予算委員会第一分科会 第5号
- 発言数
- 301 件
- 登壇者
- 29 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1972/03/24
会議録
○森田主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。 昭和四十七年度一般会計予算中、内閣、総理府所管、ただし、防衛庁及び経済企画庁を除いた事項を議題とし、環境庁に関する事項について、きのうに引き続き質疑を続行いたします。山口鶴男君。
○山口(鶴)分科員 農用地の土壌の汚染防止等に関する法律が去る公害国会で成立をいたしまして、群馬県におきましても、東邦亜鉛のカドミウム鉱害による安中・高崎地区がすでに要観察地域に指定され、土壌汚染の濃度も高く、またあそこで生産されます米につきましても相当高濃度のカドミウム汚染米が検出をされまして、いま群馬県では、この土染法に基づく農用地土壌汚染対策地域の決定についていろいろ作業を進めておるわけであります。 そのことに関連をして若干お尋ねしたいと思うのですが、まず事務当局にこの法律に関係する政令についてお尋ねをいたしたいと思うのですが、政令では特定有害物質としてカドミウム及びその化合物を指定いたしまして、第二条で一号地域と二号地域をきめていますが、この一号地域は「カドミウムの量が米一キログラムにつき一ミリグラム」ですから、これは一PPMということだろうと思いますが、「一キログラムにつき一ミリグラム」、これは一・〇ミリグラムですか、一・〇〇ミリグラムでありますか、そうではなくて単純に一ミリグラムでありますか、その点をまずお聞かせをいただきたいと思います。
○岡安政府委員 お答えいたします。 「米一キログラムにつき一ミリグラム以上」こういう表現は、この種の表現は水質汚濁防止法その他にもたくさんある一わけでございまして、私どもの理解といたしましては、一・〇〇というふうに理解をいたしたいと思っております。
○山口(鶴)分科員 どうも法律の文章、政令の文章というのは科学的にやや正確でないような気がするのですが、これで見ると「米一キログラムにつき一ミリグラム」ですから、一・〇〇というのではなくて一ミリグラムというふうに、これを見る限りにおいては読めるのじゃないかと思うのですけれどもね。 そこで問題は、群馬県では昭和四十五年度産米からこの地域のカドミウムの汚染度のはなはだしい地域につきましては作付の中止を指導し、一PPM以上の米がとれましたところはすべて企業に対して補償をさせておるわけであります。そして昭和四十五年度産米で〇・九九PPMというような産米の出ましたところは、これはやはりもう一PPMであるというふうに考えまして、これが一・〇〇ということならば別でありますが、一PPMということになれば、〇・九九といえば小数点以下二位を四捨五入すればこれは当然一になるわけでありますし、〇・九五PPMでもそういうことになるわけですから、当然これは厚生省のいう有害食品であるという認定をいたしまして作付を中止させました。そして企業も当然そうだということで、それについては補償もいたしまして今日まで推移をしたわけであります。そしていよいよ今度は土壌汚染防止法に基づく対策地域としての線引きを行なうということになりましたら、政令が一キログラムについて一ミリグラムだ、PPMにすれば一PPM、したがってこれをのせたほうがいいかのせないほうがいいかということでいろいろ苦労したようでありまして、そして当然群馬県は環境庁ともその問題については御相談をしたのではないかと思うのです。その問題について環境庁としては一体どういう御指導をされましたのか、まずお伺いをいたしたいと思うのです。
○岡安政府委員 〇・九九PPMのカドミウムを含む玄米が生産された地域を土壌汚染防止法によりまして対策地域に指定するかどうかという点につきまして、私どもは群馬県から相談を受けております。私どもといたしましては、おっしゃるとおり常識的には四捨五入とかその他ということがございますけれども、政令の基準というものが一PPMということになっておりますので、やはり政令の定める指定要件ということには必ずしも該当しないのではあるまいかというように考えまして、やはり来年度以降さらに調査をいたしまして、かりに一PPM以上のカドミウムが含まれる米が生産されれば、そのときにあらためて指定をするということのほうが適当ではなかろうかということを申し上げたわけでございます。
○山口(鶴)分科員 そこで大臣にお尋ねしたいと思うのですけれども、〇・九九PPMといえば、一PPMが百万分の一でさらにその二けた下ですから一億分の一ですね。この一億分の一の差ということになれば、分析いたします場合でも当然これはケアレスミスの範囲だろうと私は思うのですよ。そういう一億分の一という差で、しかもいままで米をずっとつくっておるというならまだわかります。昭和四十五年度産米で〇・九九PPMの汚染米が出た、したがってここは作付中止をしろという指導を——これはまたあとで農林省と議論をしたいと思うのですが、ともかく群馬県は農林省、食糧庁と相談をして指導をされた。そして昭和四十六年度産米は、当該農家はつくらなかったわけです。それで、それに対して企業も補償をしておったわけですね。そして今日に至って、いやここは対策地域ではありません——たまたまここは排煙による汚染地域なんです。安中は、大臣も御存じだと思いますが、湿式製錬と乾式製錬をやっておりますので、湿式製錬の場合は排水の中にカドミウムが出てくる。したがってその水を引いておりますところは、水からの汚染というものがずっと進行しているわけですね。いま一つ乾式製錬をやっておりますから、排煙中にカドミウムが出るわけです。御案内だと思いますが、亜鉛とカドミウムはボイリングポイントが違います。カドミのほうが沸点が低いわけですから、排煙にまじります場合は、通常の濃度よりカドミウムのほうが濃くなって出てくるということが物理的にもはっきり言えるわけでありますが、この排煙による汚染と二通りあるわけです。この地域は排煙による汚染地域なんですね。ですから、土壌中のカドミウムの濃度というのが比較的少ない。もしかりに土壌中のカドミウム濃度が高ければ二号地域にかけることもできるが、不幸にいたしましてそこは土壌中のカドミウム濃度も低かった。ですから一号地域からはずれると同時に自動的に二号地域からもはずれる、いわば通常の地域だということになるわけです。こういうことは地域の農民、特に長い間鉱害に悩まされてまいりました被害地農民の気持ちとしては、私は絶対これは承服しがたいと思うのですね。したがいまして、私はこの一億分の一でもっていま申し上げたような差が出るということは、いかにしても理解しがたい。したがって群馬県も当該県の都道府県公害対策審議会に諮問したわけですが、審議会は一致してそんなばかなことがあるか、これは当然含めて考えるのが正当ではないかという意見が多数を占めて、一応この問題については預かり、もう一度諮問し直せ、こういうかっこうで今日まで来ているわけなんです。どうですか、大臣、こういうものは私はやはり政令に一・〇〇ミリグラムとでも書いてあれば別でありますが、一ミリグラムと書いてある以上、当然これは一号地域に該当するものと判断してしかるべきではないか、こう私は思うのでありますが、御見解を承りたいと思います。
○大石国務大臣 いまおっしゃることを聞いておりまして、当然気持ちの上ではそうあってほしいと思います。ただ御承知のようにすべて行政というものは法律なり法令というものを基礎として運営されなければなりません。そういう意味で、一PPMと〇・九九PPMでどれだけの差があるかというと、ほんとうにこれは問題にならないと私は思うのです。それから〇・〇一PPMというのは、これは何回も十分検査をしてはかった数字だといっておりますが、それだけの誤差は当然私は許される範囲内である誤差でもあり得ると思うのですね。ですから、普通の常識からいえば、やはりこれはどちらに入れても私はかまわないものだと思います。ただ、法律的には一応一PPMということになっております。それ以上は食品ではない。しかし一PPMが含まれて、ではこれは絶対有害であって、〇・九九PPMの場合有害でないということが言えるかというと、こんなことは常識で言えないことなんです。しかも一PPMというのがはたして非常に人間に有害な量かというと、そうじゃないと思うのです、実際の話が。たとえば、すべてのものがこれは有害である、これは何である、これは致死量であるときめる場合には、これは当然常識で考えて大きな幅を持ちまして、普通使う量の何倍かの場合に初めてこうだということになるわけですから、ほんとうを言えば〇・九九PPMがよくて一PPMが悪いなんということはおかしなことだと思います。ただ御承知のように、すべて法律で規制されますから、やはりどこかで線を引かなければなりません。たとえば百円の汽車賃が要る場合に九十九円九十九銭では通用しません、たった一銭ですけれども。そういうことだと思います。そういうことで、やはり近い将来には何とかこのことを考えなければなりません。というのはこの土壌汚染のいろいろな環境基準をきめることが一番大事なんです。こういうことがきまればそれからいろいろな正しい判断ができていくと思いますけれども、ただ、いまのところはこの土壌につきましてのカドミウムその他の環境基準をきめるのが非常に困難でありますので、いまそのような努力をいたしておりまして、近い将来、来年度とか再来年度、どっちかわかりませんが、近い将来には環境基準をはっきりきめる、そういう努力をいたしておりますので、それがきまればいろいろな判断が出てまいると思います。ただ、いまのところは常識的にはなるほどそうだと思いますけれども、いま言ったような規則とか法律とか妙なことで縛られておりますので、そういうことになっておるわけでございます。ただ〇・九九PPMの米を生産されたからといって米をつくってはいけないことはない、これは全部政府で買い上げますから。ですから別に心配ないと思う。しかも農民がそれを食べるのがこわいというなら、この米は自家用米として交換してくれます。ですから現在の日本の食糧管理制度下におきましては別にそう不便はない。ただ自主流通米ということはちょっと問題がありますけれども、それ以外にはないのでございますから、こうなればいろいろ考えますが、いまのところもう少しいい考えがつくまでは、申しわけありませんが、ひとつがまんをしていただきたいと思う次第でございます。
○山口(鶴)分科員 とにかく全国の公害で悩む住民の人たちから、現代の水戸黄門ではないかというぐらい期待をされておる大石環境庁長官の御答弁としてはちょっと残念でありますが、押し問答していても始まりませんから、食糧庁のほうにお尋ねしたいと思うのですが、先ほど来私申し上げたように、昭和四十五年度産米で〇・九九PPMのカドミウム汚染米が発見された。したがって、県は食糧庁と相談いたしまして、ここはやはり作付を中止したほうがいいということで、四十六年度産米はつくらなかったのであります。当時群馬県から当然食糧庁に対しまして——土壌汚染防止法が当時はまだ制定されていなかったわけでして、食糧庁と御相談あったと聞いているわけでありますが、その際食糧庁としてはこの地域に対してどのような御指導をされたのか。食糧庁の御指導があったからこそ群馬県も〇・九九PPMでもこれは一PPMに当然相当する有害食品だという認定で作付の中止を当該地域に指導したと思うのです。その辺の経過をひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
○中村(健)政府委員 お答え申し上げます。 この問題につきましては、四十五年産米につきまして安中で一PPM以上の米が出たということで、いろいろな配給上の措置、買い入れ上の措置をとったわけでございますが、県からその後の作付等につきましての相談は当然われわれのほうにもあったと思います。食糧庁といたしましては、当時土壌汚染防止法というものはなかったわけでございます。そこで一PPM以上の米ができるところは、なるべく米でない、食いものでないものをつくってもらうとかあるいは休耕してもらうとかしてもらうほうがいいであろう。また一PPM以下ではあるけれども、一PPM以上の米の出るような蓋然性の非常に強い地域については、やはり政府は買うとはいいましても配給もできない、あるいは農家も食べるのは気持ちよくない、交換もしてもらいたいというようなところでは、米の生産を制限しておるときでもあるし、いずれにしても生産調整をやらなければならないときなんだから、なるべくそういうところは休耕なりあるいは食糧でないものに転作するということが好ましいのではなかろうかという考え方を安中だけじゃなくて持っておりました。したがって、そういう気持ちが——具体的にはどういう相談があってどういうふうに指示したかというふうなことは私記憶しておらないのでございますけれども、おそらくそういった気持ちが県との話の中で出ておると思います。そういう意味で、県がそういったことを参考にして指導をされた、こういうふうに考えております。
○山口(鶴)分科員 そういう経過があったわけですね。だから当該農家にしてみれば、とにかく四十六年産米は作付中止で企業から補償も当然支出されておった。ここでこの対策地域からはずれるということは非常におかしいという気持ちを持つことは当然だと思うのです。そこで私は解決の方法はあるだろうと思うのです。ということは、いままで〇・九九PPMの産米があった、これは一PPMと同等だという観点から企業が補償もしてきたわけですから、問題は、対策地域になって、そして土壌汚染防止事業をやる。その場合に、事業者負担法で企業が当然排土、客土事業をいたします場合に、その経費を分担するということになるわけですね。その分担に企業がすんなり応ずるということになれば私は問題はないと思うのですね。ですからこの点は環境庁のほうで、わずか一億分の一の問題ではないのか、従来まで企業は補償にも応じたではないか、したがってここを対策事業にしたということについて、特に会社が行政訴訟に訴えるとかそういうつまらぬことをせぬで、事業者負担法に基づく負担にすなおに応じたらどうかという指導をいたせば、私はこの問題は解決するだろうと思うのです。そうでなければ、しゃくし定木でいけば、それなら四十七年産米をひとつつくってみろ、つくって一PPM以上出れば今度はそれじゃ対策地域にしますというのがいま一つの解決策だと私は思うのですが、しかし、後者はいかにも私は形の悪い解決策じゃないか、また当該の住民にしてみれば非常に割り切れぬ思いがするのではないかと思います。したがって、私は前者の形で解決するように、もちろんこの決定は都道府県知事がやるわけで、具体的にいえば群馬県知事がやるわけでありますが、あわせて環境庁として企業に対して御指導をする。かつてチッソの問題につきまして、あっせんに入ったらどうかという私勧告を党を代表して、ちょうど長官不在でしたが、政務次官にお会いいたしまして要請をいたしたこともございます。私はこのくらいの話は、長官、できるのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○大石国務大臣 いまのお話は私はごもっともだと思います。結論から申しますと、そのように努力いたしたいと思いますが、いまの農林省からのお話で、ちょうど休耕さしたらどうか、いまの減反政策でということですが、それは当面の解決としてはよかろうと思いますけれども、その裏に裏づけがなければこれはだめなんです。と申しますのは、いつまでもこの休耕の制度が続きません。したがって、これが終わる時期、やめる時期が来たときにどうするかということを心に入れておかなければ、このような対策は安易に行なってはならないと思うのです。ですから、農林省でもその後どうするか、これはおそらく客土すればいいのですから、簡単なことなんです。その場合には当然客土する。いわゆる土地改良の仕事なんですから、当然半分なり三分の二かの国からの助成は出るのですから、残りの分は、これは面積にもよりますけれども、やはりおっしゃるように、いろいろと便法を考えまして、会社に対しても企業に対してもそのような一部の負担を見てやる。そうすれば、永久に補償することは何もないのですからね。そういうことは十分に考えると思います。ですから、もし、そのような具体的な話が進んでまいりまして、われわれにも努力せいという御希望でしたら、そのような会社側なり県なりにいろいろな話し合いをしてあげるということは、それは喜んでいたしたい、こう思う次第でございます。
○山口(鶴)分科員 私としてもそういう努力もいたしたいと思いますが、ひとつ環境庁といたしまして、いま御答弁がありましたような場合におきましては、ひとつ十分な御努力をいただきますようにお願いをいたしておきたいと思います。 それからいま一つ、群馬県では百年公害といわれる渡良瀬川地域にカドミウムの汚染問題が出ているわけです。昭和四十六年産米で一PPM以上の汚染米が検出されました地域が約三十ヘクタール、それから要観察地域の一応の基準になっております〇・四PPM以上の汚染米が検出された地域が約百四十ヘクタール、合わせまして百七十ヘクタールという相当膨大な地域にカドミウムの汚染米が出ているわけでありますが、問題はこのカドミウム汚染が一体どこが原因者によって汚染をされたものなのかということがいまなお明確になっていないわけです。私は常識的に考えればこれはもう明らかだと思うのです。と申しますのは、あの地域は古河鉱業足尾銅山の鉱毒によって汚染をされ、昭和四十三年当時経企庁が水質審議会をつくりまして、そうして銅の汚染に対する対策事業を一応決定をいたしました。その銅の汚染による激甚地域というのが約千ヘクタールございますが、その中心地域にいま申し上げたカドミウムの汚染地域がずばりと入るわけでございますから、当然これは古河鉱業の足尾銅山が原因者ではないかというふうに思うのが常識だと思うのですけれども、しかし現在の足尾銅山の排水の中に含まれるカドミウムが〇・〇〇二PPM程度だというようなことから、この原因について究明はいたしておりますが、まだはっきりせぬ、こういう状況なんです。これについては通産省、農林省、それから当然環境庁一緒になりまして原因究明をやっておると思うのですが、まず原因究明をすみやかにやっていただく、そのことが必要だと思うのです。 あわせて、いま一つの方法としては、銅については一日も早くこれを土染法に基づく有害物質に認定をすべきだということになり、近く銅についてはきめるとお伺いしておるわけです。この銅の基準は、いつごろ、どういう形でおきめになる予定であるか、これもあわせてお答えをいただきたいと思うのです。
○岡安政府委員 まず渡良瀬川流域におきますカドミウム汚染の原因でございますけれども、これにつきましては、現在群馬県におきまして原因の追跡調査を農林省の補助金によりまして実施中でございます。近くその結果が出るものと考えておりますし、それにつきましては私どもにも御相談があるというふうに考えておりますので、なるべく早くその結果を明らかにいたしたいというふうに考えております。 それから土壌汚染防止法に基づきます銅の指定並びに対策地域の指定要件でございますけれども、私ども現在非常に急いでおりまして、来年度早々、四月ないし五月ぐらいまでの間には銅を有害物質として指定すると同時に、対策地域の指定要件も定めたいというふうに考えております。
○山口(鶴)分科員 銅についても四月中ないし五月にきめる、原因者についても早急にきめる、昨日農林省、通産省は四月中には原因者を明確にしたい、こういうふうにお答えになりました。ひとつ環境庁の側からも、すみやかにこの原因者究明が行なわれますようにプッシュをしていただきたいと思います。 銅の場合は——当然カドミウムや砒素の場合はこれは有害物質ということになるでしょうが、銅、亜鉛の場合は、これは収穫が非常に減少する、減収という面での問題だと思います。したがって、これについては当然土壌中に含まれる濃度というものできめるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。 それからまた砒素については、これはカドミと同じように有害物質でもある、また収穫を減らすという働きもあるようでありますが、両者を兼ねているともいえるわけですが、これの基準については一体いかがでしょうか。
○岡安政府委員 銅につきましては、お話のとおりこれはもっぱら生育障害ということが問題でございますので、私ども現在の検討の段階におきましては、土壌中に含まれます銅の量によりまして対策地域を指定をするということを現在検討中でございます。 砒素につきましては、これは生育障害もございますし、作物のほうにも吸収されるという形もございます。ただ現在までの経験によりますと、茎葉部といいますか、そういうところには砒素は相当上がりますけれども、果実のほうにはあまり上がらないという例もございますので、現在土壌中の砒素の量並びに作物中に吸収される量その他を検討中でございます。 いつ指定するかという御質問でございますけれども、現在十分な資料がないのが現状でございますので、できるだけ急いで調査もし、資料も収集いたしまして、指定のほうに持っていきたいというふうに考えているのが現状でございます。
○森田主査 次に、阿部昭吾君。
○阿部(昭)分科員 私は、土地収用法と環境庁のいわば権限、かかわり合い、こういう問題でまずお尋ねをしたいのであります。 土地収用法による収用の基準というのは、言うまでもなく、公共性、公益性に基づいて個人の土地の使用権なり所有権なりいろいろなものを収用していく、こういうことになるわけでありますが、いま開発事業が行なわれておる。その場合に、開発に伴ってどんどん有害物質や汚染物質を大量に排出をしていく。こういう場合に公害をどんどん出すような現状というのが、はたして土地収用法でいっておるところの公共性、公益性と合致するものなのかどうか、合致しないではないか、こういう問題が随所に起こっておるのであります。私は、もちろんわが国全体の産業構造を、現状の大都会集中から全国にバランスのある配置をしていく、そういう意味での地域開発なり拠点開発というものは賛成をしておるのであります。しかしながら、開発事業というのはすべて公共性、公益性と合致するというふうには単純には言い切れない。企業の側から見ますれば、これはやはり利潤追求といういまの社会の組み立ての上に立っておる原則を持っておる。したがって、公害や何かをどんどんたれ流していくような状況がその開発によって行なわれるとすれば、これは土地収用法によって立っておる公共性、公益性と合致しない。私がここで指摘いたしますのは、茨城県の鹿島臨海工業開発の際に、いま第二期工業用水道工事が、パイプがずっと通ってまいりまして、ほんのわずかのところ、土地の面積にいたしますと二十坪余りの土地の収用の問題をめぐって茨城県収用委員会で争われておる。この争いの原因は、このパイプを通さすことによって、濃度の基準には合致するようにして薄めて、有害物質を排出するのであります。しかし水を大量にむだ使いするといわれるほど大量に薄めることによって濃度基準ではひっかからない。しかし絶対量は、どんどん薄めて流すのでありますから、いろいろな有害重金属、有害物質が排出をされておる。そこでいま争われておるのは、工業用水道は全部公共性、公益性を持つ、したがって建設大臣に対する土地収用の事業認定申請を見ますと、農工両全、農業と工業の両全で、公害などの一切出ない理想的な開発をやるんだ、その一環としての工業用水事業だ。したがって、土地収用事業認定申請、こういう理由になっておるのでありますが、現状はいま言ったように、鹿島の空も海もだんだん汚染されていっておる。したがって、環境庁の立場としては、事業認定申請が出た場合に、前の土地収用法がずっと続いてきておるわけでありますが、最近の環境基準やいろいろな公害関係法というものが整備をされるという時代の流れから見ました場合に、土地収用を行なう、個人の私権を制限するという、この大きな問題のときには、環境庁に対して建設省は協議を持つ、このくらいのことは、これからの新しい土地収用のあり方の中に当然に出てこなければならぬことなのじゃないか、こういう判断を私どもは持つわけでありますが、環境庁長官の大臣としての御見解をお聞きしたいのであります。
○大石国務大臣 ただいまの土地収用法を適用する場合、その前にひとつ建設省から環境庁のほうに相談があってもよかろうというお話でございますが、もちろんそれはある場合によってはけっこうなことだと思います。あってもいいことだと思いますが、われわれとしましてはそれは後手のやり方でございまして、その前に、そのような開発を行なう、あいるはいろいろな企業がそこに出てくるという場合には、その立地的条件なりあるいはその開発のしかたなりあるいはいろいろな施設のあり方なり、そういうものについて、土地収用を行なう以前において全面的な相談があって、お互いに意見が調整されて、そのような開発なり企業の設置が行なわれるということが一番望ましいのでございまして、いまさら争いのもととなる土地収用法を適用するような段階において、そのような意見の調整を行なうということは私は行政としては非常に後手だと思います。そういう意味で、開発する初めの計画を立てるとかそういう段階において、いまももちろん相談をすることになっておりますけれども、それをより強力に調整できるようにいたすことが一番いい方法だと考えておるわけでございます。
○阿部(昭)分科員 いまの長官の非常に前向きな所信、私も大賛成であります。しかし土地収用制度というのは、法に基づく厳然たる一つの個人の私権を制限していくという絶対権限を持つ行為であります。この行為の体系の中に、たとえば事業認定申請の中に、これを許可をするのは建設大臣なんですが、公害など一切起こらない農工両全で理想的な開発事業、その一環の事業なんで、土地収用法を適用したい、こういうことでくる場合は当然に私は、土地収用法のいわば一つの当然の法的拘束を持つ行為として、建設大臣はその事業認定を行なう場合には環境庁長官に協議を求めなければならぬ、協議を持たなければならぬ、このくらいのことは今日の段階では必要な時代に来ておるのじゃないか。大臣はもっと前にやるとおっしゃることはわかるのでありますが、しかし、ただ世の中は善意とかそういうものだけで行き切れない、そういうけわしい法的な争いになる問題がある。したがって法的権限の問題というものは明らかにすべき時期なんじゃないか、こういう意味でお伺いしておるわけであります。
○大石国務大臣 土地収用法を適用する場合に、建設大臣が環境庁長官に協議を求めなければならないというようなきびしい規制をするとすれば、その同じような規制の考え方をやはりその開発なり企業がそれを仕立てる段階において建設大臣は環境庁長官に協議をしなければならない、こう規定したほうが私ははるかに有効だと思います。と申しますのは、土地収用法を適用する云々という場合には、事業の大きな初めからの計画ではなくて、いろいろその計画を遂行する段階において一部的に起こったことが大体中心でございますから、そうなればもう後手になります。ですから私は、いま申しましたように、それくらいの強い規定をつくることが必要ならば、その前において、すでに計画を立てたりいろいろ始める前、全体の計画を進める段階においてそのような強い規定をつくるべきだ、私はこう考える次第でございます。
○阿部(昭)分科員 大臣のお気持ち私よくわかります。 そこで、地域開発は、公共性、公益性を持つ、確かに持つと思うのです。しかし開発によって企業が公害をたれ流すという行為、これは公共性、公益性に合致をしないものだ、こう思うのでありますが、それは大臣も全く同感だと思います。私よりもっと強烈なるものを持っていらっしゃると確信をするのです。したがってその公害を、いまの鹿島の場合に問題になっておるのは、濃度基準では水を大量に使って重金属有害物質をうんと薄めて排出をいたしますので、これはひっかからないようになっておる。しかし大量に水で薄めた有害物質を出すわけでありますから、絶対量はだんだん、特に重金属のようなものはなかなか消えてなくなるということにならない。したがっていつイタイイタイ病が起こるかということのおそれというものはだんだん広がるわけであります。そういう意味で私は、濃度基準以外に絶対量の規制というものがもっと強化をされるべきだ、こう思うのでありますが、大臣も全く同感だと思いますけれども、念のためにお尋ねいたします。
○大石国務大臣 私も同感であります。 たれ流しなんというものは絶対に許しません。それから、これからの規制はますますきびしくなりますし、看視体制も強化してまいります。したがいまして、いやしくも今後公害を発生するようなあるいは人間の健康にことに影響を与えるような問題は絶対に発生させないように、そのような強力な行政を進めてまいる考えでおります。 ただ、いまの水の場合は大体においてPPM、濃度を中心としておりますけれども、これはおっしゃるとおり非常に困難なことでございまして、多少時間はかかりますけれども、やはり将来は総量規制をするということが大事なことだと思います。そのようにもちろんわれわれは考えを進めてまいります。 ただ、いまの鹿島の場合におきましてはシアンが問題になっておるように思いますけれども、シアンが水の中に出るということは許しておりませんから、これはPPMでも完全にゼロでなければならぬということになっておりますので、シアンについては別に濃度とか総量ということは関係ないと思いますが、おっしゃるとおり全体から申しますと、やはり近い将来には濃度ばかりでなくて総量ということをわれわれは十分に考慮しなければならない、そう考えておる次第でございます。
○阿部(昭)分科員 私は大臣にこの問題を特に申し上げましたのは、いま収用委員会で争われておるのです。この全体の第二期工業用水六十万トン給水事業からいえば、パイプがずっと布設をされてまいりまして、ほんのわずかの二十坪ぐらいのところの一人の地主が問題を提起しておって事がまとまらぬのです。なぜまとまらぬかということになりますと、この水を使う企業が、重金属類は水で大量に薄めて濃度基準にはひっかからないようにしておるが、絶対量としては大量の汚染の原因になるような有害なものを鹿島の海にどんどん出しておる。したがってこの公害をきちっとしなければ私の土地の中をこのパイプは通すわけにいかぬといって立ち上がったのです。しかも奇怪なことは、最初任意で、土地収用以前の段階でのいろんな積み重ねが行なわれた。表向きは二万何千円かの、二十坪くらいの土地にパイプを埋め込む使用権の問題であります。とこがろだんだん話が経過しておる間に五十万円になり百万円になり最後に一千万円になり、話としては一千五百万円にまでなったのです。現実にここに通帳がありますけれども、一千万円という現金がちゃんと持っていかれたのです。二十坪の土地にパイプを埋め込む土地使用権、これの代償として一千万円の現金が持っていかれておるのです。その人は、この一千万円受け取って黙っていようかどうかと思って非常に悩んだそうであります。この一千万円をたたき返して、はね返して、私の土地にこのパイプを通すためには、この工業用水を使用する企業が公害に対して万全なる対策を講じなければ私は協力できないといって、いま収用委員会で争われておるのですね。 そこで、私が申し上げたいのは、企業というのはずっと詰まっていくと、全部の事業がもう九九・何%までいっておって、ほんのわずかの区間のパイプが通らぬというだけで、実際上機能はしない。だから一千万でもいいのだと思うのであります。しかし問題は、この公害対策や、有害物質を出さないという問題に対して、いまの二十坪の土地に対するパイプ埋め込みに一千万の現金を持っていくという気になるならば——この人は一千万はねつけたのであります、そして公害対策をしっかりせい、茨城の県に対しても、それまでの経過の中で、公害対策はどうするのか、水をむだづかいして薄めて、濃度基準にはひっかからぬが絶対量はものすごいものを出しておるじゃないかと言ったけれども、茨城の県当局もしっかりした説明やなにかを一切しないで、そしてとうとう土地収用委員会ということになった。この現状を考えまして、茨城県のこの工業用水事業の起業者が出しております事業認定申請を見ますと、公害の一切出ない理想的な開発をやる、農工両全で周辺の農業とうまくマッチをした理想的な開発をやるのだ、その一環としての工業用水ですから、一人の地主が協力をしないので事業認定申請だ、こういうことになっておる。しかし現実にはどんどん公害が起こっておるのであります。農業と工業はまだ過渡的な段階のいろいろな問題はあると思いますけれども、いろいろな両立できない矛盾というものが起こっておる。私は、農工両全のほうはまずさておくにしても、公害を出さない理想的な開発をやる、その一環としての工業用水、だから土地収用事業認定してもらいたいといってきた、その場合には環境庁が——大臣、制度としてもっとその前のことをやらなければいかぬと言っておるのですが、ものごとは全部法律行為でぎりぎりの段階にいって決着をつけるというのは、これは確かに大臣がおっしゃいますように一番よくない方法、問題はその以前の段階でもっとベターなあるいはベストな結論を出す、解決をする、これが一番いいんだと思う。そうはおっしゃいましても、なかなか現代社会はお互いがその以前の段階で善意でベターやベストな結論だけを得られるということにならぬことが多いわけであります。そういう意味でいいますと私は当然に、この土地収用の制度の問題は建設省所管の問題でありますが、環境問題に関する限りは、これはいま日本の国民的な大きな課題であり、そういう意味では、公害など一切出さぬ開発をやるのだ、その一環としての工業用水、だから事業認定、こうきておるような場合は、建設大臣は当然法的な責任において環境庁長官に対して協議を持たねばならぬ、こういう制度をしっかりしておくことが必要なんじゃないだろうか、そういう時期なんじゃないだろうか。企業はどんらんだということを痛感いたします。ずっとパイプがいって二十坪だけあいてないということになると、表向き出るのは二万何千円の補償金なんですが、だんだん積み上げて千円札一貫日持ってくるがどうだといって、実際はお札じゃなくて小切手で持っていって通帳に突っ込んだようでありますが、一千万持っていっておる。しかもそれに起業者たる県が一枚かんでおる。こういうことになりますと、やはり公害の問題に対して、地域住民が今日の政治の基本的なあり方に対してもなかなか信用せぬようになってくるということを私はおそれるのであります。そういう意味で、私が冒頭申し上げましたように、土地収用の法律の中で、特に環境問題に関する限りは、これは汚染物質を出そうと出すまいと公益性、公共性を云々しないということにならぬと思う、やはり公害やそういうものをたれ流しするようなものは公共性、公益性に反する、他の産業をいろいろ地域に定着をさせ、その地域の産業的な力を強めるという意味では確かに公共性、公益性を持つわけでありますが、もう一面、公害をだんだんたれ流していくという行為は公共性、公益性に合致しない行為、このことに対しては、国民の基本的な権利であります私有権、この私権を押えようというこの土地収用、この場合には、公害の問題に関する限りは当然に建設大臣は環境庁長官と協議をしなければならぬ、こういうぐあいに法律上はっきりさせていかなければならぬ時期なんじゃないか。大臣の、お互いがその以前にもっとよりベターな、ということはわかりますが、法律的にはやはり一つの根拠というものは、お互い善意やなにかだけで解決できない面が現代には非常に多いわけでありますから、しっかりしておかなければならぬ時期なんじゃないか、こういう意味でお尋ねしておるわけであります。
○大石国務大臣 ただいまのお話で、私もごもっともだと思うところもございます。たとえば、いわゆる土地収用法を適用する場合、なるほど場合によっては——どんなケースか具体的にはいえませんけれども、ある場合、あるケースによっては、正しい環境を守るために、おっしゃるように、建設大臣と環境庁長官が協議をするということもあってもいいと思います。しかし、そのような法律的な規制をするということもあってもいいと思いますが、その場合にはさらにその前提として、その前に、いわゆる計画を立てるとか、いろいろな立地条件をきめるとか、建設する場合の設備をどうさせるとかいう前の段階において、やはり同じような協議をしなければならないという法的な規制をさせなければならないと思う。ですからいまの場合、私は要らないとは申しません。けっこうだと思いますが、まずその前に全体の計画を立てる場合に、同じような思想の規制をするということが大事でございますので、それをやってなお不十分な場合には、いまのような土地収用法を適用の場合にそれをするという第二次的な段階に移ってもけっこうだと思います。ですから、私は順序が大事だと思うのです。そういう意味で、いまのお考えで私は決して反対ではございませんが、その前提として、やはり先にやることはやるんだ。全体の計画を立てる、全体の仕事をする場合に、そのような法律的な規制をしておく。それをなしに、そのことを何もしない、野放しにしておいて、ただ収用法だけの場合に法的な規制をするということは少し後手じゃないか、私はこう考える次第でございます。 それから茨城県のいまの鹿島の場合、私は事情はよくわかりませんので、何と申し上げていいかわかりませんが、ただ自分の大きな利害も、いわゆる利益をも捨てて、何とかして正しい環境をつくりたいというその地主の方の気持ちには敬意を表します。またそのような、どのような金を積まれても自分の信念を曲げないという気骨にも私は敬意を表します。ですからどう解決したらいいかわかりませんが、しかし県というものは県民を代表するものであって、県民の幸福を考えるものが県なんですから、やはり県が十分考えて相談されて、ほんとうにそのような、金を何ぼ積んでも会社はそこに用水の管を通したいという気持ちがあるならば、おっしゃるとおり、お互いに県とかあるいは町とかが企業と協定を結んで、そして具体的に、こうこうこうしてたれ流しはしない、公害は起こさないというような協定——法的によるとか、協定でもお互いに結んで、そうしておやりになれば、いまお話しのようないきさつは解決するのではなかろうかと思います。いろいろな手段があると思いますので、できるだけお互いに納得できるような方向でお進めになったらいいのではないかと考える次第でございます。
○阿部(昭)分科員 大臣の気持ちというか心情というか、これは私にもよくわかるのです。しかしくどいようですが、どうもちょっと大臣にしては手ぬるいんじゃないか。たとえば尾瀬に道路をつくる。それもやはり一面では公益性、公共性を持っておるのです。しかし、あの尾瀬の自然というものを守るということは、これもまた日本の国家的な民族的な、そういう観点からもかけがえのない大きな公共性、公益性を持っておることだと思う。そのときは、大臣はき然として、尾瀬の自然を守らなければならぬといって決断をされた。したがって、ある意味では、私は建設委員でありますが、そっちのほうのサイドでは少々渋い顔をしたかもしれません。いまの場合も、私は鹿島開発決して悪いといっておらぬのであります。あの鹿島一帯の、ある意味では非常に低開発の、おくれた地帯、そこに人工的に政策的にあれだけの産業的な基盤というものをつくっていくということ、これはやはり一つの公益性、公共性を持っておることなんであります。だからといって公害たれ流しはいけない。それは事前に、土地収用などというぎりぎりの段階にいったところで環境庁長官が乗り出すということじゃなくて、その以前の段階でやはりベターなことをと言われる大臣の気持ちは私はよくわかります。そして大臣は、そのことも就任以来幾つかのところでやってこられたと思う。思うけれども、大臣もやはり一人の人間、環境庁のシステムからいっても、全国の至るところに、いろいろな手だてが万般行きわたるというところまでのそれはまだないわけであります。 この間の四十七年度予算問題などを見ましても、やはり環境庁はまだ新しい役所だというので、非常な期待がある反面、予算獲得なんということになると、大臣相当苦労なさったように私仄聞しておるわけです。そういう面からいうと、いまの、少なくとも個人の私有権を制限するこの土地収用という場合に、これはぎりぎりに追い込まれていったときの問題であります。その以前の段階で、全部ベターなあるいはベストな結論が出るようにせんければならぬ、それは大臣おっしゃるとおりであります。しかし、ものごとはやはり多くの、この広い日本の一億の人間の住んでおる社会の中の問題でありますから、法律的な歯どめはやはりしっかりしておかなければならぬ段階だと思うのであります。 そういう意味で、大臣も、先ほど私から提起されておることは反対ではない、賛成だ、だがしかしということなんでありますから、私もまあお気持ちとしてはよくわかりますけれども、もう一歩踏み切るべき時期じゃないか。 いまの浜田さんという人の、一千万円で二十坪の土地にパイプを埋め込もうというだけの土地使用権、いま収用委員会で争われておる補償金は二万何千円であります。これがだんだんつり上げられて、県の出先も入って、企業は表へ出てきておりません。地元のいろいろな議員の方や何かそういう政治家も入って、一千万円の現金をちゃんと持っていかれてもこれを拒否して、私のこの土地を通すパイプに水を大量に使って有害物質をどんどん出されたんじゃかなわぬ、だからその対策はどうか。茨城県は確たる説明をしない。そこで、それならば私は一千万円積まれても、このままああそうですかと一千万円いただいて御協力というわけにいきませんといって立ち上がったのであります。環境庁長官が就任以来、公害問題、環境問題に対してきびしい態度で立ち上がっておることに呼応して、そういう地域の中にも損得ということを離れて、こういうふうにやはり立ち上がっておる人がいる。 私はそういう意味で言うと、土地収用というぎりぎりにいった段階のときに、法律的な一定の歯どめ、そんなにきびしいものじゃなくて、環境庁長官と協議を持たなければならぬ——しかもこの場合の土地収用、いろいろ調べてみますると、従来の例からいって、あの事業認定申請どおりの状況かどうかなんという調査などほとんどやらずに、企業者側の説明を受けて、そしてまあまあこういう公共団体その他でやることですから間違いはないだろうということでみんなやられておるのであります。 私はほかのことはさておいて、少なくとも公害問題ということになりましたならば、私は、やはり土地収用法に対しても環境庁長官の権限における歯どめというものはひとつ持つべき段階ではないかというふうに思います。特に私は、大臣御就任以来の経過からほんとうに敬服をいたしておるのでありますけれども、公害対策というのは鹿島のような——私の地域もいま新しい港工事をやっておりますし、工業開発をどんどん進めます。私も進めたいという立場で一生懸命やっておる。だからといって、公害はどうぞ御自由にというわけにはいかぬと思うのであります。しかも公害施設というのは、私などから言うまでもなく、最初の段階でしっかりしたことをやれば相当のことをやれると思う。あとでイタイイタイ病が起こった、じゃ公害施設をどうするか、コストの面でもたいへんなことになると思う。したがって、やはり最初の段階できびしいことをやっていくという意味で、大体いまの土地収用なんというのは、開発の初期的段階において多く起こってくるわけでありますから、その場合に、環境問題、公害問題については、環境庁長官が建設大臣と協議を持たなきゃならぬ、持つことを得るでも現段階ではいいと思うのであります。とにかくやはりそういうことをしっかりしておくべき時期じゃないか、こう思います。時間がまいりました。
○大石国務大臣 阿部委員のお話、わからないことはございません。ただ、茨城のいまのケースにつきましては実態をよく存じておりません。ですから、どうしたらいいという具体的なことは申し上げられません。ただ、一般論として申し上げたまででございます。でございますから、いま言ったようないろいろな、あるケースによってはいまのような歯どめも必要であることは、私もそう思います。理論からいえばそのような歯どめは必要であるし、またしかし、その歯どめをつくるという場合にはその前段の、もっと先に手を打つような段階において歯どめをしなければならぬ。その両方が備わらなければ、どうしても私は理論的にうまくないという考えを申しただけでございます。 尾瀬の問題につきましても、私はあれはあまり公共性は感じませんでした。やはり守ることのほうがはるかに大きな効果であると感じたわけでございます。 なお、この鹿島の問題は、現段階におきましては私の権限でありませんので、ですから、あまり的確な御返事は申し上げられません。実態も知らないということでございますので、御了承を願いたいと思います。
○阿部(昭)分科員 あらためてまた……。
○森田主査 有島重武君。
○有島分科員 三月二十一日に国際地球の日というのがございまして、アメリカの各地ではさまざまなキャンペーンが大きく行なわれたという報道がございました。わが国は一体何をやったか。それからまた、来年はどういうふうにしようとするお考えか。その辺のところを先に聞いておきたいのです。新聞の報道によりますと、国連のほうでは、ワルトハイム事務総長が世界公害闘争宣言を読み上げた。その際に平和の鐘を打った。その鐘は日本の鐘であった。それから日本側がいろいろ取材をされたけれども、非常にそっけない答えしか出なかった。そのあとでもって水俣病などの報道を向こうのほうからされた。そんなような報道がございました。これは大臣御承知だと思いますけれども、こうしたことについての御所見、それから、ことしはこうであったが来年はぜひともこうしたいというようなお話があれば承っておきたい。伺いたかったのは、こうした地球の日というものをやっておる、それで、わが国としてはこれにどのような参加のしかたをしたか、それから来年はどのような参加をしたいか、そういうようなことを伺いたい。 〔主査退席、大村主査代理着席〕
○大石国務大臣 この前、二十一日でありましたか、国連で、地球を守らなきゃならぬというようないろいろな話し合いをしたことはございます。それはそれなりに、わが国のそのような機関も参加して話をしたことと思いますが、具体的な内容はまだ聞いておりませんでございます。ただ、私どもは、このようなオンリー・ワン・アースといわれるこのわれわれの大事な地球を何とかしてりっぱに守らなきゃならないという考え方から、御承知のように、世界的な国連の会議が、ことしの六月にストックホルムで人間環境会議ということで開かれるわけでございます。われわれはもちろんこの会議に喜んで出席をいたしまして、その中心となって、十分に国際間に地球を守っていくようないろいろな相談をできるだけして、そのような努力を続けるような方向でこの会議を成功させたいと考えているわけでございます。そういうことで、詳しい手続なり内容についてはまだきまっておりませんので、具体的に申し上げるものもあまりございませんが、そのような方針のもとに、初めて開かれる世界的な会議でございます。この種の公害を防止し、自然を守ろうという会議でございますので、これは初めてでありますから、必ずしもすべてがうまく足並みがそろって、われわれが考えているような方向にまいるかどうかわかりませんけれども、少なくとも、この会議を終了したあとで、世界のいろいろな国々がやはりこの地球を大事に守っていこうという方向に努力していくような、努力を続けられるような成果をあげたいと願っておる次第でございます。
○有島分科員 ストックホルムの会議のあとのことになろうかと思いますけれども、また、いまの内閣がそのときにはどうなっておるかわからないといえばわかりませんけれども、国際的な地球の日というものを日本は日本なりの一つの受けとめ方をし、逆に世界に働きかけていくというようなふうにすべきが当然じゃなかろうか。来年の地球の日というものを、わが国でもこれは相当いろいろいまからお考えおきになるのが当然ではないか、私はこう申し上げたいわけなんです。
○大石国務大臣 わかりました。その御趣旨はごもっともでございます。そうわれわれも考えてまいります。ただ、この地球の日というのは国連の一部できめたようでございますが、それが各国で大きな会合を起こし、相談をしたとかということでもないようでございますが、もちろんこのような日をきめて、お互いが努力しようと国連の中央において申し合わせをしたことはけっこうでございます。われわれも喜んでそれに協力いたしますが、それだけですべて効果があがるとは考えません。やはりみんなで心してそのような気持ちに持っていくように、世界的な足並みをそろえることが大事であろうと考えます。
○有島分科員 来年の地球の日には、日本がやはり一つの役割りを果たせるように努力してくださる、またそれを目がけて——一日だけそんなことをやったってしようがないわけでございますけれども、一つの運動を起こしていくというふうにやっていきたいと私も思います。 次の問題で、環境庁は自然公園等におきます環境破壊を防ぐ、保全をするというようなことにはたいへん努力してくださる。これはわれわれ大いに評価したいと思っているところでございます。非常に素朴な質問なんでございますけれども、何のために自然は保存されなければならないのか、特に何のために緑を保全し、また育てていかなければならないのか、これはきわめて基本的なことでございますけれども、長官はどのようにお考えになっていらっしゃるか。
○大石国務大臣 いろいろな理由がございます。しかし、率直に申しまして、われわれが健康で豊かな生活環境をつくってまいることがわれわれのしあわせの大きな土台だと思います。そういう意味では、大気が汚染されたり、われわれの大事な生命をささえる水がよごれたり、それが非常に健康をそこねることになりましては、やはりわれわれは豊かな環境を守ってまいることができません。そういう意味で、われわれはいま申しましたようなわれわれの生活環境を健康で豊かなものにするためには、大事な緑、大気、水というものをりっぱに保全しなければならない、こう考えます。しかも、これらのものは神さまが地球だけに与えてくれたものであります。しかも、それをわれわれの先祖は大事に保存してわれわれに伝えてくれました。それで今日までの人類の繁栄があると思うのです。ですから、今後われわれは、この先祖が残してくれたわれわれの自然というものをさらに豊かに保護して、われわれの子孫に残すべき義務があると私は信じます。そういうことでございます。 また、かりに自然がごく破壊されまして、われわれはほとんど都会のまん中に住んでおる、その都会にはコンクリートやアスファルトのものしかないというようなことになりましても、一応の生活はできると思います。生活はできましょうけれども、そこの中における生活がいかに無味乾燥なものであって、われわれの豊かな情緒をつくるものでないということは想像にかたくございません。そういう意味で、われわれは人類が今後正しい発展をして、お互いにしあわせに暮らすためには、やはり豊かな情緒というものを持つということは非常に大事だと私は思います。そういう意味で、情緒をつくるためにも自然というものは大きな要素であると考えておる次第でございます。
○有島分科員 実は、昨年の十二月に、私、文教委員会でもって環境庁の方も来ていただいて、そして建設関係の方、あるいは総理府の関係の方に来ていただきまして、緑の問題について質問をしたわけなんです。その際に、環境庁のほうの御見解を承ったのですけれども、大体いまおっしゃったような範囲であったので、こんなような認識であっては、環境保全というお仕事が進められないのではないか、かえって開発のほうにどんどん押されてしまうような結果になるのではないか、それをお案じ申し上げたわけなんです。いま長官がおっしゃったその豊かな情緒あるいは水、空気、先祖から受け継いだものなんだから、これを大切に守っていかなければならない、これは確かにそのとおりであろうかと思いますけれども、これからの環境行政を、そういったものの考え方だけからこれを進めていくことができるかどうかということを私はたいへん案じるわけなんです。 それで、そのときに建設省にも伺ったわけでございますが、一つには、環境問題として把握しておるというようなお答えがありました。それから、公害対策として物理的に、あるいは化学的にある。あるいは災害対策としての緑の問題がある。それから視覚的な問題がある。こういうようなことを言われたわけでございますけれども、公害対策としての緑のメリット、物理的な、あるいは化学的なということをこの前言われましたけれども これは少し突っ込んで御説明いただけますか。
○川名説明員 ただいま先生からお話ございましたように、去る十二月の国会で御答弁を申し上げました、私どもの自然と申しますか、都市内におきます緑の受けとめ方は、一つは都市の生活環境という受けとめ方をいたしております。それから公害対策のための問題、それから視覚的な問題と、大きく分けましてこの三つの問題でお答え申し上げたことは事実でございます。 公害の問題にしぼってのお尋ねでございますが、私どもといたしましては、植物が本来的に持ちますところの機能、これはいわゆる同化作用といったことであらわされる機能が一つあるかと思います。それからばいじんでございますとか、そういったものを葉で受けとめまして、それを降雨によって徐々に流していくといったような効用もあろうかと思います。また多植と申しますか、よけい木を植えることによりまして、それが騒音の防止にも資することができるであろうというような効果もあろうかと思います。またもう一つは、防風的なあるいはガス等の拡散を防止していく、こういった形のこともあろうかと思います。かく見ますと、緑、特に樹木が持ちますところの効用はかなり大きいのではないかというふうに考えております。 ちなみに、それでは都市の生活環境といたしまして、どの程度の緑量が都市内あるいは都市の内外にあればよろしいかということでございますが、これにつきましては、私どもといたしまして十分な調査をいたしておりませんし、また学会等におきましての調査も、まだ私、非才にして承知をいたしておりませんが、一例によりますと、科学的な問題として受けとめますと、大体広葉、落葉樹におきまして四十平方メートル程度のものが都市人口一人当たり必要であろう、ドイツの学者のベルナッキーという方でございますが、その方の研究がある、こういうことで、そういう問題を基礎にしながら、私どもはただいま申し上げましたような各種効用を踏まえまして、都市の緑化あるいは緑地の保護ということに対処しているということでございます。
○有島分科員 長官にお願いしておきたいわけなんでございますけれども、いまも、大体の見当として物理的に化学的にというような建設省のお話でございますけれども、緑がないと人間生活というものは、ほんとにもう根本的に破壊されてしまうであろうというようなこと、これは情緒とか、そういったような生活の基盤よりもややぜいたくな問題というようなことではなしに、一つには酸素の供給源である、あるいはばいじんの吸収効果というようなこと、これもこの前私のほうの調査としてはこまかいデータを申しましたけれども、それから騒音の防止というような問題、これが緑の環境があるところと、それからそうでないところとの、国民の体位その他の生活に与えている差というものが、相当きわ立ってわかっておるという調査があちらこちらからも出ておるわけなんです。出ておりますけれども、それがまとまったものとして権威づけられないと申しますか、いまも建設省のお答えの中に、調査がややまだ不十分であるというような表現でもってそれが言われておりますけれども、個々にはいろいろな研究が進んでおります。それでこうしたことを言いながら——建設省にちょっと、これは皮肉でもって言うわけではないのですけれども、道の中央分離帯のところに木が植わっておりますね。それから草なんか植わっておりますね。そこに持っていってホンコンフラワーを植えたところがあるわけなんです。これは川名さんも御承知でいらっしゃいますか。写真がありますからちょっと見てください。これは建設省のほうのお仕事の範囲なわけでございます。それで環境庁は別に関係ないのかもしれませんけれども、いろいろおっしゃってはいるけれども、やっていることはそういうことをやるほどの問題意識である。確かに見てくれですよ。情緒もあるかもしれませんよ。こういうことが現実に行なわれるようでは口先ばかりのことではあろうかと思うのですね。 それからもう一つ、きょうはお呼びしておりませんけれども、農林、水産庁関係の試験場でもって植物の試験をやっております。ところが、農林、水産庁というところは、もともと昔から松や杉あるいは桑あるいは米というような食生活にあるいは木材としての、そういうような問題意識でもってとらえております。ここでもって、公害と植物の関係というようなとらえ方でもっていま研究をあちらこちらで進めていらっしゃるようでございますけれども、それはむしろ植物がどのようにいたむか、いたまない植物は何か、そんなようなこともやっていらっしゃるわけなんですね。 それで、一つこういうのがあったのです。自動車の排気ガスをガラスの箱の中に送り込みまして、植物がどのくらいいたむであろうかどうかというような、そういったことをやったらしいのですね。一般には、排気ガスでもって空気の汚染によって、植物がいたむであろうというようなことは常識的にいわれておりましたから、それがどの程度であろうかということをお調べになったらしいのですけれども、その成果をなかなか発表なさらなかった。どうして発表しないのだろうと思って私が尋ねていったら、まことにお恥ずかしい、ろくな成果が出ませんでしたというのですね。ろくな成果が出ないということは、排気ガスではその植物はいたまなかった、そういうことなんです。学者の立場としてはそれはお恥ずかしいことかもしれませんけれども、それは重大な問題でございまして、いままでのばく然と、公害によって木がいたむのだろうということがくつがえされるような大きい問題につながってくるわけなんです。 結論から言いますと、われわれはむしろいまの日本における、特に市街地における緑の育ちの悪いのは、根を張るような状況になっておらない、コンクリートで攻められてしまって、コンクリートの下は水分がなくなってしまっている。しかも、いままでの建設工法によれば、雨の水は全部下水に流れ込むようになっておって、木の根元に十分吸着できるようにはなっていない。昔植えたものはよかったかもしれないけれども、いまから植えるものは育たないのじゃないかというような考えを私は持ったものですから、それがむしろ排気ガスよりも水の問題であるといったようなとらえ方を私どもはして、そういった研究があるだろうかと思ってさがしていたのですけれども、こうした例についても、ここに写真がございますけれども、これもちょっと見せて差し上げたい。長官に見せて差し上げてください。うしろにポンコツの自動車をとめまして、そこから排気ガスを前のガラスの箱に送り込んでおる。それは非常に貴重な研究であろうと思うのですけれども、それが人間を守っていく、環境を守っていくのだという問題意識の上でとらえていないがゆえに、貴重な研究が浮かび上がってきていないのです。それは植物主体でやっているから。そういう問題がございます。 それからもう一つは、教育問題としてのいままでの生物学といい植物学といっても、これを生きたものとしてとらえるよりも、むしろ死んだというか、解剖する、解析する、そういう現代の自然科学的な手法というものがおもになっておったのではないかというような指摘もしたわけでございますけれども、こうした問題を通じまして、ではほんとうに人間を守っていくという立場でもって、さまざまな角度から緑を総合的に研究していく主体、これは環境庁以外にないと思うのですよ。それで、いままで申し上げたことを、時間がないから詳しく申し上げられませんでしたけれども、大ざっぱなことでございますけれども、環境庁の長官としてはどんなふうにお感じになるか、御所見をちょっとここで承っておきたい。
○大石国務大臣 いまいろいろ御高説を承ったわけでございますが、一々御答弁申し上げるわけにもまいりませんので、ただ日本の緑をどのような考えでとらえるか、これをどのようなふうにしたらいいかというお話のようでございますが、おっしゃるとおりでございます。ただ問題は、いわゆる日本人のよく使う科学的とか物理的という問題だけでは緑の問題は解決しないと思います。なぜかといえば、人間というものはただ物理的に、生理的にだけに生きているのではなくて精神的にも生きている、これはいわゆるホモサピエンスでございますから、やはりそういう面も十分考えますと、簡単なる科学的何とかいうことで片づけられないと思うのですね。しかし、一応われわれは日本の開発がどのようにあるべきか、日本の環境を保全するためにはどの程度の開発まで認めるべきであるか、どういう地域を選ぶべきであるかということをやはり考えなければなりません。そういう見地から、やはり日本全体の緑のあり方、あるいはたとえば、ただいま環境容量ということばをわれわれは使っておりますが、そんなことで、どの程度の大気の汚染度といいますか水の清らかさ、あるいは緑の量というのもおかしいのですが、そういった物理的な意味がある、そういうものがあれば、われわれが一応快適な健康な生活ができるのかというようなことを、各単位地域ごとにずっと日本全国を検討いたしまして、そういう環境容量というものをそういうことに考えているわけです。そして日本全土を調査いたしまして、その結果を持ち寄って、いま言ったように、日本国土の総合的な開発についての環境保全の立場からの一つの定見を持ちたいと考えまして、いまそういうような努力をいたし始めておるわけでございます。このようなわけで、この環境容量の調査につきましてはまだおそらく三、四年かかると思いますが、そういうことで一応日本全土のいまいう環境容量を調査いたしまして、それを土台として、日本の豊かな明るい、健康を保全できるような、そのような日本国土の開発の、これは基本的なものの考え方にいたしたいと考えておるわけでございます。
○有島分科員 どんどん研究調査を進めていただきたいわけでございますけれども、いまおっしゃった科学的な、計量的なものだけではそうした緑の問題というのは御し切れない、そういうことはあるかもしれません。けれども、いままで緑化運動をやっていらっしゃる国家的な運動が幾つかございます。その方々にお目にかかって、何が一つのデッドロックになっておるか、阻害要件になっておるかということを聞きますと、われわれの手元には、どうしても緑がなくてはならないんだという科学的データがないんだ、そういうことを嘆いておられます。この点、われわれがわずかの力でございますけれども、農林省の研究所に行った、あるいは建設省から伺う、あっちこっち総合して集めますと、かなり強力な説得力のあるデータというものが出てくるわけなんです。そういった点についていろいろな研究を総合して——いま長官のお立場は、通産側がどんどん開発をやっていく、あるいは建設側が開発をやっていく、それに対抗するのに単なる情緒論だけでは弱いのじゃないかということを私は心配しているわけなんです。それがきょうの私の質問の唯一のポイントなわけです。 〔大村主査代理退席、主査着席〕 その点も大げさに言えば政府の統一見解と申しますか、どうしても環境をこうした立場からは保全しなければならないんだということですね。それは情緒的でもけっこうです。その問題も含めて、さらに科学的な根拠をしっかりと確立されますように、そのことをお願いしたいわけなんです。いかがですか。
○大石国務大臣 いまのお話、大体了解できました。それは私も同感でございます。やはり日本の豊かな国土を守っていくためには、いま申しましたような、どのような方針で、どのような考え方で国を開発し、あるいは守っていくかという基本的なものが要ると思います。そういう基本的な土台をつくるために、いま申し上げた環境容量というものを一応調査いたしておるわけでございますが、これもいわゆる人間がただホモサピエンス——ただ人間が生きていく、肉体であるというだけの立場からの検査しかできません。それ以外に人間が考える動物であり、情緒を持つ動物であるということを考えますと、その場合、緑というものはできるだけ多いほうがいいと思うわけでございますが、その調査というものは不可能なことでございますから、少なくとも、人間が生きている人間として、どれだけ酸素なり、緑なり、大気の澄明度になり、水の澄明度なりが必要であるかということについては、早く調査を進めてまいりたいと思います。
○有島分科員 これで終わりますが、まだちょっと心配なんです。と申しますのは、ホモサピエンスとして物理的に生きていくというだけではないにきまっているのですけれども、物理的に生きていくためだけ考えても、もういまは危険なところにきているということが問題になっているのです。その認識をはっきりしていただかないことには情緒どころではない。私が言いたいのは、国土全体の緑化も大切であるけれども、都市環境の中における緑の荒廃というものはたいへんなものです。いまのような御意識だと、それではときどき見に行けばいいじゃないかというようなことになるのじゃないかと思うのです。私から言えば、いまの都市環境ということについて発言できないような環境庁などというのは、ナンセンスじゃないかと言いたいぐらいなんだ、そして、長官も大体そういうふうにお思いになっているのでしょう、いま権限は制限されておりますけれども。こうした面において、もっともっと差し迫まった問題意識を持ってやっていただきたい。それを政府の一つの方針の中に入れて、そしてさまざまな開発も産業の向上も、そういったことを含めてやっていくようにしなければならない、そういうことをきょうは申し上げたかったわけです。 終わります。
○森田主査 次に、安井吉典君。
○安井分科員 簡単に河川開発あるいは利水計画、それと自然環境の保護あるいは自然景観の保護との関連の問題を、時間がありませんので一般論としてちょっと伺っておきたいと思います。 上流で、ダムやその他の取水施設で、発電あるいは多目的ダムですか、そういったような形で水の利用がされることはいいのですけれども、それによって下流への水の流れが減ることによって、あるいはゼロになるというふうな場合もあり得るわけなんですが、それによって環境が破壊され、あるいは美しい自然景観が破壊されるというふうな問題に対して、河川法あるいは自然公園法等にも法的な根拠があるようでありますけれども、今日まで環境庁あるいは建設省で、そういう問題に対してどのような御方針で対応してこられたか、さらに今後、においてどういうふうに考えていこうとなさっておられるか、そのことをひとつ両省庁から伺いたいと思います。
○大石国務大臣 いまの安井分科員のお話、私も全く同感なものがございます。実は環境庁ができましてから地域住民の生活環境の問題についていろいろな陳情がありました。そういうものを聞いてみますと、ダム建設ということが、はたしてほんとうに国民の生活環境を十分に考えてやっておるのかどうかという疑問をいま非常に持っております。たとえばダムがつくられます。そこの水をためて、洪水の防止ということもあるでしょう。あるいは工業用水であるとか農業用水であるとか、いろいろなことに使われます。その水を利用することはけっこうだと思います。ただ、ダムでほとんど水をとめた場合に、その下流流域の景観はもちろんですが、それよりももっと、下流の流域に住んでおる住民の生活環境がまるきり変わってしまいます。このようなことをはたしていままで考慮に入れた行政であったかどうかということを、私は非常に疑問に思っているのです。 一例をあげますと、四国の愛媛県に銅山川という川がございます。この川にダムをつくりまして——銅山川は吉野川に流れ込む川ですが、水をとめてしまう。そうすると、その下流で生活をしている住民の生活に大きな影響を与えます。私は、先日そこの新宮村という人口三千五百ぐらいの小さな村でございますが、その村の思いあまった一部の村民の陳情を受けました。さらに銅山川に第二のダムをつくる、その下流から、わずかな水が新宮村に流れ込んでいる馬立川とかそういう川からも、ダムをつくって全部集めて、トンネルで持っていって、工業用水として三島とか川之江へ全部持っていくという計画が立っているというので驚きました。水を全部なくしてしまっているめです。こういう計画がはたして人道上許されるかどうか、非常にけしからぬことだと思う。 そこで、私は地域住民の意見を聞きまして、十分に同情いたしまして、いろいろ努力をして、最近は一秒間に〇・五トンだけは流してあげようとかということまで、ある代議士さんが非常に骨を折られましたけれども、そういうことにまではなっていますが、これが一例でございます。このようなことが日本全国にありはしないかと思うのです。ですから私は、今後ダムをつくる場合には——もちろんダムをつくることは必要だと思いますけれども、ただ単に、いわゆる昔流の国策的な、工業の発展だ経済の開発だ何だということにとどまらないで、それをつくることによって、どのような影響をその下流の地域住民に与えるかどうかということを十分に考慮してやらなければならない、これが今後のダム建設の大きな問題であろうと感じておるわけでございます。
○川崎政府委員 ただいまのお話のダム建設でございますが、最近のいろいろな水資源の需給の問題、あいるは災害防止のための洪水調節、こういった面から見まして、非常に多目的ダム等の建設が急がれておるわけでございます。やはりダム建設は結局水資源とか国土保全を目的といたしておりますが、何がしか河川の自然に手を加えることになりますから、自然環境に無関係というわけではあり得ないわけです。しかし、河川法の趣旨と申しますのは、災害の防除と国民の福祉の向上、こういったことを主眼にいたしておりますので、当然その辺で、自然環境あいるは生活環境、こういったものとの調和は十分心がけていかなくちゃいけない。先ほど大石長官からもお話がございましたように、そういった点では、過去に水資源の利用という面が非常に強調されまして、若干そういった例もございますけれども、最近は極力、自然環境との調和なり生活環境を守るというような姿勢で、私どもも環境庁等とも十分協議をいたしまして進めていきたいと考えております。
○安井分科員 具体論がたくさんありますけれども、きょうは一般論ということで進めたいと思いますが、いまも河川局長が言われましたように、国土保全がダム建設の一つの大きな目的だ、こうなんですが、ただ、国土保全をするために国土破壊を同時にやっているというところに問題があって、それを大石長官は指摘されたのだと思います。ですから、開発が全く要らないというわけでないし、水は、よりよい、国民生活向上のための有用な使い道に向けられていくべきであるが、自然の破壊をしては困る、この点を明確にすべきだと思うのです。 そこで、河川法でも工事実施基本計画の樹立の問題がありますね。それから自然公園法でも、特別区域において、次の各号に掲げる行為は、環境庁長官の許可を得なければいけない。こういう中でも「河川、湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせること。」これは環境庁長官の許可事項だ、こうなっているわけであります。いまお話を伺っておりますうちに、それらの御答弁のことばが、それだけでなしに、具体的に行政の上であらわれるためには、やはり何らかの基準のようなものがないと困るのではないか、こういうふうな気がするわけです。大石長官のような、特に自然保護に全力投球をされている方が環境庁長官ならいいですけれども、そうでない人が長官になられて方針が変わってしまえば、いまの銅山川の問題にしても、それらもみんな全くあべこべの答えが出てしまうかもしれない。そういうことから言って、何らかの基準のようなものがないと、建設省の考え方と環境庁の考え方との調和というのができないのじゃないか。お互いが別々な方向に行ってしまったりしては困ると思うのですが、そういう点、どうでしょうか。
○大石国務大臣 先ほどの阿部委員にお答えしましたように、環境容量というものを中心としまして、人間が豊かに健康に生活するための条件を整える見地から、いま言ったように、環境容量というものを全国的に調査いたしまして、それを土台にすれば、ある種の、開発かあるいは保護かという一つの基準ができ上がると思うのです。そういうことをたよりにしまして、いまそのような方向を進めているわけでございます。しかし、御承知のように、いまの政治の方向はまるきり変わってまいりました。ヒューマニズムを土台にした政治になっております。したがいまして、もちろん今後の行政もそう進んでまいりますから、別に環境庁あいるは建設省が意見が対立して、むちゃくちゃな自然破壊が行なわれるということは考えられません。しかし、それにしても、いま言ったような基準というものは必要だと私は思いますので、その環境容量ということを土台にして、そのような基準を見出すことに努力してまいりたいと考えております。
○安井分科員 環境庁が、自然環境保全法案要綱をおまとめだと聞くのですが、いまの環境容量はそれにも関係があるわけですか、新しい法案に。それとも、新しい法案とは全く無関係に、こういうことですか。
○大石国務大臣 何とかして日本の国全体の国土を豊かに保護しながら活用したいという考えは基本でございますけれども、直接環境容量という考え方は、まだ取り入れてございません。時間的に三、四年かかりますので、取り入れてございません。
○安井分科員 建設省側のいまの問題についての——つまり、工事基本計画の中に、いろいろな問題を総合的に勘案しなければいけないというふうな規定はあるのですけれども、その勘案のしかたでこれはどうでもなるのですね。非常にあいまいなんですが、いまの環境庁側のお考えとの、それこそ調和をどういうふうにお考えですか。
○川崎政府委員 河川法の十六条の工事実施基本計画のお話と思いますが、これは河川の改修工事、あいるはダムといったような利水の問題、こういった問題の基本的な内容を定めておりまして、もちろん自然環境等も重要でございますが、そういった点については、これは非常に抽象的な表現でございますけれども、地域の開発との調和とか河川の適正な利用とか、こういった表現であらわされておりまして、個々の具体的な問題については、あまりこまかいことを取りきめてはないわけです。そういった環境の個々の問題につきましては、これはそれぞれ地域地域によって非常に利用の形態が異なっておるわけですが、私どものほうでは、大きな、河川全体から見て基準になるような地点については、河川の正常な機能を維持するために、どの程度の維持流量が必要かというようなことを現在検討をいたしておりまして、たとえば淀川とか利根川の一部とか、こういう大河川の下流部、あいるは石狩川もそうでございますが、そういった点については、環境あいるは利水も含めた流量というものがきめられておりますが、大半の河川では、まだそういったものがないわけでございまして、どういう観点からそういうものをきめたほうがいいかというような点で、いろいろ現在検討中でございますが、特に環境容量という考え方ができますれば、そういったものとも十分調整はとっていく必要があるのじゃないか。環境庁が新しく発足されました機会に、河川審議会の委員に環境庁の事務次官もお入りをいただいて、そういった場でも私どもも積極的に検討していきたいと思っております。なお、個々の地点においてどの程度の水が妥当な環境上必要な水かという点につきましては、これはやはり治水の面、利水の面、あいるは景観の面だとか、いろいろなものを総合して判断しなくちゃいけないと思います。 先ほど四国の銅山川の問題も出てまいりましたが、ああいった点につきましても、環境庁長官からも御意見がございましたので、私どものほうで現在いろいろ調整に努力をいたしておるところでございますが、工事実施基本計画では、そこまではちょっと及ばないのですが、個々につきましては、やはり自然公園法の協議等は十分尽くしました上で、工事を円滑にやるという基本的な考えで進んでおるわけでございます。
○安井分科員 いまお答えをいただいたわけでありますが、環境庁と建設省の中で問題を処理されるその事前に、これは各都道府県知事のところで第一次的な調整が行なわれるわけですよ。したがって、いま長官並びに河川局長がおっしゃったそういう御方針を、各都道府県知事に明確に伝えておいていただかなければならぬと思います。そして、そういう意味合いからも、知事のところで、じゃどういうところで調和をとるのかということになって、なかなかきめかねるような問題が私は出てくると思うのですね。そういうような意味合いでも、さっき長官がおっしゃった容量といいますか、そういうふうな、そうどこにも適用できるような——たとえはいわゆる観光放水なんというやつは、どこにも適用できるような具体的なものは出せっこないと思いますけれども、誤りのない方針を地方段階でも出せるような御指導が私は大切だと思いますので、そのことをひとつお願いをしておきたいわけであります。 そこで、もう一つは、これからあとの問題としてはそうなんですけれども、過去の問題についてはどうなのか。長官の御方針も、これ以上この国土をよごさないという、これからへの体制はわかるのですけれども、すでに過去においていわゆる利水によって景観なり自然環境なりが非常にこわれてしまっていてどうにもならぬ、だから、その場合にダムからの放流をふやさせて問題を解決したほうがいいというふうなケースが、私はあるのかないのかよくわからぬですけれども、そんなのもあるのじゃないかというような気もするわけです。そういう場合は、一たん水利権を得た立場からは既得権を侵害されるわけです。その際には、自然景観とか自然保護ということになると、公共的大衆的な問題でありますから、やはり国が水利権の減少した分は負担をするというふうな仕組みがないと、なかなかそうはいかぬのではないかと思います。どうも具体的な事例をとらえて申し上げるのなら、これはもっと迫力があるのですけれども、きょうは一般論として問題提起をしているものですから、そんなのがあるのかないのか、これは実はよくわからぬのですよ。私は、そういう立場ながらも、もしそんなようなものが、明白なものがあったとすればどうするのか、現在の法律では、すぐにそれをもとに戻せなんというようなことにはならぬと思いますけれども、つまり、ものすごくそういうふうな事例があった場合は、国が負担をしても水利権を少しダウンさせる、そういうふうなところまでいけばもう少し問題が前進するのではないか、こう思うのですが、どうでしょう。
○川崎政府委員 いま先生のおっしゃっておられるようなケースは、主として発電の利水ダムに非常に多いんじゃないかと思います。やはりいろいろな当時の電力事情なり何なりを背景にしてそういう結果が出て、補償とか、その他で解決されてきたのだと思うのですけれども、そういったものをさらに今後は、まあこういう社会情勢の変化、認識の変化を踏まえて方向を変えていくという場合に、一たん許可を受けまして、しかもそれが電気等は重要な公益事業でございますから、やはりよほどの理由がないと、おっしゃるような措置というものは非常にとりにくいのじゃないかと思います。電力の需給等も、現在は公害問題等でかなり設備がおくれておるというのが実態でございますから、そういったものを踏まえますと、利用面と、それから自然環境との調和をどこで見つけるか。その場合に、少し電力を減らしても流況を改善したはうがいいのだというような判断がかりに出ました場合に、当然これは正当な行為で発電を行なっているわけですから、何らかの補償措置がおそらく伴うべきだと思います。そういった場合に、それじゃだれがそういった補償をするのかというような点についても、いろいろ検討を要するのじゃないかと思います。これは、直接にはいろいろ電力行政を通産省が主管をいたしておりますし、そういった点では相当関係の省庁にわたる問題でございますし、それからそれの正当性を裏づけるというようなこともかなりむずかしい問題じゃないかと思います。しかし、私どもも、そういった点については、今後自然環境というものがやはり非常に重要だという認識に立って検討を進めていきたいと存じます。 なお、たまたまそこに新しい開発といいますか、ダム等が上流なんかにできます場合には、そういった面をカバーしたような計画で、少しでも改善をしていくというような努力はかなり現実的にできると思いますので、そういった面では極力御趣旨に沿うような方向で、私どもも、ダムの計画なりあるいはダムの操作なりの点で努力をしていきたいと考えております。
○安井分科員 これはどうも具体的な事例をとらえての議論じゃないものですから、そういう場合があったらという仮定の議論である以上、これ以上申し上げても何だと思いますから、そんなこともあり得た場合にはどうなのかというふうな御検討をひとつ宿題としてお願いをしておきたいわけです。 ちょっと時間が余りましたから、大石長官に伺っておきたいのは、例の無過失賠償責任法案のことであります。 環境庁のおつくりになった原案を私どもも拝見をして、まあ大気汚染と水質汚濁だけで、公害基本法にはほかの公害が一ぱいあるわけですね。それらが入っていない点やら、あるいは公害防止の請求権ぐらい与えてもいいのじゃないかというふうな気もしておりました。しかし、例の因果関係推定の条項があるということは救いになるというふうな気がしていたら、肝心のその点が自民党のトンネルをくぐっているうちになくなってしまって、そっくりそのまま閣議決定ということになってしまったわけで、これじゃ全く骨抜きじゃないかと、こういうことになるわけです。大臣とされても、原案をつくる段階でずいぶん苦労されたと思うのですけれども、それがそういうことになったことについて残念にお考えかもしれないと思いますが、これからの国会審議の段階等で、野党の私どもも、実は三党でいま話し合って共同提案をしようという、これはなかなかりっぱな案をいま成案中なんですが、どうでしょう、これをひとつ両方話し合いの中で、いま一番の問題点を生かすような方向ができないものか、そういう点についてどうお考えですか。
○大石国務大臣 無過失責任制度につきましては、やはりもう長い間のわれわれの懸案でもあり、何とかしてここにひとつその基礎をつくりたいというのが私の念願でございました。ようやくその法案の国会提出ができたわけでございます。私は、この法案は十分なものと思っておりません。一部の考えだけを取り入れまして——今後さらにいろいろな、たとえば、ほかの財産の問題であるとか、いろいろな問題が出てまいります。これも早晩つけ加えなければならぬものでございます。そういうものをつけ加えまして、できるだけ広く被害者の救済に役立つように、同時にまた、そのような考え方が公害防止に役立つということにしてまいりたいと願っておるわけでございます。 そういう意味で、いろいろなことを考えておるわけでございますが、何せ国会に提出するには時間的な制約がございます。そのような大きなものをつくりますと、とうてい時間的にはこの国会に提出することができません。そういうことを考えましたし、また、たとえば財産を入れるにしましても、いろいろなまだ未確定な、明確にならないものがたくさんございます。こういうものを急に取り入れるわけにまいりませんし、やはり時間的な制約もございます。そういうことを考えまして、とにかくこのような考え方を行政の中に取り入れることが一つの新しい時代の要請だと考えまして、橋頭堡をつくるつもりで、そういうつもりで提案したわけでございます。 それで、大体私がいろいろと前に考えておりました案より多少変わってまいりました。変わってまいりましたが、私は、これは十分に今後発展する、この考え方の橋頭堡になり得ると考えておるわけでございます。もちろんこれは国会の御審議をいただいて可決されるか否決されるかわかりません。御審議をいただいて御検討いただくわけでございますから、もちろんできるだけ十分な御審議を賜わりまして、多くの方々のりっぱな御意見が十分に取り入れられまして、さらにりっぱなものになるなら、これにこしたことはございませんが、そのようなことで、いろいろな、多少足りない面もございます。いろいろなこともございますけれども、とりあえず橋頭堡をつくるというそれだけの意義は十分にあると考えまして、これを提案したわけでございます。
○安井分科員 いまおっしゃったことでもわからないわけでもないのですけれども、たとえば、土壌汚染が抜けているとか、人の生命、健康だけで、財産権侵害的な要素が抜けているとか、それを例としていまおあげになったわけです。それもさることながら、それならあとからでもまたつけ加えていくという可能性があると私は思うのだが、一番の問題は因果関係推定の条項、これがないと裁判などはほとんどできないのじゃないか。せっかくできた法律が目玉がなくて、もううろうろして歩きようがないような、そういう法案になるのじゃないか、問題はそこだと私は思うのです。あといろいろあります。それは欲が私どもはあるから、もっといいもの、いいものと追求していきますけれども、一番大事なそこの点が私はたいへんだ、こう思うのですがね。
○大石国務大臣 詳しいことはいずれ法案の審議の際に申し上げたいと思いますけれども、この因果関係の推定の条項がなくても、いままでの裁判のあり方、そういうものから考えまして、この種の裁判のあり方には、私は、別にたいした影響はないと考えます。 私たちがこれを入れました理由は、一つは、やはりある大きな新しい考え方でありますから、ことに民法の大きな例外でありますから、慎重に、無制限に幅を広げて考えてはだめだと思いまして、一応ある幅を限定して、ある範囲内における因果関係の推定ということを考えたわけでございます。そういうことであったわけでございます。 もう一つは、いわゆるえらい学者方の御意見をいろいろお聞きしますと、これはあってもなくても、必ずしも裁判に影響がない、いままでの判例その他から見まして影響がないという御意見が大多数でございましたので、そういうことなら、いま申しましたように、ある範囲に限っておくと同時に、もう一つは、われわれの環境庁の強い政治の姿勢を示すという考え方からぜひ入れたいと私は考えた、そういう二つから入れたわけでございます。 その後、いろいろと各方面の御意見を承りますと、この法案は、ある範囲を限定してわれわれは考えておるのでありますが、ただ、こういうものが成立いたしますと、だんだん解釈が広がってまいりまして、一人歩きをして、そして思わぬ鬼っ子になる。あらゆる場合に拡大解釈をされますと、いろいろなわけのわからない非常な問題がここに起こってくるだろうという不安があるというようなことが出てまいりまして、なるほどそういうこともあるなら考えなければならぬと思った次第でございます。 もう一つは、この因果関係の推定の項をわれわれが考えておりましても、必ずしも各企業界に理解が十分でございませんで、大企業ばかりではございません。中小企業も全部でございますが、非常な不安を持っております。このような不安感を国民の一部に与えるということは、行政上必ずしも妥当ではないと思います。これがなければその法律が死んでしまうというものならば、正しいと思うものは入れなければならぬと思いますが、いま申しましたように、患者、被害者を守るためには必ずしもそう重大なものではないという御意見でございますので、あえて私はこれを削りまして、そうしてみんなの納得の上においてこの橋頭堡を築きたいという考えで、こういう結果になったのでございます。
○安井分科員 何か法案の審議の予想問答集をそういうことできちっとおつくりになって、その予行演習をきょうされておるような気がするのです。 時間になりましたので、これはまたさらに機会をあらためて、きょうはこれで終わります。
○森田主査 次に、井上普方君。
○井上分科員 長官、あなたは、きょうの朝日新聞の天声人語をお読みになりましたか。——お読みになっておらぬのでございましたら、それじゃ私あらためてお伺いしましょう。 一昨日の原子力会議にあなたは御出席になりまして、ごあいさつをなさいました。私もそれに出ておった一人でございまして、聞きました。そこで、大臣にお伺いするのだが、原子力発電所は安全であるという前提に立ってあなたはすべてごあいさつをなさったようでございます。何を根拠にして安全であると御認識になっておられるのか、この点をお伺いしたいと思うのです。
○大石国務大臣 私は、原子力につきましてはあまり勉強したこともございませんし、知識もございません。しかし、原子力発電所の設置につきましては判断をしなければなりません。そこで、私は科学技術庁によく話をいたしまして、十分にその知識をもらいました。考え方を聞きました。その結果は、日本のような非常に細心な規制を行なってやっていけば、十分に人間に被害を与えない限度において原子力発電所はりっぱにつくり得るという説明を聞き、私はそのとおりだと考えました。それを基準に、いま申しましたように、原子力発電所をつくることがより公害が少ないという考え方に立って、そう判断しておるわけでございます。
○井上分科員 そこで、環境庁のお役所としましては一体——あなたの御答弁の中から問題は二つあると思うのです。 一つには、原子力発電所が安全であることに対して科学技術庁、言いかえますならば、これは原子力委員会の代弁者であります。これは推進するほうの側なんです。それがあぶないと言うことはあり得ぬと考えられるのじゃございませんか。事実、あれだけ規制をきびしくしておる東海村の原子力研究所あるいは原子力発電所の中においても、再三にわたって事故が発生しておるのです。 また、イギリスにおいては、きょうの天声人語にも書いてございますが、原子力発電所の周辺に事故が起こって、牧草に放射能がまき散らされたために、牛が放射能を持った牛乳を出すということで販売禁止になった事例もあるのでございます。それからアメリカにおきましても、あぶないということ、あるいは環境を破壊するというアメリカの原子力委員会の判断に基づきまして、新しく百万キロワット以上の発電所をつくることは、現在、裁判所が認可しておらないという事実があるのでございますが、大臣どうでございます。こういうような事実がある。 あなたは環境庁長官であるがゆえに安全を一いかに自然を保護し、また人体に被害を及ぼさないかということを調べるのが環境庁の役目であると思うのですが、どうでございます。この点いかがでございます。この二つの点につきまして……。
○大石国務大臣 いろいろな意見もあるようでございますし、考え方、判断もあるようでございます。たとえば、いま世界じゅうでタンカーを走らしております。しかし、タンカーは完全に安全ではなくて、いろいろな事故も起こしておりますけれども、それでも行政上はタンカーが走ることを認めております。ましてこの原子力は、なるほど人命に重大な影響を与えますので慎重を期さなければなりませんが、日本のいまの考え方は、世界のどの国にも増した一番慎重な、安全性を考えておるやり方だと思います。それで、行政というものは一つの方向をきめなければなりません。おそらくだれもが考えて、それほど不安で、そんなに危険のあるものならば、世界で原子力発電所というものをつくるはずはないと思います。いろいろな考え方、それから日本でも多少の事故は起こっておりましょうけれども、幸いにして、いままでのとおり、大きな事故に発展しておりません。それは安全性が十分にとられておるからだと私は思います。 そういうことで、それほど危険しごくで問題にならないものならば、日本でもいままで原子力発電所を設置させるわけもなかったでしょうし、世界でも原子力発電所はつくらなかったのじゃないでしょうか。私は、ですから、どんなものだって絶対に安全ということはあり得ないと思います。それを十分に考慮しながら、そのような安全性を十分に考えまして、たとえば、かりに不測の事故が起こりましても、それに安全を保ち得るような十分な安全性を考えてやれることが一番大事でございまして、大体において間違いないという方向にあるものは、必ずしもそうこわがっていなくてもいいような気がするわけでございます。
○井上分科員 大臣のお考え方は、非常に危険なものをはらんでおると思うのです。一つには、安全なものだからみんながつくっているんだという考え方です。それは初めから危険なものと言って標榜してつくる者は、何の問題にしましても、だれもおりません。しかし、もしこの原子力発電所が事故を起こした場合はどうなるか。これは一つの試算でございますけれども、大体十五万キロワットぐらいの発電所が事故を起こした場合は、広島の原子爆弾の倍くらいの被害が及ぶという数字も出ておるのであります。したがいまして、安全の上にも安全を期さなければならない、ところが、日本の原子力技術というものを、あなたは日本の規制はきびしいんだからだいじょうぶだとおっしゃいますけれども、日本の原子力発電所の技術というものは、アメリカから移ってきております。これは御存じのとおりです。ところが、アメリカの技術と日本の技術を比べますと、原子力の技術を勉強し始めたのが大体十四、五年おそうございますから、幾らあがいたところで、朝出たちんばに追いつかぬということわざもありますように、ある程度アメリカよりも日本の技術というのはおくれておることは、これはあなたもお認めになると思う。ところが、アメリカにおいて、その安全性につきまして百万キロワット以上の発電所は裁判所において禁止しておる、こういう事実があるのです。 そこであなたは、そういう安全だという御認識の上から、この間のごあいさつを承っておりますと、安全なんだからどんどんどんどんつくりなさい、あなた方は宣伝が足らないというお話でございました。その一面におきましては、地域住民に宣伝が足らなかったという点は、いままでのあなたの御指摘のとおりだろうと思う。しかし、その基礎になる、はたして安全か安全でないか、あるいは放射能が出るか出ないかという問題について、やはり環境庁としては、アメリカのあの環境保全のために百万キロワット以上の原子力発電所を禁止した、あの事例をひとつ思い起こさなければならないのじゃないか、こう思うのでございます。大臣、アメリカでそういう判決が出たことを御存じですか。最近に起こっておるのですが、どうでございます。
○大石国務大臣 これは、お互いがそれは安全であるかどうかという理解の問題だと思います。私は安全だと考えておりますし、あなたは安全でないとお考えでございます。まあそういうことで、私もこれ以上、原子力の知識もそうございませんので、とても議論を続けるわけにまいらない。私はただそう思っているのでございまして、あなたの御意見をこれからお聞きはいたしますけれども、これは何ぼ聞きましても、すぐ変えるとか変えない問題でもございませんし、私はそう思っておるのでございますので、これはどうしたらいいのか。そして私自身が原子力発電を許可するのでもございません。これは全部しかるべき権限のあるところ——私は何の権限もございません。私は、そのように判断をしているだけでございますので、どうしたらいいのでございましょうか。
○井上分科員 大石さん、あなたも科学者の一人だ、科学的素養は十分にある方だと私は考えておるのです。したがって、私は申しておるのです。データを積み重ねて、そしてあなたがこれは安全であるという信念をお持ちになるならば、私はけっこうだと思う。それであなたにお伺いしているのです。アメリカにおいて最近に百万キロワット以上の原子力発電所を許可しなかった、却下した、こういう事例についてあなたは御存じですかと言っているのです。しかも、それの理由とするものは、環境保全のためにあぶないということでやっておる、この事実をあなたは御存じですかと、こう聞いておるのです。そして、その内容をあなたはお読みになりましたかということを聞いているのです。どうでございます。
○大石国務大臣 私は内容を読んでおりません。ただ、そういうことがあったという話だけは聞いておるわけでございます。
○井上分科員 でございますならば、原子力発電所の先進国のアメリカにおいて、そういう裁判所の判定を下した。しかも、それは環境保全のためであるというなにが出ておるわけなんでございます。科学者でございましたならば、そこまでの信念をお持ちになるためには、やはりそれだけの基礎をお持ちにならなければ、新聞紙上では、正義の味方月光仮面といわれておる大石さんですから、あなたの発言というものがいかに大きい影響を及ぼすか、お考えになっていただきたいと思うのです。私は、あなたのお話を承りまして、よくわかりました。あなたの安全性あるいは放射能に対する知識、原子力発電所の知識というものは、日本の原子力、環境庁の知識をお聞きになっての知識であり、また、それに基づいての信念であると私は承りました。 そこで、いままでの日本の行政のあり方というもの、これはあなたも御存じのとおりです。すべてやっておることに、行政に瑕疵がないという行き方でいままで来たこの日本でございます。しかし、科学者とすれば、少なくとも科学をする者とすれば、それに対しては疑いの目をもって、より安全に、より確実にデータをそろえていくのが、これが私らの立場ではなかろうかと思います。 そこで、ああいうような発言をされましたけれども、原子力発電所に対する安全性あいるは放射能の排出の状況、これらにつきましては、環境庁いままで御調査になったことはないと思うのです。しかし、先日も若狭湾におきましては、放射能を付与せられたヨードが出てきた。海洋に出てきたという事実もあなたは御存じでございましょう。こういうようなことをあなたは、いままで安全だからほうっておけ、あいるは放射能は出ないからほうっておけというのじゃなくて、むしろ住民サイドに立って環境庁自体としてはやはり調査される必要があると思うのでございますが、いかがでございます。
○大石国務大臣 最後の御質問に対しましては、放射能についての一切のことは全部科学技術庁が総合的にやっております。そういうことで、すべては科学技術庁と相談し、また、この問題につきましては、やはり指示を仰がなければならないと考えております。ただ、私は、放射能についてもあらゆる知識を持たないではだめではないかという御意見でございますが、それは不可能でございます。たとえば、私は環境庁長官として、放射能のことは、科学技術庁のことは権限ありませんけれども、水俣病であるとか、イタイイタイ病であるとか、患者の認定のことは私に責任がございます。そのような場合には、私は医者でありますけれども、残念ながらイタイイタイ病なり水俣病については、ほとんど知識がございません。見識もありません。しかし私は、行政上の責任はございます。したがって、どういう判断でやるかといえば、やはりしかるべき日本の最高権威の方々の御意見というものをお聞きして、それを私の知識として、私の見識としてきめるのでございます。私自身の勉強とか、私の見識ではございません。これはお借りしたものでございます。 そういうことでございまして、ですから私は、やはり行政というものはそういうものだと思うのです。ですから、私は、そういう意味で、日本の原子力委員会というものは、やはり日本の最高の権威を集めておると思います。その判断を私は信用するのでございまして、それ以上に幾ら私がいまお話を聞かされましても、それが有害であるとか正しいとかという考え方は、私は変わらないと思うのでございます。
○井上分科員 そこで私は、あなたの信念を変えろとかなんとか申しておるのじゃない。私は、その信念をつくる基礎が、日本の原子力委員会だけではだめだ、諸外国にもこういうような判例が出ておるじゃないか、だから、これはまゆにつばをつけて聞かなければならないぞというのが科学者としての態度だろうと思う。しかし、環境庁長官というのは行政官でございますので、科学者でないことはもちろんでございますけれども、しかし、あなたがそういう信念をお持ちになると言われるから、私は言うのです。あなたの信念をつくる基礎のデータが少しおかしいのじゃないか、そう申しておるわけなんです。 それはそれといたしまして、ともかくそれは別問題といたしまして、放射性物質が出ている、あいるはまた原子力発電所からは温排水が出ている、これによって環境が著しく違ってくる、こういうことについて、環境庁としては御調査になる意思はございませんか。
○大石国務大臣 温排水の問題につきましては、私、あの席で、十分にその必要がある、もっともっと電力会社はまじめに考えて、そうしてもっとあらゆる研究を出して、なぜもっとまじめに努力しないか、君らがいま補償しているのはいいかげんな補償ではないか、なぜ科学的な根拠を持った基礎でやらないかと言ったことはお聞きだと思いますが、私は、温排水では十分に注意を促しております。そうしてこれはどこが中心——通産省でもけっこうでございますし、あいるは科学技術庁でもけっこうでございますが、どこかが中心となってあらゆる機関を集めまして、こういう問題は、やはり三年、五年とかかって研究すべきだという考えを持っておりました。ところが、いままであまりそういうことが行なわれておりません。 そこで、やむを得ずわれわれ環境庁におきまして、一月から乏しい予算をもちまして、いま一応東京湾で、いずれは夏になりましたら若狭湾において赤外線を用いて実験を行ないますが、たとえば海水の温度差がどうなっているか、どのような熱が拡散されているのか、そういうことについて乏しいながら研究をしている状態でございますが、温排水の問題につきましては、まず何といっても漁業、漁民の立場を考えまして、当然努力して研究しなければ、やはり一日も早く——もちろん地形によって全部同じでありますまいが、基本的なものは考え出せるはずです。そういうことで、これはぜひやらせなければならぬということを主張しておるわけでございますが、そのことは御理解いただいておると思います。
○井上分科員 私は、温排水と放射能微粒子、これらの問題も調べなければいかぬと思うのです。温排水といえば、漁民の問題があるけれども、微粒子が、半減期が二百五十年というような物質も出ます。あいるは十年のものも出ますし、またヨードのごとく十日から十五日ぐらいのものも出ます。そういうのが一体どういうようになっていくか、環境に影響を及ぼすか、やはりあなた方の環境保全の面からするならば、必要でしょう。これはあなた方が研究しろ——環境庁にもそれほどの科学者はおりはせぬと思うのです、はっきり申して。それらが一体いかに環境に影響を及ぼすか、それをひとつデータを集めて調べてごらんなさいというのです。そして、それがあるならばやはりチェックしなければならぬ。そうでしょう。ところが、あなたのこの間のお話は、温排水のことはおっしゃいましたけれども、ああ、だいじょうぶなんだ、安全なんだ、おつくりなさいというような態度は、私はどうも——大石個人であれば、私はとやかく申しません。しかし、環境庁長官としての御発言は、はなはだどうも不適当なものだったといわざるを得ないのであります。 きょうの朝日新聞にも、天声人語で、月光仮面大石武一さんのことを書いてございます。最後にはやはり皮肉られております。最後には「なるほど見た目は、原子力発電所からは煙も有毒ガスも出ない。しかし大石さんに確かめたい。本当に大丈夫なのですか」と書いてある。これが最後の結びです。あなたのあの原子力会議での発言というものは、私はどうも納得できないものがありました。この点をひとつ、今後の問題として、もう少し慎重な御発言をしていただきたいことを強く要求いたしておきたいと思うのでございます。
○大石国務大臣 私があの会議で発言しましたことが、舌足らずで十分に皆さまに御理解いただけなかったことがあったとすれば、それは十分に以後注意いたします。ただ、私はつくりなさいというのじゃなくて、いまの状況は、どこかに発電所をつくらなければならぬという状態においては、やはり考えなければならぬ、その場合には、私の見解としては、火力発電所よりも原子力発電所のほうが公害が少ないと考えておるということだけを申し述べたので、どのくらいつくらなければならぬかということは申し上げたつもりはございませんが、確かにことばが足らないとすれば、以後注意いたします。
○井上分科員 私は、ほんとうに見た目にはいまのところ少ないと思うのです。しかし、人類が将来生きていくために、あるいは五十年、百年後に一体放射性物質がどれだけたまるだろうか、そのときに、一体人体の遺伝に対してどういうような影響があるだろうかというようなことを考えますと、やはりいまのうちから規制をきっちりしなければいかぬ、それがやはり環境庁の仕事ではございますまいか。アメリカの原子力委員会だってそういうような考え方、裁判所だってそういう考え方でチェックしております。きのう私ずっとおりましたけれども、あそこへ来ておるイギリスの学者、あるいは西ドイツの学者、いずれもそのことをやはり言っております。これが日本はなおざりになっていやせぬか。日本の原子力委員会のあの研究機関の中で、安全性を言いだした、あるいは放射性物質の問題を言いだしたのは最近でございます。これはわが党が原子力発電所の反対を表明する際に、その点を実はきびしく指摘しておるのであります。これからやかましく言っておるのです。そこらあたりをお考えになって、あなたももろ手を上げてともかく賛成というような態度を今後おとりにならぬようにお願いいたしたいと思うのでございます。 まだ時間がございますので、先ほど四国のことで、長官、銅山川のことを言われました。私、ちょっと銅山川のことでお伺いいたしたいのであります。 おっしゃるとおり、銅山川というのはからっぽの川になっております。そして洪水のときには洪水の水がどっと流されるのです。下流は非常に影響をこうむる。あれは河川局長、人工ダムをつくるのでしょうね、柳瀬の次は。それは当然自然放流をある程度しなければならぬというのは、常日ごろから私どもは申しておるところなんであります。ところが、そういうような住民の生活というものは、いままであまり考えておらなかった。そこに問題があると思うのです。河川局長もそれは考えるとおっしゃいましたけれども、私どものほうには、大石さんが非常にお好きな祖谷という秘境があります。これは平家の落人が住みついたところでございまして、いまでも九州の五家荘と白川、祖谷といわれるぐらいのところなんでありますが、これにダムをいまから十四、五年前につくりまして、その秘境に流れる川の水は、全部山を越えて流域変更をしておるのであります。そういたしますと、その祖谷川は観光では非常にきれいなところであり、名所なんではございますが、川に水がなくなってきておる、こういう事態が出ております。私も、この点につきましてはやかましく申すのでありますが、やはり水利権を持った電力会社との補償関係でうまくいきません。こういうような問題は、一時、電力オンリーで河川開発をやった一つの報いだろうと思います。これらにつきましては、やはり環境庁としても全国を点検していただきたいと思うのです。そしてそういうところがあるならば、是正する方法を講じていただきたい、こう思うのであります。それはもちろんむずかしい問題はあると思います。補償金の問題が出てくると思います。しかし、電力会社がやったダムは大体ちゃちなものでありまして、大体埋没しております。ですから、ある程度これからクレームはつけやすいと思うのですが、河川局長どうでございます。
○川崎政府委員 先ほど安井先生にもお答えいたしましたとおり、非常にむずかしい問題だと思います。ただ、最近の電力事情等を見ますと、通産省もできるだけ再開発等もやって——水というのは循環をする資源でございますから、電力とすれば、火力等に比べますれば公害の非常に少ない事業だ、こういう認識になっておりますので、やはり大規模な電力開発というのも今後考えられていくのじゃないか。そういうような点で、河川の改修なりあるいは地域の環境とあわせて再開発をいたしたい、こういう計画がかなり検討をされておるわけでございます。そういった機会に、分水等のために下流で水が全然枯渇をしておるというような状態というのは、やはり忍びない状態じゃないかと思いますし、もちろん、その地域の開発状況が今後どういうふうになっていくか、そういうような見きわめ等も、やはりあわせて必要かとは思いますけれども、再開発等の機会には、できるだけ考慮して進めていきたいと考えております。
○井上分科員 時間がございませんので、もう一つその電源開発につきまして指摘しておきたいと思います。 電源開発は、御承知のように、昭和三十四、五年ぐらいまで水が主になりまして、そして火が従であった。ところが、火力が現在主力になって、コンスタントに火力を出して、ピーク時には水力を使うという形になっております。したがいまして、ダムの水を電力の需要期、夕方の五時から大体七時、八時くらいまでにどっと流すのです。でございますので、流量がひどいところだったら二メートルぐらい違う。二時間ぐらいの間に二メートルぐらいになる。そうすると、すとっととまるのですね。それが波を打って下流に流れてくるという現象が出てきておるのであります。これは営業政策上、電力会社とすればやむを得ないことかもしれませんけれども、下流住民はたまったものじゃない。のみならず環境も著しくそこなわれるというような事態が出てきております。これはコンスタントに流しておれば一定にいけるのでございますけれども、そのピーク時発電を水力にたよっておる現状からしますと、そういう現象が出てきておる。大体四十キロくらい下流で、私らの県でございますとまだ三十センチくらいの差があります。こういうような事態もあります。そういうようなことをひとつお考え願いまして、やはり環境保全のために御努力願いたいと思うのでございます。 さらにもう一つ申しておきますが、先般も、この琵琶湖の開発問題が出ておりますが、これに関して、あなたはどういうようなお考えでおられますか、環境庁長官として。というのは、琵琶湖の水をプールして下流に流すということになりますと、どういたしましても琵琶湖の水位を上下しなければならない。そうなりますと、あの付近の漁民は、それによって生活できなくなるかもしれません。あるいは農業用水にいたしましても、水位が下がるのでございますから、いままで井戸水で吸い上げておったのが吸い上げられないというような事態も招くことは、これは必至であります。こういうような点について、あるいは琵琶湖といえば、関西の観光地あるいはまた有名なところでございますが、これの水位が下がることによって環境保全は非常に影響を及ぼすと思うのでありますが、大臣いかがでございますか。
○大石国務大臣 私も琵琶湖の総合的な開発の詳しいいまの考え方をいま聞いておりませんので、どういうお答えを申し上げていいかわかりませんが、私自身は、あの水はやはり人間の環境保全のために有効に使うべきだと考えております。そういう意味で、あの琵琶湖もある程度よごれてまいりました。しかし、今後あれは京都なり大阪なりその他の多数の人々の大事な水道のもとでもございます。そういうことで、そのような人間の生活環境のために、直接必要なことに一番使ってほしい。あれを工業用水に使うことはもったいないし、また、あの大阪の地域にこれ以上工場をふやしてはいかぬと思うのです。むしろ間引きしなければならぬ状態でございまして、あの状態では断じてあそこの環境保全、大気保全などできませんので、そのような、工場が稼働するような水を使うというよりは、もっとこれから大事な人間の生命を尊重する部分にぜひ中心に使ってもらいたいということを考えておるわけでございます。
○井上分科員 よくわかりました。都市用水はほとんど工業用水に使われておるのです。それで上水道に使うというものは、量にいたしましたらほとんど微々たるものでございます。ところが、琵琶湖を開発しなければというのが、関西財界、産業界のと申していいでしょうが、望みであります。この国会において琵琶湖開発の法律が出てまいりますので、ひとつ閣議におきまして、あなたのそれこそ信念を吐露せられまして、極力環境保全のために努力せられることを、ただいま仰せられたとおりのことをやっていただくことを強く要求いたしまして、私、質問を終わります。
○森田主査 次に、桑名義治君。
○桑名分科員 私は、本日は北九州の小倉にありますいわゆる平尾台の環境保全と、さらに豊前市の犬ケ岳における環境保全、この二点について環境庁にお尋ねしたいと思います。 〔主査退席、大村主査代理着席〕 平尾台のことでございますが、これはもう御存じのように、北九州市の小倉区にありまして、山口県の秋吉台とともに、日本の中でも非常に有数な、また代表的なカルスト台地である、こういうふうにいわれておるわけでございます。ところが、ここにはいわゆる三菱セメントとそれから住友セメント、このいわゆる鉱業権がございまして、現在非常に環境が破壊をされているという状況であるわけでございます。 こういったことにかんがみまして、北九州市の植物友の会等の市民団体から、こういった貴重ないわゆる自然は残すべきである、こういう市民運動が盛り上がっているわけでございます。ところが、その反面、そのカルスト地帯はいわゆる個人の所有地もございまして、地元の中では、これはあくまでも産業開発のために資するべきであるというような、お互いに意見が平行的になっているというような実情でございます。北九州市もこの問題に取り組みまして、学者その他の知識人を集めまして、ここでシンポジウムも開いたというようないきさつが現在あるわけでございますが、私たちは、こういった日本でも有数な、しかも、代表的なカルスト地帯、こういったものが一たんなくなれば、これは取り返しのつかないことになる、こういったことから、ぜひともこれは両方の意見を集約をしまして、残すべきところは残すように、国としても早急に対策を立てるべきである、こういうふうに考えているわけでございます。 この平尾台の中には天然記念物のいわゆる羊群原、羊のようなかっこうをしたいわゆる一帯があるわけでございますが、そういったところに鉱区がそのまま指定をされたならば、もう平尾台は全滅をしてしまう、こういうふうな危機に瀕しておるわけでございますが、この点は大臣も御存じと思いますけれども、ひとつこの自然を保護することにつきまして大臣の所信を伺いたいと思います。
○大石国務大臣 いまこの地区を何とか守りたいという方針のもとに国定公園に編入いたしたいと考えて、いま地元とも連絡いたしたのでございます。大体において見通しはついてまいりましたので、できるだけ早くそのような方向に進めてまいりたいと思います。なお、詳しいことは自然保護局長からお答えさせたいと思います。
○首尾木政府委員 ただいま長官のほうからお話がありました国定公園の指定の件でございますけれども、この件につきましては鉱区禁止地域がきまりまして、四十四年にきまったわけでございますが、その後、地元との調整をとりまして、また昨年各省に対しまして協議をいたしております。大体現在のところ、ほとんど調整済みでございますが、なお一、二の省との折衝が完全に終わっておりません。しかし、その点につきましても早急に話がつくと考えておりますので、つき次第、このすぐれた自然を守るために平尾台の地区につきましては国定公園の指定をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
○桑名分科員 環境庁長官あるいはいま局長のほうから、これは早急に国定公園に指定をしたい、こういう御返事があったわけでございますが、ひとつこの件につきましては、北九州といえば公害の都市、そういうイメージの非常に強い、そういう環境の中に住民は住んでおるわけでございますので、こういった一つの住民のいこいの場所としても、あるいはすぐれた自然を保護するという立場からも、ひとつ指定を急いでいただきたい、これを要望しておきたいと思います。 次の問題でございますが、これは豊前市の犬ヶ岳という山がございますが、この犬ヶ岳は非常に貴重な、言うならばツクシシャクナゲが群生をしている日本の中でのたった一つの場所であるといっても過言ではない。そういう場所に現在林道がつくられようとしておるわけでございます。私も、このツクシシャクナゲが群生している尾根まで上がってみました。確かに林道をつくることによってもうすでに破壊をされつつある、こう言っても決して過言ではない状況下に置かれておるわけでございますので、これをぜひ私は保護をしていきたい、こういったことから、長官にきょうは伺うわけでございますが、まだ最初に、文化庁の古村記念物課長が見えておられますが、このツクシシャクナゲの記念物としての価値、それについてお答えを願いたいと思います。
○古村説明員 天然記念物の指定と申しますのは、御承知のとおり、植物、鉱物、動物の中で学術上重要なものを指定をいたしてこれを保護いたすということになっておるわけでございます。いま御指摘のツクシシャクナゲにつきましては、わが国のシャクナゲの中で最も大きい、そしてきれいな花をつけるシャクナゲである。そして、本州の中部以西に産するものでございますが、ここがその代表的な自生地であるということから、これを指定してあるということでございます。
○桑名分科員 いま古村記念物課長からお話がございましたように、このツクシシャクナゲというのは、日本全国の群生している中でも、犬ケ岳のものは非常に貴重な存在でございます。自然と文化財を守る会の学者に会っていろいろ話を聞いてみたわけでございますが、現在この犬ケ岳には二千年もしくは二千年たったツクシシャクナゲが群生をしておる。千年、二千年と一口では言いますけれども、二千年といえばちょうど日本に米が入ってきた時代でございます。こういうものが伐採をされますと、もう二度とこのツクシシャクナゲを見ることができなくなる、こういうおそれも十二分にあるわけでございますし、先ほどの説明にありましたように、非常に貴重な自然文化財でございますので、これはぜひ守っていかなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。 ところが、ここにいるゆる観光道路として林道をつくるというふうな計画が立案されまして、すでにもう着工をしている段階でございます。こういった姿を見まして、地元の自然と文化財を守る会が非常に驚きまして、そして文化庁にも、もう陳情書が参っていると思いますけれども、そういう実情で、福岡の行監のほうでも驚きまして、二月十八日に実地の調査に出かけているわけでございます。地元の話では、その行監の調査が大体五月にならなければまとまらないというような意見でございましたけれども、現在の段階では、この行監の調査というものがどういうふうな見解になっているのか、まず鈴木監察審議官にお尋ねをしておきたいと思います。
○鈴木説明員 お答え申し上げます。 当庁では、現在、いまお話のございましたように、自然保護に関する行政について監察を実施中でございますが、御指摘の犬ケ岳のツクシシャクナゲにつきましては、このほど現地局の中間的な報告がございました。 その報告の要点を申し上げますならば、まず分布面積につきまして、約四十三ヘクタール、そのうちおよそ十ヘクタールが枯死しておるということでございます。さらに、約十五ヘクタールが花を開かないで枯死寸前の状況にある。したがいまして、両者合わせますと約二十五ヘクタール、全体の約五八%の部分が破壊状態になっておるということでございます。 その原因につきましてはいろいろあげられておりますけれども、ただいま御指摘がございましたように、林道の工事が要素の一つになっているという点は指摘されております。 なお、当庁といたしましては、いまお話にございましたように、この監察は現在実施中でございます。したがいまして、全国的にこのようなケースも十分考えられますので、そういうものをあわせた上で必要な措置を講じていきたい、このように存じております。
○桑名分科員 もう一度監察審議官にお尋ねをいたしますが、この林道をつくることによって相当数のいわゆるツクシシャクナゲがいためつけられている、あるいは破壊されている一つの要素になっている。それからさらに、ここには原生林が相当あるわけでございますが、原生林の破壊の程度についてはどういうことになっておりましたか。
○鈴木説明員 原生林につきましては、ブナでございますが、そのブナ林の一部、約幅九メートル、長さ約百メートルにわたりまして、経読林道建設工事のために伐採されているという報告がまいっております。
○桑名分科員 いまの行管の方の説明によりましてもわかりますように、原生林も非常に荒らされておりますし、あるいはこういった、先ほど申し上げたようなツクシシャクナゲも相当荒らされているというのが実情でございます。このツクシシャクナゲはただ単に伐採をしなければ枯死しないのかといえばそうではございませんで、非常に弱い木であるというふうにいわれております。したがいまして、林相が変更をされたならば、これはもう即座に枯れてしまうというような性格のものでございますし、こういう植物はそういうような性格を持っている、こういうふうに私は思うわけでございます。 そこで、次に福田林野庁長官にお聞きをしたいわけでございますが、この林道は、最初は林野庁といたしましては建設計画にあげていなかった。いわゆる経読、犬ケ岳一帯の国有林は、すでに伐採を終わり植林をしたところが多く、差し迫って林道をつける必要はなかった、こういうふうに新聞でも報道しているわけでございますが、そういったところに、こういうふうな貴重な原生林なりあるいはツクシシャクナゲがあるにもかかわらず、林道をつけたという、いわゆる予算を計上したという、計画を立てたという、その理由は大体どこにあるわけでございますか。
○福田(省)政府委員 お答えいたします。 森林の経営計画につきましては、御承知かと思いますけれども、毎五年ごとに十年計画をつくってやっております。計画を編成する際にはいろいろと地元の意見等も尊重しまして計画を組みまして、伐採なり造林なりあるいは林道なり治山なり、そういう計画をするわけでございます。ただいま伐採しておりますところの計画は、そういう基本的な計画に基づきまして十カ年の計画の中で実行しておるものでございます。 そこで、林道をつけました際には、一つには、そういう基本的な計画に基づきまして、造林地並びに天然林の伐採の計画を組んでございます。そして同時に、地元のほうから豊前市と福岡市とを結ぶ最短距離でもあるので、ぜひこの林道を通してもらいたいという期成同盟をつくりました会の要望もございました。それらもやはり考慮に入れまして計画を組んだものでございます。しかしながら、御指摘のように、ブナ林の中には、ブナ林と申しましても、二百年、三百年の大木でございますが、その中にシャクナゲがあるわけでございまして、これらのシャクナゲとブナ林を一緒に保存する必要があるということを十分勘案しまして、林道をつける際には、峰線を避けて中腹程度のところにこれを通すという考え方で、ただいま計画を進行中のものでございます。今後も十分その点を検討いたしまして、地元関係のいろいろな要望とか、そういうものを勘案して、原生林の保存ということを考えながら、あわせて林道の経済効果につきましても十分検討しまして、御趣旨に沿うような方向で進めてまいりたい、かように存じております。
○桑名分科員 そうしますと、自然保護の立場からも、当分の間、いわゆる予算は一応ついておるけれども、工事は中止をして、そして全体の調査の結果を待った上で、計画変更なりを考えながらこの道路を取りつけることについては考えるということでございますか。
○福田(省)政府委員 ただいま実行しております計画は、いまお話ししましたように、地元の意見も一応尊重し、それから四十五年の十月ですか、九州大学の先生を中心にしまして県の教育委員会のメンバー、それから地元自然保護の関係の団体、これらの人たちからなる調査を県の教育委員会から委託をされました。その答申の中に、やはりこの原生林の保存を十分考えて林道をつくりなさい、こういうこともございましたので、私たちはそれを尊重しまして、ただいま計画しております路線は、そういう趣旨を十分に入れた計画で実行しておるというふうに考えておるわけでございます。そこで、その先を申し上げるのはあるいはどうかと思いますけれども、第三者の目から見てこれは十分検討しなければならぬという勧告がもしございますれば、さらにその点は十分尊重して実行してまいりたい、かように考えております。
○桑名分科員 ここに新聞がございますが、これは地元の新聞で、いま議題にしております経読林道の問題が新聞一面にこういうふうに出ているわけです。こんなに広く取り上げられているわけです。その中で、九大の名誉教授の佐藤さんも、やはりタイトルでございますが、どう調和させるかが問題だということで、現在の計画に対して批判的な態度をとっているわけです。あるいは先ほど行管庁の方の調査の中にもありましたように、原生林も相当伐採をされているという事実がございます。あるいはまた、林相を変えてはいけないというのが、これは文化庁の中ではそういうふうな一文章も載っております。そういったいろいろな立場、あるいは地元の自然と文化財を守る会、こういったメンバー、ほとんど学者の方が多いようでございますけれども、そういった学者の方も、いまの林道の計画では、おそらく林相を変えて、ツクシシャクナゲは死滅するのではないか、と申しますのは、大体尾根にシャクナゲはあるようでございます、分布状態も全部ここに持ってきておりますけれども。しかしながら、反対側のいわゆる大分県側がほとんど伐採をしちゃっているんですね。そのために、もろに台風を受けているというような状況下にあるわけです。さらに今度は、豊前側、福岡県側に林道を通しながら林相を変えてしまえば、一挙に枯渇してしまうのではないか、こういうおそれが十二分にあるわけでございます。そういったことを考えますと、いま長官もおっしゃったように、第三者的な立場から十二分に考慮しなければならないとするならばこれは考えるということでございますので、行政管理庁の調査結果はまだはっきり出ておりませんけれども、いまの御答弁でもおわかりになりますように、もうすでに相当荒らされているわけでございます。そういった立場から、ひとつこの計画は、調査団なりあるいは学者等の調査を待って、その後この林道をつけることに着手するというふうに配慮を願いたいと私は思うわけでございますが、その点どうですか。
○福田(省)政府委員 御指摘のように、過去における伐採については、私どもが反省しなければならぬ点もあると思います。したがいまして、先ほども申し上げましたように、林野庁としましては、十分地元の意見を尊重し、また学校の先生の意見等も入れまして計画しておるつもりではございます。また、今後もそういう点を十分尊重しまして、地元関係者等の意見を聞きながらいまの計画で実行したいとは思っておりますが、御指摘のように、第三者の関係の方々の一応御意見がございますれば、その点で、私たちの考え方も計画を組みかえることもあり得る、かように考えております。 そこで、四十六年度はすでにもう工事は終わっております。四十七年度は、もし実施するとしましても七月以降になるとは思いますけれども、これは早期に実施しませんと、いろいろと支障も来たしますので、もしそういう調査をなさるということであれば、できるだけ早い機会にこれをお願いしたい、かように御希望申し上げておきます。
○桑名分科員 先ほどから行政管理庁あるいは文化庁、林野庁、それぞれの意見がいま開陳をされたわけでございますが、こういった一切のことをお聞きになって、もうすでにどういう状況下にあるかということは、大臣はよくおわかりになったことと思います。ところが、先ほどからお話が出ておりますように、地元の人は、ある程度促進をしてもらいたいという意見があるわけでございます。ところが一面、学者やあるいは自然と文化財を守る会というような方々は、あくまでも自然を守ってもらいたい、こういう二つの意見が拮抗しているわけでございます。これは先日意見をまとめるために、市長を交えて自然と文化財を守る会の代表の方々とお話し合いをしております。そのお話し合いの結果どういうふうになったかといいますと、これは国から権威ある調査団を派遣をしていただいて、その結果をお互い待とうではないか、こういうふうな結論が出ているようでございます。いろいろな状況から、現在の段階では、どうもツクシシャクナゲは枯渇しそうだということでございますが、ひとつ環境庁長官の立場として、調査団を派遣をして、そして地元の調整なりあるいは自然を守るための方策を立てていただきたい、こういうふうに私は要請をしたいわけでございますが、環境庁長官の御意見を伺っておきたいと思います。
○大石国務大臣 せっかくの自然が片っぱしから切り払われて破壊されることはまことに残念なことでございます。もし、その地域をわれわれの調査によってかりに守り得るのならば、喜んでそのような方針を進めてまいりたいと考える次第でございます。
○桑名分科員 では、長官としては、いわゆる調査団を派遣をする、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○大石国務大臣 できるだけそういたしたいと考えております。
○桑名分科員 以上で終わります。
○大村主査代理 午後二時に再開することとし、暫時休憩いたします。 午後一時九分休憩 ————◇————— 午後二時一分開議
○森田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。中谷鉄也君。
○中谷分科員 公害の無過失責任の問題、特に推定規定の問題を中心に、その一点にしぼってお尋ねをいたしたいと思うのであります。 質問をするに至った私の気持ちを申し上げておきたいと思います。 質問を準備するにあたりまして、環境庁や、あるいはまた友人の法律家からいろいろな意見を伺いましたが、要綱にあった推定規定が欠落をしたことによって、多くの法律家が失望をいたしております。万一にも環境庁やその他の若い技官の諸君や事務官の諸君が、環境庁というのは国民のほんとうのしあわせを守る役所だというところのそういう使命感を挫折させるというようなことがあれば、たいへんなことだと思うのであります。そこで私は、長官が政治生命をかけるというふうにお話しになったということでありますけれども、個人的な私の気持ちを申し上げさせていただきますと、私はあまり、政治生命をかけるということばは好きではないわけなんです。要するに、問題は事法律の問題でありますから、冷静に論理的に、推定規定を存置する、あるいは法案にはその推定規定がなくなっている、その可否を論証をしていけばいい話である、筋を通してこの問題は今後の国会の審議の中において論議をされるべき問題であると、私は考えるわけです。 そこで、環境庁にまずお尋ねをいたしたいと思います。 推定規定があることのメリット、これは一体何なのか、推定規定のあることのかりにデメリットがあるとすれば、それは一体何なのか、これをひとつ列挙をしていただきたい。これが質問の第一点であります。
○大石国務大臣 お答えいたします。 先に、政治的生命をかけるということの御意見がございました。私もおっしゃるとおり、そんなことを言うのはきらいです。たとえ心の中でそう考えておっても、そんなことを簡単に言うのはきらいであります。私は、もちろん、この法案を何としても成立させたいという信念でおりましたけれども、そんなことに生命をかけるとかかけないとかいうことは表明すべきでないし、そんなことを考えたことはありませんけれども、たまたま島本委員の引き出しによりまして、おまえは政治的生命をかけているのだろうなという御質問がありまして、やむを得ず、そのとおりでございますと申し上げただけでございまして、しかし、私の気持ちとしては、それに近いような真剣な気持ちでいるわけでございます。 因果関係の推定の規定でございますが、実は、初めわれわれがこの法律をつくる場合にいろいろな構想を持ったときは、これは考えておりませんでした。私は、三つの点を考えておったのです。一つは、この法律は画期的な新しいものの考え方であるから、法律的に落度がないような内容のものにいたしたいということでございます。もう一つは、せっかくこういう法律をつくるならば、やはり相当役に立つものでなければならない。そういう意味で、一番問題になっている複合汚染、ことに硫黄酸化物、こういうものを取り入れた複合汚染を取り入れなければならぬと考えておりました。もう一つは、この法律が成立いたしますと、そういう問題が起こりますといろいろ訴訟が起こってまいります。その場合に、たとえば一つあるいは二つの企業ではなかなかその負担にたえかねることがあるかもしれない。そうすることは、日本の経済にとってももちろん損であり、同時に患者にとっても不幸なことである。そういうことで、企業がそのような負担にたえ得るような全般としての財源をつくること——基金がいいか保険制度がいいかわかりませんが、とにかくそういった三つを中心として案をまとめてほしいということを指示したわけでございます。 そういうことでいろいろ考えまして、我妻栄先生を主とする方々に顧問になっていただきまして、そして法律的に間違いのないようにと期したわけでございますが、幸いにあのような内容のものが出てまいりました。それで、因果関係の推定の項は、実は最近になって考え出したことで、いろんな議論の結果出たことでございます。 どういうメリットがあるかと申しますと、率直に申しまして、一つは、あの基準は多くの学者によりますと、いまの裁判の判例を見ればすでに無過失責任制度の方向に進んでおって、あの因果関係の推定の規定がなくとも裁判はりっぱに判断をなし得る、そういう方向である、したがって必ずしもなければならぬというものではないという御判断が多うございました。そこで私は、そのようなものならなおのことこれを入れて、そして強い環境行政に対する姿勢というものを示したいと思いました。それが第一点でございます。 それからもう一つは、やはり因果関係を立証するとなると、被害者ではなかなかむずかしいことでございます。ですから私どもは、因果関係を立証することを被害者に求めることは無理でありますから、できるだけある程度の推定ということによってこれをやり得るというのが一番望ましいという考えを持ったわけでございます。ところが、そういうことでこの考え方が表に出てまいりますと、いろんな各方面から反響がございました。そうしたらいろんな議論の中に、おまえたちの考えておるようなある限られた狭い範囲の推定だけならばそれでけっこうだ、ある程度のメリットはあるだろう、しかしこういうものが立法されるとだんだん一人歩きをしていく、そしてその解釈が次第次第に拡大されて——ことに公害というのは千差万別の態様がございます。どんなものが出てくるかわかりません。そういうものに対してこれが次第次第に拡大解釈されていった場合には、どのような結果になるかわからない不安があるというような御意見がございまして、それもなるほどなと考えました。それがデメリットになるかもしれません。 もう一つのデメリットは、この考え方が公表されますと、日本の企業は非常な心配をしました。企業はつぶれるだろうというような、私は杞憂であろうと思いますけれども、そのような心配をされました。これは大企業ばかりではございません。中小企業からもそのような不安がずいぶん表明されました。そこで、やはりこのような不安を産業界に与えるということは必ずしも妥当ではない、そう判断いたしました。 そこで、このような不安が間違った杞憂であっても——そのような心配があっても、その条項を入れることはどんなことがあっても必要であるということならば、それはやはり断じて行なわなければならないと思いますけれども、いま申しましたように、私の考え方からすると、なくとも、いまの裁判のあり方には変わりがないのだということと、だんだんと一人歩きして鬼っ子になっていく心配があるという二つのことがございましたので、そういうことをあわせ勘案いたしまして、私はこれを削除したわけでございます。
○中谷分科員 長官の御答弁、非常に整理するのがむずかしいのです。そこで、実は私は今度の国会では、公害対策特別委員会等におきましても、この推定問題を中心に何回かお尋ねをいたしたいと思っております。 そこで、では推定の法律上の効果、それが実体法、訴訟法にどのような影響を与えるかというふうな点にかかわりも持つ、推定の規定を設けたことの利益、推定の規定を落とした場合の不利益、そういうような問題について、お答えを政府委員のほうからお願いをいたしたいと思います。まず環境庁の政府委員のほうからお願いいたしたい。裁判のことについては、またあらためて古館参事官にお聞きいたしますから。 それで、私、長官の御答弁を補足をしておきますが、政治の姿勢を示したかった、これは長官のお気持ちはよくわかりまするけれども、冷静かつ論理的な例証の場合には、法律論としてはそれほど重要な意味を持たないと思うのです。 第二点の、因果関係の立証が非常に容易になるだろうという点は、これは私は重大な御指摘だと思うのです。判例の動向がそのようだとおっしゃっておられますね。しかし、この点は、公害裁判の判例というのが、大きな判決は富山、新潟の二件しかございませんから、必ずしもそれをもって判例の動向を云々するわけにはいかないしという問題が直ちに指摘された点です。これらを含めて、五つないし六つメリットがあろうと私は思うのですが、メリットをあげていただきたい。 それで、これは長官から御答弁をいただきたいと思いまするけれども、企業のほうがつぶれるという心配、これは長官自身杞憂だろうとおっしゃったですね。それはもう杞憂なんですね。杞憂というのは、何か中国の人の、非常に心配をしているということのことわざでございますね。ところが、現実に推定の規定をしたことによってとにかくたいへんな失望感を味わい、そのことを非常に残念がり、現にその法案を作成した諸君の中にも、このことは非常に残念だと思っている人がいるんじゃないかと私は思うのです。若いまじめな技官とか事務官がいるんじゃないかと思うのです。あるいはまた、多くの法律家がこの点を一斉に指摘をいたしました。そんな人の気持ち——私も、この推定の規定は残しておいてもらいたかったと思うのです。これはもう単なる杞憂ではないと私は思うのです。私は、残しておいたことのいいこと、残しておかなければならないことの理由を論証していくのが今度の国会の私の仕事だと思っていますが、私は杞憂ではないかと思っている。片一方の杞憂とそういう切実な実感というものをてんびんにかけてもらっては困るということを、第一点として私は申し上げたい。長官にも申し上げたいのです。企業の杞憂というものと——杞憂というのは、心配しなくてもいいことを心配しているのを杞憂というわけですね。それと、生活をしている公害被害者の実感というものが、てんびんにかけられてはたまったものではない。そういうふうな、推定規定を落としたことがほんとうに残念だという実感、むしろ長官のおことばの中からは、残しておこうというふうに向かっていかなければいけないんじゃないかというふうに私は思うわけです。 それから、一人歩きをするという問題については、拡大解釈があってとめどもなくなるんじゃないかと長官おっしゃいましたが、こんなことは、私は実務家として考えられません。法務省の古館参事官にも、この点についてはお答えをいただきたい。 要するに推定規定、立証、反証、挙証責任、主張責任というふうな行ったり来たりの問題の中においてこの問題が拡大解釈をされるなんていうことはあり得ないと思うのです。攻撃、防御の中においてこの問題というものを理解したときの拡大解釈なんていうことは、まさに杞憂にすぎない。それほど企業はぼんやりしていないと思うのです。そういう点で、推定規定を置いた場合と置かない場合の違い、推定規定を置いた場合のメリット、私は一ないし七ぐらいあると思うのですが、これをひとつ列挙をしていただきたい。
○船後政府委員 環境庁の原案で考えられました因果関係の推定規定は、これは一般に誤解されておりますような一般的なる推定規定では決してございませんでして、ある代表的なケースを取り上げて推定いたしたわけでございます。 ここでいわゆる甲なる事実でございますが、推定いたしておりますのは、前提事実といたしておりますのは、「その排出により人の生命又は身体に被害が生じうる地域内に同種の物質により人の生命又は身体に被害が生じているとき」という前提事実を証明いたしますれば、民法七百二九条系統の要するに不法行為の構成要件である、その者の排出により被害が生じたという要件事実の証明にかわる、こういうことになっておるわけでございます。そういう意味におきましては、公害事犯のようなケースでは、当該企業の排出によって被害が生じたという証明よりは、ここのような前提事実の証明のほうがより容易になるわけでございます。 そのようなメリットを私ども考えたわけでございますし、かつまた公害判例に関する事案は、先生御指摘のように、まだ判例そのものが少のうございますけれども、最近の傾向といたしましては、事実認定の過程におきまして、疫学的方法でございますとかあるいはいわゆる蓋然性の理論というようなものを導入いたしまして、一般のケースよりは被害者の立証がかなりゆるやかにされるという方向に進んでいるものと私どもは考えております。 そういうことにかんがみまして、一つのきわめて限られたケースではございますが、このような推定規定を置くことの意義を考えたのでございますけれども、次に、この原案をめぐりまして各省庁との折衝過程で明らかとなりましたのは、立案者の意図といたしましては、当該企業の排出というのは、やはり被害が生じ得るに足る程度の大きなものでなければならない、かように考えておるわけでございますが、この規定は、まあ読み方によりますれば、排出がきわめて微量であるというふうな場合でも、「被害が生じうる地域内に同種の物質により」「被害が生じているときは、」というふうに続けて読むという拡張解釈の可能性もありまして、いわゆる複合汚染による共同不法行為あるいは共同不法行為が成立するかどうかわからないといったような複合形態の汚染の際に、この因果関係の推定規定の動き方がかなり拡張するおそれがあるという問題が出てまいりましたので、私どもといたしましては、この際こういった問題は裁判所の自由心証に譲るべきである、それでもって事足りる、かように判断したわけでございます。
○中谷分科員 古館参事官にはあとでお尋ねをいたしますけれども、局長に御答弁をいただきたいと思いますが、要するに、おっしゃったことはこういうことでございましょう。病気と物質の関係、その物質がその工場などから排出されたということについては推定は及ばないのですよ。要するに、推定しているというのは、結局、物質の到達経路を被害者において証明するという点についての推定を置きましょう、まあ一言で言えばそういうことでございますね。 そこで、とにかく私は、法律実務家として全然理解ができないんです。推定があるということはみなすことじゃないんですから、当然反証ができるわけでございますね。かりに推定規定がなかったとしても、結局微量のものを出しておっても共同不法行為の責めに任ずるということはあり得ることですし、これは共同不法行為の理論の問題であって推定の問題ではないわけですね。 そこで、局長はたいへん法律にお詳しいのですけれども、民事実体法と裁判の訴訟法との間の御答弁に混乱があると私は思うんです。だから、拡大解釈という意味がわかりません。じゃ遠くの微量のものであっても、推定規定がなくたって、訴訟を起こすことは不法だとでもおっしゃるんでしょうか。そういうことではありませんわね。当然起こせますわね。そうして、そういうふうに起こした場合には共同不法行為の責めに任ぜなければなりませんわね。そのことと推定規定があるということは、逆に言うとそれらの被告、企業からの反証を許すということなんですから、この問題は訴訟技術上の問題であって、そのことが拡大解釈と言われるのは、一言で言えば、そういうことを環境庁が言われるならば環境庁の非常な誤解だし、企業が言っているなら、それは企業の非常な暴論であるというふうに私は言いたいのです。いかがでしょうか。
○船後政府委員 たとえば公害罪法における推定規定のように非常に限定いたしまして、当該排出のみによりても被害が生じ得る程度の排出を行なっている場合ということにいたしますれば、そういった関係は明白になるわけでございますが、しかし、民事の領域におきましては、そのような狭い推定規定はおよそ意味がない、かように考えます。ところで、その要件をはずしますと、やはりこの書き方では、「その排出により」ということは、大量であろうと微量であろうとこれは読めるわけでございますから、他方、被害が生じ得る地域の被害の原因といたしましては、当該排出のみならず、その他の種々の要因があるわけでございますから、その間も結びついてしまうというような読み方は、やはり原案作成者の意図したものではございません。そういう意味でございます。
○中谷分科員 私、とにかくもう時間もなくなってきましたけれども、まだほかの機会がありますが、聞きますけれども、推定の問題というのは、結局、立証技術の問題として見たらいいわけでしょう。どちらが立証責任を持つかという問題でございましょう。だから、先ほどおっしゃったのですけれども、微量の排出物を出しておる工場は、じゃ、不法行為の責任を、推定規定を除くことによって免れるのですか、簡単に答えてください。
○船後政府委員 不法行為の責任は別途の観点から判断さるべきでありまして、それによって関係はないと思います。
○中谷分科員 ですから、そうだとするならば、結局、基本の原則に戻って、そういう立証が弱い立場にある被害者においてはなしにくいだろうという問題一般として理解をすればいいことであって、拡大解釈であるとか微量の云々というふうなことは、私は議論にはならないと思うのです。これは問題点だけを指摘しておきます。非常に私はその点について——わかっておられて、とにかく落としてしまったために論理のつじつまをあわせておられる。言うてみれば、局長、御存じでしょう、岡松参太郎さんの時代から無過失責任は論ぜられているわけですよ。局長なんかが大学でお習いになった我妻さんなんかも、ずいぶんそういうことについて議論をしておられるわけです。そうして三年前の宇都宮の一日内閣で、無過失責任の法案をつくると言った。そうして環境庁が、厚生省から引き継いだ中でずいぶん努力をして法案をつくられた。そうして要綱が出た。何だかごくわずかの間に推定規定がぽとんと落ちたら、だれだってふしぎに思いますよ。いやな感じがしますよ。これはずいぶん無過失責任論というのは、もう何十年の長い論争を経ているわけであって、いまごろになって、推定規定を置いておいたら拡大されるなんていうことを企業が言ってきたからそれに応じたなんていうこと、それがなるほどもっともだなんていうことは、非常に、とにかく答弁のための答弁としか思えないわけですね。 そこで、古館さんのほうから、訴訟の実務に関連して、推定規定のある場合とない場合との違い、これをひとつ明確に列挙していってください。
○古館説明員 お答えいたします。 訴訟上、まず推定ということの性質でございますけれども、間接事実の存在を立証することによって直接事実の存在を推測し認定するということでございます。 それで、この推定規定が法律上の推定ということになりますと、本来、直接事実については、それを主張立証する者が、その挙証責任の分担によりましてその事実を立証し得ませんと、それに基づく法律効果、権利は認められないということになろうかと思います。そういうことでございますので、その直接事実の立証が非常にむずかしい。したがいまして、そういった立証を緩和するために、そのほかの前提事実——いろいろな要件事実があろうかと思います。そういった前提事実を設けまして、それを立証すれば直接事実についての挙証責任を相手方に転換するということになりますと、訴訟上、その直接事実について主張立証する責任を負う者の訴訟遂行の負担は軽減されるというのが、一般的に言えようかと思います。 そこで、この公害訴訟のような事件におきまして因果関係の立証といいますのは、これは被害者が負うわけでございます。この立証といいますのは、これまでの何件かの判例からも認められますように、非常にむずかしいということが考えられるわけでございます。そこで、そういった立証を緩和するために因果関係についての推定を認める、推定の規定を設けるということになりますと、一般論としましては、被害者としましては訴訟の遂行が非常にしやすくなるということになろうかと思いますけれども、問題は、その因果関係の推定の規定におきまして、どういった前提事実があれば直接事実について立証があったと認めるのかということで、その前提事実が問題かと思います。したがいまして、前提事実についてどういう事実を設けるかということによりまして、規定がありましても、非常に実質的には訴訟の遂行が容易になるというふうに言えない場合も出てこようかと思います。(中谷分科員「一般的な要因なんだろう」と呼ぶ)一般抽象的にいいますと、要因になるだろうというふうに考えます。
○中谷分科員 そこで、古館さん、大きな公害判例というのは二つだ、新潟の判決と富山の判決。これをひとつ次回までに分析をしてください。 阿賀野川の事件については、あなたはすでに御存じだと思いますけれども、公判は四十七回あって、それで取り調べた証人の数は四十六名。とにかく私が分析を依頼してみたら、うち因果関係の証人が三十二名だ、こういうふうに大体推定されるわけです。これは推定ですよ、推定されるわけです。そこで、一体、この推定規定があった場合、この阿賀野川に当てはめてみてどの程度訴訟期間が短縮されるだろうか。とにかく推定のメリットの一つは迅速な訴訟、すみやかな被害者の救済、しかも因果関係の立証を容易にするという点ですね。したがって、容易にすることによって迅速と、こういうことであると思うので、このあたりを分析をしてもらいたいと思うのです。 同時に、富山のイタイイタイ病の裁判についても分析をしてもらいたい。これは五十四回で口頭弁論は終結しておりますが、取り調べた証人の数が二十八名、うち因果関係の証人数は多いですよ、十名というふうに推定されているのです。だから、因果関係といったって、要するに到達経路の推定がこの本件の法律要綱案だから、この場合についてどの程度短縮され、原告は立証責任を免れるであろうかというあたりを、ひとつあなたなりに、法務省のベテランの民事局付の参事官として分析をしてください。これが一つ。 それからいま一点、この機会にあなたに御答弁をいただきたいのは、到達経路についての推定規定があった場合となかった場合では、私は実務家の一人として、とにかく損害賠償もさることながら、要するに被害者として仮処分を打つ場合、これは圧倒的に私は違うんじゃないかと思うのです。推定規定があった場合ですよ。要するに推定規定があった場合には、その点についてはもう疎明もしなくていいわけですからね。とにかく二つの事実をある程度立証して、直接事実を立証して、あとの到達経路については推定がきくわけだから、仮処分が打てるか打てないかの問題というのは、私は非常に大きいと思うのです。仮処分についての関係において、推定規定があることの重大さというのは非常に大きいと思うのですよ。この点いかがですか。一言だけ言ってください。私はあとで、最後に長官に一言お聞きして終わりたいから……。
○古館説明員 お答えいたします。 ただいま先生、この因果関係の推定につきまして、経路が一応推定というふうにおっしゃいましたけれども、実は、私どもがこの要綱試案の趣旨につきまして環境庁から説明を受け、確認したところによりますと、環境庁としましては、この要綱試案に基づいて考えておりますのは、公害罪法における推定規定の規定がございますね、あれと大体同じような趣旨の規定を考えておるという説明でございました。そうしますと、私どもが理解するところによりますと、まず、工場または事業活動に伴いまして、健康に被害を及ぼすであろうと認められるに足る十分な健康被害物質を当該工場が排出しているということが一つでございます。次は、そういう排出がありましたら当然被害が生じ得ると認められる一定の区域内であることというのが第二点でございます。そういった区域内で同じような物質によって被害が生じているという三点を立証した場合に、初めてその因果関係の推定が認められるということであります。そうしますと先ほどの……(中谷分科員「要綱の推定は一体何を推定しているのだ」と呼ぶ)私どもはそれはよくわからないものですから、それで環境庁に説明を受け、確認をしたわけでございます。(中谷分科員「何を推定していると環境庁は言ったのですか」と呼ぶ)いまの三点について立証がありますと、結局被害の発生につきまして因果関係があるというふうに推定するんだということでございます。因果関係の立証があったというふうに。そういうことでございますから、この三つの立証をするということは、非常にこれはむずかしかろうと思います。 そうしますと、これを先ほどの新潟水俣病事件あるいは富山イタイイタイ病事件、これとの関連で比較しまして、こういった規定があった場合にどれくらい審理の手間が省けるかということの見当も、非常にむずかしいだろうというように考えますし、また仮処分の際に、この規定があるためにどの程度疎明が容易になるかということも、私どもとしましては……(中谷分科員「容易になることは事実でしょう」と呼ぶ)それは、いまのような状況証拠に基づきまして因果関係について立証いたしますと、これはこういう推定規定がなくても、同じように事実上の推定により裁判所では認められるのじゃないかと思うのです。そういう趣旨で、私ども、いま環境庁から説明を受けたような規定でございますと、これはあってもなくても同じ規定じゃなかろうかというふうに考えているわけでございます。そういうことがございますから、仮処分の際にも、この規定があるからといいまして、特段に仮処分の申請がしやすくなるという結果がはたして生ずるのだろうかという点については疑問を持っております。
○中谷分科員 逆に言うと、じゃ古館さん、こういうことになるのですね。推定規定が置いてあって、一、二、三についてとにかく証明した。そうした場合、それが因果関係の推定をするという規定があったとしても仮処分容易になりませんよということは、結局、仮処分というのは非常に困難だということですね、逆に言うと。そうすると、仮処分というものについては、これは長官にも聞いておいていただきたいと思いますけれども、被害者救済というものは、仮の被害者救済、とにかく本案に至らない被害者救済ということは、あなた自身があきらめなさいということになってくるわね。そうなってくると、まさに推定規定というものは、あなた自身のお話によればもっと多くかぶせて、あらゆるもの一、二、三全部について——ちょっと私は、さっき舌足らずだからあなたに誤解を与えたけれども、全部についてのその推定規定さえも、日弁連がいっているような、推定規定がないと仮の処分というものができなくなるということを法務省の専門家は言っておられるということに相なるじゃないですか。推定規定があったとしてもむずかしいのですよ、推定規定があったほうがましですよとあなたは言うのでしょう。しかもむずかしいのですよとあなた自身に言われたら、被害者は立つ瀬がないですよ。こういう場合の仮処分というものの必要性は認められるでしょう。そうしたら一そう推定規定は——これは長官、聞いておいてくださいよ。もっときつい推定規定こそ置いておかなければならぬということになるのです。推定規定があったって仮処分はむずかしいのですよと、法務省はいまおっしゃいましたね。推定規定を置いておいてもむずかしいのですよ、あきらめなさいじゃ、これは話になりませんわ。そういうようなことについて、長官、ひとつこの点についての御所見を承りたい。 一つ最後に、私は、長官が環境行政に対してお取り組みになっていることについては、直接質問をさしていただくことはきょう初めてですけれども、非常に私はりっぱなことだと思っているわけですが、こんなことはひとつお約束していただけるでしょうね。時間が過ぎたようですから一言だけ申しますけれども、私は政治生命をかけるというようなことばはきらいだということは申しました。しかし、冷静に、科学的に、論理的に、とにかく国会というところですから論証する。私もこの推定の問題については、日本語で書いた本だけは読んで、ぼくは推定問題を中心に論証していきたいと思うのです。そういう中で、やはり被害者の立場に立って、推定の規定があるほうがいいんだということが論証された場合には——長官としては、先ほど企業が杞憂を持って云々、拡大解釈のおそれがある云々、いろいろなことで推定規定は落としましたとおっしゃいましたけれども、とにかくわれわれが一生懸命に論証する。環境庁はもう一度御検討になる。そういうことで推定規定があったほうが被害者救済に役立つのだということであれば、そのことについて推定規定を復活させることについてはまさにやぶさかではない——これは、私は政治生命をかけるとかなんとかいうことばよりも意味のあることばだと思うし、被害者はそのことを期待し、環境行政というものはそういうものでなければならないと思うのです。この点についての御見解を承っておきたいと思います。
○大石国務大臣 ただいまのように、推定規定があったほうが非常に患者に対して役立つという結論に私も達しましたならば、そのような方向にあらゆる努力をすることを考えております。
○中谷分科員 では、どうもはっきりしないけれども、これで終わります。
○森田主査 次に、二見伸明君。
○二見分科員 私は、一昨日長官が構想を発表された公害税についての件と、もう一つ水資源利用という点から霞ケ浦の水質汚濁防止、これについて長官の御意見を伺いたいと思います。 最初に、霞ケ浦の総合開発に関連して、お互いの認識を確認し合うという点からも、政府委員のほうからも御説明いただきたいと思うのですけれども、湖と川というものは本質的に、片一方はたまっている、片一方は流れるということで、汚濁機構が違うわけです。汚濁防止という防止対策としては、湖沼に対する対策も河川に対する対策も本質的には同じだと思いますけれども、汚濁機構が違うという面でもって、対策にも違った面が出てくるんじゃないかと私は考えているわけですけれども、まずその点についてはいかがでしょうか。
○岡安政府委員 いまお話しのとおり、河川と湖沼につきましては、やはり水の交換その他が違いますものですから、汚染の進行その他が非常に違います。湖沼につきましては、そういう関係から富栄養化という現象が、特定の湖にはすでに起きておるわけでございます。ただ、富栄養化のメカニズム等につきましては、現在必ずしも明らかでない点がございますので、私ども、それにつきまして早急に解明をいたしまして、やはり湖は湖なりの対策を講じなければならないというように実は考えております。
○二見分科員 実は霞ケ浦総合開発が現在国の手でもって進められておりまして、これは茨城県ばかりではありませんで、東京、千葉の水利用という点からも国が現在進めているわけです。ところが、現実には湖沼という性格から、富栄養化が急激に進展していることも事実でございますけれども、これについて環境庁としては、現状認識を私お聞かせいただきたいのですけれども、どういう認識を現在されておられるのか、その点はいかがでしょうか。
○岡安政府委員 霞ケ浦の現状につきましては、まずCOD値で見てみますと、西浦の土浦市の地先水域では、大体CODが三から五・五PPM程度、それから西浦の中央部では三・二から四・五PPM程度、北浦の北部では三・五から四・七PPM程度、北浦の南部では三・二から六・一PPM、こういうことで、相当程度汚濁が進行しておるわけであります。 富栄養化の徴候というものにとりましても、現在、日本で相当富栄養化が進んでいるといわれます諏訪湖に次いだぐらいの順位で富栄養化が進んでいるというふうに実は考えておるのでございまして、この富栄養化の原因はやはり窒素、燐その他の集積というものが原因をしているのであろうと実は考えておる次第でございます。
○二見分科員 長官、いまお聞きのように、将来の首都圏の水利用という点から見ても、この汚濁が急速に進んでいるという実情は放置できない問題だろうと思います。この汚濁を防止するためには何が必要かといえば、私はまず環境基準を設定することだろうと思います。この環境基準を設定しないで汚濁防止を進めようとしても、目標がなくてやるようなもので、非常にうまく対策が進むわけがないわけでありますけれども、私は当然、早急に環境基準を設定すべきだろうと思います。長官としては、これはいつごろまでに設定されるおつもりがあるのか、また、これは水利用の点も考えて、A水域以上の指定をされるのかどうか、その点についての長官の御見解をいただきたいと思います。
○大石国務大臣 いま霞ケ浦の環境基準の設定を急いでおります。おそらく数カ月以内には設定ができるものと基準を進めております。
○二見分科員 これは新年度早々ということですか。
○大石国務大臣 数カ月以内です。
○二見分科員 ところで、いま富栄養化の問題が岡安さんのほうから提起されたわけでありますけれども、富栄養化のメカニズムは明らかではない、しかし富栄養化が進んでいることだけは事実であります。しかも、これはおそらく霞ケ浦ばかりじゃなくて、いまお話があったように諏訪湖に次ぐということですから、諏訪湖、霞ケ浦あるいはその他の湖沼についてもこの富栄養化というものは進展しているだろうと思います。とするならば、メカニズムがわからないからといって放置しておくわけにもいかない。当然これは解明しなければならない。そのために湖沼の調査もしなければならないだろうと思います。その点については、環境庁は新年度、四十七年度において、汚濁の進んでいると思われる湖沼について、もし、すでにその構想があるならば明らかにしていただきたいと思います。その点いかがでしょうか。
○岡安政府委員 富栄養湖につきまして、私どもは実は来年度、予算をお願いいたしましておりまして、諏訪湖、霞ケ浦、琵琶湖、さらに摩周湖はちょっと違いますけれども、その四湖沼につきまして調査を進めたいというふうに考えておるわけでございます。
○二見分科員 もう一点富栄養化対策についてお尋ねしますけれども、メカニズムがわからない、しかし、とりあえず富栄養化対策としてとれる方策というのはどういうのがありますか。
○岡安政府委員 やはり富栄養化の原因というものは汚濁物質が入ってくるということだろうと考えておりますので、たとえば霞ケ浦につきましては、汚濁源に対しましてその排出を規制するということが大事だろうというふうに考えます。規制するにつきましては、お話のとおり、やはり環境基準をつくるということでございますので、来年度なるべく早く環境基準を国が設定をいたしまして、それを目標といたしまして県が排出につきまして上乗せによる規制をしていただく、さらには家庭下水等につきまして下水道の整備をするということであろうというふうに考えております。ただ、富栄養化の非常に大きな原因といっております窒素等につきましては、脱窒技術につきましてなお現在研究段階のものもございますので、やはりそれらを完成いたしまして、窒素による湖沼の汚染というものをなるべく早くなくしていく方向で努力をいたしたいと考えております。
○二見分科員 また個別の問題になりますけれども、霞ケ浦の場合は、汚濁源というのは環境庁ではどういうものを把握しておりますか。
○岡安政府委員 霞ケ浦の場合につきましては、やはり家庭下水、養豚それから工場用水というものがおもな原因だと考えておりまして、特異なケースといたしましては、霞ケ浦の場合には、やはり養豚業によります汚水というものが相当なウエートを占めておると考えております。
○二見分科員 都市下水、家庭下水についての対策といえば、われわれの頭に浮かんでくるのは下水道の整備です。ところが、あの周辺は、公共下水道の整備というのはまるっきりおくれているというのが実情です。現在たしか普及率はゼロに近いと私は記憶しております。 もう一つは、いまお話のあった養豚の汚水処理の問題がやはり大きな汚濁源だろうと思います。二十二日に、霞ケ浦水質保全対策専門調査会というところが、緊急に施策しなければならない九項目についての提案を行ないました。その中にも、工場排水と並んで養豚の汚水処理というものが問題提起されているわけであります。ただ、養豚の場合には、これは環境庁とは関係ありませんけれども、現在、国では農業政策の大きな柱として畜産を振興している。私の調査したところによりますと、養豚のふん尿の処理については、ふん尿の処理に要する経費が、肉豚一頭当たり、金利を含めないでも七百円以上になるので、養豚家が独力で設置するのは事実上むずかしい、こういう調査報告もございます。しかし、いずれにいたしましても、大きな汚染源である以上これを規制しなければならない、規制することも私はやむを得ないだろうと思います。それは規制に耐え得るだけの助成というものは当然施すべきだ。規制はした、何も手を下さなければ、それは養豚家としてみれば、それこそ音をあげてしまう事態におちいるだろうと思います。これは農林省のほうに言うべき筋合いだと私は思いますけれども、その点はその点として、やはりこの養豚の汚水処理というものについて、汚水規制というものについては環境庁としてはどういうお考えを持っているのか、これをお示しいただきたいと思います。
○岡安政府委員 いま現在の水質汚濁防止法によりましては、養豚を含めました畜産業というものにつきましては、特定施設に指定がまだなされておりません。したがって、まだ規制の対象になっておらないわけでございまして、ただ、私どもは、やはり全国的に畜産業等につきましては、汚水の処理を促進する必要があるというふうに考えまして、これも来年度早い時期には特定施設に加えまして、汚水につきまして排水の規制をいたしたいということを考えております。一方、それらの処理を促進する意味におきまして、農林省におきましては、相当程度の補助金も来年度で計上いたしておりますし、また融資につきましても、農林漁業金融公庫のほうから融資ができるように措置をしておるというように聞いております。
○二見分科員 先ほど、やはり汚染の一つに工場排水というお話がございました。私、聞くところによると、霞ケ浦周辺の事業所から六価クロム、シアン、カドミウムが検出されたという話を聞いておりますけれども、環境庁、これは承知しておりますか。また、承知しておりましたら、どういう実情か、ちょっと教えていただきたいと思います。
○岡安政府委員 茨城県におきまして、昨年の九月の下旬からことしの二月の上旬の三回にわたりまして、お話のとおり、霞ケ浦周辺の主要五十工場を対象にその排出の水質を調査いたしたのでございますけれども、その中の一工場におきまして有害物質が基準オーバーの状態でもって出ておるということを聞いております。これに対しましては、茨城県のほうで改善計画書の提出をさせまして、現在その措置につきまして指導中というふうに聞いておるのが実情でございます。
○二見分科員 実は、長官にここで御所見を承りたいのは、排出される重金属が基準以下である、微量であっても、湖という性格からいけば、これは長い期間で見れば私はたいへんな問題になるだろうと思います。霞ケ浦の例をとれば、あのまわりには筑波研究学園都市が建設中でございまして、間もなく各研究機関も移ってまいります。当然、そこから有毒物質が廃水として霞ケ浦に流されることは想像されるわけでありますけれども、去年の十月二十九日、予算委員会でもって長官は、今後はいままでの濃度規制ではだめだ、量規制ということも考えなければならぬ。そうした前向きの積極的な御答弁があったわけでありますけれども、重金属については、特に排水される場所が湖のような場合には、量規制ということを本気になって考えていかなければならないのじゃないだろうか、長官はいつごろまでにこの量規制をやりたいと考えているのか。それはいろいろ研究しなければならない問題もあるだろうと思いますけれども、また、すべての物質というわけにいかないと思います、特定の物質ということになるかもしれないけれども、そういう点について、長官の現在のお気持ちはどうなっているのか、その点をまず一点伺いたいことと、水利用というのは、これからわが国にとっては大きな問題で、霞ケ浦ばかりではありません、全国で湖というものはかなり利用しなければならない時代が来ると思います。公害防止という点から考えて、水利用に多目的に使われる湖の周辺には、当然工場も進出してくるでありましょうけれども、これは望ましい工場と望ましくない工場と当然あるはずです。その点については、長官はまたどういうふうにお考えになっているか、その二点を伺いたいと思います。
○大石国務大臣 おっしゃるとおり、いろいろな排出規制をきめます場合には、いわゆるPPM、濃度だけではなくて、全般的に量を考えなければならぬことは、前から申したとおりでございます。ことに湖水のようなあまり流れ出ない地域はなおそうだろうと思います。したがいまして、私どもはおっしゃるとおり、何とかして量の規制にも行政を進めなければならぬと考えておるわけでございます。ただ、いつごろまでにできるかということに対しては、残念ながらお答えはできません。いまいろいろな公害が出ております。これに対していろいろと対策を立てておりますが、将来一番長く、むずかしく残るのは、私はやはり水だと思うのです。残念ながら、これに対してはいろいろな技術の開発もおくれておりますし、また、水そのものの性質から画一的ないろいろな調査がしにくいという面がございます。そういう意味で非常な困離はありますけれども、しかし、これは大事な問題であります。ですから、できるだけ早くそのような量の規制までいけるようないろいろな方法を考究しなければならぬ、そう考えて努力してまいる考えでございます。 それからもう一つ、望ましくない工場、これはおっしゃるとおりでございます。しかし、これは環境庁だけではどうにもなりません。やはり県なり地元なりそういうものがみんなで一緒に協力して対策を立てる以外にない、こう考えております。
○二見分科員 霞ケ浦が非常に汚染をしてきている、私はこの問題を考えてしみじみ思うことは、これはいわば総合開発というものが先行して、汚濁対策が後手に回ったということはいなめない事実だろうと思います。結局この霞ケ浦の水というものは首都圏が利用することになるわけであります。したがって、この総合開発を進めていく上において、これから最も大事なことは公害対策だろう、水質汚濁防止対策だろう、こう思います。環境基準を一日も早く設定していただきたいと思うし、環境庁長官もその決意のようでございますけれども、環境基準が設定されれば、当然それに基づいた公害諸施策が行なわれなければならないだろう。その所轄官庁は建設省かもしれないし、農林省かもしれないし、あるいは県当局かもしれない。しかし、公害対策という面からこれらを推進していくあるいは指導していく、これは私は環境庁の大きな仕事じゃないかと思います。実務機関ではないかもしれない。しかし、それを推進していくのは環境庁である、公害対策という面から推進していくのは、私は環境庁以外にはないと思います。そういう点について、水質汚濁防止という点から、そうした総合開発にからんだ各公害対策というものをこれからどういうふうに進められていくのか、それをこの問題についての結論として私は伺いたいと思います。
○大石国務大臣 御承知のように日本の全国土が、いままでの経済優先という考え方から、無計画に、無秩序に開発されたのが、いままでの公害の大きな発生の原因でございます。これは霞ケ浦に限ったことでなく、至るところ全国の川なり湖水なり海がみなそうでございます。しかし、これではどうにもなりませんから、それを何とかして公害を防止して、豊かな健康な生活環境をつくらなければならぬという目的のために環境庁が生まれたわけでございます。そういうことで、おっしゃるとおりそのような望ましい環境をつくるために懸命の努力をいたしておるわけでございます。 ただ、御承知のように、環境庁は本年度の予算が三十九億、明年度の予算が八十二億という状態でございます。これは御承知のように現場は持っておりません。環境庁の仕事は、やはり現場の仕事は所管の各省庁でやってもらいますが、その総合的な意見の調整あるいは施策の調整ということを十分にいたしまして、そうしてお互いの合意の上において望ましい生活環境をつくるような仕事を今度はすることになるわけでございます。おっしゃることが環境庁の使命でございますので、それをなお実際に効果をあげますように努力してまいりたいと考えます。
○二見分科員 話は変わりますけれども、二十二日に長官は、公害税構想というのを明らかにされまして、これが非常に論議を呼んでおります。この長官の公害税構想ということは、大蔵省のように反対の立場もいらっしゃる。賛成する立場もいる。しかし、これは賛成とか反対とかという前に、私は十二分に検討に値する構想だろうと思います。ただ、残念ながら長官の公害税構想というものはよく中身がわかりませんので、どういう中身なのか、限られた残り時間少ないですけれども、こまかい点でちょっとお尋ねをしたいと思います。 ます第一点は、公害税構想の公害税という考え方、これは税という発想なのか、あるいは使用料みたいなチャージというお考え方なのか、それともこんな公害出してとんでもない、ペナルティーとしての性格を持つものなのか、この点はいかがでしょうか。
○大石国務大臣 これは私が、思いつきではありませんが、いろいろ構想を練っておるものでございますが、まだまだ具体的な形はでき上がらないうちに妙なことでしゃべってしまったものですから、問題を起こして相済みませんが、そうまた詳しい突き詰めたものではございませんが、いま私が考えておりますのはタックスではなくて、いわゆるチャージといったものに近いものでございます。
○二見分科員 もう一点お尋ねしますけれども、これが出たときに、アメリカでもやはり似たような論議があったというふうに聞いておりますけれども、こういうものを設定すれば、金さえ払えば有害物質を出してもいいのだというエゴイズムですね、これが心配される。これに対する当然対処方法、対策というものが私はなければならないと思います。たとえば公害設備、公害防止施策に投資したほうが得なんだ、そのぐらい——たとえば公害税ということばが適切かどうか、タックスではない、税ということばが適切かどうかわかりませんけれども、非常に金額の高いものにする。金を払うよりも公害防止施設をつくったほうが得だぞ、こういうようなこともお考えになっての発想なのかどうか、その点はいかがでしょうか。
○大石国務大臣 そのとおりでございます。実はいまPPPという考え方、だんだんこれが具体化されてまいります。いずれ近い将来に日本もそのような方式で、国の援助ではなくて、ポリューター自身、企業自身の手においていろいろな公害防止の施設なり施策なりあるいは損害の補償、そういうことまではやらなければならぬ時代が来ると思います。そういうための財源をつくることが必要であると思います。これはそういう意味での課徴金のような考えでございまして、これは企業全体から出すことになっておりますが、いまお話しのように、よりよい環境を守るためにより努力したものに対してはそれだけ減免されるというような方針でまいりたいと思うのです。ですから、私があのとき、まだまだはっきりきまっておりませんが、現在の環境基準は、これは近い将来には暫定基準のものになるだろう、暫定的なさらによりよい、二段か三段になるかわかりません、よりよい環境基準、最後には一番理想的な、最もわれわれの明るい健康な生活をするための理想的な環境基準をつくりたい。そしていまの暫定環境基準に終始しないでよりよい努力をしてもらう。よりよい上の基準にまで達した人にはそのような課徴金はなくするとか減免するというほうがよかろうではないかというような考え方でございます。
○二見分科員 そういたしますと、いわゆる公害使用の発生源企業負担の原則、PPPですね、これがOECDで五月に採択されるのじゃないかといううわさがありますけれども、このPPPのそのものではなくて、それに至る一つの過程といいますか、一歩手前の段階というふうにこの公害税構想は認識をしてもいいのか。同時に、公害補償制度というのが一つ構想としてございますね。それの財源ということもこの構想の中には入っているのか。その点は確認も含めてお願いしたいと思います。
○大石国務大臣 それが確認されるほどまだ具体的にはできておりませんです。ですからそのようないろいろなものを考えまして、段階まででもよろしい、その作業でもできたらそれでもいいという、まだばく然としたことでございますので、これはただやみからやみへ葬らないで一応十分に検討して、役立つものならばこれを実現いたしたいと考えておる段階でございます。
○二見分科員 くどいようで申しわけないのですけれども、もう一点お伺いいたします。 一昨日発表されたときには環境基準を三段階に分ける。最も望ましい、それから中間程度、それから暫定的なもの。暫定的な基準というのは、いまの御答弁によりますといまの基準が暫定的なものだ。これはさらに逆にいえば、もっと基準をきびしくしていくということになりますね。私はそれは、非常にその考え方賛成なんですけれども、その三段階に環境基準を設定するというときに、先ほど量規制の問題について考えたいけれども非常にむずかしいが何とかやりたいというお話ありましたね。これはもちろん長官としても構想の段階で、具体化しているわけじゃありませんから御答弁しにくいだろうと思います。しかしそのときやはり濃度規制だけでは無理なんじゃないか、量規制ということもこの場合には当然お考えになるだろうとわれわれ考えておるわけですけれども、ただ量規制がむずかしいので最初は濃度規制でいって、途中から量規制が入る、この時間的なズレはあるいはあるかもしれません。それは当然あってもやむを得ないと思いますけれども、そこも、そういう構想も踏まえていらっしゃるのかどうか、その点はいかがでしょうか。
○大石国務大臣 先ほど申しましたように、このいま考えておりますことを別にしてもやはり量規制はやらなければならないと考えておりますので、もちろんこういうものと歩調を合わしてまいりたいと思います。 それから、いまの環境基準を暫定基準にするのだではなくて、暫定基準というものになるだろうと思うのでございます。そういうふうにつくりますれば、そういうことでございます。
○二見分科員 私たちもこの公害税構想というもの、またいま長官の御答弁で長官の構想というものもおぼろげながら明らかになったような感じがいたします。この構想の役に立つかどうか、いいのか悪いのかこれはいろいろな角度からの論議が当然起こらなければならないと思いますし、これはわれわれもこの問題についてはひとつ真剣に研究をさしていただきたい、こう思います。たいへんありがとうございました。 終わります。
○森田主査 次に、上原康助君。
○上原分科員 公害問題は、いまわが国でも最も重要な政治、社会問題として取り組まれております。また国民の健康を守り、生活環境を守っていくという立場からも、どうしても解決をしなければいかない重要問題である。しかし高度経済成長下における公害の発生、続出というものがあとを断たない現状で、たいへんむずかしい事態にいま直面をしているのじゃないかと思うのです。 そういう本土のいろいろな公害問題を考えてみました場合に、五月の十五日に沖繩が返還をされる、当然日本の施政権下に戻るわけですから、行政面、経済的な面、社会環境において本土と同様に、あるいはまた沖繩の特殊な事情というものも考慮しつつ、新しい沖繩の県政の確立、県民生活の環境づくりというものをやっていかなければいかない。そういう意味で、特に公害問題と関連をいたしまして、復帰後の沖繩の自然環境を保護していく。沖繩に行かれた方が最も強調する点は、空と海がきれいだ、空気がまだよごれていない、そういうことをたいへん強調しているわけですが、しかし沖繩でも公害はひしひしといま地域住民の健康をむしばみ、生活環境を破壊しつつある状況に来ております。 そこで私は特に、公害をなくしていく、あるいはいろいろな公害問題を解決をしていくために努力をしておられる大臣に、沖繩の復帰後の公害対策なりあるいは現に沖繩がかかえている公害等の問題について、政府としてどういう御調査、また今後の方針等をお持ちなのか、そういった現段階における公害の実態把握なり、今後沖繩が返還をした段階でどう公害防止対策というものを立てていかれようとしているのか、その点についてお聞かせをいただきたいと考えます。
○大石国務大臣 沖繩がいま現段階、ある程度の河川の汚濁なり大気の汚染は、ある地区には多少あるようでございますけれども、幸いに全体的から見ますと大きな広がりを見せておらないということは、非常にうれしいことだと思います。やはり今後は何としてもあの地域は公害のほとんどない、やはり海と空と空気のきれいな楽土であってほしいということを願っております。もちろん五月十五日以降になりますと、沖繩はすべて本土と同じような公害対策の規制を受けることになります。したがいまして、この規制を十分に活用いたしまして、いろいろな環境基準なりそれから排出基準がございますから、こういうものを十分に活用いたしまして、公害を発生しないような行政を進めてまいりたいと考えております。 ただ、一番心配されますことは、いろいろな工業が誘致されまして、そうしていわゆるコンビナートとかいろいろなものをつくる場合に、公害を発生することが一番おそろしいことだと思います。もちろんこれは地域が限定されますから、必ずしも全部にわたるわけではございませんけれども、まずそこに大きな企業が進出すれば必ず公害が起こることはいなめません、これは。現在どうにもこれは防ぐことができません。しかしそういう企業もやはり沖繩経済発展には必要でありましょうから、私は必ずしもこれはだめだとは申しませんが、やはりいろいろな心がまえが必要だと思います。 第一には、やはり業種の選択だと思います。これは山中総務長官が石油コンビナートは望ましくないという話がございましたが、私も環境庁長官として考えると望ましいと思いません。これができますとこれに付随していろいろなコンビナートが出てまいります。そういうことで思いますけれども、国全体としてあるいは沖繩の県民のいろいろな希望もございましょうからあまり具体的なことは申し上げられませんけれども、やはりできるだけ公害の発生することが少ないような企業をまず選ぶということが大事じゃなかろうかと思います。 その次にはわれわれは、もちろん先ほど申しましたように、いろいろな本土と同じような規制を行ないまして公害の防止に努力いたしますが、それだけではやはり必ずしも十分とはいま言えません。そこで、やはり地元と企業との間に公害を防止させるような協定を結ぶことが一番大事だと思います。それにはもちろんわれわれ喜んでそのような指導、そういうことをいたしますから、相談に乗りますから、ひとつ地元の自治体と企業との間に十分な協定を結んで——それが法的な根拠を持つようなもの、ただ申し合わせじゃだめですから、そういうものを結んで、でき得るだけ公害が発生しないような設備をさせること、そういうことが非常に大事ではなかろうかと考えております。
○上原分科員 いま大臣おっしゃるように、確かに公害問題というのはただ法律で規制をすれば事足りるということじゃないと思います。産業を興す側の姿勢の問題あいるは地域社会の公害に対する理解や認識、地方公共団体が公害を規制していくための条例なり企業に対してどう姿勢を示すかという、そういういろいろの観点から公害問題というものは取り組んでいかなければいかないということは同感でありますし、また企業進出にあたって公害のおそれのある企業をなるべく入れないようにする、それも大事かと思うのです。しかしそういう立場で考えてはおりながらも、沖繩の経済社会開発だとか、あるいは復帰をする段階で県民所得というものをこれ以上下げない立場でやっていかなければいかない、そういう大義名分を立ててどんどんいま企業進出のおそれがあるわけですね。特に長官いま指摘なされましたように、石油関連企業というものはなるべく進出させないのが好ましい。しかし残念ながら沖繩の中部東海岸一帯というものはガルフ、エッソその他の石油産業というものが軒並みに建ち並んでいる。山中大臣が、好ましくない、あいるは規制をすべきだという御発言を昨日かなされているわけですが、もう現にコンビナートを含めてでき上がってしまっている。それで昨年の十月にはタンカーのバルブが破裂をして与那城海岸一帯というものは原油が流れて汚染をされて漁業そのものが台なしになっている。そういった補償問題もまだ十分片づいていないし、海水浴も部分的にはすでにできない状態になっているわけなんです。これまではアメリカの施政権下にあるということで直接本土政府の行政指導なり公害防止対策というのはできなかったかもしれませんが、いま長官の御答弁がございましたように、今後沖繩に進出していこうとする企業に対して——もちろん企業進出そのものは私も全面的に反対という立場じゃありません。少なくとも将来の沖繩の環境保護というもの、公害防止ということを考えて十分なるチェックをしていくあいるは対策というものを考えないと、産業を興さなければ就職もできないあるいは経済が成り立たないというだけで、どんどん企業ペースで進出なり産業地域開発というものを進めていった場合に、本土の二の舞いを踏むのは火を見るより明らかだと思うのです。したがって、こういうこれからのことに対して、政府としては具体的にどう対処していかれようとしているのか。先ほど私が申し上げましたように、もちろん政府ペースだけでは片づかないと思いますが、やはりそこには十分進出していくであろう企業というものを選別をし、チェックをし、そして公害対策、公害防止というものを十分やるという条件を付して企業というものを沖繩に興していく、こういう基本的な考え方でなければいかないと思うのです。その点についてはどういうふうに具体的に考えておられるのか、もう少し明らかにしていただきたいと思います。
○大石国務大臣 工場の誘致の問題とか経済あるいは工業の開発ということにつきましては、私は所管でございませんので、いま責任をもってどうするああするということは申し上げられません、いまの段階では。しかし、いままでのいろいろな委員会、予算委員会その他をずっと通じまして、田中通産大臣もそのような職種の選択なりあるいは公害のない企業を持っていかなければならぬということを何べんも強調されておられます。ですから、それがどのような具体的なものなのか、私聞いておりませんけれども、お話しのとおり、やはりできるだけ公害を持ち込まないような、あるいは強い公害を起こさせないような企業を実際に持ち込ませる、あるいは十分な立地条件とかあるいは設備をやらせ、考えるということ、こういうことが非常に大事でございます。われわれとしてできることは、その企業が入る前に、いろいろな計画を立てる場合に、その立地条件であるとか配置の問題であるとか、いろいろな公害の拡散されないような構想であるとか、あるいは工場をつくる場合にはいろいろな設備をさせるとか——たとえば火力発電所ができるとか、そういうところへできれば、問題は要するに硫黄酸化物がたくさん煙突、煙から出る、こういうものを出さないためにはどうするか。その場合に、いまのところは残念ながら排煙脱硫しか的確な方法はございません。その排煙脱硫をするためには相当な金も要ります。相当の広い面積の土地も要ります。そういうものを十分に準備させてやらせるとか、そういうことはわれわれはできますが、そういう面で十分に関係省庁にも連絡をいたしまして、できるだけの公害を持ち込ませないようなほうへ進めてまいりたいと思います。ですから私の言いますのは、政府ではそれに努力しますけれども、それだけではとうてい防ぎ切れません。ことに沖繩にはいわゆる工業というものはいままでありませんから、そういうものが一挙に入っていけば公害の起こることは火を見るよりも明らかです。ですからそれを防ぐにはやはり沖繩の政府、琉球政府が中心となって各自治体によく話をして、いま言ったようにまず企業が入る場合に、十分な公害防止の施設をさせるような協定を結ばせればいい。それが一番的確です。ですから、いまのように火力発電所は入ってよろしい、そのかわりこのような排煙脱硫はこうしてああせいという協定を結ぶ。たとえば〇・三%の硫黄分を含んだ原油を使いますなんて言っても、そんなことはうそです、できっこないのですから。いま日本に返ってきて——そういうことがあっちこっちでよくあります、〇・四%の重油を使いますからとかと。そんなことは手に入りっこないのですから、もっと確実な、的確な、効果のある協定を結べばいい。そういうことが一番的確な方法ではなかろうかと考えます。
○上原分科員 確かに、自治体と企業との間に取りかわす公害防止協定等というのが今後沖繩においてもなされなければいかないと思います。申し上げましたように、地域住民や社会全体の公害に対しての理解なり認識というものがなければいかない、そのことは私も一応踏まえて意見を含めてのお尋ねをしているわけですが、やはり企業には弱い立場に置かれるのが一般的なんですね。石油産業にしても、石油産業を誘致すれば雇用が拡大されるとか、あるいは経済的なメリットがあるというようなことで、六七年ないし早いほうではそれ以前に進出をしてきているわけですが、雇用能力も雇用効果もほとんどない。むしろ公害を増大をさしているというのが現状なんです。そういう意味で、地域の取り組みなり、地方公共団体が公害防止協定を関係企業と取りかわすということも大事ですが、やはりそれに向けての政府の徹底した行政指導というものを、企業に対しても地域に対してもやらなければいけないと思うのです。 そこで、私が最初にお尋ねをしましたように、この公害の調査というもの——あるいはまた非常に専門的な知識の要る面が多いと思うのです。私自身も全然わかりません、正直に申し上げて。だが、起こるであろう公害というものをどう防止していくかということは、実態を掌握しなければいけないと思うのです。そこで沖繩の現在のいろいろな公害の実態というものについて、復帰後早急に政府の立場で実態調査をやるということ、この点についてはすでにやっていらっしゃるかもしれませんが、工業地帯をどうするとか、もちろん通産省にもいろいろ関係があるでしょうが、将来の沖繩の開発のプロジェクトというものを立てる中で、どうしても公害防止をやっていくというマスタープランというものを現段階で立てる必要があると私は思うのです。そういう面を含めて、現在の公害の実態あるいは海水の汚染とかいろいろな面、早急に実態調査をして、これからの御計画というものを立てていただきたい。これについて政府としておやりになる、あるいはそういう準備があられるのかどうか、お聞かせいただきたいと思うのです。
○大石国務大臣 いままで沖繩の公害の実態につきましては、あまりたいしたことはないという見方だけで、実際たいした調査をしておりません。したがいまして、もちろん復帰いたしましたら、直ちに環境庁としても十分に大気なり水なりあるいは海洋なり、そういうところの公害の実態——そうたいしたことはない、現在はある一部の、そうたいしたことはないと思いますけれども、そういうものを十分に調査をして、将来のいろいろな対策に対する基礎をつくりたい、こう考えております。
○上原分科員 たいした公害の現状じゃないという御認識のようですが、そうあってほしいわけです。しかし先ほども言いましたように、ガルフの原油の流出によって与那城湾一帯が相当汚染をされている。あるいはいま一つ公共用水域の水質の汚濁というものが現実の問題として出ております。 一例を申し上げますと、嘉手納村にある比謝川の場合ですと、ここは那覇市をはじめ中部一帯市町村への飲料水のいわゆる水源地になっている。浄水場もあるわけですが、地域市町村からの汚水の排出あるいは嘉手納空軍基地から排出をされるいろいろの汚水等によって大腸菌さえも充満している、飲料水には向かないという民政府の警告まであるわけですね。しかしこういうものはやはり相当科学的に精密な調査をしなければいけないということで、なかなか実態がつかめないという状態なんです。ですからこういうことは早急に調査をしていただいて——特に飲料水に使っている河川の汚染というものは、人間の体内に問題さえ起こしかねない。そういう面でも先ほど申し上げましたように早急な調査というものをやっていただきたいし、そのほかにいろいろの公害地域というものが出ております。 一例を申し上げましたが、そういうような事情でございますので、ぜひ復帰後早急に調査をしていただきたいということ、またその中で将来企業を誘致をする場合も地域を十分分けてプロジェクトを立てていく、そういうことも環境庁としても関係省庁との連絡を密にしていただいて、将来の沖繩の公害対策に取っ組んでいただきたいと思うのです。 これとの関係でお尋ねしたいわけですが、次年度予算で環境庁が予算要求をやったようですが、全然査定をされなかったというような内容を聞いているのですが、いま長官おっしゃいましたように、調査費なりいろいろな面で公害対策をやっていかなければいけないのに、次年度の予算でどうして計上できなかったのか、そのいきさつ等についてお聞かせをいただきたいと思います。
○岡安政府委員 私、実は水質局長でございますので、水質の関係につきまして御説明申し上げますと、沖繩関係につきましては、当初要求におきまして別ワク予算ということで要求をいたしたわけでございますけれども、結果といたしましては全体予算として査定がありまして、私どもは国全体の経費の中からこれは各府県に割り当てられるということの中に当然沖繩を考えて措置をいたすというふうに考えております。 特に水質の関係からは、いまお話しの比謝川と国場川につきましては、汚濁が非常に進んでおりますので、私どもはこの二河川につきましての環境基準の設定、さらに上のせ排水基準、これは一河川でございますけれども、そういうものも予定をいたしておりますし、それから自後継続的な監視測定経費というものも沖繩に対しまして配賦をするというつもりでございます。 ほかの局の経費もおそらくそういうようなことになっているものというように考えております。
○上原分科員 そうしますと、沖繩のそういった公害実態調査をやる諸経費というのは次年度の環境庁予算として計上されているということですか。総額で幾らぐらいですか。
○岡安政府委員 先ほど申し上げましたとおり、沖繩につきましては、各府県と同じようにこれから御相談をいたしまして、それぞれ配賦をいたすわけでございます。したがって、御相談によりましてどれだけかが結果的に配賦をされるということになると思いますけれども、私どもはやはり重点的に予算の配賦はもちろん考えるというつもりでございます。
○上原分科員 ちょっとくどいようで恐縮ですが、そうしますと、環境庁の予算の中に沖繩分も入っているという理解ですね。別ワクということで、特に計上していないという理解のしかたでよろしいですか。
○岡安政府委員 そのとおりでございます。
○上原分科員 この点もぜひ、沖繩の公害対策費も計上されているという点を政府としても明らかにしていただかないと、現地でいろいろな意見を聞いてみると二億二千万円を環境庁の予算として要求したんだが、査定はゼロだ。したがって、公害問題については非常に冷淡だという受けとめ方もございますので、一言その点だけ付言をしておきたいと思うのです。 それと、これは防衛庁との関係もあるのですが、公害という場合に単なる海水の汚染あるいは大気汚染、水質の汚濁等というようなものでなくして、やはり基地公害というのが沖繩の公害の相当部分を、むしろ大部分を占めているといっても過言でないかと思うのです。 御承知のように嘉手納の屋良一帯は井戸が汚染をされて井戸水そのものが燃える。あるいは基地から排出されるいろいろな汚物なり汚水なりが川に流れ込んで地域を汚濁、汚染をしていく。こういった基地公害に対しても、単に防衛施設庁なり防衛庁にまかすというのでなくして、環境庁としても積極的に実態調査を行ない、対策を立てるべきだと思うのです。この点についてどうお考えなのか。特に爆音問題、測定も十分なされていない。本土では六十五ホン以上が規制の対象になるかと思うのですが、八十から九十、場合によっては百二十というひどい爆音が連日連夜出ている。こういうことに対しても何らいま対策が立てられてないで放置をされている。あるいはその他いろいろ、基地から流れ込む排水等によっての水源地の汚染等、枚挙にいとまがないほど基地公害というものが出ております。これらの点についても、ぜひ復帰後は実態調査を行ない、また対策を立てる、アメリカに対してもきびしく抗議をし防止対策をとらせるような積極的な政府の政策的な対策というもの、あるいは行政指導というものを私はやるべきだと思うのですが、長官のお考えなり対策の方法を聞かしていただきたいと思うのです。
○大石国務大臣 本土復帰後は、公害対策の中心はやはりわれわれが担当しなければなりません。そういう意味で、基地といえども日本の法律を守るように、規制を守るように十分に行政的に仕事をする考えでおります。それは単独にやりますか、あるいは防衛庁を通じますか、あるいは外務省を通じますか、これはもう少し検討しなければなりませんけれども、いずれにしても積極的に環境を保全するために努力いたす考えでございます。
○上原分科員 一般的な点で、基本的なお考え方を大体お聞きをいたしましたが、特に基地からの公害問題、またそれに対して賠償さえも十分やらない——もちろん井戸を汚染して、あるいは公害をまき散らして、ただあとで補償をすればいいというようなことは、これではいかないし、本質的な、公害そのものを出さないという立場でなければいかないと思うのです。だが、基地公害というものはあまりにも沖繩県民の基本的人権そのものを無視侵害しているというのがこの二十六カ年間の実情であります。 いま基地といえども公害の防止の対象にしていくんだという前向きの御答弁もございましたが、すみやかに、先ほど申し上げた実態調査の中に特に爆音問題なり、現実に基地の公害によって起きている被害の実態というものを調査していただいてその対策をとっていただきたい。これらのことに対してはややもすると日米安保条約とかあるいは地位協定があるからということで、海水の、いわゆる原船の問題等を含めてふたをしがちなのがこれまでの政府の態度でもありますが、復帰後は少なくともそういうことのないように万全の措置をとっていただきたいということを強く要望いたしまして、時間が参りましたので私の質問を終えたいと思います。
○森田主査 次に、阿部未喜男君。 〔主査退席、大村主査代理着席〕
○阿部(未)分科員 長官にお伺いしたいのですけれども、去る三月三日だったと思いますが、環境庁はこの大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律案の要綱なるものを御発表になりました。この要綱によりますと、無過失責任を明文化して因果関係の推定の規定が設けられ、複数原因者の責任規定も設けられておったようでございます。今日法律案として提案をされようとしておるものにはこの因果関係の推定規定がなくなっておるようでございますけれども、これはなぜ削除をしたのか、その間の事情を少しお聞きしたいと思います。
○大石国務大臣 それは先ほどの中谷委員の御質問にもお答え申しましたが、初めは私どもは因果関係の推定の規定を考えておりました。それはいろいろな考え方がございますが、先ほど申しましたように、われわれの現在考えております人間の健康被害についての無過失責任制度でございますが、これはやはり因果関係の推定ということにつきましては、もちろん幅広い範囲でございません、これは先ほど局長からもお話し申し上げましたこともございますが、ある一定の条件のもとにおける因果関係の推定を考えておるわけでございますが、これはわれわれいろいろな人に相談申し上げました。いわゆる専門家、学者の方々の御意見、民法の大家の方の御意見では必ずしも必要な条項ではない、いまの政治情勢あるいは裁判の傾向からいえば十分にそのような無過失の方向に進んでおるからこの条項は必ずしもなくともよろしいという御見解でございます。しかし私は、そういうことならばなおのこと、いわゆる政治的に環境庁の姿勢を示すという意味において入れたらよかろうという考え方からこれを取り入れることに賛成したのでございます。 しかし実際に、その後いろいろと各方面と折衝いたしてみますると、いろいろな意見がありました。ことに日本の企業は、大企業といわず、もちろん中小企業もそうでございますが、いろいろと申し入れがございまして、こういうものができるとどのような形に発展をしてわれわれはどのような賠償を負わされるかわからない、とうてい企業が立っていけないというような非常な心配がありまして、猛烈な反対運動がございました。 それからもう一つは、いろいろな意見がございまして、私たちの考えておるような範囲内に解釈がとどまればけっこうですけれども、いわゆる公害というのは千差万別の態様がございますから、こういうものにこういう考え方が当てはめられてだんだんと拡大されますといろいろとわれわれが予想もしなかったような問題が出てくるだろう、そういうことが多少心配だという御意見もございました。 そういうことを総合いたしますと、この規定がなくともこの法律はりっぱに意義あると私は考えました。と申しますのは、おっしゃるように、このような無過失の責任制度の考え方を行政に取り入れるということは画期的なことでございます。同時にまた、いろんな人間の健康被害を守るための大事な有害物質を複合汚染にまで及ぼして、硫黄酸化物であるとかあるいは窒素酸化物であるとか、粉じんだとか、そういうところまでこれを取り入れることができました。あるいは中小企業のいわゆる支払い能力のきわめて弱い立場のものに対しては、その共同責任の一部をしんしゃくすることができるような規定も入りましたので、まあ政治的な姿勢とかそういうものについては不満はありますけれども、これならばつくることに十分意義がある、そしてこれをまず一応つくってこのような制度の橋頭堡を打ち立てて、そして次第にいろいろなものをつけ加えて総合的な大きなものにいたしたい、こう考えまして、そのような判断のもとに推定規定を、いろいろの事情を考えまして、あえてとることにいたしたわけでございます。
○阿部(未)分科員 長官、公害の場合に、原因者の立場と被害者の立場は明らかに相反するものだと私は思うのです。いま長官のお話にもありましたように、原因者側がこういう法律は困るということは、逆に、それを削除されては被害者側が非常に不利になるという解釈にならないでしょうか、どうでしょうか。
○大石国務大臣 私は、必ずしもそうではないと思います。もちろん環境庁は被害者を守る立場でございます。ですから、被害者を守ることを中心として考えてまいりますけれども、同時に、やはり日本全体としての明るい正しい繁栄は考えていかなければなりません。そういう意味で、私が、全企業の不安があるということを無視することはできないと申しましたが、これは、その不安というのは必ずしも妥当でないかもしれません。しかし、現実には不安を持っていることは事実でございます。そうすると、この不安があるということは必ずしもいいことではございません。しかも、この不安を解消することによって被害者に不利益を与えるとは考えておりませんので、全体の面から勘案したわけでございます。
○阿部(未)分科員 いま長官もおっしゃいましたが、私は、あくまで長官の立場は、被害者を守る立場に立ってもらわなければならないと思います。そこで、長官はかつて、環境庁のいわゆる要綱ですね、環境庁の案は必要最小限度のもので、手直し論については一切応じられぬというようなことをお話しになっておったようでありますけれども、この因果関係推定規定の削除は手直しではないとお考えになっておりますか。
○大石国務大臣 私はやはりそのような考え方で、これが必要最小限度のものであろうと考えて、そのようにがんばってまいりました。ところが、いま申しましたように、いろいろなその後の各方面の折衝によりまして、多少疑問を生じたということ。たとえば、いま申しましたような、拡大解釈をされましていろいろな不安を将来に起こし得る可能性があるということになりますと、自分のいままでの見解が必ずしも妥当ではなかったかという感じもするわけでございます。それから、いろいろな多くの日本の企業に非常な不安を与えるということは、必ずしも政治姿勢だけにこだわってもおられないと考えまして、あえて、多少は私としても不満なところございますけれども、これを削る以外にないと判断して、こうなったのでございます。
○阿部(未)分科員 そこをもう少し明確にしてもらいたいのですけれども、いまの長官のお考えでは、法的な手続とか、いろいろおっしゃっていますけれども、私はやはり一番中心は、企業の強い要請があっただろうと思いますし、その企業の要請を受けての政府全体の姿勢の問題があったろうと思います。したがって、私はここで、長官がこれは必要最小限度のものだとおっしゃったのならば、必要最小限度のものをなお削られたのか、それとも、長官の必要最小限度ということは間違っておったのか、ここが分かれ目になると思いますから、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
○大石国務大臣 必要な最小限度ということは、自信があっての上の判断でございますが、多少私自信がぐらついた、因果関係の推定の項にですね。どうも少し、法律的にあまり私も教養がありませんのでそう思いましたが、いろいろな判断、いろいろな考えが出てまいりますと、やはりそういうことについても自分の考慮が足りなかったのかという、自信がぐらついてまいったわけでございます。そういうことで、必要最小限度のものであると申しても、多少自信がぐらついたことと、多少自分の信念は曲げても、いろいろな事情がありますから、曲げても、現実に、実質的にはりっぱな意義があると、こう判断したので、そこまで多少は下がったような形になったわけでございます。
○阿部(未)分科員 私は長官の人柄なり信念を知っておりますから、あまり責めるのは好ましくないのですけれども、しかし、やはり長官も政治家ですから、一ぺん自分で口にしたことには責任を持ってもらわなければならないと思います。 もう一つ長官のおことばの中からお伺いしたいのは、長官は、政治家として公約を果たすためにはこれに政治生命をかけておる、党内に反対のムードが強いことも知っておるけれども、私は一人一人説得をしてでもこの法案は通すのだという強い意欲を持っておられたようですが、一人一人説得してみて、どういう事情でございましたか。
○大石国務大臣 私は、政治的生命をかけるなんということは公言すべきではないのでございます。たまたま島本委員から、おまえかけているんだろうと言われまして、ついそのとおりでございますと、まあ申し上げたのでございますが、しかし、私の気持ちとしてはそのくらいの気持はございます。一生懸命努力いたしました。環境庁の職員も一生懸命に努力いたしました。だいぶんと理解をいただきまして、現在のような、実質的には、私は、できる価値のあるものに理解をいただいたと思います。私は考えまして、この因果関係の推定の条項が削られたことによって、自分の信念に反するからといって、これを全部提案をやめて、できるまで待とうかとも考えてみました。しかしそれよりも、それだけの、多少の自分の考え方を変えても、やはりこれを提案することが、私は、日本の行政のために、ことに患者の立場を守るためにはより有益であると最後に判断いたしましてこのようなことになったわけでございます。
○阿部(未)分科員 法案の内容の詳細についてはまた別の機会に、公害対策の委員会で聞かしてもらいたいと思いますが、ただ、この法案制定の考え方についてですが、公害という観念からするならば、公害対策基本法第二条にいうすべてのものを対象とすべきではなかったかという気がするんですけれども、今回は水質と大気だけに限られておるようでございますが、この点はどう考えておられたわけですか。
○大石国務大臣 私も、阿部委員のおっしゃるとおりと考えております。ただ、これはいろいろな事情がございまして、といって、別に圧迫されたわけでもありませんが、これは初めての新しい考え方でございます。したがいまして、あまり広範囲なものにとりましてもなかなかその考えをまとめにくいと思いました。とりあえず一番必要なのは何であるかと申しますと、人間の生命、健康であろうと思います。とりあえずそれを取り上げることにいたしまして、そうするとその健康被害に大きな影響を及ぼすものは大気汚染と水質汚濁の両法律の中に含まれている物質が中心でございますから、そういうものに限ることにいたしたわけでございます。もう一つは、さらにいろいろな範囲を広げまして、たとえば赤潮であるとか、いろいろな生業の関係、そういうものも、私は、いずれ近い将来には含まなければならないと考えておりますが、そういうものをみな入れますと、とうてい一年間の期間では法律をつくることは困難でございます。それよりも、まず何といってもこの法案を提案してその思想を打ち立てることが大事であると思いました。そういう意味で、いろいろな時間的な制約も考えまして一応これに限ることにしたわけでございます。
○阿部(未)分科員 そうすると、長官のお考えからいきますと、この無過失責任の問題については、さしむきこれを一つの足がかりとして、将来に向かっては公害基本法に定めるところのものについて広げていく、こういうふうに理解してようございますか。
○大石国務大臣 私はその考えでおります。
○阿部(未)分科員 もう一つお伺いしたいんですが、確かに企業の側の利益というものについても無視できない、これは先ほど来の御意思のようでございますけれども、同時に農家や漁民の生活についても私は無視できない。法の前には、企業家であろうと農家であろうと漁民であろうと、平等でなければならぬと思いますが、たまたま無過失であるからといって、企業の事業活動によって発した公害について、物質的な被害を受くるものについて、無過失の場合には責めようがないという形になってくるようですが、この点はどうなりましょうか。
○大石国務大臣 私は、いろいろ考えてみまして、たとえば漁師とかそういうものは、まことに気の毒だと思うのです、一番の被害者は。あるいは農業関係もございますけれども。しかしこういうものは、何とかして、何らかの制度によって救わなければならないと私も思います。そういうことで、何とかしてこういう問題も、たとえば赤潮とか、そういうものもできるだけ近い将来にこういうものを入れたいと思っておりますが、いま申しましたように時間的な問題あるいはまだいろいろな、赤潮発生とかその他のいろいろな原因なり、土壌の問題につきましてもまだわからない点がございます。こういうものをもう少し突き詰めないとなかなか対象にしにくいと考えましたので、取り急ぎ橋頭堡を築きながらそういったものについてもできるだけ早く組み込めるように、いろいろな調査、努力を続けてまいりたいと考えておる次第でございます。
○阿部(未)分科員 ちょっとくどくなりますが、さっきと同じ内容ですけれども、それでは財産被害を対象とする無過失賠償を将来入れていく、こういうお考えですか。
○大石国務大臣 私はそのようにいたしたいと考えております。
○阿部(未)分科員 たいへんりっぱな長官の決意で私どもも非常に感謝しておりますが、その次もう一つお伺いしたいのは、日本弁護士連合会、いわゆる日弁連が、公害にかかる無過失賠償責任等に関する試案というものを発表されております。この日弁連の試案についていま出されておる環境庁の法律案と比較をして長官の感想をお伺いしたいのです。
○大石国務大臣 日弁連で出されました試案は、非常にわれわれより大きい包括的のものでございます。したがいまして、あのような法律案をすぐわれわれは取り入れることはできないと考えております。 なお、あそこの公害対策委員長の関田さんにはしょっちゅうお目にかかりましていろいろ激励を受けたりあるいは教えられたりいたしておりますが、率直に申しますと、環境庁の案でもよろしい、一応われわれはこれで認めよう、しかし推定の規定だけは取らないようにしてほしいと実は言われました。私はそれを努力しようと思いましたが、やはり取ることになったわけでございます。
○阿部(未)分科員 日弁連のほうが環境庁の案でさしむきはやむを得ないというお話があったということについては理解ができますけれども、長官御自身はただ膨大であるというだけでなく、できるならば、こういうものにしたいという御意思があるわけでございますか。
○大石国務大臣 いや、なかなかむずかしい問題もございまして、また私の法律的な知識ではなかなか消化しにくい面もございますので、とにかく全部がそのとおりであるとは申しかねます。ただ私の考え方としましては、やはりわれわれの考えておりますこの制度もできるだけ総合的な広いものにしていかなければならないとは考えております。
○阿部(未)分科員 それでは次の問題ですが、この法律が制定をされて無過失について裁判等で被害者が勝訴をする、こういうことになった場合においても、この原因者に賠償の履行能力がないような場合がかなり多くなるのではないか。実は先般来休廃止鉱山の問題ですでに責めを負うべき者がいないというのが非常に多いように見受けるのですけれども、せっかくこういうりっぱな法律ができても履行能力がない、履行の保証がなければ勝訴をしてみても被害者は救われないという結果になってくると思います。この履行能力についてたとえば基金制度とか何かいい方法はないものだろうか。これに関連をして先般来長官はしばしば、公害税を取って一部これに充てたらどうだろうかというような感想も発表されておったようでございますが、補償能力、賠償能力についてどういうふうなお考えを持っておられますか。
○大石国務大臣 私が無過失の構想を考えておりますときにやはり一番先に考えたものの一つは、いまの財源の問題でございます。これはやはりなかなか企業独自だけでは負担し切れない場合もあると思います。そこでやはりこれは経済界あるいは企業界全体としてこういうものは考えなければならぬ。それでどうしたらいいか、いろいろなことを考えておるわけでございますが、これは局長にもそのような指示をしたわけでございますが、もちろんそれは必要でありますが、この法律の内容からいえば、そのような財源の問題を組み込むわけにまいりませんということで別個に考えることにいたしたわけでございます。財界の一部の方にもそのような構想をお持ちになっている方があるようでございますし、いま自民党の環境部会におきましても、やはりそのような考え方を出しましていま構想を練っておるようでございます。おそらく各方面でそのような努力をされると思いますが、ぜひ適当なものを、考え方、それからその実際を実現してもらいまして、実のことを言えばこの法律が将来役立たないことを私は望んでおるのです。そのようにまたわれわれもさらに公害の規制を強くいたしまして、規制をしてできるだけこういうものは発生させないように努力いたしますけれども、そのような財源は考えなければなりませんので、PPPのあれによる、税金ではなくてチャージと考えておりますが、こういうものについても、これはまだまとまった考えでありませんけれども、そのようなものにも当てはめ得るのではなかろうかと考えているわけでございます。
○阿部(未)分科員 確かに賠償の基金とかいうようなものになってきますと、この法律にはなじまないものかもわかりません。しかし私がお伺いしたがったのは、この法律の中でそういうものをつくるべきであるというふうなものを入れて、あとは他の省になろうと思いますけれども、たとえば通産なら通産でもけっこうですし、大蔵でもけっこうでしょうが、そういうところでそういう基金の積み立てを行なうとかいうものにしないと、せっかくでき上がっても仏をつくって魂を入れない結果になるのではないか。それと公害税の中から一部これに充当したらという、さっきのPPPの関係ですけれども、もう少しそこのところを具体的に長官にお考えを聞きたいと思うのです。
○大石国務大臣 私が考えておりますいわゆるPPP関係のあれでございますか。これはまだ実際は大きな顔をして申し上げるほどの考えはまとまっておりません。ただ頭の中で、思いつきではありませんけれども、一応考えているだけのことで、まだどなたにも相談してありませんし、また具体的な構想も組み立ててありませんので、どこまで申し上げられるかわかりませんけれども、いずれ日本の公害というものにつきましては、いま政府があらゆる努力をし、民間とも協力をして、その予防なりあるいは復旧に努力いたしておりますけれども、いずれ近い将来にはPPPの考え方によりまして、やはり政府というものがそう何でもかんでもめんどうを見るわけにいかないだろうと思います、そうすると、企業者自体の間でこういうものを公害の対策なりあるいは施設なり賠償なりしていかなければならないと思います。その場合に簡単になかなか集めにくいでしょうから、いま申しましたような一種の課徴金みたいなものを全部から取りまして、それによって、課徴金というのは結局ポリューターが出すわけですから文句もありませんから、そういうことで立てていきたい。それで課徴金を取る場合には、ただ単に金さえ出せば公害をつくってもよろしいという考え方では困ります。そこで全体から課徴金は取りますけれども、なおより努力して、たとえばいまの環境基準というのがございますが、これは必ずしもわれわれが理想とすべき十分なものではございません。近い将来にやはりよりすぐれた、ほんとうに理想とすべき環境基準をつくらなければならないと思います。これは一段階になるか二段階になるかわかりませんけれども、そういうものをつくって、そうするといまの環境基準というのは大体暫定的な環境基準になるわけでございます。ですから、この暫定的な環境基準までは各企業に守ってもらわなければなりません。守ってもらわなければ、それは法律違反になりますから、守ってもらいますが、さらにそれ以上努力してもらわなければ、なお全体の環境はよくならないわけです。ですからより努力してもらうためには、何かの努力した効果がなければなりませんから、次のさらに上の環境基準まで達成するような設備をしたり、努力をした人には課徴金をまけるとかなくするとかいうようなことにしたらばいいのじゃないか。そんなことを考えておるわけでございます。
○阿部(未)分科員 どうもありがとうございました。 時間がありますから、あと一問、これは別の問題になりますけれども、最近新聞で大分県の新木浦鉱山の亜砒酸の問題が休廃鉱の関係で出ておるようでございますが、これはどんな状況になっておって、どういう対策が立てられておるのかちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○岡安政府委員 新木浦の鉱山におきましては、かつて亜砒酸の製造が行なわれておりまして、現在はアメリー鉱の採掘が行なわれておると聞いております。これにつきましては、福岡の鉱山保安監督局によりまして、最近いろいろ調査が行なわれたわけでございますが、鉱山の排水の中に含まれております砒素の含有量につきましては、現状におきましては水質汚濁防止法に基づきまして設定されております排水基準以下であるというようなことになっております。しかし砒素によります水質の汚濁というものは非常に重要でございますので、私どもは今後ともこの水質調査につきましては万全を期するというような考え方でございます。
○阿部(未)分科員 新聞によりますと、何か従前、何年か前だと思いますけれども、この砒素公害で命をなくした方々、死亡された方々が何人かあるのだということが報道されておったようでございますが、これはまだ実態調査は済んでおらぬと思いますけれども、どういうことになっておりましょうか。
○船後政府委員 新木浦鉱山周辺の健康被害問題につきましては、大分県に照会いたしましたところでは、現在そのようなおそれはないということでございますけれども、なお私どもといたしましては、今後、ただいま水質保全局長が申し上げましたような環境関係の分析調査を進め、そして一方大分県に対しましては、必要があれば健康調査をやる。この点につきましては、すでに土呂久でもって一応の健康調査をやった先例もあるわけでございますから、そういったことも参考としながら指導を進めてまいりたい。 現在のところ、被害状況は確認いたしておりませんが、この点につきましても、大分県から早急に報告を求めることといたしております。
○阿部(未)分科員 確認されていないそうですけれども、新聞に出たのはちょっと前のようですが、大分県側としては、おたくのほうの指示に従って、この場合には追跡調査というのですか、そういうことをやっておられるのでしょうか、どうでしょうか。
○船後政府委員 元従業員の方でございますと、労災法の適用というような面もございますので、その点は労働省と連絡をとりながら、実態の解明につとめてまいりたいと考えております。
○阿部(未)分科員 その新木浦鉱山の人体被害の関係について、今日時点はともかく、過去にどういうことがあったかについては、まだ全然わかっていないわけですか。
○船後政府委員 新聞報道で承知いたしております程度以上の報告は受けておりません。
○阿部(未)分科員 いつごろまでに明らかになりましょうか。
○船後政府委員 早急に報告するように連絡いたしております。
○阿部(未)分科員 その問題はまた公害の委員会ででも御質問したいと思いますから、なるべく早目にひとつ実態の調査をしていただきまして、これは土呂久と並んで同じところにあるわけでございますから、ぜひひとつ土呂久の二の舞いを踏まないように御努力を願いたいと思います。 最後ですが、長官、たいへん御苦労ですけれども、国民の公害対策に対する期待が非常に大きいし、長官に対する期待も非常に大きいようでございます。私は、このいま出されようとする法律案に、決して全面的に賛成するものではありませんけれども、しかし、なるべく長官がおっしゃるように、将来に向かってこれが一つの橋頭堡になって、被害者、国民が納得のし得る法律に将来仕上げていただくことを期待をいたしまして、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
○大村主査代理 次は大橋敏雄君。
○大橋(敏)分科員 私は、北九州市の洞海湾等に関連いたします質問を若手いたしたいと思います。 まず第一に、去る二月二十六日だと思いますが、わが党の市会議員の調べによりまして、若松のメッキ工場から、排出基準の九百倍だといわれるほどの総クロムがたれ流された——一千八百PPMだというのですけれども、それが洞海湾にたれ流されたという事実が実は明らかになったわけでございます。すでに質問通告をいたしておりましたので、この件について環境庁としても地元にお問い合わせになったと思いますが、どのような報告がなされたのか、特にたれ流された原因といいますか、その理由ですね、その点をまず御報告願いたいと思います。
○岡安政府委員 いまお話しの若松メッキ工業株式会社からのメッキ排水の流出の件でございますが、これは今年の二月十六日におきまして、当該会社がメッキの排水をポンプによりまして処理槽に移送しようとした際、その操作に手落ちがございまして事故が発生をし、一時的にメッキ排水が漏出したというふうに私どもは報告を受けておるのでございます。 これに対しまして、北九州市におきましては三月一日付をもちまして若松メッキ工業株式会社に対しまして、今後このような事故のないよう排水処理施設の管理改善をするよう、文書で警告を発したというふうに聞いております。
○大橋(敏)分科員 長官、いまの局長さんの御報告は一般新聞等にも出ているような事情でございますが、実は事実はだいぶ違うのです。 事の起こりを申し上げますと、若松のある住民から、どうも屎尿が洞海湾に流れ出ているようだぞというような苦情が清掃事務所のほうに持ち込まれたそうです。そこで、それはたいへんだということでそこの係長さんが飛んで行ったらしいのですが、それが屎尿ではなかったわけですね。屎尿ではないということを確認しまして、これは自分だけじゃだめだ、第三者的な方々と再度調査し直そうということで、清掃事務所のK係長さんが海上保安部にも連絡し、あるいは保健所にも連絡しまして、四人で実は調査に乗り込んだ。調査というよりも立ち入り検査をやったわけですね。ところが、ちょうどそのとき雨降りだったらしいのですが、現場の作業員がその雨に乗じましてポリバケツでどんどん流していた、それをつかまえた——という表現がいいか悪いかわかりませんけれども、そういうことなんですね。実は市の公害対策局の人は、そのときには行っていないのですよ。ほんとうは事情は知らないと思うのですね。いまの局長さんの御報告では、廃液の処理槽のコックを締め忘れたか何かで流れ出たんだ、こういう理由になっているようですけれども、この点がだいぶ事実と違うわけですよ。私はこの点は非常に大きな問題だと思うわけです。つまり、公害を防止して住民の健康、生命を守ろうというのが公害対策局の使命であると思うのですね。その対策局が、そういう事実もよく掌握しないままに会社側の言い分をのみ込んだというところに、これは行政姿勢に大きな問題があろうと思うわけであります。 そこで、私がまず問題点ととらえているのは、たれ流されたその原因についての説明、先ほど言った理由、これが会社側と現場作業員との間に大きな違いがあったということです。それからもう一つは、いわゆる清掃局と公害対策局との見解の違いがある。もう一つは、市はもっと早くから知っていたわけですね。公明党がこれを調査したというのは、先ほど申し上げましたように二月の二十六日でございまして、それから市で取り上げたわけですね。ところが、先ほどの御報告では二月十六日ですね。そういうように、ずいぶん早くからこの事件はわかっていたわけですね。しかし、市は、注意はしたらしいのですけれども、その事実はさっぱり公表していないという、このような三つの問題点が残っているわけですよ。こういうことについて長官はどのような感慨を持たれたか、まず御見解を承りたいと思います。
○大石国務大臣 公害の防止は、御承知のように基準の強化と監視体制の強化にございます。その監視体制は、これは全部地方自治体に委任してあるわけでございます。したがいまして、やはりそのような監視が十分に行なわれるように、福岡県なりあるいは北九州市で懸命の努力をしてもらわなければならないと思います。このような場合には、なかなか監視というものもいろんな技術が要りますし、人手も要りますから、そういうことについてはまだ必ずしも十分であるとは申されません。われわれもこの点については人がふえるように、技術も研修をしょっちゅうやってあげるように、努力をこれからいたしてまいりますけれども、そういう体制もありますので、ときおりはいろいろな不備な面もあろうかと思いますけれども、やはりそのようなことがないように十分に監視体制を強化してもらう必要があると思います。ことに、そのようないわゆる多少前科のある企業に対しては、やはりときおり——いまは過失であったということでございますが、過失であったならば一回で済みますけれども、かりに故意的な過失であるとすれば一回じゃ済みませんから、やはりときおりは見ていろいろな抜き打ち的な監視をする必要があるだろう、こう思うのでございます。
○大橋(敏)分科員 長官、私がいまお尋ねしている中心は、要するに北九州市の公害対策局がその公表を避けていたというような姿があるのですね。と同時に、かりにこういうことであったという場合も、いま言ったような、理由が事実とだいぶ相違しているわけですよ。この姿勢についてどう思われるかと言っているわけです。
○大石国務大臣 そのようなクロムを含んだ汚水が海中に捨てられたということが何回あったのかわかりませんが、数回あったとすればけしからぬことだと思いますが、ただもし一回だけあったとすれば、ポリバケツで捨てたということと、こちらの報告ではバルブを締め忘れたんだということですが、別にだれのことを信用しないとか信用するということではありませんけれども、人手を使ってポリバケツで捨てるほどならたいした量ではないはずでございます。しかし、それが事実ならば、やはりそのような間違った報告をするほうがけしからぬと思います。 それから、公表というのはどういうことかわかりませんが、たとえば環境庁に対する報告がおそかったとかなんとかということならば、これから十分に注意をいたしたいと考えます。
○大橋(敏)分科員 これはいま長官がおっしゃるとおりでして、一回でポリバケツでちょっとやったくらいなら、それはまあまあということもありますけれども、これはおそらくそうではないのです。前からそういう状態があったので苦情が出てきたのでありまして、もう一つは、清掃局が誤解を招いているという気持ちも一ぱいあったものですから、これはいかぬということで、海上保安部ですか、あるいは保健所、四人で行ったわけですね。そのときにたまたまそういう事実をつかんだわけですから、これは重大な問題だと思いますので、そうだああだということではなくて、事実を調査していただきたいと思います。そして、厳重な調査の上で、その上に立って応分の処分をお願いしたいと私は思うのですが、いかがでしょうか。
○大石国務大臣 これは十分に調査をいたします。処分ということは、各地方自治体に対することですから、どういう処分ができるかわかりませんが、十分に今後そのようなことがないようにいたしたいと思います。
○大橋(敏)分科員 処分ということばが云々とおっしゃいましたけれども、私は応分のと言いましたから、それに相当するだけのことはちゃんとやはりやっていかないと、公害対策局の政治姿勢といいますか、行政姿勢ですから、これは重大だという気持ちでいま述べているわけです。 それでは次の問題に移りますけれども、洞海湾の浄化のかぎはヘドロの処理とその方法にある、これはだれも認めているところでございますが、現在北九州港管理組合が、洞海湾浄化調査研究会の意見を聞きながら、大量の有毒重金属を含むヘドロのしゅんせつの新工法、特殊なやり方のテストを開始した。ちょうど三月九日から十八日の間にそのテストをやるというようなことであったわけでございますが、洞海湾のヘドロは第二次公害のおそれありとして、一昨年の十一月から実はしゅんせつはストップ、いわゆる中止していたわけでございます。 ところが、先ほど申し上げましたように、新工法によるテストが行なわれている三月の十七日に、そのテストの結果が出る前に、同じ管理組合が、企業が自分でもってしゅんせつしたいということの許可をおろしたということが起こりまして、いま地元では住民の非難の声が非常に出ているわけでございますが、これは直接には運輸省に関係すると思いますので、まず運輸省の方からお答え願いたいと思います。
○西村説明員 お答えいたします。 北九州港管理組合におきまして、洞海湾浄化調査研究会を設けております。ここにおきまして洞海湾の浄化のための工法まで含めまして検討を重ねております。実際に使用できます、作業できます工法につきましての検討は、湾内の数地点におきまして試験をした上できめられる、そういう必要があろうかと思います。御指摘の民間のしゅんせつ工事の許可につきましては、洞海湾の浄化調査研究会の諸先生方にこの工事を見ていただきまして、湾内の濁りの拡散の範囲が大体二、三十メートルだということでございまして、こういう判断に基づきまして、ほかの維持しゅんせつの許可を条件つきで許可をしたということを聞いております。
○大橋(敏)分科員 管理組合が一方では公害被害を防止するための調査を一生懸命やっていた、まだそのテスト中であったにもかかわらず、一方では企業のほうにさあどうぞと、非常に矛盾しているという感じを受けるわけですね。これはいまのお答えがあったのですが、何といいますか、その被害は及ばないのだというそういう確信のもとに何か管理組合が許可をしたというように聞きましたけれども、ほんとうに被害はそれから起こらないという確証はありますか。わかりますか、それは。
○西村説明員 条件つきでということを申し上げましたけれども、いろいろな対策を講ずるように条件をつけております。まあしゅんせつ船の中でもプリーストマンという方式のものでやっておりますが、そのまわりにオイルフェンスを張るとか、それから汚濁が非常に激しい場合には工事を即時に中止する、それから急速な沈降剤を用意しておく、土拾て場にももちろん沈降剤を用意しておく、土運船のパッキング等の点検をするというような条件をつけておりまして、その浄化対策の研究会の諸先生方の立ち会いの上で試験をやっておりますので、そういう先生方の判断を信用しておるわけでございます。
○大橋(敏)分科員 私は非常に自分の気持ちの整理に苦しむような感じでございますけれども、こういう管理組合が、一方ではテストのためにまだやっている最中に、一方では許可をしたというようなこと、よくよく掘り下げていってみますと、確かに現在福岡県ではそのしゅんせつ等も含む一切がっさいの計画を練っている作業をしている最中であろう、それは必ず近いうちに国のほうに申請されて、それが許可になれば、当然環境庁がその監督責任の立場で指導していくことになって、いまのような問題は消えていくのじゃないかというような気がしてならないわけですが、その福岡県が現在公害防止の地域指定に関するいわゆる基本計画策定をやっていると思うのですけれども、これは現在一体どうなっているのか、どの程度進んでいるのかということなんです。
○冨崎説明員 お答えいたします。 北九州につきましては、北九州を区域といたします公害防止計画の策定を現在ほぼ終わりかかっておる段階でございます。基本方針を昨年の九月に内閣総理大臣の命をもちまして指示をいたしました。それに従った計画もしばらくの間に提出をされる、こういう段階に来ております。
○大橋(敏)分科員 実は地元の住民は洞海湾のしゅんせつその他について、一体環境庁が責任をもってやってくれるのか、それとも運輸省のほうなのか、管理組合なのか、リーダーシップはどこかということになっておるわけですね。いまもお話がありましたように、もう福岡県の策定もほとんど終わって、申請が出てくるということでございますが、それに基づいて一日も早く認可を出していただいて、責任ある姿で監督指導をしていただきたい、強く要望いたしておきます。 それから、もう一つ運輸省関係の方に申し上げますが、運輸省の第四港湾建設局が一千万円の予算で洞海湾の調査を行なっているということを聞いたわけでございますが、この運輸省のやっていらっしゃるお仕事と管理組合のお仕事の関連はどうなりましょうか。
○西村説明員 運輸省の第四港湾建設局におきまして、昭和四十六年度一千二百五十万円、これは港湾事業調査費ということで、洞海湾の中におきます流況の調査をシミュレーションモデルによって計算をいたしております。実際の洞海湾内の汚染の問題は、そのほかいろいろ先ほども申し上げましたように、工法の問題等もございます。これ以外の調査につきましては、北九州港管理組合のほうでやっております。
○大橋(敏)分科員 それでは一千万円余のその予算というのは、現在北九州港管理組合がやっている仕事とは全然別の立場でなさっているというふうに理解してよろしいですね。
○西村説明員 そうでございます。
○大橋(敏)分科員 それでは長官にお尋ねいたしますが、北九州市における企業と市との公害防止協定とその締結についてでございます。この防止協定の内容は、公害対策審議会の答申に基づいたいわゆる新しい内容のもので結ばれていかなければならぬはずなんですけれども、私が聞いたところによりますと、公害発生源が四十七社、五十四工場実はあるわけでございますが、そうした中身で締結しているのは、新規進出企業の十七社のみである、既存の大企業等とはまだ締結はほとんどなされていないということを聞くのですけれども、一体その理由は何かということでございますが、どうでしょうか。
○船後政府委員 北九州では四十七社と公害防止協定の作業を現在進めておるということを聞いておりますが、個々の協定につきましては、これは環境庁といたしましてはとかく言うべき筋合いのものではございません。どういう理由でおくれておるか、私どもも事情を存じておりません。
○大橋(敏)分科員 私は大気にしろあるいは水質にしろ、こうした市、そして企業、それとの間にこの協定が締結されることが第一条件だろうと思うのですね。ですから、いま言いましたように、新しく進出してくる企業だけがまじめに締結をして、既存の会社、工場はやっていないということは、これは非常に問題だと思うのですね。どういう理由か、いま説明なかったのですけれども、私は、むしろそれを環境庁の監督の立場から調査してもらって、それを促進していただきたいと思いますがいかがでしょうか。
○大石国務大臣 いまの御意見はまことにけっこうな御意見でございます。われわれができる範囲におきまして、できない範囲はとてもだめですけれども、できる範囲内におきましてできるだけそのような指導をしてまいりたいと思います。ただ残念だけれども、あのような大工業地帯になりますと、あそこの一部の、ほんとうの工業地帯の中心は、いま環境庁のいわゆる取り締まり、環境基準からはずされた野放し地帯になっております。これはまことに残念なことでございまするが、現在までそのような法律になっているわけでございます。しかし、これは、いつまでもこんなこと許されることではないのであって、これではまるで大企業擁護政策になります。したがって、これはいずれ近い将来にはこれを直して、大企業といえども、どのような工業の中心地帯であろうとも、これは国の基準を守っていけるような、そしてたれ流しをやめていけるような方向に持っていかなければなりません。そう考えておりますので、どのような理由で協定が結ばれないか知りませんが、このようなところにも原因の一つがあるのではなかろうかと思います。
○大橋(敏)分科員 話によれば、北九州市は三月をめどに努力していたということを聞いておりますので、いまの長官のお気持ちの上で、しっかり御指導願いたいと思います。 それから時間がございませんので、次に移ります。 公害被害者救済法による地域指定の問題でございますけれども、本年度に何だか四カ所さらに指定なさるような話を聞いたわけでございますが、当然北九州市もその中に入るものと私は考えるわけでございますが、その点いかがでございましょうか。
○大石国務大臣 本年度と申しますと、あと一週間しかございませんので、昭和四十七年度のことかと思いますが、昭和四十七年度には大体六地区を調査地区として取り上げることになっております。この北九州市もその候補地に入っていると思いますが、これからいろいろと調査をいたしまして、その調査地区に入れるわけでございますので、その点も十分に御意見を勘案して調査を進めてまいりたいと思います。
○大橋(敏)分科員 それでは調査の結果、必ず北九州市を含めていただきたい。なぜならば、想像以上の被害者が出ているという事実がもう調査の結果あらわれております。指定されるのは当然だろうと思いますけれども、指定されるかされないかということは、患者の立場からはいわゆる大問題につながるわけです。なぜならば、医療費の問題、あるいは手当の問題等が全然変わってくるわけでございますので、よろしくお願い申し上げます。 次に、指定地域内の問題になるわけでございますけれども、同じ市内でありながら、道やあるいは線路を隔てて、一方はもうだめだ、はずされる、一方だけ認められる、あるいは同じ家庭の中に兄弟がいて、居住制限といいますか条件といいますか、そのために、三歳まではこうだ、三歳以上はこうだということになっておりますので、弟のほうは、同じぜんそくで認定され、兄のほうははずされるという矛盾がございますが、これは再検討される意思はないかということをお尋ねいたします。
○大石国務大臣 確かにこの法律の中にはおっしゃるような矛盾みたいなものがございます。たとえば居住地区の問題にしますれば、道一本隔てて、こっちが入ってこっちは入らないというのはおかしなものでございます。当然入ってもいいのでございますが、実はどこかに線を引きませんと、やはりきまりがつかないものですから、そういうまことに気の毒な例もあるわけでございます。しかし、いまのところはどうにも、ここまで広げれば、今度こっちもここまでいいということになりますから、やはりどこか線を引かなければならぬようなことが、いまの行き方になっておるわけでございます。しかし、もちろんそれだけで事足れりとするわけにまいりません。ですから、そのような場合には、さらに患者が常にある場合には、どうして救済ができるか、やはりこういうことを考えてまいりたい。現に患者がいるならば、ちょっとした地域が違っただけでそのままにほうっておくということは、気の毒でありますから、いまの法では線を引かなければなりませんが、やはり何とかしてこれを拾っていけるように、いろいろなことを考えていかなければならない、それが行政だと私は考えます。 それからいわゆる居住期間の問題でございます。これも、いま三年、小さな子供は六カ月ということになっておりますけれども、これもいろいろ問題がございます。これは行政庁だけで簡単にきめるわけにはまいらぬ、学問的な基準というものが判断のときに必要でございますから、そのようなことで一応三年ということになったわけでございます。当時これがきまるときには三年から五年までのいろいろな意見があったそうでございますが、三年にきまったそうでございます。しかし、これもやはり三年でおさまっていいのか、さらにもっと検討して、二年なり一年半にさらに短縮したらいいのか、短縮すればするほど患者は救われるわけでございますから、そういうことも十分に検討いたしまして、できるだけ前進的に進めてまいりたいと考えております。
○大橋(敏)分科員 終わります。
○大村主査代理 次は細谷治嘉君。
○細谷分科員 最初に、科学技術庁にお尋ねいたしますが、科学技術庁のほうでは、環境庁長官のほうに、原発の公害はたいした問題でない、こういうふうに伝えてやりましたか。
○成田政府委員 環境庁長官に対して、公害はたいしたことはないという形での御説明はしてないと思いますが、ただ、原子力発電につきましては原子炉規制法等がありまして、放射能の管理は非常に厳重にやっておりますから、大気汚染、水の汚染等については非常に問題になる程度の汚染はない。厳重に国際的な基準等を順守しておりますから、問題が少ないという説明をしておると思います。
○細谷分科員 原子力発電所は問題ない、安全である、普通の火力発電よりもはるかに安全である、こういうふうに科学技術庁長官には主管庁として言ってあるのでしょう。いま言ってないような話をしたから……。
○成田政府委員 原子力発電は問題がないということではなくて、国際的な基準等によって非常に厳重に管理されておりますので、安全問題は非常に少ない。そういう点で、ただ火力発電と比べましてどちらが公害が多い少ないというのはわれわれの判断ではわからない問題でありますが、国際的にいろいろな学会等に見ましても、たとえば去年の夏、ジュネーブで第四回原子力平和利用会議がありまして、ここにおいてソ連から提出された論文におきましても、ちょっと要旨を申し上げますと、原子力発電の開発は、火力発電開発より、むしろ外部環境が正常に保たれ、有害物質による大気汚染が減少し、環境の正常化を保持することができるというふうに結論づけておりますが、これは原子力の学会におけるソ連側の発表でありまして、これがそのまま正しいかどうかというのはまだ簡単には言えないと思いますが、国際的な学会等においてはそういう意見が非常に多く見られている状況でありまして、その点はうちの長官等にも申し上げておることでございます。
○細谷分科員 この間私はここの分科会で、あなたのところの長官とこの問題について、あの「政府の窓」というので若干論議をしたわけですよ。ある人と科学技術庁長官との対談で、テクノロジーアセスメント、こういう問題が問題になっている、こういうことで、その際に長官は何と言っているかといいますと、原子力の平和利用、原子力という力を開発した科学の力は偉大である、そこでこれを平和利用していく場合に、いろいろな放射能の危険というものにさらされるでしょうけれども、それはやがて科学が解決してくれるだろう、こう言っているのですよ。それがテクノロジーアセスメントだ、こう言っているのですよ。あなたのほうだってこの問題については解決してないのでしょう。長官がそう言っているのですよ。あの「政府の窓」を見てごらんなさい。そうなりますと、それは安全にやらなければなりませんが、世界各国でもいままでかなりの事故も起こっているわけです。しかも完全な対策なり完全な科学的根拠というのはまだまだ無限に残っておる。これが急激的には一体どういう被害が起こるのか、あるいは慢性的にはどういう被害が起こるのか、後代の子孫にどういう影響が及ぶのか、これはやれば限りがない。やってもやってもきりがないという内容を持っているわけですよ。それにもかかわらず、いや守るだけ守っているからそれはもう安全でございます。言ってみますと、アメリカが安全だというから安全なんでしょう、こういったことと変わりないことであって、科学技術庁のことばでないし、長官が現に言っているのですよ。この問題について私はこれ以上は、時間がかかりますから申し上げませんが、いろいろな問題点がありますけれども、安全であるように最大限の努力をしておるというのが科学技術庁の立場でしょう。そうじゃないですか。
○成田政府委員 原子力の安全性につきましては、最大限の努力を重ねて、これは世界各国とも共通でございますが、そういう意味で世界の学者等の検討した基準というものをはるかに下回るように守っておるのでありまして、そういう意味では安全は確保されておるといえると思います。ただ、原子力の放射能につきましては、アズ・ロー・アズ・プラクティカブルといいますか、実現できる限り、可能な限り低くするという原則がありまして、したがって、現在でも安全が確保されておりますが、一方で実現できる限り低くするという原則に沿いまして、研究開発をいろいろな面で各国ともやっておるわけでございます。したがって、研究開発をやっているから現在安全が確保されているというのではなくて、現在も安全は国際的な現在の人知から考えられる限り確保されておりますが、一方では研究開発をあらゆる面で進める、これは各国共通の態度でありまして、日本も同様放射能を極力少なくするという方針のもとで安全性の研究開発を最重点でやっておる次第であります。
○細谷分科員 それでは私は、抽象的でありますから問題を一つ提起いたしますから、これに対して正確に答えてください。 人間なら人間、生物というものが定量の放射能、放射線というものを急激に受けた場合と、じわりじわりと弱い放射線を長く受けた、その放射能の全体のトータルは同じだといった場合に、被害はどっちが多いのですか、お答えいただきます。
○成田政府委員 その点は学説がいろいろありまして、同じであるという考えが従来非常に支配的であったと思います。それに従ってまたいろいろな考え方もなされておりますが、また一方で、その点を究明するための研究開発がいろいろな実験動物等も使いまして行なわれておる状態でございます。
○細谷分科員 同じである、これが従来の定説でしたけれども、その定説もいまや動いているわけですよ。ある実験によりますと、弱い放射線を長く、たとえばレントゲン技師が一生三十年なら三十年というものを弱いあれを浴びていった場合には、それのほうが影響が大きいのじゃないかというようなこともいわれておる。しかし、これは決定された結論じゃありません。まだまだやらなければならぬ。無限に問題点があるわけですから、そういう点で、絶対安全なんだ、こういうことで進めることはけっこうでしょうけれども、そういう断定を科学技術庁もあるいはどなたも今日できないじゃないか、こう思うのですよ、そうじゃないですか。
○成田政府委員 絶対の断定はどうかわかりませんが、この点につきましては国際放射線防護委員会、ICRPという国際的な各界の権威を集めた学会でいろいろ検討した結果が基準となっておりまして、それを各国が用いて、それよりも十分の一とか五十分の一も低い基準になるように、いろいろな安全をとって行なっております。そういう意味では安全は確保されていると思いますが、ただ絶対一〇〇%であるかどうかというのは、新しい分野でありますので、これも研究開発を一方で進めて一〇〇%に近づけるという研究を行なっている状態でございます。
○細谷分科員 長官、いま私とのやりとりをお聞きになったと思うのですけれども、科学技術庁といえども、これなら絶対安全ということは言えないのですよ。にもかかわらず、私はあの予算委員会の総括質問の際に、最後に、どうも環境庁長官は、原子力発電というのは普通の火力発電よりも被害が少ない、言ってみると無公害の事業なんだ、こういう意味の認識は、これは問題があるのではないか、もっととくと検討をして、医学者としてあるいは科学者としても結論を持たなければならぬのじゃないかということを長官に申し上げたわけです。ところが、残念なことには、二十二日に開かれました日本原子力産業会議の第五回の年次大会でどういうことを言っているかといいますと、原子力発電というのは火力発電よりもはるかに安全なんだ、私は科学技術庁にも聞いて原発の公害はたいした問題でないと思っているのだ、こういうことをおっしゃっております。そして、中にはこういうことを言っているわけですね。住民が反対するのは、一つには政党が住民の中に入り込んで宣伝しているからで、電力会社も町長や町会議員に話をつけるといった安易なことでなく、原発は危険でないという説得にもっと努力をすべきだ。説得の努力はすべきだけれども、一つにはどこかの政党が住民の中に入り込んで非科学的な宣伝をしているととられるような発言をなさっているのですよ。これは一体どこの政党なのか、どういう根拠に基づいているのか、これをまずお尋ねをしたい。 もう一つ、いかにも原発の問題についてはマスコミの責任にしているわけですね。マスコミがありもしないことをいいかげんに書いている、こういう記事ですよ。これはあるいは記事を否定されるかもしれませんけれども、実はテープをとっている人がおるのですよ。大体これと間違いないようです。私も聞いてきておりませんけれども、テープをとった人がおります。こういう認識でありますと、これはたいへんだと私は思う。 けさの新聞を見ますと、ある新聞、私の見たのでは二つ、長官の発言をとらえて言っておりますけれども、ちょっと読んでみましょう。「長官は公害税構想と同時に原子力発電所問題についても言及し「各種のエネルギーの中で原子力発電は最も公害が少ないエネルギーで、将来日本のエネルギーの中核となろう」と環境庁としては原子力発電建設を推進する方針を表明したが、それはそれでいいとしても、これは以前「原子力発電所が安全性や環境汚染の面で問題があるので、特に国立、国定公園への建設を認めない」と発言したのをくつがえしたものである。国民に右往左往の印象を与えたことは否めまい。」こう言っております。さらにこの新聞の論説でも、「無過失損害賠償法案の取り扱いを含めて、最近環境庁の姿勢に荒っぽさが目立つことはこの際気がかりである。」こう言っております。 私も、どうも最近の環境庁のやり方というのは荒っぽさがあるのではないかと感じとっておりましたが、きょうの新聞もそう指摘しております。そうして右往左往ということも新聞で使っておりますけれども、どうもやはり最近の環境庁長官にも右往左往の態度があるのじゃないかと私も感じております。 以上について、長官どうお考えですか。
○大石国務大臣 いろいろ御質問が多かったので、もし抜けましたらまた注意していただきます。 原子力産業会議ですか、あそこで十五、六分あいさつをしましたけれども、確かに原子力発電所のことについて一、二話しました。そのおりに、政党がいろいろな原子力の不安全性について話をしているということは申しません。政党ということばを使ってございません。これははっきり、あとで調べていただければわかります。私は思想的な団体とか思想的なものと申したはずでございますが、政党ということは断じて使っておりませんので、その点はもう一ぺんよくお調べを願いたいと思います。 それから、私はかってにマスコミが地域住民を扇動するとかなんとかということは断じて申しておりませんから、その点はもう一ぺんよく十分に録音をお調べ願いたいと思います。 それから、別に火力発電所をつくれとか何とかということでなくて、日本の将来のことを考えればやはり電力の供給を今後増加しなければならぬことは、私は国務大臣として認めております。したがいまして、これからも当然電源開発は行なわれなければならないと思いますが、その場合には、私の見解としては、火力発電所のほうがいわゆる世にいわれております公害でございます、公害には原子力発電のほうが少ないと考えておる、ぼくはこう申しました。したがって、将来はやはり原子力発電のほうが私としては望ましいという話は申しました。ただ原子力発電が野放しにいいとは申しません。いろいろな温排水その他の大きな問題はあります。やはりそのような電力会社は当然こういうものに取り組んで、ほんとうにまともにこれの解明に努力しなければならぬということも話したわけでございまして、大体御趣旨のようでございますけれども、そのようなこまかい点の誤解はひとつお解きを願いたいと思うのございます。 それから、荒っぽさが目立ったということでございますが、荒っぽさは近ごろかえってなくなったんではないかと思うのです。以前に私ははっきりと、国立公園の中に一切観光道路は認めないとか、あるいは国立公園地域内一切の原子力発電は認めないとか、実際はちょっと実現に不可能のようなことを発言いたしました。これは意図があってやったのでございまして、あまりに日本の環境破壊、自然破壊がひどいものでございますから、ひとつ環境庁の強い姿勢を国民に認識してもらおうという気持ちからあえて総論的な気持ちで申し上げたのでございます。しかし、そのような総論が全般に適用されるはずはございませんので、やはり各論的に見ますと、いいものはいい、だめなものはだめだけれども、認めなければならぬものは認めなければならぬことになると私は思います。そういうことで、近ごろはむしろ各論的になって、少し弱くなったといえば弱くなったような感じもしますが、むしろそうではないと自分では考えております。 それから、右往左往しているというのはいまの無過失の問題かと思います。もう一つは原子力発電の問題でございますが、たとえば国立公園内のいわゆる勝浦ですね。勝浦の原子力発電所についてもいろいろな議論が起こりました。これは私は一ぺんも認めるということを発言しておりません。腹の中では考えておりました。腹の中ではそろそろいろいろな調査もいたさせまして、国立公園としての景観をそこねない程度にやり得るという、そういう国立景観の重大な地域ではない、いろいろな点から考えまして、これは認めてもよかろうという考えを腹の中で持っておりました。しかし、それを認めるにはいろいろな段階が要ります。たとえば地域住民の猛烈な反対がある限りにおいては簡単に認めるわけにまいりません。また、いろいろな代議士さんとかそういう方が陳情にお見えになりました。そういう方に対しましても、やはりこれはこういたしますというそちらの考えを申し述べない限り、手続を踏まない限りはやってはいけない。それから県知事の意見も聞かなければなりません。そのようないろいろな段階がありますので、そのような段階を踏んでから自分の方針をきめようかと思っておったときに、たまたま何かに私の腹の中の考えがちょっと漏れてしまいまして、ああいう騒動を起こして申しわけなかったのでございますけれども、そういうような考えでおるわけでございます。 今度の無過失責任制度につきましては、なるほど先ほどの私の——私というよりは環境庁の構想が多少変わりまして、いわゆる因果関係の推定の条項は抜けました。そのことに対して右往左往という御意見かもしれませんけれども、右往左往ではなくて、いろいろな諸般の事情があり、いろいろなことを考えました結果、このことが一番この法律を成立させるのに都合がいいと判断いたしまして、そのような方針にいたしたわけでございます。
○細谷分科員 長官、この公害なんというのは思想的な問題とか政治的な次元でとらえたって、これはあまり私は効果がないと思う。住民はみずからの健康という実感から住民運動が起こっていると思うのですよ。ですから、さっき政党ということばを使ってないけれども、思想的にということばを使ったかもしらぬと言うけれども、これは環境庁長官としてこういうことを言うのはもう誤りですよ。公害というのは、やっぱりあくまでも科学に立脚して科学から生まれたものなんですから、科学に立脚してこれは解決していかなければならぬ、こう思うのですよ。ですから、最近テクノロジーアセスメントということがしきりにいわれているのであって、従来のテクノロジーというのは、もうかるかもうからぬか、うまく安全にいくかどうか、こういうことでありましたけれども、今日のテクノロジーというのは、今後の世代にどういう影響を与えるのか、地球の環境にどういう影響を与えるのか、そういうことまで未来のことも判断をしてやらなければならぬ、こういうふうにいわれているのが今日やはり世界的に起こっておる公害問題だろうと私は思うのですよ。 ですから、少なくとも環境庁長官、しかも事務屋でなくて科学者出身でありますから、ある意味ではほとんどたれ流しの火力発電よりも原子力発電所の公害のほうが軽くて公害がないのだというようなことを責任あるあなたが断定してこういうことを言うのは問題がある。いまどなたもこういうことは言えないのですよ。確信を持って言えないのですよ。科学に立脚してどっちがいいんだなんだということは言えないのですよ。私はそう思っております。ですから、私は長官をいじめる意味で、けさもこの問題出たそうでありますけれども、ここでまた質問しているわけじゃないのですよ。長官は、これがおれの信念だ、これはおれの宗教だなんてことで、原子力問題というのは無公害の作業なんだということで貫いてもらっては、環境庁長官の本質はない、こう私は思うのですよ。そこを申し上げておるのですよ。どうなんですか長官、やはりあくまでも科学者でなくちゃならぬですよ。
○大石国務大臣 私は、これは自分だけの考えでありますが、科学者としての自分のいままでの経験というものを土台といたしまして、科学的にものを判断するように努力いたしております。しかし、もう一つやはり行政庁の長官としての立場からものを判断、決定しなければならない立場もございます。たとえばイタイイタイ病でございます。イタイイタイ病はいまこれははっきりと行政的にはカドミウムが原因であるということになっております。私はそのような行政上の見解のもとにあらゆるこれの対策に努力しておるわけでございます。しかし、学問的に見ますと、まだイタイイタイ病に対してカドミウムが原因でないという学者もございます。また、そういう意見があってもいいと思うのです。また私は、このイタイイタイ病はカドミウムが原因であることに行政的にはきまっておりますけれども、これを今後やはり環境庁としても、さらにほんとうの原因を究明させるように私は努力さしてまいりたいと思うのです。そうして、あるいは五十年か百年たってイタイイタイ病の原因がカドミウムではなかったということになるかもしれません、学問的に科学的には。あるいはそのとおりカドミウムであったということになおはっきり確定するかもしれません。それはそのときのことでございます。科学というものは常に疑いを持ってこれに接することが大事だと思います。そういうことで疑いを持つことは科学者として最も大事なことであると思いますけれども、行政面においてははっきりと割り切らなければ仕事はできません。そういう二つの考え方で私はやっておるわけでございます。 ですから、なるほどいろいろな意見を聞きますと、私も多少はある程度の放射能というものは心配がないわけでもございませんけれども、やはり行政を扱う場合には一つの方向をきめなければなりません。それがあまりにひど過ぎて、疑いがひどい場合は別でございますけれども、大体世界でも原子力発電をつくっておる、日本でもつくっております。そうしていま非常な安全性をとっておりますから、そういうことを考えまして、そのような判断のもとに実はやっているわけでございます。 そういうことで、現にいま火力発電所が、新しいものはこれからいろんな設備もできましょうけれども、残念ながら、古いものはたれ流しの現状であります。こういうものはまだまだとうてい硫黄酸化物の脱硫装置も簡単にはできないようでございますから、やはりしばらくの間は、いまの十分安全性を考えておる原子力発電のほうがより望ましいという行政的な判断から仕事をいたしておる、こういうことでございますので、私の気持ちを御理解いただけましたらありがたいと思います。
○細谷分科員 科学と行政とは違う、いろいろ例を言われました。おっしゃられるように、科学だって、科学だと言っているのが科学でないこともある。それから、行政のために科学が曲げられることもまたいかぬわけですよ。そういう点で私は、大臣、あなたは信念かもしれませんけれども——というのは、残念ながら、いまの電力等を中心とした公害たれ流しの現状というのがあるわけですね。ですから、あなたが新しい構想として公害税という構想を持ち出しております。きょうの新聞によると、さっそく大蔵省が反対を唱えたような記事も出ております。私も、あなたの公害税構想については問題があると思っている一員ですよ。 いずれにいたしましても、そういう、行政が先立って、もう十分用心しておるからだいじょうぶだと言っても、今日の放射能公害については、断定できるような人は世界にどなたもおらないわけですよ、科学的にいって。そういうことから、用心をしておる、十分検討をしておる原子力発電所のほうが安全であって、たれ流しておる火力発電のほうが公害事業だ、こういうようなおっしゃられ方は、環境庁長官としては不適当である、誤っておる、こういうふうに思うので、私は長官のいまのことばでは納得できません。 時間が来ましたから、これはこの程度にしておきます。やがてテープを持ってこの問題についてどなたか適当な場所で質問なさる人があると思いますけれども、時間がありませんからこの程度にします。 最後に一点。この典型公害の七つのうち、地盤沈下の問題について、「現状と問題点」という、水質保全局からの答申といいますか、そういうものが出ております。この中に、内容としてももっと完ぺきな、そして総合的な地盤沈下についての対策を、法制面を含めてやるべきである。特にこの問題は不可逆的なんですから。そういう指摘があります。ですから、ただこれを検討するなんということじゃなくてこの問題に取り組んで、総合的な内容の充実した立法をいつごろ出すことができるのか、この一点だけを尋ねて、きょうの私の質問を終わっておきます。
○大石国務大臣 現在は、地盤沈下に対する規制としては、工業用水法と、もう一つ、何ですか、企業何とかという二つございますけれども、とうていこれだけでは不十分でございます。しかも、地盤沈下は各地に起こりまして、いろいろ問題を起こしております。したがいまして、われわれとしましても、何とかしてこれを防ぐことができるような立法措置をいまつくりたいと願っております。 その前提として、御承知の中央公害対策審議会の地盤沈下部会にその実態のあり方、基準のあり方、そういうものをいま諮問いたしまして鋭意努力を進めております。これの答申はいずれ近いうちに出てまいりましょうが、出てまいりましたならば、おっしゃるとおり、真剣に地盤沈下に対して対処できる法律をつくりたい、これに取り組んでまいる考えでございますが、いつになりますか、ことしじゅうにできますか、来年になりますか、これはまだはっきりとお答えできる段階ではございませんが、決意だけははっきり申し上げます。 それからもう一言。思想的な団体が何とかということが話があった、それは確かに申したかと思いますが、これは確かによけいな発言でございますので、これはなかったほうがよかったといま考える次第でございます。
○細谷分科員 終わります。
○森田主査 次に、近江巳記夫君。
○近江分科員 きょうは朝から長時間でお疲れと思いますが、私が最後ということに聞いておりますので、しばらく最後までよろしくお願いしたいと思います。 私が一番最初に聞きたいのは、長官も御承知のように、この間大阪の衛研が発表いたしました、母乳からPCBが多量に検出されたことについてであります。私もその後、商工委員会におきまして、田中通産大臣に、製造禁止をしろということで申しました。そうしたところ、回収できるそうした大型コンデンサーなり、あいるはそういうルートがはっきりしたものについてはしばらくはやむを得ない、その他のものについてはほぼ禁止、また、後日、期限も明示されて発表もされたようでございますが、こうした点につきまして、環境庁といたしましても、その後、この基準の問題とか、いろいろとこの対策について検討されたと思いますが、その点につきましてひとつ要点を簡潔にお願いしたいと思うわけです。
○大石国務大臣 お話のように、PCBはいずれ近い将来に使用されなくなります。しかし、過去十数年に使われました蓄積が至るところに広がっておりまして、実態もまだわかりませんし、どのような広がり方をしているか、何もわからないので、非常にいま対策に困っている現状でございます。 しかし、何とかしなければなりません。そこで一番先にやらなければならぬことは、このPCBというものをはっきり分析する手段を見つけることでございます。幸いに、いま厚生省が中心になりまして、食品あるいはきれいな水の中のPCBを分析する手段は大体できたようでございますが、これももちろん大事でございます。さらに、いろいろな汚水とか、そういうところのものまでも正確にPCBを測定し得るような分析手段を一日も早く見つけることが一番最初に必要だと思います。 こういう分析の確定した上で、日本のPCBが散在していると思われるような地域をできるだけ広く調査をしまして、一体どのような状態でPCBが日本の国内に拡散しているか、どのような物品に含まれているのかということを、やはり早く実態を知ることが大事だと思います。 そのほかに、もう一つやはり急がなければならぬことは、PCBに対する処置のしかたでございます。これはなかなか安定性が強くて、体内に入ったらほとんど出ないだろうといわれるようでございますが、母乳の中に出ていることから見ましても、ある程度体外に排出され得るものだと思います。そういうことで、これはやはり生物実験その他のことをいろいろ取り入れまして、PCBの医学的な方面の検索を早く進めることが必要だ。 この三つをあわせ進めてまいりますと、おのずからこれに対する対策とか処置ができるものと確信いたしまして、そのような三つの方向を早く進めるように努力いたしたいと考えております。
○近江分科員 アメリカ等におきましても、基準が、特に食品等においては、牛乳等ははっきり出ているわけですね。この間の大阪のデータは、三・五から三・七倍というようなことでございますし、やはり食品とか、そういうものについては、すでにアメリカを中心として諸外国でも出ているわけですから、これは国民の生命という立場に立って一日も早くやっていただく必要があるんじゃないか。当然、排出基準をはじめとしていろいろな点があろうかと思いますが、この辺の見通しについて、いつごろされるか、お聞きしたいと思うわけです。
○大石国務大臣 いま申しましたように、まだその実体そのものさえわかりませんので、いつという見通しははっきり立ちません。できるだけ早くと言う以外に返事の申しようがないのでございます。
○近江分科員 それから、琵琶湖の周辺にある工場から数万PPMのPCBが発見された。そこの廃液をためてある池がまた琵琶湖にも流れ込んでおる、たんぽにも流れ込んでおる。私は、これはその一例だけではなくして、そういうコンデンサーの製造工場とか、全国にもたくさん心配なところというものはやはりあると思うのですね。そういうところは大体焦点が定まっておると思うのです。こういう点、特にやはり重点に調査をする必要があるんじゃないか、こういう点で、そういう総点検といいましょうか、特に重点調査、これについてはどうお考えでございますか。
○大石国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。ただ幸いに、PCBをつくっている工場はもう限定されておりますので、その工場を中心にとりあえず調査をすることが第一だ、こう思いまして、そのように努力いたしたいと思います。
○近江分科員 それでは、そういう製造工場、また使用している工場を全国点検をされるわけでございますね。重ねて恐縮ですけれども……。
○大石国務大臣 調査を進めるようにいたします。
○近江分科員 それから、昨年末、私が科学技術特別委員会で琵琶湖の汚染について質問しましたときに、長官にも来ていただいたわけでございますが、琵琶湖の環境基準ですけれども、これはいつ出していただくのですか。
○岡安政府委員 琵琶湖の環境基準につきましては、現在中央公害対策審議会の水質部会で御審議を願っておりまして、私どもの予定といたしましては、できれば今年度中に決定をいたしたいというように考えております。
○近江分科員 この琵琶湖だけではなくして、ほかにもいろんな個所があろうかと思うのですが、具体的に今年度中にどことどこを環境基準を発表されるわけですか。
○岡安政府委員 現在までに環境基準がきまっておりますのは、いわゆる県際水域、大河川でございますけれども、国が決定すべきものと指定されております県際水域につきましては十八きまっておりまして、県が決定するというのは六十六になっております。今年度におきましては、県際水域、大河川につきまして、私どもは、琵琶湖のほかに、荒川の上流、利根川の上流、信濃川の上流、天竜川の五水域につきまして、今年度中、いわゆる三月一ぱいまでに決定をいたすというように予定をしておりますし、県際水域以外の中小河川、県が設定すべき環境基準につきましては、大体今年度中に五十くらいは設定されるんではなかろうかというふうに見込んでおります。
○近江分科員 それから環境保全法の点ですけれども、各省の調整といいますか、抵抗といいますか、非常に長官御苦労されたと思うのですけれども、法律提出の期日というもの、タイムリミットというものもあろうかと思いますし、この見通しにつきましてお伺いしたいと思います。
○大石国務大臣 自然環境保全法のことかと思いますが、それはいま一生懸命に各省と調整いたしておりますが、ただ農林省、ことに林野庁との調整に非常に悩んでおります。提出期限も迫っておりますし、何とか今月中には十分に話し合いを整えまして、早く自民党のほうなりあいるは閣議の承認を得るところまで持っていきたいと願っておる次第でございますが、いまのところは、非常に林野庁との意見の調整に苦しんでおるのが現状でございます。
○近江分科員 その産みの苦しみといいますか、よくわかるわけですが、長官としては自信を持ってこれを提案していきたいと、このようにお考えですか。
○大石国務大臣 私は何としてもこれを提案いたしたいと願っております。それが全国民多数の願いだと思いますし、また、日本の国土をりっぱに保全する一つのよりどころと考えております。しかし、残念ながら、いま役所内のセクショナリズムというものはあまりひど過ぎまして、なかなか苦しんでおるのが現状でございます。
○近江分科員 どうかひとつしっかりがんばっていただきたいと思います。 それから、これは全国的にいろいろなそういう大気汚染等、汚染地域というものが拡大されておるように思います。しかし、これはいろいろな御意見があろうかと思いますが、たとえば大阪の豊中というところでございますが、御承知のように、大阪市の西淀川、そしてまた、さらに尼崎は公害指定地域になっておるわけですが、ああした気流が、調査したところ、大体豊中の南部方面にくる、こういうような見方がございまして、指定地域以上に汚染されておる、こういうことで、環境庁にも陳情に何回となく来ておるわけでございます。特に慢性気管支炎患者の有症率を示しても、はるかに西淀川区や尼崎を上回っておるわけです。この地区の大体四十歳以上の住民が、平均一三%の慢性気管支炎の有症率を示しておるわけです。そういうことで、市としても、昨年末環境庁に対しても、公害病の認定地域に指定してもらいたいと要望もしておるわけでございますが、その後どうなっておるか、お聞きしたいと思うわけです。
○大石国務大臣 豊中からもやはり十分な連絡がございまして、こちらでもそのいろいろな相談をいたしております。明年度、四十七年度は、いま予算の関係もありますので、六地区の調査地域というものをきめたいと考えております。御承知のように、調査地域というものは、明年度中に調査をいたしまして、再来年というか、早い時期に指定することになるわけでございますが、来年は六地域を調査地域にいたしたいと考えまして、いま鋭意調査を進めております。豊中市もその候補地の一つになっておりますので、よく十分に判断してまいりたいと思います。
○近江分科員 豊中市においては、公害病の認定地域の指定を待ち切れずに、市独自の医療救済制度を設けようとしておるわけですが、非常に微々たる対策だと思うわけです、財政上のそういう問題もございまして。当然、こうした点を考えますと、やはり国のしかるべきそういう措置ということがぜひとも強く望まれるわけです。そういう点で、いま、六カ所を調査するので、その中で特に力を入れていきたいと、こういう御発言をいただいたわけですが、全国的にそういうところはたくさんあるのに、予算の関係とは思いますけれども、六カ所という、こういうきめ方、これはやはりバックの大蔵省が一番反省しなければならぬ問題です。長官とすれば、医学者の立場でもありますし、そういうところは全部調査もしたい、こういうお気持ちだと思うのですが、その点、六カ所というそれだけの予算措置しかないということについてどのように思われるか。今後はさらにそうしたところを拡大するなり、いろいろお考えをお持ちだと思いますが、この点についてお聞きしたいと思います。
○大石国務大臣 私も、全国の実態を見なければなりませんけれども、しかし、やはり多いほうがいいと思います。できるだけ多く悩んでおる患者を救済いたしたいというのが念願でございますが、やはり国の予算にもいろいろな面の制約もございますし、多少思うようにまいりませんけれども、だんだん理解が高まりまして、われわれの希望する方向に進んでまいろうと考えております。
○近江分科員 その問題につきましては、どうかひとつ、豊中市は全国で最高のいま申し上げた数値が出ておるわけでございますし、しっかりまた調査もしていただき、対策を考えていただきたい。強く要望しておきます。 それから海洋投棄の問題でございますが、三月の十六日に、中央公害対策審議会が、海洋汚染防止法で定める廃棄物の投棄海域と排出方法についての基準を定め、長官に答申したわけでありますが、これによって、六月二十五日から全面施行される同法とあわせて実施の運びになる、このように聞いておるわけです。わが国では、屎尿だけで年間六百万キロリットル、水銀やカドミウムなど有害物質を含む産業廃棄物に至っては、一千万トン以上が海洋に投棄されておる。こういう現状から見て、投棄の規制についてはきびしい態度で当たるべきであると思うのです。こういう点、内容を見ましても決して十分であるとは思わないわけですが、今回のこの答申の内容をどのように受けとめていらっしゃるか、ひとつ要点を簡潔にお願いしたいと思います。
○大石国務大臣 海域の指定は、私はずいぶんきびしいものと見ております。しままでのことと比べますと、驚くほどのきびしさになっておるようでございます。ただ、その中には、多少、半年後あるいは一年後というものがございます。これはどうしてもやむを得ない例外的なものでございます。また、屎尿処理につきましても、これは御承知のように、昭和五十年度までには全部屎尿はいわゆる処理が陸上でできるようなことになっておりますので、そういうことを考えますと、屎尿処理についても、ただ、船を全部いままでと同じようにつくって捨てさせるということにもまいらないようなこともございますので、多少のそのような例外がございますが、全般的にはずいぶんきびしいものだと私は考えております。
○近江分科員 産業廃棄物を認める上で、有害物資について六項目に限っておられるわけですけれども、それがその六項目でいいかどうかという問題ですね。これについての根拠をひとつお聞きしたいと思うのです。
○岡安政府委員 現在、有害物を含みます産業廃棄物を海上に投棄する場合の規制としまして、廃棄物処理法の政令によりまして、六つの物資につきまして規制をやっておるわけでございます。これは昨年の九月に政令をつくりました当時、六項目で十分であろうと考えまして決定いたしたものでございますけれども、最近シアン等につきまして海上投棄の例がございます。私ども、シアンその花のが海洋の環境汚染にどのような影響があるかということにつきまして、さらに十分調査する必要があると思いますけれども、その結果、やはり産業廃棄物の中にシアンが含まれておる場合に、これを海上に投棄する場合、さらに規制をすべきであるという結論が出れば、私どもはさっそくこの政令の改正をして規制を強化するということでございまして、その面につきまして検討中というような段階でございます。
○近江分科員 この間、四国沖での廃棄物投棄のときに中毒死をした事件がございましたが、この廃液に含まれていたアクリロニトリルですか、これは非常に猛毒な危険な物質である、このようにいわれておるわけですが、この廃棄物処理法でも今回の排出基準でも規制外になっておるわけです。また、先月調印され為欧州十二カ国の北東大西洋の汚染防止協定でも、広範な有毒物資の海洋投棄を禁じておるわけです。こういう意味からしましても、環境庁としては有毒物資の総点検を実施して、この排出基準のそういう検討を当然やるべきである。いま局長さんおっしゃったわけでございますが、これは当然、こういう六つだけに限らず、さらにひとつ調査をして、拡大して、シゼアにやってもらわなければ困ると思うのです。これについてひとつ長官の御意見をお伺いしたいと思います。
○大石国務大臣 おっしゃるとおりでございます。いま六つが大体代表ということになっておりますが、たとえばシアンにつきましても、無機シアンは劇物か毒物の関係で規制されておりますが、有機シアンは、いま局長の答えのように、まだいま検討中でございますが、できるだけ早くその実態を究明いたしまして、そればかりでなしに、ほかにもそのような物質をできるだけさがしまして、必要なものは逐次つけ加えてまいりたいと考えております。
○近江分科員 先ほどの原子力問題でございますけれども、水産庁の東海区の水産研究所が、昨年の五月、福島県の双葉郡大熊町の東京電力福島原子力発電所の専用港から採取したアカモクに、一キログラム当たり八百ピコキュリーのヨード一三一が含まれていたことが明らかになったわけです。 これに対して、東電の福島原子力発電所では、発電所内で作業服を洗たくした水などわずかに放射性物質を含む排水を二次冷却水にまぜて捨てているので、長い間に放射性ヨードが蓄積されたらしい、このようにも言っているわけですが、ここでも明らかなように、微量ではありますけれども放射性物資が排出されることは、これは確かであるわけです。しかもその影響がどうなるかということが明確にされてない。こういう点、原子炉自体の安全性とともに、国民としては非常に不安を感じておるわけです。 ところが、先ほどもお話が出ましたけれども、長官は、公害の元凶はむしろ火力発電所のほうが多いんだ、経済発展に伴うエネルギー源として発電所の建設が必要なら、原子力発電所のほうが望ましいと述べられたということが伝えられておるわけですが、私は、これは火力と原子力を比較すべき問題じゃないと思うのです。ですから、先ほど申し上げたように、原子炉自体のそういう不安性とかいうものは、どこまでいっても変わらないと思うのです。そういう点で、たとえばアメリカ等においては、最近、そういう許可にいたしましても非常にきびしくなってきているわけです。ところが、わが国としては、例の大飯の発電所、百十七万五千キロワットですか、これは世界最大級のものであるといわれておりますけれども、一応は安全審査をパスしておる。しかし、科学技術庁のほうで、その許可という点においてはまだストップをかけて慎重にやっておられるようでございますが、いずれにしても、まだまだそういう安全性なり、あるいは公害の温排水の問題あるいは放射性廃棄物の問題等、解決されてないことはたくさんあるわけです。そういう点、長官のそういう比較相対という考え方は、私ちょっとおかしいと思うのですけれども、それについてはどのようにお考えでございますか。
○大石国務大臣 比較というのも確かにおかしいのでございますが、実は御承知のように日本の国では電力の需要が非常にふえております。ですから、この需要に追いつくだけの——それはどこに限度があるか、いろんな検討もありましょうが、当分はやはり追いつくだけの電力を供給しなければならない状態でございます。そのような場合には、結局発電所を建設しなければならない。御承知のように、発電所には水力と火力と原子力とございますが、水力は私としてはごめんでございます。これ以上日本の国土を、自然を破壊することはまことに困りますので、水力はできるだけごめんこうむりたいと思います。そうなりますと、火力発電——もっとも、いまの計画は火力発電所が中心でございますが、火力発電と原子力発電と出てまいりますが、そのうち、いずれ発電所を建設しなければならないことならば、私は比較的表に出る公害の少ない原子炉のほうが望ましいというだけの考えでございまして、そっちとこっちを比較するとかなんとかいうものではない。ただ、そのような必要な、建設しなければならないならば、どちらかといえば私は原子力発電所のほうがいいんではなかろうかという考えを持っておるのでございます。
○近江分科員 原子力発電所から出るこういうようないろいろな心配点——火力発電所の場合は、亜硫酸ガス、温排水というような問題ですが、原子力発電所の場合は、放射性微粒子あるいは事故、温排水、まだまだわからないことは非常にたくさんあるわけです。そういう点、まだ残された問題は非常に大きいと思うのです。 先ほど成田さんの話も私お聞きしておりまして、いつも科学技術特別委員会等でもいろいろお聞きしておりますけれども、こういう問題について安易な考えだけは絶対持ってもらったら困ると思うのです。特にアメリカ等の発電所のそういう許可条件を見ますと、そういう中に大きく環境問題を取り上げておる。現実に、ちょっと名前はいま思い出せませんが、成田さん御承知かと思いますが、環境問題が起きまして裁判にもなって、そして原子力委員会がその裁判に従っておる。そういうように、非常に地域住民の意思も尊重しておりますし、しかも環境ということを非常に重視しております。日本の場合は、あまり環境を重視しないで、とにかく安全審査だけでほとんど許可だ。これであってはならぬと思うのです。いままでの、とにかく推進をしていけばいいのだという行き方から、大きくいま転換期に来ておると思います。そういう点で、アメリカの原子力委員会も、環境ということを非常に重視するようになってきた。こういう点から、今後は、原子力発電所の許可をなさるについて、いままで環境庁はどちらかというとあまりタッチができないような立場に立っておったのじゃないかと思う。そういうわけで、日本にも原子力委員会がございますけれども、それと同等の立場で環境庁が乗り出して、そこで環境を含めてチェックをしていく、こういう体制、システムが一番大事じゃないか、このように私は思うのです。その点、具体的にどのようにお考えか、お聞きしたいと思うわけです。
○大石国務大臣 いま原子力の問題につきましては、一元的に、総合的に科学技術庁が全部取り扱っております。そういうことでございまして、原子力発電所の設置につきましてもやはりこのような方針がとられておりますが、なるほど、環境問題も非常に大事な問題でございます。これについてわれわれが十分意見を出せるように、その意見が調整されるようになることは望ましいと思います。そのように努力してまいりたいと思います。
○近江分科員 長官、御承知のように、今後西暦二〇〇〇年になりますと、非常に先の長い話で、あとまだ二十八年ということですが、とにかく総発電量の五〇%は原子力発電、このようにいわれておるわけです。そうなってまいりますと、いまはまだごくわずかでございますけれども、五〇%という大きな段階になりますと、そういう環境問題等、これが累積していきますと、たいへん大きな問題になってくるのじゃないかと思うのです。したがって、こういう予測される心配な問題等につきましては、きちっとチェックのできるルートをつける、これが一番大事だと思います。いま長官としては、前向きに行きたい、こうおっしゃったわけですが、これは当然閣議等にかけてもらって、そして環境庁長官が乗り出していく、ただ押せ押せムードでやっていく、そういう通産省や科学技術庁のやり方に対して、国民の立場に立ってきびしくチェックをしていただくことが一番大事じゃないかと思うのです。その点、さらに重ねて非常に恐縮ですけれども、そのように閣議等にはかってもらって、さらに実際にそれがシステムとして動けるように体制を整えていただきたい、このように思うわけです。これについてもう一度ひとつお願いしたいと思うのです。
○大石国務大臣 できるだけそのような心がまえで進んでまいりたいと思います。
○近江分科員 ちょうど私の時間が来ましたので、これで終わりたいと思います。 〔主査退席、安井主査代理着席〕
○安井主査代理 森田重次郎君。
○森田分科員 余りの時間を少しいただいて、ふだん考えておったことを、きわめて現象的な問題でございますが、質問したいと思います。 私、桜田門から半蔵門へかけての堀のほとりの松の木の姿を毎日のように見ていますが、この間、あそこの百五、六十年以上たったであろうと思うような枝ぶりの非常にいい松が枯れました。あまりみっともないからすぐ切りましたが、まだあと五、六本枯れそうなかっこうをしています。それから、新聞によると、大内山というか、皇居の中の杉がもうほとんどだめになった。杉の木が育たないそうです。それから、長い間武蔵野の象徴としてたたえられていたケヤキが全部枯れた。この原因をだれかが研究しているだろう、私はこう思っているのですが、環境庁でこの原因について調査しているかどうか、ちょっとお伺いしたい。
○大石国務大臣 いま担当の局長がおりませんので、私から申し上げますが、環境庁としては、おそらくそのような仕事までは手を染めておらないと考えます。
○森田分科員 これはどう考えてもおかしいのですよ。あそこは堀が離れていますし、そう簡単に枯れるわけがない、こう私は思う。ところが、ああいうふうに枯れていく。これは私のしろうと考えですから、科学的調査をやっているというならば、あとでそれを対比していただきたいと思うのですが、これはどう考えても、自動車の排気ガスが、風の方向からいって、あの辺に停留している結果だろう、こう私なりの結論を出しているのです。ですから、これはやはり排気ガスをどうしてなくするかということがきわめて重大な問題じゃないか。 この間新聞で見ていましたら、何か自動車に、排気ガスを出してもきわめて微量になるような改造をやらせるというのが出ていましたが、大石長官、あなたはいま非常に評判もいいし、内閣において相当発言力も強いようですが、勇気を持ってそういう方向へこれを持っていってもらわなければいけないと考えていますが、ひとつ決断のあるところを御表明願いたいと思います。
○大石国務大臣 自動車の排気ガスを何とかして軽減したいことは、世界共通の希望でございます。そういうことで努力いたしておりますが、わが国におきましても、できるだけ早い機会に排気ガスは十分に減少させることができるようなことをいま考えておるわけでございます。いろいろと以前には、昭和四十八年までと五十年までと二つに分けまして、四十八年までにはどのくらい排気ガスを減らすという方針ではまいりましたが、これでは間に合いませんので、四十八年度までに規制すべきものをどんどん繰り上げまして、きょうの新聞でもごらんになったかと思いますが、バスの黒い煙を出してはいけないとかいうことを規制しておりますが、あのようにして、いまの技術改良でできる範囲内において、できるだけガスを減少させております。いま中央公害対策審議会に諮問いたしまして、いずれ近く答申が出てまいると思いますが、その答申が出てまいりますと、私どもは、いまの自動車の排気ガスをあと五年から六年の間に十分の一に減らすという基準をきめようと考えております。そうなりますと、これははっきりとタイムリミットがかかりますから、あらゆる自動車の企業は、全力をあげて五年ないし六年の間に、いまの有害排気ガスを九〇%減らす努力をしなければならないことになります。アメリカでも、マスキー法というのが提案が行なわれまして、そのような方向でいま進んでいるわけでございます。しかし、これはいま非常にむずかしい問題で、アメリカでも、もう一年延ばすとか延ばさないとかいうようないろいろな議論もだいぶ出ているようでございます。日本ではまだ規制の基準ができませんので、できたらきっといろんな議論も出てまいると思いますが、私は、やはりできるだけ五年なり六年の期間をはっきり守って、そうしてそのようなガスを減らす自動車の開発に全力をあげて協力してもらおう、国でもできるだけの援助は与えるようにいたしておりますけれども、そういうふうに進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
○森田分科員 第二問。この間、瀬戸内海の公害状況を見ようと思ってずっと山口県まで回ってみました。いま私、自民党の中国地方開発委員長をやっておるものですから、回ってみました。採尿処理をまるきり野放しにして海の中へ放棄している体制ですが、あれに対してあなたのほうで何か対策を考えているのでございますか、ひとつお伺いしたい。
○大石国務大臣 私は、瀬戸内海の採尿処理はほとんど野放しみたいになって、ほんとうにこれは残念と思っております。この採尿処理の設備は厚生省でやるわけでございますが、厚生省では、年次計画を立てまして、はっきりと昭和五十年度までに全部を陸上で処理することに方針がきまりまして、これは間違いなくできそうでございますが、そういうことで進んでおります。あと三、四年でございますから、これもやはり何とかしなければならないということです。これがたとえばいろんな薬品をくっつけまして海底に沈むようにさせるとか、いろいろな措置は講じておりますけれども、いまはっきりと海洋汚染防止法の中の海域の指定という中にこれを組み入れますことは、ちょっと困難な事情がございます。と申しますのは、あと三、四年でございますから、そのような遠くの外洋に投棄させるための船をつくることも、時間的な問題がございます。その船の使用期間も短くなるということで、非常にむずかしい問題がございますので、いろいろと苦労いたしておりますが、できるだけのことはいたしますけれども、いまのようなことが根本的にございますので、強い法律の規制をかけることもなかなかむずかしいというのが現状でございます。
○森田分科員 これはあなたのほうの管轄でないとおっしゃるんだが、決してそうじゃないのですよ、これは。あなたのほうこそ因縁をつける義務と責任があると、私はこう考える。だから、この点、ぜひ早くやってもらいたい。強く厚生省へ申し入れ、していただきたいと思います。 そこで、その次は、私は、やはり日本の観光資源として、原始林があるということは非常な魅力だと、こう考えているのです。ところが、原始林というものはだんだん切られていって、ほとんどいま国立公園、国定公園の一部に残存している。これもなおかつ民間林というので切られる傾向にある。これはどうしてもあなたのところでひとつがんばっていただいて、ぜひ買い上げて原始林を保護していただきたい、こう考えますが、これに対して、簡単にひとつ……。
○大石国務大臣 これにお答えするより先に、私ちょっと間違っておりましたのでお答えいたしますが、瀬戸内海は四十七年度で瀬戸内海の海洋投棄をとめまして、来年度からは外洋に捨てることになっておりますので、そういうことに訂正いたします。 それから、いまのお話、同感でございます。ことにいま、民有林ならともかく、国有林の自然林、原始林を片っ端から、しかも皆伐主義ということによりまして、何らの林分のあり方も考えないで切られておりますことは残念でございます。われわれは、国立公園、国定公園の中におきましても、できるだけの森林資源を残したいと考えまして、御承知のように、四十七年度には六十億の予算をもちまして交付公債を発行いたしまして、そして全額の補助なり八割の補助をいたしまして、そうしていまのところは国立公園内だけでございますが、その民有林を買い上げることにきまりました。その具体的な、根本的な長いあり方は、ことし一年検討いたしまして、四十八年度から年次計画を立てますけれども、本年はとりあえず六十億円の予算をとりました。これで買い上げてまいるわけでございますが、民有林は買い上げることができますが、国有林は、いまの状態ではなかなか環境庁だけの力では守ることができません。ですから、やはり林野庁にも十分に森林の公益性というものも今度は認めてもらいまして、これをひとつ協力してもらうように努力しなければならぬと考えております。
○森田分科員 それはおかしな話なんで、民有林は買い上げるのに容易だが、国有林をあなたの方針に沿わせるようにするのにめんどうだというのは非常におかしい。論理的にもおかしい論理じゃないですか。国同士なんですから、切らせないようにすればいいだけの話でしょう。金がかかるわけでも何でもないのですから。要するに、あなたの腰が強くて、そして国有林のほうへ強い申し入れをし、総理大臣にも話して、総理大臣から命令をかけさせれば簡単に済むことじゃないですか。金も何も要りません。それをただ、国有林が切るからしようがありませんじゃあ、これは長官としてはちょっと責任のないおことばだと私は考える。あのままやっていたら困るですよ。ほんとうに乱伐するんですから。そして役人に給料を払う資源にする、こんなばかげた国政というのはないということが私の考え方なんですが、これはぜひひとつ強硬に申し入れしてもらいたい。総理大臣にも強硬に申し入れすべきだと私は考えます。それできょうは実はここに立ったわけでございますから、ぜひひとつお答えを願います。
○大石国務大臣 私も全く同感でございますので、そのような方向に全力をあげて努力いたします。
○森田分科員 次の問題は、松島の問題です。いままではほかの話ばかりしてきましたが、松島の問題は、これはあなたの足元の問題なんで、近ごろ私はしょっちゅうあそこを急行に乗って通るのですが、松島の美観というものはちっとも保護されていませんよ。あなたの足元だから、きょうはひとつあなたにもう一ぺん考え直してもらいたい。島の松はしばらくあのとおりなっていますからいいのですが、急行をあそこを通した理由は、松島の景観をお客さん方に見せるという目的であれは通したはずです。ところが、いまはめちゃくちゃに、おかのほうを、木はなくなるし、宅地造成か何かわからないが、しょっちゅうがけをくずしてやっているのですが、あれをとめる手はありませんか。これをひとつ伺いたい。
○大石国務大臣 おっしゃるとおり、松島はあたりがめちゃくちゃになっております。これはいまのところ環境庁としてはとめる手段がございません。これはやはり県知事なり県自体の、あるいは松島町とか、そういう地方自治体の自覚と努力にまつ以外にないのがいまの状態でございます。
○森田分科員 これもひとつ何とか考え直して、強硬に、知事も呼んで相談して、ああいうふうにならないような方法を考えてもらいたい、こう特にお願い申し上げておきます。あそこを通るたびにあなたのことを考えるのですよ。一体、環境庁の長官は、保護する保護するって、足元を何も保護していないじゃないかというふうに考えていたので、きょうは実はお願い申し上げたい。 そこで、最後ですが、私は国有林開放論者なんです。この理由は、明治維新の際に国有林というものは非常にへんぱな措置で偏在した。東北地方は特に国有林が多い。北海道は理由が別なようですが、東北地方は、少なくも明治維新の際のいろいろの理由で特に国有林が多かったということなんです。われわれはこれを公平にしてもらわなければいけないというので、あの運動を起こした。あなたにも御賛成をしていただいて、とにかく所期の目的を達しました。そのときにこれに全面的に反対したのは、全林野の方々なんです。なぜ反対するかというと、国有林が開放すると少なくなる、少なくなると、われわれ職員要らなくなるから、合理化される、それじゃいけないからというので反対したというのが理由でした。 それをもとに私は考えたことなんですが、先ほど申し上げましたとおり、中国地方の開発委員長もやったりしておりまして、しょっちゅう中国地方へ参りまして、山陰、山陽を縦断し、それを横断して、こう見るのですが、こういうことに思いついたのですよ。山の上のほうも、向こうのほうは国有林が少ないのですから、民有林ですよ。山の上ですから生長率も少ないわけですし、採算とれない。だから山が非常に荒れているのです。これは何も中国地方ばかりではない。ほかのほうの地方にも共通な現象です。山の上のほうなどに持っていて採算のとれない民有林がどうしても荒れる、こういうことです。これは一体このままに放置していいのかということなんです。そこで私は、どうしても国土防衛というものをやらなければならぬ、治山治水の上からも。最近集中豪雨があると大洪水になる。やはり山を荒らしているからだということに思い至って、そして、国土再編成、ほんとうの国土防衛の意味における国土再編成を日本の政治家は考えなけりゃいかぬ段階に来ているのだということに思い至ったわけです。 そこで思いついたことは、これは地価だってそう高いわけじゃないのですから、こういうようなものは国の一般会計のほうから金を出して買い上げる、買い上げたものを林野庁に委託して管理させる、こうやってこれを保護——保護だけじゃなく、育成しなければならない。これはあなた、環境整備、緑化ということを大施にかざして立ち上がったのが環境庁ですから、これをまず第一に着眼しなければならないはずだというのが私の意見なんです。 世界をずうっと回ってみて、私も、日本という国は、全く雨にも恵まれているし、山の形もいいし、これが緑化されたら、これは世界の観光地として最適の土地だ。世界はまさに観光ブーム時代が来るんだが、日本のいまの姿がはたして観光客を迎える姿だろうかということに私は非常に大きい疑問を持たせられた。昔は高い滝であったのが、いまはもう滝も何もなくなっている場所がたくさんあるんですよ。 こうふう点を考えると、私は、いまの案、つまり、民間地で、平たん地はしばらくおくとして、少なくも高いところで、木の生長率があまりよくない、採算がとれない、そして山が荒れている。これは国の一般財政のほうから金を出して買い上げるべきだ、実はこういうことをひとつ提案したいと思うんです。そこで、ひとつあなたの御高見をここで拝聴しておきたいということです。
○大石国務大臣 日本の山を緑でおおうということは、私もぜひ、念願でございます。できるだけそのような日本の国土ができ上がりますように今後も努力を続けてまいりたいと考えております。 そのただいまの方法でございますが、これもまことに傾聴に値するお考えと、思います。ただ私は、いまそれをすぐどうこうすることはできませんので、十分にそれを今後もよく考えまして、そういうことをよく心に入れまして、いろいろなそのあり方を考えてみたいと思います。そういうことでひとつ——それ以上のことは、いまの立場、権限で申し上げられませんので、十分にその一つのお考えを参考にいたしたいと思います。
○森田分科員 これは一つの政治上のヒントでございますから、ひとついまから調査を始めていただきたい。 そこでひとつ、きょうは船後さん見えてますね。あなたは主計局にいくずいぶん財政通なんでございますが、しかもあなたは企画局長になっていますね、ちょうどま向きなんですがね、どうでしょう、これはあなたの私見でもいいんですが、この、一般財政から金を出して、そしていまのようなところを買い上げて国土再調整の目的達成に資したいと、こういう意見なんですが、これに対して一般財政のほうから金を出してもらえるものでしょうか、これをひとつ。これはあなたの私見でいいんですよ。別に、ここであなたを追及して、あなたがこう言ったからどうというんじゃないですから、感想をひとつここで諮ってください。
○船後政府委員 森田先生が私見でよいというお話でございますから——非常に大きな問題でございますので、この場で考えもまとまりがつきませんが、ただ、国の財政でまかなう事業というものは、やはり公共性というものが要るわけでございます。従来の考え方の公共事業というものは、先生御承知のとおり、道路でございますとか河川でございますとか、こういった仕事。そこで、治山治水のような分野におきましては、確かに自然を復元するという要素があるわけでございます。そういった考え方をさらに大きく広げまして、この国土、おそらく人類が住みつきましてから何千年かにわたって荒らされだ結果が現在のはげ山になっておるわけでございますが、こういったことにまで公共的な考え方を広めるというのは、私は、やはり世の中の進歩に伴っていく問題であろうと考えますし、そういう意味におきましては、現在の公共事業というものの解釈上はあるいは無理かもしれませんが、しかし、環境保全が非常に重要な問題となりつつある現在、おそらくや近い将来にはそういったことまでも一般会計として考えねばならないというような時代が来るのではないかと、こう思います。 それからなお、これも私見でございますが、やはり国有林野というのが日本の山林の中でも非常に大きな部分を占めておりまして、たしか六百万か八百万ヘクタールを持っておることと思いますが、こういった国有林野を、今後ただ単に一つの独立採算の会計として運営していくか、あるいはこの国土の保全をはかるというような色彩を持たせるかという問題と関連をいたしまして、大きく保存すべき土地は国有にし、そうでないところは民有にするというような考え方に立ちますれば、交換分合という手段もあるわけでございますから、いずれにいたしましても、そういった一般会計、特別会計面の配慮でもってこの国土の保全というものはやっていかなければならない、かように考えます。
○森田分科員 質問を終わります。
○安井主査代理 これにて内閣、総理府、ただし、防衛庁及び経済企画庁を除く所管の質疑は終了いたしました。 明二十五日土曜日は、午前十時より開会し、法務省及び裁判所所管について審査を行ないます。 本日は、これにて散会いたします。 午後五時五十九分散会