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68回国会参議院1972/05/10

決算委員会 第9号

発言数
132
登壇者
15
会派数
3
開催日
1972/05/10

会議録

足鹿覺日本社会党

○委員長(足鹿覺君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  去る四月二十六日、青島幸男君が委員を辞任され、その補欠として野末和彦君が選任されました。     —————————————

足鹿覺日本社会党

○委員長(足鹿覺君) 委員の異動に伴い、理事が一名欠けておりますので、この際理事の補欠選任を行ないたいと存じます。  選任につきましては、先例により委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

足鹿覺日本社会党

○委員長(足鹿覺君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に小谷守君を指名いたします。     —————————————

足鹿覺日本社会党

○委員長(足鹿覺君) 昭和四十四年度決算外二件を議題といたします。  本日は締めくくり総括質疑を行ないます。  御質疑のある方は順次御発言願います。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 きょう、私から発展途上国に対する経済協力の問題につきまして伺いたいと思いますが、主としてインド亜大陸から朝鮮半島、いわゆるアジア諸国の問題を中心にいたしたいと思います。  その前にこの経済協力の基本方針について伺いたいんですけれども、たまたまいまチリで第三回のUNCTADの総会が開かれているわけでございますが、四十四年度の決算を見ますと、貿易振興経済協力費として一千億近くの支出が行なわれている。なおかつ、実際の資金のフローの面から見た援助額というものは、政府ベースが大体八億一千万ドルになっている。それから民間ベースが四億五千万ドル、合わせて十二億六千万ドルの経済協力という形での資金量がありますし、翌年度の四十五年度になりますと、一挙にもう十八億にまでこれがはね上がって、アメリカに次いで世界第二位の経済協力国になっておるというのが事実だと思いますが、ただこの発展途上国に対する経済協力の問題というのは、どちらかといいますと、これだけの予算を使い、これだけの大きな協力資金が出ているにもかかわらず、実際問題として国民はその意義なりあるいはその効果というものを十分に理解する機会が非常に少ないのじゃないだろうかという気がいたしますので、本来ならばそれぞれの問題につきまして深くこまかい点についてまで御質問いたしたいのでございますけれども、何ぶんにも私少し見ただけでも非常に広範にわたっておる問題でございますし、本日時間もございませんので、包括的な形で問題を少し御質問いたしますが、これまで通産省から「経済協力の現状と問題点」といういわば白書的なものが毎年出されておるわけで、これは私まあ毎年拝見しておるわけでございますが、これを見ましても、経済協力に対する基本的な方針というものが一体あるんだろうかということをちょっと私疑わざるを得ないような気がするのです。たとえば六九年の経済白書を見ますと、これはちょうど大平さんが通産大臣のときでございますけれども、むしろ日本経済の発展のための必要性ということが強調され、その必要性ということのむしろ発展として経済協力を意義づけている。ところが七一年、たまたま御出席いただいております田中通産大臣になってからことし出ましたこの経済協力白書を見ますと、これはむしろ経済大国になった日本のいわば国際的責務だと、そういう責務という点に非常に重点が置かれている。こう考えてまいりますと、どうも二人の大臣でもものの考え方が違っておりますし、内容等はさらに、数字の点ではあまり変わっておりませんけれども、問題の配置とか、あるいは位置づけとか、あるいは評価とか、そういうものが非常に違ってきているように、私いま実はこれを読んで感じたわけでございますが、本来政府として経済協力に対する基本的な方針といういうものがあるのかどうかが問題でございますが、とりあえず私伺いたいのは、いわば非常に重要な役割りを演じていらっしゃる通産大臣として、特にアジア諸国への経済協力に対する基本的な考え方でございますね、こういうものをまず伺いたいと思います。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中角榮君) 御指摘にございましたように、経済協力というものが非常に国際的に大きな問題としてクローズアップしてまいりました。これは東西問題から南北問題へと世界の焦点が移ってきたことから見ますと、当然なことだとも言えるわけでございます。率直に申し上げて、地球上の人類の数から言うと二〇%くらいの数が、国民総生産的な面を見ますと七〇%ないし八〇%に近い生産をあげておるわけでありますから、こういう状態が続く限りにおいて、平和の維持ということはできないわけでございます。また、少数の国家が工業国家として二次製品の製造をどんどんと続けてまいりましても、地球上に住む人類の数から言うと八〇%以上の人が発展途上国にあるわけでございまして、この人たちが新しく生産される製品を消費するような状態までレベルアップが行なわれない限り、これは第二次大戦前に、アメリカで農産物が生産過剰であって、この調整のためにつくって海に捨てなければならなかったという物語のような実態がございますが、そういうことさえ想定をされるわけでございます。そういう状態において平和などが維持できるはずはないわけでございまして、縮小均衡の道を排除しながら拡大均衡を続けなければならない、そういうことに対しては、これは全世界の考え方は一致をしておるわけでございます。その中で、では具体的にどうするかというと、主要工業国から開発途上国に対して援助を拡大していく、その過程において南北問題の解決ということがはかられるので、それ以外にはなかなか解決はできない。そういう必然的な理由によって、国際機関で発展途上国援助というふうな問題が世界で一番大きな問題とも言うべく、だんだんと大きな議論になってまいったわけでございます。そういう意味で、今度のUNCTADの第三回の会議におきましては、国民総生産の一%援助という量的な問題から一歩を進めて、その国民総生産に対する一%という量の確保はもとよりのこと、その中で政府援助、またひもつきのない援助というもの、質の問題、質の向上をはかろうということで、一九七〇年代の終わりには国民総生産の〇・七%を目途として開発途上国援助を進めようということになり、この問題に対しては、日本があえて口火を切り、いままで量的にはアメリカに次ぐ二番目でございましたが、質の点ではどうもあまりいい状態でなかった日本が、今度は質の問題に対しては愛知発言において、まつ先に口火を切ったわけでございますから、この発言は非常に高く評価をせられておるわけでございます。しかし、いま御指摘がございましたように、全世界に対して日本が言うこともさることながら、やはり東南アジアとの関係は非常に歴史的にも深いわけでございますし、地域的にも地理的にも非常に深い関係の中にあるわが国でございますので、まあ東南アジアに対しての開発援助というものに対して拡大を続けなければならない、こういう考え方をとっておるわけでございます。この過程において、アジア開発銀行への出資とかいろんな問題がございますが、とにかく集中的な援助というものを量的にも質的にも拡大をしてまいるということでございます。  なお、国別その他に対しては御質問があればまた申し上げますが、いずれにしても、開発途上国百カ国以上あるわけでございますが、この国々の中で日本がやはり考えなければならないもの、原材料もたくさん供給を受けておる東南アジアに主力を置いて援助を行なうということでございます。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 いま通産大臣からのお話で、私特に伺いたかったのは基本的な考え方なんでございますけれども、その中で、二〇%の人々が全世界の生産の八〇%をあげていると、こういう一つの落差が南北問題として世界的な問題になっている。で、本来、これはやはり世界的な平均拡大均衡と申しますか、そういう軌道に乗らない限りいけない。その方向に沿って日本も経済協力を行なうんだというふうな基本的な考え方に立って東南アジアの問題も取り上げていくと、こういうふうに理解してよございましょうか。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中角榮君) 国際的な趨勢でもございますし、先ほども申し上げましたように、主要工業国にランクをされる日本としては、当然開発途上国に対する援助は義務である。そうしなかったら自分自身も実際経済を拡大し、貿易を拡大していけないわけでありますから、前提となるものは、当然の責務としてこの義務を果たすということになりますが、結果的には日本も利益を得るわけでございますので、考えようによっては、公の立場で責任を果たすことによってみずからも利益を得る、こう理解をしております。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 たまたま、いまの通産大臣のお考え方につきましては、例の新経済社会発展計画ですか、その中にも経済協力の拡充強化、これは非常にことばがあいまいでございますけれども、やはり世界的な拡大発展の中で日本の発展もあり得ると位置づけをしている。いわば国際的責務というものとあわせて、そういう立場で援助していくということになっておりますし、御承知の、私が申し上げるまでもなく、対外経済協力審議会の答申でも、ここではある意味で発展途上国の自助努力を強調いたしておりますけれども、大体同じような考え方だと思うんです。ただ私、今度の第三回のUNCTADの会議でもって、例のリマ憲章に盛られました考え方ですね、これは多分に、それまでのいわばガット体制の中から出てきた矛盾というものに対して、発展途上国がむしろ全面的に対決するような問題点を相当具体的に出しているわけですね。したがって、発展途上国に対する経済協力というものが、いわゆる経済大国になったといわれる日本の考え方だけで、必ずしもそう  いう南の——南北というなら、南のほうは納得しないだろうと。おそらく今度の第三回の総会の結論というものは、出るか出ないかも問題だと思います、言いかえれば、この問題というものは基本的に第三回の総会を起点にした新しい展開を示すであろうというように実は考えている次第でござ  いますけれども、    〔委員長退席、理事小谷守君着席〕 実は、いま田中通産大臣から伺いましたこの考え方に対して、政府からこういう文書が出ているんですけれども、これを通産大臣どうお考えになるか、ちょっと伺いたいんですけれども、「なぜ経済協力は必要か」ということについて、「(1)まず人道的動機」がある。しかもその主たる問題は「災害救済援助」である。具体的には、ビアフラの問題とか、パキスタン難民の栄養失調の救済のことが書いてあります。これは経済協力とは言えないのであって、これはむしろぼくは赤十字がやるべき問題だと思います。ところが、経済協力の第一の問題点としてあげておる。  それから第二の問題点としては、「政治的動機」ということを言っておるわけですね。しかもそれを分けて、「政治的動機としては、(イ)開発途上国との友好関係の維持強化」、これは私は納得できます。次に(ロ)として「旧植民地との関係の維持」、これはおそらく日本が出しておる以上、日本のかつての植民地との関係を維持しようということだと思います。(ハ)としては「自国と政治体制を同じくする国を増加させることによる自国陣営の拡大強化ないし同一陣営内の関係緊密化」、このことは、この前しばしば論議されました、むしろ東西両陣営と言いますか、あるいは南と北と申しますか、いずれにしてもブロック化することによって逆に対立化を深めるおそれすらあると思いますけれども、こういう表現が使われている。さらに政治的動機の(ニ)としては「開発途上国の経済発展を通じた民生、政情の安定確保により紛争の発生を未然に防止し、広い意味での安全保障に役立たせる」、これは私も納得できます。政治的動機の中でも、少なくとも旧植民地の関係の維持、あるいは自国と政治体制を同じくする陣営を強化するためだということに問題点があろうと思います。  それから(3)として「経済的動機」をあげておるのですね。それには、短期的な観点からいうならば「資本財の輸出促進および新たな輸出市場の開拓」、これはまさに日本の輸出のためである、輸出を拡大するためであるということが短期的な観点から強調される。それから長期的な観点としては、「資源開発への協力を通じた原材料の長期的確保」と、それはもちろん、日本に資源がないわけでございますから、現在日本は資源を輸入していくよりほかないと思いますけれども、経済協力という名において原材料の長期的確保をはかることが経済的動機の重要なというか、柱である。それから「経済発展、民生向上による有効需要の拡大」、これは短期的観点でのおそらく輸出市場の開拓であろうと思います。  こういう文書が実は政府から出ておるのでございますけれども、これはいま田中通産大臣のおっしゃった通産大臣としての基本的考え方とは非常に背馳するものだと思うのでありますけれども、その点いかがですか。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中角榮君) いま御指摘がございましたので、いま手にしたばかりでございますが、これは通産省の文書じゃありません。よく見ましたら外務省経済協力局のものでございまして、これは筆者は何人かは書いてございません。ございませんが、外務省経済協力局として出したものであるということだけは確認をいたしました。それはちょっと、表に出して、いまの時点においてUNCTADでもってそのとおり読むような文章としてはあまりりっぱな文章ではないようであります、これは端的に申しますと。しかし、日本の立場でもって書くと、一つの段階における考え方、一つの角度から見て、学問的にずっと、海外経済協力とは、また日本の経済協力を行なわなければならない理由、行なうことによって生きるメリットということを追っていきますと、大体そんな文章にもなると思います。しかし、言わずもがな、いまどき触れなくてもいいことまで触れておるようなところもございますが、それだけまじめなような気もいたします。しかし、そういうものの考え方と、もう一つは、先ほど申し上げましたように、国際的なもう問題になって解決をしなければならない不可避の問題、これはやっぱり七〇年代、やがて八〇年代を迎えようとする各国の、一つの人類として決定をしなければならない、解決をしなければならない問題である。そういう非常に大きな立場に立って国際的に論じられておる。これを率直に申し上げると、上部機構である国連の議場で中国の加盟が非常に注目を浴びた。同時に、チリの第三回UNCTADでこういう決議が行なわれるということは、この上部機構における外交的な動き以上に内容的には大きなものを含んでおる。こういうことを考えましても、この経済協力はただ一つの角度からだけ見られる問題ではない。まあ第三次世界大戦が回避されるかどうかということを極言する人は、南北問題の中の最大のテーマであるこの経済協力というものが合理的に解決をし、合理的に遂行されない限りにおいては、第三次戦争の危険もあるということを極言する人さえもあるわけであります。そのくらい人類が、どうしてもわれわれの責任において解決をしなければならないのが南北問題であり、南北問題解決の第一の具体的な政策は援助である。援助ということは、この言い方そのものや、表現そのものにも問題がございますが、南北経済協調という新しい問題でございまして、そういう意味からいいまして、このチリのUNCTADの第三回会議からは、各国、国々によってはいろいろな立場がございますし、経済協力に対していろいろな言い方もあると思いますが、これはやはりDACの平均数字までは一日も早くこれを達成したい。量だけではなく、質の問題も十分片づけなければならない。同時に、第三の問題としては、今度のUNCTADの会議できめた愛知提案の七〇年代質の点において国民総生産の〇・七%はどうしても実現をしたいということにやっぱり集約されると思います。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 私は、最初に申しました経済協力に対する基本的な考え方の問題につきまして、これは通産省でお出しになっておる白書でも、その年々によって非常に違っている。特に私ちょっと出し方が皮肉だったかもしれませんが、日本の経済協力というのは、外務省経済協力局というのは、いわば国民向けのパンフでございますね。国民向けのパンフであって、専門誌ではないと思います。おそらく国民はこれを読んで経済協力を理解するであろう。少なくとも通産大臣のお話にあった経済協力の基本的な考え方と、外務省のつくった「日本の経済協力」を通じて知る国民の経済協力のあり方とは、全く異なったイメージが出てくるのであります。実は本日外務大臣にも御出席を願いたいと思ったが、どうしても御都合が悪い。いまのメモを見ますと、経済協力局長もどうしても都合が悪くて来られないということで、非常に残念でございますが、一つの内閣の中で、いま通産大臣自身がおっしゃった、いわば今後の世界における最大の問題である南北問題あるいは経済協力に取り組むにあたって年々方針が変わる、特に同じ主たる担当省である通産省と外務省と考え方が非常に異なるということは、これは国民に誤解を与えるだけでなしに、私は世界から指弾を受けるおそれすらあるのじゃないか。ことに今度のUNCTADの会議の中でリマ憲章に盛られておるものの考え方というのは、いわばこれまでのガット体制の崩壊——これは事実、昨年のニクソン声明以来、ガット体制というものはある程度崩壊しつつあるわけですね。その基本的な原則である、いわば相互の最恵国待遇の問題とか、あるいは保護主義的な差別をつくらないとか、あるいは関税引き下げ交渉は相互主義をとるというこのガット体制によって、逆に発展途上国というものは、確かに六〇年代にある程度の国民総生産は上がったかもわからないけれども、南北格差は激しくなったではないか。いわばガット体制に対する挑戦である。そこで、むしろUNCTADに持ち込んだリマ憲章の中には、これらの点について——これはあとで実は具体的に伺いたい問題があるのでございますけれども、具体的な点を全部あげて持ってきて、こういう問題をどう対応するかというときに、政府がこういう方針に対する相矛盾したものを持っていることについては、非常に残念でございますので、早急にこれについては方向をまとめていただきたいということをお願いをして、この点に関する質問は一応これで打ち切りたいと思います。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中角榮君) 一言だけ申し上げておきますが、これはこういう文書になったものを見る限りにおいて御指摘のような感じがするわけでございますが、ここに外務大臣が出席をして御答弁を申し上げれば大体同じ答弁になるわけでございます。これは、先ほども申し上げましたように、ある一定の角度から見ますと、結果的に経済協力を行なった結果このようなメリットがありますという書き方は、これはいろいろな立場によって書かれるわけでございますが、経済協力という問題が世界的に最大の課題であるという問題意識とか、そういう問題に対しては、政府の中で意見の不一致というようなことはないわけでございます。まあ経済協力をすれば——人類としてやらなければならない最大の仕事であるし、少なくとも持てる国に転化した日本が責任を果たさなければならない——ここまで言っておけばいいのでございますが、その結果日本も有利になるんだと、具体的に言えばこういうことであるというところまで書いてあるというだけでございまして、必ずしも通産省と外務省が基本的に違うということではございませんので、そういうひとつ認識で見ていただきたいと思います。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 ちょっと一言だけ締めくくりといたしまして、いま通産大臣の御発言を伺いますと、平和五原則ということばを何もあえて使う必要はございませんけれども、まあこの間のニクソン訪中によって、何か平和五原則ということばについては、自民党さん、あるいは現佐藤内閣すら国会でこれを使っているようでございますが、その基本的な精神である平等な立場に立って、やはり平和共存というものを前提にして、それで協力すべき点は協力をする、その結果むしろ受ける利益というものもあるであろう、いずれにしてももう原則は平和共存、そういう方向への協力であるというふうに理解してよろしゅうございますか。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中角榮君) これは全くそのとおりでございます。

小谷守日本社会党

○理事(小谷守君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

小谷守日本社会党

○理事(小谷守君) 速記を起こして。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 機構と資金と、いま言ったような複雑な関係についてお答え願える方はどなたか御出席でございましょうか。経済協力については、非常に複雑な機構と資金関係、それから法律関係があるわけですが、こまかくは私は聞きません。  それでは、いまの大体基本的なものの考え方については、結論として平和共存の方向へということで、私も応納得できるわけですけれども、問題は、それが実際に行なわれるかどうかは、これからの質問の中で具体的に御質問したいと思います。  その第一に、現在経済協力の機構の問題が、組織の問題が、これは非常に複雑になっておるわけでございます。たとえば行政機関だけを見ましても、端的に言って、主要な担当省が五省庁二十五課にわたっておるわけなんですね。そのほかに、たとえば観光関係の運輸省とか、あるいは衛生関係の厚生省等入れたらもっとふえると思いますけれども、少なくとも経済協力の主要官庁が五省庁二十五課にわたっているという、こういうまあ実際に行政機関というものが全く複雑多岐にわたっているということが第一点でございます。  それから第二点は、それでは一体こういう経済協力について、それぞれまあ国の内外に関係する機関があるわけでございますけれども、これを私調べてみましたところ、国際機関は、これは国連関係のものだけでも十機関ございます。それを含めて全体で十八の機関ですね。たとえばOECDなどは別になると思いますが、それらを含めて十八の機関がやはりこの国際経済協力に関係をしておる。アジア関係だけで十三別にあるわけですね、国際関係の機関が。それで、国内関係の機関を見ますと、これはまあ一般の民間のこまかい団体等は調べておりませんですけれども、主要な、たとえば輸出入銀行とか、あるいは経済協力基金でございますか、そのような主要な機関だけで、国内関係に十五の機関があるわけです。こういうふうに、第一に行政機関が非常に複雑多岐である。それからそれに関連する内外の諸機関が非常にたくさんある。やっぱり複雑多岐である。しかも、資金の流れにつきましても、これはまあ大きく言えば、それは政府資金とそれから民間資金ということになるのでございましょうけれども、実際に政府資金なり民間資金の流れというものはそう単純にはいっていないわけですね。たとえば一般会計からいくものも、一部の食糧管理特別会計を通じて出されるもの、海外経済協力基金を通じて出されるもの、あるいは輸出入銀行を通じて出されるもの、それからさらに、今度民間の輸出、いわゆる輸出信用の問題、あるいは海外投資の問題等が、これらの機関とみんなからみ合って流れていく。それから、もちろん直接的な対外借款になれば別なルートがある。資金の流れを見ても、非常に複雑な流れを持っておる。これは実は、たまたま経済企画庁がおいでになるそうですが、実は驚いたのは、経済企画庁というのは私は元来具体的な事務をおやりにならないと思ったのですけれども、この海外経済協力基金に関する事務だけは、これは経済企画庁に属しておるわけなんですね。これなんかも、何か非常に奇異な感じを私は受けるわけです。しかも、輸出入銀行については、これは主たる主務官庁は通産省になっていますか。そういうふうに、資金の流れ自身も非常に複雑である。それから、そういうふうな資金、いま言った機構が複雑であること、それからもう一つは資金の流れが非常に複雑である。しかも、これは各国別に、各項目別に、それぞれまた別々に流れるわけでありますから、資金の流れをとっても非常に複雑でございますし、それからもう一つは、法律関係も、必ずしもこれはまとまった経済協力に関する基本法というようなものが私はいまのところないのじゃないかと思いますけれども、大体国際法関係だけでおもな法律が、十一本の法律にひっかかるのですね。国内関係の法律になりますと、これは外為法から、あるいは税法、開発金融法、外資法その他十五の国内法にみんな関連をする。法関係だけから見ましても、国際法、国内法の非常に大きなものにこれは結びついておるのが現状だと思うのです。そうすると、これだけ複雑な機構、資金の流れ、構成、それでいま通産大臣のおっしゃったような、非常に日本だけにとってというよりはむしろ世界の最大の政治課題であると言われる南北問題に取り組む体制としてどうも十分であるとは考えられませんし、一体こういう状況で効率的な運用ができるのかどうか。これは経済企画庁は大体まあ総合調整ですか、あるいは総括をなされる任務がおありになると思いますので、そういう観点から現状についての御意見を承りたい。

新田庚一経済企画庁調整局長

○政府委員(新田庚一君) ただいま御指摘がありましたように、確かに経済協力の機構あるいは資金の流れに関しましてかなり複雑な状態になっておることは、御指摘のとおりでございます。これは経済協力というものの持ちます非常な一つの特色でもございまして、非常な多面性を持っておるという点が言えるのじゃないかと思います。で、経済協力の内容を見ましても、たとえば資金協力につきましての一つの形態としまして、国が供与する資金協力、あるいは民間ベースの協力、それから供与の形態から見ましても、国が供与する中身でも、贈与、あるいは借款、民間資金につきましても、民間信用とか、あるいは投資とか——直接投資の問題、それから関係する分野につきましても、工業、農業、あるいはインフラストラクチュア関係、あるいは医療の関係というふうに、非常に広範な分野に及ぶものでございますので、非常な多面性を持っておるわけでございます。したがいまして、現在、行政機構の問題としましても、先ほど御指摘のように、各省にまたがるということで、各省それぞれの所掌の事務との関連において経済協力の仕事をやっておるわけでございます。  ただ、先ほど御指摘がありましたように、その相互の関連性あるいは考え方の調整という問題がございます。したがいまして、私どもとしましては、特に関係の深い省、それは外務省、大蔵省、通産省が一番その中心になるわけでございますが、関係省で毎週一度会合をしまして、それから随時案件によって問題の解決に当たるということ、それから特に重要な案件、重要な方針の決定につきましては、閣僚ベースの会議を随時やるというふうなかっこうで、運営面で統一性を保持し、全体の調和がとれるような運営に努力しておるという状況でございます。  それから、資金の流れの問題に関連しまして、先ほど御指摘ありましたように、政府資金につきましては、政府借款、それから贈与という問題がございます。贈与は、これは主として外務省が所掌しまして、一般会計に計上しておりますが、その贈与の問題。それから借款の問題がございます。借款、それから民間資金の問題、これにつきましては、経済協力基金とそれから輸出入銀行という二つの実施機構があるわけでございます。  で、基金と輸銀との関係につきましては、御承知のように、輸出入銀行は、市中金融機関が海外に資金供与をする企業についてそれを補完すると、貿易を主とする外国との経済交流を促進するという性格の金融機関でございます。一方、経済協力基金は、市中銀行及び輸出入銀行が取り扱えない性質の案件を処理する、そして経済協力を促進するという目的を持った機関でございます。したがいまして、おのずから分野が違うのでございまして、政府借款につきましては、条件のきつい、いわゆるハードな条件のものは輸出入銀行がやる。それから、条件のゆるい、ソフトな借款供与は、経済協力基金から資金供与をする。まあハードとソフトの区別というのは、これは時代とともに変わっておりますけれども、現在のところは五%程度が基準になっておりますが、そういったことで、この補完機関とかあるいは供与機関といったものを含めた条件のソフト、ハードで区別しておる。それですから、一般の案件につきまして、たとえば農林水産業とか、あるいははインフラストラクチュア的なもの、非常にリスクの多いもの、非常なローカルコストの大きいもの、あるいは回収期間が非常に長いもの、そういったものを基金が扱うというふうなかっこうで運用をやっておるわけでございます。  そういったことで、一見非常に複雑に見えますけれども、私どもとしましては、できるだけ相互に矛盾なく、能率的に運営ができるように努力するつもりでございます。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 内容の点につきましては、私もある程度資料も持っておりますので、そう詳しく御説明いただかなくてもけっこうでございます。というのは、時間もございませんので。要するに、結論として、これだけ複雑なものであるが経済企画庁が中心になって調整することによって事務が円滑に行なわれていくと理解してよろしゅうございますか。

新田庚一経済企画庁調整局長

○政府委員(新田庚一君) 私ども、そういうふうに考えております。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 実はその点について二つの問題点があるのですけれども、これは通産大臣がおいでになってから伺いたいんです。というのは、通産大臣がこの現状ではためだと——見えていらっしゃいますか——それでは、実はいま、機構の問題ですね、それから関係機関の問題、資金の流れが非常に複雑であると。それで、それについて、いま経済企画庁のほうは、大体総合、企画調整でもってうまく運用されておるというまあ御答弁であったわけですけれども、これは実は、本来、こういう問題について、先ほどお話しの基本的な考え方に立ってのまず一つは、長期的な援助計画というものがある場合は、これは、それぞれの各省が分担して、計画のうちのその部分を推進するということができると思うんでございますけれども、残念ながらいまそういうものはないわけなんですね。新聞を拝見いたしますと、ちょうどこの三月二十八日の新聞に、通産省の方針ということで「経済協力に長期計画」、それから四月の九日の新聞を見ますと、これはもう通産大臣のお話として、かなりこまかい点まで出た「経済援助の計画化進める」というようなことが出ておりますが、そういうお考えが具体的におありになるのかどうか、それを現在進めていらっしゃるのかどうかということをまず第一点として伺いたいと思います。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中角榮君) 経済協力で、一つの方針を持たないでやるわけにはまいりません。その意味で、国際的には一つのルールと目標をきめたわけでございます。それがUNCTADの結論になったわけであります。いずれにしても、まず量的には、各国とも国民総生産の一%以上、それから七〇年代には質的にはその中の〇・七%までは政府援助を行なおう、第三の問題は、できればリマ憲章の中の大きな問題としての、ひもつきでないもののワクを拡大しようというふうに、世界的にはルールがきまったわけです、ここで。ですから、これで各国は、今度、自分の国に合うようなものをつくらなければならぬ、こういうことであります。しかしこれは、銀行の貸し出し、ことしは幾ら貸しだぞ、その中で中小企業には幾らにしよう、欠損処分に大体なるかもしらぬが零細企業に対しては無担保、無保証を幾らにしよう、こういう一つのめどがあってしかるべきでございますが、どうも、そうかといって、これ各国別にこまかいものをつくって予算のように公表するわけにもまいらないんです。これはもう、そうなると一これから先は少し言いにくい話でございますが、こういうものはやっぱり二国間でいろいろ外交的にも交渉しながら友好裏にやらなければならぬ問題でありますが、初めからもう、Aの国には幾ら、Bの国には幾らということになっておれば、条件も何も言わないで、それは当然よこしなさいというようなことになるのでございまして、なかなかそういうわけにもまいらないんです。外交上の問題もございますし、また経済ベースで一つずつみな違うわけです。ですから、先ほどから申し上げておりますように、UNCTADできまった大きなワク、大きな方針というものがあるわけでありますので、それをこなしながら早くDACの平均水準まで持っていく、それだけではなく、量的には一%、質的には〇・七%まで早く実行するということで私はいいのではないか。結論的には、そういうことによって国際的にも評価をされますし、相手国からも十分評価をされると、こういうふうに考えております。  それからもう一つ、先ほど機構の問題は事務当局からも申し述べたようでございますが、これはいままでは長くかかったものがあります、確かに。条件や金額に対しては非常に長くかかったものもございますが、これは、機構が複雑で長くかかったんじゃないんです。金もなかったので何とかかんとか効率的にやろうということで長くかかったのですが、去年の七月から外貨が積み増しをされてきておるような状態から、関係閣僚会議でもって時間が来たら片づけろということになっておりますので、現時点においては非常に効率的に動いておるということだけは申し上げておきます。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 いまの経済協力の長期計画につきましては、これは新聞を拝見する限り、私実は非常に危惧を持ったのは、大体経済協力というものは、国内経済の動きと、それから個々の相手国の動きと、そういうものの連動性の中で効果的なものがつくられるにもかかわらず、日本が一方的に、ことしはどのくらいの金を、どこへ、どうばらまきますという形でやられたのでは、これは非常に、かえって相手方の反発を招くであろうということで、私は、新聞を読んだ限りにおいて、その点に危惧を感じましたので、それでいまお伺いをしたわけでありますが、いまの、原則だけは踏まえるが具体的なプランは状況に応じてつくるというふうに理解してよろしゅうございますね。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中角榮君) そうです。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 そうしますと、その次の、いま経済企画庁にもお伺いした点について、実は、ことしの三月二十五日の予算委員会で、福田外務大臣が、この経済協力については非常に複雑でもあり、今後重要な課題であるので、経済協力省をつくる構想もあるんだ、つくってもいいんだというような答弁をしていらっしゃるのですね。通産大臣、そういう考えをお持ちなのかどうか。つまり、現状でもって十分うまくいっているものなら、あえて何も協力省をつくる必要もないというふうに言えると思いますけれども、この点について何らかお考えがありますか。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中角榮君) 福田外務大臣が経済協力省が必要であると申したのではないわけであります。質問に答えていわくでございまして、経済協力というものが非常に大きな問題になっておりますので、複雑多岐な現在の行政機構を整理統合することよりも——整理統合することも一つの手ではあるが、もっと強力な機構とするために、経済協力省のごときものをつくったらどうかという質問に対して、私と福田外務大臣が、両人、答えたわけであります。それは、それも一つの考え方でございましょうが、しかし、現在の機構でも十分やってまいれますと、こう答えたわけでございます。私は、特に、経済協力といえども、これは貿易と非常に関係が密接でありますし、全然貿易というものと無関係に経済協力を行なう、やったきり、交付しっきりというものではないので、やはりいまのような機構であっても、これを合理的に、スピーディにものを処理するということで足りると思います。これは中小企業省をつくれと同じ議論でございまして、必ずしも経済協力省の設置には賛成をいたしかねますと、こう私は答えたわけでございます。私、いまでもそう思っております。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 いや、速記録を読みますと、もうちょっと強いんでございますね。福田外務大臣の御答弁は、「機構的に現在の制度でいいのか、そういう問題があろうかと思います。私は、ちょっと観念的に考えますと、経済協力省くらいのことを考えていいじゃないかというふうにも考えるのですが、さてそれを考えた場合におきまして、」云々として、まあ屋上屋を重ねるというふうなことを言っておりますけれども、かなりその経済協力省については肯定的な答弁をなさっておいでになるのであります。  それで、通産大臣が、もしその点について、自分はその場で反対の答弁を——実は通産大臣のあれが速記録には出ていないもんで、私は読まなかったのでありますけれども……。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中角榮君) 失礼。きっと、その御質問は、何人かおやりになられたその中の一つが、私も答えておるわけでございます。私は特に付言してこう答えておるわけでございますが——新しい省をつくるということもあるときには必要であり、あるときには合理的であるかもしれませんが、経済協力というような問題はこれからの国の外交の中の大宗をなす問題のように思われます。経済協力というものを外務省からはずしてしまって、全然別な経済協力省などをつくるということになりますと、新しい外務省の仕事が非常に小さくなってしまいます。いうなれば、これからの外務省の仕事の大宗——ということばを使っておるのですが、相当大きな部面が経済協力というもの、経済問題ということになりますので、そういう意味では、まあ日米間の問題でも、経済問題だけがもう片づかなければ日米間は何も片づかぬということになるわけでございますので、その意味でも、単独の経済協力省を設置するよりも、いまのような状態で、もっと合理的に運営をすることが望ましいと思いますと、こう答えてございますが、私はいまでもそう考えております。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 通産大臣の考えはわかりました。具体的に申し上げますけれども、これは三月二十五日の予算委員会第二分科会での答弁で、出席大臣は福田外務大臣だけなのです。したがって、ここでは福田外務大臣の考え方が具体的に出ておりますし、いまの御答弁を伺いますと、田中通産大臣と少し異なっておるようなふうに私印象を受けますので、調整ができるものなら調整していただきたいと思いますし、あるいはどちらかが次の総理大臣になればそのほうにきまるかもわかりませんけれども、いずれにしても、この速記録に関する限り、たまたま田中通産大臣の御出席がない第二分科会の外務大臣だけの出席の場でのことであります。いま通産大臣からちょっとつけ加えてお話のありました、協力のやりっぱなしという傾向が非常に強いのじゃないだろうか。ことに政府借款によるプロジェクトの問題はあとで具体的に御質問したいのでございますけれども、大まかに言って、政府借款だけでないにしても、それじゃ一体、その他政府資金と民間資金と合わせて、それで一定のものの輸出について輸出信用を供与したとか、あるいは海外投資をしたとか、そういう場合は、当然私は、やはりその効果というものが具体的にトレースされていかない限り、次のほんとうの意味の効果的な協力というのはできないのじゃないだろうか。ところが、現在の機構なり、現在の動きでは、どうにも現地に行ってそういう効果というものをトレースしているという状況が非常に少ないような気がするのでございますけれども、これをもっと強化していくことについてお考えがあるかどうか。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中角榮君) 全然渡しきりのものでないということは、確かにこれは、救恤品のようなものであれば渡しきりでけっこうなのですが、経済援助というようなものは、援助ということば自体に対しても、最近私はちょっとひっかかりを感じますと、こう申しましたが、これはやはり経済協力なんです。協力のメリットというものは追及さるべきなんです。そうでなければ、七〇年代の人類の一番大きな問題とは言えないわけであります。そして非常に合理的でなければならないというのは、四十五年から、第二次戦争が終わった直後からの長い二十六、七年の中でいろいろな機構が完備をされてきておるわけであります。ですから、低開発国、開発途上国の経済発展のための援助といっても、これはIMFの制度の中でもってお互いが協力し合う道が一つございます。第一世銀で、これは日本の長期信用の金融機関と同じように、年率七分二厘五毛というようなものもございます。しかし、第三の問題として、南北問題の中の一番大きなルートとしては、第二世銀無利息五十年というのであります。こういう制度がちゃんとできておるのですが、そういうものだけではどうにもならないので、その中間的にものを考えようというので、第一世銀と第二世銀の抱き合わせのいかんによれば、無利息五十年から年率七分二厘五毛まで、幾らでも組み合わせによっては合理的なものができるわけです。だから、プロジェクトの内容によって、また国との条件において、いろいろなものが組み合わされて開発援助が行なわれておるわけであります。そのほかに、今度地域的にはアジア開発銀行がここに入ってきておるわけです。そこにもつてきて、日本のように、経済行為に付随するものとして民間の大きな信用供与が入っておるわけです。そこに政府ベースのものが付加されておるわけでありますから、そういう非常にむずかしいいろいろな状態でもって援助が行なわれるわけで、中には当初の目的を達成できないために債権国会議を開いております。債権国会議を開いて全部たな上げをして、新しいものに対してまた新しい国際機関から援助をしよう。ですから、いまの状態でも、投資のメリットというものは、やはり開発途上国、援助を受ける国がそれだけ喜ぶものでなければいかぬし、投資を受けただけの効果をあげるものでなければいかぬということで、まあこれからは相当投資の結果というものには検査の強化が行なわれるということで、全く一方交通でもって交付のしっぱなし、これは救済資金であるというような状態には、やっぱり厳然として線を引いてやってまいるということでございまして、今度のUNCTADの会議ではまず量と質をよくしようですが、この次になりますと、今度はこれを監査し、合理的なメリットを追求するためにはどうするんだという問題が議題になってくる問題でございまして、いま日本の立場では政府援助は少ないといわれておるのでありますから、そういう方面の発言はしないでおるわけであります。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 時間がございませんので、実はいまUNCTADの問題など詳しく伺いたいのでございますけれども、通産大臣の時間の許す範囲でおもな点だけひとつお聞きしておきたいのですが、第二の一つの問題は、いまの経済協力の問題というものを、もちろんたてまえと申しますか、政府として考える場合に、これは先ほど通産大臣おっしゃったような立場に立ち、内外経済というものの連動の中で世界的な均衡発展を目ざして協力するのだという、これはまあ、いわば先進国と申しますか、具体的な日本の立場である。ところが、協力を受ける側の国とすれば、当面の経済危機を克服する、なおかつその上に自分の自立的な経済発展というものを目ざすために協力を受ける立場とすれば、それが当然だと思うんですね。実際にこの経済協力について、日本なら日本の立場に立った場合でも、企業ベースの場合、もう当然政府借款であっても、これ現在ではひもつきです。今度の第三回大会でアンタイイングが承認されておりますけれども、いままではひもつきであった。もちろん、これがその他政府資金を含めての民間協力ということになれば、企業もむしろ具体的な活動になり、企業ベースで見た場合には、経済協力に参加する企業というものはみずからのやはり業績の発展あるいは企業の利益というものを犠牲にするわけにはいかない。逆に言えば、それがむしろ経済協力に企業が結びつけられる問題点です。ところが、一方それでは、先ほど申し上げたように、四十四年度に一千億の予算を計上し、六九年の実績では十八億ドルの資金フローがある。こういう大きないわば経済負担、その負担を主として負う国民の立場、具体的には労働者や農民なり中小企業の立場からすれば、経済協力というものが、何といってもやはり自分たちの生活向上につながり、同時にそれが平和の問題に効果があるのだ、いわば平和で安定した生活を送るのにはそれが必要なんだということなしには国民的合意が得られないだろう。したがって、政府としてのたてまえはたてまえであるが、具体的には、それを直接担当する企業の立場と、それから負担をする労働者、農民、中小企業の立場とは、かなり違った面がある。それから、同じ相手国にいたしましても、先ほど申し上げたような、政府のたてまえはたてまえであるけれども、具体的な協力ということになれば、現在の相手国の政権を取り巻くいわば支配層ですね、支配層は直接経済協力によって利益を得る面が非常に多いことだと思う。もっと極端な場合、かつて賠償をめぐってさまざまな黒い霧があったような問題もあるし、現在はそういう話が出ておりませんけれども、少なくとも直接的には、経済協力によって直接の利益を得るのは相手国の支配層、ことに大企業であってみたり、あるいは特定の政治家であってみたりという、支配層は自分たちの利益にすぐ結びつく。ところが一方、相手国の今度労働者、農民あるいは民族企業の立場から考えるなら、やはりそれが直接的な利益というよりは、将来自分たちが貧困から脱出し得るのかどうか。現実に、六十年代これだけの経済援助が行なわれたと言いながら、むしろ貧困層はアジアからふえておりますね。決して一人当たりの所得というものが上がっていない、むしろ貧困層がふえている。そうなってくると、経済協力を評価する視点として、政府のたてまえというものとは別に、経済協力をする側においても、される側においても、二つの異なった立場があるということを私は考えるわけなんですけれども、そういう考え方自体——これはあとで御質問したいので、考え方自体をちょっと、いいか悪いか。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中角榮君) そういう見方もあるかもしれませんが、しかしそこまで区別をして考えることはないと思うのです。これは率直に言うと、なかなかおじょうずな発言をしておられますが、もっとはっきり言うと、低開発国、開発途上国に政府間援助をもっとやっても、その政府や援助をもらう企業は恩恵を受けるけれども、国民は直接受けない、こういう御発言でございますが、これは、一部問題を起こしたり、いろいろなことが確かにあることは、これは理解できますが、しかし、援助を受けることによって、また工業国は援助を支出することによって、その国の経済を発展をせしむる、同時にその国の国際収支をよくする、それから生活をレベルアップする、こういうことを目標にして援助が行なわれるわけでざいます。だから、今度のUNCTADでも、最大の問題として議論をされておるわけであります。これがうまくいかなければほんとうに世界、地球上の平和が維持できないと極言さえされるほどの大問題になっているわけですから、政府間ベースのもの、救恤品のように、災害がありましたから、今度のバングラデシュなどに着物を送ったり、いろいろなものを送る、米を送ったりというふうなこと、これは直接国民が恩恵を受けるということは間違いなくわかりますが、ただ、経済協力という名のいわゆる民間借款というようなものは、やはり利益を追求する、そういう形の中における経済協力になりますので、そうするとその会社がもうける、その企業は、輸出業者はもうける、製造業者はもうける、しかし国民とは必ずしも結びつかないというお考え、これは結びつくのです。そこは自民党的だからと言われればどうしようもないわけでありますが、それは国民もその国の企業もみんな一つでございまして、そこまで理論的にも全部分けてやるとすれば、国民一人当たりに幾らずつ金をやるか物をやる以外には方法がなくなるわけでありまして、経済協力の資金は、とにかく効率的に、公明に使用される、そうして協力をする国々が考えておるようにやっぱり成功してもらいたいということは事実でございますが、民間経済協力が一部の者だけを利することであって、その国の国民のためにはならないというふうには私は考えておりません。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 私も、経済協力が特定のたとえば相手国の人たちだけを利して、国民を利さないとは申さない。しかし、少なくども、その経済協力を受けることによる利益の度合い、あるいはどういう経済協力を受けるかというものの考え方ですね、そういうものに差があるということは、これはおっしゃるとおり、確かに自民党とわれわれとの立場、考え方の相違かもしれませんので、この点は、質問でございますから、論議はいたしません。  具体的にそれに関連して伺いたいのは、これまでDAC加盟十六カ国ありますね、これが一律に大体GNPの一%を目途にして経済援助を行なう、しかもその中のGNPの〇・七%に相当するものは政府間援助とするというような目標を一応つくられておるわけですね。このことについて私非常に疑問に思いますのは、もうすでに、先ほど申し上げたように、六九年の実績でもこれはもうGNPの〇・九三%でございますね、全体の資金の量からいけば。まあある意味でもう一%に達しているわけです。確かに、政府資金の面になりますと、これはむしろその他政府資金の額が非常に多くて、直接的な政府借款というのは非常に少ないという問題あろうかと思います。ただ私ここで問題にしたいのは、DAC加盟国が一律にGNPというものを基準にして、それの一%とか、それの〇・七%という考え方自身がいいのか悪いのかということを考え直さなきゃいかぬのじゃないか。と申しますことは、ひとつわれわれ日本の国民、特に先ほど申し上げたのは、相対的観点を実は申し上げたんです。すなわち、企業者の観点と労働者、農民の観点と申し上げたのは、確かにGNPは世界の二番目になったかもわからない。ところが、統計に示すように、国民一人当たりの所得というものは十六番目であると言われております。これは現実でございますね。それだけでなしに、社会資本が非常に不足をしておる。その結果、交通の問題、公害の問題、住宅、過密、それらはいまでも国会で非常に問題になっていることも言うまでもないと思います。あるいは社会保障にしても、それはもうDAC加盟国の中では最低ですよ。加盟国どころではない。その他の世界の国々を合わせても、日本は非常に少ない社会保障費しか財政負担をしていないわけですね。さらに、労働分配率になってくれば、これも西欧諸国に比べれば非常に低い。それから農業の問題を取り上げればですよ、これはむしろアメリカの農産物の輸入というものの要求に対してすら、まあ通産大臣は非常にこれはそういう意味じゃアメリカとはかなり強く当たっておいでになるそうでございますけれども、いずれにしても、その圧力の中で、日本の農業というものは、むしろぼくは停滞をしている。そこで当然、今度の発展途上国による一次産品と農産品の輸入に対しては非常に問題がある。こう考えてまいりますと、確かにGNPこそ世界で二番目になったかもわからないが、その国民の生活という観点、特にその労働者、農民、あるいは零細企業の生活の観点ということからいくと、そのGNPの一%という目標で、イギリスなり、あるいはフランスなり、そういうのと同じ形で経済協力をしていくということの意味が納得できないということが第一点ですね。  それから第二点としては、日本がそういう内容的には非常に生活がまだまだ貧困である。ことに私は、まだ山村部落へ行って、過疎になりつつある農民の姿というものは、おそらく東南アジア諸国の農民とあまり変わらない状況だろうと思うんでございます、農民一つ取り上げてみても。そういう今度は日本が、一応GNPがこれだけ大きくなったから、一%を目途にして、〇・七%は政府援助でもってやりましょう。企業が全部今度それ・を一つのてこにして南方へどんどん出ていく。だから、これはよく旅行者の言うように、いま東南アジア諸国には日本商品がはんらんをしている。これは新しくできる外国企業も、大部分日本の企業が多い。しかも、同じ家電の企業が、三社でも四社でも日本の企業がどんどん出ていく。だから、まるで、その援助を受ける相手側の今度国民と申しますか、そういう人たちから見れば、まさに日本の経済の大波が自分たちの上に押しかぶさってきていると、これをはたして援助と感ずる  かどうかですね。そうしますと、私はどうも、通産大臣のおっしゃったように、大義名分とは別に、いまの日本のこういう経済体質の中で、GNPというものを基準にしてのこの経済援助というものが、日本の国民、特にさっきも、ここであえて私はまあ企業を抜かしたわけでございますけれども、労働者、農民なり、あるいは相手国の労働者、農民に与える効果というものがかえって逆ではないかという気がするのでございますが、その点はいかがでございますか。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中角榮君) あなたのおっしゃっておるようなことを、私たちもいままで申し上げておったわけです。外国で、まあ特にアメリカとの交渉などやっていますときに、国民総生産の一%という問題でも、日本とアメリカとを端的に比べれば、社会資本の蓄積率は四対一である。アメリカまでになったときにアメリカと同じ率でやることは納得できるが、まだ社会資本の蓄積比率が四対一であるという中でアメリカと同じようにGNPの一%ということは無理ではないかと、こう言ってみたんです。だから政府援助というのはできないのだと、こんなにアメリカ式じゃできない。アメリカなどは軍事援助というものがあるので、それに付随すればどうしても政府援助というものが出しやすいし、出さなきゃならない。また、拡大ECの諸国などは、かつて植民地であったという特殊な事情があるので、そういう意味で政府間ベースの援助が多いんだと、日本もその限りにおいては、賠償に付随する援助のときの数字を見てもらえば、日韓、日タイ、日比、こういうようなものの賠償が支払われたころの援助の内容、質を見ると、これ政府間ベースのほうが非常に多いのです。そういう面からいって、画一、一律的なやり方はそれは求めても無理ですと、こう言ってきたんです。きたんですが、もうそんなことは通らなくなってしまったわけです。いずれにしても、日本は世界の先進工業国の中でたった一つ、たった一カ国貿易収支が大幅に黒字である。地球上でもって流通しておるといわれるドルの一〇%以上持っておる。そういうもう具体的な数字で、とてもその援助に対して理屈を言っていられるような世界の情勢ではない。そんなことを言っておるならば、もう日本との間には二国間で全部貿易は収支のバランスをとりましょうと、それは言うなれば日本製品のボイコットになる。日貨の排斥につながってくる。そういうような状態でございましたし、まあそういうことでありましたから通貨の調整にも応ぜざるを得なかったというふうな実態でございます。だから、まあ具体的な面から見れば、まだまだ日本が、先進工業国、アメリカやイギリスやフランスや西ドイツと同じようなレベルでもって支出を求められること自体は、農民や労働者や実際まだ過疎地帯の一次産業地帯を考えればそんなことできるものじゃないということは、確かに日本人としての心情にはあります。私なども新潟県でございますから、ほんとうにあなたの御発言と同じようなことも腹の底にはございますが、やっぱりそれよりも、日本は相当な勢いで経済が伸びておるということから考えると、どうしても国際的に負わなければならない責任を果たすということがまず第一義になるわけです。それでまあ、この国民総生産の一%というのは理由はありません。これはみんな国際会議ではこういう議論をするのですが、理由もないし、必ずしもこれが最上のものさしではないのだが、これに比べてよりベターな基準があるかというと、なかなかいますぐないのです。ですから、まあ何年か、何年かは国際会議で議論して、いいものさしができると思いますが、現時点においてはまず国民総生産の一%、これ全部一%をこしておれば問題ないのですが、日本は二番目といっても〇・九三%である。政府ベースの援助は〇・二三%であります。DACの平均数字は〇・三二%ですから、これを比較するとまだ〇・一%も足らない。こういう実態から考えて、まあ全部がその一つの目標線を越えたときにはより合理的なものさしをつくるとしても、いまのところはまあ国民総生産というものをものさしにする以外にちょっと方法はない、この程度に理解しております。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 通産大臣、どうも非常に先をよくお読みになって、私の言いたいことまで言ってくださるので、質問がだんだん減るのでございますけれど、これは新潟の例なんかいい例だと思うのでございます。ただ一つ抜けておると思いますのは、じゃあ何で、通産大臣も痛感なさるように、GNPを基準にすることが第一に国内的な矛盾を引き起こしているのかというと、それはアジア諸国民の立場にすれば、さっき申し上げたように、日本の経済の大波が押し寄せてきているという印象でございますね。だから最近非常に日本に対する経済的なむしろ警戒心がふえているというのは、この点、通産大臣は御答弁なかったのでございますけれども、これはいろいろな報告にございますので、あえて再度答弁を要求いたしませんけれども、私申し上げたかったのは、通産大臣自身ももしそういう矛盾をお感じになっているとすれば、これは私はむしろわれわれはもっと反省すべき点があるのではないだろうか。と申しますことは、これはよく言われますように、六〇年代の日本の高度経済成長というものが国民生活を置き忘れたいわば輸出第一主義の高度経済成長であった、あるいはGNP均衡とか、いろいろなことばが使われております。そういう経済体質をつくり上げた。六〇年代の高度経済成長の結果、GNPだけは資本主義世界第二位になったけれども、体質は非常に弱い、あるいは国民生活は貧困である。となると、私はやはり、この問題を通産大臣自身ももし遺憾だと思っていらっしゃるとすれば、これはやはり国内経済に対する政策とそれから対外経済協力というアジア諸国に対する協力関係等は連動的に考えていかない限り、おれたちはGNPは高いけれども国民生活は貧困なんだから一%は困りますよと言ってみても、なかなか納得はできない。とすれば、私はむしろ、日本の国内の経済体質自身が、国民の生活優先——これはもういま政府が出している基本的文書にはみんな書いておりますね。実は、私いま言った新経済開発から、それこそ新全総から、たいていの基本文書には、七〇年代は国民生活優先、福祉経済というような方向を目ざすのだということは言っているけれども、少なくとも過去においてはGNP至上主義であり、第一主義であったことがこういう結果をもたらした。それによってそういう矛盾におちいっている。そういう反省に立って、日本の国内経済体質をほんとうに変えていくという具体的な方針があるのかどうか。これも私は基本文書を全部一応私なりに勉強してみたのでございますけれども、結局はやはりGNPを経済発展計画という方向に指向されてい七、書かれている題目は、それは国民生活の向上とか福祉の向上とかいろいろございますけれども、実際問題としてはやはりどうやってGNPを上げていくかという方向をいまだにあきらめ切れないでいるという、こういう現状を変えない限り、これは年じゅうそういう圧力を受ける。しかもそれは逆に、先進諸国といわれるDAC諸国からは日本は援助しろという圧力がかかる。日本がやってみれば、今度はアジア諸国から、日本の経済侵略だ、いや経済支配だという逆な抵抗を受けるということになる。こういう矛盾というものを解決するには、私はやはり国内経済の体質改善というもの以外にはないのではないかと思うんです。そういう点について、少なくともいままで出ております基本文書に関する限り、私は納得できません。これに関連して実は私非常に興味を持ったのでございますけれども、これは一月の二十日、だいぶ古いのでございますけれども、ちょうど例の繊維の政府間協定の問題が盛んになったころ、通産大臣が、おそらくアメリカに対してうっぷん晴らしにおっしゃったのではないかと私いま考えているのですけれども、十五年一%達成は可能であると、GNP三百兆円としなければ米国と対等な交渉はできないということを打ち上げておられるわけですね。ところが、実際新経済社会発展計画ですら大体七〇年代は一〇・七%と言っている。ところが、その通産大臣の強気が——これはまあおそらくいまのアメリカのダンピング問題に対する抵抗もずいぶんお感じになったんだろうと思います、これはこれなりに私非常に必要だと思いますから、時間があればいずれ次の機会にまたいろいろ御意見を伺いたいのでございますけれども、その直後に通産大臣は一直後でもないですけれども、三月十六日になると、成長率三・九%程度だろうと、今度は非常に弱気な見通しをしていらっしゃるんですね。一月にはいま申し上げたような非常に強気な姿勢をとり、三月になると今度非常に弱気な姿勢をおとりになっておる。これは、通産大臣自身が、私が申し上げるような、GNPはある程度落としても国民の福祉政策に重点を置こうというお考えに変わったのか、それとも経済指標のとり方をお変えになったのか、あるいは一月のときのうっぷんがおさまったんで一応別な角度からお出しになったのか、そこらのところを伺いたいと思います。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中角榮君) 同じベースの数字ではないのであります。三百兆円と言ったのは、潜在成長率を計算をするとこうなりますと申し上げたんです。それは二十九年から三十九年まで十カ年間の平均成長率一〇・四%、五五年から六五年までの十カ年間は一一・一%、そういう十六、七年間一〇%以上の成長の結果、昨年度——四十六年度の当初の経済見通しは一〇・一%でございます。それが三月になってみますと三・九%ぐらいしか実質的に伸びないと思います。ただその上に輸出がプラスをされております。輸出は政府が打ち出したものより非常に高い情勢にありますので、そういうものをこまかく計算すると年間を通じて四%台の成長は可能だと思います。ですから、一〇・一%を予定したものがその半分にも満たない四%台でありますので、非常に不景気感は強くわれわれに感ずるんです。こうこうことを言ったんです。  もう一つの三百兆円は、ことしは非常に経済成長率は低いが、しかし一次産業比率が一七・四%である日本一アメリカの四・四%、拡大EC十カ国の平均六%に比べればまだ一〇%も次産業比率の多い日本が、将来どうあるべきか、どうなるであろうかということで、潜在成長率で計算をしますと年率一〇%の成長は可能だと思います。こう言いましたんです。そうすると、四十五年度の国民総生産が七十三兆円ぐらいでありましたから、昭和六十年度、十五年後をそのまま一〇%で複利計算をしますと三百四兆円になります。こう述べたのでございまして、その三百兆円と三・九%という成長率は全然次元が違う数字であるということをひとつお認めいただきたい、こう思います。  それからもう一つ、成長率、国民総生産に対しての一%というのは、非常に不合理なんです。これはちょっと申し上げますと、いま援助を受けたい国は百二カ国、先進工業国が二十カ国、共産圏国が十カ国、計百三十二、こういう計算で見ますと、人口からいいますと、開発途上国という低開発国は人口はちょうど半分であります。半分でGNPは一三%しか出ておらぬわけです。ですから、一人当たりのGNPをドルで換算しますと二百十七ドルであります。二百十七ドルというのは一体いつかというと、昭和三十年における日本人の総生産が二百六十ハドルでありますから、三十年であります。ところが、先進工業国二十カ国の平均の一人当たりのGNPは二千九百ドルであります。日本がいま幾らかというと千七百九十五ドルであります。世界で十三位であります。そうすると、先進二十カ国の平均にまだ千ドルも足らないという日本が、主要工業十カ国の平均数字のもう伸び切ってしまった国民総生産と、日本のようにこれから追いつかなければならない、相手が五%のときには倍の一〇%で進まなければ相手のレベルに達しないという日本が、なぜ同じ基準の数字をとらなければならぬのかという不合理性は、いつもわれわれは議論するところでございますが、こんなことを言っても、いま外貨が毎月ふえているのは日本だけじゃないかとか、貿易収支でもって片貿易になっているのも日本だけだという問題がありますので、いまのところはUNCTADが採用しておるGNPの一%ということをやはり日本も承諾をして、それでもって経済協力を進めていく。それで一年後、二年後には日本の実体に合うようなものさしを国際的にも認められるように主張していくということになると思います。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 どうも通産大臣、ちょっと考え方が逆になっているので、もう一回伺いたいのです。  私は、GNPをものさしにとることの不合理性というものは、相手から押しつけられたというよりは、確かに、いま国際的に何らかの経済指標によって歩調をそろえようとすれば、GNPをとれば便利でございますね。そういう意味で、私はGNPをとることについて誤りであるとかいかぬというのではなしに、GNPをとることによって出てくる日本の矛盾、その点はむしろ、相手国に対してなぜGNPを基準にとるんだという文句を言う前に、われわれ自身が反省すべきじゃないのか。そうすれば、通産大臣自身がいまおっしゃった、ドルが非常にたまってくるという問題もないでございましょう。いずれにしても、国内の経済体質というものを、GNPを基準にして何か経済発展をはかっていくという方向ではなしに、GNPはある程度ダウンしても国民生活を豊かにしていくんだという方向、基本的な経済転換、発想の転換がない限りは、これは私は解決できない問題じゃないのだろうか。それは、先ほど申し上げましたように、新全総にしても、あるいはは産構審の答申にいたしましても、新経済社会発展計画にいたしましても、看板にはそれに似たことを掲げているけれども、結局せんじ詰めるとやはり一〇・七%の成長率をどうやって維持するかということに集中をしている。四十七年度の予算を見ても、これは経済浮揚、言いかえれば、やはり経済浮揚の方向というものは、GNPをいかに上げていくかという方向に行っているのではないか。したがって、基本的な発想を変えて、日本自身がそういう国内政策をとることによって、快く相手国に対してGNP一%あるいは政府間借款〇・七%を出せる状況をつくろうじゃないか、そのほうが本筋なんだということを実は私は申し上げたかったのです。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中角榮君) 生産第一主義から生活第一主義に置きかえなさいと、また置きかえますと、こう政府も答えておるわけでございますから、これは考え方で言えば、政府とあなたとの間には矛盾はない、こういうことをひとつお考えいただきたい。そうでございますが、実際において成長というものを全然やらぬでいいのかといいますと、そうではない。やはり先ほど申し上げたように、社会資本の不足、社会資本蓄積率がアメリカ対日本は四対一だということ、これをアメリカ並みにするには、ただじっとしておっては上がらないのです。いまあなたが百六、七十億ドルみんな使えばできるのだと、そんなことで片づく問題じゃありません。これはどうしても、さっき申し上げましたように、三十年に二百六十ハドルであったものが、四十五年、十五年間で二千五百六十ドル働けるような日本になったということによって、ほめられるような状態ではないか。十五年間で日本の社会保障は急速に伸びてきておる、これはもう事実であります。ですから、いろいろな社会環境や生活環境というものを整備するにしても、ある程度ノーマルな経済成長というものが前提でないとできないということでありまして、生産第一主義であって公害をまき散らしても何でもいいんだというようなものではなく、やはり成長のメリットというものは、国民生活のレベルアップというものに必ずつながるような成長というものが前提でなくては、月給が上がらないで家になるわけじゃないのです。月給が上がらないで車が買えるわけはないのです。そういうわけで、ただしゃにむに、公害を出そうが何をしようがかまわずというのが、都市集中になり、呼吸もできない過度集中になったわけでありますからして、そうではなく、ちゃんとした成長というものを長期的な見通しのもとに続けながら、その中で公害が排除されたり、生活そのものに成長のメリットが置きかえられるというような状態を進めてまいろうというのが、四十七年度の予算でそのスタートをやっているわけですから、そういうふうにひとつ御理解をいただきたい。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 通産大臣、何か時間がないそうでございますので、一応もう一つだけ、まあ締めくくりなんでございますけれども、いま通産大臣がおっしゃったことは、先ほど私が申し上げましたように、政府の基本方針に出ておりますし、四十七年度の予算もそういうたてまえでおつくりになったということを私は知っております。ただ問題は、現実にそれでは公害が起きたから公害に対して政府がどれだけ取り組むのかという以前に、少しでも不況の危機があれば、それをいかにして救うか。まず、それはもちろん全然成長なしに福祉はあり得ないわけですから、それは当然の原則ですね、経済的な。それを私は否定しているわけじゃない。ただ政府のいま目が常にGNPの、たとえば新経済社会発展計画をつくって、一〇・七%ですか、それを維持するということにむしろ集中をしてくる現実の動きがある。そういう可能性が非常に強いし、現実に今度の予算なんか見ても、どうもやっぱり生産基盤の整備、たとえば新全総の問題なんかにしても、御承知のように、むつ小川原の問題とか、志布志の問題など、あれだけ地元住民が反対をしているけれども、やはりそれを何とかしてやっていこうというような働きかけもある。これらのことは、私の杞憂でなければ幸いでございます。しかし、少なくとも、これまでの社会経済体制を変えるためには、よほどの勇断がなければ、現在これだけの大企業、いわばわれわれ独占資本と言っております大企業ができている日本の中で、国民の生活優先の経済体制に切りかえていくことは、なまぬるいことではないと思います。それはわれわれよくわかりますが、きょうのただ通産大臣の答弁だけに終わったのでは意味がないのであって、本気になってこれに政府が取り組むのかどうかということが今後の問題だと思いますので、これを期待して私今後の動きを見たいと思います。  それから最後にひとつ、これは質問ではございませんが、実は時間があれば御質問したかったのでございますけれども、これだけ無理をして経済協力をしている、経済協力をしていると言いながら、いまアジア諸国から日本に対して非常な強い反駁があるわけですね。これは私があるいは読む必要もないかもわかりませんけれども、私実は非常に驚いたのは、タイ国大使が公の講演会、公の場でもって講演をしておるのに、これは実に手きびしい日本の経済侵略に対する非難をしておるわけです。これはタイでも経済大臣がやっておるのです。そのほかに各国の、この間のテレビでも実はやっておりました。何ですかあれは——日本の経済協力に対する各国の反響、テレビで何か各国のジャーナリストとあるいは経済人と集まってやっている。これもやはり、日本の経済協力と言いながらの経済侵略をするということを非常に指摘している。そのほかにもいろいろな、ジャーナリストを通じてそういう事例が出ておるわけですね。だから、私はむしろいま申し上げたかったのは、国内で日本の国民を犠牲にして大企業が成長をし、そうしてGNPを基準にして経済協力をやるといってやった結果が、今度はアジア諸国から日本の経済侵略としてこれを受け取られる。むしろアジアの動きというのは、日本に対する一つの抵抗の動きだと思うのですね。そうなったら、日本は孤立するおそれがある。アメリカからダンピングでもってどんどんと攻撃がかかる。ECですら日本を警戒をしておる。そうすると、狭い国土で、しかも資源のない国の今後の経済発展、確かにそれは、通産大臣がいまおっしゃるように、経済成長なしに国民の福祉はないですよ。しかし、成長の芽がとまるようなことは、やっぱりこれは自己矛盾だと思うんですよ。つまり、成長のあれが上がるんじゃなくて、むしろ自分の成長を切っているんじゃないか。これは、私がいま言った、国内における矛盾と、アジア諸国の日本の経済ナショナリズムに対する民族ナショナリズムの抵抗、そういうものが出ているという現実ですね。それらをぜひひとつ踏まえていただいて、今後の経済協力というものは、単に日本の余力でもって相手国の発展を援助するというような姿勢ではなく、さっきから通産大臣がおっしゃっているように、連動性がある、国内の経済発展というものとアジア諸国の経済発展というものが結びつかなければ両方とも成り立たないんだし、そのためには、私はやはり、いま日本が一歩下がって、日本は日本の分を守り、日本の国内の問題に重点を置き、また同じ立場でアジア諸国と一緒になって発展をする姿勢がない限りは、成功しないんじゃないか。非常に結論的なことを申し上げて恐縮でございますけれども、通産大臣のいまの御答弁の中からそれに似通ったことはあるけれども、どうも何かまだしっくり考え方がいかないような気がいたしますので、最後にその点だけを私の意見になりますけれど申し上げて、一応通産大臣に対する質問を終わりたいと思います。  それから、通産省の方はおいでになりますか——経済企画庁の方ですか。いまの経済協力に対するGNPの問題は、大体通産大臣にお伺いしたので、それで一応とどめたいと思いますけれども、その次に、これも本来なら通産省の問題ではないかと思うのでございますけれども、経済協力の内容につきまして、これは資金の流れから見た場合、資金のフローから見た場合に、先ほど申し上げたように、絶対量は七〇年ですでにこれは十八億二千四百万ドルに達しておる。これはアメリカに次いで世界第二位でございますね。   〔理事小谷守君退席、委員長着席〕 なおかつ、国民総生産の〇・九%である。ところが、政府開発援助というものは、先ほど通産大臣もおっしゃったように、GNPの〇・二三%でしかない。しかも、その中で、本来の経済協力に値する贈与率というものはこの政府資金の中の六・六%でしかない。だから、〇・二三%の六・六%というと、これはほんとうに微々たるものだと思うんですね。ところが、DAC諸国は、大体これが政府資金の二二・四%になる。そういう意味で、非常にこれは日本の経済援助というものに対する風当たりが強いのだろうと私は思います。それからその他の面では、私はやはり技術協力が日本の場合非常におくれている。これは援助額の一・二%でしかないわけなんですね。ところが、DAC諸国の平均は二二・三%。それから、先ほど通産大臣もおっしゃったように、円借款の場合、非常に条件がきびしい。これはいまさらもう数字は申し上げません。非常にきびしい条件、DAC平均に対して非常にきびしい条件である。それから、円借款の場合に、これまでは、どちらかというと商品——開銀の場合でございますね、商品が非常にウエートが多いわけです。どちらかというと商品のウエートが多かった。あるいは、その次に多いのが、むしろ債務救済でございますね。これまでたまりにたまった債務を救済するためのむしろ借款である。こうなってくると、実際問題として、相手国としてはこれを経済援助と感ずる度合いというものが非常に少ないわけでございますね。だから、そういう意味で、私はむしろ、いまの政府の経済協力というものは——まあ今度の第三回総会で愛知さんが、まず政府間ベースの〇・七%を目標にするとか、あるいはタイイングをやめてアンタイイングに踏み切るとか、あるいは条件も、第二世銀まではいかないにしても、現状よりはDAC平均に近づけるということについては、それなりに私評価をいたしたいと思います。ただ、それともう一つ別に、日本の対外協力の中にはアジア銀行を通じての経済協力があるわけですね。このアジア銀行を通じての経済協力というのが私はよくわからないのでございますけれども、かいつまんでアジア銀行の役割りを御説明いただきたい。どうも何かあんまり有効に機能していないような印象を受けるのでございますけれども、その点はいかがですか。

林大造大蔵省国際金融局次長

○政府委員(林大造君) アジア開発銀行につきましては、御存じのとおり、エカフェ関係の諸国が相集まりまして、過去数年間非常に活発に行動いたしております。日本といたしましては、通常資本に対する拠出のほかに特別資金の拠出をいたしまして、多国間援助の重要な一環といたしまして寄与いたしておりますが、そのほかに、日本の国際資本市場の第一のプロジェクトといたしまして、アジア開発銀行債の東京におきます発行にも協力をいたします。で、その三つのルートを通しまして日本の公的な資金の重要なルートの一つとして開発援助に協力をしているわけでございます。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 実際上、そのアジア開銀というのは、大体商業ベースの援助をやっておる。本来の援助に値するような援助ではなしに、やはりコマーシャルベースを割るようなものについての援助はあまり行なっていないという話を伺うんですが、そういう点はどうなんでしょうか。

林大造大蔵省国際金融局次長

○政府委員(林大造君) 御質問の御趣旨を正確に理解しておりますかどうか若干不安でございますけれども、アジア開発銀行に対する援助は通常のいわゆる延べ払い輸出などの形による援助と異なりまして、多国間援助の形をとっておりますひものついていない経済協力でございます。その意味におきまして、いろいろと御批判がありますいわゆる商業的な借款あるいは援助といったものとは違った、比較的純粋な形の経済協力であるわけでございます。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 それから、いまの経済協力の中の政府資金が、直接的な政府借款と「その他政府資金」という形で民間の輸出信用あるいは直接投資に結びついて相当出ておりますね。こういうものの場合、言いかえれば、日本の国の輸出促進とか、あるいは日本の企業の対外進出とか、そういうものにむしろ政府が資金を貸して援助しているんだと、相手国に対する経済協力なのか日本の企業の対外的な進出への寄与なのかわからない、むしろ逆に、日本の企業の対外市場の拡大あるいは対外的な進出への国内援助だとすら極論されている面もあるわけなんですが、現実にいま全部で政府資金は〇・五七%ですね、七〇年の実績を見ますと。そのうちの半分以上が「その他政府資金」という形で民間資本と結びついていま言ったような役割りを果たしているわけなんで、私は、その〇・七%という目標は、七〇年の実績を見ても、いま申し上げたように、「その他政府資金」を入れればすでにもう〇・五七%に達しているんでございますから、そう困難なものじゃないのであって、これはむしろ、量の問題よりは質の転換のほうが先じゃないかというような気がするんですが、その点はどうなんですか。

新田庚一経済企画庁調整局長

○政府委員(新田庚一君) ただいま御指摘ありましたように、一九七〇年で申し上げますと、援助の中で、いわゆる政府資金のウエートが、日本の場合には六三%ほど占めております。約その半分以上がいわゆる「その他政府資金」ということになっております。これがいわゆる政府開発援助——ODAの中にカウントされますと、確かに〇・七というものは非常に楽になるわけでございますが、現在DACの基準では、この「その他政府資金」というものは政府開発援助の中には、ラインに入っておらないわけでございます。したがいまして、一九七〇年における日本のODAの政府融資というのは〇・二三という非常に低い水準になっておるわけでございます。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 私の聞いておるのはそうじゃない。それは私は知っておるわけなんですよ。だから、政府資金としては〇・五七%出ているが、そのうちの相当部分が直接借款、いわゆるDACでいう政府資金の直接借款になっていないと、いわば企業が輸出する場合あるいは工場をつくる場合の援助資金みたいなかっこうになっているわけですね。だから、さっき申し上げたように、一応国民の側からすれば、〇・五七%の負担というものが経済協力という大ワクの中に入っている。ところが、その〇・五七%のうちの半分以上は、むしろ日本企業の海外進出への援助資金になっているじゃないか。そういうものはむしろ打ち切って縮小して、そしてこれを直接借款のほうへ回してくれば、これは私は国民への負担というものはそれほどなくっても、急テンポで〇・七%に近づき得るであろう。そういう操作をするのかしないのかということを伺っている。

新田庚一経済企画庁調整局長

○政府委員(新田庚一君) 確かに、「その他政府資金」の分をそっくり政府開発資金のほうに回しますれば、資金量としてもかなり楽になるわけでございますが、一方、援助全体の中における民間信用とかあるいは直接投資というものに、日本の現在のコマーシャルベースの市中金利で、はたして従来ベースでやっていけるかどうか。やはりこの点につきましては、政府資金というものをある程度市中金融の中にまぜることによって従来ベースの援助が可能になるというのが現在の経済の実体ではなかろうかと思います。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 しかし、DAC諸国を比較すれば、これほど手厚い、私に言わせれば輸出援助なり、これはリスクがあるからということでございましょう。そういう民間企業が輸出する場合に政府資金でもってこれを援助してやるとか、あるいは企業進出する場合に援助してやるというようなこと、これはおそらくDAC諸国に比較しても、日本は抜群の協力をしているのだと思うのですね。そういうことを、むしろその発想の転換なしに、ただ国民の負担だけをふやしていく。企業の進出に対しては現在どおりいわば援助をしてやる。そしてむしろ逆に、国民の税金負担で片方のほうは現在の〇・二三%を〇・七%に上げるんだという、これでは発想がおかしいではないか。むしろ、さっき通産大臣もおっしゃったように、日本もここまで成長したんですから、そして大企業もずいぶんあるわけですからね。国際的に比較しても負けない企業がずいぶんありますよ。むしろ逆に、いまアメリカのあとを追って、多国籍企業にすらなろうとしている企業があるわけです。そういう企業が輸出する場合に何のために政府資金によるリスクのカバーが必要なのか、そういう企業が相手国に工場をつくる場合に何のために政府は低利で融資しなければならぬのか、そういう点をむしろわれわれとしてはどうも納得できない。その点について何か特別な理由があれば別なんですよ。なるべく企業のリスクを救ってやろうというのなら、これはもう何をかいわんやです。  ついでにこれは申し上げておきますけれども、今度の御承知の第三総会のリマ憲章の中では、大体こういうものは援助と認めていないのですわね。援助じゃないのだ。先ほども申し上げたように、いろいろな文献、ことにタィ国の経済大臣の演説なんかを見ても、日本の企業の進出とか、商品のはんらんすることは、経済侵略だとさえ言っておるんですよ。そういうものを日本が、日本の国民の税金負担でもってどんどんふやしていく。片方じゃ、日本はちっともまともな援助をしてないじゃないかといって、UNCTADの会議ではたたかれる。こういうばかなことはぼくはあり得ないと思うのですね。だから、大体リマ憲章の中ではそういうものはもう援助と認めてないのは、これは当然ですよ。いまアジア諸国自身だって、これはもう侵略だとさえ言っているくらいなんですからね。そのきめのこまかいことは別でございますよ。開発援助がどうとか、あるいは相手のローンはどうだとか、これはあとでまた伺います。いずれにしても、基本的な考え方としておかしいんじゃないかということです。

新田庚一経済企画庁調整局長

○政府委員(新田庚一君) 政府開発援助の〇・七という目標受諾、それから確かに日本の援助の中で輸出信用の占める比率が大きいということも、国際的にも問題になっておりますので、今後政府開発援助に重点を移行していく過程におきまして、ただいま御指摘の点は当然検討されるべき問題だと思います。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 これは当然政治的な問題として、大臣の御答弁がなければ、ちょっと無理だと思いますけれども、じゃあいずれにしても、現在の〇・五七%という政府資金のうちの内訳で、「その他政府資金」を減らして、それを直接開発援助のほうへ回していくということは、基本方針としてきまっておるのですね。

新田庚一経済企画庁調整局長

○政府委員(新田庚一君) これは、この問題につきましては、基本方針として決定されている段階ではございません。今後の日本の輸出信用、あるいは対外投資の動向、それから今後の国内の進出企業の動向、そういったものを勘案しまして、ODA目標受諾との関係において今後検討すべき問題だと思います。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 この点、これ以上論議してもしかたがないと思いますけれども、これはいずれ政治的な問題として、私はむしろそういう主張、考えを持っておりますし、いまあなたのほうでもそれを検討したいとおっしゃっておるのですから、具体的にどの程度検討し、どういうふうになったかは、後日に譲りたいと思います。  その次に、もう一つ、これはもう以前から開発途上国が要求をしている貿易を通じての経済協力でございますね。むしろ、援助ではなしに貿易をというのが、おそらく最初のぼくは発展途上国の要求だったと思います。リマ憲章なんかでも、その点非常に強く主張しておりますね。そういう意味で、日本も、特恵制度について、一方的な特恵というものをおつくりになっていると思う。ところが、これは新聞でもからかわれているように、日本のこの特恵制度というものは、非常にワクが小さいために、本年度の特恵などは、すぐこれは満ぱいになってしまう。実際問題として、特恵としての役割りは、ほとんど、相手国に対する経済協力はなかなか果たしてはいないではないかという批判があるわけでありますけれども、これは通産省として、この一般特恵と申しますか、そういうものを今後ワクを拡大していくというお考えはお持ちなんでしょうか。

林田悠紀夫自由民主党通商産業政務次官

○政府委員(林田悠紀夫君) 御承知のように、わが国では、昨年の八月一日に、九十六カ国の発展途上国を受益国としまして、特恵の早期実施に踏み切ったわけであります。ところが、アメリカとか、あるいはカナダにおきましては、まだ特恵を実施していないというような状況でございます。それで、わが国は、そういうふうに早期に実施に踏み切ったばかりでなくて、なお、本年の四月一日から、特恵受益国をさらに十カ国追加いたしまして、また新たに十八の地域、属領を受益地域に指定したわけであります。それから、いま仰せのシーリングの管理の緩和というようなことにつきましても、特恵供与条件の改善を行なったのでございます。今後とも、仰せになりましたような問題の改善のためには、また特恵資金をさらに効果あらしめるためにも、他の先進国と協調しながら、わが国の特恵制度の実質的改善を行ないたいというように考えております。ただしかし、わが国としまして、たとえば繊維産業とか、あるいは玩具の産業とか、いろいろそういう中小企業がございます。したがって、国内中小企業に与える影響というものも十分配慮しなければならないわけでありまして、昨年は中小企業特恵対策臨時措置法を国会で制定してもらいまして、この運用によりましては、十分そういう点も考慮しながら特恵を与えていきたい、こういうように考えておるわけでございます。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 いまのお話のシーリングの主たる要因というものが、日本における中小企業のむしろ保護にあるというように私たちも理解しておるわけですけれども、これは私は、もちろん、もう最初通産大臣に申し上げたような、六〇年代の日本の高度経済成長の結果、取り残されたものとして中小企業、農業というものがあるわけでございますね。これに対して、これをどういうふうに今後安定させ、発展さしていくのかという政策と、それからむしろ世界的な重要な課題であるいまの発展途上国への経済協力、しかも発展途上国からの最大の要求である輸出の増加という問題との比重の問題もあろうかと思います。ある意味では、関連はしているが別の政策だと、それをただ中小企業のほうの政策ということを理由にして、いままでのシーリングをきびしくしたということは、これは私は、むしろ中小企業にとってもそれほどのプラスではなかったであろう。逆に発展途上国からの最大の要求に対してもこたえていなかった。ということは、輸出だけはどんどんやっているわけですからね。さっきも言ったように、政府資金までくっつけてリスクをカバーしてやっている。輸入する部面については、日本の中小企業がありますからといって、シーリングでもって特恵制度をすら縮めている。そういうことは、私は、国際的にも納得されないし、また日本の中小企業もほんとうの今後の発展の方向をつくり得るものではないだろうと思うんですね。いまお話しの中小企業の問題もありますけれども、もっと極端な場合には、御承知のように、日本の企業がどんどんアジア諸国へ出ていって、そうすると、アジア諸国での製品として、日本のむしろ企業がつくったものが日本に逆輸入されている場合がずいぶんあるわけですね。これなんかもずいぶん矛盾だと思うんですよ。そういうものはもっと広範に一応お考えになって、やはり私は、発展途上国の一次産品、特にリマ憲章の中では、加工品、半加工品に対する、二次産品に対する特恵制度を非常に強く要求しておりますね。そういう点については、もっと日本が前向きに取り組むのでなければ——前向きということばはあまり使いたくないんですけれども、積極的に取り組むのでなければ、これは私は、むしろ、いま申し上げたように、国内のほんとうの意味の経済的な発展にもつながらないだろうし、逆に相手国からは、一方的に輸出には日本は肩を入れて奨励をし、政府資金を使って自分の国の市場を占有していく、あるいは民族産業をつぶしていく、ところが相手国からの輸出については、いま言ったような立場で押えていく、そういう非難が出てくるのも、もしいまの御答弁がそのとおりだとすれば、当然だと思うんですね。そこら辺は、私はやはり、基本的に考え方を変えなければならないのではないだろうか。変えなければ、今度のUNCTADの第三回総会というものはあまり意味がなくなると思うんですが、その点はいかがでございますか。

林田悠紀夫自由民主党通商産業政務次官

○政府委員(林田悠紀夫君) 私たちも仰せのとおりだと思っております。ただしかしながら、日本の現在の特恵の付与につきましては、世界の先進国に決して劣っていない、むしろアメリカとかカナダよりも早く日本がやっておるということでありまして、ECに次いで日本がやっておるということを御了解願いたいと思うのでございます。そしてやはり、日本におきましても、中小企業を後進発展途上国の製品よりもむしろもっといいものをつくるという方向へ向けていくというばかりでなくて、産業構造をどんどん集約産業のほうに編成し直していくとか、そういう新しい日本の産業の総合的な考え方をやりながら、この特恵のワクをふやし、また国をふやしていくということに努力を傾けたいというように、かように考えておるわけでございます。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 何回も同じことを繰り返すようですけれども、ただ、いまのお考えの中には、日本がアメリカよりも先にやったとおっしゃった。私は国際比較を言っているんではない。つまりそれは、もう田中通産大臣自身もお認めになったように、経済協力というものは、アメリカがやったから日本がやらなきゃいかぬのだとか、あるいはどこの国がやったから日本もやるんだということではなしに、日本の経済発展ということがアジアの諸国の経済発展と連動していかなければあり得ないという、そういう立場に立っているんだと思うんですね。しかも、それを阻害している最大の要因が片貿易なんですよ。これは、私が申し上げるまでもなく、日本側が一方的な輸出国になっているということですね。このことを是正しない限り、私は正常な経済関係は結ばれないだろう。とすれば、それを救済するために、アメリカ自身は逆だと思うんですね、アメリカ自身はむしろ、そういう商品輸出よりは、いまはもう多国籍企業で、資本の輸出のほうに非常に重点を置かれていて、アメリカに比較してみるというのは大体いわばナンセンスなんですね。むしろいまわれわれが論議しているのは日本の問題であり、なおかつ、先ほどの通産大臣の考え、私もその点はそうだと思います。日本の発展というものとアジア諸国の発展というものは、平和共存、平等の立場で連動していく、そういう考え方でいくなら、いまの特恵というものは、もっと思い切った形でこれを解決していくのでなければ、同時にそれに対応する国内施策がなければ当然いけませんね。どんどん輸出して、日本の中小企業がつぶれてもかまわないという考え方、これは乱暴だし、そんなものはあり得ないわけですね。だからこそ、国内経済政策との連動における経済協力ということが非常に重要だと思う。その点だけは、単なる比較とかなんとかで答弁お逃げにならずに、ぜひひとつ考えていただきたい。  第三の点は、最近開発輸入ということがしきりに言われておりますね。開発輸入というのは非常に効果がある。それはまあ相手国にある程度のプロジェクト輸出をするのと同じような形になりますね。ところが、開発輸入についても、これも時間がございませんので申し上げませんけれども、開発輸入というのは、とかく自分のところの資源が持ち出されるという印象を国民に与えるとか、それから、その一定の地域について外国企業が来て開発を始めると、外国人の生活だけは非常にレベルが高いとか、あるいは日本人の場合、その現地の人々となかなかなじまないとか、さまざまな面があって、経済的にも、社会的にも、文化的にも、相手国との摩擦を非常に起こしやすいし、現に起こしている事例が非常にあるわけですね。こういう点をどういうふうに解決していくのかということなしに、ただ開発輸入という形で直接投資にむしろ重点を移していくということは、非常に危険ではないのか。これは一定の段階にくれば、おそらく、主権国の天然資源に対する保有の国連憲章の宣言ですか、それに基づいて相手側がどういう手に出てくるかは、これはもう当然いままでいろいろな事例があるわけなんですね、石油資源の問題にいたしましても。これは資源じゃございませんけれども、多国籍企業が直接投資をした場合に、今度の電信電話会社に対する国有化の問題ですか、そういう問題にすら発展し得る要素があるわけですね。だから、開発輸入というものも、ただ形の上で開発輸入というものが日本の資源の安定的な確保というようなことに重点が置かれ、あとはただそれを何となく納得させるためのことばだけに終わっているんじゃないだろうか。実際問題としては、相手国の摩擦をむしろ非常に各地でもってつくり上げているんじゃないか、そういう気がするんでございますけれども、その点いかがですか。

林田悠紀夫自由民主党通商産業政務次官

○政府委員(林田悠紀夫君) 片貿易の是正のためには、どうしてもやはり開発して輸入するということがまず必要でございます。ただ、開発輸入の場合に、投資をして、そうして向こうの資源をただ開発して持って帰るというだけでは、これは先生のおっしゃるとおりでございまして、やはりこれからの開発輸入の方式としましては、できるだけ先方の国の資本をも動員いたしまして一緒になってやっていく、そうしてできるだけ先方の国にそれだけの利益を残していくというような開発輸入でなければならないと思っておるわけです。だから、現在やっておる開発輸入につきましても、だんだんそういうような変質をいたしておる。そして将来も、そういう、ただ資源を持って帰るというのではなくて、向こうに利益を与えるということを主にした開発輸入を考えていくと、こういうような立場でございます。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 まあおことばはおことばとして承っておきますけれども、現実には、むしろ一年を追うごとに、いまお話しの開発輸入方式というものが、日本の資源確保という要求のあせりにむしろ追われて、相手国の事情というものをある程度無視をして行なわれつつあることによって、先ほど申し上げた相手国におけるさまざまな摩擦を生じ、それが高じてくれば、日本に対するむしろ相手国のナショナリズムによる抵抗、反感、そういうものにすらなってくる。これは現状はそうだと思うんですね。だから、お考えがそうであるとしても、そういう現状もあるわけでございますから、これを具体的に解決をするような方向にやはり施策を持っていっていただかない限り、ことばだけでは言えても、なかなかむずかしい問題じゃないか。その点、十分御留意願いたいと思います。  それとの関連で——それとの関連じゃございませんが、今度新しくこれまでの経済協力に対する相手国の問題があるわけですね。どういう国に対して日本が主として経済協力してきたか、これを見ますと、これはもう申し上げるまでもなく、経済協力をしてきた相手国というものは、韓国、台湾、南ベトナムというような、いわば南北に分断された一方の国であり、あるいはアメリカ側陣営に密着しているタイなりインドネシアなりフィリピンなり香港というところにほとんど集中していたと、このことは、最初に私申し上げましたように、外務省の方針を見ると、それは当然だということになるのかもわかりませんけれども、相手国がそういうところに集中していたということが、これはむしろアジアにおける国際的なさまざまな対立関係を深めたのではないだろうか。だからこそ、例のニクソン訪中によってショックも受け、新しい動きに日本がどうついていこうかという現状にいま立たされているわけなんです。そういう点についての、これまでは少なくとも当然集中してきていた事実、今後どういうふうにしていくのかということについて、もしお考えがありましたら、それをお聞かせ願いたいと思います。

大西正男自由民主党外務政務次官

○政府委員(大西正男君) 従来わが国は、いまおっしゃいましたような国々と、地理的にも、それからまた経済的にも、歴史的にも、関係を持っておったわけでございますので、そういう国々と特に経済的な面において密接な関係を持ってきたということは、これはいなむことのできない事実であると思います。でありますけれども、米中会談と申しますか、そういう問題も起こってきておりますし、またこれが固定化しあるいは定着化しておるとまでは言えないにいたしましても、アジアの緊張というものが緩和をされてきておる状態が見えてきておるわけでございます。そういう意味におきまして、特定の従来の関係というのだけを固執をしていくということは、これはもちろん反省をしていかなければならないと思います。そういう意味で、わが国のそういった関係におきましても、多面的に、また多角的にこれから考え直し、そしてまたそれを実行していかなければならない段階にきておる、このように考える次第でございます。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 いまの御答弁、どうもこれは何回か国会でなさった御答弁と同じなんで、納得できないんでございますけれども、むしろ緊張緩和のきざしが見えておると、したがって、そういうものをどうとらえるかというと、これは当然なんですね。私いま申し上げたのは、緊張を助長してきたのではないかということを申し上げた。というのは、ちょうど政務次官さっきおいでにならなかった一おいでになったんですか。外務省の文書を見ますと、「旧植民地との関係の維持」とか、「自国と政治体制を同じくする国を増加させることによる自国陣営の拡大強化ないし同一陣営内の関係緊密化」をはかるためにも経済援助をするということの政治目的があるのだということは、これは国民向けの公の文書があるわけですね。そういうことがむしろ緊張の激化してきた一つの大きな原因ではないか。もちろん、アメリカはもっとひどいことをやっているでしょう。日本の国際行動の中でそういう役割りを維持していかなければならないのではないかということを実は質問している。

大西正男自由民主党外務政務次官

○政府委員(大西正男君) いま御指摘のございました、外務省の経済協力局から出ておりますパンフレットでございますが、いま御指摘になりました三つの動機というものにつきましては、これは日本のことを特に申し上げておるのではないわけでございまして、一般的な世界の先進国が後進国に対して行なっておるいろいろの援助は一般的にいうとこういう動きからなされておるものであるというふうに申しておるのが、御指摘の前段であろうと思います。で、わが国の経済援助ということにつきましては、いまのパンフレットの一ページの下の段のしまいから三行目のところから書かれておるのが、これが「わが国の立場」、こういうことでございます。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 それは、私が申し上げたのは、少なくとも、日本がDAC諸国の一般的なものを承認し、なおかっこれまでの援助の実績を見れば、まさにそのとおりになっていますね。これは援助の額と援助の相手をいま具体的に私指摘してもよろしゅうございますよ。韓国に対してこれだけ援助が行なわれておる。台湾に対してこれだけ援助が行なわれている。こういうことは、事実、朝鮮民主主義人民共和国なり、ベトナム民主共和国なり、こういう国に援助したことがありますか——全然ないんですね。むしろ明らかに、まさにあなたは国際的一般的基準だとおっしゃるけれども、国際的一般的に日本が承認し、現実にそのとおりやってきた実績が、これはもう数字の上でも、あるいは援助をした相手国の名前をあげてみても、そのとおりになっているから申し上げているんです。

大西正男自由民主党外務政務次官

○政府委員(大西正男君) この経済協力援助でございますが、いま御指摘になりました、北ベトナムとか、それから北朝鮮とか、これは御承知のとおり、日本は国交がないのでございます。したがいまして、政府援助なんていうことは、これは原則として成り立たないわけでございます。もっとも、それらの国交のない国におきましても、いわゆる人道上の原因に基づく援助につきましては、これはやっておる例があるわけでございます。そういう状況でございます。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 それは、経済協力ということばを非常に狭義におとりとなって、政府関係の借款に限定すれば、そうでございましょう。しかし、先ほどから言われておりますように、いわゆるDAC諸国が経済協力と称しておるのは、政府間の直接借款だけでなしに、日本で言えば「その他政府資金」も含まれ、むしろ「その他政府資金」がからみ合って出ている民間資本の協力も含まれている。しかも、日本の場合、資金のフローのウエートからいけば、むしろ政府資金のほうが多いくらいで、ましていま民間資金のフローが非常に大きい。ことに、いままでは輸出信用が圧倒的に多かったけれども、六九年を転機にしてむしろ直接投資が非常にふえてきておりますね。だから、政府間借款というものは、それはおっしゃるとおり、あるいは政府の立場からすれば、相手国の政府を承認していないのだからできないときもあるかもしれません。現実にそういう形の抱括的な意味での経済協力というものもあえていままで行なっていかなかった、そのことを私は指摘している。

大西正男自由民主党外務政務次官

○政府委員(大西正男君) いまの御指摘の問題は、これは従来からケース・バイ・ケースで、必要に応じて経済援助、先生いま御指摘になりました経済援助につきましては、ケース・バイ・ケースで行なっておる、こういうふうに申し上げることができると思います。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 ケース・バイ・ケースとおっしゃいますけれども、いままでどういうケースがあり、どういう場合があったか知りませんが、要するに行なっていない、実績は。これはまあよしましょう、過去のことはさておいて、そういういままで日本が歩んできた道というのは、いま大きく行き詰まりを生じている。これは言うまでもなく、米中会談後のアジア情勢の変化、これはあなたは緊張緩和のきざしがあるというふうにしかおとりになっておりませんけれども、アジア諸国ですね、アジア諸国、これは、マレーシアにしても、シンガポールにしても、インドネシアにしても、フィリピンにしても、これはみな訪中外交を新しく展開しつつあります、現実に。日本だけがきざしがある、きざしがあると言って遠目にながめているうちに、これらの国々が積極的に中国とのむしろ接近をはかりつつある。しかも、ビルマなり、パキスタンなり、インド、セイロンは、すでに中国を承認しておりますね。これは現状ですよ、アジアの、国際情勢下の。これは私が申し上げるのは釈迦に説法かもしれませんけれども。そういう中で、まだきざしがあるというふうな前提に立って、従来はほとんどやったこともないケース・バイ・ケースというふうな考え方で一体押し通せるんですか。

大西正男自由民主党外務政務次官

○政府委員(大西正男君) 事、中国に関して申し上げますならば、私は、いまアジアの緊張緩和がまだ固定化をしておらないと、こういうふうな表現を申し上げました。その反面において、きざしがあるといったようなことを申し上げたんでございますが、中国との国交を正常化しようというのは、これはもう時代の要請であろうと思います。また、政府も、中国との国交正常化につきましては努力を積極的にやりたい、こういうことを申しておりますことも、先生御承知のとおりでございます。これは遺憾ながら、実際上、中国との間に政府間の接触というものができておらない。これは遺憾に思っておるところでございます。しかし、できるだけすみやかな機会に政府間における接触を得て、そうして両国の国交が正常化されることを私たちは望んでおるわけでございます。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 これは、この点について、実は、いまお話しの、きざしがある、あるいは固定していないと、いろいろことばの言い回しはあると思いますけれども、日中国交回復の問題というのは、すでに佐藤首相すら認めておるように、もうこれは一つの時間の問題になってきているわけですね。しかも、それに伴って、私がむしろ強調いたしましたのは、そういう状況の中でアジア諸国がどう動いているかということを日本が的確につかむべきじゃないか。これまでのような姿勢でいるならば、むしろ日本はアジア諸国に対する経済侵略国になる。むしろ中国の経済協力というもののほうがより強力にアジア諸国に対して魅力的なものになるのは、これは当然だと思うんですね、現在も。  これはあとで実は申し上げたいですけれども、日本がもし、さっき通産大臣がおっしゃったように、ほんとうにアジア諸国との共存の中でお互いに発展をしていくというならば、少なくとも経済的にはこれらのかきねを取り払って、積極的にアジア全体の国々というものとの平和共存の方向を目ざすべきではないのか。さっき申し上げたように、すでにもうアジア各国は動いているんです、現実にもう。日本だけですよ、動いていないのは。事実まあ、これは新聞の報道を見ましても、通産省は非常に積極的なんですね。「共産圏向け輸銀資金 政府の姿勢明確に 通産省、外務省と折衝へ」、通産省はやれよ、やれよと言っているわけですね。で、外務省のほうは、まあきざしだから待て待てと言っている。私は、外務省のそういう姿勢は非常に危険だという気がいたしますので、むしろ承認の問題とは別に、いまや中華人民共和国が国連に加盟をし、ニクソンが訪中をしたという、こういう国際情勢の中で、当然私は、日本の経済協力の問題というものも、いままでの、先ほど申し上げたような、これはDACの一般的な方針だとおっしゃいますけれども、方針を忠実に守ってきた日本の姿勢というものを百八十度転換させない限り、これは私は日本にとっても非常なマイナスであるし、これだけの経済力というものがアジア諸国全体の経済の発展のために寄与することすらできなくなるおそれがある。そういう意味で、私は百八十度の転換をここでもって思い切ってやるべきだと。もちろんそれは、中国との問題、あるいは朝鮮民主主義人民共和国を承認するかどうか、あるいはベトナム民主共和国を承認するかどうか——これはわれわれはもう直ちにすべきじゃないかと思いますけれどね。そういう、いままで政府もおっしゃったように、政経分離、政経分離とおっしゃっているんですよ、政府自身が。少なくとも、経済協力の観点でそういう問題を積極的に展開させるということが、これらの国々との友好を深め、承認の道を開いていく前提だと思うんです。そういう点で、私はどうも、いまの政務次官のおっしゃっていることは、何か遠目でながめていて、様子をながめていて、ところが、アジア諸国はどんどん動いている、国際情勢は動いている、日本は取り残されているんじゃないか。単に取り残されるだけならばいいけれども、逆に、いま言ったように、日本にとっても大きなマイナスである、アジアにとってもマイナスだというようなことになってからあわてたんでは、おそいんじゃないかということを申し上げている。いまここでもって思い切って、こういう経済協力に関する限り——もちろん、公式の政府間の借款というようなものは未承認国とできないということは私もわかります。しかし、少なくとも、いま言った輸銀の使用の問題とか、技術協力の問題とか——事実、この間、朝鮮民主主義人民共和国に対する技術協力に対してすら、外務省は否定的でしたよね。こういう問題については、もっと積極的に取り組むべきではないのかという気がいたしますが、そういうふうに取り組むだけのまだ転機をお持ちになっていないのかどうか。

大西正男自由民主党外務政務次官

○政府委員(大西正男君) わが国は、これは世界が平和でなければ、日本の国というものは生きていくことができない国柄であると私は思います。したがって、世界のあらゆるところにおいて戦いの煙が立たないように、これをわれわれは心からこいねがっておるわけでございます。そういう意味で、わが国は、いかなる国とも、経済体制あるいは社会体制あるいは政治体制が違っておうても、お互いがその国の主権を尊重し、そうして国内のお互いの相互の体制を尊重して、国として交わっていこうということであるならば、私たちは双手をあげてその国と交わっていきたい、これも日本の外交の根本的な考え方であると私は思います。  ただしかし、具体的には、そういった原則に直ちにそぐわないものも時と時代によってはあり得ると思うのでございます。だけれども、世界は常に変化しており、時は常に流れておるのでありますから、そういう現状も、また時の流れの中で、お互いの国益に寄与するという時期も来るであろうと思います。しかし、それまでは、やはりそういう合致をした利害に立ち得るには、まだまだそこまではいってないといったような相手国もあろうと思うのでございます。ですから、これは一がいに原則に従って、すべてのことを右へならえで申し上げるわけにはいかない。そこで、具体的に個々の問題が分かれる道があろうかと思うのでございます。  それから、東南アジアに対して、日本の経済が非常に大きくなって、あるいは日本の経済が東南アジアの各国の経済を圧迫している。そうしてかの地のいろいろなナショナリズムによる反発を起こしておるというふうな問題は、先生の御見解、そういう点があることは、私たちも認めるものでございます。だが、その原因は、やはり、先ほど来ここでもお話しになっておりました、日本が経済援助をすべき立場にあるいわゆる開発途上国との貿易の面だけを見ますというと、先ほど来お話のありましたように、片貿易が大部分でございます。したがって、貿易面だけで、お互いにそれがバランスがとれるという方向へいくためには、これはなかなかこれまた時間がかかるのではないかと思います。その一つの解決策として、開発輸入といったような問題も起こってくると思うのでありますが、事ほどさように、そういう状況でありますればこそ、いわゆる政府の経済協力、そういった面において、これを、何といいますか、貿易におけるアンバランスをそういう面においてバランスをとっていくということも必要でございましょう。また、そうすることによって、東南アジアの諸国の日本に対する警戒心もこれを緩和をしていくということも可能であろうかと思います。また、さらに文化の交流を大いに、何といいますか、発展をさせまして、それによって対日理解を深めていただくと同時に、お互いに相互の理解を深めていく、こういったことも、いま御指摘のような面に対する日本に正しい理解を持ってもらう、また日本も相手国に対して正しい理解を持っていくという面において、そういう問題を解決していくことが可能になってくるのではないかと思います。いずれにしましても、いろいろの方途を講じて、そうしてお互いアジアに位置する兄弟国でございますから、そういう国々と先生御指摘のように仲よくやっていけるような方向へ最善の努力をはらっていかなければならない、このように考えております。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 いまのお話の後段のほうについては、先ほど実は通産相ともお話をして、むしろ現在の状況というものは、それは政務次官がそういう意図をお持ちになっているかもしれないけれども、現実は逆であるということをむしろ御指摘をしたし、同じ特恵の問題にしても種々拡充しなければならぬだろうし、開発輸入の問題にしても、いまの形式がそのまま相手国にとっての受け入れというものは決してスムーズにいっていないという現実があるわけですね。その点はいまさら論議いたしません。ただ、前段の問題については、私まだ釈然としない。それは政務次官は、体制が違おうが日本としては大いに平和共存の立場に立ってどこの国とでも交わっていきたい、ところがそうもいかない事情もあるし、そういう場合もあり、そういう国もあるというようなことを言っていらっしゃったのですね。ところが、逆な例を申し上げましょう。いま台湾はどうなさるのですか、台湾は。いまだに政府は、日台条約は——これは外交の場じゃございませんから外交論議はあまりしたくないのですが、日台条約は破棄しないとおっしゃる。これは外交問題ですね。ところが、台湾にはばく大ないま、政府間の借款だけでなしに、民間の企業が進出をしております。これに対して政府はあわてて、いろいろな新聞を見ますと、手を講じようとしていらっしゃるらしい。たとえば、台湾から秩序ある撤退を行なうとか、外務省も検討を始めている。あるいは、急速な引き揚げもなかなか困難なので、むしろ今後どうしたらいいかということで非常に企業の側が迷っている。ところが、今後は少なくとも台湾に対しては新規の研修生は受け入れないとか、新借款はストップするという蔵相の——これは外務省じゃなくて大蔵省ですね、そういうようなことも出ている。これなんか、私まさにいい事例だと思うのですね。さっきあなたはDACの一般的なことだとおっしゃったけれども、旧植民地に対して非常に日本の利権というものを維持していこう、これを拡大していこうという意図が、台湾に対して不当な——不当なといいますか、ふつり合いな、過大な経済援助をした、そのことが国際情勢のこの変化の中で日本にとってどのぐらい重荷になっているか。こういうことを繰り返すということは、先ほど申し上げたように、日本にとってもマイナスである。そういう事態が出てきている場合、アジア諸国はこれをどう見ますか。これはアジア諸国全体にとってもマイナスだと思います。したがって、日本の場合、こういう状況をあとからついていくのではなしに、少なくとも、もし口でおっしゃったとおり、ほんとうに平和共存というものを前提にし、そしてお互いに繁栄していくということが常道なんだという、通産大臣もそうおっしゃっているし、政務次官もそうおっしゃっているわけなんですね、そういう方向へこれは思い切って転換をしなければ取り残されますわね。台湾の場合はこれをどうなさいますか、経済的に。

大西正男自由民主党外務政務次官

○政府委員(大西正男君) ちょっとよく聞こえなかったのですが、台湾に対してはどうですか。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 いま、台湾にばく大な政府借款というのがまだ残っておりますね。それからなおかつ、台湾の例の何ですか、あそこは保税地区をつくってどんどん外国企業を招致しておりますね。日本の企業もものすごく行っております。高雄地区でございますか、あそこなんかうんと行っておりますね。新しくまたそういう地区がつくられていっている。民間企業自身が非常にいま集中的に台湾に進出している。政府借款もまだずいぶん残っている。こういうものをどう処置なさるか。

大西正男自由民主党外務政務次官

○政府委員(大西正男君) お話の台湾に対する民間のいろいろな投資、そういった関係は、まあ所掌の事務当局に御答弁いただくことがけっこうではないかと思いますが、政府ベースの従来の借款につきましては、これまでに交換公文を締結しました案件につきましては、これはまあ約束でございますから実施をしなければならぬと思いますけれども、新たなコミットを要する新規の政府間借款などにつきましては、中国をめぐる国際情勢、これを見きわめて慎重に対処いたしたい、こういうことでございます。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 いや、いままでの、コミットするものではなしに、既存のもの、既成の借款ですね、これをどう処置なさるおつもりですか。

大西正男自由民主党外務政務次官

○政府委員(大西正男君) 既存のものにつきましては、その利益を今後とも擁護していきたい、このように思っております。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 利益を擁護していくというのはどういうことかわからないのですけれども、もう少し具体的に申し上げましょう。日台条約を廃棄すれば、おそらく台湾側は報復として既存の借款についても返済を中止するでしょう。じゃ、スムーズに中国が——中華人民共和国と日本の国交が回復した、その際に中華人民共和国が台湾に対する借款をそのまま自分のほうに引き継ぐと言うかどうか。それは私は、いままでの日本の出方からいって、ほとんどそういうことは考えられない。あなたは利益を守るとおっしゃるけれども、相手方はそんなことをやってくれますか。

大西正男自由民主党外務政務次官

○政府委員(大西正男君) 日華条約の廃棄問題は、私どもとして軽々に申し上げることのできない問題でありますことは、御承知のとおりであろうと思います。われわれが中華人民共和国との国交を正常化いたしたい、これが政府の申しております最終的な希望といいますか、要望と申しますか、そういう立場に立っておるわけですが、その過程で日華条約がどのように取り扱われるか、このことは、いま直ちにその事態を予想をしてどういうふうになるかという見通しを立てて、ここで私から申し上げることは差し控えたいと思うのでございます。ですが、いずれにいたしましても、中華人民共和国とわが国とが将来ある時期に国交が正常化されたとした場合におきまして、従来の台湾に対する政府の借款その他の取り扱いがどうなるか、台湾が日本に対してそんなものは全部日本に対する従来の関係をほごにしてしまうとかいうことになるのかならないのか、これまたいまから日本としてそういうことを申し上げる立場にはないと思います。私のほうは、いずれにいたしましても、従来台湾に対して行なってきておる円借その他の援助に対しましては、その残っておるものに対しては、これを日本としてやはり擁護し、守っていきたい、こう考えております。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 それはまあ、日本がいまの台湾政府に対して金を貸しているわけですから、国民の税金ですからね。それを政府の責任において、いきなりそれをたな上げしますなんということは、政府自身もできません。ただし、問題は、なぜそうなったかということの反省が全然政務次官から聞かれないんです。この問題を提起したそもそもの私の発想のもとは、日本の経済協力というのは片寄っていたではないか、旧植民地国に集中をしていた、あるいは、東西両陣営の対立したときに、特にアメリカに密着した国々、そういうものに集中し過ぎていた、そのことがむしろアジアにおける平和共存、これを阻害し、むしろ対立を助長したという私たちは判断を持っておるわけです。当然過去のそういう政策というものは誤りであった。いま政務次官は、体制の異なる国といえども、平和的に共存していきたいし、経済的な関係を結びたいというお話なんです。それならば、そういったものがもし過去において行なわれていたならば、こんな事態は発生しなかったと思うんですよ。その事例として私は台湾を申し上げておる。だから、台湾のこの問題というものは、今後どうこれを処理するかという問題と同時に、こういう事態がなぜ発生したかということに対する反省なしには、口で幾ら、体制の異なる国々とも平和にとか、経済的な面ではケース・バイ・ケースでとか言ってみたって、納得できませんよね。私は、台湾の問題については、これはもうくどくど申しません。しかし、いずれにしても、そう日本の考えているような甘い問題じゃないと思いますね。それはあなたは利益を守るとおっしゃっているけれども、そう簡単に台湾側がそんなものを納得するはずもないし、またこれまでこれほど日本が無理押ししてきて、去年の国連総会でもああいう恥をかいたような、ああいう外交をする立場をとった日本が、中華人民共和国との国交回復交渉の中で、これまで台湾に与えた借款を中華人民共和国が引き継ぐなんということは、これはもうあり得ないことですよね。大体賠償問題が出てくる可能性のほうがむしろ十分ある。だから、口で何とおっしゃっていても、現実には全然逆の方向に行っているじゃないですか。過去における問題の一番矛盾の焦点が台湾にあらわれてきているから、私は台湾問題を指摘したんで、そういう点をむしろ一つの重要な材料として過去を反省し、ほんとうにそれじゃことばでおっしゃっているような対策が行なわれるという意味においても、平和共存をむしろ進めていく、経済的にはできるだけ積極的な結びつきをつくっていくという方向に向かわれることこそ、台湾問題で多少日本の借款が焦げついたとしても、今後の日本の国民の全体の経済にとっては決してマイナスではないだろうというふうに考えますが、それらの点については、まあ御答弁いただかなくても、どうもいままでの政務次官の御答弁が納得できませんので、そういうふうに私なりの意見を申し上げて打ち切りたいと思います。

大西正男自由民主党外務政務次官

○政府委員(大西正男君) まあ台湾と日本との間に国交ができましたのは、御承知のとおり、昭和二十七年でございましたか、例の講和条約、連合国と日本国との間の講和条約ができましたときに、同時に結ばれたわけでございまして、その当時はいわゆる中華民国政府も国連に入っておりますし、そしてまた世界の多くの国々がいわゆる今日言われておる台湾政府を承認をしておる、いわゆる中華人民共和国を承認をしている国はきわめて少数であったという世界情勢の中においてそういう条約が結ばれたわけでございます。したがって、その当時すでに国民政府は台湾に都を移しておったわけでありますが、そうでありますから、これは台湾というのは、日本の植民地——過去においてはそうであったでしょうが、当時はもう中華民国という国の政府がそこにおったわけでありまして、日本が特に、前の植民地であったから、それで台湾に対して経済的な援助を特に他よりも非常に多く行なったと——これは意味が違うのではないかと、私もそんな気がするのでございます。ですから、これに書かれておる植民地に対する云々といいますのは、たとえばアフリカなどに行きますというと、旧宗主国のフランスだとか、あるいはベルギーとか、あるいはイギリスとか、あるいはドイツとか、そういった国々が、その後独立をしたアフリカの諸国に対して、かつての宗主国が経済援助という形で、過去の、何といいますか、権益を守っておるという、そういう一つのパターンがあるわけでございまして、そういうものをさしてこれは申しておるのでございまして、説明が非常に不足をしていると思いますけれども、日本と台湾との関係につきましては、あえてこの中に入るパターンではないというふうに私は理解をいたしております。そのことを申し上げて御了解を得たいと思います。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 その点につきましては、見解の相違もございましょうが、私は実績を見て実は申し上げたわけなんであります。それは、さっき私申し上げたように、政府借款なり、民間企業の輸出なり、あるいは民間企業の進出なり、あるいは輸出信用なりの数字をごらんになればおわかりになると思う。台湾の人口と他のアジア諸国の人口と比較してどのくらい台湾に集中しているかということは、これは歴然としておりますよ。そういうこととこれとが、あなたは結びついてないとおっしゃるけれども、結果的にそうなっていることは、結びつけざるを得ないのが現実なんです。これは見解の相違ですから、これ以上申しません。  それからもう一つは、先ほどの、実は時間がございませんので、そろそろこれは重要な問題を残したまま打ち切ることになりますけれども、日本の経済協力の姿勢について思い切った転換をしなければならぬということは、これは現在のアジア諸国の動向、特にアジア諸国における日本に対する反発でございますね、こういうものが、極端な場合にはむしろ軍国主義に対する警戒にすらなっている、これは現実だと思うのですね。それで、先ほどちょっと必要なら読んでもいいと言ったのですけれども、タイの経済大臣の公開の席の演説なんか見ても、日本の経済侵略を非常に強硬に非難している、こういうような状況でございますね。しかも、ASEANなんていうのができて、そしてむしろASEANなんていうのは連携しながら自立の方向をたどろうとしている。しかも、それらの国々が中国との接近をはかりつつある。これは現実の国際情勢の動きでございますから、だから外交問題はさておき、少なくとも私は経済協力という限りにおいてそういう点を十分にひとつ考慮願いたいということで、私のこの質問を一応終わります。  その次は、いろいろあるのでございますけれども、非常に疑問に思う一つは、アジア諸国の投資の問題があるのですね。これは開発輸入とかいろいろおっしゃっておりますけれども、投資にもいろいろな形があるが、むしろアジア諸国で非常に反発を招いているのはこの投資の問題なんですね。この問題については、ちょっと時間がないから省略いたします。これは省略いたしまして、ちょっとここで伺いたいのは、技術協力の問題なんでございますけれども、技術協力につきましては、私から申し上げるまでもなく、これは海外経済協力審議会の答申の中で技術協力を非常に強く強調し、広範かつ多岐にわたりこまかく答申をしておるわけです。ところが、現実に日本の技術協力の実績というのは実に貧弱なんですね。国際的に見ても、先ほど申し上げたように、そのパーセンテージが低い。しかも、その決算を見ますと、どういうわけか、この点なんか私はわからないんですが、四十四年度の場合、予算が六億四千百万円、支出のほうは五億一千三百万円、一億円のむしろ繰り越しをしているわけです。これは海外技術者受入研修事業費補助ですが、四十五年の場合も同じく七億五千百万円の予算に対して六億八千百万円しか使ってない。やっぱり六千六百万円が繰り越しになっている。今度は海外技術協力実施委託費、これは四十四年度には六十六億四千五百万円、これに対して実際使ったのが五十六億三千三百万円、九億五千九百万円が繰り越しになって  いる。四十五年はやはり七十二億七千五百万円の予算に対して支出は六十一億九千五百万円でしかないわけです。技術協力が額の上でも非常に少ないという国際批判を受け、なおかつ内容的にも非常に貧困であるということはお認めになっていながら、決算上見るとむしろ余分な予算がついているということになっちゃうんですけれども、この点はどういうわけなんですか。

大西正男自由民主党外務政務次官

○政府委員(大西正男君) 特に技術協力に限ってのお尋ねだと思いますけれども、これは何と申しましても相手国のある問題でございまして、たとえばわが国のほうでは、これこれの人数の人を技術訓練をしてあげたいと、こういう考えでありましても、相手国においてそれだけの人数がそろわないといったようなこともございまして、予算の額から少し低目に下回ってくるということも発生をするわけでございます。原因はそういうところにあると思います。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 いまの御答弁は、私は全然納得できませんね。というのはですよ、日本が技術協力の面で非常におくれているという国際的非難を受けておるんですよ。しかも、予算では計上したと、その予算が消化できないのは相手国が悪いんだといったような言い方なんですね。じゃ国際会議で堂々とそれはおっしゃいますか。

大西正男自由民主党外務政務次官

○政府委員(大西正男君) 同じことを繰り返すようで恐縮でございますが、何も相手国に責任を転嫁しようという趣旨で私申し上げたのではございません。ですが、実情としてそういうことがございますし、それからわが国の予算は単年度予算でございます。したがって、時期的な関係でずれていったりなんかしまして、そうしてそういう問題が起こってくる、こういうことでございます。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 しかし、これは一般的にも、日本の場合、これは留学生であれ、あるいは技術研修生であれ、受け入れ体制が非常に悪いと、これは評判ですわね。事実、私もほんとうは時間があれば実は行って見てこようと思ったんですが、時間がなくて見てこなかったんですけれども。  もう一つ伺いたいんですけれども、当然相手国の方々がこっちへ来る場合に、受け入れ体制の一つとして、これは通産省なり、まあ外務省には相当おいでになるのかもわかりませんけれども、外務省としてもアジア諸国語を話せる方というのはどのくらいいるものですか。通産省の場合に、タイ国語なり、あるいはインドネシア語なり、その他話せる方が相当おいでになるんでございましょうか。大体私は、受け入れ体制が悪いから相手国としてはなかなか日本に来られないんだというのが実情じゃないか。それをあんた、つのったけれども相手国が人数がそろわぬので予算が余るという、そういう言い方では、技術協力というのを——これを大体一回政務次官ぜひお読みになっていただけませんか。これはむしろ総理の諮問に対する答申ですよ、対外経済協力審議会の諮問。その中で実に詳しくそういう点について指摘して、経済協力にこそ日本は重点を置くべきである、このことこそ、先ほどどなたでしょうか、むしろ各国の関係というのは、単に経済関係だけではないんだと、文化的な関係、社会的な関係、そういうものの親密度があって初めて国際交流あるいは平和協力が達成される、まさにそのことですよ。重要な柱こそ技術協力だと思うんですね。しかも、技術協力は産業技術だけじゃなくてもいいと思うんです。あるいはまた経営技術であってもいいでしょう。そういうものについて、政府が諮問した答申の中に詳しく書いてあるのに、そのことは全然抜きになさって、いまのような政務次官の御答弁をなさっているようじゃ、全く納得できません。何にも努力してないことになる。いま伺ったように、通産省なり外務省なりで、外務省には大体、外に出ておる方がおられますけれども、本省でアジア各国語を話せる方が何人くらいおりますか。

大西正男自由民主党外務政務次官

○政府委員(大西正男君) いまの最後のお尋ねは、よくわかりませんから、事務当局から……。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 それはけっこうです。

大西正男自由民主党外務政務次官

○政府委員(大西正男君) 先ほどのお尋ねは、特定の決算に対してのお尋ねでしたから、そういう趣旨でお答えをいたしたわけでございますが、しかし、それはそれといたしまして、技術協力のあり方、またさらに経済協力のあり方、こういうものについて過去のあり方を反省をして、そうして将来に向かって大きく協力の手を差し伸べる方向に進まなければならない、こういうことは先生と同感でございます。それから文化交流につきましても、これは国際交流基金法案で国会に御審議をいただいておるわけでございますが、新たな発想に立って、そうして最初は百億でございますけれども、将来は大きくこの基金を増しまして、そうしていま先生御指摘になりましたような文化交流、こういう面で大きく、何といいますか、対日理解とそうして国際相互の理解、こういうものに資していきたい、こういう考えでございます。これは御承知のとおりでございます。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 それじゃ最後に、政務次官、こんなことを申し上げるのも失礼でございますけれども、何しろここに非常にりっぱな答申が出ておりますので、これを十分ひとつお読みになって、もちろんこれは完全だとは申しませんよ、しかし、少なくともこれに近づくだけの努力はしていただきたいのですよ、これは政府の諮問に対する答申ですからね。それだけ一つお願いして、技術協力の問題を打ち切ります。  その次に、農林省からおいでいただいておると思いますので、緑の革命の問題について少し伺いたいのですけれども、緑の革命の評価については、これは非常に評価する方と評価しない人といるわけです。緑の革命は、主としてアジア開発銀行が中心になってやっておる。アジア開発銀行からのミント報告というのが出ておる。私はミント報告をずっと見たんですが、ミント報告を見ると、さまざまな反省点があげられておる。緑の革命というものが、たとえばインドの場合、これは非常に食糧輸入を減らしたと、あるいはパキスタンの場合もそうである。ところが、インドネシアの場合には、別の報告になるんでございますけれども、米を中心にしてやはりやっておる。これはいもち病に完全にやられてほとんど失敗したという実例がある。そういう実例に立って、緑の革命を農林省としてどう評価なさっているかという点について伺いたい。これは、日本の農業は別にしてですよ、経済協力という観点から、相手国における緑の革命はどうか。

佐藤隆自由民主党農林政務次官

○政府委員(佐藤隆君) 緑の革命というのは、おそらくは一九六〇年代後半、開発途上国における米あるいは小麦等に、多収穫というか、高収量品種の開発、導入、それの普及、そうしたものを中心とした農業技術の革新ということをさしている、ことばだと理解をいたしておるわけであります。アジア地域におけるこの緑の革命といわれているものは、各国の自然的条件だとかあるいは国内事情によってそれぞれ違うようであります。若干は違うようでありまするが、地域全体で見ますと米、小麦の生産は一九六八年以降かなり大幅に増加をしているように思われます。そこで、その大部分が高収量品種の普及によっていると、こう見ておるわけであります。まあ高収量品種の播種面積、そうしたものがどの程度であるかということは必ずしも明らかでないわけでありますけれども、この高収量品種の東南アジア諸国での普及率というものは、一九七〇年までに全稲作面積の大体一〇%程度と推定をされているわけであります。まあ今後これらの高収量品種がどの程度普及して食糧の増産が進むかは、ちょっと即断をするわけにはまいらぬと思います。ただ、この高収量品種がその成果を発揮するためには、農業土木上の、たとえばかんがい施設の整備だとか、肥料だとか、農薬だとか、そうしたものの投入量の増大ということも十分考えていかなければならないと思いますし、そのほかいろいろ問題があろうと思いますが、とにかくアジア地域の大多数の国においてはまだ当面食糧は不足をしておる、こう私どもは実は見ておるわけであります。したがって、この緑の革命といわれるこれの円滑なる推進には、期待されるところが相当大きいのではないか、こういうふうに見ておるわけであります。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 緑の革命につきましては、これはいまお話しのような多収穫品種というものを中心にして、確かに国によっては非常な増収をあげているわけですね。ただし、これは当然、多収穫品種に伴う問題として、多肥料、それから多農薬使用という点で、これは日本の肥料メーカーはただでも生産過剰で困っているわけであります、あるいは農薬にしてもいまの公害等で売れ行きが悪くなっている、これは企業にとっては非常に喜ばしいわけです、一緒になってどんどん出ていくわけですから。むしろその結果出てくるいまのような食糧増産という点については、確かに寄与した面があるかもわからないけれども、その反面、この多収穫品種というものを実際に栽培していくためには相当の資金が必要になるわけですね。だから、米がたくさん取れたからといって、それがその国の農業の発展と言えるかどうかは、私非常に疑問があると思うんです。と申しますのは、大農あるいは企業的な農業ならばむしろ資本投下をすることによってたくさんの収穫を得ることができる。これは企業の発展であり、大企業、大農の目的でしょう。ところが、中小農の場合には、むしろ多収穫品種を少しでも有効に使おうとすれば、無理をして肥料を買わなければならない、農薬を買わなければならない。むしろ債務が残る可能性のほうが非常に多いわけなんですね。これはインドネシアなんかの実例でも、そういう実例がずいぶんあるわけですね。したがって、こういうものがどんどん進行していくということは、大きなものはますます大きくなっていって、むしろ小中零細は債務によって押しつぶされていく。ということは、その国の農業の農営層が階層分化を激しくしていくということであり、アジアのようなそういう農業国で、いきなりそういうものが、外から多収穫品種、それから肥料、農薬というものがどんどん注入されて行なっていくということは、その国の社会というものをむしろ非常に混乱させ、破壊されつつある。外からのこういう形での緑の革命というものは、その国の農業の正常な発展をむしろ阻害するおそれがある。ひいてはその国の社会的なむしろ安定性すら阻害するおそれがあるんじゃないかと。そういうような観点に立つと、必ずしも緑の革命そのものがアジア諸国にとってプラスではないという批判もありますが、これらの点についていかがでしょう。

佐藤隆自由民主党農林政務次官

○政府委員(佐藤隆君) この緑の革命自体については、いろいろな評価があろうかと思いますけれども、とにかく量的に米が現実不足をしておるという国が非常に東南アジアには多いわけでありますので、まずそれを克服するという意味においては相当な期待が持たれておるのではないか、こういう推論を実は申し上げたわけであります。ただ、それぞれの国々におけるいろいろな事情がございますから、そうしたそれぞれの国の事情の中で、その国の農業がいかにどういう形で発展していくべきか、そこまで考えて経済協力の面から農林省はどう考えるのかということになりますと、資金の点もあろうかと思いますけれども、資金の供与だけでは問題がある。技術という面につきましても大いに協力態勢をとっていかなければなりませんし、また一方、まあよその国の農業の形がどうあるべきかなんというところまで突っ込んだ実は検討を結論づけられるようなものをいまここにまだ言える段階には残念ながらございません。いま国内農業のきびしい実態、すでに水口委員も御存じのとおりであります。それをどうするかということについては、地域分担を進めながら、そして需要と供給の均衡のとれた生産体制に持っていこうとか、あるいは新しい価格政策をどうしようとか、そうしたことを詰めている段階でありますので、ひとつ御承知いただきたいと思います。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 実は、私質問申し上げようと思ったら、先におっしゃったわけでありますけれども、これはアジア諸国にとっても同じことが言えるわけなんです。つまり、いままでの不足国が緑の革命によって米がふえていく。しかも、これはしばしばコストが高くなるんですね。そうすると、米の需給に関してはその国があるいは輸入が減らせるかもわからないけれども、大衆は高い米を買わなければならない。今度は反面、ビルマとかタイのような輸出国は輸出できなくなっているわけでございます。そういう矛盾が一つある。その他同時に、日本自身の農業がこれだけ停滞しているときに、最初申し上げた一次産品に対しては一方的な特定関税を設けてでも輸入すべきだ、またアジア諸国のほんとうの経済発展というのは農業開発からでなければ地についた経済発展はあり得ないだろう、これはまあ基本的な問題ですね。そうなると、一体日本の農業はどうなるのかということになるわけです。これらの点については、いずれまた機会がございますので、そのときにひとついろいろ御質問をしたいと思いますけれども、そういう意味では、緑の革命というものが何かすばらしいものであるような印象については、いまの御答弁にもあったと思いますし、必ずしも、これは今後の経済協力のあり方として再検討を要する問題ではないかということを申し上げておきます。  時間が何か切れましたので、実はあと二、三お尋ねしたい。特に、いま中華人民共和国が、今度国連にも加盟をし、UNCTADにも参加しておるわけですね。中華人民共和国自身は経済協力の八原則をすでに打ち立てている。タンザン鉄道なんかに見られるような、ああいう形の協力が行なわれている。そういう点もございますし、先ほど申し上げましたように、アジア諸国自身が中国に対してどんどん日本以上に積極的な接近を行ないつつある。こういう中で、私は、日中国交の回復と同時に、アジアにおいて日中の共存というものはアジア諸国を含めての共存でなければ実現し得ないのではないか、そういう意見を持っていますが、これは意見にとどめて、最後に締めくくりをひとつさしていただきたいのでございますけれども、以上いろいろ御質問もし、御意見も伺ったわけでございますが、一つは、六〇年代の成果については、これは通産省の発行しておりますこの白書の中でも、必ずしも成功した点ばかりではない。確かに発展途上国のGNPは上がったかもわからぬけれども、より以上に先進国のGNPの伸びが一人当たりについては非常に高いと、格差は激しくなってしまったと、いろいろ欠陥があるわけですね。六〇年代に対する反省、これはもう私から申し上げません。これはもう経済白書にございますし、今度の第三回のUNCTADの会議の中でリマ憲章が出たということは、これは非常に注目しなければならないと私は思うのでございます。ということは、単に個々の発展途上国の不満がそれぞれの形でもって、いわば経済大国と申しますか、工業国に対して寄せられたのではなしに、むしろこういう発展途上国自身がみずから結集をして、世界経済のあり方として、これまでのガット体制というものでは誤りなんだ、事実先進諸国自身がガット体制で行き詰まってからもうすでに崩壊しつつあるではないか、それに対処するものとしてむしろリマ憲章を置き、UNCTAD体制というものを要求している。そういう意味では、今度の第三回の総会というものを私は十分注目し、その結果に立って七〇年代を展望しなければならないんじゃないだろうかという気がいたしますが、その点について一点、ひとつこれは経済企画庁長官から一番総合的な立場で伺いたいし、特に日本の場合に、これはいままで何回かいままでの質問の中で申し上げたんでございますけれども、部分的には、たとえば円借款を〇・七%に引き上げることを目標にする。タイドをアンタイドに、ほかの国はやらなくても日本はやりましょう。これはどうも私は裏に何があるかわからないので、その点聞きたかったんでございますけれども、おそらく自信があるんでしょうね。あるだろうと思うのですけれども、何しろアンタイドの問題も大体まあ承認する、特恵についての種類も拡大する、そういうような部分的な妥協は愛知さんがやっていらっしゃった。しかし、これではさっき申し上げたガット対UNCTADというような基本的な問題の解決には結びつかないんじゃないだろうか。そういう意味でも、私はやはり、今度の第三回の総会の結果というものは十分に注目すべきであるし、もう一つは、先ほどの質問の中で明らかになり、また通産大臣もお認めになったように、こういう問題というのは、いわゆる経済援助というようなことばでは表現できない問題なのであって、国内経済とアジア諸国との内外の連動性の中で初めて日本の経済の発展もあり得るし、相手国の発展もあり得るし、総合的にアジアの全体の平和共存あるいは平和共栄というものも達成できるんだということ、これらの点についてはこれまでの質問の中で明らかになったと思いますが、それらの点をひとつ企画庁長官に再確認をしていただけるかどうかということが第一点ですね。もしそれを確認していただけるならば、七〇年代の問題としていろいろございますけれども、一つは、私はやはり、非常に国土が狭隘である、日本には資源もない、対外依存度が高いわけですね。こういう日本の経済が今後やはり国民の生活をささえていくためにどうしたらいいのかということ、特に昨年の例のドルショック以来、いよいよドルのかさから出て日本が自立していかなきゃならない。むしろ今度のダンピング問題なんかでは、アメリカは日本に対して非常に不当な要求すらしているわけですね。ドルから離れて自立をしていかなきゃならない大きな曲がりかどを迎えているのが七〇年代の日本経済であろう。この日本経済のちょうどアメリカのそういう一つの圧力に対する反作用として、これまでのアジア諸国との経済関係こそより重要なウエートを増してくるであろう。ところが、アジア諸国からすら、日本はいまさっき申し上げたようなナショナリズムの反発を受けつつあるのが現状だろうと思う。そうなると、六〇年代のこういう反省に立って、ほんとうにやはり発想の根本からこれを変えていかない限り、日本の経済の発展、言いかえれば国民生活の向上もあり得ないし、アジア全体の経済発展、平和共存も考えられないんじゃないだろうか。そのために、私は実は、この通産省の経済白書でも、結局やはり経済大国と言っている、先進国と言っている、経済大国、先進国が国際的責務としてアジア発展途上国に協力をするという、この発想がぼくは誤りだと思う。何が一体先進国なんだろうか。GNPは高いかもわかりません。しかし、先進国であるか後進国であるかということは、これは私は別の尺度からはかられるべきであるのであって、先進国だから後進国に対して援助をしましょうという発想では、これは私は六〇年代のこういう誤りを繰り返すことになるし、それだけでなしに、むしろいまの情勢からいけば、アジアで孤立をするのではないか。そうして、対外依存度の高い日本の経済自身がむしろ崩壊をするおそれすらあるんじゃないだろうか。したがって、大国意識というもの、先進国意識というものをまず捨てるべきだ。このことは、これは比喩的ですけれども、戦前、日本が、東亜の盟主とか、アジアを解放するんだとか、五大強国の一つだとか、富国強兵とか、満蒙青年義勇団とか、国権擁護とか、しきりに言いましたね。それと似たことばが最近出ているんですね。アジア諸国に対して先進国日本が経済援助をするんだ、GNPは世界第二位になって経済大国になった、だから日本は一%以上、二%や三%くらい国防費に使って、四次防以上に、五次防になったらこれだけの軍備を持つんだ、あるいはマラッカ海峡は日本の経済の生命線だ、国益を守らなければいかぬ、いろいろ戦前に似たことばがぽんぽん出てくる。これは非常に危険なことだと思うんです。そういう意味で、まず私は、基本的な発想というものを転換する、日本が先進国意識というものを捨てると、そうしてアジア諸国と同じ立場に立って、日本の国内的な経済体質については、国民の生活優先、福祉型の経済に切りかえて、経済成長は多少とまってもしかたがないんじゃないか。また、アジア諸国に対する経済協力についても、日本のむしろ経済的な観点から、市場の拡大とか、あるいはアジア諸国の持っている天然資源を日本が確保するとか、そういう観点ではなしに、ほんとうに対等の立場で相手国に対して経済協力してやる。そのためには、いまの線の革命も私は非常な危険があると思いますし、開発輸入というものをここで思い切って転換をしなければならぬと思う。まして、そのため政府資金という形で日本の商社の輸出なりあるいは対外投資に政府が積極的に援助するというようなことは、これは当然考え直さなければいけない。  そういうふうにずっと詰めていきますと、結局私は、中国の今度の国連加盟、UNCTADへの参加ということが、今後の日本のあり方にとっても非常に重要な問題になる。日本と中国というものがアジア諸国に対して異なった、対立するような経済政策を持つならば、日中国交を回復しても私はアジアの繁栄というものはあり得ないのではないか。そういう意味で、当然中国の問題というのは、単なる国交回復の問題ではなしに、いまの経済問題を含め、外交問題にはね返るという形で考えていかない限り、ほんとうの経済協力、アジアの発展、平和共存というものは考えられないというふうに実は自分なりに考えたわけですけれども、時間もございませんので、どうも意見だけ申し上げて恐縮でございますけれども、以上、六〇年代に対する反省と、それを踏まえての私なりの七〇年代への問題点というものについて、最後に経済企画庁長官から御意見を承れれば非常に幸いだと思います。

木村俊夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(木村俊夫君) きょういろいろ御論議やら御意見を承りましたが、たいへん同感の点が多かったのでございます。経済協力と申しましても、いまお話しのとおり、これは従来のいろいろな経緯もございますし、また経済協力が外交方針と離れて独走するわけにもまいりません。したがいまして、いままでのわが国の置かれておりましたいろいろな国際環境、また外交政策の経緯等もございますが、しかしながら、そういう過去のことはまず別にいたしましても、今後わが国がアジアにおいて、また世界において進んでいく道は、もう私はあまり大きな選択はないと思います。すなわち、外交方針においては、緊張緩和の外交、当然これはとらなければなりませんし、またその裏づけとしましてのあるべき経済協力の姿、これは先ほどちょっと水口委員おっしゃいましたとおり、対外経済協力というものがそのまま独立してまたあり得るものでもございません。やはりわが国の経済運営の基本的態度、その裏づけにならなければなりません。したがいまして、いままでのような輸出重点と申しますか、また生産第一主義の経済運営のところに理想的な経済協力もあり得ないということから申しますれば、御承知のように、いまやわが国はそういう大きく政策を転換すべき時期である、こういう考えをもとにいたしまして、経済協力は、すなわち、わが国が立ち行くための限られた唯一の選択でもあるし、またそのもとにおいては、わが国自身の、わが国の国民福祉の向上のみならず、その開発途上国、経済協力を受ける側における福祉というものも十分考えていかなければならない。そういうような面において、先ほど通産大臣もお話があったと思いますが、わが国の経済協力のあり方というものは、やはりアジアの中における伝統的な立場でこれを進めるということも必要でございましょうし、基本的にはわが国の経済運営の基本姿勢を変える。それから次には、したがってわが国の経済協力のこれからのビヘービアというものは政府、民間とも変わらなければならぬというような成果が出てくると思います。そういう意味において、私は、来たるべき長期経済計画——いま策定中でございますが、その中ではこういう二つの点を大きな二つの柱として取り組んでいきたい、こう考えておる次第でございます。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 いま、経済企画庁長官、中国問題を落とされたんで、私は中国問題について、日中国交の回復というような外交問題をいま云々しようと思いませんし、それから輸銀をどうするかということも言おうと思いませんし、さっき申し上げたように、今後の日本の経済協力というものは、中国のアジアにおける経済政策と日本のアジアにおける経済政策とが対立をするならば、これは私は、たとえ国交が回復されても、アジアの平和共存、共栄というものはあり得ない、そういう意味で、日中問題というものは相当広範囲にやっぱり協力関係というものを打ち立てるように努力すること、そのことの中での国交回復であってこそ意味があるんだというふうに実は考えるんです。その点について長官にもう一ぺん伺いたいことと、もう一つは、これは実は海外投資の点、全然きょうは時間がないので触れなかったのでございますけれども、通産省にちょっと伺いたいんですが、現在通産省と日本商工会議所で、海外投資綱領、何か草案をおつくりになりつつあるということでございますけれども、これがいつごろできるのか、その中には法的な拘束性を持たせるというような考え方がおありになるのかどうか、伺っておきたいと思います。その二点だけひとつ経済企画庁長官と通産省からお答えいただいて私の質問を終わります。

木村俊夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(木村俊夫君) 日中問題は当面の最大の課題ではございますが、私はこれは、個人的見解を交えて申し上げますと、日中国交回復、これはもうしょせん時の問題であると思います。私は、当面の問題以外に一番大きい問題は、いま御指摘のとおり、日中国交正常化ができ上がったあとの日中間の関係、すなわち、アジアにおける日本と中国のあり方をどう一体調整するかという問題がむしろその日中国交回復以上の大きな問題になるであろうということを申し上げておきます。

外山弘通商産業省貿易振興局長

○政府委員(外山弘君) 先ほど水口先生の御指摘の投資行動基準でございますが、先ほどの御指摘のような問題点が国によっては特に急速に出てくるという可能性もございますので、私どもとしては早急に取っ組みたいということで、四十七年度の予算におきまして所要の経費を計上いたしております。これに基づきまして、現地における勉強、内地における勉強を政府と民間とともどもやりまして、そうして一つの行動基準をつくってまいりたい、こう思っております。時期といたしましては、できるだけ早くつくらなければいけないわけでございますが、やはりりっぱなものをつくりたいということもございますので、今年度に入りまして早々に着手しておりますけれども、やはり相当時間がかかるのではないか。しかし、今年度中になるべく中間的でも結論を出したい、こう考えております。なお、これは行動基準でございます。御承知のように、海外投資はすでに原則として自由化しております。したがいまして、これを法的な根拠をつけて規制するということまでは目下のところは考えておりません。

水口宏三日本社会党

○水口宏三君 以上で終わります。

黒柳明公明党

○黒柳明君 時間も、官房長官、おそくなりましたものですから、すみません、簡明に質問したいと思いますから、ひとつ簡潔な御答弁をお願いします。  私は、大臣から大臣の名前で授与される賞状、賞杯がありますけれども、これについての問題点を質疑したいと思いますが、当然この大臣の賞状は権威あるものでありまして、個人にせよ、団体にせよ、覇を競ってこのシンボルに向かっていろいろこう戦い合う。範疇は違いますけれども、国をあげてオリンピックなどは競い合う。当然権威のあるものであって、またいろいろ影響力のあるものであるならば、悪用されるとまたマイナスも多い、こういうケースもときたまあるのではなかろうか、こういうことから、当然、これを授与するということについては、きびしい、申請なり、あるいはチェックなり、この内規などもあるのではなかろうかと、こう思う次第でありますが、まず昨年度四十六年度、あるいは一昨年度四十五年度、大臣の名のもとに出される賞状、賞杯、なかんずく内閣総理大臣が中心だと思いますので、内閣総理大臣賞の四十五年度、四十六年度の件数ないしはその予算等わかりましたら、まず初めにお伺いしたいんです。五年の件数、六年の件数、それから予算。   〔委員長退席、理事小谷守君着席〕

竹下登自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(竹下登君) お答えいたします。  四十五年度……。

黒柳明公明党

○黒柳明君 賞状だけでけっこうです。

竹下登自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(竹下登君) はい。四十五年度、賞状で五十三件でございます。

黒柳明公明党

○黒柳明君 四十六年度は……、ありませんか。

竹下登自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(竹下登君) はなはだ失礼でございますが、まだ……。

黒柳明公明党

○黒柳明君 四十五年度の経費をあわせて。

竹下登自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(竹下登君) 四十五年度五百九十万九千九十七円でございます。

黒柳明公明党

○黒柳明君 あらかじめいただきました四十六年度の数調べですと、四十九件になっておりますが、これ間違いなかろう、これは官房のほうでいただきましたものですから。当然、この五十三件、四十九件、あるいは五百数十万という予算がついているわけですから、先ほど冒頭に申しましたように、この総理大臣の賞状等の下付の内規あると思いますが、その基準だけ——どういうものに対して授与されるのか、基準だけでけっこうですから、ひとつお教えいただきたいと思います。

竹下登自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(竹下登君) 「内閣総理大臣の賞状等の下付内規(昭和三十二年十月五日決定)内閣官房、内閣総理大臣官房」、すなわち総理府のことであります。基準は、「1賞状、感謝状及び推薦の辞等は、申請に係る業績、作品、技能等が全国的視野から見て特にすぐれており、かつ、営利の目的に供されるおそれのないものであること。2祝辞、挨拶等は、次の各号の一に該当する行事であること。(一)国際会議、(ニ)国家的に見て重要な記念式典、(三)前各号のほか、外交上又は内政上極めて有意義な行事」、以上でございます。

黒柳明公明党

○黒柳明君 私、その「1」のほうの内閣総理大臣賞のほうだけをいまここで問題にしたいと思うんですが、いまお教えいただきましたように、申請によっては、業績、作品、技能が全国的に見てすぐれていること、当然営利の目的でないことと、こういう非常に簡明、しかも当然きびしい原則があるわけでありますが、当然ここには、ギャンブル性が強いものあるいはギャンブルにはこういう厳粛な総理大臣賞というものが出されることは私うまくないんではなかろうかと、こういう見解を持っておりますが、官房長官、いかがでしょうか。

竹下登自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(竹下登君) いわゆるギャンブルというものについては、私も黒柳委員の御説のとおりだと思っております。   〔理事小谷守君退席、委員長着席〕

黒柳明公明党

○黒柳明君 四十五年、四十六年、毎年の申請で、私ここにもらったのの四番目に「中央競馬会主催五大競走 中央競馬会」と、こう出ておりますが、競馬も、二十三年競馬法が制定された時点においては、馬種の改良ということで、まあ馬種といいましても、農耕、あるいは駄馬、競馬——もう軍馬もない時代であります。あるいは百歩譲って言った場合には、何らかのそういうエクスキューズの余地もあったと思うのですけれども、現在、いまの時点においては、これは完全にそういう目的とはもう違って、きょうあたり新聞を見ますと、競輪に続いて競馬も東京都あたりはギャンブルとしてこれは廃止しようという動きがあるわけでありますけれども、まあ廃止するしないの是非についてではありませんが、いわゆる競馬、今日は競馬法を出したときあるいはこの賞状を出したときの時点とはもうまるっきり性格が違っている。端的に言うと、完全にギャンブルになっている。こういうものに現在も内閣総理大臣賞が出ていると、こういうことでありますが、この点について官房長官の見解はいかがでしょう。

竹下登自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(竹下登君) これは黒柳委員には私のほうから感謝を申し上げますが、まず必ず私どもに御質問をいただきます前におおむねの質問趣旨についてお聞かせをいただいております。したがって、私どもといたしましても、この中央競馬会に総理大臣杯を出していることについて、それなりに議論をいたしてみました。これは黒柳委員御指摘のとおり、昭和二十四年、中央競馬会よりの申請に対して、当時のものの考え方からいたしまして——私も、二十三年、まだ国会議員でございませんし、被選挙権もなかった当時でございますが、それの制定等のいきさつをいろいろ聞いてみましても、いわゆる軍馬改良等々の時代からは過ぎ去って、そこで大きな網として畜産改良というようなことを掲げてこれが発足をした、このように理解をいたしております。したがいまして、それが日本の長い伝統の中で国民に親しまれておるある種の伝統的行事というような観点から総理大臣杯を出している。それが、今日社会の環境、価値観の相違等の中にも、まあ惰性のごとく引き続いて出されておるというのが実情でございます。  ただ、それならば、現時点において、まさにそのギャンブル性が私は弱いとは断じて申しません。私もその御指摘には同感するところが多いわけでありますが、ある意味において国民になじまれたレクリェーションの場、あるいはそれに参加することが国民の非常なレクリェーションの場としてのなじみというものもできておるという認識も全くないとは言えないというふうに思いつつ、直ちにこれをいわば引き上げるとかいうことについては、若干今日まだ私としては抵抗を感ずる状態にございます。ただ、この際明瞭に申し上げることができるということは、今後ギャンブル性の強いものについて原則として総理大臣杯を出すことはしないという方針だけについては申し上げることができるのではなかろうか、このように考えておる次第であります。

黒柳明公明党

○黒柳明君 私も、言うまでもなく、法をつくるところに選ばれてきたわけでありまして、私も当然、その範疇とは別には、やっぱり一人間でありまして、こういうものについてのファンであり、あるいは愛好者である、こういう人たちもたくさんいるでしょう。ただし、いまの私の立場というものは、そういう競馬の愛好者であるとか愛好者でないとかの立場を離れまして、やっぱり法律というものを順守する、こういう立場での質疑、これにならざるを得ないかと思いますし、また行政の立場におきましても、それにのっとって行政をつかさどるということが、これはもう最高のたてまえではなかろうかと、こう思う次第であります。ですから、私もそういう大原則というものを踏まえて質疑をしているつもりでありますし、過去も将来も当然そうだと思うのです。ですから、先ほどの官房長官、当然ギャンブル性の強いものにはうまくない、ギャンブルにはうまくない、競馬はギャンブルではないとは言わない、そうすると競馬はギャンブルだ、そうするとギャンブルにはうまくない、そのギャンブルである競馬にはうまくない、これはもう単純明快な三段論法が出てくることは間違いないと思います。ただ、いま官房長官おっしゃったように、問題は、国民的な浸透といいますか、愛好といいますか、その問題が私も調べているうちにやっぱり一点残るなという気はしながら言いました。いまの質問する時点においても、決してこれが法的にだめだからあしたからやめろ、こういう私は一〇〇%強い意味で言っておると思っているのですけれども、それはどうかなというほんの一部の、人情論といいますか、過去の経緯を見ての私の感情的なものも残っております。しかし、私はいま申しましたように、私たちの立場はそれであってはいけない、あくまでも法にたとえ寸分もたがった行動をとってはいけない、これが私の信念であります。それに基づいて行政をやっていくのが、当然政府の、あるいは官房長官の信念でもあろうか、ここに相違があるわけはないのでありまして、私は、いま現在これを引き上げるつもりはあるのかどうか、ここの検討までも当然お一人でできる問題ではなかろうかと思いますし、副申請者も農林大臣でありますし、十二分にいけないというものはいけないのだ、私はこう思います。しかも、これは単純明快な論理でもあるかと、こう思います。確かに、国民に浸透し、あるいは三分間で五十億の金を動かすそのギャンブル性と同時に、十一万の人を集めるというこういうポピュラーな面についても、まあ十二分にお考えをいただかなければならぬ問題じゃないかと思うのですけれども、私がここで申したいのは、いけないことはいけないのだ、これだけは私の観点としてひとつ申し上げたいと思うのですが、また重複するようですけれども、ひとつそれを踏まえて御答弁をいただきます。

竹下登自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(竹下登君) 黒柳委員の私に対するただいまの御意見なり心境を交えての御質問でありますが、その心境は私も同じ心境であります。したがいまして、さはさりながら、原則としてギャンブル性の強いものに対して総理大臣杯を出すということを今後やらないということはやはりお約束すべきではないか。御意見を承りながら、私自身が率直に感じたところであります。

黒柳明公明党

○黒柳明君 もう一言すみません。またくどいようですけれども、ギャンブルはうまくない、競馬はギャンブルではないとは言わない、競馬はギャンブルだ、そうするとギャンブルはうまくないということですよ。これは明らかですね。それに対して、たとえ過去はどうあれ、時は推移しますね。ましてこれは内規ですから。またあとで触れようと思うのですが、非常に内規がきちっとしている省があるのです。みごとです。先般のマル秘の問題と同じように、各省庁非常におかしな。ところが、この内規については、大臣杯の授与については、文部省なんです、みごとなくらいです。内規のまた基準がきちっとできておりまして、絶対不備がないようになっています。また、こういう内規があるからこういう不備があったのだということを、ひとつこのあとまた指摘をしたいと思うのですけれども、ですから、そういうことを踏まえて、はたしてこれがそれじゃ愛好されているかいないかといったら、ギャンブルの陰に泣く悲話なんということも、これはある意味ではポピュラーな事実かもしれませんですね。確かに、ああいう家族連れで行って、非常に五十億の金が動くということは、その陰に悲喜こもごものストーリーがあることは、私が言うまでもありません。そういうことでありまして、もう一歩私はいまの御答弁がちょっと納得しかねる。悪いという判断を下した。しかし、どうしてもいま引き上げるか引き上げないか、そんなつもりはないと明確におっしゃったのですね。そうなると、非常に私はそこに矛盾を感ずる。悪い点があるから検討せざるを得ないと言うなら、私はああそれはごもっともだと、官房長官だけの検討というわけにいかないだろうと、きのうのきょうというわけにいかないだろうと、過去から長い間のものであったからと、こういう私も考えもいたさざるを得ない。悪いという判断に立ちながら、引き上げるつもりはないという断定ということは、これは私は矛盾を感じてしかたがないんですがね。その点、申しわけないですが、もう一つその前向きの御答弁いただけませんか。

竹下登自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(竹下登君) これは、私が明瞭に申し上げましたのは、今後このようなものには出さないということを申し上げましたので、いままで出したものに対しては引き上げないと、こういう断定と受けとめになったかと思いますが、私自身、いままで出しておるものに対してこれを引き上げる考え方は全くないというふうな考え方は、率直に持っておりません。ただ、私なりに質問主意をちょうだいいたしましてから考えてみた場合、今日そのギャンブル性を否定するものでは決してございませんが、国民になじまれたレクリエーションの場、あるいはこれに参加することによってある種の悦楽を享受する国民というものの存在ということを考慮した場合、にわかにこれは引き上げるべきものでございますという答えをするだけには、少しく心の準備ができていないと、こういう心境をすなおにまあ申し上げるわけでありますので、この点につきましては今後の研究課題とさしていただければ幸いでございます。

黒柳明公明党

○黒柳明君 まあいますぐ引き上げるかどうかは自分のいまの心境では定めかねると、こういうことでありまして、当然きのうのきょうですからね、引き上げるかどうかということを断定することもむずかしいと思うんですけれどもね、ただ、その国民にということばを使いますと、じゃあ競輪はどうなのか、開催はもっと競馬より多い、そうですね。あれこそ、競馬みたいに遠いところじゃなくて、もうすぐそばにある。二十年の伝統と言えば伝統がある。モーターボートレースでもそうです。非常にこれはエスカレートする可能性があるわけですね。ですから、そういうことも踏まえてですね、ぜひとも、悪いというからには、その次の検討についてすみやかなる御考慮を願いたいと、まあこれはいま現在では要望する以外にないでしょう。決してこれを置くなんというつもりはないというおことばがいま出ましたものですから、それで、こればかりあれするとその次が進みません。  宮内庁の次長に来ていただきまして、まあこれこそ私のいろいろな問題があるということを前提に言っているつもりですけれども、競馬には四日前に天皇賞レースがあったわけでありますけれどもね、その天皇賞レース、これについてもやっぱりギャンブルであり、総理大臣杯がうまくないなら、なおこれも私はどうなのかなあとこういう観点なんですがね、いかがでしょうか。

瓜生順良宮内庁次長

○政府委員(瓜生順良君) この日本中央競馬会に天皇賞としてのたてが出ておるのは事実であります。これはいろいろ御議論の点もあると思います。われわれもときどき現状において、これを授与するのがいいかどうかということについては、疑問を持つこともあるんでありますが、これは明治十三年明治天皇のころからずっとこう古い沿革があるもんですから、それでいわゆるまあ戦前の軍馬がなぐなった戦後についても、先ほどおっしゃいましたように、産業とか交通の関係でやはり馬の関係の使命があるというようなことで、競馬についての意義があるというようなことで、戦後においても疑問を持ちながら、戦前はカップだったんですが、幾らか格が下がってたてにまあなっておる。その一ぺんたてを出しましたが、毎年出すんじゃなくて、たてをただ持ち回りになっているわけであります。それをまあ天皇賞と言っていますが、それをこの持ち回りでやられることについて、疑問を持ちながらそのまま認めてきた。これはまあ、競馬については、先ほど官房長官もおっしゃいましたようなレクリェーションの面もあるのと、それから、これはまあ、われわれよく参考に使います、英国の王室が、その競馬については相当力を入れておられまして、英国では、日本と国情が違って、まあ競馬も高級な社交場になっているようであります。そういうこともありまして、幾らか事情も違いますが、力を入れておられるような点もあったりして、中央競馬会からも熱心に引き続き認めてほしいというような要請もありまして、いままでのところそのまま持続いたしておるわけであります。しかしながら、疑問を持っているということは先ほど申しましたとおりでありまして、なおそういう面で今後検討したいと思っております。

黒柳明公明党

○黒柳明君 ついでにもう一つお伺いしたいんですけどね、この天皇杯の内規には、アマチュアスポーツでなければならないということなんですけどね、四日後には大相撲始まりますな。私非常に相撲好きなんです。伝統的な国技であります。ですから、非常にその面では、もっともっと盛況になってほしいと。ただ、あれはアマチュアではなくてプロスポーツですよね。こんな観点も、どんなような見解を持っていますでしょうか。

瓜生順良宮内庁次長

○政府委員(瓜生順良君) この日本相撲協会に賜杯というのがありますが、これは大正十四年に天皇陛下のほうから賜金が出ましてですね、相撲協会のほうに。その賜金によってこのカップをつくられたのです。それですから、天皇杯と言わずに、天皇賜杯と称しているわけですけれども、それがずっと引き続いて行なわれておる。戦後についてもこの制度を持続しているというので、相当まあ大正時代からの沿革があるもんですから、そのまま認めておるということでございます。

黒柳明公明党

○黒柳明君 私、官房長官ですね、なぜこの内規あるいは法的なもの、そしてただ単に感情、従来の伝統、国民的なものということばではいけないと言ったかというと、この次の問題なんです。そこに入ってくるわけなんですよ。やっぱり厳密に内規があるならば、それにのっとってやらなければだめだということは、なぜかといいますとね、官房長官、これは御存じないと思うのですけれども、もし参事官のほうで御存じですとお答えいただきたいと思うのですが、長野県ボーリング場協会に総理大臣杯が出ていますか。長野県ボーリング場協会、ここには私ないんでね。長野県ボーリング場協会に総理大臣杯出ておりますか、申請ありましたでしょうか。

翁久次郎内閣官房首席内閣参事官

○説明員(翁久次郎君) 全然記憶にもございませんし、申請にも接しておりません。

黒柳明公明党

○黒柳明君 私も、四十六年度の申請があって授与されているものをいただきまして、その中を見まして、長野県ボーリング場協会、総理大臣杯授与、出ておりません。これはそうかと思います。ところがです、官房長官、いま述べましたように、なぜ内規にのっとってやらねばならないかというのはここにあるんですよ。まだ一つあるのです。長野県ボーリング場協会で、三月末から始まりまして、内閣総理大臣杯争奪ボーリング大会をやっているのです。出てないんですね、いま参事官のお答えのように。申請もなかったんですね。申請もない、出てないものが、長野県全県で三月末から行なわれ、決戦がこの次の日曜日の五月十四日。しかもですよ、この内閣総理大臣杯争奪ボーリング大会に、予選に参加した人が約三千名、この予選をやったボーリング場が六十数カ所。そして、ほとんど予選は終わって、四日後の五月十四日、諏訪の諏訪ダイヤモンド・レーンというボーリング場で決勝大会、そのときには百七十六名が三千名から選ばれて出てくる。当然このためにはばく大なゲーム料を払っておる。一ゲーム三百円です。私の単純計算でも三百五十万円、ゲーム料だけでです。当然、こういう何とか杯争奪ボーリングなんというのは、参加料なんか出ますね。一ボーリング場ですと、千円の参加料を取っています。ここにあるパンフレットなんか。こういう事実があるのです。もうやがて二カ月余にわたって予選大会を行なってきておる。内閣総理大臣杯争奪ボーリング、ここにそのパンフレットとカップがあるんですよ。これは官房長官見てもらっても、それこそ紋次郎じゃありませんけど、知らぬ存ぜぬのところじゃないかと思うのですが、これです。このカップはここです。これが予選を行なわれてましてね。  これはですね、参事官、どんなことでこんなことになっちゃっているのか、 いままでこういうケースがあったのかなかったのか、想像されるのはどんなケースなのか、想像の範囲でもけっこうですから、ひとつお考えをお述べいただけますか。ちゃんとこのプリントで宣伝されてる。

翁久次郎内閣官房首席内閣参事官

○説明員(翁久次郎君) ただいま伺いましたので、にわかに申し上げることもいかがかと思いますけれども、私の経験するところでは、そういう一県限りの総理大臣杯ということはいままで聞いたこともございません。したがって、かりにそういう話があったとしても、内閣あるいは総理府としては、そういうものを認めるということはあり得ないと思います。したがいまして、いま御指摘をいただきましたので、さっそくいきさつを調査いたしたいというように思います。

黒柳明公明党

○黒柳明君 私はその点はっきり調べないんで、具体的な名前は申しませんけれども、この諏訪ダイヤモンドレーンズというのは某一流石油会社の系列ボーリング場らしゅうございます。その会社の重役ないし社長から総理大臣には許可もらってあると、こういう過程らしいんです。私もこの点についてはあまりやりませんでした。こまかく調べをやったところで、既成のものがないんですから、申請がないんですから。ですけれども、こういうものが、いまのボーリングブームに便乗して——さっきの競馬と同じじゃないですか、ある意味においてはですよ。イコールかどうか、主観の相違はあるかと思いますよ。さっきも言ったように、ばく大な、五十億を三分間で集める。これは天皇賞、総理大臣賞というものにある程度の魅力があるんじゃないですか。これは私言うまでもない。と同じように、このボーリング場の争奪戦にしましても、内閣総理大臣杯の争奪戦だからプレーヤーが寄るのです、アマボーラーが寄るんです。ゲーム料、参加料を払って争うわけです。そういう、言うならばダシに使われたと、まぼろしの総理大臣杯争奪ボーリング大会なんですよ。なぜこういうことがあるのか。これはやっぱり、先ほど言ったように、内規に準じてきちっと、やっぱりものごとを法律の上にのっとってやっていれば、こういうことの起こる可能性も少なくなる。当然起こらなくなる。それが、何となく国民がブームだから——ボーリングだってそうですよ、やがては、国民が支持しているんだから、愛好しているんだからとなったら、みんな同じ範疇に入る可能性がある。今後は絶対に出さないと、ギャンブル性の強いものはと、こういう答弁もありましたけれども、またその時点その時点において、これだけ国民が参加しているんだからいいだろうということにもなりかねませんですね。それを歯どめするのがやっぱり法律じゃないですか、この場合には内規じゃないですか、私が言うまでもないです。こういう事件が起こっているわけです。まだあるんですけれども、官房長官も当然これ関知しないところだと思いますけれども、いかがですか。まずこの一点と、先ほどの人情論、感情論と、それからこの法規というものについての問題。

竹下登自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(竹下登君) これは、黒柳委員御指摘になっておることを論理的に進めてまいります一と、私はおっしゃるとおりだと思います。で、いまの長野県の問題は、私自身もいま少し調査、首席参事官のほうで調査をお約束を申し上げましたので、その上でないと何とも答えられませんが、いろいろなことを私なりに想像してみまして、いわゆる各種競技、愛好者の競技の中へ取り切りのカップを寄贈するというような場合と、そしてまたこれが営業活動、あるいはもとよりギャンブル性などというものに結びついたものとは、やはり折り目けじめはきちんとしなけりゃならぬということを、私も黒柳委員の御指摘によって痛感いたしたところでありますので、その種のたぐいが他にもあるかないかをも含めて検討して、きちんと御趣旨の線に沿ったことで対処してまいりたい、このように思います。

黒柳明公明党

○黒柳明君 他にもあるかないかということで、それじゃ他にもあるということで、これは山口県の徳山パークレーンズ——四十二年ごろからやっているのです。ちょっと年数が五、六年前なんで、いつという断定も地元の新聞社も——、やったということは明らかなんです。それで、はっきりしているのは、四十四年の七月と四十五年の一月、これははっきりした取り切りです、カップ。それでもう、現在このカップを取った人がいるんです。これも内閣総理大臣杯争奪戦という名目です。これは偶然かどうかわかりませんけれども、総理の選挙区の中に入っているわけですよ。これは私、何も選挙区目当てに調査したわけじゃありません。うまくないなというところからいろいろな情報が入ってきた、偶然の一致かもわかりませんけれどね。まだまだそのほかにもあるかどうかという官房長官のお話どおりに、もっとあるかわかりません。しかし、いま言ったように、総理の地元の選挙区の徳山のパークレーンズというところで何回もやっているのです、これ、総理大臣杯争奪戦を。当然、私聞くまでもなく、これは出てませんでしょうね。先ほど一県下にこんなの出るわけないと参事官がおっしゃったとおりであります。これも出ていないですね、念のために、すみません、御答弁いただいて。

翁久次郎内閣官房首席内閣参事官

○説明員(翁久次郎君) 出ておりません。

黒柳明公明党

○黒柳明君 これも当然出てないはずです。ここで、どういう過程でこれは出ているのかと聞きましたら、東京へ来るたんびに一つずつもらっていくのだというんですよ、カップを。こういうことも、失礼ですけれども、この内規とかむずかしい法的な問題知らない人は、あるいはどっかへ行って、まあ秘書官なり、しかるべき人に言って、「くれますか」、「ああやるよ」なんということが、即賞状、賞杯に結びつくなんという、非常にイージーな考えもあるいはあるかわかりませんよ。国民のためなんだから、みんな喜んでいるんだから、こういう観点が先に立って。伝統的なんだからと、こういう観点が先に立って。こうじゃうまくない。だからこそこういう問題が起こっている。しかも、疑われて、これすら総理大臣としては何かいやなような、自分の選挙区でこんなことがある、こじつければ、何だ、総理大臣、自分のところかってに出しているじゃないかと、こう思われたってしょうがないような事件も出てくる。これはどこからこういう問題が起こるか。まあ東京行ったたんびにもらってくるんですよ。えヘヘという人は、それでしょうがない。そういう観念です。みんなが喜んでいるんだからいいじゃないか。あるいは、その人の腹の中はコマーシャルベースかもわかりませんよ、これを名目にして人を集める。しかしながら、とどのつまりになると、やっぱり、先ほどから言うように、内規の問題です。そこで、私が冒頭に申した、文部省の内規、これ一度——この前のマル秘みたいに、あらかじめここまでを言わなかったので、御存じないかと思いますが、この文部省の内規ごらんになっていただきたい。内規に対してのさらに内規ができている、基準が。きびしく、こうあるべきだ、こうあっちゃならないという、明快なる、ただこういう抽象的なものじゃないんです。アマスポーツはどうだ、プロはどうなんだ、当然だめなんでしょうね。それから業績、技能、作品が全国的にいいならばギャンブルでもいいのか、当然だめなんでしょうね。そういうことが明快なんです。この文部省の内規に対してさらにその基準を設けておる。大蔵大臣杯も出ています。通産大臣杯も出ています。これについても、非常にやはり出どころ、申請者が趣旨にのっとらない点がある。しかし、持ち時間もあれです、私きょうは夕方だということで、いろいろな点で削除した点があるんですけれども、ひとつまた官房長官のお立場として、また各省の副申請者が出てきて、そして内閣官房、総理府で総括されるわけですから、この文部省のそれがベストであるかどうかも含めまして、きびしいやっぱり基準というものをこの際設けませんと、やはり青春をつぶしてそのシンボルに向かって突入していくわけですよ。あるいは一団体がそれに対して精力を注いで争っていくわけですよ。そういうある意味においては権威があるシンボルがこういうふうに乱雑に出されるという根底を含んだものである。うまくない。現に出ているじゃないですか。現にこの証拠があるじゃないですか。ひとつこの内規の面につきましてきびしいチェックをしていただき、あるいは出した時点がそうでいまはというならば、その現状を踏まえてまた基準というものを考えることもつの当然やるべき態度ではなかろうかと、こうも思いますけれども、官房長官、いかがでしょうか。

竹下登自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(竹下登君) 御趣旨のとおりだと私も理解をいたします。

黒柳明公明党

○黒柳明君 すみません、ちょっとお食事の時間が近くなって。御趣旨のとおりであるということで、ちょっとまあ私も何か一方的な発言でもの足りないんでございますけれども、ひとつボーリングのこと、あるいはある意味においては、競馬に対して天皇賞が、大相撲に対して天皇賞が、総理大臣賞が出ておることは何が問題なんだと、確かに私も、何が非常に問題であるのかなと第三者は思う人もあるかもわかりませんよ。しかし、私は国会議員です。法をつくって法を守る立場です。と同じように、法に準じて行政をする立場であるんじゃないでしょうかね、政府は、官房長官、あなたに言うまでもなく。そういう立場において、私がこれだけのものを調べるにあたっていろいろ苦労もし、いま発言しているわけでありますが、そのとおりであるというならば、どう処置をするかということが当然やっぱり発言には出てきてしかるべきではなかろうかと、こう思うんですけれども、また重ねて申しわけありません、そのとおりであるならば、ひとつその申請を、出てきたものをチェックする立場にあるわけです、総理大臣杯に限ってはですよ。そういう立場であるならば、ひとつ今後はどうするか、いかがでしょうか。

竹下登自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(竹下登君) これは私自身、黒柳委員の御発言を承りながら、その問題点の理解のしかたにおいてまさにそのとおりであると、このように申し上げたのであります。考えてみますと、お互い選挙区を持ち、あるいは私とて考えてみると、出身の小学校の運動会にカップを出したりしておるような気がいたします、確かに。今日私どもがそこで非常にいろいろな問題でいままで体験したことから申しまして、たとえばこの程度のものには、かりに農作物の品評会にいたしましても農林大臣賞がある、それにはなぜ出ないのか、何かそれには公式なものと非公式なものとの区別ができないかというような私も過去に陳情したことを、実はいま話を聞きながら想起いたしておったのであります。したがって、少なくとも、御指摘のごとく、法律、この際は内規というのがいわば法律の代役をしておるわけでありますだけに、こういうようなものが厳然として存在しておること自体、やはり私どもも、これらを把握する際の基準については、厳正な態度でチェックをすべきであるという認識を深くいたしたのであります。特に文部省の内規がよくできておると申しましょうか、かなり整理されたものができておるという御指摘について、私もまだ目を通したこともございませんが、参事官室のほうで取り寄せて目を通して、文部省は文部省なりに、おそらく私の想像では、これが児童生徒の各種作品等に対する賞状の交付等がございますだけに、いたいけな生徒に対してそれを傷つけるようなことがあってはならないというような伝統的配慮からかなりきびしくやっておるのではないか、話を聞きながらこういうような印象を私自身も受けましたので、こうした問題について、一応各省の内規を取り寄せてみて、文部省のものがかりに私どもがすばらしいと判断をいたしましたならば、各省もそれに準拠してやるべしというようなやはり指示をすべきではないか、こういう印象を非常に強くいたしておりますので、私自身が不勉強でございますので、直ちにどのような対応のしかたをいたしますという断定的な御答弁を申し上げるだけの心の準備ができておりませんが、御趣旨に沿って私は一度少なくとも洗い直してみるということはここでお約束すべきであると、このような認識を持った次第であります。

黒柳明公明党

○黒柳明君 けっこうです。

足鹿覺日本社会党

○委員長(足鹿覺君) 本日はこれにて散会いたします。    午後五時五分散会      —————・—————

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