法務委員会 第12号
- 発言数
- 103 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1972/05/09
会議録
○委員長(阿部憲一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る四月二十四日、高橋邦雄君及び長田裕二君が委員を辞任され、その補欠として平泉渉君及び重宗雄三君が選任されました。 また本日、林田悠紀夫君及び重宗雄三君が委員を辞任され、その補欠として矢野登君及び川上為治君が選任されました。 —————————————
○委員長(阿部憲一君) 犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。前尾法務大臣。
○国務大臣(前尾繁三郎君) 犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明いたします。 犯罪者予防更生法に規定されております中央更生保護審査会は、委員五人で組織され、法務大臣に対し恩赦の申し出をし、また、仮出獄の取り消し決定等についての不服申し立てに対する裁決をする等、裁判所の有罪判決の効果を事後に変更し、あるいは地方更生保護委員会の決定を審査する等の重大な権限を行使しているのでありますが、特に委員長は、審査会を代表し、会務を総理するとともに、議決ないし裁決をするに際し、出席委員の意見が可否同数のときは、これを決する責任を負っているのであります。このため、委員長は、すべての審査対象事件について刑事事件記録その他関係記録を精査し、あるいは、審査会の指名により審理を担当している主査委員との間に事前の協議を行なっているのでありますが、審査対象事件が近時著しく増加したため、委員長は常動的に勤務せざるを得ない事態に至っているのであります。 このような実情にかんがみ、この法律案におきまして、委員長を常勤とし、職務に専念させることとしようとするものでありますが、さらに、委員長を常勤とすることに伴い、次の事項についても改正を行なおうとするものであります。 第一は、中央更生保護審査会は、委員五人で組織することとされておりますが、これを、委員長及び委員四人で組織することといたしたいのであります。 第二は、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正し、日額の手当とされている委員長の給与を、国家公安委員会委員、地方財政審議会会長等並みの俸給月額といたしたいのであります。 以上が、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案の提案の理由であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(阿部憲一君) 次に、本案は衆議院において修正議決されておりますので、この際、便宜政府当局から修正点について説明を聴取いたします。笛吹保護局長。
○政府委員(笛吹亨三君) 犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案に対する修正の経過について御説明申し上げます。 犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案につきましては、衆議院におきまして修正議決されましたが、その修正点は、附則第一項本文の「この法律は、昭和四十七年四月一日から施行する。」となっているところ、すでにその日が経過しておりますので、これを「この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。」ことと改められたのであります。 以上でございます。
○委員長(阿部憲一君) 以上で説明は終了いたしました。 これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
○佐々木静子君 いま、この犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案についていろいろと提案の御説明があったわけでございますが、まず最初にお伺いいたしたいことは、この中央更生保護審査会がどのような仕事をされているところなのか。ふだんあまり私ども国民に特に密接な関係があるというふうに思っておらない、思われておらない審査会ではないかと思うんでございますが、その職務の内容あるいはその権限についてお述べいただきたいと思います。
○政府委員(笛吹亨三君) 中央更生保護審査会の権限の問題でございますが、法務省設置法の十三条の八というのがございますが、十三条の八で、「法務大臣の所轄の下に、犯罪者予防更生法第三条の事務を掌らせるため、中央更生保護審査会を置く。」とありまして、第二項で、「中央更生保護審査会については、犯罪者予防更生法の定めるところによる。」と規定されておるのでございます。そして犯罪者予防更生法の第三条におきまして、中央更生保護審査会の権限を規定いたしております。この権限は、先ほど提案理由の説明にもございましたように、中央更生保護審査会は、法務大臣に対しまして、「特赦、特定の者に対する減刑、刑の執行の免除又は特定の者に対する復権の実施について申出をすること。」、二番目に、地方更生保護委員会が決定した仮出獄の取り消しなどの処分についての不服の申し立てに対する裁決をする。また三番目に、「その他この法律又は他の法律により審査会に属せしめられた権限」とありますが、そういった権限が規定されておりまして、司法機関でありまする裁判所の有罪判決の効果を事後に変更し、あるいはまた地方更生保護委員会の決定を審査するというきわめて重大な権限を行使いたしておるのでございます。
○佐々木静子君 いまお話にございましたように、恩赦についてのこれは主として個別——主としてと申し上げるよりも、個別恩赦についての審議をなさる委員会であるというふうに——そのほかのこともなさいますが、主としてそういうことを審査なさるということを承ったのでございますが、この法律案提出理由の説明によりますと、審査対象が近時著しく増加したということでございますが、これはどのように増加してきているのかまあ数字の上でも、できますればここ五年ほどの間の推移をお述べいただきたいと思います。
○政府委員(笛吹亨三君) あまり古くはちょっと資料を持ち合わせないのでございますが、昭和四十三年からの個別恩赦の新受事件の件数を申し上げますと、昭和四十三年には百八十二件、それから四十四年には百九十六件、それから四十五年には二百三十二件、それから四十六年には二百八十三件、こうなっておるのでございます。もっとも昭和四十四年と四十五年は、まあ明治百年記念恩赦からの影響がございました件数がそのほかにございますが、個別恩赦だけを見ますと、そのような数字になっております。
○佐々木静子君 いま一般的な個別恩赦について伺ったのでございますが、四十四年と四十五年には明治恩赦の影響でこの対象となる案件の数はふえているというお話でございますが、大体何件くらいになっておるわけでございますか。
○政府委員(笛吹亨三君) ただいま申し上げました数字のほかに、明治百年記念恩赦の影響を受けて個別恩赦で受理しております事件は昭和四十四年が六百四十件、四十五年が三十九件でございます。
○佐々木静子君 いま恩赦の話が出ているのでございますが、この手続的なことをちょっと伺いたいと思うのでございますが、恩赦の申し立てが現実にいかなる手続でなされておりますのか、本人が恩赦の申し立てをしたい場合に現実にどういう手続でどこあてに申し立てがなされており、それがどういう経緯を経て最終的な結論をいただくようになっているのか、その過程を述べていただきたいと思います。
○政府委員(笛吹亨三君) これは個別恩赦の種類によりまして取り扱いが異なるように定められておるのでございますが、恩赦法の施行規則の第一条の二というのに規定いたしておりますが、これは特赦、特定の者に対する減刑、刑の執行の免除といったものにつきましては、刑務所等に在監いたしておりまする在監者につきましては、その監獄の長が上申をすることに規定されておりますので、在監者がこの監獄の長に出願するということになります。それから二番目に、保護観察に付されている者につきましては、その保護観察をつかさどっておりまする保護観察所の長が上申権者になっておりますので、保護観察所の長に出願することに相なります。それからそのほかの者につきましては、有罪の言い渡しをいたしました裁判所に対応する検察庁の検察官が上申権者になっておりますので、その検察官に出願する、こういうことになります。 別に復権だけは、特定の者に対する特別復権につきましては、これはまた別の規定がございまして、施行規則の第三条で、保護観察に付されたことのある者につきましては、最後にその保護観察をつかさどった保護観察所の長が上申権者になっておりますので、こういった関係の人が個別復権を出願するときには、この保護観察所の長に出願することになります。そのほかの者につきましては、個別復権につきましては、いずれも最後に有罪の言い渡しをいたしました裁判所に対応する検察庁の検察官が上申権者になっておりますので、その検察官に出願すると、こういう手続になっております。
○佐々木静子君 現在いわゆる沖繩恩赦を目の前に控えまして、恩赦の申し立てが激増していると思うのでございますが、現在保護局のほうにはどのくらいの件数が出されているわけでございますか。
○政府委員(笛吹亨三君) ただいま何件受理いたしまして中央更生保護審査会のほうで審査中であるかということにつきましては、ちょっといま数字が持ち合わせございませんので、いずれあとで調べまして申し上げます。
○佐々木静子君 はっきりした数字を伺わなくてけっこうなんでございますが、大体のところでございますね、平素の何倍ぐらいになっておるのかおおよそのところでけっこうなんでございますが、お述べいただけないでしょうか。
○政府委員(笛吹亨三君) 年末の未済といいますか、年末の最後の受理件数総数を見ますと、昭和四十六年が旧受事件が百件ございますので、それより若干ふえておる状況ではないかと考えております。
○佐々木静子君 これは法務大臣にお伺いしたいんですが、さきに参議院の予算委員会あるいは衆議院の法務委員会などにおきまして、大臣は、恩赦ということについては特に個別恩赦を中心にして考えていくべきである、まあ、できるだけ刑事政策的な立場を取り入れて、そしてそういう立場において取り組んでいきたいという御所信を承ったんでございます。私どもも非常にけっこうなお考えであると敬意を表しているわけでございますが、この刑事政策にのっとった合理的な恩赦の活用ということについて国民の多くの者が非常に共鳴しているといま申し上げましたように思っておりますが、現在におきましてさらに大臣がいま恩赦制度というものについてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、もう少し突っ込んだ御意見をお伺いいたしたいと思うわけでございます。
○国務大臣(前尾繁三郎君) 実は先般、だいぶ前でありますが、ただいまお話しのようなことを申し上げたことがあります。これはもとより沖繩恩赦とは全然関係なしに、私は、要するにまあ刑事事件に対して刑罰をもって臨むというのはこれはあくまで一般予防ということで判決がなされておると思います。しかし個々の人の特別予防という点に、一たん刑を受けますと、その場合においてはそれを中心に考えていくべきで、その人その人に最も適合した処遇を考えていくということが肝心であります。そういう意味では、この赦恩制度をほんとうに活用していく、今回専従者を委員長にするという趣旨もそこにあるわけでありまして、ことに個々の人に当たりまして必ずその人に会ってそして審査を進められておるのが現状でありますが、そういう意味からいたしますと、個個の人に当たってその人をいかに処遇し、そして矯正し、よくなってもらうかということを考えていくべきでありますし、またできればできるだけ早い機会に社会に復帰させるという考えでいくべきであります。したがって私は、恩赦制度というものは常時非常に活用していくべき制度だと思っております。ただそうだからといいまして、政令恩赦についてもこれは審査会も見ておるところでありまして、国家の慶事に際して、みんなが喜び合って、そしてそれを契機にさらにまた二度と罪を犯さないように、こういう意味を持っておることは重々承知いたしております。ただ私はできるだけ個別恩赦というものを活用していくべきであるということを従来から考えておりますので、その所信を述べたわけであります。
○佐々木静子君 大臣がこの恩赦ということについて非常に、当然なこととはいえ、真剣なお態度でお取り組みいただいているということにつきまして私ども非常に敬意を表しているわけでございますが、いま政令恩赦についての話が出ましたが、この本日御提案になっている犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案のこれでこの犯罪者予防更生法を見ましても、犯罪予防の活動を助長するための法律というふうにこの第一条でこの法律の目的がきめられているわけでございまして、法務省とすると、言うまでもなく、犯罪者の予防ということは非常に大事なお仕事ではないかと思うわけです。またこの政令恩赦の話がたまたま大臣のお口から出たわけでありますが、この政令恩赦ということと犯罪の予防ということ、これは非常に相盾矛するのではないかと思うんでございが、このことにつきまして法務省とするとどのようにお考えになりますか。
○政府委員(笛吹亨三君) 御承知のように、政令恩赦は政令で一般的にきめられまして、それに該当する者が全部その恩赦の恩典を受けるということになっておりまして、個々に審査するわけではございません。そこで、これが個々の人の犯罪予防といいますか、再犯の予防ということとどういう関係になるかということでございますが、政令恩赦は大体国家的な慶事といいますか、あるいはまた悲しみの場合もございますけれども、そういった国家的な重大な行事がございました場合に、それを記念して行なわれるのが常でございます。この場合にいろいろ恩赦のそのときそのときの理由もございまして、またそのときそのときによってその恩赦の持つ機能もあろうかと思うわけでございますが、恩赦の本来の意味は、これは昔は君主の恩恵ということから出発いたしておりまするけれども、戦後近代化されたこの新憲法のもとにおける恩赦というものはやはりもっと刑事政策的な合理性を持ったものでなければならないということで進んでまいったのでございます。 その恩赦の本質といいますか、につきまして、かつて昭和二十三年の十一月に恩赦制度審議会がいろいろ審議されまして、最終意見書を出されたことがございます。その最終意見書の中で、まあ今日における恩赦はどういう機能を果たすべきであるかという点に触れられておるのでございます、それを、かた苦しい記になりますが少し申し上げますと、まず、法の画一性に基ずく具体的不妥当の矯正という点、それから二番目に、事情の変更による裁判の事後変更、三番目に、他の方法をもってしては救いがたい誤判の救済、四番目に有罪の言い渡しを受けた者の事後の行状等に基づくいわゆる刑事政策的な裁判の変更もしくは資格回復、こういう四つの機能があるというように言っておられますが、これは大体ほかのいろいろな学者その他の御意見もこのようでございます。 近代的な恩赦というものはそういった機能を持っているだろうと思います。もちろんこれは政令恩赦におきましてもこういう点は考えられておるのでございます。また、個別恩赦は、その最後に申し上げました刑事政策的な有罪の変更もしくは資格の回復というものが、特に個別恩赦においては取り上げられてくるわけでございます。 そこで、政令、恩赦というものが個々の人たちの犯罪予防にどう影響するかということでございますが、恩赦制度審議会の最終意見書におきましても。政令恩赦というものはやはり必要な場合があるんだということを言っております。それはある一つの時期におきまして国家的な行事があった場合において、これを一つの契機として人心を一新して、その犯罪を犯した人たちのある範囲のものについて一斎に再出発させるといいますが、出直しさせて、新しく更生させていこうという意義があるようにいわれておるのでございます。こういった意味におきまして、またただいま申し上げました四つの機能の中に政令恩赦に適する機能も一、二の場合にはあるのでございまして、そういったことから政令恩赦もやはり犯罪者、犯罪を犯した者に対する更生という面において意義も持っておるというように考えておるのでございます。
○加瀬完君 関連。いまの質疑応答の中でも、沖繩恩赦がすでに行なわれるような前提でございますが、伝えられるところによりますと、その恩赦の内容などについても法務大臣と総理大臣の見解は必ずしも一致しておらないというようにいわれておるわけでございます。また、政府はどういう種類の恩赦を行なうということもまだ明言をいたしておりませんので、ここで伺いますが、今回恩赦は行なうことになりますか。行なうといたしますと、その種類、内容はどういうものになりますか。これが一点であります。第二点は、いつきめて、いつ発表するのか。第三点は、いまの御説明にもございましたように、合理性ということを非常に強調しておりますが、それなら恩赦の合理性からみて、選挙違反というものについての見解はどういうことになるのか。この三点をひとつ大臣からお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(前尾繁三郎君) 沖繩恩赦につきましては、これは五月十五日に発表ということになると思います。ただ、恩赦の本質上、これは事前に申し上げるわけにはいきませんので、ただいまいろいろお話がありましたが、それらの点にはこの際触れることをごかんべん願いたい、かように思う次第であります。
○加瀬完君 もう一点あります。恩赦の合理性ということからみて、選挙違反恩赦についての御見解はどうですか。
○国務大臣(前尾繁三郎君) できるだけ合理的にいかなければならぬというふうに私も考えておりますが、選挙違反を含めるのか含めないのかという具体的な問題につきましては、この際差し控えたいと思います。
○加瀬完君 こういう委員会等の機会は、それぞれ反対の立場の国民を代表する意見も聞かれるわけであります。十五日に施行をする恩赦の内容を、いまもって具体的な質問をいたしましても答えられないというのは、これは別に外交の秘密条項でも何でもないことでございますから、こういうことをそのような秘密の中に取り進められるという意義は一つもないと思う。合理的とおっしゃるなら、たとえば政府のお考えになっている、反対があろうとも、こういうことで合理性があるのだということで政府は主張すべきである。選挙違反等は恩赦に含むのか、こういう意味合いで合理性ということから選挙違反というものはどう位置づけられるのだと聞きますと、できるだけ合理性を尊重すると言う。できるだけ合理性を尊重するけれども、もっと優先するものは、時の政府の政治的要求だ、こういうことにも解釈できる。そんな形で恩赦というものが行なわれるなら、これは恩赦は当然国民としても望むところでありますが、一方的な見解で何も合理性のないような恩赦が、そのときどきによって政府の見解で行なわれるということならば、これは非常に疑義がある、異議もある。法務大臣の御主張は合理性を通したような御主張のように間接的には承っているわけでございますが、もうすでに閣議の決定の段階までには至っておらなくても、それぞれの関係者の間の話し合いというものは相当煮詰まっているはずであります。恩赦の範囲、法務大臣としてはどういう点を御主張をするのですか。具体的に言うならば、選挙違反までも含ませるということもやむを得ないという点で御主張なさるのか。当然総理からの話し合いがあるわけでありますから、法務大臣、あなた個人としてはどういう御見解で御主張なさのるか、あらためて伺います。
○国務大臣(前尾繁三郎君) 率直に申しまして、恩赦の制度はあくまで内閣が責任を持ってやるわけであります。でありまするから、いろいろ御批判は、皆さんの御意見は私は慎重に拝聴いたしておりますが、最後の決定につきましては、これはただいま申し上げるわけにはいかぬと思います。その点はごかんべん願いたいと思います。
○加瀬完君 この次の委員会でまたあらためて私はもう少し突っ込んで質問をいたしますけれども、そうすると選挙違反を恩赦の中に含めないということではないと、ただいままでの御説明では承ざるを得ませんけれども、選挙違反恩赦は行なわないという、こういうことではないと確認してよろしゅうございますね、政府の御見解としては。
○国務大臣(前尾繁三郎君) まあその点はやはりフィフティー・フィフティーだとお考え願いたいと思います。
○佐々木静子君 先ほど来選挙違反を含めるか、含めないかというお話がございましたが、これは私は予算委員会のときにもお尋ねしてちょっと触れてみたのですが、含める、含めないという問題よりも、この昭和三十一年の十二月十九日の恩赦では、六万九千六百二十七名の者が政令恩赦になっているわけでございますが、そのうちの六万九千五百人までが選挙違反でありまして、そのことを私は申し上げましたら、大臣御自身も、これはどうも極端なように思うという意味の御答弁があったわけでございます。これは私、大臣でなくても、まあ日本の国民の九九%というより一〇〇%までが、六万九千六百二十七人のうち六万九千五百人までが公職選挙法違反の者だというんじゃ、これはどう考えてもおかしいんじゃないか、そういうことを、これまあ当時はいまの大臣じゃございませんけれども、これ、法務省としてはこういうふうな恩赦のあり方ということについてどうお考えになりますか、九九・九%強が選挙違反になってるんでございますけれども、大臣としての御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(前尾繁三郎君) ただいまの数字から見ますといかにもどうも、多少異常な感じがすることは前にも申したとおりであります。
○佐々木静子君 これは大臣も口では多少とおっしゃってますが、これは多少では済まされないというふうに思ってらっしゃると十分にうかがえるわけなんでございますが、こういうふうな恩赦のあり方というようなものを、これは、いかに時の権力者がやるといっても、これはやはり法律を守っていかなければならないという立場にある一番大事なこの法務省がもう少し、幾ら何でもこういうことを繰り返していただいては困る。こういう恩赦のあり方が、先ほど来この四つ恩赦の意義をお述べになりましたが、その四つのどれと結びつくのか、どういう意味でこれが合理的であり、刑事政策的であるのか、お述べいただきたい。
○政府委員(笛吹亨三君) 当時私その衝におりませんので、その当時のことは直接わかりませんが、あとから考え——いまから考えてどう思うかということでの御質問かと存ずるのでございますが……。
○加瀬完君 そうじゃないよ、これ合理性だと、それを説明しろ。
○政府委員(笛吹亨三君) ですから、その点をいまから考えてどうかという御質問じゃなかろうかと思うのでございます。これは国連加盟のときでございますが、これは前に衆議院でも私申し上げたことがあるんでございますが、それまでわが国が、第二次大戦で敗戦して連合軍の占領下に置かれ、それが講和条約を大体結べて国際社会に復帰しようとしながらも、やはり国連に入っていないために、ほんとうの意味の国際社会に復帰してないと、それが国連加盟が認めれたということで、これは、戦後、新しくわが国が出直すということについて非常に意義が大きいということを評価された恩赦であろうと思います。その点はどなたもあまり御異存はないんだろうと思いますが、そこで、この際に大赦をやられたわけでございますが、その大赦の中に取り上げられたのが公職選挙法違反及びそれに似たような政治的な犯罪のみを取り上げられたのでございます。これはなぜそういったものだけが取り上げられたんであろうかということをあとから考えてみますと、やはりわが国が国際社会に復帰する、国連に加盟するということについて非常に政治的な功績がいろいろあったんじゃないかということからそういった面を取り上げられたんではないかとまあ考えておる次第でございます。
○佐々木静子君 いま御答弁をいただいたのでございますが、日本がその当時国連に加盟して新しく出発するときに、するために人心を一新するというのに、なぜその選挙違反がこのおもな対象になったのか、私、あとでまた質問さしていただきたいと思いますが、日本がほんとうに新しく出発するならば、その古い日本のひずみのためにいろいろな意味の、いろいろな悪い古い日本の残滓の、そういう残りかすの影響を受けて非常に苦しんでいる、ほんとうに救ってあげなければならないという、新しく発足するためには救ってあげなければならないと思う恩赦の対象者がたくさんあると思うのでございますが、そういう人たちの恩赦をほったらかしにして——ほったらかしと言うのは言い過ぎかもしれませんが、そうして、日本が新しく出発するときに、特段何の日本国に利益を与えたとも思われない選挙違反の人たちばかりを対象にしているということについて私は、その法務当局のあり方に、法務当局というよりも内閣がなさった恩赦のあり方について、非常にこれは義憤を感じているわけなんでございます。 先ほど来法務大臣のお話を伺いまして、今度法務大臣とすると、先ほど来のお述べいただきました正しい意味における恩赦制度の活用という姿勢で取り組んでいただけるということを伺って意を強くはしているのでございますが、実はもっとしっかりしたところの大臣の御所信を承っておきたいと思うのですが、少なくともこの国連恩赦のようなこんなむちゃくちゃなことは二度と繰り返していただきたくない。これは今度の沖繩復帰というものは、これは総理の御見解によれば、沖繩が復帰して初めて日本の終戦が終わるのだというようなことをおっしゃっておられましたが、そういうようなことだとすればなおのこと、ほんとうの意味における恩赦制度の活用をしていただきたいと思うわけですが、もう少し私、積極的な御姿勢と言いますか、法務当局のお立場の御見解というものを、もう一度重ねて承りたいと思うわけです。
○国務大臣(前尾繁三郎君) ただいまのお話、私どもも、衆議院においてもいろいろ御意見がありまして、貴重な御意見だと思っております。
○佐々木静子君 いや、貴重な御意見だとおっしゃっていただくのはけっこうなんですが、それを伺ったところでこれはちっとも国民は喜ばない。これは法務省の最高の責任者として大臣に、いろいろ事情はあろうと思いますが、これは個人的な見解でもよろしいし、率直にもう少しお述べいただきたいと思うわけです。
○国務大臣(前尾繁三郎君) 恩赦制度の性質上、これ以上いろいろ私から申し上げるのは差し控えたいと思います。いろいろ御意見、十分私も慎重に検討してきめるつもりでおります。
○佐々木静子君 あとでまたもう一度重ねて大臣に伺いたいと思うのでございますが、私は、この選挙違反が大半をいま申し上げましたようにほとんど占めているわけでございますが、この政令恩赦というものはいろいろな意味において非常に大きな影響を与えるのではないか。政令恩赦の場合は、言うまでもなく刑の確定した者のみならず、公判中の者や、あるいは捜査段階にある者に対してまでも公訴権が消滅してしまう。そこら辺に、これは単に裁判を変更するだけではなしに、国民がきめた法律というものをこれは恩赦権によって法律をなくしてしまう。現実に公訴権が消滅するということはそういうことになると思うのでございますが、こういうことをひんぱんに行なってはたして治安の維持あるいは法の尊重というようなことが貫いていけるのかどうか。これは大臣、お答えいただけると思うのですが、どうです。
○国務大臣(前尾繁三郎君) 恩赦という、ことに政令恩赦につきましては、これはひんぱんに行なうとか何とかという問題ではなしに、偶然の国家的慶事が起こるということでありまして、必ず何年に一回あるべきものだというわけじゃありませんので、場合によっては非常に近接して行なわれることもあり、また長いときには十年のうちにもない、こういうような問題だと思いますので、そういう意味合いでお考え願いたい、かように思うわけであります。
○佐々木静子君 いま大臣も御承知のとおり、沖繩恩赦を目当てで、いわゆるお目当て恩赦、もう恩赦になるだろうというようなことでいろんな予測が飛びかわっております。そして、先日も水戸の地方裁判所において、恩赦の恩恵にあずかりたいからということで、刑事裁判においてわざわざ公判を分離して、しかも検事の求刑なしに判決が言い渡されたというようなケースがございます。これはいまここでその裁判所の訴訟指揮が適当であるかどうかというようなことを論ずるのは妥当でないと思いますので、こういうふうな風潮が全国のいま裁判過程において非常に顕著にあらわれているわけでございますが、こういう公職選挙違反の事件に対して求刑もなしに裁判が行なわれているそういうふうな一般の風潮に対して、たいへんに苦労をされて犯罪の捜査をされ、しかもそれを立件されて、起訴され、そして公判をずっと維持するために努力をしてこられた検察庁、検察官の方々の士気に大きな影響を与えていると思うわけでございます。これは法務省としては、このような政令恩赦というものと検察当局に与える影響というものについてどういうふうな影響を与えているかということについてお述べいただきたいと思います。
○政府委員(辻辰三郎君) ただいまの御指摘は、いわゆる政令恩赦と検察の運営との関係についての御質問であろうと存ずるのでございます。で、この場合に、政令恩赦の中では大赦というのがございますが、大赦はもうきわめて例外的なものでございまして、大赦になればこれはもう公訴権が吹っ飛んでしまうということでございますけれども、ほかの政令恩赦の場合には必ずしもそういうものではございませんで、そういうことで、恩赦制度は先ほど来御議論がございますように、それ自体きわめて有用な制度でございます。これは内閣の権限においておやりになることでございまして、検察当局といたしましては、その恩赦制度というものを前提にして、そういうものがあることは当然であるのだということを前提にして検察運営をいたしておるわけでございまして、政令恩赦のいかんによって検察の士気が影響されるということは私はあり得ないというふうに考えております。
○佐々木静子君 いま私の質問の出し方もちょっと混同していたと思うのでございますが、いまの水戸地裁の裁判というのは、個別恩赦を対象にしたために急いで結審をしたものであろうと思うわけでございます。またそれに反して、もう選挙違反の裁判は一応一審は結審したが、おそらく大赦令が出るだろうということであわてて上訴の申し立てをしているというふうなことも起こっているわけでございます。むろん有罪の判決を受けてそれが特赦になることよりも、大赦令で公訴権そのものがなくなってしまったほうが本人にとって有利だという思惑から、いまさまざまな風潮を呼んでいるわけでございますが、いま、恩赦というものも当然にあるという前提で、捜査当局はむろんその認識のもとに動いているというようなお話だったわけでございますが、現実に犯罪を捜査され、公訴を維持してこられた検察官が、それほど簡単に割り切った気持ちでおられるかどうか。これは現実に一線の検察官の方々が、公職選挙法の事件がもう途中で、一生懸命に公訴を維持してきたところ、恩赦の対象になるというので、もう半ば放免されたような気持ちになって、どちらをしたほうが得か損かというような、改悛の情というかそういうふうなものが全くなく、ただ偶然に支配される、あるいはどちらが得かというような論理を追い回しているというような、そういうような情けない現状に対して、公訴を提起した検察官として、これはそのままやむを得ない、あるいは国家の行事だから当然だというように割り切ってお考えになるのかどうか、私は現実に一線の検察官が、こんなばかなことはないと話をしておられるのを幾つも聞くわけですけれども、その点は検察当局とすると、そういうことで士気に影響しないというようにお考えになるわけですか。
○政府委員(辻辰三郎君) 私が申し上げておりますのは、もとより検察当局は、検察官は国の刑罰権の適正な実現ということが大きい職務でございますから、それに向かって日常精励をいたしておるわけでございます。しかしながら、反面、国の制度として恩赦制度があるわけでございますから、この制度を無視して検察官というものは仕事をしているわけではない。そういう制度があって、そういう恩赦の運営が行なわれた場合には、それはそれで一つの刑罰権の適正な実現の方法として恩赦というものがまた一つの効果をもたらす場合ももちろんあり得るわけでございますから、そういうものを全部含めまして、検察官はこの法制度のもとで適正な職務をしている。かような意味におきまして、恩赦があったからといって検察官の士気が低下するということはあり得ないと、かように考えておるわけでございます。
○佐々木静子君 そうすると、現在、裁判所に係属中の公職選挙法違反事件数は全国でどれくらいあるんですか。
○政府委員(辻辰三郎君) 現在、公判係属中の公職選挙法違反事件の人数でございますが、これは御承知のとおり、公判そのものがそれぞれ進行いたしておるわけでございまして、現時点で何人係属しているかということは把握が困難でございます。これは多少日時がございますれば十分照会いたしますけれども、私ども現在手元にありますもので公判請求をした人員、これを申し上げたいと思うのでございますが、これは最近の三回の大きい選挙でございます。まず昭和四十六年の六月に施行されました参議院議員通常選挙におきまして公判請求いたしました数は七百九十二人でございます。それからやはり昨年の四月十一日及び二十五日に施行されましたいわゆる統一地方選挙におきまして公判請求いたしました数は五千七十九人でございます。それから四十四年十二月二十七日に施行されました衆議院議員総選挙におきます公判請求人員は二千五百二十七人でございます。かような数になっておりますが、これらのものが現在公判係属しておるその土台になる数字でございます。そのうちの相当部分がすでに結審いたしておると思うわけでございますが、その詳細な現状は、現在判明といいますが、調査いたしておりません。 で、ただいま私が申し上げましたこの公判請求人員でございますが、これも実人員ではございませんで、これは検察庁におきます統計技術上の問題がございまして、警察から受理いたしました受理ごとに一人というような計算をいたしておりますので、実人員はただいま申し上げました数よりも若干下回るというように御理解を願いたいと思います。
○佐々木静子君 こういう数の人が、これは全部が全部有罪と限ったわけではありませんけれども、これは検察官が責任を持って公訴を提起される以上は、相当有罪の確信があって提起されたと思うわけでございますが、そういう人たちが、その公訴権自身がなくなるということは、これは治安を維持する、あるいは法の尊厳を知らしめなければならない検察当局の立場からすると、はなはだこれは妥当を欠くのじゃないかと私どもは考えるわけです。これは反対の立場にある弁護人、ちょっとでも何とかして助けてあげたいと切望している弁護人の立場においてすらあまりにも、これは助かるのはありがたいけれども、実際むちゃくちゃな話ではないかという話を、個人的にはこれはもうみな言うておるわけです。これは検察官のほうは、これは当然のことであるというふうにそのままお考えになって、これはやむを得ないというようなことで、士気にも影響ないというようなことは、私はどうもうかがえないんでございますけれども、その点、これ大臣に伺いたいと思いますが、こういうふうな、単にそのときの政治権力の動きによって特定の犯罪、しかもこういうふうに何千人という方々が一ぺんに罪を犯しておりながら、何ら罪がなかったことに一瞬にしてされてしまうというふうなことは、これは法を尊重していこうという精神に逆行するのではないのか。法の軽視ということに、このことが行なわれるということは、つながっていくのではないかと思うわけなんです。そのことについて大臣は法務省のお立場とするとどのようにお考えになるか。
○国務大臣(前尾繁三郎君) お話のとおりに、裁判の効力を恩赦はくつがえすわけでありますから、率直に申して非常に慎重にやらなきゃならぬということは当然のことだと思います。ただ恩赦があるからというようなことを検察当局としては予期してやっておるわけではありませんし、また恩赦が行なわれるか行なわれないかということは、事前にそんなにはっきり必ずどういう恩赦が行なわれるということがわかっておるものではないのであります。だからそのときに最も適切な恩赦をやれば、やはりそれに対して恩赦は恩赦としての意味があるわけでありますから、要はそこに、まあ第一線の士気が阻喪するような恩赦ということはできるだけ考えていかないほうがいいんじゃないかということであります。要するにあらゆる点から最も調和のとれた、有効な措置をとっていくというふうに考えるべきものだと思っております。
○佐々木静子君 いま係属中の事件について伺いましたが、現在公職選挙法違反で確定判決を受けている人の数はどのくらいございますかしら。
○政府委員(笛吹亨三君) 公職選挙法で現在確定判決を受けている者が何名あるか、これはちょっと把握いたしておりません。これは把握するのは非常にむずかしい問題だと思います。
○佐々木静子君 むずかしいという意味がわからないんですが、どういうふうにむずかしいのか。
○政府委員(笛吹亨三君) 佐々木委員も御専門ですから十分おわかりだろうと思うんですけれども、われわれのほうの統計というものはそういうとり方をいたしておりませんので、年末現在とかなんとかで判決確定したのは何名というようなとり方をいたしておりますものですから、そういう、いま何名だというとり方は、これ全然いたしておりませんので、ちょっと把握がむずかしいのでございます。それじゃ昨年末ではどうだというようなことですが、これはまことに統計というものはおそいものでございまして、昨年末の統計がまだできてないというような状況でございます。
○佐々木静子君 そうしますと、最も新しいものでいつの統計ができているわけでございますか。
○政府委員(笛吹亨三君) 統計はまことに恐縮でございますけれども、四十三年でございます。
○佐々木静子君 これは保護局の御担当じゃないかと思うんですが、そういうことを専門にやっている係はおらないわけですか。
○政府委員(笛吹亨三君) これは保護局の直接の所管ではございませんのでございますが、統計は法務省といたしましては司法法制調査部が主管することになっておりますが、これは各出先といいますか、下部機関のほうからそれぞれ報告がございまして、それを司法法制調査部のほうでまとめて統計をつくるということになっておるのでございます。
○佐々木静子君 これは刑事局のほうでもわからないわけですか。
○政府委員(辻辰三郎君) これは裁判所の統計で、何年度にどれだけ判決をしたかというのが裁判統計に出てくるわけでございます。で、それの罪名別というものは、これは裁判統計のほうでは出てくると思うのでございますが、それも先ほど来保護局長が申しておりますように、相当まあ統計がおそいということと、それからいついつ現在とこうおっしゃった場合にはたいがいこれは年度末、その年度に何人が確定裁判を受けたかというような数しか出てまいらないということで、的確にいま公職選挙法違反の確定数何名ということが出てこないわけでございます。
○佐々木静子君 そうすると、罪名別の、ほかの罪名とダブっている部分もあるのであるいはむずかしいかと思いますけれども、罪名別による有罪判決者の統計というものは毎年おとりにならないわけですか。
○政府委員(辻辰三郎君) これは裁判統計の問題でございます。
○加瀬完君 関連。いずれにしてもね、いま一番大きなあなた方の関係で問題になるのはこの恩赦の問題でしょう。恩赦の問題の中でまた問題になるのは選挙違反関係でしょう。そうであればね、それらに関する統計というものは十分整えられて、統計の上からも検討されて、恩赦の内容というものが、あるいは種類というのがどういうことにあるべきだという、ことに合理性ということをあなた方はたびたび言っているのだから、合理性の検討ということになれば、何も統計がないでは一体選挙違反恩赦が合理性があるかないかという検討すらもできないでしょう。ずさん過ぎますよ。一体委員会に対する答弁というものをどう考えているのです、あなた方は。先ほど刑事局長にね、佐々木委員が聞いたのは、求刑もしないものをいきなり判決をしてしまったと、こういうことでは、その判決をした理由は、恩赦があるからということを当て込んでの判決なんだ、こういうことでは検察当局のそれぞれ担当の者は不満を持つことになりますという、士気にも関係をするであろうという質問をしている。あなたは恩赦の合理性だけを説明している。もっとね、質問に対しては正確に答えてもらいたいし、この法案関係で出てくるようなものに対する、いずれ恩赦の問題が出されるとそれは選挙違反の件数なんかが問題になってくるということ、それらについての準備だけは十分にしていただかなければ、少し怠慢じゃないですか。こういうことでは私どもは審議に臨めませんよ。四十三年の統計しかありませんと、その統計は裁判所の関係ですと、裁判所の関係なら裁判所に来て説明してもらうまでやめましょうよ。不まじめ過ぎるよ。意見を申し上げて恐縮ですがね。委員の質問に対してもっと真剣に答えてもらわなけりゃ困ります。委員長、ひとつ委員長のほうでもね、十分注意してください。この委員会だけじゃないですよね。本日だけじゃない。資料の提出なんかについても説明についてもはなはだ不十分だ。
○委員長(阿部憲一君) ただいま加瀬委員からまあ非常な政府委員に対する不満が述べられましたが、一応私ももっともだと思いますので、ひとつこれよろしく、もっと真剣な姿勢でもってこの委員会に臨んでいただきたい。お願いいたします。 なお、この統計につきましては、まあ四十三年ということの統計しかないということでありますし、また関係の方が御出席になっておらないという理由もございましょうが、これにつきましてはまた佐々木委員のほうから何か御希望がありますれば後日でも出していただくように至急調製していただきたいというふうに思います。
○佐々木静子君 それでは、いまのこの資料のお話でございますが、四十三年度までの資料しかないということでございますれば、この四十三年度の資料、一番新しい資料を早急に委員会に出していただきたい。それからそのあとの分について大急ぎで資料を調製していただく、あるいは裁判所のほうにあるとすれば裁判所のほうから取り寄せていただいてそれを調製していただく。それは日数的にどれぐらいかかりますか。最も新しい公職選挙法違反事件における確定判決を受けた者の数、それは一番急いでいただいて何日ぐらいでその統計ができますか。
○政府委員(笛吹亨三君) 四十三年の統計は、これは御要望のとおり、すぐと言いましても無理でございますが、関連の方面と連絡をとりまして出さしていただきます。最近の確定判決ということになりますと、これはちょっと私は判断に迷うのでございますが、なかなか数字を出すのが非常にむずかしいんじゃないかと考えておりますが……。
○加瀬完君 そんなことは言ってない。四十三年のを出せと言っている。
○政府委員(笛吹亨三君) 四十三年ならすぐに、何日かのうちにお出しいたします。ただ、最近のとなりますと、非常に把握しがたい状況でございまして、これはおそらく佐々木委員よく御判断願えると思うのでございますけれども、こういう、先ほど申しましたような、一定の時期に、ある犯罪についての罪名についての確定判決、有罪判決が幾らかという統計のとり方をしておりませんので、それでちょっと出ないのでございますが。
○加瀬完君 ちょっと関連。関連ばかりしておって恐縮だけれども、話がどこまで進展して、どこを質問して、どこの資料要求をしているかということをはっきりしてくださいよ。現時点における統計の要求をした。それは出せないとおっしゃった。で、一番新しいものは、と言ったら、四十三年だと言った。だから佐々木委員は、四十三年のはいつ出せますかと、こう言っている。だから、四十三年のはいつ出せますと、こうおっしゃればいい。現時点のは出せないとか、そんなものは話が済んでいる。
○政府委員(笛吹亨三君) いや、私が承りましたのは、四十三年の統計を出してくれということと、そのほかに現時点における判決の人員とおっしゃったように伺ったものですから、そのように申し上げたのでございまして、四十三年の統計でございましたら数日のうちに出せますので、次の委員会までには十分間に合わせたいと思っております。
○佐々木静子君 それでは四十三年の資料をとりあえず次の委員会までにぜひ御提出いただきたいと思います。 それから私いま、ほんとうに、大臣が先ほどから言われたように、この恩赦というものを刑事政策的に、あるいは公平の原則、あるいは誤判の救済というような恩赦本来の意味に当てるならば、もっとこれは真剣になって取り組まなければならない事案がたくさんあるのではないかということを申し上げたのでございますけれども、こういうふうな個々的なほんとうに救済しなければならない人の事案、これは個別恩赦に属すると思うわけでございますが、これなどはいずれも本日議題となっております中央更生保護審査会のほうで御審査いただくわけでございますね。
○政府委員(笛吹亨三君) 個別恩赦は中央更生保護審査会で審査するのでございます。
○佐々木静子君 この審査会の権限はいまちょっと伺いましたが、諮問機関であるのか決定機関であるのか、その性格について述べていただきたいと思います。
○政府委員(笛吹亨三君) これは決定機関でございます。
○佐々木静子君 裁判所でなした有罪判決を変更するというのは、これは非常に重要な仕事であり、また責任の重い仕事であると思うわけでございますが、これはなぜ審査会というかっこうをとっているのか。憲法七条並びに七十三条の規定からいきますと、恩赦の権限は行政権に専属しているということは疑いの余地のないことでございますが、これは法務省の官吏の方がなさらないで、こういう審査会のかっこうをとっているという意義、性格、その目的というものについてお述べいただきたいと思います。
○政府委員(笛吹亨三君) 中央更生保護審査会の権限といたしまして、先ほども申しましたように、法務大臣に対しまして、特赦、特定の者に対する減刑、刑の執行の免除、あるいは特定の者に対する復権の実施につきましての申し出をするという権限でございます。もちろん、憲法で恩赦の権限は内閣にあるということが規定されておりますので、内閣が個別恩赦につきましても恩赦をするかどうかという最後の決定をされるわけで、そのあと天皇の認証を得るわけでございますが、その法務大臣を通じて内閣に申し出するかしないかについて決定をするのが中央更生保護審査会でございます。したがいまして、中央更生保護審査会が恩赦相当であるということで法務大臣に申し出をし、法務大臣が閣議を要請されて、内閣でこれをあらためて御審議になって、そこで恩赦にされるかあるいはこれは恩赦不相当であるということに決定されるか、ということに分かれるわけでございます。そういう意味における決定機関でございます。 そしてこの中央更生審査会は、ただいま、御承知のように五人の委員で構成いたしております。これは、そういった意味におきまして非常に重要な権限を抱いておりますので、五人の合議制において慎重にこれを審議しようということからそのような組織になっておるのでございます。
○佐々木静子君 そうしますと、中央更生保護審査会で出された決定に対してさらに内閣でおきめになるわけですが、法務省とすると、その決定に拘束されるわけですか、どうですか。
○政府委員(笛吹亨三君) 法務大臣は、この申し出を受けますと閣議を要請して内閣でそれを審議される手続をとるわけでございます。これを法務大臣がとらないということはございません。
○佐々木静子君 これは五人の委員で構成されている非常に重要な審査会ではないかと思うのでございます。結局、この審査会を通らなければ恩赦について閣議でおきめになる対象にならないということになるわけでございますね。
○政府委員(笛吹亨三君) そのとおりでございます。
○佐々木静子君 この五人の委員が現実に担当の事件についての記録を全部精査なさるわけでございますか。お読みになるわけでございますか。
○政府委員(笛吹亨三君) これは事案にもよるわけでございますが、通常の、と言いますとちょっと語弊がございますが、まあ、通常の事案につきましては、——委員の一人が主査委員に任命されますが、この委員長とその主査委員の二人が記録は確実に精査いたします。そのほかの三名の委員は主査委員からいろいろ詳しく報告を受けて、必要に応じて記録を見ていくということになっております。しかしながら、非常に重大な事件になってまいりますと、委員長、主査委員だけでなくほかの委員も記録に相当目を通すということで精査しておるわけでございます。
○佐々木静子君 現在、この委員は、国家公務員法にいう国家公務員になるのかならないのか。また今度の改正によってどういう身分になるのか、あるいは特別職であるのか一般職であるのか、そのあたりをお聞かせ願いたい。
○政府委員(笛吹亨三君) 現在のところでは委員長も含めて五人の委員が全部非常勤の特別職の国家公務員でございます。ところが御審議をお願いいたしておりますこの法案が成立いたしましたならば、委員長は特別職、常勤の国家公務員ということに相なるわけでございます。
○佐々木静子君 これは恩赦の申し立てをしてからここの審査会での審議に非常にひまがかかるというような話を聞くわけなんでございますが、これは委員長一人を常勤として、あと非常勤であって、そういうふうなことのために審議が長引くというようなことになっているのではないのですか。こういう重要な機関ですから五人が五人とも常勤にする必要があるんではないでしょうか。
○政府委員(笛吹亨三君) 非常に職責が重要であることは御説のとおりでございます。しかしながらただいま事件が大体先ほど申しましたように年間二百八十件から三百件程度のものでございます。非常に忙しくいたしてはおりまするけれども、その記録は全部委員長自身が当たらなきゃならないというところで、特に委員長だけを常勤にお願いいたしたものでございまして、今後そういった意味においてまだほかの委員も常勤の特別職にお願いしなきゃならない時代が来るのではないかと、そのように考えております。
○佐々木静子君 この委員長の待遇あるいはほかの四名の委員の待遇はどうなっておりますか。
○政府委員(笛吹亨三君) 現在のところでは委員長もほかの委員もすべて先ほど申しましたように非常勤の特別職職員でございますので、日額幾らということに規定されております。昭和四十七年度におきまして委員長が日額八千百円、他の委員が七千五百円ということに相なっております。ところが今度審議をお願いいたしておりますこの法案が通りますと、特別職の給与に関する法律の一部も改正していただくことに相なりますので、委員長につきましてはこれは常勤の特別職になりまして、国家公安委員と同じランクにしていただきまして、月額四十万円ということになるわけでございます。
○佐々木静子君 この委員会は現在では大体週に何回開かれているわけでございますか、審査会は。
○政府委員(笛吹亨三君) 通常の場合におきましては週二回開いております。
○佐々木静子君 これは委員長だけを常勤として、あと委員が非常勤であるということになると、五人のうちの合議できめるといっても、委員長の発言が非常に大きなウエートを占めるのではないかというふうに思うのですが、これはどういうふうに考えられますか。
○政府委員(笛吹亨三君) これは先ほど申しましたように、主査委員が最も詳しく記録その他を精査いたしておりますので、一番事件をのみ込むのが主査委員ということに相なるのでございますが、この主査委員が合議の席におきまして詳しく説明いたしまして、ほかの委員たちに対しましても十分事件の内容をのみ込んでいただきまして、また委員長はもちろん先ほど申しましたように事件をよく精査いたしておりますからのみ込んでおります。そういった過程をたどって慎重な合議をいたしますので、これは委員長の発言がそんなに強くなるということではない。現在もそういうような運用にはなっておりませんが、これが常勤になったからといってその点の委員長の発言が強くなるということはないと思いますので、合議体のほんとうの本質を発揮し得るものではないかと考えております。
○佐々木静子君 いまは五名の委員の方、非常にりっぱな方がおなりいただいておるようでございますが、この委員の平均年齢はお幾つでございますか。
○政府委員(笛吹亨三君) ただいま委員長が六十七歳でございますが、あとの委員が大体その程度の方でございまして、一番お若い方が六十三歳でございます。ちょっといま平均年齢の計算出しておりませんが、ですから大体六十五、六歳というところではないかと思っております。
○佐々木静子君 これは先ほど来お話を伺っておりますと、非常に重要な仕事であることはもちろん、たくさんの記録を精査しなければならない、まあ一般の行政官の定年あるいは最も定年が長いと言われている裁判官でも六十五歳が定年になっているような現在から考えてみますと、その定年を過ぎた隠居仕事というのではこの委員会の委員はとてもつとまらないのではないかと思う。そういう意味においてなるだけ壮年の人をこの重要なポストに充てる必要があるのではないかと思うのですが、今後の人選その他について当局としてどのように考えておられますか。
○政府委員(笛吹亨三君) ごもっともな御意見かと思いますが、実は中央更生保護審査会の権限、機能といったものが先ほど来申しましたように、裁判の結果を変更するといったような非常に重要な機能を果たすのでございますので、これはいろいろな意味において人生経験も豊かであり、また非常に学識経験も積み、またいろいろな経歴を兼ねた人も参加していただくということで、やはり相当年輩の方がおやりになるほうがいいのではないかと思っております。まあただいま申し上げましたように六十七歳とか、若い人で六十三歳と申し上げましたが、委員の方は、すでに御承知のとおりと思いますが、いずれもりっぱな方ばかりでございまして、非常にかくしゃくとしておられますし、もちろんその判断においてまことに正確な判断をされる能力を十分備えておられる方ばかりでございます。裁判官が六十五年で定年にはなりまするけれども、しかしながら最高裁判所では七十歳というところまでありますし、そういった意味におきましてやはり相当年輩な方たちがこういった重要な機能を果たされるということがほんとうの意味における公正な審査というものを実施していく上にあずかって力あるのではないか、このように考えております。
○佐々木静子君 いろいろとりっぱな人を選んでいただいていることは非常にけっこうだと思いますが、これは重ねて申し上げたいのは、たくさんの審査の対象となるものがあってそれは慎重にやらなければならないと、いけないと同時にある程度の迅速性も必要とされる、そういう意味において、しかもこの任期が三年という長い、また何との比較においてかと言われるかもしれませんが、三年というとまあ任命されてから少なくとも三歳上になるというわけでございますから、やはりそういう点をお考えになってできるだけ十分に仕事のできる年齢の方にこの委員のポストについていただくように今後の御配慮をいただきたいと思うわけです。 それから私、先ほどもちょっと申し上げましたが、実はこれは先日予算のときにもちょっとお伺いしたのでございますが、終戦直後のまだ新しい刑事訴訟法も十分に用いられていない旧刑訴の時代において、しかも占領下の時代において裁判が行なわれ、そうして死刑の判決を受けて二十数年間いま刑務所、拘置所の中で死と直面しながらこの恩赦の日を待ちわびているという幾人かの人があるわけでございます。で、実はこの間保護局のほうに具体的に私お尋ね申し上げた件に関しまして、たとえば福岡事件の死刑の判決を受けている石井健治郎あるいは西武雄などという者に対して、これはもう死刑の判決を受けたまま二十何年問というものを福岡の拘置所の中で、ほんとうに文字どおり死と向かい合った状態で過ごしてきているわけでございます。しかもこれは事案とすると相当に問題がある。当時は進駐軍の占領下にあって、しかも被害者というのが第三国人であり、進駐軍からいろんな介入があったということが訴訟記録の上からもあらわれているわけでございますが、まあ事実関係のことはさておき、本人たちがそういうことで、ほんとうに死の谷底の中から何とか恩赦の恩典にあずからせていただきたいということで、文字どおり死の叫びを続けてきているわけでございます。こういうふうな事案につきまして、この書類を読むのに非常にひまがかかるからなかなか審理が進まないというふうなお話を幾たびか承っているわけでございますが、こういうふうな、ほんとうにそれこそ先ほど来おっしゃった刑事政策的な意味、あるいは公正の原則などに立脚した、終戦の混乱を一掃して、そして日本が新しく平和な日本の国として再出発する、こういうふうな大事なときに、恩赦の対象に当然しなければならないような人の審査というようなものを、中央更生保護審査会のほうでひとつ積極的に取り組んでいただきたいということをお願い申し上げたいと思うわけです。 この間、西武雄、石井健治郎の件についてお伺いしましたときには、これは再審の請求も出ているということを御答弁いただいたのでございますが、私その直後すぐに事実関係を確かめましたところ、再審請求も出ておらないわけですし、また民事事件も早急に取り下げておるようなわけでございます。で、私実はつい最近も福岡拘置所へこの二人に面会に参ったわけでございますが、これは弁護人ではあるけれども、死刑の確定囚と会うのだから、これは当然行刑の関係があるから立ち会っていただいてけっこうだということを申し上げて、そして二人と話をしたので、その西武雄あるいは石井健治郎が申しておることは、これは立ち会いの刑務官が速記をしておられると思うのでございますが、全く私どもの目から見てもりっぱな生活をしている。そして自分のこの二十数年間の死と対決して過ごしてきたという、悟り切ったと申しますか、ほんとうにこちらが恥ずかしくなるような、非常に、ある心境に到達したようなりっぱなお話であった。そういう人たちを、これはもう死刑の対象からはずすのはもとより、一日も早く恩赦の対象として取り扱われるべきではないか、こういうことを思うわけでございますが、保護局においては、こういうふうな特別な事件についてどう考えておられるのかお述べいただきたい。
○政府委員(笛吹亨三君) 石井健治郎、西武雄のこの具体的な事件の問題でございますが、先般予算の分科会で御質問がございましたときに、私再審があるのでと申し上げましたが、これは誤りでございましたので訂正させていただきます。実は再審は二回ないし四回出されましたが、いずれも棄却になっておりまして、現在再審にはかかっておりません。ただ、当時民事事件がございまして、この民事事件のために刑事記録が民事の裁判所のほうに取り寄せられておりましたので、この恩赦の上申を受けた中央更生保護審査会のほうで手元にその記録を置くことができない状態であったわけでございます。 この恩赦上申の経過を申し上げますと、事件は三十一年の四月あるいは五月に最高裁判所で上告棄却によって確定したものでございます。その後、これは石井と西との間で、少し日が違いまするけれども、それぞれ一回恩赦の出願がございまして、それぞれ棄却されておるわけでございますが、その後昭和四十四年に二度目の恩赦の出願が出て、刑務所から中央更生保護審査会のほうに上申されたわけでございます。当時、すでにもう民事事件が係属しておりまして、記録は中央更生保護審査会のほうに取り寄せられない状況でございましたので、その前にあった事件の審理というものだけをまあ見ておるような状況でございましたのです。ただいま承りますと、民事事件が取り下げられたようでございますので、そういたしますと民事裁判所のほうでは刑事記録が不要ということに相なりますから、これはまた検察庁を通じて刑事事件確定記録を審査会のほうに取り寄せて審査を再開するという形になるかと思っております。 まあいずれにいたしましても、事案はどの事案でもそうでございまするけれども、中央更生保護審査会でできるだけ早く審査していきたいというふうに各委員の方々も努力されておるわけでございますが、数はそれほど多くはないと申しましても年間三百件近くの事件、こういうふうな膨大な事件はそれほど多くないのでございますけれども、全部の件数にいたしますとそのような件数でございますし、またこの死刑事件も若干数がございまして、死刑事件というのは、御承知のようにたいてい相当膨大な記録に相なるわけでございますので、また事案がたいてい最高裁判所で確定し、あるいはまた再審も出されて棄却されるというような、最後までいったような事案がほとんどでございますので、これについて慎重に審査するということから、各委員がそれぞれ記録を見られるというようなことがございまして、相当時間がかかっておることはこれは事実でございますが、この点につきまして中央更生保護審査会の各委員においても鋭意努力されてやっておられるのでございます。本件につきましても、この民事事件が取り下げられたということにつきましてはただいま承りましたので、さっそく中央更生保護審査会のほうに私のほうからお伝えいたしまして、しかるべく審査を促進していただくということにしたいと存じております。
○佐々木静子君 これは具体的な事件でございますので、たいへん恐縮でございますが、この西武雄さんのほうももう非常に健康を害しておりまして失明寸前にある。しかも私拝見しましたところでもいかにも健康が悪い。これは自分でも手紙に書いてきておりますけれども、もう余命幾ばくもないことではないかというようなことを本人も訴えているわけでございます。まあそういうふうな、ほんとうにそれこそ終戦の犠牲になった人たちに対して、ともかく命のある間に社会に復帰できるように、これこそこの恩赦制度の意義ではないかと思います。そういうことにおきまして、ぜひとも審査会のほうでも早急にお取り組みいただきたいと思います。と同時に、先ほど来申しましたように、委員の方々は非常にりっぱな方々、また御熱心な方々でございますので安心はしておりますけれども、できるだけスムーズに、迅速に事が運びますよう、これは特にお願い申し上げたいと思うわけでございます。そしてこの福岡事件はそういうふうな意味で非常に終戦直後の混乱した世相を如実にあらわしている。そして彼ら二人が全然無罪だと言っているわけではないのでございまして、その情状面においてほんとうに酌量する面が多いのではないかと思うわけでございますので、特に前向きの姿勢で早くお取り組みいただきたいと思いますと同時に、先ほど来、再審の対象になって棄却されているケースが多いということをおっしゃっておられましたが、これは再審が棄却されたからといって彼らの訴えが事実と違っていたということにはならないと思います。 御承知のとおり、現行刑事訴訟法における再審というものが非常に門戸が狭く、その適用を受ける機会に恵まれておらないわけでございまして、そのために昭和四十四年にも衆議院の法務委員会で再審の法案の改正問題が起こったわけでございますが、そのときの法務大臣が、これは再審法案にかわる恩赦法の適用でもって救済されるということを言明され、しかも一、二年のうちにこれは救済するようにするというような趣旨の御発言があって、それでこの再審法案というものが日の目を見なかったわけでございます。これは現在の法務大臣の時期ではございませんけれども、そういういきさつで彼らは再審の申し立てをし、そしてまた、やはりこれは恩赦法の適用を受けられるということでまた喜んで再審を取り下げたりして、また恩赦の日をほんとうに一日千秋の思いで待っているわけでございます。そういう事柄につきまして、これは前任の大臣の御発言もあることでございますので、法務大臣といたしますと、先ほど来おっしゃいました恩赦の精神というふうなものを、こういうふうな恵まれない死刑囚に対してどのように適用されてお取り組みになろうというふうなお考えであるか、大臣としての御所信をお述べいただきたいと思います。
○国務大臣(前尾繁三郎君) 先ほど来いろいろお話を伺っておったのでありますが、私も実は率直に申しまして、どうも恩赦制度というのが何だかこう、非常勤で片手間でやっておるんではないかというような気がしまして、ぜひ委員一名と委員長と二人常勤にしてもらいたい、こういうことで大蔵省に申し込んだのでありますが、まあ委員長だけしか認められなかったわけでございます。将来は私は全員がやはり常勤で迅速に、しかもまた的確な恩赦をやってもらいたい、こういうふうに考えておるわけであります。ただいまの事件の内容については私存じませんけれども、そういう意味合いから、どうしてもできるだけ迅速に、そうしてまた的確な処置をやってもらうようにぜひお願いしたいと思っております。
○佐々木静子君 これは私の未熟な経験から申し上げるのでございますが、私もまあ幾たびかと申すほどの数ではございませんが、いままでの弁護士としての経験で死刑の判決を受けた人を担当したことがございますが、無実だと確信している人が死刑の判決を受けたということぐらい、いままでの四十何年間の生活でほんとうに悲しい、つらいと思ったのは、もう何かといえば、そのときが一番つらかった。また無実だと確信している被告が無実の判決を受けたということが、いままでの一生のうちで何が一番うれしかったかというと、これくらいうれしかったことはない。それに比較するとほかの喜びというようなものはほんとうに小さい問題だと思うわけです。これは弁護人である人間でも、そのように無実であると思っている者が有罪の判決を受ける、特に死刑の判決を受けるというものはほんとうにどんなにつらい思いをするかということを体験したわけでございますが、これが本人であればどんな気持ちであろうかということを、私感ずるわけでございまして、ほんとうにこういう人たちの顔を見、話を聞き、また書物、記録を読みますと、いたたまれないような気持ちになってくるわけでございます。そういうふうな、ほんとうに恵まれない、こういうふうな世相の犠牲となった気の毒な人たちこそ、まず第一にほかの人に優先して恩赦の対象にすべきであると、私心よりお願い申し上げます。 そういうことで、今度の犯罪者予防更生法のこの改正によって、委員長が常勤になるということも、そういうほんとうの意味で恩赦法を活用していこうという精神にのっとってこの審査会を運用していただくという姿勢においては、私ども大いにけっこうなことであり、また恩赦制度を生かすための大きな前進になるのではないかと、私考えておるわけでございますが、特に、最後に大臣に、今度のこの法改正によって、法務省当局といたしましても、先ほど来おっしゃった恩赦制度をさらに前進せしめていく、国民のための恩赦制度を実現していただくということをお願い申し上げたいと思います。 最後に、大臣のこの法改正についての御所信を、重ねて承りたいと思います。
○国務大臣(前尾繁三郎君) ただいまお話しのとおりのことを、私みずから考えておるわけでありまして、そういう意味で、これはまあ第一歩にすぎませんけれども、将来にわたって、私はほんとうに恩赦制度を活用するということが一番大事なことだというふうに考えておりますので、御趣旨に沿ってやっていきたいと、かように考えております。
○委員長(阿部憲一君) 本案に対する質疑は本日はこの程度といたします。 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時五十六分散会 —————・—————