法務委員会 第15号
- 発言数
- 156 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1972/05/16
会議録
○委員長(阿部憲一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について報告いたします。 去る十三日、山下春江君、川野辺静君、橋本繁蔵君、菅野儀作君、中沢伊登子君、加藤進君、神沢浄君及び瀬谷英行君が委員を辞任され、その補欠として、吉武恵市君、平井太郎君、岩本政一君、重宗雄三君、松下正寿君、野坂参三君、矢山有作君及び鶴園哲夫君が選任されました。 また、昨十五日、上林繁次郎君が委員を辞任され、その補欠として白木義一郎君が選任されました。 —————————————
○委員長(阿部憲一君) 次に、理事の補欠選任についておはかりいたします。 去る十三日の委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(阿部憲一君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に白木義一郎君を指名いたします。 —————————————
○委員長(阿部憲一君) 犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言を願います。
○白木義一郎君 犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案について若干の御質問をいたします。 この改正法の提案理由を拝見いたしますと、中央更生保護審査会の審査対象事件が最近著しく増加した、そのために委員長を常勤的に勤務させねばならない、そういう提案理由でありますが、その増加した審査対象事件の内容を詳しく御説明を願いたいと思います。
○政府委員(笛吹亨三君) 恩赦の出願、あるいは職権による上申の中央保護審査会における受理件数の最近の年度の推移を申し上げます。 昭和四十三年に審査会が新しく受理いたしました件数が百八十二件、昭和四十四年は百九十六件、このほかに、この年にはいわゆる明治百年恩赦の関係から出てきた六百四十件というのがございますが、通常の個別恩赦といたしましては百九十六件、それから昭和四十五年が二百三十二件、これも明治百年記念恩赦の関係からきたものが三十九件ございます。それから昭和四十六年には三百八十三件、このように通常の個別恩赦の件数は年々ふえてまいっておるわけでございます。
○白木義一郎君 年々増加する審査対象事件に、従来はどのように審査会がこの審査の仕事を行なっていたか。五名の委員が常勤でなくこれらの審理の処理をしてきたと、こういうことになるわけですが、実際上の実務はおそらく事務当局がこれをやってきたんじゃないか、このように思うんですが、その点いかがでしょう。
○政府委員(笛吹亨三君) 個別恩赦の事件の審査の手続と申し上げますか、どのようにして審査されていくかということについて若干説明さしていただきたいと思いますが、恩赦を受けたいと考える、これはまあ当然犯罪を犯して刑に処せられた人でありますが、こういう出願者は、それぞれの恩赦の形態がございまして、特赦、特別減刑、あるいは刑の執行の免除、あるいは特別の復権といった、それぞれの形態によりまして若干の違いがございまするが、刑務所など矯正施設の長に出願するもの、あるいは保護観察所の長に出願するもの、あるいは検察官に出願するもの、それぞれパターンがきまっておりまするが、いずれにいたしましても、出願する場合にはその機関に出願するわけでございます。そして、その出願を受けた機関がこれを審査いたしまして、それについてその機関としての意見をつけて、これを中央更生保護審査会に上申するわけでございます。そこで、審査会といたしましてはこの事件を受理いたしまして審査するわけでありますが、御承知のとおり、中央更生保護審査会は現在のところ五名の委員、いずれも委員でございますが、五名の委員をもって構成いたしておりまして、その五名の委員の中から互選によりまして、その互選された人を法務大臣が任命するという形で委員長が一人おるわけでございます。そして、この審査会五人が合議をもって審査するわけでありまするけれども、その合議に入る前に、主査委員というもの、一人の委員が主査委員に命ぜられまして、主査委員が当該事件を担当して詳しく審理するわけであります。この主査委員はだれが任命するかといいますと、これは委員会が任命する形になりますが、主査委員を任命いたしまして詳しく審理させまして、主査委員がこれを十分審理しまして——委員長はやはり委員でございまするので法律的には主査委員になる場合もあるわけでございますけれども、実際上、委員長はすべての事件についてやはり十分目を通しておかなければなりませんので、実際上はほとんど、主査委員になる時間的な余裕もないので、あまりなっていないようであります。そして委員長も、いま申し上げましたように、すべての事件につきまして事案の内容を十分把握いたします。そして、この主査委員の審理が一応終わった段階で合議の審査にかけるわけであります。合議の審査をいつするかということは委員会がきめて、これを各委員に招集をかける形になります。そして審査会が開かれまして、委員長をはじめ五人の委員が出席いたしまして、そこで主査委員からこの審理の内容、結果につきまして報告をいたします。それについて各委員からいろいろと意見も出されまして、そこでこの事件を恩赦にすべきかどうかということを討議して審査するわけでありまして、審査の結果恩赦相当であると認めたものにつきましては、これは法務大臣に対しまして恩赦相当ということで恩赦の申し出をするわけであります。法務大臣がその申し出を受ければ、これは閣議に出しまして、内閣としてこれをまた審理するということに相なります。中央更生保護審査会の合議における審査において、恩赦相当でない、不相当であるという結論になりましたときには、これはその申し出を実質上棄却というような形になりますが、申し出をしない、法務大臣に恩赦の申し出をしないという処分をいたしまして、これはそのままドロップされるわけであります。この事件は、したがいまして、内閣に上がることはございません。そういうような過程をとりまして、個別恩赦の事件は、五人の委員をもって慎重に審査をいたしておる状況であります。
○白木義一郎君 いままでの委員長は、まあ御説明のあったとおりに、非常勤で、むしろ国民の側に立って事件の審査あるいは処理に当たってきた、このように思うのですが、ここで委員長を特に、法案を改正して委員長を任命するということになりますと国家公務員法——国家公安委員並みの国家側、またあるいは政府側の立場になって、この委員会自体の性格から若干性格が変わるんじゃないか。審査事件が非常に多くなってその処理に忙殺されるというならば、むしろこの委員を増員して適正な運営にあたるべきだ、このように考えるわけですが、その点はいかがでしょう。
○政府委員(笛吹亨三君) 委員長が、現在、非常勤の委員から選ばれるわけでありまするが、今度の改正によって、常勤としたからといって、国民的立場から離れて、何といいますか政府側といいますか、官的な立場になるのではないかという御質問と承ったわけでございまするけれども、委員長が常勤になりましても、これはいわゆる一般職の公務員ではございませんで、特別職の公務員でございますが、そしてこの犯罪者予防更生法の第五条四項には「委員の任命については、そのうち三人以上が同一政党に属する者となることとなってはならない。」といったような規定もありまするように、これは今後もそのまま続けていくわけでございまするが、こういったように厳正かつ公正に、公平にやりたいというのがこの委員会の委員の構成といいますか、組織から見て規定されておるわけでありまして、委員長が常勤になったからといって、これが政府側の立場に立つといいますか、これは政府の機関でございまするけれども、そういったことでなく、やはり五人の合議というものをもって独立した決定機関ということにしているたてまえから、やはりそういう意味じゃなく、中央更正保護審査会独自の判断をもってこれはきめていくという機関でございますので、そういった心配は私はないように考えております。
○白木義一郎君 この委員長と主査委員ですか、その間に事前に協議を行なってその処理に当たっていくと、こういうようなことですが、その事前の協議という問題について、その内容を御説明を願いたいと思います。
○政府委員(笛吹亨三君) 先ほども申し上げましたように、主査委員が任命されましてその事件を担当いたしますと、主査委員は刑事関係の記録その他一切の関係記録を十分審理いたしまして、審査会の合議に供する準備をするわけでありますが、この場合に主査委員だけでやっておりますると、はたして、もっと調査すべき点があるのではないかといった点について十分な配慮もできないかもしれませんので、委員長はやはりその点を十分記録その他を調べまして、この段階においてはこういう調査もしたほうがいいんじゃなかろうかというようなことを相談するわけであります。また、それだけの審理が進んだ段階でいっこの審査会を招集するか、合議を開くかということにつきまして、これは主査委員の審理の状況といったものを十分把握いたしておりませんと、審査会を招集するわ、まだ十分な審理ができていないわでは審理が促進できませんので、そういった点も主査委員と委員長とが十分協議いたしましてきめて、適正な時期に審査会を開いて審査を始めるということをいたしておるのでございます。大体委員長と主査委員との協議といった問題はそういったものでございます。
○白木義一郎君 この法案の改正については、現段階におきましては、先日政府の恩赦の内容が発表されたわけでありますが、この改正案はあらかじめこの沖繩恩赦に備えてこのような体制を整えているんじゃないか、こういうような、われわれ恩赦の内容についてきわめて不満を持つ野党側としてはそのように考えるわけですが、この点はいかがでしょうか。
○国務大臣(前尾繁三郎君) たまたま沖繩恩赦とこれが重なったためにそういう誤解を招くんではないかと思います。私も実は、私昨年就任以来いろいろ勉強が足りませんでして、昨年の八月にはその点に気がつきませんでした。そうして九月、十月ごろでありましたが、この中央更正保護審査会の実態がわかってまいりますと、まあ、これは何と申しましても裁判所の裁判官が決定した裁判をくつがえすわけであります。したがって、これは非常に重要な審査会であるというふうに考えたわけでありますが、それよりももっとこれを活用して、率直に言いましたら、判決の場合には、いわゆる一般予防で、一般の犯罪を予防するという見地から判決がなされるわけでありますが、今度は刑務所等に収容しまして、刑罰が実行される段階に入りますと、その人その人に最も適切な刑を科し、また処遇をし、そうしてできるだけ早い機会に改善なり、すっかりその人の性格なり、そういうものまで矯正して、できるだけ早く社会に復帰させる、そういう必要があるんではなかろうか。どうもわれわれも実際に携わりますまでは恩赦ということばでいかにも恩恵というような感じがいたしておりましたし、また、委員長をはじめ全部非常勤、悪く言えば片手間でやっておると、こういうような感じがいたしておるのでありますが、そうではなしに、この中央更生保護審査会のやっていらっしゃる役目というものは非常に重大な役目だということを私みずから考えまして、これは全部できたら常勤にしていきたい、裁判官に匹敵するものでなければならぬというふうに考えたわけでありますが、最初の当初の予算要求には出ておりませんので、とりあえず委員長ともう一人の委員を常勤にしよう、こういうことで中途から要求をいたしましたために委員長だけが認められたわけであります。先ほども御意見がありましたが、これは全く、法務大臣が任命はいたしましても、この決定に対しては何ら法務大臣はそれがいいとか悪いとか言うものではありませんでして、閣議に取り次ぎをするという、独立した機関であります。そういう意味からいたしますと、独立機関でもあり、またできることでありましたら、全部にわたってその人その人に当たって、その人の性格なり何なりを把握して、どういう処遇をしていくかということまでやってもらいたい。そういうような意味合いから、非常に不徹底ではありますが、委員長だけを常勤というようなことで大蔵省と話がついたと、こういう経緯でありまして、別に私の考えとしましては、沖繩恩赦とは特段の関係があったというものではありません。
○白木義一郎君 大臣の御説明ですと、この審査会の性質上さらに前進をさせるべきであると、こういう御答弁ですが、すなわち全員を常勤にしたいと、そういう御意見ですが、将来、大臣はその方向へ改正する御意思を持っていられるのかどうか、最後にお伺いしたい。
○国務大臣(前尾繁三郎君) 実は私、そういうことを考えておるのでございまして、これを、ほんとうにこの厚生保護審査会というものは活用すべきものだ、そしてできるだけこの制度を発達させて先ほど来申しておりましたようなことでいきたいと、そういうふうに考えておるわけであります。
○矢山有作君 それでは、きょう私は、仮釈放なり保護観察の問題について二、三聞きたいと思っていたんですが、それに入ります前に、過日、恩赦の決定がありましたので、私どもその内容について、いままでいろいろ政府のほうから事前に考え方を承りたいと思って質疑を繰り返してきたわけでありますけれども、その段階では一向明らかにされなかったわけで、私どもが承知しておるのは新聞報道を見ただけでありますので、この際ひとつ、その内容についてできるだけ詳しく御説明いただきたいと思います。
○政府委員(笛吹亨三君) それでは、私から十五日に出されました復権令と沖繩の復帰にあたり行なう特別恩赦基準の内容を御説明申し上げます。 沖繩復帰がわが国にとって非常に画期的なものであり、また失われた領土を平和的なうちに回復できたということは、世界の歴史の中でも非常にめでたいことであるといったようなことで、国民あげてこれを喜ばねばならないという国家的な行事と考えて内閣が恩赦をされることになったわけであります。 復権令の内容を申し上げますと、第一条で一または二以上の罰金——これは沖繩で沖繩の刑罰法令によって罰金に処せられた人も含むわけでありますが、一または二以上の罰金に処せられた者で、昭和四十七年、ことしの五月十五日をそれを基準日といっておりますが、この基準日である五月十五日の前日十四日までにその全部の執行を終わり——罰金を全部納めまたは執行の免除——罰金を納めなくてもいいという法律的な免除——を受けた者、こういった人は罰金に処せられたためにいろんな法律上の資格の剥奪といいますか喪失とかあるいは停止をされておる者がございます。そういった喪失しまたは停止されている資格を回復する。ただこの場合に、ほかに禁錮以上の刑に処せられておったときにはこれは資格を回復しない、これが第一条であります。 それから第二条で、基準日の前日五月十四日までにただいま申し上げましたように、全部の罰金の執行を終わっていない者で、前日十四日までに略式命令の送達とか即決裁判の宣告、あるいは有罪、無罪もしくは免訴の判決の宣告、これは多少語弊はありますけれども、簡単に申し上げますと、第一審判決ですが、第一審判決の言い渡しを受けて、そして基準日の前日までに、または基準日以後にその裁判にかかわる罪の一部または全部について罰金に処せられた者、これは結局基準日の前に第一審の判決の言い渡しがあった者でございますが、そういった者で、基準日から起算して三カ月以内にその全部の執行を終わり——罰金でございますから罰金を納めるという全部の執行を終わり——または執行の免除を得たものは、その執行を終わりまたは執行の免除を得た日の翌日——六月の一日に罰金を納めたのであればその翌日の二日ということになりますが、その翌日——において、先ほどと同じような罰金に処せられておったために資格を喪失し停止されていたのを回復する。ただしこの場合も、他に罰金以上の刑に処せられているときは除外されるわけであります。これが復権令の内容でございます。 それから次に、閣議の決定できまりました沖繩の復帰にあたり行なう特別恩赦基準でございます。これは特赦、特別減刑、刑の執行の免除及び特別復権、こういう四種類の特別恩赦基準を定められたのでありますが、これはその対象といたしましては、原則といたしまして五月十五日この基準日の前日までに有罪の裁判が確定している者でありますが、さらに、その第二項でただし書きといたしまして、基準日の前日までに、先ほどの復権令と同じように、略式命令その他いわゆる第一審の判決の言い渡しを受けて、基準日から起算して三カ月以内にその裁判にかかる罪で有罪が確定したといった者に対しましても、その基準による恩赦を行なうことができる。こういうまず原則的な現定でございます。 それからあと出願の基準がございますが、これは手続だけの問題ですから省略させていただきまして、特赦の基準を申し上げます。ただいま申し上げました四つの特別恩赦の中でまず特赦の基準でございます。 特赦といたしまして、冒頭の要件が、特赦は、次に掲げる者のうち、——犯罪の情状でございますが——犯情、——その人のいろいろな——行状、それから犯罪後の状況などにかんがみ、特に赦免する——赦免するというのは特赦でございます、罪を許してしまうことでございますが、将来に向かって全部許すということでございますが、——赦免することが相当であると認められるものについて行なうわけでございまして、その一つといたしましては、沖繩の復帰に伴いまして特別措置法がつくられておりますが、その特別措置法の二十五条第一項で、復帰前に沖繩で効力のあった刑罰法令の中で復帰後は効力を有しないという刑罰法令を政令で定めておりますが、結局復帰後は日本の法令としては効力を有しないという刑罰法令にきめられた規定によって復帰前に沖繩で刑に処せられた人、これを第一に復権で取り上げていこうというわけであります。 それから二番目に、硫黄鳥島その他の島と書いてありますが、いわゆる沖繩地域でございますが、その沖繩の地域とその他の本邦の地域と、復帰前本土と称しておりました沖繩以外の、現在からいえば本邦の中の沖繩以外の地域との間に施政権が違ったために規制されておりました法令がございますが、その中のこういう施政権が違うために、本邦との間に出入国、あるいは沖繩の法令でいえば出入域がありますが、出入域、輸出入——これは本土から沖繩へ輸出になれば向こうの沖繩は輸入になりますが——輸出入の関係。それから支払いの手段を規制する——外国為替管理令関係など支払い手段を規制する法令のこういった規定に違反いたしまして、復帰前にその刑に処せられたことが復帰後現に公共的な社会生活の障害となっている者、これは特赦を本人から出願をするということにいたしております。ただし輸出入、これは大体密貿易とお考えいただいてけっこうでございますが、そういった密貿易関係のもので、全部ではございませんで、国際的にこれは禁ぜられております麻薬、大麻、アヘン、覚せい剤、爆発物、銃砲刀剣類そういったものにつきましてはこれは特赦することができません。これは除いております。こういったものを除きました出入国もしくは出入域、輸出入、支払い手段を規制する法令、そういったものによって復帰前に処罰された者については特赦をもって救済しようというのが第二番目でございます。 第三番目は、少年のときに犯した罪によりまして刑に処せられて、その刑を終わったり、執行の免除を得た者——少年時の犯した罪で執行を終わった者ということでございます。 それから四番目に、五月十五日の基準日におきまして七十歳以上の人で、すでに有期懲役に処せられて基準日の前日までに刑期の三分の一以上を執行済みの者、それから無期刑の者では基準日の前日までに十年以上執行を終わった者、これを特赦していこうということでございます。 五番目が、禁錮以上の刑に処せられてその執行を終わってから、または仮釈放を許されてから基準日の前日の五月十四日までに五年以上経過した者で、その刑に処せられたことが現に公共的社会生活の障害となっている者でございます。これは本人から出願することにいたしております。 それから基準日の前日の五月十四日までに刑の執行猶予期間の一分の一以上を経過いたしました者で、その刑に処せられたことが現に公共的社会生活の障害となっている者、これも出願ということにいたしております。 それから七番目に、罰金以上の刑に処せられた者、これはもちろん沖繩を含むわけでございますが、その罰金以上の刑に処せられた者の中で、ただし、いわゆる自然犯というか、刑法と爆発物取締罰則——非常に凶悪といいますか、危険な犯罪を取り締まる爆発物取締法、こういったものによって刑に処せられた者は除くわけでございますが、それ以外の罰金以上の刑に処せられている者——ただし刑法の中でも過失犯だけは除きます——こういった罰金以上の刑に処せられた者のうちで社会のために非常に貢献した人でありまして、またこの刑に処せられていることが現に公共的社会生活の障害となっている者、これは出願によって特赦を検討しようということでございます。 それから八番目は、これはいままで申し上げました七つの各号にそのまま該当しないとしても、それに準ずるような人は、救える者は検討してみようということで、「前各号に準ずる者」という規定を置いております。 それから次が特別減刑の基準でございます。特別恩赦基準の第五項に基づいて特別減刑の基準を規定いたしております。減刑は、懲役または禁錮に処せられた次の者のうちで、犯情、行状、犯罪後の状況等にかんがみまして減刑が相当であると認められる者について行なうということでございますので、対象は懲役または禁錮に処せられた者でございます。 まず、先ほど申し上げました特赦の基準の各号に掲げておりますもので、犯情その他の理由で特赦をするということはできないが、減刑ならば考えられるといった者を一応対象として検討してみようということでございます。 三番目に、去る五月十日、沖繩の高等弁務官から沖繩における減刑令が出されたわけでございますが、これは五月十四日に効力を発生して実施されておるわけであります。その減刑令の中で減刑から除外する者を掲げております。その除外される者に掲げられた者、したがって除外されたことで沖繩における減刑令による減刑が行なわれなかった者を一応対象にいたしております。そういった者の中で、沖繩では減刑にならなかったけれども、復帰後、本土の恩赦法等の恩赦法令によって特別減刑を考えられる者は考えていこうということで取り上げておるわけであります。 それから三番目が、少年法の適用を受けて不定期刑に——少年法でございますから不定期刑に処せられて、その刑の執行を終わっていない者で、基準日の五月十五日の前日までに短期の三分の一以上の執行を受けた者、ただし、法定刑の短期が一年以上という重い犯罪につきましては除外いたしますが、それ以外の比較的軽い犯罪につきましては、短期の二分の一以上の執行を受けた者については減刑を考えていこうということでございます。 それから四番目に、少年として少年法、または沖繩の少年法の適用を受けて有期刑に処せられて、その執行が猶予され、者、基準日の前日までに執行猶予の期間の二分の一以上の刑を経過した者で減刑を出願した者を取り上げております。 五番目に、この特別減刑につきまして一から四までいま申し上げましたが、それの各号に準ずる者という者でございます。 それから減刑をどの程度減刑をするのかということは、これは減刑は普通一般に行なわれておりますが、この特別減刑の場合は、無期懲役は二十年の有期懲役、無期禁錮は二十年の有期禁錮に減刑いたします。ただし、基準日に七十歳以上の者の場合は、十五年の懲役または禁錮とするということであります。 それから有期の懲役または禁錮につきましては、次のように刑期を変更いたします。基準日に七十歳以上の者の場合は、刑期の二分の一をこえない範囲でその刑を減じます。それからそれ以外の者、七十歳以上の者でない者、そんなに年をとっていない者、そういった者の場合は、刑期の四分の一をこえない範囲の減刑をするということであります。 それから、次に少年の不定期刑でございますが、不定期刑につきましては、短期及び長期につきまして刑期の四分の一をこえない範囲で減刑するということであります。 それから次に、執行猶予の期間の問題でございますが、懲役または禁錮について、執行猶予を言い渡された人につきまして、その執行猶予の期間の四分の一をこえない範囲で短縮するというのであります。これが特別減刑の内容であります。 それから次に、刑の執行の免除の基準であります。これは特別恩赦基準の第六項に規定されております。刑の執行の免除は、懲役または禁錮に処せられて、病気とかその他の事由で基準日五月十五日までに、長期にわたりその刑の執行を停止されておって、または執行に着手されていない者、この中から次のような者については、将来に向かって刑の執行の免除を考えてみようということであります。まあ今後長期にわたってなお執行ができないといったような——病気その他のことからその執行ができないと認められる者であります。 それから二番目に、いまこれから執行することが、かえって社会感情に合わない。また本人その他親族に回復しがたい損害を与えるといった者でございます。こういった者について、特別に刑の執行の免除を検討しようということであります。 それから、次は特別復権の基準であります。これは特別の恩赦基準の第七項に掲げてあります。特別復権は、次に申し上げます者の中で、犯情、行状、犯罪後の状況等にかんがみ、特に復権することが相当であると認められる者について行なうわけでありますが、まず禁錮以上の刑に処せられ——禁錮以上でございます。復権令は罰金だけでございますが、禁錮以上の刑に処せられて、その刑の執行を終わり、またはその執行の免除を得た日から——懲役一年なら一年の刑を終えてからそのあと——基準日の前日までに四年以上を経過いたしておりまして、その刑に処せられたことが現に公共的社会生活の障害となっております者で出願をした者でございます。 それから二番目に、いま申し上げました四年という期間を経過はいたしておりませんけれども、社会のために貢献するところがあって、現に公共的社会生活の障害となっている者で出願をした者を掲げております。 それから三番目に、先ほど申し上げました特赦基準に掲げております者、ただしその中で、執行猶予期間の二分の一を経過した者を申し上げましたが、これは復権ということの性質上、執行猶予期間中に復権はできませんので、復権というのは刑の執行が終わってからでなければできませんから、その復権の性質上、特赦基準の中の第六号に相当する者は含まれませんが、それ以外の特赦基準の各号に掲げる者で、犯情その他の理由によりまして特赦はできないという者の中で、刑の執行を終わり、または執行の免除を得ている者は、復権については特別復権を考えて検討しようということでございます。 それから今度出ました復権令の第一条、第二条、先ほど申し上げました第一条、第二条本文の要件に該当する者の中で、その制限規定によりまして資格を回復しなかったことについて、特に酌量すべき者があれば検討するという、これは復権の出願をした者に限っておるわけであります。 特別恩赦基準の第八項に「その他」といたしまして、特に今回の恩赦につきましては、沖繩の裁判所で裁判を受け、刑に処せられた者につきましては、今回の沖繩復帰の意義にかんがみまして、第四項から第七項までの適用に関して特に寛大に取り扱うというように規定されておるのでございます。 以上が今度の恩赦の内容でございます。
○矢山有作君 ありがとうございました。 それで、その特赦の中で罰金以上の刑に処せられた者のうち、社会のために貢献するところがあり、刑に処せられたことが公共的社会生活の障害になっておる者というのは、大体具体的にどういうのが対象になっているわけですか。
○政府委員(笛吹亨三君) 社会のために貢献した者ということの解釈でございますが、これは諸般の具体的な状況をいろいろ総合勘案いたしまして判断するものでございまして、なかなか一般的に言いにくいのでございますが、社会的にある程度評価されるような功績のあることが該当すると思われます。これはわりあいまあ一般的に認められておりましたのは、いままでの場合でも認められておりましたのは、PTAの役員をしたとか、自治会の役員をしたとか、消防団の役員あるいは同業組合の役員等、広く一般的な地位に基づいて社会のために尽くしたという人、あるいはその他民生委員とか保護司なんかも入るわけでございますが、そういったことで世の中のために尽くした人、あるいはまた過去に社会のために貢献したことで、たとえば人命救助といったこともございますが、そういったことで表彰を受けた者など、それからいろんな政治的にまた尽くされた方もこの中にはもちろん入るわけでございますが、そういったように、広く世の中のために尽くされた方といった者がこの中に入ると思います。
○矢山有作君 まあいろいろ社会のために貢献するところがあった者の内容を御説明いただいたわけですが、一番あとからおっしゃった政治的に尽くされたというのが私はこの項に当たる大部分ではないかというふうに推量をしておるわけです。というのは、端的に言うなら、要するに公職選挙法違反に問われた連中がここで大きく救済をされるんだろうと、こう思ってるんですが、実態はそうじゃないんでしょうか。
○政府委員(笛吹亨三君) 別に公職選挙法違反に問われた者をここで取り上げるためにこういう規定があるわけじゃございませんで、ただいま申しましたように、世の中のために非常に広くいろいろ尽くされておられる方がございまして、こういった方が今後また公共的な社会生活をやる上において、やはりその刑に処せられたということが障害になっておるといったような場合がありまして、その前に犯情、行状その他いろいろ条件がございますので、そういった点を検討いたしましてまあ恩赦すべきかどうかを考慮していこうということでございまして、決して公職選挙法違反を考えてやっているわけではございません。
○矢山有作君 じゃ、局長ね、これはな、まず問答したってしょうがないんでね、公職選挙法違反を救おうと考えてこの項をつくったわけじゃないんだろうけれども、実際問題としてこの項に該当する者は公職選挙法違反に問われたのが大部分ではないか、こう言ったら私の聞かんとしているところがより明確になるだろうと思いますから、政府委員としてきわめて中立的に客観的に答えていただきたいと思います。
○政府委員(笛吹亨三君) これはどのぐらいの人がどういう点でこれに該当してまいるか、ちょっといまのところでは想像つきませんので、まあ特に出願をされる方、出願の条件にもなっているところでございますので、ちょっとそこのところの数からの判断はできかねるわけでございます。
○矢山有作君 なかなか私のほうも実数を握らずに質疑をしているわけだから、あんたのほうへそればけしからぬ答弁じゃないかと言うわけにもいきませんが、まあ私は、おそらくこの項で救済されるのは選挙法違反に問われたのが大部分だろうと、数としては圧倒的に多いんだろうと、こういうふうに理解をしているわけです。そこのところぐらいは、私は、あなたのほうでこういう政令恩赦をやられる以上、大体の見当はつけてやっておられるんだから、そのくらいの答弁はできると思ったけれども、まあなさらぬからそれ以上は言いませんが、いずれにしても復権令の二項ですか、「基準日から三月以内に罰金を納付したものは、」云々という項、あるいはまた特別恩赦の基準で、「基準日から三月以内に有罪の確定した者」という、こういうような文句がつくことによって、きわめて広範に私どもが世論の中で問題にしておる公職選挙法違反の人間が救済をされるという結果になったということだろうと思いますが、私は少し政府に考えてもらいたいのは、これだけ公職選挙法違反を恩赦の中に加えるべきではないという世論が強かったということは御承知だと思うんです。であるとするならば、政治の姿勢を正すという意味からいっても、公職選挙法違反に対してかくのごとき広範な恩赦を適用するような復権令なりあるいは特別恩赦をなさるということについては、私どもは非常に大きな疑問を持ちますし、とうていこういうものを容認するわけにはいかないわけでありますが、そういう点で私は政府のほうにきびしい反省を求めたいと思うんです。 そこで、もう一つちょっと聞いておきたいんですが、戦後大体この政令恩赦は何回やられましたか、いままでに。
○政府委員(笛吹亨三君) 戦後の政令恩赦が行なわれました数を申し上げますが、これはもう御承知だろうと思いますが、まあ数だけを申し上げて誤解を招きますといけませんから、何の場合に何ということをちょっと申し上げます。戦後ということでございますので、まだ旧憲法時代のものも含めます。 昭和二十年十月十七日に第二次大戦終局の恩赦、これは大赦令、減刑令、復権令、これが一つ。それから昭和二十一年十一月三日に日本国憲法公布、これが大赦令、減刑令、復権令。それから次に、非常に小規模でございますが、二十二年の十一月三日にいま申しました第二次大戦終局と日本国憲法公布の恩赦の減刑令の修正という形の減刑令が出ておるのがございます。これも一つに数えますとこれは三回目になるわけですが、これはまあいま言いました二回目の修正という形でございますが、独立してこれを言うべきかどうか、多少疑問がございますけれども、それから次が昭和二十七年四月二十八日の平和条約発効の恩赦、これが大赦令、減刑令、復権令。それから次が昭和三十一年十二月十九日の国連加盟記念の恩赦、これは大赦令だけ。それから昭和三十四年四月十日皇太子御結婚記念恩赦、これが復権令でございます。それから昭和四十三年十一月一日、これは明治百年記念恩赦、復権令だけであります。 以上まあ七回でございます。
○矢山有作君 戦後七回で、これほとんど全部選挙法違反が大赦になっておりますですね。そうすると大体三、四年目ごとに一ぺんぐらい恩赦によって選挙法違反が全部救済されているわけです。この実態を見たら、この間加瀬委員からも指摘がありましたが、私どもはこの恩赦というものが選挙法違反事件に対して果たしておる役割りというのは、まさに選挙法違反奨励の役割りしか果たしておらぬ、こういうふうな感じを受けざるを得ないわけです。そういう点から見ても私は今回の恩赦に公職選挙法違反事件を含めたことは不当であるし、今後のあり方としてこういうような恩赦のあり方というのはもうやめてもらいたい、こういうふうに思っておるんですが、大臣、どうですか。
○国務大臣(前尾繁三郎君) 率直に申しまして、いままでの実績からいうと、そういうように非常に回数が多いと私は思います。しかし、沖繩恩赦以後、はたして恩赦がいつ予想されるかということになりますと、私は、そんなにあるものではないのでありまして、ちょうど終戦直後に何回かそういういろんな大きな変革なり国家的慶事があったという偶発的な問題だと思います。 また、選挙違反について私どももいろいろと考えてみましたが、私は、法の前に平等であるというたてまえをとってみますと、この際選挙違反だけを除くというのもとりがたいという感じでありまして、そういう意味から、全部とにかく罰金刑である限りにおいてはいかなる犯罪でも同様に取り扱っていこうというのが今回の私の考え方であったわけでありまして、その点、御了承願いたいと思います。
○矢山有作君 法務大臣のおっしゃる、まあ選挙違反者だけを除くのも少し公平の立場から見ておかしいとおっしゃるけれども、私は、ほかの犯罪者と違って選挙違反者というのはこれはいわば民主政治の破壊に手をかしておる連中です。ほんとうの民主政治の確立というのは、私は、正しい、公正な選挙によって選ばれてきて、選ばれた議員によってはじめて私は成り立つと思うのです。それが、選挙違反はやらなければ損だと、当選しさえすれば問題じゃないんだということで、選挙違反を悪いことと考えないで、むしろやった者がやり得なんだという、そういう悪らつな意図を持って選挙違反をやっておるというのが、私は今日の日本の実情じゃないかと思うのです。そういう立場でいうならば、選挙違反者というのは、これはほかのどの犯罪にも増して凶悪な、民主政治の破壊に手をかしておるものだと、こういう立場からいうならば、私は、こういう連中に恩赦を与える必要はさらさらないと思うのです。この点、法務大臣とだいぶ私の意見が違うようでありますけれども、これは法務大臣も、ゆっくり考えていただいたら、私の言わんとするところはわかると思うのです。そういうきびしさというものを私は民主政治を口にされる以上は、法務大臣にも持っていただきたいと思うのです。その点、いかがでしょう。
○国務大臣(前尾繁三郎君) 選挙違反に対する観念の問題でありますが、また選挙違反といいましてもいろんな態様がありまして、文書違反、まことに最近は文書違反という問題が多くなったわけでありますが、そういう問題、まあいろんな態様もありますし、またこれでいけば少なくとも候補者とかあるいは本人というものが犯した選挙違反は救済にはならないのであります。 また、現在の選挙違反をどう考えるかという問題について考えましたけれども、率直に、まあ自然犯と同様に刑法の中に選挙違反というものが取り入れられる時代があるんではなかろうかと思います。また、現にそういう国もあるわけであります。しかし、現在まだ選挙制度そのものがほんとうに定着していない。でありまするから、刑法草案にも刑法上の罪として入れるか入れぬかということについていろんな議論がありましたが、結論的にはまだ時期尚早であるというふうにいわれておるのでありまして、遠い将来は別としまして、現段階においてはやはりこれは他の刑法上の罪、あるいは爆発物等の取り締まりに関する罪、そういうものとは違えて考えるべきだという結論に到着したわけであります。
○矢山有作君 私が先ほど言いましたのは、もちろんすべての選挙違反事件をそういうふうに考えているわけじゃありません。あなたもおっしゃっているような自然犯的なものですね、こういったものについては、私は相当きびしい態度で臨むべきだと、こういう立場で申し上げておるわけでありますが、この点につきましては、今後の検討の課題でありましょうから、議論は残しておきます。 参考のために保護局長に伺っておきたいのですが、今度のこの政令恩赦で、選挙違反事件を起こした人で救済される者は大体見込みはどのくらいありますか。
○政府委員(笛吹亨三君) この復権令の該当者だけは大体推測を立てて——推定でございますが、確定した数字はちょっとわかりませんので、いろんなデータをなにして推定をしたわけでございます。復権令全体で該当と思われるものは約六百五十万名でございますが、その中で公職選挙法違反の者は約三万四千名と推定いたしております。
○矢山有作君 罰金刑以外で禁錮刑以上、これはどのくらいありますか。
○政府委員(笛吹亨三君) これもなかなか把握がむずかしいのでございますが、推定でございますけれども実刑は約五十名、それから執行猶予が約四千名ではないかと推定しておるわけでございます。
○矢山有作君 それでは次に質問を移してまいりたいと思いますが、まあ政令恩赦についてはこの前の議論を私もここで聞いておりましたが、政令恩赦が公平の精神にのっとってやるんだということを法務大臣もおっしゃっておったように記憶しております。そういうことになると、私は政令恩赦をやる場合に、どういうふうな基準でやるか等々について、諮問をするための諮問機関として恩赦審議会を設けたらどうかというのが、恩赦法一部改正の法律案としてわれわれのほうから提案しておるわけですが、この恩赦審議会を諮問機関として設けるという考え方についてはどうお考えになりますか。私の考えるところでは、この恩赦審議会を設けたところで、恩赦が内閣の権限であるというその権限を侵すわけでもありませんし、むしろこれから行なおうとしておる恩赦について、具体的にどういう基準、態様でやるかということについて、民意を反映するということにもなるわけですから、そういう意味で、私は積極的にこの恩赦審議会というものを設置するという方向でいかれるのが、将来としてはいいんではないかというふうに考えますし、この恩赦審議会を設けるための恩赦法の一部改正は、十年ばかり前に参議院では通過をしたというふうに聞いておりますが、その点、どうお考えになっておりますか。
○国務大臣(前尾繁三郎君) 実は先般御提出になっておる恩赦審議会の法案について意見を求められまして、私お答えしたところが、そのあとで、どうも政府がいろんなことをいうのはけしからぬというお話で、まあ私の個人的意見を申し上げたので、国会で御審議になる分については、別にそれを押えようとか何とかいうことではないといって、お断わりしたわけでありますが、まあ問題点として提供いたしますなら、一つは、ただいまのお話のような責任の問題、諮問機関だから別に内閣が責任を負うということでいいじゃないかという議論もあると思います。まあしかし、審議会を設けるということになれば、やはり審議会の意見に従うというのでなければ、ただ単に聞いたというだけでは意味がないと思うわけであります。そうなるとやはり審議会の意見がそうだったからという責任のがれになりはしないか、こういう問題点が一つと、もう一つは何と申しましても、恩赦はまあ本質的にやはり予期せざる喜びということだと思います。そうして喜びをみんなが分かち合うというところにあるのでありまして、それが事前にいろんなことが世間に流布され、またそれによっていろんな問題が誘発するということは、必ずしも私はとるべきことではないので、むしろやはり、国会にも責任を持って、同じく国民にも責任を持っておる政府が全責任をもってやるべきものではないかというのが、私のこの二つの問題点を考えた際の個人的な意見であります。まあそれ以上は皆さんいろいろと御議論を願って、私の意見を問われるものですからお答え申し上げたにすぎませんので、その点は御了承願いたいと思います。
○佐々木静子君 関連で。 大臣にいまお考えを伺ったのでございますが、いまこの法案で審議しておりますこの中央更生保護審査会のほうは決定機関でございますね。決定機関の場合、個別恩赦については、決定機関であるこの審査会できめる。政令恩赦については、今度の改正案では諮問機関である。ところが、その諮問機関できめた場合に、法務省は責任の所在がはっきりしないとおっしゃる。それじゃこれは、諮問機関と決定機関というものを法務省のほうではどう考えていらっしゃるのか。決定機関できめた場合に法務省の責任がはっきりしないとおっしゃるのなら私どもわかるんですけれども、決定機関ですでに個別恩赦をきめておられながら、今度は単なる諮問機関の改正案を出しておられるのに対して、責任の所在がはっきりしない、これは私はたいへん矛盾しておるんじゃないかと思うんです。大臣はその点どのようにお考えになるかお伺いしたい。
○国務大臣(前尾繁三郎君) この中央更生保護審査会の場合に、これは決定機関でありまするから、これは何らタッチするものではなしに、内閣はそれをうけて内閣が決定するんですが、まあこれは、全部決定機関のきめたのを確認するという程度の意味しかないと思います。そこで、恩赦審議会というものを設ければ、やっぱりそういうものであれば意味があるかもわかりません。しかし、そうでなければ結局責任の所在というものがどうなるかということになるんじゃないか、かように思うわけであります。もとより、中央更生保護審査会の場合には決定機関で——むしろ決定機関でありますが、何と申しましても、行政権が司法権の効果を変更するというんですか、ひっくり返すわけでありますから、非常に手続が重厚にできておるにすぎないと、こういうふうに考えられるわけでございます。
○佐々木静子君 どうも、せっかく御答弁いただいたのに、恐縮ですが、さっぱりおっしゃることがわからないわけなんです。決定機関である審査会できめて、法務省はほとんどタッチしないで内閣へ送る、その場合には法務省が責任をとれるとおっしゃるわけなんでしょう、結局。そして諮問機関であればこれは責任の所在がはっきりしない——話が逆なんじゃないですか。一体、どういうことになってるんですか。
○国務大臣(前尾繁三郎君) 要するにまあ、率直に言ったら、認証するということだと思います、中央更生保護審査会の場合には。ところが、この政令恩赦の場合には、私は、単なる確認機関ということではありませんし、これはまあ、憲法においても、内閣が全責任をもってやるということになっておるんでありまするから、これをただ、要するに、恩赦審議会の決定によってきまるのに、全責任を内閣が責任をもたなければならぬというのは、ちょっと私にはふに落ちないんで、あるいは、どういうお考えか知りませんが、まあ私なりにそういうふうに考えておるわけであります。
○佐々木静子君 すみませんが、何回も伺って、関連ですのでもうやめておきたいと思いますけれども、いまの審査会のほうは認証することによって責任を負うとおっしゃったわけですね。他の機関がおきめになったことを認証するだけでも、法務省は責任を負われるわけなんでしょう。ところが、この恩赦審議会のほうは、これは諮問機関で、決定されるのは法務省なんですよ。法務省というか、少なくとも審議会が決定するんじゃないですよ。それだったら、決定されたところの法務省が、当然責任ははっきりするんじゃないですか。話が逆なんじゃないですか。
○国務大臣(前尾繁三郎君) 事務当局の意見をひとつ。
○政府委員(笛吹亨三君) ちょっと整理させていただきますが、中央更生保護審査会が決定機関であることは間違いないんでございます。先ほども私御説明申しましたように、恩赦が相当であるか相当でないか、を審査する。審査しました結果、恩赦相当でない、恩赦不相当というものにつきましては、これはまあ法務大臣なり内閣に上げませんので、この点における意味においては完全な決定機関でございます。それから恩赦相当というものにつきましては、これは法務大臣に申し出をいたしまして、法務大臣は、これを申し出を受けないというわけにはいきません。これを、申し出に拘束されて閣議に、内閣に出すわけでございまして、そこで内閣が、これは憲法上内閣の権限になっておりますので、内閣が検討されまして恩赦を決定されるわけでございます。ただ、事実上は、もう中央更生保護審査会のきめられたとおり閣議で決定されておるのが実情でございます。そういった意味で、中央更生保護審査会は決定機関でございます。
○矢山有作君 私も、いま聞いておって、どうしてもわからぬのですがね。中央更生保護審査会は決定機関ということですから、恩赦審議会に比べればずっと、何というんですかね、まあ決定的な権限という表現でいいんですか、持っているわけですね。ところが、恩赦審議会のほうは、私は、そういうふうな強力な、中央更生保護審査会に比べたら、それほどの大きな決定権限を持っているわけじゃないんですね、これは単なる諮問機関ですから。ただ諮問をして、それに対して恩赦審議会が出した答申を政府がどこまで尊重するかせぬかという問題は残ります。したがって、あくまでもこれは政府が最終的に決定をすることになるわけですね。政府の責任でやることになるわけです、これこそまさに。中央更生保護審査会の場合には、なるほど内閣で最終的には決定されるにしても、実質的にはもう審査会で決定されてしまっている。ところが恩赦審議会のほうでは、そこまではいっていないわけですね。諮問に対してただ意見を出すだけ、それを取り上げてそのとおりに決定するかせぬかは、これは内閣の責任なんでありますから、内閣の責任でやることなんで、むしろ私は、恩赦審議会を設けることは、一つも内閣が恩赦をやる権限を持っておることとは矛盾するものではないと思うんですがね。ただ問題は、そういう審議会を置きますと、それを内閣がその通りに守らなかった場合にはけしからぬじゃないかと、答申をサボったとか、答申をけちったとか、いろいろな批判は受けるでしょう。いままでも、たとえばいろいろありましたね。内閣が、設置した諮問機関に対して諮問をする、答申を出す、答申を守らなかったじゃないかということで、内閣がきびしい批判を受けたことはあります。そのことはあるかもしれないけれども、別段私は現行制度に抵触するようなものではないと思うんですがね。そこのところがどうしてもわからない。
○国務大臣(前尾繁三郎君) まっ正面から抵触するとか、そういう問題ではないと思います。要するに、できるだけ責任を明確にしたほうがいいかどうかと、要するに程度の問題だと思います。で、もう一つの、できるだけ秘密を守って最終段階にきめるということでなければならぬものでありまして、そういう意味合いから大衆討議をすべきものではないのではなかろうか。ことにやはり大赦というものも制度上あるわけであります。大赦の場合にはもう前日にわかっても当日にわかるというものでなければならぬわけでありまするから、その以前にそれがいろんなことが漏れるということになりますと、これでいろんな混乱を起こすという問題だと思います。その二点で私の見解を先ほど述べたにすぎないのでありまして、真正面から抵触する、あるいは論理的におかしいとか、そういう問題じゃないと思っております。
○矢山有作君 大臣の御意見は御意見でわかりますが、私は内閣が最終的な決定の責任を持つということについては恩赦審議会を設けたことによってそのことは一つもそこなわれぬと思います。大臣のおっしゃった第一の、そのほうは私はあまり問題ではないんではないか。むしろいみじくも大臣がおっしゃった二番目の、とにかく内緒にしておいて、こっそりやりたいのだ、きまってしまうまでは、つまり秘密主義といいますか、そのほうが問題としては先行しておるんじゃないか、そういうふうに思うのですけれどもね。しかしそういうふうに秘密主義を貫くことと、それから政令恩赦というものを公平の原則に照らして誤りなくできるだけ合理的にやっていくという立場を比較した場合には、私は後者のほうを優先さすべきではないか、こういうふうに思います。しかしながら、これはこれ以上議論してもおそらく水かけ論でございましょうから、この議論はまたあらためての場合に残しておきたいと思います。
○佐々木静子君 ちょっと関連で。ちょっといまの大臣のお話にございました、事前に漏れると困るというお話で、私もその大臣のお気持ちがわからないわけではないわけですが、この中央更生保護審査会の方にしても、民間人その他の方が入っていらっしゃるわけです。その分については漏れないという前提だからそれでいいんだと思いますけれども、なぜこの一部改正法律案で出てきている一から六までの方、この方を委員になってもらった場合に、大臣は漏れるとお思いになるのですか。たとえばそのどの項目の人が漏らすとお考えになるのか、私、これを見ますと、これはかなりなレベルの、責任の持てる立場の人ばかりだと思うのです。大臣はこのうちだれが漏らすとお思いになるのか。私はこれは漏らしていけないのであれば、十分責任のとれる方々ばかりだと思いますが、いかがでございますか。
○国務大臣(前尾繁三郎君) 秘密というのはだれがということがわかる場合には漏れないのでございますが、(笑声)だれが漏らしたかわからぬというところに秘密は漏れるのでありまして、秘密というものはそういうものであるとお考え願いたいと思います。
○矢山有作君 しかし佐々木委員はなかなかもう一歩突っ込んだ御質疑をなさったわけですが、私もそう思うのですよ。これは内閣で政令恩赦をおきめになるときでも、おそらく大臣のその腹一つで、だれにも相談しないできめちゃって、それでその日になってばっと出すわけじゃないでしょうから、事前にやはりおそらく保護局長などというのは一番に相談にあずかるだろうし、そのほか、私はそれ相応の人たちが、どういう政令恩赦の内容にするかということで論議されると思うのです。それでも漏れないできているようですからね、ときどき新聞にちょろちょろ出ることがありますけれども、大体漏れないできているようだから、そうすると、いま佐々木委員の御指摘のような恩赦審議会の委員にあげられておる衆参の議員だとか、恩赦に関係のある「行政機関の職員」だとか、「最高裁判所が指名した者」だとか、あるいは「日本弁護士連合会が指名した者」とか、あるいは良識を代表する者として「学識経験のある者」だとか、こういうものが審議会に入るのだから、こういったその審議内容についてはこれは絶対に秘密を厳守してもらいたいといえば、十分私は秘密の守れるだけの人がそろっていると思いますがね。これは水かけ論でしょうが、大臣、あまり秘密主義に走らないほうがいいんじゃないですかね。恩赦の合理的な公平の原則に照らしての運用ということを考えられたら、これは最後にしますが、どうですか。
○国務大臣(前尾繁三郎君) 縦割りにいく場合はごく少数の人の責任はわかりますから秘密は守りやすいのであります。ところが同列の人がずっとおります場合には、なかなかこれは実際問題として秘密が漏れる、秘密だといって話をすればよけい漏れるというような実態でございまして、これは少し失礼な言い方でありますが、なかなか三十人の人が、しかも同列の人が秘密を守るということはなかなか容易なことでない、まあそのように私は実際問題として考えておるわけです。
○後藤義隆君 ちょっと関連して。 この恩赦の関係がよくわからぬからお聞きするわけでありますが、現在中央更生保護審査会は、これは個別恩赦の場合に、各個人について審査するのじゃないか。それからいま社会党がお出しになっておるのは個別についてするのでなしに、それとは全然性質の違う一般的の政令恩赦についてやるのではないか。そこでもって全然それは性質が違うのじゃないかというようなふうに私は考えるのですが、そこはどうですか。
○国務大臣(前尾繁三郎君) 政令恩赦と個別恩赦については、私もやはり性質が違うと、またその中間がまあ基準恩赦と俗に言われておるものでありますが、おっしゃるように、政令恩赦と、何らの手続なしにいく恩赦と、また個々の恩赦ということにつきましては、これはやはり考え方は違えていくべきだと思っております。
○委員長(阿部憲一君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時十分まで休憩いたします。 午後零時七分休憩 —————・————— 午後一時二十二分開会
○委員長(阿部憲一君) これより法務委員会を再開いたします。 午前に引き続き、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言を願います。
○矢山有作君 最初にお伺いしたいのは、地方更生保護委員会の委員にはどういう人を現在任命しておられますか、御説明願いたいと思います。
○政府委員(笛吹亨三君) 地方更生保護委員会は御承知のように全国に八委員会ございます。一つの部が三人をもって構成する合議体が関東の地方更生保護委員会では四部でございます。また四国では一部でございまして、合計で委員が五十二名おるわけでございます。 そこでどういう人がなっておるかということでございますが、これも若干いろいろの人が入っておりまして、多いのは地方更生保護委員会の事務局とかあるいは保護観察所あるいは法務省の保護局といったところに勤務した更生保護関係の職員から委員に任命されておるものがひとつの型でございます。それから矯正の職員から任命されておる人もございます。それから法務省の関係としましては、その他に現在一名入国者収容所長をやめた人——やめたといいますか、終えた人から任命しているのが一人ございます。それから人事院の職員からこの委員になっている人が現在二名おります。それから行政管理庁の職員から来ておるものもございます。そのようにいろいろの役所を終えた人が入って任命されておるわけでございます。
○矢山有作君 それから更生保護委員会の事務局ですね、事務局の構成は大体どういうふうになっておりますか。
○政府委員(笛吹亨三君) 事務局の構成につきましては地方更生保護委員会事務局組織規程という法務省令がございまして、事務局には事務局長が一人置いております。それからそのもとに課が総務課それから調査連絡課、審査一課、審査第二課とこういった課が編成されておりまして、それぞれの課には課長がおりそのもとに各それぞれの職員がおるという組織でございます。
○矢山有作君 何か保護観察官ですね、それが地方更生保護委員会には大体どの程度配属されておるのですが。全体として私が見たところでは八十人くらいが地方更生保護委員会に入っておるということになっているようですが、大体一保護委員会でどの程度の保護観察官になっておりますか。
○政府委員(笛吹亨三君) 地方更生保護委員会の事務局の中の観察官の定数でございますが、八委員会全部を通じまして八十名でございます。
○矢山有作君 そうすると、地方委員会の規模によっていろいろありましょうけれども、大体平均したところが十人程度というふうに考えておいたらいいわけですが、それ以外の職員はどのくらいおりますか。
○政府委員(笛吹亨三君) ちょっとただいま申し上げました数字は、沖繩が今度復帰になりましたその数字を入れておりませんので、そのつもりで御了承願いたいと思うのです。委員会の事務局の職員は、委員は事務局に入りませんので、委員を除きますと、事務局のその他の職員が九十五名になっております。
○矢山有作君 それは八委員会全体ですか。
○政府委員(笛吹亨三君) 全部を通じてでございます。
○矢山有作君 そうするとえらい少いようですが、一地方委員会における事務局の構成の規模というのは大体どのくらいになっておりますか、具体的に一、二お教えいただきたい。
○政府委員(笛吹亨三君) 関東地方更生保護委員会のように大きなところと、それから四国のように部がたった一つで委員が三人しかいないというようなところとではだいぶ規模が違うわけでございまして、四国のようなところですと観察官はごく少数でございますし、課長の下に二人しかいないような状況でございます。関東になりますとまたたいへんな人数になります。
○矢山有作君 関東なんかは特にそれは地方委員会の規模の大きいというのはわかるのですが、大体どういうぐあいな規模になっているのですか、事務局の構成は。具体的に一、二教えていただきたい、関東地方の大きいところ。
○政府委員(笛吹亨三君) ちょっといま正確な数字が関東地方委員会の事務局だけで何名かちょっとわかりませんが、約五十名くらいでございます。
○矢山有作君 一地方委員会ですか。
○政府委員(笛吹亨三君) 関東地方委員会です。
○矢山有作君 この事務局の構成等の問題はあとで多少関連してお伺いしたいのですが、地方委員会の委員の選任については、いまおっしゃったように、更生保護関係の仕事をやっておられた人が圧倒的に多いということのようですが、この委員についてはいろいろ考え方もあるでしょうが、保護司とか弁護士とか学識経験者とかそういったものをもう少し広く任命したらいいんじゃないかというような議論もあるようですが、この点はどうお考えですか。
○政府委員(笛吹亨三君) 弁護士さんからもしも採るとすれば、弁護士をやめていただかなきゃならないというような、これは常勤の一般職の国家公務員でございますから、そういう職業につくということはできませんので、これはおそらく現実的にはむずかしいことだろうと思います。保護司さんのほうからということでも、これもなかなか、それぞれ職業をお持ちの方が多いわけでございますので、相当現実的にはむずかしいことであろうかと存じますが、理論的には、そういったいろんな学識経験のあった方になっていただくことも可能でございます。しかし現実にはこれはできておりません。
○矢山有作君 それから、地方委員会は職権の審理で仮釈放の許可、不許可をやることができるようになっておるようですが、実際問題として、職権の審理で許可、不許可を決定するというようなことはどの程度やっておりますか。
○政府委員(笛吹亨三君) 最近そういうものは一件もございません。
○矢山有作君 一件もない……。 この仮釈放の申請は、現行法の制度では、まあ監獄の長等の申請だけしか認められておらないようですけれども、仮釈放というものを、従来の恩恵的なものという考え方から発展をさして、犯罪者処遇の有効な一つの手段だというふうな考え方に立つなら、受刑者のほうにもむしろ仮釈放を申請するような措置をとらしたほうがいいのではないかということがいわれておるようですが、この点についてのお考えはどうですか。
○政府委員(笛吹亨三君) 御承知のように、受刑者はそれぞれ判決でもって刑期をきめられて、刑務所その他の施設に収容されるわけでございまして、裁判所が考えておるそういった刑をつとめなければならない立場にあるわけでございます。これが、仮出獄によりましてその刑期よりも早く一応釈放される、社会内において処遇して更生をはかっていくということでございまして、これは刑期そのものには全然変わりはないわけでございます。その刑期の範囲の中で、施設内で更生をはかり教育をするか、施設の外に出して一般社会の生活をさせながら更生をはかっていくかという違いでございますので、これは、その者の施設内における行状その他から考えて、改悛の状がありと認められて、一定の期間を経過した者だけに刑法はこれを認めるという立場をとっておるわけでございますので、これは、本人からの出願という形をとりますと、半ば権利のような形になりますが、本来刑法はそういったたてまえをとっておるものでもございませんし、今後もそういう立場をとらないと思いますし、また私自身の考え方ではそういう性質のものではないと思っておりまするから、やはりこれは本人から出願させるということはできないたてまえであろうと、このように考えております。
○矢山有作君 この問題については、政府の考え方はわかりましたが、しかし、仮釈放というものを犯罪者の社会復帰への有効な手段として考えていくという立場からは、その権利という強いことばを使う、使わぬは別として、犯罪者みずからが申請をするというようなことも認めたらいいんではないかという議論はあるようですね。
○政府委員(笛吹亨三君) 私、正式な場でそういう意見を聞いたことはないんでございますが、何か、そうしたらどうなんだということを言っておられる方が、個人的な意見としてお持ちの方があるようには聞いております。ごく少数じゃないかと思っております。
○矢山有作君 これはまあ、そういうことを言っておる学者もおるようで、そういったものもちょっと読んだことがありますので、仮釈放の、何というのですか、仮釈放に対する最近の考え方——最初仮釈放というものは恩恵的なものと考えられておったようですが、最近は先ほど言いましたように、それがずっと進んできて、犯罪者の処遇の一つの手段、できるだけ早い機会に社会復帰をさせる、そういうような一つの手段として考えられるという要素が強くなっておるというようなことから、そういうふうな議論をしておる学者もあるようですので、一応話を出してみたわけです。そういうお考えが全然ないようでありますから、それはそれとして、いまの政府の考え方として承っておきます。 それから、仮釈放の審理は、地方委員会が地方委員を指名して行なわせることになっており、その審理は、本人の人格、在監在院中の行状、それから職業の知識、入監入院前の生活方法、家族関係その他の関係事項を調査して行ない、さらに審理を行なう地方委員は本人に面接をしなければならないとされております。そうすると、私の考え方からするならば、そういうことをやっているのは主査委員というのだろうと思いますが、主査委員の主観に左右されるという要素が非常に強くなってくるのではないか。そうすると、せっかく合議制をとっておる趣旨が減殺されてくるというような気がするわけです。そういう点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
○政府委員(笛吹亨三君) 仮釈放の審理の一応の手続を御説明申し上げたほうがむしろ御理解願うのが早いかと思いますので、若干その点に触れてみたいと思います。 対象者が判決確定して執行されて施設に入りますると、施設のほうから、身上関係の調査をしたものを、その者の帰住する予定地であるところを管轄する保護観察所に送ってまいるわけであります。保護観察所におきましては、これによりまして、その者が将来仮釈放になるべきときに帰住する関係の環境といったものを調査するわけであります。これは、保護観察官が直接やる場合もありましょうが、大多数は、保護司を使ってその調査をして、どのような環境の者であるのか、もしも釈放の上においてまた再犯を犯すようなことがあってはいけませんので、そういった点を慎重に考慮しまして調査をいたすものでありまして、そうしてその環境を多少、もっと是正すべき点があればそういった調整もするというようなことをいたしておるわけであります。 それから、刑法で、御承知のように、無期懲役につきましては十年、それから有期の懲役、禁錮につきましては三分の一を経過すれば、その行状が改悛の状があれば仮釈放してもよいということになっておりますが、こういった十年なり三分の一なりの期間を経過いたしましたときに、施設のほうから地方更生保護委員会のほうに、いわゆる応当日と称しておりますが、その日が来たと、そういう日が来たという通知がまいります。そこで、大体法律的には一応仮釈放、仮出獄をし得る期間が経過しておるということが、地方更生保護委員会のほうでわかるわけでございます。それで、そういった環境の調査、調整のほうを委員会と保護監察所のほうで協力して続けておるわけでありまして、その後、施設のほうから、施設の中でのいろいろな審査がございまして、この者の仮出獄が相当であるということに相なりますると、施設のほうの意見として、仮出獄の申請が出てくるわけであります。また、その場合に、その直後であれあるいは施設と委員会との関係にもよりまして、できればその前に、地方更生保護委員会の事務局の保護観察官を使いまして、いろいろと調査をするわけでございます。そうして、この者が仮釈放相当であるかどうかということを、下調査といいまするか、委員が調査する前に、観察官がやるわけでございまして、観察官も大体全部その対象者に、施設に行って面接しております。委員が面接する前に、観察官も面接して、いろいろなことを聞いて、環境も調整しなければならない点は調整するといったようなことで、いたしております。その者に面接して、いろいろその者の改悛の状についての心証もとっておるわけであります。そういったものを、いろいろ観察官としての報告書が出ておりまして、そういった環境の調査といったこともやっておりまするから、そういった仮出獄についての記録が相当できておるわけであります。 そういったものをいろいろ総合いたしました上で、主査委員が、先ほどおっしゃいましたように、本人に面接して、いろいろまた心証をとり、また聞き、それからさらにまた、主査委員のところでいままでの調査では不十分だという点があれば、観察官をしてもっと調査をさせ、また調整もさせるといったことをいたしておるのでありまして、それからいよいよ主査委員のところで、これで合議の審理にかけていいんだという段階になりまして、合議にかけて、部長をはじめ三名の委員で構成する合議体でこれを審理いたしますが、その際に、もちろんこれは主査委員でございますから当該事件について一番よく知っておりますので、いろいろその報告をいたします。そのときに、合議にかかった際に、いろいろ資料がありまするから、各委員がやはりそれを全部一応目を通し、審理して、各意見を戦わして決定するわけでありますので、主査委員だけの主観によって決定されるというようなことにはならないと見ておるわけでございます。
○矢山有作君 説明を承れば、なるほどごもっともだというとおりに私も思います。しかし、せっかく合議制をとっておるわけですから、できるだけ客観的な判断をしようということに重きをおくならば、主査委員が全部を調査し、そうしてあとの二人の委員は合議にかかるまて何も知らないということよりも、できるならば複数でこれらの調査・審理に当たったほうがいいんではないか、こういうふうに私どもは考えるわけです。おそらく組織・機構の上から、なかなかそういうふうなことがやれないだろうとも思いますけれども、これは、できるだけそういう方向で、私どもは複数で調査に当たり、そうして合議制の妙味を生かしていったほうがいいんではないかということを、希望的な意見として言っておきたいと思います。 それから次は、最近の仮釈放の決定状況を御説明いただきたいと思います。
○政府委員(笛吹亨三君) まず複数で、主査委員をして審査をという御意見でございますが、これは機構上、何も複数にして悪いということはございませんので、これはやろうと思えばできるわけでございますが、実際上は非常に事件が多くてなかなかやれない。しかしながら、非常に重要な事件になりますと、事実上こういうような方法を講じておるケースもあるようでございます。 それから仮釈放の最近の状況でございますが……。
○矢山有作君 棄却率等、簡単に御説明願ったらいいです。
○政府委員(笛吹亨三君) そうですが……。ちょっとここに、昨年の統計がまだできておりませんので、四十五年までの統計でございます。仮出獄を申し上げますと、仮出獄の件数として、受理件数が二万九百四十一件、そのうちの許可が一万八千六十、これは総数に対する八六・二%でございます。それから棄却が千八百四、これは総数に対する八・六%になっております。形式的な要件その他が欠けたとかそういったことでまた却下その他の処分がありますが、これが千七十七で五・二%、こういう状況になっております。 参考のために、その前年の四十四年を申し上げますと、総数が二万二千四百五十六、許可が一万九千四百四、これが八六・四%になっております。それから棄却が二千七十三、これが九・二%、却下その他が九百七十九で四・四%。そのもう一つ前の四十三年が総数が二万三千五百八十、許可が一万九千八百三十二、八四・一%、それから棄却が二千六百十八、一一・一%、却下その他が千百三十で四・八%、大体三カ年間このくらいになっております。
○矢山有作君 大体棄却率は漸減傾向にあるということはわかります。 それからその次は、仮出獄でいいですから、仮出獄者の刑の執行状況はどういうふうになっておりますか。
○政府委員(笛吹亨三君) ちょっと、執行状況といいますと、仮出獄までにどのくらい刑務所で在監したかということでございますか。
○矢山有作君 ええ。定期刑の仮出獄なら定期刑の仮出獄者の総数をパーセンテージで言っていただければいいんです、どの程度執行をやっているかということ。犯罪白書に出ておることだけれども、一応そちらから言ってもらったほうがよかろうと思います。定期刑仮出獄者の刑の執行状況とか、無期刑仮出獄者の在監期間とか出ているはずですから……。
○政府委員(笛吹亨三君) これはまず有期刑だけの中で、犯罪の罪種によりましてこれはずいぶん違うわけでございますが、昭和四十五年の統計によりますと、道路交通法みたいなものは除きまして、総数一万七千八百七十六の許可された者の中で、在監期間一年以内の者が六千八十四、これ何%かいまちょっと出しておりませんが、六千八十四、それから一年をこえて二年以内というのが六千六十八、それから二年をこえて三年以内というのが二千九百十、三年をこえて五年以内が千七百八十七、それをこえて十年以内というのが九百二十二、十年をこえるのが百五、これは刑期によりましてまたいろいろありますから、一がいにこれだけでどうだということにはちょっとむずかしいのじゃないかと思っております。 それから無期刑の者でございますが、これは四十五年の統計ですが、総数八十八、その中で十二年以内に仮出獄したという者が四名、パーセンテージは四・五になります。それから十二年をこえて十四年以内、これが三十二名、三六・四%、それからそれをこえて十六年以内、これが三十七名、四二%、それからそれをこえて十七年以内、これが二名、二・三%、それから十八年以内、これが二名、これも二・三%、それから十九年以内、これが五名で五・七%、それからそれをこえるものが六名、六・八%と、こういった状況でございます。
○矢山有作君 まあ私のほうにも犯罪白書四十六年版があるのでわざわざ言っていただくというのもどうかと思ったんですが、一応そちらで確認していただいたほうがいいと思ったから言っていただいたわけです。大体いまおっしゃったとおりであるわけですが、これから質疑を進めていく都合上、一応私のほうで整理をして申し上げてみたいと思うんです。 それは仮出獄者の刑の執行状況、これ定期刑の仮出獄者の場合、総体の数字で言っておいたほうがいいと思うんですが、四十五年一万七千何がし、この点はおっしゃったとおりだろうと思います。それで犯罪白書を見ますと、刑の執行率が四〇%未満はゼロと、四〇から四九%の間もこれも一人あるようですけれども、これはまあパーセンテージからいったらゼロになっています。それから五〇から五九%の執行率が〇・三%、六〇から六九%が二・八%というふうにずっといって、八〇から八九%が二八・五%、九〇%以上の執行率が五三・四%、こういうふうになっておるようでありますけれども、したがって八〇%以上の刑の執行率が八一・九%。それから八一・九%の者は八〇%以上の刑の執行がなければ仮出獄をもらえてないと、こういうことになるだろうと思いますが、そう理解してよろしいね。
○政府委員(笛吹亨三君) 昭和四十五年の実績はそのとおりでございます。
○矢山有作君 それから無期刑の仮出獄者の在監期間は、先ほどおっしゃっていただきましたとおりで、十年以内が二人ですか、十一年以内二人、だから十一年以内ということになると四・五、六%のもののようですね。それから十三年をこえて十六年以内、これで見ると、これを全体を合わせると何%になりますか、七〇・六%ぐらいになるようです。これも大体そういうふうな数字で理解していいすね。
○政府委員(笛吹亨三君) そのとおりです。
○矢山有作君 それから仮出獄の期間について同じく犯罪白書の一七九ページに出ておりますが、仮出獄者については三ヵ月以内の仮出獄期間の者が大体六七・五%、こういうふうになるようですが、これもそういう理解でよろしいね。
○政府委員(笛吹亨三君) ちょっといま計算していませんが、大体その程度です。
○矢山有作君 いや、いま私がこういう数字を並べながら申し上げたのは実はこういうことなんです。いまの数字で見ると、仮釈放の申請がなされれば大体九〇%ぐらいは許可される。ところが、その反面で在監期間が非常に長くなっておることをいまの数字は示していると思うんです。有期刑について言えば、仮釈放の形式的要件である刑期三分の一を経過して仮釈放になっておる者が、これはいまの数字で明らかなようにゼロですね。そこからこれは、私は犯人の改善社会復帰を目ざすという仮釈放の立場から言うと、その目的に沿った運営ができていないというような気がするわけです。この運用はまあ手っとり早く言うならば、要するにできるだけ何というのですか、長い拘禁をやった後にやっと釈放と、こういうことになって、仮釈放の形式的要件というのですかね、そのほうに全く重点がかかり過ぎておる。ですから仮釈放の真の意義を発揮することができないようなことになっておるんではないか、こういうふうに思うんですが、どうでしょうか。
○政府委員(笛吹亨三君) 仮釈放になった者の在監期間率というものが先ほど申し上げたような状況で、わりあいその執行率は高いもののように見えますが、これはいろいろ刑期に関係することでございまして、御承知のように刑事裁判で一番多いのがやっぱり懲役一年前後じゃないかと思うのでございます。そういたしますと——しかも最近の犯罪の状況を見てまいりますと、初犯で実刑というものはなかなか少ないわけでございまして、たいてい初めは起訴猶予になり、二度目も起訴猶予になる者もございますが、それから起訴されてもいろいろな情状を考慮して裁判所はたいてい執行猶予をつけるわけでございます。実刑になるという者はやっぱり何回か経験してきた者が実刑になるわけで、しかもその中で、まあ特殊な犯罪は別としまして、非常に数からいって多いのは短期の自由刑なんでございます、先ほど申し上げました一年前後という短期の自由刑。そういたしますと短期自由刑、懲役一年なら一年というものを考えてみますと、この者たちを刑務所に入れてもただ入れるだけではこれは何の効果もないわけで、これを今度刑務所から出所した暁にはもう犯罪を犯さないという者にしてむしろ世の中のためになるような人に教育して出していくということが必要なんでございまして、仮出獄の場合においてもそういった条件が整ってこそ仮出獄の条件が整う、改悛の状があるということはそこでございますので、そういう面を考えますると、短期自由刑の者ですと非常に刑期が短いものでございまするから、すぐ十カ月やそこらいろいろ教育しているうちにたってしまって仮出獄となるとあともうわずか二カ月しか残らないというようなことに相なるケースが多いわけでございまして、改悛の状がある者につきましてはできるだけ改悛の状が認められた段階で仮出獄を許可して社会内処遇のほうに移行させて本人の更生をはかっていこうということにつとめておりまするけれども、現状はそういうようなことが多いわけでございます。そこでまた長期の自由刑の者につきましては、これは一番長いのは無期でございまするけれども、無期というのはこれはほんとうは刑期なしにいつまでも入っていなければならないわけでございまするけれども、これも刑法で一応十年を経過したもので改悛の状が認められれば仮出獄の許可をしてもよいということになっておりますので、そういった段階で先ほど申しましたようにいろいろと審理するわけでありまするけれども、その他無期以外の有期の自由刑で長期にわたる者につきましては、これは比較的執行の率から言いまするとわりあい仮出獄の場合執行率は少なくなっておるのじゃないかと考えております。これは長期に教育いたしておりまするから、矯正施設内において改悛の状が認められる段階がその率から申しますとわりあい早い時期にくるようでありまして、そこで申請がありますと地方更生保護委員会のほうでこれを受けて審理するということで、わりあいその点は短期自由刑よりも執行の率からいいますと低くなっておると思うのであります。
○矢山有作君 局長の御説明ですけれども、この犯罪白書に出ておりますのは、刑期の段階区分で一年以下の刑期のもの、それの執行率がどうなっておるか、二年以下の刑期のものが執行率がどうなっておるかということで、こう、ずっと三年以下、五年以下、十年以下、十年をこえると、こうして出してあるわけです。それで、それの各刑期の執行率を私は見ながら言っているわけなんです。で、一年以下という短期のものだけでなしに、二年、三年、五年、これら刑期のものをずっと見ても、八〇%の執行率を達成した後に仮出獄になる者が圧倒的に多いと、こういう数字になっておるわけです。 そこで私が思ったのは、仮釈放の形式的な要件というのは刑期の三分の一を経過したときと、有期刑の場合にはなっているわけですけれども、その三分の一を経過したときに仮釈放になっておるものは一人もおらぬわけです。全然ない。そうすると私は、この仮釈放の運用というものが問題があるんではないかと、それは仮釈放というものを犯罪者の改善なり社会復帰に有効なように運用するというよりか、できるだけ仮釈放の形式的な要件というものをきびしく解釈して、そうして拘禁が長引いておると、そういうふうになっておるんではないかと、したがって仮釈放本来の目的を生かすことができなくなっておるんではないかと、こう思っておるわけなんです。だから何も短期に限ったことではない。一年以下の刑期に限ってそういうふうに刑の執行率が非常に高いというわけじゃない。全体にそうなっておるということを申し上げたわけです。
○政府委員(笛吹亨三君) その目立って長期のものが少ないというところがなかなか出ないわけですけれども、例を九〇%以上の執行の面を見ますと、短期のものはこれは非常に高くならざるを得ないわけでございます。たとえば一年以下のものですと、九〇%以上が六三%ということになっております。十年をこえるものになりますと二一%という程度で、これは極端な例で、そんなことでいかぬとおっしゃるかもしれませんけれども、これを一つ見ればそういうように見られますし、ただ執行率が六〇%程度のところを見ればそうはいかないんじゃないかというようにおっしゃられるかもしれませんが、ずっと執行率の高いところを見ますと、やはり短期のものがパーセンテージからいえば、執行率からいえば高いところにある、こう言えるんじゃないかと私は見ておるわけでございます。 それからこの仮釈放をいたします、仮出獄させますときのいろいろな考えでございますが、これは衆参両院の法務委員会でもいろいろ御意見がございまして、仮出獄をあまり安易にやり過ぎて、仮出獄後に犯罪を犯す者がおるじゃないかといっておしかりを受けた場合もございますし、またいろいろあるわけでございますが、本人の改善更生をはかって、その者が康全な社会人として復帰していくことを助長していこうということから仮出獄というものをやっておるわけでございまして、これはとりもなおさず本人のためであるとともに一般社会のためでもあるわけでございまして、本人が再犯を犯さなければ社会の秩序が保たれるわけでございまするから、その両方を兼ね合わせて考えて改悛の状があると、こういうように見ておるわけでございます。この改悛の状というその状の字が情じゃなくて状態の状であるところにこの刑法の考えておる特色があるわけでございまして、内心の情だけではないのでありまして、客観的に見ました状態というものがそこにあらわされておるわけで、そういったものを考えて、刑期の一定の法定の期間を過ぎて、しかもその改悛の状があって、これを仮出獄させたほうが本人のためにもなるし、しかも世の中のためにはむしろいい、害にはならないどころかかえっていいんだというような状況からいたしておるような状況でございます。したがいまして、若干その期間が、いわゆる応当日を経過してすぐというケースはまずこれはないような状況でございます。なかなかそういったケースに当たらないというように御理解願いたいと思うのでございます。
○矢山有作君 まあこれは私が言うまでもなく、そちらのほうが全くの専門家ですからよく御存じで、この犯罪白書によりますと、仮釈放というのはどういうことかというと、「仮釈放とは、矯正施設に収容されている者を、収容期間満了前の適当な時期に、仮に釈放し、一般社会において、更生させることを図る措置である。」、こいうふうにいわれておるし、それから保護観察は何かというと、「保護観察は、罪を犯した者に対し、社会生活を営ませながら、適切な指導監督、補導援護の措置を講じて、その改善更生を助け、再犯の防止に寄与することを目的としている。」と、こうありますから、したがって、私は仮釈放の制度というものを効果的に有効に運用していこうと思えば保護観察の面もこれが体制がしっかり整っておって、これと有機的に関連がなければ十分な効果をあげ得ないのだということはわかります。だから保護観察の体制を強化することが必要ですが、しかし仮釈放制度というものが認められたというのは、いわゆる受刑者に対する個別処遇を徹底させて、そうしてできるだけ早い機会に社会に復帰させよう、更正させようということが私は一つの制度の目的というふうに、最近はその面が強調されてきておると思うのです。そうすればやはりまあ少なくとも法定の形式的な要件ですね。有期刑の場合は三分の一の刑期を経過したということになったら積極的に仮釈放制度を活用してこれを犯人の社会復帰について資するべきじゃないかと、こういうふうに思いますので、そういう観点から見れば、この仮釈放のあり方があまりにも何というのですかね、できるだけ長期に拘禁したやつでなければこれは許されないのだというふうな形になり過ぎておるので、これでは仮釈放の本来の趣旨を生かすことができない。それを殺しておるのじゃないかと、こういう感じがしたわけなんで、そこでこの議論をやっておるわけなんですがね。大臣、どうお考えですか。
○国務大臣(前尾繁三郎君) まあ率直なことを言いますと、ただいまのお話と同じようなことを私のほうが感じておるわけであります。どうもやっぱり形式主義といいますか、まあ安全から七割程度刑期を終わったら出すというのが普通で、そういうような考え方でいっておるのじゃないかというような気持ちが実はしておるわけで、もっと私は実質的にほんとうに本人に一々当たって、もう少しバラエティをもって仮釈放の制度を運用してもらいたいというような気持ちを持っておるわけであります。まあもちろん、事務当局としていろいろと考えての末だとは思いますけれども、私もやはり従来の型にとらわれずに、もう少しこれを活用することを考えてもらったほうがいいんじゃないかというような感じがしておるので、率直に申し上げておきます。
○矢山有作君 このように仮釈放が硬直化しておる。長い勾留の末でなければ仮釈放がなかなか得られないという原因としていろいろいわれておるようですがね。私が見たものによりますと、こういうことがいわれておるようです。私はこれを見てなるほどな、そういうことかなと思っておるわけですが、施設側、地方委員会側の双方に、仮釈放したなら再犯を犯かすことの責任を回避したいという意識が働いておる。これがその仮釈放が長期の抱禁の後でなければ得られない一つの理由だと、こういうふうにいっておるようです。 それからもう一つは、施設側にとっては仮釈放が棄却されると仮釈放予定者が唯一の希望を断たれて、その後の施設内での処遇に困難が生ずるので満期近くまで申請しないでおいて、十分に許可の見込みの立つまで申請を引き延ばす、こういう傾向がある。これが一つ指摘されているようですね。 それから第三点として指摘されているのは、地方委員会の消極性にも原因がある。委員面接審理はほとんど一回限りしか行なわれぬのが普通であり、委員会は仮釈放後の再犯をおそれ、施設側への配慮が強く働き過ぎ、みずから職権審理で仮釈放の積極的な運用をはかろうとはしないで、もっぱら施設側の意向に従属しがちの傾向がある。こういうふうにいわれているようですが、私はこのとおりだと思っているんですがね、保護局長どうです。
○政府委員(笛吹亨三君) まず、仮釈放が硬直していると、こういう御批判でございますが、これはそういうようにならないように、委員長会同とかそのほかの会同のたびに戒心するように言っておるわけでありまして、またこの仮出獄は、先ほどおっしゃいましたように、仮出獄中の者は全部保護観察にするわけでございます。したがいまして、保護観察の効果から申しましても、短期の仮出獄というものはほんとうは効果があがらないわけでございます。保護観察の期間が一カ月や二カ月ではほんとうに保護観察をやったという効果をあげられないわけなんです。したがいまして、保護観察の面も私たち持っておるわけでありますから、その面から申しますると、仮出獄の期間が長いほうがいいわけなんです。長く保護観察してみていって、そして正しいほうに指導していこうと、こういうのが保護観察のたてまえでございますから、その面から長いほうがいいという要請はもちろん持っておる。ところが現実は、そんなに早く仮出獄させられないような状況があるように聞いております。 そこで、先ほど三点おっしゃいましたまず第一点の、再犯を犯すことの責任を回避したいということですが、これはちょっとことばが非常にきつく当たるわけですけれども、なるほどわれわれといたしましても、仮出獄中の者が犯罪を犯すということは、これは非常に避けなければいけない。何とかこの仮出獄さした者が、たとえば大久保清みたいなケースがありますが、ああいったものになるとまことに世間に対して申しわけないという気持ちがありまして、こういう者を仮出獄にさすすような結果にならないように、これはまた一方においてみんな自戒しておるわけでありまして、これは仮出獄の許可が間違っておったんじゃなかろうか、あるいはまた保護観察のやり方が足りなかったんじゃなかろうか、いろいろ反省いたしますが、そういった面で再犯を犯さないようなことを考えておることは、これは確かでございます。しかし、これは十分その仮出獄の際に改悛の状というものが一定の期間を過ぎて認められておれば、この再犯を犯すことの責任といったものだけで延ばして、長らく在監させるというようなことは私はないように見ておるわけでございます。 それから施設のほうで棄却されるとあと処遇に困ると。これはそういったことがあるかもしれません。まあ、そういった棄却されたからあと施設の中で行状の悪いというような者は、これはもうそれだけでほんとうは仮出獄許可の対象になる値打ちがないんじゃなかろうかと私は思っておりまするが、そういったものがあるかもしれません。特に何といいますか、組織暴力なんかのものになりますと、そういったことがあるかもしれませんですけれども、このために施設のほうで回避するということはないんだろうと思っております。ただやはり検察官と裁判所といったような関係もあったり、またいろいろ申請する者と許可する者との立場があって、やはり棄却されると、あのケースでああいうのが棄却れたからこの程度のものはもう出してもだめだろうというようなことを考える場合も若干あるかもしれません。しかしながら、やっぱり施設は施設としての考え方で、これは当然仮出獄相当であるとなれば申請してきておるんじゃなかろうと、私見ております。 それから委員会の消極性の問題でございますが、職権でやらないという点を御指摘になりましたが、これは法律上は職権でやれることになっておりまするけれども、何と申しましてもその施設の中での行状というのはやはり施設でなければほんとうのことはわからないんでございます。まあ観察官が行って面接したりしますが、これはもう大体申請後にやっておりますことでありますし、申請がないのにこっち側が施設の中の行状がいいじゃないかということでそれを取り上げて仮出獄にするということは実際上は非常にむずかしい問題でございますので、初めに申し上げましたように、職権で取り上げるというケースは最近のところは一件もないというような状況でございまして、これはそういった面では地方更生保護委員会のほうでは実情がよくわからないので、むしろその点の問題については矯正施設のほうが十分把握しているという点から起こってくる問題ではなかろうかと思うのであります。
○矢山有作君 御説明はごもっともで、わかります。しかし私は、いまの仮釈放の実態にやはり問題がある以上は、その問題点を解決するためにどうしたらいいかということにも真剣に取り組んでいただく姿勢がほしいと思います。お立場としていまおっしゃったことはわかるわけですけれども、やはりいろいろこの仮釈放のやり方に批判があると思うわけです。特にまた、いまおっしゃった職権審理の問題にしても、仮釈放を有効に活用していくという立場からものを考えるなら、地方委員会の積極的な活動というものがやはり大きな役割りを果たすわけですし、その積極的な活動を助長するためには一体どうしたらいいのかということ等もやはり制度運用の問題として前向きに取り組んでいただきたい。私もしろうとですから具体的にどうしたらいいということを直ちにここで申し上げるだけの知識を持っておりませんけれども、皆さんのほうはそれぞれの専門家なんで、現行制度の欠陥やあるいはまた諸外国における現状の欠陥を克服しようとするいろいろな努力も承知しておられるはずでしょうから、そういう点で今後の御努力を特に期待をいたしたいと思います。 それから私は、この仮釈放が本来の意義を発揮するというためには、先ほども言いましたように、保護観察とのこれは有機的な結合がないとどうしてもその目的は達成できないと思うんです。保護観察のほうもまた、仮釈放が適切に運営されていないとなかなかその目的を達せられない。たとえば日本の保護観察というのは、仮出獄期間中保護観察に付せられるということになっているようですから、いまのように刑期の執行率が非常に高い状態で出されてくる。たとえば仮出獄期間が三カ月未満のものは六七・五%だというようなことでは、これは保護観察に付しても、先ほどの局長のお話のように、実際保護観察の効果はあがらないわけですね。だからむしろ私は、長期の拘禁を受けておった者こそ長期の保護観察が要るだろうし、短期の拘禁を受けておった者はむしろ短期の保護観察で済むんじゃないかと思うんですが、日本の場合はこれが逆になっちまうわけですね。だからそういった点の問題もあるわけです。 それはさておき、そういった点で私は保護観察の体制がどう整備されておるのかということがやはり重要な問題だと思いますので、現在の保護観察の実態というのを概括的に御説明をいただきたいと思うんです。
○政府委員(笛吹亨三君) 保護観察は、御承知のように五種類あるわけでございます。まず、少年で犯罪、非行により家庭裁判所において保護観察処分に付された者、それから少年で、少年院に入れられて、満二十歳に達するまでに少年院から仮退院を許可されて仮退院をいたしました者は保護観察になりますので、これが満二十歳まで保護観察になるわけであります。それから三番目には、先ほど来問題になっておりました、刑務所で刑を執行して、その刑期の範囲内において仮出獄を許可されて社会内処遇に付された者は全部保護観察になるわけであります。それから四番目には、刑事裁判所で刑事の判決を受けたときに執行猶予に処せられ、それに保護観察が判決でつけられる者がございます。そういった保護観察づきの執行猶予になった者の保護観察というのもございます。それからもう一つは、売春法の関係でございまするが、婦人補導院から仮退院いたしました者が六カ月の範囲内において保護観察になるわけでございまして、こういった五種類の保護観察がございます。 そこで、最近の保護観察の総数を申し上げますと、総数だけを申し上げますと、昭和四十三年に保護観察として新しく受理いたしましたものの件数は六万六百四十三件、四十四年が五万六千二百二十八名、それから四十五年が五万五千三百二十と、こういうふうになっております。あと、それぞれ五つの種類がありますが、こまかくなるのでこの説明は一応省かせていただきますが、こういったように、まあ少しずつ減ってきておりますが、これは少年のほうが減ってきておるのでございまして、仮出獄とか執行猶予の保護観察のほうはたいした減り方はしないようであります。それから年末現在の保護観察中の人員もしたがいましてだんだん減ってまいっておりまして、昭和四十三年に約十万あったものが、四十五年では九万ちょっと切れており、八万八千九十三というような対象人員になっております。 それから保護観察はそれぞれ期間がございまして、期間満了で終了するのもございますし、また、期間満了しないうちに「良好」だということで保護観察を打ち切るような場合もありますし、いろいろございますが、保護観察が終わりましたときの成績について、どのぐらいのパーセンテージで「良好」とか「不良」とかがあるかということをちょっと申し上げておきたいと思います。保護観察を終了いたしました者が昭和四十三年には六万六千二百四十一、そのうちで「良好」という成績をつけられた者が三万二千三百五十三、これが四八・八%でございます。それからそのほか「普通」というのがあるんですが、これは飛ばしまして、「不良」というのがございます。終わるときに「不良」ということで保護観察を取り消されたり、いろいろございますが、そういった「不良」措置で終了した者、あるいは期間満了するときに成績が「不良」という評価をされた者、これを合わせまして一万三千七百九十五、これが二〇・八%になっております。これが四十四年には「良好」のほうが少し上がり、「不良」のほうが少し下がっておりまして、四十五年になりますとさらに「良好」がふえて「不良」のほうが減るという、こういうパーセンテージの示し方をしております。四十五年で申し上げますと、総数が五万九千五百五十五、その中で「良好」が三万一千六百五十七、パーセンテージで五三・二%、それから「不良」のほうが一万一千四百四十一名、パーセンテージで一九・二%、こういうようになっておりまして、年々「良好」がふえて「不良」が減るということで、保護観察終了時の成績を見ますと、保護観察の効果があがっておるように、ひいき目に見ておるかもしれませんがそういうふうに自負しておるような状況でございます。
○矢山有作君 保護司の定数は、たしか五万二千五百人だったと思いますが、これの現在の充足状況はどうですか。
○政府委員(笛吹亨三君) 定数は、今度の沖繩もそのまま定数に入っておりますので、五万二千五百人、そのとおりでございます。 ところで、現員でございますが、ことしの二月一日現在で四万六千五百六十九人ということになっています。
○矢山有作君 何か、この保護司の充足状況はあまりよくないようで、五、六千人欠員があるようですけれども、この保護司の確保は、むしろ大都市で非常にむずかしいと。地方都市はどうにかこうにかまだ充足率は高いようですけれども、特に保護司の必要な大都市において充足率が非常に低いというようなことを聞いておりますが、そういった状況はどうなっていますか。
○政府委員(笛吹亨三君) ことしの一月一日現在の調べによりますと、ただいまおっしゃいましたように大都市の充足率が大体よくないと。最高で充足しております場所は石川県でございますが、これが、保護司の定数が五百九十名のところ現員が五百七十二名ということで、九六・九%の充員率を示しております。これが最高でございます。これは一〇〇%というのはございません。そのときそのときで動きがございますから、ついどうしても欠員ができるわけでございまして、これが最高でございます。最低が東京都の定数五千五十名に対する現員が三千九百七十一名、充員率が七八.六%というのが最低でございます。これは東京が一番大きな都会で一番最低ということになっておりますが、大体大都市はあまりよくない傾向にあります。京都府が七九・八%、大阪が八八・三%というような状況でございまして、九五%以上のところといいますと関東地方ではちょっとなくて、奈良とか岐阜とか、少し地方になってまいりますが、ただいまおっしゃいましたように、確かに大都市近辺においては充員率が低くなっております。 これはいろいろ原因がございまして、都会に住んでおられる方がお仕事を持っておられて、こういったボランティアの仕事になかなか時間を割けないような事情もあるだろうと思います。またその地域社会の状況が、都市化が進んでまいりましていろいろと変化してまいりましたので、そういった意味における地域に対する意識といいますか、そういったものが昔と変わってまいりました。そういったこともあるんじゃなかろうかと考えておりますが、こういったことも踏まえて、私たちとしては、何分にも対象者が九万人近くおりますので、この保護司の充員ということについて一つの最重点として努力を重ねておるところでございます。
○矢山有作君 保護観察の上からやはり非常に重要な役割りを果たすのは、専門的な知識を持った保護観察官だろうと思うわけですが、この保護観察官の数が全国で八百九人ですか、地方委員会に所属が八十人、それから保護観察所に所属しているのが七百二十九人と、こう聞いておりますが。九万人近い保護観察対象者があるのに、いかにも貧弱な体制のような気がするわけです。 そこで、いまの保護観察を一言で言ってしまえば、民間篤志家の社会保護の精神に期待するというこの保護司制度にほとんど全面的に依存しておるというような状況ではないかというふうに感ぜられるわけです。これでは私は、保護観察の有効な、何と言うんですか、運営にはならぬという感じがするわけで、そういう面でどうしても急がれなければならぬのは、保護観察官という専門的な知識能力を持ったこの陣容を充実し、強化することであるし、それから保護司制度のあり方について、やはりこの際根本的に考え直してみぬといかぬのではないか。保護司にも保護観察の一翼をになわして、これを活用するということになれば、もっと専門的な知識を持っていただくような研修とかそういったことも必要であろうし、あるいは処遇の面でも考えなければならぬ問題があろうしというふうに、まあちょっと考えただけでもいろいろと考えが浮かぶわけですが、そうした点については、今後具体的な改善強化の考え方というものをお持ちでしょうか。特に私は、保護司制度にたよるということは、社会が固定化しておるときにはある程度の効果も期待できると思いますが、こう激しく社会が流動化してまいりますと、いままでのような、まさに篤志家の心意気に期待するような保護司のある方では、とてもじゃないが十分な効果はあげ得ないと思っているんですけれども、その点のお考えがあったら聞かしてください。
○政府委員(笛吹亨三君) 確かに御指摘のとおりでございまして、保護観察の中枢をなすものは、やはり何と言いましても保護観察官と保護司でございまして、犯罪者予防更生法が規定いたしておりまするように、保護司は保護観察官の足りないところを補うという形になっておるわけで、確かにそのとおりで、保護観察官が主体となって、そのもとに保護司を使って保護観察を実施していくということでございますが、一方、権限といいますか、保護観察だけの面を見ていきますと、犯罪者予防更生法は、保護観察は保護観察官と保護司が共同してやるという形を持っておりますので、これは、共同というものは力を合わせてということでございましょうが、保護司もそれだけの責任を持っておるということでございます。 そこで、この保護観察官と保護司とがどういうような仕事の分担をすべきものであるか、保護観察官がもっと数が多ければ、もっともっと現場に出て、直接保護観察官の処遇といったものをやれるわけでございまするが、現状の保護観察官の力というものが、人員の面で非常に制約されておりますので、なかなか全部の対象者について保護観察官がすべて直接処遇をするということが困難な現状でございます。そこで、保護観察官は、ただいまおっしゃいましたように、専門的な知識を持ち、また科学的に研究いたしておりまして、処遇の専門的な専門家としてこれに処しておるわけでございます。 一方、保護司のほうは、これはまあ、いわばしろうとでございます。ただ、その対象者の地域におられる方で、しかも民間の方でございまするから、地域のことはよくわかっておる、その対象者についての地域社会におけるあり方というものも十分知っておられますし、また民間人として対象者を指導していく力といいますか、また経験もおありになる方が多いわけで、いわゆる地域性と民間性というものを兼ね備えておられる方になってもらっておるのであります。ただし、その専門的な知識が保護観察官よりも劣ることは、これは一般的にそう言わざるを得ないわけであります。しかしながら、保護司の中にも、もう何年もおやりいただいておる方もございまして、相当専門的に御研究の方もございますし、経験も豊富になっておられまするから、相当な専門的な知識を持っておられる、技術も持っておられる方がございまして、熱心に処遇をしていただいておる向きもあるのでございます。 そこで、将来それじゃあどうするんだということでございますが、私は、保護観察官の現在の定数が先ほど申されましたようにまことに少ないわけでございまして、これでは現在の対象者が九万人を満たない状況でありましても、とても足りない。保護観察官一人あたりの担当件数は百五十件から百六十件というような状態でございます。これは常識的に考えても、こんな多くのものを一人の保護観察官が担当して十分見ていけというほうが無理でございます。したがいまして、その保護観察に入っていきました最初に、担当の保護観察官は、その対象者の面接の機会によく本人を観察し、処遇の方針を立てて、担当の保護司にその旨を連絡して保護観察に当たるわけでございます。そういったことと、それから最後に、保護観察が解除とか、あるいは成績がよくないといったようなことがあった場合に、また保護観察官が本人に直接面接するということがございます。それからその他、保護観察官が必要に応じて対象者に面接いたしましていろいろと指導はいたしておりまするけれども、平素はこれは、保護観察官は保護司にお願いしておる。おまかせしきりというわけじゃありませんけれども、保護司に見てもらっているという状況でございまして、保護司のほうから、保護司が毎月何回か接触いたしまして、平素、対象者の動向なりを観察いたしておりまして、よければよいでそのように指導し、また状況が悪くなれば、保護司みずから自分でこれを正しい方向に導いていくとともに、問題によっては保護観察官に連絡いたしまして保護観察官の直接処遇を仰いでこれを指導していくというようなことをしておるのであります。 いずれにいたしましても、保護司にもそれだけの専門的な知識が必要でございまするから、機会あるごとにこれの研修をいたしております。したがいまして、今年度の予算におきましても、保護司の研修というような予算を若干増額してもらっておりまするけれども、これは役所として観察所で保護司の研修をいたしておるものでありますが、そのほかにも保護司にもそれぞれ会がございまして、保護司会というのがございまして、保護司会でも自主的に研修をして、少しでも保護司の専門的な知識をふやしていこうと、こういうような努力を続けておるわけであります。 それから保護観察官の増員につきましては、ことしも増員要求を相当出したのでございますけれども、結局は二十二名の増員ということが認められたのでありますが、二十二名と言いましても、実際上は定員の削減が二十名ございますから、プラスマイナスしますとわずか二名だけの増員、実質的には二名だけしか増員がないという状況でありますので、これから来年度以降もこの保護観察官の増員ということには、私たちのほうの予算要求の際には最大の目標として取り組んでいかなきゃいかぬじゃないだろうかと考えておるわけであります。
○矢山有作君 犯罪者の改善なり社会復帰にとっては、仮釈放とこれに有効に結びついた保護観察というのは、私はそれなりに大きな効果を持つと思うんです。そういう点から言うなら、これらの運用を十分にやっていくというためには、やはりその体制を強化するということも私はどうしてもやらなきゃならぬことだろうと思いますので、こうした点について今後一そう努力をされまして、充実強化をし、さらに運用についても、いろいろと批判のあるその批判を率直に取り入れて運用の改善をはかっていただきたい。このことを最後に希望いたしまして、私の質問はこれで一応終わらしていただきます。
○委員長(阿部憲一君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度といたします。 —————————————
○委員長(阿部憲一君) 検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。 これより質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言を願います。
○鶴園哲夫君 私は、前からこの委員会で伺おうと思っていたことがあって、それが延び延びになりまして、きょうということになったわけでございます。 まず初めに、法務局の出張所ですね、約千五、六百あるんだろうと思いますが、この法務局の出張所、つまり登記所の統廃合の問題がたいへんやかましくなっておりまして、私の手元にも二つほど統廃合について反対があるという陳情書が、町長さん、それから議長さんあたりから来ておりますが、こういう地方にあります機関の統廃合については、御承知のように、昭和四十五年の八月ですが、閣議決定が行なわれまして、続いてこれを具体化するために十二月にさらに閣議決定になりましたですね。それに従って地方にありますそういう機関の統廃合が進められておるわけなんですが、私は、登記所の場合は、これはやはり画一的に考える必要はないのではないか。それは非常に、事業量がたいへんに激増している役所の典型的な例になっているわけですね。最も事業量がふえている、そういう出張所になっているわけなんですね。ですから、全国的に見まして、その他の政府の出先機関が事業量はふえない、あるいは場合によれば減少する傾向にあるというのと違いまして、ここは、登記所の場合は非常な勢いで事業量がふえているという実情なわけですから、これを画一的に処理する必要はないのではないかと、こういうふうに私は前々から考えておるわけです。そのうらはらになります定員の関係につきましても、これは政府全体といたしまして、三カ年間に五%定員を削減するという方針がきまったわけですが、あの前後にわたりましても、これは、登記所のほうはどうしても人間をふやさなきゃならぬのだ、定員をふやしていかなきゃならぬのだという附帯決議も何回かにわたって法務省設置法の改正のたびごとにつけまして、まあ、五%減らすが、そのかわりできるだけ増員も可能なだけ認めていこうというような妙な形になっておるのですけれども、この出張所の統廃合の問題についての基本的な考え方を、まず、ひとつ法務大臣に伺いたいんですよ。
○国務大臣(前尾繁三郎君) これは必ずしも登記所に限らないわけでありますが、市町村の統合問題と同様に、最近は非常に交通の便利がよくなりまして、また、いろいろ機械化されてくるというような面で、やはり最も合理的に、また適正規模でやるべきだ、この一般論については、これは私ばかりではなしに、承服せざるを得ないことだと思います。ただ、その際に考えなければならぬことは、一つは、ただいまお話しのとおりに、非常に事件数のふえてきたところ、それから事件数の比較的ふえないところ、こういうアンバランスが最近の経済状況の変化によって起こっております。したがって、そういう意味では一律にやっていくという考えはわれわれも持っていないわけであります。いずれにしましても、一人庁といわれておりますようなところは、現在の職員の体制から言いますと、年中無休でやるというようなわけにはまいりませんから、それらの調整はいずれにしてもやらなければならぬ。ただ問題は、登記所がなくなって住民は得するかといえば、率直に言って近いところにあったに越したことはないのであります。市町村の統廃合でありますと、それによって政府の出す予算が一体化されたりいろんな利得がありますが、また地方団体みずからも非常に都合がいいことがあります。ところが、登記所の場合におきましては、政府のいろんな都合はよくなるかもわかりませんが、住民の方から言いますと、何も得るところはないのじゃないか。こういうこともあり、また、ごくいなかでありますと、こういうことばがいいか悪いかわかりませんが、登記所があるということによって、従来、村なり町の格があったのが取られるというような点で非常に苦痛を感じられる。それらの要素がからみ合って、結局どういうふうに持っていったらいいか、一応のやっぱり確たる基準といいますか、そういうようなものを定めてもらいたい。それにつきましては、われわれよりももっと客観性を持った民事行政審議会で一応そういう基準をつくっていただくということもやっていかなければならぬのじゃないか。ただ、それまでの間に、だれが見ましても、また地方の方にしましても、そう文句もないというところは総合していこうじゃないか、こういうようなことで現在進行しておるのであります。ただいまお話しの点は、確たる方針をきめますばかりでなしに、それについては、もちろん具体的にその一つ一つに当たって皆さんに不便をできるだけかけないようにして、しかもまた、この定員の問題もありますので、重点的に事務分量に応じて定員の配分をやるということはもちろん心がけなければなりませんし、そういう考えで進んでおるわけでありますが、そういうような審議会の一応の答申を得てやろうということになっておりますので、詳しい方針をただいま法務省として打ち出しておるわけではありませんが、しかし、国の要請、また地方住民の便、不便、また事務分量なり執務体制の問題、そういうようなものを十分考えまして、そうして一番妥当な案を得たいと、かように考えておるわけであります。もとより一挙にやるというわけにはまいりません。これは何年かの計画で漸次やっていきたいと思っておるわけであります。
○鶴園哲夫君 確かに大臣のおっしゃいますように、まあ千五百あります出張所において、仕事の量もいろいろアンバランスもありましょうし、あるいはまた、交通の問題あるいは機械化等の問題もありましょう。ですが、私は全体として見ますと、先ほど主張いたしましたように、政府の機関の出張所の中では、最も代表的に仕事の量がふえていく、しかもこれからもまたふえていく見通しがはっきりしているところではないか。しかもそれがまあ全国に千五、六百というふうに存在をしている。さらにこの出張所そのものが、御存じのように、明治の十九年ごろですかに登記所としてできた。それがまあ大体そのまま引き続いてある。その後における世界情勢の変化がたいへんなものがあるという点等から見ましても、これは出張所の統廃合の問題については、閣議決定というようなものに振り回されることなく、根本的に全面的なやはり検討を加えて、そして客観性、妥当性、正当性というものを持った、そういう基本的な考え方がつくられる必要があるというふうに思いますが、いま大臣のおっしゃいますように、これが審議会にかけて慎重に検討中であるというお話であります。 そこで伺いたいんですが、昭和四十六年に第一回のものが五十幾つか統廃合が始まって、本年四十七年に九十幾つかの統廃合が始まるという話なんですが、ことしの三月に、広島の福山支局で五つの出張所を統合しようとした。そうしてこれは官報にもすでに告示している。廃庁式をやるというその当日、突如としてひっくり返りまして、統廃合を取りやめてもとへ戻したということがありますですがね、この点について事情を簡単に民事局長から説明をしていただきたいと思います。
○政府委員(川島一郎君) 広島法務局の福山支局管内の出張所の整理統合につきまして、その経過を簡単に御説明申し上げます。 先ほどお話がございましたように、登記所の統廃合は昭和四十六年度を初年度として五カ年の計画で行なうというのが政府の方針としてきまっておるわけでございます。そこで、昭和四十六年度におきましては、事務当局としては、大体五十庁程度のものを行ないたいという考えで、比較的統合について問題がないと思われる出張所を選定いたしまして、地元との交渉に当たったわけでございます。問題の福山支局管内の五つの出張所につきましても、本年四十六年度の候補庁といたしまして地元との交渉を行なったわけでございますが、大体地元の御意向としては、五つの出張所を一緒にやるならばやむを得ないであろうと、こういうお話であったわけでございます。ただそのうち一つの出張所の地元の関係者の方々が、どうも初年度から統合されることは納得できないということで、比較的強く反対をされたわけでございます。そこで年度末が近くなってまいりましたので、事務当局といたしましては、何とかこれを解決しなければならないということで、五つの出張所のうち反対の強い一つの出張所を除きまして、他の四つの出張所につきまして統合をするということで手続を進めたわけでございます。ところが、そういう方針をきめましたところが、統合の対象とされる四つの出張所の地元の関係者の方々が、それは話が違うと、もともと五つの出張所を一緒に統合するということであるから、やむを得ず賛成したのであるのに、一つでも脱落者が出るということであれば、今回は全部見合わせてほしいと、こういう強い反応が示されたわけでございます。そこで事務当局といたしましても、それほどそういうことに強くこだわっておられるというのに、あえてこの際強行するということはいかがなものであろうかというふうに再考いたしまして、四つの出張所につきましても統合を見合わせた、こういう経緯になっております。
○鶴園哲夫君 これは私、非常に重要だと思いまして、伺っておるわけなんですけれども、これはその官報に告示して廃庁式をやる。その直前に取りやめるということになったんですね。その点はどうなんですか。一ぺん告示してしまったわけです。そうして廃庁式をやるというときに取り消すと、もとに戻すと、こういうことになるわけでしょう。
○政府委員(川島一郎君) 仰せのとおり、最初に四つの出張所につきまして廃庁をするという省令の改正を、官報に一応掲載いたしましたけれども、その後、先ほどのような事情からそれを取りやめたと、こういう経過になっております。
○鶴園哲夫君 省令の改正を官報に載せて、その四つを統合するということになったものを、それを全面的に撤回をする。これは私は与える影響は非常に大きいと思うのですけれどもね、あまりよくないからやめてしまうと、けっこうな話ですよ。ですけれども、そこに至るまでの間のやり方に非常に問題があるんじゃないかと思いますけれどもね。これはだれの決定、だれの責任になるわけですか。局長ですか。
○政府委員(川島一郎君) これは地元と連絡をとってやるわけでございますが、最終的には私のところで見込みを間違えた、私の責任であろうというふうに考えております。まことに申しわけないと思っております。
○鶴園哲夫君 いや、省令の改正を、これは局長がやるわけではないでしょう。やはり大臣でなければ省令の改正はできない。これは大臣の責任じゃないですか。だれの責任ですか。
○国務大臣(前尾繁三郎君) もとより私の責任であると思います。これは私が最初聞きましたときには、一カ所で文句があるが、その一カ所以外の四カ所については問題がない。しかし一カ所やめた場合に、あとの四カ所の方が賛成されるとは私も思わなかったものですから、その点を念を押したわけであります。 そうしたら、そのときの連絡では、まあ四カ所だけでもいいんだというような回答でありましたが、あとですぐ、やはり四カ所の方が来られて、そうして、これは話が違うと、こういうことだったように聞いております。その点はどこで行き違いにいになりましたか、私としましても非常に残念でありますが、私の責任だと思います。
○鶴園哲夫君 長い間かかっていろいろな折衝を行なわれたのだと思いますけれども、しかし、省令を改正をしてそしてそれを官報に告示いたしましてきまったものが、しかもその発表後に、廃庁式の直前に再び省令そのものも改正してしまったということは、これはちょっと珍しい話だと思うんですね。しかし、ただこれは二つ大きな問題が出てくると思うんですが、一つはそういうことによりまして、職員の側は職員のほうでいろいろ事例が出ておったのですが、あるいは統合になるわけですから従来の出張所から出向して住宅をさがしておったというようなこともあったでしょう。いろいろこれはあったと思いますけれども、そういう問題についての善後措置というものはこれはとられたわけですか、それが一つと、もう一つは、これはいまこれからも非常に大きな統廃合を五カ年計画で進めていこうというわけなんですが、その場合に、一つはどこかが反対しているということで、きめた省令をひっくり返してしまってそしてもとに戻すというようなことは、これは法務省の立場から言いました場合には、これは全国の出張所あるいはその出張所のある市町村なら市町村等に対する影響というのはきわめて私は甚大だと思いますですね。それに対する反省は一体どういうふうにしていらっしゃるか、その二つを伺いたいと思います。
○政府委員(川島一郎君) まず第一点でございますが、出張所が廃止されますと、当然それに伴う人事異動がございます。まあ本件の場合におきましては、事前に撤回されましたので、人事の発令には至らなかったわけでございますが、一応職員には異動があるということを内示しておったわけでございます。したがって、職員はそのために住居を移転をするとか下宿をさがすとか、そういうようなことをしておった者もあるわけでございまして、まあそういう職員の方に対しましては、非常に予定が変更になりまして御迷惑をおかけした、こういうことになっております。そこで、私どもも非常に心配をいたしまして、この点につきましては、広島の法務局にそういった点がどうなっておるかということの調査を頼みまして、なるべく落ちのないように関係の職員についての事情を収集してもらったわけでございます。その結果が大体判明いたしましたので、これにつきましては、役所側といたしましてもできる限りの方法で善処してまいりたい、このように考えておるわけでございます。 それから第二の点、今後に及ぼす影響と、今度の事件についてのあと始末をどう考えるかというお尋ねでございますが、今回のことは、私ども事務当局の失態でございまして、こういうことが再び起こらないように十分自粛自戒いたしまして、今後に対処してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○鶴園哲夫君 先ほど私は、出張所の統廃合の問題についていろんな角度から法務省としては根本的な検討をする必要があるんではないか、そして統廃合の正当性といいますか、妥当性といいますか、そういうものの基準を明確にする必要があるのではないかということを申し上げたわけでございます。それに対して法務大臣のほうからそういう考え方は重要に受け取りましたし、そしてそのために審議会にかけて検討しておるということであったのですが、私も確かにそういう慎重な取り扱いが必要だと思うんですけれども、これはいつごろこの審議会の結論が出るわけですか。
○政府委員(川島一郎君) 民事行政審議会は昨年から審議を続けていただいておりまして、つい先般も会議があったわけでございますが、現在までに総会が三回それから部会が四回開かれております。そのほかに管区会議と称しまして、委員の方方に地方にお出かけ願いまして、法務局の所在地で各地の実情について地方の方々から意見を聴取していただくと、こういうことを全国八カ所で行なっております。今後の予定でございますが、先般の部会におきましてかなり審議も進捗したので、この程度で一応答申案の原稿をつくってみようというところまで進んだわけでございます。したがいまして、もしこのまま順調にまいりますならば、七月ごろには答申がいただけるのではなかろうかと、このように考えております。
○鶴園哲夫君 四十六年に、先ほど局長の御説明のように、五十数カ所統廃合して、そして五カ年計画ということで四十七年が二年目になって九十数カ所統廃合をしたいということですね。去年のつまり四十六年の五十数カ所の統廃合がこの三月に問題を生じたというわけですから、ですから私はいま局長のお話しのように、ことしの七月ごろに答申が出るというならば、この問題を契機にして、これは答申を待つというくらいの考え方が必要じゃないかと思う。そうでありませんと、これは全国で関心を持っておるわけですから、それが四ヵ所総合しようとして省令の改正もした。さて廃庁式当日という日になってひっくり返ってしまった。これは、これでは全然だめですよ、こういうことでは。私はそういうふうに思う。至るところから理屈は立ちます。どこからでも理屈は立ちます。これはそんなに遠い話でもありませんから、七月に出るなら、これは四十七年の問題についてこの問題を契機にして慎重に取り扱うということからお待ちになったらどうかと私は思うのですね。先ほどから私は、閣議決定に振り回される必要は何もないじゃないか、これは法務局出張所の統合という特殊な問題が入っておるから振り回されることもない、七月までですから、そういう考えを私は持つのですが、局長か大臣の御答弁を願いたいと思います。
○国務大臣(前尾繁三郎君) 答申があるまでは決して無理をしないと、かえって無理をすることが逆効果で、答申が出るまではみんなの方がむしろ統合を欲しておられるという場合には、それはけっこうでありますが、原則としてあまり無理しないということでいくべきだということをずっと以前から申しておったわけであります。そういう意味で答申が出ましたら、多少の無理をしてあるいは最終的に最も納得していただけるところから向かわなければならぬと思っておりますが、また増員については先ほどもいろいろお話がありましたが、まあ本年は昨年よりはよかったとみんな言っておるようなんですが、私は何も満足したわけではございません。率直に言いまして、都会地の登記所に参りますと、非常にこれはもういろいろ謄本もらいに来る人の場所もないというような状況でもありますので、それらのことを考えながら、最も合理的な配分をやっていかなきゃならないというふうに考えておりますが、まあ根本方針がきまるまでそれを無理にやってやろうという考えはもちろん持っておりません。ただ別に何らの意味もなしにけっこうですということについては何もそう御遠慮申し上げるほどのこともない、そういうことであります。
○鶴園哲夫君 先ほど局長ですね、お答えの中にもあったわけでありますが、まあ四十六年から初年度として始まる。四十六年度初めですから、できるだけ問題のないようなところ、初年度ですから。しかも答申も出ない。審議会で審議の最中だからできるだけ問題のないようなところがまず選ばれたと思うのですが、しかし、まあこういう問題が出てくるということですから、これはたとえて言いますとぼくは済まないと思うのです。済まないと思いますね。ですからこれやはり大臣がおっしゃるように無理をしないということですが、しかし、まあそういうことばの中にもやはり答申を待ってしたいという考え方だと私は受け取りたいと思うのですけれども。というのはこうなりますと、簡単ではないと思いますよ。われわれもいま陳情が来ますから反対しています。あそこまで来てなぜこれができないんだということで私も言いたいのですね。ですから、やはり全体として慎重に審議をされてそして統廃合についての妥当性、客観性というようなことが、基準ができてその上でやっていただかないと、登記所の場合、特に大臣も御承知のように、すぐ身近な問題ですから、問題起こると思いますね。ですから七月に出るということでありますから、その答申を待って四十七年度発足になっても、何ら閣議決定どうこうという問題でも私はないと思うのです。そういうことよろしゅうございますな。
○政府委員(川島一郎君) けっこうでございます。大臣が先ほどお述べになりましたとおり、原則として七月の答申が出てから行ないたい、このように考えております。
○鶴園哲夫君 それからもう一つは、統廃合なりますと、いま陳情が来ておるのを見ておりますと、一番大きな問題は、統合されてしまう、おれのところがなくなってしまう、ぼくのところがなくなってしまう、そうするというと一登記所がたいへん遠くになったと、だから不便だという、住民のサービスを切り捨てているんじゃないか、不便じゃないかということがやっぱり一番大きな原因のように思います。まあ自分の村に、町に一つしかない国の機関だ、それがなくなるのはいかぬというのも入っておったりしますけれども、一番大きな原因は登記所がなくなってしまうというとどうしても遠いところまで出向かなきゃならぬ。たいへん不便だ、こういう考え方が一番大きな原因だと思うのですね。登記所を統廃合いたしましてまあ人数がふえて、ある意味では大型な出張所なんということになるわけですが、そうしますと、支局と似たような形のものになってくる、人員の点からいきまして。大型の出張所ですから、支局と違わないような形におきましてこれは新しくできた大型な出張所というもので、単に登記だけじゃなくて、それ以外の法務局の仕事、供託の仕事、人権の問題とか、あるいは戸籍の問題とか、そういう問題も取り扱えるようなことにしますれば、これは文字どおり法務局の出張所という形になるのじゃないでしょうか。ですから登記の面では非常に遠くなったけれども、それ以外の問題については便利になった、近くなったという形になるのじゃないかと思うのですけれども、ですから、ぜひ大型の出張所をつくられるという場合には、従来の登記所という考え方でなくて、これはひとつ法務局の出張所という形にできれば、不便になったが便利になったというところもあっていいのではないかと思いますし、またそこに働く国家公務員にとりましても、これはまた非常に興味のある仕事にもなってくるのじゃないかという私は感じがするのですけれども、それについてのお考え方を伺いたいと思います。
○政府委員(川島一郎君) 出張所を大きくして支局並みの仕事をさせるような方向を考えてはどうかという御意見、非常に興味のある御意見でございますし、また、将来のあるべき姿といたしましては、私も同じように考えているわけでございます。むしろ行政機構の上から申しますと、法務局一の下に支局があり、その下に出張所がある。したがって、支局をふやしていくということになりますと、現在行政整理の進行している中でなかなか問題があろうと思いますけれども、将来の法務局のあるべき姿というものを考えました場合には、やはり法務局の出張所である以上は、登記だけでないほかの仕事もやるという形が私は一番望ましいと思いますし、法務局の扱っております事務は登記事務に限らず、戸籍にいたしましても、人権擁護にいたしましても、非常にその地域の住民と密接した性質の仕事でございますので、先生の言われたような御趣旨につきましては今後十分検討してまいりたい、このように思います。
○鶴園哲夫君 いまの点について大臣どうですか。ひとつ積極的に御検討願って、そういうことになるように今後ともやってもらいたいと思います。 次に、大臣は何か三時半ごろまでしかいらっしゃらないということですから、次に若干急ぎまして、登記協会のことについて伺いたいのです。これは衆議院でも法務委員会で論議になっております。私も議事録は夕べ見ました。重ねてこの登記協会の問題についてお尋ねいたしたいと思いますが、これは言うまでもございませんけれども、登記所の事件数というのがたいへんなふえ方をしてまいりまして、たいへんな激増ぶりなんですが、四倍。乙号事件になりますと五倍近い、この十年間事件数がふえている。甲号事件にいたしましても、これが二倍というわけですね。非常なふえ方をしている。その中で定員をふやすべきだという議論が、法務省設置法がかかるたびに内閣委員会で一生懸命論議されて、定員ふやすべきだという附帯決議を何回か設置法につけたこともあるわけです。ですが、なかなかこの定員はふえていかない。そこへもってきて三年間に五%削減が出てくるということもありまして、五%削減というと結局臨時職員の問題が出てくる。臨時職員の問題について、また定員化をせよという論ですか、行なわれている。そのうちに合理化である、機械化であるというような話が出て、たいへん事業量はふえるんだと、人間がどうしてもふえていかないというところから、機械化、続いてこの二、三年の間に下請というようなものが積極的に入ってきているという状況のようでありますが、現に乙号事件の謄本あるいは抄本の申請があって、それを焼きます、焼く作業ですね、その点を委託してある。下請に出しているということだそうですが、それを取り扱う機関として——機関と言っていいと思いますが、機関として登記協会というのが生まれておるということなんですけれども、私はこの登記協会のやっていることを少し資料ですけれども、いろいろ見てみますと、非常に問題が多いように思います。疑問が非常にはさまれるような事柄をやっているように思いますので、若干この点について伺いますけれども、まずこの登記協会の設立の目的とか、いまの現況、仕事の状況ですね。それから役員とか、そういう問題について簡単に御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(川島一郎君) 登記協会というのは、民法による財団法人でございまして、昨年の七月に設立された法人でございます。目的は、登記に関する調査研究及び知識の開発、普及、その他登記制度の円滑な運営に寄与する活動を行なって、登記制度を利用する者の便益の増進をはかるということになっております。この基本財産は、元法務局の職員でありました十四名の方が三百万円を寄付いたしまして、これを基本財産として設立されておるものでございます。現在の役員は、理事が五名、監事が二名、いずれも元法務局に勤務された方々でございまして、現在の登記制度を育成してやろうという熱意からつくられたものだというふうに承知いたしております。 それから、現在やっております仕事でございますが、現在は登記制度に関する啓発、宣伝といたしまして若干の印刷物を刊行いたしております。それから先ほどお話しになりましたように、登記所の業務の手助けといたしまして、登記所における乙号事務の一部請負ということで、登記所で作成する謄本の謄写の作業の受託をいたしております。まあこのほか登記に関する調査研究であるとか、あるいは講演会を開いたりすること、それから能率機器の開発研究といったようなことも目的にうたってございますけれども、まだ昨年七月に発足いたして間もない状態でございますので、これらの点につきましては目立った事業は行なっていないと、このように承知しております。
○鶴園哲夫君 この登記協会の事務局といいますか、これは東京法務局の中にあると、しかし、民事局長は衆議院の法務委員会では、そうじゃないというような御答弁がありましたけれども、あとほど法務局の中にあるということを私は説明を申し上げたいと思いますけれども、まあ法務局の幹部をやられた方々がこういう外郭団体のようなものを民事局といいますか、法務省の……つくられて、そこでこういう仕事をやっておられるわけでございますが、この四十七年は約一億の請負になるんじゃないかと、予算で見ますと九千幾らと承知をいたしておりますが、そこで登記協会が人を採用してそれを法務局の出張所に派遣をするわけですね。ところが文書を見ますと、その派遣をする人員というのは、辞令は法務局の出張所長が手渡すことになっていますね。辞令はどこからもらうかというと、法務局の出張所長の手を通じてもらうということのようですね。そしてその辞令には勤務条件の説明書がついておりますけれども、そういうものを出張所長が手渡しをする、あるいは説明をするということになっております。その辺は御存じですか。
○政府委員(川島一郎君) 辞令を渡すというお話でございますが、法務局といたしましては、登記協会との間に請負契約を締結しておりますので、登記協会の派遣する職員に対して登記所のほうで辞令を手渡すということは、これは私あり得ないことだろうというふうに思いますし、事実、承知しておりません。登記所は、法務局が登記協会との間に締結する請負契約に基づいて業務を委託を受けておるのでありまして、その請負契約というものは、私、一読したことがございますけれども、そこにはそういったことは何も書いてなかったというふうに記憶しております。
○鶴園哲夫君 その財団法人の登記協会の事務局長の名前で出張所長あてに、「外務職員の辞令交付について」という文書が行っていまして、「当協会の貴局派遣職員の辞令を送付しますからお手数でも本人に交付願います。」、こういう文書が行っているわけですよ。ですから辞令の交付は出張所長からもらうわけです。で、局長、御存じないようですから、もう少し説明をいたしますと、それでまあ出勤する場合も、何か出勤簿を法務局の出張所長が管理しているようですね。それから欠勤せる場合は、前もって認証係長に届け出ると、当日急に欠勤をする場合には、電話で認証係長に届け出をする。こういうふうになっています。それから月給は、明細書は法務局の出張所長を通じて渡しますよと、それからやめる場合には、一カ月前に法務局の出張所長を通じて登記協会に提出しなさいと、こういうことになっているんです。ですから、その契約はごらんになったかもしれませんが、具体的に登記協会と実際やっている法務局の出張所長の間とは、全部出張所のお世話ですよ。人間も登記協会が採用するんじゃないんじゃないですか。出張所がさがしてきてこれこれの者をとったということで持ってきて辞令を交付する、こういうことになっているんじゃないですか。そういうことができるのは、どうも私は法務局の幹部をやった者が登記協会の幹部を全部やっておるから、その文書が行けばそのとおり出張所の認証係長が動いておるということになるのじゃないでしょうか。そうすれば簡単な話ですね、人を派遣するだけです。あとは一切管理は全部出張所長が管理をしている。出勤から何から、辞令の交付から、やめるときも出張所長を通じて提出しなければならない。退職願いは出さなきゃならないと書いてある。何から何まで妙なことなんですね。これはあるいは御存じないのかもしれないと思うんでございますけれども、そういうふうになっていますけれども、いかがでしょう。
○政府委員(川島一郎君) ただいまいろいろお話のございました点は、実は私承知しておりませんので、事実をさっそく調べまして適当でない点がございますれば、改めるように考えてまいりたいと存じております。
○鶴園哲夫君 それから、「この協会では、できるだけ月に一回以上事務局職員を出張所に訪問をさせる。その際にいろいろ意見を述べてくれ」と、こうなっていますね。それで、「もし電話とか手紙による相談があった場合には下記に願います」ということで、「下記」というのは「合同庁舎の第三号会館東京法務局内」、こうなっていますよ。そうして「財団法人登記協会事務局」、ですから事務局もここにあるわけです。「東京法務局内」とここに書いてある、ここに電話しなさいと、手紙しなさいと、相談がある場合は。ですから衆議院の法務委員会で、いやそれは別なところにあるんだというようなお話ですけれども、この勤務条件の説明書によりますと、一番最後に、「文書、電話で問い合わせることがあった場合には東京法務局内大手町合同庁舎第三号会館、東京法務局内財団法人登記協会事務局」と、こうなっていますよ。ですからこれは東京法務局の中にある。これは東京法務局の中にあって、そうして幹部は全部法務局の幹部をやった人が集まっているということですね。そうして実施官庁との間に契約を結んでいるが、実際やる場合には、全部職員はやりっぱなしと、辞令から何から全部出張所がやっていると。これはもう奇妙きてれつなことが行なわれているわけですね。もしこういうものがあったらおやめになりますか。私は登記協会おやめになるべきだと思うんです。これはおかしいというふうに思いますけれども、大臣、どうです、お尋ねします。
○国務大臣(前尾繁三郎君) ただいまのお話をだんだん聞いておりますと、全然私が予想しておらぬことばかりでありますんで、その点は十分調べます。私率直に言って、登記事務の人のOBになったときのいろんな点から考えて、りっぱに運営ができるものなら非常にこれは双方ともいいことじゃないかというぐあいに考えておるんでありますが、ちょっといろいろいまのお話を伺うと、かなりどうも行き過ぎたような感じがいたしますが、その点については十分調べて、きっぱりした筋道を明らかにして、弊害のないようにいたしたいというように思います。
○政府委員(川島一郎君) 二、三私から補足して申し上げたいと思いますが、主たる事務所の関係でございますが、これは衆議院で私、東京都千代田区丸の内二丁目にあるというふうに申し上げました。そういうふうに寄付行為の上でもなっていると思いますし、登記もそのようにされております。したがって、ここに事務所があることは間違いございません。ただ、東京法務局の中に事務所があるのではないかという御質問でございますが、東京法務局で現に登記協会の職員が働いております。そのいわばたまり場というようなものはこれはつくってほしいということが登記協会のほうから要望がありまして、そうしてそこにわずかのスペース、十平米くらいのところを連絡に使いたいということで財務局のほうに使用願いを出しておると、こういう事実はございます。まあ何と申しましても登記協会の仕事が法務局に非常に関係が深いわけでございますので、職員も東京法務局を中心に派遣されておりますので、まあそういった意味で、そういった連絡的な仕事をする場所ということで、そういうものが東京法務局内に置かれるということは理解できないことではないのではないかというふうに思うわけでございます。まあ先ほどからいろいろおあげになりました点につきましては、私詳しいことを承知しておりませんので、なおこまかく調べまして個々的に判断してまいりたいと、このように考えております。
○鶴園哲夫君 いや、この事務局は東京法務局の総務課の分室という形になっていますね。分室になりまして、机、いすその他こう置いてある。配置図を見ますと。これは事務局と言ってもいいですね。事務局と書いてあります、この中には事務局と。で、ここへ連絡せいということになっておるわけですね。それとね、私はこう見ましてね、非常にまぎらわしいあれを使っていますね。たとえばこれを見ますと、法務局の職員じゃないかと思うのですね。事務員に採用するという辞令ですよ。カッコしまして、「法務局派遣職員」と書いてある。どうも法務局の派遣職員を採用したのじゃないかと思うのです。しかも辞令は出張所長からもらうのですね。それから月給の明細書ももらう。出勤簿もそこだ。欠席するときもそこに届け出る。何から何まで一切出張所が取り扱っているでしょう。そうしますと、人を採用して、何か人を採用して集めておいて派遣するという、あとは法務局出張所にまかせっきりだと、月給だけは銀行に払い込むか、明細書は出張所長がそれを本人に渡すと、こういうことになるのですよ。これはどうも私はやめた局長さんでなければできない。全部頼み込んで、何から何までみな頼み込んでやらしているという妙なことになっていますね。ですから、これはやはりお調べになって、そうして法務局がこんな天下り機関をつくって妙なことをやっているということはよくないから、大臣の答弁のようにひとつぴちっと立ててやってもらいたいと思うのです。ごらんになったことないですか、こういうもの。ごらんにならない……。
○政府委員(川島一郎君) 先生がお持ちになっておる書類、どういうものか存じませんが、おそらく見てないのではないかと思います。 それから、いまの辞令のお話でございますが、まあ確かに無用な誤解を生ぜしめるようなことは私もしないほうがいいと思います。おそらく前法務局で長く勤務しておった方が、ついその気安さから悪気なくやったことだとは思いますけれども、まあ確かに御指摘のように、第三者の方がごらんになった場合におかしいと思われるようなことは避けるべきだと思いますので、まあそういった点は私これから注意して調べてみる考えでございます。
○佐々木静子君 関連して。いまの登記協会のこの役員ですけれどもね。法務局長のOBの方々が全部じゃなかったかと思うのですが、これが法務局長のOBというだけでなく、兼職の公証人がかなりの部分を占めておられるのじゃないですか。
○政府委員(川島一郎君) 仰せのとおりでございます。法務局長をおやめになった方、全部でございませんけれども、その一部の方でございますけれども、現在役員をしておられる方のうち、公証人をしておられる方が四名ですか、入っております。
○佐々木静子君 これは御承知のとおり、むろん法務局長の方々だから、法務省の方々よくおわかりのことだと思いますが、公証人法第五条に兼職禁止の規定がございますね。ただし、法務大臣が特別の許可をした場合にはこの限りにあらずといっている。これは一人くらいの、何かの事情で特別に許可した場合に兼職ができるという趣旨の規定でございますからね。ですからそうたくさんの方がぞろぞろとこの役員になっていられるということは、この公証人法第五条の精神から見てもおかしいと思うのです。そういう点もこれは法務省が、まあ法務局長のOBの方々が何か私しておられるというような印象を国民に与えていることは、これはもう間違いない事実でございますので、そういう点からもあわせてよく御検討いただきたいと思うわけです。
○政府委員(川島一郎君) 御質問の点でございますが、公証人の兼職禁止は、確かに規定がございます。どういう場合に許可を与えておるかと申しますと、本件の場合のように、公益法人の役員をやるというような場合には原則としていままで許可がされております。まあこういうことを申し上げるのはどうかと思いますが、実際に公益法人の場合に理事というのはあまりしょっちゅう仕事をされる方ばかりだけではないんで、おもに中心になってなさる方はそのうちのお一人くらいで、ほかの方は年に何回かお集まりになって基本的な御相談をなさるという程度のことでございますので、まあ公証人の方が公益法人の理事に就任されるという場合は、相当いままでも例がございまして、ほとんどすべて許可がされておるわけでございます。
○佐々木静子君 関連ですのでもうこれでやめたいと思いますが、この公証人が、数が足らなくて仕事が多くて、公証人に書類をつくってもらう順番を待たなければならないということで、国民がたいへんに順番を待つのに、事務が停滞して困っているような状態なんですね。ほかの官庁で何も知らないで公証人をぽんとこのポストへつけたというならともかく、同じ系列であるところの法務省で、そういう事情もよくわかってらっしゃるのですから、ですから、公証人の方々ほかの兼職もやっておられるということであれば、この際ですね、登記協会に限らず、公証人には公証人の仕事に専念してもらえるようにこれは法務省として当然配慮なさるべきことだと思います。そういうふうに私の意見を申し上げて、私の関連質問を終わります。
○鶴園哲夫君 もう一ぺん私はこの登記協会のいまの請負の問題に限りまして考えますというと、どうも請負という形の契約にはなっておりますけれども、実際は人を集めまして、人を集めるというか労働力を集めて、採用して、それを派遣をする。派遣をしたほうがほとんど完全にそれを何から何まで全部出張所長が管理をしている、こういう形になっているんですよね。ただ給与が、明細書は出張所長が渡すけれども、銀行に振り込むということになっているようですけれども、その点だけで、あとは全部出張所長が管理をしているということになりますと、何か労働力を集めてそしてそれを派遣をしているというような形になりますね。そうすると、これはどうも労働力の供給事業をやっているんじゃないかというふうにとられてもしようがないじゃないかと思いますね。そのほか、先ほど申し上げたように、私はたいへんこれは不明朗な話だと思いますから、この請負の問題についてはこれはひとつ登記協会からやめてもらう、廃止してもらうというふうにしてもらいたいと思うのです。
○政府委員(川島一郎君) 最初に、労働力供給事業をやっているというようなお話があったわけでございますが、私は全然そういうことは実は考えていないわけでございまして、法務局といたしましては、登記協会との間に請負契約を結んでおる。そうして登記協会の職員が登記所に来て仕事をして、これはちょうど官庁などで、たとえば例は違いますけれども、清掃の仕事を清掃会社に依頼する。そうすると、そこの職員がやってきて官庁の清掃を行なう。それと同じような考え方に立っておったのでございまして、したがって、労働力供給事業というようなことは全く考えていなかったわけでございますが、まあ先生からいろいろ御指摘がございましたので、そういった疑いを生じないように今後十分努力してまいりたいと思います。 それから請負をやめろという点でございますが、これはちょっと飛躍があるように私思います。もともとこの乙号事務の一部請負というのは、これは昭和四十五年から始めたものでございますが、先生御承知のように、登記所の事務は逐年増加しておりまして、しかも増員が思うようにまかせない。私ども内部にある者といたしまして非常にたいへんなことであるというふうに憂慮いたしておるわけでございます。そういう状態でありますので、増員ができればこれにこしたことはないわけでありますが、増員があるといってもこちらの考えているものの一割程度にすぎないというような現状におきましては、何とかその事務を円滑に処理していく、そのためにはいろいろな方法を考えなければならないというふうに思っているわけでございまして、この請負の仕事、これをやりますために多忙の登記所においては事務を何とか処理していくというような状況にもあるわけでございますので、いまこれを直ちにやめろということは私いささかちゅうちょせざるを得ないわけでございます。そういう事情でございますので、この請負の関係につきましては、改善すべきものは改善し、明朗でない点がございますればそれは十分改めまして、さらによりよいものにしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
○鶴園哲夫君 局長のおっしゃいますように、ちょっと飛躍をしたわけなんですが、時間の関係もありましてはしょって申しわけないのでありますが、おっしゃるように、登記事務のそこの役どころですね、そこのところ、一枚八円二十五銭でしょう。そういった経費を合わせて見ますと、これは臨時職員を二倍か三倍雇えるんじゃないか。いまの臨時職員の手当は千二百円程度、千円ちょっとぐらいのところでしょう。そうしますと、いまの請負の金からいきますと、これは二人や三人は——二人は優に雇える、職場で。そういう考え方なんですよ。しかもその派遣職員というのは焼くことだけやっているんでしょう。それ以外の仕事に使っちゃいかぬわけでしょう。ところがこれは臨時職員であれば焼くことも焼くが、ほかのところは何でもやってもらうということもできるわけでしょう、いろんな意味で。これは私はいろいろ言いたいですけれども、いろんな意味で。そんなことならこれは臨時職員に切りかえてもいいじゃないかという、私は気がするんです。何もこんなもので請負で、登記協会の協力をやる必要ないじゃないか、臨時でいいじゃないかというふうに思いますし、なおこれがあるために、今度増員に対する非常に足を引っぱっちゃうというような心配も、これは長年増員問題についていろいろ論議してきた者からいいますと、こういうものがだんだん確立をしていくと、つまり派遣職員というものがだんだん確立をしていくということになりますと、増員そのものにも非常に足を引っぱるということにもなりますし、私はどんなに考えても、この派遣職員という形の、妙な、奇妙きてれつな存在というものは、ここのところだけは切ったほうがいいじゃないか。そして、おっしゃるように、仕事は非常にふえていくけれども、増員はむずかしい、機械化してもなかなか追いつかないということであれば、これは増員に努力すると同時に、臨時職員の問題も考えてもいいじゃないか、そのほうがずっといいじゃないかというふうに思いますけれどもね。
○政府委員(川島一郎君) 臨時職員との比較でございますが、今年度の賃金職員の予算単価は千二百五十円でございます。それでかりに計算をいたしますと、かりに一年間に十万枚コピーをつくるというふうに計算をいたしますと、登記協会の派遣員がやるのに比べて、一枚当たり二、三円安くつくという計算になります。しかしながら、現実の問題といたしまして、東京あるいはその近郊におきまして一日千二百五十円で臨時職員が雇えるかといいますと、これは非常にむずかしいわけでございまして、こういう都会地におきましては予算単価よりもある程度上回った賃金単価を設けませんと、実際には運用ができないという実情でございます。そういう意味からいたしますと、必ずしも現在の単価というのがはなはだしく不経済であるというふうには言えないのではないか、ことに登記所の職員がやった場合と比較いたしますと、必ずしも派遣員のほうが高いということにはなってこないわけでございます。そういった点と、それからもう一つ臨時職員を使うことは、現在の制度のたてまえから申しまして、問題があるわけでございますが、御承知のように、行政機関の職員の定員に関する法律、これは経常事務は定員内の職員で処理するというたてまえをとってできておるわけでございますが、この請負の対象となっております仕事も経常的な仕事でございます。したがって、こういう仕事を処理するために臨時職員を雇うということは法律上も問題がございます。また、昭和三十六年でございますか、臨時職員に関する閣議の決定がございますが、そういった趣旨から申しましても、こういう仕事のために臨時職員を雇うということは問題がございますので、事務当局の立場といたしましては、ちょっと臨時職員で処理するということには踏み切りにくい事情があるわけでございます。
○鶴園哲夫君 どうも少し長くなりますけれども、あの給与の計算を見ますとですね、私は給与は専門なんだけれども、給与の計算を見ますと、決してここに出ておる派遣職員の給与というのは安くないですよ、安いというよりはいいですよ。これは非常にこまかく書いてありますね。これは勤務条件について説明しろと言われて出しております。今年のやつを出してありますが、見ますとやはり現場の登記所で、出張所で、職員の国家公務員の人たちがやるより相当高い、高いというのは出張所の人よりいいですね、これは。それから現実問題といたしましてやはり二人くらいは雇えるんじゃないかという感じをみな持っておるようです。二人から三人くらい雇えるんじゃないかという感じを持っておるようですが、なお、これは登記所には御承知のように、八百名程度の臨時職員がおられて実際上仕事をしておるわけでしょう。ですからそれは例にならないと思うんですが、ですから、私はこれは急にどうこう言うことでならないと思いますけれども、大臣もああいうような答弁もありましたし、ですからこの登記協会の請負については、根本的にひとつ検討してもらいたい、私の強い要望といたしましては、これ請負はひとつやめてもらいたい、こんなやり方でやられたんではこれはとても話にならないというふうに思いますから、やめるという要望を一つ出しておきたいと思います。 あとなお若干問題が残っておりますが、あとまた機会を見てやることにいたしまして、一つだけ局長にちょっと伺っておきたいのですが、俗称税通問題というのがありましたね。局長御存じかと思いますが、税通問題というのがありましたね。私も長い間法務省設置法がかかるたびにこの税通問題というのはおかしいじゃないか、法務当局が大蔵省の、国税庁の仕事をすべての組織をあげて、全部の職場で毎日年間通じて、しかも二年、三年と恒常的に援助するということは、これは法律ならともかく、申し合わせのようなことでやっては困るということをぼくはたびたび指摘したわけですけれども、そのたびに歴代の民事局長はやめる、やめるといって、おやめになったそうですね。非常にけっこうだと思います。いまその問題は聞きませんけれども、いまの問題も税通問題と同じようにぜひひとつ早目に解決してもらいたいというふうに思います。 それから人権擁護局の問題について一つ伺いますけれども、これはさっき矢山さんのほうから盛んに保護司の問題を聞いておるようですが、私も保護司は非常に重要だと思いますから、これから法務になりましたので、この保護司の問題も積み上げていきたいと思うのですけれども、いまここでは人権擁護局の問題につきまして、政府の機関の中で人権擁護という表看板を掲げておる局はこれ一つなんです。たいへん貴重な局だと思うんです。 それでこの局は一体どういうことをしておるのだということでいろいろ調べてみました。実際の県にあります地方法務局、ここへ行きますと、課長を含めて二人、一人女性がおる場合もあるくらいなもんでしょう。それから二十五くらいあります支局、ここに行きますとみんな兼務です。こちらのほうの本省のほうには十九人ですな、局長、課長二人、それと官がおりまして大体十八か十九人、そうして今度はブロックにありますところの法務局、そこは部があってここに十人か二十人いらっしゃるのかな、全体として百七、八十人くらいのもんでしょう、人権擁護局というのは。それが言うならば法務省、ブロック、県、言うならば市、郡のところに組織を持っておる。これが法律によりますと二万名以下の人権擁護委員——人権擁護委員というんですかね、その法律に基づいて人権擁護委員というのが二万名以内ということで、実際は九千五百人くらいの人権擁護委員というのがいて、これが支局ごとに協議会をつくって、そしてさらに県ごとに連合会をつくって、ブロックにもう一つブロックの協議会があって、それから全国の連合会があるという、こっちと行政機関と両々相まって人権を擁護していくという形のようですね。そこで実際入ってみますと、はなはだお粗末な形になっている。いかにも人権擁護はさびしいという、ものすごくさびしい感じですね。そこで、この人権擁護委員というのが一万九千何がしの定員があって、それが九千五百、ほぼ半分の定員になっているわけですね、実人員に。これだけ非常に少ないという理由はどういうことか、これは支障を来たしていないのかどうか。 もう一つは、そういう会合がもたれておりますが、その経費がはなはだ不足しておって、自治体がたいへん負担をしておるという実情のようですね。それで、人権擁護局というのの本来のたてまえというのは、要するに国家権力、公権力、そういうものによって人権が侵害される、それを守っていこうというのが本来のたてまえのようですね、人権擁護局のたてまえというのは。しかるに、それが実際上は自治体の非常な援助を受けて、たいへんな援助を受けてまかなっているということでは、どうにもならぬのじゃないかという気が非常にするし、国の経費というのははなはだ微弱なもので、そこら辺について、簡単でいいですから説明を伺っておいて、それで一ぺん、私が法務委員をやっている間に積み上げていきたいと思います。
○政府委員(影山勇君) 人権擁護機関の構成員の人数が足りない、あるいは予算の面でも非常に少ないのではないかというお尋ねでございましたが、お説のように、人権擁護委員法では二万名以下の委員を置けるということになっておりますが、現在約一万名弱で運営されておりまして、委員の全国的な分布を見ますと、委嘱率に若干の不均衡が見られますので、私どもといたしましては、当面委嘱率を、五〇%未満の市町村のうち特に増員の必要なところで約一千名を増員したいというふうな考えで努力しているわけでございます。 予算でございますが、御承知のように、人権擁護委員というものは、ボランティア活動としてこの事務をお願いしておりまして、ただその実費を弁償するという法律のたてまえでございます。私どもといたしましては、こういうボランティア活動によって人権擁護の仕事をやっていただく方に実費弁償の面で御迷惑をかけることのないように、少なくとも実費弁償の額は常に増額したいという考えで、その方向で、たとえば昨年よりことし、というふうに額を増額しているわけでございますが、これで必ずしも十分とは申せませんので、なお今後とも額の増加には努力してまいりたいというふうに考えております。 それから市町村からの人権擁護委員の組織に対する扶助金と申しますか、助成金でございますが、仰せのように、人権は、まず国家権力による侵犯ということから人権擁護の制度は歴史的にも発足すると思いますけれども、現在の実情によりますと、人権侵犯事件及び人権相談事件の趨勢を見ますと、国家公務員によるもののその他の事件に対して占める割合はそう多くございませんで、もっぱら私人間の人権侵犯というようなもの、それから非常な数に及びます人権相談事件というものが多くなっておるわけでございます。で、この特に人権侵犯事件、人権相談事件の取り扱いは、これはその地域の住民の利益に還元されるということで、各市町村からこの点の御理解をいただいて助成が行なわれているものだと思っておりまして、現在実費弁償金として国が支給いたします額と、市町村から助成金として出ます額がほぼ同額程度になっているのが現状でございます。
○委員長(阿部憲一君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度といたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時七分散会