地方行政委員会 第2号
- 発言数
- 59 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1972/03/03
会議録
○委員長(玉置猛夫君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る一月三十一日、加瀬完君が、二月一日、松井誠君が委員を辞任され、その補欠として和田静夫君及び小谷守君が選任されました。 —————————————
○委員長(玉置猛夫君) 地方行政の改革に関する調査のうち、昭和四十七年度自治省関係及び警察庁関係の施策及び予算に関する件を議題といたします。 初めに渡海自治大臣から所信を聴取いたします。渡海自治大臣。
○国務大臣(渡海元三郎君) 委員各位には、平素から地方自治発展のために格別の御尽力をいただき厚く御礼申し上げます。 この機会に所管行政の当面する諸問題について所信の一端を申し上げ、各位の深い御理解と格別の御協力を賜わりたいと存じます。 わが国経済は、昨年度後半以降の景気後退に加え、国際経済環境の著しい変化により、いまなお低迷を続けておりますが、その影響で地方財政においても最近にない深刻な局面を迎えているのであります。 このような情勢において、明年度は、国と地方と同一の基調のもとに、公共投資の拡大を通じて景気の浮揚をはかるとともに、国民福祉の視点に立って、地方公共団体本来の政策課題であります過密・過疎対策、公害対策、交通対策等の推進、住民の生活に密着した地方道、下水道、清掃施設、学校、住宅等の生活関連施設の整備、老人医療等の社会福祉の充実など時代の変化と地域の特性に応じた行財政上の措置を適切かつ積極的に講じ、地域社会の総合的な発展と国民福祉の向上に万全を期してまいる所存であります。 沖繩がいよいよ本年五月十五日に本土に復帰することが決定いたしました。まことに喜びにたえないところでありますが、復帰後の沖繩県及び沖繩市町村の行財政運営が円滑に行なわれますよう関係各省庁と連絡を密にし、遺漏なきを期してまいりたいと存じます。 次に、今後講じようとする施策の概要を申し上げます。 社会経済情勢の著しい変貌と住民の日常生活圏の拡大に即応し、真に住民の諸要請に応え得る適切な行政処理体制を確立することの必要性は、今日、ますます強くなりつつあると考えられます。 このような観点から、従来に引き続き広域市町村圏の振興整備及び市町村内の近隣社会の形成に関する施策をさらに積極的に推進するとともに、大都市周辺市町村における広域行政処理体制のあり方についても検討を加えてまいりたいと存じます。 また、大都市制度、府県制度等地方制度全般の改革問題については、さらに研究を重ねた上対処してまいる所存であります。 なお、かねてから懸案となっております行政改革の問題につきましては、地方公共団体の意見を尊重しつつ、各省庁と協力し、引き続きその具体的な実施につとめるとともに、地方公共団体の行政運営の合理化、能率化をはかるための方策につきましても検討してまいりたいと存じます。 地方公務員行政につきましては、かねてより公務員秩序の確立と公務の公正かつ能率的な遂行につとめてまいったところでありますが、今後ともこの方針に基づき公務員制度の合理化とその適正な運用につとめてまいる所存であります。 過疎対策につきましては、過疎法の趣旨にのっとり、過疎地域における生活環境、産業基盤等の整備について緊急的な諸措置を講じてまいりましたが、今後これらの諸措置をさらに強力に推進するとともに、地域住民の福祉の向上と国土の調和ある発展のため、総合的かつ実効ある施策の一そうの拡充をはかってまいりたいと存じます。 また、僻地病院等に勤務する医師を養成する自治医科大学につきましては、本年四月に第一回の学生を迎えるべく、その準備を進めているところであります。 地方公共団体が公共事業を施行し、地域開発を推進する場合において最も必要なことは、先行的な土地の取得であります。 したがって、公共用地、開発用地等の総合的、先行的取得を今後さらに促進して計画的な環境整備をはかるため、現在地方において事実上公共用地等の先行取得を行なっている土地開発公社を法的に位置づけ、その必要資金の一部を公営企業金融公庫の融資対象とするとともに、民間資金を有効に活用することにより機動的な用地取得を行ない得る道を開き、土地の先買い、譲渡所得税の特例などとあわせて、土地取得制度の整備をいたしたいと考えております。 次に、地方財政及び地方税制について申し上げます。 明年度の地方税財政につきましては、まず当面するわが国経済の停滞を反映してきわめてきびしい状況下に置かれることに十分留意し、地方公共団体にも厳正な財政運営態度を持すべきことを求めつつ、総合的な財源対策を講じ、地方税財政の運営に支障なきを期する所存であります。 地方財政の当面の課題は、地域経済社会の著しい変化に伴って生じている過密・過疎対策、公害対策、交通対策等各般の地域問題に適切に対処し、地域の実情に応じて立ち遅れている生活関連社会資本の整備並びに社会福祉の充実をはかるとともに、あわせて、国・地方を通ずる積極的な財政経済政策の推進に寄与することにより、経済の停滞から脱却をはかるためにその役割りを果たすことにあると存ずる次第であります。 これらの課題は、将来にわたる地方財政の健全化に配慮しつつ、住みよい生活環境を整備し、豊かな地域社会を形成するため、長期的かつ計画的な視点に立って、斉合性を保ちつつ達成されるべきものであります。 また、沖繩の復帰に伴い、沖繩の地方公共団体が自主的な財政運営を通じて地域の振興開発を推進し、本土との間の各種行政水準の格差の是正をはかることができるよう適切な地方財源措置を講ずることがぜひとも必要であります。 このような観点から、明年度の地方税財政においては、 (1) 住民の税負担の軽減合理化をはかり、あわせて景気の回復に資するため、住民税の課税最低限の引き上げ、個人の事業税の事業主控除の引き上げ等による大幅な減税を行なうこと (2) 空港関係市町村の航空機騒音対策等特別の財政需要に充てるため、航空機燃料譲与税を創設し、税源の拡大をはかること (3) 経済動向、地方税減税等に起因する一般財源収入の停滞に対処して、臨時地方特例交付金の創設等所要の財源確保のための措置を講ずること (4) 沖繩の地方公共団体に所要の一般財源を保障するため、臨時沖繩特別交付金を創設すること (5) 公共投資の拡大に伴う地方費の増加に対処するとともに、住宅建設、過疎対策、上水道、下水道、清掃事業等生活関連社会資本の整備をはかるため、地方債資金を積極的に活用すること (6) 公立小学校施設整備における国庫負担率の引き上げ、老人医療費特別措置制度の確立等地方負担の軽減合理化をはかること (7) 地方公営企業については、経営基盤を強化しその健全化をはかるため、一般会計の負担をさらに合理化するほか、企業債資金の拡充をはかり、その建設投資を推進するとともに、特に、経営悪化の著しい交通事業について料金の適正化を含めた抜本的な対策を検討すること (8) 公営企業金融公庫について所要の資金の改善をはかるほか、融資の対象を拡大し、同公庫の健全な運営をはかることといたしております。 近年、火災その他の災害による死傷者が年々増加していることは、まことに憂慮にたえないところであります。 このような事態に対処するために、人命尊重を第一義として防災に関する住民の意識の高揚につとめ、安全な町づくりの推進をはかってまいりたいと存じます。 このため、消防の常備化と広域化、大震火災対策、林野火災対策及び石油コンビナート地帯対策の防災行政を積極的に推進するとともに、高層建築物、地下街等の防災管理の徹底、危険物の保安規制の改善等の予防行政の充実を期してまいりたいと存じます。 また、消防職員及び消防団員の教育訓練並びに公務災害補償を充実する等資質の向上や処遇の改善にも力を注ぐ所存であります。 以上所管行政の当面の諸問題について所信の一端を申し上げましたが、委員各位の格別の御協力によりまして、その実をあげることができますよう一そうの御鞭撻と御指導をお願い申し上げる次第であります。
○委員長(玉置猛夫君) 次に、中村国家公安委員長から所信を聴取いたします。中村国家公安委員長。
○国務大臣(中村寅太君) 委員会の開催にあたり、国家公安委員会委員長として所信の一端を申し述べたいと存じます。 委員各位には、平素から警察行政につきまして多大の御尽力をいただいており、感謝にたえないところでありますが、今後とも格別の御指導と御協力を賜わりますようお願い申し上げる次第であります。 御承知のように、極左暴力集団は、最近、爆発物を使用して、警察官のみならず一般市民をも殺傷し、さらに先日は、婦人を人質に銃器で挑戦するなど、凶悪の度を一そう強めております。市民社会に重大な脅威を与え、法と秩序を無視するこれらの暴挙は、民主国家において断じて許しがたいものであります。これらの凶悪犯人を根こそぎ逮捕し、その組織を壊滅することこそ、このような犯行の続発防止のきめ手でありますので、今後とも警察の総力をあげてその取り締まりに万全を期し、国民生活の安全と平穏を確保する所存であります。 次に、年々増加の一途をたどってまいりました交通事故による死傷者の数は、関係機関をはじめ国民各位の懸命な努力により、昨年ようやく前年より減少を見るにいたりました。しかしながら、大都市の周辺や地方都市等においては、依然として増加の傾向にあり、加えて交通混雑による都市機能の低下や交通公害による生活環境の悪化も大きな社会問題となっております。 このような状況に対し、警察といたしましては、関係機関との緊密な連絡のもとに人間優先を基本とし、交通事故による死傷者抑制のため、交通安全施設等整備事業五カ年計画の推進、交通警察体制の整備、総合的な交通規制の実施等の諸施策を講ずることとしております。また、これに関連して、運転免許制度の改善をはかるための道路交通法の改正を行なうこととし、近くその御審議をお願いしたい所存であります。 最近の社会情勢の急激な変化は、さきに申しました以外にも、治安面に大きな影響をもたらしているのでありまして、団地の急増、航空機、列車等の大規模な事故、犯罪の広域化、風俗環境の悪化、公害など国民生活を侵害する事案の多発、暴力団の騒動など、国民の平穏な生活を守るため警察が対処せねばならないことは、ますます多く、かつ、困難になってきております。 私は、これら諸般の問題に的確に対応する体制を整備することが当面の急務であると考えております。このため、昭和四十七年度において所要の警察官の増員を行なうなど、警察各部門の体制の整備に尽力する所存であります。 また、最近問題となっているガードマン営業の適正な運営を確保するため必要な事項を定める法案の御審議をお願いしたい所存であります。なお、風俗環境の悪化を防止する措置の一つとしてモーテルの規制に関する法案の提出についても検討しているところであります。 以上、警察当面の二、三の問題について申し述べたのでありますが、激動するこの時期において、治安の万全を期するためには、警察活動に対する国民の理解と協力が不可欠であり、また、警察官の士気を維持することが肝要であります。 このような見地から、私は、国民の日常生活に影響を与える事犯について、国民の立場に立って、その保護のための対策を積極的に講ずるとともに、警察官が後顧の憂いなくその職務に尽力できるよう、その勤務、生活環境をめぐる諸条件の改善につとめる所存であります。 最後に、委員各位の御支援、御鞭撻を重ねてお願いいたしまして、私のごあいさつといたします。
○委員長(玉置猛夫君) 次に、昭和四十七年度自治省関係予算の概要説明を聴取いたします。皆川官房長。
○政府委員(皆川迪夫君) 昭和四十七年度の自治省関係歳入歳出予算につきまして概要を御説明申し上げます。 第一に、一般会計予算でありますが、歳入は三千六百万円、歳出は二兆三千九百四十八億三千二百万円を計上しております。歳出予算額は、前年度の予算額二兆二百十一億六千百万円と比較し、三千七百三十六億七千百万円の増額となっております。また、この歳出予算額の組織別の額を申し上げますと、自治本省二兆三千九百十一億円、消防庁三十七億三千二百万円となっております。 以下この歳出予算額のうち、おもな事項につきまして、内容の御説明を申し上げます。 最初に、自治本省につきまして、御説明を申し上げます。 まず、地方交付税交付金財源の繰り入れに必要な経費でありますが、このうち前年度の例により算定した額として二兆一千九百五十三億九千五百万円を計上いたしております。この経費は、昭和四十七年度の所得税、法人税及び酒税の収入見込み額のそれぞれ百分の三十二に相当する金額の合算額と、昭和四十五年度の地方交付税に相当する金額のうち未繰り入れ額百九十二億五千百万円及び過年度特例措置にかかる昭和四十七年度の加算額三百億円を加えた金額を交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れるために必要な経費であります。 さらに、臨時地方特例交付金の繰り入れに必要な経費でありますが、一千五十億円であります。この経費は、昭和四十七年度限りの特例措置として、交付税及び譲与税配付金特別会計を通じ地方交付税交付金として交付する財源の同特別会計への繰り入れに必要な経費であります。 次に、臨時沖繩特別交付金の繰り入れに必要な経費でありますが、三百六十五億円であります。この経費は、沖繩県及び同市町村に交付する必要があると見込まれる地方交付税交付金の財源の一部の交付税及び譲与税配付金特別会計への繰り入れに必要な経費であります。 次に、過疎地域振興対策に必要な経費でありますが、三億二千四百万円を計上いたしております。この経費は、過疎地域における集落の整備に要する経費について市町村に対して補助するために必要な経費並びに過疎地域振興にかかる調査研究の委託に必要な経費であります。 次に、広域市町村圏の振興整備の促進に必要な経費でありますが、その額は十八億六千百万円であります。この経費は、広域市町村圏の振興整備を促進するため、広域市町村圏の振興整備計画の策定に要する経費及び振興整備計画に基づく事業の実施に要する経費について補助するために必要な経費であります。 次に、選挙に関する常時啓発に必要な経費でありますが、六億一千五百万円を計上いたしております。この経費は、選挙が明るく正しく行なわれるよう選挙人の政治常識の向上をはかるための選挙に関する常時啓発に要する経費について、地方公共団体に対し補助する等のために必要な経費であります。 次に、公立僻地病院等医師養成施設の設置に必要な経費でありますが、四億円となっております。この経費は、公立僻地病院等に勤務する医師養成のための学校法人による自治医科大学の施設整備費について補助するために必要な経費であります。 次に、奄美群島振興事業に必要な経費三十一億五千六百万円を計上いたしております。この経費は、奄美群島における主要産業の振興、公共土木施設の整備等の振興事業に要する経費等について補助するために必要な経費及び奄美群島振興信用基金の融資資金の増加に充てるための出資に必要な経費であります。 次に、小笠原諸島復興事業に必要な経費でありますが、十五億六千二百万円となっております。この経費は、小笠原諸島の復興をはかるため、同島の交通施設、産業基盤施設、生活基盤施設等の整備事業に要する経費等について補助するために必要な経費であります。 次に、交通安全対策特別交付金に必要な経費として三百十五億六千三百万円を計上いたしております。この経費は、交通安全対策の一環として、反則金収入に相当する金額を道路交通安全施設に要する費用に充てるため、都道府県及び市町村に対し交付するために必要な経費であります。 次に、小災害地方債の元利補給に必要な経費でありますが、四億八千百万円を計上いたしております。この経費は、昭和三十七年以降昭和四十六年までに発生した公共土木施設及び農地等の小災害にかかる地方債に対する昭和四十七年度分の元利償還金の一部に相当する金額を地方公共団体に交付するために必要な経費であります。 次に、新産業都市等建設事業債調整分の利子補給に必要な経費につきましては二十七億八千五百万円を計上いたしております。これは新産業都市、工業整備特別地域等の建設、整備の促進をはかるため、建設事業債の特別調整分について利子補給金を交付するために必要な経費であります。 次に、地方公営企業再建債の利子補給に必要な経費でありますが、六億二千六百万円を計上いたしております。これは地方公営企業の財政再建を促進するため、再建企業を経営する地方公共団体が起こす財政再建債について利子補給金を交付するために必要な経費であります。 次に、公営企業金融公庫の補給金に必要な経費でありますが、六億百万円を計上いたしております。これは公営企業金融公庫の水道事業、下水道事業、工業用水道事業及び地下高速鉄道事業を除く交通事業のほか、新たに対象とされる市場事業にかかる貸付利率を〇・三%引き下げるための補給金を公庫に交付するために必要な経費であります。なお、このほか、同公庫につきましては、出資金を増額するための経費二億円が大蔵省所管産業投資特別会計に計上されております。 次に、公営地下高速鉄道事業助成に必要な経費でありますが、十三億六千九百万円を計上しております。これは昭和四十三年度末における政府資金引き受けの公営地下鉄道事業債にかかる支払い利子に相当するものとして発行される企業債の利子相当額について、助成金を交付するために必要な経費であります。 次に、児童生徒急増市町村公立文教施設整備事業助成に必要な経費でありますが、七億八千四百万円を計上いたしております。これは児童生徒の急増市町村において、昭和四十年度から昭和四十五年度までに公立の小学校及び中学校の校地の取得のために起こした地方債、並びに昭和四十六年度においてこれらの学校の校地の取得のため地方開発公社等に対して負った債務の未償還残高相当額について起こした地方債の利子の一部に相当する額について、当該市町村に対し、助成金を交付するために必要な経費であります。 次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金に必要な経費につきましては四十三億七千万円を計上いたしております。これはいわゆる基地交付金でありまして、米軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等の所在する都及び市町村に対し、助成交付金を交付するために必要な経費であります。 次に、施設等所在市町村調整交付金でありますが、十六億四千万円を計上いたしております。この経費は、特定の防衛施設が所在することに伴い税財政上特別の影響を受ける施設等所在市町村に対し、調整交付金を交付するために必要な経費であります。 以上が自治本省についてであります。 次に、消防庁につきましては、消防施設等整備費補助に必要な経費二十九億五千百万円を計上いたしております。これは消防ポンプ自動車、防火水槽等の消防施設、化学車、はしご車、消防艇、ヘリコプター等の科学消防施設、救急業務施設、防災資機材施設及び消防吏員待機宿舎の整備に要する経費の一部を、地方公共団体に対し、補助するために必要な経費であります。 第二に、特別会計予算につきまして御説明を申し上げます。 自治省関係の特別会計といたしましては、大蔵省及び自治省所管交付税及び譲与税配付金特別会計がありまして、この特別会計の歳入歳出予定額は歳入二兆七千八百八十一億三千八百万円、歳出二兆七千八百八十一億三千八百万円となっております。 歳入は、地方交付税交付金、臨時地方特例交付金、臨時沖繩特別交付金及び借入金等利子の財源に充てるための一般会計からの受け入れ見込み額、地方道路税の収入見込み額、石油ガス税の収入見込み額の二分の一に相当する額、航空機燃料税の収入見込み額の十三分の二に相当する額、自動車重量税の収入見込み額の四分の一に相当する額、特別とん税の収入見込み額等を計上いたしております。 歳出は、地方交付税交付金、地方譲与税譲与金及び借入金の償還財源等の国債整理基金特別会計への繰り入れ等に必要な経費であります。 以上、昭和四十七年度の自治省関係の一般会計及び特別会計予算の概要を御説明申し上げました。 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○委員長(玉置猛夫君) 次に、昭和四十七年度警察庁関係予算の概要説明を聴取いたします。土金官房長。
○政府委員(土金賢三君) 昭和四十七年度の警察庁関係予算案について御説明申し上げます。 昭和四十七年度の警察庁予算として計上しました額は、お手元の資料にございますように、総額で五百六十八億三千六百二十五万五千円でありまして、昭和四十六年度の補正後予算額五百八億四千五百三十六万八千円に比較しまして五十九億九千八十八万七千円の増額となっております。 次に、その内容のおもなものにつきまして資料の概要説明の順を追って御説明いたします。 第一は、警察庁一般行政に必要な経費百七十四億百五十万六千円でありますが、これは警察庁、警察大学校及び地方機関の職員並びに都道府県警察の警視正以上の警察官の職員俸給等人件費百五十八億二千九百三十八万三千円、運転者管理センターその他のために設置の電子計算組織の運用に必要な電子計算機の借料とそれに付随する消耗品の購入費等五億九千二百六十九万九千円のほか、警察庁、警察大学校及び地方機関の一般事務費及び地方警察官四千人増員に必要な教養経費等でございます。 第二は、警察機動力の整備に必要な経費六十九億四千九百十二万五千円でございます。この経費は、警察用車両の購入、警察装備品の整備、警察用舟艇の建造及び警察通信施設の整備並びにその維持管理等に必要な経費でありまして、捜査用車、パトカー、交通パトカー、白バイ、移動検問車、移動交番車等、合計二千四十八台を購入整備するために必要な経費十五億六千五百三十二万二千円と、ヘリコプターの購入費二億三千百四十九万五千円のほかに警察用舟艇の建造費等があります。 また、通信関係では、幹線通信系の質的な改善をはかるために、東京−埼玉及び東京−千葉間無線多重回線の改修に必要な経費一億五千五百九十二万五千円、都市圏における有機的、総合的な警察通信網の確保をはかるための超短波無線電話、携帯無線機、受令機及び緊急配備用通信施設の増強整備をするために必要な経費十四億一千六百八十九万三千円を計上いたしましたほか、通信量の増大に伴う交換装置の整備その他に必要な経費七億三千六百六十万八千円と通信施設の維持管理に必要な経費二十一億三千六百六十三万三千円を計上しております。 第三は、警察教養に必要な経費七億七千四百十六万九千円でございます。この経費は、警察学校入校生の旅費五億八千五百三十万円と、警察学校における教養のための講師謝金、教材の整備費等でございます。 第四は、刑事警察に必要な経費四億七千二百九十万三千円でございます。この経費は、暴力団犯罪及び一般の刑法犯の捜査、取り締まり並びに犯罪鑑識に必要な指紋原紙、写真機、法医理化学器材等の整備費、消耗品費、死体の検案解剖の経費のほか犯罪統計の事務等に必要な経費であります。 第五は、保安警察に必要な経費千六百二十万一千円であります。この経費は、青少年の非行化防止、売春取り締まり、風俗の取り締まり、麻薬、密貿易、拳銃等に関する犯罪の捜査、取り締まり等に必要な資料の印刷費、翻訳料等と公害事犯取り締まりに必要な鑑定謝金及び広域緊急配備指令の指導旅費などでございます。 第六は、交通警察に必要な経費五千九百十八万九千円であります。この経費は、交通安全に関する広報、交通事故白書、交通巡視員関係教材等の印刷費でありますとか交通取り締まりの指導のため必要な旅費、物件費などでございます。 第七は、警備警察に必要な経費二億九千七百九十三万九千円であります。この経費は、警備警察運営に関する会議、指導連絡等の旅費及び備品類の整備と消耗品等物件費並びに密航監視哨員の手当等でございます。 第八は、警察活動に必要な経費七十三億八千九百三十万八千円でございます。この経費の内容は警察活動に必要な旅費及び捜査費であります。 第九は、警察電話専用回線の維持に必要な経費十四億七千百五十一万四千円でございまして、警察電話専用回線を維持するために日本電信電話公社に支払ういわゆる警察電話専用料金であります。 第十は、科学警察研究所に必要な経費三億三千七百八十四万四千円でございます。この経費は、警察庁の附属機関として設置されています科学警察研究所の職員の俸給等人件費二億一千八百六十五万五千円と、鑑定、検査、研究に必要な機械、器具類の購入費、維持費その他一般事務経費であります。 第十一は、皇宮警察本部に必要な経費十六億九千九十四万四千円でありまして、この経費は、皇宮護衛官その他皇宮警察職員の俸給等人件費十五億六千三百三十三万六千円のほか行粛啓等の警衛に要する旅費その他一般事務経費でございます。 第十二は、警察施設の整備に必要な経費二十八億二千二百十七万九千円でございます。これは直接国庫で支弁する対象になっております施設の整備に必要な経費でありまして、具体的には、学校及びその射撃場その他の施設の設備費であります。 最後の十三は、都道府県警察費補助に必要な経費百七十一億五千三百四十三万四千円であります。この経費は、一般の犯罪捜査、交通指導取り締まり、外勤警察活動、雑踏警備、防犯活動等、都道府県警察の一般行政に必要な経費と警察署、派出所、駐在所、待機宿舎及び交通安全施設の整備に必要な経費に対する補助金でございまして、そのおもなものは次のとおりであります。 まず、都道府県警察一般行政費補助金八十八億二千五百十六万一千円でありますが、これは警察用車両、ヘリコプター、舟艇の燃料費、修繕費等維持費十九億一千八百八万三千円、捜査及び鑑識用器材等の購入費、維持費、留置場関係の経費、派出所、駐在所の事務経費、公害事犯取り締まり等防犯関係の経費、捜査関係書類の印刷費等四億四千七十五万八千円、交通取り締まり用諸器材、事故処理用諸器材の整備費等二億一千六百九十二万九千円、超過勤務手当二十五億二千五百四十四万二千円、警察署、派出所、駐在所の電話専用料金十二億六千二百六十二万円、活動経費二十一億六千七百二十四万四千円、諸謝金、職員旅費、参考人旅費等二億九千四百八万五千円を計上しております。以上が、都道府県警察の一般行政に要する経費に対する補助金であります。 次に、都道府県警察の施設整備に要する経費に対する補助金八十三億二千八百二十七万三千円でありますが、その内訳は、警察本部、警察署、派出所及び駐在所の施設整備に必要な経費に対する補助金十七億八千九百三十四万三千円、待機宿舎の建設費に対する補助金九億一千六百五万五千円、交通安全施設の整備に対する補助金五十六億二千二百八十七万五千円でございます。 なお、沖繩関係経費につきましては、各項目の中に合計七億三千三百四十六万五千円を計上しております。 以上、昭和四十七年度の警察庁予算に計上いたしました内容につきまして、その概要を御説明申し上げました。よろしく御審議をお願いいたします。
○委員長(玉置猛夫君) 以上で説明聴取を終わりました。 これに対する質疑は後日に譲ることにいたします。 —————————————
○委員長(玉置猛夫君) 連合赤軍による人質籠城事件に関する件を議題といたします。 警察庁当局から報告を聴取いたします。
○政府委員(富田朝彦君) 連合赤軍によります人質籠城事件に対する警察措置について御報告申し上げます。 二月十九日土曜日、逃走中の連合赤軍が軽井沢の河合楽器保養所「あさま山荘」に侵入し、管理人の妻牟田泰子さん(三十一歳)を人質に籠城以来、長野県警察現地警備本部は、警視庁等の応援警察官を含めて最高時約千四百人の警察官を動員して包囲体制をとり、人質の安全救出並びに犯人の逮捕とを基本方針とし、警察、人質の家族、犯人の母親等による説得を繰り返すほか、内部状況把握のための諸方策を忍耐強く講じてきたのであります。しかしながら、猟銃等の発射以外には彼らの反応は少なく、人質の安否を十分確認できないままに十日間が過ぎ、人質となっている牟田泰子さんが精神的にも肉体的にもきわめて憂慮される事態に立ち至ったのであります。このような状況下において、警察は、泰子さんの救出を果たすためには保養所内に立ち入り、犯人らの抵抗を排除するため断固たる措置をとらざるを得ないと判断し、二十八日午前十時から決行いたしたものであります。 この日、長野県警察では、野中同県本部長の指揮のもとに地元長野県警察のほか警視庁、神奈川県警察の応援も含めて、警察官約千人を動員して警備に当たったのであります。 午前九時、警察部隊の現場配備を完了すると同時に警告を開始し、午前九時五十五分からは最後の警告を繰り返したのでありますが、犯人らは何の返答もなく、かえって猟銃等を乱射して抵抗の姿勢を変えなかったのであります。このため午前十時四十七分、クレーン車による作業を開始し、まず三階から二階に通ずる階段を閉塞し、次いで同階の便所の窓、管理人室の壁を破壊し、同十一時四十分、三階管理人室へ、同時に一階、二階にも窓等を破ってそれぞれ警察官が突入し、午後一時過ぎには一階、二階の全部及び三階の管理人室と厨房を制圧したが、なお犯人は三階の屋根裏、談話室及びベッドルームに立てこもって抵抗を続けたのであります。このため午後三時三十分からガス筒及び放水を使用いたしまして天井裏及び談話室の犯人を制圧し、午後四時三十分ごろには犯人らが三階ベッドルームに集結したので、ガス筒及び放水で制圧しつつ、同室ドア前のバリケードを撤去した後、ドアを破壊して、午後六時九分、この両所から警察官が室内に突入、同十五分、人質となっておりました牟田泰子さんを無事救出する一方、同所に集まっていた犯人五人を順次逮捕いたしますとともに、ライフルを一丁、拳銃一丁、猟銃等四丁と爆発物一個を押収したのであります。 この間、犯人は、屋内に突入しようとする警察官をねらって銃撃を加え、午前十一時三十三分から同五十五分ごろにかけて玄関付近において警察官四人が負傷、うち二人が間もなく殉職をいたしましたのをはじめ、午後零時五十分、正面玄関前方約百メートル離れた山の上で取材中のカメラマンが銃撃を受けて負傷、午後二時五十分、談話室内から厨房内に爆発物が投げ込まれ警察官三人が負傷したのであります。この爆発物は幸い厨房内窓側に備えつけられたたなに当たり壁側で爆発したため、壁は吹き飛ばされたが、警察官の負傷は軽傷にとどまったのでございます。午後四時十分、午後五時十八分、午後六時二分、午後六時十三分、犯人らの銃撃によりまして警察官が負傷をいたしますなど、警察官二人が殉職をいたしましたほか警察官十六人が負傷をいたし、うち入院五人、重傷三人、カメラマン一人が入院の重軽傷を負った次第であります。 なお、人質となっておりました牟田泰子さんは、救出後、軽井沢病院に入院中でございますが、当時の医師の診断によりますると、疲労はきわめて激しいが、心身とも異状はなく、休養すれば回復するとのことであるという医師の言がございました。また泰子さんの話によりますると、十日間ふろには一度も入れず、両手、両足をロープで縛られて三階のベットルームに監禁され、二十六日からは食事も全く与えられなかった。犯人は五人で、相互に富士山とか立山とか山の名で呼び合っていたということをその直後に申しておったのでございます。 以上で報告終わります。
○委員長(玉置猛夫君) 御質疑のある方は順次御発言願います。
○柴立芳文君 ただいま御報告を受けたわけでありますが、今回の軽井沢で起こりましたいわゆる連合赤軍の五人の暴徒ですか、「あさま山荘」事件が先ほど国家公安委員長の所信表明の中でも明らかにされたわけでありますが、いま御報告を承りまして、私どももいろんな情報を聞いておるところであります。いわゆるこの事件は社会の敵というふうなことで、国民としましては憎むべき凶悪犯罪であるというふうに思いまするし、またこの事件に対しまして、国民は驚きと不安というものが非常に異常な形で出ている、こういうふうに考えるのであります。十日間にわたりましてこれらの暴徒が——複数のグループからなっておりまして、時間をかけまして、金と銃が結びついた、いわゆる銃やあるいは金も強奪されたものであるというふうなことから考えまして、まことに異常な犯罪と言わざるを得ないのであります。 人質の話も出ましたのでありますが、牟田泰子さんですか、泰子さんを救い出すためと、この凶悪犯人を逮捕するために警察当局が非常に苦心をされましてこれが解決を——この事件だけは解決をしたということに承知をいたすのでありまして、警察当局に対しまして、私は国民の一人として、ほんとうに衷心から今回の事件に慎重に当たられました御苦心に対しまして敬意と感謝の意を表したいと思います。いま御報告になりましたとおり、この解決までの間には非常に大きな時間と犠牲が大きかったというふうなことは御報告のとおりでありますが、しかしこの問題の解決のしかた、やり方ということについては、きょうは時間がございませんので省略をいたしますけれども、いま御報告にありましたように、二人の殉職者が出たということ、そして多数の警察官のけが人、民間人の死傷者というものが出たというふうに非常に犠牲が大きかったということでありますが、特にこの殉職者に対しましてはほんとうに冥福を祈らざるを得ない、非常に残念なことでございました。遺憾の意を表しますが、ともに私はこれらの犠牲者の方々に対しまして、新聞報道等に警察庁長官の報道がなされておりますけれども、この遺族の方々に対しましては、このような事件のために犠牲を払われたわけでありまするので、現時点における解決及び将来にわたりまして遺族の方々に対しましては国家補償が十分なされるのが当然だ、こういうふうに考えるものであります。したがいまして格段の御高配を私は望みます。 次に、質問を三つに分けて申し上げますが、時間がございませんから簡単に申し上げますけれども、私ども従来赤軍派あるいは京浜安保共闘というふうなものに対してはある程度、ハイジャックの問題あるいはこの赤軍派のおい立ちというふうなことについては報道を聞いております。今回の行動が、グループが一緒になったというふうなことに対して、これは逮捕のときの模様からいたしましても相当な思想的な背景があるんじゃないか。こういう暴徒が結束してあれまでの抵抗をする、全くわれわれの想像の及ばない行為をしておるというふうなことに対して深い思想的な背後があるように思われます。この根深いものは何であるかということに対して、警察御当局はどういうふうに理解され判断をされているのであろうかということについて、私は第一点にお伺いいたすのであります。いわゆる思想的なものが共通するものから生まれる行為であるのかどうか。時間が相当かかっておりますし、この赤軍派にしましても京浜安保共闘にしましても、古い、古いといいましてもある程度の時間がかかっている、そして非常に計画的であるというふうなこと、一連の人々が逮捕されたというふうなこと等を考えますと、何がこれは原因なのか、もちろん深い根はたくさんあるでしょうけれども、直接警察当局が犯罪として見られた場合の原因は何であると考えておられるか、把握されておるかどうかということが第一点であります。 第二点は、今回の行動のおい立ちから考えまして、国民の中には、相当な幹部の方々が逮捕された、あるいは組織の壊滅が今回の事件で終わったんじゃないかというふうに見る向きもないではないと私は思う。しかし私はそう甘いものではないと考えておりますが、それに対しまして、警察当局は、今後これらの犯罪の防止あるいは壊滅的なやり方というふうなものに対して警察庁長官はどのように考えておられるかというのが第二点であります。 第三点は、まあ人質の問題として、従来は人質というのは利益誘拐とかいろいろございまして、しかし今回の場合におきましては、たまたま牟田泰子さんという人がおられた。そして人質という形になったというのが私は特徴だと思う。したがって、これはまあ新しい形の刑事事件というふうに見なければならないと思うのでありますが、いわゆる従来のハイジャックの場合におきましても、あるいはその他の大きな事件のあとにいろいろ刑法の改正が行なわれたのであります。しかし今回の場合におきましては、そのようなものと変わった新しい型の犯罪、人質利用というようなふうに考えるのでありますが、刑法の一部改正ということにつきましてはいろいろ新聞紙上でもいわれておりますが、刑法改正を含めて新しい対策、組織化されたシステムを警察としてはおつくりになる必要がある。これは非常に大きな今後の問題なんですけれども、どういう形の犯罪が今後起こるのかというふうなこともまあ予期できない点もありますけれども、しかし私は、今回の問題ほど新しい形のものができたということは非常に見方として大きいと思う。その点について、長官としては、今後刑法の一部改正を含めてそういう新しいものに対してどういうふうな対策を講じていくという、これはこの事件が解決したんじゃなくて、この事件の凶悪性から考えて今後の対策というものについて、これが第三点。その三つだけを御説明、御報告願いたいと存じます。
○政府委員(富田朝彦君) ただいまお尋ねの第一の連合赤軍の性格あるいはそうした背景等についての問題でございますが、ただいまいわれておりまする連合赤軍は、昨年の七月にいわゆる共産同赤軍派といわれるものの非公然の軍事組織、これを赤軍派中央軍といっておりますが、これと京浜安保共闘の軍事組織であります人民革命軍、これがいわば合体をいたしましてそして連合赤軍、こういうものをつくったわけでございます。 そこで、そのもとになっております赤軍派あるいは京浜安保共闘、これらはおおむね四十四年の春から秋にかけましてそれぞれの組織はつくられております。これは赤軍で申しますと、共産同の戦旗派というのが——いまでもそれを名のっている派閥、グループがおりますが、彼らの言う革命のやり方、手段、こういうもののやり方についてのいわば論争といいますか意見の相違、あるいはその過程に内ゲバ等のあれもあったようでありますが、そういうことで、よりラジカルな戦法をとろうとする連中がいわば戦旗派から分かれて彼らが赤軍派と名のるものをつくった。それから京浜安保でありますが、これは京浜安保の上部団体は日本共産党革命左派と名のっているグループがございます。これの愛知県委員会とか若干はございますが、今回の事件に関連をしている非常に凶悪な行動をとったグループは神奈川県委員会、これのいわば組織が主として京浜方面につくられておったために京浜安保共闘、それの非公然組織である人民革命軍、こういうものでございます。 で、これはそれぞれに当初の彼らの主張、言い分は、二つのあれはそれぞれ違っております。いわゆる赤軍派でいいますと、世界同時革命をやる、そのために世界的ゲリラ戦を展開する、そして鉄砲、爆弾を辞さないテロ、ゲリラ活動をやるんだというようなことを主張をしておって、要するに世界同時革命ということでありました。これの指導者はマルクス・レーニン主義というものから出発したであろうことは推定されますが、ただいまではどうであるかというと、トロツキスト的なものの考え方に近づいておるように見られます。それから京浜安保共闘のグループ、これはやはり幹部は同じようないわゆる思想的な過程から出てまいったと思いますが、現在ではいわゆる毛沢東主義というものを相当に信奉しておるあとがうかがわれます。「革命は銃口から生まれる」というようなことばをしょっちゅう使っておるようであります。 では、これがなぜ一体になったのかということでありますが、彼らはそういうようなことでそれぞれのグループをつくってはおりましたが、御案内のように、赤軍派は四十四年の十一月に大菩薩峠におきまして、いわばいまの鉄パイプ爆弾のはしりである爆弾を製造し、訓練をしておるところを大量に爆発物取締罰則違反で検挙されておりますが、それ以来いろいろないわば犯罪行為を重ねてまいっております。ことにハイジャックを敢行したのも彼らでございます。四十六年に入りましてからは金融機関、銀行あるいは郵便局というようなところに押し入りまして、銃器あるいは刀というようなもので、昨年の春、二月から三月にかけて、そういう行動を非常に頻発させたのでありますが、そういう行為を重ねている。片や京浜安保のほうは、昨年の二月十七日に栃木県の真岡におきましていわゆる猟銃奪取事件を敢行する。その後、御案内のように、昨年の夏以降といいますか春以降、爆弾を使いましての、最終的には一般市民を巻き込んだような形で多数犠牲者を出しました一連の爆発物使用の事犯。これら全部が——これらとは言い切れませんが、その主要なるものはこうしたグループが敢行したのではないかと推定をいたしております。こういう過程において、彼らの指導者というものは、こうしたグループを親グループから分かれてつくったときには、それなりの思想的立場、背景があったと思いますが、こういう過程においては、要するにゲリラ、テロをやって世界に衝撃を与えるということだけに、いわばその手段としたものが目的化されてしまいまして、そういうことで犯行を重ねているうちに、一種の精神的な荒廃も生じたと見られますし、そういう過程で犯罪者の集団に質的に変化をしていってしまっておる。こういうようなものではないかというふうに私は理解をいたしております。 なお、赤軍派あるいは京浜安保といいますと、いわゆる表に顔を出しましていろいろビラを配ったりなんかしているグループもございます。これを入れますと相当の数でございますが、いわゆる軍事組織、今度の事件を敢行したのは——今度といいますか、昨年来の事件を敢行しました主力は、先ほど申しました連合赤軍という彼らの軍事部門の二つが寄り集まってあれしたものでありまして、これはせいぜい八十名から百名以内のグループである、両方合わせて。私はこういうふうに推定をいたしております。 それから第二の、組織が壊滅したと見られないのではないかというお尋ねでございますが、私どももその組織、こうした凶悪な犯罪を相次いで引き起こすこうしたグループに対しては、徹底した未然防止のための措置と同時に、徹底した捜査によりまして、法治国である日本としては、彼らを検挙し、そうして法廷においてその適正な処罰を受けさせることによって彼らの組織を壊滅していくということがわれわれの任務であると、かように信じておりますが、ただいままでに赤軍につきましては百三十三件、二百八十人、京浜安保につきましては四十三件、五十一人の逮捕をいたしております。しかしながら、この一部は、 ハイジャックあるいは大菩薩峠の事件におきましてすでに保釈になっておる者もございますが、現在指名手配中の者は、両方合わせまして、国内におる指名手配者として追及しておりまする者十四名。これはいわば首領格で、このほかに犯罪の容疑が明確でないために十分視察を遂げておるというのがその他いろいろございます。したがいまして、いま御指摘のように、これで私どもは壊滅させたいという非常に強い気持ちは持っておりますが、まだ壊滅したというふうに私どもは安心はいたしておりません。いま申し上げたような状況でございますので、さらにいろいろな手段を尽くし、また国民の方の心からなる御協力をいただきまして、そうしてこうした凶悪犯人の逮捕、追及ということの実をあげてまいりたい、かように考えております。
○政府委員(後藤田正晴君) 御案内のように、今日刑法には人質罪という規定はございません。そこで、われわれが通常言う人質につきましては、逮捕監禁罪、あるいはその態様によっては略取誘拐という罪で処断を求めると、こういうことでございます。ただ、その場合、罪の最高限度が五年でございます。ところで、物を盗んだという窃盗罪の最高が十年でございます。いかにも法の均衡を、私は反社会性から見て均衡を失しておる、こう考えます。また人質の場合には、何よりも犯人に人質を釈放させるということが必要だと思います。それがためには、それにふさわしいようなやはり罪の書き方というものも必要ではなかろうかと。つまり釈放した場合の減刑の規定、あるいはそれを聞かないで人質を殺した、あるいは傷つけたという場合には峻厳なる罪に処すると、こういうことが私は必要だと思います。 ところが、残念ながら今日そういう規定がございませんので、警察庁としましては、先般のハイジャックの事件の際に、人質罪というものを新設をする必要がありはせぬかということで、四十五年の六月、刑法の全面改正を検討いたしております法制審議会の刑事法特別部会第五小委員会におきまして、刑法の規定中に人質罪に関する規定を設けることを要望をして警察庁の考え方を御説明いたしたわけでございます。その後、審議の結果、昨年の十一月に採択をされました法制審議会特別部会の刑法改正案、その中で三二三条の二として、人質による強要罪の規定が設けられております。この改正案は、法制審議会としての成案を得るというまでにはなお相当の日時を要するかと思いますし、またこの規定の中身を見てみますというと、「第三者に対し、義務のない行為をすること又は権利を行なわないことを要求した」と、これが構成要件になっておりますので、今日のように人質——世間で言う人質であることはこれは間違いがございませんが、人質をとって、そして自分たちの逮捕を免れ、そして警察官を射殺をする、こういったたてに使うだけであって何ら外に対して要求しない、こういった新しい型の「あさま山荘」事件のような場合には、この改正案として今日一応小委員会で成案を得ておる規定ではまかない切れないという面もあるのではなかろうかと、かように私は考えております。 そこで、そういった点もございますので、いろいろ立法技術上の観点からもまたやっかいな問題もございます。また所管も法務省でございます。そういったようなことでありまするだけに、私どもとしては、今日のこの犯罪の態様等をぜひひとつ参考にしていただいて、いま一度御検討し直しをしていただきたい、こういうことで今日法務省と十分連絡をとりながら検討を進めておる、これが現状でございます。
○上林繁次郎君 私は事件の具体的な問題を取り上げまして、当局のこれからの対策といいますか等をお尋ねしてみたい、こういうふうに思います。 まず最初に、今回の事件では当局もいろいろな教訓を得たことと思います。そこで、今後これらの過激派グループに対する対策、これはやはりいままでと同じ姿ではならぬと思いますが、どういうことを、どういう対策を立て、これを進めていくかという、こういった点についてお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(富田朝彦君) ただいまのお尋ねの今後の対策いかんということでございますが、過激なこれらの凶悪な集団によりまして今後とも爆発物が使われ、あるいは彼らが昨年末来言うておりますように銃撃戦を開始するんだと、こういうことばがしばしば彼らの機関紙その他ビラ等にあらわれております。したがいまして、今回妙義から浅間一円にかけまして十三名の彼らのグループを逮捕し、目下取り調べ中でございますが、先ほどもお答え申し上げましたように、これで彼らの組織は壊滅したというふうには断言はとうていできません。したがいまして、私どもとしては、これらを一つは徹底的に追及をして、そうして残された指名手配者はもとよりでありますが、さらに犯行を犯したにもかかわらず、われわれの目にはまだ具体的な犯行の証拠のあがっていないものもございます。そういうものを含めまして徹底して追及をする。そのためにはやはり今回も見られましたように山岳地帯、あるいは都市の中のアパートの一室で爆弾をつくっているというようなケースもございますので、国民の御協力も得ましてその追及を徹底することと、未然にそうしたことが起こらないように防止できるだけの措置を極力講じていく、こういうことが第一かと存じます。 それから第二は、やはり彼らが真岡で奪取をいたしましました銃、これは全部今回の逮捕で回収をいたしました。そのほかに彼らが持っておった自分の親戚のもとから盗み出したようなライフル銃、そういったようなものも使っておりましたが、これも回収したわけでございます。しかし、この銃の点だけ見ましても、この銃の管理が盗まれやすい、あるいは保管がルーズであるためにこうした者の手に渡ることがないように、またダイナマイト等を相当にダイナマイトの消費個所あるいは保管個所から盗み出している。こういうことは非常にむずかしいことでございますけれども、こういう点の徹底した管理ということが第二の点であろうと思います。 さらには、今回の特殊な凶悪な犯罪事件、これに警察がどう対応していくかにつきましては、警察の装備面等も十分今回の教訓を踏まえまして、犠牲者を出すことはまことに残念なことでございますので、そうしたことのない警察の措置がとれるという意味におきまして、そうした装備、技術あるいは訓練、こういう面についても、こういう特殊犯罪に対応するためにはさらに警察内部のその面のくふう努力が必要であろうかと考えております。特に、やはり一番先に申し上げました、まだ彼らがひそんでおるわけでございますので、これを徹底して全警察力をあげて追及をして、国民の御不安をいささかでもこれをやわらげたい、かように考えております。
○上林繁次郎君 そこで、群馬県の妙義山から犯人が追われましてそれで長野県に移ったわけですね。そしてその長野県に行くということは、県が二県にまたがった。その群馬県から長野県に犯人が逃走をしたことによる群馬県警と長野県警との連携の問題ですね。犯人が逃げた、それに対して群馬県警は長野県警にどのように連絡をとり、そして長野県警はどういうふうに態勢を整えたかという、こういった点も非常に大きな問題点ではないかというふうに思います。その辺のところをもう少し話を聞かしてくれませんか。
○政府委員(富田朝彦君) いまお尋ねの件は、いろいろな意見の形でもわれわれ耳にいたしております。で、簡単に事情を御説明いたしたいと思いますが、これは二月の十六日から七日にかけまして、群馬県の妙義山中におきまして、赤軍派並びに京浜安保共闘の幹部である森恒夫並びに永田洋子ほか二名を逮捕いたしたわけでございます。この時点からさらにさかのぼりまして二月七日以降、民間の方のいろいろなお知らせもございましたし、われわれもその時点以降必死の努力を続けまして、これらの捕捉並びに逮捕ということに全力をあげてまいりました。その時点以来、群馬県はもとよりでございますが、長野県、さらには東京都、埼玉県という関係のありそうと思われる全国十数都府県につきましては、厳重な警戒と犯人検挙のための努力を要請をいたしました。そのあれで活動をいたしております。したがいまして、群馬県においてこうした一般の方を含めていろいろな方からの情報もあり、また犯人検挙があったという時点には、当然に長野県も承知をいたしておりますし、また、この地域を一応管轄しておりまする関東管区警察局が中心になりまして、毎日毎晩連絡をとり合ってやっておったわけであります。 そこで、群馬県としましては、さらに妙義山にこもっておった残党をどうするかということで、五百名にわたる警察官が連日連夜榛名、妙義の一帯を捜索に当たり、発見につとめ、同時に、長野県におきましては、長野県内のかつて隠れたと思われるような地点もありますので、これは県内広くやっておりましたが、ことに県境でありまする軽井沢方面につきましては、約二百名に近い、まあ口によってちょっと違いますけれども、百名から二百名の間の人間が連日あき別荘の聞き込みでありますとか——聞き込みといいますか検索でありますとか、あるいは主要道路、あるいは県境付近の張り込みというような体制をとってまいったのでございますが、ただいま御指摘のように、軽井沢にあらわれたということは事実でございます。で、私は二月二十日の日にヘリコプターで現地まで参りまして、妙義山を越えて軽井沢に入るあの辺を一周してもらいまして、上からつぶさに見たのでございますけれども、まことに峻険な山岳部でございます。 で、彼らがつかまって今日まだ取り調べ中でございますのではっきりしたことはわかりませんが、少なくとも彼らがあの山を越えるには二日ないし三日雪中泊をし、千二百メーターぐらいの山を越えて——これは遺留品その他からわかっておりますが、ほんとうに、いわゆる林道というようなところでない、道なき道に隠れて、昼間は行動しないで夜だけ動き回るというような行動で知美峠の近くの一点にあらわれたものと考えられます。で、それがあらわれたのを、あの第一の「さつき山荘」というところで発見をし追跡をした。こういうことでございまして、私は、それぞれの県警としては、あの広大な地域に限られた警察官で最大の努力をいたしたと考えておりますが、しかし、やはり今回の教訓事項がないかといえば、そういう意味では、御指摘の点も十分踏まえまして考えてまいりたい、こう思っております。
○上林繁次郎君 そこで、先ほども報告がありましたけれども、今度の事件につきましては非常に犠牲が多かったということ、どうしてこういうふうに犠牲が多かったのか。それはいろいろな要素はありますけれども、特に、あの事件について犠牲が多かったということについての最大の原因といいますか、たとえば報道等によれば、敵の射撃に対する見方が甘かったんじゃないかというような報道がなされております。そういった点について、なぜこういう犠牲者が多く出たのか。これはこれからの問題として、やはり犠牲者を絶対出してはならぬのですから、そういった意味を含めて、ここで教訓を生かした上での御答弁を願いたい、こういうふうに思います。
○政府委員(富田朝彦君) 殉職者二名、また民間の方の負傷も一名ございまして——当日のことでございますが、さらに警察官十数名の負傷を出してまことに残念に思っておる次第でございます。 犠牲の多かった理由といたしましては、一つは、人質の牟田泰子さんを何とかして無事に救出をしなければならない、こういうことでいろいろな知恵を尽くし、また時間をかけて、そうして説得に至りましても、先ほど申し上げましたように、あれは百五十回をこえる説得をやり、最後の最後まで説得したわけでございます。しかし銃で反撃してくると、こういう状態でありました。結局、人質を何とか救出したいということで、たとえば、よく言われますけれども、犯人が顔を出したら射殺したらどうかという御議論もあるいは御意見も耳にいたすのでございますけれども、これは一対一の場合と違いまして、少なくとも犯人が複数で人質が一人あるというような場合には、やはりわがほうの行動は慎重ならざるを得ないという制約があったことは、これは事実でございます。 もう一つは、地形がまことに——これはテレビ等で遠近カメラでとりますと、地形がすっかり省略されまして目の前にぱっとあの家が出てまいりますけれども、非常に身を隠すところとてないというような、しかもその軽井沢のいわば南軽井沢、いわゆる一番山頂に位置するような地点でございまして、そこに接近することは、犯人らから見ますと、手に取るように撃ちまくれるというようなことでございます。また同時に、この地形の悪い中に、あの「あさま山荘」の屋根裏にこもったりなどして銃撃してくるわけでありますが、これを制圧するということが、いろいろな器材を使いましたが、なかなか時間的に短時間にできない、こういう点があったと思われます。 これは一つは、逆に申しますと、われわれが今後装備の面とかいろいろな面でどうくふうしていくか、あるいはそうした特別な事態を考えてどう対処していくかというような一つの今後の対策になろうかと思います。同時に、やはりこれは最終の段階におきましては家に踏み込んでつかまえるということでございます。そうすると、家に踏み込んで——彼らが銃器を持っておる。こちらも、場合によれば、当然のことでございますけれども、正当防衛あるいは職務行為として武器を使用することは当然のことでございますが、その場合におきましても、人質を一緒にかかえておるということがこちらの犠牲を多くしたゆえんであろうかと思いますが、しかしこれも、さらに、事前に使うべき器材その他について今後やはりいろいろくふうをしていくべき事柄と思っております。
○上林繁次郎君 もう一、二お尋ねしてみたいと思うのですけれども、私は心配になるんですがね。ということは、駅の売店の主婦が通報といいますか、その結果、その主婦の知らせによって四人が逮捕された。で、その後、その主婦が脅迫電話を受けておる、こういうような話を聞いておりますが、これは先ほどお話の中にもありましたように、やはり民間の協力を得なければならぬというこういう一つの問題、これと大きな関連性があると、こう思います。で、こういう悪らつな手段によってくる連中には、そういう民間が協力した場合に、そのままその人の名前が出てくるというような行き方はどうもうまくないんじゃないかと、こういうふうな考えがするんですが、この点をどういうふうにお考えになっているか。 もう一つは、そういう意味で、いま牟田泰子さんが病院におりますけれども、泰子さんもその当時の模様をいろいろとお話になっているわけです。そうしますとですね、どうも主犯は坂口らしいとか、そういう話が出ているわけです。こういったいわゆる主婦にさっそく脅迫電話がかかってくるということは、一応牟田泰子さんの健康が回復したとしてもそのあとが心配になる、こういう問題もこれは無視するわけにはいかないんじゃないか、こう思うんです。こういった点についてどういうふうな対策を考えておられるのか、これを一つ。民間の今後協力を得るためには、そういった点も徹底したこの対策を、考え方を持たなければいかぬと、こういうふうに思います。
○政府委員(富田朝彦君) ただいまのあれは駅の売店におられた女性の方、あるいは牟田泰子さんの問題、私どもこれは非常に注意をし、気にいたしております。 で、駅のおばさんにつきましても、これはあの日の十九日から数日は相当厚くいたしましたが、その後もお宅に、おばさんの御了解もありまして、お宅近くで警戒をいたしております。ただ駅のおばさんにつきましては、直接はまだ脅迫的なものはないと、ただこれは愛知県の某新聞社に、ああいうことをやるようなおばさんはやっつけるぞというような電話が数回ございまして、そういうようなことは当然これは了想されるということで現在も十分警戒を続けておりますし、今後も続けたいと思います。 それから牟田泰子さん、あるいは郁男さん等につきましても同じような配慮のもとに考えております。さらには犯人の家族の方々にも、これは全部ではございません。そのうち数家庭につきましてはやはりはがきなり、あるいは電話でそういうような、あの事件の最中並びに終わりましてからあるように聞いております。これはやはり同じような点で所轄の警察署が十分注意をして、そういうことのないようにあわせてやっておるところでございます。
○上林繁次郎君 最後に一つ、先ほどもお話がありましたけれども、こういう過激派のこれからに対する対策として、この前に二十九万戸にわたるアパートの捜査をやるとかいうお話がありましたね、この捜査状況はどういうふうになっておりますか。
○政府委員(富田朝彦君) これは昨年の暮れ以来、例の爆発物がクリスマスの前日に新宿で爆発しまして十二人の、一般の方と二人の警察官がけがをいたしました。その前に、警視庁の警務部長宅で夫人がなくなるというようなそういうような問題もありました。そういうようなことが相次ぎまして、昨年末以来警視庁はアパート、つまり彼らが爆弾をつくっておりそうなところ、あるいは潜伏しておりそうなところ、こういう犯人検挙というたてまえから、不動産屋でありますとか、そういう周旋業者とか、あるいはアパートの管理人の方とか、こういう方々に協力を求めまして、そうしていわゆる巡回連絡その他を兼ねまして、これは相当の量になりますけれども、量としましては。一応そういうおもなところは現在までに状況把握は終わっております。
○上林繁次郎君 どのくらいまで進んでおりますか、大体対象が一応二十九万……。
○政府委員(富田朝彦君) 大体九〇%近くは終わっております。さらにこれは何回もこういう犯人が指名手配が出、何かそういう気配があるということであれば、部分的にもまた重ねてやるというようなことはやっております。さらに銃砲店、火薬店あるいはダイナマイトの貯蔵場所、これなども、これは全国いろいろ散らばっておりますけれども、これにつきましてもあらためて昨年末来保管の状況その他あわせて、これは盗まれないようにということでございますが、そういうこともあわせてやっております。しかし、さらにこれは今後も状況の推移にあわせて重点的にやらなければならないと思いますし、同時にこれは、山岳部におきましてもいろんなこれは広いのでくふうが要るわけでございますけれども、彼らの最終的アジトがすべて山、今回の場合は山であったということでございます。そういうこともあわせて全国の警察で努力をいたしております。
○中沢伊登子君 皆さんがいろいろもう質問をされたのですけれども、私は殉職警察官の補償の問題について御質問をしたいと思います。 今度二人の警察官が生命をなくされたわけですけれども、私は残された御家族と同じように、私もまた家庭の婦人でありますけれども、そういう立場から、今度殉職された警察官の御家族の心情を察しますときに、ほんとうにお気の毒でならないわけですけれども、今後全国の警察官が後顧の憂いなく危険な警察職務に邁進できるように、残された家族の生活保障を完全にしていただきたいと思います。今度の家族補償の問題はどうなっているか、ひとつこの点をお伺いしたいのです。 実は昨年でしたか、全日空の飛行機と自衛隊の飛行機がぶつかりましてね、そうして全日空の飛行機が落ちましたね。あの遺族に対する補償の問題がいろいろいわれておるわけですけれども、ちょうど二週間ほど前、私のところに御依頼がありましたのは、いまだにその補償のお金がいただけない、そういう点でたいへん遺族は困っておられるわけですね。ですから、こういう点も補償がきまれば早急に遺族の方に渡していただけるような、そういう配慮もしていただきたいと思います。その辺をひとつ伺いたいと思います。
○政府委員(土金賢三君) お答え申し上げます。 このたび殉職されました二人の警察官に対しましては、私どもといたしましては、事案の内容にかんがみまして現行の各種規定上の最高の補償を行なう、こういう方針のもとに関係方面にいま手続等を折衝し、お願いしておるところであります。 その内容でございますが、この遺族の方々に差し上げる金銭の問題といたしましては二つございます。一つは年金の問題であり、一つは一時金として差し上げる問題。一時金のほうといたしまして、まずお二人の功労に対しまして内閣総理大臣の特別ほう賞金、こういう制度がございます。これは閣議決定に基づいてそういう規定ができております。これに基づいて出していただきますと、最高が五百万円ということになっておりまして、これも私どもは最高の額をお出しいただくよう、いま大蔵省、内閣とも折衝中でございます。それから警察庁長官の賞じゅつ金という制度がございます。これは国家公安委員会規則でできておりますが、これにつきましても最高の五百万円を出すという方針のもとに大蔵省とも折衝をいたしております。なお警視総監の賞じゅつ金、これは都の警察官に対しては警視総監の賞じゅつ金というものがございますが、これも五百万円の最高を授与する方針である、こういうことを聞いております。そのほか一時金といたしましては、地方公務員災害補償法に基づきます措置としての葬祭補償としてのお金とか、あるいは地方公務員共済組合法に基づく弔慰金としての一時金、あるいはまた東京都から死亡見舞い金というものが支給される予定になっております。そのほか退職金という制度もございます。なくなった方にもこれは一般の方々と同じように退職金という制度がやはり適用になることになっております。以上のものを合わせますと、退職金を除いて大体総計いたしますと、内田警視長の御遺族に対しましては約二千四十八万円、高見警視正の御遺族に対しましては約二千四十一万円という一時金が給付することができるようになると思いますが、そういう線で努力をいたしておる次第でございます。 なお、この一時金のほかに年金の制度があるわけでございます。これは毎年年額として遺族に補償的な給付として給付されるものでございますが、これは二種類ございまして、一つは地方公務員災害補償法という法律がございまして、この災害補償法によります遺族補償年金といたしまして、内田警視長の場合は年額約百十五万円、高見警視正の場合は約九十一万円という計算になります。なおそのほかに地方公務員等共済組合法というのが別にございまして、これに基づく公務遺族年金といたしましては、内田警視長の場合はこれは年額四十万円、高見警視正の場合はちょっと下がりますが、二十六万円という計算になります。これを合わせますと、内田警視長の場合は年金として約百五十五万円、高見警視正の場合は約百十七万円という年金が支給されると、こういうことになるわけでございます。 なお、この地方公務員災害補償法というものについては、特別に制度をもう少し改正するということをお願いしておりますが、まだこれは現段階においては実現しておりません。
○中沢伊登子君 先ほどからのお話のとおり、これからの連合赤軍派ですか、これはだんだんエスカレートしてくると思います。そういう点で警察官の装備資器材、これの充実をはかっていかなければならないと思います。その点を一つお伺いしたいんですが、今度も内田さんですか、目をやられて、それが致命傷になっておりますね。ああいうふうなことで、顔をおおうようなものはないのかどうか、そういうものがあっては行動にたいへん不便なのかどうか。からだのほうには防弾チョッキなんか着ていらっしゃるのでしょうけれども、そういうようないろんな点をひっくるめて、警備、装備の資器材ですね、そういうものの充実強化はどのようになっているか。 それから先ほど申しましたように、これからもさらにエスカレートしてきますので、その点も対策をどういうふうになさるのか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(土金賢三君) お答え申し上げます。 装備の点につきましては、過激派集団のエスカレートに対応しまして、私ども警察といたしましても、装備の面を次第にそれに対応して強化しているわけでございます。当初は投石とかゲバ棒等でございました。これに対応するために個人装備品として防御たて等をつくっておったわけでございますが、この防御たてもライフルとか、あるいは爆弾等が出るに至りまして、この防御たてを、普通のジェラルミンから特殊なかたい金属によってこの防御たてをつくり、今度の軽井沢の場合には、この防御たてをライフルで撃った場合にどうなるかということも実験いたしまして、一枚ですと、これは十発のうち二発ぐらいはやはり貫通するおそれがあるということがわかりましたので、これを二枚に重ねて使用したようなこともございますが、そういった防御たて、あるいは防弾チョッキ、あるいは防弾チョッキのほかに一般の防御衣というものがございます。これはつまり防弾チョッキというのは特別の、ライフル銃とかそういうものに備えるためのものでございますが、一般の投石、あるいは一般の爆弾等に備えるためには全員に防御衣というものを着せておりまして、この防御衣の中にも特殊の金属でつくった板をやはりその中に入れて、貫通することのないような配慮をいたしておるわけでございます。しかし、彼らの爆弾等、今度使いましたものを見ましても二十数メートル範囲内があぶない、こういうふうな状況でございますので、さらにこれを強化する必要があると思いますし、また一般の防御たてのほかに、ライフルに備えるための防弾板と申しますか防弾たてと申しますか、そういうものもこれをつくって今度利用いたしました。また、さらに特型警備車と申しまして、俗なことばでいえばタンクみたいな構造になっておりまして、ライフル銃ではこれは貫通しないようなそういう車でございますが、今度初めてこの特型警備車等も使ったわけでございますが、しかし今度の事案を反省しますと、いろいろまだ反省すべき点がございます。 ただいま中沢委員の御指摘のように、顔面について、今度いわゆる殉職された二人の警察官は、いずれも顔の正面をねらい撃ちされておるわけでございます。こういうふうな点につきまして、従来も警察官の顔の防護については、防石のための面がございますけれども、防石面を突き抜けていきますので、この辺をさらに早急にこれは開発、検討していかなければならない問題でありまして、私どもといたしましてもこの辺の問題、あるいはさらに火炎びんに対する装備の問題、あるいは爆発物の問題、こういったいろいろの問題もございますし、そのほかああいう籠城する場合における制圧の方法というふうな点についても、なお装備資器材の検討を必要とするわけでございますので、仰せのとおり、これらの点を総合的にひとつ検討してまいりたいというふうに考えております。
○中沢伊登子君 もう一点だけで質問終わらしていただきますが、今度テレビでも私ども見たわけですけれども、あの警察官の、たいへん御苦労おかけしているわけですけれども、一日の出動手当といいますか、それが千六百円だったと、こういうふうなことを何べんも私ども聞かされたわけですけれども、しかもそのうち食費は自分で払うのだと。そうすると、あれだけ危険な中に、いろんなものを着て、ずいぶん活動も私は昔と違って不自由だと思います。そのようなことまでおかして、しかも自分の命をあるいはたてとして出向いて行って出動手当が千六百円、一体これはどういうものを標準にして千六百円というお金が割り出されたのか。まあ消防団が火事に出て行ってもたいした手当をいただけないというような話を聞いているわけです。こういう手当がそれでいいのかどうなのか、一体何を標準にしてこういうお金が割り出されたのか、こういうことでは士気を阻喪しないのか、こういう点をひとつ最後に承っておきたいと思います。
○政府委員(土金賢三君) お答え申し上げます。 中沢委員がおっしゃいました千六百円というのは、どういうことでおっしゃっておられるのかちょっとわかりませんですが、機動隊員が応援に行ったと、出動したと、こういう場合には旅費、日当が支払われることになっております。この旅費、日当といたしまして、これは国のそういう基準、規則できまっておりまして、その額が、日当といたしましては一人一日五百五十円、それから旅費といたしまして、宿泊費といたしまして千百五十円ということになりまして合計千七百円ということになりますが、これはそういうふうな公務員というか、警察官のそういう旅費の規則でそういうふうにきまっている額でございます。
○河田賢治君 時間もあれですから二、三の点についてお尋ねします。 先ほど局長から今度の赤軍についての、共産主義同盟の赤軍及び安保共闘の神奈川県委員会等々で連合赤軍ができたと、そうしてこれらは明らかに彼らの主張は爆弾あるいはその他ゲリラ戦をやって、そうして自分たちの目的を達するんだというお話がありましたが、御承知のとおり、これらが最近ずっとそうした行動の中でいろんな今日まで激しい活動をやってまいりました。 ところが、これについて二、三の例で特に聞いておきたいのは、一つは、公安委員会で——神奈川県です——この連中に猟銃を持つことを許可して、あなた方のところへそういう報告が入っておりますか。私たちの調べたところでは、四十五年十一月二十九日、神奈川県の公安委員会が赤軍派の幹部である関博明(二十二歳)ですか、猟銃の使用を許可した、こういう報告を受けております。きょうも聞きました。こういうことは御存じなんですか。
○説明員(本庄務君) 四十五年の十一月二十九日、関博明に猟銃の所持を許可したことは事実でございます。
○河田賢治君 この関博明なる者は、彼らの所属しておる団体でM作戦で女性のハンドバックをひったくって、そして懲役一年、執行猶予三年の前科がある、こういうことがいわれておるんです。この事件は四十五年の八月二十五日、つまり神奈川県の公安委員会が許可をする以前にこういう所業を、犯行を犯しているんですね。そしてこれらがこういう赤軍等々の過激派集団に加わって幹部であることはわかっているはずです。ところが公安委員会がこういう者に猟銃を渡す、一体これはどういう関係なんですか。基準があるんですか。こういう者に全部渡していいということがあるんですか、その点をお聞きしておきます。
○説明員(本庄務君) 猟銃の所持につきましては、御案内のように銃砲刀剣類所持等取締法に許可の基準がございます。関博明に許可いたしました件につきましては、四十五年の十一月の六日に申請が出ておりまして、神奈川県公安委員会におきましては、本籍地照会あるいは県本部の鑑識課における氏名照会をいたしまして欠格要件に該当しない、あるいは前住地の身元調査等につきましても行なっております。いずれも欠格者に該当せずと、さらに本人に対する面接調査等をやっておりますが、いずれも欠格事由に該当しない、そういう調査の結果許可をいたしております。
○河田賢治君 ところが、こういう前科のある者、しかもM作戦といわれて、過激派集団のひとつの何というのですか、資金活動ですね、こういう婦人まで襲ってやっているわけですよ。それはもうわかっているはずですよ。つかまったときには、彼はNということで、二人で共謀したのですが、共犯者が二人ですけれども、彼はNということで姓名をそのときは言っていなかったらしいんですけれども、調べればわかることなんですね。そしてもう現実に一月になりますと銃を許可していいということで現物を許可しているんですよ、公安委員会というのは。警察でもおそらくこの問題については、こういう資金活動をやったりした連中のリストもあり連絡もあることだと思うんですけれども、そういう各県の公安委員会等々にそういうものは知らされていないのですか。これはもう各県各県でよろしいと、持ちたいものは持たせると、そういう御意見なんですか。
○説明員(本庄務君) いまお話のございましたように、四十五年の八月に東京都内におきましてひったくりをやって逮捕されておりますが、当時は偽名でおりまして、関博明ということにつきましては判明いたしておりません。なお関博明につきましては、その後指名手配を受ける事実がございまして、それに基づきまして許可の取り消しを行なっております。なお、この前科につきましては、これは先ほど申しましたような本籍地照会あるいは警察庁で持っております、あるいは各県警本部で持っております鑑識課の資料に基づきまして十分調査をいたした上で決定することになっております。
○河田賢治君 許可を取り消されたことは私たちも承知しております。それはずっと後なんです。ところが、その許可を取り消しておるその銃はどうなっておりますか、返りましたか。
○説明員(本庄務君) 許可を取り消しました銃につきましては、本人が所在不明のために当時は回収はいたしておりません。
○政府委員(富田朝彦君) ただいま保安部長から状況について御説明を申し上げたのですが、ちょっと日にちの関係等少し整理して申し上げておきたいと思います。 ただいま保安部長から説明がありましたように、この所持の許可をいたしました日は四十五年十一月二十九日に所持許可になっておるようであります。この当該関博明は四十五年の十月十三日に東京地方裁判所におきまして、いま御指摘のひったくりだろうと思いますが、窃盗罪で懲役一年、執行猶予三年の判決を受けております。その後、四十六年の三月、昨年の三月に、川崎市内のアパートで、これはまあ御記憶新たであろうかと思いますが、赤軍派と目される五人が、職務質問をしようとしました際に煮え湯をかけるというような犯行を働きまして、そのうち二名はつかまえておりますが、残りの者は逃げた。それを調べてみましたところが、その逃げた犯人が関博明であるということが判明いたしまして、さっそく指名手配をいたし、それは五月の一日に通常逮捕いたしております。それを取り調べました結果、強盗致傷、窃盗というような犯行が判明いたしまして、昨年の暮れの第一審判決で懲役五年三カ月の判決がありまして、ことしに入りましてから控訴し、公判係属中でございます。そこで四十五年の十月十三日にこうした判決を受けているわけでありますが、その後に所持の申請があり、許可があったものと思われますが、これは執行猶与がついておるような関係から、これは保安部長の所管でございますけれども、欠格事由に該当しないのではないかと——これは保安部長のほうで法解釈は申し上げますが、そういうことでおそらくやったんではないかというふうに考えられます。しかし、これは法解釈は保安部長から説明いたします。 それから、同時に、関博明は、この四十五年十月の時点では、赤軍派を構成しているのやらどうやらということは実はわかっておりませんでした。これは例の四十六年の三月に煮え湯などぶっかけまして逃げましたときに、関がその中に入っておるということで、調査の結果、これは赤軍の構成員、しかもまあ中央軍の構成員ではないかというふうに推定をいたしたのであります。
○河田賢治君 実は地裁で懲役一年、執行猶予三年と、それはもうその当時に行なわれたわけですけれども、そしてまた赤軍の中でもまだ頭角をあらわしていないので、まあ普通人ということで許可されたというあなた方の逃げ道なんですね。しかし赤軍派がそういうことをやっておることはもう明らかなんだ、活動をやっていることは。公安委員会がこういうものを許可して、あとでまあ取り消したんですけれども、しかもその猟銃を危険であるということで所持を禁止したというときに、一体その後はどうなんです。ただ本人がいないからということで、それはやりっぱなしなんですか。また本人に通知できないからといって、なかなかこれは困難だけれども、その銃の行くえを追うということはなさったんですか。
○政府委員(富田朝彦君) これは法解釈についてはまた保安部長のほうから申し上げると思いますが、その取り消したあと、保安部長の説明のように、本人が行くえ不明でありますので、銃が返ってきていないということは事実であり、今回の事件の解決の過程におきまして、この関の所持したと思われる銃を押収しております。で、いまおことばにあったんでございますけれども、私どもはやはり常に銃というものは最も危険なものであるということで、その本人の銃が、少なくとも逮捕時、この四十六年の五月には持っておらないわけでありますから、その銃が渡ったということで、その指名手配以来これは鋭意捜査をしておったところでございます。
○河田賢治君 こればっかりにかかるわけにいきませんので私は話を進めますが、いずれにしても、公安委員会の猟銃の許可というようなことは、あとでそれを取り消したにしても、それはその後事件のあったあとなんですね。いろんなことの。そういう今日この若い、まだ二十二歳ですから当時、少年にちょっと毛のはえたぐらいのもんだ。そしてこれは学生なんです。始終学生活動をやっておることはわかっているんですから、公安委員会はこれを許可するについては十分検討する必要があるんですね、時期が時期なんですから。特に京浜安保共闘というものが、御承知のとおり神奈川県に相当たくさんいるわけなんですから、それをただめくら判か何か知りませんが押して渡してしまう、凶器を公認するということは決して正しい職務の遂行じゃないと私は思うんです。 この点で私は、こういう点はきょうは終わって次に入りたいと思うんですが、よど号のハイジャックの問題、これ自体を追及しようとは思いませんけれども、しかしこのよど号事件は、当時大阪から赤軍派の学生が急行「銀河」で上京して、うち十三人が横浜で下車したということは早目に確認された。そして決行したということが確認されて、いよいよ乗ってからはわからぬということになっているわけですけれども、ところが御承知のとおり、赤軍派が出しております「赤軍」という機関紙があるんですね。あなた方はこういうものは手に入れられていると思うんです。これは特別号で「世界党建設・世界赤軍兵士へ 飛翔する革命的九同志の出発宣言」と、こういうものをちゃんと公刊しているんです。この中には、これはよく聞いておいていただきたいんです、長々読みませんが、「我々は、今、日本を出発せんとしている。ハイ・ジャックで……」と、あるいは中にもやはり「我々は明日、羽田を発たんとしている。我々はかつて如何なる闘争の前にも、これほどまでに、自信と勇気と確信が、内から湧き上ってきたことを知らない。」、こういうことも書いている。「そして、最後に確認しよう。我々は〃明日のジョー〃である。」、こういうふうに書かれて、これがこの中の首領であった田宮高麿ですがね、一九七〇年三月三十日午後十時三十分の筆なんです。こういうものが出版されるのはあとであろうけれども、すでにもう赤軍はハイジャックなんかについてもちゃんと予定も立て、最後のことばも、日本の彼らの連中に贈ることばも書いて、そして出ているんですね。そしてこれが公然と、御承知のとおり二百円なり三百円のちゃんと定価がついて市中に売られている、書店で。だからもう彼らは、あなた方がどのような情報網を持っておられるか知らぬけれども、いずれにしても彼らはいろいろな行動については自分たちの方法で運動をやっているわけですね。かなり公然とこういうことをやっているんです。 そこでお聞きしますが、あなた方は、まあ昨日も衆議院の委員会でだいぶ何といいますか、援助費というものを送っておられる、そして捜査上の必要な資料なりあるいは情報を受けておられる、ということを述べておられるんです。これについて、あなた方は、それが機密費であろうと何であろうと、とにかく国民の血税なんですよ。その血税をあなた方が使っておるんですから、これはここで発表できぬということは私はないと思うんです。少なくともどのくらいの、こういう問題に対してそれぞれの個人個人に幾ら渡したかはわからなくても、おおよそこのくらいの金はこういう情報を得るために使っているということくらいは、国民の前にあなた方は私は言うべきじゃないかと思うんです。どうですか、この点は言えませんか。
○政府委員(土金賢三君) 予算の問題でございますが、警察活動経費、まあ活動旅費あるいは捜査費という問題でございますけれども、これは予算上は、私どもの経理上は予算に一括して計上しておるのでございまして、その中味の中に刑事警察あるいは保安警察あるいは交通警察あるいは警備警察、こういった各種の各般にわたる警察活動全般のそういう活動経費というものを一括して計上し、しかもその執行も、そういう一括のもとにこれをそれぞれのそのつどの必要によって使っておると、こういう状況でございまして、その予算の段階からこれが幾らかというふうなことももちろん申し上げられないと同様に、またそれを実際に使ったというふうなことも、これも実際のそういうふうなことを調査するということは非常に困難な状況になっておる、こういうことで申し上げられない、こういうふうに申し上げているわけでございます。
○河田賢治君 そうすれば、あなた方に情報を提供する、これに対して援助費を出す。しかし、この援助費というものは何に使うかわからぬでしょう。彼らの生活とは限らぬでしょう。彼らの活動費にもなり、彼らが武器を調達するところの金にもなる、そうじゃないですか。はっきりわからぬでしょう、それは。しかし、その一部が入ることは事実なんです。あなた方は、そういう場合に、現在の赤軍派の活動を援助もし、彼らのいろんな武器、弾薬を調達する金にもなるんじゃないんですか。それは不明であろうけれども、その一部は使われることをあなた方は否定できないでしょう、できますか。
○政府委員(富田朝彦君) いまの活動経費についての性格につきましては、官房長から説明があったと思いますが、その捜査費というのは、一部は確かにそういう一般の国民の立場で協力をしていただくというような場合に、その協力に応じまして実費を支給申し上げる、こういうことでありまして、全く彼らの活動経費というようなものに回るような金は毛頭渡していない。それからまた同時に、捜査費は、赤軍を例にとりますると、大菩薩峠あるいは最近の自衛官殺し、こういうようなきわめて半年にもわたるような、しかも従事する刑事が延べ数千名になるようなこういう刑事の活動の経費というものが大半を占めておるのでありまして、その一部に確かにいま申し上げたようなものがある、その性格は私はさように承知をいたしております。 また、これはちょっとふえんでございますが、先ほど赤軍の出発宣言のことをちょっとお触れになられたわけでございますが、先生もおっしゃられましたように、これは彼らが印刷をしている「赤軍」——「赤軍」というのは赤軍派の機関紙、現在は「銃火」その他の名前に変わっておりますが、これは、出発宣言はなるほどハイジャックをやりました三十一日の前の日に書いたかもしれませんが、これを載せたのは四十五年の六月三十日の「赤軍」特別号というのにその出発宣言を載せたものでありますので、私どもはそういうふうに当時の資料等を見まして承知をいたしておりますので、つけ加えさしていただきます。
○河田賢治君 それは捜査費も大部分は、いまの赤軍派の連中の活動費なり、あるいは彼らが武器を調達することにたくさん使われているとは思いませんよ。しかし彼らのところに協力費というものが出ているわけですね。協力費というもので出しておられるんですね。それは認めるでしょう、協力費というものは。
○政府委員(後藤田正晴君) 先ほど来御質疑の中身をお伺いしておると、何か警察が彼らの犯罪を助けておるのではないかといったような含みを感ぜられる御質疑でございますけれども、私どもは彼らの犯罪を取り締まり、検挙する、これに必要なための経費を使っておるものでございます。いささかも彼らを援助するなんて気持ちはあろうはずのものではありません。その点は明確にお答えをいたしておきたいと思います。で、捜査費等についてはるる御説明を、先ほど来答弁をいたしておりますが、別段彼らを援助しているわけじゃない、彼らの中の協力者——赤軍を援助しているんじゃないんです。赤軍の立場に立ってみれば、彼らは警察に情報を出している、全然私はその点の意味が取り違えられているのではないかと思います。
○河田賢治君 あなたは善意で、自分の主観ではそうでしょう。しかし客観的には、その金をもらった者が同じ行動をしておれば何に使われるか、銀行からギャングで取った金やら警察からきた金やら、あるいは自分たちの周囲から寄金で集めた金やらいろいろあるでしょう。とにかくそういうものが一括して彼らの活動なり今日の過激的な手段に使われていることはいなめないでしょう、あなた方だって。昨日衆議院でも、情報網をつくって協力者を使っておる。なるほど協力者は警察のほうへ傾いておるでしょう。しかしその金が、きのうもあそこで認められておるように捨て金になっておる。そうでしょう。幾ら情報をとってみても、その情報が間に合わずに、ハイジャックがどんどん進行している現実となっている、あるいはいろいろな「あさま山荘」やその他たくさん彼らの行動を前もってキャッチする、そうすれば生き金でしょう。生き金ですよ。ところが、これが結果的にそういう効果がなくて、前もって先ほど犯罪の防止のためにはずいぶん努力しているとはおっしゃいましたけれども、今日でもまだたくさんの指名手配者が隠れておる。それからまた、これまでやったことでも、ずいぶんと不手ぎわで、そういう意味では犯罪者があちらこちらに長い間活動したわけです。そうすれば、その効果からすれば、どんどん金やっておったかもしれないけれども、その金は生きてなかったということでしょう。もしも生きていたらハイジャックを前もって押さえることができたでしょう。「あさま山荘」に閉じ込める前に、群馬の、いろいろなアジトをつくっている、そういう場合に直ちにそこをあなた方が包囲して逮捕することもできたでしょう。そうならば、結局金はむだ金ということにもなるわけでしょう。そのことはきのうも認められておるわけでしょう。私はそのことを言うのですよ。だから、幾多の通報者をつくって、ただ情報をもらっているからといって、用もないような紙きれや、あるいはあとになって出てくるような印刷物あるいはおかしな情報、こういうものをあなた方はあまりにも過信して、そうしてつまりほんとうに彼らと立ち向かって、早く彼らを逮捕し、それから活動を封ずるという、これにはあまりに内部のものに頼り過ぎているので、それで私は伺っているのです。
○政府委員(後藤田正晴君) 客観的に彼らを助けておるのではないかというこういうことでありますが、私どもが情報費を出すのは、彼らの情報の中身を検討もし、そしてその情報の価値判断、またその情報を得るために彼らが要した実費ということで支給をいたしておるつもりでございます。また昨日、捨て金になるかもしらぬということを私は申し上げました。しかしそれは河田さん御自身が一番よく知っておられると思う。およそ犯罪捜査に何もかもすべてが役に立って全部わがほうにわかるのであればこれほど犯罪捜査は私は楽なことはなかろうと思います。しかし現実にはあの手この手を打って、そしてそこでようやく犯人に到達する場合もあるし、事件を解決することもできるし、場合によればできないこともある。これは私は犯罪捜査の実態だと思います。私は捨て金になるかもしらぬというのは、情報というのは必ず絶対確実でなければ金は渡さぬといったのでは、これは情報活動にならぬということ、これも河田先生一番よく御存じだと思います。そこは当方の実は能力の問題もありましょう。なるほど情報を持ってきた、これにはこれだけの金がかかった、しかしその中身を見て、どうもこれは必ずしも信頼できぬかもしらぬなと思っても、さらにその次の情報がこちらはほしいといったような場合になれば金をやらなければならぬというような、これは情報費の使い方というものは私はそんなものだろうと思います。そういう意味で申し上げているので、まるきりの国民の血税をむだ金に使うなんということはさらさら私は考えていない。やはりこれは金の使い方として、情報というものの特性からそういった場合もあるのだ、それもやむを得ないのだ、またそれがより大きな情報を獲得する手段になり得るのだと、こういうことを申し上げておるので、そこはひとつ誤解のないようにしていただきたいと思います。
○河田賢治君 その点はちっとも誤解はしていないんです、私も長年いろんな経験はしてきておりますから。しかし、いずれにしても、今日の警備警察なんかどのくらいおよそ使っておるかも言えぬぐらいでは、国民の前に発表することができぬようでは、まあ相当むだ金があると見なくちゃならぬです。 そういう点はさておきまして、結局今度の事件につきまして、これは「あさま山荘」の問題だけではありませんけれども、これまでにいろいろ赤軍があちらこちらでの爆弾事件やその他たくさん犯罪を犯しております。これに対して警察の方々も、よく新聞紙上なんかを見ますと、あれは人質なんかをして人をあれするものじゃないとか、かなり好意的な赤軍に対するあれを持っておられますね。主義主張からしてこれはたいしたことはないだろうとか、そういうことが新聞なんかでもちょこちょこ見られました。警察当局、一体今度の事件とこれまでのずっと経過を見まして、たくさんなあなた方の部下もなくなり、あるいは一般の方々もやはり犠牲者が出ておる。こういう事件に対して、一体警察としましてどういう責任を感じておられるか、その辺をひとつ伺っておきたいと思います。
○政府委員(富田朝彦君) ああいう人質を擁し、しかも二百発に近いような銃の乱射をして、最後の最後まで人質牟田泰子さんを苦しめたああいうような凶悪な行為、これについては、これを逮捕して徹底的に追及をして、公判廷における適正な裁きを受けてもらう、こういうことであります。したがいまして、こういうことに私どもとしてはそういう意味の責任は感じておりません。しかし、今後さらにこれを徹底して追及をしていくという意味においては、国民の皆さんに対して大きな義務を感じておりますし、われわれの当然の職務であろうと思っております。なお、しかしながら警察官二人が殉職したということについては、私としてもその点はまことに遺憾なことでありますし、今後そういうことのないように、特異なああいう凶悪犯罪その他の場合においてそういうことの起こらないようにこのとうとい教訓を生かしてまいることが私どもの責任であろうと、かように考えます。
○河田賢治君 これはまああなた方に直接関係することではありません、これは裁判所の問題ですから。この赤軍が強盗してそして百五十万かなんぞ金を取ったと、こういうのが懲役三年か執行猶予五年とか、執行猶予なんですね、大体すぐ出ているんです。最近、あなたがいまおっしゃいました関博明にしましても、これは女のハンドバッグをひったくった。懲役一年で執行猶予三年だと、こういうんですね。これは世界的に見ても非常に裁判が軽いわけです。だからそういう点で、赤軍というものに対し、従来いろいろ保利幹事長やその他の方々が泳がすといいとか言って安保闘争の一九六〇年代はそれでやってきた。ところが今日は、どうにもこうにも手がつけられなくなって、正面からぶつからなければならぬ事態にきた、あなた方がいま正面からそれらと戦っておられるのです。そういう気分が警察あたりでも取り調べに反映する、裁判でも反映して、すぐにもう普通の人よりうんと軽いようなことでどんどん出してしまっておるというふうな風潮があるように見受けられるのです。法務省の関係ですから、裁判は。ここではあなた方の責任を問うわけではありませんけれども、とにかく赤軍に対するやはり考え方というものが、ずいぶんとこういうふうに一段ときびしくなっておるこの時期に、あなた方としても十何名かのあれを早く逮捕しなければならない、それで根本的に彼らの力をなくさなくちゃならぬといっておられるのですから、いろいろな今日の政府機関、政府でなくても司法機関にしましても、こういう問題については全力を傾注しなければならない。それで国民の生命や財産を守ることが私はいま必要な時期だと思うわけですが、こういう点であなた方に直接責任を問うわけではございませんけれども、今日そういう裁判なんかがどんどんと、普通の人よりも軽いような裁判が行なわれて、そうして直ちに保釈されて、それはあと活動しているかどうかわかりませんけれども、しかし活動しないにしましても、そういうような判決が出、結果が出れば、これからまたやって、ひとつ自分の勇名をとどろかせようかという不心得者が出るかもしれない。この点について、警察もこの問題に対する対処のしかたというものを十分今後これらの犯罪を早く絶滅するようにあなた方が努力されるということを要望しまして、私の質問を終わりたいと思います。
○政府委員(後藤田正晴君) 私どもは、今日の過激派の連中の犯罪行為の内容から見て、きわめて反社会性の色濃い犯罪である、こう考えております。ただ、裁判が重いか軽いかといったことの裁判批判は私はこの際避けたいと思いますが、私どもの気持ちといたしましては、やはり彼らの反社会性の度合いの高いこの種の犯罪については、警察の担当者としては、当然のことながら、きびしい判決を私どもは希望はいたしております。なおまた、彼らの団体等については、私どもは今日まさに凶悪犯罪者の集団である、こういう認識を持って今後とも一そう彼らを徹底的に追及するつもりでございます。
○政府委員(土金賢三君) 先ほど中沢委員にお答えした警察官に対する手当の問題で少し補足させていただきたいと思いますが、先ほど千七百円の手当が出るということを申し上げましたけれども、これだけで、足りても足りなくても打ち切りだという意味ではございません。もちろんこのほかにも、たとえば超過勤務手当等の手当の制度もございますし、そのほか現地警察の立場においても、あらゆるそういう手段を講じて現場の警察官の士気高揚あるいは健康保持、そういうふうな点について、そういうふうな措置をとっておりますということを補足的に申し上げさせていただきます。
○委員長(玉置猛夫君) 本件に対する本日の調査はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時九分散会 —————・—————