P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
68回国会参議院1972/04/06

予算委員会 第6号

発言数
263
登壇者
27
会派数
3
開催日
1972/04/06

会議録

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和四十七年度一般会計予算  昭和四十七年度特別会計予算  昭和四十七年度政府関係機関予算  以上三案を一括して議題といたします。  前回に引き続き、三案に対する質疑を行ないます。山本利壽君。

山本利壽自由民主党

○山本利壽君 私は、本日は主として外交問題についてお尋ねをいたしたいのでございますが、特に外交問題というものは、正確な資料に基づいて国際情勢というものを判断しなければ、とんだ間違いを起こすものでございまして、単に国内の問題と違って、これは国際的に非常な問題を起こし、国の運命にもかかわるものでありますから、いろいろな情報というものを正確にさがしあてて判断しなければなりません。外交問題もそうでありますが、国内の問題にしても、昨日の委員会におきましては、知ることの権利というようなことがずいぶん議論されました。報道の自由であるとか、知ることの権利であるとかいうような問題が起きたのでありますが、これはまことに重大な問題でございますから、また、われわれとしても十分にこれは掘り下げて研究しなければならない問題であります。知ることの権利というのは、右からも左からも、両方のいろいろな要素というものを知らなければ、正しい判断ということはできないものである。ところが、とかくそのときの空気につられて、右なら右、左なら左といったような情報が乱れ飛んで、国民の判断を迷わすようなことがございますから、この問題については、私は与党といわず野党といわず、十分に研究が必要だと思うのでありますが、本日は玉置委員から、こういう問題についての関連質問をしたいという申し出がありますから、まず最初にこの問題を取り上げていただきたいと思います。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 関連。  おとといこの委員会で、ぼくは新聞の自由という問題でまず触れたのは、新聞の倫理綱領のことであります。そうして総理に、新聞の倫理綱領について御存じでございますかということを私はただしたと思います。総理は、知っておると、こう言われました。しかし、もう一度私は確認をする意味で申し上げたいと思いますが、新聞の倫理綱領というのは、これは終戦の翌年、日本の新聞社全部が集まって自主的につくった、世界に誇るべきものだというふうに私は認識をいたしております。その新聞の倫理綱領の第一条に「公共の利益を害するか、または法律によって禁ぜられている場合を除き」——このことが大事です。「法律によって禁ぜられている場合を除き、新聞は報道、評論の完全な自由を有する。」とあります。これは新聞社自身がきめたものです。お互いが、新聞の良心に基づいてきめた問題です。これが戦後の私は民主国家を支える大きな柱だと思っております。  ところが今度の問題は、この西山記者のとった態度というのは、国家公務員法第百十一条、このことを私は知らないはずがないと思うのです。いわゆる国家公務員として機密の保持、これは当然負うべき義務だということを規定しておりまするが、あのベテランの記者がこれを知らないはずがない。それをあえてやったというところに問題がある。  もう一つ私考えるのには、それ以上に国民の知る権利があるということを野党の諸君が言っておられます。私も、それには納得するものです。民主国家というものは、自由なる国というのは、国民の知る権利が、あるいはそれよりももっと重いかもわかりません。それであるならば、この新聞社のとった態度に私はふしぎな点が一つあると思うのです。たとえばニューヨーク・タイムズでありますが、ニューヨーク・タイムズは、あの事件で、社長以下第一線の記者に至るまで意思統一をして、米国民が知る権利という立場から、当然これを報道すべきであるということで社運をかけてやったのです。私は、これはりっぱだと思います。ところが、「毎日」のあの当時の記事を私は読んでみましたが、ちょっぴり、どこかにはそういうにおいはあります。においはありまするが、これをやはり堂々と掲げてやっておるという態度が見えない。  私はなぜこういうことを言うかといいますると、ニュース・ソースを明らかにしないということは、これは当然のことなんです。あたりまえのことです。ところが、すでにそのニュース・ソースという問題については、もう割れておるのです。国民は、西山記者に渡ってそれからどうなったのかという、国会にどのように持ち込まれたかという、この真相をいま知りたがっておる。国民には知る権利がある。政府にも知る権利がある。国会にも知る権利がある。どういう経路で持ち込まれたのか、この際やっぱり明らかにすべきである。  私はこう思いますし、そうして次にもう一つ言いたいのは、私はあのときに触れましたが、国民の知る権利というのは、この沖繩の問題、これに限るわけではありません。いま国民の大きな関心になっておる日中問題におきまして、その論議の焦点になっておる台湾の問題について、新聞社が台湾に特派員を置いていない。これはどうしたことなんですか。私はこういつた問題で、ほんとうに台湾が、もう日本の国民との間に人的な交流もなければ経済的な交流もない、こういうのであれば特派員を置く必要もあるいはないと言われても、私は納得することにやぶさかではございません。しかし現在、北京に行くよりも台湾に行くほうが、日本人の数はずっと多いのです。経済交流もほとんど同じです。さらに、台湾の占める位置というものに対しても、これからどうなるんだろう、これからどのように変化していくだろう、こういうふうに思っておる日本人がたくさんおるのです。それを、香港経由だとか外電によらなければならないような、こういう状態ですね、国民の知る権利が、はたして守られておるのかどうかということ。私はなぜこのことを申し上げるかと申しますと……。

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) 簡単に願います。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 最後に一点だけ。とにかく委員長は与党が言うと押えるのです。けしからぬ。  もうちょっと言いますと、最後にこれで締めますが、私は、佐藤内閣を擁護するのではない。自民党政府のこれは擁護をするのではない。それよりも、この国民の知る権利というものをほんとうに守ろうとするならば、この際、そうした問題について、国会はもとより、報道の衝に当たるマスコミ関係の方々が、堂々とそういう問題について真相を開陳すべきである、こういうふうに思いますので、あえて総理の見解をただしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 二十一年七月であったと思いますが、新聞報道関係の方が新聞綱領をつくられました。この新聞綱領がそのまま守られておれば、ただいまの新聞取材の自由も、さらにまた、報道の限界もきびしく守られれば、今日のような問題はないと思っております。私は、最近どうも問題がすりかえられているのじゃないか。綱領自身が守られておらない。そこに問題が起きているのじゃないか。だから、この点をやっぱり究明する必要があるだろうと思います。  それから第二の問題。これは、それぞれの報道機関の自由でしょうから、私は台湾に通信社がないとかあるとか、こういうことはあまり問題にする筋のものではない。ただわれわれとしては、たいへん台湾の事情について正確な報道を得ることができない、こういう意味で、報道機関に対しての不満をぶちまけるというだけでございます。

山本利壽自由民主党

○山本利壽君 いよいよ来たる五月十五日には、一億国民待望の沖繩復帰が実現いたします。慶賀にたえないところであります。与党の者が申すのは、おせじに聞こえるきらいがありますけれども、佐藤総理が長年にわたる、慎重にして粘り強い御努力をされましたことに対しては、国民の一人として感謝し敬意を表するものでございます。  ところが、ここに案じられる問題は、北京政府と台湾政府の両方から、尖閣諸島の領有について強い横やりが入っていることであります。わが国がこの諸島の領有権を持っていることは、いかなる角度から見ても絶対疑う余地はありません。さらに、この島の付近の海底には豊富な石油資源があるというところから、わが国民は、これが横取りされるようなことがあってはならないと、いま心配しておるところであります。国会でも、これをめぐっていろいろな論議が尽くされました。  しかし、三月三十一日付の毎日新聞によると、北京二十九日発新華社電として、福田外務大臣が三月八日、衆議院で尖閣諸島が日本の領土であることを再び言明したこと、さらに同日、日本の外務省が尖閣列島に関する正式見解を発表したことを非難して、「これは佐藤政府が引続き中国敵視政策をがん迷に推し進めていることを再度さらけ出したものである」と伝えております。私どもは、三月八日発表の外務省の正式見解というものを読んでも、その他尖閣諸島に関するいろいろな人の文献を見ても、日本が領有権を持っていることは、一点の疑いもありません。しかし、中国や台湾政府がどういう理由でこの領有権を主張するのかということについては、国民は知らないのであります。外務省においては、これらのことを十分調べておられると思いますので、ここでお聞かせをいただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 尖閣列島の領有権の帰属、これはわが国にある。これはもう一点の疑いもない。これは、さきに外務省が公式見解を発表したとおりでありまして、また、私はこの国会におきましても、与野党をあげまして、この点につきましては疑義を持たない、こういうふうにいま確信をいたしております。  ところが、第三国からいろいろ意見がある。そういう状態に対しまして、わが国がこれに一々応酬する、こういうことになると、何かこちらに落ち度でもあって、陳弁でもするような印象にもなりかねない。私はこの際はいもう、一点の疑義もないこの問題でありますので、泰然自若というか、われに確信あり、こういう態度で終始するということのほうがむしろいいのじゃないか。私は、もうこの領有権問題につきましては、国会においてあまり話題にならぬほうがいい。話題が出ますると、また第三国のほうから話題を提供する、これがまた関係国との間にいろいろ応酬をしなきゃならぬという悪循環を招来する、そういうふうに考えるのです。この問題は、山本さんはよくいきさつも、また法的な理解もお持ちなんですから、あえてここではお答え申し上げませんけれども、あまりここで、国会で深入りしないほうが、わが国の国益に合致するゆえんである、そういうふうに考えますので、どうか深入りすることを差し控えさしていただきたい。そのほうが、私どもこれから外交政策をやっていく、またわが国の領有権を確立をするという上において、有利な立場である、正しい立場である、そういうふうに理解しております。

山本利壽自由民主党

○山本利壽君 外務大臣の外交的な配慮ということについてば、よく私もわかります。今日までも外務大臣は、尖閣諸島はわが国の正式の領土であるから、これをめぐっていかなる国とも交渉の意図はないということを、はっきり言っておられる。いまの御答弁から見てもそのことはわかります。が、しかし、韓国政府は竹島の領有について、常に同じような答弁をしております。竹島がわが国の領土であることは、いろいろの資料によって証明することができますけれども、韓国政府は話し合いに応じようとしない。また、ヘーグの国際司法裁判所にかけて、裁定してもらったらどうかということをいっても、自分の領土をよその裁判にかけてきめてもらう必要はないと、これも応じておりません。これは、韓国が竹島を武力をもって確保しておるからであります。わが国は、憲法で戦争は放棄しておるし、戦力は持たないことになっておりますから、武力をもって竹島を取り返すことはできません。この竹島と同じようなことが尖閣列島にも起こりはしないかと、わが国民が心配するから、よその国が主張する理由が薄弱であるならば、それはどんどん打ち消していって私は外交上さしつかえないと思う。だまっていれば、他人の言うことを黙認したことになると思うのであります。  それで、あえて福田外務大臣に向かっては、あなたの御意見としては伺いませんけれども、三月の三日には、国連拡大海底平和利用委員会でこの問題について、日本と中国との代表が討論をいたしておるはずであります。それでは中国の代表は、一体どういうことをその委員会で言ったのか、日本の代表はどういうことを言ったのか、そういうことはお知らせをいただいても差しつかえない問題ではないかと思います。いかがでございますか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) もちろん、これはわかっていることですから御報告は申し上げて差しつかえないのですが、この問題をあまり深入りして議論をする、そうしますと、相手国との間に議論の応酬ということになりまして、事を必要以上に複雑にする、こういうことを私は実は心配しておるのです。そこでそういう、申しわけないが御答弁をいたしておる、こういうことですが、その国連に関する応酬は、政府委員のほうからお答え申し上げます。

高島益郎外務省条約局長

○政府委員(高島益郎君) お答えいたします。  国連拡大海底委員会と申しますのは、来年に開会を予定されております海洋法一般に関しまする会議の準備を行なっている委員会でございます。その席上で、中華人民共和国代表のほうから、尖閣諸島の問題につきまして、昨年十二月三十日に外交部声明として発表されました趣旨に従って、尖閣諸島は中国の領土であるという主張を行ないました。これに対しましてわが小木曽代表は、この拡大海底委員会の範囲外の問題であるということで、答弁権を行使しまして、深くこの尖閣諸島の領有権の問題に触れませんで、この委員会の権限の範囲外の問題であるということを特に主張いたしまして、なおつけ加えまして、この尖閣諸島は明らかにわが国の領土であるということを申しております。そういうことでございまして、わがほうがこの拡大海底委員会において、尖閣諸島の領有権につきまして、中華人民共和国との間に激しい応答をやったということではございません。

山本利壽自由民主党

○山本利壽君 それでは、この問題について私が不可解だと思う点を申し上げてみたいと思います。  三月八日発表の外務省の正式見解の中には書いてありませんけれども、尖閣列島で本格的な活動を始めた最初の人は、古賀辰四郎という日本人であります。明治二十九年、国有地借用願いを出して、三十年間の無料貸与を受けております。この人の没後は、そのむすこの善次という人が開拓事業を引き継いで、現在も、払い下げられた四つの島の所有権を持っております。第二次世界大戦後、サンフランシスコ平和条約第三条によってアメリカの施政権下に置かれて、アメリカ民政府は、軍用演習地として使用するために、古賀善次氏と基本賃貸契約を結んだのであります。そうして古賀氏は使用料を、初めの間は年額五千七百ドル、現在は約一万五百ドルをアメリカ軍から受け取っている。そうしてこの人は、固定資産税、所得税を琉球政府に納めておるのであります。またアメリカ民政府と琉球政府は、尖閣諸島への不法入域者取り締まりもやっているのでありますから、これらの島々は、台湾や澎湖島と一緒に日本が放棄したものではないことは明瞭であります。  しかるに、五月十五日日本に返還されたあとでのこの島々の領有権については、アメリカは関知しないという態度をとっておるやに新聞は報道しておるのでありますけれども、わが国はほんとうに同盟国とぐらいに思っておる、そのアメリカのこの態度というものは、日本に対してはまことに冷淡であると思う。これほどはっきりしたものを日本の領土でないといって、ほんとうに言っておるとしたならば、私はアメリカに対してどういうことだろうかと思うのでありますが、この問題についての外務大臣の御所見を承りたいと思います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) アメリカの高等弁務官がこういうことを言っているんです、将来、尖閣列島につきまして紛争が起こるということになれば、これは関係者間で解決されることが望ましいと、こういうことを言っております。しかし私は、いま山本さんが御指摘のように、アメリカはサンフランシスコ条約の関係から見ましても、今度の沖繩返還協定のたてまえ、沖繩返還協定では、緯度、経度を示しまして、その中に尖閣列島がちゃんと入っておる。しかも、返還したその島の上にはアメリカの軍事施設があるのです。それを供与してくれ、こういうので、ABC表がありますが、その軍事施設として供与をするA表の中に、この尖閣列島の施設も入っておるのです。ですから、私どもの立場から見ますと、尖閣列島の領有権、これはもうわが国に当然あることをアメリカが法的に認めておる、こういうふうに解釈し、一点の疑いも持っておりません。おそらくアメリカも腹の中ではそう思っておるに違いない、私はこういうふうに思います。  しかし、そこを、将来紛争があればこれは両当事者間で解決せらるべき問題であるという、なまはんかな返事をしておる。こういうことはどういうことだろうかと言いますると、まさしく、国民政府あるいは中華人民共和国、こういうところからいろいろ論議が出かかっておる、そういうわが国の相手国との間に事をかまえたくないという配慮かと、そういうふうに思うし、また現に私は、国民政府あたりからはかなりのプレッシャーがかかっておると、こういうふうに見るのです。そういう結果とは思いまするけれども、とにかく、そういうなまはんかな態度をとっておるということについては、はなはだこれは不満とするところであります。正式に、そういう事態がありますれば、アメリカに対しまして重要な注意の喚起、警告をいたしたい、抗議もいたしたい、かように考えております。

山本利壽自由民主党

○山本利壽君 それでは、いろいろ外交的な関係がありますから、あまりデリケートな問題には触れたくありませんけれども、五月十五日返還と同時に、海上保安庁とか、あるいは日本の防衛庁というものは、尖閣列島ももちろん含めて、今度返ってくるすべての島々についてのその警備責任というものは、返還された瞬間からあるということを認める覚悟がありますかどうか、その点をお尋ねいたしたいと思います。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) 御指摘のように、日本に領有権が戻ってくれば、これはもう当然、防衛庁としても責任があります。そこで沖繩には、沖繩県民の理解を得て、局地防衛、民生協力、災害派遣といったような意味を含めて、自衛隊を配備することにいたしております。したがいまして、尖閣列島及びその周辺海域においても、当然警備の責任に任じなければならぬことは、これは申し上げるまでもないと思います。ただし、いま議論になっておりまするように、国際紛争の疑いがあるというような点でありまするが、これは、あくまで外交交渉に待つべきものでありまして、国際紛争が予想される、直ちに自衛隊派遣、そういうことは現時点では考えておりません。やはり外交ルートによって、話し合いによって円満裏に解決されることを、私どもも強く要望をいたすものであります。

山本利壽自由民主党

○山本利壽君 その点を私が一番心配しておるのでありますけれども、どこかの国に先に押えられてしまってから、外交交渉でやってくださいといっても、これは返るものではない。竹島がよい例でありますから。もう、あれほどはっきりした理由があるなら、まずこちらが確保しておいてから、外交交渉で何かよそが話しにくるなら、それを受けて立つということはあり得る。どうも、いろいろ事がうるさいらしいから、うっかり、自分のものだけれどもそれを守ると変なことになりそうだなんということは、私は国民の期待にそむくものであると考えるが、もう一度、防衛庁長官の御答弁を承りたい。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) 防衛の責任を持たなければならぬことは当然だと考えております。しかし、現在まだ具体的に紛争の段階にも至っておりませんのに、軽々に、これに自衛隊がどう具体的に対処するかということを申し上げるのは、これは行き過ぎだと思います。やはり外交ルートに乗せて、十分話し合いでいく。これが日本国家の方針でもあるわけでありまするから、私は外交ルートで話し合いを十分尽くす、その上で現実的になった場合に、いまの御議論を承りたい、また私どもも意見を申し上げたい、こう思います。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) 私から少し補足いたしますと、先般、中華民国政府が台湾省宜蘭県の領有、版図編入というものを明確にいたしまして、そして宜蘭県に対して開拓民の送り出し、もしくはその他の行為を行なうべきであるということを官報に掲示しました。したがって、琉球政府としても非常に心配をいたしまして、そして現在の施政権の版図のもとに明確に示されておる、いわゆるアメリカの施政権下の中へ入っておる島についての問題でありますから、現在の施政権者たる責任者のランパート高等弁務官に心配している旨を申し入れたわけであります。米側は、これに対して、復帰まではどのような外国の行動があっても、それは米軍の手において、施政権の範囲内における島であるから、守るから、何の心配も要らないし、そこについてのいままでの管轄はきちんと行き届いておるから心配するなということを言っております。問題は、そのあとだと思うんです。したがって、極端に言うならば五月十五日の午前零時ということが問題になりますから、防衛庁はいまのような慎重な見解を、ことに沖繩の一部でありますので、示しておることもやむを得ない点が、あるいはあるかと思いますが、この問題についてまだ意見を交換しておりませんけれども、しかし、少なくとも海上保安庁はわが国の領海以内を守る海の責任者でありますから、海上保安庁は軍事的な性格は全く持っておりませんので、したがって、まず海上保安庁において、尖閣列島は明確に日本の領土として返る五月十五日午前零時以降措置できるような配慮は、これは何ら私は沖繩の人々も異論を差しはさむ余地はないところであろう、また、沖繩の希望に沿うものであろうと思います。日本国全体の問題として、竹島の悔いを改めて、前車の轍を踏まないような配慮を、総理にもいろいろ御指示をいただきながら進めてまいりたいと考えます。

山本利壽自由民主党

○山本利壽君 この問題については、先ほど外務大臣は、この点についての交渉には応じない、議論はしないと言われる。片っ方は、それが済むまではうっかり手を出したら問題になると言う。こんな変なことは私はないと思いますけれども、いま山中長官から、海上保安庁においてはしかるべき手配があるであろう、こういうことを言われますので、この問題についての発言は、この程度で私はおきます。  ところが、ここに一つ、さらに不可解な問題がございます。それは、わが国の国際貿易促進協会というものが、もし、わが国が引き続き尖閣諸島の領有権を主張し、石油開発をゴリ押しして自衛隊がパトロールするなら、それは単なる領有権争いを越えて、日本軍国主義の中国再侵略となり、日中関係正常化に新たな重大な障害をつくり出さずにはおかないと、こういうことを日本の協会が言っておることが「世界週報」の三月二十八日号にこれは載っておるのであります。すべて外交というものは国民の総意のもとにおいて行なわれなければ弱いのです。しかも、国内においてこういうことが言われておって、政府がこれを、もしほうっておかれるというなら、私は外交的に非常に支障があると思う。これに対する外務大臣のお考えと、あるいは警告等をすでに発しられたかどうか、その指導等についての処置をお尋ねいたしたいと思います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 尖閣列島の領有帰属につきましては、これはほんとうに、しばしば申し上げているのですが、一点の疑いもなく、この点だけは私は、与野党あげて、これはもう一致の支持を受けている、国民コンセンサスはここにある、こういうふうに信じております。ただ、国民全体のコンセンサスとはいいまするけれども、一億の国民がおるものですから、その中には、まあごく一部、違ったことを言う人もある。そういうことも事実であり、かつ、特に国貿促あたりでそういうことを言っておるということもよく承知しております。しかし、私は、国貿促といっても、これはごく一部の方の話なんで、これをまた取り上げまして、そして議論をする、これもまたいかがなものであろうかと、こういうふうに思うんです。私どもは、ほんとうにこれだけの国民的なコンセンサスのある問題だ、これは自信を持ってこの問題には対処すべきである、こういう見地から、国貿促の見解に対しましては何らの対処をいたしておらぬ、こういうことをお答え申し上げます。

山本利壽自由民主党

○山本利壽君 私は、必ずしもいまの説には納得するものではありませんけれども、次に移りたいので、その程度でおきます。  アリの穴から堤がこわれるということは、あり得ることなんです。手を尽くせば防ぎ得るその穴を、まあ穴ぐらいはといって、ほうっておくことは、私は、内閣としてはとるべき姿ではないと思いますけれども、与党でございますから、この辺で控えます。  次に、第二次世界大戦後の日本とソ連は、一九五六年十月に鳩山首相の訪ソによる共同声明によって国交が回復されました。その後、平和条約締結の交渉は本年まで十六年間放置されておったのであります。その間に、六六年の七月にグロムイコソ連外相が日本に来て、日ソ定期協議の開催が合意されました。六七年の七月に、当時の外務大臣であった三木さんがモスクワに行かれて、第一回の定期協議が開かれました。その席で北方領土返還の問題に触れたところ、コスイギン首相から、中間的なものを考えてみてはどうかという発言があったというので、われわれは一るの望みを抱いたのであります。しかし、その後、ソ連側は日本側から北方領土返還要求が出されるのをおそれたためか、定期協議も中断され、また、グロムイコ外相訪日ということもなかったのは御承知のとおりであります。  ところが、このたび突然グロムイコ外相の来日となり、五年ぶりに第二回定期協議が開かれ、一月二十一日協議終了後、日ソ共同声明というものが発表されたのであります。その中で私がここに特に取り上げたいと思うのは、双方は、日ソ関係を恒久的に安定した基礎の上に発展させるため日ソ平和条約を締結する意義を認め、平和条約締結に関する交渉を、本年中の双方に好都合な時期に行なうことに同意したということが書いてあるのであります。  鳩山内閣のときに平和条約締結に至らなかったのは領土問題であります。わがほうは歯舞、色丹、択捉、国後の四つを要求したのに対し、ソ連は歯舞、色丹に限ろうとしたからであります。日ソ平和条約を結ぶのに、日本側からいえば領土問題以外に、もはや、たいしたことはないように考えられるのであります。そして、このことは、ソ連側も従来のいきさつから十分承知しているところでありますから、日本側から今度の交渉で領土問題は持ち出すであろう、そうしたらこれを受けていろいろ折衝に入ろうということは、私は、ソ連はもう腹の中で考えておると思う。結論は、交渉の結果どうなるかはわかりませんけれども、その問題が取り上げられることは承知しておると思う。ちょうどグロムイコ外相が先日参りましたときに、ワシントン・ポストはこういうことを言っております。ソ連は、北方領土を日本へ返せば他の諸国から領土要求の出ることは知っている、しかし、日本の要求に対する政治的譲歩のほうがはるかに比重が重いことを知っているので、たぶん日本に現実的譲歩を行なうであろうと言っておるのであります。  こういう情勢のもとにおいては、日本外交は、一億国民の総意のもとに北方領土返還を強く迫るべきであると思う。ところが、この点について先日羽生議員の質問に答えられたときの言いぶりは少し弱気ではなかったかと思うのです。もし私の聞き間違いでなかったとしたらば、一体この問題について、どういう態度で臨もうとしておられるか、佐藤総理の御答弁をいただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 羽生さんには私がお答えしておりますから、ただいまの山本さんの御質問にも私からお答え申し上げますが、日ソ交渉に臨む態度が弱気だと、特に領土問題について弱気だと、こういう御印象のようですが、それは私は非常な誤解じゃないかと思います。日ソ平和条約交渉、これは平和条約交渉でありますから、非常に幅の広い日ソ間の諸問題が討議される。あるいは文化の問題がありましょう、あるいは科学技術の問題がありましよう、経済の問題がありましよう、漁業の問題がありましょう、いろんな問題がある。しかし、一番大事な問題は、何と申しましても、この領土問題であります。ですから、これは実体的に言いますれば、ソ日和条約交渉というものは領土確定交渉だと、こう言っても差しつかえないと思います。  で、いろいろ論議されるそれらの諸問題、私は、経済の問題、漁業の問題、あるいは文化の問題、科学技術の問題、そういう諸問題につきましては、これは相手のある交渉でありまするから、ある程度の含み、ある程度の弾力性を持った態度で応酬するということ、これはもうやむを得ないことじゃないか、そういうふうに思います。しかし、この領土の問題、事領土の問題につきましては一歩も譲ることができないということを、はっきり申し上げているわけなんでありまして、これをもって弱気であると、こういうふうに御理解いただくと私の真意とはなはだ違うのでありますが、いずれにいたしましても、今回の第二回日ソ定期会談、この会談におきまして、領土問題がもうほとんど全部をカバーするといってもいいくらいな平和条約交渉、これがとにかく年内に開始されようと、こういうことになったんです。われわれは、われわれの従来の主張であり、国民の悲願である北方領土の問題を、正式な日ソの場において、交渉の場においてこれを議論し得る、そういう機会を得るわけであります。私は、領土問題からいうと、これは大きな前進だと、こういうふうに考えておるのでありまして、お話を伺うまでもなく、非常な決意をもってこの領土交渉、また平和条約交渉、これに当たってみたいと、こういうふうに考えております。

山本利壽自由民主党

○山本利壽君 ただいまの御決意を聞いて、私、安心するわけでありますが、ここにひとつ考えなければならぬ問題があるんです。それは、今回の北方領土返還について、その範囲は従来政府が主張しておられたとおり、択捉、国後、歯舞、色丹の四つであると思いますが、このことは自民党においてもこれは決定したことである。総務会においても決定したことである。ところが、最近また世上では、南樺太、千島列島も含めて返還要求をすべきであって、現在の佐藤政府の態度はまことに軟弱であると、北方領土の大部分をみずから放棄するものであるというような議論が、また、ぼちぼちあらわれてきたのである。  先般、各党代表による座談会が開かれまして、多数の人が出ておったようでありますけれども、自民党代表の説明もこの問題についてはすこぶるあいまいであって、旗色が悪かったかのように私は伝え聞いたのであります。ものごとは、年月がたち過ぎると、事のいきさつを明確に把握しない人でも壇上に立つこともあるのでありますから、この際、あらためて政府は国民に向かって、われわれが要求するのはこれであると、なぜこれに限ったかという、その理由を明確にし、その他の島に対して、南樺太とかあるいは千島列島に対する考えはこういう公的なものであるといったようなことを、私は説明することがこの際必要だと思う。政府は自分でははっきりわかっている。国民はもう忘れているんです。そうすると、いろんな議論が出てきて混乱いたしますから、ここで詳しくこの問題についての御説明を承りたいと思います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) わが国が北方領土として主張しておる島々は、まず第一に歯舞群島であります。次に色丹島、それから国後、択捉、この両島、これらの島々であります。それ以外に、わが国が戦争の結果失いました千島列島、それから南樺太、これらは平和条約においてわが国がその領有権を放棄したと、こういう関係にありますので、私どもが日ソ間におきまして領土交渉を行なうという場合に、主張するその領土の範囲には属さない、こういうふうに御理解願いたいのであります。  つまり、再三申し上げます。再び申し上げますが、歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島、これらの島々は、これは平和条約によって放棄した島々ではない、わが国の固有の領土である、こういう立場からこのわが国への領有権をあくまでも主張する、こういう立場でございます。

山本利壽自由民主党

○山本利壽君 それでは、この領土問題の折衝について、その他の平和条約の折衝についてはいろいろな観点から折衝はあり得るけれども、領土問題に関する限り、わが政府の態度は変わらないという意味の御答弁がございましたが、いま世上では、いろいろな雑誌その他で、いろんな人が論評をしておりますが、この領土の問題については、その全部、場合によってはその一部でこの平和条約が成立することがあり得ると、いろいろな部分けをして言っておる者もありますけれども、領土についてはこの四島を確保することは絶対間違いないと、先般、衆議院ですか、どこかで佐藤総理は言われたと思うんですが、折衝の結果、場合によっては譲り得ることもあるのはほかの問題であって、領土問題に限ってそのことはないのかどうか、ここでもう一度御説明をいただきたい。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 領土問題に対するわが国の主張は、いかなる場合においても一歩も譲らないと、こういうことをはっきり申し上げさしていただきます。

山本利壽自由民主党

○山本利壽君 一体、平和交渉、あるいは特に領土の問題が含まれておる場合においては、ほんとうに国民の総意によるところの外交でなければ成就するものではございません。で、一体いま、日本の国内における国民がこの問題についてどういうぐあいに考えておるのか、今度は沖繩が戻った、この次は確かに北方領土だというふうに一体国内の世論は燃え上がりつつあるかどうか、この点を総理府の長官にお伺いをいたしたいと思います。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) いま私の手元に毎日二、三通平均、全国の市町村議会、市町村等から、要請書、決議書等で、北方領土の解決に今度は早く取り組め、古来の領土であることを明確にして、国の姿勢としてすみやかにやれという要請書が届いております。これは単に私だけじゃありますまい。おそらく、聞いておりませんが、外務大臣にも、総理大臣にも、有力閣僚のところにも、そういう要請書が届いておるものと考えます。また、おそらく衆参両院にもそれが送られていることであろうと思います。また、現在、旧北方領土居住者であった方々が中心になって、先般百万人署名運動を完全に突破したその報告と申しますか、経過について、総理官邸で総理に報告をされました。私も立ち会ったのでありますが、その人々の、二十数年を経過してなお自分たちの墳墓の地に帰りたい、生きているうちに、生あるうちにという願いはまさに悲痛であり、そしてこれは、いささかも世界情勢の変化に対して何ら影響を受けていない、き然たる姿勢であるということをひしひしと感じさせるものがありました。私たちはいま北方領土問題対策協会をつくりまして、民間の力でこれを助けてもらうために、いろいろと仕事をしてもらっております。しかしながら、先ほど来のお話にありますように、今日まで頑迷に近いほど解決済みであるという領土に対する態度を主張しておりましたソ連が、最近は、年内に領土問題を基本とする平和交渉に入るという大きな変化がありますので、私たちは、政府自身がこの問題にもっと明確に、国民のそのような燃え上がっている世論というものを受けとめる姿勢が必要であると考えまして、この国会に、衆議院でいまだ審議中でありますが、総理府総務長官、すなわち総理の直属の機関としての総理府の長を責任者として北方対策本部を設立し、長官がその長として責任をとるということで、行政機構においてもその姿勢を明確にしようといたしております。この法案が国会を通過することを願っておりますが、そういうことと相まって、交渉は外交ルートでありますが、国民世論の盛り上がり、すなわち、一部の軍国主義者やあるいは米国と結託した云々というようなことでない事実が明確になっております今日の国民世論を、正確に国として踏まえた行動をとらなければならぬという覚悟を固めているわけでございます。

山本利壽自由民主党

○山本利壽君 シベリア開発ということは、ソ連のためばかりでなく、資源の乏しいわが国のためにも非常に望ましいことであり、それが両国の友好親善にもなるものであるから、まさに一石三鳥と言わねばなりません。大いに力を入れてこれに取り組むべき問題でございますが、まず通産大臣にお願いしたいことは、シベリア開発に協力することによってわが国が獲得できる資源の品目、数量等について御説明をいただきたいと思います。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中角榮君) この際明確にいたしておきたいと思いますのは、シベリア開発のプロジェクトは大体七つございます。それは、継続中のものもございます。現に調査中のものもございます。すでに完成の域に入ったものもございます。御質問でございますから、この際明らかにいたしておきたいと思います。  その一つは、チュメニ開発プロジェクトでございます。これはオビ川流域にございます石油をわが国に入れたいということでございまして、イルクーツクーナホトカ間、約四千二百キロメートルに石油パイプラインを新設をし、ナホトカから日本へということでございまして、そのために鋼管、コンプレッサー等の設備資材、消費財等を供給をしてほしいということでございます。この開発計画の総額は三十億ドル余でございまして、日本に対しては三分の一、十億ドルを供与してほしいということであります。先方側の要求は、十億ドルはバンクローンにということでございますが、私たちの考えの一つとして、国債等を発行する意思はないのかということを提案をいたしておきました。本件に対しては、五月、民間の調査団が現地を視察をすることになっております。それで、先方側はいままでは石油の実態などはなかなか外国にあかさなかったわけでございますが、グロムイコ外務大臣の来日を契機にいたしまして、日ソ経済委員会にこの石油に関するこまかいデータ等が提出をされ、検討が進められておるわけでございます。  これは、実現をすれば七六年でございますから、約五年後から二十年間にわたって、年間二千五百万トンないし四千万トンの石油を供給しようということでございます。そのときになれば、現在年間二億二、三千万トンの石油の搬入量でございますが、年間一〇%ないし五%ずつふえておりますので、日本の消費石油量の大体五%ないし一〇%以下、こういうことでございます。  それから第二は、極東の森林資源開発プロジェクトでございますが、これはすでに六八年七月に基本協定の成立を見まして、日本から約一億六千三百万ドルの機械設備、資材、消費財等を輸出をし、ソ連から七百六十万立米の木材を輸入することになっております。これは順調に開発が進展をいたしております。  第三は、ウランゲル港の建設プロジェクトでございますが、七〇年十二月に基本協定が成立をしまして、わが国の設計により、ナホトカ近郊のウランゲル港という新港を建設をいたしておるのでございます。日本からは八千万ドルの機械設備等を提供いたして、目下、鋭意建設が進められている状態でございます。  第四は、工業用チップ及び広葉樹パルプ材の開発輸入でございまして、本件は七一年十二月に基本契約が成立をいたしまして、わが国から五千万ドルの機械、設備資材等が提供をせられております。工業用チップ、広葉樹パルプ材等を輸入いたしておるわけでございます。  第五に南ヤクート炭田開発プロジェクトでございまして、約三億二千万ドルの機械設備、レール等を輸出をするということを前提にして、八七年ごろからでございますから、十五年後というまあ少し長い先でございますが、コークス用炭を輸入しようとするものであります。日ソ双方で検討中でございますが、この炭鉱の開発をしますと、上部に弱粘結炭が相当ございまして、この処理がどうなるかということでいまだ結論は出ないということで、調査中でございます。  第六は、天然ガス開発プロジェクトでございまして、北サハリン、オハ地区の天然ガスを、北海道まで縦断パイプラインを敷設して日本に供給しようというのでございますが、もう十五年来の懸案のものでございます。この案件は、あまりその後いい結果をもたらしておりません。これは調査の結果、ソ連側が提供したような情報とは違うようでございまして、埋蔵量の不足等がいま認められておるのでございます。  第七は、サハリン大陸だなの石油とガス探鉱の問題でございますが、これはサハリン、オハ地区の天然ガス開発プロジェクトを補完するためにソ連側から提案があったものであり、一億五千万ドルないし二億ドルの資金を供与して、北サハリン周辺の大陸だなを探鉱するということでございます。  いずれにしましても、日本は相当量の原材料、また鉱石その他輸入国でございます。世界で最大ともいうべき輸入国でございますので、だんだんと輸入先の多様化ということをはかって、あらゆる事態に対処しなければならないということでございますので、これらは、十分実態を調査をしながら、長期経済計画の中にどのように繰り入れらるべきか、しさいな検討を続けておる段階でございます。

山本利壽自由民主党

○山本利壽君 チュメニ油田開発によって得られる石油が年間二千五百万トンから四千万トン、これを二十年間入れる。これは非常にありがたいことだと思いますけれども、それを入れても国内の需要の五%か一〇%程度といえば、その他のところも、よくよくこれは広範囲にわたってさがしておかなければ私はならぬのじゃないかと思うのです。   〔委員長退席、理事初村瀧一郎君着席〕  現在はアラブ地方から、日本が輸入する総額の九〇%以上も得ておる。しかし、日本の海上自衛隊が、日本の貿易船について、この航路を守るようなことはできませんというような答弁が、この前どこかでありました。そういうようなことを考えるときに、その輸入先というものは、いま通産大臣が言われたように、世界中にこれは分布するような方向を考えねばならぬと思うのです。いま、できておればおっしゃったでしょうが、できていないからおっしゃらなかったと思いますから、御質問は控えてもよろしゅうございますけれども、大体、一体どういうふうにしたら日本のこの燃料資源というものは安全に確保をできると思われておるか、御答弁があれば承りたいと思います。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中角榮君) 石油は、五十年過ぎますと、全世界の石油の移動量の三〇%以上を日本に入れなければならないというのが予想されておるわけでございます。これから、発電そのものを考えてみましても、重油をたく火力発電所、また原子力発電所、水力発電所、地熱発電所という四つの方法が考えられるわけでございまして、そういういろいろ内容が変わってまいりますから、さだかな長期的な見通しということが正確ではないわけでございますが、しかし、去年もうすでに二億二千万トンの石油を搬入しておるわけでございまして、年率一〇%ないし一五%は自動的にふえるということでございますから、相当大きな量になることは申すまでもないわけでございます。また、その石油の備蓄量が四十五日ぐらいしかないということであり、しかも中近東から九〇%を輸入し、その九〇%がマラッカを通っておる。マラッカには問題が起こっております。そういう意味で、輸入先の多様化をはからなければならぬことは当然でございまして、御承知のとおりのアラスカ、それからカナダ、コロンビア、それから西豪州、それからインドネシア、タイ、マレーシア沖、しかも先ほど御指摘になった南シナ海にはこれらに匹敵するほどの大油田があると確認をせられておるわけでございます。しかも、沖繩返還に関連する沖繩の大陸だなと言われるところに非常に大きな有望な油田があるということは、エカフェの調査でもうすでに明らかでございますし、また日本周辺の大陸だなも、新潟で年間約二百五十万トン程度の石油の試掘に成功したわけでございます。現在鹿島沖も探鉱中でございます。そういう意味で多様化をしてまいらなければ、とても六億トン、七億トンというようなものが入れられるわけはない。こう思いまして、シベリアもその一つだという考え方で検討しておるわけでございますが、両国間にはいろいろな問題ございますし、純コマーシャルベースでいま調査を続け、折衝を続けておるわけでございますので、事態の推移を見守っておるということでございます。

山本利壽自由民主党

○山本利壽君 ただいまの御説明で大体わかりましたが、話をシベリア開発協力に戻しますが、わが国の政府は、これを財界人にまかせて、政府はできるだけこれにさわらないような態度をとっておるようにこれは見えますが、この点はどうでしょうか。財界人にまかせるということは、商業ベースでやれということである。ところが、私がいまこのことを言いたいのは、ちょうど日ソ交渉をやろうというところであります。ことに領土問題をやろうというところなんです。話をしようというところなんです。ところが、領土問題は金で買うべき問題ではありません。そう言えるものではありません。ここで、シベリア開発について、わがほうも利益を得るのだから、これを財界人にまかせないで、政府は本腰を入れてこれをやることがソ連を喜ばせることであって、われわれも話がしやすくなるのではないかと思いますけれども、これらの点について政府の態度をお尋ねします。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中角榮君) 日ソの政治体制が違っております。向こうは全部、サケ・マスから抱卵ニシンに至るまでソ連総理大臣が決裁をしなければ話はまとまらぬという体制でございますが、ソ連側は非常にいままでとは態度を変えておることは御承知のとおりでございます。それは、サハリンの石油開発につきまして、石油は、アメリカでもソ連でもそうでございますが、   〔理事初村瀧一郎君退席、委員長着席〕 これは商工物資というよりも、国家安全保障委員会の案件でございます。ですから、石油に対してはなかなか実情を外国に明らかにしないわけでございます。この間グロムイコ外務大臣が来ましたときに、所要資金三十億ドルの三分の一、十億ドルという金は、そんなに少ない金ではない、そういう意味で、三分の一の金を出させようとするならば、プロジェクトの内訳を出さなければだめですよと、こう言ったら、内訳は出しますと、こういうことですから、非常にソ連政府としては、従来にない柔軟な態勢をとっておることは事実でございます。まあ日本は、たくさんの開発プロジェクトを有していますし、特にUNCTADの主要議題として、日本の開発途上国に対する政府ベースの援助をふやせと言われておるのが一つのポイントでございます。しかし、ソ連は中進国でもなく、もちろん先進工業国ということでございますので、政府間ベースというもので低開発国や開発途上国に支出をするような立場では出せないわけでございます。しかし、そこらがたいへんこれから政治的に考えなければならぬところでございましょうか、いままではシベリア開発のプロジェクトは、あくまでもコマーシャルベースでもうすでにナホトカの港もできておるわけですから、これはいいと思うのです。そこらから、海外投資に対しては政府が関与するとすれば、外務、大蔵、通産の三省に経済企画庁を加えて相談をしてきめるわけでございますので、いよいよプロジェクト開発に参加をするということがきまれば、政府間で話をしながら、おのずから外務大臣は外務大臣の立場で、より大きな国益を守るということを考えられると思うわけでございまして、そこらは非常にうまくやってまいろうということを考えておるわけでございます。いまのところは、この間グロムイコ外務大臣が来ましたとき、日本政府が二千五百万トンないし四千万トンといえば、少ない数字でないが、これを二十年間にわたって確実に引き取ってくれるかどうかが問題であるとの指摘があったのですが、それに対しては政府が引き取るということを申さなくても、私が引き取るということは申し上げられます、なぜならば日本に搬入する石油量の五%ないし一〇%以下の、微々たるものではないが、その程度のものである、それは引き受けますと、こう言ったら、まあそこらでけっこうですということで話が進んでおるのでございますので、まあ五月の民間調査団の結果を待ちながら、一つ一つ私は解決していくものだと考えております。

山本利壽自由民主党

○山本利壽君 わが国の一部には、この際あまりにソ連と接近することは、そして友好関係を示すということは、中国との国交打開に悪い影響があるという心配をする人があります。これはとんでもないことだと思う。中国もわが国の隣国であるから仲よくしなければならぬが、ソ連もまた隣国でありますから、これとも手をつないでいかなければならぬと思うのであります。今日まで総理並びに外務大臣の口から、国会の委員会または本会議の場においてたびたび、中国と話し合いの機会を得たいと発言をしておられます。政府首脳が国会でこういう発言をするということは、中国に対する呼びかけであります。しかるに今回中国は、アメリカに対しては、世界の人が驚くほどあっさりとその態度を変えて、ニクソン大統領の訪中を迎えております。しかるにわが国に対しては従来の態度を変えようとしていない。普通なら日本国民は、日本国に対するところの侮辱であると憤慨すべきであるかもわかりませんけれども、何しろ戦時中アメリカは中国を助けた国であり、わが国は中国全土を戦火に巻き込んだ国でありますから、なかなか感情というものも解けがたいのかもわかりません。そこで私が申し上げたいのは、この政府間の交渉はまだなくても、現在、日中間には、政界の人、財界の人あるいは文化人あるいはスポーツ関係者等の往来が、漸次これは高まっております。また貿易も高まっておるのでありますから、政府はあまりに卑屈な態度をもって向こうに呼びかけることなく、ここでしばらく様子を見られても、漸次この問題は、中国と日本とは仲よくしなければならぬ国でありますから、これはあまりに卑屈に、まだか、まだかと言って、せき立てるようなことをしないほうが私はいいのではないかと思う。私も中国との国交正常化を非常に望んでおる者でありますから、この点、誤解ないように願いますけれども、同時に、ソ連とは平和条約を結ばなければならぬ国である。ソ連のほうは手を差し伸べておるのであるから、この際は北方領土回復を目ざして、ソ連の国民たちはほんとうに日本人に善隣友好の態度を感じるように、思い切ってソ連との交渉に入るべきである。そうして日本は戦争を放棄した国であるから、どちらとも戦争する気づかいのない国でありますから、ソ連とも平和条約を結び、中国ともそのうちに平和条約を結んで、万一、中ソの間にいざこざがある場合は、この日本がその中に立って平和的に働くというその体制を整える基礎を築くのはいまが絶好の機会であると思いますけれども、佐藤総理はいかに考えられますか。御答弁をいただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) ただいま山本さんのアジア政策大構想を承りましたが、私もまさにそうなければならぬと思います。わが国は隣人としてまず中国がある。この間に国交が開かれておりません。これはどうしても開かなきゃならぬ問題である。同時に隣人としてソビエトロシアがあるわけでありまして、この国との間にまだ平和条約が締結されておらない、そういうような状態でありますが、いまや世界情勢が米ソ対立というような状態から多極化時代に入ってきた、そういう情勢を踏んまえながら、わが国がとるべき道は何だと言いますると、やはりいろんな問題はありまするけれども、一番大きな問題は中国との国交正常化の問題とまたソビエトロシアとの間の平和条約の交渉、この二つである、こういうふうに理解をいたしております。そうしておっしゃるとおり、中ソはいまや対立している、この両国との間に正常な国交関係がわが国との間に成り立ちまして、そうしてこの両国の仲立ちまでぐらいできるという立場になりますれば、わが国の世界平和に対する貢献、これにまさるものはないというくらいに考えておるわけでありまして、いま御指摘の日ソ平和条約の締結、これには邁進をいたします。同時に、もう歴史の流れとまでいっておる日中の国交打開の問題、つまり国交正常化をするという問題、これにつきましても心を砕いてみたいと、こういうふうに考えております。

山本利壽自由民主党

○山本利壽君 米中首脳会談について少し質問いたしたいと思うのでありますが、昨年ニクソン大統領の中国訪問が発表されて以来、特に今年二月、米中共同声明が発表されてからは、国会における外交論議では、世界の緊張が緩和した、特にアジアの緊張は緩和したという声が非常に強いのであります。衆参両院の会議録を詳しく読んでみますと、緊張は緩和したと、だからいまでは国防費は削減すべきではないか、四次防の計画は縮小するよう練り直さにゃいかぬのじゃないか、日米安保条約も不必要になったのではないかというふうに議論は展開していっておるようであります。中にはまた、日本の政府は、中国との国交正常化が進展しないのは政府の罪であるから、その責任をとるべきであるというふうな発言も出ております。参議院では、質問の第一陣に立たれた羽生議員は、さすがにこの問題については慎重な議論運びをしておられるのであります。この点については私も敬服したのでございますけれども、しかし、その基本においては、本質においては、世界緊張は緩和するものという立場をとっておられます。ところが、私は反対に、ニクソン訪中によってアジアの緊張は緩和していないと考える。緊張はますます増加したと思うのですが、その点について総理並びに外務大臣のお考えを伺いたい。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) ニクソン訪中によりまして、これをしさいに点検いたしますと、国によりましては不安を増大するというようなところもあります。今日、ベトナム半島の情勢が再び険悪化しておる。こういうようなことがニクソン訪中とつながりがあるという説もあるし、つながりがないという説もありますが、何らかのどうも関連もありそうだというような感じもいたします。しかし、大きく見まするときに、やっぱりアジアの情勢全体に対しまして、私は、緊張緩和をもたらした、つまり、アメリカが中国封じ込め政策をとっておった、これが一転して対話の米中関係というものになってきた、そのことは偉大なるアジア情勢に対する変化である、こういうふうに見ておるわけなんです。わが国の立場ということになりますれば、とにかく中国は、わが国はアメリカによる中国封じ込め政策——アメリカはもとよりそういう状態ですから、米帝ということで中国の敵であったわけでありまするが、その一環としての日本、またその一環としての日米安全保障条約の存在という見方をしておったと思う。ところが封じ込め政策の御本尊であるところのアメリカが、まあ中国と対話の道を選ぶということになったんでありまするから、中国の日本に対する見方、また安全保障条約に対する見方、そういうものにつきましても私は当然大きな変化があってしかるべきである、こういうふうに見、また、多少そういう傾向というものも看取されるように思います。そういうようなことを考えますると、わが国を含めてアジア全極に対しましては、私は緊張の緩和という勢いを招来いたしておると、こういうふうに見ております。  いま、わが国の安全保障条約の問題また自衛力の問題にお触れになりましたが、これはまた別の問題だと思います。つまり、今日わが国は、しばしば申し上げておるのでありまするけれども、世界でもまれに見る政治姿勢をとっておる国であります。つまり、再び戦争はしない、経済力は持っておるけれども軍事大国にはならぬということを決意しておる。また国民的コンセンサスもそこにあると思うのであります。したがって、わが国に対する侵略の抑止力、そういうものから見ますると、今日の自衛力では足らない。そこで政治思想を同じくする、また信頼関係を持つアメリカとの間に日米安保条約を結んでおる、そうしてその抑止力に対するところの不足を補う、こういう態度をとっておるわけであります。それから同時にまた、緊張緩和というムードは出てきておりまするけれども、まだこれが固定化されておらない、そういう現実を考えまするときに、ニクソン訪中がわが国の自衛力論議につながってくる、あるいは、まして日米安保体制論議につながってくると、こういう考え方は、これは少し飛躍しておる論議ではあるまいか、そういうふうに考えております。

山本利壽自由民主党

○山本利壽君 総理にしても外務大臣にしても、国際的には非常に微妙な立場がありますから、あえて追及いたしませんけれども、私の見るところを多少申し上げてみます。  一体、いまおっしゃったように、アメリカは中国を封じ込めておった、その封じ込めておった相手が手を握ったのだから緊張緩和がくるはずだ。ところが、アメリカはもうベトナムに手を焼いて、これは退却しなければならぬというのが、アメリカにとっては気の毒ですけれども、これは自然の勢いだ。それを、アメリカというものをのけたあとのアジアをみたときに、ソ連によってこの中国大陸はすでに完全に包囲されておるではありませんか。もう台湾というものを手に入れさえすれば——ソ連は台湾を手に入れることはできると思う。あまりにアメリカが薄情な態度をとったり、あるいは中国があまりにきびしい態度を台湾にとろうとする場合においては、台湾というものはソ連の傘下に走る可能性は十分にある。そうした場合に、私は時間がないから申し上げませんけれども、シベリア国境からあのウラジオストックのかまえからみて、そうしてあのカイロから紅海の沿岸、インド洋の各沿岸に港を築いたソ連の態度、そうして北ベトナムに対するところの態度、もしここで台湾が手に入ったならば、これはソ連の中国封じ込めば完全にできるわけであります。だから、今度のことで緊張が緩和したのは中国とアメリカだけであります。その両国民は肩の荷がおりたように思うかもしれません。けれども、国内においてはどちらもきびしい国内の問題が控えております。また、中国ば対ソ連の問題がある。アメリカはベトナムが片づこうとしない。だから、このことは非常にアジアには緊張を増しておると私は思うのです。  あの印パ戦争の前に、グロムイコはインドへ行って印ソ条約を結んでいます。そのことが今度のバングラデシュの独立運動に非常に効果があったことは、外交を考える者はみな知っておる。それで、いまではソ連とインドとそしてバングラデシュとの三国同盟の形ができておる。ただ、できておりますけれども、これにパキスタンも加えて、インド亜大陸というものはいまや貧困と飢餓におおわれておるのであります。ここには緊張の緩和はこれはございません。そうして、あの米中会談が始まると、ソ連のグロムイコは北ベトナムに飛んで行っています。北ベトナムもあの会談に対しては非常な不満を示したのです。あとから周恩来が行きましたけれども、その説得の効果はなかったといわれる。それで、ソ連はハノイへてこ入れを一段と強化して、北ベトナム援助に無償援助と新規借款を追加しております。過去一年間にソ連は、実に八億三千万ドルというものを北ベトナムにつぎ込んでおるのであります。また、七二年から七三年への両国貿易協定を結んでおります。その結んだときの共同声明には、ソ連は完全勝利の日まで軍事、政治、経済三つの戦線でベトナム人民の反米救国闘争を断固として支持すると言っております。どこに、このベトナム関係において緊張緩和の姿がありましょうか、一体。  多極化したことによって緊張緩和されたと思うのは、それは希望的観測であると私は思う。事実は、どこの国の政界でも、二大政党の場合には、論戦ははなやかであるようであるけれども、問題の解決は、国会運営というものはわりあいやさしかった。けれども、これが多党化したらいかに複雑になって困ったことになるか、国会運営というものをするのに。それは各国において、多党化した国ではこれをよく味わっておるわけであります。国際関係におきましても、一体、この二極化から三極化になり五極化になった場合においては、国際問題というものは非常に困難になってくる。だから、今後のわが国の外交を考えるときに、ああもう緊張緩和したのだからという油断があってはならないと思って、私ばこの問題を申し上げるわけである。この外交問題について、今後福田外務大臣は、先ほどおっしゃったのは、いろいろ隣近所に対するところの遠慮もありますけれども、私の言ったように、緊張緩和の姿ではない、これはますます国際関係は複雑化するのだと、もし思われる場合には、それに対しての外交姿勢はどうしていくおつもりですか。御答弁を承りたい。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私は、多極化時代に入ったということは、そういう事実を述べているわけなんです。その多極化時代に処する外交のかまえを示さなければならぬ、こういうことをまた申し述べているわけなんです。多極化したからこれは世の中が非常にやりやすくなったのだというのじゃなくて、逆に多極化したから、われわれが世界に臨む姿勢というのは、広く世界中を見回しまして誤りなきを期していかなければならぬ、こういう趣旨のことを申し上げているわけでございまして、その点につきましては私は山本さんと全く見解は同じであります、その点は。ただ、ニクソンの訪中、米中接近によってアジアの情勢が非常にむずかしくなってきた、逆にむずかしくなってきたのだ、こういうことですね。これは局部的に見まするとそういう問題もありますけれども、大局的に見ますると、私は非常に緊張緩和という方向へ向かって大きな転換を示したものである、こういうふうに見るわけなんであります。そういうムードと方向、これは大事にしなければならぬ。このムード、方向というものを踏まえまして、わが国の平和外交というものを、強力に、また注意深く展開しなければならぬ、こういうことを申し上げているわけであります。

山本利壽自由民主党

○山本利壽君 一九五九年に、フルシチョフ前ソ連首相が初めてアメリカを訪問した。それで米ソ首脳会談を行なったときにも、世界外交には大きな衝撃を与えました。緊張緩和がきたのではないかと思った。けれども、あのとき米ソ二大国は他の国々の頭越しに対話を始めたことによって、共産圏ではまず中国が脱落をいたしました。西側陣営においてはフランスが戦列を離れて独自の外交路線を歩み始めたのであります。真にソ連が共産革命を世界的に進めていこうとするならば、何よりもまず中共と友好関係を保ちつつ、一枚岩の上に立ってともに活動しなければならなかったと私は思う。そうしたならば、世界の自由主義陣営に対して非常な脅威を与えたかもわかりません。また、今日アメリカがドル防衛に苦しんでいるけれども、ヨーロッパ市場においてフランスというものとの友好関係が続いておって、その友好的な援助があったならば、今日ほどの苦しみは私はなかったのではないか、かように考えます。今日まで友だちであったというものを、時の流れにさおをささんがために、弊履のごとく打ち捨てていくという、そういう外交では、ほんとうに真に世界の信頼をつなぐ国家にはなり得ないように私は思うのですけれども、この問題については、当然なこととお答えになると思いますから、御答弁を求めませんけれども、私はそのことをつくづく感ずるのであります。  今日まで中国は、ソ連を修正社会主義とか社会大国主義とかののしっておりましたけれども、いまや中国がアメリカと握手をしたのを見て、ソ連は中国を社会軍国主義とか大漢民族主義と罵倒しております。これでは、高い理想のもとに国際的社会主義の世をつくろうと夢見ておった理想主義の人々は、全くこれは置き去りにされたと言わなければなりません。世界情勢を考えるときに、自由主義といい、社会主義といい、すべていまの国家経営においては、自分の国の領土と民族を中心にした動きが非常に強いのであります。今回の米中握手にしても、自分たちの力で世界の緊張緩和をはからねばならぬという高い理想からあれを行なったものでしょうか。わが国があまりに国民が恵まれておるものですから、こういう現象を見ると、まことに中国とアメリカの嵩高なる理想のもとに世界は動き出したかのごとき錯覚を起こすのでありますけれども、これはその二つの国にそれぞれの私は事情があったと思う。単なる理想によってああいう会談をしたのではありません。ここのところを、一体、こういう会談になった両国のこのバックグラウンドというものを外務大臣はどのように把握しておられるか、承りたいと思います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) まことにデリケートで、お答えしにくい問題なんです。私はまあ抽象的にお答え申すほかないんですが、両国が共通の利害を感じた、これが米中会談を実現さしたと、こういうふうに理解をいたしております。いろいろ御意見は承りましたが、とにかく、この会談でかもし出したもの、これは不安だとかあるいは不信でありますとか、そういう、その局所的な場面もこれは見受けられます。しかし大局において、とにかくこのアジアというものを舞台にいたしまして、中国とアメリカが対決しておる、こういう状態がアジアにおいて続きますると、これはアジアの不安というものはもう永久に解決しない。その大きな一つの不安要因というものがこれによって解決をされた、またされんとしておるということを考えておかなければならぬかと、こういうふうに考えておるわけなんでありますが、いろいろ御所見を承りましてありがとうございました。

山本利壽自由民主党

○山本利壽君 私は、御了解を得ておる時間がもう刻々とまいりますので、話を進めますが、米中共同声明の中で私が疑問に思われる点を一、二考えてみたいと思います。あの声明の中で、中国側は日本軍国主義の復活と海外拡張に断固として反対し、独立、民主、平和、中立の日本を打ち立てんとする日本人民の願望を断固として支持するという文句があります。まず全体の日本軍国主義の復活ということについて、今日まで総理、外務大臣並びに防衛庁長官からは、わが国が憲法で戦争は放棄しておるのだ、徴兵制度もないではないか、海外派兵も禁じておるではないか、かつ非核三原則を堅持しておるのであるから、軍国主義国家になる懸念は絶対ないと答弁しておられます。これはまことに満足です。私はこれでよろしいと思うが、それにもかかわらず、中国が外交文書に公然と日本軍国主義復活を唱えているのは、一体具体的にどういうことを拾いあげておるのか、御研究になっておりましたら、外務大臣及び防衛庁の長官から承りたいと思います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) わが国が軍国主義でない。経済的には力はついてきたけれども、軍国主義への道は選ばないと、こういうことは、世界中に向かって宣言をしておるわが国の基本姿勢です。それにもかかわらずですね、米中共同声明を見ますと、その中に、中国側が日本軍国主義に言及をしておる。これははなはだ遺憾とするところです。それはどういうことであろうかと、これは米中会談の分析等もいたしておりますが、いま今日日本が軍国主義の道をとっておる、こういうことじゃないんだ、経済が大きくなってきた、経済が大きくなると軍事大国化する可能性というものがひそんでおる、こういうことをさしておるんだというふうなことでございます。しかし、それとても間違っておる。わが国は経済大国にはなりましたけれども、軍事大国への道は選ばないと、かたく決意しておるわけでありますから、その辺は中国側においても十分理解すべきところじゃあるまいか。まだそういう理解ができないとするならば、われわれはその理解を求めるために大いにこれからも努力しなきゃならぬところじゃあるまいか、そういうふうに考えております。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) 御意見をまじえての質問は傾聴させていただきました。まさにですね、軍国主義なんというようなことは考えられません。まあ世界的に軍国主義の定義は一定はいたしておりませんが、これは軍事が政治に優先をし、国の経済、文化、教育、あらゆるものに軍事が優先することをさすと思いまするが、これは日本のどこをとらえてみてもそんな傾向は一つもありません。そればかりか、私は一九六六年、ちょうど紅衛兵運動が始まりましたあの文化大革命の初期に中国を訪問したことがあります。周恩来首相に会いました。そのとき周恩来首相は、私がかつての防衛庁長官だということをよく知っておりまして、日本が一応独立国として軍隊を——まあ自衛隊でありまするが、持つことはこれはもう当然なことだと。ただ、過去のようないわゆる侵略的軍隊では困ると、こういうことを指摘しておりました。これはそのとおりだと思います。したがいまして今後といえども、さっき山本さん御指摘になりましたように、われわれはああいう方針で自衛隊を運用してまいります。そればかりか、完全な文民である佐藤首相が最高の立場に立たれ、私が政治家としてやはり防衛庁長官である。アジアの諸国を見てみますと、これは中華人民共和国をはじめ、中華民国にしましても、北鮮、韓国あるいはアジア諸国全部、かつての旧軍幹部が政権の枢要の地位を占めております。指導者であります。こういう形をながめて見ましても、どこから見ても日本が軍国主義だなどと言われるいわれはありませんし、今後もこの方針を貫いていくことは御指摘のとおりであります。

山本利壽自由民主党

○山本利壽君 そこで私は申し上げたいのは、こういう声明がもし憶測であり、あるいは何かの目的があってやったことならば、これを黙っておれば黙認したことになることをおそれる。中国はそれでよろしい。けれどもこういう声明を読んでみると、将来軍国主義に日本がなったら困るとは書いてない。日本の軍国主義に反対すると書いてある。そうすると、アジアの国々は、日本は軍国主義になったんだなと思うかもわからぬ。これは戦時中のことがありますから。だからこういうものが出たときには、今度の米中声明書にはこれこれのことがあったが、この日本に関する限り軍国主義にはなっていない、こういうような国だということを、日本は、私は単独なる声明を発表すべきだと思う。そうして、在外公館は一斉にこの声明に基づいて詳しい説明をして、各国に日本が軍国主義ではないということを説いて回ることこそ、私は外交の重大なる一役目だと思いますけれども、こういうことについては福田外務大臣はどのようにお考えになりますか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 米中共同声明を待つまでもなく、わが国は平和に徹する。経済的には力はついたけれども、軍事大国の道は選ばない。そして内は国内の整えをする。また余力をもって世界各国のおくれたものに対しまして経済的な協力をする、そういう国是を確立しておるんだということを、もう前々からくどくどと在外公館にも周知徹底さしておる。また国会におきましても、その考え方というものは何回となく申し上げておるわけでありまして、まああの米中会談でそういう話があったから、あえてその文言を取り上げてということを考えるまでもないのです。もう在外公館には周知徹底しておりまするから、このことはひとつ御安心願いたいと、かように存じます。

山本利壽自由民主党

○山本利壽君 それでは、あの声明の中で対外拡張に断固反対するということばがあるが、この対外拡張とはわが国の経済的進出をさすのではないかというふうに思われます。各国ではすでに日本の経済侵略ということばも聞かれるわけでございますから、そのアジアの国々に対する日本の貿易状態あるいは投資の状態について、あるいはその指導方針について、田中通産大臣の御説明をいただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) ただいまの点です。つまり、米中共同声明において、中国側が日本の膨脹傾向について批判をしておる、こういうことでございますが、これは、山本さん御指摘のとおり、日本の経済大国化したこの傾向について危惧を示したものである、こういうふうに思うんです。しかし、これも先ほど申し上げましたが、私どもは、経済は膨脹した、しかし軍事大国の道は選ばない、同時に、この余力をもって、世界のおくれた国々に対しまして、その生活の安定のために、ひいては平和のために協力をしよう、こういう姿勢をとっておるわけです。その姿勢のあらわれというものは、特にアジアの近隣諸国に対して大きく向けられておるわけです。アジアの国々はみんなそのことはよく承知しております。私どもも、ずいぶんアジアの国々の方に会っておるわけでございまするけれども、みんなそのようなわが国の態度、わが国の方針、それがまた逐一具体化されておる、そういうことについて非常な評価をいたしておるわけであります。ただ、私どもも反省をしなければならぬ点もあるんです。ありますのは、急に日本の経済が膨脹した、そしてその膨脹の結果、いろいろ輸出なんかを通じまして相手国との間に摩擦を起こしておる、こういうようなこともあるんです。それが高じまして、あるいは経済支配じゃないか、あるいは経済侵略じゃないかというようなことを言う向きもぼつぼつある。そういうことがありますれば、私ども日本国の真意をほんとうに正しく理解しているものじゃない、  こういうふうに考えますので、わが国政府としての通商政策の運用としても、もとよりでございますけれども、また、わが国の通商の相手国あるいは経済協力を受ける相手国、それらの国々に対しましても、わが国のこの崇高な考え方、正しい考え方というものを正しく理解していただくというためにはずいぶん努力をいたしております。私は、そういう危惧というものは一部にありますけれども、大局として、そういう心配をするような今日この段階ではないと、こういうふうに理解をいたしております。しかし、将来のことは、これからずいぶん気をつけなければならぬ問題である、こういう理解でございます。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中角榮君) アジア諸国に対する貿易は全貿易の二〇%のシェアでございます。しかし、これは少しずつ低下しつつあるということでございまして、日本は、まわりの国々でございますし、やはり日本が可能な限り最大の力となってこれら諸国のレベルアップに協力をしていくということは当然のことだと思います。また言ってみれば、第二次大戦当時からの長い歴史もありますが、非常に日本を理解しておるということに対しては、これらの諸国が一番理解度が深いわけでございます。でありますので、貿易に対しましては、兵器輸出というようなことは、兵器三原則を厳守しておりますし、また紛争が助長されないように、エキサイトしたりエスカレートしないようにという面から、輸出品に対しては非常な配慮を払っております。特にUNCTADの会議で問題になりますのは、低開発国に対する特恵の問題とか、また政府ベースの援助をふやすとかいう問題もありますけれども、ひもつきでない投資ということが一番大きくなるわけであります。そういう意味では、IMFから世銀へ、世銀から第二世銀へというような状態が今度の会談のきっと帰結になるものだと思っております。われわれはそのときに、世銀に対しては年間三億ドルもという、先進工業国としても一番大口の融資先である日本でありますから、世銀から第二世銀の資金を回すように努力をしなければなりませんし、特にアジア開銀というような機構の拡大というものを通じまして、イエローヤンキーとかまたエコノミックアニマルとか外国人のほんとの一部が言っているのですが、このごろ日本人が、何かみんなそういうことを吹聴して歩いているような気もいたします。通産省の実態を見まして、そんなことは絶対にないわけでございますが、しかし、そういうような風潮が幾ばくかでもありとしたならば、やはりひもつきでないもの、アジア開銀等を拡大するということが一番有効なことであると思います。今度は百三十二カ国UNCTADに参加するわけでございますが、中国が参加をするということで、中国と日本が共同してアジア開銀の中に大きなウエートを持つということになれば、これは日本に対する非難などというものは全く消えるわけでございますので、近隣諸国、特に東南アジアの開発や資金投下、貿易の拡大に際しましては、いま申し上げたような基本線に沿って、アジアの平和に寄与できることを目的としてやってまいりたい、こう思います。

山本利壽自由民主党

○山本利壽君 時間を超過いたしましたが、お許し願います。すぐ終わります。  これで私は終わりたいと思いますが、中国との国交打開を急ぐ人々が、わが国の政府に対して中国の平和五原則を認めよとしきりに迫っております。総理もこの平和五原則は認めてよろしいという意味の発言をされておりました。ただ、その平和五原則の中には、領土保全と主権の相互尊重、相互不可侵、相互内政不干渉、平等互恵、平和共存という五つが書いてある。まことにけっこうなことで、こんなことにどこが反対することはないから早くこれを認めよという声が起こるのだろうと思うけれども、この五原則が発表されたときには前文、後文がついておる。その前文の中には「すべての被抑圧人民と被抑圧民族の革命闘争を支援する」という文句が書いてある。それで、今回の米中共同声明の中には、先ほど読みましたように、日本に関する条項の後段のところに、独立、民主、平和、中立の日本を打ち立てんとする日本人民の願望を断固として支持すると書いてある。これでは、中国のいう内政不干渉とは社会主義国家間だけのことであって、日本に対しては今後国交を回復しても内政干渉はいたしますということではないかと思う。この点についての御答弁は、もう時間がありませんからお願いしませんけれども、これを裏書きするように、これは四十七年三月三十日の朝日新聞でございますが、あの成田空港の際に、三里塚で非常にあばれて、日本の治安を乱したといいますか、たいへんな騒動を起こしたその人たちは、いま中共に招かれて、その全員は周恩来と会見していろいろな歓待を受けており、注意を受けております。それで、革命とはこういうふうにやるべきだというその要点も周恩来は言っておる。日本の国会において敵のいろいろな点を暴露するのもよい戦術だということも、その席上で言っております。こういうこともあるから、外交というものは非常にこれはむずかしいものであると思うのであります。あらゆる点を、これはわが国は自由主義の基盤に立っておる。相手は社会主義の基盤に立っておる。その大国ソ連とも、この中共とも今後仲よくしていかなければならぬというのであるから、わが国の外交というものは、その二つと争うということなら事は楽でございますけれども、これから仲よくしていこうというのであるから、こまかい点まで気をつけなければならぬ。そのことに関して、私はこの教育の問題についていろいろ総理や文部大臣にお尋ねしたいと思って、いろいろな腹案を持っておりますけれども、私はあまり時間をちょうだいしたようでございますので、この辺で私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) 以上で山本利壽君の質疑は終了いたしました。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) ちょっと速記を起して。  午後一時四十五分再開としまして、暫時休憩いたします。    午後零時一分休憩      —————・—————    午後一時五十三分開会

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和四十七年度総予算三案に対する質疑を行ないます。鈴木一弘君。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 私は、公明党を代表いたしまして、経済並びに外交問題について総理はじめ関係閣僚に質疑を行ないたいと思いますが、その前に、現在一番大きな問題になっております沖繩密約の漏洩問題について伺いたいのでありますが、この西山記者が逮捕された、この件について、はっきり申し上げれば、政府がいままでこの沖繩問題については、国会においてもどこにおいても、その密約ということについては明らかにしていない。そういう欺瞞の答弁をしてきたことが大きな原因だと思います。で、わが党は昨日、国対委員長談話として、西山記者の逮捕ということは取材の自由を侵すもので、行き過ぎであると、こういうことの談話を発表しております。  そこで、まず伺いたいのでありますが、この逮捕は国家公務員法で行なったのだろうと思いますが、憲法にいう表現の自由、この問題であります。その自由は、言う権利つまり知らせる権利と知る権利、この二つに分かれている。しかし現在の日本のように非常に高度に管理された社会、そういう社会の中では、国民の知る権利のほうにきわめて重要なものがあるということは、また重点が置かれているということは御承知のとおりだと思うのです。こういうような管理が行きとどいた社会では、国民がいろいろな情報を知る、そのことが民主主義国家の要件になっております。そういう意味からも、表現の自由ということは民主主義の生命線である、こうまで言われているわけです。その点から見ても、今回の取材記者の逮捕というのはあまりにも行き過ぎではなかったか。この点をひとつまずお聞きしたいのです。

中村寅太自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(中村寅太君) お答えいたします。  西山記者の逮捕は、国家公務員法の百十一条に該当することが明確になりましたので逮捕したものでございまして、私らは行き過ぎであるとは考えておりません。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 これは表現の自由という、民主主義の生命線の問題なんです。そういう点で行き過ぎではないか。これは事務官の逮捕はわかります、公務員としての当然のことだと思いますけれども、やむを得なかったと思いますが、一方の記者の逮捕ということは、私はこれは表現の自由という点から非常に納得ができない。この点は総理はいかがお考えですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) まあ、いろいろただいま嫌疑、それを明確にする段階でございます。これは、公務員法違反の疑いがあっていま蓮見君は調べられている。それにどういうような関連を持つのか、西山記者もそういう疑いがあるということで、ただいま取り調べている最中だと私は思います。  しかし、いまの表現の自由、また知る権利、また知らす権利、義務、そういうようなものは、私も基本的にはそれを尊重します。しかし、それにはそれなりにやはりルールがあると、かように考えております。だから新聞社の諸君も、各社で相談をして倫理綱領なるものをきめております。これはやはり、幾ら知る権利があるといっても、法律で禁止しているものを、あるいは国益に反するものを、これを発表する、そういうようなことについてはお互いに自粛しようとか、あるいはまた、それがいろいろな点で利用されるようなことについては十分注意をしようと、こういうような倫理綱領、これをきめております。私は、倫理綱領が守られておれば、ただいまのような問題も起こらなくて、そして無事に済んでいるのじゃないだろうかと、かように思っております。  また、もう一つは、やはり新聞自身が、当時どういうような方法をされたかわかりませんが、あるいはこの種の事柄は事重大だというので、おそらく社の中でも、載せるべきかあるいは没にするか、いろいろ議論されたろうと思います。そういうような扱い方の問題ならば、最後までさような手続がとられるのが当然だろうと思います。私は、そういう点が一体どういうことになっているのか、そこらはよく気をつけてみたいと思います。  知る権利また知らす権利、これは大事なことでありますが、しかしそれは公序良俗と申しますか、秩序まで破壊して、知る権利だ、あるいは知らす義務があるとか、ここまで詰め寄る筋のものではないだろうと私は思いますので、そこらには、倫理綱領できめているような制限が当然あってしかるべきじゃないかと、かように思っております。そこに問題があるのでいろいろ取り調べを受けておると、かように私は考えております。ただ、いま、しかし逮捕は行き過ぎではないかとか、あるいは自由のままで取り調べることはできないかどうかと、こういうような議論はあるだろうと思いますが、しかし、それは検察当局あるいは警察当局のやることでございますので、私どもがとやかく言う筋のものではないように思っております。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 総理がいま、午前と同じように、新聞の倫理綱領の件で申されております。倫理綱領の第一、「新聞の自由」の中に「公共の利益を害するか、または法律によって禁ぜられている場合を除き、新聞は報道、評論の完全な自由を有する。」、これについては、はっきり申し上げれば、新聞協会のほうでのこれは自主規制的なものだと思うのです。だから、総理のほうからも、こういうふうに言っているんだから公務員法だって守るべきではないかという、そういうふうな御論旨かと思いますけれども、私ども伺った範囲内では、これは国家公務員法は入らない、新聞協会等の見解では、人権侵害であるとか名誉棄損であるとか、あるいはわいせつであるというような、いわゆる公共の良俗というもの、社会の良俗というものを害する、そういうものを禁じているんだ、これは、公務員法ということはおかしいのではないか、こういう論理がある。私は、これは一つの問題は、総理が新聞倫理綱領というものを——これは国家の法律じゃございません。政府のほうが、新聞のほうで自主規制をするべきものをこういふうに言っているんだから、国家公務員法も入る、こういうふうに考えるのは早計じゃないか。これが一つです。それから片一方は、いままで私が聞いた範囲では、そのような国家公務員法は入らないと言っている。この二点について伺いたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの点は、法制局長官から答えさせます。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) ただいま総理大臣からも御答弁がありましたわけでありますが、ともかくも表現の自由というのが民主主義社会におけるとりでとして重大な価値を持つことは仰せのとおりでありますし、また、それと表裏の関係から、知る権利を持つということも二十一条から出てくると理解されるわけでありますが、これは、知る権利と申しますけれども、もともとは自由権でありますから、たとえば情報を請求する権利、情報の提供を請求する権利というようなものでないことはむろんでありまして、これは申すまでもないと思いますが、要するに、これまた自由の保障である。その自由の保障としての価値、これは、これを不当に評価するわけにはむろんまいりませんが、しかし、自由一般についてありますように、これも昨日申したことでありますが、公共の福祉における制限というものは、これは当然ほかの自由と同じようにある。  まあ、そういう制限として、いろんな法律にいろんな規定がございますが、たとえば国家公務員法における秘密を保持するための担保として、これをそそのかすことを禁止しておるというのもまたその一つの類型に当たるかもしれません。いずれにしても、犯罪を犯すことをそそのかすことをして、そうしてその自由の保障を求めるというのは問題ではないか。取材の自由あるいは知る自由の保障というものであっても、やはり法律に従ったことが行なわれるべきであり、その「法律」というのには国家公務員法は入らないという理由もまた、ないのではないか。やはり国家公務員法の定めるところもまた法律の定めるところであることには間違いはございませんので、この点については、御見解に私が同調するわけにはまいらないわけであります。これは、はなはだ遺憾でありますが、この点は、他の法律とこれを区別する理由はないと私は思います。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 これは私は、新聞協会が、はっきり申し上げて、新聞のほうで自主的に規制をしている問題です、倫理綱領というのは。それを政府のほうで、この「法律」は国家公務員法も入りますよと言うことは私はおかしいじゃないかと言うんです。それは総理、変じゃないですか、そこのところ。これは総理が申されたから私は申しておるんです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) どうも、新聞が自主的に倫理綱領をきめたと。きめざるを得ない理由があったのではないでしょうか。私は、そういうことをやっぱり理解されると、いま法制局長官がお答えしたこと、これもやはり含んでおると、かように御理解がいただけるように思います。ただ自分たちがきめたんだから、それはもう新聞社の諸君にまかしておけばいいんだ、別のことは別のことだ、政治あるいは政府のやることはこれとは別だ、こう言うのはどうでしょうか。私は、報道機関が、みずからやはり自粛せざるを得ない、これだけはやらなきやならないと、こういって自分で自分をきめる、これはたいへんけっこうなことですが、しかし同時にそのことは、やはり法秩序を守る、そのもとにおいては当然のことだとしてきめたのではないでしょうか。ただ、みずから行き過ぎてきめられたものだと、私はかようには考えません。これは新聞協会の方に聞いてみないとわかりませんが、私はそういうものだろうと、かように思います。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 いずれにしても、私はこの倫理綱領の中の「法律」のことを、政府側でこうじゃないかというふうに言うと、これは私は権力の介入になるという感じがするのです。私が問題にしておりますのは、どんな取材を記者が得て、そうしてそれを、どういうことを発表しようとこれは表現の自由を守る、そういうことについては、国家権力がいかなることがあっても介入してはいけない、これは当然のことだと思うんです。で、それがいまのようなお話だと、私は介入したような感じを受けるわけです。しかも総理の言明となれば、国家権力の介入という、最大のものというふうに感じざるを得なくなります。しかも、もう一つは逮捕の問題。これも私はどうしても権力の介入になっていかないか。そういう点で言論、表現の自由ということを制限することになるんじゃないか。これは民主国家の基礎がくずれてしまうわけです。こういう点でもう一度伺いたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 鈴木君と別に議論するつもりもございません。また私も、言論の自由、表現の自由は尊重さるべきだ、こういう観点に立っておりますから、大いに言論の自由、また表現の自由で活躍はしていただきたいと、かように思います。しかし、やっぱりさように申しましたからといって、社会秩序は維持されるべきものだ、かように思いますから、そういう意味で新聞協会御自身が、これはやはり良心の点からただいまのようなことをきめられたと、かように私は理解しております。私がそれを発言することによって言論の自由に政府が介入したとか、あるいは政府が挑戦したとか、こういうものではございません。私は、大いに言論の自由、それこそは尊重されなきやならない、また取材の自由もある、かように私は思っております。別な表現ですれば、取られた材料を新聞紙上に載せられたら、おそらく政府がとやかく申しましても、その議論はよほど変わるだろうと思います。  本来から申せば、これはもう新聞社の諸君は、国民に即刻に正しい報道を提供する、こういうことだと思いますが、知る権利があると同時に、それは国民の要求するものでありますから、国民に知らさなきゃならない、国民に直接知らさなきゃならない、そのために新聞紙というものがあるんです。そういうりっぱな機関を持ち、りっぱな施設を持っておるんです。それを使わないところに一つの問題があるんじゃないか、かように私はこの場合には解せざるを得ないんです。どうして新聞社の諸君に与えられたその特権をフルに使わないかと、こういうことを私は申し上げたいのです。フルに使われないところにこういう問題が起きるのじゃないか。これはニューヨーク・タイムズの、あれはベトナム戦争の暴露記事、これはニューヨーク・タイムズが勝訴したといわれております。私は、そういうことで堂々とやられる、これは影響がありましても、政府がいかに困りましても、それはそれなりにやはり評価すべき筋のもののように思う。だけれど、私はどうも表現の自由、取材の自由、そういうものが、他の方法で周知される、発表される、こういうところにやや問題があるのじゃないだろうか、かように私は思います。これはまあ意見のあるところですから、必ずしも私の説に御賛成でないかもわかりません。しかし、私はどうもあの編集局長の談話というか、あの声明のうちの最後のところのわずかな締めくくりに、そのルートについてやや問題があるかのような書き方をしておられるが、そこのところに一つの重点があるのじゃないかと、かように私は理解しております。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 これは特別に入れたものですから、持ち時間の中でつらいものですから、簡略にいたしますけれども、総理の見解とはたいへん違っておりますので、これはもう水かけ論になりそうですから……。  政府が、表現の自由についての統一見解を出すと昨日きめたようでございますけれども、これはいつごろ出てくるようになりましょうか。

竹下登自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(竹下登君) いわゆる統一見解というふうに報道機関に報ぜられておりますが、この問題に対する基礎的な見解を整理してみようという考え方を申し上げたのが、そういうふうにとられておるわけであります。しかし、統一見解と称しようとも、あるいは一般的な見解と申しましょうとも、それに値するものは数日中に、法制局のほうが申しております憲法論議の点からも、また私どもの申しております政治的感覚の方面からのとらまえ方からも、整理いたしましたものを数日中に発表したいと、このように思っております。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 いずれにしても、表現の自由ということは民主主義の生命線であり、基礎であります。そういうことが侵される、それがいかなる形であれ、国家権力の介入というようなことでもって侵されるということは避けなければならない。その点で非常に答弁は不満でありますけれども、時間がありませんので次に移ります。  次に経済の問題で伺いたいのですが、これは総理にまずお伺いいたします。  いままでの経済が、いわゆる産業中心、民間設備投資主導、こういう形の、輸出型といいましょうか、こういうものであった。これがすでに円切り上げの事態を外から迎える、中からは公害が起きてくる、福祉のおくれが目立ってくる、こういうことから、経済運営を財政主導型の福祉中心、国民生活中心に転換する、これはもう絶対の必要性があり、すでに今日の世論にもなっております。で、四十七年度の予算の編成方針の中で、従来の発想を大きく転換して編成した、こういわれて福祉重視の方向に向かっております。まあ、向かっているとは言いませんが、こういうことについては異論のある者はありませんが、問題はその福祉重視の中身なんです。総理はどういうような福祉型経済に持っていくというような気持ちでいるのか、その福祉型経済の中身をまず伺いたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) わが国の経済発展、これについては鈴木君も評価しておられるようですが、私が申し上げるまでもなく、国内に資源を持たないわが国としては、原材料を外国市場に仰がなけりゃならない。そうして、そのためにもやはりわれわれが貿易中心で経済を運営していかざるを得なかった。過去においてはそのとおりだと思います。それが今日のような発展を来たした。そうしていろいろ出てきた弊害に対して今度は取り組んでいく。まあそれだけの余力もある、こういうことでございます。  そこで、いわゆる社会福祉型国家経済のあり方というものをきめていこう。これはいろいろ、各国それぞれの国が福祉国家建設への意欲を皆あらわしておりますから、政策的にはすでに外国のほうが、先進工業国が先べんをつけておる。私どももそのあとに追随しながら、制度的には一応先進国並みのものが考えられると思う。しかしながら内容として見るときには、まだまだ非常に不十分、不足だ、こういう意味でそれらのものを急速に充実していく、こういう方向でただいま取り組んでおる、これが現状の考え方でございます。そういう際に、公害、こういうような問題と産業の発展、これをどういうように調整をはかっていくか、これをもっと社会福祉優先、そういう形でこの問題を取り扱え、こういうことがいままでの論議で明らかになったところであります。多くは申しませんが、ただいまの段階は以上のようでございます。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 基本的な方向づけということの答弁でありますから、やむを得ない答弁だと思いますけれども、急速に福祉型に持っていくと言う。じゃ、はたしてそうであったかどうか。これは過去のことを言うとあれでありますけれども、佐藤内閣の一枚看板というのは安定成長であった。ところがこの七年間、安定成長と福祉型経済はどういうふうな関係を保ってきたのか、これからどうなるのか。いままでのいろいろな議論、その中では、この両者の両立は困難ではないか、安定成長と福祉型経済というのは困難である、こういう議論がある。いま一つは、昭和四十年の不況の際、そのときの、その不況を脱出したあとの高度成長期を通じて福祉重視の政策が実現しなかった。こういうことを見ると、今回の四十七年度予算を見ても、福祉型経済へ転換するという看板で、それは看板だけで中身は、四十七年度の不況脱出のための、景気を浮揚させるそのための大型予算ではないかという、そういう議論がある。この点については総理はどうお考えですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私は経済成長と福祉国家建設、これは矛盾する、背反するものだとは思っておりません。私どもはやはり経済成長の効果が国民生活に直結する、そういう方向で指導していかなきゃならぬ、かように考えておりますし、また、そこに国民生活を向上さす力が生まれてくるのでありますから、国力の充実のためにも、経済は成長してやっていかなければ国力がない、こういうことでございますから、私は矛盾はしないと思っております。  そこで、ただ、先を見ないで、目的を見ないでその手段だけに重点を置くと、いままでのような間違いを繰り返すことになる、かように思いますので、この際に、われわれはこの経済成長、これは何度も申したことですが、過去においても口にしたことはしたのでございますけれども、経済成長、これは手段だ、やはり何といっても国民福祉の向上が目的ですと、こういうことを申したのですが、なかなかそのとおりにならないで、ずいぶん困った状態であります。これが長い私の総理の時代におきましても、口で言っているようにはつながっておらない。ただいま御批判を受けておるわけであります。だからわれわれは絶えず反省もしながら、過去を顧みながら、また反省をしながら、そして前進を続けていく、これでなけりゃならないと、かように思っております。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 経済が成長すれば国力がつく。これはパイを大きくすれば分配がふえる、こういう論理なんですけれども、実際問題として、その手段が悪かったという言い方がありましたけれども、経済成長といっても、福祉型の経済となぜ両立しないか。こういうことは、総理の話だけではこれはどうしても水かけ論になりそうです。  ですから私はこれは経済企画庁長官にお伺いをしたいのですが、国民経済計算あるいは政府がいままでの経済見通し等に使っている指標があります。そういう経済指標なりを使って、私の考えている福祉型経済というのはこういうふうになるのです、何がどう変わるのですと、こういうことをはっきりと言ってもらわなければ、これは国民のほうでは、一体国民の一人当たりの所得がふえるのか、一人当たりの消費のための支出がふえるのか、そういうことがわからなければ、これは議論はできませんし、また、福祉型経済と言っても納得ができないわけです。そういう点で、これは厳密でなくてもけっこうですから、大きな数字でよろしいですから、一体何年ごろまでにはどうしたいということを、まず示してもらいたいと思います。

木村俊夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(木村俊夫君) 御承知のとおり、私どものほうでは、いま鈴木さんが言われたような目的のために、長期経済計画を策定中でございます。もっぱらいま準備作業を進めておりますが、その中で、当然今後福祉経済に大きく軌道修正する上において、ぜひとも関心を持たなきゃならぬいろんな経済的な諸項目がございます。まず、個人消費支出があります。また、生活関連社会資本を充実するための政府固定資本形成、また民間住宅投資、それから消費者物価、こういうものが一番福祉経済に転換する上において必要な諸項目であろうと思います。御承知のとおり、現行の新経済社会発展計画では、四十五年から五十年へ向かっての国民総支出の構成比を出しております。いま申し上げたような一例を申し上げると、個人消費支出では、昭和四十五年、この現行計画の出発点におきましては、構成比を国民総支出に対して五丁三というものを設定しております。また、政府固定資本形成、これは八・五、また、民間住宅投資を六・六と、こういう設定をしておりますが、それが最終年度の五十年にどういうふうになるかという計画目標は、個人消費支出を四九・八、これは少し下がった目標で見ております。それに対して、政府固定資本形成は八・五に対して九・五という、プラス一というものを考えております。また、民間住宅投資は、四十五年の始点の六・六から一〇・七と、非常に大きな増加を考えております。これは一例として申し上げたのですが、こういうような諸項目、これは新しく作業しております今回の計画目標には、この点についてはもっと十分な資源配分上のウエートを置きたい、こういう考えで進んでおりますが、何しろいま計量モデルその他を使って、各分科会に分かれまして作業中でございますので、おおよその数字的な点については、まだ申し上げる段階ではございません。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 私は質問主意書を出して、この点について大まかな数字を知りたいということで、二度も質問主意書を出したのですが、経済計画ができるまではだめだということで、そういう答弁で、ほんとうに私ども国民のほうにすれば、どういうふうに日本の国がなるのか、われわれの生活がなるのかということがわからない。  それで、いま個人消費支出の問題、これを増大をさせたいという話がありました。ところが、これが、ずっと見ていくと三十八年度の五六.八から四十五年度が五一・三、こういうふうに下がってきている。先ほどは、現在の新経済社会発展計画では四九・八になると言う。国民総支出の中に占める、個人が消費に支出する個人消費支出、その割合が下がっている。これじゃ私は福祉じゃないと思うんですね、この点は。だから、これは一体どの辺まで個人消費支出を上げていくか。この割合が下がっていくようでは福祉じゃないと思うんです。その点はどうなんでしょうか。

木村俊夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(木村俊夫君) 私どもの資料では、昭和四十五年、個人消費支出五一・三になっております。これは年度であります。それが四十六年度のこれは実績見込みで五三・二、四十七年度、これはこれからの見通しでございますが、予算上五三・八というような見通しを立てております。したがって、毎年これは逐増、逓増をしておるようなことでございますが、ただ、今後つくります新しい長期計画におきましても、確かに個人消費支出は十分重点を置かなければなりませんが、最近いろいろ国民の欲求が多様化しておりますし、また、むしろパイの分配よりは、自分を取り巻く生活環境、それの安全性とか快適性を望む声が非常に要求が強くなっております。そういう意味では、生活関連、たとえば住宅とか、あるいは下水道あるいは都市公園というような、いわゆる公的な消費と申しますか、社会的費用、社会的消費というものに、今後、国の福祉政策の重点を置いていくということも重要であろうかと思います。この両面から、私どもは長期計画においてあるべき姿を考えていきたいと、こう考えております。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 わが国の個人消費支出の割合は、諸外国に比べても低い、こういうことになっている。一体どういうふうになっているか、実態を知らせていただきたいのですが。

木村俊夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(木村俊夫君) 一九六九年すなわち昭和四十五年の各国統計しかございませんが、日本が五一・二、これは暦年でございます。先ほど申し上げたのは年度です。アメリカが六二・〇、イギリスが六二・七、西ドイツが五五・三、こういうような比較でございます。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 やはり西欧の福祉の進んでいるところというのは、個人消費支出が大きいわけです。これは貯蓄率とも関係がある。社会保障が充実されているから貯蓄のパーセンテージが下がってくるということがあるわけでありますけれども、この数字を見ても、これはわが国の福祉というものはおくれているということは、すぐわかるわけです。そこで、この個人消費支出を高める政策をとる、これが福祉型の方向じゃないか、こういうふうに考えられるのです。  そこで労働大臣に伺いたいのですが、労賃配分が下がってきているわけです、どんどん。この労賃配分を大きくする点、どういうふうに考えられているか。  それから大蔵大臣に。この個人消費支出を高めるためには、大衆減税というものが必要です。高額な人に減税するよりも低所得のほうの減税をすれば、それだけ消費支出はふえてまいります。そういう点でこの大衆減税について、個人消費支出を高めるという点からどう考えているか。  それから厚生大臣に。国からのいわゆる移転支出といわれる社会保険、生活保護、福祉年金等のそういう移転支出の割合、これを早急に大きくするということが個人消費支出を高めることになるわけです。  この三点、三大臣から御答弁をいただきたい。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(塚原俊郎君) 御指摘のように、労働分配率が諸外国に、ことに先進諸国家と比べて低かったことは、これは事実であります。しかし、今後は福祉優先、生活を守るという、そういう立場から、財政消費主導型の形がとられていけば、この分配率は私は上向いてくる、また、その方向をとっていくべきであろうと、このように考えています。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 可処分所得の増加というものを通じて、個人消費支出をふやすという立場から見ましたら、まず減税であり、それからやはり振替所得の増大ということになると思いますが、減税におきましては、すでに税制調査会の答申でも方向がきまっておりますとおり、これはもう年々所得税の減税をするということで、所得税及び地方税の減税ということは、これは年々やっていい、私は年中行事でやっていいことだと思っておりますが、この方向を引き続き継続していくこと、課税最低限の引き上げと同時に、また、率の問題もございましょうし、この二つを毎年やって、国民の可処分所得をふやしていくということを続けることがやはり必要であるというふうに思っております。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 生活保護費や、あるいは福祉年金、その他の年金も同様でございますが、これを高めることは個人の消費支出を高めることに、これは確かになると思います。しかしながら、生活保護費をどの程度に上げるのが適当であるか、また、年金をどの程度に上げるのが適当であるかということは、個人支出をふやすためというよりは、やはり社会的なニードとしてどの程度まで上げるのが適当であるかという判断のほうが大事であると、かように考えます。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 いずれにしても、労賃配分の増大、大衆減税あるいは移転支出の増大ということの方向のようでありますから、ぜひそのようにお願いしたいと思うんです。  その次に、これは総理にお伺いしたいのですが、今度は公共投資の内容であります。この公共投資の内容を、産業基盤整備重点から国民生活重点へと、こういうふうに移していく、そういうことが、これがこれからの福祉型の経済の一つの柱だと思う。いま一つの柱は社会保障、特に、年金などの所得保障というものを高めるということが、いま一つの福祉型経済というものの柱である。ところが、この四十七年度予算をいまの二点から見ると、福祉が充実されているか。福祉重視か。これはことばの上に終わっております。  そこで、公共事業関係費の内容を洗ってみると、道路とか港湾、空港、工業用水道、こういうような産業基盤整備、これが一兆三千七百三十九億円、それに対して生活環境施設整備である住宅、上下水道、環境衛生、公園、病院、こういうものに注いだ金額というのは二千九百十六億円に過ぎない。非常な差があります。片方は一兆三千億、片方は二千九百十六億、これで、はたして福祉優先と言えるのでしょうか。金額だけの問題じゃないとおっしゃるかもわからないけれども、やはり問題は金額だと思います。いかがでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 鈴木君もよく御承知のとおりだから、私も多くをつけ加える必要はないように思いますが、産業基盤整備だといわれている道路、港湾等、これがいわゆる福祉社会建設に全然関係なしとは言えないと思っております。だから、ここらにも、分け方がなかなか困難なものがあるんだ、これはやはりすべてが生活に直結している、こういう見方ができるのでありますから。しかし、そのうちでも特に道路と住宅、これはおのずから性格が違うじゃないかとか、あるいは港湾整備と住宅、上下水道整備、これは明らかに違うと、こういうような言い方がされるだろうと思いますが、だから、いま一応目安として分けているところのものは、私は必ずしも適当ではない、したがって、そのままの数字で比較されてはこれは困ると、かように思います。私も、地方の道路整備等が国民生活に直結するものであって、産業にももちろん貢献しますから、そういうことも見のがすわけにはいかないと、かように思っております。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 これは議論があるんです。たとえば都市の面積の四〇%が道路であるロスアンゼルスでも、交通混雑は解決しないのですから。だれに奉仕しているかといえば、産業奉仕だけになっているわけです。そういう点で政府の出した国の予算、その分け方を見ても、ちゃんと産業基盤整備に入れてあるわけです。これは大蔵省が出しておる。政府が出したものに入っておるわけです。そういうことから、どうしたってこれは産業基盤整備としか言えない。  それはそれとして、政府はこういうことについて、いままでの答弁を聞いていると、伸び率は生活環境整備のほうが大きいじゃないか、こういう言い方をしてきているわけです。だけれども、それはもともとの数字が低いから伸び率が高くなっただけです。それから福祉関係というならば、フランスなどのような先進国は、いま申し上げた産業基盤整備と生活基盤整備とがフィフティ・フィフティです。そういうような予算の支出をしている。こういう点から見ても、これは重視ではないということが一つ言える。この点が一つ。  それから、では増加額はどうなんだろう、伸び率がいいと言うから増加額はと思えば、産業基盤整備費は二千六百七十五億円ふえている。ところが生活環境のほうは八百五十七億円しかふえていない。産業基盤整備の三分の一ですよ、これは。これでどうして福祉優先と言えるかということです。もう一度お伺いしたい。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) いまの問題ですが、これは日本の公共事業費というものが、もともと諸外国、先進国に比べて、非常に一般会計に占める率が大きいということでございます。と申しますのは、先進国においては、すでに道路が整備され、いろいろな産業基盤の整備が行なわれておりますために、各国の一般会計歳出に対する公共事業費の率を見ますというと、もう全部日本の何分の一、アメリカが五・五%、イギリスが四・六、西ドイツが九・九、フランスが七・一というのに対して日本が約一九%ということですから、この公共事業費の比率が非常に日本が多いということ、したがってこれに対する公共事業費のうちの生活環境施設の整備費というものが一四・五%になっておるというので、非常に少ないようでございますが、これが一般会計との比較で見ますというと、先進国はすでにこの点ももう整備しておる関係で、比重はアメリカの〇・八とか、イギリスの一・四とかいう比重で、日本の二・五という比重は外国の二倍ぐらいになっておるというようなことで、そういう点から見ますというと、日本がまだこの点において後進国であるために、いまいろいろこれだけの伸び率であるにかかわらず、こういうことになっているんだということの統計にはなりますが、しかし、三分の一しかない。だから福祉予算云々とは言えないじゃないかということは、私は言えないじゃないかと思います。大体、公共事業費そのものがもうおくれておって、これを急速にやはりととのえることが必要だということで、今回も特にいろいろな意味でこの一般公共事業費もふやしておるという関係がございますので、この点は、三分の一だから福祉優先とは言えないというような関係は、私はないと思います。もう一般会計に対する福祉予算の比重というものは、外国の比重に比べて少しも下がっていないというところへはきていると思います。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 私は公共投資云々のことで、非常にいま急がなければならないから、わが国は非常に大きいんだ、だから、いわゆる五分五分にはいっていないんだというような答弁で、伸び率が小さいから軽視しているわけじゃないと言いますけれども、公共投資の中の道路や鉄道は、むだがあるのです。一本線があるところへ、新幹線のところへ高速道路をつけるとか、あるいは一般の道路にいたしましても、線路に沿ってつくるとか、こういうむだな投資をしているということは、これは考えなければならないですよ。そういうものを詰めていけば、私はフィフティ・フィフティになっていくと思う。それから欧米先進国における主要な国は、イギリスとか西独とかフランス、こういうところの公共投資に占める生活関連の施設整備への投資の比率、これは西ドイツが二七、フランスが四七、日本は先ほど大臣が答弁があったように一五です。こういう試算で考えてみても、私は、これは公共投資の中では福祉優先だなんということは言えないのじゃないかという感じがするのですけれどもね。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 日本の一五に対して、比重は、比率は外国は倍ぐらいになりますが、なぜ倍になるかと申しますと、大もとの公共事業費そのものが少ないということから比重が多くなっておるんで、日本みたいに公共事業費が非常に多いということになると、自然にこの比重は下がってくるという関係だろうと思います。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 だから私は、それが産業基盤整備のほうに重点を置いた答弁だというふうに思うのです。公共投資額が少ないから生活関連のほうが大きくなっているんだと、こういうふうな説明です、外国の場合は。日本の場合は大きいから小さいんだと。そうじゃないんです。それじゃ、生活関連施設の整備のほうはおくれてないのかといったら、産業基盤整備よりおくれてきているじゃないですか。そういう点から見たら、これはもっと上げなきゃならないわけです。だから、まあ詭弁といったらおこられるかもしれませんけれども、そういう論議はちょっと私は感心しないのです。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) その点はもうそのとおりでございまして、産業基盤整備のほうの費用は大体公共投資全体の中で七〇%前後あったものが、それから生活環境施設のほうは最初七、八%の程度でございましたが、ようやくそれがいま一五%前後のところまでくると、一方、六〇何%に下がってくるということで、この比重もいまようやく変わってきた、ことしから特にこの比重が変わったということで、これをもっと、この変わり方をもう一歩進めていけば、この姿が直っていくだろうと思います。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 この変わり方をもっと一度に進めると、いわゆる不況克服のときに大幅に公共投資をふやして産業基盤整備のほうに金をつぎ込んだ、同じように、生活関連施設のほうにつぎ込めばいいんです、こういうときは。そういうやり方を考えていただきたいと思います。  で、ここで建設大臣に伺いたいのですが、公共投資が生活関連重視でないということは、いまの質疑から大体明らかになったのですが、具体的な内容で、まず住宅について伺いたいのです。「予算の説明」によると、住宅対策費は一般会計で二九・九%、財投で三四%ふえたと、こういうふうに説明されている。で、中身を見ると、建設戸数では四十六万六千五百戸から五十五尺これは沖繩を除いてですね、こういうふうに見ると、わずか三万三千五百戸の増です。伸び率でもわずかの七・一%にしかすぎない。公営住宅、改良住宅の戸数を見ても、沖繩分を除くとわずか一万一千五百戸の増加です。伸び率は九・五%にしかなってない。この根本的な間違いが私はあると思うのです。なぜ、こうなったか。それは第二期の住宅建設五カ年計画、この建設戸数九百五十五尺その中で、公の資金、つまり公的資金がわずかの三八・八%ですな、これは約四〇%。三百八十万戸です。ここに問題点があると思うのです。外国の例を見ますと、いわゆる政府が援助をして民間が建てたものは、これは公的資金によるところの建物とはされていないのです。ところが日本の場合には、住宅金融公庫分のものをそのまま公的資金による建設というほうに入れているのです。こんな分類はおかしいと私は思うんだね。そこで、それを除いたらどうなるか、住宅公庫分を。わずか二百四十三万戸ということになる。そうなると、計画戸数に対して、公的資金によって建設されるものはわずかの四分の一です。二五%にしかならない。イギリスは公的主体によるところの建設が四七%です。フランスは三三・四、民間の援助などを入れれば七九%です。日本はわずかの二五%です。これで福祉優先と言えるのですかね。これは総理と建設大臣と両方にお伺いしたいのです。

西村英一自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(西村英一君) ただいま第二期の住宅建設五カ年計画をやっておりますが、九百五十万戸ですね、これは、ただ単に九百五十万戸がきまったのではございませんので、住宅統計に基づいて、みずから家を建てられる人、これは自分の持ち家住宅、だれでも自分の持ち家住宅がほしいのはこれはあたりまえですから、自分の能力で自分みずから建てられるものは、これはみずから建てていただく。しかし、自分でその能力がないという方々に対して公的な援助をしておるのでございます。その公的援助をする方法も、やはり公営住宅のごとく、あるいは公団住宅のごとく、いろいろ方法がございます。あるいは金融公庫の金融だけで援助するという方法もありますが、それでいまわれわれが言っておる公的三百八十万戸と、こうきまっておるのでございます。しかし、それは諸外国でも、いまあなたがいろいろ日本は公的の住宅は少ないじゃないかと、こうあげてまいりましたが、これはその方法がいろいろありまして、その統計だけで直ちに比較はできないと思うのです。私は公営住宅をふやすことはけっこうです。けっこうですが、少なくともいまの二期計画は一定の基準に基づいてやっておることでございまして、しかも四十六年、昨年は、この三百八十万戸の公的住宅をこなすためには、初めの計画、これは年度計画をしておりますが、その年度計画よりも、四十六年度は財投をふやしたりあるいは補正予算で多くつくっております。また、四十七年度につきましても、初めの計画策定よりもたくさんつくっております。これはやはりわれわれが、まず第一番に住宅は大事である、やはり福祉国家の建設には一番大事であるから、五カ年計画を少しずつ繰り上げをしてつくるように身を入れておるわけでございまして、ただ、その比率だけでは私はいかないと思いまするが、私も住宅を公営でやることは非常にけっこうと思いますから、しかし、とにもかくにも、いまの第二期五カ年計画を忠実にこなすということを政府は一生懸命にやりたいと、かように考えておる次第でございます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま建設大臣からお答えいたしましたが、どうもこの住宅問題が、今日の世相から申しますと力が入らなきゃならない問題だと、私もそういう意味では鈴木君の御質問、お尋ねのポイントには共感を覚える次第でございます。政府は、いろいろ努力して今日やっておるのでございますけれども、まだどうも住宅の面あるいは下水の面等々不足分はずいぶんございます。そういう意味で、この上とも御鞭撻を賜わりますようお願いいたします。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 私は、第二次五カ年計画を建設大臣がいまやっておる最中だからという話があったのですけれども、私が質問主意書を出しまして、そのときの総理の答弁は、今後の経済運営については財政主導型の福祉経済でいく、つまり対外均衡と国民福祉の向上を基本として、均衡のとれた成長をはかるということを述べ、さらに福祉重視であるということを言っておるわけです。それが長期的なものであるという答弁が出ております。そうすると、この生活基盤整備についても、昨日も質問がありましたけれども、こういうような長期計画、これは必要になってくるし、それも当然民間主導型から財政主導型に変えなきゃならない。ところが、いまの建設大臣の答弁では、四十七年から財政主導型に変わるという基本方針があるのに、建設はどこまでも民間主体というふうになっている。私は、社会資本の整備も、はっきり申し上げて、長期的観点からこれは見直さなければならない。そういうことで、すでに福祉型ということで、産業廃棄物の処理であるとかあるいは都市公園の事業計画というものが出ておりますけれども、それでは、どうして住宅は昨年つくったばかりだからということで計画をつくり直さなかったのか。私は、福祉重視型と言うならば、ここでつくり直すべきだったと思うのですね、財政主導型と言うなら。この点は大蔵大臣、建設大臣、それから最後に総理からちょっとお伺いしたいと思います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 生活環境施設についての長期計画は、本年度まず下水道五カ年計画、それから都市公園五カ年計画、廃棄物処理計画、この三つと、すでに住宅計画はいまできておりますので、本年度はその手直し程度のことをやったということで、大体これで一応福祉に関係のあるこの公共投資部面の計画というものは、これで長期計画を一応持つところまでいったというふうに考えております。

西村英一自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(西村英一君) また新しい経済計画が、いま経済企画庁で一生懸命やっておるようでございますから、それができてしまえば、また、住宅のことにつきましても変わるかもしれませんが、現在は五カ年計画の二期目にようやく入ったばかりですから、これをやっぱり忠実にやっていく、しかも、上積みしてやっていっておるのでございまして、それも住宅は衣食住のうちで最も困りますから、政府は最も力点を置いてやっておる政策の一つでございます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま二人からお答えしたとおりでございますが、これは長期経済計画の見通しが立つときにはさらに再検討することにやぶさかではございません。そういう意味で、十分気をつけてまいります。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 これは経済企画庁長官と建設大臣に伺いたいんですが、社会資本整備を福祉重点にしていく、こういうことになりますと、経済計画の中の社会資本の配分比率といいますか、どういうふうに分けるかという比率を変えなければならぬ。新しい経済社会発展計画は今年度じゅうにつくると、こういうことがいわれておりますが、経済社会発展計画から現在の新経済社会発展計画になったときに、住宅はその社会資本配分比率の中で八・〇七%から九・一四%にふえている。環境衛生は五・九九%から七・三六%へと公共投資額に占める率がふえているわけです。そうすると、この比率からいっても、少なくもこれ以上の高まり方が必要だろう。だから、新しい、いまつくろうとしている計画の中では、住宅は公共投資額に占める率が一一%以上、環境衛生では九%以上の比率が必要だと、こういうふうに考えるのですけれども、その点はいかがでございましょう。

木村俊夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(木村俊夫君) いま御指摘のとおり、前計画と現行計画、この住宅、環境衛生に相当増加を見せておりますが、当然私どもいま作業中の新しい長期経済計画においても、このウエートの変化は考えなければならないと思います。したがいまして、現行計画の住宅の九・一%、環境衛生の七・四%、当然これは数字的にこれを上げざるを得ない、こういう考えでございますが、まだ具体的な数字についてはその結果を得ておりません。

西村英一自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(西村英一君) いま経済企画庁長官が申しますように、新しい経済計画ができれば、いまあなたがおっしゃいました数字はちょっと私と違うようですが、現在は四十五年から五十年は六カ年計画でやっていますが、それは五十五兆に対して、住宅は三兆九千億円でございます。七・一%。しかし、その前の計画は六・二%にしかなっていないのが七・一%にまでなったんでございます。今後新しい計画ができますれば、それはそのときに応じまして、われわれはもっと住宅の点につきまして力を入れたいと、かように考えておる次第でございます。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 これは総理にお伺いしたいんですが、いままでの経済計画の中では、公共投資の中に占める構成の比率、そういうものを見ますというと、経済社会発展計画では、住宅、環境衛生、厚生福祉、学校、こういうものを含めて二二・六九%です。それに対して道路だけで二九%です。道路一つでもって生活環境よりも公共投資額の比率が大きいわけです。新経済社会発展計画ではどうか。住宅と環境衛生、厚生福祉、学校で二五・〇三、それだけのパーセント。それに対して道路だけで二七・四三%。産業基盤に六六%から六八%というものが入っている。私は、これではあまりにも国民生活は無視されているんじゃないか。福祉優先というからには、内閣全体の意思としても、新しい計画に対して方向づけが私は必要だと思うのです。それを、いままでのような、こういう道路一つよりも生活環境全体のほうのパーセンテージが低いというような国民生活無視でいくというのでは困るわけです。そうでないとしたならば、これがさらにふえていくというふうにならなきゃならない。厚生福祉なんかは、経済社会発展計画のときより、新経済社会発展計画になったらパーセンテージが落ちてきたわけですよ。こういうことでは情けないと思うのです。学校も同じように下がっております。そういうことで、これを増加するという御意思ですね、私の申し上げた住宅、環境衛生、厚生福祉、学校というような生活環境のほうへの公共投資額をふやすという、そういう方向づけはおとりになるかどうかということ、これは総理御自身からお伺いしたい。  それから経企庁長官から、まだ考えてないと、これから策定いたしますというのでは、あんまりお粗末なんですがね。いま私が申し上げたパーセンテージ、それは一体どの辺ぐらいまでにしたいという目途だけは示していただきたいと思います。以上。

木村俊夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(木村俊夫君) まあ、私ども考えております目途と申しますのは、いま御指摘になりましたのは、前計画と現行計画、生活関連の社会的資本の構成比二二・八から二五・〇、これは確かに増しております。これを一体どの辺まで増すべきかということ、なかなかむずかしい問題でございまして、先ほど産業基盤社会資本とおっしゃいましたが、その中の道路にしましても、港湾にしましても、これはいままで国民福祉の上に何らのメリットがなかったかと申しますと、決してそうでございません。これが産業開発を通じまして、国民福祉、国民所得の増加につながっておりますし、また、これが流通段階において物価政策にもたいへんな貢献をしております。そういう意味で、これを画然と単純に分けることがどうかということは別にいたしまして、当然いま申し上げました交通、通信関連と申しますか、産業基盤社会資本の構成比を見ましても、前計画では六一・四が五八・七、自然にやはり構成比は下がってきております。この傾向は、当然今年策定すべき新しい経済計画の中に顕著に私はあらわれてくると思います。したがいまして、この構成比が、たとえば生活関連社会資本の構成比が、現行計画で二五、これを二八にするか二九にするかということは、もっと私どもは、各いろんな公共部門のバランスあるいは財源配分上の、もう少し大局的な観点に立ったバランスを考えた上で、慎重に策定すべきものと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 鈴木君の御指摘になる点は、私もわからないではございません。しかし、いまの道路にいたしましても、日本の道路、はたしてこれでよろしいのかと、かように考えると、ずいぶん洪水を受ければこわれるような橋梁、橋のあること、木橋がいまなお非常に多いこと等を考えると、道路建設にももっと力を入れなきゃならない。とにかく社会資本の不足ということ、これはやはり国が新しいだけに、そういう点が指摘できるんではないかと思います。そのうちでも、社会資本のうちでも社会福祉資本、その充実については、これは急務でありましょう。ことに忘れてはならないのは、下水道の整備ではないかと、かように私は思いますが、それらのことをも考えると、どうも配分が不適当だと、こういうお話はわからないではございません。しかし、とにかく新しいこの国づくりをしているその段階でございますから、どうも公共社会資本の投資は不十分だ、そのうちでも社会福祉資本の投資は不十分だ、これはその御批判はごもっともだと、かように思います。私どもはバランスのとれた方向でこれを進めて整備していく、こういうことでなければならぬだろうと、かように思います。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 総理の答弁でわかりましたけれども、バランスのとれたということで、また生活基盤整備のほうがいいかげんにされるということでは困るわけですから、その点だけは念を押しておきます。  経企庁長官、以上に関連して新経済社会発展計画——現在の計画でありますが、その部門別投資額を四十五年度の実績、四十六年度の実績の見込み、四十七年度の予算額見込みで示していただきたいと思います。

木村俊夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(木村俊夫君) たいへん数字ばかり申し上げて恐縮なんですが、構成比といたしまして、まず部門別に見ますと道路、港湾、航空、これが一つのいわゆる産業基盤社会資本である。次に住宅、環境衛生、厚生福祉、学校、これが生活関連社会資本。まず大きくこの二つに分けて申し上げますと、これは一々申し上げましょうか。何ならあとで資料として差し上げます。  四十五年度から四十七年度までの達成率と申しますか、これを申し上げたほうが手っとり早いと思います。道路は四五%、港湾は三八%、航空は三五%、それから住宅は三九%、環境衛生は三八%、厚生福祉は四三%、学校は五四%。これがいま御関心の各公共部門でございますが、そのほかに国土保全とか農林漁業、あるいは鉄道、電信、その他ございますけれども、これはあとでまた資料でもって差し上げたいと思います。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 大蔵大臣に。  公共事業の長期計画、その中で道路と空港には特定財源が与えられている。福祉関係の長期計画には特定財源がない。どういうわけでしょうか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) これは先ほどお話がありましたが、いま福祉関係の投資も非常に急務であるし、同時に、そうかといって、産業基盤の整備というものもおくれております以上は、これをそのままにしておくわけにもいきません。したがって、これまではまず一番直接おくれておる産業基盤整備を急速に整える必要がございましたので、そこに特定財源を充てるということを考えてガソリン税を道路の財源にするという目的税をつくったのでございますが、それによってそのほかの必要な福祉費用というようなものは一般財源でまかなっていこうというようなことで今日まで財政運営をやってきたわけでございますが、ここでいま、この社会保障費と同時に、今度は一般公共事業費のうちでもこの生活環境投資というようなもののほうは、一応五カ年計画ができました。さっき申しましたように、下水は二兆六千億円、公園が九千億円、廃棄物処理が四千五百億円というふうに、約五年間、四兆円くらいのこの長期計画をつくってありますが、この経費の支出ということについては、いまのところ、これは一部は公債発行の対象経費にもなっておりますことで問題はございませんが、そのほかの今度は福祉予算ということになりますというと、私は、これはたいへんであって、やはりこれは計画的に財政計画を立ててやらないとむずかしい問題であると思っていますが、これにいま特定財源を求めるということは、いまの現状では、一般の施策費用の弾力性を奪ってしまうことでございますので、これはとてもできない、いまの現状では。じゃ何らかのものがあるかということを考えますというと、実際においては、福祉予算の目的税というものは私は非常にむずかしいのじゃないかと思っております。したがって、私は、いつも申しますとおり、国民福祉の向上ということに踏み切るということは、簡単なようであって、これは今後の政治としては非常にむずかしい問題をお互いが背負い込んでおることだというふうに私は考えます。従来の成長政策がいま非常に批判の対象になっておりますが、成長政策が行なわれておった時代には、自然増というものが非常に多いために安心して与党も野党も、政界においては、給付は多く負担は軽く、ということを国民に訴えてやってこられましたが、今度はそうでなくて、成長政策というものを切りかえて国民福祉政策というものをとるというときには、もう給付は重く負担は軽くという従来の、また私どものいろんなそういう方針までやはりここで再検討しなければ今後のこの財政にはとても対処できないのじゃないかということを私は考えて、いま大蔵省の中でも、これからの福祉政策遂行についての財政計画ということについては真剣な考慮をいま払っておるときでございますが、その過程において目的税をつくるということは、いまのところ非常にむずかしいという、いまのところは結論になっております。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 一般財源と国債で長期計画をやりたいということですね、はっきり申し上げれば。そうなれば道路と空港だけにそういう特定財源を与えていくということはおかしいじゃないですか。その点はどう思いますか。一般財源でやるというなら、道路と空港だけに特定財源をやるのはどういうわけか、それも一般財源にしなさいということです。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) もう一ぺん。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 長期計画を結局、一般財源と国債でやるということでしょう。そうなれば、道路と空港だけに特定財源があるのはおかしいから、それも一般財源にすべきじゃないかという質問です。

相澤英之大蔵省主計局長

○政府委員(相澤英之君) 財政の弾力的な運営というたてまえから申しますと、特定財源というものはできるだけ少ないほうが望ましいというように一般的には言えると思います。道路とか、いまおっしゃいました空港の整備のために揮発油税、あるいは航空用燃料税等の特定財源がございますが、これは主としてそういう施設の利用によって利益を受けるもの、それからいわば受益者負担的な考え方から取るという考え方でございまして、社会福祉施設につきましては、利用者あるいは受益者からその費用の一部を負担してもらうというような考え方をとることはなかなか困難でございます。そういうことで、特に受益者負担的な考え方がとれるもの、しかも整備の急を要するものについて現在特定財源の制度があると、かように考えております。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 福祉のいま一つの柱である社会保障費について伺いたいんですが、この社会保障費の伸び率は、昨日も質問がありまして答弁があったんですが、四十六年度当初予算に対して二二・一%の伸びで、一般公共事業費の伸びが二六・四でありますから、それより少ないし、公共事業費の中の産業基盤整備の伸び率の二四・一より少ない。この点は総理にお伺いしたいんですが、この点でやっぱり産業優位という姿が消えていないんじゃないかというふうに思うんですけれども。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 確かに、一般公共事業費の伸び率のほうが多いということになっておりますが——いや、一般公共事業費の伸び率と何との比較でございましたか。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 産業基盤整備よりも社会保障費の伸び率のほうが低い……。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 産業基盤整備の伸び率のほうが確かに多くなっておりますが、しかし、この公共事業全体の、その中には——たとえば産業基盤整備費の中には道路費そのほかいろいろのものが入っておりますが、その中には実際には生活関係のいろいろな費用が非常に多く見込まれている。たとえば道路費でも、都市の交通対策費、いろいろなものが相当多い比重で入っておるというようなことを見ますというと、社会保障費だけでなくて、公共事業費の中にすでに社会保障的な経費が本年度は非常に多く入っておるというようなことを見ますというと、この二六%と二二%の違いというのは、そのまま非常に大きい差があるというふうにも私は言えないんじゃないかと思います。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 これは私はそういう点じゃ納得ができません。納得ができませんけれども、時間の関係で次へいきますが、景気の回復が重要であると、こういうことがいま言われている。その点はよくわかるんです。しかし、公共事業がはたして景気回復効果が大きいかどうかという点は割引して考えなきゃならない。はっきり申し上げれば、土地の値段に取られてしまう。そうして、実際の需要に結びつかない。用地費の比率が、現在、先日伺ったときには三割ぐらいになっているという話であります。そうなると、公共事業費を一千億投じても、内容は土地代を引くと七百億円ということになってくるわけです。そうすると、有効需要はどのぐらい喚起されるか。千四百ないし千五百億円でしょう。これに対して、直接年金を一千億ふやした場合の有効需要の増大というのは千九百四十三億円を下らないといわれている。これは三菱銀行の調査の中に出てきています。一千億円個人減税をした場合は千九百四十三億円の有効需要が起きるとされている。そういう点から見ると、私は、一つは厚生大臣に伺いたいんですが、有効需要が一千億年金をふやしたらどのぐらいふえるというふうに見ているのでしょうか。それから大蔵大臣と経済企画庁長官に、こういう点から見ても、景気回復という観点からも、やはり年金の増大が必要じゃないか、そういうふうに思うのですが、政府の見解はどうですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 年金を一千億ふやせば、その一千億はほとんど全部有効需要を刺激する材料になると、私はかように思います。これが景気の向上に何%になるか、企画庁長官からお答えいたします。

木村俊夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(木村俊夫君) いま三菱銀行の調査をおあげになりましたが、三菱銀行の調査における乗数効果一・九というのは、私どもの計量モデルによりますと、少し大きいように思います。したがいまして、私どもの経済企画庁の計量モデルでやりますと、むしろ直接の需要を生じます公共事業のほうが乗数効果は大きいと、こういうような考え方をとっております。たとえば一千億円の政府投資をいたしました場合に、これは大体乗数効果を一から一・五ぐらいに見ております。それに対しまして、振替所得、たとえば年金等の場合には、その乗数効果は初年度では〇・五から〇・九ぐらいであると。三菱銀行の調査と私どもとは多少そういう面で食い違っておるようでございます。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 私は、乗数効果の点では、いま経企庁長官の言われたとおりだと思います。したがって、公共事業が景気回復に寄与する度合いというものは非常に多いと思います。本年度は、国の一般会計はそうでございますが、国の他の機関の合計をいたしますと、四兆五千億円ぐらいの公共投資になろうと思いますが、そのうちで用地費は大体八千億円といわれておりますので、そのほかは全部有効需要の喚起に役立っておると、その乗数効果は非常に多いということでございますから、これは明らかに景気には十分効果を持ったものであると思われます。  それから年金がまた景気回復に相当役立つものということは、これはそのとおりだと思います。ですから、年金制度が成熟することは非常にいいことだと思いますが、ただ、これは長期制度の問題でございますので、年金を大きくするということは不況対策として考えるべき問題ではないというふうに思っております。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 不況対策として考えるべきではないけれども、不況対策の一面がある。まあ経企庁長官もおかしな答弁をしていただいたんで困っちゃうのですが、年金を一千億ふやしてそうして〇・五しか使わないなんていうことはあり得ないです。年金をもらう人は個人所得税も納めていないような人ですよ。だから、この辺はどういう計量モデルをお使いになったか知りませんけれども、コンピューターの計算だけをおたよりになって答弁されたのでは困るということを申し上げておきます。  それから次に、厚生大臣と大蔵大臣に伺いたいのですが、福祉優先と、こういうことに変えるには、個人消費支出をふやす、つまり、一面をいえば年金もその中でありますが、それを伸ばす必要がある。いま一つは、景気回復の効果の面からも、これは波及されてくるものでありますけれども必要であろうと。そこで、年金制度を大きく変える必要があるのではないか。現在の社会保障システム、特に年金システムというのは、積み立て方式をとっている。まるで貯金しているのと同じであります。一生懸命年金積み立てをやって、あとから少しずつもらってくる。だから、強制貯蓄ということになっているわけです。これでは、貯蓄されているのでは、一方では、個人消費支出を減らしていってしまう。他方では、今度はインフレ等になった場合には、自分が一生懸命積んだものが値打ちが下がってきますから、もらうときには少なくなってくる。保障どころか、孫に買ってあげるお菓子のお金も出ないというのが現在の年金受給者の生活の実態です。そこで、積み立て方式というものをやめるべきだ。そうして、西欧の先進国のように、賦課方式にするということが一番望ましいことだと思うのです。厚生大臣は、衆議院でこの質問に対して検討をすると言われました。どういうふうに検討が進んでいるか、その点を伺いたいし、大蔵大臣には、これはいろいろ財政面等もからんでおりますので、御答弁をいただきたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) ただいまの年金制度につきまして、いわゆる個人支出を増加させるためにはという前提がございましたが、私は個人消費を奨励するためにというのではなくて、やはり老後の生活保障としてどの程度の年金額がいいかというところから出発しなければならないだろうと、かように考えます。そこで、その財政方式でありますが、いままでは修正積み立て方式——純然な積み立て方式でなしに、それを若干修正して政府資金を入れるというやり方、これは御承知のとおりです。これを完全な賦課方式に変えるかどうかと。これには非常に問題がありまして、今日の日本の年金の段階では賦課方式に変えることはほとんど不可能であると。これは後代に大きな負担を残すと。たとえば、いま賦課方式に全部切りかえてしまえば、九〇年代にはいまの五倍ぐらいの保険料率を必要とするであろうと。ということは、ただいま日本の年金加入者の総数と年金受給者の数を比べますると、受給者はわずかに二%であります。これが年金が成熟をして二〇%になるというぐらいになれば、これは賦課方式に全部転換できるであろうと、かように思います。西独にしましても、あるいはイギリスにしましても、積み立て方式から賦課方式に変えましたのは、ドイツは六十何年かたってから、イギリスも三十一年目に賦課方式に変えました。したがって、いま賦課方式に変えることは、現在の保険料は安くて済むであろうけれども、十年、二十年、あるいは三十年後になると、三倍、四倍、五倍という保険料を払わなければならないということになって、その点はどうであろうかと。しかし、いまの修正積み立て方式それだけでいいか、あるいは賦課方式というようなものを若干加味できないかどうか、その点を検討してみたいということを申し上げておりますので、全面的な賦課方式になるということは  これは相当困難であろうと思いますが、しかし、かねがねそういった御意見もございますので、いま社会保険審議会等においてもいろいろと学識経験者で検討をしていただいております。さらに、それらを踏まえまして国会における皆さま方の御意見も十分入れて、そして次の年金改定のときにはひとつ考えてみたいと、こう私は申し上げておるわけでございます。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) いま厚生大臣から言われましたように、審議会においても検討を願っておりますが、私も国会に対してこれは検討をするということをもうお約束してございます。と申しますのは、欧州の諸国においてはやはり積み立て方式から出発して、いまでは賦課方式に切りかえをしておりますので、わが国におきましても、これがスライド制というような問題が出てきますというと、長い間かかって積んでおくというこの積み立て方式にいろいろ矛盾が出てきますので、やはり賦課方式に切りかえる必要が出てきはせぬか。そうなれば、いつどういう形で切りかえるのがいいかというようなものは当然いまから検討すべき問題であると思って検討しておりますが、いま厚生大臣が言われましたように、いまのところ年金の受給者が非常に少ないときでございますので、いま実行することは非常に楽なようであっても、これから人口の老齢化が進み、年金制度が成熟したときには、この負担がたいへんで、世帯によって負担の不公平と過重さと、いろんな問題が出てきますので、人口老齢化と年金の成熟化というものをもう少し進めたときにやることのほうが一番むずかしくなくやれるんだというのがいまのところ関係各省のまあ意見となっておりますので、ここですぐこれを実行するということはなかなかむずかしい問題になっておりますが、私はさっき言った問題としてこれは十分検討したいと思っております。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 厚生大臣に伺います。大ざっぱに言って、国民が社会保障の財源として現在負担している金額は、年金や国保などの社会保険の負担と、それから租税のうち社会保障費及び恩給費に回っている分と、それを合計した金額だと思うんです。一方、国民に還元された金額、まあこれは振替所得といわれておりますが、その還元されてくる生活保護あるいは社会保険の給付等、この両方の数字を比較してみると、昭和四十五年度の実績では、私の計算ですけれども、負担のほうが合計で約四兆二千億、振替所得として国民に戻されたものが三兆二千億、差し引き一兆円が強制的に積み立てられているわけです。四十七年度では一体どういうふうになるんでしょうか、この点を伺いたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 大体、ただいまおっしゃいました数字は、そんなものであろうかと思います。と申しますのは、結局、国民が積み立てている、あるいは税として払っている、保険料として払っているというもののうちで、いわゆる年金の積み立て額というものだけが大体いまおっしゃる数字になると思います。この数字は、四十七年度には一兆五千億足らずになると思います、いわゆるその年に積み立て金としてふえてくる額だけがですよ。まあある意味において超過負担といいますか、それだけ積み立てられているということでありますから、現実には支払われていないということでございます。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 いまのように、一兆五千億から約二兆円という額が四十七年度でも国民のほうに戻ってこないわけですね。一生懸命負担はするけれども、戻ってこないということになってくるわけです。そこで、この年金を賦課方式にもし切りかえたとする。いま申し上げたその一兆円、いわゆるそれの分だけ余分に積み立てられている金額、あるいは四十七年度ことしは一兆五千億円になるだろうといわれておりますが、そういうものを年金に加算すれば、現在の支給年金額は倍以上になることが可能じゃないか。この点はいかがでしょうか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 大体その程度になるであろうと思います。年金のうちの障害年金とか母子年金とかいうものをのけまして、普通年金でその程度になるであろうと、かように思います。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 大蔵大臣、これははっきり申し上げて、私はそういうような経済体質に持っていくことが大事じゃないかと思うんですよ。これが個人消費に加算されれば、個人消費支出の総需要中の比率も上がってきますし、有効需要の増大も二兆円をこえるということになるわけです。こういうことから考えても、福祉優先という経済体質に変えるのであれば、いまのように毎年毎年四兆円以上のお金を国民が社会保障のために支払って、そうして受け取るのが一兆円より少ないというような金額では、しようがないわけです。四兆円以上のお金を払っているわけです。それなのに、戻ってくるのは一兆円に足らない分がくるということでは、情けないわけであります。そういう経済体質の上からも、福祉型経済という点から見ても私は必要だと思うのですが、この点の御意見はいかがですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) それは、積み立て分を給付に回せば、確かに年金は多くなるかもしれません。いま受給者が少ないのですから、きわめて楽であるかもしれませんが、これはもう人口が老齢化して、いよいよ受給者が急速にふえてくるというときにきたら、もう数年ならずして財政の破綻がくるということになりますので、これはなかなかすぐにいま少ないからといってそういう方式に切りかえることができるかどうかということは、むずかしい問題だと思います。また、一兆円の金というようなものは、決して遊んでいるわけではございませんで、同時に年々これは蓄積され、国民の福祉のために有効に活用されておるのでございますから、その辺の比較をしたら、すぐに踏み切るほうがいいかどうかということは、さっき私の申した検討問題でございまして、もう少しこの点は検討しないとわからないと思います。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 老人がふえてきたときにたいへんだという話、まあそれはあとで私は聞きますし、提案もしますけれども、そういうものじゃないと思うんですよ。先日もテレビでやっておりました。NHKの「一億人の経済」の中で、高福祉高負担という中で、とにかく一日七十円の年金だと。福祉年金の受給者です。今度上がっても百円ちょっとです。そうすると、もち菓子を三つ買ったらもうお金がなくなっちゃう。よそへ行きたくても行けないんです。こんな状態に置いておいたままでもいいという感覚じゃ困るんです。老人がふえるからいまの人たちはがまんしろ、将来もがまんしろということになってくるだろうと私は思うのです。そういう点で、この点はほんとうに情けないような感じがいたします。  じゃ、いままでに積み立てられている年金の額はどのくらいあるんですか。全部合わせれば十二兆円とか、あるいは六兆円とか、いろいろいわれておりますが、これは一体どういうふうに積み立てられて、いま金額はどれくらいになって、それはどういうふうにどこへ使われているか、これをひとつ言っていただきたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) いま、年金の積み立て金の累積は、四十六年度末で約六兆四千億になるであろうと思います。この積み立て金は、御承知のように、いわゆる国民の生活福祉というもののために投融資されておるわけであります。毎年ふえてくる年金積み立て金の二五%は直接保険加入者の福祉のための還元融資というものに使われております。最近は、この二五%にプラスアルファということで、いわゆる年金加入者の直接福祉のためにする投資の需要額を満たす割合と、こう勘案をいたしまして、本年はそれにプラス百二十億という還元融資のワクをきめたわけでございます。そういうように運用をいたしております。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 私は、こういう財投へ回るということで老人また老後のための保障ということで国民が負担をしている年金の積み立てがほかへ回ってしまうということは、ほんとうに情けない感じがするんですよ。それは、現状が豊かな老人保障であれば、何も言いません。お菓子も買えないというような、そんなかわいそうな状態になっている。   〔委員長退席、理事玉置和郎君着席〕 それで、どこへも行けないという状態になっている。何のために生きてきたんだかわからないという声さえ出てきている。これは情けないと思う。そういうことで産業投資そのほかに向けられる。生活福祉のためと言うけれども、中身は産業基盤のほうに多く回っていることは、財投はもう明々白々なんですから、この点では、総理、これはほんとうに賦課方式というものを一ぺん考えると、あるいは、いま申し上げたような一兆円も積み立てが余っていくわけでありますから、そういうものを何とか振り向けるというくふう、年金額を増加させるというくふう、これについてのお考えを承りたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これは大蔵大臣並びに厚生大臣からお答えいたしましたが、私はいまのままでいいとは思っておりません。ただいま御指摘になりますような点をさらに厚生省におきまして検討すると、こういうことであるべきだと、かように私は考えます。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 厚生大臣、西ドイツ、スウェーデン、イギリス、こういう国々の西欧の年金額はどのぐらいになっているんですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 各国において年金の方式も内容も若干違いますが、これらは、先ほどおっしゃいましたように、拠出年金制度が始まってドイツにおいてはもう七、八十年、イギリスにおいても約六十年ぐらいになりましょうか。そういうわけで、いわゆる年金制度はもう成熟しきっている。成熟しきっているということは、いわゆる拠出年金に加入している人たちと、それから年金をもらう人たちとのバランスが大体平衡をしている、二〇%ぐらいということになっておりますので、したがって、賦課方式もまず円滑に行なわれていくと、かように思います。  その年金額の問題でありますが、大体おおむね平均賃金の三割から六割程度と、これはあるいは所得比例報酬制度を取り入れているものもありまするし、またイギリスのごとく画一的な額のものもございます。大体まあ平均賃金の四〇%から五〇%程度というのが今日でございましょう。したがって、これらの国には、わが国にありますような福祉年金、いわゆる無拠出年金というものはほとんどございません。全部拠出年金になっておるわけでございます。  先ほどおっしゃいました年金額の増加、ことに老人福祉の所得保障という面で大事な点は、まず福祉年金をどうするかという問題であろうと思います。この福祉年金の額を引き上げるために、拠出年金の積み立てられるべきものをそちらに充てるということは、これはまあどうであろうか、これはやはり一般の国費でやっていく必要があるのじゃなかろうか、かように考えまして、今日の社会的なニードに応じた福祉年金額をどの程度上げていくか。また、厚生年金、国民年金額も再計算期を待たないで、やはり生活水準の向上、物価、賃金というようなものと見合って来年度あたり少し額を引き上げることを考えてみたらどうであろう。その中に、いまおっしゃいました積み立て金をそのままいままでどおりでいくか、ある程度積みくずせるのかどうかという点を検討してみたい、こういうわけでございます。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 まあ、いま平均賃金であらわされたんですけれども、悪いところも言うからこうなるんですが、いい場所では大体最終の賃金の七五%というような年金の出ているところもあるわけであります。そういう点から見ると、わが国の年金はあまりにも低過ぎる。それは国民年金にしても厚生年金にしても低過ぎるわけでありますから、こういう点ではどうしても賦課方式にしなければならないということであると思います。  それで、先ほど大蔵大臣から年寄りがあとふえるから困るという話もあったんで、ここで伺いたいんですが、賦課方式へ転換されるときにまず考えられるのは、いままでの積み立て分です。それが先ほど六兆四千億円という答弁がありました。そういう膨大な積み立て分がある。それを一体どうするかということ。第二番目は、老人がふえた場合、一体どうすればいいかということ、この二つだと思う。いままでの積み立て分については、もうすでに財投やそのほかの財源になっている。だから、すぐ戻してくれということは不可能でしょう。交付公債を発行してそれで処理をし、その交付公債の償還は財投からの戻ってきた返済金でまかなう、こういうことをやれば、これは可能だと思う。もう一つは、老人の比率が増加した場合にはどうするんだ。負担がふえるのではないかとか、いろんなことがあると思いますが、これは現在の法人税が付加価値額の中に占める租税の部分というものは減ってきている。こういう点から考えても、法人税の付加税としての社会保障税のようなもの、そういうことを考えていけば私はできるんではないかと思う。この点を大蔵大臣から伺いたい、それから総理からも。方法は、やろうと思えば幾らでも考えられると思うのです。私が提案するまでもない。問題は、いまの年金では非常にたいへんだということ。これでは福祉国家の名が泣くわけです。総理の目ざしている福祉重視ということも空文になってくる。そこで、やる気があるかないかという決意の問題だと思う。最後に総理の決意をお聞きしたいと思います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 賦課方式を実施するときには、当然どういう形の課税が必要であるかというようなことを検討しなければなりませんし、また、積み立て金も一ぺんにこれを取りくずしできるものではございませんので、この取りくずし方についても考えなければなりませんし、そういうものを考慮して具体案ができなければ、この切りかえというのがやはりむずかしいということになろうと思いますので、そういうものを含めた検討をいましたいと思っております。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 現状においては不満でございます。これは不十分でございます。だけれど、これをどういうようにしてふやしていくか、その点ではやはり十分検討しなければ結論は出ません。それは、先ほど来、厚生大臣やあるいは大蔵大臣等々からお答えをしておるとおりであります。しかし、いつまでも待つわけにはいかないから早急に結論を出せ、かようにおっしゃるだろうと思いますが、急いでと、かように思いましても、ただいままでの制度そのものから申せば、未熟な日本の年金制度でありますから、そこらに基本的な欠陥もあります。しかし、現状の小額な年金でいい、かようには私は思いませんから、その点はさらにくふうをこらしていきたい、かように思っております。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 経済問題はこの程度にして、次に外交問題に移りたいんですが、第三回のUNCTAD国連貿易開発会議、このことについて伺いたいと思います。  四月十三日からチリのサンチアゴで開かれるわけであります。ここで私どもが考えて、私どもの党では、この会議が、はっきり申し上げて多極化現象を現在強めているこれから以後の国際情勢の中で、どう日本が対処していくかという、新しい日本外交の試練の最初の場所になるんではないか、こういうことで非常に重要視しているんですが、そこで、まず、政府の見解として、このUNCTAD会議に対して、その特質特徴、あるいは意義、基本的考え方について、昨日も答弁がありましたので簡単でけっこうですから、伺いたいと思います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) このUNCTADの会議は、いま鈴木さん御指摘のように、多極化の世界情勢下で非常に重要な意味を持つと思います。つまり、多極化というが、世界はいわゆる三極だとかあるいは五極じゃありません。まだ、いわゆる低開発世界、つまり第三世界ともいわれるような社会があるわけであります。この社会の動向というものが世界の平和に非常に大事である、そういうふうに考えておるわけなんですが、いま多極化する世界情勢の中で、これらの集団が、たとえば昨年の通貨調整がありました、その通貨調整の過程において何らの相談にあずからなかったという不満があります。あるいはSDRというものが創設された、そのとき恩恵が非常に少なかったというような不満もあります。あるいはいろいろな問題を含みながらも、先進諸国の経済は発展しておる、国際社会における格差が増大をしておる、こういうようなことに対する不満もある。そういう第三世界における不満をかかえながらのサンチアゴ会議でございますので、これは非常に世界的に重要な意味を持つ。と同時に、わが国といたしますると、しばしば申し上げておりまするとおり、経済力が大きくなった。しかし、軍事大国にはならぬ。そうして、こういうおくれた国々に対する奉仕、それを通じまして世界の平和に貢献しよう、こういう姿勢をとっておる。そういう姿勢をためされる、こういう場になろうか、こういうふうに思うのです。  主として問題になりますのは三つあります。  一つは、通貨の問題であります。ただいま申し上げましたように、これからのまた通貨調整というものがある。そういう際に、低開発国がいかに参加し得るか、こういう問題。それからまた、この通貨調整の結果、いかに低開発国が均てんし得るか、こういう問題であります。  それから第二は、通商の問題であります。この通商の問題につきましては、すでにこれらの国々に対して特恵関税制度が施行されておるわけでありますが、これを推進するという問題、また、これらの低開発国からの輸出をいかに助長し、それらの国々からの輸入をいかに順調に円滑に受け入れていくかという先進国側の体制の問題。  それから第三に、これが一番大きな問題になると思うのでありまするが、これは先進諸国側のこれらの国々に対する経済援助の問題であります。この経済援助につきましては、すでにUNCTADの会議におきまして、その援助量、先進国側の量につきましては、一%を目標にするという線が打ち出されておるわけであります。   〔理事玉置和郎君退席、委員長着席〕 わが国は、これに対しまして、すでに一九七一年、つまり、昨年の実績が大体判明いたしましたが、〇・九五%に及ぶというので、量的には非常にうまいところへいっておる。ところが、質的に見ますると、まだまだ日本はそう大きな顔のできないような立場にあるわけでありまして、ことに援助の量の中でこれを打ち割ってみますると、政府開発援助というのが昨年一九七一年ベースでいきますと〇・二二、これらの低開発国側の期待は、それが〇・七でなければならぬ、こういうようなことを言っております。その辺にわが国がいかに対処していくか、こういう問題点をかかえておる、さように存じます。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 今回は、中国がUNCTAD会議には参加をしてくる。そういうことは、国際情勢の全般に対してわれわれがものすごく考えなければならない新しい条件ということであります。はっきり申し上げれば、出てくるということは、もはや米ソの二大極からいわゆるECであるとか日本が参加した、いわゆる多極構造ということに日本外交がなったということの一つの証拠であるし、それだけに日本としては、そういう新しい極との関係、これをしっかりやらなきゃならない。  いま一つは、そうなってくれば対米一辺倒というような形から、複数の極とのいわゆる等距離な、均衡のとれたといいますかね、バランスのとれたというか、そういう関係をとりながら、わが国の利益というものを調整しながら伸ばしていかなければならない。そういうことが、これから日本外交の私は選択になるんではないかと思うんです。そこで、まあ私ども公明党が中国との問題、関係の改善ということを訴えているのも、まあそういうような基本的考えがあるからです。  そこで、この中国と同じようにわれわれが考えなきゃならないのは、いま外務大臣も言われましたけれども、開発途上国といわれる国々、これが国連の大多数を占めている。その国々との関係の改善ということが、五極の結びつきと同じように私どもは、つとめていかなければならないことだと思うんです。そういう点から考えてみると、今度の国連貿易開発会議でも、そういうような中小国を重視するという方向に軌道修正をしなきゃならない。まあ、先ほどいろいろ問題点をあげられておられましたけれども、そういう軌道修正の考え方の上で臨まれるということになるでしょうか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) まあ軌道修正というと、これから軌道を修正するのかというお話のように聞こえますが、まあそうじゃないんで、もうすでに軌道修正にかかっておる。その軌道修正の現実化を、その修正の幅なり質なりを、まあ日本が試される場であると、こういうことだろうかと思います。数年前のような考え方じゃいかない。この一、二年間わが国は、対外経済協力を重視する、そしてその対外経済協力というものを通じまして世界の平和なり発展に貢献する、それがまたわが国の国益にも通ずる、そういうような姿勢を進めてきておるんですが、さあ、まあ重要なUNCTADの第三回の会議が開かれるという場でありまするから、これに対しましては、かなりわが国は積極的で、しかも勇気ある態度をもって臨まなきゃならぬ、こういうふうに考えます。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 積極的に勇気ある態度ということなんですが、そこで私、政府代表の問題でこれは通産大臣にお伺いしたいんですが、政府代表が決定されたいきさつ、まあこういうことから考えると、非常に重視しているように見えるけれども、通産大臣が出なくて、ほかの愛知代表になったわけでありますが、どうして予定どおり閣僚が首席代表として行かないのか。これでは重視してないということになるんじゃないか。で、通産大臣は代表として内定済みであったし、あるいは記者会見とかその他の機会で、会議に臨んでは中国代表と接触するというような抱負まで述べられていた。それを急に取りやめたという理由をちょっと伺いたいんですが。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中角榮君) UNCTADには、代表の名前を通報をしなければならないという外務省の事務的な手続がございましたので、私が一応私の名前を通報したわけでございました。しかし、私もこの会議の重要性ということを十分承知しておりましたので、できれば出席をしても、という気持ちでございました。まあ、特に通商産業省関係の仕事がたくさん出てまいりますので、そういう心組みでおりましたが、御承知のとおりの国会の審議状況でございまして、まあ、この国会には十八本の法律をお願いしているわけでございます。しかし、まだ一本も通過をしておらないという現状でございますし、また、現在外貨の積み増しが非常に行なわれておるというような状況で、大蔵大臣との間にも、まあできればこの国会に立法をお願いしなければならないという差し迫った問題が起こっておるわけでございます。これもなかなかたいへんな問題でございますので、私が参りますという報告を変更しまして、これはもともと外務省が一番大きな窓口でございますので、前外務大臣愛知さんにお願いをするということに最終的には政府で決定をしたわけでございます。実際、いま申し上げたような理由であり、UNCTADを重視をしないというようなものではない。私よりももっともっと強力な前外務大臣が出席をするというところにひとつ思いをいたしていただきたい。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 この国会審議の都合ということがありますので私もひっかかるんです。はっきり申し上げて、今国会の当初からの政府のもたつき、これはもう会期の初めからあった。例の空白国会があったときにも、その最中にも大張り切りで通産大臣はUNCTADへの準備を進めておられた。まあ聞くところでは、中国側の代表が対外貿易省の次官ということになったということで接触がやりにくくなったと、こういうことがあったのか。それとも、今後の政権、いわゆるポスト佐藤ということなのか。そういうところで、いずれにしても、重視すると言っていながら閣僚を送らないという外交感覚が私はわからないわけなんです。  これは通産大臣と外務大臣とからお答えをいただきたい。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中角榮君) 愛知代表にかわりましたのは、あなたが御指摘をいたされたいずれでも全くない。これはもういまこの国会で一番問題になっておる一つだと思いますが、外貨が二百億ドルに積み増された場合、一体どうなるのか。これはほんとうに中小企業等を預かっておる通商産業省としては、最も大きな問題に直面をしておるわけでごいます。またヨーロッパに対しても、各国五〇%以上対前年度比がふえておるということで、輸出の問題に対しても相当な問題が起こっております。アメリカ側からも個々の問題でまあとにかく閣僚ベースの折衝はしない。一年休戦ということがきめてあるわけでございますが、しかし、閣僚が出なければならないような問題が毎日のように起こっておるわけであります。きょうもまた陶磁器に対して自主規制を行なわなければ云々という申し入れもあったようであります。そういう非常に通産省自体として考えなければならない問題がたくさんありますのと、もう一つは、いま申し上げた、この国会で重要な法律案を何とか御審議をいただきたい、いただかなければならないというせっぱ詰まったものでございまして、いま御指摘のような事情では全くないということを御理解いただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 本件につきましては、何か裏の事情でもあるかのごときお尋ねでございますが、さようなことは一切ないので、いま通産大臣からお答えしたとおりでございます。まあ各国ともかなり有力な人が出ます。そこで前外務大臣として国際的に名の通った愛知前外務大臣、これはりっぱな代表であると、かように確信して選考されたと、かように御了承を願います。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 この第三回の総会に臨む前に、ここに持ってまいりましたけれども、九十六カ国の南側諸国が昨年十一月リマで集まって、リマ憲章をつくった。十分な作戦を練られたわけです。そのリマ憲章の中に基づいて政府の準備を私は伺いたいんですが、一つは、先ほど話があった援助の量の問題であります。いわゆる開発援助委員会——DACですね一そこの加盟国全体の七〇年の援助実績は、対GNP比率〇・七四%と前年の〇・七五%を下回った。しかも、一方でアメリカが昨年七月のニクソンの新経済政策、それで一〇%の援助削減措置をとった。こういうことで援助は伸び悩みということで、南側の諸国が、どうしても援助拡大を望むのが今回は猛烈に真剣になろう。先ほど大臣が言われた三番目の問題はものすごい問題になると思うのですが、この政府開発援助を、GNPの〇・七五%、こういうことに高めていこう、こういう考え方が示されているようなんですけれども、政府の正式決定か、あるいは政府はどういう方針で臨むのか、そこのところをひとつ。  それから、大蔵当局は、そういうのについて強い反対であるということでありますが、その点はどうなのか。この点、外務大臣と大蔵大臣からお伺いしたいのですが。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) まず、量の問題でありますが、総量につきましては、七一年度におきましては一つまり昨年であります一わが国は〇・九五%の援助をしておる。一九七五年までに、GNPの一%をということが、この会議の期待でございまするが、もうすでに七一年度においてそこまでいっている。これは私は胸を張っていい問題である、こういうふうに見ております。  第二に、その中における政府開発援助の量ですが、こっちは胸はあまり張れないのです。いま七一年度について申し上げましたが、これは〇・二二%、こういうことであります。先進国の平均を見ますと、これが〇・三四になっておるのです。平均よりもわが国ははるかに低い、こういうような状態でありまするから、この点は改善をする必要がある。  開発途上国の期待は一体どうなんだというと、総量は一%、そのうち政府開発援助のほうは〇・七%だと、こういうことになっておるわけですが、まだ正式の決定があったとか、こういう数字のものじゃありませんです。しかし、おそらくこの問題が論議されるだろうと思う。ところが、政府開発援助となりますると、税のほうに直結をしてくるのです。数字はちょっと私ここでさだかに覚えておりませんけれども、七〇年度におけるわが国の政府開発援助は〇・二三であります。そして千億円をちょっと額にするとこえるというような状態です。ところが〇・七%がかりに一九七五年において達成するというと、これはGNPがどういうようになっておるか、その関係もありますが、まあ大方平均的に見まして伸びていくというような見方をした場合における政府開発援助の総額は幾らになるか。まあ九千億という数字もありますし、八千億という数字もあるし、一兆円になるだろうという数字もある。それだけがもろに財政負担、租税負担という形になってくるものですから、これは大蔵大臣が非常に慎重になる問題である。これは大蔵大臣とすると、そういう態度をとるのは私は当然だろう、こういうふうに思いますが、しかし、私外務大臣として考えまして、まあいま今日の状態が、世界の先進国の平均が〇・三四%であるというときにわが国が、とにかく国策の最大のものの一つとして、海外経済協力ということを言っている。そのわが国の政府開発援助が〇・二二%じゃ、これはまことにぐあいの悪い立場に立たされるんじゃあるまいか、そういうふうに考えまして、今度のサンチアゴの会議におきましては、かなりこの問題について前向き、積極的なかまえをしなきゃならぬだろうと、こういうふうに考えておりますが、それをどういうふうに表現をするか、これはあしたあたりから関係閣僚間で相談をいたしますが、特に大蔵大臣の意見なんかをよく聞いてみなきゃならぬ。最終的にどうするか——。しかし、私が先ほど申し上げましたように、とにかく積極的かつ勇気ある態度を示す必要がある、こういうふうに思いますので、その線できめていきたい、かように考えております。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 私が何か反対というお話でございましたが、まだ、明日ごろから政府の中で、閣僚で相談しようということになって、まだ反対も賛成も私はいまのところしておりません。ただ、いわゆる対外八項目について、いろいろ私どもが政府の中で論議いたしましたときには、せめて〇・五ということぐらいを目標にしたいということがございましたが、しかし、これはいま外務大臣が慎重と言いましたが、私どもはここで慎重になりましたのは、日本のいまの国際収支が、これは正常の場合の状態ではない、異常な場合であって、この黒字基調というものは決して正常な現象ではないということを私どもは見ておりますので、ここでいかにも約束をすることはこれはいいようでございますが、これが実行できたいというようなことになったときの影響というものは、非常に逆になるものでございますので、心配のない、確信のある程度の約束を国際間でしていくことがいいんじゃないかというふうに考えまして、そうしますというとDACの平均が〇・三四ぐらいのところへいっていますから、各国の平均までは日本は至急持っていく、これを目標にして協力するということぐらいがいいんじゃないかというようなことを、これは八項目のときにきめたいきさつがございますので、したがって〇・七ということをかりに開発途上国側の要求があるからといって、GNPが非常に多くなる、伸びる日本から考えたら、これをそう簡単に約束できるかということを私どもはいまでも非常に心配しております。特に私は、昨年通貨交渉を各国とやっておる経験がございますが、その場合に、日本に国際収支の余力をこれくらいは与えてくれなければいかぬ、当然日本はこれくらいの経常収支の黒字の余裕を持つべきだと言って、私は対外援助についてこれくらいの援助をしたい、それは日本の余裕として認めてくれなければ話にならぬじゃないかという交渉をしたときに、各国は、それだけもし認めるとしたら、そのあとの黒字とういものを全部各国に供出してくれるように、それだけの通貨調整を日本はやるかというところまで各国に迫られたいきさつもございますので、そういたしますというと、今後なかなかこれからの経常収支の余裕というものが、どれくらい将来日本で見込まれるかということを考えますというと、余裕の出たときには、どんどん対外援助をすることはけっこうで、私は政府開発援助も、各国が期待する以上の援助をしてもいいと、援助については非常に積極的でざいますが、しかし、そういう問題があるときに、将来非常に大きい義務を負担することでございますので、それをああいう場所で約束するというようなところまで踏み切るほうがいいかどうかということについては、私はもう少し慎重に考えてもいいという、いま気がしておるというところでございます。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 これは総理、会議前にこういう関係閣僚会議を開いて、日本の方針を確定し、内外に発表して臨む、こういう御決意はございませんか。そういう必要があると思いますが。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) わが国は、このUNCTADに臨むにあたりましては、いろいろ対処方針をきめなければならぬわけであります。それをきめた段階で発表いたしまして会議に臨むのがいいのか、あるいは会議の場においていろいろ空気もありましょう。それを見ながらこれを発表するということがいいのか、これはなお検討を要する問題かと、こういうふうに思いますが、いずれにいたしましても、わが国の立場が各国によく理解されるようにというために最善の手続を選ぶべきである、こういうふうに考えております。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 援助量と一緒に質的向上ということで、リマ憲章の中では、七五年までにひもつき資金援助を撤廃するためのタイム・テーブルを示せといわれている。日本の商品や役務の購入とか使用、これを前提としたようなひもつき援助というものが、日本の援助をして非常に悪評にさせている一番のものになっているわけですが、政府はどう対処するか、この点、伺いたい。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) ひもつき援助につきましては、これがまた国際社会で非常に先進国が批判されるんです。わが国におきましても、そういうひもつきというか、わが国の輸出と直結する借款方式、そういうことをやってきたわけでありますが、これは先ほどお話がありましたが、軌道をもう修正しなければならぬと、こういうふうに考えておりまして、今度のUNCTADの会議でこの問題が話題になりますれば、わが国としては、他国の動向もあります、それも見なければなりませんけれども、他国が大体そういう方向でありますれば、わが国といたしましても原則的にこれを了承する、こういう態度で臨むべきかと、かように考えております。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 そうなりますと、現在の輸銀法あるいは基金法というのがこれはひもつきになっておりますから、それを改正する必要があると思うんです。改正案はいつごろ国会に出るようになりますか。

木村俊夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(木村俊夫君) 先ほど外務大臣からお答えしましたとおり、一般的なアンタインが協定といいますか、ひもつきにしない協定がいまDACの場で検討されておりまして、わが国も一般的にはこれに賛成しておりますし、いま外務大臣がお話しのとおり、今回のUNCTAD会議で国際的にそれが認められれば、それに応じて経済協力基金法も改正しなければいけません。いまのところは、そういう国際動向を見定めてから態度を決定したい、こう考えております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 関連。  先ほど来ずっとこのUNCTADの問題について議論がございましたが、あしたから実際政府の姿勢をきめる、こういうことを言われておりますが、非常に重要な会議に対する政府の臨む姿勢が、あしたからでは、約一週間しかありません。私は非常におそいと思います。先ほどから外務大臣は、積極的にしかも勇気ある態度、あるいは、いまは日本の態度を理解してもらうようにする、こういうことを言われておりますが、先ほど来の答弁を聞いておりますと、問題点の指摘だけにとどまっておりまして、政府としてどうやるか——もちろん、こまかい点まで、いろいろ外交交渉でありますから、いまごろからやっておくと、いろんなリアクションが行なわれてまずい点があるかもわかりませんが一やはり基本的な方針だけは明確にすべきではないかと思うわけです。  大臣があげられた第一番目の通貨問題についてお伺いしたいのですが、まず第一番目の通貨問題で、一つは、SDRの問題についていろんな考え方があります。アメリカのブルッキング・インスティチューションあたりでやられている考え方、あるいは発展途上国の言っておるような主張、わが国としてはSDRをある程度一定割合を援助に振り向けるという考え方を今回明示されるかどうか、この辺、いわゆるSDRと援助のリンクという考え方、この点はお示しになる気があるのかどうか、これが一つです。  その次に、国際通貨の論議に発展途上国を参加させることについてはどうお考えか。これはアメリカが、IMFのいわゆる十カ国を二十カ国にするとか、いろいろな考え方もありますが、この国際通貨論議に発展途上国を参加させる方向なのか、それは否定されているのか。  第三番目には、通貨調整によって発展途上国は、経済損失が行なわれた。それに対する補償問題が大きな議論になると思いますが、これに対する態度。  この三つを含めまして、これは外務大臣でも大蔵大臣でもけっこうです。  最後に、もう一点総理にお伺いしたいのは、中国の参加が非常に大きな問題となるわけです。中国は、御存じのように、国連の総会における代表の演説でも明らかなように、発展途上国を完全に擁護する立場をとっております。日本の場合は、そちらの立場を完全にとることが妥当なのかどうか、これは非常に議論のあるところだと思いますが、私はやはり、日本もある程度中国のような自力更生のできる経済の仕組みになっていない。そういう点から考えて、やはり先進国と開発途上国との間のいろいろな主張の調整役に回るというふうな立場が一番いいんではないか。その上に立った上で、援助においてはむしろ日本がリードしていく、こういう立場が最も好ましいのではないか、こう考えますが、これからの経済外交の基本方針というものをいままでとは違った方針で臨むべきであると、私はこう思いますが、その点をお伺いしたいと思います。  以上です。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) まず、SDRにつきまして、その配分にあたりまして開発途上国の立場を考慮するか、こういう問題であります。これはIMFがそのうちにSDRをどういうふうにするかということの検討が始まると思います。そういう問題をIMFの検討題目とするということぐらいは議論されると思いますが、もとよりわが国といたしましては、これに前向きでこたえるべき問題である、こういうふうに考えます。  それから第二に、通貨調整に開発途上国の発言を認めるか、こういうお話でございます。これは私は、わが国の立場としては、そういう方向でこの会議で対処してまいるべき問題である、こういうふうに考えます。  それから第三に、通貨調整に伴う補償問題です。この補償問題につきましては、おそらくこの会議におきまして、全体として補償問題の論議ということは、事の性質上起こり得ないのではないか、そういうふうに考えます。つまり、ただ二国間におきましてそういう問題が起こり得る。そういう際におきましては、わが国は補償という考え方はとりません。とりませんけれども、通貨調整に伴いましてわが国が借款を与えておるその相手国の立場等を考慮いたしましていろいろ適切な対策をとっておると、こういうような状態でございまして、いま、わが国が借款を与えておる国あるいは賠償を支払う国、そういう国々との間にそういう弾力的な応対をしておりますので、何ら、何といいますか、支障があるという状態ではございませんです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) UNCTADにおいて中国の立場、これは中国みずからが選ぶ立場でございます。私どもは、いままでとってきておる態度が異なりますから、その態度を持続していく。ときに仲裁もすることがあるだろうし、あるいはまた何どきにDACの精神に基づいて協定を推進する場合もあります。いずれにいたしましても、このUNCTADが十分発展途上国にも協力、そういう実をあげるように私は運営さるべきだと、かように思っております。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 これは総理に伺いたいのですが、金利の条件で、リマ会議では、政府ベースの借款は金利二%以下、返済期間が二十五年から四十年、据え置き期間が七年から十年以上と、まあこういうふうに決議をしている。  それから、七〇年のDAC加盟国の約束した政府ベースの借款の条件は、金利が二・七%、返済期間が二十九年と八カ月、据え置きが七年六カ月と、こうなっているわけです。わが国の場合は、その条件のいずれにも劣っているわけであります。今度の会議で新たな条件を提示して、開発途上国の要求にこたえていくと、こういうようなお考えはないかどうか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) お話のように、わが国の援助条件というのは、他の国に比べまして、かなりまあ劣悪であると、こういうのが実際でございます。これはどうしても改善を要すると、こういうふうにまあ考えますが、これも一挙にというわけにはなかなかいかぬだろうと思います。あるいは法の改正を要するという問題も出てくると思いますが、これは逐次、かなりまあしかもスピードをもって改善していくという方針でございます。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 次、非関税障壁の問題ですが、数量制限をわが国は輸入についてやっております。そういうことで、農産物などについてもいろいろ非難があって、このリマ会議では農産物などの支持価格制度、それ自体がすでに非関税障壁である、こういうような非難がもうすでに出ております。つまり、第一次産品に対しての支持価格制度についての撤廃ということの要求が出ております。はっきり申し上げて、一般特恵をやりまして、それによって利益を受けるのは、比較的生産力の進んでいる国であります。アフリカのような一次産品だけにたよっている国というのは、そういう後発グループはほとんど恩恵に浴してこない。そういう点から、この農産物などの支持価格制度が、非関税障壁であるという論議がかなり強くなってくるわけであります。あるいは一次産品についてもそうでありますが、その点、農林大臣、通産大臣にお伺いしたいと思います。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中角榮君) 今度のUNCTADの会議では、いま御指摘になったような問題、たいへん大きな問題になると思っております。百三十二カ国のうち百二カ国が開発途上国でございますから、これは圧倒的な勢力でございます。ケネディラウンドの推進を行ない、今年一ぱいには終了するということで、新国際ラウンドを提唱し、基本的にはこれに賛成をしているわけでございますから、一次産品の自由化、輸入の促進ということは、国としては基本的にはもうきまっておるわけでございます。  ただ、御承知のとおり、国内産業の影響をできるだけ軽微に食いとめながら、順次自由化をしていくということになるわけでございます。  まあアメリカなどに比べて、まだ一次産業比率は非常に高いわけでございます。農業比率をアメリカの四・四%、拡大EC十カ国の平均六%に対比する数字は、一七・四%という高い比率であるわけであります。そういう意味で、一次産品の自由化というのは、もう当然やらなければならないことではありますし、また物価の抑制その他にも寄与するものではございますが、国内状況の対応策を十分考えながら、基本的にはこの問題に対しては協力をしていくということは当然だと思います。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 開発途上国の輸出関心のある品目は、大体熱帯産品でございます。でございますので、わが国の農産物に対して価格支持制度をわが国で持っておりますけれども、これが著しく非関税障壁になっているというふうには私ども考えておりませんので、こういうことは、UNCTADにおいてもよくその実績等を強調して、理解を得たいと思います。  もう一つは、開発途上国の輸出関心品目に対しましては、日本の農産物につきましても、日本でも、農産物関係の自由化を相当近年進めてまいりまして、また特恵関税の供与等、関税の引き下げも進めておりますので、現実に輸入は増大しておるような状況でございます。こういうふうな状況をよく会議において理解を得て、そうして開発途上国の輸出収益の増大をはかるようには、私どもも十分考えていかなくちゃならぬと、こういうように思っておる次第でございます。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 先ほど外務大臣から、いわゆる為替差損のことでちょっと出ておりました為替補償のことですが、いわゆる二国間の問題で、いまのところはうまくいっているというようなお話であったのですが、これは円借款の場合も同じように、経済援助を通じて、金もうけをしているというような非難が出ているわけです。この点で、両方とも私どもは、相手国は、いわゆる内容というんですか、価値が減らないということを向こうは求めておるわけでありますので、そういう点でいくと、これはどうしても思い切った措置をとらなきゃならない。そういうことをやるべきだと、こういうふうに思うわけでございます。その点についての考えを承っておきたいと思う次第であります。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) わが国は、先ほどから申し上げておりまするとおり、もう軍事力を持たない。その余裕というものがあるんです。ですから、それはどうしても国内のおくれた建設をやるわけですが、さらばといって、国内のことだけ考えておるんでは、重要資源を持たない、重要資源を世界中から求めなければならぬわが国といたしますると、わが国のことだけを考えているわけにはいかぬ。油のことを考えましても、アラビア諸国が安定しておりませんと、その石油も順調に入手できません。また世界中のおくれた国々が繁栄、発展しませんと、わが国の商品も売れないと、こういう立場にありまするから、これはそういうわが国の立場を考えましても、これは思い切って対外経済協力、これを通じまして、また、世界の繁栄、発展をはかると、こういうことを強く実践していかなければならぬと思います。そういう考え方を持っておるんですが、今回のUNCTADの会議、これは非常に重要な会議でありまするから、まああらゆる問題につきまして、積極的な姿勢で取り組みたいと、こういうふうに考えております。

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) 以上で、鈴木君の質疑は終了しました。(拍手)     —————————————

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) 次に、大橋和孝君の質疑を行ないます。大橋和孝君。(拍手)

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 先ほど来からずっと問題になっております、外交の秘密を漏らしたというこの問題でありますが、国家公務員法の違反で事務官を逮捕し、あまつさえ国家公務員法の不当な拡張解釈で、報道の自由を憲法で保障されている記者に対しましても逮捕しておる。非常に暗い、戦前の報道管制につながるような大きな問題だと思うわけでありますが、政府は外交の秘密というこの事件は、実際からいえば、私は秘密でないのじゃないか、こういうふうに思うわけでありますが、その点をひとつお伺いいたしたいと思うわけであります。特にこの経過から申しまして、協定を結ぶまでの経過、その間に起こったことは、その間においてはあるいはそれが秘密としておかなきゃならないかもしれないが、協定ができてしまえば、もうその間の経過は、経過であるというならば、別にこれは秘密ではなくなっていいんじゃないか。もし、秘密であるとするならば、やっぱり経過ではなくて、密約だと、こういうふうに解釈をしなきゃならぬので、いままでの論議を聞いておりますと、一体どちらなのか。  それからもう一つ、私はここで聞きたいのは——いまの点を一つ聞きたいと思いますが、同時にまた、もう一つ聞きたい点は、一体秘密という取り扱いにするのはだれがするのか。聞くならば、たとえば、外国の新聞に出ている記事の電報を報道する場合に、秘密の判こをぽんと押してくると秘密だと。これはもうむしろ、外国雑誌あるいはまた、外国の新聞に出ているようなものだったら、ほんとうに現実的にそれを秘密として取り扱っていいのかどうなのかというのは、私は問題があると思うんですね。それがみな秘密で来ているわけです。だから、こういうことから申しますと、秘密の真実性というものを考えてみたら、一体それは秘密であるのか。これは何もかも、マル秘が押してあればこれがみな秘密だとするならば、それをまた、かってにきめていくならば、これはもう言論統制がそれでできるわけですね。もうぼんぼん押したらいいわけだから。こういうことでは私は相ならぬと思うんでありますが、一体秘密だということを決定するのは、だれがするのか。それからまた、それの問題が過程であるとしたら、秘密じゃないと思うんだけれども、それはどうか。その見解をちょっとお伺いしたい。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) まず、外交交渉の経過の問題でありますが、これは、経過は大体もう国際慣例としてこれを公表しないと。問題は、その結果が大事なんです。結果について裏取引があって、そうしてそれを公表いたしませんと言ったら、これはまさに秘密外交であります。そういうことは一切いたしておりませんということは、はっきり申し上げておるわけです。経過につきましては、あとになって、まあ、両国の間で発表してもいいじゃないかと、こういうようなことがあれば、これは発表してもいいと思います。ただ、問題は、今度のケースで言いますると、電報が漏洩している。この電報の漏洩ということは非常に重大なんです。つまり、これは暗号の解読、こういうものにもつながっていきまするので、この電報自体が漏れるということに、また重大な問題があったわけであります。  それから第二に、秘密ということは一体だれがきめるんだと、こういうお話でありまするが、これは、文書の主管局長というものがありまして、そしてその局長がきめる。そして実際上、場合によりますると課長がその局長の権限を代行すると、こういうことがあります。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 いまの、今度の問題は、何か電文を解読するとか、電文だからと言いますけれども、それは、いま私申したように、向こうで出ている新聞の記事を電報で打ってくる場合もあるわけですね。これはもう半ば——まあわれわれ外字新聞を読んでない場合は知らないかもしれないけれども、もう公になっている事柄も電報で来るような場合がある。今度の場合を考えてみますと、経過が済んでしまって、協定ができた段階では、その間の事柄は簡単に、秘密ということを解いてもいいじゃないか。たとえば、いまおっしゃるように、課長かなにかがぽんと判こを押したら、これは永久に秘密であるかどうか。その内容を検討してみて秘密でないものは、ある程度、知る権利として、また自由なニュースソースとして提供してもいいじゃないか。そういうことから考えますと、実質的にこの問題を一たとえば総理はこれを見られて、そしてそんなに秘密に置かなくてもいいものだと——私はそう思うんですが、総理も同じような見解を持っておられるのかどうなのか。ただ電文をあれしたらいけないというんじゃなしに、私はむしろ、こんなものは、秘密として云々をして、しかも記者を逮捕する、ことに憲法で認められて、ニュースをキャッチして、そして国民に知らせようとする重大な役目を持っておる記者に対して、そんな追い打ちをかけてやるというようなことは、ぼくはもう必要ないんじゃないか。この時点で、もう一ぺん考え直してみて、あまり大きな秘密性がなかったら、何もそれほどしなくてもいいじゃないかと思う。それを拡大して解釈してやることはむしろ言論統制であるし、また、そういうようなことにつながっていくと、私はそういうふうに解釈するんですが、そこのところはどうですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 問題になっているケースは、電報が打たれたその日のできごとの問題なんです。電報が打たれた、その最後のまだ手続が終了しない段階において、電報そのものの原議が漏洩をいたしたということであって、あとで漏れたと、そういうケースじゃないんです。これは重大な機密漏洩であると、そういう感覚であります。私は、言論の自由はほんとうにわが国において大事なことだと思います。これはどこまでも貫き通さきゃならぬ社会原則である、国家規範であると、こういうふうに考えます。しかし、同時に、他方において国家機密という問題があるわけでありまして、これが漏洩されたら一体どうなるか。  いま問題になっておりますのは外務省の問題でありまするけれども、交渉の経過が一々漏れて、それで一体外交交渉ができるかと、こういう問題があるのです。また、そういうものが漏れるというような状態で、相手方がこれから先日本との交渉に信頼性をおくかと、こういう問題もある。これは非常に重大な問題なんです。そういう角度で、わが外務省といたしましては、再びそういうことが起こらないようにいたしたいと、こういうことを念願をいたしておる、さように御理解を願います。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 外国なんか見てみましても、アメリカだって、イギリスだって、もうある程度たったら、協定交渉中の問題は、何と言いますか、秘密でないとしてあとから公表しますね。ことに、スウェーデンなんかの様子をちょっと調べてみますと、これは、公文書であっても、国民にコピーをして渡しているようなんです。ことに公務員は協力しなけりゃならぬというような規則にしているですね。しかし、いま、あなたは非常に重大だ重大だと言われますけれども——私は公務員のやっていることは別にします。新聞記者があとから行って聞いたりするような事柄を、またここにも同じように拡大解釈をして、ばちっとやるところに問題がある。こんなことがじゃんじゃんできるなら、いま私が申したように、暗黒時代になっちゃうじゃないか、みな押えてしまうのだから。ことに国民の知るという観点からいって、ニュースソースから考えるならば、こんなところは拡大解釈すべきだと思うが、どうですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 本件につきましては、外務省といたしまして、西山記者に対しまして告訴するとか、告発をするとか、そういう行動はとっておらないのです。ただ、蓮見事務官の問題が起こる、検察側で調査してみますと、どうしても国家公務員法違反だと、こういうことになる。そうすると、それに関連をいたしまして、これを幇助したかどうか、あるいは教唆をしたかどうかと、こういう問題が起こるのであります。その辺を警察当局がいま調べておると、こういうことでございます。

松井誠日本社会党

○松井誠君 関連。いまの問題について、関連して少しお尋ねをいたしたいと思います。  この問題の本質は、あくまでも言論の自由の問題、−表現の自由の問題であって、焦点をそらすわけにはいかない。しいてそれをそらそうとしておりますけれども、私は、そらすわけにはいかないと思う。しかし、たとえば、その前段の問題として、いま大橋委員から話があったような国家公務員法の、いわゆる職務上の秘密とは何なのかという、その問題が、事実上あるいは論理上それに先行する問題であります。そういう意味で、私は、このいわゆる職務上の秘密という問題について少しお尋ねをいたしたい。  一体、この秘密というのは何を意味するかという法律的な議論については、いろいろ議論があります。つまり、形式的に「極秘」の判を押してあればそれで秘密であるのか、内容が実質的に秘密である必要があるのか、あるいは双方の条件が必要であるのか、いろいろ法律学者の間にも議論があり、判決もまちまちであります。その法律論を私はいまここで言おうとは思いません。これは、あとで同僚議員が詳しくやるでありましょうし、私も別の機会にやるつもりであります。しかし、私はいま、法律論にわたらない範囲でこの点をお尋ねをしたい。  政府は、職務上の秘密だということを当然の前提としておる。いまの外務大臣の答弁でだいぶわかりましたが、政府がこれを職務上の秘密だと考えておる根拠は何なのか。実質的な理由も——実質上の職務上の秘密であるということが必要な条件だともし考えておるとすれば、その秘密であるという実質的な理由は何なのか、このことをもう一ぺんはっきりさしてください。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私は政府全般について言うわけじゃないんです。外務省について言いますが、外務省でいう機密とは、外務省においてこれは漏れてはならぬと、こういうふうに判断したものですね。それが秘密であると、こういうふうに申し上げるほかはないのであります。

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) 松井君に申し上げますが、関連でございますから、意見はつとめて控えて、質問をお願いいたします。

松井誠日本社会党

○松井誠君 質問の前提の理由を述べなければ、お答えをするほうが困るだろうと思いまして私は意見を述べておる。  そこで、いまのお話ですと、秘密であるというものを認定するのは、具体的に言えば外務省だ。私は、そうではなくて、客観的に秘密であるということがどうしても必要だと思うんです。その理由は簡単です。それは、矢山委員がきのう言ったように、秘密だと外務省が認定をして、極秘の判こを押す、そのことによって秘密だということになれば、まさに政府に都合の悪いことは、みんな秘密になる。これは明らかにファシズムですよ。そのことをほんとうにチェックをしようとすれば、客観的に秘密だという実質的な条件がどうしても必要なんです。そう思いませんか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) この秘密と認定したものが秘密なんです。しかし、その認定が妥当であるかどうか、これは妥当でなければならぬと、こういうふうに考えます。妥当であったかどうかにつきましては、いろいろ御意見もありましょう。ありましょうが、結論的に申し上げまして、外務省でもその秘密認定が妥当であるかどうか、これは判断するわけなんです。その判断をいたしました結果、これは伏せておかなければならぬ問題であるという認定をいたしますれば、それが機密になる、こういうことでございます。

松井誠日本社会党

○松井誠君 具体的に、いまの場合、このいわゆる秘密電報というものが、実質的にどういう理由で秘密なんですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これが漏れるというようなことになりますると、外交交渉の執行に支障を生ずると、そういう見地からこれを漏らすことはできないと、かように認定したわけであります。

松井誠日本社会党

○松井誠君 御答弁が非常に抽象的で意味がわかりません。  外交交渉の執行に支障を来たす——具体的にはどういうことですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) しばしば申し上げておるんですが、外交交渉のやりとりです。これはいろんなことがある。それが一々部外に漏れるというようなことでありますると、外交交渉というものはできない。つまり、相手方も、もう話さなくなっちゃうというようなことも考えなければならぬと、かように存じます。

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) 大橋君。

松井誠日本社会党

○松井誠君 委員長。

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) 関連でございますから……。

松井誠日本社会党

○松井誠君 そうしますと、外交交渉上の、外交交渉が終わったあとでは秘密でなくなるということも当然考えられる。一つの秘密というものが時期によって秘密でなくなるということも当然考えられる。これは、大臣の答弁では、当然の前提として私は考えておられると思いますけれども、そのように理解してよろしゅうございますか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) ですから、機密につきましても、いついつまで機密だと、こういう扱いをすることもあります。永久に機密だという扱いをすることもあります。まあ、外交交渉などのやりとりですね。これは大体相手国との了解を得なければ公表できない。そういう意味において期限づきとは言えないものが多うございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 それじゃ、吉野局長にちょっとお尋ねしたいと思いますが、この法律ですね、ディスポジション・オブ・トラスト……。

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) 吉野局長、来ていますか。

上田哲日本社会党

○上田哲君 関連。

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) 上田君、簡潔に願います。

上田哲日本社会党

○上田哲君 総理は新聞倫理綱領について見解を示されました。この点について御質問を申し上げます。  総理の新聞倫理綱領に対する御見解は、結論を言えば、憲法レベルで保障されている知る権利という基本権を法律論に矮少化しようとするものだと私は思います。  まずその一点は、この新聞倫理綱領によりますと、第一項に確かに「公共の利益を害するか、または法律によって禁ぜられている場合を除き」ということがあります。この点を玉置委員は御質問になり、総理はこれにお答えになったわけでありますが、この場合の解釈は、つまり、「法律によって禁ぜられている」ということばの意味は、法律によって制限されることはあり得ると、こういう一般論でありまして、この一般論が直ちに国家公務員法をさすものではないと考えるわけです。その点の御見解を、まず明確にしていただきたい。  二番目に、新聞倫理綱領は、あるいは御存じのように、昭和二十一年七月二十三日に制定されているものでありまして、国家公務員法の制定はその一年あとであります。したがって、報道の自由と行政機密との関係を予想しての国家公務員法の制定ではありません。さらに、ここでいう秘密とは、行政上の秩序維持を目的としたものでありまして、新聞記者の刑事責任を対象とする秘密ではないと解するのが通説であります。この点について御見解を明確に伺いたい。  第三に、国家公務員法にいう行政機構の保全の規定というのは憲法レベルの基本法益を侵すものではあり得ないのでありまして、そこで、ただいまの御答弁でありましたけれども、それでは国益をだれがきめるのかということを、まずきめてかからなければなりません。百歩を譲って、政府は秘密を設定することがかりにできるとしても、国益の基準を一方的に設定することはできません。益の基準を一方的に設定するものが国家公務員法であるとでもいうのでありますか。国益の基準を設定するものが国家公務員法であると考えられるのかどうかを明確にしていただきたい。  最後に、この新聞倫理綱領は、戦前・戦中の激しい報道統制に対する解放宣言でありまして、報道の範囲を制限することを主眼としてつくられたものでは断じてないのであります。総理の言われるように、いやしくも新聞倫理綱領は新聞社みずからのつくったものでありますが、まさに新聞社が、あの統制から脱する自由の宣言であったことを銘記していただきたいと思います。総理の御答弁では、新聞倫理綱領が守られて、取材の自由の限界と報道の限界がきびしく守られていれば今日の問題は起きなかったと本日御答弁になったのでありますが、しからば、その新聞倫理綱領が守られなかったと言われるのは、一体何をさすのでありますか。具体的な例をあげないで抽象的な批判をすることは、無責任な中傷以外の何ものでもありませんし、この法規をさか手にとった、倫理綱領をさか手にとった報道の自由への挑戦であると思います。総理が言われる、倫理綱領が守られなかったという御発言の具体的な事例をあげて御説明をいただきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) この倫理綱領の問題は法制局長官から説明させます。(発言する者多し)

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) お答え申し上げます。  ただいまの御質問の中には法律論が……(発言する者多し)法律論がかなりございますので……。

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) お静かに願います。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) 法律論についてお答えを申し上げます。  法律論の中で、法律論に関連して御引用になりました倫理綱領の問題、これは、申すまでもなく、この作成者がどう考えるかということでありまして、われわれが、たとえば内閣法制局長官が倫理綱領の解釈を権威をもって立てられるものではありません。それは申すまでもあり……(発言する者多し)申すまでもありませんが、御質問の中には、それを……。

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) お静かに願います。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) 離れた、大体報道の自由なり、あるいは知る権利なり、あるいは取材の自由なり、そういうものが法律によって制限されることはあり得るのかという問題は、倫理綱領の問題を離れて客観的に存在し得る問題であります。したがって、その問題については……。(「もうやめなさいよ」と呼ぶ者あり)その問題については私がお答えをしなければなりません。むろん、ほかの、第三点でございましたか、公務員法上の制限は憲法レベルの基本法益を害し得ないのではないかというようなこともございましたが、憲法による基本的人権といいますか、の制限は、法律によってこれを制限をするのが当然のことであります。その法律、基本的人権の内外的制約といいますか、あるいはこれを外部的制限といいますか、その言い方はいろいろありましょうが、その制限が法律をもってなされることは当然のことであります。したがって、簡単に法律によってできないという前提に立っての御質疑は当たらないのではないかというふうに考えるわけであります。(「高次の政治判断だから、もうやめなさい」と呼ぶ者あり、その他発する者多し)一応、法律の基本的な考え方……。倫理綱領について御質疑がございますが、倫理綱領については、内閣法制局のみならず、政府としても同じことでありますが、倫理綱領の中身について説明をしろ、あるいは法律的な解釈をしろといっても、それは無理でありますが、しかし、倫理綱領の中に盛られた「法律によって禁ぜられている場合を除き、」という、一般論としては、いま申し上げたとおりに、基本的人権、あるいは自由、あるいは権利の制限というものは、すべて法律によってなされるというのがあたりまえであります。国家公務員法の百十一条には、秘密を漏らした場合に、そそのかした者もまた犯罪になっておりますが、法律を執行するのは、誠実に処理するのは政府のつとめでございます。したがって、国会がおつくりになった法律の施行の衝に当たる政府としては、その法律の定めるところに従ってものごとを処理するのが、これは当然のことではないかと考えております。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 法制局長官から答えさしたら、ずいぶん答えになっていないということで、おしかりでございました。しかし、やっぱり静かに聞いていただくことが何よりも大事なことじゃないかと思っております。  ところで、この倫理綱領でございますが、新聞倫理綱領、三十年五月十五日に補正されておりますね。だから、これも制定されたときは二十一年でございますが、三十年に補正されておると。これはそのとおりですね。

上田哲日本社会党

○上田哲君 そのとおり。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) だから、ただいまの公務員法が入るか、入らないかという、この公務員法を制定したとき、その前にこの倫理綱領ができていたと、こういうことは当たらない。

上田哲日本社会党

○上田哲君 補正個所が違うじゃないですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) そして、この補正でもですよ、補正いたしましても、第一条で、第一に、「新聞の自由」、「公共の利益を害するか、ままたは法律によって禁ぜられている場合を除き、」と、この点は修正をされておりません。補正されておりません。したがって、二十一年だろうが、三十年だろうが、この国家公務員法が制定されたことには関係なしと、かように御理解をいただきます。そうして、私が具体的にどういう点をあげているのかと、こう申しますと、「報道、評論の限界」、ここが一つの問題でございます。この新聞倫理綱領では、その「ハ」に関する部分ですから、「ニュースの取り扱いに当たっては、それが何者かの宣伝に利用されぬよう厳に警戒せねばならない。」、こういうことが実ははっきり出ております。私は、大体、ニュースの自由、これは新聞社自身が新聞記事として扱うことにおいてのこのニュースの自由、取材の自由が、また、それが言論の自由にもつながると、かように思うのですが、どうでしょうか。ただいま言われるように、あまり新聞には出なかった、他の場所でこれが利用されておる、そういうところに問題が出てくるのじゃないでしょうか。公共の機関として特殊な権利が与えられているのは、やはり国民に伝達してもらいたい、国民は正確な伝達を心から希望しておる、そういう意味から、私はその点をはっきり指摘しておる、かように御了承いただきます。

上田哲日本社会党

○上田哲君 まるきり答えてくれないじゃないですか。しっかりと四点をあげたのですから、きちんとお答えをいただきたい。  まぎれもなく、三十年五月十五日に補正されておりますよ。しかし、総理は算術ができないんですか。国家公務員法よりも前に、これは二十一年の七月にこれが制定をされている。あなた自身がお認めになったように、第一項の問題があるわけですよ。国家公務員法よりも前に、法律に禁止するところであらずんばということが書いてある。そのときには国家公務員法がなかった。したがって、国家公務員法ということを想定をしていないということは、三歳の童児にもこれはわかる論理じゃありませんか。(「何だ、三歳の童児とは何だ」と呼ぶ者あり)三歳の童児にもこれは通らない論理だと言っているのです。あたりまえじゃありませんか。当然の論理じゃありませんか。そういう点について、いまの答弁は完全にさかさまを向いています。

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) ことばを十分注意して御発言願います。

上田哲日本社会党

○上田哲君 はい、わかりました。  総理を三歳の童児だと申し上げたのじゃありませんよ。(「三歳の童児でもわかるじゃないかと言ったんだ」と呼ぶ者あり)ことばを正確に申し上げます。これは論理が全然さかさまであります。そこで、そういう意味で(「三歳の童児とは何ごとだ、そういう態度がいかぬのだ」「だれが総理を三歳の童児と言ったのだ、そんなこと言ってないじゃないか」と呼ぶ者あり)ことばじりをとらえて、よけいなことを言っちゃ困る。——それが一点、いいですか。そして、譲って……。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 一つずつやってください。(「一つずつやりなさい。」と呼ぶ者あり)  いまの一つの問題、第一は、この倫理綱領ができたのが二十一年七月だと、それから後に国家公務員法ができたから、その法律は予定されておらないと、かように言われるのですが、しかし、補正がされたのが三十年でございます。そのときに、補正個所は他の個所で、ただいまの個所は触れておらないと、かように言われる。そうすると、この三十年に補正されたそのときにおける法律は全部入るはずです。かように御了承いただきたい。

上田哲日本社会党

○上田哲君 三十年からあとは入りますよ。しかし、その規定は二十一年からあるのですから、二十一年から新聞倫理綱領は生きているわけでしょう。そうすれば、二十一年の段階で……(発言する者多し)何を言ってるんですか。三十年から新聞倫理綱領ができたわけじゃありませんよ。新聞倫理綱領は二十一年から生きているんですよ、その新聞倫理綱領は。当然ではありませんか。その国家公務員法を想定して二十一年にでき上がったものではない。総理のことばをかりれば、三十年に補正されたときも、二十一年の制定個所はそのまま生きているんですから、そういう立場からすれば、これは制定の当初から国家公務員法を想定しているのではないということが、まず論理的に一つ指摘できる。しかし、内容的にさらに言えば、その国家公務員法の内容は、報道の自由と行政機密との関係を予想するものではありませんし、特に、ここでいう秘密というものは行政上の秩序維持を目的としたものでありまして、新聞記者の刑事責任を対象とする規定ではないのだということは、三十年以降というところに譲ったとしても、通説として私は総理もお認め願えることだろうと思うのです。その点を聞いているわけです。一問ずっとおっしゃるから、一問ずつやりましょうか。ここはいかがでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの、新聞記者の諸君の問題からそれは疑問を持たれておるからそれが聞かれていると、かように私は考えております。疑問がない、こういう状態なら、これは取り調べもしないだろう、かように思います。

上田哲日本社会党

○上田哲君 総理のお答えは、新聞記者の刑事責任を対象とするものだと、そういう秘密という意味を持っているんだというふうに理解をいたします。  これは後の議論にしておきますが、それでは三番目、国家公務員法でいう行政機構の保全の規定というのは憲法レベルの基本法益を侵すものではあり得ない。そこで、国益ということが問題になってまいりましたから、国益をそれではだれが国益だときめるのか、このことをきめてかからなければなりません。そこで、百歩を譲って、政府は秘密を設定することはかりにできるとしても、先ほど来福田外務大臣が御説明になっておられるように、たいへんその辺があいまいであります。しかし、まあ、そのあいまいをカッコに包んで、かりに政府が秘密ということを行政専決行為の中で行なうとしても、しかし、国益という国民の判断に由来するものについての基準は、だれがどういうふうにしてきめるのか、これは、いやしくも国家公務員法によって国益の基準をきめるものではないと私は思うが、いかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これは、まことに残念なことですが、私は、外務大臣が先ほど答えたように、外務省の局長のところで秘扱い、そうでないもの、あるいは期間、永久秘密だとか、あるいはその他の期限をつけると、こういうような扱い方をしている、そのことのほうを支持いたします。

上田哲日本社会党

○上田哲君 よくわかりませんが、時間がありませんから、この議論をあとに譲るとして、国家公務員法というものがその基準をきめるものでもあり得るというような御解釈であったというふうに一応承っておきます。  四番目に申し上げたのは、総理の御答弁の中で、新聞倫理綱領が守られ、取材の自由の限界と報道の限界がきびしく守られていれば今日の問題は起きなかったと本日御答弁になっておられますが、総理が新聞倫理綱領が守られなかったと言われるのは、具体的にどこをおさしになるのか、具体的な事例をあげて御説明をいただきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これは、先ほどお答えいたしましたように、「報道、評論の限界」、その中の「ハ」です。「ニュースの取り扱いに当たっては、それが何者かの宣伝に利用されぬよう厳に警戒せねばならない。」、以上です。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 いまの内容は非常に広範にわたった内容であり、御答弁も非常にあいまいな点もあるので、この点については後刻ひとつ、関連質問された上田君からも話を明確にしてもらって、そうしてその処理のしかたについては理事会でまた御相談をいただく、そういう形でこの問題をひとまず処理をして次に移っていただく、こういうことにしたいと思うので、委員長にひとつその旨取り計らうようにお願いをしておきます。

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) じゃ大橋君願います。——大橋和孝君。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 いま聞いてみたら、吉野局長はいないそうですから、私は事務局のほうにひとつ聞きたい。一点あるわけであります。それは……(「呼べばいいじゃない」と呼ぶ者あり)どれぐらい時間があったら来ますか。

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) 話がついているんだから進めてください。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 じゃ、ちょっとお尋ねしたいと思うんですが、十二月の七日あるいはまた十二月の十三日に衆議院のほうの答弁の中で、吉野政府委員は、あらゆる重要なことに電話で全部済ましたと、だからしてその書類は何にもないんだと、こういうことを言明しておられるわけです。それからまた、この四百万ドルに関連しても、一切そういうような記録はございません、こういうようなことも述べて、いろいろ、いままでには全然ないということを言ってきた。しかし、これはあとから出てきたわけですから、事実は違う。この間、外務大臣は、この問題に対しては、やはりそういうことがあったんだが、それがないとか言うたのが悪かったので、それは言い方が悪かったんだ、言えないと、こう言えばよかったんだという答弁があったわけですが、そうなると、外務大臣も、あったことはお認めになったわけですし、事務的にも私はそうなるんではないか。この吉野局長はこういう事実をほぼ認めておるのかどうなのか、これは事務局側からひとつ一ぺん私ははっきり聞いておきたいと思います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 吉野局長がおりませんので、私からお答え申し上げますが、電報を示しながら、ちらほら示しながら、衆議院の沖繩協定委員会で、こういう事実はあったのかなかったのかと、こういうお尋ねがあったわけです。それに対して吉野局長は、そういう事実はありませんと、こういうふうなお答えをいたしたわけであります。ところが、その事実はあるんです。あるんでありまするから、これはしかし申し上げられませんと、こう正確には答えるべきところであったと思います。それを、存じませんと、こういうようなお答えをいたしたことは、本人もまことに申しわけないと申しておりまするし、私も深くこれを遺憾といたしまするし、なお、総理からも先日の衆議院の予算委員会におきまして、それらの点も含めまして所信の表明をいたした次第でございますので、何とぞひとつ御理解のほどをお願い申し上げたいと思います。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 そうすると、これは、もし議員がうそを言えば、これは懲罰の対象になるわけですね。あれはうそを言って偽証をしたということになって。ところが、政府委員が、これは事実のあったやつをうそを言った、しかも、先ほどからの論議の中から言えば、この問題は初めからあったわけですね。あとからつくられたものではないわけなんです。そうすると、これはもう完全に政府委員としては、うそを言ったわけです。これに対して一体どこに責任をとるわけなのか。私は、ここではひとつ、絶対その吉野政府委員なるものは重大な責任をとらなきゃ、こういう重大な問題が、先ほど何か、秘密からいっても重大な問題だと言われて非常に論議の的になっているわけですが、これを、うそを言っておいて通るわけにはいかぬわけであります。全く、この議事録を見てみますと、ないと言ってるんです。電話で全部済ましましたと、こう言っているわけだから、これは明らかにうそなわけですね。ですから、こういうことを見てみますと、私はどうしてもこれは許せない問題じゃなかろうか。あれはイギリスの例かなにかありまして、あれはキーラー事件かなにかありまして、事実を、国会に対してうそを言ったということで、これは責任をとらされた例もあるわけですね。ですから、私は、この問題から考えますと、絶対この政府の委員としては責任をとらざるを得ない、当然じゃないかと思います。いま論議を聞いていますと、何かそういうことが論議の中心にならずして、そしてこれがほかのほうへ飛んで、国家公務員法違反だとか——私はいまも申したように、これには秘密性はないと思うのです、いまほんとうの客観的から言えば。客観的から言えば、ないその秘密性を持ち上げて、そうして今度は記者までふんじばってしまって身柄を拘束するというような、こういう断圧的なことをやるわけなんです。こういうことなんかから考えますと、問題は、全然うそであって、こういう、うそを言うところの問題をないがしろには私は絶対できないと思う。これは吉野政府委員というのは、絶対ここではっきりと責任をとってもらわなきゃどうしてもいけない問題じゃないかと私は思いますが、総理、どう思われますか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 外交交渉の過程におきましていろいろなやりとりがある。しかも、沖繩返還交渉はこれは世紀の交渉でございます。ですから、その交渉の過程におきまして、たいへんなやりとりがあるわけなんです。それを一々開示できない、これは御理解願えるのじゃないかと思うわけです。そのお願いできるその事項につきまして、これはあったかなかったかというような話がある、そこで正しく、まあことばで言いますれば、それはお答えできない問題ですと、こう言うべきところだったんだろうと思います。ところが、それを、まあ、そういう事実はありませんと、こういうふうなお答えをしたと。要するに、お答えすることができない機密の問題なんですと、こういう意味を表示するために、まあ、そういう事実はありませんというような表現を使ったと、こういうことなんです。しかし、いずれにいたしましても、その表現は妥当ではなかったと、こういうふうに思いますので、私からも遺憾の意を表し、また、総理からも遺憾の意を表しておる。また、今回の事件につきましての部内の処置の問題につきましては、ただいま私も考えております。おまかせ願いたいと存じます。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 関連。ただいまの件について関連で御質問をいたしたいと思います。  吉野局長のいまの発言について、私はきわめて重要な問題があると思うのであります。特に吉野局長は秘密を守るという意味でうそを言ったのかもしれませんけれども、それは、秘密を守るという意味においては公務員法に忠実であったかもわからないけれども、逆に言うと、もう一つ問題が出てくるのは、公務員法でいう職務に専念をするという義務を怠っているのではないか。蓮見さんがすでに逮捕されて電報の授受が明らかになった。その電報の秘密の問題についてはいろいろ議論があります。議論がありますが、その電報が外に漏れたということについては、私は、秘密の問題は別の問題として、これは職務に専念する義務を怠っていると、このように思うわけであります。もしその電報が真に秘密を要するものであるならば、それが外部に出ないような措置というものを完全にとるべきではないか、その点の責任というものを私は明らかにしていただきたい。  それから、もう一つは、蓮見さんがすでに懲戒免職になったということが報道されておりますが、これは外務省にお聞きをいたしたいわけでありますが、これは公務員法の八十二条に基づいたものか。すでに刑事事件となっておるわけでありますから、私は、当然これは八十五条に基づいて人事院の承認が必要だと思うのでありますけれども、これは人事院としてどのような取り扱いをしておりますか。まだ起訴されるかどうかということは、検察の段階でなければはっきりしない。警察から検察庁には送られましたけれども、起訴ははっきりしていない。その段階で、すでに懲戒免職をなさったということについては、私は問題があるような気がするわけでありますが、この点に関して外務省並びに人事院の見解をお聞きをいたしたいと思います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 蓮見事務官は、みずから、私がこの問題は漏洩した責任者であるということを申し述べておるわけであります。私どもといたしましては、漏洩の責任者、これは蓮見事務官であるという心証を持っております。そこで、その処置をどういうふうにするかということにつきまして人事院当局と相談をいたしまして、この際、懲戒免官の措置をとることが妥当である、こういう結論に達し、昨夕これを執行いたしたと、こういう次第でございます。  なお、蓮見事務官が秘密を漏らしたという問題、つまり秘密保護について十分な努力が足りなかったのじゃないかという問題、これは、いま私もどういう関係になっておるかということを検討いたしております。その検討の結果を待ちましてこれが処置を講じたいと、かように考えております。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 その点については、ただ単に蓮見さんだけの問題ではなくて、当然、その文書を取り扱う責任者としての責任というのは免れない、私はこのように思うわけでありまして、その点に対するきびしい態度を期待したい、このように思います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) この機密を漏らしたに至ったその関係者がいかなる責任を負うかということにつきましては、公務員法に照らしましてどういう処断をするか、これはただいま私が検討中でございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 ただいまの問題は、やはり吉野局長がおられませんから、六時過ぎごろには帰るそうですから、そのときに、もう一ぺんその問題をちょっと触れさせてもらいたい。それまで保留させていただいて、時間がありませんから、次に進ませていただきます。  私は、いまわが国を取り巻く情勢の中で一番深刻な問題は、やはり内部、外部の環境破壊の問題だと思いますので、この問題について、ひとついろいろ御質問申し上げたい、こういうふうに思うわけであります。  一昨年の暮れの国会において、いわゆる公害国会と言われておりましたが、十四本の公害対策法案が通過したのであります。環境基準の設定だとか、公害防止計画の策定など、一応公害対策は出そろったような感じがしているわけでありますが、私たち人間の環境はおそろしいほど急スピードで深度も深めて進行しているように思います。私は、こうした状況のもとに立って政府の対策をただし、発想の大転換を求めなければならないと思うのであります。最近、経済的にも、また社会保障的にも転換は要求されておりますけれども、この環境破壊というものに対してほんとうに取り組む姿勢というものは転換してもらわなければなりませんが、政府のお考えをお伺いしたい。

大石武一自由民主党環境庁長官

○国務大臣(大石武一君) 御承知のように、近ごろは公害が非常に日本の国をおおいまして、国民に大きな不安を与えております。したがいまして、この公害を何とかして防止して、われわれの生活環境を健康な明るいものに変えなければなりません。そういう観点から、いままでのような各省でやっておりましたような公害の対策を全部これを御破算にいたしまして、総合的な強力な一元化した行政をしなければならない、こういう発想のもとに、御承知のような環境庁が発足し、それ以前にもいろいろと公害に関する数々の法律がつくられたわけでございます。そのような新しい発想をもちまして、断固たる決意を持ちましてこの公害の防止にいま一そう取り組んでおる段階でございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 その取組みはわかりますけれども、実際問題として、現在はそうなっていない。なかなか、まだまだどんどんと進行して、速度を高めてこの環境破壊が進んでおるという現状です。これを私は非常に憂うるものであります。たとえて申しますならば、この昭和二十八年から四十四年の十七年間にわたりまして、有機水銀系の農薬のフェニール酢酸水銀なんかが、年間七万トンでしたね。それで、これは水銀原体に直しまして四百トンですが、これが十七年間やられたわけでありますから、六千八百トンというものが全土に、水銀がまかれておるという形になります。これが、食品だとか飲料水だとか、いろいろと体内にこれが入ってまいりますから、いま毛髪の検査をして水銀量をはかってみますと、日本人の平均は六・五PPMと言われておる。これはアメリカなんかは二・七五PPM、ドイツだとかスイスあたりでは〇・一PPMですね、あるいは〇・五ぐらい、こう言われておるわけでありますから、もう三倍から六十倍くらい日本人は多いわけです。これは、ちょうどここにおられる総理以下みんなが頭の毛を調べてみたら、かなり水銀を持っている形になるわけです。これは非常に重大な問題でありますから、この問題に対して総理は一体どういうふうに受けとめられて、将来、この問題一つをとりましてもたいへんな問題ですが、どう取り組もうとしておられるか。ことに、水銀というものは煮ても焼いてもどうにもならぬものであります。毛髪の水銀を質量的にはかってみますと、二割から八割までがメチル水銀である。そうして、東大の薬学部の浮田教授なんかが発表しているのを見ますと、この水銀は水俣病の原因である。そうするならば、われわれはいつこの水俣病になるかわからない。一億国民全体がこの危険を持っておるわけでありまして、いまはちょうどこれが不顕性の状態でありますから、症状はあらわれておりませんけれども、どういうときになって来るかわからない。また、無機水銀に至りましては、たくさんまだまだ現在流されておる。農薬は取り締まられておりますけれども、まだ工業用に使われておるものは流れっぱなしだ。そうしますと、無機のものも体内に入れば有機化しますから、同じような毒性を持つようになってくるわけであります。こういう観点から見ますと、非常に大きな問題がある。と同時に、また、この有機水銀というのは胎盤を通じて赤ちゃんに行くわけであります。そうして脳にこれが癒着するということになりますと、赤ん坊は抵抗がないわけでありますし、胎児は特に、そういうことになりますと、次代の子供あるいはまた次代のそういう赤ちゃんに対しては非常に大きな問題になってくると思うんです。こういうことを考えて、水銀一つをとりましても、いま環境庁長官は大きく取り組んでおる。取り組んでもらっておるのは認めて、ありがたいと思いますけれども、現在まだこれは野放しになっているのではないか。こういうことを考えますと、やはり一刻も許さず、われわれがこうして議論している間に、こういう病気が一ぱい赤ちゃんの頭の中に沈着をして大問題を起こしておるということも考えなければなりませんので、そういうことについて一体どう取り組んでもらえるのかということについての話をはっきりしてもらいたい。  それからまた、もう一つ、時間があれですから、まとめて第三点をお伺いしたいと思うのですが、この環境を破壊する物質、たとえて言うならばDDTだとか、アルファBHCだとか、ベータBHCだとか、ガンマBHCだとか、いろいろこれがあるわけです。有機燐系のパラチオンなんかに至りましては、これは脳神経に影響する薬なんでありまして、こういうようなものがまだまだ別にあるわけですね。こういうことを考えてみますと、やはり人類の生存の危機とまで言われる。私は、今後こうした環境が破壊されることによって人間が生きられなくなる。こういう状態も考えられますので、人間不在の経済成長のいままでの責任というものをとってもらって、ここでひとつ十分な処理をしてもらわなければいけない。こういうようなことから考えまして、この三点についてひとつ御見解を聞いておきたいと思います。

大石武一自由民主党環境庁長官

○国務大臣(大石武一君) いまお話にございましたように、たとえば有機水銀であるとか、あるいは有機塩素系の農薬であるとか、こういうものが以前には日本の農業界を風靡いたしまして、全国各地にこれが多用されたことは事実でございます。その結果は、おっしゃるとおり、日本のほとんど大部分の耕地が汚染されております。まことに残念でございますが、それは事実でございまして、確かに、外国に比べましても、何倍か何十倍かの汚染度がいろいろございます。しかし、これは何としても解決しなきゃなりません。そういう点で、とにかく、とりあえず一つ一つの問題を解決していこうと考えまして、御承知のように、有機水銀につきましては、すでに四十五年度から、その使用、ことに散布系の製剤を禁止いたしまして、いまわずかに種子——種の消毒用として、厳重な規制のもとに、大体一年間に五トンぐらいでございますが、その使用が行なわれているわけでございます。しかし、これといたしましても、やはりその処理には非常な困難が伴います。そういう意味で、近い将来には、この種子の消毒用もやはり禁止をいたしまして、それにかわるべきしかるものに早くにかえたいと考えておる次第でございます。  それから、有機塩素系の農薬にいたしましても、御承知のように、DDT、BHCは非常に使いやすいものですから、これはたいへん全国的に使われました。その結果、おそらく日本の各地の土壌が汚染されております。これも昨年から一切使用を禁止いたしました。  それからもう一つはドリン系の、エンドリンとかディルドリンといったような残留性の強い農薬でございますが、これもやはり規制をいたしまして、御承知のように、作物残留性農薬とか、あるいは土壌残留性農薬を規制いたしまして、その使用を極力制限いたしまして、いまわずかに、そう危険のない樹木とか果樹にだけ使っておる状態でございますが、これも近い将来にはできるだけこういうものをやめて、毒性のない農薬にかえていかなきゃならないと思う次第でございます。  このようにして、これからはさらに新しい汚染が起こるとは考えられません。幸いにこれらのもの、まあ有機水銀はなかなか分解いたしませんけれども、幸いに一部蒸発いたしますし、あるいは無機の水銀にもかわっておりますので、まあできるだけこれがそのような方向で進んでいくようにいたしたいと思いますし、また幸いに、BHCとかドリン系のものは、これはある程度、四年とか、五年とか、八年とか、いろいろな周期説がございますけれども、いずれ近い将来にはこれは分解いたします。こういうことで、一応、あまりひどいところはいろいろな土壌改良なりしなきゃなりませんでしょうけれども、こういう将来に期待を持ちまして、これ以上の汚染をさせないように万全の努力——その他の農薬につきましてもいろいろと努力しなきゃならぬと、こう考えておる次第でございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 次に、カネミ油症で有名になったPCBの、ポリ塩化ビフェニールについてでありますが、先日、大阪府の衛生研究所の行なったPCBの汚染調査で明らかになりましたように、対象となった十五人の母親の母乳から、すべて〇・二PPMのPCBが検出された。これも非常にショッキングな問題だと思うんであります。カネミ油症事件では、二十人もの尊い生命が失なわれているにもかかわりませず、その後三年半たっている現在、なおこのPCBがこのように使用されておって、そして最近では全国至るところで高濃度のPCBが検出される。毎日、新聞でやかましく言われておる状態であります。これは、この使用を、産業機械用は七月一日までに、電気器具用は九月一日までにと、こういうふうにして、通産省では何か規制をするということでありますけれども、サリドマイドとかキノホルム、BHC、DDTの例にもありますように、疑わしい段階で全面的な禁止をしないために、こうした非常な悲惨な人体への影響がいままであるわけでありますので、この問題に対しましても非常に、先に九月一日とか言っているのでなくて、このようなやかましい状態でありますから、これはひとつほんとうに取り組まなければならぬ現段階じゃなかろうかと思います。特に私は、この公害だとか薬害なんかに限っては、疑わしい間に許さないということをやらなきゃこれはなかなかたいへんだと思いますので、このPCBの即時禁止ということはもうどうしてもしなければならぬことじゃないかと思いますが、この点なんかは一体どう思われまするのか。ことにこの企業にも関係をしておりますので、通産大臣のほうからも、こういうような問題はもっと、何と申しますか、環境庁長官と一緒になって相当きびしい態度でやってもらう必要があると思いますが、いかがですか。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中角榮君) PCBにつきましては、三菱モンタント及び鐘淵化学がつくっておったわけでございますが、これは六月ないし九月で製造をやめると、こういうことであります。この使用は、開放系と閉鎖系でございますが、開放系のものにつきましては一切使用を禁止いたしました。閉鎖系の中でも回収がむずかしい、また汚染をするおそれがある、放置をされるおそれがあるというものに対しても禁止をしていくという方向でございます。やむを得ず使えるものというのは、電電公社、九電力のように、トランスなど確実に回収をするというもの以外は、すべて禁止をするということでございます。なお、PCBのような公害を伴うものに対しては、これにかわるものの開発、発明に対して努力をいたしておるわけであります。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 それから、ちょっとお尋ねしたいのは、公害の無過失賠償責任法案であります。六十四国会で、懸案であり、首相も山中総務長官も国民の前にこれを制定をすると約束されたんでありますが、ところが、今国会に出されたものを見ますと、これは単独立法としないで大気汚染防止法とか、あるいはまた水質汚濁防止法の改正として出されてきている。これは私は非常に問題に思うわけでありまして、損害賠償の請求のできるのは人の生命または身体にかかわる健康被害のみを対象として、漁業被害なりあるいはまた財産被害などの対象とはなっておらない。また物質の対象も、カドミウムとか塩素のみを対象としておるわけでありまして、無過失の責任制ということに対しては非常に薄くなっているわけですね。だから、こういう点をひとつ十分に考え直してみなければいかぬ時期ではないか、このような時期になってくると。ですからして、やはり遡及はしないことを原則としているというような考え方ではなくして、それがすべて排気ガスとかヘドロなんかも、問題がそれに持っていけるような形に、無過失的なものをそこにはっきりと入れなければ私はならぬのじゃないか、こういうことを考えてみますと、やっぱり産業が優先で国民の不在の法案であると、こういうように法案を言わなければならぬような感じがするわけであります。これを産業優先からやはり生活優先だと、こう言われているわけでありますから、この法案の取り扱いなんかもほんとうにきびしくやらなければならぬので、こういうところに対しましても、やはり総理あたりも相当十分な指導をしてもらって、こういうことに踏み切ってもらう必要があろうと思うが、特にここでは私は総理の意見も聞いてみたい、こういう問題に対して。

大石武一自由民主党環境庁長官

○国務大臣(大石武一君) 無過失賠償責任の制度は三年越しの公約でございます。何としてもこのような法律を早く制定しなければならないと考えておりましたが、やはり時代の流れがございまして、たとえば昨年の国会におきましても、あれほど強力な山中総務長官があれほど努力されましても提案できなかったのは、やっぱり時代の動きだったと思います。幸いに、今回は数多くの人々の理解を得まして、去る三月二十二日に衆議院に提案をいたしました。こういうことで、その内容は、おっしゃるとおり、水質汚濁防止法と大気汚染防止法の二つの法律の改正でございます。これは人間の健康被害だけに限ってございます。実際に、お話のとおり、この政策、この考え、この法律は、やはりもっともっと総合的なものとして進めていかなければなりません。そういう意味では、近い将来には、おっしゃるとおり、いろいろな生業に関する問題、赤潮であるとかいろいろなことに、農業とか水産業、そういうようなものも十分に、財産の被害につきましても私は考えなきゃならぬと、そう思います。しかし、まず一番大事なものは人間の健康でございます。同時に、この法律は、いわばいままでの民法の大きな例外でございます。したがいまして、われわれはこれを慎重に考えました。新しいものの考え方でございますので、できるだけ間違いのないものにいたしたいと慎重に考慮いたしましたことと、やはり範囲というものは明確なものに一応限定いたしたいと考えました。そういう意味で、まず健康の被害だけを取り上げたわけでございます。そういうことでございまして、いずれは総合的にこれを解決しなければなりませんが、とりあえずこのものの考え方、制度の橋頭塗をつくる、そういう意味でこの二つの法律の改正案にいたしたわけでございます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) この無過失損害賠償、これはずいぶん長い間の議論の問題でございます。私どももやはり、何か適当な範囲を限って踏み切るべきじゃないかと、かように思っておりましたが、今回ようやく成案を得た。これをつくるのも、やはりただいま説明するがごとく、時代の要求に一部沿ったと、かように考えておるものでございます。もちろん、これをもって足れりとはしないし、さらに、なかなか法律をつくるという場合に、これは法の制定技術にもずいぶん困難なものがありますから、それらのことをも加味しながら、同時にまた適用範囲等も明確でないとあとで運用の問題で問題が起きても困りますから、それらの点をも考えながら、今回のような不十分だと言われるものもようやく結論を得た、かような意味で提案をしているのでございます。どうぞ御了承をいただいた上で、早急に成立さすように御協力願いたいと思います。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 どうかひとつ、骨抜きになっているのを早く骨を入れて、ほんとうに無過失に責任がとれるようにしてもらいたい、これ要望しておきます。  それから、厚生省が行なっております四十五年度の患者調査を厚生大臣にお聞きしたいのですが、結果によりますと、この十年間にわが国の人口は八%程度ふえておるわけでありますが、患者の数は五六%以上ふえておる。一日に病院、診療所に通うか入院している者は、国民十五人に一人くらいだといわれている。それは七百一万八千人だと、こういうように報告されている、おそろしい数であります。これは一面、健康に関心が深まったとか、医療を乱受診をしているとか、いろいろ言われておりますけれども、この数を見てみますと、それどころでは説明がつかぬような感じがします。言うなれば、やはり生活的な環境の悪化、それから成人病だとか慢性病が増加しているにもかかわらず、これをなかなかその健康保険の中で消化ができないような状態になっている。公害の対策が手ぬるい。あるいはまた、交通の問題なんかに対しましても、いろいろ施策が足らないために交通被害が起こってきておる。こういうようなことで、政府のほうではやはり、社会資本の充実というようなことで、いろいろ国民生活に密着する施策をすると言っておられますけれども、こういうものを見ましても、私は非常に大きな差があるのじゃないか、こういうことを考えますと、やはりこの国民の健康管理なり、あるいはまたこの公害の処理問題なり、いろいろのところにもう少し生活に密着した方向でこれをやられない限り私はできないと思うのです。こういうことに対して、大蔵大臣のほうももう少し金を入れなければいかぬと思うのですが、大臣なんかこれをどう受けとめておられるか、これは厚生大臣ととも一ぺん御所見を聞いておきたいと思います。  それからもう一つは、この二月の九日から十一日までにフランスのパリで開かれました経済協力開発機構といいますか、OECDの環境委員会で公害の防止費用の問題なんかも出たようでありますが、発生源企業の負担するいわゆるPPPの原則、これを日本の代表は積極的にこの場で賛成の立場をとられたと、こう聞いております。しかし、現在わが国でとっている政府の公害防止機械に対する特別な償却や、政府系金融機関やあるいはまた事業団の融資金融、税制面なんぞから見ますと、これにはむしろ反対で、やはり事業に責任を持たせるというんじゃなくて、むしろこういうものに対して非常に甘い態度をして、非常に特別措置をしておられる。こういうようなことを考えてみますと、今日非常に問題があるのではないか。ここで賛成をされたことと、実際国内で行なわれていることに、大きな差があるんじゃないかと、こういうふうに思います。また、最近では自民党の中にもこの公害救済基金に関する小委員会というのが設けられたと私は聞いているわけですが、この基金構想を打ち出す、そして国から一定の補助金を出す、こういうようなことも、やはり  この公害を出す企業を相当きびしく規制をするという面からいえば、非常に企業を助ける面に大きく進んでいるように思うわけでありますが、こういう点なんかについてひとつ環境庁あたりのお考え方を一ぺん聞いておきたい。ことにまた、企業を担当しておられる方なんかも、もう少しここらできびしさを出すべきじゃないかと思うんですが、その点もひとつお聞かせ願いたい。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 大橋委員のおっしゃいますように、四十五年の調査によりますると、過去十年前に比べますると非常な患者の増加率でございます。数において六一%、人口十万あたりで四五%の増になっております。その病気の特にふえておりますのは、脳卒中の四・二倍、高血圧性疾患の二・六倍、精神障害の二・二倍、それから急性鼻咽頭炎、これの一・八倍というのが、疾病の種類によってふえておるわけでございますが、年齢別から申しますると、五十五歳以上で約二倍という数字になっております。そこで、いまおっしゃいましたこういった異常な伸び方は、日本のいわゆる老齢者の病気が特に多い。同時にまた、乳幼児の疾病も多い。これは鼻咽頭炎というものであろうと思いまするし、精神障害も多いというような点はやはり一種の公害であろうと思いまするし、もし公害なかりせば他の一般の疾病も減ったであろう、かように思います。どうしても公害をなくするということが非常に大事な事柄であると、かように考えます。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中角榮君) 公害に対しましては原因者負担の原則を貫くべきであるということには、全くそのとおりでございます。しかし、日本におきまして、税制、財政、金融上の援助をしておることは、OECDで考えておりますこの基本的な考え方にさからうものではないということを考えております。なぜかといいますると、まず公害を除去することが先であります。このためには、国も、地方公共団体も、もちろん原因者が先頭に立ちながら、国民の健康保持、社会環境の整備ということをはかるべきでございまして、この問題に対する政府や地方公共団体がとっておる手段は必要やむを得ないものとしてとっておるわけであります。しかし、一面において、この公害ダンピングというような、政府がみな企業者のなすべきことを負担をしておるので日本の輸出が伸びるんだなどということを言う人がありますが、これは状態を正確に把握するものではないという考えでございます。これはもう国民全体が積極的にこの問題と取り組むべきである。しかも、法律をつくるにしても、いろいろ法制上の整備が行なわれますが、しかし、遡及できないということになると、どうしても、いままであったもの、あるものに対しては、国なり地方公共団体がこれを除去するような措置をとらなければならないという問題もありますので、OECDでいま考えておりますものと日本政府が行なっておる施策にはそごはないと、このように考えております。

大石武一自由民主党環境庁長官

○国務大臣(大石武一君) PPPの考えにつきましては、いま通産大臣から述べたとおりでございます。自民党内部にも、将来公害防止についてのいろいろな基金をつくろうという小委員会がつくられました。これは、まだその詳しい構想はできておらないようでございます。基金にするのか、保険制度にするのか、いろいろな考えがあると思いますが、これから新しい考えをもって進めでいと思います。われわれも当然これには参画いたしまして、十分に世界に通用するような、そうして国内でも十分に役立ち得るような、そのような財上源の制度をつくってまいりたいと考えます。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 公害対策関係の予算を申し上げますと、四十七年度予算額は、一般会計で千三百九十六億円、特別会計で百九億円、合計千五百六億円ということでございまして、昨年度の予算に対しまして本年度は四八・五%の増加となっております。財投のほうにおきましては、昨年の千七百二億円に対しまして本年は二千六百三十二億円、五四・六%ということで、公害関係については、予算も財投もやや五〇%近い増加ということになっております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 いまの話を聞きましても、OECDが取り組んでおる取り組み方は、相当企業に対してはきびしくぴちっとやっておる。日本ではいろいろ、予算の面からいっても、非常にたくさんを出して、そして企業をかばうようにできておる。そのために非常にいろいろな取り締まりが明確に出ていけない、そこに私は一つの大きな原因があるのじゃないかと思ってこれをお尋ねしているわけです。これは総理はひとつ、こういう問題に対してはきちっとして、もう少し、企業が公害のものを出しているのだから、それを取り締まるためには、少くともOECDで考えているように、そう国なり、あるいはまた税金なり、あるいはこういうようなもので補ってやろうという——まあそれも必要でしょう、それは全部いけないと私は言わないけれども、そういうことであるために規制ができていけないということが、私は非常に問題だと思うのですね。ですから、やはり企業に対する責任はどこまでも追及すると、この姿勢をはっきりしてもらいたい、この点についてどうですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 大橋君の言われる点、私は理解できます。ただ、現状において直ちにそのとおりをやるかというと、まあ段階的にという、先ほど通産大臣からお答えしたような点もございます。しかし、断固やはり責任の所在は明確にしていく、これでなければこの問題は解決しないと、かように思っております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 ことしの六月の五日からスエーデンのストックホルムで開かれる予定の国連の人間環境会議、これは世界的な規模で、参加者も百三十カ国、こういうふうな形でありまして、日本からもこれに参加されるというわけでありますが、公害の先進国として、まあ日本が一番公害におかされているわけであります。こういうところに対しては、ひとつ相当の意欲を持って参加をし、そして世界的にこれはアピールする必要がある。そういうことから考えますと、水俣病だとか、イタイイタイ病だとか、いろいろ研究者もいらっしゃる、患者もいらっしゃる、あるいは市民運動をやっている運動家もいらっしゃる、こういうような者を政府の代表とまじえてこれに参加さしてもらうということが、もう少し、実情を世界にも知ってもらえて、非常に私は将来いい影響を及ぼすのじゃないかと、こういうふうに思うのでありますが、これに対してどういうふうにされるのか、一体メンバーはどうなっているのか、これは外務大臣のほうになるだろうと思うのですが、ひとつ伺っておきたい。ことに、外貨の保有が諸外国から異常な蓄積を指摘されているような、また円の切り上げをせんならぬような時期でありますから、この公害問題に対しては負担が三百万ドルか何かといわれておるわけでありますが、こういう問題に対してはひとつ積極的に負担するという姿勢でやはり協力していく大きな方向を示すべきではないかと、これもひとつ外務大臣のほうの御意見を聞かせてください。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 国連人間環境会議の問題でございますが、これはまだ会議の事務局側からこうしたいという具体的な構想がきておらないのです。その構想を見た上で積極的に取り組むということにしておりますが、ただいままでの段階では、政府関係者を中心に、しかるべき学識経験者、地方自治体の代表者、それは知事や市長なんかでございますが、それらの方々も代表顧問の資格で参加させたいと、こういうふうに考えております。まあ通例この種の会議ですと、大体代表団の構成員は二十五名ないし三十名ぐらいになろうかと思います。それから、これは国連の会議でありまして、その会議の費用を日本に負担せいとか、各国に出せとか、そういう動きはございませんです。ただ、おそらくこの会議で問題になりそうなのは、人間環境を改善するための基金を設定すると、こういう話が出るんじゃないか、まあ一億ドルなんという見方もありますが、そういう際にはわが国も積極的にこれに参加する、そういう姿勢でございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 それからもう一つ。今年の一月ごろにイギリスで生き残り運動——三十三人ぐらいの学者が集まって運動を始めて提唱をしておる。まあ御存じのことだと思いますが、二十五カ国の経済人や学者などから国際的な民間組織でローマ・クラブというのが最近また発足をして、成長の限界とか、こういうふうな問題の報告をまとめております。人口の増加とかあるいは経済成長を適切に抑制しなければ、地球上から人類は環境汚染だとか食糧不足なんかによって破局への道を突っ走るんではないかと、こういう警告を出しているわけです。こういうような警告に対しまして、総理なり、あるいはまた環境庁の長官あたりはどういうふうにとらまえておられるか。また、このローマ・クラブのような民間団体の研究機関の研究に対しましては、政府としてもある程度援助をしたらどうだ。日本人も数名参加をして、日本にも支部をつくると言っておりますね。こういうところには、少し民間団体に政府が援助をして、そして一日も早くこの公害列島の日本でこういうような問題を真剣に取り組む民間の運動というものも助長すべきじゃないか、こういうふうに思うわけです。  それから第三点は、この発起人の一人であるところのペッチェイ博士がこの報告をしているのを見ますと、一体われわれはどこへ行くのだ、どこにいるのだ、あるいはまた人類の危機、いかにしてこの地球上で生き残るのだ、こういうようなこと々警告を出しているわけでありますが、わが国は、総面積から見ますと三十七万平方キロ、そのうちの四分の三が山であって、ほんのわずかなところに一億がおる。こういうような日本の状況を考えてみますと、ここで言っている中では最悪の、最もきびしい状態にあるのじゃないか。しかも、そこで公害はかなりきびしくなっておる。こういうようなことから考えてみますと、どんどんと緑や太陽は失われていくし、こん虫も姿を消していくという状態でありますので、私はこの辺でひとつ十分考えなければならない時期である。ところが、いまたまたまここには、全国の広範囲にわたっての、いわゆる新全総と申しますか、新しい全国の総合開発計画がいま組まれておる。ところがこれは、鹿島においても、あるいはまたむつ小川原にしましても、いま国会に提出されておる琵琶湖開発の問題に対しましても、やはり考えてみるならば、地方自治体の権限が弱いことを幸いにして、中央のほうで住民不在の企業優先、つまりGNPを増大するための地域開発が行なわれていくのじゃないか、ここに問題があるのじゃないかという感じがするわけなんです。これにつきまして、やはり自然破壊を行なってきている、この事実は否定できないと思うのでありますが、環境庁の長官あたり、あるいはまた経企庁の長官あたりでは、一体これをどういうふうに見ておられるのか。やはりこの日本の状態からいって、ローマのそうした運動なんかから比べまして、これは相当新全総で考えてもらう案としましては十分な配慮をして、人間本位というか、生命本位で考えてもらわなければ、この開発というものに非常に問題が起こってくるんじゃないかと思いますので、その点をひとつ伺います。

大石武一自由民主党環境庁長官

○国務大臣(大石武一君) ローマ・クラブのメンバーの方々が地球の、あるいは人類の将来を非常に心配されまして、いろいろと、その見通しのことについて述べられておりますが、私どももこれについては十分同感するものがございます。ことに人口の急激な増加であるとか、あるいは経済の急激な開発であるとか、あるいは資源の急激な消費であるとか、こういうものが将来は地球の生活環境をことごとく汚染して、おそるべき破局に進んでいくだろうということはわれわれも十分に想像ができることでございます。したがいまして、このようなことのないような地球のあり方、人類のあり方をやはり今後まともに考えまして、局部的な、局地的な公害防止だけではだめでありますから、全地球的な見地から世界の国々とお互いに十分に協調し合って、そしてわれわれのこの地球、ただ一つの地球の汚染を何としても防ぐことが重大なことであると、こう考えてわれわれもおる次第でございます。  もう一つお尋ねの、新全総なり、経済社会発展の計画でございますが、こういうものにつきましては、おっしゃるとおり、やはり今後は人間の環境——健全な、そして健康な明かるいわれわれの生活環境を守るということを一つの大きな魂とすることにしなきゃならぬということは同感でございます。その点に関しましては、すでに経済企画庁長官は何回も本年度内にはこの新全総の改定を行ないまして、新しい見地からこれを働かせるということを明言されておりますので、われわれとしましても十分にこれと相調整、協調いたしまして、ほんとうにわれわれの正しい生活環境を守り得るわれわれの日本の将来の構想をつくり上げたいと考えておる次第でございます。

木村俊夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(木村俊夫君) いま環境庁長官からお答えしましたとおりでございます。いま、総点検をやろうとしております新全総計画、もちろん、最近の環境問題の深刻化につれまして、この問題を踏まえて再点検をするわけでございます。また、むつ・小川原のことにお触れになりましたが、当然、これはそういう新全総の新しい構想のもとにおいて行なわれるべきであります。また、地域住民の方とは十分対話の上で行なうということを基本的な考え方にしております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 非常に、いまの改定をするという話でありますが、特にその点を十分に考えてもらわないと、破壊の方向につながりますので、絶対にこれはそういうことのないように組みかえてもらいたい、これを要望いたしておきます。  それからもう一点だけ、琵琶湖の開発について触れてみたいと思いますが、近畿の水がめといわれておる琵琶湖の開発が大規模に計画されておるわけです。これも一やはり近畿圏の立場から考慮されておるわけでありますが、今度はそれが四千二百億の十カ年計画で打ち出されております。これも公害対策が一番考えられなければならないのに、比較的これが抜けているような感じがいたします。ことに一メートル半水位を下げるとか、あるいはまた、京阪神のほうの工業用水を確保するということが非常に重点的になって、周辺の住民のコンセンサスが十分得られてない、そういうことがいま地域では非常に問題になっているところであります。最近、聞いた話でもこういうような話も聞いております。湖の近くにあるところの養護施設、もうすでに開発の下準備として町の中から、あるいはまた、湖の近くから離れて山の中へ移されていく。こういうことになりますと、まあそれが全局から見たらいい、悪いは別といたしまして、やはり施設の人とか、その地域の住民ということが主でなくて、そういうものを不便なところへ追い上げておいて、そして琵琶湖の開発が進められていくというようなことで、非常に嘆きを持ってあちらこちらに陳情に回っている例も実際に私も見ているわけであります。こういうことを考えてみますと、やはり企業とか開発が優先をするようなことではたいへんであるし、ことにあそこでは中央には相当ヘドロもあって、非常に魚礁なんかも変わるからあの辺の漁業をやっている漁民も非常に困るわけですね。いろんな意味で問題がたくさんあるにもかかわらず、それがむしろあと回しになっておる。こういう点では、非常に私はこの近畿の整備本部長をしておられる建設大臣がこれらの問題に対してはひとつ十分な配慮をしてもらわなきゃならぬので、本部長としての建設大臣のほうからひとつお答えを願いたいと思います。

西村英一自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(西村英一君) お答えします。  今回、水源地の滋賀県とそれから水利用をいたします大阪府、兵庫県の琵琶湖の開発に対する総意がまとまりましたので、今回の国会に琵琶湖総合開発特別措置法案を提出した次第でございます。この計画は、いま大橋さんが言うように住民の意見を十分聞かなきゃならぬということでございますが、計画それ自身は最も事情に通じております滋賀県知事が作成しまして、そして最終的な決定は内閣総理大臣が決定することになっておる次第でございます。開発には必ず公害が伴います。したがいまして、この開発計画にはこういう事項、こういう事項を入れなければならぬという事項をたくさんあげております。その中には、最も重要なのは琵琶湖はこのままにすれば死の海になるということでございまするから、水の保全、これについて相当に下水の施設をしなければならぬということをまっ先にうたっております。漁業問題にいたしましても、たいへん困る問題がたくさんあります。のみならず、開発でございまするから公害を起こさないように、また、積極的に漁業問題につきましても水産業の振興をはかるようにということがうたわれておるのでございまして、十分注意をして法律を出しておるわけでございます。したがいまして、この実行にあたりましても開発について公害を起こさないようにということ、また、一方住民の意見を十分聞くと、こういうことでひとつやっていきたいと、かように思っておる次第でございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 じゃ、もう一つだけこの問題について質問したい。二十一世紀まではあと二十八年です。これは総理の決意を聞かしてもらいたいと思うんですが、ペッチェイ博士が三十二点にわたって危機的な問題をあげております。これはもう御存じだろうと思うんでありますが、政府も、この際は多くの識者が警告をしておるように、エコロジー——生態学だとかエコシステムの見地に立ちまして、総理もいつも調和のとれた社会づくりということをおっしゃっておりますが、いままでとってきたこの企業生産がどうしても大事になって、国民福祉の社会というのが非常におくれているわけですから、大転換をはからなければならない、これは総理のおっしゃっているところであります。どうかひとつそういうところから考えまして、この公害の問題、あるいはこういう警告を出しておるところの問題からして、総理はこの際ひとつ大きな大前提としてこういう問題に対してこうしていくんだというふうなものを持っていただいて、国民の前に非常に国民が安心するようなものをひとつ出してもらいたいと私は思うわけでありまして、この公害の問題からだけ言ってもそういうことが言えるわけで、そのほか福祉の問題、これからあとちょっと福祉の問題で一、二点お伺いしたいと思いますけれども、そういう点から申しましてもぜひこれはひとつやってもらわなければなりませんので、この公害の問題を締めくくる意味において、私はひとつ総理からかくかくこういうふうにしようということを出していただきたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 公害の問題について私の決意を鞭撻を込めながらお尋ねになりました。新しい時代の問題、これは何といっても公害をいかにして起こさないようにするか、また、起きた公害をいかにして救済するか、こういう問題だろうと思います。政治の課題がそこにきていること、これは私は私なりに理解しておりますので、この上とも御鞭撻を賜わりますよう、政府に積極的な御指導を——いま閣内も意見が一致しておりますので、その方向で期待に沿いたいと、かように思っております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 それじゃ、あとちょっと、福祉関係で一、二点聞かしていただいて時間がありませんから……。ことしは、先ほどからもいろいろ御議論の中で、非常に大型な福祉予算であるというふうなことで、非常に大きな、何と申しますか、主張を聞いたわけでありますけれども、実際この予算は景気回復だとか、あるいはまた福祉充実だとかいう二本の柱だといっておられますけれども、実際において、私どもはこれでほんとうに福祉型予算であると言えるのかどうか、非常にあいまいに感じておるところでありますが、大蔵大臣は、ひとつこの予算を組まれた、あるいはまたこれを実施される面において、やはり私は相当こまかしいところにあれを使っていただかなければならぬと思うのでありますが、大蔵大臣のひとつお考えを伺いたい。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 私は、国民福祉の向上に踏み切った予算だと自分では思っております。で、相当福祉に関する限り、従来の絶対額が小さかったからと言えばそれまででございますが、比率を見ますというと、予算の伸び率に比べて、こと福祉関係の予算だけはほとんど三〇%以上、先ほどは五〇%と申しましたが、老人対策などはみんな五〇%以上の予算の強化というようなことで、そういう点では明らかにいままでの予算よりは福祉への踏み切りが見られる予算であるということが言えようと思います。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 たいへん福祉型で、いい予算だと大蔵大臣は考えているとおっしゃいましたが、私は考えてみますと、一、二の例、先ほど他の委員のほうからも話がありまして、老齢年金の問題も出ましたが、老人の医療というのも来年の一月から無料化というのが出されておるわけでありますが、福祉年金は先ほどからも上げることが第一だ、こういうような話も出ておりましたが、ことしはそれはいままでに比べれば最高の伸び率であろうと思いますけれども、わずか千円でありますから、もらうお金は三千三百円、やはりこれを考えてみれば小づかいの域にしか達していないと思うのでありますが、全国の寝たきり老人が三十四万人もおり、あるいは重度の心身障害児者というものも百七十一万おる。けれども、実際にこれは施設に入ることができるのは寝たきり老人では六千人くらい、あるいは心身障害者では四分の一以下が収容されているというにすぎない、こういうふうなことを考えてみますと、私はいまの日本の経済でもう少し思い切ってこういう心身障害者あるいはまたそういう寝たきり老人、こういうふうなかわいそうな人に対してはもう少し力を入れなければいかぬのじゃないか、こういう感じがするわけであります。  また、一番悲惨なのは私は難病だと思います。この難病は治療もあるいはまた原因も不明でありますからして、これはひとつ厚生省の中におきましても、各医療機関なりあるいはいろいろなところにまとまっておってはだめなんだから、少なくとも、こういう問題を取り扱うところの国立の機関あるいはまたそういうふうな総合的な取り扱う機関というものをこしらえて、この難病なんかにも取り組んでもらわなければならぬと思うのでありますが、こういう問題についてどうぞ厚生大臣。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 寝たきり老人やあるいは重症心身障害者の施設をもう少しやらなきゃならぬとおっしゃいましたが、もう少しどころじゃない。これは大いにやらなきゃならないと、かように考えております。  また、おっしゃいます難病、奇病対策、今度初めて対策室を設けまして、まずその原因、治療法、これに心魂を打ち込みたいと、かように考えます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 こういうふうな社会福祉の福祉行政をやるのには、やはり窓口が地方自治体である、これは非常に大きな問題だと思うんです。ですから、いろいろなことがいわれて、そして市民の要求は地方自治体にくるわけでありますから、地方自治体に対する手当てが不十分であって、地方自治体が非常に困った状態、できていないという状態、これは私は国のほうで十分に取り上げなきゃならぬ点だろうと思うのでありますが、この財政基盤の脆弱な地方自治体にまかせるのではなくて、これからが自由にできるようなことを大蔵大臣としては少し財政的に処理をしない限り、十分な福祉行政が円滑にいかないと思うんですが、その点どうですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) そこで、先ほどの御質問と関連いたしますのですが、私はやはりここまできますというと、福祉関係についてはそのときどきの都合で予算の増減をするというようなことではもう追いつかない。やはり一定の年次計画を持って目標を立てて、各いろんなこまかいところまでも一つの目標を持った福祉計画というものが必要であって、その基準によって今後予算をやはり計上していくということをしないというと、均衡のある福祉政策がやっていけないんじゃないかと、そう思うので、どうしてももう来年ごろからは一定のものさしといいますか、基準になる計画は持たなければならないと思っております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 ちょうどいま大蔵大臣がおっしゃったように、私もそういうふうに思うわけです。これはやはりもっと総合計画を持って長期にやる分と、いますぐやらなきゃばならぬ分と、やらんならぬものに対しては五カ年計画とか、あるいはまた長期にやらなきゃならぬものに対しては長期の展望の中でどう処理するか、これはひとつ厚生省と十分な打ち合わせのもとに、この福祉行政をほんとうに伸ばすためにやらなきゃいけない。その中でいま私が申し上げたように、地方自治体に対してしわ寄せにならぬようにしなきゃならぬ。こういうようなことを考えると、特別な計画が持たれなきやならぬので、私は、やはりこの社会福祉を特別にやるような一つの担当ができないことにはうまくいかないのじゃないか。それから厚生省の中にそういうものをもうきちっと分離をして、そうしてやってもらうことが必要じゃないかと思うのですが、厚生大臣及び大蔵大臣。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 厚生省の行政も多岐にわたっておりますが、ただいまおっしゃいますような点は、やはり厚生省ならば、現在なら審議室を中心にやはり所管の責任者である大臣が中心になって進めていかなければならないと、かように思っております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 大蔵大臣、頼みますよ。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) それはまた機構の問題に関係する問題だと思うんです。当然これはやはり福祉政策への転換ということになりますというと、そこまで当然関係してくる問題だと思います。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 それから、この社会保障の水準を国際的にこう見てみますと、やはり一九六八年でアメリカは六・四%、ほとんどこれは社会保障はあまりやっていない。イギリスなんかは一一・一%、西ドイツで一四・三%、フランスで一八・二%、イタリアが一四・四%、このようにして非常に多いのにかかわらず、わが国ではわずかに五・二%、こういうふうなことで表に出ているようでございますが、このような点から考えまして、やはり私はこの際に、いろんな意味で、国民所得なんかの比を見ましても、日本では五・六であるのに西欧は一五%、こういうふうなことを見ましても非常に大きな格差があります。ですから、日本では、今度の予算の中でかなり福祉行政と言われておりますけれども、非常に問題が大きく残されているわけであります。特に老人のための住宅だとか、やはり生活環境に密着が、予算を見ましても、もっと社会福祉の面でいろいろな配慮をしなきゃならぬ面がたくさんあるように思います。こういう面をひとつどうぞ今後とも、転換をするという意味であれば、徹底的な転換を見ない限りできないと思いますので、特に私はこの問題を取り上げてもらいたい。そういうことから考えますと、私は特に提言的に申し上げたいと思いますが、先ほどのこの環境破壊の問題なんかを見ましても、ひとつこの環境破壊を終止させるという意味で、やはりこの環境庁の長官あたりが音頭をとってもらってどういうふうにしたならば環境破壊が最終的に食いとめられるか、終止宣言というようなものをぴちっと出して、それを計画的にしてもらうのが一つの方法ではないかと思います。それから先ほどのような国民の健康の問題も非常にやかましく言われておるし、福祉の問題もうまくしなきゃならぬ状態でありますから、あるいは健康省とかなんか、そういうものをこしらえて、そうして、この健康の問題あるいはまた福祉の問題をひとつ徹底的にできるような形、機能をつくってもらいたい、こういうふうなことを私はひとつ提言してみたいと思うのですが、やはりこの計画を立ててもらっても、厚生省の一部分でやられるのじゃなしに、環境の問題については環境省——庁ができていますが、環境省ぐらいに上げて、きちっとしてもらう、あるいはまた健康省というような形で健康の問題と真剣に取り組んでいく。こういうようなふうなものを出してもらうような考え方があってほしいと思いますが、総理ひとつここらで最後の置きみやげにりっぱなものをつくる提案をしてもらったらどうだろうと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) そうでなくとも佐藤内閣は役所をつくることには熱心だと、こういう批判を受けております。ただいまのももっともな御提案だと思いますけれども、役所をつくることについてはよほど慎重に考えていかなきゃいかぬ。どうぞよろしく御了承願います。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 ちょっと五分間時間を残しまして、それで吉野さんが来られたところで話をしたいと思います。

徳永正利自由民主党

○委員長(徳永正利君) それでは、大橋君の質問時間を少量残しまして、きょうは終わることにいたします。  明日は午前十時委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時十四分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗