大蔵委員会 第15号
- 発言数
- 159 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1972/04/06
会議録
○委員長(前田佳都男君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 前回に趣旨説明、補足説明及び衆議院における修正部分の説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
○横川正市君 税制調査会の持っております機能といいますか、あるいは調査会自体が行なってきた過去における実績といいますか、そういう点では、行政の面と非常に密接な関連性を持って運営されてきたということを私も承知いたしておるわけですが、四十七年度の税制改正に関する答申の一番最後、第四の「社会保険診療報酬課税の特例」のところでは、こういうふうにいっております。昭和三十一年以降、八回にわたってこれが是正について答申を提出してきたけれども、何にもその答申に基づいての措置が講ぜられていないじゃないか。そこで、来春早々にも特別の部会を設けて、検討作業を税制調査会独自で行なって、政府に対し改善のための現実的具体的方策を答申するつもりだと、こういうふうに結んでいるわけなんです。いままで過去に八回にわたって、社会保険診療報酬の所得計算の特例、源泉徴収率の軽減等について答申があったものを受けて、大蔵省としてはこの取り扱いをいままでどのようにされてこられたのか、まずその点をお伺いしたいと思う。
○政府委員(高木文雄君) 従来、税制調査会から社会保険診療報酬について受けました答申は、大別して二つに分かれるわけでありまして、一つは、この制度を廃止をしたらどうかというところまで言い切られた答申がありました。一つは、そこまでははっきりしておりませんが、検討したらどうかということで、たとえばその検討の中にも、制度の存否について検討してはどうか、あるいは期限を付することを考えてみたらどうか、あるいは検討の内容ははっきりしないが、何らかの改善措置を講じてはどうか、というような御答申をいただいておるわけでございます。で、そのつど、いろいろ政府部内におきましてこの答申を受けて議論はしたわけでございますが、御答申にもかかわらず、なかなかそれを実現できません一番の理由は、この制度がスタートいたしました当時から、医業というものは、他の一般の営業とはやや異なる性格がある。まあ、一言で言えば公益性ということばでしばしば表現されておりますが、その異なる性格があるという点、したがって、これを検討するといっても、では、全くやめてしまって、普通の営業と同じ課税でいくんだということにはなかなかいきにくいんではないかということから、医業にふさわしい課税制度を見つけるということには時間を要するので、というようなことで、早々の間には結論がなかなか出ないできたというのが一点でございます。 第二点は、昭和二十九年に現行制度ができますときからの問題でございますが、できます当時にも、当参議院の委員会においてたいへん激しい議論が戦わされておるのでございますが、その際にも議論されておりますとおり、社会保険診療に対する適正報酬というものをどう考えるかということがきまらないまま今日まで至っておりますので、医師会をはじめとして、医業に関与されております方々の間からは、その適正な診療報酬という問題が明らかにならないままの状態で、税制だけが根本から変わるということは、今後の医療制度そのものに触れる問題だという反論がありまして、簡単には改正ができないということでございます。 そこで、ただいま横川委員から御指摘のございました今回の税制調査会の答申では、いままでの税制調査会の答申と違いまして、税制調査会自身に特別の部会を設けて検討作業を行なって、「現実的具体的方策を答申する」という文言がありますのは、そのような過去の経過にかんがみまして、いまのような点も含めて、税制調査会が少し立ち入って検討してみようという御趣旨と了解をいたしております。
○横川正市君 所得計算上、必要経費として認められている七二%は何と何ですか。
○政府委員(高木文雄君) この七二%というのは、いわゆる他の営業、その他の所得についての、所得の大きさを収入から推定いたします場合に、従来から税務署でよく使っておりましたことばでございますが、所得率ということばがございますが、業種別に大体収入が一〇〇ありますと、平均的にその業種によって所得が何%ぐらいあるという、裏から言いますと、経費が何%ぐらいかかるというその率、それを、その思想を法律上ここへ持ってきて、所得の率を二八、経費の率を七二と見たわけでございますが、当時の記録、あるいはこれが七二なり二八なりにきまりました経緯を調べてみますというと、直接の医療サービスに伴いますところの、やはり直接の経費を見る趣旨でありまして、よくこの問題のときに議論になります、何ていいますか、お医者さんの勤労性のサービスといいますか、そういうものまでを七二で見るという趣旨では本来ないわけのものであります。でありますから、七二というのは、本来のたてまえとしては、一般の製造業や販売業における必要経費の概念と同じものだというふうに考えていただいてけっこうだと思います。
○横川正市君 厚生省から出席をされている方。本来、医師会という団体が組織されているわけなんですが、医師会が独自に医師の社会的地位とか、あるいは研究とか、そういうようなもの以外で、政治的な背景を持って動いているものも含めて、大体医師会の性格とか、それから運動の目標とかというようなものは、どういうふうに把握されておりますか。
○説明員(松浦十四郎君) 私ども現在理解しておりますのは、やはり専門家の団体でございまして、特に医学、医術の発展のため、それから国民に医療を行なうための、そういうふうな団体だというふうに理解いたしております。
○横川正市君 具体的な例を一つ申し上げますと、埼玉県に総合病院というのが建たないんですよ。なぜ建たないのかといって原因を突き詰めていきますと、自営のお医者さんたちが、生活権防衛問題だということで、総合病院の設立に反対をする、それが最も強力な埼玉県の医師会の運動の目標だと、こういうふうに言われているのが一つあるわけですね。 〔委員長退席、理事柴田栄君着席〕 それからもう一つは、所得の大体順位を地方市町村別に見ますと、医師の所得というのは、非常に高いわけです。非常に私どもとしては矛盾を感ずるわけなんですが、厚生省ではこの点どうお考えですか。
○説明員(松浦十四郎君) 前段の問題、先生御指摘の第一番の問題でございますが、これは、確かにおっしゃるとおり、いろいろと、総合病院等をつくるような場合に、そういうような問題があることを伺っておりますが、これは、その地域の実際の実情に応じて、やはり必要な部分にはつくる。それから、実際に相当医療機関が多いというところにおいてはつくらないという判断は、やはり各都道府県の段階において、それぞれそういうところの調整をはかって、実際にトラブルがないような形で行なうというようなことになっておると考えております。 それから後段につきましては、医師の所得が高いのか低いのかという問題でございますが、御指摘のように、確かに高額の中に名を連ねている方もいらっしゃるわけでございますが、それがいわゆる医師という、何と申しますか、社会的地位からしてどうなのかという判断については、これはたいへんむずかしい問題でございまして、やはり一つの社会的な評価ということで行なわれるべき問題で、私どもとしましては、それは高いとか低いとかいうようなことは、現在のところちょっと何とも申し上げられないんではないかというふうに考えております。
○横川正市君 医師会に加盟している医師と、それから加盟をしていない医師とでは、医師会に加盟していない医師は、生活権防衛闘争をしないといかぬというぐらい、医師会から圧力がかけられるという説があるわけです。これは承知していますか。
○説明員(松浦十四郎君) そんなうわさを耳にいたすことがございますが、実際にどういうふうにどうなっているかということは、私どもあまりよく存じておりません。
○横川正市君 診療報酬の点数等の事務が、各医師ともに相当繁雑である、それで間違うのかどうか、これはわかりませんが、いずれにしても、医師会に加盟している医師の場合には摘発がなくて、医師会に加盟していない医師は非常な、そういう意味では差別待遇を受けている、こういう意見もありますけれども、御承知ですか。
○説明員(松浦十四郎君) ただいまの問題は二つございまして、まず第一に、診療報酬を請求いたしますときには、各医師、医療機関で、いわゆる明細書という、診療報酬請求明細書というのを書いていただきまして、それを毎月都道府県にございますところの支払い基金、あるいは国民健康保険ならば国民健康保険連合会に提出することになっております。そこにおきましては、個々に審査委員会というのがございまして、その請求の内容を見て、これが適正な医療であるかどうかということでチェックをいたしまして、不必要な医療というものが行なわれた場合は、その分を査定して支払うということをやっております。これがいま先生のおっしゃいました第一の問題かと思いますが、これにつきましては、この審査委員会は三者構成になっておりまして、一者は医療担当者、一者は学識経験者、それから一者は保険者の代表者、この三つの三者構成になっておりまして、それで各側同数で構成しておりましてへその委員会で査定を行なうということをやっておりますので、その際には、やはり医師会だけがどうのこうのということではなく、公正にその審査というのが行なわれているというふうに考えております。 それからもう一つの問題は、いわゆる不正があったような場合、という場合に、これは行政庁が直接監査をいたします。で、この場合でも、行政庁のほうでいろいろな資料もしくは訴え等から、その内容を十分調べ、患者の調査を行なった上で、そしてそのような監査を行ない、しかもそれを処分いたすにあたりましては、地方医療協議会というのがございまして、この地方医療協議会もやはり三者構成になっておりまして、通常いわゆる支払い側と言っておりますが、これは保険者、それから事業主、それから被保険者の代表の方が八名、それから医療担当者の代表の方が八名、それから公益委員の方が四名、こういう構成の地方医療協議会というのがございまして、そこの諮問を経て後にその処分を行なうということでございまして、その点につきましても厳正を期しているという状態でございます。
○成瀬幡治君 関連。 形式はあなたのおっしゃるとおりなんだね。しかし、実質的に上がってくるものは、横川君が指摘しているような結果が出てくるんだがね。これはどういうことなんですか。そのことについて、どういうふうに見ておみえになるのか。
○説明員(松浦十四郎君) おっしゃるようなことを私ども全く聞かないわけではございませんが、私どもはそういうことがないようにということで、厳重に第一線の行政庁には申しておりますので、そういうことが行なわれないような形で動いていると私どもは判断しております。
○成瀬幡治君 ところが、あなた聞いておみえになると言うが、現に横川君もよその県を言う、私は愛知県ですが、愛知県でもそういう事件が起きてまいりますと、やはり入っていない人にそういうことが起こるわけです、あなたも聞いているとおっしゃるとおり。だから、そのよってくるものは、何か形式的にはあなたのおっしゃるとおりそういうことが起こらぬはずなんです。ところが起きてくるのは何なんだということをどういうふうにお考えになっておるかということなんです。
○説明員(松浦十四郎君) 私がただいま聞いておると申し上げましたのは、それはうわさを聞いておるということでございまして、実際にそういうことは、事実を私自身がつかまえたということではございませんで、そういううわさがあるので、そういうことがないように厳重にしなさいということを、第一線に十分指導しておるつもりでございます。
○成瀬幡治君 全く無責任な話で、私は積極的にこういうものはあなたのほうが調査されるべきである。うわさは聞いておる、しかし、何にも知らぬわい、そういうことのないようにという注意だけはしておる、こんなもので月給なんというものはもったいないでしょう、もらっておるのは。そんなためにあるわけではないと思う。
○説明員(松浦十四郎君) ちょっと口が足りませんでしたけれども、もちろんそういうようなうわさがある場合には、そういうことをやっているかやっていないかということは調査いたしまして、そしてその上で、もちろんそういうふうなことがないようにということを言っておるわけでございまして、そういうのを現実に放任しておるということではございません。
○成瀬幡治君 いやいや、そんなことを聞いているのじゃない。そういうことについて事実があるかどうか調査して、何で起きてくるかということについて、起こらないように、二度とそういうことが将来ともないような——運営に欠陥がある、形式はいいですよ、おっしゃるとおり、たとえば事務局がどうなっておるとか、委員がどういうふうで、出席率がどうなっておるとか、そういうようなことについてもっと——形式を整えたらあとは知らぬわいというのじゃなくて、運営の拙劣さにあるのですよ、運営のまずさにあるのですよ、出てくる委員の人たちの熱意にもよるわけです。片方は業者、そう言っちゃ悪いが、片方はどうにもならぬから、ただ形式的な委員として若干の手当をもらっておるだけで出てこない。いろいろな問題があるのですよ、と思うのです。そういうことについてどういうふうに考えておるかということだけ言っておるわけです。あなたのほうがそれをフォローアップして指導していくのがあたりまえだ。絶えず注意しておかなければ、それは入っておる人と、入っておらない人と、全く入っておらない人に圧力をかける、これは団体の加入を一つの道具にしておるのですよ。そのことを横川委員が指摘しておると思う。
○説明員(松浦十四郎君) ただいま先生御指摘の点につきまして、先ほど申し上げましたように、そういうことがあるかないかということはもちろん私どもも調査いたしておりますし……。
○成瀬幡治君 あるのですよ。
○説明員(松浦十四郎君) そういうことが起こらないように指導いたしておりますが、現実問題として、逆な面から申し上げますと、問題がなければもちろん問題ないわけでございますが、そういう方でも、たまたま事故があればやはりこれは問題になってしまうことも、これはやはり実際問題としていたしかたないことで、ただそういうふうな点で、特にそういう方がないようにということで、なるかならぬかというような問題については、そこにえこひいきないようにということは、行政庁として十分監督しておりますし、またそういうふうにやらせるということにつとめております。
○横川正市君 医師会加盟の医師が診療報酬の事務的な面で全部が一〇〇%合格者で、それから、医師会に入らないという、そういうような医師のところにはたまたま一件、二件あっても間違いが摘発されて罰則を受ける。この度合いが常識を逸しておるというのが現状じゃないか。そのために医師会の中では、医師会自体の運営に反対であっても、医師会から脱会できないという医師が相当自営の医師の中にあるという、そういう事実があるわけですね。 それから、医師会長の競争が最近行なわれまして、それで武見会長の何選目かが実現したわけだけれども、この医師会の中の系列、派閥といいますか、そういったものの反対派の中からそういうような点の指摘があるという点ですね、それは見のがすことはできないと思うのですよ。 そこで、まああなたに聞いてもこれは少し荷が重いと思うのですけれども、医師会というのは、税制上は公益性が非常に強いという、そういう取り扱いを受けているわけなんです、現行。ところが、私どもから見ると、医師会というのは実に政治性の強い、圧力団体としては一級クラスである、どうも労働組合をはるかにしのいで大きな力を持っている、その力というものがきわめて強い。時のその政治と結びついて動いている。だから、厚生省の医務局も、あなたがどうこう言えるような存在ではない。だから、私がここで質問していることは、実は、そういう力を持った医師会というものを厚生省はどう考えているのですか、あるときは厚生大臣と四つに組んで、おまえみたいなものは相手にしないと言われ、あるときはデッド・ロックに乗り上げて、問題の解決が何代もの厚生大臣に遷延される、あるときは総理大臣のところへちょこっと行ったら、大体医師会の意思が通るというような、長い経過の中に医師会の持っている機能といいますか、力といいますか、団体としての、そのものが私どもとしてはずばり浮き彫りになってくるわけでありますが、それと公益性の問題とをはかりにかけて、公益性が高いか、それとも団体としての自分を守りながら営業するという権利のほうが強いか、この二つを見ていきますと、時代の変遷というのは、だんだん特殊技能者としての営業権がうんと強くなってきているのではないか、公益性ではなしに、そう思うわけなんですけれども、あなたのほうは、医師会の今日までの経過的な、歴史的な中で、公益性というものをとらえて、医師会のいわゆる犠牲的な奉仕とか、あるいは診療、医療に携わる者、何といいますか、博愛主義だとか、そういうようなものに中心を置いた時代と、現在との中に質的な変化というものを来たしているとお考えにならないかどうか、実際行政を担当しておりますあなたの意見はどうでしょうか。
○説明員(松浦十四郎君) たいへん先生御指摘のとおりむずかしい問題でございまして、ちょっと一言でうまくお答えできるかどうかわかりませんが、ただ、基本的考え方といたしましては、医師法の中にも書いてございますように、たとえば診療を求められた場合には、医師はそれに応じなければならないという規定が実際にあるわけでございます。そういう面から考えますと、これは当然医師というのは、やはりそれだけの一種の天職といったようなものであって、やはり患者がどうしても困るという場合には、必ず見てあげなければならない、こういうような考え方が法律の中にも書いてございますし、やはりそれは、現在の社会におきましても当然のことではないかと、基本になるべきだというふうに考えております。ただ一面、だからといって、お医者さんにあまり過重な、無理なことを要求することも、人権上の問題もあるし、それはできない問題だと思いますので、そういう面から考えますと、やはりその時代時代に沿って、そういうような考え方の運用というものもある程度変わっていく可能性はあるかと思いますが、基本としては、いま申し上げました、お医者さんは天職として国民の医療をになっていただくという考え方で、私どもは考えていきたいというふうに考えております。
○横川正市君 法律に定められた天職の中にストライキ権というのがあるのかないのか、これは私どもの立場からすれば、医師にもストライキ権があってもいいと思いますけれども、ストライキ権が行使できるということは、大体天職として、たとえば保守的な皆さんが言うように、教師は教師としての専念の義務があって、労働者じゃないというような言い方をしますね、そういう言い方からすれば、医師のいわゆる天職は、ストライキを行使することによって質的に変化しないのかどうか。もういま日本の医師は、どこの労働組合よりか、結束して全国的に診療拒否をやるわけですわね。そういうその変化のしかたというものはどうお考えになっているか。
○説明員(松浦十四郎君) ただいま先生のおっしゃいましたストライキというのは、昨年の七月に行なわれたストライキ、一種のストライキをおっしゃっておられるのだと思いますが、あの場合でも、法律的に申しますと、あれは保険医療を拒否するということでございまして、いわゆる診療は拒否していないという状況でございます。そういう意味で、保険は使わないという戦術でおやりになったわけで、そういう意味では、困った患者はいつでも見てあげます、ただし、保険診療をやらないというので、その面から考えますと、これは、何といいますか、法律的には違法なラインは歩いていないということになっております。
○横川正市君 あ然として質問を続行する意欲を失いますね、そういう説明だと。——天職というのは法律の中に何かあるのですか、きめられたものが。天職というのは無形のものであって、嵩高なる精神を言うわけでしょう。それがあるから特別な措置というものが講ぜられるのであって、それを放棄したときに特別な措置を講じないというのはあたりまえのことじゃないですか。天職が法律にちゃんと明確になっているのなら私は文句は言いませんよ。しかし、嵩高なる精神というのは、憲法にはあるかもしれぬけれども、ほかの法律の各条項にそんなものがあるとか、これはどういうふうに評価しますなんという条文はありませんよ。だから、そういう意味でいま言われているような、たとえば保険診療がというけれども、保険診療だって法律にきめられているわけでしょう。そして診療医というのは、その意味では任命されているわけです。受けているわけです。それを一方的に拒否するというような行き方というのは、これはいささかいわゆる天職という範疇で考えられていた医師会の行動としては、いいとか悪いとかいうのじゃないのです、現行としてはやや逸脱しているのではないか。逸脱しているということは、たとえば税制上のその特別な待遇を受けている権利を放棄したことにならないか、こう思うわけなのですが、どうですか。そこまでいくとちょっと理論が飛躍するかな。
○説明員(松浦十四郎君) 保険医辞退の問題でございますが、私はそれは保険医総辞退だから、やってもかまわないものだ、いいものだというふうにはちっとも思っておりませんので、やはりああいうことが行なわれたということは、決して好ましいことではないというふうに考えております。ただ、その天職ということは、先生のおっしゃるように、別に法律にも書いてございません。ただ、法律に書いてございますのは、特別の理由がない限りは診療を拒否してはいけないというのがあるわけでございます。で、この場合は、法律的に申しますと、診療は拒否していない。しかし、保険医というのは、保険医になりたいというお医者さんが申請をして、保険医になるということになっておりますので、法律的には、申請をした場合に保険医になれる。しかも、これをやめたい場合には一カ月前にやめるということを申し出すればやめることができるというふうになっておりますので、それを法律どおりに行なわれますと、保険医はやめることができるということで、昨年の七月は、皆さんが保険医を辞退されてしまったということでございます。ただ、いわゆる天職部分と考えられる診療拒否の問題は、これは保険の料金では扱いませんが、普通の、保険以外ならやりますという、こういう根元に戻ってしまったというのが、あの七月のストライキでございますので、その意味では、法律的にはどうかと言われますと、これは違法ではないと言わざるを得ない。ただし、やったことがいいかどうかということになりますと、これは私どもとしても決して好ましいことではないというふうに考えております。
○横川正市君 決して好ましくないということと、明確に好ましくないという結論のつけ方についての判断に、やはり中間にいろいろ問題があると思うのですよ。普通でいきますと、社会通念上なんということばがありましてね、そしてその社会通念上に違反した場合でも、社会的な制裁を受けるということはあり得るわけですから、いま、保険診療を全部の医師が辞退いたしました、一カ月前に届け出すれば違法ではございませんと言うけれども、社会通念上社会保障制度の中の医療制度というものは、社会保険的に医療制度というものを完備しようとしているわけでしょう、一〇〇%。保険によって医療しようと、こういう傾向にあるわけですよね。ただ特異な慈善的な医師が、これに対して犠牲的奉仕をする意味で届け出ているのじゃなくて、社会通念上そういうふうに医師の診療全体が制度的に変わりつつあるのだ、こういうふうに判断するのが私は正しいのだと思うのですよ。それをただ法律的に、一カ月前に届け出れば、保険医としての診療をしなくてもいい、そのために、かぜをひいたといって行ったら、その日から千何百円かの、初診療、薬価入れて取られてびっくりして帰ってきて、かぜひいても保険ではかかれないのじゃ行かれないというような事態が起こってきた。これまで含めてあなたのほうでは違法性の問題については特別に考えておらないのですか。
○説明員(松浦十四郎君) 御質問の、特別に考えておらないかと、こういう点でございますが、いまの法体系の上では、こうなっても違法ではないと言わざるを得ないと思います。ただ先ほども申し上げましたように、そういうことがそもそもないと、こういう事態が起こらないという考え方で、この法律はつくられたものでございまして、こういうことが起こることを予想しておるというのもずいぶん非常識な話でございますので、そこはそういうことがないという予想の、全く通常の状態を考えてつくったわけでございますので、それがああなりますと違法かどうかということになれば、やはりそういうふうな状況の法律のもとで考えますと、違法ではないということにならざるを得ないと思います。ただ道義的、社会的にどうかといえば、これは別問題だというふうに考えております。
○横川正市君 それで税制上からの問題点なんですが、私どもは公益性の非常に強い天職としての医師の立場というものは、医師それ自体が、医師会という組織団体を通じて、いわば名誉ある権利を放棄したと、いまやそういう意味で特例等の、あるいは徴税率の軽減等の処置を受ける、そのことをみずから返上したと、こういうふうに考えていいのではないかと思いますがね。いま厚生省とのやりとりした問題等を勘案しながら当局ではどう考えますか。
○政府委員(高木文雄君) 現行の租税特別措置法の二十六条という制度ができますまでの、これは昭和二十九年にできたわけでございますが、それまで四、五年間の間にたいへん税務当局と医師との間、もしくは医師会との間に混乱といいますか紛争が繰り返されまして、結果的にこういう規定が、当時われわれの主税局サイドでは、この制度には反対であったわけでございますが、この制度ができ上がった経緯がございます。で、その後事情もたいへん変わっておりますし、診療報酬についての状況も変わっておりますし、それからただいまるる御指摘のような事柄が積み重なっておりますし、まさにあらためていろいろ新しい事態のもとに、新しい判断で制度の見直しが行なわれるべき時期であろうかと思っております。ただ、ただいまいろいろいわば道義的、社会的にあまり好ましくないというか、けしからぬことがあったから、権利放棄というか、そういう特例を認むるに値しないではないかというお話がございましたけれども、しかし、医療について全く単純に、一般の他の事業所得と全く同じ関係で、 〔理事柴田栄君退席、委員長着席〕 課税扱いをしていいかどうかということについては、いろいろ議論のあるところではないか。それも、もともとこの制度ができた、なぜできなきゃならなかったかといういわく因縁をたずねてみますと、やはり医業というものについて、単にいま言われました天職だとか何とかいうことだけではなくて、経済的に見ましてもいろいろ問題があろうかと思います。したがいまして、この制度を見直すということの必要は、ただいま御指摘のような観点からどうしてもあると思いますが、さればといって、全くこれをただこのまま現在の租税特別措置法の二十六条をやめてしまって、他の事業所得と全く同じに戻せばいいということにはなかなか結論がつき得ないのではないか。そこで、税制調査会から言われておりますように、税の面と、税制調査会でございますから、主として税の角度から御検討になることと思いますが、その際医業の特殊性というものも十分考えながら、結論を出していくということが現在一番望ましい方向ではないかと思っております。
○横川正市君 私も全く他の事業と同じような取り扱いをすることがいいという、そういう意見で申し上げているんじゃないんですよ。ですから、一番最初お聞きいたしましたように、この七二%必要経費というような、そういうほとんどがまるまる所得になるような、そういう計算のしかたというものは、変化に伴って当然是正する必要があるんじゃないか、これが基本なんです。それともう一つは、私は埼玉県で一般市民や住民の皆さんと話をいたしますと、埼玉県でもし、県下の自営の医師でどうしようもない病気になった場合には、東京とか千葉県とか、そういうところへ行かないと、診療、治療を受けることができない、入院することができない、どうして埼玉県でもっと総合病院というものがつくられて、県民の用に供するようなことにならないのか、こういう疑問があって、その疑問の第一に出てくるのは、単に、先ほど厚生省から答弁がありましたように、その埼玉県の県の事情が必要としないなどというようなものでなしに、必要とするが、自営の医師の生活権の問題だということを旗じるしにして掲げて、戦う医師会の反対に抗しきれない、その医師会のバックには、県政という政治の面が非常に強く働きかけているということで、医師会というのは、単なる医療その他の関連する問題を恒常的に処理をする団体ではなしに、もっと地域的に政治的な圧力をもって影響力を与える団体に変質してきているんじゃないか、そういう事情がわかるものですから、私のほうでは、たとえば厚生省に、総合病院を埼玉県に建てなさいということをここで要求することは、まあ一歩やめまして、そうではなしに、税制の面ではこういうふうに変えていったらどうかと思うのは、医師がたとえばリースあたりでレントゲンの機械を購入する、そういった場合に、ある勢力のある医師は、リースで月賦弁償あるいは交換に応ぜられるようなものはいいわけですけれども、そうでないくらいな非力な医師の場合には、もう診療設備も精度そのものがどんどん後退していきまして、それでもう聴診器と投薬というんですか、こういう診療しかできないでいる状態になっているわけですよ。だから、そのアンバランスはものすごいんですね。そのアンバランスをなくすような特別処置がもし講ぜられるならば、税制上非常に有効なんじゃないか、そのことは非常に診療そのものにも、技術的にも進歩をするんじゃないか、こう思うわけなんですがね。何回か答申を出しましたが、非常にむずかしい問題だという、そのむずかしい理由といいますか、これも明らかにしていただきたいと思いますけれども、しかし、何にしても、いまの中央あるいは地方における医療そのものの質的なアンバランス、これを何とかしないと、市民、国民、県民の医療に対する、何といいますか、支出度合い、旅費を払ったり、宿泊料を払ったり、支出度合いというものはどんどん高まってきているわけですね。ですから、やはり地元の医療設備が完備されるということを非常に強く念願をいたしているわけなんです。そういう点で改正する必要があるんじゃないか、こう思うんですが。
○政府委員(高木文雄君) 現在のところ、医業についての税制上の措置というのは、この租税特別措置によりまして、社会保険診療について七二%を必要経費として認めますという制度と、それから、医療法人という制度が、他の事業所得と全く、あるいは他の法人税と全く違う制度として、二つの柱のようなものがありまして、その非常に大きな恩恵ともいうべき柱の陰に隠れてといいますか、それがためにかえって他のもろもろの業種について、毎年毎年の税制改正等を通じてお願いしておりますような、いわばきめのこまかいような制度をつくったり、やめたりということが行なわれないまま、ずっと何年間もある意味では安定した状態、ある意味では改廃が行なわれない状態のままきているわけでございます。その結果、全体として七二という率が、俗なことばで甘いか辛いかということのほかに、ただいままさに御指摘がありましたが、どういう事業形態をとっているか、たとえば大勢人を雇っておられるかどうか、あるいは設備がいいか悪いかということと全く関係なく、つまり経費がどのくらいかかるかということは関係なく、七二%というのが一人歩きしているというところに、一つの問題がございます。 それからもう一つの問題は、所得税でございますから、本来ならばやはり所得の大きい方と所得の小さい方とは、税の負担割合が違ってしかるべきものだ。所得税が累進税率になっているわけでございますから、したがって、非常に所得の大きい場合と小さい場合とは違ってくるはずでございますが、七二%という必要経費でいっておるということは、つまり社会保険診療が百ありましても、十倍の千ありましても、本来なら固定費部分は、所得が多ければ下がっていくはずのところが、それが同じ率ということになるものですから、いわば所得の累進性というものが、税率は働きますけれども、所得計算上の関係があらわれてこないということがあって、大と小との間のアンバランスが出てきているという問題が一つございます。 それから本来、必要経費の割合というものは、いろいろなお医者の中で、科目に応じて違ってしかるべきではないかと思うのでございますけれども、これも一律になっているというような問題がございまして、そこらのところが、全部七二ということの中に隠されてしまっているということのために、いわばそれから先、きめのこまかいといいますか、前に進まない状態にあるというままとまっているわけでございます。で、ございますから、この制度をどうするかということは、直ちに必ずしもお医者さんに対して重い税負担を求めるということにつながるということだけではなくて、いま言われました意味での医業の合理化といいますか、あるいは近代化といいますか、そういうものにつながるような税制との組み合わせを考える余地というものは、やはりまずこの制度をどう改めるかということを出発点とした上で考えられ得ることだと思っておるのでございますけれども、現状ではどうもその手前のところで非常に、まあ言ってみれば太い線といいますか、大ざっぱな線ですっと線が引かれておりますものですから、その中に包摂されてしまっておるということのために、こまかいところにはものが及んでないということであろうかと思います。今後何とかこれを検討いたします際には、当然、単に負担を求めればいいというようなことではなくて、いま御指摘のような点も同時並行的に考えられるべきものと思います。
○横川正市君 厚生省の係の方に資料をひとつ要求しておきたいと思うんですが、これは私どもは医師の特殊技能といいますか、能力とか、それを社会的に評価をして、それに妥当な報酬というものが与えられているかどうかという点については、これはペンディングだと思うんです。妥当と言う人もいるし、妥当でないと言う人もある。所得が多過ぎるじゃないかと言う人もいるし、少ないじゃないかと言う人もいる。いろいろありますから、ここでは多いとか少ないとかの論議をしたということではないということをまずひとつはっきりさせておきたいと思うんです。その上に立って各県の医師会の組織、それから構成といいますか、それから最近、ここ一、二年行なわれております運動といいますか、組織全体での行動している内容ですね、その目的、そういったものが資料で出されるならばぜひ出していただきたいと思いますが、どうでしょうか。
○説明員(松浦十四郎君) いま先生おっしゃいました組織、構成というのはどういう意味合いでございましょうか。
○横川正市君 中央役員とか地方役員とか、それから組織に加入している者、未加入者ですね、加盟してない者、加盟している者、県なんかの場合委員なんかはどういうふうにして選ばれるか。要するに定款みたいなものと、こう考えてよろしゅうございましょうか。
○説明員(松浦十四郎君) 現在の医師会の組織状態ですか。何人ぐらい入っておるかと、こういうことですか。
○横川正市君 抜けている人というのはうんと少ないのですよ、事実上は。ですから、その意味では逆に非常に大きな影響力を持っているわけですから、それで運動の形態とか、目標とか、そういったものはどういうふうにして掲げておられるかというやつですね。
○説明員(松浦十四郎君) それから運動の目的、内容というのは、これは最近の医師会のと、こういうことでございますか。
○横川正市君 そうです。
○説明員(松浦十四郎君) わかりました。
○横川正市君 今回のこの税制改正の中の診療、医療報酬の所得計算特例と、それから源泉徴税率の軽減等について税制上はきわめて不公平だという考え方が一般に強いわけなんですが、そういう不公平であるという考え方に対してはどうお考えでしょうか、大蔵省としては。
○政府委員(高木文雄君) 七二という率は、私どもが持っております、何といいますか、実感といいますか、直感といいますか、そういうものから言いますと、率直に申しまして経費率が少し高いという感じ、つまり、よって不公平だという感じを持っておりますが、しかし、それはいわば感じでございます。感じではけしからぬ、どうしてもう少し正確にわからぬか、こういうことであろうかと思いますが、実はそこに問題があるわけでございまして、医業の実態というものについての調査そのものがなかなかむずかしい。中医協での診療報酬そのものについての計算の前提となる医業の実態について、いろいろ紛争があることもよく御承知のとおりでございまして、医業経営の実態そのものをなかなか公平に把握することがむずかしいという現状にありますので、したがって、数字に基づいてこれが七二が、いわば俗なことばで甘いかどうかということを簡単に申し上げるのはむずかしいのでございますけれども、しかし、現行の制度では、たとえば青色でありましても、青色でちゃんと帳簿をつけていきましても、七二よりも経費がよけいかかれば、青のほうは措置をとりますし、むしろ青色で計算していって、経費が七二よりも少ないという場合には、七二で申告すればいいということになっているわけですから、少なくともその部分だけとらえてみても、非常に有利なことができているということは事実であろうかと思います。ただ、しばしばもう一つ言われますことで、医師会その他から反論がありますこととの一つで、地方の、御存じのように所得税法の規定によりまして年々申告がありますと、一千万円以上の所得の方については、いわば俗にいう高額所得者のお名前を税務署に掲示をするということが行なわれる場合に、非常に医師の方の所得者の名前がたくさん並ぶということがありますが、これは現行のこういう制度がある上においても、なおそういうことがあるということがありまして、そのことがしばしばこの制度とからんで議論されることがあるわけでございますが、これはどうもいろいろ調べてみますと、必ずしも医療収入だけでなくて、医師をやっておられる方は、かなり古い時代から、その土地における、何といいますか、有力者、資産家というか、そういう方である場合が多いというようなこととも関連があるようでございまして、一般的にいろいろの新聞とか、週刊誌とかいうものを通じていわれますような意味においてのアンバランス、不公平感というものはまたちょっと強調され過ぎている面もあるのじゃないか。そのあたりが一つの問題でございまして、私どもはほんとうは、まず実はその委員を、何といいますか、客観的に数字の上で証明ができるということが一番望ましいことなのでございますが、そういう経営実態そのものを調査をする、しかもそれは、関係者の方々の十分納得の得られるような前提のもとに調査をするということについては、これはこの制度ができます前からなかなかむずかしいことになっておりますし、現在でもむずかしいことになっておりますので、そういう基本的な問題から入っていくということでは、なかなか百年河清を待つことになるんじゃないかというようなことも考えているわけでありまして、私どもとしましては、それも長期の課題としては考えなければならぬことだと思っておりますが、必ずしもそのことが明らかに、客観的にぴたり明確にならなくても、何らかの方法で現行制度は変えていくべきものと。何かその変えていくべき、それがわからない以上は変えられないということであっては困るというふうに考えております。
○成瀬幡治君 委員長、ちょっと速記とめてください。
○委員長(前田佳都男君) 速記をとめて。 〔午前十一時四十分速記中止〕 〔午後零時四分速記開始〕
○委員長(前田佳都男君) 速記を起こしてください。 午後一時から再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時五分休憩 —————・————— 午後一時十三分開会
○委員長(前田佳都男君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。
○戸田菊雄君 大蔵省からもらった衆参両院の予算委員会提出資料、委員会要求のものですけれども、四十七年三月付「昭和四十七年度租税特別措置による減収額試算」、この内容を見ますると、国税関係でおおむね三十種目ですね、こういうふうになっているわけでありますけれども、額でいいまして四千七百三十億減収額と、こういう一応の試算が出されておるわけですけれども、従来われわれが政府なり大蔵省に要請をし期待しておったものは、実は租税特別措置法というものは、とにかくいまの日本の税制全体を非常にゆがめておる、非常に不公平の原因がここにあるんだと、だからそういうものは縮小、統廃合、整理をして、税制の公平化というものをやはりはかっていくべきじゃないかということで再々要請をしてまいったのでありまするが、今回逆に、一応この輸出振興税制の一部廃止その他若干の手直しはされましたけれども、結果においてはこの資料が示すとおり、額においても前年度比で二百八十億円見当、これが減収増額になっておるわけですね。だから、こうなりますと、いまいろいろ政府の出している税制改正の要綱であるとか、あるいは予算書の説明内容であるとか、あるいはこの「ファイナンス」にあるところの大蔵省の税制改正の要点列記、そういう内容を見ましても、どうもわれわれが理解をしておる租税特別措置法、ことにこの税の公平化、こういう問題とはだんだん遠ざかっていくような印象を受けるのですが、この辺の見解について、基本的な問題として主税局長の見解をまず示していただきたい。
○政府委員(高木文雄君) 租税特別措置につきましては、そのそれぞれが持っております政策目的の合理性あるいは有効性について、絶えず見直しを行なう必要があるわけでございまして、漫然としておりますと、既得権化あるいは慢性化というような現象が起こってまいるわけであります。その結果、本来の目的であります政策目的からあまり有効でなくなりまして、不公平性のほうが目立ってくるということでありますので、絶えずそれを見直すと同時に、やはり基本的には、私どもの立場といたしましては、決して好ましいものではないというふうに考えておるわけでございます。御指摘のように、本年度におきましても、できるだけ整理縮減をはかったつもりでございますが、数字の上では、結果的に若干ふえておることは事実でございます。ただ、どうしてふえるのかということでございます。これはやはり過去から比べてみますと、傾向といたしましては、少しずつではありますが、だんだんふえる傾向にあるわけでございます。 で、どうしてふえるのかということでございますが、経済が大きくなりまして、そうして税の規模——国税規模が大きくなりますので、そこで制度としては同じでありましても、根っこになります税収規模が大きくなってまいりますから、それについて特例的に減税をいたしますと、その租税特別措置による減税の大きさというものも大きくなっていくということでございます。そこで私どもといたしましても、もちろんそれでは規模について関心を持っていないかというと、決してそうではないわけでございまして、規模が大きくなることについても、それは決して好ましいことではないので注意はしておるつもりでございますが、どちらかといいますと、実は現在までの、ここ数カ年の私どもの最大の関心事は、租税特別措置のいろいろの手段のうちで、たとえば所得控除であるとか、税額控除であるとか、あるいは非課税措置であるとかというふうに、租税特別措置として、いわゆる税のまけぎりになるもの、あとで取り返しにならないような性格のもの、なるべくそういう特別措置はやめる。で、同じ特別措置の中でも、特別償却制度、あるいは準備金のように、一種の課税の繰り延べになりますもののほうは、まあ所得控除、税額控除では、同じ特別措置といっても、あとでいわば取り返しになるわけでございますので、額の上では同じように表示されますから、長期に見ますと、目に見えない取り返しになってあらわれてまいります。 そこで、なるべく同じ特別措置であっても、そういうものに切りかえていくということに非常に大きな関心を持っておったわけであります。今回輸出につきましての償却について、かねがね御指摘を受けておるわけでございますが、こういう国際経済情勢もありまして、それに非常に力を置いて整理をいたしましたのも、そういう趣旨でございます。しかし、いずれにしましても、ただいま御指摘のように、金額がふえているということは決して好ましい現象でもありませんので、今後もその点は、なお租税特別措置の問題に取り組みます場合の、非常に重要な問題の一つとして、金額がふえないように心がけていかねばならぬと思っております。
○戸田菊雄君 これは「ファイナンス」のナンバー十二号ですが、総務課長補佐がそれぞれ解説を加えておるわけですけれども、いま主税局長が述べられた趣旨と大体同意義だと理解するわけですが、その中でこういうことを言われているんです。租税特別措置法の改正、前段がありますが省略いたしまして、「国民福祉の充実のための経済資源の配分を再検討すべき段階にきている。政策的な誘導措置として各面にわたり活用されてきている租税特別措置としても、こうした情勢をふまえて見直しが加えられるべき時期にあるといえるであろう。」こういうことを言われておる。いま主税局長が、いろいろ経済規模が拡大をし、それに見合う財源措置、主として税源に求めていくわけでありますけれども、そういう問題について、いままでいろいろとかく批判のあった租税特別措置に対して見直しをすべきである。その中身が、今回やはり私は、適切なこういう趣旨が生かされてこなければならないのではないかと、こういうふうに考えるわけですが、主税局長、いろいろ国民一般や、あるいは中小企業の一部には、若干の検討を加えたあとは見えるのでありますが、総体的にはそういうふうにいってないわけですね。ですから、社会党が中心で、衆議院段階で過日予算の組みかえ動議を出しました。そのときに社会党としては、三千億の租税特別措置の減収を、これを減らして、そして適正な課税のもとに財源措置をはかれということを要求しているわけです。それくらい検討すれば、まだまだ大企業や大金持ちに対して優遇措置をとっているという内容がこのようにある。そういうものを、手っとり早い話、見直し段階として私は手直しをすべきではないか、こういうふうに考えるんですが、そういうあとがないんですね、残念ながら。こういう点はどう理解してよろしいでしょうか。
○政府委員(高木文雄君) 租税特別措置で取り上げられております政策目的は、各種各様にわたるわけでございますが、その中で、御指摘のように従来は、いわば産業政策的なものが非常にウエートが高かったことは事実でございます。それが漸次いま変わりつつあるところでございますが、そういう方向に変わっていくのが望ましいことだと、私どもも考えております。しかし、なかなか一挙に急激には変わり得ない点がございまして、たとえば住宅とか、中小企業対策というところに、多少ともウエートは置いたつもりでございますが、衆議院の御審議の段階でも、たいへんまだウエートの切りかえが不十分であるという御指摘を受けたのでございます。しかし、私どもは長期的には、やはり漸次そういう方向に変わっていくべきものだと、そういう方向で考えていきたいと思っております。 なお、ただいまお触れになりました組みかえ案のことでございますけれども、その点につきましては、たとえば利子あるいは配当について、現在源泉選択制度がございます。これらにつきましても、特別措置ということで、いまの減収の計算上、計算されておりますのですが、これらは四十五年度改正で、特に利子については四十五年度改正で、初めて長年の懸案であります総合課税をたてまえといたしまして、経過的措置として源泉選択制度を取り入れられたわけでございまして、五十年までの措置ということにいまのところなっているわけでございますので、そういうふうに、経過的な意味で年限を定めて、計画的に進行中である制度につきましては、切りかえといいましても、なかなかその途中でそれをまたやめるというのはいかがかと思うわけでございまして、そういう制度の切りかえに伴います経過的なものについては、私どもはやはり既定の段取りに従って進んでいくのがよろしいのではないかというように考えております。
○戸田菊雄君 分離課税等については、あとで詳しく具体的な事例をもって質問をしてまいりたいと思うのですが、昨年の八月、木川田会長の、経済審議会国民選好度調査委員会というものを設置いたしまして、それで各般の国民の選好度について調査をし、分析をした結果が出ているのであります。これによりますと、やはり第一位を占めたのは、税金の不公平ということが指摘をされております。これは、おそらく主税局長も見聞されていると思うのでありますが、これはどう一体認めているのでしょう。やはりいまの税金はきわめて不公平である。必ずしもそうではない。いろいろ見解があろうかと存じますけれども、その辺の見解はどうお考えになっておりますか。
○政府委員(高木文雄君) まあいろいろの見方があろうと思いますが、たとえば所得税ひとつとらえてみましても、たてまえとしては総合課税のたてまえになっておりますけれども、現実問題として、税務の執行との関連上のこともありまして、株式の譲渡所得についての非課税制度なり、利子についての分離の制度なり、いろいろあります。そのことのために、必ずしも総合課税の実が上がっていないということもございますし、午前中の御審議の際にございました医師の社会保険診療報酬の問題等もございます。私どもははなはだ残念ではございますが、現行制度上なお不公平と言われてもしかたがないという分野が残っているということを認めているわけでありまして、いろいろな努力を重ねて、それを直していかなければならぬと思っております。
○戸田菊雄君 その不公平であると言われてもやむを得ないという最大の元凶はどこにあると思いますか。
○政府委員(高木文雄君) 非常にむずかしい御質問でございますが、これはやはり長年の積み重ねでできたものでありまして、別に何か特にある力があって、そうしてその力によって全体が曲げられているということではなくて、それぞれの、たとえば医師の問題にいたしましても、やはり昭和二十四、五年に起こりました社会保険診療報酬単価についての非常な紛争、あるいはその標準率についての紛争というものが、一ぺんに爆発をして起こってきたという経緯が背景にあるわけでございまして、やはりそれぞれの問題が、それぞれに理由を持っているんではないか。何か全体を通じて非常に大きな不公平をもたらした共通のある力といいますか、原因といいますか、というものを私いまちょっと思い当たらないわけでございます。
○戸田菊雄君 私は、税制上どこのどういう法律——端的に言えば局長、租税特別措置法にあるんじゃないですか。そういう理解は間違っていますか。
○政府委員(高木文雄君) 租税特別措置法は、まあ本法が、何といいますか、法人税法なり所得税法なり、本法が一つのたてまえを持って組み立てられておりますのに対して、その特例が本法に規定されずに、臨時のものであるという趣旨で、租税特別措置法に書かれているという法形式をとっておりますので、ただいまおっしゃいますように、租税特別措置法にはきわめてそういうものがよりたくさん集まっている。本法よりは、租税特別措置法のほうにそういう特例措置が集められておりますから、そこに集まっておるということは事実でございますが、それはどちらかというと、むしろ現行の法形式の問題でそうなっているということではないかと思います。別に租税特別措置法という法形式が一つあるというよりは、いろいろの、各預金はこうするとか、あるいは中小企業の貸倒引当金制度はこうするとか、住宅はこうするとか、一つ一つの項目がありまして、それを本法で規定するのが適当か、租税特別措置法で規定するのが適当かと、個別にいろいろ議論いたしました。そういうことで租税特別措置法に規定しているわけでございますので、そこで結果的に租税特別措置法という形で規定しておりますものに、そういうものが集まっているということではないかと思うのでございます。
○戸田菊雄君 これは同様に衆参の予算委員会に提示をされた資料でありますけれども、それによりますと、四十七年度予算で二千九百二十一万人、所得税の場合の納税者。こうなっておるわけです。その中で、利子・配当、投資信託、有価証券の譲渡等々の、租税特別措置によって免税措置を受けているのは一体どのくらいでしょう。数を教えてください。 もう一つは、昨年の補正予算で千六百五十億ですか、減税を一応やりました。大臣の説明ですと、おおむね四十七年度の減税効果というものは二千五百三十億円、こういう効果であるということを説明されておるんですが、これの年間平均の減税ですね、大体納税人員に比較をして、一体どのくらい所得税でいっていますか、ちょっと数字を教えてください。
○政府委員(高木文雄君) 利子あるいは配当について源泉選択をしておる方の数の問題でございますが、これは源泉選択をすれば、つまり総合にならない、総合で申告することを要しないということでございますので、したがってその数は実は私どもでは把握をいたしておらないわけでございます。で、特にまたその根元がそういうふうになっておりますものですから、もしその方が源泉選択制度がなかったという場合に、他の所得と合算をして総合申告をすべき人が何人いるかという御指摘だったと思いますが、根っこで源泉選択をしている人の数そのものは把握しておりません。これは本来ならば利子を扱っております金融機関なり、あるいは配当の仕事を扱っております証券会社あるいは発行会社なりを通じて調べるべきことかもしれませんが、実はそれは税務の私どもの現在の業務上は必要がありませんので、その数をつかまえておりませんので、ちょっとその点はお答えしかねるわけでございます。 それから先ほどの年内減税千六百五十億、それの平年度化によりますところの四十七年度の減収額は二千五百三十億でございますが、ただいま御質問いただきましたのは、その減税によります減少人員でございますか。
○戸田菊雄君 一人平均の減税額はどのくらいになるか。
○政府委員(高木文雄君) すぐいま平均額でございましたら計算いたします。
○戸田菊雄君 では質問の段階でひとつ正確な数字を出していただきたい。 いま主税局長が言われましたように、源泉選択のその捕捉掌握ができないと、いままでの答弁もそういうことで、主税局はいわば悪口を言うなら、逃げてきているわけですね。だけれども、御存じのように、この資料によっても明らかなように、利子所得の課税の特例というのは二百八十億です、ことしの減収が。それから配当所得の課税の特例というものはとにかく減収額が四百十億、合計六百九十億円の減収をやっているんです。とにかくどういう体制でそれぞれ免税しているかは、いま主税局長がいみじくも言ったように、銀行に預金のある、あるいは一つの社債を買う、それに対する利子・配当というものがやってくる。その利札を持って結局銀行に行けば、銀行は無条件で利子を出してくれる。いずれにしてもこの六百九十億の四十七年度だけ見てもそういう減収体制をとっている。なぜ一体この捕捉掌握ができないか。少なくとも所得税といったら二千九百二十一万人と、資料で明らかなように完全に掌握しているわけでしょう。源泉選択についてなぜそういう野放しの状態にしているのか、ここが一番くせ者なんです。私やるべきだと思う。できないはずはないんだ。そういう見解はどうでしょうね。
○政府委員(高木文雄君) それは確かにおっしゃるとおりだと思います。少額貯蓄の利子等の非課税につきましても、源泉選択につきましても、租税特別措置による恩典でございますから、恩典を受けるのについては、何らかの形において一種の申告を要する、税は納めないにしても、そういう恩典を受けるということについての申告を要するということで、その恩典を受けることについて一定の義務を課するということは考えられ得ることだと思います。そうして、その利子を扱っております機関なり何なりを通じて、その数なり金額なりを把握するという方法もあろうかと思うわけでございます。ただ問題は、それに伴います、何といいますか、主として納税者といいますか、利子の支払いを受ける者及び利子の支払いをする者の事務的な負担ということを考えました場合に、それらの書類を徴し、そしてそれを集計し、提出を求めるということとの、まあ事の重要性の軽重によって判断されるべきものと思います。で、金額もたいへん大きくなってきているわけでございますから、そういう意味で、それはちゃんと把握をすべきだ、仕分けるべきだという御意見はあるわけで、いままでもありましたし、またそういうお考えをお持ちの方はたくさんおられるわけでございます。現在までのところでは、それに伴いますまあ何といいますか、繁雑さというものを避けるということもありまして、特別にそういうものの提出を求めていない、まあ大要的には把握をいたしておりますが、たとえばいま御指摘のように何人というふうに正確な数は把握をしていないということでございます。
○戸田菊雄君 まあこれは、結局源泉選択制度そのものに私は起因するところだと思うのですけれども一、それで具体的にその矛盾といいますか、不合理性について質問をしてまいりたいのだけれども、この利子所得の問題で、ことに四十七年度の租税特別措置の指向方向というものも、大体個別産業優遇措置にだいぶ踏み切ったように私は理解をするのです。まあそれで、この単年度でもけっこうですけれども、この電力社債ですね、これは一体どのくらいありましょうかね、鉄鋼の場合どのくらいあるのですか、自動車の場合どのくらいあるのですか。おもに大手三社ぐらいでけっこうですけれども、どのくらいと考えておりますか。その内容をひとつ教えてください。その社債の現在高でけっこうです。 それから利子はどのくらい、かりに電力社債を五十万円買ったというような場合に、どういういわば利子所得がなされているのか、そういう内容について数字的にひとつ発表していただけませんか。
○政府委員(高木文雄君) その前に、先ほど御質問がありました二千五百三十億円の一人当たりの減税額を申し上げます。 給与所得で申しますと、納税人員が全体で二千九百二十万人、一人当たり約六千円の減税になっております。申告所得で申しますと四百二十万人、一人当たり約一万七千円の減税になっております。この給与所得者と申告所得者、これはある程度重複をいたすわけでございますが、単純合計で——重複関係が正確にわかりませんので単純合計で三千三百四十万人、それで一人当たりにいたしますと約七千円、——二千五百三十億でございますから七千円ということになります。
○説明員(宮崎知雄君) ただいまの社債の発行残高でございますが、これは各社の個別銘柄ごとにはちょっとわかりかねますので、総額でお答えさせていただきたいと思います。 電力債でございますが、これが四十六年の上期で発行残高が一兆三千二百十三億でございます。それからそのほかの、電力債以外の、一般の事業債、これがやはり四十六年上期の発行残高が一兆八千八百二十三億円でございます。
○戸田菊雄君 これは電力社債の場合、いまでも償還期限は七年、そういう理解でいいですか。
○説明員(宮崎知雄君) はい。ただいままでのところは償還期限が七年ということになっております。
○戸田菊雄君 そうしますと、かりに五十万円電力社債を買ったという場合に、七年間で、五十万円元金ということになりますが、これの利子はどのくらいになりますか。それから五百万円ならばどのくらいになっていきますか。
○説明員(宮崎知雄君) これは発行されております時期によりまして多少社債の表面金利がちょっと異りますので何でございますが、かりに現在発行されております七年ものの発行条件が、利回り大体七・三五くらいのパーセント、応募者利回りが大体そういうことになっておりますが、それで計算いたしてみますと、年間の利子所得が、五十万円買いますと年間の利回りが三万六千五百円ということになろうかと思います。これが七年間ということでございますから、大体これの七倍ということでございますが、七年持った場合と、各年に受け取る金利との間にちょっと差がございますので、大体のおおよその見当でございますと、七年間持ちますと大体二十万円くらいじゃなかろうかというふうと思います。これは発行価額がディスカウントが大きいときと小さいときによって多少金額が変わりますが、大体二十万円くらいではないかと思います。
○戸田菊雄君 いま発表されたように、私は、従来四十年当時のやつですけれども、当時は七分四厘八毛、七年ものですね、そういう状況だったと思うのです。いま七・三五というから、それで計算しただけでも、かりに五十万の電力社債を買ったと、七年まで来た場合には二十五万五千五百円でしょう、利回り。だから、これが五百万円買ったという場合には十倍になりますから二百五十五万五千円になる。このくらい法外な利子所得を得ているわけですよ。こういうものについて、これは一つの例ですが、電力社債の場合ですけれども、まあ鉄鋼あるいは自動車各社債がどのくらいいっているかわかりませんが、これはいま説明があったように、四十六年の上期だけでも一兆三千二百十三億も出ているでしょう。これ総トータルしたら、相当の額になるんじゃないでしょうか、いまの計算方式でいったら。そのくらい所得をとっている者があるんです。これが漸次、いろいろ引き上げにはなってきましたけれども、いまの利子所得からいけば、四十六、四十七年分は二〇%でしょう。四十八、四十九、五十年分は二五%、こういう一応の見通しが立っておりますが、現行でかりに源泉徴収税率でいった場合に一五%、これでずばりですね。あとは一銭も税金がかからぬという制度なんです。だから、結局資料にありますような、最低控除額にいきますと、たとえば「給与所得者、事業所得者、配当所得者の所得税の課税最低限比較(昭和四十年以降)」ということで、資料に詳細載っていますけれども、これで四十七年にいきますと、夫婦と子供二人、これが百三万七千八百六十円に対して、配当所得者については三百四十三万一千六百五十二円、こういう違いが出てくるんですよ。だから、こういうものに対してもっと誠意を持ってというか、国民のそういう批判を解消していくためにも、具体的な措置を講じていかなければいけないんだ、これはおそらくあとでまた配当等については詳しく触れますけれども、これは意識的に、いわゆるいまの国税庁や主税局では掌握、捕捉しようという考えはないわけでしょう。現に選択課税という制度を四十年以降設置をして、導入している、こういうことをあらかじめ計画的に、政策的に考えているから、そういうことになっているんじゃないですか。だから、そういう意識の発想転換というものをやらなければ、幾ら文面に租税特別措置法の改正について非常に名文をそろえて、それも国民に対しては不公平を取り除くような印象を書いてみたって、現実の課税体制というものはそういっているんですから、これは信用されるはずがないんですよ。こういう点について一体どう考えますか、主税局長、どうですか。
○政府委員(高木文雄君) まず社債の源泉選択の話でございますが、社債の源泉選択につきましては、利子と同様に、昭和四十五年度の税制改正のときに、利子についての総合課税をするというたてまえをとると同時に、全般的な洗い直しを行なったところでございます。そしてただいま御指摘のように、四十八年度から四十九、五十と三年は二五%の源泉選択ということになっておるわけでありまして、従来から見ますと、源泉選択制度はとりましたけれども、その税率は上がってきておるわけでございます。そこで、源泉選択をしない場合は、もちろん総合になるわけでございます。そこで、その二五という源泉選択税率が適当であるかどうか、上積み税率がそれよりも高い納税者にとっては、確かに二五という源泉選択税率を選びますと、非常に有利になることは御指摘のとおりでございます。しかし、それにいたしましても、四十五年度の改正前に比べますれば、税率を上げた課税でございます。同時に、社債なり利子なりにつきましても、その運用利回りが、税法上の税率のいかんというものが、利回りに影響してくるわけでございますので、社債の制度なり預金なりの利回りというのは、あまり税制によってしょっちゅう変動があるということではいかがかということで、四、五年先を見通して考えようということで、四十五年度に五十年までの制度をきめたわけでございます。そこで、五十年度以降どうするか、五十一年といいますか、五十一年からどうするかという問題はあります。ありますが、それまでの過程においては、制度をあまりしょっちゅう動かすのはいかがかということで、税率を若干上げながら、五十年度まできめたわけでございますから、確かにただいま御指摘のような問題はありますけれども、その時期までいまの制度のままいくほかないのではないかというふうに考えております。
○戸田菊雄君 私は、非常になまぬるいんじゃないかという気がするわけですね。少なくともいままでの大臣等の答弁によりましても、四十八年度の予算編成には、財源を一体どこに求めるか、たいへんな苦労をするだろうということは想定ができるんですね。大部分が税源に求めるということであるならば、やはりこういう機会に私は抜本的にその発想の転換をやって、そうしてやはり財源確保に公平な形で、税制体制を全部見直してみてはどうかという気がするんですけれども、いまの主税局長の答弁ですと、やはり一貫して五十年まで一定の計画、見通しがあるから、それでやっていく。五十年以降については、いわば検討というような状況ですね。よもや五十年以前に戻って、さらに下回るというようなことはおそらく想定はできませんけれども、私は、四十八年度の予算編成にあたっても、たいへん困難な状況なんですから、そういう問題について早期に検討すべきじゃないかというふうに考えるんですけれども、その辺の見解をひとつお聞かせいただきたいと思うのです。 それからついでに、ここで資料要求を一つしておきたいと思うのですが、いまの社債関係について、もしできれば電力、鉄鋼、電子計算機、航空、海運、自動車、各般の産業の社債がどのくらいあって、それで利子支払いが一体どのくらいある。この内容についてひとつ資料として御提示を願いたい。これは早期に出してもらいたいと思うのですが、それをひとつお願いをしておきたいと思います。 次に、利子所得関係については、そういうたいへんな不均衡が存在をしているわけでありますけれども、いずれにしても主税局長、この資料にあるところの利子所得の二百八十億円、この内訳はさっきの答弁ではとても捕捉できないという状況ですけれども、これは資料として何か出していただくわけにはいきませんか。内訳、この中身についてはどうですか。
○説明員(宮崎知雄君) ただいまの各業種別の社債の発行残高でございますが、電力、鉄鋼はわかると思いますが、そのほかの電子計算機ということになりますと、ちょっと確かめてからでないとわかりませんのでございますが、なるべくそのほかの業種別に、あと航空、海運、自動車ということでよろしゅうございますか。
○戸田菊雄君 もしできれば四十年以降ですね。いま言った産業ごとの社債、利子支払いというものをひとつ資料として出してください。
○説明員(宮崎知雄君) はい。
○政府委員(高木文雄君) 二百八十億で、さっき申し上げましたのは、人数その他非常にむずかしいということを申し上げたわけですが、二百八十億の計算基礎は大別して二つに分かれまして、二百八十億のうちで、源泉選択——先ほど来お話があります源泉選択によります軽減分といいますか、それが二百二十億でございます。その他の制度によります分が六十億というふうに分かれております。
○戸田菊雄君 次に、配当関係ですけれども、これは四百十億円あるわけです、減収が。これは御存じのように、四十年に同じように佐藤総理大臣、田中蔵相時代にこの制度を導入したのです。二通りあることは御存じのとおりですけれども、かりに、抜け道の一つは、株式一銘柄の配当金が五万円ある。この所得税の確定申告やらなくてもいいというのが一つどうしても抜け道なんですね。だから、たとえば数銘柄の多くの株を買って、そして多額の株を持っているということになりますると、これが時価その他額面株価、その他いろいろ換算のしようはいろいろありまするけれども、これが非常に膨大になっていくんですね。だから、こういう問題についても私は制度上やっぱり抜本的に検討すべきじゃないか。 そこで、証券局から来ていると思うんですが、現在一般株主の実況についてひとつ説明をしていただきたいと思うのですが、一つは、五百株以下が全体の何%ぐらい占めているか、その持ち主の割合はどのくらいあるのか。もう一つは、一千株以下ですね。その株主が全体の何割を占めて、何割くらい持っているのか。それから十万株以上、これはどういう状況になっているか。大体三段階の実況でけっこうでございますから、その内容をひとつ説明してください。
○説明員(宮崎知雄君) ちょっと計算をいたしますので、お時間をいただきたいと思います。
○戸田菊雄君 それから、じゃついでに、この場合の配当金ですね。五万円、こういう場合に、株の額面株価、これは一体どのくらいになるのか、あわせてひとつ教えていただけませんか。あるいは時価相場でもいいです、これもひとつあわせて教えてください。
○説明員(宮崎知雄君) 株主の数でございますが、まず全国の八取引所に上場されております千五百八十四社につきまして、四十五年度について集計したものがございますが、これによりますと、五百株以下の株主が三百二十八万四千人でございます。それから……。
○戸田菊雄君 割合にしてどのくらいになりますか。
○説明員(宮崎知雄君) それが大ざっぱに申しまして、全体の一八%ぐらい……。
○戸田菊雄君 株の持ちぐあいはどうなんですか。総体の何割になっていますか。
○説明員(宮崎知雄君) ちょっと各発行会社の株主名簿からとっておりますので、人数は全部重複する形になります。各会社の株主名簿によって、その会社の五百株以下の人員は何人いるかとかいうふうな、そういう数のとり方でございますので、これは発行会社ごとによって同一人が重複されて計算されることになりますので、ちょっと保有株数わかりません。
○戸田菊雄君 株数の割合、わからない……。
○説明員(宮崎知雄君) これはわかりません。
○戸田菊雄君 それがわからなければ意味をなさないのだな。それがわからないということ、ないでしょう。三十八年には大蔵省財務統計でちゃんと出している。大蔵省は掌握しているはずなんですよ。人数掌握ができて、株数がわからないということはないでしょう。
○説明員(宮崎知雄君) これは各個人ごとに保有株数を計算しておりませんで、発行会社の株主名簿を、発行会社を基準に数字をとっておりますので……。
○戸田菊雄君 一応説明、聞きましょう。
○説明員(宮崎知雄君) そういたしますと、その次に千株以下の人員でございますが、これが約五百十六万六千人でございます。それから十万株以上の株主の数でございますが、それが七万一千三百十六人、この中にはただいま申し上げましたように、株主名簿で集計しておりますので、個人だけでなくて、法人も入っておるわけでございます。
○戸田菊雄君 割合教えてください。
○説明員(宮崎知雄君) これは人員の割合でございますと、最初の五百株以下のところは先ほど申し上げました一八・四%でございます。それから一千株以下のところがこれでいきますと、大体二八・九%。それから十万株以上の株主は全体の株主の中の大体〇・五%という数字になっております。 それから二番目の配当金が、五万円を取得するためにどれくらいの株数が必要かということ、これは会社の株によって区々でございますのでわかりませんが、かりに年平均いたしまして一割配当といたしますと、五円ということになりますから、それで逆算いたしますと、一万株持っておりますとちょうど五万円ということになると思います。
○戸田菊雄君 まあちょっと理解できないのですが、株を持っている人員割合がわかっておって、株数の割合がわからないというのですが、これは大蔵省で、私の資料いろいろ——間違っていれば別ですけれども、これは四十年ですね、大蔵省理財局の株主の実況について発表があるのですよ。これを見ますると、五百株以下、全体の一八・五%を占めておるのですね。それからこれは株数全体の約百分の一ですよ、〇・九%、株数の持ち合い。それから一千株以下の場合には株主の約四割を占めておって、株数全体の四・六%、十万株以上は全体の〇・二%、これはあなたが発表したやつは〇・五%となっておりますが、これは四十五年度現在ですから当然変わってくると思うんですが、それでこの株数は五三・九%という半数以上を持っているんです。私はこの傾向はいまの実情でも変わらぬと思うんですよ。それがわからなけりゃこれは比較のしようがないんです。四十年には明快にそういうことで理財局から発表されている。だから、そういう意味合いからいけば、いまのあなたが発表した株数の持っておる割合というものも、ほぼ私はこういうパターンできているんじゃないかという気がするんですね。それはどうでしょう、大体傾向としてそういう理解でいいですか。
○説明員(宮崎知雄君) ただいま御指摘のございました保有株数の数字でございますが、これもやはり発行会社の株主名簿によりまして、今度は逆に保有株数ごとに計算した数字と、こういうことになっております。ですから、厳密な意味では一致しないわけでございますが、非常に大ざっぱに言えば、大体のところは相当程度合致してくるのかと、こういうふうに考えますが、一応これは別々のものでございます。そういうことでよろしゅうございますか。必ずしも——いまお話ししました十万株以上の者が所有している株数が、ちょうどこちらの株数のほうでいきますと、四十五年の数字で申し上げますと六十五万二千六百株という数字になっておりますが、これは必ずしも一致するということにはなっておりません。
○戸田菊雄君 これは必ず掌握できるはずですから、あとで私は資料として提示を願います。いずれにしても大体四十年度に理財局発表のパターンで現行進行している。ややそういう理解で質問を進めてまいりたいと思うんですが、そういうことになりますと、結局はその株の大半を占めているのはやはり大株主なんですね。そこに大部分配当もいくという仕組みになっている。ところが、これはもう五万円で数銘柄を、大体大株主というものは四十銘柄ぐらい持っているという、大体調査したところではそういう状況にあるようであります。そういうことになりますと、かりにですね、一五万円の配当があるということになると、この額面株価でもっておおむね五十万円、時価相場で二百万円見当になって、このぐらいの財産持ちなんですね。ところが、こういうものが確定申告も必要でなければ、税金も納めなくてけっこうだということになっておる。もちろん源泉選択課税制度で税率、現行で言いますと二〇%ですか、あるいは総合課税方式、この二通り、どっちでも選択できる関係がありますから、そういうオーバーしたものについては、一定した率で税金を納めなければなりませんけれども、きわめて低額な税金で事が済むということなんです。大量の株を持って、大量の配当を受け取って、そうしてなおかつ全く人をばかにしたような税金しか取っておらない。こういうのがいまの配当の関係に対する課税のあり方じゃないでしょうか。 だからそこで、まあ主税局長に具体的に聞くんですけれども、たとえば、課税所得の年間一千万円、配当所得を持っておるという場合に、総合課税ないし申告免除方式あるいは分離課税方式、これでいった場合、どれだけの税金を取りますか、各方式でひとつ教えてください。課税所得年間一千万円ですよ、それから配当所得が百万円、この場合。
○政府委員(高木文雄君) いまその計算はすぐいたします。 申告一千万円の配当所得があるという場合に、それがまず一銘柄五万円以下のもので、たくさんの銘柄を持つということになりますと、それは源泉徴収だけになりますから、配当が一千万円の一五%ですから、そこの部分だけで見ると百五十万円でとまることになるわけでございます。 それから源泉選択の場合は二割ですから二百万円でとまります。 総合の場合に……いますぐ計算いたします。 で、そもそもそういう制度が実はどうしてできているかということでございますが、これは先ほど四十五年度の改正で申しましたが、そのもとは配当についてのお尋ねでございますので、配当になってきますと、先ほどもちょっと戸田委員がお触れになりましたように、昭和四十年のときの税制改正からの引き続きの問題でございます。で先刻御存じのことと思いますが、思い出していただくために申し上げますと、四十年度には、御存じのように当時源泉徴収税率が五%であったものを一〇%に上げる、で、源泉選択制度を設けまして、それは一五%にする、源泉選択制度というのはそれまではなかったわけでございます。で、源泉徴収税率を五から一〇に上げることと、源泉選択制度をつくって一五%という、まあ今度二〇にいまなっておりますが——その後の改正で二〇に上がったわけでございますが、一五にしますというと、見合いといいますか、そういうこととの見合いでいまの申告不要制度ができて、そしてその申告不要制度は一銘柄年五万円、その年五万円のものについては源泉徴収税率だけでまあ済みと、こういうかっこうになったわけでございます。それは確かに非常にまあ不合理であると、好ましくない制度であるということも私どもは考えております。そこで四十五年度の改正のときもその点問題になった——税の立場から言えば問題だということで非常に問題になったわけでありますが、源泉徴収税率を四十年に五から一〇に上げるのを、さらに四十五年度のところで一五に上げる、源泉選択税率のほうは一五から二〇に上げる、さらにもう一回近く二五に上げると、そこまでもうすでにきめてあるわけでございまして、で、またこれ、そのときの見合いで申告不要制度が一銘柄五万円のものが残っておる、それがまさにいま御指摘のようなきわめて不合理であるというところであるわけであります。 で、いまの一千万円の、先ほどあとで御報告いたしますと申し上げました、一千万円の総合になったら幾らになるかということでございますが、これは、さっきの源泉選択、その場合二百万円と申しました、それから申告不要の場合百五十万円と申しましたが、それらは家族構成その他には全く関係ありませんですが、総合の場合は家族構成その他に影響をしてまいりますが、一応配当だけの所得で夫婦子二人という前提で計算をいたしますと、配当控除が働きます前が税率が二百九十四万八千円になるようでございます。いま至急にここで計算しましたので、あるいは端数ちょっと間違っているかもしれませんが、二百九十四万八千円になるようでありますが、配当控除が百二十五万円ありますので、差し引き百六十九万八千円ということになるかと思います。 で、これは、したがって問題は、総合の場合と源泉選択の場合と申告不要の場合とどれがどのように有利か不利かという問題については、一にかかってこの配当所得者が、他の所得がどういう事情にあるかということによるわけでありまして、この計算ではいま一千万円ということで計算をしてみましたが、他の所得がまあないという場合の計算でございますから、他の所得があってこの配当が上へのるという場合には、累進税率の関係で非常に大きく出てくる——総合の場合には大きく出てくる。でございますから、御指摘のように、申告不要なり、あるいは源泉選択なりという制度は、どのように有利か不利かという問題は、もっぱらその株式所有者の他の所得との関連上きまりてくるということが、まあただいまの御指摘の数字で非常に明らかになるわけでございます。
○戸田菊雄君 結局、制度上として非常に矛盾があるところに、さらに源泉選択課税制度でいくと、いま主税局長が説明したようなことになる。 で、その源泉分離課税方式と総合課税方式とどっちでもいいから選べというようなことに選択をまかした、そういうことはまた次に一つ、この、いまたとえば百五十万円、夫婦子供二人の場合に。ところが配当控除が百二十五万入って、結局は税金が下がっていくわけですね。で、この配当控除というのと、地方税である住民税、このかみあいをさらに選択制というものを設けているわけでしょう、実際は、制度上。そうすると、結果的に他の所得があって、そういうものの制度の仕組みの中で税金はまるきり納めなくて済むという者が数多く出てくる、こういうことを意識的に制度上設定しているのじゃないですか、主税局長、その辺はどうですか。だから結局は、総合か、免除方式か、あるいは分離か、どれでもいいから得な方式をあなた方は選びなさいよ、いまの制度ではそうなっているんじゃないですか。
○政府委員(高木文雄君) いままでの制度に比べれば、先ほど来御説明申し上げましたように、源泉徴収税率をだんだん上げていくということで、方向としては課税の充実といいますか、資産所得に対してだんだん課税を重くする方向に向かって歩んでいると私は確信をいたしておりますが、御指摘のように、それを進めるのについて、あまりに変化が急激であってはいけないということから、たいへんややこしい制度になっておりますので、いま御指摘のように、それぞれの株式所有者の事情によって、三つの制度のうち好きなものを選びなさい、一番有利なものを選びなさいという結果になっているのではないかとおっしゃいましたが、まさにそういうことになるわけでございます。 で、私どもは、四十五年度改正に、私自身も関与しておりましたが、一方において全体の税率を上げながら、一方においてそういういわばいままでの何といいますか、ぬるま湯からだんだん熱い湯に入っていくようなぐあいで、一ぺんにはなかなかないきませんので、徐々にそっちのほうに移していくということの過程においては、ある程度のいわばなまぬるい措置もやむを得ぬのではないかということで、四十五年度のときも申告不要制度は残したわけでございます。
○戸田菊雄君 いまいろいろと指摘をしましたように、非常に矛盾が多い内容になっておる。主税局長のほうも、なまぬるいかもしれぬけれども漸次改善の措置を打ったと、こういうことでありますから、これはもうどだい佐藤総理が何回か答弁しているように、絶対に排除はいたしませんと、こういうようなことを言っておるわけですから、まああまり前途長いことはないでしょう。ですから、内閣の空気が一新した際にひとつ主税局長がいま言われたような精神で、ほんとうに私は検討していただきたいと思うのですね。このくらい不公正な税制をつくっておいて、それで国民に対しては、ことに所得税、あるいは給与所得者に対しては全く過酷な税金をやっているわけでしょう。生活費まで食い込んだ課税体制をとっている。だから、こういうものをそのまま放置することは、今後の税制のあり方について、そればかりじゃなくて、政治に対する不信といいますか、そういうものが非常に高まるようにしていくことは明らかでありますから。いまや税金問題はたいへんな世論形成の中にあるわけですね。だから、そういう意味合いにおいて、私は主税局長に、当面の担当責任者ですから、十分ひとつ検討ということをやっていただきたいと思うのですが、その辺の今後の考え方はどうですか。
○政府委員(高木文雄君) 長期的には私はそのつもりでおります。ただ当面というお話でございますが、現行制度でも、本年の十二月三十一日までは二〇であるものが、明年一月一日からこの源泉選択税率が二五に上がることになっておるわけでありまして、そういう状態でございますので、ここ一、二年のところは、いまの移り変わりのままでいく以外は方法はないのではないか。そういう長期的な制度を見通すという前提のもとに、実は一五から二〇に上げ、二〇から二五に上げるということで、関係の行政官庁なり何なりの間で、まあいわば合意を見て現行制度になっておりますので、その途中で、経過規定の進行過程で、それを動かすことは私としてもなかなかむずかしいのではないかと思っております。繰り返して申しますが、長期的にはしかし、戸田委員のおっしゃるような方向で私どももいたしたいと思っております。
○戸田菊雄君 きょうの時間はあまりありませんからもう一点で終わりますが、一つは、中小企業対策関係ですけれども、あの大蔵省の説明にもありますように、今回のこの改正で、法人税改正の留保金課税あるいは租税特別措置法での青色申告控除の創設あるいは中小企業機械特別償却の拡充行為等々の問題を改正の内容として織り込んでおるわけですけれども、この租税特別措置法の、ことに問題になるのは十一条の問題ですね。これは大体減収額にしてどのくらいありましょうか。
○政府委員(高木文雄君) お尋ねは、十一条というのは合理化機械の特別償却の全部でございましょうか。
○戸田菊雄君 租税特別措置法の所管関係法規中のナンバー二ですがこれの一七ページ合理化機械等の特別償却、十一条以下ずっとありますが、ことに問題になりますのは、カッコ内の下段の一、二、三、四とこうありますが、六までありまするけれども、この二の問題ですね、政令で定める中小企業に該当する個人、こういうものに対する償却年限その他の損金算入の問題ですね、これは一貫して変わっておりませんし、そのままきておるわけですけれども……。
○政府委員(高木文雄君) たいへん規定がややこしくて申しわけございませんが、ただいまの十一条のワクの中の二号の中小企業の合理化機械の規定は、今回新設になりました規定のほうに包摂される関係で削除になりまして、新しく十二条の三という規定を設けまして、十二条の三によって二割の特別償却制度を設けることになったわけでございますが、十二条の三は、これは個人だけ、個人の事業主だけでございまして、法人は四十五条の二というところに全く同じ規定がございます。この十二条の三と四十五条の二、両方で青色申告書を提出する中小企業者が、新しく機械、装置で政令等できめる機械——いま五十万円以上の機械と考えておりますが、これを取得する場合に、取得価額の五分の一に相当する金額についての特別償却を認める制度でございますが、これによります減収額は、平年度で四百五億になります。それは先ほど来ごらんになっております予算委員会の提出資料では、十九番にあります中小企業の特別償却等四百七十四という数字がございますが、この四百七十四の中に、ただいま御説明いたしました四百五億が大部分のものとして入っておるわけでございます。
○戸田菊雄君 ちょっと主税局長の数字説明ですね、これは参議院大蔵委員会の調査室資料なんですが、これの三六ページ、昭和四十七年度租税特別措置法改正による増減収額、中小企業対策——青色申告控除、中小企業の機械の特別償却等、平年度二百七十、初年度百八、そうなっておりますが、これとは違うんですかな。
○政府委員(高木文雄君) 全体で、新法で四百五億になるのでございますが、先ほどお尋ねのありました今度なくなりますという規定によりまして、いままでありました合理化機械による減収額が百三十五億ありまして、差し引きした数字が二百七十になります。私が申しました四百五億と、前年までありました百三十五億、その差額が二百七十になります。その二百七十が、ただいまおっしゃいました大蔵委員会調査室の資料の三七ページの二百七十の数字になります。
○戸田菊雄君 同様であるという理解でいいわけですね。 それでまいりますと、結局これは改正によっても本条文は政令によってその業者指定をやると、こういうことですね。それから内容については確かに損金算入の割合は高まったけれども、その年数は五年間と、こういうことですね。その点は変わりませんでしょう。
○政府委員(高木文雄君) 前の十一条の規定によります合理化機械の特別償却は、新しく機械を取得しました場合に、最初の取得した年に、その機械についてきめられております償却年限による償却と取得価額の三分の一だけ初年度に特別償却ができる。そのかわりその機械の種類というのは、いわゆる合理化機械ということで、非常に新しくできた機械で、企業の合理化に即するということで、企業の幅が、機械の種類その他が非常に制限的であったわけでございます。今度は初年度五分の一、つまり前の制度は三分の一でございましたが、五分の一でございますから、特別償却によりますメリットは前よりも減っております。しかし、前回は合理化機械ということで一つ一つ指定をしておりますのですが、今度は中小企業が新規に取得する機械であればよろしいと、そのかわりあまりこまごましたものはいかがかということで、五十万円以上の機械ということになっておりますから、したがって、ある程度の大きさのものでなければいけませんけれども、そのかわり新鋭機械というような感じの新しい機械でなくてもよろしいということになりますので、かなりもう広範囲にいろいろな機械が入ってくるということになりますので、いろいろな業種の中小企業に適用になる可能性が出てきたわけでございます。 そこで、前回よりも対象の機械がふえるということが十分予想されるというので、それが百三十五億であり、四百五億であるというように広がる、こういうことでございます。
○戸田菊雄君 その政令指定の業種は、現在どのくらいありましよう。 それから、いま主税局長が説明をされましたように、総体で四千三百七十億という減収総額の中から比較しますと、いろいろ三つ程度改正要件の中には入っておりますけれども、中小企業等に対する税制優遇上の問題については、非常に冷淡ではないかと私は思うんですね。だから、こういう問題については、何もこの租税特別措置法を拡大、改正していけということではないんですけれども、何か別な方式でもう少し考えられてもいいんじゃないか、税制上。そういう問題については、いまのところ考えておりませんでしょうかね、どうですか。
○政府委員(高木文雄君) 業種は、あまり、何といいますか、制限的に考えるつもりはないわけでございます。ただ、まあ一種のレジャー産業であるとか、あるいは何といいますか、生産にあんまり直接関係ないものというようなものは考えておりませんが、特にこういうものを除くというようなことで、範囲を狭めるつもりはないわけでございます。 それから、いまの考え方でございますが、これは私どもも、中小企業に対して税制を考えます場合に、なるべく簡素なものにしてまいりたい。どうも租税特別措置法によりますもろもろの税制というのは、少し、いわば芸のこまかいものになっておるような感じがいたしますんですが、まあことばは悪いんですが、大企業といいますか、そういうところでありましたならば、技術なり経理なりの専門家が大ぜいおられますからして、かなり芸のこまかい規定がありましても、適用ができることになりましょうけれども、中小企業の場合には、なかなかそういう経理の面でも、そう専門家はおられないわけでございますから、多少わかりやすくして、そのかわり多少大ざっぱになってもやむを得ないというような感じでやっていったほうがいいんじゃないかということで、同じ、機械を入れて近代化をはかっていくということを進めるとしても、大企業ならば、なるほど機械を一つ一つ指定して買って合理化をはかるのであれば、それは奨励しましょうということが、祖税による政策手段として有効であろうかと思いますけれども、中小企業については、あんまり、機械を一々指定して、こういう機械がいいというようなことをいたしますと、そのちょっとした間違いで、指定からはずれている機械を知らずして買ってしまって、あとでそれが気がついて、対象外の機械であったというようなことになってみたり、また、この機械を買えばそういう税制上の恩典があるんだということを知らずに、ほかの機械を買ったというようないろいろなことがありまして、どうもおもしろくないものですから、そこで、あまりこまごまと機械を指定しないということにしたわけでございますが、このものの考え方は、今後とも、中小企業のための特別措置を考えるような場合には、ものの考え方としてそういう考え方をとっていったほうがいいのではないか。たとえばいま貸倒引当金の制度がございますが、これについても、大企業と中小企業は区分をいたしまして、中小企業については引当率を二割高くしてよろしいと、こういう制度が特別措置にございますけれども、そういうふうに——それとこれとはまあ違う面もありますが、やや共通の思想も背後にはあるわけでございます。今後とも、大体そういうふうな思想で、あまりこまごまとしないで、各業種なり何なりに共通して適用し得るような仕組みを何か考案していきたいというふうに考えております。
○戸田菊雄君 これで終わりますけれども、政令に基づくいまの問題、業者指定、これをもしできれば資料として出していただきたい。それは、資本金一億円以上と、以下の場合と大別してもらえばいいと思いますから。 それだけお願いして、私は終わりたいと思います。
○政府委員(高木文雄君) もともと全部これは中小企業でございまして、したがって、資本金一億円以下のすべての企業に適用するという前提でやってまいります。資本金一億円以下の企業については、何ら差等は設けないつもりでございます。 業種としていま考えておりますのは、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業——マイニング、それから卸売り業、道路貨物運送業、港湾運送業、倉庫業、それからガス業というようなものをあげまして、なおあとで、漏れがあるといけませんので、その他大蔵省令で定める事業としておいて、漏れがあった場合にのせられるようにしておきたい、こういうふうにいまの政令案では考えております。で、言うまでもなく、製造業と建設業は例示で法律のほうに書いてございますので、政令には書かなくとも入ると、こういうことでございます。
○渡辺武君 私は、今回の租税特別措置による為替差損に対する減税措置の問題について伺いたいと思います。 今回の措置は、ことしの一月の十二日に行なわれた、長期外貨建て債権の為替差損についてという閣議決定に基づいていると思いますが、この閣議決定の内容についておっしゃっていただきたいと思います。
○政府委員(高木文雄君) 閣議決定は、長期外貨建て債権の為替差損の処理については、一定の要件によりその差損の計上について税務計算上の特例措置を講ずることとするとともに、日本輸出入銀行は現行法令の範囲内で同行に対する償還金の返済を猶予し、及び同行の融資額決定に際し配慮するものとすると。それに注がついておりまして、上記の税務計算上の特例措置以外には特別の立法は行なわないものとすると。 以上が閣議決定の内容でございます。
○渡辺武君 いや、私がどうもことばが若干足りませんでしたが、伺いたかったのは、この閣議決定につけられている資料ですね、いろいろ、為替差損の額が幾らで、それから損金算入による減税効果がどのくらいでというのがありますが、その点についての御説明をお願いしたい。
○政府委員(高木文雄君) 正確には実は、閣議決定そのものには資料はついておりませんですが、閣議決定にあたりまして関係閣僚が持っておられたといいますか、思想統一のために持っておられた、何といいますか、手持ちのものがございます。それによりますと、差損が約四千億ある。そのうち千六百五十億は、これは通常の損失が、何といいますか、百損失があると、それだけ法人税を納めないということになりますから、そういう普通の損が出ることによって、自動的に企業のかぶる分と、それから法人税を納めない、あるいは事業税を納めないということによって、国もしくは地方公共団体が結果的にかぶる分がありますが、結果的に国もしくは地方がかぶる分という意味で、そういうものが千六百五十億ある。それから租税特別措置、これは課税の繰り延べでございますが、これによる分が四百三十億ある。そういうことで、あとは輸銀の融資の面で対策をとるわけですが、それは先ほどのあれもありましたように、償還金の返済猶予ということでありますので、その点私のほうでは数字はわかりません。私のほうは先ほどの千六百五十億と四百三十億という数字を承知しております。
○渡辺武君 輸銀融資のほうは銀行局のほうですか。
○説明員(松川道哉君) ただいま御指摘の閣議決定をいたします際につきまして、私どものほうでこの結果どういうような効果が出るかということを、係数的に検討いたした事実はございません。ただ、業界のほうで、かねがねこのような措置をとるにつきましては、こういうことをしてもらえば、このような効果が出てくるということで、いろいろな計算をなさっておられました。この輸銀融資の上で償還繰り延べとか、新しい融資の際に査定面で若干の配慮を加える、こういうことは直接に差損を目的にしたものではございませんで、はたして業界のやっておられるような計算方法がいいのかどうか、論理的には疑問があるところであると私に思っております。ただそういう御要望が強いのに対して、説明をいたさなければならぬということがございまして、その当時通産省の事務当局のほうで、当時つかまえられておりました大まかな数字をもとにいたしまして試算されたものがございます。これがただいま渡辺委員御指摘のものではなかろうかと思いますが、その通産省の試算によりますと、為替差損相当額を、借り入れ企業に対し、従来の約定金利で六ないし十年間償還猶予をした場合にはどのようになるであろうか。これは市中の金利を一応推定においておりますが、そのような推定を前提にいたしますと、約五百二十億円程度の効果があるのではなかろうか、これが差損に対して一二・七%に当たるであろう。それからもう一つの融資額の査定面の配慮でございますが、この分につきましても、これを出すことによりまして、約百十億円の効果が、業界のほうの言う効果があがるのではないか。これが全体に対しまして二・七%ということになるであろう。合計いたしまして、この輸銀融資面での措置によりまして六百三十億円、一五・四%程度の差損対策になるのではなかろうか、こういう計算をいたして説明をされたように承知いたしております。ただいま渡辺委員の御指摘はこの点ではなかろうかと思います。
○渡辺武君 そうすると、閣議決定に提出された文書はこれは何ですか、そうなってくると、政府としての正式な文書じゃないということになりますか。
○説明員(松川道哉君) 閣議決定の文書はただいま主税局長のほうから御説明になったとおりでございます。 ただいま渡辺委員の御指摘のものは閣議決定の文書とは直接関係はございません。
○渡辺武君 それでは伺いますが、主税局長は、三月十五日の衆議院大蔵委員会で、長期外貨建て債権の総額は三兆五千億円だ、それについての差損額が四千二百億円であると、一方長期外貨建て債務千八百億円、差益額が二百五十億円というふうに述べておられます。この数字を見てみますと、先ほどお話のあった閣議決定のときに出された差損額の概算、主税局長が約四千億円と言われました数字は、正確には四千百億円というふうになっておりますが、この差損額が主税局長の言われたのと食い違っていると思うのですね。特に閣議決定の際に出された差損額には、いわゆる差益の分、これが差し引かれてない。この点税制ではどういうことになるのか、これを伺いたいと思います。
○政府委員(高木文雄君) 閣議決定は、先ほど申しましたように一月の十二日の段階でございます。この差損額の計算というのは、十二月の二十日に通貨調整が行なわれまして、それから早急に関係の業界から資料を提出されて、関係行政官庁でいろいろそれを整備されました数字でございます。先ほど渡辺委員がお読みになりました衆議院での私の説明は、そのときの数字ではなくて、その後早々の間につくりました数字を、さらにいろいろ整理した後の数字でございます。いずれにいたしましても、当時から今日までその税制上の処理をする場合の長期外貨建て債権というものは、長期外貨建て債権と当該会社におきます長期外貨建て債務によりますところの差益、これを差し引いた差額について処理をするという考え方でございまして、それは一月の段階もそうでございましたし、税法上もそうなっておるわけでございます。
○渡辺武君 主税局長の答弁された数字ですね、これは何月現在の数字でしょうか。 それからまたもう一つあわせて伺いたいと思うのですが、この数字は私どもほかの資料で検討してみまして、どうもあまり多う過ぎるのじゃないかという感じがするのですが、その計算根拠、これを言っていただきたい。
○政府委員(高木文雄君) この数字は、そもそも興産省のほうでおまとめいただいておりますので、通産省のほうからお答えいただきます。
○説明員(田口健次郎君) 御説明申し上げます。 一月十二日に差損対策の閣議決定がなされてからあとでございますけれども、本年の一月末現在の時点につきまして、全体の差損及び差損の対象となりますいわゆる外貨建ての債権、これに関連いたしまして債務の調査をいたしました。これは、対象企業は商社、それから製造業——製造業と申しましてもプラント、造船等が主たるものでございます——それからマイニンクというものが対象業種になっております。それから、調査をいたしました対象債権は、昨年の八月二十七日の時点の確定債権で、かつ、本年の三月決算期末に決算計上されたもの、それから同じく昨年の八月二十七日現在手持ちしておりました受注残高、これの合計を長期契約にかかります外貨建て債権の調査対象といたしたわけでございます。で、それによって集計されました数字が三兆四千六百七十億円。それからこれに伴います差損が四千二百一億円。で、この差損は三百六十円と三百八円のいわゆる平価の変更に基づいて生じた差損ということでございます。 なお、これに関連いたしまして長期契約にかかる外貨建て債務でございますけれども、これも商社、製造業、鉱業について調査いたしましたわけでございますけれども、輸入につきましては、長期の延べ払いのケースが非常に少ないわけでございまして、内容的にはインパクトローンが大部分になると思いますけれども、外貨建て債務の残高が一千七百七十九億円、それからこれによって生じますいわゆる差益額が二百四十九億円。で、以上の差損合計と差益額を差し引きまして、いわゆるネットの純差損の合計が三千九百五十二億円、こういう数字になっております。
○渡辺武君 いま、この委員会で時間のないときに伺っても、どうもよく検討もできませんので、その計算の資料、これをひとつ委員会に提出していただきたいと思うんです。その点、委員長ひとつお願いいたします。
○説明員(田口健次郎君) では、提出させていただきます。 しかし、個別企業に関します資料は、若干企業経営の秘密と関連する部分がございますので、一応たとえば商社、製造業、鉱業あるいは外貨建て債権の中でも、実は確定債権と先ほど申し上げましたように、受注残高、いわゆる未確定債権といったような分類がございますけれども、そのような分類に応じて資料を提出させていただきたいと思います。
○渡辺武君 私、そういうことを申し上げるのは、たとえば経団連などで、昨年の暮れごろからずっと調査をしていると思うのですね。それで、その調査の内容を全部私ども知るわけにはいかぬですけれども、漏れ承るところによりますと、いま報告された数字などと比べてみると、そんなに大きくないですね。業界が調べた数字よりも、政府の調べた数字のほうがはるかに差損分が大きいというようなことが非常に疑問なものですから、ひとつ、その資料をぜひ検討させていただきたいというふうに思っているのです。 それからなおもう一つ、税制面の為替差損対策として、先ほど主税局長も言われました閣議決定のときに使われた資料ですね。これによると、損金算入による減税効果が約一千六百五十億円、税制上の特例措置で約四百三十億円、合わせて二千八十億円というふうに書かれているわけですけれども、これの計算根拠ですね。これはどういうふうな計算でなっておるんでしょうか。
○政府委員(高木文雄君) まず、千六百五十億円のほうは、差損四千億から、輸銀の返済猶予によるメリットといいますか、輸銀から今後とも低い金利で借りられることによるメリットが、先ほど六百三十億あるのではないかというお話しがありましたが、これは業界のほうで、あるいは関係官庁のほうで計算された数字でありますが、六百三十億を四千億から引きます。そうしますと、その差額は当然損として出る。何らの措置を要せずして損が出てくるわけでありますが、損が出ますと、その損のうち、企業の最終的に負担になる分は五四%、国と地方が税の減収というかっこうで結果的に負担になる分が四六%になるであろう。この四六とか、五四とかいう率、これは現在の法人税なり、事業税なりから一応出てくる数字でございますが、この数字そのものは、やはり当時業界のほうで一応の試算をされ、そして関係官庁でそれをチェックされた率でございます。 それから一方特別措置による効果というのは、これはちょっと一口にはなかなか申し上げにくいのでありますが、企業が一定期間税の繰り延べを認められる繰り延べ効果があるわけでございますので、その繰り延べ効果を一定の仮定を置いて金利計算をいたしまして、そして金利負担がどのくらい軽減されるであろうかという金利負担の軽減計算をしたものが、仮定計算でございますので、金利を八分五厘と置きまして複利計算をいたしまして、期間を十年と置いて計算した金額でございます。
○渡辺武君 大蔵省のほうでは、今度の措置がもし成立した場合、どんな減税効果になるというふうに推定しておりますか。
○政府委員(高木文雄君) これはもともと渡辺委員よく御存じのとおり、企業会計原則では、長期外貨建て債権を期末に換算がえをして損を立ててもよろしいというか、それがまあ一種の原則になっておりまして、しかし、それを立てないで、会社計算上は評価がえをしないでおいて、そうして税務計算上、申告の上でそれを損に立てる。で、それを十年間に繰り越すということでございます。そこで、そういう制度のメリットをどう計算するかは非常にむずかしいわけでございまして、企業がどっちを選ぶか、何と何との差額をこの税制上のメリットと見るかということは、非常に考えようであろうかと思います。しかし、先ほど関係業界なり、あるいは関係官庁なりの計算方式、つまりその期間の金利メリットというのを、全部を一応計算するということも一つの計算方法であろうかと思います。で、そういう前提に立つならば、いまの四百二十億円という計算は、金利メリットとしては出てくるものであるというふうに、計算そのものには、その前提が正しい限り、計算は金額と同じになるというふうに考えております。
○渡辺武君 その商法の扱いとの関係は、いずれ時間があったら少し詳しく伺いたいと思っておるのですが、そうすると、結局いまおっしゃったのは、いろいろ言われましたが、この閣議決定のときに配られた税制上の特別措置による四百三十億というのは、ほぼ大蔵省としてもその辺のところは推計しているということになりますか。それに損金算入による減税効果、千六百五十億円というのもほぼそんなところと見ておるということでございますか。
○政府委員(高木文雄君) 先ほども申し上げましたが、繰り返し申し上げておきますが、閣議決定のときにも全く配られておりませんので、その点はひとつお間違いのないようにお願いをいたしたい。また、これは、政府としては、閣僚の間でどういう経済的な意味を持つかということを御理解になる上において、手持ち資料としてお持ちになったわけでございますが、さてこれがどういう経済効果と考えたらいいのか、つまり、そもそも損が出たという場合、現行法人税法の上におきましては、赤字になれば、法人税を納めないことになるのは当然のことでありまして、為替差損であろうとなかろうと、いかなる損であろうと、企業の経営の失敗による損であっても、損が出れば法人税を納めることにはならないわけであります。したがって、損が出た場合に、その損のうち半分近くのものが、結果としては、いわば国税なり地方税なりの減収という形であらわれてくるというのも事実でありまして、特別な措置をとってそうなるのではなくて、自然現象的に減ってくるということでございますので、その千六百五十億というものは一体どう評価すべきか、その部分については格別に何か特別の意味を持ったものではなくて、むしろ何かこう業界の方々を中心に、通貨の調整措置があって非常に大きな損をこうむったと、四千億にも及ぶ損があったというふうにおっしゃるけれども、実はそんなに大きな損ではなくて、その千六百五十億というのは、もう自動的にその損は、税を納めないんだから減るんだと、もし通貨調整がなければ、所得が発生して納めるはずの税が、通貨調整があったために赤字になってしまったから、納める税が減っていくんだということで、この四千億という赤字の意味づけの説明に使われるのはいいとしても、それが何らかの措置によって減るんだという意味では全くないというふうに考えるわけでございます。 それから四百三十億円のほうは、これはちょっと意味が違いまして、確かに特別にいま御審議をお願いしておる租税特別措置法の条文の一種の効果という点はあるわけでございますが、しかし、それも前提としてどういう経理をやるかということが、全く選択が企業サイドにあるわけでありますので、そしてまた、それは本則のほうはどちらかというと、いまの企業会計審議会の意見書によりますと、換算がえをするほうが本則になっておるということでありまして、換算がえをしないほうがただし書き方式になっておるものですから、それをどのように評価すべきか、しばしばここで御議論いただいております租税特別措置による利子とか、配当とかの非課税というようなものと、同じような意味での特別措置による減税と見るべきものなのかどうなのかというあたりについては、まあいろいろな見方があるわけでありまして、ただ、先ほどもここで戸田委員の御質疑に出てまいりました減収計算の計算のときには、一応やはり全く見ないというのもおかしいのではないかということで一部は見ておりますが、必ずしも四百三十億というふうな減税効果のある措置をとったというには、少しそういう表現をとるのは適当ではないのではないか、たいへん歯切れの悪いお答えのしかたでございますが、そういうふうに思っております。
○渡辺武君 どうもみずから歯切れが悪いと認めたから、これ以上申し上げるのは何ですが、まあ伺っていて、失礼ですけれども、官僚答弁の教科書みたいなことの答弁だったなという感じがするんですよ。やっぱり閣議決定のときに正式に配られたかどうかは私知りませんけれども、とにかく各閣僚がこれを手に持っていて、そしてこういう決定をやっているということになれば、判断の基礎になっていること、これは明らかなんですね。ですから、やはりその辺は言い抜けたって、これはもう通らないことですよ。 それからもう一つは、先ほど確かに企業会計原則のほうからいえば、どっちを採用してもいいと、取得時で計算しても、あるいは決算日で計算してもいいということにはなっていますけれども、税法上で決算日で計算してこれだけ恩典があるんだということになっていれば、これは当然決算日で計算して、こういうような損を出して繰り延べ措置をやるということは当然考えられることなんだから、もう少し実情に合ったような答弁をしてほしいと思う。 次に、輸銀のほうで伺いたいんですが、先ほど、やはりこの文書の、これは輸銀としては、銀行局としては関知したことでないというような御答弁だったんですが、この為替差損に対してどういうふうに輸銀として考えておられますか。閣議でもこういう決定があるんだけれども、実際、どういうふうになさるおつもりですか。
○説明員(松川道哉君) 私どもの立場といたしましては、当時、問題であったのは、四十七年度において輸銀の融資ワクをどうするかという問題、また、その財源をどうするかという問題でございまして、その点、税金の場合といささか趣を異にいたしますのは、この結果どれだけの効果がどうなってくるというのは、直接の判断の材料にはなってまいりません。しかしながら、政策をとりますときに、全体としておおよそのめどはどのくらいになるか、その意味では、私どもも非常に関心を持っております。通産省が当時得られる資料で、先ほど大ざっぱな試算と申しましたが、当時得られる資料としては、一番確実な資料をもとにいたしまして試算をされたもの、これに対しましては、全体としてこういうことになるということを私ども関心は持っておりました。ただ関心の度合い、また関係の度合いが税金の場合とおのずと違うということを、まず申し上げておきたいと思います。 次に、具体的にどういうことをするかという点につきましては、まず第一に、輸銀から融資を受けまして、そして外貨建ての長期にわたる輸出契約等をいたしておりまものの中で、昭和四十六年八月二十七日以前の承諾分の融資の返還金を対象にいたしまして、その対象償還金の中で、為替差損に相当するものがあるために、輸銀に円貨で返しますことが困難になってきたというような企業に対しましては、当該する為替差損の金額の範囲内で、原契約の金利によって六ないし十年間返済を猶予することができる、このようにしたのが一つでございます。 もう一つは、昭和四十六年八月二十七日以前に、業者ベースでの契約自体が成立いたしております場合、これは外貨建ての長期の輸出契約でございますが、そういう輸出契約について融資を輸銀に持ち込まれてまいりました場合に、どの程度まで輸銀でめんどう見るかということでございますが、通常の場合と申しますか、それ以前の慣行といたしましては、契約金額全体のうち一〇%相当分は自己資金をもってまかないなさいということで、融資額の算定の基礎からはずしておりました。自己資金というのは、あるいは利益分もあるかもしれないけれども、そのことは自分でまかないなさい、こういう趣旨でございます。ところが契約をいたしましたときには、ベースが三百六十円のつもりであった、しかし事柄を輸銀に持ち上げてまいりましたときには、それが変わってきておるということで、現実に自己資金を当てにしておったところが、俗なことばで申しますと、吹っ飛んでしまったという形になるわけでございます。したがって、従来いたしましたように、機械的に一〇%、これは自己資金でまかなう分だから、融資額の算定からはずしますよということはやめまして、そういう場合には一〇%の引き算をしないで、融資額を算定していく、このような措置をとることにいたしました。この二種類でございます。
○渡辺武君 閣議決定のときの資料によりますとへ第一の方法によると五百二十億円、第二の方法によると百十億円のメリットがあるということになっていますけれども、銀行局のほうではどのくらいのメリットが出ると考えておりますか。
○説明員(松川道哉君) 先ほども御答弁申し上げましたように、これは大体のめどということで、私どもも関心を持っておりますが、正確なところをどうしても知らねば事業の運用ができないということではございませんで、当時この計算をしていただきました以後、改めた、もう一つ詳細なと申しますか、正確な計算というものをいたしておりません。
○渡辺武君 それでは、当時の資料でいいですけれども、計算根拠ですね、これの資料をぜひ出していただきたいと思います。
○説明員(松川道哉君) これは、私のほうで計算いたしましたものではございませんものでございますから、ただいまの御要望は、この席で通産省のほうに聞いてみていただきたいと思います。
○渡辺武君 通産省どうですか。
○説明員(田口健次郎君) 御説明いたします。
○渡辺武君 いや、資料をいただけませんかというのです。
○説明員(田口健次郎君) それにつきまして、これは実は当時では、私どもの持っておりました資料をもとにいたしまして、ある程度の仮定を置きまして、大蔵省からも御説明ございましたけれども、これは円切り上げによる為替差損の補償を目的とするのではないというふうに通産省でも了解しておりますけれども、結果としてどういうメリットがあるかということのめどをつかむために、大ざっぱに当時業界等でも計算しておりました計算方法に従ってやると、どういうことになるかということで試算を行なったわけでございます。そういうふうなことで、大ざっぱな試算でございますけれども、算定根拠を提出させていただきたいと思います。
○渡辺武君 とにかく約四千億円の為替差損が出て、この計算によると、そのうちの六六・一%を政府の措置によって救済するというのですから、これはたいへんな額だと思うのですよ。これはいま沖繩県民が、沖繩に約十億ドルの現金の預貯金があるのだけれども、円切り上げによってばく大な為替差損が出る。それを何とか三百六十円で保証してほしいと非常に強い要望がある。かりに三百六十円で全部切りかえたとして、大体五百億円程度の金が政府から出されれば、これは完全にできると思うのですが、それを十分にやろうとしない。ところが、ほんの限られた業種に、四千億円の為替差損の六六%、半分以上を三千億円近い救済措置が行なわれるということになるわけですから、これはたいへんなことですよ。ですから、これは正確な資料をいただいて、そうして十分に私ども検討させていただきたいし、国民のやっぱり検討の材料にしていきたいというふうに考えているんです。 それから、これだけの措置をやるために、一般会計のほうから輸出入銀行に新たに出資もしくは融資があったのじゃないかというふうに思いますけれども、どのくらいの金が出ることになっていますか。
○説明員(松川道哉君) ただいまの御質問で、この分について幾らかとおっしゃられますと、私ども非常にお答えしにくいのでございます。ただ、予算編成の過程でいろいろございまして、当初内示いたしましたものから、最後に成立いたしましたものとを比較いたしますと、出資において三十億円、融資において二百五十億円という財源をよけいに四十七年度予算の中に計上いたしております。
○渡辺武君 実に至れり尽くせりのぼくは措置だと思うのですね。ところで、こういうような措置を受けながら、たとえば造船産業などは、これは依然として配当を続けていると思う。多少の減配はやるということが新聞にも出ておりますが、一体配当の状況はどうなっているのか、それを伺いたいと思います。
○政府委員(田坂鋭一君) 造船大手十社の最近の配当状況でございますが、平均いたしまして大体一〇%強になっております。それで今回の為替差損の影響もございまして、次の四十七年三月期におきます配当におきましては、相当のこれが減配をせざるを得ないという状況にきております。
○渡辺武君 減配はするけれども、しかし、一〇%近い配当をやっている、そういう会社に特別な減税措置をやる、あるいはまた輸銀融資についての特別なメリットのあるような措置を講ずる、こういう点について国民感情として納得できないと思うのですね。しかも、今後繰り延べ措置をすれば、今後とも株主には配当金を出しながら、しかも、減税措置をずっと受けるということになろうかと思うのです。そういう点はどうでしょうか。これは政務次官にお答えいただきたいと思います。
○政府委員(船田譲君) いま渡辺委員からいろいろなお話ございましたが、先ほど大蔵省並びに通産省当局からの答弁ございましたように、為替差損全額を政府が補償するというようなことは全然言っておらないわけでございまして、ただこれが政府が、かなりきつい外国為替管理をやっておりました関係上、企業努力だけでは、その生ずべき損失を十分に防ぎ得なかった面もあるかというような考えも考慮にございまして、いわば初めてのこういう事態に対処いたしました措置としては、これはやむを得ない措置と私は考えております。
○渡辺武君 沖繩県民のことも少しは考えて御答弁いただきたいと思う。 重ねてどうですか、沖繩県民に対する措置は。あまりひどい差別じゃないですか。
○政府委員(船田譲君) 沖繩の個人の通貨性の資産につきましての問題につきましては、御承知のように去年の十月九日現在におきましてチェックをいたしまして、それを名寄せいたしまして、債権と債務に分けて、その差につきましては、チェックをしたものにつきましては、返還時の一番近い前日、あるいはその何日か平均というものの為替の実勢と、三百六十円の差を補償するという措置をとるわけでございますが、それが私どものところに出ているデータとしては、とても先ほどのお話のように、十億ドルというような巨額なものにはのぼっていないようでございます。しかしその問題とは別に、先ほど先生が言われましたようなアンバランスじゃないかというようなお話もございますけれども、一方、いまだに沖繩はわが国にとりましては、五月十五日までは日本の施政権が及んでおらないところでございますし、かたがた為替管理の問題につきましても、十分にその制度あるいはシステムができておらぬところでございますから、これは短資の便乗流入というようなことも心配がございますので、先ほど申し上げましたように、去年の十月九日にチェックをいたしました個人の通貨性資産の分について、いわば差損を補償するという形になっております。
○渡辺武君 時間もきましたので、沖繩の問題などについてはなおあらためて私いろいろ質問したいと思いますが、最後に一言ずつ伺いたいのは、こうして造船、プラントあるいは鉱山など、これらの業種を中心にして、為替差損でいろいろ政府が対策を講じているということなんですが、これあらためて今回だけやったのじゃないと思うんです。いままでも金融上、税制上、ずいぶん行き届いた優遇措置をこれらの業種に対してはやっていると思うんです。ですから、その点について、今度問題になっている造船産業、それからプラント産業及び鉱山ですね。これについて輸出入銀行として、いままで金利四%などの安い融資をやって、したがって、市中銀行から融資を仰いでいる場合でも、その面で十分なメリットがあると思うんです。そういう優遇措置、これ十年間でどのくらいの優遇になっているのか。 それからまた、租税特別措置その他で、これらの業種に特別な減税なり免税なりが行なわれていると思いますが、その額がここ十年間ぐらいの間で大体幾らぐらいになっているのか、この点をお聞かせいただきたいと思います。
○説明員(松川道哉君) ただいま過去十年間でどのくらいのメリットになっておるかという御質問でございましたが、あいにくぴったりの資料がございませんので、手元の資料で御説明させていただきますと、四十二年度から昨四十六年十二月末までの貸し付け高を、ただいまの分類で御説明さしていただきますと、船舶の輸出金融につきまして輸銀が融資いたしましたものが八千二百十八億円でございます。同様にプラント関係の輸出金融が五千四百七十六億円でございます。他方、資源開発などの輸入金融をいたしましたのが六百十四億円、資源開発や繊維産業等外国へ投資いたしますその投資関連の融資が千三百二十九億円、合計いたしまして一兆五千六百三十七億円と、このように相なっております。ただ、これが結果的にどのくらいの優遇になるのかということになりますと、私ども、ことばは悪いかもしれませんけれども、補助金をやるかわりに、こういう金融をしてやったんだという意識は持っておりませんで、輸出奨励ないしただいま申し上げましたような資源の輸入、そういったものが日本の経済を運営するのにどうしても必要だと、どうしてもこれに金融をつけなければいけない、そういう判断でいたしてまいったものでございますから、この結果、企業自体がどれだけメリットを受けたかということになりますと、計算は非常にむずかしいのではなかろうかと思います。
○政府委員(高木文雄君) 造船にかりに例をとりますと、輸出船については十年間といいますとかなり古くなりますので、所得控除の適用のあった時期もありますし、割り増し償却の適用のあった時期もありますしいたします。かなりの額になろうかと思いますが、たとえば所得控除の場合は引き切りになります。それから特別償却の場合は後年度の利益で取り戻しになりますので、その計算をどういうふうに計算するかということになりますが、ちょっと私どもではそういう計算はいたしておりませんので、そういう資料を出しかねるという状況でございます。
○渡辺武君 最後に一言。 どうも資料確かめるということで、残念なんですが、しかし、ただいま輸銀のほうのあれで伺っただけでも一兆五千六百三十七億円の融資が行なわれておる。まあ市中銀行との金利差をかりに四%としてみて、六百億円くらいのやはり金利上の優遇が行なわれておると、大まかに計算しても思うのです。税制上の措置、優遇措置、これも相当大きなものだというふうに見て私は差しつかえないと思う。こんな一握りの大企業にだけ、繰り返し繰り返し優遇措置をやる、これとんでもないことだと思うのです。いま沖繩の問題も申しましたけれども、やはりこの税制措置でまずわれわれが考えなきゃならぬことは、これは一般の勤労国民だと、沖繩県民も含めて。その点をはっきりと申し上げて私の質問をやめておきます。
○委員長(前田佳都男君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。 次回の委員会は、四月十一日午前十時三十分から開会いたすこととし、本日はこれにて散会いたします。 午後三時三十七分散会