四・三%で、四十六年度予算と同じ割合であり、しかも、四十年代を通じてこの構成比はほとんど変わっておりません。福祉優先に財政構造が転換されたあとは見当たらないのであります。また、公共事業関係費におきましても、総額で二九%伸びており、構成比は一八・七%を占めておりますが、中身を見ると、依然として道路、港湾など、産業基盤整備のための投資に重点が置かれており、生活環境施設整備費は、道路整備費のわずか六分の一といったありさまで、とても生活優先という看板にふさわしいものではないと言わざるを得ません。防衛計画や公共事業は長期計画を立てて強引に遂行しようとするのに、国民福祉や社会保障に関しては長期計画もなければ、到達目標も示さず、国際水準に比べてはなはだしく劣る福祉水準が一体いつ西欧並みになるのか、国民が一番知りたいことには何の政府回答もないのであります。独占企業の管理価格、政府主導の公共料金引き上げなど、物価上昇を放置しておいて、社会保障の面におけるわずかばかりの改善、金額の多少の上積みをもって福祉型予算と称することは、まことにもって僭越不当と言わなければなりません。人間尊重を公約し、老人対策を重視すると宣伝している政府にとって、六十歳以上の老人が年間三千人以上が家出をし、五千人以上も自殺をするという悲しむべき現実に対し、何と説明するか聞きたいものであります。乱立している社会保障制度を改める抜本的な対策も示すことなく、年金のスライド制や、積み立て方式から付加方式への移行策すら明示できず、相変わらず福祉行政を地方自治体におぶさっている政府が、何をもって国民福祉重視の予算案といえましょうか。制度ばかりつくって内容の伴わない全く羊頭狗肉の福祉型予算と言うべきであります。  反対の第五点は、四十七年度予算のいま一つの大きな柱である景気対策について本筋があやまっているということであります。政府は、不況克服のきめ手として巨額の公債を発行し、公共事業を拡大しようとしておりますが、その多くが土地代に食われ、土地成金をつくり、不動産業者をふとらせ、庶民には土地値上がりを通ずる物価高を押しつける結果を招いております。さらに、公共投資により直接景気を刺激する効果にはタイムラグが避けられず、また産業の分野が限られており、その受け入れ体制にも問題があるばかりか、政府の事務的非能率も手伝って景気対策の効果が減殺されていることも見のがせないのであります。昨年度の補正予算で公共事業費は大幅に追加され、支出の促進がはかられたのでありますが、土地の取得難や、値上がり、設計能力の不足、行政事務の繁雑さ、非能率によって四十六年度の年度内消化は不可能だったのであります。その上、四十七年度予算は、政府の四次防予算の先取りという、全く違法不当な行為によって暫定予算に追い込まれ、公共投資の支出はおくれがちとなり、景気浮揚の芽を政府みずからがつみ取る結果となっているのであります。また今日では、公共投資により需要拡大がはかられる分野は、土木、建築関連産業でその効果は限られており、しかも不況が深刻化している化学、機械などの産業分野にはほとんど公共事業拡大の効果は及ばないのであります。公共事業費の拡大、支出促進が景気刺激の万能薬でないことは明らかなのであります。このような状況下におきましては、公共投資のほかに、何よりもまず有効需要を拡大する最有力手段として大幅な減税が必要であることは言うまでもありません。所得税減税により個人消費を増進させることこそ景気浮揚ばかりでなく、経済成長を適正化し、国民福祉の向上につながる、まさに発想の転換にふさわしい基本政策であるといえるのであります。しかるに政府は、四十六年度補正による所得税減税を理由に、四十七年度税制改正ではこれを見送り、物価調整減税すら認めない態度をとっているのであります。そればかりか、高福祉、高負担という名目のもとに増税の必要性を強調し、四十八年度の増税を打ち出していることは納得がいかないところであります。  これを要するに、昭和四十七年度予算案は、国民福祉を充実するものでもなければ、国民の側に立って不況を克服することに役立つものでもありません。それどころか、財政を長期にわたって拘束する膨大な軍事費を、国会の審議のらち外できめて、無理やり予算に盛り込もうとするとともに、大企業の保護、優先の考えが貫かれ、国民に公害と物価高を押しつけ、豊かな人間味のある生活とは、正反対の方向に持っていく危険きわまりない予算案であります。このような満身創痍の予算には、日本社会党を代表して断固反対するものであります。(拍手)

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) 若林正武君。

若林正武自由民主党

○若林正武君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和四十七年度一般会計予算外二件に賛成の討論を行なうものであります。  わが国の経済が過去何回か経験をした不況は、いずれも景気過熱による国際収支の赤字を克服するための金融引き締めに端を発し、国際収支の均衡が回復されると引き締めは解除され、民間の設備投資が活発になって、一年足らずで再び景気が上昇に向かうというのがきまったパターンでありました。だが、今回の不況は様相を異にしております。不況の期間は長く、すでに一年半に及んでおりますし、金融は極度に緩和しているにかかわらず、民間の設備投資は低迷を続けております。従来と違ったわが国経済の新しい傾向の本質は一体どこにあるのか。経済成長の中で目ざましい技術革新を遂げたわが国企業の技術的水準はすでにきわめて高いものとなっておりますから、民間設備投資がこれまでのような高いテンポで伸びることは、これから先はあまり期待できないと思われます。これから先、経済成長のにない手となるのは財政でなければなりません。  このような経済の転換期に際会して、昭和四十七年度の財政に課せられた課題は、公債政策を展開することにより、有効需要を喚起し、下況からの脱出をはかるとともに社会資本の充実をはかり、いわゆる財政主導型の経済運営という要請にこたえることにあると言わなければなりません。  以下本年度予算の特色について、簡単申し上げます。  まず第一は、財政規模と不況対策についてでありますが、すみやかな景気回復によって経済の安定をはかるため、財政規模を大幅に拡大するとともに、公債政策を積極的に活用されたことであります。一般会計の予算規模は前年度対比、前年度に比較して二一・八%、財投では三一・六%の伸びとなっており、また、公債発行額は一兆九千五百億円を予定され、この公債の依存度は前年度の四・五%から一七%と大幅に増加いたしておりますが、財政の健全性を確保する上からも、建設国債の市中消化の原則が貫かれておりますし、現在のような経済情勢のもとでは十分消化可能なものと思われます。一部には国債発行がインフレを招くとしている向きもありますが、生産過剰の今日、購買力をふやし、需要に刺激を与えてもインフレをあおる懸念はないものと考えるべきであります。このように、昭和四十七年度予算は積極的に有効需要を喚起して景気の浮揚に大きな役割りを果たすものと信じます。  第二の特色は、国民福祉優先の性格を明らかにし、社会資本の拡充、社会保障の充実など、社会開発の画期的な進展をはかったことであります。まことに時宜にかなった方針として心から賛意を表するものであります。  まず、社会資本の充実についてでありますが、社会福祉に関係する公共投資につきましては、特に生活環境施設整備に重点が置かれ、住宅では前年度に比較して約三〇%、また立ちおくれている下水道については四八%、公園九七%、廃棄物処理施設九三%と、伸び率や実額においてもこれまでにない大幅な増加を見せており、われわれの生活と密着する社会資本の拡充には特段の配慮を加えられて国民福祉優先の考えを貫かれていることであります。  次に、社会保障の充実をはかったことでありますが、社会保障の充実は社会資本の整備拡充と並んで、わが党が最も力を入れている福祉優先の基本政策であります。中でも、当面最も急がれる社会保障問題の一つは老人福祉対策であります。四十七年度予算においてはおよそ三百八十万人のお年寄りに対し、医療の全額無料化をはかっております。まさに画期的な制度として喜びにたえない次第であります。なお老人福祉年金については、これまでに例のない大幅な引き上げをはかり、さらに明年度における増額も約束されております。また、税制上の措置をはじめ、ひとり暮らしの老人や寝たきり老人についても新たな対策が講ぜられ、長い間、社会発展に尽くしてこられたこれら老人に対し、こまかい配慮がなされております。  そのほか、生活保護基準の引き上げをはじめ、社会福祉施設の整備と職員の処遇改善、身体障害者対策、特定疾患対策等、社会福祉の各分野にわたり幅広く適切な措置がとられていることを多とするものであります。  次は、租税の減税と合理化についてでありますが、所得税の減税につきましては、四十六年度補正予算において年内減税を行ない、この結果、四十七年度におきましては二千五百二十億円の減税効果が見込まれ、かなりの国民負担が軽減されることになっております。さらに、今回の税制改正においては、老人扶養控除の創設、寡婦控除の拡充、配偶者相続税控除額の引き上げ、障害者控除の創設等、社会福祉につながる減税の措置が講ぜられております。  以上のような国税の負担軽減、合理化と並んで地方税につきましては住民税及び個人事業税の減税を行ない、低所得者層の負担の軽減をはかることといたしております。さらに、租税特別措置でもそれぞれ時宜に適した措置がとられているのであります。このように四十七年度の税制においては景気対策と福祉の向上の考え方が取り入れられ、多くの所得層に減税効果を及ぼすとともに経済社会情勢を反映した政策税制がとられていることは、今日の実態から見てきわめて適切な措置と考える次第であります。  次は、沖繩復帰対策であります。沖繩百万の県民をはじめ全国民が、二十七年の長い間ひとしく念願し待ちわびた沖繩県が五月十五日に返還の日を迎えることができることを全国民とともに心からお喜びを申し上げる次第であります。沖繩が日米間の平和的な話し合いによって返還されますことは、まさに歴史的なできごとであり、多年にわたる佐藤総理の政治生命をかけた御努力に対し、心から敬意を表する次第であります。戦後、長期にわたって本土と異なった経済、社会体制のもとに置かれた沖繩県民を心おきなく迎え、平和で豊かな県づくりのため、政府は、過般の沖繩国会以来全力を傾けてきたところで、昭和四十七年度予算においても沖繩県民の要求を十分取り入れ、本土の諸制度への円滑な移行のため及ぶ限りの配慮がなされたものと信じております。今後の予算の運営については、最も効率的な使用をはかるよう、豊かな沖繩の建設につとめられるとともに、物心両面にわたり思いやりのある施策を通じ、本土と一体化する日の一日も早からんことをこいねがうものであります。  以上申し述べましたほか、各般の重要施策について、限りある財源を適切かつ効果的に配分して、均衡と調和のとれた財政措置が講ぜられております。四十七年度の予算は、経済の安定、社会福祉優先を指向する現下の社会、経済の要請に十分こたえ得る予算として、きわめて妥当なものであり、満腔の賛意を表するものであります。政府としては、予算の執行にあたって適時適切なる運営をはかるよう希望いたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) 鈴木一弘君。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となっております四十七年度予算三案に反対するものであります。  反対の第一の理由は、佐藤内閣の無責任な政治姿勢を反映した予算だということであります。すなわち、四次防を先取りして軍備拡大予算を編成し、衆議院の段階において、政府みずから誤りを認めて修正せざるを得なかったのでありますが、国政の重要な基本である文民統制を無視した責任は免れないものであります。また、過ぐる沖繩国会で、あれほど問題となった米軍用地の復元補償費負担についてはどうであったでしょうか。政府がついに本物と認めた電文でも明らかなように、米国は、財源の心配までしていただいてありがたいと述べているのであります。密約があるのは全く明らかであります。しかるに、国家公務員法違反ということで記者を逮捕、起訴してすりかえをはかったのでありまして、国民の知る権利を権力をもって押え、予算が国会さえ通過すればよいという こうした財政民主主義を破壊する政府の予算には賛成できないものであります。  第二の反対理由は、福祉を無視した予算であるという点であります。円切り上げという非常に不幸な事態がなぜ生じたのか、公害をたれ流し、庶民の福祉を犠牲にして高度成長に狂奔した結果であることは、実に明らかであります。社会保障関係予算の伸び率は、予算規模の伸びとほとんど同じであります。一方、目的別に見た産業経済費の伸びは、目的別の社会保障関係費の伸びを二・四%も上回っているのであります。これを見ても、政府の景気対策重視、財界へのてこ入れ優先の姿勢は明らかであります。しかも、福祉転換についての長期的姿勢も全く明らかでありません。大蔵大臣は、福祉が芽を出したのだと、このように言われておりますが、こうした姿勢では芽は枯れてしまうとしか言えないのであります。もし政府が真剣に福祉向上を目ざすならば、たとえば年金についても制度が熟していない云々と、このように逃げないで、すみやかに、積み立て方式から賦課方式へ何年から転換するといった具体的な内容を盛り込んだ福祉の長期計画を策定するのがほんとうでありまして、かかる点を無視した予算を認めることはできないのであります。  第三の反対理由は、物価安定に対する積極的施策がないばかりか、政府主導型の物価値上げをもたらすはずであるという点であります。佐藤内閣成立以来七年になりますが、政府の毎年度経済計画の消費者物価見通しの数字は逐年底上げをしてきております。政府の消費者物価抑制の失敗をそれはすべて物語っております。不況にもかかわらず、四十七年度も五・三%の上昇を見込んでおります。この数字さえ、すでに二%程度のげたがはかせてありまして、年度内の上昇の許容限度は三・三%という非常にきびしいものであります。しかるに政府は、国鉄運賃、大学授業料をはじめ、医料費を引き上げる一方、消費者米価の値上がりのおそれのある物統令廃止を行ない、国民の要望を全く無視しているのであります。政府は、こうした公共料金の値上げに伴う消費者物価上昇の寄与率は〇・七%程度で、影響は少ないと宣伝これつとめておりますが、問題は、公共料金という政府が関与している物価を軒並みに上げる姿勢そのものが、全般的な消費者物価上昇の誘引力となるということであります。減税がほとんど見られず、しかも公共料金値上げを強行されて、国民はどうしたらよいかわからないということであります。すでに円切り上げに伴う輸入物資の価格引き下げの政府言明がいかにむなしいものであったかという点で、国民はいやというほど味わっております。円切り上げの利益を国民に還元すると大みえを切った政府が、何一つ実効ある手を打つことなく、その利益は輸入業者、流通業者にだけ還元しておるという、政府の物価問題に取り組む姿勢の中に実に明らかであります。政府が輸入を独占している小麦や飼料、さらにたばこ等について、その値下げが遅々として進まないこともその一つであります。佐藤内閣の公約とは逆に、政府主導による消者物価値上げをもたらす今回の予算に対し絶対反対するものであります。  以上で私の反対討論を終わります。(拍手)

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) 向井長年君。

向井長年民社党

○向井長年君 私は、民社党を代表して、ただいま議題の昭和四十七年度予算三案に対し、以下の理由により反対をいたします。  第一の理由は、政府が、明年度予算案は福祉向上と景気浮揚予算と言いながらも、主たる柱を景気回復に置き、国民生活の福祉向上については全く微々たる措置がとられているのであります。予算の伸び率だけは二一・八%と非常に大型化しておりますが、これはあくまで景気刺激が最大のねらいでありまして、財界迎合の景気刺激予算と言わなければなりません。  第二の理由は、所得税減税を無視し、勤労国民の期待を裏切ったという点を指摘せざるを得ないのであります。政府は所得税減税見送りの理由として、昨年秋の減税実施を今年度減税の繰り上げであるということ、また、不況下において歳入の大幅増が見込まれず、財源難であるという二つの理由をあげておりますけれども、これは国民を納得させる理由にはなりません。特に財源難だというならば、利子配当優遇制度の廃止、交際費課税の強化、法人税率の引き上げ、価格変動準備金の廃止等々、現行税制の不公平を是正するならば、大幅な増収をはかることは可能であります。  第三の理由は、国民の関心が最も深い消費者物価の上昇についてでありますが、政府予算案はこれに対して全く無力であり、むしろ物価上昇に拍車をかけようとしてさえおるのであります。すなわち、政府みずから国鉄再建に積極的に取り組む指導を怠りながら、国鉄運賃をはじめ公共料金を次々と上げていることであります。また、公共事業の推進を地価対策を無視して行なわれていることは、見のがすことのできないことであります。かくして今年度経済見通しの消費者物価上昇率は絶対に五・三%におさまる可能性はないと断ぜざるを得ないのであります。  第四の理由は、社会保障、住宅等、福祉社会建設の柱になる福祉関連予算が依然として貧弱であり、国民の期待にこたえていない点であります。確かに各項目ごとに若干の金額の引き上げ等の措置が講じられているけれども、総じて今回の予算案からは、福祉社会建設の積極的意欲も、新しいビジョンも感じられないのであります。特に健康保険の抜本的改正を怠り、地価対策を放置しているその責任はきびしく追及されなければなりません。  最後に反対する理由は、防衛予算について強く指摘いたしたいと思います。  政府は当初四次防の先取りを行ない、次々と新規予算を認めたのでありますが、衆議院段階で強く撤回を迫られ、新たに組み直しを余儀なくされたことは御承知のとおりであります。しかし、これで問題が片づいたとは考えることはできないと思います。すなわち政府は、防衛予算についてはさらに国民的合意の必要性を重視すべきであると思います。およそ国民の合意なき安全保障体制は砂上の楼閣であり、いたずらに血税を浪費し効果なきものと知るべきであります。したがって、四次防そのものを再検討し、全国民的規模で行ない得るよう努力を傾注すべきことを警告し、本予算案の重点的な反対の内容を披瀝し、私の反対討論を終わりますが、特にこの際、私は佐藤総理に付言して申し上げたいのであります。  国民は今日まで政治不信が横溢しておる中で、本国会の両院においての予算審議過程を見たとき、防衛予算をはじめもろもろの失策についてますます佐藤内閣に対する不信が大きく出ておると思うのであります。佐藤総理は一日も早く引退し、その責任を明確にし、政治の一新をはかられるよう要望いたしたいと思います。長い間、佐藤さん、御苦労さんでございました。(拍手)

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) 河田賢治君。

河田賢治日本共産党

○河田賢治君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題の昭和四十七年度一般会計予算案外二案に対する反対討論を行ないます。  まず第一に、本予算案が財界の要望にこたえて独占資本の景気対策に終始している点であります。政府は、独占資本の投資効果をねらった高速道路、港湾建設等産業基盤中心の公共事業費二兆一千四百八十四億円を組み、住民生活に直結する生活道路、下水道、住宅、公園、学校、福祉施設など大きく立ちおくれた環境整備には、わずか一三・五%しか回していません。これでは公害の激化、自然破壊が一そう進むことはもとより、深刻な過密過疎問題の解決は不可能となり、国民が切実に求める社会資本の充実による生活優先への転換は望むべくもありません。  第二に、税負担の著しい不公平についてであります。生活優先を唱える政府は、思い切った大衆減税を断行し、国民の購買力を高め、真の不況対策を打ち出すべきであります。しかるに政府は、財源不足を口実に所得税の一般減税を見送り、地方税の減税も、物価上昇の結果、課税対象者が九十六万人も増加するなど、大衆課税的性格を一そう強める措置となっています。しかも一方では、ドルショック対策を口実に、企業の交際費課税も強化せず。株の譲渡所得非課税はそのままにし、租税特別措置にしても、わずかに輸出振興税の縮減をはかるのみで、むしろドルショックに伴う特別措置で大企業優遇を強めながら、中小零細企業、労働者にはその犠牲を転嫁している不合理きわまるものであります。  第三の問題は、本案が大型赤字公債発行に基づくインフレ政策と、物価値上げによる国民収奪予算となっている点についてであります。一兆九千五百億円にのぼる今回の公債発行によって、わが国の国債、政府保証債、地方債総残高は実に十五兆円をこえ、国民一人当たり借金にして十五万三千円に及ぶのであります。一たん市中消化された公債も、最終的には買いオペ等の形で日本銀行に集中、信用膨張となり、インフレによる国民生活圧迫は火を見るよりも明らかであります。特に強調すべきことは、今回の大型国債が、財政法の財政民主主義の原則をじゅうりんした赤字国債としての性格を持ち、事実上全く歯どめをなくしていることにあります。放漫な公債増発政策をとる結果は、再び戦時国債のもとで国民がどんな苦杯をなめたかを思い起こせば明らかであります。  わが党は、この際厳重な歯どめ措置を講じるとともに大幅な公債の削減を主張するものであり、さらに物価安定を切実に求める国民の声を足げにした国鉄運賃、大学授業料、物統令廃止による消費者米価、物価軒並み値上げを先導する政府の措置は、大型公債によるインフレ政策とあわせて国民の断じて承服し得ないものであります。  次に、軍事予算についてであります。四次防予算の先取り、国庫債務負担行為を含む総額一兆二千億の防衛費は、絶対額、伸び率ともに戦後最大のものであり、攻撃型装備の強化、兵器国産化による産軍体制強化、沖繩への自衛隊配置など、ニクソン新戦略に基づく軍事大国化を一段と推し進めるきわめて危険なものとなっており、絶対に承認し得ないものであります。  その他、社会福祉対策、中小企業、農民対策、沖繩を含む地方財政対策など、国民生活に直接かかわる予算をないがしろにした本予算案は、わが党のとうてい容認することのできないものであります。  最後に、私は、本予算案審議の過程で、防衛、外交、内政、国民の権利問題など、一連の政府の憲法無視、国会軽視の暴挙が国民の前に明らかにされました。佐藤内閣はこれに対し、何らみずからの政治責任を明確にせず、権力にしがみついた老醜を国民の前にさらし続けているのであります。国民はすでに八〇%をこゆる多数が佐藤内閣に不信を表明しています。これに即時退陣をもってこたえるのが民主主義であります。  以上をもって私の反対討論を終わります。(拍手)

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) 以上をもちまして、討論通告者の発言は全部終了いたしました。よって、三案の討論は終わったものと認めます。  それでは、これより採決を行ないます。  昭和四十七年度一般会計予算、昭和四十七年度特別会計予算、昭和四十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括問題に供します。三案に賛成の方の起立を願います。   〔賛成者起立〕

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) 起立多数と認めます。よって、三案は原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) この際、小委員会設置の件についておはかりいたします。  予算の執行状況に関する調査の一環として、予算制度等の調査のため、小委員十名よりなる予算制度等調査小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、小委員の選任、また選任後における小委員の辞任許可及び補欠選任につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) 御異議ないと認め、さよう決定します。  なお、小委員は公報をもって通知いたします。  これをもって散会いたします。    午後五時五十一分散会

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