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68回国会衆議院1972/03/25

予算委員会第一分科会 第6号

発言数
283
登壇者
27
会派数
4
開催日
1972/03/25

会議録

森田重次郎自由民主党

○森田主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  昭和四十七年度一般会計予算中、法務省所管を議題とし、まず政府から説明を求めます。前尾法務大臣。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 昭和四十七年度法務省所管予定経費要求の内容につきまして、大要を御説明申し上げます。  昭和四十七年度の予定経費要求額は千二百四十六億二千八百四十九万一千円であります。前年度予算額千百二十七億八千九百二十九万四千円と比較しますと、百十八億三千九百十九万七千円の増額となっております。  増減の詳細は別途の資料により御承知願いたいのでありますが、その内容を大別して御説明いたしますと、第一に、人件費関係の増九十一億九千九百五十六万七千円であります。これは、公務員給与ベースの改定等に伴う増額分、昇給等の原資としての職員基本給及び退職手当等の増額分がおもなものでありますが、そのほかに、副検事、法務事務官等七百七人の増員並びに沖繩復帰に伴う千百二十八人の増員に要する人件費が含まれております。  ここで増員の内容について申し上げますと、第一に、交通事件、公安労働事件、公害犯罪等の増加に対処するとともに、公判審理の迅速化をはかるため、副検事十一人、検察事務官百三十三人、第二に、登記事件、国の利害に関係のある争訟事件及び人権侵犯相談事件の増加に対処するため、法務事務官二百五十四人、第三に、刑務所における看守の勤務条件を改善するため、看守百七十五人、第四に、非行青少年対策を充実するため、少年院教官三十人、少年鑑別所教官十七人、保護観察官二十二人、第五に、出入国審査及び在留外国人管理業務の増加に対処するため、入国審査官三十三人、入国警備官三人、第六に、暴力主義的破壊活動に対する調査機能を充実するため、公安調査官二十八人となっております。  なお、右のほか中央更生保護審査会を充実するため、委員長、特別職でありますが、一人の常勤化がはかられております。  他方、昭和四十六年の閣議決定に基づく定員削減計画(第二次)によります昭和四十七年度削減分として六百三十三人が減員されることとなりますので、これを差し引きますと七十四人の定員増加となるのであります。  沖繩復帰に伴う増員は、検事四十一人を含めて千百二十八人となっております。  第二に、一般事務費の増二十一億三千二百九十八万九千円であります。これは、事務量の増加に伴って増額されたもののほか積算単価の是正、職員の執務環境の整備改善及び保護司実費弁償金の単価引き上げに伴う増額分等であります。  第三に、営繕施設費の増、五億六百六十四万一千円であります。これは、法務合同庁舎等施設の新営費等が増額されたものであります。  次に、おもな事項の経費について概略を御説明いたします。  第一に、法務局、地方法務局において登記、供託、戸籍等の事務を処理するために要する経費として二十億八千百三十七万五千円、第二に、検察庁において刑事事件を処理するための検察活動に直接要する経費として十億六千五百五十八万二千円、第三に、拘置所、刑務所、少年刑務所、少年院、少年鑑別所及び婦人補導院の被収容者の衣食、医療、作業等に要する経費として八十三億六千六百七万四千円、第四に、保護観察に付された少年等を更生させるための補導援護に要する経費として十六億七千六十六万四千円、第五に、出入国の審査、在日外国人の在留資格審査及び不法入国者等の護送、収容、送還等を行なうのに要する経費として一億八千三百十九万五千円、なお、外国人登録法に基づき、在日外国人の登録及び指紋採取の事務を処理するために要する経費として二億八千七百九十四万一千円、第六に、公安調査庁において処理する破壊活動防止のための調査活動等に要する経費として十二億七千三百九万二千円、第七に、法務局、検察庁等の庁舎及び刑務所、少年院等の収容施設の新営整備に要する経費として五十四億三千二百五十九万二千円が計上されております。  なお、右の各経費の中には、沖繩復帰関係として総額四億七千九百九十三万六千円が含まれております。  最後に、当省主管歳入予算について一言御説明申し上げます。  昭和四十七年度法務省主管歳入予算額は三百四十九億八百二十万八千円でありまして、前年度予算額三百九億九千九百八十三万二千円と比較しますと、三十九億八百三十七万六千円の増額となっております。  以上、法務省関係昭和四十七年度予算案について、その概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議を賜わりますようお願い申し上げます。

森田重次郎自由民主党

○森田主査 これにて説明は終わりました。     —————————————

森田重次郎自由民主党

○森田主査 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。辻原弘市君。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 最初に、大臣に、これは法務大臣としてと申しますよりは、あなたが国務大臣としてどういう御認識を持っているかということについて伺っておきたいと思います。  それは、最近法務省あるいは最高裁判所所管のいわゆる地方の出先諸官庁、これらがかなり整理統合される方向にある、こういうことを聞きますと同時に、われわれもそれぞれの地域で現実の問題にぶつかっているわけでありますが、こういう方向というのは一体どういう発想から生まれてきているのか。これはただに法務省だけではありません。私はきのうも実は運輸省にも申し上げたのでありますが、かねて閣議で決定をいたしました、三年間で五%の定員を減らすというこの決定に基づいて行なっておる関係各省庁が多いようであります。私が特にあなたにお尋ねをいたしておりますのは、いま申し上げましたあなたの御所管である法務省管轄ないしは最高裁判所管轄等の出先の統廃合という問題は、この定員削減の問題の一環として行なわれているものであるかどうか、この点をひとつ伺っておきたいと思います。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 国全般としまして、率直に、公務員が多過ぎるということについての批判はかなり強いと思います。したがって、できるだけ公務員を使わずに済ます。これは何も国ばかりではありません。民間におきましてもできるだけ合理化をやって、そして人手を使うことを少なくして、日本の経済の規模全体あるいは事務全体が非常に活発にふえてまいったわけであります。したがって、できるだけ人を合理的に使わなければならぬという大きな要請があるわけでありまして、そういう意味からいたしますと、国においても同様のことを考えなければならぬわけであります。また、その一面におきまして、われわれの法務省におきましても、いわゆる過疎地帯と過密地帯、その間にいろいろな処理する事件の件数というものが非常に変わってきております。それからまた、最近は御承知のように、交通革命ともいうべく、非常に乗りものが発達してまいったわけであります。したがって、従来の便、不便という点から考えまして、新しい交通形態によって非常に違ってきておる。したがって、われわれはできるだけ少ない人間で合理的に使うということになりますと、勢い事務の分量も変わり、あるいは交通の利便も変わっておる。そういうことに即応して、いわゆる配置転換あるいは配置がえ、そういうようなことを合理的にやっていかなければならぬ、こういうことと思います。  率直に申しまして、法務省における登記所というようなものも、これはたくさんあるにこしたことはありません。しかし、執務体制からいいますと、必ずしも合理的に人間が使われていない。また、現在のいろいろ勤務状況から申しますと、いわゆる一人庁ということになりますと、ほとんど休みなしに一人が勤務しなければならぬ。しかも、その間に繁閑の時間的ないろいろなことがありますが、それを合理的に人を使っておるというわけでもありません。そういうような点から考えますと、やはりそこでできるだけ合理的に人が使えるような、また勤務体制からいいましても、年中無体というようなわけにはまいらなくなってきておるわけであります。その両面から考え、あらゆる点から考えまして、やはり適正規模の合理的な規模における役所というようなことも考えていかなければならぬ、こういうような要請にわれわれは当面しておるわけであります。  したがいまして、現在の段階において、法務省関係の役所も、率直にいいますと、明治以来の事情をほとんど踏襲したままに来ておりますので、この際は相当思い切った適正な規模なりあるいは統廃合を考えていかなければならぬというわけでありますが、これはあくまで合理的でなければなりませんので、いろいろな基準がありますが、それらの基準を明らかに、どういうふうな基準に基づいて考えていくのが最も現在の線に即応した適正配置、あるいは適正規模というものであるかということを、しっかりした考え方をまとめまして、そうしてただいまわれわれは法務局につきましては、いわゆる登記所につきましては五カ年計画というような考えを持っておりますが、そういうようなことで最も適正なことに是正していきたい、こういうようなことを考えておるのでありますが、これは国全体としてやはり考えていかなければならぬ問題の一環だと私は考えておる次第であります。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 特に国務大臣としてお答えいただきたいと申し上げる私の趣旨は、これらの統廃合あるいは合理化、あるいは定員削減に基づくいろいろな配置がえ等々を、これは法務省だけでなくて、全般的に見てまいりますと、一つの顕著な傾向を実は私は発見をしておるわけなんです。というのは、合理化であるか、定員削減によるしわ寄せであるか、それは個々のケースによって若干の違いは出てまいりましょうけれども、総じて言えることは、地方ないしは僻地、僻遠、こういう地域におけるそれぞれの出張所、あるいは出先の関係諸官庁等が、あるいは人員が減らされたり、あるいは事務の停止を受けたり、あるいはまた統廃合のうき目にあったり、こういうことが最近散見されるわけであります。で、私は、いまわが国の政治の中で非常に心してやらなければならぬことというのは、ほっておいてもこれは全世界的傾向で、都市中心主義になる。人口が都会に集まる、だんだん農山村は申し上げるまでもなく過疎状態になっておる。これが私は社会体制の均衡化という中における最も政治として心しなければならぬネックの問題である。口ではみんなそのとおりだとおっしゃるわけだ。ところが、おやりになっていることは、ともすると都市中心になっておる。そうして過疎地帯、奥地山村に残されておる人々の住民福祉というものがとかくなおざりにされておるというこの現状は、私どもは黙過するわけにはいかない。したがって、そのことの理由、原因がいかあれ、この過疎状態を進行させるような国の政策というものは、私ははっきり申し上げてやめてもらいたい、やめなければならぬ、こういうことを前提として申し上げておるわけであります。  抽象的に申し上げましたが、私のこの考えにはあなたもよもや反対をされないと思うのでありますが、それらについての国務大臣としての私はあなたの御見識を一ぺん承っておきたいと思うのです。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 ただいまのお話のことは、私ももちろんよく承知もし、また考えておるところでありまして、率直に言いまして、領土の狭い日本はあらゆる領土をほんとうに合理的に使っていかなければなりません。それには現在のような都市集中ということが好ましい現象であるとは私も考えていないのであります。そういうような意味からいたしますと、いわゆる過疎地帯もできるだけ交通の便利をよくし、またそこに産業を持ってきて、いわゆる田園都市と申しますか、そういう体制がむしろ好ましいということについては、私は何ら異論を持ちませんし、また、そうしていかなければならぬというふうに考えておるのであります。  そういうような意味からいたしますと、現在の登記所の廃合につきましても、もちろんただ単に事務の分量が少ない、あるいは人口密度が低いからというだけではないのでありまして、やはり住民がどれだけ不便を感ずるかということが考慮の一つの大きなファクターであることは私も否定をいたしません。ただ、最近の交通機関の便利さということになりますと、かなりもう二、三十年前とまるきり違ったような状態になってきておるのでありまして、したがって、そういうところからいえば、統廃合しましても必ずしも住民の皆さんにそれほどの不便をかけるものではないというようなところについて行なうのでありまして、その点はまだ本式に——その基準はおそらくことしの夏ごろ行政事務の審議会でできると思いますが、十分考慮に入れた基準をつくっていきたい、かように考えておるのでありまして、ただいまの辻原分科員のお考えについては、私も十分配慮していきたい、かように考えております。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 これらの統廃合にあたって、ただ人口規模であるとか、ないしはその地方の産業の状態であるとか、こういうもののみを基準にはしない。できるだけそういう過疎状態の地域における諸官庁のあり方等も含めて考えられるということでありますから、原則は私はそれでけっこうだと思うのであります。  そこで、具体的に少しお尋ねをしてまいりたいと思いますが、法務省の中でも、特にお話のありましたように、登記所の仕事というのは最近の社会状態、経済状態の変化に伴って、その仕事内容というものあるいは登記件数というものが非常にふえているということは、私が申し上げるまでもないところであります。法務省のお出しになっておるパンフレットを見ましても、昭和二十五年当時から四十五年あるいは五十年に至る大体の傾向を見ましても、たいへんな事務量の増大であります。こういうふうに現実に事務のボリュームというものが非常にふえ、仕事内容というものが複雑になっておるにもかかわらず、実際何が問題かといえば、それに伴って、それを処理する人員の配置がきわめて不十分であるということに一つは原因するのではないか。登記所の仕事というものは、これは何も政治的な意味において、いろいろなことを顧慮する必要はないのであって、要は住民、国民に対して登記事務というものを敏速かつ正確に行なうということが十分であればいいわけです。それを満たしていない一番の欠点は何かというと、いま申し上げた、事務量増大に伴う人員の配置が適当ではない、比例をしておらないというところに根本原因があるのじゃなかろうかと私は考えるのであります。その点は一体大臣どうお考えになりますか。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 全般的にいえば、あらゆる問題について、経済活動が、国全体の規模が非常に大きくなりまして、それに対して人手が足りなくなったという大前提があるわけであります。そこで登記事務の問題でありますが、国全般としましてできるだけ公務員の数も減らさなければならぬ。これは、民間においても経済規模の拡大に相応しただけの人員は得られないのであります。そういう意味合いからいたしますと、やはり国全体の要請にはこたえなければなりませんが、したがって全般として減員はやっておりますが、個々に増員をして、究極においては、差し引き増員をしておるというようなことでありまして、それは結局ずいぶん人員の節約をやりながら、なおかつ人員を増加していかなければならぬというような事情にあることは当然でありまして、そういう意味からいたしまして、私は何も現在の増員が十分であるとも思っておりません。ただ、現段階におけるいろいろな事情から考えますと、これで満足をしていかなければならぬ。この定員によって、この配置を最も合理的に使って、全般的にどうすれば総体としての能率がいかにあがっていくかということで考えていかなければならぬと思うのであります。したがって、そういう意味合いから、全部の人になかなか満足を与えるというようなわけにはまいりません。私も過疎地帯の登記所も見、また東京の渋谷などの登記所も見ておりますが、全く手狭であり、しかも人手が足りないので、全般的に国民の皆さんに非常な不便を感じさせておるというような感じがするのでありますが、その点は今後もなお努力をしていきたい、かように考えておるわけであります。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 夏ごろそれらについての扱いの基準というものをきめられるということでありますが、資料によりますと、いま登記事務を扱っておる登記所というのは全体で千七百六十七ということになっておりますが、この千七百六十七、平均いたしまして二つの市町村に一カ所というのが現在の配置であります。いま大臣もおっしゃったように、この種の、地方における大体多くて三人といった規模の登記所は、前段申し上げましたように、いなかといえども登記事務というのは急角度にふえておる、そういうことで、なかなか一人、二人、三人の人員では対応できない。忙しい中を登記事務に参りましても、短時間で敏速に十分になかなか処理はしてもらえないといったような不便もわれわれもしばしば聞きますし、お説のように庁舎も悪い。しかしながら、これは国民の財産、権利に関する重要な事柄でありますから、いささかも誤り、いささかもそれに対する過誤というものは許されない。こういうことを考えますと、一言にして言うならば、合理化という名によってどうやられるのか、まださだかにはわかりませんけれども、しかし、事務はふえておる、人員は何としても押えるわけにはいかぬということになると、この合理化というのはおおよそ私は見当がついてくる。そうなら、数を減らしてどこか一カ所に集めるというふうな発想につながっていくのではないかと思うが、私はそういうことは必ずしも住民に対する行政官庁としてのサービスではないと思う。役所の机の上ではそういうことを考えれば非常に便利なように見えるが、そのためにいままで全国、二カ所の市町村の中に一カ所あったものがなくなる。これはたいへんな不便を与える。いろいろ合理化といえば、数を減らしてできるだけ人員のたくさんいる、りっぱなそういう役所をつくって、そこで近代的にやりたいという発想が、えてして人間の頭の中には描かれやすいのであるけれども、しかし、それをやった結果が一体どうなるか。私は決して事務の能率化でもなければ、また、地域住民にサービスとして奉仕をするというゆえんでもなかろうと思うので、夏ごろおきめになるというのでありますが、いま私が申し上げましたようなことを踏まえると、一体どういう方向にこれを、あなたのおことばをかりて申しまするならば、合理化しようと考えられているのか。この点について何がしの具体的な案があるならば、ひとつお聞かせを願いたいと思います。

住吉君彦法務省民事局第一課長

○住吉説明員 事務当局から御説明をいたします。  ただいまの統廃合による合理化の基準というものをどのように考えておるかという御質問でございますが、先ほど大臣も申しましたとおり、大臣の諮問でございます民事行政審議会というものがございます。この審議会に現在大臣から諮問をいたしまして、その答申を待っておりますが、その審議会の委員には地方自治団体の各種団体の代表の方々も入っていただきまして、いろいろ御意見を伺っております。したがいまして、現在二カ町村を一登記所が管轄している、それがどういう基準でもって幾らになるのか、登記所の数が千七百あって、それが統廃合によって最終的に幾つになって、そうして一登記所当たり何カ町村を管轄することになるのかという御趣旨でございますならば、ちょっとこの時点でまだ結論を得ておりませんので、これは民事行政審議会におきまして十分意向を徴しました上で結論が出されるものと考えます。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 機械的に減らすことは、私はまっ向から反対であります。これは明治以来ずっとやってきて、社会情勢も非常に変わっておるから何か考えたらいいだろう、えてしてそういう考え方に立ちやすいのでありますけれども、実際の登記事務というのは一番の末端行政ですから、これに不便が起きるようなことでは、これは何をやったってだめなんです。だから、私の言わんとするところは、むしろそういう末端行政を強化しなさい、中央に役人をたくさん集めたって実際の末端行政のサービスには必ずしも十分とはいえないのです。それぞれ地方にあって、近いところで住民が便利、お役所をやっている人は、それこそぞうりをはいてしりからげて走っていってもちゃんとそのことが足りるというのがほんとうの住民サービス、そういう意味でいままでこの地方にある市町村二つ一括一カ所が管轄するという式は、これは非常に助かっているのです。  例を申し上げましょう。たとえば私の郷里に、これはもう過疎地帯の尤たるものでありますが、熊野川というこれは有名な川があります。その上流にいわゆる観光地としても有名な瀞八丁がありますが、その地方を管轄している地域に本宮というのがございます。これは昔の歴史的にいいますならば、熊野三山のいわゆる奥地の中心地、ここに登記所がございます。何か伝え聞くところによると、こういうものも一つのそういう整理統合の対象になっていくのじゃないかということを関係市町村住民は非常に心配しているわけなんです。こうした奥地の町といえども最近におきましての登記件数、扱い件数というものは累増いたしております。しかもそういう地方には、これらはすべてやはり法律的知識を前提にした問題なんでありますから、いろいろ相談をいたしますにも弁護士の人はおらない、ほかの諸官庁も数は少ない、やはりたんのうな登記所の皆さん方にいろいろなことを聞いて、実際の登記の問題以外にも地域としては長い間これはたいへんに便利をしておるわけです。そういうものがもしここでなくなるということになると、これは一体どうなるのか。  交通は便利になったと大臣はおっしゃいましたけれども、確かに便利になりました。しかし、いまの一カ町村の規模というのはたいへんなものなんです。これは申し上げるまでもなく、一カ町村の範囲というのはたいへんなものです。ここがもし廃止されたとするならば、これはあとで伺う簡易裁判所とも同じことなんだと私は思うけれども、その熊野川の最も下流の町である、下流の市である新宮市まで行かなければならぬ。車でそのまま行ったといたしましても優に一時間半かかります。そういうことが、一体地域住民の便利、合理化といえるのだろうか、ここに私は大きな疑問があるわけです。ですから現に仕事の内容がふえてき、地方の住民が便利をしているものに、しかもまたそれがなくなっては困る、強く地域の人たちが叫んでいるものに、さおさしてまで合理化の名によってやる必要はさらさらない。これは一つ具体的な問題を指摘したわけでありますが、そういうことについてもどういうふうに考えられているか。  もう一つ申し上げましょう。過疎地帯における過疎対策というものは、いろいろ工場誘致をやりましたり、あるいは人口の流出を防ぐための施策をやったり、あるいは奥地山村でありますと、林業政策その他に新しい産業をそこへ興していくといういろいろな施策、教育上には奥地山村の僻地教育というものの振興も考えられております。こういう各般の目に見える政策と同時に、一つにはやはり心理的な問題があるのです。いままで長い間この町にはこういう出先の官庁があった、こういうような施設もあった、それが一つ一つ、たとえそこにおられる人が一人二人であっても、その官庁がどんどんなくなっていくことは、その地域住民には非常なさびしさと非常な不便さを与え、これが過疎を促進するのです。だからせめて私は、国がやれること、国の政策でやれることは、過疎対策として現実にやっていくべきだ。にわかにその過疎地帯を一ぺんに都会にするなんということは、発想があっても、現実にはそういうことはむずかしいのです。工場誘致をするといったって、そう簡単にはいきません。隗より始めよであって、そういった具体的な、少しでも心理的に過疎状態というものをなくする、少しでも住民が、ここにおってもこういう便利があるということで足りている問題については、政府としての施策の中でその配慮を加えて、存置すべきものは存置していくというようなことが必要だと私は申し上げているわけなんで、いま申し上げました本宮の例なんというのは全くそのとおりだと思うのです。どういうふうにいま検討されておりますか。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 具体的な問題につきましては、あとで説明員からお答えしますが、もちろん基準でありますが、具体的にその地域、地域の特質なりいろいろなことを考慮に入れて、実行に移す場合にはやっていかなければならぬことは当然でありまして、ただ形式的にこうだからこうだというような考え方は、私も持っていないのであります。  具体的の問題につきましては、説明員から答弁をさせます。

住吉君彦法務省民事局第一課長

○住吉説明員 決してこれはおことばを返す趣旨ではございませんが、思うように増員ができない、それの苦しまぎれの対策として合理化の名において登記所の統合をするのかということでございますとするならば、それはごうもそういうふうには考えておりませんので、私どもも戦後農地解放を経験いたしまして、登記事務量がどんどん加速度的に急増してまいっております。それに対応する対策といたしまして、省力化と申しますか、特にその顕著なものは、従前謄本を職員の手書きで発行しておりましたが、複写機の開発、普及に伴いまして、これを機械によって複写をして謄本を出す、あるいは台帳登記という二本立ての制度を一本化いたしまして、省力化をはかる、その他いろいろ法令を改正いたしまして、できるだけむだを省くということでやってまいっております。  それと合わせて、登記事務量は過疎、過密のいかんにかかわりませず、やはり国土全体がゆれ動いておるといいますか、ということで、山間僻地の登記所といえども事務量はふえてきております。ただしかし、それを相対的に見ますと、過密地帯、特にいわゆるドーナツ現象と申しますか、大都市の周辺部の増加率というものが飛躍的に伸びておりまして、そういう地域に勤務する職員は、たとえばこれは私どもの固有のことばでございますが、登記の甲号事件という、いわゆる登記簿に記入する事件でございますが、これを年間一人当たりで三千件強負担をしておる。ところが、あるいは千件とかあるいは二千件という負担割合のところもあるということでございまして、そこらの職員の、何というか勤労の密度というものをできるだけ平均化したいということが一つと、もう一つは、えてして一人庁、二人庁という小規模庁におきましては、あやまった登記がなされる危険性が多うございます。どうしても一人ですべての登記を所掌するということは、件数のいかんにかかわらず、ときに間違った登記がなされるということもございますので、でき得べくんば複数の処理体制をしいて、そして相互牽制あるいは分業処理ということによりまして、全国的に激増する事件を迅速にかつ正しく処理をしていきたいということでございます。  それから、具体的に本宮の登記所というものが将来どうなるのか、これは先ほど申し上げました民事行政審議会の結論がまだ出ておりませんので、この時点でどうするというふうにお答えするわけにはまいりませんが、いわゆる僻陬の地といいますか、そういうところ、離島であるとかあるいは陸の孤島といわれる交通不便な地域、こういうところにつきましては、これは一人庁といえども尊重しなくてはなるまい、このように考えております。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 いまお述べになりましたことは、私は一般的にもちょっと理解しにくいのです。それは過疎といえども事務量がふえておる。ただ、そのふえ方が都会地のほうが非常に多くて、一人の平均件数が三千件にのぼっておる、だからこうするんだという理屈には私はならぬと思うのです。それは都会は都会で大いに省力化すべきでありましょう。それはいまの時代ですから、実際昔からやっておるような方式は、これはもう時代おくれには違いない。それは大いにやったらいいと私は思う。同時にいなかのそういう一人庁、二人庁、三人庁といったような地域においても、私は省力化は必要だと思っているのです。これもやってもらわなくちゃ困ります。ただ都会地、過密地帯、ドーナツ地域の一人当たり事務量がふえたからそれを平均化するために、その犠牲にいなかがされるというようなことは、これはとんでもないことで、そういうことはひとつやめていただきたい、私はこう思います。  まだ具体的な結論が出てないようでありますから、これ以上私もお尋ねをしませんけれども、要はもう少し突っ込んでくふうをしていただきたい。また、ただ人員がふえて、官庁がりっぱになり、機械化されたから、それで私たち国民は便利だとは必ずしも思わぬのです。大きな官庁に行ってごらんなさい。子供を背負った奥さん方がたまたま登記に行く、どの窓口に行っていいかわからない。むしろその不便のほうが大きいんですよ。これはただに官庁だけじゃありません。銀行だって、大銀行へ行って、あっちの窓口に回され、こっちの窓口、さあ二階に上がってくれ、こっちへ行ってくれ、こういう不便が現在の日本の、何といいますか合理化という名において行なわれている集約の問題にあるのです。住民の便益というものはそういうことじゃない。わかりやすく親切に、しかも短時間に正確であるということが必要なんです。そういう観点でやるべきだと私は思うのです。だから、ただ大きくすることがいいんだ——それはテレビのコマーシャルで、大きいことはいいことだとは言っているけれども、私は必ずしもそう思わない。その点を十分留意して、ひとつ登記所の問題も、これは審議会でおやりになるのでありましょうけれども、法務省としての見解も、前段申し上げました全国を均衡に発展させるという、そういう意味での過疎対策を頭に置いて考えていただきたい。あくまでも住民がどうすれば便利か、どうすれば正確に行なわれるか。それには省力化が必要でありましょうが、そういうことをあわせ兼ねて、ひとつほんとうにだれが見ても納得のいける、そういう扱いをぜひしてもらいたいと思う。大事なことは、やはりそういう点について、現在所在している地域住民の意向に反しないということ、これが私は政治的にも行政的にもきわめて大切な点だと思うので、そういうことも、最終的に具体的に実行の段階に入られるときには十分加味されることが肝要だということを申し添えておきたいと思います。  同様の問題でありますが、これは最高裁の所管であるそうでありますから、お尋ねをいたしてまいりたいと思うのでありますが、最近、やはりいまの登記所と同じような傾向の中にありますものが簡易裁判所であります。これの私の申し上げる趣旨も、前段、大臣にお話をいたしましたとおりであります。いま簡易裁判所で、あなた方がそれぞれ整理統合をしなければならぬと考えておられる件数というものは全国でどの程度ありますか。

長井澄最高裁判所事務総局総務局長

○長井最高裁判所長官代理者 具体的に、簡易裁判所を整理統合する庁数というものを検討いたしまして数字を出したということはございません。ただ、裁判所法三十八条の規定によりまして、法律上設置すべき数が五百七十になっておりますけれども、そのうち十五庁は、いろいろな事情でその事務をもよりの簡易裁判所に取り扱わせて、実際に開庁していないという数字が参っておるわけでございます。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 これは、いまおっしゃった裁判所法の三十八条に基づいて、それぞれの地方裁判所のいわゆる裁判官会議がきめるということになっておるようでありますが、最高裁としては、そういう点についての指導はなさっておるんでしょうね。

長井澄最高裁判所事務総局総務局長

○長井最高裁判所長官代理者 もちろん地方裁判所の決定でございますけれども、最高裁判所がその可否については十分検討をいたしまして、了承をしたもののみでございます。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 そういたしますと、地方裁判所の裁判官会議できめてきたことについて、最高裁としてアプルーバルを出されるということですね、要するに許可。それについて最高裁が合意せざるものは、それは法律改正の対象にはなってまいりませんね。

長井澄最高裁判所事務総局総務局長

○長井最高裁判所長官代理者 司法行政と申しますか、管理行政上の問題でございますから、もちろん最高裁判所が承認いたしませんものを地方裁判所が決定いたしても、それは効果のないことでございます。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 いまお話の十五カ所については、それは全部その裁判官会議での内定というか決定を見ておるものですか。

長井澄最高裁判所事務総局総務局長

○長井最高裁判所長官代理者 そのとおりでございます。十五カ庁のうち八カ庁は、法律に設置すべく定められましたにかかわらず、当初より開庁できないで今日に至っておりますもの、残り七カ庁はその後のいろいろな情勢の変化によりまして、その事務をもよりの簡易裁判所に移して処理させることが適当であるということになりまして、その土地の了承も十分得ました上で事務の移転をし、もとの庁を閉鎖しておるというものでございます。  なお、もう一つつけ加えますと、そのほかに東京都内で簡易裁判所の改築がただいま進行いたしておりますので、仮庁舎が所在地に得られない場合に、一時的に一年間だけ事務移転をしておるという庁が最近常時一カ所ございますが、これは一年ごとに解消いたしておりますので、十五のうちには計上いたしておりません。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 その七カ庁の法律手続はいつとられましたか。

長井澄最高裁判所事務総局総務局長

○長井最高裁判所長官代理者 これは移転を必要とした特別の事情が発生した時期に応じまして順次なされましたので、当初開設しなかったものは昭和二十二年の五月以来でございますが、それ以外のものは、昭和二十三年、昭和三十年、昭和三十九年、昭和四十三年というように、時期的にはいずれもばらばらになっております。またその原因も、火災であるとかあるいは庁舎の返還を求められて、代替の敷地ないしは庁舎の獲得が困難で、閉庁のやむなきに至ったというような、いろいろな事情が後発的に発生したために、事務の移転をして当該庁を閉鎖したというような関係になっております。御必要ならば詳細に申し上げます。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 先ほど申し上げました登記所と同じ地域にある本宮の簡易裁判所は、何か事務移転を計画せられているようでありますが、どういう経過でそういうことになったのか。

長井澄最高裁判所事務総局総務局長

○長井最高裁判所長官代理者 本宮の裁判所は、簡易裁判所制度ができました昭和二十二年の五月に設置をされ、その後新しい庁舎も建築されたのでございますけれども、当初は簡易裁判所にふさわしい事件数もございましたが、その後、市町村の配置分合等によりまして、管轄の区域の面積が半減するというような事情、先ほど来御指摘のような過疎化の現象等に伴いまして、出発当初の事件数が今日ではその八%ないし六%程度に減少のやむなきに至っております。事件数の増加につきましては、権利の救済につながるものでございますので、いわゆるPRにもつとめたのでございますけれども、昨年の昭和四十六年には調停事件が一件と、道路交通関係の略式事件が十三件というわずかの事件になっておるわけでございます。その間、警察署も新宮のほうに移転されまして、令状関係の事件はすべて新宮の簡易裁判所で処理されることになり、民事訴訟事件も訴訟事件として全くなくなりましたので、取り扱わないような措置になってしまったわけでございます。  で、検察庁のほうは、事件数が少ないために、移動的に職員を派遣して処理するという体制を当初からおとりのようでございますが、このような事情がございます上に、交通事情が国道一六八号線の開通によりまして、従来、河川利用の長時間を要した交通関係が一時間ないし一時間二十分程度で新宮に往復できるということにもなり、また熊野川、十津川等のはんらんでたびたび庁舎が水害の被害を受けまして、そのつど修理に努力いたしてまいりましたのですが、そういう事情から、職員の執務上の安全というような問題も出てまいりまして、職員の配置につきましてもいろいろ優遇措置を講じて赴任してもらっておりましたのですが、最近は、いやなことばでございますが、強制配置転換をしないと書記官に赴任してもらうことが困離だというような事情まで出てまいりまして、現在一人の職員はその土地の住民でございますけれども、重要な書記官の配置についても非常な困離を生ずるというような関係になりましたので、土地の方の司法的な救済に不便を来たさない措置さえとれば、必ずしも庁舎という形で裁判所を維持することが適当であるかどうかというようなことが話題になりまして、昭和三十八年以来たびたび調査をし、地元の方々、関係機関の意向も確かめたわけでございますけれども、今年の三月十一日に裁判官会議で、これ以上犠牲を払っても庁舎の形で本宮の簡易裁判所を維持することはいろいろな観点から適当ではない、むしろ調停事件等ができました場合には、現地に新宮あるいは本庁から出張して事件を処理する、また法律の相談につきましては、毎月一回職員を派遣いたしまして、そこで法律相談に応ずるというようにして、裁判所の利用の点について地元に御迷惑をかけないというような措置を講ずることとして、事務の移転をするという決議を和歌山の地方裁判所で行ないましたので、四月一日から新宮において、従来本宮で扱っていた事件の処理を承継することを最高裁判所としても承認いたさざるのやむなきに至ったわけでございます。  したがいまして、本宮の町における事件の処理につきまして、従来に比べ格段の不便をおかけするというようなことは今後もないものと考えておりますし、事務移転をいたしまして、その後の処理状況をしばらく検討してまいりたいと、このような考えに到達いたしたわけでございます。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 いままであったものがなくなって便利になるという道理はないのです。あなたが不便をかけないなんて言ったって、それはいままであってやれていたものがなくなって、それで便利になるなんていう理屈はどこの世界に行ったってこれはありません。しかも、私はいま過疎地帯の気持ちに立って考えると、ほんとうにこれはたまらないものがある。だんだん人が減ってくる、だんだん不便になる。そうなるとまずまっ先に官庁が逃げ出す。悪いことばでありますが、はっきり私は申しましょう。だんだん官庁が逃げ出す、官庁が逃げ出せばそれに伴うてやはりまた出ていくものがある、この悪循環をやっちゃいかぬというのが私が冒頭大臣に申し上げた趣旨なのです。それにはいろいろなくふうが必要かもしれません。たとえば、役所にはいろいろなわ張りがありましょう。考えによればそういうなわ張りを捨てて、ひとついろいろな役所が一つになろうじゃないかといって、過疎地帯の中に総合的な——いま都会ではそれをやられている、そういうことを全体としてやれば、私は十分——この問題だって発端は、いまいみじくもあなたが言われました、大災害は何回も受けています、庁舎もおんぼろです、おそらくわずか定員二、三人のところでいまさら庁舎を建ててくれといったって、きょうは大蔵省はおりませんが、なかなか大蔵省は承知すまいということも、私はその辺の事情はわかる。わかるが、それをあきらめてだんだんだんだん撤収をしていくということでは、一体過疎住民はどうするのかということですよ。それならば、一つの官庁で無理ならば、登記所も、場合によりますとそれに関係するいろいろな役所も、一つの庁舎の中で便利なような事務体制をとったらいかがなのですか。そういう発想こそがほんとうの過疎対策、それがないから一つ一つ警察も引き揚げた、検察庁もどうかいたしました、簡易裁判所もそういたしましょう、ついでに登記所もなんということにこれはなりかねぬのです。  それともう一つ、これは大臣、大事なことなんですが、いまもお話がありました、確かに個人個人からいいますると子供の教育もあります、文化的な生活も営みたい、みんなそれを欲するでありましょう。だから、できるだけ便利なところに行きたい——なかなか土地の住民は行けないのですよ。しかし、役所の方々は転勤ということでそういうことが可能だ。しかし、そういう不便なところにもおってもらわなくちゃいかぬ方々が行政の中にはずいぶんと多いんです。必要です。きのうも私は気象関係にも申し上げました。気象関係が大都会のまん中でそれをやるということになったならば、これは意味をなさぬ。ですから、そういうところへ行っていただく方々に対して、せめてもう少し行っていただきやすいような処遇、行っていただきやすいような配慮、こういうものをいま少し加えていけば、ある程度私はがまんをしてもらえるのじゃないかと思うのです。そういうことがないからとてもじゃないけれどもと、こう言う。災害で生命の安全が期しがたいなんていうことになると、地域の住民がおこりますよ。おれたちは行きたくとも行けないんだ、住んでなければならぬ。そういうことはおっしゃるものじゃありません。まあしかし、この問題につきまして現状そういう形で進行せられておるようでありますが、事務移転なんていうのは私もちょっと疑問があるのです。庁舎や建物や土地がそのまま残っておる。一体そのまま残っておる。一体そのまま残してこれどうするのかというような問題も一つは今後の問題としてあるわけですけれども、なろうことならば、私は、すたこらさっさと過疎地域からだんだん役所が影を消していくということのないように、一つ一つが地域住民につながっているということを前提に置いて検討すべきじゃないか、こう思うです。行政というものはさいぜんも申し上げましたように、やはり地域の住民の協力、便益ということが基礎なんだということを絶えずそういう場合に考えていただきたいと私は思うのです。こういうやり方については私どもは納得ができませんし、大いに不満であります。日本は、便利なところだけが日本じゃないのでありまするから、経済的にあるいは人的に、多少の犠牲を払ってもやはり行政をすみずみまで行き渡らせる。そうして住民の便利にできるだけ供していく、そういうあたたかい、親切な行政のあり方をまずもってこの種の問題から徹底をしてもらいたいというのが私の本旨であります。  最後に大臣、いま申し上げましたように、過疎地帯にがんばっていただける職員の処遇、あるいはいま申し上げましたように、多少の、庁舎をつくるにはわずかの人だからということで、犠牲もあるでしょう。そうなれば、総合的にひとつそういう地域に総合官庁をつくる、総合的な出張所をつくるというような構想に一歩進めて考えていただきたいと私は思うのでありますが、そういうことについて御検討をいただけるかどうか、最後に承っておきたいと思います。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 要するに問題は、率直に申しまして程度のということになると思います。もとより、地方住民のことを考えて行政はいかなければならぬのは当然であります。また、率直にこれも言わなければなりませんが、司法官が全体としてなかなか得られないというような事態、これは待遇の問題と一がいには片づけられないのでありまして、容易に裁判官も十分得られない、こういうような事情もありますので、したがって、その全体を合理的に使わなければならぬ。しかし、何と申しましても住民の利便ということはやはり大事な問題であるということだけは頭に入れて、結局まああれこれすべてを勘案して、そうして最後的な結論を出すということになるんじゃないかと思います。御趣旨については十分われわれも考えていき、また検討していきたいと思っております。

長井澄最高裁判所事務総局総務局長

○長井最高裁判所長官代理者 御趣旨は十分にわかりましたので、帰りまして上司に十分お伝えいたしまして、そのような配慮にも努力いたしたいと存じております。

森田重次郎自由民主党

○森田主査 次に小林進君。

小林進日本社会党

○小林(進)分科員 私は司法試験漏洩問題について大臣にお伺いいたしたいと思うのでございますが、時間が三十分でございまするので、ひとつ簡潔に御答弁をいただきたいと思います。  司法試験の漏洩問題は、戦後におきましても、大きなもので昭和二十八年あるいは三十四年等の問題が起きておりまするが、いずれも的確な証拠は出ていないようでありまするけれども、被疑十分というところでございます。なお加えて、これは毎年受験生の中から、大小にかかわらず試験問題の漏洩が出てまいりますので、基本的には制度に欠陥があるのかあるいは管理委員会における試験委員の人選その他に欠陥があるのか、あるいはまたその選んだ試験委員に対する処置のしかた、いわゆる管理委員会の下における行政官、そういう諸君の思い上がった態度があるいは問題を拡大しているのか、これは基本問題でございまするから、いずれ大臣のほうで十分御研究いただくことにいたしまして、私は次に、具体的問題に入っていきたいと思うのでございます。  昭和四十六年の十月一日であります。昨年度の司法試験の合格者が五百三十三名ということで発表になりました。その翌日に、これは中央大学の真法会の会長である向江璋悦さんといいますか、その人から、管理委員会に対しまして、管理委員長、いまの法務事務次官の津田さんでありますけれども、それあてに向かって要望書が提出をされました。   昭和四六年度司法試験論文式試験終了直後論  文式問題について、東京大学関係者より事前に  試験問題が漏洩したのではないかとの噂さが  あったので、本会では第三七回司法試験答案練  習会幹事長司法修習生兼平雄二君に命じて調査  させたところ、そのような事実を的確に立証す  る資料を蒐集することは出来ませんでしたが、  若干司法試験の公正を疑わしめるに足りる程度  の材料が出て来ましたので御参考迄添付致しま  す。今後かかることのないよう特段の御配慮を  賜わりたく要望致します。こういうのが出まして、そして別封に具体的な要項が添付されていったわけでございまするが、こういう問題に対して、大臣は事実をお知りになっているかどうか、御答弁をいただきたいと思うのでございます。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 司法試験の漏洩というような問題がありましてはたいへんな問題でありますし、冒頭にお話しのとおりに、これはわれわれもよほど管理なり運営について注意をしていかなければならぬ問題だと思います。昨年の十月でありましたか、ただいまお話しのような問題があり、また、そういうような申請が出ましたことは、私も承知をいたしております。そして、次官が管理委員会の委員長でありますが、いろいろ調査しました結果、そういう事実はなかったということで、この申請者といいますか、お出しになっている方もそれをお認めになり、この問題については無事落着したことを聞いて、私も安心したようなわけでありまして、十分承知いたしておるつもりであります。

小林進日本社会党

○小林(進)分科員 いまの大臣の御答弁は、問題が落着したというふうな御答弁でございましたけれども、実は私のところへはその後幾通もこの問題がくるのであります。何で一体国会で問題にしないのか。それは一関係者の向江さんが所属している中大だけじゃない。ほかの私立大学からもずいぶんくる。投書も来れば本人がみずから私の部屋まで来る。何でこういう顕著なる事実を国会で取り扱わぬかというので、私もその応対にいとまもないくらい忙しい思いをしている、そこで出たわけでございます。  そこで、いろいろなケースが来ている。来ているけれども、そう広げたんじゃ三十分の時間に間に合いませんから、その向江さんの要望書に基づいて私は言うのでありまするけれども、これは一つの例として私は言うんです。  その要望書の中に具体的に七つの項目が上がっている。その七つの項目の中の一つだけにしぼって申し上げますと、これは東大の竹内という商法の教授の場合です。昭和四十六年の七月一日から五日間にわって論文試験が行なわれた。その試験委員である東大の竹内教授が、試験問題がもうできたあとの六月の二十六日に東大において補講というものを行なわれたわけですが、手形、小切手の異同ということに対する講義をおやりになった。   〔主査退席、大村主査代理着席〕 その講義と、司法試験の論文試験との間に——司法試験の論文試験の中には為替手形、約束手形及び小切手の異同を論ぜよという問題が出ているのであります。もちろん講義ですから、一時間半なり二時間なりやられたのでありましょうから、その問題そのものではないが、高文の論文試験と、講義の中における一こまとがきちっと符合しているという、こういう問題なんであります。この問題について私もあらゆる調査をしてみましたら、やはり専門家は言うんだ。その向江さんの要望書に添付された資料だけから——これは全部何もなし、資料だけから純粋に判断したときには、あまりにも問題は符合し過ぎているじゃないか、一致し過ぎているじゃないか、こういう専門家の声が私のところへ寄せられているわけであります。こういう問題に対して——私は、きょう津田さんが来れば、管理委員長ですからお聞きすればいいのですけれども、かぜかなんか引いてお休みだというから、お聞きするのでありますが、大臣ここまでおわかりにならぬと思いまするから、ひとつ管理委員長にかわるべき事務担当者に御答弁をいただきたいと思うのであります。

藤島昭法務大臣官房人事課長

○藤島説明員 法務省の人事課長でございまして、司法試験管理委員会の事務局を私ども人事課で担当いたしておりますので、委員長にかわりまして私から御説明申し上げます。  ただいま具体的な、東大竹内教授の講義の内容と司法試験問題との関連について疑惑があるというお尋ねがございました。私どもで調査をいたしました結果、東大の竹内教授は、昨年の商法担当の司法試験の考査委員でございまして、また、司法試験の論文式の試験問題に、ただいま……(小林(進)分科員「それはもうほとんど聞いている、そんなこといいよ、そのものずばりで返事してくれ、時間がないんだから」と呼ぶ)為替手形、約束手形、小切手の異同を論ぜよという問題が出たわけでございます。  そこで、調査いたしましたところ、東大の商法二部の講義が六月に開設されまして、そして六月二十六日の講義で、商法二部の最初の手形、小切手関係の講義が行なわれたわけでございます。その席上、手形とは何か、小切手とは何かという講義が行なわれております。しかし、この講義は、商法二部の最初の講義でございまして、これから商法二部の講義を聞こうという新しい学生を対象とした講義でございますので、手形とは何か、小切手とは何かというような基本的な問題を講義するということは当然考えられるわけでございます。  そこで、司法試験の問題はすでにその段階において決定されておるわけでございますが、この司法試験の問題と申しますのは、竹内教授が単独でおつくりになったものではございませんで、考査委員六人が合議の上でおつくりになった問題でございまして、たまたま商法の最初の講義の段階でそういう基本的なことを説明したにすぎないということで、特に講義の席上、これが司法試験の問題に出るとか、一切そういう示唆はございませんし、たまたまそういうような関連になっていたということでございまして、私どもは……

小林進日本社会党

○小林(進)分科員 いまあなたの答えられたことの大半はぼくは聞いているのだから、私の問題だけに答えてくれればよろしいですよ。  六月二十六日のその講義の中に、それは初歩だか中等だかわかりませんが、その初歩の講義の中に、試験問題に出たものと相符合する一点がちゃんと述べられている、こういうわけです。いいですか。この問題だけすぱり出して、教授が出て行ったということじゃない。その講義が初歩かどうか知らぬが、その中にすぱりとその問題が入っておると、巷間多くの人がその疑点を持っている、こういうことなんですよ。だから、もしあなた、そんな自信があるんなら、その六月二十六日の竹内さんの講義速記録か、あるいは録音があるでしょうから、ひとつ資料として出してください。あなたがそれほど自信があるならばですよ。よろしゅうございますね。それをひとつちょうだいいたしましょう。——ちょっと待ってください。出してください、時間がありませんから。  それから、いま一つあなたに言いたいことは、あなたのことばには、絶対にそんなことはありませんと言っている。絶対ありませんなどという確信がどこから出てくるのか。向江さんの言われておる要望書の概要もここにあるのです。その中にはこう言っているんだ。事前に問題が漏洩いたしたという証拠は出なかった。これはあくまでも、いままで試験問題は必ず繰り返しているけれども、確かな証拠というものは出たことがない。また、出たらたいへんですよ。それは法務大臣が言われるように、実際に証拠が出れば、それは全部白紙に戻さねばならぬし、合格者も全部ゼロにしなくちゃならぬし、それは天下がくつがえるような重大問題なんでありまするから、出ないのがあたりまえなんだ。出たらたいへんなんだ、そんなことは。しかし問題は、証拠が出たとか出ないの問題じゃない。しかし、司法官試験の出題が公正を疑わしむるに足る程度の、疑義がある程度の材料を得た、疑義があるというのが問題なんであります。こういう最高の試験というものは、いやしくも李下に冠を正さずですよ。ほんとうにだれが見ても疑いのないような公正な形で行なわれなければならぬではないか、いささかでも疑いがあるということに私は問題がある、こう言っているんですよ。あなたは絶対にないとおっしゃるけれども、疑いがあると言う者が多いのでありまするから、そこら辺を先ほどから、冒頭に言ったように、どこかで少し反省をしてみる必要があるのではないか。制度の点で反省するか、試験官任免の点で反省するか、あるいはあなた方がやっている事務官の点で、問題の処理の点に反省する点がないか、私はそれを言っている。しかし、いままでの経過を見ていると、こういう疑義をはさんでいる諸君がみんな悪いのであって、こちらの側、疑義をはさまれるような材料を提供したいわゆる教授の側、東大の試験委員の教授の側、それを処理したあなたたちの側においては、一分一厘といえども間違いもなければ反省の材料もない、絶対正しいのだという、一方的に相手が悪いのだというものの言い方なんです。私はこれを問いたいのですよ。あなたは、いまでもその確信でいられますか。一点の反省の余地はないんだ、疑義なんかはさんだほうが悪いんだ、こういう確信を持っていられるのですか、私はそれを聞きたいのです。

藤島昭法務大臣官房人事課長

○藤島説明員 司法試験管理委員会といたしましては、試験の公正というものを期する観点から、いやしくも公正に疑義を招くようなことがないように細心の注意を払っておるわけでございまして、考査委員にも、いやしくも疑惑を受けないよう十分に注意願いたいということを委員長から機会あるごとに申し上げておるわけでございます。  ただいまの竹内教授の具体的な点でございますが、ちょうど東大の講義が学園紛争でおくれまして、たまたま六月になったわけでございます。そういうことでございまして、商法二部の最初の講義ということになりますと、全部そういう小切手、手形とは何かというような講義から始まるわけでございまして、たまたま試験問題が符合したというふうに私は考えております。要するに、論文式の試験問題は学校で教える中から出るわけでございますから、たまたま符合する点があるわけでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)分科員 ともかくこの向江要望書に対するいまの管理委員長の答弁書も私は見ているのです。その調査をした事実調査の結果について、あなた方の答弁書を見ているのです。その中の冒頭に何と言っているか。事実関係はそのとおりであるが云々と書いてあるんだ。事実関係はそのとおりだ、その事実について疑義があると言っているんじゃないですか。その事実の点について疑義があるという、その事実については、あなた方同じだと言っている。あとは主観の問題だよ。主観の問題に入るならば、いやしくも多数の人たちが疑いがある、疑義がある——証拠があるまでは言っていないけれども、疑義があると言ったら、あなたたちの立場で、間に立ってものを考える必要があるじゃないか。事実関係がもう同じようなところまで来ているのならば主観論だ。それが、あなた方がその主観的立場に立って、おれたちのほうは絶対間違いないんだ、そんなことに疑義を持つのがおかしいというものの言い方自体が、私は官僚的な発想だと言うんだ。そういう発想である限り、ものの改革や進歩や反省なんというものはないということを私は申し上げている。いいですか、あなた。大臣いかがですか。聞いてくださいよ。何だったらひとつ御答弁いただきましょう。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 ただいま御答弁しておりますように、六人の委員で問題を出すわけであります。したがって、ただ一人の人が出すというような問題ではありません。また、講義の中でいろいろあったことが問題として提起される、これは当然のことでありまするから、ただ、その事実であるがという意味について、あなたのおっしゃっておるような事実を認めたわけではなしに、講義をやったという事実を認めたのじゃないかと思います。

小林進日本社会党

○小林(進)分科員 私は、試験問題を講義の中から出すとか出さぬとか、そんなことを一つも言っていませんよ。大学の教授はみんなやめて、実務だけの担当の司法官だけにまかせたらいいじゃないか、そんなことも、私は一つも言っていません。あなた方は、自分たちで設定して自分たちで答弁している。私の聞いたことだけに答えてくれればよろしい。客観的に大ぜいの人たちがこの事実に基づいて疑義がありというならば、その立場に立ってものを考えて問題をひとつ反省しながら、もっとよい方法を模索をしていくという謙虚な姿が必要なんじゃないかということを私は言っているのです。試験の出題が六人でやったとか一人でやったとか、私は一人でやったなんて言わない。竹内さんが一人でやったなんて一つも言ってはおりませんよ。だから、そこら辺、ひとつあなた方は、まだ省みていままでの制度、やり方に一つも反省するところがなく、これで十分なんだという御答弁ならば、私は、この第一問に対しては了承できませんから、問題はひとつそのままに留保いたしておきまして、また場所を改めてやります。  そこで、今度は第二問だ。第二問に私はひとつお伺いをいたしますけれども、これは試験委員の問題だ。十二月の十七日に戸田修三という商法の先生をあなた方は試験委員に任命をされた。「昭和四十六年十二月十七日 司法試験管理委員会委員長津田實 戸田修三殿」として、「拝啓 時下ますますご清適にわたらせられ、お喜び申し上げます。このたび、昭和四十七年度司法試験第二次試験考査委員の委嘱につきましては、別途貴殿の所属大学長を経由してご都合を照会いたしましたので、よろしくお願いいたします。なお、はなはだ恐縮でございますが、」云々ということになって、考査委員に委嘱をしている。ところが、これもまたおかしいんだ。これが十七日。これは二十四日、一週間もたたないうちに、同じく「法務省人試第一五〇号」どっちもこれは一五〇号だ。一体どういう一連番号をお打ちになるのか、これもおかしいが、同じ番号でお打ちになって、「拝啓 時下寒冷の候ますますご清適にわたらせられお喜び申し上げます。先日、貴殿に昭和四七年度司法試験考査委員をご委嘱申し上げる件につき、中央大学学長を通じ、貴殿のご都合をご照会申し上げましたが、その後、貴殿に考査委員をご委嘱申し上げないこととなりましたので、あしからずご了承願います。貴殿には、昭和三九年度以降司法試験考査委員をご委嘱申し上げ、その都度、司法試験に関する受験指導をお控えいただくようにお願いしていたのでありますが、今度、司法試験等の受験指導誌である受験新報新年号に「雑感−四六年度司法試験を顧みて」と題し、司法試験第二次試験の採点等にも触れた論稿を寄稿されておりますところから、この際、司法試験の公正な運営実施をはかるため遺憾ながら考査委員をご委嘱いたさないこととした次第であります。」云々とあります。  いま申し上げまする新報の一体どこの部分が抵触をするのか。時間がありませんから簡潔にひとつお知らせをいただきたい。

藤島昭法務大臣官房人事課長

○藤島説明員 中央大学の戸田修三教授が、受験新報の新年特大号に「四六年度の司法試験を顧みて」という一文を掲げておりますが、その中で、まず「論文式採点の感想、文章・文字に対する感想」という項目がございまして、その中で、こういうような表現がございます。「論文式答案につき、知っていることをなんでも書いて点をかせごうという気持の現われが推測できるものがあるが、その結果、論点がぼやけてしまうような答案は、やはりよい答案とはいえない。論点がよく整理されて、しかも緻密な理論によって突り込んだ答案は、考査委員にアッピールするよい答案といえよう。」要するに、どういう答案を書けば考査委員にアピールするかということを具体的に書いてございます。  それから次に、口述試験につきましては、口述試験の採点に触れておりまして、「口述試験で受験生が一寸失敗したと思っても、大体合格点がついているのであるから、一つの科目で失敗しても決して諦めないことである。したがって、結果的にみると、口述試験に不合格になった場合は、余程失敗したか、または一科目でも合格点を割った場合には、他の科目がすべて合格線すれすれの場合、結局不合格になるので、そういう悲劇的な事実もあろうが、一般的には余りびくびくする必要がないと思う。それに、一科目でも六二、三点とっておけば、かりに他の科目で若干失敗してもそれでカバーできるから、非常に有利になる。」こういうような内容が書かれておるわけでございまして、私ども司法試験管理委員会の立場といたしましては、このように試験のどういうのがいい答案だとか、口述試験の採点はどうなっているとか、こういうことをこのような受験雑誌に書かれることは、非常に公平に誤解を招くという観点で、好ましくないというように判断したわけでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)分科員 司法試験が始まる五日か一週間前に、その司法試験と全く符合するような講義をしている、そのことが省みて一点の疑点もないというあなたたちが、試験の済んだあとの雑誌の雑感に親切に——私はこれは全部読んだ。これは何回も読んでみた。第一番には、法律学の学び方、こういうふうにして勉強しなさい、うそ字を書きなさんな。第二番目が、いま言われた「論文式採点の感想、文章・文字に対する感想」だ。実に丁寧じゃないですか。これが何で公正を欠くのですか。いまあなたは読み上げられたけれども。私は何べん読んでも、これが受験生に対する試験の漏洩なんということは一つもない。私は親心だと見ている。これがよろしくないということになれば、まだこれと同じような、東北大学の小嶋さんがやはり同じような「考査委員としての感想」を述べられている文章もある。それから慶応大学の教授も考査委員として述べられた記事もある。これとこれと彼我対照して、一体どれだけの違いがあるか。みんな同じ内容じゃないですか。あなたは、小嶋さんの試験委員の委嘱を取りやめになりましたか。慶応大学の何といいましたか、その人の委嘱も取りやめになりましたか。慶応大学は田中實教授。私はみんな読んだ。戸田さんのこの試験に対する態度の指導と何にも変わっていない。変わっていますか。変わっているというなら、ひとついま一回あなたから資料をちょうだいしましょう。私は持っているんだから。どこに一体三人、四人の選考に対する指導の差があるか。  いま私は時間がないからやめますけれども、私は、この程度で大学の教授というものを試験委員に任命し、しかも、一片の通牒で、まだ一週間もたたないうちにそれを辞退せしめるというがごときは、これこそ官僚の実に思い上がった態度だと思っている。思い上がっている。一体、教授に対する尊厳がどこにあるのですか。尊敬がどこにあるのですか。私は、まだ残念にして戸田さんには会っていません。いませんが、ほかの人から聞いたことによると、このいわゆる雑感は、まだ司法試験委員に任命されない、その前に書いておいた。前に書いて雑誌社に投稿した。それが、たまたま雑誌の発行をされたのが四十七年の新年号ということで、十二月初旬に載ったということだった。それはあなた方が任命します、委嘱に行くずっと前の仕事だそうでありますが、その手続は別にしても、この内容は、そういう失礼な行為で、一片の通達でこの委嘱を取り消すような問題ではない。そこにこそ司法試験のいわゆる委員任命の公正を疑わしむるような本質的な問題があるのではないかと私は思う。  そこで、法務大臣、あなた、お眠いでしょうけれども、あなたにお聞きするのです。いやしくも最高の試験を受けるその委員の任命がこういう形で任命されて、しかも、こういう形の一方指令でその委嘱を取りやめにするなどという行為が、一体正当な行為であるとあなたはお考えになりますか、どうか。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 率直に申し上げまして、私、その事柄について全然聞いておりません。ただいまちょっと伺って、あの文章について私がここで即決していいとか悪いとか申し上げるわけにもいかないと思いますが、御意見のほども十分わかりますし、検討してみたいと思います。

小林進日本社会党

○小林(進)分科員 もう時間もありませんから結論を急ぎますが、ともかく、採点者間で点差が開いたときにどのように調整するのですか、これは受験生はみんな聞きたいところだ。それは試験を通らせる教授にも聞きますよ。試験委員が合議制でおやりになるときに、その一人一人の点数に格差が出たときにどういう採点をされるのかと問われれば、答えざるを得ないじゃないですか。答えない教授こそ実に冷酷むざんだと私は思う。親心あれば、請われれば教える。そのときに、「三名の考査委員がそれぞれ自己の統一的な基準に従って採点しさえすれば、たとえその基準設定に際し若干の格差がそれぞれの試験委員間にあったとしても、その平均点が結果として出てくるから、各受験生にとっては平等になり、なんら問題はない。」こういうふうにちゃんと官側の立場を擁護しながらも、実に親切な答弁をしている。これがいけないというのだ、そういう判断のしかたが。  私をして勘ぐらしむれば、試験委員で自分たちの気に入らないのを、こういう向江璋悦氏あたりも中央大学、それからいまの戸田氏も中央大学だ、一連のものだろう、この際ひとつやってしまえという官僚の狭い根性でこういう失敬千万なことをやったのであると勘ぐらざるを得ないくらいの不公平な処置だ。いいですか。そういうことは私どもは了承することができない。  なおかつ、先ほども加えているように、こういう指導はあに戸田修三教授のみならんや、ほかの教授もみなやっている。その例証は幾つもある。私はみな見ている。それがほかの人には寛大に処置せられて、一戸田教授だけにこういう失敬な行為をしているということは、返す返すも、法務省とかあるいは司法試験とか、この大衆から隔離した場所の中で、こういう独断的な思い上がった行動が行なわれているということは、私ども国民の代表として黙視することができない。これは大臣の御善処を私どもは心から要望をいたしておきますとともに、問題がまだございますけれども、もし、ここにざっくばらんに出しますとますます問題が拡大をしていきますから、きょうのところはひとつこの程度にしておきまして、私の要求した資料は全部出していただきますし、この問題は、また場所を改めて追及させていただくことにいたしまして、私の質問を終わりたいと思いますが、何か言いたいことがあるならば聞きましょう。

藤島昭法務大臣官房人事課長

○藤島説明員 申し上げたいことは、「受験新報」という受験雑誌は、司法試験を受ける全受験生がすべて読んでいるとは限らないわけでございます。したがって、そういう特定の受験雑誌に具体的な司法試験の採点の問題等を考査委員の先生方が書かれますと、読んだ人と読まない人との間で非常に不公平が出てくる、公正に対して疑惑を招くという問題があるわけでございます。  それから、先ほど他の教授の名前が出ました。「受験新報」には戸田教授だけではございませんで、そのほか慶応の田中教授あるいは東北大の小嶋教授等がお書きになっておりますが、小嶋教授にも田中教授にも、ことしの考査委員は委嘱いたしておりません。  それから東大の竹内教授の講義の内容でございますが、私のほうは、そういう講義の内容をテープにとってもおりませんので、先生の御満足のいく資料を提出することはむずかしい、こう考えております。

小林進日本社会党

○小林(進)分科員 私はこれで終わろうと思いましたけれども、いまの答弁を聞くとますます言わざるを得ない。  それは、何の資料でも何の新聞でも市販をしているものですから、買わなければ読めないのだ。買わなければ読めないのに、それを全受験者が読まないからそういう記事はいけないなどという、その答弁自体が少し思い上がり過ぎている。そんなものは何も秘密にするべき書類ではない。  同時に、いまも申し上げましたように、そういう問題を提起したその根源たるべきもの、疑義を起こした根源たるものをそのままにしておいて、あなたの同級生だか同窓生だか、あるいは先輩だか後輩だかわかりませんけれども、そういう疑義の種をまいたその者をそのまま試験委員に任命しておきながら、その問題を正しく若干批判をしたり、あるいは教授の良心的な立場で、受験生に、イロハのイの字だ、しつけを教えたようなもんだ。うそ字を書きなさんな、行儀をよくしなさい、試験委員の感じをよくしなさい、そういう行儀を教えた者を、試験漏洩問題よりももっとひどい形で全部はねていくという、そういう思い上がった態度、あなたの考え方というものは独裁者、ファッショですよ。いま少し民主主義という広い場所に立って、民衆の声を正しく聞いてみなさい。あなたのその顔では、まだ自分のおかした間違いなんか気がつかないだろうけれども、しかし、この問題はこれで終わったわけではありませんから、場所を変えてやります。  大臣、いまの試験委員の任命問題だけでも、ひとつあなたは慎重に考慮していただきたいと思います。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 十分検討してみましょう。

小林進日本社会党

○小林(進)分科員 これで終わります。

大村襄治自由民主党

○大村主査代理 次に、古寺宏君。

古寺宏公明党

○古寺分科員 青森県の三戸郡倉石村に又重という部落がございますが、この又重部落の山林原野の入り会い権をめぐって紛争が長期間続いております。  昭和四十一年十一月二十五日に最高裁判所の判決が出まして、その後再びこの訴訟が続いているわけでございます。今日まで十数年の長い期間を要しているわけでございますが、このように裁判が長期間にわたるために国民は非常に迷惑をこうむっておりますし、また中には弁護士料がかかる、あるいは時間が非常にかかるというわけで泣き寝入りをしている国民大衆もたくさんいらっしゃるわけでございます。この裁判の長引く理由は一体どこに原因があるのか、まずその点について承りたいと思います。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 ただいまお話しの具体的な事件について、私、承知しておりませんので、他の者から説明させます。

西村宏一最高裁判所事務総局民事局長

○西村最高裁判所長官代理者 ただいま御質問がありました又重山の関係の訴訟事件の経過について、簡単に御報告を申し上げます。  ただいま御質問の中にありました最高裁の判決が出ました後に、又重山関係につきましては、又重部落の住民からの訴訟と、それから相手方である倉石村との間の訴訟が、四十二年の六月五日から九月七日に至る間に、本案訴訟と仮処分を含めまして五件提起されております。それからさらに、これらの事件の一審の判決後であります四十五年から四十六年にかけまして、同じような訴訟が四件提出されております。  いずれもこれらの事件は、問題になっております入り会い権の存否をめぐっての紛争のようでございまして、もともとこの入り会い権に関する訴訟と申しますものは、さかのぼりますと、江戸時代からの慣行あるいは明治時代からの実態、そういったものが問題になる訴訟でございまして、親子あるいは三代、四代にわたっての紛争が訴訟に出てくる、こういう形もございまして、一般的には非常に深刻な争い、何代かにわたる深刻な争いが訴訟となってあらわれてくる。そういった関係で、経過的には非常に長い昔にさかのぼっての事実関係と、そういう深刻な感情の対立、そういうものを含めまして訴訟が非常に深刻になり長引いていくというのが一般的な現象のようでございます。  本件につきましても、その意味で多少時間はかかっておるようでございますけれども、先ほどの関係で申しました四十二年に提起された事件は、すでに四十六年に全部一審の判決がおりまして、現在控訴中のものが四件、それから控訴審の判決も終わりまして、控訴、上告まで終わりました事件が一件となっております。  以上のとおりでございます。

古寺宏公明党

○古寺分科員 私がお尋ねをしているのは、この又重の部落の問題だけではなしに、全般的に裁判が非常に長引いておる。いまのお話でございますと、入り会い権の問題については、江戸時代と同じように何代にもわたるんだ、こういうようなお話がございました。現在の司法制度において、大岡さばきのような江戸時代と同じような裁判ならばともかくも、新しい時代にふさわしい司法制度というものが当然考えられなければならないと思うわけでございますが、こういうように、現在におけるいろいろな裁判の長引いているその大きな原因はどこにあるのか、その点についてお尋ねしているわけでございます。

長井澄最高裁判所事務総局総務局長

○長井最高裁判所長官代理者 近代国家におきましては、適正にしてかつ迅速な訴訟というものが、社会の秩序の安定と発展のためのきわめて重要な要素であること、これは申し上げるまでもないことでございます。ただ、日本に司法制度が導入されましてから百年の歴史があるわけでございますが、法曹の基盤と申しますのは、まだ歴史的には日浅いというべきでございまして、いわゆる法律家といいますか、実務法曹が、一億余の人口に対しまして、裁判官、検察官、弁護士を入れましても一万二、三千人というきわめてわずかな数になっております。したがいまして、その中から裁判官を選任いたしましても、その数がおのずから限定をされておる。裁判官を大量に採用して、司法機構の充実をはかって、訴訟の促進をはかるのがたてまえでございますけれども、いろいろ任用制度で基本的な政策が十分に固まってまいりませんために、裁判官一人当たりの負担件数と申しますか、事件の量が非常に多いために、適正な判断を迅速に出すことができないということが根本原因でございますが、それに至ります理由といたしましては、やはり弁護士の不足というようなことから、事件に対する十分な準備あるいはそれを基礎といたしました法律上の主張の構成、それを踏まえまして、その事件の真の争いというものを裁判所が的確に把握をいたしまして証拠調べをするというような集中した審理を短時日にまとめていくということが、法曹の現状と申しますか、社会的な実情からまだ不十分であるというところの一つの隘路が大きく横たわっていると考えざるを得ないと思っております。  なお、それに加えまして、最近の現象といたしまして、巨大訴訟と申しますか、怪物訴訟と申しますか、非常に多数の当事者による事件というものが民事、刑事ともふえてまいりまして、今日の民刑事の訴訟法というものがこのような巨大な訴訟に対処するだけの学問的な研究も不十分であり、また、実務的に成果を生かしていくというような検討が十分に進んでおらないというところにも、また別の原因があろうかと存じます。  いかにいたしましても、訴訟の遅延は裁判所としては大きな責任の問題でございますので、その限度では今後とも十分に検討をして、御期待に沿うような方策を考えなければならないと深く責任を感じている次第でございます。

古寺宏公明党

○古寺分科員 昭和四十三年から昭和四十五年までの、最高裁、地裁、簡裁、こういうものの平均審理期間、これを調べてみますと、次第に長くなってきているわけでございます。ただいま御説明にもありましたように、巨大な訴訟であるとか、あるいは複雑な損害賠償訴訟事件等、いろいろな問題が関係していると思いますが、こういう問題について、やはり新しい時代に対応した日本の司法制度というものを確立する観点から、いままでのこの裁判を、なぜ期間が長いか、そういうものを、一応欠陥を研究すると申しますか、審査すると申しますか、こういうような専門的な研究をする委員会あるいは審議会、そういうようなものをつくって、日本の司法制度というものを根本から考え直す必要があるのではないか、こういうふうに考えるわけですが、どういうふうにお考えでしょうか。

長井澄最高裁判所事務総局総務局長

○長井最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘の点につきましては、これは政府の大きな政治の問題であろうかと存じますが、便宜私のほうで検討いたしました結果を御報告申し上げますと、昭和三十七年に政府がたいへんこの点を心配されまして、臨時司法制度調査会というものを内閣に設けまして、相当高額の予算を準備して、二年にわたり法曹並びに各界の有職者を委員に選出されて十分な御審議をいただいたわけでございますが、司法の根本である裁判官の任用制度が、ただいまの憲法では法曹一元制ということを一応の前提として考えておりますが、これを早急に実現するためには、理想の制度でありながらなおその基盤の培養において努力しなければならないものがあるということで、早急にその結論を実現することが困難であるというようなことに相なりまして、その後の施策が、法曹三者の間で必ずしも一致した意見を生み出しておらないというようなところにも一つの大きな原因があろうかと存じます。  なお、これ以上の問題につきましては、裁判所ももちろんでございますが、政府の大きな問題であろうかと存じますので、その関係の方のほうにお尋ねをいただきたいと思います。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 裁判の迅速化という問題につきましては、私、最も憂慮いたして、就任以来いろいろ苦心なり検討をしてまいったわけでありますが、ただいまもお話しのとおり、臨時司法制度調査会でございますか、あの調査会の結論がさっぱり実行に移されていないというところにも一つの大きな問題があるというふうに考えておるのでありますが、それについて、これは要するに法曹三者、すなわち裁判所、検察庁、また弁護士、この三者がほんとうは一体になってやらなければならぬ。   〔大村主査代理退席、主査着席〕 また、その調査会の結論に対しまして、弁護士側から非常な反対があるというようなことで、それを何とか軌道に乗せたいというふうに考えて、三者の融和をはかり、また、いろいろこの問題につきまして討論したいということでせっかく努力しておるのでありますが、なかなかこの三者が一体になってくれぬ。まず、その基盤からつくっていかなければだめだという考えで、私も及ばずながらいろいろと苦心をいたしておりまするが、なかなかその結論に到達するところまでこないというような現状にあるのであります。  ただいまお話のありましたとおりに、裁判官がなかなか得られない、あるいは検事にしても同様でありますが、この司法官の任用制度というところにも現状に合わないというよりは、いろんな困難な問題がありまして、それを打開していかなければならぬ、こういうことであると思います。また、訴訟法の問題につきましても、いろいろ問題点を持っております。いろんな面で、この裁判の遅延という問題が起こっておるのでありますが、とにかくこれを解決していくべきであると考えておりますが、ただいま申しましたような法曹三者がなかなか一体にならないというところに大きな欠陥があると思いますので、その問題から片づけていきたい、私は実はそういうふうな考えで現在努力をいたしておるようなわけであります。

古寺宏公明党

○古寺分科員 そういう問題を解決するために研究するような、そういう委員会なりあるいは審議会というものをつくって、前向きに取り組んでいく必要があるんじゃないか、こういうふうに思うわけです。  裁判官の不足の問題として、弁護士に比較をして裁判官の報酬が非常に低過ぎる、こういうわけで、初任給調整手当ですか、こういうようなこともやっているようでございますが、それが一向に効果が出ない。先ほど小林議員からもいろいろと質問がございました司法試験の問題でございますが、毎年、合格者が大体五百人前後しかいらっしゃらないようでございますが、受験者は二万人をこえている、こういうところに大きな問題があるんじゃないか、こう思うのですが、今後この合格者というものを大幅にふやす必要がある、こういうふうに私どもは簡単に考えるのですが、この点についてはいかがでございますか。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 私どももできるだけ合格者をふやしたいというふうに考えております。しかし、また弁護士側の諸君からいいますと、弁護士があまりにふえるということは必ずしも好ましいことではないということであります。また、法曹一元化の結果、裁判官あるいは検事あるいは弁護士、これらが一つの試験制度によっておるということにつきましても、いろいろ問題があるわけであります。と申しますのは、二万人からの人の試験でありまするから、非常に試験がむずかしくなり過ぎる。したがって、四回も五回も受けて初めて合格するということになりますと、年齢がいきまして、司法官志望という人が非常に少なくなってくるわけであります。  それやこれや、いろいろな問題を含んでおるわけでありますが、ただいま申し上げましたようなことで、率直に言いまして、私ども、新しい委員会をつくりますにしましても、すでに一応は臨時司法制度調査会でありましたか、あれで結論がある程度出されておりますが、それに対してなかなかその実行に協力が得られない。でありまするから、あれを御破算にして新しい制度をつくるにしましても、やはり法曹三者が一体になっていかなければならぬ。その一体になる体制をつくりませんと、りっぱな委員会はできないし、また、その結論が出ましてもなかなか実行に移せないというのが実情でありますので、そういうところから問題点を、常にありますので、根本的に考えていかなければならぬというのが、これが偽らざる実情であります。

古寺宏公明党

○古寺分科員 そういうふうに、非常にむずかしい、むずかしいと言って放置しておきますと、国民はいつも泣いていなければいけないわけですよ。ですから、やはり国民の立場に立ってこの問題については真剣に対処していただかなければどうにもならない、こういうふうに思うわけであります。きょうは時間がございませんのでこれ以上は申し上げません。  次に、先ほど申し上げました又重部落の原野の入り会い権をめぐる紛争事件につきまして、四十三年の四月に、わが公明党の黒柳参議院議員からも質問書が提出されているわけでございます。この紛争に関して警察が介入しているのではないか、こういうことが前にも質問書として提出をされているようでございますが、この件につきましてはどうなっているか、警察庁から御答弁願いたいと思います。

高松敬治警察庁刑事局長

○高松政府委員 四十三年の質問書に対する答弁書にもありますように、警察といたしましては、この点についての民事介入はない。警察が現場に出場したりいろいろいたしましたのは、立ち木を伐採しようとする部落関係者とこれを実力で阻止しようとする村側の関係者との間において、あるいは暴行なり傷害なりそういう不法事犯が発生するおそれがあるというふうに判断いたしまして、これを未然に防止するために警告を行なったというふうなことでございまして、民事介入という事実はないというふうに考えております。

古寺宏公明党

○古寺分科員 この問題につきましては、警察庁のほうから県警本部のほうに対して指導通達がなされているというようなお話も承っているわけでございますが、どのような指導を行なっているのか。また、このような紛争の場合に民事不介入という原則でございますね、これが往々にしてこういうような、民事介入であるというふうな疑いを持たれるような事件になっているわけですが、その点についてはどういうような指導をなすっていらっしゃるのか。また、今後この紛争は続いていくと思いますが、その点についてはどういうふうに指導していかれるお考えか、承りたいと思います。

高松敬治警察庁刑事局長

○高松政府委員 この点につきましては、文書では別に通達をいたしておりませんが、青森県の県警本部に対しては、問題は長年にわたる紛争事件であり、現に民事裁判に係属中のものでもあるから、その措置については慎重に考えて措置していくようにというふうに指導いたしております。これはもちろん民事関係の事件でございますが、先ほど申し上げましたように、そういう民事裁判によって解決さるべき問題について警察が関与をするということは、これは当然関与すべきことではございませんが、ただ、そういう司法的関係の事項であっても、その権利の行使に伴って犯罪が行なわれる。たとえば家の立ちのき問題についてそこで暴力でそれを追い出す。債務不履行自身は民事関係の問題ですけれども、その取り立てについて暴力的な行為が行なわれるということになれば、これは当然警察としては犯罪として送致をしてまいる。あるいはそういうふうな犯罪に至るおそれが非常に多い場合には、警告なりあるいはそれを制止するという行為に出てまいる。そういうことは警察として当然やることでございますけれども、問題の基本が民事関係にあるということをよく注意をしてこれを処理していくというふうに、青森県警本部には指導をいたしておるところでございます。

古寺宏公明党

○古寺分科員 次に、自治省にお尋ねしたいのでございますが、同じ村の中で、部落と村が長年にわたって、入り会い権をめぐって紛争を続けております。これは非常に好ましくないことだと思うわけでございますが、自治省としてはどういうような行政指導をしていらっしゃるのか、承りたいと思います。

遠藤文夫自治省行政局行政課長

○遠藤説明員 ものごとは、村と結局住民の方の民事上の訴訟に関する問題でございますので、しかも事柄の中身が裁判所において審理されているという段階でございます。私どもといたしましては、都道府県を通じまして事態を見守りまして、一般的には県を通じて事態を見守り、行政運営という面で適切なアドバイスができるならば、県の段階で適当にしていただくというようなことが大体の考え方でございます。

古寺宏公明党

○古寺分科員 それは和解ということもあり得るわけでございますが、そういうような第三者、県なら県というものが中に入って和解をするというような指導はできないものですか。

遠藤文夫自治省行政局行政課長

○遠藤説明員 それは事柄の内容いかんでございまして、そのような民事上の問題について、事柄が裁判所に入っている段階で、一般的には、県のほうから口を出すということは慎重であるべきだろうと思います。ただ、関係者双方のほうから、何らかの形でもって円満に話をしたいので仲介をしてくれというような話でもあったような場合でございますれば、状況によりましては、その県のほうの段階で、民事上の訴訟というよりも行政的ないわゆる話し合いの間に入るということがあり得るかと思います。

古寺宏公明党

○古寺分科員 以前に村が暴力を行使するという問題について、自治省のほうから何か村のほうに対して指導をするというようなことを、自治省がおっしゃっておるようでございますが、村に対してはどういうような指導をなさったのか、承りたいと思います。

遠藤文夫自治省行政局行政課長

○遠藤説明員 以前に何か、先ほどお話があった件に関してかもしれませんが、村とそれから村民の方との間で何か実力を用いるとか用いないとかというようなことがあったというようなことから、そのような実力を用いるようなことは望ましくないので、何らかの指導をする手はないのかというようなお話があったやに記憶します。その際、私どもといたしましては、具体的な事実関係がわかりませんけれども、県を通じまして見守っておって、事柄が——お話し申し上げるまで凄く、このような民事上の問題につきまして実力でもってということは望ましくない。これはもう法治国家において当然のことでございますので、県の段階で気をつけておって、当事者双方を見守って、かりに適切なアドバイスをするということが適切であれば、適切な措置をとってほしいということを、内々気をつけておいてほしいということを連絡をした記憶がございます。

古寺宏公明党

○古寺分科員 法務省の民事局にお尋ねしたいと思うのですが、この又重の入り会い権問題につきましては、一定の部落民に総有的に帰属するものであるから、入り会い権の確認を求める訴えは権利者全員が共同してのみ提起し得る固有必要的共同訴訟というべきである、こういうようにいわれているわけでございますが、現在の裁判の進行状況を見ますと、百四十二人の部落民が参加をしておるようでございます。したがいまして、部落民全員とはならないわけでございますが、他の部落民が権利を放棄した場合、この百四十二人による訴訟であってもこの裁判は有効であるのかどうかということを承りたいと思います。

川島一郎法務省民事局長

○川島(一)政府委員 ただいまのお尋ねの点でございますが、共有者全員が当事者とならなければ適法な訴訟の提起はできないんだ、こういう最高裁の判例があることは御指摘のとおりでございます。いま、一部の者が提起した訴えであっても、ほかの者が権利放棄をすればどうかというふうに言われましたが、その権利放棄というのがどういう趣旨でありますか、おそらく、自分は共有者から脱落をするのであるというのであれば、権利放棄した者は共有者でなくなりますから、したがって、権利放棄をした者を除いてもこれは問題にならないわけでございます。しかし、自分は訴訟をする権利を放棄するという何か別の意味のものでありますと、やはり共有者として形が残ることになりますので、そういう者の意思と関係なく一部の者だけで訴訟を提起するということになりますと、最高裁の判例で指摘されたような問題が出てくるのではないか、このように思います。

古寺宏公明党

○古寺分科員 そういたしますと、ただいまの御答弁によりますと、共有権の権利を放棄した場合は裁判は有効である、しかし訴訟の権利を放棄した場合にはこれは有効とはならないというふうに、いま受け取ったわけでございますが、裁判が非常に長期間にわたって、財政的にも非常に苦しい、あるいはいろいろな問題があって脱落者が出た場合には、こういう問題についての救済でございますね、一体どうやってこの入り会い権というものを確認するのか、そのまま全く救済の方法がないのか、その点について承りたいと思います。

川島一郎法務省民事局長

○川島(一)政府委員 一般的に入り会い権というものは非常に不明確な権利でございまして、土地土地によってそれぞれ別な慣行がございます。したがって、入り会い権と一口に申しましても、その入り会い権の権利行使を行なう者が内部の規約で定められておるとか、あるいは慣行的にきわめられておる、こういう場合もあろうかと思います。そういう場合につきましては、その内部の規約なり慣行に従ってある程度の権利行使をすることが認められる場合もあろうというふうに思いますし、何もきまっていないという場合には、たとえば入り会い権の処分に類するような行為につきましては、やはり全員の合意なり、あるいは全員の委任を受けた者が処理をするという形をとらざるを得ないのではないか、私も深く考えたわけではございませんが、いまの御質問にとっさにお答えするといたしますと、そのように考えるわけでございます。

古寺宏公明党

○古寺分科員 それでは、あとで正確な御回答をいただきたいと思います。  こういうふうに、日本の裁判のいろいろな問題、司法制度の問題から、国民の中には、現在いろいろな問題で非常にお困りの方々がたくさんいらっしゃるわけでございますので、大臣としての今後のこの司法制度の改革に対する御決意を承って、質問を終わらしていただきたいと思います。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 私も就任以来、裁判の迅速化ということが使命であることは十分承知もし、また決心をし、取っ組んでおるわけであります。要するに法曹三者一体ということが基盤になりますが、ただいまお話しのとおりに、それが一体にならなかったら何もできないのかというようなことでは私はならないと思います。そういうような意味合いからして、できるだけ一方に法曹一体化を進める一面において、われわれも、具体案はすでに臨時司法制度調査会でもいろいろいいことが、結論が出されておるのでありまするから、そういうものを具体的に実行に移すという面から、両面で努力していきたい、かように考えておる次第であります。

森田重次郎自由民主党

○森田主査 次に、楢崎弥之助君。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 最近ひんぱんに起こっております中国の化繊技術代表団に対する右翼の挑発行動あるいは恵比寿の中日備忘録貿易弁事処に対する同じような右翼の挑発行動について、正確な御報告をいただきたい。

辻辰三郎法務省刑事局長

○辻政府委員 恵比寿の事件につきましては、刑事事件になっていないと承知いたしております。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 それで終わりですか。

辻辰三郎法務省刑事局長

○辻政府委員 恵比寿の事件と承知したのでございますが……。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 時間が短いのですから、よく聞いておってくだざい。中国の化繊技術代表団に対する妨害行為、それから恵比寿の、と言ったでしょう。

辻辰三郎法務省刑事局長

○辻政府委員 前段を聞きのがしましたが、岡山の件は、現在、警察で逮捕いたしまして取り調べ中でございます。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 何日に、どういう状況でどういうことがあったかという報告を求めておるのですよ。

辻辰三郎法務省刑事局長

○辻政府委員 お答えいたします。  三月十三日、岡山県倉レ岡山工場正門前におきまして、中国化合繊維工業使節団の来訪にあたりまして警備中の警察官に暴行を加えて、この警察官の公務の執行を妨害したという事実で逮捕いたしまして、三月十五日に岡山地検が事件を受理いたしております。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 十八日の恵比寿の中日備忘録貿易弁事処に対する挑発行為はなかったのですか。

辻辰三郎法務省刑事局長

○辻政府委員 刑事事件として検察庁においては事件を受理いたしておりません。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 何もなかったのですか。

辻辰三郎法務省刑事局長

○辻政府委員 事件はあったと承知いたしておりますが、現在まで、検察庁から事件を受理したという報告に接していないわけでございます。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 二十三日に北京において、この中日備忘録貿易弁事処の呉曙東という中国の代表が、同じ北京に駐在いたしております日中覚書貿易北京事務所の安田代表に、この化繊代表団に対する妨害と、同じく恵比寿のこの弁事処に対する挑発行動について厳重な抗議がなされて、責任ある回答を求められております。そうすると、いまのような態度であれば、中国は何もないことに対して抗議をしておるということになりますが、それでいいのですか。

辻辰三郎法務省刑事局長

○辻政府委員 恵比寿の事件につきましては、先ほど来申し上げておりますように、検察庁としては、現在のところ事件を受理いたしておりませんが、事情を早急に調査いたします。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 それはいまからお調べになるのですか。

辻辰三郎法務省刑事局長

○辻政府委員 検察庁は事件を受理いたしておりませんので、私ども、その正確なことを承知していないわけでございます。直ちに調査いたしたいと思います。警察が事件を取り扱っているかどうか、直ちに調査をいたします。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 これは新聞にもすでに報道されておることでしょう。そうして、あれは第三分科会ですか、田中通産大臣は、その所管である中国の化繊技術代表団に対する妨害については、責任をもって今後再発しないように取り締まりを厳重にするという答弁がなされておるようであります。いまのような態度であれば、いかにことばで、事件も把握しないでこんなこと言ったって、あなた、信用しますか。これは認識が足らないのじゃないですか。この問題の取り扱いいかんによれば、一九五八年のあの長崎国旗事件によっていわゆる日中間の貿易が数年中断したと同じようなたいへんな問題が起る。特に、今日の日中の国交正常化への動きの中にあって、これらの一連の右翼の挑発行動がどのような意味を持つか、どのような影響を与えるか、その重大性について認識が足らぬのじゃないですか。そんな失礼な話はありませんよ。何もない事件に対して中国が抗議を申し込んでおるという形になるじゃありませんか。しかも、私はけさ、こういうことを質問しますからと言っておりますよ、政府委員のほうに。どういう受け取り方をなさっていらっしゃるのですか。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 刑事局長といたしましては、刑事局に受理をいたしまして初めて所管事項になるわけであります。おそらく警察の段階でいろいろと追及がなされておると思います。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 実は私は、本日は中村公安委員長にも御出席をいただきたいようにお願いをしておったのですが、手違いがありまして間に合わなかった。これは非常に残念でありますが、重要な問題だけに、早急に実情を報告していただきたいと思うのですよ。そして、実情を正確に把握した上において、初めて日本政府としてはどうするのだという態度が出てくると思います。  二十三日の呉曙東代表から安田代表への申し入れば、いままでの申し入れと違うのですよ。これは代表団に対するのと二回起こりましたね。そうして、警告をしておるのに再度恵比寿の事件が十八日に起こったから、非常に重視しておるのです。  御承知かもしれませんが、これは六四年のときの覚書貿易に対する共同声明であったと思うのですけれども、双方は相手側事務所と人員の安全を責任を持つということがそれにあるのですね。この問題との関連においても非常に重要な事件なんですよ。もしかしたら、現在の日中貿易の重要な実績を果たしてきた覚書貿易にも関係してくるし、もし日本政府による再発防止の保障がないということになれば、恵比寿の弁事処だって引き揚げるかもしれませんよ。これはそれくらいの重要性を持った問題なんです。それで……。

森田重次郎自由民主党

○森田主査 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

森田重次郎自由民主党

○森田主査 速記を始めて。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 担当が違っておったそうですみません。それではその報告をしてください。

丸山昂警察庁警備局参事官

○丸山説明員 恵比寿の中日備忘録貿易弁事処、この関係につきまして、三月十一日とそれから十八日に日台協力委員会という団体が、十一日は面会強要をいたしまして、警察の規制を受けて出る際に、台湾は台湾人のものだというような趣旨の街頭宣伝をやっております。それから十八日は、正門の前で反中国の宣伝ビラを散布をしておる、こういう事案でございます。  十一日は、十二時ごろに弁事処の正門の前に、台湾自決を支持しようというスローガンを掲げました宣伝カー二台が到着をいたしまして、三人の若い男がおりて同連絡所側に面会を求めております。これを発見いたしました警視庁の警戒員七名が現場にかけつけまして、同所からの退去を説得いたしまして、警戒警備に当たっておりました警察車両を車の後方に回しまして、その強制力で宣伝カーを移動させたわけでございます。この間約十五分かかっております。立ち去る際にこの車が、台湾は台湾人のものだ、中共のものでないというような趣旨の街頭宣伝を行なっております。調査いたしました結果、この宣伝カーが、日台協力委員会とそれから日中議連粉砕学生会と名のる七名のものでございました。これにつきましては、街頭宣伝については杉並警察署について街頭宣伝の道交法上の許可をとっているということが判明をいたしたわけでございます。  それから、十八日の件でございますが、十八日はちょっと資料ございませんので、あとで御説明いたします。  それから、岡山でございますが、岡山は、三月十二日に中国の経済視察団が岡山駅に到着をいたしまして、プラザホテルという岡山の市内のホテルでございますが、駅からこのホテルに向かいます際に、視察団のバスのうしろからついたりあるいは割り込みをしようとした、これが大日本愛国党岡山県本部の本部長である岡田定見というものの運転する車であったわけでございます。視察先のクラレの岡山工場の正門前に参りまして、そこで車で待ち受けるというような傾向が見られたわけでございます。そこで、正門を閉じまして、南門から視察団一行が出入りをされたわけです。  二日目の三月十三日に、同じくクラレの岡山工場の正門前におりました大日本愛国党員の岡田隆雄という者が、警備に当たっておりました警察官に暴行をして公務を妨害いたしましたので、公務執行妨害罪で検挙をいたしております。  それから三月十八日の恵比寿の弁事処の件でございますが、午前十一時ごろに、先ほど申し上げました日台協力委員会の宣伝カーが一台弁事処の正門路上にあらわれまして、スピーカーで、台湾は中共の領土ではない、日中議連を紛砕しようというような趣旨の宣伝を行なっております。それと同時に、日中議連は中国が母国かというような趣旨のビラを三十数枚まいて立ち去るという事案があったわけでございます。警視庁では、このビラ散布が道交法の許可条件に違反するということでございましたので、翌十九日に、申請者である日台協力委員会の志村良治に対しまして、所轄杉並警察署の交通課長から厳重に警告を発しております。  以上でございます。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 杉並署の許可を得ているのは、街頭宣伝と何ですか。

丸山昂警察庁警備局参事官

○丸山説明員 街頭宣伝でございます。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 だけですか。

丸山昂警察庁警備局参事官

○丸山説明員 はい。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 それらの団体は、公安上要注意のリストに入っている団体ですか。

丸山昂警察庁警備局参事官

○丸山説明員 私どものほうに、いまのところ、いわゆる要注意団体という、その対象には載っておりません。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 客観的に見れば、警察の許可を得て挑発行動を行なった形になりますね。  それからあわせて、いま恵比寿の事務所は常時どういう警備体制をとっておられるのでしょうか。

丸山昂警察庁警備局参事官

○丸山説明員 通常の場合には、私服の警察官五ないし六名が警戒に当たっておりまして、直接連絡所の警備と、それから連絡所におります中国の方々の身辺保護というようなことに当たっております。それから右翼などの抗議行動が予想される場合には、機動隊等所要の制服員を配置いたしまして警戒に当たっております。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 まあこれは国家公安委員長のほうの所管かもしれませんが、おられませんので、法務大臣の御見解を承っておきますが、その十一日の事件が起こって、中国側としては抗議を申し込んでおるわけですね。そして再発防止についての要請をしておる。その後また起こっておるわけですね。それで、この再発防止に関する確実な保障と申しますか、それは可能かどうか、大臣の御見解を聞いておきたいと思います。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 まあ所管が違うわけでありますが、これはもう政府としてあくまで、右翼にしましても左翼にいたしましても、不法なことに対する取り締まりは平等に行なわなければならぬのは当然であります。それのみならず、国際的に影響力の多いということにつきましては、一段と警戒の体制を整えるべきだと思っておりますから、早急に、心配のない、不安のないような警備をいたしたいと思っております。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 大臣も御案内のとおり、佐藤内閣としては日中国交正常化への強い意思を国会において表明をされております。いま確かに国交正常化は実現していないけれども、その方向にある。そういう段階でこのような不祥事件が続発しておるということに対して、日本政府として公式に謝罪を表明される意思があるかどうか、承っておきたいと思います。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 まあそういう公式の表明をするかどうか、具体的な事実について私も詳細を存じませんが、とにかく遺憾な事件でありまするから、それに対する何らかの処置なり実態を整えなければいかぬ、こういうふうには考えております。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 佐藤内閣として何らかの謝罪の意を表明するというふうに承っておいていいでしょうか。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 どういう方式をとるかはわかりませんが、おそらく、非常に遺憾な事件だと私は思いますので、その点に対応した何らかの処置をとるべきだというふうに申し上げたわけであります。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 御列席の大臣は法務大臣だけでございますから、ひとつ閣議で十分この点の薄処方——具体的な再発防止の保障体制をとることはもちろんでありますが、それと同時に、いま申し上げた遺憾の意の表明、適当な方法で内閣として出されることを強く要望をいたしておきたいと思います。  それから、せんだってから引き続いて問題にしております旧軍人の問題ですが、あの敵前逃亡罪に問われておる人たちは、現在の法的な措置はどうなっておるのでしょうか。

辻辰三郎法務省刑事局長

○辻政府委員 ブーゲンビルの軍法会議におきまして、大赦令の施行後に、逃亡罪で有罪判決を受けられました方々につきましては、現在は昭和二十年の大赦令に該当したものとして取り扱っております。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 私の質問のしかたが悪かったのかもしれませんが、判決はあったけれども、どうなのかということですよ。

辻辰三郎法務省刑事局長

○辻政府委員 判決がございましたので、その判決があったということは事実でございます。これは事実としてあるわけでございますが、その判決の効力は、昭和二十年の大赦によって言い渡しを将来に向かって効力を失ったと、かようにそういう取り扱いをしておるということでございます。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 つまり、判決の取り消しと申しますか、それはなかったものという取り扱いではないわけですね。

辻辰三郎法務省刑事局長

○辻政府委員 判決は存在いたしましたが、その効力は二十年の大赦令によって将来に向かって失われたという取り扱いをいたしております。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 だから、俗にいえば、敵前逃亡罪というその罪名は生きておるわけですね。

辻辰三郎法務省刑事局長

○辻政府委員 判決の効力は失われておるわけでございます。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 私の質問に答えてください。

辻辰三郎法務省刑事局長

○辻政府委員 有罪判決の効力は失われている、敵前逃亡罪という有罪判決の効力は失われているという取り扱いをいたしておるということでございます。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 罪名は生きておるのですか。

辻辰三郎法務省刑事局長

○辻政府委員 事実としてそういう判決があったわけでございますが、その有罪判決の効力が失われておりますから、法律的には意味をなさないということであろうと思います。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 法律的には意味をなさなくても、現実に敵前逃亡罪という汚名を着て、今日まで具体的にいろんな精神的あるいは経済的に苦労をされてきているんですよ。だから、そういう目で私は聞いているんですから、やはりそういう対応のしかたをしていただきませんと、すれ違いになるんですよ、これは。つまり、そういう罪名というものは書類上も生きているわけでしょう。

辻辰三郎法務省刑事局長

○辻政府委員 そういう誤った判決があったということでございますが、そしてその効力はもちろん現在はないということでございます。  そこで、具体的にもう少し申し上げますと、たとえば、誤った判決には、大赦該当という付記をいたしております。それから、検察庁にございます犯罪人名簿であるとか、市町村にございます犯罪人名簿、こういうものにつきましても、これは判決の効力は大赦令によって失われているという取り扱いをいたしておるわけでございます。これ誓ういうふうに——この事実をもって、いわゆる汚名はないともいえるわけでございますが、法律的には全くこれは有罪判決の効力は失われているというふうに御理解を賜わりたいと思うのでございます。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 地方の裁判所あるいは検察庁を含めて、どういう書類がありますか、この敵前逃亡罪に関する書類は。

辻辰三郎法務省刑事局長

○辻政府委員 おそらく、軍法会議全般の判決原本は、それぞれの後継裁判所に対応いたします検察庁において保管いたしておると思います。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 私は、せんだってからこの問題を取り上げておる中で、裁判そのものがなかった、こういう間違いの軍法会議そのものがなかったんだ、存在しなかったんだというふうな取り扱いにすべきではないか。これは二十八口に総理に最後の詰めをやることになっておりますが、せんだっての委員会でも、法務大臣もそのような方向で考えてみるというふうに私は御答弁を承ったわけです。それでもし、裁判そのものが存在しなかったんだ、あれは間違いであるからというふうにするためには、どういう具体的な方法がございましょうか。

辻辰三郎法務省刑事局長

○辻政府委員 現行法のもとにおきまして、かような裁判当時と現在の時代が非常に違っておる、社会的諸条件が違っておるという場合に、もとの判決の効果というものを何らか変更さしていくという手段は、御案内のとおり、恩赦法による恩赦でございます。その一番の強い恩赦が大赦でございまして、大赦という効果は、これは法律的には、有罪判決は大赦によって効力を失うということになっておるので、これが、法律的には、過去の有罪判決を消す現在の法的手段であろうと思うのでございます。で、ブーゲンビルの六十数名の方々はこの大赦という取り扱いをいたしておるわけでございますので、法律的には全部終わっておるというふうに理解を願いたいと思うのであります。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 あなた、恩給法知ってますか、あなたの言うとおりだったら、あの逃亡期間は当然恩給の基礎年限に加算されるべきでしょう。この点はどうなるのですか。

辻辰三郎法務省刑事局長

○辻政府委員 私は判決の効果を消すのが大赦であると申し上げましたので、そしてそれのほかの法域における評価というのは別問題でございます。実は恩赦法による大赦というのは、将来に向かって有罪判決の効力を失わすわけでございますので、過去にさかのぼって無になるという意味ではないのでございますが、その点は、恩給の面におきまして、有罪判決を受けたという不利益をこうむっておられるわけでございます。これは別途厚生省で措置をしたというふうに承知いたしておるわけでございます。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 私が言っている意味がわかりませんかね。つまり、敵前逃亡罪というそれは生きておるから、その逃亡の期間が加算されないんですよ。除算されているのです。もしあの裁判は間違いであった、あるいは裁判が存在しなかったということになれば、一つの問題としては、その逃亡期間が加算されることになるんじゃないでしょうか。そういう点からこの問題を取り上げておるんであって、あなた方の言っているのは、結局受刑の事実がなかったというだけでしょう。受刑の事実がないものにするだけの話でしょう。だから、敵前逃亡罪は生きておるものだから、そういう逃亡期間が恩給の基礎年限に加算されないと、こういうことじゃないでしょうか。

辻辰三郎法務省刑事局長

○辻政府委員 私が先ほどから申し上げておりますのは、大赦によりまして有罪判決の効力が失われたということは、罪名も死んでおるというふうに御理解を願ってけっこうだと思うのでございます。そこで、この恩給の問題は、厚生省の、受刑の事実がなかったということは、これはこの恩給法の、三十八年だったと思いますが、改正によりましてもなおこのブーゲンビルの方々は救えないということで、その大赦による普通の恩給法の措置では救えないというので、なおそれを広げて、全員に恩給法上も何ら不利益がなかったということを措置されるために、この受刑中の事実がなかったということばが使われておるように理解をいたしておるわけでございまして、実際的な効果といたしましては、大赦によって恩給法上も何ら判決がなかったと同じ効果を恩給法上はもたらされているように承っておるわけでございます。   〔主査退席、大村主査代理着席〕

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 時間がもう来ましたから、最後の結論に入りますが、逃亡期間が現実に加算されていないのは事実なんです。除算されているのですよ。しかも戦地の場合は年限が四倍になりますから、たとえば、恩給の受けられる条件の十二年というのに対して、十一年六カ月とか十一年十カ月でその条件に満たない人が、たとえば三カ月の逃亡が消えると、三、四の十二カ月になるわけですから、もう受けられる条件が——非常にこれは重要なところんです、そういう面に限ってみても。この問題だけが重要と言っている意味じゃないのでして、現実の措置の上においてもそういう差別的な扱いを受けている。だから、裁判はあったけれども、効力が消えておるから、ほとんど実際の意味はないのじゃないかと、あなたはおっしゃいますけれども、実際の意味はそんなふうなところへ生きておるのですよ。  それで、いま、罪名はもう消えたと理解しておっていいという話でございますから、大臣に最後にお伺いしますが、厚生省には死亡者連名簿というものがあって、それにちゃんと書いてあります。それから、おそらく地方には兵籍簿があると思います。これにも書いてある。それで、罪名が消えておれば、当然これは抹消していい問題だと私は思いますが、法務大臣の御見解を聞いておきたいと思います。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 ただいま申しましたように、法律的にはいろいろ問題があると思います。ただ、各省で盛んにいま検討しておるので、最後の結論が出ておるわけではありません。ただいまのお話も含めて検討させていただきたいと思います。結論は最近において出すと思います、各省寄り寄りでやっておりますから。ただいまのお話も、刑事局長が持ち寄って、そして最終的な結論を出すと思いますから……。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 これで終わります。

大村襄治自由民主党

○大村主査代理 次に、中谷鉄也君。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 公安調査庁のいわゆる石川地方公安調査局に関する問題については、きょうで三回目の質問になります。そこで、三月二十二日衆議院法務委員会において二回目の質問をしたのでありますけれども、その質問を受けてきょうはお尋ねをいたしたいと思います。私の質問は、きょうは法務省に対しては七問であります。  まず最初に大臣に私お尋ねをしたいと思うのでありまするけれども、訓令達を出していただきたいということを、ずいぶん何回か資料要求としていたしました。そこで、昭和四十七年三月二十四日付で調査庁長官のほうから私に対して訓令達についての資料の提出があったわけであります。それをいただきました。そこで、秘密区分で、秘以上の指定のある訓令通達の件数は、極秘が九百十五件、秘が三千三百八件、合計四千二百二十三件ということの報告を受けました。したがって、そういうふうに承知をいたします。ところが、私が何回か、委員会において、あるいは委員会外において、調査庁に要求をいたしましたのは、訓令達の件名をあげてもらいたいというふうに求めたわけです。そこで調査庁から、秘区分の秘三千三百八件のうち、件名を出せるのはとにかく四件ということで、その四件についての資料の提出があったわけであります。そういたしますと、三千三百八件、極秘九百十五件を含めますと四千二百二十三件のうち、四千二百十九件については、訓令達についてわれわれは知ることができない、こういう状態であります。今度の国会において、文民統制の問題が、かなりといいますか、非常にきびしく論議されたわけでありますけれども、いろいろな理由はあるでしょうが、公安調査庁の秘の訓令達が、四千二百二十三件のうち、検討して件名を出せるのが四件だけだというふうなことは、公安調査庁という役所がいかにも秘密のベールに包まれておるということ、こういうふうな感じを私はぬぐうことができないのであります。いずれにいたしましても、極秘、秘の訓令通達が多過ぎる、こういうようなものについて改廃をされる必要があるのではないか。いずれにいたしましても、四件だけを素材にして公安調査庁について論議をしろといっても、これは論議がいたしかねるわけです。この点についての大臣の御見解を承りたい。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 ただいまお話しのとおり、そういう感じをわれわれも受けるわけでありますが、役所の性質上秘密事項が多いことは、これはもう御理解が願えると思います。ただ、また、いままでの執務の体制も、必ずしもいいとは私思っておりません。その点については、もっと明朗な行き方のできるような方式にわれわれもできるだけ考えていかなければならないのではないかという感じを強くいたしておりますが、具体的な通牒の内容その他につきまして、私も、はなはだ申しわけありませんが、不勉強でありまして、具体的にどうすべきかということについては、ただいま即答するわけにもまいりませんので、御趣旨の点は十分よくわかりますので、それに対応して考えていきたいと思います。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 そこで、この問題について私は次に長官にお尋ねをいたしたいと思うのでありますけれども、三千三百八件の秘の訓令通達のうち四件の提出ということが、私、非常に遺憾であります。この問題については、大臣から御答弁がありましたけれども、国会における筋道を立てるという意味で、あらためて私は長官の御答弁を求めておきたいと思うのであります。  前回、三月二十二日法務委員会において、長官は、この資料の提出方の検討について、本来の職務の余暇としてその検討をしているという趣旨の答弁をされたわけであります。そうして、そういう点について答弁をしたかどうかはっきりしないけれども、そういうことであるならば、その点について取り消しますということであったので、私は、本日の分科会までに会議録を調べていただきたい、そうして会議録に基づいて、そういう発言があるならば、この点についての長官のあらためての意見を私は承りたい。国会の予算委員会における瀬戸山委員長に対する私の資料要求、それに対して、検討をするというお答えの結果の二十二日の法務委員会における答弁、会議録をすでにごらんをいただいたと思いますので、この点についての御答弁をいただきたい。

川口光太郎公安調査庁長官

○川口政府委員 お答えいたします。  御指摘の会議録を検討しましたところ、確かに先生の仰せになりましたような発言がございました。あの発言は不穏当と思いまして、あの席でも直ちに取り消しておわびしたわけでございますが、この席であらためて取り消して、陳謝いたします。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 次に私がお尋ねをしたのは、次の点でありました。要するに、甲ナンバーあるいは乙ナンバーで表示されているところの協力者、こういうふうな協力者というものの性格、位置づけ、これを一体どのように見るか、こういうふうな問題を私は問題として提起をしたわけであります。  協力者の中には、学生もあれば、特定政党に所属をする党員もいる、こういうふうな協力者というものが、特定政党に所属をしながら特定政党の情報を公安調査庁に流す、あるいは特定の団体に属しておりながらそれを他に流すというふうなことは、私は、本来の市民としてのモラルという点からいって、あるいはそれが学生であるならば学生としてのありようからいって、非常にそういうことは好ましくないことだと思うのであります。  この点について、長官は次のように答弁をされました。「私たちは、」すなわち、これは公安調査庁の意味でありまするけれども、「日本の自由と安全を守るためにわが庁の調査業務に協力してもらう、むしろそういう、何と申しますか、愛国心といいますか、そういう気持ちから協力してくれる学生が多い次第でございまして、」そういうふうな学生は「むしろ過激派学生よりも協力者のほうが教育上よい人間になるのではないかと私どもは考えているわけであります。」こういう趣旨の答弁があったわけであります。  私が問題にいたしましたのは、こういう協力者と過激派学生とが、いずれが反社会的な行為をするかという点を問題にしているわけではないわけなんです。協力者というそういうふうな者が大学にいること、大学の学生として存在をすることが、いわゆる愛国心という、そういうふうな愛国心の持ち主であるという趣旨の御答弁、さらにまた、それは協力者のほうが教育上よい人間になるのではないかと言われるそういう答弁、これも私は、きわめてこの答弁については問題を含んでいると思うのであります。私が問題にいたしましたのは、協力者一般を問題にする意味においてたまたま学生を問題にしたのである。  そういたしますると、特定政党の協力者、今回問題になりました石川県地方公安調査局のナンバーによりますると、そのナンバーが続きナンバーであるかどうかわかりませんけれども、特定政党の党員と思われるそういう協力者の数が、ナンバー一〇〇号というのまである。そういたしますると、そういう特定政党の党員でありながら、公安調査庁にその政党の情報を流す人間が愛国心のあらわれだ。ということに相なりますると、それはイコール愛国者ということにもなりかねない。そうすると、特定政党は、一体愛国者というものの反対概念は何か、それは結局非愛国的な団体だ、政党だということにもこれは相なりかねない。きわめて私はそういう点では不穏当でもあるし、好ましくないし、そういうふうなことは、まず学生においては教育の基本を誤まることであろうし、協力者というものについての位置づけ、そういうようなものが——私自身は、破防法そのものが非常に問題のある法律であるし、特定政党が破防法の対象団体であることについては、繰り返し繰り返し委員会等においても問題が指摘されております。本質の問題については本日は申し上げませんけれども、いわゆる協力者は愛国者である、愛国心の持ち主だ、学生においてはそのほうが教育上よい人間になるのだ、こういう答弁については、その答弁を相変わらず維持されるかどうか、この点についても御答弁をいただきたいと思います。

川口光太郎公安調査庁長官

○川口政府委員 お答えいたします。  御指摘の私の発言は、その前に法務大臣が答弁されましたのですが、その御趣旨と異ならないと考えて申し上げたものでございまして、会議録で確かめましたところ、いま御指摘のように、いわば愛国心からというように申しております。結局、破壊活動防止に協力しようという純真な気持ちからというような意味で申し上げようとして、つい口がすべってそのようないろいろ御指摘のような誤解を招く可能性のあることばを使ったことは、遺憾であったと考えます。この際、この席で取り消させていただきます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 そうすると、協力者というのは一体何なのだ、一体協力者というものは好ましいのかという私の質問に対して、正確に答弁されるとすれば、どういうふうに答弁されることに相なるのでしょうか。

川口光太郎公安調査庁長官

○川口政府委員 お答えいたします。  好ましいことではないけれども、破壊活動防止の必要上やむを得ない、このように申し上げたいと思います。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 先ほどから申し上げておるように、教育上よい人間になるのではないかと私どもは考えておりますという点も含めて取り消しをされるわけですね。

川口光太郎公安調査庁長官

○川口政府委員 そうです。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 そこで、文部省の地方課長さんにあらためてお尋ねをしておきたいと思います。  石川県の地方公安調査局の調査書によりますると、金沢市の教育委員会の一職員が、公安調査官の求めに応じて、同市教育委員会の管内にあるところの教職員が特定政党の党員もしくは同調査である旨の、公安調査官の調査に応じてそのことを申し述べている事実があるわけであります。この点については、そういう調査書をごらんをいただきました。そういうふうな、教育委員会の職員が、特定政党の党員もしくは同調者で教職員があるかないかなどという調査に協力をすることは、許されることでしょうか、好ましいことでしょうか。問題は、思想調査の問題として通達が出されておりますが、この点についてお答えをいただきたいと思います。

鈴木勲文部省初等中等教育局地方課長

○鈴木説明員 金沢市の教育委員会の報告並びに石川県教育委員会の報告によりますと、先生の御指摘のような事実とは違っておるというふうに私どもは考えておるわけでございますけれども、しかし、それによりまして、思想調査をしたのではないかというふうな疑いが持たれ、かつ、社会一般に誤解を与えたという意味で、あの通達を出したわけでございまして、かりに御指摘のような事例で思想調査の疑いを招くような、そういうことでございますれば、これはもちろん適当でないというふうに考えておるわけでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 特定政党の党員もしくは同調者の調査というのは、思想調査なのですか、思想調査ではないのでしょうか。

鈴木勲文部省初等中等教育局地方課長

○鈴木説明員 その点につきましては、その状況とか、いろんなケースがあろうと思いますけれども、疑いを持たれるようなおそれはあるのではなかろうか。その事柄が直ちに思想調査になるかならないかは別にいたしまして、疑いを持たれるようなケースではなかろうか、そういう意味で、適当ではないというふうに申し上げた次第でございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 文部省の学生課長にお尋ねをしたいと思います。  先ほど私が長官から、答弁の取り消しと申しまするか、訂正というか、を求めた点がございましたですね。要するに、愛国心云々の点であります。要するに、そういう調査に協力してもらう愛国心というか、そういう気持ちから協力してくれる学生が多い次第だ、したがって、教育上はそれはよい人間になるのではないかと考えておると、こういう趣旨の答弁ですね。大学の中に公安調査局の協力者がふえているというふうなことは、大学としては教育上好ましいことなのですか、それとも、そういうことは大学としては全く関知しないことなんでしょうか。いかがでしょうか。

齋藤寛治郎文部省大学学術局学生課長

○齋藤説明員 お答えいたします。  大学の存在の意味というのは御承知だと思いますが、そういった問題については大学としては直接関知しないというふうに御理解いただいてよろしいんじゃないかと私は思っております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 関知をしないということは、それは放置をするという趣旨なんですか。それは、その点について指導も教育も何らしない、もうかってにやりなさいと、学生がもうとにかく協力者になろうがなるまいが、それは大学は知りませんよという趣旨なんですか。

齋藤寛治郎文部省大学学術局学生課長

○齋藤説明員 大学は、申し上げるまでもないことでございますが、善良な社会人として教育を受けておるという点で、教育に対する責任は社会に対してももちろんあるわけでございますので、そういう意味で私は申し上げた次第でございますので、特に教室内の活動も、もちろん教室外の活動につきましても、大学は教育という点では責任を持っておるということでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 何を言っておられるかわからない。  そうすると、設例をいたしまするけれども、ある学生が、ある教授のゼミナールの内容など、そういうようなものを公安調査庁の調査官にどんどん報告をする、そんなことも関知をしない——どうかしているんじゃないですか。関知をしない関知をしないといって、どこまで関知をしないのか。

齋藤寛治郎文部省大学学術局学生課長

○齋藤説明員 大学の社会における責任と申しますか、それは学問の教育、研究という点で大学は責任を持っておるという意味で申し上げたのでございまして、関知しないという表現は、少し意味が——ほったらかしだというふうに理解されますと、大学の意味もちょっと薄らいで、はっきりしないということになろうかと思いますが……。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 関知をする、関知をしないというのは、一体どういうことなんですか。関知というのは一体何ですか。関知しないというのは、かかわり知るところではないとおっしゃるんでしょう。かかわり知るところではないんだとおっしゃるんでしょう、結局あなたは。じゃあ、結局、大学のゼミナールの状態などを学生が公安調査官に言うというふうなことも、かかわり知らないことなんですか。学問の自由なんてものはどこへ飛んでしまうんですか、そういうことだとすると。そういうこともかかわり知らないことなんですね。関知しないという日本語は、私は字引を引いたわけではありませんけれども、かかわり知らないということでしょう。なるほど、放任ということじゃないかもしれませんね。しかし、放置ということに近いでしょう。類似概念ですね。関知しないというのは、放置じゃないんなら、一体どういうことなんですか。——じゃ、大学局長からお答えください。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 先ほど公安調査庁の長官からもお話がございましたように、学生が調査に協力をするということが教育的な意味があるというふうには私も考えません。ですから、そういうことにつきまして学生が外部のいろいろな方からいろいろなことを聞かれることがあると思います。そうした場合に、それに対してどう受け答えするかというのは、やはりその当の学生の個人の問題ではなかろうかというふうに思います。  で、先ほど学生課長が申し上げましたが、多少ことばの適切を欠いた点もあるかもしれませんけれども、大学が大学としてそういう調査に協力をするという立場にはもちろんないと思います。それからまた、大学は、やはりその大部分の学生は一般の成人に入っている段階のことでございまして、社会的な活動といたしましては一人前としてのいろいろな活動もいたすわけでございます。その個人がそれぞれに行なっております交友関係あるいはいろいろなつき合い、そういうことにつきまして大学として全部指導上の責任がとり切れるというものでもございません。そういう意味におきまして、個々人の責任としてまかすべき分野というのがかなりあるであろうと思います。いま御指摘になっておりますような案件につきまして、個々の学生がどの範囲までどういろいろな方に答えるかというのは、私は、その学生個人の判断の問題であり、徳義の問題ではなかろうかというふうに思います。そういうことが、やはり大学としての学園の雰囲気をつくり上げていく、秩序をつくり上げていくという上においてはきわめて大事なことであろうと思いますが、いろいろな話がいろいろなところで、みんな右から左へ、安心ならないように抜けていくというふうな社会でありますならば、それは学園の社会としてはきわめて安定を欠いた、不穏当な社会になるというふうには思います。で、大学としては、学園がそういう場にならないようにということは注意しなきゃなりませんけれども、個々の事例につきましては、私は、学生個々人の徳義の問題として、中谷委員が御指摘のとおりだと考えております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 じゃ、事実関係をもう一度確かめておきたいと思います。  今度の石川公安調査局の事件というのは、だれが見ても異常であり、だれが見ても非常に不謹慎な事件だと思うのです。そういう事件発生の背景、根源、こういうものについて、これは深刻な反省というものをされてしかるべきだと私は思うのであります。その点についてお答えをいただきたい点が一点であります。ひとつ大臣から、前回も、遺憾だということのお話がありましたけれども、私はやはり一つの原因として、三千三百八件の秘書類のうち四件しかとにかく国会に提出できないというふうな、仕事の性質上といえばそれまでですけれども、そういう公安調査庁の仕事の持っている暗さ、そういうふうなものが今回のこの種の事件を生んだ遠因あるいは原因の一つではないか。非常に暗い役所だという印象を今度国民はあらためて認識をしたと思うのです。こういう点について大臣の御所見を承りたいと思います。  次にもう一点お尋ねをいたしたいのは、次の点であります。  調査庁等によりますると、特定政党に対して、特定政党の党員が協力者となって——こういうのは私はきわめて遺憾なことだと思うのです。そういうふうな協力者をつくる公安調査庁もきわめて遺憾だと思いまするけれども、特定政党の中に所属しておりながら、その協力者、しかも石川地方公安調査局の通しナンバーがもし全部通っておるなら、甲一〇五号という、こういうふうな人間が協力者として存在をするということは、私はきわめて遺憾なことと思う。はたしてそういうふうなことが一つの組織に属する人間として許されていいことなのかどうか、これはもう非常に不信感を持たざるを得ないことなんです。  そういうふうなことを前提にしてお尋ねをいたしますけれども、公安調査庁のそういう特定政党の役員とか党員の調査というのが、特定政党の党員の私生活に調査が及んでおる。たとえば、特定政党の役員の奥さんがかけ落ちをしたとかいうふうなことが調査書の中に出てきておる。さらにまた、特定政党の党員が肝硬変で入院をしておるというふうなことも、とにかく調査書の中に出ておる。そんな個人の私生活、健康、家庭問題についてまでわれわれは調査をされなければならない、そんなことが一体民主主義のもとにおいて許されていいのだろうか。まさにそれは調査の行き過ぎであり、基本的人権の侵害であり、プライバシーが非常な危機にさらされていると言わざるを得ないと思うのであります。こんな点について、調査の行き過ぎというものを、私は、今回石川地方公安調査局の資料を通じて痛切に感じました。言ってみれば、今回の資料というものは、資料の価値はほとんどないものであります。特定政党がどこにおいて会合して、どんなことをきめた、選挙対策をきめたなどというふうなことが筒抜けになっておる。しかも、そういうようなことはだれでも知っているようなことであります。問題は、そんなもうあたりまえのことまでも、公然とまかれているビラまでも収集されているという事実、ことに特定政党の党員の私生活までが細大漏らさず調査の対象になっているというふうなことは、私はきわめて遺憾だと思うのです。こういうふうなことは許されていいことなのかどうか。たとえば、だれの奥さんがかけ落ちをしたなんということを何の理由で調べなければならないのか、だれが病気で入院しているなんというようなことを何の理由をもって調べなければならないのか、調査の行き過ぎもはなはだしいじゃないですかということを私は指摘をしたいと思います。お答えいただきたい。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 御質問の第一点、公安調査庁全体の執務体制、そういうものの暗さが今回のこういうような事件を起こしたのではないかというお話であります。私もとにかくある程度そういう関係はあると思います。そういう点については、今後、もっともっと明るい役所として、また現実に即した役所として、刷新をしていくべきだというふうに考えております。しかし、ただ、何と申しましても、秘密裏にいろいろと調査をしなければならぬ役所でありまするから、そういう点については、また率直に申しまして、同情の目をもって見ていただきたい、こういうような気持ちも持っておるわけであります。  第二点の問題につきましては、具体的に破壊活動そのものが対象であり、ただいまお話しのような、一般にはかなりわかり切っておるようなことをいたずらに調査をし、あるいはプライバシーに立ち入った調査というようなことも私はとるべきではないというふうに考えておりますが、ただ、具体性を持ちましたいろいろな点について裏づけというものは必要なわけでありまして、個人的ないろいろな関係がその人の行動にもいろいろとあらわれてくる、こういう意味での調査はこれはやむを得ない。しかし、いまの、むしろそういうところに重点を置いて調べるという行き方については、われわれも大いに反省していかなければなりません。あくまで破壊活動の防止ということが調査の主眼点であるということだけは念頭を離してはいけない問題だ、かように考えておるわけであります。

大村襄治自由民主党

○大村主査代理 次に、青柳盛雄君。

青柳盛雄日本共産党

○青柳分科員 私は、いわゆる連合赤軍事件などといわれるああいう一派の人々に対して、公安調査庁はどのような調査をしているのかということを中心にお尋ねをしたいと思うのであります。  公安調査庁の任務は、法律に規定がありますので、別に御説明いただかなくともわかりますけれども、少なくとも、破壊活動防止法を実現する上において必要な調査を行ない、また、その該当団体に対する規制、解散を行なうための準備、こういうことに尽きると思います。そこで、そういう団体活動を認識するために、特定の団体をいわゆる破壊的活動の容疑団体というようなきめ方をいたしまして、これを長官の権限で指定をし、公安調査庁の職員の活動を統制するというように聞いておりますけれども、この点はそのとおりでしょうか。

川口光太郎公安調査庁長官

○川口政府委員 お答えいたします。  ただいま青柳先生のお尋ねになったとおりでございます。

青柳盛雄日本共産党

○青柳分科員 もうちょっと詳しくその点についてお尋ねいたしますが、公安調査庁長官が特定の団体をいわゆる容疑団体としてきめる手続はどういうものであり、そしてそれは定期的にやるのか、随時やるのかというような点について。それから第三番目には、この指定といいますか、決定を部内に周知徹底するだけではなしに、たとえば検察庁、警察庁に対しても周知徹底をするのかどうか。さらには、公の広報機関、いわゆる官報などに告示はしないまでも、別にこれは秘密事項として取り扱うわけではなくて、質問があればこれはだれにでも公表するものであるかどうか、この点をお尋ねいたします。

川口光太郎公安調査庁長官

○川口政府委員 お答えいたします。  破壊活動防止法に、いろいろ過去において破壊活動をやり、将来もまた破壊活動を行なうおそれのある団体に関しての規定がございます。それで、私どもは、いろいろな方法によりまして、ある特定の団体がその要件に該当すると認められる合理的な根拠があるかどうかということを見まして、その手続は法律あるいは規定にはなっておりませんが、具体的に申しますと、長官が各所管の部長の報告を受け、次長の助けを受けて、この団体は破防法の調査対象になるという決定を下しまして、これを部内に令達するわけでございます。その行為はいわゆる公安調査庁の内部行為でございまして、直接国民の法律上の地位に影響を与えませんので、いわゆる行政行為ではないというように行政上解釈できると考えます。したがいまして、これを外部に官報その他で告示するとか、あるいは他官庁に通知するとか、そういう手続はいたしておりません。ただ、求められましたときは、こういう団体は私どもの調査対象団体になっています、あるいは、いませんということは、従来からお答えしておるわけでございます。

青柳盛雄日本共産党

○青柳分科員 そこで、具体的な問題に入りますけれども、いわゆる連合赤軍というのは、公安調査庁が昨年の暮れに文章化したものを私ども国会議員として手に入れて読む機会を得たわけでありますが、それによりますと、昨年の七月ごろに、赤軍派というものとそれから京浜安保共闘というものとが合体をして連合赤軍というものになったのだというふうに書かれておりますし、また、一般のマスコミ等で報道されているところを見ましても、おおむねそのようでございます。  この前身であるところの赤軍派というのが、例のハイジャックをやって「よど号」を奪取した連中であるということも周知徹底しているところでございますし、また、京浜安保共闘が、別名日本共産党(革命左派)——この革命左派というのはカッコづきだそうでございますが、神奈川県委員会と称するものでもあるらしい。そしてその目的とするところは、日本に革命を起こすというように言っておりますけれども、手段としては、いわゆる毛沢東思想といわれるものの中にある、政権は鉄砲から生まれる、あるいは、人民戦争によってのみ革命は実現できるという、だから、いわゆる武装闘争を政治活動の中心に置くというような教義のようでございます。こういうことについて公安調査庁は研究をされた上で何らかの行動に出られたのかどうか、その点をお尋ねいたします。

川口光太郎公安調査庁長官

○川口政府委員 お答えいたします。  いわゆる赤軍派は、正式の名前は、共産主義者同盟赤軍派と申すのでありまして、共産主義者同盟から昭和四十四年に分派した一派でございます。このグループと申しますか、一派が、御指摘のようないろいろな事件を起こしましたので、私ども、その結成当時から調査対象団体に指定いたしまして、極力調査を進めておりました。ところが、事件によって検挙者も続々と出る、それから脱退あるいは流入が常ならずということで、はたして規約を持って正式に活動している団体であるとまでいえるのかどうかという点につきまして、若干資料が不足でございましたので、規制に踏み切れずにおりました。  それから御指摘の京浜安保共闘でございますが、これは、その名前自体からおわかりになりますように、一種の共闘組織でございまして、婦人反戦団、労働者反戦団あるいは学生反戦団というような名前の、学生、青年あるいは婦人等の団体の寄せ集めでございます。これを指導する団体として、御指摘の日本共産党(革命左派)神奈川県委員会というものがあったのでございますが、この人数も非常にわずかで、もちろん、これにつきましても私どもの調査対象団体に指定いたしまして、できた当時から極力調査を進めておりました。ところが、米軍基地襲撃、あるいはその他の強盗あるいは火炎びんの投てき等、いろいろ事件を起こしまして、幹部が続々と検挙せられる。それで、先ほどの赤軍派も同じでございますが、結局、大多数が検挙され、その両派の残った者が昨年結合していわゆる連合赤軍ということになったわけで、この連合赤軍になりましてからは地下にもぐりまして、調査がなかなか困難になりました。今度の浅間事件あるいはリンチ事件等にも、地下にもぐっていましたために調査の手が伸びなくて、事前情報もつかめなかった、そのために十分な対策を打つひまがなかったというのが実情でございます。

青柳盛雄日本共産党

○青柳分科員 このいわゆる連合赤軍と称する団体が、一応は公安調査対象、いまの御答弁では、いわゆる容疑団体に指定されたというふうにまではっきりしていませんでしたが、少なくとも調査対象となり、調査されたようでございますので、その点で全く手放しでおられたとも思えませんが、そうだといたしますならば、その調査活動の中で私どもが知りたいのは、これらの団体に近い人たちあるいはその団体に所属している者の中に、先ほどから話の出ております協力者というものがいたのかどうか、もしいたとするならば、どういう形態でいたのか。いまとなれば、特に秘密を守らなければならないほどの問題でないばかりでなく、私どもは、どうも治安当局がああいう暴力主義的な分子を泳がせているんではないか、案外と情報の収集なども怠っている、あるいは収集はしているけれども、成り行きを見ているというようなことを疑うに足りる相当の理由があるものですから、この点をお尋ねするわけです。

川口光太郎公安調査庁長官

○川口政府委員 お答えいたします。  御指摘のような協力者は、赤軍派につきましても京浜安保共闘につきましても若干ございまして、情報を得ておりました。しかし、現在問題になっておりますような最高幹部クラスになりますと、これを協力者に得るということは非常に困難で、いろいろな方法によりまして公安調査官が接触をはかりますが、なかなか協力してくれないということで、十分の情報をとるに至っていませんでしたというのが実情でございます。

青柳盛雄日本共産党

○青柳分科員 一般論として最初にお尋ねをしておきますけれども、公安調査庁の調査活動と、このほかに、警察庁の管轄下にありまして警備公安の係がございます。この公安係というのは、公安調査庁と全く同じような活動をしておるようでございますが、こういうものとの連携というものは、破壊活動防止法にも、検察庁や警察庁と連絡をとることが許されるようにありますので、連合赤軍事件についてもこのような連携のもとにやりましたかどうですか、その点をまずお尋ねしておきます。

川口光太郎公安調査庁長官

○川口政府委員 お答えいたします。  すべての調査対象団体の調査につきまして、警察と緊密に連絡をとってやっております。御指摘の赤軍派等につきましても、具体的に申しますと、たとえば捜索、押収というようなときに、こちらに事前に通知していただいて一緒にそのアジトを見に行くとか、あるいは押収された証拠品を見せていただく、文書ならば写させていただくとか、そういう形、それからこちらで情報を得た場合には警察のほうへ通報するというようなことで、相互に協力してやっております。

青柳盛雄日本共産党

○青柳分科員 これは公安調査庁の皆さんは百も御承知だと思いますけれども、警察庁も別に司法警察的な、いわゆる犯罪がすでに起こってその捜査に当たるというような形での活動をやっているんではなくて、したがって、令状による捜索とか逮捕とかあるいは取り調べとかいうものではなくて、公安調査庁と全く同じように任意の形で相当程度調査をやっておるし、目下のところ、公安警察の九〇%以上はおおむねそういうことではなかろうかと私ども推察をしているわけであります。いまの御答弁では、捜索、押収等に立ち会うというようなお話でございまして、それは当然そうかもしれませんが、そういう任意の捜査についても協力があるのかどうか。というのは、よく協力者同士が衝突をするというか、二重になって競合をするといいますか、要するに、公安調査庁の協力者が警察の協力者にスカウトされるというようなこともあるというふうに聞いているわけなんですね。そこに摩擦が起こり、セクショナリズムが起こるのではなかろうかとも思うわけですが、こういう点の調整はどうやっておるんですか。

島田純一郎公安調査庁調査第一部長

○島田説明員 お尋ねの点でございますが、公安庁と警察との関係につきましては、先ほど長官がお答えなされましたように、それぞれ緊密な連絡をとっているわけでありますけれども、御存じのとおり、警察の任務と公安調査庁の任務とは違うわけでございまして、したがいまして、わが庁としましては、破壊活動防止法に基づいて、この法律の制約のもとにおいてその必要な範囲内においてやっていることでございまして、したがいまして、現実の面で御指摘のような点があるかどうかは私は十分にはわかりませんけれども、私どもとしましては、どこまでもこの破壊活動防止法に基づいた、その法律の範囲内において、破壊活動を行なうおそれのある団体についての調査を行ない、そのために協力者の提報を求めるというような努力をいたしておるわけでございます。

青柳盛雄日本共産党

○青柳分科員 時間もありませんから先へ進みますが、今度の連合赤軍事件は暴露されてきたところが次々と驚くべきことが多うございまして、いわゆる彼らの内部のリンチ事件なるものが頻発をしていたようでございます。新聞の報道などによりますと、裏切るんではないかというようなことで消されたというのもあれば、どうも警察と、あるいは公安調査庁も含まれるかもしれませんが、そういう治安当局のほうとのつながりを疑われてリンチを受けたという者もあるようであります。もし協力者の中にそういう被害を受けた人があるといたしますると、その破壊活動防止のために協力をした、まあ取り消されたけれども、いわゆる愛国的精神をもってやった人が犠牲になったというような結果にも、結論的にはなるわけですね。そういう点について、協力者の中には一人も被害者はなかったと言い切れるかどうかですね。この点を少なくとも公安調査庁はどう調査しておられるか、それをお尋ねしたいと思います。

島田純一郎公安調査庁調査第一部長

○島田説明員 お尋ねの連合赤軍の問題でございますが、これは現在警察で捜査が続行中でございまして、そのリンチ事件がどういう動機でどういう事情からなされたかという点は、捜査の究明によりまして次第に明らかになってくるものと思います。先ほど長官からお答えいたしましたように、この関係の私どもに協力をいただいておりました者というものはごく程度の低い者でありまして、また状況も、これらの連中が連合赤軍をつくったのではないかといわれておる時点ごろからはほとんど入らないという状況でございまして、したがいまして、私どもの協力者の中に今回の被害を受けているというようなことはございません。

青柳盛雄日本共産党

○青柳分科員 この連合赤軍というのは、先ほどもお答えがありましたように、その以前の団体から派生したようなものもあるようでございまして、どうも根が深いといいますか、いわゆる学生運動などというものの中に根を張っているところの、十数年来にわたる共産党などに対して反対を唱える分子、まあ日本共産党に対してと正確に言いますけれども、いわゆる反共分子、私どものことばで言いますと、まあ無政府主義者とかトロツキストとか、あるいは冒険主義者とか、いろいろの連中でございますけれども、この連中が現在結成しているところのもろもろの集団、まあ団体といってもよろしいでしょう、しかもそれは、公安調査庁が破壊活動をやるという容疑をもって調査対象にしているものが幾つかあると思いますが、それをわれわれは知りたいと思います。

島田純一郎公安調査庁調査第一部長

○島田説明員 お答えいたします。  先ほど御指摘のありました、私どもが、一応こういった過激な集団、しかもそれが暴力的な破壊活動を行なうおそれがあるというふうにこれを見ておりますといいますか、対象として調査をしておりますものを若干御報告をいたします。  一つには革命的共産主義者同盟、共産主義者同盟、共産主義者同盟赤軍派、革命的労働者協会、日本共産党(革命左派)神奈川県委員会、日本マルクス主義学生同盟、共産主義青年同盟、社会主義学生同盟、それから全学連というようなところでございます。

青柳盛雄日本共産党

○青柳分科員 最後の全学連というのは、あまりにもばく然としておりまして私どもはよくわからないのですが、全体としていわゆる全学連というのには二つあるんだという説もあるわけで、いわゆる日共系とか反日共糸などというカッコづきの表現まであるのですが、私どもは日共系とか反日共糸とかいうようなそういうあやしげな派閥が全学連の中にあるとは思っておりませんけれども、こういうものも対象にしているということは、公安調査庁の方針の一端をあらわしていると思います。それはさておき、いま言われた八つくらいの団体以外は、別に容疑団体としては決定しておらぬということになるんでしょうか。どうでしょうか、その点。  実は先ほど指摘しました昭和四十六年十二月公安調査庁作成「内外情勢の回顧と展望」というのには、五つくらいの流派がある。一つは中核系、それから二には反中核系、三には革マル、四には最過激派系、第五には独立系とあって、それらにはそれぞれ、第一の中核系には中核というのと四トロというのがあるし、それから反中核系というのの中には解放とか戦旗とかフロントとか共労などというのがある。それから独立系というのには鉄の戦線とか怒濤とか叛旗などがあって、五系統に分散していると同時に、また幾つもの流派に分かれているというような説明があるわけですが、こういう点はどういうふうに一括されているのかどうか。要するに、先ほど言われた八つの団体のどこかにはこの連中がみんな入っておるのだということで調査対象にしているのか。それともこういうのは、いま私が公安調査庁作成の文書の中から引用したようなものは、先ほど言われたのとは無関係であるというのか、その点をはっきりさしていただきたいと思うのです。

島田純一郎公安調査庁調査第一部長

○島田説明員 先ほどお答えしましたのは、先生が指摘せられましたいわゆるトロツキスト系といわれる御指摘のあった部分の一部を申し上げたものでございまして、革共同、共産主義者同盟、こういったものもあげたわけでございますが、その中には、御指摘のありましたたとえば中核、革マルというのは、日本革命的共産主義者同盟の中に中核系あるいは革マル系というのも含んでおるわけでございます。  それからあとで御指摘せられました点は、御存じのようにこれらのセクトは非常に分裂と離合集散が常ならないわけでございまして、したがいまして、ある時点におきましては、非常に過激な動きをしておりましても、これがまたある時点では非常に勢力を消耗する。したがって、団体としてのほとんど体をなさないというようなグループもありますので、したがってその中のおもだったものを御報告申し上げた次第でございます。

青柳盛雄日本共産党

○青柳分科員 公安調査庁では第一部と第二部があるようでございます。そして、設置法によりますと、第一部というのは内乱、外患等の罪を行なうような破壊活動の団体を扱う、第二部のほうは四条一項二号の騒擾罪以下もろもろの破壊活動を行なう団体を調査するというふうに、何か分けてあるようでありますが、先ほどから御質問申し上げておりますいわゆる暴力学生といわれるものの団体は、一部のほうで扱っているのか二部のほうで扱っているのか、その辺のところもお聞きしたいと思います。

川口光太郎公安調査庁長官

○川口政府委員 お答えいたします。  過激派学生団体は、共産主義者の一派でございますので、調査一部関係で所管しております。

大村襄治自由民主党

○大村主査代理 青柳君、時間が来ておりますので、結論をお急ぎ願います。

青柳盛雄日本共産党

○青柳分科員 一点だけ。  この一部で扱っている、いま言われた団体に対しての協力者というものは、現在どの程度あり、どの程度の費用を年間使っているか、その概略だけお尋ねしまして、おしまいにします。

川口光太郎公安調査庁長官

○川口政府委員 お答えいたします。  ただいまのお尋ねの点は、今後の調査上支障がございますので、この席での答弁は差し控えさしていただきます。

青柳盛雄日本共産党

○青柳分科員 終わります。     —————————————

大村襄治自由民主党

○大村主査代理 次に、昭和四十七年度一般会計予算中、裁判所所管を議題とし、最高裁判所当局から説明を求めます。吉田最高裁判所事務総長。

吉田豊最高裁判所事務総長

○吉田最高裁判所長官代理者 昭和四十七年度裁判所所管予定経費要求額について、説明申し上げます。  昭和四十七年度裁判所所管予定経費要求額の総額は、七百四億五千七百九十二万五千円でありまして、これを前年度予算額六百十六億四千八万七千円に比較いたしますと、差し引き八十八億一千七百八十三万八千円の増加となっております。これは、人件費において四十七億一千二百九十四万六千円、裁判費において二億八千八百四十八万一千円、最高裁判所庁舎新営費において二十四億八百九十四万円、沖繩関係経費において十億四千八百五十六万七千円、その他司法行政事務を行なうために必要な旅費、庁費等において三億五千八百九十万四千円が増加した結果であります。  次に、昭和四十七年度予定経費要求額のうちおもな事項について説明申し上げます。  まず、最高裁判所庁舎の新営に必要な経費であります。  最高裁判所庁舎の新営は三年計画で行なわれておりますが、その第二年度の工事費及び事務費として三十八億六千七百一万円を計上して一おります。なお、この歳出予算額のほかに、国庫債務負担行為として八十四億四千百十四万四千円を計上しております。  次は、人的機構の充実のための経費であります。  特殊損害賠償事件等の処理をはかるため、判事補四人、裁判所書記官四人、裁判所事務官二十人の増員に要する経費として二千五十六万円、地方裁判所の交通事件の適正迅速な処理をはかるため、判事補五人、裁判所書記官五人、裁判所事務官十五人、の増員に要する経費として二千六十二万二千円、家庭裁判所の資質検査の強化をはかるため、家裁調査官十五人の増員に要する経費として一千六百十四万三千円、執行官法所定の金銭の保管及び予納事務を取り扱うため、裁判所事務官三十人の増員に要する経費として一千五百三十三万三千円、裁判所の広報体制の充実強化をはかるため、裁判所事務官十人の増員に要する経費として五百二十二万九千円、家庭裁判所を充実、強化するため、専任の家庭裁判所長を置く庁の増設一庁に要する経費として百十七万九千円、合計七千九百六万六千円を計上しております。  次は、裁判運営の能率化及び近代化に必要な経費であります。  裁判官の執務環境の改善をはかるため、下級裁判所裁判官研究庁費一億七千六百七万五千円、資料室図書、図書館図書の充実をはかる等のため、裁判資料の整備に要する経費一億四千八百十一万二千円、裁判事務の能率化をはかるため、検証用器具等の整備に要する経費八千二百六十一万八千円、電子計算機による事務機械化の調査研究のため、研究開発に要する経費一千六十七万五千円、合計四億一千七百四十八万円を計上しております。  次は、公害訴訟の処理に必要な経費であります。  公害訴訟を適正迅速に処理するため、協議会を開催する等に必要な経費一千九百五十五万七千円を計上しております。  次は、裁判官の執務態勢の確立に必要な経費であります。  新任判事補を研修し、若い判事補を欧米の裁判所に派遣する等に必要な経費七千三百八万六千円を計上しております。  次は、下級裁判所施設の整備充実に必要な経費であります。  下級裁判所庁舎の新営、増築等に要する経費として、裁判所庁舎等の新営及び増築に必要な工事費及びその事務費等四十三億六千三百四万九千円を計上しております。  次は、裁判費であります。  国選弁護人の報酬、日当及び宿泊料を増額するに必要な経費として五千五百四十七万三千円、証人等の日当を増額するに必要な経費として三百七万八千円、合計五千八百五十五万一千円を計上しております。  最後に、沖繩の本土復帰に伴う沖繩裁判所等の整備充実に必要な経費であります。  沖繩の裁判所に新規定員四百七十二人を配置するに必要な経費として九億二百六十九万九千円、その他の経費として一億四千五百八十六万八千円、合計十億四千八百五十六万七千円を計上しております。  以上が昭和四十七年度裁判所所管予定経費要求額の大要であります。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。

大村襄治自由民主党

○大村主査代理 以上で説明は終わりました。     —————————————

大村襄治自由民主党

○大村主査代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森田重次郎君。

森田重次郎自由民主党

○森田分科員 大臣お急ぎだそうでございますから、こまかい事務的な問題は所属の課長さんもしくは事務を担当している方々からお伺いすることにいたしまして、きわめて常識的な問題でありますが、それをお伺いしておきたいと思います。  刑事訴訟法の第四百十一条に刑の量定に関する規定が二号に掲げられております。刑の量定が不当であったという場合、これは一体正しい裁判だといえるでしょうか。刑の量定が不当であったと、こういうのです。いかがでしょう。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 常識的に言えば、やはり正しい裁判でないことは、これはもう事実だと思います。

森田重次郎自由民主党

○森田分科員 ところが、この規定を見ますと、ただ刑の量定が不当なだけでなく、「刑の量定が甚しく不当」とこう書いてあるのですよ。これでしたら私はもう世間の常識から考えて、社会的正義に反するものだ、こう考えますが、御所見をお伺いします。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 刑の量定でありまするから非常に主観的なものというべきでありますか、きちっとしたものさしがないところから、やはり客観的に確かに量定が誤っておるということが明確だということになって、要するに「甚しく」ということばが書いてあるのだろうと思いますし、また必要だと思うのでありますが、そうすれば当然これはもう正義に反するものだ、こういうことが言えると思います。

森田重次郎自由民主党

○森田分科員 その次の号にこういうのがございます。「重大な事実の誤認があること。」こう出ている。事実の誤認があるということは、やはり正しい裁判とは言えないと思います。いわんや重大なる事実の誤認とこういうのですから、これは正義に反するものだということは、ただいまの大臣の論理のとおり、私は正義に反するものだと認定していいと思いますが、いかがでしょう。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 お話しのとおり、重大な事実の誤認ということになればもう当然これは正義に反するものだと思います。

森田重次郎自由民主党

○森田分科員 ところが、これは第二審の、つまり控訴審の場合の規定なんです。刑の量定がはなはだしく不当である、それから重大なる事実の誤認があるとこういうのですから、こんな判決はこれは当然破棄しなければならないものだと、常識的に、一般通念からもわれわれはそう論断していいと思いますが、御所見はいかがでございますか。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 私は全くしろうとでわかりませんが、おっしゃるとおりに考えるわけであります。

森田重次郎自由民主党

○森田分科員 私は、法律をあまり詳しくこういうのを知っている方だといろいろとらわれた御答弁があるのだと考えて、率直に大臣の一般通念の表徴者としてお尋ねをしたわけなんです。私は全く大臣の御所見と同一の見解を持っている者なんです。だからこれは破棄すべき事項の一つなんです。刑の量定がはなはだしく不当である場合、それから重大なる事実の誤認がある場合、いわんやそれは判決に影響を及ぼすべき重大なる事実の誤認がある。だからこういう場合は常識的に考えて当然破棄すべきものだ。ところが、この刑事訴訟法を見ると、その前に何といいますか、さらに一つの条件が加わっているのです。どういう条件かというと、いまのような事情があったその上に、原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めたときに、判決を破棄することができる、こういう規定なんです。これはどうもおかしいことじゃないですか。一体何のためにこういう条件を特別に付加したのか、私はこの立法者の真意を解するに実際苦しむ。私も弁護士ですから多少これらの問題やっているわけですが、はなはだ不満なんです、この立法は。こんなことはないですよ。これはまあ私は、ちょっと悪意の推定かもしれませんけれども、最高裁判所が、事件が多くてもてあます、とてもやり切れない。そこで、なるほど刑の量定も不当だし、重大なる事実の誤認もあるんだけれど、しかし、これを早く棄却したいというところから、著しく正義に反しないという一項をそこに入れて重々しい条件を付加した。そのために刑事問題の上告審というものはなかなか破れないのです。これに対し在野法曹が黙っていることが、私には実にふに落ちないことだと思うのです。だから、いまでは刑事問題としては特別に騒がれた事件でない限りは、本件上告はこれを棄却すると定置文字で書いておいてもいいので、あとは理由を並べていけばいい。こうこうで事実の誤認があるけれども、著しく正義に反すると認められないからこれはだめなんだ、こういう判決をするんですよ。どうです、大臣。だから、こういうようなことは、いまの時代になって、もう最高裁判所も人が一ぱいになって、そう困難するわけでもないんだから、この法令はすみやかにいまの「著しく正義に反する」という部分を削除すべきだというのが私の見解なんです。これをぜひやっていただきたいという意見を実は前の法務委員会でも述べたのですが、依然として今日まで法務省は動いてくださらないものだから、きょうはひとつしろうとの頭のいい大臣の政治的な考え方でこれを改正するようにぜひ立法していただきたい、これをお願い申し上げたいわけであります。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 その規定がどういう理由でできたか私も存じません。ただ、結局乱訴を防ごうという気持ちがあった、そこまでも、そういう意図があったかとも私は思えないのでありまして、結局「著しく正義に反する」という解釈の問題で、実際問題として非常に訴訟が多過ぎるというようなことで、あるいはそれをたてにとってできるだけ訴訟の件数を減らしたいというようなことに利用したかもわかりませんけれども、そうだとすれば、要するに「著しく正義に反する」ということばの解釈が誤っておるのじゃないか、そういうふうに考えます。  ただ、その規定をはずすかどうかにつきましては、私、検討さしていただきたいと思います。

森田重次郎自由民主党

○森田分科員 これはぜひひとつ御検討なすって、早く御改正願いたい、こう思います。  それで、この問題はわかりました。あと事務的な点は、あとでまたお伺いいたします。  もう一点お伺いいたします。先ほど大臣は、裁判というものは三者一体とならなければいけないものだというおことばをいただきました。三者一体とは何々をさすのでございましょうか。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 裁判官と検察官、そうして弁護士と、この三者を、いわゆる法曹三者をさして申し上げたわけです。

森田重次郎自由民主党

○森田分科員 私は、この三者は日本の裁判運用の点で不可分の一体をなすものだ、絶対に必要なたてまえのものだ、こう信じていますが、いかがでございますか。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 おっしゃるとおりで、この三者がなければ訴訟は動かないわけでございます。また、その訴訟がほんとうに正しい訴訟でありますためには、三者が一体になって協力し、社会のために働くということでなければその成果は全然あげられない、かように考えておるわけであります。

森田重次郎自由民主党

○森田分科員 もう一点お伺いしておきたい。  その意味において、裁判所は、検事さんはやはり国家の一つの機関ですから、これは問題ない。裁判官もそのとおり、これは問題ないですが、問題は、在野法曹としての弁護士のことなんです。これは弁護士会というものができて、統一ある活動をして、裁判所と一体になって法の運用をはかっているという、これはもういまでは常識になって、どなたも疑いのないところなんです。そういう点から考えて、法の運用上絶対に不可分の一体をなすようなものならば、国家がこの弁護士会に一定の程度の保護を与える。それはどの程度のものが必要かということはしばらくおくとして、とにかく一体機関としての絶対必要な機関だとなれば、国がこれに対して何らかの保護を与える義務があるものだ、私はこう解釈するのですが、いかがでございますか。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 その問題につきましては、私も弁護士というものの性格、率直にいいますと、常に私考えさせられることは、弁護士ははたして依頼者だけの利益を考えてやるべきものであろうかどうかという根本問題があるわけでありまして、そういう意味からすれば、まず国の目的のために一番正しい結論を出すということが根底にあるのではなかろうか。そういう意味合いからして考えますと、国ももっと保護育成、あらゆることに協力していくべきではなかろうか。ただ現実を見ますと、非常に個人主義になり、あるいは弁護士会というものにつきましても、率直に申し上げまして、やはりこれは横割の社会でありますから、縦なり一致団結したということなしに、いろいろ個人的な御主張がまじってくる、そういうようなことで、現実の姿についてはいろいろな批判があるのでありまして、そこらで、要するに現実と理想をどういうふうにマッチさせて、少しでも理想に近づけていくという考え方で国も対処すべきであろう、まあこういうふうな考えを持っておるわけです。

森田重次郎自由民主党

○森田分科員 もう一点。いま地方の裁判所へ参りますと、いまのとおり、弁護士というものがいなければ裁判の進行も何もできない。そこで、裁判所の構内に、つまり裁判所の設備の中に弁護士の集まる隻会所というものを使用させているわけです。使用させているといえば、いかにも国のほうが恩恵を与えているようではありますけれども、国としてもまた絶対に弁護士というものが必要なんだということなんですから、これはわれわれとしては当然のことじゃないかと考えている。今日、若干の、大きな都市における弁護士会というものは会館を独自に持っております。しかし、地方の弁護士会となりますと、どこでも裁判所のほうで部屋を提供してこれを使わせているのが今日の慣習なんです。だから、私は、弁護士の使用する会館というものは、いまのような形で国のほうで使用させているという、これは一体法律的根処に基づくと解釈すればいいのか。私はもう当然、裁判所と一体となっているんだから、裁判所の一部を使用させるのは当然なんだという、あたりまえになり過ぎて議論の余地がないほど慣習化されているんだという考え方なんですが、これはいかがでございますか。ちょっと大臣の意見をお聞きしたい。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 率直に申しまして、以前は弁護士、裁判所また検察庁みんな一体になって、もうほんとうに親類づき合いというような感じがいたしたのでありますが、だんだん世の中が都市化されるに従って、いろいろとその三者の関係が一体化されなくなり、また世間全般から考えましても、そういうふうな見方が強くなってくる。そこで、いろいろただいまお話しのような事務所の経費とかいろいろな問題についても、最近では、いろんな問題が起こってきておるように思います。本来の姿に返って、もっともっと話し合いでうまく考えていくべきものではないかと思いますが、これは会計の問題になりますので、経理上の問題あるいは国有財産の問題、大蔵省の考え方からいきますと、経理ははっきりしなければならぬ、こういう立場もあります。また、弁護士会の方からいいますと、ただいまお話しのとおりな面もあります。これは、私もいま直ちに結論をどういうふうに出していいか、考えあぐんでおるわけでありますが、しかし、いずれにしましても、できるだけ三者が一体となっていけるような体制はつくっていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。

森田重次郎自由民主党

○森田分科員 いま大臣、これが一つ問題になっているわけなんです。大蔵省の国有財産を所管しているところとの意見がちょっと合わないところが出ているわけなんですが、しかし、これはやはり国として態度を決定すべきなんで、大蔵省の理財局あたりと交渉するというのは大体おかしな話なんで、これは大臣、ひとつ大局から見て、これは特に立法して、弁護士の地位というようなものを明確にすれば何でもない話じゃないかと思っておりますから、この点ひとつ御検討をお願い申し上げたいと思います。これは御答弁は要りませんから、ひとつ問題として御検討をお願い申し上げたい、特に国務大臣としての大臣にひとつお願い申し上げたいのであります。  大臣、以上で私けっこうでございます。あとは事務的なことはまた別にお伺いいたします。

大村襄治自由民主党

○大村主査代理 次に中谷鉄也君。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 繰り返し繰り返しあらゆる機会に多くの委員から質問をされ、最高裁が答弁されている問題に、裁判官の再任問題とそうして新任問題がございます。この問題については、質問者と答弁される最高裁との間の相違点、論点はほとんど尽きているわけでありまするけれども、なお今後とも質問がされ、問題が提起されるだろうと思うのであります。  それは、やはり私は何といっても、裁判所というものが、他の行政機関に比べて、国民の信頼を受けているという前提、その裁判所が国民の信頼をわずかでも失うようなことがあれば、それはもうたいへんなことだ、民主主義の根幹に触れる問題である、こういうふうなことを国民自身が危惧し、憂慮し、そのことが私は国会の中における質問にあらわれてきているとも思われるのであります。  そこで、最高裁が従来から述べておられるのは、再任の資料については、再任に必要な裁判官の全人格を示すデータ、そういうものをもって再任についての判断にされる、こういうことであります。そこで、そのことに関連をして私は、裁判所の一つの姿勢というか、考え方というか、たいへん気にかかる点をお尋ねをしておきたいと思うのであります。  すなわち、三月八日の予算委員会における私の一般質問が、裁判官の再任問題について若干触れたわけであります。そうして私は、その質問にあたりまして次のように申し述べました。私が指摘をいたしましたのは、多くの人たちが再任問題について最高裁に対して意見を提起し、署名を集め、そうして再任問題がほんとうに正しい姿で行なわれるということを期待をし、その点についての希望を最高裁に述べている、こういうことを私は指摘をいたしました。これはもう具体的な事実であり、そのことを率直に私は指摘をしたわけでありまするけれども、それに対して最高裁判所事務総長で長官代理の吉田さんのお答えは次のようになっております。「先ほど社会の一部に批判があるというふうに申し上げましたが、その反対の意見もたくさんございまして、現に私どものところにたくさん書面が来ております。」この点は私は事実に基づいての御答弁でございまするから、それはそれで私はけっこうなんです。ところがそのあと「また声なき声も私どもには感じられるわけでございます。」こういうふうに述べておられるわけであります。私は、声なき声というのは、例の安保国会のときに岸総理が有名な、とにかく退陣を迫られておったときに声なき声は支持をしておるんだと言ってたいへん不評判になったことばであったろうかと思うのであります。岸総理にそのことをお聞きするわけにはまいりませんけれども、全人格を示すデータを集めて再任については判断をされるんだ、このことと私は関連をいたしまして、最高裁事務総長にお尋ねをいたしたいのでありまするけれども、声なき声というふうな、これは全く言うてみれば何と申しまするか、主観的なというか、御自分の好みにもこれはなりかねない問題、そういうふうなことで、とにかく反対意見はあるんだよ、しかし声なき声は自分はそういうふうな賛成意見もずいぶんとにかく感じでわかるんだというふうなことは、一体裁判所として、あるいはとにかく高名な裁判官として、そういうふうなことがはたしてこの委員会において言われていいことなのかどうか。逆にいいますと、再任問題の判断にあたっても、声なき声というふうなもので判断をされておる向きがあるのではないかとさえも私は非常に心配をするわけであります。  一体なき声があるんだ。声なき声なんというようなことは、あらゆる問題についてとにかく厳格な認定を必要とする、とにかく非常に問題を正確にとらえられようとする事務総長のことばとも私は思えなかったわけなんであります。ところが、当時すでにもう時間切れでありまして、この問題については私はそれ以上、とにかくそのことばについての非常な不満と、そうしてある意味においては非常な危険を感じながら、質問を打ち切ったわけですけれども、一体これはどういう真意に基づいて声なき声なんということをお出しになったのか。声なき声なんというのは、むしろ私に言わせれば、総長の一つのお好み、一つの何といいまするか、非常に失礼な言い方をいたしますけれども、恣意、とにかくそういうふうなものにさえも私はつながっていくことじゃないのか。これは冷静な判断とはちょっとかけ離れたことなんだ。そんなことで最高裁というものが世論に惑わされてはならないでしょうけれども、正確に世論の動向というものを見るということが大事だ。それが、声なき声というふうなことで、何か神がかり的なお話が出ておる。そういうようなことが最高裁の中を支配しているとすれば、これは非常に私は問題があろうかと思うのです。あらためて真意をお聞きいたしたいと思います。

吉田豊最高裁判所事務総長

○吉田最高裁判所長官代理者 岸元総理が声なき声ということばをお使いになったその趣旨は私にはわかりませんし、また、岸総理のことばを私は思い出して申し上げたわけではございません。私が声なき声と申し上げた意味は、一言で申しますと、新聞その他で公になっていない意見、こういうふうにお聞き取りいただければいいのではないかと思います。私のところには書面もたくさん参っておりますし、また、面会を求めてこられる方もおります。面会を求めてきておられる方は、批判の立場の方もおられますし、また、それのいわゆる反対の方もおられます。そういう意味で、いわゆる公になっていない意見という趣旨を私はそういう声なき声ということばであらわしたわけでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 総長にこの質問は通告をいたしましたから、会議録を読んでいただいたと思うのですよ。これはもう練達の裁判官ですから、それはちょっと答弁としてはおかしいと思うのです。「現に私どものところにたくさん書面が来ております。また」とつながっていくのですね。「また声なき声も私どもには感じられるわけでございます。」何かとにかく感じられる。面会をしたなら、感じるということでなくて、面会がありました、書面と同じように面会もしました。それはもう声があるわけです。何か最高裁の赤れんがの外のほうで何となしにそんな雰囲気がある。再任問題について市川さんなどがとにかくぐじゃぐじゃ言うておるけれども、まあそういうことについて何も言わない人もずいぶんおるんだ。おれはそういうふうに感ずるのだ。これはちょっと私は、この御答弁は「また」とつながっておりますから、面会のことを言うんだというふうにはちょっと総長、御答弁としては論理的にはつながっていかないんじゃないでしょうか。どう考えても、声なき声なんておっしゃるそのことが、全人格を示すデータで再任するというようなことも、声なき声というようなもので再任が判断されちゃたまったものじゃない。どうもそういうふうな雰囲気があるんじゃないかという点を心配して、とにかくこの点を私はひとつ納得のいくまでお答えをしていただきたいと思うのです。「また」とつながっていますよ。

吉田豊最高裁判所事務総長

○吉田最高裁判所長官代理者 確かにその「また」ということばで声なき声を申し上げた、これはそのとおりでございますが、いわゆる書面に対して、書面でない意見があるわけでございます。いま非常に論理的におかしいとおっしゃるものですから、私も論理的に申し上げるのですけれども、そういう意味のことを申し上げたので、決して私の好みや想像の意見を申し上げているわけではございませんので、その点はひとつ誤解のないようにお願いいたします。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 まあ誤解がないようにとおっしゃいますけれども、誤解を招くことばではありますよね。とにかく総長が誤解がないようにしてくれと言ったって、声なき声というのが面会なんだなんというふうに思うほうが大体おかしいのであって、私が非常に疑問に思いますというのがむしろ常識的だと思うのです。だからむしろ、とにかく誤解をしないようにといまおっしゃいますけれども、誤解を招くことば、また現に、誤解ではなしに、そんなふうな雰囲気があるんじゃないか、この点を私は非常に心配をするわけなんです。  そこで、前回、再任問題に関連をいたしまして、私は次のような質問をいたしました。全人格を示すデータという中には、外部からの資料というものはお使いになっておりますか、こういうふうに私はお聞きしたつもりです。これについて局長の御答弁は、外部からの資料というものは使っていない。私はこのときに、その外部からの資料というのは公安調査庁という役所を意識して、しかし、その役所のことを出すのはあの質問のときには適当でないと思って、「外部からの」ということばを使った。それに対して使っていないと、こういうお話であった。  そこで、私は公安調査庁の問題について、非常にこの役所のあり方について最近疑問を感じていますので、司法権の独立という、裁判という、一番大事な裁判所と公安調査庁とのかかわり合いという問題についてお尋ねをいたしたいと思いますけれども、質問は次のとおりであります。  公安調査官が裁判所、それが最高裁であれ高等裁判所であれ地方裁判所であれ、裁判所の事務局職員等に対して、ある特定人物について、その職員が特定政党もしくはその特定政党の同調者であるかどうかというふうな調査依頼があった場合に、そういうことについては調査に協力をされますか、それともそういう調査には一切協力をしないということで貫いておられるかどうか、この点はいかがでございましょうか。

矢口洪一最高裁判所事務総局人事局長

○矢口最高裁判所長官代理者 そういう依頼がございましたも、一切それには応ずることはいたしません。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 そこで、協力者というのがおるわけでございますね。甲ナンバーで、甲一号とか甲十号とか甲十五号とかいうふうなナンバーがついておる。そういうふうなものがたとえば裁判所の職員の中の——そういうものが存在するかどうかわかりませんけれども、特定政党及びその同調者、そういうものを裁判所職員が協力者として、今度は要するに職務としてではなしに、協力者として協力をするというふうなことは裁判所のあり方として好ましいことでしょうか好ましくないことでしょうか。

矢口洪一最高裁判所事務総局人事局長

○矢口最高裁判所長官代理者 裁判所はやはり公正であるべきでございますし、また、公正らしさを保つべきでございます。そういう点からして好ましくないことだと存じます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 そこで、何べんも同じことをお聞きして恐縮ですし、私ももう昨年来このことばかり聞いているのですけれども、また司法修習生の新任問題——再任問題が終われば今度は新任問題というのが起こってまいります。今度は二十四期でございますね。二十四期の司法修習生の新任期というのも近づいてまいった。こういう中で、裁判官の志望はたしか今度は六十六名でございますか、そういうふうな中で、青法協の会員というのも若干名おるということでありますけれども、もう一度昨年から引き続いてお尋ねをしておる質問を確認的にいたしたいと思いますけれども、またこの新任問題というのが、法曹界のみならず国民の間で非常にもめてきておる。非常に注目されておる。言うてみれば、たとえば大企業である新日鉄だとか三菱重工だとか、そういうところへ大学生が採用される。どの大学生が不採用になったというようなことはそれほど国民の注目を引く問題でも何でもないと思うのです。しかし、事裁判官の新任問題というのは、国民の中ではそのことが非常な大きな問題になるということは、これは決してそういうことを声高く叫ぶ人がおるからというのではなしに、まさに裁判所というもののあり方、裁判所というものが、先ほど局長がおっしゃったように、ほんとうに公正中立であることを期待しておればこそこういう問題が大きくクローズアップされてくる、こういう問題であろうと私は思うのです。  そこで、重ねて同じことをお尋ねいたしますけれども、この二十四期司法修習生の新任に関して思想、信条等による差別は絶対ないんだということをあらためてお尋ねをいたしたいし、今度こそ、最高裁判所のほうから騒ぐわけではありませんけれども、私はあえて騒ぐということばを使いまするけれども、再びことしの四月、五月になってこの新任問題についてまたとにかくわれわれが集中的に国会において質問をしなければならない。質問することによって、われわれ自身の意図は、最高裁判所以下裁判官自身にほんとうに国民の信頼をつなごうということでとにかく質問をするわけですけれども、そのことが裁判所に対するところの信頼を低下させるという問題にもつながっていく、こういうことでこの新任問題について昨年と同じようなことが起こることについては、もう非常に私自身も憂慮をするし、そういうことがあってもらいたくないと思うのです。新任についての裁判所の御見解、臨まれる姿勢、ひとつこういうものについての御答弁をいただきたいと思います。

矢口洪一最高裁判所事務総局人事局長

○矢口最高裁判所長官代理者 修習生より裁判官を採用いたしますのは、私ども同僚として後輩の裁判官を迎える唯一といっていいぐらいの大量採用の方法でございます。したがいまして、その新任の裁判官に適任者を得るかどうかということは、裁判所の前途ということを考えた場合にはまことに重大な問題でございまして、私どもは修習生の方々の中から判事補となるにふさわしいりっぱな人物をできるだけ大量に迎えたいということを念願いたしておるわけでございます。そういう観点から私ども数日後に迫りました修習生の採用面接をいたしまして、これにふさわしい方々を迎えたいということ、そうして一人で多くそういう方があってくれるように、願わくば全員の方がそうであってくれるようにということを心から希望をいたしております。  しかし、まだそういった面接等をいたしておりませんので、その結果どのようになりますか、現在のところそこまでのなにを申し上げるわけにはまいりませんけれども、私どもは前途有為のあまたの青年の中から、さらに裁判官という地位と職責の重要性を考えまして、前途に希望の持てる豊かな素質の人々を一人でも多く採りたいということを念願いたしておるわけでございます。  それにあたりまして、先ほどお尋ねがございましたが、思想、信条といったようなことで差別をするつもりは毛頭ございません。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 重ねてお尋ねをいたしまするけれども、その新任希望の修習生、研修所の修了者が、青法協の会員であるということの理由をもって、それがその新任の対象にならないというふうなことはあり得ないことだというふうにお伺いをしてよろしいのでございますね。この点についてお尋ねをいたしたいと思うのです。  これは局長、総長、私の大先輩ですから申し上げておきますけれども、私、裁判官を修習生修了のとき希望したわけじゃございませんけれども、もう退官をされた先輩の、とにかく私の指導教官、直接ではありませんけれども、聞きましたら、どうも当時私が特定政党に所属しておるんじゃないかと情報が流れてきておったぞ、だからおまえは裁判官には勧誘しなかったのだ。そのかわり検察庁のほうからは、私に検事になれ検事になれととにかくずいぶん言われた。とても検事になるような能力はないということで私は弁護士になりましたけれども、そんなとにかく何か不確実なことで勧誘されなかった。勧誘されても私はならなかったと思いますけれども。そういうようなことは私は非常におかしなことだと思うのです。  重ねてお尋ねしておきまするけれども、私たち三期のころは、裁判官になるなと言われたら、なりたくないわ、それでいいわ、弁護士やったらいいんだというようなことで、ずいぶんいまのように鋭い、思想、信条によって差別をしてはいかぬのだというふうな意識自身が、われわれ三期のころにはあまりなかった。裁判官になれなければ弁護士になったらいいじゃないかというふうな気持ちはずいぶんあったと思うのですけれども、しかし、ほんとうに若い、私たちよりも言えば二十一期後輩になりますこれらの諸君が、まさに思想、信条の自由というものを守っていこう、そして青法協会員であることが新任の拒否の理由になってはならないんだということを、私はもっともなことだと思うのです。この点についてあらためて御答弁をいただきたいと思います。

矢口洪一最高裁判所事務総局人事局長

○矢口最高裁判所長官代理者 これまでもいろいろな機会に申し上げておりますが、重ねてのお尋ねでございますので申し上げますが、青法協会員であるというだけの理由で採用を拒否するというようなことはございません。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 これもまただから同じように議論されていることですね。青法協会員であることは、そうすると結局新任についてはプラス、むしろ新任にとっては新任されやすい条件なのでしょうか、そうではないのでしょうか。もう何べんも何べんもとにかく多くの委員が「だけ」というのが非常に気にかかるし、われわれはこだわっているわけですね。「だけ」ということばをきょうはひとつ説明してください。

矢口洪一最高裁判所事務総局人事局長

○矢口最高裁判所長官代理者 実は青法協の御質問でございましたので、先ほどそのように申し上げたわけでございますが、私ども二十四期の修習生の方につきまして、どなたが青法協会員であるのかというようなことを正直存じ上げないわけでございます。したがいまして、そういったものを問題にする余地が私どもにはないわけでございます。これは正直なところを申し上げておるわけでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 そうすると、もう一度お尋ねいたしますけれども、だれが青法協会員であるとかないとかいうようなことは調査をする意思などは毛頭ない、こういうふうにお聞きしてよろしいのですね。

矢口洪一最高裁判所事務総局人事局長

○矢口最高裁判所長官代理者 調査ということばに当たるかどうかは存じ上げませんが、かりに青法協のほうでそういう名簿をお出しになっておる、簡単にどなたも手に入るといったようなものであるならば、私どもの目に触れるということもあり得るかと思います。しかし、私どもそれ以外の、私どもの方から一人一人に当って聞くとか、あるいは部外というようなものに対して何らかの照会を行なうとか、そういうことをするつもりは毛頭ございません。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 容易に手に入る名簿は新任のときの、そうすると青法協会員であるかないかということも新任の——一つの名簿をごらんになる、そうしてそのことが、「だけ」ではないけれども、そのことも新任の判断材料のデータの一つにはなるわけですか。

矢口洪一最高裁判所事務総局人事局長

○矢口最高裁判所長官代理者 青法協会員であるということを調べるのかということにつきまして申し上げたことでございまして、そういうことがデータになるかどうかということではございませんので、私どもとしては現在そういうことを調べるつもりもございませんし、そういった名簿もお出しになっていないようでございますので、私どもにはわからない。そしてこのわからないという状態は、採用の時点の審査にあたっても当然続いていくであろう。結局青法協会員であるかどうかということは、採用にあたって考慮される要素の中には入ってこないということを申し上げておるわけでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 次に、もう一点だけ。公害訴訟の問題について、質問が変わりますが、お尋ねをしたいと思うのです。  公害の無過失賠償責任の法律案というのが、とにかく法案が提出をされてまいりました。そこで、最高裁判所のほうから「下級裁判所民事裁判例集」の新潟のこの判決をいただきまして、これはもう当然読んでおかなければいかぬことですけれども、あらためて最近読み始めたわけですけれども、ずいぶんとにかくたいへんだっただろうと思います。この判例集全部で、正確にいえば九五一ページに及ぶ判決でございますね。こういうふうなものが、とにかくマンモス訴訟が、これが非常に難件、同時に複合公害をめぐってマンモス訴訟が起こってくる。公害におけるマンモス訴訟一般についての一つの最高裁の迅速な裁判のあり方、迅速に処理をするということとの関連において、どういう対策を持っておられるかということについてお答えをいただきたい点が一点であります。  いま一つは、法案の要綱の場合——環境庁が発表いたしました法案要綱であります。その環境庁が発表いたしました法案の要綱についての推定規定に限ってお尋ねをするわけです。因果関係一般の推定についてお尋ねするわけではないわけなんです。  環境庁の法案の要綱は、因果関係の推定というものをこんな場合には推定するということについて、最初要綱を発表いたしました。その推定規定が落ちて、そうして今度はとにかく落ちたものが法案として出てまいった、こういう経過でございますね。  そこで、一体その推定規定が、環境庁法案要綱の推定規定が存在する場合と、そうして現に存在しない法案の場合とでは、訴訟の審理においてかなり私は審理期間等が、推定規定が存在する場合短縮されるのではないかと思うわけです。こういうような点について、ひとつお答えをいただきたいと思います。一般的に物質と病気の関係まで推定するのだとかいうふうなものではございませんね、この要綱は。環境庁法案要綱の推定規定が存在している場合、たとえば新潟の地裁の判決、富山の判決等の因果関係の証人の数なんというものも、最高裁の民事局でお調べになってくださいましたけれども、どの程度短縮されるのであろうか。別に新潟の事件について、富山の判決についてお聞きするわけではないのですけれども、一般的にかなり短縮されるのではないか。そういうことになれば、推定規定の存在というものは私は意味がある、こう考えるわけなんですけれども、この点はいかがでしょうか。

西村宏一最高裁判所事務総局民事局長

○西村最高裁判所長官代理者 公害訴訟がマンモス化しているということについては、御指摘のとおりでございます。マンモス化した訴訟に対して裁判所としてどういう対策を持っているかというお尋ねでございますが、これは非常に小さなことで恐縮でございますけれども、事件を受理した裁判所としてどういうことを考えてやっているかという点についてまず申し上げますと、その当該裁判所としては、できる限りその事件を担当する裁判官の負担を軽くし、公害訴訟にできる限り精力を集中できるように配慮するということで、ほかの事件の配点を減らすとか、そういったような考慮をその裁判所の実情の許す限りにおいてやっておるということが言えるのではないかと思われます。  それから、公害訴訟においてやはり一番問題になる点は原因の究明ということでございます。これはきわめて立証の困難な問題でございますので、このために相当の審理期間を用意しておるわけでございますけれども、国の機関その他公の機関が公正な公害原因の調査をいたしておりますならば、できる限りその調査の結果は証拠として利用さしてもらう、そういう調査が正当である正しい公正な調査であるならば、その結果を活用さしていただく、こういうようなことも考えてやっておるようでございます。  それから、さらにこの場合、多数の原告について、損害の態様とか、あるいは損害の額とかはそれぞれ個別的に異なってくるわけでございまして、そういった場合の原告本人について損害の態様あるいは損害の額等についての証拠を集めなければならない、こういった場合に原告本人からもいろいろ裁判所としては実情を伺わなければならないわけでございますけれども、こういった事件について多数の原告に合議体の裁判所が全部証拠調べに当たっておるということでございますと、たいへん時間がかかるというようなこともございまして、合議体の構成員の間で十分質問事項等を協議した上で、合議体を構成する三人の裁判官が手分けして同時に本人尋問を行なう、こういうようなことでもって訴訟の迅速化につとめている、こういうことを伺っておるわけでございます。  それから、第二点の無過失責任賠償法の問題でございますけれども、具体的な法律案として現在国会において審議が始まるという段階にあるように伺っておりますので、裁判所としては具体的な法案の内容について意見を述べることは差し控えさせていただきたいと存じます。  ただ、一般的な問題といたしまして私の考えるところを申し上げますと、推定規定のある場合とない場合とがどのような影響を審理に与えるか、推定規定のあるほうが訴訟が迅速に処理されるであろうか、こういう問題についてでございますけれども、推定規定のある場合と申しますと、本来推定規定というのは、一定の要件が、一定の事実がある場合には、ある事実が推定される。A、B、Cという事実があれば、甲という事実が推定される、こういう法律上の規定でございますけれども、こういう規定が生まれてくる基礎には、A、B、Cという事実があれば、一般的に甲という事実が推認できるというような経験法則がある場合において、当事者双方の訴訟法上の地位を公平化するという立法政策から認められる、そういう経験法則を法規範に高めて法規として設ける。これが推定規定であろうかと存じます。したがいまして、法律上の推定規定が設けられるような場合におきましては、一般的にいいますと、経験法則があるというふうにいえるのではないかと思われます。  したがいまして、従来の公害訴訟におきましても、この因果関係につきましては、かなり事実上の推定、経験法則に基づく推認という判断作用が裁判所においてとられておるわけでございます。したがいまして、推定規定がある場合とない場合ということで考えますと、推定規定のある場合と事実上の推定による場合とでどのような違いが出てくるか、こういう問題に転換できるのではないかと考えます。そこで、推定規定のある場合と事実上の推定、経験法則に基づく事実上の推定が行なわれる場合とでどの点が違ってくるかと申しますと、まず第一点は、立証責任が転換されるということでございます。すなわち、推定規定がございますと、先ほどの例で申しますと、A、Bという事実があるときには甲という事実が推定される、こういう規定がございますと、相手方としてはA、Bという事実が認められますと、次には甲という事実が存在しない、不存在ということについて立証責任を負う、こういうふうに考えられておるわけでございます。これに対して推定規定がない場合におきましては、相手方はA、Bという事実が認められても、なおかつ甲という事実があるかどうかは必ずしも明らかではない、疑わしい、甲という事実の存在は疑わしいという程度の立証をすれば足りる、そういうふうにいわれておるわけでございます。その点がまず第一点として違うわけでございます。   〔大村主査代理退席、主査着席〕  次には第二点といたしましては、推定規定が存在する場合においては、その推定規定を利用しようとするものは、いまの例で申しますと、A、Bという二つの要件事実を立証すれば足りるわけでございます。これに対して推定規定がない場合におきましては、A、Bという事実が認められれば、甲という事実が一般的に推定されるという経験法則が確立していればともかくとして、あまり確立していない場合においては、当事者としては、A、Bという事実だけを立証すれば、裁判所は甲という事実を認めてくれるかどうかという点について疑念がないわけではない。そういう意味でA、Bという事実のほかに、あるいはC、Dという事実まで立証しなければならない、こういうふうに考えるかもしれない。そういう点で立証の主題が必ずしもはっきりしない場合があり得る。そういう意味で二つの点から見まして、推定規定がある場合のほうがない場合よりも、一般的に申しますと、推定規定がある場合にこれを利用しようとする当事者にとっては、推定規定があるほうが利益であるということはいえるのではないかと存じます。  しかしながら、推定規定が設けられましても、そのA、Bという要件事実自体がきわめて立証が困難なものである、そこにむしろ立証の重点が本来ならばある、そういうような要件の定め方であるといたしますならば、推定規定がございましても、A、Bという要件を立証するためには相当のやはり証拠調べをしなければならない、こういう問題があるわけでございます。したがって、要件の定め方いかんによっては必ずしも大差はない。いま言った例で申しますと、A、Bという事実が立証困難であり、C、Dという事実は立証がたいして困難でないということでございましたならば、推定規定があるかないかということは、推定規定を利用しようとする当事者にとって必ずしもそう違いがない、負担として違いがないということになるわけでございます。  また、第二に、推定規定が存在する場合には、先ほど申しましたように、相手方は、推定規定の要件であるA、Bという事実が認められますと、甲という事実が存在しないのだ、不存在について立証責任を負う、こういうことになるわけでございます。したがって、甲でないという事実を立証するために相手方としては大きな精力を注いで立証活動を行なっていく、こういうことになるわけでございます。そうなりますと、甲という事実が不存在という相手方の立証テーマをめぐって、非常に多くの証拠調べがなされるということも考えられないわけではないわけでございます。  そういった二つの面から見まして、推定規定のあるかないかということは、訴訟審理の上に影響のある場合もあるかとは存じますけれども、それほど影響のない場合もあるのではないか、必ずしも一がいに言えないのではないか、そういうふうに考えております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 たいへん勉強になりました。  終わります。

森田重次郎自由民主党

○森田主査 次に、青柳盛雄君。

青柳盛雄日本共産党

○青柳分科員 最高裁判所にお尋ねをいたします。  二十四期の修習生がそろそろ修了いたしまして、それぞれ法曹人して巣立つわけでございますが、その中で裁判官を希望される方が現在のところ六十数名あるそうでございますが、その採用の手続は現在どのような進行状況になっておりますか、また、今後どのように進行していって最終的な決着がつくわけでございますか、お尋ねいたします。

矢口洪一最高裁判所事務総局人事局長

○矢口最高裁判所長官代理者 二十四期の修習生全体につきまして、最後の試験でございます私ども二回試験というふうに申しておりますが、二回試験が終わりまして、現在その採点をいたしておるという段階でございます。それと並行いたしまして、今月の二十九日、三十日、三十一日とこの三日間、裁判官を希望いたします修習生の方々につきまして、採用の面接をいたす予定をいたしております。そういう採用の面接をいたしましたあとで、四月の三日の日に、これは修習生全体につきまして及落判定のいわゆる及落委員会が開かれます。その結果、修習生の及第ということになりますと法曹資格ができるわけでございますが、私どもは、その結果と面接いたしました結果というものを総合いたしまして、これは予定でございますが、四月五日の水曜日の裁判官会議で採否をおきめいただくというふうに予定をいたしておるわけでございます。

青柳盛雄日本共産党

○青柳分科員 大体の経過はわかりましたが、その三月二十九日から三日間行なわれる作業というものは、だれによってどのような作業か、何か採用面接だと言われましたが、面接の期間をいま三日述べられたわけで、面接がおもな仕事だと思いますけれども、それ以前に、書面で全人格的に裁判官にふさわしいかどうかというようなことの調査もすでに進行しているわけでしょうか、どうでしょうか。

矢口洪一最高裁判所事務総局人事局長

○矢口最高裁判所長官代理者 御承知のように、修習生に採用されまして二年間、研修所の所属のもとに研修所で勉強し、あるいは現地で勉強いたすわけでございまして、そういった修習の結果というものは研修所から報告され、先ほど御説明いたしました二回試験の成績と一緒に、及落の判定の会議の資料として提出されるわけでございます。私どもは、そこに提出されます資料及び面接をいたしました資料、そういったものを総合させていただきまして原案を策定し、裁判官会議におきめいただくという段取りでございます。

青柳盛雄日本共産党

○青柳分科員 ちょっと同じようなことの繰り返しになってしまうかもしれませんが、裁判官会議に対して、いま事務総局の内部で原案をつくられると言いますが、その意見と申しましょうか、事務総局内部で検討した結果、この希望者は採用が望ましい、また反対に、この希望者は採用は好ましくないという意見、特に後者の場合については理由も普通述べるのではないかとも思われるのですが、裁判官会議に対してそういう意見は付して提出するものかどうかという点はいかがでしょうか。

矢口洪一最高裁判所事務総局人事局長

○矢口最高裁判所長官代理者 裁判官会議がそれぞれの裁判官希望者について御判定をいただけるような資料を提出いたすわけでございますが、採用するかどうかということにつきましては、あくまで十五人の方が慎重に御審議の上御決定をいただくものでございます。

青柳盛雄日本共産党

○青柳分科員 今度の二十四期の場合は先ほどのようなお話でございましたが、二十三期、昨年の場合と今度の場合とが何らかの点において、まあ、日にちの違いというようなことはあると思いますけれども、何か違う点がありましようかないでしょうか、まずそれを一般的にお聞きいたします。

矢口洪一最高裁判所事務総局人事局長

○矢口最高裁判所長官代理者 修習生からの新規採用でございますので、大筋において違うところはないわけでございますが、一点、今度は扱いを変えてはいかがであろうかと考えておる点がございますので申し上げます。  実は昨年度の採用にあたりましては、常に問題になります任地の問題につきまして、あらかじめ修習生等から出ております希望任地と、ここに行っていただきたいと考える任地とが合致する場合はよろしいのでございますが、欠員等の関係でなかなかそうもまいりませんので、裁判官会議におはかりいたします前に、この任地なら行ってもらえるだろうかという趣旨の事務的な照会をいたしておりました。ところが、そのことが何か裁判官会議で御決定をいただきます前に採否についての決定的なものとして考えられるのではないかというような御批判がないではなかったようでございます。本年度は、やはり裁判官会議が十分に御審議の上採否をおきめいただきまして、その上で各人に任地等について連絡をする、こういうふうに改めていってはどうであろうかというふうに現在のところ考えております。

青柳盛雄日本共産党

○青柳分科員 はっきりしている点は、昨年問題になりましたいまのお答えの点でございますけれども、そのほかに、採用に必要な面接考査といいますか、その際の担当者の方々が志望者に対して質問、回答を求めるというやり方が、人によっては非常に苛烈きわまるものであって、なかなかよく勉強していた人でも答えに詰まる、そしてその結果として志望者は、こんなにむずかしい質問を連続して出されるということではもうとうてい自分の志望はかなえられないのではないかというふうな非常に悲観的な気分になるとか、したがって採用を拒否されることを予想しなければならないような心理状態におちいる、場合によったら、不面目な話だから、みずから志望を撤回しようかという気持ちになるというような面があったというふうに私どもは聞いておるのです。そういう人が何人あったかということは、私どももこまかに調査をいたしておりませんが、おそらく採用されなかった方の大半はそうではないか。採用された中にもそういう人があったかどうか、これはちょっと調査のしようもないのでございますけれども、そういう点は今後改める必要はないかどうか。明らかに昨年の場合は、青法協の会員であるということが大体事務総局の人々には公知の事実になっているような人がやり玉にあげられた形で、そういう面接を受けたという報告でございます。あらかじめそのようなことを事務総局がやるということ自体、これは裁判官会議の権威をものすごく失墜するものであって、いわゆる事務総局人事、事務総局が政治の中心にあるといったようなそしりも免れないと思うのですが、こういう点で、昨年度の二十三期の採用にあたって何か反省すべきものがあったかなかったか、この点をお尋ねいたします。

矢口洪一最高裁判所事務総局人事局長

○矢口最高裁判所長官代理者 裁判官会議で御審議をいただきますためには、やはり十分な資料がなければいけないわけでございまして、そのために面接をいたすわけでございます。決して私どもがかってにきめさせていただくといった性質のものでないのは当然でございます。昨年度も本年度もそういった採用面接の趣旨と申しますか、そういったものには何ら変わりはございません。ただこれも、いまお尋ねのように、特定の人に対して非常にきびしい質問をしたというようなことは昨年度といえどもなかったものと私は存じておるわけでございますが、法律問題等をさらにいろいろの角度から列席いたしております局長が突っ込んでお尋ねするというようなことになりますと、ただでさえ緊張しておる裁判官希望の修習生が緊張し過ぎるというような問題もないではないと思いますので、本年度はもっとリラックスして十分の問答がかわせるように、あまりこまかな法律問題等を伺うことはよしてみてはどうであろうかというふうに考えております。もっとも、これは総局の全局長及び課長が総務局長を主査にいたしまして面接をいたすものでございますので、面接にあたりまして打ち合わせの結果どのようになるか、私の一存でも参りませんが、人事担当の者といたしましては、いま申し上げように、昨年度に比べますと、あまりむずかしい法律問題等はやめておいたほうがいいのかなというふうに考えておるわけでございます。

青柳盛雄日本共産党

○青柳分科員 そのことに関連いたしまして、私はやはり昭和四十五年四月八日の岸最高裁判所事務総長の談話というものを重視するわけでございます。これは言うまでもなく広く知られているところでございまして、要するに、「裁判官は、各自、深く自戒し、いずれの団体にもせよ、政治的色彩を帯びる団体に加入することは、慎しむべきである。」という趣旨のものでございます。政治的色彩というところに重点が置いてあるわけでありますけれども、このような談話を二年前の四月八日にあえて発表しなければならなかった原因というものについて、何か考えられるところがあるとするならば、それをお答え願いたいと思います。

矢口洪一最高裁判所事務総局人事局長

○矢口最高裁判所長官代理者 四十五年四月八日の当時の岸事務総長の談話は、二十二期修習生の裁判官希望者の不採用者がございまして、その不採用者が出たという際の談話と関連して例に出されたものでございます。その時期にそれを言わなければいけなかった理由ということでしいてあげますれば、二十二期の裁判官希望者が不採用になった、その不採用になった理由は、それは青法協会員であるからだというふうなことがいわれましたので、それを打ち消すということにあの談話の主眼があったわけでございまして、それと関連いたしまして、青法協と正式に名ざしておるかどうかは別といたしまして、政治的色彩を帯びた団体に関して最高裁判所がどのように考えておるかという考え方をあの談話で述べられた、これがあの当時あの談話が出ました事情でございます。

青柳盛雄日本共産党

○青柳分科員 青法協なるがゆえに不採用にしたのではないという趣旨の談話に付随してというふうにいまお答えがあったのですけれども、どういう理由で採用しなかったかということは、一切ノーコメントといいますか、公表しないというのが最高裁のその当時でも一貫した立場ではなかったかと思うのです。それを一方で、どうもいわれない攻撃が最高裁に及んでおるから、これを解明するための談話だと言われる。しかし、そうなれば、結局は採否の判断の根拠を示すことに帰着するわけですね。ただ否定的にだけ言う、要するに、おまえのほうで言っている思想、信条、特定団体加入を理由としているものではないという、そういう否認だけであれば、別に理由を示したことにはならないというのかもしれませんけれども、もっと徹底すれば、否定も肯定もしないというのが一番徹底的だと思うのですが、しかもそれにくっつけて、「政治的色彩を帯びる団体に加入することは、慎しむべきである。」というような全く積極的な主張が出てくるということは、一体どういう心理状態、どういうことを意図したものであるか、もう一ぺんお答え願いたいと思うのです。

矢口洪一最高裁判所事務総局人事局長

○矢口最高裁判所長官代理者 岸事務総長の談話は、あくまで世上のうわさというものを打ち消すために出されたものでございます。ただいまお述べになりましたように、確かに青法協会員であるという理由から採用しなかったのではないということを申し述べております。その点は採否の理由の一端を述べておるということになるわけでございます。それはそのとおりだと思いますが、当時の非常にやかましい世情等を考慮いたしまして、最小限度否定的に述べざるを得なかったというのがその真意でございます。そういった機会にそれでは青法協というものは採否の理由にはなってないとすれば、じゃ最高裁判所は青法協というものをどのように思っておるのかという疑問が当然次の疑問としてまた世上でうわさされるということになりますので、最高裁判所としましては、やはりこの際そういった政治的色彩の強い団体に対する考え方というものを述べておく必要があるというふうに御判断になり、裁判官会議の御決定を得て公式の見解として、裁判官の倫理の問題ではあるけれども、それは慎むべきであると考えておるということを明白になさったものである、このように承知いたしております。

青柳盛雄日本共産党

○青柳分科員 いまもお話しのように、それは倫理問題であって別に法律的な拘束力を持ったことではないと言われるので、この点は憲法違反の議論だとかあるいは裁判所法違反の議論だとかいうところまで議論を発展する余地がないようにも見えますけれども、論者の中には、この談話自体がもう憲法違反である。法律的にもある意味において差別を公認しているようなものである。だから、思想、信条の自由とか平等の原則とかいうものを侵す内容になっている。単なるモラルだと言いながら、実質はそうではないんだという議論もありますが、それはそれといたしまして、実はこのような最高裁の公式見解というものの裏に重要なことがあることをわれわれは気がつくわけです。  それは、古くは昭和三十五年五月、ちょうどこれが発表された十年前、高等裁判所長官や地方裁判所長などの会同の席上で、当時の田中最高裁長官がある訓辞をしたようでございます。それは、無政府主義、ファシズム、共産主義等が日本国憲法の基本原理である民主主義と相いれないものである以上、もしこれらの諸主義を信奉する裁判官があるとすれば、その裁判官は良心に矛盾を感じないでは使命職責を果たし得ないという趣意のものだそうであります。十年後、昭和四十五年の五月二日には、石田最高裁長官が記者会見を行ないまして、やはり裁判官の個人の思想は裁判の内容と切り離せない、極端な軍国主義者や無政府主義者、はっきりした共産主義者は裁判官として活動するのには限界があり、国民から認容されまいと述べたそうであります。これは一つのものの見方をあらわしているものとしては共通していると思うのです。人間の思想あるいは人生観、そういうものは人によって種々さまざまであるけれども、この無政府主義とかファシズムとか共産主義とかあるいは軍国主義者といったようなものは、これはこういう思想を持っている者は少なくとも裁判官にはふさわしくないという一つの共通した考え方をあらわしているわけです。これがいまの総長談話の裏にあるのかないのか。これがないとすれば、片方は長官個人の言動であって、あえて最高裁の全体としての考え方ではないのだという言いのがれもつくわけでありますけれども、これが裏にあるとすれば、最高裁というものはもうはっきりと思想的に特定の者は差別をするということが、それは法律的には拘束力を持つか持たないかということは別問題にいたしまして、差別だけはするのだ、事実行為でもいいです。そういうことを裏づけることになると思うのですね。この点をはっきりとお答え願いたいと思います。

矢口洪一最高裁判所事務総局人事局長

○矢口最高裁判所長官代理者 四十五年四月八日の岸事務総長の談話というものは、そこに述べられておりますとおりのものでございまして、それ以外の何ものでもないわけでございます。石田長官の憲法記念日等の御発言等、その後に長官が御自分のお考えということでお述べになったもののようでございますが、それと最高裁判所の公式の見解といたしましての岸事務総長の談話の内容とは、何も関係がないものと私どもは承知いたしております。

青柳盛雄日本共産党

○青柳分科員 どうも最高裁判所が思想、信条あるいは特定団体加入のゆえをもって、人事の上でもその他の面でも差別を行なうのだという疑いが一般に非常に濃厚に持たれているのは現実でございます。これは最高裁判所が、それは困るのだ、あるいはそんなことはないと否定されましても、私どもの見るところではこれは大体一般的な世論だと思います。  そこで、思想、信条のほうはこの談話の中には入らないのだ、関係ないようにもいま御答弁ありましたけれども、少なくとも特定団体に加入は慎むべきであるということだけは、もう文字の上ではっきり出ているわけですね。政治的色彩のある団体、それ以外の団体はいいということを裏からいえば解釈できるわけでありますが、これを言う積極的な理由についてどういうふうに説明をされるのでしょうか。いわゆる当時「らしさ論」というものが盛んでありました。朝日新聞やあるいは毎日新聞の主張、社説などにも「らしさ」ということが大事なんだというようなことを言っておりましたが、こういう「らしさ論」らしいものがこの談話の基礎にあるのかないのか、この点もお答え願いたいと思います。

矢口洪一最高裁判所事務総局人事局長

○矢口最高裁判所長官代理者 裁判官と申しますか、広く申しますれば裁判所でございますが、裁判所はあくまで公正中立でなければいけない、これは当然でございますし、また、公正中立であるというふうに国民からの信頼を受けなければ、その職責というものは一日といえども果たしていけないものであろうかと思います。その信頼を受けるということを私どもは「らしさ論」ということで、公正らしさが必要であるということを申しておるわけでございます。   〔主査退席、大村主査代理着席〕 そういう観点から談話が出ておるものであることは当然でございますが、ただ一言申し上げておきたいと思いますのは、青年法律家協会ということが当面の問題でございましたので、岸事務総長談話の中に、いわゆる政治的色彩の強い団体ということで最高裁の見解の表明がございましたが、私どもといたしましては、何もそういった政治的色彩の団体のみにその問題は限るべきではなくて、その他の一般的な団体でございましょうとも、それに裁判官が加わることによりまして、一般の国民から公正である、中正であるということを疑われるようなものであるならば、それはやはり裁判官の心がまえとして加入を避けるべきである、裁判官がそれに加入することは好ましくないという考えを持っておるわけでございます。そういうことであの談話が出ておるものであることを御承知いただきたいと思います。

青柳盛雄日本共産党

○青柳分科員 もう時間がありませんから、最後に一問。  なるほど、その点について私どもは最高裁とだいぶ見解が違うんでございますけれども、それはともかくといたしまして、国民が疑問を持つということもたいへんに既定の事実のようにして主張されますけれどもはたして国民大多数の人々が、裁判官が特定の政党とかあるいは特定の政治的色彩ある団体に加入をしているということをもってその裁判の公正を疑うという、そういう何か実体的な証拠、調査、世論、そういうものがあるのかどうか、私はまずそれに疑問を持つのです。むしろこのような談話が出された当時の状況を思い起こしてみると、確かに一部の人たちが狂騒的に反共的な言説を裁判官に対して浴びせかけている、特定の裁判官に対して、青法協もそのやり玉に上がったわけでありますが、そういう状況があった。こういう片寄った思想を持った一部の人たちが盛んに「らしさ論」なるものを裏づけるような気違いじみた活動をしておったということ、これに最高裁があたかもこれは世論だというふうに飛びついたんではなかろうか、これが「らしさ論」の必要な根拠であるというふうにしたんではないかという疑いを私はいまだにぬぐい去ることできないのです。だから、どうも裁判所法をつくったときの立法経過などを見ましても、裁判官も個人として思想の自由あるいは団体加入の自由があるんだから政党へ入ったってかまわないのだ、ただ積極的な活動だけは避けたほうがいい。その理由は、あまり政党の積極的な活動をすると本来の職務のほうにエネルギーが集中できないからやはり非行という部類に、裁判官の弾劾訴追理由の非行という部類に入ってくる可能性もあるというようなことであったので、要するにこれは法規的にもそうだし、モラルの上からいってもこれを否定的に解釈すべきではない。どうも「らしさ論」というものの根拠がはたして実証的に証明できるのかどうか、この点を最後にお尋ねいたします。

矢口洪一最高裁判所事務総局人事局長

○矢口最高裁判所長官代理者 私ども、法律が政党加入を禁止していないということから直ちにどのような政党に入ってもそれはいいんだというふうな倫理の面、心がまえの面についてまでそれと同様に解釈すべきものであるというふうには考えていないわけでございます。確かに裁判官の現在置かれております国民感情の中における裁判官の地位というものを考えてみますと、立法当時あるいは全国民がそれぞれの政党に入る、政党員として活躍するということが予想されておったのではないかと思われるような節が非常に強いわけでございまして、しかし、新憲法が施行されまして二十数年をたった今日におきましても、現に正式に政党に加入しておられる国民というものは百万前後のわずかの数字でございまして、残りのほとんど大部分の国民というものはそういったいずれの政党にも属しておられないという状況が今日の日本の現状であるわけでございます。といたしますと、そういった国民の政治的な意識と申しますか、政治的な感覚と申しますか、そういったものの中にやはり裁判所のあり方、裁判官の心がまえというものも形成されていかなければいけないわけでございまして、先のことは別といたしまして、現在の段階における国民の政治的な意識といったものから見てみますと、裁判官は政治的の色彩の強い団体には少なくとも入らないように心がけることがその心がまえとして必要なことであるというふうに考えておるわけでございます。これは決して私どもの諮意的な考えではございませんで、一般的に十分の御承認を得得るところではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。

大村襄治自由民主党

○大村主査代理 次に、森田重次郎君。

森田重次郎自由民主党

○森田分科員 先ほど法務大臣に裁判所の運営というものは裁判官と検事、弁護士会、これが一体とならなければ所期の目的を達成することができないのだ、したがってこれは不可分の一体と見るべきものだというので、大臣からそのとおりだという御答弁をいただいたと思うのでありますが、裁判所の御見解を承りたい。

大村襄治自由民主党

○大村主査代理 答弁は簡潔に願います。

大内恒夫最高裁判所事務総局経理局長

○大内最高裁判所長官代理者 森田分科員の仰せのとおりだと考えます。

森田重次郎自由民主党

○森田分科員 そこで、弁護士会の事務所でございますが、これが裁判所と同じ構内というか裁判所の所内にあるものと、それから土地が裁判所の構内の中にあって独立した建物を建てているのと二色あるようでございますが、まずその独立した建物を持っている弁護士会の所属する裁判所というのは一体どこどこで、何カ所くらいあって、どれくらいの面積の土地を使用しているか、それを簡単にひとつ……。

大内恒夫最高裁判所事務総局経理局長

○大内最高裁判所長官代理者 弁護士会の会館の問題であると思いますが、全国に会館の所在しますのが十六カ所ございます。順次申し上げますと、東京に三カ所、東京弁護士会、東京第一弁護士会、東京第二弁護士会、そのほかには横浜、千葉、八日市場、さらに浜松、静岡、沼津、新潟、名古屋、金沢、京都、福岡、小倉並びに熊本、以上十六カ所ございます。そのほかに大阪にも弁護士会館がございます。これの土地は大阪弁護士会の所有地でございます。そのほか、先ほど申し上げました十六カ所はいずれも裁判所の敷地、つまり行政財産になっております。

森田重次郎自由民主党

○森田分科員 いまの独立した事務所を持ったものでなく、裁判所所内に事務所を持っている裁判所並びに支部の数の総数をちょっとお伺いいたしたい。

大内恒夫最高裁判所事務総局経理局長

○大内最高裁判所長官代理者 ただいまお尋ねの点は弁護士会館の問題ではなくて、いわゆる弁護士控室と称しているものだと思います。これは裁判所の建物の中にあるものでございまして、弁護士会館あるいは弁護士会の使用するものではなくて、弁護士さん方が訴訟のために集まって待機しておられる場所でございます。その場所は支部以上というお尋ねでございますからそれで申し上げますと、裁判所の数が合計二百八十九ございますが、そのうち二百七十八カ所は裁判所に弁護士控室がございます。

森田重次郎自由民主党

○森田分科員 その裁判所の構内というか、所内にある弁護士の集会所、まあ控室でも何でも名義はいいのですが、それは一体何か料金のようなものでも取っておるのでございますか。

大内恒夫最高裁判所事務総局経理局長

○大内最高裁判所長官代理者 徴収いたしておりません。

森田重次郎自由民主党

○森田分科員 国の建物を何々弁護士会というようなものの人たちが使っているのですから、これはお金を取ってもいいのじゃないか、こう思うのですが、どうなんですか。

大内恒夫最高裁判所事務総局経理局長

○大内最高裁判所長官代理者 先ほど申しましたように、これは弁護士会に対して貸与しているものではございませんで、弁護士さん方が訴訟のために待機しておられる場所にすぎないわけでございます。そのほかにも調停委員の控室でございますとか検事の控室でございますとか、あるいは公衆の控室でございますとか、そういうものは裁判所の機能を果たすためにどうしても必要な設備でございまして、その意味でこれは徴収しておりません。この問題と先ほど冒頭にお尋ねのございました弁護士会館の問題とは、全然別個の問題でございます。

森田重次郎自由民主党

○森田分科員 しかし、弁護士というものが不可分の一体として国家的に必要的存在なんだ。だからいまあなたは私につかれれば困るとお考えになったと見えて、これは控室なんだということばを使いましたが、実質的にはやっぱり弁護士会なんですよ。弁護士会がみな利用しているのですよ。どこの支部だって地方裁判所だって、弁護士会館などを持っているところは地方としてはほとんどないですよ。あなたがあげたごく少数のものが会館を持っているというだけだ。それを要するにただで使わせているということなんですよ。ただで使わせる根拠はどこにあるのかということです。これは御答弁いただいてもいいのだけれども、私はこう考えているのです。先ほど大臣もお答えになった、あなたも御承認になった、不可分の一体なんだ、だから国家としても弁護士に便宜を与えてやるだけのことで当然のことなんだ。それが慣習的になって今日まで何も問題なしに、金を取ろうとかやろうとかいうようなことは全然問題なしに、ちゃんとそのとおり国のほうで設備して使わせている。内容の問題に触れるとめんどうですから、結局ただで国のほうで提供して使わせている。この点はお認めになりますね。

大内恒夫最高裁判所事務総局経理局長

○大内最高裁判所長官代理者 弁護士控室を裁判所の中に設けまして、それについて使用料を徴収していないという事実はそのとおりでございます。

森田重次郎自由民主党

○森田分科員 だからその理論をふえんしてみると、東京だって横浜だって、裁判所の構内に弁護士の控室を設けてやるのが当然じゃないでしょうか。それほど弁護士というものが裁判所の協力一体の存在として必要なものなんだ。だから理屈を言って、それは弁護士の性格がどうだとか会館の性格がどうだとかいうやぼな議論をやれば切りのない話なんだけれども、理屈の上から考えて私はそう考える。  もう一ぺん問いを繰り返せば、東京の弁護士の控室は、裁判所が自分の裁判所の構内のある一部に建てて、そしてこれを提供するのが日本のいままでの慣例に沿うゆえんだ、私はこう思うのですが、いかがですか。

大内恒夫最高裁判所事務総局経理局長

○大内最高裁判所長官代理者 仰せのごとく、東京の裁判所におきましてはまだ設備が完全でございませんので、弁護士控室はありましても形だけというふうな状況になっております。これははなはだ遺憾な次第でございますので、将来裁判所の改築の際に弁護士の控室についても整備をいたしたい、かように考えております。

森田重次郎自由民主党

○森田分科員 だから、それは裁判所の都合なんで、おかしな話だと思うのです。これは理屈にはならないことなんだ。ただ裁判所は金がないとか大蔵省が金を出してくれないとかいうことだけのことなんですね、それは事実問題からいえば。余裕さえあれば裁判所の構内の中に控室を設けて、そして弁護士にこれを提供する、こういうのが日本の裁判構成の上から見て当然の帰結だ、こう私は考えるのですが、いかがでしょう。

大内恒夫最高裁判所事務総局経理局長

○大内最高裁判所長官代理者 最近私どもがつくっております全国の裁判所の庁舎につきましては、弁護士さん方の待機される控室、これを相当余裕をとってつくっております。たとえばいま建築しております大阪高等裁判所、地方裁判所の合同庁舎につきましても、相当広いスペースの弁護士控室を確保しながら建築をしておるわけでございます。東京におきましてそれがおくれております理由は、これは別に予算が足りないからとかいう理由じゃございませんで、最高裁判所を現在建築中でございます。最高裁判所を建築したあとで東京高等裁判所なり地方裁判所なりの整備をはかりまして、その機会にただいま森田分科員の仰せになりましたような控室の整備、これを実現いたしたい、かように考えておる次第でございます。

森田重次郎自由民主党

○森田分科員 その理論をもう一つ延ばしていきますと、あなたのほうの御都合で、最高裁判所をいま建設中だから、そこまで手が回りませんという御議論のようです。これは裁判所の怠慢だと私は見るのです。裁判所の怠慢といってあなたを別に責めるわけでも何でもないのだが、要するに国家の怠慢だ、こう見るべきものだと私は思うのです。その意味でしょう。あなた、いまに余裕ができてくれば建てて提供しますよというおことばは、そういう理由に基づくものだと私は考えるのですが、それでよろしゅうございますか。

大内恒夫最高裁判所事務総局経理局長

○大内最高裁判所長官代理者 東京の整備がおくれておりますことはたいへん申しわけないことでございまして、できるだけ早く実現をいたしたいと考えます。

森田重次郎自由民主党

○森田分科員 そこで、これは例をとります。東京弁護士会が弁護士会館を建ててやっている。これは国のやるべきことなんだ。国のやるべきことを国も貧乏だし、建ててくれそうもないからといって弁護士会の人々が金をめいめい集めて会館を建てた。これは国家の身がわりに建てたものですから、国のほうではこれに対してまことに御苦労さまでありましたといってお金を少し出してあげる筋だと思うのです、あなたの理論をこう延ばしていけば。国でやるものをあなた方やってくれたのだから、まことにありがとうございます、しかし、予算が少のうございますから、ことしはこの分お礼がわりというか、そういう意味でお上げいたしますといって出すのが本筋じゃないでしょうか。私は、あなたの理論、また私の理論もそうなんですが、そう解釈しますが、どうですか。

大内恒夫最高裁判所事務総局経理局長

○大内最高裁判所長官代理者 ちょっと先ほど申し上げましたように、弁護士の控室とそれから弁護士会の会館とは、私どもは全然別のものだ、かように考えております。  それで、いま森田分科員の御質問は会館の問題でございます。会館につきましては、弁護士会は御承知のように独立の法人でございます。そうしてまた独立の法人としての別個の独立の社会的な活動を営んでおられる団体でございます。しかし、そういう団体ではございますけれども、法曹三者として司法に関係のある団体でございますので、もちろんその特殊性はよく存じております。そこで、国有財産ではありますけれども、その一部をその弁護士会に使用をお認めいたしまして、そしてそこに建物を維持しておられる、こういう現況になっておられるわけでございます。ですから、国有財産法の十八条三項でございますか、行政財産の一部を裁判所の用途並びに目的を妨げない限度において使用を許可することができるという条文がございますが、そういう意味で弁護士会の特殊性を十分考慮してお認めしている、かように考えておる次第でございます。

森田重次郎自由民主党

○森田分科員 どうも時間が参りましたという主査からの御命令で、どうもまだ結論を出さないんですが、しかし、これは意見を聞いてるひまもなさそうですから申し上げます。  いまのとおり、あなたのなにからいっても、土地を提供して、そして使わせている、こう言う。だから国がお金を出すべきものを、建ててくださるなら土地を提供しましょうというんだから、これは無償にするのが当然なんです。こう私は考えるんですよ。ところがどうですか、きょういまここに小幡理財局次長さんお見えになっておりますが、ばく大な賃貸料を取るというのですよ。こんなおかしな話はないでしょう。国のためになるんだ、国が貧乏で会館を建ててあげるわけにはいかない、それじゃわれわれが建てましょう、こう言う。それだからあなたのほうでは土地を提供した、こう言う。しかも土地は無償であるべきものを、これは国有財産を法人に貸したんだから、賃貸料を取るのは当然だと言う。これはしゃくし定木的な理論ですね。大蔵省としては税金をよけい取りたいから、何とか取ろうという気持ちだろうと思う。何でも相当の額だというので、いま東京弁護士会三弁護士会がこれを問題にして、われわれのところへ陳情に来ている。私はおかしい理論だと思うんですよ。国有財産だからというので、これを何とか形式的三段論法で押している。ところが、実質的にはいまあなたがお話しになったように、これは国で提供すべきものを弁護士会のほうで建てているんだ。それは法人だとかなんとかというような、そういう法理論は別として、とにかく弁護士が協力しなければ裁判の運用ができない、絶対的要請なんだ。それに人が集まらなければなりますまい。それなら会館が必要でしょう。会館が必要なら土地も必要です。会館だってさっき申し上げたとおり、国に肩がわりして弁護士のほうの負担でやっているんですから、これは道義的に非常に高く評価せられるべき行為だ、こう見なければならない問題です。それを大蔵省が、あなたばく大な税金をかけようというんだ。これを裁判所が黙って見ている手はないでしょう。どうですか。  小幡さんはきょう局長の代理でおいでになっておりますから、法理論的にこうだといえば弁解もあるでしょうが、しかし、これは裁判所の責任なんですよ。ここで裁判所が政治力を発揮すべきなんです。行政官だけれども、政治力を発揮すべきだ。すみやかにこの問題を、弁護士の方々とそれから理財局との間へ入って、それから大臣にわれわれも折衝してもいいんですが、裁判所が腰をあげてもらうんでなくちゃ、これはとても間での折衝では解決しません。ずいぶん苦労したらしいんですよ。鍛冶代議士、中村代議士、みなそれぞれ中へ入ってずいぶん骨を折ったが、依然として今日片づかない。議員立法やろうかとかなんとか言っているんですがね。そんなことがいまごろ騒がれるということは、私としては実におかしなことだと、こう実は考えるんです。こういう希望なんです。だから私は、一つの建設案というか解決案というものをこういうふうに考えて、裁判所が一骨折ってくださって大蔵省のほうと折衝して、この問題をすみやかに解決してもらいたい、こういう希望を申し上げます。  これに対しての決意のあるところをひとつ、小幡次長さんがわざわざお見えになっていますから、一言御答弁願って、それからさらに裁判所のほうからも御答弁願います。

小幡琢也大蔵省理財局次長

○小幡政府委員 ただいま裁判所のほうから御答弁ありましたように、やはり問題を二つに分けなければいかぬじゃないかと思います。  一つは、弁護士の詰所のように、国の事務を遂行するために施設を供しているという場合、これは国有財産法の十八条三項の行政財産の使用収益とは見ないという取り扱いにしております。  それから弁護士会館に使用収益の許可をしている部分、これにつきましてはやはり使用収益でございますから、大蔵省といたしましては適正な使用料を徴さなければいかぬという立場にございます。そういうわけで再三裁判所のほうにもお願いしまして、適正な使用料にしていただくようにお願いしているところでございます。  ただ先生おっしゃいますように、問題は、国の事務を遂行するために必要な部分と、それからそうでない部分とのけじめをやはりはっきりしていただかなければいかぬじゃないか。それがいま何か混合されておりますので、弁護士のほうも、弁護士会館全体に対して使用料を算定したものを徴収されることについての反論があるような問題でございます。  私どもといたしましても、やはりこの問題はあいまいにしてはまずいと思いますので、できるだけ話し合いまして、何らかの解決策をとりたいと考えております。また、場合によりましては、こういった問題は弁護士会館のほかにもいろいろございますので、国有財産中央審議会などに付議いたしまして、その処理をどうするかということをきめるようにもしたい、こういうふうに考えております。

大内恒夫最高裁判所事務総局経理局長

○大内最高裁判所長官代理者 時間もございませんので、本日は森田分科員の先ほどのお話をよく頭にとどめまして、なお検討いたしたい、かように考えます。

森田重次郎自由民主党

○森田分科員 ありがとうございました。どうぞよろしくひとつお願いいたします。

大村襄治自由民主党

○大村主査代理 これにて法務省所管及び裁判所所管の質疑は終了し、本分科会における質疑は全部終了いたしました。     —————————————   〔大村主査代理退席、主査着席〕

森田重次郎自由民主党

○森田主査 この際、おはかりいたします。  昭和四十七年度一般会計予算中、皇室費、国会、裁判所、内閣、総理府、法務省及び文部省並びに他の分科会の所管以外の事項、なお総理府については防衛庁及び経済企画庁所管を除く事項、昭和四十七年度特別会計予算中、文部省並びに他の分科会の所管以外の事項、昭和四十七年度政府関係機関予算中、他の分科会の所管以外の事項に対する討論採決は、予算委員会に譲ることといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森田重次郎自由民主党

○森田主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  これにて本分科会の議事は全部終了いたしました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  分科員各位の格段の御協力によりまして、本分科会の議事が全部終了することができましたことを、ここに深く感謝するものであります。ありがとうございました。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時八分散会

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