P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
68回国会参議院1972/04/27

農林水産委員会 第10号

発言数
79
登壇者
11
会派数
3
開催日
1972/04/27

会議録

高橋雄之助自由民主党

○委員長(高橋雄之助君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  土地改良法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き、これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。

小林国司自由民主党

○小林国司君 土地改良法一部改正案が提出されるに至りました背景あるいはその理由、また現在の農業の中における土地改良事業の役割りと現在進められつつある現在の状況、そういった総合的な土地改良事業に対する理念と申しましょうか、そういう問題については、すでに工藤委員から十分に質疑応答を通じて審議が行なわれております。さらに、またあとで各委員のほうからそういう問題については、審議が進められると思いますので、私といたしましては、主として法文の各条項の中で法の意図するところが十分明確になっていない点、あるいは今後政省令等によって法の運用をはかる上からも、また、今後の土地改良に関する行政的な運営の面から明らかにいたしておきたい点、こういったいささか断片的に流れて恐縮とは思いますが、これから質疑を進めてまいりたいと思います。  まず、条文の中で疑問とし、あるいは条文だけでははっきりしない点、そういうことにつきまして、限られた時間ではございますが、主要な事項だけを取り上げまして、数点にわたってお伺いを申し上げてみたいと思います。  まず第一は、本法の改正案で創設換地という新しい制度が設けらるることになりましたが、計画の時点で創設換地を受ける主体というものが未確定の場合、つまり大体は予想されるようであっても、はっきり確定していないという場合に、だれがこの換地を受けることになるのか、同時に土地改良区がその創設換地を一時的、暫定的に受けられることになるのかどうか、この点について御説明をお願いしたいと思います。

三善信二農林省農地局長

○政府委員(三善信二君) 創設換地の取得主体はだれかということだろうと思いますが、これにつきましては、法文の中でも五十三条の三の二の第二項で準用いたしております第五十三条の三の第二項、ここで一応明記いたしておりますが、土地改良区、それから市町村、農協その他政令で定める者ということに明記をいたしております。で、「その他政令で定める者」といえば、たとえば農協の連合会、そういったものも一応考えているわけでございます。そういうことで、一応創設換地の取得主体というのは、そういうことを考えているわけでございます。

小林国司自由民主党

○小林国司君 その場合に、農地法に基づく転用の許可が必要であるかどうか、この点いかがですか。

三善信二農林省農地局長

○政府委員(三善信二君) これは農地法の中で、農地法の施行規則の五条の六号でございますが、農地法の中で「土地改良法に基づく土地改良事業により農地を農地以外のものにする場合」には、農地転用の許可は要らないと、受けなくてもいいという除外を一応いたしております。しかし、これにつきましてはやはり創設換地を生み出す場合には、農業サイドからのいろいろと考慮をすべき問題は当然あるわけでございますから、そういった目的に沿いまして周辺農地へ工場がもしきた場合には、周辺農地に悪影響を及ぼすとか、あるいは確実にその工場が入ってくるとか、そういったことをもともとねらいとしているわけでございますから、そういう点につきましては土地計画、土地改良事業の事業計画を認可しますとか、あるいは換地の認可とか、そういう段階を通じて、またその後においても十分指導をしてまいりたい、そういうふうに思っておる次第でございます。本質的には、農地法で一応除外をいたしております。趣旨はそういう意味で除外しておりますので、やはりあくまで農地サイドからの効率的な利用、合理的な利用、そういう面からのチェックというものは、実態の運用面で十分これはやっていきたいと思っております。

小林国司自由民主党

○小林国司君 次に、この創設換地の対価でございますが、これは換地清算方式によるのか、あるいはまた地価算定方式によるのか、その地区でいろいろなケースが起きてくると思いますが、農林省の指導方針と申しましょうか、これを放置しておきますと、創設換地の意味が非常にゆがめられるというようなことになってはいけないと思いますので、政府の指導方針をひとつお聞きしておきたいと思います。

三善信二農林省農地局長

○政府委員(三善信二君) これは現在の土地改良事業の中でも、換地の場合にはそういう清算金でひとつ片をつけるということになっておりますし、従来のやり方と同じようなやり方で、この創設換地の場合にもやりたいと思っております。

小林国司自由民主党

○小林国司君 次は五十二条に、換地計画を定めるにはあらかじめ換地に関し一定の資格を有する技術者の意見を聞かなければならないとされていますが、技術者の資格条件は政令で定めるというふうになっておって、一定の国家試験に合格した者がその条件を備えることとなるものと思われます。  そこでお伺いいたしたい第一点は、本法の施行と国家試験とが時期的にマッチしない場合の経過措置、つまり附則の実行の中で、二カ年間はこういう、「意見をきかなくてもよい。」というふうになっておりますが、二カ年たった後、まだその試験の合格者があらわれないために経過措置が必要になるという場合がなきにしもあらずだと思いますが、その場合は、どういうふうな措置をおとりになるか、聞いておきます。

三善信二農林省農地局長

○政府委員(三善信二君) 御指摘のとおり、今回の改正では、暫定期間として二カ年間は一応意見を聞かなくてもいいということにしてありますが、御心配のようなこともあろうかと思いますけれど、この国家試験をやります場合に、大体現在でも相当能力を有する人はいるわけでございます。初年度まあ、一応五百人ぐらいはパスするであろうということをまあ、私ども考えておりますし、まあ、二年度になれば千人以上はその国家試験をパスした人が出てくるだろうというふうに考えております。また、現在までもいろいろ講習その他研修会を通じて必要な地域に必要な講習をやっておりますので、まあ、おそらく二年間あれば大体充足できるようになるだろうというふうに考えておりますし、また、そうしたいと思っております。

小林国司自由民主党

○小林国司君 では、二年間で千人ぐらい合格者が出ると思われるから、経過措置は考えていないと、必要がないと、こういうふうに見ておられるわけですね。

三善信二農林省農地局長

○政府委員(三善信二君) 二年間あればだいじょうぶだというふうに考えております。また、そのやり方としまして、もし多少支障を来たすようなことでも感じられますれば、その国家試験に通った方を現実問題としてまあ、臨機応変にこうやりくりするとか、そういうようなことは、これは実際問題としてやる必要あるかもしれません。いずれにしても二年の経過措置でやれば実務上は大体差しつかえないようにいけるというふうに考えております。

小林国司自由民主党

○小林国司君 次にお伺いいたしたいと思いますことは、換地処分の業務がおくれて各県ともにたいへん困っておる県が多いように見えます。で、おくれている原因は、第一は、この登記事務が非常におくれると、この登記事務というのは、これは法務省の関係ですから農林省に申し上げてもしかたのないことでございますが、現在の状況を、各県の様子を見てみますと、登記所の事務が進まぬために、改良区の職員が登記所に行って登記所のやるべきことを手伝ってやらなければ進まない、こういう状況のようでございまして、あわせてこの換地技術者の養成も非常に遅々として進まない。特にこの換地技術者というのは身分が不安定と申しましょうか、優遇されていないというようなことから、毎年各県で研修して技術者をふやそうとしても、何年かたつと研修受けた技術者がほかのほうへ逃げていってしまう。つまり、換地技術というのは下積みの仕事で日の目を見ないというところから、たいへんどうも技術者が幾ら講習、研修をやってもあまり数が結果的にはふえていかぬ、こういう状況がまあ、見えるわけでございます。したがって、登記事務のおくれと換地技術者の養成ということは、もうしばしばこれは言われておることでございますが、特にここでまあ、お聞きするほどのことでもない、十分おわかりになっていることですから、何とかこれを進めていくようにひとつ格別の御配慮をお願いしたい、これはお願いになります。  それから次にお伺いいたしたいと思いますことは、かりに国家試験を受けて合格して、一定の資格を得た者が改良区にいろいろ出てくる。特に新潟県のように非常に大きな改良区等につきましては、こういう換地技術者が新潟県の改良区にそれぞれたくさんいらっしゃる。そういう人が今度国家試験に合格するであろう。そうしますと、その改良区の仕事が済んでしまうと、その人たちは行くところがない。つまり身分が非常に不安定になってくる。で、土地改良事業が終了して換地処分が終わってしまうと、せっかく養成された技術者というものは、立ち消えになってしまいやしないか。ほかのほうへこう転職してしまいやしないか、こういう懸念がいろいろなところで出てまいりますので、今後、国家試験に合格した一定の資格を持つような換地技術者は、すべて県の連合会に身分を移しかえをする。そうして今後機動的にその県内のいろいろな事業に連合会の身分でどこへでもはせ参じて仕事に携わっていくと、こういうことをすれば、身分の安定と資質の向上と、そしてその県のいろいろ換地技術についての機動力が出てくるという非常なメリットが出てくると思いますが、ところが県の連合会の側から見ますというと、それだけ人件費がかさむ、陣容が膨大になってくるというとベースアップということもございますし、それだけ多くの人をかかえるということについて非常に心配がある。したがって、県連合会がそういう措置をとるということについては、国が事務費あるいは人件費等について将来何らかの援助をしてやるということをある程度約束しなければ連合会としても踏み切れない。こういうふうに思われますので、私はこの際、この新しい土地改良法の改正案で、こういう国家試験を受ける技術者が誕生してくるというのを契機に、こういう人たちを県の連合会に身分を移しかえをして、同時に、国が連合会に何らかの事務的な援助を与えるという道を開かれることが将来のために非常にいいのではないか、こう思いますので御所見を承りたいと思います。

三善信二農林省農地局長

○政府委員(三善信二君) 換地の登記事務のおくれと申しますか、御指摘のとおりまあ、非常におくれているのは事実でございます。で、この問題は、私どもも日ごろまあ、頭を悩ましている問題で、何とかこれを早く促進しなきゃいけないということで、これも先生言われましたように、登記所の手伝いなどをやっているのも事実でございまして、法務省のほうにはかねがね登記所の官吏のほうをもっと増員してもらいたいということを私ども申し入れておりまして、これはまあ、非常に徐々ではございますが、大体最近少しずつふやしてもらっております。それと同時に、今度国家試験をやりまして、その意図はやはり換地の技術者の資質の向上はもちろん、その人方の身分の安定——国家試験にパスすれば、やはり社会的評価というのも、これは認められるわけでございますから、で、そういう意味でいままで転職が多かったようなケースも、これはあろうかと思いますが、まあ、とどまって一生懸命登記事務、換地事務に精進していくというようなことにもなろうかと思いますし、また先ほど申し上げましたように、そういう技術者の方を運用の面でお手伝いを必要な場合には臨機応変に手伝いをしてもらうというようなことも考えていくということで、何とかこの換地の登記事務の促進ということは、いろんな手を尽くして私ども今後最も力を入れてやらなければいけないと思っております。  それから試験に合格した換地技術者の方を県土連に一括してプールしたらどうか。また、それに対して何らかの財政的援助等を将来考えたらどうかという御意見でございますが、この問題につきまして、現実に県土連にプールしているところも、私、千葉県なんかそういうことをやっているんじゃないかと思っておりますが、将来先生の言われますような方向は、非常にこれはまあ、考えなけりゃいかぬ一つの問題だろうと思っております。そういうやり方が今後の換地事務の促進あるいは換地技術者の身分の安定、そういう点について最も効果的であり最もいい方法であるということであれば、将来においてそういう方向を私どももひとつ真剣に取り組んで考えてみたいと思っております。もっとも財政援助等につきましては、まあ、いまここでどうということを言える立場にもございませんが、そういう県等との関連におきまして考え、検討してみたいというふうに思っております。

小林国司自由民主党

○小林国司君 換地技術者の、ただいまの局長の御答弁で、それ以上望むことはできないと思いますが、これは今後日本の農業の上にたいへん大きな役割りを果たしていくような気がいたしますので、特にいま最近困っているはなはだしい県は新潟県でございます。——そこへ次官がいらっしゃいますが、新潟県は数年前からこの問題でたいへん頭を痛めております。新潟県だけではなくて、そのほかの県でも、こういう傾向が非常にあらわれてまいっておりますから、特にいろいろ御検討の上でぜひひとつそういう方向にまいりますように御努力をお願いしておきたいと思います。  次の問題は、各種土地改良事業を総合的に一事業として施行するように制度の改正をなされるようになったのでございますが、お伺いの第一点は、その場合の補助率は加重平均的に地区ごとにきめられるか、あるいは一定の補助率をおとりになる方針であるか、このいずれであるかお聞きしておきたいと思います。同時に、もしも地区ごとに加重平均ということになりますと、これは計画変更や設計変更が起こってまいりますと、そのつどたいへんやっかいな補助率の変更が起こってまいります。そして組み合わせておる各種土地改良事業のそれぞれの受益区域が異なっております場合には、収拾つかぬたいへんなやっかいな問題になりかねない、こういうことが予想されますので、加重平均ということは理屈に合うようで取り扱い上まことに困る、こういうふうに思いますが、まず加重平均的にお考えになるのか、一定補助率の方式をおとりになるのか。それをまずお伺い申し上げます。

三善信二農林省農地局長

○政府委員(三善信二君) 現段階でまだ割り切った考えは持っておりませんけれども、私は将来の方向としては、いま御指摘のようないろいろな問題が出てまいりますので、加重平均でやるということは事業の実施面でもなかなかやりにくい点もございますし、まあ、できれば一本の補助率というようなことを考えていきたいと思いますが、全部が全部すぐそういうふうにするというわけにもまいりませんし、まあ現在でも必要なのは一本の補助率でやっている県もございます。まあ、方向としてはそういう方向で検討していきたいと思っております。

小林国司自由民主党

○小林国司君 いまきめてはいないけれども一定補助率の方向で検討努力をしていきたいと、こういう御答弁と理解しておきますが、その一定補助率について考えてみますと、組み合わせる事業の内容と、それからいろいろ組み合わせする事業の中で、何にウエートが置かれるかということによって一定補助率自身もきめるのがたいへんこうやっかいな問題が出てまいります。同時に、たとえば組み合わせの事業の中に県営級、団体営級、いろいろ入りまじった場合には、これはすべて県営級に格上げして実施ができるのかどうなのか、こういう点についてはいかがですか。

三善信二農林省農地局長

○政府委員(三善信二君) まあ、御承知のように補助率というのは、いろいろな角度から考えてきめているわけでございまして、現在では、それぞれの事業ごとに、またその事業の規模の大きさ、あるいはその受益の範囲、農民の負担の限度、あるいは政策的な判断、そういういろんな角度からいま個々の事業ごとに原則はきめているわけでございます。それを組み合わせます場合に、やはり一本にすると申しましても、なかなかむずかしい問題が出てくるということは御指摘のとおりであります。で、私どもできれば、なるたけ有利なようにきめていきたいという気持ちは、当然これは持っておりますけれども、その組み合わせ方によって、一本にする場合のやり方も、非常に割り切った一つの一定の方式でやるというわけにもまいりませんし、まあ今後の問題として私どもも検討していきたいと思いますが、県営と団体営みたいなのを一緒にする場合に格上げしたらどうか。まあ、きわめて常識的な御議論かとも思いますけれども、そういった問題も、単に格上げすると申しましても、そうもまいらぬ点もございますし、やはりこの事業の効果ないし規模なり、そういうのを総合的に判断して、やはり違った角度から考えていかなきゃいかぬと思います。ただ、やる場合にも、いろいろ前向きに私どもは、考えてまいりたいというふうな気持ちでおります。

小林国司自由民主党

○小林国司君 補助率をきめる場合に、県営級だけの組み合わせということは、おそらくこれはあり得ないと思います、将来も。県営級があり、団体営級があり、あるいは非常に種類の違ったもの——まあ土地改良事業の中ではございますが、いろいろ組み合わせる場合に、ケース・バイ・ケースで、一定の補助率のきめ方に際して、あるいは県営にするのか、団体営にするのかというような場合でも、これはもうそのつどたいへんめんどうなことが起こると思いますが、私が申し上げようと思いますことは、県営級に団体営がくっついた場合には、すべて県営に格上げして実施してやっていただきたいという気持ちから申し上げておるわけでございます。で、特にこういう総合事業というのは——一つずつの事業を、一つ終わったら次の事業というふうにやってまいりますと、地元負担はまあ、細く長く負担をしていくというかっこうをとるわけでございますが、総合事業というのは、結局盛りだくさんの事業を同時に実施することによって、たいへんその地域の農業の発展の上に大きなメリットが出てまいりますから、総合事業はこれは望ましいことではございますが、一方、この地元負担から見るというと、盛りだくさんの仕事を一時にやっていくと、まあ補助率については分解してやるのと総合するのとそう差はないにいたしましても、地元負担が一時にかさんでくるという苦しい面が出てまいります。そこで、せめて——あとでその資金の問題にも触れてみたいと思いますが、せめて事業の効果が発生するまでの間、据え置き期間を延ばしてやる。もちろん公庫法の改正という問題が伴ってくるとは思いますが、事業の効果が発生してから償還に入れるように、そういう総合事業——まあ総合事業もピンからキリまであると思いますが、総合事業については、そういうふうに効果が発生してから償還できるような何か便宜を計らってやるような方法をおとりになる気持ちがおありかどうか、こういう点をお伺い申し上げます。

三善信二農林省農地局長

○政府委員(三善信二君) 御指摘のような御心配もあろうかと思いますけれども、この総合事業をやります場合に、従来の個々の事業を今度は一緒にやる、しかも同一の手続でやるということで、効果はやはり非常に大きくなると思うわけでございます。特に、総合事業をやるから農民負担が特にかさむということには、理屈はならないだろうと思います。しかし、一ぺんに大きな金額で、効果の問題と別にすれば、大きな金額に負担がなるというようなことはあろうかと思います。  で、いまお尋ねの償還条件の問題でございますが、これは私ども実は、まあ、最近の農業事情と申しますか、四十七年度の予算で相当多額の経費を組んでありますし、それでひとつ現在の農家負担の状況がどういうふうになっているのか、また、その実態はどういうふうに動いているのか、そういう点をよく早急に調査をしたいと思っております。で、その結果を見て、いまいろいろな補助率の問題、あるいは償還に関する問題等もひとつ今後十分検討をいたしてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。

小林国司自由民主党

○小林国司君 次に、問題を移してまいります。  第九十四条で、国営土地改良事業によって造成された施設を他の公共的事業と共有できる法的根拠を与えられるということになるわけでございますが、その場合、他の公共事業が持ち分権に相当する対価の支払いを国に行なった際、国は都道府県に対し交付金という形で交付するということになるように条文の中に書いてございますが、そこでお伺いの第一点は、都道府県に対して交付金として交付されるわけでございますが、改良区に対して、つまり地元に対して費用の割り戻しについてはどう考えられているのかという点でございます。

三善信二農林省農地局長

○政府委員(三善信二君) 共有持ち分権を与えるという場合には、その対価は、事業費の負担割合に応じて県に交付金を出す、交付するということにしております。で、県はその交付金で土地改良事業の財源に使ってもらいたいと、私どもはこういうふうに期待しております。また、今度は、この施設の建設につきましての地元の負担割合、この負担割合に応じて、地元には一応還元をするということに、土地改良区なら土地改良区に還元をするということにしたいと思っております。で、それは関連する国営の土地改良事業費の負担金、それの未償還分等の部分等についてその金を充当するというようなことをやってもらったらどうだろうかというふうに考えているわけでございます。

小林国司自由民主党

○小林国司君 そうすると、結局その場合には、県に交付されてしまうわけですから、それから先の行き先について国がああしろ、こうしろというこまかいことは言えないと思いますけれども、結局、行政指導でそういう方向に持っていくと、こういう御答弁に解してよろしいわけですね。

三善信二農林省農地局長

○政府委員(三善信二君) そういうことでございます。

小林国司自由民主党

○小林国司君 次にお伺いいたします。  ただいまのは国営事業についてでございますが、今後、都道府県営の土地改良事業の場合に、他事業と共有できる制度がどうも条文の中に書いてないように見えます。やはり県営土地改良事業についても、将来こういった共有持ち分権を与えるほうがベターだ、あるいはそうすべきであるというような場合が起こり得るような気がいたしますが、この問題については農林省はどうお考えになっておりますか。

三善信二農林省農地局長

○政府委員(三善信二君) 今度の措置は御指摘のように国営の造成施設について考えたわけでございます。現在最も必要とされておるのは国営の大規模の施設等でございまして、とりあえずそれを対象にして解決すれば現在のところ一応対処できるというふうに考えて、県営施設については規定を置かなかったわけでございます。現実に県営施設につきまして、そう私ども非常に困っているというような要望ないし、そういう意見はあまり聞いておりませんが、将来そういうことも起こり得るということは、当然考えられるわけでございまして、ただ、県営の造成施設になりますと、これは県有財産で地方自治法との関係が法律的には出てまいりますし、そういう問題もございますので、今回の法改正では措置しなかったわけでございますが、将来非常な必要性が出てきて、また実態にそぐわないというようなことであれば、自治省なんかとももっとよく相談をしながらひとつ検討していかなければならない問題ではあろうかと思っております。

小林国司自由民主党

○小林国司君 次にお伺いいたしたいと思いますことは、第五十七条の三項によって、改良区は、管理規程を設けて管理する農業用の用排水路に、規定以上の廃水が排出される場合には、廃水の量を減ずること、または排出の停止を求めることができるというふうになっております。お伺いいたしたい第一点は、相手方が停止の要求に応じない場合は、一体どう措置したらいいのか。たとえば、民事訴訟に持ち込む以外に方法はないとか、そのほか農林省でお考えになっていることがあろうかと思いますが、つまり相手が要求に応じないという場合にはどうしたらいいのかという点をお聞きしたいと思います。

三善信二農林省農地局長

○政府委員(三善信二君) この問題もともとやはり現在の施設、この財産権に基づいて私は民事訴訟でやるということは、現行で規定なくてもやれるんじゃないかと、法的には考えておりますが、それを制度的にきちっとしたというのが一つのねらいでございます。制度的にきちっとすることによって管理規程もまたそれに即応して整備されてくるわけでございます。そういうことで実態に対処する効果というものは、非常に大きいだろうと思っております。御指摘のように万一相手が応じない、差しとめの請求に応じないという場合にどうするか、これは現行法では救済規定はないわけでございます。先生言われましたように、訴訟に持ち込む以外に方法はないわけです。ただ、訴訟に持ち込みました場合でも、法律にこういう規定がない場合とある場合と、これは訴訟段階での取り扱いの問題、考え方の問題とが非常にウエートが違うのではなかろうかと思っております。管理規程の内容等が非常に明確になってくるわけでございますし、また、差しとめの請求というこの現実の権利を行使したというようなことも、実態がはっきりした段階で訴訟になるわけでございます。訴訟の解決としても非常に私は有利にはかどるというようなことになろうかと期待しているわけでございます。訴訟にならぬ前にやはり一つの市町村あるいは土地改良区、そういう一つのコミュニティの中での問題でございますから、きちっと制度的にこういう規定ができればその中での話し合い、その中での相談、協議等によって相当実態的には解決されていく面が多いのじゃなかろうかということも、実は期待しているわけでございます。

小林国司自由民主党

○小林国司君 そういう場合に、相手が不特定多数で、つまり工場がもう何十もあって、どこの工場からどういうものが流れ込んでくるのか解明のしようがない。つかみようがない。しかも住宅団地からどこからともなくいろんなものが流れてきて、全く不特定多数のために、相手方が確認されないという場合には、だれに話を持ち込んで、そしてこの法律に今度定められるこれに従ってどういう交渉をだれに開始したらいいのか、これは雲をつかむような話だというふうに見ている人がございますから、したがって、こういう不特定多数の場合には、農林省はどういうふうな指導をなさいますかという点を次にお伺いしておきます。

三善信二農林省農地局長

○政府委員(三善信二君) 相手方が不特定多数の場合には、実はほんとうに困った問題で、そういう場合にこの規定をだれに発動、だれに向かって請求するかということは、これは法的にも非常になじまないと申しますか、できないだろうと思います。私はそういった場合には、たとえば団地ができて、市街化が進んで団地ができて、それでどこの住宅から流すのかわからないというような場合には、やはり市町村自体の共同体の一つの問題として、私は市町村に施設の管理の方法、あるいは費用負担を市町村で少し見たらいいじゃないかというような、そういう費用負担について市町村自体に持ち込むと、協議を持ち込むということで解決をはかるということも一つの方法かと思っております。そういう指導はしたいと思っております。また、たとえば、何といいますか、住宅団地で、住宅公団がそこへ住宅をつくったと、そういう場合に、住宅公団の住居に入っておられる方一々にやるわけにもいきませんし、住宅公団自体に何か協議するような方法はないだろうか、そういうことも指導として考えていきたいと、実は、思っているわけでございます。

小林国司自由民主党

○小林国司君 ただいま局長がおっしゃったような方向しか方法はないと思いますが、今度法律がこれがきまって全国の土地改良の関係者がこれを見たときに、相手方が不特定多数でいままで泣き寝入りになっておったけれども、今度の改正案でものを申せるということになったけれども、一体だれにどうやって現実にぶつかっていったらいいのかという判断に困るところがたいへん出てくると思いますから、そういう場合に、ただいま局長がおっしゃったような方向しか私も方法はないと思いますから、それがよく改良区の末端に徹底するように行政的な指導をひとつ、これはお願いでございますが、しておいていただきたいと思います。  次に、用水路が不特定多数のものによって著しく汚染されたために、農作物に非常に大きな被害が出てきたと、そこで今度法律改正でこういう制度ができますけれども、いままで泣き寝入りになっておって、もうこれ以上がまんができないためにやむなく自衛手段を講ずる趣旨からパイプラインの専用用水路に切りかえる。オープンですといろんなものが流れ込んできますけれども、パイプラインだとよそから何が流れてきても、もちろんこれは流れ込んでまいりません。したがって、パイプラインに切りかえることによって自分らの専用用水路をつくって自衛手段を講ずる、これは現に国営事業でも実施中でございます、こういう地区は。これは御承知のとおり愛知県、岐阜県、そういうところでいまもうやむにやまれず、待っておるわけにいかないものですから、自衛手段をみずから講じて地元の負担を覚悟の上で、実は事業に着手しておるというものがございますが、今度この改正法が通りますと、そういう地区についてどういうふうな取り扱いがなされるのか、もうすでにしびれ切らして先に着工してしまったから本法は適用できないのだということになるのか、あるいは何か方法があるのか、こういう点について農林省の御見解をひとつ聞かしていただきたい、こう思います。

三善信二農林省農地局長

○政府委員(三善信二君) いまのお尋ねのような場合でございますけれども、実は現行法の九条の二項でございます。ここで非農地受益者に事業費を賦課するということも一応現行法でもできることになっているわけでございます。私は、こういうやり方で事業費の一部を農民以外の方にひとつ賦課するというようなことも、今後考えていったらどうかというふうに思っております。そういうことによって農民、農家の負担が多少でも軽減になればという考えでおりますが、こういうやり方をまだあまり、現実にこの規定を発動してやった経験は御承知と思いますが、あまりないわけであります。いま御指摘のような地域の事業については、この条項でひとつ賦課していくというようなことも、一つの方法であろうかと思っております。

小林国司自由民主党

○小林国司君 ただいま申し上げましたようなケースは、いまのところそう全国に数が多いわけではございませんけれども、要するに不特定多数のものによって汚染されたために苦情を申し出る相手方がはっきりしない、そうこうしておるうちにしんぼうし切れなくなって、みずから自衛手段を講じて専用のパイプラインを設けなければ、自分たちが死んでしまうということから、やむにやまれずそういう事業に踏み切ったということで、それに対して農業以外のものから費用負担をとる道があると局長、ただいま言われましたけれども、相手方がだれかわからない。したがって、先ほど質問申し上げたとおり、市町村協議に持ち込むしか方法がないのじゃないかという御説明がございましたが、この場合でもすでに自衛手段を講ずるために、着手した事業地区でもこういう市町村協議に持ち込んで、そしてある程度さかのぼってこの新しい法律の精神にのっとって適用されるような方向に行政的な誘導と申しますか、指導と申しますか、そういうことを農林省としてはやっていく、こういうふうに理解してよろしいんでございましょうか。

三善信二農林省農地局長

○政府委員(三善信二君) やはりこういう場合には、市町村に話を持ち込んで市町村負担というようなことを協議するということをやっていくのが一番適当ではないかと思っております。そういう指導も近いうちに私どもしていきたいと思っております。

小林国司自由民主党

○小林国司君 その場合に、問題があまりに大きい場合は、市町村でとても手に負えないというケースも出てくると思いますから、やはり県を一枚その中に加えて県と関係市町村とに協議を持ち込んで処置するということも必要になってくるかもしれませんので、そういう点、これはいまここで農林省は一体こういうケースについてどうするんですかといっても、なかなか明快な答えが出てこないと思います、これはむずかしい問題ですから。したがって、こういうケースについては、せっかく五十七条の三項にこういう新しい規定が今度入ってまいりましたから、これを十分生かすように、今後いろいろなケースについて御検討を加えられて、法律が生きてまいりますように、格段のひとつ御努力をお願い申し上げたい。これはいまここで的確な答弁を求めるということは、これは無理でございますから、御要望にとどめておきます。

三善信二農林省農地局長

○政府委員(三善信二君) 下水道のこれは問題でございまして、下水道の管理というのは、大体市町村が主体でございます。ですから下水道を管理しているのが県が主体になって管理しているような場合も、これはあるわけでございます。そういう場合には、県と市町村両方に話を持ちかけるということができると思います。ただ、現実に本件のケースのように、市町村が現実に下水道の管理をしている、管理主体であるということであれば、やはり直接の相手方は市町村というふうになろうかと思いますが、こういった問題につきましては、御指摘のように私どももっと真剣に検討をさしていただきたいと思っております。

小林国司自由民主党

○小林国司君 次に問題を移しまして、このたびの改正法によって農地保有合理化法人に土地改良事業の申請及び事業実施ができるということになったわけでございますが、どうもいろいろ読んでみましても、事業の範囲というものが明記されていないような気がいたします。つまり農地保有合理化法人は、国営、県営、団体営と、こういうに分けてみますと、全部やれるのかあるいは団体営級だけしか取り扱えないように考えているのか、その点がどうもはっきりどこを読んでも見当たりませんので、事業の範囲についてどうお考えになっておるかという点をお伺いいたします。

三善信二農林省農地局長

○政府委員(三善信二君) 御承知のように農地保有合理化法人の本来の仕事というのは、農地を買ったりあるいは売ったりあるいは未墾地を買って、それを造成して農家に売る、目的はやはり規模の拡大あるいは農地保有の合理化集団化、そういう目的でやるわけであります。したがいまして、この農地保有合理化法人のこの土地改良事業ということも、おのずからそういった点でひとつ制限はされていくだろうと思います。で、私どもが現実に考えておりますのは、この法人が自分で土地を、未墾地等を取得して、その未墾地を造成して農家に規模拡大のために売り渡す、あるいは貸し付ける、こういった場合に、その未墾地とあわせて農地を一緒に取り組んで圃場整備等をやったほうがむしろ適切であるというような場合が、主体であろうかと思っております。したがいまして、規模はどの程度かというはっきりした制限は、法律上ございません。ただし、まあ、小規模なものが私はほとんど大部分であるというふうに考えておりますし、そう大規模なものがしょっちゅうぽこぽこ出てくるというようなことはないんじゃなかろうかと思っております。法律上制限はございませんが、実態的には大体小規模な事業のほうが多いというふうに御理解をお願いしていただいたらいいのじゃないかと思います。

小林国司自由民主党

○小林国司君 ただいまの御説明で農地保有合理化法人に土地改良事業の申請及び事業実施をやらせることが、将来の農業のためにいい場合に、規模は別に規定してないけれども、土地改良事業を合わせて実施させるようにしたんだと、こういう御説明で、それもよくわかります。しかし、御承知のとおり、土地改良事業を実施する機関としては、県には県の連合会があり、そして、個々の土地改良区があって、長い間土地改良事業を一生懸命やって今日に至っております。そこで、今度法律改正によって、農地保有合理化法人の事業の範囲が明記されておりませんために、土地改良事業何でもやれるぞというような、農林省のお考えになっていることとは違った印象を末端で持つようなところが出てくる。そこで、特に九州方面、四国方面では末端でトラブルが起きているように聞いております。そのトラブルというのは、御承知のとおり、土地改良事業についての技術者、あるいは換地処分のいわゆる技術者、そういったものは連合会に所属して、長年技術能力を高めながら、今日まで土地改良事業に従事しておりますが、一方、農地保有合理化法人にそういう権限を与えるということになっても、実は技術者も持ってない土地改良事業の実施ということについては、実績も、経験も、技術能力もない。にもかかわらず、そういう合理化法人にいろいろな土地改良事業が今後大々的に実施するということについては、一体どうしたことだろうか。こういう農林省の考えていらっしゃることが末端に届いていないために起こるトラブル、こういうことがいろいろ伝わってまいります。そこで、この農地保有合理化法人が今後いろいろ仕事をしていくその上に、土地改良事業を合わせて実施することがベターだという場合には、それはけっこうでございましょうが、末端でトラブルの起きないような行政指導を農林省は何かお考えにならないと、末端というのは、中央の皆さん方が意図されるところが十分に正しく伝わってないというと、えてしてとんでもない摩擦と混乱が起きかねないものでもございませんから、将来にわたって混乱の起きないように、そして事業というものが二元、三元的に混乱するようなことのないように、十分な一つの行政指導によって、今度の法律が正しく行なわれるような指導を特にお考えいただきたい、こういうふうに思っておりますので、それについての農林省の御所見をひとつ承っておきます。

三善信二農林省農地局長

○政府委員(三善信二君) 私どもも、土地改良の団体からそういう懸念があるという心配は聞いておりますが、現実にそういうトラブルが起こっているというような実態は、まだ承知しておりません。いずれにしても、そういう心配は当然これはあると思います。したがいまして、先ほど申し上げましたように、農地保有合理化法人が行ないます土地改良事業といいますのは、やはり具体的に申しますと、そういう限定するわけじゃございませんけれども、農用地造成、それに関連した圃場整備とか、しかも、そう大規模なものじゃなくて、小規模なものが多いであろうというようなことで考えておりますし、そういった指導は今後とも十分したいと思いますし、これは末端で、合理化法人に土地改良事業をやれるように法的に講じたことによって、かえってトラブルを起こして円滑に事業が進まないということがないように、十分この点は気をつけて指導してまいりたいと思っております。

小林国司自由民主党

○小林国司君 次に、今回の法改正にあたって、現在進められつつあります土地改良事業の中で、条文からいささか離れますけれども、ぜひこの際明らかにしておきたい、そういう問題について二、三お尋ねを申し上げてみたいと思います。  まず第一点は、大臣及び農地局長が今国会で、しばしば農村の生活環境整備を進めていく意向、これを表明されております。ところで今年から、四十七年度から御承知の農村基盤総合整備パイロット事業という事業がテストケースでございますが、全国に四地区実施されることになったわけでございます。大臣や局長が農村のこれからの環境基盤を整備するのだということを言っていらっしゃいますけれども、いままで衆議院でしばしばこういう問題について審議が行なわれております質疑応答の内容を見てみますと、どうも総合整備パイロット事業等についても、土地改良事業の範疇を出ていないような御答弁に私は受け取ったわけでございます。この際、やはりこういう新しい農村基盤総合整備パイロット事業というような、全国の農業と言わず、その他の関係の人たちからも、この事業の成り行きが非常に注目されている。しかも、テスト事業は四地区でございますけれども、現に調査中の地区は、十数地区から二十地区もすでに農林省では手がけていらっしゃる。各県、特に太平洋ベルト地帯等については、農村と工業とがいろいろこれから共同して事業を進めていくと、こういう形が進みつつある中で、この事業の成果というものがたいへん高く評価されると同時に、非常な注目をもって見られているということは事実でございますから、そこで、その中に行なわれますいろいろの事業について、どうも農林省側の御説明を伺っていると、土地改良事業という範疇で、あまり飛び出たことはやりにくいので、やはり土地改良事業の関連の中で事業を行なうしか方法がない、こういうふうに私が読み取ったのが間違いかもしれませんが、どうもあまり一気にこの総合パイロット事業の中に起きてくるであろういろいろの事業を、一括的に、一貫的に農林省のいわゆる事業として取り扱うことが困難である、こういうふうな御説明のように受け取れたわけでございますが、もちろん、これは一口にその中にあるいろいろな関連事業を一括して農林省が進めていくということを私は、おっしゃることは、なかなかむずかしいと思います。そうして、これは各省にいろいろの関係が出てまいりますから、むずかしいとは思いますが、せっかくこういう新しい制度ができてまいりますのを機会に、土地改良事業の範疇を出ない実施形態であれば、私は意味がないというような気がいたしますので、今後関連する事業をできるだけ広い範囲において、農村の生活環境を改善するという意味合いから、拡大解釈、こういうことによって今後この事業を進めていっていただきたい、こういう気がするわけでございますが、なかなかこれは各省関係、横の問題がむずかしい問題が出てくるとは思いますが、とにかく土地改良の範疇を出ない、こういうことでは意味がないということから、できるだけ広く、環境整備のために広い範囲でひとつ事業を実施していくように、特に御努力をお願い申し上げたいと、こう思いますので、しばしば衆議院等でも審議が行なわれておりますし、おそらくあとで各委員からもこの問題はやかましく御質問が出てくると思いますので、私はまあ要望だけ申し上げておきますが、局長から簡単にひとつ、それに対する心がまえを聞いておきたいと思っております。

三善信二農林省農地局長

○政府委員(三善信二君) あまり歯切れのよくない答弁で非常に恐縮でございますけれども、やはり土地改良法に基づく土地改良事業としてやるということになるわけでございますから、その土地改良事業のワク内を大幅に逸脱するということは、なかなかこれは困難なことだと私は考えております。しかし、一方において、できるだけせっかく農村の環境基盤の整備をやるということでスタートをしたいわけでございます。できるだけその補助対象等、そういうのは広めていきたいというふうに考えているわけです。で、法律上の問題と、やはり予算措置、そういうので解決する問題と、これは二通りあろうと思いますので、私どもはできればそういう予算措置等によって、そういう事業の範囲をできるだけ拡大して今後考えていきたいというふうに思っております。まあ、ことし四十七年度からテスト事業として四地区始めることになるわけでございますが、なかなかこの農村の生活環境の整備ということは、各市町村によってそれぞれ異なった事情がございますので、一律に、一がいに言えない点もございます。そういう意味でテストパイロット事業として始める、で、その事業の実施状況を見ながら、また、前向きな一つの考え方を出していく、こういうふうに正直なところ私ども考えて、四十七年度からスタートをいたしたいと思っているわけでございます。

小林国司自由民主党

○小林国司君 環境整備の問題は、まあ、これはもうとめどもなく議論が発展しますので、もうこれはこれでとどめておきます。  次に、せっかく次官がお見えになっておりますので、次官に二点だけ、ひとつ御要望を兼ねてお伺いを申し上げたいと思いますが、持ち時間があとわずかしかございませんので。第一点は、農業基本法が制定されて、農業と他産業との格差が一向に縮まってこない、その上自由化による外圧もますます強くなる、こういう中で生産コストの引き下げや農業の体質改善を急がねばならない。そのためには、まず土地改良事業が強力に推進されねばならないということは、これはもう大臣が所信表明の中にもおっしゃっておりますが、ところが農産物の生産者価格をむやみに引き上げるわけにいかない事情もございます。さらに農家の大部分が兼業化してまいりましたので、農業に対する投資意欲が減退してきておるところも出てまいっております。それからまた、米の生産調整の政策がいま進められておる。こういういろいろな理由等から、土地改良事業を進めたくても負担の面からなかなか進めにくいというような情勢が、全国ちらほらと出始めております。そこで御承知のとおり、土地改良事業というのは、できるだけ多くの人の同意を取りつけてやらなければならぬ。ところが、土地改良事業に対する要望が毎年農林省にたくさん出てまいっておりますけれども、要望が多いからといって、それは決して土地改良事業に対する負担が楽だという尺度にはなってない。事ほどさように土地改良事業が希望は多いけれども実際に全員の同意を取りつけるということは、今後ますますむずかしくなってくる。つまり地元の負担が高過ぎるような状況になってきておる。そこで土地改良事業に対する地元負担というものが、農業収入から支払っていくんではなくて兼業収入によって得た、そういう収益でもって土地改良事業の負担をしていくというケースが全国たいへん多くなってきておる。こういうことは、いろいろなところで指摘されております。  そこで、次官にお願いを兼ねてお尋ね申し上げておきたいという第一点は、土地改良事業に対する国庫補助率を、全部一律にアップなんということは、とうていこれは不可能でございますから、必要の高いものから逐次補助率をアップするという今後の御努力をお願い申し上げたいことと、もう一つは補助残融資について、御承知のとおり現行のワクが八〇%でございます。これを至るところで要望を聞くわけでございますが、一〇〇%貸してくれと、補助残融資を一〇〇%貸してくれという御要望が至るところでございますが、まあ、一〇〇%ということは、いろいろこれは公庫法ともからんでまいりますからむずかしいと思いますが、せめて補助残融資を九〇%以上貸してやるような制度改正はできないものであろうかということと、もう一つには金利の引き下げ、あるいは償還条件の緩和、特にこの償還条件の緩和あるいは金利の引き下げを一ぺんに実現しようとしても、これはなかなかむずかしい問題だと思います。そこでその中のできやすいものから一つずつでも実現してやろう、たとえば据え置き期間を長くすることによって、事業効果が発生してから償還に入れるようなあたたかい措置をとってやるということもその一つだと思いますが、こういうことから補助残融資、これについてのワクの拡大と条件の緩和、こういうことを一ぺんということは申し上げられないかもしれませんが、逐次ひとつ努力してやろうというお気持ちが次官におありになるかどうか、もちろんおありとは思いますが、どの程度の御決意であるかという点をひとつお伺いいたしたいと思います。  それからもう一点は、土地改良の長期計画、これは御承知のとおりいま農林省で作業をなさっております。そこでその土地改良の長期計画につきましては、もちろんこれは大臣の所信表明にも、また工藤委員からもこの問題については御質問がございました。これからの新しい農業の進展のためには、土地改良事業が先行しなきゃならぬということは、どなたも御承知のとおりでございますが、そのためにはせっかく四十一年につくった長期計画が中途で改定のやむなきに至った。そこで、いま改定作業をお進めになっているわけでございますが、この長期計画をできるだけ早く作成していただくと同時に、特に次官にお願いを申し上げておきたいと思いますことは、せっかく長期計画が今度でき上がりまして、その年次計画に従って、これから予算要求を毎年やっていくという際にですね、もう御承知のとおり、各省関係が前年対比二五%というワクに縛られて、そして特に必要な土地改良事業についても、これは前年対比幾らというワクに縛られるわけではございませんが、省全体の前年対比二五%というワク内で操作しなければならない。そうなりますと、農林省の中に各局それぞれ必要欠くべからざる事業を進めておりますから、土地改良事業だけが進めば、それでいいというわけでは決してございません。いろいろな事業が並行して農林省の中では進められていく必要がございます。そういたしますと、せっかく長期計画が立てられても、二五%の省内のワクに縛られて、そして省内各局がその二五%の中で多少のでこぼこを調整しながら予算の編成を行なう、こういうことを毎年繰り返しておりますと、長期計画と成立した予算との間にだんだんだんだんと開きが出てまいってくる。そして、これが積み重なってまいりますというと、とうてい新しい日本の農業の展開にふさわしい土地改良事業というものの実現がむずかしくなるんじゃないか。これは今後の予想でございますが、そうなりますと、御承知のとおり、この土地改良事業というものは、いま、これからの自由化の問題、あるいは近代化、合理化、いろいろな面から考えても、とにかく先行しなければならない重大な事業であるということの認識は、どなたもお持ちになっておりますけれども、例年のとおりの予算の組み方でございますと、絵にかいたもちに終わりかねない。こういう気がいたしますので、そこで次官にお願いあるいは御決意を承りたいと思いますことは、そういう毎年の予算の仕組みの中で扱うということではなくて、特に農業の基盤を整備するという、こういう重要な事業につきましては、何らか別な方法でもってお考えにならなければ、これは幾ら長期計画を厳密にお立てになっても進まぬのではないかという気がいたしますので、特別な方法、一体何ぞやということになると、これはなかなか問題があるかもしれませんが、そんなことでもたもたいたしておりますと、日本の農業が壊滅的な打撃を受ける日が近いのではないかという心配がございますので、特に次官にこういう問題についての御決意と、何らか特別な方策を講じない限りは、毎年同じ轍を踏むんじゃなかろうかという心配がございますので、さきの地元負担の問題と長期計画並びに今後の土地改良事業の強力な実施という問題についてのお考えと御覚悟のほどを、次官からこの二点について承りたい、こう思います。

佐藤隆自由民主党農林政務次官

○政府委員(佐藤隆君) 先ほど来、貴重な御経験に基づく質疑を承っておりまして、このたびの土地改良法改正については、その運用それ自体について相当真剣に考えていかなきゃならぬ、また行政指導、これも従来と変わった形で強力な指導が必要である、私も痛感をいたしながら聞いておったわけであります。いまお尋ねの国庫補助率、これもひとつ引き上げるという方向を考えろと、こういうお話でございます。従来から、実は各関係団体、そうしたところからも陳情等でしばしば出ておる問題であります。許される範囲内で努力をしてきたわけでありまするけれども、まだまだ相当農民側は、農業サイドから考えれば、不満はある、これでよいのかというお気持ちを皆さんが持っておられる、重々承知いたしておりますので、この上ともひとつ努力をいたしていきたいと思います。  なお、負担の点について、だいぶ土地改良事業と基盤整備等の負担が農家に非常に過酷な形になってきているのではないか、これも実は各地域からそうした御意見をあるいは陳情、要請等を承っておりますが、先ほど農地局長も申し上げましたように、ことしそうしたことについての調査をいたすことになっておりますので、そうしたことに基づいて、その調査の結果に基づいて、あるいは制度金融面における融資率の問題とか、条件緩和の問題とか、条件緩和の中では据え置き期間の問題とか、あるいは金利の問題とか、いろいろあろうかと思いますが、公庫法の改正までいくかどうか、調査の結果を待って考えなきゃならぬと、特にこうした金融問題は、国の制度金融と、あるいは地方自治体の制度金融と、それから系統金融と、三つが非常に入り組んでおりまして、これをひとつどう分離、整備、統合していったらいいか、こうした大きな観点からの見詰め方も必要だと、こういうことでいま検討を進めておるところであります。そうした中でひとつ考えていきたいと、かように思っております。  それから、この間もこの委員会で大臣からもお話し申し上げましたが、土地改良事業の長期計画、これはひとつ年度内に新しい十カ年計画を立てるようにいま努力をしておるところであります。しかし、長期計画幾ら立てても、一つのワクの中で、いままでは、コップの中の作業ではどうにもならぬではないか、こういうお話でありますが、その間の事情につきましては、小林委員のほうがかえって私より従来のいきさつについてはよく御存じかと思います。四十七年度予算要求に際しましても、小林委員をはじめ各方面から、陰に陽に、農林省に御支援を賜わりまして、おおむね所期の予算の獲得ができたとは考えておりますが、しかし、百点かどうかというと、百点ではないと私も思います。しかし、農村の環境整備という問題にちなんでもお話がございましたが、まず、何はさておいても、農道、これも大事であるということで、建設省関係のいろいろ道路行政、それはそれでやる、しかし、農村社会における農道、これはひとつ農林省が積極的に取り組まなきゃならぬということで、先輩委員各位の御支援によりまして、農道関係予算等につきましては、四十七年度は四十五年度の倍額になっております。そうしたことで、同じコップの中とはいいながら、世論の動向に即したそうした姿勢で、徐々に進められつつあるかと思いますが、なお、この上ともひとつ最善の努力をいたしていきたいと、かように思っております。

高橋雄之助自由民主党

○委員長(高橋雄之助君) 暫時休憩いたします。    午前十一時三十九分休憩      —————・—————    午後一時六分開会

高橋雄之助自由民主党

○委員長(高橋雄之助君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  この際、委員の異動について御報告いたします。  本日工藤良平君が委員を辞任され、その補欠として足鹿覺君が選任されまました。     —————————————

高橋雄之助自由民主党

○委員長(高橋雄之助君) 午前に引き続き、土地改良法の一部を改正する法律案を議題とし、参考人の意見を聴取いたします。  参考人として、東京大学農学部教授新沢嘉芽統君と専修大学経済学部助教授玉城哲君、滋賀県土地改良事業団体連合会会長丹波重蔵君の御出席をいただいております。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多忙の中を本委員会に御出席いただきまして厚くお礼を申し上げます。参考人におかれましては、忌憚のない御意見をお述べくださいますようお願い申し上げます。  なお、議事の進め方といたしましては、初めに参考人からお一人十五分間程度で御意見を述べていただき、引き続いて委員の質疑にお答えいただくことにいたします。  それでは、新沢参考人からお願いいたします。

新沢嘉芽統東京大学農学部教授

○参考人(新沢嘉芽統君) きょうは時間も限られておりますので、肝心なような点を二、三あげまして、それについて自分の考えることを述べてみたいと思います。  それは、一つは農業用水を上水道とか工業用水、そういうものにまあ、転用するということが今度の改正の中に含まれているわけですが、それにつきまして、水利権のようなことを少し述べてみたいと思うんですが、ひとつ物理的なことをはっきりと初めにきめておきまして、それからまあ、社会的なようなことに入っていきたいと思うんですが、農業用水を都市用水に転用するということの意味は、どういう意味かと申しますと、これは川に新しいダムをつくることと同じ意味を持っているわけです。で、それはどういうことかと申しますと、つまりダムで水を補給するということは、川の渇水のときにダムから放流いたしまして、その渇水を増強するために、ダムをつくるわけであります。ですから、渇水が問題になるわけで、その渇水と申しますと、自然状態でございますと、冬の渇水がひどいわけです。まあ、渇水面の中でも冬の渇水がひどい。で、夏はどちらかと申しますと、ほんとうは豊水なんです。しかし、たまにからつゆというようなこともございますし、養い水の時期になりますと、四十日も雨が降らない、こういうこともございますが、しかし、概して申しますと、冬のほうが悪いわけです。ところが重要河川になりますと、農業用水は川の水を使っておりまして、ほとんど渇水の全量を使っております。そういうことで人為が加わった結果といたしますというと、夏の渇水はひどいわけであります。ですからダムをつくりますと、夏の渇水を補うことになります。そうしてどこまで補ったらいいかと言いますと、まずさしあたっての目標といたしますと、冬の渇水にほぼひとしくなるまで補うということになるわけです。それを利根川で申しますと、夏の渇水と冬の渇水を同程度にするためにはは、約十五億トンの貯水池が必要であります。渇水面の一年間の平均ということになりますと、利根川で申しますというと、二十五億トンの貯水池が必要であります。ところが現実にはどういうことが起きているかと申しますと、利根川ではまだ六億トンしかダムができておらないのであります。そうするというと、つまり夏の渇水を冬の渇水にひとしくするためには、さらに十億トンの貯水池が必要だということになります。ところが利根川ではダムをつくる場所、つまりダムのつくられるような場所に非常に限られておりまして、あと残っているところは二、三カ所であります。八ツ場というような計画がございましたり、南摩というような計画もございます。それらでもってどのくらいできるかと言いますと、三億トン程度であります。つまり、あとまだ七、八億トンの水をつくらなければならない、そうしないというと、利根川の利用率というのは高まりません。そこで残っているのは沼田ダムでございます。これは八億トンとも言われ、六億トンとも言われているものであります。ところが、御承知のように、最近ではその沼田ダムのまん中を上越の新幹線を通すということになっております。あるいは高速道路を通すということになっております。そういうものが通りますというと、ただでさえむずかしい補償問題が非常にむずかしいものになって、おそらくダムができないだろうと、こういう状況に一面なっていることを認識していただきたいと思うんです。そうするというと、夏の渇水がひどいわけですから、それを農業用水で使っていてひどくなっているわけですから、そこで農業用水の一部を、不要になった部分をダムのかわりに使いますというと、ダムのむずかしさが緩和されてくるわけであります。そういう意味で、つまり農業用水の転用ということは、つまりダムをつくることと同じことなんだということを認識しておいていただきたいと思うんです。  そこで、今度はその水利権を新しいものに移管する場合の問題について述べてみたいと思います。で、それには非常にイデオロギー的な二つの対立した考え方がございます。その一つは、とにかく川の水というものは国民のものである、だから要らなくなったら、それは河川管理者に返して、そうして河川管理者は適当と認めるものに再交付するのがいいんじゃないか、つまり川の水は公水だから要らなくなったら取り上げて、要るものにそれを再配分してやるのだ。要るものと称しますというと、それは都市であります。だから結局農業用水を取り上げて、そして都市に回してやればいいんだという考えでございます。これは基本的に申しますと、河川法の考え方であります。それに対しまして、農業で使っている水を、都市といえば、結局は資本なんだ、だから農業で使っている水を資本のほうへただでそいつをやるということは、つまり農民から奪って資本にそいつをやるんだと、こういう対立した意見があるわけであります。で、これはもうどちらも、私どもといたしましては、非常にイデオロギー的な考え方であって、実態というものをまず見る必要がある、事実に基づいて判断をしなければならないと思っております。事実はどうなっているかと申しますと、いま転用問題が最もシビアになっているのは、埼玉県の見沼台用水の葛西用水地域でございます。同様なことが木曾川流域にもございます。そういうところを見てまいりますというと、見沼代用水の流末部分は川口市のあたりでございます。この地域は、前には八千ヘクタールの水田がございました。ところが現在はその半分に減っております。上流のほうはふえておるのですが、下流のほうは減っております。全体としては、差し引きプライスマイナスがない状態でありますが、下流は減っております。その減っているのは、みな宅地あるいは工場敷地になっておりまして、水田の中に乱脈にそういうものが入ってまいりまして、そうして水田をつぶしているわけでございます。そしてその水田はみな汚水だめのようになって力の発生源になって、新たに入ってきた人は、それで苦しんでいる状態になっております。そういたしますと、農業用水は御承知のように、ただ一本になっているのじゃなくて、枝分れをしております。そういうものの管理というものは、みな乱れてまいりまして、非常に改良区は困っているわけでございます。ですから、水田がつぶれてまいりますと、農業側も困るわけでございます。ところが、そういうふうに一面で人が入ってまいりますというと、当然上水道をどうしようかという問題になります。そこで、できればその用水の一部を転用したらいいんじゃないかという問題が出てくるわけであります。そのときに、さきに申しました農民から取り上げて資本に奉仕するんだという考え方で、かりにそれは農民の持っているものであるから、農民に持たしておいたほうがいいんだと言っておりましたら、どういうことになるかと申しますと、実例が幾つもございます。これは川崎市の多摩川から引いている二カ領用水、これなどはいま全部住宅工場地帯になっておりまして、水田は何にもございません。これはほったらかしておいて、結局は川崎市に水路を移管し、用水路だったところが現在は下水道になっておるわけであります。それから多摩川の左岸にありました東京都の六郷用水も同様であります。それから江戸川筋で申しますと、江戸川から取っておりまして市川と船橋のかんがいをしておりましたのは、水田はかなり残っておりますけれども、もう管理は乱れてしまっております。こういうふうになって、結局は、それは都市用水に無償でもって転用されてしまっているのが実情でございます。こういうふうに急激に都市化してまいります場合には、それでもいいのかもしれません。しかし、いま申しました見沼代用水とか葛西用水は、利根川の中流から東京都の近くまでかんがいしているわけでありますから、一挙にそれが都市化するということはございません。しかも、スプロールをなしている。そういう状態で長くおりましたならば、つまり面積は減っているんですから、管理費の収入は少なくなる、改良区はピンチに立れされてくるわけであります。こういうときに、どうやってそれを転用させるかと申しますと、今度の改正案のようなやり方、つまり都市用水と農業用水を共有権者にするという形で徐々に転用をはかっていって、農民の利益をはかりながら都市用水に転用する、そういう方向しかないんじゃないかと思うわけです。そこで、ここには、農林水産委員会ですから、建設関係の方はおいでにならないかもしれませんけれども、建設省が河川法に従って取り上げて、今度は都市に自由に自分たちがそれを分けてやるのだというような考え方でいった場合に、一体どういうことになるのか。それはおそらく不可能になるだろうと思います。ですから、建設省といたしましては、現にその転用できる部分は、当事者の話し合いによって、つまり、この改正に従ったようなやり方で進めまして、そうしてその転用に対して河川で支障が起きる場合、つまり、河川管理上困るような場合、それはどういう場合かと申しますと、つまり、前よりたくさん転用するようになる部分については、ダム費を負担させる、つまり、ダムと農業用水の転用は代替の関係にありますから、つまりよぶんに取るようになって、下流に迷惑を与えるようなことは許さない、その場合にはダムに負担させる、こういう程度のことに、つまり、監督行政としてやっていただけるならば、その転用は農民にとっても不利ではなく、また、都市にとってはもちろん有利なことでありますが、それは可能になると思うのであります。その可能にする条件を土地改良法の中でつくろうとしているものだというふうに私は考えております。で、この考え方は一昨年ですか、農林省の中に農業水利問題研究会というのをつくりまして、私も委員になっておりましたが、そこで数多くの委員の方が、実際に調査もいたしまして、そうして方向を打ち出したものでございます。その方向にのっとって法案がつくられたものでありますからして、私ども自分で考えたことが法案としてのっておるのでありますから、私はたいへん喜んでいるわけでございます。  それからもう一点、創設換地の問題でございます。これは全然話は変わりますが、創設換地でございますが、この点についてちょっと申し上げてみたいと思います。  戦前の耕地整理法の中には、保留地を認めるということがあったわけでございます。そうなっておりましたから、たとえば耕地整理をいたそうといたしますというと、開墾地を中に取り入れまして、そして開墾をして、開墾をしてできた水田を、それをほしいという農民に売りまして、そうして売ったお金でもって、耕地整理の負担金にかわってつまり工事をやる、こういうことができたわけでございます。ところが戦後になりまして、土地改良法が成立いたしますと、農地法の精神にのっとるということで、その保留地を認めないということにしてしまったわけでございます。ところが、やはりその保留地というのは、やはり必要なんでして、それがだんだんわかってまいりまして、現在のように創設換地というような方法で解決しようとしているわけでございます。創設換地は、もちろんそれを売って、それでもって事業をやろうというのではありませんが、創設換地によって、そこへ工場が入ってきたりなんかいたしました場合に、その土地を限定して、地域区分をはっきりさせる。つまり、農業地域と工場の地域をはっきりさせる。つまり、農業に支障のあるような形で工場をつくらせないという方向にいっているものだと思います。で、おそらくこれだけで必ずしも万全にうまくいくというふうには思われません。思われませんが、しかし、方向としては間違っていない方向をたどりつつあるものと思います。  もう一つの点は、農地保有合理化法人に対して、土地を付与できるようにするという改正があるわけですが、この点について、一つ希望があるわけでございます。それはどういうことかと申しますと、先ほど農業用水を都市用水に転用するということは、ダムをつくることと同じだと申しましたが、さっき申しましたように、ダムは補償問題で非常にむずかしくなってきております。むずかしくなってきておりますのは、さっき申しました新幹線とか、そういう面だけではなくして、ちょうど成田の飛行場に見ますように、つまり、そこに住んでいて農業をやっている人が、農業をやめなければならないという事態になるからであります。そうすると農民をやめて、ほかの職業に転業してうまくいくはずがありません。どうしてもまた農業をやりたいという人がたくさんあるわけであります。それに対して政府は何の手当てもしていないわけであります。札びらでほほをたたいて解決するといういき方でございます。そんなことで農民の生活を再建することができるはずがありません。これに対しましては、やはりかえ地になる土地を政府が手に持っておって、そうして手に持っているかえ地によって、その人たちが農民として新たな生活を再建できるようにすることが、政道でございます。つまり、政府は手持ちの水田や畑を持たなければ、この問題は解決いたしません。さっき沼田ダムは八億トンと申しました。その八億トンのダムができますと、利根川は夏と冬の渇水がひとしくなって、大体毎秒百五十トンぐらいの水が生まれるわけであります。それができるかできないかは、補償問題にかかっている。それだのに、政府は手持ちの土地がない、そういうことですから、私は農業の生産調整というようなこともいわれておりますけれども、それとは全然別の角度から申しまして、政府が農林省とか建設省とか、そういう区別なしに、国として重要な事業をするためには、補償のためのかえ地となる土地を手に持たなければならないと思います。それをこの合理化法人を通じてやるということをはっきりと法文の、あるいはとにかく意思表示をはっきりさせる必要があると思っております。ただ、農業法人ということではなしに、そういう補償のための、かえ地を手に持つということが、政府として必要なのだということをはっきりすれば、それは畑であろうと水田であろうと、かえ地としてつくれるはずであります。それを八郎潟は生産調整だからというんで、あれだけのばく大な費用を投下した八郎潟が半分以上遊んでおります。そういうものをこそ、ダムの水没者あるいは成田の飛行場の人たち、そういう人に提供をなぜしないのか、私はふしぎに思っております。それでは成田の人が八郎潟へ行くかどうかということですが、八郎潟には松戸あたりの農家だった人が入っている人もあるわけです。なぜ魅力があるかというと、松戸あたりで一町歩やっていることがようようなのが、八郎潟へいけば十町歩やれるという魅力があるからです。ですから、政府は手持ちの土地を持って補償問題に臨むならば、補償問題ははるかに容易になるものだと私は確信しております。  以上でございます。

高橋雄之助自由民主党

○委員長(高橋雄之助君) ありがとうございました。  次に玉城参考人にお願いいたします。

玉城哲専修大学経済学部助教授

○参考人(玉城哲君) 最初にお断わりしておきますけれども、私は法律の専門家じゃございませんので、この改正案の個々の論点について、詳しく立ち入るという能力がございません。特に法律の文章というのは、非常にややこしくてむずかしくて、まことに難解なものですから、私には十分にそしゃくすることができません。そこで非常に総括的に現在の土地改良事業の現状と問題点というものを私の考えを申しまして、その立場から改正案全体についての私の意見、総括的な意見というのを申し上げたいと思います。  現在、土地改良事業は非常に大きな転機にきているということは、申すまでもないわけですが、どういう側面を持っておるかということを、少し分解して考えてみたいと思うわけです。この側面は、三つに分けまして国民経済全体の観点からの問題、それから第二が、地域の社会経済の観点からの問題、それから第三に、個々の農民経営の観点からの問題というふうに分けて見るのが適当ではないかというふうに思っております。  まず、国民経済の観点から見ますと、最近生産調整というような、米の生産調整というようなことで、もはや土地改良は増産になるばかりだから必要がないんではないかというような考え方も、一部にあるかと思いますけれども、私はそういうふうには考えておりません。むしろ土地改良は新しい形で、ますます必要になってくるのではないかというふうに思っております。これはどういうわけかと申しますと、現在、日本の農業の非常に大きなこれからの課題、性格変化というものは、一言でいえば国際化であろうかと思うんです。この国際化の過程におきまして、日本の農業がどういうふうに生きていくのか、あるいは日本の農業の再生産構造というものをどういうふうに維持し強めていくのかということを考えてみますと、この農業生産基盤というものをいよいよ強めていく、強化していくということしか道がないのではないかというふうに思われるわけです。これは国際化の進行の中で、それぞれの国の農業というものが、結局その持っている歴史と風土というものを十分特色として活用していくということなしには、お互いの依存、協力関係ができないだろうという点から考えられるわけです。  そこで、日本の農業の特色、これは歴史的な遺産というものを含めて考えてみますと、非常に長い間土地改良投資を続けてまいりまして、この土地の基盤というものが人工的に非常に改良された、いわば装置の状態になった、そういう農業であろうというふうに言えるわけです。これはつまり農業における非常に特殊な資本の蓄積の形態と申しますか、一種の土地資本ストックというものを基盤にした農業だというふうに考えてよろしいと思うのです。特にこれは水田について言えるわけです。この特色を今後とも生かしていく、あるいは強化していくということなしには、日本の農業というものは、非常に急速に壊滅してしまうという危険を多分にはらんでおる。つまり国民経済全体の観点からも農業というものを、ただ壊滅させ崩壊させてしまうということでないならば、やはり社会的にこの土地資本ストックというものを配分して強めていかなければいけない、そういう課題がいま出てきているのではないかというふうに思います。  第二の、地域の社会経済の観点ですけれども、これは二つの要素を持っているというふうに考えております。一つは、過去十何年間かの高度成長の過程で出てまいりました都市化の現象ですね。この都市化の現象の結果として、全国農村社会というものは、非常に大きな変化をしつつある。しかしながら、この農業生産並びに農村の生活の環境の整備というものは、全般的に非常におくれているわけで、こういった都市化の傾向に十分に適応してないという現実があるわけです。この適応をやはり急速に進めていかなければならぬ、そういう問題があるかと思うのです。  それからもう一つは、これに関連いたしますけれども、農民の生活構造というものが非常に変化してまいりまして、そして土地改良施設、特に水利施設であるとか道路ですけれども、この維持管理が非常に困難になってきておると、そういう問題がございます。従来は農業集落の、農村集落の非常に伝統的な夫役のような体制ですね、この無償の義務労働、そういうものを利用しましてこの施設の維持、管理というものをやってきたわけですけれども、これが農家の生活構造の変化の中で非常に困難になってきておる。そのために土地改良施設が荒廃しつつあるという、そういう傾向がすでにあらわれております。そこで、特にこれは排水施設において顕著に出ておりまして、稲作生産力を低めるというような結果になっております。そこで日常的な施設の維持、管理の必要というものをできるだけ少なくしていく、そのためには施設を高度化し、機能を高めていくという必要がますます出てきておるわけです。そこで、こういう地域、農村の地域社会の観点からいいましても、土地改良の必要は非常に高まってきておるというふうに考えます。  それから第三の農業経営の観点ですけれども、この点でも土地基盤の整備というものが非常に必要性を増してきておるわけです。これはどういうわけかと申しますと、すでに日本の農業も技術的に見るならば、大型機械化大系をどのように現実に確立していくかというような段階に入ったというふうに、私は評価しているわけですけれども、その中でさまざまの経営形態があらわれて、従来の零細な自作農政のワクを越えた合理的な土地利用、水利用を求めているというふうに思われるわけです。ところが、現実には土地基盤がむしろ非常に古い状態のままで残っているために、新しい試みを非常に阻害しているという実情が広く存在しているように思われるわけです。そこで土地と水の利用度、利用の自由度を非常に高めて、新しい技術、経営の試みを自由に行なわせる。そういう条件をつくり出していかなければならない。それはやはり土地基盤の整備の強化ということによって達成されるはずだというふうに考えられるわけです。このように土地基盤整備、土地改良事業というものが客観的には非常に必要性を増しているわけですけれども、しかし半面、それでは土地改良事業を実施する態勢という点では、実情はどうであろうかということを考えてみますと、非常に多くの問題点があるわけです。  ここでは特に重要であると思われる二点だけを申し上げますが、一つは、生産調整の開始後米価が据え置かれているということであります。そこで、将来米価がどう上がるかという見通しも全然ない。そうしますと、土地改良投資というものが農民にとっては採算に合う投資なのかどうかということが全然わからなくなってきている。見通しが立たないということになってくるわけです。そして実際に農業所得も停滞ないし減少するという事態が米の場合にはあらわれてくる。そうしますと、これは客観的に言うならば農民の事業費の負担能力が減少しておるという事実を示すことになると思うのです。これが一つの問題です。  それからもう一つは、農民の性格が非常に違ってきて一様でなくなってきたということです。これは兼業化の進行の過程で出てきたことだろうと思いますけれども、そこで農民の土地改良事業に対する意思を統一していくということがたいへん困難になってきた。これは単に主観的なものではなくて、農民の間の経済的、社会的な利害関係が必ずしも一様でないという事態を反映しているものだというふうに思われるわけです。したがって、非常に広域にわたる基幹施設を土地改良事業として改良する、改善する、あるいは新設するという場合に、多数の農民の同意を得て、その意思を結集することが非常にむずかしいという実情が出てきているわけです。そうしますと、土地改良事業あるいは投資、これ自体は非常に客観的な必要性が高まっているにもかかわらず、それを実施する態勢との間に矛盾が非常に発生してきているということになろうかと思うわけです。この問題をどのように解決していくのかということが、当面の課題であろうと思うわけです。  そこで、私自身の意見を申し上げますと、いろいろな問題がたくさんございますけれども、中心になる重要な問題点は、土地改良事業の性格を二つに区分したらどうであろうかというふうに日ごろ考えておるわけです。一つは広域にわたる施設、これはここでは基幹施設というふうに申し上げますけれども、この基幹施設はもっぱら国民経済的な観点及び地域の社会経済の観点から必要なものである。そこで、これは全面的な公共事業として実施して農民の事業費負担というものを伴わない形にすべきではないか。またその施設自体も公共的に管理するという態勢が望ましいのではないかというふうに思われるわけです。  それからもう一つは、他方で末端の圃場施設、これは基幹施設に対しまして実際に農家の接している末端施設でございますが、この圃場施設は、事実上の農業経営の内部の、経営内施設という性格を多分に持ちつつあるというふうに思われるわけです。この圃場内施設というものは、日本の現在の農業の形態からいいますと、非常にわかりにくい問題があるわけでございますが、というのは、日本の農業には農場制——大規模な形態の農場制が確立しておらずに、個々の農家の圃場というものが非常に零細で、かつ入りまじっておるという状態がございますので、すべての末端施設がいかにも公共的なもののような姿をとってくるわけですが、しかし、現在起こっている農業の変化が、大規模機械体系に基づく何らかの集団的な土地の利用の方向を追求しているというふうに考えますと、やはり集落単位ぐらいの圃場施設というものは、実質的に経営内施設というふうに位置づけられてしかるべき、そういう性質をいま持ちつつある。まだ萠芽にすぎませんが、持ちつつあるというふうに見てよろしいかと思います。この経営内施設は、もちろんこれは公共的なものではなくて、私的な責任において整備される、あるいは投資の対象にされるというふうに考えるべきである。もちろん、これに対する政策的な援助措置というのは別途考えるべきでありましょうけれども、しかし、公共施設とは範疇の違うものだというふうに考えるべきであろうかと思うわけです。  そういうような整備をいたしますと、土地改良事業体制というものは、一つの交通整理が行なわれるし、したがって、土地改良区というものの性格も変わってくるというふうに考えられるわけです。これは、非常に、いわば現在の土地改良事業の体系というものを全面的に否定するような、そのような考え方なんですけれども、現在この日本農業で起こっております変化というものの方向を見定めると、土地改良事業というものが、いま申し上げましたような方向で検討されなければいけないというふうに私は考えておるわけです。  で、以上のような観点からいたしますと、今回の改正案というものは、実は非常に不十分だというふうに言わざるを得ないことになるわけです。土地改良事業体制の全体の体系は変えることなしに、部分的な新しい現象への適用を行なっているにすぎないという評価ができるかと思います。しかし、反面、いま私が申し上げましたような問題点、現実の課題というようなものは、決して土地改良事業だけの問題ではないわけです。むしろ土地改良事業というものは、ごくその部分をなすにすぎないので、農業構造全体が非常に大きな変化を遂げなければならない、あるいはこれから遂げていくであろうと、そういう動きの中の一部をなすにすぎないと思うわけです。したがって、制度ですとか政策ですとか、そういう観点から見るならば、農業構造政策そのものを計画的に進めていく——どのように進めていくかということ。それも長期にわたって慎重に進められる、そういう性質であろうかと思いますが、それによってこういう歴史的な大転換というものは、ようやく達成できるものだというふうに思っております。  そこで、土地改良だけが一挙に独立に新しい体制を先取りすればよろしいというものでは、決してないというふうに言わざるを得ないわけです。そこで、基本的な方向からいいますと、たいへんに不十分な不徹底なものだというふうに思いますけれども、現在の制度、政策のワクの中で、当面の変化に対応するという限りで、今回の改正案というものは、おおむね妥当なのではないかというのが私の判断でございます。もっとも将来は、それがいつくるかはわかりませんけれども、やはり土地改良事業体制全体を根本的に再検討して、抜本的ないま再編なり転換をする必要があるし、そのための準備的な検討はすでに始められてよろしいのではないかというふうに思っております。  たいへん抽象的な話になりましたですけれども、以上で私の意見は終わります。

高橋雄之助自由民主党

○委員長(高橋雄之助君) ありがとうございました。  次に丹波参考人にお願いいたします。

丹波重蔵滋賀県土地改良事業団体連合会会長

○参考人(丹波重蔵君) われわれ土地改良関係者におきましては、ただいま玉城先生のおっしゃいますように、根本的な制度改正は、実はそれよりも根本的改正にはいろいろこう解体してみますと、すでにほかの法案で占領されておる部分もございますし、複雑多岐にわたりますので、さっそく現時点におきます時代にマッチしたところの一部改正でございましょうが、すみやかな要請にこたえていただきたいということで、多年にわたって要望してきたのであります。したがいまして、ここに私どもの要望のほかに、農地保有合理化法人に土地改良事業実施資格を与えられるということについては、われわれ土地改良連合会といたしましても、要望しておらなかったワク外の問題でございますので、その他につきましては、私どもの要望の趣旨に従って条文を整理していただきましたので、原則として、私どもは心からお礼申し上げますと同時に、参議院の委員の皆さん方が、この法案を六十八国会においてぜひとも成立させてやろうという、あたたかいお気持ちで御審議を賜わっておりますことを感謝いたしますと同時に、ぜひともひとつ本国会で、一日も早く法案の成立を心からお願い申し上げる次第でございます。  時間の関係もございますので、主要点についての意見を開陳いたしたいと思うのであります。  まず、その第一は、法第三、五、七、八、五十二、五十三条に関連いたします換地制度の問題でございまして、非農地の取り扱いが改善されることになったのであります。従来では、農地の中に点在しております非農地は、地区内に取り込むことができなかったのでございますが、今次の改正で当人のいわゆる所有者の同意によりまして、その計画区域に組み入れることができたということは、圃場整備を推進いたします上に、まことに適切なものと考えるのであります。また、創設換地として異種目換地の方途が開かれまして、共同利用施設あるいは公共用地、工場用地等が、新たに必要な場合におきましては、所有者の同意を得て、不換地とした土地の面積の範囲内で確保できるようになりましたことも、また時宜を得た措置だと考えるのであります。しかしながら、地方によりましては、所有者の同意を得た不換地よりも、こういう公共用地あるいは農業労力の余剰を処理するために、農村工場の設置の場合においては、特定の所有者がその土地を提供するということなくして、共同減歩、みんなが出し合おうじゃないかという処置がとられることもあり得ると考えますので、それらの点につきましては、法の運用上御考慮を賜わりたい、かように考えるのであります。また、換地事務につきまして、今回は新しく換地の専門家の意見を聞くということがお考えいただいておるのであります。もちろん圃場整備の有終の美をなすことは、換地が完全に行なわれまして、登記所におきます登記済み証の権利書が、各農家に手渡されることによってすべて換地処分が終了するのであります。また、そうでなければならぬのであります。しかしながら、過去におきましては、圃場整備事業に対しましては相当役員その他もまた農民も熱意を持つのでありますが、そのあと始末ということについては、なおざりにされておった事例を多く見ておるのであります。何かこの地点が公共用地の敷地に買収されるとか、工業用地の敷地に買収されることによってはじめて所有権が自分のものでないということで大騒ぎをしておるのが現況なのであります。こういうことを私どもは常に考えております。換地処分につきましては、御承知のようになかなかこれはじみな仕事でございます。じみな仕事であり、また相当な法的に詳しい人でなければならぬのでございますが、たまたまその地域で換地処分が終わりますと、せっかく養成いたしましたその人材は、もうそれで失業してしまう、あるいはまた他の職場にかえられるきらいがあるのであります。今回の法におきます専門家の意見を聞くということにつきましては、ぜひともひとつ国家試験を行なっていただきまして、ほかの司法書士あるいはまた他の国家試験で考えられておりますと同様のひとつ資格を与えていただくことによって、その人たちが一定の地域の処分を完了したときに、その資格によって生活の道を開き得ることができると思うのであります。国におきましてもこれらの人に対する、公務員ではございませんので身分保障ができませんが、すべて資格においてこれを保障していただきたいということを懇請いたすものであるのであります。  なおまた、換地処分につきましては、相当現在の国の算定しておっていただきます経費では、とうていまかない切れないのも、これを遷延せしめておる一つの理由でなかろうかと考えますので、これらの予算措置についてもあらためてお願い申し上げておきたいことと、さらに最終は法務省の所属になりますが、登記所の職員の配置がどういたしましてもいなかには少ないのであります。承りますと、法務省いわゆる登記所の人員配置は件数によって定員がきまるようでございますので、ここ四、五年前に私ども全国土地改良連合会が力を合わせまして、この換地処分のすみやかな登記簿完了をこいねがうために大蔵省に出向きまして、人員を百人ほど増員をしていただいたのであります。ところで、これがほんとうの縁の下の力持ちになってしまいまして、都市近郊のいわゆる転用手続の登記のほうの件数が多いために、私どもせっかく予算を取りながら、農村はその人員の配置をいただけなかったのであります。どうかこれらの点につきましても、農林当局といわゆる法務省との連絡を密にしていただくことをこいねがいますと同時に、委員会の皆さん方にこの上とも御援助を賜わっておきたいと思うのであります。  その二は、土地改良の総合化の問題でございまして、法第二条関係でございますが、このいわゆる工種別の申請主義を排除されまして、今回総合主義がとられましたことは、まことに私ども多年の懸案でございましたが、これも実現していただきまして、まことにありがたいしあわせだと考えるのでございます。しかりながら、この工種別総合主義をとっていただきますと、おのおの工種によりましては、いわゆる補助率が変わっておるのであります。したがって、総合主義をとったからといって、これを地ならしされることは、私どもはなはだその点を心配するのであります。できるだけ上部にかさ上げ、レベルをそろえていただきたい、これは予算措置になりますが、ぜひともその点をお願い申し上げたいと思うのであります。  そこで、さらにいずれの条文におきましても圃場整備するときには、三分の二の同意という問題が起こっておるのであります。私どもは、これを実際に改良区をあずかって土地改良事業をやりますときに、三分の一はすべからく規模、相当の経営を持っておりますものでございますので賛成であります。三分の一は、とにかく現状でもいいし改良してくれてもいい、三分の一は、いわゆる小規模所有者であります。一枚のたんぼが三反歩になりますと、自分は現在一反しか持っておらず、その一反は自分のところの自家用保有米の食糧源である。それを取り上げられるのではないだろうかと杞憂のもとに反対するものがあるのであります。そこで、そうではないんだ、お前の田は三反区画にしてもできるし、また三〇%は三反区画でなくともいいんだから、その地を与えるのだ、田地所有者に対しては、その田地を与えるのだといって初めて理解するのでございますが、私どもは常にやっておりますと、この人頭主義の三分の二よりも他の法人と同様にとにかく三分の二というのは地積によってこれを三分の二としていただくことを将来の理想と考えておりますので、これらの点についても御考慮賜わりたいと思うのであります。  その次には、農業振興地域の整備計画に基づきます基幹施設でございまして、玉城先生のおっしゃいますように、公益施設はすべて国民経済的立場から公共事業でやれとおっしゃいますことにつきましても、御考慮をいただきたいと同時に、今回の基幹事業に対しまして、私どもはこれを善意に基づいて、事業推進のための必要なものであると解釈いたしまして賛意を表するものでございますが、たとえ市町村が申請主体者となった場合におきましても、地区内の土地改良区の意見を十二分にくみ取っていただくことを念願いたしますと同時に、関係農民の意向を無視あるいは強行するための条文であってはならないと考えておることを付言いたしておきたいと思うのであります。  その第四は、法第九十四条関係でございまして、農業水利施設の調整に関する問題でございまして、これは他の参考人からも意見が聴取されましたのですが、ダムの水の過剰の部分を、これを他に分譲するということについては異議ございません。しかしながら、この条文を拝見しますと、これは国営事業のみにとらわれておりますので、府県への問題について、いわゆる県有施設について言及されておらないのであります。したがって、私どもはこの条文は、すなわち県有施設についても法の精神によって同様と理解し、あるいは読みかえし得るというように解釈をいたすものであります。  この際、問題外に属しますが、こうしてせっかく農民の負担を過当投資に基きますとか、過大施設に対しましての過重負担を軽減してやろうという反面におきまして、土地改良法におきましては、従来の投資に対しましてその施設が過剰になってくる場合が生じてくるのであります。その場合におきましては、民間におきましては、農地の転用におきましては、決済金がとれるのでございますが、肝心の公共団体がやります、なかんづく高速自動車道あるいは新幹線の建設に対しましての、改良区の用地の中を通りますときも、決済金は公団なり国鉄は支払わないという現況にあります。それは土地改良をやってから、その土地の価格が上がっておるから、その価格と見合って買収をしておるんだから、こういう言い分であります。ところで、もう揚水機場を設置し、あるいは水路を設置いたしておりますが、それがいわゆる残存面積にその分の維持管理費が、負担が過重になってくるという結果をもたらすものでございますが、この救済措置が何ら考えられておらぬということでございますので、この点、農林水産委員の皆さん方の、とくと御理解をいただきまして、他の部門に属するかもしれませんが、これらの問題についての御協力をお願い申し上げたい。  また同時に、都市排水の関係でございますが、これはなかなか、私どもは農業経営上、用排水分離は当然の結果であり、排水路は、たんぼに降った雨、あるいはたんぼにかんがいした水を流すだけの役割りではないのでありまして、山から降り、いわゆるその近くの住宅から流れる水を、現在においては、農民がつくりました水路に無条件でこれを放出されておりますので、これを救済してやろうという制度でございまして、まことに当を得たものと考えるのであります。また、これに対しての水路の維持、管理等というものは、およそ公共団体において負担されることが当然で、改良区のいわゆる組合員の負担からこれを削除するような方法をお考え賜わりたい。もしもこれが公共団体、いわゆる自治体でやろうとしますと、自治体の財政は現在窮乏いたしておりますので、起債の道を開いていただくなり、あるいはまた自治体におきまして、農道に対しては交付税の交付対象の分子に取り入れておっていただきますと同時に、われわれは、自治体に要求します際に、これらの水路の面積等も補助金の、いわゆる交付税の対象の分子に算定さえしておっていただきますと、私どもは、自治体の省庁に対して、交付税の対象になっておるじゃないかといって強く要望できるものでございますので、これらの点についての御配慮を賜わりたいと思うのであります。  次に、農地保有合理化法人の土地改良事業実施資格を与えられることにつきましては、これは農地法第三条のただし書きの精神に従いまして、これが制度化されたものと受けとっておるのでございますが、仄聞いたしますと、何か巷間、この法人においては、一般の土地改良区と同じに、すべての土地改良事業が行なわれるように解釈し、また誤解が生じておるようでございますので、これが誤解のないようにひとつ誘導なり御指導を願っておきたいと思うのであります。  また、その他、最後でございますが、土地改良区の運営問題につきまして、今回、土地改良区の役員選出の方法について、選任制をおとりできるという規定を挿入していただいたのであります。一番私どもは、現実において、現場において困っておりますことは、土地改良区の役員のなり手がないということであります。土地改良区は市町村と同様の大きな役割りを帯びながら、すべて無報酬であります。報酬規程もございませんし、それがためになり手がない。せっかく法文上、任期は四年と決定しておっていただきますが、地方にまいりますと、地方の末端で区長制度が現在でも行なわれております。で、一年交代ということで、一年でもう家の順番に回りますか、所有者の多いところから順番に下へ下がりまして、そして、そういうことでございますので、この土地改良区は、ほんとうの公共的な公共事業をつかさどって農民の利益をやるんでございますが、役員のいわゆるなり手がないということを考えますと、ぜひとも今回のこの選任制というものは、決して選挙権を制限したりするものでないということよりも、私どもはぜひともひとつ選任制でりっぱな方を選んで土地改良事業に取り組んでいただきたいということを特にお願い申し上げるのであります。  また、換地に対しましては、区間の飛び地換地ができることになりますことは、私ども多年の念願がかないましてまことに喜ばしいものと考えるのであります。  以上、はなはだ要を得ませんが、前段申し上げましたように、私どもの要望が今回法律案として提案されましたので、皆さま方の御協力ですみやかに御成立いただきますことを重ねてお願い申し上げまして、私の陳述を終わりたいと存じます。

高橋雄之助自由民主党

○委員長(高橋雄之助君) ありがとうございました。  それでは、参考人に質疑のある方は、順次御発言を願います。なお、丹波参考人は時間の都合がありますので、同参考人に対する質疑を先にお願い申し上げたいと思います。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 三人の参考人にお尋ねをいたしますので、丹波さんはお急ぎであれば先からおやりいただきたいと思います。  今度の改正案そのものと申しますより、日本農業が直面しておる貴重な重大な段階において、土地改良法そのものも大きな問題だと思うんですが、そういう見地から、きわめて一般的な問題をひとつお尋ねをいたします。  第一点は、最近の経済の発展に伴いまして、農業外の旺盛な土地需要等によりまして、農地の改廃が急速に進んでおることは、御承知のとおりであります。農林省の耕地面積調査によりますと、三十六年から四十五年の十年間に七十一万五千六百ヘクタールが改廃されております。特に四十四年度以降は、米の生産調整とも関連して、年間十万ヘクタールをこえておるのであります。一方、この改廃に対して造成される農地は、開墾、干拓等によって同じく十年間に三十五万九千三百ヘクタールであります。これを差し引きいたしますと、改廃、造成差し引き三十五万六千三百ヘクタールの減少を示しておるのであります。これはたいへんな問題だと思います。年間三万五千ヘクタール造成しても、なお減っておるのであります。このような農地調整のもとにおきまして、大規模農地の開発も一方において行なわれ、また、干拓事業も一面行なわれておりますが、他用途の転用が年々増大しておると言われております。農地の造成を目的とした事業が単なる都市化への都市造成になり、あるいは工業用敷地の土地造成化しつつある現状を憂えておるのでありますが、これに対する参考人の御見解を承りたい。こう簡単に転換が行なわれていいのでありましょうかどうか。今後の農地の造成事業について、干拓あるいは大規模農地の開発等のあり方について御見解が承りたい。それが一点であります。  なお、丹波さんにお尋ねしておきますことは、これは他の参考人にも同様でありますが、早く答えてお帰りいただきたいのですが、このような農地が壊廃が著しいから、つまり農業用水が余ってくるんじゃないか。したがって、その余った水を工業用水あるいは都市用水に回せばいいじゃないか、これが建設省の見解であります。すでに、内閣総理府には、農業用水、特に慣行水利権についての緻密な研究調査が行なわれていることは御承知のとおりであります。つまり、こういう見解から、農民から水を取り上げていく、こういう考え方に立っておるものと私は思います。その原因は、きっかけは無責任な農地をつくってはさらに工業化し、都市化し、そして全体としては減らしていく。そこで水が残るから、農民の水は要らぬのだから、都市化や工業用水に出せ、こういう論理がまかり通るんではないかと私は思うんでありますが、この点もあわせて御見解を承りたいと思います。

丹波重蔵滋賀県土地改良事業団体連合会会長

○参考人(丹波重蔵君) それじゃ、足鹿先生には日ごろわれわれ農政問題について深い御理解を賜わりますと同時に、私どもも先生に対していろいろとおすがりを申し上げておりまして、まことにありがとうございます。  全く、先生の御憂慮いただきますことと私どもは同感でございまして、これをいかにすべきかということは、われわれ末端におりましても、われわれの能力、職権においてはなし得ない点でございまして、何とぞ、ひとつ、諸先生方の国策としての御立案または御見解によりまして、これが国政に反映いたしますように、ひたすら、逆に私どもお願い申し上げまして、はなはだ答弁になりませんが、私どもは先生の御見解、御憂慮そのものを私どもの心といたしておりますので、よろしくお願い申し上げます。

高橋雄之助自由民主党

○委員長(高橋雄之助君) ちょっと申し上げますが、足鹿委員のいまお尋ねした点をちょっと保留しまして、丹波参考人に対して、皆さんから何かお尋ねありましたらお願い申し上げたいと思います。二十五分ぐらいしか時間がありませんから。

小林国司自由民主党

○小林国司君 今度は法律改正で、国営土地改良事業で造成された施設に共有持ち分権を認めるということになったが、県営でやったものに対して、そういう制度が法文の中にどこにも書いてない。これについて、一体、どういうふうになっておるんだと、この点はたいへん疑問だと、こういう御意見でございましたが、実は午前中、農林省側に私もその質問をしたばっかりでございます。ところが、農林省側の答弁によりますと、国営の施設については、そういう必要のところが方々出てきたので、今度の改正法の中に入れたけれども、県営事業による施設は、そういうケースはあまり耳にしていない。したがって、あまり必要がないと思って、今度は割愛したんであると、こういう御答弁が午前中にあったばかりでございます。  そこで、丹波参考人にお伺いしたいと思いますのは、広く全国的に見ていらっしゃるかどうか、これはわかりませんが、会長なさっております滋賀県の中に、これに該当するような事例があるかどうか。あればその名前、参考までにお聞かせいただきたいと、こう思います。

丹波重蔵滋賀県土地改良事業団体連合会会長

○参考人(丹波重蔵君) ただいま小林先生からの御質問でございますが、実は、私のところは犬上川ダム並びに芹川ダム、この流域におきまして、ブリヂストンタイヤがこのダムの受益地の二分の一を工場敷地として操業いたしておるのであります。したがって、これに過剰を生じますので、国が施設されましたと同様に、これらの水をせっかく——これは、実際、公害のない、きれいな水でございまして、上水道もできますし、工業用水にしてはもったいないくらいな、きれいな水、これをやはり水利権——配分して使わしてほしいという希望を工場側もみな持っておるんでございますが、やがて、これも国のほうが制度ができるから、それまで待てと言って押えておるような問題でございましたが、不幸にして、今回は、県の施設についての法文は見当たりませんので、これを読み返し得るというような法文と——私はあえて修正を求めるもんでございませんが、同一趣旨で処理できるような御指導がいただけんかと、かように考えておりまして、いま現実に二つのダムの水が余っておるということをお答え申し上げておきます。

小林国司自由民主党

○小林国司君 ありがとうございました。

梶木又三自由民主党

○梶木又三君 丹波さんに。  先ほど、過大施設の決済の問題ですね。これは非常に公団やら、道路公団あるいは国鉄、それがそういう便法がないのでお困りというお話は、私もだいぶ聞いておるんですがね。ところが、民間、普通の工場なんかが土地買収をした場合は、個人への土地代金と土地改良区等への分は分けてやっていますわね。民間でできることが、どうして道路公団あるいは国鉄になればできないのか。私、まあ、制度上の問題よく知らないですが、そういうことを私もしょっちゅう聞かされているんですよ。まだ不勉強で調べておりませんが、どこに理由があるか、御存じだったらちょっと教えていただきたいと思います。

丹波重蔵滋賀県土地改良事業団体連合会会長

○参考人(丹波重蔵君) ただいま梶木先生の御質問でございますが、実は、私のところ、現在、北陸縦貫自動車道の建設最中でございます。その用地買収に対しまして、それに関係いたします土地改良区十二地区を横断するんでございます。その十二の各改良区の負債の状態、従来の投資額等を連合会で掌握いたしまして、そうして道路公団のほうへ折衝いたしておるのであります。  で、これは、私は、名神高速道路並びに東海道新幹線のときには、これを支払ってくれた、もらえたんです。これは連合会が仲立ちいたしまして、公正に判断して取得したんでございます。北陸縦貫自動車道に対しては、その土地改良をやったから、買収する対象の田地の価格が上がっておるから、その分は加味されておるから、そういうものを支払いいたしませんと、こういう現在においての説明でございます。これは、私どもも、もう前例がございますので、十五カ年分を補償としてもらった事例がございますので、あくまでこれを取るつもりでございますが、しかし、現行制度におきましては、国の施設、公共団体のやる場合においての決済規定というものに対しても、いま申し上げますような方法で拒否されておりますので、何かと、この問題について、委員会のほうで、私どもの力の不足する分をカバー願いたいと、こう考えまして、あえて申し上げた次第でございます。よろしくお願いいたしたいと思います。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 丹波さんにお伺いいたします。  先ほど、参考の意味でおっしゃられたと思うんですけれども、圃場整備をおやりになったあと始末がよく進められていかない。法務省関係の登記関係のことが残されている点があるとか、これは非常に個人の財産権の上からいきましても、この整備事業というものが終了したかどうかという一つの大きなめどになる、それが一番大事な私有権の問題になってくるのですが、いまだに何か始末されていないようなものがあるのでしょうか。

丹波重蔵滋賀県土地改良事業団体連合会会長

○参考人(丹波重蔵君) これはどうしても現在いなかにおります法務省の職員は、所長一人きりというところに何千件というものを持ち込むのでございますが、それでできません。ところで、それを何とかして法務省の出張所に、いわゆる登記所に定員を回してもらおうといたしますと、これは率直なありのままのことを申し上げますが、一件についていわゆる件数割りによって人員配置がいただける。私どもの登記所でも何千件というものを持ってまいりますと、まず一ページを見てくれる、それで付せんつけてこれは取り戻す、またそれを出しますと、今度は二ページ、これが一件一件と、こういって点数をかせがれる。したがって、こういう点数かせぎせぬといわゆる定員がもらえない。もちろん私どもも促進するために、土地改良区から費用を負担いたしまして職員を派遣しまして、補助職員として法の許す限りのお手伝いは申し上げておるのでございますが、そういうことでございますので、事例が何とか、登記所の人員の適正配分ということといわゆる圃場整備をして現在登記所に行っております書類の停滞状態は、長いものでございますと、二年間以上かかっておるということでございますので、御賢察賜わりまして御協力いただきたいと思います。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 私もそういうことを幾つか事例を持っております。このことにつきましては、前にもこの当委員会で質問し、法務省の人も呼びましてやったこともありますが、この制度のことについては、よく承りまして尽力をさしていただきたいと思います。

丹波重蔵滋賀県土地改良事業団体連合会会長

○参考人(丹波重蔵君) どうもありがとうございます。よろしく。

高橋雄之助自由民主党

○委員長(高橋雄之助君) じゃ、たいへんどうも丹波参考人ありがとうございました。  それじゃ、足鹿委員から御意見をお尋ねしておきましたが、どなたでもよろしゅうございます。

新沢嘉芽統東京大学農学部教授

○参考人(新沢嘉芽統君) 一番目の問題は、ちょっと私の手に余ることでちょっとお答えする自信がないのですけれども、とにかく私も困ったものだと思っておるので同感でございます。  壊廃しているのは、一番多いのは大都市それから地方都市、地方のことに中核都市ですね、そういうところの周辺に多いわけです。ところがそういうところというのは、大体沖積平野の中心あるいは末端、言ってみれば中心にあるわけですから、つまり日本で一番りっぱな水田がみんな壊廃しているわけですね。これはほんとうに困るわけで、たとえばさっき私が申しました見沼代用水、葛西用水、それから尾張平野の宮田用水、こういうところの一番大きな土地改良区のあるようなところが一番壊廃しているわけです。しかも、それが片っ端から壊廃してくるならいいのですけれども、いわゆるスプロールでございますから数倍の残った水田というものが、みな半身不随になって満足に使えないような状態になりつつあるわけでございます。これはもう全く困ったことであるわけです。これについてちょっと刺激的なことを言いたくなっちゃっているのですけれども、大都市の周辺のそういう坪五万円とか十万円とかいうふうになってきている耕地に対して固定資産税とか都市計画税を宅地並みに取るというのは、だめにされてしまったわけですけれども、あれを推進しなければならないというのは、私はわざわざ本まで出しているわけなんです、実は。これを純農村の問題というふうにすりかえるような傾向がありまして、つまり農民全部の反対にすりかえてしまった、これはやはりたいへんな間違いで、むしろ純農村の固定資産税は、現状よりも私は下げるべきだと思っております。そして、大都市のそういうふうに地価が上がってきておる農民の中にも農業を熱心におやりになる方もありますけれども、大部分は性格的に申しますと、農家というよりもむしろ不動産屋のセンスに心が変わっております。こういう人たちが大部分なわけなんですから、そういう場合に、もしそこに宅地並みの固定資産税が取られるならば、そうすれば無秩序なスプロールがかなり解消すると思います。そして、徐々、徐々に都市化していくならば残った水田や畑も十分に障害なく農業ができるわけでございます。このけじめというのは非常に大事であって、けじめをつけるような政策が伴ってやられなければならなかった、つまり、市街化地域と市街化調整地域の指定をやるときに、税制の区分であるというようなことを先にはっきりさせまして、あとでだますようなことをしないでやるべきであった。そういたしますと、当然そういう東京の近郊のような状態のところにおきましては、そういう税収によって学校をつくることも何でもできるわけです。そうすると、いまそういう地域に交付金ですか、たくさん出されております。そうすると、地方の農村の固定資産税を下げましても、その交付金を回すことができるわけです。ですから大都市周辺と純農村と峻別すべきである、ですから地方都市も私はあんなことは必要ないと思っております。つまり、五大都市というようなところの周辺を特別に扱ってやることは、当然必要であった。ですからああいうところはしり抜けしておって、そうしてつぶれ地をどうだこうだと言うのは、これは間違いだと私、思っております。  それからもう一つ、用水の転用でございますが、これも同じ地域に起きているわけでございます。つまり、土地の問題と水の問題、つまり二つの問題が並行して同じ地域に起きている。そういうところでは、土地改良区は非常に困ってきていることは、先ほどお話しいたしましたとおりでございます。そういう状態のときに両々相まって農民の同意のもとにその転用が行なわれ、施設を共有するのですから、当然管理費とか施設の償却費とか、そういうものは改良区へ入るわけでございます。そういうふうにして転用がなされることは、私は必要なことだと思っております。ですから大都市周辺というものと純農村というものは、性格が変わってきているというところに問題の焦点があるわけでございます。  以上でございます。

玉城哲専修大学経済学部助教授

○参考人(玉城哲君) たいへんに大きな問題で私も十分に整理してお話しする自信はないのですけれども、第一の点は、おっしゃるとおりで私も全く賛成なんでございます。この土地の問題というのが非常にやかましく言われて、あるいはいろいろ私権の制限などという方向も検討されているようですけれども、私は基本的にそういう方向には反対なんです。その理由は、現在の土地制度のいろいろな検討が農業を悪者に仕立てて、とにかく農民からいかに土地を吐き出させるか、それによって土地問題が解決するんだというような幻想を与える、そういう性質をどうも持っておる。ところが一方では、非常に無秩序な不動産資本の活躍があるわけでございまして、最近の新聞紙上でも、各金融機関が投機的な土地投資に非常に多額の資金を流しておるということが報ぜられておりますけれども、この無秩序な農地の壊廃というものが進んでいる直接の原因は、そういった投機的な土地の取り引きが非常に広く行なわれているという点にあろうかと思うわけです。ですから、その点を根本的に再検討することなく、投機的な土地投機熱に巻き込まれてしまった農民だけを悪者に考える、そういう考え方と制度の進め方というものには、どうしても賛成できないわけであります。  それから、こういう状態になったもっと奥の原因を考えてみますと、やはり過去の開発政策というものが農業を完全に無視して、とにかく重化学工業化というものをただ一つの善として進めてきた、そういう開発政策の一つの帰結としてあらわれたものだというふうに考えざるを得ないわけです。現在の状況では、開発の過去の行き方が、だいぶ反省されておりますけれども、開発問題というのは、むしろ単純な開発問題ではなくて、違った問題に展開したというふうに考えております。違った問題というのは、二つございまして、一つは産業政策であり、もう一つは地方の自治の問題、この二つの問題に展開したのではないかというふうに考えております。産業政策の面からいいますと、さっき申し上げましたような高度成長第一主義、万能主義、したがって、重化学工業化万能主義、そういうような産業政策をもはや改めなければいけない、農業も含めて調和のとれた資本の蓄積、産業の発展というものをつくり出すような、そういう産業政策に変えなければいけないのではなかろうか。その中で無秩序な農地の転用という問題も、基本的には抑制されるのである。それから地方の自治という問題も、実は、その産業政策の裏づけによって可能になってくるものであるし、また、この巨大な工業地帯あるいは都市への人口集中というものも、単に地方の中核都市だけではなくて、小都市あるいは農業集落等々の整備を通じて抑制されていくものではなかろうか。そういう根本的な手を打たなければ、どうもいままで来た軌道を修正することはできないというふうに考えておるわけです。  農地の造成、それから大規模な農地開発という点について申し上げますと、これは私はある程度進めなければいけない問題であろうというふうに考えております。ただし、過去の食糧増産政策の一環として行なわれた農地造成と意味合いが変わってきて、これは構造政策を進めるための戦略的観点、そういう点から進めるべきである。したがって、ある程度限定はされてくると思うのですけれども、これは既存の農村においては、なかなか根本的な構造の変化を進めるということが非常に困難である。したがって、むしろ新しく造成される農地を中心に新しい経営形態のいろいろな試みをむしろ進めていかなければいけないというふうに考えております。ですから、たとえば八郎潟干拓の場合にも、やはりあれは全部農地として利用すべきであるし、新しい構造政策にふさわしい経営をあそこにつくり出していくという努力を進めるべきだというふうに考えております。  それから、この農地の減少に伴う水の転用の問題ですけれども、これは部分的な都市の周辺において、すでにほとんど農地が失われれてしまったというようなところでは、転用が行なわれるということは、やむを得ないというふうに考えております。しかし、全体として農業をつかまえた場合には、むしろ農業用水は余っているとは言えないので、絶対的に言えば足りないのではないかというふうに思います。従来の土地改良がほとんど水田に集中していまして、したがって、耕地として見た場合には、畑と水田との機能の差というのが非常に大きくなっているわけですが、しかし、これからの農業というものを考えてみますと、畑もまた十分に人工的に改善されて、高い生産性を持つ耕地として利用されなければいかぬ、つまり、水田と畑の機能上の差というものを縮めていかなければならないというふうに考えております。部分的にですけれども、畑地かんがいが非常に成功している例もあるわけで、たとえば愛知県の豊川用水の地域などは、この畑地かんがいによって急速に発展して土地改良事業が実に、みごとに成功した例であろうというふうに思っておりますが、全耕地の半分ぐらいは、なお畑地であるわけで、この畑地の生産性をあげていくということは、なお必要である。そのためには大量の水はむしろ農業にとっても必要なのだというふうに考えております。ですから、農業全体が米の過剰に象徴されるような農産物のやや過剰ぎみという事実を基礎にして、水は余っておるから転用しろという基本的な思想には私は賛成できないわけであります。  なお、これは少し問題がそれますけれども、参考のために申し上げますと、農地の所有権の問題と水利権の問題というのは、非常に密接な関係がある。特に水田の場合、非常に密接な関係があるというふうに考えております。これは法律論としてではなくて、社会経済的な実質の面で申し上げるわけですけれども、この水田の土地所有権というのは、一つ一つ私的な所有、私有財産としての所有が確立しているわけですけれども、実際には、それだけでほんとうに完全な所有としての役割りを果たすことができないというのが、実情であります。それは、水田というのは、用水が必ずやってくる、用水が使えるということを前提にしてそれは水田なのであって、したがって、水が来ない水田というのは水田ではない、ただの素地であり、あるいは畑と同じであるというふうに言わなければいけないわけですけれども、したがって、この水田における土地の所有権というものを、実質的に補完しているのが水利権である。したがって、この水田の土地所有権と農業水利権というのは、相互に補完しあって一つの実質的な所有権というものをつくり上げているというふうに理解しておるわけです。したがって、これをばらばらに切り離して考えて、農地の私有権は私有権として扱い、水利権は水利権として独立に別の観点から処理するという方向では、私は非常にぐあいが悪いんだというふうに理解しております。今後あるいは水利権の問題が検討されることがあろうかと思いますけれども、その場合には、やはりこの土地所有権との切り離しがたい相互補完関係という観点から検討していただきたいというふうに考えております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 先ほど丹波さんがお帰りを急いでおられましたので、両先生に伺いたかったんですが、いまのお話に続きまして、土地改良長期計画が土地改良法によって運用されておるわけなんです。昭和四十年から十年計画で始まった土地改良長期計画、実は、大体二兆六千億と記憶しておりますが、この農用地の造成事業について見ますと、現在の達成率では八一・九%というのです、そういうふうに理解をしております。ところが、現在まで達成された干拓事業ですね、特に干拓事業について一つの事例を中心に置いて申し上げたいのですが、干拓事業による農地の造成のうち九・一%が農用以外の用途に転用されておるのですね。で、この転用問題を調べてみますと、これは当院の決算委員会でも問題になったのですが、農政審議会にかけて閣議でもって決定をされた土地改良長期計画で、それに基づいて農用地として造成された土地を農地局長の通達で工業用地に転換することになっておるのですね。これは土地改良法四条の三項ですね、これは「土地改良長期計画は、農業事情、国土資源の開発及び保全の状況、経済事情等に変動があったため必要があるときは、改定することができる。」。二項もありますが、これに基づいてやっておるようです。そこで、では審議会にかけたかというとかけておらぬ。では関係省と協議をしておるのですが、特に知事の意見を聞けば閣議にかけて公表をするということが準用されなければならぬと思うのですが、これの公表された事例を私どもは不幸にして知らない。約一〇%近い粒々辛苦の長年月をかけて干拓した土地がむざむざと農地以外のものに転用されておる。先ほど両先生の御指摘になりました八郎潟のごときは、私ども昭和二十四年に国会に議席を置いてからやっと最近日の目を見た、ところが半分利用させて半分は遊ばしておく、意味がはっきりしないのです。あそこへ工場を持っていくものがあれば、農林省はおそらく転用を許可するでしょう。ところが、あんなところへ工場を持っていくというもの好きな資本家もないでしょうから、当然農地に利用させ、入植をさせなければならないにもかかわらず、なぜかこれをやめておる。で、新沢先生のお話のように補償とのかえ地に政府自身が保有するという御提案は、一つの考え方であり敬意を表しますが、とにかく生かさず殺さず何の役にも立てずに放置しておく、かと思うと、一方では条件の整ったところでは、簡単に計画変更が行なわれておる、これは私は非常にゆゆしい問題だと思うのです。  私の郷里にいま中海干拓事業というのが昭和四十三年十二月から着工をされまして、二千八百ヘクタールを干拓し島根半島と夜見ケ浜半島に囲まれた中海というところを干拓するわけです。その遊水池を閘門をつくって淡水化するわけなんです。その淡水化した水を鳥取県側の畑地に畑地かんがい用水にこれを使って、島根県側は農地としていわゆる入植またはその他に、規模拡大にと、こういうことなんです。ところが最近、事業が約三分の二近くまで進行した今日、島根県側が調べたところによりますと、中間調査でありますが、農家の期待は非常に大きいのです。ちょっと私も以外に思うほど大きいのですね。造成面積を上回っておるのです。これだけいわゆる農業が衰退産業かのごとく言われておる中にあって、やはり農家の期待は大きいのですね。たとえば揖屋工区というのがありますが、二百四十ヘクタールの農林省計画に対して申し込みは三百八十五ヘクタールになっているのですね、一工区に。価格は、予定価格二十九万円は高いと言っているのです。十万円から二十万円だと、十アール当たり、と言っておるのですが、まあ価格の点は別といたしまして、かくのごとくいわゆる造成面積を上回る農家の期待があって申込みがあるにもかかわらず、一方において農林省は、一年半ばかりの鳥取と島根県の間で合意を見なかった中海のこの問題について本年の二月四日に両県で覚え書きを交換しまして、そしていわゆる江島新港といって、一万トン級の船が横づけになる岸壁を一つと、五千トン級の岸壁を一つと、背後地約三百ヘクタールを工業団地化することを合意書に判をついておるのですね。一方では農民が希望に沿えないようないわゆる盛況をいまから予想されておるに反し、片っ方ではそれを無視して、逆に工業団地に、しかも目と鼻の間に境港という天然の良港があるにもかかわらず、一万トン級一バース、五千トン級一バースの岸壁をつくって、その背後地を島根県側がかってにやろうとしたので、鳥取県側から横やりが入って長年もつれておったが、これが農林省の御指導かどうか知りませんが、話がついたと聞いておるのです。これは追って私は、当委員会にまかり出ましてお尋ねもしましょうし、それぞれ必要な委員会において農林省側の事情も確かめ、事実関係を明らかにした上で論議をしたいと思っておりますが、このような長い歴史をかけてやっと完成したときには、いわゆる通産省や建設省のあるいは運輸省のいわゆる下働きを農林省がなぜしなければならぬかと私どもは言いたい。何のための干拓事業ぞやと言いたい。これがただ四条の三によって、土地改良の長期計画、すなわち「農業事情、国土資源の開発及び保全の状況、経済事情等に変動があった」と。あったかなかったか、まだこれから農地をつくる段階に、もうすでにそういうふうにどしどし計画変更をかってに農林省みずからが変更するなどというようなことでは、私は農林省の農地造成事業に対して疑念を持たざるを得ない。だれのために、何の必要があってこういう事業をやるのか疑わざるを得ません。したがって、このような一片の農地局長通達によってこのような計画変更が認められないように、何らかの規制措置を厳重にしていかなかったならば、多大の国費をかけて長年月を経て完成したときには、結果は全く農民の期待に反する結果を招来しておる。八郎潟においてしかり、中海にして、すでに完成に近いのでありますが、こういう問題が起きておるのであります。両先生の御意見を聞きたいのでありますが、これらの点について、土地改良法というものの中で、干拓あるいは農地の造成をやろうとするから、土地改良という名前にこだわるわけではありませんけれども、私はこういう矛盾が起きてくるのじゃないか、行政機構の恣意性が強行まかり通るのじゃないかという気がしてならぬのです。何らかの……、たとえ農業が現在の状況であったとしても、もう三年先、もう五年先、私どもは、どういう状態になるかわからぬと思うのです。先ほどの玉城先生の御意見に全く私は同感であります。そういう見地から、もっとこの際、土地改良法全体にわたる概念を整理し、そして新しい時代に即応するような一つの農業の基盤たる土地の造成、改良等についての理念に基づいた立法が私は考えられてしかるべきものではなかろうか、そういう気がしてならぬのでありますが、この点について御所見がございましたならば承りたいし、いま私が聞こうとしておりました点を玉城先生は、きわめて端的に御指摘になりましたので、慣行水利権の問題につきましては、ただいまの玉城先生のお話で、私は納得がついたと思います。特に農業水利に明るいと思います新沢先生の慣行水利権、いわゆるこのものに対する先生のひとつ御見解を承りたい。これはもう遠い先ではない、現実にこの慣行水利権の問題について各省が寄って調査を始め、そして、どうして合理的にこれを吸収していこうかと、ちょうど入り会い権を山林について整備をしたときに、国有地には入り会い権がない、民有地に入り会い権というものはあるんだというような、かってな法律をつくっちまった。そういうことは、私どもは、あやまちをおかしてはならぬと思いますので、この点を、これは新沢先生に慣行水利権の問題についてひとつ御見解を承りたい。  あとの問題については、両先生からひとつ御見解があれば承りたい。

新沢嘉芽統東京大学農学部教授

○参考人(新沢嘉芽統君) 前の問題はたいへんな問題ですから、慣行水利権についての私の考え方を先に述べさしていただきたいと思うのですが、慣行水利権は正体のわからぬものだという見方がございます。ことに河川管理の立場にあられる建設関係の方は、そういう見方を持っていられるようですが、それはなるほど徳川時代にできた施設のようなものは——いまほとんどそんなものはたくさんは、なくなっておりますけれども、取水量はどのぐらいであるかというようなこともはっきりわからないようなものもございます。しかし、その慣行水利権で大事な点は、そういう点じゃなくて、つまり川には上流と中流、下流というふうになっておりまして、そうして上流でたくさん水を取れば、当然下流は困るわけです。そこで長い間の水争いがありまして、その間に一つの調整の形ができておるのが普通でございます、上であまり乱暴なことができないように。しかし、やはり上流のものが有利になっているのは事実ですが、それが慣行水利権の実態でございます。つまり、下流のものに渇水のときに困らないようにするという、そういうところに、一つの下流を守るという意味の争いの結果としてできたものが慣行水利権、それをそのまま、河川法が明治時代に成立しましたときに、それをそっくり何の検討もしないで慣行水利権として、つまり河川法上の権利を認めたわけでございますね。そういうことですから、一番問題なのは、やはり上下流の対立をどうするかという問題なんです。そこへ今度は都市用水も入ってきているわけで、その間の利害の調整のときに、慣行水利権が問題になるわけでございます。ですから、問題は渇水なんで、渇水のときにどうするかという問題、それを解決するために、たくさんのダムがつくられておるわけです。そうしてダムができますというと、下流が比較的安定してまいりますので、水争いが起きないというふうになってまいるわけでございます。ですから、その点についてどう考えるかということでございます。それで、ダムをつくって渇水を増強するということになりますと、下流はそれに反対するわけはございません。そこで、最後のところは、費用負担問題というふうになってくるわけでございます。慣行水利権といまの河川法上のいわゆる許可水利権との違いというのは、そういうふうにして解決されていくものだと思っております。  先ほどのむずかしいほうの問題でございますけれども、十年ぐらい前ですというと、工場が来てくれればありがたいということだったのですね。雇用の機会もできますし、それからその周辺の地価も上がるから地方民にとって有利である、そういうふうだったのですが、最近になってまいりますと、さかさまになりまして、もう来てくれるなというのが日本じゅうの趨勢でございます。これは、やはり一面ではそういうふうに雇用の機会もふえるし、それから地価も上がるということは現実にそれはそのとおりなんでございますが、何がいけないかというと、きたない水を出す、大気中に多量の亜硫酸ガスを出すという、つまり、公害の問題がからんできているから非常にむずかしい問題になっていると思います。その公害の問題というのは、結局、これは自分の専門じゃありませんからいいかげんなことになりますけれども、足鹿先生と私も全く同感で、産業構造の問題だと思います。これはいままでしゃにむに日本を高度成長させて、そうしてエネルギーを中心にしました政策を推し進めて、そうしてそれが大都市の周辺じゃ行き詰まったから、だから地方へ行こう、こういうふうになってきておるわけだと思うのですが、そういうことは現実にもうやれなくなっていることは、これは内閣自身も認めておる。つまり福祉国家にしなければならない、そのためにはああいう産業構造じゃいけないので、電力なんかあまり要らないような、そういう産業構造にしなければならない。つまり、公害のないような産業構造にする。つまりそれには、とにかく、社会福祉に合致するような公共投資のほうにとにかく需要をつくりまして、設備投資のような需要がなくても工業はとにかくやれるようなふうにしなければならない。これは、まさにおっしゃるとおりだと思います。いま、その転換期にあるということも明らかだと思います。しかし、それはなかなかむずかしいことですから、農林省も一挙にどういうことになるのかわからないものだから、おっしゃるような抜本改正というところまでは行けないのじゃないでしょうか。私も、このままこの法案が成立いたしまして、それで万全になるものとは思っておりません。

玉城哲専修大学経済学部助教授

○参考人(玉城哲君) 私は、最初に意見を申し上げましたときに、今度の改正案というのは、むしろ非常に不十分なんで、かなり思い切った再検討と抜本的な改正あるいは制度の転換というものが基本的には必要だということを申し上げたのですけれども、実際、私はかなり保守主義者といいますか農本主義者でございまして、いますぐそれをやるべきだとは決して考えてないわけです。  それはなぜかと申しますと、やはり一つは農業の大きな構造変化というのは、急いで急にやるべきものではない。これはヨーロパッの長い歴史を見ましても、近代化のためには非常に長い時間が実際上かかっているわけです。もちろんそのときには、政策的にそういうふうにしたのではなくて、経済と社会の発展の自然の流れの中でそういうふうに変わったわけでありますが、だからこそ非常にバランスのとれた、現在はもちろん問題が出ておりますけれども、少なくとも十九世紀においてはバランスのとれた農業というものをつくることができたのだというふうに考えております。ですから、三年、五年というような非常に短い期間に農業構造を大きく変えてしまおうというような考え方は、農業には非常に妥当でないというふうに思っております。  それからもう一つは、農民の立場から考えなければいけないというふうに思うわけですが、それはやはりこの農業を担当しているのは現実に農民なわけでありまして、この農民は具体的に日常の生活をし、人間として存在しているわけであります。それに対して単なる計画という観点から、その人間をどうしてしまうのだ、人間の生活に非常に影響の大きいことをかってにものの計画の問題にすりかえていくということは、非常に間違った考え方なので、やはり農民がどういうふうにこの環境の変化の中で考え、どういうふうにビヘイビアを変えていくかということをある程度待たなければいけない。そのためには急激に環境が変化していく過程で、むのろ農民をある程度守らなければいけないといういわば、保守的な政策が実際には必要なんであって、農地の所有権につきましても、水利権につきましても、むしろさしあたりは守っていくということを一方でやらなければいけないというふうに考えておるわけです。したがって、この土地改良法にしても、土地改良事業体制にしましても、将来このままでいることは決してできないので、変化の方向を先取りした転換の準備というものは、すぐに始めなければいけないけれども、さしあたりこの土地改良事業体制だけで急激な理念の転換と事業体制の転換というものを独立に、孤立的に行なうことは、かえって混乱を助長することになり、農民のためにもならないのではないか、そういうふうに思っているわけです。また、土地改良事業というものは、干拓も含めてですけれども、非常に事業期間が長いという事実があるわけです。これはもちろん予算配分上のいろいろ問題を含んでいるわけですけれども、現実には非常に長い、しかも、その効果があらわれるまでに、必ず幾分のラグがあるという性質を持っておるわけです。そこで十年前に開始した事業が十年たってみたら非常に実情に合わないということによっていろいろ矛盾点が出てくるというふうに思っております。これはこの社会経済の非常に激しい変動の時代には、ある程度やむを得ないことである。ただし、その処理がどう行なわれるかということは、もっと具体的に検討の余地はあるというふうに考えております。

新沢嘉芽統東京大学農学部教授

○参考人(新沢嘉芽統君) ちょっとさっき言い落としたのですが、慣行水利権について舌足らずのことを申しましたので、補足させていただきたいのですが、まあ、都市側が農業の水を奪うというのではないかというあれですが、その点について十分にお答えしておりませんでしたけれども、私はそんなことはできないと思っております。農民の力を圧服して取るというようなことは、まあ、そう考えているような人もあるようですけれども、そんなに農家というものは、弱いものではないと思っております。そしてまた、これは当然守られなければならない。しかし、水資源を新しい用途に、農業のほうで、先ほど申しましたように、現実に余っているものがあり、そして農民の団体である改良区がそれを有利とするならば、やはりその部分については譲ってもかまわないのではないか。つまり、農民がそれを利益として譲るということでなければもちろんいけないわけであります。

中村波男日本社会党

○中村波男君 いまの質問に関連してお尋ねするのですが、先生は基本的には国営造成施設等の他種用水の共有化について賛成だということで最初の意見で仰せられたわけですが、そこで農業用水の余剰ができた場合には、他用途に転用させるという一度今度の改正法が開いたわけですが、そこでただ単に目で見て水があるかどうかという判断の前に、やはり余剰農水というものの果しておる役割りと申しますか、たとえば余剰農水が流れることによって、地下水を蓄積ということばが適当かどうか知りませんが、したがって、最近地下水の都市用水あるいは公共用水へのくみ上げですね、このことが地盤沈下に大きな直接的な影響を与えているということは、まあ、学者その他の議論のあるところでありますし、現実の問題として地盤沈下問題が大きく出てきておるわけですが、それから公害等による水の汚濁を浄化するという立場ですね。こういう点を考えなければならぬというふうに思うわけですが、そこで水路の基幹的土地改良施設については、農林大臣が特別に必要を認めたときに共有持ち分を他の企業体に売ってもよろしい、こういうことになっておりますがね。その特別に必要を認めるときの基準と申しますか、扱い方ですね、これが私、一番問題になるように思うわけです。  それからもう一つ根本的な問題として、河川法二十三、三十四、七十五条の規定に抵触をする、売り水をするということは。だから施設の一部について共有するという道を開いて、事実上の売り水を許すという結果に私はなると思うのですがね。したがって、こういう河川法の条文をそのままにして、農業サイドといいますか、土地改良法からこういう制度を設けたときに具体的なトラブルと申しますか、問題が起きてくるようなことはないだろうか。やはりこれをやるのなら、やることに対するいい、悪いは私は私の意見がありますが、それは別にして、やはり根本的に河川法の改正をこの際はかるべきではないだろうか。これらの点について先生の御意見をお聞かせいただければ幸いだと思います。

新沢嘉芽統東京大学農学部教授

○参考人(新沢嘉芽統君) いろいろな論点がございましたのですが、最後のものから私の考えを申し述べたいと思うのですが、つまり河川法の根本的な改正とおっしゃいましたけれども、これは私も実は、そうあってほしいと思っているわけでございますが、なぜならば、これは河川法の基本理念、利水に関する基本理念でございますね、それは水は公水であるという考え方なんです。ところが農民は自分の水だと思っていますから、これは私水だと思っていますしね。そこに根本の矛盾がありまして、ですから河川法を字句どおりに、建設省も近ごろだいぶん様子が変わってまいりましたけれども、やろうとしておった時期もあったわけです。この間までそうだったわけです。そういうことですから、つまり河川法がそういう水を売るようなことをできないようにし、つまり、水の資源というものの配分をかたわにするようなかっこうになっていたと思うのです。ですから、私もやはりそこに問題があるということはわかりますが、そうして法律の学者が、私は法律の専門じゃございませんけれども、法律学者の中でもいまは公水説をまっこうから支持する人はおそらく一人もございません。いろいろの地域の水とか、そういうような考え方をとるべきだというような主張の方もございます。そういうことですから、そこに問題があるのはわかっておりますけれども、建設省は河川管理の立場から、その点は絶対に譲るまいという姿勢をとっておりますから、やはりそれと真正面から争うということになりましたら、これは争ってもいいのかもしれませんけれども、これはかえって農民の不幸になるのじゃないかというふうに、とにかく争ったら、都市対農村という形の争いになるわけですから、押し切られるようなことにもなろうかという感じがいたします。そこで、やはりそれを一応認める形で実をとるということが、私は農民の立場として必要であろうかと思っております。それが法案の趣旨でもあろうかと思っております。  それからまだございましたんですが……。

中村波男日本社会党

○中村波男君 余剰農業用水というものに、目で見て余っているから農業用に使わなくてもいいから、ほかにという……。

新沢嘉芽統東京大学農学部教授

○参考人(新沢嘉芽統君) それはもちろんおっしゃるとおりだと思います。実は、私どもの農業水利問題研究会の、農林省のほうでやりました研究会の答申の中でも書かれているわけでございますが、まあ、二カ所か三カ所か書かれているのですが、つまり実態はわからないわけなんでございます。いろいろな説がなされております。それで、これはやはり徹定的に調べてみる必要があるわけです。それで私どもは、二カ年にわたって——一番転用が焦点になっておりますのは見沼代用水なんでございますが、埼玉県の代用水でございます。日本のトップレベルの用水ですが、この流末部分についてどうなのか。つまり、半分減っているのですから。まあ、上流はふえておりますから、全体としては減っておりません。半分減った末流部はどうなのか、調べてみますと、そこに現実に流れている水は、むだな水というものはなかったわけでございます。じゃあどうしてそうなのかといいますと、やはり、ある水位が保たれませんと、下流の部分でも、中で上流と下流の分水がございます。上流分水に水が入らない——全然入らないということではありませんが、量が少なくなる、比率が少なくなるわけでございます。そういうために水が流されている。そしてそれは最下流でもって排水路に落ちておるわけでございます。つまり、そこで使われておる。しかし、それは必要でないとはいえないわけです。ですから、そういう場合に、排水路に流れている水を有効化しようというならば、当然これはそれを可能にするような施設の改善が必要でございます。たとえばパイプラインにするとか、あるいはチェックゲートを設けるとか、そして万全の策をとった上でやらなければならないと思います。  それから、もう一つ御質問にあったのですが、汚濁の問題でございますね。これは用水路というものは、大きな用水になりますと、たいてい、ある部分は河川の一部を使って水路に使っております。見沼代用水も星川というのを二十キロばかり使っております。そうすると、途中から使うわけですから、その上流部分から川の水が流れ込むことがあるわけです。ところが、その見沼代用水の場合には、熊谷の公害の水が入ってくるわけです。きたなくなっております。こういうものを分離いたしませんと、実は将来はだめなわけなんです。そうすると、二十キロの、毎秒四十トンも流れる水路の二十キロを分離するということは、なみなみならぬことでございます。原因者は何か、これは都市化でございますね。そういうことになりますと、それを上水道あるいは農業用水にその分離のお金を出せといったところで、出せるはずはございません。これはやはり大規模な公共投資が必要でございます。そういうことだと思っております。

梶木又三自由民主党

○梶木又三君 玉城先生にお伺いしたいのですが、そういう基幹施設ですね、広域にわたる基幹施設は公共的な性格を持っておるから、農民負担はかけない。それから末端の圃場整備関係、これは私的な経営内部の問題だから、というお話でしたが、私、先生の御意見わからぬでもないのですが、完全にこの基幹施設が公共的なものと割り切れるかどうかということには疑問を持っておるのですが、まあ、排水と用水と違うと思うのですよ。やはり用水を全部公共的なものだとの割り切り方に問題があると思うわけなんです。それから圃場整備を、末端の仕事を、経営内部の問題だ、こういうふうに、これまた規定してしまうと、先ほどそれ相応の援助を与えたらいいじゃないかというお話もありましたけれども、なかなか補助事業としてそういうことを取り上げていくと、問題が出てくるのじゃないか。援助の方法としては、やはり私的なものであれば融資関係とか、そういう金融関係での援助になっていくおそれがあるのじゃないか。それで最近は、基幹整備、基幹施設よりも圃場整備のほうが担当の事業にして、はるかに大きいのですよ。私、こまかい数字は知りませんが、おそらく二倍、三倍くらい末端の圃場整備にかかるのじゃないか。それから圃場整備そのものでも、基幹農道なんかつくりますが、これなんか多分に公共的性格を持っていますし、だから画然と分けるとなかなか問題があると思うのですよ。だからいまの仕事のやり方、土地改良法の仕組み、これが仰せのとおり、万全なものだとは思いませんが、やはり基幹施設に公共的な部分が多いから、少し補助率を上げよという話だったら私、わかるのですがね。ですからいまの現行の方式でやらざるを得ないのじゃないかと思うのですがね。その点につきましてもう一度御意見を承りたいと思います。

玉城哲専修大学経済学部助教授

○参考人(玉城哲君) 現在、すぐに基幹施設と圃場施設を分けまして、それで全く違う取り扱いにするということは、現実的でありませんし、実際には不可能だと考えているわけです。しかし、将来はそういう考え方で整理しなければならないのではないか、そういう方向に向かっているのじゃないかというふうに感じているわけですが、その理由を少し先ほどは省略いたしましたので詳しく御説明いたしますが、この基幹施設が公共的かどうかということを判断する場合に、公共事業であるとか、あるいは社会資本であるとかというものの概念は、一体何かということをやはり考えざるを得ないわけです。その場合に、社会資本とか公共事業といわれているものは、決して絶対的な、永久的な基準があるわけではなくて、その時代、時代の社会と経済の必要に応じて相対的に定まってくるものだというふうに、どうも考えざるを得ないわけであります。農業の場合に、土地改良施設の基幹部分、これが公共的ではないという考え方が戦後一貫して、あるいは土地改良制度において一貫してとられてきたわけですけれども、これは結局は、この土地改良投資によって得られる経済的な成果というものが、個々の私的な農民の経営に吸収されてしまうものだという考え方から、純粋な公共性というものは認めがたいというふうに考えられてきたわけですし、現在においても、そういうふうに考えられているというふうに思うわけです。したがって、補助金的な性格をどうしても持ってくる。半面では、農民の負担というものが必要だという考え方になるわけです。ところが最近の経済の変化を見ますと、これは農業ではなくて、たとえば工業用水道というようなものがございます。これは公営である。そして工場に水を売るというようなことをやっているわけです。その工場は水を買うことによって工場の操業ができるし、また比較的、現状では安い価格で工業用水を入手することができる。そのために企業はやはり一定の利益を受けているというふうに考えざるを得ないわけです。この工業用水道が公共的であるということの半面の理由は、もちろん水の管理の問題、あるいは開発の問題があると思いますけれども、しかし、その違った面、経済的な面を考えてみますと、やはり私的な企業の利益のために公共施設として設置されているという事態があるわけです。そこで、農業用においても実際には個々の農業経営に利益が還元されるとしましても、これは公共的でないというふうに言う理由は、必ずしもないんではないかというふうに思っております。  それから、この基幹施設がやはり公共的なんではないかという考え方は、先ほど申し上げましたように、国民経済の観点から、一体、農業生産をどのように維持したらいいのか、その維持するための基盤として社会的な資本の配分が、この土地改良という姿で行なわれなければ、この農業の再生産を維持できないという認識になりますならば、これはやはり国の力、つまり資本なり資金なりの再配分の機能というものを発揮してそれを行なわなければならない、そういう課題が非常に強く出てきているわけでして、やはりこれも農民の個々の利益というものを離れたところから生まれてきている、そういう課題ではなかろうかというふうに思うわけです。  それから、もう一つの理由は、この土地改良事業費の農民の負担の問題、これを見てみますと、地域によって非常に大きな差があるわけです。たとえば、新潟県の蒲原平野などの場合ですと、十アール当たりすでに一万円をこすような負担をしておるというところがあるわけですし、一方では、古い施設を慣行的に利用しているためにわずか数百円の負担しかしていないという地域も別にあるわけです。この負担の内容というものは、これはいろいろ地域によって違いますし、調べてみないとわからないんですけれども、かなりの部分が基幹的な施設の改良の事業費の負担であるというふうに考えられるわけですね。そうしますと、実は、この費用の負担の面で地域的に非常に農民の不平等があるというふうに言わざるを得ないわけです。この不平等は、結果として見れば、農民の農業所得の不平等という形であらわれざるを得ない。現在まで進められてきました土地改良事業の全体の流れの方向を考えてみますと、やはり全国的な農地の機能の平準化という方向を追求してきたんだというふうに考えてよろしいかと思うんです。そういう意味では、農業生産を行なうための基盤の面では、やはり全国の農民が比較的平等な立場に立つべきだということになろうかと思うんです。そういう平等な立場を基礎にして、ある程度の農民の自由な創意に基づく競争関係もいまや刺激として必要な、そういう時代に入っていると思うんですが、その場合に、やはり基幹的な施設の改良あるいは新設のために大きな経済的な不平等というものが出てくることでは、構造政策を進めていく上で決して妥当ではない、やはりこれは、公共的なものとして全額国費なら国費で持つという姿が、ほんとうは最終的に行き着く姿であろうというふうに考えられます。  それから、圃場施設の面で申しますと、実際にこれを純粋な経営内施設というふうに取り扱うことが日本では非常に困難な、そういう客観的基礎があるわけです。これはどういうわけかと申しますと、先ほど少し触れたんですけれども、農民の持っている耕地が非常に入りまじっておる。したがって、一つの農場経営のごとく独立性というものを土地利用、水利用の面では持ちにくいという姿があるわけです。そのために、末端の小施設といえども、これは経営内施設ではなくて、経営の外部に出てしまう共同の施設であり、あるいは社会的な共有物だという姿をとってしまうわけです。しかし、これは現在までの土地利用が非常に分散しており孤立的であるという事態の中で生まれてきた、非常に特殊な日本的な構造だというふうに言わざるを得ないわけです。そこで思想的にもある混乱が生まれやすいわけでして、そういうふうに本来、経営の内部——合理的な大規模な土地利用が行なわれるならば経営の内部に入ってしまうような、そういう諸施設が外部に出てきますと、これと公益の基幹的な施設との区別が非常につきにくい。いままでその区別が非常につかないで、したがって、これは単に補助率の違いという形で、同じ性質の土地改良事業として扱われてきたと思うんですけれども、これからの変化、農業変化の方向を見通しますと、やはりこれは異質の機能を果たすんだというふうに考えざるを得ないんではないかというふうに思います。で、さしあたり、この圃場施設を単なる農民の責任において整理するということになると、現実にいろいろな障害が出てくることは十分考えられますし、援助措置といいましても、確かに御指摘のとおり金融的な方法というものが最も現実性があるということになるわけですけれども、現在、なお検討中で数字的な結論を得ておりませんけれども、この基幹施設というものを公共的に全部整備して農民の負担というものを取り除いた場合には、圃場施設の負担を低利融資によって農民が全額負担しても負担がそうふえないんではないか、逆にかえって減る可能性があるんではないか、その損得勘定は、この実際の数字に基づいて検討の余地を残しておるというふうに実は思っております。  以上でございます。

新沢嘉芽統東京大学農学部教授

○参考人(新沢嘉芽統君) 先ほど、水の開発の場合に、農業用水の転用とダムをつくることは同じことなんだ、別のやり方なんだということをお話ししましたが、それについて一番問題なのは、やはり農業用水を転用しろ、しろというような勢いが出てまいりますのは、ダムの開発がむずかしくなっているからでございますね。その場合に、やはり補償が問題なんで、その場合に農家が問題。そこで、干拓、開墾というようなもので土地を国が手に持って交渉に当たるようにしてほしいということを申しましたが、それをはっきりさしていただきたいということが一つございますが、もう一つ、その他の補償の場合でも、財産に対する補償はいたしますけれども、とにかく人の生活に対する保障というものは、全然いたしません。これはやはり三十年代に日本の経済がまだ小さかったときには、開発をどんどん進めるためにはやむを得ない措置であったかもしれないと思うのです、その時分でも私はいいことだと思っておりませんでしたけれども。しかし、このように国力が充実してまいりました今日におきましては、あのような人をばかにしたような、つまり対等の、お金を出せば人の土地でも何でも国は取り上げることができるのだぞというような、そんなやり方はもう通らない。通らないことは成田の飛行場の現状を見ればわかるとおりで、ああいう社会問題になるわけです。ですから、やはりその生活を十分に見て、その人たちが、つまりそういうことによって、移転をしなければならなくなったことは、むしろ自分の全人生から見れば、結果としてはよかったことなんだと思われるような、そういう補償をやるようにお進め願いたいということでございます。

高橋雄之助自由民主党

○委員長(高橋雄之助君) 他に発言もなければ、参考人に対する質疑は終了いたします。  参考人の方々には、長時間にわたり、本委員会に御出席をいただき、貴重な御意見を述べていただき、ありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十九分散会      —————・—————

国会会議録検索システムで原文を見る ↗