社会労働委員会 第18号
- 発言数
- 267 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1972/05/30
会議録
○委員長(中村英男君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。 老人福祉法の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○田中寿美子君 老人問題は現代の最大問題になってきていると思います。いまの時代に生きる人間にとって、いかにして安らかに生き、いかにして安らかに死んでいけるかということは、これは重大な問題になってまいりました。それはもうみんなが承知しておりますように、人口の老齢化が急速に進み、一方核家族化がどんどん進んで、それにこのごろは共働きが非常に多くなっております。ですから、老人がひとりぼっちにされるというような事態がたくさん発生しているので、老人問題は緊急を要する事態になっております。で、先日も交通事故にあった老婦人が被害者と加害者の間であっちこっち担架に乗せられたり戻されたりするというような、全く人間のすることでないようなことが起こるような事態になって、まさに現代のうば捨て山といいますか、あるいは楢山節の現象が出ていると思います。しかし、これは私どもにとっても人ごとではありませんで、老人問題というふうに考えるのは、私はむしろ不十分なことである。われわれ現代に生きている人間あるいは人類全体にとっての老齢期の問題というふうに考えなければならぬのじゃないかと私思っております。で、厚生省の統計でも、寝たっきり老人三十五万、一人きりの老人六十万という数が出ております。そこで今回の老人医療費の無料化と、厚生省は「無料化」ということばを使っておりますけれども、四十七年度厚生省の福祉政策の目玉商品ということで売り出していらっしゃるわけなんですが、すでに三十七都道府県六指定都市で何らかの形の老人の医療の自己負担を軽減していくという措置が実際にとられてきております。ですから、おそきに過ぎるぐらいのことですから、これをやることに対して私は反対はいたしません。しかし、非常に問題がまだたくさんあるという点でぜひいろいろと議論をしたいと思います。で、今回のは無料化と呼んでおりますけれども、無料化ではないということをまず確認したいと思うのですが、厚生大臣はそのことについてはどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(斎藤昇君) 老人医療の無料化を唱えているけれどもほんとうは無料化ではないじゃないか、どう考えているかというお尋ねだと思いますが、おそらくそれは保険の一部負担を公費で見るというだけであって、保険外に置かれている者が相当あるのじゃないか。一つは健康の管理の問題、それからリハビリの問題、それからいま一つは入院をしても保険給付だけではまかなえない者がある。そういう点をおそらくおっしゃるのであろうと考えます。そこで、その点はおっしゃるとおりでありますが、健康管理の問題は、できるだけ今後も公費の負担で健康管理をやってまいりたい。これも年々進めておりますが、さらに今後もっと、何といいますか、十分な健康管理を公費でやれるようにしてまいりたいというのが一点。リハビリの点は、これはまだ保険で取り入れているものはきわめて僅少でありますが、今後リハビリもできるなら保険のほうに取り入れてまいりたいと考えておりますが、これはまだ具体的な計画を持っておりません。何らかの点をやはり考えていかなければならない、これは老人問題だけではございません。それから入院等における保険外の費用の問題、これは一番の問題は、おそらく基準看護だといっても付き添いを実際上要する者が多いじゃないか、また、入院をしたくても病床が足りない、そういったような問題であろうと思いますが、これらの点は今後さらに改善をいたしてまいりまして、病床の増加、それから基準看護を確実に順守をするというように指導をいたしてまいりたいと思います。ただ、これには看護婦の問題等がございますので、その点は予算だけを取ればすぐできるという問題ではございません。看護婦の増員の問題とからめまして今後もさらに充実をいたしてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
○田中寿美子君 いま厚生大臣のおっしゃったようなこと、もちろん全部含めて、今回の老人が医療を無料で受けられるという状況になったわけではないと私も言いたいし、それから、所得制限や年齢制限がついておりますから、保険料の一部を国が負担するといってもそういう制限があるということ、それから考えても「無料化」とは言いがたい。それから、入院の場合はいまのように付添看護料——基準看護というけれども、看護料がたくさん要るという問題だけではなくて、病院そのものが差額ベッドが非常に多くて、これはあとでもう少し議論をいたしたいと思いますけれども、受け入れ体制側が老人の医療を無料にさせないようにできております。それから、病院が十分なかったりもするわけですから、非常に医療の問題は広範な問題を持っているんですけれども、私、先日の本会議での私のほうの須原委員の質問に対して厚生大臣がお答えになっているのを聞いておりまして、厚生省としての考え方にもずいぶん迷いがあるのか、あるいは公費負担分をふやしていって保障を取り入れていきたいという考えも出ておりました。けれども、大蔵大臣のほうはもっぱら保険のところで食いとめようとしているという感じがしました。少なくとも厚生大臣は、保険にプラス公費負担という形で保障の必要な部分をふやしていきたいという姿勢がうかがわれたんですけれども、もう一ぺん委員会でその点を確認したいと思うんです。厚生省で出していられるいろいろな論文やらいろいろな資料を見ましても、将来に向かって、一体どのあたりまで保険でどこからは保障、あるいは公費負担にしていこうということについてはまだ迷いがあるような気がしますが、その辺については基本的にどうお考えになっていらっしゃるかお伺いします。
○国務大臣(斎藤昇君) ただいまのは、老人医療だけではなしに国民医療の全体の問題であろうと思います。本会議においてもその趣旨で私はお答えをいたしました。厚生省といたしましては、そのいわゆる社会的な必要性に基づく医療、また社会的な諸原因から出てきた疾病、そういうようなものはこれはやはり公費負担でいくべきである。それから健康の管理、疾病の予防、これはやはり原則として公費負担でいくべきである。さように考えております。
○田中寿美子君 社会的な理由ということになりますと、あるいは社会的必要性に基づいた医療ということになりますと、その解釈はたいへん議論しなければならなくなると思いますので、ちょっとその点は先へおいておきまして、そこで、まあ老人がいま一番苦しんでいる問題は何だというふうに厚生大臣はお考えになりますか。
○国務大臣(斎藤昇君) 先ほど一つ私は落としましたもう一点は、いわゆる低所得者、いわゆる保険料も支払えないというような階層の人たちに対しては、これは医療扶助はいわゆる公費負担でいくべきであるというのを一点つけ加えておきます。 なお、老人の悩みは何であろうか。まあ、私のほうでいろいろと調査をいたしました結果から見ますると、やはり健康上の問題が一番悩みが多いというように出ております。次には経済的な事柄、その次にはまあ家族のことというのが比較的多い……
○田中寿美子君 三番目は何ですか。
○国務大臣(斎藤昇君) 家族関係の事柄についていろいろ悩みが多い。ちょっと数字的な点がございますから、政府委員から答えさせます。
○政府委員(加藤威二君) これは総理府の昭和四十四年の「老後の生活に関する世論調査」という調査に基づく資料でございますが、六十歳以上の老人につきまして老後の生活上の悩みについて調査をいたしましたところ、一番悩みの多いのが、大臣からも申し上げましたように、第一が健康上のことということで四五・五%でございます。それから経済的なこと、これが二一・二%。それから家族関係の問題これが一八・二%。それから住宅問題が九・一。職業・仕事上のこと六・一。大体そういうようなのがおもな悩みということになっております。
○田中寿美子君 いまの世論調査で出たのは大体だれでも想像できることでございますけれども、私たちも、実は社会党が昭和四十三年から四十四年にかけまして——私、ちょうど国民生活局を担当しておりました——老人との対話集会というのを全国的に持ってずっと回って歩いたのですけれども、そのときに出された問題点というのはやはり所得の問題ですね。生活をどうするか、生活費をどうするかという問題が非常に強くて、それから、それとほとんど同じようにからみ合っているのが病気の問題でございますね。病気が発見されるということをまた非常におそれている。ちょうど例の老人福祉法ができて年間に健康診断が受けられるけれども、健康診断を受けに行くこともおそろしい。病気が発見されたら治療費のことをどうしようか。このことと、それから老後の保障がない。つまり国民年金なんかもちょうど切れ目のところがございますね、あれにかけられない、年代がちょうどいまだったら六十五歳、六歳あたりのところでしょうか。そういう所得の心配、医療の心配、それから住宅の問題、そして仕事がしたい。こういうのが——年寄りも働きたいという問題ですね——これが非常に強く出されておりました。で最近、私は武蔵野市の老人白書をもらいました。ここでも出ている幾つかの問題点の中で、この武蔵野市というのはわりあいにエリートがたくさんいるんです。専門的な職業を持っている老人といいましょうか、六十歳以上の専門的な職業を持っている人も多い。全国から見れば、比較的生活のできる人も相当多いというような都市ですよ。そこの実態調査報告を見ますと、四つのことが判明したということを指摘しております。一つのことは——これは問題の重要さの順ではございません——老人たちをずっと調べてみたら、その九五%が老人ホームのことを知っていて、何らかの形で六人に一人は老人ホームに入りたいと言っている。これは必ずしも経済的な理由だけではないということです。自分から入りたい。あるいは家族関係がうまくいかないという問題があるんです。それから第二番目には、約半数の老人に何らかの持病があって、このうち七人に一人は何の手当ても受けていない。三人に一人がからだの故障を訴えている。で、病床にある老人の半数は放置されており、その介護対策の必要性が痛感された。老人家庭奉仕員の活動に対する期待が大きかった。つまり、病気、医療をめぐる悩みというのが非常に大きく出されていたということ。これはどこの調査でも同じだと思います。それから第三番目には、五三・八%、つまり半分以上が社会保険の受給資格を持っていない。そういう層の老人がいまちょうどたくさんいる時期だと思うんです。それから第四点に、男子に比べて女子のほうがはるかに劣悪な条件にあった。つまり、収入の点からいいましても、すべての点で劣悪な条件にあったということですね。で、こういうのを見ますと、所得保障との関係がもうどれもこれもあるわけですね。ですから、老人医療というのを医療だけ取り出していくというわけには私はいかないと思うんです。で、この武蔵野市の老人白書の中にコメントがついておりますが、それに、「老後の所得保障が著るしく貧弱であるところから、深刻化する物価問題の中で、生活不安に悩まされ、医療費負担の増大が、更に生計を苦るしいものにしている」という老人の切実な願いが出ていたわけです。で、これは「姥捨社会、棄老時代とも表現しなければ云いようのない、現在のわが国社会に生きる老人の、それはウメキ」であるというふうなコメントがついております。で、たいへんこれは詳細なもので、一つ一つ面接してこまかくとっておりますが、こういうふうなことを見ましても、私、まず、厚生省は四十五年に厚生白書を出されたときに「老齢者問題をとらえつつ」というサブタイトルがついているんですね。私はあのタイトルのとり方というのは、取り組みが非常に、緊迫した気持ちがないような気がするんですけれども、老人に関する白書というのを全国的にとらえる必要があると思うんですけれども、その辺では何か計画がございますか。
○政府委員(加藤威二君) 昨年の厚生白書におきましては、先生御指摘のとおり、老人問題を厚生白書としても一番大きな問題として取り上げたわけでございますが、厚生省におきましても老齢者対策のプロジェクト・チームをつくりまして、一応、昨年の五月に中間報告を出しております。で、現在、なおさらに問題の検討を続けておるわけでございますが、やはりその中におきましても、一番大きな問題として、老人医療の問題、それから老後の所得保障の問題を指摘しておるわけでございます。その他もろもろございますけれども、一番大きな問題はその二つの問題でございます。で、老人医療の問題につきましては、いま先生から、金額無料ではないという御指摘ございましたが、確かに、きわめて理想的な形とまではいかないと思いますけれども、まあまあの形で老人医療の無料化が——まあ、年齢制限の問題その他あるいは所得制限の問題、いろいろ問題点はあろうと思いますけれども、第一歩としてはまあまあの形で出発しようとしておる況状でございます。それに比べまして、私は一番の問題は、一つは、やはり先生もいま御指摘になりましたように、所得保障が非常に不十分である。まあ、福祉年金を上げましたけれども、絶対額としてはきわめて少ないということでございまして、今後の老人対策の推進の一番大きな焦点は、やはり所得保障と申しますか、そっちのほうに向けられるべきであると思います。おそらく四十八年度の厚生省の予算要求の一番大きな項目としては、やはりそういった所得保障の問題、福祉年金をはじめ厚生年金あるいは国民年金、こういったものをできるだけ大幅に引き上げていくという点が来年の予算要求の焦点になろうと思うわけでございます。そういうことで、一応、厚生省内にも、いま申し上げましたプロジェクト・チームをさらに存続いたしましてこの老人問題と取り組んでまいると、こういう体制を現在つくっておるところでございます。
○田中寿美子君 プロジェクト・チームの中間報告を読ませていただきましたが、幾つか並列して、こういう方法もある、こういう方法もあるという段階だと思うんですね。それで、いまおっしゃいましたように、今度の、政府の言ういわゆる老人医療の無料化、自己負担分の公費負担ということ、これは一歩前進だと確かに私もそう思いますから、これは強力にしていかなければいけませんけれども、私、根本的にいいまして、老齢対策という考え方に立っての老人問題という——特殊な老人だけの問題じゃなくて、いま生きている人間全体が生涯生活の保障がされていくように社会保障と社会福祉をちゃんと進めていく。そうして病気になったときにはきちんとした医療の政策、制度があるというふうに進めていく。こういう立場から考えますと、医療保障制度の中の一環として老人の医療も考えなければならないという立場を私はとりたいと思うんですが、その辺を厚生大臣はどうお考えになるかということをお伺いしたいのです。 いま、所得保障が重大だと言われた。それは私は全く同感で、今度、国民年金法の一部改正案が出ておりますが、これは老齢福祉年金の千円の引き上げでございますからまだまだ不足なんですけれども、ゆりかごから墓場までの総合的な保障制度をつくっていくということが私は厚生省の使命だと考えます。その保障の中で、働く能力を失って病気になった、そういう者に医療の保険プラス、保障という形で保障を進めていく、そして老人の医療もその中の一環として考えるべきではないか。で、今回の医療の自己負担分の公費負担というこの制度は、老人医療というものだけを取り出してしまっているわけでございますね。ですから、このこと自体に私は根本的な問題があると思うんですが、こういうふうに、いつまでも老人医療というものを医療保険制度の中からもはずしてしまう、それから社会保障全体の中からも老人の保障——老人年金というふうに取り出してしまうと、こういう方向を厚生省はとっていかれるつもりなのかどうかということです。根本的なことですので、厚生大臣、それはどういう方向に厚生省は向かおうとしているのか、いつまでも、老人老人といって老人の医療だけをはずして、ここだけでやっていくのか、こういうことをお伺いしたい。
○国務大臣(斎藤昇君) 御真意を十分つかみかねたかもしれませんが、一言でいえば、老人医療の無料化は、結局、保険の自己負担を公費で見るというだけではないかと。むしろ、医療の供給体制が整っていないじゃないか、ことに老人医療に対しましても。こういうことに帰着するんじゃないだろうかと、かように思います。老人の医療と申しますると、これは、広くいえば成人病対策ということにもなるわけでありますが、この成人病というものに対する医療の内容自身のこれからの研究開発という問題もありまするし、現に定着をしている医療のやり方についても、その機関が足りない、また地域的にもアンバランスが非常にあるという問題であろうと、かように思いますが、さしあたっては、今日の医療の供給のできる病院、診療所というものをもっとふやしていくということが第一点であろうと思います。そこで、成人病対策といたしましては、そういう方向で医療機関を今後さらに整えてまいりたい、かように考えておりますから、これは老人医療だけを切り離してというわけにはなかなかいきにくいものでありますから、これからの医療のあり方、医療機関のあり方、また都市、過疎地帯に対する医療供給体制のあり方、これらを今日の時勢に適応するように今後合わしていく。それをこれからひとつ精力的にやってまいりたい。それについては、いま提案をいたしました医療基本法で、その基本的な方針を確定をしていただき、それに基づいて着々実施をしてまいりたい、こういう考え方で医療基本法を提案いたしたわけであります。これは老人医療あるいは成人病対策だけではございません。国全体の医療の供給体制というわけでございますから、その中においていまおっしゃいましたような事柄を解決してまいりたい、かように考えます。
○田中寿美子君 つまり、今度の医療のいわゆる無料化も老人福祉法の一部改正ということでやられておりますね。それで、各種の医療保険がございますね、その保険をもしそのまま使うという体制にしていけば、わざわざ老人福祉法の中にこれをはめ込まなくてもいいわけだと思うのであります。このことは、もう少し具体的に申しますと、社会保障制度審議会の答申の中にもそれを指摘してございますね。「医療保険制度の改革について」という答申と、それから「老人福祉法の一部を改正する法律の制定についての答申」と、両方出ておりますね。この両方を拝見しますと、その内容のポイントは「それぞれの医療保険制度の中に公費をとり入れながら老人に対する給付率を高める方法が最も適当である」——「医療保険制度の改革について」というものの中ではそういうふうに書いてございます。この方式をとる限り、保険制度の中でなら解決する部分が、残されてしまう。この法律というのは、今度のように、別に取り出して老人福祉法の中で医療の無料供給をやろうという方式をとりますと、保険制度でならできる部分が、だいぶ残されていってしまう。そういうことを指摘していると思います。そういう点から、いまの老人福祉法でやることについては、私はおそらく厚生省の中にもいろいろと議論があるのじゃないかと思うのですが、この辺、ちょっと聞かしていただけませんですか。
○国務大臣(斎藤昇君) これは事務当局と打ち合わしたわけではございませんが、四十四年の八月に制度審議会に諮問をいたしました医療保険制度の将来の抜本改正のあり方いかんという諮問をいたしました。その中に厚生省の試案といたしまして、老人保険は特別な老人保険をつくるという案を参考案として出したわけであります。その答申が昨年の九月でしたか十月か、もらえた。その中で、老人保険は将来考えるべき問題であるかもしれないが、さしあたっては公費負担にすべきであるという答申でございました。このたびのまた答申の中にありますように、保険で全部まかなう。老人については十割給付の保険をやるということになれば、そうすればいわゆる所得制限というような事柄ではなくなってしまうわけであります。そういうようにというのが今度の案でありますが、九月にもらった答申では、老人保険というものはいろいろ検討すべき問題があるから、さしあたって公費負担のほうをすべきだ。公費負担すべきだ、こういうことでございましたので、そこで、老人保険というものは将来さらに考えてみるという余韻は残しておりますが、自己負担分を、老人福祉という意味で公費で負担をしようという。そこでいま考えております保険の抜本改正では、これは老人あるいは幼児といわず、いまの自己負担分というものが相当多額にかかるというものは、これは全部高額医療については十割負担を保険で給付をするというように改正をしてまいりたい、さように考えます。そうしますると、保険で給付される面、いわゆる所得制限と無関係に高額医療の保険給付という点になりますと、その点は所得制限と関係なく保険で給付されるということになるわけでございまして、私はいまこの一部負担というものを、いつまでも家族は五割、あるいは本人は、これは国保のほうであれば本人も家族も三割自己負担というようなことのないようにしてまいりたい、かように考えます。そういたしますると、いま御審議を願っております自己負担分の公費負担という面は少なくなる。それだけに府県に対しては国庫負担というものも考えていかなければなるまい、かように考えます。
○田中寿美子君 私はやはり暫定的な方法だと思います、これはね。社会保障制度審議会の答申にもありますように、日本の社会保障制度——保険の制度もですが——系統的にちゃんと整っていないから、しかも、老人の人口が急にふえてくるし、困る人が一ぱい出て問題だらけだから、急いであちこちといろんな方法で制度を発足せざるを得なかった。これはやむを得なかったと思います。ですから、暫定的な方法として今度はこういうことをやったと思います。ですけれども、これは保険制度であれば所得制限なんというものはないわけですね、本来は。それから年齢の制限も、まあたとえば被用者保険でしたら、職場から去ったら今度は国民健康保険にかわるというようなことがあると思いますけれども、それでも年齢の制限みたいなものはないわけでございますね。それで、本人十割、家族五割というのは、これは給付のしかたが私はもともと悪いと思う。外国の例を見ると、本人と家族とで給付の比率を変えているという国というのは少ないわけですから、ですから、そっちのほうを直していけば、将来医療保険制度の中に組み込んでいくべきものだというふうに思います。「暫定的な方法としてやむを得ないとしても、なるべくすみやかに本審議会の提案の線にそった方策をとらんことを望む」というような答申が出ていますが、これは厚生省にしてみますと、老人福祉の問題を扱っている部局からすると、自分たちの仕事——今度課を一つふやされたか何かのようですが——そういうことからしても、仕事をよそにやってしまうということは困るというような、こういうふうな考えもなきにしもあらずと思いますけれども、これはやはり国民がみないつか老齢化するので、将来ずっと所得のほうの保障も一貫性を持って、どこか切れるところがないようにしなければいけない。退職したら退職の年金をもらうまでの間に間があいたりするような場合も直さなければいけませんし、それから、被用者保険が切れてしまって、そして給付が五割になってしまっているというようなことがありますからね。そこのところの年齢が七十以下だったら、その間自己負担が相当大きいわけですから、こういういろんな矛盾をみんななくしてしまうためには今後十分手を入れなければならない。ですから、老人福祉法で全部解決してしまうという方針では私は正しくないと思うのですが、そこをもう一度その点をお願いしたい。
○国務大臣(斎藤昇君) その点は御意見のとおりでございます。私もさように考えております。これを、このたびの問題も保険の中で解決をするかあるいは別のいまのような形にするか、私はほとんど最後まで——十月ごろまでは、もし保険の抜本改正に取り入れることができるならばそのほうでやりたい、こう言っておったわけであります。しかしながら、抜本改正がだんだんおくれてまいりまするし、あまりおくれることになると、無料化というものがその中で解決するのにおそくなるおそれもある、かように考えまして、これは別建てということでこの法律で解決をしようということになったわけであります。これは恒久的なものとは考えておりません。将来、おっしゃるような方向にいくべきものだと、かように考えております。
○田中寿美子君 いまのお答えで、方向としてはそういうふうに考えていらっしゃるということはわかりました。 それでは次に、今回の年齢制限のことについてお伺いしたいのでございます。これは七十歳以上となっているんですが、財源的にそうしたものだと思いますけれども、私は、どう考えても六十五歳以上にすべきだと考えます。どうしても七十歳以上にしなければならなかった理由をまず厚生省のほうからお伺いしたいと思います。
○政府委員(加藤威二君) 老人医療の無料化の場合に六十五歳からやったらいいではないかという御意見については、われわれも確かにそういう御意見が出ることについてはごもっともだと思いますけれども、私どもがとりあえずスタートとして七十歳ということを考えましたのは、やはりいろんな統計で見ましても、七十歳以上という老人が一番健康状態が——これは当然のことでありますけれども——七十歳以下の人に比べて非常に健康状態が一般的にも悪い。それから、受療率といいますか、お医者さんにかかる率というものも、七十歳から七十四歳が最高であるというようなこと。それから、各都道府県すでに相当、数県を除きまして、老人医療の対策を打ち出しておるわけでございますが、その大半がやはり七十歳ないし七十五歳以上でございます。六十五歳というのを例外的に取り入れているのは、寝たきり老人の六十五歳というのを、例外的にと申しますか、本則が七十歳ないし七十五歳以上の老人であり、ただ六十五歳以上については寝たきり老人に限ってだけ六十五歳、そういうようなやり方をやっているのが十一県ばかりございますが、大半は七十歳ないし七十五歳以上と、こういう情勢をひとつ踏まえまして、それから、先生御指摘のように財政問題というような問題も勘案いたしまして一応七十歳ということに踏み切ったわけでございます。
○田中寿美子君 六十五歳以上にもし適用したら、老齢適用人口ですね、どのくらいふえて予算ワクはどのくらいふえるということになりますか。
○政府委員(加藤威二君) 一応七十歳以上で適用人口約三百七十九万くらいと見ておりますが、それが六十五歳以上になりますと約六百八十九万、八割くらい増ということでございます。金額といたしましては、六十五歳以上を無料化するということにいたしますと、七十歳以上の場合は、四十八年の一月実施のいまの原案で約九十二億ばかりでございますが、それが百五十四億に増加いたします。それから平年度で見ますると、原案の七十歳では約八百七十億くらいでございますが、それが千四百四十億くらい、こういうことでございます。
○田中寿美子君 私はおそらく、だから財源が一番問題になっているのだろうと思います。 そこで、七十歳以上の人たちの病気が一番多いと言われたのですけれども、私もいろいろな資料を見てみたのですが、六十五歳から六十九歳の間はずいぶん病気の発生が多いのですね。大体六十五歳になったらだいぶ人間の体は違うでしょう。六十五歳から六十九歳までの間に病気が、さっき言ったように健康診断を受けるのもこわいのですね、病気が見つかると、治療するとなったらたいへんな金がかかるというので、老人はせっかく老人福祉法で健康診断を義務づけていても全国で二一%しか受けていないという資料をおたくのほうからもらっておりますけれども、それで、六十五歳から六十九歳までの間に早く発見してなおしておけば七十歳以上になってひどくならないので、結局私は医療費の節約にもなるはずだし、それは金のほうからだけ言うんじゃなくて、人間の命ということから考えれば、六十五歳を過ぎた者の一カ月は若い人の十年に当たるということ、これは先日東京都下の老人ホームへ行ってよく聞いてきました。ですから六十五歳からの医療の無料化ということにぜひ向かっていってもらわないと困ると思います。先日、厚生大臣は本会議の御答弁で、検討したいというふうに言われました。厚生省としても、したいのはやまやまというとこでございますか、ちょっと伺いたいと思います。
○政府委員(加藤威二君) 私ども、先ほど申し上げましたように、七十歳以上のほうが疾病の状態が多いと申し上げましたけれども、これは確かに六十五歳から七十歳までの方、これも若い人に比べれば非常にそういう健康状態が悪いのでございます。老人福祉法の健康審査というのは六十五歳から始めている。そういうことに平仄を合わせるということから考えると、少なくとも六十五歳以上から始めるというのが一つの考え方だろうと思います。しかし、先ほど申し上げましたような理由でとりあえず七十歳に踏み切りましたけれども、七十歳でこの制度を発足させてみまして、それがまた財政的な面を含めましてどういう状況になるかということをよく検討しました上で、私どもの気持としましては、老人の福祉をはかるという点からいいますと、なるべくそういう方向に持っていくという気持ちは先生と同じでございますので、七十歳以上で踏み切って、その実施の状況を勘案しながら今後十分検討してまいりたいと思います。
○田中寿美子君 いま言われましたように、年齢制限が老人福祉法は六十五歳からですけれども、いろいろの年齢制限があまりまちまちになっているわけです。老齢福祉年金が七十歳から、老人福祉は現在は六十五歳からですから、六十五で病気がわかったときにそれを見てやれないということには矛盾がある。 それから老人ホームに入所する資格、これも基本的には六十五歳ですね。六十歳からだって入れるというのは、おたくのいろいろ問答集を見たら、老人ホームのほうから質問が出ていて、そうして、どうしてもいろいろな事情があったら六十歳から入れてもいいという答えを出していらっしゃいますね。ですから、六十歳過ぎていろいろ故障が起った者には、かりに六十五歳という年齢制限の線を引いたとしても、それ以下の者も、場合によっては適用しなさいというふうにして、六十五歳というのは一応のめどだと思います。厚生年金の支給が六十五歳。ですから、七十歳以上というのは、あとでひどくなってから、ひどい状況で健康を見てやるということになります。で、六十五歳以上の老人の疾病、それから主要死因というのを見ましたら、第一番が脳卒中になっていますね。第二番目に悪性新生物、これはガンだと思います。それから第三番目が心臓疾患というふうになっています。で、第一位の脳卒中というのは三一・九。これは六十五歳以上の主要死因別です。で、六十五歳から六十九歳までの人の場合にも、その比率はたいへん高うございます。ですから、やはり六十五歳というところを線にして考えていくという方針を将来ぜひ立てていただきたいこと。これ以上追及しても、いまおっしゃいましたように、たいへんな財源を必要とするということが厚生省のおそらく大きなネックになっているだろうと思いますので、お答えしにくいかと思いますけれども、六十五歳が望ましいというのは、それぞれみんな審議会なんかでも言われていますから、その方向に向かっていっていただきたい。そうしないと、老人の福祉にならないですね。せっかくあれしても、七十歳以上で、七十歳以下の老人がほんとうにうめき声を立てているという状況だと思います。 で、次に、所得制限のことをお伺いしたいと思うのですが、今回の所得制限、七十歳以上の対象者の数を、それぞれの健康保険別にどんなふうに数を数えておいでになりますですか。
○政府委員(加藤威二君) 一応七十歳以上の人員でございますが、政管健保が六十一万四千人でございます。それから組合健保が五十四万七千人。それから日雇いが四万五千人。それから船員保険が二万四千人。それから共済組合が三十一万二千人。これがいわゆる社会保険、被用者保険といいますか、それの合計は百五十四万二千人でございます。それから国保が二百五十六万一千人、合計いたしまして四百十万三千人という数字でございます。
○田中寿美子君 それで所得制限ですね、今度の。所得制限に当てはめますと、どのくらいが——いまのは制限しない人口でしょう——どのくらいが除外されますか。
○政府委員(加藤威二君) 所得制限によりますと、ただいま四百十万三千人と申し上げましたが、この所得制限を実施いたしますと、三百七十八万九千人に減るわけでございます。ですから、約三十二万ばかり減るということでございます。
○田中寿美子君 私は、今度のこの所得制限の中で特に扶養義務者の所得制限、これは撤廃すべきだと思うのです。もちろん本人の所得制限も、これは限度額が低過ぎると思います。まず、なぜこの所得制限をするのかということなんですが、この線でなぜ所得制限をするのかという所得制限の限度額のところですね。それをとられた理由を御説明いただきたいと思います。
○政府委員(加藤威二君) 私どもも、一応公費負担という形で、その分については全部国費ないし地方公共団体の負担で見ると、こういうことでございますので、まあ、その医療費につきまして、ある程度の、一定限度以上の所得のある方については一応御遠慮を願う、こういうことで所得制限を設けたわけでございます。その線の引き方につきましては、福祉年金の所得制限と一応見合った形になっております。で、先生御指摘のとおり、特に扶養義務者の所得制限につきましてはいろいろ議論があるところでございますが、扶養親族五人の場合に年間の所得二百五十万、こういうことでございます。これは役所でいえば、じゃどのくらいの程度の者が所得制限にひっかかるかというのを一応検討してみたんでございますが、そういたしますと、本省の課長の古参、官房課長前後といますか、課長の古参クラス以上の者がひっかかる。したがって、中堅課長以下——課長補佐、係長というような、中堅課長以下はみな無料になる、収入の点からいえば。そういう基準になるということでございますので、まあ課長の古参以上の程度の収入のある者は一応がまんしてもらう、こういうようなことでございます。
○田中寿美子君 これの所得制限、いま課長古参クラスとおっしゃったですね。二百五十万で五人ですね。五人家族というのはちょっと少ないけれども、その辺で計算すると、大体十二、三万円の月収に当たりますね、ボーナスまで入れて十五カ月計算にしてみますと。私もちょうどそのくらいの収入の友だちの給料の内容その他を聞かしてもらったのですが、その人、ちょっと病身なんですね。で、大体いまだんなさんの収入十三万八千円ですか。これは会社のちょっと役付のほうです。それで基本給が十二万七千円。これで医療費を毎月七千五百円払って、保険料が二千八百八円。税金がいろいろずいぶん取られてますね。所得税と地方税と両方で、一万八千円くらい取られております。そういうことで計算していくと、この人は子供のない夫婦なんですけれども、それでも病気をしますと、これはさっきからお話しのように、実際の負担額はずいぶんあります。病院に入りますと、ほとんど差額ベットでなければ入院できないような状況でございますし、看護婦をつければ非常な費用が要るし、それから高額の医療を受ければそれは自分で支払わなければならない。こういう家庭で、年寄りが別居しているわけですけれども、毎月小づかいを与えておる。この年寄りが病気になった場合、とてもお手上げだ。子供がなくてもそうなんだから、親子四人で、子供が二人ある課長補佐の人だったら、おそらく私は、老人が病気して医療費を払うということになったら、これはたいへんな借金をしなければならないだろうと思うのですね。ですから、扶養義務者のほうの所得制限というのは、これはどうしてもぜひ取ってほしいと、そう思うのですけれども、所得制限を取ったらどのくらいよけいにかかるという計算をしていらっしゃいますか。
○政府委員(加藤威二君) この所得制限を、本人も、それから扶養義務者もひっくるめて全部撤廃いたしますと、一月実施で、国庫負担の増が七億五千万でございます。平年度にいたしますと六十九億三千万くらいでございます。それで、そのうち本人は残しておきまして、扶養義務者の所得制限だけを撤廃したといたしますと、一月実施で五億二千万の増、平年度ベースで五十億の国庫負担の増ということでございます。
○田中寿美子君 それはあまり大きな額ではございませんね。これはぜひ扶養義務者の所得制限というのは取ってほしい。その方向に厚生省は検討してほしいと思います。 それから、本人の所得制限もこれは低いわけですね。収入額で五十九万八千円に制限はなっておりますが、月五万円ぐらい持っても老人が病院にもし入ったとなったら、これはたいへんなことだろうと思います。ですから、一部負担の分がないだけじゃなくて、たいへんな苦しみをするわけで、この辺は、それは外国の例を引いてもしょうがないみたいなものですけれども、イギリスにしても保険制度よりも保障制度が非常に進んでいます。病院に入院したときの費用というのはほとんどかからない。それから、よく厚生省の方はドイツを引用なさいますけれども、西ドイツの場合は保険制度が中心だけれども、それでも公立の病院の費用というのは非常に公費負担しておるわけですね。スウェーデンなんかだって、あなた方はちょっと簡単な資料しか下さらなかった。私はもっとこまかいものを見ているものですから、保険金は掛けていても、公費負担の病院での医療に関して、国と地方自治体がほとんどもつというような状況ですから、それに比べましたら、私は日本の所得制限も非常に低いと思います。もっとこれは引き上げるべきじゃないかと思いますけれども、これはどうお考えですか。
○政府委員(加藤威二君) これにつきましては、確かにもっと引き上げろという御意見をしばしば承るわけでございますが、私どもも、将来の問題としては、これは先生御指摘のとおり、財政負担もたいしたことはないわけでございますので、そういう方向で努力をしたいと思います。なお、それと特に関連いたします保険のほうで、御承知のように、高額医療の無料化といいますか、一定額以上は保険で負担するということを抜本で考えておるようでございます。そういう問題が実現いたしますと、相当これからはずれる人たちが助かるということもあると思いますが、そういう制度とにらみ合わせながら、そういう制度がなかなか実現しないということであれば、やはりこの所得制限の引き上げという方向で将来努力してまいりたいと思います。
○田中寿美子君 いま言われましたが、つまり、財源もあまりたいしたことはないんですから、所得制限は取ってしまう方向にいってもらいたい。たいへん高額所得のある人は私は出してあげなくてもいいと思います。たいへん大きな土地持ちであったり、うんと大きな会社の社長であったり、そういう人は、北欧の福祉国家なんかでは、適用されている援助を自分で遠慮しています。返上しているんです。そういう方向に持っていくということで、所得制限をはずす方向にぜひ向かっていただきたいし、厚生省もその気持ちでいらっしゃるというふうに私は確認したいと思います。 それから次に老人検診の状況なんですが、さっきも申しましたように、六十五歳以上は老人福祉法で検診を受けられるんだけれども、四十五年で二一・八%しか検診を受けていない。この検診率の低い理由、さっき私が申しましたように、老人との対話集会なんかでは、こわいから行かないとかいう、あるいはあとで治療費がないからというようなことが大きな理由だったと思いますが、そのほかにどんな理由をおあげになりますですか。
○政府委員(加藤威二君) 確かに老人医療の老人の健康診査の率が、先生御指摘のとおり二〇%、二一%ぐらいでございますか、ということで、必ずしも高くないわけでございます。それにつきまして、これは四十三年でございますか、一応そういう健康診査の受診についての調査をいたしたわけでございますが、これは六十五歳以上の老人について調査をしたわけでございますが、そうすると、健康診査を受けたことがあるという者は五六・六%であるわけでございます。受けたことがないというのは四三・四%で、なぜ受けなかったのかということでございますが、この四三・四%につきまして、診査があることを知らなかったというのが三一・八でございます。これは私どものほうの責任でもございますが、この制度について、まだ周知徹底が足りなかったということだと思いますが、三一・八の人がこの診査を知らなかったということでございます。それから、知っていたけれども、当日病気で行けなかった、その診査の場所に行けなかったというのが一二・二%でございます。それから、病気が見つかるのがこわいということを理由にいたしておるのが一・四%。それから、医者にかかるのがきらい。これも病気にかかるのがこわいといいますか、それから先生御指摘のように、かかってもなおすあれがないからという意味も含まれると思いますが、それが六・八%。そういうような一応数字が出ておりますけれども、診査のあることを知らなかったということが一つと、それからやっぱり先生おっしゃるとおり、病気が発見されてもそれを治療する治療費もないということで、それなら知らないほうがいいという老人心理の面から、積極的にこういう診査、検査を受けないという老人も相当あるのではないかと思います。そういう意味で、老人医療の無料化が実現いたしますれば、七十歳以上の老人についてはそういう問題がなくなるということで、また検診の受診の率も相当向上するだろうということを期待しておるわけでございます。
○田中寿美子君 その老人検診ですけれども、寝たきり老人がずいぶんおりますね。この寝たきり老人に対しては何か方法をとっていらっしゃいますか。
○政府委員(加藤威二君) 寝たきり老人につきましては、直接医者と看護婦がチームを組みまして積極的にそこを訪問いたしまして、そうして病気の治療なり健康の診査をやるということを、予算上実施いたしております。
○田中寿美子君 今後いわゆる老人の医療無料化という、こういうようなものが行なわれていけば、受診率は高まっていくというふうに思っていらっしゃいますか。
○政府委員(加藤威二君) 先ほど申し上げましたように、やはり老人がその病気の医療費についてその当てがないという場合には、こういう公の健康診査を避けるという気持ちになる場合が相当あろうと思います。それが全面的ではございませんけれども、七十歳以上の老人については、今度は医療費の心配がないということになりますと、むしろ早く悪いところは見つけて早くなおそうという気持ちになって、積極的にこういう診査を受けられる、したがって受診率がふえるだろうということを期待しておるわけでございます。
○田中寿美子君 私はそうなるはずだと思います。東京都の四十六年度の老人検診の実施状況で見ますと、これは国の比率よりも高いですね。二八・七%受けておりますね。寝たきりも含めれば三四・二%になっておる。これは七十歳以上の老齢福祉年金受給程度の所得以下の所得者に対する医療無料化で自己負担分の支給がされているわけですね。こういうことがあるから上がっているというふうに言えるんじゃないかと思いますので、やはり医療費を見るということは非常に重要なことだと思います。したがって、六十五歳から検診を受けて、そうして病気が発見された後やっぱり金を出さなければならないということで足踏みをすることがないように、今後の方針を、そこのところと矛盾ないように合わせて進んでいただきたいということを強く要望しておきたいと思います。 次に、厚生省のさっき言及なさいました老齢者対策プロジェクト・チームというのがございますね。あすこで掲げていられるいろいろの方針ですね、これを見せていただいて、この中に幾つか考え方を出してありますね。包括的老人医療対策の必要性というようなことが言われております。これをひとつ説明していただきたいと思います。
○政府委員(加藤威二君) この厚生省のプロジェクト・チームにつきましては、昨年——四十六年の年度当初に発足したわけでございますが、この考え方といたしまして、これは厚生省の中の老人問題に関係のある各局の課長を中心といたしまして、相当多数の人員をもちまして、厚生省としては最大のプロジェクト・チームをつくって検討したわけでございます。その老人の対策を総合的に推進していこうということで、この検討の内容も、部会を四つに分けまして、生活環境に関する問題、これは老人の住宅とか各種老人ホーム、あるいはホーム・ヘルパー等の問題。それから二番目は、健康と医療に関する問題。それから三番目は、所得保障に関する問題。これは年金の問題、それから就労の問題あるいは税制の問題等です。それから四番目が、生きがいに関する問題。これは老人クラブとかレクリェーションその他の休養施設の問題。こういうぐあいに四つの項目に分けまして、そして、それぞれで検討いたしましたその結果を持ち寄って、そしてバランスのとれた老人対策をやろう、こういうことで検討したわけでございます。 その結果につきましては、老人医療の問題、それから老後の所得保障の問題、これは福祉年金その他大幅に引き上げるべきであるという一つの中間的な結論につきましては、まだ不十分ではございますけれども、ある程度四十七年度に実現を見た。 それから年金につきましては、拠出年金の改正時期、これは五年ごとに参りますけれども、それが厚生年金は四十九年、あるいは国民年金は五十年というのを早めて四十八年にはやろうと、こういう大勢になっていることも、このプロジェクト・チームの結論をひとつ取り上げようということになったわけでございます。 それから、スライド制の導入等についても非常に前向きに現在年金局のほうで検討しているということでございます。 それから、税制につきましても、四十七年度から老年者の扶養控除制度というのを新たに設けるというようなことも実現を見たわけでございます。 その他、福祉施設の整備充実の問題、あるいは老後の生きがい対策というような問題につきまして、それぞれ結論を出しておりまして、四十七年度の予算では相当それに見合った予算が実現していると、こういう状況でございます。そういった総合的な老人対策を今後進めてまいりたいということでございます。
○田中寿美子君 あのね、私、そのプロジェクトの全体をお尋ねしたんじゃなくて、その中で今後の老人医療のあり方について、現行医療保険制度から全部包括的に取り出して、老人のための新たな医療費公費負担制度を考えるというのが一つ提案されている。それとまた、それじゃない、医療保険の中でやろうというのが出ている、その包括的な医療制度というのはどういうことを考えていらっしゃるか。そうして、やっぱりそういうことも一つの方向として今後やろうと考えていらっしゃるのかどうか。最初から私のお尋ねしている点と関連しているわけですね、ここは。
○政府委員(加藤威二君) たいへん失礼いたしました。御質問を取り違えましたけれども、先生の御指摘の老人医療の対策の中で、プロジェクト・チームとしては四つばかりの案を提案しておるわけでございますが、そのうち一つに「老人医療を現行医療保険制度から包括的にはずし、老人のための新たな医療費公費負担制度を創設する」というのを一つの案として考えているわけでございますが、これは老人医療というものを六十五歳にいたしますか、七十歳にいたしますか、これを、どういう制度に加盟しておられる方であろうとなかろうと、全部老人につきましては別建ての保険制度と申しますか——保険制度と言えるかどうか知りませんが——別建てにいたしまして、それに医療費は全部、費用は国庫負担ないしは地方公共団体の負担、そういう形で保険料徴収ということではなくして、全部公費負担でやると、そういうやり方が一つ。それから、やはり老人は別建てにするけれども、その費用の一部をそれぞれの関係した保険財政から繰り入れてもらい、残りを国庫負担なりないし地方公共団体の負担でやる。こういうように根っこから老人医療というものをはずしてしまおう。先生が先ほど御指摘の点は、一つは、それぞれの保険の中に、国保なら国保、あるいは健保なら健保の中に老人というものを含めて、全部で十割にしたらいいじゃないかという御意見であったと思いますが、それを一つの案として書いてございますが、それから別の案として、根っこから別建ての老人医療保険というもの、それは全部公費でやるとか、それからあるいは、保険のほうから一部もらい、それと公費負担とを合わせるとか、こういう考え方もある。こういうことでございます。 〔委員長退席、理事大橋和孝君着席〕
○田中寿美子君 それは相当可能性があるのですか。そっちの方向に向かおうという気持ちがあるのですか。私は老人がしあわせになることが一番目標だと思います。しかし、老人老人といって老人だけを別にはずすのではなくて、いま若い人も全部保障されるような制度をつくっておくべきだという観点から言っておるわけです。ですから、老人医療だけを取り出してしまうという考え方を相当進めようとしていらっしゃるのかどうか。そういうことになると、またたいへんこれは医療保険制度の問題は複雑になっていくと思うのです。その辺をどういうふうな見通しを持っていらっしゃるか。
○政府委員(加藤威二君) これは非常に先生御質問の点はむずかしい問題でございまして、まあ、社会局長としてあるいは御答弁申し上げる権限があるかどうかわかりませんけれども、むしろ保険の問題ともからんでまいりますので、ただ非常に個人的な見解ととしてお聞き流しを願いたいと思いますが、私はやはりどっちかと申しますと、先ほど先生も御指摘になりましたように、社会保障制度審議会でも、それぞれの保険の中で老人には十割をやったらいいじゃないか、こういう御意見が出ておるわけでございます。私も、諸外国の例を見ましても、やはりわが国の今度始めようとするように、保険と公費負担を継ぎ足すなんという制度はどこにもないわけでございまして、また老人だけを別建てにしているというところもあまりないように承知いたしておりますが、大体保険の、それぞれの保険制度の中に取り入れて、そうして老人については保険料を免除するというようなかっこうでやっておるところが多いようでございます。私どもも、これはまだ省全体としてどうするという意見ではございませんけれども、私の気持ちといたしましては、やはり再検討する場合には、むしろ別建てという相当有力な意見もございますが、やはり社会保障制度審議会が指摘されたように、それぞれの制度の中で十割に持っていくというのが一番、何といいますか、やりやすいし、それからすっきりするし、事務的にも非常に簡単である。そうして、それぞれ必要な国庫負担をつぎ込めばいいわけでございますから、そういうことで、個人的な意見になって恐縮でございますが、私はどっちかといいますと、おまえはどうかと言われれば、私は別建てよりも、やはりそれぞれの保険の中で給付率を上げたほうがいいんではないかという程度の感じをいま持っておるわけでございますが、さらにこれは慎重な検討を加える必要があろうと思います。
○田中寿美子君 私、その点同感なんです。最初からそういうふうに申し上げておるわけで、日本の社会保障制度があまりにもばらばらでおくれたものだから、あっちからもこっちからもという形で出てしまったと思いますので、これ以上複雑化していくということは避けていかなければいけないし、なるたけ社会保障制度全体が簡素にはっきりわかりやすく、そうしてすべての人が保障されていくような方向に向けなくちゃいけないという立場から、これを一そう複雑にするようなことはしないようにしてほしいということを強く要望しておきたいと思います。そうでありませんと、老人福祉関係が、つまり、老人ホームとか老人クラブというのは社会局老人福祉課、老人医療健診は社会局老人保健課、老齢年金のほうは年金局、老人住宅ということになると、これも建設省の管轄なんで、それを避けるために名前を変えなきゃいけないとかいうような、こういう複雑な行政をやっていくんじゃない方向で簡素化させていくということが必要だと私思います。 それから、まだいろいろと矛盾がありますけれども、中でも入院時の負担のことなんですが、これは健保のほうでも議論されることだと思いますけれども、差額ベッドがこれはもう厳然として控えているわけですね。厚生省の数字伺いますと、全国で病院のベッドの中の一六ないし一七%しか差額ベッドはないというふうに言われますが、医療協で調べると三三%。個別の病院を見ますと、慶応病院なんか九八%も差額ベッド、日赤で四九から九二%。九二%というのは横浜の日赤ですね。国立病院の差額ベッドはどうですか。市ヶ谷なんかどれくらいベッドの中で差額ベッドがあるのですか。
○政府委員(松尾正雄君) 国立病院の全国の差額ベッドはベッド全体の大体七・四、五%でございます。
○田中寿美子君 私の友だちもときどき入院するのでしょっちゅう申し込むのですが、差額ベッドなら入れてあげますと、公立病院、国立病院が。それはたいへん金がかかるから入りたくないんだけれども、ほとんどは差額ベッドでないところはいつもいつも満員で入れない。では、差額ベッドの中でも高いのと安いのがあります。比較的安いところは、入ろうと思うと、それはいつも満員であって、やむを得ず三千五百円とか五千円というところに入らなければならない状況なんですね。ちょっと前に、まあ言いにくいことですけれども、国立病院に私の友だちが入っておりましたときに、自分はやむを得ず高い差額ベッドに入って、三千五百円で、その他いろいろで十日間で五万円は払わなければならない。そのときにもうちょっと安い差額ベッドのところに厚生省のお役人が入っていらっしゃるらしいですね、まあ議員さんも入っていたそうですけれども。その差額ベッドというのはたいへん負担になるので、こういう問題を抜きにしては医療の無料化ということばは使えないと思うのですね。この問題を今後どういうふうにしていくか。ことに寝たきり老人なんていうのは、これは特別養護老人ホームでとても収容できるような数はございませんですね。こういうものに対する対策をどうするか。二つ問題を出したわけですが、差額ベッドの対策、それから寝たきり老人をどうしていくのか。
○政府委員(松尾正雄君) 第一点のほう、差額ベッドの問題。本来は保険の問題ではございますけれども、医療機関の問題でございますから、私から申し上げます。 やはりいま御指摘のように、差額ベッドしかあいてないじゃないかという御指摘もあると思います。しかし、実態といたしましては、実は差額特別室というのがほとんどあいてない。入りたいんだけれども、まだあかないのかというおしかりを受けるということが非常にわれわれの経験では多いのでございます。これは、こういうこと申し上げてどうかと存じますけれども、入院をされる患者さん方というものが、それぞれの立場と申しますか、そのお持ちになっている社会的ないろんな関係というものがございまして、そういう立場から、どうしても特別の設備があったり、あるいは個室であったり、そういった個室でなければ困るという御要望の強いこともやはり一面否定のできない事実でございまして、私どももいろいろとこんな口幅ったいことを申しますけれども、先生方等からもいろいろございましても、そういう大部屋というわけにはやはりまいりませんで、いろいろな面会の方もいらっしゃいましょうし、非常に苦心をするところでございます。したがいまして、私ども国立病院等におきましても、そういう地域によりましていろいろ違います。東京のようなところは相当そういう部屋があってもいつも満員である。しかし、いなかに行きましたら、決して御指摘のように、そういう部屋は必ずしも埋まるわけではございません。 〔理事大橋和孝君退席、委員長着席〕 そういう点を十分考慮いたしました上でできるだけ押える方針でやっておりまして、ただいま申し上げましたように、国立病院がおそらく一番少ないと思いますが、七、八%のところでとどめるという程度にいたしております。ただ問題は、最近私十分指導しなければならぬと思っておりますが、本来保険でこの問題が認められました場合の一番原則は、患者さんの病状の上から見てどうしても個室に移さなければならない、そういったようなときは、これは関係のない話でございます。そういう緊急の場合とか、そういった場合は、私ども、かりに特別室であろうと、とにかく差額なしで入れる、こういう方針でいかなければならないということは、るるわれわれも指導いたしております。運用上も、そういった点、もう少し詰めていかなければならないと思っております。ただ部屋が固有のものとして、だれがどういう場合であろうとその部屋に入れば有料なんだと思い込んでいるところに運用上まずい点があると、私ども、率直に感じております。そういうところはできるだけ指導を強めてまいりたいと思います。 寝たきり老人の問題につきましては、社会局長のほうから全般的なお答えはあろうかと存じますけれども、これと関連いたしまして、いわゆる病院ベッドというものをどうそれと関連させるか。これはやはり老人対策の中で非常に私はむずかしい問題の一つだと思います。何となれば、寝たきりと申しましてもいろいろの病状がございますが、いわゆるいろいろな手を尽くしましても現在の医学では改善の見通しがあまりない、こういう場合が相当ございます。そういう方々がいわば有効なベッドを占領してしまうということは、やはり医療全体の効率から申しますと、大いに問題でございます。私ども、そういう意味では、やはり今後老人を病院としては有効な治療手段ができるうちに収容して、できるだけ早く復帰さしていく、こういう方向でほんとうは進めてまいらなければならない。しかしながら、一方、そういいましても、寝たきりになられた方々については、社会局方面でおやりいただいている特別養護老人ホームというものを整備していただき、急速にやっていただく。あるいはまた、在宅の場合におきましても、在宅のいろいろな手当てというものをやっていただくようにしていかなければならない。病院のベッドだけ期待されるということは非常に大きな問題であると思いまして、その辺の関連を十分お互いにつけていくということが今後の大きな課題であるというふうに思います。
○田中寿美子君 いま言われたことの中から、老人の場合に必要ならば差額なしで個室に入れる、こういうことをしないと、医療の無料化にはほど遠いということになりますから、その方向で進めてほしいということ。その他、差額ベッドの問題、また後の検討のところでみんなが議論することと思いますので省きますが、寝たきり老人が三十六万もいる。これの対策は非常に急がなければならないと思います。私、岩手県の盛岡の老人ホームに行ったときに、九十七人収容されていて四人寮母がいる養護老人ホームです。ところが、その中に寝たきりの人が四人くらいおりましたが、これ、原則的にいえば、重症になったらほうり出すんですね、ほうり出さなければいけない。養護老人ホームというのは、行き場所もないからやむを得ずそこに置いている。そうすると、そこに働く寮母さんは過重になってとっても世話ができませんものですから、老人がめんどう見ている。そこに入っている老人ホームの老人がめんどう見ているという形で、養護老人ホームは二十人に対して一人の寮母というふうになっております。特別養護老人ホームのほうは四人に一人でしょう。そういうような比率ではとても職員は置いていないわけです。寝たきり対策というのはほんとうに急いでやってもらわなければいけない。それを予防的に防ぐのにも、私は年齢を下げていって、医療の公費負担分を給付する年齢を六十五歳に下げないと、寝たきり老人をどんどんふやしていくということになると思うのです。 もう一つ、看護料の問題ですけれども、一日看護婦三千円、準看護婦で二千五百円くらい。あるいはもうちょっと安いところで二千四、五百円。東京都で二千七百五十円ですか。この間東京都のほうで、看護料の一部負担分として出ます八百六十円ですか——基準看護料金というのが千七百二十円ですね、その千七百二十円のうちの半分が国から出る、その残りを全額出すというようなことです。基準看護料千七百二十円ですね。その半額の八百六十円は保険で給付される。ところが、実際の料金はもっと非常に高い。東京都内で二千七百五十円です。したがって、それから差し引いた千八百九十円が患者の負担になるというので、東京都のほうでそれの全額負担をするという制度をつくって予算を計上した。これに対して厚生省はどう思われますか、こういうことをすることについては。自治体が、基準看護料として保険から出される、保険給付されるものと現在実際払わなければならない看護料との差額千八百九十円というものを負担する。こういう制度に対して、それは慣行料金といいますか、現在行なわれておりますその慣行料金を認めることになるというようなことで厚生省は文句を言っているらしいように聞いておりますが、どうですか。
○政府委員(加藤威二君) 確かに東京都では、慣行料金とそれから保険で認めておる看護料との格差がある。先生御指摘になりましたのは、おそらく看護婦の資格がある付き添いじゃないかと思いますけれども、別に付き添い看護というもので私どものほうで調査いたしておりますのは、要するに、病院等の付き添いでございます。これにつきましては若干の格差がある。先生御指摘のほど激しい格差ではございませんが、やはりその慣行料金のほうがある程度高いという実績が出ております。ただ、これは県によって相当格差がありまして、例外的な県で、たとえば岩手県とか徳島県では保険で認めている料金よりも安いというような慣行料金があるところもございます。まあ、大体の県では若干それを上回っているという実態でございます。それについて、地方公共団体がその差額を出しているということについては、社会局としては——これは私のほうの所管でもございませんので——特に云々していいあれはございませんが、まあ保険のほうでもできるだけ実態に即した看護料金をつくるということが望ましい方向であろうと思います。
○田中寿美子君 この問題は残しておきます、あとでほかの方がたぶん議論されると思いますから。私、時間がもう終わりに近づきましたので、最後に就労の問題を伺います。 福祉施設の問題をいろいろと伺いたいと思いましたけれども、これはたぶんあとで藤原先生なさいますと思いますので、実は老人ホームに参りましたり老人と話をしますと、みんな仕事がしたいんですね。働ける状況にある者は働きたい。そこで養護老人ホームに入っている老人が働くことについて、つまり、施設の外に仕事に行くということについては、厚生省はどう考えておりますか。
○政府委員(加藤威二君) 老人ホームに入っている老人が特に就労したいという場合には、特にホームの外に出て就労することが、何といいますか、危険であるとかというようなおそれがない限りは、老人の生きがいを高めるという意味で、老人ホームとしても特にそれを禁止するというようなことはやっておらない状況でございます。
○田中寿美子君 それじゃあ、事実上就労している人たちはあるということでしょうか。現在そうですか。実は私、この間東京都下の老人ホームに参りましたら、その点で、東京都の民生局保護部というのですか老人福祉課から、「老人福祉施設の生活指導とその実務」講習会というもので使用した資料の中で、施設外就労というところで、現時点では養護施設からの就労ですね、それは「禁止」というふうに書いてある。これは厚生省の指導ですか。しかし、老人も働く——これは憲法二十七条で「勤労の権利を有し、義務を負ふ」というのは、これは国民の基本的な権利。養護老人ホームに入っても働ける状況にある老人がたくさんいる。一五%ぐらいの人は働きたいというふうに言っている。それはフルタイムでなくてパートタイムでいいから外に仕事があれば働きたい。それを、働かせることができない状況にあるということだったのですがね。これはいかがですか。老人福祉法三条二項ですか、「老人は、その希望と能力とに応じ、適当な仕事に従事する機会その他社会的活動に参与する機会を与えられるものとする」というふうになっていますね。ですから、これは禁止すべきものではないというふうに解釈してよろしゅうございますか。
○政府委員(加藤威二君) 確かに十年程度前には、そういう老人ホームに収容されている老人が外に出て働くことは好ましくないというような指導をしたこともあるようです。しかし、やはり老人問題については考え方がだんだん違ってきている。全体の世の中の考え方が違ってきている。昔は、とにかく老人ホームに入れておけばいい、それで衣食の世話をすればよろしいという感じ方、受け取り方だったと思います。役所のほうもそういう感じ方だったと思いますけれども、いまはやはりそれでは不十分であって、やはり中に入った老人の生きがいというものを積極的に認める、また生きがいを感じて生活できるような、そういう処遇をするということにウエートが移ってきているということだろうと思うのです。それで、いまではやはり老人が適当なところがあれば手近なところに行って働く、本人が希望して働くということは、これはとめていないという状況でございますので、前の指導がございますので、一部にはまだそういう点が徹底しない点があろうと思いますけれども、やはり今後の指導はそういう方向でやってまいりたいと思います。
○山下春江君 ちょっといまの問題に関連して。 老人福祉年金がそもそもできましたのは、私がその老人ホームに要求されてつくったのでございますが、長野県の善光寺のお寺さんが経営している、その当時はまだ老人福祉法も何もないときでございます、いまから十七年くらい前でございますが、そのときに百名収容の老人ホームで八五%は外に出て働いておられました。それはその老人ホームの所属の土地が、反歩で言っては悪いのですが、七反歩。それにリンゴがちょうどなるようなリンゴの木がずっと植わっておりました。それから乳牛が三頭。ヤギが二十五頭。このお乳を出すヤギが二十五頭と乳牛三頭とをこの中に収容されている老人が一生懸命手入れをすると毎日五勺ずつお乳が飲める、百人収容しておりますから。それから七反歩に植えてあるリンゴの畑を一生懸命、みんな達者な方が手入れをする。その達者な方で手入れをする方は八〇%以上だと言っておりました。それで、あと残った二〇%の方は、そのリンゴにかける袋を張るとか、いろいろ室内でできる用事をしておりました。その姿を見て、たいへん私はその当時感激をして、今日のように老人問題がやかましくないときですからたいへん感激して、たいへんなすばらしいことだと。いまは冷凍庫なんてどこにでもあります。トラックにもついておりますが、そのときにリンゴが熟しましたものをとって冷凍庫に入れておきますと、一年中百人が半個ずつ食べられる。非常に希望を持って愉快に働いておられました。だから、老人の収容はこういう形であるべきだと思いました。そして、そのときに何かあいさつをしろということでしたから、たいへんおしあわせだというあいさつをしましたら、食べること、着ること、住むことにはたいへんしあわせだが、小づかいが一銭もない。ただの一銭もない。生きている人間だから、小づかいをもらえるようにしてくれ、月三十円でもいい、という要求をその当時受けたのでございます。私は飛んで帰って——それで約束しました。そのとき、そうですか、それは私も気がつかなかったから、帰ってきっと調べますと言ってこしらえたのが今日の、その当時千円でございました。鳩山内閣であったと思いますが、千円の福祉年金をつくりましたのが今日三千三百円になったわけでございますが、その当時の千円は、いまの十七兆の予算ではございません。一兆円が欠けておりました。そのときでも、つくろうと思えば一千円の福祉年金がつくれたのであります。私は与党だからたいへん言いにくいけれども、福祉年金はことし三千三百円にしていただいたというのはたいへんな御努力のようにおっしゃると私は腹が立つので、あの当時一兆円を欠けている総国家予算のときに一千円をつくったのに、それから十五、六年たったのにようやく三千三百円になったということはけしからぬと私も思っておるわけでございまして、(拍手)どうかひとつ、先生方から老人対策に対して非常ないろいろな御要求が出ておりますが、私、ほんと言うと全部同感なんでございまして、政府はひとつ本気になって、十五年前に厚生省がつくった、一兆円欠けている予算の中で一千円の福祉年金をこしらえたのに、十七兆で五千円にもならないのは何事だと言いたいところでございまして、(拍手)ひとつぜひ老人対策に対しては、先生方の要求もこれあり、格別の御努力を賜わらんことを心からお願い申し上げます。(拍手)
○田中寿美子君 それじゃ、いま年金のほうにまでまいりまして、福祉年金のこともこの次やるときにはいまの山下先生の発言は私たち大いに使いますから……。 それで、いま山下先生おっしゃったように、老人ホームの施設そのものにそのような農園もあったりいろんなことができて、老人が伸び伸びと自分の体力に応じた仕事ができるというようなのはほんとうに好ましいと思うんですけれども、現状では老人ホームがそういう状況にないところが多うございますね。それで、いま私が申しましたように、外に就労したいと思っている老人がたくさんある。働ける状況にある、そしてパートの仕事があるというようなときには、いまおっしゃったように、もう出てもいいということであるならば、昭和四十三年に——ですからまだ四年前ですけれども——そういう指導をしていらっしゃるのだから、厚生省としてはその指導を変更したということをはっきりさしていただかなければならない。それが一つです。 労働省のほうは、老人の就労対策として、これはホームに収容されている人の意味ではありません。全体として老人の就労対策にどんなに力を入れ、どういうことを今後もやろうとしているのかということ、これをついでにお伺いをして私、質問を終わりたいと思います。
○政府委員(加藤威二君) いまの老人ホームに入っておられる老人で、特に適当な場所があってそこで働きたい、就労に出たいという場合には、そういう点は差しつかえないということは、おりおりの課長会議その他でも指示いたしておりますが、なお徹底を欠いている向きもあるようでございますが、さらにその趣旨を徹底するように指導いたしたいと思います。
○説明員(加藤孝君) 高齢者の方々は、長い職業生活の御経験を一般にお持ちでございまして、そういう貴重な御経験を職場に今後とも生かしていただくということは、一つにはそういう高齢者の方々の生活の安定という面からいいましても、あるいはまた高齢者の方々の生きがいという面からもきわめて大切なことであると、こういう観点に立っておりまして、このため、従来から公共職業安定所におきまして高齢者コーナーというものを設けまして、特別の相談をいたしております。また厚生省とも連携をいたしまして、社会福祉法人による無料職業紹介事業というものを進めておるわけでございまして、こういう高齢者の方々の就職の促進につとめているところでございます。で、今後さらに私ども考えておりますのは、現在中高年齢者雇用率というものを設けておりまして、たとえば掃除の仕事でありますとか、守衛さんの仕事でありますとか、そういう高齢者向きの職種につきましては雇用率というものを設定いたします。たとえばその職種については七〇%以上はこういう高齢者の方でなくちゃいかぬ、こういうようなことで雇用率を設定しておるわけでございまして、いま二十九職種こういうものを設けております。これをさらに本年度六十職種までふやしていきたい、こういうことで、いま職種の検討を具体的に進めておるわけでございまして、またその職種については、完全にその雇用率を達成するように積極的にPRを進めていきたい、こう考えております。 それから、こういう高齢者の方々の相談の施設といたしまして、現在九カ所の人材銀行というもの、それから二十七カ所の高齢者コーナーというものを設けておりますが、これの内容につきまして、特に専門的な相談員を配置するとかというような形で増強をはかっていきたいということもいま計画を進めております。 また厚生省とも一そう連携を密にいたしまして、先ほど申し上げました社会福祉法人による無料職業紹介事業、現在、これは五十三カ所ございますが、たいへん好評を博しておりますので、この業務をさらに充実さしていきたい、こういうことで考えております。 そのほか、本年度からは老人向きの職業訓練というものをやっていきたい、こういうことで、老人専用の訓練科目を従来の職業訓練校に併設をするということで、いま準備を進めておるわけでございます。まあ、これらの施策を合わせまして、ぜひ私どもとしても老人の就職の促進につとめてまいりたいと、こう考えておるところでございます。
○田中寿美子君 それでは、いまさっき厚生省で、養護老人ホームに入っている者が就労してもいいということをおっしゃいましたので、職業安定所にもしそういう老人が求職したら、これはちゃんと扱うと、こういうことでございますね。
○説明員(加藤孝君) 当然、私どもとしましては、安定所の窓口においでいただくなり、あるいはまた無料職業紹介事業のところへおいでいただくならば、職業相談いたしまして、できるだけその方に向いた仕事をさがし、ごあっせん申し上げるということをいたす形になっております。
○委員長(中村英男君) 本案に対する午前中の審査はこの程度といたします。 午後一時まで休憩いたします。 午後零時十分休憩 —————・————— 午後一時十五分開会
○委員長(中村英男君) ただいまから社会労働委員会を再会いたします。 午前に引き続き、老人福祉法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
○藤原道子君 私は老人福祉法の一部を改正する法律案、これについてまず基本的な問題についてお伺いしたいと思います。 人口問題審議会の答申として、昭和四十四年八月五日に「わが国人口再生産の動向についての意見」及び昭和四十六年の十月に「最近における人口動向と留意すべき問題点について」とても詳しく答申が出されている。これに対して政府はどのような対策を講じているのか。答申というものは政府がこれを尊重すべきものと私は考えておりますが、これについてのお考えを伺いたいと思います。
○政府委員(加藤威二君) 人口問題審議会が四十六年十月に「最近における人口動向と留意すべき問題点について」答申を出されておりますが、この主要な点は「最近における人口動向と問題点」というのと、それから「優生対策と保健教育」、それから「出産と幼少年人口の健全育成」「青壮年人口と労働力」「急増する老年人口」「心身障害者等の問題」「地域人口の変動と環境」というような項目に分けて答申を出されております。厚生省関係では、それぞれの分野におきましてこの答申の趣旨に沿った対策をそれぞれ打ち出しております。 そのうちの一つの問題として、老人問題をやはりこの答申の中で取り上げられておりますけれども、人口の急速な老齢化が進む、そのための必要な施策として成人病対策を強化する必要があるという主張がなされています。 それから老齢者に対する生活保障、それから医療保障、そういった老人に対する保障の拡充の問題、その点に触れておられます。 それから、第三としては就労問題、これは定年制の延長の再検討、あるいは生きがいのための就労の助成というような問題点に触れております。 それから次が、「老人を忘れない家庭生活」、家庭においてやはり老人を大事にしていく、そういった家庭生活を積極的につくっていく必要がある。老人の希望に応じて別居、同居ができるような、そういう体制をつくっていく。そのためには軽費の老人ホーム等の増設も必要であるという点でございます。 それからさらに「孤独な老人への対策」といたしまして、特別養護老人ホーム等の施設の整備、それからホームヘルパー等のサービスの充実、あるいはボランティアの活動。 それから生きがい対策といたしまして、老人クラブの強化、老人福祉センター等の整備、まあ、こういう点に触れておられるわけであります。 で、私どもといたしましては、大体われわれが老人福祉対策として推進してまいっております問題について触れておられるということでございまして、まあ全面的にとは申しませんけれども、この答申の趣旨に沿って、一つの例として老人対策を申し上げましたけれども、まあ着々とその政策を進めているというのが現状でございます。
○藤原道子君 私もこれを読んでおりますから、いまのように書かれておりますが、その答申が守られておるかどうかが問題です。老人福祉法が昭和三十八年に制定されて、ことしでちょうど十年になる。ところが、当時関係者が熱望していた老人の総合福祉計画を織り込んだ立法は、期待を裏切って現行法のような貧弱なものができたわけなんです。ところが、顧みますと、この十年間に現行法の改正は一度も行なわれていないが、政府は現行法を改正して名実ともに老人の総合福祉法とする考えはないですか。
○政府委員(加藤威二君) 老人福祉法、御指摘のとおり昭和三十八年に制定されましてから改正がなかったわけでございますが、まあ老人問題は十年前と現在とでは格段にそのウエートが違っております。御指摘のように、老人問題が今後非常に大きく取り上げられてまいるというぐあいに考えます。まあ、法律といたしましては貧弱であるかどうか、これは見方によろうと思いますけれども、私どもといたしましては、とりあえず、まあ老人問題は何も老人福祉法だけに含まれている問題ではございませんで、年金関係はそれぞれの年金の法律で規定されておるわけでございますから、やはり老人対策というものは各種の法律が総合的に働いてそうして老人の福祉を守っていくということになろうと思います。その中心になるのが老人福祉法ということでございますので、まあ法律として、これに全部老人対策を、年金から何から全部ひっくるめちゃうという考え方もあろうと思いますけれども、一応いまの体制は、それぞれの法律で、老人についてはまたそれぞれの対策を打ち出していくということで進んでおるわけでございます。そういうことで、まあ老人医療の無料化につきましては、この老人福祉法の中に取り入れていくということで老人福祉法の一部改正の審議をお願いしておるわけでございますが、要は、やはりそれぞれの法律の中において老人問題というものを積極的に取り上げて、その対策をそれぞれの法律の中で打ち出していくということが大切であろうというぐあいに考えるわけでございます。
○藤原道子君 とにかくこうした法案は、老人問題がとても大きな問題になっているにもかかわらず、十年間何一つ改正されていない。で、それはいまあなたがおっしゃったように、老人問題は医療は保険制度、あるいは年金制度というように別々になっておるけれども、私が伺いたいのは、この老人の問題は、老人福祉法の名に恥じないように総合的な福祉法として強化していく考えはないんですかと、これをお伺いしている。
○政府委員(加藤威二君) まあ、老人福祉法の中で一応老人福祉につきましての考え方というものは大体うたってあるように私どもは考えておるわけでございます。で、まあ十年間改正がなかったということでございますけれども、しかし、内容的には、この法律の改正という形ではあらわれておりませんけれども、やはり老人に対する福祉対策という面は、ことに予算面において相当伸びてきておるということでございまして、法律の改正がなかったということと、老人対策が進まなかったということは必ずしも同じ問題ではないというぐあいに考えるわけでございます。で、この老人福祉法につきましては、今後ともさらに検討いたしまして、不十分な点があればもちろん直すことにやぶさかではありませんけれども、私どもといたしましては、一応この法律の趣旨に沿いまして、相当老人対策というものは予算措置でできるものがたくさんあるわけでございます。そういう問題を積極的に予算面の充実をはかりまして老人の福祉をはかっていくということで、老人の期待に相当こたえることができるんじゃないかというぐあいに考えておるわけでございます。
○藤原道子君 それでは、あなたはこれでいいと思っているのね。結局、予算は伸びておりますと、あるいはほかの面でも改正はあった。なるほど年金はちびちびと上がってきました。けれども、いまの時代で三千三百円で食えますか。私は、もう少しあなた方が真剣に考えてもらいたい。私は、このいろいろな審議会等からの答申を見ても、こういうことが主張されても、それができないなら審議会なんて要らないじゃないですか。で、今回の提案がされていると言われるけれども、今回も一部改正とした法律案は、老人医療の無料化だけに終わっている。四十五年十二月二十五日の中央社会福祉審議会の「老人問題に関する総合的諸施策について」の答申の線に沿って法改正をしなかった理由はどういうことなんですか。
○政府委員(加藤威二君) 中央社会福祉審議会の答申でございますが、これもまあ老人問題についていろいろな角度から取り上げておるわけでございますが、第一は、第一章として老後の……
○藤原道子君 それはもう読んでいるから、いいです。
○政府委員(加藤威二君) 生計維持の問題、たとえば一つの例として生計維持の問題でございますが、これは年金の水準を上げろということをいっておるわけでございます。これはすでに、この国会で御審議願うと思いますが、福祉年金のレベルアップというものをはかって、その額の多い、少ないという議論は別といたしまして、一応従来から見ますと、相当大幅な引き上げの努力をしておるということでございます。そのほか、拠出年金等につきましても、これは今度の国会では間に合いませんけれども、次の国会でおそらく年金局のほうで相当の改善案を出して御審議を願う段取りになるのではないかというぐあいに考えておりますが、一々申し上げませんけれども、この答申の対策というものは、法律によらなければならないものは法律の改正というかっこうで出しておりますし、必ずしも法律の手当てを必要としない面が相当あるわけでございます。そういう面につきましては、予算面で四十七年度におきましては相当の努力をいたしておりますので、もちろんそれは十分とは申しませんけれども、老人福祉対策につきましては、厚生省としてはまあまじめに取り組んでいるということを御了解願いたいと思います。
○藤原道子君 私も、これを中心に論議したいけれども、一時間半という時間の制約がございますので、とにかくこれだけ真剣な答申があるんでございますから、もう少し考えてほしいと思う。 厚生省内に老人福祉に関するプロジェクト・チームワークを設けて研究して、昭和四十六年五月十四日に中間報告を発表されておるわけです。その報告に基づいてどのような具体的な対策が行なわれておりますか。
○政府委員(加藤威二君) 私も先ほど田中先生の御質問である程度お答え申し上げましたので、簡単に御答弁申し上げますが、このプロジェクト・チームで医療保障の問題、老人の医療対策の問題、それから老後の所得保障対策、それから保健——健康を保つ保健管理対策、それから第四に福祉施設整備と居宅サービス、第五に老後の生きがい対策というぐあいに五つの項目に分けまして中間答申をいたしたわけでございます。 それで、老人の医療対策につきましては、ただいま御審議願っております老人医療の無料化という形でこの答申を受けまして提案をいたしておるところでございます。 それから、所得保障対策につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。 それから、保健管理対策、これにつきましては、健康診査の——これは従来からやっておりますけれども——健康診査の充実ということで、予算的な面で配慮をいたしておるわけでございます。 それから、福祉施設の整備、居宅サービス、これは福祉施設につきましては、整備五カ年計画の線にのっとりましてさらに強力に推進していくということと、居宅サービスにつきましては、ホームヘルパーの質と量の充実、そういうことで、ことに給与改善という問題を含めまして、居宅サービスの一つの重要な問題であります老人家庭奉仕員の制度の充実を四十七年度にはかっておるわけでございます。 そのほか、老後の生きがい対策につきましては、住宅の問題、それから高齢者の無料職業紹介所の問題、老人福祉センター、あるいは老人のスポーツというような点につきましてそれぞれ予算を組んでおるということでございまして、中間答申、中間報告でございますが、その趣旨をできるだけ四十七年度の対策には生かしておるというのが現状でございます。
○藤原道子君 私もなるべく重複を避けて質問いたしますが、若干は重複するかもしれません。その点は一言申し上げておきます。 そこで、老人福祉総合対策を推進するためには、内閣に老人福祉総合対策本部というようなものを設けておくことと、有機的かつ強力な老人福祉審議会を設置する必要があるのじゃないかと私は思います。また、内閣に老年開発総合研究所というようなものを設置する必要があるんじゃないかと思いますが、局長、どうですか。
○政府委員(加藤威二君) 老人問題につきましては、中央の社会福祉審議会の中の老人部会というようなものでこれは十分検討いただいております。で、まあ内閣につくるかどうかということでございますが、私どもは、いまのところといたしまして、いまの厚生省にありますところの中央社会福祉審議会で相当の成果をおさめておるというぐあいに考えておるわけでございます。で、まあ内閣に老人福祉総合対策本部を設けるかどうかということは、これは私どもがお答え申す問題ではないかもしれませんけれども、今後の新しい内閣がこういう問題についてどういう取り組み方をするかということとも関連してまいると思いますけれども、先生の貴重な御意見として私どもとしては承っておきたいと思います。
○藤原道子君 まず、「老人」というのはどういう概念ですか。それから、本法で老人の定義を設けるべきではないかと思いますが、定義をしないでいる理由、それもあわせてお伺いしたいと思います。
○政府委員(加藤威二君) 確かに、老人福祉法には「老人」というものについて定義がないわけでございますが、これは一つの定義をするとすれば、年齢で区切るということになると思うのでございますが、老人というものは非常に個人差がございますし、何歳以上から老人というぐあいに区切るということもなかなかむずかしいし、また、対策によりまして、六十五歳からの対策もございますれば七十歳からもある、あるいは六十歳からの対策もあるというようなことで、それぞれの対策によりまして、まあ老人というものを一律になかなか規定できないというようなことで、老人福祉法においても、「老人」というものの定義もございませんし、あるいは何歳からという区切りもしていないわけでございます。これは、そういう趣旨で、それぞれの対策に応じまして、六十歳にしたり、あるいは六十五歳にしたり、七十歳にしたりということがございますので、特に「老人」の概念というものをはっきりさせなかったということでございます。
○藤原道子君 本法では、「老人」の概念は、社会通念上老人といわれる者という解釈をしておりますが、今回の改正で、老人といっても、具体的な福祉の措置では年齢により差異がある。これどうも納得がいかない。第四条の「老人福祉増進の責務」のところにも、老人に対する福祉については、総括的、かつ具体的に所得保障、医療保障、住宅、労働、国鉄運賃割引あるいは所得税控除等についても特段の配慮をすることを私は規定しておくべきではないか、こう思いますが、これはどうですか。
○政府委員(加藤威二君) この法律におきまして、今回の改正が、老人といっても具体的な福祉の措置では年齢により差異があるということでございますが、これはおそらく、たとえば老人医療については七十歳、あるいは健康診査については六十五歳、それから老人ホームの収容については原則として六十五歳以上というようなことでそれぞれ違っておるのはどういうわけかという御指摘だろうと思いますが、これは先ほど申し上げましたとおりでございまして、老人医療を七十歳からに区切ったということは、先ほど田中先生の御質問でも申し上げましたそういう趣旨で、まあ健康診査の六十五歳との間に食い違いがございますけれども、とりあえず制度の発足としては七十歳ということで発足するということに踏み切ったわけでございます。 それから第四条でございますが、この第四条には「老人福祉増進の責務」ということで原則論的なことか規定してございます。「国及び地方公共団体は、老人の福祉を増進する責務を有する」、それから二項が「国及び地方公共団体は、老人の福祉に関係のある施策を講ずるに当たっては、その施策を通じて、前二条に規定する基本理念」、これは「老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として敬愛され、かつ、健全で安らかな生活を保障される」というのが第二条でございます。それから第三条も「老人は、老齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して、常に心身の健康を保持し、その知識と経験を社会に役立たせる」。それから「老人は、その希望と能力とに応じ、適当な仕事に従事する機会その他社会的活動に参加する機会を与えられるものとする」。これが二条、三条でございますが、「前二条に規定する基本的理念が具現されるように配慮しなければならない」。こういう立場から三項が「老人の生活に直接影響を及ぼす事業を営む者は、その事業の運営に当たっては、老人の福祉が増進されるように努めなければならない」、そういうことを原則的にうたってあるわけでございます。それを先生はさらにこまかく、鉄道運賃の問題とかあるいは労働制度、医療保障、所得保障というふうに書いたらどうかという御指摘でございますが、私どもといたしましては、こういうように包括的に書いておくということで、それによりましてそれこそ運賃等は国鉄のほうの規則のほうでそれを規定するというような立て方になっておりますので、一応現在のところは包括的に国及び地方公共団体が老人の福祉に協力すべきであるという原則論を書くことによってそれでいいのではないかというぐあいに考えておるわけでございます。
○藤原道子君 そこがずるいのですよ。時間がないので先へ進みますけれども、真剣に考えていただかなければ、こういう問題でずいぶん苦労をしている。それから老人といっても七十歳以上、医療はそうですけれども、六十歳でも非常に弱っている人もある。六十五歳でも七十歳でももっと働ける人もある、こういうことはお考えになったことございますか。
○政府委員(加藤威二君) 確かに個人の健康の状態というものは大体年齢に比例はいたしますけれども、しかし、個人差というものは相当ある。六十前でも相当弱っておられる方もおりますし、七十過ぎても非常に元気な方もあるというようなことで、個人の健康というものはある程度年齢に比例はいたしますけれども、個々の老人を比べてみますると非常に格差があるということは、いま私どもも十分承知をしておるところでございます。
○藤原道子君 その格差が問題なんですよ。それじゃ、六十歳あるいは六十五歳で健康を害して動けない、金がない、どうにもしようがないという者は見殺しでもいいんですか。金がなければ医者にかかれない。それから養護老人ホームでも六十五歳から入れることになっている。六十歳でも必要とあればと言われるけれども、なかなか入りにくいんです。こういう場合はお考えになったことがありますか。
○政府委員(加藤威二君) 確かに今度の老人医療の無料化は七十歳という線をとっておりますから、七十歳以前の六十ないし六十五歳から七十歳までの間の老人の方が病気になられたときには相当困られる方が出てくるであろうということは、われわれも想像つくわけでございますが、それにつきましては先ほど申し上げましたように、医療保険の抜本改正のほうで、高額医療の保険負担の問題、こういう問題を真剣に取り上げられておるわけでございまして、そういう面が実現すれば、これはその面で救われていく。それから、金が全然ないというような方につきましては、これは生活保護の医療扶助もございます。この医療扶助ということは、そういう老人の方で医療費がないという方についてはこれは積極的な適用をはかっておりますので、そういう方については生活保護法による医療扶助の適用ということで最終的な医療は確保するという、こういうことでございます。
○藤原道子君 この点については後ほど少し詳しくお伺いいたします。 そこで児童福祉法にも児童福祉司、身体障害者福祉法には身体障害者福祉司が置かれておりますが、老人福祉法にはなぜ老人福祉司が置かれていないのでしょうか。寝たきり老人とか一人住まいの老人等に対しましては、私は絶対必要だと思うんですけれども、老人福祉司を置かない理由はどこにありますか。
○政府委員(加藤威二君) これは、老人福祉司という名前のものはないわけですが、老人福祉指導主事という、これは老人福祉司とほとんど同じでございますが、各福祉事務所に老人福祉指導主事というのを配置しておりまして、こういう人たちが大体身体障害者福祉司とか、こういう名前とちょっと違いますけれども、実質的には同じ仕事をやっておるということでございますので、名前の点で「福祉司」という名前がついてはおりませんけれども、老人福祉指導主事という名前で、老人対策については、身障とかあるいは児童と全然劣らないような対策、陣容ということでやっておるわけでございます。
○藤原道子君 劣らないだけの対策が行なわれておると信じていらっしゃいますか。 それから、民生委員の協力義務は福祉関係立法には必ず規定されているが、十分な活動が行なわれておるかどうか。また、民生委員法そのものについて再検討する時期が来ているんじゃないか、こう思いますが、いかがですか。
○政府委員(加藤威二君) 私どもといたしましては、名前が違いますけれども、一応老人福祉指導主事ということで、少なくとも仕事の面では身障あるいは児童に劣らない体制ができているというぐあいに考えております。 それから民生委員との関係でございますが、確かにいままでの民生委員さんとの関係は、やはり生活保護という点に重点が置かれておったという、これは民生委員さんばかりじゃなくて、福祉事務所といえども、そういう沿革からいえば、生活保護にウエートが非常にかかっていたということでございますが、最近では、児童の問題とか身障の問題とか、あるいは特に老人の問題というものが非常にクローズアップされてまいりまして、生活保護はどうでもいいというわけでは毛頭ございませんが、従来生活保護に非常に片寄り過ぎていた関心と申しますか、そういう配慮といいますか、そういうものがやはり今度は生活保護法以外の社会福祉五法と申しますが、そういった児童とか身障あるいは精薄というような、そういうハンディキャップのある人たちに対する福祉対策というほうに向かっていかなければならない、そこに一つの流れの変化があろうと私どもは考えておるわけでございます。そういう意味で、民生委員法の再検討というお話がありましたが、われわれも民生委員さんとよく会合いたしますが、私どももひとつそういう方向をお互いに認識し合って、そうして生活保護法はもちろんでございますが、その他の社会福祉五法関係が円滑に行なわれますように民生委員その他の方々の御協力を願う、そういう方向でやってまいりたいというぐあいに考えております。
○藤原道子君 その後民生委員はふえているんですね。現在何人おりますか。それから民生委員の待遇はどういうふうになっておりますか。
○政府委員(加藤威二君) 民生委員の数は十三万人だったのを四十七年度に十六万人、大体三万人増ということでございます。 それから給与の問題は、これは民生委員さんというのは名誉職でございまして、したがって、給与という形ではございません。実費弁償みたいな形で、これは児童委員手当と一緒になっておりますが、四十六年度六千円だったものを昭和四十七年度九千円にしたということでございまして、金額は非常に少のうございますけれども、名誉職ということで、実費弁償的なことで、しかし金額は五割増しということで九千円、そういうことになっております。
○藤原道子君 民生委員の選任方法について社会的に非常に批判があるんです。これはいまどういうふうな方法で選任していますか。
○政府委員(加藤威二君) 民生委員につきましては、御承知のように、民生委員法というのがございまして、民生委員の推薦につきましては、都道府県知事の推薦によって厚生大臣が委嘱をするという形になっております。その「都道府県知事の推薦は、市町村に設置された民生委員推薦会が推薦した者について、都道府県に設置された民生委員審査会の意見をきいて」、そうして都道府県知事が推薦する。そうすると、その推薦に従って厚生大臣がこれを委嘱する。そういうことになっております。
○藤原道子君 きょうはあまり深く追及いたしませんが、民生委員の多くの人に対しての批判は、耳に入ったことありますか。とにかく民生委員の選任については、またほかの機会に検討したいと思いますが、その上民生委員の仕事がどんどんふえるばかりです。たいへんなことだと思う。そういう点で選任方法にも私はかなり検討を要するのではないかということを一応申し上げておきます。 そこで老人の健康管理体制でございますが、まず国民の健康管理体制についてどのように考えており、どういうふうに実行しておいでになるか。
○政府委員(滝沢正君) 国民の全般的な健康管理は、生まれるときから死亡するまで一貫性を持つことが望ましいのでございますけれども、まず人生の一番最初でございます妊娠ということと、それから赤ちゃんの時代、この点につきましてはすでに母子保健法、児童福祉法等によりまして、この対策はかなり充実し、わが国の乳幼児死亡率その他もかなり改善されてまいっております。その間に予防接種等による予防対策が行なわれますが、その後学校保健の立場で児童学生の健康管理が行なわれまして、あと成人、社会に出まして以後、労働安全衛生の立場からの雇用あるいは就業中の健康管理の問題がございます。それから、老人福祉法に基づく六十五歳以上の健康診査がございますが、この間に欠けておりますのがいわゆる未組織の家庭の主婦、あるいは一般中小企業等、自営業等あるいは農村の方々の一般成人に対する組織的な健康管理がいま一番欠けている面でございます。しかしながら、これについても対策は実施されておるのでございますが、たとえば胃ガン、子宮ガンの検診等が約五億の予算が国費として投入されております。そのほか、老人の健康診査が約四億。それから老人に非常に多くなってきた、老人病といわれるようになりました結核がこの点についてかなりの役割りを演じておりまして、これに十二億。総体的に約二十一億程度の予算がこの成人病一般について、老人を含めまして、投入されております。 結論を申しますというと、わが国の成人病対策は確かに部分的にしか行なわれていない、いわゆる組織だった悉皆検診的な、国民全体に及ぼす施策に欠けるという点が一つの欠点として言えると思います。しかしながら、この点につきましては、わが国の成人病死亡の三大要因でございます脳卒中あるいはガンそれから心臓病、この三つを少なくとも対象にした具体的な健康管理体制というものが一そう充実される必要がございますので、この点につきましては、健康管理の問題を、保健所問題懇談会等で健康管理を中心にした地域社会の健康管理体制について御審議いただいておりますので、近く御答申をいただいて、四十八年度以降、いままでの施策をさらに積み上げたもの、あるいは広く及ぼす方向で具体的な対策を検討いたしたい、こういうふうに考えております。
○藤原道子君 一応答弁はいつもりっぱなことをおっしゃるけれども、実行がいつも欠けているのですよ。これはほんとうにいまあなたがおっしゃったとおりに今後さらに真剣にやっていただきたい。 この老人医療にしても、健康管理がずっとできておれば非常に老後の病気も少なくて済むんですよ。ところが、ほとんどやらない。ことに、あなたの言った農村とかあるいは家庭の主婦とか一般の、何といいますか、商店ですか、こういうところの健康管理が非常におろそかになっている。この点に今後一そうの努力を払っていただきたいと思います。ですから、今度の改正案では、七十歳以上の老人の疾病の医療費の公費負担であって、老人の疾病予防、健康管理体制については十分な配慮が考えられていないように私は思うのです。六十五歳から健康診断をすると言うけれども、さっき田中さんが言ったように、病気が発見されたあとが非常に苦しんでしまう。こういう点を一そうひとつ御考慮してもらわなければならないと思います。納得が私たちはいっておりません。 そこで、成人病対策の現状はどうでしょうか。成人病の早期発見とか早期治療の実をあげるためには、壮年期における健康診査制度を設け、その費用は公費で負担すべきものと私は考えますけれども、この点はどうでしょうか。
○政府委員(滝沢正君) 成人病の具体的な対策につきまして先ほど一部申し上げましたが、ガン対策はようやくその成果が多少見え始めまして、胃ガンについて、わが国の胃ガン死亡が初めて減少するという統計数値があらわれましたことに見られますように、対策は全般的にはまだ不十分でございますけれども、やればある程度の成果があがるという実態をつかみ得ましたので、この点については、子宮ガンにつきましてはもう前々から成果があがった点が指摘できるのでございまして、わが国の婦人の子宮ガンの死亡は明らかに減少してまいっております。今後問題は脳卒中あるいは心臓病等の成人病対策が重点でございまして、この点につきましては、検診を受けたことがあるかというその調査で、男女合わせまして、血圧測定では約六〇%の人が受けたことがある。まあ、老人検診が先ほど御指摘の中で二一%という数字がございましたが、われわれの立場から見ますと、老人診査のときに集まった、いわゆる市町村が催したときに集まったのが二一%であって、老人としての側から検診を受けた、血圧測定をしたかどうかといいますと六〇%、まだこれでも十分ではございませんけれども、もっとやっぱりその点が、健康管理というのはみずからするものではありますけれども、社会がそのチャンスを与える必要がある。そういう意味で、先生御指摘のいわゆる公費負担というものによって社会資源としてそういうチャンスを準備しなくちゃならない。受診する意欲は本人が持っていただかなければならぬというようなことを含めまして、今後の健康管理の問題につきましては、われわれといたしましても予算その他の面で十分の配慮をしていく必要がある、こういうふうに考えております。
○藤原道子君 重ねて伺いますが、過疎地域における健康診査、これはどのように行なっておりますか。
○政府委員(滝沢正君) 過疎地域における健康診断の問題につきましては、診断そのもののチャンスを与えることは、過疎地域であるだけに保健所としてはきわめて重点を指向しなければならない問題でございます。そういう意味で、移動保健所というものに対する予算措置をいたしました。あるいは、過疎地に昨年来保健婦を駐在させる。いわゆる保健所保健婦よりも予算補助を多くいたしました過疎地に駐在する保健婦制度を設けまして、要するに、検診を受けるという以外に、日常の健康相談あるいは受診後の生活指導を含めまして保健婦の活動というものがきわめて重要であろうというふうに考えまして保健婦の設置と、それから、移動して、病院等の協力を得たりあるいは検診自動車を回したりいたしまして、過疎地の受診回数なり機会をできるだけ多くするような努力をいたしております。
○藤原道子君 お話を伺っているとたいへん完全にいっているようでございますが、実際はそうじゃございません。私も過疎地へ行ってみますけれども、いろんな悩みの訴えがございます。また、病気になって医者にかかるったってかかりようがない。わしら過疎地になれば死ぬのを待つばかりですからと、こういうふうな訴えがたくさんあるわけなんです。したがって、過疎地域、農村地域等に対する健康管理をもっと真剣にやっていただきたいということを強く要望しておきます。 そこで、老人の六十五歳以上の健康診査、精密検査、その結果による疾病の状況等は先ほど明らかになりましたが、私どもにはまだ納得がいかない点が多々あります。真剣に国民の健康管理を——このくらい大事な仕事はないと思うのです。経済成長だ、いや何だといったって、国民の健康が保持されなければ労働力が不足していく。こういうことは御案内のとおりなんです。したがいまして、一般国民の健康管理とあわせまして、老人の健康診査は老人病対策とも連携して一貫した健康管理体制を行なう必要があると思いますが、その点はどうお考えでしょうか。
○政府委員(滝沢正君) 確かに六十五歳以上の老人福祉法に基づきます健康診査が先に先行したような形に制度上なりまして、その前のところの対策がおくれているというふうに考えますので、やはり率直に申して健康な老人づくりというのがわれわれの重要な課題であろうと思うのでございます。そういう意味で、単なる健康診査によって、あとは異常ございませんというような対策以上のものとして、今年度新たにモデル的ではございますけれども、健康増進センターというものを全国に二カ所設定いたしました。ということは、要するに、健康づくりというものは、健康診査によって異常がないというだけの発見ではなくて、現在の健康状態というものをより高めあるいは完全に維持していくという積極的な健康づくりが大事でございます。ですから、静かにした状態の心臓を見るという姿じゃなくして、多少からだを動かしたり運動して、その動いているときの状態の心臓の状態を見るという、こういうアイデアが健康増進全体の考え方でございます。そして、最近、特に町で見られますような、そういう朝早くから早足で健康増進のために動いている老人、あるいは社会局が老人の運動会を催すような予算を取ったということを聞いておりますが、そういうような、老人福祉というのは、単なる欠陥者を救っていくという対策じゃなくて、健康な老人づくりという方向に私はいく必要があるというふうに考えますので、積極的な老人福祉というものは、やはり健康問題あるいは健康づくり、あるいは運動を奨励するというような施策まで国の対策が及ぶ必要があるというふうに考えております。
○藤原道子君 さっき田中さんの御質問に対しての答弁で、地方自治体でも七十歳以上となっているから云々という御答弁があったですね。私は、地方自治体はすでに七十歳を前からやっている。国がやっと今度腰を上げた。ところが、またしても地方へ追随するような考え。地方自治体が七十歳以上だから、だから国も七十歳からやったんだと。これは納得がいかない。結局、現在の平均寿命は、男は六十九歳で女は七十四歳なんです。これは中高年齢者においてはそこまで到達していない現状から見れば、せっかくの施策も対象者が僅少になってしまう。六十九歳、七十四歳ということになると、私どもから言わせれば、対象者はぐっと減ってきている。だから、厚生省は、受診率が七十歳以上が多いと言われているけれども、これは疾病が重篤になってのことであり、また男の場合には定年後の疾病が多くて、かつ、六十歳以上七十歳までに大半が死亡するといわれている。年齢を六十五歳にすべきだというのはそこからも来ているのです。とにかく、いまの定年は五十五歳ですか、それが若干延びる傾向にはあるけれども、そうすると、今度は健康保険は国民健康保険になるのですね。そうして、長年の健康管理が十分でなかったために七十歳以前に死亡する人が多いのです。それで七十歳からでないと医療費を無料にするというようなことは、少し無理なのか。地方自治体が、もうやむにやまれず、すでに前から七十歳の人をほうぼうで始めている。国が初めて踏み切るならば、この際、六十五歳——私は六十歳からにしろと言いたいのですけれども——せめて六十五歳ぐらいにやられるべきじゃないか。このごろ新聞の死亡広告見たって、六十代の人がずいぶん多いじゃありませんか。こういう人たちの健康管理は、医療費等はお考えにならなくてもいいということでございますか。その点、ちょっともう一度答弁してください。
○政府委員(加藤威二君) 前にも御答弁申し上げましたけれども、確かに六十五歳からという御意見もあろうと思います。ただ、七十歳以上の方が、七十歳以下よりもやっぱり疾病率は高いという、これは当然のことでございますが、そういう統計も出ているということと、それから、都道府県がみな大体七十ないし七十五歳、大半がそういうことになっております。それはやはり都道府県と国とは違うという御指摘があるかもしれませんけれども、やはり地方公共団体が老人医療というものに踏み切る場合に、いろんな諸般の事情を考えて、やはり七十歳ないし七十五歳ということでまずスタートを切ろうと、いろんな事情を勘案した結果、大半の府県がそういう結論になったと思うのでございます。で、それは国が加わればもっと引き下げてもいいんじゃないかという御議論が出るかもしれませんけれども、私どもといたしましても、先ほどお答えいたしましたように、六十五歳にいたしますと相当の国庫負担の金額になる。これは金で解決できる問題なら金を幾ら出してもいいじゃないかという御意見はあるかもしれませんけれども、私どもといたしましては、一応七十歳でスタートをしてみて、その後の推移をよく検討いたしまして、そうして年齢をさらにどうするかということは、その実施状況を勘案しながら、さらに検討を加えてまいりたいというぐあいに考えております。スタートのときにつきましては、いろいろ御意見もあろうと思いますけれども、とりあえず七十歳でスタートする。それで実施状況その他を勘案して、さらにその年齢については検討を加えてまいりたいというぐあいに考えておるわけでございます。
○藤原道子君 六十五歳にすれば、それは予算がよけいかかることはあたりまえですね。だけれども、日本は経済力は世界で二番だ、三番だと言っている。それでまた答弁を聞いていても、総理なんかでも、福祉優先ということを絶えず主張しておいでになる。ということになれば、真実必要である健康上の問題になれば、私は、六十五歳にしたってそれほど国の予算がひっくり返るような費用ではない。それはどうですか。ことに、いまこの年齢に達している人は——六十五歳くらいの人ですが、戦争中のあの苦労、終戦後のあの混乱した社会でどれだけ苦労してきたか。育児、子供の教育、そうして社会的な活動等を考えると、私どももその当時ずいぶん苦労いたしましたので、そういう人たち、今日の経済をささえてきたのはその人たちだと思う。戦争の苦労から、戦後の再建に、そうして今日の経済をささえてこられた人たち、六十五歳で健康管理をされて、そのとき病気だということがわかっていても、七十歳にならなければ公費のお世話にはなれない。こういうことは、どうしても私は納得がいかない。大臣、六十五歳にすると費用がかかるようなことをちょっと言われたのですが、そんなことで七十歳にされたのですか。何とかしてこれを六十五歳にというのが国民の切望しているところなんです。これに対しての大臣のお考えを伺いたい。
○国務大臣(斎藤昇君) 何歳からいわゆる医療の無料化をやるかというときに、まず、一般に広く要望されているのは何歳ぐらいからであろうかという、政治的な判断といいますか、それを見る必要があるというわけで、現に、府県、市町村で行なわれているのは大体七十歳以上が大部分であって、中には七十五歳というところもある。六十五歳をやっているのは二カ所しかないというような現状。それから、この医療の無料化を要望せられる一番の大きな点は、年をとって、そして家族等に、どうも何となしにやっかい視されている。そこで、病院へ行きたくても、お金をくれと言うのは気がひけるというような感じが非常に強いようで、老人クラブの、老人会会長なんかの集まられるところで聞いてみましても、六十五歳以上の無料検診があるから行くようにと、こう言うと、いや、うちのせがれが、あるいは嫁が、そんな年になって行けば必ずどこか悪いにきまっていると。そうすれば、病院へ行って見てもらえということになるからもう行くなと言うて、検診にさえも、行くことを好まないというような風潮で困るんだと。こういうことが、私は無料化をやらなきゃならないという社会的な一つの大きなニードであろうと、かように思うわけです。そういうような点から、とにかく初めて国の制度として始めるわけでありますから、七十歳から始めるのがまず適当ではなかろうか。しかし、六十五歳からという声もあるから、それも踏まえながら七十歳からやって、そしてその後の状況を見よう。医療無料化を行ないますと、いろいろな点でまた問題が、考えなきゃならぬ点がたくさん出てまいるわけでありますが、それらも踏まえながら七十歳でやってみて、これはもう少し年齢を下げろという声が非常に強いとか、また、下げてもこういうわけでよろしいとか、医療機関その他の問題もございますから、手始めは七十歳で始めてみようということで七十歳ということに踏み切ったわけでございますが、金目の問題もありますけれども、しかし、金目の問題だけではないと、かように思います。そういう意味で、これで始めさしていただいて、そして実施の実情を見さしてもらう、さような考えで提案をいたしておるわけでございます。
○藤原道子君 おっしゃったように、六十五歳の人が検診に行こうとしても、行って病気があったら困るからやめなさいと、やめるお年寄りの気持ちといったらどうでしょう。だから、六十五歳から健康診断をするならば、そのとき発見された病気は——ない人もおります。——だから病気が発見されたらそのまま安心して医者にかかれるようにしたらどうですか。それは家族から言われて、からだの調子が悪いけれども、診察されれば悪いと言われたとき入院費の出どころがない。がまんしなければならないお年寄りのお気持ちを考えてみたことがございますか。私なんかももう七十二ですし、六十歳代の病気のときは回復は非常に早く回復した。やはり年をとってからの病気はなかなか回復はおそいんです。だから、早いうちに病気をなおすようなことを考えるのが私は責任大臣としては当然ではないか、こう思いますけれども、いかがですか。
○国務大臣(斎藤昇君) そこで医療費の一部負担があるから遠慮しようとか、やめようかとかいう年齢が一体何歳くらいであろうか。もう七十歳にもなれば方々に遠慮しなければなるまいが、六十五歳くらいでは、何を言うかと言って自分でやれるという人たちも相当多いんではなかろうか。そういう社会の実情を見きわめたいと存じます。
○藤原道子君 七十ときめたから何とか七十でと思っていろいろ合理化するんですけれども、結局は、国が初めて取り上げるんだから、それなら、地方自治体がやっていたのは七十でやっているから国も七十なんてことは納得がいかない。だから、国がやるならば六十五歳というところで国はまずやる。やってごらんなさい。六十歳にしてほしいということのほうが——私はむしろ六十歳を主張しているんですけれども、それが七十ということになれば、どうしても納得がいきません。これを実施して、やっぱり結果によっては六十五歳に下げる意思はありますか。
○国務大臣(斎藤昇君) 結果を見た上で前向きに考えたい、こういうことでございます。
○藤原道子君 それから入院する場合に、病院でも、年寄りだから、なるべく病床を長くふさがれるから入れたくない、こういう例がたくさんある。これは一体どうですか。局長、知っておりますか。年寄りが入院したいと言っても、病院で、病床がないとかなんとか言ってなかなかやらせない。いろいろ探ってみると、老人病というのは長いからということになっていますが、どうですか。
○政府委員(松尾正雄君) やはり病院の事情によりましては、先ほども申し上げましたかもしれませんが、その病気がやはり治療によってうまく回復する方を先に入れてそして回転をしたい、こういう気持になることは私当然だと思います。ただ、お年寄りだからただ何でも敬遠しますという空気は、現にもうございません。また、現にお入りいただいても、病気のことでございますから、途中で悪くなって長くなるということも当然のことであるわけであります。そういう意味で、だんだん全体の傾向も受けまして、いま病院全体がすでに老齢化しつつあります。こういう対策が出る前から、すでに人口老齢化よりも患者の老齢化が先に来るという、こういうふうに表現を申し上げているとおりの動きなんでありまして、現在六十歳以上で数えますと、国立病院、療養所は大体四分の一近くが六十歳以上で占められている、こういうことでありまして、老人だから敬遠するというような、こういう時勢には社会全体がないと考えております。
○藤原道子君 そういう例がありますけれども、御調査いただいて、そういうことのないように指導していただきたい。 そこで、医療費を公費負担にするというならば、入院の場合における付添婦に対してもやはり公費負担にすべきではないかと思いますが、どうですか。付き添いはたいへんなんです。付き添いの費用は、先ほどもお話がございましたが、非常に高いのです。医療費を公費負担にしてもらったって、付き添いを雇わなければならないということになったらたいへんなことです。これに対してのお考えはどうですか。
○政府委員(加藤威二君) 今度の老人の医療の無料化の考え方が、要するに、保険で負担する分がありますが、その残りの自己負担分を老人の公費負担で無料化しよう、こういうことでございますので、付き添いも、当然必要な付き添いについては保険のほうで見ます。それでその金額は、いま先生も御指摘あろうと思いますけれども、慣行料金よりは安いという場合が相当あるわけでございます。その問題を一応おきまして、根っこの医療保険で認めている分については、これは当然公費負担として、保険で見たその残りの分を見るということになります。それから、その中で認めておる付添料とそれから現実の慣行料金との差については、これは老人医療の無料化では見るわけにはまいらないということでございまして、その問題は別個の問題として、やはりそれは保険のほうのそういった付添料というものと慣行料金との差をどうするか、これは公費負担だけの問題でなくて、生活保護とかいろいろな問題にいま響いてくる問題であります。そういう意味で、私どもいま非常に頭を痛めている問題でございますので、解決方法といたしましては、これは私どもの希望でございまして厚生省全体の意見ではございませんけれども、やはりなるべく早く保険のほうの値段というものと慣行料金との格差がなくなるような対策が一番望ましいのじゃないかということを終局としては考えておるわけでございますが、保険で認めておるものについては、その自己負担分については当然公費負担でも見るということにいたしております。
○藤原道子君 それがその賃金で雇えないのよ。いま付添婦はどのくらいかということをさっきも下で話したのですよ。三千円から三千五百円でしょう。こういう点もあるので、いま少し検討していただきたい。先ほど御質問があったことですから簡単にいたしますけれども、たいへんな問題だと思うので、この点、強く要請いたしておきます。 そこで国庫負担だけれども、三分の二なんですね。ところが、生活保護法における分は十分の八となっているのですね。生活保護法で見るのは十分の八を国が見て、そしてあとを地方で見る、こうなっておるのに、これが今度三分の二という計算はどこから出たのですか。町村の負担の六分の一は非常に過重負担とはならないかと考えますが、この点どうですか、生活保護は十分の八を負担しておりますが。
○政府委員(加藤威二君) 生活保護は、要するにほんとうに生活に困窮しておられる人を国の責任でみると、一部地方の負担ございますけれども、そういうことで十分の八ということになっておるわけでございますが、老人医療につきましては、これはやっぱり生活保護とはニュアンスがちょっと違ってくると思います。ということは、すでに、この沿革からいたしましても、先ほどからもたびたびお話が出ておりますように、地方公共団体で始めておるわけです。それは国がやらぬから始めたという反論もあるかもしれませんけれども、それだけに地域の老人ということで地域社会に溶け込んでおる。そういう人たちの医療の問題ということは、地方公共団体としても国の問題として全部押しつけるというわけにはまいらぬということで、やはり地方公共団体も始めているということだと思います。そういうことで、まあその国との割合をどうするかという問題いろいろありました。たとえば衛生関係では結核予防法とかその他では二分の一の国庫負担というような問題もあるわけでございますが、これも医療だから二分の一でいいじゃないかという意見もあったわけでございます。しかし、やはりこういう問題についても、国がさらに社会福祉という面から、同じ医療といっても二分の一ではおかしいということで、まあ三分の二ということに最終的にはきまったということでございます。で、児童手当等を三分の二というような線も出ておるようでございますが、いろいろその制度によって国庫負担の割合、これは必ずしも理詰めには、ぴしっときまらないわけでございますけれども、やはり生活保護とはちょっと違う。やはり地域の責任というものも生活保護よりはもうちょっとあってもいいんじゃないかということ、そういうことから、ことにこの御老人方は、大半はその地域においてその地域の発展のためにいろいろ尽力された方々も多いということも考えあわせまして、まあ国が三分の二、地方公共団体が三分の一と、こういう結論になったわけでございます。
○藤原道子君 地方のあれに貢献した人が多いと言ったって、そのことは即国に貢献したことになるのでしょう。生活保護とは違うと言うけれども、その言い方にも問題がある。当然地方へ地方へとこのごろ負担がふえてきておる。したがって、私はあくまでも国が三分の二、地方が三分の一ということは考え直していただきたい。やはり十分の八ぐらいは当然国が負担すべきだと強く主張しておきます。 時間が来るからそろそろあれですが、そこで医科大学や医学部のない府県及び今後の整備計画、あるいは医師、保健婦、看護婦その他パラメディカルの教育養成確保はどういうふうに考えておりますか。
○政府委員(松尾正雄君) 最初の医者の問題につきましては、すでに御承知のとおり、厚生省からも一つの目標数値というものを文部省に出しました。おおむね人口十万当たり百五十人という実働の医者の数を確保する、このために至急に医学部の養成力も拡充してもらいたいということを強く申し入れてございますし、その文部省にできました医学部調査会でもその意見をそのまま文部大臣にも答申をしていただきまして、ただいま御指摘のように、医学部のない県ということを中心に、すでに本年度三カ所の国立大学に設置するという準備費をすでに文部省も取りましたし、その他の県についても調査費を取りまして、かなり大幅に国立大学をふやす、こういう姿勢で踏み切っておるわけでございまして、今後とも私どもその目標数が達成できますように、ここ数年のうちに医学部の充足というものをはかってもらいたと、われわれも努力するつもりでございます。 それから保健婦、看護婦等につきましても、これも前々からいろいろ御議論がございました。おかげをもちまして予算的にも看護婦確保対策というのは非常に急速に伸びてまいりまして、当時いろいろ御指摘いただきました、四十四年度当時には看護婦確保対策費は十八億でございまして、それが次々にふえてまいりまして、三十五億、五十四億、今年度は七十七億というようにおかげをもちまして内容も充実してまいりまして、そのために養成力の拡充という面もかなり伸びてまいりました。したがいまして一年間に就業いたします就業看護婦の増加、これの絶対数もだんだんふえてまいりまして、四十三年から四十四年にかけては一万六千人がふえておるのが、四十四年から四十五年にかけましては約二万一千人実働人員がふえるというふうに逐次養成力の増加の効果というものがいま出てきつつあります。おそらく四十六年の統計が近く出ると思いますが、その二万一千人の増加をさらに上回って就業人口がふえると私ども考えております。そういうことでだんだんピッチが上がって養成力といいますか就業人口がふえてまいりますと、おそらくいまの養成力のままでまいりましても、昭和五十年には約四十三万ないし四十四万という就業人口、その程度まではいままでの養成力の増加の効果ということによって確保できる、かように思っております。ただその面でも、私ども必ずしも十分ではないと思っておりますが、今後とも看護婦制度全体を含めまして再検討するようにいたしておりますが一方では養成力の充実をはかりながらも一方では今後の制度のあり方を並行して考えるつもりでございます。 そのほかたくさんの関係がございますが、特に老人問題に関連いたしましては、今後おそらくリハビリテーションということが非常に重要であると思います。その中で一番おくれておりますのがPT、OT、——理学療法士、作業療法士の数でございます。これはわが国の制度が非常におそく出発した点もございますがこれも放置するわけにまいりません。いままで新しい施設がほとんどございませんでしたが、四十七年度では国立で一カ所、これは国立の療養所に付設をいたします。さらに補助金で都道府県に一カ所PT、OTの療養所を新しく付設することにいたします。この程度では追っつきませんので、今後年次計画で新しい養成あるいは増加をはかりたい、かように私どもは考えておる次第でございます。
○藤原道子君 医療従事者の数が足りないことはあなたも認めていると思います。いま看護婦が足りないために病床を閉鎖して空床がずいぶんふえておると聞いておりますが、その点どうですか。国立の第一病院あたりはどの程度に使われておりますか。
○政府委員(松尾正雄君) 確かに看護婦不足のために十分な病床が確保できないという面がございますことはわれわれも承知いたしております。ただ、全国でそのために何ベッドかということはちょっとつかみにくい問題でございますけれども、その地方地方で充足ができないためにやむを得ず収容力を落としておる、これは現にございます。ただ、この場合にも全体の不足という問題もございますし、またその施設おのおのの問題もあって、なかなか充足のきかないというものもある。それぞれ個別的な理由もあるかと存じますが、御指摘のような点はなお払拭できないという状態が実態でございます。 それから国立東一病院につきましては、これは看護婦自体は、現在必要とする定数に対する看護婦の充足これは十分にカバーできておるわけでございますが、いかんせん建物を一度うんと縮小してしまいまして、それから新しく建てたものが非常に規模の大きいものであったということで、いわば看護婦自体の問題よりも私どもの定員措置のほうがまだ追っつかないというために、現在千ベッドのキャパシティーでございますが、これが開院いたしましたときに、ちょうど四百程度で引き移ったわけでございます。いま大体そういった程度で収容をいたしております。これを大体次第に元に戻してまいりまして、五百、六百というふうにこの秋ごろから回復をさせたい、こういうことでございます。これは現在の看護婦さん自身がいないということでなくて、実は雇うべき定員のほうが、いま申しましたような事情で少しずれてきておる、こういうことでございます。
○藤原道子君 非常に入院希望者がずいぶんあるのです。方々から訴えられますのは、病床があいていない、調べてみると病床はあいているけれども看護婦さんがいないということで入院ができない。病気は待っちゃくれない、こういうことで非常に重大な問題だと思う。看護婦さんにしても四人に一人ということではもうやっていけないことは局長も御承知のとおりでございます。で、看護婦と保健婦さんの使命も非常にふえてまして、保健婦さん、看護婦さんの養成が急がれなければたいへんなことだと思う。それと同時にその待遇ですね、こういうこともお考えになっていただきたいし、これを養成する教授とか先生方の養成が急がれなければならぬということを方々から聞きますけれども、そういう対策は立てておりますか。
○政府委員(松尾正雄君) 御指摘のとおり、こういう人の養成には、いま御指摘がございましたように、単に養成施設をふやすということだけで済む問題でもございません。施設もふやさなければなりません、同時に教える人の質と量の確保ということをやらなければなりません。ただいまは約五カ所程度で半年間の講習会をやるようになっております。ほぼそういうことで、その年、あるいは翌年に新設、増設をする施設の教員のほうは、その年の講習会でもって大体間に合う。そういうように計画的にこの養成講習会を開いておりますので、教員のほうは、大体数の上では見合っていくように計画をいたしております。ただまあ、今後さらに看護婦のような場合には、教員になっていかれるような人が相当おられますので、非常にこの点は、いま申しましたようにわりあいに円滑に進んでまいります。先ほど申しましたような理学療法、作業療法といったようなことになりますと、その教官になるべき人がまだ完全に育っていない、こういう隘路がございまして、この点は非常に当初のときの計画としては苦労しておるところでございますが、先ほど申しましたように、そういう面もひとつ最大の努力をして、そうして養成力自体の拡充をさらにはかり、またそれによってだんだんにしり上がりにそういう養成力が増加しますような計画を立てたい、かように存じております。
○藤原道子君 私は、保健婦、看護婦の養成を急いでいただきたいということは、すでに補助看法ができたときから、四分の一では無理なんだということは、私の質疑によっても明らかにされている。それから二十五年くらいたっているんじゃないですか。二十三年でしたかね、補助看法ができたのは。それがいまだに四分の一がそのままに据え置かれて、しかも養成機関とのお約束も一向に果たされていないということもございますので、この国民の健康が非常にやかましく叫ばれておる今日でございますから、この医療従事者、いわゆるリハビリテーションその他の従事者等も含めまして、医療従事者の養成と、さらにその待遇についての御検討をいただきたいと思います。結局補助看法にしても、やはり前々から言っておりますように、学校教育法ということもあわせ検討していただきたいと思います。きょうは時間がございませんので、要望だけいたしておきます。 それから、今後老人福祉施設の整備計画はどういうふうになっているか、あるいは居宅福祉サービスの中心である家庭奉仕員の処遇改善計画についてどういうふうにお考えになっているかということをちょっとお伺いしたい。
○政府委員(加藤威二君) 老人福祉施設の整備計画でございますが、四十六年度末で、いま特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、老人世話ホーム、三種類ございますけれども、その三つをあわせまして、四十六年度で収容定員が九万五百人ということでございます。それで、一応四十六年度を初年度とする五カ年計画におきまして、この老人ホームの整備につきましては、五カ年計画の最終年の昭和五十年には収容定員は十八万三千百人という計画でございまして、したがって、あと大体九万二千六百人ぐらいの施設整備をはかっていく必要がある。一応の第一次五カ年計画といいますか、それではそういう計画にいたしております。で、施設整備、社会福祉の施設いろいろございますけれども、老人ホーム、特に特別養護老人ホームの整備について最重点的に予算を使ってまいりたいというぐあいに考えています。それから、ホームヘルパーでございますが、ホームヘルパーにつきましては、これも在宅老人の福祉増進のために一番重要な役割りをになうということで、四十七年度予算におきましては、ホームヘルパーの給与改善ということを重点項目の一つにしたわけでございます。それで、四十六年度二万三千九百円でございました給与に対しましてこれを約五五%ぐらいアップしまして三万七千円という給与改善を行なったわけでございます。まあこれでもまだ十分とは申し上げかねますけれども、しかし、給与について五五%アップにするということはこれは相当大幅なアップでございますので、ある程度家庭奉仕員の方々の御期待には沿い得たと思います。さらに今後ともこの給与改善をはかっていくとともに、人員の増加につとめてまいりたいと考えております。
○藤原道子君 いま全国でどのくらいでございますか。
○政府委員(加藤威二君) 現在ホームヘルパーの数が六千四百六十人でございます。 なお、四十七年度から一応いまのところ老人家庭奉仕員、ホームヘルパーと、それから身体障害者のホームヘルパー、あるいは児童の重度心身障害児のホームヘルパーというぐあいに、それぞれの制度が別々のワクを持っておりましたけれども、今後は、運用においてはこれを一体化して、そしてある程度機動性を持たせてやろうということでございまして、身障が八百六十名ばかりおります、それから児童が千二百名ばかりおりますので、そういった身障とか、児童のヘルパー、それから老人のヘルパーとある程度機動的に動かして、そして老人なら老人ばかりということでなくて、必要なら老人のところへ身障のヘルパーも児童のヘルパーも行ってもらう、あるいは逆のこともあり得る、そういったヘルパーを機動的に使っていく、そういうことにいたしたいと思います。
○藤原道子君 それは三万七千円に引き上げたけれども、決して自慢にはなりませんよ。ホームヘルパーの仕事は非常にたいへんなことなんです。それはよくやってくれていると思います。 それで、いま人数も伺いましたけれども、いま老人の数から申しましてなかなかこれでは十分な手は行き届かないので、今後、もう少し拡充され、そうして待遇等もお考えになっていただきたいということをこの際強く要望いたします。いつもだれも聞いてくれないという寝たきり老人がありますよ。その人たちのさびしさを思うと、今度電話をつけてくれるとかなんとかいうことをやってくれるようでございますけれども、そういうことで完全に解決がつく問題ではないということをぜひお考えになっていただいて、このホームヘルパーの問題これにもっと真剣に取り組んでいただきたいと思います。 そこで、保健所の整備の問題をお伺いしたい。 第八条は、保健所が老人福祉に関する業務を行なうことが規定されておりますが、保健所で取り扱う法律は約八十もあるのですが、保健所の機能強化についてどのように考えていらっしゃるのか。いまできる法律はほとんど保健所、保健所といって出てくる。その保健所の今後の拡充強化ということについてはどう考えていらっしゃるか。
○政府委員(滝沢正君) 保健所につきましては、先生おっしゃるとおり、老人福祉法ばかりでなくて、八十近い法律に関係あるわけでございますが、特に老人福祉法につきましては、市町村が実施の主体になっておる関係上、地域によっては保健所にいろいろ援助を求めてこられます。それは、保健所はその地域の状況に応じて御協力申し上げる。ただ、市のような段階になりますと、東京都もそうでございますが、直接保健所を利用するというよりも、都なりあるいは市が計画をしまして、地域の医師会、病院等と契約を結んで老人の健康診査を計画的にお進めになるというような仕組みも出てまいっております。結論を申しますと、過疎地域あるいは農村地域等における老人健康診査等の問題は、他の業務がたくさんございますけれども、われわれとしては保健所が当然やらなければならぬ。いわゆる医療機関に恵まれない地域については、保健所が、みずからの医師は十分持っておりませんけれども、それぞれ病院その他の御協力を得て、嘱託の医師として、あるいは非常動的にお願いしている医師を動員いたしまして、そして市町村に依頼された老人健康診査をやる、こういうようなことをいたしておるのが実態でございます。保健所問題全体につきましては、いま申し上げたような例に示すように、都市型、農村型あるいは過疎地型によって保健所のあり方に、ただまんべんなく十万に一カ所というようないままでの機能を、都市型のものは地域の社会資源である医療機関等を十分使って住民全体の健康管理をどういう仕組みでいくかということを中心に計画し、調整し、その結果を把握していくのが保健所の役割りである。それから農村地区ではもうある程度みずからが実施し、あるいはある機関で実施したものを掌握していく、過疎地では病院と協力してみずから出向くというような、保健所の機能をそれぞれの地域の特性に応じたものにするということがこれからの課題でございます。これにはどちらかというと通り一ぺんという御批判がございました。そういう点を懇談会で十分御議論いただいて、それでそれぞれの特性に応じた保健所のあり方というものを御答申いただいて評価してまいる、こういうふうに考えておる次第でございます。
○藤原道子君 保健所問題は非常に重要だと思います。そこで保健所問題懇談会を開いていろいろ検討されておると聞いておりますが、その進捗状況はどんなふうでしょうか。それと保健所職員の給与の実態及び充足率はどのようになっておりますか。
○政府委員(滝沢正君) 保健所の懇談会の結論は、ただいまの進捗状況は十数回の委員会の開催後六月一ぱいをもって大かたの結論をお出しいただくということでお進めいただいておる次第でございます。 それから給与その他充足の状況でございますが、給与につきましては、実は国の補助単価が数年前までは低過ぎるということで、いわゆる地方の超過負担問題がございました。これについては実態を大蔵省にも調べていただいて、われわれも調べまして、これについてはほぼ超過負担を解消したということに達しましたけれども、また再び地方の給与と補助単価との差があるという問題が提起されつつございまして、この点については、極力実態に沿うように補助単価を引き上げるように努力してまいるつもりでございます。 それから保健所職員の充足の状況でございますが、これにつきましては、三十五年ごろに保健所が一つの都市型、農村型というような保健所の型を示しまして、そこにはどのくらいの職員が当てはまるのがほぼ必要のものであるという希望的必要の数値を示したのが、約三万二千という数字でございますが、その後、現在の職員数は二万三千、実際に国が補助している職員数というものと、われわれが希望する職員との間には明らかに差がございます。しかし結論を申しますと、望ましい定数に対しては、現在、各種職種全部合わせまして七二・六%という充足率でございます。特に医師が四二%それから医療職(二)のエックス線技師あるいは衛生検査技師、栄養士等は比較的よろしゅうございまして、八六・八%、それから医の(三)保健婦さん、助産婦さん等の数字でございますが、助産婦さんが現在の保健所には確保できておりませんで、これの数字が影響しまして保健所だけでは八〇%程度でございますが、この医療職(三)のところでは七二%、ほぼ全体の平均程度でございます。あと行政の(一)というのは、衛生工学関係とかあるいは新たに二、三年前から公害関係の技術職員を補助対象にいたしておりますが、こういうものを含めまして、七六・八%程度の充足状況でございます。
○藤原道子君 医師が四二%ですね。これは前から——この前聞いたときには四七%ぐらい——だんだん減ってきているのですね。非常に重要な役目を持つところのお医者さんが四二%、この前もある保健所へ行きましたが、そこにはお医者さんはおりませんでした。どうしてやっているのかと言ったら、嘱託でごまかしている。これでほんとうの使命が達成できるでしょうか。これはもう重要な問題でございますが、大臣、これに対してはどうお考えになっておりますか。保健所の使命はこれで果たせるでしょうか。
○政府委員(滝沢正君) おっしゃるとおりの問題はございますが、現在、保健所の医師の確保の困難な理由にはいろいろあると思いますけれども、やはり医師としての教育課程の中における臨床医学を中心としたわが国の医師の教育制度というものが、やはり公衆衛生に従事する面になりますというと臨床的な面からそれるようになる関係もありまして、なかなか長期にわたって従事してくださる医師を確保することがむずかしいのでございます。しかし、われわれがせめてもの努力をやっておりますことは、これは公衆衛生の修学生に学生時代から修学金を貸与いたしまして、これによって約六百三十九名いままで貸与いたしておりますが、保健所の医師としてなっていただいた方が百七十八名、まあ、この充足率と申しますか、は二八%程度でございますのが、これによってわずかではございますが、若い医師の確保ができておるわけでございますので、そのほか大学へ研究費、調査費の補助をいたしまして、大学とのコネクションをつけ御指導願う。また、大学からも指導、御援助いただいたりして、保健所医師の足りない面を補っていただく、こういうようなこと、あるいは保健所の医師の外国旅行等に対する補助金等も出しまして、十数名の全国の保健所の医師が毎年ヨーロッパ等に研修に出かけられる。できるだけいままでいろいろ考えあるいはいろいろな点で医師に対する対策をやってまいっておりまして、以上のような状況で、あるいは保健所長等が非常に老齢化しており、活動力等に十分な期待ができないというような問題もかかえておりますので、今後大学教育の中における公衆衛生に関する教育課程というものを、いま大学自体の先生方が検討しなければならぬということで検討いただいて、医学教育全体のカリキュラムの再編成という問題とからんで、こういう仕事に対する医学生の関心というものを高める施策がここにございませんと充足は困難だと思いますし、また従来みずから実施するだけでは臨床的に興味のあるあるいは医学的に興味のある仕事というものは非常に限られておりまして、やはり地域社会全体としてのこの医療機能というものに保健所が参画できて、そして住民の健康というものがどういうふうに管理できるかというような、先ほどから問題になっておりますことを具体的にやれるような保健所にしませんと、また保健所の医師自身が興味を持たない、こういう悪循環といいますか、循環をしておるような状態でございますので、極力減少は防ぎたいということで修学資金その他で努力いたしておりますけれども、基本はやはり医学教育の中にもあるということは関係者の一致した意見でございますので、今後の医学教育の改善等にも期待いたしておるわけでございまして、即効的な対策というものはわれわれもなくて、ずいぶんこの問題には難渋いたしておるわけでございます。
○藤原道子君 大臣。
○国務大臣(斎藤昇君) ただいま局長がお答えをいたしたとおりでございます。われわれといたしましては、保健所に限らず、医師でいわゆる行政的な面に入ってきてくれるのが比較的少ないというので非常に弱っているのでありますが、一つは大きく医学教育のあり方にもあろうかと思いますが、しかし、社会的な需要の面という点から考えて、国民一般の関心というものが今日やはり地域医療ということに強く関心を持たれるようになってきました。この医療というのは広い意味ですね、そういう意味においていわゆる公衆衛生、国民の健康管理、今日の経済あるいは社会の状況に応じて地域的な包括医療というものが非常に大事だという認識がだんだん高まってまいりました。したがって、そういうような機運にマッチをするように医者の養成も、また受け入れ態勢も考えてまいらなければならない。いま局長がるるこまごまとその内容を申し上げましたが、そういう事柄についてさらに一そう推進してまいりたいと考えております。
○藤原道子君 それじゃ、教育の問題も相当話は進んでいるんですか。私はこの前の質問で四七%と言っていたから、少しはふえてきたかと思っていたら四二%で、もうがっかりしてしまった。もっと強く要望して、教育の面から変えなければならないならば、それを変えていくような折衝をもっと強くやっていただきたい、こう思います。 ところが、今度保健所職員の定員削減ということが問題だと思う。保健所における国庫補助職員の定員削減については、昭和四十五年八月二十五日の閣議決定で、再び昭和四十七年度から三カ年計画で五%に相当する千九十四名の定員削減が行なわれることになっているように存じます。昭和四十七年度においては行政職俸給表適用者について三百六十五名の削減が行なわれるということでありますが、保健所の機能の低下に一そう拍車をかけるのじゃないですか。これは一体どうなっているんですか。
○政府委員(滝沢正君) 先生もおっしゃるとおり、国庫補助の関係の職員の五%削減は計画どおり進めるということで、われわれとしてもたいへん痛い問題でございますけれども、いま御指摘のように行政職の点に触れましてやや削減されましても、技術的な面には触れずに、できるだけ行政的な事務的な面でカバーできるように各県ともこれに対処していただまして、保健所全体の機能は低下しないように努力いたしておるところでございます。ただ一面、先ほどちょっと触れましたように、社会に必要な公害関係の職員というようなものは、その削減数とはうらはらの数にはなりませんけれども、百八十名、本年度で三年目でございますけれども、増加していただいております。われわれとしては、必要なものはもう是が非でもふやしていただく。しかし一般的な国の方針に基づく程度のものにつきましては、最も保健所の影響の少ない方策を講じまして、事務能率の向上等をもってこれをカバーしてまいりたい、こういうことで対応していきたいと考えておる次第でございます。
○藤原道子君 大体定員に欠けているんですね。医者は四二%だけれども、ほかの職員も八〇%とか七五%とか、足りない。それをなぜ減らさなければならないのか。だから保健行政というものに対して国の考え方が間違っているんじゃないか。もっと充足してくださいという私はきょう要望をする予定でしたが、要望しているのですが、削減ということが決定されていて、ことしから削減する。それでこれは事務的な問題のほうを削減して云々と言われるけれども、そうするとこっちはますます忙しくなる。事務職は遊んではおりませんよ。とても忙しいです。こういうことをなぜもっと政府に強く要望ができないのか。また大臣としても、たださえ足りない定員、それは余ったところもあるかもわかりませんよ。だけど、もっと考えてやればやれるような面があるのに、必要欠くべからざるこういうところから人員を減らすということは納得できませんよ。減らされてもやっていけるんですか。表面ごまかせばいいんですか。妊産婦の問題から老人の問題から、あるいは公害問題から、保健所の持つ役割りは非常に重大だ。にもかかわらず、たださえ足りない定員をさらに減らすということは納得がまいりません。大臣、いかがですか。
○政府委員(滝沢正君) 確かに、おっしゃるとおり減らすということは問題がございますけれども、国自体の国家公務員の削減等もございまして、補助関係の職員でございますと、この計画が国の大きな方針として打ち出され、なおかつ、しかし削減したっぱなしでなく、必要なものには定員をつけていくという国の方針を受けまして、われわれとしては先ほど来申し上げているように、必要なものには今後とも確保してまいりたいと思っておる次第でございます。ただ、国全体のワクでございますので、今後、先ほど来申し上げますように保健所の性格づけというものが明確になってまいりますれば、都市のようにかなり医療機関が活用できる、しかし保健所自体が活動しなければならない地帯、こういうふうに、しかし都市型のところでは健康問題には医療機関が利用できるけれども、公害問題はたいへん大きな問題である。こういうふうな機能に応じた定員の配分ということも考えまして、全体としては、機能を低下させるというよりも、それぞれの地域にふさわしい機能に持っていくようにわれわれは、補助金でございますし、そういう職員の配分の問題についても都道府県と十分相談しまして、必要な個所に必要な職種の人員を多くできるだけ持っていくようにしたい。それで、都市型のところでは地域の社会条件を活用していく、こういうことで、昔から保健所が何でもやるという、いままでの、あるいは何でも期待してもできない、こういうジレンマというものを解消しないと、保健所自体の機能というものを十分確保できない、こういうふうに考えております。
○藤原道子君 時間がございませんので先を急ぎますけれども、保健所の任務は完全に果たされておりませんよ。ところがあなたの話を聞いていると人を減らされても差しつかえないというように聞こえる。ばかなことありますか。保健所の使命がいかに重大だかということをお考えになって、もっと強い姿勢で進んでください。たとえていえば、看護婦さんだってだんだん足りない。労働省に調べてもらったら労働基準法違反をやっているのは九七%だという。法律を守れといいながら、実際には労働基準法違反が平気で行なわれている。私はおそらく保健所だってそういうことはあると思う。ことに保健所はきめこまかく国民の健康を管理していくところなんですね。こういう点から、もっと局長は強くなってもらわなければ困るわよ。 今度、現行法の福祉の措置でございますが、法制定当時から内容が貧弱であるといわれていたが、法制定以来今日に至るまで改善されていないが、今後どのように充実していくのか、そのお考えを伺いたい。 それから身体障害者福祉法には補聴器の交付が行なわれることになっておりますが、本法にはその優遇措置がないのは均衡を失しているのではないかと思います。老人に対しては老眼鏡とかつえとか入れ歯とか、こうした交付を行なう考えはないでしょうか。 時間がないから続けて聞いておきますが、老人に対し、国鉄運賃の割引優遇措置、これに対してはどのように考えておられるか。現在老人ホームに収容している老人及びその付添人には運賃割引が認められているが、これは一体どのように実行されておるか、これを承りたい。 それで、不慮の死、その中で半数以上が交通事故なんですね。老人が非常に多いんですね。これらを考えると、こういう面についてもっと真剣に考えていかなきゃならないじゃないかと思いますが。
○政府委員(加藤威二君) 福祉の措置につきましては、先ほどもお答え申し上げましたけれども、最近に至りまして老人問題が非常に大きくクローズアップされてまいりましたので、法律の改正ということは、まあ今度の医療の無料化の問題以前にはございませんでしたけれども、それぞれ法律のワク内で、福祉の対策については相当強力にこの数年間は実施に移しているところでございます。で、具体的にお尋ねの身体障害者には補聴器これが交付されております。 で、老人についてそういう対策がどうかという御質問だと思いますが、老人でも、これは耳が聞こえなくなるということになれば、身体障害者福祉法の適用がございます。したがって、老人であっても耳が聞こえないという者は、当然身体障害者としての手帳をもらって、そうして補聴器がもらえるということでございますので、そういう対策になっておるわけでございます。それから老眼鏡とか、つえ、入れ歯等の交付ということにつきましては、まだそこまではいまのところは考えていないということでございます。 それから運賃割引でございますが、これは、現在、老人ホームに収容されている老人とその付き添い人につきましては五割の運賃割引がなされております。で、私どもも、これは何も老人ホームに入っている人ばかりではなくて、その他の老人についても割引をしてもらいたいということを国鉄のほうに要望はしたわけでございますが、それに対して国鉄のほうは、現在、非常に赤字であって、そうして老人については、これは非常にだんだんふえていくし、国鉄にとっては貴重な財源であるので、そう簡単に割引はできないということで、なかなかこれは壁が厚いということでございます。 それから交通事故につきましては、これは、確かに老人と子供が非常に交通事故は多いという統計が出ておるようでございますが、これは、やはり交通事故所管のほうで特にそういった点について留意をして、交通事故防止のための対策を打ち出してもらう。で、ときどき、交通の警察等のほうから、私のほうにも連絡がございますので、その連絡があった場合には、われわれとしても積極的にそういった問題に協力するという体制で、いま各省が協力してこの交通事故について、老人や子供、その他の方々が災害にあわれぬように、できるだけ手を打ってまいりたいというぐあいに考えております。
○藤原道子君 次に、福祉事務所の問題についてお伺いしたいと思いますが、福祉事務所の性格と機構について、まず御説明を願いたいと思います。
○政府委員(加藤威二君) 福祉事務所につきましては、これは都道府県と、それから政令市と申しますか、指定市並びに市は必置——必ず社会福祉事業法で置かなければならぬということになっておりまして、町村は任意設置ということでございます。それで、この仕事は、生活保護をはじめ社会福祉六法と申しますか、の老人とか、身障とか、あるいは児童、精薄、母子福祉というような社会福祉全般の事務を所掌して、それの第一線機関である、こういうことでございます。
○藤原道子君 昨年、いまおっしゃった新福祉事務所の運営方針が決定されましたが、どのように実施されておるか。 それから老人福祉行政と福祉事務所の役割りについて、どのように考えておられるか。 福祉事務所運営指針に基づき、老人福祉指導主事及び老人福祉担当現業員は必ずしも充足していない現状のように思いますが、早急に配置して実施機構の整備拡充をはかるべきではないかと思いますが、いかがでございますか。
○政府委員(加藤威二君) 福祉事務所の運営につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、体制が、従前は生活保護のウエートが非常に大きかったわけでございまして、生活保護の運営ということ、これを完全に行なうということで体制固めができておったわけでございますが、ここ数年来、あるいはもっと先からでございますが、その他のいわゆる社会福祉五法関係、こういうものが非常にクローズアップされてまいりまして、児童対策とか、あるいは老人対策、身障対策というものについて、やはり生活保護に劣らず重要であるということで、そういうことのために、従来生活保護にウエートを置きました福祉事務所の運営というものを、その他五法の方にもできるだけその体制をそっちのほうに傾けるということで、機構改革、その他の点を実施したわけでございます。で、老人福祉につきましても、数が足りないという御指摘がございましたが、全国で約六千名の五法担当と申しますか、現業員を一応計上いたしまして、これは老人福祉ばかりでございませんけれども、その他の児童福祉、あるいは身障というようなものと関連を持たせながら、この現業員の活用をはかってまいるという体制になっております。で、要するに、今後の福祉事務所の仕事の内容というものは非常に多岐にわたるわけでございますが、その中でも、老人問題というのは非常にウエートも大きいと、また数も非常に多いわけでございます。そういうことで、老人問題につきましては、さらに人的な面でも整備をはかりまして、この万全を期してまいりたいというぐあいに考えております。
○藤原道子君 私は別にやかましいことを言うわけじゃないけれども、表面だけできればいいというものではないと思うから、内容の充実をお願いするわけなんです。福祉事務所の所員の定数は、社会福祉事業法の十五条で、生活保護の数を基準としているようでありますが、福祉六法を行なっている現状にかんがみて、この規定は改正すべきではないかと思いますが、いかがですか。 それから社会福祉事業法は、昭和二十六年に制定されたもので、今日のように急変する社会情勢に即応するためには法改正の必要があるんではないかと思いますが、いかがですか。
○政府委員(加藤威二君) 最後からお答え申し上げますが、社会福祉事業法の改正問題というのは、われわれの間でもしばしば話題には上っておりますけれども、いずれにしましても、社会福祉の基本法でございますので、これは取り扱いはさらに慎重に検討すべきものであるということでございます。ただ現状のままでいいということでは決してございませんけれども、これをいろいろ改正いたします場合には、非常に慎重に事を運ぶ必要があるということで、いましばらく検討の時間を与えていただきたいというぐあいに考えております。 それから所員の定数につきまして、生保の数を基準にしているということでございますが、これは今後の充足状況を見まして手直しをするというようなことも検討してみたいというぐあいに考えております。
○藤原道子君 そこで、老人福祉施設の整備でございますが、これは整備費の建設単価が低いために、地方においては経営主体が超過負担となって、実情に合ったように改善することができない。非常にこの施設の補助単価が低過ぎると思います。これは老人福祉施設だけでなくて、ほかの、まあ保育所にしても、身体障害者の問題にしても、その施設に対する単価が実質からいえば非常に低い。これを改めることはできないものでしょうか。だから、基準単価が低いために法人立の施設では十分運営できない状況であります。私は、この予算の実質に応じた確保ができないものかどうか。これに対してどういうふうにお考えになっているか。
○政府委員(加藤威二君) これは単に老人ホームばかりではございませんが、御指摘のとおり、国庫補助におきまする建築単価が、なかなか予算上の単価ではやり切れないという問題がございます。それで、これは私どもも大蔵省に強く要望いたしまして、できるだけこれは実勢価格に近づけるようにということで、毎年折衝をいたしております。たとえば養護老人ホームにつきましては、一応四十六年度で、これは一平米当たりでございますが、鉄筋で三万七千百円、これは前年度に比べまして七・八%のアップということでございますが、四十七年度につきましては、これを四万五千七百円に引き上げる。これは二三・七%のアップということで、養護老人ホームについては、これは特に低かったという関係もございますので、相当大幅な引き上げをはかるということにいたしております。それから特別養護老人ホームにつきましてはこれは四十七年度は四十六年度に比しまして約二%ぐらいのアップでございますが、それで四十七年度は五万四千二百円ということでございます。そういうことで、なおこれでも十分とは申しませんけれども、これは非常に地方負担になります関係もございますので、地方からの要望も非常に強いわけでございますが、さらにこの単価の引き上げについては今後とも努力してまいりたいと思います。
○藤原道子君 これは大蔵省がきめるのであなた方が幾ら思ってもできないかしらぬけれども、それはもっと強く要望してもらわんと、われわれのほうもあれしますが、この補助基準というものはどこから割り出しているんだか私たちには見当がつかない。これは今後さらに強く要望して、ほんとうに実態に合ったような補助単価にしていただきたいと思います。 そこで、お伺いしたいのは、看護婦とか栄養士とか機能回復訓練士、調理士、こういうものはいまどうなっておりますか。十分充足しておりますか。あるいは寮母とか特別養護老人ホーム、——寮母の場合、先ほどお話がございましたが、老人五に対し寮母が一人でありますが、重症心身障害児や東京都における老人病院では二対一となっておるんですがね、少なくとも三対一ぐらいの割合でなければほんとうにお世話はできないと思いますが、いまの状態で十分だとお考えですか。
○政府委員(加藤威二君) 寮母の数でございますけれども、これにつきましては、まあ私どもも確かに十分とは申し上げかねると思います。それで毎年その改善をはかってきているというのが実情でございます。特別養護老人ホームについては現在五人に一人という実情でございます。一般の病院の看護婦さんが四人に一人ということでございますので、特別養護老人ホームの中には寝たきりの御老人もおられますけれども、ある程度動き回られる程度の老人もおるということで一応まあ五人に一人という形になっております。で、一般の養護老人ホームにつきましては、これは現在十五人に一人だったと思いますが、これも二、三年前までは十八人ぐらいに一人ということだったのを毎年数をふやしまして現在は十五人に一人ということにしております。これも何と申しますか、非常に数が足りないために過労になっているという事態もあるようでございます。そういう点も勘案いたしまして、さらに処遇の改善と並びまして人員の増という問題に今後努力してまいりたいと思います。
○藤原道子君 五人に一人というと、絶えず五人に一人ついていればいいんですが、やっぱり交代もありますからね、そういう点もお考えになって、この定員というのは非常に間違っていると思いますので、今後努力をして、少なくとも、この何といいますか、東京都における老人病院などは二対一というようなことを実行しているんですから、国として三対一ぐらいができないはずはない、私は強く要望します。 実は、きのう養護老人ホームに働いている調理士の人と一緒になったんですけれども、ホームにおける従業員がいかに苦労しているかというようなお話をいろいろ聞いてきましたが、きょうは時間がありませんので省略いたしますが、この人員に対してはほんとに役に立つだけの人員を整えてもらいたい、老人が喜んでくれるような。働いている人のからだが間に合わないわい。そういう点からも、希望者がなかなか得られないというようなこともあるわけでございますが、老人福祉施設の近代化、合理化というものをぜひお考えになっていただきたい。 それから居宅の福祉サービスでございますが、今日六十五歳以上の老人は七百三十万ですか、うち老人ホームに入所している人はわずか九万人ぐらいですね。そうすると老人福祉法の関係予算の大部分は老人ホーム向けにされている現状ではないでしょうか。だから在宅老人対策に今後一そう力を入れるべきではないかと思いますが、いかがですか。それから在宅老人対策はわが国の財政的貧弱のために在宅の生活困窮な老人にのみ限定して行なわれているが、幅広く一般の老人にまで積極的に実施すべきではないか。財政的貧弱ということでは納得がいかない、日本の経済力というような点が絶えずいわれておりますのに、これらを考えればいまのような福祉対策、これ諸外国に対して恥ずかしくはありませんか。私はそういう面からこれをもっと一そう強化すべきではないかと、こう思いますが、在宅老人に対する福祉サービスの点ではどのようにお考えになっているか。
○政府委員(加藤威二君) 老人に対する福祉対策は、施設関係に収容してその福祉をはかるという、収容してやるという対策と、それから先生御指摘のとおり、在宅老人に対する対策、大別して二つあろうかと思います。で、私どもといたしましては、とにかく老人を収容する老人ホームの施設が非常に足りない、特に寝たきり老人の特別養護老人ホームが非常に足りないということで、その充足に非常に力を入れているわけでございますが、同時にやはりそれとのバランスにおきまして在宅の老人の方々の福祉をはかるべきであるということも御指摘のとおりだと思います。そのためにまあいろいろのきめのこまかい対策というものを打ち出しておるわけでございます。先ほども申し上げましたけれども、老人の家庭訪問のヘルパーの問題という、これを四十七年度の予算の重点にしておるというのが一つの例でございますけれども、そのほか、いろいろ訪問診査制度とかあるいは一人暮らしの老人に対しては電話をつけるとかいうようないろんな、きめのこまかい対策を打ち出しておるところでございます。で、問題はやはりバランスのとれた、特に収容されている老人たちにのみ集中するということではなしに、在宅の老人の方々にもきめのこまかい福祉対策を打ち出す必要があろうということで、今後そういう努力を続けたいと思います。 それからまあ、経済的に困っている人だけに限る必要はないんじゃないかという御指摘だったと思いますけれども、公費を使っていろいろな生活のめんどうを見るというのはやはり優先的には経済的に恵まれない方を優先するということだろうと思いますが、しかし老人対策はそのほかにたとえば老人のスポーツの問題とか、あるいは老人クラブの問題とか、いろいろ老人の生きがい対策と申しますか、そういう問題もあるわけでございます。そういう問題につきましては、これは別に財政的な経済的な問題に関係なしに、御老人全体についてやっていくということだろうと思います。したがってそういう何と申しますか、老人の生きがいを高めるという対策もさらに積極的に進めていくと、こういう方針でやってまいりたいと思います。
○藤原道子君 たいへん時間が超過いたしましたのでこれで終わろうと思います。私は、昨晩のニュースですか、老人対策について「国政モニター報告書」というのが出ましたね。これについて少しきょうは質問したいと思っておりますが、時間がなくなりました。いずれまたあらためて質問したいと思いますが、最後に、経営自体は市町村を原則としておりながら、社会福祉協議会に委託の多いのはどういうわけでしょうか。問題は、市町村で行なう場合は市町村の給与に準じなければならないが、社会福祉協議会に委託するならば給与の面で安上がりであるからというようなことではないかと勘ぐるわけでございますが、これは一体どういうわけなんですか。
○政府委員(加藤威二君) 先生の御指摘のお話はおそらく老人のホームヘルパーのお話だと思いますが、老人のホームヘルパーについては確かに市町村の職員であるのが六二%、市町村の社会福祉協議会が大体三七・六%、ですから大体六、四の割合、六割が市町村、それで四割が社協と、こういうことでございます。これは特に給与が低いからということではなくて、これは私どものこのホームヘルパーに対する補助金というのは、これは一律三万七千円という一つの、本年度はそういう基準できまっておりますから、そういうことで、特にそういう給与問題ということでは必ずしもないと思います。ただ、市町村といたしましては、正規の職員としてホームヘルパーを雇うという場合に、ホームヘルパーというのはとかく年をとった方が多いのでございますので、そういう点で、すんなり市町村の職員にできないという点もあろうかと思います。諸外国でもこれは公務員でやっているところと、準民間の職員でやっているというようなところもあるわけでございまして、公務員というのでやらせるのがいいかどうかという問題、いろいろあろうと思います。処遇という面から言うと、確かにそれは社協よりも市町村のほうが処遇はよくなるだろう。特に、年金の問題その他につきましては、これは公務員のほうがいいというようなこともございますので、そういう点はございますが、一応いまのところは六、四くらいの割合で市町村、社協というものの割り振りになっておりますけれども、漸次おそらく市町村のほうが数がふえていくんじゃないかというぐあいに考えておるわけでございます。
○藤原道子君 終わりにいたします。 この「国政モニター報告書」を見るといろいろ出ていますね。これらを見て、なるほどなと思うような点がたくさんあるんで、ですからあらゆる面から答申を得ておるし、またモニターの報告書も出ております。ですから、われわれが言うだけでなく、世間一般からいかに老人福祉に対しての関心が高まっているかということをお考えになって、今後一そう老人福祉を強化していただきたい。ここにも老人が簡単に利用できる医療、教養、趣味、娯楽、運動など、総合的な設備のある施設がほしい。老人手帳を発行して各種料金の割引制度をつくってほしい、いろいろ出ております。こういうことも、もうお読みになっていらっしゃると思いますので、ぜひとも老人福祉が今後強化されますように強く要望いたしまして、私の質問は大臣の御決意を承って終わりにいたします。
○国務大臣(斎藤昇君) 老人福祉は最近の、国の何といいますか、一番大事なこれを充実することは一つのことになっております。そしてここ三、四年特に老人福祉には意を注いでまいりましたが、まだまだ十分ではございません。先ほどからいろいろおっしゃいました点を踏まえまして、今後も一そう努力をいたしてまいりたいと思います。
○小平芳平君 先ほど局長から、私たちとしまして、この老人医療費無料について原則的にはもとより賛成であります。ただ、との無料化する方法について、先ほど局長からは社会保障制度審議会の答申、それぞれの医療保険制度の中に公費を取り入れながら老人に対する給付率を高める方法が最も妥当であると提案したという、こういう社会保障制度審議会の答申のほうが今回のやり方よりも個人的に考えて自分はいいと思うと、こういうふうに局長が私見を述べておられましたが、この点について厚生大臣はどのように考えておられますか。
○国務大臣(斎藤昇君) 老人医療の無料化は、先ほども申し上げましたように、私はこれは保険の十割給付というような方向にいくのが至当ではないかと、かように考えているわけであります。したがいまして、抜本改正の中にこれをぜひ織り込んでいきたいと、そうして、このやり方でなしに、保険の中で十割給付というようにしていきたいと、このように考えておりましたが、しかし、抜本改正は他にもたくさん及んでいるところがありまして、急速につくるということ、また急速に本年度から実施ということはなかなかむずかしいというので、まずとりあえずとにかく公費で一部負担を見ようということになりまして、まあ、とりあえずこの方向でいくということでございますので、将来はやはり保険の十割給付というものを目当てにしていくのが筋だろうとかように考えます。 〔委員長退席、理事大橋和孝君着席〕
○小平芳平君 まあそうしますと将来はその保険の十割給付として抜本改正と見合う制度にしていきたい。ところが、今国会にこうした老人福祉法の一部改正と、あとからまた抜本改正というふうな形で提案をされている、すでに提案をされているまた抜本改正についても財政調整をどうするかという問題、共同事業を始めるという問題というような点等もからんでくると思うのですが、その辺はどのように割り切っておられますか。
○国務大臣(斎藤昇君) だから、抜本改正は及ぶところが非常に広範になりまするし、これはとにかくもう本年度から実施をしたいということで、それでこれをまず老人福祉法の中で先に解決をすると、先といいますか、とりあえず解決をするということにいたしたわけでございます。したがいまして、抜本改正の中で今後どういうように取り扱っていくか。ただいま提案いたしておりますのは、特に老人の無料医療ということを目ざしてやっておるものではございません。家族給付、当初七割の家族給付ということを考えておりましたが、これがまあ六割ということで提案をいたしておりまするし、ただ高額医療というものは十割給付をいたしたいということになっておりますので、それが成立をいたしまするとここの部分は、それだけへっ込むということに、保険給付というほうに回っていくということになるわけであります。
○小平芳平君 まあ制度としてはいろいろな欠陥が生じてくるのではないかと思うのですが、その点について逐次質問をしていきたいわけです。 で、まず厚生省としては、老人医療費が無料になりますということはどういう形で知らしていきますか。
○政府委員(加藤威二君) これはまず、都道府県を通じまして各市町村の、都道府県から市町村と、そういう行政ルートを使いまして、特に、広報その他の一般の周知徹底をはかるための手段というものを駆使して、老人がこういう問題について漏れなくこういう制度ができたということがわかるように周知徹底をはかってまいりたいと思います。
○小平芳平君 四十八年一月から実施というのは少し先に延び過ぎませんか。どうしてこれもっと早くできないのですか。それは周知徹底の関係ですか。
○政府委員(加藤威二君) これも相当、数百万という人たちを、老人を対象にする大きな制度でございますので、これを実施いたしますためには、まあいまの周知の問題もございますが、いろんな関係団体との折衝その他についていろんな準備が要るわけでございます。そういうことで、まあ四十八年の一月というと、少々おそいような感じを持たれるのは、これはごもっともでございまするけれども、まあ、この法律がなかなか条文としては簡単でございまするけれども、非常に運用面でいろいろ折衝する筋も多いわけでございますので、そういうことで四十八年の一月という実施時期になったわけでございます。
○小平芳平君 そんなにむずかしいですか。いまは五月末、やがてまあ六月ですが、これから十二月一ぱいかかるんですか。
○政府委員(加藤威二君) これはやはり医療費でございますので、その支払いその他につきましては、たとえば医療関係者との話し合いという問題がいろいろ出てくると思います。それで、この問題につきましても、まあ医療問題というのは非常にいつでもこじれる問題でございますが、その医療費の支払い方式につきましても各地方公共団体で、ずいぶんやり方が違っておるわけでございます。で、全国を国が統一してやるという場合には、やはりその支払い方式も統一した方式でやる必要があろうと思います。そういうような点につきまして関係団体とのいろんな折衝、そういう点で、すんなり話し合いが進みますると非常にけっこうでございまするけれども、いろいろ問題が出てまいる可能性も全然ないとは言えないと思います。そういうことで、そのために実施時期がおくれるというようなことでもたいへんでございますので、そういう点も含めまして、ややゆとりのある実施時期にしたわけでございます。
○小平芳平君 まあ、それが理由かどうかちょっと納得できかねますけれども、いま言われているその支払い方式は県によっていろいろな方式をとっておるようですが、政府としてはどういう方式をとるお考えですか。
○政府委員(加藤威二君) まあ、この法案が最終的に成立した暁に、正式に関係団体と話し合いをしたいと思っています。したがって、まだどういう方式ということは最終的に確立いたしておりません。法律上では、これは現金給付でも現物給付でもとれるという形になっております。それで現物給付と現金給付によってまた支払い方式が違ってくると思いますけれども、まあ地方の実情では現金給付でやっている場合が非常に多い。東京都のように現物給付のところもございますけれども、療養費払いと申しますか、最初に老人が金を医者の窓口で支払って、あとから返還してもらう、まあそういう支払い方式をとっているところが多いようでございます。しかし国がやります場合には、これはなかなか——東京都なんかは全部現物給付でやっておりまするし、その他のところでもそういう体制をとっておるところも多いわけでございますので、これは統一せざるを得ないということになろうと思います。 で、そういう大前提がございますが、その場合に現物給付の場合には、じゃあ、どういう方式がいいか。これも東京都の方式、その他いろんなところの方式がございますが、要はやはりこの老人医療の給付を受ける老人と、それから医療機関、これが非常に煩瑣でないような方式ということと、同時に、やはりこの老人医療の給付が的確に行なわれるという担保も必要だと思います。そういう要素をよく考え合わせながら、その支払い方式というものを最終的に決定してまいりたいと思います。したがって、まだこういう方法でやるということをここで御報告申し上げる段階には立ち至っていないということでございます。
○小平芳平君 ずいぶんと、いま説明される現物給付か現金給付かによって実際受ける方は大きな違いがあるわけでしょう。ですから、この老人福祉は四十七年度予算編成にあたっての柱だといわれて編成され、国会審議で予算の成立を見ているわけですが、いまなおそういう方法すらきまってないということ、これじゃ四十八年一月実施もあぶなくなっちゃう。ですから、少しゆっくり過ぎませんか、そういう点は。あるいは国会に対してこの改正案の審議を、また賛成をというふうに提案するにあたって、そういう基本的な事項がきまってないでは困るんじゃないですか。
○政府委員(加藤威二君) これは法律の立て方がどちらでもとれるという立て方になっているということを申し上げたわけでございまして、私ども実施の段階になりました場合には、これはおそらく医療関係の機関とのまた話し合いもございますけれども、まあ一番人口の多い東京都あたりでは現物給付をやっているという現実もございます。それから医療を受けられる老人にとってはやはり現物給付が好ましいということははっきりしているわけでございますので、私どもといたしましては、そういう方向で統一的に支払い方式をきめていくということになるだろうと思いますが、一応法律的にはいま申し上げましたように両方できるという形になっております。そのどちらかをとるかによってまた支払い方式が違うということを申し上げただけでございまして、私どもの気持ちといたしましては、おそらく現物給付という線で事務処理はしていくということになろうという考え方でございます。 〔理事大橋和孝君退席、委員長着席〕
○小平芳平君 そうして、この内容的には前年の所得が一定額以下の方で、社会保険あるいは国民健康保険にかかった方ですね、その方の自己負担分を負担しますというわけでしょう。ですから、なおかつ漏れる問題はどういう問題がありますか。要するに、保険診療外以は全額本人負担になるわけですね。 それから差額ベッドの問題も、先ほど田中委員から出されておりましたが、国立病院でも差額ベッドが全然ない、保険給付だけでやっている国立病院もあるわけですがね。ですから、そういう点をどう皆さんに知らしていきますか。簡単に、わかりやすく、前の年の収入がこれだけの方で、しかも保険によって医療にかかられた方がただになりますよと、こういうふうに言うんですか、いかがですか。
○政府委員(加藤威二君) まず、対象としましては、国民皆保険でございますので、まあ大体ほとんど九九%の方と申しますか、対象になる方々は、とにかく国保の本人か、あるいは家族か、あるいは被用者保険の家族という、どちらかの保険に何らかの形で入っておられる。ただまあ生活保護の適用を受けておられる方ははずれるということになろうと思いますけれども、それ以外の方は大体何らかの保険に加入をしておられるということになろうかと思います。その場合に、所得が、——前年の所得でございますけれども、所得が一定水準以上の方は除くと、だから、一定水準以下の方、所得制限ということはあるわけでございますが、そういう方で、そして保険による医療給付を受けて、そして自己負担がある場合、そういう場合に、自己負担の保険に相当するといいますか、保険の医療費のうちの自己負担分、こういうことで、ちょっとそこのところが、先ほどから議論も出ましたように、看護料の差額の問題とか、部屋代の差額の問題というのは、一般にそれはなかなか説明がむずかしいと思いますけれども、そういうものは保険の対象にならぬわけでございますから、したがって、いわゆる保険の自己負担という対象の別の負担になるわけでございますので、そういうものは入らぬ。そこのところの説明がなかなかむずかしい点があろうと思いますけれども、そういう点をできるだけわかりやすく関係のといいますか、老人の方々には御説明するように、表現もできるだけくふうをいたしまして、なるべくわかりやすい表現で、この周知徹底をはかるようにいたしたいと思います。
○小平芳平君 国立病院でそうした差額を全然取っていないところはありますか。
○政府委員(松尾正雄君) ちょっと具体的に何カ所であるかは存じませんが、そういうものがございますし、それから国立療養所のほうになりますと、ほとんどが取っていないというのが実態でございます。
○小平芳平君 国立小児科病院はいかがでございますか。
○政府委員(松尾正雄君) 世田谷の小児病院はたしかゼロであったと思います。
○小平芳平君 ですから、そういう点ですね、まあ、小児病院はちょっと関係ないですけれども、非常に、全額ただになるものなのか、それとも実際そうでないものなのか、わかりにくいわけですね。 そこで、もう一つ、二百五十万円以下という所得制限について、この点についても先ほど来いろいろお話が出ましたが、二百五十万円以内だと、たとえ三百円でも五百円でも無料になるわけでしょう。ところが、二百五十一万円になると今度は何十万という手術をなさっても自己負担がつくわけでしょう。そういうことですか。
○政府委員(加藤威二君) これは先生御指摘のとおりだと思います。まあ、こういうどこかで線を引くということになりますと、その線をちょっと越えた人、その線のちょっと下で、範囲内でおさまった人というもののアンバランスというものは、いかなる制度でも避けられないと申しますか、それに対する対応策を別に講ずれば別でございましょうけれども、一応そういう対応策というものもなかなかむずかしい点がございますので、先生の御指摘の点は確かに一つの、まあそういう具体的な例を考えますとその線の上と下でそういう問題が出てくる可能性はあろうと思います。
○小平芳平君 ですから、先ほどの御説明だと、課長さんの中にもこの自己負担のつく人と自己負担のつかない人と出るというお話でしたがね、ですから、それこそ対応策の講じようがないんですか。
○政府委員(加藤威二君) 一応制度の上におきましては政令で定める金額ということになっておりますので、そこで一応二百五十万という線を引いておるわけでございますが、これは福祉年金との関連というような問題もございますが、一応いまのところはそういう割り切り方をしておるわけでございますが、今後の運用の状況によりまして、またよく検討はしてみたいと思いますか、いまのところはそういう割り切り方をしていくという予定でございます。
○小平芳平君 あまりいい割り切りじゃないんですよね。ですから、それは先ほど来お話が出ているように、扶養者所得制限を撤廃すればそういう問題がなくなるわけです。これは福祉年金についても、四十八年度予算は扶養者所得制限は撤廃するということで予算も要求しようというふうに別の会合で厚生省当局は発言しておられますので、この点についても少なくとも扶養者所得制限は撤廃されると、このように理解してよろしいですか。
○政府委員(加藤威二君) その点については、医療の問題と福祉年金の問題とずっと並行していくかどうかという点はございますが、しかし、一応いまのところは四十七年度ではそろえたわけでございますが、四十八年度、福祉年金が撤廃するという要求をするという話は、私はまだ聞いておりませんけれども、そういうことであるならば、この老人医療の問題、これをどうするかということは、やはりそういう福祉年金は撤廃するということを前提にした上で、慎重に検討する必要があろうと思いますが、福祉年金が撤廃したからこれを全部すぐ撤廃するということになるかどうかというようなことは、必ずしもいまこの席上でははっきり申し上げることはできませんけれども、しかし、向こうが撤廃するということになれば、これはやはり相当大幅の緩和、少なくとも大幅の緩和はしなければならぬと思いますが、撤廃するということになるかどうかということについては、さらに向こうの要求の理由その他をよく検討いたしまして、慎重に検討してみたいと思います。
○小平芳平君 そんな歯切れの悪い答弁でなくて、原爆のときも大臣はそれはもう扶養者所得制限は撤廃するという方針でいかなくちゃならないというふうに答弁していたんですね。 それからいまの福祉年金は、まだ当院の審議に回ってきておりませんが、社会保障制度審議会でそういうふうに発言しておられたわけですね。ですからいろいろ理由はるる先ほど来述べられましたので、理由は重ねて申し述べませんけれども、これは大臣として当然、扶養者所得制限は撤廃する方向でするんでなくちゃおかしいと思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(斎藤昇君) 私はたしか衆議院の委員会でも、これは来年度は撤廃をいたしたい、その方向でまいりたい、福祉年金も同様だということを申し上げております。
○小平芳平君 局長よく聞いておかないとだめだね。 それから本人の所得制限も、これも局長に言わせるとたてまえがたてまえがということになるでしょうが、前年所得を基準にされますと、非常に困る人が出るんですね。まあ、現在のたてまえ上前年所得を基準にする以外に方法がないということでしょうけれども、現実問題として、私が、いま具体的に説明するまでもなく、前年度は確かに所得が多かった、いまはそうではないという人が幾らもいるわけです。そういう不合理はどうですか。
○政府委員(加藤威二君) これもまあ、たとえば国保の保険料なんかも同様だと思いますけれども、やはり前年じゃなくて現年の、できればその収入でどっちかきめるということがいいかと思いますが、それが技術的にできないということで、前年の所得を基準にして振り分けをする。これはそうする以外に方法がない、非常に紋切り型の答弁で申しわけないと思いますけれども、事務的にそういう形になるということで、これは国民健康保険とか、そういう保険料の徴収問題、みんな同じ問題だと思いますけれども、そういう実態にせざるを得ない。いろいろ矛盾があろうということは私ども感じますけれども、そういう割り切り方にする以外にはないんではないかというぐあいに考えております。
○小平芳平君 そこで先ほど田中委員に対していまのこの対象人員ですね。それから国費の所要額、老人医療対策所要額、この数字がちょっと私がいただいている資料と別な数字を答弁しているように感じたんですが、恐縮ですが、もう一ぺんおっしゃっていただきたいんですが。
○政府委員(加藤威二君) 先ほど申し上げました田中先生の御質問に対して申し上げましたのは、一つは管掌別と申しますか、保険別の七十歳以上の老人の数を申し上げたわけでございますが、合計が、対象人員が四百十万三千人、それは所得制限をしない場合でございまして、所得制限をしますと、それが三百七十八万九千人という数字になるわけでございます。で、これはあるいは先生のあれと沖繩が入ったり抜けたりすることで数字がちょっと違うかと思いますが、いまのは沖繩が入っていない数字でございます。 それから、金額につきましては六十五歳以上の老人を無料化にした場合には、四十八年一月実施といたしまして、九十三億が百五十五億になり、それから平年度化いたしますと、八百七十三億が千四百五十一億になるということでございます。これはいずれも沖繩を除いておると思います。 それから、所得制限を撤廃した場合に、本人と扶養義務者の両方ひっくるめて撤廃いたしますと、一月実施で七億円国庫負担がふえる、平年度化で七十億円ふえるということでございます。それから扶養義務者だけの所得制限を撤廃した場合には、一月実施で五億二千万円、平年度化で五十億と、そういう数字を申し上げました。 〔委員長退席、理事高田浩運君着席〕
○小平芳平君 数字を合わせてみてください。で、要するにこの点についても先ほどお話がありましたので、所得制限は撤廃するというんですね、それは扶養者所得制限は特に撤廃するということでありますので、わずかなんですよね、全体としては。そういう方向で行っていただきたい。本人所得制限を課す場合も大幅な緩和をお願いしたい。 それから次に、なぜ七十歳で実施するか、で、六十五歳でなぜやらないかという点についても、るるお話がありましたので繰り返しませんが、この社会保障制度審議会の答申では「適用年令を七十才以上とし、引き下げに対する将来の展望を欠くことに疑問をもつ向きが多い。」と、こうなっておりますが、この点についてはいかがですか。
○政府委員(加藤威二君) これは前に大臣からも、また私からもお答え申し上げましたが、一応スタートにおいては七十歳ということでスタートをする。それでその実施の状況を見て、この年齢をどうするかということについては、大臣は前向きで考えたいということを申されましたけれども、年次計画的なものはまだございませんが、この七十歳以上の老人の医療の無料化につきまして実施の状況を見て、その上でまた考えてまいりたいということでございます。
○小平芳平君 いや、ですからここで「展望を欠く」ということは、いまの大臣や局長の答弁、その答弁が展望を欠くと指摘されているんでしょう。もう少し、この七十歳で出発をするけれども、まあいろいろな理由ですね、委員の方から質問が出る、当局が答弁される、大臣が答弁される理由としては、六十五歳のほうが成り立つんですね。ですから、ただそういうように、とりあえず出発をして、検討しますということでは展望にならないと思うんですね。ですから、この審議会の答申は引き下げに対する将来の展望、これを欠いているという指摘があるわけです。その点については、やはり審議会が指摘しているように、引き下げについての展望が欠けているというふうに認められませんか。
○国務大臣(斎藤昇君) 展望のないことは事実でございます。展望はないのですから、審議会はこういう展望でやれということを言うていただければ非常にありがたいと思うのですが、審議会も展望を欠いておると言うだけで展望を示してくれない。私どもといたしましては今日のいろいろな諸般の情勢から考えて、七十歳というのが社会的ニードに合うであろう、かように思っておりますが、それでは合わぬという御意見もいろいろありいたしますので、実施をしてみて社会的ニードがどうなるか、それもよく見た上で前向きに考えたいということでございますので、展望ということはどういうことか知りませんけれども、制度審議会もそう言いながら展望を示さない、なかなか展望と言ったってどういう展望か非常にわかりにくいことでございます。
○小平芳平君 いや、展望ということは六十五歳にするということなんですよ、私たちの言っていることは。私たちの言っていることは六十五歳にすべきであるということを言っているわけです、審議会が展望と言っておりますけれども。ですから、六十五歳のほうが合理的であるというふうに先ほど来申し上げているわけです。 それから、たとえば障害年金を受けているような方に対してはどうですか、障害年金を受けておられるような方もやっぱり七十歳でないとだめですか。
○政府委員(加藤威二君) この老人医療の無料化につきましては一応七十歳ということで切っておりますので、したがいまして障害年金を受けておられるという、あるいはおられないということにかかわらず、この老人医療の無料化については七十歳に達しているかどうか、それから所得がどうかということできまるということでございます。
○小平芳平君 いや、ということでしょうけれども、この障害年金を受けている障害者に対しては、七十歳ということが今回の法律改正ではありますが、検討の余地はありませんかとお尋ねしているのです。
○政府委員(加藤威二君) いまのところは私どもといたしましては、まあ答弁を繰り返して申しわけございませんけれども、そういう必要があるかどうかということは、これはまた見解と申しますか、その障害者それ自体にとってはそれはベターであるということについては、これはそうであろうと思います。しかし制度としてこれをどうするかという場合に、私どもといたしましては一応この老人医療の無料化の制度は七十歳の年齢でとにかく切る。それ以上の方で一定の所得以下の人に対してこの老人医療の無料化という問題に踏み切る、こういうことにしておるわけでございます。したがって、いまの御指摘の点については今後の検討の問題にはなると思いますけれども、一応ただいま御審議願っております法律におきましては、七十歳以上でなければだめである、対象にはしていないということでございます。
○小平芳平君 そうです、将来の検討課題にしていただきたいということです、私の申し上げていることも。 それから、この医療機関の適正配置についても、先ほどもお話がありましたが、要は、この過疎地は老人が多いんですね。過疎地は老人が多くて、しかも医療機関がないというのが実情なんですね。これは厚生省から出た資料でしょう。七十歳以上の千人当たり病床数、きわめて千人当たりの病床数の低い県、それは島根県、滋賀県、長野県、岐阜県、こちらと比較して多いほうが北海道、青森、東京、福岡、こういう実情ですか。
○政府委員(加藤威二君) 大体御指摘のとおりだと思います。少ないところが北海道、それから滋賀、島根あたりが少ない。多いところが青森、それから東京、神奈川、大阪、福岡、こういう大都会はわりあいに多い、こういう実態になっております。
○小平芳平君 ですから、そういう点につきまして、これは過疎地は老人が多い、しかもその老人の多い過疎地に医療機関がない、こういう実情ですね。そうした現実を厚生省がただ把握しているだけでは何にもならないのであって、老人医療を無料にしますと言って、まあ、これから周知されるとおっしゃるのですが、肝心の医療機関がないのでは何にもならないわけですね、いかがですか。
○政府委員(加藤威二君) 確かにこれは老人医療ばかりの問題ではなくして、国民健康保険等におきましても、保険料だけ納めてなかなか医者にかかれないというのはもっと矛盾が多いというぐあいにも感ぜられます。そういうぐあいで老人医療もできましたことでございますので、さらに医療機関の適正配置といいますか、これは厚生省もそれぞれの担当局で一生懸命やっておるようでございますが、なかなかむずかしい問題があるようでございますけれども、やはり老人医療の実施ということにつきましては、いま先生御指摘のように医療機関が適正配置されてなければ非常に矛盾が出るということは事実でございますので、こういう制度ができますのを契機といたしまして、ますます医療機関が適正に配置されるというように努力をすべきだろうと思います。
○政府委員(松尾正雄君) 将来の方向といたしましては、そういう需要というものに合わせて適正に病床数を整備するということだと思います。ただいまの七十歳以上の人口に対比します病床数というのはたいへんおもしろい数字だと私は思っているわけでございますが、要は七十歳以上の人口当たりの幾らだという基準よりも、全体としてやはりその地域の需要にどうこたえるかという病床数が基準になろうかと思います。それから、特に先生御指摘のいわゆる過疎地あるいは僻地といったようなところ、こういったところがその老人人口の集中と申しますか、お年寄りが多いというようなことは端的に指摘されている問題でございます。私どももそういったようなところの医療を確保するということがむしろ一番頭の痛い大事な問題だと思っております。これも従来からいろいろその地域の実情に応じまして、場合によれば診療所を設置する、ただし診療所を設置いたしましても医者が来なければ意味がございませんので、必ず最近では親元の病院というものを指定いたしまして、そことコネクションをつけまして、そこから派遣するということにいたしております。それから、人口、交通事情、こういったものを勘案いたしまして、いわゆる患者輸送車あるいは巡回診療あるいは雪上車、こういった車の配備等いろいろその地域に応じた確保対策をやっておるわけでございます。特に、先ほど来いろいろと御指摘がございましたが、老人問題も含めましていわゆる健康の管理指導といったものも含めた一貫したものをつくるべきではないか、こういう御指摘は全くわれわれも同感でございまして、こういったことをねらいといたしまして実は僻地関係については僻地の連携対策といったものを打ち出しております。これは僻地を持っておる地元だけではなくその他のまわりの周辺地域があらゆる協力をいたしましてその地域の医療をカバーするということを打ち出しましたが、その中には健康管理カードというものを整備いたしまして、そうして先ほど公衆衛生局長の話がありましたように、保健婦の配置というようなものもそういう地点に重点的に行なう。これはすでに四十六年、四十七年を通じて百名ほどの配置が行なわれることになっておりますが、そういったような不断の、また老人の健康の審査あるいは結核の検診、そういった成人病対策、こういうものをできるだけ総合的に一貫してその地域に集中してやる、その結果は健康管理カードに記載される。またそれを保健婦が常時目を通して、またそれをバックにしております医療機関のほうもちゃんと承知をいたしまして、両々相待って将来常にそういう健康管理の指導を徹底しようじゃないか、またそういうときに、いろいろの病人が出ればその健康状態をもとにして直ちに医師に適切な連絡をとる、こういうことで、すぐに患者輸送車あるいは医療機関からの指示ということでかなりのいい成績をあげ得るのではないかと思っております。私たちもそういったものについての成果をこれから十分見きわめたいと思いますが、たとえば山形県等におきまして、そういう地区においてかなり広範囲にやっておりますが、その結果といたしまして集約いたしますと、かなりいままでに比べますといい成績があがっておる。特に、老人の方々がたいへん健康についての自信といいますか、そういういろいろなチャンスがあり、完備されておるということによって健康に関する積極的な姿勢あるいは自信というものを持ってきたということが報告されておりますが、私どももそういうような一番困難な地区、特に老人の多い地区につきましては、ただいま申しましたような施策を一段ときめこまかく推進してまいりたいと思います。
○小平芳平君 いまの御説明に比べて、本土に復帰した沖繩県の場合は、もっといま説明された過疎地域以上のいろいろな問題点をかかえておると思いますが、その点について両局長にお尋ねしたいと思います。
○政府委員(松尾正雄君) 御指摘のように沖繩県の場合はかなり離島もございますし、また僻地を持っておる、地区というよりも町村自体が無医町村であるというように、本土にはないような実態もかなり持っております。私どもとしてもやはりいろいろの具体的な沖繩の状況に応じた対策を立てるべきものだと思っておりますが、少なくとも沖繩本島につきましては御存じだと思いますが、かなり通信と道路網が整備されております。したがいまして、ただいま申し上げましたような患者輸送車等の配備といったようなことを大体本島につきましては行なうということで解決がつきそうに思います。ただ、医者が非常に少ないものでございますから、従来どおり本土からの僻地診療に従事する医師というものの派遣は引き続き行なうつもりでございます。 それからなお、離島等につきましては、それぞれ宮古とか八重山といったところには本家になりますような県立病院があるわけでございます。これもさらにその基幹となるものでございますので、それの整備を第一年度ではかるということにいたしておりますが、さらにそれより前にヘリコプターの配置もすでにあそこでは行なわれております。また、診療のための船も配置をされまして、いよいよ県に移りましてから、いわゆるフライング・ドクター・システムというものがこれから、本格的に動き出すであろうというふうに考えております。そういう離島等につきましては、ヘリコプターとかあるいは特別の船をもって患者輸送あるいは診療にあたるという体制を大体整えておるつもりでございます。
○政府委員(加藤威二君) 老人医療につきましては沖繩も全く本土と同じ状況で、同じ法律のもとで適用されるということでございますので、これが万全に行なわれますためにはいま医務局長からお話のございましたような医療機関の体制といいますか、そういうものを早急にはかってもらいたいというようにわれわれも考えておるところでございます。
○小平芳平君 そういうように両局長から答弁されますと、きわめてものごとがスムーズに運んでいるように聞こえますけれども、実際にはなかなかそうはいかないですね。 これは老人医療と関係ないんですけれども、児童手当ですね、これは一月から実施された。この児童手当の例が一つの例になると思って御答弁願いたいと思うんですが、なかなか沖繩の方はいま急に物価が上がる、さあ生活に困る、そして児童手当が実現したそうだ、けれどもそうおいそれと支給に至らないわけです。その点いかがですか。
○政府委員(松下廉蔵君) 沖繩の児童手当法、これはほかの制度につきましてはおおむね本土と同様の制度が復帰前からあったわけでございますが、児童手当法につきましては本土がことしの一月からということで、もう復帰目前でございました関係もありまして、復帰と同時に五月十五日から本土の法律がそのまま適用になっております。それで施政権が戻った段階から申請をさせるという構成をとらざるを得ません関係で、どうしても六月の支給期に五月分を支給するということは技術的に困難でございますために、先生ただいま御指摘のように、通常は六月、十月が支給期でございますが、本年度に限りましては支給期を十月にずらしまして五、六、七、八、九と五カ月分を十月に合わせて支給するという措置をとっております。それで、ただ支給につきましては、申請した月の翌月分から支給するというのが本則のたてまえでございますが、復帰早々になかなか周知徹底いたしまして直ちに申請するということも困難でございますので、復帰にあたりまして政令で特例を設けまして、九月末日までに該当する資格に達しました人につきましては、十月末までに申請をすればそれぞれその適用対象になった月分までさかのぼりまして、したがって、五月も、あるいは五月以前から資格のありました人は五月までさかのぼって全部を十月に支給を受けることができるという特則を設けております。それから周知徹底の方法につきましては、四月に全国の課長会議をいたしました際に、オブザーバーとして沖繩の担当課長にも出席を依頼いたしまして、特に一日残ってもらいまして具体的にこういう方法によって周知徹底をはかってほしいということを指示いたしております。本土でつくりました住民向け及び事業所向けのPR資料も沖繩にすでに復帰前に送付いたしましてこまかく連絡をとっております。昨日、ちょうど上京いたしまして様子を聞きましたところでは、各市町村に対しましてこちらから指示いたしましたとおり、幸いに住民基本台帳法は本土と同様のものが復帰前から実施されておりますので、その住民基本台帳から個々の適用対象になります人たちを拾い出しまして、それに対して積極的に周知徹底をはかるという方法によりまして漏れがないような施策を進めておる、そういう報告を受けておる次第でございます。
○小平芳平君 社会局長ですね、この老人医療の無料化につきまして沖繩においてどのような事前準備をされるかということを尋ねたいわけです。で、実際問題がいまの児童手当の場合、それはまあいろんな場合が違いますけれども、五月十五日本土復帰、しかし児童手当がいただけるのは十月なんですね。まあ、そういう事情があったわけですが、今回の老人医療費の無料化については沖繩においては特にどういう点に力を入れて、どういうような準備をされますか。 〔理事高田浩運君退席、委員長着席〕
○政府委員(加藤威二君) 沖繩につきましては、これは復帰前からたとえば全国の民生部長会議をやるときには沖繩からも出てきてもらう、それから担当の社会局関係の課長会議のときにも沖繩から来てもらうということで、沖繩のその民生関係の担当者については、そういう会議においてこの趣旨をよく説明してございます。それから昨年の初めからだったと思いますが、社会局での優秀な職員を一人現地に派遣いたしておりまして、これが新沖繩県の次長待遇になって所属されておりますが、それがおりますから、これがもう社会局のはえ抜きでございまして、老人医療問題に非常に詳しいわけでございますが、そういう者が積極的に指導に当たっておるということで、行政面の指導につきましては一応万全を期しております。それで問題はこの法律が通過しました、国会を通していただきました後においては、さっそくこの実施について、これはまだ都道府県に対しては私ども実施の通達は出しておりません、法律が通っておりませんから。内々の内面指導はやっておりますが、その指導は本土と同じように沖繩にも実施いたしております。この法律が通りましたら、直ちにこの施行について通知を出すということになろうと思います。で、そういうことで沖繩につきましても、幸い、私どものほうからは職員が行っておりますので、それと十分連絡をとって、沖繩の老人がこういう問題について不利にならぬように配慮してまいりたいと思います。
○小平芳平君 不利にならないということが言い切れますか。
○政府委員(加藤威二君) 問題は、要するに医療機関の問題と、それからこれは医療保険との関連という問題がございますので、そういう点で制度的な問題が起これば別でございますけれども、そうでない限りは、特に沖繩であるということで不利になるということはないと思います。
○小平芳平君 ですから、医療機関と医療保険に欠陥があれば、基本的に不利になっていくでしょう。
○政府委員(加藤威二君) 確かに、医療保険との関係、医療保険の自己負担を公費負担にする、こういうことで医療保険に乗っかっておりますから、ですから、その医療保険の問題が沖繩でうまくいかないということであれば、これは動きようがないということになります。ですから、もし、そういうことになれば、それはその面に限って沖繩の老人は不利になるということはあり得ると思います。
○小平芳平君 不利になることがあり得るからどうするのですか。
○政府委員(加藤威二君) これは老人医療といたしましては、そういう根っこの保険というものが動かないということになれば、これは手の施しようがないと思います。したがって、これはむしろほかの制度で考えていくということにならざるを得ないと思います。たとえば生活保護の医療扶助の問題その他につきまして、非常に沖繩には低所得の老人の方が多いと聞いておりますが、そういう方々が病気になられて、そして医療費が自分では負担できないという場合には、直ちに医療扶助を発動して、その面では万全を期するということになろうと思いますが、この老人医療費の無料化という制度といたしましては、根っこがないという場合には、根っこがないのにそれだけを発動するわけにはまいらぬということだと思います。
○小平芳平君 そういう答弁で終わらせるわけにもいかないのですが、かといって社会局長にこれ以上お尋ねしても無理かと思いますので、打ち合わせをしていただきまして、次回に答弁していただけますか。
○政府委員(加藤威二君) まあ、私といたしましては、一応私の考えを申し上げたわけでございますが、さらに検討いたしましてもし違う御返事ができるということであればまたいたしたいと思います。
○小平芳平君 要するに、医療機関の問題と保険制度の問題でしょう。だから、それを検討してきてくださいと言っているのです。よろしいですか。
○政府委員(加藤威二君) 医療機関が不十分であるという点は、これは医務局長からも話がありましたように、これはしかし沖繩ばかりじゃない、日本の僻地等においても同じ問題だと思いますが、その問題はそれといたしまして、問題は医療保険がうまくいくかどうかということとの関連、これは沖繩の特殊な問題だと思います。その問題につきましては、これは答弁を繰り返すようでございまするけれども、この老人医療の公費負担というのは保険の上に乗っかっている制度でございますので、根っこがなければこれはやりようがないということでございます。
○小平芳平君 じゃあ大臣、その点について御答弁をいただきたい。
○国務大臣(斎藤昇君) 法律解釈といたしましてはただいま局長が答えたとおりであります。それで沖繩はいいのかどうかということだろうと思うわけであります。沖繩は国民健康保険が本土ほど早急に行なわれないという状況で、私も実は本土復帰前に国民健康保険が少なくとも本土と同じように何らかの方法で行なわれるようにということで、御承知のように、沖繩の主席は本土と同じような制度というので、立案をして、沖繩の立法院に出したところが、それが通らない。むしろ、沖繩は県一本のような国民健康保険制度を考えよというような修正案が出されて、それが通過をした。ところが主席はそれを拒否をしたということで、国保が宙に浮いてしまったということになったわけであります。そこでやむを得ませんので、本土復帰直前に、二カ年の猶予期間を設けて、そして本土並みの国保を施行するようにという政令を出しました。そこでそれに基づきまして、あるいは本年中にでも主要都市はほとんど本土並みの国民健康保険を実施する準備をいたしておりますから、年内にもこれは発足できると思います。しかし離島その他におきましては、これは相当困難であろう、かように考えます。大部分は本年中に実施できるところが多いと思いますから、これの一月実施には間に合うかとも思うわけでございます。しかし国保の実施できないというところは、その間、こういった老人無料医療という制度が行なわれない。しからば何らか実施としてやり得る道があるかといいますと、これは非常にむずかしいのでございまして、さらに検討いたしますけれども、いまここで沖繩の国保未実施のところについてはこういう方法でやりたいということをまだ申し上げるような成案を得ておりません。検討いたしたいと思います。
○小平芳平君 それでは時間がまいりましたので、最後にお尋ねいたしますことは、この老人ホームについては先ほど御答弁がありましたが、これは現在が九万人ですか、で、昭和五十年で何万という計画ですね。昭和五十年のその計画に達成できても、なおかつ足りないわけですね。それが一点です。 それからもう一点は、先ほどやはりお話が出ておりましたが、こうした老人福祉に対する国鉄の割り引き等、それは繰り返して答弁なさらなくてけっこうですが、もう一つ、先ほど説明しておられた老人福祉に対する対策としまして、まだできることがあるじゃないかと思われることがあるわけですがね。で、その一つは、福祉電話はどういうふうにされますか。 それから身体障害者と同じように、補装具等の支給はできないと言ったですか、先ほどは。しかし中でも、できるものもあるのじゃないかと思うのですが、そういう点の検討はされませんか。
○政府委員(加藤威二君) 最初の老人ホームの整備でございますが、これは先ほどお答え申し上げましたように、現在は約九万五百人、それで五十年には十八万三千百人ということで大体現在の倍くらいにふやしていく。それでもまだ十分ではございません。これは御指摘のとおりでございます。約十八万三千百人、それは昭和五十年でございますが、六十五歳以上の人口は大体二・一%でございます、十八万三千人というのが。それでほかの国の、先進諸国の老人ホームの人口との割合を見ますと、アメリカが三・七%、それからイギリスが四・五%、スエーデンが四・八%、一番多いところがフィンランドで八・六%、こういうようなことで、大体四、五%というのが先進西欧諸国の実情でございます。日本は家族制度の問題とか、あるいは住宅の問題等で西欧並みとはちょっとこれは事情が違いますから、 〔委員長退席、理事高田浩運君着席〕 同じパーセントを必ずしもとる必要はないというぐあいに考えますが、しかしやはりそういう点を考えますと、まだ二・一%では少ないという感じがいたします。したがって一応五十年の目標では十八万三千人ということでございますが、これは第一次五カ年計画ということで、その後はさらに五十年の計画実施を前提といたしまして、さらにやはりこういったものをふやしていく必要があろうというぐあいに考えております。 それから老人の福祉電話につきましては、これは四十六年度二カ所、それから今年度はさらに二カ所つけ加えてやっておりますが、これは考え方といたしましては比較的そう費用もかからないものでございますので、国で全部網羅するというよりも、モデル的に国で補助金を出して設置いたします。そうしますと、都道府県なり市あたりで積極的にまたそういうものを設置するという傾向が出ておりますので、一つのモデル的なタイプのものとして国は補助金を出す、こういう考え方でやっておるわけでございます。 それから補装具等につきましては、これは先ほどの御質問では、たとえば、つえとか老眼鏡でございましたか、そういうものはどうかということでございましたので、そういうものはこれはなかなか給付の対象にならぬということを申し上げたわけでございますが、しかし、寝たきり老人に対してギャッチベッドみたいなものをあれするとか、あるいはおふろをつけるとかいうようなことについては、これは相当予算的な面で考えていく必要があるというぐあいに考えますので、そういう点につきましては身体障害者の問題と並びまして、そういった面の補助も努力してまいりたいというふうに考えております。
○小笠原貞子君 私もいま八十五の父と八十二の母の老人をかかえて、そうして毎日年寄りと接していますし、それからまた年寄りの友だちやなんかがたくさん集まってきます。そして、年寄りの気持ちというようなものが痛いようにわかります。そして、その年寄りたちが話していることは何かといったら、やっぱり、元気なときは子守もするし、縫いもののほどきものもしたり、縫いものの手伝いもするし、何とかやっていける。だけれども、ほんとうに年をとって病気になったときだけはたいへんだ。決してたいへん貧しいという御家庭の年寄りではございません。しかし、たとえば所得制限は二百五十万になっておりますけれども、けっこう給料取っていらっしゃるように見えても、その御家庭を見ますと、ちょうど子供たちが大学だ、高校だというようなことで非常に金がかかる、嫁にやらなければならない。こうなってくると、病気になったとき一体私たちはどうしたらいいんだろう。まあ、楽に睡眠剤でももらっておじいさんと二人で安楽に天国に行けるようにしてもらいましょうというようなことを、クリスチャンのお年寄りなんでまじめな顔をして言っていらっしゃいました。それで、東京都でも老人の医療無料化が所得制限なしだということになったときにはもうたいへんな喜びでございましたし、おくればせながら、今度は老人医療がただになるんだということの話になりましたら、国もたいしたものだと、たいへん評価していたわけなんですね。それで、一体どうなんだということで、そのときは地方から来ていたお年寄りもまざりまして、貞子さん国会へ行っていらっしゃるんだからどうなんだ、ただになるというのは、と言うので、いろいろ説明してみましたら、ほんとうにこれは、年寄りはただで国がめんどう見て病気なおしてくれる、何かもうすばらしいおみやげをもらったようなつもりで、一々私が説明していきますと、包装紙をはいで、そうして箱が出てきて、のし紙をはいで箱のふたをあけたら、今度はもう、いろいろなものの詰まったものが入っている、中身を見たら底上げだというような結果になってきてしまうわけなんですね。先ほどから私は、そのおばあさんやおじいさんの顔を考えながら、局長、何か七十歳以上は制度のたてまえから、制限というものはしかたがない、七十歳以上とか所得制限とかというふうなことを言われるたびにもう、その声が何かもう、ほんとうに悪いけれどもえんまさまの声みたいな気がして、何でそこのところで制限をああいうふうに強調しなければならないのかと、ちょっと悲しくなってしまったわけなんです。で、いろいろな各委員からの御質問で私の予定した質問もだいぶわかったところがありますので、なるべく重複を避けますけれども、どうしても重複ですけれどもお伺いしなければならないのは、やはり七十歳で制限をなすっているというその根拠が、先ほどいろいろ各委員におっしゃいましたのが、根拠があまりはっきりいたしません。たとえば、各都道府県の多くが七十歳、七十五歳くらいでやっているからと、こういうふうなことでございましたし、また、七十歳から七十四歳くらいが病気にかかりやすい年齢だからというふうなこともおっしゃいました。また、社会的にどうも大体その程度の年だということも言われました。そして、手始めは七十歳というようなことばが先ほどから出てきました。これは決して七十歳の制限をしなければならない何らの根拠になっていないんです。だから、ここのところを重ねてもう一度、なぜ七十歳で制限をしなければならなかったか。私たちは六十歳と思っていますけれども、さしあたり六十五歳でやってもらいたいと思っていますが、七十歳で制限しなければならないというところを、もうちょっと科学的な、具体的な理由というものを整理して、一つこれこれというふうにおっしゃっていただきたいと思います。
○政府委員(加藤威二君) これは、大体先生がすでに列挙されましたようなことで七十歳ということをきめたわけでございますが、これは、先生御指摘のように七十歳でなければならぬという論拠はなかなかございません。それだけにまた六十五歳でなければならぬという論拠もない。六十歳でなければならぬという論拠も、これはないと思います。したがって、いま先生が御指摘になりましたような問題、それから財政的な問題もございます。そういう問題を勘案してとりあえず七十歳で進めよう、こういうことでございます。したがいまして、これは、その年齢につきましてはいろいろ御意見があろうと思いますけれども、とりあえず七十歳で始めてみて、そして実施の状況を見ながら年齢についてはさらに前向きで検討したいと、こういうことでございます。
○小笠原貞子君 やっぱりはっきりした根拠がないものだから、やっぱり同じ答弁が繰り返されているわけですね。七十歳でなければならないという根拠はない、六十五歳でなければならないという根拠はないとおっしゃるけれども、定年が五十五歳だ。そうすれば、定年になって職場がなくなって収入がなくなったら、そこからすうっといってもらえば一番いいわけです。また、六十五歳という根拠については、検診という制度がありますよね。そうすると、先ほどから言われているように、六十五歳で見てもらって、病気になったら、あなた病気になったよと言ってほっておくというような、そんな残酷なことをしないで、当然六十五歳で検診をする、必要があるとすれば六十五歳から持っていくべきだということで決して六十五歳いいというわけじゃない。六十歳、五十五歳、低くして、そしてほんとにお年寄りになられて心配なく病気がなおせるということが一番大事なわけなんですね。そういう意味から、いまの七十歳ということの理由を考えてみたら全く根拠がないです。さっきも言いましたように、各都道府県が七十歳ぐらいでやっているからと、これなんんてほんとにナンセンスですよ。国が当然やらなければならない。やらないから都道府県が要求に迫られてやろうと思ったけれども、財政的ないろいろな理由からやっと七十歳でやろうと言い始めたものだから、こういうものを標準にしてやろうなんと言ったら、一体国の政治の責任はどこにあるんですか。こんなものと比較するのはおかしいと思います。社会的にとかなんとかおっしゃいますけれども、もし、ほんとにそれをお考えになっていらっしゃるとすれば、一体、年寄りというものにお会いになったことがあるのかどうか、私、疑わしいと思う。いま、ほんとうに、私は、大多数の人たちは七十歳、それまで待たなければならないのか。やっぱり六十五歳で健康診査というその段階、少なくともそこからやってもらいたいというのが圧倒的な社会のニードなんです。これは客観的なんです。共産党が言うんじゃなくて全体の国民の要求なんです。もしも、ほんとうに社会的にお調べになるのだったら、全体にアンケートをお出しになるなり、世論調査をお聞きになってもらいたいと思う。そうすると、七十歳なんというものの根拠は一体何なのだ、それはやっぱりお金の問題。さっきお金だけではないとおっしゃったけれども、やっぱり帰するところは予算の関係というところに落ち着いてしまうように思うんです。それじゃ、その予算の関係どうなんだ。年齢制限を六十五歳にすれば先ほどの数字では千四百四十億なんです。この間、本会議で私が質問したら、あの健保改正の二〇%の補助を出すと千五百億にもなりますなんて水田大蔵大臣言っていらしゃった。人の命を守るために、年寄りを大事にするために千四百四十億のお金がなぜ出せないのか。これぐらいのお金は当然出すべきじゃないか。そこで私は、今後ともだんだん年齢を下げていきたいという大臣の御決意のほども伺いましたけれども、やはりいま佐藤内閣といえども政策を転換して、そして福祉国家と言うからには、もっと厚生省は大きな立場に立って堂々と六十五歳をまずやってみようじゃないかと言いうぐらいのかまえでなければ、あとのことは解決つかないと思う。だから、ほんとうに今後六十五歳ぐらいまでには引き下げたいとおっしゃっていることが、見通しとして——個人の希望ではなくて、見通しとしてどの程度私たちが期待できるものかどうか。それから、まず手始めに七十歳からやってみて状況を見てとおっしゃるけれども、その状況というのは具体的にどういうように状況をごらんになるのか、その点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(斎藤昇君) 先ほど七十歳に根拠がないと、局長は六十五歳にも根拠がないと言っておりました。とにかく初めてやる制度でもあり、それから老人福祉年金が七十歳、まず福祉年金をもらう年になればというのが一つのよりどころなんです、それだけじゃございませんが。それから、おっしゃいますように、金目の問題ではありませんとも言っておりますが、しかし、実際問題として初めてやる際にはやはり金目のことも考えなきゃならない。ことに大蔵省は特に考える。御承知のように、この無料医療をやる場合にでも、入院時の食事代はどうしても出せと、私は強くがんばったわけです。われわれはそれを通さなければならぬということで、結局そういうようになったわけで、制度が出発するときにはなかなかむずかしいという事情はお聞き取りをいただきたいと思います。私は保険で、老人保険というものを考える場合に、まあ六十歳か少なくとも六十五歳は老人保険一〇〇%の給付というように考えておったのでありますが、しかしまるまる公費ということになりますと、やはりいまの金目の問題ということが出てまいりますので、そこで福祉年金の七十歳、老人福祉というわけだからということで七十歳から始めたわけであります。これは七十五歳でいいじゃないかという議論も相当あったわけでありますが、そういうわけでございまして、そこら辺はなかなかめどはございません。まあ、東京都は七月から所得制限を撤廃するということでありますが、始めたときにはやはりこれは福祉年金をもらっている者、そういう意味で所得制限がついていたわけであります。私のほうも来年あたりには福祉年金を含めて所得制限というものは撤廃をいたすように最善の努力をしたいと思っております。
○小笠原貞子君 それから、状況を見てとおっしゃいますが、その状況というのはどういうふうに……。
○国務大臣(斎藤昇君) 状況を見て、というのは、いまおっしゃるような声が今後ますます高まってくるかどうかということが一つの大きなあれでございます。
○小笠原貞子君 そういうことで、どうも来年はやりたいという御決意のほどなので、ぜひそれが実現しますようにがんばっていただきたいと思います。 それから、状況を見てというのが、そういう声が強くなればということなんですけれども、実はその年寄りたちがぜひ厚生大臣に会ってなまの話を聞いてほしいと言ったのですよ。だけれども、大臣お忙しいのに年寄りを連れてきてというのは、とても大臣には無理だろうと思いまして……。しかしその年寄りたちが、たとえば請願などもことし初めてでございますね、年寄りが陳情、請願に来ました。あそこの社会文化会館からここの前までわずかの距離だったけれども、実にゆっくりゆっくりのテンポで歩いてきましたし、メーデーのときにも、御承知かと思いますけれども、年寄りが初めてたくさん、グループをつくりまして、そしてわれわれの老後を守ってくれというふうに、もうここまできたら自分が出てこなければいけないというので、年寄りが行動に立ち上がってきております。私はもうその年寄りがあとになって疲れてまた寝込んじゃうということもあったのでたいへん心配しておりますが、もしも大臣が、状況を見て、そういう年寄りの声が多ければやろうとおっしゃるのだったら、いつでもそういう年寄りをたくさん連れてまいりますので、ぜひひとつ、そういうほんとうの声を聞いていただきたいと思います。そういうわけで、ぜひ来年度は年齢、それから所得制限の問題について、年寄りたちがほんとうによかったと、もう老い先短いのでございますから、一年でも早く喜ばせていただきたいということを心からお願いして、次の問題に移りたいと思います。 次の問題は、先ほど小平委員からもお話がありましたけれども、現物給付か、それから現金給付かという問題なんです。年寄りの立場からすれば、当然現物給付にしてもらいたい、そうでなければたいへん困難だという声がほとんどなんですけれども、それはもちろん当然だとお認めになるでしょうか、どうでしょうか。
○政府委員(加藤威二君) 先ほど御説明申し上げましたとおり、法律の書き方はどちらでもとれるようなやり方になっております。しかしながらやはり国が統一的にやるということになりますれば、おそらくこれは現金給付というわけにはまいらぬと思います。現物で、やはりお年寄りが金を持たないでお医者さんのところに行ってかかれるという措置になるだろうと思います。
○小笠原貞子君 その辺、たいへんこれが通りましても心配がございましてね。やっぱり療養費払いで先にお金を出してということになれば、手元にいまなければかかれないし、またあとで取りに行くということになっても、何せ年寄りですから共働きの嫁に頼むということもたいへんだという事情もありますから、どうしてもこれは現物給付でやっていただきたいし、手続も、たとえば医療券みたいなものを出していただいて、それを病院に持っていけばそれで何も年寄りが手をかけなくてもやってもらえるというような方式でやっていただくというようなことをお願いしたいのですが、いまのお答えで大体そのように考えていらっしゃると、そういうふうに実際にはなると考えてよろしゅうございましょうか。先ほどのお答えでは、医療関係者との話し合いだとか、地方公共団体と支払い方式についての話し合いをしなければならぬなどという、いろいろな問題を出されましたけれども、まあ、そういうこともあろうかと思いますけれども、早急に話し合いをしていただいて、いま言いましたように現物給付で手続は簡単にできる。だから来年の一月までがまんしてがんばって長生きしてくださいと言い切っていいかどうか。その辺、はっきりとお願いしたいと思います。
○政府委員(加藤威二君) 現金か現物かについては、先ほど申しましたように、私どもとしましては、国で統一的にやりますのはやはり現物でやるということになると、こういうことでございます。それから手続については、医療券みたいなものを持っていってもらうかどうかということにつきましては、さらに医療機関との打ち合わせも十分やりまして、どういう方式でやるかということについては、さらに具体的に詰めてみたいと思います。それは先ほど申しましたように、できるだけ煩瑣な手続を省くということと同時に、適正な医療が確保されるように、その両方をにらみ合わせ、一番いい方法をとりたいということで、この法案の御審議をいただきました暁には早急にそういう具体案について検討したいと思います。
○小笠原貞子君 国のほうで、そういうふうに考えていただけば当然各地方自治体でも現物給付という形でだんだん進むというふうに考えてよろしゅうございますか。
○政府委員(加藤威二君) おそらく国がそういう現物給付という方針でやるということになりますれば、地方公共団体も大体それに右へならえするということになるだろうと思います。
○小笠原貞子君 その辺のところぜひそうやってほしいわけですね。全国的に見ましても、療養費払いというところが各地方では多くございますので、国がそれがいいと思って、そういうふうにおやりになるおつもりがあるのであれば、各地方公共団体に対しても現物給付という形で、ほんとうに年寄りのための医療無料化という制度に改善をしていくというようなことに厚生省としての御指導をいただきたいと思うのですけれども、その辺のところいかがでございますか。
○政府委員(加藤威二君) 法律的に強制するわけにはまいりませんけれども、私どもといたしましては、地域によって老人医療があるいは現物であったり現金であったりというようなことは必ずしも好ましくないという感じもございますので、なるべくなら統一された形で運営をされるという、そういうことが望ましいわけでございますので、そういう方向で指導してまいりたいと思います。
○小笠原貞子君 わかりました。 それじゃ次に、こういうふうにして少しずつでも年寄りが大事にされるというようなことになって、まあいろいろ文句も言いますけれども、一つの前進だと思うわけなんですが、しかしこういうこともほんとうに年寄りに徹底しませんと、これの対象になれる人たちが漏れてしまうというようなことになって、先ほども御質問がありまして、私もそのことを心配するわけなんですけれども、いろいろと会議のときに徹底するように指導いたしますとか、また、いろいろ広報などでもやるというふうなお話がございましたけれども、年寄りはたとえば印刷物に書かれていても見るということがなかなか困難な年寄りが多うございますので、それでたとえば東京なんかだと、私の年寄りなんかのところには、ちゃんと封筒で、今度五月にはまた申請しておかないともらえることももらえなくなりますよ、今度は制度が変わりますから、所得制限がありますから、あなたの医療補助はもらえるようになることになると思います。だから、何日までにこうこう、こういうものを持って役所にいらっしゃいというふうに、非常に親切に一人一人の年寄りに送ってきておりますね。そういうふうな形でなければ、特に都会だったら話し合いで、そういうのができたの、ということでわかるかもしれないけれども、ちょっと離れたようなところだとか、へんぴなところとかというようなところでは、なかなかPRができないんじゃないか。そういうことを、もう少し具体的にどういうふうに徹底して、年寄りをこの制度で救済していこうというふうにお考えになっていただけるか、その辺のところ、もうちょっと具体的な御意見を伺わせていただきたいと思います。
○政府委員(加藤威二君) これはやはりこういう制度をつくった以上は、その対象には御老人が一人も漏れなく、こういう制度ができたということを承知されるような方法をとるべきだと思います。その方法につきましてはまあどういう方法をとるか、これはむしろ地方公共団体の意見もありましょうけれども、いま例にあげられましたように、一人一人に通知をするというようなことが、一番徹底するためのよい方法ではないかというぐあいに考えられますので、そういういまの先生の御意見等も十分勘案いたしまして、この全老人にこの趣旨が徹底するように、具体的な方法を検討していきたいと思います。
○小笠原貞子君 ぜひそのことはお願いしたいと思います。児童手当のときも、テレビなんかでもずいぶん宣伝なさっていらっしゃいましたけれども、なかなかあれは徹底いたしませんで、もらえる人がもらえないという例も私たくさん知っておりますので、ぜひ具体的に必ず検討して実施していただきたいということを重ねてお願いしたいと思います。 それからあと問題といたしまして、やはりあの成人病、老人病、このごろは老人病なんて言えないくらい三十代、四十代で脳卒中というような病気になられて倒れられる方が非常に多くなっております。そういうので、この年寄りやそういう成人病に対して一番おくれているのが、やっぱりリハビリの問題だと思うわけなんです。昔だったら脳卒中で倒れたらそのまま静かに安静にしてということで、そのまま寝たきりで、結局訓練もしないで、立てないで、廃人になって死んでいったという例がたくさんございます。しかし最近、このリハビリというのが日本はおくれておりますけれども、欧米各国では相当に進んでおりまして、そして、このリハビリの分野で、もうちょっと努力していけば人間的な可能性の回復、花が開く、開花するというようなことで、いま社会的にもリハビリの問題は非常に大きな問題になっていますし、そういう病気にかかられた方が一番切望していらっしゃるわけなんです。そういう立場でまだ新しい分野でございますので、いろいろと御検討いただいていると思いますけれども、医学医療におけるリハビリの位置を、いまどういうふうに考えていらっしゃるか、今後どういうふうになっていくとお思いになっていらっしゃいますか。基本的にリハビリについてのお考えを大臣からお伺いしたいと思います。医務局長でもけっこうですが。
○政府委員(松尾正雄君) リハビリテーションという問題は、いま御指摘のとおりな問題だと思います。特に、成人病関係あるいは交通事故の問題、その他産業災害、いろんなものがふえてまいりまして、まあ内科的疾患のみならず外科的な災害、あるいはこの前法律の御審議をいただきました視能訓練というような子供の斜視の問題、これは広い意味のリハビリだと思います。こういったようなものがやはり日本ではたいへんおくれている。特に専門家の養成という面で非常におくれているということが一つあります。 それから、もう一つはそういったものを進めていくために、経済的と申しますか、保険等のいろんな認め方というものがやはり少し消極的である、こういう点はいなめないと思います。 そこでこのリハビリテーションの位置づけというのは一体何だというようなお話でございますが、かつてはこれを第三の医学とか、第四の医学とかといわれていた時代がございますが、私はむしろそういう考え方自体が、このリハビリテーションをおくらしたんではなかろうか、リハビリテーションというものは今度の基本法の中でも、医療としての健康増進からリハビリテーションまで一貫した表現になっておりますが、実はリハビリテーションというものは、脳卒中のような場合でございますと、起こったそのときからすでに次のリハビリテーションが始まっておる、こう考えざるを得ません。 結核の場合でございましても、化学療法をやるか手術をやるかという場合にでも、その人が将来どういう方向に帰っていくか、こういうことをあらかじめ最初のときからにらんでおかなければ、リハビリテーションはできないというふうに存じます。したがって診断の始まったときからリハビリテーションは始まるというのが、正しい意味の位置づけであろうと存じますが、ただ、そうは申しましても、さらに専門的ないろいろな装置なり訓練なり、こういったような部分は単なる普通の診療というような設備以上のものを要求されております。また専門家も要求されるわけでございますから、医学的にはその診断の当初から考えておかなければなりませんが、同時にそういったものがそういう専門の施設と有機的につながっていく、そこにすき間のない形で受け渡されるということが、正しい位置づけではないかと存じます。
○小笠原貞子君 全く私もそのとおりだと思うのです。そういうようなリハビリに対する考え方、医学におけるリハビリの位置づけというものが、局長のところでなくて、もういまの医療の面に生かされるようにしていただかないと、やはり、リハビリは第三の医学みたいな形でちょっと訓練しておけばいいとか、もう年なんだから、まあ寝せておけばというようなことでもって、結局廃人になってしまう、私はそのことをおそれるわけです。 私に言わせれば、リハビリこそがこれからの医学の第一線にならなければならない大きな問題ではないかとそう考えるわけなんです。 で、また私もそういう関係で、方々の病院を見て回りましたけれども、非常にそういうもの、すぐに、それこそ昔は安静にしていたらいいと言っていたのが、いまやそうじゃありませんね。もう安静にする時間はわずかで、せいぜい三十分−一時間ぐらいでもよろしい、あとはもう、少しでも運動機能回復のためにしなければならぬというような医学的な研究も出てきております。その人たちがだんだん回復しできましたときに困りますのが、先ほどもちょっと局長が御答弁の中でおっしゃいましたように、理学療法士や作業療法士というのが非常に不足しているわけなんです。ですから、普通の病院で、何もそういう訓練も、あまり専門でない人たちですね、入るまでの間、一生懸命に練習させたというような人を、もっと早くそういう専門的な訓練の場に入れてあげたいと私は切実に考えたわけなんです。で、そういう理学療法士や作業療法士というものが、一体どういうように計画されていっているんだろうか。五年後の需給計画というのがそちらにもちょっとおありのようだったので、それはどういうふうになっているか、御説明いただきたいと思います。
○政府委員(松尾正雄君) ただいまこの四十六年末で、いわゆる免許を持っておられる方、これが理学療法士では千二百四十八名、作業療法士ではわずかに三百五十五名という状況でございます。 現在、養成施設といたしましては、理学療法が八施設で、入学定員が百四十名、作業療法では三カ所で六十人、こういう状況でございます。で、このままの形でまいりますと、五十一年末におきましては理学療法は千四百五十人、作業療法が四百三十七人程度まではふえるであろうと、こういうことでございます。したがって、理学療法が約二千四百人程度になるわけでございますが、私どもが現在の状態から見ても、五十一年に必要と思われる数はPT、OTともそれぞれ七千人ばかり、こう考えております。したがいましていまのペースでまいりますと、非常に大きな穴があいておると、こういうことを率直に考えておるわけでございます。 したがいまして、先ほどもお答え申し上げておりましたように、いろいろな制約はございますけれども、ことしから国立で一カ所、さらに都道の補助金も一カ所ということで、新設に踏み切ってまいりまして、今後五十二年までの間に大体少なくともできますならば二十校程度ふやしたい、こう思っておるわけでございますが、これには数字合わせの面もございますが、実質上かなり努力をしませんと、なお非常にむずかしいんじゃないか、決して計画さえ立てれば楽にいくんだとわれわれは考えておりませんので、そういう試算をもとにいたしまして大いに努力をいたしたい、かように存じております。
○小笠原貞子君 私もこの資料をいただきまして、そして五十一年、五年後、五カ年計画でやってもなお理学療法士で四千六百三十七人の不足、作業療法士で六千九百七十二人ですかの不足だと、まあ充足率で言えばわずかに三四%とか一〇%とかいうような、たいへんな足りない数でございますね。初めからの計画でこんなに足りないわけなんですね。それで五十六年、十年計画を見ましても、やっぱり充足率というのがよくって三六・一%ですか、というような、もうまことに五年、十年という長期計画なのに初めから全く足りない計画だというような計画で、ちょっと驚いたわけなんですけれどもね。これは厚生省としての計画でこういうふうにお出しになったんでしょうか、その点はいかがでございますか。
○政府委員(松尾正雄君) 私どもがやはり中心になって立てた計画でございます。 〔理事高田浩運君退席、委員長着席〕
○小笠原貞子君 そうしますと、なかなかいろいろたいへんなことだと思いますけれども、これではもう全く処置なしと言ったら、少しはよくなっているから、まあそういう言い方では言い切れないかもしれませんけれども、大事だと言われながら全くたいへんな不足数でございますね。これは何とかならないもんでしょうかね。それこそGNP世界二位だなんというような状態の中で、そうして福祉国家を目ざしていくというような中で、こういう計画では私はちょっとどうにもならないと思うんですけれども、まあ、この計画でもしようがない、やっていこうというおつもりなのか。この計画からもう一度計画を立て直して、そして、いろいろ困難な事情はあると思いますけれども、そこと折衝して、積極的にリハビリの問題に取り組もうというようなお気持ちがおありになるかどうか、その辺のお気持ち、ちょっと伺わせていただきたいと思います。
○政府委員(松尾正雄君) かなり、先ほど申しましたように、いろいろ困難がこれにも伴っております。御承知のように、ごく最近までPT、OTの学校におきましては、実は教官が日本に育っていないということのために、外国から、WHOからわざわざ来てもらいまして、そうして英語で講義して、それを聞きながら日本語でまた理解をする、たいへん苦労した経験をごく最近までやったわけでございます。そういったことで、実はいままでふやそうにも、そういう面でふやせなかった。御承知のようにPT、OTの養成所の規定の中には、そういう教官になる人は少なくとも三年以上の経験がなければいかぬ。またそうでなければ教えられないと思いますが、そこを外人等で補ってきた。そしてようやく六年以上の歴史がたってそういう人たちが育ってきたということで、外国の人にも帰ってもらいながら、自立という形になってきた。私は、そういう意味でも、一方においてかなり現場の需要が高い、また同時にその中から優秀な人に教官になってもらわなければならない、こういったことは、養成の上からいってもたいへん困難ないろいろな隘路があるわけでございます。したがって、これだけのものをやるにしても、かなり私は努力を要すると思います。しかし、これはわれわれが立てておりますのは、現在の最もオーソドックスと申しますか、高校を出てから三年間の養成計画ということを基準にして考えてまいっております。それから、もう一つ最近検討を急いでおりますのは、現在の法律の中でも、たとえば理学療法士から作業療法士、それから作業療法士から理学療法士というものになる——というだけではございませんのですが、それを含めまして、その特定の条件を持った人が二年間で資格がとれるという道を開いております。それをただ単にPT、OTを入れかえるだけでは量的にはあまり大きな拡大はできませんが、視能訓練士法を最初にお通しいただいて養成を始めましたときに、サーティフィケートコースといわれるような、短大または大学において一定のコースを終了した人を一年間でつくりあげてみたわけでございますが、この方々は、特定の一つの狭い分野ではございますけれども、卒業生も非常に成績優秀ということでございまして、一つはいまの二年間で基礎知識を持った人を集めまして、そして養成していく。それで、単に三年と二年の一年しか違わないようでありますが、それが何年も積み重なりますと、その累積の差というものは相当大きなものになってまいります。そういったことで、そういうものの質を下げないよういろいろ検討しなければならない。ただいま審議会で概略のところまで詰めておりまして、今後できるだけ近い機会に、そういうコースの資格をはっきりさせる、また踏み出したいと、かように思っております。
○小笠原貞子君 いろいろ御苦労だと思いますけれども、人数がそういうふうに少ない。学校の計画にいたしましても四十七年度の場合にも当初の計画よりも減っていますよね。もうたいへん大事だとおっしゃって、大事な位置づけをしていただいたのだけれども、実質的にはこういうふうな結果になってきているということは、やはり局長さんの頭ではそういうふうに位置づけをきっちりリハビリに対してやっていただいておると思うのですけれども、厚生省全体としてはまだそこまでの位置づけができていないからこういうふうな計画的にも少ないものしか出てこないのだろうかというふうに私はちょっと不安に思ったのですけれども、その点について大臣、この問題いかがお考えになっていただけますでしょうか。御意見をちょっと伺いたいと思います。
○国務大臣(斎藤昇君) ただいま医務局長が申し上げたとおりでございまして、これは一医務局で考えているからそうだというようなことではございません。まあ厚生省全体のあれだとお考えいただきたいと思います。しかしながら、こういった医療担当者の需要が絶対に必要であり、また増してくるというわけでございますから、幾多の困難な点があっても、さらにそれを除去していく道がないかと、さらに検討を加えながら実情に即応するように努力を続けてまいりたい、かように思います。
○小笠原貞子君 やはり新しい分野でいま非常に早急に手を打っていかなければならないリハビリの問題でございますので、十分に、たいへんな問題もおありだと思いますけれども、御検討いただきたいと思います。 それから、健康保険の適用についてお伺いしたいわけなんですけれども、当然健康保険の適用があるはずだと思いますけれども、作業療法なんかに適用されておりませんですね。それはどういうふうにお考えになって適用をはずされておるのでしょうか。
○政府委員(松尾正雄君) 実は保険局がいま参っておりませんので、私がかわりにお答え申し上げますが、保険の点数の中ではいわゆる理学療法系統はかなり認められております。それから作業療法と申しましてもその手段がやはり理学的な療法等をかなり用いておるという場合には、保険局といたしましてもそれはどんどん請求していただいていいのだ、こういう観点で割り切っておるわけでございます。ただ、一番作業療法の中でいわばほんとうの作業、いわゆるほんとうの職業教育じゃありませんが、職能と申しますか、そういう応用動作ということのためにいろいろな作業をさしてみる、この点の評価がまだゼロでございます。私どもは、やはりこれにはいろいろなまた、中医協を経てきまる診療報酬でございますので、事務当局の考えだけでない、いろいろな考え方が出てまいると思いますけれども、やはりこういったものはひとつ大いに今後伸ばしてもらうように、この診療報酬自体が、今後やはり伸ばすべきものについては相当先取するようなつもりでやっていただきませんと、なかなかこれが人をつくりましても絶望を与えるということになりますので、私どももいろいろ要望してまいりましたけれども、医務局といたしましても、さらに今後そういう大きな観点から中医協等にもよく御説明申し上げ、できるだけひとつこういうものを引っぱっていく、そして正しいものが伸びていくというふうに、ひとつ診療報酬の面でも努力をしていきたいと存じます。
○小笠原貞子君 ほんとうにそのとおりだと思うのですよ。作業療法は全然適用されませんし、理学療法でも運動療法やったら二十点というようなもので、病院側としてもこれじゃとてもたいへんだという面も出てくるわけなんです。しかしやはりこの問題が解決しないと、リハビリの効果というものも出てまいりませんし、やはり適正な診療報酬の点数と、非常に初めてのことだからその基準だとか何だとかむずかしいかと思いますけれども、その適正な点数をきちっとつけて、そして訓練して、廃人ではなくて社会復帰できるということが、ちょっと目にはお金もかかるようだけれども、全体として大きな目で見るとプラスになっていくわけでございますし、一人の命を社会に復帰させることになりますので、ぜひ診療報酬の点数の適正化と、それから作業療法に適用するという問題についても具体的に早急に御検討いただきたいと思います。よろしゅうございますでしょうか。
○国務大臣(斎藤昇君) これは診療報酬の合理化といいますか、適正化といいますか、その中の一つの大きな問題でございます。そういった方向で進めてまいりたいと思います。
○小笠原貞子君 それじゃ最後に、先ほどちょっと医務局長おっしゃいましたけれども、資格の問題なんですけれども、PT、OTの場合でも高校卒三年というような問題で、これがたいへん足りないということで、先ほどおっしゃったように短大卒二年というような資格を取らせるというような案をお出しになったというふうに伺っていたわけなんですが、これは医療関係者審議会というもののリハビリ部会にお出しになっていらっしゃるわけなんですか。
○政府委員(松尾正雄君) そこで検討してもらっているわけでございます。
○小笠原貞子君 私が希望したいことは早くたくさんの人数をつくってほしいということと、それと同時にやはりこれもひとつの医学の面としての専門分野でございますので、とにかく人数だけ集めればいいというのではなくて、やはり相当な専門的な立場に立った教育を受けて、そして効果のある訓練のできるような人になってもらいたいということを考えますと、量だけというのではなくて、質と量の面から拡充して体制を整えていきたい、そういうふうに思うわけなんですが、いまの短大卒二年で資格を与えるというような案に対して、リハビリ学会、理学療法士、作業療法十両協会ともこれに反対をしているということを伺ったわけなんです。それはやはり拙速主義といいますか、とにかく数は早くできるかもしれないけれども、やはり専門分野としての十分な教育をしてほしいというようなことで学会なんかも反対があるということを伺ったものですから、そういうような専門の立場の人たちが反対、こういうようなことでは私はしろうとだからちょっと不安に思ったわけなんです。先ほどもおっしゃいましたように、サーティフィケート・コースというのですか、ああいうのもアメリカではやられているとおっしゃいましたけれども、調べてみると、あれは全く補助的な部分的なところを担当するというようなことになっているようなので、その辺のところはやはり学会やそういう専門の方たちが反対をされないような、内容のあるいいものをつくってほしいというようなことで、その反対があるということは事実なのかどうか、まずお聞きして、その反対があまり適当ではないから、その反対はあるけれどもこの案でいくんだというふうにお考えになっていらっしゃるのか、その辺のところをちょっと伺いたいと思います。
○政府委員(松尾正雄君) 私自身は、どうもまっ正面からこれに反対だという意見は聞いておりません。それから、その前に四十五年に理学療法士作業療法士部会で一応報告をいただいておりますが、その中にもそういうものをある程度の案を、カリキュラムにつきましても次のような案でこういう二年コースというものを考えるということが適当であるということが正式に出ているわけでございます。この部会自身が実は学会の相当な方々がお入りになっておられますので、決して私どもはそう線をはずれた審議をしていただいているつもりはございません。 それからまた、いろいろ苦心をしておりますのも一方では量というものがございますけれども、同時にやはり質の確保が大事だ、したがって、ただ量のためにいたずらに基本的に修得する学科というものを広げてしまうということでは困るので、そこのところをどの程度にしぼっておけばはたしていいPT、OTの基礎科目として認められるか、そこにやはり苦心をしていただいているわけでございますので、審議会の慎重ないろいろな議論というものを、やはり先生おっしゃるような質を高めるという点を一つもはずさないで検討したい、こういうことでございます。
○小笠原貞子君 それで安心いたしました。そういうリハビリ学会のいろいろなところから反対が出ているのを無視して押し切ってしまうということになりますと、ちょっと私もその間、専門的な立場で反対していらっしゃるのにどういうことかなと心配いたしました。いまの御答弁によれば、そういうことはないというふうに伺ったわけですけれども、なお念のために私のほうではそういうふうに伺っておりますので、リハビリ学会やPT、OTの協会のほうの御意見を十分お聞きいただいて、そして内容や量でも充実した拡充に努力をしていただきたいということを重ねてお願いしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
○政府委員(松尾正雄君) そういう制度でございますので、いろいろ制度をつくりますときにはできるだけ多くの方面が心から賛成をしていただくということがスムーズに動かすゆえんでございますので、十分話し合いを続けてまいりたいと思います。
○委員長(中村英男君) 本案に対する本日の審査はこの程度といたします。 —————————————
○委員長(中村英男君) 健康保険法及び厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。斎藤厚生大臣。
○国務大臣(斎藤昇君) ただいま議題となりました健康保険法及び厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案について、その提案の理由並びに概略を御説明申し上げます。 医療保険制度の抜本的改正につきましては、つとにその必要性が指摘されてきたところでありますが、政府といたしましては、今通常国会中に、そのための所要の法案につき御審議を願い、昭和四十八年度からこれが実施をはかりたいと考えておるところでございます。 一方、かねてより問題とされてまいりました政府管掌健康保険の財政状況は、昨年提案いたしました改正法案が成立を見なかったこともありまして、依然として悪化を続け、昭和四十六年度末の累積赤字は二千億円をこえる見通しであり、さらに、本年二月から実施された一三・七%にも及ぶ医療費の引き上げの影響等を考慮いたしますと、このまま放置する限り、昭和四十七年度には、約千三百億円の単年度赤字が見込まれるところであります。この結果、昭和四十七年度中に年間給付費の約二分の一にも及ぶ三千数百億円の巨額の累積赤字をかかえるという破局的状況を招き、借り入れ金にも限度があるところから、医療費の支払い遅延等の不測の事態さえも憂慮されるところであります。 わが国被用者保険の中枢たる政府管掌健康保険の財政がこのように安定を欠いたままでは、抜本改正の実現にも重大な支障を来たすところから、昭和四十七年度においては、何よりもまずこのような事態の解決をはかった上で、引き続き法案の提出を予定いたしております昭和四十八年度からの抜本改正への円滑な移行をはかりたいと考えております。 政府としては、このような観点に立って、次に述べますような内容の健康保険法及び厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案を提出いたした次第であります。 以下その内容の概略を御説明申し上げます。 まず、健康保険法の改正について申し上げます。 第一は、保険料及び傷病手当金等の基礎となる標準報酬の区分について、最近の賃金実態に即し、その上限を二十万円に、下限を一万二千円に改めるものであります。 第二は、政府管掌健康保険の保険料率を千分の七十から千分の七十三に改めるものであります。 第三は、当面の措置として、現在保険料の算定の基礎とされていない賞与等について、支給の都度その千分の十を労使折半により特別保険料として徴収するものであります。なお、健康保険組合につきましては、その自主性を尊重し、特別保険料の徴収は任意といたしております。 第四は、政府管掌健康保険に対するこれまでの定額国庫補助を根本的に改め、定率制の国庫補助を導入するものであります。 第五は、政府管掌健康保険の保険料率について、社会保険庁長官は、社会保険審議会の意見を聞いて千分の八十を限度としてこれを変更できることとし、同時に、この規定により保険料率を引き上げた場合は、先に述べました定率国庫補助の割合を増加するための規定を設けることといたしております。 次に、厚生保険特別会計法の改正について申し上げます。 この改正は、政府管掌健康保険において保険の負担外にたな上げすることとなる昭和四十七年度末における累積損失を補てんするための一般会計からの繰り入れ権限について規定するとともに、昭和四十八年度以降の借り入れ権限について規定しようとするものであります。 なお、この法律の実施時期につきましては、昭和四十七年四月一日からといたしております。 以上がこの法律案を提出する理由でありますが、この法律案につきましては、衆議院において、特別保険料、国庫補助、保険料率の弾力的調整規定、厚生保険特別会計法の改正及び施行期日に関し修正が行なわれたところであります。 何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(中村英男君) この際、本案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員小沢辰男君から説明を聴取いたします。小沢辰男君。
○衆議院議員(小沢辰男君) 健康保険法及び厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案に対する衆議院の修正部分について私からその内容を御説明申し上げます。 その要旨は、 第一に、政府原案では、国庫補助の割合を百分の五としておりますが、これを百分の十に引き上げることとし、昭和四十七年度に限り百分の七とすること。 第二に、賞与等に関する特別保険料については、報酬月額五万円未満の者について免除措置を講ずること。 第三に、保険料率の弾力調整規定及びこれに伴う国庫補助の調整規定は削除すること。 第四に、昭和四十七年度末における累積損失を補てんするための一般会計からの繰り入れ権限、新規借り入れの限定等のための厚生保険特別会計法の改正は取りやめること。 第五に、施行期日について、政府原案では昭和四十七年四月一日としておりますが、これを昭和四十七年七月一日とすること。 以上であります。 何とぞ、本院におかれましても委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(中村英男君) 以上で説明の聴取は終わりました。 本案に対する本日の審査はこの程度といたします。 —————————————
○委員長(中村英男君) この際、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。 労働問題に関する調査のため、茨城県立中央病院における労働問題に関する件について参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中村英男君) 御異議ないと認めます。 なお、その日時及び人選などにつきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中村英男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時二十九分散会 —————・—————