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68回国会参議院1972/05/09

社会労働委員会 第12号

発言数
214
登壇者
14
会派数
3
開催日
1972/05/09

会議録

中村英男日本社会党

○委員長(中村英男君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  岩本政一君、佐野芳雄君が委員を辞任され、その補欠として上田稔君、鈴木美枝子君が選任されました。     —————————————

中村英男日本社会党

○委員長(中村英男君) 理事の補欠選任を行ないたいと存じます。  去る四月二十五日、高田浩運君が委員を一たん辞任されましたため、理事に欠員を生じております。  理事の選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村英男日本社会党

○委員長(中村英男君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に、高田浩運君を指名いたします。     —————————————

中村英男日本社会党

○委員長(中村英男君) 保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案を議題とし、発議者藤原道子君から趣旨説明を聴取いたします。藤原君。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 ただいま議題となりました保健婦助産婦看護婦法の一部改正案について、提案理由とその内容を御説明申し上げます。  四十三年春ごろから全国各地の病院で、看護婦増員要求の夜勤制限闘争が相次いで起こりました。夜勤回数が多いため過労で倒れたり、やめていく看護婦がふえたため、看護婦が「夜勤を月八日以内に減らし、夜勤人員を二人以上に」というスローガンを掲げて、みずからの生活と権利を守るため、さらに国民の医療を守るために立ち上がったのであります。  看護婦の労働がいかに過酷なものであるかは、平均月十回、個々には二十回にも及ぶという夜勤は、労働医学調査によって、婦人労働の限界を越えていることが明らかにされました。また、労働省調査によると九七%に及ぶ労基法違反があり、そのうち労働時間の違反は五五%をこえており、労基法に定められた婦人労働者に対する諸権利は踏みにじられているのであります。  過重労働のため、看護婦のうち約半数は異常産と、一般勤労婦人の二倍にも及び、健康を守る病院において、このような健康の破壊が行なわれており、こうした労働基準法に違反した看護労働により日本の医療はささえられているといっても決して過言ではありません。  過酷な労働条件は職場への定着率を低め、年間養成人員の半分に匹敵する看護婦が毎年退職しており、その結果看護婦有資格者の半数も働いていないという事態を招いているのであります。  また看護婦養成について国は無計画であり、それぞれの医療機関や医師会などにまかせて全く無責任でありますが、こうした企業に従属した診療費による私的性格を持つ現在の看護婦養成制度も看護婦不足をもたらした一因であります。そして看護婦不足が問題になると、抜本的改善には手をつけず、常にその易しのぎの対策に終始してきたのであります。  今日の看護問題を解決する基本は、医療に携わる女子労働者の賃金、労働条件の改善をまず行なうことであります。人事院判定を全病院で漏れなく実現し、大幅に労働条件を改善し、専門職にふさわしい賃金を保障すること、そして既婚看護婦が家庭と両立させられる諸条件の改善、とりわけ保育所の完備は急がれなければなりません。これら改善により看護婦の定着率を高め、潜在看護労働力の職場復帰を促進させることが可能となります。  養成は企業の従属物から切り離し、学校教育法に基づき、公費で計画的に行ない、需給のアンバランスを解消すること、准看制度をなくし、准看に看護婦国家試験の受験機会を与え、看護婦資格を一本化することであります。養成のための教員スタッフの確保も当然に行なわれなくてはなりません。  看護は命を守るためにどうしても必要なサービスであります。この看護問題が根本的に解決されるかどうかは、日本の医療が今後どういう方向に進むのか、すなわち、ますます営利化するか、あるいは国民のための真の医療保障となるのか、医療制度のあり方に深くかかわる問題であります。したがって、いまこそ根本にメスを入れないとますます解決をむずかしくするばかりであります。  看護婦の身分を確立し、地位を向上させるため看護制度を一本化するとともに、わが国の看護水準を総体的に向上させつつ、看護婦の充足をはかっていくことが、いまや緊急の課題であります。  以上がこの法律案を提案いたしました理由であります。  次に、この法律案の内容を簡単に御説明申しあげます。  第一に、医療技術の高度化に伴ない、看護婦の質を高め、社会的地位を向上させるため、経過期間をおいて准看は廃止して看護婦資格を一本化する。昭和五十一年四月からは新規の准看養成は行なわないこととする。現に准看である者が進学コースに進んだ場合を除いて、准看護婦として引き続き業務ができることといたしました。第二には、養成課程の一本化であります。医学の進歩に対応するため、養成は短大を含め、高卒後三年以上の大学課程のみとすることにいたしました。  第三は、養成施設に対する国庫補助であります。養成は国の責任で計画的に行なうものとし、入学課程としての養成施設には、施設費、運営費の二分の一を国庫補助することを義務づけ、経過的に存続を認められる大学以外の養成施設にも二分の一以内の国庫補助ができることにいたしました。  さらに看護学生に対し修学資金を貸与すること、准看護婦で実務六年の経験を経、厚生大臣の定める養成課程を修めた者は国家試験を受けることができることといたしました。  以上、この法案の提案理由及び要旨であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに可決されるようお願いする次第であります。

中村英男日本社会党

○委員長(中村英男君) 以上で趣旨説明は終わりました。  本案に対する本日の審査はこの程度といたします。     —————————————

中村英男日本社会党

○委員長(中村英男君) 老人福祉法の一部を改正する法律案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。斎藤厚生大臣。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) ただいま議題となりました老人福祉法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。  今日、老齢人口の増大、扶養意識の減退などにより、老人問題は国民が一体となって取り組まなければならない喫緊の課題となっていることは、すでに御承知のとおりであります。  政府といたしましては、この国民的課題である老人問題に対処するため、従来より老人福祉法を中心として、年金、税制、保健、福祉等各般にわたる施策の充実につとめてまいったところでありますが、医療の問題については、老人の負担能力が十分でないため、必ずしも適切な医療が確保されていないうらみがあったのでありまして、その点、医療費の無料化により老人に必要な医療を保障する方策が強く望まれていたところであります。  今回の改正法案は、このような要請にこたえるため、老人医療費の支給の措置を講じ、もって国民皆保険制度のもとにおいて老人が必要とする医療を容易に受けられるようにしようとするものであります。  以下、改正法案のおもな内容について、御説明申し上げます。  第一に、この制度は、国民健康保険の加入者及び被用者保険の家族のうち、七十歳以上の者について、医療保険の自己負担分を老人医療費として支給することとしております。ただし、老人またはその扶養義務者等の前年の所得が一定額以上であるときは、支給しないこととしております。  第二に、老人医療費の支給は、市町村を通じて行なうものとし支給に要する費用については、国がその三分の二、都道府県及び市町村がそれぞれ六分の一を負担することといたしております。  なお、この制度の実施時期は、昭和四十八年一月からといたしております。  以上がこの法律案を提出する理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

中村英男日本社会党

○委員長(中村英男君) 以上で趣旨説明は終わりました。  本案に対する本日の審査はこの程度といたします。     —————————————

中村英男日本社会党

○委員長(中村英男君) 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 それでは、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について二、三点質問したいと思います。  戦後二十七年余りたっております。そして、この戦争の犠牲者の戦後処理につきましては、まだまだ戦後は終わっていないのでありまして、その未処理のものが非常に多いと思うのでありますが、早急に解決すべきだと思いますが、その具体的な考え方について初めに伺っておきたいと思います。未処理の部分をどうするか。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 原爆の関係につきましては、最近一つの事例といたしまして、広島県の箕島において原爆被爆者の遺骨が六百体程度発掘されたというような問題が起こりまして、確かに先生御指摘のとおり戦後がまだ終わっていないというような実態があるわけでございますが、われわれといたしましては原爆被爆者の当時受けました影響特に、年少にして被爆を受けた方々の将来の影響というものは非常に長期にわたって観察し、なおかつそれの補償の必要のある場合には、これを引き続き強化していく必要がございますので、そういう意味で原爆の影響というものは相当長期にわたって、これが対策を講ずる必要がございますし、また、研究治療面におきましても、この問題について研究機関の存続等につきましても、相当長期間の対策を講ずる必要がある、このように考えております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 もっとこの未処理のことに対して詳しくきょうはちょっと分析をして聞いてみたいと思うんでありますが、まず、前提でいまお聞きしたわけでありますが、実は、この犠牲者に対する対策というものを振り返って考えてみますと、従来から戦後処理の基本方針と申しますか、こういう戦争犠牲者に対して、ややもすれば政治的な情勢、あるいはまた圧力団体というか、いろいろな団体の陳情、あるいは財政の面から考慮して、非常に右顧左べんというか、そのときばったりのびほう策で、不十分なままに終始してきたというふうに一言で言えると思うわけでありますが、ことに、この原爆被爆者の対策に対しまして、これまでの経緯や、今回の改正案を見ましても、まだ十分な施策がされているとは考えられないわけであります。原爆被爆者の対策は今後もっと積極的な方針をとって、内容の改善はもちろんでありますけれども、全体的な基本的な精神もすっかり変えなければいけないのじゃないか、こういうふうに私は考えておりますがその点についてはどうなんですか。特にそこの中で原爆被爆者の援護につきましては国家補償の理念、こういうもので対策を考えていかなきゃならぬ時期ではないか、国会におきましても、法案の審議を通じて絶えず論議された重要点でもございますし、また原爆被爆者の願望としては当然のことであろうというふうに思うわけであります。しかるに、政府のほうでは、原爆被爆者に対しては特別措置法は、いわゆる社会保障の範疇でこれを解決していこう、こういうことでいままでなされてきたわけでありまして、今回の改正案を見ましても、その性格は依然として改められていないわけであります。なぜ、政府は国家補償の立場で援護措置を講じようとしないのか、この点を明らかにしてもらいたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 原爆被爆者の救済につきまして、これを国家補償にすべきであるという御意見は前々から伺っているところでございます。しかしながらこの戦争犠牲者の救済といいますか、補償といいますか、これを考えまする場合に、国家補償としてやるか、あるいは社会保障としてやるかという点につきましては、戦争行為に従事をしていたという身分的な関係を持っている者は、これは国家補償という形でいこう、そうでない者については、これは救済措置、社会保障という考え方でいこうというように当初から考え方をきめてやっているわけでございます。そこで、同じ原爆で被爆された方であっても、身分的に戦争行為に従事していたという者は国家補償になる、そうでない者はこの特別措置法という形をとっているわけでございまして、これについてはいろいろ御議論もあろうと思いますが、そこらで線を引きませんと、線の引きようがない。そしてまた、その線の引き方は妥当であろう、かように政府といたしましては考えているわけでございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 そこのところに、私は非常に問題があると思うのです。それでは雇用関係が明確であった者は国家補償としていわゆる援護法でやっておる、こういうことでありますけれども、国家補償というものに取り扱うための、その国家補償の定義というものをひとつ聞かしてください。どういうものであれば国家補償にするのか、どういうものであれば国家補償にしないのか。たとえばああいう原爆のような非常に大量の殺戮をして、そして、あのころであれば、戦地に行くのも、内地であっても同じような立場で国のために奉仕をさせられて、やっておった。そして、あの広島でも長崎でも全部の人が一ぺんにこの大きな災害をこうむり、あとには子々孫々に至るまでその被害が起こっているという、特別な被害を受けている。こういう者であっても、国家補償にはしないということになると、一体国家補償というのは定義的にどういうものを国家補償にするのか、もう少しその辺のところを説明してください。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 先ほども申し上げましたように、戦争業務に従事をした、それは国との関係において、身分関係においていわゆる戦争に従事をするという、そういう身分を持って、そして、その執務中に、そういった戦争行為によって被害を受けたという者を国家補償にいたしておるわけでありまして、御承知のように、終戦まぎわには、国内、ほとんど戦争行為と言えるか言えないか知りませんが、戦争被害を受けた者が非常に多いわけであります。原子爆弾はもちろんのこと、あるいは焼夷弾、艦砲射撃、また爆弾の直撃等によって一般国民も相当被害を受けた者があるわけであります、身体的にも、財産的にも。その場合に、国家補償として取り扱うのは戦争行為に、公務員またはこれに準ずるものとして戦争に従事したと、いわゆるそういう身分関係において義務的にその仕事に従事しておったがゆえに戦争犠牲者となったというものについては国家補償、こういうように判断をいたし、また割り切って区別をいたしているわけであります。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 そういうふうに考えますと、国全体、国内であっても、戦地でもほとんど変わらない状態で、準対戦体制というか、雇用関係は明確ではなかったけれども、国民全体が、もうその戦争状態で協力しておったわけですね。もう協力は、むしろ国家的にその命令というか、そういう状態になったので、やらざるを得ぬというところで、個人の意思を差しはさまずにこれが行なわれておったわけでありますから、雇用関係が明確だということだけで、国家補償云々の問題じゃない。これは、ほんとうに紙一重で、国家補償といっても私は差しつかえないと思うのであります。その点、何か、どういうものだろうかというふうに考えるわけです。また一面、この特別措置法でいう、いわゆる社会保障——福祉関係でやるというような意味は、一体、これはどういうことになるのか。一般の社会保障とか福祉関係の問題とは、もう少しやはりそこのところには別の問題があるんじゃないか。考えてみれば、この場合、社会保障といっておる場合には、もっと国家補償的な、国家のほうでやらなければならぬような意味合いが十分にあるんじゃないかと思いますが、それを兼ねあわせて考えてみますと、何か一方では、社会保障云々で処理していこうという考え方、一方では国家補償といっておられる援護の考え方というのは、そこのところはほとんど変わりがないのではないかと思いますが、その点どうですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 私は、先ほど申し上げましたような意味合いで、いわゆる援護法の中に入れるかどうかというように区別をいたしておりますが、しかし救済といいますか、援護といいますか、その内容におきましては、こういった原爆によって被爆された方の救済は、他の一般の社会保障よりも手厚くというように、できるだけいわゆる援護法による援護に近いような救済をやるということにいたしまして、今回の改正などにおきましても——今回だけじゃありませんが、毎回、そういう意味におきまして、実態に合うように救済の措置を手厚くいたしたい、かように考えております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 率直にこの問題を見るならば、やはり、この特別措置でやられている場合と援護でやられている場合とでは、いわゆるその遺族といいますか、被災者の遺族の問題に対して大きな隔たりがあるわけであります。こういうようなことから考えますと、私は、やはり紙一重であって、解釈では、むしろ援護でやるべきだ、そういうようなことから考えて、今度のこの改正に際しても、いまの状態からいえば、どうしてもそういうふうに踏み切ってもらう時期じゃないかというふうに思います。その辺をもう一ぺん考えてもらいたい。  たとえば、国連の総会で「集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約」というのが一九四八年の十二月九日に決定されているのは御存じだと思うのであります。この中ではいろいろ規定がありますけれども、やはりこれは、そういうことをした場合には責任をとらなければならないと書いてあるわけでありまして、この条約のたてまえからいえば、私は原爆という非人道的な兵器で無差別爆撃を行なって、そして、何にも知らない無事の民を死傷せしめた。これは日本国としては、米国に対しまして当然損害賠償を請求すべきである。いまの国際連合の総会できめられているところであるわけであります。しかしながら、御承知のように、わが国は平和条約によって損害賠償請求権はこれを放棄したわけですね。ですから、これは国がそういうことを放棄したわけでありますから、そういうことを考えてみるならば、この原爆被爆者に対しては国がかわって国家補償するのはこれは当然だと、こういうふうに法解釈からも言えると思うんですが、この点いかがですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) いわゆる戦争法規に違反した砲撃によって被害を受けた場合には、その被害を与えた国が損害賠償をするという国際戦時法規になっておりますが、しかし、これはその被害を受けた個人に損害賠償の請求権があるという意味ではなくって、国と国との間の関係を規定をしているわけでありますが、それは別といたしまして、そういうことを考えますると、これは原爆だけでなしに、先ほど申し上げましたように、艦砲射撃もまた焼夷弾攻撃も、いわゆる無差別に戦争と無関係な市民を殺害をしたということ、これは同じことになるわけでございますので、したがって、その関係と国家補償という関係とは、これは法的には別ではなかろうかと、政府はかように考えていままできているわけでございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 これは、ちょっと話がいまの話からそれるわけでありますけれども、戦争の災害を受けた人に対してはそれじゃほっておいていいかといえば、いまのような解釈からいえば、これはやはり当然日本国が米国に請求することは国際連合の総会で申し合わせになっている。それをかってに国がアメリカに対する請求権を放棄しているわけですから、そういう点から考えれば、国が放棄したからには国があとの責任を持ってこれはやるべきだ。特に、一般の戦災者に対して何にもしないでいいということで私はいいのかどうか、これも一つの別な観点から問題だ。ましてや、非常に非人道的な原爆を受けた人に対して、これは福祉でやっていこう社会保障でやっていこうという行き方よりも、やはりほんとうに国家から補償するというたてまえをここで出すべき時期じゃないか、こういうふうに思うけれども、その点いかがですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) そういうような意味におきまして、一般の福祉行政でやる施策よりも手厚くという考え方で原爆被爆者の救済措置を講じていく、これは先ほど申しているとおりでございまして、この救済はまだ足らない、低過ぎるという御意見もあろうかと思いますが、できるだけ政府といたしましては講じているつもりでございますが、足らないところはやはり御指摘を願って今後の改善につとめてまいりたい、かように考えます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 私は、こういう援護する、補償するという意味で、それをもう少しいまの段階では筋を通してやはり国家で補償するという立場をひとつ出してもらいたいから、いま議論をしておるわけであります。そういう意味では、もう戦後もこのぐらいになってまいりまして、当然そうすべき段階にきているから申し上げているわけですが、その一つとして、裁判所の判決の中にこういうのが出ているわけであります。昭和三十八年十二月七日の東京地方裁判所におけるいわゆる原爆裁判というものの判決の一節の中に、「国家は自らの権限と自らの責任において開始した戦争により、国民の多くの人びとを死に導き、傷害を負わせ、不安な生活に追い込んだのである。しかもその被害の甚大なことは、とうてい一般災害の比ではない。被告(国)がこれに鑑み十分な救済策等をとるべきことは多言を要しないであろう。」ということが書いてあるわけでありまして、この一節を見ましても、被爆者に対する国の責任というものを非常に強調しておられるわけです。この判決で述べているように、救済策とは、国の責任において開始をした戦争による被害は国家補償を意味していると私は解釈するんですが、これもそういうふうには思われないですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) これは国の責任で救済を講ずべきであるということであって、その講じ方は、国家補償という形をとるか、あるいは救済という形をとるか、そこまではこの裁判はいっていない、かように思います。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 その辺のところが少し違うと思うんです。もう少し趣旨を考えてみると、むしろ国が責任を持つべきだ、だからして救済的な考えじゃなしに補償していくんだというふうなことが強調されているように私は思うわけであります。その点は十分にお考えを直していただきたいと思います。国と身分関係が明らかなものは、国家補償の精神に基づいて恩給法なり戦傷病者戦没者遺族等援護法等で手厚く援護措置がなされているわけです。しかし、一般の国民に対しては、国との身分関係がないという理由だけで、社会保障的な救済措置で片づけられているということが、結局先ほどから私が申し上げているように、非常に問題点だと思うんです。第二次世界大戦を思い起こしてみると、戦争史上未曽有のものであったと同時に、当時としましては国をあげて戦場も銃後もなく各自の持ち場で総力戦で戦ったわけであります。それは先ほど大臣もおっしゃったとおりでありますが、いつまでも国との身分関係等を云々して一般の戦災者への波及をおそれて原爆被爆者に対して十分な援護措置が行なわれていないというのが、私は国民感情からどうしても理解のできない点だと思うのです。そういう意味で考えてみますと、戦後二十七年を過ぎた今日では、公害なんかも無過失責任論が出てきておる時代であります。ですからして戦争に対して責任のある国が、当時の人々に対して、原爆被爆者に対してはもとより、一般の被爆者に対しても、私は、その被災者に対して、死傷者に対して国家補償でこれを見るべきは当然だと思うのでありますが、いまの時代になってもそういうことにはならないのでしょうか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 先ほど申し上げているとおりでございまして、たとえば公害につきましても、これは国の責任で公害に対する救済をするということでございますが、これは国家補償ではございません。そういうような考えからこれは法律上の観点になるかもわかりませんが、私は要は内容を充実することではないかとかように考えております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 先ほど私が指摘しましたように、いまの特別措置法では遺族の援護もするということにはなかなか踏み切れぬのと違いますか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) そこが相当国家補償とあれとの違うところでございますが、遺族に対してどういう救済をするか、しなければならないという実態が出てまいれば、これはまた、あるいは考えなければならないかと、こういうふうに考えておりますが、いまのところ、原爆症とか、原爆被爆者の子供に原爆病がまたうつっていくというようなことになれば、これは遺族ということでなしにやっていかなければならないと思います。一般的に遺族ということになりますと、これは他の、先ほど申しました焼夷弾攻撃でなくなった方、これに対してもある程度のことはいたしましたが、大した救済はいたしておりません。その遺族の問題というようなことになってまいって、いままでの法的な考え方を一変させなければならないということになりますと、政府としてはなかなかそうは踏み切れないということであろうと思います。厚生省だけでなしに政府全体としてもさように考えております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 先ほどからいろいろ例をあげてお話しを申し上げたように、もうほとんど変わらないわけですから、その身分がきまっておったからだけで、一方のほうでは、そういうことのほうまでちゃんと援護は、遺族に対する援護法でやられておるわけですから、そういう格差をいつまでもすべきではないということがお話し申し上げておる論点でございまして、いまの時期になって公害なんかも無差別責任もあり、そうしてそれに対しても無過失責任まで問われておる時代ですから、いまとなってはそうしてもらいたい。少なくとも、それに踏み切ってもらうように厚生省が主導権をにぎってもらいたい、こういうふうに私は希望しておるところであります。  特に、ここでもう一つお尋ねしておきたいのは、わが党はじめ野党三党で共同の衆議院議員の発議になる原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律、及び原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を改正する法律案として提示しておりますが、これは政府のほうとしてはどういうふうな見解をとっておるわけですか。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 本国会に三党からの御提案がございました法律改正案でございますが、これはただいまわれわれが主管しております特別措置に関する法律の一部と、それから医療に関する一部を改正して法律の名前も「原子爆弾被爆者援護法」としたい。それから「援護手当」を新設する。この考え方の中には「特別手当」それから「健康管理手当」、現在ございますこの考え方は、そのまま踏襲しておられるように承っております。金額が特別手当現在一万円を三万円に、健康管理手当四千円を当初一万円ということで、これの所得制限の廃止並びに老齢とかあるいは障害者という要件を除きたいという提案でございます。  それから「障害年金」の新設というのが一つの新しい事項でございまして、支給条件としては、原子爆弾による傷害の状態、これの被爆者——これは私、率直に申しまして法案の要綱でございますから、障害の状態というのは内部障害的なものか、外部障害的なものかとの関連等つまびらかにいたしませんが、年金の金額が三十万円以内ということで、年金の新設ということは現事項にない一つの考え方でございます。  それから医療手当の増額は、現行の六千円を一万五千円程度に上げ、所得制限は廃止する。介護手当の総額を一万円を三万円。葬祭料一万六千円を五万円。それから原子爆弾被爆者の老人ホームのような「保護施設」を設置する、これは国がやれというようなことになっております。  それから「原子爆弾被爆者相談所」の設置、これは各都道府県に設けろ、こういう考え方でございますし、それから援護手当を支給しておる者へり国鉄運賃の無償の取り扱い、こういうような内容でございます。  それから新しい御提案としては、被爆者の子及び孫への法の適用という問題がございます。これは一定の疾病の状態にある場合に特別被爆者と同様に取り扱うという考え方でございます。  それから一般医療、疾病医療の改善として健康保険の被保険者の本人一部負担を公費の負担の対象にしろ、これは現行上予算をつけてやっておりますけれども、一応それがたてまえとしては本人の負担があるように受け取られておりまして、この点一部負担を公費で見なさい、こういう考え方でございます。  「原子爆弾被爆者医療審議会」を改組して「原子爆弾被爆者援護審議会」にするということでございまして、所要費用といたしましては、初年度二百六十六億、現行、われわれが、ただいま四十七年度の予算に比べて平年度では五百三十二億でございますからかなりの増額になるという内容でございます。この点につきまして、まあ、先ほど来大臣からお答えがございましたように、内容としては、一部現行の考え方の充実が盛られておりますので、これは、われわれとしてもやはり充実をはかる方法としてはこのような案のとおりに一気に持ってまいることは困難と思いますが、この増額の趣旨にはわれわれとしては努力しなければならないと考えております。  年金の創設等につきましては、一般的には国民年金等の一般の社会保障制度の上に、この原爆被爆者としての特別な放射能を受けた特殊な状態に対する施策ということに現行の基本的な考え方がございますので、その点を一そう充実してまいるということでございます。  それから被爆者の子供及び孫への法の適用につきましては、現在、医学的には遺伝の影響というものを肯定する欠陥が出ておりませんので、現行の考え方としては、被爆した当時胎内にあった胎児までを一応現行は被爆者として二世、三世の問題については現行の法律上取り扱いが困難であるというふうに考えておる次第でございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 その問題に対してはこれからももう少し質疑をさせていただきたいと思いますが、特に、考え方ですね、非常に先ほどからも申しておりましたように、援護に変えるという考え方はそれは私は大事じゃないかと思うのですよ。いまの三党で出しました提案の中のそれをずっと見ていただけばそういう考え方が一貫しているわけです。ですから、こまかしいことについてはあとから質疑をいたしますけれども、そういう考え方をしなければ、それは幅広くやっていいのじゃないかといういき方ではなくて、手当をだんだん増額していくからいいじゃないかという行き方じゃなくて、その考え方を、いま言ったようなぐあいに、もう国際連合の中でもそういうふうに考えられておるし、また、そういういろいろな経緯から考えても、国としてそうしなければならぬのだし、そういういろんなことを考え合わせていけば、もういまになってそういうことにこだわらなくて、そうして一歩踏み切って筋を通した、ほんとに補償をできるようなたてまえをつくるべき時期じゃないかということを思いますので、特に、そうしたことに対しては、ひとつここで大臣はじめ厚生省が主体となって、各省との連絡をとりながら、私はそういうふうに踏み切ってもらいたい。ほんとうに心からそれをお願いをしておきたいというふうに思います。  それでは、あと少し内容についてお尋ねをしていきたいと思います。  特別措置法に各種の手当てがいまお話しになりましたようにあるわけでありますが、これを拡大をし、給付の対象を拡大をし、同時にまた、給付の内容を充実する——政府の見解ですね、いま、今後ふやしていくんだとおっしゃいましたが、どういう段階で、どういう展望で、どうするんだ。先ほど三党の中からも、いまもって十分でない、それだけに早く制度化してもらいたいという意味で、提案をした法律の中に書いておる内容をお聞きしたわけでありますけれども、いまあれはいかぬ、これはいかぬという話でありましたが、それをまた逐一やるにいたしましても、将来それをどういう展望のもとにこれを充実さしていこうと思われるのか、そういうふうに段階的にひとつ展望を知らせていただきたいと思います。   〔委員長退席、理事鹿島俊雄君着席〕  それから第二番目は、この今回の健康管理手当、医療手当の額は増加をされましたけれども、特別手当、介護手当のほうはあまり増額されていない。これは一体どういうふうな考え方でそうなっているのか。  それからまた、児童手当法はスライド制の規定が操入されておりますね。けれども、この特別措置法の各種手当に対してはスライド制の規定がない。これは均衡を失っているんじゃないかというふうに思うわけでありまして、児童手当のほうでそういうことが入れられておったならば、こういうところには、もし内容を充実しようという考えがおありならば、私はそうされるべきじゃないかと思いますが、この三点についてひとつお聞かせください。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 将来の展望という大きな課題でございますが、先ほど申し上げましたように、三党御提案の趣旨の中で、取り上げることの困難なものは別といたしまして、一応基本的には現在の考え方の上に増額を希望されておる面につきましてはわれわれも全く同感でございまして、その増額をはかりたい。特に、健康管理手当につきましては、いわゆる原爆の影響を受ける内臓疾患八つをかかげておりまして、この八つの病気のある者に支給するとなっておりまして、その上に年齢の制限が、今回の改正は、当初六十五歳でございましたものを六十歳に昨年引き下げ、引き続き四十七年に五十五歳に引き下げる、こういうことでございますので、この健康管理手当につきましては、これは先ほど来大臣からも申し上げました事項の具体的な内容として、他の制度にはない原爆被爆者独自の手当でございますので、こういう問題については年齢の引き下げを引き続き検討し、また手当額につきましても、その他のいろいろの手当との均衡も考慮しながら増額をはかってまいりたいという考え方でございます。  それから、所得制限の問題につきましては、私は、むしろこういう問題は、原爆被爆者に所得制限ということは基本的には撤廃したいという気持がございまして、局の予算としては当初そういう原案を考えたのでございますけれども、やはり一気に撤廃ということは無理でございますので、この点については撤廃に近い支給の状況を確保したいというのが将来の当然の考え方でございます。  それから、一般被爆者と特別被爆者の差別があるという問題でございますが、これはやはり特別被爆者の条件というものはここ数年来もう毎年のように改善してまいっております。地域を拡大したりあるいは疾病を新たに設けましたり、それからそれぞれ二キロ以内というキロ数を広げたり、いろいろいたしまして、現在八五%が特別被爆者であって、一般被爆者というのは、当時の医学的な放射能の影響からいいますと、三キロ以上の地点で濃厚被爆を受けていないところからいいますと、健康上の被害の条件というものはきわめて一般被爆者は弱い条件の人でございますので、これらの点については、単なる一般的な被爆者ということで、一緒に取り扱うというのはいまの段階では困難と思いますが、ただ、健康診断については、やはり一般被爆者を基本にして健康診断をし、健康上の障害が出た場合にはこれを特別被爆者に取り扱うようにいたしてまいることについては、健康診断の内容等を含めて改善をはかってまいりたい。そのほか、医療手当、葬祭料につきましては、他の公害等の問題について医療手当等は同一でございますけれども、この点については改善を当然はからなければならぬと考えております。そのほか、老人ホーム等のやや不足の状態が——四十七年度にさらに百ベッド増床いたしますけれども、やや不足の感が、特に広島地区には残りますので、これは引き続き検討いたしたい。そのほか、医療を担当いたします原爆病院等の施設整備につきましては、現地の御要望にそのまま沿うように、あらゆる努力をいたして現在もまいっておりますし、今後、その病院の機能の充実につとめてまいるというような点を考えておる次第でございます。  それから、特別手当、介護手当等の据え置きの問題でございますが、実は、これは特別手当、健康管理手当と並んで原爆被爆者独自の制度でございます。したがって、これが内容の充実は確かに一つの社会保障の充実の上で重要な問題でございます。しかしながら、大体特別手当は、一万円でスタートいたしまして、今回据え置きましたけれども、四十七年度、所得制限を緩和することによって約二千百万円の予算の増、約二百人の人に特別手当の支給が緩和されますので、この点はやや積み残しの感がございますので、先ほど申しましたように、将来の展望としては、ぜひとも改善をはかりたいと考えておりますが、当面、そういうふうにして所得制限の緩和でかなりの改善をもたらされる。介護手当についても同様の改善が行なわれております。介護手当につきましては、介護を受ける状態の人が実際に介護を受けた相手に対するお礼の金を払った、それに対して一つの限度を設けて支給いたす仕組みでございますので、これはやはり実態をもう少し把握いたしまして、確かにいまの頭打ちの金額が不十分でそれ以上のやはり支給状態というものがあり得るという実態をつかみまして、これが改善をはかりたい、こういう考え方でございます。  それから、児童手当のスライド制の問題は、確かに児童手当の法律の中に、社会の事情の変化に応じた検討をすべしということが書かれておりまして、拠出制の制度には一般的にこういう考えが法律に盛られております。この考えは、われわれも、原爆の、たとえば諸手当の改善には、時代の要請が社会生活上の水準というものに著しくおくれるというようなことは絶対にないように配慮して、法律上の明文がなくても考え方としてはむしろ完全にスライドしていくというような考え方で今後の手当の対策は進めたい、こういうことでございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 お考えのほどは少しわかりましたけれども、しかし、特別手当ですね、これは一体性格的から言いましたら、被爆者に対しての特別なものでほかにはないものだ。だからして、今度据え置いたけれども、その所得制限なんかでそれは少しは対象もふえたし金額もふえることになるというふうなことを言われておりますけれども、それは、そういうことを聞けば、一体この特別手当の性格は明確にされておるのかというところをお尋ねしたいわけであります。四十三年に特別措置法が制定されて一度もまだ特別手当の金額の引き上げというものがないわけでありますが、私はその特別手当の性格というものをもう少し一ぺん説明してもらうとともに、その長い間引き上げられない理由というのをもう少し伺ってみたいと思います。これが第一点。  それから、この特別手当と生活保護の関係でございますが、生活保護制度では特別手当の支給額の半額に相当する加算制度を設けられておりますが、原爆被爆者の生活の実態を考えてみますと、特別手当の全額について私は加算をすべきではないかと思うのでありますが、この点についてもひとつ聞かしてもらいたい。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 特別手当の性格でございますが、これはいわゆる認定患者審議会において認定されましたいわゆる原爆症の患者にのみ支給される手当でございまして、原爆の被害を最も強く受けたものであり健康上悪い条件に置かれている、病気をしてもなおりにくい、あるいは常に病気の状態であるというようなことでございます。したがいまして、栄養の補給とかあるいは入退院等に医療手当を支給する。それからやはり日常、健康に十分な配慮を、栄養面なり、あるいは患者によっては、特殊な特定な病気のときの薬以外の一般の保険薬に対する支給も実態調査等から見ましてやはり多くかかっております。こういうような意味からこの原爆症患者であるというその医学的な特殊な健康状態に配慮いたしましたものが特別手当でございまして療養生活の安定をはかる、その福祉の向上をはかろう、こういうふうな考え方で設けられたものでございます。先ほど来申し上げましたように、当時、これは法律事項でございまして、一万円というふうにきめられておりました。今回の健康管理手当も当初は三千円ときめられたものが今回御審議願っておるように四千円にいたすわけでございますが、特別手当も一万円にいつまでも据え置くという考え方は正しくないと思いますし、先ほど来申し上げたような考え方丈情勢に応じて私は、特別手当はなるべく早い機会にこれは改善すべきであるというふうに考えております。それから生活保護との関係でございますが、これはいま申し上げましたように、一万円という金額が、生活保護の家庭にとりまして、他の一般生活保護家庭との金額まで、——かなりの金額になる点もございまして、これは社会局の生活保護法の執行上の考え方に基づくものでございますが、一たん収入認定いたしまして、そして、一万円をそのまま生活保護家庭には渡さずに、別に、生活保護のたてまえから、放射線障害加算という形で、一般的な生活保護というものが基礎に、ベースにあって、それに加算制度をやる。他方からそのまま取ってくる。こういう形をとらないたてまえがございますので、そういう形で、放射線障害加算という意味で五千円盛り込んでおる。この点につきましても、社会局の一般保護家庭との均衡の点から、まあ、特別手当の趣旨からいきますれば、多々ますます弁ずということが当然あるというふうなお考えもあろうと思いますけれども、一般均衡の制度上、社会局の生活保護制度では五千円という形を加算するという仕組みになっております。これが改善については十分、社会局とも相談して、今後検討いたしてまいりたい、こういうふうに考えております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 いまの生活保護の御説明があったように、非常にきびしい原爆の被害者である、そういう人だから特別に手当をつけているわけでしょう。それなのに、それに対してはいままで四十三年以来一回も上がっていない。そういう人たちだからこそ、この物価の上がってきたとき、あるいはまたいろんなものが、たとえば、健康の面で薬を使うことが多いだろう。みんな高くなっているんじゃないですか。だったらこういう人こそ、いまの趣旨で特別手当ができたとするならば、何でそういう方に対してはもっと手厚くしてあげないんですか、これから上げようとしていますと言っているのは、私はいまの特別手当の趣旨に対してあまりにも理解された措置ではないではないか。国民全般の者はそういうふうな措置に対しては非常に不満に思い、またそれに対してのいろんな心配をするもとになると思うのです。それからまた、いま申しましたように生活保護の人、これは半分に削るといって、——そういう特別な、被爆をされて、しかも認定を受けているような大きな障害を持っている人の生活に対して何で半分しかそれを認めないのか。そういう方にこそ、全部認めてあげて、そして、その療養が十分にできるようにしようというのが特別手当の趣旨なんですから、その趣旨を没却をしてやったのを、もっと早く改善すべきじゃないでしょうか。そこらのことに対しては御説明を聞いていると、あるいはまた、そうかもしれないという感じを受けるけれども、もともとはやっぱりそこのところを考えてもらわなきゃいかぬので、私は、そこらの考え方をひとつやらなきゃ、いわば特別手当法のつくった趣旨に対して間違っていると思う。大臣どうでございましょうか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 大橋委員の御意見もごもっともに存じます。政府といたしましては、今後前向きに検討いたしてまいります。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 どうかひとつよろしくお願いしたいと思います。  それから健康管理手当の問題でございますが、管理手当等の支給額が引き上げられたけれども、その引き上げの幅は、私は非常に少ないように思います。今後とも、これに対して非常に前向きに考えようという先ほどからのお話でございますが、これは実は私のところの事務員がゆうべ心筋梗塞で死にました。これは被爆者です。そのために非常に健康管理の部面に注意しておりましたが、五十一歳で死んだ。これは白血球が非常にふえて、そうして、そういう状態で非常にからだが弱かったのでありますが、五十一歳で発作を起こして一週間ぐらい、だいぶよくなってから、また再発作を起こして死んだわけであります。このずっと経過を私ども見てまいりまして、これは被爆を受けているということの認定も受けてないのです。認定を受けることを出したけれども、何キロから離れておったからということで認定患者にはなっていないわけでありますが、その影響が非常に加わって、からだをずいぶんいたわりながら仕事をしてまいりましたけれども、とうとう死んだわけであります。こういうことを考えてみますと、私は健康管理というものは非常に重大である。幸い、その男は病院の事務員をしておりましたから、健康管理の面でかなりやってきたと思いますけれども、あとから振り返ってみても、まだまだ足りないのじゃないかという感じがいたします。そういう観点からいきますと、健康管理手当というものの大幅の引き上げは、実際、病気の人たちは、もっと非常な要望を一ぱい持っているだろうということを私は身近かにその人を見ながら感じているわけでありまして、私は、非常にその男を早くなくしたことに対して責任を感じているわけですが、五十一歳ぐらいで死んでしまったわけでありますから、この間には、相当注意したつもりでもそういう状態になっておりますので、私は、被爆者に対して、質問しながら、身近かな例を持ちながら非常に苦んでいるわけですが、そういう点で、こういうことを考えてみると、非常に私は引き上げ幅を早くしてほしいという気持ちで一ぱいであります。ことに、管理手当の支給対象となる老齢者の年齢を六十五歳から五十五歳に引き下げられたが、さらに私は引き下げてもらいたいと思います。いま申しましたように、それは五十一歳でそういうふうになっているわけですね。そういうふうなことを考えてみると、私はもっともっと引き下げてやるべきではないかというふうなことを痛感いたしております。この点についてもひとつ伺ってみたいと思います。この健康管理手当の支給の対象となる老齢者の年齢を五十五歳以上のものとした理由、その健康管理の趣旨から、すべての被爆者に支給すべきだと、先ほどの様子から考えて、私は真にそういうふうに思えるわけでありますが、そこらの点をひとつ踏まえて、この問題についてのお考えをお聞きしたいと思います。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 金額の問題につきましては、一応根拠といたしましては四十三年から四十六年の間の四年間の物価上昇の平均値の六・二をかけますと約三千九百円になりまして、一応四千円ということでこれを設定したわけでございます。この点につきましては、われわれ決してこれで当分いいというような考え方は持っておりませんので、引き続き努力する考えでございますが、五十五歳という一つのめどが何にあるかということでございますが、原爆被爆者は一般的に加齢現象といわれまして、年をとりやすい。これはなかなか医学的な研究の結果も必ずしも何歳年をとっているという具体的なデータは出ておりませんが、一般的な生理機能を中心に検査いたしたデータがございますけれども、やはり加齢現象というものは認めざるを得ないということでございますので、まあ、五十五歳というのは共済組合その他の年金の支給の限度の年とほぼ一致しておりますけれども、そういう被爆者の特殊な状態を考えますと、この年齢の設定につきましては、やはりもう少し引き下げということについて、当然そういう根拠からいっても考える必要があるというふうに思っておる次第でございます。ただ、すべての被爆者で八つの定められた疾患を持っている者は全部健康管理手当を出したらどうかというこの考え方は、健康管理手当の趣旨からいくと、私はそうあっていいというふうにも考えますけれども、ただ、これは自分で健康上の注意をするのに、年齢ばかりじゃなくて、この条件の中に、母子家庭の条件の人と、それから身体に障害のある人ということとの比較論からいきますというと、年齢だけを思い切って下げてしまえばいいというのじゃなくて、やはり、その母子世帯とか身障者の改善のほうも考慮しながら、全体として健康管理手当の趣旨に沿うような改善をはかっていかなければならない、こういうふうに考えておりますので、一気に、すべての年齢を問わずに出すということは、自分の健康の配慮が困難な人という条件で、この健康管理手当が出ておりますたてまえからいきますというと、まあ、五十五歳という年齢が、ほぼ私は一つのめどに達したという感じですが、加齢現象を考えるというと、やはり、なるべく早い機会に、この年齢の引き下げはもう少し努力しなければならぬ、こういうふうに考えております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 先ほども触れたように、五十一歳で、もう、相当やはりあんたのおっしゃっているような加齢現象のためにいろんな機能が衰えて、そういうふうになっているわけです。これはもう年齢を下げるんじゃなしに、被爆者の人たちには、ほんとに健康管理というものがもっと必要なんですよ。ですから、こんなことに対して年齢制限なんか置くことは間違いだと私は思います。五十五歳ぐらいのところがほぼいいんじゃないかと思うということを局長が言ってるようなことじゃもう大問題だと思う。実際とあまりにも離れ過ぎてると思うんです。ぼくは実際の例をいま示しているわけだ。そういうのが大部分ですから、五十五歳なんて話にならぬ。ですから、そういうことは年齢なんか問わないで、もっと被爆者全部に対してやるというぐらいまで私は踏み切ってもらいたいと思います。  それから、今度所得制限の問題ですけれども、先ほどもちょっと触れましたけれども、もう少しこまかいところをお伺いしようと思うんだが、この原爆の被爆者に対する特別措置法と国民年金法あるいは児童扶養手当法、これは同一扶養家族で比較した場合を考えますと、この特別措置法のほうが所得制限がきびしいのは私はやっぱり理解ができぬのであります。同じ福祉立法であるならば、私はやはり同一の歩調でいくべきだと思いますが、それはどうでございますか。  それから第二点は、今回各種手当の所得制限が非常に緩和されております。その考え方で考えたならば、これにどういうふうに対応されようとしておるのか。所得制限の問題についてのお考えを聞きたい。  それから同時に、私は各種の手当の所得制限は先ほどと同じようにもう撤廃してしまって、そして、所得制限なしに支給すべきだと思いますが、この点はどうですか。  この三点についてお伺いしたいと思います。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 所得制限の他法との関連につきまして、若干、まあ、言いわけというわけでもございませんが、御説明申し上げますと、原爆の場合は本人の所得額、税額とそれから家族の所得額と、両方を一本にみなして支給することになっております。それから老齢とか障害年金の場合は、本人の場合と、それから配偶者、扶養義務者の場合とが別々に考えられるという仕組みになっておりまして、老齢福祉年金の場合、今度二百五十万という数字は原爆と比較するために四人家族に直しますと二百二十一万、それから原爆の健康管理手当のほうが所得額で百四十九万、税額では二万九千二百円が今回四万八千四百円に改善したわけでございます。その老齢福祉年金の受給者本人の場合は、これは所得の支給の停止の額が百九万ということで、結論的に申しますと、老齢福祉年金の本人と扶養義務者の中間のところに原爆手当の所得制限があるというかっこうでございまして、まあ、この原爆被爆者と老齢福祉年金と、社会的な条件その他の違いもございますので、一応今回、四十七年度予算としてはこのような形にきまったわけでございます。ただ率直に申しまして、これによって支給率と申しますか、支給される率が四十六年度と同様八〇%程度でございますので、この点の改善がわれわれとしては今後の課題である。したがって、結論と申しますと、所得制限の緩和はさらに一そう努力しなければならない、こういう認識は十分持っておる次第でございます。  それから撤廃問題は、先ほど率直に申しましたように、考え方としては撤廃したいというものでございましたが、一応原爆被爆者のうちにはかなりの高額所得者もありますので、自分の健康上の配慮というようなものを考えた場合に、いきなり全部撤廃ということがなかなかむずかしいので、段階的に撤廃の方向、あるいは撤廃に近い支給率を確保する方向で先ほど申し上げたように努力いたしたいというのが現在の判断でございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 できるだけひとつ、その線に沿うて撤廃に向かってもらいたい、こういうふうに望んでおきます。  それから福祉部会の設置でございますが、原爆医療審議会に福祉部会を設置するということになっておるようでございますが、その方針とか運営はどんなふうにされるのか、ひとつ聞かしていただきたい。  第二点は、この医療審議会は被爆者の認定がおもなる業務でありますので、政令で定める福祉部会でなくて、法律に基づくところの別個の審議会を設置すべきだというふうに私は考えるわけでありますが、その点はいかがでございましょうか。  それから第三点は、原爆医療審議会に福祉部会を設置することになっているようですが、やはりこの原爆医療審議会の名称をむしろ、先ほどの三党で出しました中にもありましたように、原爆援護審議会というふうに改められたほうがすっきりすると思うのでありますが、そういう考え方はあるのかないのか。  それから第四点は、福祉部会の委員に原爆被爆者関係の団体の代表を選任すべきだと私ども思うわけでありますが、こういうことに対しての考えはどうか。  この四点について聞かしてください。時間もありませんから、まとめてひとつ……。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 福祉部会を今回設置いたすことにいたしまして、十名の専門委員の増員と、それから部会の設置を政令でいたすわけでございます。  運営の方針につきましては、この原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の中にも医療審議会がございますが、十五条でございますけれども、「厚生大臣の諮問に応じ、被爆者の医療等に関する重要事項を調査審議させるため、厚生省に、附属機関として、——置く。」しかも、この特別措置法の第一条の目的がやはり「原子爆弾の被爆者であって、原子爆弾の傷害作用の影響を受け、今なお特別の状態にあるものに対し、特別手当の支給等の措置を講ずることにより、その福祉を図ることを目的とする。」、このような一連の関連を踏まえまして、われわれとしては運営の方針は、たとえば実態調査を四十年にいたしましたが、一応五十年ごろをめどに実態調査を考えなければならぬ、この十年間ほどはかなりのいろいろな変化があるのではなかろうか、こういうようなことでこの福祉部会におはかりする必要があります。  それから原爆被爆者の広島、長崎の市、県等におきましては、法律の特別措置法以外にいわゆる法外援護と申しますか、かなり現地でいろいろな援護的な措置をやっておられます。こういう問題について、私は、広島、長崎だけの配慮ではなくて全国の被爆者の立場を配慮して、可能な施策というものはこれはやっぱり福祉部会で十分御審議願ってやりたい。現地のこまかないろいろの事情というものを反映していきたい。こういうことで運営方針は持っておるわけでございます。  したがって、この運営方針に沿うような被爆者審議会の専門委員の選定でございますが、先ほど「団体」というおことばがございましたが、衆議院のほうの附帯決議の中にも「関係者」というおことばをお使いになっておりまして、私は、まあ関係——少なくともこの問題についていろいろのお立場でこの被爆者の問題を理解し、また自分自身被爆者である方ももちろん委員になり得る可能性はあると思いまして、現地の行政当局とも十分相談の上、ただいまほぼ人選のめどを立てておるところでございます。  それから、医療部会というものと援護部会というものと分けたらどうかということでございますが、先ほど申し上げましたような法律の第一条の目的のたてまえ、それから十五条の設置の趣旨からいきまして、私は、当面、この福祉部会、医療部会で、医療の面についてはなお一そう審議を能率的に促進することが可能になります。  それから、福祉の面についてのいままで部会がなかったのですが、これによって充実がはかれるということで、今年度の新しい措置によって、この特別措置法の法律の趣旨に十分沿い得るような努力が可能であるし、その基盤ができたものというふうに考えておる次第でございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 ここでも、ちょっと話を聞くと、援護というものの福祉のたてまえを強調されるわけですがね、その言われることもわからぬじゃありません。わからぬじゃありませんけれども、先ほどから言ったような問題で、こういう場合に、もう一つ具体的な面からきて、そういう方向を少しでも出してもらえないかと思って私は質問をしているわけですが、それにこだわられるのも一つの、わからないじゃないと思うが、しかし、もういまの時期ですから、先ほど申したので重ねて申しませんが、ひとつ、こういうような審議会の中においてそういう趣旨を徹底させてもらいたいということを希望をいたしておきたいと思います。  それから、沖繩の原爆被爆者の援護の問題であります。これはあとからお話がありますので私は触れませんけれども、触れたくないんでありますけれども、ごく簡単に一つだけ。  私は、本土並みにこれをやるということでありますが、いまの状態ではその施設から何から全部できていないと思います。こういうことに対してほんとに本土並みにするような意識を持ってもらいたいというふうに思いますので、そうした事柄をひとつ特に要望しておきたいと思います。  それから次に、治療技術の研究開発についてでありますが、この治療技術の研究開発は、現在どのように行なわれておるのか。国としてこれに対してどのような援助を行なっておるのか。このに点についてひとつ明らかにしておいていただきたい。  それから、第二番目には、その研究機関におけるいろいろな、たとえば広島、長崎にある文部省の原子爆弾後障害の医学研究所あるいは科学技術庁の放射線医学総合研究所、こういうものがあるわけでありますが、こういう機関においてどういうふうなことがいま行なわれておるのか、その概要についてちょっと聞かしていただきたい。  それから、国立の予防衛生研究所——広島、長崎に支所があるわけでありますが、この原爆傷害研究調査を行なう理由、どういうようなことをされておるのか、こういうようなことについてもひとつ聞かしていただきたい。  この三つの機関についての概要を聞かしてください。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 原爆の被爆に関する研究調査につきましては、先生御存じのアメリカのABCCが広島、長崎にございますが、   〔理事鹿島俊雄君退席、委員長着席〕 ここでは主として疫学的な長期の観察を続けていくという、日本の研究では従来なかなかそういう態度をとれないのでございますが、アメリカがこのABCCを通じてきわめて長期な、したがって、今後二十五年以上、さらにこの研究の継続を必要とするというような見解も出ておるわけでございますが、ここは主として、疫学を中心にした問題でございます。  それから広島、長崎の両大学にございます原子爆弾の後障害の研究機関は臨床とそれから病理解剖、並びに基礎医学、放射線障害の基礎医学、こういうようなことが主体で、大学でございますので、臨床が非常に加わっておるということが特徴でございます。  それからABCCに、厚生省の国立予防衛生研究所の支所が長崎、広島ともに設けられておりますが、これはABCCが終戦後広島、長崎に設置がきまりましたときに、日本に協力を求められた際、わが国のこれに相当する協力し得る機関としては、当時、国立の予研しかございませんでしたので、予研そのものが放射線医学の機能を持っておるわけじゃございませんが、一応、その部門に支所として臨床検査部と病理解剖関係の部門の協力をいたしております。人員は三十四名程度のわずかなものでございますが、これは臨床と病理というのは、私の理解では医師法等に基づく国内のいろいろの行為をするのに、日本人医師の必要というような問題にしぼって協力したものというふうに私は理解いたしております。  それから科学技術庁の放射線医学研究所につきましては、放射線の人体影響の基礎的なことにつきまして御協力を願って、広島における放射能の残留している、あるいは当時の距離に応じた放射能の強さというふうな測定等の基本的な問題に御協力願い、またそれをやっていただいているわけでございます。で、これらのまあ関係機関が非常にばらばらではないかという御批判が実はあるわけでございまして、この点について、さっそく私もそういう感じを持ちましたので、一週間ほど前でございましたけれども、予研の所長を中心にお集まりいただきまして、今後、このような、まあ、非公式ではあっても、協議体のような形を設けて、そしてお互いの研究の内容を伝え、検討し、調和のとれた研究が進められるように打ち合わせ会の第一回を開いた次第でございまして、この点については、各機関の関係者みんな一致して、その必要を認めておりますので、一応、われわれが中心になりまして、今後、研究開発の調和のある進展を期していきたい、こういうふうに考えております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 特に私は、ここでお尋ねしたいのは、その点でございまして、いま申したように、被爆者は非常に残酷な、あるいはまたきびしい状態で、どんどんどんどんといまもなくなっているわけです。ですから、この機関がいろいろありまして、いろいろな研究の立て方をして、研究をやっていただいておることはけっこうだと思うのですが、その調和をとってお互いに協力をし合って、そして、いま現になくなっていく人たちをどういうように歯どめができるか、あるいはまた、こういう問題に対してはもっと長期的な研究ももちろん必要でありますが、そういうふうなことを那辺に集約をしていかれるかということが、いろいろ話し合いの中で進められたらより効果的じゃないかと思う。特に、そうした悲惨な状態でなくなっていくのを、たくさん私どもは目に見て、知らされておることを考えますと、こういう機関の研究もほんとうにもう力を入れて、即応したいろいろなものにも反映できるような研究内容を統合してもらいたい。こういうような気持ちがあるわけでありまして、特に、そういう点をお願いしておきたいと思います。  それからもう一つお話を承りたいのは、この原爆につきまして、いままでから毎年毎年改良されるたびごとに附帯決議をしてきています。この附帯決議もいろいろ考えられてつけているわけでありますが、私はずっと今度附帯決議を振り返って調べてみました。私は、まだまだこの点について、一つ一つ詰めて話をしたいと思いまして、たくさんの材料を整えてまいりましたけれども、きょうはちょっと時間の都合もありますので、それをしたくないと思いますが、そのためには、こういう附帯決議に対して、一体、厚生省としてどう取り組んでおられるのか、今後これをどういうふうに処理されようとしているのか、そういうようなところのひとつ考え方を、先ほども少し申し上げましたけれども、そういう問題を踏んまえて私は相当ここらで考えてもらわないと相変わらず惰性に過ぎる、惰性として流されていくという危険がありますので、私はここのところでひとつその附帯決議に対する処理を、いままでの状況を聞きたいと同時に、今後、どういうふうにしてやっていくかというその考え方もひとつここで聞いておきたい。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) この措置法の改正にあたりまして附帯決議がございます点は、次年度の予算要求等に十分配慮いたしまして、これを実現に努力いたしておるわけでございますが、具体的には、認定疾病医療の取り扱い方についてもこの附帯決議等を踏まえまして改善をいたしておりますし、それから各種手当の増額、これは先ほど来御説明いたしておりますように飛躍的な増額は困難でございますが、この増額に引き続き努力いたしております。  それから所得制限の緩和につきましても先ほど来御説明したように、できるだけ撤廃に近い状態に持っていきたい、こういうことでございます。  それから実態調査については常に御指摘がございますが、この点につきましては、先ほど触れましたように、四十九年に予備調査、五十年に本調査、こういうようなことで再び実態調査を計画いたしたい、こういうふうに考えております。  それから被爆二世、三世の問題についても基本的には非常にむずかしい問題がある。医学的に遺伝の問題等に否定的な見解が確立されている状態でございまして、この問題については研究の強化という方向で引き続き努力いたしたい、こういうようなことで、あと沖繩の原爆対策に対する本土並みの措置、これが昨年いただきました附帯決議でございまして、それぞれ相応に努力はいたしておる次第でございますが、先ほど来御指摘のようにその上げ幅である、あるいは考え方であるというところに御不満があり、また再びその充実のための御意見が続いて出されるというようなことで、なかなか御意見と現実とが必ずしもこの手当て等の問題については解消できない面が、たいへん残念でございますけれども、一つ一つやはり具体的に解消できるものは解消して、御意見がいつまでも残るという形でなく、充実していきたい、こういうような気持ちでおるわけでございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 じゃあ、もう最後に二つ、三つだけちょっと簡単にお尋ねして終わりたいと思います。  実態調査でございますが、先ほども触れられましてなかなかやっていない、この実態調査は四十年の原爆被爆者実態調査の結果というのはもうほとんど完結していると聞いているんですが、完結しているんですね。それでその概要を私は説明していただきたいと思います。そして、そこの中で原爆で死没された方、それから、その遺族に関する調査、こういうふうなものはどういうふうになっておるか。特に広島、長崎で原爆死没者の数はまちまちではありますけれども、公式には実数は一体何人か、遺族の実数は把握していらっしゃるのか、遺族の実態調査は行なわれたのか、こういうふうなことについて聞かしていただきたい。引き続き、被爆者はもとよりでありますが、死没者数及びその遺族等の実態調査をこれから行なうのか、この五十年にやられるのか、これは行なうべきだと思いますが、それはされるのかどうか、こういうふうなことをひとつ伺っておきたい。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 四十年の実態調査につきましては、一部入院患者の調査の部分が未完結であるということで昨年御指摘を受けましたが、それは完結いたしまして刷りものにしてございますので、四十年の実態調査は一応完結した形になっております。その内容の要点だけを申し上げますと、健康の面では一応白血球とか、あるいは血色素という放射能の影響を最も受けやすい部面について、調査の内容、しかた等に御批判は当時いろいろあったようでございますが、一応大きな差は認められない、受療率とか身体障害者率、あるいは保健薬を常用しておる率、こういう点については国民一般に比べて高いというような結果が出た。また、生活の面につきましては、たとえば国民一般の格差としては、身体障害率が三・七五倍あるいは一人当たり売薬を買う率が三・五五倍、医療費の支出が二・三二倍、医師の判定による要治療、要注意というのが被爆者の三〇%に及んでおる。生活の面でも一般国民より休業率が高い。あるいは日雇いのような職業に従事される方が多い。失業率も高いわけでありますが、一般的な所得水準を見ましても、一般国民の九〇%しかない、こういうような生活の面の実態はつかまれておりまして、これに相応して四十三年度から特別措置法ができて、必ずしも十分ではございませんが、各方面でこれに対応しておるわけでございます。  で、死没者あるいは遺族等の調査のことにつきましては、その前に死亡数の問題でございますが、これは実は、当時発表された死亡数には非常にいろいろな数字がございまして、必ずしも公式なものではございませんが、一応当時GHQに報告されたものは、死亡者九万二千という数字がございます。広島県の警察本部の発表を見ても、やはり死亡者としては約十万、それから広島市の事務的な内務省への報告八万というような数字が出ております。それから当時被爆者全体の人口、影響した人口はどれくらいかということでございますが、これについては広島市の社会課の調査では、市内在住者が約二十五万人おる、その関係が八万、市外から広島に来た者が、そのうち三日以内に爆心地から二キロ以内に入った人が特別被爆者の資格に認定されるという制度が生まれたわけでございますが、市外から入り込んだ方が九万ということで、われわれの手持の数字として一番関係者の多い数字が四十二万、この中でやはり千キロ以内におった者が当時二〇%程度であるというようなことから、あるいは千五百キロ以内が二一%、こういうようなことを考えますと、死亡者がほぼ十万というのが妥当な数字ではなかろうかと考えておる次第でございますが、ただ死亡という時点のつかまえ方が、原爆に被爆した人で、その場で即死状態で死亡した場合と、それから原爆の放射能の影響を受けまして、何日かたって死亡した状態とを、どの限界で被爆の影響なり原子爆弾の影響死亡者としてつかむか、この問題が実は非常にむずかしい問題でございまして、現地の皆さま方の御意見を徴しても、この点の把握が非常にむずかしいのだということをおっしゃっておるわけでございますし、私たちも実態はそうだろうと思うのでございます。ただ、四十五年、四十六年、四十七年と広島の大学等が中心になりまして広島市の町の中の住居世帯の復元調査というのを実施いたしておりまして、これは国からも補助金を出しております。この復元調査がある程度完結いたしますれば、当時の死没者遺族の状況がかなり明らかになるのではなかろうか、こういう期待をいたしておりまして、五十年の実態調査のときに、いままで申し上げたような理由で、私は、実態調査そのものに死没者あるいは遺族等の状態をつかむこと、遺族といいますか、家族内で死亡者を経験した人はどのくらいかという意味の遺族は実態的にはつかめると思いますけれども、基本調査的にやればつかめると思いますけれども、死亡者そのものの把握ということは実態調査では困難でございまして、要するに、現在やっておりまする市内をしらみつぶしに昔の状態に世帯を並べ直している作業、これはいま広島の大学でやっていただいておりますが、この復元調査がむしろそのような要望にこたえるものになるのではなかろうか、これはとても三年ではまあ完結しないようでしたならば、引き続き予算補助をいたしまして、これを完結していただきたい。こういうふうに考えております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 特に、いま申されたように、死者もなかなか把握しにくい、しかもその遺族なんかにしてもなかなかしにくいというような現状はよくわかっておりますが、しかし私は、これが非常に大事なことだと思いますので、こういう実態を把握できるような調査というものに対しては、相当真剣に取り組んでもらわなければいけない、こういうふうに思いますので、これは特にひとつ要望しておきたいと思います。  それからこの認定基準でございますが、これも先ほどさらっとお触れになりましたけれども、被爆者の実情に即応するような認定基準に対応していかなければならないのじゃないか。こういうことに対して努力をしていらっしゃると思いますけれども、それは一体どの程度に努力されておるのか、こういうこともひとつ伺いたい。  第二点は、私が先ほど話したように、認定患者ではないけれども、放射線による影響を受けておる、この人は五十一歳だけれども、もう六十に近いような老齢化をしておるし、抵抗力もないし、白血球あるいは血色素の状態からいっても非常に悪いと、こういう血液の状態のために心筋梗塞もやったという例も見ておるわけであります。こういうことから考えてみますと、やはりこういうものがあって、しかもこの医学的な断定ができないような場合はみなはずされているわけですね。ですから、こういう方々がだいぶ出てきたということが、私は目立っているように思うんです、いろんな話を聞いてみますと。そうすると審議会の中におきましても、断定できないからといって疑わしいものはそのままにしておくというのではいけないので、むしろ疑わしきものは認定救済するという方向に持っていかなきゃいかぬというふうに私は思うんですが、そういう意味では、このやはり認定基準というものを相当緩和しなければならぬのじゃないかと、こういうふうに思うんですが、その点いかがですか。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 認定につきましてはいろいろ御批判がございまして、たとえば事務的なかなりおくれのために半年もかかるというような例も、過去には現実にその書類の不備のやりとりをしているうちに認定が六カ月以上たっておったというような事例もございまして、その点については事務当局としては非常に反省いたしておりまして、ただいまは法律上も明らかに原爆症と思われるようなケースについては、審議会でおはかりせずにも、速急に時間を急ぐ必要のあるときで、内容が、影響が明らかであると認定できる場合については審議会にかけずに認定できるようにきめられておりますので、この点については、あまり機械的にならずに、具体的に認定できるように努力いたしております。  それから一般的に、この認定の考え方を昨年から改めておりまして、まず、従来は、その影響、放射能の影響があることを肯定できるというものと、肯定できないというものと、白と黒だけを持っておったんですが、途中に灰色と申しますか、要するに、影響を受けている可能性を否定することはできない。こういうようなケースについてはこれを認定する方向でということは、非常にこの原爆症の影響を受けた患者さんの方々が高齢になっている。したがって非常にこの健康上の問題についてもいろいろ障害が出てきている。それで申請してこられる。しかしながら、明らかにその原爆症との関係のない条件というものがある場合は、これはどうしてもそれは否定されますけれども、そういう点でどうしてもこの影響を受けている可能性を否定することはできない。こういうような考え方を導入して、対応いたしております。  それから距離の問題が私はやっぱりこれからどうしても基本的には影響する問題だと思う。当時被爆したときにおりました爆心地からの距離というものは、距離の自乗に反比例して放射能の影響は減じますので、これは距離は三キロとかあるいは二キロ以上になりますと、かなり放射能の影響というものは少ない。それでありながら一キロ以内の人と同じような疾病、病名であるからといってこれをすぐ原爆症ということについては、まあ、審議会の委員の先生方もこの点についていろいろその御検討いただいてはおりますけれども、やはり自然に老齢化して普通に起こり得る病気の状態としか考えられない場合もございまして、この距離の影響というものが、放射能の影響とからむということがかなりその認定の基本になるわけです。あと病名につきましては、胃ガンがふえて、胃ガンを対象にすべきだというような御意見もございますけれども、これについては、学問的には必ずしもその放射能の影響が胃ガンをもたらすということについては、肯定できる見解が出てまいっておりませんので、まだ、これについては検討されておりますけれども、なるべくそういうような放射能の影響が肯定できるようなものについては、できるだけ肯定してまいるという方針で御審議をいただいておる次第でございます。   〔委員長退席、理事鹿島俊雄君着席〕

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 この認定の問題がですね、今度の問題も調べてみましたが、その距離が離れているから認定されてない。ところが、本人の話をよく聞いてみますと、結局、その被爆された直後、お昼過ぎごろ自分の家族がそこで死んだので、そこに行ったりしておるのですね。そういうことを明確に言うておらなかったのかどうかわかりませんが、認定患者にはなってないという話を聞いておるのです。そういうことから言うと、私は被爆者が相談をしに行きやすいところ、こういうものがなければならない。いわゆる相談業務の強化ということが私は必要じゃないかと思う。行きやすい場所をつくってやるということ。それはどのようにやっておられるのか。その相談業務についてのやり方をひとつ聞かしていただきたい。  それからその相談業務について、今年度、昭和四十七年度には一体予算をどれくらい請求されたのか。こういうようなことも含めて、この相談業務というものが徹底をしてないために、そういうことがあとからも救われないし、また、いろいろな意味で、そういう考え直していただくところに訴えに行けないという気持ちが、私はこの患者さんあたりにあるんではないかというふうに感じますので、この点をひとつ伺いたいと思います。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 相談業務につきましては、予算要求を一応当初考えましたけれども、実は、各方面から、いろいろ率直に言って御意見がございまして、相談業務というものはよほどうまく運営しないと、衆議院等の御審議の中からも、また皆さん御質問の中から出たわけでございますが、いろいろの面で利用されることもあるので、やはり相談業務というものは慎重に考える必要があるという御見解もございましたし、その点について、私たちも今後十分検討いたしまして、福祉部会ができます段階を一応考慮いたしまして、福祉部会等で御検討の上、この問題は対応したい。  それから現状の相談業務の実態は、広島県の障害対策協議会あるいは長崎の同じく協議会等におきまして、それぞれ相談業務をいたしております。かなりの数字が相談件数に出ております。年間両方とも約五百件程度の相談業務が行なわれておるわけでございます。  いずれにいたしましても、この手続その他にわかりにくい面があると、やはり問題の意識がありましても具体的な手続を十分できない。こういう点につきましては、今後とも、広島、長崎はかなり相談業務は充実していますが、むしろ、よその府県に対する対策が重要でございますので、これは保健所等を、昨年、本年の衛生部長会議等でも保健所等まで、従来は県庁段階までしか相談業務は、原爆はやらないという風潮がございますので、保健所段階までおろすように指示し、また努力してもらっております。具体的にはパンフレットその他をつくりまして、わかりやすくこの手続ができるように引き続き努力いたしたい、こういうふうに考えます。   〔理事鹿島俊雄君退席、委員長着席〕

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 いまの相談業務の問題に対しては、もっと各府県に対して、ある程度予算の裏づけがないために、私は、こういう点が徹底しないじゃないか。だから、実際問題として、医療機関はこの原爆被爆者に対しての相談をしたりあるいは診断をしたりして、医療機関としてかなり幅広く受け入れ体制を持っておるわけです。実際は、そういう方々が来られるような掘り起こしといいますか、PRといいますか、そういうふうな相談を受けて立っていく、そのものに対して、私思うのは、もっと裏づけの予算を持たせないと十分な動きができないのじゃないか。保健所におりてくることも私はたいへんけっこうだと思いますけれども、保健所の中の業務が多過ぎて、なかなかそこまでいっていないというのが現状だろうと思います。ですから、私は、こういうことから考えてみますと、たくさんそういうことができないために死んでいく人があるわけですから、何とかひとつ、そういう問題を早急にやってもらいたい、こういうように思うわけであります。  それからもう一つは、先ほどもちょっと局長のほうから触れられましたが、原爆被爆者の子供とか孫、——二世とかあるいはまた三世に至りまして、いまではとても白血病などが多く出ているという現状がたくさん出ているわけでありますが、被爆者の子供だとか孫に対する影響の調査だとか、あるいはまたそういうことに対する研究、こういうものに対しては相当な措置をとってもらいたい、こういうふうに思いますが、それに対してはどうですか。  それからまた、こういう方々は、やはり健康手帳の交付も非常に要望しておられるわけです。こういう方々を見て、やはり健康手帳も支給をしながら健康管理をしていけるような形に拡大していってもらいたいと思いますが、そういうことについてひとつ伺っておきたいと思います。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) まあ、二世、三世はあれですが、二世の問題につきましては、従来の研究、特に、最近では白血球の培養というような特殊な方法が発見されまして、これによって染色体の異常を発見すると、こういう手法を使いましてやりました結果でも、被爆者の二世には一般的な染色体の異常な発現率と異なるところがないという結果が出ておりますし、また、新たな、血液等からの、たん白を利用した、血清たん白による遺伝の研究の新しい手法が生み出されつつありますけれども、これらの手法が将来使われて何か新しい見解が明らかになりますれば、これらの問題について対処したい。目下、これらの研究の内容の充実ということによって、二世の健康状態の遺伝的な影響、この遺伝がなければ——当時、あとから生まれて、広島、長崎に放射能が残留、土壌にたくさんあったということであればですが、この点については、医学的な放射能は減じておりまして、人体への影響というものについて、その後生まれた方に、そっちからの影響はございませんので、いま主として問題になるのは遺伝の問題である。こういう観点を中心に、研究を先生のお説のように強化していく。これはABCCそれから文部省関係全部を含めまして、遺伝の影響の問題は、調査研究を、先ほどの協議会等を通じて話題になり、また今後充実したい、こういう考え方でおります。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 広島の国鉄労働組合のほうで、原爆の被爆者を対象にした対策協議会というのがあるわけでありますが、ここで四月の二十三日に、原爆二世の実態調査をして中間報告をしておるのでありますが、この調査結果を厚生省のほうでは十分御存じだと思うのですが、その点の結果について、御存じであったら知らせていただきたい。  同時にまた、この実態調査に基づきますと、二世の一九%が病弱であって、中には、十五歳で十八回も入院した例やなんかも、この実態調査の中にあるわけなんです。このような原爆二世というのは、一般の人に比べて、生まれながらにして著しいハンディキャップを持っておるわけでありますが、父母からも強く健康手帳の支給が、いま申し上げたように望まれているわけです。この不幸な星回りにあって生まれてきた被爆者二世という者に、健康手帳を私は当然支給してやったらいいと思うんですが、その点いかがですか。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 私は、この二世の健康状態に関する調査、集団検診等が各地で行なわれている。これは、実は公式に各県から御報告をいただいておりませんで、新聞報道等によるその見解をまとめてできるだけとるようにいたしますが、実は一つ京都府からいただいたものに二世の青年を調査した結果が出ております。それをやりまして、血液をとりましたが、結果的には、一般の人とどう違うかを今度は比較する方法が行き詰まってしまった。とってみて、いろいろ検討はしたけれども、この人がどういうように一般の人と違うかという点について非常にむずかしい問題がある。それから、いま先生の例に引かれた特殊なケースについて、はたしてこれが、原爆の影響が遺伝的に伝わっているものかどうかという判定そのものが、いままでの研究では非常にむずかしい。したがって、そういうことを踏まえますと、二世の方々は、現在、被爆者に準じた形で健康管理というものに入る前の段階ではなかろうか。その根拠が必ずしも十分ではない。したがって、一般的には、遺伝的な問題が医学的に解明できない現今では、やはり二世の問題は慎重に取り扱う必要があるという見地の見解も、われわれとしては十分傾聴に値するし、研究としてむしろ充実していく必要がある、こういうふうに考えています。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 それから、疫学とかあるいはまた研究ということだけに固執をしないで、そういう人たちの実態調査の面も相当重要視しないと、やっぱり取り残されていくわけなんです。  実は私は、その解釈のしかたのどこに重点を置くかということをいろいろの場を通じて申してきたわけでありますが、とにかく、少々疑わしくも認めていこうという気持ちで解釈をすることが、そういう人たちを未然に防ぐ一つのファクターである。必ずしもそうじゃないのじゃないか、どうも根拠が明確じゃないからいけないのだというそういうシビアなことにばっかり問題をしていけば、そういう関係があってなくなっていく人をやはり不幸なままに見送ることになるわけです。私は今度そういうような人を身近に見まして、医者としての立場で見て、それがほかの原因でもってきたのかどうかということを考えてみたら、やはり私は、原爆被爆ということが相当大きなファクターになっている。それなら、その人が五十一歳で死んでしまったのを見送っておくというのは、やはり忍びない。そういう意味で、実態調査も私は相当重きを置くべきじゃないか。これは、一九%というのは、それだけじゃなくて、こういう例なんかもちゃんと実態調査の中から出てきているわけなんです。  だから、そういうことに対しては、相当な真摯な気持ちで進めて、拡大的に解釈していく。いま、むしろ援護的な問題まで含めて、国家責任のもとでこういうものを考えていこうという考え方の中で、私は、こういうこまかしい、認定なりあるいはまたいろいろな措置なり、こういういろんな問題についても、そういうような生きた考え方を前向きにとってもらわなければ、やはりさびしく世を去っていく人がかなり多のじゃないか。ことに、二世を持つ人たちは、もう自分が認定患者であって、その二世ですから、そういうことを相当考えている。ですから、私は、そういうところへは健康手帳やなんかの交付も初めからしてやって、そうして、患者に対して注意さしていくということのほうがよりベターじゃないか、こういうふうに考えるわけであります。特に、その配慮をしてもらいたい。  それから、これもちょっと触れられましたが、最後に一つ。原爆被爆者の収容施設、局長のほうではやはり、いま少し足らない、こういうふうにおっしゃっているわけですが、やはりこれは、広島、長崎だけじゃなくて、少なくともブロック別くらいにこういう施設を国でつくるべきじゃないかというふうに思います。広島、長崎はそれは中心でありますから、もちろんそういう必要はありましたでしょう。いままでは重点的にそうであったことはわかりますが、一面、各地にいるわけでありますから、むしろ、そういう点で、広島に行くのがたいへんであります。ですから、私は、こういう収容施設はせめてブロックぐらいには設置すべきじゃないか、こういうようなことは当然だと思います。その見解はどうですか。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 原爆被爆者の老人ホームにつきましては、やはり医学的な健康管理の配慮が必要である。それから、できますれば、その原爆被爆者専門と申しますか、そういう点で、先生がブロックという御提案だろうと思いますが、この点につきましては、各県の社会民生関係の老人ホームで医療機関にかなり密着した姿のものを建てる方向が社会局で検討されておりますし、そういう問題を含めまして、ブロックでできれば非常に理想的だと思いますが、かなり家族からの遠隔になる問題も含めまして、どちらに長短があるか、既存のものに収容する場合の優先の度合い、あるいは医療関係等の配慮、こういうことで、要するに、相談業務的に原爆被爆者の老人の方の収容の問題は検討いたしたい、こういうふうに考え、御提案の趣旨はよくわかりますが、また短所も若干あるような点も率直に言ってございますので、検討さしていただきたいと思います。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 大臣にちょっと一言だけお伺いして終わりたいと思います。  いままで、私いろいろ気のついたことを御質問申し上げたんでありますが、要するに、いままでのこの原爆被爆者の今度の改正案に対して衆議院のほうでも附帯決議がついております。まあ、そういう意味で附帯決議の取り扱いにつきまして相当前向きに考えていただけるということはお伺いしましたけれども、私は、もうその衆議院の附帯決議にもありますように、特にまた、ここで申し上げたいのは、いまのように手の届かないところを届かすためにもっと国家補償の立場を非常に大きくここでやってもらう、将来そういうふうなことに対して特にやってもらいたいというのが一点。それからいま申し上げたような二世というものがやはり親の関係でそういうふうになってきて非常に不安な状態にあるのだから、せめて健康手帳を渡すようにして、そして健康管理をするような形にしてもらいたい、こういうような要望が非常にきついわけでありますからして、私は、この原爆の特別措置法を将来は援護法にしてもらいたいし、同時にまた、その拡大、あるいはまたその手厚さというふうなことに対しては格段の努力表してもらいたいと思いますので、今後ひとつ厚生大臣が中心となられて各方面にそのイニシアをとっていただいて、すべてのいまの相談業務に至るまでほんとうに手の込んだ処置が拡充されるような方向を打ち出していただきたいと思いますので、そのことでひとつ、大臣の所信を聞いて終わりたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 大橋委員からるると、また詳細にいろいろ御意見をまじえて御質問もございました。私も当時防空総本部総務局長をいたしておりましたが、広島に被爆の翌日、翌々日調査に参りました。長崎もまたその直後参りました。私も被爆者手帳をもらう資格があるんでありまして、私と一緒に行った随行者はすでにこれをもらっておりますが、まあ、いまお話の中で、当時のそのときの様子をまざまざと私は目に浮かべながら伺っておったわけであります。そういう体験もありまして、御意見の点はできるだけ前向きに考えてまいりたい、さように考えます。

山下春江自由民主党

○山下春江君 関連で。私は、大橋先生からるる御説明がございましたから、簡単にお尋ねをいたしておきたいと思います。  いま、大橋先生から五十一歳のお親しい被爆者でなくなられた方のお話がございましたが、国会議員の被爆死亡者第一号はきょう新聞に出ておりました砂原格先生であろうと思います。この方は非常な強い被爆を受けておられました。この原爆被爆者援護法をつくりましたのは、実は、私事に触れて恐縮でありますが、私が三十一年厚生政務次官をいたしておりましたときに、灘尾弘吉先生、砂原格先生お二人で、どうしても被爆者を救わなければならないから何とか予算を取って、せめてあの患者を収容する病院だけでも建てるように努力してくれという御要望がありまして、幸いにそのときに総理大臣は鳩山さんでございましたが、二億六千万円の資金を取ることができまして、その資金によって広島、長崎の病院ができたわけでございます。それで、そのときの灘尾先生や砂原先生の切実なお訴えをいま、なくなられたきょう私は思い出すわけでございますが、ほんとうに被爆を受けた人たちは、言ってもしかたがないことだから言わないけれども、実に、肉体的には言い知れない何か不安に襲われているんだということで、しじゅう、顔を見るたびに山下さん、あれを強化しておくれよ、原爆被爆者の援護を強化しておくれよと常に言っておられました。そのことは、まあ、今日になれば遺言みたいになりましたが、これは日本の被爆者援護法をつくるときの微力な私でございますが、お二人の先生が、もうほとんど毎日のように言っておいでになりました。それを総理に訴えて、総理に非常な御理解をしていただいて、この二億六千万の当時予算が取れて両病院ができました。病院へおいでになった方はわかると思いますが、あのベッドに寝ている方は、ほんとうに自分の生命のともしびが消えていくのをあのベッドの上で待つ以外に手がないという方々で、その寝ている姿は何ともやり切れない姿でございますが、その被爆者に対する援護の強化ということはどういうことをしてもやり足りないのでございますが、いま大橋さんの国家補償にすべきだという御議論でございましたが、まあ私も、私は与党の立場でございますけれども、しかし、私もやっぱりこれは国家補償をすべきものではないかとさえ思うのでございまして、厚生省も、その後いろいろと御研究になりましていろいろのお考えがあると思いますけれども、いま最後にお話しがございましたブロック別にどうだということでございますが、確かにあのときに被爆いたしました者がいま日本じゅうに散らかっておりまして、たとえば、私は東北でございますが、東北には、もしブロックができたとしてもこれを見てくれるお医者さまがございません。したがって、専門の医療機械などというものは全然ございません。そういうことでございますから、患者及び家庭の便宜ということも考えなければならないから、広島まであるいは長崎までというわけにいかないいろいろなことがあろうかと思いますが、したがって、そういうことでは福祉部会等におはかりを願って、何とかその地方に散らばっていて相当重症、——私のところに訴えてきた人も現にあるのでございますが、いま地方に——国立病院も東北にも幾つもありますけれども、必ずしも原爆に対して、その経験と必要医療の施設が完備しておらないために十分な治療が受けられないという状況もございますので、これに対して何らかの方法を講じてやらないと原爆を受けていることを自分も認識し、お医者さんのほうでも原爆患者だということの認定をしてもらっても治療が受けられないという現実、これは何としても捨てておいてはいけないような気がいたしますので、それに対する厚生省で——私は、必ずしもいま即座に御答弁をいただこうとは思いませんけれども、何とか、考えて差し上げなければいけない問題だというふうに考えます。ちょうど、たまたま被爆者の援護費を取ってくれと言って灘尾先生と砂原先生がほとんど毎日のように私を督促して、この制度を創設させるための予算を取ることに努力をさせていただいた、その一人の砂原さんが原爆病で国会議員第一号でございましょう、原爆でなくなられた方は。その方がきのうなくなられた、きょうでございますので、何かやっぱり砂原さんが遺言をしていったような気がいたしまして、原爆医療に対しましては厚生省ではきょうまでも、いま、大橋先生からいろいろるる詳細にわたってお尋ねがありましたから、私は詳細な御質問をいたしませんけれども、お説みんなごもっともだと思いますけれども、厚生省におかれましても何か一段とひとつ原爆治療に対しては考えを新たにして十分な治療を受けられるような方法を講じてやっていただきたい。斎藤大臣はいま御自身も原爆被爆者に数えられるべき人だというお話がございましたので、思いは一そう切実であろうと思いますが、どうかひとつ、予算が取れましてから十五年間、あんまりこれという目立った進歩がないようでございますが、やっぱり被爆者の何か自分の生命が消えていくのを待っている姿というものに私たちはもうできるだけのこたえをしてあげなければいけないような気がいたしますので、大臣のあらためての御決意、一応の今後の施策について、お答えをいただく質問ではなかったようでございますが、砂原さんが、国会議員として原爆犠牲者の第一号となられた今日、国会としても新たな決意をする必要があるように考えられますので、お尋ねをいたし、お答えがあればたいへんありがたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) ただいまの御意見、また砂原先生のなくなられたことに言及をされましての山下委員の御発言、先ほど私が大橋委員にお答えをいたしましたように、ほんとうにしみじみと私は伺いました。先ほども申し上げましたが、これを国家補償にできないかと私もずいぶん考え、いろいろやってみましたが、なかなかそこには厚い壁があってむずかしいということ、やってみたとは申し上げませんでしたが、事実はいろいろとやってみましたが、非常にむずかしい点がございますが、これらも、しかしさらに前向きに考えてまいり、また、原爆患者の治療が行き届くように、各地方にどの程度治療を受けなければならぬ方が散らばっておられるか、私まだ実情は把握いたしておりませんが、よくそういう実情も把握をいたしまして、できるだけ御意思に沿うようにいたしたい、かように考えます。

中村英男日本社会党

○委員長(中村英男君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕

中村英男日本社会党

○委員長(中村英男君) 速記を起こして。午後一時まで休憩いたします。    午後零時十三分休憩      —————・—————    午後一時十三分開会

中村英男日本社会党

○委員長(中村英男君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。  午前に引き続き原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。

鈴木美枝子日本社会党

○鈴木美枝子君 御前中に砂原委員のおなくなりになったことを伺いまして、お悔みを申し上げます。私も個人的になるんですけれども、主人の父親は広島で原爆を受けまして、二十日間生きておりましたけれども、毛が全部抜けて、そして、みとる者が広島の付近まで列車が満員で行くことができなくて、岡山まで行って一人さびしく死んでいったという事情がございます。二十日間生きている間に受け取った手紙もございますし、それから、そのとき着ていた衣服も送ってまいりまして、ガラスが衣服の中に通っているとか、そういうものがそのまま残っているのでございますけれども、また、私の主人の友だちの小説家は、原爆の日に広島の市内をノートして歩いて、一切それへ記録して、昭和二十八年に鉄道自殺をしているというような、私たちのまわりにそういう人たちがいるのでございます。  それからまた、私は、五たびぐらい広島で原爆の映画に出演いたしましたので、広島にいらっしゃる被爆者の方々のそれぞれの生活をつぶさに聞きましたし、それから広島にありますABCCの中へ俳優として入れていただきまして、あそこの中の話を伺うこともできました。これから私が申し上げますことは、それらの人のかわりになって、被爆者の人の苦しみのかわりになって御質問をしたいというふうに思っております。  先ほどのアメリカに対して請求権を放棄している、この問題があると思います。だけど、原爆を受けた被爆者の人々は人権の問題二十七年間の人権の問題を含めての、特別措置法であるとか、健康管理、——人権の問題が背後にあってこそ、民主主義である証明を世界に堂々と見せることができるんだという、二十七年間の経過をそういうふうに私はとらえたいというふうに思います。つまり、民主主義の証明——この国が民主主義であるかどうかというそのことは、アメリカに対して請求権を放棄したというそのことと別に、人権の問題を背後に置いて、病理学の問題と、そうして、それを経済によって被爆者の人たちの生活が完全に行なわれるようにという、そういう積み重ねの上で二十七年後のいまではとらえなければいけないのだというふうに思います。たとえば例として言えば、戦後の、原爆を日本人がとった映画がアメリカに行っていて、そうして、アメリカでは高校生がその映画を劇場でも見ることができる。その映画の題は「原爆における効果」、これはアメリカという国が「原爆における効果」という題をつけるのは当然だという感じもするわけです。私たち日本人は、民主主義のたてまえから、たとえば映画でしたら、原爆映画は世界に平和をもたらす、という題に変えてもいいと思うのです。同じ映画を二つの題に変えるということは民主主義の私たちのたてまえだというふうに思います。だから戦後、落としたというそういうイメージではなくて、世界に原爆が存在するという立場からこのことはとらえなければいけないというふうに思うのです。それが二十七年たった今日の私たち日本人の課題なんだというふうに思って、このABCCの中で調べたことを一回お聞きしたいしまた、私も調べたことを御報告したいというふうに思います。  大臣にお伺いしたいのですけれども、ABCCに厚生省はどのくらいお払いになっておりますか。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 先ほども少し触れましたように、ABCCが日本へ参りまして協力を求められたときに、国立の予防衛生研究所がそれにふさわしいということで、厚生省の設置法に基づきまして支所をつくりまして、予算的にはそこにいる研究者三十数名の人件費と——一人当たりの基礎的な研究費と人件費と合わせまして約七千万程度が日本から支出されておりまして、アメリカの現在支出している額は私の記憶では十四億ぐらいだと思います。

鈴木美枝子日本社会党

○鈴木美枝子君 十四億と七千万円ではたいへんな差があるわけでございますけれども、経済的な面から言いますと、指導的な立場をとっているのがアメリカのABCCだと思います。それは経済ではっきり見えているわけでございまして、それでは、ABCCでは先ほどから長期にわたって研究をしていらっしゃるというようなことを幾度かの答弁で伺いましたのですけれども、じゃ、その研究の内容について、それが被爆者、——全国三十三万三千の被爆者の人たちに対して人権の問題にかかわるかどうかということを、民主主義であるかどうかということを適用しながら調べるということも必要なんじゃないか、こういうふうに思っておりますが、このABCCの日本人の受けた呼び方はどういうふうに呼んでいるんでございましょうか。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) ABCCはアトミック・ボム・カジュアルティー・コミッションというのでABCCでございますが、一応原爆傷害研究所というふうになると思います。

鈴木美枝子日本社会党

○鈴木美枝子君 これはたいへん個人的な例でございますけれども、あすこに入院した人のそういう例が、ABCCの中の大多数に及ぼすというふうに私は想像いたします。私が映画にかかわりあったところの、知りあったところの奥さんがあそこへ呼ばれて行きました。呼ばれていくというのは、呼んだというのは先ほどもおっしゃいましたように、それは厚生省の五千万円の中に含まれて働いている人が呼びに行くんだと思います。つまり、自動車で送り迎えする、そして弁当を出すというようなことは、あとで薬を与えるとか完全になおすということではないという証明を経済がしていると思います。弁当という経済がしていると思います。そして、私の知り会いの人がそこへ連れていかれたというか、合意といいますか、あそこへ参りました。そうしますと、一日まあ、あそこできまったような検査をする。血をとる検査、それからレントゲンを二、三枚とる検査、心電図をとる検査というのは克明にするわけでございますけれども、胸の肉もちょっととる。ちょっととるったってどれくらいと言ったらいいんでしょうか。ほんとうに小指の先のほんの少しですね。針金のようなものを通してとる。そうして、乾燥された食べものが出てくる。乾燥された食べものといいますのは、その人が入院じゃないのです、調べるためですから、調べられるときにはちょっとたとえば、バナナでもくだものの豊富な時期でございまして、だから野菜も豊富な時期、そういう季節であるにもかかわらずリンゴが乾燥されて出てきたり、バナナが乾燥されているということは、どういうふうな意味でそうなっているかといいますと、つまり、原爆時代なんだ、原爆というものの応用問題としては戦争の可能性もあるんじゃないかというアメリカの、十四億出したほうのアメリカの考えとして、そこで受けた人間が、戦時中でしたら乾燥したものもあるでしょう。戦時中の乾燥したものを食べたときに被爆者であるその人たちの肉体を通して、たいへん尾籠な話でございますけれども、便になるときにはどういうふうになってくるのか、そこまで調べているんだというふうに私は話を聞いたとき受けとめました。そして、その人はあわてて、乾燥したものを食べさせられたとき自分の戦時中のことを考えて、これは自分はモルモットなんだな、モルモットといううわさは聞いておりましたけれども、そういう事柄が二十七年の間に皆さんの心の中にあるという、私は、あの方たちの代弁をしますと申しましたので、そういう立場で厚生省の方も聞いていただきたいと思います。で、あわてて飛び出してきて、そのことを新聞社に申しましたら、ABCCから三十万円持ってきた。これはまさしくだれにもしゃべるなということだったということなんですね。これは当然アメリカは原爆をつくる。未来の平和のためにとことんまで研究するというその立場はあるでしょうけれども、私たち民主主義の人間が、民主的なものはどこのところまで民主主義的だという、人権を守る問題なんだ。だから、被爆者の人たちの生活を擁護しなきゃならないという、一つの裏づけとして私は報告さしていただきたいというふうに思います。それは原爆、被爆を受けた当時の方たちの話の一例でございます。この方が非常にやられていることは先ほどから幾度も出ました二世の問題について遺伝のことを研究しているんだ、こういうふうにおっしゃいましたけれども、ABCCの中で遺伝のことがどう研究されているか、そしてまた、厚生省から日本の医者、——たぶんきめられた医者が、病院があると思うのですけれども、その病院の名前をちょっとあげていただきたいと思います。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) いまのABCCの乾燥した食事というふうなお話、これは時期にもよると思いますし、われわれとしてはたいへんむしろ内容はあまりよく知らないので教えていただいた感じが強いわけでございますが、おそらくこの食事の問題等は時期によって、あるいはケースによって何かそういう特殊なあるいは考え方があったのかもしれませんが、一般的には日常生活から、二年に一ぺん、つまり、送り迎えして健康診断がされるという場合の臨床的な病気の検査というのじゃなくて、十万人の多くでございますので、症状によって、その十万人の人を二年に一回ずつ交代でずっと健康状態が記録されてデータが備えられてある。こういう中から死亡者が出ると、それを解剖するという、病理学のほうの、こういうようなこと。それから、いま先生御質問の二世の問題については、大体五万三千人ぐらいの二世の方の条件のほぼ同じ被爆者、二キロ以内の人、二キロ以上の人、被爆を受けていない人という三つのグループに分けてABCCでは約五万三千人の二世の方に協力していただいて、その疫学的な経過の健康状態の経過、その観察をしておるというふうに聞いております。  それから最後におっしゃった、病院の点が、どういう意味の御質問かちょっと意味がわからないので、お教えいただいて、もう一度御答弁したいと思います。

鈴木美枝子日本社会党

○鈴木美枝子君 厚生省とABCCの関係では、最初に経済の問題を申しましたけれども、経済の問題ではアメリカが十四億、日本は七千万円、この差があるということは大きいわけで、だけれども厚生省がじかにじゃなくて、やはり病院が、研究ですから医者か病院が、そこでは向こうの医者と密接な関係を持っているのじゃないか。それで、その関連している医者の病院という意味で、病院の名前をあげていただきたいと言いました。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) ちょっと御質問の趣旨が十分わからないのでございますが、先ほどもちょっとお答えしましたように、予研が当時協力を求められた主たる趣旨は、ABCCのアメリカのお医者では、日本の医師法、医療法等のたてまえから、診断の問題あるいは病理解剖、——これは解剖の法律がございまして、そういうようなたてまえから臨床検査の部門と病理解剖部門だけが予研のお医者さんのスタッフが協力している、こういう形をとっております。したがって、ABCCはベッドはございませんので、おそらく医療機関として、機能はもう病院以上のいろいろな検査機能は持っておりますけれども、ベッドという形はとっておらない。したがって、外来で定期的に何人かの人をずっと観察している、こういう仕組み、その中で臨床検査という、実際患者に触れていく立場の人と、それから死体の解剖という部門に日本が協力している。まあ、おのずからやはり最小限法律に抵触しないという形で予防研究所からのスタッフが協力しておる、こういうかっこうになっておるのであります。

鈴木美枝子日本社会党

○鈴木美枝子君 私は、一番最初にあの中を見せていただいたと申しました。先ほどベッド数は少ないとおっしゃいましたとおり、五ベッドしかないと思いました。そうして、ベッドの大きさは普通この長さぐらい、これくらい、これより短いくらい。だから普通一般的なことばでベッドと言いますとこの倍ぐらいを想像するので、克明に私はそこで言っておきたいと思うのですけれども、この長さぐらいのベッドですから、ほんとうにからだをなおすためにじゃない、調べるためにということはベッド自体が証明しているというふうに思うのです。で、私は、病院の関連を聞きたいといったのは、その関連した病院の中でお医者の方たちが健康管理手当のことについても関連してくるんじゃないかというふうに思ったからなんでございます。で、このABCCのことをちょっと読みまして、その関連した病院、広島大学原爆放射能医学研究所、広島医師会、ABCCの中にいられる医者、それらとほんとうに契約していられるのでしょうか、どうでしょうか。お伺いしたいと思います。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) いま先生おっしゃったような日赤の原爆病院、あるいは広島大学の付属の放射能研究所、そこにはベッドもございます。いまおっしゃっている契約という意味は、ABCCは非常に研究の協力を求めておりまして、特に、広島大学のスタッフはかなりABCCに協力して研究を続けております。それから、臨床面では原爆病院等で、死亡した病理解剖などはABCCに持っていって病理解剖がなされる場合もある。それから原爆病院で病理解剖したもののその資料は、全部、ABCCのものも長崎大学で解剖したものも、いま全部長崎大学の資料館に、集中して資料は集められている。こういうふうなかっこうになって、非常に関連した姿で協力した研究が続けられております。

鈴木美枝子日本社会党

○鈴木美枝子君 そうなりますと、広島の中にある町の医者の方たちも、そこに関連するという場合がございますね。いかがでございましょう、それをちょっと……。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 広島市の医師会、あるいは県の医師会を含めまして、ABCCの研究なりあるいは原爆病院、長崎大学の研究なりには、それぞれ協力する形をとっておりまして、たとえば、原爆特別手帳を持った患者さんの特殊な検査、あるいは不幸にしてなくなられたときの、あとの病理解剖による原因の究明、こういうことについても、市の医師会あるいは県の医師会は、全面的に協力しているという形をとっております。

鈴木美枝子日本社会党

○鈴木美枝子君 町のそれぞれの医者の方たちが関連しているということは、厚生省の立場からでは、私は、想像がつくわけでございますけれども、——となりますと、さっきの健康管理手当の問題なんでございますけれども、この健康管理手当というこのことばなんですけれども、健康を管理する手当、つまり金なんですけれども、先ほども申しました認定の問題と健康管理ということばの中に、たいへんなギャップがあると私は思うのです。つまり、認定をするこの八つの病気のうちの二つなんでございますけれども、この二つの病気、これが認定の対象になっているんですけれども、造血機能障害、肝臓機能障害、この二つに該当することがあったときに大臣の認定があると、こういうことなんでございますけれども、この大きな骨子になっているのは健康管理ですから、健康管理というのは病気にならないときに管理するんだというふうに、私はこの文章を解します。ところが、この健康管理手当の内容の中にある認定という問題が、八つのうちの二つの病気に指名されたとき、認められたとき、この認定がされるんだということは、たいへんに、町の医者の人全体からしても不自由な問題じゃないか。これは、まるきり初めから健康だというふうなことには、被爆者の人は、ならないということが前提にございます。つまり血管障害は、ほとんどの人がお持ちになるんじゃないでしょうか。それが、白血球の問題とか、そういうふうになっているんじゃないでしょうか。その上に立って、肝臓、造血の問題と、ですから、これは死ぬか生きるかの病気になったときに厚生大臣の認定があると、だから、この認定された人は四千人、つまり三十三万三千人の全国の被爆者の中で認定を受ける人は四千人で、そうして認定を受けた人が一万円にお金をいま上げてもらえるかどうかという、この三十三万三千人の人たちの中の四千人とそう私はとらえたいわけです。そして、最初に質問いたしました広島にある町の医者が、そのことがわかりましたときに報告をする、そうして、認定してもらう段取りについては、患者さんにしてみればたいへんな思いがあるんじゃないか。認定してもらうだけでもたいへんな順序があるのじゃないかというふうなこと、どういうふうにすみやかに、これを四千人から、もっといるんですから、三十三万三千人の中で認定をもっとすみやかにする方法を考えていただきたいと思うのですけれども、その点にいて厚生大臣の御意見を伺いたいと思います。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 先生、八つの病気、あるいは二つの病気というふうにあげられまして、ちょっと御理解をいただくために簡単に御説明いたしますと、健康管理手当を支給されるのは、先生おっしゃったようにまさに健康管理でございまして、からだの機能障害を持っておる。したがって、現在、医療を受けている受けていないにかかわらず、障害があることがわかりますと、一般被爆者が特別被爆者としての手帳がもらえる。これに八つの病気として、臓器そのものの病名をあげずに、造血機能障害とか、肝臓機能障害あるいは循環器機能障害というふうに、非常に健康管理手当のほうは「障害」という表現で広く認定——認定ということばを使うと誤解がございますが、そういう診断があれば健康管理手当の対象にみる、こういう仕組みでございます。ただ、その上に五十五歳という年齢制限とか、あるいは身体に障害がある場合とか、母子家庭とかいう条件のおかあさんの場合とかいうふうにございます。それから「認定」というのは、これはまさにいわゆる原爆症といわれます重い当時の放射能の影響を強く受けた方で、いまなお健康状態に不安があるというような状態である。したがって、この十一の病名が今度は「障害」という表現でなくて病気として、たとえば白血病、白血球減少症、再生不良性貧血というふうに具体的な病名としてあげて、これによるものについては一応厚生省の認定機関で審議会にかけて、そこで認定を受けた場合については、いまお話しのございましたように、認定患者となり、これは完全に公費負担でございまして、医療の場合は健康保険でなしに根っこから公費負担で医療を行なえるという形をとっており、なおかつ、特別手当が一万円出る。それから入院、通院ともに医療手当が四千円あるいは六千円というふうに、入院と通院によって医療を受けている方はそういう医療手当が出る。こういう形で健康管理手当のほうはさっき言ったように、表現としては大きな「障害」という表現でくくって、そして年齢的な制限、あるいは障害の問題、こういうふうに二つの制度ができております。その点を御理解いただきたいと思います。

鈴木美枝子日本社会党

○鈴木美枝子君 ことばで言ってしまうとそうなんでございますけれども、最初にお約束したとおり、私は、被爆者の方のかわりにという思いがありますので申し上げたいのですけれども、厚生省がきめた病院の、町のお医者さんのところへいくまで自分が造血機能障害であるということは患者はわからないわけです。肝臓機能障害であるということは自分でわからないわけです。もうこの病気になったと認定される以前の苦しみがうんとありまして、しかも、町の医院に行ったらすぐに造血機能障害だと言う医者がいるとは限らないわけでございます。こちらで、ここで会議しているときは、この二つの病名には認定をして、厚生大臣が認定するのだというふうに書かれておりましても、現実に患者は、自分はこういう病気なんだから認定してくれというふうにいくまで、幾度も幾度も通ってきた病気のあげくにこの二つの病気にぶつかったんだと思うのです。それをもう少し簡単な操作で、四千人の人を一万人、二万人、三十三万人の人に近づけてほしいという、そのことがなかなかむずかしいならば、先ほどから申しております被爆者援護法を設定することによってすみやかにそれをしていただきたいという感じが一つあるわけでございます。  で、そのことは考えていただけるのかどうかという、その認定の問題を私は、大臣のお口から聞きたいんですけれども。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) ただいまのお話を伺っておりまして、それは援護法という体系にしたら非常にやさしくなるとか、あるいはいまの特別措置法だから非常にむずかしいとかいう問題ではないと思います。  まず、認定患者としてその疾病の治療一切国費で見るというためには、認定患者の認定が要るわけでありますが、先ほど局長が御説明申し上げましたように、肝臓障害だ、あるいは心臓障害だという者についてはもっと幅広くやっているわけで、そこで心臓障害があるとかなんとかというのは、やっぱりこれは医者の証明がないと、当時被爆を受けたという証明だけで、その人が肝臓障害があるとかなんとかというわけにはまいりませんから、やはり、その自覚症状があれば、肝臓障害がないだろうか、あるいはどうだろうかといって見てもらうとか、あるいはこれは健康審査をやっていますから、その際にはわかってくるんじゃないだろうかというように考えるわけでございまして、これは法体系が援護法であるから、あるいは特別措置法であるから、したがって、そこにやり方が違うというものではございませんので、その点は御了承いただきたいと思います。

鈴木美枝子日本社会党

○鈴木美枝子君 さっき申しました十一の病気に関係したときと、その二つの病気の認定の問題は、いま厚生大臣おっしゃいましたけれども、どうぞ三十三万三千人いるんですから、四千人ぐらいで認定がきまったというのは、複雑な事情が患者のほうの中にあると思いますので、どうぞよろしくお願いしたいというふうに思います。  それから、先ほど原爆二世のことで、ABCCでもって五万三千人お調べになっているというようなことでございますけれども、五万三千人のうち、被爆者と被爆者でない人、半々くらい調べて、被爆をされていない人の体内の状態と被爆をされた二世の人の体内の状態、つまり、体内の状態と申しますのは、先ほどから申します採血の問題レントゲンを二、三枚詳しくとる、心電図の問題、これを二年に一度検査をして、これはカードになっているということなんですけれども、その呼ばれ方がはっきりしている。これは、いま私、人権の問題について言っているわけでございます。その呼ばれ方をME200呼ばれているそうでございます。ですから、もちろんコンピューターもあることですから、ME200、何番の何と言えば、名前じゃなくても数字によってその人を調べることができるという状態がABCCの中にあるということを調べました。そして、以前にさかのぼれば、二十五年の十月一日原爆被爆生存者の全国調査はもちろんしていらっしやる。氏名生年月日、性別、被爆した年、絶えず住んでいる常住地、それはさっき言いました二世じゃなくて、最初の人、その方たちもカードになっていて、そうして、その方たちがどこの県で死んでも、広島じゃなくて。仕事の都合で他の県で死んでも、その医者が報告する形によって、どのくらい生きられて、どういう病気で死んで、どういうふうに肉体的に原爆を受けた人間はなるのかということがカードになっているようでございますけれども、その点について御返答をいただきたいと思います。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 確かにABCCではコンピューターを使っておりますので、患者さんにそういうような符号を使うという形をとっていることはやむを得ないと思うわけでございます。ただ二世の問題では、必ずしも定期的に呼んで検査をするという形をとらずに、その健康の破綻する状況、あるいは途中で白血病になるというような一つの事故の発生の状態をチェックしていくというかっこうをとっているように思っております。それから十万人のいまの被爆者は、確かに他の県に行った場合でもその報告が、その状態がつかめるように、というふうになっておりますが、これは当初十万人でございますけれども、死亡者もいろいろ加わってまいりますし、それから統計処理の疫学の上からいいますと、必ず対照、いわゆるコントロールをとらなきゃならないという形で、いわゆる被爆の影響あるものとないものとの対照をとるという、まあ、非常に複雑なやり方をしておりますので、必ずしも他の県に行った場合、的確にそこの医師から特別被爆者であるということによる情報がつかめない場合もあるわけでございます。したがって、まあ、十万人という数字が、かなりこの判定上、統計処理上は有効な数字ではございますけれども、年々やはり把握している患者数にいろいろの変動が起こってまいりますので、この点は今後ABCCがどういうふうに対処していくかという点で、われわれは必ずしも直接関係者じゃございませんので、その考え方は確認しておりませんけれども、なかなか仕事としてはたいへんな仕事であり、これがやはりその寿命調査と申しますか、被爆者がどういう健康状態でこの一生を経過していくかということについては、これは不幸なケースではございますけれども、ぜひとも、この放射能の影響の問題からいけば把握しておく必要がありますし、特に、先ほども申しましたように、当時幼少にして受けた原爆被爆者の健康状態が、当時生まれた人が五十年経過するには、あと少なくとも二十五年以上の調査が、観察が必要である。こういうふうな観点から相当これは長期にわたり綿密なデータの集積が必要である、こういうふうに考えております。

鈴木美枝子日本社会党

○鈴木美枝子君 現在、広島市内に生存する九万八千百二人の人たちに任意に——任意というのですから、ABCCから指名されたとき、被害者のほうから来るということになっているのです。そういう仕組みをABCCでは基本的サンプルと呼んでいます。その基本的なサンプル。サンプルというこのことばの持っている内容を、私は一番最初にここで申し上げました、民主的なものを私たちはどうとらえるかということの一つの参考的なことばとして言いたいのです。サンプルができているということは、簡単に処理をすることができるということだと思うのです。で、いままでに死亡した人九万九千人、死亡して解剖した人なんです。それは寿命調査ということばで言われておるのですけれども、九万九千人が死亡調査されている。それを記号づけますとST100号、やはり基本的にはサンプルなんですから、だからST100号という記号によって記録されている、こう言ったほうがいいかと思います。そうして、解剖したものをどう調べているかというようなことでしたら、解剖するために、その死体を提供してもらうために一万円払ったところもあるし、このごろでは長崎では千円もらってそのからだを、死んだ人のからだを提供して、解剖したという話も聞いております。そうして解剖されたものがどういうコースをとってアメリカでは調べられているかといいますと、ワシントンの陸軍の病理学研究所、そこで調べる。もちろん厚生省の方は御存じかもしれませんけれども、そこで調べられている。どういう方法でその内臓が運ばれていくかといえば、ABCCから、岩国基地から陸軍の病理学研究所に運ばれていって、そうして、もちろん日本に返されているわけでございますけれども、そういう形の研究がされている。もちろん原爆を受けた人の研究が人類に貢献するという意味をもって研究されているんだと思うのですけれども、今度日本人の私たち、また受けた人たちの立場になりますと、生きているうちは人権の問題にかかわり、人権の問題を解消することが民主主義の問題だという、民主主義の基本線ではアメリカは文句のつけどころがないんじゃないかというふうに、私は、それを知ってずうっとそう思っております。そのことを厚生省の方がお考えくださいまして、死亡して内臓が運ばれて行って世界に貢献するために研究されていることは、まあ、世界の人類のためにと思いましても、そのプロセスが——日本人は死体を一万円で売り、このごろ金の都合によって千円で内臓を売る、このギャップがものすごい問題だと私は思うのです。そのことをお知りの点がありましたらお伺いしたいと思うのです。 政府委員(滝沢正君) 先生おっしゃるこの九万九千というのは解剖の数字ではないんじゃないかと思います。この点はわれわれの従来解剖の件数から申しますと一けたぐらい違う数字じゃないかと思います。  その点はともかくといたしまして、先生のいまのお話よくわかりますが、一点は、アメリカの陸軍の病理研究所に——上田哲先生がこのごろ御質問になったケースでございますが——終戦直前、原爆が落ちた直後に調査団が参って、当時の死体の解剖の資料をアメリカの病理研究所に持ち返っておることは事実でございます。その後、それがわかりまして、今回お返し願うということに手続を進めつつございますけれども、現在やっております病理解剖は一切ABCCで処理されておりまして、海外に解剖の材料が行ったり来たりしているという事実は私は絶対ないというふうに思っております。過去にこちらに研究機能が十分でないときにそういう時代があった。で、ABCCができてからむしろ向こうへ行ったものを逐次返してもらい、現状では病理解剖と資料の保存、それに対する医学的な観察の能力、専門家、こういうものは全部そろっておりますので、そういう点で陸軍の病理研究所との行き来は現状はもうなくなっておるというふうに理解しております。

鈴木美枝子日本社会党

○鈴木美枝子君 それにしても、とにかく研究の材料を提供しているわけでございますから、提供しているということになります疑いが——私はモルモットにされているんだという、そういうようなことは、たった一人の人が言うんじゃなくて、全広島の被爆者の人が二十七年の長い間に、初めて気がついたことではないけれども、だんだんそういうふうに思えてくるという、その思いを取り消してあげるには、やはりあの方たちの生活や病気をなおすということへたいへん力を入れるということによってなくすことができるんで、ただことばだけでおまえはモルモットじゃないよというようなことは何の証明にも私はならないと思います。まあ、世界の平和への貢献だということを前提条件として私はしゃべっているのでございますから、どうぞお聞きとどめ願いたいというふうに思います。  死亡した葬儀料はどのくらいなんでしょうか。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 特別被爆者の方が死亡した場合の葬祭料は本年度から一万六千円でございます。

鈴木美枝子日本社会党

○鈴木美枝子君 それでは介護手当で一万六千円出すという、看病の人のあれと同じでございますね。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 介護手当は限度が一万円になっているはずでございまして、それを超過しては出せませんが、それ以内の実際に介護をしていただいた手当てを出した証明があれば、それに応じて一万円の限度までは出せることになっております。

鈴木美枝子日本社会党

○鈴木美枝子君 時間がありませんので、最後にそれではお願いしたいのでございますけれども、いままで言った基本的サンプルの——これはカードにそう書かれているので、そういうことばを使わしていただくのでございますけれども、アメリカの、昭和二十二年に日米を通して血液学検査のためにニールさんという中尉の人が来ておりました。その方が今度ことしの七月にスタッフを連れて、——スタッフを連れてといいますと、ニ−ル博士を中心にしまして、医師が二人と技術員三人、書記が二人のスタッフを組んで日本の広島のABCCへいらっしゃるということは、つまり、昭和二十二年では血液学の検査でございましたけれども、四十七年の今日では遺伝学の研究だろう、遺伝学と言い切れると思うのです。つまり、血液は遺伝につながる問題として、二世の人たちを調べる。いままでは被爆で死ぬところまで、死ぬ内臓までお調べになった。そして今度は、二世の人たちを血液学から遺伝学のところまでというのが、昭和二十二年に血液学をお調べになったのが、四十七年に遺伝学として調べるという、そういうことが七月から行なわれるということを伺いました。そして、それはどのくらい研究するかというと、四年間研究する。四年間原爆二世の人たちを研究して、世界に貢献しようと——もちろんしているんだと思うし、アメリカの自国に、もし原爆が落ちた場合にアメリカ市民の人をいち早く救おうとしていらっしゃるんだろうと思いますし、日本の私たちは最も民主的なものを有効に使って、そして、いまでもおそくない、——四十七年の今日においてもおそくない、全部の被爆者に対して厚生省の大臣をはじめ行き届いた——幾ら行き届いたことをやっても、この問題は私は余ることはないと思います。アメリカが研究するのは、やっぱり原爆をつくったことにおいて研究するということは当然でしょうけれども、私たち日本人としては、徹底的に、あの方たちはもうしあわせなんということは一生ないでしょう、ないでしょうけれども、できるだけのことをするということは、私たちが民主主義であるかどうかということを証明するという大きな問題をかかえているというふうに思うのです。どうぞ、私のお願いはそうでございますけれども、厚生大臣のおことばを最後の締めくくりにいたしまして、民主主義のおことばを私はここで聞かせていただきたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 原爆に被爆をされた方々に対する処遇、また、国としての救済の責任というものは、これはまことに重いと思います。民主主義とどういう関係になるか存じませんが、まあ、民主主義は人権ということに発しているということであれば、そういう意味においても、民主主義の原理に沿うても当然のことである。かように考えます。  ただ一つ先ほどから伺っております中に私が感じますのは、ABCCのやり方は民主主義に反しているのじゃないだろうか、あるいは自国のために原爆で被害を受けた者を犠牲にして、そしてそれを何といいますか、モルモットがわりにして自国の将来の原爆病に対処する資料をとっている、けしからぬというような意味に聞こえないこともないと思うのでございますが、私は、それはどうあろうと、現実といたしまして、この放射能の人体に及ぼす影響、それが遺伝に及ぼす影響、これを十分に科学的に調べるということはこれは非常に大事なことだと、かように考えます。  かつてカネミオイルのあの患者がたくさん出ました際にも、私は熊本の病院その他に行って、各お医者さんその他からずいぶん意見も聞き、そのときにも私はいままではほとんどそれに対する病理学的な、また治療学的な、臨床学的なデータは何にもなかったわけですから、これをひとつこういうことができたことは非常に不しあわせなことであるけれども、これを機会に、——こういった治療、その他病理学にできるだけ金を惜しまないで研究をいたしたい、それが将来へのまた貢献になると、当時科学技術庁にも行って、科学技術庁の持っている研究調整費を二千万か三千万その年にもらって始めたというわけでありますが、それがいまPCBの汚染ということがいわれてまいった、やっぱりあれをもっと徹底的にやっておれは、いまもやっておりますけれどもですよ、PCB汚染というものがこう広がってくるということになると、非常にやっぱり参考になると、私はそう思うわけでございます。同じように、ABCCのやっておりまする研究というものも、これはまたとない私はとうとい研究であると、かように考えております。アメリカか自分の利己的な考えでやっておるというめがねで見れば腹が立つと、しかし私は、必ずしもそうではないと……。  三、四年前、私が前の厚生大臣のときにABCCも視察に参りました。そのときに、所長はアメリカのドル防衛の関係もあるし、われわれもここにいつまでも実際はいたくない、日本で引き受けてもらいたいという要請が強くありました。私は、引き受けないことはないけれども、とにかく、この研究は大事なことであり、しかも、こういった原因をつくったのはアメリカなんだから、あなたたちは帰ってもいいけれども、いままでの金だけは出してもらいたい、金だけは。先ほど、アメリカが十四億と言いましたが、私は当時二十億くらいと聞いておったんでありますが、日本は数千万円、そして、こういう調査をやりたいから協力をしてもらいたいということで予研に協力をさしたわけですが、当時は三、四年前に日本に肩がわりしてもらいたいということは、また一切日本で引き受けてやってくれないかということで、必ずしも、私はアメリカの利己的な考え方でそれを利用しようという趣旨ではないというふうに当時も思い、いまも思っておるわけであります。  そこで、当時原爆被害のあった当初のいろんな資料を向こうに持ち帰られて、そして、公開されていないというようなこともありました。公開されないということは、これはけしからぬというんで調べてみたら資料は一切公開している。しかし、向こうへ持ち帰った資料を向こうだけに置かず、それを日本に戻してもらいたいというんで、いま、それを戻すことになって、その準備をいたしておりますが、必ずしも一国の利己的なものによって日本の被害者をモルモットに使ってやっていくという考え方、もし、そういう考え方に立てば、まさしく非民主的なやり方になると私は思います。調査の方法として、あるいは記号をつけるというようなことは、これはいろいろな統計をとったり、あれをしたりするのに必要なことであって、必ずしもそれに番号をつけることによって非民主的とは言えないんじゃないでしょうか。新聞によりますと兵庫県では、その村の人全部に記号をつけて、健康管理をやろうかという試みが起こっているということもあります。またそのほか、いわゆる背番号といわれますが、背番号によっていろんな調査をしようというような試みもあるわけで、これが人権を侵すものであるかどうかということになりますと、そこは私は少し考え方が違うんじゃないだろうかという気がいたすわけでございます。もちろん死体の扱いというようなものは、これはもう人権に関することでありますから丁重に扱わなければなりません。死体を飛行機で向こうへ運んでどうしておるということは私はいまはないと思います。当初はどういうふうであったか存じませんが、そういうことはあり得ないことだと考えまするし、死体に対する扱いというものは、これはやはり物扱いをするのでなくて、なくなっても、そこに人権があるということで、死体は丁重に扱う必要がある、さように私は思いまするが、ただ考え方といたしまして、私のABCCに対する見方が間違っておるのかもしれませんが、私の受けた印象はそうであり、私はまたさようであるべきであると思っておりますし、私の接触する限りにおいてはそういうような印象を受けておりますので、これは、ほんとうに後世に、人類に大きな貢献をなす研究をしたいということであると、そのように私は言い切っていいんじゃないかと、かように思っております。

鈴木美枝子日本社会党

○鈴木美枝子君 ありがとうございました。私は、いまの厚生大臣のお話を最後にしようと思いましたのでございますけれども、私が先ほどから言っておりますのは、ABCCが研究している第  一世の人、第二世の人の研究は、原爆時代だといわれている今日においては、世界に貢献し、またアメリカの人々にも貢献するという形の研究だろうと思いますけれども、厚生大臣がおっしゃったように、ABCCの中で研究費を要求なすったそうでございますけれども、それは大いにアメリカに要求なさいまして、そうしてともども研究できるという立場をおとりになるのがまたいいと思いますし、先ほどから私が申しましたのは、被爆者の人々の二十七年の間の苦労をいたみ、肉体の形、これはもう自殺したりした人やなんか大ぜいおるので、もちろんおわかりだろうと思いますけれども、その方たちが調べられるということは、世界に貢献しているのかもしれませんけれども、その方たちが現に納得する生き方ができるということをやっていただきたいというのが私の結論なんでございます。その結論のプロセスとして、ABCCのあり方をよく知る必要がある。日本人はよく知る必要がある。そうして、日本人は平和に貢献しているのだという、貢献したという裏づけになるのは被爆者の人たちが二十七年間、ほんとうにしあわせだと思って生きたのかという、そのこともABCCを詳しく知る以上に知って、そうして厚生大臣が予算をよけいにお取りになる、そういう要求もしたというふうにおっしゃるんでしたら、どうぞ、うんと予算を要求なさいまして、先ほど全国の調査室とかいろいろありましたけれども、医者の方は広島に固まっていらっしゃるわけでございますから、その点についてどうぞよろしくお願いいたしたいと思います。私は、ただ反対をしているんじゃなくて、そういう平和への貢献、それをお願いをして終わります。  どうもありがとうございました。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 原爆被爆者の対策については国家補償ですべき血社会保障ですべきかというこの基本問題が絶えず論議されてまいりました。きょうもこの法案を審議するにあたって、やはりこの根本的な考え方がどこまでも追究されなければ、幾ら法改正がされても、満足なものにはならないと、こう思いますので、私はもう一度、確認の意味ももって、この基本問題について大臣にお聞きしたいと思います。  最初、諸外国における戦争犠牲者援護法の概要はどのようになっておりますでしょうか。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 戦争犠牲者の諸外国における援護の実態というものにつきましては、ただいま承知いたしておりませんので、後ほど援護局等と相談の上、資料として出さしていただきます。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 この点は、やはり外国にもこうした例がたくさんございますので、よくお調べの上、そして外国に負けないような、りっぱな援護法が、やはり平和憲法を掲げ、戦争を放棄した日本、そして、しかも原爆の犠牲者をかかえているたった一つの日本の国として、真剣に考えていただきたいと思うんです。そういう意味で、御研究になりましたならば、その内容をまたお知らせいただきたいと思います。  そこで私は、ちょうど日本と同じような立場に立っておる西ドイツ、やはり日本と同じように戦争に負けました。そして、いろいろな条件が比較できるところでございますので、どうであるかと調べてまいりました。これは国会図書館にございます「外国の立法」第二十八号の中に、戦争犠牲者援護法について、ドイツの例が出ております。これを調べますと、「援護の対象と範囲」というところを見ますと、日本よりもはるかに広い範囲でございます。日本のように、国と身分との関係、すなわち、軍人である、軍属であると、こういう身分のある者は国家補償をすると、ほかはしないというような、そういうやり方ではございません。全部国家補償をするようになっております。ここにもございますように、「固有の事情により」というふうに、いろいろなケースを調べて、そしてこれは援護の対象になるかならないかというふうに、国民全体に国家補償をするという、そういう法律になっているわけなんです。こういう点を考えますと、この日本とよく似た状態にある西ドイツでは、このように一般国民を戦争犠牲者として国家の責任によって国家補償の救済措置をとっているわけでございます。ところがわが国は、それとは逆に、国との身分関係のある者からまず救う、こういう行き方ですから、私は、この考え方は、戦後の処理方針に大きな誤りがあったりではないか、大きな誤りであると私は言い切れると思うんですが、その点、厚生大臣はどのようにお考えでしょうか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) まあ、おっしゃいますよりに、日本は、沖繩は別といたしまして、戦場にはならなかった、しかしながら原爆あるいは焼夷弾、艦砲射撃等によって、国民自身も直接戦争の被害を受けた人もある。しかしながら、西独なんかのように、国全体が戦場になったというのとは違うと思います。したがいまして、援護あるいは救済のやり方も違っておるんじゃないだろうか——私は、西独の援護のしかた、あるいは救済のしかたというものをよく存じておりませんが、まめ、諸外国では、軍人で戦死した者と民間人で戦争のためになくなった者と差別なしにやっているのか、差別をつけているのか、戦後、国柄も非常に変わったところもありますから、いろいろ変わっておるだろうと、かように考えます。日本におきましては、先ほど申し上げたような関係から、とにかく戦争業務に従事して、そうしてその業務のために倒れたという者については、国家補償という形で、補償といいますか援護法の形でやっていく。そうでない、者は救済という形で、もちろん国の責任においてやるというように割り切って区別をいたしたからであります。実質的にどこが違うかといいますと、御承知のように、いわゆる遺族扶助料とか、そういうものを出すか出さないかという点が私は一番違うと思うんです、実質的に。そのほかの点は、それはやり方でありますから、手当が多いとか少ないとかいう、これは額の問題であります。質の問題としましては、遺族手当というものを出すか出さないかという問題であろうと、かように思います。そこで、そうなりますと、一体原爆でなくなった方の遺族だけに手当を出すのか。焼夷弾でなくなった人の遺族にも出すべきではないか。艦砲射撃でやられた人の遺族にも出すべきじゃないか、もう少し広めて戦争のためにとなるともう少し広がっていきはしないか。現段階でどうするかというので、そこで戦争業務に仕事として従事し、あるいはさせられた、そのために犠牲になったという人は遺族までめんどうをみよう、そうでない者はまあその人の実際に困っている点をお助けをしようというように割り切っているわけであります。心情的に考えますと、私は原爆被爆者のような世界にも類例のない犠牲者でありますから、あるいは遺族にまで差し上げていいのじゃないかしらんという感じもいたすわけであります。しかし焼夷弾攻撃だって同じじゃないか、したがって、それならそれもやれということにも広まっていく。広まることは差しつかえないと思いますけれども、そこが踏み切りどころということであろうと、かように考えます。私もこれは援護法のような形にならないかと相当あれをいたしましたが、まあ、厚生省だけでなしに他省に関連を持つものでありまするし、いままでのこの行き方はなかなか変えることが困難であるというので今日に至っておるわけでございます。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 いま西独の問題を例に申し上げて国家補償すべきであるということを私、強調いたしましたが、それに対して大臣が、西ドイツは国全体が戦場になった、日本はそうではない、だから違うんだというようなことをちょっとおっしゃいましたですね。私、それは言いわけみたいな答えにとれますね。というのは、日本は戦場にならなくても、世界でどこにも落ちなかった原爆が落ちたわけなんですね。西ドイツは全部戦場になったかもしれませんけれども、原爆は落ちなかったわけです。原爆が落ちたということは、私は、西ドイツ以上の戦争の悲劇というか被害を国民が受けていると思うんですね。そういう点で、この原爆被爆者を国家補償すべきだと、こう言っているわけなんですね。ですから、私は、そういう点もっと、外国でもやっているんだから、日本でできないはずはない。むしろ日本が率先して私は、戦争の被害というものに対しては真剣に国がやらなければ私は平和国家を掲げる国とはならないと思うんですね。そういう点で一言付け加えさしていただきまして、それで次に、先ほどいろいろ大臣の御答弁伺っていて、その中からもう少しお聞きしたいことがございますので、お尋ねいたしますが、社会保障というものを政府ではどういうふうに解釈していらっしゃるかということですが、大臣いかがでしょうか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 社会保障と申しますと、なかなかこれむずかしいんで、学問的には非常にむずかしいと私は思います。しいて言えば、われわれといたしましては、憲法二十五条で、国民は健康にして文化的な最低の生活をする権利がある、国はこれを保障する義務があるということをとらまえまして、そして、それがまず満たされるようにするのが社会保障であろうかと、かように考えているわけであります。福祉国家ということになると、また範囲が変わってまいりますが、社会保障はそのように理解をいたしております。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 私は私なりに社会保障というものを考えております。それは簡単に、わかりやすく言えば救貧対策と防貧対策だと、こういうふうに考えておりますけれども、いかがですか、その点。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 私は、救貧、防貧よりももっと広いと思います。先ほど申しました健康で文化的な最低生活——最低生活というのは、それじゃどこまでを見るかという問題になりますけれども、大体いまの生活保護は勤労者の平均所得、また生活水準の平均のその五割か六割というところを保障しようというのでやっておりますが、これがまだ低過ぎるか、多過ぎるかということであって、防貧対策とか救貧対策というよりはもう少し程度の高いものだ、かように考えております。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 理論的にはもう少し広い意味であるかと思いますが、日本の現実の問題を見れば、非常にそうした福祉国家としておくれている。社会保障というものがおくれている国で、いま日本の現状を見た場合は、私はいまの社会保障というものは救貧であり、防貧である。まだ広い範囲で理想的に考えるところまで日本の社会保障というものはいってないと思いますが、いかがでしょうか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) これから福祉国家にならなければならぬと言っているわけでございますから、いまで十分とは決して考えておりません。まだまだもっともっと伸ばしていかなければならないと、かように考えております。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 ですから、いまの日本の社会保障というのは救貧、防貧のとこだと、もちろんこれはいいと思ってもおりませんし、厚生省はそのために今後大いに期待をかけられているところでございますが、現実は防貧だ、その程度だと思うのですね。救貧、そして積極的に考えても私は防貧なんだ、こう考えていかなければ日本の福祉国家は建設できないと思うのですね。いまの状態で満足していたんではどこまでも防貧だ、救貧だと思っていかなければならないと思うのですよ。そういう中で一体社会保障の形でもって原爆被爆者を救っていくというならば、やはり私は非常に消極的であり、考え方を改めなければならないと思うのですね。この原爆被爆者、そしてそれに準ずる戦争の一般の犠牲者というものはどこまでも本人の落ち度でそうなったのではない、また本人が好んでそうなったのでもない、どこまでもこれは国の責任ですよ。国がそれを補償すべきものだと思います。まあ、原爆被爆者の場合だって、原爆が落ちなければあんな姿にはならないし、あんな目にはあわないわけです。その事実をとらまえたって、私はこれは当然国で補償すべき性質のものだと、こういうふうに考えます。ですから決して、私は大臣だって社会保障という姿勢であくまでもこの救済をやっていくことがいいとは思っていらっしゃらないと思うのですね。これはいかがでしょうか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 先ほどから申し上げておりますように、原爆被爆者の特別措置法は、系列からいえば社会保障の部類だと、こういうように割り切っているわけでございますけれども、これは一般の社会保障とは特に違って、いま柏原委員もおっしゃいますように、特殊の被害を受けた方でありますから、国の責任として、そのやり方は一般の社会保障よりもずっと高いものでなければならない。したがって、こういうものに対しては所得制限なんというものはなくしたい、さように考えているわけでございます。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 そこで社会保障でやっていくということを百歩譲って考えてみても手厚く——、手厚くというお話は先ほどから承っております。その手厚くということの具体的な内容を考えてみて、この不幸な原爆被爆者というものはなおる可能性はない、それこそしあわせというものを知らないで一生を終わっていくかもわからない、こういう人たちに、私は障害年金、遺族年金、これくらいは出すべきじゃないか、大臣としてこれをお出しになる気があるのかないのか、お聞かせいただきたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 問題は遺族年金でございまして、遺族年金を出すか出さないかというのは、これは国家補償にするかしないかという分かれであって、遺族年金を出すべきだということになれば、これは国家補償になるわけなんです。そこの実際のニードとして遺族年金を出す必要があるかないかという問題であろうと、かように考えるわけでございます。その点はいままでもなかなか政府部内としてもそういう方向にはいっていないということを申し上げたわけであります。さらにまた野党三派でお出しになられました法案は、社会保障でなくて国家補償という形で出しておられますから、そういう点を踏まえましてさらに検討いたしていきたいと存じます。しかし私は、軽々にそれはやりましょうというところまではなかなかまいりませんということを申し上げております。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 先ほど大臣が御答弁になった中で、国家補償にするかどうかという点でもいろいろ御苦労なさった、しかし、そこには厚い壁がある、こういうふうにおっしゃいました。この厚い壁というのは一体どういうことなのか、もっとよく教えていただきたいと思うのです。これは原爆被爆者に対してもっともっと国が責任を持って救済すべきであるということに対しては国会においてはもうこれは全力をあげてやっていきたいという気持ちでいるわけでございます。また、国民もこれに異議がないのですね。ですから、大臣がいろいろ研究されてぶつかられたその厚い壁というのはこういうのだということをおっしゃっていただければ、私たちも非常に協力しやすいわけなんですね。先ほども山下委員が与党の立場でありながら、非常に原爆被爆者に対して当時予算を取り、法律をつくるのに御苦労なさった、それがまだまだ不十分である、国家補償にすべきであるという意見すらお出しになったことは、私は非常に山下委員の熱弁を伺ってこの熱意というものを感じたわけでございますが、そういう点では私たちも劣らないつもりでございます。そういう点で、大臣が悩んでいらっしゃる、ぶつかっていらっしゃるその厚い壁というのは一体何なのか。それで、全力をあげて私たちはその問題を厚生大臣を先頭にして打ち破っていきたい、こわしていきたいと、こう思うのでお聞きするわけでございます。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 私は、実質的にはいわゆる遺族扶助料というようなものを出すか出さないかというところにかかってくるだろうと申し上げたわけですが、いままでは、公務に従事しておって、公務のためになくなったという場合には遺族に扶助料を出すというのは、これはもうずっと前から平時の場合もあるわけです。戦争中なら戦争公務に従事した人はなおさらあるわけです。そこで、いま戦争犠牲者に対して公務扶助料というものも出ているわけでございますね。そういった、公務のために犠牲になったという場合には遺族まで見ようという、この考え方は定着しているわけなんです、ずっと戦前から戦後を通じまして。ところが、そうでなくてなくなった人に対して遺族扶助料を出すか出さないかということになりますと、いままでになかった考え方を持ってこなければならないというので、気の毒だからというだけでは律しられないところがあるというのが厚い壁と、こう申し上げているわけでございます。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 先ほどから政府の姿勢というのは、原爆被爆者の救済は国家補償では踏み切れないと、こうおっしゃっているわけですね。その理由として、身分関係のない一般国民の中の戦争犠牲者との関連をその一つの理由にしております。そこで、この一般国民の中に戦争犠牲者がいるから、それも含めて考えなきゃならないから、国家補償というものが原爆被爆者にはできないだろう、こうおっしゃっている。それじゃ、その一般国民の中の戦争犠牲者というものを政府はどう考えていらっしゃるか。はっきりお聞きしたい点は、やはり国家補償の対象として、いますぐじゃなくても、将来やる気があるのかどうか。それとも一般国民の中の戦争犠牲者との関連を理由にして、どこまでも原爆被爆者は国家補償ではできないんだという、そういう口実にしているのかどうか、ちょっといやな言い方ですけれども。もう一般国民の戦争犠牲者、これには国はびた一文出していないわけです。まあ、一般の社会保障で救えばいいといえばいいようなものですけれども、戦争のための犠牲者というものに、びた一文出していないという点もありますので、私は、これをどう考えていらっしゃるのかと。この一般国民の戦争犠牲者を、この原爆被爆者の方たちが国家補償として扱えない理由の一つとして取り上げていらっしゃるだけであって、一般国民の中の戦争犠牲者というものをどう取り扱うかという御答弁はいままでの審議の中に一言もございませんので、その点お聞きしておきたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 本土における戦争のために犠牲になられた、なくなられたというのは、当時一時金、見舞い金を出すという制度があって、それで処理が済んでおることになっているわけでございます。それで、そういった人たちを今度はあの見舞い金では気の毒だから遺族にまで遺族扶助料を出すか、そのときの病気が引き続いておってなくなった場合に、また遺族扶助料を出すかということになってくるので、先ほど申しておりますように、国家補償かあるいは救済か、救済というのは現に困っている人を救済する。国家補償ということになりますと、その人がなくなった場合、その遺族までも補償するということになるわけなんで、そこが非常な違いであると。公務に従事しておって、そのためになくなったという場合には遺族まで補償をしようという考え方、法体系というものがずっと定着してきておってずっとそうなっておる。そうでない場合に、非常に気の毒な目にあわれたという場合に、その気の毒な人だけを政府が救済するか、その人の子供まで見るかという点の違いであるということを申しておるわけであります。したがって、そういうものまでということになれば、原爆に一番近いものはこれは焼夷弾、それから艦砲射撃、あるいは爆弾の直撃でなくなったという方であろうと思うわけであります。これらの方は当時調査が十分でなかったかもしれませんが、まあ、見舞い金で済んでしまっているというのが現状だと。したがって、原爆でなくなった方の遺族にまでということになると、やはり、そこまで及ばなければならぬであろう。それがたいへんな金になるから困るというわけではございません。調査はむずかしいかもしれませんが、それは原爆でなくなった方と、そういうような方と、数はそう違いはないだろうと思います。焼夷弾でも十万人ぐらいはなくなっていると私は思います。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 いま、大臣はなくなった方のことをおっしゃっておりますけれども、なくなった方以外に傷を受けられてかたわになられた方、また、病気をしている方、そうした方もやはり犠牲者だと思うのですね。そういう方には何もやっていないのじゃないですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 固定した障害を受けておられる方であれば障害年金が私は出ていると思うのでありますが、間違っておったらあとで訂正をいたします。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 それは一般の社会保障としてやっているわけですね。戦争の犠牲者という特殊な立場で国家がどれだけ取り扱っているか、救済しているかということをお聞きしているわけなんです。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 原爆関係で障害を受けられたということに着目した特別の法制はございません。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 そこで次の問題に移りたいと思います。  昨年の八月六日、広島で行なわれました原爆記念式典に戦後初めて佐藤総理が参列いたしました。そのときの記者会見で、援護対策については原爆被爆者特別措置法を実情に合うように改正していきたいと、援護法をつくれという声もあるが特別措置法のワクの中で進めたいと、こういうふうに総理はおっしゃっております。この発言は非常に期待される発言であったわけでございますが、これをどのように厚生省は検討し、四十七年度の予算にこれを具体的に取り入れたか、お聞きしたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) おしかりを受けるか存じませんが、それが今度のこの改正の内容でございます。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 これは先ほどから各委員の方々からも述べられておりましたが、この実情に合うように改正していきたいという点から見れば、非常にこれは不満足なものである、もっともっとやっていただきたい。この問題点はいままでも出ておりますので申し上げるのは省略させていただきます。あと、少し具体的な質問の中からまたその不満足な点、そして厚生省に努力していただきたい点はお聞きしながらお願いしていきたいと思うんです。  それでまず、三十三万人の被爆者の中で、まだ五万人の方が一般被爆者とされております。これはどんな取り扱いを受けておりますか。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 三十三万人の被爆者のうち、二十八万人が特別被爆者手帳を持っておりますが、この方は医療を受ける場合、公費負担、健康保険が優先した上に、自分の自己負担の分は公費によって無料で医療が受けられる仕組みになっております。一般被爆者のほうは五万人でございますが、この方のほうは年に二回、希望によるもの二回を加えますと年四回健康診断を受けることができまして、一般被爆者の手帳を持っております。そして、その方に先ほどちょっと問題になりましたが、八つの疾病、肝臓障害等が見出された場合について、これを特別被爆者として認め医療を無料で受けられる、こういうような仕組みになっているというのが大体の仕組みでございます。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 この一般被爆者の数は、ふえているのか減っているのか、これはどちらですか。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 一般被爆者の数につきまして、お手元の四十一年と四十六年のそれぞれ三月三十一日の、四十一年を一〇〇とした一般被爆者の該当事項ごとに考えますと、直爆を受けた——当時直接原爆に触れたという人は、四十一年を一〇〇で現在七五となって減少してきております。ということは、特別被爆のほうに移っておる。それから当時二週間以内に広島市内に入った人、この人が八七・四と現在減じております。それから死体の処理に当たった人、これがが一三九でふえてきております。当時、死体の処理に当たった人で一般被爆者の申し出があって手張をもらっておる方、当時胎児であった人、これはすでに半分に、五〇というふうに減ってきております。総体的には一〇〇といたしまして四十六年が八〇でございます。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 このように減っているわけですね、これは健康になって減っていったのじゃなくて、特別被爆者の中に入って減っているわけですね。そういうことを考えたならば、何にも一般被爆者というものを残しておかないで、全部特別被爆者として平等に取り扱っていってもいいのではないかと、こういうふうに思います。いかがでしょうか。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 御意見は、ある意味では社会の保障を充実していくという考え方ではその考え方も妥当と思われる面もございますけれども、実はこの被爆の社会保障の基本は、放射能の影響を受けたということを基盤にいたしまして、この受け方の度合いによってそれぞれの健康上の障害というものをとらえて、これに対する保障をしていく、これがいわゆる焼夷弾その他の爆弾を受けた方々の場合と違って、原爆被爆の特別措置の基本になるわけでございます。そういう意味では一般被爆者は、かなり置かれた位置あるいは条件からいって医学的には放射能の影響というものは非常に少ないという根拠がございますので、特別被爆者等の内容、処遇の内容をよくしていくという方向はもちろん今後充実しなければなりませんけれども、一般被爆者と特別被爆者のやはり取り扱いというものは一応一つの限界というものがあり、それでなおかつ地域を拡大するとか、あるいはそれぞれ健康診断の結果によって特別被爆者になる、こういうことで逐次特別被爆者の処遇を改善していきたいというのが一つの法に基づく基本的な考え方でございます。この点は御了承いただきたいと思います。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 この一般被爆者と特別被爆者との差別は根本的に放射能を受けた程度によって区別されていると、こういうわけですね、そういう考えは私は当然だと思います。ということは、本人の健康状態に認定基準を置くべきだと、そういうふうに考えますと、この区別の基準が二キロ以内とかそれから入市者に日数の差をつけております。特別被爆者の三日以内それから一般の方は二週間以内と、それでは四日の人はどうなんだ、また地域はここである、その地域がほんとうにその原爆の放射能を受けた、その程度に比例しているかどうかというと、これは一般的には言えるけれども、そこにいた人の健康状態とか、また受け方によって差が出てくると思うのですね。こういうような外的基準といいますか、本人の健康状態を認定基準にしているとは言うけれども、それではどれだけ放射能を受けているかということは一人一人検査しなければわからないのですから、結局そういう外的基準でもって合理的に、科学的にやってはいると思うのですね。けれども私はそういう基準も非常に机上論であり、概念的であり、具体性がないと、それも三十三万人しかいないわけですよね。三十三万人という数は多いといえば多いけれども、少ないかといえば少ないわけではないですか、それをほんとうに掌握しようという気持ちで見るならば、それを私は、こういうような基準でもって区別しているということは適切ではないと思うのですね。ですから要望の中にも地域、区域というものの範囲をもっと広げてくださいということを言っているわけですよ。この地域の範囲を広げれば一般被爆者がさらに減るわけでしょう。そんなけちけちというか、たった五万人を、そんなに要望しなければできない。何だかややこしい規則をいかめしくつくって、そして、少しずつ入れていくなんて、そういうことではなくて、一般被爆者だって放射能の影響を受けていることは事実じゃないですか。受けているんでございますので、それを一般だ、特別だといって何で分けなければならぬのか。私は、全部これは平等の立場に置いて、そして、原爆被爆者というものをもっともっとあたたかく、そしてもっと手の行き届いた扱いをしていかなければいけないじゃないか。分けること自体に、もう私は問題があると思うのですね。これも途中で特別措置法というものをつくったために一般被爆者というのができちゃったんでしょう、そうじゃないですか。そのときに、一般だ、特別だなんてつくらないで、全部ワクの中に入れてもいいじゃないかと思うのですが、どうでしょう。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) いまの先生の最後の、特別被爆者は特別措置法ができたときにできたというのは、その前に、医療に関する法律というのが先にできまして、そのときから二キロ以内とかいろいろやはり放射能の影響と健康問題というのがこの医療に関する法律の基本になり、その上にさらに社会保障を強化すべきだというので特別措置法ができた。その経緯は以上でございますが、基本的には先生のおっしゃる意味は私もよくわかりますけれども、やはりその三日というのはちゃんと科学的な根拠がございまして、放射能のカーブが下がって三日というところでほとんど消えた、〇・一ラドという放射線量に落ちているという根拠がございます。むしろ私は二週間というのがどうやってきまったんだというふうに、私は自分ではそう思うのですけれども、これもやはり根拠があるようでございまして、そういうことで一応先生のおっしゃる外的基準というものはこれはどうもやむを得ないというふうに私は理解をいたします。その上、先生も御理解いただいているように、健康状態に影響がくれば特別被爆者のほうに抱き込むのですから、私は、そこでいまの基本的な放射能の影響による患者の、被爆者の対策というものは、やはり何かそこのところに心情的には全部をやっていいんじゃないかという気持ちはわからぬことはございませんが、やはり基本的には放射能の影響というものをとらえて、しかし影響がある者にはもっと手厚くやりたい。こういうことで、どうしてもすぐ全部を解消するほうがいいというよりは特別被爆者をより早くしていきたい、こういうふうな考え方でございます。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 先ほど申し落としましたが、総理が昨年原爆記念日に行かれて、そしてその結果という中に、私は特別措置法でございますと申しましたが、そのほかに、政令で、いまおっしゃいました地域を広めるという点、これは二キロ以内というふうなのをその地域のとり方で谷間があったり、いろんな関係で、この地域まで広めるのが当然であるというような声もあり、それにこたえるように地域は広めるようにいたしました。なお、先ほども申しましたように、私も手続をすれば一般被爆者なんです。しかし、まだ原爆障害には、原爆病というものにはなっていないらしいので、いわゆる特別な扱いをしてもらおうといま思っておらないんですけれども、まあ、一般被爆者と、特別被爆者とするのは、事実上の違いはあってもしようがないんじゃないかと、かように思います。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 次に、特別手当の問題についてお聞きいたしたいと思います。この特別手当の問題については、昨年、原爆認定患者の申請を原爆医療審議会から却下された。この却下された被爆者が異議を申し立てた。ところがこの異議が通って原爆症患者に認定されたと、こういう事実があります。これは厚生省も御存じと思うのですが、この問題を取り上げて原爆症患者に認定するその認定基準がない。それから書面だけの審査だと……。それから、却下されても何の理由も言い渡されないで、ただ紙っペらで却下されたと、こういうことが問題になっております。そして結論的には、非常にこの審議会の審議というのは秘密主義だ、不明朗である。人間を最も尊重しなければならない、また福祉重点の立場から考えなきゃならないこの審議会がこのようだということは全く逆行ではないか、こういう批判を受けているわけです。これが事実であるならば、私は全くそのとおりだと思うのですが、この点いかがでしょうか。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 先生のおっしゃる例が具体的な例示でございませんが、私なりに東京都内に相当そういうケースがございましたのだと思いますけれども、この場合は確かに書面の審査でございまして、専門家が患者を一々見るわけではございません。ドクターの診断書なり意見書なりに基づいて書きます。それと、十一の疾病ということが大体の原爆の影響を受けた原爆症の起こり得る疾病として標準的に考えておりますけれども、もちろん、それ以外の疾病も申請して悪いというわけじゃございません。一般的に、この放射能の影響の学問というものが長い間、世界的に築かれてきた問題としての根拠に基づいて、大多数の原爆の被爆者の方々がやはりそのような病気に一般の地域の人よりも多くなると、こういう事実に基づいて、大体十一の疾病というものの考え方がきまっておるわけでございます。しかしながら、新しい、たとえば先ほどちょっと触れましたように、胃ガンがいま問題になっております。それから唾液腺のガンが最近特に原爆に関連がありそうだということになって、こういうことが学問的に確立されれば、その認定の範囲は広げていきたい。先生の御指摘の書面審査でやる、それから却下の場合の理由が明確でない。この点は、もう私も実は、この仕事の責任者になりましたときに、痛切に感じまして、自来この却下についての明確な御意見を審議会等では確認をして事務的に処理するようにいたしております。したがって、そういう意味の不明朗さを払拭するよう努力いたしておりますし、先ほどお答えの中に申し上げましたように、認定の基準につきましても、やはり否定することができないというようなものは認定するような方向に持っていくという態度をきちんといたしまして、確かに長年事務的な処理やら、あるいはケースによっては医学的な医師の判断が原爆症と実態と合っていない場合がございまして、こういうのは異議申し立てがあって、それが現実にまた見直していただいた場合、これが該当するということで審査委員会の認定になったわけでございます。そういう点、先生、おっしゃるように、書面と実際の患者の健康状態との間のギャップというものは、できるだけ少なくするように努力いたしますけれども、やはり若干、そういう面は否定できない点がございますけれども、ただ、四千人という認定患者は、やはり原爆の影響を強く受けておるということでは、かなり当時の被爆したときの距離というものがあまり離れたところにあるということでは、まことに影響が少ないということが基本的にわかりますので、やはり距離が近いという条件が根本になりながら認定されますので、数なり、認定には限界がある。しかし、おっしゃるような点はできるだけ除いていきたい、こういうことでございます。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 確認の意味でお聞きしたいんですが、この認定の場合に、疑わしいものも認定して取り上げるんだと、こういうふうに承知してよろしゅうございますか。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 疑わしいという表現では必ずしも妥当でございませんで、考え方を読み上げますと、「申請にかかる傷病は、原子爆弾の放射能に起因する可能性を否定することはではない。申請にかかる傷病は、原子爆弾の爆風または熱線に起因し、かつ治癒能力が放射能の影響を受けている可能性を否定することはできない。」これが新たに加わった考え方でございます。一般的に平ったくいえば、疑わしいというものも十分検討してやりたいと、こういうことでございます。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 もう一つ、却下の問題ですが、これも確認の意味で原爆に起因しないことが明らかに証明できたもの、これを却下するんだ、こういうふうに考えてよろしゅうございますね。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) おっしゃるとおりでございます。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 もう少しお聞きしたいんですが、申請書類の書き方がいろいろだと、その書き方で認定されたり却下されたりするということがちょっと問題になっておりますが、その点どうでしょうか。書き方によってきまっちゃう……。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 書き方という表現を私が認めるのは妥当でないと思いますけれども、確かに内容そのものが必ずしも検査なり、その医師のつかみどころ、ねらいどころが的確でないために、それでやはり本人の実態があらわれていないというケースがございます。ですから、そのことは書いた、表現されたことの書面審査でございますから、審査委員としては、まあ、書き方によるというよりも、書く内容なり、あるいはその素材のねらいが必ずしも十分でない場合には、やはり議論される場合がある、こういうふうに御理解いただきたいと思います。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 もう一つ、この書類をちょっともらってきたんですが、この中で意見書というのがございますね、これがきめ手になるんだと、こういうふうに言っているんですね。その点、いかがでしょう。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 意見書は、確かに一つの、医師が放射能の影響ありとみなすその根拠を意見としてあらわしておるのでございますから、重要ではございますが、意見と実際の被爆者が置かれた当時の距離なり、条件というものがまことにもっともだというのでなくて、内容はもっともでなくて意見だけはいかにも必要であるようになっておるというようでは、これは総体的に判断して認定されないケースが出てくるのでござまして、やはり意見は重要ではございますが、総体として、調和のとれた内容の充実した真実なものが認定されるということで、そこに作意があるということは、原爆の被爆をした距離、居住の条件等を踏まえますと、やはり書類としては書面審査であっても、そう大きな誤謬は私はないというふうに考えております。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 時間がなくなりましたので、特別手当をもうちょっとお聞きをしたいのですが、また何かの機会にお聞きをしたいと思います。  それで、次に健康管理手当のことについてどうしてもお聞きしたい点がございますので、お尋ねします。  先ほど健康管理手当の性格あるいは特別手当の性格について議論がございましたが、これを結論すれば、疾病の種類で区別される、性格は同じものだと、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 特別手当の関連しますのは認定患者、いわゆる原爆症の患者でございまして、これは厚生大臣の認めるところでございますが、健康管理のほうは都道府県知事が認めることになっております、制度上の違いとしては。  それから、さっきちょっと触れましたように、具体的な病気のある場合と、一般的なからだの障害という表現で、健康管理のほうはいわゆるそれ以上悪くしないように、健康管理するという概念が導入さておりますので、その辺に違いがあるというふうに御理解いただきたいと思います。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 この健康管理手当の対象者について調べてみますと、まず、所得制限がある、それから疾病の種類に条件がついておる、そして、その上に老人であり、または心身障害者であるか、母子世帯であるか、こういうきびしい条件でしぼりにしぼっているわけですね。こう考えますと、これは健康管理手当じゃなくて、特殊な者を対象とした手当である。ほんとうの被爆者の方々への健康管理手当ではない、こういうふうに思うわけでございますが、そして、これを全被爆者を対象としたものにすべきだ、こういう意見をつけ加えて、どのようなお考えであるか、お尋ねいたします。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 健康管理手当は原爆被爆者独自の手当でございますし、原爆症のような重い患者の特別手当と違いまして、今後一そうこれ以上悪くしないように健康上配慮していただくために、そういう健康上の配慮をしにくい老人、障害者、母子家庭という条件になっておる、しかもその上八つの疾病を持っておる。こういう、先生おっしゃるとおりの条件に所得制限が加わるということで、この点については原爆被爆者の社会保障的な手当を推進していく上に私は、健康管理手当というものは非常に対象者も多いし、現地の皆さん方の関心も強い問題でございますし、したがって、二年続けて五歳を下げてまいりました。今後ともこの健康管理手当を焦点にして私はやはり原爆独自の健康問題の対策は進めていきたいというふうに考えておりますが、飛躍的なやはり改善はなかなか困難でございますけれども、できるだけこの三つの点について緩和をはかり、その目的を達するように努力いたしたい、こういうふうに思っております。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 特に、老人、それから身障者、母子世帯というふうにワクをきめたのはどういうわけですか。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) いま抽象的なことばで触れましたが、一般的には、まあ老人や身障者、母子家庭の人は、平たくいえば自分のからだのことを心配している余裕もない、あるいは心配するように配慮が十分できない。このような人にはやはり手当を出すことによってまわりから配慮をしてあげるようにしたい。また、自分でもそれができるようにしたいという趣旨で、まことに先生おっしゃるように健康管理手当という名には——かねては、もっと一般的な取り扱いにすべきじゃないかという御趣旨はわかりますけれども、そういう趣旨で、当時限定された範囲でまず支給を始めたというのがこの健康管理手当でございます。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 それでは、そういうワクをかけるということは健康管理手当の条件とし七は適切じゃないと、こういうことですね。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 健康管理手当の名前と、その実態とが必ずしもふさわしくないという意味も含めましたけれども、やはりこの問題を考えたときのスタートとしては私はやむを得なかったと思います。ただ、いつまでもその範囲にとどまるべきじゃなくて、やはり原爆症患者の健康状態を考えると、八つの障害というものも条件になっておりますので、できるだけ緩和していきたい、こういうことでございます。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 先ほど管理手当の問題について御答弁がございましたが、そのときに全部を対象にするというその趣旨はわかる。けれども、比較論の上から、母子、それから身障の改善を考慮しながら、年齢の引き上げを考慮しなければならないと、こういう御答弁でしたね。私、そんな考え方じゃ、このワクを広げるということは非常に消極的だと思うんですね。身体障害者というのはもうきまっていますね。ふえっこないわけです。それから母子家庭だって、これは子供が大きくなればその資格はなくなっていく。ふえるという見込みはないわけです。そういうふうにふえない、そうした数を年齢の数に比べながらやっていくというんですか、私はそれは非常におかしいと思うんですね。それで、母子家庭のワク、身体障害者のワク、これはやむを得ないとしても、年齢のワクというものはどんどん広げていくことがいいことがと思います。そして、またそれが一番公平であり、合理的だと思うんですね。年齢がこうやって、もう戦後二十七年たっておるんですから、あの当時の青年がいまちょうど五十五歳に引き上げたそこに当たるわけですね。ですから、年齢を広げていくというのを、母子世帯とか身体障害者を条件にしている。それと何も比較しながらやっていく必要はないと思うんです。  それからもう一つ、趣旨のところに、老齢者の範囲で六十歳から五十五歳にとございますね。あそこがとても気になるんですね。老齢者の範囲でやるんだ。それじゃ老齢者の範囲以外はやらないのか。この辺までやりましたよ、老齢者の範囲ですよと、まあ、五十五歳というのがはたして老齢者の範囲かといえばちょっとおかしいと思うんですね。厚生省は何歳を老齢者にしていらっしゃるか御存じだと思うんですけれども、そうすると、老齢者の範囲というのはこれ以上はあまりやらないよというような心配があるわけですね、あのことばをとりますと。そうじゃなくて、年齢をどんどん広げていく、そして、三十三万人の中のこの手当を受けている人がたった六万人でしょう。おまけに健康管理手当が四万人ちょっとじゃないですか。今度五歳引き下げたといったって、たった八千人。そういう点で私はもっと全部ワクをはずすべきだ。しかしそれが一んぺにはできないならば、その年齢の引き下げをもっともっとやっていただきたい。その点いかがでしょう。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 母子と障害の場合には、確かに所得制限が一番やはり問題になるわけで、先生おっしゃるように数は限定されております。老齢の五十五歳という問題は、六十五歳が老人福祉法の考え方、それでスタートしまして、昨年六十歳にこの問題を引き下げまして、今度引き続き五十五歳に引き下げました。先ほど御説明の中で申しましたように、五十五歳は、共済組合等の年金の開始年齢でもあり、これらが一応標準的には考えられる。しかし、加齢現象がありますので、将来なるべくすみやかにこの年齢引き下げについては考慮していきたいというふうにお答えしたわけでございます。したがいまして、老齢というようなことはスタートのときにそういう考え方が、要するに、障害だとか母子だとかいう社会的ハンディキャップの条件とほぼ匹敵する老齢というような意味で引き合いに出したのでございまして、決してこれにこだわってこちらを動かさない、引き下げないということを私は考え方に持っているわけでございません。やはりスタートにそういうハンディキャップということで、社会的なハンディキャップの比較論で当時六十五歳でスタートいたしておりますから、そういうふうに御理解いただきまして、この問題は決して年齢の引き下げにはこだわっていないということを申し上げておきたいと思います。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 老齢者ということなんですね。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) はい。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 それで、特別被爆者の中の六十歳以上の方が何人いるか、そして、その管理手当を受けている方が何名か、ちょっとお聞きいたします。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 六十歳以上となりますと、特別被爆者が九万三百人で、そのうち、健康管理手当受給者が四十七年度の予算から考えますと、三万三千人ということになります。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 ちょっと、もう一回言ってください。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 六十歳以上の特別被爆者の四十五年度末の数字が九万三百人でございます。健康管理手当受給見込み者が四十七年度、年度の違いがちょっとございますが、四十七年度の今度の予算の見込みでは三万三千、九万三百と三万三千でございます。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 非常に少ないわけですね。  それで、ここに手紙がきているんですが、神戸の場合なんかは、兵庫県ですね、三百二名のうちたった七十一名というところもあるわけです。これは主として、所得制限ではないか、こういうふうに思うんです。本人が無収入でも支給されない者がおります。この点は検討されてもいいんじゃないかと思いますが、いかがでしょう。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 本人の無収入の場合ということでございますが、一応こういう扶養という問題とからみますので、所得制限のところで御説明したように、年金などでは両方が独立してそれぞれが考えられますが、原爆の場合は扶養者の所得と本人との場合を一本にして考えて数字をきめてございます。そういう意味でまあ、扶養者がある場合にもオーバーしても出すかということは、ちょっとやはり問題ではございますけれども、原爆被爆者の特殊な状態、非常に数字は少ないし、特殊な状態の人でございますから、一応は検討したいと思いますが、一つの理由としては扶養義務者というのがあるのが実態でございます。全く孤独な方というので、そういう条件のものということになりますと、それはちょっとおかしな、あと、老人ホームその他の問題にもつながりますし、具体的なケースとしては一般的に扶養義務者があるように思いますので、そういう点について福祉部会等で具体的な例等がございますれば、検討したいと思います。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 最後に、まとめて簡単にお聞きしますが、簡単にお答えいただきたいと思うのでございます。  一つは、この健康管理手当の障害の種類を拡大してはどうかと、これは原爆病院で行なった調査では変形性関節炎、脊髄症とか、あるいは骨のカルシウムが少なくなって骨の痛みがある、こういうものが調査の上で出ているわけです。こういうものを障害の中に入れてはどうかというのが一点。  それから、健康管理手当の手続ですが、病名によって一年と三年ときめられておりますが、これは再申請しないと引き続きもらえないと、この期限の撤廃はできないものか、またできないとすれば簡単にこれをやっていくような方法が考えられていいんじゃないか。  それからもう一つは、この健康管理手当の診断書がここにございますが、とってもこれはこまかいんですね。それで、これを医者に書いてもらう、この診断書の欄の中に、放射能の影響によるものであることが明らかであるとか、影響によるものでないことが明らかであるとか、否というような専門的な判断をするところがあるんですね。医者は自分が放射能学専門ではないから自分は診断書は書けない、こう言って突っぱねられるという声が強いわけです。これは厚生省として指導方針を持っていらっしゃるかどうか、この三つでございます。以上で……。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 骨の変形等の問題が出てまいっておることの御意見がございますようでありますので、また、医療審議会には現地の病院長等も来ておりますから十分御検討願うことにいたしたいと思います。  それから第二点の一年、三年の問題につきましては、一応これは三年というのは循環器障害、消化器障害等、これは一たん病気になれば簡単にわからないから三年で経過を見よう、そのほかの病気は一年くらいで経過を見て健康の状態を観察する必要があるということですから、手続のほうをむしろ検討いたしたい。  それから最後の御要望の診断書の中身の点については、実は先生の御指摘があるということでいろいろ検討いたしました結果、場合によってはこれは削除することも検討いたしたい、こういうふうに考えております。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 以上で終わります。

中村英男日本社会党

○委員長(中村英男君) 他に御発言もなければ、本案に対する本日の審査はこの程度にいたします。     —————————————

中村英男日本社会党

○委員長(中村英男君) 社会保障制度等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。

小平芳平公明党

○小平芳平君 私は、四十七年度予算が成立した段階で、なるべく早い機会に難病対策について政府の見解をただしたいと、このように考えておりました。  で、きょうたいへん時間が切迫しておりますが、わずかの時間でありますので、ひとつ厚生省当局並びに厚生大臣の率直な——簡単でけっこうですから、率直な御意見を承りたいと思います。  まず、この五億三千万というこの対策費が予算で成立をいたしたわけですが、具体的に厚生省はどのように出発をしようとしておられるか、その点についてお尋ねをいたします。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 五億三千九百万の予算でございますが、特定疾患対策室をまず設置するということでございまして、この点につきましては暫定予算等との関係で五月から具体的に担当者を人事上もきめまして、責任者を設けまして、部屋を設け、電話等も引きまして新設いたしたわけでございます。  それで次に、懇談会の設置でございますが、ただいま各界の権威の方に御相談して、大体十二名程度の内諾を得ましたので、今月中に懇談会の第一回を開催して研究費の配分、あるいは実態調査等の考え方について意見を承りたいというふうに思っております。特定疾患の調査研究費等二億二千万、特定疾患治療研究費三億一千万、これの実際的な使い方については以上のような懇談会等の御意見を拝聴して、できるだけすみやかに具体化してまいりたい、こういうふうな手続中でございます。

小平芳平公明党

○小平芳平君 要するに、この五億三千万円の政府原案のきまった段階で、特定疾患研究費補助として特定疾患は前年同様にスモンを対象にするということを明らかにされていたんですね。そのほか局長はどのような病気を対象にするというふうに考えておられますか。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) スモンにつきましては春の衛生部長会等でも指示してございますので、途中で欠けることなく対策が続くようにいたしております。  それからいまお尋ねの、その他の病気については最終的には懇談会の御意見で決定的にしたいと思いますが、少なくとも私のほうで検討していただき、なおかつ行政上も必要と認めておりますのはべーチェット病、それから重症筋無力症、それから膠原病の一部、特に狭義の膠原病として全身エリテマドーデス、硬化症等を考えております。  それからサルコイドージスについても研究がかなり日本でも進んでまいっておりますし、もう少し充実することによってかなりの見当がつきますので、サルコイドージスを当面研究の対象にいたしたい。  それから事前に予算要求、当時いろいろ御意見を聞いた中で現在問題になっております肝臓関係の病気、特に肝炎、激症肝炎、もう一週間足らずで死亡するというような肝炎の問題こういう肝臓系統の病気に対する研究がぜひ必要であるという見解が出ておりますので、この問題も当然御検討願いたいと思っております。  そのほか血液性疾患として再生不良性貧血、非常にたちの悪い血液性疾患等についても研究の象に御検討願う所存であります。  以上。

小平芳平公明党

○小平芳平君 そうしますと、いまあげられるところのべーチェット、それから筋無力症、それから膠原病、これらの病気はおもにどのような症状で、そして全国にどのくらいの患者がいると考えておられますか。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) スモンについては九千という数字は出ておりますが、べーチェットについては依然として四十六年度の研究費でお願いしてはございますが、最終結論は出ておりませんで、大体二万人というような従来の考え方でおります。それから筋無力症につきましても六千人というような考え方がございますけれども、これは文献等によって、いろいろ学者の御意見により考え方に若干の違いがございますが、一応そういうような見解が出ております。膠原病については各種の膠原病がございますので、数字については必ずしも適切につかんでおりません。サルコイドージスについては二千というような数字をつかんでおります。

小平芳平公明党

○小平芳平君 前回も私、当委員会でお尋ねをした点なんですが、問題を提起した点なんですが、いまのべーチェット、筋無力症、膠原病、いずれもいままでは問題にされてなかった。政治の上で問題にされていなかった。したがって厚生省においては人数すらわからない、実態すらわかっていない、そういう結果なんです。で、おも立った方が友の会をつくり、そして、機関誌を発行して世の中に訴えている。こうした機関誌を発行して逐次世間に訴えている間に問い合わせが来る、連絡が来る、ところがその電話を受ける人すらいないわけです。しかし実際には電話を受ける人すらいないにもかかわらず、問い合わせを出すほうでは、もう保健所、福祉事務所、厚生省、病院、全部それを一本にしたような内容の問い合わせが来るわけです。いまこんな症状だ、病院を紹介してくれと、夜といわず昼といわずそういう照会が来る。それに対してこの友の会の事務局にいる、——事務局にいるといっても専任の職員がいるわけではない、同じ患者さんが自分の家の電話を使って、そうした問い合わせに対して答える、したがって、何万円という電話料がかさんでいく、そういう点について私としては、国のやるべきことをあるいは県や市のやるべきことを患者さんがかわりにやっている状態ではないかと、そこに何らかの方法がないのかということを問題提起したわけです。それについて厚生省では、社団法人という会を結成するなり、そういうような指導をするとか、あるいは新しい今度はお年寄りの、一人暮しの老人家庭には福祉電話というものが設置されて喜ばれているということが報道されておりますが、これらの方々には、こうした福祉電話を活用できるかどうか。あるいは社団法人といいましても、全国的な規模のものは厚生省へ出すものなのか、その点はいかがですか。二点について。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 社団法人については実際の例としては、筋ジストロフィーの協会等があるというふうに承っておりまして、民間のいろいろ資金の導入等も行なわれているようでございます。そのほかリューマチ協会というようなものもございます。ただ、二県以上にまたがる場合にはやはり厚生省の認可を必要としますが、都道府県内単独の場合は都道府県の認可でよろしかろうというふうに思われます。一般的には友の会が全国的な組織でございますので、やはり厚生省のほうでお世話するケースが多いのではなかろうか、現実には、難病救済会というような考え方で財団法人の設立について具体的にいろいろ検討されているような事例も承っております。これは特定のジストロフィーとかべーチェットというのではなくて、内容はよくわかりませんが、難病救済会というような具体的な表現で行なわれておりますので、かなり広範な難病対策の団体がこれに参加される可能性があるのかどうか、この辺のところはその立案者なり責任者のほうの御見解なり考え方に待つところがあるというふうに考えております。  それから福祉電話の問題でございますが、これは二つの場合が考えられますが、先生の御質問の、こういう団体等に援助するためということであるならば、なかなかむずかしい問題だと思いますが、患者さんが自宅で、特殊な状態の患者さんの場合というケースなのか、いわゆる重症の心身障害者に福祉電話というものを考えろという考え方なのか、あるいは団体のそういう事業に援助する形を予算上とれないかという御見解かと思いますが、事業に援助する形は、国費を支出することは法人格をとっていただかないと具体的にはむずかしい問題ではなかろうかとこういうふうに考えております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 法人格をとる場合、局長いま指摘されるように全国組織ですから、したがって厚生省の難病対策室でいろいろなそういうことを指示してくれますね。  それから福祉電話は個人の場合です。  そこで、各都道府県では同じ体制をとられるのかどうか。厚生省のほうで新しいこの特定疾患としてべーチェット、筋無力症、膠原病というふうに特殊疾患として取り上げた場合は、この実際の患者さんが各都道府県の窓口へ行く場合ですね、すでに厚生省の、国の一本の方針で各都道府県に流れるものかどうか、よろしいですかその点は。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) この点につきましては、スモンの例がございますので、方針をきめて通知が出され、県がこれに対応するのに若干時間を要すると思いますが、基本的には県は対応してくれる姿勢を持っておりまして、春の衛生部長会議に指示し、また、近く開催される部長会議に、私から特に、この特定疾患について要綱を設けて要望することにし、なお具体的に内容を説明したいと考えております。現在すでにべーチェットに対しても五つの都道府県が当初予算で組んでおりますが、こちらの態度を待ちまして対応してくれるものと思います。特定疾患対策という表現で組んでいるところが二十一都道府県ございますので、一応われわれの示す方向で御協力いただける、こういうふうに考えております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 先ほどの質問の一つは、法人組織をする指示、指導、これが一点です。  それからもう一つは、各都道府県で特定疾患という抽象的な表現だと、膠原病とかべーチェット病の人が行っても受付けてくれないわけです。したがって、具体的に病名をあげて局長から、厚生省から指示がいかなくてはならないと思うのですがいかがですか。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 法人化の問題につきましては、県内活動だけの法人化でございますれば都道府県知事のことでございますが、総体的に、衛生部長会議等でそういう点が御意見としてあり、なお各団体がそういう動きを持っていただければ、各都道府県の衛生部長が理解してもらえるような内容については、私のほうから今回の衛生部長会議に説明しておきたいと考えております。特定疾患としては、確かに対策室は特定でございますが、こちらで取り扱う患者はべーチェット、筋無力というふうに明確に示しますので、この点については都道府県が単独に、なおそのほかの病気に手を広げれば別として、厚生省へ示すときには今年度はこれと、これの、この病気を治療対象にし、なおかつ調査研究の面ではこういうふうにするという正式の通知がまいりますので、内容は特定疾患対策室でも、具体的にはその県が予算化する、具体的な内容は患者数の把握その他と、全部具体的な病名に基づいた把握になる、こういうふりに御理解いただきたいと思います。

小平芳平公明党

○小平芳平君 したがいまして、先ほどあげられた四つの病気のほかに、検討が二つですね。そういう病名をあげていただけばよろしいです。それから次に身体障害者手帳、この身体障害者手帳の交付を受けられるかどうか。これらの病気の特殊性から身体障害者手帳の申請に行くのがたいへんなんです。申請に行くのが。膠原病とか、筋無力症というような難病ですね、この難病の方が身体障害者手帳の交付を受けようということで家を出るのがたいへんなんです。したがって、薬で押えて出るわけです。ところが、薬で押えて出るので、今度は向こうへ着いたときにはからだがびんとしているから認定されないのです。じゃ薬で押えないで、薬が切れたままでは外へ出られないのです。こうした状況にあることを御存じですか。これらの方がどうやったら身体障害者手帳の交付を受けられますか。

加藤威二厚生省社会局長

○政府委員(加藤威二君) 筋無力症の方に対して、まず、身体障害者の手帳が交付できるかどうかという問題が前提としてあると思うのでございます。筋無力症の方も、いま先生御指摘のように、何か薬を飲む、あるいは注射を打つということによって、その当座は身体障害でなくなり、大体正常者と変わらない程度のからだになるという状態、こういう状態がずっと続くという症状があるようでございますが、その身体障害者福祉法との関係でございますが、その点非常にデリケートな問題があると思います。一応私どもといたしましては、やはりこの筋無力症も非常に重症で、そういった薬なり、何なり、注射をしても、やはりある程度身体障害として残る。全く正常な、健常人と変わらないということじゃなくて、やはりある程度身体障害という形で残るということであれば、これは身体障害者福祉法にいう身体障害者ということに該当すると思いますし、当然手帳の交付もできると思います。ただ、それが注射なり、飲み薬によって健常者と変わらないぐらいの、身体障害が薬なり何なりを飲むことによりまして、一時的にそれがなくなる。そういう状態の継続という場合、はたして現在の身体障害者福祉法にいう身体障害者のカテゴリーの中に入れられるものかどうかという点は、現在の法律の解釈といたしましては問題があろうと思います。したがって、これはケース・バイ・ケースによってお医者さんの判定を伺った上で身体障害者のカテゴリーに入るかどうかということをきめていかなければならないというぐあいに考えております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 局長はお会いになったことはないでしょう、そういう患者の方に。ですからそんなことを言っているけれども、薬で押えるたって副作用があるわけですよ。ですから、まるで筋肉に力がなくなるんですよ。それが十年、二十年続いているわけです。ですから、そういう点、まあ、ケース・バイ・ケースになるかもしれませんけれども、もう少し実態を厚生省として把握しないと、こうしたことに対する答弁にはならないです。それから、この身体障害者に認定されていれば、障害年金の手続が簡単にできますか、これはいかがですか。

北川力夫厚生省年金局長

○政府委員(北川力夫君) 私どもの知っております範囲では身体障害者の手帳が交付されますのは身障法上の一定の等級に該当いたした者に対してされるはずでございます。障害年金の支給のほうは、これは年金法に定められました、先生、御承知の等級表に該当する場合に支給されるわけでございまして、手帳を交付されたからといって、直ちに障害年金が交付されるものではない。障害年金の支給は、やはり年金法上の障害等級に該当した者について支給される、こういう仕組みになっております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 ということは法律のたてまえが違うのだから、手帳交付のときも社会局長の言うような医師の診断が要るし、年金の場合もまるきり新しい診断をやり直せということですか。

北川力夫厚生省年金局長

○政府委員(北川力夫君) 私がいま申し上げましたのは、障害者手帳の交付について、交付された者は直ちに年金の支給はあり得るかというお尋ねでございましたので、一応、その問題は、年金問題としては別の問題であるということを申し上げたわけでございまして、大体、先生のおっしゃるとおりでございます。

小平芳平公明党

○小平芳平君 おっしゃるとおりということは、ぼくの言うことは、そんな身体障害者の人が手帳交付で診断を受け、また年金で診断を受け、わざわざ二回行かなくてもいいんじゃないですかと言っている。同じ厚生省のやっていることが二回医者の診断を必要とするのはおかしいじゃないですかと言っているのです。

北川力夫厚生省年金局長

○政府委員(北川力夫君) たとえば、国民年金法と、それから身障法との場合で申し上げますと、障害の場合にも視力あるいは聴力あるいは言語とか、そしゃく能力あるいは肢体不自由の度合いがあるわけでございます。そういう中で、等級が国民年金法の場合と身体障害者福祉法の場合とで合致をいたしております場合には、手帳をもらいますと、それが国民年金法による障害年金が出るというふうな要件に該当する場合があるはずでございます。ただ、先生おっしゃいましたような等級表にいま申し上げました視力、聴力等によって相当差異がございますので、そういう場合には、それぞれの法律によって判断をする、こういうことになろうかと思います。  なおまた、本来の趣旨から申しますと、国民年金のほうは、あるいは厚生年金のほうは生活能力の低下喪失あるいはまた労働能力の低下喪失というふうなことについての一つの欠損を補てんするという意味でございまして、そういった意味から申しますと、身体障害者福祉法の場合とは若干法律の趣旨も異なっておりますので、そういった点を勘案いたしますと、結果的には等級表も違っており、また支給される場合ももあるし、支給されない場合もある、こういうことになっているのが現状でございます。

小平芳平公明党

○小平芳平君 じゃ次に、国民年金の場合はそうですが、厚生年金もそうですが、年金加入後に発病すれば障害年金が受けられますね。年金加入前の発病だということになれば国民年金の支給が受けられませんね、そうですが。じゃ、国民皆保険じゃないわけですね。

北川力夫厚生省年金局長

○政府委員(北川力夫君) 年金制度におきましては、やはり原則といたしまして、加入いたしましてからの期間中に発生した傷病について給付を行なうというのがたてまえでございます。したがいまして、これも先生御承知かと存じますけれども、年金の場合で、この加入前に支給されますのは、いわゆる二十歳未満の、国民年金に加入する前に発病をいたしました障害について障害福祉年金が支給をされる、こういうケースがあるわけでございます。このケース以外は当初申し上げるような趣旨で年金制度に加入をしてない場合における傷病については支給をするたてまえをとっていない、こういうことでございます。

小平芳平公明党

○小平芳平君 障害福祉年金は以前からの発病でも受けられるということですね。その障害福祉年金は生活保護費から差し引かれますか。

加藤威二厚生省社会局長

○政府委員(加藤威二君) 結論を申し上げれば、実質的には差し引かないということでございます。形式的には年金が入りましたら差し引きますけれども、そのかわりその額と同額のものを障害加算ということで同じ額を加算するという形にしておりますので、実質的には差し引いていないということでございます。

小平芳平公明党

○小平芳平君 それは福祉年金だけですね。福祉年金だけであって、一般の障害年金は差し引かれるわけですか。

加藤威二厚生省社会局長

○政府委員(加藤威二君) まあ、その障害年金の額によりますけれども、それが相当の高額であるということであれば、その生活保護費との関連において差し引かれる場合があり得るということでございます。

小平芳平公明党

○小平芳平君 それは差し引くのはおかしいですね、障害のための年金を。それから今度は社会復帰を願っていらっしゃる方が社会復帰した場合につとめに出ると厚生年金の保険料を取られるわけです。差し引かれるわけです。ところが、じゃあ、つとめに行かれないからといって退職したら年金を受けられるか、給付を受けられるかというと、あなたは初めからその病気だからだめですと、こう言われるらしいんです。これはいかがですか。

北川力夫厚生省年金局長

○政府委員(北川力夫君) いま先生のおっしゃいました質問の御趣旨が明快に理解できなかったんですが、おそれ入りますが、お願いいたします。

小平芳平公明党

○小平芳平君 もう一ぺん言います。私が病気でうちにいた。そして膠原病とか、そういう原因不明で長い間病気していた。ところが、病状も固定してきたので働きに行くわけです。そうすると、そこで保険料は差し引かれるわけです、賃金から、当然でしょう。ところが、それほど長くつとめられもしなくて、そこを退職した、そうしたら障害年金を受けられるかといえば障害年金は受けられない。じゃあ、何のために保険料を払うのかということになる。

北川力夫厚生省年金局長

○政府委員(北川力夫君) ただいまお尋ねの趣旨はこういうことであろうと思います。つまり、厚生年金におきまして障害の年金のための廃疾認定を行ないますのは、御承知のように初診日から三年の範囲内で症状が固定すれば認定する。症状が固定しない場合は三年を経過した時点におきまして、障害等級表のどれに該当しているかということで認定をするわけでございます。その時点において、いま、たまたま先生おっしゃったように、障害のために会社を退職いたしておりまして、無職の場合には、そのままそこから障害年金の支給を受けるわけでございますけれども、ある一定期間支給を受けまして、障害の程度が回復をいたしまして、当該等級表に該当しない良好な状態になりますと受給権につきまして失権をするわけでございます。失権をいたしましたあと、いまおっしゃったように、再就職をいたしますと、やはり厚生年金保険の被保険者として保険料を納めるわけでございますが、その際に、ただいまおっしゃったように、ある一定期間経過後に当該傷病がまた悪化する状態がくる。その場合には現行の厚生年金保険法のたてまえにおきましては、すでに失権をいたしておりますので、これは再度悪化いたしましても障害年金は支給しない。こういうたてまえになっておるわけでございます。  いろいろ問題もあろうかと思いますけれども、現行のこういった仕組みができました当時は、少なくとも最低三年間という廃疾認定の期間を置きまして、その期間におきまして疾状が固定をすれば、その後大体において恒常的に症状というものは固定したままで継続する。こういうような前提がございまして、このような法制のたてまえがとられているわけでございます。  したがって、現在問題になっております難病、奇病等につきまして、いま先生御指摘のように、病状が非常に変動が激しいというふうな場合が今後一般化するというようなことになりますると、現在の法制というものをどういうふうに考えなければならぬかという問題はありますけれども、現在までのところ一応法制上も実態上も大体三年の期間をもって症状の固定、廃疾の認定ということを行なっておりますが、現在のところはそういう状態で、まず多くの問題はなかろうと思っているような次第でございます。

小平芳平公明党

○小平芳平君 大臣にちょっと一いま厚生省の局長が最初言われたような筋無力症、膠原病、ベーチェット病に対する認識がきわめてないわけです。したがって、現在の法律のたてまえは述べられますけれども、そうした病状に対する認識がないから答えようもないのです。大臣に最後にお尋ねして終わりが、もっと厚生省内で、結局、窓口は一局でしょうけれども、各局長が認識を持っていただきたいと思うのです。いまの年金も、働きにいけば月給から保険料を差し引かれるということで、しかも、健康保険の場合も同じことが言えるのです。健康保険の場合もなるべく本人にしないわけです。政管健保の被保険者を本人にしないで家族にしてしまう、初めから病気しているからといって……。そういうようなこと。それから医療費補助というものを今度の新しい予算で考えておられるわけですが、総体的に言って入院の重症者というものはきわめて少ないわけです。むしろ在宅です。第一、病院が引き受けてくれない。原因不明、治療方法不明、退院不明だから入れてくれないというようなことで、在宅の人が大多数いらっしゃる。にもかかわらず、入院で重症といわれれば在宅の人は全部落とされてしまうわけです。そういうような点からしても厚生大臣のほうから、より実態把握、患者の実情把握というものを強く推進していただきたい。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) おっしゃいますように、ベーチェットとか膠原病とか名前は聞いているけれども、しかし、実際どんな症状で、そうなったらどうなのかという患者自身を局長もあまり見ていないだろうと思います。いま、難病、奇病対策室を設けてそこでは大体把握をいたしましても、いまおっしゃいますように、あるいは保険、あるいは年金といろいろな点で問題になってまいりますから、ひとつ、これから、いま言ったような難病、奇病というものにも直接関係するところのものもあって、そして、実態をよく知っていることがまず先決だろうというふうに考えます。その上に立ちましていまおっしゃったような事柄を十分把握してまいりたい。ただ、おっしゃいました膠原病患者で、どこかに働きに出た、そこで採用された。そうして保険では家族扱いで本人扱いでない、これはそういうことはあり得ないと思うのです。そこで雇用しているんならそれは何かの間違いであると思いますが、そういう事実があればこれは間違った扱いでありますから訂正をさせるようにいたさなきゃならぬと、かように思います。

小平芳平公明党

○小平芳平君 局長、さっきいまの問題どうですか。入院、−重症といえばきわめて実態に合わないことになる。そのおそれがあるので、その辺は慎重に検討していただきたい。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○政府委員(滝沢正君) 筋無力症につきましては、特に外来に多いので、入院の少ないことも実態的にはわかって、承知いたしておりますが、治療研究費の対策についてはその点も十分配慮いたしまして、懇談会の意見をまとめ実施をはかりたい、こういうふうに考えております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 それじゃ、ちょっと時間が迫ってきましたけれども、私は前に、いまも同僚委員から質問をいたしておりましたが、私はきょう続けて、いま相当世間でもやかましく言われておりますいろいろ薬の害の問題について社会問題化されておりますので、一、二ちょっと伺ってみたいと思うのであります。  まず先に、この間からも議論されておりましたが、新薬を承認する基準というか、あるいは手続、審査機関、そういうものでいろいろ薬に対して審査し、それを承認する基準もきびしくつくってやっておるという状態は薬務局長のほうからお話しがありました。それも承知をいたしております。また、薬務局長は通達を出して、各府県知事なんかにも出していろいろその通達によって取り締りをしておられるやに聞いておるのですが、総体的に言って一体、新薬ができてきてこのように非常に有害だといわれているものが指摘されている間に、一体これで、いまの状態で、どういうふうな形で、これがほんとうに国民に安心を与えられるような方向でチェックしてやれるのか。あるいはまた、どういうふうな措置によって安全性を確保していくのか、基本的にそういう問題について伺ってみたいと思う。

武藤き一郎厚生省薬務局長

○政府委員(武藤埼一郎君) 新薬の承認につきましては四十二年以来、先生がいまお触れになりましたように、中央薬事審議会の調査会、特別部会、常任部会という三段階の厳重な審査をやっておりますし、内容的には十種類にのぼるいろんな動物実験だとか、あるいは臨床実験等の資料を厳重に検査しておりまして、大体平均的には一年半ぐらいの時間を要するような状態になっております。で、そういう新薬の厳重な審査によりまして承認を受けました薬もメーカにつきましては約三年間の副作用の報告義務を命じております。そのほか、一般的に出回っております医薬品につきましてはモニター制度というものを昨今から私どもはやっておりまして現在約二百の国立病院、大学病院から副作用の報告を受けております。  それから、対外的にはWHO等からもいろいろ調査をいたしまして、報告を受けて措置しているわけでございます。特に、本年度からはWHOの国際モニター制度というものに参加いたしておりまして、こういう正式の各国の、行政措置がとられる以前のいわゆる情報段階におきましても資料をとる。それから国内モニターにつきましては、現在の二百では足りないのでとりあえず第一段階では県立病院または市立病院等につきまして、本年度から約五十の病院をふやしたいということでいま手続を進めておる次第でございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 そういうふうなことでいままで聞いておりましていろいろと段階が持たれてかなり真剣にこの問題に取り組んでおられるようであります。これも私はよく了承しておりますけれども、実際として——実際問題としてそれが効果があらわれてなくて、逆にむしろ害がいろいろこのごろ出てくるという状態は一体薬務局長としてどういうふうに把握しておられるのか。——それをお伺いする前に、じゃあなたが、局長通達を前に各府県知事に出していらっしゃいましたね。その中身は一体どうなのか、それに対してどういうふうにチェックされて、その効果はどういうふうにあらわれてくるか、この点をひとつ聞かしていただきたい。それからいまおっしゃいましたように、いろいろこういう段階を設けてやっておるという検査をされ、そのまたあとからモニター制度で報告させると言っておりますけれども、それならばそれが実際薬の毒性とか、あるいはまたそういうふうなものが外国で発表されているのにこっちにまだ出てなかったり、いろいろなところで非常に薬に対し不安感を国民に与えているわけでありますね。これはもう少しこの段階で何かしない限り、いまのままではよくないと思うのでありますが、その段階についていろいろいまおっしゃいましたその手続の中で、一体どこにそういうふうなことが十分にあらわれない原因があるのか、あるいはまたどこを改良すればいいのかということについてもう少し積極的なこれからの考え方を聞かしていただきたい。それからまた中央薬事審議会が最も基盤でありまして、そこの中にいろいろ専門の部会もあって、いまのようにやられているわけでありますが、その部会の任務だとか会議の開催の状況だとか、あるいはどういうメンバーで、どういう専門部会においてどんなことをやられているか、こういうようなことがどうも明らかにされていないわけですね、私も勉強が足らないかもしれませんが。そういうことから考えますと、もっと明確に各専門の責任分野、どういう状態でどういうことをやったか、いままでにどうしたということをひとつ詳しく知りたいと思います。すぐにそれがむずかしければ、これは資料でいただいてもいいかと思いますが、かくかくしかじかであるとわかるようにしていただかなければ私は十分なことがつかめないように思います。特にメンバーなんかはどういう基準で専門部会の方を選んでいらっしゃるのか、その身分、待遇あるいはまた定数、こういうことなんかに対してもすべてを伺わないと、この問題をいろいろ議論する上においてはまずいと思いますから、ひとつそれを聞かしてください。

武藤き一郎厚生省薬務局長

○政府委員(武藤埼一郎君) 基本的に、最近製造承認につきまして厳重にやっている点は先ほどお話したとおりでございます。さらに本年度から新しい副作用等につきまして安全性の確保のためにとっている措置も申し上げたわけでございますが、そのほか先ほど副作用の報告義務を三年と申し上げましたけれども、従来は、昨年までは二年でございまして、それを一年間延長いたしましたのも昨年措置をとったわけでございます。承認の段階におきまして、四十二年から厳重にいまやっておりますけれども、やはりそのあとでやはり知られざる副作用あるいはすでに考えられておりました副作用の程度がたとえばひどくなるというようなことで、いろいろ改善措置を講じているわけでございます。具体的に例をあげますと、非常に時間をとりますので、いずれまた資料で差し上げますけれども、たとえば、添付文書にいろいろ記載する使用上の注意事項をモニター制度からとった問題につきまして改善をさせるというのが第一点でございます。  それから第二点は用法・用量等につきまして、あるいは効能、効果等につきましては再検定をしたということが学会のいろいろな報告とか、モニター制度を反映してそういう措置をとったものがある程度ございます。  それから第三のグループにつきましては、販売措置につきましては、いろいろ規制措置をとるということ、それから要指示制度にしますとか、あるいは劇薬に指定するとか、そういうふうな販売規制を厳重にやるということが一つでございます。それから昨年の暮れにも精神安定剤、ホルモン剤、あるいはぜんそく吸入剤等につきましてもいろいろ議論がございましたけれども、これは従来からの学会等の御意見も尊重しまして、要指示薬品にかなりのものをいたしたわけでございます。  第四の問題としましては、製造とかあるいは販売等の中止をしたものがいろいろございます。これは先生御承知のようにアンプル入りのかぜ薬の問題とか、あるいはシクラミン酸等の問題あるいはキノホルムなり女性ホルモン等いろいろそういうふうに段階を経て厳重にやっておるわけでございます。  薬事審議会の構成でございますが、これはかいつまんで申し上げますと約五十人の委員がございます。これの構成は大体医系の方が半分、薬学の方が半分ということでございます。そのほか臨時の方が約二百七十人ほどございまして、これは大半はほとんど医系の方でございます。それからこの審議会の中には十一の特別部会がございます。資料で詳細はあとで提出いたしますけれども、十一の特別部会がございます。その下に調査会が約三十一ございます。医薬品の新しい承認の問題に、つきまして御説明申し上げますと、医薬品特別部会という部会がございます。これが新薬につきましての特別部会でございます。その下に新薬品調査会というもののほか七つの調査会がございまして、それぞれ配合剤とか、あるいは放射性医薬品調査会とかあるいは歯科用の調査会というものがございまして、この調査会で、まず新薬につきましては厳重な調査をかれこれ大体一年ぐらいやると、ここで審査を経たものを医薬品特別部会なり常任部会にあげて審査を終了するということが新薬品につきましての承認の経過になっております。そういうふうに薬事審議会につきましては三十一の調査会、十一の特別常任部会ということで専門家による審査を厳重にやっておるわけでございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 これはちょっと非常にややこしいので、私いま申し上げたように、その薬務局長が通達を出されている通達の内容、それからいま申したような各機関の——たくさんありますから、その機関のいわゆる任務だとか、会議がどんなふうにして開催されていて、メンバーあるいはその専門部会の特徴と申しますか、内容的なもの、そして、そういう人たちは、どういうふうなメンバーでできておって、どういう待遇を受けてどういう定数のもとにこれが運営されているか、こういうふうなことをひとつ資料として出していただきたいと思います。  そして、次には一ぺん詳しくこの薬剤の問題について、私はひとつ質問をさしていただきたいと思います。  そこで私きょうちょっと申し上げたいのは、ごらんになったと思いますが、まだ出ていないか出ているかどうかわかりませんが、高橋晄正さんでしたか、「薬の危険な副作用」という一冊の本を出しておられますが、あるいはまたそのほかたくさん本が出ているわけです、薬についての。いろんなこういうものの中から私少し考えて拾ってみたんですが、これでは私はやっぱり国民全体は非常に薬に対する不安さが出てくるだろうと思います。そういう点でちょっと二、三きょうは質問さしていただきたいと思いますが、まず次に私があげたいと思うような薬は相当まあ副作用があると、時によっては患者を死に至らしめたこともあるというような形の薬でありますが、そういうものを拾いあげてみましても、中枢神経系用の薬としてはハロタンと申しますか、商品名はフローセンだとか、あるいはハロタン、これはヘキストのです。あるいはまたサイアミラールナトリウム、商品名イソゾール、これは吉富から出ています。チトゾールというものも杏林から出ている。ジフェニルヒダントレインといいますか、これは大日本製薬から出ているものはアレビアチン、こういうものもあります。それからメプロバメートという、商品名はアトラキシンでありますが、あるいはまたハーモニンとかエクアニール、あるいはエリナ、あるいはまた消化器官用の薬品といたしましては前に問題を起こしたキノホルム、これはスモンの原因になっているものでありますが、あるいはまた、ホルモン剤としては各社からいろいろ出されている薬剤、またビタミン剤として各社から出されている薬剤に対して、あるいはまた滋養強壮変質剤、こんなのなんかも問題があります。キシリットというか、商品名はクリニット、これはエーザイなんかから出ております。代謝性の医薬品、デスフェリオキサミンメジレートといいますか、この商品名はデスフェラールというのも出ております。こういうような問題もいろいろありますし、また抗生物質の製剤でもカナマイシンの中毒作用もいわれております。テトラサイクリンも出ておるわけであります。  こういうようなことを考えてみますと非常にに、ちょっと私書き抜いてみただけでもたくさんなものが報告されているわけでありますが、こういうような多くの薬品の副作用、時には、人に非常に大きな副作用を起こしているといわれているわけでありますが、こういうものに対してまず、その副作用について新薬を承認する段階で、先ほどいろいろお話がありましたけれども、一体、どのような形でこれがチェックできるのか。たとえばこういうような問題を見てみたらチェックの状態は、まあいろいろなたくさんの部会もあるし調査会もある、研究会もあるから少しはチェックできるという見通しはあるかもしれませんけれども、現にこういうものがあるわけですね。だから、これは一体どういうふうにされているのか、こういう点をひとつお考えを聞きたいし、この副作用の追跡調査とか、どの機関でどのようにやっておられるのか。副作用の顕著な薬品はもう使用停止にしなければならぬと思うのでありますけれども、そういう措置を講ずるためにはどこのチェックをもとにして、もし停止をされるならばされるのか、もう少しそういうものが明確でないと、私はこういう薬に対する信頼度というものが持てない。で、いまではむしろ聞くならば不良薬品を告発せよとか、医療を告発せよという形で抹消のところでそれが議論をされているわけでありますが、もっと少しひとつ考えて、この薬を製造する中でとか、あるいは製造に移す前にどうするとか、製薬会社でそういうことの責任をちゃんととらすのかどうか、こういう問題をきちっとやっておかないと、これはもう末端で医者が薬を使い過ぎるとか、あるいはまたそういう薬を告発せよとか、使っている医者をやっつけようとか、そういういろいろなところへ焦点が合わされてきていると思いますけれども、まあ、取り締まってもらいたい側からいえば、どこへ食らいついていいかわからぬから、目新しいところから、手当たりばったり近いところからひとつその話を進めていかなければいかぬということで、おそらくはそういうふうな形になるわけでしょうし、ことばで言うと医療を告発せよとか、あるいはまたいろいろな形でそれが出てくるわけです。また時によれば、医薬分業して、離しさえすれば薬を使わないようになるんじゃないかというような極論まで出てきているわけでありまして、実際受ける患者のことを考えないで、別々に医薬を分業すれば一ぺんに減るんじゃないかという議論まで出てきているということを考えると、ここはもう少し薬務局の中で、こういう問題をひとつきちっと交通整理をして、そういうことでないものを出さぬことには私はいけないんじゃないかと思いますが、この点どうですか。

武藤き一郎厚生省薬務局長

○政府委員(武藤埼一郎君) 薬の安全性の問題につきまして、承認前あるいは承認後どういうふうなシステマティックなチェックを行なっているかあるいは努力をしているかということでございます。その点につきましては、まずこの薬を承認する前の段階では、先ほど申し上げましたように十種類の資料を要求しております。先生、御専門でございますので簡単にお話ししますと、まず動物実験の段階におきますいろんな資料、それから臨床段階の資料でございます。臨床段階も御承知のように、初め少数の健康人に対する試験をやり、第二段階では少数の患者に対する試験をやり、それからあるグループの患者に対する臨床試験をやるということで、そういう資料を添えまして、いま申しました中央薬事審議会でかれこれ一年半くらいの審査期間を経て承認されるわけでございます。それから一。へん承認されました医薬品につきましては、一つは先ほど申しました国でモニター制度という制度をつくっております。ここからあがってくる副作用報告、それから外国のWHOから情報が入ってくる場合、それからメーカーには昨年の秋メーカに全部副に各作用の情報が入ってまいった場合には報告義務を課しております。そのほか、学会、医師会、薬剤師会等々そういう関係方面から副作用の情報が入ってまいりますと、私どものほうでは副作用に関します調査会、安全部会というのがございまして、そこでその情報を評価するわけでございます。評価いたしまして、いままで大体四つのグループで措置をしていたわけでございます。まず添付商品につきまして、使用上の注意事項を改めさせる場合、それから先ほど申しましたように用法・用量あるいは効能・効果等につきまして検討を加える場合、あるいは販売規制をやる場合、製造禁止をやる場合、ということは先ほどお話ししましたとおりでございます。  御承知のように、副作用というものは医薬品につきましてはこれはもうつきものでございます。特に、いわゆるむずかしい病気の場合に使用します薬につきましては、副作用があっても受認限度の範囲内であれば、あるいはいわゆる有効性とのバランスといいますか、そういうものである程度の副作用を承知の上で、あるいは受認した上でやはり使わざるを得ないという場合が多いわけでございます。そういう点非常に副作用と有効性とのバランスの判断というものは、やはり各使用なさいます使用者の方々が、よく患者につきまして健康管理を十分した上でやっていただきたいということを最近は特にお願いをしているわけでございます。そのほか、最近は非常にいわゆる薬の多用によっていままで考えられなかった副作用が新しく出てくるというふうなことにつきましては、十分関係者に注意を促して、安全措置については遺憾なきを期しているわけでございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 私も、薬というのが多少みな副作用があって、比較的副作用の少ない部分を利用して、そして病気をなおす上に有効なものは副作用のあらわれないように配慮をしながら使うということはよくわかりますが、しかし最近ではそういうことで黙過できないような状態で、非常に不安感を及ぼしているわけです。前のサリドマイドではありませんけれども、イミプラミンあたりではやはりこれはたくさん奇形児なんか出ておる。だからして、新聞なんかに報道されている部分を見ましても相当のものがあるわけです。あるいはまた、そのほかメプロバメート系の薬でも幻覚症状を起こして非常にたいへんな副作用が出ているという報告も出ています。あるいはまたクロマイで妊婦あたりが貧血病だとか貧血の症状が出てきているというような報告もたくさん出てきていることは御存じのとおりだと思うんです。こういうようなものが出てくるのは、言うならば、医者が十分に管理しないで使った場合があるのではないかとか、そうなってくると、その医者を追放せよ、そういう悪徳医者をなくしてしまえという方向に今度行くわけでありますね。それによって、私は薬の公害というものがなくなるなら、それでいいと思うんです。しかし、それではなかなかそういうようなことにならないわけですね。こういうような問題は、医者といえどもやっぱり人間でありますから、全体的にそれだけのチェックが十分できなかった場合もあり得るでしょうし、いまいろんなことから言えばそういう危険性のものをもう使わないでほかのものでできないのかということも考えられますし、またあるいは危険なものならばそれは出さないで、そうして奇形児が出たようなことになるのだったら、これは薬として使わないほうがいいんじゃないか。こういうようなことになってきますと、私は、非常に薬の問題はいまの段階では大事だと思うんです。ほんとうに薬務行政の中で、真に、そうした薬を、日本のように非常にたくさんな薬の種類あるいはまた非常にたくさんなものを、言うならば、製薬会社で考えて、そして、どういうようなところに基準を置いて製品をつくっておられるかわからぬけれども、〇・〇幾つかふえるだけで商品名が変わっておるやつも、薬務局長は十分御存じだと思いますが、たくさんそういう製品が出ているわけですね、名前が変わって。そうして中身を調べてみれば、研究してみればそれだけの相互作用があって効果がある。また、そう言えば言えぬこともないということでどんどん悪循環をしているわけでありますから、これは前に須原委員のほうからもそういうことがいろいろ追及されたと思っております。しかし、それが実効をあらわさないのは何か。こういうことを考えると、私はいまのようなシステムではいかぬのじゃないかということが結論となって出てくるんじゃないか。じゃ一体、薬務局としてはこの薬品に対してどう取り扱っていくのか、あるいはまた、どういうふうにしていいものをつくり、悪いものを駆逐していくかということにもっと積極的でなければ私はいかぬのじゃないかと思うんです。そういうことに対しての見通しがある程度つかなければ、いまいわれているように医療を告発してしまえとか、あるいはそういう医薬品を使う医者は悪徳だ、だからその医者は攻撃せよということで、何か末端では焦点の持っていきようがないから、そういうところに持っていかざるを得ぬということになってきますから、こういうこんとんたる状態を続けるべきじゃない。特に、医療の抜本改正というものが考えられているときに、薬というものに対して、相当一ぺん早目に具的的な方法を明示してもらわなければ、私は、これはどうにもならぬ問題だと思うんです。大臣、この点なんか大事なことだと思うんですが、どういうふうにお考えになっていますか。ひとつ大臣のお考えも聞きたいと思う。  それから、医務局長いる間に、医療行政の中で、薬品というものをどうして医療体系の中に入れていくか、こういうようなところから考えて一つの方針を出してもらわないと、いまのようなままでほっぽり出しておいて、そして、どんどん薬を開発するのは、製薬資本で開発しておられるのだが、そして、非常にたくさんの金を使っているんだから、薬品の価格をきめるときに、一つの新薬を開拓するために使った費用をその薬品で取れば非常に価格が高くなり過ぎるから、それをほかのものにめくばって、そうして薬価をきめるんだから、やはり薬価というもののきめ方はなかなかむずかしい。おそらく薬務局長もおつかみにならぬような状態じゃないかと思います。私どももいろいろ研究していますが、つかみようがない。何となれば、一つの薬を開発するために何億かかったというのをその薬にかけたらべらぼうに高くなるから、全体の薬にかけて値段をきめる。こうなれば、われわれしろうとが聞くとなれば、薬の価格ももう独占の大きな医薬メーカーがかってにきめて出してくるわけで、それに何ぼプラスされたかも根拠が明らかでない。こういうようなことになってしまうわけですね。  こういうことを考えてみると、私はいまの薬務行政全体に対して非常に不信感があるし、またそこに一つメスを入れれば医療制度の中に非常に明快なものが出てくるんじゃないかと思います。ことに、最近問題になっておりますが、広告なんかにしましても、薬の広告というのは、新聞社にとりましてもあるいはテレビ放送なんかにとりましても相当大きな資金源になっておる。こういうようなことで、薬を宣伝される費用、それがみな薬の価格の中に入ってくる。入っていなければいいと思いますが、入っているとすれば、病気をしたときに病人が負担するということは大きな矛盾じゃないか。薬効についてはそんなに宣伝しなくてもいいと思います。ほんとうにこうであるということをみんなに知らしめることは必要だろうと思いますけれども、宣伝して、患者のほうがこういう薬をくれと医者に迫らなければならぬほど宣伝する必要はないんじゃないかと思うんです。そういうことを考えますと、医療行政の中で薬というものをどう把握していくかということを私は考えたければならぬと思う。これについて、私はやはり医務局長さんのほうの御意見も伺っておきたい。  それから、最近は、赤字だといって、今度健保の問題が出てきておるわけで、その健保の中でも薬のウエートは四〇何%といわれている。外国に比べると非常に多い。これは医者が悪いから医者をチェックしようじゃないか。あるいはまた、これは医薬分業にしたら薬を別に引き離すことになって少なくなるのじゃないかと。これは、この点についても私は医務局長さんに話を聞きたいと思いますが、そういう観点で、もし、この薬というものを取り上げるならば、私は、この取り上げ方は末梢的ではないかと思います。ですから、私は、保険の問題からもし、この赤字というものを考えるならば一その赤字の大きな根源は薬にあると思います。ですから、製薬の状態から一ぺんそれをたたき直さなければほんとうのものになら占いと思います。そういうことをやらないで、末梢的に、保険の制度が、支払い制度がどうとか、あるいはまた、これがどうとか言って議論をして、その赤字を埋めるためにはどうしようかということで、その先にそういう話がいくのは、最も根本的な大事なことを忘れて、末梢でそれをやろうとしていることになりますから、そこに矛盾が矛盾を生んでくることになる。ですから、私は、保険行政の中で薬というものをどう位置づけるか、これを製薬の状態からぺん考え直したらどうか。製薬十大メーカーのいままでの業績を私はちょっと調べてみましたけれども、相当の利潤があって、株主配当もされています。こういうようなことを考えてみますと、薬品そのものの製造によって利益を相当たくさんむさぼって、そして、それが配当できて、その金がみな薬価にはね返ってくるとするならば、私は保険行政の中ではたいへんな矛盾じゃないかと思います。ですから、私はここでひとつ、——きょうは序の口でちょっと一つ二つの質問をいたしますけれども、私は、いろんなことから、資料もいただいて、一ぺん徹底的に、薬業というもの、薬というものがどうあるべきか、そして、日本の医療行政の中で薬をどうしていくべきか、そしてまた、保険行政の中で薬をどうすべきかということをひとつ徹底的に考えていただきたいと思います。そういう点で、医務局あるいはまた保険局のほうでどう考えていらっしゃるか、こういうようなこともお聞きしながら、あとの質問を続けたいと思います。

松尾正雄厚生省医務局長

○政府委員(松尾正雄君) 医療の中におきます薬の非常な重要性につきましては、先生十分御存じのことだと存じますが、率直に申しまして、いろんな治療内容が改善されたという面では、薬の進歩発達というのは非常に大きな役割りを果たしている、これはもう否定のできない問題でございます。ただ、先ほど来いろいろ御指摘のように、副作用その他の問題が多数この薬というものについてまいります。これはやはり私も重視いたしておりまして、やはり新薬を許可するという段階でのチェック、これは何よりも必要だと思います。ただ、そのチェックの問題は、これも御承知のとおり、臨床的ないろんな過程を通ってきた上でのテストが要るわけであります。しかしながら、いま薬務局長からも言われましたように、いろんな点で改善をはかっておりますけれどももう一つ突っ込んでやらなきゃならぬ面もあろうかというふうに私も考えます。それは、やはり臨床という問題は、これは先生御承知のとおりでございますか、非常に個別差も強い問題がございます。症状によっても、また効き方によっても、それを認定するということは必ずしも容易でない。こういうケースを扱って判断するということであれば、やはりこの一、二のところで、簡単に特定の教授がちょっといじったから、そのデータが出ればいいんだと、こういう認識だけではやはり不足をするんじゃないかと思います。そういう意味で、私は、少なくともこういう先ほど来の追跡調査をはじめといたしましたものに、もう少しやはり日本の医療機関全体が組織的に共同してそういうものをチェックしていく、こういうやはり網の目をつくることが、今後私どもの医療行政の面から見ましても、薬というものに対応する一つの大きな姿勢ではないか、かように考えております。現に、国立療養所等におきましても、御承知のような結核剤につきまして共同研究班をつくったことによりまして結核薬についてのいろいろなテストというものが非常に合理的にできたと思います。そういう歴史もございますが、非常にたくさんの薬にどう対応するかということは非常にむずかしい問題がございますので、少なくとも、そういう臨床面の組織化をはかって、そして臨床的な効果あるいは副作用、こういうもののチェックを十分していく組織をつくること、これが私は大事じゃないかと常々考えております。  それからそのあとのほうで、また、そういうことに関連いたしまして、薬の使用量が非常に多いんではないか、あるいは分業という問題がございます。御指摘のように、単に分業すれば薬に関連しますところの費用が全体として安くなるかどうか、これは私は、率直に申しましてそう簡単にいくものではないと思います。必ずしも、そういうふうにだけとるということは、この問題については非常に誤った見方になる可能性があると思います。ただ、薬というものを一つの物と見るかあるいは非常に大事な技術を使う一つの物と考えるか、そこのところは非常にむずかしい問題があろうと思いますが、少なくとも物という形でいろいろな技術から分離をする、そういうような一つの考え方に立ったときに、新しい意味での分業論というものが出てくるのではなかろうか、かように私は考えておるわけでございます。御指摘のように、これをやれば費用が安くなるとか、そういう観点だけでこの分業論をやるということは、私は少し筋が変わってくるんじゃないかと、かように考えます。

江間時彦厚生大臣官房審議官

○政府委員(江間時彦君) 大橋先生が御指摘になりましたように、確かに、わが国の医療におきましては薬剤が多用されているのではないかというような説もございます。われわれ、いろいろな点から検討いたしておりますけれども、どの程度の使い過ぎがあるかという点はなかなか判断がむずかしいわけでございまして、諸外国における比率等正確な比較は現実にはむずかしいかと思います。また、われわれがいろいろな過去の趨勢を見ておりますと、医学技術の進歩あるいは薬学の進歩ということの当然の結果として、これ以上の治療効果を期待しようと思うと、やはり薬剤に依存しなければならぬのではないかという面も確かにあるかと思います。で、われわれ、保険医療の面からいろいろな点を考えておるのでございますが、少なくともはっきり言えますことは、医療経営の観点から薬剤を多用するということは避けるようにしたいと思います。  われわれ、現在、薬価につきましては市場に流通している価格を採用するという原則をとっておりまして、当然のことでございますけれども、薬価基準というものと実勢価格の差を縮めていくという基本方針はずっと続けてまいりたいと思っております。なお、これとの関連におきまして、やはり基本的には技術料を高く評価しまして、薬価との関連などは医療経営の関係では断ち切りたいというような方向で検討してまいりたいと思っているわけでございます。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 大橋委員、ずいぶんと薬に関するほとんど全部にわたるような御意見をかねて私の意見を求められたわけでございますが、一言で言うことはなかなかむずかしいと思いますが、私は、心情的には、薬なんて新しいものはほとんど認めないくらいにありたいというくらいに思います、ほんとうを言うと。しかしながら、新しい薬によっていままでなおらなかった病気が非常になおりやすくなるということであればこれは認めざるを得ない。いまおっしゃいましたモデルチェンジのようなものはできるだけ認めないようにしないかと、こういうわけなんですが、しかし、特許権がきまった、あるいは何がきまったというやつを、初めつくり出した薬屋だけに認めてあとは一切認めないというのは自由主義経済としてどうであろうかという問題が出てくるわけでございますから、その辺は、なかなか、かね合いがむずかしいというので、薬務当局も、大臣、そう言っても……というので、なかなかむずかしいと考えておると思いますが、以前に比べましても、できるだけ安易なモデルチェンジは認めないというような方針で臨んでいるわけでございます。  いま一つ。新しい薬を認める場合に、いわゆる副作用というものを十分に検討をしてやるようにと、これは薬務局長その他からも言っておるとおりでございます。最近は、この点は、特に厳重になっていると、こう言うのでありますが、その中からも、場合によってはそれを多量に使った、あるいは体質によって思わない副作用が出たというものも、これは防ぎ得ないものも中にはあると思っておるわけであります。  薬の価格の問題につきましても、いま、審議官から申しましたように、大体やはり国際価格というものと飛び離れて日本の薬だけが高いというわけのものでは平均してないと私は考えているわけでございます。ただ、それを多用するかどうか、たくさん医者が与えるかどうかという問題がありますが、中には、私は、そういうものも絶無とは申しません。特にひどい例を聞きますと、いかにもたくさんやり過ぎているのではないかと、しろうと的にも考えられるものもありますが、これはしかし、そう全般では私はないと、かように思っておりますので、そういう目に余るような乱用のしかたは、こいつは保険審査の場合にチェックをする道を考えなければなるまいかと、かように考えているようなわけでございます。  それからいま一つは、医薬向けの薬と、それから大衆薬、まあ、少し日本は大衆薬をよけい用いるような習性があるのじゃないだろうかという感じがいたしますが、私はそれで日本人一人当たりの薬の使用量、これは価格にしてみて、アメリカあるいは西欧諸国と比較してみて検討してくれといって課題を出したことがあるのでございます。それは、その国の生産量と、それから輸入、輸出を分けると大体年間その国で幾らの薬を消費しているかということはわかるわけですから、これを人当たりにいたしてみますと、必ずしも日本はそう高い使用量でないというような数字が出てきたりいたしまして、われわれの一般にいわれている感じに合わないような数字が出てくる。そうすると必ずしも、日本人は薬を好む国民だといわれているけれども、そう数字の上では高くないじゃないかという数字が出てきているというようなのが現状でございます。しかし、何ぶんにも副作用があるというような報告があれば、それをできるだけ早く検討して、そういう薬に対して禁止をするか、あるいは使用上の注意をさらに厳重にするかというようにいたすことが急務であろうと、かように考えておるわけでございまして、さような考え方でございますが、なお、さらに建設的な御意見ございましたら、われわれは十分御意見を伺って対処していきたいと考えますので、よろしく御指導をお願いいたしたいと思います。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 大臣もう時間もございませんでしょうから、もう一つだけちょっと伺っておきたい。  私が大臣に申し上げたいことは、この辺で、この薬の行政についてはもう一ぺんほんとうに根本的なメスをふるう、こういうことでひとつ考えてもらいたいということで、いまおっしゃっているのは、もう出てきた価格、いわゆる薬価基準と実勢価格というようなところでとらまえて、あと、それから先は触れておられないわけです。私は、それから先が問題だと、もう製造過程あるいはまた売り出すまでの間の過程について先ほどちょっと触れましたけれども、これが問題でありまして、このところに十分なメスを入れて、必ずしも自由、——資本主義を否定するような形でなくてもいいと思います。しかし、製薬会社がかってに値段をつけて、かってに売り出すようなことのできない、あるいはまた、開発をするにしても、もう少し、ほんとうに学問的なものを分離して、医薬というところから離したどころで少しやはり研究をし、あるいはまた、そういう毒性を検査するという、きちっとしたものをつくって、そして、新薬をつくるにしても、そういうところでもっとやっていただく、そういう機関を離して、そしてほんとうにいいものしか薬はつくらせないんだと。それから、先ほどちょっと大臣も触れられましたが、民間薬とそれから治療薬、こういう問題に対しては私はもっと区別すべきだ、民間薬に対してはあまりにも副作用を起こすようなものがどんどん売られておる。民間薬は絶対副作用のない安全なものしか売らないというぴしっと線を引けばいいんです。最近は、ただいま私が申し上げたようなイミプラミンとかあるいはいろいろな薬があります。こういうものが民間薬としてどんどん売られているわけです。そういうものを妊娠した人が飲んだら奇形児を産んだことが報告されております。こういうような危険なものは、私は、民間の人が手に入れることのできないようにきちっとすべきだと思うんです。たとえば、きょうちょっと頭が痛いから飲もうかというような民間薬、あるいは昔の富山の何とかいって家庭にやっておったそういう非常に副作用の小ない、そんなに激烈な作用を起こさないで、多少の効果のある、そういうものはチェックする必要はない。ただ、日本の状態ではその限界がはっきりしていないために、かなりあぶないものでも出るわけです。私は、そういう点で大臣が相当英断を持って今後の医薬行政というものに対してメスを入れない限りたいへんだと思う。ですからそういう意味でいままでの大臣の御答弁をいただいた範囲内のらちを越えてもっと根本のところにメスを入れてやれば、これは医療制度に対しても、保険制度に対しても非常に明るいものが出てくると思います。先ほど言ったじゃありませんか、それは実勢価格だ何だといっておりますけれども、その価格の中にはテレビの放送料が入っております。何で、そういうものを治療費の中にみなければならないか、それは民間薬で広告するのはいいんですが、そういうようなところはもう少しきちっとしたレールを敷かない限り薬務行政は私は、裸で放り出したと同じだといっても過言ではない。そういうことについて、ひとつ、大臣はいまのこの抜本改正に突っ込まなければならぬ時代であり、私は医薬行政というものに対して大きなルートをつけてもらえば非常に将来明るいものが出てくると思います。そういう点をひとつ、特に大臣にお願いをしておきたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) ただいまの御意見全くごもっともだと存じます。これから新たに研究をしなければならない面もあろうかと思います。大衆薬としていままで販売しておったものも副作用があるというようなものは次から次に要指示薬にいたします。先般もあまりたくさんし過ぎたといってだいぶ文句を食らっておるのですけれども、これはやはり要指示薬にして、医者の指示がなければ売ってはいけないという形にいたしておるわけでございます。  なお、医薬向けの薬はこれはラジオやテレビ、そういうもので広告をしてはならないということにいたしつつあります。現在、そういうようにいたしております。私も、テレビの広告を見ておりますが、医薬向けの薬が出ていないかと、ときどき見ておりますが、最近ではこれは、そういう指示に従っているように見えているわけでございます。  なお、おっしゃいました新しく薬を開発する場合に、それの価格をきめる場合等につきましては、御意見のことも考えながら現にいまやってはいるんですけれども、同じ効果のある薬、外国で売っている薬、そうして、日本でもそれと同じようなきき目のあるものの価格というものを基準にいたしまして、これを開発していくのにこれだけの金がかかったといってもそれを償却する面は見ないということでやっているわけでございます。  なおまた、今後も十分検討してまいりたいと思います。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 それじゃ、先ほどからちょっと三、四特に中毒を起こして奇形児を産んだりあるいはまた精神錯乱を起こした薬の名前をあげましたのですが、これに対して薬務局長のお考えはどういうふうにされるんですか。

武藤き一郎厚生省薬務局長

○政府委員(武藤埼一郎君) いまの先生お話しのイミプラミンはこれはうつ病に対する薬で、これは一般には市販されていないわけでございます。しかし、オーストラリアで奇形児が生まれたのではないかということで新聞報道が行なわれました。豪州のほうからの連絡では、現在、その薬によるものかどうかははっきりしていないわけでございます。しかしながら、私のほうでは、妊産婦につきまして、そういう特別の薬を使わないようにというようなことを、豪州政府のほうでも妊産婦には使用しないようにというような措置をとったということでございましたので、直ちにそういうふうな措置をメーカーを通じて各医者のほうに連絡したわけでございます。そのほか、アトラキシン、ハーモニン等のいわゆる精神安定剤につきましては、先ほど申しましたように、昨年の十二月の末に精神安定剤、それからぜんそく吸入剤、ホルモン剤等につきまして、大臣からもお話がありましたように、要指示薬品にして、現在、四月からこれを実施した次第でございます。それから、あとカナマイシン等あるいはエタンブトール、こういうものにつきましては発売の当初からいろいろ副作用がわかっておりまして、これにつきまして、いろいろ、耳に障害がくるというようなことで、さらにエタンブトールにつきましては目に障害がくるということで昨今問題になっているわけでございます。こういう点の徹底を期すようにいたしておるわけでございます。  それからキシリットにつきましては、これは一昨年の一月オーストラリア政府がキシリットの注射液を市場から回収して、WHOに通報したわけでございます。この情報がありましたので、厚生省でもどういう理由かということでいろいろ調査いたしましたら、その副作用の内容としましては急性の肝障害、それから代謝性のアチドージスであったということでありました。ただ、この使用方法が相当大量によるものであるということで、薬事審議会の副作用調査会では、いわゆる使用量の問題、あるいは使用方法の問題であるので、通常わが国で使われておりますような状態では問題にならないのではないか。しかしなお、十分に注意するようにということで、その旨を徹底したわけでございます。ところが、まだなおヨーロッパ、たしかこれはスウェーデンだったと思いますけれども、キシリットにつきましては注射薬につきまして問題を提起しているということで、現在スウェーデンの状況につきましては外務省を通じまして照会中でございます。いずれこういう状況がわかりますれば、さらに調査会にかけまして措置いたしたい、かように考えております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 先ほどちょっと大臣にも、思い切って考え直してくれと言ったことは、いまクロマイあたりは前からわかっておる。だから要指示薬に入れておるし、いいんだと、また、何々何々の薬は要指示薬に入れて、この四月からそれに入れたといっても、やはり同じように中毒を起こすでしょう。それをあなた、チェックできますか。要指示薬に入れたものも、いま問題になっているのは中毒患者が出てくるから困っているので、要指示薬に入れたって入れなくたって、それを起こさなければ一番いいわけなんです。そういう意味からいえば、薬務行政の怠慢だと思うのです。要指示薬に入れたら起こらないということは、あなたのほうではちゃんと指示できますか。その点、どうですか。

武藤き一郎厚生省薬務局長

○政府委員(武藤埼一郎君) 要指示薬にする場合、あるいは最初からとにかくいわゆる一般薬ではなく、医療用として取り扱う場合には、当然使用上の注意が書かれているわけでございます。この点につきましてはやはり徹底を期さないと、いわゆる使用される医者のほうで十分な注意をやっていただくということが一番必要ではないか。その場合に、先生御指摘のように、なぜそういうことになっていても事故が起きるのかという点につきましては、たとえば、技術的なこまかいことでございますけれども、副作用の改善をした場合にでも、たとえば通知を出す場合にもそれが徹底していない。あるいは製薬会社のほうからいく資料等につきましては、そういうものの書類か、あるいは広告かわからぬような状態で連絡しても、これは受け取った地方機関の側でははなはだ徹底していないということでございますので、その点をやはりきめこまかく、あるいは徹底してやらなければいけないのではないかという点で、昨今そういう点について十分注意を払うようにいたしているわけでございます。  それから、多用のみならず、やはりこの問題は連用問題がございます。私ども残念に思いますのは、外国では使われているけれども日本では使われなくなるようになるということは、これは非常にやはり薬剤についての使用方法なり、あるいは情報の徹底がわが国で足らないのではないかということが、一つの大きな欠点になるわけでございますが、そういう点については十二分にも徹底を期さなければいけない、かように考えております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 私は、そこのところで薬務局長にお願いしたい点は、やはり要指示薬にしたらいいのだとか、あるいは医者の薬だから医者のほうをもう少し取り締まればいいのだということじゃなくて、私はこういうふうな問題は、もう製薬の段階で、一般の人が自分で求めようとしても求められないくらいまで規制しないと、いま、それは医薬品だといっても一般の人も手に入るわけですから、そういうことなんかでも相当きびしく、PRもする必要もあろうし、あるいはまた一方では規制する必要もあろうと思うのです。そういうことで、私は、こういう問題は相当、先ほど感じたような一つの筋といいますか、ルートをきちっとしまして、そのルートが乱れないようにする必要があるわけで、またなお、そういうふうなことまでして責任をきちっととらして、しかも、その医者がやり方が悪かったというなら医者に対して大きく取り締まらなければならぬ。同時にまた一般の人に対してもそういうものが絶対に入らないようにしなければならぬ。そういうことで、きちっとしなければこういう問題はなかなか消えないだろうと思うのです。幸い、いま薬務局長のほうからお話がありましたキシリトールの問題ですけれども、私、ちょっと調査をしてみたのですが、これは大体糖尿病なんかに使うといいわけで、ほかの糖の製剤ですか、そういうふうな意味で、これは許可されていると私は思うのですね。ところがいまの実際の量を考えてみるととんでもない。いま局長さんの話では、いまの使い方くらいだったら副作用はないと、こういうふうなお話でございますけれども、私は、そうじゃないのじゃないか。非常にあぶないのじゃないか。何となれば、このキシリトールは比較的安く手に入るようにして、非常に使いやすく製薬会社でつくられるために、ついそちらのほうへ流れていくということなんです。これは非常に私はたいへんな問題で、入院患者の一日の数は千名くらいしかないわけでありますが、わが国でキシリトールの注射薬の医療機関に納めている金額、これを薬価基準で計算してみますと、昭和四十六年度で八十億、それからまた、この数字は、主として手術前後に、手術中にいま用いられているところのすべての輸液製剤、これを薬価基準で換算すると約二百億になりますが、この二百億の四〇%をこのキシリトールは占めているわけです。こういうことを考えてみると、そのキシリトールの使い方は非常に大きいわけですね。これはもう案外ほっておいたらたいへんなことになりはせぬかという心配を私は持っているわけです。これを見てみると、薬価基準の三分の一ないし二分の一くらいで納められるという状態にあるからこそ、やはりこれがたくさん使われるようになるし、やはり製薬会社の、ある意図で、そういうものに流れていくのじゃないかと思うのですね。  そういうことから考えてみると、やはり私が先ほど申したように、いまの製薬の段階からひとつちゃんと整理をして、メスを入れていかなければだめだということがこれを見てわかるように思います。これはびん数でいいますと、五百CCで約一千万びんくらい使われているということです。一日の糖尿病患者がわずか千人だとすると、これはとんでもない数になるわけでありますから、こういう点から考えて、厚生省あたりは少し、いまのお話では認識が不足ではないか。このキシリトールの使い方はめっぽうに数が多いのじゃないかと私は思うのですが、その点いかがですか。

武藤き一郎厚生省薬務局長

○政府委員(武藤埼一郎君) ただいまのキシリットの使用の状況につきましては、先生御指摘のように、約八十億前後ということでございまして、現在約二十社からこのキシリット製剤については出ております。おっしゃるように糖尿病患者につきましての主たるものでございます。それ以外に使われていやしないかというような御心配だろうと思いますが、私どももこまかくチェックをしたことはございませんけれども、もしもそういうふうな状況でありますれば、やはり私どもの与えている効能を逸脱したものでありますので、そういう点は十分指導しなければいけないと思います。ただ、このほか、豪州あるいはスウェーデンで起きましたような状況につきましてもさらに詳細にチェックをいたしまして、このキシリットにつきましては十分検討したいというふうに考えております。  なお、いわゆるこの輸液関係につきましては、いまおっしゃいましたような問題のほかに、ブドウ糖も含めましていろいろ事故が起こり得る可能性があるわけでございます。こういう点につきまして、わずかではございますけれども、本年度予算が若干取れましたので、監視対象としてはこういう輸液関係の監視を本年度は十分徹底いたしたいということで現在準備を進めておるわけでございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 仰せのとおり、輸液関係にはたいへんな問題があると思うのです。こういう問題を外国あたりではかなりきびしくチェックをしておりますね。いろいろ雑誌を見ておりましても、アメリカあたりではいろんな雑誌に発表しております。先ほど局長のほうからお話のあったように、副作用の点が、肝臓にいったりあるいはアチドージスを起こしたり、あるいはいろいろ血中の尿酸あたりが変化を起こしたりいろいろしておりますからじん臓にも影響を及ぼすでしょうし、いろんなところに影響を及ぼして、血中のビリルビンの濃度にも関係を及ぼしてくるし、いろいろの悪影響を及ぼしておることは外国にも発表されておるわけです。ですから外国では、オーストラリアあたりでは、薬剤の評価委員会ではこれを使わない、臨床にも中止するようなことをやっておりますことは御承知のとおりだろうと思いますが、こういうようなことを考えますと、私は薬務行政の中に、こういうことを適宜に、外国に劣らない程度に——日本はかなり医療の面、薬の面は進歩しておるのです。外国でやられてそれを読んで、ああこれはたいへんなものだということをあとで聞かされるのじゃなくて、日本は日本独得で、日本に聞いてくれ、聞いたらわかるというくらいまで私は取り組むべきだと思うのです。そうしたら、この薬務に対しても一つも不安がなくなってくるわけであって、それぐらいに取り組まなければ私はいけないのじゃないかというふうな感じがいたします。  ですから、いろんな面で私はこの薬というものを根本的に一ぺん見直してもらいたいという感じを持つわけです。ですからいままで、何といいますか、製薬会社にある程度まかせ切りで、まあ、製薬会社がりっぱな成績を通してそこで研究室をつくっておいてくれる。だからして、大製薬会社の研究にまかせればりっぱな薬ができた。現にいままでそうだったかもしれない。ですけれども、そういうようなことにしておることがこれほど大きな間違いを来たしておるわけでございますから、こういうような問題を全体的に考えたときには、私はいまもうぼつぼつそういうふうにしなければいけないときだと思いますし、これをやることについては相当ないろんな問題が起こるでしょうから、そう簡単に私がここで言ってるようにできないだろうと思います。できないと思いますけれども、それをやらない限りはとてもとてもうまくいかないのじゃないかと思います。これはひとつほんとうに考えてもらいたい点だと思います。  また、先ほど来のいろいろな資料をいただきますし、今後、私は個人的にもひとついろんなものを教えていただきたいと思いますから、そういう中で、私は、もっとこれから数回にわたってこの薬品の問題というものを医療制度の中に生かしていく上において、あるいはまた保険制度の中に薬品というものをとらえる段階において、どうあるべきかということをひとつ一緒に議論をし、あるいはまた、論議をしていい方向に持っていきたいというふうに思います。どうかひとつそういう点で慎重に局長さん考えてくださいよ。私は、いまやる時期じゃないかということが痛切に感ぜられるわけであります。  それから次に、時間もおくれておりまして皆さんに御迷惑をかけますからもう二点だけで終わりたいと思いますが、消費者保護基本法というのが五十八国会で成立したのであります。消費者保護会議の第四回の会合でも明らかにされましたように、医薬品の効能等の再検討を昭和五十年を目途に進められておるというのですが、現在までどういうふうにこれに対応してこられたのか、手をつけてこられたのか。五十年までの年次計画がどういうふうで、どういう作業日程で進められておるのか。  第二点は、諸外国で薬効なり副作用が問題とされた場合、非常に早く情報をキャッチしていろいろな施策が行なわれておる。特にFDAにおいては、先年は三百五十九品目の取り消しを行なうと発表しておりますが、わが国ではこれに該当する再検討の場は、いま申した薬事審議会の場だと思うのでありますが、もう少しFDAがやっておるような組織を固めて、ほんとうに専門分科会をこしらえて、ここでやることが最高権威というようなものにして、このFDAの中でやられておるようなやり方を、ひとつそれを上回るようなものを、それを模倣するのじゃなくてそれ以上に上回るものをもって薬品を規制しない限り薬品は本物にならないと思うのでありますが、そういう点について伺いたい。  第三点は、薬事監視員制度というものができておりますが、これは須原さんが取り扱われたと思いますが、その際に話が出ておったと思いますが、二十六万の施設に対して監視員は四十五年四月一日で二千七十七人、そのうち専任はわずか三百十六人、こういうふうに出ておりますが、これで本来の任務が達成できるのかどうか。モニターとかいろいろお話になっていましたが、そういうことも含めて、薬事監視員が薬剤を監視してほんとうに悪いものを摘発し、あるいは指導する、こういうことができるかどうか。私は、そういうことから言えば、本来の任務は一体何であり、予算はどれくらいつけられて、運営はどういうふうにされて、厚生省はどういうふうに指導しておるか、こういうことを聞きたい。この点をひとつ明らかにしていただきたい。いま答弁ができなければ資料を出してもらってもいいが、こういう点をひとつ明らかにしていただきたい。  それからわが国の医薬品は非常にはんらん状態ということばがぴったりだと思うのでありますが、この薬品の製造会社は全部で二千四百社もあります。その中で従業員九人以下の小さなメーカーが千三百社もあるといわれております。五百人以上の大メーカーはわずかに二十二社、一%にも達していないという状況です。国民総医療費に占める薬剤は四〇%をこえており、こういう状態では、やはり厚生省は国民に対して、薬の正しい使い方に対して、薬の必要な知識とか情報を徹底させることについてどうもまだ措置が十分ではないと思いますが、こういうことも含めて、私は、医家、薬局についてもそういうことを徹底することが大事である。こういう問題について一体今後この問題をどういうふうに処理されていくのか、こういうことについてのお考えをお聞きしたい。  それから先ほど触れました消費者保護会議でも、医薬品の副作用による危害について、被害者の側に対する救済制度についても確立されていない、すみやかに検討してほしいという声も出ておるが、サリドマイド、キノホルムももちろんそうでありますが、こういう問題についても、どうかひとつ、被害者に対しては一体将来どうするのだということも明確にしなければいけないし、少なくとも製薬企業でそういうものが起こったとすれば、企業には、最後には相当の責任をはっきりととってもらう必要があるわけでありますから、そういうことについて厚生省は一体どういうふうに取り組んでいかれるのかということも、私はこの点もひとつお考えおきを願いたい、こういうふうに思うわけであります。  まとめてみな質問さしていただきます。  第四点は、FDAが非常によくデータを発表しているわけです。プライバシーに影響するようなことは別でありますが、資料としてどんどん発表しておる。日本はわりあい薬事審議会において何が行なわれたということは発表されていない。そういうことをやることがPRの大事なことでありましょうし、行政の面では薬務行政の中でどういうふうに運営されておる、どういうことになっておるということをやっぱり消費者の人たちにはっきりわかるようにすることが私は大事じゃないかと思います。少なくとも、FDAでやっている、安全性を中心にいろんな資料を公開していますが、それを上回るものをやっぱり日本でもやってもらいたいと思いますが、そういう点はどうなのか。  以上の点について質問いたします。

武藤き一郎厚生省薬務局長

○政府委員(武藤埼一郎君) 最初に、消費者会議の決定に基づく薬効の再検討の問題でございます。これは衆議院の決算委員会でもこのことが問題になりまして、昨年の八月に、薬効問題懇談会というものが約一年かかりまして昨年の夏に結論が出たわけです。その結論に基づきまして、私どもとしては中央薬事審議会に医薬品再評価特別部会というものを設けて、現在、昨年の秋から検討に入っております。具体的にはこの医薬品再評価特別部会の下に薬効群ごとの調査会をつくってやっていきたい。現在基礎、ビタミン等代謝性剤、抗菌性剤、精神神経用剤という四つの調査会が設けられて現在活動中でございます。近日中に循環器関係、それから肝臓障害関係、鎮痛剤関係という三つの調査会を設置する予定でございますが、こういうふうに昭和五十年末までに薬効群によります専門調査会を発足さして再評価を終了したいという考えでございます。対象としては、四十二年以降に承認された場合には非常に厳重にやっておりますので、とりあえずは四十二年以前のものに重点を置いてやっていくということでございます。  それからFDAの問題でございますが、FDAは三百五十九品目につきまして評価をしまして発表いたしたわけでございます。まあこれにつきまして、日本におきましても該当するものが約四十九品目ございます。これにつきましては当然この薬効再評価の問題の中で私どもとしては再検討をやっていきたいということでございます。  それから薬事監視員の問題でございますが、現在、状況につきましては先生が御指摘のとおりののうな状況でございます。しかしながら、乏しい人数でございますけれどもかなりの効果をあげておりまして、たとえば四十三年度では三万四千七百十八件、四十四年度では三万一千八百八十六件、四十五年度では三万四千六百四十三件という——これはいろいろ中身としては形式的な違反からいろいろ実質的な違反まで、につきましていろいろ監視をして違反件数を発見しているわけでございます。こういう点につきまして、財政上の措置としては、特に平衡交付金等でわずかに援助申し上げているとおりでございます。したがいまして、各府県におきます薬事監視員の役割りというものは非常に重要でございますので、さらに指導徹底をいたしたい、かように考えております。  それからいろいろ医薬品によります事故につきまして、PRその他はどういうふうにするかということでございますが、これはやはり、この医薬品を販売する、たとえば一般用医薬品につきましても、やはり薬局等でいわゆる雑貨その他を売るような態度で売ってはいけない。必ず医薬品は対面販売ということで売るようにという指導を徹底すべきである。それからいわゆる薬局、薬店等につきましては、そのほか消費者について薬の対面販売を通じまして、薬についての本質その他を十分徹底するようにということを、日本薬剤師会を通じてお願いしているわけでございます。  それからFDAの発表問題でございますが、私どもとしては、このFDAが、特に、いま発表してわが国のほうが発表しないというわけではございませんで、やはりこの副作用についてモニターからあるいは学会等から連絡がありますと、そういうものを私どものほうの審議会で評価をいたしまして、そして、先ほど御説明しましたように、使用上の注意事項を記載させたり、あるいは販売の中止等まで行なっているわけでございますが、そういう措置をとったものにつきましては、その根拠その他を関係方面には通達をし、または必要に応じて発表しておるわけでございます。なお、今後医薬品の問題につきましては、先生御指摘のように非常に関心の向きもございますし、それからまた、安全性なりあるいはその他の問題を徹底する必要がありますので、この点につきましてはさらに前向きに徹底をさせていきたいと考えております。  それから、いろいろ薬害によります救済問題につきましては、これは公害一般につきましては救済制度が現在法律によって援用されております。まあ、薬害につきましては、これは非常にむずかしい問題でございまして、私どもとしては、現在、薬務局のほうで学識経験者によりまして検討しているわけでございます。この副作用によります問題は、これを受認すべき場合もございますし、あるいはその患者の体質の問題もありますし、あるいは専門家による、つまり医者あるいは薬剤師等の治療もしくは販売というような行為もございますので、非常に因果関係の認定なりあるいは推測ということがむずかしい問題がございますので、なかなかむずかしい問題でございますけれども、一応検討に着手しているわけでございます。  以上でございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 もう一つだけ触れてあとはこの次の質問に譲りたいと思いますが、いまお話のように、FDAあたりでは非常に資料を公開し、あるいはまた、いろんなことを発表しておりますね。私は、この副作用の問題に対しても、やはり国民に徹底するように発表せなければいかぬと思うのですよ。あるいはまた、いろんな薬や何かを出す場合でも、私は、みんなもう少し徹底をした形でわからしめるのでなければいけない。これは、いろんなものでも新聞に出て初めて知るというようなことではとてもだめなんで、もう少し徹底をした、何といいますか、周知徹底方を考えなければいかぬので、そうした意味で、私はこの医薬品、ことに薬務行政の非常なむずかしさからも、いま大臣も申しましたが、ひとつ、局長のほうでも特に考えてもらって、ここらでひとつ抜本的に方向を変える、そして、その薬務行政のいままでの歩み方を断ち切るというようなくらいの形にまで徹底した考え方を持ってもらわなければいかぬと思うので、特に、そういうことを要望して私は質問を終わりますが、特に、そういう点を考えてください。  私は、これからもう少し薬の問題については終始数回にわたっていろいろな方面から質問させていただきたいと思うのですが、特に、お願いします。

武藤き一郎厚生省薬務局長

○政府委員(武藤埼一郎君) 医薬品の安全問題につきまして、もっと徹底した具体的対策をとる必要がないかということでございます。最近とりました事例を申しまして御参考に供したいと思いますが、たとえば大衆薬につきましては、使用上の注意をよく読むようにということを広告の場合に書き——まあ、具体的な中身につきましては、なかなか広告の範囲あるいは放送の時間等で制限がございますけれども、使用上の注意を読むようにということを、あるいは使う場合によく読んで注意をしてくれということを書き、あるいはまたテレビに出すように指導いたしまして、昨今からこれを徹底しているはずでございます。それからなお、医家向け、あるいは大衆薬向けにつきましては、従来、先生御指摘のように、使用上の注意等につきましては、効能のほうはできるだけ目立つようにどっさり書くというような向きもあるいは否定できなかったわけでございますけれども、最近はいろいろの状況から、やはり使用上の注意につきましては特に目立つように、あるいは徹底するように書くようにということでメーカーにも指導しているわけでございますので、従来からすれば、だいぶ改善されていると、かように考えているわけでございます。

中村英男日本社会党

○委員長(中村英男君) 他に御発言もなければ、本件に対する本日の調査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十分散会      —————・—————

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