物価等対策特別委員会、農林水産委員会、商工委員会連合審査会 第1号
- 発言数
- 227 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1972/04/12
会議録
○委員長(長屋茂君) これより物価等対策特別委員会、農林水産委員会、商工委員会連合審査会を開会いたします。 先例によりまして、私が連合審査会の会議を主宰いたします。 当面の物価対策等に関する件を議題といたします。 質疑に入る前に一言申し上げます。先ほどの連合理事会におきまして、質疑者の順序及び質疑時間の割り当てを決定いたしましたが、質疑の時間につきましては特に厳守していただくよう、よろしく御協力のほどをお願いいたします。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。嶋崎君。
○嶋崎均君 去る四月六日の新聞各紙によりますと、アメリカのイーストマン・コダック社のカラーフィルムの値上げ問題が報じられておるわけでございます。本日は、せっかく連合審査でございますので、広範な物価問題について、あるいは聞くのが妥当であるかと思いますけれども、時間の関係もありますので、個別的な問題から先に入らしていただきたいと思います。 そういうことで、このコダックのカラーフィルムが値上げになる。例で申し上げますと、二十枚どり三十五ミリのものが五十円値上げになる、こういう話が報じられておるわけでございます。それに関連しまして、実は過去の事跡をいろいろ調べてみますと、昨年の四月に関税の引き下げが行なわれ、当時四〇%の関税がかかっておったのを二六%に引き下げる、それに関連して、コダック社の代理店である長瀬産業のほうで、この国内の小売り価格を六十円引き下げたということがあったわけでございます。その後、御承知のように、円の切り上げがあり、さらにまた本年に入りまして関税の追加的な引き下げが七品目について行なわれたということで、実は私、大蔵委員会に属しておりますけれども、この三月の末日で関税定率法の一部改正が通過をした。その中で、二六%の現行の関税をさらに三%引き下げて二三%にするということが規定をされておるわけです。また、予定としましては、四十八年の四月から二〇%に引き下げられる。こういうことに相なっておるわけでございます。ところが、そういう事態で法律が施行されて間もない四月の五日の日に、急に値上げだということでございます。 そこで、この値上げに関連して、まず御説明を願いたいのは、去年、四十六年の四月から関税が引き下げられたわけですが、それ以前におけるところのコダックの売り上げの——こまかい数字は、あるいは行政指導という問題からむずかしいという面があると思いますので、利益の額はどういうことになっておるか、さらに利益率はどういうことになっておるのか、という点についてだけでけっこうでございますが、去年の四月以前と四月以後、さらに円の切り上げが行なわれたとき、さらに本年のこの値上げ後ということで、どういう姿になっておるのか、通産省のほうからお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) コダック・カラーフィルムにつきましては御指摘のような事情がございます。四十六年の四月以前は、三十五ミリ二十枚どりで五百四十円でございましたものが、四十六年の四月十日以後値下げで四百八十円になったわけでございます。これを五月一日から五百三十円に引き上げよう、こういうことを言っているわけでございます。また、二十枚どりのカラー・ネガフィルムでございますが、五百三十円だったものが四百七十円になり、それを五百二十円にまた上げよう、それからブロニーの五百五十円が四百九十円に下がり、それをまた五百二十円に、カラー・リバーサルの三十五ミリのコダクロームIIという二十枚どり、八百八十円が関税引き下げにより八百三十円になり、その後円切り上げによる値下げによって七百三十円になったのであります。ところが、五月一日から七百八十円に上げようということとなっています。 収益の問題、必要であればお答えをしますが、この問題に対しては長瀬産業に対して引き上げないようにという再々の勧告をしておりますが、輸入先からの指示によりましてという一点張りでございます。ただ、追随値上げを国内業者が行なっては困るというので、富士フィルム等に対して話をしておりますが、国内業者は値上げをしないということでございます。まあ理由等もあるようでありますから、もし御質問があればお答えをします。
○嶋崎均君 たとえば、例を三十五ミリ二十枚どりにしましての例だけでけっこうですが、利益、荒利益額というのですか、それと比率を、四つの時期に分けて、事務当局からでけっこうでございますが、御答弁願います。
○政府委員(本田早苗君) お答えいたします。 すぐのコダックの資料そのものはございませんが、一般用カラーロールフィルムの輸入の実績がございまして、そのほとんどがコダックの製品ということに相なっておりますので、その数字を申し上げますと、ネガとリバーサルとを合わせまして、四十四年が十億一千五百九十万円でございます。輸入実績でございます。それから四十五年が十三億五千四百万円ということに相なっております。利益率ということになりますと、これは経理面の計算でございますので明確にいたしかねますが、先般の値下げは関税の引き下げ分以上に下がっておりますから、あの際には、ある程度長瀬の収益率は下がったというふうに考えております。
○嶋崎均君 なかなか、行政指導の問題ですから、あまり数字を述べにくいという点があるかと思うのですけれども、さきに本年の三月三日の物価対策閣僚会議で、この取り扱い物資についての追跡調査を品目別に行なうということに相なっておるわけであります。その中にカラーフィルムというものが入っておるわけでございます。カラーフィルムの場合には、当然、コダック社のものにつきまして——ほとんど輸入の大部分であるという先ほどの説明があるとするならば、行なっておるはずだというふうに思いますが、その数字はここで公開はできないということでございますか。
○政府委員(本田早苗君) お答えいたします。 一例で御理解いただきたいと思いますが、四十六年の四月の値下げ率は二十枚どりで二・一%の値下がりがあったわけでございますが、今回これを値上げをいたしたわけでございます。これで一〇・四%の値上がりになるということに相なっております。
○嶋崎均君 これは私独自の立場で調べた資料でございますが、それによりますと、四十六年の三月以前におけるところのこのコダックの三十五ミリ二十枚どりの利益は約二十円であったというふうに聞いております。そうしますと、いろいろな計算がありますけれども、約五%ないし六%程度の利益率であった。四十六年の四月で、このあとの条件が変わらずとして、関税が引き下げられたということに関連して値下げを六十円しました。そのときは四%台の利益率であったというふうに聞いております。四十六年の十二月、御承知のように一六・八八%円が切り上げられたわけでございますから、これによっていろいろなものの値下げが別にあったのかもしれませんが、このフィルムだけとってみますと、一八%程度の利益率になった。今回、先ほど説明のありましたように一〇・四%引き上げられたということの結果としまして、いろいろ仕入れ価格の引き上げというようなことが報道されておりますが、その結果で見ましても、まだ一八%近い利益率があるというふうに聞いておるわけでございます。もしそういうことが真実であるとするならば、これは非常に大きな問題だろうと思うのです。過去において、せっかく物価対策という観点から、昨年の関税の引き下げ、ともかく諸外国より高かったとはいえ、四〇%から二六%まで一挙に引き下げておる。ところが、その分を円の切り上げで、もうほとんど取り戻しておる。今回また三%を下げておる。そのときに、また値上げを引き下げの直後に行なうというのは、まことにやり方としてひどいじゃないかというのが私の偽らない気持ちでございます。 そこで、前回の価格引き下げをしたときのコダックに関するところの発表文を入手しましたので、それによっていろいろ見ますと、要するに、今度の値下げというのは、価格を引き下げするために、関税の引き下げを価格引き下げによって消費者に還元をするのだということを言い、もともとコダックが対日進出をすれば結局消費者の利益になるのだというような旗じるしでもっていろいろ拡売政策をやっておる。ところが、それから一年もたたない今日において、その値下げ分を完全に取り戻してしまっておるということに相なるわけでございます。そういうことになりますと、一体何のために関税を引き下げておるのかということが問題になるのだろうと思います。御承知のように、コダックは世界的な企業であり、銘柄商品でございます。要するに、寡占の価格というものの問題点というものを象徴的にあらわすものであると私は思うわけでございますが、いま私が申し上げたような数字が当たっておるかどうかは私はよくわかりません、間接的な調査でございますから当たっておるかよくわかりませんけれども、そういう事態であるとすると、実はたいへんに問題である。ましてや、何というか、物価の安定のために引き下げたと、その分をすっかり埋め合わせて値上げを行なう、こういう事実をお聞きになって、総理はいかがお考えになりますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私にも理解できかねております。ただいま数点おあげになりましたが、円がこれだけ切り上げられた、その上関税も引き下げた、また、これからも関税を引き下げる、こういう形の際に、そういう利益分が中間において、消費者に還元されないで、全部使われる、むしろ逆に値上げをする、こういうことについては私もなかなか納得がいきません。
○嶋崎均君 先ほどの通産大臣のお答えによって、現在強力な行政指導をこのコダックの問題について行なっておられるというふうに聞いておりますが、私は、こういう扱いは非常に背信的な行為であるというふうに思っております。特にわれわれ国会で関税定率法一部改正法案を審議しておるときには、四十六年の関税の引き下げ、それがそっくり消費者に還元をされておるのだ、今回の三%の分の引き下げについても多分そういうふうになるだろうということで関税の引き下げについて賛成をしたわけです。 そこで、もう一つ突っ込んだ御質問を申し上げたいのですが、一体全体、長瀬産業の調査をされまして、コダック社からいつごろ——値上げの通告というのですか、これをやるのには相当の準備が必要であったと思いますけれども、いつごろ通告があったということでございましょうか。事務当局でけっこうですから。
○国務大臣(田中角榮君) コダックから長瀬産業に対しての要求は二月からの仕入れ品ということでありまして、五月一日から——これは非常に一方的じゃないかということで、長瀬産業に対しては、その理由の提示を求めたり、いろいろなことをやっておるのですが、何しろ向こうから一方的な通報でございますからという一点張りなんです。ですから、いま御指摘があったように、世界的な寡占業者からの提供物件でございますから、これはひとつ、これから十分調べなければいかぬ、こう思っておりますし、場合によれば、コダック社に対しても、そういうことをやると、やはり世界的な、各国の間に関税引き下げというような大きな問題にも障害が起こるじゃないかということも言わなければならぬと思いますし、こういう問題に対しては独禁法上どうするのかという問題もやはり十分調べなければならぬ、こう思います。私も、これは、言うなれば悪らつとも言うべき国際的な商法とも考えられます。世界的な寡占企業というものは、一ぺん下げておいてシェアの拡大をはかり、ある時期を経てシェアが固まれば価格を上げる。これは電算機でも、去年一〇%以上も下げる、下げて、シェアが拡大すると、もとの値段に戻す。こんなことは許されるものではないということで、いま検討を進めております。これは国際的寡占企業の得てしてやる手でありますから、これはひとつ徹底的に解明したい、こう思います。 もう一つ、私が調査した結果考えたのは、一〇何%、一三、四%ですか、日本のシェアというものがきまってしまった。これ以上ふえないというような見方であります。ですから、シェアを拡大するときには相当な努力をして下げたけれども、もうこれ以上拡大はしない、そして顧客は定着をした、というときには上げても減らぬな、こういう見通しもあるのではないか。私自身が調査した結果は、大体その二点のようでございます。
○嶋崎均君 時間の関係もありますので、あまり深追いをするつもりはありませんけれども、また、政府のほうでしっかり行政指導をやられるということでございますので、その今後の努力に期待をしておきますけれども、前回の値下げのときの文書を読んでみますと、「今回の関税引下げは、政府の物価対策の一還として行なわれたが、長瀬産業はこの政策に協力して、関税引下げ分は一〇〇%消費者に還元する形で、値下げ後の新価格に反映させる。」ということが書いてあるわけでございます。さらにまた、今後の問題につきましても、「私どもは国内市場の現状からみても、今後引きつづいて、引下げが行なわれ公正な競争のもとで写真市場全体の拡大がもたらされることを望んでやみません。」という、これは新聞に配るためにニュースレターというものをわざわざつくって、これを全部各社に配布してやっておるわけです。そういうことでは、まるっきり、将来のことまで言っておきながら、やっていることはほんとうに、きんちゃく切りみたいな話ではないか、ことばは悪いかもしれませんけれども、まことに私は遺憾であるというふうに思うわけでございます。 わが国のカラーフィルムの関税が高かった。したがって、それを引き下げて、価格を引き下げ、また国内の競争力との調整をはかりながらやっていくということ自体についてはけっこうでございましょうけれども、ひとつ、通産省のほうで、ぜひ国内の二業者がこれに同調しないように、さらにまた、コダック社につきまして強力な指導をお願いしたい。 現在の法律によりますと、先ほども指摘しましたように、四十八年の四月からまた二〇%に引き下げるということに、もう既定の方針として相なっておるわけでございます。こういうことが改まらないとするならば、やはり私は、関税定率法の審議に携わった人間としては、そういうものについては改正の場合に考慮せざるを得ないのではないか。政府は、いまきまっておる四十八年四月からの関税の二〇%への引き下げについて、もし今回の値上げに対する行政指導が失敗をしたら、何らかの対抗的な措置をとる意思があるのかどうか、その点についてお聞きしたい。
○国務大臣(田中角榮君) 世界的に縮小均衡の道を選ばず、拡大均衡の方向を維持するためには、どうしても関税の引き下げ、自由化の促進というものを世界的にやっていかなければならないことでございます。日本自体ようやくいま拡大EC、十カ国並みに近づこうというところでございますので、方向としては、関税引き下げ、自由化というものは進めるということでなければならないと思います。しかし、その結果は国民大衆に利益が還元されるということでなければならないわけでございますが、過渡的な現象だと思いますけれども、まだ平価の調整分や関税引き下げ分が、御指摘のように、実質的に消費者価格にあらわれておらないということに対しては、追跡調査も行ない、また情報提供等も行なったりして、また独禁法上の問題等もありますし、また、寡占企業からの価格操作というものに対しても、国際的にも問題にしなければならない。これはやはり国際的な問題でもあると思うのです。これは、UNCTADの問題などでも、関税を引き下げても実質的には目的が達成せられないのではないかという問題も当然議論すべきだと思います。昨年百二十四品目、ことしも二百三十八品目という大きな品目にわたって関税を引き下げるということになっているわけでありますので、これらの品目ごとに個別の追跡調査を行ない、消費者価格に反映できるように措置をすべきである、また、通産省はそれがつとめである、こう考えているわけであります。
○嶋崎均君 ただいまいろんな質疑応答の中で、通産省のほうでも十分本件についての問題意識を持ってやっておられるということでございますので、ぜひひとつ、せっかくの関税の引き下げが、日本の国の財政収入からコダックの利益に振りかわるというようなことでは、何のために一体関税の引き下げをやるのかということが非常に疑問だというふうに思います。そういう点から考えまして、ぜひ検討を進めてもらいたいと思うのでございます。 次に、また個別問題で、どうも時間がありませんので、はしょってお尋ねをいたしたいと思いますが、最近、去年の十月からですか、豚肉の自由化が行なわれたわけでございます。私の調べたところによると、自由化以後、どちらかというと価格が落ちつきぎみに推移しておったというふうに承知をしておったのですが、最近の資料をいろいろ調べてみますと、ことしの一月、二月、特に三月以降四月にかけて急速な値上がりをしているように聞いております。一体、枝肉の卸売り価格、小売り価格がどういう状態になっているのか……。
○政府委員(増田久君) 先生いま御指摘のとおり、ことしの二月ごろまでは、おおむね卸売りも安定をいたしておりましたけれども、三月から四月にかけて卸売り価格が上昇いたしまして、現在のところ、四百八十円台の卸売り価格になっているわけでございます。これに対しまして消費者価格のほうを見てまいりますと、これは、従来、卸売り価格が上がりますと、すぐに小売り価格に、はね返るというのが従来の例でございましたが、今回は、卸売り価格が上がったにかかわらず、消費者価格のほうは安定しているというのが実態でございます。ただし、この上がりました理由につきましては、先生御存じのとおり、昨年の一月から三月までに非常に豚価が低迷をいたしまして、そのために生産が非常に低迷をいたした。そのために、ちょうど一年おくれで出荷が現在対前年比一〇〇程度というふうなことに相なっておりますことが一つの大きな要因になっておると考えておるわけでございます。
○嶋崎均君 わが国はまだ十分豊かではないということか、ともかく牛肉よりは豚肉を消費する割合が非常に高い。食肉全体の中でも豚肉のウエートが四〇%近くであったかと私は記憶しておるわけでございますが、最近のように、こういう急速な値上がりは、行く行くは消費者価格に反映してくるということは間違いがないと推定をされるわけでございます。 そこで豚肉の輸入の問題でございますけれども、こういう急速に価格が上がった場合には、関税定率法の十二条の規定によりまして、差額関税というのですか、それをかけることになっておるというふうに思いますが、それを発動すべき時期に来ておるのではないかというふうに私は思っておるわけです。先年度末、三月三十一日できめられました豚肉の安定帯の価格は、四十円の基準価格を中心に四十円開きというような形になっておりまして、四百四十円という上限価格をはるかに突破をしておるというような状況になっておることは先ほどの御答弁で明らかでございます。そういう意味で、早急にこの関税定率法に基づくところの政令を作成をして、関税の減免措置を講ずべきであると思いますが、いかがでございますか。
○国務大臣(赤城宗徳君) その件につきましては、近く関税の減免措置を講ずるように準備を進めております。
○嶋崎均君 次に、時間もありませんので、はしょりながら質問をしていきたいと思うんですが、ただいまのお答えをいただいて、近くそういうことが発動されるということでございますので、すみやかに対策を講じて、連休には安い豚肉が食べられるというような状態にしていただきたいというふうに思っておるわけでございます。 そこで次は、最近、四月の九日の新聞でございましたか、日経新聞を読みますと、生産者米価について、「大幅引き上げ必至に」、「生産者米価、幅は五−八%か」といったような記事が出ておるわけでございます。御承知のように、米価の問題というのは、私も行政官庁にいるじぶんに、その仕事に関与しておったことがあるわけでございますけれども、このニュースを見て、現在の米の過剰の状態ということを一方考え、かつまた、先般農林省から出されました農業白書の農家の経済の概況というようなところを、時間がありませんので十分な勉強はできませんでしたけれども、読んでみますと、最近の農家の事情というのはなかなかたいへんだ、特に農業所得においては非常に伸び率が悪い状態になっておる。それをまあ、勤労収入というんですか、農業外の所得でカバーをして、どうやら農家の近辺にある都市とのバランス上、所得の均衡が保たれておるというような状況であります。そういう農家の経済の実態ということ、構造変化ということも考えなきゃならない、こういうぐあいに、もちろん思います。それから物価その他のいろいろな事情というものも判断に入れなきゃならないというふうに思いますけれども、ともかく、米価審議会が全く開かれてない。また、私らの承知するところでは、いつ開かれるということも聞いておらない現段階でこういう記事が出るということは、非常に私は問題があるように思うのでございます。もちろん、中をよく読んでみますと、憶測記事という形にはなっておりますけれども、一体、こういう記事をごらんになって、大臣方、お四方のひとつ御感想を聞かせていただけたら非常にありがたい。ごらんになりましたか。もし、なんでしたら、手元にありますから見ていただきたい。
○国務大臣(赤城宗徳君) その記事を私も見ました。記事を見ましたが、いまお話しのとおり、憶測的な記事だと私も承知しております。しかし、再々質問もありましたので、国会におきまして利が答弁したことに対しての推察もあると思います。どういう答弁をしたかというと、生産者米価に対してどういう措置をとるつもりか、上げるのかというような質問がございました。私は、それに対しまして、生産者米価を押えるのだ押えるのだというふうに、ここ数年やってきました。それで、これは米の生産調整の関係もありますし、そういう関係もあるし、物価といってもこれは消費者米価と違うのですが、まあそういう問題もあって、押えろ押えろと言っておったけれども、公共料金なんかも押えてはきているんですが、いろいろな事情で上げるような方向である、こういうようなことから見て、米の生産者米価も押えるのだ押えるのだ、抑制するのだという大前提のもとに米価を決定するということは、公平の観点からいっても、農業者の事情からいっても、ちょっとあまり感心しない、だから抑制するというような前提でもって私は臨むつもりはないのだ——しかし、どの程度上げるのか、あるいは上げるのか上げないのかというようなことは、いまお話しのように、米価審議会の議を経なくちゃなりませんし、また、生産者米価の算定方式というものがございます。生産費とかあるいは物価とか、そういう事情をしんしゃくして決定する方式もありますから、そういう方式に従ってこれはきめざるを得ない、ですから、いまその新聞にあるように何%なんということを考えることもないし、そういう作業もしているわけじゃございません、こういう答弁をしたのでございます。いまでもその考え方には間違いがないと私は信じております。しかし、いまどれくらい上げるか上げないかというようなことを、いま考え、きめちゃおりません。米価審議会にかける前に、いろいろな基礎資料等も勘案して調べて、その上で臨みたい、こう思っております。でありますから、その記事は、私も、少し憶測、行き過ぎじゃないか、こういうふうな感じを、御指摘のように、持っておったのでございます。
○嶋崎均君 お一人お一人の所見を実は聞きたいと思いますけれども、与党の議員でもありますから、そこまではお聞きをいたしませんけれども、こういう記事が出ているということは非常に問題だと思います。と申しますのは、やはり、こういう記事が出れば、当然、農民はそういう期待感を理屈抜きに抱くというのが私は常識的なところであろうというふうに思っております。したがって、どういうところからそういう憶測が行なわれるのかということにつきましては、このごろ報道の問題がいろいろ議論されている時期でございますから、せんさくをするつもりはありませんけれども、しかし、十分慎重に考えなければならないというふうに思っております。 特に、私は、いろいろ本年の財政事情というようなことを考えてみますと、先ほど農林大臣が御答弁になりましたように、最近の農家の経済事情なり、あるいは諸物価の状況、そういう経済事情というようなこともありましょう。しかし、私の知る限りにおいては、ことしの予算の説明の、たしか百十四ページでしたか、そこを読みますと、公債の発行限度額は余すところ千六百億程度、しかし、自動車重量税など考慮されておりませんから、そういうものを除くと、五百数十億の余裕財源しかないようにこの予算が読めるわけでございます。で、御承知のように、景気の将来につきましてもいろいろな見通しがあるわけでございます。ほんとうにこの税収が、見込んだとおり出るのか出ないのかというような問題もありましょう。それから景気対策という面から年度内減税、これは私、大蔵委員会で御質問をしまして、かりにそういうことになったらという前提ではございましたけれども、ことによると年度内減税ということも考えられなきやならぬかもしれないというような、水田大蔵大臣の御答弁もありました。 そういう点から考えてみますと、非常に財政事情が窮屈で、従来のように予備費なりあるいは自然増収なり、そういうクッションがある場合は非常にようございますけれども、そういうクッションが非常に尽き果てておる四十七年度の予算、もし生産者米価が上がりますと、赤字公債を発行して米価を引き上げなきゃならないというような事態に、これはストレートに結びつけられるかどうかはよくわかりませんけれども、そういう事態になるおそれもあると思います。そういうことになると、それを避けようとするならば、消費者米価——私、ここは物価の連合審査会でございます、消費者米価を上げろというようなことは決して思っておりませんけれども、上げなきゃならないというような事態に相なるかもしれぬわけでございます。たいへんな選択を、ここ数カ月のうちに政府は迫られるということを、私非常に心配をしておるわけでございます。したがって、この消費者米価をどうするか、あるいは、それと財政事情の問題をどう調整するか。金があるなしという問題だけじゃなしに、実態的に農家の所得の状況なり、あるいは現在進んでいる農業の構造改善とのからみをどう考えて、当面の米価を決定していくかということが問題になっていくと思います。しかし、それとともに、御承知のように生産調整が五年の計画において行なわれておるという、長期的な基盤もあるわけでございます。そういう中で、この米価の問題というのは、どうもいままで場当たり的に問題が処理をされておるという点が、非常に強いように私は思っておるわけです。それを非常に憂慮してるわけでございます。 もう時間がありませんので、私はお答えはいただきません。いただきませんけれども、いまや、そういう財政事情のもとに、赤字公債か、消費者米価かというようなことを、事によると選択をしなきゃならぬ、そういう生産者米価の問題であるということが一般的によく認識された上で、十分議論をされることが必要だと。もちろん、この法律できめられた米価決定の原則というのがあることも、私はよく承知をしております。そういう点、ひとつ十分政府の関係各省間で、また総理はリーダーシップをもって、この問題をほんとに国民の納得のいく解決をしていただきたいということを御要望申し上げまして、私の持ち時間が尽きましたので、質問を終わりたいと思います。
○委員長(長屋茂君) 竹田君。
○竹田現照君 最初に総理にお尋ねいたしますけれども、総理は、物価安定を最大の公約とされて総理に就任されて、いま七年になるわけです。私が参議院に出て直後の内閣改造の際も、物価政策はただ実行あるのみだと、総理は記者会見で語られた。全くそのとおりでありますけれども、いま退陣が云々をされている現在、さっぱり総理が実行あるのみと言ったその物価政策が、実を結んでない。特に、最近のように不況下で、円の大幅切り上げ、あるいは輸入の自由化、関税引き下げなどと、最もそのチャンスだと思うのですけれども、逆に物価は上がっている。こういうことについて、総理はどういうふうな見解を持っておられるのか。あわせて、この在任七年に及ぶ期間中、総理は胸を張って、おれが在任中に物価政策としてこれはやったと国民の前に言えるものは一体何なのか、これをひとつ最初にお尋ねをいたします。
○国務大臣(佐藤榮作君) どちらからお答えしたらいいかと思いまするが、まず当面する現象からお答えしてみたいと思います。 竹田君御指摘のように、国際通貨、円の価値はたいへん上がっております。切り上げした今日でございますし、まだ半歳たたない程度ですから、これから先の見通しを云々するわけにもまいりませんが、ただいま大体、その最も変動幅の強いところで円価がきまっている、かように私は見受けます。したがって、こういう際には輸入すれば利益があるのであって、そういうことでありますから、輸入上においての利益、これが消費者に還元さるべきだと、かように思いますし、また、さらに私が期待しておりますのは、関税の引き下げ、先ほども議論があった関税が一般的に引き下げられる、あるいは数量制限をしておったものが数量の拡大等、いわゆる自由化の方向へ向かって進んでおりますから、当然それらの利益は消費者に還元されてしかるべきだ、かように思うのでございます。これが先ほどのイーストマン・コダックの話にもなっておる。これにはいろいろの問題もひそむようであります。いわゆる総代理店制の、中間的な機構というものが流通段階においてどういう役割りを果たしておるか、こういう問題もあるとこれは指摘できると思います。しかし、それはともかくも、いずれにあろうとも、いまのような国際通貨の、円の強いその立場から、これらの点で輸入品についてはっきりした態度がとられると、国内の一般物価にも必ず好影響を与える、かように思うのでありまして、私は、そういう意味からもこれは強く主導しなければならない、これこそたいへんいい時期だと、かように実は思っておるのでございます。 このことを、たびたびそのように私の感ずるところ、また、そのいままで申したところの限りにおいては、おそらく竹田君も御賛成だろうと思いますが、そういうことを実は率直に申し上げておるところでございます。ただいまの問題はさらに追跡をして、そうしてどこに欠点があるか、そういうものをさらに明らかにしていくということは大事だと、かように思いますから、ただいまのように理論で申しただけで私がこの問題をとめるわけじゃございません。誤解のないようにお願いしておきます。 ところで、七年間の問題ですが、これはどうも物価そのものにつきましてはずいぶん上がったと、かように思います。どうも十分効果を発揮することができなかった。しかし救済されるものといえば、その間に所得もふえてきた。これは、所得がふえて物価も上がったが、物価の上がりより以上に所得がふえておる、こういうことをもって国民からはお許しが願えるのではないか。しかし、もっと政策よろしきを得れば、ほんとうに物価が安くなれば、その所得の増加の効果、これはたいへん国民からも喜ばれることだろうと、これらの点においてなお不十分であると、私もかように思いますので、その点では遺憾に思います。数字的にはこれは木村君からでもはっきりさしたいと思いますが、ただいまのようにやはり相対的の問題だし、物価の問題はこれは経済の一現象ですから、それだけをとらえて議論することはあやまちが多いだろう、かように思いますので、総合的には、ただいまのように所得はふえておる、そこらである程度お許しを得たいと、かように思っております。 必要ならば、その数字は木村君から説明させます。
○竹田現照君 それは全くお答えになっていないんですね。所得がふえたから、物価も上がったがそれでかんべんしろと、こういうことです、結論から言うと。そういうことであれば、物価問題がこれほどやかましく言われる必要はないと思うんです。 時間の関係もありますから端的にお伺いしますが、総理が就任のときにお考えになった物価安定策なるものは、今日の段階において事志と違って、その国民に対する公約は守れなかったと、これは率直にお認めになりますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま冒頭に答えたとおりであります。
○竹田現照君 それで、これからも物価問題は続くわけですけれども、七年間も在任して、さっぱり物価政策ができないわけですけれども、次の内閣も当然引き継ぐわけですが、木村経企庁長官、消費者団体とことしの初めにお会いになったとき、もう物価対策は——このとおり言われたかどうかわかりませんよ——のような者ではとても手に負えないと、こういうことをおっしゃったというようなことが新聞に出ておりますけれども、あなたも、これは閣内では有力閣僚だと私は思っているのですけれども、それでなおかつ、おできにならないということになれば、これは総理みずから陣頭に立ってやっていただかなければ、解決しないことなんです。率直にそう思われますか、経企庁の長官の権限ではいまの物価対策はもう手に負えないと、そういうふうに受け取ってよろしいですか。
○国務大臣(木村俊夫君) 私が、これは主婦連の方々の会合で申し上げました。これは一般的に言って、私いつも考えるのですが、政治家というのは、自分のやったことについてやはり謙虚に反省すべきであるというような気持ちから、そのとおりの文句じゃございませんが、申しました。しかしながら、経企庁長官としての責任において当然やるべきことはやるという覚悟は、いまでも変わりございません。総理をわずらわすまでもなしに、私の責任において、今後そういう政策努力を続けていきたい、こう考えております。
○竹田現照君 私は、かつて予算委員会で、菅野経企庁長官にも、そのときの物価問題について政府が国民への公約が果たせないときは、経企庁長官あなたは責任をとってやめるのかと詰めたことがありますけれども、経企庁の長官、責任とってやめられたことないですよ、実際は。ですから、そういうようなことでは、私は物価の問題というのは本質的に解決しないと思います。しかしこのことは、いまもう最後だといわれている総理大臣といつまでやったって、これは解決になりませんから多くを語りませんけれども、私は、いまの政府の物価政策が消費者に目を向けているのか。よくいわれていることですけれども、あるいは企業サイドでいろいろなことを考えられているのか。具体的な問題について、許されました時間、与えられた時間、ちょっと質問をしておきたいと思いますが、その前に通産大臣に、電気・ガス料金に関連してちょっとお尋ねしておきます。 この国会でも、衆議院の予算委員会あるいは本院の物価対策特別委員会等でもこれは触れられておりますけれども、通産大臣は、この種の問題については抑制を言明をされているので、その趣旨に基づいて対処していきたいと、そうお答えになっています。この方針は、いまもそのままお持ちになっていると受け取ってよろしゅうございますか。
○国務大臣(田中角榮君) 電気・ガス料金につきましては、原料費の引き上げ、人件費の引き上げ、また新しい公害施設に対する投資その他いろいろなコストアップの要因がございまして、めんどうな状態になっているところもございます。しかし、国民生活に直接影響するものでございますので、真にやむを得ないもの以外は、これはもう厳に抑制をするという基本的な考え方は全く変わっておりません。 ただ率直に申し上げて、重油をたけないで液化ガスに全部かえなければならないというような状態から考えますと、ガスにおいては東京瓦斯、電力においては、実に二十九年から全然値上げをしないというような関西電力等は、相当経理上困難な状態になっておることは事実でございますが、抑制をするという基本的な姿勢に対しては変わりはありません。
○竹田現照君 そのいまの通産大臣の、真にやむを得ざる場合ということは、ずっと繰り返してお答えになっているわけです。私は、そこをはっきりしておきたいのです。いま関電の例もあげられましたけれども、たとえば関電は、三月二十七日の日経によりますと、為替の差益も、当初見込み二億五千万円を大幅に上回って、十億円以上計上されると出ていますね。ところが、こういうようなことは大臣ひとつもお答えにならないのです。それで公害その他で金がかかるからどうだと、そういうことから、真にやむを得ざる場合、こういうことでひとつ逃げ口をつくっておこうと、そういうふうにお答えになっているような私は気がしてならないわけなんです。これは私の邪推ですか。
○国務大臣(田中角榮君) まず第一に申し上げるのは、電気料金、ガス料金は、国民生活と密接不可分の問題でございますから、厳にこれを抑制するという基本線は明らかでございます。 第二の問題は、では絶対やらぬのかということになりますと、真にやむを得ない状態ということは、これは生活に直結するものでありますから、電力がとまるということは、夜暗くなるということだけじゃありません、これは手術をしている者が、電力が停止をされる場合には人命にも関するわけでございます。しかもガス等に対しては、これは重油をたけない、ローサルファの石油はたけないということになれば、これは申すまでもなく液化ガスにいたしましたり、それからナフサをたいたり、そうしなければならぬわけでございますし、特に公害という問題も、これも人命に関する問題でありますので、公害施設をどうしてもやらなければいかぬという要請もあるわけであります。ですからそういうものは、いよいよ真にやむを得ない場合は、皆さまに御報告を申し上げて、それは真にやむを得ないからやむを得ぬというような御理解が得られない限りにおいては、第一の厳に抑制するということが優先すると、こういうふうに御理解いただいてけっこうだと思います。
○竹田現照君 木村経企庁長官は、両院で、最近のお答えは、ガス料金について値上げの申請は出ていないというお答えを繰り返されています。三月の二十二日の参議院の物特、二十三日の衆議院予算第三分科会でも同じことです。しかし三月二十二日の官報には、ガス供給規程の変更の認可等についての公聴会の告示が出ております。この中には二通り出ていますけれども、供給規程の改正とガス料金の改定についての公聴会が、すでに今月の六日、七日で終わって、この十四日のもありますね。ですから大臣がおっしゃっているように、出ていないわけじゃないんです。 ところが、ガス供給規程の改定は、カロリーアップなんですね。だから、カロリーアップだから料金の値上げには通じないというふうに、一見、理屈に合うようなんです。ところがカロリーアップに伴って、スライドして料金は改まる。そうしてこれは企業努力では回収ができないのだと、これはガス協会で言っていますよ。どうしても料金改定を行なう、いままでも料金改定をしないで済ませたことはないと、こういうことです、ガス協会の話はですね。そうすると、たとえば今度のこの官報によるところの東京瓦斯の場合は、埼玉県の上尾は五千カロリーを一万一千カロリーにする、こういうのです。だから、五千カロリーでガス炊飯器で御飯をたいておった、これが一万一千になるのですから、二十分かかったものが十分でめしがたき上がる。だから料金が多少アップしても、料金改定にはならないと、こういう理屈になると思いますけれども、私は、たとえば暖房費は、一万一千キロになったから三時間たいているのが一時間半でいいのだ、あとは余熱があってあたたかいのだということにはならないと思うのですよ。だからどうしても私は、料金の引き上げに事実上なるのではないか、こういうかっこうはガス料金の引き上げに通ずるのではないかと私は思うのですけれども、この点はいかがですか。
○国務大臣(田中角榮君) カロリーアップは、五千を一万にすれば十分のものが五分になるということではなく、これは燃える口でもってちゃんとセーブをされますので、めしがたける時間、それからお湯のわく時間は同じことでございます。高カロリーであるということでありますので、カロリーアップによってガス料金が修正をされても、実際に使う必要なカロリーは、ちゃんと炎口で調整をされますので、実際のガス料金には変化はないわけであります。問題は器具の取りかえがございますので、その分だけということが実際の値上がりになると言えば言えるわけでありますが、この器具はガス会社が全部持っておるということでございますので、このカロリーアップによるガス料金の引き上げということは全然ないわけであります。
○国務大臣(木村俊夫君) いま、実体のお話しは通産大臣から申し上げたとおりです。私が物特その他で申し上げたのは、実は、これは言いわけがましいことでありますが、七大都市及びそれに準ずる都市、これは経企庁で協議をする、そういう意味で申し上げたので、正確ではございません。
○竹田現照君 現実にガス料金の値上げ申請が出ておりますし、認可の傾向にあるところも私は承知しています。ですから、電気・ガス料金を引き上げないとおっしゃることは、必ずしも当を得ていないと思うのですが、その点をもう一度、上げるなら上げる、さしむき押えるなら押えるというその点について、端的にひとつお答えいただきたい。
○国務大臣(田中角榮君) 電気料金においては二十九年一月一日、東京瓦斯、大阪瓦斯等においては三十五年から上がっておらないわけでございますから、これは相当合理化を行なっておるということは言えると思います。その後、金のかかることばかりでございますから、しかも東京瓦斯などは、これから五百億以上も新しい導管を布設しなければならない。これはもう住宅がどんどん建つわけでございますし、平面的にどんどんと郊外に延びておりますので、そういう意味では非常に新しい投資が大量に行なわれるわけでございますが、少なくとも電気・ガス料金というものは、これはほかの公共料金というよりも、一番私は重大なものである、こういう考え方で、ほかの政策によってできるものはあらゆる努力を行なってこれを抑制するという基本的な姿勢だけは、これはもう当然貫かなければならない、こう考えております。 しかし地方とか、その他都市の中で、公害の問題等でもってどうにもならない問題もございます。また地震、災害があったとか、いろいろなものもございますし、そういうことで、全然申請を受け付けない、一切のものの料金修正を行なわないということは、これはできないわけでございます。私鉄の運賃も、これは原則としては絶対に押えます、こう言っていますが、これはもう廃線寸前になるということで、地方でどうしてもこれを維持しなければならないという、特殊な事情の地方私鉄に対しては、やむを得ざる最小限の値上げを認めておるという例もございますので、やっぱり政府が基本的にとっておる姿勢はひとつ御信用いただきたい。しかし現実問題として、東京瓦斯と関西電力はたいへん困難な状態にある。しかし、それもまだ申請は出ておりませんし、申請は出させないようにということで、いい意味の行政指導をやっておるわけですから、政府の意のあるところをひとつ御理解いただきたいと思います。
○竹田現照君 あなたが総理大臣になったら、これは上がるのじゃないかというような答弁なんでしょう。それはいいです。 具体的な問題で不当表示その他、公取、通産に関係する問題でお尋ねをしますが、事実問題を提起する前に、原則的な問題について最初お尋ねをいたしますが、外資系の問題あるいは国内製品を問わず、不当表示販売と思われるものは、これは即時停止の措置をとる必要があると私は思うのですけれども、この点がまず一点。 それから、企業が違法行為や不始末をしでかした場合に、当然に社会的制裁を受けるべきであると思うのですけれども、いままでは頭を下げれば大体済むというのが現状です。これは国会においても、政府はうそを言っても、申しわけなかったと言って押し通す、そういうことが全部波及しているのでしょうけれども、そういうことではならない。 それからそういう場合、一般消費者にうそを言って販売をして、大きな損害を与えたという場合は、新聞等で謝罪広告をするというようなことを慣行として行なわせるように、私は行政指導があってしかるべきである、こう思います。さらに、うそを言って、いわゆる不当な表示をして販売をするということは、一種の私は詐欺行為だと思うのです。ところが、いまの法律的にいくと、これが詐欺行為として扱われたことがあまりありません。当然、詐欺というのは詐欺罪が成立するわけですから、刑事責任の追及があってしかるべきだと思いますが、このごろは、消費者団体がそういうものを告発しても、大体不起訴になるのが通例のようです。たとえば百科事典のブリタニカ、ああいうようなものも、完全なインチキですね。国会議員の中でも、アメリカ系の百科事典等にひっかかっている人がたくさんいると思うのですけれども、体裁を考えて発表していないのでしょう。私もひっかかりました、実際は。しかし私は心臓が強いですから、これはもう全然ものが違う、それだから運賃先払いの保険つきで返してやりましたけれども、十何万という金を払った方が全国的にたくさんおります。そういうようなことで一種の詐欺行為ですけれども、そういうことに対する不当行為というものを根絶させるということは、あくまでも消費者保護の立場に立って行なわるべきであると私は思います。 以上四、五点にわたって、時間の関係で一括質問いたしましたけれども、これらの点について、通産、公取の見解をまず最初にお聞きしておきます。
○国務大臣(田中角榮君) 不当表示、誇大広告、真実以外の表示、こういうものはいけないということはもう申すまでもないことであります。こういう場合には、通産大臣は適正表示の命令、強制表示命令、及び強制検査命令という三段階の措置がとれることになっておるわけでございます。いろいろな問題に対して、第一の問題は、実行いたしているものもございます。しかし第二の、強制的な表示命令というものに対しては、まだ例がないというような状態もございます。しかし、こういうことをしなければならないような状態自体をなくしなければいかないということでございまして、いま通産省も、こういう問題に対しては調査を行なっております。 これはちょうど円平価切り上げ後の輸入品の値下がり追跡調査を行なっておりますように、この種の問題に対しては、公取とも十分連絡をとりながら措置しておるわけでありますが、万全という態勢ではないわけでございます。また、先ほど御指摘がございました百科事典の問題等、これは実効があがりまして、業者はこの販売をやめるということにいたしまして、やめました。だから今後も引き続いてやらなければならないし、やれば実効があがるわけであります。これらの分野は、非常にこまかい膨大もないものでございますので、機構その他不備の面もございますが、新しい行政の分野として通産省が積極的にその責めを果たすべきだと、こう考えております。
○政府委員(谷村裕君) 私どもが、法律執行に責任を負っております不当表示あるいは不当景品類の防止の法律に基づきましては、おっしゃるとおり、できるだけ手早く処理することが国民の消費生活を守る意味において大事だと思いますが、一方、私どもの法律は、ある程度の、手続を慎重にするようにやはり要求いたしております。で、さような両方のかね合いから考えまして、私どもとしてなし得ることして、今回国会に法律案の改正を提案いたしましたように、より国民と密接な地域行政の関係に立っております都道府県知事に景表法の仕事の一部をお願いいたしまして、目についたならば、できるだけすみやかに措置をしていただくような、そういう体制をとるように考えておりますが、なおこの問題は、私ども中央におりましても、地方出先機関等を通じまして、できるだけそういう対処をすみやかにするようにつとめてまいりたいと思います。 それから、第二番目に、私どもの法律によります排除命令を出しましたときには、これは、その命令の中において、当然一定の事実を、かようかようであったということを、広く一般消費者に知らせるようにせよという内容をもって、主として日刊新聞紙等にその内容を発表させており、これは業者をして相当の金を払わせてやらしております。それから、私どもといたしましては、一般の新聞発表及び官報告示ということで排除命令の内容を出しておりますので、謝罪広告という趣旨にそれが合致するかどうか、実体としては私は合致しておると思いますが、そういう意味での扱いを、正式に法律上の措置をとりました場合にはやっておりますが、そうでない、警告とか要望とかいう形でいたしましたときは、これは私どもといたしましては、新聞発表という形において広くそういう実態があることを注意しておるというやり方をとっております。 第三番目の問題は、私どもがやりながら、こういうのが詐欺罪にあるいはなるのではないかというふうに思う事例に、はたして該当するかどうか、これはなかなか構成要件のむずかしい問題であると思いますが、間々あり得ることだと思います。この問題は、もう少し行政当局全体で、どういうふうにこれを扱うのか、考えなければいけない問題だと思います。
○竹田現照君 これは、不当表示販売は詐欺行為だとお認めには、まだなってないんですね、公取も通産省も。その点だけ。私はそうだと思う。
○政府委員(谷村裕君) 「人ヲ欺罔シテ」というのが、どの程度の欺罔の内容であるのか、また、財物を騙取する、かたり取るというのが、ある程度の対価として正当なものであるのか、どうなのか、その辺の考え方になりますと、ケース、ケースによっていろいろ違うと思いますが、明らかに詐欺罪を構成するのではないかと思われる例も、私は過去においてあったと思います。ただ、そういうやり方を行政当局はあまりしなかったということではないかと思います。
○竹田現照君 それでは具体的にお尋ねしますが、私がきのう政府側に、きょうの質問通告をいたしましたのは五時過ぎです。そこで、この日本インペックス社のベーシックHの問題についてきょうはやります、こういうことだったんです。いろいろと皆さんのほうに質問の内容をお知らせしておりますが、これはあえて私はもうきょうは言う必要がない。私がきのう質問通告をいたしましたら、直ちに通産省消費経済課は——これは日本で三越の本店しか売っていないんです。三越を呼んで、きょうから販売停止をさせたのですね、きょうから。まことに即戦即決、その点は見上げたものですけれども、そこが私は問題だと思うんです。これは販売方法は、三越本店というもので販売をさせることによって、三越のいわゆる名声を利用しているんです。あとはネズミ講式に、これはもういわゆる戸別販売ですよ。これは「天然原料」「無公害」、まあたいへんなことを書いてあります。最近はまた、こういうきれいなものも出ているんです。これで販売内容は、定価の六割が大体マージンあるいはボーナスとして販売員に支給されるといわれている。これは九百八十円ですよ、これ。 ところが、私はここで納得がいかないのは、私が質問通告したら、なぜ即日これが販売停止をさせるような措置を通産省がとったかということなんです。それまで通産省がわからないなんということは、私は絶対に言わせない。私はいろいろな資料を持っておったけれども、黙っておって、これはあなたのほうで、工業検査所できょうの質問までに分析をして持ってこいと言ったんです。すでにあなたのほうは、十二月の二十日に企業局消費経済課から、自分のところに化学工業品分析の依頼をしているんです。その報告が出ているんですね、すでに。消費経済課長は私に、この化学商品の報告書は、きのう着いたと言うんだよ。ところがその検査所では、二月二十九日に分析は終了しているんです。三月七日は報告と、こうなっているんだ、これは。コピーによると。ところが、その前に東京通産局商工部流通消費課長は、二月の二十一日に分析依頼をして、三月三十一日に工業品検査所商品テスト課長から返事をいただいている。本省は去年のうちにやって、私が質問したところにたまたま軌を一にしたのかどうか知らんけれども、きのう報告してきのう到着した、だから即日販売停止だと、こうだ。まことにでき過ぎているんじゃないですか、芝居が。ですから、私はそういうようなことをやっておったのでは、これは納得がいかぬですな。その点について明確に答えてください。そうして、これに書いている宣伝文句「天然無害」と、あなたのほうの、通産省が分析をしたこととの間は——。なぜ販売停止にしたのですか。
○政府委員(本田早苗君) お答えいたします。 御指摘のように、御指摘の商品につきましては十二月の二十日に、その前に消費者のほうから品質の検査の依頼がございまして、私のほうから工業品検査所に分析の依頼をいたしました。分析は二月の末までかかりまして、一応分析結果が整理されまして、所内で報告の手続をして、御指摘のように三月七日に、分析者の所内報告が、結論が整理されて出されたわけでございます。三月七日から所内で検討し、そうして三月末に東京通産局のほうに、表示成分中の「完全」、「自然有機物」の表示、あるいは種類表示の中の「無公害」という用語、これは消費者に誤解を与えるおそれがある、これはしたがって表示としては不用のものであると考えられるので、発売元であるインペックスのほうに対して、適法適正な表示に変更すべきだと思うけれども、変更したという情報を聞いたが、それは通産局のほうで確認してほしいと、こういう報告に相なっております。 で、通産局のほうで若干処理に時間がかかっておりましたところ、御指摘のように今回、このものについての品質表示が適正であるかどうかという御質問があるということでございましたので、かねて依頼の報告についてはどうなっておるかということを、直接確認することにいたしたわけでございます。それがたまたま日が一致するというのは、質問との関係でございますから一致するのはあたりまえかもしれませんが、確認いたしましたら、品質表示としては、品名としては、合成洗剤と表示すべきものである、成分は非イオン系の高級アルコール系というふうに表示すべきである、種類は、中性という表示になっておりますから、中性という表示はそれでいいんだと思いますが、表示としては適当でない部分があるということでございます。品質表示法では、表示すべき事項を明示してございますので、これに適合していない品質表示の表示でございますから、表示していないことと同じでございますので、品質表示を必要とする商品について、必要な品質表示をしていない商品として販売されておることは適当でないということで、販売を自粛すべきではないかという勧告をいたしたわけでございます。
○竹田現照君 これは、まるきり違うんですよ、これは天然ですよ。私がきょう質問するというので、けさからもうたいへんな電話かかったですよ、やめてくれということで。それは、いわゆるセールスをやっている女性ですよ。三越の本店にきのう呼ばれました、一晩私は眠れなかった、中には、もう嫁に行く娘もいるのでまあまあ先生何とかと、こう言うんですよ。まあ、泣き落としですよ。もしおっしゃるようなことであれば、私が質問することによって、正しいのであれば、むしろ国会の場を通してこれに対する信用を与えたようなものだから、かえっていいじゃないかとぼくは言ったんだ。ところが、この分析は、完全な合成洗剤ですよ、合成洗剤。天然でも何でもない。大豆とトウモロコシでつくっている、こういっているんですが、違うんだ、これは。合成洗剤。そういう、日本の女性をちょろまかして、そしてうそを言って販売をさせて、とてつもない九百八十円——私もこれを質問しようと思ったので、たくさん買ってきた、日本のものを。下の売店で。大体同じものなんですよ、これ。大体同じもの。全部、内容はほとんど同じなんですよ。そして、これは水は一滴も入っていないというんです。ところが、こんなものは本来水を入れなくちゃならないもの、あるいは固型のもので水を割らなければならないものなんです。それを、大豆とトウモロコシでつくってそれをつぶしたものだけで、水はひとつも入っていない、それで九百八十円だと、これは宣伝しているわけです。ところが、こっちは三八〇cc百円ですよ。これは五〇〇で九百八十円。とてつもないものですよ、値段からいくと。だから六割もマージンが払えるんです。これだって下の売店で買うと八十五円ですよ、百円だけれども。ですから、そういう外資系なんというものは特に私は慎重に対処してやらないと、とかく日本人は外国人に弱いから、それでこういうきれいなものでアメリカで唯一無二で、ただ一つ認められているだなんて、これはうそなんです。アメリカからの返事もきていますけれども、私は、言うなればこれは不当表示で、一九六六年に不当表示の三十何品目の中の一つに入っているものです。それにもかかわらず、アメリカの何とかなんていううまいことが書いてある。こういうようなことで、それで通産省、知らないわけじゃないんだ。とにかく去年から知っているわけですね、通産省は。ですから、もう少し適切に消費者に教えるようなことをしなければならぬだろうと、私はそう思うんですよ。だから私は、しかも私が質問するということまでわかって電話がくるのですから、これは消費者のほうに向いているかどうか、まことに疑問なんだな。すぐ企業のほうに通告をされて、質問者に質問をとめさせるなんていう動きが出てくる、即刻ですよ、出てくるなんというのは、私は絶対に納得いかない。そういう姿勢を私は直さなくちゃならないと思うんですよ。これは私は消費者保護の原則でもありますから、こういう行政のあり方、指導のあり方について絶対に正すべきだ。これはもう公取も、何かあれですね、警察のように、隠密のように調べちゃだめなんです。もう少しぴしっと調べて、消費者にこれはおかしいんだぞということがわかるような行政指導というものをなさるべきである、そう思うのです。ですから、いま私がここで例にあげたようなことで、まるきりでたらめ、これは詐欺です。ですからこれはもう告発すべきであると、私はそう思いますが、その点について、通産大臣にもお伺いいたしますが、総理にも、こういうことが、しかも私が質問することによって、十一日の五時に言ったら、直ちに販売員を呼びつけて販売停止をさせるなんという、まことにうまいからくりがやられるようで私は納得がいかない。この点についてひとつお答えをいただきたい。
○国務大臣(田中角榮君) 合成洗剤の表示につきましては、昭和三十八年十月以来、家庭用品品質表示法に基づきまして品目を指定して行なっておるわけでございまして、その中では、四十六年度に実施した立ち入り検査の結果によると、この表示に適合しているものは約九九%。一%の中にひどいものがある。それは御指摘のものは全くひどいものでございまして、これはもう、通産省が御指摘を受けるまでやらなかった、御指摘を受けたら、受ける前の日にやったということは、もうこれは妥当性という問題に対しては、確かに御指摘のようなことがあると思います。私もこれを読んでみまして、なるほどたいへんなことだと思いました。これはざっくばらんに申し上げますと、いま御指摘がありましたように、金額的に見て、ベーシックHは一〇〇ccでもって百九十六円に対して、同じものが、代表的国内数社のものは二十五円から二十六円、こういうことでありまして、単純比較でも——内容には違いはないということですから、単純比較でいいわけです——六、七倍。あなたもいまいみじくも述べられましたが、外国の製品であるといえばもう直ちに舶来品と言うのが、百年過ぎてもまだ続いているのかという面もあります。しかし、こういうものに対しては、一%であっても、早く分析をして、この分析の結果は非常に明確になっておるわけですが、これならばもう品質表示法によって表示をすべきものである。それがやられてないので、直ちに発売を停止せしめた、自動的にやらなければならないケースのものでございます。しかし、いろいろな面から御指摘を受けるような事態があったと思います。こういう問題、公取とも十分話し合いをしながら、新しい品物が入ってきたら、直ちに、黙っておっても、消費者団体とか婦人団体とか、おしゃもじとか(笑声)、そういう方々から指摘されてからやるというのがまずいのでして、新しいものが入ってきたら直ちに分析に回すというぐらいなことでなければならないと思います。そういう意味で、きょう、しみじみたる思いでありますから、今後はおしかりを受けないようにやります。
○竹田現照君 じゃあ、公取も、おたくのほうも、法律を出しておりますけれども、もう少し、あとから出てくるということでなくて、いま通産大臣からお答えもいただきましたけれども、公取としてのはっきりした見解を示していただきたいと思います。 それで、これは私が冒頭にお尋ねしたように、こういう詐欺行為、しかも七倍八倍近い金を取って、たいへんな消費者に損害を与えているわけですよ。まるきりうそを言って日本じゅうばらまいているわけですから。こういうことについては、だまされて買わされた、やつが悪いというものじゃないと思うのですよ。それにはこの会社は損害賠償の責任を負うべきですよ。そういう措置をとらせる必要が私はあると思う。ところが、いままではそういうことをされていない。私はそういう意味で、この問題を契機に、この種詐欺行為については、企業にきびしくやるばかりではなくて、だまされた消費者に対しては損害賠償をさせるべきである。すみやかにこの詐欺行為は刊事事件として告発すべきだ。公務員はこのことがわかったら、詐欺事件としてわかったら告発すべき義務を持っているでしょう、公務員法で。都合の悪いときだけは公務員法で引っぱらないで、こういうことこそぴしっとしなくちゃだめなんです。この点について、もう時間ですから、ちょうど一分しかありませんから、総理、あなたから最後にこういう問題についてお答えをいただいて、私は質問を終わります。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま通産大臣から詳細に答えました。今後は、そういう問題が再び起こらないように、事務当局もうしろで聞いておりますから、十分注意するだろうと思います。 私は、先ほどのお話で非帯に意外に思っておりますのは、ここで質問をする、そういうのが、だれが質問をするかと言う。別に私のところへはやめろというような話は出てこない。これが実は重大な問題ではないだろうかと思うのであります。と同時に、皆さん方がせっかくこういう大事な問題を取り上げてこの場で明らかにしようと、そういう場合に、それが前もって漏らされた、そうしてそれを電話その他でやめさせようと、こういうことが行なわれてはならない、かように思いますので、この問題からわれわれは注意すべきだと。ただいまの商品の取り扱いと表示だけでなしに、その扱い方そのものもこれから注意していかなきゃならぬ、かように実はお話を聞きながら思った次第でございます。私ども率直な感じを御披露いたしまして、ただいまの質問に答えたいと思います。
○竹田現照君 まあ、総理がそういうふうにおっしゃったことは確実に実現をされるように私はお願いしておきます。特に、いま総理がお答えになりましたように、質問取りやめなんというのは——私が質問するなんてどこから通知したか、政府機関からいかない限りわからないわけですから、私が三越に言ったわけじゃないんですからね。外務省の機密なんていうものじゃない。われわれの発言封じですからね。だからこういうことのないように、私はちょうど時間でありますから質問を終わります。(拍手)
○委員長(長屋茂君) 森中君。
○森中守義君 このごろの総理のおしゃべりには、たいへんな危険なものがあります。 そこで、総理になられたころはどうだったのか、その前はどうだったのか、こういうことで少しくいろいろいじっておりましたら、なかなかフレッシュなことが言われておる。三十九年の六月二十七日に新井達夫さんが、こういうあなたのことばを引用されているんですよ。つまり、まだ総理が総裁になられる直前のようです。「急激な経済成長にともなって起きた繁栄の中の貧困を解決するには、調和のとれた経済社会の発展をはかり、中小企業、農業をはじめ、すべてに対する総合的一体化の政策が必要である」、要するに、「池田の経済政策は、自由主義を重んずるのあまり、つよいもの勝ちとなって弱いものが見殺しにされる」、こういう表現の、おそらく池田経済政策の批判の中にお述べになったことを新井さんが引用された文章のようです。 ところが、はたして言われるように「調和のとれた」経済政策になっているかどうか。たとえば四十五年の一月の二十日に、これは佐藤総理になられてからのことのようですが、物価安定政策会議の総合部会というものが総理に提言をしている。その内容は「財政金融と物価について」、こういうことでかなり重要な提言があった。さてそのことが、佐藤内閣の財政経済政策、その範疇の中にある物価政策としてどれほど採用されたのか。まともに安定会議や総合部会が提案したことが採用されておるならば、今日、こういう世間から糾弾をされるような物価上昇は来たさなくてよかったのじゃないか、私はそう思うわけであります。 そこで、さっきの竹田君の質問にもやや同じような趣旨のものもあり、総理のお答えもありましたから、あえてあなたからそのことを——お答えは大体わかっている——聞こうとは思いませんが、具体的に一つ例をあげてみましょう。たとえば、物価の中でいま国民生活の中で非常に気をもまれるのは肉の問題ですよ。小売りの中正肉ですね。昭和二十八年の価格がキロ当たり四百四十五円。しかるに池田内閣では、キロ当たり八百四円で終わっておる。佐藤内閣になるやいなや、とたんに千五十円に値上がりした。それからまた急激にとんとん拍子に上がっていって千二百四十円、それから千四百二十円になり、現在では千四百七十円ですよ。ここへもってきて、赤城さん、農林省の場合には、いま新たに畜産政策を重視をする、畜産振興によってこういうことにならぬようにしようと、こう言われる。おさまる法がないじゃないですか。ことしあたり農林省の予算案を見てみますると、確かに畜産部門が、かなり選択部門として一位に予算上はおどり上がっているようです。けれども、昭和五十二年において二百六十万頭の頭数をそろえる、こう言われるけれども、はたしてそのことが実現の可能性があるかどうか、非常に疑問です。 そこで総理、最初から変な言い方をしておりますけれども、肉まであなたの時代になって上がっておりますよ。他の物価は言うに及ばぬ。しかも、先ほど申し上げた総合部会の提言によれば、何といっても物価上昇の最大のファクターをなすものは公共料金である。極度にこれは押えにゃならぬ。しかも、財政の運用の中において、これら公共料金が物価上昇に与える寄与率を考えるならば、断じてこれを抑制しなきゃならぬと、こう言っておる。やっちゃいないじゃないですか。今回の国鉄はどうですか。あるいはタクシーはどうですか。さっきお話があったガスであれ、水道であれ、田中さんの言われる、なくてはならぬ公共事業というものが軒並みに値上がりしている。いずれも政府の認可もしくは許可の料金体系ですね。どうなんでしょう、こういうことは。あと、肉の問題専門に少しお尋ねしたいと思いますが、たまたま池田内閣から佐藤内閣にかわって肉まで値上がりをした。あと、国民はいじめられっぱなし。これじゃ困ると思う。こういうところにも、早くおやめになったほうがよろしいと、こうみんな言っている原因があるんじゃないですか。あなたがやめたら肉が下がるかもしれぬ。どうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) どうも、森中君はいろいろ広範にわたってお尋ねだし、結論だけ答えて、私にやめろとおっしゃったと、かように思いますが、それだけお答えすればいいのかと思うけれども、そうでもないようです。少し時間をかしてもらって、ただいまの経済における物価論争に、ひとつまじめに取り組んでみましょう。 実は、昨日も共産党の渡辺武君から指摘されました最近の物価問題の提言、これを十分守っていないのじゃないか、金融の面でこういうものは相当押えることが可能なんじゃないか、こういう話がありますが、私は大いに耳をかすべき御議論だと、かように思って、渡辺君の御意見を実は清聴したほうです。でありますが、とにかく最近の経済情勢で見て一番大事なことは、この機会に経済の縮まりと申しますか、あるいは不況といいますか、これを脱却して、そして本来のあるべき姿の方向に持ち直す、そのためにわれわれはいろいろ公債まで発行し、また金融の面でもいろいろ処置をつけておる、こういうことであります。このことが、最近の不況は相当長くなっておりまして、たいへんじりじりしている、いらいらしている、そういうものは見受けますが、私はいま御審議をいただいておる予算そのものは、ただいまは景気浮揚、これをまず第一に考えておる。その際に、物価問題なりその他、庶民金融についてどういうような効果をあげ得るか、これをひとつ取り組もう、これがただいまの予算の性格の一つであると思っております。この点では、これは水田君からもお答えをしておるように思います。 ところで、ただいまの、私が総理就任当時における新井君の評論を例にとられて、そして当時と今日の情勢、これを比較しての御議論がいま展開されました。私は当時の状況から見まして、もっと生産性の低い部門、中小企業や農業について思いをいたさないと、とんでもないことになるぞと、こういう警告をしたつもりであります。大体産業だけ、大事業、大資本のそれだけに目を向けて、生産性の低い部門に目を向けないと、経済そのものは健全な成長を来たさないんだ、意外な結果を生ずるんだと、かように実は注意したはずであります。したがいまして、私は大企業についてもいろいろ努力は重ねてまいりましたが、中小企業や農業等の生産性の低い部門、これについても生産性を上げるように努力をしたつもりであります。 最近の物価そのものを見て、これは卸売り物価は安定している、かような表現をされております。しかしながら小売りは高くなっていると。その表現は、大企業のほうの生産性は上がったから卸売りは比較的安定している、中小企業その他の生産性の低い部門、ことにサービス業の面ではどうしても上げざるを得ない、これが消費者物価を上げているゆえんだと、かように指摘されております。私は、サービス部門だけではなしに、やはり中小企業や農業の生産性の低さ、これにもっと力を入れないと、この状態は続くのではないか、これはまじめに考えなければならない問題だと、かように実は思っておるような次第であります。 いろいろ申し上げたいことがございますが、ただいまの状況は、物価の問題自身はたいへんな複雑な経済構造の中における一部門、一断面でございますから、それだけを抽出してとやかく言うことはできないと思います。先ほどもお答えいたしましたように、一方でやっぱり物価も上がったけれども所得もふえたじゃないか、こういうこともあるんだということを総体として申し上げましたが、これはやっぱり総合的にものごとは判断をしていかなければならぬと思います。私が総理になった当時と最近の状態とは、これは比較にならないほどの経済成長でございますから、その段階に立って、いまわれわれがどういうような状態でこれに対処しようとしているのか。私が総理になった当時は、三十億外貨を保有する、これが一つの目標であった、かようにすら思っておりますが、いまは、なんとこれが、おそらく通産大臣から言えば二百億ドルにもなるんじゃないかといって心配しておる、かように思っております。たいへん経済の状態は変わってきております。そのときに、昔のような考え方で経済に取り組んでも、これは効果をあげるものではない、かように私は思います。問題はやはり財政金融あわせてそのときどきに適応した政策をとること、これが望ましいのではないだろうか。私はこれは昨日の問題をすりかえるわけじゃございませんが、渡辺君からそういう点を指摘された、そのことを思い起こしながら、森中君も昨日のような話にやっぱり疑問を持っておられるのかなと思いながら、ただいまのようなことをお答えしたわけでございます。これは最も大事なことでございますから、その基本的なことを申し上げた。 また、次の肉の問題等については、これはひとつ農林大臣から答えさせていただきます。私は、私になってから肉まで上がったとか、かような表現はいかがかと思いますが、肉はたいへん大事なものだし、国際的にもだんだん輸入国がふえている、かように言われておりますし、ずいぶん足らない状況でございますから、国際的にも肉の問題は簡単な問題ではない、かように私は理解しております。
○森中守義君 実は、総理、四十五分という持ち時間でして、そう長々とやられると困るんです。簡潔に答えてください。 そこで、いま言われた内容については大いに反論がありますよ。三十五年における一万円の価値が、いまや五千円を割っているじゃないですか。いわば、かなり底の厚いインフレの中にあって、所得がふえたから物価はそう大した問題ないじゃないか、そういったようなものの見解ではこれは承服できない。 そこで私は、きょうは実は肉を専門に尋ねようと思っておりますから、内容に入っていきますが、農林省の場合、農林大臣、五十二年で二百六十万頭を一応見込んでおる、そのために施策をやろう、こういうことですが、その点どうなんですか、現在の需給計画といいましょうか、二百六十万頭が間違いなく生産をされるという、その段階において、何%の自給度になりますか。その辺が明らかでない。一応その辺を教えてください。
○国務大臣(赤城宗徳君) 需給の見通しにつきましては、四十三年につくったんですかな、その当時から状況が変わっております。需給及びそのときの価格の見通しなんかも少し入れましたが、これがよほど違ってきておると思います、その後の状況で。これは見通しのし直しをしなければならぬと思っております。それから、五十二年度の見通しについての自給度の関係等につきまして、数字上の問題につきましては畜産局長からお答え申し上げます。
○森中守義君 これは、少し私も数字を見ておりますからよろしゅうございますよ。ただ問題なのは、なるほど先ほど発表されたこれから講じようとする施策、ああいう内容を見ても、どうしても合点がいかぬのです。といいますのは、ここに、たしかこれは農林省か総理府が出されたもののようですが、頭数をずっと統計をとったものを見ますと、昭和二十年で二百七万九千余頭ですね。それからずっとやや上昇しながら、例の農業基本法ができた直後、三十九年までおおむね二百万台にのっている。ところが四十一年以降百五十七万台に下がっておる。ぐっと下がっておる。四十六年で百七十五万九千。これと、もう一回問題として見直してみなければならぬのは、つまり生産戸数ですね。畜産農家というものがいま極度に減少していますね。二十年段階で一千三百二十八万余りが、現在七十九万何がしです。こういったように畜産農家が激減をした状態で、しかも生産費というものは非常に高騰している。こういう状態の中に、農林省が計画をされるような二百六十万頭というものが期待できるかどうか。それと、何といいましてもさっき申し上げたように千四百円、千五百円という異常に高騰した枝肉に対して、むしろ、コストが高いから需要が抑制をされる、だから潜在的にもっと需要があると見なくちゃいかぬと思う。価格がずっと低廉になりますと、もっと需要が旺盛に喚起できますね。この辺のことが一つ問題なんです。しかし私がいまここで問おうとしているのは、全体の需要に対して国内における供給率というものは何%だ、不足分をどうするのだということが問題なんです。それをどういうように見ていますか。むろん、農業基本法の八条に定める「主要な農産物」であろうと思う。この前、増田畜産局長そういう答弁をしております。八条の該当品目だとこう言っている。ならば長期の見通しをつくらなくちゃならない。当然その際には、農政審議会に意見を問わねばならない。残念ながら長期の需給見通しというものは明らかにされていない。散発的にはありますね。大臣もいま、もう一回見直す時期だと、こういうようなことを言われる程度で、ちっとも現実的な政策になっていないですね。農政審議会にどういう意見を求められたのか、どういうアンサーが出たのか、それすらも明らかでない。それで、一言で申し上げると、大体国内生産が需要の何%を占める、その不足というものは外国から持ってくる、こういうことになるでしょうが、その結論だけでいいです、教えてください。
○国務大臣(赤城宗徳君) おっしゃるとおりでございます。第八条によって、自給度が増してくるということを力を入れておりますが、どうしても需要をまかなうだけいきません。その分だけは輸入するという方針で、いまおっしゃるとおりでございます。ただそのギャップが広がるものですから、実際弱っているのです、その間が。
○森中守義君 どこからどのくらい持ってくるのですか、その数字です。何%の自給度で何%不足しますか。
○国務大臣(赤城宗徳君) 数字は、ちょっと畜産局長から申し上げさしてもらいます。
○政府委員(増田久君) 先生御存じのとおり、現段階におきましては、資源の食いつぶしという形で国内生産が、現実には肉の生産としては伸びているわけでございます。しかし、これはいつまでも資源の食いつぶしということは行ない得ない形でございましょう。現在は九十%前後のという自給率になっておりますけれども、当分の間はやはり資源の食いつぶしを抑制するということをやりますと、近い将来、輸入というものに一五ないし二〇%をたよらざるを得ない実態になってくるというふうに考えております。
○森中守義君 そうしますと、結局二〇%は輸入に依存せざるを得ない、こういうことですね。ところで国際的な資源の状況はどうなんですか。
○国務大臣(赤城宗徳君) 国際的に非常に少ないのです。窮屈でございます、世界的に肉は。
○政府委員(増田久君) 数字的な話でございますので、私から若干補足さしていただきます。 この将来の見通しというものを、OECDとFAOの両機関で予測をいたしておるわけでございまして、これらが、一体需要がどうという見通しについて両機関ともいろいろ違いがありますけれども、一九八〇年前後には、世界的に二百万トンないし三百万トン不足するのではないか。したがって輸出するソースとしては、おそらく豪州、ニュージーランド以外に多くを求めることは非常に困難だというような結論に相なっておるわけでございます。
○森中守義君 なるほど。家畜法の規則によって、口蹄疫であるとか、その他疫病が世界各国に発生しておりますね、そういうところから規則上輸入を禁止しているわけですね。ところが、大体国際市場における資源の豊富なものは、いま指摘されましたね、ニュージランドであるとか豪州とか。なるほどそのとおり。もう一つ、どこかありはしませんか。中国があるんじゃないの。
○政府委員(増田久君) 中国についてもいろいろのことを言われておりますけれども、残念ながら、中国にどれだけの牛の頭数がおって、どれだけの生産があるのかということの統計というものは、全然われわれ入手できないという実態でございまして、この段階で、あるとも言えるし、ないとも言えるということでございます。
○森中守義君 まともに畜産局長そんなことを言っているの。これは何だ、これは。「農林金融」——これは農林省の外郭団体だな、ここから出した中で、ちゃんと中国の頭数が出ているよ。ちょっと見てごらん。これは中国ではきわめて正確な数字が出ている。国際的な頭数が全部出ていますよ。どのくらいあるかわからん、そんなばかな話ないよ。読んでいるのかね、これ。何言っているんだ。
○政府委員(増田久君) いろんな推定の数字というものは、われわれも実は見ておるわけでございます。たとえばわれわれの持っている数字は、これは先生のところにお渡ししたかと思いますけれども、二百二十万トンの生産があって、頭数は六千三百万頭いる、こういう数字というものがあるわけですけれども、これは申し上げましたとおり、あくまでもFAOの推定の上に成り立っている数字でございまして、これがはたしてそのとおりかどうかということは、われわれ確認はできていない、こういうことでございます。
○森中守義君 幾ら正確に数字を把握してくれと言ってみても、半頭、一頭も違ったら承知しないとはだれも言っていませんよ。OIEなりFAOなり、どちらでもいい。すべて国際的な数字はそういうものでしょう。国際的な機関がいろいろな情報によって集約をした、その数字が国際的な統計ですよ。それを、さっきのようにどのくらいあるのか、いるのかわからぬと。しろうと扱いをしてもらっては困る。訂正しなさい。それは何です。
○政府委員(増田久君) 私の発言が適切でなかったかと思いますけれども、私の言いたかったのは、政府の正式な統計というものを信ずるというのがわれわれのたてまえでございますので、そういうことを申し上げましたけれども、現段階では、FAOの数字というものを一応参考とせざるを得ないというのがわれわれの立場であろうかと思います。
○森中守義君 その辺にこだわっていると時間がありませんから、ちょっと総理、お聞きのとおりです。結局二〇%足りぬのです。そこへもってきて、いろいろな疫病がある、だから国内法によりあるいは政令、規則等によりまして、一定の禁じたものがある。ところが先ほど国際的な、その数字のとり方はこれはさておきまして、インドあるいは中国というのは非常に豊富な資源を持っていること、これは間違いない。で、それは実際問題としまして、フランスあるいはイタリア等に年間四十万トン以上の輸出を中国はやっておりますよ。これはおそらく実績として相当長期にわたるでしょう。ことにイタリアの場合には、イタリアが二次産品を持ってくる、逆に中国は食肉を売る、その際に決済を食肉でやっている、こういう実は国家間の関係になっている。だからわが国も、中国にその市場の開拓を求めたらどうなのか、こういうことなんです。ところが、これが在来、口蹄疫をめぐりまして参議院、衆議院で、同数からいくならば数えきれないように、毎回のようにこの問題が提起されながら依然として前に進まない。どうお思いになる。総理みずからも、口蹄疫があるからあぶない、入れるべきでないとお思いですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 日本の国は幸いにして汚染されておりません。したがって、ただいまのような口蹄疫、そういうおそれがある、これを入れるということについてはよほど勇気がいる、かように私は思っております。
○森中守義君 ところが、これは法律あるいは政令等といえども、時代の変遷と同時にその時期に適応したものに変わっていくのは、これは当然でしょう。ところが家畜伝染病予防法施行令、施行規則、こういうものの変えられる度数が非常に多い。もう三回変わっておりますよ。三回変わるたびごとに、国際的な現状を見つめ過ぎるのか、あるいは法律に合理性を求めようとするのか、意図的にですね、そういうきらいが非常に濃厚です。 私はここで具体的にお尋ねいたしますが、明らかに口蹄疫もしくは牛肺疫、これは法律で禁じられている病疫です。ところが、昨年の規則の改正と政令の改正前に、禁じられていた時代にかかわらず、入っておりますよ。中国には衛生的な、技術的な問題だと、こう言いながら、禁止国からどんどん入っているじゃないですか。これはどういうことですか。 ——ちょっとお待ちなさい。たとえば私の調査だけでも、禁止された地域のバリ島、これも完全な発生国もしくは汚染国のバリ島から、バンゲンという野牛が入っている。そうですね。それからインドから、ハロアメというこぶ牛が入っている。それからこれは羊ですね、コルシカからムフロンというのが入っている。しかもかなり資源を持っておるフランスから、シャロレーというものが入っているじゃないですか。これはどうなの。これは昨年、規則を変える前ですよ、規則を変える前、すなわち明らかに口蹄疫の発生国であり現存する国だといいながら、どんどんどんどん持ってきておるじゃないですか。それから、こういうものが多摩動物園とか善光寺とか、あるいはシャロレーは日本全国に種牛として出回っている。家畜伝染病予防法の三十六条に何と書いてあります。特に農林大臣が認めたものという特例はある。けれども、規則できちっとしているわけだ、これは。そういうところからどんどんどんどん入れておいて、中国には口蹄疫があるからだめだと。どういうことです、それは。だから口蹄疫というのは、単なる疫病でなくて政治病だと、こう言われるゆえんがここにある。
○政府委員(増田久君) 先生のおっしゃるとおり、たとえばシャロレー等がフランスから入ったのは事実でございます。それからデンマーク等から豚が入ったことも事実でございます。従来の規則におきまして、考え方といたしましては、口蹄疫の発生国でありましても、従来のその国の防疫体制というものが明らかであり、かつ、種畜等のようなものについて、それは明らかに買ったときから管理状態がわかっているものというものについては、農林大臣の特認ということで輸入を認めておったわけでございます。しかし、それはなぜ生体で認めておったかと申しますと、そのもう一つの理由として、口蹄疫の検査というものが、生体でありますれば、先生御存じのとおり抗体というものが出ます。それから口蹄疫という病気は大体ここの、のどの粘膜の中に……。
○森中守義君 そんな技術的なことは聞いてもわからぬ。獣医じゃないんだから。
○政府委員(増田久君) そういうところにあるので、そういうことで検査の方法というものは明らかである、そういうことでやっておったわけでございます。しかし先生おっしゃいますように、今度の規則改正におきましては、中国についてはそういう衛生状態も三回の調査でおおむねわかったということで、フランス並み、ドイツ並みに改めて、あすこからの生体も認めるということにいたしたわけでございます。
○森中守義君 それは畜産局長ね、問題だよ、そういう言い方をすると。改正前の三十六条、何て書いてある。試験研究のためならばという特例条項以外にないはずだ。なぜ農林大臣の特認事項があるのか。見てごらんなさい。だからね、改正されたあとならば、いま畜産局長の説明でわかる。改正前、全部禁じておったのだよ。ちょっと待って——。それから、いまのそのフランスのシャロレーというのは、アメリカが売ってくれと言ってるんじゃないの。これはどういうんだ。少し推理が過ぎるかわからぬけれども、フランスとアメリカはどういう関係にありますか。すぐ買えるのだよ。それをわざわざ日本に買わしておいて、日本が買っておいて、それで口蹄疫の実験を日本でやらせる。これはだいじょうぶだから今度は日本から買おうと、こういうのじゃないの。まさに日本は口蹄疫のモルモットになっている。そう言われてしょうがないでしょう。あんたがどう言ったって、法律を犯しているよ、これは。
○政府委員(増田久君) 前の法律におきましては、フランスは生体の輸入は認められた国でございます、前の法律規則におきまして。現在もそうでございますけれども。したがって、生体をフランスから入れることは何らさしつかえなかった、こういうことでございます。 それからもう一つは、いまのアメリカとフランスの関係でございますが、御存じのとおりシャロレーという牛については、非常に国際的な評価を受けている牛でございますけれども、アメリカという国は非常に口蹄疫に恐怖を抱いておる。幸い日本において買ってみたところが、日本において大体口蹄疫が出ないということが明らかになったので、それでぜひ日本から買いたいと、こういうことでございます。
○森中守義君 それが問題だと言っているのだよ。それはモルモットでございますと認めたことだ。なぜ米仏の関係で直接シャロレーならシャロレーの輸入ができないのか。あぶなくてしょうがないから、一ぺん日本でやってみろ、いいならばおれも買おうということじゃないか。まあそれはいいわ。きょうは総理とのお話が中心だからね。またゆっくりやろう。 そこで総理、これは非常に問題ですよ。いま畜産局長の説明も、改正前も生体は認められておったと、こう言うけれども、そうじゃない。それならば、なぜ中国から認められないのか。それは、こういうのがあるのですね、中国が月報出しております。中国政府が家畜伝染病月報というものを出している。見たことがあるだろうが、私の手元に、七十一年の一月から十一月までの分がある。一つだって口蹄疫があると言ってないわけだ。これに対して、先ほどちょっと農林省から話があったFAO、WHO、それからOIE、この中に中国の口蹄疫があるかないか、この記録を見てみると、中国政府が直接に口蹄疫の撲滅宣言をしたとか、あるいは発生をしたという事実等が述べられない。だから、たとえばソビエトあるいは香港あたりから、じゃなかろうかという程度のものをFAO及びOIEも記録にしている。そうなってくると、一体中国の政府が発行したこれはどういうことだ。国際機関で把握したものが正確なものじゃない。じゃあなかろうかという程度のもの。そこへもってきて中国政府は、みずから世界全体に、口蹄疫はありませんということを発表しておる。どれを信用したらいい。この前、だれだったかな、これは撲滅宣言をまだしてないという話があったけれども、まだOIEにも入っていないんでね、どこに向かって宣言するんだ。だから問題は、中国政府が国際間に発表したものを信用できるのかできないのか、こういうことだと私は思う。 そこでこれはやっぱり総理、私はあえて政治病とこう呼んでいるんだけれども、佐藤内閣の手によって、日中間のことはコメントしちゃならぬ、やっちゃならぬ、こういって歯どめをされているかどうか知りませんが、この事実がはっきりするならば、踏み切ったらどうですか。
○国務大臣(赤城宗徳君) その件は、ほんとうに技術的な問題なもんですから、いま輸入しないんですけれども、前向きでいないわけではございません。 御承知かもしれませんが、ここにいる田中通産大臣が党の幹事長のときに、何かいい方法はないかと、たとえば船の上ででも検査して入れる方法はどうだろうなんてことも提案したのでございます。でございまするから、私どもは、いまのように中国の状況がよくわかる、そしてまた国際的な保証があるように中国が国際条約、そういうものに入ってもらうと一番いいというような考えも持っています。それからまた、早く国交が回復すれば問題も非常に早く進むと思います。そういうことで、別に国が赤いからだとか共産国だからと、こんなことでこだわっているわけではございません。技術的な問題で、実は前向きにはいろいろ研究はしているわけでございますが、技術的な問題としてお考え願うよりほかないです、私の立場は。以上。
○森中守義君 時間がありませんから、総理、最後にお尋ねしますが、すでに実績があるんです。よく農林大臣や畜産局長から聞いてください。昭和三十一年に、当時の芝野という畜産局長、たしかこの人は石川の知事か何かにあとでなった人ですよ。この人の時代に契約ができて、もう入っている。ところがその直後に、岸内閣の時代に長崎で国旗事件がありまして、それで貿易が遮断された。したがって、この商談が成立しながら、まあ牛は何頭か入ってきておりますけれども、大量の約束というものができない。すでにもうその実績はある。それもありますし、それと、一昨年でしたか、中国側と日本の友好商社との間で協議書が成立している。たしか二万トンだかの、売ろう買おうという話ができて、で、これも、日中間の貿易の拡大を望むならば、いつまでもこれは放置すべき問題では私はないと思うんです。これ、どういうようにお考えなのか。 それと、問題である口蹄疫というのは、OIEとかFAOとか、そういう比較的に乏しい情報じゃなかろうかという程度の情報で、中国に口蹄疫あり、こういう認識に立つこと自体が問題であるし、北京政府が発表している、少なくともこれは国が発表したわけですから権威あるものと思わざるを得ない、その月報は、日本にも送ってきているんですよ。それならば当然この際は、日中国交回復の一つの前提でもあろうし、貿易拡大の一つの促進の手段にもなりましょう、そういう意味でこの際は、常に言われる勇断をふるうべき時期じゃないですか。いかがですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) まあ、先ほど来いろいろお話が出ております。農林大臣もたいへん慎重な人ですが、非常な積極的な意見をここで述べたばかりであります。私も、ずっとこれは以前のことですが、山東牛というようなことばは、私の若いときの記憶にちゃんと残っておりますから、昔は中国から牛が入っていたと、こういうことは思います。また積極的に考えられるべきものは、生牛のままでなくて船上加工、そういうことはできないか、そういうような話までも実はしたことがございます。 しかし、何よりも大事なことは、ただいま言われるように国際機関にも入る、そして国際的な各国からもその地位が十分認められる、こういうことになれば、最も日本は隣する国ですから、最も優位な地位にあるのですから、その間に道が開けないわけはないはずです。日本自身が肉が足らない、貿易を拡大しよう、かように言っているそういう状態ですから、それはできますが、いま申し上げる程度の国際条約にも加盟してない、こういうようなことが一つの問題点だと、かように思います。しかし今度は、この国際連合でああいう中華人民共和国が地位を与えられた、その立場から見ますると、これからは国際間の協定にもどんどん入ってくるだろうと、かように思いますので、いまの状態でものごとを判断するわけにもいかないだろう。私は積極的に、望ましい状態、これがかもし出されること、また当方も努力すること、これが望ましいのではないか、かように思います。
○森中守義君 これは、まあ言わなくてもいいことですがね、すでにもう日本から三回も調査団が行きましてね、調査の結果報告というのが出ているんですよ、存在しないということが。それを農林省は、あるあると言う。よその国からは、さっきのようなことでどんどん入れておいて、中国だけはアウト。こんなばかばかしい話はない。ですから問題は、北京政府が出している月報というものを信ずるのか、信じないのか、それ以外に方法はない。その辺どうなんですか。 それと、国際機関への加盟といわれますけれども、これは時間がないのでそこまで聞きませんでしたけれども、国連の下部機関的なもの、ユネスコ以下、あとたくさんありますよ、こういうものが。逐次、中国の加盟、台湾というよりは、まあただし日本の場合には残念ながらとうとう聞けなかったけれども全部棄権していますね、ほとんど。アメリカは賛成しても日本は棄権している。たとえば航空条約、ICAOとかいろいろなものが、そういうものをやる機会は日本はもう全部棄権ですよ。そういう必ずしも積極的な対中政策ということには思えない。 まあ、それはそれとして、要するに中国が出している口蹄疫はないというこういう月報を信ずるか信じないのか、まあこれが私は最後の決定になると思う。ですから、これはいつまで佐藤内閣があるのか知りませんけれども、一ぺん閣議でこういうものを検討してもらえば、それだけ承って質問を終わります。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま十分検討しろという御意見ですから、それについては異存はございません。
○委員長(長屋茂君) 工藤君。
○工藤良平君 私は、予算の総括質問でも若干触れてきたわけでありますけれども、円切り上げによる輸入差益をどう使うかということに非常に関心を持っておるわけでありますが、具体的に考えてみたい。 たとえば、さきに申し上げました麦ですね、麦の輸入が相当ふえておりますけれども、この麦の円切り上げに伴う輸入差益は、大体どれくらい見込まれるか、それをまずお聞きをしたい。
○国務大臣(赤城宗徳君) 麦の輸入で、円の切り上げによって差益というのは七十億を見込みまして、これはすでに予算上食管のほうの赤字がそれだけ減るという、何といいますか、計算済みというか、そういうことで七十億見込んでおります。まだそのほかにも出てくるんじゃないか。いろいろこれからでも、これからの様子は調査いたしたいと思います。
○工藤良平君 現在の食管会計のたてまえからいたしますと、確かに部門別にそれぞれ操作をいたしまして、最後に調整勘定に一般会計から繰り入れていくという仕組みになっております。私もそのことは十分に承知をしているわけでありますが、これは経済企画庁長官にお聞きをいたしますけれども、現在消費者の要請として、輸入の差益を消費者に還元すべきだ、こういう意見があるのでありますけれども、この点についてお考えをお聞きをいたしたいと思います。
○国務大臣(木村俊夫君) これは、総理もたびたび言っておりますとおり、せっかくの円切り上げ、この効果を価格の低下に結びつけて消費者に還元する、これは非常に大事な政策でございます。その意味においては、民間物資はもちろんのこと、やはり民間にそれをお願いする以上は、政府みずから姿勢を示すべきであるということから、政府関与物資についても農林省に非常に勉強してもらっております。
○工藤良平君 それでは、もう一つ、もう少し具体的に掘り下げてみましょう。 さっきの七十億という差益で浮いたお金を食管会計の操作に使うということで予算が組まれておりますけれども、これを、それでは消費者サイドに立って、パン一斤当たりに還元をしてみると一体幾らぐらいになりますか。
○政府委員(亀長友義君) お答え申し上げますが、パン一斤につき七十銭程度というふうに考えております。パン一斤、大体いま五十円いたしますので、それに対して七十銭程度であります。
○工藤良平君 しかし、私どもは、パン一斤五十円のうち七十銭の影響が出てくる、そうすると、七十銭下げるということが可能であるかどうか。現実の消費の売買の過程におきましては七十銭を下げるということは不可能であります。ほとんど、今日までの状態を見ると、やはり五円刻みぐらいで上がってきたという経緯があるわけであります。そうすると、もちろん同じ税金から出るわけでありますから同じようなことでありますけれども、その使い道については、消費者の納得のできるような使い道というのが当然考えられてしかるべきではないか。七十銭卸値段を下げて製粉業者に売却したとしても、それが消費者に還元されなくて途中で消えてしまうという現実があるわけでありますから、この七十億の使い方を消費者の納得のできるような使い方にする、たとえば、麦が年々減少傾向で、きのうの新聞を見ましても、需給計画を立て直さなければならぬというかっこうが出ておりますね。これを見ますと、麦が非常にいま低下をしている、したがって、品物は少なくなた、内地麦に対する需要が多いと値段が上がろうというような状況があるわけでありますが、そういうことのためにも、私は特にこれらの問題を生産段階で消費者の納得のできるような使い方において還元をしていくという一つの方法もあるのではないか、このように思うのですが、この点について、これはどうしても企画庁長官——総理でもいいですが、お聞きをしたいと思うんです、基本的な問題ですから。
○国務大臣(木村俊夫君) 私もそのとおり考えますが、なかなかその点が——原料代の値下がりが末端価格にいきますと、その間の流通、中間経費が相当大きいものですから、割合にしますと非常に微少なものになる。しかし、それを消費者にどう一体還元するか。これはやっぱり知恵を出さなければいかぬと思います。その知恵については、いまやはり食糧庁でいろいろ考えております。
○工藤良平君 私は、一つの私案として、こういうことを考えてみたわけです。米の作付転換がいわれ、そして、水田の裏作ということで、麦あるいは家畜の飼料をつくれ、あるいは野菜をつくれ、そして安定的に供給して消費者に安い品物を提供しようじゃないか、こういう空気が圧倒的にあるし、農民そのものもそういう観点でとらえて努力しているわけであります。そこで、転換をする、農産物の国際価格の比較において最も有利なもの、近づけるようなもの、そういうものをやはり探していく必要があると思いまして、せんだってから全国あっちこっち、私はひまを見て、回りました。栃木の南河内という県の農業試験場の分場に参りました。向こうの人も驚いておりました。こんなところに大分県の参議院議員が来たということで、びっくりしておったわけでありますけれども、地元の方も行っていないそうであります。なぜ私そこに行ったかと言いますと、いま麦が非常に少なくなってきている。つくらせなきゃならぬと思う。ビール麦は非常に国際比価の中において非常に近いものであります。しかも、いまの研究の状態を見ますと、収穫期が、いまよりも一週間−十日早くなれば日本でも相当できるのではないか。反当収量も、いま二百七十キロぐらいでありますけれども、これが、ある人によりましては五百キロをこすという状態が出ておりますから、そうすると、なおさらそういう状態ができる。そうすると、これは若干手だてをしてやることによって、生産を上げ、農家の所得も、しかも国際比較の中で太刀打ちできるような状態というのが生まれてくるのではないか。このように実は考えたわけでありまして、そういう方法が最も適している、このように思います。 そこで、問題になりますのは、それじゃ、せっかく、そうして生産過程の中で、てこ入れをして、安い原料を提供しようということでその体制はでき上がった、肝心は、その加工、そして流通過程における価格の問題だと私は思うのであります。佐藤総理にお伺いいたしますけれども、総理はビールをお飲みでございますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は大体アルコールは弱いんです。酒もウイスキーも、したがってビールも同じようです。しかし、全然飲まないというわけじゃございません。また、最近のビールの消費量がふえていることは私も気がついておりますから、ことに北海道ではビールがたいへん国民に愛好されている、そういうものでございますから、その原料が日本でできるとしたら、これはすばらしいことだと、かように思います。
○工藤良平君 私も、アルコールはもうほとんど飲まないような状態でありまして、その点では首相と全く一緒でありますけれども、税金を納める分については、きのうも税金の話が出ておりましたけれども、佐藤総理は所得税は相当納めておられると思いますけれども、酒税のほうはあまり納めていらっしゃらないということですね。
○国務大臣(佐藤榮作君) そうです。
○工藤良平君 ですから、お聞きするのはどうかと思いますけれども、ビール一本大びん百四十円でございますが、このうち税金が幾ら含まれておると思いますか。——それは、ちょっと教えないでください。どうぞ率直な気持ちを言ってください、知っているか知らないか。
○国務大臣(佐藤榮作君) よく税金の場合にビールの税が幾らと、こういうことは宣伝用に使われております。しかし、私は現実には知りません。
○工藤良平君 百四十円のビールの中に六十七円九銭というのがいまの税金だそうであります。それは総理、覚えていないのが普通なんです。このビール一本百四十円、買うときに税金が六十七円九銭入っているんだ、惜しいな、税金をこんなに納めるのかと思って買う人はいないのであります。これが私は間接税というものの性質だと思っております。わからないんです、品物に入っておりますから。知らないのが、私は、総理、普通だと思うんです。 そこで問題になってまいりますのが、この価格の問題であります。ビールの格価の問題について、これは公取にもお聞きをしたいと思いますが、先般お米につきましては物統令が除外されました。自由であります。しかし、米は統制をされているということについては、まだそれは変わりがありませんね。統制されているお米が物統令除外で消費者に渡る際には今度は自由になった、上がるんじゃないかということを私は質問をしましたけれども、上がる心配はありません、手だてはとっております、その手だては何か、幾つもありますけれども、特にその中で強調しておるのは何かと言うと、小売り販売店を自由に——自由と言うとおかしいですけれども、許可の範囲をさらに大きく広げて競争さしていくことによって消費者米価の上昇を十分に押えることができる、逆に下げるということもあり得る、ということをおっしゃったのでありますが、ビールの場合に、価格、銘柄はどこに参りましても全く一緒であります。上げる時期もほとんど、一週間か十日は違いますけれども、銘柄によって、キリンが百四十円で、アサヒが百三十円なんということにはなっていないようでありますけれども、これはどういうところに原因があるのか、お聞きをしたいと思います。公取の方にお願いいたします。
○政府委員(谷村裕君) 幾つかの要因があると思いますが、基本的には、日本のビール産業はきわめて寡占度の高い姿になっているというのが一つあるかと思います。 それから第二番目に、戦中戦後を通じましての一つの統制時代というのがございまして、その統制というもののなごりというものが、まだああいう品物について残っておる。たとえば、百四十円というのは単にメーカーが付した希望小売り価格でありまして、現実には百三十五円でお買いになっても、たとえば百三十八円でお買いになってもいいはずでありますが、われわれ消費者は大体百四十円だなと、こう思い込んでしまうような、そういう習癖がまだわれわれから抜けておらない。逆のことを申せば、業務用などにつきましては、かなり値引き等の姿が行なわれているのが実態でございますが、そういう習癖があるかと思います。 それから三番目には、そういうことを可能ならしめるものとして、これはいろいろ独禁法上にも問題がございますが、ある意味でのメーカーの流通支配的な姿というものがあるように思います。それこれが重なりましてああいう姿になっておると思いますが、たてまえとしては自由価格になっているという姿であると私は思っております。
○工藤良平君 消費者の立場からいたしますと、やはり、小売り段階における自由競争、これはすでに物価統制令から除外をされまして、酒類についてはそういうことが認められ、当然そうであるべきだというようになっておるのでありますけれども、なぜこのようにビールというものが画一的な価格になっているのか、この点については、実は大蔵省からもお聞きをいたしたいと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) これは、本来、国税庁が酒類行政をやっておりますので、そちらからお答えすべきだと思いますが、来ておりませんので、私からお答えしたいと思います。 ただいま公取委員長からもいろいろビールの価格につきまして、大体そういう百四十円なら百四十円という値段が一般に受け取られやすいという事情についてお話がございましたけれども、私どもも、いま委員長のお話しになったようなことを考えております。さらに、つけ加えて申し上げれば、実はお酒は相当長い間、ビールも含めまして、公定価格の時代というのが長うございましたから、どうも消費者の方々というのは公定価格の時代のイメージそのままを、いまもかなり持っておられるように思っております。確かに、もうずいぶん前に公定価格というものははずれましたし、その後しばらくの間、また基準価格というものでもって、ある程度の基準価格を示しまして、その値段でほぼ売られるようなことにいたしました時代が数年間続きましたから、いよいよもって公定価格時代の考え方がいまも残っておるということがあると思います。そのほかに、ビールにつきまして、私どもは、日本のビール産業自体が非常に巨大な企業でもって行なわれているのが一つの理由ではないかと思っております。ビールにつきましては、実は、アメリカとかいう、大体ほかの産業については巨大なものを持っておりますものと比べましても、一工場当たりの生産量から見ましても、日本のビールの一工場当たりの生産量というのはそれを抜いております。それから、ビールの名産地と申せば西ドイツでございますけれども、西ドイツは非常に小規模のメーカーが多うございまして、いろいろ味も違い、生産規模も違うということでございますので、やはりそういった銘柄が非常に少ないことで、しかも大量生産をやっておる企業でつくられておるというのが、いま御指摘のような要因を形成するんではないかと思っております。
○工藤良平君 簡単に聞きますから簡単に答えてください、それでいいですから。 まず、さっき私は二回ばかりお聞きしたのですが、答えが戻ってこないのですが、小売りの許可をこの際厳密に言わずに、やはりある程度オープンにしていくということ、これは一つの限界がありましょうけれども、これは必要ではないか、こういうように思うのですが、端的にお答えいただきたいと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) おっしゃるとおりだと思います。実は、国税庁のほうでもそういった方向をとっておりまして、お酒屋さんは現在約十五万軒くらいあると思いますが、ここ二、三年来も、その方向でもって非常に免許数をふやす方向に努力いたしておると思います。
○工藤良平君 いろいろな文献を調べてみましても、どうもその小売りの拡大に、許可制度の問題については、かなり国税庁のほうから圧力が加わっている。なぜか。私は、それはわかりやすく言います。酒税、酒の税金を取る機関として小売り店がなっている。したがって、そういう意味から、やはり相当きびしい規制というものが行なわれているという現実があると思うのです。これはやはり、消費者の選択の自由なり、あるいはいま言う価格を自由競争さして、なるべく消費者に安いものを提供していくという原則からするならば、私は、改善すべきではないか、このように思いますが、その点について総理の御見解をお伺いをいたします。
○国務大臣(佐藤榮作君) いま聞いたのは、基本的には蔵出し税ではないかということを聞いたのですが、そのとおりですが、やはり小売りの段階でもこの問題はなかなかやかましい問題だと、こういうように申しております。だから、税の性格が付加価値税一本になれば、ただいまのような点もよほど緩和されるんだろうと思います。そこらのことは、おそらく大蔵当局でもいろいろ考えておると思います。
○工藤良平君 そのように理解して、ぜひ私はそのような措置を講じていただきたい。これはまた成り行きを見守っていきたいと私は思います。 そこで、公取の方にもう一ぺんお聞きしますが、特にこれは論議が少ないわけでありますけれども、短い時間の中ですから、お許しをいただきたいと思いますが、ビールは下がるときに下がりにくい下方硬直性を持ち、上がるときに上がりやすいという上方伸縮性を持っている価格だと、こう言われております。これは、先ほどちょっと触れられたようでありますけれども、それはなぜかというと、やはり寡占という問題が出てくるだろう。すでにキリンが六〇%以上の市場占有率を持ったのではないかと言われておりますけれども、そういう意味からいきまして、やはりこのビール業界がいま四社に限定をされておりますし、しかも、その中で六〇%以上の市場占有率をキリンが持ったという状態の中において、これが好ましいことであるかどうか。すでに勧告も、何回か、業界につきましても価格の問題を通じてなされておるようでありますけれども、公取として、現在の状態の中で好ましい状態であるかどうかという点についてお聞かせをいただきたいと思います。
○政府委員(谷村裕君) ビールの価格自体といたしましては、たとえば酒税引き下げの際にある程度下げたり、そうしてまた、酒税が上がったときにまた上げたりということがございましたが、ここずっと、通年してみますと、一般物価に比べればそれほど上がり方が激しいものでない、しかし、それは非常に生産量がふえておる、これは御承知のとおりでございます。 さて、その話とは別に、いまの状態が好ましいかと言われれば、私どもの競争政策維持の立場から申せば、一つの巨大企業がシェア六〇%を占めるというふうな姿において業界に支配的な地位を占めることは好ましいとは私は思いません。思いませんけれども、自由にして、かつ公正な競争の結果、さような地位を占めたというような場合に、ただいまの独禁法では、それに対して何ら処理する方法はない。やるとすれば、末端において、いかなる系列支配を行ない、あるいは販売等についての何らかの独禁法上の問題のあるような行為をしていないかというところを見るという点が私どものポイントでございまして、六〇%のシェアを占めている、そのこと自体について、それは好ましい、好ましくないということばの使い方でございますけれども、独禁政策的に言えば、私どもは、えらいものができちゃった、こういう感じでございます。
○工藤良平君 この点については、いまの公取の委員長のお話のように、非常に重大な、国民全体が関心を払わなきゃならない問題だ。もちろん、他の問題、フィルムなり、そのほかの問題もございますけれども、私は、端的に農業の問題から入りましたから、そういう意味で非常に大切だと思っておるわけであります。それと同時に、やはり業界に対しても、そういう寡占というものは好ましくないということ、したがって、それに対する対策を講じていかなきゃなりませんけれども、やはり私は、ただ単にそれだけをまた追及してもいけないと思います。それにはまた別の角度からの手だてというものがある。それは何か、私は、この酒税の中における不均衡、ビールというものが最高の税率を課せられている、特級酒やあるいは特級ウイスキーよりも一〇%こして高い、四七・九%という最高の税率をかけているということですね。これを一級酒やあるいは一級ウイスキー並みに下げてみた場合に一体どうなるのか。私は、時間がありませんから言いますけれども、大体ちょっと計算してみると、約一本当たり十八円ぐらいに当たるのじゃないかと思いますね。一級酒あるいは一級ウイスキー並みに税率を下げたときにですね。やはりそういうことが問題になってくるわけですね。生産段階でコストを下げようと努力をすること、いま言う寡占の体制についても、公取を中心に政府が勧告をし、注意を与えていくことも下げる要素になっていくわけでありますけれども、残念ながら、いま言う税金をとるという一つの形の中でこれが非常に大きな障壁になるということがあり得るわけであります。ですから、そういった意味で、私は、このビールというものがすでに大衆化してしまって、消費のうちの六〇%ぐらいがもう家庭の中で消費されて、一流料亭でビールが使われるということではないわけであります。そういった意味から、私は、この酒税の中における不均衡是正という意味においてビール税を下げる、そのことによって消費者に、安い、十八円安いあるいは十五円安いビールが提供できるということであれば、私は、これは何らかの形で消費者に影響を及ぼしていくのではないかという具体的な方法というのが出てくるような気がするわけであります。この税金の問題について、大蔵省並びに佐藤総理の見解をお聞きをいたしたいと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) ビールの中に占めますところの酒税のウエートが高いということは御指摘のとおりでございます。これは、ただ、ビールというものが、わが国の中におきますところのお酒の中で一体どういうような地位を占め、どういうような消費のされ方をしておるかということが非常に影響があると思います。それから、かたがた、高いと言われておりますそのビールは、一本大びん百四十円でございますけれども、その値段でもってかなり売られ、かなり消費が伸びておるという事態をやっぱり御認識していただきゃならないと思いますし、かりに、これで酒税を下げましたときにも、やっぱり百四十円で売れるということになりますれば、下げた分だけ、はたして価格が下がるかどうかということもございますし、いま実は酒税でもって約七千億円ぐらいの税収というのを期待いたしておりますけれども、ビールでもって、その中で約三千六百億円という税収を期待いたしておりますので、これは国家財政上も非常にビールを飲んでいただいておる方々に負担をしていただいておるということもありますので、なかなかビールの値段との関連で、このビール税というものを、ビールに含めますところの酒税というものを容易に下げがたいというふうに考えております。
○工藤良平君 だから、私は、こう、わざわざここで取り上げて言ったわけです。酒税の中における半分近い、むしろ半分をこすぐらいの三千六百億という税金を、佐藤総理のおっしゃるように、私も知らなかったけれども、一本百四十円のうち六十七円もとられているという、しかしそれはみんな知らないで三千六百億の税金を出しておるわけでありますから、これはやっぱり、こういう矛盾が同じ酒税の中で出ているとするならば、これを是正をするという方向で検討するということが政治ではないか。この考え方について佐藤総理の御見解をひとつ、いただきたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) これは、もう税金というものは軽いことが望ましいこと、これはそのとおりでございますが、その前に、やはり税は公平でなければならないという、その大原則がございます。はたして、ただいまのビール、これの納めているアルコール税、これが公平の原則に立っておるかどうか、それは十分検討さるべき筋のものだと、かように考えますので、ただいまの工藤君のお話を伺いまして、私はやはり、公平の原則、これも大事ではないかと、また、取りやすい税というだけでは済まされない、かように思って伺ったわけでございますが、十分検討するつもりでございます。
○工藤良平君 時間が、まあ私のほうはあるようですけれども、党としての時間がまいりましたから、これで打ち切りたいと思いますけれども、このビールの税金が最も逆進性を持つものであり、やはり、ぜひ改めていくべきだ、こういうことを私は強調しておきたいと思います。 最後になりますけれども、これはけさの日経に出ておりますが、日本商品のダンピング問題が非常な大きな問題になっておりまして、近く日米の専門家会議が開かれるという記事が出ております。この点について、いまからいろいろ論議をする時間もございませんが、このダンピングの問題について、アメリカの財務省は、三月末に、新しい対ドルレートで計算した輸出国の輸出価格がその国内価格を下回っている場合はダンピングとみなす、こういうような方針を発表し、ダンピング法の全面改正を検討していくということが言われておりますし、それを受けて、日本側としてどのような態度でこれに臨むか、非常に重大な問題でありますし、その点をお聞きをしたい。もちろん、それは、輸出価格を一斉に引き下げるとするならば、やはりそれに関連した国内価格というもの、たとえばテレビや自動車が三分の一で売られているということを私どもは聞くのでありますけれども、国内価格は、そうすると、べらぼうに高いということにもなるのじゃないか、こういうように思っておりますので、そこら辺の見解を明らかにしながら、この専門家会議に臨む政府の態度というものを、これは大体四月の終わりごろ開かれるようでありますから、明らにしていただければ幸いだ、このように思います。
○国務大臣(田中角榮君) 円平価の調整が行なわれた後の輸出価格は大体一〇ないし一五%いま上がっておるものもあります。そういうふうに向こうの売り値を引き上げるということにしておるわけであります。日本の商品が全部ソーシャルダンピングじゃないかという、こういう議論を去年の九月の日米経済閣僚会議で議論したわけであります。ソーシャルダンピングじゃない、日本はちゃんと配当しているのだ、こういうことでもって、まあこまかい数字をあげて応酬したわけでございますが、相当の人でもそういうことを言っておるわけであります。特に、テレビの問題とか、自動車とか、いろいろな問題で指摘をしてきておりますから、それで、すぐダンピング法によりまして告発をするというような、業界のいいなりになるというような面もありますので、こんなことでは日米両国間の友好というものが保持されない。こういうものは判例を求めれば、判決を求めればいいじゃないかということでは非常に影響が大きいので、日米間で専門家会議をつくりまして、それで事前に政府間で調整をしよう、それでどうしても判決を求めたいというようなものであるならば、それはやむを得ざるものとして訴訟に持ち込むことはあってもいいと思うのですが、いずれにしても、日米間でこんな問題を一々訴訟に持ち込まなければならない必要性がないということで、サンクレメンテ会談の一つの収穫として、今度は日米両国政府間でもって話し合いをしよう、こういうことにいたしたわけでございます。これはひとつ、ここで私ははっきり申し上げておきたいのですが、日本の中にも、日本人は非常に安い価格で輸出をしておる、前に肥料の問題で、農民には高い肥料を買わして、安い肥料を外国へ出す、こういう話……。この間ケネディ上院議員が来ましたときに同じことを質問しましたので、それは簡単な話で、おかしいですよ、日本がダンピングをしているという事実を指摘せられるならば、それはけっこうです、しかし、日本の国内価格よりもアメリカで売られておる国内価格は安い、それはあたりまえのことなんだ、あなたが日本で日本製の時計を買われたときと向こうで買われるときということを考えてみれば、すぐわかりますし、お互いがスイスに行って、飛行機まで時計を持ってきてくれというときに、二〇%近い物品税や国内的な消費税は全部取り除かれた安い価格でもって外国人に売るというのが事実であります、ですから国内の価格と輸出先の価格というものは違うのがあたりまえなんです、こう言いましたら、非常にわかりやすい話であるから上院で発言しよう——これは私は公式な席上で話しておるのですから事実であります。そういうものの考え方の相違から、日本の国内で売られているものと輸出価格が違うからといってダンピングだという考え方は完全な誤りであります。ですから、これは制度が違う。いろいろな、消費税をどうしているか、物品税をどうしているか、輸入税をどうしているかという問題でもって違うものでございまして、いま私はダンピングをやっているというような感じは持っておらないわけでございますが、しかし、ヨーロッパでも同じ問題を提起してまいりつつありますので、やはり、いわゆるダンピングでないのだということを十分周知徹底せしめなければならない。そのためには努力してまいりたい、こう思います。
○工藤良平君 以上で終わります。
○委員長(長屋茂君) 原田君。
○原田立君 私は、不況カルテル問題をまず最初に取り上げたいと思うのであります。この質問については、公取委員長または佐藤総理に御答弁いただきたい。 鉄鋼関係を含めて、現在は九業種にわたってすでに認可済みである、そのほか、また、約三件ないし五件くらいが認可申請中である、こういうふうなことをお聞きしているわけでありますが、その間の説明をしてもらうことと、公正取引委員会では、去る二月十五日の独占禁止懇話会で、不況カルテルによる産業の防衛は、ともすると過剰防衛に走りやすく、そうなれば関連産業や一般消費者の利益をそこなうとともに、当該産業の合理化をも妨げるなどの理由から、運用にあたっては安易なカルテル依存の態度を排除することで合意したと、こう聞いております。政府の不況カルテル認可についての基本的な態度、これはどういうことか、お伺いしたい。
○政府委員(谷村裕君) まず、認可の状況でございますが、おっしゃいましたとおり、ただいままでのところ、九件認可いたしております。内訳は、必要とあれば、あとで申し上げます。それから現に申請中のものは四件でございます。さような状況になっております。 それから第二番目に、独占禁止懇話会で云々というお話がございましたが、確かに、不況カルテルの問題についていろいろ御議論をいただきました。あの会は自由討議の場でございますので、合意を得たとか結論を得たとかいう姿のものではございませんが、しかし、法のたてまえからいたしましても、さような意味で不況カルテルというものが安易に流れてはいけない、これはやはり、いわば例外的なものとして処理するためには、厳正な法に基づいた条件の審査をしなければならないということについては、どなたも御異存がなかったわけでございます。
○原田立君 総理にお伺いしているのですが……。
○国務大臣(佐藤榮作君) 政府といたしましては、どこまでも自由経済、その観点に立って事業は運営されるべきものだと、かように考えておりますので、ただいまの不況カルテルの問題は、公取委員会において厳重に審査して、しかる上で許可すべきものは許可すると、こういうことでございます。一般行政とは別個のものであります。
○原田立君 厳重に審査しているということでありますけれども、まず、私、鉄鋼の不況カルテルの問題を取り上げて、不況カルテル全般についての考え方を申し上げるわけでありますが、八幡・富士の合併に際しては、それまで実施してきた通産省の指導による勧告操短方式は行なわないと発表したために今回の不況カルテルの申請と、こうなったことだろうと思いますが、これに対して、公取の認可については法律的に非常な疑義がある、こう言われております。その第一は、多くの学者、評論家が指摘しているように、鉄鋼メーカーの多くは減配はしても利益配当をしている以上、不況カルテルの本来の条件を満たしているかどうか疑わしい、こういうことを言っておる。現に、独禁法二十四条の三には、不況要件としては、販売価格が原価を下回る、あるいはまた連鎖倒産、こういうようなことがきめられております。そうなると、鉄鋼メーカーの場合には、減配はしても利益配当をしている以上不況カルテル本来の条件を満たしているかどうか疑わしいと、これはまことに妥当な意見だろうと思う。これをどう考えているか、これが一つ。 それから、そういう面で公取委員会自身の独禁法の不況の要件の解釈が甘きに過ぎはしないか、こう心配するわけであります。不況カルテルの不況要件というものは本来きびしいものであるという、これまでの社会通念からすれば、非常に問題があると思うのであります。そこら辺のところを、世上、通産省のゴリ押しとかなんとか、あまりいい表現ではありませんけれども、こういうふうなことが言われております。これでは物価対策としても非常に問題があると思うのでありますが、鉄鋼の不況カルテルを認めたことは独禁法を骨抜きにしてしまうおそれがある、こう私は考える。その点はいかがですか。
○政府委員(谷村裕君) 利益配当の点は、確かにそういう点を指摘なさる方がおいでになりますが、私どものほうの従来とってまいりましたやり方は、経理の実態についてその不況要件を審査いたしておりまして、たとえば不用資産の売却でありますとか、あるいはその他臨時の収益等をあげて、それによって配当をするとか、そういう問題は、これは経理の実態とは必ずしも合わない問題として従来とも扱ってまいりました。いわば企業のビヘービアの問題と申しますか、私の気持ちといたしましては、やはり本来企業の内容が悪いときにはそれに相応した姿をとってもらうのがよろしいというふうに思いますけれども、これは日本のいろいろな経済の上での問題もありまして、いわば配当政策というふうなことばも使われているくらいのものがございます。そういう意味では、私どもは経理の実態について見ておるということを申し上げまして、その実態に関する限り、私どもの審査は決して誤っておらないという自信を持っております。まず第一点は、それだけ申し上げておきます。
○原田立君 鉄鋼業界からまず始まって、現在は伸銅業界あるいは化学工業あるいはポチエチレンと、いろいろと不況カルテルの申請が出ております。電極六社も不況カルテルの申請をしたというように、だんだんだんだん不況カルテルの申請が多くなる。これは先ほどの二十四条の三に示されたような、そういう極端な場合のこと、そういうことが私は基本であろうと思うのです。ところが、実際にだんだんと不況カルテルの結成の動きが多くなる。そうなると、それは不況下の物価問題の形で国民生活に問題を投げかけてくることは避けられないと思うのであります。これは非常に重大な問題だと思うのです。生鮮食料品なんかはすぐ目の前にパッとあらわれるけれども、こういう鉱工業品などに関しては、なかなかあらわれてとない。これは、そうかそうかといって、みんなそれでわからない段階で納得してしまうというような、そういうことがある。これは国民生活に問題を投げかけるということで、非常に重大な問題であると思う。この点についてはいかがですか。
○政府委員(谷村裕君) 独禁法に規定しておりますように、需給のバランスが著しくくずれまして、そのために、先ほど総理がお答えになりましたように、本来価格メカニズムによって妥当に形成されるべき価格に行き過ぎが起こって、そして崩落するというふうな事態が起こる、そういうのを一時的に避けようというのが不況カルテルの問題でございまして、それ以上に、それを足場にしまして不当に価格のつり上げを、それによってはかるというふうなことを、これは許すものでは、もちろんお説のとおり、ないわけでございます。価格の問題というのは、どの辺がどういうふうに妥当であるかということについては、非常にこれはむずかしい問題があるかと思います。おっしゃるとおり、いろいろな方面に、少しずつではありますが、波及してまいる問題でもありますが、しかし、需給バランスが非常にくずれたために、むやみやたらに価格が下がればいい、崩落すればいいという性質のものでも、必ずしも経済の実態から見て、ざいませんので、その辺は、私どもといたしましても、カルテル下あります企業の動き、産業の動向等につきましては、所管官庁とも十分連絡いたしまして、そこに行き過ぎのないように厳重に見てまいるというつもりで、物価問題についての、つまらない影響はできるだけ避けるようにいたしたいと考えております。
○原田立君 影響を避けていきたい、こういうことでありますが、現実には、他産業にも不況カルテルの申請が、ぼつぼつとではあるけれども、出てきておる。それで、その不況カルテルを認可するについて、やっぱり基本的に一番大事な問題は何なんですか。その産業が倒産に至らないように、今後もずっと継続していくように、そういうようにするのが目的であろうと思う。そこで安易な値上げ等があるようでは、不況カルテルという制度そのものもおかしくなるのではないか、こういうふうに思うのですが、鉄鋼業界では、何だか五千円上げるとか一万円にまで上げるとかというようなことを盛んに言われております。新聞にも報道されておりますけれども。これを一体どういうふうに受けとめておるのか。これはまあ所管の通産大臣もそうだろうと思うが、公取の立場から、またお伺いしたい。
○政府委員(谷村裕君) 御指摘のような素材産業になりますと、私は二つ価格問題があると思います。一つは、いわゆる市況というような形で、問屋仲値というふうな形であらわれます。そういう需給の変動をある程度敏感に反映して動くような値段でございます。それから一つは、いわば大口のユーザーに対して、ある程度、まあ何と申しますか、お互いの相対の、ひもつき価格というふうによく言われておりますが、そういう値段でございます。そして、鉄鋼の場合には、おおむねそういう大口ユーザーに対するひもつき価格が約八割を占めておると言われておるのでございますが、こうなりますと、そこは、ある意味で、企業のお互いの力関係によるネゴの姿を呈することになると思います。鉄鋼業者といえども、できるだけ経営の責任を全うするためには、自分の値段をよく採算が償うようにしたいという努力を企業としてはなさるでございましょうし、逆に、自動車のほうは、それに対して、そうされちゃ困るというふうなことで、いま動いているのが現状だと思います。私どもは、その動きそれ自身について干渉するつもりはございません。しかし、そういったことが不況カルテルをもとにして度を過ぎたことになることは、やはり、おっしゃるとおり、いけないことだと思います。そして、そのようなことが安易な不況カルテルを結ばせる傾向になったり、あっちこっちに波及したりしてカルテルマインドをふやすというようなことがあっては、なおさら、おっしゃるとおり、いけないことだというふうに思っております。
○国務大臣(田中角榮君) 不況カルテルは、不況が深刻化したときの緊急避難的な、全く暫定的なものでなければならないということは当然のことでございますが、鉄鋼その他、確かに三十七年、四十年と不況があったわけでありますが、三十七年のときとほぼ同じ、それよりも多少悪いところがございます。大体四十六年度には一億二千万トン程度の生産能力を持つものが、八千八百万トン余でございます。これは対前年度比九五・六%ということでございます。いままで大体二〇%ぐらいずつ伸びてきたり、六%、八%というような年次もございましたけれども、それが前年度に比べて一〇〇%割っておる、前年度並みを割っておるということが一つでございます。 それからもう一つは、先ほど公取委員長から述べましたが、われわれも慎重に経理の内容等を審査いたしておるわけでございますが、もうほとんど利益はない、ないというよりも、今度の決算は、不動産の売り払いその他で、ようやく六分配当を行なうというような状態でございます。丸棒の例で見ますと、小棒が昨年一月に五万九千円・トン当たりのものが、この二月は三万一千円であります。五万九千円の中形鋼が三万四千五百円、こういう状態でございまして、厚板などは、五万三千円が三万九千五百円ということであって、三十七年度とほぼ等しいということでありますから、ことしはもう四十七年度ですから、十年間、その間にはいろいろなものも上がっておるわけでございますが、そういう状態で、もう経営というものは非常に困難な状態になっておるという事態をもとにして不況カルテルが認められたということでございます。しかし、これをいつまでもやって、うんと上げなきゃいかぬのだなどとは考えておりませんが、これは、業界と話し合いによって、千円上げる、二千円上げるというような問題はあるようでございます。しかし、それでないと春闘の支払いもできないというようなこまかい数字まで、われわれも検討いたしておるわけでございます。
○原田立君 これは総理お伺いしたいんですけれども、大体、独禁法の中に不況カルテルの規定が入れられておりますけれども、いまも通産大臣からお話があったように、適用除外の規定として独禁法に書き込むが、運用する気はさらさらないというのが、当時立法したときの基本的な考え方、こういうきびしい態度が公取委にあったのが、今回の鉄鋼に関しての公取の姿勢は非常に問題だと思う。要するに、連鎖倒産があるわけでもなし、それから先ほど指摘した販売価格が原価を下回るだなんて、そんなこともないのにかかわらず、公取委が今回このような運用をした、問題をはらんだ解釈をしたというのは問題だと思うのです。ですから、私はここで言いたいのは、不況カルテルが、ああやって法律に書いてあるからそれを運用したくなるんだろうと思うのですが、この不況カルテルは本来あんまり適用すべきものでない、そういう考え方であるが、なお適用除外の規定として入れたんだという、その立法の精神ですよね、十分守るべきだと思うのです。総理、いかがですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 冒頭に、私ども政府の考え方、基本方針は説明をいたしました。これは御理解いただいたと思っております。私は、したがって、公取が、ただいまのような不況カルテル、これを設定する場合におきましても厳密に考えられてしかるべきだと、かように思っております。したがって、先ほど来の話を聞いていながら、これは立法の趣旨も十分尊重し、また、これの適用については厳正に運営されていると、かように私は理解しておるのですが、しかし、それらの点について、どうも原田君とだいぶ意見が違うようですけれども、私はさように理解しております。
○原田立君 それでは、また他日に譲るとして、流通問題についてお伺いしたいと思います。 佐藤内閣の高度成長政策は、一方では財金融政策を通じて大企業メーカーによる大量生産、あるいは他方では物質文明の使い捨てによる大量消費を謳歌したが、一番その肝心の、生産と消費を結ぶ流通機構の整備に関心を持たなかったために、現在、旧態依然の流通機構による低生産性が隘路となっております。消費者物価高騰の大きな一因ともなっているわけでありますが、中でも、この輸入実績に基づく輸入割当制度、あるいはまた、大都市の交通渋滞による流通コストの騰貴、あるいは小売店の非近代化などで、いたずらに消費者物価の高騰をもたらしているのが現状であります。で、流通革命の必要が叫ばれながら、政府は何ゆえに今日まで流通機構の整備を努力してこなかったのか、また、努力してきたというならば、どういうことがあったのか、この点をお伺いしたい。
○国務大臣(田中角榮君) 消費者物価問題の中で流通部門の改善というのは非常に大きなウエートを持つことは事実でございます。流通問題に対して何もやってこないということではありません。流通センター、配送センター、卸売りセンター、卸商業団地等の助成、パンフレット等による物流の合理化、機械の普及や促進、数え立てればあるわけでありますが、しかし、流通問題ということを一口で申し上げると、やはり統制らしき、統制でない統制が続いておるという議論が国民の間にたくさんあることは私も承知しております。そうでなければ、生産地でもって積んで消費地までの間に何で倍にも三倍にもなるのだ、こういう御指摘でありますから、これはやっぱり、国際的な自由化というよりも、ある意味の国内における自由化というものを進めないと、中間流通経費が異常に大きい、これはもう倍ぐらいのものもございますから、そういうものに対して、いま述べたようにいろいろやっておりますし、また、チェーンシステムの育成その他というお答えはできますけれども、これはやっぱり、もう少し抜本的に施策を行なう必要があるということだけは、そのとおりでございます。ございますだけではなく、通産省でも、いまそういう問題に対してメスを入れております。
○原田立君 通産大臣、私が指摘するのは、いまごろベストを尽くすだなんていう姿勢はおそい、こう指摘しているわけです。これはまあお認めになったようであります。今後もしっかり努力してもらいたいと思うんでありますが、輸入割当制度ですね、いまもちょっと申し上げたのでありますが、輸入割当制度が実施されており、せっかく自由化されても業者が利益を独占して、なかなか安くならない。先ほども前委員からいろいろ話がありました。私は、この輸入割当制度を直ちに廃止するなり、あるいは輸入商社の独占利益を排除させるような行政指導、そういうものがとれないのかどうか、この点はいかがですか。
○国務大臣(田中角榮君) 三十三品目にわたって輸入割当制度をとっているわけでございますが、このような問題は実績中心主義という長い伝統の上に立って割り当てられております。しかし、そういうことで物価が下がらないという面もあります。ありますので、通産省としては、業者を集め、相当強く言っておりますし、強く要請をするだけではなく、追跡調査をいたしております。そして、私が衆議院の段階でもお答え申し上げておるのですが、実績割当ということで、まあひどいものもあるのです。ペーパー業者というので、自分が輸入しないで、その輸入割当権が高額で売買される。きょうも私はそういうことを一つ指摘をしてまいりました。カズノコがいま入ってくるのに、トン当たり三十五万円もして売り買いをされているということは許されない、これは、通産、農林当局で話がつかなければ、次の閣議では私と農林大臣との間で話をきめるから、もう輸入実績割当というようなものに対してはメスを入れます、新しい業者の拡大をいたします、こういうことまで、非常に強い姿勢で私もやっておるわけでありまして、もう抱卵ニシンが全然取れないということになれば、もう全然これはカズノコは自由化する以外にないわけであります。ですから、もう自由化をしよう、こういうことまで私は強く事務当局に先ほどもまた指示をしたわけであります。実績中心ということなんですが、しかし、実績中心であるだけに、現に指摘をされるようないろいろな問題が起こり、消費者物価を引き下げるような役目を果たしておらぬという事実に対しては、適切な処置をとっております。
○原田立君 通産大臣、適切な処置をとっているといっても、現実には安くなってないのは事実なんです。それはお認めになるだろうと思う。そこに問題があるのです。一生懸命安くするような努力をしていると言うけれども、一体、じゃ基本的にどういうふうにするのか。私はその一案として、やっぱり流通機構の近代化ということをどうしてもやらなきゃいけないと思うのです。流通機構の近代化の取り扱いを怠っては、物価はちっとも安くなりませんよ。この点は同意見だろうと思う。それで、経企庁長官、お伺いするんですけれども、先ほども輸入の豚肉が一向に下がらないということについて経企庁でも調査をしたと、そうしたらば、その理由に三つないし四つぐらいあるということが新聞報道されております。この中の一つに、流通機構の非近代化というのも物価が下がらない、輸入物資が下がらない一つの大きい要因であると、こういうふうに報告されておりますけれども、その点、いかがですか。
○国務大臣(木村俊夫君) 先ほどから通産大臣がお話しになっているとおり、確かに物価問題の一番の大きなガンと申しますか、は流通段階にあると思います。その意味で、制度、組織的なこともさることながら、やはり、最近の都市集中傾向といいますか、流通が、実行上なかなか輸送段階でたいへんコスト高になっておるというような面も改めなければならぬと思います。要するに、やはり流通段階にメスを入れなければ物価というものは下がらないという実感を強くしております。
○原田立君 それは、報告がされて、調査してその結論がそうだということが新聞に出ておるのですから、私もそのとおりに思う。じゃ、流通機構の近代化をするのに一体どういうことを考えているのですか。また、別な面から、人口が大都市にどんどん過度に集中する、そうなれば、いまお話のあったように、交通対策的なことも十分やらなければいけないでしょう。あるいはまた、公共的な卸センターというようなものもつくっていかなければならないのだろうと、ぼくは思うのです。それとあわして、流通機構の近代化をはからなきゃいけない、こう思うのだが、経企庁長官、または通産大臣、その点、どうお考えですか。
○国務大臣(田中角榮君) 流通機構に対しては、確かに長いこと議論されておるわけでありますが、もう実行をしなけばれならぬ段階だと思います。先ほど申し述べましたように、いろんなことはやっておりますが、きめ手になるようなものではない。それは、市場一つ見ましても、東京都の市場というものは五百万人を目標にしてつくられたものであります。それが現に千百万人であり、首都圏全部を入れれば二千七百五十万人も人が住んでおるわけでありますから、これはもう自由化と拡大をする以外には、きめ手にはならないわけであります。ですから、もう議論の段階よりも、どうしても流通機構というものをそれに合うようなものに拡大をするということと、やはり自由化を行なう、いわゆる自由化というのは、国際的自由化だけではなく、いろいろな業者保護ということでやっておったものを、自由競争の原理でもって、やはり自由に競争させる、営業が自発的にできるように拡大をしていかなければならないということであります。それから、先ほども御質問がございました追跡調査やいろんな結果で、結局、割り当て数量を増加させなければならないものがあります。それから輸入商社実績というものよりも新規参入を認めなければならないというもの、それから割り当て方法の改善等も、もう一定数まで新規の参入をやるとか、シニアの高いものについては五〇%以上というようなものを一定限度まで引き下げるとか、具体的なことを現にやっております。これは品目別に現にやっておるものがございますが、必要があれば、あとから書類で提出いたします。
○国務大臣(木村俊夫君) やはり、流通段階をできるだけ簡素化するといいますか、段階を少なくするということも一つでありますが、先ほど通産大臣が申されたとおり、やはり器を大きくする、卸売り市場、施設、あるいはそういうものをたくさんつくるということも必要でございます。まあ、何せ産地直売というような、消費者の自衛ということもこの問題に非常に大きな刺激を与えております。そういう意味から申しまして、いま申し上げた二つ、すなわち流通段階をできるだけ簡単にする、単純にするということと、流通のワクを大きくする、この二つであろうと思います。
○原田立君 私、これで最後にしますけれども、総理大臣、流通機構問題は重要な問題であるということは、もう総理大臣も御承知だろうと思う。それで、いま経企庁長官や通産大臣がいろいろと説明しているけれども、絵にかいたもちみたいなもので、実際の行動になってくると、その成果、効果は遅々として進まない、こういう現状にあるわけです。総理大臣、この流通機構の改革ということは、もう年来言われている問題であります。強力な指導をしてやるべきであると、こういうふうにぼくは思うんです。その点、いかがですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 流通機構にメスを入れる、これはもう長い間の主張でございますし、具体的にどういうことができるか。これが、いわゆる卸売り業、そういうものが変わっていくというか、近代的に変貌していくとか、あるいは総代理店というようなものも変貌していく、こういうようなことを考えるべきではないだろうかと、かように思います。したがって、ただいままで中央卸売り市場あるいはその他、先ほど通産大臣が申しておりましたが、そういう機構を通らなければどうも小売り段階に渡らない、こういうような仕組みだけでやっていると、物価のこまかな、かゆいところへ手が届く、こういうことになかなかならないと、かように思います。したがって、まあ最近は、産地から消費地に直結する、また、メーカーから卸を通さないで直売する、そういう意味のスーパーというような形のものがどんどんできつつあります。最初そういうものができたときには、いかにも品質が粗悪だと、こういうような批判を受けがちでございましたが、最近では、新しい流通段階、流通機構としてそういうものが重要視されている。まあそういう意味で、片一方で生協というようなものもできている、受け入れ体制もできている、こういうようなことで、よほど変わりつつあるのではないかと思うんです。しかしながら、これはてこ入れをしないと、どうも歩みというか、歩み方がのろい。流通段階の改革は、改善はなかなか行なえないと、かように私は思いますので、さらに関係者として、これが悪いという、そういう点は指摘ができるのですから、そういうものと取り組む、そしてそれに力を与えてやると、これが望ましいいまの段階ではないだろうか、かように私は思います。
○国務大臣(田中角榮君) 最後に一点だけ申し上げておきます。 何もしていないということではないのでありまして、そのことをちょっとだけ申し上げたいんですが、一つは、卸総合センター助成三件、それから卸商業団地の助成八十一件、配送センター、これが四件、それから生産財配送センターが四件、ボランタリーの融資百十九件、それから小売り商業店舗の共同化百九十四件等々行なってはおりますが、おほめにあずかるような実績ではないということだけは申し上げておきます。
○委員長(長屋茂君) 宮崎君。
○宮崎正義君 いま流通機構のことが論議されております。これがまた、私のこれから申し上げることにだいぶ影響があるわけです。と申し上げますのは、最近、連日のように首都圏等々でダイヤの乱れが非常に伝わります。で、言われておりますことは、生鮮食料品等の貨車輸送も七〇%を割るんじゃないか、こういうふうなことも報道されております。このことについて、どんなふうにお考えになっておりますか。運輸大臣はおいでになりませんので……。
○政府委員(佐藤孝行君) お答えいたします。 このたびの動労の緩慢闘争に際しては、生鮮食料品を輸送している特急列車、急行列車並びに急送品列車については、他の貨物列車に優先してその運行を確保する体制をとり、現在のところ、北海道、東北方面から東京市場に到着する列車に多少の影響が見られるほか、ほぼ輸送力は確保されている現状でございます。しかしながら、闘争が長期化した場合を考えたとき、早期に問題を解決しなければならぬと考えております。赤字に悩む国鉄がいま一番必要なことは、労使がお互いのメンツを捨てて、国民の同意を得て国鉄の再建と本格的に取り組む姿勢が必要であろうと考えます。国鉄という組織の争いよりも、利用者である国民のほうに目を向けるよう、現在も今後とも指導していく所存でございます。
○宮崎正義君 それは聞くまでのこともないわけでございますし、現実の問題として生鮮食料品がそのことによってずいぶん値上げをしてきている。東京都の調べによりますと、都内の中央卸売り市場への生鮮食料品の入荷が、魚が千六百三十トン、野菜が四千九百三十四トン、ふだんの月曜日のそれよりも二割も減少しているというように報道されております。さらには、リンゴの値上がりももう見えております。ネギ、ホーレンソウ、キャベツ等の葉野菜類がどれだけその影響を受けているかというのを御存じでございましょうか。魚も、冷凍で補給されているものが、もうそろそろ底をつくんじゃないかと、こんなふうになってきているわけでありますが、その他、いま盛んに、官庁の人ばかりじゃなくて、諸会社の人たちも転勤が非常に多い時期です。それが、引っ越し家具等が相当おくれているというような実情を知っているんでしょうか。
○政府委員(佐藤孝行君) けさほどの新聞で私も同様の記事を拝見いたしましたので、調査いたしましたところ、必ずしも新聞報道のようなことでもございません。全くないということでもございませんが、それほど鮮魚並びに野菜が値上がりしているものでないということが判明いたしました。東京都が国鉄に依存している鮮魚は約一七%、さらに野菜、くだもの等は二%ないし五%の比率でございます。
○宮崎正義君 その二%、たいしたことはないとおっしゃるところに私は問題があると思う。で、先ほども、こういうふうな事態になったときに、現在でさえ流通機構というものが手一ぱいだ。これがもっと長期化していったら、それじゃどういう対策をとるのか、これがもっと困難な困窮した状態になってくると、どんなふうな手を打って、物価上昇を押えていこうとするのか、そういうところに私は心配があるわけです。
○政府委員(佐藤孝行君) 御承知のとおり、国鉄は大量輸送機関としての国民生活に占めるウエートはきわめて御指摘のとおり大きいものがございます。今回のATS闘争といわれる闘争は、問題の本質を私は多少はき違えた闘争じゃなかろうかと考えております。いずれにせよ、国鉄は、先ほど来申し上げたように、財政再建整備、あるいは大量輸送機関としての国民の同意を得て再建しなければならない重大な時期に到着しているのでございます。したがって、一日も早く労使の紛争を解決し、国家、国民の期待にこたえる国鉄になるよう、現在指導している最中でございます。何とか一日も早く解決して要望にこたえたい、かように考えております。
○宮崎正義君 その労使間のことで国民が迷惑する、通勤の方なんか、これはたいへんなことです。この損失というものは、これは、はり知れないものがある。で、ただいま伺っておりますと、うちのほうはいいけれども相手方のほうがちょっと考えが違っているんじゃないかというふうに私は聞き取れたのですけれども、そうなんでしょうか。
○政府委員(佐藤孝行君) 労使が協調して初めて安全性の確保並びに大量輸送機関としての使命を果たすものじゃなかろうか。したがって、今回の闘争を見たとき、いわゆる闘争のための闘争という印象をマスコミその他で批判されているのは、そのとおりだろうと思います。私は、労使ともに、この際、国民の立場に立って、お互いがよく話し合って、一刻も早く問題を解決するよう指導してまいる、かように考えております。
○宮崎正義君 総理、この国鉄のいまの問題は、いまに始まったことじゃないと思うんですね。相当長期にわたっていろんなことが伏在されて今日に及んでいるのだと思うんです。ですから、総理大臣として、この今日の事態のことをどのように判断なさっておられますか、伺っておきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま、今朝の新聞を政務次官から借りて目を通したのですが、これは、先ほど来の答弁からいたしますと、やや書き過ぎの感はあるだろう、かよに思います。ことに、私のように国鉄出身者から見ますと、どうも事柄の性質は、先ほども政務次官から答えたとおりでございます。これは佐藤という同じ名前だからというわけじゃございません。ちょっと違うが、答えたとおりだと思います。ことに、この中にも書いてございますが、労使双方がいままでの行きがかりを捨てて、ほんとうに国民のために話し合う、闘争から話し合いの形にいかないのか、こういうことが指摘されております。私は、そういう意味でいわゆる管理者側はこの問題に臨んでおると思いますし、組合側も、順次そういう方向にいくのではないかと思っております。ただ、一対一の関係でなくて、組合と申しましても、最近は組合がずいぶん分化しているというか、そういう形もありますので、私がいた時分のように話し合いをつけるということはなかなかむずかしいことだ、困難さもございます。しかしながら、事柄の性格上、いわば国民の足だ、こういう立場、同時に食料確保、そのための絶対必要な輸送機関、かように考えて、その重要性をも十分に考えて、とにかく労使対立でなく、話し合いで、そして国民に奉仕する国鉄であることが望ましい、かように思います。そういう意味で、先ほど来も答弁をされておったようです。私は経験者の一員として、ただいまのように考えますので、労使双方において十分に話がされること、これが望ましいことではないかと思います。 ただ、誤解のないように申しますが、総理大臣の立場でかような話をいたしますと、いかにも、現実にただいま展開されておる労使紛争に介入した、かようにとられがちでございますから、私は、そのことだけはどこまでも中立は保っていく、政府は中立である、かような立場でございますので、その点は誤解のないようにお願いいたします。
○宮崎正義君 中立の立場であるがゆえに、よけい国民という、ここに根を置いて、いっときも早く解決をされることが何よりだと思います。 そこで、こういうふうなことをやっておりますと、国鉄自身のやはり損失というような大きなものが出てくると私は思うのです。また、国鉄が赤字を解消するためにいろんな問題点を一ぱいかかえておることも、われわれ承知しております。こういうようなことも損失額の一つになってくる。それからまた、さらには、せんだってのような船橋の駅のあの大事故、ああいう事故がもうたび重なって生じてくる。ああいう事故がどれほどあるでしょう、近年。額はどれくらいの損失になっているか。何年にはどれくらい、何年にはどれくらい、こまかいのをあげれば一ぱいあるでしょう。河川が切れたとかどうだとかこうだとか、いろんなことがありましょうけれども、大きい事故についての、ここ四、五年来の額がわかれば幸いだと思います。
○政府委員(佐藤孝行君) お答えします。 最近、国鉄の事故は、平均すると減少ぎみにございます。しかし、過去三年間の統計を申し上げますと、直接損害並びに保険金の支払いの損害を含めて、四十三年度約十億円、四十四年度十億円、四十五年度十三億円、国鉄財政再建整備にそれほどの影響はないものと判断しますが、事故がないにこしたことございませんので、より事故を防止するように今後とも指導していく所存でございます。
○宮崎正義君 私どもの頭では、十三億なんといいますと、ちょっと机束を重ねてみても、たいへんわからないんですけれども、再建にはたいしたことないとおっしゃいますけれども、これが私は、赤字の上に大きな波及をしていく原動力になる、そのために再建計画というものも相当おくれてくる、このように思うんですが、いま、たいしたことはないとおっしゃったことがどうも気になるんですけどね。
○政府委員(佐藤孝行君) あるいは私のことばが足らずしてそういう印象を受けたとすれば申しわけないと思います。国鉄の財政再建整備に重大な影響はないという判断でございまして、決して十三億の金額が少ないという意味じゃございません。したがいまして、今後とも事故を未然に防ぐよう指導をしてまいる所存であります。
○宮崎正義君 国鉄運賃の論議は、もう長い間繰り返されてきております。貨物運賃の公共割引制度が、四十七年、ことしの十月に全廃されるというふうに聞いているわけですが、そのとおりでしょうか。
○政府委員(佐藤孝行君) そのとおりであります。
○宮崎正義君 これもやはり、先ほどおっしゃった国鉄の財政再建計画の一環としてお考えになっているということでございますね。そうなんでしょうか。
○政府委員(佐藤孝行君) お答えいたします。 農林水産物をはじめとする公共割引の対象貨物については、公共割引制度の是正と今回の運賃改正が重なった場合、他の物資に比べてその影響が大きいことは御指摘のとおりだろうと思います。これらの公共割引は、経営状態の悪化と、その独占性を喪失した現在の国鉄にとっては、過度の負担となっているのみでなく、利用者の運賃負担の公平をはかる意味からも問題がありますので、その是正をはかってまいったところであり、やむを得ないものと考えております。 なお、これらの対象物資については、その流通コストを下げるため、コンテナの開発あるいは直行輸送列車の設定並びに発着基地の整備など、流通改善の面で力を注ぎ、国民の期待にこたえていきたい、かように考えております。
○宮崎正義君 実際上、お考えのように、すっとスムーズにいければけっこうなんですけれどもね。いまもお話がありましたように、物価対策の上から、これは当然でありますし、産業経済振興の上からでも非常に大きな影響を与えてくるということは、これは私どもはえらいことだと思っているんですよ。しかも、平均二四・六%という値上げ幅が予想されている。またさらには運賃等級の集約も考えられている。こういうふうになってきますと、いまの御説明のように私はすなおにとれていけないんです。特に北海道の場合なんかを考えていきましても、一口に北海道価格と言われるほど状態が違っている。そういう長距離間におけるもの、それらに対する影響というものは、流通コストにしても、それが与えていく物価の問題にしましても、そう簡単にいかないと思うんです。したがって、これを予定どおり切り捨ててしまうんだと、そういう考えをもう少し深く考え直していかなければならないんじゃないか、私はこのように思うわけなんですが、もう一度御説明を願いたいと思います。
○政府委員(佐藤孝行君) 私も、政治家として同様の考えを抱くわけですが、現在の国鉄の状況、それから国鉄の独占性が逐次失われている現状を考えたとき、年間約五十一億円、昭和二十五年度より現在までで約五百五十七億円、その金額において相当なウエートを占める金額でございます。したがって、今回は国鉄を再建整備し、安全を確保して、大衆輸送機関としての使命を果たす上にぜひとも公共割引運賃は予定どおり実施していく、かような考えでおります。
○宮崎正義君 賛成できませんね。 もう一つ、ついでに伺っておきたいんですけれども、青函擬制のキロ制度の問題ですが、これはどんなふうにお考えになっておりますか。
○政府委員(佐藤孝行君) 私にはあまり詳しくわかりませんから、国鉄を呼んでおりますが、答弁さしてよろしゅうございますか。
○政府委員(秋富公正君) 御承知のとおり、現在青函は船舶で輸送いたしておるわけでございますが、これは、本土と北海道とを一緒に貨物列車として輸送している関係上、便宜上、いわゆる営業キロといたしまして、ただいま先生の御指摘の列車キロというものにしておりますが、これはコスト的にまいりますと、やはり船舶で運んでおります関係で、そういった制度を現在採用しておるわけであります。
○宮崎正義君 もう少し親切に答えてもらいたいのですがね。 年度的に少しずつ緩和してきていますね。そういう考え方はないのでしょうか。
○政府委員(秋富公正君) 現在のところ、船舶のいわゆる経営の合理化という意味で、青函連絡船のコスト・ダウンということは国鉄経営の合理化の一環としてつとめてきておるわけでございますが、直ちにこの擬制キロを改正するということは、現在のところ、考えておりません。これは、いずれ青函隧道ができます際に、あらためて検討すべき問題だと考えておるわけでございます。
○宮崎正義君 きめられた時間がもうないそうなんで、もっとこの問題に少し深く入りたいと思いましたけれども、後日に譲ります。 で、あと三分ぐらいしかないのですが、農産物、また牛乳、乳製品だとか、食肉等の畜産農産物の生産コスト高を見てみますと、飼料にしましても、肥料にしましても、農用資材の高価格というものが大きく農家経済を圧迫するばかりじゃなくて、一般農作物の価格も上げるようになりますし、ひいてはそれが消費者価格に大きく影響を与えてくる。こうした中で、わが国の畜産行政の市場対策が物価上昇の大きな一要因になっているということは、いなめないと思うのです。最近では、飼養頭羽数の増加に伴って、畜産物の生産費に占める飼料の割当というものは、もう年々増加してきております。こういう傾向の中にあって、この購入飼料というものに対して、自給飼料あるいは輸入飼料の見通しについて伺っておきたいと思います。 特に通産大臣には、御存じのように、わが国の輸入の七割を原材料が占めている。このことから考えあわしていきましても、流通業界の役割りが大きいということは、先ほど来から論議されておりまして、安く輸入したものは安く売るという根本的な、基本的な任務が徹底していかなければならない。そういうことで、自給のほうについては、農林大臣といつもお話し合いをしておりますので、また続けることができますけれども、輸入飼料の円切り上げ後の価格変動に対する物価対策という面から、どのように今日まで実質的に寄与しているか。私どもの見ているところでは、円切り上げ後も実質的には影響を与えていない、このように思っているわけですが、この一点しか聞く時間がありませんので、御回答を願いたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 御指摘のとおり、肉の五〇%は飼料でございますので、非帯に大きな影響があるわけでございます。 トウモロコシでとりますと、四十六年の一月、アメリカにおいてはトン当たり二万七千二百二十三円でございましたものが、ことしの一月では一万八千七百七十七円。それからアルゼンチンは、四十六年一月に二万五千七百三十三円でありましたものがことしの一月には一万八千九百三十一円。ですから、これはタイ、インドネシア、アルゼンチン、ブラジル、アメリカ等を総平均いたしますと、トウモロコシの輸入価格は、四十六年一月、二万八千四十五円だったものが、ことしの一月には一万八千四百二十四円でございます。それからコウリャンで同じ数字を申し上げますと、四十六年一月には同じく五カ国の平均がトン当たり二万四千三百九十三円でございましたものが、四十七年一月には一万八千六百九十六円でございますので、これは、平均の切り上げということだけではありません、これは非常に豊作だったという面があるんです。そういう面がございますが、これだけは、平価調整後これだけ下がりましたということをはっきり数字で申し上げられるいい例でございます。
○宮崎正義君 時間が来たので、いまの答弁にも問題がありますけれども、終わります。
○委員長(長屋茂君) 中沢君。
○中沢伊登子君 先ほど竹田委員から洗剤の話が出ました。今度は、私はつけものの話をするんですが、たいへん台所くさい話で恐縮でございますが。 先ほどの竹田委員の持ってこられたあの洗剤ですね、あれは、約二年ほど前に私もあれと同じようなのを買わされました。そのときのは、びんに全部英語で書いてありました。それはその後どうなっているか知りませんけれども、それでちょっと竹田さんのを見せていただいたわけですけれども、これからひとつ、つけものの御質問をいたします。 今度、農林省はつけものにJASを設けるということを伺っておりますが、つけものは日本人の大切な食品であり、また、たくさん食べるもので、つけものにJASの規格を設けようとするのはたいへんいいことでございます。私ども賛成でございますが、最近、農林省は、酢づけの原料表示について、公正競争規約と一致しないままで農林省サイドで早々にこれをきめてしまった。業者サイドに立っているので消費者を軽視していると、こういうようなお話もしばしば私のところにやってまいりますので、ひとつ、これについての御説明をいただきたいと思いますが、このことが一部の新聞にたいへん大きく報道されました。このことによっても、私どもは、そうかなあと、こう思うわけですけれども、どのような意図と経緯できめたか、これを具体的に説明をしていただきたいと思います。
○国務大臣(赤城宗徳君) いまの問題は技術的で私は詳しく承知しておりませんので、事務当局から御説明いたします。
○政府委員(小暮光美君) 御説明申し上げます。 加工食品のJAS規格の問題につきましては、私ども、消費者の要望を承知いたしたいということで、昨年、モニターをお願いいたしております御婦人方にアンケートをいたしました。役所としても、主婦ができるだけ早くつくってくれというふうに希望いたしておるものから取り上げてJASの制度を拡充したいということで調査をいたしたわけでございますが、つけものにつきましての要望が非常に強いことを、そのときに承知いたしたわけでございます。主として着色の関係、添加剤の関係、そういう点についての不安が、かなり大きな動機になっておるというふうに、お答えの中から読み取れたわけです。しかし、そういう添加剤なり着色の問題のほかに、当然、原料としての野菜の姿、あるいは御指摘の酢づけの場合には、特に、これをつけますために——私もあまり直接自分でつけものをつくっているわけじゃありませんので、あれですが、つけ床という、要するに調味資材をまぜ合わせたものが必要なわけでございますが、それを調合した、つけ床の中に野菜類をつけまして、それで酢づけをつくるわけですが、これらの原料のあり方、それと着色剤なり添加剤の姿、こういうものを知りたいというのが消費者の強い要望であるというふうに承知いたしております。したがいまして、これらの要望にこたえるように、私どもといたしましては、専門家の調査会の議論を通じまして——これには当然消費者の代表ということで御委嘱申し上げておる委員の方もおるわけでございますが、これらの方々の御意見も徴しながら、それぞれの手続を経て、現在、一応の案ができ上がっておるわけでございます。ただ、実は、酢の問題につきましては、つけものの問題に至ります前に、かつて、酢酸をちょっと加工した程度の、いわゆる人工の酢と醸造しました酢の間に、表示の問題で、かなり長期間にわたってメーカーと消費者団体との間に議論がございました。これは公正取引委員会がお取り上げになって、現在、公正競争規約というものができております。これでは、酢を調味料として販売いたします場合に、醸造酢であるか人工の酢であるかということを明らかにするようにということになっておるわけでございます。したがいまして、その話から直ちにいまのつけものの話につなぎますと、当然、酢づけの場合のつけ床のつくり方、これを表示いたしますときに、本醸造の酢が使ってあるのか、それとも人工の酢が使ってあるのか、こういうことを表示すべきであるという御意見が当然出てくるわけでございます。これは、ただいま申しました調査の過程で、そういう御主張がはっきりと述べられております。ただ、これを実は最終的に採用しなかったということから、先ほど御指摘のような新聞記事が出たというように思いますが、この事情は、実は、たとえばトマトケチャップのように、それ自身が調味料である、しかも、これをつくります場合に、最終段階で酢を添加して最終製品にする、こういうような場合に、私どものほうも、そこに添加されたものが醸造酢であるか、それとも人工の酢であるかということを表示さしておるわけです。ですから、農林省としても、その辺の問題をちゃんと承知しておるわけですが、どうも、つけものの専門家にいろいろ専門的に意見を述べさせますと、結局、先ほど申しましたつけ床の中で酢酸の成分が野菜に乗り移っていく。その過程で、ほかにもいろいろな調味料をまぜるわけです。クエン酸とか、その他さまざまの酸類を適宜まぜることによって、そのメーカーとしての独特の味を出すわけでございます。しかし、全体として、酢にさまざまな、ほかの酸類をまぜまして、その中から窒素分——これは俗に味になるわけですが、窒素分と、それから酢酸分、これが野菜の中に乗り移っていく。そこで、そのつけものの味が出てくる。その際に、醸造の酢だけでつけたり、あるいは人工の酢だけでつけたりという形が現実にないわけです。そこで、酢に必ず何らかのほかの酸類をまぜる、そういたしますと、酢に、ほかの酸類をまぜた姿のものは、現在の考え方からいけば、これはもはや天然醸造の酢ではない。ですから、そのもとに天然醸造の酢を入れたのだと、こうおっしゃってみても、天然醸造の酢に、さらにほかのいろいろな酸類をまぜて味をつくってしまうわけですから、そのつけ床なるものは、醸造の酢を使ったのか、それとも酢酸類にいろいろ加工したのか、これは判定が不可能になるわけであります。そういうことと、もう一つは、いま申しました、味が野菜分に移っていって、つけもの独特の風味が出る過程では、実は酢が直接調味料として使われる場合のように、醸造酢であるか、それとも人工の酢であるかということで生ずる品質差がない。それは、酢酸分が、要するに野菜の中に一定の時間の間に熟成されて移っていくんだと、移っていくものは酢酸であるということでございまして、そこに、どちらを使ったからといって、つけものとしての品質差は出てこないのだという説明でございました。 これらの説明を全体として納得いたしまして、調査会は、私どもが現在つくっておりますような案に賛同されたわけでございます。この点は、しかし、やや専門的なことでございまして、私どももこれを正式に告示いたす前に、そこまで事こまかに各方面にPRする手段もございません。せっかくの御質問で、このことを、この場を通じて御理解をいただければ幸いだというように考えております。
○中沢伊登子君 この新聞の記事ですね。「不良品の規格化だ」、例とすれば、「大根85%の福神づけもOK」と、こういうふうに大きく書いてあるわけですけれども、福神づけなんか、こういうふうな内容が最近ずいぶん品質が低下しております。ですから、この辺を十分ひとつこれから注意をして、ただ、食酢だの、しょうゆづけだのというJASマークだけでなくて、その内容を、ひとつ私はぜひ検討をしていただきたい。お願いします。
○政府委員(小暮光美君) ただいまにつきましては、あの新聞をよくお読みいただくとわかりますが、当時素案を出しまして、いろいろ御相談いたします過程で、最初に出ました案が八五%なんです。福神づけという場合に、妙な話ですが、七福神になぞらえて、七つ入っているところで福神づけになるわけでございまして、大根以外のものを一定量入れないと福神づけというふうに言えないと。そこで、その大根以外のものを数量として一五%と切るか、二〇%と切るかという問題なわけですが、考え方としては、やはり大きく樽につけました場合と、最後に小袋に詰めます場合と、どうしても技術的に液状に完全に混和するものではございませんから、七種類の野菜をきざんでつくったものですから、最後に抜き取り検査等するときに、小袋詰めになったものを幾らとするかというところが実は一つの論点なんです。そこで、安全度を見て一五%ということにしておったわけでございます。しかし、その点は、実際に市販されておりますものの品質をできるだけ引き上げていくという、そういう指導の意味からいきますと、確かに、もう少し上げたほうがいいだろうということで、最終的にきまりましたのは、大きな樽に詰めて業者がお互いに取引する、この段階のものは大根が八〇%以下、したがって、それ以外のものは二割以上ということにいたしました。ただ、小袋になって、小さな袋で市販されます際に、その場合は、検査して一五%まででもそれはかまわない。こういう形に整理いたしまして、これも全員御納得いただいております。
○中沢伊登子君 公取にお尋ねをいたしますけれども、いまのつけもののことで農林省と公取はこの問題について、どんな協議や調整を行なったか。御答弁願います。
○政府委員(谷村裕君) JAS規格をつくります際に、事実上の両省間におけるいろいろな打ち合わせと、協議という、まあ法律上のことばがいいかどうかは別といたしまして、ございまして、私どもの係の者もいろいろと御相談に乗ったようでございます。そして、その際は、そういった品質の規格としての、さっき床ということばをおっしゃいましたけれども、たとえば、お酢ならお酢については、やはりちゃんと分けたが望ましいのじゃないかという意見を申し上げましたが、さっき言われましたような、やはり技術的、専門的な観点からの御判断が最終的にはされたように私は聞いております。
○中沢伊登子君 そうすると、それだけの申し入れでお話は済んでしまったわけですか。
○政府委員(谷村裕君) まあ、行政官庁同士の話というものは、話がつかなければ、いつまでもつかないというやり方の場合もございましょうし、やはり権限を持ち、かつ責任を持って執行されるところがそこの御判断でされるならば、それは一応私どもとしては了承する、さような場合もございましょうし、本件のケースとしては、一応規格をつくるという面での最終的な処理にはまだなっておりませんが、その段階までのところでは、そういうこととして、私どもは一応話は打ち切っております。さようなかっこうになっております。今後どういうふうにするかは、また別かと思います。
○中沢伊登子君 JASマークというものは、最近消費者にたいへん浸透してまいりました。ですから、私どももですけれども、JASマークがついていると何だか安心して物が買えるわけですね。そういう中で、酢づけや、しょうゆづけということだけでこれが販売されますと、もしかして、消費者から、いや——お酢にも、しょうゆにも、いろいろ、こう、段階をきめましたね、先ほど説明のあったような。そういうことであるのに、これは酢づけだけだ、これはしょうゆづけだけだと、こういうふうに表示してあるから、これは違反ではありませんかと、こういうふうなことで、もしも不当表示の申告があった場合、公取はどうされますか。
○政府委員(谷村裕君) 私どものうの、ただいまの公正競争規約の関係では、これは酢を調味料として、あるいはしょうゆを調味料として売る事業者についての問題でございますので、いまの公正競争規約に直ちにどうという問題になるかどうかは、まだ疑問が残りますが、しかし、もう一歩踏み込んで、そもそも酢とか、しょうゆとかいうものについては、およそあらゆる場合について、そういう表示をきちんとしなければ不当表示であるかどうか、こういう御質問であるといたしますと、これはちょっといま私が即答申し上げかねます。なかなかむずかしい問題であろうと思います。
○中沢伊登子君 はからずも、ゆうべ私も書類を整理しておりましたら、これは昭和四十四年でしたか、私が、JASマークを農林省のほうでつけるときに、質問をした質問の原稿が出てまいりました。それをちょっと読んでみますと——これは三月七日、国民生活審議会消費者保護部会から出されたものですね。「食品表示制度についての意見」の中で、JAS改正案の中の表示の義務制の措置は表示の統一化への配慮を含めて再検討すべきである、とそれが述べているわけです。農林省は再検討したのか、するのかと、私、こういう質問をしているのですがね。——それについて御答弁をいただきたいのですが、されましたか。
○政府委員(小暮光美君) JAS法の改正の際に、御指摘のような質問を受けたのは私でございました。その後も、その表示の問題につきましては、常に、もう一つは厚生省のほうの食品衛生、人体保護という観点からの一つの論点と、農林省の食品の品質を上げるという面の論点と、公正取引委員会の取引の公正という点と、三通り行政目的がございまして、最終的にこれが表示されるのは、たとえば一つの、びんなり、かんでございますから、これはてんでんばらばらに行なったのでは消費者が迷惑するという観点で、これらの問題につきましては、常に各関係省が相寄って相談するということを実際上やってまいりたいという趣旨のお答えをいたしたつもりでございます。その後も、そのようにいたしてございます。先ほどもちょっと申しましたように、トマトケチャップが調味料として使われる、しかも、製造の過程を見ても、酢が、最終的には添加物として、酢という形で添加される、こういうものにつきましては、ただいま公取委員長が申されましたように、公正競争規約そのものは、まだそこまでしばっておりませんけれども、私どものほうは、JASの規格でこれをちゃんと使い分けているわけでございます。ただ、つけものにつきましては、現在のところ、専門家の技術的見解は先ほどのようなことでございますので、それを私どもとしては採用した言、他だ、今後、食酢の定義といったようなものにつきましても、さらに、これを突っ込んで関係者の間で議論を詰めまして、疑義が起こらないようにしてまいりたいと思いますし、できるだけ早い機会に食酢についても、はっきりとしたJAS規格の制定の方向に持ってまいりたい、というふうに考えております。その際、公正取引委員会とも、また十分事務的な打ち合わせはする考えでございます。
○中沢伊登子君 私も、当然これは今後食酢にもJASを設けられるようになるだろうと、最後にそれを詰めさしていただこうと思ったのですけれども、あなたのほうから言っていただいて、けっこうでした。まあ、先ほども申し上げましたように、消費者が、もうすっかりこのJASマークになじんでまいりましたから、いまのケチャップの問題やなんかも、いろいろございますけれども、ひとつ、消費者が混乱をしないように、十分公取と農林省と話を詰めて、きちんとしていただきたい、このことを要望いたしておきます。 それから次に、今度は生協法の改正の問題について御質問をしたいと思います。 昭和二十四年にできた生協法でございますが、それからもう二十三年たったわけですけれども、今日、物価問題の観点から、あるいはまた経済圏も広がってきたり、団地等もできてきました、その上に生協法自体に不備な点もありまして、今国会の初めから生協法の改正を目ざしてきたということを私聞いておりますし、私も現にその改正案を再三手にしたわけですが、これがどうも今国会では提出できなくなった、こういう話でございますが、どこに問題があったのか、その理由を、ひとつ聞かしていただきたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 生協法の改正ということにつきまして鋭意検討を重ねておりまして、現在、関係各省とも話し合いをしておるわけでございます。しかし、この物品供給事業というものは小売り業者との競合があるわけであります。それで、なかなか議論が多いわけであります。まあ商工委員会の中にも、中小企業の小売りの問題との競合ができるだけないように、この案は慎重にまとめなければならないという意見もございます。各党でも御検討いただいているわけでありますが、自由民主党の中でも検討いたしております。なかなか最後の議論が詰まらないところがあるわけでございます。これは、事情はよく御承知のことでございます。私は、前向きな姿勢で検討いたしておりますということを公的にお答えしておるわけでございます。できるだけまとめたいということで、いま鋭意折衝中であるということで御理解いただきたいと思います。
○中沢伊登子君 そうしますと、まだ望みなきにしもあらずということでございますね。
○国務大臣(田中角榮君) 望みは捨てておりませんが、なかなか困難な状態にあることも御理解いただきたい、こういうことです。
○中沢伊登子君 そのことを、私も、多少資料を得まして、いろいろ検討をさしていただいているわけですけれども、三月の十七日全国中小企業団体総連合ですか、そこから、経企庁長官に何か反対の意見が出されておりますね。経企庁長官は、これをどうお受け取りになられましたか。
○政府委員(宮崎仁君) ただいま御指摘の中小企業団体からの要請というものは、私どもで拝見をいたしております。結局、その述べられておる趣旨は、中小企業、零細企業に対する措置ということが必ずしも十分でない段階において、生協法の改正によりましていろいろと生協の力をつけるという方向に持っていくことが、やはり自分たちの既得権と申しますか、商権の面からいって困る、こういう面から反対の意見が出ておるわけでございます。それはそれなりに、われわれとしてもわかるわけでございますが、いろいろとそういった面も含めて検討しております。
○中沢伊登子君 この中に、私、しても一つ解せないのは、生協の組織が今後十倍に組織化を進めれば全体主義的協同組合国家に変質すると、たいへんおっかないみたいなことが書いてあるんですけれども、生協の発祥の地は、御承知のとおり、イギリスでございますが、イギリスは一番発達しておりますし、一番早いし、歴史も長いんですけれども、イギリスのいまの国家の状態から見たら、これが理由になるとしたら私どもたいへんおかしな話だと、このように考えておりますのと、それから、佐藤総理大臣ね、消費者保護基本法をつくるときも、何か連合審査のようなことで総理大臣にお出ましをいただいた記憶がございます。それから、物価対策特別委員会でも、再三経企庁の長官からもいろいろ、生協をどうしても育成をしなければいけない、こういうようなお話がございまして、一昨年は実は佐藤語録というのを私どもつくったことがあるんです。いま、それがどこへ行ってしまったか、たぶん厚生省の局長のだれかのところへ持っていったら、それ、くださいということで、差し上げて、それきり写しがなくなってしまいましたが、毛語録でなくて佐藤語録というものを私どもつくったわけですけれども、まあそれくらいにして、総理も、生協を育成しようと、こういうことを何べんも私どもにお約束をしてくだすったんですけれども、いま田中通産大臣のお話を伺っても、通産大臣は衆議院では、はっきりと、これは自民党の国会議員で構成している酒販問題懇談会の反対が強かった、こういうことをおっしゃっていらっしゃるけれども、そういうグループでも、また全国の中小企業団体の総連合からも反対の意見があって、これは零細企業を育成しなくてはいけないとか、いろいろのところで競合があるものですから生協法をすぐ改正するわけにいかないというお話があるのですけれども、そうなると消費者というのは一体どうなるかしらという感じがするわけです。そこでひとつお答えいただきます。
○国務大臣(田中角榮君) まず、消費者の利益を守らなければならないということを大前提にいたしております。それで、生協そのものも拡大していくということに対しても賛成であります。第三は、生協というものが小売りに占めるシェアというものを考えましたら、それほど大きなものではないということでございます。この三つの観点から言えば、生協法の改正をこの国会に出すということになるわけでございます。それがなかなか意見がまとまらないというのは、時期も悪いということもあるんです。それは、ドル・ショックがあり、円平価の調整があり、非常に不況である、こういうことで、中小企業は、いま超緩慢だといわれる市中金融によって自転車操業が一部続けられておるんだ、輸出も非常に出ているとは言いながら、一部においては二百七十円ベースなどということで、たたかれている、しかし、それをやらなければ仕事にならないということで、そういうものを続けておるんだという状態もあります。そういうような意味で、中小企業全体が、これは生産のほうが一番打撃を受けておるわけですけれども、しかし、中小企業、零細企業というと、生産段階だけではなくて、流通段階の中小企業もみんな不安感を持っておる。こういう感じが、この協議の過程では非常に強く出ているんです。ですから、原則的には、総理が述べられたような生協法の改正案を出したい、また出さなければならないということをみな理解しておるんです。ですから、こういう問題で第一線でごたごたしないように万全の配慮が必要だということ、納得の上にということが前提になっておるということが、時間がかかっておるということで、御理解をいただきたいと思います。
○中沢伊登子君 その点では、生協のほうも、そうゴリ押ししようとは言っていないわけです。 そこで、生協法の改正というものは、もうここ数年来、ずいぶん生協も努力をしてまいっておりまして、いよいよことしくらいが一番いい時期ではないかと、生協は踏んだわけです。私のほうにもいろいろ頼みに来られたわけです。その中で、たいへん何というか壁が厚いものですから、それならばと生協は譲って、せめて地域制限の緩和、これだけはしてほしいと、こういうふうに、生協のほうは、だいぶ譲られたわけですけれども、それすらもなかなかもが多くて、改正案がなかなか提出できない。それから、生協の問題について、よく員外利用をするからいけない、そういうふうなことを言われますが、生協もだいぶ店舗が大きくなりまして、組合員だという者に全部定期みたいなものを持たして、これを持ってこなければ入れてやらないとかなんとかいうことはなかなかできませんで、むしろ、業者の方が入ってきまして見にくるわけです。業者は生協員じゃありませんから、その人が物を買って出て行って、さあ生協は員外利用を許しているのじゃないかというふうなことを言われることもしばしばございます。そういう点もありますので、員外利用を全然禁止する、こういうことは、ほんとうを言ったら、なかなかむずかしい問題だ、そこら辺を御理解いただいておいて、今後生協法の改正ができるように、こういうふうにお願いを申し上げたいわけですけれども、それならば、たいへんむずかしいことであれば議員立法で提出したらどうだろうか、こういうような話も実は出ているわけですから、ひとつ、その辺はまた十分御検討をいただきまして、できる限り、消費者問題もいま重大なときでございますから、ひとつ御検討をいただきたいと、このように考えるわけでございます。 次に、いまお酒の問題が出たんですけれども、やはり生協の問題ですけれども、これは、なぜお酒のことを私申し上げますかと申しますと、私なんか、地元に帰りますと、あれは生協の人間だというレッテルが張られているわけです。それですから、どっかで急にお酒でも買いたいと思いますね、そうすると、あなたは生協の人間だから生協から買ったらいいじゃありませんかと言って配達してくれないんですよ。ほんとうに困るときがあるんです。そう言われれば、灘神戸生協は、おかげさまでお酒は免許になりましたから、切れないように置いておくわけですけれども、私もこのごろ、こうやって東京へ来るチャンスが多いでしょう、そうすると、留守番の者が困って、「電話をかけても持ってきてくれない、奥さんどないしましょう」というふうなことになりまして、こんな差別をされたんでは、よけい私どもとしても生協の改正をして、お酒も生協で何とかして取らなくちゃ消費者がずいぶん不利益をこうむるじゃないかという感じにまでなるわけです。幸いに、灘神戸生協はお酒の免許をいただいておりますから、かまわないわけですけれども、そういうようなこともあって、この酒類販売の免許の付与がなかなか生協に実はされていないんです。 そこで、この問題については、もうすでに説明をするよりも、国税庁長官は十分御承知のことでございますけれども、国税庁長官にひとつお伺いをしたいんです。生協には酒類販売の免許を許可をしてはならないという規定か根拠があるのかどうか、そして、もしそれが根拠がなければ、なぜ許可をしないのか、その辺を御答弁いただきたいと思います。
○政府委員(吉國二郎君) 生活消費協同組合に対して酒の免許をおろしてはならぬという法律は、もちろんございません。また現に、御指摘のように、灘生協のように免許を受けておるところもあるわけでございますので、問題は、具体的に生協に免許をおろす条件があるかどうかということになると思います。御承知のように、一昨年の六月九日に、物価対策閣僚協議会におきまして、免許事業については消費者の利益のためにできるだけ要件を緩和するようにという御指示があったわけでございまして、現在、実は私どものほうも免許をおろしますにはいろいろ基準がございます。その基準は大体三つございまして、人的要件と、それから距離要件、さらに需給のバランスの要件、三つございますが、これにそれぞれ特定の場合にだけ弾力条項をつけておりますけれども、その物価閣僚会議の結果、私どもといたしましては新しい指示を出しまして、弾力条項を全面的に使って、できるだけ弾力化するようにということを言っております。実際、税務署においては、生協の免許も全国的に見ますとかなり出ております。その中で、免許になったものもございますけれども、距離要件その他でうまく合わないというものがございますのと、先ほど御指摘がございました酒の免許というのは、いわば営業を制限しておるわけでございますので、ある地域に免許をおろす場合には、その地域の人間が制限的に扱われては困るという意味で員外利用をすることを条件にして免許をおろしているわけでございます。そういう点で員外利用の許可がとれないというようなこともございまして、やや生協の免許がおくれているということはあり得ると思いますけれども、私どもとしては、極力その条件のもとにおいては平等に、一視同仁に扱うということを第一線にも指示をしている次第でございます。
○中沢伊登子君 それでは例を一つ、横浜生協の戸塚区の和泉町の生協に例をとってみます。 この生協のあるところは、昭和四十三年に世帯数が三千七百三十六世帯、人員が一万四千三百四十七名でした。それが昭和四十七年では、たいへん大きな団地ができて、世帯数では二千六百二十七世帯、人口は九千六百四十八名、これだけ増加をしているわけですね。これ、増加数です。こういうふうに増加をして、それで、生協の店舗から、お酒を売っている小売り屋さんのところまで行くのに、直線コースで行けば五百三十メートルですか、道がついている、それをずっと行けば七百何十メートルかある、こういう話でした。それですから、ここの人も何とかお酒を生協に免許してほしい、こういうことで署名運動もやって、三千八百名かなんかの署名も集まって、やってほしいと、こう言っているわけです。それで、いまの員外利用の件ですけれども、これは横浜の市会でも、もう決定しているのです。横浜の市長も、これを賛成しているのに、どうしてここに免許がおりないか、これをひとつ御説明いただきたいと思います。
○政府委員(吉國二郎君) 私ども具体的な、いまの御指摘の生協については報告を受けておりませんので、ちょっと御説明いたしかねますけれども、御承知のとおり、大体現在年間に酒類の免許というのは五千件くらい出ております。この五千件を各税務署で事情調査をいたしまして次々に処置を決定しているわけでございますが、これは昭和三十二年でございますか、酒類業団体法の通過の際に全会一致で決議がつけてございまして、その免許をおろすについては当該組合の意見を聞けという附帯決議がついております。そんな関係で、私どもも一応は組合の意見も聞かなければならない、また、意見を聞く以上、できるだけ摩擦のないように処置をしていきたいというようなことで、若干時間がかかっております。おそらく、最近出されたと思うのでありますが、この件については税務署で調査をしていると思いますので、近く結果がわかるだろうと思います。
○中沢伊登子君 それは、物価安定政策会議ね、先ほどおっしゃられた、そこの了解事項を受けて国税庁も方針として緩和を打ち出していらっしゃるわけでしょう。ですから、それを通達を出して、これを具体化してほしいわけです。それができないから、何だか小売り屋さんのほうに、ものを聞くのだとなんとかいうことで、結局は、何か、やっていることを聞いておりますと、消費者はみんな、のけものになって、そこら辺だけで、ものがきまっていくような感じです。初めにも申し上げましたように、とにかく、つけものにしても、こういう新聞が出るほど業者サイドでものがきまっている。消費者サイドではものがきめられない、消費者は放っておかれる、こういうことでは私はたいへん残念なことだと思います。そこで、いまお酒の免許を年に五千件ぐらいと、こういうお話でしたけれども、これはもう時間がないそうですから、あとでけっこうですから、いままでに生協にどのくらい免許をしたか、それから去年一年でお酒の免許をおろした件数は何件か、去年一年で生協のお酒の免許をおろしたのはどことどこか、何件か、あるいはスーパーはどうなっているか、農協は、漁協は、そういうのを、ひとつ資料として、私いただきたいと思います。 そこで、もう時間でございますから、最後に一つだけ、これはまた奇抜な提案だと言われるかもしれませんけれども、実は、昨年の秋に物価対策特別委員会が神戸や大阪のほうに視察に参りました。兵庫と大阪。そのときに——兵庫県の神戸市の商店がたいへん込み入っている。それから、いわゆる向こうの小売り市場というのがございます、向こうには。こっちには小売り屋さんというのは一軒ずつですけれども、向こうはまとまってたくさんあるわけです。そこに参りましたときに、そこの商店連盟の人たちが、神戸市からあちこちから集まっていたのですけれども、とにかく私どもの行ったところはたいへん幾つも市場が、こう、重なっていまして、これだけ市場があったら、これで立っていけるのだろうかということを私どもが心配するほどでした。しかし、それだけ商店かまとまれば、市場がまとまっていれば、お客さんは遠いところから、みんなここへ来て、それで自分たちが買いたいものを何軒も何軒も見て買うものですから——もちろん、灘市場だの中央商店街だの、何市場というのがたくさんあるのです、かたまってね、一カ所に。そのほうがお客さんが来てくれるので、たいへんありがたいと、こういう話をしていました。そうしたら、神戸の長田区のほうです、うちのほうには生協も来てくれないから、もう商店街が閑散としている、それで、小さい小売り市場も改造をして、りっぱにして、お客さんに来てもらおうと思うのだけれども、生協すら来てくれないものですから、お客さんの足が遠のいてしまって、ちっともここが発展をしません、というようなお話を私に実はいただいているわけです。だから、商店と生協がせり合ってけんかをするのでなくて、このごろ何かそういうふうなかっこうになっているようですね。生協が来るとかスーパーが来るとかして、そこへみんな商店が集まってくれば、むしろそのほうが、そこが繁栄すると、こういう実例を私ども聞いてまいりましたので、決して昔のように、生協が来たからといって、けんかをするような状態ではございませんから、そこら辺も御勘案をくださいまして、生協法の改正を今後進めていただきたいと思いますと同時に、最近は物価対策特別委員会でも盛んに生協の話が出るわけですけれども、生協の管轄官庁を、厚生省ではなくて、もう経企庁に移していただくようなことは考えられないものでしょうか、どうでしょうか。その点を最後の締めくくりとして総理大臣からお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま突然の御提案ですが、これは十分検討いたしまして、その上で処置すると、かようにいたします。
○委員長(長屋茂君) 委員長から吉國長官にお伺いしますが、先ほど中沢委員から要求がございました資料、差しつかえございませんか。
○政府委員(吉國二郎君) 承知いたしました。
○委員長(長屋茂君) では提出願います。 渡辺武君。
○渡辺武君 私は、いま問題になっておりまする為替差益の消費者への還元の問題について伺いたいと思います。 この問題は、総理大臣も、今度の国会の施政方針の演説の中で、今回の通貨調整を物価の安定に役立たせるというふうに強調されておられます。私は、この点がいまの佐藤内閣の物価対策の大きな目玉じゃなかろうかというふうに思っているのです。そのほかの点については、総理大臣の触れられたところは、もう最初に総理大臣が発足されて以来言い古されたことで、国民だれも、これが効果があるとは思っていないものばっかり。今度この点だけが新たに強調されたということなんです。ですから、この問題がほんとうに実効あるものとして措置されるかどうかということが、物価問題に対して佐藤内閣がほんとうに責任を持ってやっているかどうかということをはかる試金石の一つになるのではないかというふうに思うのです。ところが、きょう各委員から指摘されましたけれども、これがどうも実効があがっていないというのが実情じゃないかと思うのですね。私、調べてみますと、昨年の八月為替変動相場制へ移行後、あのときに比べて輸入価格のほうはかなり急速に下がっているのです。たとえば、八月に比べまして九月は二・八%、十月は四・六%、十二月は六・八%、これはちょっと少な過ぎると思いますけれども、六・八%。ことしの二月は七・四%も八月に比べて下がっている。ところが、そのほかに、昨年の関税の引き下げなどがありましたが、それにもかかわらず、国内の消費者物価は上がり続けている。生鮮食料品を除いたもので調べてみても、上がり続けているというのが実情なんです。国民とすれば大きな不満を持っているというのは、これは当然のことだと思うのです。総理大臣としても重要な公約ですから、おそらく、この点についていろいろ検討されていると思いますけれども、一体、下がらない原因です、いろいろ個々の品目について見れば特殊な要因はたくさんあるでしょうけれども、根本の原因はどこにあるとお考えになっていらっしゃいましょうか。これは総理大臣から伺いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) ちょっと、簡単にはわかりかねます。
○国務大臣(田中角榮君) 御指摘のように、輸入価格が下がっておるけれども、末端消費価格までは影響が少ない。これは、まあ一番大きなものは、自動車などで二〇%近くまで下がっておるものもあります。万年筆もそうでございますし、エアコンもそうでありますし、下がっているものもありますが、ただ、どうも、それにしても下がり方が少ないなというところがたくさんございます。まあ、去年の平価調整から日がまだ浅いということが一つございます。それから、やっぱり流通段階でもって吸収される。いずれ下がるものであっても、いままでのものを、急激に下げなければ売れないというのであれば別ですが、そのままの価格表示をしておっても売れるというところで——それは消費者価格を引き下げるという商人のモラルの問題でもありますが、売れるうちは売ろうということもあります。 もう一つは、在庫品が、前に入れたものが——まあ、いろいろ理屈はあるんです。私はもう、一品ずつ追跡調査をやっているわけです。でも、中にはOPECのように上がったものもありますし、また、相手国が日本向けに商品を輸出する時点におけるFOB価格が上がっているものもありますし、それはもう、これだけ円平価が切り上げられておるんですから、徹底的に通産省は品目別に追跡調査をいたしております。そして、これを、流通機構の改革とかいろんな制度改革に、必要であれば、結びつけよう、しかも、輸入ワクの拡大とか、輸入業者に対するワクの配分についての実績中心の考え方にさえメスを入れようとしておるのでございますから、政府も真剣にやっておるんだということ。しかし、戦前戦後ずっと続いている機構の中で、相当複雑多岐になっておりますから、そういう面が一朝一夕に、直ちに、輸入価格が下がったから末端消費価格にまで影響せしむるということのむずかしさは御理解いただいて、これはもう、これからも必ず下がっていく、こういう方向でなければならない。
○渡辺武君 先ほども討論の中で、流通過程に問題があるということを盛んに強調されておられる。いまも御答弁の中でその点も言われましたが、流通過程に問題がある、物価の下がらない原因があるんだというのは、もう、かなり前から政府が繰り返し繰り返し言ってこられたことです。いまも真剣にやっておられると言うから、まあ真剣にやっておられるかもわかぬけれども、実際、効果はあがっていないですね。私は、やっぱりそこのところをもう少し考えていただかなければならぬ。問題は流通過程に確かにあるかもわかりませんけれども、しかし、単なる流通過程の問題じゃない。その点をはっきり見ていただきたい。 ここに、経済企画庁委託調査ということで、財団法人流通経済研究会というところが昨年の十二月に出した「輸入商品の価格動向と流通機構」と題した調査資料があります。私、これを詳しく読んでみました。で、きょうは時間もないので全部申し上げるわけにはいきませんけれども、たとえはコーヒー豆の輸入あるいはインスタントコーヒーの輸入、これが輸入価格が下がっている、変動相場制に移行した直後に下がっているのに、販売価格が下がらない。なぜかということで調べているんですが、その原因として、輸入商は三井物産、三菱商事、丸紅飯田、伊藤忠、住友商事など、大手七社が八七%の輸入を占めている、こういうんですね。そこに下がらない原因がある。為替差益の吸収率は、輸入商社が三〇%で、問屋が四〇%で、レギュラー業者が三〇%だというような数字まであげている。まだほかにインスタントコーヒーの例もありますけれども、つまり、こういうわれわれのことばでいえば独占体制、近代経済学のことばでいえば寡占といっていますけれども、そこに大きな原因があるんじゃないでしょうか、どうでしょうか。
○国務大臣(田中角榮君) 私も、いまそこにメスを入れておるわけであります。実績中心主義ということで、輸入を実績で割り当てをしておるということになりますと、いままでの取引の国としかやらない。また、その業者としかやらない。そういう意味で、寡占的なものに対しては、先ほども御指摘がございましたが、一ぺんは下げて、シェアがもうきまるともとへ戻す、こういうことをやるわけですから、これはまあ国際商人としてもこういうことはよくないんです。ですから、これは輸入先の多様化もやらなきゃいけません。そうするにはやはり業者を追加しなけりゃいかぬ、こういうことで、もう下げなければ実績中心主義はとらないとさえ私は極言してるわけでございまして、まあ、そこまで一ぺんにはなかなかやれません、長いこと輸入実績のあるものでありますから、そうはいきませんが、しかし、いまのようにウエートの高いようなものに対しては相当輸入業者を拡大するということにしておりますし、また、下がらないようなものに対しては、輸入の割り当て量そのものを拡大していくというわけであります。
○渡辺武君 もう一つ御参考までに申し上げたいと思います。 この独占体制、これが物価値上がりの原因だということは、これは何も流通過程に限ったことじゃないと思います。先ほど原田委員も取り上げられましたけれども、たとえばいまの鉄鋼価格の値上がり、それは、一時はずっと景気が悪くて落ちました。落ちたけれども、最近はずっとまた上がってきている。特に、いまはどうですか。大口取引については数千円の値上げ交渉がいま行なわれているという状態。この直接の契機は、昨年暮れの不況カルテルの認可というところにあることは、もう明らかだと私は思う。ところが、その鉄鋼、この原材料の鉄鉱石ですね、この輸入価格を私調べてみました。そうしますとね、昨年八月に比べて、ことしの一月は一四・九%も輸入価格が下がっている。もしこれを、四十六年に輸入した鉄鉱石と同じ量が四十七年も輸入されるというふうにかりにして、そして一六・八八%の円切り上げで理論的に計算してみますと、一年間に鉄鉱石の輸入だけで六百九十一億八千八百万円の為替差益が出ることになる。そういう状況。そうして、じゃあ鉄鉱石の輸入商社はどうなのかと言えば、これはほとんどメーカーが直接使っているのが実情です。ほんの少数の大企業、これは流通過程じゃない、メーカー。その独占体制にこそ私は問題があると思う。この点をよく見て政策を立てていくことが必要だと思うのですね。 そこで、そういう状況を基礎にして、いま通産大臣おっしゃいましたように、それは輸入量をふやすとか、商社をふやすということも、これも全然無益な政策だとは私は申しません。申しませんけれども、この独占体制、そうして、それからくるいわゆる管理価格、われわれのことばで言えば独占価格、こういうものが、いまも物価の下がるべきところを下がらせないでいるという状況を踏んまえて、どのような対策をおとりになるのか。
○国務大臣(田中角榮君) いま鉄鋼の問題、御指示がございましたが、鉄鋼の問題に対しては先ほど私もちょっと御答弁申し上げたわけです。これは確かに鉄鉱石は下がっております、原材料は下がっておりますが、稼働率がうんと下がっておるのです。稼働率というのは、一億二千万トン以上と見込んでおりますものが八千八百三十万トンであるというところに、対前年度比九五%しか稼働しておらぬわけでありますから、そこで不況カルテルの申請をしなければならない、認可を受けなければならないというような状態になっております。ですから、裏返して申し上げますと、為替差益でもなかったならば、六分配当などというよりも、何もできないような状態になったと。 これはどういうことかと申しますと、対前年度比九五%しか稼働しておらず、値段は三十七年度の価格よりも下がっておるわけです。丸棒は三万一千円になっています。一時は六万五千円、七万円としたものが三万一千円になっておる。そうすると、やはり経常経費がどのくらいかかっておるかということを考えれば、十年間で少なくとも月給も倍になっておりますから——倍以上になっておるわけです。そういう意味で、経常支出の中に占める人件費とか管理費とか、そういうものが大きくなっている。しかも一億一千万トンないし一億二千万トンベースの設備そのものもあるわけであります。だから、鉄鉱石が下がったからすぐ、というふうにはつながらないということだけは……。
○渡辺武君 御答弁中で済みませんが、個々の問題を私問題にしているんじゃないですよ。こういう独占体制が原因になって価格が上がっている。あるいは、輸入価格が下がっているのに消費者価格は下がらぬ。これについて、基本政策はどういうようになさるのかということ。
○国務大臣(田中角榮君) これも、自由競争の原則によって消費価格は下がるということをやらなければ、これはもう還元需要と同じように一〇〇%やっておればなかなか下がるわけがありませんから、やはり業者は適当に複数以上でなければならない。複数というのでもなく、輸入商社が七社であり十社であるということ自体には問題がある、こういうことです。
○渡辺武君 いまの資本主義を、一般に独占資本主義といっております。こういう時代に自由競争の体制を整えろといっても、それは歴史の歯車をあとへ戻すようなものだと思うのです。問題は、こうして独占価格、管理価格が形成されている。それについてコストを調べて、そして不当に高い価格がつけられているようなら、それは引き下げさせるような具体的な措置を講ずることが私は必要だと思う。そういう点について、各省、どういうふうな権限を持って、どういうふうな対策をおやりになっているのか、その点をひとつ端的に、時間があまりもうないですから、お答えいただきたい。
○国務大臣(田中角榮君) 私も、あなたと同じような面からいろいろ考えておるのです。しかも通産行政としては責任者でありますから、これだけ為替差益がありながらなぜ下がらぬのかということになれば、これは責任でありますから、だからそういうふうに下がらないものに対しては輸入の割当ワクから除外するというところまで、私は省内でそういうことまで言っておるのでありますから、そういう意味では、私は必ず下がるということを確信をしております。 もう一つは、やはり金利体系の問題もありまして、まだ日本国際商取引は外貨建てでございますが、やはり円ベースでもって何でもできるわけでありますので、少なくとも金利はもっと引き下げられるという状態であれば、それでしかも輸入業者というものが多くなり、輸入先の多様化ができるということになれば、必ず自由経済の原則で物は下がらないわけにはまいりません。これは質と価格へ必ず反映するというところまで、可及的すみやかに持っていきたい。それが通産大臣の当面する責任である、こう考えております。
○渡辺武君 輸入割当、これも政府の権限の一つでしょう。あるいは政府関係の金融機関から鉄鋼その他の大企業にはかなりの金が出されているし、租税特別措置その他によって特別な減税もやられている。こういうものを大いに活用してやっていく必要があると思うのです。 ところで私はいままでずっとこの物価委員をやっておりまして、この問題について従来通産省その他に質問しまして、一体通産省はこういうことをやるのにどういう権限を持っているんだ、たとえば企業の製品価格、これを調べるために立ち入り検査をやる権限があるのか、あるいはまた不当に高いということを調べて、これを引き下げなさいというふうに言う権限があるのか、もしそれに違反したら罰則で押えるというような権限があるのかということを伺うと、いや、ないということなんですが、どうでしょうか。
○国務大臣(田中角榮君) 私はあまり法律をつくることは、必ずしも成功しないと思っているのです。私は、ある意味で流通機構というものは、法律やいろいろな組織でがんじがらめになって、どうも機動性を欠いておるという面もあると思うのです。これはやはり自由競争でやらせれば必ず下がります。さっき申し上げたように、トウモロコシや飼料は三、四〇%、もう下がっておるのでありますから、そういう問題は、私はやはりあまり法律をつくったり、そういうことをするよりも、通産省には、外国からいうと法律以上の行政指導があるとこう言っているので、私はそんなものはないと言っておりますが、しかし通産省がほんとに輸入の割り当てという、特殊な人に割り当てておるということでありますから、この追跡調査をしなければならない責任は当然あると思うのです。それで下がらなければ、別な措置をしなければならぬわけですから、これは法律がなくても、下がらなければ割り当てをしませんよと、こう言えばいいのであって、これは現に割り当て制度をとっているということと裏はらの問題であって、ひとつ通産省は精力的にやらなければならぬと、こう思っております。
○渡辺武君 それでは、お手並み拝見ということで大いにひとつ期待していますから、がんばってやっていただきたい。 ところで総理大臣は、この二月二日の参議院の本会議で、管理価格についてこういうふうに答弁しておられます。「お尋ねの管理価格等については、独占禁止法の運用をはじめ、」云々、「その是正につとめる」ということを言っておられます。いま、輸入価格が下がっているのに国内の販売価格が下がらぬという問題の根源にあるものは管理価格、ですからこの問題について独禁法を適用して、運用して、これを是正するというふうにこの答弁からは考えられますけれども、その点どう思いますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 現状は、いわゆる管理価格を形成していると、かように言うのは、どうも実情の認識がやや違うのじゃないか、かような思います。
○渡辺武君 それではまたもう一回議論をむし返さなければならぬ。討論の経過は聞いていらっしゃるでしょう。ぼくは、きょうは時間がないから、ほかに資料はたくさんありますけれども、はしょったのです。通産大臣がそうだとおっしゃるから、はしょったのです。じゃあ、何だと思っていらっしゃるのですか、原因は。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど来いろいろお話がございました。私は、時間がたいへん短い短いとおっしゃるから、私もあまり長くしゃべらない。ただ、認識の問題ですから、現状をいわゆる管理価格を形成しているとか、かようには私は考えない、こういうことを申し上げているのです。だから先ほど来議論されたこと、それを私はよく聞いております。よく伺っておりますが、公取が直ちに介入する、そういう段階だとは私は思っておりません。
○渡辺武君 では、通産大臣と見解は違うのですか。
○国務大臣(田中角榮君) 管理価格というものの定義そのものが、まだ不確かでございます。あなたの言われる管理価格というものは何を指すのか、こういうことになりますと、いま輸入して、輸入の価格は下がってはおりますが、しかし末端消費価格には反映をしない。その価格が管理価格であるかというと、これは管理価格の定義の上からいって、管理価格とは言いがたい。これは協定をしてやっているわけではありません。協定の事実でもあれば、直ちに独禁法が発動されるという問題もあります、公取が発動されるわけでございますが、しかし、そうではなく、先ほどから述べておりますとおり、やはり輸入割当をやったり、いろいろなまだ日本に入れなければならない数量が不足であるとか、しかも、いろいろ原因があるのです。 言いたくない話でございますが、先ほどのように国産品が二十六円ないし三十円のものが百九十円というように、百六十六円ですか、そういう五倍くらいの価格で売られておっても、不当な表示をしたりいろいろなことをしておりますとそれが売れるというような問題があるわけです。ですから、それは私はやはり戦後、いろいろ改革すべき問題の一つだと思うのです。ですから、そういうところにいままではメスを入れなかったけれども、私は、少なくとも昨年からこれだけドル・ショックがあり、平価調整があったのでありますから、こういうときにこそメスを入れて、先ほど申し上げたように、とにかくカズノコの輸入ワクが権利化し、トン当たり三十五万円で売られるとしたなら、それはあしたにも自由化しなければいかぬ、きょうにも自由化しなければいかぬと、こういうことを申し上げておるのでございまして、総理が、管理価格はどこかで、政府できめているじゃないかというようなニュアンスの御発言に対しては、やはり考え方がちょっと違いますなと言うのは至当じゃございませんか。私と総理の間には差異はございません。
○渡辺武君 肝心のところへ来るとそうして逃げるというのは、おそらくこれは本気でやる気はないだろうというふうに考えざるを得ませんね。みずから管理価格はそのとおりでございますと言っておいて、そうして肝心なところへくると逃げる。そういうことじゃ、やっぱりこれは実際効果は出ませんよ。総理大臣、やっぱり公約違反ということになりますよ。 そこで、公正取引委員長、わざわざおいでいただいてますので、一、二点伺わせていただきますが、独禁法第二条七項二号、これによって、いま問題になっているこの国内価格が下がらぬという問題ですね、これを「不当な対価をもって取引すること」を「不公正な取引方法」であるとして指定をして、これを禁止することができるのじゃないかと思いますが、どうでしょうか。 また、同条の六項による「不当な取引制限」、この中に、やはり不当に価格を維持し、あるいは引き上げるという問題も含まれていますが、第六項で禁止できるのじゃないかというふうに思いますけれども、どうでしょうか。
○政府委員(谷村裕君) 御指摘の、いわゆる「不公正な取引方法」を幾つかあげられましたが、さらにそれを具体的に、こういうような販売拘束をしてはいけないとか、こういう値段で売れといってやってはいけないとかいうものは、昭和二十八年の九月一日付で告示第十一号というので、いわゆる一般定というのでこまかにいろいろきめております。 そこで、先ほどから伺っております輸入物資等について、総代理店契約等からずっと流れてまいりますいわゆる流通の段階において、いまおっしゃったような、何らかの不公正な取引方法に該当するような拘束なり制限なりが加わっているかどうか、これが私どもの、実は先ほど総理も御指摘になった、独禁法でもってやれる面でございます。それを、私どもは先般来、企画庁あたりからもたいへんしりをたたかれておりまして、私どもとしてひとつ含んでいこうとして、いわゆる流通の段階におけるいま御指摘のような問題をやろうとしているところでございます。 しかしながら、第二に、先ほど通産大臣も言われましたような高級品イメージとか舶来品イメージとかいうような形において、本来もっと競争によって下がるべきようなものが、高ければ高いほどいいものだと思われているような、そういう品物、たとえばレモンといったら、もうサンキストでなければレモンじゃないように思い込み、サンキストレモンなら高いと、しようがないと、こう思っているようなそういう一つのイメージ、ブランドイメージみたいなものになりますと、これはとても独禁法でいろいろやろうというわけにはまいらない。こういうふうに二つの問題があることを申し上げておきます。
○委員長(長屋茂君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(長屋茂君) 速記を始めて。
○渡辺武君 最後にここで、公正取引委員長に一問と、総理大臣に一つ伺いたいと思います。 先ほど通産大臣のおことばの中に、カルテル行為などがあった場合は問題になるが、そうでない場合はちょっと問題にできないのだという御答弁がありました。おそらく、これはいままで公正取引委員会もいろいろ検討されたところだと思う。つまり、現実にカルテル行為、価格協定などがなくても、企業が大きいために事実上の独占行為が行なわれている。そのために価格がなかなか下がらない、上げられるというような状態が、これはまあ普通だと私は思うのです、いまの状態では。そういうものを、今後独禁法を適用して禁止していくおつもりがあるかどうか。これは私はやらなければだめだと思うのです。その点を伺いたいと思うのです。 それから総理大臣、いま答弁は逃げられましたけれども、あなたも物価の問題を、もしかりに真剣に考えておられるとするならば、次の点をひとつ御答弁いただきたいと思います、よく考えて。 独占禁止法のおもな目的に、やはり消費者物価の安定ということをはっきりさせるべきじゃなかろうかというふうに思います。その点どう思われますか。それからまた、公正取引委員会が、不当に高い消費者物価引き下げの勧告や命令が出せるように、現行法の運用を改善するというおつもりがあるかどうか。私、こういうことを申し上げるのは、いままで価格協定、ハムやソーセージなんかもそうですが、価格協定が行なわれた。したがって、これはやめるべきだといって公取が勧告をして、業界もその勧告を受けて価格協定をやめた。やめたけれども、引き上げられた価格は下がらない。そうして公正取引委員会はこれについて何の処置もしない。できないと称して、しない。こういうことでは、せっかくの独禁法も私は画竜点睛を欠くと思うのですね。その点を改善しなければならぬと思う。その点、どう思われますか、伺いたい。
○政府委員(谷村裕君) 総理の御答弁の前に、私としての御答弁をさせていただきます。 第一番目に、非常に力の強い企業ができて、それが市場支配的になってしまったときに、独禁法でいま何かきるかという問題につきましては、先ほども御答弁申し上げましたが、公正にしてかつ自由な競争の結果そういう地位を獲得した企業に対して、いまの独禁法で何かするというわけにはまいらないし、むしろ、それは競争の結果そうなったのであるというふうに申し上げる以外にないのでございます。 それから第二に、消費者物価の安定を、一体独禁法の目的とすべきかということは、これは独禁法というものの考え方が、競争条件の整備、競争条件の維持というところにあるのでございまして、結果として、物価の問題が出てまいります。消費者の保護という問題も出てまいります。しかし、独禁法という法体系が、消費者物価というものに直ちに、それを安定させることを目的とするというふうには、私は独禁法という法律の性質においてむずかしいのではないかというふうに考えます。 第三番目に、価格引き下げ命令等の、具体的な価格に対する措置というものは、独禁法体系の問題として考えますと、やはり私は無理ではないかと思います。しかし、私どもが隔靴掻痒の感を持っていることは、これは事実でございます。ただそれは、隔靴掻痒の感があるということでありまして、それがなぜそういうことになるかということは、また別の経済条件の問題であると、さように考えております。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま公取委員長から一応お答えをいたしました。私に対するお尋ねも同時に公取委員長考えましたが、私は、法の目的はただいまのとおりの説明でいいかと思いますが、立法の趣旨、そういうものは、やっぱり消費者の保護というか、消費者、それを全然無視して運用されるとは思いません。したがって、こういうものができて、いわゆる私権の範囲、それに制限を加える、それだけの値打ちのあること、それは何かといえば、やっぱり消費者を一応考えたということがあるんだと、基本的にですよ。 また、その次の問題は、ただいまも、公取委員長も隔靴掻痒の感を感ずる、かように言っていますから、これまた、現状において法そのものがこれで万全だとは思っていないんだと、このことは裏返せばおわかりだと思います。そういう意味において、御提案の点はさらに検討を要する問題だろうと、かように私は考えております。
○委員長(長屋茂君) 他に御発言もなければ、本連合審査会はこれにて終了することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(長屋茂君) 御異議ないと認めます。よって、連合審査会は終了することに決定いたしました。 なお、本日の連合審査会の開会並びに各委員各位の御質疑に、時間励行が厳守されましたことにつきまして、委員長としまして、御協力のほど厚くお礼を申し上げます。 これにて散会いたします。 午後六時四分散会