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68回国会衆議院1972/03/18

予算委員会第四分科会 第1号

発言数
236
登壇者
25
会派数
4
開催日
1972/03/18

会議録

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  私が本分科会の主査をつとめることになりましたので、何とぞよろしくお願い申し上げます。  本分科会は農林省、通商産業省及び労働省所管について審査を行なうことになっております。  審査の順序は、お手元に配付いたしました日程により進めたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  昭和四十七年度一般会計予算及び昭和四十七年度特別会計予算中農林省所管を議題といたします。  まず、政府から説明を求めます。赤城農林大臣。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 昭和四十七年度農林関係予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  最初に、各位の御協力を得て御審議をいただくにあたりまして、予算の裏づけとなっております農林水産施策の基本方針について申し上げます。  まず、農業についてであります。私は、常々農業の健全な発展なくしては日本経済の調和ある発展はなく、また、健全な農村と農民を育てていくことはわが国経済社会の土台を形成確保する上できわめて重要であると考えております。しかしながら最近におけるわが国農業とこれをめぐる内外の諸情勢を見ますと、対外的には円の切り上げや農産物の輸入の自由化などへの対応を要請されており、また、国内的に見ましても、米の生産過剰、野菜をはじめとする生鮮食料品の価格流通の問題、公害問題等きわめて困難な課題を多くかかえております。このような状況に対処してわが国農業の健全な発展をはかるためには、わが国農業を国際競争に耐え得るような近代的農業として確立するため、その体質改善をはかるとともに、国民の食料需要に見合った生産が行なわれるよう農業生産の再編成をはかっていくことが重要であります。  このような観点から、第二次農業構造改善事業をはじめとする一連の構造政策を引き続き実施するとともに、農業の体質改善を早急に取り進めるため、新たに、農業団地の育成対策に着手することといたしました。農業団地対策におきましては、地域と作目の特性に即しつつ高能率な農業生産を可能とするような生産団地を育成するとともに、これと有機的な関連を持って、広域にわたる流通、加工等の体制を整備するため、広域営農団地の形成をはかっていくこととしております。  また、農業基盤の整備につきましては、農業団地の形成をはじめ、各種施策の基盤をなすものとしてきわめて重要でありますので、重点的に事業の拡充実施をはかることとし、あわせて農家の生産と生活の場である農村の環境整備についても努力を払ってまいる考えであります。  次に、農業生産につきましては、引き続き、計画的に米の生産調整と稲作転換を促進するとともに、食料需給のバランスがとれた望ましい農業生産の姿を実現するよう地域の特性に即応した農業生産の再編成をはかることとし、畜産、野菜、果樹、養蚕、畑作物等需要の増大する農産物について生産振興対策を一段と拡充強化するとともに、適地における稲作経営の合理化を推進することとしております。  さらに、農産物価格流通対策につきましては、農業の体質改善と農業生産の再編成という基本的方向に沿って、肉用牛、加工用果実等需要の増大する農産物を中心にその価格安定対策の拡充強化をはかるとともに、農産物が円滑に消費者に供給されるよう流通、加工全般にわたる合理化、近代化をはかってまいりたいと存じます。特に、野菜につきましては、消費者物価問題との関連も考慮し、生産から価格、流通にわたる各般の対策について大幅な拡充強化をはかることとした次第であります。  次に、林業につきましては、外材輸入の増大、木材価格の低迷、労働力の不足等のきびしい情勢に対処して、林道事業、造林事業、林業構造改善、林産物の生産、流通の合理化等を一そう推進するとともに、森林の持つ公益的機能が十分に発揮されるようつとめてまいりたいと存じます。国有林経営につきましては、四十八年度実施を目標に、その抜本的改善につき総合的検討を進めてまいる考えでありま。  また、水産業につきましても、資源の制約、国際規制の強化、公害の進行等の諸事情のもとで増大する需要に供給が十分対応できないなど種々困難な問題をかかえておりますので、これらに対処して、海洋漁場の開発と沿岸における増養殖の推進により水産資源の開発をはかるとともに、漁港等漁業生産基盤の整備、沿岸漁業の構造改善、流通の合理化等を今後とも積極的に推進してまいりたいと存じます。  なお、沖繩につきましては、本土復帰に伴い、生産基盤の整備と経営の近代化を重点とする農林水産業関係施策を急速かつ広範に進めてまいりたいと考えております。  また、これらの施策を効率的に実施するための体制を確立することとし、構造改善局、農蚕園芸局及び食品流通局を新設するなど農林省の組織の再編整備をはかることとしております。  以上申し述べました農林水産業に対する施策の推進をはかるため、昭和四十七年度農林関係予算につきましては、その充実をはかることにつとめた次第であります。  昭和四十七年度の一般会計における農林関係予算の総額は、農林省所管合計一兆二千九億円に、総理府、厚生省及び建設省の他省所管の農林関係予算を加えますと、一兆二千九百九十七億円でありまして、これを昭和四十六年度の当初予算と比較しますと、二千一百三十九億円の増加となっております。  以下、この農林関係予算の重点事項については、委員各位のお許しを得まして説明を省略させていただきたいと思います。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 この際、おはかりいたします。  ただいま赤城農林大臣から申し出がありました農林省所管関係予算の重点事項につきましては、その説明を省略しまして本日の会議録に掲載したいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔赤城国務大臣の説明を省略した部分〕  第一に、農業の体質改善に関する予算について申し上げます。  わが国経済の発展とその急速な国際化の進展に対応して、わが国農業を早急に国際競争に耐え得る生産性の高い近代的農業として確立することを目途に、従来からの構造政策を拡充実施するほか、新たに、農業団地の育成を強力に推進することとしています。  まず、農業団地の育成について申し上げます。  畜産、野菜、果樹、畑作物等について、土地基盤の整備と相いまって、近代的な機械、装置の導入を中心に、団地として農業生産の組織化をはかるため、新たに、高能率生産団地育成事業を実施することとし、総額五十七億一千一百万円を計上しております。  また、農業団地育成対策の一環として、広域営農団地整備事業については四十一億三百万円、広域営農団地農道整備事業については一百六十三億二千八百万円をそれぞれ計上して事業の拡充をはかり、これを推進することとしております。  さらに、一定の地域全体を対象として、生産基盤と農村環境の総合的整備を行なうモデル農業団地の形成を進めることとし、新たに、農村基盤総合整備パイロット事業及び農村施設等総合整備事業を実施することとし、それぞれ四億円、五億九千七百万円を計上しております。  また、農業団地等における農地保有の合理化を特に推進するため、新たに、農地保有合理化法人に対し全国農地保有合理化協会から無利子の土地買い入れ資金を貸し付けて農地保有合理化促進特別事業を行なうこととし、このため二十億円を計上しております。  以上のほか、農業団地関連の農業基盤整備事業、第二次農業構造改善事業等を含めまして、農業団地の育成のため、総額五百七十五億六千八百万円を計上しております。  次に、農業の構造改善の推進について申し上げます。  第二次農業構造改善事業につきましては、その計画的推進をはかるため、新たに二百三十地区について事業に着手することとし、二百四十四億六千三百万円を計上しております。  農地流動化の促進につきましては、さきに述べました農地保有合理化促進特別事業に要する経費を含め、三十六億四千六百万円を計上することとし、また、農業者年金制度の運営につきましては、一百一億六千五百万円を計上して農業者の老後の生活の安定と農地保有の合理化等をはかることとしています。  また、農業就業構造の改善をはかるため、農業就業近代化対策等を引き続き実施するとともに、新たに、出かせぎ農業者の営農改善対策を推進することとしております。  第二に、農業生産基盤の整備について申し上げます。  農業生産の基盤となる土地及び水の条件の整備開発につきましては、農業構造の改善と農業生産性の向上をはかるとともに、農村環境の整備にも資する観点から、圃場整備、農道整備、畑地帯の総合土地改良、草地開発等に重点を置いて、各般の事業を計画的、かつ、強力に推進することとしております。  圃場整備につきましては、五百三十六億六千二百万円を計上して、末端圃場条件の整備を強力に進めることとし、また、農道の整備につきましては、四百五十六億二千二百万円を計上して事業の大幅な拡充をはかるとともに、新たに、基幹農道舗装事業及び樹園地農道網整備事業を実施することとしております。  畑地帯の総合土地改良につきましては、八十四億三百万円を計上して、事業の拡充をはかることとし、また、草地開発につきましては、一百二十億七千万円を計上するとともに、新たに、農業公社牧場設置事業を実施することとしております。  また、基幹かんがい排水施設の体系的整備については六百七十三億八千一百万円、農地開発事業については三百五十八億三千七百万円をそれぞれ計上して事業の充実をはかることとしております。  なお、米の生産調整を推進するため、稲作転換に必要な土地基盤の整備を引き続き積極的に実施するとともに、農業団地の育成を推進するため、農村基盤総合整備パイロット事業の新設、農業団地関連の基盤整備事業の充実をはかることとしております。  以上のほか、農地防災事業、調査計画費等をあわせて農業基盤整備事業費として、総額二千七百五十四億六千七百万円を計上しております。  第三に、農業生産の再編成の推進に関する予算について申し上げます。  米の恒常的過剰状態に対処し、需要に応じた農業生産の展開をはかるため、引き続き、米の生産調整と稲作転換を推進するとともに、需要の伸長が期待される畜産、野菜、果樹等について、各地域の特性を生かしつつ、その振興をはかるため、生産、加工流通及び価格を通じて諸般の施策を拡充強化することとしております。  まず、昭和四十七年産米の生産調整につきましては、四十六年産米の作況を勘案して、目標数量を二百十五万トンとし、転作及び休耕の態様に応じて四十六年度と同様の単価で米生産調整奨励補助金を交付することとし、総額一千七百十九億二千万円を計上するとともに、別に、米生産調整協力特別交付金一百億円を計上しております。  また、水稲から今後需要の増大が見込まれる農作物への作付転換を総合的かつ計画的に推進することとし、昨年に引き続き、集団的転作を推進するための稲作転換促進特別事業をはじめとし、公共事業による土地基盤の整備、第二次構造改善事業の活用を行なうほか、農業改良資金による作付条件の整備、家畜導入事業、都道府県における野菜価格安定基金の造成等を推進することとしております。これら稲作転換の推進に要する経費としては、関連事業まで含めまして、総額五百四十八億四千三百万円を計上しております。  次に、畜産の振興対策について申し上げます。  まず、肉用牛につきましては、牛肉の生産及び需要の動向にかんがみ、総合的な振興対策を講ずることとし、生産対策として肉用牛生産団地の育成、肉用牛の生産地への導入、乳用雄子牛の利用促進等の事業を新たに実施することとしております。酪農及び中小家畜につきましては、市乳供給モデル団地の育成、豚の人工授精の普及、国産種鶏増殖センターの設置等を推進することとし、また、自給飼料の確保につきましては、公共事業による草地の開発を拡充するほか、既耕地においても飼料作物の生産利用合理化対策等を推進することとしており、このほか、家畜改良増殖対策、家畜衛生対策等を含めまして畜産生産対策の総額は二百三十五億五百万円となっております。  また、畜産物の価格安定及び流通改善対策としましては、加工原料乳に対する不足払い制度及び学校給食用牛乳供給事業につき、対象数量の拡大をはかるとともに、新たに、肉用牛振興対策の一環として乳用雄肥育素牛の価格安定及び出荷の円滑化をはかる事業を行なうほか、子豚の需給調整、生乳の広域市乳化の促進、基幹食肉流通施設の整備、消費地における鶏卵流通合理化施設の設置等の諸事業を推進することとし、これら畜産物の価格安定及び流通対策として合わせて三百十一億六千七百万円を計上しております。  次に、野菜対策につきましては、生産、価格の安定が強く要請されていることにかんがみ、生産振興、価格安定及び流通改善を通じて施策の飛躍的な強化をはかっております。  まず、価格対策につきましては、特に、秋冬季の重要露地野菜の価格安定に重点を置き、予約概算金の支払いにより出荷の確保をはかるほか、計画的な生産出荷を奨励するため、計画生産出荷奨励金を交付するとともに、価格低落時の価格補てん事業を特に強化することとしております。また、野菜の調整保管、緊急輸送、市場隔離、消費地における大規模低温貯蔵庫の設置等につき助成して野菜価格の著るしい変動の防止をはかるとともに、秋冬季重要露地野菜以外の野菜についても価格補てん事業を強化することとしています。これら野菜価格安定対策として合わせて四十二億四千七百万円を計上しております。  また、野菜生産対策につきましては、野菜指定産地生産出荷近代化事業を大幅に拡充する等、野菜指定産地制度の拡充をはかるほか、新たに、生産性の高い露地野菜生産団地をモデル的に育成するとともに、特産野菜の生産出荷の近代化を推進するなどその充実をはかっております。  さらに、流通加工対策につきましては、引き続き野菜集送センターの設置等を進めるとともに、新たに野菜冷凍工場の実験的設置、大都市における生鮮食料品等集配センターの設置及び青果物安定販売指定店の低温貯蔵施設の設置につき助成するほか、トマトピューレ、ペーストの自由化に対処して、加工用トマト振興基金の造成に対し助成を行なうこととしております。  以上のほか、野菜試験場の新設等による試験研究の強化、中央卸売市場及び地方卸売市場の野菜関係施設の整備等を推進することとし、これらを含めまして、野菜対策につきましては、総額一百十一億七千一百万円を計上しております。  次に、農蚕園芸振興対策について申し上げます。  まず、養蚕につきましては、新たに、主産地において生産性の高い大規模な養蚕経営を中核とした集団営農を推進することとしております。  また、果実生産対策としましては、果樹広域主産地形成事業を拡充実施するほか、グレープフルーツの自由化に対処して、新たに、晩かん類生産出荷合理化緊急対策事業を実施することとしております。  特産物等畑作物の生産対策としましては、特産物生産団地育成事業、特産農業センター設置事業、てん菜大規模集団産地推進事業等を新たに実施するとともに、引き続き、畑作地域集団営農パイロット事業、花卉モデル集団産地育成事業等を推進することとしております。  次に、米麦の生産改善でありますが、稲作につきましては、米生産総合改善パイロット事業及び大規模共同育苗施設設置事業のほか、稲作の一そうの省力化をはかるため、直播稲作推進事業を新たに実施することとし、また麦作につきましては、麦作団地の育成をはかることとしております。  これら農蚕園芸関係の生産対策として合わせて九十九億五千六百万円を計上しております。  また、果実の価格、流通対策につきましては、引き続き、果汁工場の設置等につき助成するほか、新たに、加工原料用果実の価格が著しく低落した場合に生産者に対し価格補てんを行なうため、加工原料用果実価格安定基金協会の制度を設けこれに助成することとしており、これら果実の価格、流通対策として十六億三千四百万円を計上しております。  このほか、砂糖及び甘味資源作物の価格安定対策として五十六億三千二百万円、大豆なたね交付金等として十九億三千二百万円を計上しております。  第四に、食品流通加工の近代化と消費者対策の充実について申し上げます。  近年、国民の必要とする生鮮食料品等の流通を円滑化し、消費者物価の安定をはかることが強く要請されていることにかんがみ、野菜を中心とする食品の流通加工の改善をはかり、消費生活の安定に資するための事業を積極的に推進することとしております。  このため、さきに御説明しましたように、野菜対策等を大幅に拡充することとしておりますが、このほか、中央卸売市場及び地方卸売市場の施設整備、総合食料品小売センターの設置、生鮮食料品等集配センターの設置及び青果物安定販売指定店の低温貯蔵施設の設置につき助成するなど、消費地における生鮮食料品等の流通機構の整備を一そう推進するとともに、農林物資規格表示制度の充実、食品テスト車の設置等の消費者保護対策、中小企業の近代化、食品関係企業対策等の強化をはかることとし、合わせて五十五億九千一百万円を計上しております。  第五に、農村の総合的整備開発と農業従事者の福祉の向上について申し上げます。  農家の生産と生活の場である農村の総合的整備開発を進めるため、新たに八百十地域につき農業振興地域整備計画を樹立して農業振興地域制度の適切な運営をはかるとともに、農村地域への工業導入を積極的に促進するための計画策定と関連基盤整備事業の実施、自然休養村の計画策定等を推進することとし、十四億五千五百万円を計上しております。  さらに、農林漁業用道路の整備拡充、生活改善普及事業、振興山村農林漁業特別開発事業、山村開発センターの設置事業を引き続き実施するとともに、農山漁村同和対策を拡充するほか、新たに、第二次山村対策事業を実施するための開発整備計画の樹立指導を実施することとしております。  第六に、林業の振興に関する予算について申し上げます。  林業生産基盤の整備につきましては、林道事業および造林事業を計画的に推進することとし、それぞれ、二百十億一千七百万円、一百三十六億九千七百万円を計上しております。  また、治山事業につきましては、第四次治山事業五カ年計画の発足をはかることとし、その初年度として、四百七十億三千八百万円を計上しておりますが、このうち、六十六億円を国有林野内臨時治山事業に充てることとしております。  さらに、林業構造改善事業につきましては、新たに、全国一千地域において総事業費一千八百億円の第二次事業に着手することとしておりますが、四十七年度においては百地域について計画樹立を行なうこととし、第一次事業の計画的実施と合わせて六十五億七千四百万円を計上しております。  このほか、森林施業の大型化と省力的技術の普及を促進するための林業技術実習指導施設の整備、共同施業計画の編成促進等森林計画制度の推進、林産物の生産流通の改善、林業労働力対策の拡充強化等を行なうこととしております。  第七に、水産業の振興に関する予算について申し上げます。  漁業生産基盤の整備につきましては、漁港整備事業、大型魚礁設置事業及び浅海漁場開発事業を計画的に推進するとともに、新たに大規模な増養殖場の開発のための調査に着手することとし、合わせて三百九十四億八千七百万円を計上しております。  海洋新漁場開発の推進と漁業資源の維持増大につきましては、海洋新漁場開発調査の拡充、漁況海況予報事業の整備、水産資源の保護培養対策の強化等をはかるほか、栽培漁業につき全国的な推進のための基礎調査に着手する等その充実をはかることとし、合わせて三十二億七千九百万円を計上しております。  また、沿岸漁業構造改善事業につきましては、第二次事業の計画的推進をはかるとともに、第一次事業の補足整備事業を実施することとし、合わせて二十億三千六百万円を計上しております。  水産物の流通加工の改善につきましては、引き続き、水産物産地流通加工センターの計画的整備等を推進するほか、魚介類冷凍加工品の産地生産体制を整備するための産地冷凍加工モデル施設の設置について新たに助成する等水産物流通消費改善事業の内容を拡充することとし、合わせて十二億五千四百万円を計上しております。  なお、漁船損害補償制度の実施費として十七億一百万円、漁業災害補償制度費として十六億七千九百万円を計上しております。  第八に、農林漁業金融の拡充について申し上げます。  まず、農林漁業金融公庫資金につきましては、新規貸し付け計画額を二千九百七十億円に拡大し、農林漁業経営構造改善、基盤整備等に必要な資金の拡充をはかることとし、この原資として財政投融資二千一百七十二億円を予定するとともに、同公庫に対し補給金二百四十二億三千七百万円を交付することとしております。  次に、農業近代化資金制度につきましては、貸し付け資金ワクを三千億円とし、所要の利子補給補助等を行なうとともに、農業信用基金協会に対する都道府県の出資について引き続き助成する等農業近代化資金にかかる信用保証制度を充実することとし、総計七十九億四千三百万円を計上しております。  また、農業改良資金制度につきましては、貸し付け資金ワクを一百八十四億二千六百万円に拡大し、これに要する経費五十四億一百万円を計上しております。  さらに、漁業近代化資金制度につきましては、貸し付け資金ワクを四百五十億円に拡大することとし、これに要する経費八億八千万円を計上しております。  以上のほか、農林漁業施策の推進のために重要な予算について申し上げます。  まず、農林水産業の試験研究につきましては、新しい要請にこたえるため、野菜、畑作物の生産流通技術に関する総合研究等の実施、野菜試験場の新設、食糧研究所の食品総合研究所への改組等を行なうとともに、試験研究費の増額、試験研究施設の計画的整備、都道府県に対する助成の充実等により試験研究の拡充強化をはかることとし、これらに要する経費として二百十一億二百万円を計上しております。  次に、農林水産業の改良普及事業につきましては、農業改良普及事業について、普及活動関係費の増額を含め一百九億五百万円、生活改善普及事業について新たに農家高齢者生活開発パイロット事業等を行なうこととして二十三億八千二百万円、畜産経営技術指導事業及び蚕業技術の普及指導について、それぞれ五億七千九百万円、十六億四百万円を計上しておりますほか、林業普及指導事業について二十億一千六百万円、水産業改良普及事業について三億五千五百万円をそれぞれ計上しております。  このほか、農業災害補償制度の実施につきましては、所要の掛け金国庫負担、農業共済団体事務費の負担等の経費として、四百九十六億五千六百万円を計上するとともに、農林統計調査の充実整備に三十九億五千五百万円、農業団体の整備強化に六十二億九千四百万円、農業資材の価格流通対策として四十六億四千五百万円、農産物の輸出振興対策として十八億四千四百万円、農林漁業関係災害対策公共事業として四百十八億二千九百万円、また、農林漁業関係公害対策として農業関係水質汚濁対策、農用地土壌汚染対策等について四十六億二千五百万円をそれぞれ計上しております。  なお、沖繩復帰に伴い、沖繩における農林水産業の振興をはかるため、生産基盤の整備、経営の近代化、技術の開発普及、農産物の価格の安定等に重点を置いて各般の事業を推進することとし、総額一百二十八億六千四百万円を計上しております。  次に、昭和四十七年度の農林関係特別会計予算について御説明いたします。  第一に、食糧管理特別会計につきましては、国内米、国内麦及び輸入食糧につき食糧管理制度の適切な運営をはかるため、米の生産調整対策及び自主流通米との関係に配慮するとともに、過剰米の計画的な処分を引き続き実施することとし、所要の予算を計上しておりますが、一般会計からは、調整勘定へ二千六百五十三億円、過剰米の処理に係る損失の計画的補てんに充てるため、国内米管理勘定へ六百十七億円を繰り入れることとしております。  また、国内産イモでん粉及び輸入飼料の買い入れ等の実施のため、一般会計から、農産物等安定勘定へ八億円、輸入飼料勘定へ三十九億円をそれぞれ繰り入れることとしております。  第二に、農業共済再保険特別会計につきましては、農業災害補償制度の運営のため、必要な予算を計上しており、一般会計から総額三百三億九百万円を繰り入れることとしております。  第三に、国有林野事業特別会計につきましては、国有林野事業の財務状況の著しい悪化に対処し、生産性の向上、間接的経費の節減等の合理化措置を講じ、収支の不均衡の拡大をできる限り防止することとしておりますが、国有林野事業勘定の歳入予定額は一千六百五十五億九千七百万円、歳出予定額は一千七百五十五億九千七百万円でありまして、差し引き歳出超過額一百億円は前年度からの持ち越し現金をもって充当することとしております。また、治山勘定において実施する国有林野内臨時治山事業につきましては、一般会計から六十六億円を繰り入れ、大幅な拡充をはかることとしております。  第四に、漁船再保険及漁業共済保険特別会計につきましては、漁船再保険事業及び漁業共済保険事業の実施のため必要な予算を計上しており、一般会計から総額三十一億六千九百万円を繰り入れることとしております。  以上のほか、自作農創設特別措置、特定土地改良工事、森林保険及び中小漁業融資保証保険の各特別会計につきましても、それぞれ所要の予算を計上しております。  最後に、昭和四十七年度の農林関係財政投融資計画について御説明いたします。  財政投融資の計画額としましては、農林漁業金融公庫、農地開発機械公団、森林開発公団、八郎潟新農村建設事業団及び特定土地改良工事特別会計につきまして、総額二千四百三億円の資金運用部資金等の借り入れを予定しております。  これをもちまして、昭和四十七年度農林関係予算及び財政投融資計画の概要の御説明を終わります。  よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 以上をもちまして農林省所管についての説明は終わりました。     —————————————

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 これより質疑に入ります。  この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間は原則として本務員は一時間程度、兼務員もしくは交代して分科員になられた方は三十分程度にとどめ、議事進行に御協力を賜わりたいと存じます。なお、政府当局におかれましても、答弁はでき得る限り簡単明瞭にお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。小林進君。

小林進日本社会党

○小林(進)分科員 大臣には一番最後に御質問いたしますから、どうぞそこにおいでください。  各局長にお伺いしたいと思うわけでございますが、いまの農林関係予算の御説明の中にも、国際競争力に耐え得る農業ということをしばしば言われるのであります。おそらくこれからの農政の中心は、私はこれではないかと思うのであります。ことばとしてはりっぱですが、国際競争力に耐え得る農業というからには、その抽象的なことばを具体化した具体的な方策というものが、米の面においても、野菜の面においても、畜産の面においても、果樹の面においても、そのビジョンがなければならないと思うのでございます。なおまた、一方には価格の面あるいは人口の面、面積の面、そういう問題もやはり具体的に出てこなければならないはずであります。  私は、国際競争に耐え得るわが日本のビジョンというものをそれぞれ担当局長からお伺いをいたしていきたいと思うのでありますが、まず第一番には価格の問題です。国際競争に耐え得る価格の問題から見て米の値段はどうなのか、国際競争の面において畜産物はどういう形になっているのか、果樹の価格はどうなっているのか、そこからひとつそれぞれ担当局長にお伺いいたしましょう。

中野和仁農林大臣官房長

○中野政府委員 ただいまの価格のお話でございますが、農業につきましては、各国ともそれぞれの国情あるいはいろいろな条件に応じまして保護政策をとっておりまして、国際規格をそのまますぐというのはなかなかむずかしいわけでございます。したがいまして、かなりいろいろな条件の場合がありますが、たとえば小麦につきましては、日本を一〇〇といたしましてアメリカは四九%でございます。それから西ドイツ、フランス等にまいりますと——西ドイツは六八、フランスは六一ということになっております。  それから肉牛につきましては、日本を一〇〇といたしますと、アメリカが五〇%、西ドイツが五六%、フランスが六〇%、肉豚になりますと、日本を一〇〇とすると、アメリカが七〇%それから西ドイツが九七、フランスは一〇五ということで、肉豚につきましては、大体価格的には国際競争力があるようになっておるわけでございます。  牛乳につきましては、日本を一〇〇としてアメリカが九六、西ドイツが八三、それからフランスが六九というようなことで、もう少し日本のほうで生産性の向上をはからなければならぬということになります。  鶏卵につきましては、むしろアメリカとはいいところでございますが、西ドイツ、フランス等に比べますと、日本のほうはすでにもうこの価格が安い。  それから米でございますが、米はアメリカに比べまして、生産者価格でございますので、アメリカは日本の三七%、それからイタリアは四四%ということで、日本の米は品質の相違等もございますけれども、かなり高い、こういう状態になっているわけでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)分科員 いまもお話しのとおり、米ならばアメリカは日本に比較して三七・三%、イタリアが四四・二%、それを国際競争に耐え得るとするならば、まずアメリカの米に勝つためには、今後日本の米を今から三分の一の生産者価格まで引き下げなければならない。そうすると、当然これを三分の一にどうするかという次の具体的な方策がそれぞれ担当局になければならぬわけです。イタリアは四四・二%ならば、イタリアを見たって半分以下にしなければならぬ。国際競争に耐え得るとおっしゃるならば、ちゃんとそれを裏づけをする具体的な方策がなければならぬわけです。それを私はまずお伺いしたいと思うのであります。  牛乳は、どういうわけか、生乳は国際競争に耐え得るまでに若干いっているということでありますけれども、肉にいたしましても、量においても足りなければ価格においてもこれだけ大きな開きがあるわけですから、それを御承知のとおり、牛肉ならばアメリカは半分でございましょう。半分に下げなければならない。牛肉を国際競争に耐えようとするならばどうするのだ、まずそれをどうするかということからお聞きしますけれども、第一に、私は経営の規模だと思うのです。合理化という中には規模もあるだろうし、労働力もあるだろうし、人力の削減もあるだろうし、いろいろありましょうが、まず、私は規模がらお伺いいたします。  一体、畜産、果樹、米に対して国際競争に耐え得るためのいわゆる規模としてはどれくらいのものが適当であるか、それぞれ担当局長から私はお伺いしたいと思います。

内村良英農林省農政局長

○内村(良)政府委員 まず最初に米からお答え申し上げます。  ただいま官房長から、日本の米の値段は生産者価格においてアメリカが三七%、イタリアが四四%というお話がございました。今後米については関税をかけるということは当分の間続くのじゃないかと思いますので、(小林(進)分科員「関税、税金は別でいい、生産者価格で聞いているのです」と呼ぶ)そこで、現在米の生産性は十アール当たり作業労働時間が全国平均で百十七時間でございます。この作業体系を見ますと、小型機械が中心となっておりまして、田植え等、収穫作業についてはまだかなり人力のウエートが大きいという状況になっております。そこで、今後は田植えの機械化や直播栽培を推進するとともに、収穫、乾燥作業についてはコンバイン、カントリーエレベーター等の大型機械施設の導入を促進すると同時に、中大型機械化を推進し、十アール当たり労働時間を当面現在の百十七時間から五十時間前後に下げたいと思っております。この技術体系につきましてはすでにできております。その場合に作業規模がどうなるかということでございますが、労働時間を十アール当たり五十時間程度にいたしますためには、十二ないし二十四ヘクタールくらいの規模でやる必要があるかと思っております。これにつきましてはもちろん個別経営自体が大きくなりましてその経営規模になれば理想的なわけでございますが、現在いろいろ農地価格の問題その他の問題もございますので、集団的生産組織というものを育成しながら、中核農家を中心にし、そのような組織をつくって合理化をやりたいというふうに考えております。

増田久農林省畜産局長

○増田(久)政府委員 われわれのほうといたしまして、酪農、肉用牛、養豚、養鶏、この四つがあるわけでございますが、われわれの国際競争力と申しましても、酪農につきまして豪州と競争できる、ニュージーランドと競争できるということはちょっと考えられないわけでございます。したがって、われわれの目標としましてはヨーロッパ水準を頭に置いておるわけでございます。そういうことで、土地の制約の少ないところ、それから土地の制約のあるところで違ってくると思いますけれども、土地の制約の少ないところでは、放牧型ということで、経産牛で四十頭、この場合草地が約三十ヘクタール必要になってまいります。それから舎飼い型、これは土地の制約の多いところでも、やはり経産牛で三十頭、その場合に畑として四・二ヘクタールくらい必要ではなかろうか、こういう形で、これの飼料生産は、放牧型では御存じの大型機械体系になろうと思います。それから舎飼い型につきましては中型機械体系、それから飼養管理のほうになりますと、システムといたしましてはパイプラインシステムあるいはミルキングパーラーシステムというような新しい技術体系が必要かと思っております。この技術体系はすでに日本にも入ってきておりますし、でき上がっておるわけでございます。  それから肉用牛につきましては、これは率直に申し上げて国際競争力というものに非常にむずかしい点があろうと思います。それでこれは技術がどうだというよりも、どれだけ安い土地が得られるかということが根本になってまいります。ということで、われわれとしてこれを急速にアメリカ水準というわけにもいきませんので、段階的に、牛につきましては二十頭段階、この場合でも山林原野は二十ヘクタール、それから畑が六反歩という程度のものは要るのではないだろうか。これは放牧形態でございますので、技術的にはどうということはないわけでございます。  それから養豚につきましては、繁殖豚が三十頭、それから肥育豚が三十頭という繁殖と肥育との一貫施行というような技術体系が、経営形態というものが望ましい。そういうことでそれに必要な技術体系というものも現在すでにでき上がっているわけでございます。  それから養鶏につきましては、採卵鶏では常時二万羽、それからブロイラーは常時三万七千羽という程度の規模を考えておりまして、特に豚と鶏につきましては、もう現実に現実のもので動いているわけでございます。  以上でございます。

荒勝巖農林省蚕糸園芸局長

○荒勝政府委員 果樹につきましては、かんきつ、ミカン、オレンジを除きまして、すべてのくだものが現在すでに自由化されておりまして、実際問題といたしまして、ブドウとかナシとか桃とか、こういったものにつきましては、自由化が行なわれておるにもかかわらず、実際問題としてほとんど輸入がないようなかっこうでございます。  こういった青果物につきましては、やはり長距離の輸送ということにつきましては、輸送手段がいかに発達しましても、現在の時点ではなかなか輸入されるということはむずかしいのではなかろうか。一番問題は、まだ自由化いたしておりませんオレンジ類が今後の国際競争力の問題として非常に大きな問題になってくるのではなかろうかと思いますが、日本のミカン園をごらんになりましてもわかりますように、段々畑を中心として果樹園が形成されておるというようなこともありまして、国際競争力に直ちに適応するということは実際問題としてなかなかむずかしい点もあるわけでございます。したがいまして、国境措置という一つの手段といたしまして、自由化はなかなか今後の問題としてむずかしいということが一つと、それと同時に、関税障壁という点もございまして、ミカン類だけに、オレンジとグレープフルーツだけに季節関税制度を設けまして、十二月から五月までは、日本のミカン類の出回り期は四〇%、ミカンの大体終わります六月から十一月まではその半分の二〇%というふうな形で季節関税制度を設けることによりまして、多少でも輸入による直接的な被害を防止するという形をとっておるわけでございます。  なお、果樹全体につきましては、果樹農業振興法に基づきまして果樹農業振興基本方針というものを五年に一度ずつつくりまして指標を示すことによりまして、果樹農家の経営のあり方を国が基本方針によりまして示しておるわけでございます。その大きな考え方といたしましては、御存じのように果樹は永年作物でございまして、一たん植えてしまいますと、最も短期のものでも三、四十年、長いものになりますれば百年近い寿命がございますので、その間農家としてはそれを維持しなければならないというようなことで、過剰あるいは過小というようなことにならぬように長期の見通しを立てまして、それに基づいて植栽計画を立てていくということで生産の指導をしているわけでございます。  その考え方といたしましては、まず第一番に、十年後の需要動向というものを明示いたしましてその需要の動向に即しまして植栽を行なう。植栽を行ないましてから大体七年目くらいからようやく成園といいますか、半人前くらい、少しよくなるのですが、おおむね経済採算に乗るような果樹の生産が行なわれるようになるということを前提といたしまして植栽の基本方針を国が立てまして、それぞれの樹種につきまして方針を立てまして、それを県におろし、県がさらに県内の動向を見ながら県内で植栽計画を立てていくという形で、需給バランスを合わせるように現在持ってきているわけでございます。過去五年間ほどの間の経緯といたしましては、おおむねミカン類につきましては植栽がむしろ目標よりも少し多く出過ぎたという、目標に対して一二〇%近い過去五年間の実績の数字が出ております。他方、桃とかブドウとかいうふうな落葉果樹の系統は目標をはるかに下回っておるということでございまして、近いうちに果樹農業の振興基本計画につきましてさらに五年ごとに改定することになっておりますので、近く改定いたしたい、こう思っておりますが、その改定に際しましては、いままで植栽の立ちおくれておりましたブドウとか桃につきまして、しかも需要が非常に強いというものにつきましては相当強気の改定計画をつくってまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。大体そういう基本的な方針に基づきまして毎年度の植栽の計画、指導をいたしますとともに、適切な予算等をもちまして極力ミカンの生産の採算がとれるように持っていきたいというふうに考えておりますが、特にミカンの場合は生産費もさることながら、都市へ出します非常に重量の重いものでございますが、出荷段階において非常にコストがかかるということから広域果樹形成という団地計画を立てまして、そこで統一選果によりまして統一選果して、そして計画的な出荷で都市へ出していくということで、選果の段階で非常にコストがかかる、また商品のばらつきもありますので、そこで統一的にコストの引き下げということをはかることに重点を置いて、そのほか技術的な指導をいたしてまいりたい、こういうふうに考えております。

小林進日本社会党

○小林(進)分科員 園芸局長、あなたは長々と御説明をされましたが、私は関税や何かで日本の生産者の果樹を守るというお話をしているわけではないのですよ。ただ国際競争に耐え得るために、一体園芸作物というものをどういう規模で、どういうふうに持っていけばいいかということを聞いているんだから、あなたの前半の説明は要らないのです。  それから、あなたにお聞きするけれども、園芸というのは稲や畜産のようなわけにはいかないと思う。ただ耕地の広さだけでは評価がつかないと思いますけれども、それにしましても、その需要供給などというものは、あなた方が指導していって成功されたことがありますか。園芸作物で成功したと自負されるものがありますか。  私も新潟県、農村地域ですから、行くというと、まず、いまでも豚を飼ったが、豚はうまくいかない、たばこをやってみたけれども、専売局は横暴でさっぱりだめだ、いま農林省はブドウを奨励しているからひとつ開懇してブドウを植えよう、三戸か五戸の農民が仲間になってブドウをやりたいと思うがどうだろう、農林省はブドウは絶対当たるというからやりたいと思うけれどもと言うので、私はそんなのはやめろと極力言う。農林省がブドウがいいといったら必ずだめなんだから、農林省が豚を飼えなんていったら必ず豚はだめなんだから、農林省がいいといったものは絶対やるな、過去の経験からいってみんなそうなんだと説得これつとめているけれども言うことを聞かないで困っているけれども、どうもあなたの話を聞いていると、ブドウがいいというのでますますだめだということを切実に感じた。  それを裏づけるのに、いま一つは養蚕農家なんですけれども、やはり農林省の指導ですが、これは三年か四年ばかり前だ。野外における養蚕がいいというので、野外でもってやるはやったけれども、全部設備費に食われて利益は一つもあがらず、借金だけふえていってしまうというのでどうにもならないという農家が、たくさん私の周辺にある。農林省が指導していままでに成功したものは何一つないでしょう。だからそこは五カ年計画でもいい、十カ年計画でもいい、振興法でもいいが、過去の実績をいま少し洗い直してくれませんか。過去のあなた方の指導が末端の農家にどう反映しているかということを、私はひとつよく見ていただきたい。私は果樹の問題はあまり詳しくありませんから、警告はしておきますけれども、その程度にしておきます。  それから畜産局長にいま一つ申し上げますが、今度はあなたのほうだけれども、時間がないから飛び飛びで行きます。ここで足りないのはまた農林委員会でやるのですから、いいのです。次から次へ行くのです。決して私はこれで終わったわけではないのですから言いますが、養豚の飼育三百頭、一体これで国際競争に耐え得ますか。あなたはさっきも肥育牛の問題もおっしゃいました。耕地があれば四十頭、狭ければ三十頭なんておっしゃいましたが、そんな狭いところで無理してつくる必要はない。われわれはもっと高度の立場に立って、国際競争に耐え得るようにどう畜産酪農を持っていくかということをお尋ねしているのですから、そんな狭いところに無理して入れる必要はないです。その国際競争に耐え得る条件を聞いているんだ。だから四十頭で国際競争ができますか。三十頭で競争できますか。養鶏は三万羽、四万羽と言いましたね。それで競争できますか。私ども地方へ行くと、山の上にともかく養鶏場はでき上がっている。さっと春風が吹いてくると、そよ風じゃなくて鶏のにおいがさっと流れるくらい、いわゆる養鶏が乱立している。こういうような問題で一体国際競争に耐え得るかどうか。  いま一つ、これは矛盾するけれども、農林大臣は常にその矛盾を感じておられると思うけれども、消費者に安いものをやりたいと思えば、やはり安い農産物を輸入しなければならない。食料を輸入しなければならない。しかし、安い農産物を輸入することは国内の生産者を、生産農家を圧迫することになる。二者択一の苦しみを常に農林行政の中で味わっていかなければならないのだが、いまの養豚、肥育牛に関する限りは全く消費者は因り抜いておる。あなたのおっしゃった計画は、計画を聞いていても、これで一体国際競争に耐え得るのか、実際私は疑問を持っている。あなた方は前に断わった。アメリカには対抗できません、オーストラリアには対抗できません、ニュージーランドには対抗できないが、ヨーロッパ並みなら大体こんな数字でいけようじゃないかとうまく逃げているけれども、私は何もヨーロッパに対抗してくれと言うのじゃない。国際競争に耐え得るような畜産というものが一体どういうスケールでなければならないか、どういうビジョンでなければならないかということを聞いているのだけれども、なかなかこれじゃ、あなたの話の中にまだ幾つも仮説が入っておりますよ。  しかし、この際それはそれとしまして、中国の肉を少し入れられたらどうです、肉が食えなくてわれわれは困っておるのだから。どうです。これはもう長い懸案である。ちょうどいまニクソンも中国へ飛んでいって雪解けも来たんだから、あまり意地の悪いことを言わないで、政治的に、港をシャットアウトしていないで入れられたらどうです。これはひとつあなたに話の途中ですけれども聞いておきましょう。

増田久農林省畜産局長

○増田(久)政府委員 中国の牛肉の問題は決して政治的な判断によるものじゃなくて、御存じのとおり、口蹄疫の問題でああいうふうに輸入が禁止されているわけでございます。残念ながら中国からの病気の資料というものは全然得られない。国際的にも、まだ中国には口蹄疫があるのではないかという疑問を持たれているという現状でございます。したがって、一たび入りますとこれは畜産にとってはたいへんな公害でございますので、輸入ソースを多元化するという考え方はございますけれども、いま急にあわてて中国に窓口を開く段階ではない、かように考えております。

小林進日本社会党

○小林(進)分科員 どうもあなた、この問題になるとがんこにしてついに一歩も譲ろうとはしないのだけれども、お互いにお互いの国の誇りがあるのだよ。あなた方の話を聞いていると、いかにも日本が先進国、文化国で、中国は後進国で口蹄疫撲滅の設備も何もないような、いかにも他国を眼下に見下したものの言い方をしている。これが相手の国にがちっときているのですよ。中国はないと言っていますよ。中国だってこういう口蹄疫などといったら全部壊滅してしまうのだから、あなたが考えている、日本の政府が考えているより以上に敏感にこの問題を処置して、ないことを天下に公明にしているのだ。それをあなた方は信用しない。何か後進国の言うことなんか当てにならない。そのくせお隣りの韓国の言うことなら信用してみたり、台湾の言うことを信用してみたり、あそこは口蹄疫絶滅地域だ、あそこから一生懸命なま肉は持ってくる。中国はあやしいから、ないと言ったところで信用できないから持ってこない。そんな考え方はだめです。時間がないから私はこのくらいにしておきますけれども、またこれはあらためてやります。これは農林大臣、目をつぶっていらっしゃいますけれども、趣旨はよくお考えいただきまして、大臣もひとつこの問題は胸に置いて、何か打開の策を私は講じていただきたいと思います。特に日中国交回復などということが国の政治の大きな課題になっているときに、こっちが敗戦国だという立場も知らないで、相手の国を後進国扱いにしたり、言うことをむげに退けたりするような態度自体が間違いです。それは政治的じゃないと言うが、それはみんな政治的な考え方なんだ。外務省的発想に基づいた技術論だ。そんなのはだめだよ、君。  それからいまの農地の問題、農政局長にお尋ねいたしますけれども、あなたの答弁の中に、大体十二ヘクタールから二十四ヘクタール、これはアメリカ的耕地じゃないけれども、イタリアとかフランスとか大体ヨーロッパに近い、十ヘクタール前後ですから。そういう耕地ならば国際水準までいける。そのために集団農地ですか、それは赤城農政の根幹でございましょう。集団農地をつくっていこうとおっしゃる。それで私はお伺いするが、一体日本の耕地は田畑を合わせていまどれくらいありますか。五、六百万ヘクタールくらいでございますか。それを全部あなたの言うような十二ないし二十四の集団農地につくり上げることできますか。それは非常に区画整理しなくちゃいけない。あなた方のように、思いつきのようにあっちへぽこり——それはまあパイロット地区とおっしゃるかもしれません、こっちへぽかり、気のいい調子で条件の合ったところにばかりぽかぽかっと集団農地をつくられたところで、それは農政の問題の解決にはならない。ほんとうにそれくらいの耕地が必要だというならば、全国的にちゃんと計画をつくって、そしてやはりビジョンを示さなくちゃいけない。ありますか。

内村良英農林省農政局長

○内村(良)政府委員 お答え申し上げます。  まず、ただいまの十二ないし二十四ヘクタールと申し上げましたのは、これは稲作のことでございます。そこで十二−二十四と数字がえらく大きく開くじゃないかということでございますが、これは土壌その他の条件によりまして反収その他も違いますので、一応十二ないし二十四という数字を出しているわけでございます。今後日本の五十二年における稲作を、需要に見合う生産をするためには約二百三十万ヘクタールの耕地が必要でございます、米のために。それを全部集めるのかというお話でございますが、この十二ないし二十四ヘクタールというのは作業規模でございまして、たとえば大型トラクターを中心にして作業ができる規模を十二ないし二十四ヘクタールつくっていくということで、必ずしも完全にまとまってなければならぬということを考えているわけではございません。一つの作業規模としてそれだけの規模が必要だということでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)分科員 ちょっとおかしいね。そうすると作業規模だから、じゃ一ヘクタール平均とすれば、十二ヘクタールといえば十二戸平均が集まって同一の近代的な機械、トラクター、コンバインを持ってひとつ一緒にやろうじゃないか、二十四ヘクタールやろうじゃないかといったときに、耕地が集団化しないであっちに飛び飛びこっちに飛び飛びしていたら、作業は共同であろうとも、それは近代的農業にならぬだろう。やはり十二なら十二というものがちゃんと一区画の中で集団として土地がなくちゃ、その仕事はできないんじゃないですか。そうじゃないの。あなたの説明を聞いているとちょっとおかしいようだけど。

内村良英農林省農政局長

○内村(良)政府委員 もちろん耕地が非常に飛び飛びであるというような場合には、これは非常に能率的な機械化作業ということはできないわけでございます。ただ、何が何でも集団としてまとめなければ、そういった機械化作業はできないということではございません。これは現在の麦等における機械化農業の経験の場合も完全に一集団になっているわけではないということで、もちろん完全に飛び飛びだというような場合には、それは大規模な機械作業はできないわけでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)分科員 私は、これはたいへんな考え違いだと思う。私は、それは経営の規模よりは、基盤の集団化というものが大事だと思う。基盤というものを集団化させないで作業規模だけを十二だの二十四にしようというのは、これはたいへんなことだと思うが、そんなことでは君、だめだよ。君は考え方がちょっと甘いんじゃないの。それは君、だめだよ。これはひとつ研究しておきましょうけれども、それはだめだな。

内村良英農林省農政局長

○内村(良)政府委員 もちろん一番理想的な形態といたしましては、ただいま先生が御指摘になりましたように一つの集団がまとまっている、権利の調整も行なわれて、たとえば十二ヘクタールなら十二ヘクタールが一つとしてまとまっているということが、もちろん一番いいわけでございます。しかし、それがなければ大型の機械化作業ができないという話ではないということを申し上げているわけでございまして、私どもといたしましても、できればもちろんそうしたいわけでございます。ただ、土地の権利の問題その他がございましてそう簡単にいかないという面もございますので、そういったものをやりながら漸次そういうところに持っていきたいということを考えておるわけでございまして、それを全然否定しているとかそういうことでは全くございません。

小林進日本社会党

○小林(進)分科員 だんだん時間がたっていきますから、こんなところで足踏みはしていられませんけれども、しかし、いまわが日本は、工業生産においてはそれは世界で第二番目かもしれません。しかし、その工業生産を世界で二番目にしたために、一番犠牲になっておるのは農業なんだ。農林省などという一等省を設けて、あなた方のような高級官僚を筆頭にしていま農林省はどれくらいいる。一番人員が多いんじゃないか。そのくらいのかまえを持ちながら、しかも農は国の大本だなどと言いながら、戦後一番犠牲になっているのは農民だ、農業だ。そして世界的な競争力においても一番下落してしまった。これは今度は経済成長に歯どめをかけて社会資本、社会福祉を高めるのなら、いまこそこの農業のシステムを取り戻さなければならないという重大なときであります。その腹がまえがあるかないか。私はそのあなた方の説明を聞きながら腹を探っているのだけれども、そんなへっぴり腰でやっているのじゃ、どうして一体国際競争力に追いつけますか、そんなことで。どうして追いつけるのか。だめだよ。それは、まとまらないならまとめない、いやならおやめなさい、そのうちにおれは農政局長やめて次は官房長になって事務次官だなんて、そんな勘定ばっかりされたんじゃ農民はたまったものじゃない。だめだよ、そんなことじゃ君。  そこで、とてもこれは話にならないから次に進んでお伺いするが、いまあなた方の構想に基づいて、一体いまの水田農家は現在の人口からどれだけ減らせばいいのか。畜産農家、果樹農家——まさか、いま農村過疎地帯だなんて言うけれども、農業人口に関する限り世界でも一番過密だ、後進国並みに過密になっているのだから、これを合理化し、省力栽培だのいわゆる近代農業をやるためには人口が多過ぎるだろう。一体農業従事者というのはどれくらい減らせばいいのか、整備していくのかひとつ聞いていこうじゃないか。

内村良英農林省農政局長

○内村(良)政府委員 昭和三十五年には農業の就業人口は約千二百万人でございましたが、昭和四十六年の数字を見ますと、これが約七百五十万人、全就業人口に占める割合は一五%となっております。そこで稲作の人口がどうなるかということでございますが、ただいま申し上げましたように、個別経営自体が大きくなっていって稲作をやるというケースと、それから先ほども申し上げましたように、集団的生産組織というものをつくりまして、それに兼業農業も参加しながら能率の高い経営をつくっていこう——これはまじめじゃないというお話でございましたが、私どもといたしましても真剣に取り組んでおります。  そこで稲作の人口がどうなるかということでございますが、今後の集団的生産組織のあり方がどうなっているかということにかかるわけでございまして、正確な数字を、これくらいになるだろうということを申し上げるだけの資料は持っておりません。

小林進日本社会党

○小林(進)分科員 持っていない……。

内村良英農林省農政局長

○内村(良)政府委員 これだけの人数になると、現在——ただいま申し上げました数字は、農業の就業人口でございまして、稲作だけが幾らということではございません。

小林進日本社会党

○小林(進)分科員 いや、それは、いま農業就業人口が七百五十万人になって全就業人口の一五%だ。それに対して、それは予算の総括やら一般質問の中で各大臣からしばしば出てくる先進国としては多過ぎる、第一次産業の従事者が多過ぎる。だからアメリカなら四%程度だ、日本も近代国家として五%くらいに持ってこなくちゃいけないというのがこれはもう定説になっているのだな。そして七百五十万を五%に持っていこう、そうすると三分の一だ。そうすると、わが日本の農業人口というものは三百万前後、二百五十万か三百万でよろしいという見解になってくるわけだ。一体それでいいかどうか、これは時間がないから言うのだ。農業従事者というものは、農業人口というものが三百万としようか、まあ五%として、その三百万のうちに水田農家は一体幾ら。あなたの言う二百三十万ヘクタールをいわゆる集団化し、あるいは大規模化していくためには水田農家というものはその中で一体幾ら、畜産農家は幾ら——畜産は需要供給の関係からすれば、一億二千万なら一億二千万の国民を養うためには肉が幾ら、豚が幾ら、鶏が幾ら、生乳が幾ら、それに対する畜産農家の人口というものは一体どれくらい要るか、ちゃんとそういうものは出てこなければならぬ。私はそれを聞いているのです。

内村良英農林省農政局長

○内村(良)政府委員 私どもが考えておりますのは、集団的生産組織をつくって米をやる。そうなりますと、労働力が浮いてくるわけでございます。その労働力を活用してたとえば畜産をやるとかあるいは野菜をつくるということになりますので、複合経営と申しますか、単に米だけということにはなってこないのじゃないかと思っております。したがいまして経営が米は米だけ、畜産は畜産だけというふうに分かれておりますれば、ある程度の人口の算出はできるかと思いますけれども、結果におきましては浮いた労働力をそっちに活用するという面もございますので、必ずしもこれだけが米だというふうなことはちょっと言いにくいのではないかというふうに考えております。

増田久農林省畜産局長

○増田(久)政府委員 畜産につきましては、先生御承知のとおり非常に専業化の方向を経営としては漸次進んできているわけでございます。これを何年後にということで予測をするかということは非常にむずかしい話でありますけれども、たとえば十年後ということでそのときの需要はどうかということもありますけれども、おそらく十年後に乳牛の頭数は大体三百万頭前後、こう見通しているわけでありますけれども、先ほど平均的に三十頭だ、こういうことになりますと、現在二十七万戸もある酪農農家は十万戸でよろしい、これは極端な計算ですけれども、極限としては十万戸でいいではないか、こういう話になるわけであります。肉用牛もわれわれいろいろ計算はしておりますけれども、十年後に二百三十万頭くらいの水準に戻したい、こういう考えを持っておるわけでございますが、そのうちの繁殖経営がどれだけあるかということもございますけれども、そういうことは抜きにしまして平均二十頭である。そうしますと、これもまた十万戸でいい、現在ある約八十万戸の農家が十万戸でいいではないか。それから豚につきましては、おそらく十年後に一千二百万頭くらいになるだろうと思います。いままでの倍近くになるだろうと思いますが、それが平均的に三十頭であるということになりますと、現在の四万戸でよろしいという話になります。それから鶏は、これはもっと極端なことになってくるわけですが、おそらく需要が現在でも大体頭打ちに近い状態へ入って、現在は一億七千万羽、約三十万戸の農家で飼っているわけでございますけれども、おそらくこれはこういう方向で二万羽、こういうことになりますれば、割った計算で十万戸あれば十分足りるのだ、こういう話になってしまいます。計算の問題です。ブロイラーもおそらく現在の一万数千戸、これはそのまま動かないのじゃないか、こういうように考えます。これはあくまでも仮定を置いた、仮定の計算だということを御理解願いたいと思います。

小林進日本社会党

○小林(進)分科員 そこで農政局長、あなたはそういう多角経営というようなことを言って進んでいる。畜産と果樹とか一緒にやっていくというような——それはやり得る条件もあるだろうし、やり得ないところもあるでしょう。けれども、私はいま一番日本の農業で必要なのは——赤城農政の中心は農地の集団化だ。つまりこれは別なことばでいえば基盤整備だけれども、これは徹底的にやらなければそれは口頭禅ですよ。そのためには第一に資金だ、基盤整備のために資金だ。  別な面からひとつ質問しましょうか。一体わが日本の、あなたの言う農家戸数は一体何戸ですか。

内村良英農林省農政局長

○内村(良)政府委員 農家戸数は四十五年度で五百三十四万戸でございます。

小林進日本社会党

○小林(進)分科員 一体その中に、いま農家の生態を見れば兼業農家が一体幾らあるのだ。専業農家は幾らだ。その兼業の中で第一種と第二種の兼業の区別は一体どうなっているのか。

中野和仁農林大臣官房長

○中野政府委員 ただいまのお話でございますが、昭和三十五年には専業農家、第一種兼業農家、第二種兼業農家、これは一対一対一というくらいの程度だったのですが、その後に高度経済成長の影響を受けまして、現在では専業農家が一五・六%、四十五年度でございます。第一種兼業農家が三三・七%、第二種は五〇・七%、第二種兼業農家が全農家戸数の過半数を占めておる、こういう状況でございます。

小林進日本社会党

○小林(進)分科員 私はひとつあなたたちに学問的なことを聞きたいのだが、一体兼業農家というのは農家かね。農業従事者かね。職業別に分けた場合に一体何だね。これは農業従事者かね。特に第二種兼業は五〇%というのだから、半分以上を占めている。その人たちの主たる生計はいわゆる賃金労働か他産業の労働によって得ているのだから、そうでしょう。あなたはサラリーマンだというのは、あなたは主たる生計を月給によっているからサラリーマンだ。主たる生計を他の産業に得ているものは農家じゃない、農業従事者じゃないじゃないか。学問的に見たらどうだろう。そういう人たちが、ことばは悪いが、農業と称して農村に蟠踞している。そして実に不可解な地図を描いているから、政府の悪政と相まって——悪政が一番悪い。政府の悪政と相まって日本の農業の近代化ができない。国際競争場裏で太刀打ちできない根本の理由がある。そうじゃないですか。そのためには第二種兼業なんというものを学問的に性格づけして、私は賃金労働者と見ておる、だからちゃんと労働省の範疇へ持っていって——労働省来ていますか。あなたは何ですか、審議官ですね。中原審議官は政府委員だから、課長なんかじゃだめですよ。そういうものをちゃんと学問的に整理をしなくちゃいかぬ。整理をして、そして労働省なら労働省の範疇に入れて、やはりちゃんと一般労働者並みに、社会福祉の面においても待遇の面においても最低賃金の面においても、晩年の退職金その他の面においてもきちんと整理をする。同時に農政の面においても悪いことばで端的に言えば、こういう両棲動物みたいなものはちゃんと行く末を保障しながら整理をしていかなければ、農業の近代化はできぬ。それをあなた方は避けようとするから、さっきの農政局長のような、わかったようなわからないような答弁になってしまう。そのために先立つものは金です。そして農地の集団化のためには一相当これは腹をきめてかからなくちゃならないと思います。それをやり得るものは、私は尊敬する赤城農政であり、農林大臣だと思って、それを非常に期待しています。農地の集団化というのは、そういう手を打っていかなければだめです。そこで申し上げるけれども、第二種兼業というのは一体農業従事者ですか、農家ですか。農村に住んではいるものの、俗にいう農家と一体言い得るかどうかの問題です。

中野和仁農林大臣官房長

○中野政府委員 現在農林省で農家の定義といたしましてやっておりますのは、東日本は経営耕地面積が十アール、一反歩ですね。それから西日本は五アール以上で農業を営む世帯ということでありますから、世帯主がやっておろうとも、あるいはそのむすこさんがやっておってもよろしいのですが、だれかがそういうことをやっておって、いま申し上げたような規模以上のものを一応農家と定義しております。その中でいま御指摘の第二種兼業農家は、世帯主なりあるいはあと継ぎなりその他の子供が何らかの勤労収入を得ておる、あるいはほかの自家営業に従事しておるという中で兼業収入が多いというのを第二種兼業農家と名づけております。  それで、農家のサイドから見れば、農業をやっている以上農家になるわけでございます。ただその上の実態を見ますと、先生も御指摘のように、収入の中心が勤労収入であれば、その農家の性格というのはかなり農業を中心にやっておる農家とは違うと思います。ただ行政の対象といたしましては、その中で勤労に従事しておるものは当然労働対策としてのいろいろな施策の適用は受ける。それから農業の面からすれば、農林省といたしますれば当然農業基本法で自立経営農家ということを目標にしておると同時に、御承知のように八五%も兼業農家がおるわけです。しかも、日本農業の生産に占めるウエートは兼業農家の部分が相当数を占めておる。これを農政の面からはずすということは現段階ではできないわけでございます。やはり個々の兼業農家の農業を個別経営としてとらえるというのは、これからはなかなかむずかしいと思います。そこで先ほど農政局長が申し上げましたような集団的な生産組織、その中身も共同作業の場合もありましょうし、あるいはもうだんだん兼業農家は農業から足を洗うといいますか、自分は土地を持っておりますが、基幹的な作業はトラクターその他を持っている人に作業の委託をする、そういう方向もよろしかろう。あるいはそれより進みまして、先般農協法が改正になりましたので、農協がそういう零細農家の経営の委託を受けるという方向もよろしかろう。またすでにかなりの数が出てきておりますけれども、協業経営あるいはそれを一つの法人にしました農業生産法人経営という方向もとって、その中に兼業農家も含めていこうという方向をとるべきではないかというふうに考えております。

小林進日本社会党

○小林(進)分科員 それは農林省サイドにおいてやはり農家だ、三反とか五反とかワクを置いて、それ以上持っておるものは、その主たる収入をどこから得ようが農家だ、それは農林省サイドなんだよ。あなた方がそういうサイドをもって自分たちのお客さんにして、ふところの中に入れていこうとするから農業の近代化ができないのだ。むしろそういう人たちの晩年を保障しながら、農村からおっぽり出すというのはことばは悪いけれども、そうしなければ農業の近代化、合理化はできないのじゃないですか。なぜ農村から出ないか。第二種兼業農家というものは、農村にしがみついて、ネコの額みたいなところで農業をやりたい気持ちは決してないけれども、自分たちの行く末が不安定だから農村に残っておる。その行く末を皆さん方のようなヘビのなま殺しみたいな農政であたためておかないで、オープンにして、むしろ労働省や何かにそれを移したらいいじゃないですか。他の一般の勤労者と同じような待遇ができるという保障をしてやれば農村から出ていきます。しかし、それは権力ではできませんよ。権力ではできませんから、その意味においては協業をやるとか法人化するとか農協にまかせる。その一案として私どもはそれを否定しようというのじゃない。否定しようというのじゃないけれども、そんなことをしておったら、いつまでたっても農業の近代化はできないのじゃないか。基盤整備というか集団化のために、あるいは七百五十万の農民を三百万に減らすためにはいま少し金に裏打ちされて、あるいは将来の農村の指導をきちっとやるような大きな力、強い力のある農政というものがいま必要じゃないかということを私は言っておるのです。皆さん方の話を聞いておるとさっぱり力強さがないから、波のまにまにやっておるようなものだ。ちっとも力強さ、頼もしさがない。何かもの言いたそうな顔しておるから言わしてやるが、さっきの畜産局長の増田君なんというのはへなへなしておるが、いま十万戸という数字だけあげた。ここのところで大畜産農政の合理化をやるというなら、これにやはり土地を裏づけするようなもっと具体的な策が出てまいらなければならぬけれども、そこまでできておるかできてないか、これはまた次農林委員会でやりますけれども、窓口だけは開いた形だが、あなたなんというのはへなへなして、さっぱり結論の出ない話をしておる。ひとつやってごらんなさい。

内村良英農林省農政局長

○内村(良)政府委員 まず第一に、先生から水田の基盤整備が不十分で、これが必要じゃないかという御指摘がございました。これはわれわれが検討しておりますいわゆる集団栽培の場合におきましても、その阻害条件の第一に基盤整備が不十分だということがあがっております。  それから次に、第二種兼業をどうするのかというお話でございます。これにつきましては官房長から御答弁がありましたけれども、私どもといたしましては専業農家の自立経営を中核といたしまして、それに集団的生産組織をつくる。それに第二種兼業農家も入ってもらう。そうしますと、初めは作業に出てくるわけであります。ところが、他に有利な就業機会があればもう作業に出てこない。要するに適当な配当さえもらえばいいということになるわけであります。そうなりますと、今度経営を農協なら農協に委託をするということになってまいりまして、最後にはそういう第二種兼業農家は完全に農業から離れまして、ただし土地は資産的に持っておる。そこに専業農家を中心とした借地をたくさん持った大きな経営が出てくるのじゃないか、そういう形で進めなければならないというふうに考えております。  それでは第二種兼業はどこへ行くのかということでありますが、これにつきましては、御承知のとおり現在農村地域工業導入促進法という法律ができましたので、それに基づきまして有利な企業を農村部に入れていきたいということで、今後大いに努力しなければならぬと思っております。そこで昨年の十一月に工業導入の計画をつくりましたけれども、目標といたしましては、五十年までに六十万くらいの農業人口を、そういった形で入っていった工業に移したいという計画でこれからいよいよ本格的に取り組むわけでありますが、一生懸命やってみたいと思っております。  それからなお、年金につきましては農業者年金制度もできておりますので、そういったものを活用して、第二種兼業農家がだんだん農業から離れていく方向に持っていかなければならないというふうに考えております。

小林進日本社会党

○小林(進)分科員 もう時間が六分ばかりしかありませんから、残念ながら結論は出ないのですけれども、次に一つだけお伺いしましょう。  わが日本は農産物は過剰だといいながら、過剰なのは米だけだ。米は一〇〇%以上過剰になっておるけれども、あとはみな足りないのです。農産物の輸入は大体三十一億か二億ドルに及んで、大体総輸入の一七%前後だ。相対的にいえば、日本は食料輸入国だ。世界でも最大に属する輸入国だ。その中では、くだものも足りない、肉も足りない、乳製品も足りないが、一番足りないのは麦類です。この麦類を皆さん方は将来一体どうするつもりなのか。やはり国内生産を奨励するつもりなのか、あるいはそういうことをやめてあくまでも輸入に依存するつもりなのか、一言でいいです、時間がありませんから。

内村良英農林省農政局長

○内村(良)政府委員 麦類につきましては、内麦の需要が約百万トンございます。そこで、たとえばパンは、硬質小麦からつくるのが一番いいパンができますが、それは北海道の一部以外にはなかなかできないということもございます。うどん、めん等に適します軟質の小麦につきましては、約百万トンの内需がございます。これは何とか国内で確保したいということで、過去におきましても大きな集団的な麦作経営をつくるとか、いろいろなことで努力しております。  そこで、四十七年度の状況を見ますと、北海道と九州におきましては小麦とビール麦が若干ふえているという形になっておりますが、残念なことに関東、東海その他の地区では昨年よりも麦の作付面積が減っております。私どもといたしましては極力——たとえば北海道の麦作というものをとってみますと、これは畑作として定着をいたしまして、現在もうかなり国際競争力を持ったものに近い麦作が畑作物としてできております。そういった大型の麦作というものを育成し、さらに内地の裏作小麦につきましては、これは十アール当たり労働時間二十時間ぐらいでやれるような麦作を何とか集団化してやりたいというふうに考えております。

小林進日本社会党

○小林(進)分科員 大体わが国の輸入総額は、これは四十五年の統計ですか、小麦だけでも四百六十八万トン——四百六十万トンから四百七十万トンも入れているのだから、私はこれはふしぎでしようがないのです。いかに、アメリカが農産物の輸入をわが国に強制し、日本の工業品をアメリカに売らなければならない、その必然の運命があろうとも、米は一ぱいあるのです、豊葦原の瑞穂の国ですから。国民が米が足りないときには、外国の麦を食わせる。学校給食のために設備の金を出し、補助金も出しておる。ずいぶん懇切丁寧にやっているのだが、わが日本の農民がつくっている米が余っている、その米を食わせようとすると、いや米を食うと頭が悪くなるだの、あるいは学校給食には手間賃がかかってどうのという。麦類に対する至れり尽くせりの親切さから見ると、いかにも国内の米に対する冷淡な扱いなんだな。私はこの農林省行政がどうしてもふに落ちない。五百万トンもアメリカの農産物の麦を入れて、日本の米は余っている。米を食って生きているわれわれは、学校給食費なり設備費も出して、その米を学校給食で食わせたらいいじゃないか。こういう問題は、私は非常に気に入らない。もう三分しかないけれども、これはひとつ徹底的に改めてもらわなければならぬ。こんなところが、いわゆる国民の心に、胸打つところがないんですよ。工業第一主義だ。農民を痛めつけているじゃないですか。何でこんなことをやるのですか。学校給食の設備費ぐらいみな出したらいいじゃないですか。出して米を食わせればいいじゃないですか。  最後に一問で終わりますけれども、何か農林省は新国土総合開発計画なんかと一緒になって、都市計画法その他に関連して農業の生産の地域分担というものをお考えになっているという話なんだが、全国を十四地区に分けて、さらにこれを大きく都市近郊農業地帯だの、中間農業地帯だの、遠隔農業地帯だとかいうふうに分けてこまかく指導しようというふうなお考えがあるということなんだが、私は別な意味において適地適産主義というものが必要だと思う。けれども、こういうものの分け方は私は気に入らぬ。こんな機械的な、都市だからとにかくおまえは牛乳だとか野菜をつくれ、中間地域だから農耕地区に畜産をやらせる。遠隔地区だから原っぱの中で牛を飼っておけ、そんな機械的じゃなくて、たとえていえばわが新潟県、日本一の米もできるし、日本一の穀倉地帯、しかも三千年の伝統の中に、新潟の米なら汽車賃持っていっても買いたい、そういう庶民のあこがれている米を、画一的に減反政策でたんぼをへっつぶし、ぺんぺん草をはやしている。岡田君には悪いけれども、北海道あたりのあまり味もよくないそういう米と同一に扱うなどという、実に現地に即しない能のないやり方。この適地適産主義というものは農業の近代化、合理化と同時に、やはりその土地の産物を育成強化するという——新潟県あたりの地域の減反は、それは一アールといえども粗末にできない。おいしい米、おいしい米といっているじゃないですか。おいしい米といいながら、その一番おいしい米をつくっている穀倉地帯のたんぼをへっつぶしている。こんな矛盾がありますか。こういう矛盾を改めて、もっと生きた農政ができないものか。減反をやるにしてもそういう生きた減反政策ができないかどうか、どうですか。その問題は官房長のほうから……。

中野和仁農林大臣官房長

○中野政府委員 ただいま御指摘のございました農林省の地域分担、一昨年出しましたのは、趣旨におきましては先生の言われましたような方向をとっておる。ただ十四地域というのは確かに大ざっぱ過ぎると思います。そこで、現在におきましては、それをもとにして地方農政局と県庁と相談いたしまして、今度は県内を、それぞれの地域がございますから、また地域の区分をいまやっております。もうすでに過半数の県が作業を終わりました。そういうことに基づいて、これは別にそのとおり強制をするわけではございません。その区分をもとにしまして、一つの指標としまして、農家の生産を誘導していこうという方向をとっているわけです。  それで、特に減反政策との関連もお触れになりましたけれども、今度の減反政策の最初の年は、たしかこういう適地適産の方向を配分の場合のウエートに三分の一とったわけでございます。ことしはそれを半分とるという方向を打ち出しまして、順次それに近づけていきませんと、一ぺんにたとえば新潟が米の適地だから全部減反をしないでよろしいということになりますと、たとえば鹿児島県とかほかの米のあまりできない県は全部全農家に米をやめろという計算になるわけであります。これはあまり現実性がないものですから、順次近づけていくという方向をとっております。

小林進日本社会党

○小林(進)分科員 これで私の質問は終わりますけれども、そういうことで私はいろいろ質問してまいりましたが、最後にひとつ農林大臣の御所見を承って終わりたいと思いますが、ただ私どもは野党ともに赤城農政に非常に期待をいたしております。願わくは私どもの意思が農政の上にあらわれるように、ひとつ特に御考慮いただきたいと思います。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 現在の農政あるいはこれからの農政につきまして、たいへん真剣に叱吃激励いただきまして、また痛いところもお突きになったようでありますが、建設的なお話も承りまして、私も農民、農業に対して小林さんが考えている、お話しのようなことを熱意をもってこれから対処していきたいと思っております。

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 これにて小林君の質疑は終了いたしました。  次は、久保三郎君。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 私は干拓事業、特に高浜入りの干拓事業に関係して二、三お伺いしたいと思うのでございます。  この問題は、昨年の予算委員会でもお尋ねをしたわけでありますが、その後、問題は一向に解決しないまま政府の予算は執行されているように思うのであります。この干拓事業の本質的な問題については時間もありませんし、前回一応われわれの見解を申し述べておりますのでとやかく申し上げませんが、まず第一に具体的な問題で、新しい年度、いわゆる来年度四十七年度予算の内容について伺いたい。来年度予算でありますが、この内容はいかなるものをやろうとするのか、数字をあわせてお伺いしたい。

三善信二農林省農地局長

○三善政府委員 来年度の予算案につきまして一応一億五千万円を高浜入りの干拓事業に振り向けたいと考えております。  それから内容につきましては、来年できれば係船場の工事をやりたいと思っております。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 来年度予算は一億五千万円で。係船場の工事をやるというだけでありますか。

三善信二農林省農地局長

○三善政府委員 御承知のとおり、まだここで三十三名の漁業者が反対している点もございますので、そういった漁民三十三名に対する補償金も加えて予算を計上しております。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 補償の問題、いまお話がありましたが、係船場の工事の前に片をつけなければならぬのは漁業権の問題だろうと思うのです。これは内容というか、思想的なことは別にして事務的に考えて言ってもです。ところがこの漁業権の消滅の問題については、御承知のように今日法廷で争っています。いわゆる反対者というか、反対側に立つ者は、漁業権の消滅の議決は無効である、その主たる理由は、当時の議決の構成メンバーである組合員と称するものの中には、言うならば無資格者が多数いる、そういう中での議決は無効である、こういうようなことを言っているわけなんです。この訴訟と補償金の問題等についてはどういうふうに考えておられますか。

三善信二農林省農地局長

○三善政府委員 漁業権の放棄の問題につきましては、ただいま御説のとおり、四十五年四月二十三日でございますか、この訴訟が起きております。もっともこの訴訟は玉造漁協組合の一部でございますけれども、現在係争中になりまして、大体八回ぐらいの口頭弁論を行なっております。  で、この漁業権の放棄に関する訴訟の問題は、総会の議決が有効に成立したかどうかという争いでございます。私どもでは、この総会の議決は、御承知のように水協法の五十条によりまして半数以上が出席し、三分の二以上で特別議決が有効に成立していると考えておりますので、係争中でありましても、私どものほうとしては補償の国の支払いについては全然問題はないというふうに考えておるわけでございます。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 この干拓事業は約百億使うわけです。仕事はこれからであります。そういう際に、一番最初に解決をしておかなければならぬのは漁業者との関係だと思うのですね。それを、あなたのいまの御答弁だと、言うなら詭弁ともとれましょうが、一応議決は有効であると認めて、消滅に対する補償金を払っている、こういうことなんですね。まことにこれは役人的な御答弁でありまして、それならばいままで予算の執行はこの協定に基づいて公正妥当に配分されていたかどうか。いままでに予算の中から支払ったと称する補償金は総額幾らになりますか。しかもそれは、いまどこにどういうふうにあるのか。一人一人の組合員に補償金としてこれは渡されているのかどうか。その点はいかがですか。

三善信二農林省農地局長

○三善政府委員 いままで国が払いました補償金は総額で十一億七千二百万円であります。  そもそもこの補償の支払いといいますのは、国と連合会と漁業補償の協定を結んでおります。その協定を結びまして、また支払い協定を具体的に結んでおります。それに基づいて連合会に支払っておりますので、国のこの補償に対する補償金の支払いはこれで完了したということになります。  で、お尋ねのこの補償金は、それじゃどこにどういうふうに流れているかということでございますが、私ども、国としては連合会に払いまして、調べてみますと、連合会から先の問題は、連合会から組合に払い、組合から一部——全部ではなく、一部は個人に渡っているところもあるようであります。そういう経路でこの補償金は組合のほうに渡っていると思います。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 何か人ごとのような御答弁でありますが、この協定書によれば、協定書に各調印したものはそれぞれ全部責任を持つことだろうと思うのですね。この協定書によれば、この補償金は公正かつ適切に配分されねばならぬ、こう書いてある。何がゆえに途中でとまっているのか、これはお調べになっていますか。  われわれが聞いて去年お尋ね申し上げましたが、調印当事者であるところの関東農政局長の指示によってとめておるわけです。この許可がなければ下へおろさぬということで、言うなれば予算を中途はんぱに執行した形が今日まで続けられているのです。一部配分したというのは、玉造漁協、いわゆる係争中の当該の組合の、言うなれば内渡し金ということで、反対者には別ですが、賛成された者にそれぞれ、少なくて十万、多い者は何百万でありましょう、そういうものが配分されておる。しかも問題は、これは会計検査院にもお答えいただきますが、その中でこれは内渡し金というのでありますが、漁業補償のいわゆる総体の金額がまだ各人にきまっていない。内渡し金というのは、総体がきまっていて、そのうちの一部であるというのが大体内渡し金だろうと思うのであります。ところが、この渡した金は総体がきまらぬで内渡しになっているということが一つと、それからもう一つは、先ほど申し上げたように、総会の議決が無効の根拠として無資格者があったということであり、この賛成派である県漁連並びに霞が浦漁連の代理人をつとめておる弁護人が、これは法廷であろうと思うのでありますが、確かに何人かの者は無資格であったということを証明しているわけですね。おのれ自身が証明した者にこの漁協自身は金を払っているのがあるのです。こういうことで公正かつ適切に配分されているのかどうか、しかもそういう予算の執行は妥当であるのかどうか。これは会計検査院からもお聞きしたい。

三善信二農林省農地局長

○三善政府委員 国としては、先ほど申し上げましたように、連合会に支払えばそれで一応補償金の問題は解決しているわけでございますが、連合会と組合、組合と組合員の関係、これはやはり御指摘のとおり適正に配分をしていくというのが当然のことであります。したがいまして、これまでの漁業補償におきましては、水産庁もその点よく指導をいたしておりまして、配分をしますときに、連合会あるいは組合で配分基準というものをつくることになっております。その配分基準に基づいて配分額をきめ、組合の場合特にそれを総会できめて、具体的に配分をするということになっているわけでございますが、ただ、一部につきましては、先ほど御指摘のように、組合員に対して、内払いと申しますか、それは全体の額ではございませんで、一部内払いというようなことをやっております。それはまあ組合内部の一つのことでございますし、またそうしたほうが円滑な運営ができるという判断に基づいてやったことだろうと思っております。  それからもう一つの点は、訴訟で六人でございますか、組合員資格がなかったというふうに認めたというお話がございましたが、それは第二回の御答弁のときにそういう意見が出ましたが、第八回のときによく調べてみましたら、その六人についてはやはり組合員資格があるという主張を行なっております一と申しますのは、組合員資格があるかないかという問題につきましては、これはやはりその漁協の定款できめておりまして、たまたま玉造漁協の場合は、年間九十日以上漁業に従事した者については組合員資格があることになっております。ただ、これまで解釈上多少疑問がありましたのは、九十日以上漁業に従事していたということは、海上といいますか、霞が浦の湖上に出漁して漁労作業を営んでおったというふうに狭く解すべきものではなくて、雨の降る日、あるいは曇りの日、あらしの日なんかは、陸上で作業する問題があるわけです。船の修理あるいは網の手入れ、こういった陸上でやります準備作業と申しますか、そういうのもやはり漁業に従事するという解釈の中に当然入れるべきであるという解釈で、先ほど申し上げました六人は資格がないじゃないかということについても、八回の御答弁で、これは資格があるというふうに裁判長に主張いたしております。

田中稔会計検査院事務総局第四局長

○田中会計検査院説明員 支払いしましたもののうち、納税局におきまして市中銀行に留保するようにという扱いになっておる件でございますが、この件につきましては、支出そのものが適法かどうかという点がまず一つの問題であろうと思いますが、その点につきましては、私ども書類並びに手続を検討いたしましたところ、法的には問題はなかろうというふうに考えております。ただしかしながら、法的には問題ないといたしましても、補償金というのは、その性格からいいまして、委任をいたしました各被補償者に対しましてすみやかに配分すべきものだというふうに思うわけでございまして、私どもが実地検査をいたしました四十五年の八月におきましては、支払いがなされてからまだ四カ月の程度しか経過しておりませんでしたので、そういうふうな見解ではございましたけれども、なるべく早く配分が行なわれるようにという意見を表明いたしまして、その後の推移を見守ってきておったという状況でございます。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 大臣、いまお聞きのような事情でありまして、大臣はもう私より実情については全部お知りになっている立場におられますので、あえて私はあなたに質問はしませんけれども、こういうばかばかしいことが実は公然と行なわれているのです。それは反対も賛成もいろいろあるでしょう。しかしながら、問題は、権力や何かで、しかも法律を曲げてまでゴリ押しをしていくという態度が非民主的だと私は思うのですよ。解決しようというのじゃなくて、自分がきめたことをゴリ押しに押そうという態度が、まず第一に大きな問題だと私は思っております。干拓事業に対して、これも大きな問題がありますよ。お互い茨城県に生まれて育ってきておりますが、百億出して東京近辺の蔬菜あるいはそういう供給基地をつくるのだというならば、いま減反で困っている稲敷その他の県西方面一帯を百億かけたら、たちどころにそういう基地は私はできると思う。あえてヘドロの土地をくみ上げて、これから七年間かけてやっても、おそらくヘドロで作物はできないだろうと思います。おそらくできるのには十年かかると思うのです。そうなると、いま漁業をやりたいという人間がいれば、そのほうを優先にするのは当然じゃなかろうかと私は思うのです。  もう私は時間もありませんから、数多く申し上げません。いまの会計検査院の第四局長からの御答弁によりますれば、これは明らかに妥当でない方法をとっているのです。そういうことで予算を執行したというが、形は執行していますよ、しかし妥当じゃないですよ。しかもそういうことによってねらい撃ちで金をだして、それで何とかしようなんというやり方を農林省が認めてくること自体が私はおかしいと思うのです。こういうものは私は言うならば撤回してもらいたいと思うのです、干拓事業は。この辺で回れ右したほうが、国益からいってもいわゆる損害は些少で済むだろう、これからあと百億も出すようではたいへんだという気持ちを持っております。  それから二番目は、霞ケ浦はもうすでによごれがひどくて、しかもいろんな問題が出てまいりました。その中で霞ケ浦開発という水資源開発公団がやる事業も、いままさに始まろうとしている。しかし死の水ためだと言っていいほどに問題があるのですね。そこへもってきて、干拓だけ、それから鹿島大工業用水をとるための開発だということで、川に堤防を築いてやっていくという単純なことで霞ケ浦を利用していいものかどうか、われわれは郷土の一つの大きな湖、自然というものを考えた場合に、こんな無謀なかってなやり方に対して、いまこそものを言う時期だと考えているわけなんです。すべてをやっちゃいかぬというのじゃないけれども、少なくとも総合的な計画の立場から考えて、ここは干拓是であるか非であるか、水はどの程度とるべきか、堤防はどの程度築くべきか、砂利はどの程度とらすべきか、川はどういうふうに規制すべきか、全部きめてやるべき筋合いのものだと私は思うのであります。これからでもおそくはないから、ひとつ考えてもらいたいというのが第二点。  三点目は、百歩譲って、干拓をどうしてもやるというなら、やむを得ぬ。いまの権力はあなたらが持っているのだから、やろうとすれば何でもできるかもしれない。しかし、せめてもの計画変更は、当初の計画以上に譲れないのかというのです。漁業をやりたいというのは地先の者が言っている。やりたくないというのは、地先でない者のほうから、やりたくない、補償金をくれという要求がある。ばかばかしい話ですよ。だから、漁業をやりたい者が漁業のできるように計画変更すべきだと思う。計画変更は一切まかりならぬ、既定方針どおりやるのだ、議決が無効であろうが何であろうが、法廷で争われようが何であろうが、われ関せずえんでゴリ押しでやろうという態度は改めていただかなければならぬと思うのですが、これは時間もありませんから、大臣、たいへん恐縮ですが、一言お答えいただきたいのです。  もう一つ申し上げますと、われわれはこのやり方に対して最後まで戦うつもりです。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 最初の、事業を行なうについて民主的にやらなくちゃならないというのは、全く御同感でございます。これについては私も前からいろいろ自分自身としても知っておるのでございますが、そのとおりだと思います。  霞ケ浦の水を使うにつきましては、各方面よく考えて用水を使うようにしていかなければならぬといういまの御指摘ももっともでございますので、そういうふうにこれからの問題としてやっていきたいと私は思っております。  第三の、あくまでやるのかやらないのかということでございますが、これにつきましては、中途において私なんかもずいぶん考えたことがあるのです。ですから、計画変更を絶対にしないということはないと思います。事態に応じ、また地元の人たちの様子もよく勘案して、計画変更ができるならば、いい方向へ変更していくということはやぶさかではないと思っております。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 ありがとうございました。  いずれにしても、いま大臣から最後の計画変更についても御所見が述べられましたから、農地局長並びに関係者は十分その意を体して考えるべきだし、それから会計検査院も、予算執行は君らはそういうふうなことでやっているかもしらぬが、実際は誤りだと思う。権力にものをいわせた予算執行であって、これはいずれ決算委員会等でさらに追及するつもりだから、準備しておいてもらいたい。  それから、もう少し時間がありますので、大臣、これも緊急の問題でありますが、ひとつお答えいただきたいのであります。  その前に農地局長に聞いておくが、県信連に預けておる金はいつまで預けておくのか。農政局長はいつうんと言うのか。いつ出すのか。

三善信二農林省農地局長

○三善政府委員 あの金はすでに解除をいたしまして、連合会から組合にすでに支払いが行なわれております。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 組合へいってどうなっているか。そのままとまっているじゃないか。去年の暮れにいったんでしょう。

三善信二農林省農地局長

○三善政府委員 組合から組合員に出します場合に、御指摘のように適正な配分をやるという意味におきまして、一部内渡しをいたしてもございますけれども、やはり組合で配分基準というのをつくらせまして、それを総会にいって決議をして、それに基づいて最終的な配分をするようにしたいというふうに思っております。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 それからもう一つ、会計検査院の田中局長に。  これは仮定でありますが、いまさっき申し上げたように、漁業補償というか、いわゆる漁業権の消滅は係争中なんです。いまのように農林省がやっている方向は、消滅したという前提に立って支払っているわけです。これが万が一——万が一ということばをあえて使いますが、もしもその消滅は無効であった、議決は無効であったという場台には、それを前提にした補償金の支払いというのはどうなりますか。

田中稔会計検査院事務総局第四局長

○田中会計検査院説明員 ただいまの先生の御質問でございますけれども、現在裁判で係争中でございますし、現段階におきまして会計検査院といたしまして意見表明みたいなことをこの席で申し上げるのはいかがかと思いますので、意見の表明は差し控えさせていただきたいと思いますが、ただ、判決が出ました場合におきましては、その事態に対応いたしまして慎重に検討いたしたい、このように思います。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 わかりました。  ただ問題は、いまはっきりは言明ができない立場だろうと思うのですが、そういう場合には、当然常識からいってもこれは一つは返してもらうということです。  それからもう一つ、これは農地局長に聞くが、時間がないから簡単に答えてください。  いままで信連や銀行に預けていたときの補償金の金利というのはだれが取得すべきものか、参考に聞かせてほしい。

三善信二農林省農地局長

○三善政府委員 それは組合内部の問題でございますから、連合会と組合と十分その問題を話し合ってきめていくと思っております。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 そんなのはおかしいじゃないか。補償金はだれに支払われるのか。末端はだれが権利を持っているのか。組合なんですか、どっちなんです。

三善信二農林省農地局長

○三善政府委員 それは、補償金は末端の組合員にいくわけでございますけれども、組合員は組合にその補償に関する一切の権限を委任しておりまして、組合はまた連合会に対して補償に関する一切の権限を委任しておりますので、組合全体の内部のことでございますから、その中で話し合いによって解決するというのが従来からの行き方でございますし、本件につきましてもそういうふうになると思っております。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 それは納得しかねる。話し合いというのはないでしょう。権利権限はどこにあるのかといって、それはいまのお話では組合員一人一人にあるのでしょう。そうだとすれば、そのいわゆる果実というか利息は当然彼らが受け取る筋合いじゃないですか。あなたはそんなことを言っているが、そんな指導でいいのですか。それは相談の上で配分すればいいのだ——もっとも、もらいたくないというなら別ですが、原則としては組合員がもらう金じゃないのですか。それを、話し合いを先に持ってきてやること自体おかしいじゃないですか。原則は組合員がもらうものです。それは募金とるとか手数料とるとかという問題があるでしょうから、それは別ですよ。しかし話し合いなどと、そんな指導をされているのですか。いいかげんなものですね。

三善信二農林省農地局長

○三善政府委員 そのために、先ほど申し上げました組合で配分基準というのをつくるように指導いたしておりますし、その基準とそれに基づく配分額、それを組合ごとに総会できめまして、それが最終の配分の額になっていくわけであります。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 基準というのはそんなものをきめるのじゃないですよ。たまたま担当農政局長がとめておけ、銀行に預けろというので預けてあった。そこで利息が自然に出てきたのです。大体そんなものを基準に入れることはないのです。利息はそのままストレートに組合員にいくのが原則じゃないですか。いずれにしても時間もありませんから、あまり利息の点で押し問答しても何ですが、そういういいかげんな指導といったらおかしいが、ずいぶん融通のきくような指導をされるところに問題があるのです。いずれにしてもこの問題は将来に尾を引く問題だし、これを早急に解決しようとするならば、いままでのような態度を改めて大臣が言明されたような方針も考えていかなければ、けつまずくことは歴然としておる。われわれ自身も、霞ケ浦を簡単に占有させることは承認しません。この際はっきり言う。  以上です。

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 久保君の質疑はこれで終わりました。  次は、岡田利春君。

岡田利春日本社会党

○岡田分科員 私は、漁業関係について若干質問いたしたいと思います。  昨年、赤城農林大臣は、第十五回の日ソ漁業交渉の最終まとめにモスクワを訪れて、たいへん御苦労なさったわけです。いよいよ日ソ間の漁業交渉も本格化してまいるわけですが、昨年と違って不漁年であるというような面で、非常なきびしさもすでに予想されておるわけです。これから交渉が進められるわけですから、あまり立ち入った話は避けたいと思いますが、すでに資源状況については双方相当な理解に達しておる——内容の受け取り方は別にして、そうも伝えられておるわけです。したがって、昨年の経緯からかんがみて、特にこの面で最も詳しい農林大臣の今次漁業交渉に臨む態度についてこの際御説明願いたいと思いますし、また、農林大臣としては当然交渉の推移によってはこの交渉に参加されるものと私は思っておるわけですが、この間について大臣の所信を承りたいと思います。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 ただいまお話しのような状況で推移しております。  お話しの中にもありましたが、今年の日ソ漁業交渉はサケ、マス、ニシン等についての日ソ漁業委員会とかについて日ソ間に政府間交渉がございますが、これが三月一日から開始され、現在は両交渉とも小委員会を設けて資源状況及び昨年の取りきめの実施状況を具体的に話し合っておる段階でありますが、このうちでサケ、マスにつきましては、いまお話しのありましたように、資源状態は全体としては七〇年の水準とほぼ同程度という結論に達しております。また、これと並行してツブ漁業についても話し合いを行なっておりますが、日本側からは操業の実情を説明しておる段階でございます。本年の漁業につきましては、具体的な数量についてはこれらの討議の終了を待って話し合いが始められることになっておるのですが、その時期はおおむね三月下旬以降になると考えております。  最終的に私が出向いて直接交渉を進めるかどうかというようなことでございましたが、昨年は非常にむずかしかったので私も出向きましたが、ことしは、昨年にことしの交渉を予見しましてモスクワへ行って相当話を進めておいてきました。でありますので、なかなかことしの交渉もそう簡単ではないとは思いますが、私が行って直接に話をするようなことにはならないかと思います。実はイシコフ漁業大臣が日本へ来たいというものですから、ぜひ来るように督促しておるのですが、向こうの国内の事情もありまして、来ないとは言っていませんが、漁業の問題と離れても行ってみたいということにはなっているのですが、まだ日程等はきまっておりません。もし来られるような場合にはなお促進方を話し合いをしようと思っておりますが、私が行ってこの交渉を最終的に打開していくということにはならないで済むのではないかという見通しをしております。

岡田利春日本社会党

○岡田分科員 農林大臣は、かねて北方海域の安全操業について非常に御熱心にこれに対処してまいられておるわけです。旧赤城試案、最近農林大臣に就任以来新赤城試案という点についてもそれぞれ若干報道されておるわけです。しかし、その内容をつぶさに検討いたしますと、各社によってはずいぶんニュアンスの違いがあるのではないか、こう私は受けとめておるわけです。特にいま日ソ漁業交渉の時期でありますけれども、多年の人道上の問題として解決が望まれている問題ですし、いまだ拿捕の実態もあるわけでありますから、この早急な解決が望まれているわけです。先般グロムイコ外相も参りましたけれども、この安全操業の交渉の見通し等、伝えられている新赤城試案というものについてこの機会に御説明願えれば幸いだと思うわけです。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 交渉中でございますからあまり立ち入っては申し上げられませんが、いまのお尋ねにつきましてはざっくばらんに申し上げていいと思います。  北方水域におきます安全操業問題につきましては昨年の一月末に政府間で交渉を行なっております。このいきさつ等は御承知ですから申しませんが、昨年一月から政府間交渉している。日ソ間の見解の隔たりが大きくて、特に問題は対象水域でございます。ソ連は歯舞、色丹二島周辺の特定水域ならば話し合いに応じてもいいというような態度でございました。しかし日本では、それではまずいというので愛知外務大臣のときに歯舞、色丹ばかりでなくて国後、択捉の周辺まで全部安全操業の対象区域にして話に入ろう、こういうことになったものですから、ちょっと両方で話の糸口がそこで途切れているようなかっこうであったわけであります。そういうことなものですから、昨年十月に私が訪ソした際、これはお互いに領土権、領海権を主張しておったのでは安全操業問題はきまらぬ、だから、というわけで、実際的に解決を促進する、そういう観点から、私は歯舞、色丹、国後、択捉四島周辺は周辺であるが、しかしその水域について漁場として重要であるということを私のほうから明示しますから——そしてまた、そういうところには拿捕の件数も非常に多いのでございます。ですから、漁場として重要であり、拿捕の多い水域を含めなくては話し合いにならぬ、それならば領土、領海というものをちょっと離れて安全操業という問題を人道的に話し合いができるのではないか。ことに北海道漁民などは拿捕されて非常に困っておって、いつでもこの抑留を早く返せ、返せというような交渉をしているわけだから、こういう人道的な立場からこの問題を解決していこうではないか。ソ連のイシコフ大臣に強くそれを要請しました。そのことは大きくいえば日ソ間の親善関係にも寄与できる問題ではないか。こういう点から去年の十月に申し入れしまして、イシコフ漁業大臣は、よく検討しましょう。それから新関大使がその話をまたしまして、それでは具体的提案をひとつ日本からしてみてくれというものですから、水産庁と外務省当局で、この辺とこの辺とこの辺というふうにずっと図面にあらわしまして、この辺が漁場として日本の漁民としてもたいへん関心の深い、また拿捕も多いところである、であるから、こことここと——ほとんど大部分でございますけれども、そういうところを図示しまして、それでソ連におります日本の大使から向こうへ提示して、それをもととしていま大体話を進めておるところでございます。それで、これはいま御指摘のように領土問題はなかなかデリケートな問題でございますので、その問題にからませないようにしたのですが、しかしその問題は幾らか根底にはありますからそう簡単ではないと思いますが、従前よりは話は進んでいくのではないか、こういう見通しを持っております。

岡田利春日本社会党

○岡田分科員 私は昨年の二月二十三日に愛知外務大臣に一つの提案をいたしたわけです。それは西十年から四十五年の拿捕の状況を判断いたしますと、歯舞、色丹及び国後も大体四十二、三度線以下でありまして北海道寄りでありますが、ここの拿捕が大体八〇%の実績があるわけです。もちろん択捉の実績もありますけれども、これはサハリンあるいはまたカムチャツカ、沿海州でも同様に拿捕があるわけでありますから、この海域の安全操業ができれば、一応北方海域における安全操業は達成する。したがって四島に固執するのではなくて、特に国後中部から北海道寄り、この面の海域の安全操業が達成できれば、大体八二、三%の安全操業ができるのだということを実は提案をし、十分参考にして交渉する、こういう答弁があったわけですが、大体いま農林大臣が説明された内容は、私の申し上げた認識とほぼ一致するものと判断いたしますが、いかがですか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 岡田さんの認識とほとんど一致しているのです。ただ四島では困る、そういうことを向こうでは言っていますから、それからまた愛知君の最初の提案は、私の最初の提案をずっと広げて四島にやっちゃったものですから、これをまるきり撤回するわけにも私どもとしていかぬものですから、実際においては岡田さんのお話しのように、歯舞と国後などが非常に魚の多いところで、ですから現実にはそういうところに重点を置いて図示してあったわけです。ですから考え方等は同じでございます。いろいろないきさつを踏んでこっちから提案している、話をしておるわけでございます。

岡田利春日本社会党

○岡田分科員 日ソ間の関係が非常に友好裏にいろいろな交渉が進められておりますので、この際弾力的にぜひこの問題を解決するように、せっかくの努力をひとつこの機会に要望いたしておきたいと思います。  そこでもう一つ、先般佐藤総理が札幌オリンピックの開会式に参りましたときに、札幌談話というものが出ておるわけです。この中で、多年北海道漁業界が要望している領海十二海里、もしくは漁業専管水域十二海里、この問題について発言されて、もうこれは国際常識である、当然その方向ですみやかにわが国としても態度をきめて解決さるべきだ、こういう札幌談話を実は発表いたしたわけですが、この点は水産庁、農林省も同様な認識だ、したがってそういう態度で、近くしかるべく国際会議に他国の動向を見ながらこの問題は解決に踏み出す、こう受けとめてよろしゅうございますか。

太田康二水産庁長官

○太田(康)政府委員 御承知のとおり領海の水城につきましては、わが国は三海里説を現在とっておるわけでございますが、国際海洋法会議などにおきまして、現在最も多くの国が採用しておりますのは領海十二海里ということでございまして、政府の公式見解といたしまして、従来御答弁申し上げておりますのは、そういった場におきまして、国際的に合意が得られればわが国としてもこの合意の成立を支持するという態度で対処するということを申し上げておるのであります。そこで、この安全操業問題とこの問題とをからめてどうなるかという問題になるわけでありますが、私どもが現在四島周辺の三海里から十二海里の間の水域を対象水域として主張しておる。先ほど大臣が申されましたように、拿捕が多く、しかも漁場としての価値が大きいところということでいっておりますのは、この水域はわが国の漁民が戦前から漁業を行なってきたところの歴史的な実績を持つ水域である、また現にこれら四島にはソ連の住民が居住しておるというようなこともあるわけでございまして、国際海洋法会議でわが国が領海の幅員についてどういう態度をとるかという問題と、この安全操業問題とは直接には関係ない、こういう立場を現在安全操業問題の対象水域についての考え方としてとっておるわけでございます。

岡田利春日本社会党

○岡田分科員 昨年倉石農林大臣に、私は北方海域の拿捕漁船の補償の問題について質問いたしたわけです。もちろんこれは調査をするという調査の予算がついておるわけです。これは、一応日本の見解としては、損害賠償請求権は留保していると言いながら、現実の問題としてこれを調査し、そして調査の結果検討し、この補償について最終的な結論を得る。大体昨年一年間でほぼこの調査は完了するというニュアンスのお話をいただいておるわけです。その後これはどうなっておるか、今年度もう一年間かかって調査をし、来年度の予算までには結論を明確に出すという態度なのか、承っておきたいと思います。

太田康二水産庁長官

○太田(康)政府委員 先生の御指摘のとおり、昭和四十五年度から調査を実施いたしておるわけでございまして、四十五年度は約七百五十万程度の経費を計上いたしまして、全数調査によって、拿捕されました船主、乗り組み員の実態、拿捕漁船の内容、抑留期間、拿捕後の代船、生活対策、こういうものを調査いたしたわけでございます。ところが、拿捕された漁船は、年次、漁業種類、地域等が広範にわたるわけでございますので、さらにその実態を十分に把握するために、補完調査が必要であるということで、昭和四十六年には約百五十万の経費を計上いたしまして、有意抽出によりまして、船主、乗り組み員別に、拿捕後一カ年と最近での就業の変化につきましての調査を補足いたしたわけでございまして、これは現在取りまとめ中でございます。おおむね調査はこれで終わっておるのではないかということも考えられるのでございますけれども、四十七年度に経費といたしましては約四十万を要求しておりますが、漁業種類別に漁期と所要資材の仕込み資金総額等の、操業経営の実態と拿捕による影響につきまして調査をするということになっておるのでございます。  そこで、調査ばかりしていて、一体対策はどうなんだという御意見が毎度出るわけでございますけれども、御承知のとおり現在もある程度いろいろ保険制度の実施、あるいは抑留中の期間が長期にわたりますと、これに対する見舞い金の支給というような制度もありますし、死亡船員の方に対する見舞い金の交付という制度もあるわけでございますが、いずれにいたしましても私どもといたしましては、過去におけるたとえば日韓等の問題もあるわけでございますけれども、今後におきます日ソ間の漁業交渉の成り行きというものが、やはり気になるというと語弊がございますが、そういったものの成り行き等も見ながら、ひとつ総合的に判断してまいりたいということでございます。

岡田利春日本社会党

○岡田分科員 私は、安全操業の問題が今年は解決されるように、そしてまたそういう中で補償問題も早期に来年度に向けて解決されるように、この機会に強く要望いたしておきます。  時間がありませんから次に申し上げますけれども、昨年の道東沖のサバ専門漁業の問題でございます。これは、操業中、突如として水産庁は漁期の一カ月間の延長を行なったわけです。もちろん道東沖のサバ専門漁業は、逐年稼働数もふやしてまいりましたし、また漁期も逐年延長してまいったわけです。昨年は、資源状況からも判断されたとは思いますけれども、抜き打ちでありましたから、道東沖の底引き漁業の魚価に重大な影響を与えた。四分の一以下に魚価が下がった。特にコマイが主たる内容になっているわけです。この地帯は毛ガニ等もございますし、いろいろ資源保護のために協定を結んで、鋭意努力をしている地点でもあるというような関係で、北海道においては大きな問題になっておりますことは、長官も御存じかと思います。そこで、現在さらに関係者が話を進めて、十日程度ならば漁期は延ばしてもいいのではないか、こういう譲歩案も出したのでありますが、まとまらず、白紙還元された。しかし、この問題は昨年からの引き続きの問題でありますから、早期に解決されなければならない。そういう意味において、すでに交渉の経過として、ある程度の譲歩の姿勢もあったわけでありますから、また飛田調整課長も現地におもむいて調査もいたしておるわけでありますから、この際の答弁としていただきたいのは、昨年の経過にかんがみて、十分地元のそういう意向を尊重して、この問題についてはあくまでも解決をするんだということをひとつ明確に御答弁いただきたいと思うわけです。いかがですか。

太田康二水産庁長官

○太田(康)政府委員 釧路の問題でございますので、先生のほうが実態はよく御承知だろうと思いますし、御指摘の点一々ごもっともであるわけでございます。地元のいろいろ要望があるわけでございまして、一方が立てば一方が立たないということもあるわけでございまして、その間を調整するというのがわれわれの役目であるわけでございますけれども、まき網によりますところのサバが地元の加工業者の歓迎するところになるというような問題もあるわけでございますが、そのことが同時に底びきの方のコマイの価格を引き下げるという問題もあるわけでございますので、われわれといたしましてはまず北海道の当局、それから釧路市を含めました地元関係業界、こういった方々の意見をやはり十分聞きまして、この問題は調整を行なうべきである。調整の場合にはいつも大体そういったことを基本にいたしておりますので、本年度の釧路沖のまき網漁業の漁期の延長の問題につきましては、そういったことできめてまいりたい、こういうふうに考えております。

岡田利春日本社会党

○岡田分科員 そういたしますと、北海道庁を含めて地元業界、この意見の一致しない限り昨年のようなことにはならない、こういう理解でよろしいですか。

太田康二水産庁長官

○太田(康)政府委員 まあ両方が、何と申しますか一方の主張が通り一方の主張が全く通らないということではものごとは妥結を見ないと私は思っておりますので、道当局にも、従来の経緯も十分あるわけでございますから、両業界の話し合いでうまくまとまるように指導をいただいて、もちろんわれわれも必要とあらばそこに出向いていって指導もいたしまして、話し合いがついた上で処置をいたしたい、こういうふうに考えます。

岡田利春日本社会党

○岡田分科員 長官も御存じのように、北海道漁業公社がやはり内地船に転貸をしておるというような実態もあるわけですから、いまの答弁は私がいまも言っているように北海道も含んでいるわけですから、別に地元だけ言っているわけではないのですから、その間で一致しない場合には、昨年のように水産庁は、もちろん地元の意見はあったと思うのですが、そういう一方的なことはしない、やはり北海道庁、これは水産行政を担当しているわけですから、地元の業界とも一致していかなければならない、こういうふうに認識していいわけですか。

太田康二水産庁長官

○太田(康)政府委員 まあそういうことでよろしかろうと思います。

岡田利春日本社会党

○岡田分科員 最後にもう一つ質問いたしますが、オホーツク海サンマ漁業についてであります。これもまた水産庁はよく御存じのとおりであります。特にオホーツク海は周年操業できない、氷で閉ざされておる地域でありまして、低生産地帯であることはもう御承知のとおりであります。ましてサケ、マスについては全面禁漁、養殖にしてもなかなかサケをとることができないというような状態に置かれておるわけですが、最近サンマ漁業の不振に伴って、いわば道外の大型サンマ漁船がこの海域に無許可で入って、そして大っぴらに操業をしている。その隻数も十ぱいや十五はいというのではなくて、三百隻にものぼると推定されておるわけです。そして昨年は地元小型の操業船の操業の妨害あるいは沿岸漁区に被害を与えて、一部が取り締まりの対象になったということも御承知のとおりだと思うわけです。そういう経過から考えて、許可しないで大量の船が、しかも大型のサンマ船が操業に無許可で入る。この取り締まりは当然水産庁としても積極的にしなければならない問題ではないのか。もしこれをこのまま放置しておくとするならば、いわばそれ以外の不法操業についても同様に見のがさざるを得ないということにもなりかねないのではないのか、私はこのように判断をいたすわけです。昨年の実績を見ましても、太平洋海域では七万二千百十七トン、これはおととしですが昨年は十三万九千四百トンあるわけです。ですから非常に太平洋海域も漁としては一その前の年は四万五千ですから、昭和四十三年よりも漁があるわけです。もちろんオホーツク海域は、その意味では三万七千トンになっております。大体極端に不振な年もあるということでありますから、この面はやはり確固たる姿勢をとるべきじゃないのか。行政指導すべきではないのか。もしどうしても不法操業するとするならば、太平洋海域における操業をも停止するという強い態度が必要ではないのか、こう思うのでありますが、この点について見解を承っておきたいと思います。

太田康二水産庁長官

○太田(康)政府委員 御承知のとおり、現在のサンマにつきましての私どもが実施いたしておりますところの取り締まりは、調整は、太平洋だけに限られております。それからオホーツク海域につきましては、県知事の規制で実施をいたしておるわけでございまして、御指摘のとおり内地の船がオホーツクに入るということは違法になるわけでございまして、県知事の許可を受けない限り違法な行為になるわけでございます。  この点につきまして、御指摘のような問題があったことは私ども承知をいたしておるのでございますが、昨年の取り締まりは私どもも実施いたしましたし、特に海上保安庁等にお願いをして取り締まりを実施いたしたのでございますが、それが不十分であったというような点につきましては御指摘のとおりかと思います。  なお、道内自身におきましても道庁船による取り締まりもあったわけでございまして、そういった規則がきめられた限りにおきましては、これの実効を確保するための取り締まりの強化という点につきましては、われわれも一段と従来の態度に加えまして、厳正な態度で取り締まり業務に当たらなければならないというふうに考えております。

岡田利春日本社会党

○岡田分科員 私はいま二つの問題について答弁を聞きました。いままでわれわれも水産庁でいろいろな意見などを聞きますと、たとえばサバの場合には、漁期を延長することによってむしろ消費者に喜ばれるのではないかという意見もありますし、もちろんフィッシュミールの加工関係については当然その点については希望されておることも承知をいたしておるわけです。しかし普通一般の庶民の食卓に供するという意味では、ずっと小型になってまいりますし、ほとんどが後半期はフィッシュミールに回されるという意味では、あまりそういう点については関係がないではないか。またサンマについても最近は非常に小型化しておることは御承知のとおりです。そしてやはり十トン未満の船が四百七十五隻も操業するというような現状でありますし、またその場所が非常に近い、十マイル以内の狭い場所であるということも事実であります。昨年だけは若干遠いところに魚群があったということでありますが、いままでの長年の例はごく近い、狭い地域に魚群が来る。そしてこれがやがてまた道東から三陸沖のほうに南下してまいるわけでありますから、そういう点でぜひひとつむしろ積極的に中部千島沖等の魚群の集積をしておるような面をさらに、前にも水産庁は調査をしておりますが、そういう面のむしろ海洋資源の的確な調査というようなことを進められていく方向を強化すべきではないのか、こう私は思うわけです。そういう意味でこの点についての、特にいま答弁もいただきましたけれども、さらに的確な指示を要請をして、私の質問を終わりたいと思います。

太田康二水産庁長官

○太田(康)政府委員 私どもが水産行政を進めてまいります場合に、特に許可、承認等の権限を持った業務を実施いたしておるわけでございますから、やはりそれを認める以上、まあ漁業法にもそういう思想が流れておるわけですけれども、資源の問題あるいは経営安定の問題を当然考えなければならぬわけでございまして、資源調査等につきましては特に力を入れてまいらなければならないと思います。  いまお尋ねのオホーツク海のサンマ資源の問題につきましても、最近におきましてはやや状況が変わってきた。従来これを北海道知事の規制にゆだねていたということは、おそらくサンマ漁業の漁場としてはオーツク海はたいしたことはないのだというような前提に立っての処置であったと思うわけでございます。そういった意味で、内地船をオホーツクに入れろというような要望が内地側から出、北海道から見ますと、たまたま昭和四十六年はああいった偶発的に確かにオホーツクでとれたけれども、これが何も恒常的な状態ではないということがいわれておるわけでございまして、これらの両者の主張を調整いたしまして、問題の円滑なる解決をはかるためには、何と申しましても、資源についての的確なる調査というものが前提でなければならないと思いますので、お尋ねのような点につきましては、私どもも今後一段と力を入れてまいりたい、かように考えております。

岡田利春日本社会党

○岡田分科員 終わります。

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 岡田君の質疑は終了いたしました。  この際、午後一時再開することとして、暫時休憩いたします。     午後零時二十一分休憩      ————◇—————     午後一時二分開議

渡辺肇自由民主党

○渡辺(肇)主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林省所管について質疑を続行いたします。樋上君。

樋上新一公明党

○樋上分科員 昨年、中華人民共和国が国連に復帰いたしまして中国を代表する政府と認められておりますが、中国と国交を回復した国は七十余カ国にも及び、さらに多くの国が中国と国交を回復しようとしており、世界の情勢は大きく変化しておりますが、日本国内においても、日中友好と日中国交回復を願う国民の要望は大いに高まりを見せておるのであります。しかしながら、佐藤政府は、このような国民の強い要望とは別に、相変わらず中国との国交回復には消極的な態度をとり続けております。このような内外の情勢を踏まえて、私は中国食肉輸入問題について若干質問申し上げたいと思います。  政府は、過去一貫して中国の食肉輸入に対し、中国における家畜衛生管理状況が不明であり、また家畜疫病に関する情報が得られないことを理由に、農林省令家畜伝染病予防法施行規則第四十三条に基づき輸入禁止してきましたが、現在もこうした理由により輸入禁止しているのかどうか、まずこれを伺います。

増田久農林省畜産局長

○増田(久)政府委員 先生のおっしゃるとおりでございまして、現在の段階では、まだ同じ理由で中国からの食肉輸入は認めておりません。

樋上新一公明党

○樋上分科員 それでは、中国の家畜防疫状況がわかればいいとおっしゃるのですね。

増田久農林省畜産局長

○増田(久)政府委員 先生のおっしゃるとおりでございまして、これは入った場合にはたいへんな畜産の公害でございますから、私は、畜産の責任者として慎重の上にも慎重を期したいという気持ちがあるわけでございます。したがってもし認めるとするからには、これは信ずるに足るデータが必要である。たとえば一つの方法としましては、OIEというパリに国際獣疫機関がございますが、中国が国際復帰をいたしましたから、おそらくここにも加盟してくることになるだろうと思うわけであります。そうなりますればおのずといろいろなことがわかってくるという点に、われわれとしては期待を持っておるわけでございます。

樋上新一公明党

○樋上分科員 私は前にも一ぺん質問したことがあるのでございますが、過去三回にわたりまして中国に家畜防疫調査団を派遣しておる。第三回の調査団の元農林省畜産局衛生課長田中良男氏は、一九六二年の発生を最後として、現在口蹄疫の発生はないというふうに判断すべきだろうという報告をしておる。また第二回調査団の、元動物検疫所所長の入江良作氏が訪中したときから、中華人民共和国農林部より毎月「中国家畜伝染病発生月報」というものを送達を受けておりますが、それによっても中国には口蹄疫が発生していないことは明らかである。これらの資料は全く信頼できるものであると私は思うのでございますが、この点はいかがですか。

増田久農林省畜産局長

○増田(久)政府委員 先生にこういうことは申し上げるまでもないことだと思いますけれども、発生してないということと撲滅したということとはおのずと違いがあろうかと思うわけでございます。そういう意味で、中国にあるいは発生してないのは事実かとも思いますけれども、それが直ちに中国には口蹄疫はないということにはならない。現実に中国では牛疫というおそろしい病気がございますけれども、これは一九六〇年にはっきり撲滅したということを内外に宣言をいたしておるわけでございます。これに対しまして、口蹄疫につきましては、残念ながらそういう宣言はまだなさっておられませんし、われわれがほしいというデータにつきまして、何らインフォメーションが得られていないという段階でございます。私といたしましては、いまの段階で中国では口蹄疫が撲滅したということは判断できないと考えておるわけでございます。

樋上新一公明党

○樋上分科員 撲滅したということと発生してないということと——じゃあなた方は、調査団の報告に疑問を持っていらっしゃるかどうか。発生してないということと、また、いま申し上げました月報に出ておらないというのを、なおかつ口蹄疫があるとおっしゃるように承るのですけれども、この最も信頼すべき第三回目の調査団もはっきりこういう資料を提供しておるのです。その資料に基づいて私は質問しておるのですけれども、この資料はどこが信頼できないのかという点をお伺いしたいと思うのです。

増田久農林省畜産局長

○増田(久)政府委員 第三回目の田中さんの調査というものにつきまして、先生もこれ御承知だと思いますけれども、報告があった後におきまして獣医学会が集まりましていろいろ検討を加えたことがあるわけでございます。それと、われわれが撲滅したかどうかということを判断する場合の条件といたしまして、過去においてどれだけ発生し、どれだけの損害が出て、それがいつなくなったのか、具体的に口蹄疫はどういう方法で撲滅をしたのか、あるいはどういうワクチンを使ったのか、出た口蹄疫の種類は一体どういうものなのか、そういった基礎的な信頼すべきデータがありますれば、われわれとしても第三次調査団の報告を信頼することについては決してやぶさかではないわけでございます。そういう点に、基礎的なデータについて何らインフォメーションを得られていない、その上に、率直に申し上げてなんでございますけれども、一つの中国側の口頭の説明でそういうふうに信じておられたという点に、私はあの調査団の問題があるというふうに考えておるわけでございます。

樋上新一公明党

○樋上分科員 口頭の報告じゃないんですよ。これにはっきり出ているのです。報告書というものは三回とも書類で報告になっておるのですが、口頭じゃないですよ。それから、言い出してからもう十年たっておるのですよ。十年たっても依然としてそれが信頼できないというのだったら、あなたがいまおっしゃる口蹄疫という病毒は、保毒されているのかどうかというところまで検討を加えられたかどうか、その点を……。

増田久農林省畜産局長

○増田(久)政府委員 私の言っていることについて、ちょっと誤解があるといけないと思うのですけれども、私も、何も中国だけを特にあれということで申し上げているわけじゃないわけです。と申しますのは、世界の家畜伝染病関係の常識といたしまして、いつ、どこで、どういう病気が発生した、その型はどういうものである、こういう方法で予防をいたしましたということは、だれもが発表し、だれもが隠しだてすることのないことでございまして、またそういうことを報告するのが私は国際的な常識だと思うわけでございます。そういう点につきまして中国から、これは日本だけに対してではないのでございます、各国、たとえばカナダの獣医局長が行かれましたようなときにおきましても、中国からはそういうデータは何ら提供なかったという話を私のところにしてまいりましたけれども、中国はそういうことをやはり明らかにしていただきますことが、このことを判断する、信ずる上で一番大切なことである、かように考えているわけでございます。

樋上新一公明党

○樋上分科員 いま私が申し上げているのは、あなたのほうにもこういう報告書があるんでしょう。これは中国家畜伝染病発生月報の集計、これは農林省衛生当局の主張している産地条件ですね。いろいろなものが一年間に、発生なき生産地と、その条件に適格となる省は下記のとおりになっておる、こういうぐあいに各省から月報が出ておって、これは中国の、日本で言えば農林省です。そこから発表されておるのに、あなたはこれを信頼しなかったらどれを信頼するのですか。こういう信頼ある書類をもって報告したのにかかわらず、それはどういう条件をあなたたちは言うんですか。向こうができないことをあなた方は要求しているんでしょう。  私は、そういうことをおっしゃると過去に五項目、こういう条件を出された、よく存じております。ああいう五項目を承諾すれば入れるというような、できもしないようなことを出しておるんですよ。あれは。だから向こうとしては、こういうものを国が発表しておる。御存じないですか。これ来ているでしょう。こういうもの来ているでしょう。大臣見てください。こういう書類をちゃんと中国の農林省では発表して、これは一年間の統計をして、口蹄疫はなしということをはっきりいっているのですよ。権威あるのですよ、これは。それを何回言ってもあなたたちは同じように答弁されている。これは、この前岡田畜産局長時代にもこの問題について三回にわたって論争をしました。ところが結局どうしたら入れられないようにするか、何とかこれをとめる方法はないか——私は政治的圧力があるんだろう、そう申し上げたことがあるんですよ。だったらこの専門的な本、専門的なところからどんどんいろいろな本、「口蹄疫」という本ですが、これにもちゃんとはっきり出ているんですよ。田中良男氏の報告にも六二年以後はないとはっきり出ておるのにかかわらず、こちらの言うような条件がなかったら入れないとか、これはおかしい。そしてその口蹄疫が一番こわい、病毒がこわいというんでしたら、じゃあ疑わしいものは絶対ない、疑わしいものは罰するとおっしゃるような方法か、その点もう一ぺん念のために伺っておきたいと思います。

増田久農林省畜産局長

○増田(久)政府委員 先ほど申し上げましたとおり、私は何も政治的に判断して申し上げておるものではございません。先ほどから何度も申し上げましたとおり、発生と撲滅とは違っているのであります。現に、先ほども申しましたOIEという国際機関がございますが、そこで年報が毎年出されます。その年報に、中国に口蹄疫が存在するということが現実に書いてあるのでございます。そういう国際的には、中国は口蹄疫の存在地であると一般的には考えられているわけです。なお、われわれが常識として考えますことは、御存じのとおりデンマークとかオランダとかフランスとかドイツとか、ああいう国は徹底した撲滅運動をやっているにかかわらず、現在百年たってなお口蹄疫を撲滅できないでいる実態がございます。そういうことを考えますれば、現実に中国において発生はしてないかもしれないけれども、それをもって直ちに撲滅せられたというふうに考えることは、私としては早計であるというふうに考えているわけでございます。それで撲滅されたと信ずるならば、それに足るだけのデータがほしい。こういう畜産にとっての重要な公害問題ですから、われわれとしては慎重の上にも慎重を期してまいりたい、かように考えておるわけでございまして、われわれとしては口蹄疫の存在する国からは、厳として牛肉なり鳥肉を入れることはいたさないという気持ちを変える気持ちは毛頭持っておりません。

樋上新一公明党

○樋上分科員 じゃ聞きますが、現在政府は口蹄疫の発生しているアルゼンチンから牛肉を、煮沸されたものを輸入されているのですが、これは間違いありませんでしょうね。

増田久農林省畜産局長

○増田(久)政府委員 事実でございます、確かに。煮沸肉はなぜ入れているかと申しますと、条件がございまして、中心部において七十度、一分ということの加熱消毒をいたしますれば、口蹄疫は死ぬということに相なっております。そういうことで煮沸肉として入れているわけであります。

樋上新一公明党

○樋上分科員 牛肉の中心部温度摂氏七十度、一分間になればよい、こういう措置が口蹄疫に対して安全という根拠はどこにあるのですか。

増田久農林省畜産局長

○増田(久)政府委員 科学的と申しますより学問的に、中心部で七十度、一分であれば口蹄疫は死滅するというふうにいわれているからでございます。

樋上新一公明党

○樋上分科員 いわれている根拠は、どこに出ているんですか、その書物はごらんになりましたか。

増田久農林省畜産局長

○増田(久)政府委員 いろいろ学問的と申しますか、そういう点でございますから、専門家の衛生課長からお答えさせていただきます。

樋上新一公明党

○樋上分科員 それではここに権威ある試験結果を——撲滅されていたとおっしゃるんでしたら、ここにありますよ。牛舌上皮の組織乳剤を八十五度Cで四時間加熱して牛に接種した試験で、ビールスの生存が証明された例がある。条件次第ではビールスはかなり長く生存するものと思われる。こういうぐあいに煮沸されても、完全にビールスは撲滅するものではないのです。ここに原材料の感染価、加熱八十五度Cで四時間、それから希釈が十倍で分析されておっても、それは撲滅しないということがこの口蹄疫の権威ある本に出ていますよ。これは信用しないんですか。農林省家畜衛生試験場、農林省畜産局衛生課、日本獣医師会、こういう権威あるのに出ておるのに、あなた方はどこから根拠されたか、そういういいかげんなことを言ったらいかぬですね。どうなっているんですか。

信藤謙蔵農林省畜産局衛生課長

○信藤説明員 いま先生がおっしゃいましたのは牛の病変部の組織でありまして、感染価でいいますと、約十億倍に薄めても牛を感染させるような特別のビールスを恒温槽に入れまして、八十度、熱がそれ以上加わらない方法でやったんですが、われわれの煮沸肉は煮沸した熱湯の中に肉片を一時間ないし二時間ほうり込んで、その中心温度が七十度ならばだいじょうぶということがアメリカのプラムアイランドの研究によって立証されておりますので、その方法でやっておるわけでございまして、いまの試験は恒温槽でありまして、いわゆるなまぬるい温度といいますか、それ以上上がらない温度の中に静かにつけておいた。しかも感染価の高い病変部でございまして、われわれの輸入いたしますのは、病変部をすっかり除いた、ガンならガンの組織をとった肉だけを、全然病変部のないところを、そういう温度の熱湯の中で煮沸するわけでございますので、だいぶ条件が違うかと思うのでございます。

樋上新一公明党

○樋上分科員 舌の部分とおっしゃるのは、あなたのおっしゃっているのは、濃縮した病毒またはリンパ組織であるので、自然発生と同じとはみなせない、こういうように私は解するのですけれども、そうでしょう。あなたのおっしゃっていることはそうじゃないですか。

信藤謙蔵農林省畜産局衛生課長

○信藤説明員 御承知のように、口蹄疫は舌とかリンパ節あるいは足には非常にたくさんのビールスが出ますので、当然そういったところを全部除去いたしまして、リンパ節もそういった病変部はすっかり除きまして、肉だけを加熱いたすものでございまして、病変部はなるほどたいへんな肉がございますけれども、われわれが輸入いたしておりますのは肉だけで、骨も抜いてございます。そういった病毒のないところをさらに煮沸しておるというところがたいへん違うわけでございます。

樋上新一公明党

○樋上分科員 専門的な話になりますとなかなか複雑になってくるのですけれども、何時間煮沸されるとおっしゃいましたか。

信藤謙蔵農林省畜産局衛生課長

○信藤説明員 子供の頭ぐらいの大きさの肉片でございますと、熱湯の中で約一時間半から二時間煮沸いたしまして、その肉の中心温度が七十度に達する。それで大体全体的には消毒が完了したということでございます。

樋上新一公明党

○樋上分科員 先ほど局長がおっしゃったのはそうじゃなかったですね。

増田久農林省畜産局長

○増田(久)政府委員 私は肉の中心部の温度を七十二度と申し上げました。七十度、一分と申し上げました。中心の温度が七十度になって、それを一分間続ける、大体こういう意味で申し上げたわけでございます。

樋上新一公明党

○樋上分科員 そこのところは、自然か濃縮かはどうでも、一分間と四時間では二百四十倍も時間が違いますし、また摂氏七十度と摂氏八十五度では十五度の差があるのですよ。ですから、死滅するか感染能力を持っているかでは、これはほんとうに正反対の問題になってくるのですが、この点はどうですか。

信藤謙蔵農林省畜産局衛生課長

○信藤説明員 先ほど申し上げましたように、煮沸肉の場合は、熱湯の中に入れまして一時間ないし二時間煮沸いたしますと、肉というのは非常に温度が上がりにくいわけでございますけれども、だんだん温度が中にしみ込んでいきまして、中心温度が七十度、一分になった場合に全体の煮沸が完了するということで、そのあとの深部の温度は、どんどん中に入っていきまして、実態的には中では九十度にもなるわけでございます。それを全体的に自然に冷却いたしまして冷蔵庫に導くという形でございますので、その消毒効果につきましては疑うところはないと思うのでございます。

樋上新一公明党

○樋上分科員 口蹄疫の専門的な話になりますと、まだまだやっておったら時間が足らないので、私は全体的に残っておりますことを申し上げるのですが、この口蹄疫は、全然いままで日本には発生したこともなければ——それはない、絶対何もなかったかという点についてお伺いしたい。

増田久農林省畜産局長

○増田(久)政府委員 一般には発生したことはございません。これは処女地であります。ただし昔、御存じのとおり、中国から、青島から生体で入れておったことがございます。そのときに、検疫所の中で数回発生したことがございます。それだけでございます。

樋上新一公明党

○樋上分科員 日本にも前に口蹄疫があったことがあるのですよ。一八九九年−一九〇三年に三千五百頭という口蹄疫の病気が日本に発生しておるのです。それから一九〇八年に五百八十頭。大正、昭和年間、特に一九三三年に発生して、一九五〇年から一九六〇年の間に、横浜に上陸した牛に発生しておる。これを発見したということは、わが国においても診断できるということではないかと思うのです。ですから、この口蹄疫の問題については、中国においてもワクチンの研究も相当進められておりますし、また完全であるといういろいろな例がそこに引かれて発表されておるのです。こういうようなことがあったことが調べられたらちゃんと出ておるのですが、これは横浜に上陸して発生しておる、この点はいかがですか。

増田久農林省畜産局長

○増田(久)政府委員 先ほど申し上げたとおり、これは全部検疫所の中で発見されて処理をされたものでありまして、検疫所の外には一歩も出ていないのでございます。

樋上新一公明党

○樋上分科員 いま中国でどういうワクチンがあって、どういうことをやっているかということを調査されたことありますか。

増田久農林省畜産局長

○増田(久)政府委員 それは残念ながらわからないのが実態でございます。

樋上新一公明党

○樋上分科員 どうしてそれをわからないものとするのですか。私たちは政府が中国肉を輸入しよう、日中国交回復で多くの国民が期待しておるにかかわらず、どういうワクチンを使ってどうしておるのか、五項目出しておいてその返事を出せ、それでなければ買わない。向こうは病気でないんだ——たとえばあなたが、私は病気でない、健康診断を受けたんだ、完全な者だと診断書を出しても、あなたは病気だ、こう言われたらあなたどういう感じがします。それと同じことじゃありませんか。だからほんとうに中国肉を輸入しようとした場合は、もっともっと——調査団を派遣してから何年たっておるのですか。そのままになっておるじゃないではありませんか。過去にも坂田農林大臣が輸入しよう、こういうぐあいに決意をした。よほどの決意があって調査されたことなんですよ。それを今度松野農林大臣にかわったら、これはまたやめてしまった。大臣がかわるたびにやめていく。私はどういうことでそういう点が——中国との国交を回復し、また貿易を開いていかなければならない。価格でも、これをごらんなさい。大臣、見てください。これが世界の枝肉の価格の比重ですよ。赤い線が日本です。キログラム九百八十円までいっているんですよ。ずっと下のほうを見てみなさい。オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、イギリス、ノルウエー、フランス、スウェーデン、この太い線が一番高い。いま最も栄養価値のある中国肉をみんなが待ちこがれておる。それを口蹄疫だ、口蹄疫だといって、一歩も前進しない。前から十年たっても熱心に調査もしようとせずに、口蹄疫ばかりでやっておる。この論争は衆参両院で何回も行なわれました。過去の議事録をずっと見てみましても、もう当然これを入れなければならないのです。ところが畜産局長は、そのたびに、あなたの地位から、自分の立場上、一歩も前進せぬと、五項目出してその返事がないからと、こう言っている。どうなんですか、大臣一ぺん御所見を承りたい。いままでやりとりしてきましたような点についてどう考えられますか。いま日中が国交を回復して、多くの業者がこれを求めて、また大衆は安い牛肉を求めている。過去に青島肉も入ってきたこともある。それをいまだにこう言っている。私は赤城農林大臣の手によって、ことしこそこの中国肉の輸入を断として下されて、全国民の喜ぶように、物価が上昇している中に安い、栄養価値のある牛肉を輸入するということに踏み切られる御意思がございませんか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 いろいろお話のことも聞いていますし、前にもいろいろ聞いてはおったのですが、私はこれは政治的な問題ではないと考えております。しかし政治的に見ますれば、日中の国交も近く開けると思いますけれども、技術上の問題としていままで農林当局としても考えておったと思いますので、両国間の技術交流等を通じて検疫技術上の問題の解明につとめたい、こういう方向でいまいくよりしようがないんじゃないか、こう考えております。

樋上新一公明党

○樋上分科員 大臣、あなたはいまなかなかはっきりしたことを言えない立場にあるが、あなた個人的にはいまどうお考えになりますか。この牛肉をいま入れる時代になってきたんですよ。いろいろな技術的な問題はこれからだんだんやればいいのですけれども、政府から派遣させたらいいんだ、やろうという気持ちがあるならば。それを技術的交流ができて、いま言いましたように、一方的に報告せい報告せいと言うのじゃなしに、こちらから積極的に行って、かりに口蹄疫が全中国にある——中国におきましては、最近におきましてはいろいろ範囲をきめて、もしそこのところに伝染病、口蹄疫が発生すれば、それ以内は入れないというようなことをしておるのです。ここ十年来口蹄疫の発生がない。ほかのほうが中国から買うておる、それを冷凍にして日本は買っておる。三カ月もかかって豪州、ニュージーランドから来るやつが、こちらは三日間で来る。この中国との貿易について、何かそこに佐藤さんが踏み切れない、台湾に遠慮してやっておられるのじゃないか。こういうことをやっておったら、いつまでも中国の肉が入ってこない。もう一ぺんお伺いするのですが、あなた個人でもよろしいでしょう、大臣の決意としてもう一度確実な御意思を承りたいと思います。それで私の質問を終わります。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 私もアルゼンチンに行ったときに日本との肉の交渉をやりました。おととしですが、そのときにも口蹄疫の問題とかその他聞きました。それで、いま入れるのか入れないのかといいますと、先ほど申し上げましたように、技術上の問題でいろいろと交流もだんだん進んでくるときですから、政治的ではなくて技術上の問題として、検疫技術上の問題の解明に、両方で技術的にでも調査し合うというような機会でもつくって、前向きに進めたらいいのではないかと思います。

樋上新一公明党

○樋上分科員 最後に一言、局長、あなたは岡田畜産局長の次におやりになったのだと思いますが、岡田畜産局長ががんとしてがんばって、あなたはそれを踏襲されているのじゃないですか。あなたは畜産局長として、もっと積極的にやろうという意欲に燃えて、もっとやれませんか。

増田久農林省畜産局長

○増田(久)政府委員 実は私の代にでございますけれども、こちらの獣医学会の会長から向こうの学会に呼びかけまして、こちらから出かけてもよし、来てもいい、話し合おうじゃないかということを呼びかけてみたのであります。それからまた、いろいろ関係やってのあるたびに、こういうことを話し合ってみようじゃないかということでございますけれども、残念ながらいままで向こうから答えをいただいていないという次第です。

樋上新一公明党

○樋上分科員 私は何回も何回も質問しているのですが、一歩も前進しておらないということに対して不満を持っております。私は、今度農林水算委員会で一時間ばかりお時間をいただいてもう一ぺんお伺いをいたし、増田畜産局長となお専門的な立場からこれを詰めていきたいと思います。きょうは時間が三十分で、ありませんので、積極的にやろうという、そういう気持ちに局長も大臣もなっていただきたいということを要望して、私の質問を終わりたいと思います。

渡辺肇自由民主党

○渡辺(肇)主査代理 瀬野栄次郎君。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野分科員 広域農業地域総合開発についてまず最初にお尋ねをいたします。  昭和四十四年の五月に閣議決定いたしました新全国総合開発計画の大規模開発プロジェクトの構想に従って、大規模未開発地域を対象として総合四地区、一般四地区の八地区を広域農業開発基本調査として進められておりますが、九州では高原地帯の農業開発として阿蘇、久住飯田地区の広域農業開発が計画されておるところでございます  そこで、四十七年度はどういうふうに進められる予定であるか、具体的に農林省の方針をまず最初に伺いたいと思います。

三善信二農林省農地局長

○三善政府委員 阿蘇、久住飯田の広域農業開発の進め方でございますが、御承知のように、四十四年から調査を続けております。四十六年度には基礎調査を完了しまして、そこに基幹作目はどういうのを取り入れるか、あるいは営農類型をどういうふうにしたらいいか、土地利用の方法は一体どういうやり方をしたほうがいいか、こういった基幹になるような事項につきまして一つの考え方をつくってみたいと思って、現在やっているわけであります。  来年度、四十七年度におきましては、この構想に基づきまして地元の意見を十分聞きまして、用地の調達というのがどの程度うまくいくか、そういった見通しもつけて、それから開発全体に必要な事業費と申しますか、そういった金目の問題なんかも検討して、もしまとまれば一つの地域の開発計画というのをまとめていきたい、こういうふうに考えております。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野分科員 そこで、ぜひこれは推進をはかってもらいたいわけですが、面積が約三十五万ヘクタールという膨大な面積になっておりますけれども、地元ではたいへん強い熱望を持って期待しておるわけです。  そこで私調査をしてみますと、いまこれを推進する上で一番ネックになっているのが入り会い権の問題でございます。この入り会い権について何とか法的に調整ができないものかということと、地元では、開発可能地域にはほとんどこういった問題が多いので、入り会い権者全員の同意が必要ということから暗礁に乗り上げるという問題が至るところに起きておりますから、何とか入り会い権を解消するような奨励金といったものを考えてもらえぬものだろうか。そうすると、これは促進ができるということで、いろいろ意見が出ておるわけですが、こういった点についてひとつ農林省の見解を承っておきたいのであります。

三善信二農林省農地局長

○三善政府委員 御承知のように、非常に広い面積でございます。それで私どもの調査では、大体七〇ないし八〇%ぐらい入り会い権、入り会い地があるように考えております。  この入り会い権の解決というのは、御承知のように非常にむずかしい問題がございまして、たとえば入り会い権を全部買い上げるというような解消のしかた、あるいは借り上げるというようなしかた、いろいろあるわけでございますが、いずれにしても、いま御指摘のありましたように、全員の同意がないと、これは何とも解決のしようがないというのが一つのネックになっているわけでございます。実は二月末から三月の初めにかけまして、私どものほうでも係官を派遣し、地元の農政局、県、それから市町村、農協長、そういう方たちと一緒に阿蘇の現地で会合を開きまして、どういうふうなやり方でこの入り会い権の解消をしていくかという懇談も実はしたわけでありますが、現地の市町村方にもほんとうに一はだ脱いでもらわないと、これは何ともできないという問題がございます。  そういうことでいろいろ検討はいたしているわけでございますが、これがやはりこの開発の一番ネックになる問題だろうと思っております。したがいまして、その方法としてどういうやり方がいいのか。たとえば林野で入り会い林野の近代化制度みたいなものもございますし、農地法で草地利用権制度もございますし、そういうのをひねくり回しまして、何かうまくいく方法があるかどうか、そういう検討も含めまして、今後これと取り組んでいかないことには、この開発の問題はどうにもできないということでございます。そういう意味で、これは真剣に検討してまいりたいと思っております。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野分科員 これは阿蘇地区のみならず全国の八地区とも同じことが言えると思いますけれども、入り会い権の問題が一番ネックになると思います。いろいろ検討しておられるようですが、ぜひひとつよい方策を考えていただいて、これが推進をはかっていただくように、この上とも努力していただきますようにお願いするわけです。  それで、この大規模開発についてさらに問題になるのは金融の問題であります。現行の金融制度の金利では高率で返済期間が短いということから、長期低利の資金制度を確立すべきである、こういうふうに思っておるわけです。この広域開発の性質上、広域農業総合開発資金については、国は少なくとも年利三・五%以下で三十年以上くらい、また特に畜産については——畜産が主体になっておりますけれども、現在だいぶ様子が変わりまして、養蚕あるいは果樹等もかなり考えられる段階になってまいりましたが、そういった面については、先般の質問のときにも内容については相当検討をする、地元の要望に沿って考えるということでございましたので、それはそれとして、いずれにしても畜産が中心ということになっておりますが、畜産については年利やはり二%以下くらい、さらに四十年以上の長期の金融制度を創設しなければなかなかこれは成り立たない、こういうふうに思うわけでございます。そういったことで、政府のほうとしても今後十分考えていただきたいと思うのですが、この点についてのお考えをあわせて伺っておきたいと思うのです。

三善信二農林省農地局長

○三善政府委員 この広域農業開発の問題は、単に阿蘇だけではございません、御承知のように全国四カ所でやっておるわけでございます。やはり具体的にどこまでほんとうに開発事業が進められ得るかどうか、用地の問題も含めまして営農の問題、土地利用の問題、そういうことを含めまして見きわめをつけていかなければならないと思っておるわけでございます。  広域農業開発のために必要なそういう資金の関係等につきましても、全体の見通しが見きわめがつく段階ではやはり何らかそういうことも検討してまいらなければならないかと思っておりますが、何ぶんにも現在事業の見通し自体がまだついていないという段階でございます。そっちのほうから先に急いで、早く見きわめをつけていきたいと思っているような次第でございます。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野分科員 さらに、開発に先行して開発基幹道路を建設していただきたいという要望が強いわけです。広域農業総合開発地域というのは、従来から社会資本の投下が少なくて、道路は劣悪で、特に生活環境も未整備でございます。そういったことから、開発事業に先行して地域の基幹となる道路をぜひひとつ建設していただきたいという要望が強いわけです。特に阿蘇地域でも南阿蘇関係が、道路が未整備であるのでたいへん憂慮されておりますけれども、こういった考え方についてどういうふうに農林省はお考えであるか、それをひとつ承っておきたいと思います。

三善信二農林省農地局長

○三善政府委員 御指摘のように、あの阿蘇地方における農道といいますか、基幹農道、それは現在非常に立ちおくれているという状態でございまして、私どももこの阿蘇、久住の広域農業開発の調査の一環として、この基幹道路の問題も調査を進めているわけでございます。  ただ、農道だけ先行すると申しましても、この地区の畜産の振興、畜産の開発の一環としてこの農道の点も考えていきたいと思っておりますので、四十七年度、先ほど申し上げましたように、開発計画の全体を一応取りまとめができれば取りまとめたいと思っております。その段階で基幹道路も含めてひとつまとめていきたいと思っております。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野分科員 さらに大規模開発に関連をすることでもありますが、現在熊本県は西日本でも兵庫県に次いで第二の酪農の盛んなところでありまして、生乳の生産をいたしております。最近、特に関係団体並びに関係農民からも生乳の県外出荷基地をぜひひとつつくっていただきたい、また生乳の処理工場を建設していただきたい、特に今回の大規模開発並びに阿蘇の草地改良によって、いま生産調整による、第二の柱である畜産を大きく推進しているときでありますが、将来のいわゆるこういった基地として約五億五千万ぐらいを考えて、地元で二億、県が一億、国にもひとつ事業団として二億ぐらいの協力がほしいということで、候補地も三カ所ばかり選定しましていろいろ検討しておるわけでございます。今後関西方面等にもいろいろと出荷をするという計画で、五十一年を目標に計画がなされておりますが、こういったことで農林省としても、今後西日本随一の生産地にもう遠からずなるわけでございますので、こういったことに対する施策を十分やっていただきたい、かように思うわけであります。こういったことについてひとつお考えをお伺いしておきたい、かように思います。

植木建雄農林省畜産局牛乳乳製品課長

○植木説明員 ちょっと畜産局長、第二分科会に出ておりますので、担当課長でございますが、かわりまして……。  ただいま先生の御質問にございました熊本における生乳の出荷に関する御要望につきましては、私どもも種々伺っておるところでございます。御要望の内容を簡単に申し上げますと、二つございまして、一つは、現地に牛乳の処理工場を建てたい、こういうお話と、それから関西方面への出荷基地、こういうものをあわせて建設したい、こういう二点に相なっておるかと承っております。  あとの生乳の出荷基地の問題につきましては、私ども、生乳の長距離輸送、市乳促進ということで大いに国のほうでも力を入れておりまして、牛乳の長距離輸送施設のリース事業といったものを国のほうで仕組んでおりまして、これにつきまして本年度三億円の一般会計予算の計上をお願いいたしております。したがって、こういったリース事業の活用を十分御検討なさることによって出荷基地等について充実した計画をお立てになれるのではないか、こういうふうに考えております。  なお、先の牛乳の処理工場そのもの、これは若干問題がございまして、言ってみますれば牛乳の通常の工場という形でございますので、本来やはり融資ベースということで建設をいたすべきものではないか。この場合、農協系でございますと、特に一般の融資とは異なって農業近代化資金という有利な資金の活用もございますので、そういった道を通じて工場そのものはお建てになるのがやはり全体とのバランスから見ても筋ではなかろうか、こういうふうに考えております。  いずれにいたしましても、原料乳地帯でつくられました市乳を消費地帯に市乳化促進ということで長距離輸送することにつきましては、行政面でも大いに考慮しております。そういった方向での進め方を期待いたしておるところでございます。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野分科員 次に、漁業問題について若干お尋ねいたしておきたいと思うのです。  西日本海域に栽培漁業センターをぜひ建設していただきたいという問題でございますけれども、言うまでもなく国民の食料消費の構成も高度化しまして、中高級水産物に対する需要が著しく高まってまいっております。まあ、天然資源に依存して伸び悩んでおりますところの沿岸漁業に、新しい生産形態の栽培漁業を確立することが肝要であるということは言うまでもございません。西日本海域は、御承知のように豊富な魚族資源に恵まれた本邦屈指の好漁場であるとともに、沿岸主要魚族の揺籃の場として重要な地位を占めております。幼稚魚類の生息とあわせて栽培事業展開の場としてすぐれた海域となっておるわけでございますが、かかる見地から増大する水産物の需要に対処して抜本的な水産振興をはかる具体策としての、この海域に大規模な水産、いわゆる栽培漁業のセンターを建設していただきたい、こういうことが西日本各県の要望として出ておるわけでありますけれども、こういったことに対して当局はどのような考えで臨んでおられるか。  さらに、この西日本海域における栽培漁業事業化のために、ことしはたしか、九州八県のうち、大分、宮崎を除いて、沖繩を入れて、六県で千二十万円の予算がついて、四十七年度は調査を進めるということに相なっているように承知しておりますが、これを含めて今後の調査の進め方等をひとつお聞かせいただきたい、かように思います。

太田康二水産庁長官

○太田(康)政府委員 御承知のとおり、とる漁業からつくる漁業へということで、昭和三十七年から栽培漁業という事業を始めまして、当初は瀬戸内海を中心にやってまいったのでございますが、栽培漁業の全国化という強い要請もございまして、水産庁といたしましては、昭和四十六年度に、日本海につきましての栽培漁業を実施いたしますための漁場の資源の生態調査に着手をいたしたのでございます。四十七年度の予算の編成にあたりまして、さらにこの全国化の要望が非常に強うございましたし、私どももかねて、今後の沿岸漁業のあり方として栽培漁業を推進したいと思っておりましたので、太平洋の従来実施いたしておりません北区と中区、それにいまお尋ねの西日本の海域につきましても、日本海と同様、いま申し上げましたような漁場の資源の生態調査を実施するということで、お尋ねのような予算を計上いたしまして、各県の試験研究機関を動員いたしまして、それぞれの各県におきますところの漁場資源の生態調査を実施いたしてもらうわけでございます。これの資源生態調査をわれわれとしては大体二年くらい続けて、その後、はたして栽培漁業が可能であるかどうかというようなことも検討の上将来の方向を考えてまいりたいということで、とりあえず調査に着手するというのが四十七年度の実態でございます。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野分科員 ぜひ栽培漁業事業の推進をひとつはかっていただきたい。お願いしておきます。  もう一ぺん水産庁長官にお伺いしますが、真珠の問題についてこの機会に問題提起をかねてひとつお尋ねをしておきます。  熊本県でも、有明海沿岸並びに天草地方では真珠養殖が非常に盛んなんですけれども、現在の真珠養殖に対する根本的な振興策はどうするかということなんですけれども、御承知のように、真珠養殖をやっている漁民はドル・ショック等によりましてたいへんな苦況に立たされておりますし、また一方、現在全真連、いわゆる全国真珠養殖漁業協同組合連合会ですか、全真連はとりたててあまり活動もしていないという状況で、だんだんジリ貧になっていく状況でございます。これはたいへん問題になっておりますが、きょうは時間の関係もあるので、問題提起をしておきまして、それからまた当該委員会でいろいろとお尋ねすることにしたいと思っていますけれども、私いろいろ考えてみますのに、今後の真珠養殖の成り行きがたいへん憂慮される段階であるから、どういうところに問題があるかといっていろいろ検討してみましたが、現在の日本の真珠業に欠けているものは、まず適正な国、県の政策がないということが一つ言えるんじゃないか、こう思います。それから、個別企業の充実した経営策がない、また関係者の理解が不足している、個別企業の思惟の域を出でず、全国的、世界的視野に欠けている、端的に言うとこういうような感じがするわけです。特に問題点としては、当面真珠は、金融対策、それから真珠の抜本的な振興策、個別的な経営対策といったことがあげられるわけですけれども、長官は真珠に対してはどういうような考えを持っておられるか、ひとつ承っておきたいと思います。

太田康二水産庁長官

○太田(康)政府委員 御承知のとおり、真珠はかつてわが国の輸出水産物の中の大宗を占めておったわけでございますが、最近におきましては、四十二年以降極端な不況におちいりまして、その間さまざまな政策を講じたわけでございますけれども、基本的にはいろいろな要因があろうかと思いますが、漁場の環境が非常に悪化した、これはもちろん漁業者自身が過植をしたというようなことに伴う漁場の悪化ということもあるわけでございますけれども、一方、最近におきますところの公害の発生等の原因もございまして、漁場の環境条件が悪化したというようなことも原因をいたしておるかと思うのでありますが、そういった意味での生産力の低下もあるわけですし、私どもが申し上げれば、はなはだ口幅ったい言い方になるわけですが、対策としては従来かなりいろいろな対策を講じてきたと思うのでございます。残念ながら漁業者自身の過当競争もありましたし、やはり自覚の不足というようなこともございまして、いろいろきめたことも実際には守られない、実行できないというようなことがあったことも事実でございます。まあ極端なことを申し上げれば、自分で自分の首を絞めてしまったというような感じもいたさないわけでもないわけでございます。そこでわれわれといたしましては、何と申しましても真珠業者の団体の強化ということが大事であるということで、実は四十七年度予算におきましても、真珠の共販を促進するための、何と申しますか、一種の、これを奨励するための助成というようなことで、約三千万近い経費も予算にお願いをいたしておるようなことでございます。なお、真珠につきましては、私どもとしては、さらに抜本的な対策を講じなければいかぬということで、現在真珠の審議会がございますが、その中に専門の小委員会を設けまして、毎月一回精力的に問題点を洗い直して、まさに先生のおっしゃった、真珠の抜本的な振興方策というものの検討をお願いをいたしております。これらにつきましては、できますれば明年度の予算までには具体化ができるようにということで、せっかくただいま審議を急いでもらっておる段階でございますので、これらの結論を待ちまして真珠審議会も開きましてそこで確定をしていただきまして、われわれとしては施策を講じてまいりたい、かように現段階においては考えておる次第でございます。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野分科員 また農林委員会でいろいろお尋ねすることにしまして、ぜひひとつ真珠対策に力を入れていただきたい。たいへんな苦境にいま立たされておりますので、重ねて要望いたしておきます。  最後に、ややこしい問題なんですけれども、ここでまた問題提起をして大臣の御見解も承って、これは何とかひとつ解決をしてもらいたいと思いますのであえてここで申し上げるわけですが、実は福岡県と佐賀県の問題ですけれども、有明海に流れております筑後川の水を境として、いわゆる農林大臣の管轄区域でございます漁場があるわけです。有明海の天領区といいますけれども、十数年前からもめてたいへん問題になって、福岡県知事、佐賀県知事とも頭を痛めておるし、いつ解決できるかわからないような状態になっておりますが、ますますエスカレートしてきておりますので、この問題は早急に、何とか国としても手を打っていただいて、農林大臣の管轄区域の漁場を拡張していただいて、適正な漁場の配分をやっていただきたいということなんです。これは福岡県の漁業協同組合連合会の規則によりますと、漁業法第八条に基づいて、昭和三十七年の区域漁民基準によって各漁業協同組合への小間の配分がなされておったわけですが、現状では県漁連の配分小間基準よりも低くなっておりまして、その不均衡が、たいへん差があるために問題になっておるわけでございます。ノリ小間配分の少ない六漁業協同組合、約二千五百五十名が、漁業収入による生活が常に不安定な状態に置かれて、現在訴訟問題等も実は起きております。区画漁場は共同漁場の区域を狭めまして、沖ノリ漁場は制限され、また採貝業者の区域漁場内の操業を禁止されておるために、県漁連規定の小間数に達しない漁民や全然配分を受けていない零細漁民の生活はいかんともしがたい状態に立ち至って、常に紛争の種が絶えない状態でございまして、これらの漁民は永年先祖代々から採貝をして生活をしてきたものでありますが、他に生活の手段もないわけでございまして、何とかこれはひとつ解決してあげなければならぬ、かように思っているわけです。農林省のほうも十分このことは御承知だと思っておりますが、要するに、福岡県有明地区の漁業生活者が安心した漁場の配分ができるように、ノリ漁場の拡張等漁場の適正配分をやっていただきたいし、採貝漁業についての対策をぜひ立てていただきたい、こういうわけです。具体的には、現在のいわゆる天領区の中に高津というところと荒津というところがあるのですが、ここは洲になっておりまして、ノリの養殖地としては最適地になっております。ここに新たに漁区を拡張していただく、農林大臣区域を広げていただく、そして福岡県側のいわゆるアンバランスを何とか是正して、優先配分をして、佐賀県と紛争がないように漁民の生活を守っていただくようにしていただきたい、かように思うわけです。  また、有明海の採貝業者は、冬季に入るとノリ漁場はノリの栽培のために採貝ができないということで、ノリ漁場の配分を受けていない漁民はいわゆる仕事にあぶれてしまって、結局生活ができないというのが現状であります。したがって、ノリ小間配分を適正にやっていただくようにして、従来の不合理をなくしていただきたい、こういったこともひとつよく指導していただきたい、かように思うわけです。これは佐賀県、福岡県、もちろん熊本県にも若干関係しますが、有明海のたいへんな問題になっておりますので、大臣も十分御承知だと思いますけれども、ひとつ水産庁長官からこれに対する御見解をお聞きし、大臣、ひとつ何とか力になっていただいて、解決をしていただくように決意をお伺いしたい。以上で質問を終わりますが、よろしくお願いします。

太田康二水産庁長官

○太田(康)政府委員 先生お尋ねの、農林大臣の管轄漁場の問題でありますが、漁業法の百三十六条に基づきまして、有明におきましては、福岡県と佐賀県の漁業者につきまして、私どもが管轄漁場を設けまして漁場の有効利用をはかっておるわけでございますが、そこにおきましては、先生がいまおっしゃいましたように、ノリとかハマグリとかカキ等を対象といたしました三十二件の区画漁業権の漁場と、ハマグリ、アサリ、カキ、タコ等を対象といたしましたところの共同漁業権一件、これがございまして、管轄漁場としての利用が行なわれておるということでございます。その利用の形態といたしましていろいろ問題があるということもわれわれ承知いたしておりますが、有明におきましては、最近ノリなんかも非常にふえておりまして、また好漁場であるというようなこともあるわけでございますので、われわれは漁場の維持管理等については十分今後つとめてまいらなければならないと思っております。いずれにいたしましても、御承知のとおり、漁業権漁業の一斉の切りかえ時期が昭和四十八年、明年の九月ということになっておるのでございます。そこで、われわれといたしましては、この管轄漁場につきましてどうするかというような点につきましては、両県の漁業者の意見を十分拝聴いたしますとともに、やはり何と申しましても漁場の有効利用ということが根本でございますから、これらの点を十分勘案をいたしまして、先ほど申し上げましたような切りかえ時期には、そういった観点からこの問題の処理に当たってまいりたいというふうに考えております。  なお、有明海全般につきましては、御承知のとおり福岡、長崎、熊本、それに佐賀というような各県が競合いたしておりまして、いろいろ問題があることは、われわれも十分承知をいたしております。しかし、これらの点につきましては、われわれといたしましても、御承知のとおり、福岡の漁業調整事務所並びに有明海漁業調整事務局を持っておりまして、各県間の調整に当たらしておるのでございますが、なお今後とも一そう積極的に関係県の意見調整をはかりまして紛争防止ということにつとめてまいりたい、かように考えております。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野分科員 大臣、ひとついまの件について、ぜひ解決に力を入れていただきたいと思うのですが、大臣の御決意を承りたいと思うのです。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 現地の状況も詳しくお聞きいたしましたし、水産庁長官もこれに対していろいろの方針を考えておるようでございますから、よくそれを聞いて対処していきたいと思います。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野分科員 では以上で終わります。

渡辺肇自由民主党

○渡辺(肇)主査代理 広瀬君。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)分科員 農林省にまずお伺いしたいのですが、米生産総合改善パイロット事業、これはどのような目的を持つものでありますか。

内村良英農林省農政局長

○内村(良)政府委員 米生産総合パイロット事業は、高能率農業機械及び施設の導入と生産の組織化により米の生産性の飛躍的向上をはかることを目的としておるわけでございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)分科員 抽象的に言えばそういうことになることに間違いはないと思うのです。そこで、総合改善パイロット事業と基盤整備——大型農機具を入れて高能率、高収益ということと、同時に効率のいい農業という意味でそういうことも入っているわけですけれども、そういうことをやるためには、土地基盤整備というものがなされてなければ、これは非常に効果が削減されると思うのですが、土地基盤整備というものと、どこをパイロット事業の指定地とするかということとは密接な関係があるのですが、その点はどのように考えておりますか。

内村良英農林省農政局長

○内村(良)政府委員 ただいま先生の御指摘のとおりでございまして、高能率の機械を入れていくということになりますと、その機械が十分に稼働することが必要なわけでございます。そのためにはやはり基盤整備ができているということが望ましいわけでございまして、指定の際に可能な限りそうした大型機械が働く土地基盤を有しておるところを条件として指定するというたてまえになっております。御承知のとおり、この米生産総合改善パイロット事業というものは、地区としまして約三千ヘクタールくらいの規模のところを指定いたしまして、そこで四百ヘクタールくらいの集団をつくる。二百ヘクタールくらいについては機械が十分稼働するような施設をつくっていくということでございまして、大体五年計画くらいで施設をつくっていくということになっております。したがいまして、最初に出たところは十分基盤が整備ができていても、あとから入るところは必ずしも十分そういう条件を備えていないというようなところもございますので、そういったところにつきましては、土地基盤の整備をあわせて進めなければならないというふうに考えております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)分科員 たとえば、私これは実際に調査に行ってきたのですけれども、栃木県では比較的早く四十四年度からやられておるわけなんですが、そこで、いまおっしゃった四百ヘクタールくらいのところというのですが、その該当地区が大体四百六十七ヘクタールなんです。大田原市の金田農協というのです。そのうち、四十四年度当時——現在でもまだそうなんですが、百二十七ヘクタール、大体二五%程度、四分の一ぐらいしか土地基盤整備ができてない、こういう状況なんですね。そういう中に、大型コンバイン五台、大型トラクター五台、そしてカントリーエレベーターの施設、こういうような形でいったわけですね。したがって、大体それだけのすばらしい大型農機具を——なるほど理想的な条件の中では高能率を発揮するけれども、土地基盤がだめだということで、昨年は長雨で若干地盤もゆるむというようなことも確かにあったけれども、コンバインを入れたところがのめり込んでしまって、引き上げるのに三日間かかったというようなばかげたことをやっておる。大田原農協のパイロット事業も、やはり同様事情のために非常に苦労をして能率をあげられないというようなことがあるわけです。基盤整備、農道の整備というようなことが計画的に整備されたところにそういうものが入っていくという状況にしないと、きわめて非効率である。こういう状況になるのですが、全国とも二五%とか三〇%くらいのところへどんどんいま事業を——現地ではある程度押しつけられたという感じすら農民は持っているんですけれども、そういう状況なんですが、全国的にどうなんですか。

内村良英農林省農政局長

○内村(良)政府委員 ただいま先生から御指摘のございましたような問題が起こって、私どもといたしましても、それをどうするかということでいろいろ検討しているような場所もございます。しかしながら、たとえば八郎潟とかその他の干拓地等においては非常にうまくいっているということでございまして、湿田のところでコンバインが動かなくなる、のめり込んでしまうというような問題が若干起こっておることは私ども承知しております。この対策については現在いろいろ検討中でございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)分科員 したがって、こういうものが現状の程度の土地基盤整備でいったんでは所期の目的は達成されないことは、皆さんもお認めになっているわけですね。土地基盤整備、そういう指定地域で大農機具がもうすでに入っている。コンバインが一台五百二十三万もするというような、そういうものが入っているわけですね。そういう点については、今後重点的にそういうところは土地改良基盤整備、圃場整備というようなものは強力に進めていく、こういう構えでおるわけですか。

内村良英農林省農政局長

○内村(良)政府委員 そのようなつもりで進めなければならないというふうに考えております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)分科員 もう一つ問題は、金田農協にしても大田原農協にしましても、現地調査をしたところが三町歩あるいは四町歩というような、平均でも大体全国の平均よりはかなり上回っている米作地帯です。平均で一・六ヘクタールくらいの米作をやっている地帯です。あるいは金田のごときは二・一ヘクタールというような状況なんですよね。だから、それは入れることはよかった、適地であったかもしれないけれども、基盤整備が非常に不足であったということでそういう状態にあるということ、このことをまず認識しておいていただきたいのです。  それと同時に、その農協の中でも有力な農家というのは大体自己完結型の、小型の農機具体系を全部一そろえ持っておる、したがってこの事業には参加してこない、こういう状況がきわめて強い。そういう点について一体どう考えるのか。そういう人たちこそ、かなりまとまった土地も持っておるし、こういうところに入れば能率をあげることは間違いないんだけれども、自己完結型の、自脱コンバインを持ったり小型トラクターを持ったりということで全部やっている、こういう状況というものに対してどういう指導と今後どういうような立場をとられるのか。その面で参加者がきわめて少ない、そうするとこの稼働率というのはやはりフル稼働はできない状況、カントリーエレベーターしかり、そういう状況になるのではないか。こういう点、いかがですか。

内村良英農林省農政局長

○内村(良)政府委員 ただいまの御指摘のように、自己完結型の経営がそこにある。そうすると、大型のトラクターあるいは大型のコンバインで稲作をやろうとしても、自分たちはそのような技術体系を持っているんだから別にこの事業に参加しないというような問題が、御指摘のとおり各地で若干起こっているわけでございます。これにつきましては、われわれといたしましては、やはりそういった稲作農家の生産性を飛躍的に上げるという立場からこの事業に入ってほしいと考えておるのであります。同時に、カントリーエレベーターが——一例をあげますと、自己完結型の技術体系の場合には、収穫はおそらく最近ではバインダーか自脱コンバインでやっておるのだと思いますが、そうしますと、その収穫の形態からいきまして、コンバインで収穫したのに比べますと非常に能率が悪いという問題がございます。それがカントリーエレベーターの経営にも影響してくるということで、われわれといたしましては、そういった農家の方々もこのパイロット事業に参加してほしいと思っておりますが、現状ではいきなりそこまで要請いたしましても農家がそういった自己完結型の技術を持ち、それで経営が成り立っておるというような場合には、なかなか入ってこられないという問題がございます。そこでわれわれといたしましては、一地区コンバイン五台くらい入れるということで指導しておりますが、経過的にはそういうところにつきましてはコンバインを一台ないし二台にいたしまして、そういった経営の方々もカントリーエレベーターを利用していただくというようなことをやりまして、漸次完全に米生産総合改善パイロット事業に参加していただくようにしたいと思っておりますが、いきなりそこまでいけない事情も現実ではございますので、その辺につきましては、ただいま申し上げましたように、そういった農家もカントリーエレベーターを利用していただくように、多少コンバインの台数を調節するというようなやり方を考えております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)分科員 そういう問題について、やはりやる前に明確な指導方針というものを出して——そういう人たちがわざわざ能率の悪い、しかも経営的にも非常に経営圧迫の要因になる、年間二十日ぐらいしか稼動しない、そういうものを高い値段で買って、金利だけでもたいへんだというようなことで、機械貧乏ということが最近の農家経営では非常にシリアスな問題になっておる。そういうものに対して、そういう人たちをやはりこのシステムの中に取り込んでいくという事前の綿密な指導がなされなかったということが、こういう状態を生んでおると思うのです。それでそういうことが結局稼動率を低め、土地基盤整備がだめだということ、それからそういう経営農家があるということで、参加者が少ない。したがって、その両面から効率がきわめて悪い運営になっておる、そういう状況をどう改善するかということについて、的確な指針を示してもらいたい。

内村良英農林省農政局長

○内村(良)政府委員 まず最初に、カントリーエレベーターの運用効率が非常に悪いという問題でございます。われわれのほうは相当の地区でこの事業をやっておりますので、実績を分析いたしますと、約二千トン米が集まれば、カントリーエレベーターの経営収支は何とかやっていけるということになっております。そして二千トンの米をもちろん集めてやっておるところが半数以上ございますが、中にはそこまで米が集まっていないというところの実態を見ますと、まず第一に米の品種の問題があるようであります。と申しますのは、カントリーエレベーターにはサイロが四つございまして、一びん二百五十トンということになっております。そこでその二百五十トンのびんに同じ品種の米を入れないといかぬということになりますので、品種の統一ということが非常に大事なわけでございます。地区によりましてはその辺に問題がある。すなわち営農形態が、カントリーエレベーターの運用にマッチするようになっていないというようなところがございます。そういったところにつきましては、そうした面を改めていかなければならぬということで、これは農家が品種を選択するわけでございますから、強制的にということはなかなかむずかしいわけでございますが、カントリーエレベーターの運営の実態、それからこういったことによって米の生産改善をはかっていくという事業の目的等から、極力農家の方々にも御協力願いまして、なるべく二千トンの米がカントリーエレベーターに集荷されるというような体制に持っていけば、カントリーエレベーター自体は一応採算がとれてくるのではないかというふうに考えております。  次に、機械がなかなか動かないじゃないかという問題でございますが、この点につきましては、先ほど申しましたように、コンバインの台数を、当初考えておりました五台を緩和いたしまして、多少自己完結的な農家の持っている自脱コンバイン等も、これはちょっと補助の対象にするわけにはまいりませんけれども、そういったものも使ってカントリーエレベーターを利用してもらうといったような形に持っていきたいというふうに考えております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)分科員 私が言いたかったのはその後者の問題なんでありまして、金田農協で調べたところによると、四十五年度は計画の二百ヘクタールに対してトラクターは七十ヘクタールやっている。四十六年度は二百ヘクタールのうち百八十ヘクタール、実はこれは前年のあれにかんがみて計画も百八十ヘクタールに減らしたようですが、大体フルに計画どおり百八十ヘクタール稼働している。コンバインは、四十五年度が二百ヘクタールに対して八十七ヘクタールしかやっていない。四十六年度は百八十ヘクタールに対してわずかに三十ヘクタール。去年は冷害とか長雨とかあるいは倒伏するとかいろいろなことがあったけれども——パイロット事業へ入れてもらったのは倒伏したこととは何の関係もないんだが、これは基盤整備との関係もあるというようなことで非常に稼働率が悪くて、わずか六分の一しか稼働しない、こういう状況。それからカントリーエレベーターのほうは、二千トンに対して四十五年度は八百九十七トンであった、これはやや改善をされて千三百トンくらいまで来た、こういう状況なんですね。このように稼働していない。  そこで問題は、これを金田農協が引き受けるときに、コンバインのフル稼働なんか、五台も押しつけられたのではとてもできませんということを、かなり強力に県にも要求をし農林省にも要求したはずです。それで小型の自脱コンバインなりバインダーなりというものを補助対象にして入れてくれと言った。ところがあなたのほうでは、これはやはりワンセットだというかまえで、これを引き受けてもらわなければ補助対象にならないから困るんだということですね。実際は、半額補助だといっても、たいへんな地元の負担になるわけですよ、地元の負担が一農協当たり大体七千万からの負担になっているわけですから。そういうものを持ち出さなければこれを引き受けるわけにいかない。しかもその補助事業対象の中では、そういう大型化はとても自信がないというところにあなた方は押しつけてきた。実際には押しつけてきたのです。それで今度はそのお隣の親園農協、これも金田農協と同じような条件のところで、こういうものをやるとすれば比較的適格の条件にあるところです。ところがもうこの二つの状況でこりてしまって、ことしやる予定だったのを、われわれはとてもこんなものでは受けられません、こういうことになっているのですよ。そういうところにあなた方の硬直したやり方というものがある。  いまも局長は、自脱コンバインというようなものは補助対象にはしないと言う。補助対象になぜできないのですか。要らない大型ならば補助をして、小さい一番小回りのきいてかえって能率をあげるものは補助対象にしない。これは一体だれのための農政なんですか。農機具屋の農政じゃないですか。あれはアメリカの農機具ですよ、あのコンバインなんかみな大型が入っているのは。これはもうアメリカの農機具屋の代弁みたいなことを言っているわけじゃないですか。大臣、これはいかがでしょう。農民が、実際の状況に合って、補助対象としていまのところ何とか自信を持ってフル稼働に持っていけるのはこういうものだ、コンバインは二台でけっこうです、あと自脱コンバインの小型のものを三台にしてくださいと言っても、それは補助対象としてやらない、五台押しつけなければ補助対象としてやらない、おかしいじゃないですか。  これは農林大臣から、政治家としてそして農林省の最高責任者として、そういう農林省の今日までのかまえ方はおかしいじゃないか、何とかそれは改善して補助対象に持っていくように、特に赤城農林大臣は、私もあなたのすぐ近くで生まれた男ですから、大臣のことはよく承知申し上げておるのですけれども、農政に最も明るくて農民を最も愛する立場に立たれている農林大臣として、そういう態度というものはおかしい、これは何とか改善して、そういう小型も当面必要だ——土地基盤もろくすっぽ整備されていない、さっき局長が言われたとおりなんですから。そういうところに、現地の人たちが自信がないというものを、大型でなければ補助対象にしないというやり方に対して、小型の農機具もセットにして補助対象に加えるというような弾力性があってしかるべきだと思うのですが、いかがでございましょう。

内村良英農林省農政局長

○内村(良)政府委員 ちょっと技術的な問題でございますので、大臣の御答弁の前に答弁させていただきます。  なぜコンバインにしているのか、自脱コンバインでもいいじゃないかという点でございますが、コンバインの場合には、コンバインからトラックにもみを移しまして、それをカントリーエレベーターに直ちにトラックで搬入できるわけでございます。ですから、非常に能率の高い作業ができます。自脱コンバインを使います場合には、一ぺん袋に入れてそれからカントリーエレベーターに持ってくる。そうなりますと、秋でございますからそう心配はないわけでございますが、ある程度圃場に米を放置しなければならぬというような問題もある。そうすると品質にも影響が出てくるというようなことで、この事業を能率的に動かすためには普通型コンバインを使ったほうがいいという技術的な理由がございます。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 先ほどからのお話のように、機械を最も効率的に動かすということが必要であり、その機械が地元の人に十分活用されるということが必要だと思います。そういう意味において、そういう効果があらわれるような意味で補助というものはきまっていると思います。でありますので、そういうことにマッチしないようなことになればマッチするように改めてやらなければなりませんし、そういう趣旨に沿うたように補助をしていくというようなことに指導していきたい、こう思います。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)分科員 局長、なるほどあなたのおっしゃるのは、八郎潟のように土地基盤整備が完ぺきにできて——私も八郎潟を二、三回見ておりますが、ああいうところなら問題ないですよ。あなたのおっしゃることもそのとおり受け取ってよろしい。しかし、土地基盤整備が三〇%だとか二五%、金田農協なんか比較的よくやったところだけれども、五〇%に満たないのですよ。そういうところでは、これはとても使いこなせません。当分の間、そういう小型のバインダーなり自脱コンバインというようなものでやりたい、大型コンバインを使えるところもあるから二台くらいならばフル稼働できる、そういう要望に対して、いやもう自脱コンバインの小型のものは途中でトラックに載せなければならぬからだめです——しかし当面は、そういうことでなければ遊んでしまうということは、はっきりしているわけでしょう。そういう点で、あなた方の官僚主義的で形式的、画一的な頭というものを切りかえてもらわなければならぬ。大臣がいまおっしゃった答弁で私は了解しますが、大臣ぜひひとつそういう問題については弾力性を持ってやってもらいたい。  それから、大蔵省主計局来てますね。そういう状況の場合に、大型ならば補助対象にするが、中型で現状に合っている、しかも格段に能率があがるというもの——いわゆる到達目標が五年先、十年先になるかもわからぬ土地基盤整備というものが完全に行なわれて、局長が答弁されたような事態に達するのにはかなり時間がある。その間は、最も現地に適していて高能率をあげるという場合に、そういうものを一切やらない、大型の、しかもそれは現実には適合しないのだけれども理想的なものをそろえてくれば補助対象にする、こういう硬直した姿勢というものは——現地では、やはり農林省の人たちも苦しいものだから、実は大蔵省が硬直しておってそういうものでなければ補助対象にしないぞ、こういってがんばっているのだ、こう言うのです。これは現地の農林省の出先の人たちはやはり苦しくなるものだから、それは実情に合わない、しかし大蔵省の態度がそうなんだと言われている。どうなんですか、大蔵省の態度がそうですか。

山口光秀大蔵省主計局主計官

○山口説明員 ただいままでのいろいろな御議論の中で明らかになりましたように、米の生産に対します助成策といたしましてはいろいろあるわけでございますけれども、その中で特に先駆的な能率の高い事業をやるという場合にこの補助金が入るわけでございますので、地区の選定等に対しましては特に考えていただかなければいかぬと思いますが、地区につきましても先駆者の悩みというようなものもあろうと思いますので、いろいろ問題があろうかと思います。われわれの予算計上の考え方は、まさに先駆者と申しますか、先駆的な事業に対しまして特別な助成をするというところにあるわけでございますけれども、地区の実情を見ておられます農林省におきまして、実行にあたりましてはいろいろ配慮をされてしかるべきものではないかと考えております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)分科員 これは大蔵省にはまたあとで大蔵委員会なり何なりで詳しくやりたいと思いますが、ひとつ弾力的な考えというものをやはり大蔵省としても、いま大臣が答弁されたような形で、それを受け入れるような形でやってもらいたいということを申し上げておきたいと思います。  それから、使用料が現在非常に、いままでの状況ですから理想的な状態になっていない現在の状況なんですが、十アール当たりで大体トラクターの使用料あるいはコンバインの使用料、利用料、あるいはカントリーエレベーターの利用料、こういうようなものを十アール当たりで計算してみますと、大体七千円をこえる状況ですね。その三つ全部フル利用したとすれば、十アール当たり七千円はこえる。七千五、六百円になる。これはかなりの農家にとっての負担なんですね。確かに高能率になる。手間が省ける。それだけ省力され、余剰労働力が生み出される。このことははっきりしていますよ。さてその余剰労働力をどう使うのかということについては、的確な指導がこういうところにもないわけで、一町六反全部委託をした、そういう形で利用した。そうしますと大体十二、三万、十二万九百六十円、これは私が計算したのですが、そういうようになる。一日二千円としましても、六十日そのために出かせぎで働かなければならぬ。大体あの辺で二千円やっとこですよ。土建産業の臨時に雇われて出かせぎにいくということでは。そうすると、六十日やはり働かなければその分だけ埋め合わせつかない。出かせぎするというだけではそういう状態なんです。これじゃたいして農家にとってメリットがないということにもなるのです。  そうしてもう一つ問題は、大田原農協と金田農協のこの面での、総合収支じゃなくて経営状況を見ますと、大田原ではカントリーで四十五年五百八十八万七千円赤字になっている。それから四十六年度で五百四十二万赤字だ。四十七年の見込みも三百九十三万だ。四十八年でも二百十八万からの赤字だ。コンバインも百四十万、百五十七万、七十九万というふうに赤字が出る。ずっと赤字が四十八年度までは続いていく、こういう計画になっている。計画においてもそういう計画になっている、四十六、七、八年というのは。九年になって幾らか赤字が黒字に転ずるかということで、これはわずかです。それから金田農協の場合でも、四十五年度のカントリーの面から七百八十三万円の赤字だ。四十六年度は四百万の赤字だ。四十七年三百三十五万九千円の赤字だ。こういうようにして、たいへんな赤字になっている。この赤字は、なるほど総合経営の中では幾らかの黒が出るということ、これを全部落としてですね、そういう状況、二つとも。そういうことなんですが、それでこれを直接利用しない人たちに全部負担をかけて赤字を黒字にしているだけのことであって、これはもうやはりたいへん問題を生じさせているのですね。そういうようなことを考えて、せめて農林大臣どうでしょう、七千万からの借金をかかえて、年々経常収支においてもそういうように赤字を出している。それがもうこの先三年以上も続く。こういうような状況の中で、近代化資金を借りているわけですが、七分の金利である。こういうようなものについて、アフターケアを少しはめんどうを見てやったらどうか。この七千万の借金を、全会員から出資をさせて肩がわりさせていこうというような計画があるようですけれども、これではきわめて魅力に乏しいもので、次々に、親園農協のように、私のところは指定されそうだからもうこんなものはごめんだということにもなりかねない、そういう状況にもあるわけです。これらの問題について県は若干その金を出そう、そういう面での救済策を講じようということでことしの予算に組んでまいりましたけれども、国もそれにばかりまかせて、引き受けたところは県や市が今度はたいへん金を持ち出さなければならぬというようなことでは、これはおかしいだろう。そういう問題について農林大臣、これについて何らかの利子補給をするなり何なりというようなアフターケアをやられるおつもりがありますか。このことだけ農林大臣にお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 アフターケア等につきましては、アフターケアをずっとしていくということは大事でございます。しかし、その方法についてはまたよく検討いたさせます。いまどういうふうなことでアフターケアをするかということにつきましては検討しております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)分科員 大臣、何らかやはり援助をする、助成をする、そういうひどい目にあっている、大型コンバインをフル稼働させないものを押しつけられて、その金利ばかり負担させられてたいへんな苦労をし、農協の経営もいま数字をあげたように、一ひよわな農協にとって、単位農協にとってはたいへんな経営圧迫要因なんですよね。そういうものに対して何らかの助成をやる方向で検討をされる。まあ方法はいろいろあるでしょう。私は金利、利子補給なんということを例をあげましたけれども、そういうことを含めて助成について検討をする、こういうように理解してよろしゅうございますか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 ええ、そう御理解願ってけっこうです。

渡辺肇自由民主党

○渡辺(肇)主査代理 西宮君。

西宮弘日本社会党

○西宮分科員 なるべく大臣にお尋ねしたいと思いますが、適当にかわっていただいてもけっこうでございます。  昨年予算審議の際に、日本の農政をどうするのか、こういうことでお尋ねをいたしますると、目下生産調整の実施中なのでそれが済まないことにはあとの見通しが立たない、何はともあれ生産調整に協力してもらいたい、こういう答弁が繰り返し繰り返しなされたわけであります。したがって、それ以上のお尋ねができなかったわけでありますが、ことしはその点については生産調整も一応軌道に乗ったわけでありますので、現時点に立って考えてみますると、今後日本の農政をどういうふうに展開していかれようとしておられるのか、まず基本的な問題についてお尋ねをいたします。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 生産調整ができてから日本の農政をどうするということじゃなくて、日本の農政をやっていく上に生産調整をしなくちゃならなかったから生産調整をした、本末逆だと私は思うのです。それで、これから農政をどうするかということは、再三申し上げておりますように、国際的にはやはり競争力が持てるような方向に持っていかなければ、これは日本の農業というものは国際的につぶされちゃうと思うのです。自由化は断わっています。断わっていますが、とにかく国際競争力までいける自信をいま十分持っているわけではございませんが、しかしその方向へ持っていくということ。それから国内的にいえば、やはり国内の食糧というものはできるだけこれは国際関係から見ても自給度を維持していく。そして需要と供給のバランスをとっていかなければ、働けば働くほど貧乏してしまったのではしようがないし、生産していて豊作貧乏なんということになってはしようがないし、そのバランスをとらなければならぬ。その一環が一つの方法としての米の生産調整でありますから、国内的にバランスをとるということ。各部門といいますか、畜産でも果樹でも野菜でも、あるいは養蚕なんかでもそうでございますが、そういうような方向でやっていくということ。それには先ほどちょっと触れましたが、日本の農業生産の自給度を増していくという方向で、やはり地域的にも考えながら生産するものにつきましては需給のバランスをとるような方向でやっていく。ですから米の生産調整後の基本的農業というお尋ねでございましたが、米の生産調整は基本的に農業の一つのプランといいますか、方法である、こういうように私は理解しております。

西宮弘日本社会党

○西宮分科員 決して大臣のことばじりをつかまえるわけではございませんけれども、働けば働くほど貧乏になってしまう、そういう農業では困るのだ、まさにそのとおりだと思うのです。ところが現実は、最近の日本農業はどうもそういう傾向が強いのではないかということが懸念されるわけであります。これは平均でありますが、平均をいたしますと、たとえば農業所得が四十五年は四十四年に比べて絶対額が減ってしまっているわけですね。農林省で発表されました数字でありますが、四十四年は五十二万九千三百円、四十五年は五十万二千九百円、こういうことで、これが農業収入の二年間の比較ですね。そうなりますと、こういうように農業収入の絶対額が減ってしまうということでは全くどうにもこうにも救われないのじゃないかと思うのですね。相対的にだんだん農業所得が減って農外所得が相対的にふえていく、これもまことに困った問題でありますけれども、しばらくそれをたな上げにいたしましても、農業所得そのものが絶対的に減ってしまうということではまさに救われる道がない。これでは百姓をやればやるほど貧乏してしまうということにならざるを得ないと思うのですね。きわめて少数な例外の農家はもちろんありましょう。いま申し上げたのは平均でありますから、例外の農家はもちろんありましょう。しかし、平均して申せばそのとおりだ、これでは全く働くほど貧乏してしまうということで、救われる道がないのじゃないかという気がするのですが、その辺はどういうふうにお考えでございますか。

中野和仁農林大臣官房長

○中野政府委員 御指摘のように昨年の農家経済調査によりますと、おととしよりも減っております。おそらくことしの数字が出てまいりましても、東北、北海道の冷害等がありましてまた減っているのではないか。その辺は御指摘のように私も問題だと思います。ただ米の生産調整がちょうど軌道に乗りかけたところでございます。転作も昨年は一昨年に比べてかなり進みました。ことしはまたもう少しよけい、そういう計画をしているわけでございます。が、最近の農業生産の実態を見ましても、米の生産が生産調整のために減っておる。したがって収入が減っておる。ただ、米以外の、米を除きます農業生産指数はやはりわずかではありますけれども年々伸びてきております。われわれとしましては、こういう農業生産の再編成の方向を、それも地域分担の方向をもっと県までおろしまして明確にした上で、農業所得の確保につとめる必要があろう。そのためには別にまた価格対策を拡充する必要があるのではないかというふうに考えております。

西宮弘日本社会党

○西宮分科員 去年、というか四十五年度ですね、それの一時的な現象とか、生産調整の影響とか、そういうことであればよろしいと思いますが、私は問題はそうじゃないと思うのですよ。たとえば昭和三十年から四十二年までは毎年大体九%くらいで農業所得のほうがふえて、生産コストのほうがそれを下回ってきたわけです。ところが最近になりましてからは全くそれが逆転してしまっているわけですね。こういうことになると、これはまさに構造的な問題だといわざるを得ないと思うのですね。こういうふうに農産物の価格の推移というか、それに比べてコストの上昇率が対前年比で見る限り上回る。こういう状況では、これは構造的に全く救われる道がなくなってしまっている、こういうふうに私どもは理解する以外に道がないと思う。そういう点ではどうですか。

中野和仁農林大臣官房長

○中野政府委員 確かに御指摘のように、生産者米価のここ数年の据え置きといいましょうか、そういうことがありましたために、農産物の価格の伸びは四十二年以前に比べまして非常に伸び方が少ないわけでございます。あるいはその間に畜産物の価格が低迷したということもございます。一方、農家が買います資材につきましては、これはかなり落ちついていまして、その上がり方も非常に少なかったために、農家の受け取り価格のほうがよろしかったわけであります。その傾向はいまでも同じようでございますが、ただ四十五年度におきましては農産物の価格の上がり方よりも工業製品の上がり方が若干多くてその差が縮まったというような状況になっておる。これはこのまま突き進めば農家経済にとっても非常に大きな影響があろうかと思いますので、それに対しましてはやはり基本的には農家の生産性を上げるということで対応すべきだと思いますが、具体的にはその帰趨をわれわれよく確かめた上でまた対応策をとらなければならぬのではないかというふうに考えています。

西宮弘日本社会党

○西宮分科員 その帰趨を検討して云々というお話でありますが、もうこまかい数字は別問題として、そういう傾向に置かれている農業がそういう袋小路に追い詰められてしまっているという現実はそのように理解する以外に道がないのではないかとわれわれ思っているわけですよ。だから、それはなるほどこまかい数字を計算してみるとあるいは多少違っているかもしれませんが、少なくともトレンドとして見る限りそういう非常に悲観的な状況に追い込まれているということは、まさにそのとおりの実態だ、こういうふうに考えるわけですね。だから私は先般の予算委員会の際も、一体いまの政府は農業を必要と考えているのか、そういう非常に妙な言い方でありますけれども、そういう質問をせざるを得なかったわけです。佐藤総理は、もちろん必要だと思っているということを言っておったが、もし必要ならばそれが存続できるような、あるいは拡大再生産ができるような、そういう農業にならなければ、いかに政府が必要だといってみても、とても農民はそれを消化し切れないと思うのですね。その辺に——まあ、来年の数字はどういう数字が出るか、それは出たときに伺うことにいたしまして、そういう基本的な問題について、どうしていまの難局を切り抜けるという見通しを持っておられるのか、あるいは手段、方法を考えておられるのか、もう一ぺん聞かしてください。

中野和仁農林大臣官房長

○中野政府委員 たいへんむずかしい問題でございますが、いま先生おっしゃいました方向のために、今度は農業団地育成対策というのを大きく打ち出したわけでございます。これは米の生産調整によりまして農業再生産をはかる。そして、大臣もおっしゃいましたように、食糧の需給バランスを需要の方向に応じてやっていくと同時に、やはり基本的には規模を大きくして生産性を上げるという以外に私は対応の道がないのではないかと思います。ところが五百万あるいは五百数十万戸の農家の零細な経営のままではそういうことはなかなか容易ではございません、限界がございます。そこで、今回はそれぞれの作目に応じまして高能率な機械設備を入れると同時に、その団地の生産を組織化いたしまして生産性の向上をはかる。なかなか国際競争力に一度に持っていくのは容易じゃありませんけれども、そういうことをめどといたしまして経営の規模の拡大をはかっていこう、こういうふうに考えて四十七年度からスタートをする。できますればこれを五カ年計画で急速にやっていきたいと思っております。

西宮弘日本社会党

○西宮分科員 農業団地の問題はあとでお尋ねをいたしますが、かりにそれをやることによって、いま私が指摘したような問題点の解決ができると仮定をしても、これは日本全国の農家のうちのきわめて一部ですよ。ごく一部でしかないわけです。五年かかったって日本の農家全部がその恩恵にあずかるわけではない。そういう意味で問題の解決にはならぬ。しかもその五年間たつうちに、いまのような、少し大げさな言い方かもしれませんけれども、破局的な傾向はおそらくますます強くなってくるのじゃないか。その五年間待っておられないんじゃないか。そういう農業の崩壊というものが進行しつつあるのじゃないか。そういう危機的な状況に対する認識がきわめて薄いのではないかということをわれわれは非常に心配するわけです。あとで団地の問題はお尋ねをいたします。  ここで、官房長でもけっこうですし、あるいは農政局長でもけっこうですが、国際分業論という問題を農政当局はどういうふうに考えておられるのか。これはもっとも農政当局に質問するよりも、国全体の政治の問題として本来お尋ねすべき問題です。しかしこれを受けとめる側の農政当局としてはどう考えておるのか。つまり国際分業論というのもこれも確かに説得力のある一つの政治だと思うのです。ことに日本のような国は原料をよそから買って加工して売り出す、それで立国している国なんですから、そこで生まれてくる国際分業論というのはそれなりの十分な根拠を持っておると思う。それに対してどういうふうにお考えですか、どちらでもけっこうです。

中野和仁農林大臣官房長

○中野政府委員 よく財界方面等からもそういうお話がございまして、生産性の格段の差があるから、日本の農業は大部分のものは外国からの輸入に依存したらいいじゃないか、そういうことで分業すべきじゃないかという御議論もあるわけでございます。一面では私も当たってない面もないではないと思いますけれども、やはり日本の経済の中にありまして、日本でやれる程度のことは農業として、その農業を産業として確立させなければいけないのではないかというように思っております。現に農業につきましては単に経済性だけでの国際分業ということはなかなか行なわれておりません。先進西欧諸国におきましても、ECのごとく、あるいはアメリカですらいろいろな新政策その他をとっておるわけでございます。やはりそれぞれの国の置かれた農業の実態といいましょうか、特性といいましょうか、そういう面を見た上でのいろいろな施策を講ずるということが中心であります。と同時に、それじゃ何が何でもみな日本でつくるかというとなかなかそうもまいりません。やはり一部非常に効率の悪いものについては輸入に依存するという点もあろうかと思いますが、単に経済性だけの比較で国際分業ということは、これはあるいは私個人の考えかもしれませんが、いけないのではないかというふうに考えます。

西宮弘日本社会党

○西宮分科員 農林省の当局がそういうふうに考えることは当然だと思うのですけれども、ただ、いま伺っただけではいわゆる国際分業論という主張に対する説得力としてきわめて弱いのじゃなかろうか。もうこれだけは断固として守らなければ日本としての存立があぶない——存立があぶないということばが適当かどうかわからないが、非常に極端な言い方をすれば、われわれの食糧だって全部海外から買ってもそれでもやっていける。戦争なんという状態を想像すれば別ですけれども、われわれはそういうことを前提にしないのですから、そういうことを前提にしないとすれば、極端な場合はそれでも十分間に合うというようなことだって理論としては成り立つと思うのですよ。それを説破するこちら側の主張としてはどういう主張でこれに対抗できるか、もう一ぺん聞かしてください。

中野和仁農林大臣官房長

○中野政府委員 その辺の論法が非常にむずかしくて私たちも苦慮しておるわけでございますが、やはり日本の一億をこえる国民に、ある程度といいましょうか、相当程度の量を安定した価格で供給しないと、日本の経済の均衡ある発展がむずかしいのではなかろうか。全部必要なものは輸入をいたしまして、食糧は外国からも来たり来なかったりということではいけないのではないか、ある程度のものはやはり国内で自給をする、そのこと自身が日本の経済の均衡ある発展に役立つのではないかということが一つでございます。  それからもう一つは、やはり日本の国全体から見まして、全部都市化がどんどん進んできておりますけれども、やはり農村というものが残っておるほうが、日本の経済、国の発展にとって健全ではないかというふうに考えるわけでございます。

西宮弘日本社会党

○西宮分科員 これはもちろん農政当局のお答えとしてはいまのようなことだと思います。私はむしろ通産省などを加えたそういう国政全体の中で適当な機会にまた議論をしたいと思うのですが、私は国際分業ということのいわば日本版、国内版というならば、これは現にそういう状態になっているわけですよ。たとえば東京、大阪なんというのは、かつてはいまの東京の中心街でも米をつくっていたのだろう、しかし今日こういうところはもう完全に農業は捨ててしまって、いわば国内で国際分業が行なわれているわけです。広いこの世界全体の中で見るとそういうことも考えられる。私は決してそれを推進するという意味で言っているのではない。あなたと同じような立場で、農業を守らなければならぬという立場で主張しているのだけれども、それにはもっとみなを説得できるような理論構成が必要だということを痛感するので、私は問題を取り上げているわけです。  それでは、いま申し上げた日本国内における、何と申しますか、そういう国内における分業化ですね。分業の状態。これを別のことばでいえば地域分担ということになるわけですが、この地域分担について、それでは今後どういう方法で、たとえば若干生産調整その他でこの面が生かされている面がないわけではありませんけれども、この面をどういうふうにさらに推進をするかということについて聞かしてください。

中野和仁農林大臣官房長

○中野政府委員 いまお話がありました地域分担につきましては、一昨年の暮れに全国十四地域に分けてそれぞれの地域の指標を示したわけです。現在それの進め方といたしましては、それでは非常に大ざっぱ過ぎるということで、これをもっと県の内部におろしていかなければいかぬということで、現在各県と地方農政局と相談をいたしまして、県内の地域区分をいまつくっております。すでに作成しまして公表しました県が十四県ございます。作成中の県が二十三県ございます。あとの県についてもいま作成するようにいろいろ進めております。これはやはり県内の農業事情に応じまして区分をやっております。そういたしますと、おのずからその県内での適地適作の主作物が出てまいります。それを伸ばしていくということをやっていかなければならないのではないか。そのやり方、いろいろな対策はあるわけでございますが、今度、先ほども触れました農業団地につきましても、そういう県内の地域区分に応じて必要な地域に必要な主作物について団地的に整備をはかろう、こういうことでいまその具体案を作成しておりまして、四十七年度予算が通りますればスタートいたしたいという方向で持っていきたいと思っております。

西宮弘日本社会党

○西宮分科員 官房長だけに答弁をしてもらっておりますが、農政局長にお尋ねします。  先ほど大臣も、今後の農政の方向として国際競争力にたえる農業、こういうことを言われたのだけれども、それを現実にはどういう方法で実現をしますか。

内村良英農林省農政局長

○内村(良)政府委員 まず米について申し上げますと、現在米につきましては反当の所要労働時間が百十七時間でございます。現在の技術体系は、まず歩行式の耕うん機でやりまして、それから田植えは手でやるか、あるいは田植え機を使う。それから収穫はバインダーでやって、乾燥等をやるというような技術体系になっております。こういう小型の技術体系で百十七時間というふうな労働時間が要るということになっております。しかし、これをいきなりトラクターまでいくのは問題があるかと思いますが、相当大きな機械を使って耕うんをやる。それから田植えもあるいは田植え機か直播でやる。それから収穫につきましてはコンバインを使うというような技術体系でやりますと、大体五十時間前後で稲作ができるようになるわけでございます。ところが、そういった技術体系自体ができても、いまそれをどうやって実現していくのか。いまの農業の置かれている、あるいは農村の特に農地の問題といったようなものを考えた場合に、なかなかそう簡単にいかないじゃないかということに相なると思います。  これにつきましては私どもといたしましては、稲作については自立農家を中心といたしまして集団的生産組織というものをつくっていきたい。そこでその集団的生産組織の中に兼業農家も入ってもらうわけでございます。そうすると、当初は兼業農家が共同作業等に出てまいります。しかしながら、能率のいい機械を使ってやりますと、どうしても人手が要らないということで、その人たちが働きに行くということになりますと、農作業からまず離れるわけでございます。それから、さらに今度は経営も農家では農協に委託しようということになってまいりまして、漸次小さな兼業農家が稲作から離れていく。そうなりますと、残った土地を専業農家が借りまして、それを使ってかなり大きな経営の規模の稲作ができるのじゃないか。そうしますと、五十時間くらいで稲作ができるということになりますと、現在の半分でできますから、価格的にも現在の価格を前提にして十分ペイできるということに相なるわけでございます。

西宮弘日本社会党

○西宮分科員 問題があまりにも大きくて短い時間ではとても議論し尽くせませんから、また適当な機会に譲ることにしまして、いまのような構想にも関連するわけですが、団地の問題について少しお尋ねしたい。  いまの経営規模を拡大するということを農政局長言われたわけですが、そういうお話を聞いていると、農基法農政の自立農家の育成、ああいう政策は軌道修正をしたのではないかというふうに思うのだけれども、そう言ってお尋ねをすると、おそらくそうでないと否定をされるでしょうから、それはそのままにしておきます。どっちでもよろしい。われわれはあの当時から共同経営ということを強調したわけです。しかし、農業基本法の当時には、われわれの主張は容易に耳をかしてもらえなかったのですが、いまになってみると、やはり大経営でなければならぬということでいわば共同経営的なそういう考え方に傾いてきたと思うのですが、それの議論はさておいて、今度の農業団地について政府が相当の財政支出をしますけれども、それに対応する地方自治体あるいはまた農家個人、その負担はどのくらいになりますか。

中野和仁農林大臣官房長

○中野政府委員 今度の農業団地につきましては高能率の生産団地、広域営農の団地、いろいろ考えているわけでございます。ことしの予算は五百五十三億でございます。いろいろ補助率が三分の二のものから二分の一のもの等ございまして、推定でございますが、事業費が約倍の千七十四億ということになりますと、結局半分ちょっと足らないくらいが地元負担ということになります。その中で、ある程度は県が財政力に応じて御負担いただくものもあろうと思いますが、地元負担につきましてはやはり農家が現金で出すというわけにもまいりません。補助残の融資の必要があるわけでございます。補助残融資につきましては、事業によりましては農林漁業金融公庫から融資をいたします。また近代化資金からも融資をいたしたい。まだあるいは不十分だというおしかりもあるかと思いますが、今度この農業団地を進める上におきまして、共同的なものは七分を六分、それから個人のものについては六分を五分に下げるということで、幾ぶんでも農家の負担の軽減にこたえたいという方向で進めたいと考えております。

西宮弘日本社会党

○西宮分科員 要するに借金が問題なんですね。おそらくこの借金のためにせっかくの構想も現実には進行しないと思うのですよ。私は、そういう農民に借金をしょわせるというやり方では、今日までそれを繰り返してきたわけだけれども、とてもどうしようもないというところに来ているのじゃないかと思うのです。だから、もしいうところの国際競争力を持った農業であるとか、あるいはまたさっき冒頭に指摘をいたしましたような、いま経営が非常に縮小再生産を余儀なくされているといったような状態ですね、それを脱却するためには、もうそういうものを全部全額国庫で持つというくらいのかたい決意を持たなければ、おそらくせっかくの農業団地も画餅に終わってしまうということを私は心配をし、その点を強く指摘しないわけにはまいりません。  最後に、その点については農林大臣の決意を聞いて、最後のお答えにそれを聞きたいと思うのですが、その前に、特に今度の農業団地については所有と経営の分離というようなことを強調しているが、これはどういう下心があるのですか。

中野和仁農林大臣官房長

○中野政府委員 別に下心があるわけじゃございません。農家というのは、これは農業経営者であると同時に土地所有者でありますから、非常に土地に対する執着が強い。農業をあんまりやりたくなくても売らないということもありましょう。しかし本気で農業をやらないような農家についての土地を遊ばしておくというのは、あるいはまた非効率な経営をするのもよろしくないというようなことから、これは全国全部一律にはそうはまいりませんけれども、やはり場所によりましては作業の受託とか、あるいは農協の経営委託、場合によりましては農業生産法人をつくりまして、農業生産法人をつくりますれば、土地をその法人に提供するだけで配当なり、地代をいただく。そうしてそこに集まった土地は、その中核をなします専業的な農家がその経営をしていくということになりますと、これは昔のような自作農主義といいましょうか、所有と経営と労働が一体化しているというところから、所有と経営が離れていく場合もあり得るということでございます。

西宮弘日本社会党

○西宮分科員 せっかく経済企画庁から来てもらっておりますので、簡単に一言だけお尋ねしますが、例の物統令の問題ですね。あれをはずしても政府の財政は一文も得にならぬわけですよ。何もない。それからその値段は上がらないかもしらないけれども、上がるかもしらないわけですね。そういうことをなぜこの際に公共料金が軒並みに値上がりをするというときに、上がるかもしらない、そういう懸念のあることをなぜやるのだろうかということがわれわれにはどうしても納得できないわけです。しかもそれに標準価格米というような制度を設けると、これは独占禁止法の違反になるということを公取のほうは主張している。このこともすでに言っているわけですよ。そういう懸念もある。そういうことをやる際に、なぜこういうときにあえてやろうとするのか、それをひとつ簡単に聞かしてください。私はやめたほうがいいと思うのだけれども……。

斎藤誠三経済企画庁国民生活局参事官

○斎藤説明員 お答えいたします。  米の物統令廃止につきましては、昨年来いろいろ政府部内において検討してまいりましたが、昨年の秋にはドル・ショックその他の経済事情の不安な状態がございまして、今年四月から実施されることになったわけでございますが、われわれといたしましては、米の需給が基調的に供給過剰でございまして、本年あるいは来年におきましても需給に不安がない。また消費者米価の高騰につきましても、四十七年度予算におきまして、流通経費の増高——マージン分だけ食管の売り渡し価格が引き下げられておりまして、こういう面でも消費者価格の値上がりがないわけでございます。また物統令の廃止に関連しまして、新規参入あるいは標準価格米の常置等、適切な対策なり、あるいは行政指導も行なわれておりますので、消費者が品質に応じた米を選択するという食管の基本的な方向を推し進めます場合にも、消費者米価の値上がりの懸念はないという状況判断のもとに、企画庁といたしましても、物統令の廃止には異存はないということにいたしたわけでございます。

西宮弘日本社会党

○西宮分科員 最後に一言だけ大臣にお尋ねをいたしますが、今度の例の団地構想も赤城大臣が非常な熱意をもって予算化されたという話も聞いております。せっかくそういう決意をされたならば、さっき申し上げたように、農民の借金にかかる分、そういうのはおそらく全部政府が持つというくらいの決意をしなければ、私はとても根本的な解決にはならぬと思うのですよ。そして、こういうことを繰り返しておったらば、借金はかさむ、したがって、もう百姓をやるのはばかばかしいというようなことになって、やがて日本の国では米も足りなくなってしまう、そういう事態が到来する、それに違いないと私は憂慮しているわけです。それほどまでに危機的な状況にあるときでありますから、少なくともそういう財政問題等については、いま私が申し上げたような、そういう決意を持ってこれに対処するということが当然必要ではないかと思うのですが、大臣の御所見いかがですか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 団地構想に関して所有と使用との分離という話がありましたが、私は、農業というのは土地を基盤としているのですから、土地というものは所有が必要なのでなくて、それを国民のためにいかに使うかということがほんとうは重点だと思うのです。ところが、いろいろ土地制度の関係やいままでの関係で、土地の所有を大きくして経営を大きくするということには非常に無理な点がございました。前にもそういうことで計画を立て、農地管理事業団などをつくろうとしたのですが、それからその後も経営の拡大ということで、所有でもって拡大することはなかなかできない。しかし、やはり日本の農業の、世界的に国際競争力がないときに、一つの基盤は零細農業ということでしょう、これはアジア全体がそうですが。そういう点から考えれば、経営を少なくとも広くしよう、経営でもって広域的な方向へ持っていこうというのが、一つのねらいとして持っていかなくちゃならない、こう思うわけであります。そういう意味で、畜産にしても、あるいはいまの野菜のような蔬菜にしても、あるいは稲作なんかでもそうでございますが、あらゆる部門において経営が協業的に大きくなっていく、ですから、必ずしも、それを大きくするために農民の負担を大きくするという考えで団地的な構想に持っていこうという考えじゃございません。むしろ労働生産性も上がり、あるいは物の生産性も上がる、こういう方向へ持っていこうということでございまするから、それを、負担を多くしてそういうところへ持っていこうというのでは初めの目的と逆のほうへ行きますから、負担などはなくて、そうして生産性が上がって、国内の他産業との競争力も、国際的にも競争力が培養できるという方向へ持っていく、そういう根本的な考え方でいきますから、負担を多くしようということは極力なくしてこの構想を生かしていきたい、こう思っております。     〔渡辺(肇)主査代理退席、主査着席〕

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 次は津川武一君。

津川武一日本共産党

○津川分科員 きょうは出かせぎということと出かせぎ者の対策一本について、初めは具体的な例を二つ、三つ、そのあと基本的な問題を農林大臣にただしてみたいと思うのです。  ちょうど、私、きょう地元の選挙区のところから六人の出かせぎ労働者にたずねられてきていまして、埼玉県で一つの建設会社が二カ所で事業をやって、二カ月にわたって約二百万近い不払いの上、社長が行くえ不明になって、どうするかという相談を受けているわけですが、発注者は、行くえ不明になった社長が来れば、その賃金をとって出かせぎ者に払ってもいいというふうなことを言っているのですが、逃げてしまったわけであります。こういう状態ですが、労働省、これはすぐとってあげられるような状態にありますか。ひとつ、まず労働省に答えていただきます。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 先生ただいまお尋ねの埼玉県の賃金不払い事件でございますが、ただいまおっしゃいましたように、その業者はいま行くえ不明になっておりまして、所在がわからないわけでございます。ただ、その元請がわかっておりますし、まだその元請のほうに、その逃げました業者に払うべき金も一部残っておるというような情報もつかんでおりますので、本日、埼玉の局で、その元請の業者を呼びまして事情を尋ねておる、その結果についてはまだ私どものほうに報告がございません。そういうことを通じまして、元請で払ってない金の中からでも労働者に賃金を払わせ得るものは指導によって払わせる、こういうようなことも指導いたしたい、かように考えております。

津川武一日本共産党

○津川分科員 その発注者は、行くえ不明の社長が来ると——出かせぎの労務者に、あなたたちにはあげる法的な義務はないが、逃げた行くえ不明の社長が来ると渡さなければならぬ、こういうふうに言っているのですが、その逃げた社長にやらないように押えることはできましょうか。押えていただきたいのです。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 それを払わないようにという強制的な権限はございませんけれども、指導によりまして、そういう場合には元請のほうからもできるだけ払わせるように指導をしております。

津川武一日本共産党

○津川分科員 労働省の方たち、また埼玉県の基準監督局の人たち、基準監督署の人たち、非常によくやってくれまして、私も非常にすまないと思っているのですが、ついでというわけじゃないのですが、本質をつくものにもう一つの事件があるのです。  それは新東建設というところですが、昨年の十二月中旬、待遇か何かやり方がおもしろくないので、少し雇い主に話ししたら、それが気に食わないといって暴力団に近い者を連れてきて、そして出かせぎ者はおつかなくなって逃げてしまった。そしておたくのほうに頼んだら非常によくやってくれまして、払ってくれるという約束をした。それで皆さん帰った。ところが払ってこない。またおたくのほうに頼んで、頼んでくれた。そうしたら一月に払うから来いと言った。来た。また払わない。そうしてあげくの果てはどうなったかというと、全部、その社長は新宿の暴力団のところに入ってしまっている。これに前歴もある。こういう形なんで、これは非常に皆さんよくやってくれているのですが、これはどうです、取りようございますか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 ただいまお尋ねの新東建設の問題につきましては、昨年十二月に先生のほうからも御連絡をいただきまして調べましたところ、十一月、十二月分の賃金の未払いがあるということがわかりました。その暴力団云々につきましては何かけんかがあったということは私どもも聞きましたけれども、直接関係はございませんので、これはむしろ警察のほうの問題でございますから詳しくは存じません。そういうことで、未払いがあるということを見つけまして、その後再三にわたりましてその建設業者に支払いの指導監督をいたしておるわけでございます。しかしながら、誓約書等を出しまして払うと言いながら、その後調べてみるとまた払ってないというような状況が続いておりまして、ことしの三月までの状況で申し上げますと、青森県の二十四名を含めまして全員で七十六名の従業員に対しまして約二百四十万くらいの不払いがございます。そしてただいま申しましたように、再三の支払いの指導、勧告に対しましてもこれを履行しないというような累犯の事情もございますので、この三月七日に地検に送検をいたしたところでございまして、現在東京地検で捜査をいたしている、こういう段階に相なっております。

津川武一日本共産党

○津川分科員 初め労働省から暴力団と関係ないと言われて——いま逃げ込んでしまったところは向こうの暴力団の組織なんですよ。累犯がある、こういう状態で、しかも検察庁のほうに書類送検してくれたことはありがたいけれども、違反でも二百万の不払いで五千円の罰金なんです。ここのところに非常に大きな問題があると私は思うので、そこでよくこれを見てみたらこうなんです。建設省が発注者、元請が清水建設、その下請が久保田建設。また下請が大岩組。またその下請が新東建設。五段階入っている。だから途中で中間搾取されて出かせぎ者のもらうのは二千五百円。いま二千五百円の出かせぎ賃金というのはない。こういう形になっているので、私はここでこういう出かせぎ者の労働条件、状態がいいのかどうか。ときによると二段階か三段階まででとめるべきです。そういう出かせぎの本態でなければならぬと思うのですが、こういう状況をどう考えているか、大臣こういうことなんです。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 その建設の仕事を発注させる場合に、ほんとうは直営的なものでやればいい。直営でなければそんな下請下請下請にやらす、そういうことは発注先で、建設省なら建設省で条件をつけて下請をやらせないように発注させるべきだと思います。そういうことでないといまのようなことが出ると思います。

津川武一日本共産党

○津川分科員 建設省来ていますか。いまの大臣の話聞いてひとつ建設省で議論してほしいと思う。どうです。

西原俊策建設省計画局総務課長

○西原説明員 お答えいたします。  建設業の下請関係におきまして、先生御指摘のような賃金不払いの現状、多少現状は減っておりますけれどもなおあとを断たないということについては、まことに遺憾でございます。これに対しまして建設省におきましては種々対策を講じているわけでございますが、特に四月一日から施行されます改正建設業法におきましては特定建設工事の業者になりますと、大手のいわゆるゼネコンといいますかこういった場合におきましては下請関係で未払いが発生いたしましても特に許可行政庁が必要と認める場合におきましては特定建設業者に対しまして下請の未払い賃金を立てかえ払いをするように勧告することができるような措置が講じられております。こういった新しい制度の運用によりまして賃金未払いの事態をなくするような努力をしていきたい、こういうように考えております。

津川武一日本共産党

○津川分科員 そこで、次官通達でそれをやらしてみたらどうです。この場合、清水建設も久保田建設もやらない。勧告なんだろう。そこで、農林大臣いいことを言ってくれた。条件をつけろと言うんだ、五段階までにいかないように。そのことを省内で論議してみて、対策ができたらまた報告してほしいと思うのです。

西原俊策建設省計画局総務課長

○西原説明員 具体的な事例につきましてはちょっと私承知しておりませんでしたもので、この件につきましてどう措置するか、これは別といたしましても、制度といたしまして、やはり建設省におきましても下請関係の未払い、こういったことのないようにいろいろ対策を講じてまいりたいというように考えております。

津川武一日本共産党

○津川分科員 そこまで話すなら、労働省から聞いて、発注者は建設省だから、これをどうして払わせるか一度検討してこっちに返事してください。具体的にひとつそれを。それでいいです。  そこで、この事件を扱ったとき、ほんとうに労働省基準監督署、監督局涙ぐましい努力をしてくれた。非常に私はその点はありがたいと思っている。ただ時期を失しる。なぜか。人が足りない。人が足りなくて、とても迷惑で頼まれない。そこで、労働省ではドル・ショックでかなりふえてきているこういう事件を処理するのに人をふやすこともひとつ考えるべきだと思う。これに対する労働省の態度と、こういうことに対してこれはもう一回農林大臣にもひとつ意見を聞かしてもらいます。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 いま労働省の問題で、実は私もこういうのを引き受けて払わしたこともございます。労働省のほうでいろいろ考えておりますから、向こうからひとつ……。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 最近いろいろ労働基準法の関係の事案がふえておりますことにつきまして、私どもは当然監督官の数が現在の状況で十分であると考えておりませんので、その監督官等の増員につきましては極力努力をいたしておるところでございます。四十七年度予算におきましても、監督官七十名の増員、それから近ごろ安全衛生問題など非常に多くなっておりますので、その安全衛生専門官等入れまして、その関係だけで百五名の増員をわれわれの基準関係で獲得いたしました。四十六年は五十二名であったわけでございますから、まあ申しますれば倍以上の増員を四十七年度の予算においては獲得いたしました。もちろんまだまだ十分ではないと考えておりますので、今後とも増員につきましてはできるだけの努力をしたいと考えております。

津川武一日本共産党

○津川分科員 不規則発言もあるように、ドル・ショックが起きてから、昨年の十月から十二月までの三カ月、事件は不払い事件三千七百件、金額四十八億なんです。これはやはり徹底的にやらなければならないと思うわけです。  そこで、次の問題は出かせぎ者の健康状態。新潟県の保健所で出かせぎ者が出る前に検診したら、七百人がいまの健康状態では出かせぎに行かないほうがいいといってとめられた。ところが実際に出かせぎをやめたのが百四十人で、五百六十人が出てしまっている。秋田県出かせぎ互助会で調べたら、昨年十二月一日から本年一月末日までの二カ月間に、労働災害にあった人が三百七十八人で、うち仏さまになって帰った人が二十二人。それから交通事故にあった人が十二人で、うち仏さまになった人が三人。病気になった人が百九十九人で、うち仏さまになった人が三十七人。五百八十九人が事故、病気で家に帰っておりますが、そのうち仏さまが六十二人。ちょうど一年前に同じことをやったら、百五十五人が病気だとか労働災害だとか交通事故で帰って、うち十五人が仏さまで帰った。ドル・ショック以後こんなふうにふえてきた。七百人行ってはいけないというのに、行かなかった者が百四十人、あとは行っている。この人たちが病気で倒れている、これが現状なんです。  こういう現状に対して、私も飯場に行ってみました。私も聴診器を当てて調べたら、二百六十という血圧で働いておる、あわを食ってすぐ入院させました。こういう人たちに対してどこも健康診断をしてなかったのです。私は出かせぎの現場、飯場において健康診断を受ける必要があると思う。まして先ほどみたいに五段階の、下請の下請の下請の下請ということになってくると、これはどうしても——いま労働安全衛生法もできているようだけれども、これだって強制義務がないし、こういう下請に対してやることはない。こういう状態に対してどうして健康診断するか、労働省と厚生省からひとつ答えていただきます。

黒木延厚生省公衆衛生局企画課長

○黒木説明員 では厚生省のほうからまずお答え申し上げます。  確かに御指摘のように、出かせぎの方々につきましての問題というのは非常に重要な問題であると思います。この点につきまして、私どものほうの地域保健というものをどうやって推進していくか、高めていくかということにつきましては両面があるわけでございまして、先ほど先生が御指摘のように、まず農村地帯で家族と御一緒に生活しておられる場合の健康状態を確保していくという点があるわけでございます。この点につきまして、いろいろ農村保健の問題につきまして研究費その他の点でやっておるわけでございますが、今後ともこの農村保健の問題についてはさらにいろいろな点を発展させていきたいと現在検討中でございまして、地域保健の一環ということもありまして、いろいろ努力いたしたいと考えておる次第でございます。  ただいまのあとのほうで先生御指摘いただきました地域の問題につきましては、何ぶん大都会における都市の流動化といったような状況におきまして、確かに人口の変化とか流動化といった状態に対しましていろいろ御指摘を受けるような事態があることは私どもも承知いたしておるわけでございます。これにつきまして現在地の場合においては重点的に地域保健の確保という点から見ましての重点策でございますが、健康診断をどういうぐあいにやっていくか、一番適切な人員、実情に応じた方式というものをさらに指導していきたい、そういうぐあいに考えております。

津川武一日本共産党

○津川分科員 どんな下請でもかまわないから、たとえば五人以上使っている人たちに今度国の法律で健康診断を強制するように、ひとつ労働省と厚生省にそういう法案をつくるように要求して、大臣、いまお聞きのような厚生省の返事なんですが、これでは私ものの役に立たないと思うのです。ところがいいことをやれるところもあるんです。それはこの間、近くの野方のところに消防署があって、私たずねてみた。杉並消防署管内です。この消防署の管内で飯場が四百三十三、出かせぎ者が一つ平均四十人いる。一万六千人いるんです。親元をやっているものと下請の下請の下請、これは私、大臣が考えてくれれば、ここへ健康診断を回せると思うのです。こういうことをひとつ労働省なり厚生省なり、大臣ひとつ考えてみませんか。これをひとつ答弁していただきたい。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 実際問題で医者がそうあるかどうかという問題もある。巡回医療というようなかっこう、そういうのは考える必要があるでしょうね。

津川武一日本共産党

○津川分科員 大臣から言っていただけば私は動くと思うのですね。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 それだけの医者があるかどうか。出かせぎは都会に多いですが、無医村もあるような状況ですから、そういった医者に余裕あるいは人員があるかというようなこと等も検討して、できればそういうこともいいですね。

津川武一日本共産党

○津川分科員 それは、私たち具体的に何例か覚えているんです。うちのほうの五所川原から来ている出かせぎ者二十人で本郷のお医者さんでちゃんとつくってやっている。そういう具体的な例もあるので、大臣のいまの発言をひとつ厚生省や労働省は実現していく道をとってほしいと私は思うのです。  そこでこういう賃金不払い、健康破壊だけでなく、出かせぎ者の奥さんが半年やもめ、一家が離散している、子供さんはおとうさんの顔を知らないという子ができている、それはかぎっ子です。留守家族にもたくさんの問題があって、こういう何か非人間的な情けのない非情な状態をいまの農民、出かせぎ者にやらしているので、これはやはり農林省も今度予算を組みましたけれども、農林大臣、もっと根本的な対策を立てなければならないのじゃないか、この方策をひとつ……。  それから、いろいろなものを見るけれども、完全に状態を握れない。出かせぎ者の数、六十万だとか、九十万だとか、百二十万だとか、二百万だとか、数がわからない。ところが、国家公務員の労働組合が実によく調査している。こういう論文がたくさん出ている。こうなってくると、そういう状態を把握するため悉皆調査みたいなことをやはりやったらどうか。やる必要がある。そうでないと対策が立たないと思う。いまの統計調査事務所の人たちを少し増員するなり、あそこの機能を働かして、あれだけのことをやれるんだから、実にいい統計をわれわれに出してくれている。私は確かにできると思うのだが、この根本対策、特に悉皆調査、数だけでなく、どんな状態であるか、職安を通じているのもあるし、通じてないのもあるし、蒸発しているのもあるということなんで、かなりの調査も必要です。補完的な調査費も出ているようでありますけれども、こういう二つに対して大臣の考えをひとつ……。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 何の対策を講ずるについても、一番先は統計的基礎が必要でございます。そういう状況調査を統計調査やその他の調査機関にさせることにいたしたいと思います。

津川武一日本共産党

○津川分科員 そこで大臣もこの状態はいい状態とは認めないわけですね。それでいいわけだけれども、何とかしなければならない。そこで私たちもこの状態は何とかしなければならないと思って、地元に働ける仕事があったならばいいので、これはさがさなければならない。今度大きな公共土木事業もあるようですが、しかし地元で働けないんです。ちょうど一昨々年四ツ木橋で大鰐の出かせぎ者が八人のうち七人が生き埋めにされて、その中の七人があれになった。営林署にじかに雇われておったときは日給が千八百円、労務班というのができたら千二百円に下げられてしまった、その千二百円じゃだめだから出かせぎに来て死んじゃった、こういうことであります。ところが、あなたたちのところにこれがあるのですよ、「昭和四十七年度公共工事設計労務単価表」、これを見たら、普通の労務者が東京で日給が三千二百十円。佐賀、長崎、熊本、大分、鹿児島、宮崎で二千四十円、青森、岩手、宮城、秋田、山形、これが二千五十円。だからやはり東京の三千二百十円に来るのです。これを農林省と労働省と運輸省の三省協定できめているのです。これはやはりどうしても撤回して、この出かせぎ地帯の九州、四国、東北、ここでやれるように……。どんなにやってもだめです、これでは。この賃金の差があるからここへ流れてくる。これをひとつ直す必要があると思いますけれども、どうですか。

三善信二農林省農地局長

○三善政府委員 御承知のように、ただいまの賃金につきまして三省協定というのがございます。この三省協定の賃金の内容につきましては、これは前年度の地域別の実態の賃金の調査をもとにしてこの基準をつくっているわけでございます。したがいまして、青森あるいは九州、東京、こう比較した場合に、その実態というのを十分反映したようなかっこうでできているわけです。それで御指摘のような地域によって賃金の差はございますけれども、一番実態を反映した一つの賃金の基準ということで、私ども三省でこういう基準をつくっておるという状況でございます。

津川武一日本共産党

○津川分科員 だから知事会に申し入れをしたでしょう、来ませんか。知事の権限で二五%上げられるのですよ。押えるのは三省なんです、押えているのはあなた方なんです。知事は二五%上げたいと言っているのです。どうです。

三善信二農林省農地局長

○三善政府委員 基準につきましては御承知と思いますけれども、二〇%の一つの弾力性を持たして運用をいたしております。

津川武一日本共産党

○津川分科員 そこで大臣、二〇%上げると片づくのです。それをこの弾力性を知事がやれないのです。やらせてあげるように、あなたからも知事会を集めてしていただければ、私は、この出かせぎ者が少なくなって、あなたの農政もよくなると思うのです。ひとつ頼みます。答弁は求めません。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 よく聞いておいていろいろ対処していきたいと思います。

津川武一日本共産党

○津川分科員 そこで、ぼくらこの間、農村地域工業導入促進法を議論していったわけだ。これもなかなか容易じゃないです。これから持っていこうと思っているけれども、一番多い青森と秋田と山形に工場が行かない。行った工場はつぶれている。新聞記事がたくさん出ている。もう一つ、このつぶれてしまうところに持っていったってしようがない。そこへ持っていくのに特別施策が必要だったのです。これが一つ、持っていってもまた問題がある。これはうちの弘前周辺の工場の賃金なんです。日魯漁業、あなたのよく覚えている、何とでも話せるところ。男の日給が千二百円、女が八百円。町工場では男の賃金が三万円、これじゃ出かせぎはこっちに来る。そこで最後に、こういう公共事業の単価を上げる点について、これはぜひやっていただきたい。その結果は、私また聞きに来る、いまやると言ったから。そこへ持っていく方法、公害のないものを持っていっただけではだめなんです。この賃金じゃだめなんです。これは格別奮闘してもらわなければ、こういう賃金を上げる、こういう工場を持っていくということでなければいけないのです。この点、どうでございますか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 これは原則的な問題で具体的な問題ではございませんが、工業導入なんかも、精密的な公害のない工業なんかを持っていけば賃金も高いわけでございます。たとえばスイスの時計工場みたいなものは、工場でなくても農家で大体やっているわけですね。そういうふうな工業の導入の方法はあると思います。やはり工業や何かでも、利益があがらなければ、結局だんだん賃金等も上げないで押えるというようなことになるでしょうから、ですから、一つは、工業導入については公害のないような、ほんとうに日本の自然が生きていくというようなもの、それから精密的なそういう工業のようなもので賃金を相当支払えるような工業、これは原則的な話ですが、そういうようなものをできるだけ導入して、遠くへ出なくても地元でかせげる、こういうような形にしていきたいというのが方針でございます。これは抽象的な例でございますが……。

津川武一日本共産党

○津川分科員 これで終わりますが、そこでさっきの町工場は月給三万円、レンズのガラスみがきが中卒で五万七千円なんです。だからこういう工業は、今度の農村神域工業導入促進法の中で、コンサルタントの中で、大臣は部下を使って、いま言われたようにさがしていかなければならぬ。そしてこうなってくると、農政の中で農外収入、賃金収入が農業収入よりも多くなっているでしょう。だから農政の中における労働対策というものは大きなウエートを持ってきた。この点、農業の中における労働対策をどう進めるか、これを、大臣の気持ちを聞いておきます。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 さっき小林さんからも質問があったようですが、これは農業というものも、稲作農業などではどうしても、稲作は一年じゅう農業をやっているわけじゃないですから、農閑期のときは、やってない場合にはかせがなければなりません。ですから、どうしてもこれは兼業というものがふえる傾向がございます。御承知のように八〇%以上兼業農家ですから、これをどっちへ入れてしまうかということは非常に問題だと思うのです。農業のほうでも、その兼業農家が農産物を相当生産している。全体として、個人の一つ一つは別として、全体としては相当あるのですから、そういうこともなお農林省として考えなければなりません。ですから、私は団地なんかには一緒に兼業農家を入れていこう、しかし、政策としてはやはり農業政策は農業政策でやる、労働政策は労働政策でちゃんとそこは分けて、労働政策としても十分に、農業政策としても十分にやっていけるように、これは考えてやっていかなければいかぬと思います。

津川武一日本共産党

○津川分科員 終わります。

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 津川君の質問は終わりました。  次回は、来たる二十一日火曜日午前十時より開会いたしまして、引き続き農林省所管について質疑を行なうこととし、本日はこれにて散会いたします。     午後三時四十九分散会

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