予算委員会 第3号
- 発言数
- 434 件
- 登壇者
- 32 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1972/03/31
会議録
○委員長(徳永正利君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 昭和四十七年度一般会計暫定予算 昭和四十七年度特別会計暫定予算 昭和四十七年度政府関係機関暫定予算 以上三案を一括して議題といたします。 三案の取り扱いにつきまして理事会で協議いたしましたので、その要旨について御報告いたします。 審査は本日一日とし、質疑時間の各会派への割り当ては、自由民主党及び日本社会党がそれぞれ六十分、公明党二十分、民社党及び日本共産党それぞれ十分、第二院クラブ五分といたしました。 質疑の順序につきましては、お手元に配付いたしました刷りものにより御承知いただきたいと存じます。 以上御報告のとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(徳永正利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 この際、内閣総理大臣から発言を求められております。これを許します。佐藤内閣総理大臣。
○国務大臣(佐藤榮作君) 昭和四十七年度予算は目下衆議院において審議中でありますが、御承知のような事情によりまして大幅に遅延しており、一カ月問に及ぶ暫定予算の御審議をお願いせざるを得ない状況に立ち至りましたことはまことに遺憾に存じます。政府としてはこれらの責任を痛感いたしておりますが、何ぶんよろしく御審議のほどお願いをする次第でございます。
○委員長(徳永正利君) それでは、水田大蔵大臣から暫定予算三案の趣旨説明を聴取いたします。水田大蔵大臣。
○国務大臣(水田三喜男君) このたび、昭和四十七年四月の一カ月問について暫定予算を編成することといたしましたが、その概要について御説明いたします。 まず、一般会計について申し上げます。 今回の暫定予算におきましても、暫定予算が本予算成立までの応急的な措置であることにかんがみ、人件費、事務費等の経常的な経費のほか、既定の施策にかかる経費について、暫定予算の期間中における行政運営上必要最小限度の金額を計上することといたしております。新規の施策にかかる経費につきましては、教育及び社会政策上の配慮等から特に措置することが適当と認められるもの、たとえば、生活扶助基準単価の引き上げ、失業対策事業の賃金日額の引き上げ、国立大学の学生の増募等を除き、原則として計上しないことといたしております。 一般公共事業につきましては、四十六年度予算額のおおむね八分の一を目途として計上し、そのワク内において、積雪寒冷地の事業その他季節的な要因に留意しなければならない事業については、その円滑な実施をはかり得るよう特別の配慮を加えることといたしております。 災害復旧等事業につきましても、災害復旧の緊急性にかんがみ、過年発生災害の復旧等のため必要な四十七年度所要額のおおむね六分の一を目途として計上することといたしております。 歳入におきましては、税収及び税外収入につき、四月中に収入が見込まれる金額を計上いたしましたほか、公債につきまして、市中金融の状況等を勘案し、四月中に発行を必要とすると認められる公債の収入見込み額二千四百億円を計上し、また、前年度剰余金につきまして、その全額を計上することといたしております。 以上の結果、今回の一般会計暫定予算の歳出総額は一兆一千十七億円、歳入総額は五千五百六十億円となり、五千四百五十七億円の歳出超過となりますが、国庫の資金繰りについては、必要に応じ五千五百億円を限度として大蔵省証券を発行することといたしております。 次に、特別会計、政府関係機関につきましては、いずれも以上申し述べました一般会計の例に準じて編成いたしておりますが、法律改正により合併等を予定している特別会計につきましては、現行会計区分により計上することといたしております。 また、国立学校の入学料及び前期分の授業料並びに日本国有鉄道の運賃等につきましては、現行水準で計上することといたしております。 なお、財政投融資につきましても、暫定予算の趣旨に即応して運用することといたしております。 以上、昭和四十七年度暫定予算につきまして、その概要を御説明いたしました。 ここに一カ月にわたる暫定予算の御審議をお願いすることに至りましたことはまことに遺憾に存ずるところでございますが、何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同いただきたいと存じます。
○委員長(徳永正利君) 以上で説明を終わります。 これより質疑を行ないます。竹田四郎君。
○竹田四郎君 総理は今回もまた、予算がおくれたということについて遺憾の意を表明されたわけでありますが、確かにこんなに予算がおくれるということは、途中に解散とか何かあれば別でありますけれども、おそらくそういうことでなしに一カ月もおくれるということは、まさに私は異例のことだと思うんです。ただいまも、一カ月おくれたことにつきまして、政府としては責任を痛感している、こういうふうに総理はおっしゃられましたけれども、どのように責任を痛感しているのか、その責任を一体どう国民に表明するのか、具体的な行動をどう表明するのか、この点については少しもお触れになっておりませんし、きのうの衆議院の予算委員会を見てみましても、どうもその辺、私どもは、また責任を痛感したというリップサービスでこの場をのがれてしまうのではないかという危惧を持つわけでありますが、具体的に政府の痛感している責任をどう果たそうとしているのか、この点を明確にしていただきたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 竹田君ただいま御指摘のように、解散もない平常の、通常の状態のもとにおいて一カ月も予算がおくれる、これは確かに異例のことでございます。そういう意味で、今回暫定予算を提案するにいたしましても長期にわたる暫定予算を組まざるを得ない、こういう意味におきまして、私は国民にたいへん多大の御迷惑をおかけしておることだと思っております。したがって、先ほども、これは異例のことでございますが、冒頭に私から、御審議を願いますに際しての気持ちを率直に御披露したような次第でございます。私はほんとうに責任の重大さを感じておりますし、またまことに遺憾に思っております。 このことは、ただいまどういう形でその責任を果たすかと、こういうようなお話でございますが、その具体的な問題につきましては、これはここで申し上げるような筋のものではないと、かように御了承いただきたいと思います。
○竹田四郎君 ここで話すべきことではない、このように御答弁でございますが、いま国民が一体どう考えているか。国民は、あなたがやめられるということは、もう既成の事実と思っているわけですね。問題は、あなたがいつやめるか、ここに私は国民の焦点というのがしぼられていると思うんです。なるべく早くやめるということ——私は即刻やめるべきだと思いますけれども、早くやめるということが私はその責任を痛感した証左だ、こういうように思いますが、どうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 竹田君はさように御理解かと思いますし、私は、野党としてはさように私の退陣を要求されるのはもっともだと思います。しかし、私を支持する連中もおりますから、そう簡単にやめるわけにもまいりません。ことに、私が最高責任者としてその職にある限りにおきましては、いついつやめるとか、いつどうするとか、こういうことを申し上げるような地位でない。そういう立場ではございませんから、それだけは、とにかく私がその職にある限りにおいては最善を尽くして自分の責任を果たしていく、そういうものであることを御了承をいただきたいと思います。 これはいついつやめるんだとか、こういうことになればそれはもう即刻やめるべき筋のものだと、かように私は思っております。私は、ただいまなさねばならない仕事がまだまだ残っておる、かように考えておりますので、それらの点はどうか御了承をいただきたいと思います。
○竹田四郎君 いままでも総理は、そうした点を国民ににおわしていました。確かに、四次防予算の政府修正のときも、国民は佐藤さんの引退時期というものは繰り上がった、こういう印象を持ったわけでありますけれども、今回の外務省文書の発表によるところの、沖繩国会において国民が欺瞞をされていた、こういうことから考えていきますと、私は、あなたは、自分の花道を飾るには早くおやめになったほうがあなたの花道が飾られると思う。長くやっていれば次から次へとぼろが出てしまってきているわけです。おそらく、この前二十日間か衆議院で時間を空費されましたけれども、あのときにあなたはおやめになって政権交代しておけば、私はかなりあなたにとっては、またこういう形で私どもがあなたを責めなくてもよかったわけであります。 いま国民の甲にはどういう声があるかといいますと、とにかく佐藤内閣があるということは、これは佐藤公害だということを言う人もあります。あるいは佐藤さんは国益ということばをよく言うんだけれども、いま最大の国益というのは佐藤総理が一日も早く引退することだ、こういうことを公然と言っているわけであります。私は、こうした事態が長く続くということは非常に遺憾だと思うのです。ますます政治に対する不信というものが一そう私はわき上がってくる。こうしたものは民主主義の破壊につながるし、あるいはこうしたものが暴力集団の発生に私はつながっていくと思うのです。そうした意味で私はいまのお話でも、またずっとずるずると長くやって任期一ぱいまでやるんじゃないかというような心配をするわけでありますけれども、その辺はきょうここではお話をいただけないということは私ども参議院としては非常に残念です。むしろ私は、ここでそういうお話が聞けるということをきょうは望んでいたわけであります。そういうお話が聞けないわけでありますけれども、私はそうした国民が一刻も早くやめていただきたい、こういう国民感情に対しまして、もう一回あなたの決意、どうするのかということをひとつ国民に伝えるというつもりで、ここにいるわれわれがニュアンスで感ずるということでなしに国民にはっきりわかるような責任のとり方を明示していただきたいと思うのです。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま申し上げたように、とにかく私が総理である限りはその立場において職責を全うすることが私の責任だと思っております。そうして、いつになったらやめるということを考えて仕事をする、こういうことではいかない、かように思っております。しかし、ただいまのお話、竹田君の御意見、また一般の新聞その他で報道されておる私に対する批判、それらは謙虚に私は伺っておるつもりでございます——承っておるつもりでございます。それは私の進退はさような状態のもとにおいて決せらるべきものである、かように思いますが、ただいまどうする、また直ちに責任をとるとか、かような状態でないことだけは御了承いただきたいと思います。
○竹田四郎君 何が何だかわけがわからぬ。佐藤政治は待ちの政治だ、こういうふうに言っているわけであります。国民の批判の強いときには遺憾の意を表明して政治責任を私は感じます、こう言って頭を下げる。国民がそういうことを忘れたころにはまたむくむくと頭をもたげてきて、予算審議がおくれたのは野党の責任からであるがごとき発言をなさる、こういうようなあり方というのが私は政治をこわしているんじゃないか、こう思うわけであります。でありますから私は、そうした点でもとにかく一刻も早くやめる、このことが一番必要だと思います。私はきょうの質問をするにあたってたいへん考えました。一体佐藤さんに今後のことを聞いて役に立つのかなと。もうやめる人に先のことを聞いたってしょうがないんじゃないか。ずいぶん悩みました。そういう意味で国民も、私は今日の佐藤発言というものをそのようにとっていると思うのです。そうすると、政治に空白を置くことはできないということをしばしばあなたは言われております。現実にはあなたが政治に空白をつくっているんじゃないですか、そう思いませんか。
○国務大臣(佐藤榮作君) まあ先ほどは私の言うことがわからないと言われたが、ただいまの竹田君の御趣旨、いろいろ私も伺いながらわからないなと、実はかように思うのでございまして、ただいま私は政治空白はつくっておりません。このことは私が厳然として総理をやって責任をとっておる、その立場でございますから、政治空白はつくっておりません。ただ竹田君からやめる人に聞いてもしようがない。これは聞こうか聞くまいか、いろいろ考えたがやっぱり聞かざるを得ない、こういうような結論のようですが、そのほうが私にはちょっとわかりかねる。だから、そういうことをあまり考えないで、とにかく気に食わなくても佐藤が総理でいる限りは佐藤に聞く、こういうことのほうがやはり責任をはっきりさすんじゃないだろうか、私もそういう意味でまたお答えするつもりですから、どうか先のことはあまり御心配なさらないで、私が総理である限りはやはり私は責任を持って答弁する、かように御了承いただきたいと思います。
○竹田四郎君 ただ物理的に、現象的に空白があるということを私は言っているわけじゃないんです。政治というものは国民の心をつかんでやることですよ。国民の心に政治に向かうかまえというものが——いや、これはやっぱりしょうがないというような気持ちを起こさせるところに私は政治の弛緩があるし、それこそいましめなくちゃならない問題だと思います。そういう点で、ただ総理の地位にあるから政治に空白がないという考え方は、私はこれは間違いだと思う。どうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) だんだんお説の趣旨もわかるようでございます。私は確かにただいま言われるような御趣旨からお答えをいたしますから、どうかお尋ねのほどをお願いいたします。
○竹田四郎君 あまり時間を費やしているわけにはいきませんけれども、あした衆議院で何か意見表明をされるそうですが、表明されるつもりですかどうですか、予算委員会で。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま国会中でございますし、先ほど来申し上げるように、私総理である限りにおいて、お尋ねを受ければ私がそれし対してお答えするのは当然でございます。私のほうから積極的に何々というようなことを申し上げるような筋だとは私は思っておりません。これは新聞の報ずるところでは私が表明するような記事が出ておりますが、これは新聞の想像記事じゃないかと私は思いますから、この機会にはっきり申し上げておきます。私はどうも当たらないのも新聞、当たるのも新聞、こういうことを新聞記者に申しておるのです。最近はどうも想像記事が多いようでございます。そういう点で、これは当たることもありますし、当たらないこともある、さように御了承願います。
○松永忠二君 関連。 いま、お話をお聞きしておりましたが、いまのお話は、私は積極的に発言する意思はないのだというお話のようだ。こういうことを言っていいのでしょうかね。われわれのいろいろ関係方面から書かれたり、あるいは聞き伝えられているところによれば、やはりこういう点について、むしろ総理自身が、やはり先ほど予算委員会で暫定予算の当初に冒頭述べられたように、責任を痛感しておるので、この点についての所信をみずからも積極的に明らかにしていくのであろう、こういう判断をしているわけでありますが、聞かれれば言うけれども聞かれなければ言わないのだというような、こういうつまり責任の感じ方であるかどうかということについて私は疑念を持つわけです。まさかそうではなかろうと思うが、その程度の責任を痛感されているのではなかろうと私は判断いたします。その点について用語の誤りがあったのであれば正すべきであり、皆に与えた印象が誤りであるならば正すべきだと私は思うが、その点を一つ。 もう一つは、先ほどからお話を聞いていると、政治に空白はありません。これだけの、一体一カ月にわたり本予算の成立がおくれ、暫定の予算もたった一日でとにかく一カ月分のものを審議をしなければできない状態において、これで政治の空白なしと一体言っていいのでありましょうか。また私は、現に各種の問題を通じて国会が混迷を続けて、一方では中国の国連参加があり、ニクソンの訪中あり、世界の情勢も経済の情勢も刻々激変をする中で、各国々がそれぞれ情勢を判断して勇敢に行動を続けているときに、一体日本の国の政治はどうなっているんだろうかというような政治の不毛を、私は国民が痛感していると思うのであります。何とかひとつ政治を立て直してほしいし、国会もひとつ国民の負託にこたえてほしいという国民の要望が強いと思うのであります。こういう国民の要望を痛感することなくして、政治に空白なしなどというようなことが言える筋合いではないと私は思う。私は、もっと質問者の聞いている誠意にこたえて、またこの答弁を通じて、総理が感じている責任の重さと、そうしてこの混迷を何としても抜け出していかなければならないと考えている所信を明確にすべきである、それと全然逆な印象を与えるかのような、本日の答弁の冒頭のそのやり方については、はなはだ私は言語道断だと思う。こういう点について、もっと率直に、そうして謙虚にやはり自分の感じているところを表明されなきやならない筋合いのものだと思うのです。したがって、先ほど申しましたように、この伝えられているような問題についても、いま受けるような感触ではなしに総理が考えておられると、私たちは信じている。また政治の空白についても、そういう面の空白を強く感じて、これをやはり信頼にこたえる国会の政治のあり方にしていくべきであることについて強く責任を感じているという、その考え方を明白に私は再度あなたの口からお聞きをしなければ、いまのような話の中で、何も一日で——暫定予算などをそんなにもあわてふためいてやる必要がないというような感じを強く持つのである。こういう点について明快なひとつ御答弁をいただきたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は冒頭に、私の痛感する責任を率直に披露いたしました。また、竹田君のお尋ねに対しては、私は謙虚に承り、御意見は御意見として承り、またこれにお答えしておるつもりでございます。ただ夕刊に出ている新聞記事をめぐって私と意見が違っております。私は、新聞記事に出ているその記事に責任は持ちません、そのことをはっきり申し上げたのです。御承知のように、ただいま国会開会中でございます。私は、国会開会中において、この委員会を通じて、そうして審議が続けられ、政府の所信、考え方もこれで明らかにされると、かように思います。だから、そういう意味でこれは十分御審議をいただき、またそれにこたえる、その用意があるということを申し上げたのです。どうもその表現のしかたが不十分だということで、たいへん松永君は気に入らないようですけれども、私の考えはさようでございます。どうか、さような点で誤解のないようにお願いをいたしますし、また議事はどうか御審議を続けていただくよう心からお願いをいたします。
○竹田四郎君 松永理事のほうから発言があったわけでありますが、私の質問に対して佐藤総理は聞かれれば言うのだという態度であります。私は、これはいまの段階では間違いじゃないか。みずから進んでこういう方向に私は政治を持っていきたいんだという意思表明が総理のほうから私は先にあるべきだ。実は先ほどの発言の中でも、もっと具体的に責任の内容をあなたはおっしゃるのかと、こう思っておりましたところが、責任を痛感しているということだけで終わりであります。まあきょう暫定予算が本院を通るかどうかわかりませんけれども、まあいずれにしてもいまのところでは、あした衆議院の予算委員会でもこの問題は当然出ると思うのです。私は総理のほうから先に、こう思います、こういうことを表明すべきだと思うのですが、どうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、まあ衆議院段階においていろいろの議論のあったこと、これらは皆さん方もこれは御承知のことだと、かように思っております。もちろん政府にその責任がないというのではございません。そういう意味から私は簡単な表現をいたしました。しかしそのいきさつをいまさら申し上げなくても、これは、御承知のとおりだと、かように思いますから、その暫定予算を組まざるを得なくなったその理由については詳細には申し上げておりませんけれども、それらの点を含めてまことに遺憾であったと、かように表現したわけであります。
○竹田四郎君 暫定予算を組まなければならなかった理由は私どもも知っています。特別に総理からくだくだしく述べられなくてもけっこうです。しかし、いま総理に国民が要求していることは、あなたの進退を一体どうするのか、このことがほとんど全国民の私はいま集中しているところの目だと思う。あなたはそれに対して積極的にこたえる必要が私はあると思う。先ほどの答弁は、暫定予算を組むに至った経緯、これを述べようというように私は受け取りましたけれども、あなたの進退について明確にする、これはあした表明をあなたのほうから私はすべきだと思うのですが、どうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は先ほど来申し上げるように、ただいま国会開会中でございますから、委員会が開かれる、そうしていろいろ御意見あるいはお尋ねを受ける、それに政府が答える、私が答える、これは当然のことでございます。しかし、ただいまこれは疑惑があると、あるいは不安があると、いつまでやっているのかわからないと、それだから明確にしろ、かように言われましても、先ほどお答えしたと同じ答えをする以外にはございません。総理である限りにおいては責任をとって、全責任をもって職務を遂行していくと、やめるときになればやめると、こういうことでございます。これはただいま申し上げるように、いついつになったら死ぬるとか、こういうことが言えないように、ただいま私は重大なる職責におりますので、いついつになったらやめますと、こういうことは事前には申し上げるわけにいきません。そのことを申し上げておるのであります。
○竹田四郎君 総理がやめるのを病気でいつ死ぬ、その時期と同じように、そのたとえというのは私はまことに遺憾だと思う。政治家というのは出所進退を明らかにするということが私は非常に必要だと思うのです。それを人間の死ぬ時期と同じようなことにたとえて言うというあなたの態度というのは、国民に対してこれは私は許せないと思う。言い直してください。
○国務大臣(佐藤榮作君) どうもたとえがまずかったようですが、その点は後ほど訂正させていただきます。
○竹田四郎君 この問題は、さらに後ほど再度お伺いするということで問題を少しほかに移したいと思います。 あなたは自民党の総裁であります。これは間違いございませんね。
○国務大臣(佐藤榮作君) そのとおりでございます。
○竹田四郎君 いま新聞紙上伝えておられます、角福戦争ということばがたいへん伝えられているわけであります。町のどこを見ても、これについては五十億の金が飛んでいるとか、あるいはある会合に出ていった、一万円の会合に出ていったらば九十九万円が返ってきたとか、まあこういううわさ話がたくさん出ております。私は、これはただ単に自民党が後任総裁争いにたくさんの政治資金を使っている、黒い金を使っているという、こういうのは私は自民党に対するだけの批判にならないと思うんです。私は、これはおそらく国民の政治不信につながっていく一番大きい問題だと、こういうふうに思うわけでありますけれども、こういう醜い角福戦争に対して総理として一体どのようにお考えですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) これが事実であれば、それはまことに重大でございます。事実であれば、ただいまそれは自民党だけの問題じゃない、政治家全部がたいへんな誹謗を受けている、かように考えざるを得ないと、かように思います。したがいまして私は、この記事をほうってはおりません。それだけははっきり申し上げておきます。
○竹田四郎君 どうも佐藤総理の発想というのは末端に目を向けている、根源に目を向けていないという感じがするわけであります。そういうことを書いた報道記者が悪いとか、私はそういうことじゃないと思うんです。もっとこの問題に対する根源をただしていく、このことが必要だろうと思うんです。そうした意味においても私は、この金を中心としての世上いわれる角帽戦争、これに対しては総理として何らかの意味で決断を与えるべきだと思うんですが、どうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私がただいまお答えしたのは竹田君と同じような気持ちからです。ほんとうにいわゆる角帽戦争があるのかどうか、そのことをまず明らかにしてもらいたい、そうして黄白がほんとうに飛んでおるのか、そのことをはっきりさしてもらいたい。これは新聞記事——大記者ですから、大新聞ですから、それだけの材料は持っているだろう、責任があるだろうと、私はかように思いますので、そういう事実があるならここに明確にしてくれと、これは要求しております。それは私が別に末端だけに、末梢だけに気を使っておるわけじゃありません。事柄の性質上本質的な問題だからです。私は、これはただ興味、関心だけで事柄が済むような問題だとは思っておりません。まして、この席でただいまお尋ねがある、私はたいへん竹田君に心から敬意も表します、こういう機会にこういう事柄がもっと明確にされてしかるべきだと思っております。こういう事柄が闇から闇に葬られたりすると、いろんな事態が次々に発展すると、かように思っております。だから私は、こういう記事を書く以上、それだけの責任はとれるだろう、それだけの材料があるんだろうと、私は特に親分衆は何か五千万円とかいうような記事が出ている、これは見出しにしろたいへんな私は記事だと思っております。これは天下の大新聞のやることじゃないと思うんです。これはもう私は、同じように政党を頭から誹謗するものであり、お互いの政治家を頭から軽べつしているものだと、かように私考えますから、これはただいまお尋ねがあるその機会に私の感じを率直に申し上げておきます。
○竹田四郎君 私は、政治というのは裁判とは違うと思うんです。裁判ならばその証拠によって判断をするというのが裁判であろうと思います。政治というものは私はそういうものではない、少なくともそういうようなうわさ話が出るようなムードがある、そういうムードをつくりあげていくというところに私は一つの問題点があると思うんです。ですから先ほど私申し上げましたように、一つ一つの証拠を出してそれを明確にしていくということじゃなしに、そういうものを打ち消していくような総理の政治的な行動、このことが私は一番ポイントじゃないか、そのためにも私は、総理が早くやめられる、角帽戦争に終止符を打つには、その機会を長くおくということになればますますそれがエスカレートしていくわけであります。そういう点に関しても、私は総理の進退もそこに影響しているんじゃないかと思うんですが、どうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 角福戦争をやめるために早くやめろと、こういう御議論のようですが、私のつかみ方とはちょっと違っておるようでず。私は、前段のほうではたいへん本筋のお話をなさる、かように思って私も憂いをともにするものだと思って、同じようなうっぷんを晴らした答弁をいたしましたが、そうじゃなくて、角福戦争をやめるためには佐藤が早くやめることだと、かように言われるようですが、これはどうも関連が論理的に飛躍があるようでございます。私は、大事なことは幾ら表現の自由だとか、あるいは発表の自由だと申しましても、いわゆるうわさ話が一つのムードをつくると、こういうような御指摘がありましたが、国民から見ればそのうわさ話がどこまでがうわさ話なのか、また、どこまでがただ単なるムードなのか、それは判断しかねると思います。私は、ここらにマスコミ、報道機関の正確さが要求されるんじゃないかと、かように私は思いますので、このことはやはり追及すべきじゃないか。私は別に裁判官と申すわけじゃありません、うわさ記事はひとつうわさ記事として載せられるのなら、これはけっこうです。しかし、うわさ記事がうわさにとどまらず、それが実際であるかのような、また一つのムードをつくる、そういうことが今日の世相を誤らすゆえんじゃないでしょうか。私はそういう意味でマスコミの責任というものはまことに重大だと思います。私はマスコミだけの責任を追及するわけじゃございません。ただいま話題になった、話題になってこの委員会で取り上げられたその問題について私が私の所信を申し上げておる、これは私当然のことだ、かように私は思います。これはまた、竹田君がお尋ねになりましたのもそういう意味から、これはマスコミの記事ではあるけれども、この事柄について非常な政治的責任ありとして私を追及なさる最もいい材料だと、かようにお考えになったからお取り上げになったんだと思います。私は、それほど専門家である竹田君すら、政治の専門家である竹田君すら、ただいまのようにうわさとムードと、そんな実際とそこらのけじめのつかないような認識でお尋ねになる、世間一般の方は一体どう思いますか。私はそのことを考えると、このことはまことに重大だと思います。
○竹田四郎君 昔から火のないところには煙が立たないと、こういう話があります。これは総理も御承知のことだと思います。かつてヒットラーの陣営では百回うそをつけ、百回うそをつけばうそもほんとうになる、こういうことでナチスはドイツの民族を支配してきた。いまあなたはマスコミが無責任だ、こういうことを言われておる。それはそういう個所もあるでしょう。しかし、これは特定の一社がそれを言っているわけじゃない。ほとんどのものがそれを言っている。新聞においてはもう囲み記事すら出して毎日のように連続ものでこれをやっている。こういうことになれば、それはマスコミが悪いということではなしに、私は政治の姿勢に、そこに問題がある。そういうムードの中であなたが態度を決定しないということは、私はそういうことをエスカレートしている。何にも論理の矛盾は私はないと思うんです。そういうことであなたが引退をしないということに対する不信、自民党総裁としてこういうものを処置できないという不信、こうしたものは私はまことに大きいと思うんです。責任を痛感しませんか、そういうことに対して。
○国務大臣(佐藤榮作君) 誤解があったらそれは解いていただきたい。私は、マスコミだけを攻撃してマスコミだけの責任だと、かように申しておるわけじゃございません。もちろんマスコミといえども私どもの日本国内のマスコミでございますから、政治家が姿勢を正しておる限りにおいてはそういうような記事はないはずでございます。だから、それはもう政治家がえりを正してこういう問題と取り組まなきゃならない。そういう意味で、私どもに責任のあること、これは基本的な問題でございます。だから、私そういう点を避けるつもりはございません。ただ、最近の記事そのものが、よほどその責任の所在を明確にしておらないと、こういう事柄について私自身も申し上げたのでございます。同じことが政治家の佐藤にもいわれるだろうと、こういうようないまの顔をしていらっしゃいますが、それらの点は、先ほど来私が私の責任、私が遺憾に思っておる点、これははっきり申し上げておりますから、これは御了承いただきたいと思います。
○竹田四郎君 時間がありませんから先へ進みます。 福田外務大臣にお尋ねをいたしたいと思うんですが、あなたの政治姿勢を見ておりますと、今度の例の電報の問題でありますが、この電報が漏洩したといこうとをたいへんあなたは責任を感じておられる。まあこれは確かに公務員の秘密を守るという義務のあることは、私は当然だろうと思うんです。あなた自体が沖繩国会において全然国民を欺瞞してきた。四百万ドルの件についてもすでに明らかになったとおりであります。その他VOAとP3の問題とか、まあたくさんあります。アメリカとの密約を国民には密約はないと、あなたは何回も沖繩国会で言っているわけです。そのことの責任を感じないで、電報の漏れた相手を一生懸命さがす、私はこういう考え方も本末転倒をしている点だろうと思うんです。まず自分の、外務大臣としての沖繩国会からの責任というものをまず先に私は痛感すべきだと思うんです。どうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は沖繩国会におきまして、あの協定並びに付属文書、またここで説明したこと、それ以外に密約はないということを繰り返し言っておるわけであります。そのとおりに確信いたしておりますので、その点について私は責任を感ずる必要はない、かように考えております。
○竹田四郎君 いまの外務大臣の態度も私は何ら責任を感じているような態度とは受け取れないわけです。あなたが総理大臣に次になるのかならないのか、私わかりませんが、そういう態度で初めから臨まれるということになりゃ、国民はこれまたたいへん迷惑な話です。もう少し責任を痛感してほしいと思うんです。あるいは、これはあなたが、あるいは政府があまりにもアメリカに追随している、そういうことに対する天の声かもしれません、歴史的に見れば。それをいま一生懸命弾圧するほうを先にして、自分の責任を感ずることをあとにしているというのは、私はまことに遺憾だと思いますけれども、時間がありませんから、これはまた——あなた、おやめになるのかどうか知りませんが、今後の追及の種にしておきます。 次に、お聞きいたしておきたいんですが、沖繩返還を契機に一体恩赦をやるかやらぬのか、これは総理ないし法務大臣にお答えいただきたいと思うんですが、どうですか。そうして、やるとすればどういうような恩赦をやるのか、この辺についてお尋ねします。
○国務大臣(前尾繁三郎君) 沖繩返還についての恩赦については、まだ先のことでありまするから、白紙でいろいろな人の意見を聞いておるという段階でありますので、ただいまのところ何らそれについて申し上げる材料はありません。
○竹田四郎君 私は先ほども政治不信の話を続けてまいりましたけれども、選挙違反については、これは恩赦の対象から私はぜひ除外をしてもらいたいと思うんですけれども、法務大臣いかが考えますか。
○国務大臣(前尾繁三郎君) ただいまの御意見は御意見として伺っておきます。
○竹田四郎君 たいへん遺憾な話だと思いますけれども、私は当然これはやめるべきだと思うんですけれども、これは佐藤さんに聞くのがどうもちょっとぐあいが悪いような、ぐあいのいいようなことでございますけれども、総理はどう思いますか、これは。あなたはそのときに在職しておられるかどうかわかりませんけれども、あなたはどう思いますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) いま恩赦をするかしないか、それもまだきめておりません。だから、ただいまのような法務大臣の御答弁だと思います。しかし、私ども考えてみるのに、沖繩の米軍、アメリカ施政権下においてのいろいろの諸犯罪等については、これはどうも恩赦か大赦か、そういうことをやらなきやならない筋のものではないだろうかと、かように実は考えております。これだけは最小限度必要な問題だと、その他の事柄についてはただいまのような御意見を各方面から伺いますので、それらの点については慎重にいたしたいと、かように思っております。
○竹田四郎君 また、あとへ戻ってまいりますけれども、とりあえず暫定予算の件について話を進めていきたいというふうに思います。 今度の暫定予算の中でやはり一番大きい問題点は、国立学校の入学金、授業料、これは入学金については前年どおり、それから授業料については前半は従前どおり、まあこういうことによるところの約十八億でありますか、これが結局穴があくわけですね。この穴は一体どういうふうな形で埋めようというわけですか。もうこれは確定的なものでありますから、まあ私は、この点については本予算も、当然もうほとんど確定でありますから、修正していいと思うんです。この十八億の穴というのは一体どうしますか。
○国務大臣(水田三喜男君) 特別会計が非常に大きくなっておりますので、この十八億の穴はせいぜい二%台のまあ歳入欠陥になるということでございますが、これにつきましては、この会計がいままでのところはずっと近年続いて剰余金も出ておりますし、また財産の処分というようなことも考えられますし、この二%、三%のところでしたら、節約、いろいろなくふうをこらして、これは支障なく別に予算の補正をすることなしに、いまのところはやっていけるという見込みでございます。
○竹田四郎君 運輸大臣にお伺いしたいと思うんですが、国鉄運賃の値上げ、これは四月一日をおそらく予定をされておられたと思うんですが、これは一体いつごろ、あなたの見通しでは通過して値上げができるんですか。ゴールデンウィークには問に合いますか、どうですか。
○国務大臣(丹羽喬四郎君) ただいまの御質問でございますが、私どもは四月一日を目標にお願いをした次第でございますが、諸般の事情で四月一日はなかなか無理ではないかと思っておる次第でございます。これはもっとも私のほうからはお願いをするだけでございまして、国会の御審議に上りまして、委員の皆さま方の御審議によりまして、一刻も早くひとつ運賃改正案を成立さしていただきまして、所期の目的を達成したい、こういうことでお願いする次第でございます。
○竹田四郎君 まあ、おそらく私が調査したところでは、五月十五日に値上げができるということにいたしましても、約二百五十億前後の赤字が出るという話であります。 それからこれは、厚生大臣、いらっしゃいますかどうですか。健保のほうはどうですか。健保のほうは予定どおりいきますか。赤字が出ますか。
○国務大臣(斎藤昇君) 健康保険法の一部改正はただいま提案をいたし、衆議院で御審議中でございますので、政府といたしましてはなるべく早く御審議を進めていただいて、そして結論を得ていただきたいと希望いたしておるというのが今日の段階でございます。
○竹田四郎君 まあ、いずれにしても、この数字は明らかにされませんでしたけれども、おそらくこれにいたしましてもかなりの赤字が出るということになりますと、予算が非常に延びたと、一カ月以上にわたって延びたということがその他の審議にも私は影響していると思うんです。たとえば国鉄の赤字の二百五十億、これは国鉄自身の責任じゃないわけです。こういうことを考えてみますと、国立学校の問題についてはもう明らかに十八億の歳入不足が出てぐるわけです。国鉄の問題についても二百五十億。おそらく健康保険でも七十億近いものが私は出るんじゃないだろうかと思う。なるほど国立学校はいまあなたが言ったように財産でも売れば十八億出るかもしれない。しかし全体としての予算審議が延びて暫定予算を組んだということから、あちらこちらに私は、いわゆる政府の責任によって、総理が言ったように政府の責任によって赤字が出ていると思う。これは私は当然一般会計で補てんをすべき問題だと思うんです、趣旨からいって。こういう意味で私は、どうして補正予算を組むか。もう国立学校の問題については、私は当初予算を修正して出し直してきたほうがいいと思う、はっきりして。そういう意味では補正予算を明らかに組むか、組むと同時にこの四十七年度の国立学校関係の予算については私は修正すべきだと思うんです。大蔵大臣どうですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 歳入予算のほうは、これは見積もりでございますので、したがってこの歳出権限の限度をきめる歳出とは違いますので、したがって最初に歳入のこの減が若干予想されるということであっても、この予算の修正をする必要はないと考えますが、したがって、もしそういう歳入欠陥が実際に出る場合には、歳出面についていろいろの努力をしなければならぬと思います。これはある程度できると思いますが、しかしそれをもってもどうしても不可能というようなことが年度の末になってわかるというようなときには、一部はこれは予算の補正をしなけりゃいかぬというような事態が起こるかもしれませんが、いまのところは別に予算の補正をする必要は私はないだろうと思っています。
○松永忠二君 関連。 いまお話は、修正をしないという話のようですが、国立学校の特別会計分が二十四億五千七百七十一万五千円というものを暫定予算に出している以上、これは当然修正をすべきだと私は思う。これはまたこまかくは議論をするところがあると思うんでありますが、いま現に十八億二千万円の減収はもう明白である。また特別会計において授業料と入学料の百億七千九百三十四万円の収入見込みに相違があるということはもう明白である。これはもうはっきりしている。 そこで申し上げたいのは、いま話の出ている国鉄の運賃とか健康保険の問題等、法律を四月一日に実施すると、こういう予定をして、審議がおくれているために、つまり歳入の欠陥が出てきた問題についても、本参議院の委員会では、昭和二十九年に、こうした関連の法律がいずれもおくれてきてしまって、歳入増のいわゆる法律の審議もおくれてきているので、予算と法律の一貫性というものに基づいて、実は予算委員会の審議を打ち切って予算の自然成立をしたことがあるのであります。これは法律を出していて、審議がおくれて、しかも歳入に欠陥が出てきた場合でもそういうことをやっているわけです。ところが今度のこの場合には、授業料と入学料の場合には、現にある国立学校設置法に基づく省令が変更しない。そのために明らかに歳入の欠陥が出てきているのであって、法律審議中のものとは全然違うのである。法律に基づく省令に基づいて歳入の欠陥が明らかにここに現に出ているわけです。しかも御承知のとおり、予算における歳入歳出は単なる見積もりではないのです。一会計年度における国の財政行為の準則であって、主として歳入歳出の予算の準則を内容として、国会の議決を経て定立された政府の行為を規律する法規制であるということは、予算についても明白な定説である。現在の財政法や憲法では、歳入についても国家が債務行為を、債務をする場合においては、国会の承認がなければ債務ができないことにもなっているわけです。その上に第二の点として、総計予算主義の原則というものが日本には現在とられている。財政法第十四条には「歳入歳出は、すべて、これを予算に編入しなければならない。」ということが明確に規定をされているわけです。しかも国家財政の一切の収支を予算に明らかにすることは国会、国民の財政上の監督を容易ならしめるという面から、そういう財政法の規定も行なわれているわけです。しかも財政法の第二条には四項に、歳入とは一会計年度における一切の収入をいうということに規定をされ、憲法八十三条には、「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」という規定があるわけです。法律に基づいた省令に基づいて明白に現に十八億二千万円の減収があることはもう明白である。しかも収入見込みとして歳入に計上している国立学校特別会計の百億七千九百万円の収入は不可能であるということはもう明白になっている以上、これは歳入だからといって予算を修正をしなくてもいいという理由は法的に何ら成り立たない。当然なことだ。この予算修正なくして本予算を通そうとか提案をしていこうなどということをやるということになれば、財政法の違反であり、憲法違反の疑義さえ持たれ、明白にこれは修正をすべき性質のものである、これは明らかだと思う。これについていまお話を聞いていれば、何かそういうものはいいかのような御答弁があるので、この点について私はそれはだめだ、そういうものではないということをいま理由を述べて申し上げたんだから、もし反論があり、これがいいというお話ならば、積極的ないわゆる説明をされて、そしてここに疑義を正していただかなければ、暫定予算としては問題はない。しかし暫定予算として明確になった国立学校の特別会計におけることが明白になれば当然本予算においてはこれは現にわかった歳入の欠陥であり、現に歳入として見込まれているものがそれだけは取れないということが——不可能だということが明白になっている現状において、歳入といえども、これは修正をして国会の承認を得ることなくしてこれを通すことはできない。これは明らかであると私は思うので、この点について関連をして、少し長くなりましたが、お許しをいただいて質問をしたわけなんです。
○政府委員(相澤英之君) ただいま財政法の第十四条の総計予算主義の原則を引用されたわけでございますが、これは先生も御案内のとおり、財政法は、「歳入歳出は、すべて、これを予算に編入しなければならない。」、これは読んで字のとおりでございますが、その趣旨は、結局歳入歳出の項目を、これを予算外において処理するということを禁止しているものでございます。これは、したがいまして、項目に関することでありますが、おっしゃるとおり、その金額もすべてこれを計上するという意味も含んでいるわけであります。 そこで、授業料の歳入は国立学校の特別会計の収入でありますから、当然授業料の収入見込みの総額を国立学校特別会計の歳入に計上すべきであるということになります。そこで、授業料の収入の見込みは、これが現在の本予算の予定と暫定の見込みが違うということになりますので、その違った部分について直ちにこれを修正すべきでないかという御意見でございますが、この点につきましては、先ほども大蔵大臣から答弁を申し上げましたが、歳入予算というものは、その性格上は歳出予算と違いまして、見積もりでございます。したがいまして、その歳入予算が全体として本予算において予定するところに達しない場合におきましては、歳出予算の実行上支障が生ずるわけでございますが、それが総体で三千九百余億という財政規模の中で十八億程度の移動でございますから、その予算の実行においてそれが何とか処理される。たとえば他の国有財産の売り払いによって収入をあげるとか、あるいは通常よくございますが、歳出の不用額が生ずるとかいうことによってこれが処理できますれば、この本予算の修正をする必要はないということになろうかと存じます。
○松永忠二君 終わりますが、それはとても納得ができません。先ほど申しましたように、歳入歳出は見積もりではなくて、一つの法規制だということは、もうすでに予算についての定説であります。しかも、現に参議院においても、将来四月一日に実施をすることを予定した法律がたくさん延びても、もともと法律と予算というのは、いわゆる予算は法律の執行に対する財政的裏づけであって、両者が同じ時期においてなされる場合には、内容において相互の矛盾を来たすことは本来あり得ないということになる。予算と法律とはそういう関係を持っているわけなんです。この大学の授業料と入学金は、法律に基づいて省令が定められ、その省令に基づいて金額が明確になってきているものであって、将来移動する性質のものではない。現に欠陥が出てきているんです。しかも、なおかつ、歳入において百億の収入が見込まれないのに、不可能であるにかかわらず、これだけの歳入ができないのにかかわらず、その歳入をもって国会に出すということは、歳入についても不可能なものを出しているということになるわけです。だから、こんなことが認められるということになれば、何も、歳出の中でまかないができ、歳入のところでまかないができれば、現に予算が成立するときに明らかに歳入の欠陥があり、過大な見積もりとして見込み不可能な問題までも、それがいいのだというような結論になるわけです。私が金額的に小さい約十八億の金をここに問題にするということは、本来から言うと、金の高においては少ないけれども、この考え方がルーズにされるということによって、いわゆる行政的な裁量によってそういうことがルーズに行なわれるという結果になるのであって、これはそういう簡単なものではない。いま言われたような性格のものではないし、また収支の見積もりの問題についても、必ずしもあなたの説明したようなことにならないというような事実も私はあると思うのです。その収支が償うかどうかということは別として、さっき繰り返して申し上げているように、現に四月の一日実施ということで国鉄とか健康保険の法律で、ここでは言わないけれども、税の特別措置法なんかでも、全部実施できないことになっている。そういう場合にはかつて暫定法律を出したこともある。本参議院においてはそのために予算の審議を打ち切って自然成立をさした例もある。将来成立することを予定したものでもそうであったのに、現にある法律に基づいて出されているこの明らかな歳入の欠陥、収入見積もりの誤り、これを修正をせずして国会を通そうなどということは、これは財政法から考えてもあり得べからざることであるので、きょうはもうこれ以上は議論はいたしませんが、しかし、私はこの点については、本予算の審議に入る段階において明確に理解できる答弁をいただかない限りは、この予算には明らかに誤りがあるということになるということを申し上げて、政府としての善処を求めて、私はきょうの質問は終わりたいと思います。
○竹田四郎君 それから、今回の歳入を見ますと、前年度の剰余金についてその全額を計上するということで九百九十五億を歳入に見込んでいるわけでありますけれども、前年度剰余金というのは、その半分は公債の償還財源に充てていくものであるべきだと思うのです。そういうことをやらずに、いたずらに剰余金全額を計上するということは、これは私はおかしいと思うのです。剰余金は歳入に計上しなくても、これは利用できるはずなんです。そういう措置もしていないのを全額あげるということはどうもおかしいのですが、どうですかこれは、大蔵大臣。
○政府委員(相澤英之君) 今度の暫定予算に計上いたしております剰余金は、四十五年度の歳入歳出の剰余金でございまして、これはすでに金額的には確定しているわけでございます。そこで、それを暫定予算の財源として組んだわけであります。で、これを暫定予算に組むかどうかということについては、確かにおっしゃるとおりのような御議論があろうかと存じます。これはかつては四十二年あるいは四十三年の暫定予算におきましてはそういう措置をとったわけでございますが、国会で論議がございまして、むしろそういうような剰余金が確定してあるならば、これを歳入予算に計上すべきであるというような御意見がございましたので、四十五年の暫定予算におきましてはそれを歳入に計上したわけであります。今回はその方針を踏襲したのであります。
○竹田四郎君 あまりこまかく聞いておれませんから、次へ移ります。 それから公債金の収入二千四百億円を予定しているわけでありますけれども、これは例年から比べますと私はかなり多額なものを暫定予算に組み入れていると思いますけれども、私はこれはむしろ十二分の一程度のものとして考えていくか、私どももこの公債金については必ずしも賛成をしているわけではないわけでありますから、当然これは蔵券か何かになって、その収入を借り入れ金によってまかなっていくべきであると、こういうふうに思うわけでありますけれども、その点はどうなんですか。
○国務大臣(水田三喜男君) いろいろ考え方をいたしましたが、しかし、いままでの例を見ますというと、その年の公債発行額の約二割が大体四月一カ月の間に発行されておるというのが一応の例になっておりますので、そうしますというと、昨年の、四十六年度の公債発行額一兆二千二百億ということになりますというと、二千四百四十億という数字になります。また、ちょうど——別にこの公債発行対象経費と合わせる必要はなくて、年度を通じての対象経費の中に公債の発行額が入ればいいということになるわけで、別に一カ月の中でこれを合わせる必要はございませんが、しかし、やはり暫定予算を早く審議していただくために論議の対象になるようなことはできるだけ避けたいと、全般にわたってそういう考慮から編成いたしましたので、ちょうど八分の一という公共事業費がやはり二千四百億台になるということから見ましても、数字的に見て二千四百億円前後が至当であろうということで、これらの金額をきめたということでございます。
○竹田四郎君 普通、本予算が通った際は、私は確かにそのとおりでいいと思うんですけれども、今度の場合は暫定予算であるわけです。そういたしますれば、これは当然、私はむしろ公債金収入は除くべきである。あるいは、どうしても上げなければならないということにしたところで、私は十二分の一を上げるべきだと思うんです。その問題と公共事業費の八分の一ということは、私は全然関連ないと思うんです。どうですか。
○国務大臣(水田三喜男君) それは別に関連なくて、あとからつけたことでございますが、本年度の公債発行額は一兆九千億という大きい額でございますので、本年度の額による二〇%という過去の率をかけたわけではございませんで、昨年度の、前年度の実績をとった二〇%ということで、過去も大体補正予算を組むときにはそういう組み方をしておりますので、それに従ったということでございます。
○竹田四郎君 どうも、その辺私は納得できませんが、それはまた今後続けてみたいと思いますけれども、蔵券を発行して乗りかえればいいわけですよ。蔵券のほうがおそらく利子も安いと思うのです。そういたしますと、どうしてこの暫定に二千四百億を計上したかという根拠は私はきわめて薄いと思うのです。どうですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 実は、本予算のほうで、総則で御審議をお願いしようとしている蔵券の発行限度が六千億円ということになっておりますが、今度の暫定予算におきましては、歳入のほうが五千何百億円か足らないということになっておりますので、この四月一カ月の間に蔵券で泳がなければならぬ部分が五千五百億円ということを予定して、これは総則で御承認をお願いしようということになっておりますので、この限度がもう来ておりますので、蔵券ではなかなか泳ぐことができないと、こういう事情がございます。
○竹田四郎君 こまかく議論しておれませんので、先へ進みたいと思います。 今度の暫定予算を組むことによって、いまの景気の回復は一体どうかということが非常に大きい関心事だと思うのです。人によっては、この暫定予算を組むという事態に至ったために景気の回復が三カ月おくれたということを言う人もあるわけです。そういう意味では非常に重要な時期であるだけに、私は相当大きい影響を景気回復に及ぼしていると思うのです。その点、大蔵大臣どう考えますか。
○国務大臣(水田三喜男君) 予算が当初から執行されることに比較しましたら、一カ月の暫定予算の執行ということは、これは財政運営上相当の制約を受けることでございますので、影響がないということは言えないと思います。したがって、いま考えておりますことは、この予算の組み方の中で、公共事業費、ことにその中で積雪寒冷地帯に対する考慮というようなものをある程度十分にしてやりますことと、もう一つは、本予算が通過した場合には、すぐに公共事業費そのほかの契約に取りかかり、予算の執行が促進されるようにという、この事務的な準備をいまのうちに各省で十分整えておくということを各省申し合わせて、本予算が通ったときにすぐに発足させる準備を、いま、この期間にやっておりますので、これによりまして、やはり例年やっております上半期に何%の大体契約を了するというような、一つのいままでどおりの目標、目途というようなものも、ことし、そう立ちおくれずにやっていけるんじゃないかと。いま、この期間の準備を十分にすれば、何とか、大きい支障を来たさずにやっていけるんじゃないかというふうに、いま、その問題に頭を悩ましておるところであります。
○竹田四郎君 景気の動向が一体どうなるかということはほとんど確定的な意見が実はないわけですね。政府の見通しもいろいろ批判がありますし、財界の見通しも少しオーバーだというような感じがします。学者の見通しというのはちょっと甘いんじゃないかというような、いろいろな評価があるわけでありますけれども、そうした意味で、いま、大蔵大臣も、暫定予算が景気の回復に全然影響ないことはないと。どれだけであるか、ある程度はあるかもしれぬ、今後の公共事業の推進のスピードにも影響してくるであろうと思いますし、しかし、先ほどの国立学校の問題、それから国鉄運賃の問題あるいは健保の問題その他にもたくさん出てくるかもしれない。こういうことを考えてみると、いずれにしても、補正予算は組まざるを得ないというところにいくということはありませんか、ありますか、どうなんですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 景気の見通しでございますが、大体、不況が底固めをしておる段階だということは、各方面の意見が最近一致してきておるようでございますし、日本銀行筋の調査もゆるやかな上昇過程というようなことを言い出しておりますし、見方について一番きつい見方をしておった通産省方面も、この五カ月の鉱工生産指数の動きというようなものから、やはり景気は一応底固めの段階に入っているというような見方を最近はするというようになってきましたので、私は、いま景気の路線というものは、昨年度のあの大きい補正予算、そのほかの金融財政政策によっていま大きく狂っていないと思っております。したがって、この本予算が通過して動き出せば、私はそう大きい狂いはなくいくものだろうと思います。ですから、この景気回復のための補正予算というようなものは、いま、私どもは考える必要はないと、また考えておりませんが、しかし、例年、この事務的な予算の補正というものは後年度にいって行なわれるのでございますから、そういうベースアップを中心にした問題、そのほかの生産を中心にした——いろんな予算の補正というようなものは、これはあると思いますけれども、景気回復のための特別な補正予算というようなものはいまのところ考えておりません。
○竹田四郎君 補正予算関係は終わりまして、佐藤総理に再度質問することのできる機会があるかないかわかりませんので、この際聞いておきたいと思いますし、おそらく総理はやめられても、一応政治関係にはタッチされておられるだろうし、有力者になるであろうと思いますので、ひとつお伺いしておきたいと思いますが、ことしの総理の冒頭の演説の末尾のほうに「いまこそ、発想の転換を行動に移すべきときであります。」と、こういうふうに述べられているわけでありますが、総理はいままでどういうふうにものを考えてきたのか。いままでものを考えてきた考え方をここで変えなくちゃならぬ、その変えたことを実行に移さなくちゃならぬと、こういうふうに私は理解をしているわけでありますけれども、いままでの考え方の、どういう点が悪いから、それはどういう方向にこの際持っていかなくちゃならないのか。前のあり方に対する批判から、今後のあり方というものが転換されていくんだろうと私は思うのですけれども、ことばの上で、私もこの発想の転換という、非常にことばはいいことばだと思っておりますけれども、しかし、問題は内容だと思うのです。その内容が、どうも、私は四十七年度の予算の中にあらわれていないような感じを私は持つわけです。この際、総理の発想の転換ということは一体どういうことなのか、どういう方向からどういう方向へ実際持っていくのか、この点をはっきり聞いておきたいと思うのです。
○国務大臣(佐藤榮作君) やはり一番具体的にはっきり申せば、いままでのわれわれのやっておる施策のすべてがやはり国民生活を充実さす、向上さすと、そういう方向でなければならない。これはもう発想の転換というよりも基本的なそれは姿勢だと思います。そういう意味で、私は早くから社会開発というようなことを唱えてまいりました。しかしながら、それはどうも実行に移っていない、ただ、口頭禅に終わっていると、こういうような事柄が問題でございます。だから、いまこそ、それを実現すべきときではないか、実行すべきときじゃないか、それを実行に移すべきじゃないか、かように思っておる、そういうことを率直に申し上げた次第でございます。
○竹田四郎君 水田大蔵大臣もそういうことばをおつかいになっておりますし、経企庁長官も同じようなおことばを使われておりまして、期せずして三人の方が発想の転換ということばをおつかいになっているわけでありますが、福田外務大臣は、転換ということは使っておりますけれども、発想の転換という、そのものは使っておられませんけれども、いま、総理の演説の末尾にありました「発想の転換を行動に移すべきときであります。」というのは、福田外務大臣はどのようにおとりになっておりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 外交の面からいいますと、最近非常に世界情勢は動きつつある。つまり、米ソ時代から、多極化時代に入っておる。しかも、その多極化時代において、緊張緩和を進めようという動きが出てきておる。そういう新事態に即応しまして、わが国もそれに応じた姿勢をとらなきやならぬと、こういうふうに考えておるわけでありまして、それが発想の転換ということばでありますれば、まさに発想の転換、こういうことかと思います。
○竹田四郎君 通産大臣にちょっと伺いたいんですけど——ちょっと急用で出られたようでありますから、じゃあこれは次の機会に……。 最後に、輸入物資が下がらないということで、たいへん国民は不満があります。いわゆる総代理店方式というのが、どうもそこで価格を操作しているのじゃないか、あるいは国でそういうものを操作しているのじゃないかと、こういうふうにいわれているんですが、一体、公取はこれに対してどういうふうに対処しているのか、あるいは行政管理庁はこれに対して、どういうふうな欠点があると、こういうふうにお考えになっているのか、この辺を少しお述べいただいて、この改善策をとらない限りは、輸入物資を下げろと幾ら叫んでみても下げられないのじゃないか。相変わらず、円の切り上げによるところのもの、あるいは関税率を引き下げたもの、こうしたものが、少しも国民の消費生活を潤すという発想の転換になっていかないのじゃないか、こういうふうに思うのですが、ひとつ公取の委員長と行管の長官からお話を承りたいと思います。
○政府委員(谷村裕君) 輸入物資の価格問題につきまして、私どもが責任を持ってあずかっております範囲における問題といたしましては、輸入物資の輸入総代理店契約等に——その契約自体は別に違反ということではございませんけれども、そういうことに伴って、御指摘のような問題があるとすれば、当然、私どもとしても、十分しなければならないところでございます。さような意味におきまして、昨年の六月から届け出様式等の改善をいたし、また督促をし、かつ、内容の審査等も厳正に、力の及ぶ限りやっておるつもりでございますが、なお、まだ力の及ばない点もあろうかと存じます。その点は、今後とも努力してまいる所存でございます。
○委員長(徳永正利君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(徳永正利君) 速記を起こして。
○政府委員(平井廸郎君) お答え申し上げます。 ただいま公正取引委員長から御意見ございましたように、国際的な契約の規制につきましては、いろんな観点から問題がございまして、この問題につきましては、定員の増加等につきましても、公正取引委員会等と連絡をとりながら、毎年度増員等を行なっておりまして、今後もそういう点についても御協力申し上げながら、かつ、仕事の内容についても検討を進めていきたいと考えている次第でございます。
○竹田四郎君 終わります。
○委員長(徳永正利君) 以上で竹田君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(徳永正利君) 次に、上田哲君の質疑を行ないます。上田君。
○上田哲君 四次防の目玉の切り落としという政府修正によってたいへん異例なスケジュールでここまで来たわけです。そこで参議院の立場としてお伺いをしたいわけですけれども、二月二十五日の衆議院議長あっせんというものはやがての衆議院議長による凍結解除ということがポイントになっております。で、私どもの理解では、衆議院議長の凍結解除というものは、衆議院議長一人の判断というようなものではなくて、当然議運の一致した決定ということになろうかと思います。しかし、まあ、そうした見解を踏まえた上で、少なくとも二院制のたてまえからするならば、衆参両院に提案をされている四十七年度政府予算が政府の手によって修正されたその修正の手続ないし解除のあり方というものは衆議院議長の凍結ということだけでは足りないと思います。少なくとも、われわれもその提案を受けているのでありますから、参議院の議運なり、また、参議院議長の了承というものを、同質、同量に取るべきであると考えます。その点について総理はどのようにお考えでありますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 上田君の御指摘のとおりでございます。
○上田哲君 参議院議長の了承を得られなければ衆議院議長の凍結をもっては足りないということですね——凍結解除をもっては足りないということですね。
○国務大臣(佐藤榮作君) そのとおりでございます。
○上田哲君 たいへんよくわかりました。とすれば、具体的にどのような手続で参議院議長の了承をとられますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 官房長官をして、参議院議長のもとに、衆議院における段階の取り扱いの状態をお話をし、そうして御了承を求めた、こういうことでございます。
○上田哲君 了承には、プラス、マイナスの両方がありますので、万一参議院議長が凍結解除にがえんじないという場合には、どうなりますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) どうも、ただいまのような状態、そういうことは私はないと思いますが、そのときの家庭の事情ですから、ちょっとただいまお答えするわけにいかない。
○上田哲君 少なくとも、衆議院での決定というものは参議院議長を拘束しませんね。
○国務大臣(佐藤榮作君) そのとおりでございます。これはもう、両院制度それぞれが独立した立場でございますから、いわゆる衆議院が参議院を拘束すると、こういうようなものでないこと、これはもう御指摘のとおりであります。
○上田哲君 衆議院議長が衆議院の手続に基づいて凍結解除の判断に立ったとき、いま総理の申されたような手続を通じて参議院議長が一定の判断をする、その手順と内容について完全に公開をしていただきたい。
○国務大臣(竹下登君) お答えをいたします。 この議長あっせんによりまして衆議院議長が凍結解除の際どのような扱いをするかということは、議長さんが、衆議院の議運理事会と協議をしてその扱いのしかたはきめる、このようにおっしゃっておる途中でございますので、具体的にどのような手続が行なわれるかということにつきましては、いまだ決定を見ておりません。したがいまして、参議院議長には、その際私から政府を代表いたしまして御報告に参りまして、その手続が一応衆議院議長あっせんでありますだけに、衆議院の議運においての手続がきまりましたら、それを御参考としていただきまして、参議院の議運でその手続について御検討を賜わり、それに従っていく、このような考え方でございます。
○上田哲君 凍結解除というのは参議院議長が了承を与えなければならないということですね。単なる報告をもって足りるということではありませんね。
○国務大臣(竹下登君) そういう御趣旨でございます。
○上田哲君 念のために官房長官に伺いますが、衆議院段階での衆議院議長の凍結解除の判断は、議運理事会の全会一致の決定を前提としますか。
○国務大臣(竹下登君) そういうことも含めて、まだ御検討中である、このように承っております。
○上田哲君 当然、二院制のたてまえから言いまして、特に政府修正という形でもあり、参議院側の当然な判断、報告のみにとどまらない判断を前提とし、要件として、今後の段取りが決定されなければならない。ひとつ、予算委員長を含めて、御確認を願っておきます。 さて、次にいわゆる密約の問題であります。 私どもは、衆議院の横路議員の手によって明らかにされましたこの問題については、はなはだしく、政府の誠意の問題としてまず論点を合わせなければならないと思っております。きょうこの席は、その最高責任者あである総理大臣のどのような責任を明らかにされるかという問題は追及をしない約束になっているようでありますから、その点だけは省くことといたしますが、沖繩国会以来、初めて参議院に審議の場が与えられた機会でもありますし、当然に、私どもは、この防衛問題、四次防問題、沖繩問題を中心にしてこそ、暫定を組むに至った経過からして、少なくとも政府見解をあらためて聞き直さなければならない立場があります。 具体的にお伺いをいたしますけれども、まず、P3とVOAの取引が行なわれておるということ、この事実はどうなっておりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) VOAとP3が取引の対象になっておる、こういうお話でございますが、さようなことは全然ありませんです。まあ、交渉の過程ですから、いろんな話し合いはありました。しかし、結論的に申し上げますと、取引ということ、あるいは裏話とか、あるいは秘密取りきめでありますとか、そういうようなものは一切ございませんから、その辺は明確に御理解願いたいと存じます。
○上田哲君 ここにコピーがあるのでありますが——横路議員が提出をしたコピーなどであります。このことについて、これが実物のコピーであることはお認めになりますね。
○国務大臣(福田赳夫君) 横路委員が提出されました文書でありますれば、それは実物と照合いたしました、内容は同一のものである、さように申し上げております。
○上田哲君 実物であると認められた文書の中に、明らかにP3とVOAの存続についての取引ということが明示されているとわれわれは読みとるわけです。どういうことでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 交渉の過程ですから、いろいろパッケージで話し合いがあります。しかし、それが取引になって、きめられた、こういうようなことは一切ありませんから、その辺は固く御理解のほどをお願いしたい、かように存じます。
○上田哲君 外務大臣の言われるのは、途中経過としてはそういうことはあったけれども、結果としてはそういうことはないという意味ですか。
○国務大臣(福田赳夫君) たとえば、同じ場所でP3の話し合いも出る、また、その同じ場所でVOAの話も出る、そういうことはあったわけですよ。これは、沖繩交渉がいろんな問題を一括的に話し合う、そういうことですから、そういう場面はあったにせよ、それが関連性を持ちまして、そしてそれが取引的な性格を持つ、そういうようなことはない、こういうことを申し上げておるわけです。
○上田哲君 全くそういうことがないと言われたことが、ことごとくくつがえっている段階ですから、ここまで来て、政府は、政治姿勢としてまっすぐひとつ、まあ、うそ偽りがないといいますか、今後また口うらを合わすために御苦労をなさることがないように、きちっとした御答弁をぜひお願いしたいと思うんです。 あらためてお伺いをしますが、今後われわれは追及するいろんな手だてを考えるわけですが、あらためて外務大臣の言質としてお尋ねしたいのですが、結論としても、交渉経過としても、P3とVOAが交換条件になったという経過もありませんか。
○国務大臣(福田赳夫君) はっきり申し上げますが、そういう相関関係はございませんです。
○上田哲君 後の論議に譲りましょう。 しからば、二番目の極東放送であります。郵政大臣に伺う。この極東放送の存続については、郵政省は反対をしていたはずですね。
○国務大臣(廣瀬正雄君) 極東放送の問題につきましては、沖繩の特別委員会でもお答えしましたように、郵政省は郵政省の意見もございましたけれども、最終的には、政府といたしまして一本の考え方で了承いたしわけでございます。
○上田哲君 結果のことではありません。この交渉過程で反対をしていたということが確認されていますが、それでよろしいですかということです。
○国務大臣(廣瀬正雄君) 先生御承知のように、電波法では、外国の法人は日本の国内では許されないことになっておりますから、郵政省としましては一応そういう意見を持ったかと考えられます。
○上田哲君 反対だということですね。
○国務大臣(廣瀬正雄君) さようでございます。
○上田哲君 存続に反対であった。国内法に照らしても当然なことであります。この経過は明らかであります。なぜ存続されたのですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 取引をされた、こういうふうにおっしゃるものですから、私も、取引はありません、こういうふうに申し上げておるんです。アメリカ側においては、極東放送の存続、これを強く主張した、それは事実でございます。まあ結論として、話し合い、交渉ですから、妥結、そういうことになるわけでありまするが、妥結の結果は御承知のとおりである、こういうことでございます。
○上田哲君 P3のお答えですか、極東放送のお答えですか。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいまのは極東放送のことを申し上げたわけです。
○上田哲君 極東放送じゃなくて、もう一ぺん戻りますが、P3とVOAも言われたような気がするんですが、取引ということばでなければ、どっちを取ってどっちを捨てようというような交渉過程はあったということですか。
○国務大臣(福田赳夫君) どっちをどうという話がひっからまっての話じゃございませんです。別別の話といたしまして、VOAは存続したい、P3はなかなか撤去が困難である、こういう両方の話があった、それをいろいろ論議いたしまして御承知のような結末になった、こういうことでございます。
○上田哲君 そうじゃないですか。明らかに二つがバランスをとったということではありませんか。日本語のことばとして取引ということばを使おうと、高度な交渉と言おうと、政治判断と言おうと、それは随意であります。それをきめるのは国民であります。その経過が明らかにされていない。どの時点に照らして、どの基準に照らして明らかにされなければならないかといえば、そのいずれをも国民としては撤去してもらわなければならないと考えていたという一点であります。どっちかをとればよろしい、どっちかを残してもよろしいということは、われわれ国民としても、また政府としても、全くなかったはずであります。あるならば、そのことを国会のわれわれの質疑に対して述べられるべきであった。いまのお話は、明らかに交渉態度の基本方針が間違っていた、どっちかをとればどっちかを落としてもしかたがないということになってくる。この点について御反省はありませんか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私のほうはVOAは存続を拒否するという態度です。それからP3につきましては撤去せられたいと、こういう態度です。それが、VOAについてはしばらく存続をする、当分存続する、こういうことになる。ですが、P3につきましてはこれを撤去する、こういうことになる。その間、相関性はないのです。全体のパッケージな取引といたしましてそういう結末になった。こっちを譲るからこっちをするのだという、そういう相関関係できめられたことじゃない、こういうことを申し上げておるわけなんです。
○上田哲君 外務大臣のお話で二つの点が明らかになりました。少なくとも、いまのお話を聞いていれば、これは取引ではないという御説明は御説明として、この説明を聞き取るわれわれからすれば、この両者には深い関連があって、われわれの理解ではこれを取引ということば以外に適当な日本語はないような形で交渉がされたのだということを、だれもが理解をするでありましょう。 もう一点は、P3にしてもVOAにしても、ことごとくこれを国民の利益からして撤去しなければならないのだということに対して、交渉当局が強い意思を持っていなかったということは、いまの御答弁の中で、まぎれもないことであります。この基本姿勢は私はたいへん問題であると思うし、そのことを、また、こうした文書が出なければ明らかにされないということに問題があると思いますが、特にいま二番目の問題に移っている極東放送、郵政大臣が明らかにお認めになったように、これは一たん、極東放送を置くべきではないということを意思表示をされておる。これは、VOAや、さっきお話しのP3みたいなものよりももっと強いわけです。国内法に触れるじゃないかということで反対理由も十分出ております。にもかかわらず、これが存続されることになった理由は何ですかということをお尋ねしています。
○国務大臣(福田赳夫君) これは、交渉で、相手方のあることですから、わがほうの言うだけの主張が通る、そういうわけにいかぬです。これは上田さんだって、交渉してみて、当たられたらいろいろな問題に逢着するだろうと思う。その話し合いの結果、わがほうの立場も理解してもらう、ここの立場も理解する、そういうことで、制限を付してこの極東放送の存続を認める、こういう妥結にいたしたわけであります。
○上田哲君 相手があることだからといったら、とにかくわれわれは代表者を選ぶことができなくなりますよ。相手があるのがわかっていて交渉があるのです。反対の意見を持っている相手に対して、われわれの主張を通そうというところに外交があります。外務大臣はそのためにこそ職を奉じているはずであります。伺いたいのは、その精神です。 そこで、この結論だけじゃなくて、相手があるからこうなったでは説明になりません。国会であります。伺いたいのは、はっきり日本政府としては反対であったのに、意思表示が、どうして反対ではない形のところに入ってきたのか、存続することになった理由は何かということを聞いています。
○国務大臣(福田赳夫君) 重ねて申し上げるのですが、相手がある、そういうことです。しかも、極東放送というものはずっと存続しておる米系企業である。その米系企業を突如としてこれを廃止する、これもいかがであろうか、こういうふうにも思うのです。アメリカ側は、これを長く存続したい、こういう主張をします。しかし、わがほうとしては、それを長く存続させるわけにはまいりません。これは制限を付して存続させると、こういう妥結というか、相手のある話でありますから、そうわがほうだけの主張じゃいかぬと、これはもう常識的にそういうふうに理解されるんじゃありませんでしょうか。わがほうがこう言ったからそのまま通るという、そういう外交交渉、これは非常に異例なことでございます。
○上田哲君 つまらぬ議論をしたくはありませんが、相手があるのは外交の条件であって、理由ではありません。その、いろはのいの字がおわかりにならない外務大臣は困ります。相手があるからこそ交渉があるのであって、それは外交の条件です。理由にはなりません。そこで、相手があって、しかもなお、反対意見を持っている相手に対してわれわれの主張を一〇〇%通せば、経過のことをわれわれは聞く必要がないのです。通らないからこそ、どういう理由であったかということを国民に対して、国会に対して、行政府は説明する義務を負っているのであります。いま、事を承ったけれども、アメリカ系企業であるからこれを撤去することは困る——どこの国ですか、これから先沖繩は。日本国領土になるところへ、アメリカ系企業であるからこれを撤去することができないという理由は、どういう優先順位が出てくるのでありますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 今度の沖繩返還交渉では、これは米系企業、これが直ちに消滅をすると、こういうことでも、これも困る事情が出てくるのだろうと思います。まあ、そういうことを踏んまえますと、米系企業につきましてはこれを存続させると、こういうふうにしたんです。しかし、極東放送は、わが国の放送行政、こういう問題に関連がある。そこで、この問題につきましては強くこれが廃止方を要求した、しかし、なかなかアメリカの要請も強い、そういうようなことで、制限を付しましてこれを存続させると、こういう妥結をしたと、こういうことでございます。
○上田哲君 ちょっと横にそれるようですが、今回のこの文書で明らかになっている点は、米系企業の温存という問題がうかがわれます。いま、しきりに米系企業はすぐさま撤去するわけにはいかぬというお話がありましたけれども、このほかに、極東放送以外にどういうところをどういうふうにお取り扱いになりましたか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私の記憶いたしますところでは、極東放送以外はほとんど全部その存続を承認をすると、こういうふうにいたしたと存じております。
○政府委員(吉野文六君) 主として米系企業に対しましては、愛知大臣よりわが国の方針を米側に通告しております。それは、従来沖繩において適法に営んできた企業は原則としてこれを存続させる、こういうことでございます。 なお、なぜそのようなことをしたかという点につきましては、第一に、わが国といたしましては、いたずらに外国企業を日本から排撃するという基本方針をとっておりません。のみならず、日米通商航海条約もございます。のみならず、それ以上に、もし日本側が米系企業の存続を、あるいは愛知レターに書いてあるような形以外の形で米系企業を圧迫するようなことがありましたら、この協定はアメリカの上院を通らなかっただろうとわれわれ考えております。
○上田哲君 どうもよくわかりませんけれども、外資系企業の存続とか原料割り当てについて若干の配慮があったんじゃないかという疑念もいろいろ出ております。いかがですか。
○委員長(徳永正利君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(徳永正利君) 速記を起こして。
○国務大臣(福田赳夫君) 米系企業につきましては、ただいま申し上げたとおり、これを認める、ただし、極東放送だけは別問題だと、こういうことです。また、物資の割り当て等について特別の何か云々というお話でありますが、そういうことはございませんです。
○上田哲君 こまかい論議はあとに譲り、極東放送に戻しますけれども、米系企業だから極東放送を残したのではなくて、ニクソン系企業だからでしょう。
○国務大臣(福田赳夫君) そうじゃないのです。米系企業はこれは全部残しましょう、ただし、極東放送につきましては、事放送事業でありまするから、これは特別に制限をいたしましょう、こういうことです。逆です。
○上田哲君 何を言っているのかよくわかりませんが、制限のことを聞いているのではない、存続のことを聞いているのです。
○国務大臣(福田赳夫君) 何か、ニクソン系企業というお話でありますが、そういう話は私は全然聞いておりません。ただ、極東放送の最高の主宰者が、これがニクソンのおじさんとか、そういうような近親の方である、そういう事実は聞いております。しかし、それでこの問題を扱った、こういうことは全然ありませんから、その点につきましては疑義を持たないようにお願い申し上げます。
○上田哲君 はなはだ次元が低くなるので、触れたくはないことでありますが、念のために伺っておきます。 ニクソンのおじさんがこの重役であるということを外務大臣はいつの時点で知りましたか。
○国務大臣(福田赳夫君) 沖繩国会の審議の過程におきまして承知した次第でございます。
○上田哲君 郵政大臣、その経過についてはどうでしょうか。
○国務大臣(廣瀬正雄君) 私も全く外務大臣と同じ考え方でございます。
○上田哲君 もう一ぺん外務大臣に承っておきますが、ニクソンの一族であるということが書いてあるわけです。ニクソンの一族であるのでこれをやめるわけにはいかぬということで、存続することを認めたというのではないのですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 沖繩国会の審議の過程でそういう話を聞きました。しかし、ニクソンの近親者がこの企業の最高の主宰者である、そういう事情でこの企業の存続を一時的にせよ認めたと、こういうものではない。つまり、米系企業は全部存続を認めたのです。それをあえて、その存続を制限をつけて認めるという異例の措置をとったわけでありまして、その異例の措置、そのことからも、ニクソン大統領に特に敬意を表しておるというような推理にはならないのじゃないか、そういうふうに存じます。
○上田哲君 交渉が結論に至る前の時点で、この一族関係ということを外務大臣が知っておられたということは、こうした文書の裏づけを含めて、はなはだ私どもは不明朗な感じをぬぐうことはできません。後の議論にまた譲っておきます。
○矢山有作君 関連。 いま吉野局長の話を聞いておりますと、外国系企業、つまり、アメリカ系の企業を存続を許したというのは、それを許さなければアメリカの上院において返還協定が通らなかったであろう、こういう意味の御発言があったように聞いたのですが、そうすると、米系企業のそのほかの分についてはいざ知らず、この極東放送という、国内法から見ても明らかに違反で、存続を許すべきものでないものについて、先ほど来論議されておるように、アメリカ側の非常に強烈な圧力、しかも上院で協定を通しませんぞというような圧力を加えられて、そこで、やむにやまれず極東放送も存続を認めた、こういう論理の発展になりますね。
○政府委員(吉野文六君) ただいま私の申し上げましたことを多少ふえんしてお答えさしていただきますが、アメリカ上院を通らなかっただろうと申しましたのは、われわれはすでに沖繩の米系企業が団体をつくりまして、アメリカの議員に対していろいろ手紙を書いたり、何回も代表を送ってアメリカの議員に働きかけておるのを承知しておりました。そして、それは何も極東放送という一つの企業ではなくて、全体として、日本が沖繩におるアメリカの企業を特にいろいろ差別待遇をしようとしておると、彼らとしては、従来ともかく適法に沖繩において活動してきたのだと、それをもし今度の沖繩返還によってそういうことをするようだったら、ひとつこの協定を承認しないでくれと、こういう運動をしていたことをわれわれは知っております。したがって、そういう考慮もありまして、われわれといたしましては、もちろんわれわれ自身がアメリカ企業を特に差別待遇はしないということは当然でございますが、その点も考慮した次第でございます。
○矢山有作君 あなたの言われているのはよくわからぬよ。不当に差別をすれば、それはいかぬでしょう。だから、不当に差別をするなという申し入れがあり、そういうアメリカ国内における大きな動きがあった。したがって、不当な差別はしませんということで許したのならそれは筋が通る、それなりに。私の言っているのは、極東放送というのを、この存続を認めることが不当なんでしょう、これを認めることのほうが不当なんです。それをどうしても認めざるを得ないことろまで追い込まれて、しかも、何らかの条件を付してでも認めざるを得ないところまで追い込まれたというのは、いまあなたがおっしゃった、上院における協定批准をしないかもしれぬという圧力に屈したのでしょうと、言外にそのことが推察されるようなあなたの御発言じゃありませんか。
○政府委員(吉野文六君) 極東放送につきましては、特にそのような一社として運動を起こしたということはわれわれ全然知っておりません。ただ、沖繩企業全体が——沖繩のアメリカ企業全体が、そういう形で彼らの立場を保護しようとした、これは確かでございます。
○上田哲君 さて、問題の協定七条の三億二千万ドルであります。これはこの問題の目玉でありますから、明日の衆議院の予算委員会に回したいと思いますが、どうしてもここで触れておきたいのは、総理、この協定七条の三億二千万ドルの積算根拠というものがまるきりなかったのだ、つかみ金であった。こういうことが明らかになってみると、私どもは全く根本的に沖繩交渉、返還協定なるものが何であったのかということを根底的に問い直さなければならない気がします。一緒にお伺いをしたいけれども、四条三項の用地復元補償の四百万ドル、財源を向うに補償してやるのだという話が出ている。これはもう全く外交といって外交の姿勢なし、買い取りといえばまだきれいだが、売り渡しかもしれない、基本的に、外交の、国のプライドを表にすることのできない姿勢であると私は考えます。いかがですか、ひとつ基本姿勢を総理から伺います。
○国務大臣(福田赳夫君) 私から先にやりましょう。 三億二千万ドルにつきましては、これは先国会でも申し上げましたが、正確に言いますと内訳はございません。ただし、その三億二千万ドル積算した大体のめど、これは資産承継分が一億七千五百万ドル、それから労務費の関係が七千五百万ドル、それに核の問題あるいはこれから米軍がおそらく引き揚げていくであろう、そういう際におきまして、その資産を無償で置いていくというような諸般の事情を考慮いたしましてこれは七千万ドル上乗せをする、こういうことになったわけなんです。これは高度の政治的判断でやったのだと、こういうふうに申し上げておるわけでありまして、総額が三億二千万ドルであります。その中に、われわれが特に財源を提供いたします、四百万ドル提供いたしまするからひとつ四百万ドルの補償をやってくださいと、そういう構成にはなっておりませんです。四百万ドル出そうが、あるいは五百万ドル出そうが、あるいはそれがもっとふえようが、これはアメリカ側の裁量の問題でありまして、わがほうの関知するところではございませんですから、その辺もひとつ誤解のないように御理解願いたい、かように存じます。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの外務大臣のお答えでおわかり願えるかと思います。アメリカ側で最初要求しておりましたもの、話し合いの始まったものはもっと大きな金額であったことは、これは当時の新聞その他も報道しておる、このことを思い起こしていただきたいのでございます。私は、よく三億二千万ドルで話が妥結できたと、実はかようにすら考えております。ずいぶんむつかしい交渉であったのでございます。したがって、その事柄についていろいろのうわさが出る、あるいはその途中における電報の資料等も御提示になりましたが、これなども途中のできごとでございます。私はそのことを考えながら、三億二千万ドル、これはよくできたと、かように評価するのじゃないだろうか、また、皆さんも、考えてごらんになれば、とにかく相手は占拠しておる、しかもそれを日本に返してくれる、その交渉だからずいぶん苦労が多かったろうと、むしろ同情していただきたいように思うのであります。私は、ただいまの四百万ドルがどうしたとか五百万ドルがどうしたとか、こういうようなことでなしに、最終的には、この軍労の問題やさらに核撤去費等の問題で説明のつきかねるものもある、しかしながら合計して最終的に三億二千万ドル、それで問題が妥結した。このことには私は外務当局のなみなみならぬ苦心があった、かように感謝しておるような次第でございます。
○上田哲君 驚くべき発言であります。三億二千万ドルというのはつかみ金であったということは、いまの御答弁で明らかになりました。これは外務大臣の見解とは違う。しかし、そのことはそのこととして、また外務大臣からもう一ぺん御説明をいただくが、総理がこれをつかみ金だということを別なことばで御説明されたが、つかみ金として三億二千万ドルというのは安くついてよかったじゃないか、四百万ドルだ何だかんだと言うのはおかしいということばがありました。これは重大な発言であります。三億二千万ドルということの形が私たちにとって妥当であったというような見解は、私たちは持たないということが一つ。また、百歩譲って、そういう見解に立つとしても、その中で四百万ドルということはどうだこうだと言うことはない、政治姿勢としてそのことを、こちら側から財源を向こうに渡していて、国民には向こうからもらうのだ、逆なんだというようなことを説明する、こういう態度は政治の姿勢ではないと私は思うのであります。いかがですか、その点。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、三億二千万ドルがつかみ金とは、かようには申しません。これについては、外務大臣から詳しく説明したから私はそこは省いたのです。そして、最終的な結論だけを私は申したのです。もしも、つかみ金だと言われるなら、七千万ドル、そういうものがこれはやっぱり基本的にどうも説明のしにくい金だろうと、それを先ほど外務大臣は最高の政治的判断できめたと、かように申しております。その点で、ただいまのような、私が三億二千万ドルをつかみ金でアメリカと交渉した、そういうような乱暴なことは私も申しておりませんから、さようにおとりだったらその点は御修正願っておきます。
○上田哲君 もう一点は、四百万ドルです。三億二千万ドルがまあよくできたのだからほめてやってもらいたい、それをほめるなら、中の四百万ドルがどうのこうのなんということは問題じゃないという御発言はどうなんですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、その四百万ドル、これはいま外務大臣が説明しておるように、この金から出るかあるいは他の財源から出るか、そういうことはアメリカ側のやることだと、こういうことでございますので、私はとにかく、それを適当だとかなんとか、かように申すわけじゃございません。その点については、先ほど外務大臣から詳細に外務省の見解を申し上げたとおりでございます。これを私はそのまま支持しております。
○上田哲君 政治姿勢を聞いているんです。三億二千万ドルが交渉としてよくいったんだから、四百万ドルぐらいのことは、ことあげすることがないという趣旨をさっきおっしゃった。これはおかしいじゃないかということを言っているんです。アメリカ側は、総理のおことばを裏づけして考えてみると、この途中経過とおっしゃる文書の中に明らかになっているように、アメリカ側とはそういう経過があった。私たちはそれを結論だと思っておりますけれども、そういう経過があったというところまでは、まぎれもなくお認めになっているわけですね。それが一つ。 その上に立って、トータルとしてはいいんだから、それぐらいのことはいいんじゃないかとおっしゃるのか、この二点はどうですか。総理ですよ。
○国務大臣(福田赳夫君) これはパッケージの交渉でありますから、いろいろのことがいきさつとしてはあるんです。私は思い出すんですが、五月のある日です、総理大臣が大蔵大臣たる私をお呼び出しになった、そこへ愛知外務大臣が来ておる。そうして愛知外務大臣から、まあ三億二千万ドル、これで手を打ちたい、こういう話であった。そこで私は、その内訳はどういうことなんですかと。一億七千五百万ドルがこれが資産承継に見合う分ですと。それから労務費といたしまして七千五百万ドルですと。それから、あとどうしても多額の要求がアメリカからあるんですが、七千万ドルで手を打ちたいと、こう言う。そこで私は、七千万ドルは一体どういうんですかと、こう言いましたら、先ほど私が申し上げましたように、核の問題がありますと。また、米軍がこれから引き揚げていく、それは無償で置いていくんですと、こういう問題もあると、そういうことを考えますと、多額の要求をしておるアメリカに対して、まあ七千万ドルの上乗せをする、これはやむを得ないことじゃありませんかと、こういう愛知外務大臣の答弁。私はそこで、その席で言ったことを覚えておりますが、さあこの七千万ドル上積みをする、まあそれが核の問題に関係するということ、そうなると私は、これは重大な関心を示す、つまり核の撤去につきましては、これは全国民が非常に真剣に考えている問題だ、その問題がこの七千万ドルで解決をされるんだということでありますれば、大蔵大臣としては、これはもう賛成せざるを得ない、こういうはっきりした答弁をしたわけなんです。そこで、まあその会談はそれで終わりなんですが、三億二千万ドルのこの最高会議における決定に従って、愛知外務大臣は米側に交渉しております。かたがたアメリカ側において、復元補償の責めに任ずべきである、こういう主張をいたしておるわけなんです。そこで三億二千万ドルというものはきまりましたが、しかし、別途また復元補償の責めに任ずると、非常にこれはアメリカは抵抗いたしましたんだけれども、終局におきましてはそれに応ずる、こういうことになった。したがいまして、わがほうといたしましては、これは別途主張をしておる問題でありますので、その復元補償四百万ドルというその額が三億二千万ドルの中に入っておる、こういう理解は全然してないんです。しかし、アメリカ側が大きな予算の中で、まあどこからそれを支出するか、それはわがほうの関心事じゃございませんです。あるいは、三億二千万ドルというその中から支払うというような考え方をとるかもしれない。これもまた、わがほうの関知するところじゃない。こういうふうなことが実際のいきさつでございます。わがほうが四百万ドルの財源を提供いたしまして、そうしてぜひひとつ復元補償の責めに任じてもらいたい、こういううらはらの関係というものは全然終局的にはありませんから、その辺ひとつ誤解なきように御理解願いたい、かように存じます。
○委員長(徳永正利君) 区切りのいいところで、どうしましょうか、やりますか、もう少し。
○上田哲君 では、もう一言、二言。 アメリカ当局者が、財源を心配してもらってありがたかったと言っていることばをどう受け取りますか。
○政府委員(吉野文六君) 御承知のとおり、先ほど大臣も申されましたが、最終的には、わが国は三億二千万ドルを先方に、この協定によって支払う、こういうことになったわけでございます。その交渉の過程におきまして、先方は、復元補償につきまして、最終段階に近いころになりまして、ともかく彼らとしては、議会に対して復元補償のための金を要求することが困難である、こういうことを言い出したわけでございます。で、これは全般といたしまして、沖繩返還のために新たに予算措置はとらないということを、彼らとしては議会に対してある程度約束していたためだろうと思います。そこで、それに対しましてわがほうは、それは困ると、ともかく復元補償の、四百万ドルになるのか四百三十万ドルになるのか、あるいは五百万ドルになるのか、これはまだわからないわけなんですが、ともかく復元補償について先方が支払わないということでは困ると、これは先方がすでに布令六十号によって支払った復元補償と性質は全然同じものであると、したがって、先方が払えないということは理屈にも合わない、こういうことで強く責め寄ったわけでございます。そしていろいろ経緯がございました。しかしながら、最終的には、今回の協定第四条三項に書いてあるような形で先方は結局払うことになった。こういうことでございます。
○上田哲君 問題は、この沖繩交渉が、その裏をどす黒く流れていた買い取り、売り渡し交渉であったというところに、平たく言えば、国民をだました政府の姿勢にこそ問題があるわけです。そこで山中総務長官に伺いたい。沖繩の心はどうでしょうか、これについて。
○国務大臣(山中貞則君) 沖繩側からいいますれば、たとえば琉球政府の庁舎、こういうもの等は明確に銅板はめ込みによって米側から贈られたものであると確信しておられたわけです。今回、幸いにそれは除かれたわけですけれども、その他のものも、米国が統治権者として当然沖繩において沖繩県民を統治していく以上は、支出すべき行為として支出されたものについて、まあ主として一億七千五百万ドルの分野ですけれども、これについては本土政府がアメリカに金を払う必要はない、それはわれわれとしては心外であるという気持ちであったことは事実であります。しかしながら、これが沖繩県民に対してその対価を要求するという本土政府の姿勢はないんだ、本土政府がアメリカ政府と交渉して、その結果支払うことになっても、その一億七千五百万ドルが、たとえば電力とか水道とか、その他の施設によって今後沖繩県民に残されるとしても、それは無償で沖繩側に渡されるということにおいて、基本的な考え方では釈然としないものを持ちながらも、自分たちがその被害を受けることはないということにおいて了承してもらったものと私は思っております。
○上田哲君 これは衆議院へ行きまして横路議員にしっかりついてもらうようにしたいと思いますが、総理、国民をだましたんじゃないかと、国民は、だまされたんではないかと、深い疑念を持っています。政治姿勢として、対米外交姿勢としていかがですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 国民をだますというようなことはございません。また、この事柄について国民の大多数の方は、よく沖繩の祖国復帰を実現した、こういって私は感謝されております。したがいまして、この問題についてはいろいろの批判があるだろうと思いますが、将来、史家がどういうように判断いたしますか、ただいまの段階で、これはいろいろの賛成、反対入りまじっているというのが実情じゃないだろうか、かように思っております。
○矢山有作君 一つ、簡単に。 ただいま外務大臣の説明を聞いておりますと、三億二千万ドルの一括支払い額の中には、今後米軍引き揚げの際に返還をされる施設も無償であるから、それの見かわりのものが含まれておる、こういうお話しでしたね。これはそのとおりであるということを確認してよろしいか。
○国務大臣(福田赳夫君) そのとおり御確認願ってけっこうでございます。
○委員長(徳永正利君) 上田君の質疑の途中でございますけれども、午後一時四十分再開することとして暫定休憩いたします。 午後零時四十一分休憩 —————・————— 午後一時五十二分開会
○委員長(徳永正利君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、暫定予算三案に対する上田哲君の質疑を続行いたします。上田哲君。
○上田哲君 いわゆる密約外交文書でありますけれども、重要な一点は、久保・カーチス取りきめと称される、沖繩に自衛隊を配備する計画についてであります。これについては、私は明らかになりました実物であるこの文書の中身をひとつ具体的にあげて、政府の御説明を得なきゃならぬと思います。これまで、一体この取りきめというのは、アグリーメントかアレンジメントか——アレンジメントといえば取りきめになるから全く事務レベルの問題だという詭弁が弄されて説明をされております。私どもは、終始これは返還協定の裏側にある基本的な軍事強化協定なのであると、まさにこれこそは日米間の交渉の本質になっているんだという追及をしてきたわけでありますけれども、そうではないという御説明に終始しております。中身の問題と形式の問題であります。ところが、今回のこの文書を読みますと、明らかに「本大臣より協定署名後安保協議委員会を開き、右取決めを上程して双方の防衛関係最高首脳問で合意する方法は如何と尋ねた。」などなど、いろいろとこまかく書いてあります。明らかにこれは政府間協定であるというふうに考えなければならないと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 沖繩が、わが国に施設権が返ってくるということになりますると、沖繩の防衛につきましてはわが国が責任を持つと、そういうことになるわけです。そうすると、自衛隊の派遣ということが考えられる。その際には、沖繩には米軍が駐留しておるわけでありまするから、日米両国の間にいろいろ話し合いが行なわれる。これは必要なことであり、当然のことであります。その話し合いの結果を取りまとめた、そして相互に参考にすると、こういう性格のものでありますので、これは両国国家間を拘束するという性格のものじゃないんです、これは。したがって、国会の承認を求める、こういうような性格のものではないと、こういう理解でございます。
○上田哲君 協議委員会にのせる云々という表現があります。二カ所あります。これは当然政府間協定であることを裏づける一つだと思います。
○政府委員(久保卓也君) 性格的にはただいま外務大臣が申されたとおりでありますが、ただ、単純に防衛庁と米側国防省との話し合いというだけではありませんで、日本側では、事務的には関係各省と協議をし、それから関係大臣の御了解も得ているということで、政府間の取りきめ、政府間を拘束するものということではございませんけれども、一応政府の中で裏打ちをするというような意味合いの程度のものを持っております。そういう意味で関係大臣との了解が得られ、さらに日米安保協議委員会で内容が報告されて、一応そういう取りきめを結ぶこともけっこうでしょうという了解が得られたという性格のものであります。
○上田哲君 つまり、いまの答弁によれば、最小限譲っても二面性がある。政府間協定である側面を持っているということになるではありませんか。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま申し上げましたように、これは両国政府を拘束する性格のものじゃないんです。両国政府の計画を示し合いまして、そして今後の沖繩における防衛体制の万全を期そうと、こういうものであります。これに違背するところがありましても、法的に違背が起きたと、こういう性格のものではないと、こういう理解でございます。
○上田哲君 協議委員会にはどうするんですか。
○政府委員(久保卓也君) 日米協議委員会では、内容を報告して、そういう内容でけっこうでしょうという了解を得られた。あとは協議委員会から離れて、また、事務当局間で調印をされたということでありますから、もしこの内容を変える場合には、必ずしも手続として必要とは考えませんが、一応信義上、日米協議委員会にこういうふうに変えたいと思うと言うことも適当であろうかという程度に思います。
○上田哲君 どんなに譲っても最小限そういうことが出てきます。そうなれば、それに違反することができない。違反することは政府間の責任の問題になってくるということになりませんか。
○国務大臣(江崎真澄君) これは沖繩国会以来御答弁を申し上げておりまするように、他国の軍隊のいるところへわれわれの自衛隊が入っていくわけですから、きわめて技術的にそのあたりの打ち合わせをしておく必要があるということで行なわれたものでありまして、いま外務大臣から答弁があったとおりであります。したがって、これは私、衆議院においても申し上げたところですが、もしこの参議院で総理が言われたように、沖繩の具体的人員配置について国防会議にかけます。そこの国防会議においていろいろ議論が出て、人員等について異論が出た場合には、当然国防会議の議に基づいて変えることもある。したがって、そういうことは絶対不変のものではなくて、あくまでアレンジメントしたものでありまするから、変えることはできると、こういう見解に立っております。
○上田哲君 そこまで譲ったとして、国防会議事項だということですね。
○国務大臣(江崎真澄君) 従来の見解では、国防会議にかける必要はないということで私答弁しておりましたが、先般、十二月十八日ですか、高山委員の質問に答えられた首相が、かけたほうがよろしいと、新しく施政権が戻ってくる沖繩に自衛隊を配備するということはきわめて重要な事項と思うからかけると、こういうことを言われました。これは当然、議長である首相が言われました以上、それに同調することは当然だと、こう考えております。
○上田哲君 ここにこれだけの背景の経過があって、文言もあって、そして国防会議事項である、そしてただいまの二、三の答弁で明らかなように二面性を持っている、政府間取りきめとしてのレベルもあるということになります。そうすると、たとえば先般読みかえを行なった。あの読みかえというのは少なくとも国防会議事項ではありませんか。
○政府委員(久保卓也君) これは何べんも申し上げまするように、部隊をどういう段取りで沖繩に配備をするかということでありますから、その際に期限ということが重要であります。ただし期限については、この取りきめを結ぶころには、結ぶと申しますか準備をいたしておりまするころには、まだきまっておりませんでした。したがって一応七月一日を想定をする。しかし早くなってもよろしい。早くなったら早くなっただけの準備をするわけですが、私どものほうの準備ができませんので、この協定上は一応Rデーと書いてありますが、そのRデーはこの協定の中では一応七月一日ということで想定をしていてもけっこうですということで進んでまいりました。したがって、そのこと自身が国防会議事項であるかどうかということはちょっと疑問でありまして、全体の計画の中で、つまり国防会議にはかられる計画の中でこういう時限をこういうふうに考えますという御相談を申し上げる一部になろうかと思います。
○上田哲君 シビリアン・コントロールを国防会議とイコールなんという言い方は私はしたくありませんが、少なくとも国防会議が政府部内のシビリアン・コントロール機関だという認定に立つならば、いまのようなあいまいな処理のしかたというのは非常に問題があろうかと思うんです。この防衛に関する取りきめと書いてある文書の中で、これほど、たとえば時間のギャップがどうだとか、議会の説得が困るではないかとか、これほど具体的に書かれている問題が、事務レベルの問題であるとか、政府間協定でないなどというのは、これはもう詭弁以外の何ものでもない。政府の答弁として、まさしくこれはいままでの答弁が間違っていて、これは政府間協定でありましたということを引き出すことはできぬでありましょうけれども、最も客観的に、最もすなおに理解をする場合、これは政府間協定であった、政府はそのことを明らかにしてこなかったのだということになるでありましょうし、国防会議との手続の問題もそこに矛盾が露呈してくるんだろうと思います。もう少しく別の面からこの問題は詰めることにします。 しかし、ここでまとめて、このいわゆる密約問題、機密問題についてひとつはっきり伺っておきたいのだが、政府はこうした国民にベールをかぶせて真実を明らかにさなせい交渉を行なっていた、それは単に外交交渉は政府の責任における専管事項であるというような範囲を越えて、明らかに国民に向かっての、あるいは国会に対する説明が欺罔しているという部分すらある。そこに政治責任の最大なものが私はあると思うんですけれども、しかしながら、今日政府が最大の関心を持っておられるのは、機密漏洩がどうして行なわれたか、その犯人はだれかというような問題に集中しているように思います。われわれが聞いているところでは、この犯人捜査のために窃盗罪を適用しようというふうに考慮されていると聞いております。これは事実ですか。
○国務大臣(福田赳夫君) まだ警察、検察両当局と正式な話はしておりませんです。これはあくまでも、当面は外務部内の問題である、そういうことで、外務部内において調査をしていると、こういう段階でございます。
○上田哲君 私どもの聞いているところでは、何で窃盗罪という容疑がかかるのかというと、コピーの用紙の窃盗なんだそうであります。コピーの用紙の窃盗ということになると、その用紙を受け取った者は、あるいはY議員であるかもしれませんが、用紙を受け取った者が臓物収受になるのだそうであります。そういう形でいまこの捜査が進んでいるという事実はいかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) さような議論のあることは私寡聞にして承知しておりませんでございます。
○上田哲君 今後ともそういう形で、外務大臣の言われたように検察、警察当局との連絡を持たずに、外務省部内の問題として処理をするということになるんですか。
○国務大臣(福田赳夫君) これは外務部内でよく調査してみまして、これは検察、警察の問題であるかどうか、そういうまあ判断をしてみたい、そういうふうなただいまは過程の問題でございます。この罪名がどうなるか、そういうふうなことは外務省の所管するところではございませんでございます。
○上田哲君 じゃ、外務省じゃないところで答えてください。——警察当局はどうなんですか。
○国務大臣(中村寅太君) お答えいたします。 いま、ただいまの時点で警察ではこの問題にタッチするというような考え方は持っておりません。外務省からも何の連絡もあっておりません。
○上田哲君 われわれが仄聞するところでは、すでにそういう手が伸びて、容疑の罪名まできまっている、プロジェクトができているなどということがささやかれております。そういうことがないということでありますから、今後ともそういう立場でのこの問題を取り扱われることはひとつ厳重に戒めていただいて、総理、この問題は私は次に移りたいと思うのでまとめて伺いたいが、沖繩返還についての功罪は後世の史家が決定するだろうというような立場じゃなくて、その途中、いま申し上げたようないろいろな、——今後これはまた両院でやりますけれども、責任はきょうは問わないことになりますけれども、しかし、もっと大きな、政治家のモラルとして、政府の姿勢として、こういうようなものがいままで政府の御答弁ともまっさかさまな形で実態が存在していたということが明らかになった、この問題についてはどのようにお考えになるか、まとめてひとつ承り、いま司直の問題についてもあわせて御見解を固めておいていただきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、まあ先ほど来のやりとりで上田君にも事柄の性格はおわかりがいただけたと思います。私は、全体として三億二千万ドル、それをやはりそのまま受け入れていただきたい。その間において、三億二千万ドルがきまるまでにいろんないきさつがあったと、こういうことはそのとおり政府もこれは認めておるんです。ただしかし、いきさつはあったが、そういうものを引き合いとかあるいは取引の材料にして三億二千万ドルがきまったんじゃないんだということを実は申しております。だから、ものの見方がそこらに相違があると、これはそれなりに立場は相違しておりましても、そういうように御理解がいただきたいのであります。私は、たいへんあるいはおこられるかわからないが、極端な評をするとですよ、いわゆる一部分だけをつかまえてそうして全体を批評する場合に、これはやっぱり全体を見失うこともあります。だから、その一部分だけを先ほど来からつかまえていろいろ御議論される。しかし政府は、そういう事柄が全然なかったとは言わない。だがしかし、三億二千万ドルがきまったそのきまり方については、そういういきさつとは別ですと、いわゆる取引あるいはいわゆる身がわり、そういうようなものではございませんということをはっきり申し上げておりますので、それはそれなりにひとつ御理解をいただきたいと、かように思います。 第二点、いわゆるこういう問題についてです、これが出ていく。これは綱紀の弛緩ではないか、ゆるみではないか、あるいは総理自身のもう引退説まで出てるから、そういう意味でゆるみが出てるんじゃないか、こういうような批判もあろうかと思います。まあどんな場合でも綱紀は厳正でなければなりません。これは、そういう意味の私は外務当局が部内を引き締めていく、これは私当然のことだと思います。ことに外交に関する事柄、これは一歩誤れば国際的信頼、信用につながる問題であります。いずれにいたしましても事柄の性質上明らかに一般に公表しないものはある。そういうものは、いままでいわゆる国家的機密というような事項でくくられておりますけれども、その以前にですよ、やはり公務員といたしましては厳正に、自分たちの所掌事務、そういうものについてやはり漏らす、そういうことは自由ではないはずであります。私はそういう意味で、外務当局が部下を戒めている、こういう事柄はそれなりに評価してしかるべきではないかと思っております。私は、この問題がどういう方向に発展するのか、それは私の存ずるところではありません。先ほど来外務大臣が外務省部内の事柄としてこの問題を処理していると、こういうふうに申しておりますから、私はその域をただいまのところは出ておらない、かように考えます。しかし、私は総体の最高責任者といたしまして、やはり行政事務全般にゆるみのないようにこの上とも気をつけていかなければならない、かように思います。皆さん方、これは立法府の方々でございますから、おそらく行政の小さな問題にまで立ち入るようなお考えはないだろうと思います。しかしながら、綱紀のゆるみというような基本的な問題については、やはり皆さん方の関心なきを得ない。かような意味でいろいろ午前中から御審議をいただいたことだと思っております。私はそういう意味で、それぞれの分野はあるにいたしましても、この事柄は共通する問題、ましてや国家最高の審議機関として当然の指摘、そういう意味から、行政府は一そう綱紀の粛正をはかっていく、かように努力するのが当然ではないだろうか、かように思っております。
○上田哲君 綱紀の粛正の問題だとは私たちは第一義的に考えていないのでありまして、国会で御答弁になった政府の姿勢が背馳している、そうしたデータが出てきた。これは私は政治史の立場からいえば悲しいと思うのでありまして、総理、このことをどうお考えになるかということを私はもう少しなまなましく伺いたかったんです。それは伺えませんか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、ただいまのようなお話であるいははき違えたかもわかりません。私が上田君の御指摘になる点をあるいははずして答えたと。別に私がはずしたわけじゃございません。私が思っているとおりを実は答えたのであります。私は、いままで説明したことと事態が違うじゃないかと、こういう御批判に対しては第一段で申し上げたつもりであります。とにかく結論を十分見定めてくださいと。それまでにはいろいろのいきさつもあったこと、それはそれなりに私どもも認めておる。しかしながら、それが取引の材料になったとか、あるいは一つをのんで一つを断わったとか、こういうものじゃないんだと、それだけは十分御理解をいただきたいと、かように申しておるわけです。
○上田哲君 後の議論に譲っておきましょう。いろいろおかしいことがあります。防衛庁長官、伝えられるところでは、岐阜県の各務原に86Fの二十九機が七年間手つかずでずっと置いてあった、こういう話があります。これはどうなっておりますか。
○国務大臣(江崎真澄君) これは今朝テレビで報道されたということで、私ども直ちに調査をしたわけでありまするが、全然手つかずというわけではございません。すでに練習その他に使ったものをまさに格納しておる——二十九機。そこで、今後86Fはだんだん欠落してまいりまするので、その欠落に従ってこれを補充、利用していこう、こういうたてまえでいる。大体86Fは二千時間過ぎますというと性能が十分でなくなる。しかし日本のことでありまするから、これに十分手を入れて、三千時間ぐらいの耐用時数ということで現在までは実際に行なっておる。各務原に格納されておるものはまだ千時間は優に使える能力を持っておる。手直しをすればもっとそれ以上使用に耐える、こういうことで、今後も欠落に見合ってこれを利用していくという計画である、こういうふうに報告を受けております。もし必要があれば政府委員から詳しく答弁をいたさせます。
○上田哲君 使わずにほっといたら耐用時間が切れちゃったんで、もう三分の一時間を延ばして使ってみようというだけの話です。それが説明できるなら政府委員から説明してください。
○政府委員(久保卓也君) 現在第二補給処に格納してあります二十九機は、昭和四十年ごろに油づけをしたわけでございますが、防衛庁でF86ないしほかの飛行機との総合計画を立てます場合には、そういった格納してあります飛行機の将来使い得る飛行時間も含めて、総時間が何時間である、年間の所要時間が何時間である、したがって、いつごろになれば飛行機が何機減ってまいる、そこでその穴埋めを他の飛行機の機種でもってやらなければならない、そういう計算をいたします。そういうことでまいりますると、二十九機を含めまして、F86は五十三年か四年にかけてなくなってしまいます。当然二十九機の格納されてありますものもその計画の中に入っております。 なお、二十九機の飛行時間については、長官の数字がちょっと間違えましたので訂正いたしますると、通常F86は主翼を補強いたしませんと千八百時間使えます。主翼を補強いたしまして三千時間余、三千数百時間使えます。ところで、格納されてありますものは主翼を補強してありません。そこで千八百時間使えます。ところで、すでに前に飛んでおります、つまり格納する前に飛んでおりますそれが千時間から千六百時間の間ですが、平均して千四百五十時間、したがって千八百時間、つまり飛行可能な千八百時間と、それからすでに飛んでおる千四百五十時間との差、三百五十時間が、いま格納しておる飛行機の平均寿命であります。これは逐次解除されるにつれて総飛行時間の中に取り入れられて、いずれはゼロになる計画であります。
○上田哲君 一言で言えば、つまりずいぶんむだがあったということです。このむだについての責任はありませんか。
○国務大臣(江崎真澄君) 練習機の欠落に見合ってこれをまた使用する、こういうわけでありますから、必ずしもむだとは私どものほうは理解いたしておりません。
○上田哲君 実はF104Jが本来ならば一定の数であった。ところが、三菱の工場がたくさんできたという事情があって、三十機よけいつくってある。最近玉つきがはやりますけれども、これもまた玉つきで、この二十九機がちょうど要らなくなった。こういうばかげた生産のプランなり、あるいはまた訓練計画なり、こういうところに問題があるわけですよ。これははっきりした玉つきではありませんか。
○国務大臣(江崎真澄君) これは、そういうふうには私どもは理解しておりません。総機どれだけであったかちょっといまそらで覚えておりませんが、MAPでもらったものもあります。三菱で生産したものもあります。しかし相当機数——三百数十機だったと思いますが——あるわけで、当然平素の訓練上、練習上補てんをしていかなければならない。したがってこれを格納しておる。こういうことは、これは三百数十機の上からいけば、当然あることだというように私は理解しておるわけです。
○上田哲君 三十機という数はそんな小さな数字ではありません。おまけにもう一つ、二十九機と三十機とあまりにもぴったり数字が合っている。後継機種の問題もあってF86とF104Jはからみ合っている。これはもう明らかにこれだけをもって産軍複合体云々というのは少し大げさになるかもしれないが、言ってみれば工場に押されてこういうことになったんだと、こういう姿が非常に明らかになっていると思います。86と104Jの関係がどうなっているのか、その辺のところは詳しいデータでひとつ後刻御報告をいただきたいと思います。
○国務大臣(江崎真澄君) 御報告いたします。のみならず、そういうむだがかりそめにあるとすれば、それは重大問題です。私は、そんなことは絶対ないというふうに確信を持っております。これは念のためにつけ加えておきます。
○上田哲君 いろいろおかしいことがあるのですが、防衛庁長官、たとえば先般沖繩へ物資の輸送があって、それがまた送り返されました。あの事項は軍政ですか、軍令ですか。
○政府委員(久保卓也君) 軍令と軍政というのは以前使っておりました、戦後はもちろん使っておりません。そこで軍令というのは大体部隊の行動関係、軍政というのはそれを支援し平素から準備する、あるいは教育訓練をするための行政事務と考えますると、しいて言うならば軍政に属する事柄ではなかろうかと思います。
○上田哲君 「しいていえば軍政に属する」というわけですけれども、軍令事項が出てきているわけです。これは空幕長権限ですね。
○国務大臣(江崎真澄君) 日常物資でありまするので、空幕長権限にまかせております。
○上田哲君 たとえばこれを見ますと、四十六年度事業計画の中にこれが入るわけですけれども、四十五年四月に長官指示が出ている、主要目標と重要事項が。それから四十六年三月に方針と主要基本計画が長官の承認になっている。実際四十六年四月に業務別計画が立てられたことになっていて、そこでこれが向こうへ持っていかれているわけです。おっしゃるように空幕長の権限なんです。空幕長の権限というのはどういうことになっているかといえば、これくらいの輸送という紙の中にすっと一行書いてあるだけなんです。行き先がメモしてあるだけです。これが空幕長権限だということになれば、どちらかといえば軍政だというが、軍令事項がこういう形で出てきている。シビリアン・コントロールなんというのは具体的にシステムの上にないじゃないですか。
○国務大臣(江崎真澄君) 御承知のとおりこの自衛隊員それからこれに伴う兵器、これの配置等につきましては輸送を含んで内局が起案をいたします。そしてユニホームに実行をさせることになります。これはまあ先般問題になりましたのは、御承知のとおり日常物資でありまするので、空幕長権限にまかせておったと、こういうことになります。
○上田哲君 その一覧表が出ますか。
○国務大臣(江崎真澄君) 物資の一覧表ならばいつでもお出しいたします。
○上田哲君 私は非常にけしからぬと思うのは、昨日来この委員会に出てこの資料の提出をしきりに求めたんです。防衛庁長官にそれが届いているかどうかは知りませんけれども、あなたの幕下は全然それを出さぬのです。なぜ出さないか。出さない理由は明らかなんです。空幕長権限でもって送っていくことができるものの中に、つまり、こういう経過を通ったシステムの中にミサイルも弾薬もみんな入っているのですよ。だから出せないのです。出せるなら持ってらっしゃい。それが書いてある。
○国務大臣(江崎真澄君) 輸送物資の一覧表はすでに届いたと思っていますが、そうじゃないですか。そのことと違いますか、いま御要求になっておるのは。
○上田哲君 この委員会が休憩が終わって始まる直前にもあなたの部下の局長連中とその話をしたんです。出てないじゃありませんか、何言っていますか。
○国務大臣(江崎真澄君) わかりました。私は物資の一覧表と、こう理解しておりましたが、業務計画ですね、業務計画はこれは部外秘の扱いをいたしております。これはひとつ出すことについては、御了承を得たいと思いますが、できるだけ今後とも国会の審議に供する意味で出せる資料はこれは出していきたい、こういう姿勢でおります。
○上田哲君 出せるのですか、出せないのですか。
○政府委員(久保卓也君) 長官が申されましたように、取り扱い注意でありまするし、われわれからいたしますると、部外に出るのは好ましくない面を含んでおりますが、取り扱いを御丁寧に扱っていただくことにして上田議員にお見せいたしたいと思います。
○上田哲君 私はそこにミサイルもあるいは弾薬も空幕長権限として送ることができるようになっていると見ています。それが出せない理由なんだろうと思っていたんですが、どういう取り扱い注意をすればいいのかわかりませんが、ひとつじっくり見せていただいて議論をしたいと思います。しかし、問題の重要な点の一つは、なぜそういうものがここまで出てきて防衛庁長官に詰めなければ出てこないのかということです。きのう私は一晩待った。けさになってまた連絡した。だめだ。一生懸命なぜ出さないかということを。何か大きな十円玉ぶらさげたみたいな人が一生懸命走り回っているだけの話です。長官のところに通じてないというようなことじゃこれは困る。何がシビリアン・コントロールですか。しかも、これはどちらかといえば軍政事項である。軍政、軍令ということがそろそろ出かけている。こういう問題の中から、いまシビリアン・コントロールの問題は、国防会議にかけようとか、国会に予算審議をかけるとかいう問題ではないです、全然。そういう制服と背広との関係だけでいっても小さ過ぎるけれども、問題はその辺のところに軍政と軍令の分離ということが具体的にプランニングされつつあるじゃありませんか。具体的に軍令の独立ということが行なわれているじゃありませんか。軍政の分裂かあるいは軍令の独立か、その辺の問題をしっかりすることができなければシビリアンであるあなたの立場はないだろうと私は思うんです。問題の指摘にとどめますが、もっと大きな問題は、アメリカとの交渉の中でいろいろわからぬことが出てきます。江崎防衛庁長官、あなたは十二月二十日の沖特でもってお答えになった、沖繩返還後の自衛隊配備ののちの姿として全体のトータルとしての戦力は前よりも落ちると、それでいいですか。
○国務大臣(江崎真澄君) そのとおりに考えております。
○上田哲君 二月の十七日のペンタゴンの当局者の説明によりますと、戦略的価値は変わっていないということを言っています。
○国務大臣(江崎真澄君) 軍人というものはやはり通有性として勢力が劣弱になった、そういうことは表現しないものだと思います。しかし、これはお考えいただけばわかりまするように、沖繩の行動というものは、従来は日米安全保障条約に縛られなかった。ところが、沖繩が返還されいわゆる本土並みであるということは、安全保障条約が本土並みに沖繩の基地に適用されると、こういうわけです。そういうことになればこれは相当な制約を受ける。事前協議もしなければならないという上から言うならば、その運用面においては当然影響ありというふうにお答えすることが私は正しいと思います。これは日本から見た見方であります。
○上田哲君 御答弁の趣旨は——どうもたいへん防衛庁長官が日が浅いときの御答弁だから、そのことをあげ足をとろうとは思わないのですけれども、どうやら日米共通の合意といいましょうか、そのレベルから逸脱した御見解だったように思うんです。どうしてもその従属関係というものは軍事的には成立しているように思えてならない。 いま、もう時間がなくなってまいりましたから一つ、二つにしぼってしまいたいのですが、二月十五日付のアメリカの七三会計年度国防白書というのは非常に重要な意味を持っていると思います。現実的抑止戦略の完成版だという評がありますけれども、確かにそういうことになるんだろうと思う。私をして言わしめれば、これはアメリカのアジアからの肩抜きだろうと思います。アメリカのアジアにおけるゼロ戦争構想だという言い方をする人がいますが、私はそれでやはり一つ当たっていると思います。そういうアメリカの戦略展望の中で、当然サンクレメンテで、あのレアード報告が言っているように、この問題については議論が長時間かけられたはずです。その中身は四次防というものが沖繩を含んでトータル・フォース構想の重要なパートとして発足するんだという議論であったはずであります。総理、その部分はどういうような議論でありましたか御開陳をいただきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまのような話は出ておりません。
○上田哲君 質的改善をはかる四次防と言われております。それはどういう意味ですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私とニクソン大統領との問で質的云々、そういうような話は出ておらぬことだけはっきり申し上げておきます。
○上田哲君 二カ二分の一戦争体系から一カ二分の一体系に移り、そしてこの七三会計年度報告ではその部分がなくなっています。これをどう見ますか。
○政府委員(久保卓也君) 事実関係だけ私申し上げます。 二カ二分の一戦争戦略というのは、いまのニクソン政権の以前の段階でありまして、昨年のニクソン白書及びレアード白書以降一カ二分の一戦争戦略であるということでありまして、一般に世界の警察官である任務をやめて、特定の大規模な戦争と中規模な戦争に備える戦略にアメリカが変わったということであります。
○上田哲君 答弁にならないですよ。それがなくなった、七三会計年度報告ではその字句がなくなっているのはどういうふうに見るかというのです。
○政府委員(久保卓也君) これはただいま現実的抑止戦略の完成ということをおっしゃいましたように、一カ二分の一戦争戦略というのは今日もアメリカはとっております。したがいまして、限られた範囲での公約というものは引き続いて維持するわけでありますが、以前のようにヨーロッパでもアジアでも大規模な戦争に備える、そしてまた、もう一つ小さな規模の戦争に備えるというような、世界の警察官としての任務はこれはニクソン政権以後なくなった。その戦争戦略というものは七二年度からそれが明白になっているということであります。したがいまして、七三年は七二年の継続である、あるいは完成であるということでありますから、特に変わったというふうには私は感じられません。
○上田哲君 必要ならアジアにNATOを回すんだという字句も消えているんです。
○政府委員(久保卓也君) したがいまして、これはアジアにある国々がよく考えるべきことだと思いますけれども、私の解釈では、一カ二分の一戦争といいます場合には、米側のことばでは、ヨーロッパまたはアジアにおける大規模戦争、それが一でありますけれども、実質的には私はヨーロッパが一である、アジアは二分の一であるというふうに解します。
○上田哲君 簡単にいいますとね、簡単にいわざるを得なくなってきましたが、問題はアメリカのアジアにおけるゼロ戦争体制というところに入ったと思うのですよ。この言い方に私は賛成をする見方なんです。そういうことからしますと、冷戦構造云々という話になると長くなるが、どうしてもこれは防衛庁長官なり総理と議論をしておかなければならないのは、明らかにここで、これまでの冷戦構造、あるいは冷戦感覚の上に立った、日本の防衛庁が持っていた防衛構想の基本は脅威の見積もりになる。その脅威の見積もりという考え方を捨てるべき時期に来ちゃいないのか、こういうことを言いたいのです。
○国務大臣(江崎真澄君) 米中会談によって緊張緩和のきざしが出てきたことは、私どもも一つの喜ばしい現象としてとらえておるつもりです。しかし、これがまだほんとうに平和の方向に定着するかどうか、これは軽々にいますぐ断定するわけにはまいらないと思います。したがって、自衛隊そのものがもともと仮想敵国を求めたものでもありません。したがって、あくまで専守防御の立場に立って充実の道をいま歩いておる、こういう段階でありますから、直ちに一回の米中会談をもって自衛隊の今後の装備を左右するほどの大きな変化ができたというふうには考えないわけであります。
○上田哲君 かいもく米中会談なんという話はしていませんよ。もっと根本的に、たとえばレアード報告をお読みになればいい。日本の防衛構想というのは、基本的に転換点にある。脅威の見積もりということになれば——あらゆる脅威のポッシビリティーと言っていますが、防衛庁のことばでは——それに対して直接侵略に対抗する武力を持たなきゃならぬという論理ですから、これは一方的に膨脹論理しかないことになる。その論理を転換する時期に来ているのではないかということを言いたいのです。久保さん、あなたは少なくとも、そうでない、脅威に対抗しない一つの考え方を持つべきだということをどっかでも言っておられるけれども、その辺ひとつ伺いたい。
○政府委員(久保卓也君) 昨日の衆議院の予算委員会でも脅威論が出たわけでありますが、周辺諸国の軍事能力に見合うもの、何らかの意味において対処できるものを持ちたい、少なくとも最小限度防衛できるものを持ちたいというのが脅威論でありました。しかし、そうであれば周辺諸国の軍事能力が百であれば日本は百を持つのかというのが御質問の趣旨でありましたが、私どもはそうではない、百の中で、軍事能力は百あるけれども、その中で特定の脅威を日本に向けられる可能性の強いものを見積もって、たとえば二十であれ三十であれ、そういうものに対応するものを持つというのがわれわれの必要最小限度の自衛カを持つという発想でありました。しかしながら、周辺諸国の軍事能力に対応するという以上は、たとえば非常に戦闘機が、相手方の戦闘機が高度になればわがほうも高度のものにならざるを得ないという必然的な運命を持っております。そこで、世界のいずれの国もいまの脅威論にのっとった軍備論を持っておりますけれども、それをはずれた何らかの防衛理論というものはないであろうかということを考えてみたい。これは私ども遺憾ながらいずれの国からも、国内の評論家、マスコミからも御意見は伺っていないわけでありますが、皆さん方からひとつせっかくの知恵を授けていただいて私どもは理論構成をしてまいりたい、かように希望を持っております。
○上田哲君 後日にゆっくり譲ります。 一つ伺いますが、話が変わります。 大石環境庁長官がきょうの閣議後の記者会見で、民族と民族のかけ引きというものはあるのであって秘密はある、補償金を支払うことはふしぎとは思えないし、チッソがつぶれた場合もそういうことになるだろう、こういう問題を取り上げた横路議員は一年生議員だし、外務省の役人もおかしい云々と発言をされているといいます。この真意は何でありますか。
○国務大臣(大石武一君) きょう、先ほど記者会見のあとの雑談におきましてそのような発言を確かに申しました。これはいま非常に反省をいたしております。これは舌足らずのくだらない発言でございまして、ことに個人についての発言につきましてははなはだ申しわけないとおわび申し上げる次第でございます。
○矢山有作君 関連。 いま大石長官は、きわめてくだらない発言だとおっしゃったけれども、くだらない発言じゃないですよ。これは横路君が提起した問題を取り上げたわれわれの立場にしても、提起された問題それ自体がきわめて重大な問題であるということは、あなた方も御認識があるだろう。それをこういうふうなことが雑談の中で話されるということは、あなたがその重大な事態に対する認識がないのじゃないですか。まあ、佐藤内閣は放言内閣だが、どうなんだ、これは。
○国務大臣(大石武一君) 個人のことにつきましては、これはひとつ、私のこれは全く失言でございます。これは御容赦いただきたいと思います。ただ、沖繩の農地復旧の問題につきましては、自分で多少は考えておりましたが、それもやはりいま重大な予算の審議であり、党の方針もあることでございます。よけいなことを私はしゃべった上反省をいたしておる次第でございます。
○矢山有作君 これは私は全部文章を読まずにおったからよくわからぬと思いますが、全部読んでみますから、発言をされたことを。そんなに簡単視する問題じゃないですよ。いいですか。「大石環境庁長官は三十一日の閣議後の記者会見で、沖繩返還交渉にからむ〃密約〃問題に触れ「補償金を支払うことは不思議とは思われない」と発言、さらに防衛庁が沖繩に資材を送ったことについても「沖繩にナベ、カマを持って行ってもたいしたことはない」と語った。これは雑談の中で語ったもので、発言の要旨は次のとおり。 民族と民族とのかけ引きでもあり、秘密はありうる。補償金を支払うことは不思議とは思われたい。いま問題となっているチッソがつぶれた場合、だれかが患者に補償金を支払わなければならない。国内で林道をつくるのにカネを出すのと基本的には同じだと思う。そんなことでは外交はなにもできない。この問題をとり上げた横路議員は一年生議員だし、外務省の役人もおかしい。政府がだらしない。首相や外相はき然としていいと思う。予算審議でかけ引きが多すぎた」、こう言っておるわけですね。これはきわめて重大な発言じゃないですか。この軍用地の復元補償の問題がどれだけ重大な問題として国会で論議をされてきたかということは、少なくともそこへ並んでおられる閣僚の諸君はその当時全部沖繩関係の特別委員会に列席しておったはずだから十分承知しておるはずでしょう。それをこういう言い方をするというのは、一体どだい国益というものを、あなた方のしょっちゅう口にする国益というものをどう考えているのですか、あなた方は。あなた方は二言目には国益と言う。その国益をそこなうような取引ではないかといわれるような、そういう内容が暴露された。その問題について問題になっておるときにこういう発言をするということは一体どうなんだ。総理、どうなんですか。あなたに事態の認識がない、あなた自体が政治に対する姿勢がなっていないから、あなたの任命した閣僚はみんなこうなんです。一体どう思うんですか。総理の見解を聞きたいね。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま、発言者である大石環境庁長官みずから、この席で、皆さん方に、軽率であったと、また、そういう点をただいまのようにみずから反省しお許しを願っておる、こういう状態でございますから、これは、よし、雑談の場にしろ、事柄は大臣の発言でございますから、もっと慎重でなければならないと私は思います。そういう意味でおしかりを受けることは当然だろうと思います。しかし、その事柄は、ただいまも心からおわびを申し上げておるようでございますから、このままひとつお許しを願いたいと思います。私からもお願いしておきます。
○矢山有作君 これは午前中の論議にも出ましたがね、責任を感じますと言えばそれで済み、申しわけありませんなんだと言えばそれで済み、何もかも口先だけで済ましてきた佐藤内閣の姿勢の問題なんですよ、これは。これは何も、大石長官のこの発言は、これに類した発言は、いま初めてじゃないのですよ。一体何人目ですか、こういう失態をやらかしたあなたが任命した閣僚は。何人目ですか。あなたが任命した閣僚は、常にこういうまことにけしからぬ失態をやって、そうして首を切られてきた、あなたに首を切られてきた。それで、一片のあやまったということで済むという問題じゃないでしょう。そこの責任がはっきりしないから、折り目をつけないから、いつまでたってもこういう問題が飛び出すのです。これは承知できませんね。
○委員長(徳永正利君) 暫時休憩いたします。 午後二時四十四分休憩 —————・————— 午後四時二十分開会
○委員長(徳永正利君) それでは、ただいまから予算委員会を再開いたします。 この際、大石環境庁長官から発言を求められております。これを許します。大石環境庁長官。
○国務大臣(大石武一君) 私の至らぬ点から、このような予算委員会を中断しましたことを、心よりおわび申し上げます。で、午前中の記者会見後の発言につきまして、私の気持ち並びに発言の内容を申し上げたいと思います。 耕地の復元補償のことでございますが、これは、いま、政府が、自民党が日本の国の政府がこの復元補償をしておるのではないという方針でおることは、私も存じております。ただ、沖繩を一日も早く本土に復帰させることが重大であると考えておりましたので、つい一般論として、どうしても国と国とのかけ引きであるから、ある程度国の力が及ばない場合には、その分は国でもかぶってもしようがあるまいという気持ちから、そのやむを得ないということを申し上げたまででございます。その間に、ただ、それが、そのような秘密的な問題があったかなかったか、それはある時期においてはかりにあったとしても、これはお互いに民族と民族との戦いでございますから、ある時期においては秘密を守らなければならぬこともあると思います。しかし、ある時期においてはそれは当然国民に公表されてもしかるべきであると、こう思います。そういう意味で、私は、けさの発言におきましても、ただいつまでも黙っておるということは正しいことではないということは申しておるわけでございます。それは、その正しいことでないというのは、ある時期においてはやむを得ないこともあるけれども、ある時期においては国民に公表すべきであるという気持ちからそう申したわけでございます。 それから横路君のことにつきましては、これはもうおわびの申し上げようもございません。全く心ない私の発言でございました。これは深く横路君におわびを申し上げ、陳謝を申し上げる次第でございます。 それから沖繩の移駐のなべかまの問題でございますが、これも、このような事態にそのような処置をすることは確かに心ない処置だと申しました。しかし、まあなべかまぐらいならば、そういう気持ちでも、たいしたことはなかろうという気持ちを申したわけでございまして、これは他意ございません、そういうことでございます。 それからもう一つ、予算のかけ引きについて、これまたついことばが過ぎました。このとおり予算が一月ほど延びましていらいらしておるものでございますから、ついやはり何としても早く予算を通していただきたいという気持ちが先に立ちまして、考えてみればくだらぬよけいなことの発言になったわけでございまして、この点はひとつ御了承願いたいと思う次第でございます。
○委員長(徳永正利君) この際、内閣総理大臣から発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま、大石君から、今朝の大石発言なるものについて、個別的に各項目について皆さま方の御了承を得べく陳謝いたしました。私は、一般的な問題は、これは議論の対象となっても、必ずその問題が双方で納得のいく問題である、結論が得られるだろうと思いますけれども、事柄が横路君の個人的な問題に関する限り、これはなかなか納得のいく問題ではございません。私は、国務大臣として、かような横路君を誹謗したような、さようにとられるような発言のあったことを、まことに遺憾に思います。しかし、ただいまも大石君自身から申し上げておりますように、個人的に誹謗するような意思のなかったこと、これだけはひとつ御了承を賜わりたいと思います。 以上、私も、大石君の発言について私の感じを率直に皆さま方に御披露し、皆さま方の御了承をお願いする次第でございます。
○委員長(徳永正利君) 上田君。
○上田哲君 ただいま大石長官並びに総理から御釈明があったわけでありますが、私どもとしては基本的には納得をいたしません。大石長官のおことばをかりるならば、たいへんばかばかしいことを言ったもんだということでありますから、ばかばかしいことであるということについては私どももそのように思います。また、そのばかばかしさをことあげして議論するということのばかばかしさということも思いますから、たいへん次元の高い問題だとは思いません。こういう次元の高くない問題に国会の重要な審議の時間をさかれるということについて、ひとつ猛省をしていただかなきやならぬ問題がそれを選んだ総理にもあるだろうというふうに思うんです。大石さんの場合は、私どもは佐藤内閣の中では評判のいい大臣だと思っておりました。この大石さんをここでこういうふうにことあげすることはあんまり気持ちのいいことではないなあという話をしていたのであります。しかし、考えてみれば、一番と言っていいぐらい評判のいい人がこういうことをぽろっと出してしまうということは、今日の体質じゃないか、こういう問題がやっぱり根底に大石のごとくどんとしておるんじゃないかというふうに私たちは腹を立てて思うわけです。 大石さんの言い方の中で、単なる失言の訂正ということではなしに、今後の問題として私どもが各党の問題としても残しながら、内容として一つ確認をしておきたいのは、ばかばかしくない部分、交渉における秘密の存在をお認めになったということと、ある時期にはこれを公表すべきことが妥当であって、いまやその時期には到達をしておる、みずからが内閣の頭領に向かってそろそろしっかりして出してもいいじゃないかという発言をされているわけでありますから、これは政治的発言である、私どもはそのように受け取って、ばかばかしくない部分としての追及は今後もひとつ続けていくことにいたします。 とりわけ許しがたい問題は、横路議員に対する一年生議員であるからというような誹謗でありまして、御釈明はありましたけれども、私どもも同じようなそういう立場の議員としまして、たかだか何年か何十年か先にいたということをもって、議員の行動についてのそのような次元の誹謗というものは、断固として許しがたいものだということを強調しなければなりません。特に同僚横路議員の今回の業績は、野党議員としては、ベールに囲まれた国のほんとうの外交のあり方を追及したという点でわれわれは鋭い仕事だと評価をしておるわけでありまして、価値観のありなしは別として、その問題についての評価を別にして、一年生議員であるからというがごとき三下やっこを扱うような表現をされたことは、きわめて侮辱最高のものである、あるいは最低のものであるということを申し上げておかなければなりません。 ここで一つ問題になることは、こういうふうにマスコミに話をした、記者に話をしたということが、今後、政府の側から、与党の側から、何らかのプレッシュアを誘発することはないであろうか。記者にうっかりものを言っちゃならぬというような形になって、重苦しいマスコミ統制というようなものが拍車をかけられてはいかぬということを特に憂慮いたします。 そこで、総理に一つ具体的例をあげてこの際御見解を承っておきたい。新聞の活字になった記事をあげれば、三月二十二日付「毎日新聞」に、「二十一日も朝っぱらから開口一番「「某新聞の記者はいるか。二十日の新聞はなんだ」と記者団をにらみつけた。「ポスト佐藤をめぐって、自民党内に買収の多数派工作がすすめられている」という記事を怒ったわけだが、「事実無根ではない」という記者にむかい「あれは君が書いたのか。社長を呼びつけて聞くゾ」と、首相とは思えぬ高圧的なおどし文句。」と、こういうふうな記事が載っております。これは事実でありましょうか。もしこういうことが事実であるとすれば、民主社会の重大な基底であるべき言論の自由に対して、もちろん正しいものを正しいとし、総理としてあるいは与党総裁として記事の真偽について批判をする自由は同じようにあります。それはまた場が違うはずであります。聞くところによりますと、この社の社長に総理が電話をされたとかものを言われたとかというふうに報告されたとも仄聞をしております。もしそのようなことであれば、決して新聞や放送は社長の私有物ではないのでありまして、公器である立場からすれば、いかに総理といえども、総裁といえども、個人的なそうしたプレッシュアによって記事を変えるごとき、あるいはそうしたおどしによって出先の良心が曲げられるごときことは、民主社会を破壊するということになるであろうと思います。この際、大石長官の発言というものが流れ落ちる問題として、総理がこのことにも触れて、この問題の真偽、そして今後このようなことがないように戒心あるべしと思いますが、その点についての御決意を承っておきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私の個人に関する問題、その問題は、ときには秘密を要する場合もあります。いわゆるプライバシーというものもありますから、それはその意味でただいまのお尋ねの大部分がそういうことに関すると、かように御了承をいただきたいと思います。ただ、重大な点は、ただいまお話しにありましたように、政府にもやはり言論の自由はあるんだと。政府自身が言論の自由なしに、また、責任を持てないで、そうしてかってな言論をやるというようでは困りますから、言論の自由ということはもちろん責任のとれることでございます。私は、社会人各人ともそうあってほしいと願っておる一人でございます。今後もこの考え方は大事に、マスコミの諸君に対しましても、言論の自由だと、こういうことで何をやってもいいと、かようには私は思いません。責任の所在だけは明確にして、しかる上でやはり言論の自由を守ると、こういうことが望ましいのではないだろうかと、かように思いますので、その点は誤解のないようにお願いしておきます。最も大事な点については、私は私のプライバシーだと、かように考えておりますので、その点はこの場所では申し上げかねます。御了承いただきます。
○矢山有作君 いま私は大石長官のお話を承っておりましたが、あなたは、予算審議を中断させてすまないと、このことをおっしゃっている。それだけじゃないんですよ。予算審議を中断させたことだけがすまないということじゃないんです。あなたには事態の基本的な認識というものが全く欠けておるんです。その理解がないことをすまないといって反省しなきゃならぬ。たとえば、請求権問題というのは、これは沖繩国会当時に非常に論議になった問題です。特に、政府としては、十項目からにわたる請求権としてアメリカに請求できるものをいろいろ検討した結果、軍用地の復元補償というのはこれこそまさに一番請求しやすいし実現しやすいものだと、こういう判断から、これを実現するためにこの一点にしぼって請求権問題では政府は取り組んでこられたはずなんです。そうして、国民に対して、国会に対しては、これはアメリカから出さすことにしたんだと、決してわれわれのほうから出すんじゃないということで突っぱってこられた。三億二千万ドルの中身についていろいろ論議されたときも、この請求権はこれはもうアメリカが払うんだということで押し通してきたわけです。ところが、その経過というものが、今度の電報で、内容がそうではなかった、実は日本が出した金を向こうの金のごとくに装って支払いに充てるんだと、こういう実態が暴露されたということで問題になったわけですよ。したがって、これは外交交渉のあり方として問題なんですよ。こういうものをなぜ秘密にするんですか。請求権としてどうしても向こうが支払いに応じないんなら、応じないという実態を明らかにして、国民にあるいは国会に報告をすべきなんです。そういうことまでことさら秘密でやってこられて、いまになって事態が暴露した。その外交姿勢のあり方が問題なんです。そのことを一つはお考え願いたい。 それからもう一つは、これは問題になっておる例の予算審議にかけ引きが多過ぎると、こうおっしゃった。これはおそらく予算審議が今日まで停滞したことについてのあなたの意見を述べられたんだと思うけれども、今日まで予算審議が停滞した理由は何かということをお考えになったことはありますか。これは決して野党の責任で停滞したんじゃないんですよ。私ども仄聞するところによりますと、見ておりませんが、どこかのテレビで、この国会の延引は野党にも責任があるんだというようなことをしゃべった方が政府の中におありのようです、閣僚の中に。しかも、それは、主要閣僚の中におありのようですがね。これは何も野党の責任で延びてきたんじゃないんです。考えてみてください。まず一番に問題になったのは、例の四次防の予算先取り問題でしょう。これは明らかに憲法違反の疑いがあるということでたいへんな問題なんです。さらにその次に問題になった台湾の帰属の問題にいたしましても、これは全く政府答弁が精神錯乱状態でしょう、支離滅裂だった、そういう答弁をしておるから問題になる。これは政府に外交方針が何もないということを暴露したことですわね。それからさらに問題になった例の自衛隊装備の沖繩搬入の問題にいたしましても、立川基地に自衛隊が抜き打ち的に入ったあの問題が論議の最中に自衛隊の装備が沖繩に持ち込まれたわけでしょう。しかも、自衛隊の配備については、沖繩国会で総理みずからが国防会議にかけるのだということを再々言っている。しかも、立川基地の問題で国会で論議をされておるそのときに、防衛庁長官はどういうふうに答弁したんですか。沖繩配備については国防会議にかけるんだ、正々堂々と沖繩移駐はやるんだと、こう言って大みえを切っておる最中に、沖繩向けの装備はもう海を渡っていきおった。こういうでたらめなことをやっておるから、それで予算が今日まで審議が延びてきたんですよ。野党の責任じゃない。一にかかって政府の無為無策、憲法違反、議会軽視、この責任なんですよ。そこの認識がない。これはたいへんな問題だと思う。そのことは、あなた一人の問題ではないと思う。私は、先ほどのお話じゃありませんが、あなたは非常にまじめな人だと思っておる。そのまじめなあなたがこういうことを言うぐらいだから、佐藤内閣の体質に根深くこびりついた、これはとてもじゃないがたいへんな病根だと思う。それを今度あなたによって証明されたわけですよ。そういう点についての反省がなけりゃいかぬのですよ。中断させてすまぬと言って済むようなそんな軽々しい問題ではないということをあなたには認識していただきたい。そして、この問題については、私どもは徹底的に追及しますよ。たとえば、なべかまを持っていくぐらいのことは何だというようなことを言っているわけでしょう。沖繩になべかまを持っていってもたいしたことはないと。なべかまを持っていってたいしたことはないのに、なぜ政府は送り返したんですか。たいへんなことだから送り返したんでしょう。これは国防会議を無視した、いままで国会で堂々と公言してきたことをまるで破った、これはたいへんだというので送り返したのじゃないですか。こういう逐一についての事態の本質的な認識というものを閣僚というものは持つべきだと思う。それをなしにおるから、こういう問題がしょっちゅう起こってくる。この点については、私どもは、今後徹底的な追及を重ねていきますよ。幾らあなたが陳謝されても、陳謝で片づく問題じゃない。まして、いわんや、一議員を、一年生議員だ、何だかんだと言って誹謗する。あなたは何期日か知らぬが、めしの数が多いことがすぐれておるのじゃないんですよ。当選回数が多いことが議員としての価値じゃない。年が寄っておることが議員としての価値じゃないんですよ。そこのところをはき違えないようにしていただきたい。こういう問題をあわせて徹底的な追及をいたします。 それから私は、総理についても、あなたが任命した閣僚に認識が足らないということは、総理自身あなたに認識が足らないことなんですから、あなたが最高責任者、任命権者としての責任を感じなさい。さらに、先ほど上田君の指摘した問題について、私は午前中の竹田議員の質問に対するあなたの答弁を聞いておりました。角福戦争の問題についての新聞報道、あなたは見当違いをしておられると思う。ああいうことを指摘されたとき、大新聞の報道がけしからぬと新聞に向かって怒りをぶちまける前に、そういうことが日本の一流大新聞に取り上げられるということは、そういうことがわが党内にあるんではないだろうか、この反省をまずやって、そこのところをあなたは改めていくという観点に立ってものを言うのが良識ある政治家なんです。それを、そのほうは知らぬ顔をしてしまって、大新聞がけしからぬ、報道がけしからぬ。これは、そういうことは言ってはいけません。おとなげない話ですよ。これは一国の総理のとるべき態度ではないと思う。そういうことをやられることが、やがて進んでは、あなたが言われたプライベートな問題では済まなくなっていく。いまはあなたは総理という立場でプライベートだと言っておられるが、総理という立場でいま上田君が指摘されたようなことをやっている。それで、あなたは、これはプライベートだから中身は言わぬとおっしゃる。これが高じていくと、今度は権力を表に振りかざしてやるようになるんです。そういうような誤ったことをやってはいけませんよ。総理は。だから、数え上げれば切りがないほどあなたは誤りをおかしておる。しかも、その誤りは、あなたの政府、内閣の体質に根ざしている。その根源は、憲法無視、議会軽視、このことについては私は深い反省を求めますし、私どもは、今後、衆議院においてもまだいろいろな問題が懸案として残っておるときですから、徹底的な追及をやらしていただかざるを得ないということを私は申し上げておきます。 何か言うことがあったら、言ってください。
○委員長(徳永正利君) 何か答弁はよろしいですか、ありますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの発言、私も謙虚に承りました。また、私ども反省すべき点が多々あると、かように思っております。どうか、今回のこの問題については、以上のような経緯から、ぜひとも御了承願いたい、重ねて御了承願いたい。お願いしておきます。
○国務大臣(大石武一君) ただいまのお話、十分に反省いたします。
○鈴木一弘君 いまの問題でほとんど尽きていると思うんですが、例の沖繩の自衛隊装備の事前移送の問題、先ほどの釈明の中でも言われたことは、なべかまぐらいならよいと思った、しかも心ない処置であると思った、こういう話があったわけです。そこのところに私はこれは反省の色がないんじゃないかというように思ったわけです。心ない処置ということは、送り返したことが心ないという意味なのか、それとも、送ったことがいけないということなのか。なべかまであっても事前移送は事前移送、その辺のところがきちっとした反省がないと、これはまた同じような問題を起こすのじゃないかと思う。この点は、さらに長官から伺っておきたいと思います。 それから予算審議のかけ引きの問題も、早く通してほしいということからこういうくだらない発言があったという話です。くだらない発言とおっしゃって、あげ足をとるわけじゃありませんけれども、かけ引きがあったと思われていらっしゃる。私どもは、そうじゃない、政府の不手ぎわで一方的にこうなったんじゃないか。これはいままではっきりしていることです。それを、ただ、かけ引きということで、くだらない発言であったということだけでは、どうもちょっと納得ができない。 この二つの点について伺いたい。
○国務大臣(大石武一君) 当時、沖繩の自衛隊の問題が非常に議論されておる最中でございます。そのような時期に、そのような情勢を判断しないで、たとえなべかまでも送ったということは、確かに心ない処置だったと私は考えます。そういう意味で申し上げたのでございます。ただし、いろいろなお話を承りまして、なるほどなべかまといえどもやはり十分に心して政府の行動をしなきゃならぬということを理解いたしました。 それからもう一つ、確かにこのような政府の予算が一月もおくれましたことは、おっしゃるとおり、大部分は私は政府に手落ちがあったと反省をいたしております。そういうことで、ついまあ、何と申しますか、ついうっかりしたことになりまして、すまなかったと思いますが、そういうふうに認識をいたします。
○委員長(徳永正利君) 以上で上田君の質疑は終了しました。 —————————————
○委員長(徳永正利君) 次に、塩出啓典君の質疑を行ないます。塩出君。
○塩出啓典君 今回の暫定予算を出さなければならなかったいきさつ、また、先ほどの大石発言等については、いままでいろいろ論議もございまして、質問したい点もございますが、時間も限られておりますので、すぐ本論に入りたいと思います。 そこで、まず行政管理庁長官にお聞きいたしますが、昨年任期が切れてもう半年にもなろうとしております行政監理委員がいまだに任命にならない。私は政府の行政改革に対する熱意が全くないんじゃないか、そう思うんですが、その点はどうですか。
○国務大臣(中村寅太君) 行政監理委員の任命がおくれておることは、誠意がないのではないかという、熱意がないのではないかという御質問でございますが、私は、一刻も早く行政監理委員を任命していただいて、そうして行政監理の推進に働いてもらいたいという心からなる願いを持っております。
○塩出啓典君 さきの補正予算のときにも、行政監理委員が全部交代をすることは、行政監理という大事な業務の渋滞になる、そういう点で、全部かえることはどうかということを総理にも申し上げたわけでございますが、総理がそれはしっかりやると、そういうことで私もそれを信頼しておったわけですよね。結果においては、こういうような状態になっております。総理としては、その責任をどう感じておられるのか、また、いつごろに任命するのか。
○国務大臣(中村寅太君) 御承知のように、国会承認人事でございますので、ただいま国会のほうに承認手続をとる準備を整えておる段階でございます。
○国務大臣(佐藤榮作君) 塩出君からいろいろ早くやれと言われて、手続がおくれておることは申しわけございません。
○塩出啓典君 今回の新聞報道等を見ますと、委員の中には高級官僚から特殊法人に天くだりをした過去を持つような人も含まれていると聞いておりますが、これは事実でございますか。
○国務大臣(中村寅太君) 今回委員に御推薦申し上げている人の中には、実業界の人もありますし、官界の経験者等もあると思います。
○塩出啓典君 いまのは、官界から天くだりした人がいるかと聞いているんですよ、ちょっと私の質問の要旨と違っていたと思います。
○国務大臣(中村寅太君) 官界をやめて別な仕事についておった人はあると思います。
○塩出啓典君 まあ役人をやめて特殊法人に就任している人もおるわけでございますが、そういう人がすべて悪いわけではございませんが、行政管理庁長官として、やはりそういう人事の任命においてもそういう点を十分検討して慎重にやってもらいたい。特に、行政改革、特殊法人の問題等についての監督をやっていくわけですから、そういう点で心配のないように要望したいと思います。どうですか、その点は。
○国務大臣(中村寅太君) 塩出委員のただいまの御忠告は心に銘じまして、そういう方向でやってまいりたいと思います。
○塩出啓典君 行政監理委員の手足となって働く人が一人しかいない、専属になって働く人が。これではいけない、もっと充実すべきだという点に対して、長官は検討するということだったのですが、今度はどうなっていますか。
○国務大臣(中村寅太君) 行政監理委員の手足となって動く陣容を整えてほしいという前回の委員会の意向もございまして、私は、行政管理庁の職員全員を監理委員の協力者としてやっていきたいと、監理委員の手足となって特別の役員を何人かつくるというようなこともなかなかいろいろむずかしさもありますので、できるだけ少人数で、事務局的な手伝いはさせますが、いろいろの仕事は管理局あるいは監察局の全員を動員して委員の活躍に遺憾のないようにしたいという方向で進めてまいりたいと、かように考えております。
○塩出啓典君 佐藤総理にお伺いしますけれども、やはりそれは兼任ということでおっしゃいますけれども、これはもう臨調答申のときから少なくとも二十名くらい、あるいは十名くらいはほしいということも言っているわけですよね。もっとそういう人員はふやしたらどうなんですか。これから行政管理は大事になってくるのですから、手足がなくては十分できないじゃないですか。
○国務大臣(中村寅太君) 私は、行政監理委員の活躍をなさるために、いま塩出君が御指摘なさるような事務的な手伝い人をそろえるということも、これは一つの行き方だと思います。しかし、公務員の数をふやさないということを各省庁に強く指導してまいっております管理庁といたしましても、そういう簡単に人員の増員をやることもいろいろむずかしさがございますので、私は、監理委員の人たちがいろいろ調査をなさるときに、特別の技能を持った人、技術を持った人に委嘱をしていただいて、そういう人たちの働かれるようなために調査費をつけるとか、あるいは、人手のほうは、先ほど申しますように管理局と監察局の適材を随時振り向けまして委員会の機能を十二分に発揮していただきたいと、かような方向で進めてまいりたいと考えております。
○国務大臣(佐藤榮作君) 監理委員会の事務局を強化しろというお話、もちろん私どもも十分検討しなきゃならぬと、かように考えますが、ただいまのところ、一人でいいとか、二人でいいとか、三人でいいとか、そういうものではなくて、やはり、ただいま申しますように、中村君が適当なる人員を配置すると、こういうような考え方で整備しておると、かように私は理解しております。
○塩出啓典君 いま長官は非常に定員の問題ということをおっしゃいましたけれども、たとえば、行政監理委員会は、今回までたびたび政府機関及び特殊法人の整理縮小を勧告をしてきているわけですね。昭和四十五年の勧告でも、たとえば、二万六千名の食糧事務所とか、あるいは一万一千の統計調査事務所とか、その他、海外移住事業団、日本蚕糸事業団、そういうようなのは廃止すべきだと、一方ではそのように言われながら、そういうのはなかなか進まない。一方では、そういう最も大事な行政監理委員会の手足になって働く人が一人しかいない。今度の予算でも一人ふえただけですよ。それは、一人が二人にふえたなら、倍にふえたからいいかもしれませんけれどもね。そういう考えでいま中村さんも行政監察には非常に熱意をこめていると言っていますけれども、私はそれでは納得できないと思うのですよ。少しなめていると思うのだな、ほんとう言うとね。どうですか、佐藤総理。
○国務大臣(佐藤榮作君) これは中村大臣だけでできる筋のものではございません。いろいろ監査また企画はいたしますが、各省の協力なしにはこれが実を結ぶものではございません。でありますから、むしろ力の置き方、行管で指摘された、あるいは改革意見を述べられると、それについてまじめにこれと相談をする、こういう態勢でなければならないように思っております。ただいまそういうことで、各省の協力、これをまず第一に必要なことだと考え、また、その方向で運営されていると、かように御理解いただきたいと思います。
○塩出啓典君 総理はいつももっともらしいことを答弁するわけですけれども、結局、ここだけの答弁でなしに、実行が大事だと思うのですよ。われわれはそういう行政をやっていると言うけれども、やっていると思わない。行政監理委員会のメンバー一つをとってみてもそうだと例にあげたわけですけれども、そういう点で、この問題をあまりやっていると時間もありませんが、佐藤さんも最後にいいことを一つ残してもらいたいと思うのですね。 それから国民の政治不信が非常に高いということをわれわれもほんとうに反省をしております。自民党が悪ければ、やっぱり政治家が全部悪いのではないかとわれわれも悪く言われるのは心外でございますけれどもね。そこで、十八歳の選挙権、だいぶ世界の情勢を見ますと、かなりの国でこれが実施の傾向にあります。日本としても当然その方向に進むべきだと思うのですが、総理はどう考えておられますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) これは当然いろいろの考え方があると思っております。ただいま結論をすぐ出すというわけでもございませんが、これは大いに検討する、そういうことが必要ではないか。選挙権も選挙権、同時に、また、成人としての責任を負わすと、こういうような意味からも、やはり、十八歳、その辺がだんだん各国の実情にもよりますが多くなってきたのではないか、かように私は思います。
○塩出啓典君 だから、総理としてはその方向で今後検討するということですね。
○国務大臣(佐藤榮作君) もちろんすぐ結論が出る問題ではございませんが、大いにこれは検討に値すると、かように私は思っております。
○塩出啓典君 それで、国民の政治不信の因はいろいろありますが、その一番大きなものは、政治献金の問題じゃないかと思うのですね。自治省の発表によりますと、四十六年の上半期の政治資金の収支、これは自民党を例にあげて申しわけございませんが、一番大きな政党ですから、例として自民党の政治献金を扱う国民協会の政治献金の総額は五十三億四千万、その上位五団体が、たとえば電気事業連合会三億円、東京銀行協会三億円、日本鉄鋼連盟三億円、日本自動車工業会二億二千万円、全国地方銀行協会一億二千万円、いずれも前期よりも一億円以上も各協会ともふえておる。先般から角福戦争というのがありましたが、統計を見ますと、福田さんあるいは田中さんの派閥も非常に金額がふえておるわけでございますが、これは一部には総裁選も近いんじゃないかといわれているわけですけれどね。そのように政治にたくさんの金が使われ、いわゆる政府与党と財界の癒着が選挙を重ねるたびに強まっているということは、私は非常によくないと思うのでございますが、総理としてはこの問題をどう考えておられますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) きょうは、午前中から、しばしば魚福ということばが出ます。うしろに角帽が控えておりますが、たいへん仲よく控えておりますので、いわゆる角福戦争というようなこととはほど遠いように、縁の遠いことのように思います。(「冷戦だ」と呼ぶ者あり)しかし、ともかくも、冷戦ということばも出ておりますが、そうではなくて、いま御指摘になりました政治に金がかかるという政治献金というか、政治資金というか、これはよほどわれわれ政治家といたしましても留意して、そうして政治に金がかからないようにしなければならない、このことは御指摘をまつまでもないことのように思います。私は、どうも、政治献金については、あるいは言う資格がないほど政治資金規制をしようとして過去において三回も失敗しております。したがいまして、私からはもう聞いてもだめだと塩出君は言われるかわかりませんが、しかし、政治につきものの金ではありますが、その金も納得のいく政治資金でないと、これはどうも国民から見れば政治不信を招く、そのもとになると、かように思います。 ただいまも、いろいろ、お尋ねではございませんでしたが、選挙制度審議会でこの問題と取り組んでおります。政治資金だけ切り離して云々、これも一つの考え方でありますが、過去の経験等から見ますると、やはり選挙のあり方、それと多分に関係があると、車の両輪と申しますか、そういうように考えられますので、ただいま政党としての選挙、金のかからない選挙といいますか、政党本位の選挙、そういうことを考うべきではないだろうか、そういうことでいろいろ選挙制度審議会でもこの問題と取り組んで結論を出すべく急いでおられるようでございます。私も、できるだけ早くそういう点が結論が得られればたいへん幸せだと思っております。問題は、政治資金の問題、その政治資金だけの問題で切り離して云々できなくて、やはり選挙制度のあり方と車の両輪のようなたてまえで、やはり両者を一緒にひっくるめて検討すべき、また、対策を立てるべきじゃないか、かように私は考えておる次第でございます。
○塩出啓典君 じゃ、総理はいつもそう言われるわけですけれども、そういうことを言いますと、現在の選挙制度ではやはり財界から政治献金を受けるのはやむを得ないと、そういうことですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 財界から政治献金を受けるのがやむを得ないと、かように申しておるわけじゃありません。もちろん、党の資金は党費でまかなうと、これが本来の本筋だと思っております。しかし、なかなかそうもいかないというので、不足分がただいま御指摘になったような政治献金という形においてしばしばなされておると、かように御了承願います。
○塩出啓典君 総理はやはり自民党の総裁であり、内閣総理大臣ですから、そのようによろしくないことはやっぱり改めるように努力すべきじゃないですかね。第五次選挙制度審議会において、もうすでに答申も出されているわけですね。幾たびかそれを骨抜きにして、その骨抜いたのも通らなかったわけですけれども、総理は自分の任期中に政治資金規正法の改正をやりたい、そのように言っているとも伺っておるわけですけれども、そういう決意はあるのですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) いま、選挙制度審議会に、いろいろ急いで答申を、結論を出していただく、検討していただく、こういうことでお願いをいたしております。私は、答申が出てくれば、それに基づいて対策を立てると同時に、ただいまの選挙制度と政治資金を一緒にしての案をつくるべきだと、かように考えております。これが私の在世中に、もちろん私はまだ政治家をやめるわけじゃありませんから、どこにいるといたしましても、もちろんこの問題だけはぜひともやりたいと、かように思っております。ただいま、しかし、塩出君の言われるように、総理の間にやれと、かように言われても、はたしてできるかどうか、これは明言いたすわけにはまいりませんけれども、私は、いま選挙制度審議会が結論を急いでおる、こういうことなら、これはもう私でもできるかなと、こうも思わないわけでもございません。
○塩出啓典君 じゃ、午前中、いわゆる沖繩復帰に伴う恩赦に選挙違反を含めるかどうかという点で、まだ考えていないというお話でございましたけれども、大体いままでいつもそういうやり方で、こういう国会の審議ではぼかしておいてばさっとやるわけですよ。私はひきょうだと思うのですよ。総理個人に聞きますけれども、沖繩恩赦がもし行なわれた場合には、総理個人としては、世論は選挙違反者を含めるべきではないと、そういう世論だと思います。私もそういう意見です。総理は個人としてはいまどう考えていますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、個人の意見を申し上げるのは、どうも総理でありますから、ちょっと不適当だろうかと思います。これは遠慮さしていただきます。
○塩出啓典君 じゃ、総理としての意見はどうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 総理としては、先ほど来、午前中申したように、まだ結論を出しておらないというのが実情でございます。
○塩出啓典君 じゃ、自民党総裁としてはどうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) いろいろ使い分けでお尋ねでございますが、どうもその分け方は適当ではないのじゃないでしょうか。さっき私が申し上げたのがただいまの心境でございますから、それで御了承いただきます。
○塩出啓典君 やはり、総理は、九年間総理をやっただけあって、なかなかごまかし方がうまいように思うので、私はひきょうだと思うのですね。じゃお伺いしますが、たとえば、明治百年の恩赦、これは政府は初め非常に消極的な姿勢を装っていましたが、結局は特別恩赦に浴した者の何と七七・二%が選挙違反者だったわけですね。だから、総理は、それは総理という立場では意見は言わないかもしれませんけれども、しかし、やはり総理のリーダーシップというのは非常に大事だと思うのですよ。総理というのは、閣僚の多数決のまとまった単なる議長か、そんな総理だったら、要らないですよ。ぼくでも総理はできるよ、そんなことだったら。そういう点で、そういうのらくらした答弁ではなしに、もっと本気で考えてくださいよ。政治資金規正法が、いま言ったように、審議会だ、何だかんだと延ばしに延ばしてきて、お金は野放し、そして、金を使ったその選挙違反の人はすぐ恩赦と、そんなことを続けておったのでは、国民は納得しませんよ。そんなことで通ると思ったら、とんでもない間違いだ。どうですか、総理。
○国務大臣(佐藤榮作君) 何と言われようと、まだ結論を出しておりませんから、これはひとつ御了承をいただきます。ただ、塩出君が非常に熱心に選挙違反を入れるべきじゃないと、かように言っておられることは、私の耳にもちゃんと聞こえておりますから、これだけははっきり申し上げておきます。
○塩出啓典君 これは私だけの意見じゃないのです、いまは無所属ではございますが、元自民党出身の参議院の議長もそういう意見を出しているのですから。自民党の——まあ自民党じゃないです、いまは。けれども、自民党出身の中にもそういう意見があるということ、これは私はやっぱり国民の世論じゃないかと思うのですよ。それをひとつ総理も謙虚に聞いていただきたいと思います。そうして、総理をやった期間の唯一の、たくさんある善政の一つかもしれませんけれども、せめて最後にきちっとしたことをやって、政治に対する国民の不信を挽回してもらいたいと思うのですよ。それはあなたの責任ですよ。やめればあとどうなってもいいというものじゃないんですから。そうでしょう。その点はどうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) じゅんじゅんとお説きになります。私も謙虚に承っておきます。
○塩出啓典君 総理がそう言われれば、われわれはそれ以上追及できませんけれども、先ほどの大石発言にしても、結局は、ここで答弁していても、心の中ではそうじゃないんですよ。佐藤さんがそうであるかないかはこれはわかりませんけれども、そういうことがそういう結果になっているのですから、そういう点をひとつ反省してもらいたいと思うのです。 それで、もう時間が十分たちましたから、次に地盤沈下の問題についてお尋ねしたいと思いますが、昨年の予算委員会で地盤沈下の対策について質問しましたときに、環境庁が発足してから一元的に取り組むと、そういうお話でございましたが、環境庁はどういう対策を立てましたか、長官。
○国務大臣(大石武一君) 御承知のように、地盤沈下の一番大きな原因は、地下水のくみ上げでございます。そういうことで、この地下水を何とか規制しなければならないということで、いままで建設省所管でありました工業用水くみ取りの法律を建設省と環境庁の共管にいたしましたし、また、建設省所管でありましたビル用水法を環境庁の所管にいたしまして、ともに各官庁が協力いたしまして総合的にその地下水の採取をできるだけ押えて、その実態を究明しながらくみ上げを押えてまいろうという方向にいま進んでいるわけでございます。しかし、それには、それ以外にもいろいろな問題がございます。たとえば、天然ガスを取るためにも地下水をくみ上げておりますし、また、上水道の用水としても埼玉とか三多摩地方におきましてはやはり地下水をたくさん取っております。そういう点から、とうていこの工業用水法やビル用水法だけの規制ではどうにもなりませんので、さらに強力な総合的な手を打たなければならぬと考えまして、そのあり方につきましては、中央公害対策審議会に地盤沈下部会を特に設けまして、そこにおきましていまいろいろとその総合的なあり方について検討してもらっているわけでございます。近く答申が出れば、それを土台にしてその行政を進めてまいりたいと考えております。また、御承知のように、今月の二十八日の閣議におきましては、三多摩地方、埼玉県、千葉県の一部もさらに地下水くみ上げの禁止区域に拡張いたしまして、できるだけの努力をいたしていく方針でございます。
○塩出啓典君 ただいま、環境庁長官から、現在の法律の不備を根本的に改めて、上水道水、天然ガスも含む立法を考えておると、そういう結論を言われたわけでございますが、総理にお聞きしたいと思うのですが、ちょっと意地の悪い質問かもしれませんが、総理は、東京、埼玉、千葉の各県で、現在、地盤沈下というのが進行しているのか、横ばいになっているのか、激化しているのか、どのように思いますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、進行していると、それは場所によりましては非常に著しいものがあると、その場所によっては必ずしもそうでもない、かように思います。
○塩出啓典君 全体的にはどうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 速度はそれぞれ違いますけれども、とにかく全体としては沈下していると、かように思っております。
○塩出啓典君 沈下しているのは間違いないのですけれども、去年よりことしというように、沈下量が増大しているというように感じていますかということなんです。
○国務大臣(大石武一君) それは、いろいろな場所によります。御承知のように、いま日本では、いままでの調査によりますと、二十九県で四十一カ所に著明な地盤沈下の地帯があります。その他にも調べてみればもっとほかにもあるかと思いますが、そういうことで、いまいろいろと努力いたしておりますが、ある部分については、沈下の速度が非常におそくなったところもございます。たとえば、船橋のような天然ガスをとるための地下水くみ上げを通産省の指導によりましてやめましたし、こういうことで、とまっておるところもございますが、まだ一部だいぶ進んでおるところもございます。
○塩出啓典君 おそらくそういう答弁じゃないかと思って、私もこういう表を持ってきたんです。これをちょっと見てください。ちょっと一分間見てもらって……。 いま総理にお見せいたしましたのは、地盤沈下がこの数年間を見ましても非常に激しくなっておる。部分的には少なくなっておりますが、たとえば、東京都の地盤沈下地域でも、年間十センチメートル以上がどんどんふえておる。埼玉県でも、十センチメートル以上沈下する面積は非常にふえておる。そういう状態を、総理も、また環境庁長官も、ひとつ認識してもらいたいと思うのです。総理は、総理を九年間やられたわけですけれども、いま東京では東京二十三区の約四分の一がいわゆる満潮位以下のゼロメートル地帯になっているといわれているわけですけれども、そういうゼロメートル地帯を総理は見たことがございますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) いまのお尋ねがよく私にわからないのですが、江東地区がゼロメートル以下だと、こういうことはしばしば言われ、その付近は出かけたこともございます。そういうことなのかどうですか。
○塩出啓典君 ゼロメートル地帯を見に行かれましたかということなんです、通ったんじゃなしに。
○国務大臣(佐藤榮作君) わざわざそのために出かけたことはございません。
○塩出啓典君 総理も九年間総理をやっておれば、日にちにすればそれは三千日ですからね。いま東京都のゼロメートル地帯には二千万の人が住んでいるんですから、そういう点を考えても、私は一度ぐらいはやはり見ていただきたいと思うんですね。 それで、これは通産大臣にお聞きしますが、工業用水ですけれども、工業用水は大体原価はどれくらいですか。地下水からくみ上げた場合の原価はどれぐらいになりますか。
○国務大臣(田中角榮君) 各地域によって違いますが、井戸を使っておったものが工業用水道に移りますと、最低、倍であります。三倍のところもございます。ですから、平均すると二倍半ということが、いまの水の使用料、大まかに申し上げると、そういうことであります。
○塩出啓典君 だから、工業用水道にすれば、コストが二倍半というのですから、工業水道は大体五、六円、八円五十銭ぐらいですね。地下水をくみ上げた場合のコストは、大体一トン当たり二、三円、高級処理をした場合でも七、八円といわれているんです。非常に安いんです。しかし、それはくみ上げるだけの原価であって、実際にそういうくみ上げのために生じた地盤沈下のために、高潮対策とか、たくさんの経費が使われているのです。そうして、千葉県等においては、地盤沈下のために、農地が非常に水浸しで使えない、あるいは民家を建てる場合にはかさ上げをしなければならない、そういうたくさんの被害が出ているわけですけれども、環境庁長官としては、そういう地盤沈下に伴う損害がどれくらいになるか、計算したことがございますか。
○国務大臣(大石武一君) 申しわけありませんが、まだ計算いたしたことはございません。
○塩出啓典君 これは、ちょっとまた総理に写真を見ていただきたいと思うのですけれどもね。 そこで、私は、これはまあ東京都において調査をしたデータでございますが、確かに地下水は非常に安いわけでございます。しかし、地下水をくみ上げた結果、さまざまなそういう損害がある。これは昭和三十一年から昭和四十三年の間に、東京都におきまして、そういう地盤沈下対策にどれだけのお金が使われたか、そういう金額を計算いたしますと、いわゆる低地対策、そういう堤防をつけたり、水門を建設したり、あるいは排水ポンプ場の整備、これはもちろん人件費は含まれておりませんが、それから工業用水道整備を含めて、実に千五百六十七億八千万のお金が使われております。一方その間、東京都におけるこの十三年間の地下水のくみ上げ料、これを計算をいたしますと、トン当たり実に五十五円になるわけですね、五十五円。これはもちろん民家の被害とかそういう人件費は含まれていないんです。だから、地下水が安いから、そういうどんどん一部の人がくみ上げて、その結果やはり地盤沈下によった損害を、地下水に関係のない国民大衆の税金で払わなければいけない。その結果トン当たり五十五円になるというようなことは、私は非常によろしくないと思うんですね。そういうような悪循環は断ち切るべきじゃないかと思うんですけれども、総理はどう考えますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) もちろんこの地盤沈下に対する対策、その最も大きいのが地下水のくみ上げ、これはまあガス、これがかつては大阪地区でそのことが言われ、大阪は一番困った状態でありました。これが地下水のくみ上げを規制してからよほど変わってきたと、かように思っております。ただいまは東京、この地帯がやはり考えなきゃならないだろう。また新潟自身がこれはガスを取るということで、ずいぶん沈下した。こういうような片一方で繁栄もしたが、同時にその結果生じた自然破壊、そのほうへまた多大の金をぶち込まなければならない。そういうことを考えると、やはり最初からもっと計画的に処置するならば、もっと安くってできたんじゃないだろうか、こういうことも考えさせられるんです。私は幾多の例を考えて、いま塩出君が御指摘になること、これは十分われわれ政治家、また政府としても考うべきではないか、かように思います。これらの点について、あるいは環境庁、それよりもあるいは建設省において、そういう対策についての考え方はどういうようにしているか、これもこの機会に、私を含めて聞かしてもらいたい、かように思いますので、たいへん時間をとりまして恐縮ですが、建設大臣からも答えさしてみたいと思っております。
○国務大臣(田中角榮君) 工業用水の所管大臣として、私からちょっとお答えをいたしますが、新潟は四十四年から四十五年、いまの地盤沈下は二・二センチでございますから、三十センチないし五十センチ、十五年前の三十三年には沈下をしておったわけでありますから、ほとんど沈下はとまった、こういうことでございます。これは五十九万キロリットルぐらいの水を、水溶性ガスのくみ上げをやっておりましたから、それが十四万キロリットルぐらいに下がったということで地盤沈下はとまっておるわけでございます。新潟市内が四十五年で六・一センチ、船橋市内が一番多くて四十五年から四十六年で二十四・一センチ、二十四センチも沈下をしておるわけであります。千葉周辺は十五・四センチ、九十九里地区が十一・九センチ、こういうことでありまして、これは大阪地区その他尼崎とか、いろんなところが、川のデルタ地帯というところはみな沈下をしておるわけでございます。その一番大きいものが、ビル用水その他のくみ上げ、地下水のくみ上げ、あとは水溶性ガスのくみ上げ、一緒に水がくみ上げられているということでございます。水溶性ガスというのは、まあ分離の方法その他もやっておりますし、また水溶性ガスそのものの採取を制限いたしておりますから、そういう意味で地盤沈下は非常に防除されておるということになります。まあビル用水その他、東京や大阪においてビル用水が採取されておるということは、近い将来ほとんど全面禁止になると思います。東京都は新しい井戸は三百五十メートル以上でなければ掘ることはできないということにして、近く実施が行なわれるか、もう実施を始めたかという状態でございます。先ほどあなたが申されたとおり、東京、大阪、名古屋という五十キロ圏に、総面積の一%の地域に三千二百万人も過度集中しておるわけでありますから、これが水をくみ上げれば地盤沈下は不可避であることは申すまでもないわけでございます。いま御指摘になった年間の工業用水二十億トンというのは、いま数字をちょっと調べておりますが、いずれにしても、水の使用量は相当ふえていくことは当然でございます。そういう意味でやはり地下水のくみ上げということは全面的禁止になり、集中的な地域に対しては工業用水道でもってまかなうということでなければならないということでございます。そういう意味で阪神地区、いま一日一千万トン使っておるわけでありますが、五十年になれば二千万トンということになります。このような倍になるような水をくみ上げられるはずはありません。そういう意味で、琵琶湖の開発に対して長いこともめておったのが、ようやく水位一・五メーター下げるということで結論が出たわけでございますので、やはり工業用水ということで考えていかなければならないということであります。最終的には、五十年、六十年を展望しますと、無制限に一つの地区に水を使う工場を集中することはできないということで、これは国会で工業再配置促進のための立法を御審議いただいておるわけでございます。 まあ地盤沈下は、そういう意味で、水をくみ上げることによって、地盤沈下の大もとであるということはわかりますが、原因探究してまいりますと、いろいろな地殻の変動だとか、表日本はせり上がっておって裏日本のほうは侵食がどんどん続いておるというようないろいろな面がございます。そういう意味で、なかなか直接の原因は究明できませんが、その大宗は地下水のくみ上げである。地下水のくみ上げをやめない限り地盤沈下は続くということになるわけでございます。
○塩出啓典君 それで、これは通産大臣にお聞きしたいんですが、結局現在の工業用水法では、いわゆる工業用水道ができるか、または一年以内に着工する見通しがない限りは規制できないようになっているんですね。それではいけないと思うんですね。やはり工業用水道ができなくても、たとえば冷却水に海水を使うとか、あるいは循環水を使うとか、この間江戸川へ参りましたら、ある企業は工場廃液の濃度、廃棄物の濃度が高いので、それを薄めるために地下水をくみ上げているところもあるわけなんですよ。こういうわけで、それは現在の工業用水法というのは、地盤沈下の目的じゃなしに、工業用水の確保が目的になっているんですからね。そういう点も私はすみやかに改正をして、いま使っている工場にすぐやめろということはあるいは無理かもしれない。しかしこれから新規の工場は禁止するとか、こういうのをやはりちゃんと法律として定めるべきである。そういう点もやはり今回の環境庁で考えている法律の中にも当然盛り込むべきである。私はそう思うんですけれども、そういう点で環境庁と、それから通産大臣、これは工業用水法は通産省の共管になっておりますからね。環境庁やろうと思っても通産省が反対したらできないんですから、両方からひとつ御答弁いただきたいと思うんです。
○国務大臣(田中角榮君) 工業用水、下水、上水道を、建設通産、厚生三省に三分割をしてから、もうすでに十余年の歳月が過ぎたわけでございます。ことしの予算では、工業用水道の事業費は一番ふえておるわけでございますが、率とすればふえたというけれども、その総額はわずか二百五十億程度であるということで、工業用水をまかなっていけるような体制でないことは御指摘のとおりでございます。まあしかし、工業用水というものが拡充していってもなかなか、先ほど申し上げましたように、地下水のくみ上げというほうが安いので、やすきについておったわけでございますが、今度はそういうわけにまいりません。ですから、工業用水道を年次計画でもって進めなければならないことはもう当然であります。 もう一つは、やはりもうすでに集中をしておるところに、新たに水を使う生産工場、産業施設というようなものは、これはやはり制限をせざるを得ません。これは平面都市が立体化しなければならないということで、東京都などは一・七階平均のものを三倍、五倍にしなければならないということは、もう必然でございます。そうすればいま使っておる水の何倍かをビルの冷却用水として、冷房用とか冷却用とか、いろんなことで使うわけですから、これはいまよりも集中を許すというような体制にはないということは御指摘のとおりでございます。海水の真水化に対しては五年間で五十億の予算を計上しまして、海水の真水化をやっております。これは工業用水に使うということで検討を進めておりますが、何か全世界でもって海水の真水化を研究しながらなかなか結論が出ない。まあしかし、近年は冷却用水等には使える水として海水の真水化は可能であるという見通しがついておるわけでございます。東京都はもうすでに三百五十メートル以上の井戸でなければ掘ってはならないということになっておるのでありまして、水がなければ生きられないのでありますから、これはやはり政府が地方公共団体と合議をしながら、必要な水を供給をするということが前提でなければならないということで施策を進めているわけであります。
○国務大臣(大石武一君) 現在におきましては通産省とその話し合いは十分にスムーズに進んでおると考えております。たとえばこの三月の二十八日の閣議できめました政令の改正におきましても、東京都あるいは千薬県、埼玉の一部の地域につきましては、これ狭い範囲ではございますが、現実には地下水を新しくくみ上げることは不可能な政令に変えてございます。また厚生省としましても現実には三多摩、埼玉県等におきましては、上水道用の地下水のくみ上げはこれは厳重に禁止してございます。そういうことでいま各省庁との話し合いも十分に進んでおりますので、画期的なやはり抜本的な方策を考えまして、それを強力に進めてまいることに努力してまいりたいと考えております。
○塩出啓典君 まだ江戸川区とか、あるいは千葉県等においては天然ガスがだいぶくみ上げられて、これが地盤沈下の原因になっているわけですけれども、そういう点は通産省としてはどういう方針でございますか。
○国務大臣(田中角榮君) 天然ガスの採取、水を伴うもの、水溶性ガスのくみ上げに対しては規制をいたしたり、ある場所は禁止をするということにいたしております。
○塩出啓典君 非常に、たとえば先般私参りました千葉県の葛南地区等においては、通産省がやはり鉱業権を与えて許可して、結局天然ガスを取っているわけですね。そのために地盤沈下ができて被害が出るために、県はしかたなしに二億六千三百万円の金を出して鉱区を買い上げて、そして県の所有にして中止をしているわけですね。県が出したと言えば、これも国民の税金なんです。そういう点で、非常に通産省の天然ガスに対する処置も、私はいつも後手後手になっていると思うんですね。そういう天然ガスも現在規制は全くないわけでございますが、その天然ガスの点も含めて、ひとつ抜本的に検討していただきたい。そのことを環境庁長官にも要望しておきます。
○国務大臣(大石武一君) 御趣旨のように努力いたします。
○塩出啓典君 それで、やはりこういう一番根本問題は、水資源の開発ということが非常に問題になってくると思うんですね。そういう点で、今後どんどん人口もふえていくわけでございますが、建設大臣としては、そういう水資源を十分開発しなかったために、その結果、目先のことにとらわれて、安い地下水、しかし実際はトン当たり五十五円、実際の被害を入れるとものすごい金額になるわけですけれどもね。そういう地下水をくみ上げていることは、国土の破壊をもたらしたことは大きな損失だと思うんですけれどもね。建設大臣はどういう方向で進みますか。
○国務大臣(西村英一君) お答えいたします。 経済社会の発展並びに国民生活の向上によって水が非常に大事になりました。私のところでいま試算をしたところによりますと、現在、生活用水、工業用水、農業用水等を、これを総計してみますと、昭和四十年に約五百億トン、年にです。年五百億トン使っておるような計算になっております。昭和六十年を試算してみますと、約この一・九倍、つまり九百六十億トン、パー・イヤーですね、年にそれぐらいの水が要ると思います。その大部分は、いまあなたがおっしゃいましたように、いろいろ地下水をくみ上げることではたいへんでございます。したがいまして、これは大部分は河川に依存しなければなりません。しかし、日本は非常に多雨でございますから、十分水はあります。ただ、偏在しておるのでございます。したがいまして、偏在でありますから、なるべく産業、人口もやはり地方に、水のあるところに分散するというような方法が必要であろうと思っております。したがいまして、そのために、私のほうでは、降った水をたくわえるために、多目的ダムを大いに進めたいと思っておるのでございます。 しかし、ダムの建設は、いま非常に困難な問題が一つ、二つございまして、第一番は地域住民に対する影響が大きいですから、これはやっぱし職業の転換とか、いろいろな難問題がございます。もう一つ、ダムがいままで進まなかったのを考えてみますと、どうしても多目的ダムでございまするから、治水関係は国家が出します。電力のほうも、これはちゃんと特定な業者がわかっていますから、負担金を出させますが、工業用水、都市用水については、事業者がなかなか特定しないんです。アロケーションがなかなかできないんです。したがいまして、今度は、私のほうでも特定多目的ダム法の改正をやりまして、この治水特別会計で借り入れ金ができて、ひとまず国が立てかえてやろう、そうしてちゃんと分配がわかったときに払っていただこう、こういう制度をとっておるわけでございまして、相当に今後ダムの建設をやらなければならぬから、この法律を今回提出いたしておりますから、何とぞよろしくお願いを申し上げます。
○塩出啓典君 いま、建設大臣から、多目的ダム法を出して、水資源の開発に努力するというお話でございますが、それと同時に、やはり水資源の開発にも限度があると思うんですね。当然、海水の淡水化あるいは下水の再生利用、二次処理、三次処理の研究、そういうものをやっていかなければならないと思うんです。その点、いま、通産大臣から、海水淡水化の五年間に五十億の予算をつけて、工業技術院で開発をしておる、そういうお話しでございますが、私も茅ケ崎にも行ってまいりましたけれども、非常に弱体で、三十人ぐらいメンバーがおるらしいんですが、専任は一人ぐらいしかいなくて、研究所の中のあらゆる設備は、みな企業から来てから企業の設備で研究しているわけですよ。まあ日本の人民の将来を制する海水淡水化であるならば、もっとやはり力を入れるべきじゃないかと、また下水道のそういう再生利用にしても、私は力の入れ過ぎということはないと思うのです。アメリカではもう塩水法という法律もつくってそれをやっているわけなのですよ。それで、私は最後に総理にお願いをしたいわけですけれども、まあ先ほど話しましたように、政治の貧困のために、地下水は安いからと言ってくみ上げられて、実際は非常な損失をもたらしているわけですから、そういう点を抜本的に改めて、同時に海水の淡水化、また下水の再生利用、そういう点にもほんとうに力を入れて取り組んでもらいたい、そのことを最後に要望したいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 塩出君の御意見に対して、先ほど、田中通産大臣、大石環境庁長官、さらにまた西村建設大臣等々からお答えをいたしましたが、政府も、方向といたしましては、御指摘のとおりの方向でございます。ただ、取り組み方についてなお不十分だと、こういうことを御指摘になるのではないかと思っておりますが、このことは、国家百年の大計と申しますか、これから先の問題といたしまして、どうしても真水を確保するという、そういうことに積極性を持たなければならないことだと、かように思いますので、そういう意味で、御趣旨の方向でさらに国自身も真剣に取り組んでまいりたいと、かように思っております。
○委員長(徳永正利君) 以上で塩出君の質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(徳永正利君) 次に、木島則夫君の質疑を行ないます。木島君。
○木島則夫君 郵政省が打ち出した庶民金融、つまり郵便貯金を担保にした個人の貸し出し、これは私は近ごろにない庶民感覚を持った構想として一般大衆にアピールをしたというふうにくんでいます。で、政府は四十七年度予算の大きな目標を景気浮揚に置いている。物価の上昇はとどまるところを知らないし、公害もあとを断たない、こういう政治的状況の中で、確かにこれは明るい話題だというふうに私は受け取っておりますけれども、この構想が出たときに非常に明るいぱっとした雰囲気が、何か最近しりつぼみになってきてはいないだろうか。郵政大臣にまず伺います。現状はどうでしょうか、どうこの構想が扱われておりますでしょうか。
○国務大臣(廣瀬正雄君) ただいまお尋ねの、郵政省で考えております庶民金融、正確に申しますと、郵便貯金の預金者に対しまして生活上の不時の入費に対しまして貸し出しをやろうと、御本人が郵便貯金を引き出すということになりますと、御承知のように、郵便貯金は預託の期間が長ければ長いほど有利になっておりますわけでございますから、したがって引き出すことは不利だと、そういう意味におきましては、郵便貯金の引き出しを防止すると申しますか、あるいは一時貸し出しをやる、貸し付けをやる、立てかえをやるというような制度であろうかと思っておりますわけでございまして、これはぜひ実行いたしたいと、実施いたしたいというようにいま熱意を持って考えておりますわけでございますが、ところが、できますことならば今度の通常国会に政府提案でそのような法律案をつくって出したいというように考えておりますけれども、いろいろ政府間におきましても検討の段階でございますが、関係の向きで御異論もあるようでございまして、これはまだ私どもの努力が足らないかと思って恥ずかしく思っているわけでございますけれども、とにかく最後まで——タイムリミットまで最善を尽くしまして、そういう関係の向きの御理解をいただきましてぜひいたしたいと、決して意気込みは後退していないわけでございまして、ぜひいたしたいという気持ちだけは十分持っているわけでございます。
○木島則夫君 もう一度郵政大臣に伺います。だれがいじめるんですか。
○国務大臣(廣瀬正雄君) いじめるということばは当たらないと思いますけれども、私どもの努力が足らないかと思っておりますわけでございますが、関係のありますのは第一に大蔵省でございまして、これはもう御承知のように、郵便貯金は財投の大宗をなすと申しますか、三割八分の非常に大きな部分を背負っているわけでございまして、そういうことをお考えになられたり、あるいは、大蔵省には銀行局というのがありまして、銀行のこともお考えになっていらっしゃるようでございますが、しかしこれは、私どもの考えは、銀行が在来やるべくしてやれなかった、庶民大衆と申しますか、ブランクであったところを私どもの手で埋めたいという考えでございますから、これは突き詰めて申しますと、銀行とは競合しないというように考えておるわけでございますけれども、それといま一つは農林省でございまして、これはまあ農協関係がありまして、農協は、御承知のように、信用業務をやっていらっしゃるわけでございます。ところが、これも農民自体は、私は、農協からも借りられる、郵便局からも借りられるということでお考えいただきますれば、御理解を賜わるのじゃないかというように考えておりますわけでございますが、金融金融と、まあ庶民金融なんて大きく打ち出しましたものですから、非常に、何と申しますか、オーバーにお考えのようでございまして、真実は、郵便貯金の立てかえと申しますか、貯金の引き出し防止というようなところにねらいがありますわけでございます。
○木島則夫君 オーバーに打ち出したとおっしゃったけれど、正当に打ち出したとおっしゃっていただきたいですね、ほんとうに。ことばじりを私はとらえたくはございません。いまお二人の所管大臣の名前があがりましたけれど、その前に私は総理にお伺いをしたいのです。 景気を喚起して、しかも効率が高いじゃありませんか、この構想が実現された場合に。総理、どうですか、この構想というのは、やはり郵政大臣を督励してもやらなければいけないというおつもりでもちろんいらっしゃるでしょうね。
○国務大臣(佐藤榮作君) この景気を浮揚する、そういう場合に、金融ということがすぐ言われます。金融は景気の浮揚ばかりではございません。私は、たいへんな経済機能としての金融の持っている、これは大きくまた高く評価すべきだと、かように思います。そうして、とかくその金融が大企業、大事業については十分考えられるけれども、いわゆる庶民金融というものについては不足しておるのじゃないかと、こういう非難あるいは批判がある、かように思っております。私はやはり、金融という限りにおいては、それが庶民金融であろうが、大企業金融であろうが、まんべんなく行なわれるべきだし、ことに弱者に対してはこれは大いにカをかす、こういう金融措置であってしかるべきだと、かように私は思います。 〔委員長退席、理事玉置和郎君着席〕 ところで、ただいま問題になっている郵便局の金融、貸し出し、こういう問題になりますと、いままでも庶民金融専門のものがございますから、これが農協であったり、あるいは労働金庫であったり、その他ずいぶん縄ばりや、自分たちでそれは担当するとか、こういうような場合があると思っております。だから、そういうところに、いわゆる競争意識もさることだが、やっぱり国民がしあわせになると、こういう観点に立って、そして庶民金融にも事欠かさないんだと一こういう観点に立てば、必ずそのうち話がついて、ものごとが円満にいくのではないだろうか、調和が大事だと、かように私は考えておる次第でございます。
○木島則夫君 何か、いまちょっと私も耳をそばだてて伺ったんですけれども、なかなか理解しにくいことをおっしゃる、まあえんきょくにおっしゃったんでしょう。 政治というものは、いいものが出てくれば、それをすなおに受けとめて形にしていくと、それが佐藤さんのおっしゃる私は前向きの姿勢だというふうに伺っているんです。そういう意味からすると、もう一度伺ます。この郵政省の構想である庶民金融というのは、いいもんですね、ただこれだけでけっこうです、イエスかノーかだけをおっしゃっていただきたい。賛成か反対です。
○国務大臣(佐藤榮作君) 悪いものだとは思っておりません。
○木島則夫君 それじゃ、もう一度伺います。 賛成か、反対か、どちらですか、こう私がお尋ねしたら、総理はどういうふうにお答えになりますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、先ほど申したように、庶民金融の調和をやはりそこなわないように進めるべきだと、かように思っておりますから、そこにはやはりもう少し慎重さが必要なように思っております。
○木島則夫君 くどくおとりになっちゃ困るんですけれども、もう一度伺います。賛成か反対ですかと私が申し上げたら、どういうふうに……。
○国務大臣(佐藤榮作君) 条件が整えば賛成です。
○木島則夫君 大蔵大臣にお伺いいたします。 何か、聞くところによりますと、水田さんに似合わず消極的だということです。いかがですか、ぐあいが悪いんでしょうか、この構想を実現すると。
○国務大臣(水田三喜男君) 何かさっき私がいじめているような話、いじめているわけじゃございません。で、本来なら民間の金融機関が、庶民金融といいますか、むしろ消費者金融という面でもう少し一歩踏み出しておったらよかったのではないかと思うのですが、そういう点がおくれておるときに、郵便局からこういう問題が提起されたということは、私は非常にけっこうなことだと思っています。したがって、この問題が起こってきましてから、私は郵政大臣とも相談して、いまとにかく予算がこういうときで、なかなか落ち着いて相談のできないときだから、予算の切りがついたときにこの問題ゆっくり相談しましょうというようなことで、まだ反対とか賛成というようなことを結論を出しているわけではございません。が、ただここで申し上げておきたいと存じますことは、郵便貯金制度のこの基本的性格をこれは変えるという問題でございますので、それに伴った影響というものが非常に大きいと、ですから、かりにこの方向のことを実施しようとしましたら、これはもう総合的に広範ないろいろな問題の検討を経なければ、この制度上のアンバランスの問題があり、円満にこれを実施するということはできないという問題がたくさんあると思います。 で、もう御承知と思いますが、本来、民間の金融機関の補完として国民に安易な貯蓄手段を提供するという性格のものでございまして、信用を受けるということと、一方信用を与えるという二つの業務はしないと、受けるほうをすると、いわば国民の金庫というような方面にこの役割りを期待するという性格の制度であって、その線に沿って今日まで運営されてきたのが郵便貯金制度でございます。ですから、もし預金者が金が必要であったというときにはいつでもこの郵便貯金は引き出せばいいと、引き出しをするときの便宜を与える特別なこれは優遇措置を与えております。たとえば、一般銀行で定期で途中で引き出したら、定期の恩典は全部ない。けれども、郵便貯金は、そういう性格でございますから、途中で引き出しても、一般の民間の金融機関の利子とは違った特別の有利な恩恵を与えておる、また税制においても与えておるというような、一般金融機関に与えないものを特別に与えておるという事情でございますので、それをそのままおいて、信用を与える、信用を受ける、二つの機能をやるということになると、いままでせっかく定着してここまで発展してきた他の機関とのバランスをここでくずしてしまうという問題が出てくると思います。さらにまた、いま国としましては、一方は貯金を受ける機関ということを前提として、今度は貸すほうで、受けない政府機関というものもつくっておる。が同時に、受けるほうの機関があるために、今度は財投のいろいろな原資として一元運営もしておる。最近は、福祉政策の問題から、むしろ重要になってきた財投資金を、国会において何らかの形でこれをやはり財政資金の配分という性格をつけて、国会が何かの形でこれを承認するといったような方向の運営をすべきだという一つの方向が出てきているときに、途中でこういうものの一元運営を妨げるというようなことが、国の財政資金の全体の運営のしかたから見て大きい変革を与えることでございますから、そういう全体のひとつバランスをとった全体の検討からこの問題の切りをつけなければ解決しないだろう、そう簡単に一片の法令でちょこっとこれを変えられる問題ではないというふうに私ども考えていますので、これは、与党においても、私ども政府においても、もう少しじっくりこの問題は、趣旨はけっこうでございますが、じっくりやらないとこれはたいへんな問題であるということで、問題が多過ぎるために、私どもはこれからこの検討を十分にしたいということでございまして、いま反対しているとか、いじめているというような問題では絶対ございませんので、これはやはり慎重に、政府ももちろん、将来国会の皆さまにも十分これは御検討していただきたいものであると考えております。
○木島則夫君 私がここで反論をするよりも、郵政大臣に伺ったほうがいいと思います。
○国務大臣(廣瀬正雄君) 私はここで大蔵大臣と論争しようとは思っておりません。どうせ近いうちにじっくり話し合いをいたしたいと思っておりますが、ただ、いま大蔵大臣が言われました、郵便貯金は預金だけの制度のものである、それに貸し出しを始めるのはどうか、制度の変革であるというおことばがございましたが、これは私は、この制度というのは、神さまがつくったものじゃないので、庶民大衆の福祉に合致することでございますれば、新しく従来のやり方を変えまして貸し出しという制度を始めても、これはちっとも悪いことじゃないというように考えております。 それから、郵便貯金の預入者に対しまして貸し出しをやるというわけでございますが、その大宗は何と申しましても御承知の定額貯金でございます。これは、いま大蔵大臣は、途中で引き出しましても利率は変わらないというような御説明がございましたが、これは非常に間違いでございまして、定額貯金は長く預ければ預けるほど有利でございまして、十年以上も預けますと八分以上に利回りができるわけです。ただ、途中で引き出しますと、そうしたメリットが中断するということになりますわけであります。これは何かの大蔵大臣の誤解ではないかと、かように考えております。 それから、税制の面においても郵便貯金は優遇しているとおっしゃっておりますけれども、これは、郵便貯金の限度は百五十万円まででございまして、これは税金がかからないごとになっておりますけれども、この点では、銀行預金も百五十万円までは無税でございます。ですから、税金関係では全然差等はないわけでございまして、こういう点はじっくり大蔵大臣と御相談してみたいと、こういうふうに考えております。
○木島則夫君 いま郵政大臣おっしゃいました、人間がつくったものなのであるから、人間の動向によっては変えていくのが制度というものだろうと、私は大賛成です。とにかく、条件が整えば賛成だという総理の先ほどのお話、その条件を大蔵大臣なり農林大臣なり、十分におつくりをいただきたいと思いますが、やはり農林大臣にも一言伺っておきたいと思います。この制度は何か御都合が悪いでしょうか。
○国務大臣(赤城宗徳君) 私は、この金を使うほうから言ったらいい制度だと思います。ただ、私どもの農協の関係から見ますと、現在農協は信用事業で持っているようなかっこうなんです。そこで、信用事業で持っていることは、郵便局のほうしとの競争的なことになるわけでございまして、でございますので、私はいま総理の言われましたように、条件といいますか、まあ私のほうじゃいじめているどころじゃなくて、農協のほうでは官業のほうからいじめられるのじゃないかと、こういう心配をしているところです。ですからお互いにいじめるとかいじめないとかでなく、この総理の、調和がとれてやれば、非常に私は両方とも両立し、いい制度だと思うのです。そういう意味で、私も両方よく相談して、これは実行に移すべきだと、こういうように思っています。
○木島則夫君 総理、私は、大衆の政治感覚というものは非常にするどいもんだろうと思います。 〔理事玉置和郎君退席、委員長着席〕 つまり、いいものはいいんだ、大衆の求めているものを政治が敏感にこれを受けとめて、形にしていくこと、さっきもちょっと申しましたけれど、それが私はほんとうの政治だろうと思います。当然、その党内のお立場もあると思いますけれど、これを前進した形の中で調和をとっていくのが私は総理の指導力であるというふうに思います。ですから、骨抜きになったり、ぐらぐらになりつつある重要法案が多い中で、せめて庶民に受け入れられる、こういう構想というものが実現をされるように、そういう方向でひとつ前向きに御検討をいただきたいということ、これは総理と、もう一度郵政大臣に決意のほどを伺いたいと思います。
○国務大臣(廣瀬正雄君) 先刻申しましたように、今度の通常国会に政府提案として出せるように、関係の向きと十分協議をいたしまして、最後まで私はがんばってみたいと、かように考えております。
○国務大臣(佐藤榮作君) いま郵政大臣がお答えをいたしましたが、とにかく、われわれは絶えず庶民金融が適正であるかどうか、このことは念頭を離れないで、よく考えるべきだと、かように思っております。先ほど農協もその一部を担当している、こういうことを申しました。また、一部労働金庫もそういうことを担当している。それぞれ過去におきまして庶民金融をやっていると、こういうものもございます。したがって、いまの郵便局において郵便貯金を使うにしても、一体どのくらいの資金で、どのくらいのものがこれに回せるか、こういうことも考えないと、せっかく道は開いてみたが、その制度をほとんど利用ができないと、こういうことになっても、これもまずいんだと、かように思いますから、始まった以上は、それを途中でやめるわけにまいりません。そういう意味からも、もう少し、ただ考え方、方向はたいへんけっこうですが、その実情もよく考えて、しかる上で結論を出すべきだと、かように思っております。
○木島則夫君 私は、あとは、こういういい構想というものは実行が早い、それが何より大事だという意味で、おいしいごちそうだけ、国民の前にメニューだけを出されて、実はこのメニューはできませんでしたというんでは、これはいけないと、もちろん総理もお思いでしょう。いままでそういうことがあり過ぎた。それはなるほどいいには違いないと、しかし、いろんな関係から、いろんな言い分もあるし、ということで、党内が最大公約数的にそれを扱ってしまうと、結局やらなかったと、骨抜きになってしまったということ、それが私は政治に対する無関心、政治に対するほんとうの不信を植えつけてきたんだろうという意味で、やはり、総理、いかがですか。そのバッターボックスに立ったらヒットを一本打ってくださいよ。フォアボールばっかり待っていないで、大いにひとつヒットを打っていただきたい。それがやはり国民と政治を直結をさせることになると思います。そういう意味で、もう御答弁はけっこうでございます。要は、実行をしていただきたいということです。しかも、前向きの形でということをつけ加えさしていただきたいと思います。 さて、いよいよ五月の十五日に沖繩が返ってまいります。まあ、返り方についてはいろいろいま問題があり、大きな疑点もございます。これは国会において明らかにされていくだろうと思いますけれど、とにかく、五月の十五日の返還がきまったわけでございます。 で、総理は、沖繩が返ってこなければ戦後は終わらないんだという、このことばをお使いになりますけれど、これは私は、北方領土の問題についても、北方領土の問題が片づかなければ、やはり私は戦後が終わらないんだというふうに、ふえんをしてよろしいと思います。で、いま中国問題に傾斜をしているわけでありますけれど、やはり北方問題というものも国民的な議題であり、問題だと思います。で、先般のグロムイコ外相の訪日によりまして、日ソ平和条約を締結させるという方向で秋から交渉が持たれようとしていると私ども理解をしておりますけれど、実際の感触はどうだったんでございましょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 北方領土問題の解決は、これはまさに木島さん御指摘のように、国家的、国民的課題であると、こういうふうに考えております。この問題は歴代の政府がソビエト政府に対しまして申し入れておる。その申し入れのたびごとに、北方領土問題はもう決着のついたことであると、こういうような応答であったわけであります。それからグロムイコ外務大臣は、六年前にモスクワにおいてわが三木外務大臣との間に第一回定期協議を持ちました。そのときに、毎年定期協議をやりましょうと、第二回目は東京でやりましょうと、こういうことになっておったんです。ところが、第二回目の東京の会談になかなか応じない。実に六年間来ないのです。それが、昨年の暮れになりまして、まあやっとみこしを上げまして、東京に参りましょうということになり、それで、ことしの一月に第二回の定期会談を東京で行なった、こういう次第です。この会談は非常に従来と違いまして友好的な雰囲気で行なわれたと、外務省の方に聞いてみますると、こんな日ソ会談というのはいまだかつてないと、こういうようなことです。そういう雰囲気のもとで、あるいは経済の問題、つまり貿易の増大の問題や、また、シベリヤの開発の問題、それから漁業の問題、技術の問題、さらに文化の交流の問題、幅広い議論が行なわれ、その結果、とにかくこの日ソ間の首脳の交換訪問をやろうじゃないかということまで取りきめ、また、定期協議もいままでのような状態でなくて毎年一回以上必ず行なうようにいたしましょうと、で、最後に、懸案の日ソ平和条約交渉を年内にいたしましょうと、こういうことに合意されたのです。 平和条約交渉というものは何であるか、こう言いますると、一口で言いますると、これは領土確定の問題であります。その平和交渉の場を持つということは、これは領土確定交渉の場を持つということなんです。そういうことを考えますると、この領土問題につきましては、従来のソビエトロシアの態度からしますると微妙な変化が出てきた、そういうふうに思います。しかし、これはなかなかソビエトロシアの従来の態度から見ましてそう簡単な問題じゃない。しかし、まあ幸いに微妙な変化が出てきた、また、年内に第一回の交渉を持ちましょうと、こういうことになりましたので、これをよりどころといたしまして、北方領土を年内に、懸案の解決にひとつ邁進をしていきたいという決意でございます。
○木島則夫君 まあ、微妙な変化がいま見えるというおことばです。つまり、これはこう解釈してよろしいと思います。米中接近がもたらした日本に対するソビエトの感触の変化が十分に見えているんだと、こういうふうに受け取らしていただいていいと思うんですけれど、平和条約を結ぶ交渉の過程で、それでは領土問題を欠かさない議題となさるか。これは確認の意味になるかもしれませんけれど、もう一度お願いいたします。
○国務大臣(福田赳夫君) 平和条約交渉でございますから、あらゆる面の話し合いが出るわけです。しかし、その主題は何といっても領土確定交渉です。この領土問題の討議なくして平和条約交渉はないと、かようにお考えになって差しつかえないと、かように考えております。
○木島則夫君 その場合、全千島か、あるいは南千島あたりで妥協をされるのか、この辺たいへんむずかしい問題だろうと思いますけれど、一応この際、国民に相談をされるというお立場で伺っておきたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 私どもは、いわゆる千島と称する地域ですね、これは南樺太とともに平和条約において放棄をいたしておるのです。われわれが北方領土と称しますのは、国後、択捉、歯舞群島、色丹、これらの島々でございます。
○木島則夫君 地図の上ではたいへん小さい、点としか見えない島々でありますけれど、日本の自主外交が占われることになる。これはたいへん重大な問題だと思います。 重大な問題だといえば、尖閣列島の問題も、日本の自主性をいま問われている重要な外交の問題だと思います。尖閣列島というのは、もう歴史的に見ても、地理的に見ても、これは当然日本の領土であるということなんですけれども、総理いかがでしょうか。日本人でありながら、この尖閣列島が日本の領土でないというようなことを言っている人もいます。私もたいへんこれは遺憾なことだと思うのですが、総理も同様にこれはたいへん遺憾なことであるというふうにお思いでしょうね、もちろん。
○国務大臣(佐藤榮作君) 尖閣列島は日本のものでないと言う日本人がいたら、まことにそれは遺憾でございます。
○木島則夫君 外務大臣にお伺いいたします。 尖閣列島がアメリカの施政権下に置かれている問に、有効かつ適確な管理が行なわれていたとは思えません。このことについて、アメリカの無責任に対し抗議をなさるべきだと私は思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 尖閣列島には、米軍は二つの演習用の施設を持っているわけでありまして、したがいまして、いま木島さんが有効な管理が行なわれておらなかったと、こうおっしゃられる意味がどういうことなのかよく理解できませんが……。
○木島則夫君 台湾の漁民などが魚を取りにきているというようなこと、そのほかですね。
○国務大臣(福田赳夫君) いまお話を伺いますと、米軍は、台湾の漁民などがあの近辺で漁労をするというのを放置しておった、こういうふうなお話でございますが、私は、その実際の事情をいま調べておりませんけれども、とにかく、アメリカは平和条約によってわが国が放棄いたしました台湾、澎湖島以外の南西の島々、これに対して施政権を行使してきたわけなんです。そうして、その地域につきましては緯度、経度まで示しまして、これをわが日本と施政権返還の協定まで結んでおる。その緯度、経度の中に尖閣列島はちゃんと入っておるんです。しかも、五月十五日になりますると、この南西諸島はわが国に返ってくる。その返ってくる島々にまた依然として基地を持ちたい、こういうので、われわれは基地提供の約束をいたしておるわけでありますが、その尖閣列島、そこに二つの演習用の施設を持っておるんです。それも返還協定の付属のA表という中にれっきとして書いてある、こういう状況でありまするから、アメリカが尖閣列島が日本の領域であるという認識ですね、これにつきましては私どもといたしましては一点も疑いを持っておらぬ、こういうことでございます。
○国務大臣(山中貞則君) 外務大臣、沖繩のことを詳しくは御存じないようでありますから、アメリカの施政権が及んで確かに管理されている証拠を申し上げますと、中華民国の船が難破いたしまして、尖閣列島で、その難破船の処理をしなければならないというときに、中華民国は正式に米側の入域査証をとって許可を得てから入って作業をいたした事例があります。さらにまた、最近になって青天白日旗を立て、そしてまた、岩礁に蒋総統万歳というようなことを書いたというときにも、米側の許可を得て、琉球の警察がその青天白日旗を撤去し並びにその落書きを消したというようなこともアメリカが許可いたしておりますので、これは適法に、しかも、緯度、経度に示された範囲内の列島として米側は管理しているものと私は思います。
○木島則夫君 とにかく、現施政権者としてのアメリカに尖閣列島は一点の疑点もなく日本の領土であるということを言明さすべきではないでしょうか。どうも最近のアメリカの態度があいまいだという、そういう点からも私はこの問題を取り上げたわけです。いかがでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま申し上げましたような状況でありますので、アメリカといたしましては腹の底では日本の領域である、こういうふうに確信をしておると思うのです。ところが実際になりますと、ことばが多少あいまいである。それはなぜか、こういうことを想像してみますると、国民政府のほうからのプレッシァー、これが出てきておる。最近になりますと、中華人民共和国のほうからも何かもの言いがついてきておる。ところが、この両国とも一昨年までは何のもの言いもつけておらぬ。平和条約においてあの島がアメリカの施政権地域になった、これについても何も言わなかったのです。ところが一昨年ごろになりますると、あの付近で石油が出るといううわさが出てきた、そういうようなことから、まあ一昨年の暮れあるいは昨年ごろになってからぽつぽつあの尖閣列島はわが国の領域であるというようなことを言い出してきておるのです。そういうようなことを背景に、アメリカがまあとにかく具体的には国民政府から私はプレッシァーを受けておる、こういうふうに見ておるのですが、私は、このアメリカのあいまいな態度、腹ではそういうふうに思っておりながらもはっきりものを言わぬ、そういうあいまいな態度に対しましてははなはだこれを不満としております。
○木島則夫君 とにかく、日本の自主性を問われる問題ですので、慎重にひとつ前向きの形でこれを処理していただきたいと思います。 最後に、私は結びを申し上げます。総理は九年前に全くの健康体で総理の座におつきになったと思います。しかし、内外の重要な問題が山積をして、これが解決されないままいまに持ち越されていることや、しかも、党内の非常に複雑多岐にわたる事情、こういったものが積み重なって本来の健康というものは完全にそこなわれていると私は見たい、そうして、余病が頻発しているじゃありませんか。余病と言えば、私はおわかりになると思うのです。四次防の先取り、台湾の帰属をめぐる政府の見解の不統一、そうして、沖繩への物資の移送、立川への抜き打ち移駐、これに伴って大臣が次々におやめになった。大臣をやめさせたということで、切開、いわゆる切開手術が済んだと思ったらさにあらず、きょうも突然ハプニングが起こりました。総理、この病気は私はもう自民党の中のどんな側近でも、どんな名医でも、あなたの病気をなおすことはできないと思います。総理の病気をなおす医者は、私はこう考える——御自身であるとおっしゃいます。それは国民の声をほんとうにお聞きになっての御自身だというならば私はいいと思う。私は国民だと思います。まあどうかひとつ総理がよくお使いになります謙虚にということばを、国民の声をすなおに受けとめるという点にしぼっていただきたいと思います。で、国民に手術をしてもらう以外には、私はここまできた重症はもうなおらないということを最後に申し上げたい。そして、私は、総理の決意——決意というより、決意というと、何かこれから先、しばらくずっと続いていくというニュアンスにとられるといけませんので、締めくくりのおことばを伺いたいのです。
○国務大臣(佐藤榮作君) 木島君のお話を、すなおに承っておきます。
○木島則夫君 私の質問これで終わります。
○委員長(徳永正利君) 以上で木島君の質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(徳永正利君) 次に、岩間正男君の質疑を行ないます。岩間君。
○岩間正男君 第六十八国会は、国会史上全く前例のない事件の連続だと思います。七年余の長期不倒記録を誇っている佐藤政権の陰に、先ほどの失言問題でも明らかなように、連日いまわしい記録がつくられています。予算審議が衆議院で二カ月を費やしても、まだ参議院に送付されない。いまこうした不規則な暫定予算を審議せねばならない、それもその一つだと思います。これは単に、済まないでは、済まない問題だと思うのです。この点について、佐藤総理のまず責任をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) いままで各党に対しましても、今回の出来事について、私はまことに残念に思っているということを申し上げます。そういう意味で岩間君もお聞き取りだと、かように思いますので、これは重ねては申し上げません。私は今回の処置は、これは異例なことであり、まことに残念に思っております。
○岩間正男君 私は、今度の審議の準備をするに先立って、一月二十九日に行なわれた総理の施政方針演説をあらためて読み直してみました。そうしていまさらながら、その欺瞞的なこの性格を痛感した。総理は、あのときの演説が、そのとおり、今日そのまま行なわれているというふうに、これはお考えになりますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、別にただいまの状態でも、あの施政方針演説をしたときと変わっておりません。
○岩間正男君 それではお聞きします。 まず第一に、いま国会で最大の問題になっている防衛問題についてですが、総理の施政方針の中では、たった二行触れているにすぎません。国の基本路線に対する態度がこんなことでいいとは考えられない。このように、国民の目を欺こうとする秘密主義が、今日の危機をもたらした原因ではないですか。事実は、四次防予算の先取り、立川への自衛隊の抜き打ち移駐、沖繩への装備移送問題等々、いまさらながらニクソン戦略に符節を合わせた日米共同作戦体制が、国民の目をかすめて着々と推し進められ、それとともに軍国主義復活が行なわれている事実が、いまや明らかになったではないですか。この点をどうお考えになりますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) いま、四次防の先取りということをお触れになりました。また、お話しを聞いていると、軍国主義化というようなことばも使われました。そのいずれもが、事実に反しております。 私ども、まだ四次防、その全貌を明らにしておりません。ただいまそういうものを検討中でございます。したがって、四次防先取りというような問題はないのであります。ただ、この問題をめぐって衆議院段階で紛糾いたしましたから、衆議院議長のあっせんを私ども了承いたしまして、そうして予算を政府の責任において修正した、そういう事実はございます。しかし、そのことはただいま言われることとは違っております。 さらにまた、軍国主義化云々がございます。私は、よもや日本国内に、いまやっていることが日本の軍国主義化の道を歩んでいると、こう言う人はないだろうと、かように実は確信をしておったのでございますが、しかし、共産党からさような御指摘がございます。 この点では私と岩間君の考え方との間に非常な相違のあること、それを認めざるを得ない。まことに残念に思っております。このことを申し上げまして、日本の軍国主義化、これは平和憲法のもとにおいて二度とあるべき筋のものでないんだと、このことをはっきり確認していただきたいと思います。
○岩間正男君 ことばの問題ではないです。事実の問題について言っているのです。しかし、時間の関係で、これはもっともっと詳しく論議するときがありますから、それに譲る。 次に、総理は、施政方針演説で、沖繩返還についてこう言っています。民族的宿願の達成、あるいは史上大きな意義を持つとか、自画自賛していますけれども、その実体はどうですか。これほど屈辱に満ちたものはないではありませんか。これはこのたび明らかにされた秘密電報が何よりもその一端を物語っていると思うのですが、どうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 岩間君、ただいま秘密電報云々を言われましたが、私も、社会党の方とも、いろいろこの問題について意見を交換をいたしまして、政府の見るところは、さような考え方でないこと、中間においていろんなやりとりのあったこと、これを否定はいたしません。しかしながら私ども、最終的には、いわゆる秘密な申し合わせとか、さようなもののないこと、これははっきり胸を張って国民に申し上げ得ると、かように私確信しておりますので、その点は誤解は解いていただきたい。
○岩間正男君 とにかくこの電報は、非常に国民は疑問を持っておる。決定は違うと言うなら、決定に至るまでの経過について、国民に具体的に明らかにするということが、いま当然これは国会論議で必要だと思います。この点いかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 交渉でありまするから、その間にいろいろいきさつがあります。それから交渉ですから相手がある。相手の立場も考えなきゃならぬ。そういうようなことで、交渉の経過につきましては、公表できることもあり、公表できないこともある、さように御了承願います。
○岩間正男君 公表できる分だけでもこれはしなくちゃならないでしょう。しかも疑惑を持たれているんですから、アメリカの立場だけ考えておったのじゃ話にならぬ。国民のこのような疑惑にはっきりこたえるのが今日の政治責任だというふうに思います。 そこで私は、次の問題、その中でも、この久保・カーチスの問題について、これは時間の関係から、これだけ取り上げたいと思うのですが、この前の沖繩の国会で、私は日米共同声明第六項の中に、沖繩の自衛隊配備のことが、アメリカの基地提供とともに明記されています。ところが、基地提供は、沖繩協定の中にはっきりうたわれているわけですが、自衛隊配備のこの問題は、別個の久保・カーチス取りきめということで扱われている。ところが、アメリカはこれを政府間協定としたかった。これは今度の電文によって非常に明らかなことであります。たとえばこの中で、この取りきめについて、両政府間の確認を必要とする旨を述べ、これはマイヤー大使がそう述べたという。さらにマイヤー大使は、本国の訓令は正式の合意を取りつけるべしと、こういうことを要求してきた。さらにまた、マイヤー大使とスナイダー公使は、議会に対し、防衛問題がきちんと処理されていることを証明し得ないのでは困る、こういう点から政府間協定をこれは求めてきたことは歴然としていると思うのです。ところが実際はそうならなかった。なぜそうならなかったのか、この点を明らかにしてほしいと思うのです。
○国務大臣(江崎真澄君) これは、もともとアメリカ軍隊がいるところに、われわれ自衛隊が入っていく、施政権返還に伴ってまあ当然なことをやるわけですが、軍隊のいるところへ異質の自衛隊が入っていく、それをスムーズに事を運ぶために技術的に取りきめたものです。これは午前中、上田議員の御質問にも答えたわけでありまするが、そういう経過においては電報のやりとりがあったかもしれませんが、結論においては取りきめをした、これはアグリーメントしなかった、アレンジメントでいった。これはやはり従来御説明申し上げておることが、日本政府側の主張として向こうにも受け入れられたものと、こういうふうに御理解いただいてけっこうだと思います。
○岩間正男君 この問題は、単なる事務的、技術的なそういう問題じゃない。アメリカの戦略構想の中に組み入れる。それが基盤が動いてはたいへんだからというので、アメリカでは非常に重大視した。事実、これは国会にこの久保・カーチス取りきめは提出されているでしょう。日本の国会では渋々やむを得ずあとでこれは出してきたと、こういうかっこうになっています。実際は国会対策で、実際このような問題は、このような公然としたものにしたら、国会の論議はたいへんなことになる。こういう対策上こういうことがされたのじゃなかったんですか。こういう点がさっぱり明確になっておりません。
○国務大臣(江崎真澄君) そういうことではございません。沖繩国会では御審議に供してありまするし、しかもまた、佐藤首相は国防会議の議長として、近く沖繩に配備すべき自衛隊の人員等については国防会議にかける、こういうことを言っておられるわけでありまするから、久保・カーチス取りきめと、そのかけられ、決定されるものは変わることもあり得る。変わることがあったらどうなるのかという御質問もあったわけです。そういう場合は、国防会議に従います、こう御答弁しておるように、絶対不変のものではないわけです。まあそれが取りきめであるゆえんだと思います。どうぞ御心配なく。
○岩間正男君 久保・カーチス取りきめというのは、これは四次防の先取りになりはしませんか、この点いかがです。
○国務大臣(江崎真澄君) 四次防というものはまだないわけでございます。したがって、先般まあ四次防大綱で沖繩への配備は別としてと、こういっておりますが、この沖繩配備ということは、施政権がにわかに戻ってくる、こういう異例中の異例でありまするので、施政権が戻れば、自衛隊によって局地防衛に任ずる、これはもう当然なことであります。で、四次防というのはこれからつくるわけでありまして、四次防の先取りというていのものではございません。
○岩間正男君 そういうことを言っていますが、二月七日の国防会議で四次防大綱というものをきめたと思う。その中に 沖繩への自衛隊の配備、これは明記されている。そうして沖繩への装備輸送の問題が大きく問題になったとき、ちゃんと四次防大綱の中にこう書いておりますからということを、あなたは、これを根拠に、口実にして、盛んに宣伝して、あの事態を説明したじゃないですか。これはどういうことですか、ごまかしたってだめですよ。
○国務大臣(江崎真澄君) 別に宣伝したわけじゃありません。要するに、この四次防大綱の中に、沖繩に自衛隊を配備するということをここで確認しておりますと、したがって準備行動に出ることは当然ですと、準備行動は二項七号によってカバーされていますと、こういうことを申し上げたので、別にそれ以上のことを申し上げたわけではありません。
○岩間正男君 時間がないのは、はなはだ遺憾ですけれども、私はこういう点から、次に移りますが、まあ事実の上から見ても、沖繩への自衛隊配備は久保・カーチス取りきめによって準備され、着々推進されているではないですか。こういうことが、これは許されていいかどうか。久保・カーチス取りきめは当然私はこういう点からいえば、廃棄すべきものだと思いますが、これは佐藤総理にお伺いいたします。いかがですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 久保・カーチス取りきめ、これはとにかく、一応準備をやっておるのでございまして、いわゆる取りきめ——これは条約ではございませんから、そういうように考えるべき筋のものではない。だから、私ども必要なアレンジメントは、これはどうしてもやらなきやならないと、ただいまは米軍がいるんですから、そこへもってきて異質の自衛隊が出かけるんですから、問題を起こさないようにするのは、これは当然であります。
○岩間正男君 これは、そういう言いわけで通る問題じゃないと思います。しかし、時間の関係で次に進みます。 次に、私はあなたの施政方針演説の中の内政問題、これに触れたいんですが、時間があまりありません。 公共料金の問題、物価安定の問題、実際はまあ政府の指導で公共料金が上がっている。国鉄運賃値上げが非常に大きな問題になっている。しかし、いっこうに国民の足とサービスというものは確保されないどころか、今度の総武線の大惨事のようなものを起こしておる。さらに医療や公害の問題では、これは審議会の答申が無視されたり、それから公害法の骨抜きなり、これは全く国民の生活優先どころか、国民の命と暮らしを絶えず脅かし続けているのが現在のやり方じゃないかと思う。このようなやり方は、全く施政方針演説というものが行なわれていないことをはっきり示していると思いますが、この点、いかがでしょう。
○国務大臣(佐藤榮作君) 公共料金の値上げをきめたから施政方針演説に違反していると、こういう御指摘でございますが、私ども、公共料金をやすやすと引き上げているわけじゃありません。これは極力、抑制の方向で、公共料金の取り扱いについては、厳密な検討を下したはずであります。それらの詳細について、一般物価の動向等をあわせて、あるいは必要ならば木村企画庁長官からお聞き取りをいただきたいと思います。
○岩間正男君 とにかく、最近の施策を見れば、これは国民の不信というものはいまやきわまっていると、政治不信がこんなに高まっているときはない。いま、これは世論調査したらどういうことになるか、はっきりしていると思います。私はこの前、こういう中で、総理に忠告をしたわけですね。野たれ死にをするだけが能ではない。いさぎよく責任を負って退陣して、この際人心を一新する。これがこの期にあたっての総理のたった一つとるべき道だと、こういうふうに言ったわけです。こういう点を私はまた繰り返したい。権力は短いんですよ。しかし、歴史は長いんだ。そういう中であなたの退陣ぎわというものは、これは非常に今後の日本の政治、民主的な政治のあり方について大きな影響を持つものです。どう思いますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) この前も岩間君からそういう御注意があったこと、私は記憶いたしております。また、本席も同じ御注意でございます。これも私はすなおにお聞きしておると、こういうことだけ申し上げておきます。
○岩間正男君 すなおにやめなきゃだめですよ。 私は最後にお聞きしますが、それはキッシンジャーの来日の問題です。まず第一に、アメリカ側のきのうの発表によると、キッシンジャー大統領補佐官が来月十五日から十八日までの三日間わが国を訪れ、総理や外相とも会談するといわれています。ニクソン訪中後、そして訪ソを控え、さらに沖繩の施政権返還を前にしてわが国を訪れ、政府、財界首脳と会談しようというアメリカ側の意図や目的はどういうものだとお考えになりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) キッシンジャー補佐官はいまアメリカ政府部において非常に大事な人でございますが、日本の事情について非常に暗いというか、まあ日本に接触が少なかったんです。かねてから日本を訪問して日本を理解をいたしたいと、こういうふうに言っておったんです。それがたまたま日米経済協議会、この責任者は富士銀行の岩佐氏でありますが、岩佐氏の招きに応じて来日をすると、そういうことになった次第でございます。
○岩間正男君 サンクレメンテではその話出なかったですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 出ておりませんです。
○岩間正男君 まあキッシンジャーは、これはもう世にも知られた忍者外交、そしてニクソンの知恵袋といわれています。まあ事実上はニクソン戦略の推進者です。今回の来日は、沖繩協定の発効を契機として日本に対してアジアのニクソンドクトリンを推し進めるために政治、経済、軍事全般にわたる大きな役割りを日本に果たさせようとしているんじゃないでしょうか。こういうねらいがあるのではないでしょうか。この点いかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 全く私的な立場における来日でありまして、いまおっしゃるような大きなねらいなんか持っておらぬと思います。
○岩間正男君 総理と外相は会われるわけでしょう。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ来訪の目的が日本の理解を深めたいと、こういうことですから、たいへんたくさんな人と会うと思います。その中で、政府部内におきましては総理、私と会うことは、これはまあ当然であろうと、かように考えます。
○岩間正男君 また、こういうことはどうでしょう。キッシンジャーは安全保障の、これは担当の専門家ですね、そうしてまたPATO構想や汎太平洋同盟といったものを考える、これは有名な事実です。で、その中核として日本をこれは据えようとしている、こういう構想を持っていることも事実です。こういうことについてもこれは話し合われる、そういうことになるのかどうか。私は、まあ実業家が呼んだんだと、こう言われておりますけれども、これは日本の国民を刺激する、そういう点は少しぐあい悪いということは、これはアメリカも感じておるだろうと思う。こういう体制の中で実業家が呼んだと、彼が呼んだといいながら、同時に、これは日本の政府が総理も外相も会うというような構想なんでありますから、そうなりますと、いまの、現在のこの日米の軍事戦略体制、こういうものを中心にして考えますというと、そういう点が非常にこれは重大な問題をはらんでおるんじゃないかと思いますが、この点総理いかがでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど外務大臣がお答えしたようなことでキッシンジャー補佐官は日本に来ます。ただいまいろいろ、どういう話をするだろうか、ただいま日本共産党は共産党なりの想像をしていらっしゃいますが、そのうち出てきて、会ったら、どういう話をされるか、これがはっきりすると思いますが、私はただいまのようなお話は出てこないような気がしております。
○委員長(徳永正利君) 以上で岩間君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(徳永正利君) 次に、喜屋武眞榮君の質疑を行ないます。喜屋武君。
○喜屋武眞榮君 まず、総理にお伺いいたします。 人間は不用意の中に語ることばに真意があらわれるというのであります。かつて沖繩を甘やかすなということが問題になりました。そして、現在なお沖繩を甘やかすなということが聞かれるということは、まことに、まことに憤激にたえません。さらに、それだけではありません。かつてあの沖繩戦で、ソンミ事件にも値するような帝国軍人の虐殺事件が沖繩にあったわけです。その生き残りの帝国軍人がてんとして恥じず、何が悪いかといったような大きなつらをして、いまおるということも御承知かと思います。なお、なべかま論も出たりするような、このようなことに対して、われわれ沖繩県民は祖国から切り離されて、そして、ひどい目にあいながら、日本国民としての主権平等の立場から当然の権利の要求として、私たちは求めておるにすぎない。このことについては総理はどうお考えですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は沖繩県民が戦後二十六年間もアメリカの施政権下にずいぶん苦労されたことについて心から理解を持っておるつもりでございます。ことにまた戦時中は並みたいていでない、本土防衛の第一線になって、ほんとうに苦難の道、また多大の犠牲を払われた、そういうことについては、私自身は私自身なりに理解しておるつもりでございます。だからこそ、私は沖繩の祖国復帰、これを一日も早く実現したく、今日まで努力してまいっておるのであります。また、今日のこの状態で帰ってくることはきまりましたけれども、私は沖繩県民の方々の実態、それを国内の各府県の水準等と格差があることにつきましてもまことに御同情にたえないから、それと取り組んで、それをできるだけ早く引き上げるように努力をしたいものだ、かように考えておるような次第でございます。私はそういう意味で一部の心なき連中の考えもほんとうに痛憤される、憤慨にたえられない、かように言われることではあろうと思いますが、私は喜屋武君から机をたたいてしかられるようなことをしている覚えはございません。どうかその点は、私に対しては少なくとも机をたたかれないように、それだけはお願いいたします。これはお願いいたします。そうしてともども平和な、豊かな沖繩県づくりに邁進しようじゃありませんか。私はほんとうに努力したいのです。おしかりになりたいような、またどなりつけたいようなお気持ちもわからないではありませんが、しかし、私自身をどなりつけられること、これは私は、それだけはやめていただきたいと心からお願いいたします。
○喜屋武眞榮君 次に、いま全軍労の諸君が、戦後いまだかってない長期のストを十日、さらに一週間延長、さらに無期限と、このようにエスカレートしていま全軍労の諸君がストを打っておるわけです。彼らの要求しておるその内容について、どうお考えですか。
○国務大臣(山中貞則君) 沖繩の人たちはただいいま、最も極端な例は、五月十五日復帰という喜ばしい日の、その日の前日に解雇される諸君も含めて、大量の千六百名を上回る解雇の予定が出ておりますので、これを撤回させるべく努力をしておられることは当然のことであると考えます。総理府としては、外務省、あるいは防衛施設庁すなわち復帰後間接雇用の雇用主たるべき役所でありますから、これと協力いたしまして、この問題の解決に努力をいたしております。しかしながら、全員解雇撤回という沖繩の全軍労の人々の御要望には、米側の壁がたいへんにかたくて、いままで若干の人数の減はありましたが、それに到達させることはきわめて困難な状況にあります。したがって、全軍労の幹部の方々とも十分に連絡をとりながら、不幸にして最悪の場合において解雇を余儀なくされる方々については、今日まで本土政府がとってまいりました沖繩と本土との退職金の格差の分を見ることはもちろんのこと、それに対して、復帰の前日の解雇にドルでもって支払われる給料、そして翌日から円圏の中に入っていく。そうすると、沖繩の人々にとって三百六十円は、厳然としてやはり意識の底流に残っているわけでありますから、これは本土と違って、沖繩の人々の立場を理解しなければなりませんので、今回の解雇者の方々には、そのようなドラスティックで、そしてまた復帰のあくる日は円圏に入るのに前日ドルで支払われるような状態を考えまして、適当な打ち合わせた数字をはじき出しまして、そして円圏に入っても、前日ドルでもらったことが壊滅的な致命的な打撃にならないような措置を、いま準備をいたしておるわけであります。 一方、施設庁のほうの答弁はあると思いますが、今後引き続き雇用される人々の要求というものがございますので、これも大体沖繩側のほうと打ち合わせをされて、おおむねのラインが、一応は米側の回答として出ておりますので、私のほうとそれをセットにして、パッケージで、軍労の指導者の方々に内々お話を申し上げて、目下、その線でもって収拾に努力をしておられるようであります。見通しとしては、今晩の八時に、大体その線でもって本土政府の決定を発表し、同時に、向こうにおいてストを一応中止するという問題を煮詰めてまいったわけでありますが、現在まで入りました情報では、なかなか今回の情勢はさようなものでは、下部の突き上げと申しますか、平易なことばで申しますと、そういう非常な悲壮感があって、幹部の方々も収拾に苦慮しておられる。したがって、早くとも四月の三日になりそうであるという情報を得ております。私としては、歯どめのないストライキをこれ以上続けさせることは忍びませんので、せめて今月一ぱい、すなわち本日中に解決をするつもりで全力をあげてまいりましたが、事ここに至っては、残念ながら四月三日を待つ以外にはないということになりました。私の力不足をおわび申し上げる次第であります。
○喜屋武眞榮君 私も、現地においてフィアリー民政官ともお会いしました。その話の中で、アメリカは依然として基地は維持したい、しかし金は出したくない、復帰後は日本政府の責任だと言わんばかりの、こういった態度がありありとうかがわれたわけです。そうしますと、目下日米の問で交渉がなされつつあるということも承りました。ところが、あまりにもこの問題が長期にわたっておる、この事実の中からエスカレートして、沖繩における労働団体の共闘、さらにコザを中心とする基地業者の、今度は県民同士の対立、こうしていまコザ市長からも、それから市長会長からも、こういった一刻も猶予できないから早期に解決せよ、全力を結集せよという、こういう電報、手紙が舞い込んでおるわけでありますが、これに対して、一生懸命にやっておられるということではもう間に合わない。一体そのめどは、いまおっしゃった今明日の中で間違いなく解決つくのであるかどうか、その点もう一ぺんお伺いしたい。
○国務大臣(山中貞則君) 防衛施設庁の、いわゆる復帰後も継続して雇用される人々の問題も含めて、おおむね全軍労の責任者の方々とは内々の合意をみておる線があるわけでございます。しかし、これを事前に発表いたしますと、ただいま申し上げましたような内部の、ストを中止もしくは収拾させるための話し合いというものがうまくいかないということで、これは全軍労の責任者の方方の中でおさめられて、そのアウトラインをもって話を進められておるようであります。したがって私としては、やはりスト収拾は、全体の機関決定が積み上げられて、最終的には中央執行委員会において決定されるべき姿が正常であると思いますので、それを待って、同時に本土政府がこれまで詰めてまいりました措置を、明らかに申しますと全軍労の幹部にお約束いたしました条件を、発表する用意は本日でも、ただいまでも持っておるわけであります。しかし、これがストを収拾するための材料にならないということでありますれば、やはりスト収拾のための時間を、現地側の御要請どおりしばらくおかしするために、ここで内容を申し上げないほうが、むしろよろしいのではないかと考えておりまして、一日も早く妥結させたいと思うつもりで努力しておることにおいて、私も変わりはありません。
○喜屋武眞榮君 私があえてこうして追及いたしますのも、いまこの問題が、もし時をかしてますますエスカレートした場合に、これは方向として必ず反基地闘争に、そして反米闘争にこれが発展しないという保証はないということなんですね。その場合に、その責任はだれにあるとお考えですか、総理。
○国務大臣(山中貞則君) 佐藤総理のニクソン大統領との会談後入閣いたしまして、ずっと一貫して沖繩問題を担当いたしてまいりました私の責任であると考えます。
○喜屋武眞榮君 まことに残念に思いますことは、沖繩に起こるもろもろの問題は、現地で精一ぱいあの手この手で盛り上げる、それでもなおどうにもならぬので本土政府へ持ち込んだ、こうしてだんだんエスカレートしていく中から、本土政府もやっとみこしをあげて、ガス撤去の問題しかり、通貨問題しかり、またこの問題解決しかり、そのように、しりに火をつけられて初めて前向きになっていくという、こういうあせりを感じてなりません。このことが、私は残念で残念でなりません。どうかそのことを、今後の沖繩問題解決のためには私は警告を発しておきたい、こう思います。いかがですか、それに対して。
○国務大臣(山中貞則君) 私は、一生懸命やっておるつもりであります。しかしながら私自身の、そのような沖繩側の立場に対する、いわゆる事が起こる前に処理するという、そういう意味の先立って解決案を示すような努力が、いままで足らなかったという御指摘については、やはり私自身の責任として深くおわびを申し上げます。復帰まであと一カ月余であります。その間、一日も私としては心の休まるひまはございませんので、したがって席のあたたまるひまはございませんが、昼夜を分かたず、単に全軍労の問題のみならず、沖繩における賃金読みかえの労使の紛争にしても、何ら沖繩の人々には責任のないこととして行なわれておる紛争であるということで受けとめて、努力をいたしておりますので、微力でございますが、復帰まで引き続き努力をさしていただきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま山中君から、るる山中君の真情を吐露してのお話がありました。私は、喜屋武君のお尋ねもさることながら、私どもがほんとうに精根を打ち込めてこの問題と取り組んでおる、それだけはひとつ御理解をいただきたい。また、なおこの上とも最善の努力を払うものである、これをお約束をいたします。どうぞよろしくお願いします。
○喜屋武眞榮君 時間が迫りましたので質問を一括いたします。 まず、通貨の切りかえに対して大蔵大臣、いかなる理由があっても沖繩県民が不利益を受けることは絶対に許されません。また受け付けません。それに対して、復帰前の一ドル対三百六十円切りかえは、全県民の切実なる要求であることは重々御承知だと思います。しかし、それには技術的に、またメリットの上から不利であるということも聞いております。ところが、去年十月九日のドル確認後、漏れたものについては、あるいは債権債務、その後の県民の財産、法人、保険、給与の読みかえ、その他もろもろの問題、このことについて政府はどのような手を一体打たれるのであるか、打とうとしておるのであるか。これが第一。 次に第二。防衛庁長官へ尋ねます。 解決漏れの請求権の処理については、私、十二月二十九日の委員会でお尋ねしたことに対して防衛庁長官は、精力的に解決したいと、立法しなければならない問題が出てくれば、この国会中に見当がつくと、こういう御答弁がありました。 そこで、現在どこまで調査が進んでおるのであるか、立法上の措置の意思があるのかないのか、そのことについて承りたい。 次に、もう一点防衛庁長官に。自衛隊の沖繩配備に対して現地沖繩で拒否反応があることは重々御承知だと思います。その理由はどう受けとめておられるか、理解しておられるか。これが第一点。 次に、急ぐ理由は一体何なのか、第二点。 次に、自衛隊の沖繩配備計画は(「時間、時間」と呼ぶ者あり)久保・カーチス取りきめによってなされたものでありますが、なぜ国防会議の議を経ないで行なわれたのであるか、第三点。 次に、久保・カーチス取りきめの内容に変更がなされるとすれば、具体的に明示してもらいたい。 次に、関連して、軍用地料について申し上げたいことは、尋ねたいことは、本土政府提示に地主が拒否反応をいま示しつつあります。えたいの知れない見舞い金算定支払いに多くの疑問があるという、こういう拒否反応がいま起こりつつあります。その内容を明らかにしてもらいたい。 次に、海洋博について通産大臣に、そして関係大臣にもお尋ねいたします。 海洋博の特別措置法が与野党完全一致で可決されましたことをたいへん喜んでおります。この歴史的な、画期的な……。
○委員長(徳永正利君) 簡単に願います。
○喜屋武眞榮君 世界で初めての催しでありますこの行事に対して、事業に対して、決定がおそく、期間が短く、取り組みも弱く、はたして期限内に支障なく実施できるかどうか非常に現地では不安を持っております。これに対して、現在までの経過と構想、これからの取り組みの御計画ということについてひとつ構想を承りたい。 以上、一括いたして質問いたします。関係のそれぞれの方、お答えをお願いします。
○国務大臣(水田三喜男君) 一ドル三百六十円の通貨交換は不可能でございますので、これにかわる方法として沖繩県民に不利を与えないようにし、通貨交換のやり方については、さきの国会で成立した沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律によって規定をいたした次第でございまして、御承知のとおりと存じます。で、この法律により吏して、いっこの交換を実施するかというようなことにつきましては、政令で定める期間内に行なうことということになっておりますが、いまのところ、交換期間を政令で定めるにあたっては、住民の便宜、交換の事務量、警備の必要等を考慮しなければなりませんので、いまのところは五月十五日の復帰後一週間程度の期間に交換を行なうことが適当ではないかと考えております。交換の比率につきましては、もう法律の規定に従いまして、実勢相場を勘案して内閣の承認を得て大蔵大臣がこれを定める比率で行なうということになっておりますので、そのとおりにいたしたいと思います。通貨交換の事務は、日本銀行が行なうことにただいまなっております。復帰前の通貨交換ということについて非常に強い御希望がございましたので、これも御承知のとおり対米折衝をいたしております。まだ交渉は打ち切られてはおりませんが、いろいろ交渉している過程におきまして、為替管理の実施の問題と警備体制の整備という二つの問題から、なかなか技術的に問題が多いということがだんだんにはっきりいたしてきましたので、交渉はまだ続いておりますが、すでに一カ月半ぐらいの期間しかございませんし、なかなかこの問題の詰めが行なわれないんで、いま最後まで努力はいたすつもりでございますが、むずかしい場面になっておるという状態でございます。
○国務大臣(江崎真澄君) お答え申し上げます。 先ほど補償問題についてお読み上げになりました私の答弁の趣旨は、いまもそのように考えております。で、防衛庁の、これは施設庁において現在調査を進行させておりますが、防衛庁という性格上、防衛庁だけでなくて、山中総務長官のところにおいても協力を求めまして、今後有効に対処をしていきたい。現在、法文化するかどうかという点についてはまだ結論を得ておりませんが、必要があればもちろん立法化することにやぶさかではございません。 それから自衛隊に対するアレルギーのあることをどう受け取っているか、十分承知をいたしております。そういうことが、たとえば沖繩になべかまであっても、持ってまいりました余剰の物については、私は直ちに凍結をしたわけでありまするが、普通ならば凍結の措置で、向こうの保税倉庫に入っておるわけですから、凍結という命令で私が直接指揮をするということで御了解を得たかったわけでありまするが、やはり軍とか、また特に延長というようなふうにお考えになっている自衛隊というものの誤解を、この際やはり少しでも解かなければならぬということで、持ち戻しの挙に踏み切ったわけでありまして、このあたりは一つのあらわれとして御了解願いとうございます。 急ぐのはなぜか、これは施政権が戻ってまいります以上、当然沖繩の極地防衛は日本の自衛隊の手にゆだねるべきである、こういう考え方に立っているわけでありまするが、当然沖繩県民各位の十分な了解のもとに自衛隊を配備したい、この気持ちでおります。 それから久保・カーチス取りきめについては、しばしばここできょうも議論になったとおりであります。これは国防会議にかける事項ではないという判断に立っております。しかし、何べんも繰り返しておりまするように、具体的に沖繩配備については、これは近く国防会議を開いて決定をしていただくつもりでございます。同時にまた、久保・カーチス協定は変化するかどうか、これは国防会議の議を経なければわかりません。防衛庁としては、大体久保・カーチス協定に基づいて、原案的なものを御協議をわずらわそう、こういう考えでおりますが、これがどういうことに協議の結果なりますか、これはしばらく行くえを見守っていただきたいと思います。 それから、地主に拒否反応があるがどうか、これについては十分同調願いますように、私どもこれからも粘り強く話し合いを続けてまいりたいと思っております。よろしくお願いします。
○国務大臣(田中角榮君) 沖繩海洋博までにはわずか三年しかないわけでございます。この事業費はおおむね五百億程度でございます。いま予定せられる負担区分は、国庫の負担が大体二百五十億から三百億ぐらいだと思います。非常に日が短くなっておりますので、この海洋博の重要性を十分認識をして、遺憾なく成果をあげ得るように万全の対策をとります。
○委員長(徳永正利君) 以上で喜屋武君の質疑を終了いたしました。 以上をもちまして質疑通告者の発言は全部終了いたしました。よって暫定予算三案の質疑は終局したものと認めます。 —————————————
○委員長(徳永正利君) 暫定予算三案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。発言者は賛否を明らかにしてお述べを願います。矢山有作君。
○矢山有作君 私は、日本社会党を代表して昭和四十七年度暫定予算三案に対し、基本的な問題点を四つにしぼって反対の討論を行なうものであります。 まず第一に、この暫定予算案の性格は、戦後財政史上例のない政府の失態をぬぐい隠すための場当たり的措置であるということであります。 暫定予算は戦後七回編成されておりますが、占領時代及び、いわゆる倉石発言をめぐる紛糾の一例を除けば、暫定予算の編成は国会の解散、総選挙による真にやむを得ない場合に限られているのであります。しかるに今回の暫定予算は、政権末期現象として政府の一貫した政策の欠除、外交、防衛、内政にわたる数々の失政、四十七年度予算編成上におけるたび重なる重大なあやまちによって、いたずらに国会審議を空転せしめた結果、提出を余儀なくされたものであり、全く政策の無為無策、無責任さに基づくものでありまして、政治姿勢の基本そのものの間違いが暫定予算という結果を招いたものと言わねばなりません。 第二は、このたびの暫定予算は、財政運営についての政府の態度が近年ますます安易に流れ、公約は簡単に破られ、事態のあと追い的な財政政策が繰り返されているという一連の事態の中で発生したものという点であります。政府は、口を開けば財政主導型とか弾力的運営とか言いながら、財政の円滑な運営を阻害しているものはほかならぬ政府みずからであります。補正予算に追い込まれるのは毎年の例であり、このたびの暫定予算に引き続き、四十七年度本予算の執行過程においてまたもや補正予算を編成せざるを得なくなることは火を見るよりも明らかなことであります。暫定予算は財政の空白を避けるためのやむを得ない技術的措置というよりも、むしろ政府の無定見かつ安易な態度の所産であることに対し私は強く警告し、反対せざるを得ないのであります。 第三は、内外の経済動向から見て、日本経済がきわめて微妙な段階にある今日、一カ月にわたる長期の暫定予算を組まざるを得なくなった政府の責任は、従来の暫定予算の場合に比べてはるかに大きいのでありますが、さらに重大なのは、この難局を乗り切る抜本的対策がはなはだ不明確であるという点であります。国際的通貨不安、円再切り上げの危険性、成長優先から国民福祉重視への転換など重要課題が山積しており、いまや政策の一大転換に迫られているにもかかわらず、政府は何らなすところなく暫定予算によって当面を糊塗しようとするものであります。このような暫定予算は、不況から脱出しようとしておる経済動向の足を引っぱり、不必要な悪影響を及ぼすばかりか、タイミングを失することによって財政効果を政府みずから弱め、景気浮揚に不安の種をまくものでありまして、政府の重大責任として追及されなければなりません。不況が戦後最大、最長期にわたっていることは、昨年来とられてきた財政政策の失敗を物語るものであり、それはまた、犠牲を国民に転嫁させるものでありますが、一体政府はどのような反省をし、今後いかなる具体策をもって四十七年度本予算執行のおくれによる悪影響を回避しようとするのか、政府は明確にすべき義務を怠っているのであります。 第四は、暫定予算編成に対する政府のあいまいな態度についてであります。本来、暫定予算は必要最低限の義務的経費を計上し、新規施策費は組み込まないのがたてまえであるにもかかわらず、一兆一千億円というかってない大型予算を編成したことは、規模にも問題がありますが、それ以上に、その性格においてきわめて不明瞭な点があるのであります。たとえば政府は、景気回復の促進という口実のもとに、四十六年度補正後予算額の八分の一に及ぶ巨額の公共事業費を計上していることは、まだ四十七年度本予算公共事業費の問題点を審議しない前に、これを強引に先取りしようとするものであって、これは問題の本質をすりかえるばかりか、節度を乗り越えて、安易に暫定予算を組もうとする態度でありまして、たとえ法的には間違いないものとしても、このような、財政法条文や慣例をかってに拡大解釈し、財政民主主義を形骸化する政府の態度は、断じて許すことはできません。 私は、以上四つの基本的な問題点を指摘し、暫定予算編成に立ち至った政府の政治責任を追及するとともに、昭和四十七年度暫定予算三案に対する反対討論とするものであります。(拍手)
○委員長(徳永正利君) 鈴木一弘君。
○鈴木一弘君 私は、公明党を代表して、昭和四十七年度暫定予算三案に対し、反対の討論を行なうものであります。 第四次防衛計画の先取りなど多くの問題をかかえたため、本予算が大幅におくれ、暫定予算の提出となったのでありますが、これはひとえに国政の基本がゆらいでいるためとしか言えないのであります。シビリアン・コントロールの欠落、台湾帰属に見せた外交政策のないこと、沖繩返還における密約の疑い等々、民主主義の基礎をくずす事情で予算審議がおくれたのであります。民主主義の問題は、予算のおくれ以上に国民をして不安に陥れております。かかる姿勢のもとにできた本予算を基礎にする暫定予算には反対をするものであります。 第二の理由は、景気回復、福祉優先が緊急の要務であると思うのでありますが、暫定予算においては、公共事業費支出のおくれを十分に満たすだけの額ではなく、またそれに伴う国債発行は今後の審議を拘束する先取りとなるのであり、この点よりも反対するものであります。福祉優先を口にしながら、公共事業費の内容は産業優先であり、高度成長そのままであり、それに対し生活環境への投資は少ないのが本予算の性格であります。そのような本予算より出た暫定予算に対しては、その点からも反対をするものであります。 以上、討論を終わります。(拍手)
○委員長(徳永正利君) 向井長年君。
○向井長年君 私は、民社党を代表いたしまして、ただいま提案の昭和四十七年度暫定予算に反対をいたします。 まず、一兆一千十七億円の暫定予算は、膨大な予算案であります。暫定としてはまことに膨大であります。この予算案をわずか一日で審議をしなければならないという羽目になったことは、これは一にかかって政府の責任と言わなければなりません。私は、その点に対してまことに不満であり、遺憾であります。私は、この予算案の内容には触れようといたしませんが、ただいま衆議院で審議中であるところのこの本予算に対して、わが党をはじめ野党とともに組みかえ動議を出しております。そういう観点から考えまして、この本暫定案に対しましては反対せざるを得ません。 終わります。(拍手)
○委員長(徳永正利君) 河田賢治君。
○河田賢治君 私は、日本共産党を代表して、昭和四十七年度暫定予算三案に対して、反対の討論を行ないます。 まず、第一に指摘しなければならないのは、深刻な不況が国民生活の各分野にわたって重大な困難に直面しているもとで、一カ月という史上二番目の長期暫定予算編成、さらには、本予算の今後の審議状況いかんで、暫定予算の追加補正さえ予測されるという異常な事態を招いた佐藤内閣の政治責任の問題であります。 四次防予算の先取り問題に端を発した佐藤内閣の失態は、台湾領土帰属をめぐる総理の食言、立川基地のやみ討ち移駐、沖繩への自衛隊配備の先取り問題、さらには今回の沖繩協定交渉をめぐる日米密約問題と、とどまるところを知らず、しかも、そのどれ一つをとっても、佐藤内閣の総辞職によってみずからの重大な政治責任を国会と国民に明らかにすべき重大問題であり、国民もまた強くそれを要求してきたのであります。 しかるに、佐藤内閣はそのたびごとに、内閣全体の責任であるとしながらも、遺憾の意を表するばかりで、何ら具体的な責任をとろうともせず、予算成立が至上命令の口実によってその場を切り抜ける無責任きわまる態度をとり続けたのであります。その結果、予算審議が困難におとしいれられ、国会と議会制民主主義に対する国民の信頼を根底からゆさぶったことは、重大と言わなければならないのであります。 次に、暫定予算の内容についてであります。言うまでもなく、暫定予算は本予算の審議の対象となるべき新規政策を含めず、公務員給与、生活保護費など必要最小限の義務的経費にとどめるべきものであります。ところが、暫定予算案の中身は、公共事業費を本予算公共事業費の八分の一、二千三百九十六億円を計上し、事実上新全総計画に基づく長期計画事業を組み込み、財界へのてこ入れを最大限にはかっているのをはじめ、防衛費においても安保条約に基づく土地借り上げ料や研究開発費など、不用、不当な予算を含めており、本予算案の四次防発足、軍事同盟の侵略的強化の推進を目ざすものとなっているのであります。 一方、国民生活に直接関係する生活扶助、失業保険費など、社会保障関係費が新規分を含めて千五百十五億円に押えられるなど、とうてい国民の要求にこたえ得ていないばかりか、歳入総額の四五%、二千四百億円を公債発行でまかなうという、本予算案の大幅な赤字公債政策による物価上昇、悪性インフレなど、国民生活圧迫、大企業向け景気対策優先の性格を先取りしたものと言わざるを得ないのであります。 以上の立場からわが党は本暫定予算案に反対し、国民生活優先の方向で組みかえるべきことを要求して討論を終わります。(拍手)
○委員長(徳永正利君) 以上で討論は終局いたしました。 それでは、これより採決に入ります。 昭和四十七年度一般会計暫定予算、昭和四十七年度特別会計暫定予算、昭和四十七年度政府関係機関暫定予算、以上三案を一括して問題に供します。三案に賛成の方の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○委員長(徳永正利君) 起立多数と認めます。よって、三案は原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(徳永正利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 次回の委員会は公報をもってお知らせいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後七時二十四分散会