社会労働委員会 第20号
- 発言数
- 262 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1972/06/06
会議録
○委員長(中村英男君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。 議事に先立ちまして、皆さんのお許しを得て一言藤原委員への祝辞を申し述べたいと思います。(拍手) 藤原委員は、御承知のように、二日の日に本会議で二十五年の表彰を受けられました。 私どもの先輩議員として、ことに二十五年の間、社労委員を連続でおやりになって、本会議でも藤原先生みずから述べられましたように、社会福祉の向上のために今日まで努力されてまいっております。どうぞ、先生にはからだに留意されて、今後ともあなたの人生観に立脚した社会福祉の向上のために努力していただきたいと思います。どうぞひとつ健在でやってください。(拍手)
○藤原道子君 御丁重なごあいさつをいただきまして、まことにありがとうございました。 御案内のように、私は理論家でもなく、ただ実践家で、庶民とともに庶民の声を国会へ反映していく、その道一筋に生きてまいりました。学歴もなく、所属労組もなく、金もない私は、ただ同僚諸君の御協力とそうして手銭、手弁当で応援してくださった全国の支持者の皆さんのおかげで二十五年つとめさせていただきました。ほんとうに感謝いたしております。 社会保障制度の確立、私の公約は命と暮らしを守る、これが公約でございまして、これを貫きたいときょうまでがんばってまいりましたが、まことにわがままでございまして、皆さんにたいへん御迷惑をかけてきたと思います。どうか、この道をなお……。社会保障もどうやら一応は整いましたけれども、内容の充実のために皆さんとともに今後もがんばりたい、あと二年の任期でございますが、その間一生懸命がんばる決意でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。まことにありがとうございました。(拍手) —————————————
○委員長(中村英男君) 老人福祉法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○須原昭二君 老人福祉医療の問題については、すでに先輩の皆さんからいろいろと御質疑があったわけですが、なるべく問題が重複しないように、問題点だけお尋ねをいたしてみたいと思います。 まず、法案の内容に入る前に、若干見解を尋ねておきたいと思うんですが、日本は世界で冠たる自殺の多い国であります。とりわけ老人と女性の自殺が多いのが最も顕著な特徴であります。 ちなみに、拾ってまいりますと六十五歳以上の自殺は、男子はハンガリーに次いで世界で第二番目、女子は断然トップでありまして、スウェーデンの五倍、イタリアの八倍、ノルウェーの十倍、これはいわば老女の自殺と言えると思います。はたしてこの老人、とりわけ老女の自殺率が非常に高いわけでありますが、こういう点を政府はどういう理由に基づくものであるのか、この点をまず御見解を賜わっていきたいと思います。
○政府委員(加藤威二君) 確かにわが国における老人、特に婦人の自殺率、これが世界で最高でございます。男性のほうの老人につきましては九番目ぐらいということでございますが、御婦人の自殺率が非常に高いというのは統計上出ておるわけでございますが、その理由につきましては、これは自殺の原因の統計が、あまり、これは警察のほうにもいろいろ問い合わせましたけれども、あまりはっきりした資料がございませんので、統計的なことは申し上げかねるのでございますが、ただ、私どものほうで老後の生活についての悩み、どういう問題で老人が悩んでおるかという調査をいたしましたので、まあ自殺されるについては、やはり生活上のいろんな悩みから自殺される場合が多いということから類推いたしますと、大体その原因というのは老後の生活上の悩みの調査というものと大体同じ形になるのではないかという感じがするわけでございます。非常に推定で申しわけありませんけれども、そういう点から申し上げますと老後の生活上の悩みの一番大きいのは健康上の問題、その次が経済的な問題、それから家族とのトラブル等がまあ上から三つばかり並んでおるわけでありまして、おそらく自殺されるという場合には、いろんな要素が複合すると思いますけれども、やはりいま申し上げましたような原因が、相当数の自殺される場合には大きな原因の一つになっているんではないかというぐあいに考えるわけでございます。
○須原昭二君 よくまあ、さまざまの評論家の皆さんがおっしゃることばの中に、戦後の家族制度の崩壊がそのおもなる原因だというようなことが出ているわけですが、実は、私はそうは思わないわけです。というのは、生活保護なり医療保護なり老人福祉なり、いわゆる社会保障制度が、一応戦後というのは不十分ながら若干整備されてきた、妻にも遺産相続権が認められておる、そういう点も影響して、戦前と比べて、戦後は、実は老人の自殺率が減少しているわけでありますが、この生活要件の基盤である家族制度の崩壊というのは、私は主たる原因ではない。ただ老人、特に老女の自殺が多いというのは、やはり日本人の死生観などに大きな問題点があるのではないか、こういうふうに考えます。とりわけ日本人は、非常に強い者には必要以上にぺこぺこいたしますけれども、へつらいこびをいたします、しかし、相手が弱いと見ると非常にいばりちらしたり、時には弱い者いじめをする。そういう習性というものが私は残っておる。すなわち、弱者の論理といいますか、そういうものがあるのじゃないかというふうに私は思うわけですが、そういう点で、やはり日本人には人間並みにわが同胞といったようなおおらかな、ヒューマニズム的な人間愛が身についていないんじゃないか、そういうふうに感じます。それと同時に、それをとらえて、政治というものがどういう形にあるかというと、これを補足しあるいは正すべき立場にあるわけですが、そういう面における政治のあるべき姿、そうしたものの認識がやはり政治そのものにも私は欠けておるのではないかと実は思います。一般的に、老人は社会的な弱者でありますという現実を直視する政治のまじめな姿勢こそが、最もいま要求されなければならない点だと思いますけれども、大臣はどのようにお感じになっておりますか。
○国務大臣(斎藤昇君) 須原委員のおっしゃいますように、まあ戦後、老人の自殺、婦人の自殺も、実数はまあ減ってきているように私は思っております。しかるに、これが世界各国に比べて多い。ことに婦人が多いというのはどういうわけだろうか。私も、まあ私なりにいろいろ考えておるわけでありますが、ただいま須原委員のおっしゃるような点も私はまさにそうではなかろうか。福祉施策を進めてきてはおりますが、必ずしも十分ではないという点もなきにしもあらず、ここらの点は十分心してやらなければならないと、かように思います。 同時に、まだ老人の方々は、主人がなくなられてそうしてさびしい。そのあとを早く追っていきたいというような気持ちが、特に日本人には多いのじゃないかしらと、これは中、高年以上の老人の方々のそういった考え方というようなものが、まあ、仏教思想だからどうということはなかろうと思うのですが、何か日本にそういった特有な従前からの心情というのが、まだ根深く残っておるんじゃなかろうかという感じもいたすわけでございます。で、同時に、家族制度が崩壊をしたといっても、まだ完全に欧米先進国の制度にはなっておりませんし、核家族化はしてまいりますが、しかし、その家族生活の中における老人の立場というものが諸外国にない一つの大きなトラブルであり、これがやはり老婦人の頭を痛める原因ではないだろうか、かように考えております。したがいまして、それらに対する政治的な配慮、施策というものも必要であろう、かように思っております。
○須原昭二君 いま大臣のおっしゃいます、かわって、そういう点における政治の保全といいますか、施策といいますか、そうしたものを充実さしていかなければならないと思うのですが、特に今年度の予算を見ましてですね、痛切に感じますことは、社会保障関係費が一兆六千四百十四億円でしたか、伸び率が二二・一%、予算の占める比率から言うならば、今年度が一四・三%、昨年と比べて〇・〇三%の増でしかないわけです。特に、おおらかなヒューマニズム的な人間愛が日本人には身についてない、こういう点を政治がカバーしていくという、いわゆる人間尊重、社会保障の充実、こういう立場からものを考え、弱者の論理を否定をして、一そう積極的な社会保障への充実をしなくてはならぬと実は思うわけですが、こういう、ことしの予算を見て、非常に大々的に福祉、福祉といわれておるけれども、その中身というものは過大宣伝のような感じがしていたしかたないわけです。その点、基本的に今後どのように対処されていきますか。その点の政府の考え方を今年度の予算から見て将来どういうふうにいまお考えになっておりますか、お尋ねをいたしたいと思います。
○政府委員(加藤威二君) まあ、社会福祉関係の予算につきましてはこれは厚生省予算の伸びが政府全体の伸び率よりも若干上回っております。それから、社会福祉関係の予算につきましてはさらに厚生省の中でも比較的伸び率が高いほうでございますが、しかし全体として先生おっしゃいましたように、やはり私どもから見ましてもまだ予算の伸びは非常に不十分だと思います。まあ、そういう点から申しまして、四十八年度予算がまた迫ってまいりますけれども、私どもはやはり社会福祉というものはかけ声だけではだめでございまして、それに伴う予算的な裏づけがあって初めて実のあるものになるわけでございますので、先生御指摘のとおりまだまだ私どもも不十分であるという感じがいたしますので、福祉国家という名を掲げる以上はもっと予算面において大いに伸びていかなければならないというふうに考えておるところでございます。
○須原昭二君 先ほども大臣がおっしゃいますよ、うに、まあ日本は核家族化が始まっている。しかし、ヨーロッパのような状態にはなっておらない、こういうお話がございまして私もそう思うのです。しかし、日本のいまの家族制度、家族の実態からいって老人に対する扶養意識の変化が非常に変わりつつあるという現象をわれわれは注目をしなければならないと思います。とりわけ戦前には老後の生活保障なんかは国民の通念上、原則として子供の責任、こうしてきたわけです。戦後においてよく調べてまいりますと家族生活、家族に扶養されて生計を立てている老人というのは三十二年度は七七%、三十八年は六五%、四十三年に至っては五六%、だんだん低下をしているわけです。しかも、四十一年の世論調査でしたか、六十歳以上の者の考え方では半分の方が老後の生活保障はまだ家族の責任だとしております。しかし老人の年齢が低くなるにつれてこの家族責任が弱くなっているわけです。特に、二十歳から二十九歳までの若者の感じ方といいますと、もう老人の扶養というのは家族の責任とする者はわずか一六%、現在から将来にかけてこのように老人の座が大きく揺れておるわけでありまして、特に老齢者にとっては極度の不安を与えている、こういう現状をまず踏まえて私たちは考える場合に、いま現在の予算の社会保障の実態から見ればきわめてわずかである。さらに伸ばさなければならないと思われるのですが、この老人に安らぎを与えていく、老人の安らぎが存在しない今日の現況に立って、これらの問題について基本的にどうお考えになっておるのか、その点をまず最初にお尋ねをしておきたいと思います。
○政府委員(加藤威二君) まあ、老後の生活について家族が扶養すべきかあるいは社会なり国でやるべきかということについてはいろいろ考え方があろうと思いますけれども、私どもとしましてはやはり老人はとにかく老後の生活が何といいますか、たとえば年金とかそういうことで年金制度というものをもっと確立してそのかわり若いうちは掛け金をかけて置くということで自分の努力、それから国のそれに対する協力ということによって、まあ端的に言えば所得保障でございますが、そういう制度によって老後の生活は自分でちゃんとできる。年をとってからいろいろ国のほうで生活費をめんどう見なくても、とにかくそういう形で老後の生活が保障されているという形が一番望ましいと思います、そういうことで社会局の所管ではございませんけれども、今度御審議いただいております形で老人の医療につきましては非常に不十分でございますけれども、ある程度前進がなされたわけでございますが、やはり今後は老人の所得保障について、非常にこれはおくれておりますので、できるだけスピードを早めて万全を期していくということによって老人が自分自身で自分の生活を見ていける、そういう体制の確立を急ぐ必要があろうかと思います。
○須原昭二君 私はどうしてそういうことをお尋ねしているかと言いますと、どうも政府の老人対策というのは一貫性といいますか、総合性というものが実はない。特に私がこれから言わんとすることは、老人福祉の長期計画というものがはたして政府にあるのかどうか、こういう点について聞きたいのです。特に老人対策の見通しの基盤となる、これからの老人の実勢をつかんでみなければならないわけでありますが、人口の老齢化によって実は現在わが国では六十歳以上が人口の一一%ですか、大体千百万人、六十五歳以上が全人口の七%、七百三十万人だといわれておりますが、老齢人口の絶対数はアメリカに次いで世界第二番目です。しかしその人口構造の老齢化のスピードというものはきわめて高いわけです。たとえば六十五歳以上の老人をとりまして比較いたしますと、八%から一八%になるのにアメリカでは二百年、いわゆる二世紀もかかって八%から一八%に上がっているわけです。しかしわが国ではこのスピードが非常に高いわけでありまして、このアメリカで二百年かかるのを、わずかわが国では四十年で達成をする。アメリカの約五倍の速度で進行するわけです。そうすると昭和九十五年には二千四百万人、現在の三倍以上になるといわれているわけですが、どこの国にもこういうスピードで老齢化していくという国は経験がないことなんです。このように短期間に世界一の高齢国になる前例がないわけです。そういう点を踏まえますとこれから年々の予算を組むときに前年度の何%というような積み重ね方式では私はだめだと思う。したがって早急に一貫した総合的な、しかも長期的な老人福祉対策というものを樹立しておかなければこのスピードに対応できないと私は思うのですが、はたして政府は老人福祉について長期計画を持っているのかどうか、具体的にどう考えておられるのか、その点を明確にしていただきたいと思います。
○政府委員(加藤威二君) 確かにわが国の老齢人口が世界に類を見ないほど急速に増加するということはただいま先生御指摘のとおりでございます。それに対して長期計画を持っているかどうかということでございますが、老齢者に対する対策と申しましても非常に幅の広い問題でございます。厚生省だけとらえてみましても所得保障の問題から医療の問題、あるいはその他の社会福祉関係あるいは住宅の問題等々非常に幅の広い問題でございます。一般的に社会福祉というものに対する長期対策というものは、なかなかこれは先生御案内のとおりむずかしいものでございます、何かものをつくるとか、そういうことでございますと非常に長期計画になじみやすいわけでございますが。そういうことで、老人ホーム等につきまする計画については一応何回もこういう席で申し上げておりますけれども、社会福祉施設整備の五カ年計画ということで、また、長期計画ではございませんけれども、とりあえず五カ年計画というものを施設面については考えておるところでございます。しかしながら、その他の社会福祉一般につきましてまだ長期計画というべきものを持っておらない、こういう現状でございます。ただ、しかし御指摘のとおり、私どもといたしましては老人問題というものがわが国にとりまして、ここ当分の間次第に重要性を増してくる、わが国にとって非常に重要な問題であるということは非常に明らかでございますので、経済企画庁で新経済発展の計画をいま練り直しております。そこで、当然厚生省もその社会経済の発展計画の中に厚生省関係のいろんな計画を盛り込んでもらう。そういう段階におきまして、やはり老人問題というものをどういうぐあいに、長い目で見てどういう対策を打ち出していくべきかということは、さらに検討いたしまして可能なものについてはその長期計画の中にのせていくということに努力いたしたいと思います。
○須原昭二君 非常に不明確な御答弁でありまして、やはり私はその社会保障の分野においても、たとえばその中の老人福祉の問題についても、施設なんかは、計画は立てるけれども、そのほかはできないというものの考え方は私は了承できないわけです。これはやろうと思えばできるんです。やる気がないからそういうことだと実は指摘せざるを得ないわけなんです。この点を論議しておりますと時間が過ぎてしまいますから、この点はやはり、われわれまだ若いんですけれども、これは老人の候補者でありますし、したがってこれは当然国民の立場に立って、やはり一部の老人の立場ということではなく、全国民的な視野から、立場から、やはりものを見ていかなければならぬ。したがって、この長期計画の問題については、老人福祉の長期の計画にわたる問題、とりわけこれだけ急スピードに上がっていくんですから、これは早く対応策を考えなきゃならないと実は思います。その点の問題点だけ指摘をして、実は本論の中に入っていきたいと思います。 この今回の案は、言うまでもなく、七十歳以上の被用者保険の被扶養者、それから国民健康保険の被保険者について保険でカバーできないもの、いわゆる自己負担分を老人医療として公費で支給しようとするものであります。したがってよく見ますると、保険財政と公費医療とをドッキングさしたものだと言ってもいいのではないかと思うわけです。そういう点から考えますと、社会保障制度審議会でしたか、あの答申で、私は読んだんですが、その中に、「それぞれの医療保険制度の中に公費をとり入れながら老人に対する給付率を高める方法が最も適当である」と、こうその答申は実は指摘をいたしているわけですが、どうしてこのように別に制度化されたのか、その点をまずお尋ねをしておきたいと思います。
○政府委員(加藤威二君) これは田中先生の前の御質問のときにもお話申し上げましたけれども、私どもも個人的な意見を申し上げて恐縮ですが、制度審議会のああいう考え方は一つの考え方であり、また、事務的に考えましても非常に入りやすい案だと思います。しかしそれができませんでしたのは、一つは社会保障制度審議会のほかに社会保険審議会というのが御承知のとおりございまして、そこのほうの御意見はやはり老人医療というものは公費負担でやるべきである。保険の中に取り入れるということは、ちょっと待ってもらいたいというような趣旨の答申があったわけでございます。で、したがって社会保険審議会のほうは必ずしもその保険の中に老人を取り入れて、そして給付率を高めるというやり方に必ずしも賛成しておらない。そういう状況のもとにおきまして、私どもといたしましては、これは非常に急を要する問題である。審議会等の関係で二年も三年もいろいろ審議しておるという余裕のない問題でございます。とにかく急いでこの対策を早く打ち出さなければならぬということが一つと、それからやはり何回も申し上げますように、すでに大半の府県におきましてこの先生のおっしゃるドッキング方式でもうやっておると、そういう実績があるわけでございます。いい、悪いは別にいたしまして、そういう、すでに府県でやっておると、そういうことでございますので、とりあえず事務的にもいろいろめんどうな点がございまして、必ずしも理想的な案とは私どもも考えておらないわけでございますが、いま申し上げましたようなことで、とりあえずこのドッキング方式でスタートをすると、こういうことになったわけでございます。
○須原昭二君 私から見ると、これはあまりにも邪推だと思われるかもわかりませんが、もしその保険制度の中で老人医療を考えていくならば、当然適用除外、いわゆる所得制限なんかは制度上設けられない、あるいはまたその事務の繁雑になることも他面ないと実は思うわけで、あえて別の制度をつくられたというのは、この適用除外等を行なうために実はやったんじゃないかというような憶測を持つわけですが、その点はどうですか。
○政府委員(加藤威二君) これははっきり申し上げてそういう点は絶対ございません。で、その所得の制限という問題につきましても、まあ大臣からもこの前御答弁申し上げましたように、将来はできるだけこれを緩和していこうと、ただ、まあ公費負担でございますので、最初から、やはり公費負担というものの性格からいいまして、全部ただというわけには、どんな加入者もただというわけにはまいらないということでやったわけでございますが、これをねらってこの継ぎ足し方式をやったということでは絶対ございません。その点だけはぜひ誤解のないようにお願いいたします。
○須原昭二君 それは現在の保険制度の中に老人医療を組み入れていきますと、適用除外というのは事務的にできなくなるのです。したがって、その所得制限をしない場合には約七億ぐらいの国庫負担がさらに要るのですね。そういう点を考えますと、どうもそんな感じがしてならないわけです。したがって、あくまでも所得制限というのは暫定的なものである、こういうふうにわれわれは理解していいですか。
○政府委員(加藤威二君) まあ、本人の所得制限につきましては、これは非常な金持ちの方まで全部公費で、こういう税金からの公費負担で見るという必要はないと思いますが、扶養義務者の関係につきましてはできるだけこれは早急に緩和し、可能ならばこれを私どもとしては撤廃の方向に持っていきたいというぐあいに考えております。
○須原昭二君 特にいま核家族化が進んでおって、よく見てみますと自分の扶養者にはなっておらぬけれども、たとえば奥さんの両親、そうした者を実質的に扶養しているという家庭もあるわけですよ。そういうものが案外多いのですよ。そういたしますと、主人のほうも奥さんのほうの両親もみんな扶養しているという家庭があるわけですが、そういう問題については何ら法的にカバーされるということはないわけですが、実質的な問題としてどうお考えになりますか。
○政府委員(加藤威二君) まあ、実質的に私どもはやはりある程度この扶養家族という場合には生活が一体的であるということを条件にして判定いたしたいと思います。したがって、全然生計を別にしているというような場合におきましては、やはりこの対象の中には入らぬ。大体生計を一にしておるという場合に、まあそれに主眼点を置きまして判定をしてまいりたいというぐあいに考えております。
○須原昭二君 その生計を一つにしているという条件の上に組み立てられているところに問題があるわけですよ。実際いま男女同権で、主人のほうの両親、同時にまた妻の両親、これは平等に取り扱うのが原則でありまして、これは女房の両親だからおれは扶養しないという、そういうわけにはいかないわけです。したがって、いかに生計を一つにしていなくても実質的には扶養しているという現実を御認識になっておらないところに問題点があるわけで、そういう点も今後どういうように理解をされていくのですか。
○政府委員(加藤威二君) やはり今後核家族の傾向がだんだんふえてくるということでございまして、まあこれは生活保護なんかの場合も同様でございますけれども、私どもといたしましては、その扶養義務の関係というものを強制的にとらえるべきではないということで、生活保護関係におきましても、そういう親戚のほうから積極的にめんどうを見るということであればこれはその生活保護から差し引きますけれども、そうでなければ扶養義務者を積極的にさがし出してきて、あなたに扶養義務があるからぜひ生活保護費のめんどうを見ろというようなやり方はやっていないわけでございます。そういう趣旨からいいましても、扶養義務者の扶養義務につきましては、同じくこれはあまり大きく拡大して解釈すべきではないというぐあいに考えておるわけでございます。
○田中寿美子君 ちょっと関連。ちょっと誤解があるといけないので、私は、局長の先ほどのお話に対してはっきりさしておきたいんですけれども、前回、私は保険の中の自己負担分を老人の医療として支給すると、給付するということであれば、いまの保険制度の中に全面的に取り入れていけば、所得制限もないし、年齢制限もないから全部含まれるはずだと、それで社会保障制度審議会の中で、その保険の中に取り入れろという意見が出ている。しかし、老人医療に対しては、もう一歩公費負担で全面的にやれという、老人の福祉全体を別に取り出してそういう体系をつくれという考え方と二通りある。どちらを選ぶのかということをお聞きしたときに、社会保障制度審議会の答申に沿った保険の中に組み込むことを、自分は個人としてはそれがよいと思うというふうに答えられたんであって、私はこういう点が問題だと思うわけなんです。その保険に組み込みますと、落ちこぼれがないだろうという意味で言ったわけでして、老人の医療だけじゃなしに、乳幼児も含む、あるいはその他も公費負担にするべき部分というのは非常にたくさんあるから、これは別に考えなければならない問題で、ぜひ老人の医療に関しては入院費、その他高額の医療なんかを公費にすべきだと考えている。これは公費の部分というのを別に考えて、保険制度の中に入れていけば落ちこぼれがないだろうという意味でそう言ったのでありまして、いま局長の考えているように、その保険だけで全部やっていって、公費負担の部分はなるべくふやさないようにという考えであれば、それは私の考えとは違うわけなんです。大体今度の老人医療無料化といっている言い方は無料化ではないんであって、その医療保険の体系では落ちこぼれていく者、——低所得層は医療扶助がある、しかし、医療保険の資格がなくなったから自動的に医療扶助になるわけではないし、医療扶助の資格がなくなったから自動的に医療保険の資格が取れるというものでもないわけですね。必ずそこに落ちこぼれが出てくる。だからそういう者に対しての公費負担の面は十分しなければいけないけれども、今度のやり方はそうではない。一部自己負担分だけを出していただきますということで、ずいぶん落ちいこぼれているわけです。その点を医療保険とか、扶助の間をがっちりと結ばせるようにしていって、やはりその足りない部分は公費で負担させる。あるいは入院中の高額の自己負担が出てくるわけですが、そういうものを公費でやらせる。老人医療や乳幼児、あるいは妊産婦、その他に対しては特に公費で負担すべき部分は相当あると思うんですね。それをやっておらないで、自己負担分だけを、ちょうど保険制度のところだけを使っているという矛盾があるということを申し上げたわけです。ですから、社会保障制度審議会で言っているような、医療保険の中に全面的に入れていけという考えに私は賛成しているというわけじゃないということを明らかにしておきたいわけで、もし、所得制限のほうをはずしたら、この間のお話では五、六十億ですか、よけいかかるだろうと、あるいは七十億ぐらいでしたか。それから、年齢制限を六十五歳以上にするということになれば一千億以上もかかるだろう。その予算に困るから、こういう制限をつけて、自己負担の部分だけを見ると、こういう制度にしたんじゃないかと私は思うんですが、その点をちょっとはっきりさしておいていただきたい。
○政府委員(加藤威二君) 私どもはこういう医療保険の自己負担分を公費負担という形にしましたのは、いま先生が最後におっしゃいましたような、そういった所得制限の問題とか、これをやれば所得制限ができて、その結果金が浮くとか、そういうようなことを基準にして考えたのでは絶対ないということは、これははっきり申し上げたいと思います、そういうことは私どもといたしましては枝葉末節の問題でございまして、ただ結果的に継ぎ足し方式の公費負担をやりました関係上、所得制限というものもせざるを得ない形になってきたわけでございまして、それを先に考えたわけでは毛頭ないわけでございます。そういうことでこれの考え方については私どももプロジェクトチームをつくりましていろいろ検討したわけでございます。老人は全然保険から別建てにして、根っこから老人の公費負担方式というのでやるかどうか、それがいいかどうか、それからいま御提案しておるような継ぎ足し方式がいいのか、あるいは全部保険の中に取り入れてしまって、そうして保険で給付率を高めるほうがいいのか、その場合、給付率を高めるという場合でも、全部保険料でやるのではなくて相当国費をつぎ込んで、実質的には公費負担というふうにせざるを得ないだろうけれども、保険の制度の中で給付率のアップをするという形でやるのがいいか、いろいろな案を検討したわけでございます。その結果、先ほど私が申し上げましたように、それから社会保険審議会の御意向等もございますので、そうした点を勘案した上で、やはり急いでとにかく四十七年度から発足するためにはこれ以外に方法はないということで、今度の継ぎ足し方式に踏み切ったというのが実情でございまして、所得制限をこれで設けるためにこういう形をとった、そういうことでは毛頭ないわけでございます。
○田中寿美子君 結局今度の老人医療無料化というのは、医療保険体系の中での自己負担分を国が見てやる、公費負担してやるということにしておきながら、その医療保険体系にない制限をつけているということで非常に複雑になっておる。それから独特の老人医療という、これは老人の福祉とか老人の医療を扱っている部分は厚生省でやるのですから、それで保険の部分との間が事務的にも複雑になる、こういうことだろうと思うのです。簡単に解決はできないかもしれませんけれども、さっき須原委員が言われたように、社会保障制度の体系全体を厚生省はばらばらじゃなく、ぜひ考え直さなければならないと思いますので、今回この老人の医療の無料化をすること自体は、私たちも大賛成なんだけれども、非常に制限つきだからこれを直せということと、公費負担部分をもっとふやしていくことと、落ちこぼれを助けるということを考えなければならないということを特に申し上げたわけで、将来、これが一貫性を持つ医療体系の中に組み込まれるようにということを希望しておるわけです。
○須原昭二君 いまお話があった点、私も同感でありまして、そのようにひとつ要望しておきたいと思う、とりわけ、先ほど局長は、所得のある本人はともかくとして、家族のある場合の所得制限については漸次改善をしていきたい、こういうふうに言われたんですが、それを確認しておいていいですか、いいですね。 それじゃその次へまいります。今度この自己負担分だけを、公費で負担をすると私は非常に老人の受診率が向上すると思うのです。現在に比べてどれだけ率が上がるか、積算をされていると思いますが、どのくらいの率が上がると思われますか。東京都なんかは四十四年十二月に実施をして、四十六年十一月まで二年間に大体約三倍くらい伸びている、受診率がですね。それから一人当たりの診療費の伸びですね、自己負担分がなくて、七十歳以上の老人は十割給付になれば当然一人当たりの診療費の月額上がってくると予想される。たとえば、政管健保の場合、四十五年六月のデータを見ますと、七十歳以上の家族の場合は二千三百四十八円、七十歳以上の本人の場合はその倍以上の六千六百四十二円、七十歳以上の老人だけを見まして。この二つが差が出てくるわけです。したがって、よく大臣が言われるように、嫁や孫たちに気がねをしなくて医者にかかれることになる、こういうことになりますと、受診率も上がり、また一件当たりの診療費も伸びてくるわけですが、その点についてどういうふうに政府は積算をされておりますか。
○政府委員(加藤威二君) 給付率を上げることによりまして、確かに受診率への波及効果が出てくるわけでございますが、いわゆる被用者保険の家族は五割でございましたが、残りの五割は公費負担をすると十割になるわけでございます。その場合に、波及効果は一応一〇〇%ということで計算をいたしております、それから国保の場合は七割から十割になるわけでございますから、三割の負担がなくなるということでございますが、大体これによりましてふえる受診率といいますか、それが五三%、これは長瀬係数といいまして、保険で昔から使っております係数でございますが、そういう係数でやっておるわけでございます。 それから、一人当たりの医療費につきましてはこれは確かに個々のケースによってまた違うと思いますけれども、これも受診率ほどの伸びはないかもしれませんけれども、少なくとも二割ないし三割の一件当たりの伸びと申しますか、それは出てくるだろうというぐあいに考えられます。
○須原昭二君 いま受診者の伸びを五三%だとか、あるいはまた一人当たりの診療費が二割か三割というのは、私は非常に過小評価だと思うのです。この点はどうも、政府のほうは予算を小さくするために何か積算の基礎を非常に過小評価されているような気がしてなりません。これは自己負担分だけでもたいへんな伸びですから、当然受診率が上がり、あるいはまた一人当たりの月額の診療費、これは統計上過去のやつは出てきておりますが、そういうものが上がるとなると、公費負担でない、いわゆる保険財政への老人医療の公費負担によるはね返りがこれはたくさん出てくるわけです。この保険財政がこれによってさらに負担が非常に増加をして、またまた、現在でも赤字の要因をつくっている保険財政をさらに赤字にする要因がふえてくるわけです。そうした各種の保険財政に及ぼす影響をどのように試算をされているのか、先ほどの受診率の問題、あるいはまた一件当たりの、一人当たりの診療費の伸びというのは、私としては了承できない、理解できないわけですが、はたして保険財政に及ぼす影響をどのように積算をされておるのか、各保険ごとにひとつ明細に御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(加藤威二君) いまの受診率の伸びは、まあ給付率アップの場合にどう伸びるのかというのは、長瀬係数と申しまして、これは厚生省の保険局で長く使っておるのでございますが、東京都は確かに御指摘のとおり、三年間で受診率は三倍くらいになっていると思います、二年間では二倍ということに。まあ、しかし東京都の例だけで、全国的な受診率の伸びというものは、まあ東京なんか医療機関に非常に恵まれておりますから、そういうことで、必ずしも東京都の例がすぐ全国的には例にはならないと思います。そういうことで私どもは特に過小評価をしておるつもりはございませんし、また、この老人医療費の国庫補助というものは私どもはやはり義務費的なものを考えております。これは大蔵省と折衝して、義務費予算の中に組み入れてもらうつもりでございますが、そういたしますと、足らないものは翌年度の予算からまた出すということでございますので、その点は特に私どもといたしましては意識してこれを小さくする必要はないということでございます。 それから第二点、先生御指摘のとおり、確かにこれによりまして受診率等がふえますことによりまして、保険のほうにはね返る、保険財政のほうにはね返るというものがあるわけでございます。国保につきましては四十八年一月実施で、そのはね返りによる国庫負担分を十七億四千二百万円というぐあいに考えております。したがって、国庫自体にはね返る全体を積算いたしますと、約四十億くらいになろうと思います。そのうち十七億四千二百万円を国庫が負担するということになっております。それから政管は非常にまあ国庫負担としては、四十八年の三月はね返り分は二千万円でございます。これは全体としては給付増は約四億くらいになろうと思います。平年度化いたしますと、国保に対するはね返りが六百六十億くらいになろうと思います。それで、政管健保に対する給付費の増、これが約六十二億くらいになるだろう、こういうぐあいに考えております。
○須原昭二君 まず前段のほうでありますが、一人当たりの診療費の伸び、これはいまの政管の中でも、四十五年の五月ですか、厚生省から出した資料ですら七十歳以上は本人一人当たりの診療費が六千六百四十二円、家族の場合が二千三百四十八円なんです。これが当然家族自己負担がなくなれば本人並みに私はなると思う。それ以上になるのじゃないか。いま局長のお話だと、二、三割しか伸びないというお話なんですが、それはどうも私は受け取れません。この点はひとつさらに御説明願いたい。 同時に、いま一つ各保険財政に及ぼすはね返り分ですね、これは政管健保、被用者保険、国民健康保険が七十歳の老人の費用で、あるいは公費負担をした場合に、はどれだけはね返りがあるのか、これはひとつ各制度ごとに資料として——お話だけ聞いてもちょっとわかりませんから、後ほどの健保の改正法案にもたいへん関係がございますから、資料としてひとつ委員長から出していただくようにお取り計らいを願いたいと思います。
○政府委員(加藤威二君) まあ、この受診率の伸び、あるいは一人当たりの医療費の伸びの積算についてはいろいろ御意見あろうかと思いますけれども、前に申し上げましたように、私どもとしては特にこれを小さくしようという意図を持って予算を組んだわけではございません。これはさっき申しましたように、いずれは国が払わなければならぬというものでございますから、最初小さくすればあとではみ出した分はまた翌年度で持つ、こういうことになると思いますので、特に意識して小さくする必要はないわけでございますが、この積算につきましては、これは私どもといたしましてはこの積算をどうやったかと言いますと、各管掌の保険ごと政府管掌なら政府管掌、それから組合健保、それから船員保険とかいろいろございます。それに国保、それぞれの保険ごとに七十歳以上のものの医療費、これがどうなるか、まあ被用者保険の本人はもちろん除いておりますが、これは従来の実績からそれぞれ保険ごとに割り出しまして、それから過去の二年間の医療費の伸びと申しますか、一件当たりの医療費の伸び、これが何%伸びているかということを見まして、そして四十七年度の医療費がどのくらいになるか、七十歳以上の医療費がどのくらいになるかということを計算いたしまして、そして四十七年度の医療費を出しました。それに受診率の増加を、先ほど申しましたように給付率が変わりますので、その受診率を掛けて、そして積算して四十七年度の七十歳以上の老人の医療費というものを積算したわけでございまして、そこにおける数字についてはいろいろ御意見があろうと思いますけれども、過去の実績から推計して四十七年度の医療費を出した。ただ医療費というものは、非常に先生もその方面にお詳しいわけでございますが、なかなか推計がむずかしいわけでございます。いろんな要素がからみ合いまして、なかなか当たらないわけでございますけれども、そういったことで、特に過小に積算をしておったわけではないということだけ申し上げておきます。 それから、資料につきましては提出いたします。
○須原昭二君 前段の問題についてはまだ議論を尽くさなければなりませんけれども、どうも理解ができません。ひとつまた、時間もございませんから、他の機会にいろいろとお話をお聞かせをいただきたいと思います。ただ、その保険への老人公費負担医療のはね返り、各保険制度の項目に従って、これは健保の審議と非常に関連がございますから、即刻ひとつ提出をしていただきたい、かように思います。 それから、次は今度の法律の十条の二、一項のただし書き、このただし書きの中にこう書いてあるわけです。「ただし、当該疾病又は負傷について法令の規定により国又は地方公共団体の負担による医療に関する給付が行なわれたときは、この限りでない。」こう規定してあります。すなわち、他の法令の規定により公費負担の医療があれば、この給付が行なわれた場合はこれは該当しませんよと、こういう意味だろうと私は思うんですが、この、法令に規定のある公費負担医療というのは何と何と何があるのか、この点ひとつ明らかにしてください。
○政府委員(加藤威二君) たとえば結核予防法による結核医療の給付とか、あるいは精神衛生法による医療の給付、まあそういったものが代表的であると思いますが、その他にあるかもしれませんけれども、とにかくほかの法律で——あるいは原爆関係なんかもちろん優先すると思いますが、そういうことで、ほかの法律でまあそれぞれの法の趣旨に従って公費負担をするという場合には、それが一番そのほうが先に出るということでございまして、これはとにかくそういうほかの法律によって何ら医療費の給付が行なわれてない、結局老人自体が負担せねばならぬ、そういう場合にこの法律が動いて、そして無料化にする、まあこういう趣旨でございます。
○須原昭二君 その公費負担の医療の関係でありますが、まあ精神衛生法、あるいは結核予防法、原爆、身体障害者福祉法、たくさんあると思うんですが、それを一ぺん私も参考に見たいと思いますから、ひとつ一覧で出していただきたい。同時にその、結核予防法等さまざまの公費負担があるわけでありますが、この公費負担の現状はどうなっているのか、予算、決算、そしてそれが保険財政にどうはね返っているのか、この問題点についてこれまた関連がございますから、資料要求としてこの際出していただきたい。委員長、ひとつお願いしてください。
○委員長(中村英男君) 資料、よろしいですか。
○政府委員(加藤威二君) 公費負担の現状につきましては、これはまあ各局にわたるものでございますが、できるだけ早急に取りまとめて提出いたします。
○須原昭二君 ここでちょっと確認をしておきたいと思うんですが、たとえば政管の場合、家族の五割負担分——五割の自己負担分はこれは公費でまかなう、しかしその十割給付の本人の場合は保険財政でまかなうと、こういうことなんですか。
○政府委員(加藤威二君) そういうことでございます。家族につきましては五割の負担がございますから、ですからそいつはこの公費負担でやる、こういうことでございます。
○須原昭二君 そうするとその自己負担分、たとえば三割なり五割なり、この分だけ家族の場合はその公費負担でやると。で、保険財政のほうは野放しで保険財政がまかなうんだと、こういうことなんですか。
○政府委員(加藤威二君) 先生の御質問の趣旨、あるいは取り違えてるかもしれませんが、たとえば家族について保険のほうで五割給付でございますが、この公費負担によって十割になる、そうすると当然受診率もふえるということで、その保険のほうにはね返りが来ると、こういうことになろうと思います。で、それについて、保険にはそれぞれ国庫負担がございますから、国庫負担はその保険給付に比例して何%ということでございますから国庫負担もふえる、しかし同時に保険料で負担する分もこれはある程度ふえるということになろうと思います。それは保険でやってもらうということになります。
○須原昭二君 そこが問題なんですよ。一応大義名分からいくと、公費負担というと全部公費でやっている、国がやっている、地方自治体がやっているように、大衆は、国民はそう理解している。しかしながら、実際は保険財政みずからの、あなたたちが言う受益者負担というか、収支相等の原則で支払っている、この保険の財政からひねり出しているのですよ。そこが問題なんですよ。政府はすぐ公費、公費、無料、無料と言うけれども、実際は無料でもないし、公費でもない。そしてどんどん保険財政が赤字になっている要因をつくっている。そういう点をやはりこの際明確にしていただかなければならないのじゃないか。そういうところにドッキングをしたりするところに何か作為がある、こう認定せざるを得ないのですが、その点将来どうお考えになっておりますか。
○政府委員(加藤威二君) しかし、私どもそれを別にねらってやったわけではございませんけれども、先生の御指摘のその分につきましては、これは老人というのはそれぞれ保険について全然縁のない人ではないわけであって、保険の本人の家族という場合でございます。で、それについて、見方とすれば、これはたとえば残りの三割は全部保険だけで、若干の国庫負担はふえるかもしれませんけれども、保険だけで給付率を上げて見るという考え方もあろうと思います。それに対して、とにかく三割は自分のほうで負担すると、国と地方公共団体で負担する。そうして、それに伴って医療費が根っこから若干ふえますが、それについての定率の国庫負担は、もちろんそのはね返り分は国が負担しますという場合に、残りのある程度はね返った分についてその保険が負担するということは、おそらくこれは保険の関係の方々もそれまで全部国で見ろということを言われるかどうか、私は少なくともその分については保険で見るのはしようがないというのが大体の方の御意見ではないかという感じがいたします。したがって、その分につきまして、さらに全部国で——国庫負担で見るということについては、私のほうといたしましては、これは将来ともいまのところはそういう考えはないということをはっきり申し上げておきたいと思います。
○須原昭二君 非常にこれはその健保の改正案の問題と関連をしますから、何か再三にわたって御質問をするようでありますけれども、先ほども申しましたように、五割給付であったのが十割給付になると、本人並みの単価に一人当たりの診療費として非常に大きくふくれ上がってくるわけですよね。その点ははね返り分として保険財政が非常にふくらむという、支出が多くなることですね。そういう点で、いまおのおの保険制度には定率の国庫負担が若干なりともしてあると、こういう御答弁がございましたから、予算要求などをされる場合に、そういう定率の国庫負担といいますか、若干のものをおのおのの制度について要求されておると思います。したがって、この際、これら公費負担におけるところの医療費、いわゆる結核だとか、あるいは精神衛生だとか、身障だとか、原爆だとか、この項目に従って公費負担分がどれだけであって、それの保険制度に対するはね返り分がどれだけであって、それに対して国庫負担をどのくらい予算要求をしたのか、これをもう一覧表にして一ぺん出してもらいたいと思います。その点はまたひとつ委員長から御要求をしていただきたいと思います。 〔委員長退席、理事大橋和孝君着席〕
○政府委員(加藤威二君) 御要望の資料につきましては、できるだけ準備をして提出いたしたいと思います。
○須原昭二君 これはもう会期末、わずかでございますから、すぐ健保の審議に入ると思いますから、これはそれまでに、一両日のうちにひとつ出していただきたい、かように要望しておきます。 それから、次に参りますが、こういう受診率の過小評価、あるいは一人当たりの診療費の過小評価、これは政府のほうは——局長は過小評価ではないとおっしゃいますけれども、私は過小評価になるような感じがしてならないわけです。このように予算がなくなったりしますと、診療費が上がってくる、あるいは受診率が上がってくると予算が欠損になってくる。そうすると、その保険財政に、あるいはまた地方自治体にその肩がわりをさせるような危険性がなきにしもあらず、こういうようにわれわれは感ぜざるを得ないのです。したがって、三分の二国庫負担三分の一地方自治体と、こう負担率があるわけでありますが、たとえば、地方自治体でものを建てる場合に、たとえば建築なんかですね、これだけの予算やるけれども、坪単価についてこれだけだと、こういう実勢に合わないような、地方自治体に圧迫がいくようなそういう危険性はないか、この点はひとつ明確に私たちの疑念を晴らしておいていただきたいと思いますが、どうでしょう。
○政府委員(加藤威二君) これは先ほどもちょっと申し上げましたけれども、私どもといたしましては、大蔵省と折衝してこれは義務費にする。当然性格上私は義務費になるべきものだというぐあいに考えておりますので、そういう手続きをいたしたいと思います。そういたしますれば、これは幾らかかりましても、それは国の負担、少なくともこの国庫負担率によるものは国の負担であるということになりますので、年度は翌年度に持ち越すことはあるかもしれませんが、必ず支払うということでございまして、建物の国庫補助等の場合に、確かに超過負担が出て、二分の一補助といっても実質は三分の一になるというようなことがございますが、そういうような問題とは全然違うということでございます。
○須原昭二君 それではこの前、七十歳以上に年齢制限をした、こういう点については、厚生大臣は衆議院の社労で、わが党の川俣議員の質問に答えて、こう言っておられるわけですね。七十歳以上から老人医療の無料化をするのだが、現在の場合、七十歳以上というのが適当である。まあ六十五歳以上に適用するのが理想であるけれども、これは財政上の都合で七十歳としたのではないと理解していただきたい、こういうふうに明確に厚生大臣はお答えになっているわけです。そこで、理想は六十五歳以上と言われておりますから、将来これを引き下げられる計画は具体的に持っておられるのかどうか、この点をまずお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(斎藤昇君) 私、衆議院で答弁をいたしましたのをいまお読みになられましたが、六十五歳にすべきであるけれども、財政上の理由からこうしたんだというのであれば将来の財政計画も考えておかなければならないわけでありますが、そうではなくて、七十歳からやるのが適当である、こう思うて七十歳ときめましたと、こう言っているわけであります。ただ六十五歳まで引き下げろと、こういう御議論も非常にお強いようでありますから、それはまず最初これをやってみて、そうしてその後の状況を見て判断をいたしてきめたいと思いますと、こう言っておりますので、したがって六十五歳までに下げる将来の計画というものをただいま持っておりません。
○須原昭二君 その持っておらないということについては非常に遺憾だと実は思います。まあ、どういう根拠で七十歳以上にされたかということは、先輩の皆さんからもいろいろ御質疑があったわけですから、ここで繰り返そうとは実は思いません。しかし六十五歳にする計画を持っておらない、七十歳で終始いくのだと、こういうように聞き取れるのですが、その点はしかとそういうふうに承ってもいいのですか。
○国務大臣(斎藤昇君) いや終始と断言しておるのではございません。今日の状況で見るところは七十歳が適当である、こう思って出発をいたしますと、しかしいろいろ御議論もあるし、また実施をしてみて、社会のニードがもっと低いところにあるということになれば、やはりその段階で考えますと、将来そういう考え方でやってまいりますと、こういうことであります。
○須原昭二君 そして財政上の都合でないというのは、いま大臣が言われたことはよくわかりますが、ただ財政上の都合でないと理解するならば、私はいま国民の中で一応この問題についていろいろと座談会等で聞くわけですが、政府の宣伝は、この福祉予算の中にも、四十七年度から老人医療無料化を行なうのだ、いま田中委員からもお話がございましたけれども、私たちはこの無料化についても中身と実質とは違うのだということを指摘されておりましたが、一応この表現はともかくとして、四十七年度から行なう。しかしながら、その実施の時期をよく見ると四十八年の一月なんですね。国民は四十七年からやってもらえるとみな思っていた。われわれが説明に行って、初めて四十七年度と言っても来年のことかと、こういう実は批判が非常に高いわけなんです。もし財政上の事由がないとするならば、当然初年度、この四十七年度当初から設定をすべきではないか、これは非常に人を食ったような話ではないか、実は一月からという、そういう点の経過をどういうように踏まれておったのか、何か私たちは、財政支出を少しでも少なくするように先に延ばしたのじゃないか、こういう感じがしてならないのですが、大臣、その点はいかがでしょう。
○国務大臣(斎藤昇君) 率直に申し上げまして、四十七年度からと申しましても、年度当初からというわけにはまいりませんので、法律が通って、そうして諸準備を始めて、やれるのは十月あるいは十一月がせいぜいであろうかと、こう思います。実は私のほうとしては、十月ごろから、あるいは少なくとも十一月ごろからやりたい、そのころなら諸準備が整うであろう、こう思っておったわけです。それが一月になりましたのは、これこそ財政上の都合もあり、その点は一月になったということでございます。
○須原昭二君 そこで、前の話ととうしろの話と食い違ってくるわけですが、これの論議はやめましょう。 そこで、今度は事務費についてでありますが、所得制限による適用除外の人が出ることや、あるいは七十歳以上というような適用年齢を定めることによって非常に事務が繁雑になる、こう思うわけです。しかもいろいろな保険制度がからみ合っているわけです。事務費が自治体のほうも含めて総ワク六億円、こうなっておりますが、これで十分ですかな。
○政府委員(加藤威二君) 確かにいま先生御指摘のような点がありますので、いろいろ準備とか手数がかかると思いますが、一応私どもといたしましては六億円余り、国庫補助が約三億円でございますが、これで十分とは申し上げかねますけれども、一応事務はできるというぐあいに考えております。
○須原昭二君 そこで、七十歳以上というのは満年齢ですね。この点ちょっと確かめておきたい。
○政府委員(加藤威二君) そのとおりでございます。
○須原昭二君 そういたしますと、きょうは六日ですね。そうすると六日から自己負担分がただになる。負担がなくなる。五日までのやつは個人が負担する、こういうことになりますですね。
○政府委員(加藤威二君) まあそれはいろいろとり方がございますけれども、一応私どもといたしましては、七十歳になったときからというぐあいに、七十歳になったときからこの老人医療の無料化というものについての資格ができるというぐあいに考えております、したがって、そういう場合には、あらかじめ手続をしてもらうとか、いろいろ申請も、ここの場合には御本人から申請をしていただかなければならないと思いますが、そういうことで手続をしていただければ、直ちに医療費が無料化になる、こういうことでございます。
○須原昭二君 そこで、事務的に非常にむずかしい段階があるわけです。特に老人の場合、極論を言いますと、死ぬまでという表現が適切だと思うのです。医療は中断できないのですよ。物を買うというのは、せつな的にきちんと整理できますけれども、医療というものは中断ができない性格を持っているわけです。きのうから、おとといからずっとあす、あさってに至って継続されるわけです。そういたしますとこの診療期間における、支払い基金におけるところの請求は、今月のものは来月のたしか七日までですが、七日までにレセプトを出さなければならない。そうなると請求書を出す場合に、これまでは個人の負担ですが、六日からは、きょうからは、生年月日がきょうですから、きょうからは公費負担になりますという事務を別にきちっとせなければいかぬわけです。しかし、請求は一カ月分を来月の七日までに提出するということになりますと、その点、診療機関におけるところの事務は非常に繁雑になる。同時にまた、悪意に解釈するわけでありませんけれども、医療というものは中断できない、継続されるものでありますから、したがって、おまえは六月十日生まれだけれども前のやつも十日からかかったことにして来月請求をする、そういう現象が私は起きかねないと、こう思うんですが、そういう点はどう把握されておりますか。
○政府委員(加藤威二君) そういう点につきましては非常に事務的に入り組んだ形になるおそれがあると思います。それをどうさばくかということについてはまだ最終的に詰めておりません。この法律が通ったあとにおきましてそういったいろいろ検討すべき問題があろうと思いますが、これはいまのような場合には確かに請求の事務というのは一カ月単位になっていると思います。したがって、お医者さんのほうで、それをたとえば月のまん中ごろで七十歳になったという場合に、お医者さんとの関係で、がたがたするということはなかなかむずかしいと思いますので、これはおそらく、とにかくそういう事実を確認いたしまして、その上で基金と、それから保険者といいますか、あるいは個々の市町村といいますか、そういうものとの間で、その半月分について操作、いろいろ移しかえをやるとか、そういういわゆるやり方については、どういう方法でやるかということはさらに詰めてみたいと思いますが、少なくとも医療機関に非常に負担になるような形ではなしにやりたいというぐあいに考えております。
○須原昭二君 これは非常に事務的にむずかしいことなんですよ。したがって、私はこのいまの支払い基金のレセプトのチェック、こうしたものはきわめて不十分で、抽出検査ぐらいでお茶を濁しているという程度なんですね、したがって、本人がきょうから受給資格になった、きのうまでは違うという、いつも医療は継続されておる、こういう性格の上に立ってチェックはほとんど私は不可能だと思います。これから事務的な方法論については検討されるということなら幸いです。 この際、私は提案をしておきたいと思うんですが、満七十歳になった月は全部無料にする、そうしたなら、一括して翌月請求できると私は実は思うんです。そういう点は私の私案ですが、その点は局長はどうお考えになりますか。
○政府委員(加藤威二君) いま申しましたように、その点についてはさらに詰めてみますが、事務的にどうしても月の途中でやるのが非常な手数がかかってどうにもやり切れぬというような場合には先生のいまの御提案になりましたような案も十分参考にいたしまして最良の方法をとりたいというぐあいに考えております。
○須原昭二君 ぜひそういうふうにされたほうが私はお互いに疑わなくて済むと思うんです。幸いにして一カ月分を翌月の七日までに請求するわけですから、生年月日が一日であろうが三十日であろうがまん中であろうが私はかまわないと思う。したがって、満年齢七十になった月から無料にする、自己負担分を公費負担にする、こういうふうにされたほうが私は事務的に非常にスムーズにいくんじゃないかと思うわけです。その点ひとつ特に要望しておきたい。 さらにまた、請求と支払いの関係から出てくるわけですが、たとえば、まあ先ほどもただし書きの問題でお尋ねしたのですけれども、結核の老人の場合を例にとりますと、社会保険に対してもレセプトを出さなければならない——社会保険のレセプト、あるいは結核予防法に基づくレセプト、そして老人医療に対するレセプト、二枚ないし三枚お医者さんは一々書いて基金や自治体に、おのおの支払い団体に出さなければならない、こういう複雑な面が出でくるわけであります。こういう問題に対してどのように処理をされるのか、ちょっとお尋ねをしておきたいと思います。
○政府委員(加藤威二君) 請求、支払いの手続につきましても現在検討中でございまして、まだ最終的にきまっておりませんが、たとえば東京都あたりは両方に出している、二枚。お医者さんが基金に出すものと、それから東京都に出すもの、老人医療として出すもの、やはり二つの請求書を出している、そういうかっこうになっておるようでございます。ただ、老人医療のレセプトは非常に簡素化されているということではございますけれども、二つ出しておる。これはこれから詰めますけれども、やはり老人医療と、それから根っこになる保険というもの、二つ押しつけたわけでございますから、やはりそこは、書き分けてもらうかあるいは複写の関係にしてもらうかわかりませんけれども、やはり二枚になると思います。しかし出す先を一つにするということは考えられると思います。基金なら基金に出してもらうということは考えられると思いますが、そういう方法については医師会等との話し合いを十分詰めまして、一応お医者さんのほうがあまり煩瑣にならぬように、しかし医療費が適正に支払われるという、両方の点のかね合いを考えながらその支払いの手続をきめてまいりたいというぐあいに考えております。
○須原昭二君 法律だけはつくって細則はまだこれからだこれからだというのは、どうも私たちは解せないんです。当然そんなものはきちんとされて提案されてくるのが私ほほんとうじゃないか。細目についてはすべてこれから事務当局が考えてやるんだという考え方では、私はどうも納得できません。特に、基金でチェックをする、あるいはまた今度は地方自治体でのチェックをする。東京都なんかそうやっておるわけですが、もしチェックがお互いに違ってきたらどうするんですか。そういう問題もあるわけです。そういう点はどんなふうにお考えになっていますか。
○政府委員(加藤威二君) 先生のおっしゃるチェックという意味はいろいろあると思います。もし医療内容のチェックということならこれは必要ないと私は思います。一つの医療に対して費用負担を七割と三割でやるわけでございますから、そして基金のほうでおそらく医療面のチェックをやるわけでございますので、残りの三割についてまた別の医療面のチェックというものは私は必要ないと思います。したがって、そういう意味では医療面のチェックというものは、特に老人医療のためのチェックという必要はないんじゃないか。したがって事務的な面だけ、はたしてそういう七十歳の老人医療であるかどうか、そういう面のチェックだけでいいというぐあいに私どもは考えております。
○須原昭二君 三つも三つもチェックをする機関をつくることは、ぼくは、さらに簡素化すべきだ、基金でやればみんなこれはいいんだ、こういうふうにしなければ、地方自治体ですら膨大な受給資格があるのかどうかということを検査しなければならない。医療内容というものでチェックするということはあり得ないと思っている。受給資格あるのかないのか、これを調べるだけでも地方自治体の事務費というのはたいへんなことになると思うんです。その点では一本化をされる気持ちはございませんか。
○政府委員(加藤威二君) やはり老人医療について税金を使って負担するということでございますから、市町村としてはその老人が一応七十歳以上、そして、所得保障とかそういう関係でこの老人医療の対象になる人であるかどうかということをチェックするのは、市町村の義務であり、それを省略するわけにはまいらない。そういう点はチェックはやらざるを得ない。あるいは医療面は基金のほうでチェックしてもらう、そういうふうなことでダブらないようにする必要があると思います。回し問題を二カ所でチェックするという必要はないわけでありますから、それぞれ分担いた、しまして、この仕事が円滑に行なわれるように配慮したいと思います。
○須原昭二君 これは地方自治体でチェックしなくても名簿だけ提出しておけばできるわけなんで、この点は私は一本化してまいったほうがいいのではないかということを実は要望として出しておきたいと思います。 さらにまた、支払い側が二つ、三つ出てくるわけですね。そうすると支払ってくれるところはまた三つのところからもらわなければいけない。こういう問題が出てくるわけです。こういう問題はやはりどこかで一本で調整をさせる、支払いは一本で調整させるということが私は必要だと思うんです。その支払いの調整について支払い側が話し合ってきちんとできるように、そういう行政指導といいますか、そういう対策というものは講ぜられる可能性はありませんか。
○政府委員(加藤威二君) この支払いにつきましてはできるだけ、お医者さんとの関係では基金を通じて一本で払うというような形にするのが望ましいと思います。その三割分は市町村から基金のほうにさらに振り込む、お医者さんのほうでは基金を通じて一本で払ってもらうのが一番望ましいと思いますので、そういう方向で検討してみたいと思います。
○須原昭二君 それは請求書請求の場合にも、支払いの場合にも、支払い者側が三つもありますが、これは一本化させるようにぜひともひとつ指導していただきたいと思います。こういうことを、繁雑なことをやるところにこれからの診療側の診療費も高くなってくるわけでして、そのレセプト三枚複写でやればいいんだというような簡単なことを言われますけれども、実際には非常に複雑なレセプトの内容なんで、もっとレセプトの内容自身も一疾病、一請求というような、やはり私は簡素化させなければならない、そういう点を感ずるんですが、その点、大臣たいへん繁雑な請求事務について、今後どのように対処されようとされるのか、ひとつ御見解を承っておきたいと思います。 〔理事大橋和孝君退席、委員長着席〕
○国務大臣(斎藤昇君) 診療側のレセプトの請求事務、これを簡素化するということは非常に必要なことだと考えておるわけでございまして、この点は特に今後も検討してまいりたいと、さように考えます。
○須原昭二君 あと時間が五、六分ですから、まだたくさんあるんですけれども、割愛をして、ただ一つ最後に先輩の皆さんもおっしゃいましたが、差額ベッドの問題です。差額ベッドについて、いま総ベッド数に対する差額ベッドの比率、こういうものがどうなっているのか、とりわけ国立、公立、私立に分けてどのくらいの比率になっているのか、ひとつお知らせをいただきたい。
○政府委員(加藤威二君) ちょっと資料が古くて申しわけないんですが、四十三年の調査でございますけれども、それによりますと、ベッドの全体の中で差額ベッドの占める比率が一七・八%でございます。そのうち、内訳で国立につきましては九・三%、公立が一七・五%、その他の公的医療機関が二九・二%、医療法人が一五・二、その他の法人が二三・一、個人立が一七・六、平均して一七・八%が差額徴収をやっている、こういうことでございます。
○須原昭二君 この数字を見ると、どうもわれわれ理解できないんですけれどもね、これまた申告なんですか。現実におたくたちがずっと調べられたんですか。
○政府委員(加藤威二君) これはおそらく私の局で調べたのではございませんから、はっきりしたことは申し上げませんけれども、役人の常識として申し上げれば、全部一々行って調べるというわけにはまいりませんので、やっぱり報告書で調査したものだと私は考えます。
○須原昭二君 ぼくはこの二、三倍あるんじゃないかと思っているんです。これは非常に重要な問題点になるわけですが、たとえば日赤病院なんか、名前はきょうは出しませんけれども、日赤のような公的医療機関でも一〇〇%差額ベッドになっているところもあるんですよ、平均にしても七、八〇%だといわれておる、そういう報告も聞いておるわけです。公的な医療機関ですらこういう状態なんですよ。しかも看護婦さんが足らぬとか、あるいはお医者さんが足らぬとかいって施設はつくっても、その三割ないし二割を閉鎖しておるところもあるわけなんです。こういう現況で、もしこの来年一月から老人医療の無料化が行なわれた場合、受診率が先ほど指摘をされたように上がってくる。上がってくるということになれば、この入院患者もふえてくる、こういう現況になってくるわけですが、とりわけ、そういう差額ベッドが大きな比率を占めているということは、低所得者の入院老人というものは締め出されるという結果に終わるわけですよ。そういう対策はどのように考えられておるのか。特に皆保険だとか、老人医療の無料化だとか、あるいは健康保険の精神だとか、そうしたものは全く下部においてはじゅうりんをされた形になってくるわけなんですが、その辺の現況をどう把握をされておりますか、その点をひとつお尋ねをしておきます。
○政府委員(加藤威二君) これは老人医療を実施する立場といたしましては、私どもといたしましても差額ベッドが多いということは非常に困った現象であるというぐあいに考えます。しかしその差額ベッドの差額分を老人医療の上で何か考えろという御趣旨であれば、これは残念ながら私どもとしてはそこまでは手当てできないということでございます。で、あくまでも私どものほうのこの老人医療の公費負担というのは保険で認めている、保険で給付するもののその中に一応制約されますから、保険からはみ出して、保険の外で負担がかかるものまで見ることができないというのが考え方でございます。したがいまして、私どもといたしましては、やはり病院等も好きこのんでこういう差額徴収をやるわけではないと思う。やはり経営が非常にむずかしいというようなことからやむを得ずこういう差額徴収をやっておる向きが多いんじゃないかと思いますが、やはりそういう点は病院経営の根っこからそういう何か対策を打ち出しまして、そして病院がこういう差額徴収をやらぬで済むような、そういう形に早急に持っていってもらいたいということを老人医療を実施する立場では願うわけでございます。
○須原昭二君 局長に聞いておってもらちがあきませんから、これは大臣、ひとつどういうふうにお考えになっておりますか、総合的な見地から。
○国務大臣(斎藤昇君) 詳しい点は医務局長がきょうは参っておりませんが、御質問があればまた出席して詳しく説明をいたさせますが、本来の差額ベッドと申しますのは、入院をせられる患者の中で、やはり普通のベッドでなしに特別、何といいますか、いいところに入りたいという要望もまた相当あるわけであります。で、保険でカバーをいたしますのは、その差額ベッドでない普通の方々の入れるベッド、そういう意味で差額ベッドという制度を設けておるわけでありますが、いまおっしゃいますように、差額ベッドがほとんど全部であるというようなことはちょっと私も理解しかねるわけであります。国立病院の割合、それから公立病院等の差額ベッドの割合、いま四十三年度の何を御説明をいたしておりましたが、もっと新しい数字もあると思います。衆議院のほうでも数字を説明いたしておりました。それによりますと差額ベッドならあいているけれども、差額ベッドでないところはいまふさがっておるという苦情を私はよく聞きます。したがいまして差額ベッドでない一般ベッドをもっとふやす必要があると、かように考えておりますが、いまおっしゃいました全部、一〇〇%差額ベッドであるというような病院は私は認めていないはずだと、こう思いますが、私のほうもチェックいたしますけれども、あるいは何らかの誤りでなかろうかと思いますが、あとで病院の名前を伺いまして医務局に対しましてもその点は厳重に申し渡して、一般の方々の入られるベッドに不便のないように今後もつとめていきたいと、かように思います。
○須原昭二君 私が言ったのは全部を言っているのではない、たまたま、ある日赤のある病院と言っているのです。これが一〇〇%になっている、そういう、私は端的に言いますけれども、個人の病院よりもかえって国公立の病院のほうが差額ベッドを徴収している率が高いです。とりわけ独立採算制で縛られているところに問題があるかと私は思います。そういう点、私は指摘を実はしているわけです。老人の場合は先ほど極論を申し上げましたけれども、七十歳になって重病になりますと死ぬまで病院に入院という現象が出てくるわけで、これを医療行為を中断、治療の中断というのは私はできなくなる、そういうところに一つの大きな問題点があるわけで、差額ベッドというものの制度が現存する限りは、また比率が高い以上は、せっかく公費負担の制度をとっておってもそうした老人は入院ができなくなる、そういうことになるわけです。したがってそのワクを広げる、その入院施設を広げていく、そういう問題が、やはり他面考えなければならない問題が出てくるわけで、そこでもとへ戻りますけれども、やはり局長は施設の問題について長期五カ年計画は持っておる、こう言われますけれども、やはり各般にわたる長期計画、総合計画、こうしたものがやはりここで必要になってくると思うのです。そういう差額ベッドに対する実態から見て、今後日本の老人の医療の供給体制をどう考えていくのか、やはり早急に考えなければならない問題で、とりわけ長期計画という問題について抜本的にひとつここら辺で考えなければたいへんな事態になるのではないかと思います。その点を基本的にひとつお尋ねをして、時間が延長しておりますからこの程度で終わりたいと思います。
○政府委員(加藤威二君) 先生御指摘の点ごもっともだと思います。それで一つは病院の問題でございますが、これは医務局のほうでおそらく病院の整備の問題、これもまた老人医療が発足したということを医務局のほうでもそれを踏まえまして、老人専門病院という点についてはいろいろ問題があろうと思いますけれども、老人病棟とか、そういうものの増設には計画的に取り組んでいくという話を私ども聞いております。同時に私どもといたしましても、いまの特別養護老人ホームをもう少し医療機関に近づけた形のもので、病院に入れるほどではないけれども、やはりいまの特別養護老人ホームではもう少し医療的な介護を加えたほうがいいという御老人があると思います。そういうことで、やはり特別老人養護ホームをもう少し病院化したようなもの、これはやはり社会局が施設整備五カ年計画の中で考えてまいりたい、そういうことで両々相まって、できるだけ老人医療の無料化によって、せっかく費用が無料になっても入るところがないということのないように、努力をしてまいりたいと思います。
○委員長(中村英男君) 本案に対する午前中の審査はこの程度にいたします。 午後一時二十分まで休憩いたします。 午後零時二十四言分休憩 —————・————— 午後一時三十四分開会
○委員長(中村英男君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。 午前に引き続き、老人福祉法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○大橋和孝君 もうずいぶんいろいろこの老人福祉法についての質問はありますけれども、私ちょっと問題点と思っておるところをかいつまんでお尋ねしたいと思います。 まず第一番目に、基本的なことでございますけれども、これも一部触れられておりますが、現在のこの老人福祉法は基本的な理念は非常に大きく打ち出されておりますけれども、具体的な内容は老人保護の段階にとどまっておるというふうに言わざるを得ないと思うんであります。しかも、その多くの施策を見てみますと、行政措置として行なわれているのでありまして、老人福祉法が制定されて本年までに十年になるのでありますけれども、老人福祉法という名にふさわしいような法の抜本改正を行なうべき時期ではないかと思うんでありますが、そういう観点から申しまして、もっと総合的な観点に立つ時期ではあるというふうに考えるならば、その点はいつ、どうなんでありましょうか。その老人福祉対策の基本的な方針もあわせてひとつここでお聞きしておきたいと思います。
○政府委員(加藤威二君) 老人福祉法は、御指摘のとおり、制定以来十年近くなるわけでございますが、まあその間改正はされてないというのはまあ御指摘のとおりでございますが、しかし老人福祉対策についてはまあそれぞれ先生御承知のとおり、関係の法律がいろいろございまして、それぞれの法律の中で前進を遂げているということは言えると思うんでございます。老人福祉法では老人につきましての老人福祉の理念とか、あるいは国や地方公共団体の老人福祉増進に関する責務というようなことが規定されておるのでございまして、各それぞれの法律におきましては、またこの精神を受け継いでそれぞれの老人の福祉対策を前進させておるということでございます。 まあ要は、老人福祉対策が総合的に推進されればいいということでございますので、私どもといたしましては、それぞれ年金は年金の法律、医療は医療関係、また今度の医療はこの老人福祉法の部改正になっておりますけれども、関係のそれぞれの法律の中でできるだけ老人にウエートを置いて施策を伸ばしていくということで、老人の福祉は達成されるのではないかというぐあいに考えております。なお、今後の推移を見まして必要に応じて老人福祉法をぜひ改正しなければならぬというときには、またこれを改正するのにはもちろんやぶさかではないわけでございます。 老人の福祉対策はいろいろこの委員会でもたびたび申し上げておりますけれども、やはり所得保障とそれから医療保障、それから生きがい対策、そういうようなものが一つの三つの柱みたいな形になろうと思います。老人の所得を保障し、健康を守り、そうして老人がその余生を生きがいを感じながら暮らせる、そういう対策を総合的に進めていくことが一番重要であろうというぐあいに考えておるわけでございます。
○大橋和孝君 いまの説明を聞いておりましても、私どうもこの十年の間このようにされておって、いまばらばらないろいろな方向でおっしゃるように進められてはおりますけれども、もういまのGNPの状態から、あるいはまたこの十年間の経過から見まして、もうこれを一つの総合的な福祉立法としてまとめて、いまおっしゃいましたような三つの柱はございましょうが、この柱をほんとうに円滑に老人福祉対策をしていこうと思えば私は先ほどもお尋ねしましたように、基本方針は一体どうかということをお尋ねしているわけでありますが、 〔委員長退席、理事高田浩運君着席〕 その基本方針としてもっとまとめて、ほんとうにそうしたすべての福祉施策が総合的に対処されていくような総合対策というものが必要であろう。そうするためには、やはり総合的な福祉立法に切りかえていくべきじゃないか、いろいろな場所でそれは引き上げられてはおりますけれども、もうそうすべきじゃないかと、こう思いますが、大臣この辺のところを十分に勘案してもらって、この時期にひとつ総合的な福祉の立法化、そうして、いまのような総合的な対策が円滑に行なわれるような、そうしたものに考えてもらって、いままでから言えば何か老人の一つの保護施策というような、かばうという程度じゃなくて、もっとそれを積極的にやってもらえるような形にしてもらいたい。特に老後の開発ということなんかも、非常に生きがいという問題からあると思うわけでありますから、老人になってからそれを対象としていろいろなことをしていく、福祉的なことをやるという観点ではなくて、老後に対してはこういうふうな方向でもって、もっと生きがいを持つような、開発的な面に立って施策を進めていかなければならぬのじゃないかと、こういうようなふうな観点で私はあるわけでありますが、どうぞひとつその辺のところを大臣の所信のほどを聞かしていただきたいと思います。
○国務大臣(斎藤昇君) おっしゃいますように、今日日本の人口の老齢化が急速に進みつつあるというときに、老人福祉対策として前に設けられた老人福祉法だけでは不十分ではなかろうかという御意見も、ごもっとものように存じますが、御承知のように老人福祉法は、老人福祉に対する基本的な方針をきめているようなわけでございますので、本来この医療の一部負担を公費でやるというのを、福祉法に入れるのが適当であるかどうかという点も検討いたしたわけでありますが、独立な別な立法にするよりもこちらのほうでやるほうがよかろうということで、こちらに踏み切ったわけでございますが、老人の福祉万般にわたる事柄を一つの法律にまとめるほうがいいかどうか、また現に欠けている点をどの程度どう補っていくかという問題につきましては、今後もさらに検討してまいりたいとかように考えます。 一番の今後の大きな問題は、やはり所得保障の点であろうと、かように考えますので、それを老人福祉法の中に入れたほうがいいか、これは全般の所得保障の中に入れたほうがいいかという点もありましょうし、また老人の就労対策とか、いろいろな点がございますが、いまおっしゃるような点も踏まえまして、私もさらに検討してまいりたいと思います。
○大橋和孝君 次に、老齢化の動向を見てみますと、日本の老齢化のスピードは、もう諸外国の数倍だと、こういわれておるわけでありますが、この老齢化の一番ピークになる時期、時点はいつなんだと、お考えになっておるのか。それからまた、老齢化のピーク時点後は平常化——平常的な状態をたどるのか、低下するのか、将来の老齢人口の推移の状態をどう把握していらっしゃいますか、ちょっと先に伺っておきたい。
○政府委員(加藤威二君) 老齢化のピークの時期でございますが、これは六十五歳以上の老人というぐあいに、六十五歳以上の老人のピークというのを見ますと、昭和九十五年に六十五歳以上が一七・二%、全体の人口の一七・二%に達します。で、その五年前の九十年が一六・九%、それから、五年後の昭和百年が一六・四%ということでございますから、六十五歳以上というぐあいに年齢を押えてそのピーク時を見ますと、昭和九十五年が一七・二で一番高いと。それから若干減っていくと。またそれよりだんだんと減少していくということじゃないと思いますが、ピーク時よりも若干減ると、こういう統計上のこれは推計でございますけれども、そういう数字になっております。
○大橋和孝君 そういう点を見ますと、今度とられるこの老人医療の無料化の問題も、将来を考えた場合には非常に重大な意味を持つわけでありまして、私は、この中の一つの柱である老人医療、これもいままで委員から多少議論が進められたのでございますけれども、この老人医療制度につきましては、私は医療保険の抜本改正の一環として取り上げられてきたものであるというふうに思うのでありますが、この医療保険の抜本改正に先がけて老人医療の無料化対策を実施することとしているのは、何か別なふうな考えがおありなのかどうか、この点を一点。 それから老人医療の対策は、本制度のような方法のほかに、医療保険制度の中において、老人の給付率を高める方法あるいはまた全額公費負担にするような方法などが考えられるわけでありますけれども、本制度におきましては、医療保険プラス公費の負担、こういうふうな方式が採用されたのでありますが、この点はどういうふうな根拠でされておるのか、この理由を。 第三には、老人医療費の無料化に伴いまして、老人の入院、外が増加することが考えられる。これも先ほどの須原委員もお触れになっておりましたが、これは老人の立場からはむしろ当然なことでありまして、反面には一般の患者の受診がはばまれることにもなるのではないかということも危惧されております。こうした受け入れ体制は整備されていないのではないかというふうにとられるわけでありますが、今後の受け入れ体制をどのように考えられているのか、先へそういう手を打つ必要もあるのではないかというふうに思いますが、この三点についてひとつ……。
○国務大臣(斎藤昇君) ただいまの三点は、さきに須原委員からもお尋ねがございまして、局長からお答えいたしましたが、私からまとめて申し上げます。 老人医療の無料化をどういう方法でやるか。御承知のように、二年前に制度審議会、保険審議会に諮問いたしました案は、老人保険というものを考えてみたらどうだろうということで、これは厚生省の参考意見として、抜本改正はいかにあるべきかという諮問をいたした際につけたわけでございます。そのときはそういったような考え方をいたしておりました。さらに抜本改正をいよいよ考えるという際に、私は昨年の十月ごろまで、とにかく保険でやるか、あるいは一部負担を公費で別に見るかということは、ペンデングにしておったわけでございます。というのはできるなら保険でやったほうが手続も簡単であるし、先ほどからも議論がありましたような所得制限というような事柄もないし、また筋としては保険でやるべきではないであろうか。これにもし公費を必要ならば、この保険に公費を入れたらどうであろうかというように考えておったわけでございますが、しかし、抜本改正がなかなか関係方面との折衝もむずかしいというような事柄から、これは少しおくれるかもしれない。ところが老人の一部負担を無料にしてもらいたいという声が圧倒的であり、抜本改正がおくれることによって無料化がおくれるということは、これは政治としてはおもしろくないというので、一部負担を公費で負担をするという行き方だけならば、これは保険制度に巻き込まれるおそれがないから、これは切り離して、とにかく実現をいたそうと、こういうことで公費負担ということに踏み切ったわけでございます。そうでございますから、この一部負担を公費で負担するという点につきましては、今後さらに御意見の次第もあり、保険の中に取り入れてしまうということも、なお、将来検討の余地がある問題である、かように考えております。老人の医療を根っこから公費でやるかどうかという問題は、先ほどの問題とも関連をするわけでありますが、これを根っこから全部公費で見るというよりは、やはり保険で見るべきものは見、一部負担としてかかってこざるを得ないというものはこれは公費で見ていく、もし保険で全額見るというようになれば公費負担のこの方式をやめていいのじゃないだろうかという考え方をいたしております。 それから、このために保険の根っこがふえるのじゃないかと須原先生からも先ほど盛んにおっしゃいました。まさしく確かにふえると思いまするし、現にこの点は大蔵省と予算折衝の際にも非常に問題になったわけでありますからして、今日、御承知のように東京都をはじめ大都市はほとんど一両年前からもうこれを実施をしております。したがって、そういう意味でいわゆる受診率のふえる分はもうすでに相当ふえているんじゃないか、これをやることによってふえるのはまだ未実施の地域においてふえるであろうという点でありますから、したがって七十歳以上を公費負担にしたら幾らがふえるかという中で、すでにふえている分を差し引くと、そうたいした数字ではないという大まかな検討をいたしております。その数字は先ほど須原委員から御要求がありましたから、後ほど資料として提出をいたします。 病院等につきましても、このために病院が老人に占拠されてしまって非常に困るという状況にはならないかという点がずいぶん論議の的になりました。私ら厚生省の中におきましても論議の途中にずいぶんございましたが、これはできるだけベッド数をふやし、そして遺憾のないようにしてまいりますと同時に、特別養護老人ホームというようなものをふやすと同時にやはり医療を加味した老人ホーム、特別養護老人ホームというようなものをふやしていくということでまかなってまいりたい。実施をしてみて非常に困る状態になるかならないかという心配は若干なきにしもあらずでありますが、東京都のような大きなところで実施をして、そうたいして困らなかったという点からみて、そう心配するほどのことはなかろうが、しかしこのことは用意してかからなければならないということは観念をいたしております。
○大橋和孝君 その波及することなんかは先ほど須原君からも話がありましたが、私は総合的に考えて、やはりこれは先にいろいろな手が打たれておるのかと考えておりましたけれども、そうたいしたことはないという見込みのようでありますが、しかしこれはたいへんな、先ほどお尋ねしたようにこれからどんどんとピークまで上がっていくわけでありますから、非常にそういうところは問題があろうと思いますから、あとから手を打つのでなくして、もういまからそういうことを考えながら、そういう場合にはどういうふうにするかというふうなことをひとつよく考えておいてもらいたいということを念のために申し上げたいと思います。 それから、この老人に対していろいろされる場合に、老人手帳の交付ということが問題になっておりましたが、これを交付して、そして福祉の措置をはじめとしまして老人福祉のサービス、こういうものをみな行なうべきだろうと思いますが、この老人手帳の考え方、これについてひとつ御意見を伺っておきたい。 同時に、ちょっと時間の都合もありますから、まとめて質問させていただきますから御返事をしていただきたいと思いますが、在宅の老人の福祉対策でありますが、寝たきり老人につきましては一体どのように考えておられるのか、これも相当あるわけでありますけれども、まだ実際は家におってそれに応じられない人がある。ですから、そういう方に対しては家庭奉仕員の制度を持っているわけでありますが、この問題に対しても非常に、前日だったかの質問の中にもありましたが、数はふやす方針ではいらっしゃいますようでありますけれども、それはほんとうのデータのもとにそれだけやればほんとうにできるものなのかどうか、そういうものの見通し、あるいはそういうような結果の状況、こういうものをひとつ十分に考えていただきたい。 それから、家庭奉仕員の手当は月額三万七千円と聞いておるわけでありますけれども、この業務の実態から見ると、これは非常にたいへんでありますからして、特別養護老人ホームの寮母並みにするぐらいにしたらどうだろうか、こういうふうに思うのでありますが、この点はいかがでございましょうか。 それから第四点は、いかなる地域におきましても老人に対する施策は平等に行なわれなければならぬわけでありますが、この老人家庭奉仕員は六千四百六十人ですか、何か要求はもうちょっとされておるようでありますが、こういうふうになっておるし、奉仕員の置かれておるところはごく一部であったりしております。ですから全体に公平にいっているとは申しにくいわけでありますが、そういう点は一体どうなっておるのか。 それから第五点は、一人暮らしの老人に対して現在では百十万世帯の高齢者の世帯のうちでそういう方が六十一万世帯ある、こう言われておるわけでありますが、こういう一人暮しの老人の家庭、これは過密あるいは過疎の地域においても非常にいまのように社会生活が複雑化していると 一人暮らしの老人が死んでもまだしばらくの間発見されなかったというような例もあるわけでありますが、こういうふうな問題はいまどうなっておるのか。それからまた、高齢者世帯の伸び率は増加の傾向を示しておるわけであります。それであるからして現在までのところでこの対策はみるべきものが少ないので、当面一人暮らしの老人を中心とした高齢者対策がもっと緊急に講ぜられなければならぬと思うが、こういうものの将来の展望、見通しというふうなことについてもひとつ伺っておきたいと思います。
○政府委員(加藤威二君) 最初に老人手帳についてのお尋ねでございますが、老人福祉対策を進めるために老人手帳の交付というのも一つの考え方であろうと思います。しかし、問題はその手帳を持っていることによってどういう実益があるかということ要、するに実益があまり伴わないということであればこれはあまり交付する意味がないということになろうかと思います。たとえば、身体障害者については手帳を交付しておりますが、それを持っておればたとえば汽車賃なんかが五割引きになる、こういう対策がついております。ところが、老人医療につきましては、老人ホームに入っておる御老人につきましては割り引きがございますけれども、たとえば六十五歳以上の老人は五割引きという対策は打ち出されておりません。これは国鉄等にもかけ合いましたが、ちょっと六十五歳とか七十歳以上の御老人を全部五割引きにするということは、国鉄も赤字の折でもあるし、また老人というものは非常に国鉄にとっては収入源として大切だというようなことでなかなかうんと言わないのが現状でございます。ただ、私どもといたしましては、今度の医療費の無料化に伴いまして老人に健康手帳というようなものをまず出してみたい、そういうものをよりどころにいたしまして、今後全般的な老人手帳という問題も考えてみたいと思いますが、とりあえずは老人の健康手帳というものを御老人にお渡ししたいというぐあいに考えております。 それから寝たきり老人対策の一環といたしまして、ホーム・ヘルパーの問題についての御質問でございますが、これはたびたび当委員会でもお答え申し上げておりますとおりに、私どもといたしましては本年度予算においてホームヘルパーの数の増加、特に手当の引き上げをやったわけでございます。二万三千九百円から三万七千円に、大体五五%の引き上げでございます。これはそういった給与の引き上げとしては相当大幅だったわけでございますが、それに対しては従来が非常に安かったから当然だという反論もあろうと思いますけれども相当大幅な引き上げを実施いたしたわけでございます。ただ、老人ホームにおける寮母さんの給与との間にはまだ格差があるわけでございますが、これは勤務形態その他も違いますので、寮母さんと全く同じ給与というわけにはまいらないと思いますけれども、まだ相当格差があるということで今後さらに改善にはつとめてまいりたいと考えております。 それからその配置について、ホームヘルパーの配置が適正に行なわれていないではないかという御意見だったと思いますが、確かにこれは全国の市町村の中でまだホームヘルパーが一人も置いておらないというのが二五%ぐらいございます。また、県によって非常にアンバランスがございまして、こういう問題に非常に熱心な県と必ずしもそうでないという県もございます。あまり熱心じゃ、ない県はもう、半分ぐらいの町村が置いてないというような実態もございます。これはやはり、その地方のこの老人問題に対する熱意という問題とも比例するわけでございますが、しかし、私どもといたしましては、できるだけ全国の老人がバランスのとれた対策を受けるということが非常に望ましいわけでございまして、今後ホームヘルパーの数もふえましたし、給与もよくなりましたので、できるだけ未設置の市町村に対しては、ホームヘルパーが一人もいないという市町村に対してはできるだけこの家庭奉仕員を必ず置くようにという指導をいたしまして、全国的にバランスのとれたホームヘルパーの配置を行ないたいというぐあいに考えております。 それから、一人ぐらしの老人の対策でございますが、この一人ぐらし老人の対策につきましては、老人の電話相談センターというのを四十六年度二カ所、四十七年度二カ所、計四カ所モデル的に設置したわけでございます。これで孤独な老人のいろんな相談に応ずるということで、非常に好評でございます。なお、今後もこの個所数をふやしてまいりたいと思いますし、これは同時に、金額的にはたいした費用もかかりませんので、できるだけ地方公共団体におきましてもこういう電話センターとか、あるいは連絡ベルのようなものを、インターホーンのようなものを、そういうものを設置して、そして孤独な老人のいろんな相談に応ずるとか連絡をとるような手段、これを講じてまいるつもりでございます。 それから、孤独な老人が一時的にからだが悪くなったというような場合に、介護人の派遣ということでその人員を四十七年度も三千四百人から約五千七百名、したがいまして二千三百名ぐらい増員をいたしました。そして、介護人の派遣、からだが悪くなられ ときに臨時にお世話をするという介護人の派遣対策というのを実施いたしております。 そのほか、やはり一人ぐらしの老人で、非常に一人ぐらしの状態が無理だという方は、できるだけ老人ホームに入っていただくというようなことからも、老人ホームの整備ということに心がけて、まいりたいと思います。同時に、やはりこういった一人ぐらしの老人とか寝たきり老人に対しましては、そういった国とか市町村、県というような地方公共団体の対策と同時に、やっぱりその地域における人たちがそういった老人について何くれとなく日ごろ気にかけてお世話をするというような、そういうコミュニティーづくりと申しますか、そういう問題についてもできるだけ努力をしてまいりたいというぐあいに考えております。 で、最後に、高齢者対策でございますが、高齢者対策につきましては、いままで申し上げましたようなそういった対策を総合的に実施するという以外にお答えのしようがないわけでございますが、いま申し上げました一人ぐらし対策とか、あるいは寝たきり老人対策、そういったもの、それから老人の所得保障、医療保障というものの充実、こういうことによって、高齢者に対する対策を今後できるだけ伸ばしてまいりたいというぐあいに考えておるところでございます。
○大橋和孝君 先ほど私はちょっと、老人手帳の問題を提起したわけですが、やはり受ける側から考えますと、ひとしくいろんな処置を、対策をしてほしいという希望が老人にあるわけです。やはり手帳でも交付をして、いろんなサービスの面をこういうようなもので集約していけるような形をしないとやはり総合的な問題は取り上げにくい、落ちがあるというふうに考えられますので、私はこの問題につきましても、ただ医療の面だけじゃなくて、特にすべての老人の対策をひとつそういうふうなところに集約をして持っていく、そうしてそれがほんとうに身体障害者の手帳もそういう意味では非常によく活用されていると思うのでありますから、それは、そういうふうな運賃ばかりじゃないわけでありまして、そうした方面でも、この問題をより進める上においては、こういう手帳交付ということも非常に大きな意味を持つのじゃないかと思いますから、そういう問題をひとつ、またこれからも考慮をしてもらって、そのほうにしてもらいたい。 それから、いま申しておりますように、やはり老人はどこにおっても同じようにひとしく受けることが大事でございますので、過疎、過密あるいはまたいろんな点で、家庭奉仕員もいないような状態は、これは何とか国と地方自治体との間でうまく連絡調整をとって、これらはひとつ、ぜひともこうした法律ができる時期にあたっては十分な配慮をしておいていただきたい。ことに一人世帯の人なんかは、私は、それはいままでやられていることがまだ非常に見るべきものがないといって申し上げておったのも——非常にこれは苦労されて、いろんな電話のセンターやらやっておられることはよくわかります。わかりますけれども、ほんとうから言えば、まだ現在は、なくなっても一週間も十日もわからない人がおるわけでありますから、私は、こういうふうな状態で、これからもまだそういうことがふえようとする非常に経済とか社会情勢の緊迫しておる事態では、やはり個々の老人問題を考えるときには、第一番にここらにひとつ、大きな不公平さがないような、また、そういう不幸のないようなことは十分配慮をしておいていただきたい。こういうもとにお願いをしておるところでありますから、特に御配慮をしていただきたいと思います。 それから、この老人の施策の問題でありますけれども、この老人の福祉施設の整備五カ年計画というのが出ているわけでありますが、これの進捗状況、それからまた今後、これはどういうふうな状態で、どういうふうな見込みになっているかということをひとつお聞かせ願いたい。 第二番目は、老人のニュータウンの建設ということがよくいわれてきたのでありますが、やはりみそ汁がさめないような、いろいろの問題点についていわれておったわけですが、こういうような住宅の建設に対してどのようにしてこれを構想として生かしていかれるのか、これをひとつ伺いたいと思います。 それから第三点は、本法の第十四条に老人福祉施設は養護老人ホームだとか、特別養護老人ホームだとか、軽費の老人ホーム、この三つの施設に分けられて繁雑化されているような感じがいたします。この施設は当然ワンセットとして一元化して一つの老人ホームの中で総合的に運営するほうがよりベターではないか、こういうふうに考えるわけですが、いろいろな合理化あるいはまた省力化の面におきましてもそのほうがいいんじゃないかと思うのですが、そういうことに対するお考え方、これを承りたいと思います。 第四点は、老人福祉施設につきましても、この法律に規定をして、整備及び運営についても国の助成を行なうべきではないかというふうに思うわけであります。老人休養ホーム、老人医療センター、あるいはまた老人ニュータウン、老人福祉総合研究所、このようにいろいろあるわけでありますが、こういうようなものに対しても少し助成をすべきじゃないかというふうに思うのですが、その点はいかがでございますか。 第五点は、法律に規定されておるところの老人福祉センターにつきましても、その運営費の助成が要望されておりますが、これに対しましてはまだ考えられていないように思いますが、どのように考えられておりますか。 その五点についてひとつ……。
○政府委員(加藤威二君) 福祉施設の整備につきましては、福祉施設全体につきまして五カ年計画で、四十六年度から五カ年ということで三千五百億ぐらいの金を使って整備をしようということにいたしておりますが、そのうち老人の施設につきましては大体五十年度までに十八万人の老人の収容能力を持つ老人ホームをつくりたいということで、現在約九万人でございますので大体倍ぐらいの、いま入っておられる老人の倍ぐらいの老人を収容できるようにということで、五カ年計画の中でその設置計画を進めているところでございます。で、四十六年度におきましては、その整備につきましても、特にそういった老人ホーム等の整備に重点を置きまして、大体四十六年、初年度でございますけれども、特別養護老人ホームにつきましては、大体計画の一〇〇%をオーバーしているぐらいの整備をやっております。それから養護老人ホームも同様でございます。一応一〇〇%の線に達しておりますのは、四十六年度におきましては特別養護老人ホームと養護老人ホーム、それから保育所、こういう点については一〇〇%の計画どおりの実施をやっております。で、そういうことで、この五カ年計画におきましては、特に老人とそれから重度の身体障害者と、それから保育所関係、こういうものに重点を置いて計画を進めてまいりたいというぐあいに考えておるところでございます。 それから老人のニュータウンでございますが、これは老人福祉施設とそれから老人の住宅、医療機関、そういったものの総合的な、老人が住むに適当な一つの生活環境施設を総合的に整備する、こういう構想でございまして、欧米諸国には一部こういう老人のニュータウンというものがあるようでございますが、わが国においてもこういう計画をいろいろな方面で練っておるという段階でございます。これにつきましては、土地の確保その他の問題がございますけれども、やはり老人を中心にして、しかし老人ばかりではやはりぐあいが悪いというような感じもいたしますので、老人中心の町というようなことで将来そういう町づくりというものを計画してまいりたい。五カ年計画の中でもその後半のところでこういった施設に対する補助というような問題も考えてまいりたいということで、いまこの際こういう計画を持っているという具体的なものを申し上げられる段階ではございませんけれども、やはりそういった老人のニュータウンというようなものを将来つくっていく必要があるのではないかという感じがいたします。 それから老人ホームについて、いまある特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、老人世話ホームというような分類でいいのかどうか、それを少し総合的な老人ホームというものを考えたらどうかということでございますが、そういった点につきましては、現在社会福祉審議会の老人福祉の専門分科会で、こういう老人ホームの問題を中心にいたしましていろいろ検討いたしてもらっております。それで、いままでの老人ホームの考え方でいいかどうか、それからその処遇の体制と申しますか、その職員の数の問題とか、あるいは収容者の処遇の問題、そういうような問題も全面的に老人ホームについていままでの考えでいいかどうかということを検討してもらっておるわけでございますが、そういう、その検討の結果等を十分勘案いたしまして、この問題についてはいままでの考えでいいかどうか、先生の御指摘になりました点も十分考慮に入れながら今後の対策を考えてまいりたいと思います。 それから福祉センターとか老人休養ホーム、これにつきましては、老人福祉センターにつきましては、設備については現在一カ所二百三十五万という定額の補助を行なっております。で、残りの分は特別地方債によってまかなってもらう、それから老人の休養ホーム等につきましては、現在のところ全額特別地方債ということで整備を行なってきておるところでございます。 まあ、この社会福祉施設整備五カ年計画に対する考え方でございますが、私どもといたしましては緊急に収容を必要とするという緊急収容施設、そういうものに最重点を置いて整備をはかってまいりたいと思いますが、同時にやはり老人につきましては、その生きがいを高めるということからいいましても、老人福祉センターだとか、あるいは老人休養ホームというものについても、やはり相当の配慮を加えながら整備をはかっていく必要があろうというぐあいに考えております。 まあ運営費につきましては、現在のところこれは運営費は出ていないという状況でございます。運営費まで手が回るかどうかということは、いまのこの場でちょっとお約束のできかねるところでございますが、いろいろ老人福祉センターがたくさん出てまいりますので、その運営状況等をにらみ合わせながら今後の問題点として検討してまいりたいというぐあいに考えております。
○大橋和孝君 わりあいこの運営費だとか、あるいは政府の補助あたりも非常にむずかしい点はあろうと思いますが、こういうふうな施設を、特に私はいま申したように一元化していく、運営の中でしていけば、もっとそういう面で合理化されたりするような面も出てまいりますが、そういうことを生かしながら、もっとこの運営費まで金を入れること、補助をすることが、こうした施設を非常に気持ちいいものにする一つの動機ではないかというふうに思いますので、この問題はいろいろ経過的には問題がありましょうと私も思います。ですけれども、こういうことはひとつ思い切ってやっていただかなきゃならない。それから特にこの老人のニュータウンの建設の問題なんかは、私は生きがいという問題から考えましたり、あるいはまた、老人をただ少し保護するという意味じゃなくて、将来の、何と申しますか、開発というか、老人にできる事柄を、もっといろいろ生きがいの中でやってもらう、仕事をしてもらうというふうな形からいいましても、こういう住宅の新しい傾向を持たしているということは、非常に大きな意味を持つと思うのでありますが、そういう構想を持って、いま進んでもらっていると聞きますから、私は非常にうれしく思いますけれども、こういう問題を、ひとつこの五カ年計画の中にぶち込んで、そして四十六年からスタートしておりますけれども、もっとこれを具体的に進めていくという、それを具体化してもらうために、私はこういうふうな計画の中にも、もう少し検討して入れてもらうとか、あるいはまた別に何カ年の計画でどういうふうにすると、これは建設省やらいろいろなところとの話し合いもあるわけでございましょうが、私は相当大きく進めてもらいたい。これはやはり、いろんなそういうところでいままでは障害になっているわけですね、省が違ったりなんかしますから。私はそういう意味からも、こういう福祉法が一つのものになってしまっていろいろなことができるような総合の立法化ということも、私はほんとにやらないと、こういうことがうたい文句で済んでしまうんじゃないか、こういう感じを持つのですが、局長、どんなふうにお考えですか。
○政府委員(加藤威二君) 確かに先生御指摘のように、そういうぐあいに老人問題は総合的に、何というか厚生省に集めるということも一つの考え方であり、また老人対策のみに重点を置けばそういったあれが理想的かもしれませんけれども、まあそれぞれ役所には役所の、まあたとえば住宅問題につきましては建設省が総合的にやる。ですからそういう入る住宅なら住宅問題をつかまえてみますと、そこに入る人を対象にして、それを所管するところでやるのか、あるいは住宅という面をとらえて建設省でやったほうがいいのか、これは一長一短だろうと思います。そういうことで、まあ私どもといたしましては、現実の問題として老人に関係のある施策を総合的に一つのところへ集めるということは、老人対策としては理想でございますけれども、現状はなかなか実施の面になりますと、たとえば老人住宅を建設省が厚生省に譲るかというと、なかなかそうはまいらぬと思うのでございまして、やはりそこは運営の面におきまして、できるだけ関係各省連絡をとりまして、運営の面において統一的な運営をはかっていくという方向で、とりあえず努力してまいりたいと思います。
○大橋和孝君 これは先ほどから申しておるように非常にむずかしい問題はあると思います。しかし、私は老人を守るのはだれかということになる。たとえばニュータウンをつくるときに、まあ私の考えでは、必ずしも老人だけの集まりのタウンをつくることがいいのかどうかはまた別だと思うのですよ。たとえばみそ汁のさめないようなところに老人ホームをつくるという、その生がいやら何か、いろいろな老人のさびしさを解消するための意味もある。そういうことからいいましても、必ずしも私は老人向きの、老人ばっかり集まったところの住宅云々ということは考えていいのかどうのか、まだ問題があると思うのです。が、そういう立場で考えましても、それなら建設省にまかしておいて、老人のことを考えながら、じゃニュータウンづくりをしてくれるかといえば、私はやっぱりなかなかそうはまいらぬと思いのですね。そうすると、やっぱり老人を守っていただくのは、厚生省の中の社会局が一生懸命考えてくれなかったら老人がしあわせにならぬと思う。そういう意味で、私はある程度そういうところまで指導性なり、あるいは協調ができるような一つの力を持ってやってもらわなければ、いままでのような形では、どうも何かほかのほうの産業とか、あるいはまた工業とか、そういうような方面の方々の勤労住宅とかなんとかいうような方面はどんどんと進みますけれども、こういうふうな福祉の方面がどうしても手おくれになる、こういう観点を私は非常に心配をいたしまして、ここらで厚生省はしっかりとできるようなひとつ段取りをしておいてもらわないと、老人の対策というものが非常におくれるのじゃないかというふうな感じを持ちますので、特に、そういうことを私は申し述べたいと思います。ですから、ひとつ厚生省のほうでもそういうふうな観点から、こういう問題を相当突き詰めて、私はもっと充実化したもの、やりやすいようなものを、ひとつここらで考えておいてもらいたい。そうしないと、いつも審議をやっていきましても、肝心なことが、うたい文句だけで済んでしまうということになりますので、私は特にそれを要望しておきたいと思います。 それから、この社会福祉職員の処遇の問題、先ほどもちょっと触れかけましたけれども、あるわけですが、社会福祉事業の死命を制するものがそれを担当する職員でありますから、特に、私は対象と直接かかわる面での処遇を担当する職員の質に待つところが大きいと思いますし、そして社会福祉の領域で働く福祉固有の専門職員につきまして、その全分野を包括する筋の通った専門職制度というものをつくるべきではないかというふうな意見を、いままでからもいろいろ申し上げたんでありますが、ちょうどこれだけ社会の経済状態もよくなってきている現在でございますから、社会福祉事業の歴史において常に繰り返して述べられたところでありますから、この専門職というものに対して、ひとつ政府はこの辺でしっかりと考えてもらわなければいかぬのじゃないかと思いますが、それについてはどのように思いますか、繰り返して伺います。 第二点は、社会福祉専門職員の充実強化方策として社会福祉士法といいますか、この法律の制定については、中央社会福祉審議会で検討されて、職員問題専門分科会起草委員会のもとで試案が昭和四十六年の十一月に発表されているはずであります。この構想、あるいはまたこの立法化についての見解、御意見をひとつ伺っておきたいと思います。
○政府委員(加藤威二君) 社会福祉関係の専門職の問題につきましては、これは先生いま御指摘のように社会福祉審議会の中の職員問題専門分科会で検討していただいております。やはり社会福祉施設職員、あるいはその他の社会福祉関係の職員につきましても、質的な向上が要求されるわけでございまして、そのためには専門職制度というものが確立されれば一番望ましいわけでございます。しかし、それについてはいろいろ問題点もあるようでございますので、現在その審議会で慎重に検討していただいておるというのが現状でございます。 それから、社会福祉士法の法制化でございますが、これも先生いま言及されましたように、その審議会の専門分科会におきまして、中間報告みたいな形で一応の意見が出されております。これは第一種の社会福祉士と第二種の社会福祉士ということで、学歴その他によりまして、二つに分けまして、そして、従事する仕事も第一種については相当高度の仕事、第二種の福祉士は現業的な面をということで、ごく大ざっぱに分けてそういうような構想の中間答申、中間の意見を出されております。現在、私どもはそれを各団体、あるいは地方公共団体に示しまして、その意見を徴しておる段階でございます。なかなか意見が出てきておりませんが、一部出てきております意見については、やはり賛否両論ございまして、必ずしも簡単には進まないという感じがいたします。たとえば一種、二種に分けるということについて、社会福祉士の中で、そういう区別をするのはおかしいというような議論もございますし、非常にこの問題については、いろいろ意見があるようでございます。したがいまして、そういう意見を十分、私どもといたしましては勘案して、この社会福祉士法をまだ提案するという段階ではございませんが、社会福祉士法というものをつくるべきかどうか、つくるとすればどういうかっこうにするかということについては、さらに今後検討を進めてまいりたいと思います。
○大橋和孝君 これは、ぜひひとつ前向きに考えていただきたい、こういうふうに思います。 それから社会福祉施設の職員の処遇改善の問題でありますが、この職員の定数も先ほどもセンターのときにも申しましたが、この施設の職員の定数の改定、それからまた労働条件の改善については、まあいままでから何度もいろいろ言われて、おりますけれども、この改定をひとつ十分やってもらわなければならぬと思うのですが、今後どのように改定をされるようなお考えか、これについての見通しもちょっとお聞かせ願いたい。 それから社会福祉施設の職員の給与は児童福祉施設措置法によって定員払いになっておるようでありますが、社会局の社会福祉施設は施設事務費によって現員払いになっている、同じ厚生省の管轄の中の福祉施設でありながら、いずれかにこれは統一すべきじゃないかという感じがするのですが、この点はいかがですか。
○政府委員(加藤威二君) 職員の定数につきましては、私どももまだ非常に不十分である、しかも福祉施設の職員は非常に労働がきついわけでございまして、寮母さんなんかは腰が痛くなる、腰痛症と申しますか、そういう過労のためにそういう障害が出てくるという寮母さんも相当多いというぐあいに聞いております。したがいまして、私どもといたしましては毎年毎年増員に努力いたしております。現に四十七年度も養護老人ホームとかあるいは盲人の老人ホームあるいは軽費老人ホーム等につきましては、その増員をはかったところでありますが、さらに今後もできるだけこの増員をはかる、施設職員の給与の改善も必要でございますが、同時に、職員の数をふやすということによって過剰な労働をできるだけ避けてもらうということで努力をしてまいりたいと思います。 それから定員払い現員払いは、御指摘のとおり、児童局関係の施設と社会局関係の施設と違っておるという点は、これはいろいろ沿革がございまして、そういうことになっておるわけでございますが、やはりおかしいということを私どもも考えております。児童局も同様でございまして、これは一挙に全部同じにできるかどうかわかりませんけれども、できるだけそういった支払い方式を統一してまいろうということで、現在よりより児童局と協議をいたしております。なるべくお互いに譲歩できるものは譲歩し合って、少なくとも統一した支払い方式にできるだけ近づけようということで現在話し合いをしておる段階でございます。
○大橋和孝君 次には、相談機能の強化をお伺いしたいわけですが、今日の核家族の意識の進行に伴いまして老人と家庭とのあり方の変化、あるいは高齢者が先ほどからも申しましたように、世帯が非常にふえてまいったこと、また一人暮らしの老人が非常にふえて、社会的に非常に孤立した老人の増加、それから過疎化の進行、過密化進行によって地域的社会の崩壊及び生活諸環境が非常に悪化しておるわけでありますので、老人の生活に関する各種の相談が増加しておりわけであります。既存の社会機関では十分にそうした相談に応じられないような現況になってきておると思うのでありますが、この相談機能の強化につきましては、どのように考えていらっしゃるのか、これをお伺いしたいと思います。先ほど電話なんかも非常に好評だという御答弁もございましたが、もっともっと私はこういう問題に対しては十分の措置をしなければならぬのじゃないかというふうに考えております。その点についてお伺いいたします。 第二点は、身体障害者福祉法には身体障害者相談員が置かれておるようでありますが、老人福祉法にも老人福祉相談員として相談員をきちっと各自治体に置かす、こういうふうなことを考えたら、もう一つ徹底するのじゃないかと思いますが、その点はいかがですか。
○政府委員(加藤威二君) 老人の生活相談に応ずるための機関といたしましては、福祉事務所における老人の福祉指導主事、それから老人福祉担当の現業員、市町村におきまする老人福祉担当職員、そういった職員、その他保健所におきまする健康相談活動等によりまして、できるだけ老人の生活相談、健康相談に応ずるように体制を整えておるところでございます。 そのほか民生委員の活動にも私どもは期待いたしまして、民生委員も最近は老人問題に熱意を持って取り組んでおられるわけでございまして、それから社会福祉協議会ごとに「心配ごと相談所」というのがございますが、そういうところもあるいは老人福祉センターの相談事業、こういうぐあいに窓口をできるだけ広げまして、そして今後老人の生活相談、それから健康相談等に応じてまいりたいと思います。 それから老人の福祉の指導主事、これを各福祉事務所に置いておりまして、身体障害者には福祉司というようなのがございますが、老人につきましては、老人福祉の指導主事というのを置きまして、そして老人問題を専門に取り扱わせておるということでございます。人員等につきましては、老人問題が非常に重要になってまいりますので、そういった老人担当職員の数もできるだけふやしてまいりたいというぐあいに考えております。
○大橋和孝君 やはり特別な事情でありまして、身体障害者の場合より以上に、私は老人のそうした、何といいますか、孤立化、さびしい状態、また自殺する人もふえておる。こういうような状態ですから、私はその福祉司もさることながら、相談員としてかなりの人員を身体障害者の場合のようにこれを拡充してもらうほうがよりベターだと思うんです。ですから、これはぜひ、ひとつ前向きに考えてもらいたい、そういうふうに思います。 それから審議会の件でありますけれども、老人福祉審議会を設置されない理由はどんなところにあるのか。今回の改正案によりましても、この際、従来は中央社会福祉審議会の中において片手間といっては言い過ぎかもしれませんけれども、老人福祉専門分科会を設けていたことから、むしろ新たに老人の総合福祉審議会を設置すべきではないか、こういうふうに思うわけであります。そういう観点からこの審議会をどういうふうに考えておられるのか。
○政府委員(加藤威二君) 審議会につきましては、現在中央社会福祉審議会におきましても、一応老人問題も取り上げて、老人関係の分科会ということで検討いただいております。これは先般も昭和四十五年に老人問題に対する答申をいただきましたけれども、私どもといたしましては、これはりっぱな答申だと思います。そういうことで、中央社会福祉審議会におきまして、一応老人問題の審議ということについては非常に熱意もあり、学識を持った先生方がたくさんおられますので、いまのところ私どもは、審議会につきましては、こういった先生方の御意見を伺いながら老人福祉の行政を実施していくということで、特にこのほかに審議会を設けるという必要はいまのところ感じておらないわけでございます。老人福祉対策がおくれているとすれば、全く私ども行政関係の者の責任であろうと思いますので、審議会については、私どもは一応非常な貴重な御意見もいただけますので、いまのところは現在のままでいいのではないかというぐあいに考えておるわけでございます。
○大橋和孝君 これは一番初めに質問さしていただいたことと関連をしているわけですが、やはり老人福祉の対策というのを私はぐっと前へ進めるためには、また総合的なそういうふうな立法にまで持っていきたいというような考え方からいいますと、やはりことは審議会のあたりをもう少しスタートから考えていただかないと——いま全然痛痒を感じなくて、いまのままで十分だというような局長のお考えでありますけれども、私は、これは少しこういうところから改革をしていかなければ、老人全体の問題がおくれているのを、おくれを進める、あるいはまた総合的にいろんなことをやっていく上において私はやはりむずかしいのではないか、これはやはり、そうした総合的な福祉の立法につながるようなものとして私は考えているわけでありまして、そういう観点からも、いまの状態を前進させる意味では、やはりあらゆるところでそういうようなことを考えてもらわなければ私は前進をしないのじゃないかというふうに考えます。先ほどからも、いろいろ将来の具体的な方法についてお尋ねをしているわけでありますが、そういうことをしっかりやる上においては、やはり審議会がもとになるとするならば、審議会からスタートを考えてもらわなければならぬのじゃないか。こういうふうに思うわけでありまして、そういうふうな全体を含めて私はひとつこの問題を検討していただきたい、こういうふうに思うわけであります。大臣もちょうどお帰りになりましたから、ここらのところで、先ほどの構想とあわせて、もう少し老人福祉のための審議会というものをスタートしてもらうぐらいの勢いで老人福祉を前進さしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(斎藤昇君) 老人福祉のための特別の審議会、あるいは中央社会福祉審議会の中にそういった部会を設けてやるかどうかという問題の御提案がございました。御意見の次第も考えまして、また審議会の各先生等の意見も伺って善処いたしたいと思います。
○大橋和孝君 じゃ、ひとつどうぞよろしくお願いいたします。 それから次には所得保障の問題をちょっと触れてみたいと思うのです。世論調査なんかでは老人の最も要望しておるのは、先ほど局長も触れられましたが、老人医療の公費負担、それと所得保障であるところの年金であるといわれております。公的年金制度の総合調整につきましては一体どういうふうにお考えになっておるのか、この点をひとつ第一番目にお伺いしたい。 第二番目には、来年は年金の年だと、こういわれておるのですが、公的年金の長期計画、こういうようなものをどういうふうにお考えになっておるのか。特にもう来年のことでありますから、かなり計画的に展望を持っていただいていると思うわけですが、それについてひとつお聞かせを願いたい。 それから所得保障としての年金額は、一体何を算定基準としてこれを考えられておるのか。われわれとしては、賃金の六割とかいろいろなことで、積算基礎を論じはいたしておりますけれども、この所得保障としてはあまりにも少ない観点から申しますと、一体算定基準をどの辺に置いておられるのか、こういうことも非常にあいまいなような感じがいたします。 それから第四点としましては、自動的にスライドするような制度を導入してくれということが非常に従来から強い要望があったのでありますが、まだ実施はされていない。やはり私はこの物価がどんどん上がっていく状態であれば、もうスライドしながらこれが上がるようにされるのが当然じゃないかと思うのですが、これはどうなのか。 第五点については、年金の財政方式は、国民年金及び厚生年金保険ともに修正積み立て方式がありますが、経済成長が今日のように恒常的に上昇をして、年金額も低くて、自動スライド制も取り入れられていない、こういう現況では、私はほんとうに再検討すべき時期だというふうに思うのであります。また、先進国のように賦課方式の採用についてはどうなのか。もういまごろになったら考えてもらう時期じゃないか。こういうふうに思うのですが、その辺のお考えはいかがでございましょうか。
○国務大臣(斎藤昇君) 年金制度につきましては御承知のように、各制度たいへんばらばらになっておるのでございまして、これはやはり被用者の年金と、そうでない国民年金と、大体この二つの制度の考え方のもとに統一をしていくべきだと思います。で、制度それ自身を統一するかどうかということは別にいたしましても、考え方は一元的な考え方に進んでいくべきものである、かように私は考えております。来年は年金の年だと申しておりますが、そういった考え方に立って来年、どこからどの程度着手していくか、これらについてはいまこれから検討をいたしたいというところでございますので、ここで御披露申し上げる程度にまだ腹案は固まっておりません。 また、おっしゃいました所得保障としての最低限をどう考えるか、また年金は在勤中の報酬の何割程度がいいというように考えるかというような点も、これはやはりあわせて考えていくべき問題であろうと、かように考えます。 また、スライド制はよほど前から言われておった問題でございますので、年金の審議会においてもこの点いま真剣に取り組んでもらっておりますので、その結論を得て実施に移したいと、かように考えます。これはしかし、来年すぐスライド制の実施というところには、率直に言ってむずかしいのではなかろうか。しかし少なくとも拠出年金の五カ年ごとの再計算のときにというようなことでなくて、できるだけ毎年かあるいは二年ごとぐらいに、物価あるいは賃金の所得水準並びに生活水準の向上という点を考え合わせて、そして実質的にスライド制が行なわれるようなやり方をやっていく必要があるのではなかろうか。自動的なスライド制ということになりますると、相当まだ検討する余地があるんじゃないだろうかと思いますが、これは審議会においていま真剣に議論をしてもらっておりますので、その結論を待ちたいと、かように思います。財政方式もしばしば問題になっているわけでありますが、積み立て方式と申しましても今日すでに修正積み立て方式になっております。それに、賦課方式というようなものに将来どう移行していくか、もう早急に賦課方式へ移行のできるような形をとるか、ことばをかえて言えば、いままでは修正積み立て方式であったのを賦課修正方式というような形でいきますか、とにかく問題は、現在の被用者の方々の負担と、それから将来の被用者の方々の負担、いわゆる保険料というものがそう高低にならぬようにする必要があるのではないか。いますぐ賦課方式をやれば現在の保険料は非常に安くて済む、しかしながら後代になると、働いている人の保険料が非常に高くなるということになりますから、こういった不公平のないようにやっていくのにどうしたらいいかということも考え合わせて、そうして財政方式をきめてまいりたいと、かように考えます。これらはすべて問題点でございますが、来年までにそういった考え方を踏まえまして、そして今日の要請に沿うような改正案を出したいと、かように考えます。
○大橋和孝君 もっとこの問題ではちょっと詳しくお伺いするつもりで用意をしておりましたけれども、きょうは局長もおいでになりませんし、大臣から非常に前向きな御答弁をいただきましたから、私は、この中で申し上げたいのは、先ほども申したように、もう来年は年金の年だといわれておるんだから、もういまから相当の覚悟でこれをやっていただかないと、この老人の問題を議論する中には非常に私は危惧を感ずるわけでありますので、特にそれを強調したかったんです。ですから、大臣もそういうようなことで相当前向きに考えるとおっしゃっといていただきますから、どうぞひとつ早いとこ、この長期計画のもとに来年はどうするというようなものを樹立していただかないと、行き当たりばったりでこうするということでは非常に心細いと思いますから、ひとつそういう意味で、この所得保障を完備、——できるだけいまの状態をよくするためにどうあるべきかという点から十分配慮をしてもらって、そうして年金の年にふさわしいような改正がずばずばと出していただけるような形で前向きに配慮してもらいたい。これをやらぬ限り、やはり私は老人は救われない、こういうふうに思うわけでありまして、一つの大きな柱、一方では医療の無料化ということが叫ばれておる。それであと生きがいという問題を含めながら、こういうような所得保障が完備していって初めて私は老人が報いられてくるような状態になるんじゃないかというふうに思います。特にそういうことを厚生省に配慮していただきたいし、そのほんとうの責任であり、やってもらうのは厚生省でありまして、ほかの、他局がそれに協力するぐらいしかできないわけでありますから、そういう観点で特に厚生省の前向きの努力をひとついまから期待をしておきたいと思います。 それからあとは、ちょっと小さい問題になりますけれども、二、三点について、もう時間もありませんからお伺いしたいと思います。 先ほどからもお話がありましたけれども、この医療保険の本人の一部負担の問題でありますけれども、七十歳以上で被用者保険の被保険者本人になっている者が大体どれくらいおるのか。 六十五歳に引き下げるとそれがどうなるのか、これが第二点。 第三点は、被用者保険の被保険者本人は十割給付といっても別の一部負担をいろいろ課せられておる。たとえば初診料だとか、いま出ているやつであれば薬まで入るわけで、入院時あるいはまた一部差額ベット、これも議論されましたが、こういうものがある。この一部負担も無料化の対象にしないと私はどうもいかぬと思うんでありますが、これはまだ私、はっきりとそれを聞いていないわけでありますが、完全にこういうものも無料化したらどうですか。この点について伺いたい。
○政府委員(加藤威二君) 七十歳以上の健保の本人の数等につきましては、後ほど調べて御返事申し上げますが、一部負担を対象にしてない、これはそのとおりでございますが、一応私どもは保険給付の中で、一部負担があった場合に、これを公費負担の対象とする、こういう考え方でございます。それで被用者保険の本人の一部負担というのはこれは保険の外、保険給付の外という考え方でございますし、またその負担の内容といたしましても、それは見方はいろいろありましょうけれども、特にそのために医療が全体が受けられない程度のそういった過重な一部負担ではないわけでございますので、今回におきましては被用者本人の医療というものは大体保険において、わずかの一部負担はございますけれども、保険で大体まかなわれておるということでございますので、それ以外の三割とか五割という非常に大きな負担のために医療がなかなか受けられない、そういう老人をカバーしようということで、まあ本人の一部負担ということについてはこれは対象としない、そういう措置をとったわけでございます。
○大橋和孝君 数字なんかを見ますと、どうも国民の全体の受け取り方は、みな無料になるというふうに受け取っておる。これは前に須原委員や田中委員からもお話がありましたが、そういうことでありながら、実際はこういうものを知らないのだと、これは家族がかかる場合は五割給付した分は、かかった分は、あるいはまた国保でかかった場合にはそれで見るけれども、今度は本人が一部とられたやつは見ないよということになるわけです。どちらかといえば、何か人によって不公平になるわけですね。ですから、そういう点からいえば、私は家族に五割分まで負担をしてやれば、本人の一部負担というのは、額からいったら知れているわけですから、これは保険のワクの外のものだから見ないよというよりは、やっぱりそれは一緒にして老人はみな金が要らないようにしてやるというほうがもっとすっきりするわけですし、あまりにもみみっちい考えじゃないですか。一方国保に入っている人は三割分を、お金を無料にしてもらっている。こっちは、本人であるから何人おるか知らぬけれども、働いておって、それはまだ本人の被用者ですから働いておる、そうしてまた社会にも貢献しておる。一方では老人になってしまっておるという人の場合を考えてみますと、何か一部負担はワク外だからといって、どうも何かあまりにも筋っこい話のように、あるいはまたみみっちい話のような感じがするんですが、そこらのところ、少しいまの間に踏み切ったらどうですか。
○政府委員(加藤威二君) 確かに御指摘の点の矛盾と申しますか、それはあると思います、しかしそれは、たとえば結核予防法と保険の組み合わせの場合もやはり同じ問題があるわけです。で、前にそういう悪例があるから、そのまままねるのはおかしいじゃないかという御議論はあるかもしれませんけれども、結核予防法でも、家族の場合には保険が半分持つ、あとの半分を結核予防法で持つ、そうするとまあ全然無料になる、本人の場合はやはり一部負担というものがございますから、そういう意味では、やはりほかの公費負担におきましてもそういう矛盾は残っているわけでございますが、しかし、被用者保険の本人というのは、これは国保の世帯主と違いまして、いまの状態では私は医療という面においては相当恵まれている、そして病気した場合には、一部負担はございますけれども、休めば傷病手当金も出るというようなことで、まあ一応被用者保険の本人ということであれば、医療は保障されておると、まあ差額ベットとか、そういう問題は多といたしまして、一応医療は保障されていると、ごくわずかの一部負担はございますけれども。繰り返すようですが、それは医療を受けるための非常なチェックになるようなものではない。こういうことで本人には出ないと、こういうことになったわけでございます。 先生御指摘のような矛盾は、確かに私どもあると思います。その家族の場合と比べてみました場合に、いままで五割あったのがこっちがただになって、そして本人のほうが一部負担がちょっと残ると、そうゆう矛盾は確かにあると思いますが、それは一応しかし医療を受けるという点から言うと非常に障害になる程度のものではないというぐあいに考えておるわけでございます。
○大橋和孝君 じゃあ、七十歳以上の本人はどれくらいおるのか。そしてまたそれをやったら、一部負担でどれくらいの金額が、負担がふえるのか。 それから六十五歳と計算しても、私はたいしたことないと思うんですが、六十五歳と計算したらどれくらいになるのか。それはまたあとからいただきましょうか。 その次の質問に移らしてもらいますけれども、どうぞ、そんなみみっちいことは言わんと、次からみんなただにしてやったらどうですか。ひとつよく考えておいてください。それ以上あまり詰めませんが、もうあまりみみっちいと思いますね。おそらく計算してもらった、数は、金額はわずかなもんだと思うんですよ。だからそれだけみなただにしますよと言ったほうが、厚生省の株は上がるように思うんですけれどもね、それはまあちょっと冗談として……。 それから国保の保険料なんかは率がきまっておりますから、あらかじめ予定ができますけれども、医療費は不時の支出だから同一には論じられないと思うんですが、現年度の収入がそれより少ないことの証明があったならば、この中に入れてもらうべきだと思いますが、この所得の制限の問題で、私はもう少し調整しなきゃならぬ点があるんじゃないかと思います。これはいかがなもんでございましょう。前のときが案外多くって、あるいは少なくて、いろいろ所得が変化するわけですが、そういうところで前年度の所得を基準にしてワクをきめられるわけですから、こういう問題は国保のときとはちょっと違いますので、特にここらでは調整をすることができないのか。ほんとにいまの状態が収入があまりよくなかったら、前年度は少々あっても、こういう老人は無料の中に入れてもらうようなことは配慮すべきじゃないかと思うんですがどうですか。
○政府委員(加藤威二君) 確かに一番いい形としては、やはりそういう医療を受けますときに、その所得制限というのは、一応の所得があって、そして、それでまかなえるという人は、まあ医療の公費負担を遠慮してもらう、こういう考え方で所得制限をつけているわけでございますから、一番いいのはその時点において所得があるかないか判定するのが一番いいということでございますが、それが技術的に不可能であるということで前年の所得、あるいは場合によっては前々年の所得ということで法律では規制しておるわけでございます。これは福祉年金でも同じでございますし、国保等でも同じかっこうをとっておるわけでございます。技術的にその直前の所得を把握するのが非常にむずかしいということでやっておるわけでございます。そういうことで、これは理想の形から言うと非常におかしいわけでございますが、問題はそういうことで技術的にそれじゃできるかどうかということでございます。天災、地変等の場合には、これは地方税におきましても、それを免税とかそういう対策があるようでございますから、こういう場合は取り入れることができると思いますが、その他の場合につきましては、個々に認定していくということで、技術的な問題として残るわけでございます。これはまあ福祉年金等もそういう問題を持っているわけでございますが、趣旨はやはりそれは現年度のほうがベターであるということは確かだと思いますので、さらに実施の段階において技術的に詰めてみたいと思います。可能ならばそういうものを取り入れていくということに努力したいと思いますけれども、非常に技術的に困難な面があるのではないかということでございます。
○大橋和孝君 いま言ったように、医療を受けるというのは支出ですからね、これは予期してないもんですね。ですから現年度でほんとうに前より少ないということが何かの証明があったら、私はそこで調整すべきじゃないかと思うんです。それがほんとうの心を配った処置だと思うんですね。それが金額がそうきまっていて、そうたいしたもんじゃなければいいんですけれども、たとえばその比較的高額な負担が出てくるような場合もあるわけですから、やっぱりそれは所得制限の中には、現年度の状態でこれを入れてやるという、一つのものをつくってもらわないとやはりそれは大きな差ができてくると思います。これはぜひひとつ考えてやってくださいお願いいたします。 それから、この手続上に関係した問題で、現物給付が第十条の二、第四項によりますと、市町村が医療を受けた者に肩がわりをして支払うと、こうなっておるわけでありますが、老人本人は窓口で現金を支払わなくてもよいというふうに解釈すべきだというふうに思っておりますが、そう解釈していいのでございましょうか。 それからもう一点は、その保険証のほかに証明書を提出することになるのか。その証明書は本人なり家族なりの所得が低いということの証明でもあるわけでありますが、この意味から申しますと、この所得制限は全部撤廃して、年齢だけの証明にするというふうにしたほうがすきっとするわけじゃないか。ことに、おまえは収入がないぞという証明をもらって、そうしてその証明を出さなければならぬというような、これも一つは私は年寄りに対して無料でやってやろうという親心が消されるような感じがするわけですね。それから年齢の証明だけあればいくというくらいにしても、先ほどからもちょっとお話をしているんですが、その額はそうたいしたものじゃないんじゃないかという感じがするのですが、それはもう試算されているのかどうなのか、それも一ぺん聞かしてもらいたい。
○政府委員(加藤威二君) 法律案の四項は先生御指摘のとおりでございまして、市町村が直接医療機関に払うことができる、そうした場合には、もう本人は払わなくていい、こういう規定でございます。 それから、老人がかかるときの証明書でございますが、これは所得が低いとかなんとかいうことももちろん書かないわけでございますが、しかしやはり老人医療の対象者であるという証明書は、これはやはり出さざるを得ない。そいつは医療機関に提出をしていただかないと、これは医療機関のほうでわかりませんから、現に東京都その他でもみなそういう取り扱いをいたしておりますので、問題は内容については、証明書の書き方については十分配慮してまいりたいと思います。
○大橋和孝君 一ぺん、これに対しても、もう所得制限をやめたらどれだけの差があるかということを、ひとつ知らしてください、またそれを検討してから、ひとつやっぱり親心で無料化するんだったら、何かこれは考えてもらいたいと思う、大臣、どうぞこれを考えて、所得制限撤廃の方向にひとつお願いしたいと思います。ひとつ御配慮を願っておきたいと思います。 それから、時間がありませんから、ちょっと急いで一、二点で終わりたいと思いますが、今度は老人ホームの定員と老人の人口との比率であります。六十五歳以上をとってみますと、フィンランドでは八・六、スウェーデンでは四・八、イギリスでは四・五、アメリカでは三・七になっております。日本は現在一・〇%であります。五十年までにこれは二・一%に引き上げる計画だというような話は聞いておりますが、二%という比率は国際的に見ても非常に低いのではないかと思いますが、この点はいかがでございましょうか。家族制度も欧州並みになってきている状態でありますからして、ここのところはひとつ考えてもらわなければならぬ点ではないかと思います。これが第一点であります。 第二点は、この施設に対して入所させる方向に重点が置かれるのか、あるいは、また、地域社会の中でめんどうを見るような方向、こういうのでいかれるのか。やっぱり、いまの老人対策の基本姿勢をもう一ぺん聞かしておいていただきたい。 それから住宅の確保でありますが、デンマークなんかでは、市営住宅の一〇ないし一・五%が老齢年金受給者用のものがつくられておるといわれております。また居宅の老人対策として、ホームヘルパー、先ほど私ちょっと申しましたけれども、こういうものの活用分野の拡大というものが、非常に叫ばれておりますが、こういうようなふうな問題について、ひとつ御意見を伺っておきたい。 それから四十八年度の新しい計画についてお尋ねしたいと思いますが、これは四十七年度では、自分で食事ができないような老人に対して、給食サービスをする制度の補助金が九百八十万円の要求に対して、これがゼロになっています。それから、国立療養所の中で老人の病棟整備、これは四施設に八億円が請求されたと思いますけれども、ゼロになっている。それから浴槽、湯わかし器などの生活用具の支給予算も十分の一に減らされてしまって、約一千万円ぐらいになっているんだと聞いております。それから、また、家庭の奉仕員の増員要求も、千六百人をなさいましたけれども、百人しか認められていない。こういうなのが四十七年度でございますが、四十八年度では、どのような計画を持っていまから進んでおられるのか、これもついでに承っておきたいと思います。
○政府委員(加藤威二君) 老人ホームに対する六十五歳以上の人口の入所率は、先生いま御指摘のとおりでございまして、五カ年計画の達成された暁におきましてわが国で二・一%、諸外国ではまあ低いところでも五%、多いところが八%ぐらいということでございます。そこのところはまだだいぶ少ないわけでございますが、まあ家族の状況その他、わが国はまだ家族制度が残っておるというようなことで西欧並みそのままの入所率は必ずしも必要ないと思いますけれども、一応、五カ年計画達成の後につきましてもさらに整備は進めてまいりたいというぐあいに考えております。 それから、地域社会で世話したほうがいいのか、老人ホームに入れたほうがいいのかということでございますが、これは、できるならば地域社会でお世話をして、老人も自分の家と申しますか、そこでやはり住んでいるということのほうが望ましい場合が多いと思います。でございますから、いま老人ホームがあまり少ないもんでございますから一生懸命老人ホームの整備につとめておりますが、形といたしましては、やはり地域社会でめんどうを見ながら、そしてその地域において老人が安らかに余生を送れるということのほうが望ましいんじゃないかという気がいたしますが、しかし、わが国では老人ホームが非常に少ないということで、さらに整備を進める必要はあろうと思います。 それから、老人住宅につきましては、これは建設省のほうでも非常に老人の住宅については熱意を示しておりまして、ただ都道府県の申請が少ないもんですから、昭和四十六年度では実績で約九百戸ということでございまますが、建設省のほうは、ワクにこだわらないと、申請が来ればどんどん優先的に認めるということで、四十六年度でも千五百戸ぐらいのワクをもってその申請を待っていてくれたわけでございますが、地方のほうからあまり出てこなかったということで九百戸にとどまったわけでございますが、今後も、建設省と連絡をとりながら、十分老人住宅の建設には重点を置いていきたいと思います。また、年金の還元融資におきましても、四十七年度は三億円の老人居室整備の資金の貸し付け制度というものを新しく始めたということで、老人住宅の整備には努力をしてまいりたいと思います。 それから四十八年度予算のいろいろお尋ねがございましたけれども、四十八年度予算におきましては、先生ただいま御指摘になりましたような問題は、これはぜひもう一回要求をしてまいりたい。まだ最終的に予算要求を固めておりませんけれども、いまのところはそういう考えでおるわけでございます。
○大橋和孝君 特に、私ちょっとその方針を聞いてみたのは、やはりホームに重点を置かれるのか、あるいはお家のほうでできるだけあれをしようというのか、ということでお尋ねをしたんですが、もしそういうふうなことで、家におって、そしてもっと老人の方々を十分にということであれば、あなたが問題にしたようなヘルパーの問題も、あるいはまた、そのほか、住宅の問題も、それに対して十分な措置がいけるような相当大きな考え方を充実していただかないと、やっぱり、不幸な人で、先ほども話したように、死んでも発見されなかったというような状態も起こるわけですから、過密過疎の問題から言いまして、非常に大きな問題だと私は思います。それに、四十七年度と比較しまして、わりあい、こういうようなことでは、厚生省ではかなり前向きに要求をされておるのにかかわらず、いわゆるそれがチェックされていると、こういうようなことでは、私は、いまのような事柄をどうして十分老人に保障がいけるかという観点から考えますと、非常にその間にさびしさを感ずるわけですね。ですから、私は、あえて四十八年度にはどういうふうな方式でやってもらえるかということをお尋ねしたわけなんですが、大臣、どうぞ、これはひとつ大事な問題でありますから、その要求も十分にしてもらわなきゃならぬけれども、やっぱり実際としてそういうものが出てまいりませんと、なかなか、収容率も足らないし、施設も足らないし、しかも方針としても、各家庭で十分なあれが、ひとりぼっちの老人までうまくいけるようにするのか、ということまで考えていきますと、もうこれは非常に大きな、中に矛盾があるわけでありますから、それをないように十分にしようと思うと、こうした要求を相当大幅に認めてもらって、住宅の面にも、あるいはまたそういう世話する人に対しても、あるいはまたそういうふうなことの健康管理に対しましても、あるいはまた医療を十分にまんべんなく与える面につきましても、もう相当積極的な施策が要ると思うわけですね。 こういうものに対して、ひとつどうか予算要求の中にも具現をしてもらうとともに、どうぞ手落ちのないようなりっぱな方向に進んでもらいたい。こういうことをひとつお願いをして、私の質問を終わります。
○国務大臣(斎藤昇君) 大橋委員のおっしゃいますように、老人対策は、居宅においてもまたホームにおいても、また住宅対策においても、すべてにまんべんなくしかも強く推し進めてまいらなければならないと思いますから、来年度もそういう意味で、各方面とも、どれに重点ということでなしに、まんべんなく進めて強力にやってまいりたいと、かように思います。
○柏原ヤス君 先月の二十六日の本会議場において、老人医療費の支給対象を最低六十五歳からにすべきであると主張いたしました。これに対して大蔵大臣の答弁は、七十歳から出発しても初年度一千百億円以上の経費を要することでありますので、この年度変化をしばらく見て、実情に応じて、将来六十五歳まで年齢を繰り下げていくというところに目標を置くということをきめてとりあえずの出発を七十歳ということにしたという御答弁でございました。 厚生大臣のいままでの御答弁は、七十歳が適当であるということで七十歳からにしたというお答えでございますが、この両大臣の御答弁を比べてみますとむしろ老人対策に積極的であるべき厚生大臣の答弁のほうが、弾力性のない断定的な消極的な考えであるように感じられます。 当面の目標として、六十五歳を目標にすべきであると私は思いますが、重ねてこの点をお伺いいたします。
○国務大臣(斎藤昇君) 本会議において大蔵大臣の答弁のほうが前向きで、私のほうがむしろ前向きでなかったという御意見でありますが、これは、実際においては必ずしも意見が違っているわけではございません。大蔵省が金は幾らでも出すからという態度になってくれればこれはありがたいと思うんでありますが、私の申しておりますのは、これは国家財政の都合上いまはこうしているんだと、こういうんではなくて、厚生省としては必要だとこう思うなら国家財政はそれだけ見るべきだという態度で強く推し進めてまいらなければならないと、かように考えますから、まあ私のほうは実施責任を持っておりますので、したがってその点は若干慎重になったかもしれませんけれども、一致しておりますのは、とにかく七十歳から始めてそして状況を見ようではないかということに大蔵省ともなっておりまするし、厚生省も、そのつもりで、実施の結果、やはりもっと引き下げる社会的ニードがあるということとを認識すれば、引き下げにやぶさかではない、かように考えているわけでございます。
○柏原ヤス君 それでは、将来の目標は、大蔵大臣の御答弁のように、年齢を繰り下げていくと、六十五歳までは繰り下げていくというそういうお考えに厚生大臣も同じであると、こういうふうに解釈してよろしゅうございますね。
○国務大臣(斎藤昇君) まあ、繰り下げるとしても六十五歳が一番下であろうかと、大蔵大臣はおそらくそういう意味で言われたんであろうと私は思います。そういう意味においては、一致をいたしております。
○柏原ヤス君 それでは、将来の問題で、六十五歳までを目標として繰り下げるという希望あるお答えをいただいたわけですが、その六十五歳を目標にするにしてもその繰り下げ方を来年度の四十八年度はどういうふうにお考えになっているのか。また一度に六十五歳にある年が来ればするのか、それとも一年ずつ何年かかかって段階的にやるのか、そうした点を将来という方向でのお話でけっこうですから、お聞かせいただければお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(斎藤昇君) 先ほどたしか須原委員にもお答えをいたしたと思うんですが、あるいは大橋委員であったかもしれませんが、六十五歳から支給を公費負担にするのが適当だと、財政の都合もあるから年次計画でこうやるというようにはまだそこまで考えておりませんと、こう申しているわけであります。まず七十歳で実施をして、その状況を見て、そしてさらに強いニードがあると、社会的ニードがあると、こういった場合に繰り下げを考えてみたいと、その場合においても六十五歳よりもさらに下がるということはないであろうと、こう言っておるわけでありますので、したがって七十歳から実施をしてその様子を見た上でさらにどうするか一両年の様子を見たいと、かように思っております。したがって年次計画というようなものはいま持っておりません。御了承いただきたいと思います。
○柏原ヤス君 そこで今年度は七十歳から実施すると、こういうことになるにしましても、これは特別の場合には六十五歳からの老人に適用すると、こういう私は必要があると思います。たとえば老人ホームの収容については六十五歳以上であるということが原則になっておりますが、その疾病の状況においてはそれ以下でもよろしいということになっておるわけです。そこに弾力性を持たせております。また東京都の場合を調べてみますと「六十五歳以上七十歳未満の者であって、国民年金法——別表に定める程度の疾病の状態にあるもの」と福祉年金支給者を対象に含めているわけです。老人のその疾病の状況に応じて、特殊なものに対しては必要とするというこの医療の無料化を適用するということが私は必要じゃないかと思います。まあすぐ六十五歳に引き下げることができなければ、こうした老人ホームの場合とか、あるいは東京都の場合などと同じような弾力性を持たせた考え方をぜひ取り上げていただきたい、そのように適用していただきたいと、こういうふうに申し上げるわけですが、この点いかがでしょうか。
○政府委員(加藤威二君) いま大臣から申し上げましたように、私どもも七十歳でスタートしまして、その実施の状況を勘案して将来年齢の引き下げという点をこれは老人の福祉という点からいえば望ましいということはこれは十分言えると思うんでございますが、そういうことで、それにいたしましても年齢引き下げの場合にまず一番最初に問題になりますのは、いま先生御指摘のような六十五歳以上の老人で非常に手足が不自由だとか、寝たきりだとかという老人、そういう老人が最優先的に対象になるであろうということは言えると思います。したがって、いつからやるかというようなことにつきましてはこの席では申し上げかねますけれども、年齢の引き下げがあるとすれば、いま先生御指摘のような方々が最優先的になるであろうということは言えると思います。
○柏原ヤス君 大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(斎藤昇君) この点は社会局長が答えましたように、特別なニードのある者については特別のことをあるいは考えなければならぬのじゃないだろうかと私も考えております。
○柏原ヤス君 所得制限の問題についてはたいへんいろいろな面から検討されて重複してしまうので申しわけございませんが、先ほど大橋先生からちょっとお話がございました所得の基準が前年度の所得を基準にして支給の対象がきまると、この場合に、現時点ではいろいろな変化があって、退職したとか所得がなくなったとか、あるいは不慮の災害、災難があったというようなことで、現実には医療を必要とする時点ではない——ですから前年度の所得で計算されるのですから、医療の無料の対象にならないと、けれども、そういう場合は特別な場合として支給の対象になるように定めるべきであるというお話が先ほどございましたが、それに対しては考えていこうと、技術的な面でいろいろの問題があるとしても考えていこうというお話でございましたが、この点私もはっきりお聞きしたかったわけなんです。支給の対象になる可能性のほうが強いのか、それはいかがでしょうか。
○政府委員(加藤威二君) 先ほど申し上げましたように、所得制限の基準となる所得についてはできるだけその至近の、一番近い所得によるのが望ましいということは当然でございまして、ただそれが技術的に非常にむずかしいために前年あるいは前々年ということでその所得を把握しているわけでございます。しかしそれがまあ実施段階におきましてこれは関係方面ともいろいろ打ち合わせをする必要がございますが、天災地変等の場合はこれはいけぬと思います。しかし、その他、たとえば退職した、職を失ったために昨年は所得があったけれどもことしは何にもなくなったとか、そういう場合にどうするかという問題は、これは単にこの老人医療ばかりではございませんで、福祉年金の所得制限、そういう問題ともからんでまいりますので、いまのところはその見通しについてははっきり申し上げかねますけれども、実施段階について先生の御意見は私どももごもっともだと思いますので、関係方面ともよく相談いたしまして技術的にできればぜひ政令段階において取り入れたい、できなければこれはやむを得ないと思いますけれども、そういう方向で努力はしてみたいと思っております。
○柏原ヤス君 大蔵省の方にもお聞きしておきたいと思います。その点いかがですか。
○説明員(渡部周治君) 所得制限の問題につきましては、前年度の所得を基準にするというのは、各制度を通じまして一応そういうたえまえになっております、これはいろいろ技術的な問題があってそういうことになっておるわけでございますが、御指摘の点につきましては確かにそれじゃ酷じゃないかというような御意見もあろうかと思います。それを技術的にどうやって克服していくかという問題であろうかと思いますので、厚生省からいろいろお話がございますればわれわれもその点について十分検討さしていただきたい、かように思います。
○柏原ヤス君 そこで次の問題ですが、現在国民健康保険の県外での通用はどういう実情になっておりますでしょうか。これは国民皆保険下にあるわけですから、全国もうどこでも通用するようにすべきであると思いますが、いかがでしょうか。
○説明員(吉村仁君) お答えいたします。 現在国民健康保険の被保険者は原則といたしましてその県内の療養取り扱い機関で療養の給付を受けるというのが原則でございますが、療養取り扱い機関がその県以外の県、あるいは全国の被保険者を取り扱うという申し出をいたしました場合にはその県以外の被保険者についても医療給付ができると、こういうことに相なっております。現在全国の被保険者を取り扱う、あるいは隣接県の被保険者を取り扱う、こういう申し出をいたしております医療機関が八三%ほどございます。したがって、あと一七%という医療機関が自分の県だけしか取り扱わない、こういうことになっておるわけでございます。 そこで、特にその一三%の中では大学病院等が全国の被保険者を取り扱わないというようなことで、むしろ大学病院等につきましては、よその県についても取り扱うように現在いろいろな形で申し入れを行なっているわけでございます。
○柏原ヤス君 そこで、この老人医療の無料化が実現されましたときには、県外で医療を受けなければならないような必要が生じてくると思います。そうした場合には療養費払いではなくて現物給付で受けられるように配慮すべきであると思いますが、どうでしょうか。
○政府委員(加藤威二君) いま国民健康保険課長からお答えいたしましたように、全国で八三%の医療機関は、国保からの指定の医療機関は全国を対象にする、そういうことでございますので、まあ老人が旅行いたしまして、そしてよその県で国保の場合に医療機関にかかったと、その医療機関がこの八三%の中に入っている医療機関であれば、これは当然国保の上に乗っかりますから、これは無料——現物給付という形になると思います。ただ残りの一七%の場合は、おそらく国保でも療養費払いと申しますか、先に患者さんが払って、あとで償還してもらう、そういう形になると思いますので、その場合はやはり老人医療についても同様にせざるを得ない、こういうことでございます。
○柏原ヤス君 そういう点たいへん今後の問題点だと思いますので、自分の県だけと言っているこの一七%に対しては、ぜひ共通にできるようなそうした働きかけ、話し合いというものを厚生省でやっていただきたいと、この点もう一言、そういうふうにしてみたいと、していくんだという前向きなお答えをぜひ聞かせていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
○説明員(吉村仁君) 国保の被保険者証の全国通用の問題につきましては、各方面からの要望も強いわけでございまして、私どもも抜本改正の、法律の改正の中に全国通用の問題を取り上げて、これを解決しようというような姿勢で現在進んでおります。なお、その抜本改正に至るまでにおきましては、各医療機関に働きかけをいたしまして、各医療機関が全国通用の申し出をするようにいろいろな面から協力を仰ぐような指導をしてまいりたいと思います。
○柏原ヤス君 次の問題でございますが、老人の医療というものを考えますと、その治療は非常に長い入院を必要とする場合が多いと思います。そこで入院させようとしますと、基準看護の病院でもお年寄りの入院という場合は、別に付き添いというものをつけてくださいということがほとんどのようでございます。入院させるためにやむなく付き添いをつけるわけですが、これが非常に高い。医療費は無料になっても付き添いの負担を考えますと、やはり十分な医療を受けさせられないというのが現状だと思うんです。東京都では本年の四月からこの看護料に対する差額を助成しておりますが、国のほうとしても助成する考えがなければならないと思いますが、この点お考えになっていらっしゃるんでしょうか。
○政府委員(加藤威二君) 確かに看護料につきましては、まあ私ども老人医療では、これは保険の上に乗るわけでございますから保険で認めておる看護料しか出せない、それの三割を出すと、こう、いうことになると思いますが、——まあ三割ないし五割を出すということになっておりますけれども、問題は、実際のこの部屋代といいますか、差額が実際にかかる看護料が保険で認めておるものよりもはるかに相当高いとその負担に患者が困るわけでございますが、しかし、その足らずのものをこの老人医療で別途考えるということはいまのところ考えておらないわけでございます。私どもといたしましては、やはりそういう保険で認めておる看護料というものが実際の看護料となるべく差のないような形に持ってってもらうというのが理想的だと思うわけでございまして、その差額を老人医療の一環として別途めんどうを見るということは考えてないわけでございます。
○柏原ヤス君 また、入院の場合のこの差額ベッドの問題ですが、日赤とか済生会の病院に行ってみましても、この差額ベッドが大多数であると、福祉関係の方たちもたいへんこの点困っているわけなんです。この点についてもこれを改善して、老人医療無料の効果というものをあげていく必要があると思いますが、この点いかがでしょうか。
○政府委員(加藤威二君) これも看護料の問題と全く同じ問題でございまして、私ども、老人医療を無料化しても、この差額のベッドがあまり多過ぎますと、現実にお年寄りはその差額の負担にたえ切れないで入院したくても入れないという形になると思いますので、やはりこういった差額ベッドが——まあ必要最小限度のものはこれは社会的要請もあると思いますので、やむを得ないと思いますが、この差額ベッドが過大にならないように、そのためには病院の経営が適正に行なわれるような医療費というものがまた必要になってくると思いますけれども、そういった面、とにかく病院がやたらにこの差額ベッドをつくらないで済むような、そういう状態になるのが非常に望ましいというぐあいに考えております。 〔理事高田浩運君退席、理事鹿島俊雄君着席〕
○柏原ヤス君 この老人医療が主体が市町村にあると、そして、この市町村で機関委託事務をとるとするならば、生活保護における十分の八とか、あるいは老人の健康診査、また老人ホームヘの収容、こういうようなものは同じように国庫負担でございますが、それに比べますと非常に老人医療費の国庫負担というのはたった三分の二だと、三分の一は市町村のほうにかぶせているわけです。県とか市町村とか、これは非常に過重負担になると思いますが、この点、将来検討すべきだと思いますが、この点いかがでしょうか。三分の二、三分の一という問題ですね。
○政府委員(加藤威二君) これは前回の委員会でもお答えしたと思いますけれども、やはり生活保護の十分の八と、それから老人医療の三分の二ということは、それぞれの対策の相違ということから私どもはやむを得ないと考えておるわけでございます。で、やはり老人の医療という問題は、これはやはり地域社会といいますか、その辺その都道府県とか市町村でもやはり相当の関心を持ち、対策をやるべきであると。それですでに四十数県が国に先がけてやっていると。これについては、国がやらぬから、地方がやったんだという反論が出ると思いますけれども、しかし、それにしても国がやらぬということにしましても、地方がそれだけの多数の府県なり、市町村がやるということは、それだけ府県なり、市町村自身の問題としてこれをとらえているということだと思います。そういう点で、生活の保護、生活の最低限を国が保障するところの生活保護とは、意味が違うと、そういうことで、これは実は予算段階において二分の一でいいんではないかという議論もあったわけでございますが、最終的に三分の二ということにきまったわけでございまして、これを十分の八に持っていくという考えはございません。
○柏原ヤス君 この老人医療の無料化によって老人の受診率が向上すると、当然、国保のほうに高齢者が多いので国保の財政負担が増加するということが考えられると思います。こういう非常に過重になると思われる点について、国保の助成費としてどれくらい見ていらっしゃるか。また、将来どういう方向を考えていらっしゃるかをお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(加藤威二君) 国民健康保険につきましては、確かに先生御指摘のとおり、老人医療によって十割にもなることによって、受診率がふえる。それによりまして、根っこの保険給付それ自体がふえてくるということは、これは当然でございます。その結果、四十八年の一月実施では、この老人医療を無料化することによって、国保の保険給付の増が約三十九億ぐらいになると思います、それに対して、国庫補助と申しますか、その国保に対する国庫補助のはね返りが十七億四千万、これは予算に組んでございますが、十七億四千万、そういう数字になっておるわけでございます。
○柏原ヤス君 将来の方向はどのようにお考えでしょうか、その点で。
○政府委員(加藤威二君) これはやはり将来ともそういう傾向は、三割というものを自己負担させるよりも、公費負担するということによりまして、受診率は伸びる、伸びるといいますか、三割の自己負担があるときよりは伸びるということは、これははっきりとしておりまして、これは老人医療の無料化をやる限り続くというぐあいに考えられるわけでございます。その結果、これは満年度にいたしますと、おそらく国保に対するそのための国庫負担が、約二百九十億ぐらいになるというぐあいに私どもは計算いたしておるわけでございます。
○柏原ヤス君 それに対する助成費というものは、特に、いままでの考え方では足りないわけですね。それをどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。
○政府委員(加藤威二君) これは保険局の問題でございますけれども、私どもが考えますのは、やはりその根っこはふえるわけでございますけれども、ふえるについては、国庫補助が四割五分でございましたか、定率の補助がございますが、それに対するはね返りは当然あるわけでございます。それは国でめんどうを見る、あとの残りの五割五分、これは大体保険料なり、保険税で見ると思いますけれども、それについては、若干、ですから、その負担がふえるということはあり得ると思います。
○柏原ヤス君 それでは、この老人の医療の問題に関係している何点かの問題を続いてお聞かせいただきたいと思います。 これは寝たきり老人に対して、特殊寝台を貸しております。これを調べてみますと、非常に現代の生活様式といおうか、いまの状態から見て画一的であり、具体的に言うと大き過ぎる、そして、非常に重たい。何か昔のものをしかたなしに使っているというような感じでございまして、運ぶのにも非常に重いわけです。トラックを持って行かなければ持ってこられない。 〔理事鹿島俊雄君退席、委員長着席〕 その運賃も、どこから出していいかわからないというので、二カ月も三カ月も、その寝たきり老人が死んでしまっても、そこの家に置いたまんまに、なっている。こういう点から考えて、もっとあれを改善すべきじゃないかと、こういうふうに考えました。しかし、厚生省からこういうふうなものを使えというふうに言われてくるので、現場の人たちはもっといろいろな意見もあり、考えもあるのですけれども、やむを得ずそういうものを使っている。それで、実際都会などでは、要らないみたいなものになっているわけです。ですから福祉事務所に何台も置いてある。これ以上予算を国から出してもらってつくる必要もないんじゃないかというような感じもしたわけなんですね。また、あれを貸してあげるわけなんです。大体、貸してもらった老人は、返すときには死んでいるわけですね。なおって返す老人はいないわけです。そういうものをまたほかの老人のところへ持って行く。私は何となくそういう状態を見て、これがいまの老人対策の実に具体的な姿だなと、厚生省の方々にお聞きすると、きめこまかく、きめこまかくということを絶えずお聞きしますけれども、ほんとうに、きめこまかいという意味が私わからなくなっちゃうんです。そういう点で、このベッドの問題は、どういうふうにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
○政府委員(加藤威二君) その特殊寝台が重過ぎるとか、そういう問題、私は詳細に存じませんけれども、もし、そういうことであれば、もっと軽くて便利なものができるということであれば、そういうのに切りかえるのにやぶさかではございません。 なお、いまはそのベッドが大きくて入らぬという場合には、マットだけ貸すという対策もとっておるようでございます。 それからこれを貸与ということで、貸して差し上げるということにしておりますのは、これは耐用年数が非常にございますので、それを、不用になった場合にほかに回すということも、これは非常に耐用年数が長いというようなことで、そのほうがいいのではないかということで、貸与にしているわけでございます。 死んだ場合にどうこうといま、おっしゃいますが、そのお気持ちはわかりますけれども、病院のベッドなんかには、みんなそれは死んだあとにまた行って寝るということでございますので、問題は、消毒したりなんか、要するにそういう面で御迷惑をかけないということに考慮を払いますれば、これはまた持って行ったところでは、死んだ方が使ったかどうかということはわからないわけでございますから、これはむしろ、そういう衛生面に注意を払いまして、そうしてやってまいりたいと思います。
○柏原ヤス君 次に、たびたび出ておりますホームヘルパーの問題ですが、このホームヘルパーの派遣を必要とする老人は、いま、何名ぐらいいるか。世帯数にしますと、どのくらいになっているか。お願いいたします。
○政府委員(加藤威二君) 一応ホームヘルパーを派遣する必要のある世帯、これが六万二千五百六十一世帯というぐあいに計算をいたしております。それに必要な家庭奉仕員を約八千三百人、こういうことで、現在より約二千人ばかり増員する必要がある、こういう計算になっております。
○柏原ヤス君 このホームヘルパーを確保するために、二千名を今後増員、必要とするというお話しでございますが、そのために、どういう計画、目標をお立てになっていらっしゃるのでしょうか。
○政府委員(加藤威二君) これは、ホームヘルパーは、一応四十七年度で六千四百名ということで、百数十名増員したわけでございますが、四十六年度、六千三百名でございましたけれども、一部、これが消化されていない向きがあるということで、問題は、やはり給与が非常に低かったということが問題だと思います、したがって、今度、前々から御説明申し上げますように、非常に思い切った引き上げ、五五%の引き上げをやったわけでございます。これでもまだ低いというような御批判はあろうかと思いますが、非常に大幅な引き上げをやった。私どもといたしましては、これで相当またホームヘルパーになっていただける向きが非常にふえる、そういうことで、これは一つはやはり老人問題に対する一般の認識を高めるということと同時に、これはやはり給与の改善その他処遇の改善によりまして、その必要なヘルパーを充足していく、そういう方針でおるわけでございます。
○柏原ヤス君 この四十七年度は六千四百六十名を予算にとっているわけでございますね。これに対して充足率はどのくらいになっておりますか。
○政府委員(加藤威二君) 大体従来の実績でいいますと、八〇%くらいの充足率だということでございます。
○柏原ヤス君 決して、この六千四百六十名という定員は多くないわけですね。非常に、現実の寝たきり老人の状態から見て少ない。ところが、この六千四百六十名に対して八〇%だと、定員数が満たされていないわけですが、これに対する理由というものはどういうふうに厚生省ではお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
○政府委員(加藤威二君) これはいま申し上げましたように、一つは給与が非常に低かったということと、やはり市町村の老人問題に対する熱意と申しますか、それが従来は必ずしもこれは地方によって、先生御承知のように、非常にアンバランスがございます。こういう問題に対して非常に熱心なところとそうでないところとございますが、一応定員があるのに設置していない町村があるということは、一つはそういった給与が低くて、なかなか人が得られないということと、やはりこういう問題に対する熱意がまだ不十分である。そういうことが両々相まって、必ずしも人員全体に行き渡っていない、こういうことだろうと思います。
○柏原ヤス君 給与の問題もございますが、実際に調べてみますと資格の問題が案外にきびしい、こういうふうになっているのですね、ある村では、まあ町もそうですけれども、保健婦の資格がなければだめだとか、看護婦の経験がなければだめだ、そういう資格の点がきびしいので、私のほうにはそういう適任者がおりませんから、ホームヘルパーの要求を県には出せない、こういうふうに言っておるわけなんです。それで、それ以外にも今度は自分がホームヘルパーになりたいと言っている人の中にも、なりたいけれどもきびしいのよ、というようなことを言っているわけなんですね。私、そんなことはないでしょうと言ったのですが、「老人福祉法による老人家庭奉仕事業の実施について」という項目の中に、「老人家庭奉仕員は、次の要件を備えている者のうちから選ぶものとする。」というところに、(ア)、(イ)、(ウ)といろいろと要件が書いてあるわけなんです。悪く解釈すれば、そういうふうな解釈になるのだというような答えをしているわけなんですね。その点、どういうふうに指導していらっしゃるのか。
○政府委員(加藤威二君) これは先生いまお読みになった通達にもありますように、まあ「心身ともに健全であること。」「老人福祉に関し、理解と熱意を有すること。」それから「家事介護の経験と相談助言の能力を有すること。」というような指導でございまして、特に保健婦でなければならぬとか、その他の資格がなければならぬということは、そういう指導はいたしておらないわけでございます。家庭奉仕員について資格をつくったらどうかというような御意見もございますけれども、いま私どもはそれに踏み切っていないということでございまして、いまのところは資格については何ら、こういう資格が必要だという指導はやっておりません。
○柏原ヤス君 どういうそれじゃ積極的な指導をしていらっしゃるのでしょう。
○政府委員(加藤威二君) ですから、その資格については私どもといたしましては何ら指導しておりませんけれども、家庭奉仕員になった人については、そういう方々についてのいろんなまあ講習会とかそういうものをやりまして資質の向上ということについては努力をしているわけでございます。昨年度も、これは自転車振興会のほうの金でございますけれども、十三人ばかりヨーロッパに家庭奉仕員の方々に海外の家庭奉仕の状況を視察するということで、約二週間ばかり出張していただいたという、そういうような手を打ちまして、家庭奉仕員になられた方の資質の向上ということには努力をしているわけでございます。
○柏原ヤス君 ですから、この要件に対する解釈をそういうふうにきびしく解釈しているという事実があるのですから、そういう点はないのだというような、市町村に対して厚生省から指導というようなものはなさらないのですか。ぜひしていただきたいと思います。
○政府委員(加藤威二君) ただ、まあ市町村によりまして、こういう希望者がたくさんあるということであれば、それはやはりなるべくいい人になっていただいたほうがいいということで、市町村独自のいい人を選ぶという基準のためにいろんな基準を設けるということは、これはあっていいと思います。ただ、そのために何と申しますか、希望者があまりたくさんいないのにそういうことをやるということであれば、これは老人の家庭奉仕員の補充という問題からも問題があるわけでございますので、これはまあ各市町村にまかせたいと思いますけれども、国としては画一的なそういう基準というのは設けるつもりはないわけでございます。
○柏原ヤス君 ですから国としては設けておりませんけれども、こういう、これは局長通知ですか、これを出しているわけですね。出していればそれをすなおに受け取るかというと、受け取っていないわけですね。ホームヘルパー、家庭奉仕員というと、何かそういうものがなければできないのだというような単純な受け取り方をしているのです。ここのところはそういう解釈をしなくていいのだということを、市町村の係の人たちは徹底しなさいとかというようなことを厚生省がしていいと思うのですね。それをします、徹底しましょう、——そうすれば私はなりたい人も事実いるのですから、なかなかさがしてもなり手がないこのホームヘルパーのそれでもこれからふやそうという姿勢でいるならば、私はそういうPRというか、徹底というものがまずなされなければならない。そういうものが市町村の中へ入っていくと、何もされてないわけですね、そういうことが。それで申し上げたのですけれども、その点はいかがですか。
○政府委員(加藤威二君) まあ先生のおっしゃることもよくわかるわけでございますが、ただ、市町村としてなるべくいい人を選ぼうというようなことで基準を設けているような場合には、私どもとして、しいてそれをチェックする必要も全くないのじゃないかという感じがいたしますけれども、何かそれによって非常にぐあいが悪いということであれば、これはケース・バイ・ケースで対処してまいりたいと思います。
○柏原ヤス君 同じく四十六年度九月現在でホームヘルパーの未設置の市町村が全国で八百十七もある。パーセントで言うと二五%の市町村がこのホームヘルパーを一人も置いていない。この一人も置いていない市町村に対してどういうわけでいないのかということを、どの程度にお考えになっていらっしゃるか、お聞きしたいと思います。
○政府委員(加藤威二君) これは先ほど申し上げましたように、やはり一つは給与が非常に低かったということと、あと一つはやはり地元の熱意の問題だろうと思います。これも県によりましては非常に充足率のいいところもございますし、県によっては非常に悪いところもございますので、地元の熱意とそれから処遇の問題ということだと思います。処遇の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、四十七年度大幅に引き上げましたので、まあある程度これは解決されていくと思います。あとはこういう老人問題についての姿勢の問題でございますので、これは私どもも今後大いに努力をして、そうしてホームヘルパーを全然置いてないというようなな市町村についてはきつく指導を強化いたしまして、こういう設置を促進する、そういう努力をいたしたいと思います。
○柏原ヤス君 この点ももう少し実態を知っていただきたいと思うんですね。 これは山梨県の場合ですが、未設置の市町村が三十一もある。約五〇%ホームヘルパーがいないんですね。ほかから比べてみますと非常にそういう点が不徹底なわけです。そこでこの未設置の市町村の中を調べてみましたんですが、そうしますと、制度が徹底されてないということが一番強く感じたわけなんです。この制度が徹底されていないんですから、ヘルパーの給料を上げてみても、こういうホームヘルパーがいるということも知らないところがあるんですね。それで、それに対してどんなPRをしているかというと、さっぱり積極的なPRもしていない。ただ、こういうふうにやっているのですね。ホームヘルパーが必要であるかどうかということを、寝たきり老人から希望をとるのですね。どうやってその寝たきり老人からホームヘルパーを派遣してくださいという希望をとるかというと、広報に書いて、それで徹底というわけなんです。広報というのは役場の掲示板に張ってあるだけなんです。あと議員の手元に配ってくるくらいの程度ですね。それで寝たきり老人からホームヘルパーの希望をとっている。これじぁ寝たきり老人のところへ行くわけもないわけですね。そんなPRというか、そうした希望の取り方をして、そうして私のところにはそういう希望がございませんという報告をしているわけなんです。これじぁ、五〇%もこの未設置の市町村があるのも私は当然だと思ったのですね。行ってみますと、実際に寝たきり老人はどの村へ行っても町に行っても五人、六人いるわけなんです。こういう実態を御存じなのかどうか、この点いかがでしょうか。
○政府委員(加藤威二君) 確かに県によりましては、未設置の市町村が五割ぐらいあるという県もあろうと思います。その原因については何回も申し上げておりますように、やはり一つは給与が非常に低かったために、まあ市町村としてもなかなかその補充について、人選難その他でうまくいかなかったという点が相当あろうと思います。 それからもう一つは、いま先生も御指摘ありましたように、やはり熱意も足りない、そのPRのしかたも不十分である、そういう点が重なってそういう結果になったであろうということは、私どもも一部承知しているところでございます。そういう点については、今後未設置の市町村のないように努力をしてまいりたいと思います。
○柏原ヤス君 そこで、ちょっと厚生省から刷ったものをいただいて、この山梨県の内容についての御報告を受けたんですが、ここに五〇%も未設置市町村のある県に対して、四十七年度中には全市町村に設置する予定と、こういうふうに書いてございますが、実際、予算の面などでこれは可能なんでしょうか。
○政府委員(加藤威二君) 予算面については、これは十分可能でございます。ただし、問題はこれは三分の一の補助でございますから、あと三分の一県とそれから市町村が負担するということで、県、市町村が負担してくれないと、これは国が金を出せませんので、その点はございますけれども、それさえやってくれればこれは予算的には十分でございます。
○柏原ヤス君 去年の十月にこの委員会で家庭奉仕員の給与を特別養護老人ホームの寮母さん以上にすべきだと要望しました。これに対して大臣は、画期的な増額をしたい、六万円以上にしたいという要求をしておりますと、ぜひ貫徹をしたいという御答弁だったのですが、実際決定した額は三万七千円です。非常に期待に対して不満であり、努力が足りなかったと思うわけでございますが、この点三万七千円というものに対する大臣のお考え方はいかがでしょうか。
○政府委員(加藤威二君) 確かにまあ予算のときには相当大きな数字を出したわけでございますが、これは先生御承知のように、予算というものは相当数字が大きく出る、要求のときには大きく出るわけでございます。この問題は、入ってきた金額が前年度に比べてどうかという点で、ある程度予算が非常に伸びておるかどうかということの一つの評価になろうと思います。そういうことで、私どもは予算要求の方法といたしまして、まあ養護老人ホームの療母並みの給料が出てもいいじゃないかということで大蔵省に交渉したわけでございます、そのために六万円前後という、いろいろな手当などを含めまして六万程度の要求をしたわけでございますが、結果的には三万七千円、しかし、それでも前年度に比べると五五%のアップでございます。こういう給与の問題について五五%のアップということは、予算としてはこれはケースとしては必ずしも多くない、相当これは引き上げられた給与だと思います。ただしかし、養護老人ホームとの格差というものはございます。これは今後の問題だと思いますけれども、しかし、養護老人ホームの寮母さんと、それから家庭奉仕員というものは勤務形態も違うわけでございますから、必ずしもそれに絶対右へならえという給与にするわけにもまいり得ないと思います。しかし、その格差の縮小ということについては今後もできるだけ努力はしてまいりたいと思います。
○柏原ヤス君 いまのおことばの中で気になる点は、養護老人ホームの寮母さんと比べて寮母さんのほうがたいへんなような感じに受け取られるわけなんですが、私としてみれば、寮母さんよりもホームヘルパーのほうがはるかに労働の点で大きな負担がかかっている。そういう意味で、養護老人ホームの寮母さんに比較するんではなくて、特別養護老人ホームの寮母さん以上にすべきだ、非常に僻地のところには特別手当もあげてもいいんじゃないかというくらいに考えとおりますので、何か消極的な感じに私受け取れるんですけれども、いかがでしょうか、その点。
○政府委員(加藤威二君) まあ特別養護老人ホームの寮母さんとの比較ということでございますが、しかし、やはりそういう特別養護老人ホームの寮母さんというのは、まあ八時間なり九時間拘束されておるわけでございます。場合によっては時間外勤務もやらなければいかぬ。それに対しまして、家庭奉仕員というのは、名前にこだわるのもおかしいのでございますが、奉仕員という名前もあるわけでございますから、ある程度そういった、奉仕をしようという、金だけの問題ではないという感じもしますし、それからやはり拘束されていない。要するにお年寄りの家に行ってお手伝いする場合に、どの程度やるか、どのくらいの時間やるかということは全く家庭奉仕員にまかされておるわけでございますから、その意味におきましては特別養護老人ホームに比べると非常に自由であるということも言えると思います。そういうことで、私が勤務形態が違うというのはそういう点でございまして、必ずしも特別養護老人ホームの寮母さん並みということは、きょう主計官がおられますので非常にこれはぐあいが悪いのですが、私どもは要求のときはそういう要求をしたわけでございますけれども、実態をざっくばらんに申し上げれば、そこまで持っていくということはなかなか予算としてはむずかしいと思います。しかし、できるだけ引き上げには努力はいたしたいと思います。
○柏原ヤス君 大蔵省の方にお答え願います。
○説明員(渡部周治君) ホームヘルパーに対しまする手当につきましては、従来はベースアップ程度の改善をはかってきたわけでございますが、四十七年度におきましては、在宅老人対策あるいは在宅身障者対策という面におけるホームヘルパーの重要性にかんがみまして、厚生省からも非常に重点的な手当の改善の御要求があったわけでございます。で、結果的には三万七千円という数字に両省の意見が一致いたしましてこれはセットいたしたわけでございますが、手当の改善幅といたしましては五四・八%という大幅な改善をいたしたわけでございます。この点につきましては、なお特養の寮母並みに改善すべきであるという先生の御意見もあろうかとも思いますけれども、今後とも、厚生省とよく協議をいたしまして、ホームヘルパーの勤務の実態に即した適正な手当を支給するように私どもも配慮いたしたい、かように考えております。
○柏原ヤス君 確かに今度は非常に金額を上げた。しかし、三万七千円と非常に自信を持っておっしゃってますけれども、私、ホームヘルパーの仕事から見て、三万七千円で喜んでホームヘルパーの活動をする人はおそらくいないと思いますね。実情はまだまだ充足率も低いんですから、この三万七千円がふさわしい給料だというふうに考えていたんでは、ホームヘルパーの増員というものは不可能だろうと私思います。ぜひ、世間一般の常識から考えても、あれだけの仕事をする人でしたら、三万七千円なんというのは、ほんとうにまさに奉仕員ですよ。奉仕員だから安くてもいいというような考え方が確かにあるんですね。そういう奉仕員という名前も私、変えたほうがいいと思うんですよ。そういう点で、ほんとうに、いまのお答えでは私腹が立つくらい消極的な感じを受けるわけですが、ぜひこれは在宅の老人を、特に寝たきり老人を大事にしていかなければ、たとえ施設をよくしても老人の対策というものは私行き詰まると思うんですね。そういう点で、ホームヘルパーの待遇をもっともっとよくしていただきたいということをお願い申し上げます。 で、次に、不満ながらもことしは三万七千円の給与が支給されるわけですが、二万三千九百円のときの実態は、実際ヘルパーの方たちに会ってみると、この二万三千九百円が支給されていないのが多いんですね。二万三千九百円の中からボーナスを減ずり取ったり、いろいろな手当をそこからまかなったりして、ほんとうに、よくまあこれでこういう仕事をやってるなあと思うような方たちが多いわけです。特に僻地、——地方のホームヘルパーに多いわけなんです。この前も会いました八人の代表の方が、二万五千円もらっているのがたった一人、二万三千九百円が一人、六人が二万円と二万一千円の支給を受けているわけです。そういうことを思い起こしますと、今度三万七千円になっても、やっぱりこれと同様なふうになるんじゃないか。三万七千円がきちんとホームヘルパーの給料として渡されるようにしていただきたいと思うんですね。
○政府委員(加藤威二君) これは、先生の御指摘の点はごもっともだと思いますので、三万七千円が少なくとも、ほかの何といいますか、活動費とかそういうものに回されることのないように、これは厳重に都道府県等にもそういう指導をいたしたいと思います。
○柏原ヤス君 そこで、現在もう四月から給料をもらっているわけです。三万七千円が支給されるように私四月からしていただきたいんですね、さかのぼって。現在、これは山梨の例ですけれども、ほとんど前の二万三千九百円で四月も五月ももらっているわけですね。これは、三万七千円としてさかのぼって出すように、この点お願いしたいわけです。山梨ばかりじゃございません、ほかも全部そうだと思うんです。その点いかがですか。
○政府委員(加藤威二君) 予算は暫定予算であり、ましたけれども、しかしその後のあれで一応年度当初からの予算が入っておりますので、できるだけそういう方向でやるように持っていきたいと思います。
○柏原ヤス君 できるだけじゃなくて、必ずそういうようにしてくださいよ、ひとつお願いいたします。いかがですか。
○政府委員(加藤威二君) そういうぐあいに努力いたします。
○柏原ヤス君 お願いします。 最後に、いろいろと老人医療費また老人対策の問題をこうやって検討しておりますと、やはり予算編成のあり方というものが根本にあると思います。総理が福祉なくして成長なしと言っているのですから、まず、予算編成にあたっては社会保障関係の経費を優先確保するというような予算の取り方にしていかなければ、私は福祉なくして成長なしということの実現はないと思うんですけれども、大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(斎藤昇君) おっしゃいますように、福祉を増進するためにはどうしても予算が必要になってまいります。総予算の中で占める福祉の予算の割合というようなものをもってやはり増してまいる必要があるであろうと、かように思っております。
○柏原ヤス君 最後に、大臣にぜひお願いしたいことですが、いまおっしゃったことを実現するためにも、予算要求を前年度の何%までという、たとえば四十七年度のときには前年度の二五%以内に押えるような行き方をしているようでございますが、必要な金額を要求するように大臣が閣議で発言をするというくらいのことをやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(斎藤昇君) 必要な予算は必ず出してもらうというように要求をしてまいりたいと思います。
○高山恒雄君 老人福祉の問題については、もうかなり多くの委員の方から大体同じような焦点で御質問なされておるのでありますが、私は、まず、全般を見まして、厚生省自体がもっと姿勢を直す必要があるんじゃないかというような感じがするわけです。なぜかならば、今度のこの、七十歳に無料医療をやろうという点についてのいろいろ質問と答弁を聞いてみますと、どうも一貫性と、理論的なその根拠、あるいはまた将来へのあるべき姿と申しますか、そういう面があまり検討されていないのではないかというような感じすらするわけです。と申しますのは、男子の寿命は六十九・二だと。女子が七十四・一だと、ことに五歳の開きがあるわけです。そうすると、女性は七十歳から七十五歳までの間の死亡率がやっぱり多いと思うんですよ。男性の場合は六十五歳から七十歳までの死亡率が多いと見なくちゃいけません。それにもかかわらず、今度の七十歳以上の無料ということになりますと、これからは受診者もふえるだろうと、こういう答弁をしておられます。したがって、ますますこの男性と女性の寿命年齢というものは開きが出てくるのではないかと思うのです。いまでも世界で一番開きが多いんです。五歳の開きというのはありません、世界で。で、そういう開きがあるのに、財政上のためでもない、ばく然と七十歳から試験をしてみろというような形の御答弁ばかりしておられるのです。これではちょっと厚生省としては、国民の社会福祉を充実しなくちゃいかぬという首相のいままでの答弁から見ても、施政方針の演説からいっても、私はあまりにも厚生省としては貧弱なこの七十歳という老人福祉の提案ではないか、こう思うんです。大臣、この点、ひとつ基本方針についても何回もみんな御質問をなされておりますけれども、私がいま意見を申し上げました点から見て、一体どうお考えになっておるのか。将来も考えてもらわなきゃいかぬと思うのです。ひとつお聞かせ願いたいと思いますね。
○国務大臣(斎藤昇君) 高山委員のおっしゃるのが、ちょっと私わかりにくいんですが、男子の平均寿命が六十九歳、女子は七十三歳か四歳、まあ五歳近く開きがある。そうすると男子のほうは早く死ぬ、そういうことですね。それで、たとえば女子は七十歳からでもいいけれども、男子はそういう面から言えば六十五歳から無料にすべきではないかという御意見であろうかと思いますが、その辺はどうなんでございますか。
○高山恒雄君 いや、私が申しますのは、現在でも男女の開きがあるわけです。これは国際的にもそうあるわけですね。けれども、日本ほど、五年も寿命年齢に開きのあるところはないと私は思うのです、やっぱり寿命が男性が短いということは、結局早死にをするということですね。女性が七十四歳幾つまで延びるということは長生きをするということです。で、長生きをする女性の場合、私はさらにこの上に、いま言われる無料の診療費ということになれば、ますます診断を受けて健康に留意していくことになろうと思うのです。そうなりますと、男性のほうはなかなか家庭上からも行けないというようなことで従来と変わらないような状態なんです。そういうことになりますと、ますますこの開きが拡大するのではないかと、こういうふうに私は申し上げたいのです。拡大する、それに拍車をかけるようなものではないか。しかし、女性の方が長生きをされても、先ほども自殺者が多いと、こういう定評が出ましたが、なるほどそうですよ。ことしの一月に、六人の子供を持って、次男のところに三日間、長男のところに一カ月といってですね、それを苦にして自殺された方がありますね。かなり財政的にはある程度あってもですよ、自殺した方があります。それから三日足らずにまた二人自殺者が出た。みな女性ですよ、そういうふうに……。人間は男性の方とともに長命であって初めて幸福なんです。それが逆の方向に行くんではありませんかと私は申し上げているのです。したがって、極端に言えば、六十五歳からすべきだと、六十五歳になぜおろさないのかということなんです。そういう考え方を基本的にどうしてしなかったのですかと、こういうことを申し上げておるのです。
○国務大臣(斎藤昇君) どうもこの医療の無料化を六十五歳からすれば、男女の平均寿命あるいは余命の開きが縮まるということは、ちょっと私はわからないのです、これは。どうも男女のこの余命の開きが一体どこから来るのかという問題ですね。女はなぜ男より長生きするのかということは、これは男のほうは治療にかかる機会が少ないからだという結論であれば、また治療にかかるのに男は金を惜しんでかからないと、女は比較的かかりやすいと、それを何とかしなければということであれば、高山委員のおっしゃるようになると思います。私はどうも女のほうは男よりも治療にかかりやすいと、経済的にかかりやすいから長生きするのだというようには私は考えないのです。したがいまして、この無料化を六十五歳に下げれば男の寿命がもっと女よりも延びるだろうということはちょっと考えられないのではないか。男のほうの無料化を六十五歳にし、女を七十歳にするというようになると、あるいは高山委員のおっしゃるようになるかもわかりませんが、これはその男女の年齢を違えるということはいかがなものであろうという気がいたします。
○高山恒雄君 いや、そのいまの後者のほうも、私そんなことを言っておるのじゃないのですよ。つまり無料ということは、これから老人の少なくとも診療に行く率がふえるだろうとおっしゃっておる。そうでしょう。それは、さっきの答弁はそうじゃなかったですか。診療に行く率がふえて、片方は、財政的にそうできない人は、六十五歳の人は行けないということになるわけだ、財政的に苦しい人は。そうでしょう。そういたしますと、日本の寿命率から考えてみても——もう一つ極端なことを言いますならば、若い間に被保険者として十割給付の診療を受けておったその人が年をとって、そうして国民保険に入って十分なる治療もできぬというのと同じ意味じゃありませんか。で、そういうふうな立場にあるかりに男性がおるとするならば、これは寿命が短いんですから、少なくともこの五年の開きがあるということは、男性は早う死ぬことですわね。これはまあ明らかでしょう。だから、一番大事な時期にかかれない人が多くなるんじゃありませんか。そうすれば、死亡率もふえるじゃありませんか。ますます男女の比率はその格差が出てくるのじゃありませんかと、私はこう言っている。だから、男性であろうが、女性であろうが、あなたのおっしゃるように、男女の区別をつけるべきじゃありません。したがって、少なくとも同一のものにしなくちゃいかぬでしょうから、その起点は六十五歳からが一番適正の年齢として、そうして無料化すべきじゃないかということを私は申し上げておるのです。矛盾がありますか。そういうことをどうして考えなかったのかという基本的な姿勢をお聞きしたわけなんです。 私は、じゃ、お聞きしますが、一体男性の死亡率と女性の死亡率とは何歳が一番多いのです、何歳から何歳までの間が、そういう統計ありますか。男性の死亡率、女性の死亡率は何歳から何歳までの間が一番多いか、統計がありますか。
○政府委員(加藤威二君) いま先生の御指摘の年齢別の死亡率については、ちょっと手持ちの資料がないわけでございますが、先生の確かに御指摘の点につきましては、私どももさっきから伺っておるんでございますが、もし六十五歳からやった場合には、はたして男女の平均余命といいますか、平均の寿命と申しますか、それのいままあ五歳ぐらいの格差がありますが、それが縮まるのか、あるいは平均寿命が男も女も並んで半年とかなんとか延びるということになるのか。先生は六十五歳からやると男女の平均の寿命の格差がより縮まるんじゃないかという御意見でございますが、そこのところは確かにいま先生の御指摘のとおり、年齢別の死亡のその数字をよく見ないと、そうなるかどうかというのははっきりわかりませんけれども、何か私どもの感じといたしまして、全体に六十五歳から老人医療の無料化をやれば、男も女も平均寿命が若干延びるということになるんじゃないかというような感じがするわけでございます。
○高山恒雄君 寿命が延びるという点については、あなたの答弁、私もそう思いますよ、寿命が延びるということは。しかし、男性の寿命が六十九歳でしょう。五年間の開きがあるんでしょう。そうすると 一番そこでかからなくちゃいかぬ年齢の人が結局死んでいくわけですわ。したがって、政府もこの老人福祉法による老人福祉への必要な老人の健康診断など、対象を六十五歳以上にしておるということはそういう意味でしょう。そこに基本を置いたという答弁もすべきじゃないかという意見が出たじゃありませんか。六十五歳に老人ホームの必要な健康診断をすることは、そこに基準を置きながら、無料診療については七十歳にしたという意見が出てくるのは当然じゃないですか。あなたのおっしゃるように、死なないというための診療を受けるためにやるわけでしょう。ところが無料になれば、まだふえるだろうとおっしゃっているんです。増大するだろうと、こうおっしゃっているんです。片方は増大してどんどん延びると思うんですよ、依然として男性のほうは寿命が短いんですから。一番死亡率がそこで多いんじゃないか。その死亡率の多い男性に適用のできるような道を開くということは男女平等であるから六十五歳以上にせよという理屈は成り立ちませんか。そういう説得をしていただきますならば、みんなの質問が、同じ質問が何回も出ないと私は思うんですよ。あまりにも政府の答弁がばく然として、何だか七十歳以上で試験を一応してみるんだというふうにしか聞こえないんですよ。ここらにやっぱり問題があるんじゃありませんかと私は申し上げているんです。やはり基本方針をひとつ大臣聞かせてもらいたいというのはそれなんですよ。財政面でもそう問題ではないんだ、けれども七十歳の試験でやるんだ、こういうふうにとれるわけですがね。そういう点をひとつ私はお聞きしておるんだけれども、なかなか大臣はわかっておって答弁もできないんだろうと思うんだ、基本線がね。できないでしょう、いままでの答弁変えるわけにいきませんから。もう私、これ以上言いませんがね。そこでまた皆さんに、男性の寿命が女性と五年違う、死亡率を調査しましたかと言ったら、いますぐ調査した何はありませんと、こうおっしゃるわけだ。そうすると、ますますばく然と七十歳にきめた、そういうことがあまりにも不合理な社会保障制度の無料診療になるのではないか、こういう点を私は指摘をしておるわけであります。 もう一つ、しからばお尋ねいたしますが、これはまあ次に審議に入ります健康保険の問題と関連がありますが、私は違った見方をしておるわけですが、一体管掌保険の赤字という問題から考えてみて、管掌保険の赤字というのは何が一番理由なのか。どこに一番理由があるのか。雇用体系とか健康管理とか、いろいろあるでしょう。賃金もありましょう。いろいろあると思うんですよ。その中で年齢構成という問題もあろうと思うんです。そのほかに何かあるのか、それを一ぺん聞かしてもらいたい。なぜ管掌保険と組合保険の赤字がこれだけ開きが出てくるのか、どこに原因があるのか、これを一ぺん聞かしてもらいたい。
○国務大臣(斎藤昇君) 先ほどの七十歳、六十五歳の問題は、もうこれ以上答えられぬだろうから、それでよろしいということでございましたが、これは死亡率から勘案をしてきめたのではありませんし、こうすればもっと寿命が伸びるであろうということを特に意図してやったのではございません。まあ結果的にはそうなるであろうと思いますが、寿命を伸ばすために老人の医療を無料にしようというように考えたのではございません。国民の健康管理という点からいけば、まあ六十五歳からできるだけ検査をする、これは無料で検査をする。そうして必要があれば医療にかかる。ところで、医療にかかる場合に一部負担をどこからしたほうがよろしいかと、無料で検査をすれば全部無料でやるというのも一つの行き方であります。しかしながら、もう六十五歳あるいは五十歳になれば毎年一年に一度は健康検査をしなさい、六十五歳から無料でいたしましょう、そうして医療にかかる必要があれば自己負担分は出してやってもらえる人は出してやってもらう。出せない人は公費負担をしよう、出せなくて困っているというのはどの年齢からであろうかと、その年齢はまず七十歳というのがいいのではなかろうか、六十五歳ではまだ自分で働いている人も相当あるわけだし、年をとってじゃま者扱いされて、そうして、病院に行くんだ、医療費をくれというのは言いにくいというのは六十歳ぐらいからではなかろうか。各市町村が大部分、府県も現にやっているのは七十歳以上というのはそういうところからでもあろうかということで七十歳で踏み切ったわけです。しかしやってみて、いまおっしゃいますようないろいろな社会的な情勢からやはりもう少し下げないと、せっかく七十歳で出発したのに、それに接近している六十七歳、八歳というような人たちはやっぱり医療にかかれなくて非常に困っている人が多いというような実情であれば、また引き下げることを考えてみよう、こういうわけでございますので、この点は御了承をいただきたいと存じます。 それから組合保険と政府管掌保険との財政状態の違いの一番大きな点は何かと、これはおっしゃいますようにいろいろな点がございますが、一番大きな点はやはり標準報酬の一人当たりの平均は、組合健保が一人当たり約一万円高い。いわゆる大企業の給料が高い。それから政管健保は中小企業でありますから、それらの人たちの給料が低い。平均して一万円低いということであります。それから医療費がまた政管健保のほうは一人当 り一万円ほど高い。この原因は高齢者が多い、あるいは健康でない人が中小企業は大企業に比べて多い。これが一番大きな原因である、かように考えます。
○高山恒雄君 私は討論するわけじゃありませんけれども、そこらのおっしゃる御意見、私もわかるんですよ。そうしますと、先ほど私が申しましたように、若い間は被保険者としてどんどん金をかけていくと、組合保険は非常に黒字で健康診断も早目にやるし、財政力もいいと、こういうことになっておるわけですよ。したがって、そういう人たちが年をとると結果的には管掌保険に入るかあるいはまた国民保険に入るかするわけですね。それで人間——この年齢の構成が変わってくると、これは大臣のおっしゃるとおりですね。そうすれば、まあ財政の問題でプールをすべきじゃないかという、そういう案も一応出て、組合保険からえらい反対が出ていましたが、私はほんとうにこれは私の意見になりますけれども、厚生省として考えていただくことは、いまの日本の企業の定年は五十七・八歳です。延びたですよ。五十五歳が二・八延びたですよ。したがっておっつけこれは労働省、六十歳を主張するでしょう。厚生省が主張してもいいですよ、六十歳。したがって、六十五歳までは退職をする場合の一時金で保険料を掛けると、六十五歳まで保険金を掛けておく、そうして六十五歳から御承知のように健康診断その他も必要であるので今度は一貫して無料の保険で政府がこの赤字を背負ってやる、個人負担を背負ってやる、こういう一貫性を立てるべきじゃないかと思うんですよ、保険には。これは健康保険との関連がございますけれども、行く行くはそうなると思うんですが、それならやっぱり政府みずからが六十五歳から踏み切る。現在、六十歳という組合も主張しているんでありますから、六十五歳の間は一時金でその組合保険に加入しておくと、そうすると中小企業の管掌保険の年齢構成も変わってくるじゃありませんか。そういう一貫した中で今度の無料制度も私は考えるべきではないか。そういうところを考えないところが、先ほどいろいろ答弁してみえますけれども、私らは納得がいかないわけです。ここに日本の健康保険の大きな誤りがある。ただ、組合員からの徴収費だけを値上げをしてやろうというようなところに問題があるわけです。この健康保険の問題はあとでまた審議する時間が出てくるんですから、私はここではあまり言いませんけれどもね。言いませんけれども、今回のこの無料制度においても、私は少なくともそういう見方をするべきではないかということを考えておるんですが、これは大臣どうお考えになっておるか。私の言うこと間違っておるか、ひとつ基本的な問題でお聞きしたいんですよ。
○国務大臣(斎藤昇君) 政管と組合健保の財政調整には非常に御理解があるようで、この点は私はたいへんありがたいことだと思っております。
○高山恒雄君 いや、私は前からこの主張はしています。
○国務大臣(斎藤昇君) これは制度審議会で、このことも考えられるが、政管健保の運営をもう少し効率的にやれるだけやって、その上でということでございますので、さしあたって、政管健保の運営の効率化をもっとはかって、そしてその上で財政調整を考えたいと、こう考えている次第でございます。 いまおっしゃいました、六十歳から六十五歳までの人たちを、これをその組合健保の中で、退職しても見ていくことが適当ではないかという御意見ではなかろうかと思いますが、私ども、この制度審議会に出しました参考案としての老人保険は、これはたとえば六十五歳以上は老人保険でやる。その保険の原資は、これは若いときに掛けていたその保険から出すというようなまあ考え方であって、これはいまおっしゃいますような、いままで所属していた組合で六十歳から六十五歳までを見るという考え方ではないわけです。いまおっしゃいますような方法をも考えられないことはないんで、そういう意見もございました。ところが考えてみますると、一体組合健保というものは、一つはこういうことになるわけであります。ある大企業におって、その組合の被保険者であった。そして今度は中小企業に入ってきたという場合に、同じ中小企業の中にありながら、おれはかつての組合健保で医療保険を見てもらうんだということで、同じ職場にありながら従前の組合で見てもらう人と、そうでない人とできることは、これは労務管理上ぐあいが悪いじゃないかという意見が一つ。もう一つ致命的な問題は、いままで存在していた組合がいつまでも続くものであるのかどうなのか。あるいはその会社が破産をする、あるいはその企業を縮小して労働者が減ってくるということになると、それ自身政管健保に入ってこなければならないかもしれないし、あるいはなくなってしまうかもしれない。やはり医療保険は単年度保険ですから、単年度の掛け金で単年度の医療費をまかなうということを原則にしてまいりませんと、将来の負担を負うて、——その組合に負担を負わしておいてもその責任の持ち場所がなくなるおそれがあるという問題がありまして、これにもまあ難点があるのです。しかし有力な意見として、いまおっしゃるような意見もあるわけです。われわれもこれは検討はいたしましたが、そういう難点がありますので、この抜本改正の中にはその考えは取り入れなかったわけです。
○高山恒雄君 いまの後者の問題ですがね、いまでも千人そこそこの組合保険は赤字でどうにもならない場合、解散するんですがね。いまでもあるんですよ、いまでも。決してむずかしいことはないですよ。いままでは千百人おったと、近ごろはもう合理化しちゃって九百人になっちゃった。それでもう組合保険はもたぬ、財政上もたぬと、会社の負担もたいへんだといったら、解散して、あなた、国民保険なり、あるいは……
○国務大臣(斎藤昇君) 国民保険じゃないですよ。
○高山恒雄君 管掌保険に入るんですよ、皆保険だから。そんなことはいまでもあるのであって、それはあまりこだわる必要はないと思うのだが、私は、被保険者としての資格を有した者が一貫してずっとその不安がないような情勢まで保険というものはあるべきが姿ではないかと思う。これは、今回の七十を、政府みずからが六十五歳にして、保険のあり方はこうだという姿勢を示すことが望ましいではないかと私は申し上げたい。政府みずからが格差をどんどんつくっていって、そして逆に七十歳というような形になれば、不安を与えて、そうして将来の健康保険を考えたときに、国民医療としての考え方の中に政府みずからが指導していく、引っ張っていく力がなくなるんじゃないか。私は、政府みずからが率先して六十五歳からこの際やったんだ、六十五歳をやったことはこういう意味も含まれておる、——私の構想が正しいとは思いませんよ、まだほかに案があれば……。ただし、被保険者が一回被保険者として入った場合は安心して老後の医療——治療もできるような方向に見ていくというのが政府の指導の立場ではないか。私はそういう一貫性がないということを指摘しておきたいのであります。 そこで、その問題は大臣も委員会で出たとおっしゃっていますし、なかなかむずかしい問題でしょうけれども、私はいまは七十歳でスタートしますけれども、これは先ほど柏原さんも確認されたように、これは速急に考えるべきだと思いますが、もう大臣、ひとつここでやるんだと、これだけみんなの委員が六十五歳を主張して、いまだに政府がうろうろしているようなことでは、——予算じゃないとおっしゃるんだから、金の問題じゃないとこうおっしゃるんだから、そんなら何が一番原因かというと、筋の通ることをお考えなら、将来の医療制度というものの考え方を基本に置かなければならぬと私は思いますよ。私は、ぜひそうしてもらうことが、将来の保険の指導の立場にある厚生省としては大事なことではないかと思うんですよ。やはりそういう姿勢がないところに今日立ちおくれが出てきておるのではないかと思うのですね。 先ほど核家族の問題が出ましたが、昭和三十九年に千三百七十七万世帯日本には世帯があったわけですが、これもわずか六年間で四百万世帯ふえておりますね。ますます日本の家族は核家族になるわけであります。じいさんとばあさんに実際問題としてなるわけです。こういうふうに一人暮らしがこの六年間に三十七万人ふえておるんですね。このうちいわゆるほんとうに子供にお世話にならないで一人暮らしをしている人が七一%もあるわけでしょう。だから、それはもう私は、男女を問わず、そうあると思うんですね。そういう面からいっても、日本はますます核家族になる。しからば日本の医療制度はどうなっておるのかというと、全くこれは悲劇と言わざるを得ないんですが、お医者さんもますます足りませんですね。日本は、大体看護婦さんにしても、スウェーデンの三分の一弱ですよ、米国の約三分の一、十万人当たりの人口から割り出してみると。こういう状態の中で、いろいろ先ほども質問がございましたけれども、ほんとうの老齢者に対する——介護もその一つですが、いわゆる入院しても十分な看護が、一般もなりますけれども、特に老人の場合にはきまった病気が多いと思うんです。そういう面から見ても、ますます不幸なんですね、日本の場合は。だから、これは私は六十五歳を強く主張しますが、せめてここらで、この財政の問題が問題にならないのであれば、厚生省は率先して六十五歳ということをみずからがやるべきだ。そういう姿勢のないところに、今日の社会福祉の立ちおくれが私は出てきておるのではないかと思うのです。こうした立ちおくれをどうお考えになりますか。ひとつ大臣、私がいま申し上げました核家族の状態から見て、それから十万人当たりの医者の不足から見て——医者でも他の国から比較してみますと、大体医者はスウェーデンの五分の一、ソ連の半分ですよ。十万人当たりの医者の人数が一番低いです。こういう行き方にはいろいろありましょう。たとえば看護婦をたくさん使って、お医者さんは診療するだけで、あとの仕事は看護婦にできるだけやらす。フランスはそういう立場をとっておりますね。したがって、フランスは十万人当たり一一七・七ですか、日本は一一三です。そのかわり看護婦さんが日本の倍おる。それは医療の手法によっていろいろ変わることもあるでしょうけれども、実際問題として、こういう格差のある中で一つも率先して踏み切った点がないではないかということを私は申し上げたいのです。この点、どうお考えになるか大臣ひとつ御答弁願いたい。
○国務大臣(斎藤昇君) 日本の福祉施策は先進諸外国に比べて非常に立ちおくれている、これは全くおっしゃるとおり事実でございます。まあ一つには、いままでは日本が非常に貧乏であった。急速に経済が成長し、国民所得もふえてきた。その国民所得あるいは生活水準に比べて、社会福祉は追いついてきていないというのが現状でございます。特に、よく国民総所得と社会福祉費の比較を出されますが、その中で分析して劣っているのは、年金でございます。年金が拠出年金が非常に未成熟だということでいままでは説明しておりましたし、そのとおりでありますが、しかし、数字からいっても、国民の手取りの年金というものは非常に低いわけであります。これを改善すれば、国民総所得に対する社会福祉の総額というものは相当上回るものと考えております。年金が非常に立ちおくれている。また、児童手当制度も非常に立ちおくれております。これはいま始まったばかりであります。これも、成熟してまいれば、相当の金額になってまいるわけであります。 医療保障につきましては、まあいままで医療保障だけは先進国よりも非常に進んでいると、こういわれておった。国民皆保険でありますから、それはそのとおりだと、かように思いますが、しかし、その裏づけにななるいわゆる医療の供給体制、おっしゃいました医師、看護婦、あるいはその他の医療従事員の数が、これまた非常に不足であります。これらも大いに伸ばしてまいらなければなりません。大体五カ年計画で欧米並みに持ってまいりたいと努力をいたしておるのでありますが、さらにその基礎となる医療基本法を提案いたしましたが、まだ御審議いただいておりませんけれども、この医療基本法を制定していただき、その基本精神に従って医療の供給体制を急速に整えてまいりたい、もちろん、そういう基本法がなくてもやってまいらなければなりませんが、しかし、そこで基本をはっきりし、その基本に従って進めていくということは、これは進め方としても行き道も誤らないし、また、進めるについても急速に進めることのできる一つの手段であると、私はかように考えておるわけであります。いまおっしゃいますような点は、今後十分配慮をしてまいりたいと思っております。
○高山恒雄君 あまりこまかい点には触れませんけれども、先ほどの差額ベットの問題と介護の問題ですが、これは言うまでもなく、当然今後充実をしていただくという点で私はお願いしておきたいのですが、問題は、もう八年近くになると思うんですが、一体、日本の看護婦の不足の問題は何年たったら解決がつくのか。これは、私、八年前にも質問して強く要望したんですが、その間、もう社労委員会が開かれるたびに看護婦の問題は出っぱなしですよ。こういう問題の解決がつかないというのは、厚生省としては、具体的に、賃金が安いのか。あるいはまた、賃金は大体世間並みだと。しからば、長時間労働の——八時間に対する二時間のプラスは認めるということになっておりますから、そういう時間の問題が悪いのか。どういう点で志願者が少ないのか、もっと基本的なことを私は掘り下げて御答弁願いたいと思うんですが、しからば、これはいつ充実するのか。もう八年間唱えてきておると思うんです、看護婦さんが足らぬと言い出してから。この不足の他面、むろんそれは老人の医療という問題も重大でありますけれども、日本の医療制度についてはもう根本的な問題である、こういうふうに考えるわけですが、一体充足するような見通しというものはどういうところにあるのか、もう少しお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(斎藤昇君) 看護婦問題は、私が三年前に厚生大臣を担当いたしましたときにも皆さんからたいへん鞭撻をされまして、日本の医療問題は看護婦問題だとさえも言われ、私もさように認識をいたしまして、看護婦の充実対策には一番力を入れました。今日では、大体五カ年たてば看護婦は必要な充足ができるであろうというめどに立って、その方針を進めておれわけであります。問題は、いわゆる看護婦に志願者がないということではありません。志願者は非常に多いのであります。これは非常にありがたいことだと思っております。それから養成施設が足りない。この養成施設の増加をはかってやってまいっております。いま一つは、看護婦のいわゆる制度をある程度改正したらどうであろうかということで、私は詳しいことはここで申し上げるなにはございませんが、その養成課程をある程度変えていくということで、昨年、看護婦の改正案を提案いたしましたが、これが廃案となって日の目を見なかったわけでありますので、その廃案になった次第も考えて、そして今日の養成施設をさらに増していくというようにいま努力をいたしておるわけであります。医務局長がおりましたら数字的な充足計画の御説明ができると思いますが、そういうような方向でやっておるわけであります。
○高山恒雄君 小さいことは私も知っていますのでもう必要ございませんが、そこで、最後に大臣に答弁を願いたいんですが、実際問題としてせっかく今度の老人無料制度というものをおつくりになったんですから、これは四十八年度からの実施ということで先ほども御答弁なさっておりましたが、四十九年度からは、まあ一年間の期間をおくにいたしましても、少なくとも六十五歳に年齢を引き下げるべきだ、こういうふうに私は考えますが、きょうの大臣の答弁は非常に重大なんですよ。なぜかならば、大臣の答弁を私らも正しく受け取って、今後の厚生省の局長、課長にやっぱり責任を負わせていただく。大臣はいつおかわりになるかわかりませんから、やっぱりそういう責任あることでやっていかないと、日本の厚生業務というのは非常に問題ですね。私は、社労が二つの省を審議しておることすら日本の厚生業務の立ちおくれじゃないかという責任を負うわけですよ。大臣だけが責任を負うのじゃないですよ。われわれだって立法機関におる限りにおいては、そういう責任を負うんですよ。その責任を負えばこそ、私たちは強く大臣の前進的な、いわゆる前向きの、ほんとうにやらなくちゃいかぬとお感じになったら、答弁をしていただいて、それをまた官庁はその立場に立ってやっぱり検討をし、できなければ、どういう点ができないんだ、こういう会議にしなければ、何ぼこれをやってみたって、私は先ほど言いますように、看護婦の問題を八年唱えていますよ。それと同じです。多少変わってきたのは志願者が多いということです。当時は、設備があれば志願者は何ぼでもあるということだったんですが、設備がない。いまは、設備があっても志願者がないという、反対ですね。そういう答弁でしたよ。いまは逆になったわけですね。そういうふうに実現をするためには、やっぱり責任を持って大臣に答弁を願って、この六十五歳という問題は次の年には考えますということをはっきり御答弁願いたいと思うんです。それは、私だけじゃないみんな言っておられるんだから、附帯決議にもつくようですから、一ぺん大臣からそのくらいのことは出てもらわなきゃ困ると思います。
○国務大臣(斎藤昇君) どうも、せっかくですが、私は、次の年には六十五歳を考えますとちょっと言い切れないものがございます。私は、いいかげんな答弁ならいたしますけれども、言うた以上は必ずやるという考えでおりますから、そういう意味で、皆さんは六十五歳に引き下げろという御意見が非常に強い、各党とも強いということは十分認識をいたしまして、出発後の状況を十分勘案いたしたいと考えます。
○委員長(中村英男君) 本案に対する本日の審査はこの程度といたします。 —————————————
○委員長(中村英男君) 健康保険法及び厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。 質疑のある方は、順次御発言願います。
○大橋和孝君 それでは、本日は、健保の制度の比較的基本的な考え方とその周辺の問題についてお尋ねをしてみたいと思うわけであります。今度の法案の詳しい内部の問題に関しては、次回に譲らしていただきたいと思います。本来ならば、やっぱり総理大臣にも来てもらってこの辺の問題を質疑してみたいと、こういうふうに考えておったわけでありますが、国民の生命と健康に対しては最終責任を持っておられる厚生大臣に対してまず基本的なことをお伺いしてみたいと思います。 その一つは、WHOの憲章に、「健康は、肉体的・精神的および社会的に完全によい存在である状態であって、単に疾病や虚弱の欠如ではない」という条文が書いてあります。御存じのとおりだと思います。一九四六年に採択、批准されたこのWHOの憲章は、全文わずか二十六行からなっておるといわれておりますけれども、特に、最後のこの部分で、「政府は、それぞれの国民の健康に対して責任を持つ。それは適当なヘルス・アンド・ソシアル・メジャーの供給によってのみ充足され得る」と、こういうふうに書いておるわけでありますが、まず、この憲章を政府はどのように受けとめて、厚生行政の一環であるところの医療そして国民の健康を推進させておられるかということを大臣に伺っておきたいと思います。
○国務大臣(斎藤昇君) 国民の健康を確保し増進をしていくということは、これは私はどこの国であっても国の大きな責任だと、かように考えております。したがいまして、国民の健康に関する政治、行政というものは、何ものにもかえがたい。国民の財産を守るということ、健康を守るということ、これが一番大事な国政だと、かように考えております。
○大橋和孝君 しからば、健康保険行政の中でこれをどう受けとめておられるか。 それじゃ、一番にお伺いしたいことは、健康とは何かということです。これを厚生省はどういうふうに考えておられるのか。現在本委員会で審議しておる健康保険法のどこを見ましても、健康に対する定義というものが書かれていない。広く国民に健康概念を定着させることを、行政として何と何をやってこられたのか。むしろ、そういうふうな意味では、どうも健康というもののとらえ方、定着のしかたというものに問題があるように思うのです。たとえば、文部省の統轄する教育では、健康の重要性をどこでどのように教えているのか。これも厚生省ではどう見ていらっしゃるのか。こういうようなことをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(斎藤昇君) 健康とは何かと、これ私は非常にむずかしいと思うのです。健康というものの定義というのは、これは非常にむずかしい。私もちょっとよう申しません。申しませんが、一体、行政として考える場合にどういうことがあるかと申しますると、健康の保持、疾病の予防、そして健康の増進、健康の管理ということから始まって、健康が破壊された場合の治療、そしてその治療の中にはさらにリハビリというものまで含んでいる。そして、治療が終わり、リハビリが終わっても、さらにいわゆる社会復帰のできるようにやっていくということまで含むのではないであろうか。最近は包括医療ということばが使われておりますが、包括医療ということばは、裏返しに申せば、国民の健康を維持して、そして破壊した場合にそれに対処していく一切のものを含むという意味であろうと、かように考えます。その中には、さらに、行政としては、体位の向上のための体育ということもございましょうし、あるいは栄養ということもございましょうし、また、これを妨げるような食品衛生の行政というものもございましょうし、非常に幅は広いと思いますが、狭く言っても、最近の医療は包括医療だと言われて非常に幅が広くなっている。それを保険でどの点をカバーをするかという問題は、また別にあると思います。今日の保険では、健康が破壊された場合の治療というものを保険の対象にいたしておりまして、したがって、予防、あるいは健康管理というものは、これは原則としては保険の中には含まない。そして、私は、これは一般に公費としてやるべきであって、保険料からまかなうものではないというように割り切っていくほうがいいのではないだろうかと、こう考えております。
○大橋和孝君 ちょうど大臣がおっしゃるように、この健康保険法では確かに健康ということが中に入っていない。健康保険法の第一条では、「健康保険ニ於テハ保険者が被保険者ノ業務外ノ事由ニ因ル疾病、負傷若ハ死亡又ハ分娩ニ関シ保険給付ヲ為シ併セテ其ノ被扶養者ノ疾病、負傷、死亡又ハ分娩ニ関シ保険給付ヲ為スモノトス」というふうな規定でありますからして、お説のように、この場合は、健康に対する保障ではなくて、病気に対する保障なんです。ですから、このごろ激増するいろいろな疾病に現行の制度が対応し得ない。これは、まだ病気に対する保障のみに視点を向けておるからして、健康がうんと破壊されても、なかなかこれを保障するということに使われていないのが事実であります。これは私はたいへんなことだと、こういうふうに思います。ですからして、健康保険そのものが行なわれておって皆保険の制度でありながら、健康というものが非常に軽視をされ阻害をされて、これに対応できない。そして疾病だけに振り回されてそれを糊塗しているのにすぎないという状態だと私は思うわけです。これは保険というものを、抜本改正するときには十分考え直してもらわなければいけないと思うし、特に、私は、きょうここでこの問題を初めに大臣に申し上げるのは、健康保険の赤字対策ということに主眼を置いて、保険では病気だけだという観点からやっておるので、健康というものは保障できない状態に置かれている。だからして、一ぺん抜本改正の中でもっと健康というものを重大対象に置いて、健康を守るためにどうするか、これに保険というものをどういう位置づけにするかというように考え直さないといけない時期ではないか。公害の問題、交通の問題、あるいはまたいろんな問題から考えてまいりますと、病気というものはもっといろんな条件で非常にきびしく健康を害しているわけでありますから、あらわれ出た症状の病気だけに携わっておっては、これが十分処理できない。こういうふうにして、健康はやはり保たれ得ないという状態が出てくるわけです。 〔委員長退席、理事鹿島俊雄君着席〕 ですから、私は、方向を変えまして、医療行政の基本目標は、いま申しておりますように、国民の健康の保持増進をはかるにあるというふうに考えなければなりませんから、そうするならば、したがって、中央政府には国民の健康水準を全体として引き上げるためのマスタープランが必要になってくるわけですね。これがもういま一番必要なことであって、私どもの党に考えましても、この荒廃した医療、あるいはまた荒廃した健康の破壊、こういうものを立て直すために抜本的・総合的プランが必要だという観点からいろいろ議論をしているわけでありますが、そういう意味で、国民の健康水準を全体として引き上げるためのマスタープランが必要なのは、私は次の理由によると思うのです。 第一には、保険制度、公費負担医療制度、医薬制度、医育制度、あるいはまた、医療制度、公衆衛生、労働者の安全衛生、こういうようなものに対応して、行政機構があまりにも複雑に専門分化され過ぎておる、こういうことも一つの理由になるだろうと思います。 あるいはまた、もう一つの第二番目の理由として考えるならば、関係諸団体の利害が錯綜しておって、行政がともすると圧力の大きな団体に無原則的に引きずり込まれがちであるということも一つの理由であります。 また、第三には、保険財政の破綻は国民の健康の動向、疾病の傾向、あるいは生活環境の変化などの総合的な諸要因がもたらす結果であるにもかかわらず、ともすれば目前の財政問題だけに埋没しておるからだというふうにも考えられると思います。 私は、国民の健康水準を全体として引き上げるためのプランが必要なのはそういうようなところに理由があると思うのですが、こういう意味のことに対して大臣は一体どういうふうに考えておられますか。
○国務大臣(斎藤昇君) 国民の健康保持という面から考えますると、御承知のように、最近は、世界どこでもでありますが、生産方式が変わってきた、機械化してきた、また、公害ができてきた、そういうことから健康を阻害をする要因が非常に多くなってまいっております。そういう原因を除去すると同時に、これにどう対処をしていくかという問題が急に浮かび上がってまいったと思います。そういうことを抜きにいたしましても、従来からいわれておりますいわゆる環境衛生であるとか、あるいは食品衛生であるとか、こういう事柄に一そう力を注いでまいらなければなりません。同時に、国民それぞれが自分の健康を守るということから、国民の健康管理というものをやはり政府なりあるいは公共団体がそれに手助けをしていくということが必要であろうと、かように考えております。健康管理センターというようなものもいまモデル的に設けて、そしてその成果があがればこれを普及してまいりたい。本年度初めてそういう試みもいたしているようなわけでございます。何といっても、われわれの住んでいる環境を整備する環境衛生というものを重視していく。職場の衛生管理、あるいはまた学校その他の衛生管理というようなものも、これはいままでもやっておりますけれども、最近の社会経済情勢の変化に伴ってそれらのやり方もまた適応したやり方をやってまいらなければならないと、かように考えております。
○大橋和孝君 国民の健康の水準を全体として引き上げるというのに、要望やらいろいろなことがあると思いますが、 〔理事鹿島俊雄君退席、委員長着席〕 私は国民全体の健康の動向というものをもっとしっかりと把握をしてもらわないと、このごろのようなこういうふうな非常に複雑化した社会情勢の中では、真にどうしたらマスタープランとして国民の健康水準を引き上げられるかという問題は非常に大きな問題であるだけに、この基礎資料となるものが大事じゃないかと思うのです。国民全体の健康の動向が実際に把握されていなかったならば、これを十分にどうしたらいいかということが、ただ健康診断だ、あるいはまた予防だとか言っておりましても、なかなかうまくいきそうにもないと思うのでありますが、そういう意味で、厚生省のほうとしては、国民全体の健康の動向というものをどう把握していらっしゃるのか、また、基礎的な資料としてはどういう問題をひっさげて国民の健康というものに責任を持たれるのか、私はそういうようなところの考え方を少し聞いてみたいと思います。
○政府委員(滝沢正君) 国民の健康の動向というものを各種の統計資料等からつかみまして、これに対応する対策というものを逐次進めていかなければならぬわけでございますが、基本的には、先生も御存じのように、わが国の疾病構造の中で最も端的に表現できるものは、伝染性疾患というものが顕著に減少してまいった。したがって、公衆衛生施策の中でも、伝染病対策というものが過去にはかなり重要な柱でございましたけれども、最近は特に個人を中心にした疾病の動向に変わってきておる、これが一つの見方でございます。 もう一つは、年齢の構造の変化ということも伴いまして、老化現象というものが人口の中にあらわれてくる、それに伴いますところの老人に多い疾病というものに変わっていく。これは、国際的に見ましても、一つの疾病が改善されていく方向というものは、必ず若いときに死亡しないようにして、老人になってから死亡するような姿に統計が追い込まれていくときに、これは改善されたと見るわけでございます。 そういうような一つの見方から例示いたしますというと、たとえば死亡の死因の割合というものを見ましたときに、戦前は、いま問題になっておりますところのガンであるとか、あるいは脳出血、心臓疾患というものは、昭和十年のときの国民の死因の構成割合から見ますと、わずか一七・六%をその三つの疾病で占めておったわけでございますが、いまやそれが五四・七、国民死因の過半数がこの三大死因によって占められるという大きな変化がまいっております。そのほか、疾病ごとにとらえましても、結核の減少、あるいは伝染性疾患の減少というようなもののほかに、こまかい点に入りますというと、有病率の面からは、たとえば胃腸炎とか肺炎のようなものは減少しましても、いわゆる交通事故による傷害であるとか、あるいは呼吸器系の疾患、これはかなり顕著に増加しております。これは環境との関連というようなことが言える面もございますし、消化器系の疾患については、社会的なストレス、あるいは社会生活の複雑化、こういうような問題もあろうと思います。 以上のようなまあ一面でございますがとらえ方から、公衆衛生あるいは疾病予防対策のあり方というものも、逐次個人を中心にした疾病対策というものに重点を指向していかなければならないのではないか。それから先ほど大臣も触れられましたような、健康管理の面、特に健康増進ということを従来はややなおざりにしておった感じがございますので、単なる疾病予防というよりも、さらに健康を増進するという施策の方向に向けたいということで、本年度全国に二カ所、モデルでございますが、これも計画をつくりましたところ、各方面から設置の要望が強くなっております。ということは、国民の要望もやはりそういうような方向に向いておるということが端的に言えるのではなかろうか。そういうことで、厚生省全体のプランとしては、健康管理の面を踏まえまして、いままで足りなかったこのような方向に重点を指向してまいりたい、こういうような考え方に立つわけでございます。
○大橋和孝君 それも一つのとらえ方でありますが、私はこれはいろいろな点から考えなければいかぬと思うのです。基礎資料を少しそろえてもらいたい、私はこういうふうに思うわけです。それは、いまおたくのほうから発表しておられるような国民の有病率、この問題を見ましても、四十五年の厚生行政基礎調査にもあげられているように、ちょうど一〇%です。ところが、これは過去十年間で倍になっているわけですね、この率が。あるいはまた、傷病世帯の率なんかを見ましても、二五・七%でありますから、四世帯のうち一つは病人をかかえた世帯があるということが実情なんであります。こういうような有病率の増大傾向は、保険財政の悪化要因としても大きな役割りをしているわけでありますから、その原因の究明を立体的に行なって対策を講じなければ、やはり保険財政にも大きな赤字の要因になってくるわけです。有病率のこの増大傾向の原因をどう究明してどう分析をして、そうしてそれの対策をどうするか、こういうことが一つの大きな問題ではないか、赤字対策をやる前にですね。ですから、これはゆるがせにできない一つの問題ではないかと思いますが、この点についてどういうふうにお考えになっておりますか。 それから第二点は、特定の疾患の有病率を見ると、高血圧性——いまおっしゃっていたような疾患の急増だとか、あるいは精神神経疾患、糖尿病、こういうようなものの増加も著しくなっているわけですね。これがいわゆる疾病構造の変化といわれているわけでありまして、それは一つの例でありますから、まだほかにも疾病構造の変化はたくさんいろいろな方面から出てくるわけであります。これは、生活環境の変化や生活様式の変化、これも大きな影響を持っているわけでありまして、どの疾患が生活環境や生活様式のどのような変化によって増加するかということ、こういう疾病と環境との間の相互関係なんかも詳しく分析をして、そしてこれに対してそれなりのそれに対応するところの対策を講じなければ、また保険財政に赤字をもたらす大きな要因になってくる。厚生省のほうでは、一体、疾病構造の変化と社会環境というものとの相互関係、こういうものをどう分析して、どのような施策を講じていらっしゃるのか、これも一つ先に伺っておかなければならない点で、これが第二点。 第三点は、いわゆる難病だとか奇病が続々と発見されてまいっている。全身性エリトマトーデスだとか、あげてみれば数限りないほどたくさんございます。進行性強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎、多発性結節性動脈炎、あるいはまた、高安動脈炎、重症筋無力症、進行性筋ジストロフィー、多発性硬化症、いろいろございます。こういうようないろいろな疾患の患者の実態を把握しなければいかぬと思うんです。たくさんあります。また、それの原因なんかも究明されておりませんから究明しなきゃならぬ。あるいはまた、治療方法の確立されていないものは確立しなきゃならぬ。こういうものに対しての非常に大きな努力をしない限り、保険の運営においてもいろいろな問題があらわれてまいる。これは難病やらそういうものは公費負担にしようという意向もあちらこちらから反映しておりますけれども、いわゆる難病奇病、そういうものの実態を明らかにし、原因を究明し、治療に対してどうするか、こういうものの対応のしかたというものも、この赤字対策、あるいはまた健康保険の抜本改正という前には、きちっとやってもらわなければいかぬ点ではないか。これは私も前からそういうことを申し上げて、厚生省にひとつ非常な大きな努力をしてもらいたいということは申し上げたことでございますが、これは二年前の公害対策委員会で、昨年の予算委員会でも私はこれは申し上げたところであります。けれども、それから以後の進展というものはどうなっておるのか、私はこれは非常に寒々しいものがあると思いますが、これについて御答弁を願いたい。 それから第四の点は、政管健保の投薬・注射は、保険給付費の四三・二%で、十年前の倍以上の比率になっておるとか、いろいろいままでいわれてまいりましたけれども、こういうような薬剤、注射の使用というものは、むしろ、製薬資本、あるいはまた大きな薬をつくっているメーカー、ああいうものがいままでの間いろいろと批判をされずに、あるいはまたそれに対してのいろいろな分析がされずにどんどんと薬をつくって、そしてどういうふうにしてこれを使うかということはあらゆる宣伝をして、そして国民の側からも薬を飲まなければいかぬようなそういう状態もつくり上げて国民を薬害におちいらせるというような状態までできてきた。これはいかにも医者も片棒をかついでおったのではないか、こういうふうにも批判をされておるところでありますけれども、これはいずれにしましても薬務行政の中に重大な問題があるわけでありまして、厚生省としては、その分析、あるいはまたそれのあり方の究明、こういうようなものに十分なてこ入れがされていなかった。言うならば野放しで、大きな製薬資本がどんどんと製薬をしてそうして大きな収入を得てやってこられることに対して野放しである。同時に、また、医者のほうに対しても、いろいろとそういうふうな問題を提起しなかった。私は、いろいろもとを考えてみるならば、こういうものを把握し、分析をし、これをどういうふうに反映をさせていくかということが厚生行政の中で明確なものがなかった。こういうようなことは、この場合に、非常に強く反省をしなければならぬ問題ではないかと思う。 こういうような問題をいままでもいろいろなところでわれわれは指摘もしましたけれども、うまくこれが行なわれていない。薬効の再評価とか、いろな方面でお話をしてまいりましたけれども、これが十分な把握がされていない。一体、こういうものに対して、いまの時期で厚生省はどうこれを把握してどう応用するか、こういうようなことを先にやらなければ、少なくとも赤字の問題だけを解決して、そうすればまずまずというふうな考え方では、私はあまりにも無責任ではないかと思います。 こういう点で、この四つの点をあげましたが、どうお考えになっていますか。
○説明員(加倉井駿一君) 御質問の第一の点についてお答え申し上げます。 御指摘のとおり、私どもの実施いたしております国民健康調査によりますと、昭和三十四年の有病率が人口千対四十五・九でございましたのが、四十五年には九十三・六と、約倍になっております。なお、その年齢別の増加率を見ますと、特に著しいのは中高年層でございまして、特に六十五歳から七十四歳につきまして観察いたしてみますと、三十四年が人口千対九十八でございましたが、これが四十五年には二百五十七と、約二・五倍以上になっております。その内訳は、先ほど先生の御指摘のとおり、高血圧性の疾患、神経痛、神経炎、糖尿病などが目立っておりますが、特に高血圧性の疾患が昭和四十五年では六十五歳以上の有病者の約三分の一を占めております。ちなみに四十二年には高血圧性疾患の六十五歳以上の有病率が人口千対四十五であったものが、三年後の四十五年には八十四となっております。これらのいわゆる成人病の有病率の上昇は、ここ数年来各種の成人病の検診が行なわれておりますほか、本人の自覚率がかなり上昇してまいるとともに受診の機会がふえたためにこのような増加を見たのではないかと、かように考えております。
○政府委員(滝沢正君) 難病対策につきましては、確かに、先生おっしゃるように、必ずしも実態が把握できておらないというわけでございまして、この点につきましては、本年度、難病対策室を設けまして、この調査費も予算化してございますので、近く専門医の懇談会が開催されまして御意見を伺いまして、それぞれの疾病ごとに特に最近問題にされております難病の実態調査を実施する予定でございます。さらに詳細な各研究班ごとの実態把握も一面行ないまして、あわせてできるだけ——いわゆる実態調査というのがよく必ずしも実態をつかんでいないというような御批判がございますけれども、医療の面とそれから行政の面と両方からの実態をつかみたいということでございます。 それから先生御指摘の、このような疾患と健康保険との関連等について具体的な対策を御要望の御意見がございましたけれども、こういう疾病というものは、もちろん、原因が究明できれば、それに対応する対策が可能になってまいりますが、並行して、医療関係者に、たとえばベーチェット病のようにかなり長い経過をとるような疾病につきましては、早期発見ということが非常に重要でございます。ベーチェットなどは、眼に失明という状態に近くなって初めてベーチェットであるというようなつかみ方が従来でございましたけれども、もっと皮膚その他に潰瘍等がある時期において早期にこれをつかむことによって、いわゆる医療の面と、それから早期発見、さらに原因が究明できれば予防と、こういうような対策につながるわけでございますので、難病対策の今後の研究の推進によってこれらの御要望にこたえていきたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
○政府委員(戸澤政方君) 保険診療費に占める薬剤費の割合が非常に高いというようなことが一般に言われております。高い低いということは、外国のそれに比較して言われるのであろうと思いますけれども、外国におけるそういう医療費に占める薬剤費の割合というものは、必ずしも統計的に正確なものはございませんけれども、この数年間、日本の場合には四割余りというようなことでございますから、相当の比率を占めるものだと思います。これは、技術料が外国に比して低いということのために相対的に薬剤の占める率が高いというようなこともあろうかと思われますし、医療というものはやはりだんだんと薬剤にたよるという面も多いのも当然でございますし、薬剤の占める比率が高いということが直ちによくないことであるというふうにも言えないと思いますけれども、しかし、保険の適正な医療運営という面から見ますと、薬剤費が高いということについてはいろいろな問題もあろうかと思います。たとえば、薬剤の乱用とか、あるいは薬価の適正化ということについて、十分に実勢価格にそれが合っているかどうかというような点については、確かに問題もあろうかと思います。こういう点は十分に今後検討是正していかなければならないものであろうと思います。しかし、また、同時に、日本の製薬企業のあり方とか、それから許可のあり方とかの問題についても、いろいろまた問題はあろうかと思いますので、そういう製薬行政の姿勢というようなものと相まって検討していくべき問題であろうと考えております。
○国務大臣(斎藤昇君) 大体各局長からそれぞれお答えを申し上げましたが、保険の赤字はやるべき事柄をやっていないから非常にふえてきたと、こう一がいにきめつけられておりますけれども、私はその点は必ずしもそうでないと御理解をいただきたいと思います。やるべき事柄は相当いままで各局長が申し上げましたようにやっておりますこと、これまた大橋委員御承知のとおりだと思います。 第一、今日、国民の平均寿命がこれだけに伸びたということは、これはやはり伸びるためには医療費が増加をしたから伸びたのであって、また、平均寿命が伸びてくれば医療費が増加をするのは当然のことだと、かように思います。また、薬剤につきましても、たとえば結核にいたしましても、あるいは肺炎にいたしましても、いままではほとんど処置がなかったというのが、新しい薬の開発等によってもう最近は肺炎で亡くなる者はほとんどなくなってまいった、新薬の開発等によってですね。そして、それが医療に使われるということで国民の寿命が非常に伸びてきている。そのためには、やはり医療費が増さざるを得ないということは、これはもう私はお認めをいただけると、かように思います。 ただ、薬剤の乱用があるんじゃないかという点は、これは深く戒めなければならないと思います。一つは、診療報酬制度がまだ十分でないという点もあるであろうと思いますが、医者は薬剤の利ざやでもうけているというような、私はこれはすべてがそうだとは申しませんが、中にはそう言われてもやむを得ないものもあろう。それには、何としてもやはり医薬分業ということをやる。医者は処方箋を書く、そして薬剤の管理は薬剤師がやるというようにやってまいらなければなるまい。これは抜本改正の中で先ほど来お答えをいたしておるわけであります。 そういうわけでございますから、そういった国民の総医療費の伸びを一体保険料の基礎になる標準報酬の伸びでまかなえるかまかなえないかという問題であります。これは政管はなかなかまかないがたいということで、そこに政管の赤字対策ということが起こってまいるわけでありますから、まあ大筋はそういうことだということは御理解いただきたいと、かように思います。
○大橋和孝君 ぼくの指摘したいと思うのは、いま大臣の把握のしかたがそういうふうにいままでやられているからいけないので、私はもう少しかっちりとした実態調査をし、そうしてもっと自信を持っていってもらいたいということなんです。先ほどあげたように、有病率なんかの変化も見、あるいはまた、いろいろな病気のそういうふうな問題も見、あるいは生活環境と疾病とがどういうからみ合いになってきているか、いまの社会状態の中がどうなっているか、そういうようなことを全部見て、そういうデータをしっかりと持って、そのデータの上に立って自信を持ってやってもらいたいというのが私の言い分であります。たとえば、薬剤が使われていることは、確かに使われていると思うんですよ。これはもう悪いんだと。ならば医薬分業したら——いまちょっと大臣が言われるから、処方せんで医薬分業でぱっと開けば、もうそれで薬を使うことが制限できると思っていたら、これは大間違いですよ。そんなふうな安易な医薬分業をもし大臣が言われるとするならば、もしそんなことをして処方せんを書いてそうしていまのような状態で薬屋さんが調剤をすることになれば、製薬独占の体制が変わらぬ限り、また、売らんかな、こういうふうにやればいいわけですからね。今度は、医者がやるかわりに、薬剤師が引き受けて薬剤師がどんどんと売りつけることになるわけですよ。こんなことで処方せんとあれとを分けたら、薬の乱売とか、薬による治療というものが正しくなるかといえば、ぼくはそれは大間違いだと思うんですよ。そういうようなことをもう少し詳しく分析をして、どこにどうしなければならぬかということを持ってもらいたい。いま言うように、赤字の問題は、これが起こってくるという前に、そういうことをきびしく総合的に分析をし、あるいはまた、いろいろな実態調査を十分に把握をしてやってもらいたい。 同時に、私は、厚生省がもっとこういうふうなことでチェックしなければいかぬと思うのです。たとえば、環境保全のために環境庁長官が新全総を批判してこれをチェックしたでしょう。こういうようなことも、私は、環境庁が環境を保全するためにそういう非常に大きな中をくぐろうとして出たというのは見上げるべきことだと思います。厚生大臣は、やはり国民の健康というものを十分に守ってもらう最大の大臣でありますから、少なくとも厚生省は自信を持ってそういういろいろなデータのもとに立って、こうすべきであると、これで大蔵省に対しても各省に対してもチェックをするような体制、こういうものを持ってもらわない限り、私は国民の健康というものは守られないのではないかと思います。そういう意味で、こういう時期に、ただ安易にどうすれば赤字が防げるかということを、まあもちろんそれを考えちゃいかぬというわけじゃありません。もちろん、赤字があってはなかなかやりにくいでしょうから、それは合理的にどうしたらいいかということは考えてもらってもいいけれども、そういう法案を出してそれを処理しようという場合には、もっと自信を持って、国民の健康をやるためにはこうすべきだというやつを出して、そうしてもっとき然たる態度で、内閣の中の国政全般に対しても、厚生大臣が旗を振らなかったら国民の健康というものを守る上においては動かぬのだというくらいの大臣の強い信念のもとに、自信のもとに、国政を動かしてもらうくらいにしなかったら、日本の全体の国民の健康とか病気というものは守れないように思うのです。ですから、それをやるためには、もう少しいろいろなデータをしっかり持って、ゆるがない態度でやってもらいたい。そういう意味で、ずっといままで統計のほうもいろいろやっておっていただくとは思いますけれども、もっといろいろなところにこまかしい分析を入れてやってもらいたい。それを私は思いついたまま四つ五つに分けてみたけれども、こういうものを見ましても、健康保険の赤字だとか健康保険をどうするかという前にやっておかなければならない問題があげてみれば七つ八つはあるのではないかと思います。そういうことで、データを持って強く当たって、もう大臣が一歩も引かないから、国民の健康を守るためにはこうあるのだ、これはしなければならぬ、大蔵省も金を出さなければいかぬのだということにきちっとなれるようにしてもらわないと、チェックされてあと戻り、チェックされてあと戻りということでは、国民のほんとうにいろいろなむずかしい医療を切り抜けて健康を守れないような感じがいたします。 ですから、私は、きょう特に初めに申し上げたいのは、健康保険の赤字対策の法案もさることながら、その前にこういうような問題を提起をして、そして大臣が腹をくくって国政全般に申し入れをして、かくかくしなければ日本の国民の健康は守られない、こういうのを出してもらいたいと思うんですが、どうですか。
○国務大臣(斎藤昇君) 私も、心がまえといたしましては、大橋委員のおっしゃるような心がまえでおるわけでございます。ただ、先般環境庁というものができまして、そして大部分の事柄は環境庁に移りました。しかし、それでもやはり国民の健康を守るという点からはこれは厚生省の一番大事な役割りであると、かように考えまして、環境庁に対しても私のほうは強く要望をすべき点は要望をすべきであるし、また、いたしつつあるわけでございますが、至らない点は十分御鞭撻をいただきたいと思います。
○大橋和孝君 大臣、ひとつその意気込みでやっていただいて、国民のほんとうの健康を守り抜くためにあらゆるところにメスを入れていただきたいと思います。 次の問題ですが、昭和三十六年に国民皆保険になってからすでに十数年を経ておりますが、現行のこの保険制度というものは不備欠陥だらけで、平たく言うならば、医療保険のありがたみというものは国民は感じていないのじゃないかと、こうまで言うほどではないかというふうに思うわけであります。たとえて言うならば、初診時の負担だとか、入院時の負担だとか、家族療養費の自己負担だとか、ほかに、差額ベッドだとか、付添看護料など、いろいろやってみますとこれはたいへんな問題があります。また、無医地区なんかでは、保険料は納めておるけれども数多くの中でその不備のために医療も受けられないという状態がある。こういうようなことをずっと考えてみますと毎月保険料は支払っているけれども、本人、家族すべて保険で見てもらえるという状態もあり得ないというような姿があちらこちらにある。こういうような不備欠陥を何ら改正することなくして、保険財政の赤字を、患者、被保険者、そして医療労働者にしわ寄せをしてこの問題を処理していこうという今度の案が出ているわけでありますから、そういうことから考えましても、この保険のあり方というものに鋭くメスを入れてみる必要があるのではないか。こういうようなことから考えますと、国民の側の感情からいたしますと、今度の問題に対しても非常に批判的ではないかと思うのです。こういう点を考えてみると、保険の財政の問題と同時に、保険のそういうふうなあり方——実際、皆保険になっておって、保険料の納め方にも公平でなければいかぬし、保険料を払って皆保険になっているのだったらその受ける給付もある程度平等にいけるようにならなければ、国民は、ほんとうになるほどといって赤字にも協力しよう、何にもしようという気持ちにならぬのじゃないかと思うのです。そういう点は、私は、いまの法改正の審議をする中で私は初めにやっぱりそういうこともひとつ考えておかなければいかぬ、そういう意味で、この抜本改正と同時に出してくれということで、今度は出てまいりました。それを見ておりますと、これもまた問題だらけで、そんなことは一向あまり考えられていない。だからして、いろいろな意味でこういう保険というものを見直す、こういうものを一緒に考える必要があって、財政を先に先行さして云々というよりは、保険をよくするということを同時に考えていかなければ、国民が納得して、じゃ、私の少々ふところからでも出しましょうということにはなりにくいと思うのですが、その点、どうですか。
○国務大臣(斎藤昇君) 保険以外でもやるべき事柄がいままで十分でないというおしかりはあると思いますから、やっておるわけでございますが、いまの無医地区の問題にいたしましても、大体知恵のしぼれる限りやっているというのが今日の現状であります。しかしながら、医療の供給体制は十分でない。これには、先ほどもお話がありましたように、医師やその他の医療従事者の充足の問題から、医療機関の整備の問題から、いろいろ山積をいたしております。これは医療基本法をつくらなくても逐次やるべきものはやっておりまして、本年も相当予算面でも見てやっておりますが、さらに基本的に計画を立てて考え直そうというので医療基本法を御審議していただきたいといって、これは非常におそくなりましたが出しているわけであります。医療保険制度も、一挙に理想的なものにするということはなかなかむずかしいことは、私よりも皆さんのほうが御存じのはずであります。そこで、まず手がけられる点から手がけてまいりたいというのが今度の医療保険の抜本改正でありまして、そこで、十分御議論をいただき、そしてよりよい医療抜本改正を実現していただきたい、かように思います。
○大橋和孝君 先ほども当初に触れましたが、私は、厚生省というのが一番国民の健康を守る、そういうふうなほんとうの責任者であるし、一番それに対して取り組んでもらっているわけですから、健康を高めるという考え方、健康を保障するという考え方から、先ほど申したように、いろいろなデータのもとに、厚生省が一番こうしなければならぬのだというものを出してほしいわけですよ。どうも、このごろ、基本法を見ましても、何を見ましても、あれでわれわれ国民が、ああ、なるほどな、これでわれわれの健康が守れるのだという受け取り方はできぬでしょう。患者負担せい、あれをせいということばっかりが出てきてですね。それなら、いろいろ実態調査をした、かくかくしかじかだ、だからこうしなければならぬというのは少々むずかしかろうがむずかしくなかろうが、将来の展望はこれなんだと、だからして、段階的にこれとこれとこれというふうな段階を追ってこういうふうにしていくのが国民の健康を守る上において一番必要なんだと、人口の変化もこうなっていく、あるいはまた疾病構造もどうなっていく、あるいはまた生活環境から何からどうなっていく、いまの公害の日本ではどうなっていくというふうなことをずっと考え合わせて、今後こうやってこうやってこうやってこうやっていってはじめて国民の健康は守られるのだよという、そういう制度をここで打ち立ててこれを示さなければ、今度の抜本改正の内容をちょっと見せてもらった程度では、私は、厚生省から出されるものはもうちょっとりっぱなものを出していただけぬものかなという感じがいたします。しかし、これは私ども党の中でもいい抜本改正をつくろうといっていろいろなものをやっていますけれども、なかなかむずかしい、もちろんわれわれは能力がないから当然そういうところにぶつかっておりますけれども、しかし、われわれなりにはやっていますけれども、それはおそらく厚生省から見られたら子供のように見えるかもしれません。けれども、努力はいたしております。少なくとも厚生省がこれだけの大きな組織を持っておられて、そして、いま私が申し上げているようなデータをきちっととられて、そして、こうあるべきだあああるべきだということをやれば、かなりりっぱなものを出してもらえるもう時期ではないか。先ほどから申しておるように、三十何年からこの保険がスタートをしてから、皆保険になってからでも久しいわけですから、私は、ここのところで考えてもらいたいと思うんですね。これはぜひひとつ、財政問題もさることながら、国民の健康を守るためにはかくかくいたしますよ、これをせなかったらだれが言うたって断固がんとして下がらないというものを何とかつくってくださいな。私は、それがないことが、今度の財政問題を審議する上においても、また、いま大臣がおっしゃるような基本法なりあるいはまた抜本改正なりというものを見て、ほんとに国民のサイドから、これで私どもの健康が守ってもらえるいい制度だ、これ以外にはおそらくなかろうと納得してそれに協力できるというものではあり得ないと思うんです。ですから、そういうことから考えて、ここで、この抜本として出されてくるいろいろな問題を含めて、一つにして十分に考える時期ではないか。軽々しく財政問題だけを審議をして、ああ、それでオーケー、オーケーということにはならぬと思うのですね。そういう意味で、私は、この保険の問題を審議するにあたって、一ぺん厚生省全体に考え直してもらって、そして、もう少し自信を持って、いまの行政の中でヘゲモニイをとって、そして国民の健康と、病気をなくしてほんとにしあわせな状態をつくるためのかくかくしかじかというもののプランを立てて、それを段階的にどうやってやるというようなものを打ち出してもらいたい。これは私はどうしてもやってもらいたいところだと思うのですが、どうですか。
○国務大臣(斎藤昇君) 国民の健康を保持し、これを守るのは、私は、医療保険制度だけではないと思います。医療保険制度はほんの一部分である。これは、医療にかかる費用を一時的にたくさんかかるものをどうお互いに相互扶助で保険でまかなっていくかという、いわゆる費用の負担のやり方であります。これもうまくまいらないと医療にもかかりにくいということになりますから、これは一つの大きな役割りになりますけれども、しかし、医療を確保するということは、やはり十分な医療の供給体制を整えるということであろうと、かように思います。いま提案をいたしております医療基本法は、これはまるで原理原則みたいなものを書いているわけであってそこからは直ちに何も生まれてこないじゃないかとおっしゃるのは、それはそのとおりだと思いますが、その原理原則の上に立って、そうして長期計画、短期計画を立て、学識経験者の意見を聞き、そして年次計画を立て、そして方針をきめていくという根本的なやり方をやっていくのがいいのではないであろうか。こちらでこれが必要だ、あちらであれが必要だということで、何といいますか、思いつきと言っては悪いですけれども、必要にかられてやっていくというのでなくて、もっと根本的に見直そうと、そうしてその基礎をつくってもらおうというのが医療基本法であります。完成をしてそうして真に国民の医療に役立つような供給体制が整えられるには、これは相当の年月とまた費用も要するであろうと思います。しかし、そういうものがありませんと、いろいろ言われておっても、やることがびほう的になりやすいと、こういう考えで医療基本法を出しました。社会党さんの考えておられる医療基本法とは若干違うかもしれません。しかし、それらを私らのやつも俎上にのぼせていただいて、そうしてよりよい医療の供給体制を整えていくというように私は御審議をいただければありがたいと、そういう場をつくっていただきたい。したがって、ただ財政対策法案だけ通してもらったらよろしいという考えでは毛頭ございません。あれは、ほんの、いまさしあたって困っている点を何とかいたしたい。しかし、それはほんの一時のことであって、恒久的には抜本改正、基本法、これをもとにして、そうしてよりよく国民の健康を守っていくという基礎づくりをやっていただきたい、かように思いまして、したがって、抜本改正も、医療基本法も、この国会ではもうほとんど時間がございませんけれども、ずっと引き続いて御審議をいただきたいと、かように思っているわけであります。
○大橋和孝君 考えてみれば、今度の財政問題も、いま大臣がおっしゃるようなほんとうに国民のそういうふうな健康を保持する目的で健康保険法そのものが一部であるならば、あるいは公費負担なりいろんな問題を周辺に置いて、それをこういうふうにするんだというものでマスタープランというものが要るわけなんですよ。そういうことでやっていただくならば、私は、今度の財政問題なんかは、あまり問題にしなくても全部片づいてしまうような感じがするんですね。財政を先に掘り出さなくても、抜本的にこういうふうにしてやっていくということになれば、この赤字そのものがもう解消してしまうような状態が起こってくるわけですよ、この抜本の中で。そういうことから言えば、卵が先か鶏が先かということになるので、抜本のほうを先に持ってくれば、赤字なんかはほっておいても自然に解消するんだと、こういうふうなことも考え得るわけなんですから、そういう意味も含めて、マスタープランを明確にして、そうしてそれを段階的にどう処理するかというふうな形で、それの問題の置き方は、保険主義的な考えじゃなしに、ほんとうに病気だけじゃなくて、健康というものを問題に置いて、その中でどういうふうな位置づけかということを明確にして、それには、実態調査なりあるいは統計調査なり、正しいものをそこに持っていって、それの上に立っての将来の展望を持ってそこでつくると、こういうことが非常に望ましいことでございますので、私の考え方はそういうふうな大臣のおっしゃっている考え方とは別な考え方で、抜本を主に置いてそういう方面からいけばそれが解決をするというそういうふうなことも考えられますので、よく考えをそういう方面にも回して考えていただきたい、こういうふうに思うわけであります。 それから私はここでちょっと方向を変えまして、生活保護世帯の動態調査について見てみますと、昭和四十五年の九月一日現在、これがいまのところ一番新しいようでございますから、それによりますと、いわゆる生活保護の被保護世帯に転落する事由として、全体を一〇〇といたしますときに、世帯主の疾病によるものが六八・五%、家族の疾病によるもの一二・四%と、こうあるわけであります。その他の収入減少、死亡、離別その他に比べますと、八一%いう驚くべきパーセントが結局疾病による貧困によって生活保護に転落をするという状態ですね。こういうところを見て考えますと、病気になることがいかに生活を脅かすことかということがよくわかるように思います。 それからまた、この動態調査にもはっきりとあらわれていますように、いまの生活保護に八一%が疾病によるということでありますからして、現行の医療保険制度がいかに不備であるかということもまた一面からいえば私は言えるのじゃないかと思います。皆保険でうまく制度がいっておるとするならば、この生活保護に転落をしないような何かのすべはないものか、いまのような社会の経済の発展状態から考えると、いまのところで皆保険がしかれておって、しかも生活保護になる人の中に病気が八一%のウエートを示しておるということは、私はこれは非常に問題があるように思います。だからして、そういうことから考えますとたとえば、勤労者が定年まで政管健保で、定年後にみな国保へ移管されていくような問題、あるいは給付や負担に格差がある問題、あるいは保険が一本になっていないというような問題、いろいろなことから考えてみますと、保険の中でもっと分析をして、もう少しそうしたことを食いとめるというような保険の仕組み、こういうものを変えるべきではないか。こういうものがあったなならば、そうまでならないようなことが何とか歯どめできないのか、私はこういうふうに思いますと、保険のそのものの仕組みを考えてみなければならぬのじゃないか。そういう意味では、この抜本の中で保険というものの仕組みももう一つ大きなウエートを示しておるから何かしなければいかぬのじゃないかという感じがいたします。その点、いかがですか。
○国務大臣(斎藤昇君) 生活保護の統計を見まして、いわゆる生活保護から浮かび上がっていく人、また生活保護に転落をする人、その統計を見まして、私も一応いま大橋委員のおっしゃるようなことを考えてみて、そしてどこに原因があるのであろうかということを追求をしてみました。結論は、これは医療保険が不十分であって、たとえば一部負担が十分支払えないそのために生活保護に転落をしたというよりは、やはり働き手が病気になって働けなくなった、いわゆる収入が入らなくなったということですね。それは、政管健保であろうと、あるいは組合健保であろうと、国保であろうと、本人が働いておられれば、働いておられる収入があるわけでありますが、働けなくなって、医療費はその保険で見てもらっても、もう生活の資が得られないということでいわゆる生活保護に入ってこられるという方が大部分でありますから、これは医療費をどう払うかというよりも、やっぱりそういう人の生活費ですね。もう月給ももらえなくなった、会社はやめなければならない、役所をやめなければならない。あるいは、国保であっても、いままで働いていた一家の柱が病気になって働けなくなって、全然収入が入らなくなってしまうということでやはり生活保護に入ってくるということだというように突きとめまして、これはやむを得ない。もしいまの保険給付が不足であって、そのために一部負担の負担が重過ぎて生活扶助を受けなければならぬという者もなきにしもあらずと、かように考えまして、その点では、今度の抜本改正で高額医療は保険で給付をして、月三万円以上もかかる、十万もかかるというようなものは保険で給付をして、そして本人の自己負担にならないようにしていけば、その一助にもなるであろうと、かように考えますが、大部分はその生活の資が得られないということが主たる原因のように、分析の結果、私は結論を得た次第でございます。
○大橋和孝君 いまのような場合でも、それは働き手が収入がとだえることもあるでしょう。また、家族の人も相当のパーセンテージ、一〇何%あるわけですから、そういう方は収入があってもいろいろなことで生活が苦しくなるわけですから、私は、いま申したように、健康を保持するという立場を考えると、もちろん保険でそれを全部やるわけじゃないにしても、病気で転落するとすれば、医療全体の仕組みの中でそういう人たちにもある程度の生活保障ができるようなものがないと、これは病気になってとだえたら生活保護に落ちるのはあたりまえだということにも相なると思うわけですし、そういう点から言えば、健康保険の中に含むものの中で、先ほど高額医療に対しては補助をすると大臣は言われましたけれども、それは一つの方法であって、もっと何かの方法を考えれば、そういうような非常に生活に困るような人に対しては、もう少し何かするような方法も考えれば考えられると思うのですね。それをどうするかということがやっぱりリマスタープランをつくるときの一つの考え方だと思いますから、そういうことまでこういうことを考えない限り、ただ単に保険財政を先に置くというところに私はそこのところにもう一つひっかかるものがあるので、そういう問題も提起したわけであります。特にそういう点は配慮をしていただきたい、こういうふうに思います。 それから三十一年に、社会保障制度審議会が社会保障制度に関する勧告についてというものを出しています。この中に数々の指摘がされていますけれども、医療保障の現状から始まって、財政計画、あるいはまた医療保険の不備など、多くの有効な指摘をしているわけでありますが、特に、その第一章の二に社会保障と社会保険で、世界的動向として社会保険から社会保障への道が推し進められているといって指摘しているわけでありますが、保険主義を否定するものではないにしても、国の責任を明確化する点においては、現行の制度、あるいはこの四十年代の健保等、保険制度の改正案は、常に少額の国庫負担と多額の被保険者あるいは患者負担によってまかなう、こういうふうな形がとられてきているわけであります。それでありますから、社会保障主義が世界的動向であるにもかかわらず、私も数次にわたる西欧、東欧の状態を見てまいったわけでありますが、いまのような日本のGNPの状態からいえば、西欧並みのようにもっと保障的な観点からこれを考えなければいかぬし、いまとしては保険主義に徹するのではなくて保障主義に徹したものに転換すべき最もいい時期だと私は考えております。こういうことが徹底すると、またいろいろなそういうふうな方面にも画期的な変化があらわれてくると思いますから、もう一つ思い切って社会保障主義に切りかえていこうというお気持ちはありませんか。
○国務大臣(斎藤昇君) 私は、医療保険もしかし社会保障の一つのやり方だと、かように思います。医療費は患者負担とおっしゃいますが、患者負担でなくて、被保険者全部の負担ということであって、これは相互扶助によってお互いに助け合おうということでございますから、もしこれを全部地域保険にしてしまって一本にしてしまえば、全部これは保険料あるいは保険税というので一本で取られてまいる筋合いのものであって、これも私は保障の一つのやり方だと、かように考えます。しかし、それは、いわゆる被保険者の保険料というだけでなしに、それにさらに公費を継ぎ足せという問題もありましょう。しかし、保険の外に置くべきものもあると思います。医療扶助は全額公費で医療扶助をする。保険の外にはずしておる。また、そのほかに、社会的な原因によって発生してくるような病気、また、社会防衛的に必要な治療というようなものは、これは保険からはずして公費で全部やるという意見もありまして、今後は、私は、そういった保険からはずして公費で負担をするという面が相当増加をしてまいるべきであり、また、さようにまいるのがこれからの社会情勢であると、かように考えております。
○大橋和孝君 いろいろと考えてみますと、大臣もよく御存じのように、保険主義でなくて保障主義だと言われますけれども、やはり公にそうした負担をする。特に、いまおっしゃるように、地域医療にするならばとおっしゃるけれども、そういう中には私はまたいろいろな考える道があると思うのです。これはまたいろいろ議論になりますから、きょうはよしにしますけれども、そうした意味で私は、もう少し健康を増進さす、健康のレベルアップをするという観点からいろいろなものを仕組まないと方法が間違うので、特にそういうことに合わせていろいろな問題を提起さしてもらっているわけでありますが、こういう観点で保険の、いままでの答申の中にもあるように、そういう行き方を方向を変えてもらう時期だ、こういうことも一つ私は特に指摘をしておきたいし、特に考えていただきたいと、こういうふうに思います。 それから政管健保を筆頭にいたしまして、国保だとか日雇い健保、こういうようなものは予防給付が全然行なわれていない、別のことばで言えば、大臣も言われましたようないわゆる包括医療がなされていないわけであります。また、病気になってその保険で一生利用できるのは、実際は被用者保険では困難であります。ですから、保険というものがときどきとぎれていくのも、いろんな段階に変わっていくのも、これは非常にむずかしいわけでありまして、そういう点から、先ほど申した、ように、地域的なものに一つになる。あるいはまた、そういうことに対しては大きな資本の利益というものの中からもそういうものに負担をするというような形で、負担の公平とそれから給付の公平というものを出すようなものが必要でありましょうし、そうするためには、もっといろいろな資料をもとにして、各種の保険というものをどういうふうにしていくかということがもっともっと前向きに出される必要がありますので、いまのような時期に対してはこういう問題も非常に必要だと、こういうふうに私は思うものですからこういう点もからめて、予防医療、あるいはまた健康管理、こういうようなものがもっといろいろなところに出てまいって、そして包括医療といいますか、一貫した医療がこういうところにもずっと出ていけるという、そういうようなマスタープランがこういう時期にぜひ必要である。そういうものが先で、もっと先行した考え方を持ってもらわなければいかぬというのが第一点であります。 それからもう一つ申し上げたいのは、国公立医療機関でさえ、保険以外の差額ベッド料とか付添看護料、いろいろなもので経済負担に耐えかねているというのが患者の実態だと思うのでありますが、数年前私が本委員会におきましてもその点についていろいろとお話し申し上げたように、厚生省はこれを指導してなくしていくと言っておりながら、なかなかそれが解消されておりません。少なくとも公の病院でほんとうに指導的な役割りをするならば、そこらにおいてもやらないといけない問題はあると思うのです。私は、そういう意味で、こういうような問題を十分に考えて、これも早く手をつけてやってもらわなければならぬ問題だと思います。 それからもう一つ、私はもう時間がありませんからこれでとめたいと思いますが、今回の健康保険の財政対策の問題の中で、今度国庫負担を定額から定率に変更されて、いままでは二百二十五億であったのを、衆議院の修正案では一〇%となって、これは四百三十六億です、七月実施として。こんなふうになってきたわけでありますけれども、これは被保険者負担が増加するのを一方では見ていてそうしてこうした修正が行なわれてきておるわけであります。本国会で提案されている抜本改正の中には家族給付の問題なんかもほんのちょっぴりしか出ておらないし、いろいろ先ほどから申したように、抜本改正の問題とからめてということが相当大きく国民の中では批判をされておりますからして、私は、こういう今度の衆議院から送られてきた案を見ましても、そう軽々にこの問題だけをするのじゃなくて、先ほど申し上げたような問題を踏んまえて、そうして、言うならば改悪案というようなふうに言わるような案ではなくして、ほんとうに抜本的な、何と申しますか、根本的に国民の健康を高めるような案というものを示してやってもらわなければならない、こういうふうに私は思うわけであります。 特に、医療基本法なりあるいはまた抜本改正が今度の財政の問題と三位一体となってその内容が高まる、こういう医療改革の方向へ向けて三つが一つになってりっぱなものがつくり上げれるように私はしてもらいたいと思うわけであります。そういう意味で、政府といたしましては、医療供給体制、あるいはまた医療のあり方、その内容、こういうものを国民の健康を高めるという観点で大臣に考えていただいて、そうしてこの問題を処理してもらいたい。だからして、ただ単に赤字財政の問題を確立したらそれからだというような、それはもう本末転倒と感じますので、私は冒頭にあたって今度の問題を審議する前にそういう考え方を強く大臣に要望しておきまたいと思います。これに対する大臣のお考えを聞いて、私の質問を終わります。
○国務大臣(斎藤昇君) ただいまの御意見は、私も全く同感でございます。そういう意味で、財政対策法案と抜本改正とそれから医療基本法と、この三つを同時に提案をいたしたかったのであります。ただ、関係方面との調査がおくれましたためにあとの二法がおくれまして、御審議にたいへん支障を来たしておることを申しわけないと思っておりますが、基本的な考え方はいまおっしゃるとおりでございます。多少あと先にななりましても、あとの二法案も時間をおかけいただいても十分御審議をいただいて、そしてよりよい抜本改正、よりよい医療基本法にしていただきたいと、かように思います。
○委員長(中村英男君) 本案に対する本日の審査は、この程度といたします。 —————————————
○委員長(中村英男君) 身体障害者福祉法の一部を改正する法律案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。斎藤厚生大臣。
○国務大臣(斎藤昇君) ただいま議題となりました身体障害者福祉法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。 身体障害者福祉法は、昭和二十四年に制定され、その後逐次その内容の充実が図られてきたところでありますが、今回、さらに身体障害者の範囲を拡大するとともに、身体障害者更生援護施設に関する規定を整備し、重度の身体障害者に対する援護措置の強化をはかることといたしまして、この法律案を提案した次第であります。 以下、この法律案の内容の概略について御説明申し上げます。 第一は、身体障害者福祉法に規定する身体障害者の範囲の拡大についてであります。現在、身体障害者福祉法においては、視覚障害者、肢体不自由者等の外部障害者のほか、心臓または呼吸器の機能に重度の障害のある者をその対象としているところでありますが、今回、身体障害者の範囲に新たにじん臓の機能に障害のある者をとり入れることとし、必要な場合には、人工じん臓による人工透析医療につきまして身体障害者福祉法による更生医療の給付の対象とすることといたした次第であります。 第二は、身体障害者療護施設に関する規定を設けたことであります。すなわち、身体障害者であって常時の介護を必要とするものを収容して、治療及び養護を行なう施設として、新たに、身体障害者療護施設を設置し、重度の身体障害者に対する援護措置を充実することといたしたものであります。 その他市町村が身体障害者更生援護施設を設置する際の規制を緩和する等の改正を行なうことといたしております。 以上がこの法律案を提出する理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(中村英男君) 以上で説明の聴取は終わりました。 本案に対する本日の審査はこの程度といたします。 —————————————
○委員長(中村英男君) 次に、社会保障制度等に関する調査を議題といたします。 質疑のある方は、順次御発言願います。
○藤原道子君 私は、療養所の給食費についての御質問をしたいと思います。 〔委員長退席、理事鹿島俊雄君着席〕 きょうは時間が朝からでたいへんおそうございますので、簡単に御質問申し上げますので、御答弁もそのつもりでしっかり明確に御答弁をお願いしたいと思います。 昭和四十七年の二月一日から厚生大臣の告示によって医療保険の医療費の全面改正が行なわれ、基準給食費一日四百十円が百四十円引き上げられて一日五百五十円になったわけでございますが、そのことに間違いございませんね。
○政府委員(松尾正雄君) 特別食を除けば、そのとおりでございます。
○藤原道子君 普通給食の場合は一日四百円、基準給食の認可を受けると一日百五十円の加算が認められて計一日五百五十円、こういうわけですね。ところが、私は、これの内容についてどうも納得のいかない点がございますので、その点をお伺いしたいと思います。 物価高の今日、基準給食の純材料費が、国立療養所では、一日二百三十五円が二月一日から二百四十三円になり、さらに四月一日から一日わずか六円引き上げられて一日二百四十九円です、ところが、都立の府中病院では、給食の純材料費が、一日二百四十七円が、二月一日から三百二十七円に引き上げられている。そしてまた、一般私立病院では、平均いたしまして一日三百五十二円、こういうふうな状態にあるわけでございますが、ほんとうならば国立療養所が模範を示すべきであるにもかかわらず二百四十九円、都立は三百二十七円、そして一般私立病院では平均いたしまして三百五十二円、こういうふうになっているのはどういうわけか、その理由を伺わしていただきたい。
○政府委員(松尾正雄君) 御承知だと存じますが、健康保険の点数がいろいろときめられましても、基準給食費については、一定のカロリーなり、たん白なり、そういったものを保たなければならないと、こういう制限はあるわけでございます。ただし、そのために幾らの材料費を各病院が使わなければならぬかということは、保険のほうでは何も規制されておりません。したがいまして、適当なそういう所要量が確保できる費用を各病院は組むと、これが原則でございます。 それで、いまお話しのように、国立病院・療養所等は、四十五年、四十六年、四十七年と、それぞれ物価の値上がりに応じまして改定をしてまいっております。ところが、御指摘のような東京都の場合でございますと、この間、診療報酬の値上げの上がったときには上げているようでございます。しかし、その間実は横ばいの足踏みと、こういう状態もあったように聞いております。この辺の問題がいわばどういうふうに考えるかということでございますが、私どもは、少なくとも患者給食というものが基準給食であれば、それの必要な所要量というのは常に供給しなければならない、これがもう大原則でございます。したがって、かりに診療点数が上がらなかったという途中の年度でございましても、給食とい 以上は、私どもはやはり最低限度物価のスライド等はやらなければならない、こういうふうに考えております。したがいまして、診療報酬見合いだけで点数を考えるということは少なくとも妥当じゃないのじゃないかということで、私どもは年々診療報酬のあるなしにかかわらずそういう改定はしていかなければならぬ、こういう基本的な姿勢でおります。
○藤原道子君 ところが、結局、基準給食の定義では、「一般に患者の病状と嗜好とに適するように必要な注意が払われ、栄養量は普通患者成人一日について二、四〇〇カロリー、蛋白八〇グラム、脂肪二〇グラム以上」というふうになり、しかも、これに対しましては「補食を必要としない給食内容」であることが規定されているのですね、ところが、こういう規定でございますが、材料はどんどん上がるものだから、どこへ行っても油っこいものが非常に多いんですね。ですから、ここに——時間がないから私も急ぐのですけれども、予定の献立表があるんです。これをずっと見ますと、ほとんど生野菜等がない。油であげたものが非常に多い。ところが、患者は、寝ている人たちは、特に油っこいものは好まないですね。したがいまして、生野菜がほとんどつかないために、自分たちが野山から草を集めてジュースをつくって、そうして十三人が中毒を起こした事件が先月国立東京病院で起こっている。無理ないと思うんですよ、この予定表を見るとね。十日間で生野菜というのは二カ所ぐらいしかない、生野菜は高うございますから。私も健康を害していま医者にかかっておりますけれども、なるべく野菜を食べてほしい、生野菜を食べてほしい、こういうふうな注意がある。ところが、この献立表を見ますと、生野菜がほとんどないんですよ。十日間に二日くらいしかない。こういう状態ではたいへんだと思うんです。したがって、補食をしなくても済むようにということが規定されておりますにもかかわらず、国立の療養所では残飯がたくさん出る。ごらんになったことがありますか。残飯はすごいんですよ。油っこいものは食べたくない。ことに、寝ている人たちは、油っこいものは、私も入院した経験がありますけれども、あまり食べたくございません。こういうことで、この物価高にわずか十四円材料費を引き上げられたにすぎない。こういうことでは、青野菜がほしくて自分たちが山へ行って集めてきた草でもってジュースをつくって、十三人も先月中毒を起こしております。こういうことになれば、これはたいへんな問題であろうと思います。と同時に、外に食べに行く傾向が強まって、療養生活そのものがくずれている。こういうことに対して、どのようにお考えでございましょうか。 〔理事鹿島俊雄君退席、委員長着席〕
○政府委員(松尾正雄君) 私どもも、急性の病人と違いまして慢性の方々というのは、特に食事というものには非常に関心があり、かつまた、楽しみでもあるわけでございます。そういう意味で、療養所の給食というものには特別にやはりこまかい配慮をやるべきだということを念頭に置いております。いま残飯の話も出てまいりましたけれども、ただいま私どもが全国的に国立療養所として把握いたしておりますのは、大体一〇%ないし一二%の残飯でございます。ただ、これをできるだけ出さないということが大事でございますので、いま御指摘がございましたように、いろいろ嗜好というものがたくさん患者さんでは違っております。したがって、同一の献立を出せばこれはきらいだというのでみんな食べられない、こういう傾向もございますので、いわゆる複数献立、二つ以上の献立というものをあらかじめつくりまして、できるだけその好きなほうを選ぶと、こういう選択の自由を集団給食の中でも取り入れるということに配慮をいたしております。 それからまた、特別食といたしまして特別の患者さんにはいろいろな症状に応じたものを出さなければなりません。しかし、保険のほうのきまりでは、ある一定の条件に合わなければいわゆる特別食というものは点数として払ってくれないわけでありますが、必ずしもそういうことだけにこだわらぬということが病院のあり方でもございませんので、したがって、国立療養所でも、そういう特別料金の請求できないような特別食というようなものを一般の料金の請求できるものとほぼ匹敵する程度にやっております、こういったことも、やはりこういう患者さんの個々の実態に応じてできるだけ給食をすべきだということからあらわれているわけでございます。 ただ、いまの御指摘の点は、端的に申し上げれば、給食の材料費がまだこれだけでは不足ではないかという御指摘だと存じます。これについては、私どもも、先ほど申しましたように、基準の栄養量という点からいえば、ある程度のことは満たしておるわけでございますけれども、さらに、いま御指摘のように、生野菜の問題、いろいろな問題がございます。こういったようなものが栄養量的に不足でもあり、そういうことであれば、これはやはり内容改善といたしまして私たちも改善するように来年度の要求をやらなければいかぬと、その辺は十分こまかい点を検討いたしまして努力をいたしたいと思います。
○藤原道子君 いま局長のおっしゃった一〇%、二〇%の残飯ではない。私は実態を見せていただきました。そういう状態ですから、ひとりお考えになっていただきたい。 と同時に、外食ですね。補食ですね、これが非常に多いのです。でございますから、生活保護法の患者が五千円の手当が出ますね、それをほとんど補食に使っているというのが実態でございますから、ぜひお調べになって、そして是正をしていただきたいと思います。 基準給食の定義では、「一般に患者の病状と嗜好とに適するように必要な注意が払われ、栄養量は普通患者成人一人につき」云々とさっきのが出ておりますが、厚生省は、栄養、カロリーについては報告を求めておりますが、内容については報告を求めていないようでございます。やたらにカロリーを高めるために油っこいものばかりつくり、魚でも焼いただけでおいしいようなものでもわざわざてんぷらにしてカロリーを上げている、こういう例がございます。しかし、重症患者にはとても食べられるものではなく、ことに冷たくなったてんぷらなんていうのは、お互いだって食べるはいやでございます。どうか、そういう状態をお考えいただきまして、元気な患者でもほとんど残しておるということでございます。国立の残飯量は極端に多い、こういうことでございますから、生活保護患者にしてもそういうことをやっておるのですね。こういうことをお考えになって是正してほしいと思います。ですから、ある病院のごときは、材料費を現金で買うと安くなる、そういうことで内容を高めるようなことを行なっておる病院もあるようでございます。ことに国立は全国的に模範を示さなければならないところでございますからということで、私は特にこの点をお願いしたいと思うのです。 実は、ことしの三月の十三日だと思います、都患同盟から陳情がございまして、ぜひ大臣に合わしてほしい、こういうことで大臣を政府委員室へおたずねして面会したことがございます。そのときに、大臣にこの実情をお話し申し上げたら、大臣は、あなたたちの指摘はもっともだが、どうしてこういうことが起きたんだろう、事務担当者と相談して回答したいということをお答えになったわけです。ところが、その後私も病気のためになまけておりましたから、まだその回答は伺っておりません。こういうことで、患者にしてみれば、実にたまらない気持ちに追いやられて、一体、ほかがこれだけ使える金を、政府は、国からは出ているんだから、その金を何に使っているんだろうか、こういう疑いがいま起きているようでございます。 そこで、基準給食費と純材料費の比率でございますが、四十三年度には、国立で六一%、都立では六〇%。四十四年には、都立も国立も六三%に上がっておる。四十五年度では、都立は六〇%、国立は五四%。四十六年に、都立は六〇%で、国立は五七%。ところが、今年度になりまして急速に、ここにございますけれども、都立は五九%、国立は四五%ということは、患者さんたちが納得がいかないわけで、私といたしましてもどう考えてもわからない。結局、からだの弱い人、特に結核患者のごときにおきましては、栄養が一番大事だと思います。化学療法も大切でございましょうが、栄養というものを真剣に考えなければ、ただ収容をしている、患者は山へ行って草を掘ってくる、あるいはありもせぬ小づかいを無理にして補食をしている、そして、病院から出るものは、骨を折って出すにもかかわらず、残飯残飯がふえていくということは、私は許すことができないと思いますので、きょうは時間がないようでございますけれども、こうした材料も入りましていろいろ見たら、この献立表ではなるほどなあということを考えまして、委員長に無理を言って質問の時間をお許しをいただいたわけなんです。そうすると五百五十円で、まあいままではその中から六三%使った時期もあるのに、四五%で事足りるとお考えでしょうか。と同時に、その残った金はどちらの方面へお使いになるのか、これをお聞かせ願いたい。
○政府委員(松尾正雄君) 先ほども申しましたように、点数がこうなりましたから材料費は幾らにしなければならぬということは、保険の世界では何もきまっていないことでございます。したがって、あくまでその基準の栄養量というものに十分到達する、先ほど先生もお読みになりましたようなそういうことが達成できるような中身でなければならぬ、これはもう当然でございます。 問題は、国立療養所の二百四十九円が、いまいろいろ御指摘がございましたように、いろいろな点でまずい点もあるようでございます。私どもはやはり、患者さんの食事というものは、食べてもらう食事でなければならない。つくった食事じゃだめでございます。これはもう言うまでもございません。したがいまして、単に、いまてんぷらの話も出ましたが、私は少なくともカロリーの見せかけだけあればそれでよしとする給食というのは本来の姿ではないと思います。かりに見せかけが減っておりましても、食べる量がふえれば、からだの中に入る量はうんとふえるという実例はたくさんございますので、そういったことが、特に重い患者さんあたりについては、嗜好を十分尊重しながらこまかくやらなければいかぬという問題であると思います。したがいまして、そういったようなことはやはり基本的な理念でございますので、いまの私どもがこれで完全に十分だといつも思っているわけではございませんけれども、いろいろ内容を改善していく、そういったようなことにこれからいろいろとこまかい注意を払いまして、さらに十分納得のいきますような十分なサービスができるような内容にしていきたい、かように存じます。 同時に、また、物の買い方にしても、ただいま御指摘がございましたが、漫然と買っていれば、これは幾ら予算があってもうまくいかないことは、もう御承知のとおりでございます。そういう買い方の問題、あるいは調理のやり方の問題、嗜好調査の問題、いろいろなことが全部御指摘のような有効な使い方に響いてくると存じます。そういった点は総合的にわれわれも十分努力していきたい。同時に、内容につきましても、できるだけ改善をはかるように努力いたしたいと思います。
○藤原道子君 きょうは六時半までというようなことでございましたので、もっと伺いたいけれども、とにかく中心問題だけを申し上げまして、ぜひお願いしたいことは、健康をいためている人には栄養ということは非常に大事なことでございますから、ことに、国立の例をならって、国立だってこうじゃないかというようなところも出てくるわけでございます。そういうこともお考えいただきまして、さらに、先ほど申し上げましたように、カロリーだけをお調べになるのでなしに、内容についてもたまには資料を出さしてそうして御検討していただきたいと思うのです。 大臣にお願いしたいことは、なかなか医務局長としても仕事が各方面にございますからたいへんだろうと思いますけれども、こういう点があることは、結局、療養所としての使命が的確に果たせないということになろうと思うのです。これに対して、大臣がこの前私にお約束いただきました担当者と相談して返事をするとおっしゃったこと、そしてまた、いまの簡単な質問でございますけれども、これに対してお感じになったこと、今後どうしていただけるかについて、大臣の御答弁を伺いたいと思います。
○国務大臣(斎藤昇君) 各病院・療養所によっていろいろと違っておると思いますが、要は、患者の立場に立って、患者が喜んで食べるという親切心が一番肝心であろうと思います。いま医務局長も申しましたように、カロリーが何ぼあるとかなんとかいうよりは、やはり喜んで食べる。カロリーがなくても、喜んで食べれば、それは私は身についていくと、かように思います。したがって、そういう意味で、もっと親切な気持ちで食事をつくるようにということを十分さらに徹底させるようにいたしたいと思います。
○藤原道子君 私、さっき申し上げましたけれども、生野菜がほしくて中毒を起こした人がいる。それから都立病院あたりではナツミカンがつくようです。こういうことも、果物を食べろ食べろと医者は言いますよ、私たちにね。そういう点で、そういう配慮もしていただきまして、療養所へ入っておれば、保険で入っている人もいろいろあるでしょうけれども、安心して栄養がとれるような方向をお考えになっていただきたいということを強く要望いたしまして、きょうの質問は終わりたいと思います。 委員長、どうもありがとうございました。
○委員長(中村英男君) 他に御発言もなければ、本件に対する本日の調査はこの程度といたします。 —————————————
○委員長(中村英男君) この際、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。 労働問題に関する調査のため、株式会社本山製作所における労働争議に関する件について、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中村英男君) 御異議ないと認めます。 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中村英男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後六時三十八分散会 —————————————