予算委員会第四分科会 第5号
- 発言数
- 220 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1972/03/24
会議録
○植木主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。 昭和四十七年度一般会計予算及び昭和四十七年度特別会計予算中労働省所管を議題といたします。 まず、政府から説明を求めます。塚原労働大臣。
○塚原国務大臣 昭和四十七年度一般会計及び特別会計の予算中、労働省所管分について、その概要を御説明申し上げます。 労働省所管の一般会計の歳出予算額は、一千五百二十億二千三百八十一万六千円で、これを前年度当初予算額一千二百八十七億二百三十七万二千円に比較いたしますと、二百三十三億二千百四十四万四千円の増加となっております。 次に、特別会計について御説明申し上げます。 昭和四十四年十二月、第六十二国会において成立した労働保険の保険料の徴収等に関する法律に基づき、本年度より労災保険及び失業保険の保険料の徴収の一元化が実施されることに伴い、現行の労災保険特別会計及び失業保険特別会計を統合して新たに労働保険特別会計を設置すべく今国会に関係法案を提出いたしております。 この会計は、労災勘定、失業勘定及び徴収勘定に区分されることとなっておりますので、勘定ごとに歳入歳出予定額を申し上げます。 労災勘定は歳入歳出予定額ともに三千六百一億四千百六十六万九千円で、これを前年度労働者災害補償保険特別会計予算額二千九百二十一億九千三十二万六千円に比較いたしますと、六百七十九億五千百三十四万二千円の増加となっております。 失業勘定は、歳入歳出予定額ともに、四千三十四億六千五百七十万七千円で、これを前年度失業保険特別会計予算額三千二百五十五億七十四万九千円に比較いたしますと、七百七十九億六千四百九十五万八千円の増加となっております。 徴収勘定は歳入歳出予定額ともに、五千五百七十三億九千六百十二万二千円を計上しております。 最後に、石炭及び石油対策特別会計の石炭勘定中、当省所管分としては、炭鉱離職者の援護対策等に必要な経費として、九十九億四千七十七万二千円を計上しておりますが、この額は前年度予算額九十五億三千八百六十九万七千円に比較いたしますと、四億二百七万五千円の増加となっております。 次に、そのおもな内容について、概略を御説明申し上げます。 その一は、勤労者福祉対策の展開に必要な経費であります。 勤労者福祉の向上を長期的視野に立って計画的に進めるため、昨年、労働者生活ビジョン懇談会が発足しましたが、本年は同懇談会の活動を起点にして勤労者福祉行政の総合的な展開をはかってまいります。 まず、勤労者の福祉に関する問題の中で、最近特に論議を呼んでいる労働時間につきましては、労使が自主的な話し合いにより実情に即した方法でその一そうの近代化を進められるよう、機運の醸成と援助を行なっていく考えであります。 次に、勤労婦人、勤労青少年対策の充実であります。 最近、家庭を持つ婦人の職場進出は目ざましいものがあります。このため、勤労婦人の職業生活と家庭生活との調和をはかることを軸に、総合的な福祉施策を進めることとし、今国会に勤労婦人福祉法案を提出いたしました。 また、勤労青少年対策については、勤労青少年ホームの増設、勤労青少年育成指導事業の充実等により、勤労青少年の健全な育成と福祉の増進をはかってまいる所存であります。 これらに必要な経費として、四十八億七千八百六十二万七千円を計上いたしております。 その二は、総合的労働安全衛生対策の確立に必要な経費であります。 現在、労働災害による被害者は、年間百七十万人にも及び、このうち六千人にものぼるとうとい人命が失われております。 労働省としては、これまで、労働災害の防止を行政の最重点事項の一つとして取り組んできたところでありますが、今般、急激に変化する産業社会の実態に即応した総合的な安全衛生立法を行なうこととし、今国会に労働安全衛生法案を提出いたしました。 これらに必要な経費として、四十五億三千五万三千円を計上いたしております。 第三は、総合的雇用政策の推進に必要な経費であります。 昨年のニクソン声明に始まる国際経済の動向は雇用面にも少なからざる影響を与えるものと予想されます。 今後の雇用政策の運営にあたっては、こうした当面する事態の推移を的確に見定め、その推移に応じて適切な方策をタイムリーに実施する態勢を確立してまいります。特に、四十七年度の予算編成にあたっては職業転換給付金、失業保険給付の充実をはかるとともに、景気停滞の影響を受けやすい中高年齢者や季節移動労働者に関する対策及び繊維産業離職者対策の充実をはかることといたしました。 これらに必要な経費として、三千八百八十五億五千五百十一万円を計上いたしております。 職業訓練につきましては、生涯訓練体制の一そうの充実をはかるとともに、新たに、公共職業訓練施設において養成訓練を受ける青少年に対して必要な資金を貸し付ける技能者育成資金制度及び高年齢者専用の職業訓練施設を創設いたします。 これらに必要な経費として、九十九億五千八百八十四万円を計上いたしております。 第四は、合理的労使関係の形成の促進に必要な経費であります。 現在、労使関係の動向は、ひとり労使間の問題にとどまらず、政治、経済、社会の各般に大きな影響を及ぼすようになっております。その意味で、労使間の問題は、国民経済的見地から、労使が良識をもって、自主的な話し合いにより平和的に解決することが肝要であります。 労働省でも、労、使、学識経験者による産業労働懇話会を開催する等、労使相互の意思の疎通をはかることに努めております。 これらに必要な経費として、二億二千九百七十九万八千円を計上いたしております。 以上のほか心身障害者対策、同和対策、沖繩復帰対策、労働外交の推進、その他一般行政事務費等に必要な経費を計上いたしております。 以上昭和四十七年度労働省所管一般会計及び特別会計の予算について概略御説明申し上げました。 何とぞ本予算の成立につきまして、格段の御協力をお願い申し上げます。
○植木主査 以上をもちまして労働省所管についての説明は終わりました。 —————————————
○植木主査 これより質疑に入ります。 この際、分科員各位に申し上げます。質疑の持ち時間は、原則として本務員は一時間程度、兼務員もしくは交代して分科員となられた方は三十分程度にとどめて、議事進行に御協力を賜わりたいと思います。 なお、政府当局におかれましても、答弁は簡潔にお願いいたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林進君。
○小林(進)分科員 限られた時間でございますから、事務的にひとつお伺いをいたしたいと思いますが、私は、前の労働大臣の行政の中で、国民に、しろうとにすなおに入った政策が二つあると思う。一つはやはり週休二日です。これはすなおに入ったと思う。一般質問やその他で労働大臣の御意向も承りました。またそれに加うる、最近はどうも山中総務長官等も院外発言みたいなことで発言されて、どうも官公庁あたりが指導的に週休二日を実施するのは云々というふうな発言があったりして、どうも内閣全般としては少し後退したのではないかという感じを受けているのでありますが、これは時間ですからやめます。 いま一つは、夏期休暇です。労働省内に実施をされて、有給の夏期休暇をやられたということも、私は非常にりっぱなビジョンに富んだ行政だと思ったのであります。その成果をひとつこまかく資料にして、各末端に配布をしながら、それを促進する方向に持っていってもらいたいということを原さんに話をした。それもやりましょうと言ったのでありまするが、不幸な事件で退陣をされるという結果になったのでありますが、ここら辺にも労働省からもらっておる資料に、その夏期休暇の成果といいますか、情報が入っておるようであります。役人の文章でございましょう、あるのかないのかさっぱりわからぬことがたくさん書いてありますけれども、率直に言って労働大臣は、この夏期休暇の有給休暇の問題を、引き続いてなお促進をしていこうという御意思があるかどうか、承っておきたいと思うのであります。
○塚原国務大臣 原前労働大臣、非常に前向きな労働政策をおとりになりまして、私も事務引き継ぎでいま小林委員がおっしゃったようなこと全部聞いております。週休二日制の問題はともかくといたしまして、いまの御質問は、民間産業においてはそれぞれ進んでおるようでありますが、公務員につきましては御趣旨をよく体しながらこれを検討いたしたいと存じております。
○小林(進)分科員 どうも分科会等を通じて今次各省の大臣の答弁を全部聞いておりまして、これは私はきのうか、おとといですか、運輸大臣にも率直に言ったのでありますが、大臣の答弁を通じて一級大臣と二級大臣がある、運輸大臣はそれはあなたおわかりになりますか、そしたらわからない、教えてくれと言うから私は言いました。たとえば一級大臣はかくのごとくでしょう。官僚のミスや官僚の間違いをちゃんと委員会で訂正、修正をしながら、国民の立場に立ってすかっと答弁をされる一級大臣。例をあげればやはり外務大臣なんかはああやって和田情文局長等が院外において不穏当な回答をしたというようなことは委員会できちっと重要な中枢にある者がそういう疑惑を持たしめるような答弁をすることは許せないとされた。二級大臣の証拠といたしましては、江崎防衛庁長官、前の日までは、防衛官僚の行き過ぎである、私自身了承できないと言いながら、次の日になると、どうも一生懸命官僚のつくった答弁を盛んに答弁をしておられるというそういう状況。運輸大臣、残念ながら国鉄公社の書いた官僚の作文を読み上げている。あなたは二級大臣ですよと私は言ったのですが、いまの大臣の御答弁も、何かちょっとそこらにいる官僚がちゃかちゃかとささやいたことを、ささやきのまま答弁されるということは、大臣の将来を一級、二級の格づけするというような重大なポイントでありますから、その点は大いに考えて御答弁いただきたい。そこら辺で、ひとつ大臣に喚起を呼びさましておきまして、次に入りたいと思います。 労政局長、きょうは労政局長の御出席を私は要望しなかったのでありますけれども、お見えになっておりますから、時間がありませんから私は申し上げまするけれども、労政全般といたしましては、末端へ行きますると、非常に資料の要求が多い、講習会の要求が多い、資料の提出が多い。そういう末端に仕事を負担せしめることが多いけれども、それの裏づけをする資金の配分が何もない。労政は県を通じてそれから市等へ末端行政が流れていく。直接あなたのストレートの指揮下にないという関係もありましょうが、どうも労働行政は、下部末端に負担が多過ぎて、そうしてお茶代もよこさない、そういう声が非常に強いのでございまして、あなたそこで頭をひねられるようなものだから、私もそうかと思いまして、だいぶ歩いて見て回りました。うなずける点が多いのであります。しかし、それを具体的に一々例をあげたんじゃ持ち時間がありませんから、その点だけはあなたによく喚起を申し上げまして、少し下部の実情に即してもらいたいと思います。それから、きのうも申し上げましたけれども、よく講師を派遣されますが、講師のメンバーを資料としてちょうだいしたいということを申し上げたのでございますが、ございますかな。それはもうそれを読み上げておりますあれですから、ひとつ資料として……。 それから私は、きょうは労政局長せっかくおいでになったのですから、一つだけ聞いておきましょうか。あなたのほうでは、一九八〇年度を目途にいたしまして、労働者のビジョン構想というものをお出しになっている。「労働省の労働者生活ビジョン懇談会の実施」ということですね。五百三十二万八千円の要望をしておられまして、委員等も十九名任命をせられておるのでございますが、私は、このねらいは一体どこにあるのかわからないのですね。労働者の生活に密着している者の代表といえば、十九名のうちに総評、同盟の事務局長が一、一入っているようですけれども、あとの十七名は、どういうことを調査してお選びになったのか、その人選のしかたもわからないし、そうしてともかく八〇年度の労働者の生活のビジョンを描こうというのですが、私は、問題はいま足元に幾つもころがっている。たったの五百万円といえば、わずかなものだとはいうものの、そんな金があったら、いま少し末端の生きた労働行政のほうに金を流したらどうなんだというふうな感じも抱くわけですが、御所見を承りたいと思います。
○石黒政府委員 労働省といたしましては、労働者の福祉増進ということをその任務の第一といたしております。御承知のように、省内各部局にわたりまして、労働者福祉の問題をいろいろと取り上げておりまして、先生御指摘の足元に幾らもころがっている問題というものも、できる限り次々と取り上げておるわけでございますが、しかし、それらをそのとき限りの視点だけから取り上げておるのでは、大きな長期的観点からして必ずしも平仄が合わないおそれがある。そこで、労働者の福祉の総合的ビジョンというものを長期的観点で取り上げて、その大きな戦略のもとに福祉政策を進めるのがよろしかろうというような観点から、八〇年度を目途にこのビジョン懇談会を開いたという次第でございます。
○小林(進)分科員 大きな戦略目標に立って、そうして戦術的な個々の問題を処理していくというその構想は、私はいいと思うのです。そういう戦略目標に立てば、たとえばその人選においても、労働行政の大家である小林先生等に委嘱するとかいう話になれば、戦略、戦術の体系はうまくいくでしょうけれども、選ばれた十九名の委員のメンバーを見たときに、その戦略促進に能力があるのかどうか私は非常に疑わざるを得ない。結局は、労働省の隠れみのをつくるのではないか、労働行政の側面の御用的な機関をつくるのではないかという、そういう疑念を持っておるから、私は申し上げるのでございまして、その点をひとつ御考慮していただきたいと思うのでございますが、またしかし、可否の結論はこれからのまたあなたと私のひとつの場所を変えての論陣のさなかにおいて出していきたいと思いますから、きょうはほんのさわりの程度にしておきまして、私は、きょうの質問の中で、お聞きしたいことは実は三つあるのです。 その第一は、何といっても高齢者の労働対策です。高齢者というものは、各省にまたがって、いよいよ脚光を浴びておりますけれども、それと相マッチして、労働省の中にも、高齢者の対策というものがびんと浮き彫りされてこなければならないというふうな点が一つと、二番目は、労働基準行政、三番目は、農村の離農対策、離職対策といいますか、私はこの三つを、私自身から見て、労働行政の中にたくさん問題がありまするけれども、これが私は当面一番中心な課題じゃないかと考えますので、その点からお聞きするのでありますが、まず第一番目の労働者の定年到達者調査というものを、これはどの局になりますか、あなたの局になりますか、四十五年十一月現在実施して、四十六年六月調査発表された。私はこれは非常にいい資料だと思いまして、こういうことを賛成をするのでございまするが、その後は一体どうなっておるのか、一年近く経過をしているわけでありまするが、その調査が一体どうなっているのか。それから例のいまの定年延長の問題であります。これについて、局長の所見を承っておきましょう。
○石黒政府委員 定年到達者の調査は、四十五年に行なっておりますが、これは三年に一回ずつ行なわれているので、四十八年にもう一回ということでございます。それから、それ以外に定年状況一般の調査を本年、四十七年度もいたしたいと考えておる次第でございます。 定年延長につきましては、過去数年にわたりまして、民間の自発的な創意のもとに延長が行なわれるように引き続き努力をしておるところでございます。
○小林(進)分科員 それで、定年到達者の就職と生活の実態、これが国全般の行政の中でもたいへん大切な資料だと私は思いますので、毎年おやりになるならけっこうだと思ったら、三年に一回だというので、若干私の予想と反しておるわけでありますけれども、これを促進すると同時に、その高齢者の就職の問題ですが、ことしも定年延長の事例収集の実施等をおやりになるようですな。予算の中に計上されておるのはわずかに百万円。百万円でどういう定年延長の事例収集の実施をおやりになるかわかりませんが、まあこれはおやりになっておりますが、それとあわせて、高齢者の就職、これを私は真剣に考えてもらいたい。真剣に考えてもらいたいというのは、ちょっと意見になりますけれども、定年退職した者を、それをまたOBと称して、ランクの下のところにみすぼらしい姿で再就職をせしむるというような職業のあっせんはやめてもらいたいということなんです。これは労働大臣、私は運輸大臣に申し上げた。いいですか、大臣もお乗りになるときには上野の駅からお乗りになるでしょう。常磐線から省線のところへおりて普通の国鉄に乗る。そこにずっと乗りかえの暗すみがあります。こんな小ちゃな机を持って、そして国鉄の制服を着た、いわゆる国鉄のOBです。机を持って一生懸命切符の引きかえ所はここでございます、切符のない人はここで売りますからと言っている。普通の切符を売っている売り場じゃない。駅の中間の暗やみのところに机一つ持って売っている人があの駅で三十人から四十人おるのです。これは何だ。みんな国鉄で三十年四十年つとめた駅長さんだとか助役さんだとか、いわゆる管理職だ。そういう熟練者が定年でやめて、やめたい人を国鉄は再就職という形で雇う。そのときには駅長や助役をとって、そして年金プラス再就職料なんです。十万円もらっている者は、そのうちに五万円年金があるというと、五万円月給を払って採用している。そしてあの上野駅だとか暗すみの中へ机一つ与えて中間の切符売りをやらしておる。国鉄残酷物語じゃないかと私は言うのです。国鉄に三十年四十年つとめて管理職になったり中間管理職になったあとはこの姿でございますということが大衆の中にさらけ出されるのではないか。こういうことが高齢者労働対策として一体いいのかということを私は大臣と国鉄総裁に警告を発しておきましたけれども、そういうふうな再就職のしたかではなくて、やはり定年後の高齢者が——社会主義の国家に行ってみてください。ほんとうに喜々として働いている。働くことに喜びを感じている。私は年金生活をしてもいいけれども、退屈でしようがない、だからいまこの私に適応した職業についていることに対しては私は生きがいを感じている、喜びを感じている。そういう喜びにあふれたような定年後の高齢者の就職というものを、あなたのほうでひとつビジョンを持ちながら進めてもらえないか、それがあるかないかを私は承っておきます。 同時にこの問題は、定年後の職業訓練をおやりになっているようですが、訓練局長、定年後の職業対策がどうなっているか。
○石黒政府委員 まず定年を延長することが非常に望ましいわけでございます。ただし定年を幾つに延長するかということにつきましては、六十を当面の目標とする労働組合が多うございますが、あるいは六十五という説もあり、この辺につきましては問題がございます。ただ定年が延長できない場合には、一応五十五なり五十七なりで切って、それから再雇用を同じ会社でする、あるいは子会社に再雇用をするというようなやり方もございまして、これがいま先生御指摘のような姿にしばしばなるわけでございます。しかし、これは好ましい姿でございませんが、全然雇わないよりはまだましである。定年を幾つに延長するかということと、その定年後に、食うには困らぬけれども、生きがいのために働く人たちにどうするかというような問題、非常にむずかしい問題であると考えております。先ほど御指摘のビジョン懇談会なんかも、その重要な課題としてこれを検討いたしたいと思います。私どもといたしましては、当面ともかく定年の延長ということにまず重点を置いて指導いたしたいと考えております。
○遠藤(政)政府委員 定年退職者等を中心にいたしました高年齢者の再就職につきましては、これは先般成立いたしました中高年齢者の雇用促進特別措置法、こういった法律の中でいろいろな措置が講ぜられておりますが、その一環といたしまして、こういった定年退職者の長い間の職務経験なり技能を生かして、こういった人たちの再就職をはかっております。 そういった技能を特別に持っていないような人につきましては、職業訓練を行ないまして、新しい技能を身につけることによって、先ほど先生の御指摘になりましたような、みじめな再就職ということにならないように、そういう高齢者に向いた職業をあっせんするように努力いたしてまいっております。 特に四十七年度におきましては、比較的高年齢者を対象にいたしました職業訓練科目を新しく設定いたしまして、大体テストケースといたしまして東京、大阪、名古屋といった大都市を中心に三百名程度の高齢者向けの訓練というものを新しく開始いたしまして、これによってそういった十分な措置を講じてまいるようにいたしております。
○小林(進)分科員 この問題もあまりこだわっていると時間がなくなりますから、これはこれで終わりますが、繰り返して私は申し上げますように、高齢者というものは人生の経験者であり、いわば社会に貢献をした、その意味における功労者なんです。非常にプライドがある。ところが現実にはその誇りを満足せしめるような社会環境あるいは政治の体制がまだでき上がっていないわけです。つとめ尽くしたその仕上がりが、孤影しょう然として苦労している、誇りも失うというような形で晩年を迎えさせるということは、私は実際政治のあるべき姿じゃないと思う。その意味において、働けない人には十分の年金をやればいい。これはあなた方の問題じゃない、厚生行政の問題でしょうけれども、しかし働いて、なおかつ誇りを持ちながら働きたいという人には、ちゃんとその誇りを持ち得る働く場所を見つけてやるという、そういう私は血も涙も通った高齢者行政というものはこれからだと思っている。あなたは、まず就職させることだ。それはそうかもしれません。ほんとうに働かなければ生きていけないような人もいるのですけれども、しかしそのためにいままで持っていた誇りも何もなくなって、世間を狭くして老人が新しい職場を求めていくような、そんなみじめな思いをさす再就職であっては私はいけないと思う。そこらも十分私は考慮の上に、この高齢者就職のあっせんというものをひとつお進めをいただきたいということであります。 定年延長問題はひとつまた、官公労、地方公務員等も含めてたいへん問題の多いところでありまするけれども、あなたのところはそういう官公労は別にした、いわゆる民間の労働者のことを言われているのでございましょうけれども、この点もひとつ私も意見がありまするけれども、これはこの程度にきょうはしておきましょう。 次は、労働基準行政の問題についてちょっと私はお伺いをしておきたいと思うのでございますが、現在の監督指導事業場の数というのはどれぐらいございますか。
○渡邊(健)政府委員 基準法の適用事業場は現在約二百七十万でございます。
○小林(進)分科員 その二百七十万の事業場を監督しておられる監督官は何名おりますか。
○渡邊(健)政府委員 現在監督官の数は二千八百三十二名でございまして、四十七年度におきましてはその増員をいたしまして、二千九百二名に増員する予定に相なっております。
○小林(進)分科員 二百七十万の事業場を二千八百三十二名の監督官で監督をいたしましたら、一人の監督官に対する事業場はどれだけの割り当てになりますか。
○渡邊(健)政府委員 一監督官当たり約千事業場弱になります。
○小林(進)分科員 この千事業場を一人の監督官が回るために、これは何年かかりますか。
○渡邊(健)政府委員 算術的に計算いたしますと、千の事業場を一人の監督官が回るとすれば、約十年前後かかるかと存じます。
○小林(進)分科員 そういう事業場を十年に一回しか回れぬような監督官を置いてそれで一体基準行政がうまくいくのですか。基準法は何と言ってるか、規定しているのですか。基準法違反じゃないですか、それは。違反じゃないの。時間がありませんからいいです、そんなことを言ってもしようがありませんから。そういうことをぬけぬけと答弁をされる労働行政のあり方が、ぼくは実は憤激にたえないのですよ。そんなことはまともな姿じゃありませんよ、異常な姿ですよ。そういう姿を直すための努力をしなければいけない。 それじゃ四十六年度監督指導事業場、あなた方のその中で実際に監督をされた事業場は一体幾つですか。四十六年実際に回られたところですよ、監督したところ。
○渡邊(健)政府委員 四十六年はまだ年度の途中でございますが、四十五年で申しますと、監督を実施いたしました事業場は年間に二十八万九千でございます。
○小林(進)分科員 四十五年度が二十八万。その数字間違いありませんか。私の調査数字とちょっと違うようですが、サバを読んでいるのじゃありませんか。五、六万サバを読んでいるようでありますが、間違いないならばあとで資料のくっつけ合わせをやりましょう。二十八万とおっしゃったね。いいですか。あわてんでよろしい、サバを読んで。その二十八万というあなた方の調査の数字に合わせても、二百七十万の二十八万といえば一割じゃありませんか、十分の一じゃありませんか。十分の一の事業場しか監督できないくらいで、これで労働者の安全が保たれるわけがないですよ、ない。その中で処分をされた事業場は一体どれくらいありますか。
○渡邊(健)政府委員 四十五年度におきまして司法事件として処理いたしましたのが千七百二十六件であります。なお、司法事件ではありませんが、安全等の観点から使用停止命令等を出しました事業場は六万四千七百ほどございます。
○小林(進)分科員 いまもお話のあったとおり、使用の停止処分にしたところが六万有余、それから司法処分まで至ったやつが一千七百二十六ですか、十分の一の事業場を調べてもこれほどの事故の発見ができるわけですから、司法処分もこれだけ出ているのですから、もしこのままの数字を押していけば、十分の一ですから司法処分にするだけでも一万七千、約二万件に近いものが出てくる、算術的計算でいっても。それくらい、二万件近くも司法処分にするような事故が職場の中にちゃんとあるということは、これは明らかになっているわけです。それをあなた方は十分の一の監督しかできないような状態にある。これが労働災害につながるのですよ。労働衛生につながる。いまあなた方が何とかいう法律をお出しになっているそうですけれども、私は法律以前の問題だと思うのです。労働行政、監督行政、こういうところにいま少し熱意を入れてやってもらわなければいけない。 昨年度の労働災害の事故は一体どのくらいになっていますか。死亡者はどれくらいですか。
○渡邊(健)政府委員 昨年度労働災害による死傷者は四十五年で百六十五万人、死亡者は六千四十八人でございます。
○小林(進)分科員 大臣お聞きになったとおりでありますよ。死傷者が百六十五万人もできておる。これで工業が世界で二番目だの、三番目だの、先進国だの、私はこれで誇り得るかと思っているのです。世界じゅう歩いたってこれくらい労働災害の多い国なんというのはないと思うのです。これは幸いにしてまだ世界の比較の数字が出ておりませんから、私はそう確信を持って言えませんが、実にこれは恥ずべき数字だと思っている。しかもその中で、死亡者は六千四十八人。何ですか。私どもが五年も六年も十年も前からこの監督行政の喚起を叫んでいるときと何にも数字は変わってないじゃないですか。五年も前だって六千か七千名でしたよ、死亡は。ちっとも変わっていない。改善のあとが一つもないじゃないですか。それでもって監督行政が、監督官が、いや今度は四十名ふえますの二十名ふえますのといって、これで能事終われりというような答弁をあなたがやっているから、私はこの間の予算委員会で、何を言っているんだといって、委員外発言であなたはびっくりして飛び上がっておったけれども、そんな甘っちょろいことではだめだといっているのだ。六千人殺しているのですよ。あなた方の指導下においてですよ。あなたが間接的に殺したようなものだ、私をして言わしむれば。そういうことに対して、もう少し厳粛な気持ちでこれに対応してもらわなければいけませんよ。 そこで私は監督行政の問題で申し上げたいことは、五年も六年も、死んでいる数は少ないのだけれども、警視庁に行ったって、それは数字はありますよ。自動車の事故で、昨年の年間一万六千人死んだのに対しては来年はこれを一万二千人の死亡率にしよう、五年後には五千人の死亡率にしようという数字を持ってくるから、私は、なんだ、その間は人の命を五年間でも六年間でもまだ死ぬことを認容して、死ぬことをあたりまえにしておいて、数だけ減らそうという計画はけしからぬと私は言ったのであります。人の命であります。一人も死なないようにという画期的な方策がなくてはいかぬじゃないかということを言ったのであります。それは一つの理屈でありまして実際にはできないと思うが、あなたのところにはこの警察庁にあるような、人の命をそこなうのを減らしていくという計画さえもないのじゃないかということを私は疑わざるを得ないのです。一体、計画的にありますか。この職業災害に基づく死亡者を皆無にするためのいわゆる長期年次計画みたいなものが、一体ありますか。
○渡邊(健)政府委員 労働災害の防止につきましては、労働災害防止団体等に関する法律に基づきまして、災害防止計画を立てることに相なっております。現在は、昭和四十三年から五カ年にわたる労働災害防止実施計画というものを立てておるわけでございます。その計画では、この五年間に災害の発生率を三割減少し、死亡者数を半減ずることを目標といたしておるわけでございます。もとより、先生のおっしゃいますとおり、災害は絶滅を期するべきであり、死亡者はこれをゼロにすることが究極の目標でございますが、なかなか一挙にはそこに至りませんので、段階的な目標という意味でそういうものを設定し、努力しておるところでございます。しかし、先生御指摘のように、これまで数年にわたりまして死亡者が六千人をなかなか切れないという実態がありましたことは、われわれもまことに遺憾に存じておるわけでございますが、一応災害の発生率は徐々に減少をいたしております。 それからなお、まだ最終的な結果は出ておりませんが、昭和四十六年につきましては初めて六千人を大幅に割りまして、五千六百くらいになるのじゃなかろうか、おおむねそういうような見通しを持っておるわけでございまして、今後とも災害の大幅な減少、特に死亡者数の大幅減少に向かっては、ぜひできるだけの努力をいたしたい、かように存じておるところでございます。
○小林(進)分科員 まあ五年間で死亡者を半分にしたい、あとの半分の死ぬのはやむを得ないという考え方自体は、私どもこれは賛成というわけにはいきません。いきませんが、実際の行政の運営として、やはりそういう計画をお持ちになっておるならば、その計画をさらに促進をして、何が何でも早く絶滅するという方向に私はぜひ努力をしてもらいたいと思うのです。 一体いまの災害も、機械の進展、時代の進展で変わってきているのですね。いまあなた方にもらった資料によると、五大災害、墜落、飛来、崩壊、クレーン、感電、爆発、火災、こういうふうな大きな災害の事故をおきめになっている。私はこの五大災害は間違いないと思う。ならば、そういう災害が起きるポイントはわかっているのだから、ここに重点を指向してそしてやっていけば、私は見るべき成果をあげることもできるんではないか。どうかひとつ生きた行政を進めていただきまして、そしてこの災害だけは撲滅してくださいよ。これはひとつ頼みますよ、ほんとうにあなた。厚生省ばかりじゃございません。労働省の官僚もそうですけれども、皆さん方、二年くらいたつとぽっぽっと役が変わって出世していくものだから、その場その場の瞬間だけ調子よくやっていこうという考えがある。これが官僚政治の一番悪いところなんだ。だから、うまいことおっしゃるけれども、私ども長く労働行政なんかにタッチしている者には、振り返ってそのあとを見ると見るべき痕跡が一つもないわけなんだ。短期の間における自己の立身栄達のためにひとつここだけうまくやっていこうというので、その期間はせいぜい二年か一年半の間だけうまくやっていこうという、そういうアイデアで行政が進められていく、その一番いい姿が私はこの労働災害だと見ているのです。あなたの前の基準局長もあなたと同じような答弁をされました。あなたのその前の前の局長もあなたと同じような答弁をされました。そのまた前の前の前の局長もまた同じような答弁です。私どもが同じような答弁を聞きながら、がんばりなさいと言っているうちに、その陰に労働者は死んでいっている。災害は絶えない、数は減っていない。どうかそういうことじゃなしに、ほんとうに人間らしい立場に立ってひとつ、監督行政を進めていただきたいと思います。まだこれも問題が残っておりますけれども、時間がありませんから、きょうはこの程度にしておきます。 私は、やはりいまの労働問題といい、国の政治全般の中で一番大きなポイントは、第三間でお伺いしたい農村問題だと思うのです。農村問題の中における第二種兼業の中における第二種兼業だと思っているのですけれども、まあ大臣の前でお聞きするのもなんですから、私のほうで申し上げますけれども、いま、もはや第一種兼業農業者というものは五百三十万戸の農家のうちの一五%、七十万戸くらいしかないんだが、第二種兼業が三二%、三割強。あとの五〇%、五五%に近いだろう、あなた方の数字だって五五%何ぼだ、半分以上は第二種兼業だ。第二種兼業というのは、これはまあ言わずもがなですけれどもいわゆる労働者だ。労働者だけに限定しませんけれども、まず労働を主たる収入の財源にしてその余暇に農業を営んでおる諸君、そうですな。だから私はまず言うんです。農林省にも言うんです。第二種兼業の性格をひとつきめてくれ。あれはサラリーマンだというときには、毎月もらうサラリーの収入を主たる生計のかてにしておるから私はサラリーマンだ、そうじゃないですか。職業の選別をきめるものはその収入源が何であるか、生活のかてが何であるかによって大体職業というものはきまってくるんじゃないですか。日曜農業で、朝晩農業にして、主たる一家の生活のかてを労働によって得るならば、それは出かせぎであろうと賃金労働者であろうと、あるいはサラリーマンであろうと勤務者であろうと、主たる生活のかてをいわゆる労働によって得ているならば、それは労働者じゃないかと私は言うのです。第二種兼業などというまがいもののことばは言わないで、それは私は労働者じゃないかと言うのでありますが、この性格論争からひとつどうですかな、これはどうでございましょう。これはやはり、ただこの人たちは農村に住んで、農村という土地、地域に住んでいるだけの話であって、実際にはこれは農民じゃないです、農業者じゃないですよ。その点をひとつ……。
○道正政府委員 ただいま御指摘の点は農林行政と労働行政の接点の問題だと思います。従来農林省で農家経済の動向調査というのをやっておりまして、この結果が先ほど先生の御指摘の数字になったわけでございます。ただ第二種兼業の場合でもたしか農外所得のほうが農業所得より多いわけでございますけれども、農業をやっておることはやっておるわけでございます。そういう意味で、農林行政と私どもの接点に位置する問題だと思いますが、しかしながら、農家の方々が労働者として働かれる限度におきましては労働行政の問題でございます。そういう意味で出かせぎ問題を含めまして、しかも労働省としても関係各省と連絡をとりながら対策につとめておる次第でございます。
○小林(進)分科員 これは私は大臣に特に一つ申し上げておきたいのでございますが、通産大臣でも農林大臣でも関係大臣に聞きますとみんな言うんだが、わが日本の第一次産業の就業者はまだ一五%か二八%。欧米先進国を見たところでアメリカあたりは第一次産業は四%だ、ヨーロッパにおいても五%か六%だ。わが日本の農業人口は就業人口の一五、六%を占めていること自身が矛盾なんだ。これはまず五%限度まで減らさなければならない。極端なことを言えば、これは社会党らしくないけれども、私は正しいと思っているのだ。招きネコの額のようなところに八反だの一反だの一ヘクタールなんというような農民がごちゃごちゃと入って生きているから零細農業の経営しかできない。これが農業の近代化がおくれている原因だ。わが日本の経済が世界の二番、三番になりながらも、農業というものは取り残されて非常におくれているんだ。その結果がまた農産物が高い。そういう状態のためにも、この農業の近代化というものはこれから取り組まなければならぬ重大な問題だと思うのだ。それと取り組むときには、これは農林大臣、何大臣を問わず、いまの農業人口、いままだ働いているのが八百万弱いる、農業従事者というものは、これは三百万人前後に減らさなければならない、そうしなければ農業の近代化はできませんよ。あとの五百万なり四百万のいわゆる農業従事者、これが第二種兼業なんだ。この人たちは、そんな第二種兼業の両棲動物みたいな、片っ方たんぼに足を入れ、片っ方労働者になって、しかも労働行政からもはみ出されている、農林行政の中でもお粗末に扱われているという、どっちから見ても不安定なこのいわゆる第二種兼業農業者というものに、きばっとひとつ行き先を与えて、そんな両棲動物なんかでいるよりは、あなた方にもっと安定した、もっと恵まれた、もっと誇りのある職業があるんだという指導をやらなければならぬ。どこでやるか、それは労働省だ。これは労働行政の範疇じゃないか。そこをひとつ大きな——小さな官僚的な視野の狭いところじゃなくして、労働大臣、あなたのお仕事なんですよ、大きなビジョンの上に立った長期の展望を立てて、この問題を労働行政の中で解決してもらいたい。もちろん労働省だけじゃだめですよ、それは農林省や通産省とともになってやっていかなければならない。これが私は今後の一番大きなポイントだと思っているのです、日本の一つの形を変えるんですから……。ところが何言っても、そういうビジョンが労働省には出てこないんだな。原さんの前の労働大臣何とおっしゃいましたかな、あの岩手のほうから出られた方は。野原さんでしたかな、あの人に私は言った。あなたが農林大臣なら板につくけれども、あなたが労働大臣、これほど板につかぬものはないが、あなたに一つ託することがある。この農村の出かせぎ対策だ。農村の実態を知っているのだから、百姓の実態を知っているのだから、この出かせぎ農民である第二種兼業に一つの夢を与えるというのが、これがあなたには適任じゃないか、やってください、これは非常に共感の意を表しておったけれども、またたく間に消えてしまったんですよ。私はしつこいですから、この問題をどうしても労働行政の中にのせてこれを解決してもらいたいと思うんだな。これはひとつ大臣から承っておきたいと思います。
○塚原国務大臣 職業の種類は問いませんが、賃金それから給与その他これに準ずる収入によって生計を営む者はわれわれはこれを労働者とみなしております。したがって、いま農村の実態について、数字の点では私若干あなたと違う点を持っておりますが、お話がございました。ですから、いま労働省の政策として大きく取り上げなければならないときに来ていることは、これは言うを待ちません。もちろん地元にとどまって生計が営まれれば一番いいのですが、農村工業導入促進法ですか昨年御審議を願った、あれなども私は一つの前進の方向であろう。また、そういったものをどんどんつくりまして現地に定着させまして、それこそ楽しい職場で働くような形に持っていくことが一番いいのですが、やむを得ず現地の季節労務者とか出かせぎ労務者といったようなものがあった場合には、これを労働行政の重要な眼目として取り上げていくことがわれわれに課せられた重要な任務であると考えております。
○小林(進)分科員 そこで大臣の御答弁、戦略的には私は同感を得たものと了解をいたします。 個々の問題に入りますると、いまおっしゃった農村の地域工業導入促進法等も、農業者をして労働者に定着せしめる一つの方策だという、着眼はいいのですよ。それが一体いま、実際にどのくらい動いているのかという問題が一つあるのです。知事がその基本計画をつくりまして、知事が実施になるか、あるいは下に落として市あたりにそれを実施させるか、いろいろの手がある。それで導入のための援助措置も与えるというのですけれども、一体これが軌道に乗っておりますか。その法案が六十五通常国会になった。ドル・ショックの問題、いろいろありますけれども、私は単なる一空文に帰して何にも動いていないと判断をいたしておりまするが、どうでございますか。
○道正政府委員 御指摘のように、画期的な法律が昨年成立しておるわけでございますが、現在の段階では、先ほど先生御指摘のとおり、都道府県知事あるいは市町村の段階で計画を策定の段階でございます。この法律は労働省も主管省になっておりまして、当然労働力の問題が重要な要素になります。そういう意味で、計画立案の段階におきましては、各県の労働部も参画をして立案に当たっているわけでございます。
○小林(進)分科員 具体的にそういう基本計画がもう全部でき上がっているのか、各府県に、市に、実際において進出をした工場が一体どのくらいあるのか、その具体的なことを私は聞いている。
○道正政府委員 現在都道府県段階の計画は、全部完成いたしておりません。二、三私見たのでございますが、現在のところ遺憾ながら計画立案の段階でございまして、先生が御期待のような見るべき進展は見てないというふうに考えます。
○小林(進)分科員 せっかく法律をつくったのですから、もうそろそろ計画ができているかと思ったらできてない。実際に進出した工場が、これは工場も何か促進地域というものを別につくって、そこへ工場を進出させるというふうになっているのですが、具体的に進出した工場は一体全国にどのくらいあるか。いまないなら、あとで資料を数字で示してください。 そうしておいて、私は効果ないと見ている、これは。あなたは実に画期的な法案だと言ったけれども、時代の変わりもあります、若干不景気になったこともありますが、私は軌道に乗っていないと見る。でなければ、どこの点をどう修正すればいいかという問題が次に出てこなければいけません。法律をつくった以上は、ほんとうに定着させる方向に持っていかなければならないから、そういうところを私はあなたに聞きたかったわけです。私の調査では、残念ながら法案は死んでいる、さっぱり生きてない、こういうことです。私は見ているわけですから。さもなければ、先ほどおっしゃる農業者をして労働者に転向せしめるという一つのポイントが、この点においてもつまずいたらだめじゃないですか。そういう意味で聞いているのですから、あとで資料をひとつ。 次に、やはり同じ問題ですけれども農業者の転職対策、これもいま職安でおやりになっておりますが、どんなぐあいにして一体転職者を把握していられるのか。農業者転職対策会議の内容が一体どんなぐあいになっておるか。農業者転職相談員、いま七百名ですかいらっしゃいますが、そういう人たちの人的構成、それからいまの活動の内容、それから農村人材銀行の増設、百五十か二百カ所くらいといっていますが、この人材銀行の増設、この活動状況を端的にお知らせいただきたいと思います。
○道正政府委員 これは先ほど先生御指摘ございました野原大臣のときに発足を見まして、農林担当部局あるいは農業会等と連絡をとりながら、労働省といたしましても農村の離職者対策あるいは転業者対策につとめておる次第でございます。 御指摘の点は、農業者転職相談員は、四十七年度七百名でございます。それから、安定所が農村に出向きまして、職業相談あるいは職業紹介を行なう巡回相談というのもやっております。それから人材銀行は、四十七年度百五十カ所でございます。そのほか訓練につきましても、四十七年度は二千七百名、それから転職訓練は二千九百名、それから職場適応訓練、これは御承知のように民間に委託して行なう訓練でございますが、これは四十七年度二千百八十四人、月でございます。御指摘の点はそういう状況になっております。
○小林(進)分科員 あなた私の聞いておることに答えないで、私の聞かぬことに答えておる。民間延べ二千百人、これは何も答えてくれなくていい。人のことまで言わなくていい。私は相談員の七百名の構成がどうなっておるのか、具体的な活動状況がどうなんだ。人材銀行百五十社の人的構成はどうだ、活動状況はどうだ。これは資料であとで出してください。あなたも安定局長になられて、まだじんぜん日もたたないから少しまごつくところもあるだろうけれども、せいぜい勉強していただいて、次に答弁ができるようにお願いしておきたいと思います。 次の出かせぎ労働者の賃金対策、これは前からお願いした出かせぎ労働者台帳の作成はどうなっておるか。出かせぎ労働者の手帳の発給は、いまどれくらいの数字になっておるか、事業所台帳の作成はどうなっておるか。それから今後の展望についてひとつ一これは時間もありませんから、かけ足でばっばっと答えてください。
○道正政府委員 出かせぎ労働者は、私どもは約六十万人というふうに承知いたしておりますが、そのうちの約二十数万人、これが安定所経由でございまして、これらの人たちに対して、累計で約五十四万の手帳を発給しております。 それから、出かせぎ就労地の台帳でございますが、これは約二万五千あります。若干数字のあれがあるようでございますが、後ほど正確な数字はお手元にお届けいたします。
○小林(進)分科員 出かせぎ者の手帳の発給がいま二十数万とおっしゃったけれども、それはきちっとやっておるかどうか。これはひとつあとで職安から数字を教えてください。 私の言いたいことは、いまのお話のとおり出かせぎは推定六十万、これはいつ聞いてみても推定なんです。ところがこれは農林省に聞くと、農林省はいや二十一万だとか二十三万だとか、実に労働省と農林省と出かせぎの数字に大きな差がある。そんなことでは生きた行政はできませんよ。いま言う農村の構造改善とからんでこれはたいへんな問題ですから、特に労働省はこれに力を入れてやってもらいたい。大臣、そういうことなんです。それをやるには、やはり末端の市町村とちゃんと労働、職安と手を組んで、一人の農民の出ていくときには、まずこれを職安で押える。それを今度は職業訓練局で押えるわけだ。押えたこの労働者は、職場に行って働くなら働く。手に職があるかないか、なければこれは職業訓練所に入れてやる。そして手帳をくれてやる。これが台帳です。これをまずきちっとしたものをつくってください。それで労働者が訓練を終えて、あなた方の台帳に基づく職場に行ったときに、今度は基準局がそれをとらえて、ちゃんと基準行政の中で安全に働いてもらえばいい。一人の農民が農村から出ていくときに、横の連絡、職安と職業訓練局と基準局と三者がその労働者をちゃんとマークしておいて、そしてつつがなく仕事を終えてまた村に帰るような、有機的な横の連絡がとれた生きた行政をやってくださいということを前々からお願いしておるのだけれども、これも何にもない。推定六十万、推定七十万、推定五十万という数字が毎年はね返ってくるのです。この推定をおやめくださいと私は言うのです。きちっとつかんでくださいよ、こう私は申し上げる。しかし、いまこれは農村の村役場なんかも非常に力を入れておりまするから、皆さん方がそのために若干の実費ぐらいはやっていいじゃないですか。労働大臣、末端の費用くらいは出して、出かせぎの者の数字をつかむ作業のための費用くらい労働省でちゃんと予算を請求されたらいいじゃないですか。あなたは職安局長になられたばかりだから、一年半や二年落ちついておられるだろうから、その間にこれをおやりになる勇気がありますか。
○道正政府委員 問題の所在は、先生御指摘のとおりだと思います。現在三割ないし四割程度、県によってだいぶ違いますが、安定所受け入れ率がその程度であるということは、問題の解決についていろいろ計画を考える場合に、根っこにおいてもそごをするわけでございます。つきましては、先生ただいま御指摘のような趣旨で、完全に市町村、安定所が一緒になりまして、地元において出かせぎの方々の把握をするということで、今回総額は六億でございますが、そういう地元の安全把握イコール安定所経由ということになるわけでございますが、そういう予算を計上いたしおります。したがいまして、私は、先ほどの先生の御指摘の高年齢者の問題と出かせぎの問題が、私どもに課せられた安定行政としては非常に大きな問題であるという認識を十分持っておるつもりでございまして、今後、予算も入りましたので、これを軸に、御指摘のような線で対策に取り組んでまいりたいというふうに思います。
○小林(進)分科員 六億でもそれはけっこうです。日の目を見ましたことはいいが、それをひとつ大いに活用してもらって、何でもやはり、あなたのおっしゃるように、根っこの数字をきちっとつかまなければ生きた行政というものはできるわけはないのですから、それはぜひひとつ拡大していってもらって、それであなた方の行政が非常に進んでいくと、それにつれて農村の構造改善ができてくるのですよ、形が変わってきますから。これはぜひ私はその方面からやってもらいたい。 それで職業訓練ですけれども、訓練局長、先ほども、昨年度延べ二千九百人訓練をされたということを聞いたのであります。大体、期間は三カ月から六カ月だとおっしゃる。場所は公共職業安定所の中でおやりになる。これは企業内の訓練はおやりにならないのかどうか、もっと長期なもので専門的な訓練所を設けるようなお考えがあるかないか、農村の問題だけに限って、職業訓練についてのあなたの構想をひとつ聞いておきたい。
○遠藤(政)政府委員 職業訓練につきましては、先ほど安定局長からお答え申し上げたとおりでございますが、こういった出かせぎ、あるいは離農者につきましては、農村地域工業導入促進法にも訓練施設を設備するというような条項が設けられております。私どものほうでも、こういった離農者を対象にいたしまして、建築業者でございますとか、大工とか溶接、板金、そういった、こういう人たちに向いた職業の訓練施設を増設してまいっております。そのほか、こういう出かせぎのような方々には、大蔵省、地元の農業団体あるいは市町村等と協力いたしまして、安定行政のほうで、事前の健康診断とかいろいろな指導をやっておりますが、それに合わせまして必要な方々に対しましては、簡易な訓練と申しますか短期の講習等によりまして、出かせぎ先で十分な就労ができますような体制をとってまいるような措置を講じてまいりたいと思います。
○小林(進)分科員 これで与えられた時間が来ましたから、そろそろ結論を急ぎたいと思いますが、これは局長、話が小さくなりますけれども、各町村なんかで、職人を一週間に二回とか三回とか、仕事が終わったあとで簡易な建築業の訓練学校などをやっておられるのがございますな、名称はちょっと忘れましたけれども。ああいうことに対して、講師の謝礼というのか講師料というのか、それから車賃とか足代、そういうのがどうもまだ少なくて、あれは各町村が負担をして、国からおやりになるのと町村の負担と両方で経営しておるようであります。非常に経営も困っておるようですが、あれは国の補助をいま少し上げるわけにいかないものでございますか。
○遠藤(政)政府委員 いわゆる企業内訓練でそういった方々の訓練をやっております職業訓練校、中小企業の共同で経営されております事業訓練校につきましては、そういった経費の補助を従来からも出しておりますが、先生御指摘のとおりその補助の額が僅少であるということで、年々増額に努力してまいっております。四十七年度は、いままでたしか三千六百円だったかと思いますが、それを五千二百円に上げるように措置いたしております。
○小林(進)分科員 局長さん、私の言うのは企業内じゃないですよ。町村でやっておるのですよ。町村で、こういう職人、大工だとか左官とかいうものを、これは昼間は事業所で働いているのでしょうが、夜、町の中で、町が補助金を出して、そうして講師を雇って一週間に二回か三回ずつやって、あれは二年ぐらいで卒業するのじゃないか、そういうものがあるのですが、あなたは御存じになりませんか。それが町の負担が多過ぎる、国から来る補助金が少な過ぎる、経営が困難だという問題があるのです。
○遠藤(政)政府委員 従来、そういった市町村で訓練を行なっております向きにつきましては、必ずしもそういった面での援助が十分ではございません。今後そういった向きにつきましては、先ほどの出かせぎ対策の予算等とも十分考え合わせまして、そういった措置が十分行なわれますように努力してまいりたいと思います。
○小林(進)分科員 もう時間が来ましたからこれで終わりたいと思いますが、私がいろいろ労働行政に対して持っている問題の一部をここで申し上げて、労働行政をさらに推進をしてもらいたいというお願いを兼ねて質問したわけでございますが、私は率直に言いまして、労働省は省をおやめになったらどうですかということを言うのであります。省をおやめになったらどうですか、これが結論です、大臣。これはどこかの省の局になったらどうですか。先ほども大臣、予算をお読みくださいましたけれども、ほかの省の一局にも足らざるような予算の規模でもありまするし、労働省が初めてできたのが昭和二十二年、自来二十五年の歳月が経過いたしております。そしてその当時の労働者に比較して、いまはもう五千万に近い就労者がふえている。当時の労働者を見たときに、この労働省が扱わなければならぬ労働者は五倍にもふえている。四倍と言っていいかもしれませんが、ちょっと大きく言います。五倍にもふえている。にもかかわらず、労働省の機構というものは一つも大きくなっていかない。先ほど労働基準監督官について言われたように、いま申し上げたようにこれも国会でやかましく言って、監督官がようやくわずかにふえてきたという状態です。わが国の主たる国家財政の中心は、勤労者が払うその勤労所得によって国が養われておる。そうしてこの世界第二番目の富は、働いている労働者がつくり上げた。しかし、その労働者を保護し、これを守り、これを養って、大切にしてあげなければならぬ、この唯一の心のよりどころである労働省の機構というのは、ちっとも大きくなってもいかなければ、本気になって労働者を守ろうという体制ができ上がっていないじゃないか。私は、扱う労働者の数が国民の中で一番多いのなら、労働省なんというものは各省の中で第一級の省にならなくてはならぬと思っている。その意味においては農林省なんかは三等省に下げてよろしい。人員が多過ぎる。整理しなさい。反面労働省なんというものは大きく人員も増加して、本気になって考えていかなくてはならない。その規模、構想が一つもそれに適合するような形にできていない。残念しごくにたえない。幸いにして尊敬すべき塚原労働大臣をお迎えしたのでありますから、この際ひとつ塚原労働大臣の手腕に期待いたしまして、ほんとうに労働者の要望にこたえるような力のある労働省を再建していただくことを心から御希望申し上げまして、小林進の質問を終わることにいたします。
○植木主査 次は細谷治嘉君。
○細谷分科員 短時間でございますので、二、三の点について、きわめて具体的な点をお尋ねしたいと思います。 最初にお尋ねいたしたい点は、石炭の離職者に対する緊急就労事業でございます。緊就事業については年々ワクが減らされてまいりまして、予算措置でこの事業が行なわれているわけでありまして、四十八年度で一応終わる、こういうことになっております。 そこでお尋ねしたい点は、たとえば産炭地域の振興事業というのは、昨年の国会で十年間延長をいたしました。今度の国会では、鉱害復旧事業に関する法律も同じく十年間延長される予定であります。石炭は、山は依然として閉山が続いておる、こういう状況であります。そこで、四十八年度以降はどうなさるのか、これは重要な労働省としての方針でもありますから、ひとつお答えをいただきたいと思います。
○塚原国務大臣 四十九年以降も続けるかどうかという点だと思いますが、私も常磐炭田の出身者でありますから、この問題については非常に関心を持っております。 産炭地における現在の失業状態その他を見ましてこれは結論を出すべきであると思いまして、四十九年以降これを続けるとか続けないという言明は、今日の段階ではちょっとできません。しかし重大関心を持っておりまして、この問題はそういう方向で取り組んでいかなければならないというふうに私は考えております。
○細谷分科員 大臣の前向きであるかのような御答弁を承ったのでありますけれども、事実は、離職者の状況というのは基本的には変わっていない、しかも閉山も続いておるという状況で、新しい職場の造成ということもなかなか進んでおらぬ。こういうことでありますから、私はやはり、四十八年度以降も関連の法律というのは御承知のように十年延長されておるわけでありますから、当然それに即応して四十九年度以降も続けらるべきものである、こう思います。同時に、これはかつて法律に基づいての予算措置という形でやられてまいったわけですけれども、現在では単に予算措置だけ、こういう形でやられてきております。この点は石炭対策特別委員会等でもかつていろいろ議論されたことでありますけれども、やはりこの種のものは法律措置——いまこの部分は死んでおりますけれども、そういうものを生かした上で予算措置をやって、きちんとして四十九年度以降も続けらるべきであると思うのであります。 いま大臣、なかなかきちんとしたおことばをいただけなかったのですが、事務当局としてはどういうお考えなのか、この点についてお答えいただきたい。
○道正政府委員 大臣から御答弁がありましたとおりかと思いますが、先生御指摘のように関連の計画が延長になって、そのうらはらの関係にある離職者対策でもございますので、事務的には先生ただいま御指摘の趣旨を十分承りつつ、関係各省と折衝をしたいというように思っております。
○細谷分科員 安定局長のことばを聞きますと事務的に折衝するということだけで、大臣、これはやはりやらなければいかぬ現状、実情にあるわけですよ。ここでぴしゃっと言えないかもしれませんけれども、四十九年度以降もやらざるを得ないものでありますから、やはりやる以上は法律的な裏づけをもって予算措置されて運営するのがよろしいのではないかと思います。もう一言、もう少しはっきりしたお答えをいただきたいと思います。
○塚原国務大臣 山の状況は刻々に変かっています。今度も三千万トン云々という要望があるけれども、現実問題としては二千万トンがどうかというように、山の状況というのは急激に変化すると私は思うのです。ですから先ほど答弁いたしましたように、そういった推移を見守ってやりたいと、私はきわめて前向きの答弁をいたしたつもりでありますが、そじれゃ四十九年度以降はっきりやるといま言うことは、これはまた事務的な答弁と言われるかもしれぬが、やはり通産省あたりとも相談しながら、あなたの御意見を十分わきまえてこの問題に取り組んでいきたい、これで御了解いただけると思います。
○細谷分科員 ぜひひとつ、私が申し上げたような形で、適正なワクを堅持しつつ四十九年度以降も進めていただきたいということを、重ねて要望しておきたいと思います。 その次にお尋ねいたしたい点は、労働省でいろいろな事業をしておりますが、たとえばいまの緊急就労事業あるいは開発就労事業、それから特定地域の就労事業、それから従来からやっております緊急失対法に基づく失業対策事業、こういうものがあるわけです。きわめて平面的に言いますと、これは緊急失対法に基づく失業対策ということが重点でやられておる、緊就事業というのは石炭離職者を重点にしてやられていっておる、それよりもやや公共事業的な性格を持って生まれたのが開就事業といわれる事業であろう、それに最近特定地域の就労事業というのが関連して出てきておる、そういう性格であろうと思うのでありますけれども、この点に関連して、公共事業というのはどうしても、ことしのような異常なときは別として、普通三月末までに予算が成立いたしましても、それから設計をする、認証を受ける、そして事業をやりますから、どうしても年度の後半に事業のピークが来るということであります。そういうものとの関連において、この辺は失業対策という性格を持っておりますから、できるならばこの種のものは、その公共事業の山がこない段階において事業計画が具体的に推進されておらなければならぬと思うのであります。けれども、この比較的公共事業的な性格を持って生まれました開発就労事業の現状というものを見ますと、たとえば四十六年度の就労者の月別の推移増減等を見ますと、四十六年度は十二月に就労者のマキシマムが来ているわけですね。四十五年度は十一月にマキシマムが来ておるわけです。そして四月なり五月というのは、特に四月あたりでありますと、この最高のところの何分の一、たとえば四十六年を例にとりますと、五分の一程度の就労しかない。でありますから、年度の初めからずっといって、公共事業と同じような傾向の推移を見ながら終わっておる、こういうことでありますから、就労者にとっても問題でありますし、就労計画としては望ましい推移ではないのじゃないか、こう思うのであります。でありますから、私は公共事業の一番底になったところをこれは埋めていく、こういう形で計画をつくらなければならぬと思うのでありますけれども、私が申し上げたような実態になっているのか、実態になっているとするならば、どう今後対処しようとしておるのか、この点をお尋ねしたいと思います。
○桑原政府委員 産炭地域開発事業、御指摘のように、失業者の吸収と産炭地域の開発をいたしております。したがいまして、事業の実施につきましては、公共事業と合わせながら、特に端境期にこの事業を実施して、そして平均した年間の就労を確保していこうというのがこの事業の性格であろうと思います。ただし、先生御指摘のように、この二年間の経緯を見ますと、四月とか、翌年の三月あたりに確かに下位になっております。この原因はいろいろありますけれども、私どもは早期着工その他で努力をいたしておりますが、いろいろ用地の買収がむずかしいとかというような事情がございます。そういう面はもちろんありますけれども、第一にやはり早期着工ということで、できるだけ四月から平均した事業量が確保されるようにすることがまず大事であろうと思いまして、特に四十七年度におきましては、大体いつもの年は三月中旬ぐらいに設計審査を完了するかっこうでおりますけれども、四十七年度においては二月の末までに終えまして、現実に地方にさっそく事業の実施をするように指導いたしております。用地の問題その他また別の問題はございますけれども、そういったことを四十七年度においては早急に実施をいたして、少しでも早く四月から平均した事業量がこなせるようにということで現在せっかく努力いたしておる、こういうことであります。
○細谷分科員 この事業は四十四年度から始まったのですね。事実上は七月くらいからぽつぽつ仕事が始まっているわけです。ですから、これは初めてでありますから、二、三カ月の準備期間というものがかかって、四十四年度は、最高は二月になっているわけですね、私の調べでは。これは特例です。初めてこの四月が来たわけですけれども、しかし四十五年、四十六年というのは一応軌道に乗ってきている。ですから、いわゆる就労事業というところにウエートがあるわけなので、公共事業的な性格を持った就労事業、こういうことになってまいりますと、私が調査いたしたような傾向があるとするならば、これはやはり是正をしていただく、四十五年度、四十六年度と見ていきますと、やはり同じような傾向がたどられておりますから、ぜひひとつこれは改めるように努力していただきたい。ことしは一カ月間の暫定予算、こういうようなことで、やりにくい点は多々あると思うのでありますけれども、とにかく就労という限りにおいては十二カ月間大体フラットでいくのが一番いいわけでありますから、公共事業との関連等にらみ合わして事務的にやっていけば、理想に近く進めることができると思います。この点はひとつ特段の配慮をお願いいたしたいと思うのでございます。 その次の点は、これらの人の賃金がどういうふうにきめられるのか、いまも申し上げた開就事業等は、これは請負に出しますから、請負と労使という形できめられる原則になるわけでありますけれども、緊急失対法に基づくいわゆる失業対策事業、こういうような賃金にはいろいろな段階、格差があるわけでありますけれども、どのようにきめられておるのか、そして四十七年度はいつごろ決定を見るのか、やがてもう四月一日なんですね、その辺のことをひとつお聞かせいただきたいと思います。
○桑原政府委員 失対事業の就労者の賃金の決定につきましては、緊急失業対策法によりまして、原則は書いてあるわけであります。民間の類似の作業に従事している労働者の賃金を考慮してきめる、こういうふうになっております。したがいまして、具体的には屋外労働者の職種賃金の調査結果をもとにいたしまして、地域別にそれを十分勘案してきめるわけであります。その場合に、日雇い労働者の通勤、定額制の賃金をとらえまして、そしてきめてまいるわけでございます。したがいまして、地域的な、そういう民間賃金の格差を反映いたしまして、失対事業賃金も地域的に格差ができてまいっておるわけでございます。 それから失対賃金は、法律にもございますけれども、失対事業賃金審議会の意見を聞いて大臣がきめるということになっておりますが、四月一日実施でございますので、例年三月下旬、大体二十七、八日ころにきめております。ただし地方の実態等から見て、もう少し早くきめてほしいというようなこともございますので、いろいろきょうあたりも検討いたしておりますけれども、一両日中には決定をいたしたい、こういうふうに考えております。
○細谷分科員 一両日中、今月一ぱいにはきめられる、むろんそれは法律に書いてある原則に基づいて、審議会の意向を聞いて決定されるわけでありますが、その点について、二、三ひとつお尋ねをいたしたいと思うのであります。 私が調査いたした点によりますと、大体各都道府県単位という形で、そしてその都道府県単位に、この地域は一級地である、この地域は二級地である、この地域は三級地である、この地域は四級地である、こういう形で級地というのがきまっておる。それからさらに、いまおっしゃった賃金決定の原則に基づいていろいろな都道府県ごとに賃金ランクというものが当然あると思うのですね。でありますから、ランクの数かける級地の数という、非常に複雑なかっこうになっておるわけですね。そこで私は、その決定されました四十六年度なり四十五年度の状況を見てみますと、そういう複雑なだけに、たしかランクが十四ぐらいあると聞いております。それに級地が主たるところで大体、四つというのは珍しいけれども三つあるとしますと、三、四、十二ですから四十二種類ぐらいのかっこうになってくるわけですから、複雑なことはわかりますけれども、その複雑な内容をしさいに検討してみますと、どうも頭をかしげる点があります。たとえばA県、これは県の名前は特に申し上げません。A県の一級地が日額千百三十一円ですね。B県の一級地が千百三十一円であります。これは同じですよ。ところがそのA県の二級地は千四十一円であります。B県の二級地は千九十六円であります。でありますから、差が日額で五十五円あります。それからA県の三級地は千二十一円であります。B県の三級地は千七十六円でありますから、これも五十五円の差がございます。四十二の区別があるわけでありますから、そのA県とB県の一級地が同じであっても、二級地、三級地は同じでなくちゃならぬという理屈はありませんけれども、このA県とB県の賃金決定を見ますと、一級地が同じなのに二級地、三級地が今度は同じように五十五円開いているのもこれはおかしな話じゃないか、こう思うのですよ。拾ってみますといろいろありますけれども、これもおかしな話だ。四十二ぐらいの組み合わせを拾っていった場合にも、とてもじゃないがこれを客観的に納得させ得ないのじゃないか、こう思います。 もう一つ指摘いたしますと、東京というのが一番高いことは事実でありますけれども、かりに指定市というのは、今度四月にはふえるわけでございますけれども、現在の指定市といいますと神奈川、京都、大阪、神戸というのが指定市であります。その指定市をちょっと見ていきますと、東京は一級地が千二百三十一円、神奈川が千二百三十一円、それから京都も千二百三十一円、大阪も千二百三十一円、兵庫も千二百三十一円、そうですね。もう一カ所福岡県に指定市があるわけですが、そこが一体どうなっているかというと、千百三十一円でありますから、百円違うわけですね。その違う根拠はあるかもしれませんけれども、しかし一級地の場合でありますと、同じ指定市でありながら日額として百円。しかも具体的にずっと拾っていきますと、東京が一番高いだろうということはわかりますけれども、全部ほかのところは同じでここだけぽつんと百円下がっているというのもこれはちょっとおかしいんじゃないか。それぞれのランクが、何か生計費とかあるいは民間産業の賃金とかあるいは地域の失業者の賃金とか、いろいろなものを比べていろいろな要素から出たんだというならば、ほかのところもずっと違っていかなければいかぬ、幾つかの差がなければいかぬのですけれども、ここだけ一つ落ちている。しかも百円の差がある。これもとても客観的に納得できないのではないか、こう私は思うのであります。この辺は一体どうなっているのか、これをお尋ねしておきたいと思います。
○桑原政府委員 御質問二つあるわけでございますけれども、第一点は、一級地については同じだけれども、二級地、三級地のところで格差があるのはおかしいではないか、こういうことでございます。結局、先ほど申し上げましたように、賃金原則が民間の類似の労働者の賃金の結果できまるわけでございまして、それも労働市場地域ごとに見てまいるわけであります。したがって同じ県単位で見まして、高いところが同じであってもその県を労働市場地域に分けてまいりますと、そこの経済活動の水準の違い、雇用失業情勢のいい悪い、それが結局労務の需給のよしあしに影響してまいりまして、賃金の結果がやはりそのとおりに出てまいるわけであります。したがって、その原則に従って展開してまいりますと、一級地が同じであっても同じ県の中で二級地、三級地が他の県と違うということがどうしても出てまいるわけであります。それは結局民間の同種の労働者と均衡をとってきめていくということで、そういった原則に基づきますと、当然そうなるわけでございます。 それからもう一つは、政令指定都市と申しますか、そういうものの中に、北九州等が同じような額ではないではないかという問題も、先ほどの第一点のお答えと全く同じことからくることでございます。ただ先生御指摘の問題につきましては、事業主体あるいは就労者の方々、また賃金審議会の先生の御意見の中にも、労働市場地域の中でその辺の格差があまり大きいのはやはり問題があるのではないかという御指摘が盛んに最近出てまいっております。したがって同一県内における賃金格差を、今後そのデータを十分分析しながら縮めていくこと、あるいは同一県内だけではございませんで、全国の中における地域の格差も、十分その辺を検討して、できるだけ矛盾のないようにしろという御意見が非常に強く出てまいっておりますので、そういうものを勘案しながら、四十七年度の賃金の決定にあたっては考慮してまいりたいと思っております。
○細谷分科員 私も、六つのうち五つが同じで一つだけ違うというその根拠は一体何にあるか、こういうことでそれぞれの県の県民所得というのをずっと当たってみたわけです。それから常用労働者の平均現金給与額というものもずっと調べてみました。家計消費支出というものも、いろいろな統計を私はずっと拾ってみたのですが、そうなってくると、四十二のランクがあるわけですから、五つ同じで一つ違う、こういうことにはならないわけですね。たとえば東京が一つのランクだ。その次になるとそれが六つとか七つとか言わぬにしても、幾つかのランクに分かれているなら、それはもう裏づけとして合理性がありますけれども、どうもそうならないわけですよ。その辺にアンバランスがあるのではないか。 それからもう一つ、たとえばA県のほうはその二級地と三級地というのが、たとえば産炭地等だ、こういうことで失業も多い。それからBのほうは太平洋ベルト地帯であまり失業者がない。ですからたまたまその太平洋ベルト地帯にある二級地というのできまったんで、産炭地等にあるA県のそれはやっぱり低く出るのはあたりまえだ、こういうのならば、れっきとした基礎を出してもらわなければ、これは何人も納得できないと思う。しかし私はそれを要求しているのではない。全体として見てみた場合に、やはりどうしてもアンバランスがぬぐえない、そういう結論はぬぐえないと思うのですよ。ですからこういうようなバランスは、近く決定されるそうでありますけれども、まだ決定を見ていないわけでありますから……。私はしさいに検討しましたら、労働省がその是正に幾らかずつ毎年努力しておるという点は認めるのですよ。たとえば四十六年度の決定、四十五年度の決定、四十四年度の決定ということになりますと、そういう格差のあるのを低いほうをアップ率を少し上げてだんだんそれを是正していこうという証拠は数字の中から認めることができるわけですけれども、それにしても四十六年度の実績を見ますとやはりかなりの具体的なアンバランスがあるということは疑いないと思うのですよ。そういう結論なんです、大臣。ですから、これは直していただかなければならぬということと、もう一つは四十二もランクを置くということは、これは客観的に何人も納得できるような根拠というのはなかなか見出し得ないと思うのです。しかも問題は就労事業という本質であるだけに、ひとつこれをもっと圧縮してランクを減らしていくべきではないか、こう私は思うであります。この点についてひとつ大臣からお伺いしておきたいと思います。
○塚原国務大臣 御指摘の地域格差の縮小については、各方面から強い要望があるということも私はよく承知いたしております。こういうのをきめるのについて、失業対策事業賃金審議会というのがありまして、その御意見も聞いておりますが、前申し上げたような御要望も強いので、縮小については十分努力いたします。
○細谷分科員 ひとつぜひ大臣のおことばどおり具体的にやっていただきたい。 もう一つこれに関連して、いまのはマクロの話ですけれども、これはミクロといってはなんですけれども、今度はそれぞれの地域で賃金の日額をきめる場合に、作業能率がどうだ、作業の種類がどうだということで、これも十五種類あるわけですね。これもなかなか決定がむずかしいと私は思うのですよ。ですから、これは現実妥当な線を守りつつ、これもやはり圧縮していくのが就労事業という性格からいってよろしいのではないか、こう思います。この点も大臣が基本的にお答えしたのですから異議ないと思うのですが、いかがですか。
○桑原政府委員 最近、失対事業に働いている就労者の方もだいぶ高齢になられまして、労働の質というものが均質化してまいりましたので、現在の十五段階、すなわち作業区分が五、応能が三区分になっておりますけれども、しかしそれは実態に合ってきていないのではないかということで、少し表を簡略、合理化をしていきたいというふうに考えております。
○細谷分科員 これもひとつ、四十二段階そして個々の日額をきめるのが十五段階なんというのは、これはちょっと問題がありますから、それはやはり大臣の基本姿勢に基づいて圧縮、合理化していただきたいということを申し上げておきたいと思います。 最後に、これはお願いですけれども、どこの自治体も困っておりますのは、賃金のほかに事務費なり質材費が非常に不足して、ここで非常に大きな一般財源の継ぎ足し問題、いわゆる広義の意味における超過負担というのが起こっております。見てみますと、四十七年度は事務費については、物価が政府の案では五・三%上がるというのに、事務費は三・二%ぐらいしか伸びてない。資材費はやはり五%くらいしか伸びてないわけですよ。これは大蔵省がしぶちんで押えられたのをそのまま非現実的な形で労働省がのんだとしかどうも考えられないわけですね。どうも現状に合わないんじゃないか、こう思います。でありますから、この事務費、資材費についてはやっておる各自治体はたいへん苦労して、財政硬直化の非常に大きな原因になっているわけですから、ひとつこの点については積極的に取り組んで是正していただきたい、こう思うのでありますが、ひとつ大臣の所見をお伺いして、私の質問を終わっておきたいと思います。
○塚原国務大臣 いま数字を拝聴いたしまして、確かに硬直化の原因になると思います。ですから御趣旨に沿って努力いたします。
○細谷分科員 終わります。
○植木主査 次は中村重光君。
○中村(重)分科員 大臣に……。最近大臣も御承知のとおり、公共企業体等でマル生運動というのがたいへん物議をかもして問題化しております。国鉄等はその責任者が処分をされるといったような事態にまで発展をしたわけです。全逓マル生、これも私どもの党のほうでは調査をいたしました。具体的な不当労働行為という問題が実は出てまいっております。 私も先般税関版マル生ともいわれるような不当労働行為の問題について調査をしてみたのです。一昨日でしたか、予算委員会の大蔵省所管の分科会で水田大蔵大臣また担当局長にその事実を指摘をしてまいりました。時間の関係もありますから詳しくは申し上げませんが、二つの組合があるわけです。第一組合、税関の場合は全税関労働組合、長崎では長崎支部、こういう。それから第二組合で長崎税関労組というのができておる。昇格、昇任あるいは配転といったようなことから官側の圧力も加わって第二組合はどんどんふえている。第一組合は減っていく一方である。片や第二組合三百名に対して全税関労働組合長崎支部はわずかに八名ということになっているのですね。その組合事務所は、第一組合のほうに官側の書類箱等を持ち込んでそして組合の会議等の中に絶えず出入をするといったようなこと。一方第二組合のほうは女子更衣室という看板だけは掲げていかにも兼用みたいなことにしているのだけれども、実際そうでなくて、更衣室というのはほかにある。そうした事実を私は調査いたしましたところ、問題の指摘に対してそれを認めて、後日その書類箱は持ち出すということになった。それがほかにもあったと見えまして、北海道あるいは鹿児島で同じように第一組合の事務所から書類箱を持ち出すということで一応その問題は解決をした。それから官側の主催するいろいろな行事に対して第一組合のほうはそれを呼ばない。第二組合だけを呼ぶ。それから職場の中の組合活動、まあ第二組合のほうは大目に見る。第一組合は非常にきびしい処分。賃金カット等が行なわれる。実にでたらめなやり方が行なわれて、昇格、昇任の問題を申し上げると実に目に余るものがあります。それに対しまして一昨日の大蔵省所管の分科会では担当局長もその事実をある程度認めて、そこで今後はそういうことをやらせないようにしたい。それから水田大蔵大臣も非常に謙虚な態度で、いろいろ職場で問題があるということは好ましいことではない、十分調査をしてそういうことをなくするようにしなければいかぬという意味の御答弁が実はありました。私は労働大臣に、この際具体的な事実はあがり責任者の処分等が現実にあらわれてきているわけですから、この際やはり労働大臣が注意を喚起される必要があるのではないかというように思うのですが、大臣いかがでございますか。
○塚原国務大臣 国鉄それから全逓、いままた税関のお話、実は事務当局からもそのことをおぼろげながら私は聞いておりまして、いま事実がわりとはっきりしたわけであります。大蔵関係の予算分科会で中村委員御質問になったそうでありますが、われわれの立場からいえば労使間というものは協調精神をもって臨むべきだ。不当労働行為というものはあってはなりません。しかしこの問題は、労働省の所管からやや離れていわゆる公務員の問題でありまするから、しかし、だからといって責任を回避するわけでございません。重大な関心を持っておりまするが、直接これに対してどうこうという、命令というか指令というか勧告というか、そのことは労働大臣としてはいかがかと思いますが、国務大臣という立場で関係大臣ともよく御相談いたしまして万全を期したい、直接ストレートにここで勧告をするということはいまいかがかと思います。
○中村(重)分科員 それがその中に労働省所管の関係のものも出てくるんですね。たとえばこの国鉄で新規採用の職員研修というものが行なわれて、この表を実は私持っておるのですが、「基礎科研修生日課予定表」というのがある。朝六時四十五分に起床をして、二十二時三十分就寝、消灯、就寝時まで自由時間が全くない。それから日曜日は七時三十分に起床して、そしてその間当分の間指導官による集団行動をとる。ところが自由時間がないものですから、一切指導官が集団でもって、デパートに行くにしてもあるいは映画館に行くにしても引率をして、そして点呼をするとかということをやって、日曜日も自由時間というのがこういう形でないんですね。これは当初、初めだけやったんだ、こう言ったのですけれども、実際は九カ月間のかん詰めの研修の中でずっと行なわれてきた。これはもう明らかに労働省に関係を持ちますところの給与法の超勤手当とか不当拘束という問題等にもなる。これは直接的には第一組合と第三組合の関係というものにはつながってはこないのですけれども、ところがそれがやはり関連してくることがある。こういった新規採用の職員の保証人等は本人が選ぶんじゃないのです。官側が一方的にきめてしまうのですね。地域別あるいは学校別等に保証人をきめて、君の保証人にはこの人だという紹介だけ、そしてその保証人が第一組合の全税関の組合等に入りますとこれに干渉する、そういうやり方等が実は行なわれてきているのです。ですから、第一組合、第二組合等が直接労働省との関係がないんだというようにはならない。いろんな面において労働大臣として重大な関心を持ってこれに対処される必要があるだろう。注意を喚起されるぐらいの少なくとも塚原労働大臣の姿勢というものが、労働行政というものを常にうまくやっていくためには、あってしかるべきだと思う。労使関係がいまのような状態では不信感が起こりまして、理想的な職場なんというものはでき上がってこないと思うわけですけれども、私は、労働大臣としてあるいは国務大臣という立場からもこの点は十分にひとつ関心を持って対処していただきたいと思う。もう一度ひとつ……。
○塚原国務大臣 いまのは国鉄とおっしゃったが税関ですね。(中村(重)分科員「税関です」と呼ぶ)けさの新聞にも詳しく出ておりましたので拝見いたしましたけれども、先ほども申しておりますように国家公務員の問題でありますので、労働省としてストレートにということはやりづらいというかやれないということは先ほど申し上げたとおりです。しかし、不当労働行為というようなことについてはわれわれも重大な関心を持たなければなりませんし、経営者側と組合側との一体的な行動というものが望まれることでありますので、これは大蔵省また総理府、人事院、こういったところとも十分私なりの御注意を申し上げて大過なきを期していきたい、このように考えております。
○中村(重)分科員 産炭地の閉山炭鉱の問題で私から申し上げて、時間的な関係もあり、また御報告はわかっていますから、考え方のみをただしてみたいと思うのです。 長崎県の西彼杵郡伊王島炭鉱というのが実は最近閉山になります。そして九百七十名の鉱員、直接山が雇用している労働者がいるわけです。その他事務関係等で千二百人、それに下請の労働者というのが実はいるわけです。まだ半分くらいしか実は就職がきまってないのです。ですからこれに対しては、中高年労働者もいることですからたいへんである。特に身体障害者の離職者が二十九名、この前、三十名のとうとい生命を奪われるという悲惨な事故があったわけですが、その未亡人が実は十九名、山で働いているのですが、こういった方々、それから中高年齢労働者で就職しにくい方が百五十名くらいいるわけです。それらの方々の就職あっせんというのは特に熱意を持って対処してもらわなければならない、こう思います。炭鉱並びに県当局からも報告があってのことだと思いますので、労働省としましてはこれの就職あっせんにどのようなかまえでお取り組みになるつもりなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○桑原政府委員 先生御指摘のように、三月三十日をもちまして伊王島の鉱業所が閉山になります。千五百四十五人、下請の方も含めますとそういう数であります。それでさっそく三月七日から十一日にかけまして職業相談をやりましていろいろ御希望を聞きまして、県外求人四千四百人、県内求人三百人程度持ってまいりまして職業相談、職業紹介をやっておるわけであります。 先生のお話のように全部まだ済んでいるわけでないわけでございますので、結局この対策といたしましては、炭鉱離職者臨時措置法によって三年間手帳をお渡しして、その間手当を差し上げて、職業指導、職業訓練、特に訓練を中心にした援護措置を講じながら就職促進につとめたいと思っております。特に御指摘の身体障害者、未亡人、ことに中高年の高年の方についてはなかなか就職がむずかしい点はあろうと思います。特に私ども職業安定機関としても、この身体障害者、未亡人等のむずかしい方にいろいろ就職あっせんの経験を持っております。たとえば社会福祉施設関係に未亡人の方を就職あっせんさせることもたくさんございますし、それから中高年齢の方についても中高年の雇用率等も設定いたしておりますから、適当な職種につきましてはできるだけ強力な就職あっせんをしてまいりたい。こういった御指摘の非常にむずかしい方を中心に置いて職業紹介、雇用促進という措置をとってまいりたいというぐあいに考えております。
○中村(重)分科員 誠意をもって対処していただきたいということを要望いたしておきたいと思うのです。 次に、ドルショック以降の労働者の動向なんですが、供給県であったようなところへ、県外に就職しておりました労働者が実は失職をいたしましたりまたは一時帰休ということで帰ってくる人たちが非常に増加をしておるようなんですが、この点に対してどういう現象があらわれてくるかといいますと、低賃金に実は拍車をかけるというような現象があらわれているわけです。これらの点に対して職安行政という見地からどのように対処していこうとお考えになっていらっしゃるか、伺ってみたいと思うのです。
○道正政府委員 御指摘のように、いわゆるドルショックによりまして雇用失業情勢、非常に微妙な影響を受けております。私ども状況の推移、時々刻々といってもいいくらい情報の収集、実情の把握等につとめておるつもりであります。側の対処のしかたにやり方がいろいろございますが、御指摘のように一時帰休を実施している企業も見られます。これは日本の雇用慣行が御承知のように終身雇用制でございますので、欧米諸国のように、いわゆるレイオフで簡単に解雇をするという慣行がございませんので、そういう日本の雇用慣行に基づく日本的な一時帰休制度だと思いますが、この場合は身分は企業にまだ残っておりまして、特定の日に全員帰休さしたり、あるいは一部の従業員を一定期間帰休させるというようないろいろな形態がございますが、いずれにいたしましてもまだ身分関係は企業に残っておりまして、その間の給与はおおむね八〇%程度支給している例が大部分のようでございます。そういうことで、その間労使の間でいろいろ折衝等が重ねられておるわけでございますが、労使の話し合いがつきまして、一時帰休期間中にでも転職することを希望する者があれば転職させようというようなケースにつきましては、われわれといたしましても職業指導、職業訓練等を実施いたしまして、転職のごあっせんをするということで臨んでおります。
○中村(重)分科員 一時帰休の問題につきましては、いまお答えのとおりだと思うわけですが、私が冒頭申し上げましたように、供給県であった。それが今度はどんどんそこへ帰ってくるということになりますと、いま言う低賃金に拍車をかける。労働行政というような点からこれは重視してもらわなければならないと思うのですが、特に私は国務大臣としての塚原労働大臣に十分関心を持っていただきたいと思いますことは、ドル・ショックの影響というものが今後どうなっていくのか、円切り上げというものがどうして起こったのか、円の再切り上げというような懸念もなきにしもあらず。いままでの日本の経済というものがGNP中心主義、輸出中心主義ということであった。それが貿易収支の面において黒字になって、ドルがどんどんたまってくる。日本の円は強いというので円切り上げということになってまいりました。ところが輸出を減らし輸入をふやしていくということになってこなければ、やはりドルはたまってくる一方である。輸入をふやしていくためには、どうしても国民消費というものをやふしていかなければならない。ところが、四十七年度予算の編成、経済の見通しを見ましても、一三・八%の消費の伸びを一応見積もっているようですが、前年四十六年度は二三・五%、ほとんど横ばいの状態である。これらのこと等を考えてみますと、もっと国民消費を伸ばしていくということが不可欠の要因であろう。そのためにはどうしても労働者と賃金といったようなもの、低所得者の収入をふやしていく、そして購買力を強めていくということが非常に大切であるというように実は考えます。それらのこと等を考えてみますと、ドル・ショックによって失業者がふえるとか低賃金に拍車をかけるというような事態は、何としても回避していかなければならないのではないか。それらの点等もありますので、政治家として塚原労働大臣も、この点は重大な関心をもって労働行政に当たっていただかなければならないのではないか、私はかように思うわけですが、いかがでございましょうか。
○塚原国務大臣 商工委員会のベテランである中村委員の御高説を拝聴いたしまして、確かにドル・ショックがニクソンのトリプルパンチのうち一番国民が不安に思い、また景気浮揚にも関心を持った昨年秋から今日にかけまして、沖繩国会という短期間の間にも、大型補正を御審議願い、これが通過いたしましたのも、やはり不安を解消し、そして景気浮揚をはかるための措置であったことは、これは言うまでもありません。今年度のただいま御審議を願っておる予算につきましても、やはり景気浮揚ということで何らかの景気の回復をすみやかにもたらさなければならない。これがいつになるか、大蔵省や経済企画庁の考え方でしょうが、できれば下半期という気持ちを持っておりました。しかし現実の情勢は、暫定予算一カ月という御審議を近く願うことになると思いますが、そうなりますと、若干おくれも出てくるのではないか。そこにいま御指摘になったような一時帰休あるいは消費者の購買力を高めるための措置がとられないような面も出てくることは、労働大臣としてまことに重大な関心を払わなければならないわけであります。 しかし、いずれにいたしましても政府として——国務大臣としてというおことばがありましたが、政府としてはすみやかに景気の浮揚をはかる、できれば下半期には景気回復ということによって、またわれわれ労働関係におきましても購買力の増大、それから一時帰休というようなものをすみやかになくすること、私の郷里においても、日立でありますので、いろいろなそういう問題を目の前に見ておりますだけに、先生御指摘のようなことを頭に置きながら今後とも取り組んでいきたい、このように思っております。
○中村(重)分科員 先ほど細谷分科員からも触れられておりましたが、現在の失対事業のあり方ということについて御見解をひとつ伺っておきたいと思います。 先ほどお答えの中にも出ておりましたが、現在の失対事業のあり方というものは、他の職場に就業できない人たらの職場保障と申しましょうか、実は社会保障的な性格を持ってきているのではなかろうか。しかも、そうした職場に変貌してまいりました失対事業をなくしようというような基本的な考え方がおありのようであります。ところが私がただいま指摘をいたしましたように、ドル・ショックによって新しい失業者が出てきた。この現象の中においては、真の意味の失対事業というものはどうあるべきか、どうあらねばならないのかということは、職安行政の面におきましても、労働行政全般の面におきましても重要な課題であろう、このように考えるわけでございますが、この点に対しての見解を伺ってみたいと思います。
○道正政府委員 ドル・ショックによりまして雇用に非常に影響が出てくることは御指摘のとおりでございますが、その対策といたしましては、国際経済調整特別措置法による措置でございますとか、あるいは繊維関係の離職者に対する特別の措置であるとか、あるいは先般成立いたしました中高年齢者の雇用促進による措置であるとかいうことによって対処してまいりたいと考えております。昨年の中高年齢者雇用促進法の成立に伴いまして、従来のいわゆる失対事業は、現在失対に就労している方々だけに限って適用していくというふうになったことは御承知のとおりでございまして、ドル・ショック等によって生じてまいります離職者等に対しましては、失対事業以外の措置によりまして対処してまいりたいと考えております。
○中村(重)分科員 私の質問に十分お答えいただいていないわけでございますけれども、限られた時間であります。議論する余裕がございません。いま私は単に現在の失対事業だけを申し上げたのではなくて、確かに変貌してきている、政府はこれをやめさせていこうとする考え方がある。しかし、ドル・ショックによって新しい失業者が出ることは避けられない。してみると、いままでの失対事業というものに対する考え方を変えていかなければならないのではないか、真の意味の失対事業はどうあらねばならないのか、どう対処していこうとしておられるのか、そのことを伺いたかったわけでありますが、いずれまた適当な機会にお伺いをしたいと思います。 次に、失業保険の受給制限の問題について伺ってみたいと思いますが、現在の失業保険の受給の中で、強制職場あっせんという形でもって、結果的には失業保険の支給を規制しておるというように感じられる面が多々あるわけでありますが、私は、これは決して好ましいことではない、これは避けなければならないことであると思うのでありますが、失業保険のこの受給の問題に対しましてどのようにお考えになっていらっしゃるか。私の指摘が当たらないというようにお考えでございましょうか。
○道正政府委員 失業保険の支給をめぐりまして、安定所の窓口におきまして間々問題が起きていることは御指摘のとおりでございまして、全くないというように申し上げるつもりはございません。ただ、安定所の窓口では、結局失業保険でございますから、再就職をするほんとうの労働の意思と能力があるかどうかということをまず判断の上で、保険金を支給するというのが法律のたてまえになっております。これは専門家の先生御承知のとおりでございます。その労働の意思と能力があるかないかという判断をめぐりまして、安定所の職員と失業保険を受給したいということでお見えになる受給者との間でトラブルが起きるわけでございます。しかしながら、かりに失業保険の支給ができないという場合にありましても、御本人によく説得をいたしまして、法律がこうなっておって、いままで聞いた範囲ではこういうことでその支給ができないんだということで、御本人に納得していただくような努力はしなければいかぬというように思います。そういう点につきまして、一万六千人の数多い職員でございますので、中に私どもの指導が徹底しないというものもあろうかと思いますが、これはいままでもやっていることでございますが、先生の御指摘もございましたので、さらに徹底をはかりたいというふうに考えます。
○中村(重)分科員 失業保険というものは、申し上げるまでもなく、労働者の保護というものをたてまえとしているわけですね。受給の権利というものが労働者にはある。同時に、職場選択の自由、権利というものも労働者は持っておると私は思う。したがって、労働者が自分がどうしても就職をしたくない職場、それはやはり避けたいという気持ちになることは無理もない、将来のことを考えれば。その場合に、やはり失業保険を受けて、そしてしばらくの時間的余裕を持って自分の将来を、生活を保障できるような職場を求めたい、これは人間として当然なことである。ところが、そうした労働者の意思を無視して、強制的に職場あっせんをするという傾向があるわけであります。そのことは、結果的には失業保険の受給を規制するという形になる。これは労働者の保護であるところの失業保険を押えることにおいて、この失業保険というようなものを規制する形で低賃金の労働者をつくり上げてくる、実はそういうような役割りを果たしておるということを指摘せざるを得ないわけであります。この点は十分ひとつ調査もしていただく。反省もしていただく。そしてこの失業保険というものが、真の意味の労働者の保護としての役割りを果たすように対処していただきたい、このことを実は申し上げるわけであります。 時間が参りましたからもう一点。私は、中小企業の労働者、いわゆる中小企業従業者の共済制度、との問題を申し上げて、これはひとつ大臣の考え方を、ただいまのこの失保の問題とあわせましてお答えをいただきたいと思う。 御承知のとおり、中小企業の従業員共済制度というものは、いま国の補助というものは四百円を対象にいたしておる。そして三年以上に対しましてわずかに五%であります。十年以上に対して一〇%であります。そんなに少ない国の助成にすぎない。やはり若年労働者というものは、これは寄らば大樹の陰と、どうしても条件のいい大企業のもとに労働者は就職をすることになるんですよ。しかし、中小企業の今日、日本の経済の中に果たしている役割りというものは非常に大きい。そのためには、やはり中小企業に若年労働者を雇用するような土壌をつくっていかなければならない。その土壌の一つとして中小企業の労働者共済制度というものが大きな役割りを果たすことになるであろう、私はこう思うわけであります。だがしかし、低賃金の労働者は負担の能力はない。また、今日の生産性の低い中小企業者は、これまた負担能力がないわけでありますから、せめて中小企業に対する、あるいは中小企業に働く労働者に対する労働行政の一つとして、この共済制度に国は大幅の助成をしていく必要があるのではなかろうか。ですから、いまのようなきわめてわずかの助成の措置ではなくて、助成を大幅にふやしていくというような取り組みをしていただかなければならない、このように考えますので、労働大臣からこの点と、それから先ほどの失保に対する私の意見に対しましての考え方をお聞かせをいただきたい。それで終わりたいと思います。
○塚原国務大臣 昭和三十四年にこの制度ができたわけでありまするが、それから数回にわたって法の改正も行なわれておることは御承知のとおりであります。特に最近では、四十五年に掛け金月額の引き上げと国庫補助の増額と、こういう改善も行なってまいったわけでありまするが、ただいま御指摘のような、どうしても中小企業の問題というものが大きな問題でありまするだけに、福祉の増進という見地から、御趣旨の線に沿った増額を十分考えていく考えでございます。 それから先ほど事務当局から説明のありました失業保険の問題でありまするが、やはりドル・ショック以来そういった問題は非常に重大な問題となってくると思いますので、これまた十分努力をいたす考えでございます。
○植木主査 午後一時二十分より再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時二十八分休憩 ————◇————— 午後一時二十四分開議
○渡辺(肇)主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 労働省所管について質疑を続行いたします。阿部昭吾君。
○阿部(昭)分科員 私は、現在労働省が進めていらっしゃる雇用促進対策について、まずお尋ねをしたいと思うのであります。 いま雇用促進事業としていろいろな施設をつくったりなさっておるわけであります。あるいはまた職業訓練の問題でありますとか、相当多方面にわたった事業をやっていらっしゃるわけでありますが、この中では職業訓練、このことはいろいろな意味でたいへん効果をあげておるのじゃないか。しかし、たとえば旅館のような施設を事業団でやっていらっしゃるが、ああいうものは、どう考えましても雇用促進対策事業という性格からいって、必ずしも効果をあげておる事業だとはいえないというふうに思うのであります。そういう意味では、この雇用促進対策事業というものを基本的な点でいろいろと検討を願うべき時期なのではないかというふうに思われます。 そこで大臣にお伺い申し上げたいのでありますが、私は、この雇用促進という問題は、率直に言って日本の産業の基本的な構造の問題、これが先行してこないとちょっといま、雇用対策という形で労働省の進めていらっしゃる事業ではどうも根本的な雇用促進、しかも安定的な雇用促進、こういうかっこうには結びついていかないのじゃないかという感じを私どもは持つのであります。たとえば雇用促進といっても、いまある現状に対していろいろな雇用を円滑に位置づけていく、これだけでいいのかどうか。たとえば大都会に、メガロポリスの産業その他が集中しておるような地域に、新しい労働力をどんどん投入していくというような形は、やはり再検討されるべき時期なのではないか。同時にまた、産業的な基盤の上に、メガロポリスの地域に労働力を、雇用をどんどん位置づけていけば、そこでの労働賃金なり何なりは需要と供給の関係で非常にはね上がっていく、こういう問題もあるわけでありますから、実際上は雇用があるからといって大都会にこれ以上新しい労働力をどんどん集中させて過密を暴発させていくということは、これはやはり考えなければならぬのじゃないか。したがって、労働省のこれからの雇用促進というのも、将来の日本というものを一体どういうふうにバランスのある、いわば産業の配置なりいろいろなものを考えてどういうふうに持っていくのか、という基本的な立場にもう一ぺん立って問題を問い直すべき時期なのではないか、こういうふうに考えられるのであります。そういう意味で見ますと、今日労働省でいろいろやっておられる雇用対策促進の事業、私は、その中では職業訓練のようなこういう事業は、確かにたくさんの成果をあげておると思いますけれども、この原資になるものが、全部失業保険特別会計がこれを持っておるということは一体どういうことなのか、ちょっと筋が違うのじゃないか、もっとやはり国のほうが——県等でやっておりますものは全部この金ばかりでやっておるわけではないのでありますけれども、いま事業団でやっていらっしゃる全国九十カ所くらいあります高等職業訓練校ですか、あるいは今度は大学なども持たれようとしておる、こういうものは、もっと国の一般会計の中から当然考えられるべきなのではないかというふうに思うのであります。そういう問題も含めて、いまある現状にただコンスタントに雇用を位置づけていく、こういういままでの体制から根本的に、将来の日本をどういうふうに、メガロポリスはもっと抑制していく、都市の暴発は抑制していく、開発拠点都市なり何なりに産業をはりつけて、全国に労働力の配分といったようなものをバランスのある配置を遂げていく、こういう面から見ると、いま労働省のやっておられる雇用対策事業というものも根本的に問い直すべき時期なのではないかということなのであります。労働省の御見解をぜひ承りたい。
○塚原国務大臣 雇用促進事業団は、いま申されたような訓練その他の施設においても、私はそれなりの役割りを果たしてきていると考えております。しかし、いま御指摘のような問題は、現在の大問題でございまして、通産省から御提出願っていま御審議願っている工業再配置等もその一つとして、御批判はあるとしても一つの役割りを果たすのではなかろうか。その問題についても労働力というものの中心をなすことは事実でありますので、あの法案を作成する過程において、通産当局とも十分、労働力の再配置というか、そういった問題についての打ち合わせも遂げております。 雇用促進事業団という名前から見てふさわしくないような仕事もしているのではないかというお話もありましたが、名前にこだわることは別といたしまして、いま言った情勢に対応した雇用促進事業団の役割りは、今度はそこに一つの変化がもたらされてくるのではなかろうか、その点は私は同感であります。
○阿部(昭)分科員 いま申し上げましたもう一つの質問ですが、たとえば訓練校のようなたいへん成果をあげておる事業だからといってこれに失保特別会計だけが金をつぎ込むというのはやはり問い直すべき問題じゃないか。一般会計、財投のほうから、もっと基本的な点で金を投ずべきじゃないかということなんですが、この辺はいかがでしょう。
○道正政府委員 御指摘の点は、おっしゃるとおり、いろいろ問題のある点だと思います。ただ、現在雇用促進事業団で行なっておりますいわゆる福祉施設は失業保険の金を使っているわけでございますが、直接あるいは間接に、失業の予防あるいは就職の促進その他被保険者の福祉の増進ということに資するものでございます。その中にも、先ほど来御指摘ございますように、確かに軽重があってしかるべきだと思います。そういう点につきましては、訓練であるとか移転就職者の円滑化、再就職の援護業務、調査研究とか、あるいはこれは直接失業保険の関係でございませんが融資業、こういうようなものが圧倒的主体を占めておりまして、先生御指摘のいわゆる狭義の福祉施設、これは金額的にいいますとかなりの額にはなりますけれども、全体の中に占めるウエートはそう高くないように思っております。しかし、こういうものを今後やたらにふやしていくということも私考えておりません。 それから、基本的に、訓練等については国のお金をもっと出したらいいじゃないかという御指摘は、各方面から間々聞くわけでございます。こういう点につきまして、現行法は訓練等につきましては法律に明記されておりまして、失業保険の金でやってよろしいといいますか、やるべきだというたてまえになっております。そういうことで現在は進めておりますが、基本的な問題としては、私ども今後検討はしたいと思っております。
○阿部(昭)分科員 検討をしていくというのでありますから、ちょっとひっかかりますが、ひとつ前向きにぜひ進めてほしいと思うのであります。 それから、いまウエートからいえばそう高いものじゃないと言われましたが、雇用促進事業団が旅館まがいのことをやるのはちょっと筋が違う、こういうふうに思われますので、そういうものは順次減らしていく、やらないようにする、こういうことのようでありますから、そういう方向で進めてほしいと思うのであります。 次に、お伺いいたしたいのは、いま失業保険特別会計、これ自体は年々黒字を積み重ねておるわけであります。したがって、これはある意味で言うと健保その他の会計等々と比較をいたしますると、たいへん喜ばしい状況だと思われるのであります。 そこで、私が問題にいたしますのは季節出かせぎという問題であります。私はいま建設委員会の理事をいたしておるのでありますが、わが国の暴発する都市で、たとえば都市の再改造をやらなければならぬ、地下鉄もやらなければならぬ、あるいは都市の改造事業、いろいろなものを集中的にやらなければいかぬ。今日の都市にはホワイトカラーは非常に多いけれども、地下鉄の工事とか、下水道とか、ビルディングの工事とか、こういういわばどろんこになって働く労働者というのは非常に少ないのであります。これらは全国百万といわれる農村からの季節労働者によってささえられている。一番どろんこになる、汗水流して骨身を削って働く部分の筋肉労働というものは、こういう農村の季節労務者によってささえられているのが現状であります。したがって、いま失業保険の単年度の給付総額の中に占める季節労務者、循環的に出かせぎに来て帰っていって失業保険のお世話になるという皆さんの給付というのが三〇何%を占める、こういう状態に確かにあるようであります。しかし、いま日本の全体の都市、農村、こういう現状から考えた場合に、都市の再整備等にこの労働力なしではやっていけないのであります。同時に、出かせぎに来る側も好きこのんで来るのではないのであります。農村のきびしい構造的な現実に直面して、農業所得だけでは平準的な生計は維持できない。そこから家族と別かれ別かれの長期の季節労働、出かせぎという現状が生まれておるのであります。昭和五十一年からは、いまの季節労務の皆さんに対する失業保険の適用のしかたが変わっていくわけですね。もう三年あるのであります。 ところで、私がここでお尋ねをいたしたいのは、この前の失業保険法の改正が行なわれました際に、昭和五十年ごろまでの間に、農林水産業全般に対するこの制度の問題をどうするかということを根本的にやる、こういう附帯決議等も付され、労働省もこの附帯決議の趣旨に沿ってやる、こういう趣旨の答弁も行なわれて、今回の失業保険法の改正が四十四年の暮れに行なわれたという経緯があるわけであります。したがって五十年までの間に農林水産業全般に対する失業保険というものの対応のしかたをどうするのかということに対して、この時点においてどういう検討を行なわれ、どういう考え方を持っておられるのかということを承りたいのであります。
○道正政府委員 先生ただいま御指摘のように、四十四年暮れの改正の際に、五十一年一月末までに農林水産業についての調査研究を進める、それまでに五人未満の未適用事業に対しまして全面適用を完了し、残る農林水産についてはそれまでに検討するということでございます。四十五年、六年、七年と、調査費を予算で四百万ないし五百万計上いたしております。 そういうことで調査をいたしておりますが、なお、農林水産業にいま直ちに失業保険が適用できないかと申しますと、基本的に季節性を伴う産業であるということは、季節的に循環的に失業者を出す。まあいわば失業が予期される。そういうものに失業保険を出すことが、制度のたてまえからいっておかしいのではないかという基本的な問題、そのほか、農林水産業は一般製造業等に比べまして、雇用関係なり就業形態なり、必ずしも明確じゃございません。そういう点もはっきりしてからでないと、なかなか基準が適用しにくいわけでございまして、要するに農林水産業の季節的要素であるとか、あるいは近代化の促進というものと見合って、適用問題というものも考えられるべきではないかと思います。数年あとでございますが、農林水産業の適用については、われわれとしても調査費も計上いたしておりますし、鋭意調査、研究を進めたいと思います。
○阿部(昭)分科員 そこで、道正局長も長い間労働省の幹部としてこの問題には取り組んでいらっしゃるわけであります。したがって、もっといろいろ公的の場所で説明するわけにはいかぬ問題もお持ちだと私ども承知をいたしておるわけでありますが、私は、実は日本の農業というのは、つい近年までは、全体の就業構造の中に農業就業者というものは二〇%もっておった、いまや一〇%の線を割ろうとしておると思います。これはもっと圧縮されていくと思います。いまの農業の構造的な基盤の上から見ました場合、あるいは政府の農政のあり方から見ましても、私は農業に従事する就業者というのはますます減少する方向にいくと思います。これは政府の政策のみならず、いなかにいたって全部機械にかわっていくという状態でありますから、ますます農業就業者の全体の就業構造の中に占めるウエートが低下することは必至であります。したがって、この前の附帯決議をいたします場合も、改正をやる場合も、農林水産業というものが、たとえば失業を予期される性格とか、季節循環性を持っているということはわかっていたわけであります。いまになって季節循環性が生まれたんじゃなくて、その当時から季節循環性はちゃんとあるんです。したがって、どうするかということは、確かに問題があるということはわかるのでありますが、そういう全体的の流れを踏まえながら、私はこの問題に対してぜひ前向きな、労働省としての態勢を進めてほしいということを希望いたしたいと思うのであります。 それで、これとのかかわりについて、当面緊急の問題でありますけれども、いま都会に出かせぎに参りまして夜間勤務等をする。そういたしますと、やはり三千円以上の平均賃金をいただく方々が相当おるんであります。そのかわり、平均賃金三千円以上というのは、休みも全部プールいたしまして、なかなかのきびしい仕事をしなければもらえませんけれども、そういたしますと、失業保険の最高給付金の限度額の一千八百円に達するわけであります。ところが、郷里に帰って、安定所で局長のほうの指示に基づいて就職のあっせんをされます。そういたしますと、職業安定所の就職あっせんに基づいて地方のほうで就職をいたしますと、日額賃金が千三百円とか千五百円、失業保険をちょうだいすると千八百円、こういう矛盾が起こるのであります。この根源は、やはりローカルな地域の賃金水準が低いということにある。そこで、労働省は確かに賃金相場という問題があると思うのでありますが、大都会あるいは地方、こういうところの賃金格差をもっと縮めていく賃金政策というものをとってもらわなければならぬと思うのであります。そういう意味では、たとえば政府が発注する公共事業等の場合でも、単価が全部違うのであります。都会における単価、農村における単価、その他いろいろな地域の賃金単価が全部違っておる。この差というものをもっと圧縮する努力をしないと、いまのこっちで働けば失業保険の給付金日額でも千八百円になって、向こうで就職を慫慂され、あっせんされて、出かけていって働いたところ、千二、三百円にしかならぬという矛盾が起こる。したがって、こういう問題はどういうふうに——現場のケースワーカーの皆さんがそのことで非常に真剣に悩んでおります。就職を慫慂いたしますと、そこの賃金単価のほうが日額給付金額よりもはるかに低い。そこで無理無理就職を慫慂しなければならぬという矛盾に、ケースワーカーの皆さんは苦しむのであります。この目の前の現実に対して一体どういうふうに対応なさろうとするのかお伺いをいたしたいと思います。
○道正政府委員 賃金格差の問題は、基本的には先ほど大臣からも御答弁がございましたように、地方に工業を導入するとか、工場再配置を進めるとかいうようなことで、就業の機会をふやしていって解決するということであろうかと思います。当面賃金の格差がある。低い賃金の就職先をあっせんして、それを断わると云々という問題でございますが、法律の条文がございまして「就職先の賃金が、同一地域における同種の業務及び技能について行なわれる一般の賃金水準に比べて、不当に低いとき。」これは断わってよろしいということになっておるわけであります。問題は、東京で失業保険を受給される場合にはこの原則どおりにいくわけでございますが、御指摘のとおりに賃金格差がございますから、たとえば東京でつとめられた方が秋田なり山形に帰るとなりますと、そこのたとえば秋田、山形の賃金水準が低いということで問題が起きるわけでございます。その場合に、失業保険金に比して就職先の賃金水準が不当に低い場合には、その就職を断わったからといって、給付金を打ら切ることはしないという扱いにしておるわけでございます。
○阿部(昭)分科員 どうもすかっとしませんね。失業保険を黙ってもらえば千八百円の給付、無理無理慫慂されて就職したら千三百円、千四百円。なるほど地方ではもっと低賃金もありますよ。婦人労働などでもっと安い賃金もある。しかし一日一生懸命働いて千三百円、千四百円、職安局長の傘下の安定所で御承認いただいて失業保険をもらうすれば千八百円、この矛盾には、現場のケースワーカーの皆さんがすごく煩悶いたします。やはり一定の運用上のいろいろなことを考えてやらぬと、ケースワーカーの皆さんがかわいそうです。 最後に、時間がありませんので、きょうは農林省と大蔵省の税制関係の方がおいでになっておると思うのですが、これは労働省と農林省にお尋ねいたしたい。大蔵省はきょうは黙って聞いておってもらいたいと思うのです。申しますのは、出かせぎ者の所得に対する課税の問題でございます。いま出かせぎ者の所得はなかなか捕捉しにくい面がありますから、全部課税されておらぬのであります。したがって正直者がばかをみるという現象がずいぶんとあるのであります。そこで私は、出かせぎ者の所得が全部申告ができるように、しかし同時に、出かせぎ者の所得というのは、家族と離れ、そのためにたとえば半年の間に、郷里で減反の問題や何かで一家の中心をなすような人が出かせぎに行っておりますから、帰らなければ協議がまとまらぬというので帰ったりしなければならぬ。いなかで不幸などが起こる、子供の問題などが起こるということになれば、またいなかへトンボ返りで行かなければならぬ。したがって家族と一緒に生活しておって就業するのと、出かせぎで就業しておるのとでは、得た賃金がそのまま全く所得にならないのであります。したがって、いまは地方の自治体の当局などが出かせぎ先の訪問とか調査などに来られると、みな迷惑がるのです。なぜか。自分が出かせぎ所得を得ておるということで、はっきり押えられはせぬかという心配があるからであります。日額三千八百円以上の賃金の場合は源泉申告をしなければならない。この場合はガラス張りで、全部課税であります。それ以外の場合は、いろいろ市町村当局が非常に苦労して所得捕捉をしながら課税をやっておる。中には捕捉しきれない部分がたくさんある。したがって正直者がばかをみるという現象が起こる。私はそこで、出かせぎ所得は全部オープンに外へ出るように、申告できるようにして、同時に出かせぎ所得という特殊な所得に対して、一定の控除、特殊な控除、こういうものを認めてもらうようにしないと、公平にいけない。出かせぎ所得はまるまるみんな所得かということになると、いま言ったような家族と別れ別れという状態から起こってくるたくさんの問題がある。そういう意味で私は、労働省、あるいは特に農業出かせぎが圧倒的でありますから農林省、こういうところで早急に大蔵省と協議を持って、来年あたりの課税の段階までには、これが一定の方向で公平な課税ができるように、いまからそういうこともやってほしい、こう思うのでありますが、労働省の御見解、農林省の御見解を承りたいと思います。
○藤繩政府委員 税金の問題は大蔵省でございますけれども、労働省といたしましても、労働省に関する税金の問題は、所得税をはじめとして重大な関心を従来から持っておりまして、それぞれ減税の要望というものをいたしております。 いま先生御指摘の出かせぎ労働者につきましては、その特殊事情から御指摘のように往復の旅費その他二重生活に伴ういろいろな負担がかかるということは事実でございます。そういう事情から、実は四十七年の税制改正に際しまして、農林省が総合農政推進の立場から、そういった観点で特別措置を講ずるように要望をいたして、大蔵省との間にいろいろやりとりがあったようでございます。大蔵省には大蔵省で、たとえば転勤の場合にも同様なケースがあるじゃないかとか、基本的には給与所得控除、基礎控除の問題ではないかといういろいろな反論もあったようでございます。労働省といたしましても、ただいま先生のお話もございますので、明年度の税制改正の要望に際しまして十分検討いたしまして、農林省とも相談をして大蔵省に要望すべきものは要望するという措置をとりたいと思います。
○松元説明員 基本的にはただいまの労働省の答弁と同じなんでございますが、御指摘のとおり出かせぎに伴っていろいろ経費がかかるのは事実でございます。そこでその実態を税制上で何とか反映できないだろうか。特にそれに伴いまして、御指摘のようないわば付帯的なマイナス面も起こるわけでございます。ということで、従来も税制改正の要望もしてまいったわけでございます。ただしこの問題はいわば税の基本問題にもからむ問題でございます。いまもちょっと触れましたが、いわば所得を得る態様にしたがっていろいろコストが違うというような問題もありまして、他に同様な例もあり得るわけでございます。したがいまして税制全体を通じてどのように処理するか。一応所得の段階では一般的な制度でもって処理すべきじゃないかという議論もございまして、なかなかそれを克服すべき実態的理由づけというものに苦慮しておるわけでございますが、御承知のとおり出かせぎ所得に伴う経費を税制上何とか反映させたい。かたがたそれに伴ってマイナス面も生じますから、それを何とかしたいということで、出かせぎ対策の一環といたしまして大蔵省とも協議してまいりたいと考えております。
○阿部(昭)分科員 時間がございませんので、あとでまた機会を得て私はいろいろ問題を進めてみたいと思うのでありますが、この問題は、いま農政のしりぬぐいも、あるいはいろいろな部面のいろいろなしわ寄せを全部労働省がかぶっておるという部面がたくさんあると思うのであります。したがって、税金の問題は大蔵省じゃないか、そのとおりであります。しかし出かせぎ労働というこの特殊な状態から起こってくる税問題は、これは何といっても労働省が中心になって、出かせぎ労働者が今日都市の再開発やその他に果たしておる役割りは非常に大きい。これなしには、私は都会のホワイトカラーだけで地下鉄工事や何かやれといったってやれっこないと思う。そういう意味で、大臣のほうでも、いまの問題についてはぜひひとつ労働省、農林省も大いに協力されて大蔵省に次の機会までに、来年の課税の段階までには具体化ができますようにぜひひとつ御努力をお願いしたいと思います。 以上で私の質問を終わります。
○渡辺(肇)主査代理 沖本泰幸君。
○沖本分科員 私は同和問題に対して、大臣並びに関係の御担当者に御質問したいと思います。 私の質問は、ただいま御質問になっていた阿部議員あるいはこれから御質問になる上原議員の御質問にも相通じる問題であると思うわけであります。結局、労働条件の中の差別問題、広い意味の差別問題ということも考えていきますときに、差別をなくするような労働対策が一番最低限の人たちの労働条件を緩和していく、こういうことに相通じるのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。そういう点から、時間も限られておりますので、ごく限られた範囲内の御質問にはなると思いますけれども、同和対策特別措置法によりまして総理府のほうで実態調査を行なってまいりました。そういう内容につきまして、これからいわゆる長期計画あるいは労働問題に対する基本的な姿勢あるいはその差別に対するとらえ方、こういうものの基本的なものを早急につくり出していただいて、そして十年の時限立法ですから、はたして現在十年で特別措置法にかなったようなことが完全に実施されるかされないかというめどをつける基本にもなるわけですから、早急にそういうものの対策を立てていただかなければならないわけですけれども、いま現状としてそれがどうなっておるか、この点についてお伺いしたいと思うのです。
○道正政府委員 総理府で調査を実施されました結果は、中間的ではございますが、私どものほうも伺っております。ただ、調査技術上の問題等もございまして、労働問題特に職業問題につきましては必ずしも十分でないように考えられますので、来年度は労働省独自で調査を実施したいと思います。問題は、御指摘のように同和地区出身者の就職の機会均等をはかるということが、同和対策の基本の一つでございます。そのために基本的な問題について、調査等に基づきまして検討を進めると同時に、四十七年度の予算におきましても、従来に比しましてかなりの予算の増額をいたしまして、職業紹介であるとかあるいは職業訓練等を通じ、同和地区出身者の方々の就職の促進と援護に当たってまいる考えでございます。
○沖本分科員 ここに、全国水平社創立五十周年記念の集会の討議資料というのがあるのですが、きょうは主としていろいろなことを述べますので、ひとつ非常に明晰な塚原労働大臣、よく話せばわかる大臣だと私は考えておるわけですが、こういうときにひとつこういう問題をとらえていただいて、今後の労働問題に対する基本的な問題をつくり上げていただいて、将来に明るい見通しが持てるような方途を立てていただきたい、こういうふうに願うわけでございます。最後に、大臣のいろいろな御意見も伺いたいと思いますが、この資料の中で述べておりますのは——五十年前に水平社ができました。この辺から差別との戦いが始まっておるわけです。 初期の段階では、差別は、一般市民の中で、最もおくれた人たちが封建的な観念に災いされているのだととらえられていた。したがって、個人に対する差別糾弾を中心に運動が進められた。第二期の段階では、差別は社会関係の中に普遍的にあるのだということがわかってきた。第三期では、差別観念はそれだけが特別に存在するのではなく、それをささえる部落のみじめな、非人間的な生活実態を生み出す経済が土台であることが明らかにされてきた。しかし、この時期は貧乏と差別を統一して考えることができず、二元的に考えられていた。第四期では、このみじめな部落の非人間的な生活実態は、憲法その他諸法律で保障されている市民的権利を行政が保障していないところに、差別観念を生み出す根本的な原因があることが明確になってきた。さらに、解放運動が進むにつれて、一切の差別、人種、民族、身分、個人差別などは私的所有の生産関係の中から生み出されることも明らかにされてきた。この辺は時間がかかりますからはずします。 それで現在の労働条件としましては、よくそちらで御承知だと思いますけれども、最近、工場で働く人たらがふえてきている。しかし、その多くは社外工であり、臨時工であり、生活は全く不安定だ。基幹産業といわれるところや、公務員などになっている人は、きわめて少い。会社や商店の事務員さえそんなにたくさんはいない。自治体で働いているといえば、その大部分はちり集め、屎尿くみ取りなど清掃労働者であるというのが実情だ。したがって、都市周辺においても、廃品回収その他の小さな行商など、労働力不足が常識となっている今日でさえ、このような仕事を行なわざるを得ない現状だ。それから、皮革産業など部落産業のあるところでも、零細な自営業者や下請加工業と、それに雇われている労働者が多く、それらのほとんどが社会保障のない不安定なものである。農山漁村部落においても、仕事から排除されている実情に変わりはない。農村にあって土地を持たず、山村においても山林を持たず、漁村にあって漁場から締め出されていることは、昔から変わっていない。ことに、高知県の漁村などでは、漁港がないため隣の漁港に仮泊させられ、そのため差別を受けた上、船を破損させられるという悲惨な事件も繰り返されている。 こういう事実がずっとあるわけなんですね。こういう事実を労働省のほうではどういうふうなとらえ方をしていらっしゃって、それに対してどんな対策を講じようとしていらっしゃるか。これから長期対策をお立てになるとは思いますけれども、その中には盛り込まれていく問題だとは思いますが、現状としてとらえていらっしゃる問題、現在までに行なわれた対策、そういうものについてお答え願いたいと思います。
○道正政府委員 私ども安定行政の窓口におきまして、特に、西日本を中心に同和問題が非常に大きな問題になっております。それで関係者心を痛め、対策に苦慮をいたしておるのが実情でございます。ただいま先生御指摘のような実情につきまして、必ずしも十分に承知しておるとは存じませんけれども、安定所の窓口ではそれなりに実態も把握をいたしておるわけでございます。 対策といたしましては、基本的には、何と申しましても近代的な産業に就職のごあっせんを申し上げるということであろうと思います。そういう意味で、学卒あるいは一般の同和地区出身者の方々を含めまして、就職援護の措置を講ずるほか、職業指導、相談業務の拡充につとめる。特に来年度は就職にあたっての貸し付け金制度というのを従来より飛躍的に拡充をいたしまして、単身者の場合は三万円、家族をお持ちの方には五万円ということで、これもお貸しするわけではありますけれども、一年以上そのまま就職をされる場合には返還を要しないということにいたしておりますので、こういう措置によりましても、いままでよりは就職の促進に役立つのではないかというふうに考えている次第でございます。
○沖本分科員 同和対策特別措置法ができましたので、それに基づいて十年間で解決しよう、これは全党一致で、佐藤総理も、このことに対しては力を入れる、こういうふうな御発言もあったわけでございます。そういう問題とからんで、特別措置法というから、何か特別に見てあげているんだ、こういうふうなとらえ方が非常に多いわけです。 私は北朝鮮にも行ってきましたけれども、結局朝鮮民族という立場から問題を考えてみても、日本の植民地政策で、非常に極端な労働条件のもとで生活をしいられてきた。全く人間的な扱いを受けない生活をやってきたために、その悲惨な状態を見た日本人は、そういう関係あるいは政策、差別というものを考えないままに、きたない連中であるあるいは劣っている民族である、こういうふうなとらえ方をしておるわけです。そういうものに対して、いま解放された朝鮮民族が、固有の民族であり、固有の言語を持ち、固有の文字を持った一つの民族が統一していこうという意欲に燃えてやっておる。ところが、南朝鮮のほうでは、朝鮮ということばはいわゆる差別語である、こういうとらえ方で、われわれが朝鮮という言語を発した場合には完全にきらわれる、こういう事態があるわけですね。 同じように、部落の問題にいたしましても、われわれは部落民だ、その部落民が市民的権利をかちとるんだ、いままではなかったんだ、こういう立場でものごとを考え、あらゆる差別問題に対して立ち上がってきている。こういう内容を考えていきますときに、私たちが考えなければならない問題は、政府のほうでこれをお扱いになる担当の方々あるいは地方自治体でこういう問題を取り扱う方々が、特別措置法ができたから特別にこれを見てあげているんだ、こういう観念からこの問題を把握されていくと、そこからまた別の差別が起きてくる、こういうことになってくるわけです。そういうことですから、結局身分とか階級とか生活とかいうものを土台にして考えた労働条件の考え方であってはならないと思うわけです。一番最低生活をしている人たちの労働条件をよくしていく、こういうことが一般的な社会の差別の中から差別をなくしていくということにつながっていく、こう私は考えるわけです。 そういう点からいきますと、全く、いまだにそういう精神面的な問題から発しますから、結局物質的な問題も変わってきているというわけです。したがいまして、生活環境も、どうしてもそこに住まわざるを得ない。たとえていいますと、同和の指定地域があります。それで、なぜそんなところへ住むのだ、もっと住まうにいいところはあるじゃありませんかということを一般にいうわけです。そうすると、一般の方々は自分で職業とか住宅とかこういうものの選択の自由がある。しかし、われわれは一たん外へ出ても、そこへ帰ってこざるを得ない差別があるのだ。したがって、一ところに住まわざるを得ない、こういうふうな問題があるのだという実態が出てくるわけです。こういうことを考えてみますときに、ここに解放同盟が出している解放新聞というのがあります。これは各分科会を回りながらずっとお読みしているわけなんですけれども、同じようによく大臣は御存じなんですけれども、皆さんによく聞いていただいてこの問題をとらえていただきたいという立場から申し上げます。 この中に書いてあることは「部落差別はない、ねてる子を起すようなことをするな、というひとびとは、今日かなりすくなくなったようだが、まだまだ根強く残っている。部落問題についてあるていどの認識と同情をもっている場合でも、そんなに深刻な問題であるとは考えていないひとびとが沢山いる。しかし、ここに特集した数々の差別の事実は、部落差別の深刻さと悲惨さをひとびとに問いかけその再認識を要求している。むかしむかし、こんな差別がありました、というのではない。人間衛星が飛び国の経済が世界第二位、外貨保有百五〇億ドル突破という現在のわれわれのまわりにおこって」間は飛ばしますけれども、「われわれの運動は、まさに部落差別からの完全解放を目的としているのであって、いくら部落の環境がよくなり、きれいな浴場や住宅ができても、それだけでは差別意識は自動的になくなるわけではない。生活、経済面でのたたかいは、同時に差別意識とのたたかいとがむすびあわされなければならない。」こういうふうにいっているわけです。 私の一つの知っている事実もあるわけです。ある中卒の子供さんがいたわけです。非常に成績もよくて、会社につとめるようになった。部落におりながら大きい企業につとめられるようになったので、先生も生徒も非常に喜んだ。ところが、さて、寄宿舎に入ってということになると、寄宿舎が満員で入れなくなった。自宅から通うことになったわけですね。そうすると、生活が貧しいために両親は生活保護を受けておった。そのために働いている少年からは生活費を収入から引かれる、こういう現実問題が起きてきておる。それで先生が一生懸命奔走しなければならなくなった、こういうこともあります。また、ある銀行へつとめるようになった方がおるわけです。ところが、銀行のほうから身元調査で家庭をたずねてきたら、部落出身者であったということから、そこから就職が断たれてしまった。これはいまだにあるわけなんです。こういう問題の根を除いていく以外に労働条件がよくなるということは絶対あり得ないわけですね。ですから、差別問題の一番大きなウエートを握っていただいておるのは労働省ではないか、私はそういうふうに考えるわけでございますけれども、こういう点につきましてひとつ労働大臣、今後の方途としまして、総理府のほうも実態調査をしたわけですし、いまお話しのように、これから独自でも調査をする、こういうこともおっしゃっておるわけでありますから、今後に対して、一応大臣はどういうお考えでこの問題と取り組んでおいでになるか、その辺の大臣の御所見を伺いたいと思います。
○塚原国務大臣 私は、かつて同和対策審議会でいろいろ御審議を願う関係の場所にもおりましたし、当時そういった方々とも何回かお目にかかって、いま申された以上のいろいろな例も私は聞いてまいりました。それだけに非常な関心も持っております。労働省へ参りまして、雇用面で確かにいろいろな摩擦があるし、また企業主、事業家の理解も足りない面もあることは、私は事務当局から聞いて驚いておるわけでございます。就職の機会均等、これはもちろん当然であります。差別待遇、これは撤廃されなければなりません。そういう観点から今後とも企業主、事業家という方にひとつ実態をよく把握していただいて、就職の機会均等という立場でもう今後御批判をいただかないような雇用関係を樹立していただくように労働大臣としては努力いたす考えでございます。 さらに、地方公務員の場合あるいは国家公務員の場合の例も出たようでありますが、これらについては総理府並びに自治省等とよく連携をとりまして、いま伺ってみるとほんの末端における仕事しかしてないようでありますが、そういうことであってはなりません。あくまでも差別撤廃、機会均等ということを主として今後の労働対策、ことに同和対策と労働対策というものをマッチさせていく考えでございます。
○沖本分科員 いま私が申し上げておる点につきましても大臣の前向きのいろいろな御発言がありましたけれども、この問題は沖繩問題と同じように関係してくる問題だと思うわけですね。たとえば沖繩出身の労働者の方が結局言語の不自由さ、そういうものから差別観念を持って、それで転落していった、自殺したというのも最近あるわけですね。そういうふうな内容を見ていきますときに、日本の労働のあり方、労働のとらえ方というもののあり方にまだまだ昔なりの考え方がずいぶん根強く残っておるということにもなっていくわけです。特にこれが中小企業あたりになっていきますと、この問題はもっともっとひどい状態で残ってくるわけですから、片や労働力の不足をうたいながら、片っ方では差別していっている、こういうことであってはならないと思うわけです。そういう点から、まだ時間はもう少しありますけれども、あまり多くのことを申し上げても結局理論の繰り返しということになってきますので、私は基本的なことだけを申し上げたわけです。こまかい問題は地方自治体のほうからもいろいろな御要望があるわけですから、それをとらえて、結局この法律の完全実施をはかっていただきたい、こういうふうに考えるわけです。 それからもう一点につきましては、結局予算の裏づけ、内容、まだまだ政府の施策というものが完全に確立していかない、こういう点からいま地方自治体側も窮地に追い込まれているわけです。結局実施をしていくのは地方自体が主体になってやっていくわけですから、そこのほうに要求が多く重なってきて、結局はその辺で逆差別問題がどんどん起きだしている。どういうわけであの人たちだけよくされるのだ、こういうふうな内容も出てくるわけです。そういうところからひとつ一番よく御存じの大臣のお考えを加えていただいて、まず差別に対する認識ですね、あるいは基本的な姿勢、こういうものの基本的な問題を今後早急におつくりいただいて、はかっていただきたい、こういう点をお願いいたしまして次の質問者に時間をお譲りしたいと思います。ありがとうございました。
○渡辺(肇)主査代理 上原康助君。
○上原分科員 私は、沖繩の施政権返還に伴っての労働省と関係のある若干の問題について大臣並びに関係担当者にお尋ねをしたいと思います。 政府の次年度予算を見てみますと、復帰後の離職者対策を重点にといいますか、あるいは復帰後の沖繩の労働行政を改善していくための予算が組まれているわけです。特に現在の沖繩の実情といいますのは、ドル・ショックあるいは復帰不安、復帰の時点において一般市民大衆の生活がどうなっていくのであろうか、また自分たちが働いている企業の将来、職場はどうなっていくであろうか、失業の不安にさらされているのが現状でございます。そういう実情を踏まえて、労働省としても一応の対策はお立てになったと評価はいたしますが、まだまだ十分な対策でないというような気がいたします。こまかい点は議論を進めていく中で申し上げますが、復帰に伴って、どの程度の失業者というものを政府は見込んで対策をお立てになっておられるのか、まず失業対策の面、さらに、制度の違いなりあるいは復帰後の雇用対策、そういう面についての方針というか、基本的な考え方というのはどうお持ちなのか、その点を明らかにしていただいて、さらに具体的な問題についてお尋ねをしたいと考えます。
○道正政府委員 御摘指のように、沖繩の本土復帰に伴いまして雇用情勢にかなりの影響が出るということが予側されます。いろいろ影響が出てくるわけでございますが、まず何と申しましても沖繩での雇用対策を考える場合の一番大きな柱は、軍関係の離職者であろうかと思います。この点につきましては、まだ本土復帰になっておりません関係等もございまして、今後どのくらいの離職者が出てくるか、私ども必ずしもはっきりした見通しを持っておりませんが、いずれにいたしましても、本土復帰に伴いまして基地の縮小等が早晩行なわれることになろうかと思いますので、それに伴いまして出てくる失業者に対しましては、とにかく万全を期さなければいかぬだろうと思います。この点につきましては、本土に施行されております駐留軍関係離職者等臨時措置法が適用になってまいります。 第二のグループと申しますか、対象者といたしましては、先生御指摘のように、本土復帰に伴いまして、制度の改廃に伴うものあるいは経済的保護措置の廃止に伴うもの等々、本土復帰に伴います制度的と申しますか、やむを得ず出てくる失業者その他が考えられます。この点につきましては、ある程度はっきりしているものもございますが、どのくらいの失業者が出てくるか必ずしも見通しのさだかでないものもございます。こういう層に対しましては、先般御審議をいただきまして成立を見ました沖繩振興開発特別措置法によりまして、駐留軍関係離職者等臨時措置法に準ずる手厚い対策が講ぜられることになったことは御承知のとおりでございます。 その他産業の開発、振興に今後つとめていくわけでございますが、そういう場合にありましても、やはり本土同様中高年齢者の対策が問題であろうかと思います。これにつきましては、中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法を適用いたしまして、本土の中高年齢者の失業者と同様の措置を講じていく。 最後に、失業対策事業従事者が現在千七百人ほどおられますが、これは本土の緊急失業対策法によりまして、引き続き就労をさせていくということになろうかと思います。数字等について必ずしも明確でないわけでございますが、二十四億の予算を組みまして、予想される事態に対処しての離職者対策につきまして万全を期してまいりたいと考えます。
○上原分科員 失業対策の主要な部門を占めるのは軍関係離職者、失業者の問題かと思うのですが、しかし私がいま申し上げているのは、むしろ中小零細企業の復帰後の雇用というのが非常に不安定になる可能性がある。復帰一年前後には大体三万前後の失業者が出るのではなかろうかということさえいわれているわけなんです。加えて軍関係労働者がどんどん解雇をされていく。このことは確かに解雇される、あるいは失業を余儀なくされる人々の努力も大いに必要ではありますが、沖繩になぜこのような社会不安あるいは雇用の不安定というものが出てきたか。置かれてきた実情というものも十分踏まえなければいけない。本土においても失業対策というのは労働行政の重要な部門でございますが、そういった特殊な事情を十分勘案をして、それに相応する対策を復帰に伴って立てるべきじゃないか。その点を強く強調しておきたいと思うのです。 そこで、いま局長の御説明もありましたが、昨年の沖繩国会においていろいろの法律が私たちの意に沿わないままに通過をしてきたわけですが、その中で特に労働省に関係のある部分を指摘しておきたいと思うのです。 具体的に申し上げますと特別措置法、いわゆる沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律、以下特別措置法と言いますが、百三十七条から百四十六条までが労働省関係になっている。これはおもに沖繩の労働関係法令、布令、労働法を含めてですが、労働基準法に該当する条文の改廃をうたっているわけです。その中で特に問題として指摘しておかなければいけないことは、こまかい点を入れますといろいろありますが、百三十七条の解雇手当の請求の問題、さらに百三十八条の年次有給休暇、百三十九条の病気有給休暇、百四十条の産休の有給休暇制度、こういう点では沖繩の労働基準法は、むしろ本土の労働基準法に規定されている面よりも、労働者の権利の面あるいは利益の面において保護がなされております。しかし、この特別措置法では一年の経過措置を設けて、本土の法律の内容に移行していくのだ、組み入れていくのだという形をとっている。あるいはまた具体的に明記をされていない面は政令に委任をした形で本土同様にしていくということになっているわけです。私たちが労働者の生活の面あるいは権利の面から考えて、少なくとも最低の基準をきめた労働基準法できめられた事項を、本土よりすぐれているにもかかわらず、単に一年の経過措置をとって本土並みにするということは、あまりにもむちゃじゃないのか。これは法律が通ったから、あるいは本土と政府が一体化になるからというだけで片づけられる問題じゃないのですね。解雇手当にしましても、一月の解雇手当の支給制度があるし、年次有給休暇制度も積み立て制度、買い上げ制度がある。病気休暇にしても、健保との関係において、あるいは医療保障制度がよくなるからというだけで、特に中小零細企業に働いている労働者の立場に、こういう措置をとるべきじゃないと思うのです。婦女子の産休の問題にしても、産前産後を通して六週間は有給でなければいけないという明文が現在ある。しかし本土の場合は、必ずしも有給でなければいけないということにはなっていない。労使の交渉事項になっている。こういう点については、単に復帰後一年というのではなくして、これまで長い間労使が守ってきた、尊重してきたおきてでありますので、労働省としてぜひこの法律を早急に改正をするか、あるいは何らかの政令によって、既得権という立場で保障していくという立場をとっていただきたいし、またとるべきだと考えるわけです。これについて大臣はどうお考えなのか、ぜひ率直な御見解なりお考え方というものを聞かしていただきたいと思います。
○塚原国務大臣 沖繩の今後のあり方についてここで申し上げておりますと時間をとりますから、いまの御質問の点だけお答えいたします。 御承知のように、昨年の暮れに御審議願ったときは一年間の猶予——確かに布令においては日本のよりも進んでいるものがあります。急激な衝撃を与えるということについては問題がありますので、一年という期限を付したわけでありますが、やはり本土に戻りました以上、本土とのあくまでも一体化という、本土との制度の均衡上、一年間で本土と同じような形にすることが私は一番いいと思う。その間あくまでも労使間の話し合いというものが中心になることは事実であります。そういう立場でいまわれわれは臨んでおります。
○上原分科員 本土との一体化というだけで一年の経過措置をとって、本土並みにといいますと、条件が切り下げられる、そういう結果にしかならないわけです。むしろ基準法において定められた最低の条件というものは、本土の法律を改正していくという積極的な姿勢があって私はしかるべきだと思うのです。その点ここで議論をする時間、ゆとりはありませんが、いま一度こういう問題に対しての御検討を強く要求いたしておきたいと思うのです。 さらにこれとの関係においてもう少し明らかにしていただきたいことは、復帰後の失業対策ということでいろいろ特別措置法の中でもうたわれているわけですが、中身について明確でない点が相当あるわけです。いわゆる離職者手帳というものを交付するのだというようなことがうたわれているわけですが、実際に離職者手帳を交付する、そのことがどういう内容で保護されていくのか。就職促進手当とか、あるいはいろいろな方法をお考えになっていると思うのですが、その基準は一体どうなのか。先ほど局長の御答弁の中では、軍離職者に準じていろいろの措置を講じていきたいという御答弁があったわけですが、その点についてはどういうふうな基準なりあるいは政令を定めようとしておられるのか、明らかにしていただきたいと思うのです。
○道正政府委員 炭鉱離職者臨時措置法並びに駐留軍関係離職者措置法が今回の沖繩の離職者の特別措置の母法みたいなものですが、この石炭の場合も駐留軍の場合もそれぞれ手帳を出して、三年間有効、いま御指摘ございましたように、手帳の所持者に対しましては、就職指導促進あるいは訓練手当等々、手厚い援護措置を講ずるということになっておりまして、手帳をただ持つということだけでなくて、裏にはそういう援護措置がある。それは石炭、駐留軍離職者に準ずる内容のものであるということ、こまかく申し上げますと、沖繩の特質上、若干達っている点がございますが、全体としては石炭、駐留軍関係離職者と同じ内容であるというふうに申し上げて差しつかえないと思います。
○上原分科員 いまの点は、たとえば就職促進手当、そういうものについて駐留軍離職者臨時措置法あるいは炭鉱離職者臨時措置法の内容に準ずる。その他雇用促進手当とか全般にわたって両法の基準内容なり支給内容というものを参考にして定めていくというお考えなのか。
○道正政府委員 そのとおりでございますが、個人差が若干、たとえば賃金の額その他によりまして出てくる、あるいは地域ということで出てくる。そういう積算と申しますか、金額的な差は若干あると思いますが、原則としては、石炭、駐留軍に対する援護措置とほぼ完全に同じ内容でございますというふうに申し上げておきます。
○上原分科員 この二つの離職者等臨時措置法もやはり内容面でもっと充実強化をしていかなければいけない面もかなりあると思います。したがって、何も私は沖繩だけを特別に扱えという立場で申し上げているわけではありません。一時的な大量の失業者の保護というものは、単にこの二つの離対法の中身が十分であるかのような社会的印象を与えてはいけないし、積極的に改善すべき段階にきていると思いますので、そういった失業する労働者の最低生活といいますか、あるいは再就職に十分見合う積極的な内容面の改定というものも含めて御検討をいただきたいことを要望しておきたいと思うのです。 次に、沖繩の第四種雇用員の問題についてこれまでたびたびお願いにもあがったわけですが、また局長も前向きの姿勢で取っ組んでいかれるというお話もありましたが、どのように御検討なさっているのか。中身については御案内と思いますのでくどくど申しませんが、現在のいわゆる軍職場に働いている第四種雇用員というものは、単に労働の供給にしかなっていない。これは職安法の第四十四条で、労働者供給事業の禁止というものが明らかにされております。もちろん四十五条で、特定の労働大臣の許可を受けた場合の例外規定はございますが、そういう意味から考えても、私たちは重要な問題だと見ているわけです。さらに、原則として第四種雇用員というのも、第一種、第二種の雇用形態に切りかえるべきであるという立場で、防衛施設庁なり外務省、労働省に要求をしてまいりましたが、実際問題としてかなりむずかしい面もある、全体という場合は。しかし、復帰後どうしてもこの第四種雇用員の雇用のあり方というもの、そうして雇用内容というものを改めさしていかなければいかない。そういう意味で、労働行政の一環として、この問題に対してどう対処していこうとしておられるのか。労働省だけの管轄でなくして、ほかの省庁との関連もあろうかと思うのですが、どのようにお考えになって、現段階でどう検討なされているのか、明らかにしていただきたいと思います。
○道正政府委員 軍労の方々から数回、私自身、あるいは大臣の会見の際に私も立ち会いまして伺いました。何か関係各省の間でキャッチボールみたいになっておる、けしからぬというお話もございました。そういう点まことにごもっともでございまして、労働省といたしましては、私自身も山中長官にもお目にかかりました。それから、事務的には防衛施設庁のほうにも連絡をとっておりまして、いま防衛施設庁のほうで作業を進めておられると考えております。第四種雇用者の実態は、米軍の施政権下にあるために、関係省庁としても必ずしも十分に把握をしてない面があるようでございます。ただ、基本的には、本土の場合と同じような処遇をすべきが当然だろう。個々にはいろいろございますので、どれからどういうふうに本土並みになるのか、その辺は申し上げかねるわけでございますが、基本的には、本土と同じような扱いを受けるべきであり、そういうものについては間接雇用の切りかえがなされてしかるべきではないかというふうに考えます。 なお、雇用形態に関連して、第四種の請負契約ということになっておるけれども、実態が労供的なものがあるという御指摘がございました。これは、本土復帰と同時に安定法が施行になります。安定法四十四条には、御指摘のように労供禁止規定がございます。復帰の際に安定法違反の事実があってはならないと思いますので、その点は、私どもといたしましても十分琉球政府とも連絡をとりまして、あるいは関係省庁と連絡をとりまして、そういう事態にならないように措置を講じてまいりたいと思います。
○上原分科員 この件は長い間の懸案事項にもなっております。また、御承知のように、全軍労はきょうから無期限のストにも入っております。その要求の中に、四種雇用員の間接雇用への切りかえというのも重要な柱になっております。たいへん困難な面もあるというのは、私自身も理解をいたします。しかし現在のように、十年近く、あるいはそれ以上も継続して働いておりながら、契約内容そのものが何カ年働いても臨時雇用興みたいなことをやっている。あるいは労務だけを提供して中間搾取をやられているというような請負制のあり方は、私は根本的にメスを入れるべきだと思うのです。そういう意味で、早急にこれに対しても間接雇用に移行できる部分、そしてまたできない部分については、雇用のあり方というものを検討して、労働条件を、賃金を含めて改定をしていくという積極的な配慮というものをやっていただきたい。この点、早急に結論が出せるように要請をいたしておきたいと思います。 時間が来ますので、さらにこれと関連して家事従業員、いわゆるメードとかハウスボーイ、そういったいわゆる軍施設内に働いておる労働基準法も適用されていない労働者の保護というものは非常に重要な問題だと思うのです。これについてもぜひ実態調査を行なって、早急に対策を立てていただきたいし、せめて失業保険法は適用できるような配慮というものが私は必要だと思うのです。その点も問題提起をしておきたいと考えます。 さらに先ほどもございましたが、沖繩の現在の失対事業で働いておられる方々の就労の問題は、本土並みじゃありません。また手当についても格差がある。これも早急に解決をすべき問題だと考えます。 いま一点、本土就職者の保護について、これも単に——就職するのは特に若年労働者か多いわけですから、企業や本人たちにまかせるのではなくして、政府として追跡調査なりあるいは就職のあり方、雇用の内容等も十分調査の上で、もっと保護対策というものをとるべきであるということ、私がいろいろ調査をする中では、特に住宅問題が非常に重要な——重要というよりも一番むずかしい問題になっておる。これは日雇い労働者や、あるいは出かせぎ労働者全般にわたる問題でありますが、遠方からいわゆる都市周辺に来る、就職する労働者、そういった者の住宅対策、追跡調査、保護対策というものを労働省としてもっと根本的に対策を立てて保護すべきじゃなかろうかという点、その点も含めて問題提起をしておきます。 時間が来ましたので、最後に、労働大臣に、直接は関係ないかと思うのですが、さっきも指摘いたしましたように、全軍労が賃金問題、解雇問題を含めて、たいへん遺憾なことには十日、そしてまた一週間、きょうから無期限のストに入っております。復帰を目前にして、いろいろ問題をかかえながらここまで労働組合としてやらざるを得ないという沖繩の基地労働者の立場というものをぜひ御理解をいただいて、早急に解決できるように、大臣としても各関係大臣とも御相談の上でやっていただきたいし、これに対して、私はやはり今週一ぱいにでも問題解決というものははかるべきだと思うのです。五月の十五日が復帰であるのに十四日に首を切るとか、同じ基地労働者でありながら本土労働者と同じようなかっこうにもなっていない。そのことは当然の要求だと思いますが、強く、解決をしていただくという要望も含めて、この点を指摘しておきたいのですが、大臣のお考え、これに対して、あるいはいま私が申し上げた二、三点の問題を含めて御答弁をいただいて、私の質問を終えたいと思うのです。
○塚原国務大臣 過般上原議員並びに組合の幹部の方とお目にかかって、あの当時はどこかで曙光を見出したいという気持ちはよくわかりましたし、関係各省とも連絡をとりましたが、いまお話しのように無期限ストに入ったということは、これは私自身としてもまことに残念でたまりません。一日も早い解決を望んでいるわけでありますが、事態はなかなか深刻であり、むずかしいのじゃなかろうか。しかしぼっておくわけにはまいりませんから、いま申しましたように、関係省庁と連絡をとりまして、この問題の解決に努力をしていくつもりでございます。 なお、失対問題、さらにメードの問題、その他指摘されましたけれども、労働省という立場から、まあ本土並みということばを使うとまた上原さん抵抗を感ずるかもしれませんが、プラスの面もありマイナスの面もあるという現時点において、先ほど、一年の問題もございましたが、あくまでも本土並みの労働対策というものをとる考えでございまするので、その点は今後ともいろいろ御意見などを伺わしていただければありがたいと思っております。
○渡辺(肇)主査代理 内藤良平君。
○内藤分科員 私は三年ぶりくらいで分科会に出るわけですけれども、この三年間ぐらいの間に、労働行政の中で出かせぎの関係がどのぐらい大臣以下皆さんのお力を入れておるものかどうか、そこら辺をお尋ねしてみたいと思っております。 出かせぎに対する基本的なことは、このあとの長谷部委員がお聞きになります。私は、まあこまかい点を少しくお尋ねしたいと思っております。 第一には、何といいましても監督官の増員、これがなければなかなかもってこの百万といわれる出かせぎの労働者の労働条件なりあるいは福利厚生なりを守ることはできないと思っております。四十四年ごろ分科会で質問しました際にも、まことにこの増加の率が少ないものですから、たいへん残念に思っておりました。時間もあまりないわけですから、四十五年、四十六年、四十七年というぐあいに考えて、この監督官の増加の状態、減ってはいないでしょうね。まあ増減状態といいましょうか、これを簡単にお聞きしたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 監督官の定数は、四十五年度におきましては二千七百五十三、四十六年度におきましては二千八百三十二、明年四十七年度におきましては二千九百二人を予定するというように、十分ではございませんが、逐年その増長につとめておるところでございます。
○内藤分科員 これは局長、二千八百三十二人ふえたんじゃないでしょう。これだけおるということでしょう。(渡邊(健)政府委員「はい」と呼ぶ)すると、年間、この差額ですか、四十七年度予算の中で盛られておるのは、これは二千九百二マイナス二千八百三十二ですから、すると七十名ですか。
○渡邊(健)政府委員 そういうことでございます。
○内藤分科員 そうしますと、私、年度は忘れましたが、あの当時で五十名程度の増員でした。どうもさっぱり進歩といいますか、がんばっておるんでしょうけれども、あまり実績があがっておりませんね、これは。とてもこういう人数では、四十六都道府県にこれを配分した場合には、一県二名いかないんじゃないですか。まあかりに七十名ですか、四十六都道府県に平均にやった場合には一名半くらいですか——一名半というのは人間じゃないから、そこら辺から見ると、全然、労働行政、監督行政というのに力を入れているというぐあいに客観的に見られないわけです。三、四年前も五十数名。あのときも議論したんですよ、こんな人数でどうなるんだと。一つの県で監督署が一カ所じゃないでしょう。すると、全監督署は何カ所あるんですか、全国的に。
○渡邊(健)政府委員 監督署の数は三百四十五でございます。 なお、監督官の増員が十分でない点につきましては、私どもも努力はいたしておりますが、もちろんこれで十分だと考えておるわけではございません。本年は監督官の増員は七十人でございましたが、特に最近は安全衛生問題が非常に重要である。しかも、安全衛生問題につきましては、安全衛生の専門家でないと、単に監督官というだけでは十分の指導監督ができないという点もございまして、別個に三十五名の安全衛生専門官を増員をいたしておるわけでございまして、それらを合わせますと、なおそのほかに補助の職員等を入れますと、四十七年度は基準関係で百二十名の増員をいたしておるところでございます。四十六年度におきましては増員、純増は五十三名でございましたので、もちろん十分ではございませんが、前年度から見ますと、増員の幅はかなり大きくしておるつもりでございまして、今後ともこれら監督官を中心といたします監督署、基準局の所需要員の確保については、できる限りの努力をいたしたいと存じております。
○内藤分科員 いや、局長さん、それはがんばる気持ちはわかるけれども、実際ふえないんだもの。これじゃできないんだもの。監督官をこの程度じゃ、配分されても、結局、回ってもなかなか、はんぱだから役所から動かないと私は思うのです。こんななま殺しのやり方をやるならやらないほうがいい。こんなことを言っちゃまずいけれども。もしこうなら——私たちは秋田ですけれども、まあ七、八万の出かせぎが、大阪から名古屋、関東へ来ておる。いま、中小零細企業の労働者もこれは未組織ですけれども、組織された労働者はまあまあみずから力がある。中小零細企業はまだ弱いだろうけれども、なお弱いのは出かせぎの諸君だ。これがまあ百万近くおる。これに対して、この増員された方を重点的に配置するようなことぐらいはやってもらわなければ、また平均で、一つの県に一人くらいずつばっとばらまいても、これは効果はあがらぬですよ。なぜかといいますと、せっかくこれは、塚原大臣は最近就任されたから、あれはおわかりないと思うけれども、全国の出かせぎの皆さんががんばって、例の労働省の省令か何かで、寄宿舎の改善のあれをつくったでしょう。りっぱなものができたわけだ。ところが、現地に最近行ってみても、さっぱり改善されてないです。あの飯場というやつですね。これはやはり監督官でも行って、省令と照らし合わして、これはだめじゃないか、こういうぐあいに詰めなければ、なかなかできないですよ。出かせぎの皆さんが経営者側に断固として団交をやる段階にいってないのが実情なんです。すると、やはりお役所の権威ある監督官がせっかくつくった省令、そういうものを持って、照らし合わして、そしてその寄宿舎を改善していく、これでなければ、これは永久にできないんじゃないですか、せっかくつくっても。だから、その点、もしこういう形で増員のかっこうでまいりますと、これはどうにもならぬのですから、思い切って、この出かせぎの労働者の皆さんの多い場所に、その方々に集中して、監督行政を徹底する、こういうようなやり方はできませんか。いかがですか。
○渡邊(健)政府委員 おっしゃるとおり、監督官、十分でございませんので、その配置等につきましては、われわれ単に画一的に配置するということではなしに、一番問題が多い点に重点的に配置するというような配置をとっておるわけでございます。 その例を申し上げてみますと、昭和四十三年から四十六年までの監督官の増員は、合計いたしまして百九十四名でございますが、この配置につきましては、先生おっしゃいました出かせぎその他問題の多い事業場が特に集中いたしております東京、神奈川あるいは大阪、兵庫、愛知といったような府県に特に重点に配置をいたしておるわけでございまして、この四年間の百九十四名中、以上申しました五県に百十四名を配置しておるということで、過半をそういう問題の点に重点的に配置を、増員の分についてはいたしておる。こういうことによって重点的な監督をするようにいたしております。 なお、業種別にいたしましても、やはり出かせぎその他非常に問題の多い建築等につきましては重点的に実施をいたしておりますわけでございまして、全体の監督の実施率は、全事業場の約一〇%前後でございますけれども、この建設業等につきましては、その数倍に当たります率で監督を実施いたしておりまして、おっしゃいましたような寄宿舎等につきましても、四十三年に寄宿舎規則を改正いたしております。その実施につきましても、まだ日にちがたちませんために一〇〇%そのとおりになっていない部面もございますけれども、特に重点的に建設業等につきましては監督を実施いたしまして、すみやかに新しい規則に適合した寄宿舎を設置させるよう指導監督いたしておるところでございます。
○内藤分科員 そこでもう少し具体的に、実践的に、理論だけでなく私考えておるのですけれども、交通の取り締まりあるいは警察官の警備の場合は、関東数県から全部集めてどこかへ集中してやる。労働監督の場合も、現実なかなかふえないということがあると考えた場合に、関東の各県からでも集めて、ある一定の日をきめて、一斉に寄宿舎なんかでも点検する。こういう何か思い切ったやり方でもなければ、これはわれわれいろいろな形で心配している出かせぎの皆さんが、こういうかっこうじゃ、もう永久に救われない。しかも、長谷部委員からあとからお話があると思うけれども、最近、出かせぎ飯場、現場での死傷、人身事故が多いこと。しかもそれに対する待遇というか補償もまたひどいこと。そこは私はよしますけれども、何か思い切ったそういう、広い個所から集めて一斉にやるとか、あるいはその際には自治体の労働関係の方々の応援もいただくとか、そういうことでもやっていかなければ、雇用者の方々の反省は出てきませんよ。大体省令が変わったということの認識さえまだ徹底していないと私は思うのです。そういうことをひとつ思い切ってやられて、定数削減などの問題もある時代だし、またなかなかふえないことも、これはわかります。自衛隊のようにふえたらいいんだけれども、そこは議論しません。そこはやぼにやりませんけれども、そういうことはいかがですか。いまのようなやり方はお考えありませんか。
○渡邊(健)政府委員 確かに問題のある業種につきましては、集中的に監督を実施するようなやり方、きわめて効果的であろうと思われまして、私ども、そういう方法をとり、たとえて申しますと建築等につきましては、一定の期間を定めて一斉に監督をする。その期間はほかの業種等を一応横に置きまして、一斉の監督をするというようなやり方をやっておるところでございます。ただ、各県の監督官それぞれ非常に手薄でございますので、ほかの県まで集中してということはいたしておりませんけれども、たとえば東京なら東京の中で一定の期間を定めまして、その期間は建設業なら建設業というものを集中いたしまして、一斉監督を実施するというようなことはいたしております。その結果、先ほどもちょっと申し上げましたが、一般の事業場は約一〇%ぐらいの監督率になっておりますけれども、建設業につきましては三〇%以上年間に監督を実施するというようなことで、極力そういう点を重点にいたしまして、重点的な監督の実施をはかっておるところでございます。
○内藤分科員 いや、それじゃだめですよ。思い切ってやるんですよ、局長。できるでしょう。一日か二日、関東の各県の監督官を集めて、旅費を出して東京に泊めて一斉にやるんですよ。そういうことぐらいやらなくちゃ、とてもこれじゃ全然できないでしょう、労働行政というものは、せっかくあなた方、法律をつくっても規則をつくっても。だから悪徳業者がはびこるわけだ。この間建設委員会で業者の問題を私はやりましたけれども、なかなか業界は業界でまた突破できないわけだ、建設大臣も。いわゆる重層下請の関係。だから、あなたのほうと両方から攻めなくちゃならぬわけだ。建設省は業者をそういうかっこうで、ピンはねなんかやめて、それくらいに攻めて、あなたのほうはやはり集中攻撃的にそういうことをやる。何かそういうことをやって——せっかく農村から出てきて寒い冬に働いて、この労働力がなかったら、日本の建設といいますか都会の再編成はできないでしょう。都市の再編成はできないでしょう。そういった現実を覚えておるならば、これは思い切った手を私はやるべきではないか。そうでもなければ、これは働く方がだんだん出てきませんよ。どうもこれだけにかかっておれませんからあれですが……。 それから、人数が足りない点を、何か補佐官のようなものを設けてやれないものか。監督官になりますと、これは国家公務員で、またいろいろの国家試験もあるわけであります。だれでもなれません。また知識もなくちゃならぬ。しかし一人で行く場合と二人で行く場合は違うんだよ、本人自体も含めて。あなたも一人で建築現場へ行く場合、だれかがついていった場合には、十二分にあなたの能力を発揮できる。一人で行ったら半分か三分の一になる、人間として。その意味では、助役といいますか助手のような方がおって、二人行った場合はたいした効果があると思うわけだ。そういう点も考えて、そんなに完全な知識なり権限を持たない方でも、私は、やはり補佐官といいますかそういう方を、省内でそういう方法を考えて、その補佐のもとに、いまの一斉に点検するようなこともやるべきではないか、やる時期ではないか、こういうぐあいに思います。これも簡単でいいですからひとつ、時間もありませんから……。
○渡邊(健)政府委員 おっしゃいますように、監督官だけではなしに、その補佐の職員等も増員がされますれば、監督官の能力発揮に非常に効果的であると存じます。われわれも、そういう意味で一般職員の増員をお願いをいたしているところでございます。ただ、全体の増員が非常に困難でありますために、重点といたしましては、まず監督官を最重点にする。次には、最近のいろいろな災害あるいは職業病の発生状況からいたしまして、専門的な知識を持った専門官の需要を非常に感じておりますので、第二には安全衛生専門官、こういうものを重点にいたしておるところでございます。しかし、一般職員につきましても、御趣旨に沿いまして今後とも増員に努力をいたしたい、かように存じております。
○内藤分科員 次は、労災の、なくなった遺族の補償が、他の補償から見ると少しくおくれてしまった。これは一千日ですね。この一千日というワクを広げなくちゃならぬのか。かりに三千円の平均賃金なら三百万円ですね。平均賃金で三千円というのはそんなにないと思うのです。ところが自賠責の場合は五百万でしょう、なくなった場合。ここら辺もこういうギャップが出ている。これはやはり実際の労働者の中にはこういう声が出ている。優秀な企業ならこういう心配はないんだ。やはり中小零細企業あるいは出かせぎ者の場合、これよりないんですよね。労災に入ってなくなった場合には労災補償、また中小零細企業なり土建業者の下請の方々は、やはりこういう制度にたよっている。あとせいぜい五万か十万のお見舞い金という程度になってしまう。だからこれは改善をする時期じゃないかと思うのですが、これに対しては何か省内で検討されておりますか、それとも全然無関心でおりますか、そこら辺をひとつ……。
○渡邊(健)政府委員 業務上の災害、疾病にあわれまして、そして死亡された方々に対する遺族補償につきましては、基準法では確かにおっしゃるとおり千日分になっておりますが、労災保険法では、昭和四十年から年金制度に相なっておりまして、遺族の妻あるいは扶養家族等々が必要な期間、長く年金によってその生活を保障される、こういうたてまえになっておるわけであります。したがいまして、その年金額を全部、大体平均受給年数で計算いたしますと約一千万ぐらいになるわけでございます。したがいまして、決して私ども、労災保険の遺族補償はそう水準の低いものでなく、ILOの百二十一号条約の基準などにもこれは適合しておりまして、国際的にもそう遜色のないものと考えておるわけでございます。ただ遺族の中にはやはり一時金を必要とされる方がございますので、そういう方につきましては御希望によりましてその年金の前払いのような形で四百日分の一時金をお支払いする、それから奥さんがなく小供さんはあるが、十八歳以上でいわゆる年金の受給資格がない、そういうような場合に限って遺族の方に年金にかわるものとして四百日分の一時金というたてまえをとっております。したがいまして労災一時金だけとりますと、確かに自賠責その他のあれに比べて低いわけでございますが、これは労災がいま年金を中心とした遺族補償のたてまえになっておるということから、一時金というものはそのうちのごく部分的な付加的なもの、こういうたてまえになっておりますために、そういう差が出ておるわけでございまして、遺族補償全体といたしますと、私どもそうそれらに劣っているとは考えておらないわけでございまして、ただ仕事に携わっておられる最中、不幸にして業務に倒れられました遺族に対しましてできるだけ手厚い補償をして差し上げたい、こういうことはわれわれ常日ごろ考えておるわけでございます。そういう意味ではやはり日本は日本の慣行等からいたしまして、おっしゃいましたような一時金をもっとほしいという御要望がございますことも十二分に承知をいたしておるのでございますが、これは基準法との関係もございまして、先ほどのような千日分の遺族との関係がございますので、基準法全体につきましては現在基準法研究会というところで研究をいたしておりますので、その検討を待ちまして、基準法と労災法両方にわたる関連を考えながら労災の給付内容の改善についても今後検討してまいりたい、かように考えておるわけでございます。 先ほど一時金のうち年金受給者がいない場合について四百日分のと申しましたのは千日分でございますので、訂正いたします。
○内藤分科員 また足りない点はあとから直接労働省の方からでもお聞きします。 時間もありませんが、あとは安定所の窓口の——出かせぎの皆さんが帰られて、そして離職の証明を願う窓口に行くわけですけれども、どうもこの安定所の評判が悪い。これも三、四年前から毎回、発言者はかわっても出ておることじゃないかと思うのです。あるいは直接労働省交渉にも出ておると思うのです。だから自衛上出かせぎ労働組合をつくっているところは組合の団体交渉の重要な交渉事項になっておるようであります。ところがやはり組合がない個々の方が行った際には非常に高圧的である。もうどならんばかりだ。何をしに来たというような調子だ。あるいはあそこへ行って一応職業の紹介を求めるかっこうですね。そこで適職がなければ、その間失業保険をもらう、こういうことになるわけですね。ところがどうもこの失業保険の改悪問題——いまは一応五十年までですか、動かさないことになっていますね。失業保険というものに対していろいろ議論があったせいか、失業保険をくれるのは何か悪いことではないけれども、役所のほうの考え方、それだけの条件があるにもかかわらず、失業保険をもらいに来るようなぐあいに見える連中、これはもう人間並みに扱わなくてもいいんだ、極端にいいますとそのぐらいの気持ちであんたのほうで指導しておるのかどうか。単なる窓口の方の発意だけであんなことはないと思うのです、同じ働く者ですから。どうも高圧的なあるいは人権無視のような状態がいまだに絶えないわけです。われわれとしてもある意味では、当然もらえる権利のある方です、条件が整っておるから。しかも職業の選択の自由で、適職でなければ拒否できるわけでしょう。しかももう一歩政治的に突っ込んで考えてもらいたいのは、あの寒い冬にこっちへ来て、ひどい飯場で半年も家族と離れて、そして都市再開発のために建築にがんばった方々が帰っていって失業保険をもらう。その間のその方々の心情というものを考えた政治的な労働行政があってもいいと思うのだ。いまだに何年たっても、何か失業保険をもらう連中は悪い——ちょっとそういうことはじゃないけれども、けしからぬというような感情が労働行政の中にあるのではないか。それならそれで働くわがほうでも何か考えなくちゃならぬ、こういうぐあいになってくるわけですけれど、そうであってはならぬと私は思うのですね。 これは塚原大臣に最後にお願いしますけれども、大原以下本省のえらい方がやはりあたたかい気持ちを持ってやるべし。失業保険の問題は、これは何年間か一応ストップになっておるわけでしょう。そこで大いに論議しようということになっているわけだから、もう少しあたたかい気持ちで安定所の窓口へ来られる出かせぎの労働者に対して対処するような、そういう指示を出してしかるべきだと私は思うのですよ。いま始まった問題じゃないのだ、出かせぎ問題が論じられてからの問題です。いまだにそのあとを断たないというのは私はけしからぬと思うわけです。これをひとつ御答弁いただきたいと思います。時間もあまりありませんけれども……。
○道正政府委員 法律のたてまえはございますけれども、職業安定所の窓口におきましては、常々懇切、公正、迅速ということを旨として、求職者の立場に立って行政を進めるように指導しておるつもりでございますが、指導が足りず御指摘のようなことがあるとすればまことに遺憾に存じます。ただ出かせぎの方々は、いま多数積雪寒冷地帯に帰って支給されておるわけでございますが、たとえば能代の安定所の例で申し上げますと、十一月には三百八十九人、約四百人ぐらい、これが三月には三千八百人、これは昨年度の数字でございますが十倍、それから男鹿の安定所の例で申しますと十一月百五十人足らずのものが、実に四千二百人ということで三十倍になるわけでございまして、職員をふやす——非常に忙しいことはわかっておるのでございますけれども、臨時職員その他でやるというようなことでございまして、多数の者が短期間に処理しなければいかぬということもございまして、窓口において御迷惑をおかけするようなこともあるいはあろうかと思いますが、最初に申し上げましたようにそういうことがあってはならないわけでございますので、安定所の窓口の職員の態度等については重ねて指導を加えてまいりたいと思います。
○内藤分科員 あと時間もないですから、塚原大臣、塚原労働行政というものをひとつ立ててもらいたいと思う。それは人間性を尊重するあたたかい労働行政です。そこで私は出かせぎ問題だけをとらえましたが、出かせぎというのは非常な労働力なんですね。これが東京都内一千万人おるけれども、ネクタイはつけておるけれども、地下鉄の中へもぐったりあるいはどろまみれの仕事をする労働者なんかほとんどないのですよ。この東京だけとらえても全部出かせぎでしょう。そういう方がおって初めていま日本の形成ができておるようなものです。その方々が妙なかっこうで、いろいろな形で恵まれない状態になっているわけです。これは大臣からでも、労働省傘下の全職員に対して、実際の行政をやる場合には、定員の問題、監督官だってなかなか思うようにいかないでしょう。いかないところを、情深いということばもちょっと古い気がするけれども、何かあたたかい塚原労働行政のようなものを全職員に徹底せしめて、それが出かせぎの皆さんにもはだで感ずるようなことをやっていただきたいと思うわけです。ところが、なかなか制度的に、あるいは人間的に整備できないことは私わかっています。わかっているけれども、この出かせぎの皆さんの誇りだけでも高く評価してやる。誇り高き労働者というぐあいにあらしめるような塚原労働行政というものを私は期待したいのです。これは何もばく大な予算が要るというものではありません。あなたのそういう気持ちを労働省の全職員に、出先の方々を含めてそういうあなたの訓示なり出していただいて、それにそむく者は即刻首だ、このくらい強くひとつやっていただきたいということですが、このお答えをいただきたいと思います。それで終わります。
○塚原国務大臣 私の労政の中心は、冒頭所信表明で申し上げましたように、人間尊重と社会福祉の増進でありますが、明るい職場であります。そういう立場に立って楽しく働き得る場所を、それが私の念頭にあります。 それからいま数々の御質問でございましたけれども、農村の実態、これは時間がありませんからいまどうこう言おうとは思いません。しかし、いずれにしろ賃金とか給料とかこれに準ずるものを取得している方々は、特に農村に多いのでありますが、われわれは、これは労働行政の重要な部分として取り扱わなければならないと思っております。その一つとして季節労務者、出かせぎの問題がいま俎上にのせられておるわけでありまするが、この関係者の方々とも私直接お目にかかって、現実の仕事の状況それから賃金の不払いの問題あるいは家庭の状況等いろいろ問題も伺っておりまするだけに、重大関心を持っていることは事実であります。 それから監督官の問題と専用官の問題、特に監督官の問題を強調されましたが、これは私ども、四十七年度の予算のときに立ち会っておりませんのでどういう申し上げられるあれではございませんが、やはり定員というものにはばまれまして、なかなか困難な状況ではなかったかと思います。しかし、いずれにしろ現実において二千八百三十二名でありますか、そういうものが現実の数字でありまするから、先ほどもお話がありましたように、随時随所というか、適時適所というか、機動力を発揮した、ある場合には抜き打ち的な監督も必要ではなかろうか。そういった指導もこれからする考えでございます。 それから秋田ですかどこですか、窓口で非常にけしからぬ行為があった。これも私は事務当局から話を聞いております。一度にわっと来たためにことばづかいが荒くなった面があったかと思ったら、そうでない面もあるようでありますから、そういうことはまことにけしからぬ問題でありますから厳重に注意いたしまして、今後そういう問題を起こさないように、親切に、三つのモットーを道正局長が申し上げましたが、私もこれをモットーとして当たっていきたい、このように思っております。
○内藤分科員 終わります。
○渡辺(肇)主査代理 長谷部七郎君。
○長谷部分科員 ただいま同僚議員の内藤先生から、いろいろ出かせぎ問題に関連いたしましたことについての御質疑があったのでありますが、私もそれに関連いたしまして二、三お尋ねをいたしたい、こう思うわけであります。 最初に、今回労働省で出かせぎ対策ということで約七億五千万余の予算を獲得していただいたということにつきましては、いままでの例から見ますると、非常に前進のあとが見えるということで敬意を表したいと思うのでありますが、この出かせぎ対策の中で特に二、三の問題について重点的にお尋ねをいたしたい、私はこう思うわけであります。 今度この出かせぎ対策予算の中で、約三億円を計上いたしまして出かせぎ福祉センターの建設を計画しておられるようであります。これは全国の出かせぎ者にしてみますと十年来の要望でもありますので、その実現を見るということにつきましてはたいへん喜びにたえないところであります。ただ、ここで巷間いろいろ伝えられるところによりますと、この出かせぎ福祉センターの建設の趣旨が、大きくねじ曲げられていくのではないかという疑念を持つようなことがあるわけでございまして、その点をひとつ責任者の方々から明確にしていただきたい、こう思うのであります。 本来、出かせぎ福祉センターと称するものは、たくさんの労働者が東京や大阪や名古屋に集中をするわけでありますが、その就労期間中にどこへも行くところがない。したがって、休日やあるいはその他の休みの場合にこのセンターに行って娯楽、あるいは教養、あるいは休養、さらには労災事故やら不払い問題やら事故が発生した場合に相談相手になっていただく。さらにはまた、いなかから留守家族が上京してきた場合の宿泊施設等にも充てていただく、こういった出かせぎ者本位の、出かせぎ者の福祉のための拠点をつくるというのが本来のねらいでないかと思っておるのであります。ところが必ずしもそうじゃない。われわれの耳にいろいろ入っておるところによると——これは東京の場合でございますけれども、東京建設福利厚生協会、これはいわば建設業界の外郭団体だと私の見ておるところでありますが、こういうところに主体を置いた施設に持っていこう、こういうねらい、つまり今日建設業界は相当労働力不足で困っておる、この不足な労働力を恒常的に確保するために宿舎を建ててやって労働力をプール化しよう、需給の調節をはかっていこう、いわば建設業界の労働力確保の一環としてこれを運営していこう、こういう方向に持っていこうとする動きが実は見られるのであります。これは本末転倒した考え方だ、私はこう言わざるを得ないと思うのでありますが、まず最初にそういうことがはたして事実なのかどうか、この際安定局長から見解を承っておきたいと思う。
○道正政府委員 ただいま御指摘の前段までのところが設立の趣旨でございまして、先生御指摘のように、労働者のいこいの場をつくろうということがねらいでございます。ただ、後段言われました福利厚生協会のことは、これは運営のやり方をどうするかという問題に関連してくるわけでございますが、ねらいがいこいの場であるということはごうも変更しないつもりであります。
○長谷部分科員 あなたは、設立の趣旨はいこいの場をつくるんだ、こう言っておりますけれども、具体的な動きを見ますと、必ずしもそうは思われないのですよ。たとえば、東京建設福利厚生協会ですか、ここへ東京都から約一万七千平方メートルの都有地を払い下げをして、この建設用地に提供する、こういうこと。さらに東京都も、六月になるか九月になるかは別といたしまして、約一億をこえる建物の建設費の一部を提供する、さらに国からの一億の建設資金と相まってこの建物を建てる、こういうことがいわれておるわけであります。そこで、運営につきましても、一部伝えられるところによりますと、労働省と都とこの建設福利厚生協会、こういうもので運営をしていく、こういうことがいわれておるわけでありますけれども、そうするとこれはうそでありますか。
○道正政府委員 四十四年に安定審議会から建議がございまして、大都市を中心に建設労働者が一時的な休養をとる施設、出かせぎ建設労働者がその家族とともに利用できる宿泊施設の整備を進めること、この場合、国としては必要な援助を行なえ、こういう建議がございました。これの背景には、出かせぎの皆さんを中心に、東京に限りませんが、大都市の建設労働者の方々から、この種の施設をつくってもらいたいという要望が強くあったわけでございます。本来の筋といたしましては、建設業者あるいは業界が、ほかの事業者がやっておりますように、こういう福祉施設をつくるべきが筋かと思いますけれども、事業場が転々とする、それから出かせぎ労働者さんが大宗を占めるという特殊な事情もありまして、国も援助をするから業界もお金を出し、受け入れ地である東京都もお金を出してもらいたいということを、むしろ私のほうから積極的に呼びかけたわけでございます。 土地の問題、お話が出ましたけれども、東京都内で土地をさがすとなりますと、現実の問題として安い土地がございません。一億、二億計上いたしましても、全部土地代で飛んでしまうという事情にあることは御承知のとおりでございまして、晴海に現在埋め立て中の土地がございます。これは東京都としてはいろいろ考える場合に、候補地としてあそこ以外にないであろう。それでないと非常にへんぴなところになります。そういうことで、東京都もいま基本的な方向においては異存は言っておりません。予算を次の都議会で計上するという見通しでございますが、業界の金と合わせてどこが何を持つかというようなことは今後具体的にきめていくわけでございますけれども、その一環として、業界として協力するならば土地の購入の面で協力する。東京都から出る金と国の金は、建物に充てる案も考えられるわけであります。そういうことで業界のほうから東京都のほうに打診があったものと、私のほうは了解いたしております。 いずれにいたしましても、そのことが、建物ができた暁におきまして、業界の労務対策に利用されて本来の目的に反するような運営がされてはならぬことは御指摘のとおりでございます。そういう点については今後運営をどうすればいいのか、これは十分慎重に検討してまいるつもりであります。
○長谷部分科員 局長は、土地や金を出させることはいいけれども、運営には全然関与させないんだからいいじゃないか、こう割り切ったものの言い方をしておりますが、私はそういう単純なことにならないと思うのです。少なくとも、いまこの大東京に一万七千平方メートルの土地を提供するというゆえんは、何らかの目的、意図というものがなければ、そう簡単に出せるものではないと私は思う。そう簡単なものの処理ができるというぐあいに私は考えたくない。そこで、社団法人東京建設福利厚生協会の会長である小川耕一さんという方から、実は東京都に陳情書が出ておる。この陳情書によりますると、近年東京都の発注にかかわる建設事業、都市再開発事業というものは非常に多くなってきておる。これでまいりますと、千七百四十億円にのぼる工事が実は東京都から業界に発注になっておる。それに対して建設業ではいま労働力が非常に不足でございまして、東京都だけで三十二万八千人という労働力が不足なんだ。これだけの工事がくるけれども、労働力は現に三十二万八千人、全体の三一・七%不足をしておるのだ。この足りない労働力を確保するためには、福祉対策というものが欠けておったらできないのだ。したがって、今回、ここにはっきり書いてありますように、今後建設労働者のために七号埋め立て地を中心に三カ年計画で高層住宅を建設する計画を決定した。このためには世帯用六棟四百二十戸、単身者用三棟一千四百四人の収容を予定しておるのだ、こう書いてありますね。これは明らかに今日、東京都の埋め立て地を払い下げを受けるということは、足りない労働力を確保するために基地的な宿舎を建設していかなければならない、それでなければ確保できない、だから業界も土地を提供するのだ、こういうことがこの陳情書の中で明らかになっておる。ですから、いかにあなたが、出かせぎ者のいこいの場所だ、こう強調されましても、この計画というものは何らかの意図がある。いわば建設業界の労働力確保のための一環の施策としてこれが前面に出てきておる。土地も出すし、金も出す、そういう方向に来たものではないか、こういうぐあいに私は見ておるのです。ですから、これをそうじゃないという証拠がありまするならば、ひとつこの際提供していただきたい。
○道正政府委員 るるお話がございましたが、ここまで建設業界を説得いたしまして、むしろ持ってくるのにわれわれといたしましてはいままで努力をしたわけでございます。ここにございますように、建設業界としても純粋の労働者の福祉だけではなくて、働働力が足りないという現状から、いままでいろいろおくれておった住宅の問題にしても福祉施設の問題にしても考えなければ労働者確保はできないということを、少しおそいかもわかりませんが、はっきり認識してこういう計画を樹立したということは、ある意味ではけっこうなことではないかと思います。ただ、こういうことで建てます建物の運営が、先生御心配のようないこいの場からかけ離れたような、曲げられた運営が行なわれるということであってはならない。この点は、先生の御心配とわれわれの心配は同じだと思います。その建てましたあとの運営をどうするかにつきましては、十分検討して、その建物設立の趣旨に合うような運営が確保できますようなことは十分考えております。
○長谷部分科員 いずれにしても、それはいろいろ言われておりまするけれども、大きな目的は、いわゆる建設業界の足りない労働力の確保の一環として建てられる、しかも出かせぎ者保護対策という美名に隠れてこういう業界の目的達成のために曲げられていくということについては、私はいささか議論のあるところだと思うのです。そうじゃないですか。しかも、運営には発言権を与えないなどと言ってみたところで、それはこれだけの出資をしておって発言権を与えないのだというようなことは、できるものじゃないと私は思う。しかも、私申し上げたいことは、出かせぎというものは単に建設業界だけじゃありません。これはもう製造業その他のあらゆる産業分野にわたってやっておるわけです。ですから、建設業界が出資をして建てるということになると、一体他の産業分野に行っておる出かせぎ者というものはこのいこいの場所を利用できるのかどうか、ここにも私は非常に大きな疑問を持たざるを得ない。この点いかがでございますか。
○道正政府委員 御指摘の点、ごもっともでございます。出かせぎ労働者の約六割は建設関係でございます。この種の施設が一番おくれておる。あと三割ぐらいは製造業でございますが、これはそれぞれ規模によって違いますけれども、それなりに福祉施設等も考えられておる場合が多いわけでございます。建設業が一番おくれておる。しかしながら、建てました建物の利用は建設関係だけであるということは絶対にしないということで、これは当初から東京都あるいは業界にきつく言っておりまして、両者ともその点は了承済みでございます。
○長谷部分科員 それでは、あくまでもいこいの場所としての設立の趣旨を堅持する、こういうことですから、これはこれからの推移を見なければわからないわけですけれども、私は、少なくともこの種の福祉施設というものは本来業界が自前でやるべきものじゃないか、こう思うのです。すでに製造業でやっておるのです。建設業はいままで行政指導をやったけれども、なかなかそこまで来なかった。私は、ここにこの建設業界が労働力を確保できない最大の原因があると思うのです。そういう意味では、そこまで持ってきた、土地まで出してやる気になったということについては一歩前進だというぐあいに見られますが、私はやはりこの際、土地を提供したとしても、運営の面でははっきりしたけじめをつけるべきじゃないか、こう思っておるのですが、一体その保障をいかにして確保するか、この見解について承りたい。
○道正政府委員 運営方法につきましてはこれから慎重に検討いたしますが、いずれにいたしましても、いこいの場設立の趣旨に反した運営がなされませんように、そのためには何らかの形で、利用する側である労働者の意向が運営に反映されるような仕組み、これは考えてまいりたいと思います。
○長谷部分科員 そうしますと、巷間伝えられておるように、この東京建設福利厚生協会に運営をまかせる、運営をゆだねるというようなことはない、こう解釈してよろしゅうございますか。
○道正政府委員 いままでの構想では、福利厚生協会に運営を委託するという業界の意向に沿ってやってもいいというふうに考えておりました。それが本質的にいいかどうか、まあ私はかりにその協会に委託をいたしましても、運営の方向についてきちんとさせれば弊害はないような気もいたします、率直に申しまして。ただ、せっかく御指摘もございましたので、そういう点も含めまして十分検討していきたいと思います。
○長谷部分科員 ただ問題は、出かせぎ者というのは全体の六割が建設業界です。その残り四割はあらゆる産業分野にわたって働いておるわけです。ですから、国民の税金を使って、一億も出資して、そうして出かせぎ者のいこいの場所をつくるわけでありますから、その建設にあたってはいろいろな御協力をいただくにしましても、一たんでき上がった建物の運営については、やはり公正を確保する、すべての出かせぎ者に平等にこれを利用させる、こういう意味から考えましても、特定業界にその運営をまかせるというやり方は、私は厳に避けるべき問題じゃないか、こういうぐあいに思いますが、重大な問題でございますので、この点大臣からもひとつ最高責任者としての見解を承っておきたい、こう思うわけであります。
○塚原国務大臣 いまいろいろお話を承って実は私も驚いておるのですが、私自身は、あくまでも故郷を離れて働いている方々のいこいの場所である、そういうものをぜひつくってくれという声を関係団体の方々、また季節労務者の団体の方々からも直接何回か聞いております。それから、先ほど局長が申しましたように、職業安定審議会からの建議も出ておりまするし、大阪、東京、名古屋が三億という金を出して——金が少ないじゃないかという御批判もあるかもしれぬが、私はむしろ善政であると思う。ところがいま巷間伝えられておるというおことばではありまするが、これが労働力安定のために悪用される場所であるというようなことは、これは絶対あってはならないと考えております。運営をどうするか、今後のあり方について私まだつまびらかにいたしておりませんが、いまお話なすったようなことを十分頭に置きまして、あくまでもいこいの場所である、家族と会って楽しめる場所である、翌日の労働力をたくわえる楽しい場所であるという方向に持っていく考えであります。
○長谷部分科員 そこで大臣の見解は明らかにされたわけでありますが、特にこの種の福利厚生施設でありまするので、建物の運営についてはあくまでも公正で、しかも民主的で、業者、業界が介入してこれを支配するというようなことのないように、十分留意をしていただかなければならない。そういう意味から考えまして、せっかくこの種の施設ができました場合に、私は、何といってもこれを利用する出かせぎ労働者の労働者本位の運営にひとつ持っていっていただきたい、いかなければならないのじゃなかろうか、こういうぐあいに考えるわけでありますが、そのためには、現在全国には出かせぎ者の自主的な団体であります全国出稼者組合連合会、あるいは建設関係の分野では全建総連あるいは全日建、こういった関係の諸団体が現存しておるわけでありますが、こういう関係者、いわゆる出かせぎ労働者の関係団体にも十分ひとつこの運営には参加させていただく、参加できる、こういうような機会をも十分考えた上で検討していただきたい、こう思うのでありますが、この点につきましていわゆる利用者本位の施設に持っていっていただく、こういうぐあいに私は要望しておるわけでありますが、これに対してひとつ大臣の御見解をもう一度承っておきたい。
○塚原国務大臣 関係者がだいぶありまするし、いま利用者本位の運営というお話もございましたが、各方面の意見を十分聞きまして御趣旨に沿うような努力をしたいと考えております。
○長谷部分科員 時間がございませんのであまり突っ込んで話ができませんけれども、もう一点出かせぎに関連してお尋ねしておきたいことは、実は出かせぎの多発地帯といいましょうか、特に東北、北陸あるいは南九州、山陰、四国、こういう出かせぎの多発地帯では、特に本年度はいわゆる自動車や鉄鋼や機械等々の産業が非常に不振なために、従来製造業に行っておった者までが今度は危険な建設産業に集中しておる、したがって、ことしは非常に労災事故が多い、あるいは悪質な不払いというものも非常に続出をしておる、こういうことからいたしまして、何とかこれはひとつ労働省の指導監督によって事故の絶滅を期していく方向に努力を願わなければなりませんけれども、もしこの種の事故が発生しました場合に、やはりこれをお互いに救済をしていく、そのためのいわば出かせぎ者自体の互助組織とでもいいましょうか、そういうものがぜひ必要になってきておるのではないか、こういうぐあいに私は思う。現に秋田県などは、約四万人の参加を見まして県の出かせぎ互助会というものをつくりまして、そうして労災等でなくなった場合には、わずかであるけれども三十万程度のお見舞い金を出す、あるいは賃金不払い等にあった場合は、その不払い問題が解決するまでの間、県の互助会がこれを立てかえて労働者に迷惑をかけないようにする。その他相談員を配置して労災や事故にあわないようなパトロールを実施しておる、こういう施策をすでに県では進めております。しかし、このためには、実はばく大な県費、市町村費が必要とされておるのであります。したがって国としても、こういうすでに市町村あるいは県が行なっておる事業等に対しては、私は応分の資金援助、国庫補助、こういうものを当然やっていくべきではないか、こういうぐあいに考えているわけでありますが、いま手元にいただきました出かせぎ対策予算の中には、互助組織、互助会運営についての助成というところまでは実はまだ行っておらぬようでありまするけれども、ひとつこれは都道府県が進めておる互助組織についても何分の資金的補助をやってしかるべきものではないか、こういうぐあいに考えておるのでありますが、これに対する見解を承りたい。
○道正政府委員 ただいま御指摘のように、来年度予算におきましては国費で六億、これは二分の一の補助が一部つきますので、補助金になりますので、事業費としては七億五千万円の事業になるわけでございますが、そのうちただいま御指摘のような、府県がいろいろ行なっております援護事業、たとえば、簡単ではございますが、安全衛生の初歩的な講習であるとかあるいは健康診断の実施等々の費用、あるいは互助会も人件費は補助の対象にいたしませんが、事業費につきましてはこれを含める方向で現在検討いたしております。
○長谷部分科員 それはいいのだけれども、いま端的に言った互助組織に対していろいろ健康診断なりあるいは安全衛生教育なり、それから出かせぎ留守家族の援護対策なり、そういうものは今度の予算で措置されておりますけれども、たとえば出かせぎ者として最大の問題である労災事故の発生あるいは賃金不払い等が起こった場合に、都道府県が行なっておる互助会組織による援助ですね、こういうものに対して国としても当然めんどうを見ていくべきではないか、これは都道府県だけに、あるいは市町村だけにまかせておくべき問題ではない、こういうぐあいに私は考えるわけなのです。この点……。
○道正政府委員 御指摘の今後の出かせぎ援護対策の拡充にあたりましては、たとえば御指摘のような点も十分踏まえまして、自治省その他関係各省と折衝をしてまいりたいと思います。
○長谷部分科員 時間が来ましたので、以上で終わります。
○渡辺(肇)主査代理 後藤俊男君。
○後藤分科員 最初に大臣にお尋ねいたしたいと思います。 同和問題でございますが、同和対策事業特別措置法が昭和四十四年に制定されましたことは御承知だと思います。来年度はこの四カ年目に当たるわけなのです。十カ年計画で、前五年あと五年ということで安全解放をめざしてやるのだ、こういうことで制定されたものとわれわれは考えておるわけですが、そこで同和問題で、差別問題で一番中心になっておりますのは就職の機会均等の問題だと考えております。そうなってまいりますと、労働省としては、いま申し上げました就職の機会均等の問題をいかにして十カ年間で完全に解放していくか、この中心になってやっていただく省だと私は考えておるわけです。いままで三カ年間やられまして残り七年あるわけでございますが、この七年の間に、はたしていま申し上げました就職の機会均等、その他労働事情の実情に沿って部落対策、これらが完全にできるかどうか、見通しがあるのかどうか、このことも私は非常に大事なことだと思いますので、お答えは抽象的になるかもわかりませんけれども、いま申し上げました点をまず第一番に大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
○塚原国務大臣 同和問題につきましては、私も同和対策審議会のありました総理府におりまして、審議会の御意見また各団体の方々からこの問題についてはいろいろと陳情やら実情の説明やら要望やらを承ってまいりました。いま御指摘の三年で、あと七年間にどういう具体的な対策が立てられるかというお話でありますが、労働省に参りまして今度労働という面からこの問題を見まするというと、率直に申して私の考えたところまでは来ておりません。確かに機会均等であるべきもの、差別待遇が撤廃されなければならないものが、予期の線には来ていない。むしろ就職の機会均等というものが非常に後退しておるというふうに感ずるわけであります。こういうことであってはならない。あと七年待つというわけじゃなくて、できるだけすみやかに、いまあなたがおっしゃった機会均等という、そして差別待遇撤廃というこの線に沿って労働対策を進めていかなければならない。事務当局ともいろいろ詰めておるところでございます。やはりわれわれのなし得るところは、事業者と申しまするか企業主と申しますか、そういう方々がまだほんとうに認識を持っていないのではなかろうかという面もありまするので、こういう面に対する啓蒙また行政指導というものを強化いたしまして、そして御批判のないような措置をとることが今後残された期間になし得ることであろう。これに全力を尽くす考えでございます。
○後藤分科員 いま大臣が言われました趣旨はわかるわけですが、なかなかむずかしい問題でございまして、言うのは簡単に言えますけれども、さてこの問題と取り組んでまいりますと、非常にむずかしい問題であろうと思うわけです。 それで、先ほど冒頭に申し上げましたように、就職の機会均等、これがやはり差別問題の中心になっておる。そうだとするのなら、労働省といたしましても、全国全部落の労働事情を調査していただく。その調査に基づいて長期的な計画を立ててもらう。たとえば、その長期的の最終期が十年目に当たる、こういうことになるかもわかりませんけれども、当然そうでもしなかったならば、その年その年の、失礼でございますけれども、思いつきと言うと語弊があるかもわかりませんが、そういうようなかっこうで進めていったのでは、なかなか完全に目的を達するということはむずかしいと私は思うわけなんです。ですから、労働省として、労働事情をつぶさに調査をしていただいて、そこで長期計画を立てていただく、これをやらない限りにおきましてはむずかしいと思うのですが、こういうお考えはお持ちでしょうか。
○塚原国務大臣 四十七年度予算にも、その調査の費用は計上されておりますが、全国一律というわけにはまいりません。ある地区をピックアップいたしまして、この調査をやりまするけれども、本格的な調査というものは、これをきっかけにしてやらなければならないと考えております。
○後藤分科員 いま大臣が言われました全国全部落じゃなしに、部分的な調査になろうと思うのですが、ただ私は、いまも申し上げましたように、日本じゅうの全部落の労働事情をつぶさに調査をしていただいて、それを基礎にして長期的な計画を立てていただく、それに焦点を合わして、毎年毎年いま申し上げました差別問題の解決に努力をしていただく、これでなくちゃいかぬと思うのです。ぜひひとつそういう方向で、今後の問題として早急に検討をしていただくようにお願いをいたしたいと思うわけです。 それから、いままで三カ年間も労働省としてもこれを一生懸命やってこられたことは、これは十分わかるわけですが、本年度の予算も十分じゃないと思うのです。非常に不満があると思うのです、去年よりかこれはふえておりますけれども。われわれに言わすならば、非常に微々たる予算だ、こう申し上げましてもこれは間違いないと思うわけでございますけれども、そこで四十七年度の予算で、労働省として何に重点を置いて考えておられるか。この点の御説明をいただきたいと思います。 〔渡辺(肇)主査代理退席、主査着席〕
○道正政府委員 労働行政の面での同和対策の基本は、一刻も早く、一人でも多く近代的な産業に就職をしていただくということだろうと思います。そういう意味で就職の相談指導、それとの関連での職業訓練の充実、なかんずく来年度におきましては、そういう意味から就職の場合の支度金の貸し付け制度というものを拡充いたしまして、単身者の場合三万円、扶養者がある場合は五万円で、十二カ月、要するに一年以上引き続き就職をしている場合には返済を要しないということに来年度からしたわけでございます。そういうことで、とにかく近代的産業に就職をしていただくということに基本を置いて対策を考えておるということであります。
○後藤分科員 それからこれも就職の機会均等と申しましょうか、それに関連があるわけですけれども、国家公務員であるとかあるいは公労協関係であるとか、さらに地方公務員、これは残念ながら今日差別的な考え方が全然なしと言えないと思うのです。そうなりますと、当然労働省としては、行政措置によりまして、そういう差別をしてはいけないという行政的な指導なり行政措置が私は必要だと思うのですが、その点はどういうふうに行政的に指導をしておられるか。ひとつ具体的にお話をいただきたいと思います。
○塚原国務大臣 ただいまお話しの地方公務員並びに国家公務員につきましては、私の所管外でありまするので、いまここで即答することはどうかと思いまするが、しかし、この問題に関心のある国務大臣の一人といたしまして、自治体、総務長官——人事局を持つ総務長官、そして人事院の方々とこの問題について、行政指導という意味でなくして、よく実情を話して打開策を講じてもらう、その措置はとる考えでございます。
○後藤分科員 いままでもこの問題は、同盟関係の集会等におきましても、労働省を相手に直接陳情のときにかなり強く出ておる問題でございますので、国家公務員なり、公労協なりあるいは地方公務員関係の就職につきましても、労働省は直接関係がないかもしれませんけれども、やはり就職の機会均等という点から考え、さらに労働者の部落大衆の差別の問題から考えますと、これらの点についても機会あるごとに差別的なことのないように、今後も格段の配慮をしていただく必要があろうと考えて、申し上げたわけでございます。 それからその次は、失対事業の問題です。現在、失対関係の賃金がどういうふうになっておって、さらにこれから見通しは一体どういうふうになるのだ。と申し上げますのは、失対事業に関連するのは、部落大衆が大体七割から八割と申し上げても、これは間違いないと思うのです。今日の物価高におきまして、失対の賃金がはたして生活のできる賃金であるかどうか。非常に失対賃金が安い、なぜもっと引き上げてくれないのだ、こういう強い声が今日一段と高くなっておりますので、この点についての御説明をいただきたいと思います。
○道正政府委員 先生も十分御承知のように、緊急失対法のたてまえと申しますか法律によりまして、労働大臣が賃金を定める、その定めるにあたりましては、同地域の同種の民間の賃金を参考にしてきめる、こういうことで、手続としては賃金審議会の意見を聞いてきめることになっております。したがいまして、失対の賃金につきましては民間の賃金の調査結果によりまして、賃金を毎年改定していくという段階でございまして、現在四十七年度の賃金改定について審議会の御意見をいま承り、近々決定を見る運びになっております。
○後藤分科員 それから最後になりますけれども、大臣、大阪府あたりで組んでおりますところの同和対策の予算は、国の予算の何倍かにこれはなっておるわけなんです。昭和四十七年度の予算も、直接的なものを計算しますると、わずかに九十七億円にすぎない。これは非常に予算が少ない。こんなことで十年間の同和対策事業特別措置法が完全に遂行されるとは思われないというようなことで、この予算に対する大きな不満もこれはあるわけでございます。さらに、いま申し上げましたように、失対賃金の問題にしましても、あるいはその他職業訓練その他の手当の問題にいたしましても、いろいろな問題がこれはあります。さらに、職業安定関係の問題につきましてもいろいろな問題が起きておるようなわけです。ですから、昭和四十八年度の予算については思い切ってひとつ予算を組んでいただく。これはデータを見ていただくとわかるわけですけれども、第一年度よりかは第二年度がふえておる。第二年度よりかは第三年度が増加しておる。これは実績としてはそういうふうになっておるわけでございますけれども、これでもまだまだ大阪府で組んでおるところの予算の何分の一にしかなっておらない。非常に国の予算としては少ない。これらのしわ寄せが地方自治体にしわ寄せされるというようなかっこうになってまいりまして、なかなかこの措置法の完全実施の問題も、まかり間違うと絵にかいたぼたもちになってしまう、そういう危険性も全然なしとはしないような民がするわけでございますから、ぜひひとつ今度新しくなられました大臣といたしましても、同和問題につきましては十分なる関心を持っていただく。さらに来年度にはもっと多くの予算を組んでいただいて、労働省としてやるべきことをてきぱきと、長期計画に基づいて完全にやっていただく、こういう方向でぜひ御尽力をいただきたいと思う次第でございます。最終的に、いま申し上げましたことに対する労働大臣の意見をお伺いいたしたいと存じます。
○塚原国務大臣 大阪のお話、これは地区によって特殊事情があると私は思いますので、それに対して国は何十分の一ではないかというお話でありましたが、あえてここでこちらも数字をあげて対抗しようという気持ちはございませんが、各種全部集めますと国の予算も九十七億くらいにはなっておるわけであります。もちろんこれだからいいという意味ではございません。冒頭に申しましたように差別撤廃、それから就職の機会均等ということを私は第一義的に考えておりまするので、明年度予算におきましては御期待に沿うような努力をいたす考えでございます。
○後藤分科員 終わります。
○植木主査 次は横路孝弘君。
○横路分科員 大臣、きょうは日本航空株式会社の中における労使関係についてお尋ねをしていきたいと思います。 大量の乗客の輸送を扱っている職種ですね、特に航空のように、一つ間違いますと大事故になってしまうという航空業において、すべての体制というのはやはり安全第一に考えられて行なわれていなければならぬと思うのです。その安全の前提はいろいろな要素がありますけれども、やはり基本になるのは、職場が明るい職場で、みなが労働意欲を持って協力できるような、そういう職場であること。つまり労使対等の原則に基づいた近代的な労使関係というのが樹立されているということが、やはり乗客の安全というようなことからいって、これは航空会社ばかりではありませんで、国鉄等についても言えることでありましょうけれども、すべての基本になって、出発点になっていると思うのです。そこでいまの日本航空株式会社の状況を見ていると、実はマル生日航版というべきむちゃくちゃな労働組合に対する介入とか差別というのが行なわれているわけなんです。 議論していく前提として最初にちょっとお尋ねしたいのは、ずいぶんたくさん、地労委に対して日本航空株式会社を被申し立て人とする申し立てが行なわれているわけでありますけれども、いままで何件地労委に提訴されたのか、その辺のところ、まず労働省の方からお伺いしたい。 時間が三十分しかありませんで先に進めていきますが、非常に特異なケースとして緊急命令制度というのがありますね。これに違反をした場合に過料を科すことができるという労働組合法三十二条の制度があるのですけれども、普通この労働組合法三十二条が発動されたというのは、よほどのきびしい労使関係の中でも、私はほとんど聞いたことがないわけであります。これも従来この過料というのが科せられた、そういう紛争というのがどのくらいあるか、件数を皆さんのほうで掌握されていたら、ちょっとお答えいただきたいと思います。
○石黒政府委員 中労委、地労委の命令に対する過料の科せられた件数、いま手元にちょっと持っておりませんです。
○横路分科員 地労委のほうの申し立て件数、わかりますか。
○石黒政府委員 日本航空関係で現在係属中の事件は八件と記憶しております。
○横路分科員 過去係属した件数というのは、全部でわかりますか。——ちょっとわかりませんか。じゃ、よろしいです。 大臣、実は、この日本航空の会社でかかっている件数でけりがついているのは、全部労働者側が勝っているのです。会社側は十九連敗。組合の出したビラですけれども、間違いないですね。たとえば、一つは、小岩さんというこれは航空士、田村さんというのは航空機関士、藤田、丸山さんというのが航空副操縦士、この四人に対する解雇事件、かかっている事件はずいぶんたくさんあるのですけれども、この人たちの事件が一つですね。それから、山田さん外一名に対する、これは定期運送用操縦士技能証明の実地試験にかかる教育訓練を会社側が受けさせないというのでかかっているのが一件です。それから吉岡さん外一名の一等航空整備士技能証明の実地試験にかかる教育訓練、これもやはり会社側が受けさせないということでかかっていたわけです。それから、坂井さん外三名にかかる昇給差別ですね。それから組合に対する団交拒否、そのほか、掲示板を移動したとか、組合の役員選挙に介入したとか、賃金昇給、昇格、臨時手当などで差別したとか、これはもうすでに地労委で命令の出ているのが大部分ですけれども、全部労働者側の意見が取り入れられて、会社側は、不当労働行為だ、労組法七条に該当するということでやられているわけですね。数をあげれば切りがないのですが、とにかく会社側はいままで十九連敗。負けてもとにかく話し合おうという心がまえが全然なくて、全くの対決ムードで、とことん最後まで争うという姿勢をとっておるわけです。 たとえば一件だけ申し上げますと、この一番最初に申し上げました航空士、航空機関士、副操縦士の四名に対する解雇の問題については、どれだけ地労委、中労委、裁判所の手をわずらわしているかといいますと、昭和四十年に解雇をされて、四十一年二月二十六日、地位保全の仮処分の事件で東京地裁民事十一部から、労働者側の勝訴の判決が出ているわけです。四十二年八月二十二日には、地労委から、やはり不当労働行為ということで救済の命令が出ているわけです。四十四年六月十八日には、この地労委の命令に対する再審査請求が中労委でもって却下になっているわけです。四十四年九月二十九日には、仮処分のほかに本案の提訴をいたしまして、本案についても勝訴、仮処分に対する異議申し立ても東京高裁にやったが、これも却下。これは地労委命令に対しては行政訴訟ができますね。この行政訴訟についても、四十四年九月三十日労働者側が勝訴、そして緊急命令を出したわけですね。緊急命令というのは、原職に戻しなさい、賃金を払いなさいという緊急命令が出たのだけれども、会社側が履行しないために、四十五年五月二十八日、二百万円の過料の決定が出ているわけです。これはもう先ほどお調べになっていないようですが、この関係でもって、緊急命令違反ということで過料に処せられるなんというのは、前にキューピーマヨネーズなんかの事件にあったくらいしか私は記憶がない、ほとんどないわけですね。これは非常に珍しいケースだ。さらに四十六年三月十九日、この過料決定に対する不服の抗告を東京高裁で却下。さらに四十六年五月十九日には、本案及び仮処分異議事件の地裁判決を不服として争ったのを全部高裁で却下。四十六年五月二十五日には、その緊急命令を出して二百万円の過料に処せられたのにまだ履行しないから、再度二百万円の過料決定が行なわれているわけです。合計四百万円。これはまだ払わないで、いま最高裁判所に係属中です。四十六年八月二十日に、高裁で第二次の決定に対する不服の抗告を再度却下。そして四十六年十一月十九日、昨年おそく中労委は、会社がまだ緊急命令違反の四百万円、二百万、二百万で二回で四百万円の過料に処せられながらなおかつ履行していないということで、裁判所に対する不履行の通知を行なっているのですね。 とにかく、この姿勢というのは、こういう大きな会社で、徹底的に最後まで持ち込もう、法律的に使える手段を全部使ってしまおう、こういう姿勢なんですね。問題は、あとでお話ししていきますけれども、こういう労務管理が、実は、安全を阻害する非常に大きな要素になってきているということなんですね。最近の日本航空における解雇の問題も、合理化の問題から端を発しておりますけれども、最近の合理化というのは、機械化ばかりではなくて、人間管理という面に非常に重点を置いて、管理職ばかりどんどんふやして、とにかくきびしい、人間を管理するという面からの合理化ということが、これもう国鉄もそうですし、全逓もそうですし、いろいろな職種にどんどん行なわれているわけなんですが、これはやはり大きな問題は、実はそこの安全という面に私は持ってきているんで、お考えをぜひ伺いたいと思うのですが、大臣、日本航空というのは大きな会社で、これは政府が半分出資しているわけですが、こういうような労務管理といいますか、労使関係というのはあるべき姿としてこれでいいか。私、ちょっと時間がありませんで早口で経過を申し上げましたように、解雇事件一つとってみても、負けても負けても、何回過料に処せられても、ともかく最後まで争って組合をつぶしてしまうんだ、こういうことでは、やはりこれはそのうち大事故に私は結びつくのじゃないかというように思いますが、大臣の見解を承りたいと思います。
○塚原国務大臣 この日本航空には五つの労働組合があるというのを知って、実は私、驚いたわけです。 それから、いまいろいろお話がありました。負けても負けても云々というお話がありましたけれども、幸いにして今日まで日本航空がたいした事故がないからですが、いまそのお話を聞いてみると、安全維持という面から見ると、ふしぎに思われるくらい内部にいろいろな事件が起きているわけであります。しかし、航空事業というのは、これは言うまでもなく、まさに安全第一、これ以外には何もないと私は考えております。そういう内紛と申しまするか、争議行為というか、人間関係の断絶というか、そういうものが大きな事故につながるというようなことがあったら、これはたいへんでございます。私自身まだ日航の労務管理の方ともお目にかかっていませんし、また、事実、こういう問題について日航関係の方のお話を聞いたことがありませんが、事は意外に重大でありますから、労働省としても、この対策と申しまするか行政指導でありまするが、不当労働行為がありましたならば、これはどんどん厳重な注意をしてそれをなくさせていきたい、このように考えております。
○横路分科員 ぜひそういうことをお願いしたいと思うのです。そのことばをいただけば、あと質問しなくてもいいようなものですが、実は、そうでもないのでありまして、日本航空というのは事故が少ないということなんですが、実は、表面に出てこないわけでありまして、事故がいままでないのがほんとうにふしぎなくらいなんです。そのことを少しあとで申し上げたいと思うのですが、そこで、運輸省のほうですね。これは運輸省のほうでも、この解雇の問題、賃金の問題ということになりますと、これはなかなか運輸省にすぐ監督責任があるかということになると、そうでもないと思うのです。ただ、問題は、そればかりでなくて、たとえば定期運送用操縦士技能証明の実地試験にかかる教育訓練を全然やらないというような問題、あるいは整備士の場合の一等航空整備士技能証明の実地試験にかかる教育訓練を行なわせない、試験を受けさせない。これは試験そのものが国家試験で、皆さんのほうに監督の責任があるわけですね。それを労働組合員であるということで受けさせないのはおかしいという命令が、これは地労委からいまお話しした二件とも出ているわけです。明らかに不当労働行為だ。しかもこの日本航空の社長さんというのはどういう人か知らぬけれども、地労委の認容した事実によると、社長みずから先頭を切って不当労働行為を行なっているわけですね。ちゃんと認定の中にあるわけですよ。争議中に組合員である者を呼んできて、おまえら、組合執行部をばんばん批判して、会社もどんどんたたくから、おまえらはあんなものと分かれてしまえという命令をしたということが、認定書の中で認定されているわけです。やり方としては非常に幼いやり方をしているわけですけれども、それくらい、とにかく社長みずから陣頭指揮をとって不当労働行為をやっているということが、これはまだ係争中の事件が一部ありますけれども、一応地労委という公的な場で認められているわけですね。あるいはこれはもうすでに会社のほうで争いをあきらめてしまったのもあるわけですね。こういうような問題になりますと、ただ単に、いま労働大臣のほうから、お調べ願って会社のほうにもお話しいただくという御答弁をいただいたのですが、実は、これも四十四年のときにも一度社会労働委員会で取り上げられまして、わが党の山本政弘議員のほうからいろいろ議論があったところなんですが、一体運輸省としては、四十年以降の日本航空のこういう問題についてどういう扱いをしてきたのか、特に皆さん方の監督に直接かかわる国家試験の分野について、試験を受験する以前の段階で、会社側が試験を受けさせない、こういうのは私は言話道断だと思うのですが、運輸省としてはいかがお考えですか。
○金井政府委員 操縦士、整備士等の国家試験は、一応学科試験と技術的な試験とございまして、学科試験に受かった者が一年以内の有効期限内に実地試験を受けることになっております。ところが、実地試験の場合は実機を用意しなければいけない。ところが、これは会社が実機を用意して受けさせるのが通例となっているわけでございますけれども、会社は一応いままで、どういう者に実技試験を受けさせるかということを人選しまして、そうしてその人に受けさせておったわけでございます。したがって、いままで漏れた人がおったわけでございますけれども、ただいま御指摘になりましたように、ただ単に特定の組合に入っておるというだけの理由で人選から漏れたということであれば、これは先ほど労働大臣も言われましたように、不当労働行為であるということになると思いますし、それから、もしそういうことが、われわれのほうもいままで調査してきたつもりでございますけれども、会社の人選がどのように行なわれたか、ただ単に特定の組合に入っておるというだけではずしたのかどうかということをもう一度再調査いたしまして、もしそういうことであれば、今後そういうことを続けないように指導したいと思います。
○横路分科員 もしそういうことであればということじゃなくて、会社のほうにもいろいろ言い分はあるでしょう。しかし、一応地労委のほうで決定されていまして、その決定書の中には非常に詳しく経過が全部書いてあります。この経過をお読みになると、それはもう調査する必要がないくらいでありますが、いま調査されるということですから。まだ係属中の事件もございますが、その係属中の事件にしても、たとえば機長に対する昇格、これも不当に差別取り扱いをしている。たとえば築野さんという方がおられるわけでありますが、この人についてはいままで二件命令が出ていまして、いずれも不当労働行為だということになっている。一つは、昇格、昇給をさせなかったということですね。それから一つは、機長になる前にいわゆるATR——定期運送用操縦士の国家試験の問題で、国家試験を受けさせない、実機の提供をしないということで、これは結局カンパでいろいろ苦労されてやったのですが、その場合だって試験を受けるためには休みをとらなければならぬわけですね。その有給休暇の申請をしたら、これはだめだということになって東京地裁に仮処分の申請、有給休暇を取得するなんて前代未聞の仮処分の申請をして時間をとって、みんなのカンパで飛行機を用意して、そして、ようやくATRの資格をとった。ところが、資格はとったけれども、この人はすでに五千九百時間も飛行機に乗って飛んでいるのですね。飛んでいるけれども、機長昇格に必要なその後の手当てを全然していないわけですね。したがって、それはまたそれで機長昇格についての不当差別だということで、これまた都労委のほうに提訴されているというような現状にあるわけです。そうすると、ちょっと考えてみても、いま外人パイロットにものすごい、日本人の倍くらいの賃金を払っているわけでしょう。こういう操縦士になるべき資格を当然持てる人、あるいは解雇されたまま現職復帰されない副操縦士が二人、またこの人たち四、五人分の人件費だってこれはばかになりませんよ。たいへんなものです。ばかみたいな争いをするから外人パイロットをそのかわりに入れなければならぬということ、こういうことに現状としてなっているわけですね。したがって、私は、いまかかっている全事件について、日本航空の労務政策のあり方というものを、これは本来労使というものは対等の立場でもってこの企業にまかせるというのが原則ですね。まかせるというのが原則です。だから官庁が、皆さん方が、監督官庁だからといって乗り出していくのはほんとうは問題なんだけれども、しかし、いまのようなこんなめちゃくちゃな状態では、皆さん方のほうでも安全を守るということについては監督行政としての責任を持っているのですから、労働省とひとつ協力をして、いま金井技術部長がおっしゃられた点をぜひこれは調査をして、そうしてその結果適当な行政指導をしていただきたい。私のほうもそれをぜひ報告をしていただいて、一度、ほかにもまだたくさんいろいろな問題が日本航空については実はあって、そのうち社長さんに国会に来てもらっていろいろ議論しようと思っていますので、ぜひ早い機会にそのことをお願いしたいのですが、再度その確認を金井技術部長のほうからお願いしたいと思います。
○金井政府委員 調査して報告いたします。
○横路分科員 そこで労務管理政策がどうなっているかということですね。これは先日航空安全推進会議という民間の航空関係に従事をしている人たちですね。これは運輸省関係でいいますと、管制官の人たちなんかも参加していますけれども、そこでいろいろアンケートをとったのですね。いろいろ調査をされたわけですよ。そうすると、ニアミスがどうだとか、整備の関係とか、こういうのが出てくる、日本航空の関係で。たとえば飛行間点検、飛行前点検、飛行後点検というのをやりますね。その場合の点検項目というのがあるわけですよ。その点検項目にないミスを発見して、これはたいへんだというので修理をする、整備をすると時間がかかるわけですよ。そうすると、あとで会社のほうから、おまえなぜミスを見つけたといってしかられるというわけですね。おまえなぜミスを見つけたのかと言って。たとえばエンジンにファイアトラブルが起きたときに、何か警報が鳴るようになっていますね。その警報装置がこわれているというのを見つけると、なぜ見つけたかとしかられるというのでは、整備の人たちはだんだんやる気をなくしてしまうわけですね。そういう労務管理なんですね。あるいは飛行機の整備をしているときに、ちょっとおくれると、ディレー・レポートというやつを会社のほうに文書で出すようになっている、日本航空は。東亜国内あたりですと、口頭で出さなければならぬ。そうすると、なぜおくれたかということできびしくやっつけられるわけですよ、一分でも、十分でもおくれると。そうすると、何かというと、丁寧に点検するとおくれるわけですね。大体いま飛行間点検だと二十五分間でやれということになっている。二十五分間というと、飛行機がおりて、お客さんをおろして、いろいろ燃料を補給したり何かしてまたお客さんを積み込んで、また飛んでいくわけですね。二十五分でやれといったって、実質的には何もできないわけですよ。エンジンの燃料のほうを見ているだけで精一ぱい。そうすると、せいぜい見ることはエンジンの羽根がこわれていないかとか、胴体にきずがあるかないかと、きゅっと一回りして終わりだというのですね。それを丁寧にやるとおくれてしまう。おくれると、会社からは、おくれた理由は何かということでレポートの要求をされて、そうしておまえのやったことはオーバーメインテナンス、過剰安全だ、つまり基準を越えて点検をしたといってしかられる。そうすると、整備の関係の人ばどうかというと、ともかく時間の中だけで適当に、現実にはあまり見ないで、そのまま判だけぽんと押して、はい、よろしいということになるのですね。だから、この間の全日空のような、ああいうボルトを間違えてつけたというようなミスが出てくるのですね。いまの航空会社は、日本航空ばかりではなくて、全日空にしても東亜国内にしても、そういう合理化という意味での労務管理政策を上から押しつけることによって、安全というのは非常に阻害されている。東亜国内の例の「ばんだい号」の事故というのも、原因はまだよくわかっておりませんけれども、あの当時の労使間の紛争ということも一つの要素ではないかということは、やはりいろいろと指摘をされたわけです。したがって、私はとりあえず運輸省のほうに、これらのいま問題になっている点について、先ほど労働大臣もおっしゃられた、それから金井技術部長もおっしゃられた点をとりあえずは点検してもらうことにして、さらにそれだけではなくして、係属している事件だけではなくて、こういうような問題が現場から現実には告発をされているという事実を踏まえて、いまの、もう少しこの整備のあり方、そこにおける労使関係のあり方というものも、やはりこれはひとつ御調査を願いたい。つまり係属の事件ばかりではなくて、もうちょっと全体的ないまのシステムというものがいいのかどうか、この辺のところもひとつ御検討を願いたいというように思いますが、その点はいかがですか。
○金井政府委員 御承知のように、航空機の整備は運輸大臣が認可するところの整備規定の中にきめられておる整備方式にのっとって整備しておったわけでございます。ただ、ただいま先生が御指摘になりましたように、整備項目、点検項目以外に、ミスを見つけた場合におこられるということが、その事実はまだ聞いておりませんけれども、もしそういうことがあるとすれば、これはまことに心外なことであって、どんなミスであっても、たとえ点検項目以外のミスであっても、ミスはすべて直すというふうに指導しておるつもりでございます。したがって、この事実については当局においてこれから調査したいと思います。 それから労使紛争と要するに整備システム、整備体制との関連はどうかというようなことでございますけれども、たとえ運輸大臣が規定した整備方式にのっとって、規定の人員で規定の施設を使って整備をしておるということでありましても、労使紛争というようなことで、実際航空業務に従事する者が精神的な不安だとかあるいは動揺だとか、そういうものを持つようなことが考えられますので、もしそういうことですと、チームワークの面でも、あるいは完全に整備するという面でも好ましくありませんので、先ほどもお約束いたしましたように、終わったもの、あるいはまだ係争中のものについて、すべて調査してあらためて御報告したいと思います。
○横路分科員 それはもちろん会社のほうばかりが悪いのじゃなくて、最近の許認可行政を廃止するという名のもとに、皆さん方のほうで許認可事項を全部民間会社のほうに委託をしていく、委譲していく。機長昇格の試験だってそうでしょう。こういう整備の試験だってそうですね。そういうところにも実は大きな問題があるのですが、それは航空法改正を今度出されるようでありますし、時間がありませんから、そちらのほうの委員会でやっていきたいと思います。 そこで、実は先ほど、一番初めに大臣が、これで事故が起きないのがふしぎなくらいだとおっしゃいましたが、ふしぎと日本航空のミスというやつは新聞に報道されないのですね。新聞記者の方にいろいろ聞いてみると、書くとすぐ営業のほうから、日航の宣伝費がもらえなくなるからそんなものはだめだ、つぶしてしまえということで、これは出てこないというのですよ。 それで、皆さんのほうにお尋ねしたいのは、たとえば、私ここに一つだけ資料を持っていますが、実はことしの一月十九日にジャンボ、ボーイング747がホノルルを出発するときに大事故に直結しそうな事故を起こしているんですね。でも、こんなのは全然新聞に出てこないですよ。エンジンのファンブレードがシフトしてしまったんですね。ファンブレード一枚が折れてしまったんですね。その原因は何かといったら、やはり整備ミスなんですね。ともかく離陸中の事故ですから、離陸するときにそういう故障が起きて、飛行場に戻って何とかかんとか事故にならずに済んだらしいのです。全日空のミスというのは、全日空に気の毒なくらい、ちょっと何かあるとすぐ出てきて、日本航空のやつはなかなか出てこない。そこで私は皆さんのほうに、海外の事故ですけれども、ひとつ調べて、これは資料として出してほしいのですが、いわゆる事故あるいはミスといってもいいのかもしれませんが、こういうケースを、昨年一年間の日本航空のやつを調べて、国内ばかりじゃなくて海外のやつについても、こういうような事故がありましたぐらいのことは、運輸省のほうに一応件数ぐらいの報告はあるのでしょう。それをひとつ詳しく調べて——国内の場合には、たとえばこの間のような全日空のミスがあると、すぐ運輸省のほうでもって監督に入って、ああしなさい、こうしなさいという指摘をするけれども、日本航空の場合は全く野放しになってしまっている。運輸省のほうも、先輩がたくさん日本航空におられるから言いづらいのかもしれませんけれども、しかし、やはり事は乗客の生命の安全につながることでもありますから、ひとつ日本航空のほうも手かげんしないで、ミスはミスとしてちゃんと調べていただきたいというように思うのですが……。
○金井政府委員 整備上のミスあるいは気象によるおくれだとか、そういう一切のおくれだとかキャンセル、こういうものは統計として当局に報告するように義務づけております。これは国内の場合でも海外の場合でもそういうふうに義務づけておりますので、日航の海外における故障件数もあとで提出することにいたします。ただ、日航に対して手心を加えておるがということでございますけれども、日本航空は国際線、国内線両方でやっておりまして、国際線の場合にはたまたま新聞に載るようなチャンス、機会が——日本の新聞記者が海外におりませんので、それで載らないということで、当局が特に手心を加えておるということではございません。
○横路分科員 それは件数だけなんでしょう。つまり皆さんのほうで、その中身を見て監督するということをやってないわけでしょう。国内の場合だったらこれをやるわけですね。だから、そこが問題だと思うのですよ。
○金井政府委員 海外の場合でも国内の場合でも一応故障と呼んでおりますけれども、その故障の重要さ、それからさらに、小さな故障であっても繰り返し繰り返し起こるようなもの、要するに慢性的に起こるようなもの、それから、将来重要なもっと大きな故障につながったり、あるいは事故を誘発するおそれがあるようなものについては、たとえ海外のものであっても、整備なり何なりについて改善するよう指導しております。
○横路分科員 この航空の問題は、私もずいぶんいろいろな機会にいろいろ視点から議論してきたわけですよ。しかし、やはり調べていけばいくほど、事故が起きてしまってからいつも、ああ、しまったということを皆さん方のほうでおっしゃられるわけですね。やはりそれではおそいわけでありまして、そんな意味でぜひ運輸省のほうでも、いま御答弁されたことをひとつ誠実に守っていただきたいと思いますし、労働大臣も、一番初めに決意をいただいたわけでありますが、運輸省のほうと連絡をされて、事は安全ということとすぐ直結をしている労使関係であるということを十分ひとつ御認識をいただいて、善処措置をお願いしたいというように思いますので、最後に一言だけ……。
○塚原国務大臣 裁判における事実、これはいま御説明願ったとおりでありまするが、その後、何か整備についてお話、これは私、驚いたわけであります。こういう問題は両方の意見を聞かなければなりません、横路さんのお話が間違っているという意味じゃございませんよ。ですから、そういう面も含めまして、やはり事故を絶対起こさない——ことに、日本航空の社是というか、安全第一ということをやっているというふうに私、聞いておりますので、もし私の所管事項の関係において事故が起きたというようなことになったらこれはたいへんでございますから、さっそく関係者のお話をよく聞き、またけしからぬ面があれば、不当労働行為があれば、私のほうから厳重に注意いたす考えであります。
○植木主査 次は東中光雄君。
○東中分科員 私は、ハイヤー・タクシー労働者の労働条件について若干お聞きしたいと思うのですが、最初に、大阪府下におけるハイタク企業の過去五年間の労働基準法違反の案件ですね、その違反項目別に分類した件数をちょっとお聞きしたい。
○渡邊(健)政府委員 大阪府下におきますハイヤー・タクシーにつきましては、大体過去五年、毎年ほとんど適用事業場全部に対して、ほぼ一〇〇%に対して監督を実施いたしております。違反の率は、毎年若干の出入りはございますが、おおむね八〇%ぐらいになっておりまして、その内訳は、年によって多少違いがありますが、労働時間関係が大体五〇%ぐらい、それから休日関係が二〇%ないし三〇%前後ぐらい、それから割り増し賃金の関係が約三分の一前後、こういうような違反状況に相なっております。
○東中分科員 パーセンテージじゃなくて、項目別の件数はわかりませんか。
○渡邊(健)政府委員 五カ年につきまして、それぞれわかっておりますのは非常にこまかくなりますので、総括して申し上げたわけでございます。年度別の件数は一応わかっておりますが、非常にこまかくなりますので、全体をひっくるめて申し上げたわけであります。
○東中分科員 それをあとでいただけますか。——それではお聞きしたいのですが、ハイタク関係については、春秋の交通安全運動期間中に労働条件について、いろいろアンケート調査なり通報のあった分についての調査なりやられておるようですけれども、非常にひどい事案を私最近聞いておるのです。 これは大阪の出来島交通の労働者ですが、厚地運転手がタクシーの運転業務中に突然なくなったという事件が起こったわけですが、昨年四月六日のこの勤務状況、陸運局への会社の報告を見ますと、これは非常にすごいわけです。 なくなったのが四月六日ですけれども、その前の二月三日から二十日まで十八日間連続十八乗務をやっています。一乗務十六時間のあの勤務体制で十八日間十八乗務連続やっているわけです。その間の走行距離を見ますと最高が三百六十六、最低で二百六十一、水揚げも最高が一万三千三百八十円、最低で一万二百円、一応普通にあげているわけです。平均走行距離が三百二十余りですから十八乗務連続ということがあって、また二月二十二日から三月十一日まで十八日の間に十五乗務やっています。走行距離の最高は四百九十五キロ走っております。平均で三百三十二・七キロ、さらに三月二十一日から二十七日まで七日間に、二十五日を除いて連続六乗務。これはもう全く殺人的なんですね、ちょっと考えられない事態なんです。直接それでなくなったのかどうかわかりませんけれども、運転業務中になくなったという事態が起こって調べてみればこういう結果が出ている。こういうのに対してどういう処置をとられているのか。まさに殺人的だといっていいと思うのですけれども、基準監督署としてはどうされたか。その点いかがでしょう。
○渡邊(健)政府委員 出来島交通の運転手の方が四月六日になくなられた件は承知をいたしております。私どものほうは一応勤務時間中に自宅に帰って自殺されたんだということで聞いておるわけでございますが、その方は四十六年、昨年の一月以降は日勤者になっておられたわけでございます。連続乗務という場合には、十一時間以上の隔日勤務者、これにつきましては私どもいわゆる二・九通達という労働時間等についての規制の基準といたしております通達によりまして、そういう者は指導基準に違反するということで是正をさせておるわけでございますが、御本人の場合には午前十時から午後七時までの日勤者ということに相なっておるわけでございます。したがいましてその間連続勤務をされておるとすれば休日出勤等はあったかと思うのでございますが、私どもが調べました限りにおいては、一月二十一日から二月二十日まで、これは給与計算が二十日、二十日になっておりますので、そういう期間で申しますと出勤が二十日、休みが十一日。二月でいいますと、二月二十一日から三月二十日までの間が出勤が十六日、休みが十二日。三月の二十一日からなくなられるまでは、出勤が七日、休みが十一日というような状況でございまして、連続ということで、休日出勤があったことは事実であろうと思いますが、全体として見ますと、そう休みもなしにということではなかったのではないかと、調査の限りにおいては考えておるわけでございます。
○東中分科員 運輸省に会社が届け出た水揚げ額と走行キロの一覧表があるわけです。それによりますと、たとえば二月三日から二十日まで連続に’水揚げ額が、先ほど言いましたように一万をこしています。走行距離で見ますと、三百三十五、三百四十一、三百二十三、二百九十四、三百九、三百三十七、三百八、三百、三百三、三百五、三百十六、全部三百キロをこしていますね。大阪で、市内でですよ。これは出来島交通は市内にあるわけですから、市内で、そして十六時間乗務で三百五十キロですね。一応の基準を運輸省が出しておる。いま言われたような勤務時間で、こんなものは走れますか。走れるわけがないじゃないですか。どういう調査をされているのか全く解せないことになるわけですけれども、たまたま三百数十キロのものがあるというのではなくて、毎日三百こしておるのですから、これは運輸省どうでしょう、日勤で三百キロずつ走れますか。
○小林説明員 運輸省といたしましては、直接労働時間を規制し、あるいは監督するというようなことではございませんでして、一日の最高乗務キロについて、主として事故防止の観点から最高のキロ数を、東京あるいは大阪、それぞれ指定しております。また事故防止あるいはサービスの向上という観点から、運行管理制度を通じまして運行管理者が個々の運転手を、たとえば点呼等を通じまして十分、事故の起きないような運転を指導するというような体制をとらしておるわけであります。 それから、ただいまの何キロあるいは幾ら水揚げがあるというようなことは、個々の運転者ごとにチェックする問題ではございませんで、いわゆる会社の内部で日報として、そういうものは整備すべき事情になっておるわけでございます。ただいま先生御指摘のような事実があるとすれば、これは他の会社等に比べまして非常に特異なケースかと思われます。労働基準局等からの通報その他特別な事態が発生いたしました場合には、その会社についての労務管理体制が十分行なわれているかどうか、そういったことについて監査あるいは指導等をするということにいたしておるわけでございまして、この本件の出来島交通についての自殺者が出たということに直接原因しての監査報告等については、本省としてはまだ承知いたしておりませんが、ただいまのような事態については、さらに詳細を現地の陸運局について調査したいと思います。
○東中分科員 私がお聞きしたいのは、大阪のいまの現状で、市内のタクシーが一日三百キロ以上走るということになれば、これは日勤乗務で、普通の場合は昼だけで走れるような、たまにはそういうことがありますよ、高速だけ走ったとか。毎日、十数日間連続で三百キロオーバーの距離を走るということになれば、勤務時間というのはそれは十六時間乗務でも大体これくらいから三百五十までというのではないのか、実情は。その点どうでしょう。
○小林説明員 先生御指摘のとおり、最高乗務キロの現在三百五十キロという定めは隔日勤務、月十三交代というような場合における最高でございまして、したがって連日の勤務で三百キロ以上走れるかどうかという点については御指摘のとおりだと思います。
○東中分科員 基準局ですけれども、いま部長が言われたような処置とは全然違うのですね。日報で水揚げ額まで書いて報告しているのを見ると、・大体十三乗務、十六時間乗務体制での走行距離を毎日走っているわけですから、昼だけで、むしろ夜は相当走れますが、昼だけでこんなには走れない。たてまえが日勤で午前から四時までということであっても実際はそうではない。そのたてまえだけをお聞きになって処置されているということでは、これはもう交通安全という点から見ても、労働者の労働条件という点から見ても非常に遺憾な事態が起こっている、こう思うのですが、ひとつはっきり調査をして基準法違反というものの実態をはっきりさせなければならぬと思うのですが、その点をやってもらいたいと思うのですが、どうでしょう。
○渡邊(健)政府委員 その点についてはさらに調査をしてみたいと思います。
○東中分科員 なくなっておるというふうな異常な事態が起こっておって、なおかつ先ほど言われたような形式的な調査で済まされているというのは非常に私は問題だ、こう思うわけです。 それからもう一つ具体的な例を申し上げておきたいのです。大阪にはゆたかタクシー、東光交通、三日月タクシー、この三社同一経営者のタクシー会社があるわけでが、ここでは非常な暴力事犯といいますか、ひどい事態が起こっているわけです。特にゆたかタクシーの場合に焦点を合わせて申しますと、金に困っている労働者を十五万なり二十万なり要するに前借り金でかき集める。そうしておいて一定の、旧レートですけれども、旧運賃で一乗務二万円以上の水揚げを要求する。そしてノルマに満たないときはこれはずいぶんしりたたきをやられるわけです。そういう中でどうしても満たなかったら前借り金を今度は給料から天引いていくという状態が起こる。そして経営者自身が労働者をなぐるのですね。たとえば四十五年の七月十一日にA君、名前はわかっておりますけれども、かりにA君といっておきますが、組合活動のことで経営者にちょっと文句を言ったらガレージ内でなぐられた。しかもその同一系列のほかの会社から来て経営者と一緒になぐる。あるいは四十六年一月二十五日に水揚げが低いといって、これはやはり経営者自身がある労働者B君ならB君ですがをみんなの前でなぐっている。これは事務室でなぐっています。あるいは同じ年の三月三十日に労働者のC君といっておきますが、多数組合員の前で十分間ビニールパイプでなぐられて血まみれになった。経営者が直接なぐった。四十六年の九月にまた別の労働者ですが、奥さんと高校を卒業したばかりの子供さんを呼んできて、その前で水揚げが低いといってなぐっているのですね。抗議をしたら愛のむちだといって開き直る。それで、そのD君というのはとうとう耐えかねて逃げたわけですね。借金が約八十万くらいになっておった。そうすると、私はここへ持ってきておりますけれども、本人の写真を、これは相当大きな写真ですけれども、これはゆたかタクシーですが、この会社ではなくて、ほかの会社の東光交通の会社の水揚げ一覧表を黒板に書く、その黒板の上へ写真を張りつけたのです。いわゆる指名手配写真です。こんなことまでやられる。それは全く監獄部屋といってもいいような状態になるわけです。さらにもう一人の労働者のE君の場合は、水揚げが低い、欠勤が多い、入庫がおそい、そのときどきで理由が違うのですが、去年の十月四日になぐられ、九日になぐられ、十三日になぐられ、十一月の八日にまたなぐられている。これはどっちも会社の事務室でなぐられていますね。これは新聞にも出たわけですけれども、基準監督署が調べ出したのだけれども、本人を呼んだのだけれども、本人が来ない。だから、調べられないという状態になっているのです。ところが、こういう暴力支配をやられているところで本人が基準監督署へ行ったというのでは、こんなものまたひどい暴力を受けるというのはきまり切っているわけですね。監獄部屋とかなんとかというのは、役所へ出ていけないからこそそういう状態に置いているからこそ監獄部屋というか、これは監獄部屋というとちょっと大げさになりますけれども、要するに借金と暴力で支配をしていく、こういうやり方がまかり通るわけなんで、これは非常に過酷な状態になっている。 その結果、これは四十五年の九月度と十月度の各会社別の一日一社当たりの走行キロ平均の一覧表があるのですけれども、これを見ますと、ゆたかタクシーの場合は四十五年九月度が四百三十八キロです。それから十月度が四百四十キロです。それから同じ系列の会社である太平タクシー、これも同じ経営者ですが、四百二十一キロ、それから四百九キロ、平均がこうなっています。それから東光交通の場合は、陸運局へ出していないのでその資料がこの表には載っていないのですけれども、とにかくほかの企業と比べるとべらぼうに——三百五十が限度ということになっているけれども、四百五十あるいは四百をこしている、こういう暴力支配の中で、あるいは借金政策の中でしりたたきをやられている、こういう事態が起こっておるのですが、基準監督署としてはどういう処置をされているか、お聞きしたい。
○渡邊(健)政府委員 タクシー業界におきましては、よく労働者が雇い入れられる際に支度金というような名目で事業場から借金をいたしまして、あるいは雇い入れ後にも労働者の希望で事業主から借金をするというような場合が多いとか私どもも承知をいたしておるわけでございます。そういう場合にその前借金が、もしそれを完済するまで労働するというようなことが契約の条件に入っているといたしますと、基準法十七条のいわゆる労働することを条件とする前借金ということになりまして、そういうものと賃金との相殺をしているということになれば、基準法十七条違反の問題が生ずるわけでございます。ただそれが、そういう労働をすることがその契約上の条件になっているかどうかという点についてはなかなか明確に把握が困難であるわけでございますが、しかしそういうおそれがあるものにつきまして、賃金からその部分を相殺するということは、その違反を構成する懸念もありますので、大阪の基準局におきまして御指摘のゆたかタクシー、東光交通の両方を兼ねております社長を呼びまして、そして賃金については控除をしないで全額払いをするような行政指導を先般いたしておるところでございます。 なお、いろいろあげられました暴力事犯につきましては、私どもも労働者間のいろいろな暴力事件があるということは聞いて調査をいたしておりますが、それがいわゆる基準法五条にいうところのタコ部屋的な強制労働的なものであるかどうかということについては、現在までのなかなかはっきりした事実をつかめずにおるわけでございまして、それらの点については今後とも十分に調査につとめまして、そういうような事態があれば厳正な態度をもって臨む、こういう姿勢でまいりたいと考えておるわけでございます。
○東中分科員 前借り金相殺の問題なんというのは、形式的にそういう契約書なんかつくりまして、契約するとかいうような形でやるようなものではないということは、実態はもっと陰惨なものだと思うのです。私たまたまこの間十九日の日に、この調査で大阪へ帰ったわけですけれども、そこで職場から出てきたばかりの労働者が、いまロッカーで着がえをしてきたが、ロッカーの下を見たら名刺が落ちていた。何と書いてあるかといいますと、シンボルマークみたいなものがあって、その下に「三代目、早高組内、岩田会、舎弟、向田健治」と、こう書いてある。事務所はだいぶ離れた守口市、そして「ウラを見」と書いてあるわけですね。裏を見たら「取立に行くのでれんらくして下さい」と書いてある。何の取り立てかというと、いわゆる前借り金なんです。欠席なんかすると借金になる。実際こういうのが職場の中に入ってくるんですね。この人は、自分には何の関係もないけれども、落ちていたので、こんなのが落ちていましたと持ってきた。昔のようなタコ部屋じゃないんですけれども、こういう形での暴力支配、暴力タクシー、それで四百五十キロも平均で走る。平均でそうですから多いのは五百キロも走っているということになるでしょう。これは交通安全という点から見ても、まことに陰惨な事態だと思うのです。指名手配の写真を、おらなくなった、自分のところの労働者でなくなった、その会社に張るだけでなしに、ほかの会社にまで張っておるんですから、こういう形式的な調査じゃだめだ。実際上陸運局、監督署が調査に行くといっても行けないじゃないですか、人員が少ないとか、そういういろいろな関係があって。ひとつ徹底的にこういう調査をする体制、これは大臣に要請しておきたいんですけれども、交通安全というような問題から見ても非常に重要な問題ですし、労働者の権利という最低限の基準を守るという点からいっても、これはどうにもならぬ事態だと思うのですが、大臣の御所見を承りたいと思います。
○塚原国務大臣 数々の例を提示されましたが、これが事実としたらたいへんな問題だと思っております。タクシー事業というものは、これは運輸省の所管でありまするが、やはり労働基準法違反、特に労働時間の問題でとかく問題を起こしやすい業務であろうということは、私も十分考えております。労働省としてなし得ることは、先ほど局長も説明しましたように、春秋二回労働交通安全運動というものの間にあって監督を強化する。それからいわゆる二・九通達ということもやっておりますし、一昨年からは運輸省と労働省との間で相互通報制度というものをしいて、監督の強化ということで万全を期しておるつもりでありますが、なお御指摘のようなことがもし事実だとするならば、冒頭に申しましたようにこれはたいへんなことであります。しかし先ほどのあなたのお話と労働基準局長との話は、完全に食い違っていますな。ですから、そういう実相というか実態も見きわめなければなりませんので、できる限りの監督をいたしまして、そういう事態の起こらないような、労働行政としてなし得る限りのことをやっていかなければならないと考えております。
○東中分科員 食い違いがあるということですけれども、確かに食い違いはあるんですが、調査体制が、呼び出したけれども来なかったからというので、そのままおいております、これでは陰惨な実態からいえばいけないんだ。そこのところにメスを入れなければ、基準監督署としては本来の基準法が志向している、それを実効あらしめることができなくなると思うのです。そういう点でそういう調査体制から現実の調査、これを強めてもらいたい、こう思うのですが、大臣どうでしょうか。
○塚原国務大臣 御指摘の点が事実であるとしたらこれはたいへんなことですから、十分な調査をいたして、それからまたこういう機会もあると思いまするから、その際にいまお話を承ったことは、いずれにしろあなたのほうがほんとうであるかどうか、これをまず調査することが急務だと思います。
○東中分科員 私も調査が十分にやられていないのはいかぬ、こう言っておるわけですから、私たちはそういう事実をつかんできて言っているわけだけれども、それがわからないというのは調査体制が悪いということを言っておるのですから、その点特に申し上げておきたいと思います。 それと四百キロも走っているという状態、これは月平均のやつが出ているわけですから、運輸省がこんなのをそのままほっておくということだと、このことが結局いま答申に出ているリース制でいった場合にはもっとひどい走行距離になっていく、非常に危険な状態になっていく、こう思うのですが、そのリース制の問題もあわせて、運輸省と基準局としても、リース制になれば労働者としての基準法上の権利が関係なくなってしまって、そして非常に過酷な長時間労働、連続労働というふうなことになりかねないと思うのですが、リース制についての基準監督署としての考え方をお聞きしておきたい。
○渡邊(健)政府委員 リース制につきましては、運輸政策審議会からの御答申の中にそういうような方向も示唆されておりまして、これにつきましては運輸省でただいま御検討中でございますので、私どもその運輸省のお考えを聞いた上でわれわれの考えを検討したい、かように考えておりますので、現在雇用関係を結んだままで一部リース制に似たような形で、水揚げ高の中から一定の諸経費などを控除しました残額を賃金とするような一種の歩合制度がとられておるわけでございます。そういう例はあるわけでございます。これにつきましては、私どもといたしましては二・九通達の線に従いまして、そういう歩合制の場合であっても通常の賃金の六割以上の保証給を定める、あるいは毎月賃金を支払い、しかも時間外労働があれば割り増し賃金を払う、あるいはそういう歩合制のために二・九通達に違反するような長時間労働にならないような指導監督をする、そういうようなことで指導監督につとめておるところでございます。
○小林説明員 いわゆるリース制の問題につきましては、現在制度としてこれがリース制だというようなことはまだ確立されておるわけではございませんで、一般にいわれております第一の形態は、経営者と労働者の間の一つの利益配分方式あるいは賃契というような形で、あるいはリース制といわれておるものがあるかと思いますが、これにつきましてはただいま労働省から見解が示されたとおりでございます。ただ運輸省のリース制とやや関係がある問題として、一つは現行道路運送法上いわゆる名義貸しというようなものがあるわけでございます。これは現在タクシー事業が免許制をとっておりますので、免許を得た者が名義料を取って他の第三者、それがたまたま個々の運転手の場合もあり得るかと思いますが、そういった者にいわゆる車両をリースして、そして名義料を取る、こういったことは明らかに道路運送法の違反というようなことでございまして、そういった意味におけるリース制、これは禁止されておるわけでございまして、現在あまり例はございませんが、過去には一、二そういったことでこれを監督処分したことはございます。 それから順序が逆になりましたが、先生御指摘の、運輸省において今後リース制を考えておるのではないかという意味のリース制につきましては、昨年の八月、運輸大臣の諮問機関でございます運輸政策審議会において、今後のタクシー制度のあり方というようなものについて一つの答申があったわけでございます。これをたとえばリース制と称するならば、これは現在のタクシーというものを免許制のもとに置いておる、これが将来ともいいのかどうかということで、たとえばこれを許可制にするとか、あるいは現在の個人タクシーのようなものにするとか、こういった企業形態のあり方、そういうようなもの、あるいは行政としては免許制でいくかどうか、自由企業でいいのではないか、こういったことを踏まえての一つの今後の検討の課題になっておるわけでございます。したがって、答申の中に一部例として車両の運用の許可と保有の許可とを分けて、その両者を別々に持っておる場合に、契約でもってリースのような形でタクシー運営ができるというような場合もあり得るというようなことをいっておりますが、こういったことが答申の中におきます一つの例示の問題でありまして、今後どういうようなタクシーの免許制度を考えていくか、変えていくかということが一つの課題になっておるわけであります。その趣旨は、バスとかそういった他の自動車事業と比べてタクシーが現在のように全く同じ免許制度のもとでいいかどうか、こういう反省のもとに立った一つの今後の新しい検討課題であるということでございまして、現在これがリース制だというようなものはまだないわけであります。今後各方面の御意見を聞きながら検討していきたいと思っております。
○植木主査 以上をもって昭和四十七年度一般会計予算及び昭和四十七年度特別会計予算中、労働省所管に関する質疑は一応終了いたしました。 次回は、明二十五日午前十時より開会し、通商産業省所管について審査をすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時二十三分散会