予算委員会第二分科会 第6号
- 発言数
- 179 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1972/03/25
会議録
○野田主査 これより予算委員会第二分科会を開きます。 昭和四十七年度一般会計予算中外務省所管を議題といたします。 質疑の申し出があります。順次これを許します。川崎秀二君。
○川崎(秀)分科員 きょうは外交政策というよりは、むしろ日本の世界政策あるいは軍縮問題等でお尋ねをしたいと思うのですが、せっかく予算の分科会でありますから、分科会らしい質問を最初に申し上げたいと思うのであります。 外務省自身の充実強化ということは各方面から要望されておると思いますが、この世界政治の変化に対応しまして、国際経済、産業技術に関する研修などはどういうふうにされておりますかということが一つ。 それから第二は、やはり何といいましても日本の外務省の量的な人的規模といいますか、数が少ないと思うのですね。これを当たった数字をそちらでもお持ちでしょうし、私どもも入手しておりますが、アメリカ、イギリス、ソ連、フランス、西ドイツ等に比して非常に少ない。米英は別ですけれども、西独、フランス等D主要諸国に対して半分あるいは半分以下ということでは、いまの日本の経済大国としての陣容からすれば非常に貧弱じゃないかと思うのです。これは総定員法との関係もあるようですけれども、いろいろやりくりして充実をしていくことが情報を的確にとらえることに対処できると思うのですが、これらについて外務大臣のお考えをお伺いいたしたいと思います。
○福田国務大臣 わが国は、しばしば申し上げておりますように、経済的にはかなり強い力を持つに至りましたが、軍事的大国への道は選ばない、さような立場から世界の社会に臨んでおる、こういう状況でございます。したがいまして、わが国といたしますと、経済を背景といたしまして、経済、技術それから文化、そういうものについて各国との間に交流をはからなければならない、また相協力していかなければならない、こういうことが必要になるわけであります。 これを進めていきますと、わが国の世界における立場、これはユニークというか、いままでの世界の国々が国際社会に臨む姿勢と非常に違った形でわが国の立場というものを推し進めていくことができるのじゃないか、そういうふうに思います。そういう道をスタートを始めておる。そうしますと、私は、今日、わが国としますと、建国以来世界に向かっての影響力を持ち得る日本国というものがもうすでに形成を始めておる、こういうふうに思うのです。 そういうときに、いま御指摘のわが国の外交基盤というものが、戦前のような体制とは違った意味において、ここで整備する非常に大事なことじゃあるまいか、私はそういうふうに思いまして、その一端といたしまして、今度国際交流基金の設置というようなものも考えてみた次第でございますが、なお、外交基盤の整備、その整備された外交基盤の上に立って技術の交流、文化の交流あるいは経済の協力、こういう施策を進めていきたい。平和国家、福祉国家としての大道をばく進ずる、こういう新しい日本の外交路線をしいていきたい、かように考えます。
○川崎(秀)分科員 これは、外務省数字がありませんか、持っておられると思いますけれども、アメリカ、イギリス、ソビエト、フランス、西独等の資料がありますからね、ちょっと言い上げてください。だれでもいいです。
○佐藤(正二)政府委員 外務省の定員は、四十六年度の定員をとりまして、日本が二千七百五十六人、うち、在外一千二百六十六人でございます。これを諸外国に比較いたしますと、フランスが四千百七十七人、うち、在外が三千三百三人、それから、ドイツが五千九百七十一人、うち、在外が四千四百二十三人でございます。それからイタリアが……(川崎(秀)分科員「イタリアはいいです。」と呼ぶ)そうですが、それで、今回御審議願っております四十七年度の政府原案におきまして、八十四名の増員を予定しておりますが、御承知の行政整理の毎年削減がございますために、五十人の削減でございますので、純増として三十四人の純増を予定しております。
○川崎(秀)分科員 それで何人になりますか。
○佐藤(正二)政府委員 それで、先ほどの二千七百五十六人にこれを足しまして、二千七百九十名になるわけでございます。
○川崎(秀)分科員 アメリカの数に比較しますると、二倍半あるいは三倍にアメリカのほうがなると思うのですが、これはまあ別ですけれども、いまの日本の立場として、福田外相が言っているように、ユニークな経済外交あるいは技術外交、そういうようなものを進めていくのには足りないんじゃないか。これは私はむしろ外務省を激励する意味で申し上げておるので、少なくともフランス、西独の線になるべく早く進めることが必要だと思うのですがいかがでしょうか、一言だけでけっこうです。
○福田国務大臣 まことにありがたい御指摘をいただきまして、感謝いたします。どうも、ただいま申し上げましたような平和的、福祉的国家としての立場に立っての幅の広い外交施策を進めていくのには、この上とも人員の整備、これも努力しなければならぬ。総定員法という問題がありますことは御承知のとおりでございますが、そういう制約との調整をはかりながら、今後とも御鞭撻のもとに努力をいたしていきたい、かように考えます。
○川崎(秀)分科員 次の問題は、諸外国では在外勤務期間中に一年に一度ぐらい、短期間でも本国に帰すということがあるようです。これはアメリカやそういう富裕な国でも、あるいは東欧圏あたりも、ある東欧圏の国といろいろ中国問題との関係もありましていろいろ情報を交換し親しくしておりますが、年に二回ぐらい参事官なども帰っておるような始末でありまして、そういうような点で、今度何か法律も改正されるようなことも聞いていますけれども、なるべく日本のようなスピーディに世の中が変化し向上しておる国には帰らないと、本国の空気を知らない。こういう意味での対案といいまするか、どういうことにされておるか、将来どういうふうにしようとしてされておるか、主要各国はどういうふうになっているか、伺いたいと思います。
○佐藤(正二)政府委員 先生御承知のとおり、外務公務員法の二十三条というのがございまして、休暇帰国制度を定めております。これが現行法でございますと、四年に一度、在外勤務期間を四年をこえる者に一度ずつ休暇帰国を認めております。これは先生御指摘のように、非常にこれが長過ぎる。これは不健康地ではこれを半年にしておりますから、二年になります。長過ぎるというので、今度も、今回の予算のときに大蔵省ともいろいろ御相談いたしまして、四年を三年にいたしまして、不健康地は一年半にいたしまして、所要の予算をつけていただいた。したがって、だいぶ改善されるわけでございますが、ほかの国との比較はどうかというようなお話もございましたが、これはいろいろ国によって制度が違いますので、直接に比較できませんでございますけれども、大体において一年に一度ぐらいの休暇帰国を認めておるというのが通常のようでございます。
○川崎(秀)分科員 だんだんに帰任することを早く頻度を増そうということはけっこうですから、諸情勢に応じてそういう方向に進めていただきたい。それが本国と出先における政策のマッチにもなるというふうに確信します。 それから一まとめでお伺いしたいのは、官房長でけっこうですから、在外館員の住宅が非常に貧弱である。それから、外国へ行けば外交官同士の交際もあるでしょう、それも、大使だけが交際するという形でなしに、参事官、一等書記官あたりはかなり政治的にも動かなければならぬのにかかわらず、家へ呼べないので料理屋へ呼ぶ、金もかかる、こういうことでもございましょうから、そういうような点で、現在の在外館員の住宅が非常に貧弱であるということは指摘されなければならぬと思うのです。 それから先ほどの話とは別に、一ぺん任命した者が一年ぐらいで交代する。最近は二年ぐらいになってきたようですけれども、一等書記官、参事官等、なるべくならば二年半ないしは三年いて、最初の半年は使い道にならぬとだれでも言っております、また、あとの半年は浮き足立つ、こういうことで、中やはり二年ぐらいは十分その地にとどまって、交渉をしたりその知識を深める必要があるんじゃなかろうか、これが第二点。 もう一つ、これは最近の現象だそうですね、外交官ですから、外国へ出たがるのが当然なんだが、このごろは、日本の民度が上がり、生活水準が上がったので、若い人があまりへんぴなところに行きたくないような傾向があると思いますけれども、そういう点については、給与その他で十分カバーするような政策をとるべきじゃないか。高地に住んでおるようなところは、たいへん健康にもハンディキャップがあるわけで、エクアドルのキートとか、あるいはどこでしたかな、あの近所はみんなそういうあれがあるので、そういうものに対する給与はどうなっておるか、この点を、官房長でけっこうです、伺っておきます。
○佐藤(正二)政府委員 最初の住宅の問題でございますが、先生御指摘のとおり、いろいろ各地によって非常に住宅の値段が上がっているところが非常にございます。したがって、毎年、予算の時期に大蔵省と御相談いたしまして、住宅手当というのが特別にできておりますが、これを各地の事情によって毎年十カ所ぐらいずつ、また、今回は、例の円の切り上げの問題なんかもございましたために、全面的に大きく変えました。それでその分と、今回は、今度御審議を願います、在勤俸とわれわれ言っておりますが、在勤基本手当、それの引き上げと両々相まちまして、この住宅のほうも事情に適応するように持っていきたいと思っておりますので、今後ともこれは努力いたしたいと思っております。 それから二番目の勤務期限の問題でございますが、なるべく御趣旨のとおり、三年程度は勤務期限を置いておきたいと思っております。これは、瘴癘地の問題は別でございまして、瘴癘地はあまり長く置きますとからだのほうにこたえるものでございますから、瘴癘地の場合はわりあいに早く動かしておりますが、普通の土地におきましては三年ないし四年というふうに考えております。 それから高地、瘴癘地に行きたがらないというお話でございましたが、これは各人によっていろいろだろうと思います。そういう人もいるかとも思いますが、これはわれわれのほうから見ますと、癘瘴地は先ほどもちょっとお答えをいたしましたように、休暇帰国制度を半分、すなわち一年半で日本に帰すという制度もございますし、それから在勤基本手当そのものにつきまして、やはり癘瘴地の加俸的なものを考えて、その土地のパーセンテージをきめております。それからマラリアの関係の対策その他いろいろやりたいと思っております。と申しますのは、マラリア汚染地区でございますと、一年に一度くらいマラリア汚染地区から出たほうがいいという問題もございますものですから、そういうことにもいろいろ気を使いたいと思っております。 それから高地対策の問題も、高地にいる勤務者がたくさんおりますのですが、これは低地と申しますか、近い低地に家を借りて、ある時期に出張させて高地を離れるというようなことを考えております。
○川崎(秀)分科員 あとは政治的な問題ばかりでありますから、福田外務大臣にお聞きいたしたいと思います。 一昨日私は通産大臣にも質問をいたしましたが、中国化合繊視察団、これに対する右翼のいやがらせ、特に備忘録の事務所が恵比寿にあります。あそこの路地へ自動車で二回も三回も押しかけまして、中共はけしからぬ、早く引き揚げろというようなアジ演説を行ない、ビラもまいておる。そしてあの辺に、この辺にも散見しますが、特にビラをずっと張りめぐらしているのです、私も見ましたけれども。それでやはり事別所員も少ないことですから、いまは五名で一人中国へ連絡に帰っていますので、彼らのことですから精神きわめて強靱ですけれども、しかしやはり不安感は非常に漂っておるようでありまして、ここにいる人たちは事情を知っておりますからそれほどでもないのですが、今度来た化合繊の視察団ですね、これはこの間も言ったのですが、飛行機からおりてきたときに、タラップをおりているのを見ると、背広でネクタイを締めておる。この間日曜日に四日市のクラレの工場で私はお目にかかったら、純粋の技術視察団のようでして、非常にソフトムードで、中国が国連へ帰ったということの反映もあったと思うのです。最近人民服以外で来た者はないと思うほどですが、いろいろな話をしてみましても非常に当たりがやわらかですし、ずいぶん勉強させられましたと言っておるのですが、その連中はちょっとびっくりしたようで、歓迎してもらうのかと思ったら右翼の連中ばかり押しかけているというので、いまは北京との関係も非常に電話がよくなったものですから、その連中は直接連絡するようでして、そんなことなら早く帰ってこいと言わんばかりの状態でありますので、きのう通産大臣も閣議で発言されたそうですが、政府の実力者として、いまは通産省がこれを呼んでいる関係のところでしょうけれども、やはり対外のほんとうのルートではなくても、来ている人に対して外務大臣はどういうお考えであるか、取り締まりに対して外務省からもひとつ警告を発していただいて、万全を期していただきたい、こういう質問であります。
○福田国務大臣 先ほども申し上げたのでありますが、わが国は平和、文化国家を標榜して世界に臨んでおる。その上さらに最近の世界動向にかんがみまして、わが国はイデオロギーを超越した国際交流、こういうことを考えておるわけなのです。そういう際に中国の化合繊工業視察団が来日をしておる。この方々に対しまして、日本に来て不愉快な思いをさせるというようなことがあることは、私どもはなはだ遺憾とするところでございます。私もいま川崎さんが御指摘のような情報を入手いたしまして、これはそういうことがあってはならぬというふうに考えまして、警察当局とも十分連絡をしておるのです。ただ、わが国の警職法、これは警察官の職務執行を非常に制限をしておる、そういうことから、さような行動がありました場合に対する警察の行動が非常に制約されておる。これは右翼の行動につきましても、また左翼の行動に対しましてもしかり、アメリカの大使館なんかしょっちゅう押しかけられまして、門の前でがあがあやっておるというようなことがありますが、直接行動に出るまでの段階とすると、今日の警職法の範囲におきましてはなかなか手が出ない、こういうような事情もあるのです。しかし、いま私どもは日中国交正常化、これをめざしまして非常に日中が機微な関係にあるその際でありますので、せっかくの中国の化合繊工業視察団が日本に行って不愉快だったというようなことがありますことは、私どもの目ざすところの交渉過程の問題としてもはなはだ遺憾に存じますので、万全の対策をとるように、警察当局に対しましても要請をいたしておるわけなんです。特に来訪者、また関係者の生命に対しまして危険があるというようなことにつきましては、これは特に手配をいたしまして、十分な措置を講じておるというのが現況でございます。ただ、御理解願いたい点は、ああいう一部の者の行動があったという背景に、日本政府がこれに影響を与えておるのだというようなことは、これは絶対ありませんから、その辺のことにつきましては川崎さんもひとつそういうケースに接しられました際、誤解のないように御解明くださるよう、お願いいたしたい、かように存じます。
○川崎(秀)分科員 この件に関しては、もう一問だけ私の知識並びに福田外務大臣に十分知っていただかなければならぬ関係があると思いますので、お尋ねかたがたお話を申し上げたいと思うのです。 実は文化大革命の起こりました当初、一九六六年八月、ああいう文化大革命――人の国のことでございますから、文句を言うのもおかしいわけですけれども、やはり右翼が備忘録の事務所に押しかけまして、毛沢東主席をはじめ当時の首脳者に対するばりざんぼうをしたわけです。それを中国で情報を聞いた矯激な紅衛兵が、北京の三里屯というちょっと郊外のところにあるわがほうの覚書事務所北京事務所に押しかけようとしたわけです。それを、名前ははばかりますが、今日の備忘録の廖承志事務所にいる連中が、これは正式の外交関係のあるものじゃないのだから、それにもかかわらず将来の日中友好ということで松村先生と廖承志の間にやっておられるのだから、そういうものに押しかけてくれるなということを注意を与えました。当時はイギリス大使館などは焼き討ちにひとしい侮辱を受けたわけです。大使館の一等書記官は命からがら逃げ出したということはよく御存じだと思う。そういう中で保たれてきた細いルートでありまして、いずれ次期内閣が、だれが担当するにしても、日中国交というものが回復される糸口は必ずつけられると私は確信いたします。そうなれば、存外大使館というものが設置をされる。中華人民共和国の日本への大使館もあるだろうし、こちらも向こうへ行くということになりますれば、おのずから、デモがあったところでやはり治外法権の権利があるわけですから、十分保護ができる。いまでは気の毒なのは、そういうことが起こると、岡崎嘉平太さんが矢面に毎日毎日陳弁しなければならぬということです。そういうことで、先の見えておる日中関係の打開の一歩寸前でございますので、どうかひとつそういう意味を含めて福田外務大臣のお考えをいただいて、いまの細い、ひよわなものではあるけれども、これは維持していかなければならぬ。前の岸内閣の当時のような事件になって引き揚げるというようなことは万々ないと思いますが、どうか政府においては、そういう点を十分顧慮されて対処していただきたい。これは一言でいいですから、そういうことを十分お知りであろうと思うけれども、申し上げたわけです。
○福田国務大臣 この問題に対しまする所見は、私は川崎さんと全く同感でございます。警察当局も、この問題につきましてはほんとうに親身にというか、骨身を削るような思いで努力をいたしておりますが、一そう連絡を密にいたしまして、細い糸といいますか、今日では非常にデリケートな関係にあります日中関係に支障のないように、これを念願しつつ最善を尽くしてまいりたい、かように思います。
○川崎(秀)分科員 きょうは私は、この政権も末期でありまするし、台湾問題などでいろいろなお話をしても、実はむだだと思っておりますので、そういう質問よりは一つ先の問題にピントを合わせまして、将来わが党の最実力者である福田外務大臣が今後どういうお考えを持っておられるか、私の考えも述べまして、質問をいたしたいと思うのであります。 日中国交回復の条件は、中国側からは政治三原則、それに先立ってのバンドン会議の平和五原則である。その中は、互恵平等、内政不干渉主義ということが五原則の中心で、これに台湾問題がひっからがってくるからいろいろ多くの問題があるわけでございますけれども、そこで私がきょうお伺いしたいのは、日華平和条約というものが途中で廃止をされるか、廃止をする姿勢を持つか、あるいは廃止してから交渉に当たるか、これらの問題はすべて本日はお聞きいたしません。しかし、そういう過程を通りまして日中国交回復というものができ上がりますれば、やはり何としても極東の平和というものがだんだんと実現をされる、具体的に極東の緊張が緩和をされていくという方向に行くわけでございますから、周恩来首相は、しばしば、日中不可侵略条約というものを日中国交回復の路線と並行して結びたい、あとになるか先になるかは知らぬが、とにかく並行してそういうことをやればアジアの平和に大きく貢献できる、日中が手を携えておくれておるアジアの開発並びに安定のために資するところがたいへん多い、こういうことを言っておられるわけです。こういう考え方に対して福田外務大臣は、いまの日華平和条約という問題がありますが、そのもう一つ向こうの前面のこういう恒久的平和の思想に対してどういうお考えを持っておられるか。私はこれは非常に賛成だと思う。このもとは、かつて石橋湛山首相が、一九六二年に北京へ行かれたときに、こういうものを提唱したことがあります。しかし、よくいろいろの文献などを見てみると、やはり一番言い出しっぺは周恩来首相のようであります。一九五九年にこういうことを言い、そして太平洋、東シナ海に臨んでおる国々の有力国家が将来は結ばれたらどうか、その前提としての日中不可侵略条約というものを考えたようであります。このごろ公明党の使節団にもそういうことを言い、私は中国に参りました際にさらにこちらからもそういう話をしました。周首相は、まずやれるものからやりましょう、日中不可侵略条約からやりましょう。もとよりそれに先立つものはあるわけであります。日中国交正常化ということが達成されなければ、不可侵略条約はないわけでありますが、そういう長期の展望について福田外務大臣はどういうお考えを持っておられるか、承っておきます。
○福田国務大臣 私は、先般の委員会においても申し上げたのですが、いわゆる平和五原則、これは賛成だ。この中心は相互の立場の尊重、つまり相互内政不干渉、それから相互不可侵条約、こういうことにある。これは私は世界の国際社会における一つの公道であるというふうにまで考えておるわけであります。もとより賛成でございます。その当然の帰結ですね。日中間に国交が正常化されるその過程において、もし両政府間において不可侵条約を締結しようじゃないかという話が始まる、そういう際には積極的な姿勢をもってこれに臨むべきではあるまいか、そういうふうに考えております。 ただ、これは少し余談というか、になるかもしれませんが、現在の客観情勢からいたしまして、それが安保条約の廃止ということを一方において前提として考えるということでありますと、私はそうあるべきじゃない。やはり安保条約と日中不可侵条約、これは両立し得るものであるという考え方を持っておる、こういうことであります。
○川崎(秀)分科員 いまの最後のおことばは私も必ずしも否定するものではないのです。というのは、安保条約というものは何も中国を脅威としてつくられておるものではない。日本の自衛力が足りないから、日本の自衛隊ではどの国の脅威にさらされても、万一の場合にそれだけでは防ぎ切れないのでアメリカの力を借りた、借りつつある、こういうことでございますから、それは日中不可侵略条約というものが安保条約を廃止するという前提のもとに考えられるということであってはならぬ、これは私も同感です。 ただ、もっと広い意味の、これはまだ今日の世界情勢、極東情勢からは困難でございますが、周恩来首相なども日中不可侵略条約というものをまず結んで、その上に、いま不可能と思われる米中日ソ、その不可侵略条約というもの、あるいは安全保障条約というものが達成されることが一番極東で不安がないという事態に到達する理想境だ。けれども、現在では周恩来首相の言うのには、われわれの立場から見ても中ソの間はきわめて不正常であります、目下談判中ですということばをわれわれに言われた。談判ということばは、紛糾しているのだから談判はしなければならぬという意味もありましょう。相当きついことばで言うて、その状態は今日も続いておる。アメリカとは正面の敵だったが、インドシナ戦争の終息というものをはさんでにわかに米中接近ということが言われておりますから、ムードというか、将来の展望では米中関係の接近のほうが本質的なものになり得る要素はあるわけですが、中ソ関係がそういうことですから、これはもう四国の安全保障ということは無理です。しかし、その理想境に達する一歩手前に日中不可侵略条約ができて、しかる後にそういう方向へ進めば、これは福田外務大臣は賛成するか賛成しないかしらぬが、もう日米安保条約は要らぬです、日ソも加わって、米中日ソ、四国のものができれば。これはしかし現時点では中国側も不可能だと言っておるのです。私どもも不可能と考えておりますけれども、やはり極東情勢の最終点はそこへ持ってきて、そうなれば安保条約は根本的に検討されるどころではない、廃棄してもよろしいと私は考えておる。日中不可侵略条約ができれば、安保条約を検討する時期に入る。そういう意味でだんだん平和を拡大していく、平和の基盤というものを広めていくという必要があると私は思うのです。これは私の考え方ですが、そういう考え方には福田外務大臣はどういうお考えであるか。
○福田国務大臣 日米安全保障条約、これはまさに川崎さんが理解しておりますように、わが国の抑止力が足らない、これを補うという意味のものでございますから、これはこれといたしまして、日中間に不可侵条約ができる、こういうことは私はアジアの緊張を緩和する、アジアの平和状態をさらに前進させるという意味合いにおいて非常に大きなできごとになろう、私はこれは考え方において全く同感でございます。
○川崎(秀)分科員 ただいまのお考えの一端に触れまして、私どもの考えと非常に接近しておる点は、これは将来の大きなプロスペクトですが、たいへん力強いものがあります。私は今度はまた逆に現時点に返ってみて、やはりこの国会で中国問題と四次防の問題が最大の焦点であったということは、いみじくも日本の将来について、野党の考えておることもわれわれの考えておることも大差ない。もとより公明党、民社党と社会党の主張の中には相当の距離があります。ありますが、これは他党のことでありますから、そうこまかには申し上げませんが、われわれの考え方と公明、民社の両党が非常に心配されておることはそう距離のあることではないのであって、やはり平和国家として日本が伸びていくためには、第一の根幹は平和外交に置かなければならぬ、日本の将来の路線というものは。しかし国民の生命財産を預かっている以上は最小限度の自衛力というものは絶対に必要である。これは公明、民社両党もそういう考えを綱領の中にも書いておられるわけですから。それがニクソン・周会談というような米中会談が行なわれる、こういうきざしを持っておるときに、四次防が大きな計画として登場し、そうして一昨年の末に沖繩返還で締結をされたる佐藤・ニクソン共同声明というものを背景にして、そうして四次防計画というものが練られる。ところが四次防計画というものは、今日は党内で調停の任に当たっておる中曽根君が言い出したので、自分で火をつけて火を消しているような様相もありますけれども、これは友人のことでありますからあまりとがめませんけれども、ともかく四次防計画というものがだんだん大きくなって、いまの防衛庁の考えておる最終年度では、昭和五十一年度ですか、十八兆の予算の中で一兆六千億という予算、それは予算の規模からいえば一〇%以下ですね。しかし諸外国に比して非常に大きな予算の実績というものができてくる。それにおととしの暮れの佐藤・ニクソンの共同声明の中にある台湾並びに韓国の防衛について、両国が甚大なる関心を持つということになりますれば、これは他国の領土というものに対して、日本がアメリカと同時に共同防衛するという意図を持ったこれは軍国主義じゃないかというのが中国側の主張の根拠です。それが数字的な積み重ねになってあらわれてきたというのが四次防の第一年度ではないかという考え方もあって、そこに非常な誤解を世間に与えておるわけですから、いまのような思想を福田さんが、さっき私が申し上げた日中不可侵略条約というようなものを将来において持とうということならば、四次防というものは修正して、防衛力の急増は避けなければならぬ、防衛力の漸次の充実というものはそれは必要でしょうけれども、二〇%、二二%という伸びということは経済の成長率を上回り、各国からやはり誤解を生むことのゆえになるのでありまして、そういう点で外務大臣は防衛と平和外交の交錯点に立ってどういうふうにお考えになっておるか、思想的に伺ってみたいと思うのです。
○福田国務大臣 わが国はいろいろな意味においていま世界でユニークな立場にあると思うのです。つまり有史以来戦争に負けた、もう再び戦争はいたすまい、これが国民的コンセンサスになっておる、こういうふうに考えます。それを象徴するかのごとく憲法九条というものがあって、自衛のための軍備はともかく、人を侵すような軍備を持つことを禁じておる。それからさらに核につきましては、これは最初にして最後の被爆国であるという、今日ではそういう立場にある。特に核に対するアレルギーというものが強い。またわが国は他の大国と違いまして資源を国の中に持たないです、ほとんど全部といっていいくらいの重要資源は海外に依存をする、それを国内に持ち運びまして加工をする、そうして海外にこれを売る、それによってたつきを立てる、こういう国柄にいまなっておる。 そういうことを考えますと、わが国の世界に臨む姿勢はどうしても平和国家、福祉国家ということでなければならぬと思うのです。それはもう川崎さんと私は全く所見を同じくします。ただ、平和国家ではありまするけれども、国際連合の世界警察力がまだ完成されておらないという時点におきましては、私どもの国は、国連憲章のいうがごとく集団的な形においてみずからの安全を守る、そういう体制を整えなければならぬ。そこでわが国は、わが国の自衛力は整備するけれども、その足らざる抑止力を安全保障条約に依存をする、こういうことになるだろうと思います。 いまわが国の自衛力の現況はどうかといいますと、国民所得から見ますとわずかに〇・九%、一%にならない。予算の中における防衛費の比率はどうだといいますと、これもわずかに八%だ。戦前は平時においてGNP対比六%を費やしたわけですね。それから予算でいえば四割五分、これは平時の比率です。それがそういう程度にとどまっておる。しかもその状態が、またその比率がこれから四次防を行なうという際にふえていくんだという傾向でもない。私は、とにかくアメリカがわが国の抑止力を補うというような事態、これを完全に払拭することはできない、特に核の問題は。それはそう思いますが、しかし日本のできることをアメリカがかわって国内に兵を駐留してやってるというような事態はなるべく早く清算したらいいじゃないか、それにはわが国の自衛力増強というものが必要になる、こういうふうに思うのです。 問題は国内においてバランスされた形が必要なんだ、こういうふうに思いますが、GNPの比率、また予算の中における比率それから各施策との均衡、こういうものを考えながら、ほんとうに漸増というところでやっていく、こういうことは必要なことじゃあるまいかというふうに考えております。
○川崎(秀)分科員 それはもう申されるまでもなく、日本の軍事予算の規模はそんなに大きなものではありません。一〇%以下、六%、七%ということであれば問題にならぬが、問題は、むしろ中国側や極東各国から見ておるのは、安保条約というものがあって、そして安保条約の中で核も持つと見られる。いままでは沖繩にもあった、これは間違いない。今度はないということにしなければならぬことだけは間違いない。いまその予算などを入れて、アメリカの第七艦隊が寄留しているところの抑止力、こういうようなものまで入れるとやはり膨大な日本の軍国体制というふうに見られないわけではないわけです。だからそこが、自衛力を漸増しつつやる場合のバランスというものが非常に重要なものになってきますので、これは今後わが国が極東情勢の緩和と照応しつつ進めていかなければならぬものではないか、こういうふうに私は考えております。 このことに対しての質問を長くいたしますと時間がありませんのでやめますが、一つ判じものですが、ニクソン・毛会談というものがありました。毛主席とニクソン大統領、着いた日にいきなり会談、あれは大体何を話されたと思いますか福田外務大臣。
○福田国務大臣 これはなかなか想像困難ですが、かなり長時間の会談をしておる。その大部分は毛主席の思想といいますか哲学といいますか、そういう話、つまり社会主義というものを中心としての話だったろうと思いますが、これに対しニクソン大統領のほうからは、自由、こういうものを中心としてのニクソン大統領の哲学の開陳、これでほとんどの時間を費やしたのではないか、こういうふうに推想いたしております。
○川崎(秀)分科員 これは答弁をなにしないで私の考え方を申し上げる。 実は、あれは二月の二十一日ですから、それをさかのぼって二月十六日に平河記者クラブで私は「ニクソン訪中の問題点と見通し」というのを印刷物で出した。いま、どういうものでありますか、いいあんばいに八五%から九〇%当たったんですね。そのうちの中心は、台湾について、アメリカの中国に対する暗黙承認、そして二年ぐらいで台湾にある米軍を引き揚げるだろう、この二年は当たるか当たらないかまだわからないが、私はそう思って、その後の事態も注視をしているわけですが。毛沢東・ニクソン会談は、周恩来首相は英語がわかりますから片方の言っている間に答弁なんかできているわけですけれども、毛さんは、高い哲学は持っておるけれども外国語は十分わかるわけじゃないですから往復で相当時間がかかるわけです。しかし、たぶんあれは中ソ関係というものと米中関係というものに対する比較を論じて、ニクソンを引き入れるに至ったのはこういうわけだったんだということを言うて、世界情勢の今後十年間ぐらいの見通しを述べたものであると私は思っているのです。台湾やインドシナの問題については十分ニクソン・周恩来会見で三十数時間も話している、やはり中ソ問題あるいはインドシナからの撤兵を確実に実行するかということを言うたかと思っております。これから展開される両国の政治をよく注視する必要がありますし、責任ある外務大臣としてはこんな判じものみたいにそう言えないと思いますが、私はそう考えております。あの会見一番しまいにテレビを見ると毛さんが周恩来首相を目ざし、ニクソンさんを指さして笑ったのは、あれはどうも、録音がないのでわからないけれども、私は毛主席がこうなれば自分も一ぺんアメリカへ行ってみたいけれども、上体は見られるように頑健だけれども足が弱くなってね、周恩来は足は強いからアメリカへやりますよ、しかしアメリカはワシントンに台湾の大使館があるうちはワシントンにはやらぬ、ニューヨークならと言うたらニクソンとキッシンジャーが笑ったんだと、私は大体想像しておる。そのくらい、口の調子で見なければいかぬ。 それから、これから先の日本の政治の目ざすところは、日中国交回復を三、四年で何とかして仕上げて、その後日本の目ざすところは国内における高度福祉国家、これは各党異論のないところでありますが、それと同時に世界的軍縮をしなければならぬ、世界的軍縮のリーダーシップをとらなければならぬと思う。私はこの間の西堀君の国連演説の原稿をしっかり読んだんです。両方、英文と見合わして読んでも、なるほどうまいことを言っておるけれども、迫力がない。迫力がないのは、四次防を増大させておるわけですから、それは世界に対する説得力がないというふうに私は見ております、こういうお話をいたしまして、最後に、アヒルの水かきはまだやっているのですか。
○福田国務大臣 執拗に続けております。
○川崎(秀)分科員 それはもうやってもだめなんです。 もう七、八分しかないから申し上げるが、去年ニクソンが訪中される前には、政策を大転換すれば、佐藤は気に食わぬけれどもひとつ話に乗ってやろうかという気持ちは周首相にあったと思うのです。けれども、ニクソンが訪中することがきまった。それを考えてみますと、ニクソンは政権をとって三週間日に直接手紙を出した。その手紙に対する返答はナシのつぶてであったが、ドゴール大統領まだ健在中であって、いろいろ手を尽くした後に、再三北京を訪れ、ワシントンも訪れたルーマニアのチャウシェスク大統領がその間の調停をなし上げてキッシンジャー訪中ということになって結実した。これは本気だった。ニクソンは本気だということで踏み切ったのですから、いまごろになってアヒルの水かきをやるよりも福田政権になってからやったらどうですか。いまはこんなことでやったらだめです。やればやるほどあなたの立場がひょんなことになって――どういう風の吹き回しか田川君がああいうものを出して、だけど、なかなか秘密裏にいろいろ交渉されたので、それを自民党の中で使い手がないというので、だれもやってくれないから美濃部さんに頼んだということで、おこった田川君がああいう措置に出たことはやむを得なかったと思うのですけれども、もうアヒルの水かきはやめたほうがいい。アヒルの水かきは北ベトナムやそういうところにしなさい。中国は佐藤榮作氏個中についていろいろ腹に据えかねていることもあるのですよ。それははまた私的にお話ししますが、そういうことなんです。まあやめられたほうがいいと思う。 そこで私は、ちょうど時間が参りましたので申し上げますけれども、明日の人に対しては私は非常に期待を持っています。福田さんでも田中君でも、それから三木さんはもとより長年の政友でもあり兄貴分ですから持っておりますが、そのいずれが担当されるにしても、やはり次期政局を担当される者は、組閣したその日に中国問題についての態度を鮮明にして、転換をするということを明らかにする、その具体的な措置をとれば、これは中国は快く次期首相を北京に迎えることだけは間違いない。 そこで私がいま注文するのは、むしろアヒルの水かきではなしに、いまはおもしがあるからしかたがないからやめておいて、十分なことはできないけれども、福田ニクソン、――よろしゅうございますか、ニクソン的福田というものに志を持つならば、われわれはこれは協力せざるを得ない、みんなで協力するのですよ。もし福田ニクソン的な足取りを政権掌握の後にとられるということなら、これは協力せざるを得ない。われわれは十何年も中国問題をはさんで従来の自民党幹部と対立して細々と党の一角におったのです。けれども、何としても次の内閣は日中友好内閣をつくり上げなければならぬというのがわれわれのかたい信念でもあり、また世間の大勢でもありますから、福田外務大臣が、ニクソン大統領のように反共主義者であるけれども一夜で変わったというならば、次の内閣は非常に明るい足取りでいける。そういう、一ぺん言ったことをひるがえしてはならぬ。佐藤さんの場合はそうでなかった。事件があって、あなたもそれは聞いてはおられるけれども、直接これは立ち会ったわけでもないので、そういうことで佐藤内閣と中国はボタンのかけ違いというものが始まったのですから、ぜひそれは一大勇猛心をもってやられる。あなたは実際損な役割りですよ、佐藤さんのしりぬぐいばかりをして。この間の佐藤さんは本心ですよ。あれは、やめるに際しては中国の窓をちょっと開きたいので、参議院の予算委員会の一番しまいごろに言って、最後っぺでやめてしまえばよかったのです。台湾は中華人民共和国の領土でありますと言えば、佐藤内閣は門を開いたのですが、早く言い過ぎちゃった。困ったあなたがあと始末をしているというのが本音でしょうよ。 あなたは岸さんの弟子であるし、また芦田さんの思想教育も受けられた。芦田さんと岸さんが違うのは、戦時中の行動を見てみればわかります。芦田さんは戦争中、中国とは戦争すべからずという論者で、いかなる場合があっても山海関の山を越してはならぬ、これが日中外交の行くべき道だ。当時はシナでしたね。彼は自衛隊の必要を説いたけれども、中国を挑発してはならぬ。まあ、あなたが今日のような大をなしたのは岸信介氏のおかげによるかもしれぬけれども、政策は岸信介氏と断絶しなければ、次の内閣は壊滅するですね。とったとたんに壊滅する。それだけ申し上げて、福田ニクソンを期待するということだけを要望しまして、本日の質問を終わります。 何か感想がありますか。
○福田国務大臣 いろいろ、非常に高邁な御所見を開陳していただきまして、たいへんありがとうございました。私も日中国交の打開、これは当面するわが国の最大の政治課題である、こういうふうに認識いたしまして、その認識の上に立って最善の努力を尽くしてみたいということだけお答えいたしておきたいと思います。
○野田主査 岡田利春君。
○岡田分科員 私は日ソ問題について、引き続き若干御質問いたしたいと存じます。 きのう福田大臣は記者会見をいたしまして、今後の日ソ間の交渉について言及されておるわけです。伝えられるところによりますと、日ソ平和条約の交渉は、ことしの秋に外務大臣がモスクワに訪れてまず初めの交渉を開始する、引き続きこの交渉は行なわれて、その場合のわが国の代表は新関大使になるかどうか、との点は今後きめていく、こういう趣旨の発言をきのうの記者会見でなされたと報じられておるわけです。 そこで私がお伺いいたしたいのは、日ソ共同コミュニケを発表されて、大体この秋という目途についてある程度の具体的な目途があるのかどうか。大体秋といえば九月か十月ということになるのでありますけれども、そういう点にもう少し具体的な目途をお持ちなのかという点について、まずお伺いをいたしたいと思います。
○福田国務大臣 新聞の私の記者会見についての報ずることがまちまちでありますので、整理して申し上げますが、日ソ定期協議におきましては、年内に平和条約交渉を始める、こういうことになっております。それに従いまして、いついかなる段階でこの交渉を始めるかということを、新関大使とソ連政府当局との問に初め話を始めたわけでありまするが、まだ正式に煮詰まったわけではござませんけれども、時期は秋から暮れにかけてのことにいたしましょう、こういうことになっております。その際にわが国からだれが出ていくのか、あるいは新関大使がその交渉の全責任を負うという形になるのか、これはまだ煮詰まっておりませんでございます。そういう状態であるということを申し上げます。
○岡田分科員 日ソ共同コミュニケで双方の首脳会談を行なうという趣旨について触れられておるわけです。先般の大臣の答弁では、その首脳会談は日本側は内閣総理大臣を、相手側はコスイギン首相になるかあるいはブレジネフ第一書記になるか、いずれにしてもトップである、こういう点について述べられたわけです。そういたしますと、この首脳会談はこの交渉の前に行なうのか、また行なおうといたしておるか、あるいはいま大臣が述べられた日ソ平和条約交渉を開始する、その成り行きを見ながらその後首脳会談を持つというようなお考え方に立っておられるのか、この点の関連についてはいかがでしょう。
○福田国務大臣 日ソ平和条約交渉と日ソ首脳会談、これは関連なしに考えたわけであります。つまり日ソ両国は隣の国である、しかも両国とも世界に対してきわめて影響力の強い国である、その両方が会って世界の平和について論議をする。これははなはだ世界全局のために意義あることであろう、そういう発想に基づくわけでありますので、日ソ間の問題を討議する平和条約交渉とはこれはおのずから性格の違うものでありまして、したがいまして、平和条約交渉のそれがあとになるのかあるいはそれに先立ってやるのかというようなことにつきましては、まだ的確な段取りはきめておらないのです。ただ総理は、一度ソビエトの首脳と話したいなという気持ちは持っておりますけれども、ただ単にソビエトを訪問するというわけにもまいりません。これはやはりそれだけの客観的情勢が熟しませんとそうはいかない、こういうのが現況でございます。
○岡田分科員 いま大臣の答弁の趣旨はよく私は理解できるのでありますけれども、いま、平和条約の交渉については秋から年末にかけて開始をしたいと述べられておるわけですから、そういう意味ではそれ以前に首脳会談を持たれるほうがより有意義ではないか。もちろん性格は違うといっても、日ソ間の問題には平和条約を締結するというのが最大の課題でありますから、そういう意味でもこの交渉が持たれる前に持たれることが非常に有意義ではないか、こう私は考えるわけであります。これがあとになりますと、交渉が引き続き来年に引き継がれて行なわれていくということになりますと、相当首脳会談の開催というものはおくれると容易に想像つくわけです。そういう点で、私はそういう判断を持っておりますけれども、大臣として、グロムイコ外相との話し合い等も行なわれておるわけですから、どういう判断をお持ちなのか、私が述べたような御判断をいまお持ちかどうか伺っておきたいと思います。
○福田国務大臣 日ソ首脳会談というのは、これは多極化世界、それに臨む日ソ両国の外交姿勢、こういうものが多極化外交だ、こういう一致点がある、そこから得たものなんです。でありまするから、これは発想において日ソ平和条約交渉とは違うのでありますが、関連がないというわけにはまいりません。首脳会談が行なわれまして、次いで平和条約交渉が行なわれるという行き方もそれなりに意義のあることであろう、こういうふうに思いますが、首脳会談のほうはそういう発想に基づくものでありまするので、したがいまして他の世界情勢の動き、そういうものともにらみ合わせてきめられるべきものである、こういうふうに考えます。しかし、御所見はきわめて意義のあることであると思いますので、十分これからの考え方の上に取り入れていきたい、かような感じがいたします。
○岡田分科員 ニクソンが訪ソをして米ソ首脳会談が行なわれるすでに日程がきまっておるわけです。いま大臣の言われた答弁で感じますことは、この米ソ会談というのはわが国としても非常に大きな関心を払われておるのではないかと思うわけです。したがって日ソの首脳会談も、この米ソの首脳会談の結果等をも注意深く受けとめて、そういう中で大体首脳会談の開催の方向というものもきめられていくのではなかろうか、こう私は判断をいたしておるのでありますが、この点についてはいかがでしょう。
○福田国務大臣 それはそのとおりに考えます。ニクソン大統領の訪ソ、これは多極化世界情勢下におけるわが国の考え方といたしますと、非常に野要なる資料を提供する、こういうふうに思いますので、この米ソ会談、これを注意深く見守り、その成果も一つの重要な資料として日ソ首脳会談のやり方、そういう上で参考にしたい、かような考えであります。
○岡田分科員 共同コミュニケを発表するまでのグロムイコ外務大臣との話し合いの中で、特に平和条約の締結交渉については、結果的に共同コミュニケに双方が合意をいたしたのでありますけれども、この面をわが国側から非常に強く出された。それに対して最終的にこの交渉を行なうという点をソ連側が同意をして共同コミュニケの中にこれを盛られたものであると私はある筋からも伺っておるのでありますけれども、そういう理解でよろしゅうございますか。
○福田国務大臣 大体そういう御理解でいいんじゃないか、かように思います。
○岡田分科員 先ほどの答弁では、首脳会談と切り離してこの平和条約締結交渉が行なわれるわけでありますが、その前に、少なくとも、日ソ間の懸案事項の解決の交渉に当たるわけでありますから、そのときの総裁はだれになっておるかは別にして、当然政治の責任者である内閣総理大臣、自由民主党の総裁は、各党の党首に日ソ間の交渉にあたってのいろいろな意見を積極的に聞く、いわば党首会談を通じて野党の意見も聞く、こうあるべきが私は望ましいのではないかと思うのでありますが、現在、現時点で外務大臣として、この日ソ交渉前には党首会談をする、また福田外務大臣が外務大臣でずっとおられるならば総理に進言をする、こういうお気持ちかどうか伺っておきたいと思います。
○福田国務大臣 そのとおりに考えております。
○岡田分科員 これから日ソ平和条約交渉にあたってわが国としてのこの交渉に臨む態度については、さらに情勢等も分析をしながらきめられるものと思うのでありますが、私は、現時点でこの交渉に臨むにあたってのわが国の態度として、第一には日ソ共同宣言にもありますように、国際連合憲章第二条の精神は共同宣言にもうたわれておるわけです。さらにこれを発展させて、日ソ間のいわば武力行使、日ソ間の紛争については武力を使わないという協定があります。先ほど川崎議員に対する答弁もありましたけれども、あるいは相互不可侵の条項をはっきり打ち立てるということが当然態度として持たれなければならないのではないか。 第二には、領土問題の解決が望まれておるわけですから、結果的にどこの領土が返還されるかは別にして、返還される領土は、福田大臣が過般の委員会でも答弁いたしておりますように、ここには軍事基地は置かない、いわば非武装地帯とする。 第三には、日ソ間の経済協力の関係をさらに大きく発展をさせ、当面バンクローンの使用等についてもいろいろな問題があるわけでありますが、もちろんこれは、単に交渉以前からも経済協力を発展させていくという姿勢が大事でありますが、よりこれを具体化させていく、こういう前向きの姿勢が必要ではないか。 第四には、すでに北方領土地域に置設されているいわばソ連側の施設、これはわが国としては適正な補償をする。 第五には、平和条約締結に到達した場合には、領土の帰属問題については、これはサンフランシスコ平和条約の関係もございますけれども、その時点ではわが国としてその帰属を明確にする。 こういう五つの方針あるいは原則的なもの、こういう上に立って日ソ間の交渉に臨むべきではなかろうかと私は思うのでありますけれども、この機会に外務大臣の所見を承っておきたい。
○福田国務大臣 日ソ交渉に臨む態度といたしましては、これは国連の平和原則に準拠するということは当然だろうと思います。また、それにも含まれますけれども、相互の不可侵、内政の不干渉、こういうようなことをお互いに誓い合う、これも当然のことであろうと思います。その他の問題になりますと、これは交渉の条件というか、当方の持ちごまに属する問題、これを一つ一ついまの段階で明らかにしておくというのがはたして交渉のために有利であるかどうかというようなことが考えられるわけであります。 いま岡田さん、千島の非武装地帯化の問題に触れられましたが、私は、わが国に帰属する固有の領土、あの四つの島々とその他の属島、これの返還があった場合に、アメリカがあそこに基地を置く、そういうような要請をするとは思いません。また、万々が一そういうような要請がありました場合に、わが国はこれに対しましては慎重なる配慮をする、これは当然のことでございます。また、経済の問題の話が出ますれば、これに対しまして、わが国の経済力の範囲内におきまして弾力的な応接をする、これももちろんのことでありますが、それらを一々ここで具体的に申し上げるということもいかがであろうかと思いますので、その辺はごかんべん願いたいと思いますが、要するにこの交渉は、本質は領土確定交渉でございます。それに付随して経済の問題、文化の問題、科学技術の問題、いろいろな問題が出てくるわけでありますが、領土以外の問題につきましては弾力的な姿勢をもってこれに臨みたい。しかし、事領土に関する問題につきましては、歯舞群島、色丹、国後、択捉、これはわが国の固有の領土である。これが返還はぜひとも実現をしたいという意気込みを持って臨むものでございまして、事領土についてはこれは弾力的というわけにはいかない、かように御理解願います。
○岡田分科員 すでに日ソ間では、安全操業問題については外務省、農林省が打ち合わせをし、具体的な提案を行なっておるわけです。新関大使を中心にしてこの解決のために接触が行なわれているのですが、来月イシコフ漁業相も来日をする、こう伝えられておりますので、特に人道上の問題としてこの安全操業の問題は早期に解決してほしい、特に北方海域の漁民の切実な念願であるわけです。しかし双方の意見が折り合わないで、また交渉もなかなか順調に進展をしないで、いまだ未解決という状態に置かれておるわけですが、当然、先ほど外務大臣から今後の平和条約交渉の考え方についても述べられましたけれども、鋭意引き続きこの安全操業の問題については早急に解決するように御努力願いたいと、こう考えておるわけですが、この間の見通し、判断等について承っておきたいと思います。
○福田国務大臣 日ソ間でまだ領土問題が解決しない、これはまだ時間がかかりそうであります。そこでその過渡的な期間において、わが国がわが国の領土であると主張をしておる地域において安全な操業をするということを考えなければならぬということにつきましては、岡田さんと私、全く同感に存ずる次第であります。まあ、拿捕船の問題あるいは抑留漁民の問題、いろいろ不幸な事態が起こるわけですが、ああいうことを根絶したいと、こういうふうに考えるわけであります。そこで昨年から安全操業交渉というのを新たに始めておったのでありまするが、なかなかこれが進捗しない。そこで昨年暮れに至りまして、新関大使に対しまして、わがほうのこの交渉に臨む、前の態度よりも若干緩和された対案をつくりまして、これを訓令をいたしておるわけです。その訓令に従いましていま新関大使がソビエト政府当局と交渉をいたしておる、そういう最中でございますが、幸いにイシコフ漁業大臣来日ということになりますれば、また新関大使のモスクワにおける交渉と並行いたしましてこの問題の解決に努力をする、こういうふうに考えておるわけであります。
○岡田分科員 時間がございませんから、次に経済協力の問題について若干お聞きいたしておきたいと存じます。第二次国連開発の十年計画がスタートいたしておるわけでありますけれども、わが国の経済協力の戦略といいますか、いま、この再構築に迫られておるのではないかと私は思うのです。今回の予算で福田構想五十億基金が予算化をされて、この基金を将来は一千億に増額していく、これも一つのポイントであろうかと思います。少なくとも六〇年代の対外の経済協力、この反省の上に立って新しい開発戦略、協力戦略というものを構築する段階に来ていると思うわけです。このことは、九十カ国にのぼる対象国からいえば、低開発国が期待する日本の経済協力の戦略、こういうものを早急に明確にしていただきたいという期待がまた大きいと思うわけです。この協力戦略構想といいますか、そういう意味で、この機会に大臣の所信を承っておきたいと思います。
○福田国務大臣 確かに岡田さんのおっしゃるように、わが国の経済協力体制というものは転換期に来ておる。つまり量から質へという方向の転換期と、こういうふうに理解をしておるわけです。量の面におきましてはかなりの経済協力をなし得る状態になってきておるわけでございまして、昨年もとにかくこの巨大なGNPの〇・九三%実現をするところまできたわけであります。しかし顧みてみますると、このわが国の経済協力は、どちらかというとわが国の商圏というか、あるいは輸出といいますか、わが国の経済力をこれらの対象地域に拡張するというような方向に偏しておった、そういう点に問題があるのじゃあるまいか。わが国のこの量的な経済協力の面、これは高く世界各国において評価されております。しかし反面におきまして、日本のこの行き方というものはまた経済侵略というものにつながっていくんじゃないかとか、あるいは経済侵略とまではいかないけれども、商圏拡大に偏し過ぎるというような批判がぽつぽつ聞かれるような状態もありますので、この状態はどうしても改善しなきゃならぬ、そういうふうに考えておるわけでございます。これからは相手国のそういう空気なんかが出てくるようなことがあっては相ならぬ、こういうかまえで、経済協力の質的面において大きな改善を加えていきたい。なおざらに進んで、経済は経済、大いにそういう方向で質的な改善を強化しながら協力するが、問題は、ほんとうに心の底からこれらの国々の発展、繁栄を日本は援助するのだという認識をこれらの対象国に植えつける、そういうものを持ってもらうということに努力をしなければならぬ。それには物の交流だけでは足らぬ、心と心との交流というものがこれら対象国との間に打ち立てられなければならぬ、こういうふうに考えまして、いまお話しの交流基金、こういうものもそういう考え方に基づいておるのだ、こういうことでございますが、これは、日本とすると、日本の国のこれから世界に臨む姿勢というものは、軍事大国じゃない、経済国である、また、それを背景として、平和国家である、文化国家であるというたてまえであるとするならば、これはもうほんとうにそういう面については反省して心してまいらなければならぬ、さようにきびしく考えておる次第でございます。
○岡田分科員 いま大臣が述べられた点についてはほぼ同感でありますが、これを具体的にいたしますと、国連が示してておりますように、GNPの一%を経済協力に充てるという方針に基づいて、特に一九七五年の半ばには、政府援助というものは一%のうち〇・七%にするという目標が示されておるわけです。あるいはまた、現在のわが国の経済協力の金利及び返済期間、据え置き期間を含んで、いずれも国連で述べておる基準から大幅に下回っている。ですから、私はこの方針というものは、やはり国連が示しているように、一九七五年ごろには大体〇・七%近くまで政府援助をふやすという、こういう方針を堅持をされて進み得るかどうか。あるいはまた金利及び据え置き期間、償還期間等についても、国連が示している基準までには、一九七五年を目途にして、そういう方針で進むという確信がおありになるか。先ほどの大臣の答弁と関連しまして、若干具体比して見解を承っておきたいと思います。
○福田国務大臣 量的な経済協力の面ではまずまずというところへ来ておりますが、御指摘の、その中における政府援助、これの比率が非常に少ないわけです。経済協力とは申しましても、そのうちで政府援助はいまわずかに四分の一程度でございます。それから条件も、諸外国に比べましてまだややきびしい面がある。私どもは、これらの点について改善をしていかなければならぬ、こういうふうに考えておるわけですが、条件のほうはだんだんと国際水準に近づいておる、またこれに到達するということが可能であるというふうに考えておりますが、問題は、政府援助の経済協力の中における比率が国際連合の〇・七%まで近いうちに行き得るか、これは非常に問題があるのです。というのは、結局、政府援助というと、これは税金を必要とする。国内の建設がまだ整わぬ、それなのにわれわれの税金を海外の福祉政策に向ける、こういうことになるわけでありまするから、その辺についての国民全体の理解、これが並行していかなければならぬ問題であると思う。しかし、考えてみますると、もうこれまで成長発展してきたわが国といたしますると、これをさらに拡大しようといたしますると、やはり世界じゅうが富み栄えて初めてわが国の経済も富み栄えるわけです。また、わが国は資源を重要なものはほとんど海外に求めておる。そうすると、世界が平和でなければわが国の繁栄というものはほんとうにもう基礎がくずれてしまうということになる。中東で戦乱が起こる、油の供給がとまるというようなことになれば、わが国の経済は四十五日にして崩壊するというところまで来ておるわけでございますから、やはり世界の平和と世界の繁栄の中にわが国の平和も繁栄も求めなければならない時期に来ておるのだという国民コンセンサスというか国民の理解、これが必要になってきておるわけですが、その理解と並行しながら、その目標に向かって強力にこれを推進していきたいというふうに考えておりますが、何せ〇・七%までというと、なかなかこれは多額の税を要するわけでありまして、そう簡単には実現ができなかろう、こういうふうに考えております。しかし、やはり私が申し上げましたような考え方を発展させますると、そこまで考えなければならぬ問題だ。その目標をにらみながら最大の努力をしていく、こういうことでございます。
○岡田分科員 最近海外では病めるアメリカ醜い日本ということばもささやかれておるわけです。特に最近アメリカの影響力の後退、その影響力の後退地域に日本が進出をする。資源政策などはまさしくそういう傾向が顕著にあらわれておるわけです。そういうことで、特に七十年代は加工貿易型のわが国にとっては非常に重大な年代でもある、こう私は判断をいたしておるわけです。そういう点で、大臣も述べられておりますけれども、ぜひひとつ経済協力の明確な鮮明な原則、方針というものを再度諸外国にわかりいいように具体的に示していただきたいということを要望いたしておきます。 時間がありませんので、最後にもう一問だけお伺いいたしますが、昭和六十年にたとえばGNPが二百二十兆になったとすれば、その一%というのは二兆二千億になるわけです。もうすでに一兆円に達するのも目の前に来ている。膨大な経済協力援助が行なわれていくことになるわけです。いま外務省としては経済協力局がこれを所管しておるわけです。経済協力というのは通産省所管あるいは建設省所管、農林省所管、運輸省所管と非常に各省にまたがった多岐にわたる内容を持っておるわけです。そういう意味で、わが国がGNPの一%の経済援助を進めていくという場合には、いまの外務省の経済協力局だけでこれを担当するのには若干問題があるのではなかろうか。そういう意味では、むしろ外務省からこれを思い切ってはずして、内閣直属の機関にするとか、あるいはまた、もし経済協力局にこれをゆだねるとしても、もう少し全体的な経済協力本部といいますか、調整機関といいますか、そうして経済関係閣僚協議会に直結させるとか、一歩進めた姿勢整備が必要ではないか、そういう時期に大体来つつあるのではないか、こう思うのですが、この点について最後に大臣の所見を承っておきたい。
○福田国務大臣 私も大体そういうような方向のことを考えております。これから経済協力ということが、わが国の国際社会におけるあり方の問題といたしまして、日本の外交の非常に大きな支柱になっていくということを考えると、そういう際に、機構的に現在の制度でいいのか、そういう問題があろうかと思います。私は、ちょっと観念的に考えますと、経済協力省くらいのことを考えていいじゃないかというふうにも考えるのですが、さてそれを考えた場合におきまして、いままでの機構と屋上屋というか、そういう関係になる傾向も他面においてはあるわけでありまして、それをどういうふうに調整するか、これまた問題なところなんです。そういうようなことをいろいろ考えておりまして、機構的にも何らかの新しい仕組みを必要とする、そういう考え方のもとに、いま何かやらなければならぬというふうに考えておる最中であります。そういうことを御理解願いたいと思います。
○岡田分科員 終わります。
○野田主査 小川新一郎君。
○小川(新)分科員 私は大臣に沖繩の那覇空港のP3撤去のことに関して一言お尋ねしたいと思います。 このことは大臣も総理もかねがね五月の十五日までには沖繩の那覇空港は完全な状態で返還をなされるということを私聞いておりましたが、今回の暫定予算の関係上、撤去費がもしも出ないということになりますと、当然これはP3Bが残るということになる。きのうも私この委員会で防衛庁長官にこの問題をお尋ねいたしました。当然この問題については、大臣が計画なさっていた時点とだいぶ変わってまいりましたので、これは遺憾なこととは思いますけれども、大臣の国民に対してのいままでのお約束、これについて、今回の問題とあわせてどのようにお考えになっておられますか。
○福田国務大臣 那覇空港の返還問題は、これは今回の沖繩返還、これの一つの重要な柱、こういうふうに考えまして、対処してきたわけです。したがいまして、この問題につきましては、さきの沖繩国会におきましても、私は何回言いましたか、その数も数え切れないくらい、那覇空港は返還時においては完全な姿において返還されます、それはP3がいなくなることであり、かつこれに付属して必要とされておった諸施設はわが国の国有財産になるということでありますということを申し上げ、またさらに同じことを今国会においてもこれも繰り返し繰り返し申し上げてきたわけでありまするが、しかし、いま小川さんの御指摘のように、いろいろな事情があってどうもこれが一部欠陥が生じそうな形態になってきておる。つまり、P3が返還時、今日になりますと、五月十五日でありまするが、十五日以後なおしばらくあそこに駐留しなければならぬ、こういう事態になってきておりますので、私はこのことを非常に自身として遺憾に思い、特に沖繩県民に対しまして申しわけない、こうようふうに存じますが、国会の予算審議もだんだんだんだんとおくれてきます。そういうようなこと等も考えますると、まことに残念なことでありまするけれども、やむを得ないということ、残念で残念でたまらないというのが私の心境でございます。
○小川(新)分科員 私は大臣のお気持ちもわからないわけではございませんので、これ以上の追及はいたしませんが、やっぱり国民から見ますと、これは本国会がおくれたのは、防衛関係の問題、日中関係の問題等々、こういった問題が複雑にこじれましておくれたということで、当初の計画が狂ったということでございます。この責任については十分いま遺憾の意を表せられましたから、私もそれ以上は申しませんが、こういった事態というものを率直に大臣にお認めいただきまして、対処していただきたいと思います。
○福田国務大臣 非常に残念な事態になってきたわけでありまするけれども、そのおくれに対しましては、いろいろな角度から検討いたしまして、その及ぼす影響を最小限のことに食いとめるということにつきましては、返還の時点、まだ時間もあることでありまするから、それまで最善を尽くしてまいりたい、かように考えております。
○小川(新)分科員 それではその問題はそれだけにしておきます。 最近、政党、私どもの政党もそうでございますが、日中友好諸団体、政党や日中友好諸団体が中日友好協会の代表、幹部を日本に招請したいという考えを持っております。前回七年前には政府がこれを許可しなかったために実現することができませんでした。かような態度というものは日中復交を妨害し、逆行するものにほかならないと私思っておりますが、七年前と今日の日本と中国との関係は、いまさら私が申すまでもなく、大きく変わっております。ニクソン大統領の中国訪問、またそれを取り巻く一連のわが国の姿勢、当然日本と中国の正常な国交をもたらす一つとして、このような問題がいま起きつつありますが、これは許可していただけますか。
○福田国務大臣 外国人の入国の問題は、これは法務省の専管事項になりますので、これは私から権威あるお答えを申し上げるわけにもまいりませんし、また、まだいま御指摘の問題が具体的な問題になっておりませんので、これもそういう角度から正確なお答えをいたすことが困難な状態でございますが、私の気持ちを申し上げますと、これはもういま日中国交正常化をはかろうという段階です。特にその前提といたしまして、イデオロギーをこえた国交の交流というものを、これを社会主義国に対しまして展開をしようという、そういう際でございまするから、これは前向きで心あたたかく迎え入れる、これが私どものとるべき姿勢でなければならない、そういうふうに一般的に考えております。
○小川(新)分科員 前向きにあたたかくこれを迎えるということは、七年前に政府がとられた態度では前向きかつあたたかい姿勢とは言えませんですね。当然これが、ただいまの大臣個人の見解であるとは申せ、あたたかく迎えるということは、日本政府が許可をして、堂々と表玄関から入ってくることが、あたたかく迎えることになると私理解いたしますが、その点について再度お尋ねいたします。
○福田国務大臣 これは具体的なケースでどういう人がどういうふうに入ってくるのかということを調べないと、法務省としても見解が立たないと思うのです。しかし、考え方としては、ただいま私が申し上げたとおり、あたたかく前向きで対処するということですね。これを再度確認をいたしておきます。 〔主査退席、森下(元)主査代理着席〕
○小川(新)分科員 あたたかく迎えることの議論をここであたたかくやっていますと、三十分じゃ終えませんけれども、これはいまの大臣のお気持ちを私率直に、すなおに受けとめれば、そういう七年前とは全然変わった姿勢である、そう理解してこのお話は終わらせてもらいますけれども、どうかひとつあたたかく、前向きということを現実的な面で実際に実現していただきたいと思うのです。 さて、沖繩の核兵器の撤去の作業というものは一体これは終了したんでございましょうか。
○福田国務大臣 沖繩に存在する米軍の核兵器につきましては、私はサンクレメンテの会談におきましても痛感したんです。それは米国政府の核兵器に対する扱いが非常に慎重である。つまりこれはもう大統領の専管事項だというくらいまでのきびしい扱いをいたしておるわけなんです。これは沖繩の核兵器の問題にもはね返ってくるわけでありまして、まだ正式に、アメリカ政府は沖繩に核があるとかないとか今日の段階におきましても言明をいたしておらない。しかしわれわれとすると、あそこに核があるんだということを考えておるわけです。強くそういうふうににらんでおるわけなんです。また沖繩の県民におかれましても、そういうような見方をしておる。さればこそそこに不安がある。そこで私は核の問題、これにつきましては十分沖繩県民の心配を取り除くための努力をしなければならぬ、そういうふうに考えておるんですが、私が外務大臣に就任する以前におきましても、佐藤総理も同じような考えを持ちまして一九六九年の共同声明におきましてもそのことに触れております。また、今回の沖繩返還協定におきましても、その共同声明を引用してそのことに触れておるわけでありまして、そういう先ほど申し上げましたようなアメリカ政府の核兵器に対する非常にきびしい態度から見ると、まず私はその共同声明なりあるいは協定なりからいたしまして、返還時におきまして沖繩に核がなくなるということにつきまして、これは一点の疑いも持たない。しかしそれにいたしましてもずいぶん心配される方が多いし、また国会におきましても御指摘があるし、また御決議まである、こういうようなことでありますので、過ぐるサンクレメンテ会談におきましてはさらにこのことを米国政府に申し入れをいたしまして、返還時に核がないという確認を求めるということにいたしてあるわけであります。私はそれでまずまず御安心がいただけるのじゃあるまいか、さように考えております。
○小川(新)分科員 七千万ドルの核撤去費というものは、何らかの米国政府の領収書ですね、これを使ったという、また核撤去をしたという――われわれが個人でお金を出す場合にも、それに対する検査の対象になる領収書のようなものが要るわけです。当然報告を受けるなり、正確な書類として、またそれに対する明細というものを外務大臣はアメリカ政府から取りつけなければならないと思います。また、このお金については会計検査院の対象にもなると思いますので、その点については五月十五日の返還時点において核が撤去されたということの証拠になるものはアメリカ政府に求めることは当然必要だと思いますし、知らねばならない、われわれ義務があると思います、お金を出しておりますから。その点いかがですか。
○福田国務大臣 沖繩返還協定に伴いアメリカに支払う三億二千万ドル、これは会計検査のたてまえといたしまして、アメリカ政府にその金額の支払いが行なわれました、こういう確認で足りるというふうに考えております。その先アメリカ政府がどういうふうに使ったか、そこまでは調べるということはいたさない考えです。また、そういう性質のものです。ただ、核につきましては別の見地、つまり核についてアレルギーがある、そういうような見地から、アメリカ政府が五月十五日以降において沖繩に核はない、こういうことについて明確なる確認をするという措置を求める、こういうことにいたしたいと思います。
○小川(新)分科員 そうすると、アメリカ政府がないと言っただけで、われわれはその三億二千万ドルの内訳の何を使ったかという中で、私はしろうとですから詳しいことはわかりませんが、七千万ドルは核の撤去費として計上されたということを聞いておりますのですが、それがその証拠になるというやはり一つの――七千万トルというと約二百億こえるわけですね。たいへんな金だと思うのですが、それをただないからないのだ、もうないぞ、それだけで――われわれの個人の会社だっておまえないからないんだ、これでいいんだというわけにいかないと思うのですね。この辺のことは高度な政治的な含み、配慮だけでものごとを解決するのでしょうか。
○福田国務大臣 あの三億二千万ドルというのは資産の承継もあります。あるいは核の問題についての一九六九年の両国首脳の共同声明もあります。いろいろなことを考慮いたしまして、総括いたしまして、三億二千万ドルという現金を日本政府からアメリカ政府にお渡しいたしましょう、こういうのでありまして、その中身についてどうやこうやという具体的な振り分けはいたしておらないわけであります。三億二千万ドルという現金をアメリカにお渡しいたしますればそれで万事終了いたす、こういう性格のものであります。 しかし別途の問題がある。問題があるのは、一体核がほんとうにないのかあるのかという問題であります。これにつきましては先ほど申し上げましたとおり、返還時、その時点におきまして、アメリカ政府が核はありませんといった確認の措置をいたすということ、これで大体十分だというふうにわれわれは考えております。
○小川(新)分科員 まあこの問題はここでやっていますと時間がありませんから終わりますが、まことに私はしろうと考えでもちょっとあいまいもこ、これは聡明なる大臣がそうお答えになっているのですから私も信ずる以外にないのですけれども、これちょっとほんとうに不明確だと思うのですね。これはわれわれの一般常識論からいってもちょっと不理解ですね。この点はまず御注意申し上げておきたい。 最近マラッカ海峡の問題が、沿岸三国、インドネシア、マレーシア、シンガポール等が領海十二海里説をとりだし、ここに対して通航制限、また税金をかける、大型船舶に対してはどうのこうの、こういった問題が外電でしきりに入ってきておりますが、この問題に対しての外務省の正式な見解を承りたい。
○福田国務大臣 マラッカ海峡の航行問題につきまして、先般インドネシア政府筋の声明が出されたというふうに報ぜられております。それを見ましてインドネシア政府は航行について何らかの制限を加えるのじゃないかというような受け取り方をする向きがありました。マラッカ海峡は、これはわが国の資源の輸送路として非常に重要な海峡でございます。そこで私どもはインドネシア政府に対しまして事を確かめたわけです。そうしますと、インドネシア政府の正式の見解といたしまして、マラッカ海峡に対するいろいろな情報が伝えられておるが、インドネシア政府の考えは、あそこは狭い海峡です。それからまた浅瀬もありそうだというような推測も行なわれまして、現にそうであるかどうかというような状態を調査しておるというような状況でありますが、二十万トン以上の貨物船はロンボク海峡を通航すること差しつかえなし、こういうようなことをインドネシア政府として意思表示をしたということでありまして、ロンボク海峡の航行、航海するという意思表示にとどまり、マラッカ海峡の航行制限には触れておらない、こういうことでありますので、私どもも一応安心をいたしたわけです。しかし考えてみますると、ただいま申し上げましたようにマラッカ海峡というのはわが国の貨物輸送路としては非常に重要である、そういうことで、この航行を確保しておく必要がある、こういうふうに考えまするので、これは来年国連において海洋法会議なんかもあります。そういう際がいいかどうか、まあこれなんかもあるいは一つの機会かもしれませんが、そういう際に、この辺に対する心配のないような措置を講じていく必要があるのではないか、こういうふうに考えまして、その方向の検討をいたしておるというのが現状でございます。
○小川(新)分科員 わが国の三海里領海説、これは大臣、これからどのように考えられていきますか。
○福田国務大臣 わが国はいわゆる海洋国家でございますので、領海は狭いほうがいい、こういうふうな考え方でずっとやってきたわけです。しかし世の中もだんだん変わってくる、また同時にこれにつれまして三海里説をとる国がだんだん少なくなって孤立するようなおそれもなきにしもあらずというような状態になってきておるわけであります。したがって三海里に固執するのもどうか、こういうことを考えつつ、あるいは六海里説、こういうようなことも妥当かなと考えつつ、いずれにいたしましてもこれも来年の国連において開かれる海洋法会議の際、わが国としての結論を出していきたい、こういうふうに考えている最中でございます。
○小川(新)分科員 そうすると、ただいまのところはその三海里説には固執しない、六海里、十二海里というような大体諸外国の方向にわが国も進んでいくのだ、そういう考えを踏まえた上で国際海洋法会議に提案をしたい、こう理解していいですか。
○福田国務大臣 ただいまは三海里説を堅持しておるわけです。しかし海洋法会議等に臨むにあたりましては、その際は態度を少し変えなければならぬかな、こういうふうに考えております。こういうことでございます。
○小川(新)分科員 非常に前向きなお答えをいただきましたからけっこうでございます。 先ほどもちょっと北方領土の問題も出ておりましたのですが、私はまるっきりこの辺は不勉強でございますので、専門的なことはわかりませんが、わが党の斎藤君が、ソ連が北方領土返還に応ずる条件として、北方領土を日米安保条約の適用地域から除外するとか、非武装化を要求してきた場合、日本政府はどうするかという質問に対しまして、福田外務大臣は、在日米軍がそれらの諸島に新しい基地を置きたいと要求することはないのではないかと答弁しておられますが、外務大臣はこういう問題についてすでに米国側と話し合ったことがございますか。またその結果として、米軍がそれらの諸島に基地を置きたいと要求することはないのではないかというような感触を持たれたのでありますけれども、これはどういう根拠でそういう感触を得られたのでありましょうか。また現在の安保条約ではこういうことができるのかどうか、これをひとつお願いいたします。
○福田国務大臣 北方領土がある時点においてわが国に返還される、そういう際におきまして、アメリカがわが国は日本との間に安全保障条約を結んでおる、だから返ってきた島々に基地を設けたいというようなことを言うということ、これは想像できません。いまでも基地問題というとなかなか両国にとって重要な問題でありますが、新たにさような地域に安保条約に基づく基地を設定しよう、これは私としては想像できないのです。これはまだ私はアメリカに当たったわけでも何でもありませんけれども、私の頭の中、これはもう全然そういうことは想像できない、もし万一、万々一そういう事態がありましても、わが国としてはそのアメリカの要請に対しましては慎重に応待しなければならぬ、こういうふうに考えます。いずれにいたしましてもまずまずそういう事態はあり得ないと思う、こういうふうに私は見通しております。
○小川(新)分科員 そうすると、この推測は別に何ら根拠があって大臣が斎藤君にお答えしたのではなくて、外務大臣個人の一つのそうあらねばならないという政治家としての姿勢、それがその発言をさせたと理解してよろしいでしょうかね。
○福田国務大臣 外務大臣としての姿勢並びに見通しがそういう答弁をさした、かように御理解願います。
○小川(新)分科員 そうしますと、これを具体的に考えた場合に、これらの島々、すなわち歯舞、色丹、国後、択捉、これがそうなりますと非武装地帯地域の宣言を行なうような考えということも出てきますし、また十六日の沖特での斎藤議員にも聞かれましたが、外務大臣からの答弁がこの点なかったのでございますが、非武装地域の宣言を行なうような用意というものをいまの段階でお考えになっておられるのでしょうか。
○福田国務大臣 いよいよことしの秋から暮れにかけて平和条約交渉が行なわれます。この平和条約交渉は領土確定交渉ともいってもいいくらい領土問題が中心になるのですが、しかしながら、領土の問題はそう簡単なものじゃない、いろいろないきさつをこれから経ることになると思います。と同時に、平和条約交渉ですから、領土ばかりじゃないです。領土が中心になりますけれども、ほかの経済の問題、あるいは文化の問題、技術の問題、各般の問題が両国間に論議される。それらの各般の問題については、われわれは弾力的な姿勢で対処するというふうに考えておりますけれども、しかしその一つ一つどういうふうに対処するのだ、こういうようなことになりますと、交渉の前にこちらの切り札をみんなさらけ出してしまう、こういうことになりますので、ただいま御指摘のような具体的な問題についてお答えすることは、これは非常にむずかしい問題だというふうに考えますので、その辺はどう解釈されるか、小川さん御自身の御推察におまかせするというほかない問題ではないか、そういうふうに考えます。
○小川(新)分科員 そういう大事な国際問題ということで、あえてわが国の国益に反するようなことになれば、これは私野党の議員としても十分考えなければなりません。これはそう大臣おっしゃるのでありますから、私もそう理解いたします。だけれども、非常に大事な発言を大臣がなさったということ、政治家のモラル、また政治家の姿勢について、特に外務大臣としての姿勢、これについて確たる根拠がなかった、なかったけれども、そうあらねばならないという大臣の姿勢について了解いたしました。 時間がもうございませんし、私次の分科会へ行かなければならないので、一言、大臣にお願いしておきますが、中国の問題について一点だけ……。 右翼が何だか妨害したとかしないとかいうようなことで、中国のほうからきびしい指摘があったということが新聞に報道されております。この問題につきましては、先輩の川崎さんもお声きになったことを聞きましたので、詳しくお聞きしませんが、この取り締まりについては、左翼のみならず、右翼等についても十分考えなければならないのではないか、こういう点厳重な注意をひとつ喚起いたしまして、私の質問をこの程度で終わらしていただきますが、最後に一言その点についての大臣の御見解を聞いておきたいと思います。
○福田国務大臣 あの種の問題は、左翼に限らず右翼に限らず、とにかくその取り締まりというものが非常にむずかしいのです。左翼の方がアメリカ大使館の前にときどき参って、いろいろ放送のようなことをする、こういうようなことにつきまして、これが取り締まりということになりますとなかなかむずかしい、ただいまの警職法の厳重な範囲においてそれを守らなければならないという立場が警察においてあるわけであります。しかしそういう制約の範囲内において、できるだけさような悪い印象を外国人に与えないように、いま具体的な問題としては中国の化合繊工業視察団の問題でありますが、それらの人たちがいい印象を持って国に帰れるようにということを念願いたしまして、最善の努力をいたしておる最中であります。
○森下(元)主査代理 上原康助君。
○上原分科員 私はきょうは、全軍労の問題一本にしぼっていろいろお尋ねをして、早急にこの問題が解決できるように政府の一そうの御努力を願いたいし、また私たちの立場でできることも積極的にやってまいりたい、そういう立場からお尋ねをしますので、誠意ある御回答を求めたいと思います。 すでに御承知のように、去る七日から十日間、さらに一週間のスト延長、そして昨日から、たいへん残念なことでありますが、無期限の長期ストライキに入っております。これまでもいろいろと政府関係省庁に対して、早急に問題の解決をはかるようにやっていただきたいということを申し上げましたし、また、外務大臣あるいは関係担当者の皆さんが御努力をいただいておるということは一応理解もいたしますが、これだけ長期化するまで問題が解決していないということはたいへん遺憾に思うのです。 そこで、これまでの交渉の経過ということあるいは現段階でどうなっているのか、また一体解決のめどはいつごろ立つのか、そういう点についてまず明らかにしていただきたいと思います。
○吉野政府委員 われわれも今回の労務問題の深刻性をよく承知しておりまして、三月の中旬以降連日のように米側と本件の解決のために話し合っております。 御存じのとおり、問題は大量解雇の撤回、それから基本給、語学手当それから夜勤手当、これらの問題が主たる問題でございます。そして、いままでのところいろいろの紆余曲折がありましたが、多少の進展は見せております。しかしながら、内容につきましては、目下まだ交渉中でございますから、詳しく申し上げるわけにまいりません。いずれにせよ、いまストライキが依然として沖繩において続けられており、そしてだんだんと事態が深刻化しておるということも踏んまえまして、鋭意先方と詰めを行なっております。実は本日もピアース労務担当官が来ておりまして、それとわがほうの側からも事務方が出席しまして交渉しておるわけでございます。見通しといたしましては、全くきょうあすぐらいのうちに何とかしなければいかぬじゃないかというように考えておりますが、何ぶん高度の政治的な折衝もございますものですから、いまのところ、いつということは申し上げることはできません。しかしながら、われわれとしては一日も早くこれを解決しようと努力しております。
○上原分科員 きょうはこまかい点は聞きませんが、いま局長の御答弁では、高度の政治的な交渉あるいは判断も必要だという答弁をなさっております。私は、この問題は最初からアメリカ側との交渉である以上、外務大臣が積極的に取り組んでいただきたい。そして、防衛庁長官あるいは総理府総務長官、三者で十分協議をなさってやっていただきたいということを、全軍労の代表もまた私も御要望申し上げました。高度の政治的判断という限りにおいては、やはり外務大臣が高度の政治的折衝をなさって、アメリカ側と真剣に取り組んでいただきたい。その点について、大臣、どういうお考えなのか、ぜひ大臣の御所見を承っておきたいと思うのです。
○福田国務大臣 上原さんに先般も申し上げたのですが、私、これはまことに重大な問題だと思います。ことにこう長期化するということになりますと、これは米国政府対全軍労という問題じゃない。また、沖繩県民の間にもいろいろの摩擦現象が出てくる、こういうことにもなりかねない、そういうことを憂慮いたしまして、早期解決という必要性を痛感をいたしておるわけであります。さればこそ、私は先般アメリカ大使にも会いました。そしてこれが早期解決に努力をするように厳重に申し入れておるわけでありまするが、両方ともいろいろ主張がある、そういうようなことで今日なお妥結に至らない。はななだ私も憂慮いたしております。なお情勢の推移を見まして最善の努力をいたす、そういうふうに御理解願います。
○上原分科員 そこで、現在のアメリカ側との交渉で一番むずかしい問題、何が一番ネックになっているのか。全軍労の要求、先ほど答弁ありましたようにいろいろあります。繰り返しませんが、どういう問題で日米の交渉というのが折り合いつかないのか、その点をぜひ明らかにしていただきたいのです。
○吉野政府委員 先ほども申し上げましたように、交渉の細部についてはここで申し上げることを差し控えさせていただきたいのですが、いま一番交渉の難点は、いわゆる勤続年数をもっと切りかえに反映してほしいという全軍労側の主張をわれわれはよく承知しておりまして、この点につきまして目下米側と鋭意交渉しているわけでございます。具体的な内容は、先ほども申し上げましたとおり、言えませんが、先方もわがほうの主張を理解しだしまして、この点につきまして多少妥協の色を見せてきておるわけでありますが、わがほうとしては、それでもまだ十分でない、特にこの勤続年数の考慮をもう少しなるべく幅広く均てんをしてほしい、こういうラインでいま最終的な詰めをやっております。御存じのとおり、米側は一方においては財政難もあるし、それから円の切り上げないしはドルの切り下げ問題もございまして、先方もなかなか若しい立場にあると思います。しかしながら、われわれも、先ほど大臣が申し上げましたように、先方に対しまして、最高のレベルに通ずるように、目下いろいろと工作して交渉している次第でございます。
○上原分科員 交渉している方々はどのレベルの方なのか。それが一つ。 次にお尋ねしたいのですが、大蔵省あるいは防衛施設庁もいらっしゃっておりますので……。協定の中で三億二千万ドルの資産買い取り額が計上されております。そのうちの七千五百万ドルは復帰時における基地労務者の間接雇用に伴う退職手当の格差の分だという。その七千五百万ドルは何名を対象にしたのか。そしてその算出基礎はどうなのか。簡単に説明していただきたい。 もう一つは、現在日米間で話し合って間接雇用に移行しょうという人員は何人なのか。第一種、第二種の雇用人何名を間接雇用に移行するということで話し合っているのか。 この三点をまず明らかにしてもらいたいと思います。
○吉野政府委員 いまの御質問は三つございまして、そのうちの七千五百万ドルにつきましては大蔵省当局から、それから間接雇用に移行する人員の問題につきましては施設庁当局からお答えしていただきたいと思います。 そこで、いまの労務問題の交渉をどのレベルで行なわれておるかという御質問に対しましては、先ほども大臣がお答えいたしましたとおり、上は最高のレベルでやっております。しかしながら、問題自身が間接雇用への移行、それから日本本土と沖繩との労務の基本給の調整、こういうようないろいろの問題も含んでおりますから、これは事務的に詰めざるを得ない。したがって、名前――名前というのか、われわれの機構の内容をここで御披露するのはどうかと思いますが、いわゆる小委員会とかその他のものを開きまして、次第に上に上げていっておる。最高レベル、われわれの事務の最高レベルは、相手はグラーム在日米司令官であり、あるいはランパート高等弁務官であり、そういう者も含めまして事務レベルとしてはやっておる。さらに政治レベルで大臣に御出馬願っておる。これが現状でございます。
○前田政府委員 御質問の七千五百万ドルの件でございます。これは協定の第七条の合意議事録に書いてありますように、復帰後に退職する場合の退職金の計算にあたりまして、退職者が就職のときからずっと本土に勤務していたと同じような年限で退職金を計算する。ですから、これはあくまで退職時は復帰後の話でございます。 しかし、それらを計算する前提といたしまして、御質問の人員がありますが、これはこの前には約二万人、こういうふうに約で申しましたが、正確に申しますと、これは四月一日復帰という前提で計算しておりますが、四十七年四月一日におきまして二万一千百九十三人というものが移る、こういうふうに考えております。 その計算の根拠といたしましては、一九七〇年つまりおととしの十二月初めに在籍しておりましたところの一種、二種、これらの人員の合計が二万三千四百五十人である、それから過去のやめていかれる方々の例をとりまして、本年四月一日におきますところの人員を二万一千百九十三人、こう算定した次第であります。
○安斉政府委員 ただいま大蔵省のほうから御答弁もございましたデータを用いますと、四十五年の十二月に二万三千四百五十名というのが一種、二種の方の合計だったわけでございます。したがいまして、協定の作成時にこのデータを用いざるを得ないということであったと思います。その後推移がございまして、四十六年の十一月、一種の方が一万六千百三十六名、それから二種の方が五千四百五十七名、合計二万一千五百九十三名というのが十一月現在でございます。その後やはり推移がありまして、最近行なわれる予定がありますところの大量の人員整理というような問題がございます。したがいまして、大体二万人見当ということになるわけでございますが、なおこの問題は四種の問題がまだ解決しておりませんので、人数的には多少の変動があると思います。やはり二万前後という形に落ちつくことになるというふうに思います。
○上原分科員 そこで私がこの点お尋ねしているのは、これはいろいろ関係あるわけですね。七千五百万ドルは二万一千百九十三人を大体対象にして予算を算出した。現在二万人を対象にして間接雇用に移行しようとしているわけですね。こまかい点までは触れませんが、どうも私はそこにいろいろな面でこの七千五百万ドルということともだいぶ関連をしていると思う。そこで、じゃアメリカ側は二万人を間接雇用に移行するということで、間接雇用に移行した場合の予算額を一体幾らと見積もっているのですか。その点数字がわかったら聞かしていただきたいと思うのです。
○安斉政府委員 全体額がどういうふうな予算で落ちつくかということにつきましては、私ども具体的に承知しておりません。
○上原分科員 大体の見積もり額も出ていないのですか。いまの段階で答弁できませんでしたら、間接雇用移行に伴っての年間の予算額は幾らなのか、そして現在アメリカが沖繩で使っておる予算は幾らなのか、全軍労が要求している諸項目をかりに一〇〇%いれた場合の予算額は幾らになるのか、そして日本政府がアメリカ側に提示した予算額は幾らになるのか、この点について早急に資料を提出していただきたいと思うのです。
○安斉政府委員 この点につきましてはいろいろの計算もあろうと思います。それから労働条件、支給条件その他の組み合わせによって変化を来たすものと思いますれども、これは外務省を通じ米側とも協議をした上で、おおむね数字を提出できる範囲において提出いたしたい、こういうふうに考えております。
○上原分科員 再び大蔵省にお尋ねをいたしますが、七千五百万ドルは四月一日を復帰目途として二万一千百九十三人という見積もりで立てた、そうしますと人員に移動があるわけですね。約千二百人減っている。現段階ではさらに減るわけですよ、二万人からいま首切りが出ているわけですから。こういうふうに人員が変更しても、この七千五百万ドルというのは全然変動はしない、そっくりあげるというものですか。それが一つ。もう一つは、この七千五百万ドルはどの時点でアメリカ側に払うのか、この二点について聞かしていただきたいと思うのです。
○前田政府委員 第一の御質問につきましては、これはあくまでも仮定上の計算でございまして、人員についてはただいまのようなその後の推移によっていろいろ変動がありましょうし、また給与がその後いろいろ変動するということも変動要因に入るわけでございまして、これは一人一人の方々が現実に全部退職されるまでの間には、こういう仮定上の問題がいろいろ実際には変わってくることは、これはやむを得ないところだと思います。したがいましてそういう意味におきまして、この七千五百万ドルというのは、そういうような変動がありましてもやはり支払いは変わらない、こういうことでございます。 それから第二点の、いつ払うか、こういうことでございますが、これは七千五百万ドルを含めまして総額三億二千万ドルというものをアメリカに支払うことになっておりますが、この三億二千万ドルの支払い方法が協定に書いてありますように、初年度が復帰後一週間以内に一億ドル、「一億合衆国ドルをこの協定の効力発生の日の後一週間以内に支払い、また、残額を四回の均等年賦でこの協定が効力を生ずる年の後の各年の六月に支払う。」こういうふうになっておるわけでございます。
○上原分科員 ずいぶん問題含みなんですが、大臣、二万一千百九十三人を対象にして一応七千五百万ドルというのは計上した、もちろん不確定の要素はあるわけです。しかし対米交渉をやる上においては、二万一千百九十三人はあくまでも間接雇用に移行をやれという交渉は、私は当然外交姿勢として出てきてもいいと思うのです。不確定要素はあったにしても、二万一千百九十三人というものを間接雇用に移行するであろう、その格差分が七千五百万ドルというように大体見積もったわけでしょう。アメリカ側はかってに復帰前にどんどん首を切っていきながらも、なお七千五百万ドルを支払わなければならない、こんな矛盾したことがありますか。そういう面でも当然いま解雇が出ている千六百名を含めて撤回をやって間接雇用に移行した段階で賃金の問題やいろいろな問題の調整をやれというような外交姿勢が出てこないところに、この問題の解決できない問題があると思うのです。あなたはこれについてどうお考えですか。
○福田国務大臣 わが国は三億二千万ドルをアメリカに渡します。その三億二千万ドルの見積もりの根拠というか、そういうものとして内訳的に七千五百万ドル、こういうことになっておりますが、七千五百万ドルがわが国とアメリカとの間に条約上の権利義務ということにはなっておらないのですから、上原さんがいまおっしゃるように、われわれがいま発言をしておる、要望しておるその背景としては、われわれはこれだけのお金を払うのじゃないかということがもちろんある。それはあなたのおっしゃるとおりであります。
○上原分科員 その点御理解いただけるでしょう。確かに三億二千万ドル払おうが、そのうちの七千五百万ドルは基地労働者と対応して予算を計上したわけでしょう。それならば、当然復帰の時点においては二万一千百九十三人を間接雇用に移行すべきだという点の筋は通るじゃないですか。その点を踏まえて、解雇の問題、賃金問題、これだけやるならば、これだけ賃金の分に含めることは私は可能だと思う。だから予算が幾らかかるのか、その差額も出していただきたいということを申し上げているのです。その点資料を提示できますか。
○安斉政府委員 先ほどお答えいたしましたように、外務省を通じまして米側と協議の上でできます資料を提出いたすことにいたします。
○上原分科員 どうもあまり自信のない御答弁ですが、予算が幾らかかるかのことはそんなに秘密事項でもないと思うのですよ。そうでないと今後の具体的な交渉というのはできぬわけでしょう。一番ネックになっているのは賃金の調整問題だ、基本給のことでしょう。現在の予算はこれだけになっている、全軍労の要求を入れたらこれだけかかるのだ、日本政府が中間案として出しているのはこれだけなんだということを公にした中でなぜできないのかということを、問題点というものを明らかにしないとこれは理解のしょうがないのじゃないですか。私はこまかいことまでは聞きません。しかし少なくともこういった基本的な問題については押えて、日本政府という立場で主体的にアメリカ側と、数字の上においても、理論の上においても筋を通してやるということでないと、この問題は片づかないと思うのですよ。残念ながらことばの上ではたいへん御熱心にやっていらっしゃるというポーズをとっていらっしゃるのだが、こういう面さえ具体的にできないではなかなか問題進まないのじゃないかと思うのです。しかしどうしても私たちはこの問題はきょうあすじゅうにでも早急に解決をしなければいかない。そういう意味で大臣どうですか。 先ほど最高レベル、いわゆる政治的な面で交渉なさってやっていらっしゃるということでしたが、これはやはり外交問題であると同時に、復帰を、五月十五日という段階を控えていろいろ困るわけですよ。間接雇用移行もおそらくできないのじゃないですか。いまのようにいきますと、そこまで問題を深刻に発展させていったのが得策なのか、あるいは全軍労の要望もいろいろあるにしても、ぎりぎりこの線はこうなんだというものは出てくるだろうと思うのですよ。そういう意味で先ほども申し上げましたが、外務大臣が中心になっていただいて、きょうあすじゅうにでも防衛庁かあるいは総理府の三大臣で、あるいは外務大臣お一人でできるならこれはけっこう、解決していくという確約を明らかにしていただきたいと思うのです。
○福田国務大臣 これは上原さん、相手のあることですから、解決するかしないかこれは確約するわけにはいかぬ。しかし最善の努力をするということだけはお約束を申し上げます。
○上原分科員 まあ御心境もわかりますのでこれ以上申し上げませんが、ただ指摘しておきたいことは、三月十一日に外務省の公式見解が発表されましたね。「日本国政府は、三月九日、全軍労側の主張を承知した上で、間接雇用切替条件のパッケージ案に対する修正案を示唆した。米側は目下この案を検討中である。」これは公式の文書ですよ。局長も持っていらっしゃった。三月の十一日にこういうことをやってもう二週間近くなりますよ。ほんとうに最善の努力を払っていらっしゃるとするならば、もう結論を出していいのじゃないですか。いつまでも、できる問題とできない問題はあるわけですが、大臣おっしゃるように相手もある、これは理解します。しかしできないものをできるかのように見せつけるのはいかぬし、いつまでもずるずるべったりにやるということもこれはよくないのだ。労働者だって賃金カットを百ドル近くもされて、幾ら沖繩は南国といったって、まだ朝晩は寒いですよ。そういう中で二十日間もストライキを打っている労働者の気持ちというものも、大臣をはじめ皆さんも理解をしてくださいよ。なぜここまでやらなければいかないかということ、ほんとうにあたたかく沖繩を迎えるということであれば、せめてこういう問題については早急に解決をするというのが、お互い共同の責任じゃないですか。その点どうなんですか。これを出してからすでに二週間近くなっております。一体めどはいつなのか。
○吉野政府委員 何ぶん、御存じのとおりこれは金がからむ問題でございますから、先方といたしましてはその財源その他をやはり方々に照会して計算しなければいかぬ、しかもやはり基本給につきまして一号なり何号なり上げるとか下げるということになりますと、各業種について詳しく調べなければいかぬ、陸軍、海軍、海兵隊、それぞれ照会しなければならぬ、こういうような関係で、やはり時間がかかる次第でございます。 そこで先般外務省といたしましては、全軍労の立場を十分考慮した上で、パッケージ案の修正案を提出したということは、やはりひとつこの際何とかして現地においても一たんほこをおさめていただいて、もっと腰を入れて交渉したい、こういう気持ちもあったわけでございます。しかしながら、もちろんわれわれもこの問題の性格上そのように取り運ばないという事態を十分その後認識いたしましたから、目下、先ほど申し上げましたように鋭意交渉中でございまして、もはやわれわれの見通しでも、もう煮詰めるところまで来ておる、問題は、先方にも金の問題もあるし、それからメンツの問題もあるだろうし、いろいろの問題もあると思いますから、それらを踏んまえて、ひとつ最終的に一日も早くこれを解決するように努力をいたしたいと思います。
○上原分科員 時間が来ましたので終えたいのですが、大臣、だいぶきついことも申し上げましたが、要はやはり早急に解決をしなければいかない問題なんです。ぜひ御努力いただいて、きょうあすじゅうにでも結論を出していただきたい。 最後に一点、念を押しておきたいのですが、いまアメリカ側との交渉で片づけなければいかない賃金問題、解雇問題、あるわけですね。もう一方は、どうしても解雇が撤回できなくて五月十四日までに切られる労働者が千五百名近くいるわけですよ。それについてアメリカ側が払う退職手当、そして日本が出している格差分、特別給付金、こういうものについては、やはり日本政府の政治的な御判断で、格差については三百六十円旧レートを実質的に保証していただく、これもやはり私は日本政府としてやるべきだと思うのです。その点、まだいろいろ御配慮いただいておると思うのですが、こういう面も含めて早急に解決をしたいという大臣の御答弁をいただいて、私の質問を終えたいと思うのです。
○福田国務大臣 ただいまの問題の具体的なことになりますと、施設庁とかまた総理府とかいろいろ関係がありますので、私からこうするのだという具体的なことは申し上げません。最大の努力をいたしまして、この争議が一日も早く解決するように、私どもの立場からは最善を尽くす考えであるということをはっきり申し上げます。
○上原分科員 どうもありがとうございました。
○森下(元)主査代理 松本善明君。
○松本(善)分科員 私は事前協議の問題についていろいろ伺いたいのでありますが、その前にいま問題になっております沖繩の全軍労のストについて、私も一問だけお聞きしておこうと思うのです。これは沖繩協定発効ということを前にして、沖繩へ自衛隊を配備するよりも何よりも先に、最も先に解決をしなければならない沖繩県民の生活に根ざした要求、そういうことが沖繩に関してはまずなさなければならない緊急の問題だというふうに私は考えますが、その点についての外務大臣の御見解を一言伺っておきたいと思います。
○福田国務大臣 全く同感です。 この問題はここまで長引くと私も想像しなかったのですが、たいへん憂慮しております。最善を尽くすつもりでおります。
○松本(善)分科員 全軍労の要求を満足できるような解決を緊急にされることを要望して、本題に入りたいと思います。 沖繩協定の発効を目の前にいたしまして事前協議が一体これからどういうことになるのか、沖繩は御存じのようにいままで完全にアメリカ軍が自由に使っておったところです。この事前協議の問題は、日本が戦争に巻き込まれるかどうかとか、日本の安全に関しての核の問題とかきわめて重要でありますけれども、しかし政府の解釈によってだんだん有名無実になってきておるのではないかという疑いはたいへん強くなってきております。この時点で、総括的にこの問題について外務大臣がどういうふうにお考えになっているかということを、ただそうというふうに私は考えておるわけであります。時間の関係もありますので簡潔に明確にお答えいただきたいと思うのであります。 まず第一に、アメリカの海兵隊が上陸作戦を行なうために艦艇で日本を発進する場合、事前協議の対象になるかどうか、この点についてお答えいただきたいと思います。
○高島政府委員 戦闘作戦行動のために日本の施設、区域を使用するということにつきまして、これが事前協議の対象になるかということでございますが、一般的に申しまして、この交換公文の趣旨については従来から……(松本(善)分科員「問うたことに答えてください」と呼ぶ)ただ具体的な事例につきまして、これが対象になる、ならぬということを明確に申し上げることがなかなかできない場合がございますので、その点は御了解いただきたいと思います。 いま先生御指摘のような戦地へ向かって戦闘作戦行動に参加するために日本から艦艇をもって発進するという行為は当然事前協議の対象になります。
○松本(善)分科員 ところがアメリカで、沖繩協定批准の上院本会議で、七一年の十一月九日にステニス上院軍事委員長が、この事前協議の問題についてこういうふうに言っています。 もし沖繩の海兵隊を使いたいとすると、彼らは船で出港し、その船がしばらく航海をして海兵隊を上陸させる、私の受けた説明で了解する限りこういう場合は事前協議なしに許される、こういう発言をして事前協議の対象からはずしておるわけです。この沖繩の海兵隊の運用の問題について、外務大臣、アメリカと日本側が話し合ったことがあるのでありましょうか。
○吉野政府委員 いまのステニス上院議員の発言はわれわれも承知しております。 御存じのとおり、第三海兵師団は常に一個大隊は第七艦隊に乗せて、この第七艦隊が遊よくしておるわけであります。したがって、これが事前協議の対象になるかどうかということだろうと思いますが、御存じのとおりこの一個大隊は船に乗り込んだとたんに今度は艦隊司令官あるいは艦長の指揮のもとに動くわけでございます。したがって第三海兵師団が船に乗るときに、どこどこの戦闘作戦行動に参加せよ、こういう指令を受けて乗るわけではなくて、乗った大隊がその問題、そういう緊急な事態が起きた場合に、その場所に艦隊とともに行って、その船自身が戦闘作戦行動ないしは間接にそれを補佐をする、こういうことでございますからこれは直接戦闘作戦行動にならぬ、こういうことで、まさにステニスの言うとおりのことだろうと思います。
○松本(善)分科員 そうすると、結局命令をどこで受けていたかということによって区別される、こういうことのように伺いましたが、安保国会のときに藤山元外務大臣が、この問題はむろん常時協議をするのだけれども、いわゆる戦闘作戦行動の戦闘命令を持っているかどうかということについては、こちから聞きただすこともできますという答弁をしておるのであります。いままで日本側からアメリカに対して、この戦闘作戦命令を持っているかどうかということを聞きただした事例があるかどうか、この点を伺いたいと思います。
○吉野政府委員 われわれの記憶ではそのような事例はありません。
○松本(善)分科員 そうしますと、海兵隊は沖繩におりますし、それから発効すれば本土と同じことになるというたてまえですけれども、いままでも本土から沖繩へ寄ってベトナムへ出かけたというようなことは幾らでもあるわけです。日本側は聞きただしていないということになれば、これは実際には日本から戦闘作戦命令を受けていた、そして戦闘作戦行動に出て行った、いわば脱法行為のようなことが行なわれていなかったという保証はないのではないかと思いますが、外務大臣どう思われますか。いま、日本側が一度も聞きただしたことがない、権利の上に眠っているといいますか、そういうことがこのまま続けられた場合は、全くこの点についてはまさに私が最初に言ったように有名無実ではないかと思いますが、外務大臣いかがお考えでしょうか。
○福田国務大臣 いままでは沖繩はアメリカの施政権下にあるのでございますから、アメリカの裁量で部隊は動かせる、こういう状態にあるわけです。しかし本土におきましてはそうはいかぬ。本土では、もし本土を基地といたしまして戦闘行動に発進するという事態があれば、これは事前協議の対象となります。これ、五月十五日後と前とは、非常に変わっておる問題であります。これは松本さんもよく御承知のとおりじゃないかと思います。 しからば、いままで本土で一度も照会したことがなかったのだろう、こういうことの御質問かと思いますが、それは、そういうことを疑わしめるに足るそういう問題が起こらなかったから、こちらから問いただすということがなかったのだろう、こういうふうに思います。
○松本(善)分科員 沖繩協定発効後のことで、そのときの方針で、伺いたいと思いますが、第三海兵師団はいつでも戦闘する部隊であります。それが第七艦隊に乗って出かけていくということになれば、これはいつ戦闘になるかわからない。いつでもベトナムへ行くというものであります。協定発効後は、そういう場合は戦闘作戦命令を受けているかどうかということを聞きただす所存でおられるかどうか、この点を外務大臣に伺いたいと思います。
○福田国務大臣 アメリカ側はどういうケースならば事前協議をしなければならぬということをよく承知しております。ですから、これは事前協議として日本側に提起しなければならぬ問題だという際には事前協議をかけてくる、こういうふうに確信をいたしております。ですから、いままでの本土における事前協議の運用と今後の沖繩のそれの運用というものにつきましては、差別する必要はない、こういうふうに考えております。
○松本(善)分科員 確かめておきますが、そうなりますと、結局はそういう場合であってもアメリカに聞きただすというようなことはしない、アメリカを信頼してやっていく、こういうことでございますか。
○福田国務大臣 そういうことになろうと思いますが、万一それを疑わしめるような事態がありますれば、アメリカに問いただすというようなこともあり得よう、かように存じます。
○松本(善)分科員 私はたいへん危険なことだと思いますが、次へ進みたいと思います。沖繩にKC135という空中給油機がある。これは御存じのとおりB52への空中給油をやっておるわけであります。ここにそのフライング・スケジュールがあります。ここにはその日を書いて、B52サポートというふうに、ベトナムへ出撃するB52に対して空中給油をやっていることが明確になっておるわけですが、外務大臣は、この沖繩のKC135がベトナム向けのB52へ空中給油しているということを御存じでありますか。
○吉野政府委員 私、KC135がB52の給油をやり得る能力のある飛行機であるということは承知しております。ただしベトナムに直接爆撃するために沖繩から発進したKC欄が給油するのか、あるいはベトナムで爆撃した後にグアムなりその他に飛んでいくときに途中で沖繩から発進したのによって給油されるのか、そこら辺のところはつまびらかにしておりません。
○松本(善)分科員 事前協議の問題としてお聞きしたいと思いますが、KC135のような場合、一般的にいうならば、日本以外の場所から戦闘作戦行動のために発進した飛行機に対し、その飛行計画に組み込まれた計画に基づいて給油、支援を行なう空中給油機が日本から発進する場合、これは沖繩国会でも、本国会の予算委員会の総括質問でも事前協議の対象からはずした答弁がなされております。しかし爆撃に行くということそのものは直接の戦闘作戦行動ですね、それに補給をするわけです。私はこれが事前協議の対象からはずされることはたいへん疑問に感ずるわけですが、かつて安保国会では、赤城防衛庁長官が、戦闘作戦行動と密接不可分の関係にある補給は事前協議の対象になるというふうに答えておられますし、第六十一国会でも有田防衛庁長官が、戦闘作戦行動、それに直接補給する場合は事前協議の対象になる。それから、そうでない場合、補給部隊に行って、間接に補給するというような場合は対象にならない、こういう答弁をしております。戦闘作戦行動に直接補給する場合、これは事前協議の対象になるんだ、これは一応合理的なものではないかと思います。戦闘作戦行動に行っている飛行機に直接支援をするという補給でありますから、これは当然事前協議の対象となるべきものではないかというふうに思うが、これをなぜ対象からはずすのか、その理由を外務大臣に伺いたいのであります。
○福田国務大臣 戦闘行動と戦闘行動でない行動、これとの限界、分界というのは非常にむずかしい、デリケートな問題です。ケース・バイ・ケースをとってみるとこれはなかなか判断のむずかしい問題だ。そこで割り切った考え方をしなければならぬ。沖繩の基地自身で給油をする、それは事前協議の対象とする。しかし空中給油を行なう、こういう際はその対象としない。何かこう割り切り方をしておかぬと非常にあいまいなことになり、かえって混乱のもとになる、こういう見解でございます。
○松本(善)分科員 外務大臣、私はたいへんだと思うのですけれども、爆撃をしておるB52がベトナムのすぐ近くで給油を受けてもこれは空中給油なんです。まさに戦闘しているわけです。その場合であっても事前協議の対象とならない、そういうことでよろしいのですか。地上で給油する場合だけ、補給する場合だけそういうふうにお考えでありますか。
○福田国務大臣 事前協議の対象とするかしないか、これはなかなかその判断のむずかしい問題である。さらばこそいま松本さんが御指摘のような問題も起こるわけです。ですからあらかじめ割り切った考え方をしておかなければならぬだろう、これが私どもの考え方なんです。その給油の場合割り切った考え方をするのはどうだ、こういうと、空中給油は対象としない、しかし地上給油は対象とする、これで初めて明確な安保条約の事前協議問題の運用ができる、こういうふうに考えておるわけであります。
○高島政府委員 補足して説明させていただきます。 交換公文にございますとおり、事前協議の対象になります行為は「戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用」ということになっておりまして、給油機の発進自体は戦闘作戦行動そのものではございませんで、戦闘作戦行動を行なっている別個の飛行機に対します給油活動でございますので、その基地の使用の態様自体は当然に事前協議の対象にならなというふうに考えております。 〔森下(元)主査代理退席、主査着席〕 なお、ただいま大臣が申されたとおり、日本の基地において給油を受けて、その受けた後にその飛行機が戦闘作戦行動に発進する、これは当然事前協議の対象になる。そこではっきり区別しておるわけであります。
○松本(善)分科員 答弁は、そういうふうに割り切ればやりやすいかもしれませんけれども、日本にとってはたいへんな問題だと私は思います。戦場でやっていても、空中給油である限りは事前協議の対象にならない、そういうような運用では、とても日本の平和と安全は守れないと私は思いますが、この空中給油の問題については、日米間で話し合いをされたのでありましょうか。
○吉野政府委員 これもはなはだわれわれの記憶しかたよることができませんでございますが、われわれの記憶に関する限りは、いままで討議されたことはございません。
○松本(善)分科員 それでは別の問題をお聞きします。 日本から第一線の基地に対して、物資、兵員を補給する場合の日本からの発進のことをお聞きしたいと思います。これは安保国会で古井委員が赤城国務大臣に聞いたことがあります。韓国で戦争が始まった場合、これは日本が兵たん補給基地になる、こういう場合どうなんだということに対して、赤城国務大臣は、大体入る可能性が多いという趣旨の答弁をしておられます。戦闘しておる地域へそのまま補給するわけです。この点についてはいかがでしょうか。
○高島政府委員 戦地に対しまして単に物資を補給するというだけの単純な意味での兵たん活動、補給活動、これは当然入りません。ただし、赤城長官が当時申されたとおり、戦闘作戦行動そのものと非常に区別できないような補給活動、つまり兵員あるいは兵器、弾薬、そういったものを直接空中から投下するというような意味での補給活動、こういったものは事前協議の対象になるであろうということでおっしゃったものと解釈しております。
○松本(善)分科員 そうすると、戦地にそのまま、戦闘をやっているという場所に補給に出かけていくということも、事前協議の対象にならない、こういう解釈ですか。イエスかノーかだけ……。
○高島政府委員 日本の基地を使って油とか食糧とかそういったものを単に補給するという活動自体は、通常の意味での兵たん補給活動というふうに解釈いたしております。
○松本(善)分科員 これはまことに危険きわまりないことになってきておると思います。この問題については、アメリカとの話し合いをされたことがありましょうか。
○吉野政府委員 具体的な問題については、いままで私の記憶では話したことはございません。
○松本(善)分科員 いま私が申しました古井・赤城質疑応答の後に、岸総理大臣が、これは日米の間で話し合いをして具体的にきめなければならない問題なんだ、いわゆる不可分一体の補給行動というものはどういうものであるかというその事例については、アメリカとの間で話し合うことを運営上考えていかなければならぬという答弁をしておられます。いままで、こういう問題については日本政府は一度もアメリカと話し合ったことがないのですか。
○吉野政府委員 先ほども申し上げましたように、具体的な問題について話し合ったことがない、すなわち過去においてそのような事前協議の事例、そのような戦闘作戦行動に参加するための日本基地の使用、こういうような形での話がなかったものでございますから、そのような話し合いはしておりません。ただし、一般的な類型の問題といたしましては、これはまあ非公式に、こういう場合はどうか、ああいう場合はどうか、こういうような話し合いは、もちろん非公式でありますが、したことはございます。
○松本(善)分科員 その類型的な、どういう話し合いをしたか、話してください。
○吉野政府委員 これはもっぱらいわゆる法律問題としてわれわれが先方と、たとえば空中給油はどうとか、こういうような形で話をしているわけでございまして、そして先方も責任を持って答える立場にも硬いし、われわれも責任を持って質問する立場にもない。したがって、ただわれわれも、頭の整理としてそのような話し合いをしたことがある、こういうことでございます。
○松本(善)分科員 そうすると、結局責任を持った話し合いというのはやったことがないということです。外務大臣、いかがですか。岸総理大臣が行ってからいままで、責任を持った話し合いを一度もやっていない、こんなことでいいのですか。外務大臣の御答弁をいただきたいと思います。
○福田国務大臣 この種の問題は、ただいま申し上げたとおり、これは非常にあいまいな問題があるわけですから、割り切った考え方をしなきゃならぬというのがわが国の立場です。それで問題は起こらなかったわけでございますから、今日まで日米間でそういう具体的事例についての話し合いはいたしておりませんけれども、日米協議委員会、こういう場なんかにおいて著しい意見統一を要するような問題、そういうような問題については、また話し合っておくのが適当であろうか、こういうふうに考えます。
○松本(善)分科員 外務大臣のように、空中給油はもう一切事前協議の対象にならないと言ったら、もう話し合いの余地はないのですよ。全部、話し合うまでもなく、日本側からアメリカに非常に都合のいい解釈を割り切ってやる、そういうことではまことに遺憾だと思いますが、次の問題をお聞きしたいと思います。 戦闘地域へ展開して作戦行動を行なう目的を持った部隊を乗せて空輸する際の日本からの輸送機の発進、たとえばこの間、一九七一年の三月七日から行なわれましたフリーダムボールト作戦というのは、これはアメリカの本国からC141とかC130が沖繩の嘉手納で給油をしてソウルの烏山基地の近くに投下をしたという演習でありましたが、これがもし実戦であったとした場合、その際はどうなりましょうか。
○高島政府委員 ただいま御指摘のフリーダムボールト作戦というのは私存じませんので、一般論として申し上げますと、戦闘作戦行動を行なうために、日本から発進する行動、これは当然事前協議の対象になると思います。
○松本(善)分科員 そうすると、このフリーダムボールトのようなときには、当然に事前協議の対象になるというふうに考えていいでしょうか。
○吉野政府委員 これは単に日本の基地を使って韓国へ飛んでいく、その途中で寄る、こういうことでございますから、いわゆる一個師団以上の戦闘部隊が日本に配置される、こういうことではございませんから、その面からは事前協議の対象にはなりません。
○松本(善)分科員 そうすると、いまの条約局長の話と違うじゃないですか。日本を経由して戦地に展開をするわけですよ。
○吉野政府委員 おそらく条約局長のお答えになったのは、つまり日本から、戦闘作戦行動の命令を受けて部隊が飛行機に乗り込んで先方に行く、こういうことであろうと思います。しかしながら私の申し上げましたのは、フリーダムボールトみたいに、アメリカから沖繩経由韓国に部隊が移動するということでございますから、おのずから問題は違うわけです。
○松本(善)分科員 そういう形で解釈をしていきますと、ほとんど事前協議問題というのは問題にならない、役に立たないと私は思います。 外務大臣にお聞きしたいのですが、アメリカのジョンソン国務次官が一九六九年十一月二十一日に、ホワイトハウスで、日米共同声明の背景説明を行ないました。そのときに、一般に戦闘作戦行動とは「米軍機が在日米軍基地から飛び立って他の地域を爆撃し、在日米軍基地に帰還すること、及びそのことのみを明確にさすものであると両国政府により了解されてきた」というふうに説明しました。いま私が読んだのは外務省の訳そのとおりであります。このときだけであるというんですね、こういう話し合いがされておるのですか。
○福田国務大臣 政府委員からお答えいたします。
○高島政府委員 ただいまの例は、事前協議の対象としての戦闘作戦行動のきわめて明白な典型的な例であるというふうに考えております。
○松本(善)分科員 この外務省の訳では、「そのことのみを明確にさすものであると両国政府により了解されてきた」、私の質問しておるのは、そういう了解をしてきたのかということです。
○高島政府委員 ただいま先生があげました例だけが唯一の例であるということに了解していることはございません。
○松本(善)分科員 この訳が間違いですか。それともジョンソンの言ったことが間違いですか。
○高島政府委員 ここに持っております資料によりますと、日米双方が合意している明白な例があるということで説明しておりますので、これが唯一の例で、それ以外の例はないということには、私どもは解釈しておりません。
○松本(善)分科員 しかしちゃんと書いてあるじゃないですか。外務省の訳は私の読んだとおりでしょう。ありませんか。――なかったら見せてあげますよ。――ここにありますよ。――なければ貸しますよ。
○高島政府委員 訳はちょっとあれでありますが、英語によりますと、われわれは合意しているきわめて明白な例があるということになっております。
○松本(善)分科員 訳が間違いだということですか。――いまこんな調べているような状況ではこのまま質問できませんので、これはこの予算委員会の中で保留をして次の機会に、あと締めくくり総括しかありませんけれども、その機会に若干このための時間をとるようにしてもらって、あと続けたいと思いますが、いかがでしょうか。
○吉野政府委員 いまの点はなお英文で調べてみますが、この訳によりましても、「米軍機が在日米軍基地から飛び立って他の地域を爆撃し、在日米軍基地に帰還すること、及びそのことのみを明確にさすものであると両国政府により了解されてきた」というか、黙示的に了解されてきたというように書いてありまして、「それ以外では直接日本から発進する戦闘作戦行動を含まないような兵力の移動、航空機の移動、船舶の移動は関係がなく、両国政府による協議や合意を要さない。」そこでそれ以外の場合のことを強調しておるのであって、はっきりした例としてはそのようにとるべきだ、こういう意味合いだと思います。これはサイミントン委員会におけるジョンソンの発言ともマッチするものとわれわれは解しております。
○松本(善)分科員 それは日本語の解釈ですよ。思いますじゃなくて、のみというのは、それ以外にないということです。そのあと読んだって、それ以外ないということです。典型的な例なんてどこに書いてあります。そういうその場限りのごまかしをしてはいけない。外務省が訳したのだから、責任を持ってそれを国会に配るのだから、そこまで責任持ってやらなくちゃだめですよ。出てきたのを、いいかげんな答弁でごまかしてとりつくろうなんて、とんでもないですよ。
○吉野政府委員 ようやく英文の個所が見つかりましたが、この「トゥー・ミーン・クリア・アンド・スペシフィカリー」こういうふうに書いてありまして、このスペシフィカリーというのをのみと、こういうふうに訳したわけだろうと思いますが、要するに、明確にかつ特定してと、こういうように訳すべきであったかと思います。したがってその点につきましては、この仮訳が日本語としては完全なものでなかったということをおわびいたしたいと思います。
○松本(善)分科員 これはたいへん無責任な話で、私はとても了解できるものではありません。しかしこのためにたいへん時間をつぶされて、もう一問だけ聞いて私の質問を終わりたいと思います。 事前協議、先ほど一個師団以上の配置に関する問題は、一個師団以上のというお話が出ました。これはもちろん藤山・アイゼンハワー口頭了解に基づくものでありますが、ところがたいへん大事な問題は、サイミントン委員会でジョンソン次官は、そういう基準はない、米軍部隊の配備に関する事前協議の義務「つまり事前協議を要するような部隊の規模について何らかの基準があるのか」というポール議員の質問に対して、ジョンソン次官は、そんな基準はない、日本の国会での声明を幾つか行なったので、それによって判断をしておる、こういうことを言っておるのです。もしこれがそのとおりであるならば、アメリカは藤山・アイゼンハワー口頭了解なんて、もうとっくの昔にやめにしちゃっている。この発言について、外務大臣どうお考えですか。
○吉野政府委員 先生御指摘の点は、ポール議員とジョンソン次官との間の対話のコンテクスト全体を見ていただかないと、必ずしも正確に理解されないのではないか、こういうようにわれわれとしては考えておるわけでございます。したがって先方の「つまり事前協議を要するような部隊の規模について何らかの基準があるのか。」これに対しまして「そのような基準はない。種々の声明はなされている。私の記憶によれば、ある時期に、この問題について日本政府及び日本の国会が声明を幾つか行なったと思う。私の記憶するところでは、その説明によれば、やや大きな規模、つまり師団規模の地上軍の配備もしくは艦隊まで……具体的説明ぶりがどうであったかについてジョージ参事官にかわって答えてもらうこととしたい。」それでジョージ参事官がその次にいろいろ答えていますが、その中で「陸軍の師団、師団に準ずる空軍部隊及び海軍タクスフォース程度の規模になれば事前協議の対象となるという日本政府の解釈が公式に記録されたと思う。」それでそのあと削除されております。 さらに次官は「現状ではもし一個師団の部隊を配備しようとすれば、明らかに施設が必要になるであろうし、事前協議条項の問題を離れても、施設の問題で日本側と協議する必要があるだろう。」ましてやその前に事前協議の対象になる、こういうことでございます。 なお、米側のこの点に対する扱い方は、わがほうとしては、事前協議を非常に重視しておりますから、向こうも同様でございますが、この点については、わがほうは何回も発言しております。しかしながら米側は、この点についてはなるべく発言を避けたい。これはちょうど核問題につきましても、先方が核についてはあまりはっきりした態度をとらぬ、これと同様でございまして、これは日米双方のこの問題に対するいわゆる感受性の違い、こういうようにわれわれは解釈しております。
○松本(善)分科員 外務大臣、局長の説明でわかりましたか。何も言ってない。これを読んだだけですから。そんなことはとっくの承知の上で質問しているのですよ。ジョンソン次官がそういう基準はないとはっきり言っているのですよ。このことについて、外務大臣どうお考えか。それを一言だけ、外務大臣の直接の御答弁をいただきたい。
○福田国務大臣 いま吉野局長の説明を聞いておりまして、私のほうとしては非常にはっきり理解をしたわけです。
○松本(善)分科員 基準がなくていいんですか。
○福田国務大臣 いや、基準はある。
○松本(善)分科員 ないと言っているじゃないですか。
○福田国務大臣 つまり「日本政府の解釈が公式に記録されたと思う。」そこまで言っているのですから、非常にはっきりしておるのじゃないか、こういうふうに了解いたします。
○松本(善)分科員 ちょっと最後だけ言わせてください。 外務大臣、こういうふうに言っているのです。日本の国会でいろいろ声明したり、言っている。それを基準と判断しているのだと言っているのです。もともと約束したような基準はないのだ、日本の国会での論議をもとに考えているというのが、ジョンソン次官の言っている趣旨なんですよ、そういうことでいいのか。アメリカと日本との間で約束した藤山・アイゼンハワー口頭了解ということでやってきた。ずっといままでやってきているのですよ、日本政府は。それがその後、そんな基準はないのだというふうにジョンソン国務次官補が言っておっても、別に抗議もしなければ、ふしぎにも思わぬ、けっこうだ、これはこれでいいんだというふうに外務大臣言われるなら、その一言だけ聞いて私は終わります。責任ある答弁をしてほしい。
○福田国務大臣 ジョージ氏が答えておる、その説明は、国会の議事録にたしか少なくとも一回以上にわたり「陸軍の師団、師団に準ずる空軍部隊及び海軍タスクフォース程度の規模になれば事前協議の対象となるという日本政府の解釈が公式に記録されたと思う。」こういうふうに答えております。私はそれできわめて事は明快じゃないか、そういうふうに考えております。
○松本(善)分科員 たいへん不満でありまして、こんなことで事前協議の問題が平然と外務大臣が過ごしておられるということは、これは全く無意味だ。沖繩の基地が返ってきて事前協議がかかるのだから心配することはないなんということを外務大臣や総理大臣が盛んに言ってこられたけれども、こんなことは何の信用もならぬものだということは明白になったと思います。私は抗議をして、これで質問を終わりたいと思います。
○野田主査 これにて会計検査院、防衛庁、外務省及び大蔵省所管に対する質疑は全部終了いたしました。
○野田主査 この際、おはかりいたします。 昭和四十七年度一般会計予算、昭和四十七年度特別会計予算及び昭和四十七年度政府関係機関予算中会計検査院、防衛庁、外務省及び大蔵省所管に対する討論採決は先例によりまして予算委員会に譲ることに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野田主査 御異議なしと認め、さように決しました。 これにて第二分科会の議事はすべて終了いたしました。 この際、一言ごあいさつを申し上げます。 分科員各位におかれましては、長時間にわたり熱心なる御審議と格段の御協力を賜わり、本分科会の議事が円滑に終了いたしましたことを深く感謝いたします。 これにて散会いたします。 午後一時二十二分散会