内閣委員会 第7号
- 発言数
- 175 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1972/04/13
会議録
○委員長(柳田桃太郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。 皇室経済法施行法の一部を改正する法律案を議題といたします。 趣旨説明を聴取いたします。山中総理府総務長官。
○国務大臣(山中貞則君) ただいま議題となりました皇室経済法施行法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。 改正の第一点は、皇室が国会の議決を経ないで賜与及び譲り受けをすることができる財産の限度価額を改定することであります。皇室経済法施行法第二条により、現在、天皇及び内廷皇族については、これらの方々を通じて賜与の価額は六百五十万円、譲り受けの価額は二百二十万円、その他の皇族については、成年に達した皇族にあっては賜与及び譲り受けの価額はそれぞれ六十万円、未成年の皇族にあってはそれぞれ十五万円となっております。これらは、昭和三十九年に現行の価額に定められたもので、その後改定されることなく現在に至っております。しかしながら、前回の改定以後、社会情勢及び経済情勢には相当大きな変動がありますので、今回その価額を改定いたしたいと存じます。すなわち、その間の物価指数等を考慮して、天皇及び内廷皇族については、これらの方々を通じて賜与の価額を九百九十万円、譲り受けの価額を三百三十万円とし、その他の皇族については、成年に達した皇族にあっては賜与及び譲り受けの価額をそれぞれ九十万円、未成年の皇族にあってはそれぞれ二十万円に改定することにいたしたいと存じます。 改正の第二点は、内廷費及び皇族費の定額を改定することであります。皇室経済法施行法第七条及び第八条の規定により、現在、内廷費の定額は九千五百万円、皇族費の定額は八百三十万円となっておりまして、これらは、昭和四十五年四月に改定されたものであります。その後の経済情勢なかんずく物価の上昇及び二回にわたる国家公務員給与の引き上げ等の情勢にかんがみ、内廷費及び皇族費について、物件費及び人件費の増加を考慮し、内廷費の定額を一億千二百万円、皇族費算出の基礎となる定額を千万円にいたしたいと存じます。 以上がこの法律案のおもな内容及びこれを提案いたしました理由であります。 何とぞ、慎重御審議の上すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
○委員長(柳田桃太郎君) なお、本案は衆議院において修正議決されておりますので、その修正部分について説明を聴取いたします。衆議院内閣委員長代理加藤陽三君。
○衆議院議員(加藤陽三君) ただいま議題となりました皇室経済法施行法の一部を改正する法律案に対する衆議院の修正につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。 政府原案では、本改正案の施行期日は昭和四十七年四月一日となっておりましたが、衆議院における議決の時期が四月一日を経過しておりましたので、これを、公布の日から施行し、本年四月一日から適用するということに改めた次第であります。 以上が修正の趣旨であります。
○委員長(柳田桃太郎君) 本案の審査は後刻に譲りたいと存じます。 —————————————
○委員長(柳田桃太郎君) 北富士演習場の十五小屋撤去に関する件を議題といたします。 御質疑のある方は御発言を願います。
○神沢浄君 私は、四月の十日に北富士演習場の付近に生じました自衛隊とそれから地元住民との間のトラブルにつきまして、一人の青年がいま逮捕、拘禁中というような事件でありますけれども、お尋ねをしてまいりたいと思うわけです。 その点について質問の趣意を先に申し上げておきたいと思うんですが、第一点は、私どもの調査によりますと、防衛庁が把握いたしておりますところの事実との間に重大な相違がある。防衛庁は事実をたいへん大きな誤認をしておるのではないか。そうであるとするならば、これはまことに著しい人権のじゅうりんの問題になるわけでありまして、したがってその点を明らかにいたしたいと思うんです。 第二点としましては、これはもう言うまでもないんですが、最近、自衛隊の行動につきましては、たとえば立川における自衛隊移駐の問題であるとか、あるいは決定前の沖繩への資材搬入の問題であるとか、国民の立場からたいへん憂慮されるような事態が一連して起こってまいっておるわけでありますが、規模の大小は別にいたしましても、この事件も同様に、いわゆるシビリアン・コントロールの空洞化といいますか、法秩序を軽視した自衛隊の威力乱用ではないかという疑いが非常に濃厚の点であります。 したがいまして、主としてこれらの点についてこれから調査をしてまいりたいと、こう思うわけなんですが、まず第一に、防衛庁が把握をいたしておりますところの、この事件の経緯と状況についてひとつ説明を受けたいと思います。
○政府委員(鶴崎敏君) このたび北富士演習場のいわゆる廠舎地区におきまして、先生からいま御指摘のような問題が発生したわけでございますが、順序を追って御説明しますと、先月の三十日に、現在自衛隊が関東財務局から使用承認を得て使っております廠舎地区の一部に、地元の忍草入り会い組合員が立ち入って建物を建てておるという情報が三十日の十時頃入りました。そこで、この廠舎地区を管理しております北富士駐とん部隊の業務隊長が早速現地に行きまして見ましたところ、すでに小屋がかなりでき上がった状態になっておった。そこで、その区長さんに対して、ここは現在自衛隊が大蔵省から使用承認を得て使っておる廠舎地区であるということを指摘しまして、それは承知しておるのかと聞きましたところ、区長は、それは知っておる、それならばこの建設をやめて撤去してもらいたいという要請をしたんですけれども、それには応じられない、自分たちはまあ入り会い権があるのだから、入り会い権に基づいて入り会い小屋をつくるんだと、こういうようなことで、業務隊長としては説得にこれつとめたわけですけれども、どうしてもがえんじないというようなことから、小屋ができ上がった。それから午後三時頃までに放送塔——七メートルくらいの高さの松丸太を組んでつくった放送塔ができ、それから簡単なトイレもできた、そして周囲に有刺鉄線をめぐらした、こういう事態になったわけであります。そこで、これに対しましては業務隊長からも、それから国有財産の部局長であります横浜の防衛施設局長からも、三月三十日付の文書をもちまして、この不法な建物を建設してあるのでこれは撤去してもらいたいという要請の文書を公式に出しております。それから業務隊長はなお、ちょっと日にち——四月の七日付であったと思いますが、その後もやはりもう一回文書によって、撤去するように要請をいたしております。ところが、今月の十日の朝になりまして、またどうも増築をしようとしておるという情報が朝方入りまして、業務隊長が現地に行ってみましたところ、すでにでき上がっている小屋を約五メートルばかり西側に移設をして、その隣にまた小屋を建設中であるという情報が入ったわけです。そこで早速また業務隊長は、中に入って、作業をしておる連中に、一体責任者はだれかと言いましたら、皆が相談をしてやっておるので責任者はいないということで、ここは御承知のように自衛隊が使用承認を大蔵省から得て廠舎地区として使っている土地だから、そういう建設工事は中止、資材は撤去してもらいたいという申し入れをしたわけであります。同時に業務隊長は、この問題につきまして東部方面総監に指示を求めました。東部方面総監としては、資材の搬入の段階で阻止するようにという指示をしたようでございます。ところが、組合員はその中止の勧告を聞き入れないでやっておりましたが、一応それでは区長に相談をしてみるということで、十一時ごろ一応作業を中止をしました。そして使いの者が区長のところに行ったわけでございますが、区長が不在であるというようなことでまた戻ってきまして、相談をしておったようですけれども、やはり工事を続行するということをこちらに返事をしたわけでございます。そこで、業務隊長だけがこのさくの中に入りまして、説得にいろいろつとめまして、まあ中には、地元ですから顔見知りの者もいるということで、個人個人に説得に当たったわけですが、どうしても聞き入れないというようなことで、やむを得ず、業務隊の者五十名ばかりが、中にある資材をさくの外に搬出をし、それから外にあった資材、それから搬出した資材の上に五十名ばかりの者がすわって、資材を搬入することを阻止するという形をとったわけであります。ところが、そうしましてもやはり柱のようなものをちょこちょこ持っていって作業を継続をしたというようなことから、このままでいきますとやはり建設が建てられてしまうというようなことで、やむを得ずさくの中に隊員を入れまして、そして資材をまた持ち込んだものを搬出し、それから建設中の建物は取りこわしをしたわけでありますが、その際、屋根の上に上がっておった学生一名が、これは部隊からの報告によりますと、建物から約二・二メートル離れたところに立っている業務隊長のところに、飛びけりといいますか、おりざまに顔面をけったということで、業務隊長はあおむけに引っくり返って頭を強打しまして、一時失神をしたというような事件があったようでございます。この件につきましては、現在警察において取り調べをいたしておりますけれども、聞くところによりますと、送検をされたという情報が入っております。これはしかしまだ確認しておりません。そういうような事件もありましたが、なお、そのほかに四名ばかり屋根の上に登っておった者がおりましたけれども、それは隊員が上に上がりまして引っ張っておりてもらったということで、そういう人たちを排除しましてから、建物は取りこわし、資材を外に持ち出して、ほかの資材と一緒にトラックに積んでこれを区長のところに持っていったわけでございますが、区長のところは手狭で置く場所がないというようなことから、区会事務所に持っていきまして、区の総務課長立ち会いのもとにこれを引き渡した。そして隊員はそこで引き上げた、こういう状況になっております。なお、この暴行の現行犯ということで取り押えた学生は、その後警務隊が廠舎の中に連れて行きまして取り調べをし、それからあと富士吉田の警察署のほうに引き渡しました。それから、その学生のほかにもう一人佐藤という学生が取りこわし作業を妨害をしましたので、これは取り押えて、さくの外に連れていきましたけれども、これは釈放をしまして、別に警察に連れていくということはしなかったわけでございます。これが大体の事件の概要だと思います。
○神沢浄君 いまの説明の中からひとつ確認をしておきたいと思いますのは、そうすると今回の実力行使、とまあ私は言いますが、これは自衛隊の命令系統を通じまして行なわれたことである、別に現地の部隊が独自の判断で行なったものではないという、こういう点と、それからもう一点につきましては、すでに既存の小屋があった。今回の事件は、その既存の小屋の拡張のための、いわば一部増築の作業に関して起こった問題だと、この点を二点だけ確認をしておきたいと思いますが、それでよろしいのですか。
○政府委員(鶴崎敏君) すでに建っておった建物の位置をずらし、その隣に、増築といいますか、建物の構造としては全然別でございます。十五番目の小屋は、これはもう既設ですけれども、その隣に、十六番目の小屋を建てようとした、こういうことでございます。 それから、この業務隊がそういう措置をとったのは、東部方面総監の指示を仰いだわけですが、東部方面総監部としましては、この件について陸幕にやはり連絡がきております。それから陸幕から私のほうにも、こういう問題が起こって、資材の搬入等を阻止したい、あるいは、すでに建てかかっておる建物もあるけれども、これはやはり撤去せざるを得ないというような話がありまして、これは穏便に、手荒なことはしないようにというもちろん注意の上で、そういう措置をとることもやむを得ないであろうということで、現地の業務隊としてはいま申し上げたような措置をとった、こういうことでございます。
○神沢浄君 そこで、私の調査したところによりますと、ただいま説明がありました事実とは非常に相違する実情というものがあるわけなんですが、その点についてはあとから調査をしたいと思います。 まずお聞きをいたしたいと思いますのは、地元入り会い組合の主張するところは、入り会い権、これは官公有地については入り会い権を認めないという立場もありまして、したがって入り会い慣行と称しております。入り会い慣行はすでに政府においてもこれを認めておるところでありますし、したがって地元入り会い民の主張に基づけば、入り会い慣行、いわゆる占有権があるものであって、したがって、その占有権を保有するところの地域内に入り会い小屋を建てるということは適法だという、こういう見解のもとにやっておるようであります。いまの説明によりますと、自衛隊の側とすれば、いわゆる一時使用の承認を受けているところの地域であるから、したがって、それらの障害の建物を除去をしたいという、こういうことのこれは衝突になってまいると思うのですけれども、この種のものにつきましては、これは当然双方の主張というものが相違をするわけでありますから、やはり法律上の手続というものが必要になってくると考えられます。今回の場合も、したがいまして、この障害排除の仮処分の申請等の手続を行なった上で行為があってしかるべきものではないかと、こう考えますけれども、ところが実力的な行動に出たという点はどういう根拠に基づいてのことか、その点を伺いたいと思います。
○政府委員(鶴崎敏君) これは防衛庁設置法にも明確に記載されておりますけれども、防衛庁の権限としまして、防衛庁はその設置する庁舎、営舎あるいは演習場等を管理する権限を持っておるわけです。したがって、この演習場の管理権に基づいて、本来の使用目的に障害を与えるような工作物の設置というような事態があれば、これがちゃんと適法な手続を踏んでなされるものならば別ですけれども、そういう法的な手続も経ないで無断でそういうものが設置されるというような場合には、その管理権に基づいて必要な措置をとるということはできるものと、こういうふうに理解しておるわけでございます。したがいまして、法的な手続によらないでも、そういう急迫の事態においては、その管理権に基づいてできるものと、こういうふうに考えます。ただ、先月の三十日にできたものにつきましては、すでに完成をし、それから炊事道具だとかあるいは寝具だとか、そういうものもすでに持ち込んで、人が入っておると、こういう事態になっておりますので、これについては、やはり管理権に基づいて直ちに排除するということは非常に紛争をもちろん巻き起こすこともありますし、これはやはり法的な手続によってやるべきものと、こういうふうに判断をしておるわけです。それと今度のものとはちょっと事態が違うと、こういうふうに考えておるわけでございます。
○神沢浄君 施設庁の長官がお見えになっておりますから、関連をしてお尋ねをするわけでありますが、第一の小屋と称せられましたこれは、今回の地域とは全く異って、北富士米軍演習場の着弾地域にかつて入り会い小屋が建てられていたことがあるわけでありまして、この入り会い小屋の除去がなされました。そのとき、第一の小屋除去のときには、施設庁は妨害排除の仮処分の手続を踏んだ上でもってたしか除去されておると思います。今回の場合も、いまの説明によりますと、管理権に基づいてと、こういうのでありますが、そうでありますならば、むしろその管理権も、私は条約に基づく北富士の米軍演習場の場合とはよほど相違するものがあると思いますし、それはあとからも問題にいたしまするけれども、その第一の小屋撤去の際にも、いまの説明に従うとすれば、これはそういう法律上の手続は不要だったというようなことになろうかと思うんですけれども、その点の見解はどうですか。
○政府委員(島田豊君) 米軍に提供しております演習場の中に、御承知のとおりに第一小屋が建ちまして、これが三年間ぐらいはそのままの形で存置されておったようでございます。それで、四十五年の七月ごろから、米軍が実弾射撃を再開したいという非常に強い要望がございまして、その場所がやはり実弾射撃に支障がございますし、また非常に危険でもあるということで、これを撤去しなければならないという事態が生じまして、それ以前に三年くらいそのままの形で放置されておりましたので、これが米軍が射撃を開始するということで、いきなり実力でこれを撤去するということは必ずしも適当でないということで、法的な措置を講じた、こういうふうに承知いたしております。その後第二小屋から第十四小屋までしばしば繰り返し建てられたのでございますけれども、これもやはり演習場の砲座の関係とか、あるいは着弾地の関係であるとか、あるいは弾道下にあるという関係で非常に危険でもございますし、またその小屋そのものが、私どもとしては本来入り会い小屋とは考えておりません。演習阻止に対する団結小屋という考え方に立っておりますので、これはその後は実力でそのつど排除したという、こういう事実がございます。今回の場合につきましても、これも法的な手続ということも必要かと思いますけれども、やはりこのまま放置いたしておきますと次々に小屋が建ちまして、それが非常に堅固なものもあり、それを事実上撤去するということもなかなか物理的にもむずかしいという事態も予想されますので、それにつきましては、まだ建築途中の段階においてその撤去を求め、さらに撤去に応じないという場合にこれを自力で排除するということは、私はそう妥当を欠いておるものだというふうには考えておりません。
○神沢浄君 これは、米軍演習場内の小屋撤去についても、第一の小屋撤去の場合は、いま長官が述べられましたように、妨害排除の仮処分の法的な手続というものが明らかにとられておるわけであります。第二の小屋以後は、いわゆる自力救済といいますか、そういう法外措置をもってやってこられた。このこと自体がいま実は係争中なんですね。裁判になっておる、こういうことですから、常識的に判断をしても、やはりこれは裁判の決定をみた上でその後の措置というものがとられるべきものだというふうに考える点が一点と、それからさらには、これは事情が全然違いますね、今回の場合は。なるほど米軍の使用している演習場の着弾地付近の小屋というのは、数百歩を譲って考えるときに、これは演習場の支障であるということにはなるでありましょう。しかし、今回の地域というのは、これは私どももあの周辺の事情はよく承知をいたしておりますが、今度の事件が起こって初めて自衛隊が国有地の使用の承認を受けておるというようなことが判明したというぐあいに、日常全然使用されていない場所ですね。実際は廠舎の前面でもって国道沿いであって、全然訓練場の支障などにはなっていない場所なんですね。事情が全然相違する点であります。こういう点が第二点です。 それから、さきに第十四と言われましたけれども、小屋撤去の一連の行動は、これは米軍の北富士演習場内でもって起こっておる問題である。今回の場合はそうではありませんね。これは自衛隊が一時的に国有地の一部の使用の承認を受けておるという地域にすぎないのでありまして、これは性格と事情というものが全く相違をするという点が第三点であります。こういうような状況のもとに、なおかつ自力救済なる法外の非常措置というものを必要としたかどうか、私はこの点が非常に問題になるように思うのですけれども、この点についてさらに納得し得るような説明をほしいと思います。
○政府委員(鶴崎敏君) いま先生御指摘の今度の場所は、従来、小屋が建てられ、そのたびに撤去された演習場地区とは性格が違うと、こういうことでございますが、確かに今度の場所は、前は演習場の一部でございましたけれども、米軍からすでに返還になりまして大蔵省の普通財産の形になっておるわけでございますが、それを防衛庁のほうで一時使用の承認を得て廠舎地区として使用しておるということで、その使用の形態が違うということは、これは先生御指摘のとおりでございます。しかしながら、防衛庁としましては、国有財産の使用承認を得て、廠舎地区として維持・管理をしているわけでございますから、その廠舎地区としての使用の目的に障害になるような事態があれば、これは、やはりその権限に基づいて、当然必要な措置をとれるというふうにわれわれは理解をしておるわけでございます。 で、これが自衛隊が使っている場所かどうか知らなかったという地元側の言い分につきましては、昨日、私は業務隊長から直接当時の事情を聴取したわけでございますが、先月の三十日、十五番目の小屋が建った際も、現場で、まず最初に、これは自衛隊が使用承認を得て使っている地域であるからやめてくれということを申し入れたところ、それで、そういうことを知っておるのかということに対して、区長は、それはもう知っておるのだ、しかし撤去はしない、というやりとりがあったということでございますので、どうも知らずして建てたということではないと思います。
○鈴木力君 ちょっと関連。 いまの長官の説明で、どうも、私はもう少し基本に触れる問題に論議をしてもらわなくちゃいけないと思います。この団結小屋のあるところを関東財務局から一時使用で借りた、だからおれの権利だ、管理権があるんだ、こういう言い方をしたでしょう。どうしてここが必要だったか、ですね。それから一時使用というのは一体いつまでの使用なのか。どうしてこれを一時使用しなければいまの自衛隊の任務が達成できないのか。そこが問題なんですよ。たとえば、ここの地区の人たちが入り会い地区とか、いろいろいま裁判をやっている。この入り会い権の問題は非常にむずかしい問題ですから、きょうは触れないにしても、とにかく、土地を奪われていることは事実だ、いままでに。だからこそ、入り会い権を主張しながら、この土地を利用して生活をしようとしておる。それを、米軍が返還をしたから直ちにこれを自衛隊が確保するという姿勢と、その分くらいでも土地の人に土地を返そうという姿勢との分かれ目がそこにあるわけです。そういう問題を考えた中での自衛隊が権利の主張をしなければいけないのであって、だから、どうしてもここの部分——山中湖村の村道のすぐわきなんでしょう。前の小屋には手をつけないが、増築した部分だけはこわさなければいけないんだ、その言い方が、自衛隊がこの土地を使用する使用上、どれだけの支障があるのかないのか、その辺をはっきり答弁してもらわなければいけないと思う。 それからもう一つ、委員長にお願いしますが、大蔵省がこの使用を認可したというところからこの問題が発生しておるわけでありますから、いまからでも大蔵省の責任者をここに呼んでもらいたいと思います。
○政府委員(鶴崎敏君) この地区をどうして自衛隊が使用する必要があるのかという問題につきましては、北富士演習場で自衛隊が大規模の演習をやるというような場合には、ほかの土地から部隊が移動してくるわけでございます。そこで、この廠舎に宿泊をしまして、何日間かここに寝泊まりをして演習をするということが毎年必要でございます。そういう際に、この営舎そのものは使用されておる。それからまた、この周辺の、多少、建物の建っていない、あき地のようなところがございますが、これはそういった際に、廠舎の中に収容しきれないときに野営をするという必要もございます。そういうときのために、現在利用をしておるということでございます。
○水口宏三君 関連。 先ほどのお話で、管理権に基づく実力排除について本庁に連絡があったので、本庁で検討をしてその承認を与たというお話ですけれども、何月何日に申請があって、その申請について、これは北富士演習場を、先ほど鈴木委員のほうからお話しになったように、もう米軍演習地でも、入り会い権と米軍使用の問題で長年にわたってこれは係争のあるところなんですね。島田施設庁長官も御存じのはずです。どうしてそれじゃ自衛隊の内局として、施設庁とも連絡をとって、そういういろいろな条件を踏まえて、実力行動に出ることを認めたのかどうか。つまり何月何日に相談があって、それに対して防衛庁として承認したかということと、その間に施設庁のほうと十分御連絡をおとりになったかどうか、この二点だけを伺いたい。
○政府委員(鶴崎敏君) 現地の業務隊長は、この問題が起こりました十日の朝、吉田の防衛施設事務所長に対して、実はこういう問題が起こっておるということで、その意見を聞いたようでございます。これに対して所長は、建物が建ってしまってはやはり処置が非常にむずかしくなるから、建物の建たないうちにやはりそれは排除をする必要があろうという意見を言ったようでございます。また、かたがた業務隊長は、東部方面総監部に対して十日の朝指示を求め、総監部からは陸幕、陸幕からは内局のほうにそれぞれ連絡がありまして、そのときの趣旨としましては、隊員はけがをしても相手方にはけがをさしちゃいけない、あるいは妨害をする者があればさくの外に連れ出すとねうようなこと、あるいは配備についてはどうするというようなこまかい注意事項まで含めまして、これは東部方面総監部のほうから現地に指示がいっておる、こういうことでございます。
○水口宏三君 時日、何月何日ですか、いまのは。
○政府委員(鶴崎敏君) 十日でございます。
○水口宏三君 十日で、内局で十分御相談になってその指示を与えたということでございますね。
○政府委員(鶴崎敏君) 連絡がございました。
○政府委員(島田豊君) 施設庁といたしましても、四月十日の午前に内局のほうから御連絡がありまして、私どもとしましてもいろいろ検討いたしまして、極力やはりこれにつきましては、まず警告を発していただく、そしてやむを得ざる場合には撤去もやむを得ないだろう、こういうふうなことで、内局のほうとも連絡をいたしたわけでございます。
○神沢浄君 いまの答弁で、建物を建てない先にと、こういうことなんだけれども、さきの説明の中でも防衛庁自体が述べられておるように、建物はすでにあるんですよ。ただその建物の一部の、最初私が確認をいたしましたように、増築にかかわる問題としてこれは起こっているわけですよ。いま建っておる建物に対してはどうしますか。
○政府委員(鶴崎敏君) 現在どのような法的な措置を講ずるかということにつきまして検討しておるという段階でございます。
○神沢浄君 法的な措置を講ずるための検討をしておる、こういうことでありますならば、ごく一部の増築の部分についてだけ問題を起こすという点がこれは納得できないところでありまして、これはもう一括して法的な措置を十分検討した上でもってやればいいじゃないですか。何で一部の増築部分についてだけこういう刺激的な問題を起こさなければならなかったかという点について、しかもあまり法的な根拠の明確でないような手段をとって——大体自力救済ということを言われるわけでありますけれども、私どもが法律の専門家から聞くところによりますと、自力救済という法外措置が黙認をされますのは、これは全く私人の場合に、法律の専門家の説明によりますれば、たとえば年末などに際会をして、自分の土地に不法にも他人が侵入をしてくるとか、あるいは建物が建てられるというふうな際に、これは年末年始にわたっては諸官庁が休みになりますから、したがって、その行政を通じての救済の措置がない。とられない。やむを得ず自力でもってそういう措置に出なければならないという、きわめて特例的な場合に、法律にはないけれども、法外の措置として黙認をされておるのが自力救済というこの措置である、こういう説明であります。そんな緊急の事態じゃないじゃないですか。しかも建物は既存のものがある、ごく一部の増築が行なわれているという事態で、何でそんな、法にもないような緊急な場面にのみ、しかも私人にのみ許されるというような自力救済という特殊な措置をあえてとらなければならなかったかという、この点がはなはだいまの説明では理解ができない点であります。その点をひとつ詳しく説明をしてほしいと思います。
○政府委員(鶴崎敏君) 先ほども御説明しましたように、増築ということばを現地で言っておったようでございますが、これはまあ全然別個でございます、建物の構造として。ただ、いままでの小屋を移設してその隣に新たに建物を建てるということで、既存建物に継ぎ足すというような形のものではございません。 それから、なぜそういう例外的な措置をとったかということでございますが、十五番目の小屋が建ったときと今度の場合と状況が違うということでございます。十五番目の小屋が建った際には、こちらが発見したときにはすでにもうほとんどでき上がっておった。しかも、それについていろいろ関係方面とも連絡をして相談をしているうちにどんどんどん工事が進んでしまって、しかも炊事道具、寝具等も持ち込まれて、人が入ってしまった、こういう事態だものですから、これについては法的な措置によらざるを得ない、こう判断したわけです。今回の場合は、まだ建築の途上であるというようなことから、先ほども申し上げましたように、十分注意をして相手方にけがをさせないようにというような配慮をしながら、これを排除したということでございまして、前回の場合と今回の場合とは状況が違うということでございます。
○神沢浄君 あなたの説明だけを聞いておりますと、全く新たな小屋が建築をされる、こういうような説明になっておりますけれども、あの現場を見たことありますか。私は現場を承知いたしておりますが、さくでもってごくわずかな地域が占有されておるにすぎません。そのわずかな地域の中に既存の小屋がありまして、継ぎ足しであろうとも、あるいはその小屋と多少の間隔があろうとも、そのわずかな地域の中に増築が行なわれておったというのが事実なんですよ。あなたの説明によると、第十六かどうかしらぬけれども、また全然別なところに小屋を建てるような印象の説明になっておりますが、そうではないわけなんです。あなたは現場を見て御存じなんですか。
○政府委員(鶴崎敏君) 私は現場は見ておりませんけれども、現地からきた写真がございます。これで見ますと、明らかに構造的には別個のものでございます。従来のものにつけ加えてつくったということではなくて、構造的には全然別個でございます。
○神沢浄君 おそらくあれでしょうね。あの占有している地域というのは、全体でも三間、四間ぐらいの地域にすぎないのですね。しかも、それはもうすでにさくでもって、はっきりわずかな地域を占有をしておる実態でありまして、その中にかりに一つなり二つなり小屋がふえたといたしましても、それはたいした問題になるような実情じゃないじゃないですかね。にもかかわらず、増築部分に対してそういう異常な措置をとったという点が、これは何としても理解のいかないところで、わざわざそういう刺激的な、ことにいま北富士の場合は、申し上げるまでもございませんけれども、地元民との間に長年の相当これはもう非常な関係というものがあるわけでしょう。そういう中でもって、わざとらしく何か地元民を刺激するような措置に何で出なければならなかったかという点を含めて、これはもう理解のいかぬところですが、さっき土地の問題が出ましたから、大蔵省から、いいですか、詳しくは来ていただいてからにいたしますけれども、あそこは自衛隊の演習場ではありませんね。北富士は米軍の演習地であって、自衛隊は、これも問題のあるところですけれども、米軍の管理権の範囲内でもって、ただあの演習地の使用をされておる、こういう関係のところなんですが、私は、国有財産を自衛隊にその使用を承認したという、さっきの鈴木委員の御質問の中でも指摘をされておりますけれども、この点だって問題になるところだと思うわけなんです。私が調べ合わしたところによりますと、これは大蔵省の通例の普通財産取扱規則の三十二条という条項に基づいての使用承認になっておる、こう言われております。その使用承認をするところの条項といたしましては、その財産の所管がえを前提として、その手続前に早急に使用をさせる必要がある、特にこういう条項に基づいての使用承認だというふうに聞いております。こうなりますと、非常に問題があるわけでありまして、その財産の所管がえを前提とするというと、これはどういうことになるのでありましょうか。おそらくあの北富士演習場の使用転換というものをこれは目的にいたしているわけでありましょう。使用転換を目的にしているから、したがって、その使用転換が実現をした際には必要だから、早急に使用させる必要があるという、こういう認定のもとに使用の承認がなされた、使用の認定がなされた。こうなりますと、北富士の演習場が自衛隊に使用転換をさせるなどという方針はまだきまっておりません。そういう方針は国自体が全然きめてないと思います。そうすると、その手続自体に、自衛隊があの使用承認を受ける手続自体がもう虚構のものだということになりはしませんか、その点はどうですか。
○政府委員(鶴崎敏君) 普通財産の取扱規則の三十二条の二項にこの使用承認の問題があるわけでございますが、その二項の第一号は、先生がいまおっしゃったようなことについての規定でございます。しかし、その二号になりますと、「当該部局等の事務又は事業の遂行上、臨時に一定期間に限って使用させる必要がある場合。」というのがございまして、こういう場合につきましては、財務局長は使用承認をするということになっております。現在この廠舎地区についての使用承認は、いま申し上げました取扱規則の三十二条の二項の二号によって承認を得ておる、こういうことでございます。
○神沢浄君 それはいつから承認を受けておりますか。
○政府委員(鶴崎敏君) この土地は、昭和三十四年の十月から陸上自衛隊の梨ケ原廠舎地区として、毎年使用承認を得て使っておる、こういうことでございます。
○神沢浄君 三十四年以来というと、ことしでもって何年になりますかね。十数年にわたりますね。
○政府委員(鶴崎敏君) 十三年。
○神沢浄君 いまの条項によりますと、事務遂行上の必要のために臨時の使用を承認をすると、こういうことになっておるわけなんですが、あの地域がいままで訓練なり何なり、いわゆる広義事務に使用されたことはありますか。
○政府委員(鶴崎敏君) 先ほども申し上げましたように、大規模の演習を北富士演習場でします場合に、廠舎地区としてはこの宿泊等のために利用しておりますし、その中に収容し切れない場合にはその周囲に野営をするというようなことで、これは毎年使っております。
○神沢浄君 そういうたてまえ論じゃなくて、私のお聞きしているのは、十数年来この地域が実際に使われたことがあるかということをお尋ねしているわけです。私はないと思います。
○政府委員(鶴崎敏君) その周辺の土地についてもこれまで使ってきたと、こういうふうに理解しております。
○神沢浄君 そういうでたらめなことを言われても困る。これはもう少し、いつ、何年何月何日、どのような目的でもって使ったかというようなことをもう少し明らかにしていただきたいと思います。いますぐそれが無理なら、すぐに所要の手順をとって明らかにしていただきたいと思います。私はあの周辺の事情には詳しいつもりですけれども、あの地域が、訓練であろうと何であろうと、一度も使われてはいない、こういうふうに判断をいたしております。だからこそ、先ほども触れましたように、その地域が自衛隊の一時使用承認を受けている地域だなんていうことは今度の事件になって初めてだれもが知り得たことであって、ほとんどだれもそのような事実すらも知らなかったような地域であるわけなんです。あとからそれは明らかにしてください。 それから先ほどの点が、まだ何としてもこれはおそらく聞かれておる方たちの納得のいかぬ点だろうと思うんですけれども、何か新たな小屋をまた建てるというような印象にまあ受け取れますし、そういう解釈に立っておるようでありますが、あの限られた地域の中に、たとえばこれはもとの小屋にそのまま取りつけられるものでないにしても、それが全く新たな小屋の建設などという解釈というのは、これはもう牽強付会もそれははなはだしいものであって、そういうような解釈がほんとうに防衛庁としては立っておるのかどうなのか。 それから今度は事実関係として、それじゃあ今度建てようとした小屋が既存の小屋とどれくらいの間隔を持っておったか、その点明らかですか、お尋ねします。
○政府委員(鶴崎敏君) 先ほども申し上げましたように、構造的には明らかにこれは別個の建物を建てようとしておった、こういうふうに理解をしております。 それから、距離等がどうであるかということはつまびらかにしておりません。しかし、まあ非常に近接して建てられたということは事実だろうと思います。その距離が何メートルぐらいかとか、そういうことまでは承知しておりません。
○足鹿覺君 関連。 林野庁の出席をいま求めておりますが、その前に防衛庁に伺っておきますが、これは昭和三十三年六月、米軍から日本に返還されたわけですね。駐留軍が使用し、占用しておったときは無償で、これは強制収用に近い状態であったと思うんですが、どうですか。
○政府委員(島田豊君) これは以前米軍に提供されておった土地でございまして、御指摘のように、その後日本側に返還になったわけでございます。そこで、これは国有地でございますので、これは国有財産を無償で使用しておったという状況ではないかと思います。
○足鹿覺君 相当の対価は当時駐留軍からその土地に対して払われておったのですか。
○政府委員(島田豊君) 安保条約並びに地位協定に基づきまして、米軍に対して施設、区域を提供いたします場合には、その借料その他の使用料につきましてはこれは日本政府が支払うというのがたてまえになっているわけでございまして、ただ、これは国有地でございますので、別に大蔵省に対しましてこの土地の借料なり使用料を払ったという事実はございません。
○足鹿覺君 先ほどから国有地国有地とおっしゃいますが、これは入り会い地も含まれているんですか。国有地と入り会い地との割合は、総面積の中の割合はどういう状態になっておりますか。
○政府委員(島田豊君) 施設部長から……。
○政府委員(薄田浩君) いま御質問の入り会い地の割合、ちょっと調べさせますが、先ほど長官が申し上げました国有地ということについてちょっと補足して御説明させていただきますが、結果的には現在国有地でございます。これは現在建っております第十五小屋の当該地域は、大正十五年ころに富士山麓電気鉄道株式会社の子会社である富士山麓土地の別荘地の分譲目的で所有しておったものでございますが、二十五年四月に、米占領軍がキャンプ・マックネアとして接収いたしましたので、そのときに国によって買収をしておりますので、現在、先ほど長官が申されたように国有地になっております。 ちょっと入り会い地のパーセントは、調べまして後刻御返答申し上げます。
○足鹿覺君 その調べましてなどという、そういうあいまいなことでは困る。いまの六十五ヘクタールの中に入り会い地があるはずなんです。それが、実弾射撃に、使用目的は実弾射撃なんですから、使用目的の中に入っている国有地だけだなんと簡単に言って、その内容も答弁できないはずはないはずです。そんなことがありますか。
○政府委員(島田豊君) 北富士演習場、これは米軍に提供している施設でございますが、そこの現在の国有地は、戦前の旧陸軍の買収した部分、それから戦後調達庁以来買収した部分、そういう二つの部分からなるわけでございますが、入り会い組合は従来、旧軍の場合も、米軍に移りましてからも、従来から、演習に支障がない限りにおきまして、そこで粗朶類なり野草類を地元の住民の人たちが採取をするということを慣行的に認めてきたということでございますので、この部分が入り会い地である、この部分が入り会い地でないというそういう境界がはっきりしておりません。その演習場一帯につきましてそういう野草類を採取するというそういう慣行が認められてきた、こういうのが事実でございます。
○足鹿覺君 あなた方はね、国の法律に基づいてやはり仕事をなさるんでしょう。この入会林野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律、この第五条ですね、(関係権利者の同意及び認可の申請)に明らかになっておりまして、つまりこの忍草入り会い地の諸君が訴えておるのは、思想的なものでも何でもない、われわれの同意を得ていないんだ、それはけしからぬと、こういうことも、抗議し、反対をしている理由の一つなんです。あなた方は、この入り会い権の近代化法、これに基づいて、入り会い地の農民と話し合い、その了承を得、あるいは承認を得るような正式な文書の取りかわしをしておるんですか。
○政府委員(島田豊君) 国有財産に入り会い権があるかどうかということについては、これは長年の争いの対象になっておるわけでございまして、これは大正四年でございますが、大審院判例におきましては、国有財産について物権的な意味での入り会い権は認められておらないわけでございます。長年そういうことで、政府の解釈は統一してまいっておるわけでございます。一般の公有地等につきましての入り会いという慣行、あるいは入り会い権というものがございますかもしれませんが、少なくとも国有地につきましては、大審院判例で、入り会い権は認められないというのがもう確立したこれまでの解釈でございます。
○足鹿覺君 この入り会い林野の問題は林野庁の所管でございますが、林野庁見えましたか。
○委員長(柳田桃太郎君) まだお見えになっておりません。
○足鹿覺君 見えなければ、いわゆるこの第二条、この(定義)の中に、「この法律において「旧慣使用権」とは、地方自治法」云々というふうに、慣行使用権というのはちゃんとこの定義の中に含まれておるんです。したがって、あなたの解釈が間違っていますよ。いわゆる慣行使用権というものがこの法律の上において認められている以上は、忍草の人たちが入り会い権を主張することは、長い間、何千年の歴史を経た地方住民の権益ですよ。それをあなた方の法律の一方的な解釈によってこれを強行する、そういうことに対して抗議をしておる大きな理由の一つなんです。あなたは、ふだん危険のないときにはある程度入り会いを認めておるというようなことを言っておられますが、元来この法律を制定して、長年のこの問題に一応法的根拠を与えた際にも、これは論議になり、ここで慣行使用権という条項が認められておるんです。それをあなた方が無視しているということは、あなた方のほうが不当であり、不法なんです。しかも、国有地と入り会い地との面積の分野も直ちに即応できないなんて、それで国有地だからかまわぬ。そういった入り会い地があるはずだと言えば、ただいまのような御答弁をなさる。全く日の丸の旗を掲げれば何でもやってよろしいというわけですか。防衛庁は優先的に、入り合い地の優先使用権をあなた方は持っているんですか。大蔵省から譲り受けたものは譲り受けたものとして、これはまた別に論議があると思うんです。米軍から返還をされた、それが直ちに国有財産になる、そして国有林になる、それを一時借用が簡単に、入り会い地を含めてあなた方に優先的にあるという法的な根拠は何にもございません。したがって、国有地だけではこの使用目的に合致しない、入り会い地を含めて実弾射撃場としての合法性を持つということになれば、総合的に、使用目的からいって、入り会い権者に対しての承認を、関係権利者の同意、認可の申請等、それ相応の手続きをとってしかるべきではありませんか。
○政府委員(島田豊君) この問題は非常に古くからの問題でございますが、この北富士演習場の国有地は、明治の十四年でございますかに官有編入処分の行なわれたものでございまして、この処分によって官有地になったものについては従来の入り会い権が消滅することは、大正四年三月十六日の大審院民事部判決に基づいて示されておりますので、政府としてはこの司法の最高機関の出した判決を尊重して、それに従っているものでございます。その判決では、「明治七年以降の地租改正処分に関する諸法令に依れば、その改租処分においては、」つまり租税を改めるという改租でございますが、「一般の土地を官有と民有とに区分し、その区分を実行するため従前人民が」人民ということばを使っておりますけれども、「人民が土地について入会、利用、進退」出処進退の進退でございますが、「進退し来たりたる状況を考査し、その状況に依り民有に帰属せしむるを相当と認むるに足るべき実跡あるものはすべてこれを民有地に編入し、然らざるものは、慣行上村民の入会利用し来りたる関係は編入と同時に当然廃止せしめ、かくの如き私権関係の存続を認許せざる趣旨を以て行なわれたること明白」であると、要するに官有と民有を区分をいたしまして、従来からそういう入り会い、利用、進退の状況があった、そういうものは民有地に編入をしておる、これがその判決の要旨、趣旨でございますが、そういうことで、一応国有地につきましては、つまり官有地になったものについては、従来の入り会い権は消滅をしたものであるという判決になっております。
○足鹿覺君 戒能博士は小繋村入り会い地の問題に生涯をかけて、大学を去られ、一身をあの問題に打ち込まれた。必要あれば参考人として招致して意見を聞かなければならぬ。あなたは判例判例と言われますが、法律の上からいって、前法と後法との関係から見ても、これは昭和四十一年七月九日に法律第百二十六号によって、入会林野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律が制定された際に、第二条の(定義)の末尾において「「旧慣使用権者」とは、旧慣使用林野につき旧慣使用権を有する者をいう。」と、はっきりこれは規定されているのです。判例とおっしゃっても、法律に定められたものは、さかのぼって判例がこれをくつがえすことはできないでしょう。そんなばかげたことがあってたまるもんですか。昭和四十一年に新しく法律によって入り会い権が慣行を含めて認められておる。それを判例によってあなた方は一方的に強行することは違法であって間違いじゃないですか、そういう論理でいくならば法律は要りませんよ。判例一本やりで何でもできますよ。そんなばかなことありますか。何を言ってるんです。さっきの第一、面積から答弁せえ。そんなばかな答弁があるか。面積も調べておらんで何だ、一体。
○政府委員(島田豊君) 先ほど申しましたような解釈でございますので、入り会い地として特定をした土地面積があるわけでございませんので、それの数量については私どももちろん把握できないわけでございます。 それから、国有林野に対する入り会いの関係につきましては、これはちょっと、後ほど林野庁のほうから詳しくお聞きいただきたいと思いますけれども、私どもはそれについて一つの解釈を下すといういま用意がございません。大部分のものがおそらく国有地でも、林野庁所管でございませんで、それ以外の国有地だというふうに考えておるわけでございます。
○足鹿覺君 関連であまり時間をとっては恐縮ですから……。
○神沢浄君 林野庁が見えられてからいまの問題をまた究明をすることにしまして……。 ところが、政府は、ことに防衛庁の立場からいたしますと、入り会い権を認めていますね。御承知のとおり、山中浅間神社所有の土地問題がありまして、これは山中浅間神社の氏子の一部の人が、渡辺正保という、これは相手方の氏名ですけれども、土地の一部を貸与することをきめたんですが、それが入り会い地であるがために、山中湖村が不服を申し立てて、裁判になりまして、結局これは山中入り会い裁判と称せられて、入り会い権を主張する山中湖村が勝訴をいたしておりますね。その際、その裁判に防衛庁は補助参加をしておるじゃないですか、入り会い権を認める側への補助参加を。そのこと自体は、やっぱり防衛庁は入り会い権を認めた立場に立っているわけなんですから、この今回のような説明とまことにちぐはぐきわまるものになってしまうんですが、その点はどうですか。
○委員長(柳田桃太郎君) 神沢君に申し上げますが、入り会い権問題については、いま林野庁から専門家が参りますので、その専門家の意見を聴取して、また防衛庁の意見をただしていただきたい。
○政府委員(島田豊君) ただいまのお話、つまびらかにいたしておりませんけれども、浅間神社の社有地につきまして入り会い権を認めるということがあるようでございますが、それにつきまして施設庁も参加しておるようでございますが、国有地につきましては、これは先ほどから申しますように、自衛隊なりあるいは米軍が使用します場合に、その間に従来から入り会っておったという慣行がございますので、その慣行は尊重していこう、しかし、これがいわゆる入り会い権ではない、したがいまして、入り会い慣行が演習によりまして阻害されました場合、当然その演習の期間において得らるべきそだ類等の収入、これが得られませんので、それに対しましていわゆる林野雑産物の補償というものをいたすわけでございますが、これは、いわゆる入り会い権に対する補償ということでなくて、従来の入り会い慣行というものを尊重いたしまして、それによる損害に対しまして国が補償する、こういう考え方でずっとまいっておるような次第でございます。したがいまして、国有地につきましては入り会い権という、いわゆる物権的な入り会い権というものはないというのがわれわれの一貫した解釈でございます。
○神沢浄君 入り会いの問題については、林野庁の方が見えてからということでよろしかろうと思いますので、この問題はあと回しにいたしますけれども、大蔵省の方、おいでになっておりますね。現在問題になっております、この自衛隊に対して一時的な使用の承認をいたしております地域の関係ですから、この承認の理由、それから認可をいたしましたことに対するところの説明、これをひとつしていただきたいと思います。
○説明員(楢崎泰昌君) お答えいたします。 提供財産につきまして国有地を米軍に提供する場合の手続でございます。一般的には大蔵省の普通財産を防衛施設庁に一時使用の許可をいたしまして、防衛施設庁がこれを米軍に提供するという形をとっております。それから、防衛施設庁に一時使用の許可をいたしましてからあとの問題は、大蔵省としては一応形式的には関与しておりません。したがいまして、防衛施設庁が米軍に提供すると同時に、どのような判断をなさるかということは防衛施設庁の一応の問題ということでありまして、したがいまして、私どもは、どういう理由かということはちょっと説明いたしかねるわけであります。
○神沢浄君 米軍に条約に基づいて提供されている地域とは違うのですよ。いま問題になっておりますのは、私の調べでは約六十四町くらいのものかと思われますけれども、昭和三十三年ですか、米軍使用中の演習場のいわゆるB地区が返還になりましたときに、ともに日本政府に対して返還になった地域なんでありまして、現在米軍使用の地域じゃないわけです。それがその後自衛隊への一時使用の許可がされておる、こういう地域なんです。したがって、その自衛隊への一時使用の承認の手続と理由というものはどうなっているかという、それをお尋ねしておるわけです。
○説明員(楢崎泰昌君) 失礼いたしました。ちょっと問題を取り違えておりました。おっしゃいますように、梨ケ原の廠舎を自衛隊に一時使用の許可をいたしております。これは演習廠舎として一時使用をしたいという自衛隊からの御要請がございました。そういう意味で自衛隊に一時使用の許可をいたしております。
○神沢浄君 それを少し法律的に説明をしていただきたいと思うのですがね。法の何条、何項、どのような理由をもって承認をされておるか、こういうところを聞きたいと思います。
○説明員(楢崎泰昌君) 私ども普通財産を管理しているわけでありますが、大蔵省に普通財産取扱規則がございます。それの三十二条第二項に、「当該部局等の事務又は事業の遂行上、臨時に一定期間に限って使用させる必要がある場合」には 一時使用の許可をすることができる、かような規定がございまして、これによって許可をしているわけでございます。
○神沢浄君 事務遂行上の必要に基づいて臨時に使用を承認をする、こういうことなんですが、これは三十四年以降臨時に使用されることを承認しておることになろうかと思うのですけれども、その土地が現実に使用されていないということになりますと、その承認自体に問題が起こると思いますが、どうですか。
○説明員(楢崎泰昌君) この廠舎が自衛隊に現実に使用されているかどうか、いまちょっとにわかに私、確認いたしかねるわけでございますが、書類上で見ましたところ、一年ごとに、自衛隊が使いたい、使う理由があるということで、毎年、一年間を限って一時使用の許可をやっているところでございます。
○神沢浄君 もう一点聞いておきますけれども、その使用の承認をいたしておる土地が実際には使用されていないということが明らかである場合には、これはもう法律の条項に基づきましても、当然その承認は取り消されなければならないことになりはせぬか。臨時使用というたてまえから言えばなおさらですが、その点の見解はどうですか。
○説明員(楢崎泰昌君) 御質問のところを克明に調べてみないとちょっとわかりかねますけれども、一般的な表現といたしましては、全く使用していないし、将来も使用するあてがない、また使用することが合理的でもないというような場合がございますれば、おっしゃる御説のとおりにあるいはなるかと思いますけれども、ここで具体的に私、事実を存じませんので、こうだというぐあいには申しかねますが、この場合は、一応自衛隊の使用する可能性があり、かつ自衛隊が使用したいという意思を持っているところではないか、かように考えております。
○鈴木力君 大蔵省の課長にお伺いしますが、いまの問題ですけれども、この自衛隊の一時使用の申し入れがあった場合に、その使用の目的なり、あるいは使用期間なり、そういう申し入れの理由については、大蔵省自体は調査をして、そして一時使用を認めるのか、申し入れがあれば直ちに一時使用を許可するのか、どっちなんですか。
○説明員(楢崎泰昌君) お答え申し上げます。 当然大蔵省としての判断が一時使用に対してあるわけでございますから、自衛隊の使用計画について調査をし、それが妥当であるという判断のもとに許可をいたしておるというのが実情でございます。
○鈴木力君 そうすると、昭和三十四年に承認をした。昭和三十四年は全然使っていなかった。そうしたら、自衛隊の使用目的が適当だという判断は間違っておったということになりますが、そう解釈してよろしいですか。
○説明員(楢崎泰昌君) お答えいたします。 先ほどちょっと申し上げましたように、現実に使用してないということだけで不当というわけにはなかなかむずかしいのではないかと思います。と申しますのは、現実に、先ほど申し上げましたように、使用する意思があり、また使用することが合理的であるというぐあいに認めたけれども、何らかの障害によってそれがなされなかった、障害というとちょっと語弊がございますが、何らかの理由によりまして使用できなかったという場合も、行政上の問題ですからあり得るのではないか、こういうぐあいに考えます。
○鈴木力君 これはあとで——そういうことになりますと、私はいまたいへんな問題を含んでおると思うんです。政府間同士だから都合のいい答弁をしてあげなきゃならないあなたの気持ちもわからぬわけでもないけれども、一年間の使用許可でしょう。将来使用する意思があるかどうかという判断で一年間の使用を許可するというこの仕組みが第一ぼくにはわからない。臨時に使用させるという条項を適用して、将来永久に、いつまでも使用意思があれば貸すんだという前提で一時使用を認めるというこの法律の運用があまりにも一方的過ぎはしませんか、一つは。 それから、昭和三十四年から今日までに、一年間を区切っての使用目的で一時使用の承認をとっておる。その一年間が全然使用しなかったということになれば、もちろんその使用しなかった状況にもよりますけれども、それは使用せしめたことが適当でなかったということになるのでしょう。その責任の一半は大蔵省も、認可した立場からいえば、責任を負わなければいけない問題だと私は思うのです。 特に、私はなぜこういうことを言うかといいますと、いま問題になっているこの地域は、かつてはそこの住民がその土地によって生活をしてきたところなんです。それが米軍から返還をされた。されたら、どだいその地域の人々に、相当の理由がない限りは、また生活のかてに返すのが正しい行政じゃないのか。それが三十四年からろくに使われていないところを、どういう理由で、どういう書類になっているのか、きょうは関連ですから詳しくは聞きませんが、少なくともやはり将来の廠舎が足りない場合の野営の予備地という説明がさっき参事官からあった。そういうことならば、そういう土地であるだけに、自衛隊がすでに使っておるその地域の中に野営の適地がないのかどうか、面積が足りなければどれだけが外にはみ出さなければいけないのか、そういう配慮がいまの日本の政府にはできないのか、できるのか、その問題から私は問題にしている。そういう意味で、一応大蔵省の立場をお伺いしたい、いかがでしょう。
○説明員(楢崎泰昌君) 私も実はこの件について事実関係を詳しく現在知悉しておりませんので、たいへん抽象的なお答えになって失礼かと思いますが、ただ許可、私どものやっております一時使用の許可は、先生おっしゃいましたように、将来にわたって使用する意思があるからどんどん更新するのだというわけのものではもちろんないわけでございまして、そのために一年を限りまして、臨時の使用である、そのときに、その時点において、その時点においては当然使ってないわけでございますから、それからあとの一年間の期間にどういうぐあいに使う計画があり、その使う計画がどの程度に合理的であるかということでございますから、当然先生おっしゃいましたように、野営地として必要であるならば、それがどういう程度において必要であるかということも一応考えた上で一時使用の許可をしているわけでございます。それが少し大き過ぎるのではないかというようなお話でございますと、またその具体的に中身につきまして検討をせにゃならぬわけでございます。一応たてまえといたしましては、一年ごとに、その一年間の中における使用の必要性、そういう形で許可をしておりますので、御理解を願いたいと思います。
○鈴木力君 時間がだいぶたちますし、関連ですからあまり時間を使ってはいけませんが、最後に私は大蔵省に一言だけ申し上げておきます。何となしに政府間同士で安易に使用を承認をするということは、これはやはり戒めらるべきものだと私は思うのです。適当な、言い方ほどんな言い方でもできますけれども、特に、その土地を必要な国民が一ぱいいるということ、それからあそこのトラブルが起こっておるわけです。それらには全然見向きもしないでおって、そして防衛庁であれば、使っても使わなくても書類が整えば貸しておったということに私はなると思う。だから、私は面積が広いか狭いかということよりも、それ以前に、防衛庁で別にその中で間に合うのか間に合わないのかというそういう検討をするくらいでなければいけないと思う。いずれこの問題は、私どもはやはりこれから現地の調査等も必要だと思います。いろいろいま政府予算のほうに伺ってみてもよくわからないという答弁が多いので、私はきょうはこれ以上はあまりものを言えないと思いますから、そういう観点から、やはりいまのような防衛施設庁なり防衛庁の答弁であるとすると、これは自衛隊の使っている土地なりなんなり総点検をしなければいけないのじゃないかという気持ちを私はいま持ったのです。そういう意味で聞いたのです。大蔵省としても、将来これは引き締めて、国民に納得ができるような取り扱いをすべきだ、そういうことだけ申し上げて、私の質問、その件は終わります。
○神沢浄君 いろいろ問題が出まして、なかなか究明するには時間的な関係がありますから、やむを得ませんので、残念ながら次の問題に進行してまいりたいと思いますけれども、この論議の最後の集約として、大臣いらっしゃらぬから次官にお伺いをいたしたいと思うのですが、いままでの論議を通じて明らかでありますように、なるほどそれは見解の相対立しておるような部分もありますが、一つには、米軍演習場の場合は、これは条約に基づくものでありますから、条約への順守、履行の責任等の関係もありまして、ときに非常手段などを必要とするような——私どもは反論をもちろん持ち合わせておりますけれども、ときに非常措置をも必要とするような立場や場面のことがあるといたしましても、今回の、この自衛隊が一時使用の承認を受けておる地域内に起こった問題とは、これは全く質的に相違をする問題だと思うわけであります。大体日常的に使用など行なっていないところなんです。小屋がたとえばあったところだって、いささかもじゃまになるようなところは全然ないわけです。これは全く質的に利用を異にしておるところであります。さらに、御存じのように、まあ北富士においては、住民とそれから米軍ないしは自衛隊との間にかなり異常な感情的な対立関係というようなものがあるわけです。こういうような情勢の中に、わざと事を起こそうというような態度は、これはもう何としても政府の態度としてわれわれには納得、理解のできない点でございますね。そういうような情勢の上に立ち、さらにはまた、先ほど自力救済云々というような説明が繰り返されたのでありますけれども、そんな——しかもそれは全く新しい事態ではなくて、現在既存の建物がある。ただその建物の一部増築——この既存の建物については法的の手続を検討中だと、こういうようなことであります以上は、それの一部、たとえば間隔を置いてのその防衛線であろうと何であろうと、限られたその区域内の問題であるにもかかわらず、わざと実力行使的な行動に出るというような必要があるのかどうなのか。そのことについて、たとえば増築に関する部分だけを実力行使をいたしてみたところで、既存の建物の問題は、これは片がついておるわけじゃありませんから、法的の手続を検討をされねばならぬでありましょう。そうすれば、やはりそれは既存の建物とともに検討すればよかったことなんだと思います。こういうような諸般の点から考察をしてみますと、全く今回の自衛隊がとりましたところの法外措置というものは、いわばきわめて不用意な、軽率な、妥当性を欠くところの私は行動であったというふうに判断をせざるを得ないのでありまして、そういう点について防衛庁として反省があるかどうか。今後の問題もございますから、そういう基本の姿勢の問題をひとつお伺いをしておきまして、次の問題に移りたいと思います。
○政府委員(野呂恭一君) 先ほどいろんな論議を通しまして、防衛庁の今後この種の問題に対する政治的姿勢について見解を述べよと、こういうことでございます。 まず第一点の、この当該地区が演習訓練の上でどの程度必要であるのかどうか。はたして具体的に今日まで何回、どういう形で使用しておるかなど御指摘を受けましたが、後ほど資料は提出いたしたいと考えておりますが、こういう防衛施設全体を含めまして、私どもといたしましては、非常な地域住民の防衛施設に対する意識の変化があると考えるわけでございます。また同時に、非常に経済的に発展をいたしておりますために、したがって国土に対するいろいろの利用、土地の価値観というものの変化など、異常な、防衛施設庁を取り巻く社会的、経済的条件というものが変化に遭遇しておると思います。したがいまして、この大きな変化の中で、今後防衛施設に対してどういう基本的な問題があるのか、あるいは今後それらの施設をどのように持っていったらいいのかといったようなことを根本的に検討し、基地のいわゆる総点検と申しまするか、その点検、調査を通して、新しい防衛施設のあり方、その基本的な問題等も十分に考えていかなければ、これからの防衛というものはあり得ないのではないか。私は、この防衛施設は、言うならば防衛上におきまする基盤整備である、この基盤整備なしに国民の合意は取りつけることはできないのではないか、こういう観点で、近く防衛庁におきましても基地に対しまする総合調整本部を設置いたしまして、大臣の直接の機関として、十二分に基地に対する調査研究、あるいはいろいろ地元の開発等の調整なども十分考えてまいりたいということで、プロジェクト・チームを発足いたしまして、基地問題に根本的に取り組んでまいりたい、かように考えているものでございます。したがいまして、この地域が演習あるいは訓練の場として適切であるかどうか、それもその基本問題の中からいろいろの面で検討してまいりたい。基地使用というものがどの程度どの場所で必要であるのかどうか。こういったものも防衛全体の機能の上からも判断すべきものと考えている次第でございます。 第二点でございますが、今度の処置について、なるほど、緊急の度合いから申しまして、いま直ちにああいう形で行なわねばならなかったのかどうか。この点については、御指摘の点も十分考えまして、今後そういうことのないようにいたしますることはもちろんでございますが、いずれにいたしましても、防衛施設を通して地域住民と対決するということが、これはあってはならないことであります。今日、防衛及び安全保障の問題があまりにも国民的合意と遠ざかっているということははなはだ遺憾である。われわれは、との遠ざかりをどうして近づけていくかということが国防上においてもたいへん大事なことではないか。何とかこの地域住民とのそういう心の通う場としての基地問題として、私どもは十二分に検討する姿勢を持って進めてまいりたいと、かように考えている次第でございます。
○神沢浄君 まあ次官のただいまの御答弁にも反論をいたしたいと思います点もあるのですけれども、時間の関係がありますから次の問題に進ませていただいて……。
○足鹿覺君 関連。 林政部長がお見えになりましたか。——神沢委員の質問中に、時間の空費でありますし、関連でありますので、——こういった込み入った問題などはとうてい関連などでは意を尽くしません。したがってここでいろいろ打ち合わせをいたしまして、日を改めて、この問題については委員長におかせられて関係当局を交えて検討する機会をつくっていただきたいということが一つ。 それから、大正四年三月十六日大審院民事部判決をもって施設庁長官が唯一の法的根拠として先ほど言われたものにつきましては、われわれとしては納得できません。なぜならば、国有林または公有林、あるいは民有林について入り会い権、慣行使用権、いろいろのものがありまして、それは個々の地域における個々の事情によってみな異なっているのであります。先ほども申し上げました戒能先生が岩手県小繋村のあの小さな部落の入り会い権の問題に自分の生涯を賭して、最後には職を賭して、この問題の解明に当たられたことは御承知でもありましょう。それほど地域住民にとっては貴重な権原であります。権利であります。したがって、これを旧憲法下の大正四年三月十六日大審院民事部の判決をもって金科玉条にするがごとき解釈では、この問題はわれわれは納得がまいりません。はっきりこれは御答弁は返上申し上げ、あらためて機会を得ましてこの問題については検討を深め、地域住民の権利を正しく私は守っていくことが当委員会に課せられた責任でもあり、大きな問題であろうと思いますので、委員長におかせられましても御善処を要望いたします。関連でありますから、きょうはこの程度にいたします。
○委員長(柳田桃太郎君) ちょっと委員長から資料の提出を要求しますが、林野庁並びに防衛庁、防衛施設庁におきまして、入り会い権並びに慣行使用権に対する解釈について意見の不一致があってはなりませんので、その法的根拠と取り扱いについて政府の意見を統一されて、根拠法規並びに判例等、それらを根拠を示して、書類をもって御提出願いたいと思います。そうして、近い将来にこの問題を審議する場合に見解の不統一を来たさないように御注意を願いたいと思います。 それでは、次に進みます。
○神沢浄君 それでは、次に、私は事実関係についてお聞きいたしたい点があるわけですが、先ほど鶴崎参事官から一応報告に基づいての御説明がありました。しかし、私が直接現地において調査した内容、事情とはこれは全く相違をいたしておるわけです。現在警察において捜査中でありますが、この捜査の段階で、警察が、当時地元の住民の、直接その場に居合わして目撃をいたしました人たち数人からの事情の聴取を行なっております。私も、その警察の捜査の際に目撃状況を説明をいたしました同じ地元住民から、警察において申し述べた内容について聞き合わしてまいりました。 それはこういうことであります。これは全く警察へ申し述べたものをそのまま書いてもらってきたわけなんですが、まず当日の状況としては、小屋の材料をトラック二台に積んで、十三人で、現地に地元の人たちが午前八時ごろ到着した。まず、先の小屋、いわゆる既存の小屋を移転するために整地作業を始めて、移転の終わったのが午前の十時ごろであります。それから十分くらいお茶を飲んで、新しい小屋の建築の作業にかかった。午前十時三十分ごろ、柱やけたや土台や骨組などができたので、屋根のたるきを打ちにかかった。そうすると、そのときに海津業務隊長が一人でやってきて、やめろと言った。当方は一応作業を中止して、責任者がいなかったので——これは入り会い組合長のことをさしているわけでありますけれども、甲府に出かけて不在であったから——みんなで相談の結果、入り会い小屋をつくることは不当ではない、入り会い権を持つ人たち、占有権を持つ立場からして不当ではないという、こういう相談になりまして、午前十一時ごろ作業を開始した。その建物の上に五人くらいでたるきを打ち、他の者は下でそれに手伝ったりほかの仕事をしていた。そうすると、自衛隊はさく外のベニヤ板、トタン、壁板等の材料の上にのぼってこれを押え、またさく内の材料を外に持ち出し始めた。ここで持ち出しては困るので、材料の奪い合いがあった。しかし、双方とも暴力的な行動はなかった。そのごたごたの間に、屋根の裏板も大体打ち終わった。時間は、緊迫状態であったのでよくわからないが、おおむね十二時をこえていたと思う。 事件の発生は、したがって十二時を若干こえたというころ合いに始まるわけなんですが、そこで当方は昼食をした。自衛隊は何かみんなでかたまって話をしていた。そのうち材料を押えているのをやめて十メートルくらいそこから離れた。したがって自衛隊はあきらめたものと思って、その間に入り会い組合は材料の一部をさく内にまた運び込み、五人くらいが屋根に登り、他の者は下で作業を開始をした。そうすると、そのときに百人くらいの自衛隊員がなだれ込み、柱を大ぜいでゆすったり、ぬきをはずしたりたるきをはずしたり、すさまじい勢いで取りこわしにかかった。当方は、屋根の者はたるきやむなげたにつかまって身を守り、下にいた者は柱につかまってこれを防いだ。このとき、いま警察におるこの男は、これは警察に現在勾留中の男の意味ですが、男は屋根のむねの下側に立っており、つかまるところがないので、あぶないからやめろやめろとどなり、ころげ落ちたのか自分で飛びおりたのか知らないが、下に落とされた。このころ自衛隊の数は倍くらいにふえた。業務隊以外の兵隊も見えた。そして強制排除にかかり、みんなさく外に連れ出された。このことについては抵抗もなく、ごたごたもなく、この最中に、先の移転した小屋の一部、したがって既存の小屋の一部の窓の下のトタン壁とか内側のベニヤ壁等がこわされた。 こういう状況なんです。これは、警察にこれと全く同じものがプリントになっているようですが、これを見ますと、先ほどの説明では、隊長目がけて、顔面目がけてけってきたと、こういうのでありますが、下のむな木につかまっておって、あぶない、あぶないという状況の中で、ゆすられて落ちたということのほうが真相のようでありますが、大体私も説明を聞きながら、顔面をけるなどということはこれは容易なことではありませんで、キックボクシングのプロボクサーなんかならいざ知らず、普通の者は相手の顔面をけるなどということは、これは実際問題としてできないことだと思うわけであります。したがいまして、ゆすられて落ちたときに、あるいは下におりましたそれが隊長であるか隊員であるか、衝突をしたというふうな事態があったのかどうか知りませんけれども、いずれにいたしましても、暴行を意図して顔面目がけてけるために飛びかかっただろうという状態では、物理的に考えても、とうていあり得なかったと、こう判断できるわけであります。その点も一つの問題点です。 そこで自衛隊は、そのとき二人拉致をいたしておりますね、いま警察におる男とそれから佐藤という男と。ここにその翌日の新聞を持ってきておりますが、新聞の写真によりますれば、まことに不穏当な状態でもって逮捕をしておるような写真も現場写真として載っておりますし、それから先ほどの小屋の破壊のために自衛隊がみんな小屋の上にのし上がって、事真ですからゆれて動いて見えませんけれども、まさにゆすり倒しておるような写真が載っておりますよ。これは私の聞いたところでは、テレビも行っておりましたから、当日、テレビの放映でもって画面になってみんな承知をしておるところであります。説明がいかようであれ、このように事実の証明をされて、当日の状態といたしましては、決して、いま拘禁中の人間といえども、隊長に対して暴行を意図して飛びかかったなどという状態でなかったことは明白だと思うわけです。にもかかわらず逮捕が行なわれておるわけですが、二人拉致をしまして、一人、佐藤という人物につきましては、何でおれを逮捕するんだということで、自衛隊側のほうが説明がつかなくて、これは釈放というか、結局はそのままになったようであります。もう一人の男は、その後——その取りこわしの作業にかかったのは業務隊というわけでしょう。その後、それが十二時若干過ぎ、私が警察で聞いたところでは、何か自衛隊のほうの説明によりますと十二時四十分前後というふうに言っておるわけでありますが、それから警察にその人物を引き渡したのが三時三十分と、こう言っております。そうすると、十二時四十分から三時三十分まで約三時間くらいの間、自衛隊の中でもって身体の拘禁、自由の拘束、それから取り調べのごときことを行なっているようであります。そこで、私はそのような情勢の中からお尋ねをいたしたいのでありますけれども、この逮捕についてはどういう法的な立場に立ってやられておるのか、その点をまずお伺いをいたしたいと思います。
○政府委員(江藤淳雄君) 刑事訴訟法、たしか二百十三条くらいだと思いますが、「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。」という規定がございます。したがいまして、この現場におけるいろいろなトラブルの際において、自衛官に対する犯罪として直ちにその場で逮捕し、逮捕した人間を警務隊のほうに、引き継ぎを受けてわが警務隊がこれの捜査に必要な調査をしたということでございます。
○神沢浄君 その際警察が場面に居合わせたという、こういうことでございますが、報告によると、そうでしょう。
○政府委員(江藤淳雄君) 警察は確かにおりました。しかし、これは私服を着まして、警備関係の人間が情報活動として来ておったようであります。後ほど確認しましたところ四名来ておりまして、警察署の警備課長も来ておったということでございます。まあ防衛庁自身も、警務隊は、自衛隊の施設内における犯罪、あるいは施設外におきましても、自衛官に加えられました犯罪につきましては、警務隊がみずから司法警察官吏として犯罪捜査を行なうことができるわけでございますが、したがいまして、この際はまず警務隊で初動捜査を行なうということにつきまして、警察の警備課長と打ち合わせをして、自衛隊の警務隊がまず最初に捜査をいたしたということでございます。
○神沢浄君 現行犯ならば何人といえども逮捕ができる。これは私も承知をいたしております。あの事件の中でもって、その現行犯であったかどうかが、これは後ほど論議されなきゃならぬところだと思いますけれども、かりに防衛庁側の説明のとおりといたしましても、その説明の上に立って考えてみるとしましても、そばに警察がいた以上は、これは何か私の聞いて承知するところによりますと、警察官は、いわゆる部長以上は、何というのですか、司法職員というのですか、専門の用語は私もよくわかりませんけれども、その兼務を持つ立場にあるもののようであります。そうなりますと、なぜ警察に逮捕を依頼しなかったのか、時間的余裕が瞬時のことでなかったとしても、逮捕した者をなぜ警察にその場で引き渡さなかったか、この点が人権上の問題として非常に大きな疑いの点の生ずるところでありまして、警察が目の前にいるのだから、警察で逮捕させれば済むことですし、またすぐにでも引き渡せば、これまた済むことであったわけですけれども、わざわざ廠舎外に拉致をして、三時間も身体の自由拘束をして取り調べをするというような、そのことが許されるのかどうなのか、こういう点が一つと、何かこの自衛隊法を見ましても、要すればその自衛官のその職にある者は、そういうその法律の関係でいきますと、これを準ずるというか、準用というように書いてあるわけであります。本物がいるのだから、なぜ本物のほうに引き渡さなかったか、この点がまことにどうも不明の点で、いまその点の説明をまずしていただきたいと思います。
○政府委員(江藤淳雄君) 自衛隊の施設内における犯罪、あるいは施設外におきましても、自衛官に加えられた犯罪につきましては、警務隊が当然司法警察官として捜査いたすわけでございます。この場合、確かに警察官もおりましたけれども、やはり自衛隊の区域内における犯罪でございますから、当然警務官が第一次的にこの捜査活動をする。で、初動捜査をいたしまして、法律の規定にもありますように、なるべくすみやかに警察に引き渡さなければならないとなっておりますが、その後三時間ばかりたって引き渡しているわけでありますが、一般に、引き渡しをする場合には、普通数時間かかるのが通例でございます。と申しますのは、やはり逮捕いたしますと、逮捕のためのいろいろな手続がございます。具体的に申しますと、逮捕手続書作成、それから写真の撮影、本人の弁解を求め、それを記録するための弁解録取書、こういうものが少なくとも当然必要になるわけでございますので、警務隊としてこういうものを作成するのに、本人が黙秘権を行使した関係上、この場合は三時間ばかりかかっておりますが、普通、いろいろ手続がめんどうでございますし、あるいは本人の弁解も非常に長くなる場合もございますので、通例数時間を要しております。
○神沢浄君 事件が発生いたしまして連絡がありましたから、私ども社会党の山梨県の本部の書記長が、三村賢治といいますが、直ちに現地に急行いたしまして、そして海津隊長に会っております。おそらく十二時から三時までの間くらいの時間だろうと思われますが、その三村書記長からの報告によりますと、いささか話が前後いたしますけれども、先ほど言われた、顔面に傷を受けておるというような状態ではなかったようであります。目の前でもってお互いに顔を見合わせて話をしたわけでありますから、どうも全治二週間という診断書が警察に届けられておるそうでありますけれども、まことにどうも三村書記長が会ったときの状況からすると、どうしてそういう診断書が書かれたのか、判断に苦しむというように言われておるところでありますけれども、同時に、その際に、何で逮捕したのかという点につきましては、海津隊長は、状況を聞くための連行であって、逮捕したということではないというような言い方をいたしましたり、あるいはまた、私人逮捕というのですか、現行犯としての逮捕をしたのだというような言い方をしましたり、まことにその答弁の内容が混乱をしておりまして、いずれとも判断がしにくいような状況だったようであります。したがって、そこで私どもが推察をいたしますのは、大体最初二人連れ込んだということからして、いずれがいずれやらわからないような状況で、大体現行犯逮捕ということの条件からはもうはずれておったようにも思われますし、さらに、この三村書記長と海津隊長とのやりとりの中からいたしましても、答弁が非常に混乱をしておって、その辺がまことに明確でなかった。こういうふうな点からいたしましても、大げさな、現行犯逮捕などという、状況の上からいっても措置に出るほどの情勢ではなかったのではないかというふうに考えざるを得ない点であります。そのような状況であるにもかかわらず、あえて、しかもまあそれほどのけがをしておるわけじゃないので、会って話ができるどころではなくて、会っても別にどこにけががあるやら、ほとんどけがの状態なんというものは見受けられないような状況だったというのでありまして、こうなりますと、まさに人権に対する不当で過剰な措置、こういうことにもなりかねないわけですが、なお、これから状況が明らかになってまいっての後のことでありますが、自衛隊がゆすって落ちたということになりますと、これはむしろ現行犯は自衛隊のほうであって、逮捕された人間のほうではなくなるわけであります。そういうような点について、今後の問題でありますけれども、どのようにお考えになっておるか。かりに取りこわしのときに自衛隊のそういう押す、ゆする、そういう行動が原因になって、そして実は振り落とされたんだ、あるいは身の安全を守るために飛びおりたんだと、こういうようなことになりますと、全く事態は逆になりますけれども、そういう点についての自衛隊の責任上の考え方というのはどうですか。
○政府委員(江藤淳雄君) 少なくとも、現場に状況調査として警察官が私服で四名参っておったわけでございますので、その警察官が十分現場の経緯について承知いたしておると思います。したがいまして、私のほうから被疑者を、逮捕した被疑者を警察に引き渡し、警察はその後の調査によりまして、本日九時四十分に、身柄拘束のまま地検に送付いたしております。少なくとも、本人は少しゆすられて落ちたんであれば、ずっと、業務隊長のところには届かないはずであったというふうに聞いております。かなり、そこから飛びおりたんでは業務隊長のところまで届かなかったというふうに、地理的にはなっておりますので、そういう意味で、少なくとも、被疑者の場合は意識的に飛びおりて顔をけ飛ばしたというふうに私のほうは確認いたしておるのでございます。 なお、この身柄送検は、先ほど本日と申しましたが、十二日の九時四十分でございます。
○神沢浄君 人権の問題ですけれども、時間の関係もありますから、まだこのことを究明していきますと相当な時間がかかると思います。そこで、私は最後に一点だけお聞きをして、一応きょうの質問は終わる予定ですけれども、このままでは問題の究明が済みません。したがって、ひとつ委員長のほうにおいて今後のお取りはからいをぜひお願いいたしたいと思います。 そこで最後に、確認と同時にお尋ねをしておきたい点は、警察がいましたにもかかわらず、自衛隊としては自衛隊組織内の、まあ警務隊のほうに引き渡しました。組織内の任務を持つ警務隊のほうに引き渡して、約三時間に及ぶところの拘禁あるいは取り調べ等の行動をいたしているわけであります。ですから、いわば私人逮捕ということでありますならば、その場で警察にこれを引き渡していなければならないと思うのでありますが、そうでないのですから、当然この事件に対するところの責任の立場というものは、これはつかまえた私人ではなくて、自衛隊そのものにあるというふうに、今後の問題は自衛隊そのものにあるというふうに確認をしておいてよろしゅうございますか。
○政府委員(江藤淳雄君) 自衛隊における警務官は、隊内における犯罪捜査、あるいは隊外における自衛官に加えられました犯罪については、司法警察官として行動する権限を持っております。したがいましてこのような場合、施設内であれば、警察官がおりましても当然警務官が第一義的に初動捜査し、逮捕をすることになっております。ただ、警察との捜査協定がありまして、施設外における自衛官に加えられた犯罪につきましては、現行犯でない限り警察官にお願いする。施設内における犯罪であっても、これがたとえば三島事件のように、社会的に影響がきわめて大きいとか、あるいは捜査がきわめて困難であるというような場合には、施設内におきましても警察にお願いするというような警察との捜査協定がありますが、とにかく、警務官というものは、同時に司法警察官としての権限を行使できるわけでございますので、この場合に、逮捕した者を自衛隊がまず逮捕手続書をつくり、写真をとり、あるいは弁解録取書をとる。そうして一応の手続を終わって警察のほうへ身柄を引き継ぐというのが、これは当然の職務でございます。
○水口宏三君 関連。 いままでの御答弁をずっと聞いていますと、この事件の背景をなしておりますのは、御承知のとおり、長年にわたる北富士演習場をめぐる、米軍基地を含めて、軍事使用に対する地元の人たちの入り会い慣行権、生活権に対する主張との争いだと思うのです。これは皆さん、御承知でございますね。そういうものの一つとして今度の事件が起こっているわけであって、しかも、手続的に伺いますと、米軍から返還されたこの地域、これは一応国有地として大蔵省が臨時に一定期間使用するということで、毎年これに許可を与えておる。しかもこれは、一応防衛施設庁なり防衛庁から話を聞いて、もっともだという判断のもとに貸していた。事実上これが十三回近くあったわけです。ところが、十三回もこの地域については実は使用することの申請をしたにもかかわらず、使用はされていなかったという事実があるわけですね。しかもそういう地域に対して、一応大蔵省から借りているのだからということで、管理権に基づいて立ちのき要求という形でああいう実力行動に出た。これがこの事件の大体経過だと思うのです。 そこで、今度一つも究明されていない問題として、この前の、御承知の沖繩派遣の自衛隊物資をいわばやみ輸送したということについては、文民統制が非常に強く問われた。このときに、政府側は、内局は知っていたか知らないか、内局に相談があったかどうかということに焦点をしぼりましたけれども、あの直後の内閣委員会での佐藤総理の答弁なり、あるいは質問なりを通じて、文民統制の問題とは単なる手続の問題ではないのではないか。きょう伺うと、手続的には十日の朝、現地からそれぞれ連絡があった。防衛庁も内局で相談があるし、防衛施設庁にも連絡をとったということで、手続的には、一応内局並びに防衛施設庁は関与しておるわけです。現地の自衛隊の暴走ではないと、皆さん方はっきり言っているわけです。そうなると、むしろ文民統制の根幹というものは手続上の問題ではないのであって、やはり民生優先、軍事優先ではない、民生優先にあるのだということは佐藤総理自身も答弁をしておるし、先ほどの政務次官のお話を伺うと、地元ないしは国民との間のそういう納得の上でやるのだということをことばでは言っていらっしゃる。ところが現実には、内局なり、防衛施設庁なりが討議をし、許可を与えた。現実は全然逆のことをやっているわけですね。これは実はわれわれとしても納得できません。しかもこの地域は、いままで十年間にわたって毎年更新されている。しかも使用されていなかった。ところが鶴崎さんの答弁を聞くと、大演習をやる場合にはあすこを使う場合もあり得ると、これは全く、こんなむちゃな、予備的な行為によってその地域の住民の生活を脅かすなどということは許されるはずがありませんわね、そんなことは。しかも、それは毎年繰り返されている。したがって、私はきょうの審議を通じてはこの北富士演習場の問題、長年係争中の問題であり、しかもそれがたまたま今回のような事件が起きた問題について、現地を視察をして、それらの事実関係、あるいは先ほど政務次官自身もおっしゃった地域住民との関係、生活環境、それらを調べた上でもう一回審議したいと思うんです。このことを委員長にお願いして——一回現地視察をすることと、それに基づいて、いま政務次官自身がおっしゃった国民生活優先の立場で、この問題をどう考えるか。これはもうこの前の、いわゆる内局が知らなかった、むしろ軍服がかってにやったんだというような、そういう意味の手続上の問題じゃないんですから、非常に重要な政治問題だと思います。そういう意味で、もう一回ここで審議を行なうということにいたしたいと思いますが、委員長、よろしくお取り計らいいただきたいと思います。
○岩間正男君 関連。 時間がないから三点についてお聞きしたいんですが、第一に、先ほど、これは富士観光会社から買い上げたものだというんですね。そして、米軍に提供したということでしょう。だということになれば、いままでの権利というものを全部これはじゅうりんすることができるということなんだな。そして、米軍から返還されておって、しかもそれをまた、入り会いの既得権というやつを、これは当然返すべきものを返さないでいるというのが現状なんです。事実なんです。こういうことは一体許されていいのかどうかというのが第一点。これは重大な、やはりいま、先ほどからこの民生優先か軍事優先かというのが最大の課題になっておるんですが、この問題に関連して非常に重大だ。これに対して明白な態度をとってもらいたい。ここで答弁できなければ——まあここでしてもらいたい。 第二点、警務隊の性格というのは非常に重大だと私は思って聞いておった、いま。警務隊というのは自衛隊の内部のそういう規律を守るんじゃないんですか。それはあなたのさっき言った人民に対してどういった関係を持つのか。警察と一緒にいなければ、これはまた考えようもあるかもしれませんね。しかし、警察がそこにいるのに、一体警務隊というものが自衛隊の隊員に対する当然の任務から離れて、直接主権者国民に立ち向かっていくという、そういう姿勢というものは許されていいのかどうか。これは重大な課題を持っていますよ、この問題は。これについて協定があるそうだが、その協定を出してもらいたい。警察と自衛隊のこういうものに対する協定というのはどういうものか。はっきり文書になっているんでしょう。それを出しなさい。これについて、一体それが正しいかどうかということは当委員会が討議、判定しなければならぬ問題だと思う。 第三、北富士演習場で米軍の最近の演習状況はどうなっているか、これは具体的に資料として出してもらいたい。一昨日の予算委員会において、自衛隊の秘密資料は昨年九十万件、さらに今年になって、これは減らしたというので七十万件、これは私に対する防衛庁長官の答弁であります。そういう中で資料が、この前の沖繩特別委員会で指摘したように、最近非常にごまかしているんです。だんだんだんだんあなたたちの出す資料というものはもうわからないようになって、秘密のベールでおおっている。具体的には二〇三ミリりゅう弾自走砲、一五五ミリりゅう弾自走砲、こういうものを明確に書いて、そうして北富士演習場において、これは現在二4(a)でやられているんでありましょうが、この二4(a)になってから何回、一体何人の第三海兵隊が入って演習をしたか、こういうものとの関連なしとは言えないんだから、したがってこれも、この点について答弁できたら、この三点について答弁をしてもらいたい。そうして、不十分だったら資料を出しなさい。資料を要求しておきたいと思います。
○委員長(柳田桃太郎君) ちょっと長官に申し上げますが、第一の入り会い権、慣行使用権の問題につきましては、文書をもって回答していただいた上で、さらに審議をいたしたいと思いますから、岩間君御了承願います。 第二と第三点には、いままで質問のあった事項でございますけれども、簡明にわかりやすく御答弁を願いたいと思います。
○政府委員(江藤淳雄君) 警務隊は、もちろん、平時におきましては施設内の隊員の秩序の維持に当たるということが本務でございます。しかしながら、犯罪が起きた場合には、その際に司法警察官としての権限を行使するという性格のものになっております。これは鉄道公安官とかいうものと同じでございます。 もう一つは、警察との捜査協定でございますが、これは私一存ではまいりませんので、警察と協議の上で、資料が提出できるかどうかについて検討したいと思います。
○政府委員(島田豊君) 北富士演習場におきます米軍の使用状況でございますが、四十六年、これは暦年でございますが、四十日間でございます。兵員は五千名。それからことしになりまして、一月が七日、人員が八百四十名、二月が六日、四百八十名、三月が七日、五百四十名。弾種につきましては、四十六年の二月に無反動砲あるいはりゅう弾砲の射撃が行なわれまして、それから一〇五ミリりゅう弾砲、これはそのときによって機種が、弾種が変わりますが、一〇五ミリりゅう弾砲、一五五ミリりゅう弾砲、二〇三ミリ自走砲、大体は一〇五ミリりゅう弾砲が最近はずっと多くなってきております。その中に八一ミリの迫撃砲、この射撃訓練が若干入っておる、こういう状況でございます。
○岩間正男君 いまのは資料で出してくださいね。
○政府委員(島田豊君) 提出いたします。
○岩間正男君 もう一つ、その協定出せないというんだが、いま協定があるといってここで議論になったのに、それが出せないというなら審議できないじゃないですか。そんな相談するまでもないじゃないですか。
○政府委員(江藤淳雄君) これは警察との協定でございますので、警察当局と協議した上でございませんと、私一存でいま直ちに出せるというふうにお答えはできないということを申しておるのでございます。
○委員長(柳田桃太郎君) 本件に関する本日の調査はこの程度にいたします。 午後一時三十分まで休憩いたします。 午後零時五十七分休憩 —————・————— 午後一時三十七分開会
○委員長(柳田桃太郎君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。 皇室経済法施行法の一部を改正する法律案を議題といたします。 御質疑のあるお方は御発言を願います。
○山崎昇君 皇室の問題については、なかなか国民感情からいってもデリケートな面がありますし、また質問するほうもむずかしい点も私ども感じておりますが、せっかくの機会でありますから、二、三長官にまずお尋ねをしたいと思いますが、第一番目に、私は、いまから三年ほど前だと思うんですが、この委員会で皇室の民主化についていろいろお尋ねいたしました。その際に、わけても最近天皇陛下、あるいは皇后陛下、あるいはその他の皇族の方々が国内旅行をされる。しかし、国民との間にどうも距離があるのではないだろうか、そういう感じがいたします。新聞、テレビを見た限りでは、何か盛んに国民の歓迎を受けられて、そして親しみがあるように言われますけれども、実際はですね、どうもそうなっておらないような気がいたします。 そこで具体的にお尋ねいたしますが、実は札幌でオリンピックがありまして、この間ほとんどの皇族の方と、それから天皇、皇后両陛下がおいでになりまして、いろいろあのオリンピックについてごらんになったわけですが、帰られたあとで新聞記者の座談会等がございました。また私も札幌出身でありますので、帰りまして二、三の方の意見をいろいろ聞いてまいりました。そのときの見解としてですね、せっかく来られたんだけれども、どうも宮内庁が悪いのか警察が悪いのかはわからぬが、皇室と国民との間に壁があり過ぎやせぬか、こういう批判がかなり痛烈に出されました。 いま私の手元にありますのは、これは終わりましたあとの北海道新聞の座談会で述べられている記事だけでありますけれども、これを見ても、何か天皇陛下のお泊まりになったところは、一メートル間隔で警察官が警備に立っておる。あるいは行かれてもかなりそういう警備が多過ぎて、実際は道民なり札幌市民との間に隔たりを生ずるようなことになっておる。まあ一々読みませんけれども、最後にこういう意見が出ました。「昨年のヨーロッパ旅行では、警備は空港付近だけで、あとはのんびりしたものだった。国内旅行なのに、国民との接触がないというのは、道警が悪いのか、宮内庁のせいなのか。」、「どっちもどっちだ。」こういう表現で結ばれておるわけなんだけれども、私は長官にそこでお聞きをしたいのは、なぜあんなに一体警備をしなきゃならぬのか。私どもから言うと、多少過剰警備ぎみではないかという気もいたします。これは皇室に好意を持っておる国民側から見てですね、そういう感覚を持ってるわけなんですが、それについてひとつ宮内庁の見解を聞いておきたいと思う。
○説明員(宇佐美毅君) 地方に御旅行の際における警備はもとより警察庁自体の責任でございまして、警察当局がいろいろ苦心をしておられるところであります。もとよりわれわれも、両陛下が地方にお出ましになるということは国民と親しく接せられるというのが目的でございますから、あまりにかきねができるということはわれわれとしてももちろん望まないところでございます。そういう意味で、過去においても警察当局とお話をしにまいったこともございますが、しかし、昨年以来特に警備が非常に厳重になりつつございます。そのことは、一に治安状況、警察の判断であろうと思います。私どももいろいろ、当然そういう問題につきましてもできるだけ警察当局にも意見を言い、またいろいろ世間での批判なんかも話し合っておるわけでございますが、最終的には、いろいろな治安情勢あるいは情報というものについて、警察としてはぜひお願いしたいという気持ちがあるわけで、われわれとしても、一日も早くこういう問題が解消してなくなっていくことを望むわけでございます。現に、地方のみならず、東京においても、皇居の中に乱入する人があらわれたり、たとえばお正月でもいろんな事件が過去に起こっていることは事実でございますが、そういうような空気が昨年来また特に多いような感じもいたします。地方においでになりまして、中央の新聞に出ませんけれども、地方でのいろんな小さなごたごたもあるようでございます。そういうような点から特に心配をしておられるんだろうと思います。 ヨーロッパのことをお話しになりましたが、羽田においでになるまでも、いろいろなあのときに動きがございまして、警備が強かったように思います。われわれもお供していて非常に痛感をしたのでございますが、外国においでになって非常に楽であるというのはどういうことでありますか、われわれから見ますと、相当両陛下のおそばというものは厳重でございまして、向こうの警官が取り巻いておられて、われわれが両陛下の模様をうかがえないことさえあったわけです。もうこれはどこの国でも相当の警備でございました。それがいいというわけでは決してございませんが、そういう事態が早く解消して、ああいう警備がなくて、国民に親しまれる機会が一日も早く来ることをわれわれも望んでおりますし、今後、警備のしかたについても警察ともよく話し合いをしてまいりたいと、かように考えます。
○山崎昇君 この問題は、長官の心配される点も私ども全くないという考え方で述べているわけでありません。ただ、札幌のオリンピックのように、ああいう国際的な親善の場であり、それから、来られる皇族の方々もかなりリラックスした気持ちで来られていると思うのですね。そういう方々を迎えて、また迎える市民や道民の側からいっても、こういう場合にはもう少しゆるやかでもいいんではないかという気持ちもある。そこで、いま一節だけ読んだのですけれども、やはりこの中でもう一つ言っていることは、「直接、道民にお声をかけられたのは、長生園の老人と距離競技場の自衛隊員だけ」であって、せっかくおいでになったけれども道民はさっぱりだった、こういうやはり新聞記者諸君も座談会等で言われておる。また、私どもも二、三接待に当たった方々、あるいはまた近くに、ホテルの前等に行かれた方々等に聞いてみましても、やはり過剰だという意見が圧倒的ですね。特にグランドホテルでありますとか、あるいは知事公館の前のごときは、さっきも申し上げましたが、一メーターおきぐらいに警察官が並んで、全く何もないのに規制だけきびしいではないか、こういう意見がかなり強いということだけきょうあなたに私はやはり申し上げておきたいと思う。そういうことで、警察の自主判断でしょうけれども、宮内庁としてもぜひ私はその点は、御判断を願うときにはお考えおきをいただきたいと思う。 これはあとにも関連するのですが、なぜ私がこういう問題を言うかと言えば、いま日本の人口構造もずっと変わってきて、もう昭和生まれが七割になってきている、あるいは新憲法下に育った者が大体五割近くになってきている、そういうことから考えますと、この天皇制に関する言うならば感覚も、かなり従前と違ってきているのではないだろうか。そう見なければ、この天皇制というものについて私はたいへんなそごを来たす時期がくるのではないか、そういう気もいたしますために、主として警備の面から申し上げたわけですけれども、どうかその点はひとつ宮内庁で十分な検討を願っておきたいというふうに思います。 そこで、次に移りたいと思うのですが、先般天皇と皇后陛下が初めて外遊をされた。これを私どもは新聞やテレビで、何日どこに行ってどうなったということは見ておりました。だが、憲法下で国民の統合的象徴だといわれる天皇陛下の行為について、国会には何のこれは報告もありませんし、正式に知る機会がないのですね。私は、少なくとも計画にいたしましても、あるいは帰ってきたなら当然、宮内庁か総理府かわかりませんが、国会に対して、こういう計画で、こういうふうに回られて、こういう点が問題点であり、こういう点は将来どうだとか、もし感想があればそういうものもつけ加えて、当然国会に報告されて私はしかるべきじゃないかと思うのだが、今日まで一回も公式に何にもありません。この点はひとつ宮内庁長官としてどう考えられるのか、聞いておきたいと思う。
○説明員(宇佐美毅君) これは、御旅行の発表後におきましても国会の御質問もあり、お答えしたように記憶がございますし、それから、私の記憶違いかどうかわかりませんが、総理の何か演説の際にもそのことをまっ先に言われたような記憶がございます。われわれは決して無視をしているわけではございませんが、十分に総括的にこまかく申し上げる機会は、御指摘のとおりに、なかったかと思います。この点はまことに申しわけないことかも知れませんが、決して私どもは隠していたという気持ちはございませんし、御質問に応じてお答えしておったような気がいたします。
○山崎昇君 確かに佐藤総理の演説に一言入っていました。慶賀にたえないということは入っていました。だが、しかし、どういう目的で、そしてどういう国を回られて、その間にどういうできごとがあって、あるいはどうされたというようなことは、私ども公式に一ぺんも聞いたことがありません。それは、連日テレビで報道されましたから、きょうはオランダに行っているとか、きょうはイギリスに行っているとかということは知っておりました。だが、しかし、少なくともいまの憲法下の天皇制度からいうならば、当然宮内庁は、帰られたら、こういう国々を回られて、そして、その間この国ではこういうことが起きたとか、そういう点は国会に対して私は正式に報告があってしかるべきではないか。そして国会としても、たとえば、次に天皇陛下の外遊計画があるかどうかわかりませんが、その祭には国会としても細心の注意を払うべきものは払わなければならぬであろう、あるいは意見を言うべきものは言って、そごのないようにしなければならぬ点があればきっとしなければならぬでしょう。そういう点が公式には何にもないということは私はやはりいかぬと思うのですね、正直に申し上げまして。ですからそういう意味で、何から何まで全部言えなんていうわけじゃありませんけれども、少なくとも初めての、これだけの外遊であるならば、当然宮内庁はそれにふさわしいだけの報告を私は国会にすべきだと、いまも思っているのですが、どうですか。たいへんおくれているのですけれども、今後なさる気はありますか。それとも、もうずいぶん日にちがたった、これで終わりだという気持ちですか。重ねて聞いておきます。
○説明員(宇佐美毅君) 昨年の御外遊は、もちろん内閣の、閣議の決定によって決定せられて行なわれたものでございまして、その後の公式の場合にこちらからまとめて、先ほど申し上げましたように、申し上げたことはなかったと思いますけれども、しかし、御質問や何かに応じてお答えしているつもりでございます。われわれといたしまして、決してこれを隠しているつもりもございませんし、それからお供をした者も、いろいろなところに出まして御説明をしているわけでございます。まあ国会に公式に、どういう場合にお話しするかというようなことは、われわれも今後十分考えたいと存じます。
○山崎昇君 これはもう過ぎたことでありますけれども、今後また起きることだと私は思います。うわさですけれども、何かアメリカにも行かれるような話も聞いておりますし、ですから、いずれにいたしましても、やはり国会がすべて皇室の問題について議論することになっているわけですから、当然報告をされるようにひとつ検討願っておきたいと思うのです。 そこで、私もかなりあの報道等を見て、二、三やはり感じがあるわけでありますが、最も私ども感じましたのは、たとえばオランダにいたしましても、あるいはイギリスに行かれたときもそうだそうでありますが、天皇陛下の戦争についての問題点が、どうも日本のほうはさらっと、触れずに歩いたようでありますけれども、相手の国は、かなりこれらについて痛烈な批判をされたとも書いてあります。そこで、一体外遊を、あなたが一緒に行かれたかどうかは私はわかりませんが、ずっと回られて、天皇陛下の外遊というものについて、どういう点があなた方が見て最もいい面であった、あるいは、悪い面があるとすればどういう点なのか。あるいは、いま指摘をしたような戦争の傷あとについて宮内庁はどんなような考え方を持って一緒に行かれたのか、できればこの機会にお聞きをしておきたい。
○説明員(宇佐美毅君) 昨年の御外遊は、すでに御承知のように、九月の末から十月の半ばまで十八日間でございました。この御旅行の主たる目的は、かつてベルギーの国王、皇后両陛下が公式に日本を訪問しておられます。それからドイツの、この間なくなられたリュプケ大統領が公式訪問しておられる。このことについて、ベルギーの国王からも、お手紙をもってぜひおいでをいただきたいというのが参っております。それからドイツのほうも、大統領がかわられましたが、いまの大統領が万博に見えましたときに陛下にお会いになって、ぜひおいでをいただきたいというようなことがございまして、かねて御外遊の問題もいろいろあったことでございますので、さらに、そのころイギリスのほうの女王が日本に御訪問を希望されるようなことも出てまいりまして、そういうようなことから、相互訪問というようなことで、そういうことを目的にしてヨーロッパにお出ましを願うということになったわけでございます。その間、この三国は公式訪問でございますので、どうしても日程が詰まりますので、その間に非公式に御訪問、あるいはお立ち寄りのところをつくるということで、デンマーク、フランス、オランダ、それからスイスというところを中にはさんだわけでございます。しかし、これもあまりお疲れにならないようにと考えたのでございますけれども、パリなんかでも、ポンピドー大統領がかつて総理大臣で日本に国賓で見えました関係でもって、陛下の御接待がありました関係で、ぜひというお申し出がありますとか、スイスでも、ほんとうの御休養でございましたが、大統領が万博に見えて、その際にお会いになった関係で、わざわざ首都を離れてホテルにまでおいでになるというようなことがいろいろ起こりまして、だんだん若干お忙しくなってきたというのは、やむを得ないいきさつでございました。この御訪問は、とにかく日本の御在位の天皇が外国にお出ましになるということはこれが初めてでございまして、こういうことが世界に報道されまして、単純ないわゆる御答礼の御訪問ということが中心でございましたけれども、世界の各国の報道陣の報道にあらわれてまいりました。共産圏諸国の新聞、もちろん南米でもアフリカでもずいぶん各地で、御訪問が報道されるというような、一つの非常な注目を浴びることになったわけでございます。 もちろん、先ほどお尋ねになりましたような、ヨーロッパにおきまするかつての戦争の相手でございましたオランダ、あるいはイギリスにおいて、相当の、おいでになることを御歓迎しないというような空気があることはある程度わかっておりました。しかし、そのほかにおきましても、われわれは当時のいわゆる経済的な日本の立場、現在の立場からいろいろな議論がやはりあるように見えましたし、そういうことを離れまして、一つの思想的な運動、動きというものがあるというようなこともだんだんわかった次第でございまして、これらをわれわれとしても全然気にかけなかったわけではございませんが、現地の大使館のほうとも連絡をとり、相手国との話し合いもいたしまして、そういう点は万全を期すということでお出ましいただきまして、不幸にしてやはりそういうような点について、歓迎せざる意思表示というようなものがあらわれてまいったことは、まことに残念なことでございまして、ただ一つ、オランダで、お乗りになっております自動車に魔法びんをぶつけたという具体的なこと以外には、あるいは凶器を持っているという事実はほとんどなかったわけでございます。そういうことで、われわれもそういう点については非常に注意を払っていたのでございますが、先ほど申したとおり、各国ともいろいろ警備のことは非常に苦心されたように思いますし、私から申しますと、両陛下は実に誠実な態度で、親善ということに撤してお動きになりましたことは、短時日ではありましたけれども、各国の人々に非常にわかってもらえたのじゃないかと私どもは思います。 それで、さっきの戦争に対する問題というのは、そういうことが最初から若干空気があることはわかっておりましたので、頭にないわけでございません。したがって、いろいろ陛下のお述べになりますおことばの中にも、そういう問題をどうやるかということは、外務省なり、われわれといたしましても、政府としてもいろいろ頭を使ったところでございます。ただ、目的が親善をはかるということでございますから、そういう意味で、おことばの組み立てなんかも考えましたけれども、たとえばイギリスなんかは、ウエストミンスターの無名戦士の墓の前でのお話については、相当そういう意味のことがあらわれたわけでございます。普通正式訪問いたしますと、両国の、こちらの天皇陛下と、向こうのたとえばクイーンならクイーンの間の演説というものは、お互いに事前に見せ合いまして、それに対応するようにいたすのが普通でございます。今回は、イギリスの場合を申し上げますと、ほんとうに宴会の行なわれます寸前まで手に入らなかった、向こうの準備がお進みにならなくて。ですから、いきなり、そういうことを拝見しないでいたしたわけでございます。しかし、イギリスのことがいつも言われますけれども、一言入っておりますけれども、あれは、過去は過去で、将来に向かってやっていこうというような趣旨に言われたことばであると思います。陛下は、そのことばに対して、十分了承するということもおっしゃっているわけでございます。私どもは、陛下のお立場からいって、あの程度であってやむを得なかったと私どもは考えております。 将来外国においでになりますことは、昨年おいでになりますときに、一ぺんおいでになりますと、今後もあり鳴るということを考えておるわけでございますが、すべて答礼の場合に陛下がどこへでもおいでになるということは実際問題不可能だろうと考えまして、お出かけ前の新聞報道陣との話のときも、そういう点は、私ははっきり、すべての場合においでになることは無理だ、可能な場合というほかないということを申しております。これもアメリカのことがだんだん出ますけれども、宮内庁は全然関係ございません。それぞれの希望なり思惑と申しますか、そういうことからの発言でございまして、いま何ら準備をいたしておりません。ただ、アメリカにおいでになることはいけないと申しているわけでございません。しかし、昨年のいろいろな経験を考えまして、よほど慎重にものごとを考えて、実行すべきときはしなければならぬということをつくづくと感じておるものでございます。 御質問に全部お答えしたかどうか存じませんが、以上申し上げる次第でございます。
○山崎昇君 いま長官のお話を聞いておりまして、やっぱり私どもよくわからないのですね。テレビで見ておったって、馬車に乗ってきれいだとか、いやどこで保養されたとか、そういうことはずいぶん報道されたが、いまあなたの言われたようなことについては、やっぱり私どもわからぬわけです。ですから、私ども国会としてほんとうに、天皇陛下の親善という意味の旅行であっても、間違いのないように、あるいは、いまあなたが慎重を期すと言われたが、そういう裏づけをするためにも、たとえばイギリスでいまお話がありましたようなことについて、陛下はどういうことばが出たのか、あるいは相手はどういうことばを述べられたのか、そういうことも、やはり国会その他に正式にあなた方から報告されて、国会も一緒になってそういう問題について判断するということが必要じゃないか、あなた方だけで、私はこう思いましたが、今後こうです、というふうに判断されるところに、私は将来を危ぶんでいるわけなんですがね。そういう意味でも、私はやはり、先ほどに少しまた関連しますが、あまりにもわからないことが多過ぎるために、いろいろ憶測が出てくる、あるいは要らざる推定も出てくる。そういう意味で、ひとつ国会に対してもう少しそういう点は明らかにするような方法をとってもらいたい。そうでないと、当時の新聞記事をたくさん持っておりますが、一番代表的なこの批判の記事というのは、私の手元にある限りこれが一番大体代表的だと思っているんです。それは、「日本人がともすれば水に流しがちの過去がそこには生きていた。ご訪欧が発表されてから実現までの半年の間、政府当局はこのような情勢の分析に甘すぎるところがあったのではないか。そうでないとするなら、もっと洗練された配慮が見られたはずだ。一例をあげれば、陛下が各国で読上げられた声明文は余りにも通りいっぺんの儀礼的なものだった。当事者にとって忘れることのできぬ戦争について、どうしてもっと心のこもった表現を盛込むことができなかったのであろうか。この点、ご訪欧を演出した「裏方」は鈍感にすぎたといわざるをえない。」、こういうのであります。当時はやはり新聞の社説等を通じて痛烈な批判がなされておる。こういうことを私ども考えれば、繰り返し申し上げませんが、この皇室の問題というのは、重要であればあるだけ、国会議員としてもこれは慎重でなければならぬと私は思っているのです。そういう意味で、宮内庁でやはり配慮されている点ではありますけれども、あなた方の判断だけで今後やられるようなことのないように、私は繰り返しこの点は申し上げておきたいというふうに思うわけです。 それから、オランダではかなり激しいこともあったようでありますが、まことに事なきを得てあなた方もほっとされていると思うのだが、最近皇室外交ということばが、また盛んに使われ出した。私はこれはかなり危険な要素が含まれているのじゃないかという気がいたします。行かれたのは確かに親善である、だが受け取り方によっては、皇室外交という、皇室を使って何か政治的な配慮をするというふうなことになりはしないだろうか、そういう心配も実は私ども持っているわけなんですが、最近使われておる皇室外交ということについて、長官はどのようにお考えになっておるか、聞いておきたいと思います。
○説明員(宇佐美毅君) 宮内庁におきましてはみずから皇室外交ということばを使いません。外でいろいろ聞かれるときにそういうことが出ているわけでございまして、私どもは、陛下がお出ましになるのは、陛下のおたてまえから言いまして、いわゆる政務に関係しないとか、さようなことがたくさんございます。ですから、そういうことにならないように配慮することが必要でございます。まあいろんな御演説の中にも、相当思い切ってやれば、政務にも関係するかもしれません。なかなかそこら辺の限界というのもあろうかと思います。 それからお迎えのしかたでも、国によりますと、非常に一つの、何といいますか、政治的な交渉みたいなかっこうをとろうと、お話し合いをしようというのもございますが、これは極力避けてまいったわけでございます。そういうようなことは相手国もございますから、具体的に一つ一つこういうところで申し上げかねますけれども、われわれとしましてはそういうふうなことにならないように、極力向こう側にも説明をし、やってきたつもりでございます。
○山崎昇君 そこで、私は、これは私どもの党の機関紙でありますけれども、これで全部だとは私は申し上げる意味でありません。ただ、しかし、いまの若い諸君が天皇制その他についてどういう考え方を持っておるのか、一つのアンケート調査が成っておりまして、これを見ても、かなりなことがやっぱり述べられておるのですが、そのうちの一つに、注目を私はしておきたいと思うのは、さっき人口構造のことを申しましたが、六割くらいの人は、若い諸君は、天皇陛下に戦争の責任があるのだという考え方を示しております。これが一つ。 二つ目には、じゃ、こういう天皇制度があっていいかどうかというアンケート等については、やっぱり将来なくしたほうがいいというような考え方が四割あるということが報道されておる。さらに、天皇制は、じゃ、なぜなくしたほうがいいのかという、この中に最も端的な表現としては、税金の浪費だと答えたのが三四%ある。さらに、政治的に利用されたり軍国主義に結びつきやすいと答えたものが三一%だ。最も私が注目しているのは、天皇制は天皇自身にとって非人間的な制度だからやめるべきだと答えたのが一四%だといわれています。これはあとであなた方見ていただいてもけっこうだと思いますが、しかしこれは全部の世論でありませんから、四つ、五つの労働組合のアンケートでありますけれども、いまの若い人の大筋の私は世論というものが代表されているんではないだろうかと拝見をしているわけなんです。そういう意味では、天皇制の問題というのは、やはり従来のしきたりだけ守って、何人かの側近でやるようなことになったら私はたいへんだと思うんです。もっと大衆的になってこなければならないし、ほんとうに人間というものに返ってこなければ、勢いこういうような考え方が支配的になってくるんじゃないか。やがて天皇制そのものについてもいろんな形になってきやしないだろうか。こういう心配をして先ほど来お聞きをしているわけなんですが、いずれにしても、今度の外遊を通じても、これはほとんどテレビを見ていない者が半分ぐらいおるようでありますけれども、いずれにしても、天皇制は片やたいへん関心を持つ者がおるし、片や無関心になりつつあるという全体の傾向というものを宮内庁は判断をしながら、これからの皇室の問題等についてはひとつ対処してもらいたいと私は思うんですが、この点についてのあなたの意見があれば、この際聞いておきたいと思います。
○説明員(宇佐美毅君) ただいま御指摘になりましたような傾向がないということは私も決して申し上げません。これはことに、私の見ますところでは、昨年来いわゆる天皇制とかいうことに対して、あるいは日本の、あるいは日本人の原点を探るとか、いろんな意味において、新聞、雑誌、木、いろんなところで議論されております。ですから、いろいろ議論が錯綜していると思うのでございますが、これをどうしたらいいかというのは、なかなか一言にして私どももわかりませんけれども、ただ、結局教育の問題でございますとか、実際問題をどう見ていくかというようなことについていろいろ未経験であったし、行き過ぎたりすることもございましょう。ですから、こういう点をわれわれとしてはしょっちゅう気をつけて、そして対処すべきであるということは、われわれも足りませんけれども、特に最近痛感をするわけでございます。ですから、こういう点については、各方面においてみんが、日本人全部が考えなければならぬ問題だろうと思います。そういう点で、私どももわれわれの職分の範囲において十分検討をしてまいりたいと思います。
○山崎昇君 そこで、次にお聞きをしたいのは、昭和三十四年の五月二十日だと私は思っておりますが、憲法調査会で高尾という皇室経済主管が、いろいろ天皇制度について問題点を出されて議論をされているわけであります。その後それらの問題について宮内庁はどういうふうに検討されたか、私はお聞きをしたいと思うんですが、問題がたくさんあります。 きょうは、あなたにひとつお聞きをしたいのは、三十四年の憲法調査会で議論されたときにも、天皇の退位の問題について意見が述べられております。私はいまの天皇陛下の退位をどうするなんていう意味ではありませんので、これは誤解のないようにお願いをしておきたいと思うんですが、皇宮典範を見ても、十六条では、天皇がまだ未成年の場合、あるいは心身ともに故障のある場合等には摂政を置くことになっております。したがって、国事行為をやることにはそう支障がないのかもしれませんけれども、しかし一方考えてみれば、天皇の退位ということについて制度が全然ないわけなんですが、私は、この際、検討されてももうしかるべき時期ではないだろうか、こう考えるわけなんです。なぜならば、これは率直に私の気持ちを申し上げますが、たとえば明治は四十五年、大正天皇は早くなくなられましたけれども、大正は十五年、昭和四十七年。いまのままでかりに天皇陛下が長寿されたとすると、一体皇太子が天皇になられるのはいつごろになるのかわかりませんが、かなりこの点にも私は問題を含んでいるんではないか。一方また、天皇陛下のほうでも、いろんな仕事に応じ切れないような場合もやはり出てくるのではないだろうか。そういう点等、私ども判断すれば、退位という制度については皇室典範で検討されても私はいいんではないか。これはなかなか慎重を要する微妙な問題でしょうけれども、宮内庁としてはどういうふうにお考えになっているのか。すでに三十四年の憲法調査会でこの高尾さんという方が述べられておりますので、その後一体宮内庁ではどういう検討をされたのか、ひとつ聞いておきたいと思います。
○説明員(宇佐美毅君) ただいま憲法調査会で高尾のいろいろ話したことをお引きになっておりますが、これは個人として呼ばれて出ているようでございまして、私どもと内容を打ち合わしてやったわけではございません。ただ、高尾君は、その当時宮内庁の参事官をしておりまして、そういう法案の立案のときに関係をしていた関係で呼ばれたんだろうと思います。その後高尾の申しましたことを一々取り上げて検討しているわけでございませんので、ちょっといま申し上げかねますが、御退位の問題については、皇室典範なりそれから憲法にももちろんございません。退位ということを全然予想していない。要するに位の天皇がかわられるということは崩御以外にないというかっこうでございます。ただ、いろいろ身体あるいは精神の重要な事故あるいは障害、あるいはその他の事故というようなときに、摂政なり国事行為の代行者を置くということだけでございます。ですから、こういった基本的な問題は、われわれといたしましては、いま退位問題を取り上げるという考えは全然持っておりません。そういうような御支障ができれば、いまのような摂政とか国事行為の代行というようなことじゃないだろうかというふうに、法律的にはそうなっておりますということで、考えておるわけでございます。もし退位ができますということになったことを考えます場合には、大体だれがそれを発議するかというようなこと、おっしゃるとおり、これは非常に慎重を要するいろいろな問題がございます。過去においても、歴史においても、御退位というようなことがむしろいろいろな政治的な紛争になったことさえあるんじゃないだろうかというふうに私どもは思うわけであります。ですから、こういうことは、私どもといたしまして、いまこれを検討するというような段階ではないと思います。陛下もすでに七十歳をおこしになりましたけれども、御外遊以来いよいよお元気で、どこも悪いところはございません。お疲れということも見えませず、この間も、ほかのところでそういう御質問の出たことを申し上げましたら、非常に意外なような顔をなさっておりましたのでございます。世界の国王の中でも、エチオピア皇帝とかスウェーデンの皇帝なんというのは、ずつとお年が上で活躍していらっしゃるわけでありますので、いま私どもはそういう問題について特に配慮をしなければならぬというふうには考えておりません。
○山崎昇君 私はいまの陛下に退位を迫るなんということを言っているのじゃない。しかし憲法の第二条で、いわば退位ということは憲法上あり得るのではないか。したがって、この高尾さんが憲法調査会で述べられているのは、「どうしても退位しなければならないという事態がある場合には、法律の改正を要する。つまり皇室典範という法律の改正をする。あるいは退位特別法を制定する。それによって退位するということも考えられる」ということを、個人的見解かなんか知りませんが、述べられている。そうすれば、あなたの言うように憲法上できないなんということじゃない。こういう退位の制度というのは法律上は私は検討されてしかるべきじゃないか。現実におる天皇陛下をどうするなんてことは別であります。しかし、私はどうしても考えてみなければなりませんのは、確かにいま長官の言うように、陛下はお元気のようであります。だがしかし、七十歳をこえられてこれからどのくらい生きられるかわかりませんけれども、私は、かなりやはり肉体的には困難な場合に遭遇してくるであろう。また一方、皇太子殿下のほうにいたしましても、もう四十歳近くになっている。こういう点等も考えますというと、やはりこの退位制度というのは、現実の天皇陛下をどうするかということは別にいたしまして、将来も私は問題として残るのではないか。だからすでに三十四年の憲法調査会では、個人見解であるにいたしましても、退位についてわざわざ一項を設けて述べられている。そしてこれは将来検討すべきものだということを述べられておるわけなんですね。ですから、あなたはいま、個人見解だから一々宮内庁としては検討することをしないんだと、こう言うけれども、少なくともこういう点については宮内庁としても私は検討に値する問題ではないだろうか、すべきことではないだろうか、こう思います。さらに、この論文によりますというと、退位と即位というものは密接不可分である、即位は不自由である、不自由の原則である、したがって、即位するときにはこれは不自由だから、退位だけ自由の原則を与えるのはどうも一貫性がないということをいわれておりますけれども、しかし私は、人間天皇というなら、一つは自由の原則があっていいのではないか、理論的に言えばそういうこともあり得るのではないだろうか、こう思って、いまあなたの見解を聞いているんですが、いますぐにどうせいと言うんではありませんけれども、少なくとも宮内庁はこの退位問題についても私は検討されてしかるべきだと思いますが、どうですか。
○説明員(宇佐美毅君) ただいまるるお述べになりましたが、私ども、現在においてはその退位ということを、これは法律の面からいいますと、皇室典範を直すということでできるかもしれませんが、ただ、皇室典範というものがあくまで憲法を踏まえての話でございまして、天皇という御地位が世襲であるとか、いろいろ憲法にございますけれども、そういう意味合いを私どもは含んでいるんではないかという感じもいたします。そういうわけで、ただ、そういう憲法の解釈とか気持ちというものを度外視すれば、皇室典範の改正でいくかもしれない。そこら辺はしかし非常にむずかしい問題で、われわれとしてすぐ検討をいたしてまいりますということはいま申し上げかねるわけでございます。御意見はよく伺っておきたいと思います。
○山崎昇君 いまここであなたの立場上言えないかもしれません。それは私もある意味では理解をしておきます。しかし、もう十何年前に、そのほかにもたくさんの問題点が指摘をされておりまして、私も幾らかこれは読ましてもらっておりますけれども、いずれまた別な機会に、これは、中身については私どもの見解を述べたいと思いますが、いずれにしても、だんだん陛下もやっぱり年をとってくるわけでありますから、当然退位の問題については真剣に私は考えてもらいたい。私どもは何もほかの意味があって申し上げているわけではありません。その点だけは誤解のないように、ひとつ宮内庁で検討を願っておきたいと思うんです。 それから、次に長官にお聞きをしておきたいのは、最近、自民党の中にも、元号について検討する何か機関が設けられたようにも聞いておりますが、この元号について宮内庁はまたどのようにお考えになっておるのか聞いておきたいと思います。
○説明員(宇佐美毅君) 元号の問題は、もちろん天皇の御在位と関係の深い問題で、われわれは全然関心がないということは申し上げかねますけれども、元号の実際的な取り扱いというのは宮内庁にございませんで、内閣にございます。ですから、私どもとしまして、特にここにおいてどういうふうにすべきであるということを申し上げることはいささか控えさしていただきたいと思います。
○山崎昇君 そうすると、いまの元号の問題だとか、あるいは少し戻りますが、退位の問題でありますとか、その他多くの課題がありますが、そういうものは一体どこで議論されるんですか。皇室会議でやられるんですか。政府だけでやられるんですか。宮内庁が検討されて、ある程度までの原案が出て、そして政府で検討して、皇室会議で検討して、最後にやるんですかね。その辺のことは一体どうなるんですか。私ども、やはり国会でありますから、いろいろな出されております問題点については、一応きょうは問題として出しておるわけでありますが、どういう形で、どういう手順で、それらの問題が議論されてくるのか。どうするということは別ですよ。元号を何にしますということはいま返事できるわけじゃない。それは承知の上で言っているわけでありますが、そういうような皇室に関連する幾つかの問題点については、どこで議論してどういう形になってくるのか私どもわかりませんので、あなたにいま聞いているわけなんですが、明らかにしてほしいと思います。
○説明員(宇佐美毅君) 国会の他の院のことを申し上げていいのかどうか存じませんが、衆議院のほうの委員会において何回もその御議論が出ておりまして、内閣でお答えしているわけであります。で、これは総理府と申しますか、内閣と申しますか、というところで、そのほかにもいろいろあります。国歌とか国旗とかいろいろな問題が、公式令の問題であるとかいうことが御質問の中に出ております。そういうことについてずいぶん前から出ておりますが、政府のほうではまだそれらについて進んでないのじゃないかと思いますが、私どもも、元号なんというのは、万一御不幸なことがあればすぐ起こる問題だと思いますが、それさえもまだ進んでいない事情でございます。先ほど仰せになりましたように、自民党の中で御審議になっておるということはわれわれも伝聞しておりますけれども、そういうような状況でございます。
○山崎昇君 そうするとあれですね。やはり内閣総理大臣に出てもらわなければ、私どもこの幾つか——いま一つ二つでありますけれども、その他にも多くの問題点がありますが、とても論議することはできませんね。あなたのところでは検討していない。政府は答えるでしょう。しかし総務長官は皇室経済会議の委員でもないし、ただ宮内庁が外局だから総労長官がここへ出てくるという程度の形を従来とっている。私ども、ほんとうにこういう問題、真剣に相手にするところがないのですね。これは委員長にひとつお願いしておきますが、いつかはひとつ総理大臣に出てもらいまして、この問題について議論さしていただきたいと思います。これは委員長に要望しておきたいと思います。 次に長官にお聞きをしておきたいのは、昔は皇室の問題等を処理するのに、私の記憶に間違いなければ皇室令というようなものがあって、いろいろ運営されておったと聞いておる。しかし、いま新憲法下になりましてから、それにかわるようなものは一体どういうものがあって、あるいは内規とか何かたくさんあるのでしょうけれども、ほとんど宮内庁内部のことや皇室の問題は全く外部にはわからないのですね。どういうものがあって、何によって運営されておるのかさっぱりわからない。ですから、昔ありました皇室令なんというようなものにかわるものがあるのかどうか、あるいは運営の内規のようなものがあるのかどうか、もしあれば、そういうものを私ども資料としてもらいたいし、ここで、大筋のことでけっこうでありますが、御説明願いたい。私どももらっておるのは宮内庁関係の法令集、これだけです。これではとても宮内庁のことやら皇室のことなんか何にもわかりません。その意味で、宮内庁の運営その他に関連をして、内規のようなものがあるのかどうか、あれば、一体どういう骨組みになっておるのか、きょうは概略でけっこうでありますが、御説明願いたいと思います。
○説明員(宇佐美毅君) 宮内庁の基本的な問題は、先ほどお述べになりました皇室典範でございます。皇室経済法、それに伴う若干の法令というもの、その他一般各法律に分かれておりますが、宮内庁法でございますとか、あるいは総理府設置法の一部に入りますとか、いろんな点でわれわれの執務上の基準というものがあるわけでございます。ただ昔のように、昔の皇室令というのは非常に広範でございまして、葬儀とか、御結婚とか、いろんな規定があるわけでございます。そのほかに服装でございますとか——服装なるものは現在も規定をつくってやっておりますけれども、ただ、この間も御質問のありましたような、法律には即位の礼とか、大喪の礼とあるけれども、その礼というものを何かきめたものはあるかという御質問もございましたけれども、まだそれはいろんな資料を集めておりますけれども、まだ法令あるいは何と申しますか、どういう形の法令できめるとかいうようなことまで進んでおりません。これもいずれはっきりしていかなきゃならない問題の一つでございます。それから、その他ございませんで、昔の諸法令が消えておりますけれども、いままで実際問題としましては、戦後非常に変遷が激しゅうございまして、きちんと諸法令を昔のようにけんらんとつくるということはなかなかむずかしゅうございます。ですからいろいろ、たとえば貞明皇后がおなくなりになりました御喪儀のあり方というものは、昔の喪儀令から時代に合わないものをはずしましてできるように骨組みを立てて準備をして、閣議決定を経たというようなことでございまして、そういうようなことで、いろいろな中の行事も昔はこまかくできておりました。いまは一つの慣習法とでもいいますか、そういうものができつつございまして、時勢に合わして、ぐあい悪い点はすぐ直すというようなやり方でございますが、いつの日か、そういうものをきめても変化があまりないというようなときでないと、非常に自繩自縛ということが起こる場合もございます。ただ、外からごらんになるとなかなかわからないような、そういうような議論もございましょう。そういうことでございますから、いつの日か、何か大綱でもきめる必要があるんじゃないかというふうには考えております。
○山崎昇君 いま長官から、いつの日か大綱でもつくりたいというお話でありますから、これ以上私もこの点は言いませんが、いずれにしても、皇室の問題はわかっておるようで全くわからない。そして憲法上では、国民統合の象徴だなんと、こういうけれども、さて何が実態かといえば、これだけ幾らか調べてきて質問する国会議員ですらろくすっぽ何にもわからない。これでは、やっぱり憶測を生みまして、私はまずいと思う。そういう意味で、なるべく早く、そういうもちろんむずかしい点はあるでしょうが、技術的に。あるにいたしましても、やはり大筋の、いま大綱と言われましたが、そういうものについてはやはり早くつくられて、せめて国会でも、宮内庁というのはこういう昔のやつがこうなって、あるいはこういう行事があるんだとか、こういう運営の内容になっているのだとか、せめてそれぐらいのところまでぐらいは国会でわかるように私はしてもらいたいと思う。そうしませんと、ただ皇室経済法の改正案が出てきて、九千五百万が一億一千二百万になるのがいいとか悪いとか、そんな議論だけでは、私は皇室の問題は国民と密着しないと思うんです。そういう意味で、この点はすみやかにそういうことをまとめられるように、この機会ですから要望しておきたいというふうに思います。 次に、お聞きをしたいのは、先ほどもちょっと触れましたけれども、なぜ皇室経済会議のメンバーに総務長官が入らぬのか、私はいまもふしぎなんですが、これは三年ほど前に私のほうから機構論と関連をしてお聞きをして、それで、その間皆さんのほうで何か懇談会だかというのをつくられて、そこでは何か長官が出てものを言っている。しかし、全くこれは私的な諮問機関みたいになっておりまして、法律でいう経済会議のメンバーにはなっていない。しかし所管は総理府の所管です。この間のことをかなりこの前私もお聞きをしたのだが、今度の改正案を見ると、入っておりません。委員会の始まる前に二、三の先生方と話したら、やはりそれはおかしいではないか、いつか直そうではないかという意見もありますが、なぜ今度の場合にこういう点が入ってこないのか、ひとつ長官にお聞きをしたい。それから、あなたが入れようとしたのだけれども、内閣にそこまで言えなかったのか、あるいは、指摘をされておったけれども、懇談会程度でいいとお考えになっているのか。私はどうも行政機構上納得できませんので、あなたの意見を聞いておきたい。
○説明員(宇佐美毅君) 皇室経済会議というものが皇室経済法によってきまっております。法律によってきまっておるわけでございますが、このできましたころのいきさつもあるんじゃないかと思います。これは議員が両院の議長、副議長、それから、経済関係でございますので大蔵大臣と会計検査院長、それに宮内庁の関係ということで宮内庁長官というのが議員になっておるわけでございます。そのときは、総理府というのはもちろんございましたけれども、そこの長官が認証官であるとかあるいは国務大臣ということでなかったわけでございますから、要するに、宮内庁の管理というのは総理大臣、宮内庁法に書いてございますが、総理府設置法には、総理府の外局という意味から総務長官の監督下にあるというふうに書いてあります。結局、総理大臣が出ておられればそれで総理府の関係の代表はできているというような当時の考え方じゃないかと思います。その後いろいろな事務が複雑になってまいりまして、変わってきた以上は、いろいろ議論が出ると思います。これは皇室経済法ばかりでなく、皇室会議にも同じ議論が出てくるというような気がいたします。そういうことで、若干、中でもそういうことに触れたことがございますが、今回はまだそこに手をつけるまでにいかなかったわけでございます。政府のほうともよく相談をしなければならないことでございます。
○山崎昇君 これはぜひ検討してください。 それから次にお聞きをしたいのは、ここに「天皇家の財産」という本もありまして、いろいろ読んでみているのですが、一体皇室の財産といいますか、私的財産、これはどの程度のものがあって、内容的には一体どういうものなのか、明らかにしてほしいと思うのです。
○説明員(宇佐美毅君) これは新憲法と同時に、皇室の関係につきましては、大部分が財産税、それからその他は、憲法によってすべて皇室の財産は国有とするということで、不動産は全部ございません。一つもございません。当時国会の場においても説明されておりますが、占領下でございましたが、ただ有価証券というのは千五百万は認めるということで、当時の国会の速記録にも出ておるわけでございます。それと、あとは普通の動産でございます。その動産と申しましても、これはいろいろ雑多でございますが、若干の刀とか美術品というものは、もちろん代々伝わっているのがございます。まあそういうようなものでございまして、あとは現在の皇居と、それから那須とかほうぼうの御用邸も全部国有財産、陛下の自動車も全部そうでございます、御財産というものは。そういったお品物をあまり評価したこともございませんが、そういう程度しかございません。
○山崎昇君 あまりこまかくは聞かないつもりですが、いま動産という話もありました。そこで、今度の法案で内廷費にいたしましても九千六百万からまあ一億一千万ぐらい。私ども確かに物価の上がったことはわかる。だがしかし、それだけなければいまの天皇御一家の経済が保てないのかどうかという判断が実はできないのですね、正直に言って。ただ、前に改正されたときから物価はこのくらい上がりましたとか、あるいはお使いになっております職員の人件費が上がったという、このことはわかります。しかしいろんなことを聞けば、有価証券もかなりある、あるいはまた貯金もされているというふうに私どもは聞いておる。もしそうだとすれば、天皇制の持つ本質からいって、一体そういうものをそんなにお持ちになってどうなるだろうかと私どもは考える。体面を保つもの、あるいは天皇陛下としての生活が困難だということはいけませんから、それを維持するためのものは当然国費でやるようにいたしましても、ある程度の余裕があるということになれば、当然値上げということについては議論があるところじゃないだろうか。ところが私ども、判断する材料がないのですね、正直に言って。ずいぶんここに説明資料などもらいますけれども、これだけでは実は私どもわからないわけなんです。そこで、あなたから具体的に、ほんとうに今度上げなければどうにもならないのだというひとつ中身の問題と、それから、これらの内廷費等は全部無税でありますけれども、それ以外のもちろん収入等があれば、それは一体税法との関係はどうなっているのか。それから、たとえばこれは変な話になりますけれども、有価証券をたくさんお持ちになる、その他の動産をお持ちになって、おかくれになったら、皇太子が引き継がれると思うのだが、その場合の相続税だとか、いろんな私は税法上の問題が出てくると思うんです。また、これにも書いてありますが、そういう点は一体どうなっているんだろうか。それから内廷費の場合は、これは所得税も何も対象になりませんが、それ以外のかりに収入があるとすれば、当然これまた地方税にも関連をしてくる。そういう点が一体どうなっているのか、私どもにわからないものですから、一々こまかな数字は別にいたしましても、あなたからひとつ説明を聞いておきたいと思う。
○説明員(宇佐美毅君) まあ内廷費は、法律によって天皇及び内廷におられる皇族ということで、いまさら申し上げるまでもございませんが、皇后陛下と東宮両殿下と三人のお子様、それの日常の経費、要するに経常的な日常の経費ということになると思います。その他の宮廷の経費というものはいわゆる宮廷費ということで、これは皇室費の中で年々国会で内容をこまかく御審議願っているわけでございます。その二つ。それから皇族さんのほうは、皇族費として、品位を保持する経費、こういうかっこうでございます。それからわれわれ宮内庁の職員の経費が、庁費の中に入っております。そういうように、三つ、四つに分かれておるわけでございます。 それで、内廷費と申しますのは、先ほど申し上げたような趣旨でございますが、これは昭和二十二年、新憲法で皇室経済法ができまして、そのときは総額八百万円でございました。その後十二回、今度お願いしておるのがたしか十三回目だと思います。それがいずれも大体物件費と人件費というものを区別いたしまして、その物価の騰貴、すなわち消費者物価の騰貴、それから給与のほうは、人間がおりますので、大体内廷で申しますと、二十五人というのが基準でございます。この人件費が、やっぱり初めは公務員ほどにとてもいかなかったのでございますが、だんだん公務員と大体同じ給与になり、退職金もそのうちから出すということになりまして、ただ足りないのは、いわゆる昔でいう恩給と申しますか、年金というものが足りない。これも人数も少数でございまして、年金制度がとれないということから、保険会社のほうの年金的なものをやっておりますが、これは金額も少ない、そういう差がございますが、大体いまは公務員と同じまでになってまいりました。そういうような人件費を、役人のベースアップがございますとそれに伴ってやはり上げていく、ということでずっとお願いしてきておるわけです。 それで、内廷費の内容がわからないという仰せでございますが、これはわれわれの家庭経費と、性格は少し違うものがもちろんございますけれども、大体お食事の経費、服装あるいは若干の服飾品とか、それから医者の薬の経費とか、それからいろいろ御会食になる、人をお呼びになる——私的の場合、それから御用邸においでになる皆さまの御旅行の経費、さらに災害等がありますときの見舞い金、あるいは学士院とか芸術院の奨励金、毎年恩賜賞がございますから、そういうものでございますとか、それから災害のときのお見舞い金、その他内廷のいろいろな道具類、被服類あるいは職員の給与というようなことのほかに、いわゆる宮中三殿の経費というものが入るわけでございます。 そういうような日常の経常的な経費でございますので、内廷費を毎年そういう基準でいただいておりますが、四十三年でございますか、とにかく何か増額するにはそのときに基準を示せということがございまして、先ほども御発言になりましたように皇室経済会議のメンバー、それに総務長官も加わって、そしていろいろ御審議を願って、大体そういった物価の上昇と給与ベースが上がるということによって、予備金というものを大体一割見込んだ計算になっております。それをこえるようになれば要求すべきであるということでございまして、その方針で自来いたしておるわけでございます。これはしばしば国会でも御説明を申してきたところでございます。 そういうわけで、経常的な経費でございますから、たとえば御結婚とか御旅行とか、いろいろな場合に特別な経費を要することがございます。そういうためにこの内廷費のうちを毎年少しずつ積んでおるというのが内廷基金として、内廷費の不足あるいは皇族さんのお独立のときの若干の経費とか、そういうものに充ててきているわけであります。初めのころは、先ほど申した千五百万という基金も非常に財政が苦しゅうございまして、私が宮内庁に次長で参りましたころにはほとんどこれに手がついてしまう。前の長官も非常に苦労してもとに返そうという努力をされたことがございます。そういうわけでございまするし、ですからそれが若干ふえておるのも事実でございます。 それから、そういうものはもちろん源泉分離課税で、税金は払ってあるわけでございます。それからその他の若干の収入につきましては、申告をして、これは公金でございませんので、私的の経費でございますから一々数字は申し上げませんけれども、地方税を払っておられるわけでございます。そういうようなことで、私どもは将来におきましても、いろいろな点で急に——とにかくこの内廷費というのは一種の法律による定額でございますから、何か急にあったときに何にもないというのも困る。若干基金的に一部を残していきたい。ただ私どもも幾らでもたくさんにすればいいということは考えておりません。これは憲法を見ましても、皇室に要する経費というものはすべて歳入歳出にあげるということになっておりますから、やたらに大きなそういった資産を持つということは、私はこれは憲法の精神でもございません。ただ、ごく不時の用に充てる程度のことにしておきたい、かように思うわけでございます。 それで、まあそれでもまだどういうものか内容がわからぬと仰せられるかもしれませんが、さっき申しましたようないろいろこまかいのが積み重なっておるわけでございまして、まあ総額的に、本年の増額の前の九千八百万のときの内訳をごく大ざっぱに申しますと、先ほど申し上げました人件費を除く諸経費というのは約六千四百万ということでございます。それから人件費的な経費が二千三百万、それに今度の物価騰貴のほうは一四・一%、それから給与のほうは、二度の公務員のベースアップが過去にございましたときに触れておりませんので、それを計算いたしまして二五・九%というものを掛けて、それに先ほど申したような一割の予備金を加えたもので計算いたしますと、今度御審議願っている金額になるわけでございます。そういうわけで、われわれほこれだけだんだん経費が上がるということは、必ずしも喜んでお願いしているわけでもございませんけれども、実際の経理が、物価が上がってまいりますと苦しくなってまいります関係で、お願いを申し上げておるところでございます。よろしく御了解をいただきたいと、かように考えております。
○山崎昇君 いま内廷費の中で内廷職員のお話が出ました。私は、こういうところに勤務する職員というのは、私は精神的にもほかのところと違いまして、かなりまあ緊張しているんじゃないかと思うのですね、言うならば。そうして考えてみて、いまの御説明のように、一般公務員には年金があるけれども、それらもない。まあ保険に多少それらしいものをやっている。しかしこれはもう少し私は考えなきゃいかぬのじゃないか。もしそれがどうしても要るのであれば、もちろんこういう計算方法もあるでしょうけれども、もっと私はやはり思い切ってきちんとすべきではないだろうか。だからその点は、いますぐにないといたしましても、この次のときには、もうそういう人の年金がないならば、その年金にある程度ふさわしいような、毎月の給与に割って入れるとか、何かそういう形でもとらなければ私はまずいんじゃないかという気がしますけれども、それはひとつ研究課題にしておいてもらいたい。 そこで、ひとつお聞きしますが、この内廷費で二千三百万、大体二十五人ですね。そうすると、大体一人百万ぐらいですね。そこで、これを今度高松宮さんのほうの十五人に引き直してみますと、今度高松宮家に千五百万行くわけなんですけれども、ほとんど職員の給与だけなんですね、まあ数字だけで言うならば。そうすると、あと高松宮家で宮家を維持するのは、別な何かの収入でもなければ私は維持できないんじゃないかと思うのだが、この数字からだけ判断しますと。そうすると、私は必ずしもあなた方が計算されているこの数字というのは、整っているようではありますけれども、皇室の維持という観点からものを言えば、何か少し違った感じも受けるんですがね。そういう意味で言うと、いまのこの内廷費による職員給与と、高松宮さんのところへいく千五百万と合わせてみて、どういうふうに考えたらいいのか、ちょっと私も判断に苦しんでいるんですが、あなたの見解を聞きたいと思います。
○説明員(宇佐美毅君) これはいまの皇室経済法のたてまえというのがなかなか実際問題むずかしいところがございます。内廷費は、さっき申し上げましたように、日常の経費です。ですから、まあ全部日常の御生活に必要な経費が入るわけでございます。皇族さまのほうは、皇族費のほうは品位保持のために必要な経費。これは一体品位保持とはどういうことかという疑問が出るわけでございます。これには、収入のある方は収入があってもいいというたてまえで、品位保持にはどれくらいかということが、まあ理屈はそうなると思いますが、なかなかこれはむずかしい問題でございます。 それからその職員の多寡ということも、たとえば高松宮様も、常陸宮様もお二人だけでございます。秩父宮様はお一人でございます。そういう御関係で、その職員というものが何名あったらいいかということはいろいろ各宮家のお動きの関係にも関係はあるかもしれませんし、まあ伝統もあるのでございましょう。特に高松宮様のところが多いのは、高輪閣があった関係じゃないかと私どもは思うわけであります。だから、そのときのやっぱり職員をかかえていらっしゃるということもあると思います。ですが、その点で各宮家の実態に合わせて一々査定をして、みんな違う金額を出すということが一体定額ということになるだろうかということもございまして、一応の基準をもって、あとふやして御使用になるならば宮家の御都合でなさるというよりしかたがないんじゃないかという気もいたします。そこら辺は私どももかねてどうしたらいいのか、宮家でそれぞれ違っておりますから、そういう点はどういうふうにしたらいいのかというのは非常に問題だと考えております。ですから、皇族費だけではおつらいところもごさいましょうし、そうでないところもごさいましょう。ですから、そこら辺の、要するに宮内庁でその人の採用をきめるわけでございませんので、なかなかむずかしい問題があると思います。
○山崎昇君 これは私はどうという意味で言っているのじゃありませんがね。この説明資料だけ見れば、常陸宮のところが五人、秩父宮が七人、高松宮が十五人、三笠宮が七人、とうなっている。そしていま私が内廷費の職員を聞いたのは、大体二千三百万ぐらいが二十五人ですね。そうすると、大体がまあ一年間に一人百万ぐらいになるでしょう、平均しますと、人件費としてかかるものは。そうすると、今度は高松宮のところがふえて千五百万行くのだが、これだけだと十五人だけで全部終わっちゃう。そうすると、宮家の経費というものは一体どうなるだろうか。私どもはこういうものしか審議する材料がないものでございますから、この数字だけ見るとぴんとこないわけです。ですから、どうということは申し上げませんが、ただ、いずれにしても、私はこの数字は数字として一応お聞きはしましたけれども、やはりもう少し検討の要があるんではないだろうかというふうに思いますので、その点は意見としてだけ最後に申し上げておきたいと思います。 そこで、最後にもう一問だけしておきたいのは、最近いろいろな古墳が発見されて、それで陵墓の問題についてもいろいろいま世間で意見が出てきておる。そこでお聞きをしたいのは、宮内庁の書陵部で管理しておるそうでありますが、一体いま陵墓というものはどれくらいの数があって、そしてその管理はどれくらいの職員で、どういう方法で管理をしておるのか、まずお聞きをしたいと思います。
○説明員(宇佐美毅君) まず陵墓の数でございますが、陵墓といたしましては七百三十六カ所ございます。それからその他のものが百五十六、その他と申しますのは、分骨所でありますとか、火葬塚であるとか、灰塚——灰にするという灰塚、それから髪とかつめとか、そういうものを納めた塔、それから陵墓参考地というふうなものでございます。合計八百九十二カ所でございます。 これにつきまして職員のほうは、これを守っております職員は、定員にあがっております職員が百五十五人、それから非常勤職員が九十六名、合計二百五十一名でございます。昔は各陵墓に一人ずついたものだそうでございますが、いまはそうはまいりません。幾つか持って巡回をしているというのが実情でございます。
○山崎昇君 そうすると、いまの説明によると、この管理については人員的にかなり無理がある、こう理解をせざるを得ないと思うんですが、どうですか。管理に何か支障がありますか。あるとすれば人員が一つあると思うんですが、その他で何か原因がありますか。
○説明員(宇佐美毅君) 昔と違いまして、ただ一人が一陵を守っているということではなくて、幾つか持ちますので、したがって、いろいろな自動車とか、オートバイとか、そういうものもだんだん入れて、無理のないようにしたいということでいたしておりますが、三つも四つも持っておりますと、いろいろ参拝にこられる人が、例の判を押していくわけです。そこで常に人がいないので、だいぶ困るというようなこともございますようです。それから、草がはえておるその手当てでございますとか、これらの問題なんかでも、現状ではやはり相当たいへんな仕事のようでございますし、それから遠くに散在しておりまして、京都とか奈良に大体多いんでございますが、九州とか東北とかにあるものもございます。なかなかそこまで巡回にいけないのです。そこにはまあ非常勤の人を頼んでいる場合もございますが、そういうこともございまして、いろいろ担当者のほうで苦心をいたしまして、皆さんと相談しながら、十分な管理をいたしたいということでやっておるわけでございます。
○山崎昇君 そうすると、私は、またこういう陵墓等が、何か事件が起こればさてたいへんだということで、いろんな問題になる。しかしそうでなければ、いま長官の説明のように、どうもあまり管理が行き届いてないようにも見受けられる。この点は、私はいまから、事件が起きないうちに、やはりきちんとしておく必要があるのではないだろうか。特に最近のように、私ども現場へ行ったわけではありませんから、新聞報道だけ見ても、何かの機会にどんなものが出てくるかわからないんです。そういうようなこととも関連をしまして、陵墓の管理というのは、日本の歴史と密接不可分でありますだけに、これはやはりかなり重要なものではないだろうか。そう思うから、管理については事件が起きないように、起きてからあわてて騒がないように、いまからあなたにひとつ警告をしておきたいと思う。しかし、それにはもちろん人の問題もあるでしょう。金の問題もあるでしょう。いろんな問題があるでしょうが、そういう問題には、もう少し宮内庁でも検討しておいてほしいと思います。 それからあわせて、この間明日香村で何かああいう壁画が出まして、あわせて最近文化関係の方々から、陵墓等の発掘をして、日本の歴史をやはりもう少し分析をするなり、あるいは調べたいという意向がかなり多くなっているようでありますね。あなたのほうでは、何か一つぐらいは認めたようでありますけれども、大筋としては何か反対の意見のようでありますけれども、私は文化的な問題からいえば、もうその点はある程度認めてもいいのではないだろうか、そして日本の歴史と天皇制というものについて、もっともっとこういう古代史から私は証明するべきものがあるならば証明すればいいし、あるいは歴史に必要なものがあるならば、進んで宮内庁がそういう文化関係の方々に資料として提供すべきではないだろうか、こういう気がするんですが、むやみやたらに何でも掘ればいいという問題ではないと思います。しかし、いずれにしても、この明日香村の問題を契機にしまして、この陵墓等の調査について、宮内庁はもう少し前向きの姿勢を示していいんじゃないかと思うんですが、どうですか。
○説明員(宇佐美毅君) 明日香村の発掘以来、非常にやかましくなってまいりましたが、もちろんその前からでも、ないわけではございません。しかし、私どもはそういった古墳といううちにも、どなたの陵あるいは墓として、はっきりきめられてちゃんとお祭をし、祖先として扱っておられる場合に、たとえばエジプトの古いお墓のように、昔の遺跡のように残っているというだけとはだいぶ違いまして、非常にいまなお精神的な要素がたくさんあると思います。そういうことで、私どもがこれを発掘するというようなことは、当然だというふうにはなかなか考え得ないということでございます。いままでもやはり御陵が、いろいろ災害等でくずれたり、あるいは壕のあるところで水漏れがするといういろいろな問題がありまして、そのたびに工事をするわけでございますが、ただやたらにそこら辺を掘って、大事なものをこわしてもいけないというので、そういうときには慎重な調査をしますと同時に、必要なときには考古学者にも立ち会っていただくというようなことで、調査をした上で、この程度掘ってどうするというようなことをやっておるわけでございます。その結果は書陵部で発行しております紀要に詳細に発表をいたしておるわけでございます。そういうようなことのほかに、正式に陵ときまらない参考地でございますとか、特殊なものにつきましては、いろいろな問題が出ております。たとえばそこに道路がかかるとか、あるいは公園のまんまん中になってしまったとか、あるいは水路にあたるとかというような問題が時々起こってまいります。こういうようなものは、われわれはむしろ実際に合わせた措置を、丁重な扱いをしながらも、それを移すというようなことをした例もございます。これらの場合も、関係者が非常にそういうものを掘るのをいやがりますが、ちゃんとお祭りをしまして、きちんとやっているわけでございます。そういうことで、何もかもすべて、陵墓あるいは参考地もすべて手をつけないということでもございません。ちゃんと、陵墓となっておりますものについては、現在のところ皇室典範にもちゃんと書いてございますとおりに、国が皇室用財産として管理するというたてまえでございますので、これを文化財を中心にした発掘というものをやっていくんだということは、ちょっとこれは言いかねると思います。文化庁でも、この問題が起こりましてから、部内で会議を開いて専門家とも話し合いになって、陵墓には手をつけないというふうにきめられたと伺っております。そういうわけで、現状におきましては、宮内庁としてはこの方針を変えていくという考えはございません。
○山崎昇君 そうすると、いまの長官の答弁では、書陵部で陵墓としてはっきりされているものについては、いまの段階では賛成しかねる、しかし、その他といいますか、学術的といいますか、歴史的といいますか、そういうもの等との関連から、文化庁等と協議をして、そういうものの調査に賛成することについてはやぶさかではない、こういうふうにも聞いたわけなんですが、そのとおりでよろしゅうございますか。 さらに、陵墓についても、やはり歴代天皇の御陵については、学術的に解明したいという希望がやっぱり学者の中にも、一応文化庁の結論、いまお聞きしましたけれども、まだまだかなりの意見としてあるのではないだろうか、こう私どもは思うわけです。そういう意味で言うならば、これはいろんな支障はもちろんあるでしょうが、やはり学術調査でありますから、その際にはある程度のことについては、やっぱり宮内庁としても私は賛成すべきではないかという考えを持っておるんですが、重ねてあなたの意見を聞いて、私の質問を終わっておきたいと思います。
○説明員(宇佐美毅君) はっきりいたしたいと思いますが、単に調査ということでございますれば、かつて仁徳天皇について外部の人の調査を認めて、実に詳細なる外部的な調査はできております。これが調査の中に発掘まで入りますと、私どもは「うん」と言えないというふうに思います。
○峯山昭範君 それでは、もうすでに同僚議員のほうから相当突っ込んだ話がございましたので、私も皇室経済法施行法の一部を改正する法律案の審議にあたりまして、二、三質問をしたいと思います。 初めに、現在進められておりますところの皇族の殿邸ですが、相当進んでいるように聞いておりますが、その実施の現状とか、それから完了の見通し、あるいはまたこれからかかるであろう予定等、わかりましたら承りたいと思います。
○説明員(宇佐美毅君) 皇族殿邸の改造につきまして、三笠官邸はこの前に御審議をいただきまして、すでに完成して御使用になっておりますが、現在手をつけておりますのは秩父宮邸と高松宮邸でございます。 秩父宮邸は、四十六年度から着手いたしまして、本年の予算成立と同時に、秋までには完成する予定でございます。大体総額が二億三千三百万円程度でございますが、四十六年度が六千五百万円余、四十七年お願いしておりますのは一億六千七百万円で、この秋には完成をいたします。現在はすでに躯体ができておりまして、これから外部、内部についての工事に入るはずでございまして、これは順調に進んでおります。 高松宮邸は、総額約三億四千七百八十万円でございまして、四十六年度は光輪閣を国のほうでこわすということで、それをすでに取り払いまして、そうしてそのあとに新しいお住まいを建てるということでございます。ただいまは、四十七年度といたしましては一億九千五百万円余を予定しておりますが、四十八年度はその残りの約九千五百万円ぐらいだろうと考えておりますが、これも来年の九月くらいまでには竣工させたいという予定で、いずれも計画どおり進行しております。 そういうような状況でございまして、あと残りますのは常陸宮さまのお住まいでございますが、これは前に東伏見宮妃殿下のおうちとしてつくられたものを宮内庁で使っておるわけでございますが、これは戦争の被害も受けておりますが、だんだん古くなりまして、戦争の影響で一応ひずんだところを直したりした建物でございますが、ドアなんかあかなかったのをようやくあけたようなものでございます。したがって、適当な時期にはこれも改築を要すると思っておりますが、いまいつからかかるということまで決定はいたしておりません。そういうようなわけでございまして、皇族の殿邸の経過あるいは将来考えておりますことは、そういうような程度でございます。
○峯山昭範君 そうしますと、各宮家のそれぞれの殿邸につきましては、これは宮廷費支弁ですね。そういうような形で建設が行なわれているであろうと私は思うんですが、そういうぐあいにして建設されたそれぞれの宮家のお家は、それぞれの宮家に、何というか、貸し付けているというのか、供せられているというのか、そういうぐあいにしてやっているのだろうと私は思うのです、これはすべて国有財産として。そうしますと、先ほど同僚議員から憲法論議のときに出た問題で、憲法八十八条の中に出てくるところの「皇室財産」、この「皇室財産」の中には皇族は含まないというような見解があの中にも出てまいりますし、その後の国会答弁等でも何回か聞いたことがあります。しかしながら、憲法第八条で言うところの「皇室財産」の「皇室」の中には一切の皇族が含まれる、こういうふうに聞いておりますのですが、いまの皇族の殿邸の建設状況等から考えてみましても、八十八条でいうところの「皇室財産」の憲法解釈というのは、これはいろいろな状況があるとは私思いますけれども、現在の時点で考えてみると、私は、この八十八条でいう「皇室財産」についてはすべての皇族を含めて解釈すべきではないか、そのほうがかえって筋が通るのじゃないかと思うのですが、ここら辺についての長官の御見解をお伺いしておきたいと思います。
○説明員(宇佐美毅君) これは憲法ができまして以降におけるこの運用について、さきにお述べになりました八十八条のほうの「すべて皇室財産は、」という「皇室」の中には各宮家は入っていないという解釈でございます。そういう解釈から、たとえば高松宮さまが葉山に別邸を持っていらっしゃるとか、そういうものは個人の御所有になっているわけでございます。そういうようなわけでございますから、八十八条の「すべて皇室」の中に皇族をいま入れるとなると、全部国に差し出すという形になってしまうだろうと思います。それから三笠宮さまも軽井沢に小さな別荘をお持ちでございます。そういうようなところはみんな影響するわけでございます。 で、今度の殿邸につきましては、仰せのとおりに、国有財産として、皇室用財産として、いわば一種の公邸のような扱いになろうかと思います。そういうわけで、あるいは八十八条の解釈を変えましても、全部含むほうが便利であることばかりでもないように、私は、いままでのいきさつから言いましてそうなると思います。
○峯山昭範君 それはちょっと、長官、違うのじゃないかと私は思うのですがね。その八十八条がすべての皇室を含むということになりますと、現在自分で持っておるところのいわゆる財産ですね、別荘とかそういうものをすべて国有財産にするということになるのですか。そこら辺のところはどうですか。
○説明員(宇佐美毅君) その当時の憲法上の解釈というものは、立法者は、皇室のほうのたとえば那須とかなんとかの御用邸というのは私有財産だと自分は考えていたというようなことを、金森大臣はそういうことを漏らされたことがございましたが、実際は全部国有財産に入ってしまったわけでございます。で、八十八条の解釈は、その当時、立法者ははっきりしませんが、私どもは、とにかくこれは陛下のほうの皇室、狭い意味の皇室というふうな解釈をしておる。広い意味の各宮家の財産までは入らないということできたわけでございます。
○峯山昭範君 そうすると、財産という点にしぼって、小さなものは含まないということなら、上の、「皇室」のほうはこれは全部含んでもいいと思うのですが、どうですか。
○説明員(宇佐美毅君) ちょっと質問の……。
○峯山昭範君 要するに、皇室財産という言い方を両方していますね、両方の法律とも。はじめのほうの法律は、いわゆる「皇室」「財産」——両方とも、いわゆる皇族もみんな含んでいる、八条のほうは。そうですね。そうすると、八十八条のほうはいわゆる「皇室財産」——これは要するに一般の皇族は含まない。そうしますと、一番こだわる問題になっているのは、小さな財産、いわゆるちょっとした別荘とかそういうものは、そこまでは見なくてもいいのじゃないか、一緒に取り上げなくてもいいじゃないかという、さっきも話がありましたね。そうなると、財産のほうはそういうふうにしても、皇室——八十八条でいう「皇室」というのは、これはいわゆる、ちょっと矛盾しているかもしれませんけれども、いわゆる全部含んでもいいんじゃないか。こういう論理は成り立ちませんか。
○説明員(宇佐美毅君) 皇族費というものは、先ほど来ちょっと申し上げましたように、品位保持ということでありまして、皇室の何と申しますか、私有財産にまで触れているようにも思えません。ですから、何か職について俸給をおもらいになろうと、他の収入をたくさんお持ちになっていようと、問題はないというかっこうに見えるのでございます。実際は、そんなふうな御収入もございませんし、日常の経費のような計算のしかたになっております。それで、その当初からお持ちになっていらっしゃいますそういうふうな小さな御別荘や、若干の土地というものを、私有財産を、八十八条はすべて含むとなると、これは皇室と同じように、狭い意味の皇室と同じように全部国有に移さなければならぬのじゃないか。ですから、ほんとうのわずかな財産まで召し上げなくても、前のいきさつからお認めをいただいておいたほうが無難じゃないだろうかなというふうに私どもは考えるわけでございます。
○峯山昭範君 意味はよくわかるわけですけれども、しかし、同じ憲法の中に、そういうふうな同じことばがあって、前のほうはこういうように解釈して、うしろのほうはこういうふうに解釈するというのは私はおかしいじゃないか、こういうぐあいに思うから言っているのですが、いずれにしても、皇室の財産を召し上げるという、そういうことを私は全然考えていませんですし、そういうことより、かえって、皇室の殿邸を現実に新しくつくって貸与しているわけでありますし、それらの点から考えてみて、かえってうしろのほうも、ちゃんと、全皇族を含むというふうに考えたほうがいいんじゃないかという考え方を申し上げたわけです。 それで、次にまいりますが、先ほどいろいろ出てまいりましたが、宮廷費の中で、御下賜とか、賜わり金の問題について、こういうふうな宮廷費の中から賜与されるのだろうと私は思うのですけれども、また、その御下賜金についても限度がある。その賜与の額は何か総額で五百万円とか聞いているのですが、そうしますと、五百万円とすれば——一年に相当あると思うんですよね。そうしますと、現在の経済事情から考えてみて、非常に、一件どのくらいになるものなのか。私はもらったことがありませんのでわかりませんが、そこら辺のところ、どういうふうにお考えなのか。現在の金額で足りるのかどうか。その辺のところはどうなっているのですか。
○説明員(宇佐美毅君) 今度、この法案にも、御審議願うことに相なっておりますが、内廷皇族につきましては、賜与の総額が、法律上六百五十万円、現在で申しますと、内廷におられます七方で年額六百五十万円でございます。これはいまから七、八年前に一度値上げをお願いしたわけでございますが、その後の物価の値上がり等を考えまして、今回九百九十万円にお願いをいたすわけでございます。 それから、一般から譲り受けを受けるほうでございますが、これも全額で二百二十万円でございましたが、今度これも、その後の物価上昇が約五〇%でございます。そういうことを考えまして、三百三十万円に改めたわけでございます。 もとより、こういう金額で足りるかどうかということでございますが、内廷会計自体も、そう幾らでも出せるというものでございませんし、それから、これは国会の議決を経ないでいいという限度の問題でございますから、これをやたらに大きくすることは、憲法八条の趣旨にも反する。それから、こういう賜与とかあるいは譲り受けというものをあまり大きく将来持っていくということについては、やはりある程度考えなければなりません。現状においては、この程度をしていただきますれば無理なくやっていけると思います。いままでも、これを限度、満度までやっていたわけでもございません。ただ、同じものでも、物価が上がっておりますから、少し上げていただきたい、こういう精神で御審議を願っているわけでございます。
○峯山昭範君 それでは次に、いま国をあげて自然環境の保護ということが相当強くいわれておりますのですが、特に、あらゆる面で国民運動的な動きも見えておりますし、そこで、自然環境の破壊ということは非常に重要な問題でありますし、破壊するということは確かに一瞬でありますけれども、現実にこれだけの自然をつくっていくということは、非常にこれは長年の、たくさんの人たちの努力によってこれは築かれてきたことだと思うんです。 そこで、特にカモ猟のことについて私はちょっとお伺いしておきたいのですが、特に鳥類の保護の問題については、これは環境庁等でも最近非常に重要視してきております。特に、たとえば琵琶湖とか、東京都におきましても、鳥類の保護につきましては相当努力を払っているようであります。また、東京都で新しく造成する東京湾には、干潟をつくって鳥類が飛んでこれるように計画を立てたりやっているようでありますが、そこで、いつも問題になる宮内庁のカモ猟ですね、これについては宮内庁はどういうぐあいに思っていらっしゃるのか。その目的、また実態、あるいはまた今後の見通しですね、今後はどういうぐあいにしたいと考えていらっしゃるのか、そういう点について、まず一ぺんお伺いしたいと思います。
○説明員(宇佐美毅君) 自然保護ということにつきましては、陛下も常に一番大事なように思っていらっしゃるような次第でございまして、われわれもそういう精神を忘れるどころでなく、高めるような努力もしたいと思います。 カモ猟のほうの関係は、あそこの船橋のほうに一カ所、それから越ケ谷に一カ所残っているわけでございます。昔は、御承知のとおりに宮内省に狩猟官というのがおりまして、日光とか、富士の裾野とか、天城山とか、ほうぼうに猟場がございまして、猟をしたものでございますが、これはたしか一木宮内大臣のころに廃止になりました。実際、それは一定の地域を保護区域にいたしまして繁殖をはかり、ただ一つのシーズンのときに若干狩猟をするというやり方でやっていたわけでございますが、この宮内庁の猟場を離れますと、すぐ民間に移ったり、あるいは自然に放置しますと、またたく間に動物が絶えるとか、あるいは山奥に入ってしまうというような状況になったわけでございます。ですから保護というととも相当大事であろうかと思いますが、あそこのカモ場の船橋のほうの関係は、有数な鳥の集まるところでございまして、特に、あそこは宮内庁の関係ではカモとギシ集の散地、これは、あそこら辺がずっと埋め立てられてしまいましたが、宮内庁の猟場の前だけは埋め立てをしない、むしろシギの集まる干潟を残すということにきまったようでございます。それで、あそこの宮内庁のカモ猟におきましては、カモ及びシギをとらえるわけでございますが、最近はほとんど、それにナンバーを打つとか環をはめまして、ほとんどそれをそのまままた放しております。ですから、お客さんを呼んでいたしますカモ猟につきましても、全部とっていただきますが、すぐに環をはめて、とった皆さんに放していただくというような扱いをしているわけでございます。それがやはりアジアにと申しますか、シベリアを含めての鳥類の飛来の調査に非常に役立っているわけでございまして、最近環境庁におきましても、大石長官は私にじかにおっしゃいましたし、あるいは環境庁の関係の人も、あれはやめないでほしい、ぜひ一つの何と申しますか、観察視点として、予算でも何かふやされるそうですが、残していってもらいたい。私ども、前から鳥類保護連盟のほうの山階さんとか、それから世界野鳥保護委員会の事務局長とか、いろいろと御相談をしているが、ぜひあのままに残していってもらいたい、ただ、とって食べるという問題は全体の数のほうの少ない数でございまして、その人たちの御意見では、もう八十年以上そうやってきて、それで減るということはないんではないか、保護というのはそういうことも若干あっていいんではないかというようなことでございました。で、ただまあ、われわれもできるだけそういう点については慎重なことを将来考えてまいりたいと思いますが、ただ、専門の人がとってえさをつけてやっているというようなことで、一種の家畜みたいな感じも与えるわけでございます。そういうようなことがございますから、われわれも、環境庁の要望もございますし、われわれとしてもその趣旨に合うように、いろいろ配慮すべき点があればして、残していきたい、かように考えております。
○峯山昭範君 趣旨、よくわかりました。いずれにしましても、カモ猟は続けるけれども、要するにとったらすぐ放す、環をつけて放すということですね。それで、前におみやげで持って帰ったり、あったでしょう。ああいうことはやらない、そういうことですね。要するに食べるというか……。
○説明員(宇佐美毅君) 食べる問題は、非常に少ないんでまだ結論を出しておりません。これはまあ何と申しますか、たとえば鶏を飼っているような、あるいはえさをやってカモを養っているような点もございまして、ですからまだ結論をつけておりませんが、いまは前からみると非常に回数も減っております。まあそういう点は十分研究してまいりたいと思います。
○峯山昭範君 わかりました。まあいずれにしても、そういう点についてはやっぱり、確かに私もちょっと事情は聞いたんですが、とらえたらカモの足に環をつけて帰してあげるということは、渡り鳥のいろんな調査の上からも非常に必要である、そういうような点では、ぜひともあれはあのまま置いてほしい、しかしながら、それをやはり殺したり食べたりするようなことはやはり国のあれとしてはあまり思わしくないじゃないか、国民感情からしてもよくないのじゃないか、そういう話も聞いておるのでありますが、いずれにしても、まだ検討ということでございますから、その点についてはちゃんと検討してほしいと思います。 それから、もう一点お伺いして私の質問を終わりたいと思うのでありますけれども、次に、沖繩の復帰が目前に迫っているわけでありますけれども、沖繩の屋良主席から、これは総務長官のほうにまずくるのであろうと思うのでありますけれども、植樹祭に天皇、皇后両陛下をお迎えしたい、その意向が非常に強いということを前々から聞いておるのでありますが、その点については、特に沖繩の問題についてはこれはもう私が一々説明するまでもなく非常に大事な問題であると思いますので、すでに長官のもとには主席のほうから要請がきていらっしゃるのかどうか、またきてないとすれば、その点についてはもしきたらどういうようにお考えなのか、また長官のほうはこの点については、これはぜひとも実現をしてもらいたいという意向が強いわけでありますが、ここら辺のことについてはどういうふうにお考えなのか、両方について、大臣と長官にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(山中貞則君) 植樹祭は緑化推進委員会がこれを行なうものであります。したがって、政府がこれを主催してやるものではございません。ただ慣例として、植樹祭が何年には何県でということがきまりますと、植樹祭の始まりが、そもそも戦火で荒廃した国土の緑化という陛下の御意思というものがあって設けられたやに聞いておりますし、慣例として、きまった県の知事さんが宮内庁に伺われて、一種の形式として、私の県に今回きまりましたので恒例でありますがよろしくという、陛下のお出ましを要請と申しますか、知事さんが参って述べるということになっているようであります。そこらの慣例は、沖繩は長年祖国と離れておりましたし、植樹祭が始まったのは戦後でありますから、全然未経験でありますために、緑化推進委員会で植樹祭を沖繩でやることにきまりました。これは臨時特別の、復帰記念の植樹祭でありますが、開催がきまりましたというその席に主席もおられたわけでありますけれども、しかし、本土の知事の常識として知っておりますことについて御存じがなかった。したがって、帰ってからよく相談をしてこのことについては自分の意見を述べたいということで、推進委員会の理事長の徳川さんにその旨を申し出られたということで、その後沖繩側で相談してきまって、そして、私のところ等はこれはもう何の連絡もする必要はないわけでありますから、連絡があったという事実はいまのところまだございません。そのままでございます。
○説明員(宇佐美毅君) いま総務長官がお述べになりましたとおりで、私どもには緑化推進委員会からも沖繩県からも何ら連絡も要望もございません。沖繩がわが国に復帰いたしますれば、いつの日かお出ましになるということは私は当然なことでもあろうと思います。しかしその植樹祭については、いまのところまだ何も伺っておりません。万一どうなるかと仰せになっても、いまちょっとお答えできません。
○峯山昭範君 大臣、ことしの一月の二十日前後の新聞には、屋良さんから長官に申し入れてあったというような報道が相当なされましたのですがね。これは全然何もないですか。
○国務大臣(山中貞則君) 私に申し入れられるべき筋合いのものではないのです。したがって主席のほうから、私はよくわからないのですが、どういうふうにするものですかということで、これはただの慣例ですけれども、こういうことになっているようです。したがって琉球政府主席の、復帰後は県知事になるべき現在の主席のそういう慣例というものがあるということで、宮内庁のほうに御連絡をされたらよろしいのではないかというアドバイスをいたしましたけれども、沖繩側でまたそういうふうにいたしましたという、申し出をいたしましたとも、いたすつもりであるということも聞いてないということです。
○峯山昭範君 それはけっこうです。いずれにしても、この問題については、当時の新聞等によりますと、瓜生次長、山中総務長官両方に申し出をしたとかせぬとか、いろんな報道がなされておりますし、また現地の新聞にも相当大々的に報道されているようであります。この点については慎重に検討いただきたいと思います。 それから、もう一点質問して終わりたいと思うのですが、先ほど同僚議員からずいぶん陵墓の問題について質問がございましたが、この中で、実は大阪府の教育委員会ですか、で、きのう、おとついから相当いろんな問題を新聞記者会見等で発表しまして、いわゆる陵墓の中でも、宮内庁が調査をさしてくれないならば、天皇の御陵のリストに入ってない御陵あるいはその陵墓を、これはただ掘るとかそういうような意味じゃなくて、先ほども長官からもちょっと話がございましたように、これはあくまでも学術的な調査という意味で、調査を始めたい。そのリストのトップに上がっているのが大阪府の、これは高槻にあります今城塚古墳というのですかね、これをさっそくやりたい、そういうぐあいに言っているわけでありますが、たとえばこの古墳そのものも、新聞の報道等によりますと、天皇の御陵ではないかという疑いがあるなんということが出ているわけですね。そういうふうな意味から考えても、これは当然、先ほどの答弁ちょっと私、聞いておりましたのですが、もう少し前向きに、この点についてはそれぞれ管理している都道府県というのがありますね。特に大阪とか、京都とか、奈良とか、こういうふうなところの教育委員会とか、そういうふうな関係の皆さん方とはもう少し前向きにこの問題については検討すべきというか、御相談をすべきじゃないか、こういうぐあいに思うのが一つ、この点についてお伺いしたいのが一つですね。 それからもう一つは、こういうふうなリストに入ってない陵墓ですかね、こういうふうなものはどのくらいあるのか。宮内庁としてはここら辺のことについては御存じございませんか。
○説明員(宇佐美毅君) ただいまお述べになりました古墳でございますけれども、これは陵墓となっておりませんので、宮内庁の所管外の場所でございます。まあいろいろ伝説はあるのかもしれませんが、こちらの所管ではございません。いまだれのそれが土地になっておるのか存じませんけれども、こちらでとやかく言うところはないと思います。ただ、いま仰せになりました大阪その他の動きと申しますのは、われわれのところ、何にもそういうところからも聞いておりません。よくわからないのですが、まあどういう事情にあるか、調べてみたいとも思います。
○峯山昭範君 それ、何ら連絡がないということでございますが、もしあれば御相談には応ずる、そういうことですね。
○説明員(宇佐美毅君) いまの陵墓は私どもの所管でございませんから、いい悪いを申し上げる筋はないと私は思います。
○峯山昭範君 いや、それはわかるのですがね。要するに筋合いじゃないとか、そんなことを言ったらしようがないので、要するに関係のあるところもあるわけですよ。ないとは言えません。大阪とか奈良とか和歌山のそういうような問題、いろいろなってきますと、文化庁と少なくとも宮内庁と、両方に関係があると思います。いずれにしても、そうしますと、そういうようなところから長官は何ら相談も何もないといういま話でありましたから、もし相談があれば、そういうことについては相談に応じるのかと聞いているわけですよ。
○説明員(宇佐美毅君) 宮内庁は、くどいようでございますけれども、陵墓——古墳、陵墓のほかのいわゆる古墳全体の所管はいたしておりませんので、これを史蹟にするとか、あるいはこれをどうするかということは、むしろ文化庁の問題だと思います。それで、若干皇室の問題があれば、文化庁のほうで検討されることであろうと私どもは思います。全部の古墳を宮内庁は一々審査する権能もないと思います。
○委員長(柳田桃太郎君) ほかに御質疑はありませんか。——他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終了したものと認め、これより討論に入ります。——別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。 これより採決を行ないます。 皇室経済法施行法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(柳田桃太郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 審査報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(柳田桃太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時四十六分散会 —————・—————