法務委員会 第2号
- 発言数
- 93 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1972/03/07
会議録
○委員長(阿部憲一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る一月三十一日、佐野芳雄君、秋山長造君及び藤原道子君が委員を辞任され、その補欠として加瀬完君、鶴園哲夫君及び矢山有作君が選任されました。 また、昨六日、白木義一郎君が委員を辞任され、その補欠として三木忠雄君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(阿部憲一君) 次に、理事の補欠選任についておはかりいたします。 ただいま御報告いたしました佐野芳雄君の委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(阿部憲一君) 御異議ないと認めます。それでは理事に佐々木静子君を指名いたします。 ―――――――――――――
○委員長(阿部憲一君) 次に、検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。 まず法務行政の基本方針について前尾法務大臣からその所信を聴取いたします。前尾法務大臣。
○国務大臣(前尾繁三郎君) 当委員会の委員の皆さんには、平素から法務行政の諸問題につきまして種々御尽力をいただいておりますことについて、この機会に深く感謝の意を表する次第であります。 第六十八回国会の当委員会における御審議に先立ちまして、私が日ごろ考えておりますことを申し上げたいと存じます。 私は、昨年七月法務大臣に就任して以来、社会の進歩発展に即応しながら法秩序を維持し、国民の権利を保全することが法務行政の使命と考え、その職責の遂行につとめてまいりましたが、今後とも、法務行政の責任者として全力を尽くしたい所存でありますので、よろしくご協力くださいまするようお願いを申し上げます。 以下、このような観点から、当面、重要と考えております二、三の点につきまして申し述べたいと思います。 第一は、治安対策並びに刑事政策についてであります。 いわゆる過激派集団は、最近、各地において、爆発物などを使用して悪質、凶悪な不法行為を反復し、警察官をはじめその家族や善良な一般市民の生命、財産に危害を及ぼすなどの暴挙に出たのでありますが、今後も大規模な集団暴力行動や、危険な不法越軌行動を敢行するおそれがあり、その動向には厳戒を要するものがあります。自己の主義主張を貫徹するため、手段を選ばず、過激な暴力行為に訴えるがごときは、法治国家としてとうてい容認し得ないものであることは申すまでもありません。私は、部下職員を督励し、現行の関係法令を十分に活用するなど、全力を尽くしてかかる事犯の発生を防止し、治安の維持に遺憾なきを期してまいる所存でありますが、さらに、委員各位の御理解と御尽力を賜わりまして、この際の適切な方途を講じていただきますことをお願いいたす次第であります。 また、最近の犯罪情勢にかんがみ、刑法改正作業の促進、あるいは罰金等の価額の改訂を行なうなど、刑罰法令について現実に即する所要の是正をはかり、もって国民全体が、さらに法と秩序を尊重する精神に徹するよう、格段の努力をいたしたいと存じております。 第二は、法務行政の充実についてであります。 各位の御承知のように、当省が所管いたします民事、刑事、矯正、保護、人権擁護、出入国管理、訟務その他の事務は、じみではありますが、国民の権利義務に密接に関係いたしますので、これら行政の適正迅速な実施のため、なお一そうの努力を払い、もって国民の期待にこたえたいと存じます。 特に、民事行政事務につきましては、最近におけるわが国の経済の発展を反映し、登記事務などに対する行政需要が著しく増大し、事務内容が複雑化している情勢にかんがみまして、国民の権利の保全、経済活動の円滑化に資することができまするよう、機構の面におきましても、また事務の処理の面におきましても、その改善、合理化をはかるなど、効果的な施策を講じてまいりたいと考えております。 また、国際交流の増大、航空輸送の大量、高速化に伴いまして、わが国に出入する外国人の数は、年々増加するものと予想されておりますので、出入国手続の簡素化とこれに伴う在留外国人の管理の合理化をはかり、時代の要請に即応した出入国管理体制を確立したい所存であります。 さらに、法務局、刑務所その他所管各庁の老朽庁舎等の改築及び職員の待遇改善等にも十分配意いたしまして、法務省関係職員の士気の高揚につとめたいと思います。 第三は、沖繩の復帰対策についてであります。 五月十五日には、沖繩がわが国に復帰することになっておりますが、当省所管事務につきまして円滑な復帰手続を行ない、また、復帰後、的確かつ迅速な施策が講ぜられまするよう、沖繩における地方組織の確立と施設の整備に万全を期する所存であります。 最後に、法務行政全般の適正な遂行をはかるため、予算の確保につきましては、できる限りの措置を講じ、また、出入国管理法の制定、諸法律の必要な改正をはかりたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。 はなはだ簡単ではありますが、私の所信を申し上げまして、委員の皆さんの格段の御支援、御協力を心からお願いする次第であります。 ―――――――――――――
○委員長(阿部憲一君) 次に、昭和四十七年度法務省並びに裁判所関係予算及び今期国会における法務省関係の提出予定法案について、順次説明を聴取いたします。大内最高裁経理局長。
○最高裁判所長官代理者(大内恒夫君) 昭和四十七年度裁判所所管予定経費要求額について、説明申し上げます。 昭和四十七年度裁判所所管予定経費要求額の総額は、七百四億五千七百九十二万五千円でありまして、これを前年度予算額六百十六億四千八万七千円に比較いたしますと、差し引き八十八億一千七百八十三万八千円の増加となっております。 これは、人件費において四十七億一千二百九十四万六千円、裁判費において二億八千八百四十八万一千円、最高裁判所庁舎新営費において二十四億八百九十四万円、沖繩関係経費において十億四千八百五十六万七千円、その他司法行政事務を行なうために必要な旅費、庁費等において三億五千八百九十万四千円が増加した結果であります。 次に、昭和四十七年度予定経費要求額のうちおもな事項について説明申し上げます。 まず、最高裁判所庁舎の新営に必要な経費であります。 最高裁判所庁舎の新営は三年計画で行なわれておりますが、その第二年度の工事費及び事務費として三十八億六千七百一万円を計上しております。 なお、この歳出予算額のほかに、国庫債務負担行為として八十四億四千百十四万四千円を計上しております。 次は、人的機構の充実のための経費であります。 特殊損害賠償事件等の処理をはかるため、判事補四人、裁判所書記官四人、裁判所事務官二十人の増員に要する経資として二千五十六万円、地方裁判所の交通事件(業務上過失致死傷事件)の適正迅速な処理をはかるため、判事補五人、裁判所書記官五人、裁判所事務官十五人の増員に要する経費として二千六十二万二千円、家庭裁判所の資質検査の強化をはかるため、家裁調査官十五人の増員に要する経費として一千六百十四万三千円、執行官法所定の金銭の保管及び予納事務を取り扱うため、裁判所事務官(歳入歳出外現金出納官吏補助職員)三十人の増員に要する経資として一千五百三十三万三千円、裁判所の広報体制の充実強化をはかるため、裁判所事務官十人の増員に要する経資として五百二十二万九千円、家庭裁判所充実、強化するため、専任の家庭裁判所長を置く庁の増設一庁に要する経費として百十七万九千円、合計七千九百六万六十円を計上しております。 次は、裁判運営の能率化及び近代化に必要な経費であります。 裁判官の執務環境の改善をはかるため、下級裁判所裁判官研究庁費一億七千六百七万五千円、資料室図書、図書館図書の充実をはかる等のため、裁判資料の整備に要する経費一億四千八百十一万二千円、裁判事務の能率化をはかるため、検証用器具等の整備に要する経費八千二百六十一万八千円、電子計算機による事務機械化の調査研究のため、研究開発に要する経費一千六十七万五千円、合計四億一千七百四十八万円を計上しております。 次は、公害訴訟の処理に必要な経費であります。 公害訴訟を適正迅速に処理するため、協議会を開催する等に必要な経費一千九百五十五万七千円を計上しております。 次は、裁判官の執務態勢の確立に必要な経費であります。 新任判事補を研修し、若い判事補を欧米の裁判所に派遣する等に必要な経費七千三百八万六千円を計上しております。 次は、下級裁判所施設の整備充実に必要な経費であります。 下級裁判所庁舎の新営、増築等に要する経費として裁判所庁舎等の新営及び増築、新規二十四庁、継続十六庁、に必要な工事費及びその事務費等四十三億六千三百四万九千円を計上しております。 次は、裁判費であります。 国選弁護人の報酬、日当及び宿泊料を増額するに必要な経費として五千五百四十七万三千円、証人等の日当を増額するに必要な経費として三百七万八千円合計五千八百五十五万一千円を計上しております。 最後に、沖繩の本土復帰に伴う沖繩裁判所等の整備充実に必要な経費であります。 沖繩の裁判所に新規定員四百七十二人(うち裁判官五十三人)を配置するに必要な経費(人件費)として九億二百六十九万九千円、その他の経費として一億四千五百八十六万八千円、合計十億四千八百五十六万七千円を計上しております。 以上が昭和四十七年度裁判所所管予定経費要求額の大要であります。
○委員長(阿部憲一君) 法務省伊藤会計課長。
○政府委員(伊藤榮樹君) 昭和四十七年度法務省所管予算の内容について、概要を御説明申し上げます。 昭和四十七年度の予定経費要求額は、千二百四十六億二千八百四十九万一千円でありまして、これを前年度予算額千百二十七億八千九百二十九万四千円に比較いたしますと、百十八億三千九百十九万七千円の増額となっております。 増額分の内訳を大別いたしますと、人件費九十一億九千九百五十六万七千円、一般事務費二十一億三千二百九十八万九千円、営繕施設費五億六百六十四万一千円となっております。 まず、増員について申し上げますと、第一に、検察庁において百四十四人が増員となっております。まず、交通関係事件処理の円滑適正化をはかるため、副検事三人、検察事務官九十三人が増員となっております。また、公害犯罪に対処するため、副検事八人、検察事務官十六人、公判審理の迅速化のため検察事務官十四人、公安労働検察の強化のため検察事務官十人が増員となっております。 第二に、法務局において事務官二百五十三人が増員となっております。まず、登記事務の激増に対処するため、二百四十一人が増員となっております。また、国の利害に関係のある争訟事件の処理を充実するため九人、人権侵犯事件等の増加に対処するため三人が増員となっております。 第三に、刑務所における職員の勤務条件を改善するため、看守百七十五人が増員となっております。 第四に、非行青少年対策を充実するため、関係職員六十九人が増員となっております。 その内容は、少年院の職業補導の充実のため教官三十人、少年鑑別所の観護活動の充実のため教官十七人保護観察所の面接処遇の強化のため保護観察官二十二人であります。 第五に、出入国審査業務の適正迅速化及び在留外国人の資格審査の充実をはかるため、地方入国管理官署において、入国審査官三十三人、入国警備官三人が増員となっております。 第六に、破壊活動調査機能を充実するため、公安調査官二十八人が増員となっております。 以上のほか、法務本省において、中央更生保護審査会を充実するため、委員長(特別職)一人の常勤化をはかるとともに、訟務事務の充実のため、事務官一人が増員となっております。 増員の内容は以上のとおりでありますが、御承知のとおり、昭和四十六年、八月の閣議決定に基づく定員削減計画(第二次)による昭和四十七年度削減分として六百三十三人が減員されることになりますので、所管全体といたしましては、差し引き七十四人の定員増加となるわけであります。 また、沖繩復帰関係の増員につきましては、検事四十一人を含む千百二十八人となっており、その内訳は法務局二百六十一人、検察庁二百二十八人、刑務所三百十八人、少年院百二十八人、少年鑑別所四十一人、更生保護官署二十四人、地方入国管理官署百八人、公安調査庁二十人となっております。 次に、一般事務費につき、それぞれ前年度当初予算と比較しながら御説明申し上げますが、まず、全体としては、前年度に比し、旅費類が六千三百三十六万円、庁費類が九億六百六十一万七千円、その他の類が五億一千五百九十六万五千円増額となっております。 以下、主要事項ごとに御説明申し上げます。 第一に、治安対策の充実強化につきましては、さきに申し上げました副検事十一人を含む合計四百十六人の増員経費及び関係組織の人件費を含めて七百六十三億二千三百万円を計上し、前年度に比して八十八億四千百万円の増額となっております。 その増額分について申し上げますと、まず、検察庁関係としては、三十億八千百万円が増額されておりますが、その中には、関係職員の人件費のほか、検察費千二百万円、公害犯罪事件処理の適正をはかるための経費四千六百万円、捜査用器材費等一千百万円が含まれております。 次に、矯正関係としては、四十七億六千五百万円が増額されておりますが、この中には、関係職員の人件費のほか、職員の待遇改善経費一億八千三百万円が含まれております。 次に、公安調査庁関係としては、五億二千三百万円が増額されておりますが、その中には、関係職員の人件費のほか、調査活動経費五千五百万円が含まれております。 次に、保護関係としては、四億七千二百万円が増額されておりますが、その中には、関係職員の人件費のほか、保護司等との連絡通信費、事務能率器具等の整備に要する経費三千八百万円、仮釈放審査旅費、観察旅費等旅費千五百万円、保護司実費弁償金七千九百万円、更生保護委託費三千七百万円が含まれております。 第二に、国民の権利保全の強化につきましては、まず、登記事務処理の適正化に関する経費として、さきに申し上げました事務官二百四十一人の増員経費及び関係職員の人件費を含めて百二十六億六千六百万円を計上し、十七億七百万円の増額となっております。その増額のおもなものは、登記諸費一億七千八百万円、全自動謄本作成機等の整備に要する経費二千三百万円、謄抄本作成事務の一部を請負により処理するための経費一千六百万円、不動産登記簿の粗悪用紙改製に要する経費一千七百万円、公共事業関係登記事件の処理に伴う応援等の経費一千七百万円であります。 次に、人権擁護活動の充実に関する経費として、関係職員の人件費を含めて三千九百万円の増額となっております。そのおもなものは、人権侵犯事件調査の強化をはかるための旅費、庁費六百万円、人権擁護委員実費弁償金六百万円であります。 第三に、非行青少年対策の充実強化につきましては、一部治安対策関係と重複しておりますが、さきに申し上げました少年院教官等六十九人の増員経費及び関係職員の人件費並びに収容関係諸費を含めて百十九億八千三百万円が計上され、前年度に比して十七億九千四百万円の増額となっております。 その増額分について申し上げますと、まず、検察庁関係としては、八百万円が増額されておりますが、これは検察取締経費であります。 次に、少年院関係としては、六億二千八百万円が増額されておりますが、その中には、関係職員の人件費のほか、生活備品の充実に要する八百万円等が含まれております。 次に、少年鑑別所関係としては、二億八千八百万円が増額されておりますが、その中には、関係職員の人件費のほか、鑑別備品借料三百万円等が含まれております。 次に、保護観察所関係としては、関係職員の人件費及び補導援護経費において三億六千四百万円が増額となっております。 第四に、矯正施設収容者処遇の改善につきましては、五千万円の増額となっております。これは、作業賞与金の支給計算高を一一%引き上げるための所要経費三千四百万円、生活用備品、日用品等の充実のために要する経費八千二百万円、被収容者被服の改善のための所要経費一千二百万円が増額となったほか、被収容者食糧費につきましても菜代七・三%の引き上げ、心情安定食の内容の充実等給食内容の改善がはかられましたが、収容人員を五千十人減じたため差し引きわずかの増額となったものであります。 第五に、出入国管理業務の充実についてでありますが、さきに申し上げました入国審査官等の増員経費及び関係職員の人件費を含めて二億八千七百万円の増額となっております。その中には、臨船審査等旅費百万円、携帯無線機購入費等五百万円、舟艇建造費等機動力充実経費百万円が含まれております。また、港出張所を岩手県大船渡港等六個所(うち二個所は、沖繩に新設)に新設することにしております。 次に、施設の整備につきましては、登記所適正配置実施に伴う施設整備費二億九千二百万円及び沖繩復帰に伴う施設整備費九千七百万円を含め、五十四億三千二百万円を計上し、前年度当初予算に比し八億一千百万円の増額となっております。 なお、このほか、大蔵省及び建設省所管の特定国有財産整備特別会計において、松山刑務所等二十一施設の施設整備費として、三十四億六千二百万円が計上されていることを申し添えます。 最後に、沖繩復帰に伴う地方組織の確立につきましては、さきに申し上げました千百二十八人の増員経費を含め、総額二十四億一千万円を計上しておりますが、その内容は、人件費十九億三千万円、各組織を通じ本土とおおむね同規模の出先機関及び検察庁等を設置し、本土と同様の事業を行なうための旅費、庁費等三億八千三百万円及びさきに申し上げました施設整備費九千七百万円となっております。 以上が法務省所管歳出予算予定経費要求の概要であります。 終わりに、当省主管歳入予算について御説明いたします。 昭和四十七年度法務省主管歳入予算額は、三百四十九億八百二十万八千円でありまして、前年度予算額三百九億九千九百八十三万二千円に比較いたしますと、三十九億八百三十七万六千円の増額となっております。 以上をもって、法務省関係昭和四十七年度予算案についての説明を終わります。 ―――――――――――――
○委員長(阿部憲一君) 安原官房長。
○政府委員(安原美穂君) 法務省の今国会に提出を予定いたしております、あるいは提出いたしました法案の概要を御説明申し上げます。 お手元に「第六十八回国会(常会)提出予定法案」昭和四十七年一月十八日という名のリストを差し上げておりますので、これに基づきまして順次御説明を申し上げたいと思います。 第一は、法務省設置法の一部を改正する法律案であります。これは所管は内閣委員会でございます。すでに二月八日に衆議院内閣委員会に付託されております。 その内容は、ごらんのとおり、第一は、松山刑務所の所在地が松山市から愛媛県温泉郡重信町へ移転することに伴いまして、その位置を別表で改めるということであります。 第二は、北海道の樺戸郡月形町に月形少年院を設置し、一方、愛知県の知多郡南知多町所在の豊浦医療少年院を廃止することであります。 第三は、入管関係でございまして、岩手県大船渡市所在の大船渡港ほか五カ所における出入国者の増加等に対処いたしまして、岩手県大船渡市に仙台入国管理事務所の大船渡港出張所を、茨城県日立市に東京入国管理事務所の日立港出張所を、それから大分県佐伯市に福岡入国管理事務所の佐伯港出張所を、熊本県の八代市に福岡入国管理事務所の八代港出張所を、それから沖繩県の石川市に那覇入国管理事務所の金武港出張所を、沖繩県コザ市に那覇入国管理事務所の嘉手納出張所をそれぞれ設置いたします一方、出入国者の減少にかんがみまして、札幌入国管理事務所根室港出張所と、それから沖繩県に那覇入国管理事務所のほか、出張所の設立されることに伴いまして、出入国者の減りますことの予想されます鹿児島入国管理事務所の和泊港出張所をそれぞれ廃止するものであります。 第四番目は、市町村の廃置分合等に伴いまして、札幌法務局及び函館地方法務局の管轄区域内の行政区画の名称の一部と、旭川刑務所、交野女子学院及び東京入国管理事務所直江津港出張所の位置をそれぞれ改めるものであります。 以上が、法務省設置法の一部を改正する法律案であります。 その次は、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案であります。これも、すでに二月八日、衆議院の法務委員会に提出、付託済みであります。 内容は、ここに書いてありますように、第一審におきます事件の適正迅速な処理をはかる等のため、判事補の員数を九人、裁判官以外の裁判所の職員の員数を三十一人増加しようとするものであります。 その次は、一枚めくっていただきまして、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案であります。 なお申しおくれましたが、コメじるしのありますものは予算関係法案という趣旨であります。 犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案改正の理由は、中央更生保護審査会は、御案内のことと存じますが、内閣に恩赦の申し出をし、また、仮出獄の取り消し決定等についての不服申し立てに対する裁決をするなどの権限を行使しているのでありますが、委員長は、審査会を代表して会務を総理する等の責任を負い、また、すべての審査対象事件を事前に精査するなど、その職責も事務量も大きいので、常勤として職務に専従させる必要があるということであります。 したがいましてその改正の要点は、中央更生保護審査会の委員長を常勤に改め、これに伴いまして「中央更生保護審査会は、委員五人で組織する。」を改めまして、「委員長及び委員四人で組織する。」こととし、附則におきまして、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正いたしまして、日額の手当とせられておりました審査会委員長の給与を、国家公安委員会委員、中央公害審査委員会委員長等並みの俸給月額四十万円とする内容であります。 その次は、刑事訴訟費用等に関する法律の一部を改正する法律案であります。現行の刑事訴訟費用等に関する法律におきましては、国選弁護人に支給すべき旅費は、運賃の等級が三階級に区分されております船舶による旅行の場合には、上級ではなくて中級以下で、裁判所が相当と認める等級の旅客運賃によって算定することとされておりますが、国選弁護人の社会的地位にかんがみまして、これを裁判所が相当と認める等級の旅客運賃によって算定することとし、上級の旅客運賃を支給することができるようにするものであります。 その次、五は、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案であります。 これは市町村の廃置分合等に伴いまして、若干、広島簡裁ほか五ないし八つの簡易裁判所の管轄区域を変更いたしますほか、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の別表中三十七カ所、八王子簡裁等約三十簡裁の行政区画の名称を改正しようとするものであります。 その次は、民法等の一部を改正する法律案であります。この法律案は、いわゆる主務官庁の許可を得て設立されながら何にも業務をやっておらない、いわゆる休眠民法法人を整理する方途を講ずるため、民法等の一部を改正しようとするものであります。 御案内のとおり、民法法人は、主務官庁の許可によって成立いたすものでありますが、法人の中には全く事業活動をしていないいわゆる休眠法人が多数存在し、弊害をもたらしております。しかしながら、主務官庁がかかる法人を解散させることができるかいなかにつきましては、民法上疑義がありますので、民法等を改正いたしまして、正当な理由なくして引き続き二年以上事業をしていない場合には、主務官庁がその設立許可を取り消すことなどによって、その法人を解散させることができるというようにするということをおもな内容とする改正案でございます。 しかしながらこの改正につきましては、わが省の法務大臣の諮問機関である法制審議会等にかけるというような手続がまだ終わっておりませんので、提出できるかどうか、はなはだ未確定の状態であることを申し添えさせていただきます。 それからその次は、商法の一部を改正する法律案、それからその次のページの資本の額が一億円未満の株式会社に関する商法の特例に関する法律案、それから商法の一部を改正する法律等の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案、これらは一連のものでございますので、便宜一括して御説明申し上げます。 商法の一部を改正する法律案は、まず先般来問題になりました粉飾決算防止のために監査役の権限を強化いたしまして、監査役は会計監査だけではなくて、業務監査をも行なうものとし、これに必要な権限を与えるとともに、適正な監査が行なわれるよう任期その他、その地位の独立性の保持等の措置を講ずるということ。 それからもう一つは、会社は、計算書類につきまして、定時株主総会前に、公認会計士または監査法人の監査を受けることとし、会社の株主、従業員、取引先及び下請企業者等の関係者の保護をはかるということが一つの柱であります。 その次は、経営の安定をはかるという観点から、累積投票制度につきまして取締役の選任について、定款をもって累積投票の請求を完全に排除できることとし、業務の運営の安定をはかるということが一つ。 それから会社の資金の調達の便をはかるという意味におきまして、転換社債は、新株の発行と同様、原則として取締役会の決議によって発行できることとし、また準備金を資本に組み入れた会社は、株主に対しまして発行価額の一部の払い込みを要しないものとする株式を発行できることとして、資金調達の便をはかるということ。 以上がおもな内容でございます。 ただ附則におきまして、会計監査人に関する規定を一律に株式会社に適用すること。同時に適用することについては、制度の円滑な実施という観点から考えまして、段階的に実施する。たとえば資本金一億円以上の証券取引法適用会社、いわゆる上場会社については、昭和四十八年一月一日から、それから上場会社ではない、資本金一億円以上の証券取引法適用の会社でないが資本金三億円以上の会社については、四十八年七月一日から施行する等、段階的施行を附則で定めております。 その次は、資本の額が一億円未満の株式会社に関する商法の特例に関する法律案の中身でございますが、御案内のとおり、株式会社は全国で九十万ございまして、資本の額におきましてきわめてバラエティーに富んでおりますので、一律にただいまの商法改正の点を適用することはまた問題があるという中小規模の株式会社の実情にかんがみまして、まず資本金一億円未満の株式会社についての特例を設ける。その特例の内容は、一億円未満の株式会社の監査役は、従来どおり会計監査のみを行なうものとする。あるいは資本金一億円未満の株式会社については商法の適用除外といたしまして、これらの会社については公認会計士または監査法人の監査を受けることを要しないものとする等の内容を盛らんとするものであります。 それから最後の、商法の一部を改正する法律等の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案は、商法の一部を改正する法律、ただいま御説明申し上げましたような法律の施行に伴いまして関連する諸法律について所要の改正を行おうとするものであります。 以上が、商法関係三つの法案の概要であります。 その次は、罰金等臨時措置法の一部を改正する法律案であります。 刑法その他の刑罰法規に定める罰金及び科料の額等につきましては、現行の罰金等臨時措置法、昭和二十三年法律第二百五十一号でありまするが、によりまして暫定的な臨時特例を定めておりまするが、同法制定後二十三年の間に、物価は約三倍、賃金は十倍以上に上昇しておりますので、罰金及び科料等の額を現行のままにとどめておきますことは、これらの財産刑の刑罰としての機能を低下させるばかりでなく、刑事司法の適正な運営を阻害するおそれがある。そこで、罰金及び科料の額等を現在の経済状態、それに適合をするように改正する。 改正の要点は、要するに罰金等臨時措置法に定める罰金及び科料の額等をいずれも一律にその四倍に相当する額に改めることをおもな内容とするものであります。 最後は、出入国管理法案であります。現行の出入国管理令は、昭和二十六年に、いわゆるポツダム政令として制定されたものでありまするが、制定後二十年を経過する間に、国際旅行の普及、航空機による大量輸送によりまして、わが国への入国者が飛躍的に増加しております。このような最近における出入国の状況から、現行制度を全面的に改善して、今日の国際的な諸要請及びわが国の国情に応じた出入国管理制度を確立する必要があるのであります。 この法案は、第六十一回国会、第六十五回国会に提出し、いずれも審議未了になっております。今国会に再び提出しようとする法案の内容は、おおむね第六十五回国会に提出したものと同様でありまするが、ただしこの前回の国会に提出いたしました法案に対して寄せられました各方面からの御批判を十分にくみ入れ、しんしゃくいたしまして、近く成案を得て国会に提出するつもりであります。 以上が、法務省提出予定法案の概要であります。
○委員長(阿部憲一君) 以上で説明は終了いたしました。 本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。 ―――――――――――――
○委員長(阿部憲一君) それでは、当面の司法問題に関する件等についてこれより質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。
○三木忠雄君 それでは、私は登記事務の問題について質問いたしたいと思います。 特にただいまも大臣からいろいろ説明のあったとおり、「最近におけるわが国の経済の発展を反映し、登記事務などに対する行政需要が著しく増大し、事務内容が複雑化している情勢にかんがみまして、国民の権利の保全、経済活動の円滑化に」云々と、「機構の面におきましても、また、事務処理の面におきましても、その改善、合理化を図るなど、効果的な施策を講じてまいりたいと考えております。」と、こういうふうに法務大臣もいろいろ所信を述べられているわけでありますけれども、これとうらはらに、効果的な施策を講じているのかどうか非常に疑問視されるような問題が最近司法界及び登記事務に携わっている司法書士会等において非常に大きな問題になっているということを私も耳にしました。きょうは具体的な問題を通して詰めたいと思っております。これは前回、昨年に衆議院の法務委員会でもこの問題が取り上げられております。この問題等の回答を含めて私はダブる、重複するような問題は省いてまいりたいと思いますが、特に政府の公益法人廃止という方向が、私も昨年の予算委員会でこの問題は総理とやりとりをいたしました。公益法人は廃止の方向でいろいろ整理をしていきたい、こういう問題が出されて、具体的に総点検が行なわれ、公益法人の整理縮小が行なわれておるわけでありますが、これとうらはらに法務省であまり承認されないような、理解に苦しむような公益法人が――まあ司法書士会も了解をしていない、あるいは抜き打ちでこの登記協会という公益法人が設立されたというこういう問題について、私は具体的な問題を質問したいと思うわけでありますが、まず最初に、この登記協会が設立されたこの経緯あるいはその後における法務大臣がとってきた態度について御説明を願いたいと思うのです。
○政府委員(川島一郎君) ただいま御質問のございました登記協会、これは昨年の七月に財団法人として設立されたものでございます。 その概要を申し上げますと、登記に関する調査研究それから登記に関する知識の普及そのほか現在登記制度の運営についていろいろな問題がございます。こういった問題のある登記制度を円滑に運営していくために寄与するいろいろな活動を行なう、これによって登記制度を利用する者の便益にも資するということを目的といたしまして、先ほど申し上げましたように、昨年七月設立されたわけでございます。 この設立の経緯といたしましては、昨年の六月に設立代表者の栗本義之助から設立許可の申請がございまして、法務省において申請手続、事業内容などを審査いたしまして、民法の規定から見ましても適法であるというふうに認められましたので、七月一日付で認可をいたしまして、翌七月二日に東京法務局日本橋出張所に設立登記がなされた、こういうことになっております。 この協会の設立は、かつて法務局に勤務しておりまして、登記業務について非常に深い関心を持っている方々が登記事務を育成しようという意図から、十四名おられますが、寄付金三百万円を基本財産として出された、これをもとにして財団法人が設立された、こういうことになっております。主たる事務所は東京都の千代田区丸の内に置かれております。 その後の経緯といたしましては、まだ設立後一年を経ておりませんので、全面的に予定の事業を行なっているというわけではございませんけれども、その一部については昨年の夏から秋ごろにかけて事業を始めておる、こういう状態でございます。
○三木忠雄君 それでいままでも登記事務に関しては司法書士会あるいは補助員等が協力をしていろいろ進めてきた。こういう中にあって、現実にそういう携わってき、苦労を重ねてきた人に対する何らの了解事項もなしに抜き打ち的にこの公益法人をつくらなければならなかった理由。私はきょうこれは要望書を一部しか持ってきておりませんが、司法書士一万三千人全員が反対なんです。これはこういう問題について法務省として納得できるかどうか。われわれ考えてみても――公益法人は私も認可した公益法人をいろいろ調べました。しかしこれに関係のある、たとえば司法書士あるいは土地家屋調査士会、こういう人たちが全員が反対、こういうふうな公益法人というのは私は聞いたことがない。これは公益法人じゃない。こういう問題について、法の番人である法務省がどういう見解を持っているのであろうか、この点は非常に私は疑問だと思うのですね。これは事業内容を一つずつ詰めてまいりたいと思いますし、あるいは被害のあるいろいろな問題も立証したいと思いますけれども、こういう問題をなぜ法務省が強硬に推し進めなければならないかということについて御答弁願いたい。
○政府委員(川島一郎君) 法務省といたしましては、この種の財団法人の所管の官庁といたしまして、設立の許可の申請がございますれば、法律に基づいてこれを審査して、適法であれば設立の許可を与える、そしてその後の事業につきましては、主務官庁の立場からいろいろと監督をしていく、こういうことでございまして、私が現在まで聞いておりますところによりますと、法律の運用の上で特に問題となるような点はないというふうに承知しております。 それから、ただいま司法書士の大部分の方から反対の意向があるというお話がございました。この点につきましては、登記協会設立当時に、誤解であろうと言われておりますけれども、確かに司法書士の方々の中から、これは自分たちの職域との関係において問題がある法人じゃなかろうかということでいろいろな御意見が出たということは承っております。しかしながらまあその点につきましては、その後、司法書士の日本司法書士連合会というのがございます、そういった会でありますとか、あるいは東京の司法書士会でありますとか、そういった正規の機関と、それから司法書士のほかに、土地家屋調査士というのがございます、この土地家屋調査士のやはりそういった全国機関などとこの登記協会との間におきまして、いろいろお話し合いをいたしまして、登記協会の仕事が司法書士あるいは土地家屋調査士の方々の業務を侵犯するような性質のものではないということについて御了解をいただいたというふうに聞いております。
○三木忠雄君 それは局長ね、いただいたというその了解事項ですね、どういう具体的な了解事項を得ているかということは御存じですか。その点はそういうあいまいな答弁ではなしに、具体的に、じゃあこの覚え書き事項として、これはあとで詰めたいと思っていたんですけれども、この覚え書き事項が、司法書士連合会が了解したものであるかどうか。なぜじゃあいま現実に――全国の司法書士事務所を持っている一万三千人が、一人一人が要望書を出して、この登記協会を解散してもらいたいと言うか。いま現実に、全国の一万三千人の司法書士が反対をしているというこの事実ですね。この中にあって、なぜ了解事項が得られるかという点ですね。こういう点をあいまいに、登記協会の問題を扱っている姿勢というものは、私は決してかんばしいものじゃないと思うのです。現実に司法書士の生活の問題として登記事務が八〇%、実際登記事務に携わっている、いままで何十年来登記所の援助といいますか、こまかい具体的な援助の現実の問題は触れたくありませんけれども、そういう問題に携わってき、苦労を重ねてきたことに、そういう抜き打ちでそういう登記協会をつくって、この職業の一部を侵害していかなければならないという、そういう事態をなぜ法務省が進めていかなければならないかという点について私は納得できないわけですね。こういう問題を局長自身が、これは昨年の法務委員会でも問題になったわけですよ。具体的に調査をされて、そうしてそのような結果を生み出した御答弁なのかどうか、もう一度御答弁願いたい。
○政府委員(川島一郎君) 日本司法書士会連合会、それから日本土地家屋調査士連合会と登記協会との間の協議でございますが、私が聞いておるところによりますと、その協議の結果、一応覚え書きみたいなものをつくって、それに三者が合意するということで、今後の運営があやまちのないようにはかっていこうということに、ほぼ意見の一致を見ておる。近くその覚え書きが取りかわされることになろう、こういう情勢だということを聞いておるわけでございます。私はひとつその内容につきまして逐一詳しく承知しておるわけではございませんけれども、これまで問題になったことの一例を申し上げますと、初め登記協会が設立いたしましたときに、登記相談というのがその事業の内容に加わるのではないか、こういう問題があったわけでございます。その点は、登記につきましては司法書士あるいは土地家屋調査士がそれぞれの分野において嘱託人から相談を受けて書類を作成しておると、こういう点から見まして、登記協会がそこに関与するような登記相談というものを行なうことは好ましくないのではないか、こういう問題があったわけでございます。 この点は、たとえば先ほど申しました三者の協議におきまして、登記協会としては、もちろんみずから登記相談を行なうというようなことは、法律のたてまえからさせるべきではないし、する意思はない、ただ登記協会としては登記制度を一般国民の間に普及させる、こういう意味におきまして、登記相談所というようなものを設営したい、その設営にあたってはこれは司法書士なり土地家屋調査士の協力がなければできないことでありますので、そういう設営をするにあたっては司法書士の連合会あるいは土地家屋調査士会の連合会の協力を得て行なう、こういったような形で、お互いに合意に達するというような話し合いがされてきたというふうに聞いております。
○三木忠雄君 そういう話が出てきたので、ずっと話を進めたいと思いますが、その前に、この財団法人の設立登記申請書自体に疑義があるんです、正直言えば。これを申請をし、この登記謄本が一部の手によってこの登記が財団法人、公益法人として登記されたという点について私はいろんな点は伺っておりますけれども、これを詰めますと、時間がきょうはあと佐々木さんが質問をされるというので、時間が限られているそうでありますので、それよりもっと具体的な問題の被害状況が数多くありますので、そのほうを詰めたいと思いますけれども、こういう財団法人の、公益法人の申請をする、この時点においても登記を申請するときのいろいろな手続上の問題があるはずなんです。これ自体が手続を踏まないで、一部の手によってこの登記が行なわれているという事態もこれはふしぎな問題なんです。これは指摘をしておきますけれども、具体的にこの登記協会の事業内容の中の第二項目あるいは第五項目あるいは第六項目が、司法書士のこの業務と登記協会のこの業務がお互いに抵触するんではないか、そして司法書士の、この司法書士法に基づく業務の問題からいろいろ登記協会が逸脱して、この業務を侵してしまうという結果を生ずる事態が現実に出てきているという問題について、この二項目、五項目、六項目のこの事業計画を法務省としてはどういうふうな見解をもってとの事業内容を認められているのかどうか、この点について伺いたいと思います。
○政府委員(川島一郎君) 御質問の点は、財団法人登記協会寄付行為の第五条に定められております第一号から第六号までの事業に関するものであろうかと存じますが、この第一号は登記に関する調査研究ということでございまして、たとえば外国の登記制度がどうなっているかとか、あるいま……。
○三木忠雄君 いや、二、五、六でいいですよ。その問題だけでいいですよ。
○政府委員(川島一郎君) 啓発宣伝事業ですね。
○三木忠雄君 それから謄写、印刷の業務受託と、それからその他の印紙売りさばき事業等の事業ですね、その項目をどう理解するか。
○政府委員(川島一郎君) 第二号は、登記に関する啓発宣伝でございまして、これは先ほど申し上げました登記相談などの仕事がこれに当たるのではなかろうかと思います。そのほか登記に関する講演会のようなものを開くとか、そういった催しものをすることがこの第二号に当たるものと思います。 それから第五号、「登記制度の円滑な運営に寄与するためにする謄写・印刷等の業務の受託」でございますが、これは現在御承知のように登記事務が非常にふえておりまして、登記所が多忙でございます。そのために登記所の職員だけではなかなか事務を処理しきれないという状態が続いております。ことに最近乙号事件、要するに、登記の謄抄本の請求事件がふえておりまして、この処理のために複写機によって登記簿の謄本をつくるということをしておるわけでございますが、この複写機にかけてコピーをつくるという仕事、これは非常に機械的な仕事でございますので、従来から民間の会社に委託などしておったわけでございます。そこで、たまたま今度登記協会ができましたので、登記協会にこういう仕事の委託をするということで、現在、東京都内その他、繁忙の登記所においてこのような業務の受託を行なっているという状況でございます。 それから第六、「その他前条の目的を達成するために必要な事業、」これは先ほどちょっと仰せになりました印紙売りさばきのような仕事もこれに入ってこようかと思いますけれども、これはいまの一号から五号までのすべての仕事に当たらないもので、しかも会の目的を達成するために必要と思われる事業で、ちょっとどういう事業というのは私、思い当たりませんけれども、御質問があればお答えさせていただきたいと思います。
○三木忠雄君 それでは具体的にこの事業計画自体、あるいは登記協会の中に司法書士の職員を雇い入れるということ自体は、これは合法なんですか、違法なんですか。
○政府委員(川島一郎君) それは別に違法ではないと思います。特に制限する理由はないと思います。
○三木忠雄君 そういたしますと、司法書士法の施行規則の第四条に、二カ所以上の事務所を持ってはならないと、こういうふうに司法書士法の施行規則第四条でうたわれておりますね。そうしますと、司法書士事務所を自分で持ち、それから登記協会の職員として司法書士として勤務する、こういう場合はいいわけですか。
○政府委員(川島一郎君) 司法書士法施行規則で事務所を一つしか持ってはいけないといっているのは、その司法書士が司法書士の業務を行なうために持つ事務所というものは一つでなければいけないということをいっておるわけでございますので、登記協会というのは、これは司法書士業務を行なうものではございませんので、これに関係することは別にいまの規定に触れるものではない、このように考えております。
○三木忠雄君 そうしますと、この第二項の登記相談所の問題につきますと、登記相談所の開催等については、登記協会で司法書士を大勢かかえ込んでその登記相談所を開催していくという、こういう拡大解釈をし、登記協会はそういう方向に事業を進めていく、こうとって私はいいと思うのですが、いかがですか。
○政府委員(川島一郎君) 登記相談所というのは、現在、たとえばデパートでございますか、そういうところでもやったことがございます。そういう場合には司法書士の方々がそこに出張されまして、そうして相談に来られた方の相談に応ずるということをいたしておりまして、登記協会で登記相談所を開設するという場合には、形式的にはそれと同じような形をとるかと思われますので、その点では別に問題はないように思います。
○三木忠雄君 そうすると、わざわざ登記協会をつくって、こういう登記相談所を設けなければならないという理由は、これは現実にいま司法書士連合会等で各地においてこの登記相談所を数多く設けたり、あるいは運営を行なっているわけですね、現在の司法書士連合会で。その上に、登記協会がそういういまのうたい文句は設営だけだと、こういう当初の計画でありますけれども、登記協会の中に司法書士職員をどんどん入れていく、そうしてかかえ込んでいって、いわば司法書士連合会に対抗する組織を登記協会の中に編成していこうという、いわんや、この司法書士の認可の問題が、これは部分的な問題かもしれませんけれども、非常に特認をされてくる傾向が非常に多い。法務省の権限でこういう実態の中において登記協会の中にどんどん司法書士を雇い入れていく、あるいはかかえ込んでいくという、こういうふうな形態がもう実際に見受けられるような一、二の例があるわけです。こうなってきますと、具体的にやはり国民の手足になっていろいろ司法書士会が連携をとりながら、全国で登記相談をやっているにもかかわらず、これに重複するような登記相談所を、なぜ登記協会がこういう制度をつくり上げていかなければならないかという点については私は納得できないと思うんです。まだ東京の一部かもしれませんけれども、これが全国的に拡大されていくとなれば行く行くはそういう登記相談という本来の司法書士の業務を剥奪する結果になるのではないかと思うんです。この点いかがですか。
○政府委員(川島一郎君) いろいろお答えしたいことがあるわけですが、第一に、現在までのところ、登記協会では登記相談所を開設したことはないというふうに聞いております。しかも先ほど申し上げました覚え書きによりますれば、登記相談所を設営するような場合には、司法書士の連合会、土地家屋調査士の連合会と十分協議して、相談した上で開催する、こういうようになっておるようでございますので、登記相談所が非常に拡大していって、そうして司法書士の業務がそちらにある程度移行してしまうというような実態を持つようなことは心配ないのではないかというふうに思うわけでございます。ことに司法書士の本来の業務というのは、裁判所や登記所に提出する書類を作製することでございまして、登記相談というのはその書類の作製までには至らない、こういう場合に、どういう登記をしたらいいのかというようなことについて、教えてあげるということが、主たる内容をなすものであろうと思います。したがって、そういう意味におきましても、司法書士の業務に関連はいたしますけれども、登記相談によって司法書士の書類作製の業務がそちらに食われてしまうというようなことになるという心配は私はあまりないのではないかというふうに思います。
○三木忠雄君 局長は、もう少し具体的に、ただいま司法書士の実際にやっている業務を私は、十分把握しているのじゃないかと思いますが、具体的に分析してみますと、実際に、登記相談の業務、あるいは権利関係とか、いろいろなことが――実際に登記手続上、相談に乗らなければならない仕事があるんです。ただ役所へ行って仕事をとってくればいいという問題ではないわけです。こういう問題点が、やはり登記相談という仕事が主体の司法書士の業務といいますか、八〇%ぐらいを占めているのが実情ではないかと思うのです。そういう仕事をやりながら、実際に国民の手足になって相談に乗ってあげて……。司法書士会をボイコットまで、いまは実際にはそれほどの被害は出ておりませんけれども、現実にこれはどんどん事業拡大をしていく、あとのほうで説明しますけれども、どんどん拡大されていった場合、司法書士が実際にいま受けている仕事の報酬といいますか、あるいは仕事の内容というのは登記協会の発足に伴って、これは発足一年ですから具体的には大きな活動にはなっておりませんけれども、将来大きな禍根を残す一つの事業計画ではないかと私は思うんです。そういう心配はないとなればこの事業計画の登記相談所という問題について、これは事業計画を抹消すべきではないか、こう思うんですが、この見解はいかがですか。
○政府委員(川島一郎君) 実際に行なわれていませんので、私が申し上げることと先生の危惧される点とがどのような形となってあらわれるかという点は私も保証できないわけでございますけれども、しかしながらこれは、この運営につきましては、法務省といたしましても十分監督の責任を持っておりますので、御心配のようなことの起こらないように今後の問題として十分気をつけてまいりたいと、このように考えております。
○三木忠雄君 まあその問題だけ詰めておりますと時間がありませんので……。 あと手数料の問題等を現実に考えましても、五項目に当たりますから、また、二項目と関連すると思いますが、実際に登記協会に委託をすれば、これは金銭的な問題で具体的な問題になると思いますが、四十円の登録印紙税ですか、これは実際に三十三円が国庫納付金になるわけです。現在四十円でやっているのを三十三円で登記協会のほうに委託をするという形をとるわけです。実際に国庫収入と考えた場合には三十三円で、実際にこの登記の事務手続といいますか、収入額が三十三円になる。ところが、司法書士がいまやっておる仕事の内容からいえば四十円の国庫納付金になるわけです。こういう点を委託をどんどん拡大してまいりますと、一枚七円とはいわれますけれども、国には約十億の損害になる、現実に計算してみますと、登記をいま実際に扱っておるこの計数から考えてみますと。こういう点をわざわざ委託業務として登記協会を育てて、そういう外郭団体をどんどん育てて、そういう業務を登記協会に持っていかなければならない理由は何もないと思うのです。現実に法務局の通達まで出して、それは司法書士で仕事ができるような体制にありながら現実に仕事がない。そういうものを今後この繁忙登記事務所周辺には登記協会を設立していくならば、ますます司法書士の仕事の分野というものは狭められてくるのじゃないかと思います。現実にこの登記協会の事務局長はこう言っておるわけです。将来は全国的登記所まで及ぼしたい、こういうふうに相当な拡大を予想されておるわけです。こうなってきますと、ここに登記協会と司法書士との間の相談業務自身もやはり大きな問題になってくるし、あるいは国の利益から言っても、こういう問題で、委託をさしてわざわざもうけさせるような制度を、トンネル式といいますか、何人かの手によってトンネル組織をつくらなければならないような、こういうシステムを考える必要は毛頭ないのじゃないかと思います、現実に現在の司法書士会でできるわけですから。この点どうお考えになっておりますか。
○政府委員(川島一郎君) 司法書士の仕事でございますが、これはいまの登記簿の謄本の交付の場合を例にとりますと、謄本を交付してくれという申請書を作製して、これを登記所の窓口に出す、そこまででございます。それを受けて登記簿の謄本を作製して交付するというのは、これは登手所側の仕事になるわけでございます。その登記所側の仕事の一環として登記簿を複写機でもってコピーにとるという、こういう仕事が出てくるわけでございます。したがって、これは本来登記所の職員がみずからの手でやらなければならない仕事でございます。ところが、なぜそれならば外部のものに委託しておるのかと申しますと、先ほど申し上げましたように、登記所の手が足りない。仕事が多くて手が足りないという実情があるからでございます。したがってこのような仕事をやっておりますのは、特に忙しい都会地の若干の登記所でございまして、全国の登記所でそのようなことをやっておるというわけではございません。 それと、まあ七円というものが国の損害になるではないかという点でございますが、これは登記所の手が足りないからでございまして、私どもといたしましては、登記所に増員をしていただいて、そうしてその増員した職員の手によってこういう仕事ができていけば一番いいと考えておるわけでございまして、それが現在いろいろな事情で実現できませんので、やむを得ず外部に委託しておるということでございまして、この登記協会の事務員の俸給と、給料というものと、それから登記所の職員の俸給というものと比較いたしましても、それほどアンバランスはないというのが実情のように聞いております。
○三木忠雄君 そこにどうして登記協会の職員をそういう補助業務に――確かに職員が足りないという、これは増員問題をもっと真剣に法務省は考えなければならない問題だと思います。ただ定員削減の問題だけで、こういう現況で働く人たちは繁忙で困っている。こういうところはやはり法務省自体がもっと真剣になって要請し、解決していかなければならない問題だと思うのです。したがって、この登記協会の問題に対して法務省の職員が猛烈に反対している。自分たちの削減のために、結局は、法務省の職員の骨抜きのために登記協会をつくったのだ、こういうふうにして全法務労働者も反対しているわけですね、猛烈に。こういう問題を考えますと、そういうふうなことまでして繁忙事務所に登記協会の職員を、たとえば五十歳、六十歳の人たちをそこで働かす、これ自体、仕事の業務分担自体においてもいろいろな事故が予想されているわけです。登記業務の責任の所在も明確にならなくなってくる。そういう責任のない人たちに仕事をさせるということに対して、登記上の秘密といいますか、そういうふうな問題も阻害されていくおそれもある。現実に杉並等で一部そういう問題が起こっている。こういう点を考えましても、あるいはそういうふうにしなければならない問題点というのは、私は――司法書士会に補助員がいるわけですし、現実にいままでそういうふうに法務局で登録された、資格を持った人たちが現実にいるわけでしょう。そういう人たちを使ったほうがいいのではないか。登記協会をわざわざつくって、人の集まらないところに、そこの人たちを全国的に集めるという、そういうたいへんな事業まで法務省がアドバイスして推進するようなことまでしないで、むしろ司法書士の補助員をきちんと制度として認めているわけですから、そういう人たちがいままでやっていたと同じような方向で、どんどん司法書士の補助員をふやしていくとか、司法書士会のほうを強くしていく、そういう方向で指導していくほうが責任も明確になってくるのではないか、こういうふうに考えるわけですけれども、この問題についてはいかがですか。
○政府委員(川島一郎君) 司法書士の補助者を活用したらどうかというお話でございますが、先ほど申し上げましたように、登記所の内部の仕事を行なうのに、まあいわば依頼者側にある司法書士会の、あるいは司法書士の補助者であるとか、そういう者を使うということは、制度的に好ましいものではないのじゃないかという気がするわけでございます。したがって、そういう補助者とか何とかいう立場を離れまして、個人的に非常に有能な人がおって、登記所の仕事を手伝ってくださるというのであれば、そういう方を何かうまく利用するという方法もあろうかと思いますけれども、現在とっておりますのは、やはり一つの組織に責任を持たして、そしてその組織の派遣する職員に業務を委託するということでまかなっておりますので、形から申しますと御指摘のような問題はありますけれども、まあそういった点は十分気をつけまして対処していくほかに、現在においてはちょっとほかにいい方法がないのではないかというふうに考えるわけでございます。
○三木忠雄君 そうしますと、この登記協会は全国的に拡大をし、職員を増大して謄写業務受託を拡大していくという法務省の見解でございますか。
○政府委員(川島一郎君) その点につきましては必ずしもそういうことは考えておりません。現在幾つかの登記所にこういった制度を行なっておりますが、予算に限度のあることでもございますし、また、必要のないところにこういう業務の委託をすることもむだでございますので、私どもといたしましては飛躍的に現在の委託の範囲を拡大していくというようなことは考えておりません。
○三木忠雄君 そうしますと、最低限考える点としては、現在委託してあるところ、これに限定すると、こういうふうに解釈してよろしいですか。
○政府委員(川島一郎君) まあ、予算の関係にもよるわけでございますが、現在の規模をかりにふやすとしても、そら大きくふやすということは考えておりません。考えられないと思います。
○三木忠雄君 ふやすにしましても、やはり公益法人である以上司法書士会と互いの連携をとって、互いの業務を剥奪するようなことのないように、私は業務の問題について真剣に考えなければいけないのじゃないかと思うのです。これは局長において責任を持ってもらいたいと思うのですね。こういう問題でどんどん司法書士会が恐怖におちいるような、あるいはそういうふうな要望書が全国的に、この登記協会解散ののろしが全国的に上がってくるという陰には、そういう懸念があるから、やはりこの問題が全国的に、あるいは全法務の職員の人たちが猛烈な反対をし、登記協会解散を私は叫んでいるのではないかと思うのです。この点について局長は責任を持って――大臣がおられれば大臣ですけれども、きょうはおられなくて、局長が一番の事務官ですから、この登記協会の問題については事業は拡大をしない、あるいはこれ以上、場合によっては五十七名のいま雇われている人たちも縮小していくという方向で、この登記業務を、法務省の職員をふやすなり、あるいはいろんな点を考えて登記業務を推進していくという、こういうふうな見解に私は立っていただきたいと思うのですが、これいかがですか。
○政府委員(川島一郎君) 登記協会が発足いたしましてから、御指摘のように司法書士の方々、それから一部の組合のほうからもそろいういろいろな問題点が指摘されました。それでわれわれといたしましても、そういった問題の指摘された根源というものをよく考えまして、今後間違いのないように対処していきたいということを考えているわけでございまして、これは今後におきましても十分責任を持って対処していきたい、このように考えております。規模を縮小していくというふうなことにつきましては、ちょっと、まだ発足当初でございますし、そこまで考えるわけにはまいりませんけれども、現在非常に事務が増加しております登記所の運営を適切にやっていくためには、こういう方式も一部採用せざるを得ないという実情にございますので、こういった点につきましては、なお十分検討はさしていただきたいと思いますけれども、登記所側の事情も御了解を賜わりたいというふうに思うわけでございますが、いずれにいたしましても、その運営につきましては私責任を持って今後対処してまいりたいと思います。
○三木忠雄君 もう一つ、これはまあ具体的な問題ですけれども、たとえば第六項目の印紙の売りさばき、この事業一つを例にとりましても、法務省がここまで力を入れなければならないかという事実があるわけです。現実にある行政部長は、司法書士を全部集めて、これは八王子に起こった問題ですけれども、印紙の売りさばき業務を登記協会にゆだねるからと、こういうふうな圧力といいますか、受け取ったほらは圧力と感ずるわけです。したがって現実にもう、いままで印紙の売りさばき事業で生活をしておった人たちが、現実にこれはできなくなった事実があるわけです。これは一例ですけれども、こういうふうなことが、拡大とともに全国的にこういう傾向があらわれてくるのではないかという危倶があるわけです。この間八王子に現実に起こっている問題です。こういうふうな問題が全国の登記所を中心として、こういう印紙の売りさばき事業一つにしても、いままでやっておった人たちの仕事までも登記協会が剥奪していく、そういうふうな、取り上げていくというようなやり方は芳しくないのではないか、そういう項目は抹消すべきではないか。あるいはいままで印紙を実際に売りさばいていた人たちが、成り立っていくことができるような方法を考えるべきであって、むしろ登記協会がそれを没収してしまうといろ、取り上げてしまうというような登記協会の運営というのは、公益法人として私は好ましくないと思うのです。この点いかがですか。
○政府委員(川島一郎君) 私いま先生の仰せになりましたような事実は承知しておりませんのですが、印紙の売りさばきというのは、若干の収入が伴なうことでございますし、いろいろ利害関係が複雑な問題があろうかと思います。他方、また収入印紙を近くに売ってないと、申請人が非常に不便をする。場合によっては、登記所に現金を預けて間違いが起こるといったような事例もございますので、こういった点につきましては御指摘がございましたので、やはり十分に気をつけてまいりたいと思います。
○三木忠雄君 あまり時間がないそうでありますので、あと二、三点聞いておきたいのですが、この将来の事業計画の問題、あるいは先ほど申し述べられた覚え書きですね、これは法務省の民事局の第三課長の立ち会いのもとにこの覚え書きをさそうとしているわけでありますが、司法書士会としても第二項目の事業の遂行については協賛するものとする、こういう項目には納得できないという司法書士の人たちの意見があるわけですね。これは法務省の立ち会いのもとに、具体的な圧力、私も聞いておりますけれども、きょうは時間がありませんので取り上げませんけれども、こういうふうな、法務省が立ち入って、登記協会側に立って、何か家屋調査士――いま司法書士会が非常に騒いでいるので、家屋調査士のほうから早く承認をとりつけるべきではないか、こういうふうな圧力といいますか、威圧といいますか、そういうふうにして何か覚え書き事項をきちっととって、それをたてに事業拡大といいますか、あるいはいろんな問題を解決しようという、こういう傾向がうかがわれるということで、司法書士会が全国的に批判の眼でこういう問題を、登記協会解散ということを呼んでいるわけでありますけれども、この問題を、実際に覚え書き事項についても司法書士の人たちが納得できる線で、あるいはその人たちが全員一致といいますか、そういう方向ではなかなかむずかしいかもしれませんけれども、過半数あるいは大多数が賛成の意があるという了解のもとに私は覚え書きを調印すべきであって、一部の司法書士会連合会、昔は全部法務省の職員であったということを聞いております、こういう人たちがお互いに連携を持って、一部の人たちの手によって覚え書きが調印されて今後この業務を遂行していこうというふうな、こういう問題については取り上げるべき問題ではないと、こう思いますが、いかがですか。
○政府委員(川島一郎君) 私、交渉の実態、いま仰せになりましたような点につきましては承知しておりませんけれども、覚え書きを取りかわす以上は、それが司法書士の方々にとりましても、全員と言わないまでも、大多数の方々が納得するような線できめるべきであるという御趣旨は当然のことであろうと思いますし、私もそうあるべきだと思いますので、その方向でこの問題に対処してまいりたいと考えております。
○三木忠雄君 それでは時間がありませんので、政務次官に、これは大臣がおれば大臣にきちっと、この問題のケリをつけてもらいたいと思ったのですけれども、やはりこの司法書士一万三千の、実際にいままで生活してきて、あるいは法務省に働いている職員、この人たちが全部反対している、全部といったら法務職員の最高幹部はそうでないと思いますけれども、こういうふうな公益法人は実際に政府として認可すべき問題でないと思うのです。今後事業の拡大が予想されるので、いろんな点が心配な点ではないかと思うのです。こういうような公益法人のあり方というものは、いま政府自体が整理縮小の方向に公益法人をしようという段階にあって、特に法務省においてこういうことがなし遂げられていることは私はちょっと考えるべき問題ではないかと思うのです。したがって、今後の運営については司法書士会の要望どおり解散という、こういう問題が提案されておりますけれども、いろんな点が私は考えられると思うのです。その間においてやはり司法書士会が納得でき、あるいは家屋調査士会が納得でき、自分たちの生活が侵害されないという、いままで何年間もやってきた多年の労を一挙に登記協会が取り上げてしまう、というところまでいかないかもしれませんが、こういうふうにお互いに職域を侵害してくるという、こういうふうな問題については、政府は厳重な態度で臨むべきではないかと思うのですが、このことについてまとめて答弁願って、私の質問を終わりたいと思います。
○政府委員(村山達雄君) 法務省といたしましては、司法書士制度の健全な発達あるいは土地家屋調査士制度の健全な発達、登記制度の普及に関する公益法人の発達、いずれも望ましいのでございます。ただいまお話になっているところを伺いますと、主として三点ございまして、一つは登記相談をやるということは、なるほど法律上司法書士の業務ではないかもしれぬけれども、しかしそれを通じてやはり実際的にはそれで職業が成り立っているのだから、公益法人がそれをやることによって司法書士の相談業務がなくなることがないように、こういう御指摘があったと思います。この点はまさにそうだと思いますので、先ほどから局長が答弁しておりますように、本来この協会というのは従業員、女の子が二人くらいしかおりませんで、ただ利潤を得ないでやっておるというところが特色だろうと思うのでございます。ですから、その実態からいたしましても、司法書士の業務を奪うというようなことにはなり得ないと思うのでございますが、だんだん御注意でございますので、われわれも今後そのようなことがないように、相談業務がやはり事実上の司法書士の業務として健全に発達するように十分に留意してまいりたい、かように思っておるわけでございます。 第二の問題は、いまの謄写の問題でございますが、これは実は前には民間会社に委託してやっておったことがございます。私の聞いたところでは、一昨年まで民間会社にやっておりまして、一枚七円ですか、やっておりましたが、とても賃金アップでやっていけない、だから十五円にしてくれ、法務省予算がないからとてもだめだという話がございまして、民間のほうは早くやめさせてくれということを言っておったそうでございます。ここの登記協会のほうはもう理事長以下みな無給でつとめておる人でございます。したがって利益を出す必要がないわけでございますから、役所が出す一枚七円がそのままストレートに従事しておる人の賃金になる、その形で七円というものが成立しておるのだろうといわれるのでございます。まだ協会のほうは決算は出しておりません。ことしの三月三十一日になりますと、収支計算書並びに財産目録が出てまいりますから、その間、おそらくこれを精査いたしますれば、すべてどういうことになっておるかということがはっきりしてまいります。まあさようなことだと思うのでございます。問題はむしろ登記職員をふやすほうが本体でございます。ことしも実は登記職員に中心をおきまして、相当の増員を見たおけでございますが、何ぶんにも登記事務が激増しておるものですから、残念ながら一部外注せざるを得ない、こういうことでございます。その間について、先ほど司法書士の補助員を使ったらどうかという問題でございますが、実は以前にいたしまして少しやや問題があったのでございます。先ほど民事局長からお話があったように、依頼者側とそれからそうでないほうがそこに経理の混淆があると、とかくやはり依頼者側に対していろいろな疑義を生ずる問題があるものですから、その間、制度をはっきりさせたということがございます。いずれにいたしましても、私たちは司法書士制度につきましても、土地家屋調査士につきましても、また法務省所管の公益法人の発達につきましても、ともに責任を負っておる省でございますので、御注意の点、十分に留意いたしまして、万遺憾なきを今後期していきたい、かように思っておるわけでございます。
○佐々木静子君 関連しまして伺いますが、もう時間がありませんので一言だけお伺いしますが、この十月七日の法務委員会におきまして、この登記協会が発足当時、私のほうから質問させていただいて、そのとき、たしか住吉課長だと思いますが、将来登記協会が司法書士会を圧迫するようなことがないように、その業務に悪影響を及ぼすことがないように責任を持つという御答弁をいただいておったわけです。ところが、その後の動きを見ますと、これはどうしても司法書士業務が圧迫されるのではないかというふうな機運が非常に懸念されまして、そして御承知と思いますが、十一月の二十七日、昨年でございますが、全国の、日本司法書士会におきまして、登記協会連合会の総会で、登記協会を粉砕しようという決議まで出ているわけでございまして、その点につきましては法務省も十分御承知だと思うわけでございます。そしていま三木委員から御質問ありましたようなこの例の三者覚え書きでございますね、これは法務省の民事局が中に立って、今度この登記協会と日本司法書士連合会との間で調印をなさろうというような案が進んでいるかのごとく私も聞いているのでございますけれども、実はそれに対しましていま三木委員から御質問がありましたように、全国のほとんどの司法書士が反対をしている。特に最も司法書士業務の多い、集中している東京の司法書士連合会及び大阪の司法書士連合会が猛反対をしているということ。そしてこれが日本司法書士連合会の会長名で、かりに形の上で法務省のほうに御折衝があっても、現在ではこの日本司法書士連合会の会員の大多数を占める東京の会員及び大阪の会員のほとんどの大多数が全部反対である。したがって、いまかりに会長名でその後の折衝が進められるとしても、これは日本司法書士連合会の総意を代表している現実ではないということを十分に踏まえていただいて今後のお話し合いをしていただきたいと、私のほうから特に要望する次第でございます。 これは本年の二月一日に、日本司法書士政治連盟の東京会及び日本司法書士政治連盟大阪会――この政治連盟に加入している司法書士というのは、司法書士連合会の会員のうちのかなりの比率を占めているわけでございますが、それらが連名で日本司法書士連合会長あてに、この登記協会のことに関して調印するということはきわめて遺憾であり反対であるという書面が出ているわけでございますので、その点もう御承知のことと思いますが、もし御承知でないとすればこれは後日に問題を残すことが明らかでございますので、その点を十分に踏まえて今後のお話し合いを進めていただきたいということを、私のほうからお願い申し上げる次第でございます。 この点につきまして、いま次官から、司法書士業務を圧迫するようなことがないということをはっきりと御明言いただきましたので、私ども非常に心強く思っているわけでございますが、重ねて、恐縮ですが、民事局長からもこの点について一言お願い申し上げたいと思います。
○政府委員(川島一郎君) 私詳しい事情は聞いておりませんけれども、まあ先ほど来三木先生のほうからの御質問にもございましたように、この問題についていろいろ議論があるということは承知しておりますので、円満な解決をはかるべく努力いたしたいと考えております。 先ほどもお答えいたしましたように、覚え書きはできたけれども、それが実際には満足されない状態になるということは好ましいことでございませんので、十分そういう点に留意いたしまして今後に対処してまいりたいと、このように思っております。
○後藤義隆君 局長、ちょっとお伺いしますが、さっき四十七年度の法務省の予算の説明があって、その中に法務局の事務官が二百五十三名増員したと。その中で大部分になるわけですが、二百五十三名のうちでもって二百四十一名はこの登記所の職員を増員したということになっておるね。それは間違いないかどうかということ。それから最初一体何人増員の要求をしたのか。あなたのほうでもってこれで満足しておるのか。足らないということならば最初は一体何人増員要求したのかということをお聞きしたいのと、それからついでにあわせて聞きますが、いまの協会のことに関連しますが、ぼくは司法書士会の県の顧問であり、全国の顧問になっておったと思いますが、これは非常に重要な問題ですから、司法書士会の業務を少しでも侵すようなことがあっては絶対いけないと思うから、将来はそういう点について絶対に侵さないようにしたいということをお願いしておきます。
○政府委員(川島一郎君) 増員が二百四十一名というのはそのとおりでございます。 それから当初要求したのは何名かと申しますと、これは千七百名――千六百九十数名でごさいます、要求したわけでございますが、これはいろいろな関係で認められず、先ほど申し上げました二百四十一名にとどまったということでございます。 それから司法書士業務と登記協会の関係で、登記協会の仕事が司法書士の業務を絶対に侵さない、これは私も明言できると思います。司法書士の業務は法律で定められておりまして、ほかの者がかってに行なうことはできないということになっておりますので、登記協会という法人ができましても、これはその司法書士の業務を侵すような内容の事業は行なえないのは当然でございまして、その点につきましては今後も十分監督してまいります。
○委員長(阿部憲一君) ただいま三木委員からいろいろと問題点を申し上げましたが、これにつきましては御承知のように、佐々木、さらにまた後藤委員からも同様な趣旨の要望がございましたので、この点につきまして、言うならば超党派での考え方を申し上げたわけでございますので、村山次官並びに川島民事局長におかれましても当委員会の意のあるところを十分に省察されまして、この点につきましての対処をお願いいたしたいと思います。 ―――――――――――――
○佐々木静子君 それでは私から最高裁にお伺いをいたします。 去る二月十八日に、最高裁の一般規則制定諮問委員会が最高裁判所内で開かれて、その際に、一人制審理に関する規則要綱案なるものが出されたということを聞いております。きょう御答弁いただく長井総務局長も右諮問委員会の幹事の一人というふうに承っておるわけでございますが、この右規則要綱案は、二月十日、ちょうど委員会の開かれる八日前に初めて最高裁から各諮問委員に電話で知らされて、そしてその日に長井総務局長が日弁連にこの規則要綱案をお持ちになり、初めてそのことを日弁連が知ることになったというふうに伺っているわけです。つまりこのような重大な問題が日弁連との間に事前に連絡をとることなく、突如それも一週間前に連絡があって、そしてこの二月十八日という諮問委員会の日も一方的にきめられて、全く突然という形で諮問委員会に提出されたという事実、これは長井総務局長もその点を御了承いただけますでしょうか。その経過について伺いたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(長井澄君) 一人制の審理の特例に関する規則要綱案につきましての、ただいまの経過に関する御指摘はお尋ねのとおりでございます。非常に突然の措置であるという御指摘でございますが、内部では、このような措置を何らかの形でとりたいという意見がございましたが、なかなか成案を得るに至りませんで、二月九日、日弁連に連絡をいたします前日に、最高裁判所の裁判官会議で、規則制定諮問委員会に一人制審理の特例に関する規則の制定について諮問をするようにという決定、御指示がございました。内容が事柄の性質上十分に詰めることもできない、むしろ重大な法律問題を含んでおります関係上、裁判官会議はあらかたの構想だけをお聞き取りいただきまして、内容の詳細につきましてはむしろ諮問委員会で十分に御審議をいただくようにという意向で諮問を命ぜられました。そのような関係で諮問はごく簡単で、諮問の内容といたしまして具体的なものは幹事作成の参考案というものにとどまったわけでございます。そのような内容のものでございますので、あるいは唐突の感をお与えいたしたかもしれませんけれども、ほかの場合の諮問委員会に対する諮問とは内容の点で趣を異にいたしますために、このような形をとらざるを得なかったことを御了承いただきたいと思っております。
○佐々木静子君 いま総務局長御自身もお認めになるように、この一人制のこの要綱案というものは、これはきわめて重大な法律問題であるわけでございますね。ところがいまのお話では、その最高裁の裁判官会議も九日の日に、その前日の九日の日に急に開かれて、そして十日に出すようになったというお話で、これまた非常に形の上から見ると急な思いつきのような感を私ども受けるんでございますが、これは最高裁の内部ではいつごろからこの問題を御検討になっておられたわけでございますか。
○最高裁判所長官代理者(長井澄君) この関係は、いつごろとその始期を特定いたしたらよいのか、非常にむずかしい問題でございますが、すでに御承知のことかと思いますけれども、昭和三十一年に一審におきます訴訟が遅延しておるので、一審の審理を充実強化する必要があるということで、第一審充実強化方策中央協議会というものが設置されまして、これに対して一審の充実強化に関する方策の諮問がなされたわけでございます。その諮問の結果、答申といたしまして二人制合議体の採用、地方裁判所で現在単独体及び三人の裁判官よりなる合議体で審理しております審理の構造に、二人制を加えるということ。及び職権特例判事補と申しますか、任官後五年を経て単独で裁判をする資格のある判事補を、高等裁判所に代行として配置することができるという方策をとることがよろしいという答申があったわけでございます。その答申を受けまして、法務大臣に対しまして職権特例判事補を高等裁判所に配置する法的措置及び二人制合議体を地方裁判所において採用することの法的措置、この二点の立法化の依頼をいたしますと同時に、日本弁護士連合会に対しましても、この措置についての調査及び協力の依頼をいたしましたのが最初でございます。その後法務省におきまして、法制審議会にこの立法についての諮問がなされまして、法制審議会では司法制度部会において審議をなされたわけでございます。その審議の結果、昭和三十二年まで審議がなされました。三十二年の十二月九日の第十三回の司法制度部会におきまして審議の結果、要約して申し上げますと、現在憲法において日本の司法制度というものは法曹一元制を予定しておる。その制度のもとにおいて、判事補制度というのは一応応急的と申しますか臨時的と申しますか、そのような性格を持ったものであるから、この判事補制度を基盤とした二人制合議という立法は、むしろ判事補制度自体の検討が先行すべきである。二人制合議という審理の形式は単独体、三人制合議体というものと並んで基本的な制度でございますから、臨時的な裁判官の制度を基盤として二人制合議体を採用することは時期尚早で、判事補制度を検討すべきであるという最終的な見解に到達されまして、職権特例判事補を高等裁判所に配置することは立法化の運びに至りましたが、二人制合議体はそのときの我妻制度部会会長の要約によりますと、たな上げにしないで検討するということでございました。 ただ司法制度部会は、その後この問題については開かれることがございませんで、事務的には何回か法務省の所管局と最高裁判所の所管局との間で検討されておったわけでございますけれども、これがなかなか立案の具体案をまとめるに至らなかったという経過をたどってまいったわけでございます。根本的にはやはり法曹一元制というものが前提となっておるという関係でございます。 このような経過をたどっておりましたが、最近事件の審理の状況を見ますと、裁判官の増員と申しますか、飛躍的な人員の増強ということはなかなか困難である。しかも民事訴訟事件、刑事訴訟事件ともに審理遅延の傾向が出てきたので、何とかこれを解消する責任が最高裁判所にもあるではないかというようなことが検討されるに至りました。 そのような関係で、それでは法曹一元を前提とした判事補制度のもとで、二人制の立法が理論的に困難であるならば、これ以上法務省に立法化の要求をすることは法律家としてもなかなかとりにくいことであるから、最高裁判所の責任とされている適正、公平そして迅速な司法の実現のために、権限として与えられている最高裁判所の規則でまかない得る限度のことをやってはどうかというような意見が、昨年の春過ぎから内部的に提起されまして、いろいろ立案の作業にかかったわけでございますが、規則でまかない得る限度と申しますものが、二人制合議との関係ではなかなか困難でございまして、意見がまとまるに至らなかったわけでございます。 秋過ぎましてから、そのような案がだんだんまとまりかけてまいりまして、もちろん裁判官関係にも秋以後におきましては検討の経過を御報告はいたしましたが、確信のあるものがなかなかまとまらない。ついに今年の初頭にようやく結論として御報告申し上げることができたという経過をたどっております。 そのようなわけでございまして、二月の九日の御報告につきましても、完全にこれを自信を持っていけるという内容、また憲法問題、法律問題等についても裁判官会議を補佐申し上げて十分だという結論がなかなか得られませんので、この原案はやはり関係の局である関係局長の試案という性格を脱し切れないことになりまして、規則制定諮問委員会の幹事という立場で参考案として御審議を願うことになった。このような長い経過が前にあるわけでございます。 先ほどちょっと数字を読み違えまして、司法制度部会の最終会は昭和三十二年の三月九日でございまして、十二月九日というのは読み誤りでございましたからつつしんで訂正させていただきます。
○佐々木静子君 いまの御答弁を承わりまして、最高裁が最初に考えられたこの二人制の合議制の立法がいろんな事情でなかなか法律化しにくいという見通しから、長井総務局長のお考えで、規則で定められ得ると考えられる限度において、この一人制の規則の要綱案というものを提案するに至ったという経過のように承ったのでございます。その件につきましてはあとでまた質問さしていただきますが、まず、これは先ほどと同じ日ですが、十月の七日法務委員会で長井局長御自身が、との法曹三者の協議を円滑に進められるように努力し、そのような日が一日も早くくることを念願しておるというような御答弁を、私この法曹三者協議の問題について御質問したのに対して、いただいているわけなんでございますが、この唐突な最高裁の規制の制定という、これは長井総務局長御自身が昨年秋に言われた、法曹三者の円滑な運営というようなことと非常に相矛盾するのではないか。この一人制の審理の特例がつくられた場合に、非常に影響を受けるのは、これは裁判所当局ももとよりですが、国民であり、そしてその国民にかわって訴訟を担当している司法の一翼をになっている弁護士が非常に多くの意味で関係を、直接的に最も多くの関係を受けるのではないか。ところが、総務局長御自身が、法曹に関する問題、司法制度に関する問題は日弁連と十分に協議した上できめていきたいということを国会では答弁しておかれながら、事実上これは日弁連に対して何ら相談なく――全然相談なかったわけでもないんですが、一週間前になって、突如として、こういう法案の提出を言ってこられたということは、非常にこの三者の協調ということを阻害するのではないか。これは長井局長もそのようにお思いになると思うわけです。これはいろいろ理屈をかりにおつけになったところで、これが法曹三者の緊密、あるいは法曹三者の協議ということがいま司法界でたいへん問題になっておりますが、それに対して決してプラスにならない。大きなマイナスの結果を呼ぶということは、これは総務局長自身十分におわかりの上でやっておられると思うわけなんです。どうしてこのような裁判の根幹に触れる問題、この一人制審理の規則を設けようというような重大問題について、最高裁当局では何回も協議されたということでございますけれども、最も利害関係のある、しかも国民の立場に立って一番強い関心を持っている日弁連に対して、事前にもっと真摯な態度で御相談にならなかったか、その点を伺いたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(長井澄君) 三者協議の問題につきましては、昨年の十月申し上げたところと所信はいささかも変わっておりません。で、一日も早く三者協議会が発足できることを念願いたしておりますが、なかなかそのような共通の基盤というものが三者の間に完全に了解ができ上がりませんために、いまだにその基盤の問題について寄り寄りお話しをしているわけでございます。公式的には文書の取りかわしもございますが、了解点に達せられない、こういう状況でございます。 それで本件については、それを差しおいてやることは三者の円満な関係を阻害するではないかという御指摘でございまして、あるいはそのようなことが実際に生じるかもわかりませんし、遺憾なことでございますが、この諮問委員会も三者を含めまして、そのほかの代表者も出ており、代表の委員の選任につきましては、日本弁護士連合会にその代表の委員の御推薦もお願いしておるということで、話し合いの一つの場であるという性格は十分に持っておるものと考えていたわけでございます。それにいたしましても、三者協議会で、このような問題が、御検討いただける機会ができることはまことに望ましいのでございますけれども、なかなか先行きの見通しがつかない。一方、この一人制の審理の特例が目的といたしますような問題につきましては、解決が非常に迫られております。もう判事補制度が発足いたしましてから相当長いことになるわけでございますけれども、だんだんその問題点が蓄積いたしまして、早急に単独体の負担の過重を解消して、しかも審理内容を充実すると同時に、やはり後進の裁判官を育成していかなければならないという問題、これもゆるがせにできない問題でございます。後進裁判官の育成指導という問題につきましては、毎年全国の高等裁判所長官、地方裁判所長の会同におきましても真剣に論議され、二人制合議は実現できないのかというような御要望も出ながらおこたえできないということで、責任上まことに苦しい立場が続いてまいったわけでございまして、何とかこれが少しでも前進することがなければ、やはり訴訟遅延、負担の過重ということが解消できないので、多少の御非難があるいは遺憾ながらあるかもしれないけれども、それはそれでまた後日御了解をいただくことにして、この規則案についての御審議をいただくことが必要なのではないかという結論に達しましたために、連合会に御連絡をいたしまして、その後諮問委員会で熱心に御審議をいただいているというのが現状でございます。 審議会も第二回目を重ねまして、第三回が三月十七日に予定されておりますが、その場で、それぞれの専門家から十分な御意見を承って、柔軟な態度で、運用についても遺憾のないような筋の通ったものをまとめ上げさせていただきたいと、このように考えているわけでございます。
○佐々木静子君 いまの御答弁で、長井総務局長が最高裁としてできるだけ三者円満な協議を実現するように、円満な三者協議を念願としておられるという、ことばはそのようなのでございますが、そのなさっていることが実際は三者協議を、円満な三者の協調ということを理想にしている日弁連のその気持ちを、事実は、一方的に一人制の規則の要綱案を提出するというようなことで、また大きく後退せしめたということ、これは賢明なる長井局長において十分わかっていらっしゃると思うわけなんでございますが、その点最高裁として今後その訴訟の促進とか、あるいは裁判官――りっぱな法律家の育成というようなことを本気になって考えておられるならば、いま国民の代弁者である日弁連との間でこのような冷たい関係、ますます関係を阻害するようなこのような事態を、早く改善することこそ一番の訴訟の促進への道へ導びくものであり、かつ、りっぱな法曹を養成することにつながっていくと思うわけなんでございます。 その点につきまして論争しておりますと時間もございませんので次に移りますが、この第一回の諮問委員会、この二月十八日のこの会合に提出されましたこの一人制審理の特例に関する規則要綱案というもの、この提案者の名前ですね。最高裁判所一般規則制定諮問委員会幹事という名称になっているわけなんですが、これはどういうわけでこの幹事という名称になっているのか。この諮問委員の中には幹事はたしか七名おられると思うのです。この中にはいまも総務局長言われたように、日弁連の事務総長も幹事の一員に入っているわけなんですが、この幹事の一員である日弁連の事務総長には、この提案についてごく一週間ほど前に、唐突に、こういうことがあるんだという話を受けただけで、これにひとつも参画さしてもらっておらないにもかかわらず、幹事である弁護士には相談なしに、規則制定諮問委員会の幹事なる名称でこれを提案されたのはどういうわけなのですか。長井総務局長あるいは最高裁の局長の方が幹事を一人で代弁しているというおつもりで提案されたのか。個人としての立場であるならば、この諮問委員会幹事という名称をお使いになって提案するのはおかしいのではないか。その点どういうお考えから諮問委員会幹事なる名称でこれを提案されたのか。御答弁いただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(長井澄君) これは表示上ちょっと拙劣な点がありましたので、おわび申し上げなければならないと思いますし、委員会の席では御説明申し上げたわけでございますけれども、この幹事といいますのは、最高裁判所から出ております事務総局の民事局長、刑事局長及び総務局長である私と三者の幹事という意味でございまして、この表示は一般規則制定諮問委員会裁判所側幹事という表示にすべきものであったわけでございますが、実はその点たいへん重大な手落ちで申し分けないと思っております。諮問の際にはそういうことで御説明申し上げたのですが、印刷上ちょっと手違いがございましたものですから……。そのような趣旨でございます。決してほかの幹事さんの責任でもって出させていただいたというようなことではございませんので、その点は各幹事さんにその趣旨を御連絡いたしまして御了承を得たつもりでおるわけでございます。幹事の中には、日本弁護士連合会の事務総長、それから法務省司法法制調査部長、内閣法制局の第二部長も幹事として入っておられますので、それぞれの御了承を得たわけでございます。
○佐々木静子君 これはいま印刷の手違い、あるいは書き間違いというような御答弁でございましたが、これははからずもここに最高裁の姿勢がはっきりと出ていると思うのでございます。最高裁判所の事務総局がこの規則制定権を自分一人のものだというふうに自負しておられる、あるいは極端な言い方をすれば、私物化していられるというような、国民の側からすると、そのように受けとられる姿勢が、はからずもこの幹事という名前で、最高裁側幹事と書くべきところを、これはもう最高裁のものだというふうな気負い立ったお気持ちというものが、ここにはからずも出ているように私ども思うわけでございまして、これも単なる手違いというよりも、やはりもっとその根源に深いところがあるのではないかと、はなはだ遺憾に思うわけなんでございます。 さて、この二月十八日の日、第一回の諮問委員会のときの御答弁に、現場である、一番その当事者である未特例判事補の意見をまだ徴しておられないというふうに御答弁があり、しかも、いま全国の各地裁、家裁の判事補に、未特例判事補にこの問題についての意見を集めているから、二月末くらいには、大体全国の未特例判事補の意見が集まってくるはずだと、こういうお答えがあったわけでございますが、その後二月末までに全国の未特例判事補の意見が集まってきた、その集まった結果どういう意見が出てきたか、それをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(長井澄君) 全国の裁判所の裁判官に対して意見を求めましたのは、一月の末から二月の初旬にかけまして、それぞれ現地の各高等裁判所に出向きまして、関係者に集まってもらいまして御説明しまして、それを各庁にまた伝えていただくという過程をたどったわけでございます。何ぶんにも裁判官は法律家でございますので、この個々の条文について深い法律上の見解がございますので、賛成か反対かということについても、非常に一義的に割り切ることのむずかしい膨大な意見がそれぞれ出てまいりました。各庁で多数決で賛成、反対というような形でなかなか意見が出にくい、条件つき賛成、条件つき反対というような内容でございますので、いま一々当たりまして内容を分析いたしておりますので、どのような意見がどのような数字で出ているかということが、分析と集計の途中でございますので、まだこの席で御報告申し上げる段階に至っておりませんが、いずれ集計が終わりましたら、諮問委員会には、その結果を御説明したいと、このように考えております。
○佐々木静子君 それでは、その結果を集計したら、国会におきましても、まあそのとおりに隠しだていただくことなく、裁判所のことですからそのように事実を曲げるというようなことはもとよりないことと信じておりますが、お尋ねさせていただくと、御報告いただけるわけでございますね。
○最高裁判所長官代理者(長井澄君) 内部的な意見の徴しかたでございますから、もちろん裁判官会議にまず報告いたすべき性質のものでございますが、その結論につきまして、これに手を加えるとか、そのようなことをいたすはずはございませんので、まとめまして御報告を申し上げたいと、このように考えております。
○佐々木静子君 それでは、後日御報告を承らせていただくことにしまして……。 しかし、ともかくこの一人制の問題は、現場の裁判官の意見もまだ十分に、十分というよりもまだほとんど徴しておられない。そしてまた、裁判を受ける国民の側、弁護士の側にも全然意見を徴しておられない。そういうふうな中にあってこれが提案されているという事実、これは間違いないことだと思うわけなんでございますが、そのとおりでございますね。
○最高裁判所長官代理者(長井澄君) いつの段階にお尋ねするかという問題でございますけれども、私どもとしましては、諮問委員会でこの規則の御審議をいただくことにすれば、公に御意見を承る機会としては十分であるというふうに考えておりまして、その席で十分な御意見を何回にもわたって伺う、こういうような議事も現在進められておるわけでございます。すでに御意見をお述べになった委員もございます。
○佐々木静子君 先ほどこのような規則を設ける必要性として、裁判所のほうで、一審の訴訟の促進ということと、それから後進の未特例判事補の教育というふうな点をお話しになったわけなんでございますが、これを設けることによって訴訟がはたして促進するかどうか、この点について私どもはなはだ疑義を感ずるものなんです。と申しますのは、あとでお述べになりましたこの未特例判事補の教育という問題、これ一人の判事が訴訟の促進、訴訟と教育とを同時に兼ね持つわけでありますから、いままでであれば訴訟だけをやっておればいいものが、未特例判事補の教育にも当らなければならぬということになってくれば、これは訴訟の促進ということについて、かえってマイナスになるのではないか。まして、話は異なってまいりますが、国民の側においても混乱を生ずる。弁護士の側におきましても、はたして未特例判事補が法律によらないでこうして裁判に関与しているということについて、異議その他の問題が起こってくると思います。これがどうして訴訟促進に結びつくのか、その点の御答弁をいただきたいと思うのです。
○最高裁判所長官代理者(長井澄君) 御承知のように、未特例判事補は、任官の当初からいわゆる特例の資格と申しまして、単独の裁判ができるようになるまでの期間五年間ございます。で、任官当初から試験を通って能力のある法律家として出発いたしまして、五年の間には研さんを重ねれば、その能力の向上というものは目をみはるものがあろうかと存じます。戦前のたとえを出して恐縮でございますけれども、現在すぐれた裁判官といわれるような方々は、大体戦前は、任官して五年ぐらいで当事の部長という職についておられたようでございます。もちろん長い期間かかった方もございますけれども、もってその間の実務処理上の能力の向上というのは十分推察できるところでございます。今日はそれに相当するという表現はいささか語弊がございますけれども、部の総括というものになるためには十数年を要しておりますので、非常にその間、戦前、戦後の違いはございますけれども、とにかくその例に照らしましても、任官当初と特例資格のつくころとでは、事件処理能力の向上は、かなりな開きができてくる。その間に、意欲にこたえるような研さん・指導と事件処理についての意欲を生かす機会というものをつくりますれば、これは、裁判官としては非常な実力の向上となりますので、その面から事件処理能力の充実、ひいては審理の促進、審理期間の短縮ということに相なっていくと、このように考えるわけでございます。 任官当初と四年たった後の未特例判事補の、この二つを取り上げてみますと、当初は大学で講壇の法律学を勉強しただけである。司法修習生として二年間実務修習もいたしますけれども、やはりなまの事件についての経験はございません。実際に事件を扱うようになってから五年間適切な指導にあずかれば、これはもう戦前なら堂々として裁判長もやれるだけの実力のつく人もあるということでございますから……。ここに二つの目的が掲げてございますけれども、第一のほうは五年近くなった人について言い得ることであり、第二の未特例判事補の研さん・指導ということは、任官当初の人について言い得るところでございまして、ある期間をかしてみればこの一つの手続によりましてもその目的が遂げられていく。かするに時間をもってしていただけば審理の充実とその期間の短縮ということは実現できるであろうという考えでございます。 なお、つけ加えて申し上げますと、現在は三年たてば簡易裁判所判事、五年たてば地方裁判所の裁判官として単独事件の資格はできますけれども、その間合議体の裁判所の左陪席として事件に関与して実務の研さんをし、事件の処理をするわけですが、何ぶんにも合議体事件というのが今日一般の御指摘を受けておりますように、非常に数が少なくなっておりまして、ある大きな裁判所の未特例判事補の一カ月の判決起案件数が一・六件にすぎないというような現状でございまして、なかなか地についた実務についての勉強ができにくいという実情でございます。 で、三年なり五年なりの間にもう少し簡単な事件で、事件処理をしながら事件処理能力の向上に努力するのであれば、一人でやるときにも迷わないでやれるし、その間りっぱな先輩の下につける機会がある。三年、五年たったときにいきなり自己流で始めるというのとは実情において大きな違いができるのではないか、このように考えるわけでございます。 例として引くのははなはだ適切でないかもしれませんけれども、お医者さんが資格を得ましても、なかなか盲腸の手術など当初はできないだろうと思いますが、大先生のそばで指導を受けながら執刀している間に、それ手術ができるようになるということも、やはりこの法律実務の修練の観点から考え直してみなければならない問題ではないかと考えるわけでございます。 それから、戦前は申し上げるまでもなく、地方裁判所は三人制の合議体ですべての事件を処理したわけでございます。任官早々の初任の裁判官も三人の合議体の末席の裁判官として、常に裁判長と任意陪席しながら、事件を通して勉強しながら事件処理能力の修得向上につとめておったわけでございます。そういう機会が戦後の裁判所の制度ではなかなか実現できない。法曹一元というたてまえから裁判官の数が少なくなることが予定されまして、単独事件が原則である地方裁判所と簡易裁判所との事件を合わせますと、その九四%までが最近は単独の裁判官で処理されているという現状でございまして、そういう観点からも初任の人が実務について修練するという機会が乏しいということは、実力のある裁判官をつくるゆえんではないと、このように考えまして、その場を提供するためにこの考え方に至ったわけでございますが、そういうわけで、五年なり、あるいはもうしばらくの期間をかしていただければ、現在の一審の単独裁判官の負担の加重と、それに伴いますところの悪循環による訴訟遅延というものは相当程度解消されるのではないか、このように期待しておるわけでございます。それにはもちろんこの制度が適切に運用されることが大前提になるわけではございますが。
○佐々木静子君 いま戦前の裁判制度との比較において、任官五年でもうりっぱな部長として訴訟指揮をすることができるような裁判官をも養成することができたという御発言でありますが、これは裁判官が今度のこの一人制の特例規則によりますと、この五年までの裁判官は裁判官としての議決権をも行使できないというような状態におかれるわけでございまして、長井総務局長のおっしゃっている、五年たてばりっぱな部長判事もできるくらいの裁判官が養成されたというその強調される線と、非常にいま考えておられる一人制の裁判官の姿というものは、これは天地雲泥の差ではないかと思うわけなんです。未特例判事補――すなわち判事補になってから五年以内の判事補を、この一人制審理におきましては裁判官審理の判決に対する議決権をも持たさない、まあ本来の判事の下働き、手伝いというような地位に追い込まれるような条項であるということは、これを法案の、この規則要綱を見た人だれにもはっきりわかっていることなんです。そういう点で私はいまの長井総務局長が言われた、指導のしかたによっては裁判官が五年でもうりっぱな裁判官になるのだというこの御答弁と、現実にいま考えられておられる一人制審理の特例の規則による裁判官の姿というものはたいへんな開きがある。そこら辺に非常に問題があるのではないかと思うわけなんです。私は、ただこれは何でも反対というのではなしに、いまおっしゃったように数さえ非常に少なくて裁判官が足らないと言われているときに、りっぱに司法試験に合格して、二年間、しかも先輩のもとで十分に修習した正式の資格のある裁判官を、なぜ議決権もない、判決に際してその決定権もないような地位に追いやるような特例を設けるのか、これは司法の独立というようなことから考えても非常に問題が多いのではないかと思うわけですが、どうしてこの判事補といえども正式な裁判官なのですからもっと裁判官らしい仕事をしてもらい方があるのではないか、その点について総務局長の御意見を伺いたいと思うわけです。 それからもう一つ、いまの御答弁にありました新しい未熟な医者が老練な医者の手術のしかたを見てだんだんと覚えていくというお話でありますが、これは結局マンツーマン・システム、徒弟制度というものにつながっているのではないか。すでに修習制度で二年間りっぱに先輩のもとで実務の指導を受けてきているわけですから、何もことさらに一対一の関係で、しかも一人の裁判官には絶対的な権限を与え、一方は裁判官でありながら、まだ年数が足らないというだけのことで発言権を与えないという状態の裁判制度というものが、これがはたして国民の要望している健全な裁判制度かどうか、その点について十分な御検討を願いたいと思うわけなんです。二人制の審理というような、二人制の審理につきまして、これはあながち頭からいかぬといって否定しているわけではないのですが、なぜこういうふうな、法律の前にも出せないような、こそくな手段によって五年未満の裁判官を一人前の裁判官扱いしないのか、その点についてどういう意図からこのような提案がなされているのか、私どもは非常に疑惑をもって見ざるを得ないわけです。一人の裁判官、十分な資格を持った裁判官を裁判官として活用できるような方法に、いままでどおりの十分に裁判官として仕事をしてもらえるような方法に、最高裁が今後そういうふうな取り組み方をしてもらえるように、私ども心から要望する次第なわけです。 この点については、後日御答弁を伺いますが、いまの局長のお話では、単独制の事件が多くなって合議制の事件が少なくなる、そのために三年未満の判事補は単に合議体の陪席ということだけで非常に仕事が少ない。だから十分な実務を身につけることができにくいというようなお話がありました。しかも例の一人制審理の特例に関する規則要綱案のこの末尾にわざわざこの参考資料として、民事第一審訴訟における合議事件、単独事件の比較、これは全国の裁判所の事件数の比較、それから第二として、刑事第一審訴訟における合議事件、単独事件の比較という表をおつけになって、合議事件は少ないんだというようなことを強調されているようでございますが、これは私がわざわざ申し上げるまでもなく、最高裁のほうにおいては私などよりもずっとよくおわかりのように、裁判所でやる仕事は判決、訴訟をやるというのはごく一部の仕事であって、そのほか多くの仕事が裁判官に課せられているということ、これはもう長井局長が私が何も言わなくても十分にわかっていることだと思うのです。 たとえばこれは四十五年度における地方裁判所民事事件、刑事事件の処理件数を見ますと、東京地裁においては訴訟によって、民事は訴訟事件が二万四百三十八件、これに比較してその他の事件、すなわち決定、命令による事件が六万五千九百五十件、大阪地裁におきましては訴訟事件は一万一千三百九十二件、それに比較してその他の決定、命令事件が三万五千三百四十二件、おのおの民事の場合は訴訟事件の三倍に当たる決定、命令事件が裁判所に持ち込まれているわけでありますし、刑事におきましても東京地方裁判所では訴訟事件が一万一千十一件に対し、その他の事件が四万五千六百五十一件、大阪地裁におきましては訴訟事件四千九百三十七件、その他の事件一万八千六十件というように、民事事件の場合は訴訟の三倍に当たる決定、命令事件というものが、刑事の場合には大体訴訟の四倍に当たる決定、命令事件というものが裁判所に持ち出されており、その決定、命令事件のこれをになっているのは、いま長井局長が指摘された未特例判事補がそれに当たっているわけなんでありまして、現実には未特例判事補はひまなどころか、非常にこの裁判の処理に追われている状態です。 何ゆえこの忙しい決定、命令事件をたくさんかかえている未特例判事補を、わざわざこの一人制事件の訴訟に当たらせ、しかも裁判官としての本来の仕事をさせずに判事の下に置いて、そこでマンツーマン・システムの教育を施す。そこら辺に私は現在の最高裁の意図しているところ、老練な裁判官の考え方によって若手の裁判官をいろいろな意味において拘束していこう、手かせ足かせにしていこうという、この最高裁の姿勢というものを感ずるわけですし、私のみならず、拘束を受ける未特例判事補あるいは国民一般の方々、弁護士の方々が非常にその点を憂えているわけなんでございます。その点について、この数多く占める決定、命令事件に当たっている未特例判事補の仕事の分担について、単に判決を何件しか書かないからというような、きわめて一部の仕事だけとらえて説明なさったことについては、私ははなはだ遺憾に思うのでございますが、その点についての長井局長の御意見を伺いたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(長井澄君) 一・六件と申しますのは、判決起案の平均の件数でございまして、それのみで仕事が尽きると申し上げたわけではございませんし、また、この事件処理の状況は、先ほども申し上げましたように、大裁判所とそれから比較的事件が少ない裁判所あるいは支部等では、事件の負担の状況が非常に違ってまいります。したがいまして、このたびの一人制の審理の特例も、すべての未特例判事補をこの手続に参加させるという形はとっておりませんで、この手続が適切に運用できる場合に運用を期待しているというきめ方をしているわけでございます。 それで、未特例判事補がどういう事件ができるかということにつきましては長くなりますので、ごくあらましのところを申し上げたいと思いますが、御承知のように、裁判所法では判事補は単独で裁判をできない、民事訴訟法、刑事訴訟法及びこれで準用する規定で特に単独でできる種類の事件を特定されておる。それは民事事件では仮差し押え、仮処分決定、競売開始決定等の強制執行に関する各種の決定、破産和議の決定、刑事事件についての各種の令状の発布このようなものが未特例の判事補で処理できるということになっておりますが、先ほども御指摘のありました東京あるいは大阪の現実の未特例判事補の配置の状況を見ますと、このような決定、命令の事件を処理する部にはほとんど配属されていない。合議体の事件が処理できるようなそれぞれの部におきまして、執行部であるとか、令状部というようなところには配置されていない。あるいは五年に近い人を配置しておるというのが現況でございます。また、保全事件、これは決定ではございますけれども、中には日照権であるとか、家屋の明け渡しの談合であるとか、公害事件に伴う差しとめというような紛争の事件に比較いたしましても劣らないような、非常に重要な案件を持った事件もございまして、こういうものも法律上は未特例の判事補が単独でできるようになっておりますけれども、なるべくそのような配置にはいたさないという配慮をいたしておりますので、小裁判所ではともかく、大裁判所では本来の事件の処理が全部できるように、このような名称は適当でないと思いますが、雑事件に追い回されるというような姿が出てこないように、配置上の配慮をしているというのが実情であろうと思います。 それから修習二年たてばすなわちりっぱな法曹としての事件処理の能力もできているのであるから、合議体の一員としての発言権を確保してやることがむしろ好ましいのではないかという御指摘でございます。まことにそのとおりで、三人の合議体の一員として多くの事件を処理できればこれにこしたことはないのですけれども、この合議体の事件そのものが非常に数が少ない。一週一開廷というところがせいぜいではないかと思います。判決ばかりでなくて、準備手続、あるいは和解ということもやっておりますけれども、これも残念なことですけれども、合議事件がそのような形で数が少なくなりますと、内容が非常に複雑で長期の係属事件というようなものが勢い未特例判事補の主任事件というようなことになりまして、内容の整理にも振り回されてしまうということで、事件に立ち向かう意欲をむしろそがれるような場合も出てくるのではないかという懸念もございます。 それから、判決ばかりではなくて、この手続によりまして先ほど申し上げましたような重大な仮処分事件、あるいは和解の際にも、先輩の裁判官のかたわらで、その事件の処理について、終始一緒に考えながらその処理に当たるという形をとれれば、指導の上でもやはり大きなプラスになるのではないかと考えております。先ほど二年たてばりっぱな能力という御指摘でございました。そういう方ももちろんおられますけれども、やはり学問と実務との違いは、机上で勉強したことのみではなくて、なまの事件に直接携わり、ぶつかって、その間に苦心をするというところに向上発展があるのではないかと、このように思うわけでございます。マン・ツー・マン方式は弊害のある場合もあると思いますけれども、やはり事件の真実をつかむと――非常に社会の紛争というものはニュアンスの違いというものがございまして、その中からほんとうに社会の人が争っていると見られる争点をつかみ出して、そこに証拠調べを集中していくという技術は、やはり二年の修習ではなかなかつかみ得ないので、むしろ社会人としての成長の要素も取り入れていかなければいけない。それが法律的な観点からなされまして初めて訴訟事件の処理ということが可能になると、このように考えるわけでございまして、その観点からやったわけでございます。 で、二人制合議体の制度が立法化できればこれまたすばらしいことだと思いますけれども、先ほども申し上げましたように、現在の憲法が法曹一元制というものを一つのたてまえとしておりまして、そのたてまえで判事補制度のもとで二人制合議の立法化ということは、法律制度としては考えられないところだというような意見が高まってまいりますと、最高裁判所が国民に対してやはり有しますところの、適正、迅速、公平な裁判の実現というためには、その規則制定権の可能な範囲でその責任を果たすということが、やはりしなければならない義務である、このように考えられるわけでございます。そのようないきさつと申しますか動機から、この規則の検討が行なわれているという事情でございます。
○佐々木静子君 いまの御答弁で、まず私が例示的に東京、大阪の地裁をあげたのですが、まあこれは代表的な裁判所だからあげただけで、東京、大阪ではその訴訟事件に比してその他の事件が多いという御答弁でありましたけれども、これはたとえば私の手元にある資料で、奈良とか、大津とか、和歌山を見ても、この数の比率はかえって訴訟以外の事件のほうが大阪の場合よりも多くなっているというようなこともあるぐらいでございまして、その点は大都会と地方とにおいて、少ない地方もあり、また少ない大都会もあるかもしれませんが、決してこれが片寄っているものではないということ、これは私はもうこの一覧表の上からも、これは最高裁からいただいたものですが、申し上げておきます。 それからいま二人合議制というものが、長井局長のお話によりますと、非常にすばらしいものだというような御答弁なんでございますけれども、そのようなすばらしい制度であるならば、法律というかっこうで、国民の賛成を得た上で、なぜこれを立法化なさらないのかということをまず申し上げたいのですが、それをお尋ねする以前に、現実の問題として、最高裁規則制定諮問委員会で説明しておられるところを見ますと、この議決権のない裁判官が、すなわちこの当該未特例判事補が法廷へ出るのに、法服を着ており、そうして席も権限のある本来の裁判官と同じように並んで席にすわる。そうして判事の許可を得て証人や鑑定人に質問もするというふうになっているわけですけれども、そうすると一般の国民は、一番大切な裁判を受けるほうの側は、これはどちらが裁判官なのか、どちらが自分の裁判をやってくれる人なのか、これはなかなかわからないのじゃないか。自分の裁判をこの裁判官がやってくれるのだろう。この二人の裁判官、法服を着て裁判官席へすわり、しかも証人尋問したりいろいろ尋ねたりする。これは裁判を受ける国民としてみると、百人のうち百人までがこの二人が裁判をやってくれると当然思うと思うのですが、そのうち一人は未特例判事補であって、全然裁判について発言権も法律上持っておらないというような事態は、これは国民を非常に裏切ることになるのではないか。こういう制度を最高裁が考えつくということ、これは全く国民の側に立って考えておらない規則ではないかというふうに私痛感するのですが、その点について最高裁はどういうふうに考えていられるのですか。
○最高裁判所長官代理者(長井澄君) この規則の適用があります場合、本来の受訴裁判所である判事とこの手続に関与いたします判事補との関係は、法服は着用させたいと思いますけれども、裁判の裁判体の構成員とまぎらわしくなることは、これは避けなければいけませんので、前に名札で、その関与判事補とか、そういう表示をするとか、まぎらわしくない方法で、また裁判長、その判事は席の中央にすわって、関与の判事補は、かたわらにすわるというような、形での見た上での違いというものは、これは明瞭につけることが好ましいと考えております。第二回の諮問委員会でも、そのようなことが考えられているし、また、この点についてのいい構想はこの席で承りたいというふうにお願いしているわけでございまして、決して国民をたぶらかすというようなことは毛頭考えておりません。むしろその点では一方で後進の裁判官という自負と責任を持ちながら、しかも謙虚に先輩を見習うという姿をそこで打ち出していくことが好ましいのではないか、それに相応した形もとるべきであると、このように考えまして、規則の制定と運用の実際におきましても、その点については、十分配慮すべきであると考えているわけでございます。 それから大都会と小都市の裁判所の訴訟事件とその他事件との事件数の違いというものは御指摘のとおりでございまして、多い少ないを申し上げたのではなくて、大都会の未特例判事補の諸君は、そのような雑事件に携わるといいますか、処理する機会が非常に少ないような組織配置になっておりますが、小都会の裁判所では本来の訴訟事件が少ないかわりに、雑事件もかなり処理しなければならない。事件の負担の内容がそのような違いがございますので、この新しい手続が小都会の裁判所で現実に運用できるかどうか、それはその地方の実情によることでございます。後進裁判官の指導に非常に熱意のある裁判官もあることでございましょうし、あるいは、単独事件を非常にたくさんかかえて、後進の指導にまではとても手が回らないという場合もあると思います。それぞれの実情に応じて、その手続を運用していただく余地があるわけでございます。大都会の単独裁判官の負担過重、大都会における雑事件にも手を出さず、本来の訴訟事件にも比較的負担の軽いところの未特例判事補、こういう人たちに、この手続は効果を発揮するであろうということは予測されるところでございます。
○佐々木静子君 いまの御答弁によりますと、たとえば大都会の判事補が雑事件を担当することが少ないというふうなことでございましたが、これは何も、規則を定めなくても、最高裁の内部の事務分配で、大都会に未特例判事補がたくさん集まっておるのであれば、未特例判事補を雑事件の多い地方の裁判所に回すということもできれば、あるいは決定、命令のように未特例判事補でできる事件をもっと未特例判事補に回し、その事件に判事が関与しているとすれば、それをなるたけ本来の単独審に回す――本来というか、訴訟の単独裁判のほうに回すというふうな、これは最高裁の中、あるいは各地方裁判所の中の事務分配の問題で十分に解決できる問題だと思うわけです。ただ、それを解決しないで、たとえば、東京地裁ではこうこうで、未特例判事補が非常にひまだというふうなことで、こういう規則をつくろうということは、これは最高裁内部あるいは地裁内部の、裁判所内部当局での御努力が足らないから、そういう結果が出てきているのじゃないかと思うので、これは論点の筋違いじゃないかと思います。 それから、いまの、第二回の規則制定諮問委員会でのお話で、未特例判事補は法服を着ることを場合によればやめる、あるいは裁判官とまぎらわしくないようにすわる場所も考えるというような御答弁でございましたが、これは、未特例判事補といっても、修習生ではない、憲法上ちゃんと認められた本来の裁判官が、まるで幽霊か何かのように、どこにいていいかわからぬというような、非常に気の毒な状態に置かれるわけで、裁判を受ける国民の側から、おまえは何だと言われた日には、おれは裁判官ではございますが裁判官ではない、というような、わけのわからない返事をしなくちゃならない。何も、あえて、多少経験年数が足らぬというようなことだけで、そのような立場に未特例判事補を持っていく必要はないのではないか。あえてそういうふうにするほど、いま裁判所は人が余っているわけでもないと思うわけなんです。そういうことから考えまして、未特例判事補が、本来の裁判官らしい裁判官としての仕事ができるような方向へこれは持っていくべきではないかということを、私重ねて主張したいと思うわけです。そういう意味におきまして、これは非常にいろいろな点で問題点が多いと思うわけです。 で、この諮問委員会の例の当局のお話では、四月に実施するつもりであるというような御意見でありますけれども、これは、国民の側から見ればとんでもない話なんで、国民が知らない間に、裁判官のかなりな比重を占める未特例判事補が、裁判官でありながら裁判官でないというような、妙な立場に追い込まれ、そうしてそういう制度のもとで裁判を受けなければならないというようなことは、これは国民に与える影響というものは非常に大きいわけでございますから、どうしてもいまの裁判制度では一審強化がはかれないというのでありますならば、十分に最高裁のほうで御協議なさりながら、また法曹三者十分協議の上、これという案をこれは国会へ御提案なさるべきだということを私強く要望したいと思います。 そして、この未特例判事補、これは、私調べましたところでは、また大きなところばかり言うようですが、東京地裁では裁判官二百五十人のうち五十六名が未特例判事補、大阪地裁では百四十一人のうち三十三名が未特例判事補というふうに――これはもっと地方を言えとおっしゃれば、福岡地方裁判所は六十九名のうち十七名が未特例判事補というふうに、これは全裁判官のうちかなりな比重を占めておるわけでございます。このかなりの比重を占める未特例判事補に今後どういうふうな形で裁判をしていってもらうか。これは法律で、裁判所法できっちりきまっているわけでございますが、それをあえて最高裁の御都合によって変えようというのでありますから、これは、一たん国民の合意をもってきめた法律を事実上変えていこうという作業なのでございますから、当然に法律案としてお出しになって、国会で審議なさるべきではないか。その点について、これは私どものみならず、未特例判事補自身も、そのように、私が非公式に当たったところでは、非常にそういう意見が多い。未特例判事補ばかりではない、日本の裁判官、判事の中にも、そういう意見が私が当たったところでは大多数を占めておる。もとより、日本弁護士連合会の会員のほとんどが、法律できめるべきであると言い、また、政党政派を問わず、超党派で、これは国民の権利関係に重大な利害を及ぼすものであるから当然に国会審議の対象にすべきものだということが叫ばれているわけでございますけれども、その点について、あえて長井総務局長が、これを規則で、国民の目の届かない中で変えようとなさるその御意図というもの、そこをお伺いしたい。そして、そのような大多数の国民の意見に反してまでなぜそのようなことをなさるのか。一度お考えになって、ぜひ法案で出していただくおつもりはないのか。その点を重ねてお伺いいたしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(長井澄君) 法案で出すべきではないかという御意見でございますが、先ほど来繰り返し申し上げましたように、法曹一元を前提といたしますいまの憲法下の司法制度の構想で二人制合議に関する立法は提案が不可能であるという法律提案当局の御意見によりましてもおわかりいただけると思いますけれども、そのような関係で、二人制合議を提出することはできない。一方、最高裁としては、事件の迅速な処理、後進裁判官の指導育成ということについては、権限と責任とを持たされている、その権限の範囲内で、その責任を果たすのにはいかがしたらよろしいかということの結論がこの規則要綱案となったと、こういう実情でございます。もちろんこれが立法化できればこれにこしたことはございませんけれども、法曹一元との関係で困難である。無理に立法化するということは、むしろ判事補制度を恒常的な裁判官の給源、あるいは裁判官そのものをキャリア制度に変えてしまうという姿勢になるわけでございますから、これは、法案所管当局といたしましても、法曹としても、軽々に踏み切れない問題であることは理解にかたくないと思います。そのような状況下でどうすればいいかというのが、この規則案の提案となっているわけです。そこを十分御検討いただきたいと、このように考えるわけでございます。 それから、大裁判所も小裁判所も事件は同じような形で係属しているのであるから、大都会の未特例判事補が時間的な余裕があると、負担が軽いならば、小都会に移すべきではないかという御指摘でございますけれども、やはり配置、定員というものは公平に運ばなければいけないものと考えます。訴訟事件とその他の雑事件とのそれぞれの重さというものを、一応実情を調査しまして、計算をいたしまして、事件の実情に応じて裁判官を配置いたしておるわけでございます。ただ、大都会は非常に裁判官の人数が多いために、また事件の内容が複雑かつ多様化しておりますので、たとえば工業所有権であるとか、労働事件であるとか、人事事件であるとか、また強制執行の関係でも保全部あるいは執行部、また自動車交通に関する損害賠償事件、それぞれ専門の独立した部で処理いたすことにいたしますと、その点では専門化されまして、内容が適正であると同時に非常に審理も促進されるという形がとれるわけでございますけれども、小規模の裁判所に行きますと、事件数のわりに内容というものがバラエティーがございまして、専門部をつくってそれを処理するということは、ただいまの土地管轄の関係からはきわめて困難になるわけでございます。専門裁判所をつくるということも、これまた憲法上大きな問題がございますので、そう簡単に実現できないわけでございます。そういたしますと、やはり現状のような配置をやむを得ない。その現状を踏まえての若い裁判官の修習練摩の機会をどうしてつくるか、また大都会における単独事件の負担をどのように解消するかということ、これを規則制定権の可能な範囲で解決しようという考えで、それ以上に出るものではございません。もうりっぱな裁判官であるから、法廷の片すみに幽霊のようにいるという御指摘でございますけれども、幽霊にしないために法服を着てもらって、裁判官としての自重と自負とを持ってもらう。ただ、権限の差異というものは法廷においても明らかにして、審理を受ける当事者ないし国民の誤解と疑惑を招かないように配慮する、このようなことでございまして、法廷における位置というものはそれほどあいまいなものになるとは考えておりませんし、またそのようにすべきではないことはもう十分わかっているつもりでございます。
○佐々木静子君 いまいろいろと御説明になりましたが、ともかくこれはどう考えても規則で制定できるという範囲のものではないということ、これは常識で考えてもはっきりしているのではないかと思うのです。といいますのは、裁判所法によりましても、裁判官の職務権限あるいは身分のこととかが裁判所法できめられているのみならず、事務官、秘書官そして書記官、調査官その他廷吏の方などについての権限や身分についても、これすべて裁判所法できめられている、あるいは他の法律の委任事項になっているわけです。すべて法律できめておられ、また特にこの五年以上たった判事補を特例扱いするという、いまの特例判事についての規定も、これは規則ではなしに法律で正式に国民の承認を得てきめられているわけです。ところが、この裁判の一番根源をなす未特例判事補のことだけ、書記官とか調査官とか廷吏のことも法律できめておきながら、未特例判事補だけ規則できめるというのは、これはあまりにもおかしいのではないか、だれが見ても、これはあまりにも常識に反しているのではないかということを、これはすなおな気持ちでみんなが痛感するところなんです。そこら辺についてもっと最高裁当局が、裁判所は最高裁のものではなくて、裁判所は、裁判は国民のものだという姿勢で取り組んでいただかなければいけないと思います。いまのお話を聞いておりましても、これは裁判官の教育のためにこういう規則を設けなければならない、あるいはこの事務の配置、それぞれ任地の問題とかいろいろあるから、なかなかそのように簡単に配置転換はできないから、だからこういう規則を設けるのだというふうな趣旨の御答弁であって、これは裁判所のための裁判、裁判官のための裁判所という姿勢における御答弁のように思うわけなんです。これは裁判所というものはあくまで国民のものであり、国民のために裁判官が裁判を委託されて、国民の委託によって裁判を行なっているわけなのですから、主体はあくまで国民にあるべきです。ところが、一番権利関係のある国民がこの際無視されて、そして裁判官の都合一辺倒、しかも、それも事務総局の都合一辺倒の中できめられているということ、ここに非常に本件についての問題があると思うのです。もし、これをあえて強行されるとするならば、これは訴訟当事者から異議なり上訴なりがこれは続出するということが考えられるんでございますけれども、そのような事態まで予測し、しかも日弁連とますますみぞを深くして、三者協議を全く打ち破るような高姿勢に及んでまで、最高裁はどうしてこの問題をあえて敢行なさらなければならないのか。その点について総務局長、一度反省――反省というとことばがなにですが、この問題をもう一度白紙に返して、法曹三者協議の上でもう一度考えてみようという御気分にならないのか、その点をもう一度お尋ねしてみたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(長井澄君) いろいろ御指摘がございましたが、この問題は最高裁判所の、やはり国民に対する責任というものに基づいてとりましたところの措置でございまして、一総務局長が反省して足るものというような軽微な問題ではないかと存じます。私も繰り返し反省はいたしましたが、若い裁判官を指導していくということは、私自身の経験からして、また、私自身若い時代を思い起こしても、何とか考えてやりたい、これはむしろ法曹のある程度の、おこがましいですが、先輩としての後輩に対する愛情であると、それを適切な形でどう表現してやるべきかということ、これは個人的な感情でございますけれども、持っているわけでございます。まあ先ほど四月実施も早期であるという御指摘もございました。四月一日に実施するというような確定的なスケジュールがあるわけでもございませんで、ただ審議にいたずらに時日をかするだけが審議の内容を豊かにするというものでもないので、充実した審議をお願いして円満な実施が期待できるようにしていただきたいと、このように念願しているわけでございまして、その成果につきましても、いろいろ予測的な御批判がございましたけれども、試験的に実施した評価によりましてもかなりな評価もございますし、また若い人たちもこの手続によることを望んでいる人も、またかなりあるわけで、ただ成文上の根拠があることを欲しているんだと、こういうように伝えてきている人もありますから、もう少しこの規則制定諮問委員会で十分に御審議いただいて、そこでの御意見をまとめていただくことがきわめて好ましいのではないかと考えているわけでございます。決して最高裁事務総局が裁判官と訴訟を私物化するというようなことを考えているわけではございませんで、やはり負担の過重と審理の渋滞、それからそれによってこうむる国民の損害というものを考えればこそ、裁判所が一体となって解決したいという努力が、あるいは唐突というお感じを与えたかもしれませんけれども、努力していくということでございます。
○佐々木静子君 いまの御答弁で、まあ総務局長としてもいろいろお考えになって、まあ反省もしておられるということなんでございますが、一総務局長が反省したところで追っつかぬというお話だったんでございますが、この最高裁の規則制定諮問委員会に出されておりますのは、あくまで規則制定諮問委員会幹事、そしてそれも、その幹事といえば七人で、そのうち最高裁の幹事というんですから、これは総務局長を含め、あと二人でございましたか、三人の局長のほうから出されているわけなんでございます。ですから非常に御謙遜なさっての御発言ですけれども、長井総務局長がそのお気持ちにさえなれば、これ提案者なのですから、これを、提案を引っ込めればそれだけのことだと思うわけなんでございます。ですから、これは長井総務局長が最高裁を、日本の裁判を私視してないという事実を如実に国民の前にはっきりしていただくためにも、責任をもってこれは何とか撤回していただきたい。かりにどうしても撤回できないというような場合であっても、いま御答弁になりましたように早急に事を運ぶというようなことはどうしても避けていただきたい。事は非常に重大な問題であります。 それともう一つ、これはぜひともお願いしたいということは、これは局長自身何回もおっしゃっているように、日弁連との協議を十分にしていきたいということ、自分はそれを念願しているのだと、いつでも国会でおっしゃっているのですから、まずそのことを態度で示していただくためにも、日本弁護士連合会とまずこのことについて十分な協議をして、協議の上で進めていただきたい。いま最高裁の規則制定諮問委員会の中に日弁連の方がおられるのでというふうにおっしゃいましたが、それは別な問題です。三者協議というのは、最高裁と日弁連とが協議するということなんですから、それと法務省を加えまして。ですから、その諮問委員会の席ではかることとはまた別個に、総務局長の責任において日弁連と早急にこのことについて話し合いを持っていただきたい。そのことはいままでの御答弁からみましても当然総務局長は実施していただけると思うのです。このことをお約束していただけますね。
○最高裁判所長官代理者(長井澄君) この規則の制定に関する諮問は、これは最高裁判所の公式の見解といたしまして諮問委員会に諮問されたものでございまして、事務総局を越えた正式のものでございます。 なお、この幹事案でございますけれども、参考案として提出するようにという御指示でございまして、これは一人制の審理の特例に関する規則の制定についてという簡単な諮問事項だけでは、諮問委員会で協議し、審議することはきわめて困難でございましょう。具体的なたたき台としての素案を差し出しましたにすぎませんので、十分に柔軟な態度を持って、また建設的な御意見によって、私ども決してこれにとらわれる気持ちはございませんので、内容を詰めまして、適切に運用のできる規則の制定をやっていただきたいと、このように思っているわけでございます。撤回しろという御意見でございますけれども、これは私一個のこととして処理できる問題でございませんので、御意見のありましたことはお伝えいたしますが、そのような趣旨を御承知おきいただきたいと思います。 それから三者協議会の問題につきましては、これは三者の間の、事務総長、次官を主体とする協議会という趣旨でただいま検討がなされております段階で、三者の協議が、話がまとまり、三者の協議会を持つということについて基盤ができますれば、このような問題についての話し合う、あるいは規則が制定されました後も、運用についてもいろいろな問題があるわけでございますから、その問題も十分にその場で協議していただくことが望ましいし、諮問委員会は規則の制定がなされればそれでその関係は任務が終了するわけでございますけれども、運用につきましては長い行き先があるわけでございますから、この問題については、ぜひ三者協議の場でも御検討いただくにふさわしい問題であろうかとも考えておりますので、三者協議のほうも一日も早くまとまりますように、私も心から願っておるわけでございます。そのような関係にありますことを申し上げさしていただきたいと思います。
○佐々木静子君 いや、いまこの規則の要綱案は最高裁から出されたものだというふうな趣旨の御答弁のように承ったんですが、私が長井総務局長に、これは、長井幹事さん、何とか撤回できませんかと申し上げているのは、この二月の十八日に、この本要綱案、これはそのときの御答弁を書面にしたものですが、本要綱案は最高裁の考え方でもなく、事務総局の案でもないということを、これは長井総務局長御自身が諮問委員会でおっしゃっているわけです。あくまでこれは幹事案であるということを強調しておられるわけなんです。どういうわけで諮問委員会では、最高裁の案でも事務総局の案でないと言って、これは幹事案だということを強調しておかれながら、国会へお越しになると、これは最高裁の案だというふうにおっしゃるのか、その点一つの事柄についてなぜあっちこっちと答えが違うのか、私はその点非常に不明朗なものを感じるわけです。この諮問委員会の御答弁によりますと、これはあくまで幹事案であると言う、最高裁の案ではないと言っておる。それであれば、幹事案は幹事が撤回すればこれはいいのではないか。それはいろんなお立場があって、撤回することについて苦しいことはあるかもしれませんが、これは公的にはあくまで幹事案である。その点について、総務局長のほうでのいまの御答弁は非常に食い違っていると思うし、この諮問委員会での御発言どおりとすれば、これは長井総務局長のほうで御反省なさるくらいであれば、当然撤回もできるものと考えるわけです。その点についてお伺いしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(長井澄君) 先ほども申し上げましたように諮問自体は、最高裁判所が諮問委員会に対してなされたものでございます。一人制の審理の特例に関する規則の制定という簡単な内容のものでございます。ただそれだけでは審議の対象が明確にならないから、諮問委員会の幹事を兼ねますところの私ども三人の局長が協議いたしまして、つくりました案を参考案として提出することを、その諮問を決定されました際に御了承を得ておるわけでございます。そういう経過がございますから、私個人の反省によりまして撤回するということは困難であろうというように申し上げたわけでございまして、その諮問の経過、手続、案の作成の関係を御了承いただきたい、このように申し上げたわけでございます。
○佐々木静子君 この点につきまして、これは実は非公式の話なんですが、最高裁の裁判官がこれをあまり御存じない。こういう案が出されたことは少しも知らなかったということを非公式で話をして、日本弁護士連合会の会員が聞いているわけです。そういうこともございますし、長井局長のこの御発言、諮問委員会における御発言などからみますと、これは局長のお立場はあると思いますけれども、これは諮問委員会にかけられたのは三人の局長でいらっしゃるから、三人の局長が諮問委員会にかけられたのを撤回なされば、それで事が足りると思うのですが、まずそのことを私、第一希望として、できるだけその線に沿って御努力いただきたいということと、それがどうしても困難であるならば、これは急いで事を運ばないように十分に、慎重にしていただきたい。 そうして重ねて申しますが、法曹三者の協議を、日弁連との協議でありますが、三者協議をできれば、いまいろいろ御相談したいということでありますが、三者協議をするしないは、これも事務総長の御意思に非常に多くかかっているわけなんです。少なくともこれほど重大な裁判上の問題でありますから、三者協議が実現された後に、日弁連と協議の上、これを遂行なさるなら遂行するように持っていくというような柔軟なお立場を示していただきたい。三者協議がすぐできないとすれば、三者協議ができる情勢になるまで問題をお延ばしになるということ、これは日本の裁判にとって、そんな大きなマイナスではない。それほど大事な問題でありますから、慎重に事を運ぶという意味においても、日本弁護士連合会に相談しないで、これだけ大きな日本の裁判制度をやり変えるということは、むちゃくちゃな話でありますから、三者協議ができるまでこの問題を寝かして、そうして三者協議をできるだけ早急に実現されて、そうして日弁連と話し合いをし、相談の上で、一人制であれ、二人制であれ、事を運んでいくということについて、これは長井総務局長がこの点について御答弁できると思うのです。そのようにかねて、三者協議を実現するということは自分の念願であるということを常々法務委員会で強調なさっておられる。これは総務局長のみならず、最高裁の皆さん方、いつもそういうことを強調なさっている限りにおいては、これは協議なすった上で実現なさるべき事柄だと思いますから、日弁連ともう一度よく話し合った上できめるということ、これをはっきりと局長の口から御言明いただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(長井澄君) この案を裁判所側の幹事案として出すことは裁判官会議で御了承いただいております。ただ、内容の検討をしさいにお願いしたということはございません。これは裁判官会議で内容検討の上での諮問ということになりますと、結論についての法律的見解を予測させるということになりまして、はなはだ不適当でございますので、御報告申し上げたのみでございまして、内容についての最高裁の裁判官の御評価はいただいておりませんが、裁判官が御存じにならないということはないものと私は確信いたしております。 それから、三者協議が成立するまで待てないかという御意見でございますけれども、諮問委員会は最高裁判所の諮問機関でございまして、三者協議は事務総長及び法務省の事務次官三者の協議会でございまして、次元も違いますことでございますし、諮問委員会は私は一幹事に過ぎませんので、この両者を明確に関連づけるということは私の所管と責任の範囲に属しませんので、その点についてはっきりと申し上げることはこの際差し控えさしていただきたいと存じます。
○佐々木静子君 きょう私が長井局長ここにお出ましいただいているのは、これは最高裁を代表してお越しいただいておるわけなんです。たまたまお越しいただいた長井総務局長が、この諮問委員会の幹事でいらっしゃるから、幹事としての御発言をあわせてお聞きしているわけで、ですから、これは最高裁の代表としてきょうここへ来ていただいているわけです。ですから、諮問委員会の自分は一幹事であるからそのことについてはこれ以上の返答はできないということでございますけれども、その諮問委員会の一幹事ということを除いて、最高裁が日弁連と話し合いがつくまでこの規則を実現しないということ、それは十分長井局長のお立場としてできると思うんです。かりにできないとするならば、次の委員会にできる方にこの国会へ来ていただかなくちゃ話にならないわけでございますが、その点どうなんですか。長井局長はそれについて、そのことをここで答弁するだけの権限をお持ちでないのか、あるのか、ないとすれば権限のある方をここに来ていただかなくちゃ、これ幾らやってもしようがないわけですから、それは最高裁側として責任のある回答をいただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(長井澄君) もちろん長官代理者ということで出席をお許しいただいておりますから、その限度で私も御説明申し上げる義務があるわけでございます。で、先ほども申し上げましたように、諮問委員会は最高裁判所が諮問をして、委員の合議体として委員長が会議を主宰するものでございまして、その成り行きをどうこう申し上げるということは諮問委員会の権限に対する干渉ではなかろうかと考えるわけでございます。最高裁判所の諮問機関でございますから、その限度で一つの独立した審議権を現在持っているわけでございます。ただ、私がいまの立場で代表しているからこの際意見を述べろという御趣旨でございますから申し上げますが、規則制定諮問委員会と三者協議会とは、それぞれよって立つ基盤の違う機関でございますから、両者を関連づけまして片一方を時期が来るまで停止するということはこれは理論上できない問題であるということを私の見解として申し上げたわけでございます。
○佐々木静子君 もう時間もだいぶたっておりますのでなんですが、諮問委員会の答申があっても、最高裁はそれを実現なさるかどうかということは、これは最高裁の権限できめられることなんですから、いまも重ねて言いましたように、これは最高裁長官代行者として出てきていらっしゃる以上、これは慎重にやらなければならないと反省していらっしゃるのであるならば、反省をされているということを現実に示していただくために、もう一度十分に日弁連と協議をする、そうして慎重に考えた上で、かりにこれが諮問委員会で通過しても実施には踏み切らないということをこの場でお約束していただきたい。もし、あなたはそれをお約束するだけの権限がないとすれば、次の法務委員会に権限のある人にここに御出席いただきたい。そのどちらかの御回答をこの席で承って私の質問を終わりたいと思うわけなんです。その点についてお答えいただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(長井澄君) 長官はなるほど代表者でございますけれども、規則の制定を行なうかどうかということは、裁判官会議が合議の上で決定されるととでございまして、長官もその席では会議の主宰はいたしますけれども、合議体の一員にすぎないことでございますから、これは裁判官会議が御決定になることでございまして、いまここでお約束することは、これはできない問題であると、このように考えます。御趣旨は帰って十分お伝えいたします。
○佐々木静子君 このような国民の権利に重大な問題を、最高裁の裁判官会議がかってにきめられる。国会では、これは当然国会で審議すべき事項だということでいま問題にしており、国民の大半の人がそのように考えているときに、これは最高裁だけできめられるのだということで、最高裁は裁判官会議でかってに事を運ぶ。これは非常に重大な問題だと思うわけです。 でございますので、総務局長が最高裁の長官の代行者ということでここへ御出席いただいて、いろいろとお考えいただいたことについては敬意を表しますが、それは責任を持って最高裁に、その裁判官の各位に十分にお伝えいただきたいと同時に、これは三権分立とか、司法の独立とかいう問題と別個の問題で、これは国会で審議をすべきことか、最高裁の規則だけでやってのけられることかということが論争になっているときに、最高裁の裁判官会議でかってなことをきめたのでは、これは司法の独善以外の何ものでもないわけですから、この点は十分に御反省なさり、長官でなくても、最高裁のこの担当裁判官なり何なりが国会で十分に御審議を尽くされるべきことだということを私はあえて申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(長井澄君) 御趣旨は十分わかりましたからお伝えいたしますが、最高裁は裁判官会議がかってに御審議になるということはございません。やはりそれぞれの憲法の上で与えられました資格と権限に基づきまして十分にその立場から御審議になりますので、かってに御審議になるというようなことは万々ないと信じておりますので、その点は十分御了承いただきたいと思います。
○委員長(阿部憲一君) では、本件に対する質疑は、本日はこの程度といたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時三十八分散会 ―――――・―――――