大蔵委員会 第32号
- 発言数
- 144 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1972/06/09
会議録
○委員長(前田佳都男君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、相続税法の一部を改正する法律案及びアジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案の四法案を便宜一括議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。
○多田省吾君 初めに所得税について御質問いたします。 私、ちょっと足をけがしておりますものですから、すわったままで質問させていただきます。よろしかったら、すわったままでけっこうです。 四十七年度の税制改正について、特に税調の審議の段階では、所得税の減税について、年内減税だけでは不足である。四十七年度も引き続いて新たな減税をやるべきであるという議論も中にはあったわけでございます。 その概要について、まず御説明いただきたいと思います。
○政府委員(高木文雄君) 税制調査会の御答申に明確に書かれておりますように、四十七年度の税制改正におきましては、まず先般の、「年内減税の平年度化だけでは必ずしも十分とはいえない。しかし、昭和四十七年度の財政事情をみると、景気の停滞を反映して国税の自然増収は前年度の三分の一程度しか見込まれないところからかなりの財源難となり、一兆九千億円程度の公債発行を行なって歳出需要をまかなわざるをえない実情にあるとされている。このような観点からすると、昭和四十七年度においては所得税の一般減税を行なうことはかなり困難な実情にあるとも考えられる。租税政策としても、全体としての財政事情について全く考慮を払わないということは適当でないであろう。」で、「単に財源難だけでは必ずしも減税を行なわない十分な理由とはなりえない。いわゆる赤字公債の発行に踏み切るかどうかは別としても、歳出面における削減合理化、歳入面における租税特別措置の整理縮減などによっても、ある程度の財源を調達しうる可能性はないとはいえない。」といった上で、最後に、「税制自体の観点からすれば、昭和四十七年度については、」「住民税だけでなく所得税についてもその負担軽減のため財源面等で極力努力すべきものと考える。」ということで、最後に、御存じのように、「年内減税後の所得税負担の推移につき所得、物価水準等の動向にも注視しつつ慎重に配意するものとし、できるだけ早い機会に負担の軽減を行なうべきものと考える。」ということであったわけでありますが、まさに税制調査会の御議論も、ここの御答申に書かれておりますとおりのことでございました。いろいろ大ぜいの方のお集まりでございますから、個人的には御意見もございましたが、最後に集約したところはこういうことであったわけでございます。 で、政府サイドにおきましても、まさにここに書かれてございますように、四十七年度の所得税の税制改正につきましては、毎年度の場合と若干違いまして、税制自体の改善はもちろん非常に重要でございますけれども、租税政策だけでなく、財政事情との関連ということが非常に強く表に出たわけでございまして、そのような事情から、所得税の減税は年内減税で終わりである、年内減税は必ずしも十分であったとは私ども思っておりませんけれども、しかし、そういった事情から、あれだけにとどめるということになった次第でございます。
○多田省吾君 いま御答弁のとおり、いろいろな議論があった末に、税調の答申では、結論といたしまして、いま局長がおっしゃったように、「年内減税後の所得税負担の推移につき所得、物価水準等の動向にも注視しつつ慎重に配意するものとし、できるだけ早い機会に負担の軽減を行なうべきものと考える。」と、こういう答申の結論を出しているわけです。 それじゃ、しからば、この答申をほんとうに検討したかどうかということでございますが、特に、この中で「所得、物価水準等の動向にも注視しつつ」とありますが、この「所得、物価水準等の動向」をどのように判断されたのか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(高木文雄君) ここで「所得、物価水準等の動向にも注視しつつ」、こういう用語が用いられました主たる理由は、税制調査会の委員の中で、一つには、非常に景気が停滞をしておるということから、四十七年度に入りましても、景気の上向きということが期待できない。よってもって、所得の伸びがあまり多くないのではなかろうか。そこで景気浮揚という意味もあって、そこで消費需要を刺激をするということの必要がさらに起こってくるのではないかという議論をされる委員がおられました。それから「物価水準等」と書いてございますのは、年内減税で千六百五十億円、それの平年度化で二千五百三十億円ということでございましたが、あのうちの課税最低限の引き上げ部分は大体七%余り、八%近くということになっております。それは政府の経済見通しによります物価上昇率五・何%、五ぐらいでございましたと思いますが、それと見合えば、かなり接近はしておりますけれども、なお、物価水準の上昇見込みを上回っております、こういう政府側の説明に対して、委員の中には、いや、物価水準は、五・三%と政府側の説明したのに対し、五・三%の上昇率ではおさまらないかもしれないよ、もし政府の見通しよりも、物価水準の上昇率が高くて、課税最低限の引き上げ率の七・七を上回るようなことがあればというようなことも考えなければならないんじゃないかという御議論もございました。そういう委員の御議論を踏まえて、ここに所得とか、物価水準というものが特に考えらるべきであるという表現が用いられたものと思っております。
○多田省吾君 最近の物価上昇率をとってみますと、四十四年の予算編成時の見通しが五%でございましたが、実際には六・四%になりました。四十五年度当初見込み四・八%が七・一%になりました。昨年の見込みが五・五%の見込みでありましたけれども、やはり六・一%と、いずれも政府見込みを上回っております。これら最近の激しい物価の上昇、特に公共料金の値上げ、しかも現在不況である、こういう観点から考えますと、税調の答申なんかから見ましても、年度途中においてのいわゆる年内所得減税、特に課税最低限の引き上げというものが私は、これは絶対に必要である、このように思いますけれども、これはどのように考えていますか。
○政府委員(高木文雄君) この点につきましては、しばしば大臣が御答弁されておりますように、いわば年度も始まったばかりでございます。最近幸いにして非製造業を中心として景気の回復基調が見られるわけでございますが、これとても昨年度の補正予算当時のもろもろの施策のあらわれにすぎないわけでございまして、四十七年度予算の影響というのは、まだあらわれてきてはいないわけでございますから、いまのところまだ見込みが立てにくいという状況でございます。ただその後の所得の状況は、当時少なくとも税制調査会で御議論がありましたときから見ますというと、幸いにしてと申しますか、この春のその後の給与の状況等を見ておりますと、不況不況と言われておりますわりあいには、給与水準の上昇は、定期昇給等だけでなくて、時間外給与等を含めましても、まずまずの推移をたどっておりますし、物価等も、ただいま御指摘がございましたが、税制調査会でこの議論をいたしました当時、つまり補正予算編成前後には、四十六年度の物価上昇率を六・一%ぐらいに見ておったのでございますが、実績がどうやら六%を切るところに落ちついた。御指摘のように、四十六年度予算の当初の予算が編成されますころに比べますれば、なるほど見込みをやや大幅に上回ったわけでございますが、補正予算を組んだときから比べますと、逆にそのときの見込みより下がる実績でとどまるというような状態でございますので、当時の税制調査会での各委員の御議論との関連だけから見ますと、いま直ちに何らかの措置をとるべきものであるということにはならないのではないかと思っております。しかしながら、しばしば大臣も答弁しておりますとおり、非常に経済の動きは微妙なときでございますから、私どももなおその後の動きを見てまいりたいと思っておるわけでございます。
○多田省吾君 私は、そういう大臣また局長の答弁には非常に不満でございます。景気回復の見通しもまだ立っておりませんし、また物価値上がりも非常に激しいものがあるわけです。また私は別の観点から申したいと思います。 〔委員長退席、理事柴田栄君着席〕 すなわち、四十七年度の給与所得者の中に占める納税人口の割合というものが、前年度の七七・四%に対しまして、本年度は八二%と非常に急増しております。納税人口も一挙に二百五十七万人と増加しております。で、結論からいいますと、このように納税人口が急増するということは、結局課税最低限が低いということである。まあしばしば局長等は、この課税最低限はもう西欧諸国水準並みになったんだ、あるいはオーバーしたんだと、こう言っておるけれども、結局日本のような急激な物価上昇は、西欧諸国においでは見られないということもあります。このようなわが国の現状に即して、やはり私は課税最低限というものも、年内補正を組んで引き上げるべきじゃないかと、このように思いますけれども、この点はいかがでございましょう。
○政府委員(高木文雄君) この課税最低限の問題は、問題がまあいろいろあるわけでございますが、先ほど多田委員から御指摘の課税最低限が低いから、よってもって納税人口がたいへんふえると、これは困るではないかという御指摘については、私どもも日ごろ頭を悩ましているところでございます。ただ非常に問題になりますのは、最近ほんとうにびっくりするぐらい納税人員がふえてきているわけですが、その納税人員がふえてまいりました大きな理由は、サラリーマンでございます。サラリーマンの中でどういうところで納税人員がふえてまいりましたかと申しますと、独身者でございます。そこで、独身者の課税最低限の引き上げの問題、独身者の課税最低限を引き上げますれば、納税人員は比較的まあふえ方が少なくてとどまるということにはなろうかと思いますが、しかし、課税最低限問題というのは、一般的に課税最低限をどうするかということのほかに、どのような家族構成の家庭について最も配慮さるべきかということが一つ問題でございまして、まあいろいろ御議論はございます。この点について税制調査会等でも、いろんな御議論がお立場お立場によってございますが、やはりいまの中堅層、お子さんが二人ぐらいある、そしてその子供を学校に通わしているというような、夫婦子二人家庭というあたりの課税が重いのではないかということが、いつもどうも大体皆さんの御議論はそこに集中してくるようでございます。そこで、課税最低限全体の水準がいかにあるべきかということと、課税最低限を考慮する問題に、どのような家族構成のものについて特に重点が置かるべきかということと二つあるわけですが、そしてもしや納税人口を減らすということに最重点が置かれるということであれば、独身者の課税最低限を上げるということに最重点が置かれなければならないわけでございますけれども、 〔理事柴田栄君退席、委員長着席〕 いま申し上げましたような事情もありまして、課税最低限の引き上げは重大関心事ではございますけれども、直ちに納税人口を減らすことについて効果的な減税ということはなかなかむずかしい。と申しますのは、御存じのとおり、これは申すまでもないことでございますが、初任給が急激に上がっておりますから、現在給与構成が非常に急激に変化をしつつある状態でございますから、それで、この中学校ないし高等学校を出て就職をされた方が、直ちに課税対象になるという現状になっておるわけでございまして、これについてどう考えるかというような問題があるわけでございます。したがいまして、納税人口との関連の問題は、単に一般的に課税最低限の水準いかんという問題だけではなくて、このような若年独身者層についてどう考えるかという問題であろうかと思っております。
○多田省吾君 いま中学あるいは高校を卒業した若年労働者が、すぐさま課税最低限が低いために税金がかかると、それで一方では、いつも聞いておりますように、配当所得だけでもし暮らしているような人が、理論的には夫婦子供二人で三百数十万まで年間所得があっても、ほとんど所得税がかからないということもあるわけでございまして、それと対比しまして、これはどういうことだという不満があるわけですね。それでいま若年労働者が非常に急増している、その結果納税人口がふえているんだ、この問題も考える必要があるということをおっしゃいましたけれども、中学、高校等を卒業した独身者の課税最低限がいま幾らになっているのか、念のためにひとつおっしゃってください。
○政府委員(高木文雄君) サラリーマンの独身者の課税最低限は、社会保険料の金額等にもよりますけれども、現在四十万六千円くらいになっております。これは要するに、基礎控除と、給与所得控除、それに社会保険負担等を見まして大体計算したものでございますが、四十七年度で四十万六千円くらいになっております。
○多田省吾君 ですから、まあ年間四十万六千円といいますと、月に直せば、所得が、基礎控除等を引いてございますけれども、月に三万数千円の所得があると、独身者の場合は中卒であろうと高卒であろうともう税金がかかるわけです。先ほど申しましたように、夫婦子供二人で配当所得だけで暮らしている人が三百何十万円の年間所得があっても全然課税されないと、こういうようなアンバランスがあるわけでございまして、これはもうほんとうに国民感情の上からも忍びがたい、こういう点から、特にこの独身者の若年勤労者に対する課税最低限を引き上げるという問題は、どうしても私は考えなくちゃいけないと思いますけれども、この点はどうですか。
○政府委員(高木文雄君) 確かにそういう御議論はあるわけでございますが、ただ先ほども申しましたように、皆さんそれぞれ、たとえば税制調査会等で御議論いただくと、委員さんの間でいろいろ御議論はありますが、独身者の問題もさることながら、やはりもう少し上の層、年齢的に上の層、お子さんが二人おられる、あるいは一人おられるというあたりのところが問題ではなかろうかという感じでございます。ちなみに、まあ基準年次をどこでとるかによりますけれども、かりに昭和四十年を基準年次にとってみますと、四十年から四十七年までのこの課税最低限の引き上げ幅は、独身者の場合は四十年を一〇〇として、四十七年が二〇五%くらいになっております。それから夫婦子供二人の場合が、同じく四十年を基準にして二一五%くらいになっております。そこで結果といたしましては、独身者の場合も、夫婦子供二人の場合も、引き上げ幅はほとんど変わらない、わずか十数%のところでございますから、ほとんど変わらないということでありますが、多少とも夫婦子供二人のところに重点がいっておるかということになっておるわけでございます。今後ともこの問題はもちろん検討はいたしてまいりますが、いまのところ、はたして独身者だけに問題を集中すべきかどうかについては、私としてはいまの段階ではちょっとお答えをいたしかねるわけでございます。 なお、先ほど配当所得のみある方の課税最低限が非常に高いではないかというお話がございましたが、これはよく一般に言われるところでございます。よく言われるところでござますが、ただ税法の上から見ますと、それははなはだしく誤解に基づくものでございまして、御存じのように配当所得者は、法人税の形態では、税を納めているという前提に立って、すべて仕組まれておるわけでございます。それは現行法人税法がそういうふうに仕組まれているから、そうなっているだけのことでございまして、よってもって、配当控除の制度が置かれておりますので、結果的にそうなっているわけでございます。その方は税負担がないということではなくて、配当所得の中から、配当として受けるべき利益の中から、すでに法人税等々で負担をしておるという前提に立っておるのでございますから、一般に同じ所得があるのに、配当による所得のものは三百万円あっても、まだ課税にならないのではないかという点では、まさに先生御指摘のとおり、非常に不公平のように思われるのでありますが、全体の税負担を考えてみますれば、それは十分理論的にはバランスがとれていることになっているわけでありまして、その意味では、直ちに配当所得について、異常な何か特別な措置がとられているのではない、いわゆる特別措置とは違うということを私どもは考えておるわけでございます。
○多田省吾君 ですから、若年労働者のみではなくて、それは妻帯者も含めて、やはり課税最低限の引き上げは、年内補正を組んでもやるべきだ、このように思うわけでございます。 それから次に、今回の所得税法の改正の中で問題なのは、寡婦控除の問題でございますが、扶養親族のない場合の寡婦控除につきまして、夫と死別と、それから生別と二つに分けて、死別の場合のみ適用して、生別の場合に適用しないという根拠は特別にあるのかないのか、私はこういう格差はつけるべきじゃないと思いますが、これはどのように考えておりますか。
○政府委員(高木文雄君) 寡婦控除の考え方は、基本的には寡婦の方で働いておられるという場合に所得があります。しかし、お子さんがありますという場合には、お子さんを、たとえばどこかへ預けなければならないとか、あるいはどなたかに留守番を頼んでいなければならないとか、そういうことを通じて追加的経費がかかるであろうということで、追加的経費を負担をするという角度から、寡婦控除という制度があるわけでございます。したがって、今日までの、今回改正をお願いしております制度ではなくて、今日までの寡婦控除の制度は、あくまでも追加的経費を考慮したところの控除制度というふうに考えられていたものでございます。ところが、今回改正をお願いしておりますのは、これを拡大するわけでありますが、これは単純な拡大ではなくて、かなり質的変化を伴うようなものであると考えております。それはどういうことかと申しますと、要するに所得税の中でも、いわば婦人の労働者については、いろんな意味において、何といいますか、弱者の立場であるということから、何らかの対策が必要だということは強調されてきたわけであります。それを考えてみました場合には、いろいろな方がおられると思います。まず大別して、一度結婚歴のある方と、未婚の方があります。未婚の方は一応別におきまして、結婚歴のある方の中で、扶養親族を持っている方と、扶養親族を持たない方とがあり、それからさらに現在寡婦になられたといいますか、夫がないという状態の原因が、死別である人と、生別との場合といろいろあるわけです。そこで、そのようにもろもろの事情によって働かなければならない、いろいろ環境の異なる方々は、その方のどういう方について、特別な配慮がなされるべきか、これは子供があるという場合ですと、明らかに追加的費用ということで説明がつくわけでありますが、子供がない場合には、いろいろの方の場合にはどう考えるべきかということであったわけでございますが、そうなりますと、結婚歴があるとかないとかということで、問題が違ってくるのかどうか、はなはだ数字的には説明しにくいことでございまして、いろいろな議論があったわけでありますが、やはり死別という事情があるということになりますというと、その御婦人にとりましては、御婦人を取り巻く家族関係のほかに、なくなられた夫を取り巻く家族関係というものとの、いわば社会的ないろいろおつき合いがあるとか、いろいろ精神的な負担であるとかいうような問題があるということから、一応そこに限定をして、対象にしてはどうかということで、生別死別の区分をするということで、現在の案のように御提示をするということになったわけでございます。そこは、私どもは非常に苦慮したところでございます。いろいろ環境の違う御婦人がおられる、環境の違う御婦人の、どこのどういう方について、特別な配慮があってしかるべきかということについては非常に問題がある。また日本の場合には、現在まだ男性側と女性側と若干区分して考える思想が一般的でございますが、諸外国の立法例等においては、あまりそういうものはございませんし、いわゆる一人やもめの控除をどうするかという問題がありまして、なかなかむずかしい問題があるわけでございまして、一歩前進といいますか、やや憶病な態度ではございましたが、死別ということに限定をして拡大をしたという経緯でございます。
○多田省吾君 これからも検討していくということでございますが、最近は、生別の場合は非常に多いし、またそれは人間関係だって決して単純なものではない。ただ死別の場合、なくなられた夫の関係の扶養家族云々というお話もありましたけれども、それだけでは私は追加的経費がどう違うかというはっきりした認定にはならないと思いますし、またいろいろ具体的な根拠に欠けるんじゃないかと思われますので、これは今後も検討していただきたいということを、強く要望するわけです。 次に今年度の税制改正の目玉商品として、住民税の減税をいつも強調しておられますけれども、これは私たちは、従来の所得税に比較して、あまりにも高かった住民税の課税水準を、若干の手直しをしただけじゃないか、こう言わざるを得ないわけです。これは当然の措置であるし、まだ私たちは足りないと思っております。所得税を納めていない低所得者の方々の住民税について、大蔵当局としてどのように考えているのか、まずこの問題をお伺いしたいと思います。
○政府委員(高木文雄君) 従来から、住民税の課税標準と、所得税の課税標準が同一であることがいいのか、異なるのが当然であるのかということは、たいへん議論のあるところでございまして、住民税の主務官庁である自治省サイドでは、当然所得税の課税標準と、住民税の課税標準が異なってしかるべきであるというお考えが強いようであります。大蔵省ではどうかということでございますが、大蔵省では必ずしも肯定的な立場を明確にしているわけではないわけでございますが、しかし、一般的にはやはり所得税と住民税とでは、若干の違いがあってしかるべきものではないか。従来からの歳出の面におきます国の仕事と、地方公共団体の仕事には違いがあるわけでありまして、地方公共団体の仕事は、よくいわれますように、戸籍をはじめとして、生まれたときからなくなるときまでの身のまわりの仕事をするのが、地方公共団体の仕事でありますからして、応能負担、応益負担というようなことがよくいわれますけれども、ややそれに類した——そのとおりであるべきかどうかは申し上げかねますけれども、ややそれに類した考え方があってもいいのではないか。したがって、所得税の課税標準と、住民税の課税標準が同じでなければならないということは言えないだろうと思います。そうは申しましても、やはりそこにあまり大きな開きがあるということには、相当問題があるわけでありまして、必ず一致しなければならぬともいえませんけれども、さりとて、これは両者が違うのだから離れておってもいいという、その離れる程度があまり大きくてもいけないだろうというふうに考えておるわけでございまして、答弁が明快を欠きますが、そのように考えております。
○多田省吾君 次に、課税最低限度額につきまして、給与所得者、それから事業所得者、配当所得者において、非常に格差があるわけでございますが、この格差について当局はどのように考えておられるか。
○政府委員(高木文雄君) 同一所得については格差はないわけでございます。給与所得と事業所得が格差があるというのは、私どもが各方面に御説明をする表のつくり方等があまり十分でないのでありまして、いつもサラリーマンについての課税最低限ということで御説明しておりますのは収入ベースでいっておるわけでありますし、事業所得者のものについては、必要経費が幾らであるかということは、個別に非常に違いますから、表のつくりようがありませんので、課税所得ベースでいっておるわけで、そういう意味で、若干の違いが出てくるわけでございます。 問題は、もし違いがあるとするならば、現在の給与所得控除制度は、必要経費の概算控除ということになっておるわけでございますけれども、サラリーマンについての必要経費の見方として、現行給与所得控除制度の金額が、あるいは算定方式がよろしいかどうかというところに一つ問題があり、それからもう一つは、事業所得者の中で、青色申告と白色申告の場合の、青色についてのいわば幾つかの恩典制度がございますが、恩典制度の個々について違ってまいります点がどうであるか、それが妥当なものであるかどうかというあたりに問題があろうかと思います。このあたりにつきましては、各業種別、各階層別、あるいはまたそういう青とか白とかという関係で、各方面から必ずしもバランスがとれていないという御指摘がございます。これは、当然起こり得る御指摘でございます。私どもといたしましては、絶えずそのことについては、いつも見直しを行なっていかなければならないと思っております。現行制度が全体うまくできているということじゃなくて、いろいろ問題がございますので、絶えず見直してまいりたいと思っております。
○多田省吾君 次に、総理府の統計局がまとめた四十六年度の家計調査結果によりますと、前年度と比べると、全国の勤労者世帯の月平均実収入の増加率は、実質が三・四%と出ておりまして、最近では四十年度の二・四%に次ぐ非常に低い伸び率でございます。可処分所得あるいは消費支払の伸びも、四十年度に次いで低いわけでございます。このような現在の不況下の物価高というものが、家計を非常に圧迫していることは、この統計局の数字から見てもわかります。しかもことしは、郵便料金をはじめ各種の公共料金の値上げがございました。さらには、いま参議院で審議されております国鉄運賃、健保料金、さらには米価等も、消費者米価等もこの値上げが検討されているという状況でございます。このような物価高を、国民生活の上において生活の負担にならないようにする、あるいは、もう一つは、景気刺激ということも兼ねて、低所得者層に対する私は大幅な所得減税が年内に急いで行なわれなければならない、このように思いますし、これは当然必要だと思うのです。この点に関してはどのように考えておられるのか。
○政府委員(高木文雄君) ただいまのお示しにありました家計調査については、私ども絶えず注目をしているわけでございますが、おっしゃいましたように、消費支出なり、可処分所得の動向は、いまおっしゃるようになっております。ところが、どういうものが消費の中で伸びておるかということを見ますと、最近非常に伸びが大きいのは、住居費と雑費でございます。御存じのように、物価が上がるというときに、食費の値上がりということが非常に強調されますが、全体としての食費のウェートは非常に下がっておる。御存じのようにエンゲル係数は、わずかでありますが下がる一方にある。要するにそのことは、生活の内容が豊かになりつつあるということを示しているわけでございます。その雑費の中でどういうものがふえているかということでございますけれども、たとえば一番新しい細目が非常にはっきり出ております四十六年度を見ますと、雑費の中で何が伸びたかといいますと、自動車関係の経費が一番よく伸びておるわけであります。それから住居費の中で何が伸びたかと申しますと、カラーテレビの購入費が一番伸びておる、こういう状況でございます。こういう動向を見てまいりますと、最近の家計費の調査の中から把握される状態では、五年前、十年前にありましたような問題、つまり必要最小限の生活費といいますか、そういう問題のせっぱ詰まったような感じの問題よりは、やや問題の所在が変わってきておるということに思うわけでございまして、おことばを返すようで非常に恐縮でございますが、私どもはこの家計経費等から見た動向からいたしますならば、必ずしも従来のやっておりますような形での、税制それ自体の問題としての所得税制の手直し、つまり税制自体の立場から見た課税の公平の見地なり、それから所得税全体はまだまだ重いわけでございますから、そういう意味で、全体として所得税の軽減をはかっていかなければならないという点では、まさに御指摘のとおりではございますが、家計との関係において特別に何か緊急性ということは、私どもは認めがたいというふうにいまは判断しておるところでございます。
○多田省吾君 それは非常に私は国民生活の現状を誤解した言い分である、このように言わざるを得ないと思う。この四十六年の家計調査結果の雑費で伸びておるのはカラーテレビだとおっしゃいますが、実際国民は、たとえば自分の持ち家だってつくりたいわけです。ところが、いわゆる土地の値上がり、あるいは諸物価の値上がりで、いまではもう一千万以上ぐらいないと持ち家だってつくれない。こういう現状から、しょうがないから数万円のカラーテレビでがまんするというような、こういう傾向が強いわけでございます。こういった一点を見て、生活内容が豊かになっておるのだということは私は絶対言えないと思う。人間の生きる根本的な衣食住、この問題が、わが国の場合は非常におくれておるわけでございます。特に住居なんかおくれておる。しかもことしは、先ほど申しましたように、公共料金の値上がり、あるいは国鉄運賃、消費者米価等の値上がりも予想される今日、そんなもう生活はなまやさしいことではない。特にその一番被害を受けるのは、低所得者層でございます。その大幅減税が必要じゃないかということに対する答弁としては、私は非常に当を得てないと思う。もう一回お聞きしますけれども、ほんとうに年内に、まあいろいろ大臣も局長も、まだ新しい年度が始まったばかりであるとおっしゃっておりますけれども、実際、各種の世論調査の結果を見ましても、生活が苦しくなっておるという考え方の層が、非常にふえておるわけでございます。年内減税、また特に低所得層に対する大幅な年内所得減税をやる必要があると思いますけれども、これに対してもう一回はっきりした御意見を承りたい。
○政府委員(高木文雄君) 御指摘のように、まだまだわが国の国民生活の内容が不十分であることは御指摘のとおりでございますから、長期的に国民負担の軽減をはかって、そして、まあだいぶフローの面では豊かになってまいりましたけれども、ストックの面では不十分であるといわれるのを充実していくというような面で、税制を考えてまいらなければならないと思っております。その点では全く御指摘のとおりであります。ただその場合に、ただいま特に低所得層の問題をお取り上げになりましたけれども、低所得層の問題に関しましては、これは必ずしも私ども税制を担当しておりますものだけのことではございませんが、減税を行なって負担を軽減していくべきものなのか、それとももろもろの社会福祉政策を充実していくべきものなのかという選択の問題がいろいろあるわけでございます。確かに現在納税人員はたいへん多いわけでございますけれども、しかしながら、それでも、何といっても残念ながら所得税制の及びますところは納税人員だけに限られるわけでございます。問題は、さらにその外にある方々に、たくさんあるわけでございますので、どの程度に所得税の軽減を進めていくべきなのか、どの程度に福祉政策等を充実していくべきか、そのために歳出の充実をはかっていくべきかということは、私ども以上の別の広い立場でものを判断される方にきめていただかなきゃならぬわけでございますが、私どもといたしましては、所得税制自体の問題として、本来所得税はあまりにも累進性を持っておりますからして、しかも、このように物価が上がりますときには、名目的な負担増というようなものが起こってまいりますからして、その意味においては、毎年減税をお願いしなければなりませんけれども、しかし、それを年内減税のような形で非常に緊急なものとしてやるべきかどうかということになりますというと、今度はただいま申しましたように歳出で見るべきか、歳入のほうで調整すべきかという問題があるわけでございますので、私どもはそこらを総合的に判断をする必要があると思っております。現在の段階で、まだやはりこの際としては、年内にでも減税をすべきだと申し上げられないのは、先ほどから申しているとおりでございます。
○多田省吾君 次に国税庁当局にまとめて質問します。
○政府委員(高木文雄君) ちょっと待ってください。いますぐ来ます。
○多田省吾君 それはあとに回しまして、次に法人税について若干お尋ねします。 法人税の四十七年度予算での収入見込み額は二兆五千九百十七億円で、前年度当初予算額対比二千七百九十七億円の減収と見込んでおりますけれども、本年度の法人税収額をこの予算どおりの見込みと読んでよろしいのか。また四月の暫定予算では、三千百億円という数字を見込んでおりますけれども、今後の景気の見通しを踏まえてどのように考えておられるのか。
○政府委員(高木文雄君) 本年度は、非常に景気が悪いであろうということ、特に御存じのように、法人税収は大体半年ぐらいおくれがある、一般の景気よりおくれてあらわれるということ等を考えまして、四十七年度の法人税収は二兆五千九百億でございますが、四十六年度の法人税収とほとんど増減なしというぐらい、つまり横ばい程度に見ておるわけでございます。その後の推移の状態でございますが、この見込みは昨年の十二月に立てたわけでございます。それから今日までの様子でございますが、いまのところはまあまあ大体予測したところぐらいでとどまっております。あるいはもっと悪くなるんではないかということをたいへん気にいたしておりましたけれども、そう悪くもならずに推移をいたしております。で、よく先行の、先行きの見通しというようなことが、各経済界のいろいろな調査団体等で出されておりますが、そういうものを見ますというと、来年の三月期にはかなり上向いていくであろうというふうにいっております。しかし、三月期の決算は、四十八年度収入にはね返ってくるわけでありまして、四十七年度収入には影響がないわけでございます。まあいまのところ何とも申し上げかねます。三月決算五月申告の法人の数字、私どもの手元にまだ入ってきておりません。そういう関係もありますので、まだ何とも申しかねますけれども、まずまずこの二兆五千九百億というところで、いまのところはあまり大きな変化なしにいきはせぬかと、しかし八月、九月、九月期を控えました状況を見ますれば、もう少し明確なことがお答え申し上げられるのではなかろうかと思います。
○多田省吾君 まあ法人税の付加税率一・七五%という問題も、今回二年間延長しまして、四十九年の四月まで延ばしたわけでございますけれども、この問題は、租税特別措置による臨時措置というよりも、今後法人税の基本的税率の立場から見直すべきであると私は思いますし、また当局でもこの前はそうしたほうがいいというような答弁もあったわけでございますが、特にいま財界は、景気浮揚策の一つとして減税を主張しておりますけれども、その中でも、法人税の減税を要請しておりますが、諸外国と比較しましても、わが国の法人税はかなり低いわけです。またこの前四〇%から五%、四十年の不景気のときにおろしたわけでございますけれども、税調の考え方も、若干引き上げる余地はあると見ておりますし、昨日も総理もいろいろ言っておりましたけれども、法人税は、相対的に見て私は、減税の必要は現在ないし、また、むしろ引き上げられていくべきではないかと、このように考えますけれども、局長はどのように考えておいででしょうか。
○政府委員(高木文雄君) 私も、税制調査会の御答申にもありますけれども、やはり法人税の水準というものは、現在の段階では決して高いということはないだろう。さらに引き上げるべきかどうかということになると、問題はありますけれども、現在の水準で決して高いということはないであろうというふうに考えます。したがって、いろいろ財界といいますか、経済界といいますか、そういう方面から景気浮揚策の意味もあって、法人税引き下げの御要請があるようでありますけれども、私どもといたしましては、法人税を下げるということは、現段階ではちょっと考えられないということでございます。ただこの法人税の問題につきましては、だいぶいま諸外国の制度が動きつつございます。たとえばEC加盟ということとの関連で、イギリスでの法人税は動いておるとか、ドイツでもいろいろいま制度を変えるかどうかということを検討しておるということで、法人税制自体が非常に流動的でございます。したがって、非常に長期のことはなかなか申し上げにくいわけでございますが、現段階では下げるというようなことはとても考えられないということでございます。
○多田省吾君 先ほども配当所得の問題で、法人税制の根本的な課題について局長はおっしゃっておりましたけれども、この法人税制の問題につきましては、基本的には擬制説とか実在説、あるいはこの論議は意味がないというような説もありますし、また法人税制の改正につきましても、従来から事業主報酬問題を中心にした個人と法人のアンバランスの問題とか、事業所得者についての個人と法人との問題が取り上げられて議論されてきておりますけれども、今回の改正は、この点の改正が十分に行なわれていないようでございますが、その点をどう考えるのか、あるいはこの現在の法人税制の配当控除制度を前提とする仕組みにつきまして、私はもう再検討する時期にきているのではないかと思いまするけれども、こういった問題を局長はどう考えておられるか。
○政府委員(高木文雄君) 法人税の基本的仕組みにつきましては、いまから三年前というか、四年前の税制調査会の長期答申においてはかなり詳細に論ぜられたわけでございます。その後つい最近、昨年四十六年八月の答申のときまでの三年間、この間には比較的法人税の問題はあまり議論されなかったわけでございます。で、これについてどうすべきかということは、やはり長年の宿題でございますると同時に、なぜ宿題になっておるかということは、やはりそれはそれなりにむずかしい問題があるからでございまして、前回の答申におきましてはこう申しております。「法人税の基本的仕組みについては、法人の性格論に固執することなく、法人税制を法人の社会的・経済的実態に適合させるという方向で引き続き検討していくべきである。」というふうにいっております。私どもも大体これと同じような感じで取り組んでまいりたいと思うのでございます。まあ、いわば、実在説と擬制説ということで議論するということでなしに、実際負担論ということで議論をしていくべきではなかろうかと思っております。たとえば、ちょっと先ほどお触れになりました、個人の事業者の事業主報酬問題というのは、非常に大きなテーマとして取り上げられておりますが、この問題を議論いたしますときには、当然に法人税の問題に触れてまいるわけでございます。と申しますのは、事業主報酬問題というのは、法人形式をとって事業を経営する場合と、個人組織で事業を経営する場合の負担公平論から出てきておるわけでございますから、したがって、個人経営の事業主についての事業主報酬問題を詰めてまいりますと、当然に法人税制の問題に入っていってしまうという関係になります。そういう現実的問題の処理のしかたを通じてこの問題の検討を続けてまいりたいと思っております。
○多田省吾君 昨年の法人税制の改正では、青色申告を奨励するために準備金制度を創設したわけでございます。その理由としまして、一つには、正確な記帳による事業経営の健全化、二つには、青色事業者の老後の保障、三つには、事業所得の変動の場合の調整機能、の三点をあげたわけでございますけれども、今回の改正では、昨年創設した準備金制度を廃止しまして、控除制度を取り入れております。このように、わずか一年間実施しただけで改正する理由はどういうところにあるのか。また、どちらが納税者にとって有利と当局は考えているのか。
○政府委員(高木文雄君) 一年で改正せざるを得なくなりましたことにつきましては、はなはだ、まあいわば見通しが悪かったということでございまして、おわび申し上げます。 いずれが有利であるかということにつきましては、これは問題なく、今度の制度のほうが青色事業者にとっては有利になるわけでございます。なぜ準備金制度をとったかと申しますと、初めから今回のような制度をとればよかったではないかということではなかろうかと思いますが、どうもしかし理論的には——こまごましたことになりまして申し上げませんけれども、理論的には、準備金制度のほうが筋が通っておるということで、昨年は準備金制度をとったわけでございますけれども、まあ青色事業者のサイドからみますと、非常にわかりにくい。また何史準備金でございますというと、将来廃業するとか、あるいは引退をするとかいう場合に取りくずしということになりまして、その段階で、半額でありましても、とにかく課税になるということになりますので、何か気持ちの上において準備金制度ではひっかかりがあるというあたりに、まあ事業主のほうから見ましても、従来の制度はどうも、従来からいえばかなりの一歩前進ではあるけれども、割り切れない面がたくさんあるということがありました。そこで、まあこの際思い切って、たいへん一年で変えるということは申しわけないことでございますが、思い切って控除制度に踏み切った、こういう経緯でございます。
○多田省吾君 次に相続税についてお尋ねします。 今回の相続税の改正内容は、相続する財産評価額の非課税限度が千二百万円から三千万円に引き上げられたわけでございますけれども、これに該当する数をどのくらいと見込んでいるのか、お尋ねしたい。
○政府委員(高木文雄君) その前にちょっとお断わりいたしますが、先ほど御質問の中に現行相続税の控除額が千二百万円を三千万円にするというふうに言われましたけれども、その点はちょっと何か、制度がややこしいのでありまして、相続税の基礎控際は、奥さんと子供が四人の場合の基礎控除額の千二百万円は従来から千二百万円であり、これからも千二百万円でございます。その点は変更ないわけでございます。ただ、今回の三千万円というのは、妻が相続財産を取得した、その取得したものが三千万円までであれば、妻の分については非課税にいたしますということで、従来の基礎控除千二百万とは別の制度であるということだけをちょっとお断わりいたしておきます。それから件数でございますが、件数は大体現在の相続税の件数が年間に三万件くらいと予測いたしております。三万件の中で配偶者がある場合の件数というのが大体三分の二くらい、つまり二万件くらいあるかと思います。そのうちでこの制度、つまり三千万円に至るまでの金額でありますが、具体的にこの財産を取得する、それによって今回の制度で減税になる件数はどのくらいあるかという件数でございますが、これは具体的に相続が起こりました場合に、どんな相続が行なわれるかということによってきまるわけでございますので、ちょっとそこから先にどのくらいの適用件数がありそうかということは、全くの推定以外に方法はないわけでございます。しかし、かなりの方がこれを利用されるのではないかということで、かりにこれを六割とみれば、二万件の六割で一万二千件であり、七割とみれば二万件の七割の一万四千件であるというふうに推定されるわけでございまして、ここらは実際この制度が発足をいたしてみませんというと、この制度の利用者がどのくらいになるかはわからない。よってもって、対象件数がどのくらいになるかはわからないわけでございます。
○多田省吾君 今回の改正は、結局、土地も家屋も持たない中産階層以下の人々にはほとんど恩恵を受けられないということになりまして、また今回の改正は、高額資産階級に対する妻の座の優遇策だとまでいわれているわけでございます。それでこれをどう考えるのか。 またもう一点は、配偶者に対しても、同じ税制であっても、生前の贈与と、死後の相続では、その非課税額に、税の性格が異なるとはいっても、あまりにもアンバランス過ぎはしないかといううらみもありますけれども、この問題をどう考えるのか、この二点をお伺いします。
○政府委員(高木文雄君) まあ相続税というものは、そもそも財産がある方に納めていただく税金でございますから、どうも財産のない方と比べてどうかという議論になりますと、これはちょっとまあ比較できないわけでございまして、そこで相続税を納めるような階層の方々は、そもそも資産家なんだから、そういった相続税の免税と申しますか、いろいろ配慮しなくてもいいのではないかという議論になれば、これはまた別でございますが、今度は相続税を納められる階層の、納められる方の中で、今回の制度が高額資産家に片寄っているかどうかという点でございますれば、それはそんなことはないのでございまして、当然に低額の方、相対的に低額の方に有利に働く制度でございます。なぜかといいますと、だれかがなくなって、配偶者に財産を引き継ぐ、つまり相続をするという場合に、子供さんが相続人になる場合ではなくて、配偶者が相続される場合には大いに優遇しましょう。そしてその優遇しましょうという額は、無制限に優遇しましょうというのじゃなくて、その取得額が三千万円に至るまでですよ、あるいはそれをこえた場合でも、三千万円に当たる部分についてだけですよ。こういうことになっているわけでございますから、三千万円以下の方は、たとえば分与を受けた額が、三千万円の方は三千万円全部について非課税になりますし、五千万円であれば、五千万円のうち三千万円部分について非課税になりますし、一億であれば、一億のうち三千万円分しか非課税にならないということでありますから、やはりどうしても同じ資産家の中同士では、資産の少ない方のほうが有利だということでありまして、決して高額優遇ということにはならない。しかし、先ほど申しましたように、もともと相続税の対象にならない方の議論では、これはちょっと相続税の問題でございますので、ちょっと説明いたしかねるということになるわけでございます。
○多田省吾君 この三法改正に対する関連質疑として、物品税の問題を一点伺いたいのですけれども、ある新聞報道によりますと、政府は四十一年度以来手をつけていない物品税体系を、六年ぶりに改正する方針をきめたようでありますし、特に免税点の引き上げにつきましては、政令を改正して八月一日ごろから実施する方針ということが報道されているわけでございますけれども、このように税調の審議を経ないで、税調を素通りしてまで、このように実施を急ぐということはどういうわけでございますか。そのほうもまずお伺いしたいと思います。
○政府委員(高木文雄君) 物品税の基本的改正についての問題につきましては、当然税制調査会におはかりすべきものでございます。したがって、ただいまお示しの、新聞報道等は、あたかも何か物品税改正がきまっているかのように報道されておる部分がございますけれども、そうではないのであって、物品税の改正については、当然四十八年度に私どもはぜひお願いをいたしたいと思っておりますからして、その段階において、事前に相当慎重に税制調査会にお願いをして審議をしていただくつもりでございます。ただそこにいろいろ報ぜられておりますことは何を意味しますかと申しますと、御存じのように、大型の自動車で、現在物品税の税率が四割、あるいは三割になっておりますところのものを、暫定的に二割に引き下げるということにしてはいかがかという法律の御審議を、現在衆議院段階でお願いをいたしております。その御審議をお願いすることに関連いたしまして、当然四十一年度以来物品税の改正が行なわれておりませんこともありまして、自動車のことだけを切り離してそういう措置をするのはいかがかということもあり、またその背後において物品税改正の方向はどういうふうにするつもりだということに関して、国会で十分御審議願う際に、御質問が出ようかということから、一応来年度以降の税制改正はこんなふうに進めることにしてはどうかなという事務当局の、いわば一種の試案と申しますか、心がまえと申しますか、そういうものを取りまとめたものがございます。そのことが、あたかも四十八年度の税制改正の大筋が基本的にきめられたものであるかのごとく報ぜられているわけでございまして、その点は誤りでございます。私どもは当然ことしの十月ないし十一月の時点におきまして、税制改正の案をまとめましたならば、税制調査会に御意見を諮問いたしたいと思っております。
○多田省吾君 この際、物品税の免税点を一〇%引き上げるとか、それを八月一日から税法を改正して実施するんだということになりますと、当然もう免税点の関係から、物価にも大きな影響が及んでくるわけでございます。どうしてもいままでは大衆的な物品につきましては免税点以下に押えようということが行なわれてきましたから、この免税点が引き上げられるということになりますと、即そのままもう物価にはね返ってくるぞということが当然考えられるわけでございます。いまの御説明によりますとあれですか、免税点の引き上げについては、八月一日から実施するようなことは絶対ないと、そして四十八年度税調に諮問するんだと、このように考えてよろしゅうございますか。
○政府委員(高木文雄君) ただいま申しましたのは、四十八年度以降の物品税のあり方に関する新聞報道等に触れて申し上げたわけでございますが、重ねて免税点についてのお尋ねでございますので、その点だけに限定してお答え申し上げます。 多田先生よく御存じのとおり、免税点については政令で定めることになっております。したがいまして、免税点は政府が決定すべき事項でございます。ですから、免税点を幾らにするかということは、これは税制調査会に審議を求めることはいたさないわけでございます。ですから、免税点をいつどのようにしてきめるかということは、これは政府のほうできめるというたてまえでございます。したがいまして、私が答弁いたしましたのは、その意味では若干不正確でございまして、物品税の基本的な考え方なり、あるいは課税対象、物品の範囲をどう考えるとか、税率についてどう考えるかということについては、この秋に税制調査会に伺うということになろうかと思いますが、免税点については政府のほうで行なうことになっております。 さて、それでは免税点についてどう考えるかということでございますが、その点は現在の段階ではまだ明確にお答えいたしかねるわけでございますけれども、かねがね、四十一年以来免税点が動いてないということについて、各方面から非常に非難ごうごうという状態になっております。御存じのとおりに、免税点という制度は、いろいろの目的のために設けられておりますけれども、やはり物価なり、賃金なりの水準に見合って変えられるべきものであります。四十一年以来動いていないわけでございますので、しかもこれは、法律でなしに、政府の権限できめるべき、政令で定めることになっておりますから、おりがあれば、やはりこれを改正すべきものではないかというふうに考えているわけでございまして、ただいま御指摘のように、八月一日というようなことは何もきめてございませんけれども、場合によりましたならば、年度内にもやりたいというふうに考えております。
○多田省吾君 税率等の問題につきましては、税調に諮問して、その結果は税調を通じてやるのだということは納得しましたけれども、いまの免税点を引き上げる問題につきましては、政令でできるのだから、業者からもいままで不満が出て、いろいろ言われているから検討している、ただ八月一日から実施するというようなことは言っていない、こういう御答弁かと思いますけれども、先ほど申しましたように、私はやはりこの問題は、ただ単に業者の突き上げに対して処置するということじゃなしに、やはり国民生活を考えていただいて、当然免税点が上がれば、各メーカーとも卸値を引き上げるだけで、結局物価を押し上げるという結果になるし、どうしても免税点以下に押えようということは当然でございますから、直接免税点の問題は、物価にはね返るということをからめて、やはりこれは慎重に考えていただきたい、このように思うわけでございますが、これはいかがでございますか。
○政府委員(高木文雄君) 御指摘のような免税点の問題は、本来物価に関係があるべきものでございます。ただ免税点を上げることが、物価にどういう影響があるということは、非常に複雑でございまして、一応免税点を上げることは、物価が上がることになるのか、下がることになるのか、これは一がいにはなかなか言えないわけでございます。たとえば免税点ぎりぎりでつくっている品物があって、材料が上がるとか、賃金が上がるとかということのために、どうしても免税点をつき抜けて卸価格を立てなければならないということになりました場合に、そういう瞬間に、たとえば免税点の引き上げが行なわれるということになりますれば、物価が上がらずに済むという結果ができるわけでありますから、そういう意味では、むしろ免税点の引き上げが、物価引き上げの抑制の効果が働いてくるわけでありまして、いままで免税点があるがゆえ兵免税点以下でがんばって卸値をきめておるという場合には、免税点を引き上げると、不必要に物価を上げるということになるわけであります。物価に対して免税点の引き上げは、抑制的に働くのか、あるいは助長的に働くのかというのは、非常にむずかしいことになるわけであります。私どもは、どうも正直なところ、品目別に非常に需要が違うのでよくわかりませんのですけれども、一般的なお答えといたしましては、免税点の引き上げ、あるいは引き下げという、つまり免税点の変動は、直接物価には関係ないのではないか。ないというと、また誤りかもしれませんが、どういうふうに影響するのかということは、上げ幅にもよりましょうけれども、直截には説明し切れない問題であるというふうに考えております。ただおっしゃるように、物価問題は非常に重要な問題でありますから、私どもも慎重には考えなければならぬと思っておりますが、現行免税点が、六年前の物価、賃金というものを前提にしております関係上、全く据え置きということでいつまでも顧みないというわけにもなかなかまいらないという実情にあることはひとつお含み願いたいと存じます。
○多田省吾君 まあこれは水かけ論になりますからこれ以上言いませんけれども、やはりこのような世界一の物価高のおり、やはり国民生活を基本にして物価高の起こらないようなお考えのもとにやっていただきたい、これを強く要望しておきたいと思うんです。 最後に、国税庁に脱税問題でまとめてお聞きしたいと思います。国民の重税感というものは、言うまでもなく、一つには不公平、あるいはもう一つには福祉政策が非常に低いというようなこと、あるいはそういったたくさんの理由の中に、やはり一部の脱税というものが非常に不信感を買っているわけでございます。それが重税感にもつながるわけでございます。国税庁が発表した四十六年度の脱税白書によりますと、昨年一年間で法人や個人による脱税額は百億円の大台を突破したと。それで、必要経費というものがほとんど認められないで、一〇〇%文句なくもう税金を給与から天引きされるサラリーマンの方々、あるいは正直に申告して税金に追われながらまじめに納税している方々にとって、このような脱税の実態というものは非常に腹立たしいものであり、税に対する不公平感や反発感、あるいは重税感が広がるのは当然だと思うんです。しかし、毎年八十億円あるいは百億円以上、まあそれ以上の脱税が当然行なわれているわけでございますが、少しも減少する傾向が見られない、この原因を国税庁は一体どう理解しているのか。 また、一般に法人とか自家営業の脱税はとらえにくいといわれておりますけれども、放置していいということではないと思います。 また、いろいろな問題があります。大阪地裁では、飲食店の所得税額を、税務署が、同業者の売り上げ高などをもとにして推計したのは違法であるというような、査定の問題の判決が出ておりますけれども、これは問題は違いますけれども、国税庁はこういった問題をどう理解しているのか、まとめてその二、三点でございますけれども、どうぞお答え願いたいと思います。
○説明員(松本久男君) 脱税に対しましては、常に徹底した調査を行ないまして、適正な課税を行ないますようにつとめておりますことは、国税庁の基本的な姿勢でございます。従来から真に社会的に非難に値するような大口の悪質な脱税につきましては、刑事責任を求めるというふうなところまで徹底いたしまして、きびしい態度をとりまして、納税道義の確立につとめてまいっているところでございますが、しかしながら、御指摘のように、いまなお脱税のあとが絶えないということも事実でございまして、この点につきましては、まことに遺憾に思っているところでございますが、私どもといたしましては、今後とも正しい納税に対する理解と認識を国民各位に得ていただくように努力いたしますと同時に、そういう方面の広報、指導ということを積極的にいたしますと同時に、他方、先ほど申し上げましたように、悪質な納税者に対しましては、各種の資料を集めますとか、積極的に調査を行ないまして、その徹底を期するようにいたしたい所存でございます。 そのいわば脱税がどうしてこういうふうにあるのかという原因についてお尋ねでございますが、この原因がどこにあるかということも、一口に申しますと、いろいろむずかしい問題でございますが、やはり国民の方々の納税に対する意識といいますか、納税道義というものをおいおい高まるようにしていくということもございましょうし、あるいはその税の使い方に対する不公平感というものにつきましても、このことについて啓蒙をしていくということもありましょうし、われわれ税務当局の調査能力というものの向上につとめまして、あるいはその権限上のいろいろな問題というふうなこともございますが、こういうようないろいろな原因につきましても、国民の方々の御理解を得ると同時に、私どものほうとして調査面、その他の努力をいたしまして、公平な課税の充実につとめてまいりたいと考えておるわけでございます。
○戸田菊雄君 所得税関係について若干質問したいと思います。 まず初めに、これは今回の税調の答申なんでありますが、それによりますと、「所得税は、各種の租税のなかでも、国民の負担能力に最も適応した租税であり、所得の再分配に効果的に寄与しうる租税であって、税体系の中心的地位を占めるべきものと考えられる。」という答申が実は行なわれておりますね。で、税の審議の過程におきまして、いままで政府の答弁といたしましては、直間比率が極端に不均衡を呈しておる、ですから、今後は間接税にウェートを置いて税体系というものを検討していかなければならない、こういうことを再々主張されておるわけでありますが、この税調の答申でいっているように、何といっても、今後かりに間税が相当率が上回らされても、私はこの基本的に税体系の中心は、やはり所得税であるということは変わりないだろうと思う。所得税はそのままにしておかれて、結果的に間接のほうだけ増大をするということになりますと、いまの六五対三五という直間比率の割合というものから、片一方を上げていけば、結果的に増税になっていくんじゃないか、こういうふうに考えるのですけれども、そういう見解については主税局長いかがお考えでございましょう。
○政府委員(高木文雄君) 私どもも、あくまで各税の中で所得税が中心的なものであると思っております。所得税は総合課税であり、そうして累進構造をとっております。それによって所得の再分配機能が果たされておるということからいって、あくまで所得税が現行税制の中心的なものであると考えております。ただ、所得税がりっぱな税制として今後とも育っていきますためには、やはり現在のように物価、賃金等が上昇してきます過程におきましては、絶えず所得税についての減税が行なわれて、そして所得税の負担が過度のものにならないように配意していかなければならない。いかに所得税が中心となるべきものである、いい税制であると申しましても、これがあまりにも負担の重いものになりましては、これは制度が育っていかないというふうに考えるわけでございます。そこで、間接税のほうの問題はこれはまたちょっと別でございまして、税制調査会の答申でも明らかでございますように、最近十年間に間接税の国税総額に占めます割合が大体一〇%下がりました。しかも、その下がりましたのが、非常に着実な傾向で、年々一%ぐらいずつ下がっていっている傾向であります。これはなぜかと申しますと、背景となりますところのわが国の経済構造によるところが非常に大きいとは思いますが、同時に租税構造にもよるわけでございます。こういうふうに毎年一%ずつも間接税のウェートが下がっていくということ自体はかなり問題ではないか。必ずしも間接税のウェートがもっと高まるべきだというところまでは考えなくても、今日までのように年々一%ずつ下がっていくというような傾向、なぜその傾向を生むかといえば、結局その裏にある租税構造というものがそうさせるわけでございますから、そういう租税構造そのものがやはり問題なのではないか。決して間接税は取りやすい税である、負担感が小さい税であるからよろしいということではない。そういう意味だけで申し上げているわけではありませんが、あまりにも間接税のウェートが下がり過ぎるということは、やはり問題があるということでございまして、ただいま御指摘のように、増税になるのではないかというお話でありましたが、確かに、税制調査会の答申では、将来租税負担全体がわずかながら上昇していくことはやむを得ないであろうという前提に立ってものが判断されております。そういう意味においては、あるいは何か増税を頭に置いているのではないかという御質問に対して、それを否定するわけではございませんけれども、したがって、もし将来財政需要が増加し、したがって、租税負担の増加がどうしても必然的に行なわれるならばますますでございますが、かりにそういうことがないといたしましても、間接税のウェートがこう下がっていってはぐあいが悪いのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○戸田菊雄君 そこで、いま所得税の分類は大体十種類に分かれていると思うんです、利子所得あるいは配当所得あるいは不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡、一時、雑所得と各所得があるわけですけれども、この捕捉率は現状どのようになっておりましょう、計数的に。ちょっと事務的な問題で説明していただきたいと思います。
○政府委員(高木文雄君) これは執行の問題でございますから、本来ならば国税庁が御答弁申し上げるべきかもしれませんが、ある意味におきましては、国税庁は直接の担当者でございますので、国税庁からはたいへん答弁がしにくいという立場もあろうかと思いますので、私のほうからお答えいたします。 そもそも捕捉率の問題というものは、本来、全体が一〇〇%の捕捉率であるならば、幾らの課税になっておるはずであるという数字がつかまっておれば、捕捉率なるものが出てくるわけでございますけれども、現在の国税庁のやっておりますやり方、あるいは現在のわが国にございます統計を前提といたします限り、たとえば山林所得は、本来全部捕捉されれば幾らであるべきかという額の算定は、ちょっとできないという現状になっております。また、たとえば土地の譲渡所得なら譲渡所得の課税、これが本来ならば幾らあるべきであると。しかるにかかわらず、ことしの申告ではこれだけしか出なかったということで、初めて捕捉率が算定できるわけでありますが、そもそも十種類の種目別に、何ぼの取引があり何ぼの所得があるべかりしものである、そして平均税率がこのくらいのものであったはずであるというその数字そのものが、現在のわが国の統計その他ではちょっと不可能な状態になっております。したがって、捕捉率を、何々所得についてはどういう捕捉率ということについてのあれはできないわけでございます。 実は私どもも——これは主税局長の答弁というよりは、やや個人のことになりますけれども、私どもも、現場の国税局長等の仕事をいたしておりましたときに、当然、まず捕捉率が低いか高いかということがわかっておりませんというと、いかなる点に最重点を置いて仕事をいたすべきやということがきまらないわけでございますから、何とかしてこの捕捉率を、何らかの方法で把握いたしたいという気持ちは当然強く持っておったわけでございますが、現状なかなかうまい方法で、捕捉率の前に、捕捉さるべき所得の大きさそのものを把握することが、技術的に非常に困難である。しかし、そう言っておってはいけませんので、そういう努力はいろんな意味で重ねてはおりますが、総括的、総合的に捕捉率をとらえるということはいたせない状態のまま今日に立ち至っているというのが現状ではなかろうかと思います。
○戸田菊雄君 ちょっと順序立てて教えていただきたいんですが、年間の税収見積もりというものを立てますね。これは前年度の実績を土台にして、もちろん各般の政策あるいは経済情勢、いろいろなものが加味されて決定されると思うのですけれども、四十七年度も一定の税収見積もりが、たとえば所得税源泉徴収で幾ら、あるいは申告で幾ら、あるいは物品税、いろいろこう出てきますね。そういうものは結局一定の税収について積算基礎が明確だと思うのですけれども、そういうものをやってこられて、四十六年度なら四十六年度で決算をしてみたら一千何億増収になった、こういうことです。そういうことになるとすれば、いま申告所得税の実態等について国税庁で詳細な資料を発表しているわけですから、捕捉率が掌握できなくては、決算時にきて、税収が適切であったかどうかという評価というものは出てこないのじゃないかと思うのですが、その辺はどうなんですか。税収見積もりに対するイコール決算額、入った税金だけで、もう何かヤマカンでですね、端的に言うと。決してそうではないと思うのです、このくらいりっぱな資料を出しておるのですから、そうじゃないと思うのですが、いろいろ苦労しても、そういう部面での捕捉率が明確化されていないということは、どの辺にその欠陥があるのでしょうね。あまり事務が膨大で人員が不足だからできないというのか。あるいは現下の統計学上なかなかそこまではむずかしい。あるいは広範な社会情勢からいって、一つ一つの税務のもとに捕捉することはなかなかむずかしい。いろいろと要因はあるだろうと思うのですが、どの辺に一番欠陥としてそういう原因というものが存在をするのか。この辺はどうなっておるのでしょうね。
○政府委員(高木文雄君) まず歳入見積もりとの関係でございますが、現在の歳入見積もりは、前年度までの実績を一応ベースにいたしまして、そして、たとえば給与であれば、来年度の給与は人員でどのくらいふえるであろう、平均給与でどのくらいふえるであろう、ところが一方減税において、平均税率はこのくらい下がるであろうということを前提にしてはじき出してくるわけでございます。したがって、すべて他の所得につきましても、物品税等につきましても、自動車なら自動車の蔵出しの台数がこのくらいである、それが台数のほかに、価格に税率を掛けるわけでございますから、蔵出しの価格は平均蔵出し価格は——いろいろな車種の車がございますから、平均蔵出し価格はこのくらいである、それに対して来年は、いまの見込みによれば製造見込みがこのくらいである。あるいは在庫がふえるとかふえないとか、輸出の分はこれは課税になりませんから、国内で売れる部分だけに物品税がかかるわけでございますから、国内の市場にこのくらい出ていくであろうという台数計算の見込みを立てまして、そうして税率が変わる場合には、税率を織り込んでというふうに計算してまいります。 それと、いまの捕捉率との関係はどうなっているかと申しますと、結果的には、現在、つまり言ってみれば、非常に申し上げにくいわけでありますが、決して捕捉率一〇〇%ということにはなっていないわけでありますから、その実績に合う率を掛けていくということになりますものですから、現行捕捉率を前提としたままで、毎年の税収が見込まれていく、こういう形になるのが実態であると申し上げるよりほかないと思います。 それから、ただいま御指摘の、国税庁総務課が出しました申告所得税の実態の報告書というのにつきましては、私案はお恥ずかしいのでございますが、詳細に見ておりませんので、どの点を御指摘になって、いまの捕捉率がわからなければわからないのではないかとおっしゃったのか、その点ちょっとよくわかりませんのですけれども、この資料そのものは、現実に納税をされました、申告なり調査なりの結果に基づいた集計表でございますので、このもの自体が、言ってみれば現行捕捉率のもとにおける結果をあらわしているものでございまして、これからはちょっと、捕捉率がどうなっているかということはわからないわけでございます。 それからなお、一点追加さしていただきますが、いま現行の課税水準を、申告水準なり、税務署の調査を含みました意味での課税水準を上げていかなければならない、捕捉率が現状のままではいけないわけでございまして、上げていかなければならないわけでございますが、そのやり方といたしましては、あまりマクロにものをとらえますよりは、むしろミクロに考えまして、たとえばある種の業種につきまして、このぐらいの売り上げがあるとか、このぐらいの業者の数があるということが、いろいろな業界統計とかいろいろなものでわかっておりますから、そういうものと、現在の申告、あるいは調査結果等の税務署の統計資料等を両方から照合いたしまして、そして極度にどうも捕捉率が低いと思われておりますところの各種の業種、あるいは地域というようなものについて重点的に調査をすることによって、漸次捕捉率を上げるということに努力をしているわけでございまして、そういう意味でいろいろな資料は使っておりますが、総括的に捕捉率という形で把握するようなやり方というのは、現在やっていないということなのでございます。
○戸田菊雄君 そうしますと、結局現下の捕捉率というものは、その税収見積もりというものは、すべて実績主義を土台にしてまずやっている。それ以外ちょっと考えられない、現在の段階では。それ以外ないんですか。
○政府委員(高木文雄君) まあ一例を、たとえば農業所得なら農業所得にとりまして、農業所得に対する把握率が非常に低いというようなことがいわれておりますけれども、はたしてそうなのかどうなのかということについては、私どもはそんなに農業所得については把握率が低いとは思っていないわけでございます。これを、たとえば農業統計とぶつけてみたならば、何らかの形で農業所得についての捕捉率が出そうなものだというふうに一般にはよくいわれるわけでございますけれども、全体としての米の生産や、その他の農産物の生産がわかりましても、これは直ちに課税推計にはつながらないわけでございまして、そういう全体としての農業生産が、むしろ一戸一戸の農家の家計にどのようなふうにつながっているかということにならなければならぬわけでございます。現実に申しますと、たとえば私どものほうで、農業所得との関連で多少他の統計資料で大いに参考になりますのは、各農家の家計費調査等の場合については、収入と経費というものが出てまいりますから、そういうものからいって推定される所得というものと、税務申告上そこに出てくるものとのアンバランスというようなもので、ある程度の捕捉率が高いとか低いとかいう議論はできますけれども、なかなかいつでもきめ手になるようなものではないわけでございますので、いまのところ、捕捉率の研究というのは、申しわけございませんが、十分進まないという実態でございます。
○戸田菊雄君 いずれにしても、現行、税の不公平、いろいろ言われておるんですけれども、結局この捕捉率の現行体制を見ても、給与所得とその他の所得ですね、このかね合いというものは、やっぱり相当不均衡になっているんじゃないかと思うのですね。こういった是正方式については、何らかその対策がございましょうか。
○政府委員(高木文雄君) まあ問題は、所得というのはどうやっていま把握されておりますかといいますと、結局、収入から経費を引いて、その経費を引いたものから、税法上の諸控除を引いて所得が算定されておるわけでございますから、単純に言ってしまえば、まず収入が正確に把握されるということと、それから経費が正しく把握される、この二点が基本になるわけでございます。そういう意味におきまして、かねがね私どもでは、青色申告制度というものの慫慂等を特に進めておりますのは、青色申告制度を進めますれば、これによりまして、少なくとも収入が正確に把握され、その経費が正確に把握される可能性があるわけでございますので、青色申告制度によって、経費、収入が正確に把握されてくるならば、それからあとは、なおいろいろ問題はございますけれども、大宗は正しい方向に行くということでございます。しかし、サラリーアンの捕捉率といいますか、把握率が高いということになりますのは、サラリーマンについては収入の金額がまずきまっていると、これはまあいわばガラス張りになっているということでございますから把握率が高いと、こういうことになってくるわけでございまして、それに比べて営業とか、あるいは商業という場合には、収入の額そのものが必ずしもガラス張りになっていない。いわば税務署に対してガラス張りという意味でなく、ほかの方——御本人以外のすべての方に対してなかなかガラス張りになっていないというところに、その辺問題があるわけでございまして、そういう意味から申しますと、先ほど国税庁のほうから御答弁申し上げましたが、国民各位の納税協力ということが非常に重要だということを申しておりましたけれども、その焦点は、やっぱり何はさておきまして、収入と経費の実態というものを、税務署とは申しませんでもよろしいので、一般的に知られるような習慣になることがまず必要である。その程度は、しかし五年、前に比べればよくなっておりますし、十年前に比べればますますよくなっておりますし、非常にいい方向には向かっておりますが、なお、それが改善度がよくないということでおしかりを受けているという現状でございます。
○戸田菊雄君 結局、所得税の場合ですけれども、所得源泉の差異による所得の捕捉のむずかしい原因は、一体何にあるのかということなんですね。おおむね考えられることは、一つは、所得の概念規定のあいまいさが問題なのか、それとも税務行政執行上の所得税制の限界なのか、あるいは納税意識や納税思想、いわば倫理ですね、納税倫理に求められる、そういうものが問題なのか、あるいは財政支出、まあ広くは国会の、政治批判、こういうものがあるいはあるかもしれませんが、そういった政治的、社会的、納税者に及ぼす影響というか、そういうものが問題なのか、どの辺に捕捉のむずかしい原因というものが現時点で求められているのか、その辺はどう考えておりますか。
○政府委員(高木文雄君) これはもちろん、一般的には納税者のいわゆる納税協力といいますか、納税思想ということが一番問題でございます。そういう意味におきますと、先般も当委員会で御議論がございましたように、税の制度そのものの公平性ということが一つ問題でございますし、それからまた、歳出についての不満がないということがなければならぬと思いますし、そういうことが問題でございますが、同時にまた、非常に当面の問題といたしましては、国税庁で特に高額所得者ということを中心に、課税のアンバランスが起こらないということを重点に、これは国税庁のほうの職員の数等にも限度がございますから、そうどこもここも手が回りませんから、特に高額所得者を中心に、重点的に漏れがないような努力をいたすわけでございますけれども、その場合に、先ほど申しましたように、サラリーマンの給与のように、比較的に、本来的にガラス張りになっているもの、それから土地の譲渡なんかの場合にも、ある程度、比較的ガラス張りになっておるわけでございますが、いわば不表現取引といいますか、なかなか表に出てこない取引による所得というものもあるわけでございまして、そういうものに関する資料の収集、整備ということがなかなか思うように進まないというあたりに問題があると思っております。
○戸田菊雄君 国税庁長官こられましたから、同じような質問で申しわけないんですが、先ほど主税局長から一応の説明はいただいたんですけれども、いま十種類に及ぶ各所得税の所得区分があるわけですけれども、配当であるとか、利子であるとか、運用所得であるとか、いろいろございますが、そういうものの捕捉率が明確に掌握できかねると、こういうことなんですが、その原因は、一体国税庁長官はどうお考えになっておりましょうか。
○政府委員(吉國二郎君) 御承知のとおり、基本的に申しまして、わが国で申告納税制度を採用をいたしましてから二十五年たっているわけでございます。申告納税制度のたてまえから申しますと、各納税者がみずから所得計算をする、そしてその結果を税務署が検定をするということで、完全な所得が把握されるという前提でございます。ただわが国の場合、終戦直後はインフレーションの関係で、非常に多くの納税者が納税義務に該当したわけでございますが、全然そういう納税義務を果たしたことがない連中でございますので、帳簿の記録が、商法の規定はございましても、実際はない者が大部分である。それに対しまして所得の申告を求めたところにかなり無理があった。それを改善するために青色申告制度というものを二十五年につくりまして、帳簿をつけるという習慣をつけて、そこで初めて正しい申告ができる。その帳簿を正確につけてない限りは、いま主税局長申しましたように、まあいわば大まかな見積もりで申告をしているとすれば、税務当局側としては、やはり外部資料等を収集して、推計をいたしまして課税するということにせざるを得ない。そういう点で、やはりこれは、私は、かなり青色申告も、事業所得者の六、七〇%まで普及をしてまいりました、申告の内容というものも非常に向上してきていると思います。基本的にこの帳簿を保持する義務は、商法に定められておるだけではなくて、本来的には、税法においては記帳義務というものが潜在していると私は思うんです。そういう記帳を促進させていく、そして納税者も税務署も同じ立場で見られる共通の基盤というものを早くつくり上げるということが、私どもいま努力の最大重点になっております。そういう意味では、かなり捕捉率というものもこのごろは上がってきていると申しますか、たとえば調査いたしました場合に、調査にもいろいろ種類がございますけれども、一つは、調査ではあるけれども標準的なと申しますか、大体業界の実績というものをつかむような調査、あるいはまた脱漏の多そうなものを重点的に調べるという一般の調査、いろいろございます。いつも発表いたしております調査は、特別調査とか、あるいは普道の調査でございまして、脱漏の多そうなものを大体調べた結果でございますので、非常に把握率が悪いと言われるわけでございますけれども、ランダムサンプリング調査でございますと、ほぼ平均で九割に近い申告という調査の結果が出ております。そういう点で、帳簿がだんだんと普及していけばこの開差というものはなくなってくると思います。現在の段階では、昭和三十年ごろから言われております九・六・四という状態は非常に改善されておると私は思っております。
○戸田菊雄君 まあそこで具体的に、実は主税局長にいま伺っておったのですが、いまの国税庁長官の答弁を聞いておりますと、やはり税務行政執行上のもの、いわば所得税制の限界といいますか、この辺にやや問題があるようにいまの答弁を承ったのですが、そういう理解でいいですか。
○政府委員(吉國二郎君) 私がしいて申せば、各国の税法にございますように、もうそろそろ記帳義務というものを課して、お互いに正しい基礎をつくり上げるという時期ではないか。そうすれば、納税者のほうも、めんどうにはなりますけれども、トラブルが避けて、しかも正しい申告ができる事態がくる。そういう意味では、わが国では昭和二十五年に青色申告をつくったと申しますのは、欧米に比べて記帳習慣が乏しい、したがって、これを育成してから、記帳義務というような本来あるべき義務をつけるべきだという考えだったと思いますけれども、そもそもいまの申告水準等考えてみますと、記帳義務をかなりの範囲で税法に規定をしていってもいいのではないか。つまり税法が、執行面というものを考えた税法により近づいていただきたいという感じがいたしております。
○戸田菊雄君 たとえば過日医療控除等についていろんな問題があって、それじゃこれをひとつ調査をしてみようということでやればできるんですね。その内容は、現在未発表のまま今日据え置かれている状況ですけれども、しかしいずれにしても、何といいますか、行政上、執行上各般のそういう苦労をし、調査対象を何か置きながらやっていけば、逐一いま長官が言われたような捕捉率の掌握についても、相当数上昇して、完ぺきな体制に近づいていくんじゃないだろうか、こういうふうに私は考えるわけなんですがね。各所得をいろいろ見ましても、給与所得だけは完ぺきな捕捉体制をとられているんですね。これは源泉徴収だからいやおうなしですね。しかし申告のほうを見ますと、いま言ったようにいろいろな難点が存在する。あるいは雑所得あるいは山林所得とか、そういう問題も申告でやってはいるけれども、いま言われたように、当該会社の帳簿の面が不備であったり、あるいは中には悪質な者がおって、意識的にやられたり、実際問題としては非常にむずかしい問題でありますけれども、これはよりやはり税公平という立場からいっても、私は業務体制の中で逐一完ぺき体制というものをとっていくのが至当ではないか、こういうふうに考えておるわけです。ぜひその点はひとつ今後十分御検討をいただきまして、少なくとも税公平に持っていくようにしていただきたい。 それから経費ですね、この支出、すなわち必要経費ということになるわけですけれども、これは現行のところは課税体、これが稼得者単位でいくべきか消費単位でいくべきか、二つにおおむね区分されるのではないかと思うんですが、現行は両面をいろいろ税務に従って適用範囲というものをやっておられるんですが、これはどちらに一体ウェートを置いて整理をしていったらいいのか。たとえば最近国民の中には、もうこの給与所得者の場合、少なくとも給料をもらったものを再生産に必要な、いわゆるカロリー等を含めてそういうものに持っていけという意見も、これは率直に出てきているんですね。しかし、いま現実にやられているのは、そういうことではなくて、人的控除、いわゆるこういうものを土台にして、四名家族ならば大体六十八万まで、こういうことになっている。確かにむずかしさはあると思うんです。私、現行の人的控除体制を全面的に排除しろ、そういうことじゃない。やはり一つのいまの行き方であろうと思う。しかし、これを高めていくということになりますと、やはり大蔵省には人的控除の各般のメニューというものは全くあやふやなんで、そのときの割り勘制度みたいな、場当たり主義でやられているきらいなしともしないんですね。これは積算基礎については全く明快な胸のすくような答弁があったためしがないわけで、そのままずっと審議が終わっちゃう。だから、いずれこういう問題については、一定の見解のもとに、一定の方式というものを編み出されていかなければ、基本がはっきりしていないんですから、いろいろと不公平さというものが存在をするでしょうし、国民の不満というものも解消しない、こういうふうに考えるわけなんですが、その辺の見解は一体どういう状態が一番いいのか。現行はわかります。将来これに対して一定の方向を打ち出していくとすれば、検討の方向というのはどうあるべきが一番いいのか、その辺についてひとつ見解を聞かしていただきたい。
○政府委員(高木文雄君) 所得税の組み立ては、収入から経費を引きまして、その引いたものからさらに諸控除を引く、それを課税所得として、その課税所得に税率を掛ける、こういう計算方式をとっておりますのは、これはほとんど各国を通じてどこの国の所得税制の場合にも変わりないところだと思います。 先ほど、稼得者単位、消費単位の問題にちょっとお触れになりましたけれども、それは所得計算する単位として、一家でかせぎ手が三人なら三人いた、二人なら二人いたという場合に、そのかせぎ手についての所得を全部合算をして、そしていまのような計算をするかどうか、日本のように稼得者単位で、一人一人所得のある人単位に計算するかという計算単位の問題は一つございますけれども、この計算単位の問題をわきへ置きまして、それ以降の計算方式といたしましては、収入から経費を引いて、そして一定のワクを控除として引きまして、それを課税所得としてそれに税率を掛けるという方式は、これは大体まず万国共通と言ってよろしいのではないかと思います。その場合に、控除の額、たとえば人的控除額は、ただいま基礎控除が二十万、配偶者控除が二十万、扶養控除が十四万になっておりますが、 〔委員長退席、理事柴田栄君着席〕 それを合計すれば、たとえば夫婦と子供二人で六十八万円になるわけでございますけれども、その六十八万という額が、現在の日本の生活水準における生活費なり、あるいは収入水準なり、先ほども多田委員から御指摘がありましたような、中学と高等学校出て就職した者が、すでに納税しなきゃならぬというような関係になっているということがいいか悪いかというような、いわゆる課税最低限のきめ方の問題、この額をどのようにきめることが望ましいかということにつきましては、これは大いに研究すべきものと思っております。それで実は昨年も若干その点に触れまして、諸外国の制度を、ごく大ざっぱでございますがちょっと検討してみたことがございますが、まだまだほんの入り口でございますので、十分その課税最低限といいますか、諸控除の計算基礎をどのような点に求めるべきかということについての各国のやり方等も、十分御披露できるような資料を持ち合わしていないというのが現状でございます。しかし、われわれといたしましては、その点は、やはり現行の制度が大体万国共通の制度でございますから、現行の制度の上に立って、そしてそのきめます額というものをどのような基準のもとに立てていくべきかということの検討を進めてまいりたいと思っております。
○戸田菊雄君 それからもう一つは、国税庁から「昭和四十五年分税務統計から見た申告所得税の実態」というのが発表されておるわけですが、この八ページの「納税者の所得構造」というところに、「納税者数、所得金額および税額の推移」という一覧が載っております。これはあくまでも申告が土台ですから、源泉者は除かれておるということであろうと思う。これで私もちょっと資料を拾ってみたんですが、昭和三十六年に給与所得者数は二千三百七十九万人、うち納税者数は千三百六万七千人になっておりますね。ですからこの構成比は五四・九%。それから農業所得者数、これが三百五十一万二千、うち納税者数が二十一万人で六%。それから農業以外の事業所得者数、これが五百十九万人中百八万四千人で二〇・九%。それが四十四年にまいりますと、給与所得の場合は三千百九十九万人、そのうち納税者数が二千百九十四万五千人、六八・六%。ですから、三十六年比、約八年前ということになりますが、一四%程度増加をしている。それから農業所得者ですけれども、これは二百六十四万八千人、そのうち納税者が四十四万九千人、大体一七%ですね。それから農業以外の事業所得者が六百十三万人で、そのうち納税者が百九十万三千人、三一%。四十六年を見事すると、給与所得者の納税者は三千三百九十五万人中二千六百三十二万一千人で、七七・五%。こういうふうに、所得納税人員の推移を見ても、年々非常に増加してきておりますね。私は、このこと自体は、一面で所得総体が引き上がったということもあるいは言えるかもしれませんけれども、いずれにしても納税人員がふえていっているわけですから、この納税人員の緩和政策を何らかとっていく必要があるんじゃないか。そうだとすれば、所得税全体について、人的控除なり、税率の問題なり各般の非課税所得なり、全体を洗い直して抜本的に検討する時期にきているんじゃないか。このままいくと、おそらくあともう五年か十年過ぎますと、所得のある方はすべて課税対象になっちまう、こういうふうに思う。一面、経済情勢が非常に大きくなっていっておる、所得もふえていっておるけれども、ただ名目所得が大部分採用されて、実所得というものを非常に軽視をされる、そういう状態も一面としてあるんじゃないか、こういうように考えるんですけれども、こういう所得税の納税人員の増傾向に対してどういうふうにお考えになっておられますか、その辺の見解をひとつ。
○政府委員(高木文雄君) 納税者の数がふえておるということについて、給与所得者と給与所得以外、特に営業所得者の場合とは若干事情が違うのではないかと思っております。若干、ことばに差しさわりがあるかもしれませんが、事業所得者については、先ほどの申告水準の問題、把握率の問題等がございますが、最近、非常に幸いなことに、全体としていわゆる納税思想がよくなってきております。それからまだまだ不十分とはいえ記帳の慣行もだんだん広がってきておりますし、その結果、実質的に所得の把握率も上がってきておるということがございますから、これは、かりに納税人口がふえると申しましても、そのこと自体はさして問題にはならないかと思っております。ただ、給与所得者につきましては、おっしゃるように非常に急激に納税人口がふえてきております。その納税人口がふえるのは、しさいなる検討はまだ十分尽きておりませんけれども、先ほど多田委員の御質問にお答えいたしましたとおり、初任給の急激なる上昇などに影響されまして、独身者の、しかも非常に年齢的にもまだ若い、学校出た七の納税者が非常にふえておる、こういう現象になっております。そのことについてどう考えるべきかという問題があるわけでございますが、先ほどもお答えしたとおりでございますが、納税人口の増加ということにつきましては、また別の意味で、一方において就学率が最近非常に高まっている、高等学校、大学へ行く就学率が高まっていることから考えますと、中学校を出て就職した人、高等学校を出て就職した人が、就職後直ちに納税対象になるということについては、そういう意味ではかなり問題があると思うのでございますが、 〔理事柴田栄君退席、委員長着席〕 今度は別に、他の所得者、他のサラリーマン——すでに勤務を始めて十年なり二十年たって、子供が一人ないし二人いるサラリーマンの課税最低限との比較において議論いたしますというと、これはいろいろ議論のあるところではありますけれども、必ずしも、独身者が最も気の毒であるというか、負担が重過ぎるというか、これをまっ先に軽減すべきであるということに皆さんの御意見が一致するとも言えないのでありまして、やはり最近の教育費の増高の傾向だとか、そういうことの関連で、子供さんを二人なり三人なり持って、そして学校に子供をやっているという家庭の教育、それからだんだん中堅層になって、これからそろそろ住宅でも建てるような余裕を持たすべきであろうところの中堅層の租税負担というものについて、相当これは重視すべきであるというお考えも、かなり広範囲にいろいろ言われているわけでございます。そこで私どもは、ある時期にはたいへん初任給の増高傾向が急激になりました。その時分に、納税人口が急にふえましたので、その当時は、納税人口の増大傾向につきましては、私ども非常にナーバスに思っておったわけでございますが、最近はむしろそれらの問題と、あとから申しました他の、もう少し家族人員の多い、二人なり三人なり、それから年齢的にも少し上の階層の方々の税負担のバランスの問題というのは、やはり相当問題であって、納税人口がふえることだけを、それほど気にしなくてもいいのではないかという感じをいまは持っておるところでございます。しかし、まあこの納税人口の問題は、税務署といたしましてもそうでございますが、源泉徴収をやっていただいておりますところの給与支払い者に、いろいろな意味での負担がかかってくるという関係もございますので、今後とも検討しなきゃならぬというふうには考えております。
○戸田菊雄君 若干横道にそれて申しわけないのですけれども、政務次官にちょっとお伺いをしておくのですが、過日の審議の答弁でも、老人対策は目玉商品だ、こういう御答弁をなされた。今年度の予算を見てみますと、確かに社会保障費の増額が、前年度比で三七・五%と、こうなっている。社会保険費なり生活保護費、あるいは老人の医療無料化等々ございますが、それぞれの増額を検討いたしますと、社会保障費全体の伸び率二二・一%ですね。だから、前年とことしの予算全体の伸び率は二一・八%ですから、わずかに総体の予算の伸び率のほんのちょっぴり伸びただけということになるのですね。予算全体の総体に占める割合からいくと、わずかに一四・三%、前年度とほとんど変わりがないですね。さらに医療無料化につきましても、内容は自民党案でいきますと、所得制限つきですね。あるいは老人対策として必要な所得保障政策、あるいは老人住宅政策、寝たきり老人対策、緊急を要する事項が山積している。これではたして目玉商品という、いまの政府の老人に対するところの諸対策は完ぺきだと、こう思われるのか。その辺はどうですか。
○政府委員(船田譲君) 確かに、老人対策そのものはいわばいままで比較的日かげでありました関係上、ことしの施策は、この前の御答弁で申し上げましたように、かなり画期的なものだと申し上げたわけでございます。なお、その伸び率が必ずしもそうおまえの言っているようじゃないじゃないかという御疑問はもちろんでございますけれども、おおむねの新しい対策がほぼ十月一日実施のものが多うございますから、初年度としての経費の伸びは、これが満年度になります場合と比べまして、確かに伸び率があまりはかばかしくないということはあり得ると思います。ですから、満年度で、つまり平年度で伸びをお考えいただきたいことが一点でございます。 それから、たとえば無拠出の老齢福祉年金のごときものは、一カ月二千三百円になりますまでに、相当な年数がたっておりまして、毎年、初めは百円刻み、最後には三百円刻みで上がってきたわけでありますが、今回一挙に千円刻みで上げたわけでございます。たしか、これは私のざっぱくなうろ覚えでございますので、数字が違っておりますかもしれませんけれども、たとえばこの老齢福祉年金を百円上げますために、たしか財政負担の増高は四十億をちょっとこすのではないかと私は記憶いたしております。そういうような関係もございまして、一挙になかなか、先ほど言われましたようなふうにはまいりません、けれどもしかし、今後老齢者に対しますところの福祉政策に重点を置くべきであるという方向は、これでかなり強く踏み出したと、私自身はそう考えているわけでございます。
○戸田菊雄君 まあ具体的に内容を申し上げますと、寝た切り老人に対して、大体政府の予算説明書でも明らかでありますけれども、六十万人いる。しかし実際は六千三百人しかないのです、老人ホームの収容人員は。今回このホームヘルパー、いわゆる非常勤体制ですね。百六十人の増加しか見ておらないですね、わずかに。寝た切り老人が六十万人おって。そうして六千三百人、今年度で百六十人しか増加をしない。こういう実態ですよ。それから手当、月額は二万円から三万円に上げました。確かに一万円上げました。さらに、厚生省としては、中央社会福祉審議会の答申に基づいて、社会保障施設緊急整備五カ年計画、こういうものを立てて特別養護老人ホームなり重度心身障害者、こういう施設を大体十九万一千人くらいまで持っていこう。整備費としては一千八百六十億、保育所等含めて三千五百十億円ですね。こういうことで一定の手当てはなされておりますけれども、内容を見ますと、いまの需要からいって、供給体制というのは全く微々たるものですね。百分の一くらい。ですから、これ自体私は、老人のみならず、日本の社会保障全体において、諸外国と比較しても具体的に相当おくれていることは、これはもう事実ではっきり出ているわけです。ことに老人について一例を申し上げますれば、そういう状況になっているわけであります。だからこういう老人対策について、私はもっと政府は力を入れて対策というものをやっていかなくちゃいけないのじゃないか、目玉商品と言うならね。やはりこの五カ年計画の中に、さしあたっては寝た切り老人くらいは絶対政府でも責任を持ってやっていこうじゃないか、あるいは生活保護を対象として、そういう老人がいるならば、そういうものを手がけてひとつ完ぺきにやっていこうじゃないか、こういうことくらいな意気込みがあって、とのことは初めて国民から歓迎される政治になっていくのじゃないか。残念ながら百分の一ではどうにもならない。それで、その財政負担も、もっぱら社会福祉関係の事業というものは、すべてが地方自治団体におろしていくわけですから、そうして事務費だ——やはり施設をつくるにも、たとえばいま厚生省査定の保育所一つ見ても三百万円、その二分の一、百五十万、そういうことになると、東京では、政府が考えている補助金の体制では、かりに三百万円のものであったら一億円もかかっちゃうのです、用地費や建築資材その他で。その分どこから持ってくるかということになるのです。イコールこれは地方自治体の財政というものを極貧の体制に追いやる。やれっこないのです。そういうものを政策では、口だけではいろんなことを吹聴しているのがいまの政府の実態じゃないか。内容を検討していくとそういうことになる。あるいは老齢福祉年金ですね。これは三千三百円に上げました。これはわずかな金額ですね。それから障害者年金にしても五千円、若干上げました。それから母子福祉年金にしましても四千三百円、若干上げました。それぞれ若干は増額されたけれども、結果的に六人家族で二十五万です。所得制限があるのですから。二十五万、これを月で割ってみると、六人家族で月に二万九百円見当で生活をしろということ、生活保護対象では東京の四人家族で三万八千九百十六円が、今回四万三千三百十四円に上がりました。だからわずかに増額されたことは間違いありません。しかし、この六人家族で所得制限でくる、いわば生活費の不足というものはだれが見たって歴然たるものと私は思うんです。これではたしてほんとうに、極貧生活をやっても、あるいは病気になっても何らかまわれないというのがいまの実情です。 それからこの厚生省の資料、「高齢者の実態」について詳細にいま資料をいただいた。これ見ましても、結局食えないという状況ですね。たとえば一定の、三十年、四十年つとめてやめる。借金して土地と家をつくってじきやめる。たとえば三十で結婚したとすると、五十五歳ですから長男は二十五歳。大学を出てかろうじて就職をした程度です。そうすると、とても薄給で一人立ちの生活ができないから金を送らなければならない。あるいは次女の方がいれば、これからお嫁さんにもいかなければならない。一番経費のかかるときですからね。経費のかかるとき。だから老人の就労状況を考えたってこういうことになる。六十歳以上の就業率で、男の場合は六一%の就業率になっている。これは諸外国なんかで、たとえばイギリスのように一定の社会保障があって、運動のためにひとつ楽しみのために働きに行こうかというようなものとは事、本質的に違う、日本の場合は。結局再就職して働かなければ、そういう家族を養っていくとか、自分自身の生活が成り立っていかない。六一%です。女の場合で二四・五%ですよ。六十歳から六十四歳までは男は八一・四%、だんだんふえてくる。女が三九・三%。六十五歳以上でやや下回って、男が五〇・三%、それでも半分ですね。女子の場合でまた一七・八%、六十五歳以上ですよ。六十五歳から六十九歳、男のほうがふえている、六八・五%。女もふえている、二七・二%。七十歳になって男が四九・一%という就業率、半分以下です。こういう状態で、これは八十歳以上もおりますけれども、こういうのがいまの老人の生活実態ではないか、こう考える。だからどうしても、私はそういう面からいけば、生活保障体制というものを、十分この部面に、政府が目玉商品と言うなら、もっともっとやはり高額な資金を出すべし、各般の施設も増設をしていく、そういうものが、このいわゆる整備五カ年計画の中にも盛り込まれてこなくちゃいけないと思うのですけれども、そういう内容が非常に貧弱だと私は思う。これはどうですか。前途に対する老人対策の展望について、ひとつ政務次官の高邁な御議論を伺いたいと思います。
○政府委員(船田譲君) 全般的なことを申し上げますと、私もただいま戸田委員の言われましたように、私が先ごろ答弁の中で申し上げました、ことしの施策の中で、老人対策は目玉商品だと申しましたが、その実態がまだまだおまえの言うほどたいしたものじゃないじゃないかという御意見は、どうもたいへん残念でございますけれども認めざるを得ないと思います。先ほどちょっと私のところにございます資料では、寝たきり老人対策の対象人員が三十四万と出ておりまして、それに対するホームヘルパーの数字が六千四百六十名というふうになっておることをちょっと申し上げておきます。そのほかに、ひとり暮らし老人対策で、やはり対象がほぼ同じで三十五万人でございまして、これに対して介護人の派遣の人数が三千四百人から五千七百二十五人にふえたというようなことでございますので、あるいはこの両者の数字をおっしゃられたのかと思っております。 それから六十歳以上の老齢者の就業率が、先ほど御指摘になられましたように、男は六〇%強、女は二四%強ということは、これはやはり国の老人福祉関係の施策がまだまだ不十分だということへの一つの証左であるという点は、私も認めざるを得ないと思います。と同時に、健康保険関係等の問題におきましても、最も働けてしかも収入が多い時代は、わりあいと給付のよろしい制度の中におれて、いよいよ病気をしやすくなりまして、しかも収入が落ちてまいりましたときに、給付の程度のあまりよくない制度に移らなければならぬというようなことも、当然われわれは再検討していかなければならないと思うのでございます。さらにことしの社会保障関係費が一兆六千四百億円余にのぼっておりますけれども、そのうちの半分近くの八千四百八十億というものが、実に社会保険関係の事業でございまして、純粋の社会保障費はその残りのものであるということを考えてみまするときに、確かに御指摘のようなことが当たっておると私も思わざるを得ません。 で、今後でございますけれども、たとえば先ほどの御質問の中にございましたように、老人の医療の無料化につきまして一実は政府が始めます前に、各地方自治体がそれぞれに始められたものを、途中で政府が引き取りたというような形でございます。その対象の年齢も、政府の場合は七十歳以上ということでございまして、必ずしも地方自治体が最初に始めましたいい例には及ばない点もございますが、そういった面を次第にならしてまいりまして、せっかく地方自治体がその乏しい財源から思い切って始められましたところの老人医療の無料化というものを、政府の施策としても裏打ちをしてまいらなければならないという感じがするのでございます。さらに諸外国でやっておりますように、元気で働ける時代にいわゆるペンションを積み立てまして、そのペンションを、いわば支払い準備基金というようなものに対しまして、これはいまいろいろ議論もございますけれども、その積み立て方式でいくか賦課方式でいくかというような問題でございますけれども、とにかくそのペンションを老齢で退職いたしましてから十分に払い戻しを受けるような形において、社会に老齢を押して就業をしなければならないというようなことがなくて済むような、そういう制度を発達させていかなければならないと私も考えておるわけでございます。
○戸田菊雄君 それで今度、厚生省から参っておりますから厚生省からでけっこうです。 この老人福祉対策あるいは心身障害者対策、母子福祉対策、いろいろございますが、これの中心は厚生省では何だと考えますか。
○説明員(山口新一郎君) たいへんむずかしいお尋ねでございますが、私は老人福祉の担当でございますけれども、老人問題に限って申し上げますと、やはり老後の問題でございますから、第一にはその生活費に対する対策ということで、やはり年金の確立というものが一番大きな問題になろうかと思います。二番目には、やはりお年寄りはからだが心配でございますから、そういう意味で、いざ病気になったときに、医療が容易に受けられるというような意味で、今回の老人医療対策というようなものが一つの柱になろうかと思います。それから三つ目には、やはり老後の生活も張りのある生活をする必要があるというような意味で、生きがいのためのいろいろな対策というものが必要であろうかと思います。そのほか福祉関係としましては、寝たきりでありますとか、あるいはひとり暮らし、そういうようなことで、一般のお年寄りの中で、ごく一部ではございますけれども、いろいろなハンディキャップを負った方がいらっしゃるわけでございます。そういう方のためのいろいろな対策を樹立していくというようなふうに考えられるのじゃないかと思っております。
○戸田菊雄君 いまおっしゃられたような諸要因というものがあるのだろうと思います、対策として。ことに私は、一番重要だと思うのは所得保障じゃないかと思うんですね。やはり所得がなければこれは生活の道がとだえるわけですから、ここをやっぱり中心に置いて、十分所得保障態様というものを考えてもらわなければいけないと思うんです。 そこで主税局長に質問するんですけれども、いま、再就職をして一定の収入を得る。そういうものを——いま読み上げた数字にあるわけですけれども、同様に、その六割以上は、私の調査によりますと年金生活者ですね。ところが、この年金も、最近やめられた人はそれでも、十分だとは言えませんけれども、まあまあ。しかし、それは高額者の場合。一般の退職者の場合には、とうていそんなもんじゃ生活の足しにならない。かろうじて、つとめておったときの給料の半分くらいで再就職して、それで雷かなっているというのがいまの実態です。こういうことになってまいりますと、いまの課税措置からいって、そういう年金課税がやられているわけですから、やはりこの面の生活保障、所得保障、そういう立場からいって、私は課税面の対策というものを十分行なっていくべきじゃないか。ことに、二十年代にやめて一定の年金なり恩給をもらっている方は、容赦なくやっぱり税金を取られております。たとえば、生活保護者以下の年金をもらっておっても、それは課税対象になっておる。そういう課税の内容の検討はぜひ私はやるべきだと思うんですが、その辺はどうでしょうか。
○政府委員(高木文雄君) 現在の所得税法上の扱いといたしまして、所得税法の二十九条で次に掲げる年金は、給与等とみなすということで、給与所得扱いになっております。それは一つには、年金を受けられる方が、年金だけで生活しておられるというのが通常の場合であろうかと思いますが、他にいろいろな所得がある——どこか企業なり会社なりをやめられて、そして他にまたおつとめになる、一方の企業から年金を受けられる。いまの企業からは、いま御指摘のように、いままでの半分かもしれませんけれども給与を受けられる。かりに、同じ年金を受けておられる方でも、新しい企業につとめられた先で受けられる給与の額が違えば、これはやはり、新しくつとめられた先での給与と、いままでの年金と合わしたところで、所得が多いか少ないかということを見て、やっぱり課税の公平を保たせるべきでありましょうということから、年金につきましても、給与所得と見て課税をするという現行制度は、いまのところそれでよろしいのではないかという感じを持っております。 ただ問題は、いま御指摘のように、まあそれでもつとめている間はよろしいが、またその先のことを考えなければならないということもあるわけですから、老人対策の一環として、年金受給者の課税扱いを、そのときそのときの時点だけではなくして、もう少し長期に見るべきだという問題もございましょう。その点につきましては、今度創設をお願いしている老人扶養控除制度ではなくて、老人が稼得者である場合の、老人の所得控除制度がいまのような額でよろしいかどうかというような問題もあろうかと思いますし、それから一般的に、現在、年金、退職金についての課税がいまの制度でよろしいかどうかという問題もあろうかと思います。かねがね、年金、退職金につきましては、だいぶ前回の改正以来時間もたっておりますから、一ぺん見直してはどうかというお話もあるのでございますが、私どももそういう時期が迫ってきておるように思います。ただいま御指摘の問題も含めまして、年金退職金等の課税問題を検討いたします際に、ひとつ一ぺん総ざらいに検討してみたいと思っております。
○戸田菊雄君 いま局長がおっしゃられましたように、確かにみなし給与として課税対象になっている。非課税のものもある、こういうことでありますが、この直税関係法規集一の八ページ、第九条でありますが、これの三のロですね、「遺族の受ける恩給及び年金(死亡した者の勤務に基づいて支給されるものに限る。)」、こういうことになっております。さらに、みなし給与として課税されるものは老齢年金、やっぱり課税対象になっていますね。それから通算老齢年金、これは同じように課税をされる。障害年金は非課税になっておる。それから遺族年金、同様に非課税であります。それから船員保険では、老齢年金が課税、通算老齢年金が課税、障害年金が非課税、以下、寡婦、遺児、遺族年金、これはすべて非課税、等々、もっとあります、一ぱいあります、課税、非課税の分類は。課税、非課税ということになっておるわけですが、私は、今回老人の扶養控除引き上げ、これは反対じゃないのです、賛成なんですが、もしこれをやるとするならば、非課税方式の範囲拡大ということで、この辺の検討も同時にあってしかるべきじゃなかったかと思うのですけれども、その辺の見解いかがでしょうか。 たとえば、わが党の竹田委員の長期答申の抜粋の資料、要点、この税調の答申をずっと見ましたけれども、三十九年、四十二年、四十三年と、いわば扶養控除あるいは老人のそういう控除に対して、一つの方針が出ております。しかしこれは、人的控除の基礎控除からいけば、あくまでも一貫して答申の内容にいっておることは、私の読んだ範囲では、これは補完的役割りということだろうと思うのです。だから、そういう意味合いで、四十三年度の答申は若干ニュアンスの違った形になっておりまするけれども、この辺のかね合いからいっても、私は、抜本的に、これらの年金、ことに老人の唯一の生活保障、そういうものに対しては、早期に抜本的に改善策をとられていいじゃないか。でき得れば非課税対象に範囲を拡大されてやることが望ましいのじゃないかと思うのですがね。現行、これに指定をされ、みなし給与として、それぞれ年金や保険の種別によってやられておりまするが、ここから税金の徴収されるのは額にしてどのくらいありましょう。もしその辺も含めておわかりならひとつ説明していただきたい。
○説明員(高橋元君) 年金の受給者からの所得税額が幾らであるかということでございますが、年金の給付額は比較的低い水準でございますので、他の所得と合算した場合に所得税の課税になります。したがいまして、年金にかかる税額が幾らであるかということを正確に抽出することはできないわけでございますが、年金受給者が、たとえば恩給とか企業年金というものをもらいます場合には、源泉徴収がかかるわけでございますので、源泉徴収税額で見ますと、四十五年に八十四億ということになっております。これは申告によって還付されるものもありさらに納付されるものもありますので、正確に、年金受給者が払っております税金が幾らであるかということは判明いたしません。
○政府委員(高木文雄君) 年金課税の問題につきましては、ただいま私の答弁ちょっと不十分でございまして、戸田委員から言われますように、課税されないものと課税されるものとに分かれて おります。私が先ほど申しましたように、給与とみなされるということを申しましたのは、いわゆる一般の年金は給与扱いになっているということでございますが、それ以外に、一種の福祉制度として支払われている年金につきまして非課税のものがいろいろあることは、ただいま戸田委員から御指摘のとおりでございます。私どものほうでは、非課税としておりますものと給与扱いとしておりますものは、本来その年金がいずれの性格のものか、一種の所得保障的なものであるのか、それとも福祉政策的なものであるのかということを区分して、福祉政策的なものであると考えられるものは、非課税扱いにしておりますし、通常の所得を、老人のための——老人といいますか、退職後の一種の所得保障であるというものは、それを給与所得扱いというように仕分けておるわけでございますが、だんだんこの年金制度が、いわば複雑多岐になってまいりました。よってもって、金額等もまただんだん動いてまいりました。したがって、その辺については相当交通整理の必要があろうかと思っております。その辺は、あるいは御指摘のように四十七年度——今年度においてもう少し勉強をすべきであったかもしれませんが、実は退職金等につきましてもだいぶいろいろ問題はございます。年金につきましても、受給者についていろいろ問題がありますと同時に、年金の掛け金等についての課税の問題というのが一つ別途ございまして、それらを総合的にどう見るかということで、一度どうしても年金制度について総合的な洗い直しの必要があります。ちょっとその時間が不十分でございましたために間に合わなかったというのが実態でございます。最近の機会に、年金制度全般についてひとつ、それは、ただいまお話の点は年金受給者の課税の問題でございますが、受け取るほうの人の課税の問題でございますが、その年金、ファンドといいますか、たまっておるものについてどうするか、これは民間のいろいろな、公的年金もありますし、私的年金もあります。そういうものについての課税問題等とも総合的に判断をいたしまして、これこそなるべく早い機会に交通整理して、結果を改正案の形で御審議を求めるということにいたしたいと思っております。
○戸田菊雄君 いまの答弁で了解をするんですけれども、まあいずれにしても、年とって汗水たらしてせっせと働いて、大体一般地方公務員とか、公務員やめて民間に行った場合には、労働条件はもっと過酷ですよ。従来、八時半から四時まで、一時間休憩でやったものが、六時ごろまで、たとえば交通公社に行って観光募集なんかをやる方なんか見ますと、最初から朝六時ごろ起きて夕方の八時ごろ帰ってくるんです。あるいは銀行の、いわばガードマンや守衛なんかやっている人は一昼夜交代、いま五十五歳の、ほんとうに死にもの狂いで働いてきて、それからまた夜寝ないで一昼夜交代ですね。そういう者が生活補てんのために働いて、そして年金と、いま課長がおっしゃられたようにみなし給与として総合課税ですから、総合所得としてそれに課税をされる。このぐらい、額にして八十四億円、決して私は粗末にするわけじゃありませんよ、八十四億円でも。だけれども、この程度の総体課税金額ならば、何とか、いま主税局長が言われたように、抜本的に洗い直しをして、そういう制度上の問題について検討する、こういうことでありますから、それで了解するんですけれども、ぜひひとつこの問題については、そのように今後進めていっていただきたいと思うのですね、要望申し上げておきたいと思います。 それから寡婦控除の場合ですけれども、現行の改正で二つだけ、二項目設定をされたわけですけれども、この計数は大体どのぐらいあるんですか、寡婦控除対象の。
○政府委員(高木文雄君) ちょっと古い数字で申しわけございませんが、四十四年の数字を申し上げます。寡婦控除は、申告で約十一万七千人でございます。それから源泉のほうで三万八千四百人。これは重複は若干あろうかと思いますが、ほとんど重複は少ないのではないかと思っております。
○戸田菊雄君 これは合わせると大体十五万、こういうことになりますね。今後の増加の見通しは、どういう見通しをされておりますか。
○政府委員(高木文雄君) ちょっと正確にはわかりませんが、四十七年度から今度の制度によってふえます寡婦の数は約十五万人ぐらいふえるのではないか、従来は扶養親族がなければいかぬという数が十五万五千ほどございますが、今度扶養親族の制限がはずれます。ただ、死別に限るということでございますが、それでふえますものが約十五万ぐらいではないかと推計をいたしております。
○戸田菊雄君 次は、法人税関係について若干質問してまいりますが、今回の特別措置法改正によって、どうも個別企業対象の法人税優遇措置というものが、過日も私指摘したのであります。どうも制度上、乱設ぎみじゃないかと。ことに造船関係ですね、あるいはプラント、あるいは為替差損の損金計上の問題等々、非常に金融、税制ともに個別産業を中心にしたものの、そういう制度上の優遇措置というものが両面から行なわれている。税制も同様のケースでいっているわけですけれども、この傾向は、私はあまり好ましくない傾向じゃないかと思うのですが、その辺の見解はいかがでしょう。
○政府委員(高木文雄君) あるいはそういう御批判を受けるのもやむを得ないかと思います。反省をいたしましたところ、若干そういうことになったかと思いますが、それは実は最近の産業政策が、主として通貨問題に関連をいたしまして国際的に緊張をしてきた。それで自由化等が積極的に進められなければならないということになってきた。で、資本の自由化も進みますし、それから個別物品の輸入の自由化も非常な勢いで進んできたわけでございます。それと関連いたしまして、自由化は行なうが、そうは言っても、その競争によって、直ちにわが国企業が急激なるショックを受けては困るというようなことがありましたので、多分にかゆいところに手の届くようなことになるかもしれませんが、そういう意味のもろもろの施策が産業官庁を中心にしてはかられまして、私どもへのいろいろな税制上の御注文も、かなり本年度はいつもの年に比べて決して負けず劣らず、いろいろきめのこまかいものがあったわけでございます。しかし、私どもの力及ばずということがあったかもしれません。あったかもしれませんが、私どもといたしましても、これは決してそう無反省にといいますか、これを取り入れたわけではなくて、相当、取捨選択、よほどのことがない限り認めないことにしたつもりでございますが、かなりいろいろと多種多様のものになったことは、結果としてそういうふうになったことは、御指摘のとおりであろうかと思います。今後はその反省の上に立っていろいろ考えてまいりたいと思っております。
○戸田菊雄君 保留金控除の年三百五十万、この線の引き方は、どういう考えで三百五十万というものを置かれたのですか。
○政府委員(高木文雄君) 留保金課税は、同族会においては、要するに留保と配当をどう仕分けるかということは、ごく少数の経営者によって判定されますから、そこで留保金課税制度というものが個人所得とのバランス上必要だということであるわけでございます。それには三つの条件がございます。それは、現在の留保の額がある程度になるまでは、何も留保金課税をする必要はないということで三つの基準がございます。一つは、資本金基準でございます。あと二つが所得基準でございますが、その所得基準は絶対額できまっているのは、従来は二百万あるいは所得の三五%ということになっておったわけでございます。そこで若干、二百万までは留保してもよろしい、あるいは所得の三五%までは留保してもよろしい、留保課税になりませんよ、こういうことであったわけでございますが、今度それを二百万のほうにいわばひっかかって留保課税になる企業、比較的下のほうの企業の留保金課税をしないようにしようということで、それをどの程度上げるべきかということを考えたわけでございますが、まあこれはあまり決定的な目安がございません。そこで一応所得が一千万円の場合を考えてみますと、一千万円の場合は、現在三五%という率から申しますと、ちょうど三百五十万円ということになります。ですから、率と関係なく所得一千万円ぐらいまでのところはまあ留保課税をやめましょうということで、一千万円掛ける三五%ならちょうど三百五十万になりますから、ここでまず三百五十万までは無条件に留保課税はいたしませんということにいたします。あとは一千万をこえますというと、今度は三五%をこえる額について留保課税にするということにいたしますれば、現在の三五%という率基準と金額基準とが一千万円そこで合いますので、一つの目安として一千万円のところで合わせようということで、三百五十万という金額を選んだわけでございます。 これによりまして、現在留保課税の対象は大体八万社ぐらいになっております。現在同族会社の数は大体九十万ちょっと欠けるぐらい、八十七、八万でございますが、そのうち八万社ぐらいが留保課税の対象になっておりますが、今度の改正に、よりまして、留保課税の対象数は大体五万社ぐらいに減るであろう、つまり三万ぐらいが二百万から三百五十万に改まることによって減るであろうというふうに考えられます。留保課税の対象になったもののほぼ三割五分ないし四割というものについて今度は対象にしないことにいたしましょうというのが、対象のほうからの検討はそういう意味でございます。
○戸田菊雄君 この前総理にも一応指摘したのですけれども、いまの法人税の体系として、同じ事業形態のケースでも、会社の名称を変えることによって、株式会社にすれば、 〔委員長退席、理事柴田栄君着席〕 必要経費においても、あるいは税においても相当低額になる。自分自身であくまでもやっていけばこれは相当高いものになる、こういう一つの矛盾したいまの法人税体系というものが存在をしているわけです。こういうものもどっちへ持っていくのが——株式制で課税をしていくなら、やはり個人で同ケースのものは全部そっちへひっくるめてしまうということがあってもいいんじゃないかと思いますが、いずれにしても、そういう不公平にわたらないような整理のしかたというものがあってしかるべきじゃないか、こういうふうに考えるんですが、きのう総理あまり明快な答弁をしてくれませんでしたから、主税局長、その点も含めて御回答いただきたい。
○政府委員(高木文雄君) これまでも実は個人事業の法人成りという現象が非常にどんどん行なわれておりまして、現在、御存じのように、日本の法人形態の事業というのは約百万に及んでおります。この現象は、世界的に見ましてもちょっと日本の特殊な現象でございます。 法人成りをするのはなぜか。私どもの仕事に関する限りでは、税が法人税のほうが安いといいますか、法人のほうが有利だから法人成りするのかということは、従来からいろいろ調べておるわけでございますが、どうも会社がふえましたのは、必ずしもその税だけの理由でもないようでございます。いろいろ従業員を募集するのに、やはり会社という名称が使われているほうがぐあいがよろしいとか、その他いろいろな理由によるようでございます。しかし一般的には、法人のほうが個人の場合よりも税が安いからということで、法人成りが行なわれるのだということがよくいわれておるわけでございます。私どもは、法人である以上は、やはりいろんな意味において法人としての体をなしておることが望ましいのでありまして、一種の租税回避行為のためにのみ法人ができることは好ましくないと思っております。 そこでその対策ということになりますが、さりとて現在中小法人の税をさらに現行以上に加重をしていくというのもいかがなものかと考えられますので、問題は、今後の方向といたしましては、やはり全体として所得税の軽減をはかっていくべきではないか。所得税の軽減問題は、サラリーマンにつきましてもそうでございますし、今後とも長期の課題として引き続いて行なわれるべきだと思いますが、所得税軽減があるテンポで行なわれますならば、個人経営者につきましても、この所得税の軽減をどの辺にウェートを置いてやっていくかということによっても違いますけれども、その辺も配慮しながら、所得税の軽減を行ないますならば、個人でやることがさほど不利ではないということになってまいりますからして、ただ税のためにのみ法人になるということにはならないのではないか。そっちの方向に持っていきたいと思っております。 ただ、それに関連いたしまして、先生先刻御承知のとおり、事業主報酬問題というのが起こっております。個人経営者の事業主について、一種の給与所得控除に類するような控除制度を認めるべしという議論が起こっております。この議論は、いま御指摘の点にも非常に触れる点でございますが、これは、御存じのように、最近税制調査会の中に特別委員会が設けられまして、そこで相当掘り下げた議論を時間をかけてやるということになっておりますので、それによって何らかの方向が出てくるのではないかと思っております。
○竹田四郎君 一点だけ法人税についてお伺いをしたいと思いますけれども、最近の企業のあり方というものが、いままでみたいに、一つの企業というのがそれが単独で存在をしている、単独で利益計算を出している、そういうようなものではなくなってきていると思うんです。たとえば自動車会社一つとってみましても、自動車をつくる会社があり、その下には必ずいろいろな名前のついた販売会社というものがあるわけです。これは電機関係でも、何々商事という形で、製品をつくるところと、製品を売るところというものが違っておりますし、それのさらに下に、いろいろな関係の特約店とか、あるいはそれに似た専門的なメーカーの専門的な販売店というようなものがあるわけです。したがいまして、企業計算を見ていく場合に、そのメーカーだけの企業計算だけで、はたして何台出て、どれだけの利益があったということは、その販売の系列会社を最後まで見ていかないと、実際の利益計算というのはおそらく出てこない、あるいは委託販売などもありまして、押しつけ販売という形のものをとっている場合も非常にあるわけです。そういたしますと、企業計算というものは明確に出てこない。最近その企業会計のあり方として、連結財務諸表というもので、そういう関係のあるものは、ひとつ根本の、本社の決算書においても、その関係の連結を見て、それによってほんとうの利益計算、ほんとうの会社の実態というようなものを、企業会計的に把握しようというような形で、連結財務諸表をなるべく取り入れようと、こういうことが企業会計の学会、あるいは研究所あたりでも、そういうものが非常に進んできていると思うんですけれども、あるいは同じ商品でなくても、コングロマリットなんというような企業形態も実際出てきて、そしていろいろな収支の計算というのが、一つの法人だけではわからない、こういうふうに非常に複雑になってきていると思うんです。しかし、先ほど申し上げましたように、たなおろし一つとってみても、一体これはどっちのものなのかというようなことは不明確ですし、債権債務の関係にしても、きわめて不明確だというような形の企業組織ができてまいりますと、企業の利益を計算して、それに対して税をかけていくという立場でも、この法人税に一定の企業計算のしかたということをやっているということは、法人企業のそうした記帳というものをある程度信頼して、それでひとつ税金をかけていく、特別のものについて、疑いのあるものについては調べるけれども、全体的についてはそういう形で、個人商品等に対する税金のかけ方とは違って、ひとつ手続を省いていこうというようなことが、法人税について一定の書式のものを、ひとつ取り入れさせ、それによってやっていくというような趣旨で、いま青色申告などもそういう趣旨できているだろうと思うんでございますけれども、そういうように、いままでの企業会計のあり方と違ってくると、こうなりますと、はたしてそうした報告されるものが一体正しいものなのかどうなのか、その上に各種の粉飾決算などと言われるようなものもあるわけですが、こういう時代というものが、私は今後急速に進んでいくだろうと思いますが、そうしたものに対して、一体主税局としてはそれにどう対応しようとしているのか、これはその対応がおそいということになると、税金のほうを結局まけてしまったり、あるいは取り過ぎたりという、公平の原則を欠いてくるというようなことも起きかねないと私は思うんですけれども、この点についてだけひとつお伺いをしておきたいと思います。
○政府委員(高木文雄君) 連結財務諸表の問題は、たしか昨年の春くらいからであったと思いますが、私どもの同じ大蔵省の中の企業会計審議会の中で、企業会計制度の問題として取り上げられまして、最近検討が始まったところであることは先生のよく御承知のとおりであろうと思います。私どもの基本的な考え方といたしましては、現行の法人税法のものの考え方というのは、商法なり、企業会計原則の上に立ってものを考えるということになっておりますから、企業会計のほうの御検討が進みまして、それが何らかの制度で取り入れられるということになりますと、しかも、それが単にそういう制度ができるということだけじゃなくて、若干の期間を置いてある程度それが確立をしてくるといいますか、完熟をしてくるということになりましたならば、税制も当然その上に乗って処理をするということになろうかと思います。それによって、たとえば税法上著しく納税者サイドが有利になり過ぎるというようなことがあって、他のそれを採用しない納税者との間に非常にアンバランスが出るというようなことになりますれば別でございますが、そうでない限りは、やはりその会計原則のほうで採用されたものの上に乗っていくということが第一原則であろうかと思いますけれども、ただ、いまどういう形で連結財務諸表の問題がわが国企業会計の中で取り入れられ、それが原則として取り入れられるというだけでなくて、現実に各企業の中に取り入れられていくであろうかということが、ちょっとまだ予測がつきませんので、企業会計原則としてそれが取り入れられてきました暁において、どういう時期に税法上それを取り入れていくかということについては、まだ十分検討ができていない状況でございます。ただ、このいま企業会計のほうでいろいろ検討になっておりますにあたっては、この連結財務諸表を採用することが、先ほど先生もちょっとあげられましたような、たなおろしの問題とか、それから特にたなおろし資産の、いまではいわば実質に未実現利益に課税されてしまうというような不利益がある、あるいは親会社と子会社との間の片方に欠損金があって、片方に利益があるという場合に、利益のあるほうだけが課税になってしまって、欠損金がオフセットにできないというようなおそれがあるから、連結財務諸表のほうが有利であるということもあって、どうも企業サイドのほうに強いわけでございますけれども、それは確かに間違いなくそうなんですけれども、不利な点もないわけでございまして、たとえば大きな会社になりますと、税率が高くなり、小さい会社で所得が小さい場合には、御承知のように軽減税率の適用がある。それから交際費は幾らまで出せるかという場合に、一社四百万円ということがあるが、連結してしまうとどうしても一社扱いになってしまう。寄付金の扱い限度は一社幾らということがある。ですから、有利な点だけを連結で一つに扱っちゃって、不利な点は各社別にしてもらいたいと言われても、それはちょっとぐあいが悪いことになりますので、企業会計のほうでいろいろ御検討の上、さらに税務会計の上にそれを適用しようという場合に、相対的に見た場合に、やはり全部を一つとして見ることが有利なのか、それとも不利な点もあるなあということになるのか、そこらは企業会計だけの問題ではなしに、各企業でも、企業会計の専門家のほかに一税務会計の専門家もおられて、企業会計の中で税務関係の方がこれに介入して議論されるとあまり得じゃないなあという面も出てくるのではないかと思いますので、いまの段階では、私どもあまり出過ぎて、これはいい、いいと言っても、損な面もありますよと言って歩くよりは、企業の方の御検討——いま主として企業会計の方を中心として御検討が進んでおりますから、その中で、企業会計の中の税務関係の方の御検討を待った上で、私どももいろいろ参画さしていただきたいという感じでおるわけでございます。まだ私どもの感じでは、そう近々のうちに私どもがそれに参画してものを申さなければならぬという時期まではきていないんじゃないかと思っておりますが、あるいはその認識が甘いかもしれませんが、いずれにいたしましても、この問題は、企業会計制度を合理化していく上に重要なことでございます。そのことにおいては、基本論としては、税務のサイドも協力をしていきたいと思っております。
○竹田四郎君 これは、片方は幾ら企業の中の税務をやっておる人だって、やはり会社のもうけということが中心ですからね。税金をたくさん納めようなんて言ったら首切られちゃいますから、私はそういうものを実に巧みに使っていくと思うのですよ。大きな企業、そういうふうな大きな企業に深い関連を持っている企業については、私は税務署だってかなり甘いと思うのですよ。そういう意味では、連結財務諸表でもうけるほうはあるいはよくわかる、しかし税金を納めるほうは、それからはじき出してなるべく少なく納める、こういうようなことはかなり行なわれると思うのですよ。内部的には、まだ一般に公表されるものとしての連結財務諸表というところまではいってないようでありますけれども、実際上に企業の形態が複雑になってきている現在では、企業が一体うまくもうかっているかどうかということで、内部的にはかなり連結財務諸表という会計を実際上は取り入れているというふうに私も話を聞いております。ですから、うろうろしていると、大蔵省のほう、主税局のほうがおそくなってしまって、いいようにまた法人にもうけられてしまう、こういう心配が十分ある、こういうふうに思うわけでありまして、何かずいぶん先のような御答弁ですけれども、それがほんとうに会計制度として公式なものとして取り入れられるという段階というのは、あるいはかなり先かもしれません。しかし、実際に内部の会計の上で、企業の実態を把握するためには非常に便利だと思うのです。そういう意味では使われているわけでありますから、ひとつ何年か先のこととしてお考えではなしに、そういうものを取り入れるということは、向こうがいかに税金を少なくして、いかにしてもうけるかというねらいなわけでありますから、そのねらいをはずさないが、片方がそれがぴっちりしてこなければ、おれのほうの番じゃないのだというようなことでは、これは最後的には税の公平の原則にも欠ける点があるんじゃないか、したがいまして、ひとつこの研究というものも十分やって、いいところ悪いところ、いまおっしゃったように私あると思うのです。いいところだけ利用されて、悪いところは除かれて、それが税金のほうに関係してくるということになると困りますから、ひとつこの点十分この機会に、大蔵省の主税局でも研究をしていただいて、税の不公平がないような形を考えてもらわなくちゃいかぬと思うのですが、あまり局長ののんびりした話ですから、それではどうも困るようなのですが。 〔理事柴田栄君退席、委員長着席〕
○政府委員(高木文雄君) 決してのんびりしてていいというわけではないのでございまして、ただ一つ申し上げておきたいことは、やはり私のほうの従来のたてまえでは、税務会計はすべての面に、おいて企業会計の扱いの上に乗っていって、そして企業会計の扱いがそのままで放置しておいたのでは、課税上不公平になるという場合に、企業会計の原則はそうであってもだめですと、こういういき方でいっているわけです。そこで現在のところは、まあどうも企業会計のほうは原則としてまだ確立してないという状況でございますので、少しのんびりしたようなことを申し上げたのでございますが、まさに御指摘のようなことになってはたいへんでございますから、ひとつよく勉強したいと思います。
○渡辺武君 私は相続税法の改正案について伺いたいと思います。 この改正案によれば、配偶者の相続税額が現行に比べてどれだけの軽減になるのか、これまず最初に伺いたいと思います。私お願いをして資料をつくっていただいてあるはずでございますので、婚姻年数二十年以上の配偶者について、実際の所得額が遺産の二分の一の場合で、相続人が配偶者と子供四人の場合、軽減額と軽減割合がどのくらいになるのか、これを基礎控除前の遺産額別におっしゃっていただきたいと思います。
○政府委員(高木文雄君) それでは申し上げます。 基礎控除前の遺産額が一千万円の場合には、現行でも税額はゼロでございます。よって改正の影響はございません。 基礎控除前の遺産額が二千万円の場合には、現行の配偶者の税負担額は十八万五千円でございます。これが改正案ではぜ戸になります。よって軽減額で申しますと十八万五千円、全体が軽減額であり、軽減割合は一〇〇%ということになります。 次に、基礎控除前の遺産額三千万円の場合、現行の配偶者の税負担額五十四万六千円でございます。改正案によりまして全額ゼロになります。軽減額五十四万六千円であります。軽減割合一〇〇%ということになります。 基礎控除前の遺産額四千万円、この場合の現行の配偶者税負担額百九十一万二千円でございます。その場合の改正後の税はゼロになります。軽減額は百九十一万二千円になります。軽減割合は一〇〇%であります。 次に、基礎控除前の遺産額五千万円の場合、現行の配偶者の税負担額三百四十七万九千円であります。この場合もゼロになります。したがって全額三百四十七万九千円が軽減されます。軽減割合一〇〇%であります。 基礎控除前の遺産額六千万円の場合、この場合は現行の配偶者の税負担額は五百十四万六千円であります。この場合にも改正ではゼロになります。軽減金額は五百十四万六千円になります。軽減割合一〇〇%であります。そこまでが軽減割合一〇〇%であります。 次に、基礎控除前の遺産額七千万円、その場合の従来の負担額七百一万二千円でございます。改正案では百十五万七千円の負担になります。差し引き軽減額五百八十五万五千円であります。軽減割合八三・五%であります。 次が、基礎控除前の遺産額八千万円であります。現行の配偶者の税負担額八百九十二万九千円であります。改正案によりますとそれが二百五十万五千円になります。軽減額が六百四十二万四千円になります。軽減率が七一・九%になります。 基礎控除前の遺産額九千万円。現行の配偶者の税負担額一千九十四万六千円になっておりました。それが改正案では四百一万三千円になります。したがって、軽減額が六百九十三万三千円であります。軽減割合は六三・三%であります。 基礎控除前の遺産額が一億円の場合、現行の配偶者の税負担額は一千三百二万九千円であります。改正案によって五百六十四万八千円になります。軽減額が七百三十八万一千円であります。軽減割合が五六・七%であります。 基礎控除前の遺産額が五億円の場合、現行の配偶者の税負担額は一億二千百八万四千円であります。それが改正案によりますと一億八百十四万八千円になります。軽減額は一千三百六十五万六千円であります。軽減割合は一一・二%であります。 基礎控除前の遺産額十億円の場合、現行の配偶者の税負担額二億八千八百七万円であります。それが改正案によりますと、二億七千百八十一万二千円になります。軽減額は一千六百二十五万八千円であります。軽減割合で五・六%ということになります。以上でございます。
○渡辺武君 どうも詳細にお答えいただいてありがとうございました。いまお答えいただいたところで非常にはっきりあらわれでいると思いますけれども、婚姻期間二十年以上の妻に限定されておりますけれども、しかし、遺産額が六千万円、まあ妻の場合半分相続するとして三千万円までですね、これが相続税が全部ゼロということになっているわけでして、この辺については今回の改正が比較的小さな資産を持っている人たちについて、特に妻についてかなり有利だという積極面を持っていることは私どもも大いに賛成できることであります。しかし、これを見てみますと、軽減割合ではずっと落ちてはおりますけれども、しかし、遺産額一億円、五億円、十億円というような比較的大きな資産を遺産として相続する人たちですね、相続を受ける人たち、妻の場合でもこの大きな資産が相続されるわけですが、こういう人たちにまで軽減しているという点については、ちょっと行き過ぎじゃないだろうかという気がするんです。この前主税局長の御答弁を伺っておりますと、高額の遺産を取得した配偶者まで恩恵を与える必要はないのではないかという意見があって、今回の改正を行なったというような御趣旨の御答弁がありました。しかし、この御答弁から考えてみましても、ちょっとかなりの大資産の遺産相続の場合に、こうして軽減しているということは、適切じゃないんじゃないかと思うんですね、ですから、最高限度をきめて、それ以上は軽減しないというような措置を講ずべきであったんじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
○政府委員(高木文雄君) 御指摘のとおりでございまして、率では下がっておりますが、額ではどうしても軽減額が上のほうが多くなっております。前回私が御説明いたしましたのは、今回のような措置を考えます場合に、総じて三つの案があったわけでございます。 一つは、夫婦の間は全部非課税にしてしまうという案でございます。これは非課税でございますから、どの階層も軽減割合は現行制度に比べれば一〇〇%。それから軽減額は上にいくほど当然多くなる。こういうことになるわけでございます。 第二案は、鈴木委員から克明に御質問がございました妻の寄与の問題に関連して、寄与率をどう考えるかということから、寄与率を一々判定することはできないから、相続財産は夫と妻が協力してできたものということで、寄与率が半分入っているのだからということで、二分の一まで非課税にするという考え方にしたらどうか。これが第二の考え方でございます。その場合に、この案に比べますというと、上のほうまで半分までずっと非課税になっていきますから、軽減割合はもっとずっと上のほうまでこの案よりはさらに高くなってまいりますし、軽減額はずっとこの案よりもさらに高くなってまいります。それはまずいからということで、比較的上のほうは軽減割合が、まあ額はどうしてもこれは税金の計算でございますので、少ししかいままでいただいていない方をよけいにするというわけにいきませんから、マイナスの税金という制度がありませんから、いたし方ないので、せめて率を上のほうはあまり響かないようにするにはどうしたらいいかということから、やはり限度を置くという以外にしかたがあるまい。ただ問題は、金額を幾らにしたらいいかということには御議論がいろいろあろうかと思いますけれども、一応三千万円ということにいたしまして、でき上がりましたものが、ただいま申し上げましたような数字でございます。 おっしゃるような点で、五億だ、十億だというたいへんな財産家について軽減を考える必要があるのかどうかということについては、異論がおありのようでございますけれども、しかし、そうかといって、まあうんと財産家の方は、妻は全く無価値だというわけにもちょっといかないというような感じがしまして、それでもう一つは、上のほうを全く働かせないようにするためには、このようにして限度を置いてすら、こういうようになってしまいますので、上のほうに全く働かせないようにするためには、今度は逆に税率か何かで調節しなければならぬことになるわけですけれども、それもますます複雑なことになるので、この程度の、少なくとも御指摘のように、額的には軽減額が上のほうが重くなりますけれども、まあ、この程度であれば、いわゆる金持ち優遇ということにもならないのではなかろうかということで、広く国民の皆さんの御理解をいただけるのではなかろうかということで、一、二、三のうちの第三の、比較的下に厚く上に薄くということになる第三を選んだということでありまして、これでも、少なくとも額で言えば、上のほうが厚いのではないかということにつきましては、数字が示すとおり、御指摘のとおりでございます。
○渡辺武君 私どもこの家庭における妻のいろいろな仕事ということについては、十分これは評価すべきだというふうに思います。思いますので、今回のこの措置については、小資産の人たちについては、これは非常にけっこうなことだというふうに思っておるのです。しかし、問題のこの出発点といいますか、立脚する原則的な立場といいますか、その辺が妻の寄与率がどのくらいかというようなところから出発するから、そういう矛盾が出てくるんじゃないかというふうに思うのです。やはり問題としてわれわれは考えなければならぬのは、夫に死なれた妻の老後の生活をどういうふうにして保障していくかという問題が、非常に重要じゃないかという気がするのです。 私、いまさら申すまでもなく、この日本は、年寄りの自殺率が非常に高い。特にその中でも、老婦人の自殺率というのは非常に高いのです。ですから、社会保障制度が全く立ちおくれておるような状況のもとでは、税制の面からも、この夫に死なれた婦人の老後の生活という点の保障を考えていく必要があるんじゃないか。その立場から考えていけば、いま御答弁のあったような矛盾は出てこなかったんじゃないかという気がするのです。また税制技術上からいって、最高限度をきめるということも、私はけっして技術上不可能なことじゃないというふうに思うのです。ですから、こういう大きな資産を遺産相続として受ける人までも軽減措置を講じているというところに、今回の改正案の最も大きな弱点があるというふうに私思います。で、その上のほうの問題については、なおあとから詳しく伺いたいと思いますが、下のほうの問題でなお考えてみますと、次のような問題があるのですね。いま申した結婚歴二十年以上という奥さんの場合、これはいま言ったような軽減措置を受けている。しかし、結婚歴二十年に満たない奥さんはどうなのか、それからまた子供たちはどうなのか、そういう問題があると思うのですね。 特に、小資産の遺産しか相続できないというような人たちについて、やはりいま言ったようにこれらの人たち、父親が死んでその老後を、そのあとの遺族の生活をどういうふうに考えていくかという点に立脚すれば、私は今回の措置は片手落ちの点が非常にあるというふうに思います。そういう意味で、やはり全体としてこの相続税の免税点を引き上げるということを考えるべきだったんじゃないかと思いますが、その点どうでしょうか。 〔委員長退席、理事柴田栄君着席〕
○政府委員(高木文雄君) ただいまの御質問、最後の御質問にお答えする前に、ちょっと一言だけ御説明さしていただきたいと思いますが、さっき申しましたような三つの考え方があったわけでございますが、結局第三の考え方をとりまして、三千万円までの金額であれば、実際に妻に分割されることを前提にして、その妻に実際に分割される額までについて軽減いたしますと、こういう制度をとったのでございまして、そのことはたいへん議論が混乱いたしますけれども、頭から妻の遺産形成の過程における妻の寄与というものを見たわけではなくて、そこに重点を置いたわけではなくて、妻に分割をされる財産というものに重点を置いたわけでございまして、その意味では、渡辺先生が言われますように、妻の老後保障といいますか、そういう点に重点を置いたわけでございます。寄与率という感じでございますと、今度は老後保障とかなんとかいうことを離れていくわけで、すけれども、この場合には、奥さんがせいぜい最低の生活ができるようにというか、そういう感じで考えて、現実に奥さんにこの配分される額が大きければそれだけ税金が安くなりますよという形をとることによって、そうすれば家族会議によって税金が安くなるならば、おかあさんになるべく多く分与しましょうということになることを促進することになりますから、そういうことを通じて、たとえおなくなりになった方が何も遺言を残されなくても、あとで財産分けの相談をされる場合でも、おかあさんの取り分が比較的多いと、税金が全体として安くなるということであれば、まあおかあさんにそれでは財産をたくさんあげておきましょうということになりますから、そういう意味で、このおかあさんに分与される財産がふえることを促進する働きになるだろうということを考えたことを一つつけ加えさせていただきます。 それから、本来妻はそれでいいとしても、もっと子供だって非常に気の毒な人があるのではないかということから、基礎控除を上げてはどうかというお話でございます。この点、私どもも全く同感でございまして、四十一年以来まあ基礎控除の額が動いておりません。ちなみに、基礎控除の額の経過を申しますと、三十九年、少し古くから申しますと、法定相続人の数が五人ということを前提にいたしますと、三十七年改正で三百五十万にいたしました。三十九年改正で五百万にいたしました一四十一年改正で一千万円にいたしました。基本的にはそれ以来動いておりません。ただ四十六年改正のときに、贈与税の改正に関連をいたしまして、やはり配偶者の控除を若干直しまして、四十六年に千二百万円に改めております。で、こういう経過をたどっておりますので、この四十六年改正は、妻の場合を考えてのことでございますから、配偶者のない場合の相続税の基礎控除の額は四十一年以来動いていないわけでございます。それからまあ六年たっておりますということを考えますと、御指摘のように、そろそろこの基礎控除問題を考えるべき時期ではないのかということは私どもも否定いたさないわけでございます。ただ一つ問題がございますの屡相続税に関連いたしまして、実はいろいろ問題がございまして、贈与税の問題がございます。それからこの間からときおりここでお話が出ております事業用資産の問題がございます。そういったことでいろいろ問題がございます。そのうちの一つとして、まあ妻の問題がありたわけでございまして、その全部一ぺんにやるか、あるいはそのうちのいずれかを漸次見ていくかということでございますが、事のよしあしは御批判を受けますが、本年はまず妻のところからということになったわけでございます。将来もこれらのもろもろの点を同時にか、あるいは順を追うて漸次相続税の手直しをしてまいりたいというふうに考えております。
○渡辺武君 まあ免税点の引き上げを考慮するということで、非常にけっこうなことでありますけれども、四十一年度で一千万円で、それ以来ずっと、ほとんど手がついてないということでは、ちょっとあまり低過ぎるという感じが強いのですね。ですから、促進する意味で、幾つかの実例について伺いながら意見も述べてみたいと思います。 この税制調査会が、四十三年の七月に「長期税制のあり方についての答申及びその審議の内容と経過の説明」をまとめておりますけれども その中に、東京都の標準的な住宅地である世田谷区の成城、それから経堂、それから上馬、それから杉並区の天沼三丁目、板橋区の常盤台一丁目などの数字がでております。それを見てみますと、宅地七十坪、家屋三十坪の場合、これは昭和四十二年分の相続税評価額で計算したもので、自用地の場合ですけれども、六百四十万円ということになっております。私、この間大蔵省の担当の方に、この六百四十万円というこの評価額が現在は幾らぐらいになっているだろうかといったら、ほぼ二倍に近いだろうというふうな御答弁がありました。そうしますと、千二百万円以上ということになります。そうすると、つまり土地の面積も変わらなければ、家も若干古くなったということなんですね。ところが、地価が高騰したために、その遺産相続する場合の相続額は大きくなる、こういうことになるのですね。そうしますと、免税点一千万円で、かりにここのところが妻と子供四人ということにかりにしてみれば、税金を納めなければならぬ、こういうことになります。そうしますと、土地の幾ばくかは切って売り払うということをやらなければならなくなるのですね。標準家庭だということでありますので、大体まあわれわれと同じような一般庶民と考えていいと思うのですけれども、そういう人たちが、やはりそういう点で生活上身を削るということになるのじゃないかと思うのですね。これは一例です。なおそのときに、同じように大蔵省のほうで伺いましたところが、都市の地価はここ数年の間毎年二〇%近く上がっているのだというお話もありました。そこでいまおっしゃった昭和四十一年度の相続税の改正のときの免税点一千万円、これを基準にして年々二〇%ずつそれに掛けて計算してみますと、四十七年度では二千八百万円の免税点がちょうど相当するというような計算になります、計算上はね。ですから、いまいろいろ御検討中だといいますが、相当大幅に実情に合ったように免税点を引き上げませんと、一般庶民の生活がこの相続税によって脅かされるということになるのじゃないかというふうに思います。その点どう思いますか。
○政府委員(高木文雄君) 私どもも、この案を立てます際にも、御指摘のように、基礎控除を上げることを選ぶべきか、それとも配偶者控除の——いや、配偶者の地位を、何といいますか、相続税法上何らかの配慮をするということにポイントを合わせるべきか、たいへん考えたわけでございまして、その際に、ただいまのような御指摘の観点から申しますと、確かに基礎控除につきましても、もう何とか考慮すべき時期にきておるというような感じを持ったわけでございまして、もちろん両方一緒にやるというごとも考えられるわけではございますが、これはまた御存じのように、いつもおしかりを受けておりますように、ことしは所得税の減税を、昨年の年内減税以上には上に出られないというような事情もございまして、まあ財政政策のやり方をどう置くかにもよりますけれども、かなり苦しい事情にありましたので、あっちもこっちもなかなかできないというようなことで、妻のほうが優先ではあるますかということで、そういうことをやったわけでございます。よってこの問題は、決して私ども忘れておるということではございませんで、かなり切迫した問題であろうかというふうに考えております。ただまあ、ただいまのことはまさに最も典型的に——土地と家屋の価額が、実際町の価額も上がっておりますし、相続税の評価額も上がっておりますから、最も典型的にその財産の中において土地の占める割合が高い方、遺産の中で土地の占める割合が圧倒的に高い方の場合に響いてまいりますが、まあほかに預金もありましょうし、若干他の資産もありましょう。もちろん現在の相続税の対象となっております資産の中を見ますと、圧倒的に土地がウェートが高いので、先生御指摘のような点にウェートを置いて考えるということは私ども異存はございませんが、一つは、土地が高いということ、それから妻についての制度をこういうふうに改めさせていただきますれば、少くとも四十六年度と四十七年度との対比においては、配偶者への分与額を三千万円までふやしていただけば実際軽減になるわけでございます。で、現実に相続税の課税対象で、配偶者がある方で相続が起こった場合と、配偶者が全然いないで相続事案が起こった場合と比較いたしますと、配偶者のある方の相続事案が大体六割ぐらいになっております。ですから、今回の措置をやって全く効果がないといいますか、ききませんのは、おとうさんがなくなられた、その前におかあさんがもうなくなっておるとか、逆の場合とかでございます。ですから、その場合には今度の制度ではだめなわけでございますが、おとうさん、おかあさんがいて、どっちかなくなったという場合には、今度の制度でもきいてくるわけでございますので、まあその両々考えまして、一ぺんに両方ができなかったのは残念でございますが、今回は妻のほうの取り扱いということで処理をさせていただいたと、私どもも何とか早い機会に基礎控除の点も考えてまいりたいと思っております。
○渡辺武君 簡単にオーケーと言ったんで、どうもいつものような調子が出ないのですが……。 それでは次に移りますが、相続財産の中で、いまや土地が圧倒的に多いんだとおっしゃいましたが、その価額の構成割合の順位ですね、これはどんなふうになっておりましょうか。
○政府委員(吉國二郎君) 相続財産の内容を四十五年分の相続税で調べてみますと、土地が六三・九%、いわゆる有価証券が一二・九%、現金預金が八・八%、その他の財産が一四・四%ということになっておりますが、これは四十一年とそれを比較してみますと、土地が五八・八、家屋が六、有価証券が一五・六、現金預金が八・四、そのほかが一一・二ということになっておりまして、大体土地の割合がかなりふえておりまして、相対的にその他の資産がやや減っておるというような実情でございます。
○渡辺武君 そうしますと、やっぱり地価の高騰というのがこの相続財産の価額の上昇の一番大きな要因になっているということは、これはもう非常に明確に出ますね。との相続税の国税全体の中に占める割合なども、資料をいただいて調べてみますと、ずっと年々傾向的にその比率が大きくなっているんですね。その点で、私先ほど申しましたように、これは生活用に使う資産まで相続税をかけられているんじゃないかという感じが非常に強いんです。ですから、免税点の引き上げを重ねてお願いしながら、なお今度は、上のほうの話を少し伺ってみたいと思うんですが、国税庁が発表しました「昭和四十五年中に相続が開始したものの申告課税価格ベストテン」というのがございますが、この上位十人の遺産の相続財産の内容ですね。これはどういう比率になっておりましょうか。
○政府委員(吉國二郎君) この発表いたしましたものは、御承知のとおり、相続税法の規定で公示をいたします価格を発表したわけでございます。で、公示の価格は課税価格までということになっておりますので、個々の内訳は表示できないわけでございます。そういうわけで一々申し上げるわけにいかないという制約を受けております。そういう点を御了承願いたいと思います。
○渡辺武君 このベストテンのうちの一位が東洋工業の社長の松田恒次さんで、課税価格が十二億六千万。第二番目が元区長となって、どういう方か知りませんが、長島さん、これが九億九千九百七十万円。それから三位が藤浪紡績の社長の藤浪さん。これの課税価格九億六千万円。四位が豊年製油の社長の杉山さん、課税価格八億五千万円というようなことで、相当大きな資産を相続さしておるという状況なんですが、この中に、たとえば八番目の山林業の足立正平さん、六億八千万円というものは大体まあ土地が中心だろう。それから十番目の不動産貸付業の久能木さんが五億三千九百万、これも大体土地が中心なんだろうということがほぼ想像できるのですけれども、この会社社長というような方々の相続財産というものは大体土地が中心なのか、それとも有価証券が中心なのか、あるいはまた現金、預貯金が中心なのか、その辺はわかりませんですか。
○政府委員(吉國二郎君) 具体的に個々にはちょっと申し上げかねますけれども、傾向としては有価証券が一番多いということでございます。ことに同族会社の場合などは、その同族会社の株式が相当割合を占めておるというふうな実情でございます。
○渡辺武君 そうしますと、まあ全体としては土地が中心なんだけれども、特に会社関係の大資産家の場合ですと、有価証券の比重が非常に大きいということになろうかと思います。それにまあ土地が加わるということだろうと思うのです。ところで、この土地にしても、それからまた有価証券にしましても、少額の場合はこれは問題なしですよ。国民が生活用に土地を持ち、その上に家を建てて住んでいる。あるいはまた農民や中小企業が土地を持ち、それを開拓し、あるいはその上に工場を建てて商売をやっておるというような場合は問題はない。しかし、これが大口になってくると、当然遺産としてそれらを相続した人たちの手に、それが基礎になって不労所得がころがり込んでくるという状態になってくると思うのですね。そういうことは、やはり相続税のたてまえからしてよろしくないのじゃないかと思うのですね。好ましくないと思う。富の集中を防いでいくというところにも相続税の一つの大きな目的があろうかと思う。ところが、その免税点のほうは、いまやるとおっしゃったけれども、ここ数年間据え置きになっておる。まあ二十年以上結婚した妻で——私もこの点は別に何ですけれども、賛成する点が非常に多いのですけれども、しかし、さっき申しましたように、大資産家の妻の場合は、これまたやはり多少でもあるけれども、軽減措置が講じられるというような状態がいまあるわけですからね。そういうことで好ましくないと思うのですね。ですから、そういう点で大資産の遺産相続の場合、もう少し考えるべきだと思いますけれども、その点どうでしょうか。これは妻の場合だけじゃなくてですよ。
○政府委員(高木文雄君) 相続税については、いろいろな問題があるわけでございます。 〔理事柴田栄君退席、委員長着席〕 そして一般的には相続税がまあ非常に重いということが問題になっておるわけでございます。それがために実はいろいろな、一種の租税回避行為が起こる。まあ生存中にいろいろ財産の分与が行なわれるというようなことも問題になっております。御存命中に贈与をされて、贈与税を払ってでも贈与されるということならば、これはまだよろしいわけでございますけれども、なかなかそうでない場合もあり得るわけでありまして、非常に問題は、相続税にはいろいろあります。私どもといたしましては、いろいろな問題はございますが、やはり夫から妻というような関係での世代、ゼネレーションをまたがない意味での相続については、これは今回もそうでございますが、今後も、たとえば贈与税なんかを考えますときにも、何かいろいろくふうを要する点があるんじゃないかと思っております。世代をこえましたところの相続についても、これはやはりその方のおなくなりになった方の税金の、いわば一生の清算という意味でございますけれども、先ほどおっしゃいましたように、税は富の再分配機能を果たさなければならぬわけでございますが、その再分配をする機能を果たす場合には、相続税が清算の役割りを果たすものでございますから、相当慎重に扱わなければならぬと思っております。それではひとつ相当重くして、どんどん取ったらどうだと、こういう御議論につきましては、私はちょっと実は、基本的理念には渡辺委員の御主張に賛成するわけでございますが、具体的に案を立てますにつきましては、必ずしも理論どおりにいかない点があるということを、ひとつ申し上げておきたいと思うのでございますが、それはなぜかと申しますと、やはり非常に税が重く、税率が高くなりますと、いろんな意味での、いわゆる租税回避行為が起こるわけでございます。これはむしろ国税庁長官の守備範囲の問題でございますけれども、たとえば土地でございますとか、それからただいまお話がありました同族会社の株式でありますとかいうものは、いわば私どものことばでは表現資産といっておりますが、ちょっとことばは悪いんですけれども、逃げ隠れのできない資産であるわけでございますが、財産の中には必ずしもすべてが逃げ隠れのできない財産だけではなくて、なかなか目につきにくい財産もあるわけでございまして、あまり著しく税率を高くしていきますと、当然のことながら、それに対応する回避策がとられます。これはある意味では、人間の情としてやむを得ないところでもあろうかと思います。そうなってまいりますと、たとえば交通事故等によって不慮の死を遂げられた方であるとか、おじいさんがなくなられ、相続が起こって、お気の毒にまたすぐ次代の方がなくなられて、孫に移るというように、いわゆる思わざる相続が起こったときにのみ非常に重いことになるという実態がございますので、ここらあたりのところについては、なかなか私ども過去において現場の仕事をやっておりました経験を持つ者といたしましては、理論的には一生の清算ということで、相続財産のかけ方が相当重くていいはずであると思うのでございますが、ここらあたりの現実の申告水準と申しましょうか、税務署なり何なりの調査能力と申しましょうか、それによって真実把握の可能性の限度と見合わせながら、制度を組み立てませんと、うまくいかぬ点があるということだけをひとつ申し上げておきます。考え方としては、やはり高額の方については相続税は相当重くして、いわゆる不労所得、お子さん、お孫さんの時代に不労所得が発生しないようにするのが本来のたてまえであると思います。
○渡辺武君 次の質問に移る前にちょっと伺っておきたいんですが、いまの有価証券の場合は、これは評価は額面でやるんですか、時価でやるんですか。
○説明員(大石幸一君) 株はまず上場いたしております株でございます。これは当然株式市場で成立しております株価でございます。ただこれは、相続時、死亡時の価格の終値と、その月の終値の平均額という、いずれかの低いほうの価格で評価をいたします。 それから上場されておりませんいわゆる同族会社の株でございますね。これはなかなか技術的にこまかいことでございますけれども、大体観念といたしましては、大会社と申しまして、ほぼ上場し得る程度の規模に達しておりますものは、上場しております株価を基準といたしまして、それを基準として評価をします。 それからほんとうに個人と同様なような会社につきましては、会社の純財産の価額で一株当たりの価格を評価します。大体大ざっばに申しますと、そういうことで評価をいたしております。
○渡辺武君 そこで、先ほど主税局長から税率のお話が出ましたけれども、いま税率はどういうようなことになっておりますか。
○政府委員(高木文雄君) 申し上げます。 相続税の税率は、相続税を納める方、なくなった方でなくて、相続税を納める方つまり相続人に財産を分割していきまして、その方の相続される額といいますか、相続分の額において税率がきまっております。その額が六十万以下の場合は一〇%、六十万から百五十万が一五%、百五十万から三百万までが二〇%、三百万から五百万までが二五%、五百万から八百万までが三〇%、八百万から千二百万が三五%、次に千二百万から千八百万が四〇%、千八百万から三千万が四五%、三千万円から五千万が五〇%、五千万円から七千五百万円までが五五%、七千五百万から一億円までが六〇%、一億から一億五千万円までが六五%、一億五千万円以上あと無限大で七〇%。以上でございます。
○渡辺武君 いまの御答弁でも非常によく出ておると思いますが、私はやっぱりこの辺に問題がありゃせぬかと思うんです。いまいろいろ実務上の困難ということもおっしゃいましだけれども、しかし、税率そのものですね、ここにこそやっぱりもう少し検討の余地がありゃせぬかという気がするんです。なぜかと申しますと、六十万円から百五十万円まで一五%とおっしゃった。そうしますと、その間九十万円ふえて五%税率がふえる、一〇%から一五%になるわけですね。それから百五十万から三百万円までが、一五%のやつが二〇%になるわけですから、百五十万円ふえて五%税率が上がる、こういうことになりますね。それで逐次上へずっと申し上げますと、法定相続分が二百万円ふえて税率が五%上がる、その次は三百万円ふえて税率が五%上がる、その次は四百万円ふえて税率が五%上がる、こういうことになっておりますね。特に七千五百万から一億円のところで申しますと、二千五百万円ふえて税率は五%上がるだけ、それから一億円から一億五千万円のところは、五千万円ふえて税率が五%上がるだけ、こういうことになっておる。つまり小資産の遺産の相続の場合ほど税の刻みが小さいんですね。それで大資産の相続をやるほど税の刻みの幅が大きい、それで税率が上がる率は五%ずつ上がっていく、こういうことになっているんですね。これではやはり小資産を相続する人たちのほうが重い税金がかかって——相対的にですよ、相対的に重い税金がかかって、大資産を相続する場合は相対的に軽い税金がかかると、こういうことになっていると思うんですね。特に一億五千万円以上になりますというと、どのくらい大きくなっても税率は全部七〇%でもう題打ちと、こういうことになっている。これではやはり国民としては納得できないことだと思うんですね。ですから、小資産を相続する場合の刻みをもっと広げたらどうなのか。そうして税率の上がり方も、大資産の場合よりももっと少なくすべきじゃないか。基本的には免税点を上げる。その上に、小資産の相続の場合は税率をもっと安くして、刻みをもっと広げていくというふうにして、上の大資産の場合は、大体七〇%頭打ちなんていうのはちょっとひどいですわ、やはり。さっきも申しましたけれども、地価が上がっておりますからね、だからして、相続の額は大きくなっているはずですよ。だとすれば、この七〇%で頭打ちということでなくて、もう少し税率も上げるべきだし、とにかく高度累進という体制をしっかりと税率の上でもとるべきだというふうに思いますけれども、その辺どう思われますか。
○政府委員(高木文雄君) ただ、一点申し上げておきたいのは、先ほどの千二百万円とかなんとかいう金額は、免税点ではなくて、基礎控除の額になっておりますから、遺産の額から基礎控除を引いて計算したものに率を掛けますから、たとえば二千万円のところから千二百万円引くのと、一億のところから千二百万円引くのでは、その千二百万円引く意味が、上へ行けば非常に小さくなりますし、下のほうではかなり大きく引いたことになりますから、したがって、税率だけとはちょっとまずいので、遺産の額から控除額を引いて、それに税率を掛ける、しかも、いまの率は、限界で上へ出たものを順番に、御存じのように、所得税と同じように積んでいくわけでございますから、手元に資料を持ち合わせませんのでうまく御説明はできませんが、実効税率で計算してみますと、ただいま御指摘のような感じよりは、遺産額の低い階層ではもう少し累進度のカーブがゆるやかになっているかと存じます。しかし、いずれにいたしましても、先ほど、四十一年に改正して以来、控除額が直してないと申し上げましたが、四十一年の改正のときには、相続税も、基礎控除と税率と両方の組み合わせでできておりますから、やはり基礎控除と税率を一緒に直したわけでありまして、先ほど御指摘によって、基礎控除の額も漸次直しますということを申し上げましたが、今度基礎控除の額を直しますときには、税率のほうも、いまの適用幅を少しずらすということをやっていきませんと、基礎控除を直しただけでは、たとえば基礎控除を千二百万円からかりに二千万円なら二千万円に直しますと、世田谷の成城に持っておられた土地で、前千二百万円でちょうどよかったのが、二千万円になったとしますと、課税最低限を上げればそれは非課税になりますけれども、今度それをこえたほうの税率は、まさにインフレーションで価格が変わっておりますから、そのカーブをずっと図表の上で右側にずらしませんと、四十一年の状態と比べて著しく重くなっていくということになりますから、そこで、おっしゃるように、四十一年をベースにしてその後改正をしてないのを直します際には、おっしゃるように、税率も控除と合わして直さしていただきたいと思います。 それから最高税率をいま七〇でとまっておりますのをもう少し延ばさぬかと、こういう御指摘でございますが、この問題につきましては、ちょっといま、ここではっきりいずれとも申し上げかねるわけでございます。と申しますのは、先ほども申しましたように、理論的にはその方の一生の税の清算であり、相続税というものがそういう性格のものでございますから、理論的には、かなり資産の多い方については、少なくとも限界税率は相当高い税率でよろしいということは言えるわけでございますが、どうも限界税率が高くなればなるほど、租税回避行為への誘惑といいますか、そういう力が強く働くということを先ほども申しました。そのことを考えました場合に、はたして得策かどうかということをもうちょっと考えさしていただきたいと思います。そこらをにらみ合わせまして、来年なり何なりにひとつ、改正の案をつくってみたいと思っております。
○渡辺武君 いまおっしゃった免税点を上げると、その免税点を上げたのに応じて税率のほうもずらす、これは当然のことだと思うんです。それをやらなきゃたいへんなことになると思うんですよ。しかし、私心配しますのは、昭和四十六年八月の税制調査会の答申の中でこういうことをいっておる。「相続税の税率については、」——少し間を飛ばしますが、「所得税率の累進度のかなりの緩和が図られていることをも考慮し、」「その見直しを行なう必要がある。」こういうことをいっているんですね。この趣旨は、つまり相続税の税率を、いまの比較的これは累進性になっておりますけれども、これをもっと緩和するということを考えているんじゃないかという気がするんです。それで、主税局長の言われた、税率を見直すとおっしゃるのは、私が申し上げているように高度累進という方向で見直されるのか、それとも累進性を緩和するという方向で見直されるのか、その点ちょっとおっしゃっていただきたい。
○政府委員(高木文雄君) 私どもが考えておりますのは、四十一年度の物価水準を考えて、その場合に、たとえばあるところで土地を持っておられた方が、いままでは課税対象にならなかったのに、現在では課税対象になると、それはおかしいということを直すと同じような意味におきまして、それよりは少し——当時も課税対象になっておられた方がおるとします。先ほどのは、当時課税対象にならない人がノミナルの評価額が上がったために課税対象になって非常に困るじゃないかというお話でございます。今度は、当時も課税対象になっておった資産を持っておられて、そしてそれが今度評価額が変わったという場合に納められる税額というものは、いまの税率表のままですと、非常に実効税率が高いものになります。同じ土地を持っておられても、かりに土地の評価額が倍に上がれば、刻みのカーブの都合上非常に高いものになりますから、ですから、少なくとも相当、何といいますか、その土地等を考えますならば、その評価額の推移に応じてこの税率刻みを直していって、四十一年当時と比べてあまりひどく差のないものに直さないとおかしいということは言えると思います。ただ、一般的に、実質的に何か負担の軽減をはかる、四十一年の相続税形態と比べて実質的に軽減をはかる、そういう必要は、私はいまのところは何もないのではないかというふうに考えております。先ほど来、免税点といいますか、どこから課税になるかという課税最低限について御指摘になったと同じような意味で、私は四十一年から四十六年までのノミナルな推移は是正しなければならぬことを考えなければならないと思いますが、それ以上相続税を軽減するというようなことは一切必要ないのではないかというふうに考えております。
○渡辺武君 これは免税点を上げたほうがいいという税制調査会の答申とも関連して私申し上げているんですよ。さっきも申しましたけれども、やはりわれわれは、一般勤労国民の生活擁護という点から出発してこの問題も考えなきゃならぬと、そういう点から申し上げているんです。免税点は当然上げるべきだ。同時にまた、ほんの少額の資産を営々とかせいで、子供たちに遺産として渡すというような場合に、国が税金をかけてこれを幾ばくか取っていくというようなことはよろしくないんじゃないかと。やっぱり勤労者の生活を擁護するという見地で、いまの税率の刻みは非常に小さいですよ。そして小さい刻みで、五%ずつ税率がふえていく、こういうようなことじゃなくて、もっとこの税率の刻みは広げて、そしてこの税率のふえ方も少なくする、ただし大資産という場合には、七〇%で打ちどめというようなことじゃなくて、やっぱり最高税率も上げ、いまのような刻みを広くするんじゃなくて、刻みをもう少し狭くして、やっぱり持てるところから取るということでやっていくべきだと思うんです。その点はそういう方向でひとつ検討していただきたい。どうですか。
○政府委員(高木文雄君) 私が申し上げておきたいのは、たとえばあるAという場所に四十一年に土地を持っておられて、その当時相続が起こったとすれば、かりに実効税率が四〇なり三五なりであったといたします。それが六年たったためにその土地の評価額が変わりますと、現在計算をしてみますと、当時ならば三五、四〇であったところの実効税率が、現在ではもっとうんと高い実行税率になるという危険があるわけでございます。 それは先ほどまさに御指摘のように、相続財産の中に占める土地のウェートが高く、しかも、その土地の評価額が急激に上がっておりますから、そういうことになる傾向がございます。それはある程度是正する必要があるのではないか。それは基礎控除と同じようにある程度直す必要があるのではないかということを申し上げておるわけでございます。 そこでもう一つおっしゃっていらっしゃるのは、四十一年度のときと比べておっしゃっているのか、あるいはそれと関係なくおっしゃっているのかわかりませんが、要するに、全体としてのカーブをもう少し重くしたらどうかという御議論でございますが、これは、繰り返し申し上げますように、いまの相続税のカーブ自体が急であるかどうか、つまり重いかどうかということは、これはどうも相続税の税率カーブがどのくらいのものが絶対的にいいということはなかなか言えない、客観的な基準がないわけでございます。ただ、いま以上に重くすることがいいか悪いかということにつきましては、私は理論的にはそれは十分考え得ることだと思いますけれども、私の過去におきます現場でいろいろ仕事をいたしました実感等からいたしますと、どうもなかなか実効が上がらないことになっておって、理論倒れになる危険性がありますので、いま以上に税率を実質的に重くするということについては、私は現段階でここで御答弁申し上げることについてはちょっとちゅうちょするということなのでございます。
○渡辺武君 どうも大資産に対する課税というのになるとちゅうちょするという傾向がいまの御答弁の中にも出ているんですね。大資産の場合は、それは税金のがれをいろいろと考えるというけれども、そうならますます、もちろん厳正に課税して取るということも必要ですが、同時にまた税率を高くして取るということも必要になってくるんじゃないでしょうか。それは水かけ論になりそうだからやめますが。 最後に一言だけ伺いたいと思うんです。いまの御答弁を伺っておりましても感じるんですけれども、たとえば同年代の場合、夫が死んで妻に遺産が相続されるというような場合ですね、その場合に税金をかけていいかどうかという問題もあると思うんですよ。同時にまた、今度は親が死んで子供に遺産が相続されるという、年代の違う場合、この場合はどうかという問題もあるんだというようなお答えがありました。この前の議論を伺っておりましても、妻が財産をつくるのに貢献した、それで税金をまけるなら、子供も親の財産をつくるのに貢献したんだから、子供に対しても相続税をまけるべきじゃないかというような議論もあります。私はこういう議論は、これはいまの日本では抽象論だと思うんですね。正しくない議論だと思うんです。なぜかと言えば、年代が同じであろうと違おうと、問題として考えなきゃならぬのは、小資産が相続されるのか、それとも大きな資産が相続されるのか、この問題を抜きにしては考えられないということですよ。もしかりに時代が違って、そうして親の財産の形成に子供が貢献したという議論をやろうとするならば、たとえば会社の場合どうですか。いまの同族会社の場合、それは子供が働いて貢献しているでしょうけれども、同時にそこで使われている労働者も大いに貢献しているんです。労働者には遺産の相続はない、子供には遺産の相続がある。その場合に、税金は貢献したからという理由で軽減される、こういうことでは不合理になるんじゃないでしょうか。問題はやはり個人の名義になっている財産、これが課税の対象になるということだと私は思います。そうして、その財産が大きいか小さいか、金持ちか貧乏人かということなんです平たく言えば。そこに立脚してこの相続税の問題も考えなければならぬ。そうでないと、同世代だからといって、一番最初指摘したように、私は妻の座を認めるということは大いに賛成だけれども、しかし、大きな資産がころがり込んで不労所得が入るというのは、かりに同世代の妻であってもよろしくない、社会的正義に反する。子供にとってはいわんや当然のことです。社会的正義に反しますよ。ですから、そういう階級的な見地をこの中で十分に考えて、そうして国民の生活擁護という見地から、この問題に対しても対処してほしい、そうして犬資産の遺産相続の場合には、これは当然社会的正義に立脚して十分な課税をすべきだ、しかし、小資産の場合はできるだけ免税点も上げ、税率も安くして、その生活を脅かさないようにするというのが、これが原則じゃないですか。その点、どう思われますか。
○政府委員(高木文雄君) 基本的には賛成、全く同じ意見でございます。もともと相続税というものは、所得の、何といいますか、その方の所得の一生の清算ということでございますから、そしてその次のゼネレーションに一種の不労所得のもとになるような財産が引き継がれるということは好ましくないということでございますから、そういう意味におきまして、その相続財産の額が大きいか小さいかということによって態度も違ってしかるべきものであるということについては一般的には全く同意見でございます。 それから先ほど夫婦の間の、妻の夫に対する寄与の問題と、子供の親に対する寄与の問題のお話にちょっと触れておられましたんですけれども、私どもは今回の妻の相続税についての制度を考えます際に、先ほども申しましたとおり、寄与の問題を考えて今度の制度を設けたということではなくて、老後の保障と申しますか、安心と申しますか、そういうために今度の制度を設けたわけでございまして、したがって、今度の制度の展開として、今度は親から子供への相続税についても、何か寄与の問題を考えて、次の改正の機会に何か考えるということは、いまの段階ではちょっと考えていないわけでございます。ただ、それとは別に、現在親と子が一緒になって事業をやっているという場合に、たまたま財産がふえていくときに、その名義を、どっちかというと、経営の主宰者である親名義になる場合が日本の慣行では非常に多い。実際には親子がともども働いて財産がふえてくるんだが、初めから親名義でやっている場合が多い。課税の上では、昨日申しましたように、実質主義でございますけれども、なかなか実際問題としてそれが親名義である以上は、子供のものだという証明はつきませんから、そこで実質子供の形成をした財産であっても、親名義ということで、そこに相続税がかかるという実体がありますので、これをどうするかという問題がありますが、これはちょっと相続税だけの問題でなくて、そのうしろにある財産形成と、それの名義をどうするかということの関連の問題でございますので、それがなかなか現行相続税では手がつきにくい問題だということでございます。そうだからといって、その寄与度を何か考えて相続税を控除するということは、いまのところ考えておりません。
○野末和彦君 前回の続きで、サラリーマンの税金のことでちょっとお聞きしますが、源泉で控除して、源泉徴収のやり方になっておりますけれども、これを必要経費は申告させる方向で実額控除の申告制度ですか、そういうものが、もちろんいまないんですけれども、それと源泉のほうと選択制にしたらどうかという考えがあるわけで、何か大蔵省のほうでもそれを検討中というような話をちょっと聞いたことがあるんですけれども、いかがでございましょうか。
○政府委員(高木文雄君) 現在サラリーマンの給与所得制度については、源泉徴収制度になっておりますが、源泉徴収制度の問題とは別に、御存じのようにサラリーマンの必要経費を計算します場合に、実額で計算をいたしませんで、給与所得控除を使っております。たとえばここで御商売をやっていらっしゃる方がある場合には、これは売り上げから経費を引くわけでありますが、その経費を引く額は、これは概算控除でなくて実額でいっておるわけであります。先般御指摘がございましたように、その実額が個別に計算できない場合に、一種の標準率というような制度がございまして、外交員のような場合に標準率が使われておるという実態でございますけれども、これもやむを得ずこの標準率のようなものが使われているわけでありまして、あくまで実額で経費を見るというたてまえでございます。ところが、サラリーマンの方は経費を実額で見ないで概算で見ます。その概算の見方は、定額控除と定率控除になっております。こういう仕組みになっておるわけでございます。 そこで、現在の給与所得控除では、サラリーマンにはその業種業態によってとても引きされない、定額控除あるいは定率控除だけでは引ききれないという方がありまして、そういう方については、先ほどの御質問では源泉徴収とおっしゃいましたけれども、そういうことではなしに、所得の金額を計算するのに、サラリーという収入から経費を引きます。その引く額を計算するのに、給与所得控除のように機械的な計算方法でなしに、実際にこれだけかかりましたよという経費を積み上げて、それを引く制度にしてはどうかという問題はございます。現にその制度は一部アメリカ等のサラリーマンについては、そういう制度は制度としてあるわけでございます。そこで、私ども主税局におきましても、給与所得控除のほかにサラリーマンにつきましても、給与所得者につきましても、実額経費控除制度を導入してはどうかということは研究はいたしておりますし、それから現在サラリーマン訴訟等におきまして、そういうことにすべきであるという主張が出ましたり、あるいは経済評論家とかそういう税制専門家とか、そういう方の間からそういう御主張は出ております。それに対して、私どもは実は結論といたしましては、まだそういう制度を採用するのはやや時期尚早であるという感じを持っておりますし、税制調査会におきましても、これについては時期尚早ということの御答申をいただいています。それは四十六年八月の「長期税制のあり方についての答申」の中におきまして、「給与所得者の経費を個別的にしん酌する趣旨から、給与所得者についても経費の実額控除制度を現行制度との選択で認めるべきであるとの意見がある。現在のように給与所得控除が相当の水準に達していることを考慮すれば、経費の実額控除を必要とする給与所得者は特定の職業、階層に限られてくるものと思われる。いずれにしてもこの制度を認める前提としては、給与所得者にとって何が費用であるかを明確にすることが必要であり、この点について問題を残したままこの制度を採用するときは、税務執行上少なからざる混乱を招くほか、立証技術の巧拙」じょうず、へた「によりかえって負担の不均衡をもたらすおそれも強いので、慎重に対処することが必要であり、いま直ちにこのような制度の採否を決定することは時期尚早であると考えられる。」というのが、四十六年八月の「長期税制のあり方についての答申」でそうなっておりますが、まあ私ども事務屋も大体これに近い考え方を持っております。しかしながら、一部の、ここに「特定の職業、階層」と書いてございますけれども特定の職業、階層の方についてやはりそういうことも考えなければどうも不公平であるということも現実にございますので、この問題につきましては、時期は申し上げかねますが、私どもといたしまして、引き続いて、ことばの上だけじゃなしに検討をしてまいりたいと思っております。
○野末和彦君 いまの時期尚早ということでは、全くそのとおりだと思いまして、私もそれで税調答申を読みましたけれども、ただかりに、これはあくまでかりの話ですが、これが個人によってどっちを選択してもいいというふうになるとしますね。そうしますと、実額控除の申告制度というのを選ぶ人たちの数というのはどのくらいだというふうにお見通しですか。いまは特殊の職業というような表現になっておりましたが、何割ぐらいでしょうか。
○政府委員(高木文雄君) 先般来、野末委員から御質問がありまして、給与所得控除の定額控除なり定率控除なりはまだ低いのではないか、これをもっと上げるべきではないかという御質問がございましたが、私どものほうは、もうかなりの水準に達しているのではないか、こういうふうに申し上げました。それは一体何が必要経費であるかという判断の問題でございます。どこまでがいわゆるサラリーマンとしての必要経費であり、どこからはサラリーマンであろうとなかろうと、生活のための経費であるか、つまり基礎控除、配偶者控除、扶養控除のほうで見らるべき問題であると見るべきかという分解の問題が一つございます。もう一つは、必要経費ではなくして、いわば、ちょっとことばは悪いのでございますが、趣味嗜好の問題であると考えるべきか、そこらの境目によって、どのくらいの適用者があるかについてもいろいろ議論があると思いますが、そういう計算はやったことはございません。やったことはございませんが、私どもの、これは主税局長というよりは、どちらかといえば、私個人のきわめて達観ということで御理解を願いたいと思いますが、人数としてはせいぜい数%の問題ではなかろうか、そう現在の給与所得控除で必要経費をまかなえないようなほどの経費がかかっておられるというサラリーマンの方が五%もこえるような数がおられるとは、私どもの感じでは実は持っていないわけでございます。
○野末和彦君 ぼくもそう思うのですね。そんなにいないと思うのです。それから実際この制度が導入されてもけっこうめんどうくさいのですから、なかなかいわゆるサラリーマンにとってありがたい制度だというふうにも思えないのですが、それでもなお、やはりこういう制度をやってほしいのだという声があるというのは、いまの源泉徴収制というのが、どうしてもサラリーマンにとって、何か他の職種と比べて不均衡だという実感があるからだと思うのですよ。で、先般来、主税局長の説明で、サラリーマンの場合、控除率が決して低くはないのだ、非常に高いという表現でしたけれども、その説明ありましたけれども、一つ問題は、こういうことじゃないかと思うのですね。まあ標準率で比べると、いろいろ違った数字が出るかもしれませんが、捕捉率をここに勘案しますと、サラリーマンは一〇〇に近いというか一〇〇ですね、一〇〇の捕捉率で、他の業種は幾ら概算控除が何%というような数字を出しても、捕捉率の点においてはサラリーマンよりずっと低くなるわけですね。そうなると、捕捉率を勘案しない場合には、二五%の概算控除は高いとか、あるいは外交員は三〇%とかいろいろ言いましたけれども、捕捉率が一〇〇と、ほかの職業があるいは九〇だか八〇だか、それはわかりませんが、少なくも一〇〇でないとすれば、当然そのパーセンテージの比較はちょっとおかしくなってくるわけですね。それを考慮に入れると、サラリーマン自身は、自分の立場からやはりおかしいのじゃないか、そういう均衡説というのはとても納得できない、こういうふうに考えるのですが、いかがでしょうか。
○政府委員(高木文雄君) ある意味ではおっしゃるとおりでございます。この捕捉率の問題というのは、非常に現行税制上大問題でございます。現行税制では、捕捉率に差があるということを前提にはしてないわけでありまして、あくまで、捕捉率はいずれの場合にも一〇〇%だという前提で現行税制は組み立てられておるわけであります。一体、税制を組み立てる場合に、捕捉率というものを考えるべきかどうか。特に捕捉率、把握率というものについて、何か業種とか、職業とか、階層別に差があるという前提でものを組み立てるということは非常に問題のあるところでございまして、まあいろいろ議論はございますが、いまのところ現行税制におきましては、捕捉率というものは全く頭に置いていないわけでございます。現在の給与所得控除の月額十三万円をペースとして四百万円余りまで定率、四百万円までの所得の方についてまで二〇、一五、一〇という率で、漸次給与所得控除の額を計算してまいりますが、あの額の思想は、サラリーマンについては捕捉率が高いからという思想は全くないわけでございまして、やや説明に苦しいところはありますけれども、これはもっぱら、あくまでサラリーマンの必要経費だということは言っておるわけでありますが、もしこの捕捉率の問題を問題にしてまいりますと、今度はサラリーマン以外の申告所得者の相互間においてまたいろいろの問題が起こってまいるということでございまして、まあいわば、従来は捕捉率の問題を税制上取り上げるということは、いわば、何といいますか、タブーのようなことでしてきたわけでございます、今後ともちょっと、捕捉率の問題を税の制度の上に入れてきて、そして捕捉率ということを頭に置きながら税の制度を組み立てるということは、非常に困難ではなかろうかというふうに考えております。
○野末和彦君 確かに捕捉率に差があるという前提は、税の制度の上には取り入れることはできないかもしれませんが、しかし、現実的にははっきりそれはしているわけですね、捕捉率に差があることは。そうなると、もしサラリーマンが、いわゆる圧力団体のようなもので、おかしい、おかしいといってつっつけば、これはやはり言うことを聞かざるを得ないようになるでしょう。ぼくはそういう点が一番いまの、まあ政治全体のおかしいところかもしれませんけれども、税制で実におかしいということを感ずるわけですね。ですから、税制の上で捕捉率の差は取り入れられないが、しかし、実感としてそれがある以上——今回の所得税の改正でサラリーマンの減税は全く考えられていないわけですけれども、こういう場合に、もちろん主税局長が先日お答えになりましたように、いままで十年の歩みほどには改める必要はないと思いますけれども、少なくも全く無視するというのはだめなんで、毎年毎年時代の情勢に応じて少しずつでも減税をしていくのが当然じゃないかと、そうしなければ、やはりサラリーマンの不公平感というのはなくならない。もちろん永久になくなることはないでしょうけれども、やはり見送るということはぼくはちょっと納得できないのですがね。
○政府委員(高木文雄君) 所得税の問題につきましては、実はいろんな問題があります。野末先生は先般来給与所得者、サラリーマンの問題としてお取り上げでございますが、そのほかにも、たとえば事業所得者、特に個人事業所得者と、法人経営者との間の問題というのが、最近非常に深刻な問題として議論されております。具体的には、事業主報酬制度を認めよという形でいま議論が起こっているわけでございます。いずれにいたしましても、そういう各異なる階層、異なる業種、業態ごとに、いろいろ御主張があるわけでございますが、全体としてやはりこの所得税の負担軽減をはかっていかなければならないという点においては、私どもも全く異論はないわけでございまして、その場合に、所得税の負担軽減をはかっていく場合に、各業種、業態を通じて一律同様に減税をはかっていくということで考えるのか。その中の特殊な業種なり何なりに特に重点を置いた減税をはかっていくのかということにつきましては、せっかくのおことばではございますが、先般来申し上げておりますように、ここ十年は非常にサラリーマンを中心に減税を繰り返してまいったわけでございますが、ややその反動的な傾向と申しますか、事業所得者サイドからかなり強い程度の反論が起こってきているという事実を私どもは否定できないわけでございまして、そういう意味において、はたして給与所得控除制度に重点を置いた減税を行なうべきものなのか、ほかの諸控除であるとか税率とかに頭を置いた減税を行なうべきものなのかということについては、やや先生と違った私は現在のところ感触を持っているわけでございますが、しかし、サラリーマン減税という問題は古くしてなお新しい問題でございますから、今後とも十分検討させていただきます。
○野末和彦君 主税局長のお答えを聞いていますと、何となくいままではサラリーマンはかなり優遇してきた、それに引きかえほかの業種はいささか不公平のままでほうっておいたので、ここでまた差を詰めたというような感じも受け取れるわけですね。でも大体税負担は公平にやっているわけで、毎年毎年不公平がないように改正していくのがあたりまえだと思うわけですよね。ですから、いまのように、いままでサラリーマンは特に優遇して、ここで反発の声があちこちから出てきたというのは、これは反発の声が出てきたほうばかりを向いているとそう思いますけれども、サラリーマンのほうを一歩向けば、やっぱり同じことになるわけです。そうなると、これはやはり主税局長のお答えのとおりには私は納得できないので、いままでサラリーマンを優遇して、かなりの、十年間は優遇してきたというのであっても、ここでもってそれじゃ今度ほかのほうをという考えはいかがでしょうか。つまりいままで税制上の不公平を認めていたということになりませんか。
○政府委員(高木文雄君) なかなかその辺はむずかしいわけでございますが、現在給与所得控除というのが、適用されておりますのは、必ずしも典型的なサラリーマン、つまり私どもでございますとか、会社、銀行につとめておられるからとか、工場につとめておられるからとか、そういう方だけに給与所得控除が適用されているわけではなくて、会社をみずから経営をしておられて、そしてまあ社長さんである、それで奥さんが会社の重役になっておるという形式をとっておる、いわば同族会社の場合に、その会社の社長さん、奥さんは税法上はやはり給与所得者になりますから、給与所得控除が働くわけでございます。ところが、ほぼそれと似たような、売り上げの規模なりお店の規模なりがほぼ同じ程度であっても、それが個人経営で経営しておられる場合には、その場合には奥さんのほうは専従者ということで、給与所得控除が働いてまいりますけれども、事業主本人は給与所得控除が働かないということがありまして、そこで個人経営の経営主と、法人経営の形をとった経営主との間の課税のアンバランス問題というのが出てきたわけでございます。これが事業主報酬の問題として非常にいま大きな課題として議論されているところなのであります。そのように給与所得控除制度というものは、私どもとか何かのように、いわば典型的な、全くの典型的なサラリーマンにだけ適用されるのではなくて、実体は事業経営であるが会社の社長であり重役でありという形、息子さんはまたたとえば総務部長さんとかなんとかという形になっておるという方には、みな給与所得控除が働いていきますから、そこで給与所得控除というものがそこまで働いている現状をひとつ頭に置きますと、農業とか、あるいは商業でも、個人経営でやっておられる場合、これには給与所得控除が働いていないということで、そこで問題が起こってくるわけでありまして、そこのところに最も典型的に給与所得控除制度の不公平問題が最近になって起こってきたわけであります。私どもは決してどっちがどうかということでもありませんし、そっちがうるさくなったから、これをちょっと休んだというわけではないのでありますが、やはり業種、業態別の公平論というものを無視できませんからして、給与所得控除制度の問題につきましては、事業主報酬制度の問題との関連におきまして、どうしても解決せざるを得ない立場に追い込まれておりますので、先般来先生のお話に対しては、サラリーマン減税問題については、私は決して無視するつもりはないわけでございますが、軽視するつもりはないわけでございますけれども、その制度のそれを具体化するについて、給与所得控除制度ということで、初めての拡充ということで、来年度以降それを実施するかどうかについては、なかなかそういうめんどうな問題があるということとの関連で、実は相当ちゅうちょしているというか、来年もそういうほうに進みましょうと申し上げにくい答弁をいたしたということでございます。
○野末和彦君 しかし、典型的なサラリーマンの数ははるかに多いわけですから、そこを中心に考え方をしてもらいたいと思うのです。 そこで今度は、青色申告者の控除があるんですけれども、あれは減税面で、サラリーマンと青色申告者を比べて言うのはおかしいかもしれないけれども、しかしわれわれの考えでいいますと、やはりこれは青色申告者の正確な帳票ということが含まれた上での今度の十万円の控除だとすれば、これはサラリーマンは前から正確な帳票ですから、これは同じわけでしょう。そうすると、四十六年度は青色申告者にもそれぞれの措置があったわけですね。四十六年の末の改正には両方なくて、今度は青色申告者だけが、さっきも多田委員からの質問がありましたけれども、一年でやめて今度控除を十万円にしましたね。それを考えてみますと、青色の場合には地方税を含めてのかなりの軽減になりますね。そうなると、非常に減税面でサラリーマンと青色申告者の間に不均衡が出てくる。もちろんここだけ比較するなと言われればそれまでですけれども、やはりいま数年間の改正の動きを見ていて、今回青色だけが優遇されて、サラリーマンが見捨てられているとなれば、やはり捕捉率一〇〇を目ざして申告してほしいということになれば、これはやはりここでサラリーマンにも青色申告者の控除の十万円に匹敵する何かがあって当然じゃないかというふうに私は思うわけですね。それについてそういう考えが間違いなら間違いで、納得できるような説明をしていいただきたいと思います。
○政府委員(高木文雄君) 青色申告控除の十万円というわけは、いかなる性質のものであるかということでございますけれども、これは、たとえば青色の場合と、白色の場合と比較してへ把握率に差があるということを頭に置いて、そしてことばの上でどう説明するかということと関係なく、把握率を頭に置いて設けたものであるということではないわけでございます。しからば、いかなる趣旨のものであるかといいますと、これはやはり純粋に青色申告制度の奨励のための制度でございます。ただそこに十万円という額が控除額として認められました結果、そうしてそれが、去年四十六年度まではそういう制度がなかったということとの関係から申しますと、四十六年度における青色事業主とサラリーマンとの関係、それから四十七年度における青色事業主とサラリーマンとの関係を比軽してみますと、おっしゃるようにその差が四十六年と四十七年度とでは十万円だけ差がついてきたということでございます。これはサラリーマンのほうから言わしむれば、新しい制度が青色申告制度にできて、サラリーマンのほうが不利になったということかもしれませんし、それから青色申告者のほうから言わしむれば、これはいままでの差が追いついたということかもしれませんし、そこはどっちからどう説明するか。直接にはサラリーマンと青色申告者とのバランスを考慮してつくられた制度ではございませんけれども、でき上がった結果、両者を比較し、それを四十六年と四十七年と相互に両方を合わせてみると、とにかく十万円だけいわば差が詰まったというか差が開いたというか、それだけの差があることは事実でございます。そこは非常に問題のところでございまして、私どももこの意味におきましては、四十七年度に新しく青色申告控除制度がつくられますにつきましては、かなりそういう問題があることを認識しておるわけでございます。いずれにいたしましても、これは常に起こる問題でございます。サラリーマンのサイドと、事業主のサイドと、両方からわがほうが不利であるという主張が繰り返される問題としてあらわれてくる問題でございます。
○野末和彦君 私は別に青色申告者控除十万円が悪いというのではなくて、これは大いにけっこうなわけです。ただし、主税局長がサラリーマンのほうから見れば差が開いた、青色のほうから見れば差が詰まったと言いますが、主税局の立場では一体どっちなんですか、それをお聞きしたい。
○政府委員(高木文雄君) これは私どもは白色の事業主と、何というか青色の事業主との関係で見て、そして十万円の奨励制度というのを置いているわけでございます。それは制度として考えます場合に、その差を詰めるとか、差が開くとかいう意識を持ってやっているわけではございません。ただ結果として、それは四十六年度、四十七年度を比べれば、そしてサラリーマンと青色とを比べれば、とにかく十万円の差が追いついたというか、差がついたというか、そういう結果にはなりますが、私どもの制度をつくりますときの意識としまして、そこを追いつくようにしようとか、開くようにしようとか、そういう意識を持ってやっているわけではないわけでございます。
○野末和彦君 もちろんそうじゃないと思いますけれども、結果としては差がついたというか開いたというか、なくなったというか知りませんが、結果的にはバランスがとれていることになるのですか。
○政府委員(高木文雄君) 青色申告者の場合に、実はいろいろ問題がございます。と申しますのは、青色申告者にもいろいろな方がおられまして、全くサラリーマンと同じように完全にガラス張りという青色申告者もいますし、いわゆる青色申告者としていま帳簿等の記帳の、いわばことばは悪いのですが、練習中というような形の青色申告者もおります。そこで、青色申告者全般を一律に律することはこれは問題がありますけれども、非常にきちっとした青色申告者、標準的な青色申告者と申しましょうか、それを前提とする限りにおいては、私は青色申告者控除が今度認められますことは、サラリーマンとの間において課税の公平を失するということにはならないというふうに考えております。もちろんそのバランスをとろうということを意識して制度が設けられたわけではございませんけれども、しからば結果としてはどうかということでありますならば、それができましたことによって、サラリーマンとの間の公平を破るというふうには考えておらないわけでございます。
○野末和彦君 もう時間がきましたからまたこの次に譲りますけれども、どうも主税局長の話を聞いていると、さっぱりサラリーマンにはこれからあまりいい目が出てきそうもないのでがっかりですけれども、いずれにしても、どの職業とどの職業との間に不公平があるとかそういう言い方をしてもきりがないし、そういう考え方もおかしいと思っているのです。ただやはり、納税者としてもサラリーマンが一番多いときです。ですから、その階層が税に対して、税負担が不公平という、減税面としても不均衡という感じを持っているというのは、これはやはり主税局の立場でそういう感じをサラリーマンにいだかせるのはあまりよくないことだと私はそう思っているわけです。ですから、今度は別の面からサラリーマンの減税なり、給与所得者控除についていろいろお聞きしたいと思いますけれども、いろいろのほかの職業のことを考えないで、自分のことを考えて少し税金を安くするようにやっていただけたらいいと思いますが、次回にまた譲りますから。
○委員長(前田佳都男君) 四案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。 —————————————
○委員長(前田佳都男君) 次に、通行税法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。船田大蔵政務次官。
○政府委員(船田譲君) ただいま議題となりました通行税法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 政府は、別途日本国有鉄道の運賃の改定について御審議を願っておりますが、この際、通行税法についても所要の調整を加えるため、この法律案を提出した次第であります。 現在、日本国有鉄道の旧二等寝台に相当するいわゆるB寝台については、一般の乗客がこれを利用することから通行税を非課税とするよう免税点を定めておりますが、今回の運賃改定によりB寝台の料金も改定されることとなりますので、この際、通行税を非課税とすべき寝台料金の範囲の規定を改正し、一般の乗客が乗客が通常利用する寝台にかかわる料金として政令で定めるものに対する通行税を非課税とするほか、所要の規定の整備をはかることとしております。 以上、通行税法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由とその内容の大要を申し上げました。 何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(前田佳都男君) 引き続き補足説明を聴取いたします。高木主税局長。
○政府委員(高木文雄君) 通行税法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を補足して御説明申し上げます。 日本国有鉄道のいわゆるB寝台については、一般の乗客がこれを利用しているという事情を考慮して、昭和三十六年当時の二等寝台料金に免税点が定められて以来、引き続いて寝台の料金も通行税が非課税とされてまいっております。 現在この寝台料金の免税点は、千六百円となっており、今回の運賃改定に際してB寝台の料金も引き上げられると見込まれますので、この機会に、通行税が非課税とされる寝台料金の範囲を政令をもって定め得るように改めようとするものであります。 以上、通行税法の一部を改正する法律案につきまして提案理由を補足して御説明申し上げた次第でございます。
○委員長(前田佳都男君) 本案に対する質疑は、これを後日に譲ります。 —————————————
○委員長(前田佳都男君) 次に、貸し金業の自主規制の助長に関する法律案を議題といたします。 衆議院大蔵委員長代理理事藤井勝志君から趣旨説明を聴取いたします。 衆議院大蔵委員長代理理事 藤井勝志君。
○衆議院議員(藤井勝志君) ただいま議題となりました貸し金業の自主規制の助長に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 この法律案は、本六月九日衆議院大蔵委員会において全会一致をもって起草、提出いたしたものであります。 貸し金業は、現行法のもとにおきましては、自由営業とされておりますが、現実に届け出をしている業者数は約八万名で、このほか、届け出をしていないいわばやみの業者はばく大な数に達するものとされ、悪質不正業者のばっこは、貸し金業の公正な運営に少なからざる支障を及ぼすものと憂慮されております。 よって、この際、貸し金業に関する特別法を制定し、貸し金業を行なう者の自主規制を助長するため、貸し金業を行なう者の団体及び庶民金融業者の名称について必要な事項を定め、もって貸し金業の適正な運営と不正金融の防止に資するため、本法案を提出いたした次第であります。 次に、本法案の内容について御説明いたしますと、まず第一に、貸し金業者は、都道府県の区域ごとに庶民金融業協会と称する民法第三十四条の規定による法人を設立することができることとし、また、庶民金融業協会は、全国を単位として、全国庶民金融業協会連合会と称する民法第三十四条の規定による法人を設立することができることといたしております。 第二に、庶民金融業協会の会員は、貸し金業を行なうについて、法令を順守するとともに、顧客に対し政令で定める金利以下の金利により資金を提供し、業務を適正に運営するようつとめなければならないこととしております。 第三に、庶民金融業協会は、貸し金業の適正な運営と不正金融の防止に資するため、必要な調査、指導、連絡、勧告その他の業務を行ない、また、会員名簿を備えて一般の閲覧に供さなければならないこととし、さらに全国庶民金融業協会連合会は、庶民金融業協会の運営に関する連絡調整を行なうものといたしております。 第四に、都道府県知事は、庶民金融業協会に対して、必要な報告を求め、または必要な指導、助言、勧告及び監督上必要な命令をすることができることといたしております。 第五に、庶民金融業協会に入会していない者は、庶民金融業者の名称またはこれに類似する名称を使用してはならないこととし、この規定に違反した者には罰金を課し、さらに悪質の者には業務の停止等を行なうことといたしております。 最後に、民法第三十四条その他に規定する主務官庁は、庶民金融業協会については、都道府県知事とし、全国庶民金融業協会連合会については大蔵大臣といたしております。 以上が、この法律案の内容の概略でありますが、何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(前田佳都男君) 本案に対する質疑は、これを後日に譲ります。 次回の委員会は、六月十二日午前十時三十分から開会することといたしますが、明十日午前十時から運輸、地方行政、大蔵、農林水産、物価等対策の五委員会の連合審査会が第一委員会室で開会されますことをお知らせいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時五十七分散会 —————・—————