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68回国会衆議院1972/03/01

予算委員会 第7号

発言数
211
登壇者
19
会派数
4
開催日
1972/03/01

会議録

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 これより会議を開きます。  昭和四十七年度一般会計予算、昭和四十七年度特別会計予算、昭和四十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行ないます。竹本孫一君。

竹本孫一民社党

○竹本委員 私は、民社党を代表いたしまして、外交問題、経済問題について、基本的な問題だけを御質問いたしたいと思います。  総理よく御存じのように、日本はよく経済大国といわれております。確かにそのとおりで、かりに経済の大きさというものを鉄鋼の生産で考えるといたしましても、われわれの日本が、いま一億二千万トン前後の生産をしておるアメリカ、ソ連に次ぎまして八千八百五十五万トン、まあ大体九千万トンというところで第三位であります。経済大国日本といわれるのもその意味において決して偶然ではありません。  そこで外交の問題にまず触れたいわけでございますが、これだけの経済大国になった日本は、これからどういう外交路線を歩むであろうかということであります。総理も御存じのブレジンスキー教授が「ひよわな花」ということでこういう書物を書いております。総理の写真も載っておりますが、この書物で――私この教授にもアメリカに昨年の暮れ参りましたときに会いまして、なるほど見識の広い方だということで尊敬もいたしまして、年末にいただいたこの書物も興味を持って読んだのでありますが、この書物の中にこういうことが書いてあります。日本は経済大国になった。したがって日本国民から見てもあるいは外国から見ても、これからの日本がより大きい――ビガーロール、より大きな役割りを果たそうとするということはきわめて当然であり、また期待されておる。しかしながらその日本が、ビガーロールとは何であるかという内容については定義も実ははっきりしていない。いわんや基本路線というものは全然はっきりしていない。アンビギュイティーである。あいまいもことしておる。基本路線が非常に不明確であるということを詳細にいろいろと論じておるのであります。  そこで私は、きょうは外交の問題に関しましては、台湾の問題とかその他の問題についてはすでに多くの議論が行なわれておりますので、向きを変えまして、日本の外交の基本路線をすみやかに確立をしてもらいたい。その基本路線の確立の上に立って、日本の外交の宣伝と申しますか、あるいは情報の収集と申しますか、そうした活動をよほど活発にしていただきたい。その努力がないと、日本は軍国主義論とかエコノミックアニマル論とかいう不当な誤解を受けたり非難を受けたりすることにもなるであろう。また場合によっては日本が孤立化するというような外交上の危機も考えられないわけではない。したがいまして、どうしても今日この際一番大事なことは、外交路線を確立することである。外交の自己確立をやることである。その上に立ってPR工作その他を強化してもらいたい。こういうふうな結論を私は持ちましてお尋ねをするわけでございますが、従来わが国は、総理もたびたび言われますように、米国と協調する、また一般によく言われるように、米国に傾斜し過ぎておるというような点が外交の路線として問題になってまいりました。  私は、昨年七月の予算委員会における質問の際にも、特にその点においてはドゴールのことばを引用いたした記憶があります。日本その他の海洋国は、外国貿易その他の面で依存度が非常に大きくなっておる。そこでうっかりすると商人に成り下がって、国の栄光とか勇気、アスピレーションというようなものはなくなってしまうから気をつけなければならないということを、ドゴールのこれは警告でありますが、昨年も引用いたしました。そういう意味で、われわれは、日本がアメリカと協力する、しかしそのことがへたをして、いまドゴールが指摘したような、日本の国民としての誇りとアスピレーションというものをなくしたような、商人に成り下がってしまったような路線になってはいかぬ、姿勢になってはいかないということを常々心配をいたしております。  たまたま先般ニクソンさんが外交教書を発表いたしまして、これはわれわれにとっても、あるいは政府にとってもいろいろショッキングな内容を持っておると思うのであります。すなわちこの教書の中では、世界勢力の二極観念の上に基礎を置いた日本に不安定を与えたかもしれぬとか、しかしながら日米関係は時の流れと日本自身の驚くべき経済成長からは、ずれたものになっておる。したがって今回のショックは、どちらかと言えばおそきに失したものがあるというようなことをいっております。甘えた自己満足ではもうだめだ、成人の義務を果たせというようなこともいっておるようでありまして、このニクソンの外交声明というものはわれわれにとって非常にショッキングであったと思うわけであります。  そこで本論に入りまして、日本の外交路線について、これまたブレジンスキー教授がこういうことをいっておる。「そこで目立つのは、世界全体がどのように変化しつつあるのか、そういう世界に日本はどのように適応したらよいのか、日本の利益と責任とのバランスはどうあるべきなのかを明確にとらえようとする総合的な努力が欠けている」ということを、訳書の九〇ページのところでいっております。  私はそういう意味で、日本の総合的な努力、日本の基本路線の確立ということを中心に総理にまずお伺いいたしたいが、日米協力、日米協調が日本の外交の基本線であると総理は言われるのでありますけれども、日本は何を願いアメリカは何を考えておるので、どういう面で日米がほんとうに協力ができるのか、この点についてまずお伺いいたしたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 非常に具体的な問題で申せば、世界の平和を維持――いわゆる自由陣営、そのほうのチャンピオンはアメリカだ、こういうこでございます。またわれわれも、わが国の安全、独立、これを確保する、こういう観点に立つ。しかもそれが自由主義陣営の一国である、そういう意味からは、日米間で、ただいま言われるように、国際的平和を確保する、またそれが繁栄への道だ、かように考えますから、そこらで相共通するものがある、かように私は思っております。問題は、いろいろな表現はされますが、いまの日米間の関係においてはただいまの表現でいいかと思いますが、私は、絶えず考えることは、やはり戦争に負けた後の日本の行き方、その原点に返ってわれわれは考えるべきではないだろうか。そこにわれわれがいままでたびたび主張してきた、自由を守り、平和に徹する、こういう考え方が浮き彫りにされておるはずでございますから、そういう意味で考え方を同じくする者とともども手を携えて、繁栄への道をたどっていく、こういうことでなければならぬ、かように私は思っております。

竹本孫一民社党

○竹本委員 御答弁、いささか抽象的でございますのでどうにも受け取れますが、日米協力の具体的問題についてはあとで申し上げるとして、先ほど申しましたように、PR不足といったようなことから日本にいろいろな誤解があるということは、これまたあとで軍国主義論、経済進出論の問題でお尋ねをしてみたいと思います。  その前に一つお伺いをいたしておきたいのは、いまのような、日本の路線が明確になったようなならないような空気で続けられておりますと、場合によって日本が孤立化する心配があるのではないかということを私は、非常に飛び離れた議論になりますけれども、実は真剣に考えておるわけであります。たまたまことしの一月の七日でございますか、週刊朝日に「日米安保条約が破棄されるとき」こういうショッキングな見出しで記事がつくられております。これは、読んでみますと、単なるフィクションではなくて、それぞれその方面の専門家の意見を聞いて、それを中心にまとめ上げておるものであります。御承知のように、日本においては日本の側からの安保条約破棄論がいろいろあります。ところが、この記事はそうではなくて、アメリカのほうから日米安保条約が破棄されるのではないかというので、「日米安保条約が破棄されるとき」という編集をいたしておる。日本人の頭の中にはほとんどそんなことはないかもしれません。しかし私はやはり政治家としてそのことを頭の中に入れておかなければならぬというふうにかねがね思っておりますから、この記事をたんねんに読んでみました。  内容は、御承知のように日英同盟の場合でも、日本とイギリス、そのイギリスは、ソビエト――いまで言えばソビエト、ドイツ、こういうものに対する対抗の力のバランスの関係において日英同盟を必要とした。しかしながらワシントン会議で、四カ国の会議が行なわれた瞬間にイギリスは、もう戦争も終わって、ドイツもソビエトも内容は変わったし、おまけに日本のほうはだんだん強くなってくるということで、いまのアメリカと同じように警戒心のほうをより多く持ってきた。そこで四カ国条約をこれ幸いと、これを契機にして日英同盟廃棄論をイギリスがやってきた。同じように、経済大国日本に対してはアメリカが非常に警戒をいたしておるようでありますけれども、そのアメリカが、いま一部にいわれておるような米ソ日中四カ国のアジア不可侵条約というか、相互何という条約にするか別として、そういう一つの、四カ国のアジアの平和体制といったようなものができる、それを待っていたとばかりに今度はアメリカのほうから日本に警戒をし、日本におそれをもしておるようなアメリカが最近の情勢でございますが、このアメリカが日米安保条約を廃棄してくるというようなことになったならば、これは、その中にいろいろ提案いたしました松本氏なんかの意見でありますけれども、そのときこそ、また、日英同盟を廃棄された後の日本のように、へたをすると外交的孤立をするような場合がありはしないか、軍事的、外交的孤立になりはしないかという点を真剣に指摘しておるわけであります。  そこで私は、日本の外交の基本路線が確立されないでおる、あるいはそのPRが不十分に行なわれておるというようないまの様子からすると、場合によってそういう形になる心配はないだろうか。たとえば、あとで議論を十分にいたしたいと思いますけれども、先般の国際通貨外交というものは、私はあまり成功であったとは思いません。  特にその点について指摘したいことは、世界の常識と申しますか、あるいは日本の常識では、この国際通貨会議においては、アメリカに対して、イギリスも、ヨーロッパの諸国をはじめとして日本が一緒になって、九対一ではあるけれども、九対一は、アメリカが孤立して、そのアメリカに九カ国が連合の力で当たるんだ、こういう九対一になるであろうと思っておったところが、水田さんの非常な御努力にもかかわらず十二月十八日、十九日の段階においては、日本を除いた他の国々が全部一本になりまして、日本の強い円に集中攻撃をかけてきた。結果においては日本の通貨外交は孤立した姿において一六・八八%というものをのまされたといいますか、のんだというのか、そういう姿であったと思うのです。したがいまして、あのときもう通貨外交については、ヨーロッパの諸国は、ポンピドーでもイギリスのヒースでも非常に活発に動きました。非常に宣伝をいたしました。そういうときに日本はただ見物しておるような姿であったと思いますが、結果的には、その結果孤立して、一対九は一対九であったけれども、アメリカが孤立するのではなくして日本が孤立した結果になった。それと同じようなことが将来軍事、外交の面でもあってはならないという心配から、私はいま申し上げることを言うわけでありますけれども、その点について総理は、日米安保条約がアメリカから破棄されるというようなことがあり得ると考えるか、あるいは軍事、外交の面から日本が孤立するという心配は絶対ないか、そういう点についてまず総理のお考えを伺いたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいまの情勢で、ただいま直ちに安保条約を改正する、こういうような提案がアメリカ側からあろうとは思いません。また、いま、ただいまの状態でいきなり日本は国防の面で孤立する、こういうような状態ではないと思っております。しかしいま竹本君のお尋ねになるうち、それには多分に御意見を交えての、またそういうような事態をも考慮しなければとんでもないことになるぞ、かような御注意だと私は聞き取ったのでございまして、ただいまの状態がいま言われたようなそういうことに直接つながっておるとは私思いませんけれども、しかしわれわれは絶えずそういう点について細心の注意を払わなければならない。そこにやはり日本の自主的なものがあるだろうと思います。  そこで、それは一体何かというと、これはもう私、申し上げるまでもない。先ほど抽象的だと言われましたが、私どもが敗戦後選んだ道、その道についてのもっと――絶えずそれを忘れないこと。同時にまた、それについて深い理解を諸外国に求めることであります。それは、いわゆる平和憲法のその精神をわれわれが絶えず反すうして、絶えず繰り返し繰り返しこれを忘れないように理解して、そしてしかもまたそれを諸外国に理解していただく、そういうことが何よりも大事なことだ、その根本的な問題だ、かように私は考えます。

竹本孫一民社党

○竹本委員 日本の努力も大切でありますけれども、外国の動きも真剣に見守っていかなければならぬ。その意味でいろいろ申し上げるわけですが、たとえばこのブレジンスキーも一節の中でこういうことをいっておる。日本をしてアメリカに背中を向けさせるのは、まず第一にアメリカのほうだといってよいのである、なぜならば日本側が理性的選択としてアメリカから離れることはまずないと見てよいからだ、こういっておる。ブレジンスキーも指摘しておるように、その心配が絶対ないかどうかということに対して、特に最近のニクソンさんのやっておられることは、すべてがアメリカ本位というか、あるいはアメリカ大統領、自分の選挙本位になっておる。繊維の規制から始まりまして経済の問題、通貨の調整の問題にしても何にしても、やっておることはみんな自分の選挙にいかにすれば勝つかということが中心になっておるように私は思いますので、なおさら心配するわけであります。このアメリカがいつどんなことをしでかすかわからぬ。特に、ニクソンが何をしでかすかわからない。そういう場合についてもよほど慎重な見通しなり配慮なりがなければならぬということで要望を申し上げておくわけであります。  なお、これに関連して、総理はけさ参議院で言われたとかいう話でございますが、ソ連がいま言っておる集団安全保障の問題、この問題も、日本の外交の基本路線ということに関連をいたしまして、日本がアメリカから離れるというならどの程度に離れるのか、離れた結果一体どういう姿で日本の外交を展開していくのか、ソ連と組むのか、中共と組むのか、あるいはソ連や中共やアメリカにそれぞれいわゆる等距離でつき合っていくのか、こういう基本的な路線の問題があると思うのです。それらの問題を考えると、特に今日ソ連と中国との対立的な状態を考えてみますと、ソ連の提案するところの集団安全保障に中国が乗ってくるという可能性はほとんどない。へたにこれにくみすれば、それこそまたアジアの緊張を激化するかもしれない。そういうような情勢の中で、総理がソ連の集団安全保障について、いろいろ留保をされたようだけれども、アジアの平和に役立つならば大いに前向きに取り組むというような御答弁があったやに聞くのでありますけれども、その真意はどういうことであるか、日本の外交の基本路線と結び合わして御答弁を願いたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 もちろん日本は独立国家であります。また主権国家であります。そういう意味から日本の国益を考える、こういうことはこれは当然のことだと思っております。その国益を増進していく、こういう立場でなければ、独立国家の本来の進む道、それはきまるものではないと思います。しかし、いま日本はいわゆる軍事力を持たない、いわゆる平和国家として存在する新しい憲法のもとでありますから、やっぱりお互いに志を同じくする者同士が手を組むこと、これは今日日米安全保障条約という形で一つ結ばれております。最近起こりましたものはブレジネフ構想という、それによると、四カ国――米ソ中日、これらで不戦条約を結ぶ、こういうものは一体どうだ、こういうような話があります。私は、これはほんとに役立つものならそういうものに乗ってもしかるべきいいことだと、かように思いますけれども、ただ不戦条約というだけではどうもふに落ちないものがある。私は、多国間の協定である場合に、やはりそれの違反に対する、違反した場合にはどうするとか、こういうような、制裁規定とは申しませんが、そういうものがあって初めてただいまのような約束は成り立つものではないだろうか、そうしてお互いの独立が守られるのじゃないだろうか、かように私は考えますので、なかなか利害の錯綜しておるその四カ国の関係のものを一本の条約でまとめるということ、これはまだまだ実態を十分つかまなければならない、そういう意味では慎重であるべきだ、これが私の結論でございます。

竹本孫一民社党

○竹本委員 いずれにいたしましても、このブレジンスキーも言っておりますが、これからの日本のストラティジー、戦略は、この段階において一番大事なことは、日本の選択の余地を大きくするし、同時に日本の依存を多様化するということが必要であるとブレジンスキーも主張しておるわけでございますが、それらの問題について、複雑なアジアの諸情勢の中で、どうしてもこれはわれわれ国民にもあるいは諸外国にも明確に、日本はこの路線をこれからはやっていくのだというゴール――フォーリンゴールと書いてありますが、外交上の基本路線あるいはゴールというものを明確にひとつ打ち出してもらうことを、これは強く要望いたしておきたいと思うわけであります。  そこで第二段に、日本の軍国主義の問題について質問をし、御意見を申し上げてみたいと思います。  まず私は、日本が軍国主義になるのだ、軍事大国になるのだという批判あるいは疑惑を受ける可能性は、もちろんそうなるべき理由があるということを反省いたしておるわけであります。これは日本のキャリアあるいは過去がいろいろ示しておるところでもある。また、経済大国というものは大体において軍事大国になるという必然のコースもある。また、よくいわれるように、ここまで伸びた日本の経済がそのプレスティージの上からいっても、威信を保つ上からいっても、あるいは核大国にでもなろうかというような考え方が出るすきもある。そういうことを考えますと、軍事大国になるのではないかという誤解あるいは疑惑を招くべき理由もないではありません。あると思います。しかし、同時に、日本の姿勢がはっきりしておれば、そういう誤解を受けなくてもよろしいという根拠、理由もあると思うのです。  その第一は、総理もよく言われるし、われわれも決議をいたしました非核三原則であります。核は持たない。  第二には、油の問題があります。これは御承知のように、アメリカが日本に自衛隊をつくるというときに、こんな物騒な手癖の悪い日本に自衛力を持たしたらとんでもないことになるという議論がアメリカにもありました。そのときにアメリカの中でも甲論乙駁があったけれども、最終的には、飛行機にしても戦車にしても軍艦にしても全部油で動くのだ、その油のない日本、その油はわれわれが日本に供給しておるのだ、これを押えておる限り日本が軍国主義化しても何もおそれる心配はないという議論が勝って、その結果日本が自衛隊を持つということをアメリカも賛成するに至ったように私は理解をいたしております。いずれにしても、油のない軍事大国というのはなかなかどうも私には理解できない。  第三には、横井庄一さんが南方から二十八年ぶりに帰ってこられまして、天皇陛下さまということばをたびたび使われました。確かに日本の軍人、日本の軍国のささえの柱に天皇陛下さまというイデオロギーがあったことは事実であります。ところが、これは今日はありません。また、あっていいかどうかということにも大きな問題があります。終戦直後に日本の自衛力の整備ということについてアメリカ側からいろいろ要請を受けたときに、いまはなくなりました宇垣一成大将が、いや日本の軍が強いと思っておるのは間違いだ、日本の軍人から天皇陛下さまを除いたら日本の軍はひとつも強くない、兵を百万集めるということは戸籍係へ行って調べてみれば動員がきくかもしらぬけれども、魂の抜けた日本の兵隊は強くはない、そんなものはあまり意味がないということを宇垣さんが言われたそうでありますけれども、これも一つの見識である。横井さんのような例外の場合に天皇陛下さまはありますけれども、国民大衆はいまオーネ・ウンス、ぼくはごめんだ、あるいはマイホームというようなところに、あるいは走り過ぎておるかもしれない。この点は江崎さんにも十分御注意を願わなければならぬところでありますけれども、そういうような精神的な支柱というか源泉というものを失っておる日本に、これが軍国主義になって鉄砲かついで一体だれがどこへ行くというのかというふうに考えると、私は、軍国主義に日本がなって、昔のような侵略までやるというようなことはちょっと考えられないのじゃないか。なぜそのことを日本の政府なりが十分に外国にわかってもらう努力をしていないのか、私はむしろその点を残念に思うわけであります。  すなわち、日本は軍国主義になり得ないような要素もあるのだ、なろうとしてもなり得ない要素もある。なるべき要素もあるかもしらぬが、なり得ない要素も持っておる。すなわち、核は持たないのだ、油はないのだ、天皇陛下さまも、そういうイデオロギーはいまやなくなって、逆に反対のオーネ・ウンスでありマイホームが一般に行き渡り過ぎておるぐらいである。こういう点を考えるならば、また、美濃部さんもこの間中国に行かれましたときに、「日本の経済の高度成長が日本を奇形にしたという点では全く一致しました、それに客観情勢が日中戦争の前夜に似ているということも一致したのだけれども、ぼくは主体的な条件が違うと言ったのだ。第一に、民主主義が平和憲法をもとにして相当深くしみ込んできた。第二は、革新の地方自治体が百をこえて、ファシズムや軍備拡張の方向への相当大きなブレーキになるということを言った」ということを言っておられますが、そういうような新しい民主的な動きというものを含めて、日本は軍国主義にならないで済む条件も持っておる  こういうことを考えると、日本の姿勢がはっきりし、日本のPRが十分であれば、何も軍国主義ということでそんなに誤解を招かなくてもよかったのではないかというふうに思いますが、この二つの点について、すなわち誤解を受けるべき理由もある、受けなくて済むべき理由もある、こういうように私は思いますが、総理の考えを承りたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 竹本君がただいまお述べになりました御意見、まさしくそのとおりであります。私どもは経済大国即軍事大国、それには過去の歴史はさような事例が幾つもございますけれども、日本の場合はそれは違う、これが、私が国連に参りまして、そうして演説をいたしましたその骨子でございます。ただいまのような点がもっと理解を深めること、だから、もっとわれわれはあらゆる機会に日本のとっておる現在の実情、その実態を各国の方々にひとつ理解していただくということが必要だと思っております。  私はまことに残念に思いますのは、われわれの安全保障条約の相手国であるアメリカにおいてすら、日本はそのうち核を持つだろう、こういうような意見のあることがしばしば報道される、こういうようなことが誤解を受ける一番の問題であります。また日本国内において、盛んに軍事大国、軍事大国とみずからがそういう危険を指摘する、こういうことはやや行き過ぎてはいないか。現在の防衛力、自衛力、自衛隊そのものから見ますると、ただいまのようないわゆる軍事化した――かようには私は考えませんけれども、いろいろ国内にもそういうような御議論が出ておる。そうして実際には再軍備ではないけれども、心情的軍事大国だ――心情的軍事大国だということについてはどういうようなことを意味されるのか私もわかりませんけれども、そういうようなことば自身が日本人の中からも出ておる。こういうところに、世界の各国が理解することをはばんでおる、かように私は思います。ただいま竹本君の言われるとおりの三つの条件などは最もその基本的な条件でありますから、そういうものをもっと理解していただくようにすべきではないかと思っております。

竹本孫一民社党

○竹本委員 ただいま総理の言われましたような線に沿ってひとつ具体的に一、二の注文をしたいのであります。  まず四次防。内容についてはいろいろ議論がありましたから、私は総括的な点だけで、これは江崎さんにお伺いいたしたいのでありますが、要するに、経済の見通しも十分立たない現段階である、アジアの情勢は緊張緩和へと大きく転換して、ショッキングな転換をしておるときである、そういうときに四次防についていろいろ再吟味をやるような考えを持っておられるようでございますが、要するに四次防自体を一時、一年なら一年、とにかくこの際見送ってみるというお考えがあるのかどうかという点が一つ。  それから、言われておるところの四次防の内容、あるいは先般おきめいただいた七日の日の大綱にいたしましても、文字まで三次防の引き写しである、内容も維持継続であるということになっておるようでございますが、これはまた、もしそうだとすればおかしい。三次防のときと現在の段階とでは非常に客観情勢に激変があるのに、同じような考え方に立って、その延長線上で問題に取り組むということは私には理解できない。  その二つの点について、ひとつ防衛庁長官からお伺いいたしたい。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 第一の点につきましては、これはもう御承知のとおり、日本の国是は仮想敵国は持たない、こういう前提にあるわけでございまして、自衛隊そのものは国の独立と平和を守る最小限の武装、こういうことになっておるわけです。それで、なるほど米中会談によりまして極東の緊張緩和の方向というものは確かに打ち出されましたが、これがほんとうにアジアの平和という形で定着するまでには、まだよほど時間がかかるのではないか。もともと仮想敵国もないし、他国を脅かすという性格のものではありませんので、漸を追うて継続的にこれを充実していく、これは現段階においてはやはり必要であるというふうに考えております。  第二点は、三次防の延長、大綱は三次防大綱とほとんど同じではないか。これはどなたかの御質問にもちょっとお答えしたわけでありまするが、今度のこれが非常に重要な点だというふうにわれわれは理解いたしておるわけでございます。去年の四月に発表されましのは、第四次防衛力整備計画ということばをきらって、新防衛計画という構想のもとに打ち立てられました。それを今度の四次防大綱におきましては、三次防の延長という形で、今後経済の状況等も十分見きわめ、諸般の情勢を踏まえて策定をしていこう、こういうわけでございまするから、三次防とやや似ておるではないかというその点は、やはりわれわれの主張の存するところでありまして、御理解を願いたいと思います。

竹本孫一民社党

○竹本委員 この問題であまり時間をとることは望まないのですが、総理にひとつあわせて伺います。  一つは、日本の、いま江崎さんからもいろいろ御答弁がありましたが、四次防の問題ですが、防衛の問題については三次防の延長である、それから去年の四月に出されたような一つのビジョンというか、構想を持ったものでないところにむしろ大事な点もあるというようなお考えのように聞くのですけれども、私はそれに関連して、一体日本の防衛計画というのは何次防までおやりになるつもりであるかということが一つ。すなわち、四次防の次にまた五次防が出てきて、その次には六次防が出てくるのかどうかという問題です。それが一つ。  それからもう一つは、その四次防なり五次防なりおやりになるというお考えの到着した段階における日本は、どの程度の力を持ち、どういうような防衛構想に立ってそれが必要であるというお考えであるかという基本的な防衛の構想をお伺いいたしたい。  これに関連しまして江崎長官には、大体、いま日本の陸、海、空に分けて、あなた方が、政府が防衛構想の中で考えておる防衛の力というものに対して、陸軍勢力は何%ぐらい来ておるか、海軍は何次防で充実ができるのか、空軍についてはどうであるか、これをあわせて長官から伺いたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 これも基本方針は、わが国の独立と平和、そのだめの自衛力の整備、こういうことであります。しかして、それをきめる場合には、国力、国情に応じた考え方で進めていく、そうしてどこまでも侵略的なものであってはならない、いわゆる他国に脅威を与えないものだ、こういうことを基本に置いております。そうして、ただいままでのところは、大体長期計画ではございますけれども、これはやはりある程度一定の期間を限ってその中身を整備する、こういうこと、これが大体五年ごとに整備されておる、かように思っておりますから、いままでの三次防、これはもうことし、昨年までで三次防の期間が経過した、そうすると新しいところへ入る、それが四次防だといわれておる。私は、四次防だとか五次防だとかいうことが適当かどうか、これは一つの問題だと思っております。私は、そういう長期防衛計画を立てることによっていまの自衛隊の性格が変わる、こういうような危険もありますから、そういうことについては十分考えていかなきゃならないが、しかし、基本の問題といたしましては、わが国の安全と独立を保つために必要なる自衛力の整備だ、かように私は考えておりますので、その一定の期間が経過すると、やはりその際に新しいものを考えていくだろう、これが大体続きであるとか、あるいはその時に応じた最新式のものでなければならないとか、いろいろの議論はあるだろうと思いますが、ただいまのように第何次でこれがやむとか、実はこういうような性格のものではない。ただ、期限が経過すると、そこらでやはり新しいものも考えていかなければならぬ。しかしながら、基本的には外国に脅威を与えるようなものであってはならない。それで、私どもは別に仮想敵国は持たないという、これがいままでの基本的な方針でありますから、十分国民の納得のいく、国情に応じて自衛力を整備する、こういう基本的なたてまえでございます。そこで、いまのような形式的に、第何次防までやるのだと、かように言われましても、それに答えることはちょっとできません。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 この防衛構想を五年間で区切りながらいく。その発想の根本をたどってみますと、防衛をシビルコントロールでいくというたてまえから、ただ毎年毎年無制限に防衛費がかさんでいくということは好ましくない。したがって、五カ年計画というものを国民の前に提示して、そして大体向こう五カ年のうちにはこの程度の防衛力を整備するんだということが明らかにされることのほうが、よりこれは望ましいことである。そんなところからこの計画がなされてきたという理由もひとつ御理解おきを願いたいのであります。  それから、いま総理からお話がありましたように、これは何次防までやれば目的が達成するというものではなくて、きわめて相対的なものでありまするが、少なくとも現段階ではいま少し継続していく必要が当然ある。それからもっと極端と言いまするならば、この防衛計画というものは、ただに防衛力増という場面でなしに、防衛力減という場合も当然――計画的であることのほうがよりわかりやすいのではないか。それからまた、その時点の防衛力というものを維持更新していくためにも、やはり五カ年計画なり長期計画なりというものが今後、五次、六次という名称は総理が言われるようにともかくといたしまして、そういう形で継続することが望ましいというふうに考えておるわけであります。  それから、直接御質問の点の陸、海、空の三自衛隊はいま一体何%ぐらいまで目的を達したのか。これは非常にむずかしい御質問でありまするが、もともと防衛能力というものは相対的なものであります。緊張が緩和すれば当然足踏みをしていいものであるわけです。ですから、何%という言い方をにわかにいまここで申し上げることはできません。  しからば、第三次防衛力整備計画が完成した時点で一体どういうふうになっておるのか。これを大まかに申し上げますと、陸上自衛隊は十三個師団、十八万人体制というわけで、火力とか機動力というものは今後更新しなければなりませんが、もし有事のことがありましても、にわかに日米安全保障条約でアメリカの救援を待たなくてもある程度の防衛に徹することはできる、こういうふうに考えております、海上自衛隊でありまするが、これは主要海峡であるとか、港湾あるいは沿岸海域の防備、それからわが国はもともと経済立国、輸出立国でありまするので、海上交通の保護など、本来海上自衛隊が第一義的に担当する作戦機能、こういうものにつきましてはようやく基幹となる部隊がほぼそろったか、この程度に踏まえております。それから航空自衛隊の防空力は一体どうか、これでありまするが、これは専守防衛、敵の基地は攻撃しないというたてまえに立っておりまするので、アメリカ軍がもし有事の際敵基地をたたくという協力体制があればある程度の防衛力を発揮することはできるわけでありまするが、その点についてはまだまだ不備な点もあります。しかし、相手が上陸を企図するという場合に、攻めてくる船団に対する航空阻止というような点につきましては、やはり米軍に大部分をまだ依存しなければならぬのではないか。これが三次防完成時のおおよそのあり方でございます。

竹本孫一民社党

○竹本委員 具体的に伺いますが、要するに、いま四次防を私どもは一時たな上げにしたらどうかという意見もありますし、見送ろうという意見もありますが、政府はやられるということになる。その場合に、四次防の次には五次防は必要になるのかならないのか、あるいは考えておられるのか考えないのか、そのときになってみなければ全然わからないとおっしゃるのか、その辺だけを端的にお伺いしたいということが一つ。  それからもう一つ、あわせて時間の関係で申し上げますが、予算と防衛費との関係においては、予算の七%、GNPの一%以下ということに考えておられて、〇・九%程度でございますが、その点については一つの基準なりものさし、ワクというものを政府は持っておられるのかどうかということもひとつ伺いたい。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 さっき申し上げましたような見解に立ちまして、私は五次防というものはあってよろしいものだというふうに考えております。  それから、経済的な一つの制約としては、やはりGNPの一%程度ということが三次防時代からきまっておりまするので、これを踏襲していくことは当然だと考えております。

竹本孫一民社党

○竹本委員 この問題につきましては、さらにシビリアンコントロールの問題その他いろいろ議論したい。特には日本の経済構造自体を変えなければ、たとえばいま中国において出されております日本の軍国主義に関するいろいろのパンフレット等を読んでみますと、あるいは人民日報の論説等を見ましても、復活している日本軍国主義を打倒しようということで、いろいろ書いておりますが、そういうものを読んでみますと、日本の経済構造自体に非常に問題を持っておる。それはレーニンが現代の軍国主義は資本主義の産物である、結果であるということを言ったそのことばを最初から書き出しまして、そういう認識でとらえておる。特に日本の独占資本は対外的に気違いじみた侵略活動を行なっておるといったようなことも論じておる。問題は、その当否もありますけれども、少なくとも経済構造というものがアジアの平和建設に役立つ方向に編成がえをされなければなかなかむずかしい問題であると思いますので、そういう経済構造の改革の問題もあります。シビリアンコントロールの問題といい、経済構造の改革の問題といい、さらには平和的な思想教育の問題、これらもそろって初めて日本の軍国主義というものに対する外部の誤解というものを避けることができるのではないかというふうに思いますが、時間の関係もありますのでこの程度にとどめておきまして、要は日本の基本路線を明確にするとともに、日本の立場というものをもう少し内外に宣明する必要があるのではないか。そのために軍国主義の誤解を招くことのないような努力を願いたいということであります。  あわせて経済問題について、経済のPRの問題について一言日本の外交の問題として触れておきたいのであります。これは去年の暮れに通貨調整の問題でコナリー財務長官が日本にやって参りました。総理もお会いになったのでしょうが、そのときわれわれも春日委員長その他会ったわけですけれども、彼が一番最初に言ったことは、日本の経済成長は五%、ことしは不景気で五%という話だけれども、五%といえばわれわれにとってはうらやましい話だ、こういうことを言いました。それは彼が日本の実情を十分に知っておって言ったのかもしれませんし、戦略的にいろいろ政治考慮で言ったのかもしれませんから、彼がほんとうにそれにびっくりしておるのかどうか私はわかりません。またせんさくする必要はない。私がここで問題にしたいのは、日本の経済成長は五%、いまは四%か三%台になっているようでございますが、そういうことでは自己資本一八%の日本、いわゆる自転車操業をして前に突っ走る以外にはない日本の経済の実態からいえば、五%や六%の成長ではやはり不景気になるのだ、こういう日本の経済構造に対するこれもPRが十分行なわれていないから、作為的であるかどうかは別として、コナリーさんが平気でそういうことを言う、そういうことが言えるという雰囲気が問題だということを言うのです。でありますから、一体日本の政府は、いままでアメリカに対して日本の経済のいわゆる高度成長についてどういう宣伝をし、どういうような理解を求めておるかということについて私はその際非常に疑問を持ったというわけであります。  さらに去年の暮れに、総理御存じと思いますが、私どもはアメリカに参りました。そうしてアメリカの両院の議員さんたちにもお会いしましたし、大学教授にも会いました。そのときにも私はつとめて言ったのでありますけれども、日本が生産の伸びにおいて、世界が八%、アメリカが六%とかいろいろいいますけれども、その大体二倍もしくはそれ以上の伸びを日本がやっておる。輸出についても去年は特に大きくて二五%も日本は伸びたようでございますが、ガットの数字によるとそう書いてある。世界の平均は五%、日本は二五%、五倍の勢いで伸びておる。大体において過去十年間を振り返ってみましても、日本は世界の貿易の大体二倍もしくはそれ以上の伸びを示しておる。それは事実であると私はアメリカの議員さんたちにも言ったのであります。しかし、そのぐらいの勢いで伸びなければ、日本はやっていけないのだということを私は説明してきました。これは私どもはナショナルインタレストの上に立って議論をしてきたのでございますが、何しろ昭和二十一年における日本の生産というものは、大体戦前の八%に落ちておる。したがって、日本は戦後は、敗戦日本はゼロから出発したも同じだ。したがって、非常な高度のスピードで成長しなければならぬということはあたりまえではないか。しかも伸びた結果、今日日本は大体において世界の貿易において占めるシェアは六%前後である。ドイツは一二・二%であり、アメリカは一五%である。すなわち、われわれは伸びた伸びたといって――事実世界の二倍あるいは平均の五倍も伸びたこともあるが、結果から見れば、われわれは世界のシェアにおいてまだドイツの半分である。へたをすればアメリカの三分の一である。ゼロから出発して、やっとそこまでたどりついたのだ。それをアメリカが日本の頭をたたくということはおかしいじゃないか。第一、いま日本の現在は総生産においてもアメリカの五分の一、ことしあたりで三分の一、多くいって三分の一。国民所得はわれわれは二千ドル、アメリカの五千ドルに比べれば四割である。世界の貿易に占めるシェアからいっても、国民所得からいっても、GNPから見ても、まだまだほとんど問題にならぬのです。その日本をまるで目のかたきにして、繊維も規制をする、円も引き上げる、アメリカのやり方は少しむちゃくちゃ過ぎやしないかということを私は力を込めて言ってまいりました。  しかし、私に言わせると、そういうわれわれの努力に倍した努力を政府が当然しておくべきではなかったかと思うが、その点について総理はいかにお考えになるか。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○田中国務大臣 日米経済閣僚会議から半歳余にわたって、いま御指摘の問題に対して日米両国間で意思の疎通をはかって、アメリカ側はほぼ了解をし、その結果閣僚間ベースによる日米の経済交渉を一年間休戦をしようということになったわけでございます。休戦をすることになったことは、日本の実情に対して認識を深めたという証左でございます。  いま御指摘にございましたとおり、確かに日本は高い成長を続けておりますし、輸出の黒字幅も大きい。しかもアメリカは八十三年ぶりで約三十億ドルに近い貿易収支の赤字を計上いたしておることも事実でございますが、しかし、アメリカは海外に七百億ドルに近い膨大な投資をやっておるということもございます。確かに日本の持つ外貨保有高は世界で流通するドルの一〇%を持っておるかもしれませんが、しかし、それは一時的な現象でございまして、これから日本の国内景気がよくなってくれば、輸入は増大し、輸出は押えられてくるので、このような状態が長く続くものではないというこまかいデータを持っての問題に対しては理解を示したわけであります。しかも国民所得に対しましても、いま御指摘のとおり、日本は七〇年ベースで一人当たり千五百六十ドルであり、アメリカは三千八百九十七ドルでございますから、アメリカ並みになるにはまだまだ倍以上の努力をしなければならぬことも事実であります。  なお、いま問題になっております社会資本の蓄積という面から考えますと、アメリカと日本は四対一であります。アメリカ並みにするためには六十年を展望しても、必ず現在のアメリカになり得るのかどうか。社会環境の整備にばく大もない投資を必要とすることもまた事実でございます。しかも二十九年から三十九年まで十カ年間で一〇・四%、三十五年から四十五年まで一一・一%という高い成長を続けてきたことは事実でございますが、その結果においてなおしかりでございます。いま申し上げたようでございます。  ですから、日本の成長というものが、安定成長は一〇%でいいのか、七・五%でいいのか、いまのように五%でいいのかは、これはこれから十分日本国民全体が検討してまいらなければならない問題であります。アメリカが一言言いましたのは、五%の実質成長を続け、しかも完全雇用であって、百五十億ドルの外貨を持つ日本が何で不景気なんだということでございますが、そこらがアメリカ人の見た日本観である。そこに誤りがある。よきパートナーとしたならば、もっと事実に目をおおってはならない。私はそういう意味で、過去、去年の九月から今日まで努力をしてまいったわけでありますが、その結果日本の実情を理解し、そのために経済的一年休戦ができたということでございますので、少し日米間に理解が進んでおるということを御理解いただきたい。

竹本孫一民社党

○竹本委員 通産大臣の御答弁、私はそれこそ非常にショッキングに受け取るわけでありますが、理解ができたから閣僚間のベースにおいては一年間交渉もやらぬということになった。その範囲においてはそうでしょう。しかし、私が言う立場からいえば、理解ができたらもっと考え方を変えなければうそだ。理解ができないからそんなことを平気で言っている。特になぐりたいだけなぐり倒しておいて、その上何をアメリカが求めますか。これから求めるのは日本の側ですよ。アメリカは繊維も規制した。通貨は一六・八八%上げた。自分のほうの――あとで申しますけれども、国内経済はやりっぱなしにやっておいて、自分の経済の、ベトナムインフレというか、アメリカの経済の矛盾は全部日本その他の国にしりぬぐいをさしておいて、アメリカに何の文句がありますか。あたりまえじゃないか。自分の言いたいことはみな言うた。やりたいことはみなやった。なぐりたいやつはなぐった。そうしておいて、あとは仲よくしましょうといって頭をなでられて、これで理解ができました、ありがとうなんというのは、日本の政府としてははなはだどうも不見識きわまる。私は、アメリカに理解をさせるのは、通貨調整の前に理解さして――一六・八八%でアメリカはこれで大体七十五万人ぐらいの失業救済になるという話を聞いておるが、とにかく百万の失業者を減らさなければならない。アメリカには御承知のように四当五落ということばがある。失業者が四%台ならばニクソンは当選する、五%になったらニクソンは当選ができない。この失業者を少なくするということが、今日のニクソンの経済政策の根本になっておる。したがって、失業者を少なくするためには、輸入を制限してアメリカの産業を伸ばさなければいかぬ、むちゃくちゃでもいいからやるのだ。そのやりたいことは全部やって、今度の通貨調整で七十五万、繊維で何万、あれこれ合わして大体百万ほど減らせるという見当がついた。もうアメリカ、ニクソンとしては選挙対策は第一巻の終わりなんです。だから、あとは仲よくしましょうと言うのはあたりまえのことで、むしろ自分がやりたいことをやったやつを、日本はあまり文句を言わないように、一年間がまんしてくれというのがぼくはアメリカの本心ではないかと思う。それを敏感な、センスのいい田中さんが、アメリカはわかってくれたから一年間仲よくするということになったのだと喜んでおられるということは、まことにどうもふしぎであるが、いかがですか。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○田中国務大臣 アメリカ側の言うことを全部のんでおるのじゃありませんし、対米従属でもありません。しかし、現実というものを無視してはなりません。第二次戦争が終わった後、日本は全く困った状態にございました。金の一かけらも持っておらなかったわけでございます。しかし、アメリカが中心になって、IMFとか、世銀とかガットとかOECDとかDACとか、いろいろな国際的経済機関が国連の下部機構として設立をされたわけであります。その中に日本が加入をして、戦後経済から十四条国経済に、そして八条国経済にと、長い努力の結果今日を築いたわけでございます。ですから、管理通貨という名のもとにわれわれは今日を築いてきたのでありますから、やはり国際機関というものは守っていかなければならない。そうしなければ縮小均衝に必ず通ずる。平和を守る一つの道でもあります。そういう意味からいうと、二十五年間、四半世紀にわたってこれらの機関をささえてきたアメリカの労は多としなければなりません。事実は事実であります。われわれが二千万ドルの外債を得るためにいかに努力をしたかということも、これも歴史的事実でございますから、こういう世界の拡大経済方向を確保するために、アメリカが中心になってきた世界の経済機構を維持しなければならない。しかも複数で、拡大ECや日本が中心になってこれらを補完していかなければならぬというのは当然のことであります。  そういう意味では、アメリカが困るということは、ひいては日本も困るのであります。日本の貿易に占める対米貿易のシェアは三〇%をこしております。アメリカが八十三年ぶりで貿易収支が二十億ドルの赤字になるといって、去年の九月われわれは相当論争いたしました。ところが、十二月三十一日で締めてみたら、二十億ドルの赤字は三十億ドルをこし、三十二億ドルを計上しておるのであります。ですから、百六十四億ドルの外貨を保有する日本に比べて、アメリカは百億ドルを割っておるのであります。そういう事態を考え、特に対米貿易は、繊維に関して申し上げますと、四十五年対四十六年は四・四%しか伸びておらないのが、去年はあのようにニクソン・ショックなどといいながら、一九・四%も伸びておるのであります。やっぱりアメリカがお得意であるという事実を認識しないで、ただ声を大にしてアメリカを誹謗するだけで日本の経済がよくなるとは思いません。ですから、アメリカの不当な要求があったならば、われわれは事実を述べて、両国の理解を深めていかなければなりません。私は一年休戦が相当なメリットであったと申し上げたのは、電算機の自由化もやりなさい、牛ももっと買いなさい、いろんなことを言われたけれども、まあここらでもってお互いは一年間世界情勢の推移も見ましょうや。世界の景気がどうなるか。日本の景気は必ずよくなるためにアメリカからの輸入も伸びます。去年はアメリカへの輸出が一九・一%も伸び、輸入はほとんど対前年度並みであります。そういう事実も考えないで、アメリカに向いておるものを全部共産圏貿易に向けようとしても、それは直ちには向けられないのであります。  ですから、そういう事実を考えながら両国がお互いに理解をし合うということが必要であって、われわれ政府は、アメリカの言うことだけを守っておるものでもなく、理解を示しておるものでもありません。お互い両国が事実を申し述べながら理解を深めつつある。それが共存共栄であり、よきパートナーとして世界の平和に寄与するゆえんである、こう考えておるのでございます。

竹本孫一民社党

○竹本委員 通産大臣、熱意を込めて御答弁をいただいたわけだけれども、半分は理解できますけれども、半分は理解できないところがある。アメリカ人の――総理にも会ったブレジンスキーが、この本にこう書いておる。私はこれを非常におもしろく読んだんだが、田中通産大臣のただいまの御答弁、ごもっともな点も多々あります。しかし私は、いまアメリカが三十二億ドルの赤字を出したと一生懸命言われたけれども、それはアメリカの自業自得ですよ。アメリカのインフレ経済なんですよ。これはあとで私は円の再切り上げの問題を中心に論じますから、その際詳しく論じますけれども、アメリカが今日行き詰まっているのは、日本が伸びたからということもあるかもしらぬが、一番大きな理由は、アメリカ自体の経済的矛盾を内部に持っているんです。そのことについてアメリカが反省もしない、あるいは節度のある努力もしない、そのままにおいて、そしてあと日本にいろいろ注文をした。それは協力するのが当然だとか、過去二十年間お世話になったとかおっしゃいます。それは私そのとおりに思いますけれども、しかし、ウエートの置き方が違う。私は、アメリカがいま反省をしなければ、あとで申します通貨の国際的な調整も絶対成功しないと思っておる。しかし、ここでは時間がありませんから議論をしませんが、ただ一つ、私がこの本を読みながら非常にふしぎに思った点があるから申し上げておきます、参考のために。  これは、先ほど申しました日本の外交の基本路線がアンビギュアスである、あいまいである、そのところにこういうふうなことが書いてある。「日本はアメリカとともに立っておる」そして、その次にコンマを打って「アメリカのうしろに立っておる」と書いてある。これはなかなかおもしろい。イット・スタンズ・ウィズ・ザ・ユナイテッドステーツ、コンマを打って、ビハインド・ザ・ユナイテッドステーツと書いてある。これはアメリカのまじめな研究をしておる学者でも、日本がアメリカのうしろに立っておると思っておるんですよ。アメリカとともに立っていると言っているんじゃないんです。われわれはアメリカとともに立たなければならぬ、総理も先ほどお話しがありました。それはそのとおりだと思います。私は、アメリカと縁を切ってしまえとは言わない。しかし、アメリカのうしろに立っておるということにはわれわれは反対だ。少なくともいつまでもアメリカのうしろに立っておるということにはわれわれは反対だ。ビハインド・ザ・ユナイテッドステーツはやめてもらわなければいかぬ。そういう立場からいまの御答弁を聞いておると、過去二十年間お世話になったことも事実かもしれぬし、三分の一の貿易のシェアをアメリカに持っておることも私も知っておりますが、それにしても日本の姿勢が弱過ぎるというところに問題がある。  通産大臣にお伺いするけれども、いまの御答弁の中に、不当な要求はこれを避けておるということをおっしゃったけれども、繊維の問題、通貨の問題はその不当なほうに入るのですか、入らないのですか、アメリカの要求は。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○田中国務大臣 先ほどの問題、数字の面だけ明確にいたしておきますが、一九・四%、一九%台の対米輸出のふえたことは、これは繊維に関してでございます。それから実際の対米貿易は、去年一年間で幾らふえたかということを申し上げますと、二四・七%ふえておるのでございます。これは輸出でございます。輸入は四・三%でございますから、対前年度並みである、こういうことでございます。  繊維問題に対しましては、もう私も本会議で……(竹本委員「結論だけでいい、不当と思っておられるかどうか」と呼ぶ)それは日米間において両国が協定をしなければならないということは、七月一日に自主規制に入ったばかりでございますので、私も間々ここで申し述べておりますように、やりたい仕事ではなかったわけでございます。これは、アメリカに対しては、不当な要求であるとさえ私は九月には申し述べました。しかし、その後協定を行なわざるを得ないというのは、これが日米間の友好を維持しながら、しかも一方的規制というようなことを避けるために真にやむを得ないことであったということで、遺憾ながらイニシアルを行なったわけでございます。しかし、結果を見ますと、これが続くとは思いませんが、たいへんなことだと思っておりましたけれども、いま申し上げたように、繊維の対米輸出は一九・四%伸びておるわけでございまして、これは七二年にも七三年にもというわけにはまいらないわけでございますが、日本の国内における繊維業界の体質改善や構造改善を進めながら、また多様化も行ないながら、アメリカで幾ばくか減るものはよそに持っていくように全力をあげなければいかぬということでございまして、結論的に申せということになれば、あまり筋のいい話ではなかった、こう思いますし、私自身腹の中じゃ反対でありますが、両国の国益を守っていくためにこれは真にやむを得ないことであるということで御理解をいただきたい。

竹本孫一民社党

○竹本委員 この問題はこれ以上追及いたしませんが、遺憾ながら筋のよくなかった話だけれどもということの中に、これはアメリカの不当な要求であるとわれわれは言う、その意味が大臣にも御理解いただいておると思いますから、これ以上は言いません。  それから繊維がいま伸びておるという問題についても、これ以上私議論はいたしませんが、一九・四%であれ二〇%であれ、これは一つは日本の品物が安くていいのですよ。安くていいから向こうは困ると言っておるのだ。しかし、安くていいということは、アメリカの消費者の利益にプラスするんですよ。だからアメリカの消費者が騒いでおるのです。そういう点も考え、また一時は思惑で押えられたり、今度は一時そのあとはちょっと伸びたりするのは、一時的現象としてあり得ることですから、いま大臣の言うことですべてが解決したとは私思いませんが、もう大臣もおわかりでございますから、これはこのぐらいにいたしておきまして、この問題の最後に外務大臣に一口だけ、もう時間がなくなりましたから二つばかり質問をいたします。二つでなくて三つにしましょうか。  一つは、日本の海外援助その他を日本の外交姿勢として積極的にしなければならぬと私は思いますが、インドネシアをはじめとして、日本は寄生虫である、高い金利を取ったり据え置き期間も短かったりするので、結局は第三国の援助を日本の利子の支払いのために食われてしまう、寄生虫みたいなものだというような批判がきびしいことはよく御存じだけれども、そういう海外援助方式についていかなる反省をしておられるかということが一つ。  それから二つ目は、世界の経済は、あのいまの通貨調整をやったコナリー自身が、ときにドルのブロック経済を言うたりする。拡大EECは拡大EECで、一つのヨーロッパのブロック経済を志向するやに見られる。そういうような考え方と、日本のジャパンラウンドとはだいぶん食い違っておると思うが、そういう点についてどういうふうに考え、どういうふうに対処しようとしておられるかという問題。この二つだけ先にお伺いしましょう。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 わが国の対外援助政策は一つの転換期にきておる、反省期にきておる、私はこういう見解を持っておるのです。確かに量的におきましてはもう〇・九%GNP対比、これをこえるような状態になって、これは世界じゅうから注目されておるような状態になってきております。ただ、いま御指摘のように、援助の量よりは質の問題、この問題が論議を呼ぶようになってきておる、そういうふうに思うのであります。つまり、わが国の対外経済援助は量的には拡大しましたけれども、この量的拡大が常にわが国の輸出と緊密に結びついておるという点が一つ、それから援助の条件がきびし過ぎる、こういうことであります。その結果、ややもすれば経済支配体制を日本が広範にしこうとしておるのじゃないか、あるいは経済侵略なんという声も聞かれないわけではない。私どもはその点は非常に反省しなければならぬ、こういうふうに思うのでありまして、すでにそういう考え方を打ち出しておりまするけれども、しかしながら、さらに思いを新たにして、わが国がほんとうに援助を受ける国々の立場に立っての協力体制を進めていかなければならぬ、こういうふうに考えております。  それから、わが国の考えておるジャパンラウンド、これは、わが国は経済大国にはなりましたけれども、一番の大国であるアメリカ、二番の大国であるソビエトロシアと違いまして、資源を国の中に持たない。わが国は資源を世界各国から求めて、それにわれわれの労働力を加えて価値あるものとしてこれを海外に提供する、この道以外に日本の経済の発展の余地というものはないわけなんです。そうしまするときに、どうしてもわが国は、世界の保護貿易主義的な風潮に対しましては、先頭に立って戦わなければならぬ立場にある。そういうことを考えるときに、日本の国自体の経済体質の問題があります。つまり、二重構造という問題がある。そこに困難な問題がありまするけれども、その問題を克服しながら、世界にも自由体制というものを呼びかけなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでありまして、これは、いま世界でそういう方向の動きがある、それと何か日本の動きが矛盾しておるというような感触のお話もありましたが、世界の国々もまた基本的にはわが国と同じような考えを持っておる、わが国がほんとうにわが国の責任を尽くしつつこの考え方を進めるならば必ずや同調を得るであろう、私はかように確信をいたしております。

竹本孫一民社党

○竹本委員 対外関係で最後に一つ伺っておきたいことは、総理、対中共貿易の問題であります。これは、輸銀使用については通産大臣いろいろ御努力をいただいておるようで、敬意を払っておりますが、全体的に対中国の貿易を促進する意味で、私は昨年の予算委員会においても言ったのでありますが、ココムの問題ですね。これはアメリカの関係でやむを得ずいままできびしい制限の中に立っておったわけでございますけれども、その御本尊のアメリカが頭越しに外交をやるとか、あるいは今度の宇宙中継の施設等も中国に売ってしまう。これはほんとうはココムの違反だというような問題もあるようですが、いずれにしましても、ニクソンがあれだけ日本の頭越しに事を処置しておる状態から見るならば、せめてココムぐらいについては、日本のほうから、これは廃止しようじゃないか、こういう緊張緩和の時代になったらおかしいということを提案していただきたいということを、去年の七月の二十一日に私はこの席で述べたわけであります。そのときに田中通産大臣は、品目を六十七品目かなんか少なくするんだ、そういうふうな努力をするのだということを言われまして、日ごろ鋭い田中さんとしては少しどうも答弁が鈍いということを私申し上げたが、覚えていらっしゃいますか。  少なくともそういう点から考えてみると、大体日本の外交は何でもカーブを切るのが、半年ならいいが一年おくれる。私はこのことを、日本の外交のリーダーシップの問題として非常に残念に思うのです。ココムぐらいについては、これはもちろん十五カ国が全部賛成しなければ困るという問題もありますが、しかし、それにしても、日本のほうから、もうこの段階においては、ココムというものは全くじゃまにしかならぬ、プラスではないのだということで、なぜ提案をされなかったかということについて、私は非常にこれは遺憾に思う。それだからこそ、ビハインド・ザ・ユナイテッドステーツになる。なぜ前もってそれを言われないか、その点ひとつ伺いたい。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○田中国務大臣 御質問にお答えをいたしましたように、一月のサンクレメンテ会談におきましては、ココムの制限緩和に対して日本側は提案をいたしますのでアメリカ側は原則的に賛意を表されたいということを、正式な議題として申し述べております。どのようなことをするのかということでございましたから、言うなれば全廃をしたいという提案をいたしておりまして、当時の新聞には報道せられております。全廃ということができるかできないかはわからないけれども、原則的には日本の提案を了承する、こういうことが合意されております。  ココム制限というものは、御指摘にありますように、その後緊張緩和の状態でございまして、四十一年、四十二年、四十三年と緩和が行なわれてまいり、現在、二月からパリにおいてやっております。この会議におけるリストレビューに際しましては、相当大幅な提案をいたしております。大幅というよりも、とにかくアメリカがすでに、ココムリストの中に入っておる戦略物資といわれるようなものさえも、各国に、上海中継局に使った機材をそのまま残すことを要請しております。これはアメリカが、北京に大統領が参ります前に緩和をすると言ったのは、ココムリストに名をかぶせて制限をしておった、そのかぶせておる分だけを排除しようという声明をいたして北京に参ったわけでございますが、あの電子工学製品というものは、これはココムリストの中にあるものでございますから、ただわれわれはこれを認めるわけはないので、これは認めます、しかし日本の提案に対しても全面的に賛成されるようにということを強く要請をいたしておるわけでございまして、このパリ会談におけるココムリストの緩和は大幅なものになるだろうという見通しでございます。

竹本孫一民社党

○竹本委員 通産大臣、私が言うのは、いまいろいろ承りましたけれども、やはりこれは全廃を、制度の廃止を要求すべきではなかったかということが一つ。それから、いまごろそれを言うのは一年おくれておる、日本の外交は常に一年ぐらいおくれているのだ、その点はどうかということを言っているのです。  それとあわせて、もう一つは、大臣、対中国貿易で輸入の事前許可制の問題とか円元決済の問題とかいろいろあります。差別関税もあるのですが、それらの問題について、対中国の日本の政治姿勢を転換する具体的証拠として、経済、物資の交流の面ではどの程度大幅な努力をされるつもりであるか、その点についての大臣の構想を承りたい。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○田中国務大臣 ココムリストの問題に対しては、全廃をしたいということを先ほど申し述べておるということで御理解をいただきたいと思います。ただ、この中には完全な戦略物資、兵器もございますので、そういうものがどうなるのかというものは、これは日本はそういう意味では全廃に近い基本姿勢で対処しておるということで御理解をいただきたいと思います。  それから対中国の問題でございますが、三十年には二百六十万ドルぐらいしかなかった対中国貿易が、すでに八億九千万ドル余、九億ドルになったわけでございます。ですから、四十二億ドルという中国の総貿易量に占める九億ドルは少ない金額ではない。私は、ことしは十億ドルになるだろう、十億ドルをこすであろうというふうに考えております。そうして、最恵国待遇でありませんので、関税障壁――障壁というよりも基本税率を使っておるというような問題はございます。しかし、こういう問題に対しては、もうすでに五百品目に近い整理が行なわれておりまして、あと残っているものは数品目というようなものでございます。  また、事前許可の問題につきましても、国交がないということでそのようなことをやっておりますが、しかし、事前承認を行なわなければならないリストもだんだんと小さくなっておりまして、いまは五、六品目、六、七品目という状態でございます。ですから、そういう障害除去のために、われわれも全力をあげてまいるつもりでございます。  しかし、中国との問題で残っておりますものは、国内の一次産品業者と競合するものでありまして、これはケネディラウンドによる関税障壁を取り除いた場合に、一次産品と日本の農業がどうなるかという問題と同じ問題を含んでおる問題でございます。しかし、日中貿易の拡大という前提から考えまして、障害となるようなものの除去に対しては前向きに努力を続けてまいる所存であります。

竹本孫一民社党

○竹本委員 当然まだ論議したい点が残っていますけれども、予算の問題その他いよいよ国内経済についてこれから幾つか伺いたいと思います。  まず第一に、十一兆四千七百四億円、修正をされまして二十七億ばかり減ったわけでございますが、十一兆四千六百七十六億、この予算について私はいろいろ批判をしたいと思いましたところが、たまたま読んだこのドラッカーの「断絶の時代」に大体私にかわって言いたいことを言ってくれているから、一口だけひとつ読んでみますが、要するに「政府の病患」ということです。政府は病気だ。「政府の病患」――これは訳のほうですが、「断絶の時代」「政府は強いということより大きいだけ、つまりふとりかえってたるんでいるだけなのだということを明らかにする証拠がいくらでもある。また、多くの成果をあげるわけでもないのに費用だけはたいそうかかるという証拠もたくさんある。市民の政府に対する信頼感がどんどん薄れており、幻滅が高まっていることについても同様である。強力、健全かつ生気にあふれた政府が必要とされているまさにそのときに、政府は病んでいる」これはドラッカーが言っている。私は今度の予算を見ながらも、これは日本の政府の予算を言うために書いたかどうか知りませんが、大体当たっているなというふうに思う。  さらに痛烈なところがいろいろある。「政府についての幻滅の最も大きな要素は、政府が実行しないということにある。」これは政治資金のことをいっているのか、物価問題をいっているのかわかりませんが、とにかくそう書いてある。「幻滅の最も大きな要素は、政府が実行しないということにある。過去三、四十年間の記録はパッとしないものである。政府はわずか二つのことだけ非常に効果的に実行できることを立証した。一つは戦争をすることであり、もう一つは通貨を膨張させることである。その他のことは約束はできるが実行することはわずかである。」云々と書いてある。「しかし最大の失望は、福祉国家が失敗したことである。」ということも書いてある。  これは一般的に論じてわれわれが今度の予算に対して抱いておるイメージとか批判というものと非常に似ておると思うのでありますが、時間がありませんから私はそういう立場、認識、考え方に立ってこれから二、三のことをお伺いしてみようと思います。  まず第一に、総理、これはこの前やはりここでで議論した問題ですが、予算の復活要求劇というものはやめたらどうかということなんです。総理は、この前私がいろいろ、一体予算編成権は政府にあるはずと思うけれども、赤坂プリンスにあるのか、陳情団、圧力団体が動き過ぎるではないかということをまじめに議論をいたしましたときに、総理の御答弁は、いや民主主義の時代は、人の意見を聞き、世論、国民の訴えを聞くのが民主主義であるというふうに言われました。そして、いま日本においては、予算編成については復活要求劇というのがもう、一つの大きな鳴りもの入りのショーになっている。私はこれは間違いだと思うのです。あれからもう一年たちましたが、総理は依然として国民の要求を聞く、それはあたりまえのことだという考えであられるか。私はもし国民の要求を聞くということが必要ならば、当然のことですから、これは日ごろやればいい。何も予算編成のときに限って要求を聞く必要はない。大体、予算編成を中心にしてあの復活要求というものは、私はいま日本の政治が腐敗堕落していることを最も端的に示しておると思うのです。  大蔵大臣にも聞いていただきたいが、たとえば老人の福祉年金が月に二千三百円は少ないから千三百円上げてどうとかいう話が出たときに、まず五百円復活したでしょう。それからまた五百円復活して、合わせて千円復活したわけですね。千円プラスされたわけだ。あれをなぜ二へんにしなければならないかという理由がぼくはわからない。だれが考えても、今日二、三千円、三千円前後のあめ玉代しかない年金では、年金の体をなさないということはわかり切った話だから、福祉国家建設を叫ばれる――ここにもそれは失敗したと書いてありましたけれども、その福祉国家建設のたてまえからいっても、どうしても千三百円ぐらい上げるのはあたりまえだ。かりにこれが予算の都合でどうしても千円しか上げることができないというならば、なぜ初めから千円つけないかということなんです。あれを区切って、五百円だけつけておく。そして復活要求があったら恩に着せてもう五百円出してやる。一体、政府は何をしているのだ。なぜ初めから、千円プラスするならプラスしないか。むだな時間とむだな浪費、むだな要求、むだな陳情、これがためにどれだけ国家のエネルギーが損をしているかわからない。私は、予算編成というものは、ちゃんと一ぺんで、アメリカのように、科学的にPPBSでいくべきだ。第一、政府が、大体総理、これは基本方針をきめるわけでしょう。これからの予算編成について基本方針をきめたら、その基本方針を各省で受けてそして予算編成すればいいんだ  イギリスにおいては、これはひとつ参考のために時間がないから申し上げますが、一九四七年に、あそこの大蔵大臣ヒュー・ダルトンが辞職しました。辞職したのは、彼が閣議に行く前に車に乗るときに、ちょっとうっかりして、自分の知り合いの新聞記者にこう言ったのですね。冗談半分に声をかけて、ウイスキーはこれから多少高くなるだろうし、ビールも一ペニー多く払わなければならなくなりそうだからねと言って話して車に乗った。ところが、それが新聞記者だったものだから、すぐ「スター」という新聞に出ちゃった。イギリスにおきましては、御承知のように大蔵大臣が提案すべき予算、あるいは税もそうですが、それらはその大臣の演説が始まる、赤色のかばんから草稿を取り出して予算を天下に公にする。その瞬間までは最高の機密なんですね。最高の機密、それまでは発表してはいかぬ。それをダルトンが、ちょっとうっかり、たばこが上がるからな、ビールが高くなるからなと言ったばかりに、新聞にすっぱ抜かれたということからダルトンはどうしたかといえば、彼は辞表を出して、下院において、自分はことばの上の不謹慎という重大な罪を犯した、これについて自分は伏して下院のお許しを請わなければならぬと言って辞表を出した。アトリー労働党党首はそれを受け取った。反対党のチャーチルは、あなたのりっぱな人格の潔白を承認するが、しかしあなたの災難であるけれどもこれはやむを得ないと言って、非常に同情する演説までやった。非常にこれは感激美談として残っている。  そういうイギリスの例を考え、アメリカもきわめて科学的に予算編成しておる。全部完全ではないかもしらぬが、そういう努力をしているときに、日本は一体何時代の復活か知らないけれども、毎年毎年、予算編成といえば必ず復活要求。その復活要求は、機密に属する最高の機密どころか、おまえのところの予算は幾らついたぞ、足らなかったらさあいま陳情をやれ、われわれが赤坂プリンスにいて受け取るぞといったような調子で復活要求劇をやっておる。全く時代おくれのナンセンスである。のみならず、これは私は公費をもって私恩を売るということばがありますが、もし悪意がないかもしらぬが、結果においては総理、これは、これだけの予算を復活してやった、これは自民党が復活してやったんだぞ、この次の選挙は頼むぞといったような運動に通ずるかもしれない。私はそういうような意味においても、予算の編成というものはもう少し厳粛にやるべきである。そして、予算というものは、科学的に総合的に編成をして、これは大蔵大臣が国会において出してみんなに公表するまでは、やみ取引みたいな形で出すべきではない。やみにはなりませんが、とにかく陳情団やってこいと言わんばかりに、催促するかのごとくに予算の数字を一々、きょうはこれだけ復活した、二百億、財源全体千百億、何ですか、あれは。こんなふざけた予算編成は私はないと思うが、総理大臣、大蔵大臣のこれについての感想を承りたい。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 いまの予算の編成の方法には、これは十分研究すべき問題がたくさんあろうと思います。まずそのうちの一つとして、前から私どもは努力しておったものでございますが、予算編成のときには、やはり政府の中でよって立つ裏づけの立法というものが研究されて、この法律案ができておるという段階までこぎつけてなかったら、予算編成の準備ができていないということに事実上はなるんではないかと思います。今度の防衛問題でもいろんな問題を起こしましたが、いまの予算編成のしかたによりますと、予算編成のときにはまだ法律案ができていない。したがって、大体編成作業ができてからこれに合わせた立法を国会に出すということでこれが間に合わないことも往往あるというようなことは、予算編成のしかたとしては、やはりこれは相当改善さるべきものであるというので長い間努力いたしましたが、なかなかむずかしい問題で、これは今日に至るまでそう改善されてはおりませんが、それと同じように編成権は政府にあることは間違いございませんし、また議院内閣制でございますので、与党の政策がこの予算に反映しないということは、これは議院内閣制のゆえんではございませんので、どういう形でこれを反映させることがいいかということになりますと、いままでやったような形にならざるを得なかったというのが従来の例でございますが、これにはまだ改善する方法はたくさんあるだろうと思いますので、これは十分研究したいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 大蔵大臣から答えたように、ただいまの予算編成が行なわれておることはこれでよろしいかと思いますけれども、一方で竹本君が御指摘になったようにやはり弊害を伴っておる、またこういうものが厳正に行なわれなければならないが、相当陳情その他によってゆがめられる、こういうようなことがあってはならない。むしろそのほうはその弊害のほうをためるという、そういう姿勢をとらなければならないと思います。私は長いいままでの生活から見まして、吉田総理の場合は、とにかく陳情のあったものは逆に削ったらどうだ、こういうようにまた叱正されたこともございます。私は、とにかくいまの予算編成、いろいろの問題がありますが、民主主義の時代になりますと、これはやはり十分各方面の意見を聞かなければならない。しかしそれに堕する、それにおちいる、また流されるというようなことではならない、これは断固として初心を貫く、こういうことであってほしいと思います。

竹本孫一民社党

○竹本委員 前回よりも総理から非常に前向きの御答弁をいただいたことを高く評価いたします。政党内閣ですから、ことに与党が与党の立場においての要求あるいは考え方が予算にあらわれる、これは当然のことでありまして、私はそういうことをも批判するのじゃないのです。そうではなくて、予算編成の具体的過程において、この団体が陳情したからこれに予算がついた、そういうへたなやみ取引みたいなことは一切許されない。私は念のために――要するに政党内閣でありますからその大臣を通じてやればいい。政党があるんだから、日ごろ政党が庶民の要請というものなり団体の要求をくみ取っていけばいいのですからね。閣議は閣議として厳正にきめてもらう。そして予算編成の過程で、きょうはこれだけ認められたといっては新聞に出して、あした次にだれが来るかといったような催促はやめてもらいたいということ。  そこで、最後にもう一つだけ伺っておきますが、公費をもって私恩を売る、国の予算、国民の税金の予算編成で、党利党略、特定の利害に結びつくというようなことは絶対に避けるべきであると思う。どこどこの駅に急行をとめるといって問題になった大臣もおりますが、いろいろそういう黒いうわさをわれわれは聞いておる。きょうは時間がありませんから申し上げません。しかし、原則として、公費をもって私恩を売るということは絶対に避けるべきことである。厳粛な予算編成をやってもらいたい。重ねて総理の御決意を伺っておきたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいまの竹本君の御意見、私も全面的に賛成でございます。そういう意味で、この上とも一そう引き締めてまいるつもりでございます。

竹本孫一民社党

○竹本委員 次に、円の再切り上げの問題にこれからひとつ入ってまいりたいと思うのですが、その前に、日本のスタグネーション、景気停滞というものがたいへんきびしいものがあると思いますので、そのことをちょっと伺っておきたい。  経済企画庁になるんですか、日本の経済のデフレギャップというものは測定がなかなかむずかしいが、補正予算を組まれた、一兆九千億円の公債を出して十一兆の大型予算を組まれた、これらのことは、要するにデフレギャップを財政主導の形において克服しようということだと思いますが、一体その前提になるデフレギャップはどのぐらいに想定をされておるか、結論と根拠を簡単に聞きたい。

木村俊夫自由民主党経済企画庁長官

○木村国務大臣 いまお話しのとおり、デフレギャップの実態をつかむことはなかなかむずかしい。大体の測定をいたしますと、大まかな数字でごかんべん願いたいのですが、昭和四十六年度のデフレギャップはおよそ六%台、こう見ております。その中で特に四十六年度の下期にデフレギャップが非常に大きくなります。その下期のデフレギャップは大体七・二%ぐらいであろう、こういう測定をしておりますが、その測定の算定根拠と申しますと、お察しのとおり非常にむずかしい数字その他がございますので、もしそれ以上必要であれば、事務当局から御説明いたしたいと思います。

竹本孫一民社党

○竹本委員 これは予算編成の大前提になることですから大いに論議を重ねたいのですけれども、結論を急ぎますが、設備投資一つ見ましても、四十六年はこれは三・二%ですか、ということになる。四十七年について経済企画庁もいろいろ言っておられるが、けさの新聞ですか、日銀あたりでは、四十六年度は大体マイナス一一・一%ぐらいになるのではないかというような数字を発表しておりました。  まあいずれにしましても、この遊休施設というのが非常に大きくて、工作機械のごときは大体五〇%しか動いていない、こういうような状態でございますし、したがって鉄については設備の休戦を五十年までやろうというような動きもあるようでありますから、非常に深刻だ。おまけに企業の収益も大体において八%から一〇%ぐらいは減収であるということになっております。  こういう情勢の中で、輸出をやって景気を回復しようとするのか国内需要でひとつ景気を回復しようとするのか、この点に関する基本的な考え方はどういうことですか。

木村俊夫自由民主党経済企画庁長官

○木村国務大臣 御承知のように、昭和四十年当時の不景気を回復する場合には輸出が主導力になりました。しかしながら、今回の不景気を克服するためには、輸出第一主義ではいろいろ海外の諸要件がございますので、これは対外不均衡のもとにもなりますので、輸出が不景気克服の主導力となり得ないことは御承知のとおりであります。そこで今回の景気の対策の主因といたしましてまず考えられるのは、財政による景気回復でございます。と同時に、民間設備の投資意欲、これを振興するということも大きな眼目でございますので、そのような経済運営でもって景気の回復をはかりたい、こう考えております。

竹本孫一民社党

○竹本委員 大蔵大臣にお伺いしますが、財政による景気回復、財政主導型だということが非常にいわれておる。そこで大幅減税の問題をひとつここで取り上げてみたいと思いますが、一体今度の減税問題は、税制調査会の意見をどの程度取り入れたか、取り入れるつもりであるのか私には理解できない。といいますのは、総理、ちょっとこれは聞いていただきたい。税調は、今回の「所得税についても単なる年内減税の平年度化だけでは必ずしも十分とはいえない。」ということを答申している。「単に財源難だけでは必ずしも減税を行なわない十分な理由とはなりえない。」ということもいっておる。さらに「税制自体の観点からすれば、昭和四十七年度については、政府において、住民税だけでなく所得税についてもその負担軽減のため財源面等で極力努力すべきものと考える。」ということを答申しておる。私は、この税調の考え方はおおむね当を得ておると思う。  特に、この際減税をやると私は一石三鳥ぐらいになると思うのです。減税をやれば、政府も言われている福祉国家建設に向かって、庶民の負担が軽くなって福祉の向上にも役立つことは当然であります。さらに、減税をやればそれが購買力になりますから、庶民の購買力が増加をいたしますならば景気回復にも役立ちます。それで景気を回復することができるならば、私は輸出のドライブが少し減ることによって円の再切り上げの危機を避けることもできると思います。そういうふうに考えれば、減税はいまや一石三鳥である。しかも税調はそのことを深刻に、真剣に政府に答申しておる。それにもかかわらずチューインガム減税とかなんとかいって、前の減税をそのままこちらに平年度に引き写しただけで、それであとは終わりということになっておることはどうも私に納得できないが、その点についてのお考えを承りたい。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 御承知のように、不況対策ということと同時に福祉政策への転換ということの二つを主眼とした予算編成をやっておるわけでございますので、したがって、そういう面から見ますというと減税の効果というものは当然考えられますし、それと並行して今度は社会保障の給付を多くするという社会保障面の強化ということの効果と、もう一つは、何といっても浮揚力を経済に与える効果としては、減税やそこらの問題よりもまだ有効需要関係のためには公共事業が一番効果を持つわけでございますので、公共事業の拡充、この三つの組み合わせを考えて、これを勘案してきめるということになりますというと、すでにいままでの例から見ましても、自然増と減税の関係をずっと見ましても、従来は、たとえば昨年、四十六年の減税を見ますれば、当初において千六百億円の減税をしているということから見ますというと、今度早目にやった昭和四十七年度のための減税が二千五百億円以上の効果を持っておるということでございますので、従来の所得税の減税に比べてこれはそう幅の狭いものではございません。したがって、これを追加するかそれよりも社会保障費の増強をするかということになると、どうしても今回は社会保障費の増強ということに力を入れざるを得ないというような三つの関係からきめたものでございまして、私は、予算編成の目的は二つございましたために、こういうあんばいのしかたをしたということに御理解を願いたいと思います。

竹本孫一民社党

○竹本委員 私が伺っておるのは、自民党の中にも五千億減税をやれという意見が確かにある。また財界その他経済界にある。税調もいっておる。一体税調なんというものがこんなに大事な柱を立ててちゃんと答申をしておるのに、都合のいいところはつかみ食いで取るけれども、そういうところはほとんど無視されておるという理由がわからないということを言って、この点を非常に残念に思うわけでございます。  時間の関係でひとつ先へ参りますが、中小企業の事業主報酬について、先般、私は政府に質問書を出しました。そしたら返事が参りました。しかし、これはおそらくまた政府お得意の官僚作文だろうと思うのです。政治的センスというものは全くない。それで総理の政治的判断に訴えて二、三の質問をしてみたいのですが、五十五万人の法人の青色申告の総連合の方々が事業主報酬についての陳情をやってきておる、そういう事実も現にあるわけでございますが、中小企業庁においても経営の近代化ということでお店と台所とは分けなければいかぬということで、それをひとつ分けて考えるようにという指導をしておられる。これは当然のことなんです。ところが個人企業というのは、そのお店に関する限りにおいては一つの事業体なんですね。台所のほうからいえば一つの労働者、勤労者なんです。中小企業というものは、総理よく御存じのように一人二役なんですよ。ところが、これはひとつ皆さんによく理解していただきたいと思うのですけれども、日本ではマルクス主義に反対する立場の人でさえもマルクスの思想の汚染を受けておりまして、大体経済界は資本家と労働者、プロレタリアとブルジョアと二つしかないという大前提に立ってとかく議論をするのです。しかし、日本の経済の実態は大体中小企業が中心なんだ。八割、九割は中小企業なんです。その中小企業のまた大部分は経営者であり、かつ労働者だ。労働基準法に反してまでおやじは一生懸命働いておるというのが実態なんです。そこで税法においても大資本とプロレタリア、労働者というような考え方だけではなくて、日本には中間層に大きな中小企業があるんだぞということを前提にした税法を考えなければいかぬと思うのです。ところが日本においては、税法上は中小企業がないのですよ。いいですか、ここが大事なんです。税法上は中小企業に対応する税制はないのです。資本の事業経営についての税金はありますよ。労働者の勤労所得に対する勤労控除その他の税制はありますよ。中小企業向けの中小企業税法というものが一体どこにあるかということを私は問題にするわけです。特にアメリカにおきましても自己雇用経営といって個人経営の重要性を認めておるし、概念上もはっきり認めておるのに、日本ではこれが税法上まだ認められていない。  結論から申し上げますが、青色申告の事業主報酬は、これは給与所得として源泉徴収をすることにしたらよろしい。青色申告者は、事業主報酬を差し引いた残りの企業利益を事業主所得として、事業主報酬と合算所得にしたらよろしい。要するに中小企業の実態に即して税法を考え直さなければいけない。青色でない白色申告については、一定額のところまでは勤労所得として特別勤労控除を認めるというような方法しかちょっとないと思いますが、いずれにしてもそういう形で中小企業に向いたような税制、中小企業の現実に即した税制を考えなければならぬのに、私が質問書を出しても、政府の答弁は依然として日本に中小企業があるかないかわからないような答弁だ。こんなふまじめな答弁はないと思うのです。これは役人の書いた文章だ。私が伺いたいのは、政治家として、また日本の政治の現実に立って、中小企業税制をどうするかという問題なんです。ところが答弁書によりますと、「本来、事業所得は資産から生ずる部分と勤労から生ずる部分とが合計されたものと観念されているのではなく、資産と勤労とが一体となって生じた所得であって、これを区分することのできないものなのである。」こう書いてある。一体となっておることは私も知っていますよ、一人でやっているのだから。しかし、税法上は――働く中小企業のおやじさんは朝から額に汗して働いておる。労働者以上に働いておる。そういう労働の面と事業経営者としての面と、二つを持っておるではないか。その二つに即したように税法の取り扱いを考えなさい。因数分解をして、分けて考えることができるではないかというのです。それを何ですか、この答弁は。「一体となって生じた所得であって、これを区分することのできない」というのは。私が言っておるのは、二つの機能があるのだから、二つのファンクションに応じて税制を考えなさいといって、区分し得るのだ、概念上は区分し得るということを第一に指摘したのに、一体であるという返事がきておる。そんなこと、私は聞いておるのじゃない。  次にもう一つ、これはあわせてあとで答弁受けますが、法人について法人成りというのを――中小企業は税金が大きいから、法人になると会社の社長、重役の報酬が認められますから、法人成りというのをやるわけです。そうすると税金が軽くなる。それについてこう書いてある。「両者について全く同一の税負担を期することが困難であることはいわば当然の結果であると考えられる。」これもおかしい。両者について同一の税負担を期することが必要なんでしょう、性質からいえば。法人になったかならぬかで、めちゃくちゃ税金の差のあることが政治の判断としておかしいのであって、期することが当然なんですよ。それを「困難であることはいわば当然の結果である」といばったようなことが書いてあるけれども、こんなばかな返事がありますか。中小企業に対して――たとえば、これはいまの農地の宅地並み課税の問題と同じです。線を引いたから農地があしたから宅地になる、これもおかしいでしょう、実態に合わないのですから。線を引いたら重税をかける。これが法人になるという線を引いたら、今度税金が軽くなる。線一本で税金がばかにふえたり、ばかに減ったりするのはおかしい。大体実態に即して、所得に即し担税力に即して税というものは公平に取らなければならぬのに、それが当然区別されて、そんなことは困難だから差があるのは当然とは一体どういう意味ですか。差をなくすることが政治の課題ではないか。この点について伺いたい。  次に、「報酬を支払う者と受ける者とは同一人たる事業主であって経済的実態には何ら変わるところはないにもかかわらず、報酬を支払うという擬制をとることによって税負担だけを変動させようというものに過ぎない。」と私の質問を批判しておられるが、これは先ほど言った点なんです。擬制をとることによって、われわれはたとえば総理大臣が農林大臣を兼任することだってあり得ることだ、そして総理大臣が農林大臣に協議することだってあり得ることだ、そういうことは法律観念からいえば二重人格になり三重人格になることは当然のこと、日常茶飯事ですよ。それならば中小企業は経営者になり労働者になる。アメリカでいえば自己雇用経営、こう言っているのですからね。少しアメリカのいいところも見習ったらいいだろう、つまらぬところを見習わなくて。アメリカでは自己経営、自己労働、自己雇用経営、こう言っているのですから、雇用者になったり雇用される者になったりするということはアメリカだって認めている。日本の税法においてもそれを認めなさいということを言っている。同一人であっても実態に変わるところはないけれども、しかし、これは経営者としての手腕と力量を発揮する分野である。これは額に汗を流した勤労性所得である。二つに分けて考える。それは擬制でも何でもない。むしろこれが実態なんですよ。ところが政府は、法人実在説というときには擬制説をとって、中小企業のときには今度擬制をとってはならぬとかなんとかいって、税を結果として重く課すということは私に理解できない、そういう意味で。この答弁書はどこかのお役人がお書きになった答弁だと思うけれども、私が求めているものはそんな次元の低いことではなくて、高い次元において、日本の中小企業がこんなに多いという実情に即して、資本家と労働者だけではないのだ、資本家兼労働者という自己雇用経営というのが日本にもあるのだ、特に多いのだ、それに即応した税制を考えるべきであると思うが、総理大臣の政治判断を伺いたいのです。  特にここに書いてある答弁書には、いろいろ私の言ったこと、質問書を全部否定しておいて、最後に、しかし「政府としては、従来から、」云々とか言って、「この際中小企業税制のあり方の問題についてあらゆる観点から根本的な検討を行なう必要があると考えており、」全部否定しておいて、最後になって「根本的な検討を行なう必要がある」とは一体どういうことだ。精神分裂だ。これは少し。どういうわけだ。  さらに具体的に伺いたいが、「今後税制調査会にも十分審議をお願いし、できるだけ早い機会に結論を得たいと考えている。」と書いてあるが、一体できるだけ早い機会というのは四十七年度中に結論を出して実行するという意味か、少なくとも四十八年には実行するという意味であるか、このできるだけ早い機会ということの内容も聞きたい。  以上であります。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 この政府の答弁書はいまおっしゃられたとおりで、税制調査会にも審議をお願いして、できるだけ早い機会に結論を得たいと思っておりますが、この問題はいままで過去何年もかかってなかなかむずかしい問題でございましたので、とりあえず昨年度から青色事業主の特別準備金というようなもので一時しのぎの制度をつくってあるということで、本年も引き続き検討いたしましたが、やはりこれはもう総合的に検討し直す以外にはないということで、本年も間に合いませんでしたので、青色申告控除というような昨年とった暫定的な制度を改善するという程度に本年はとどめたわけでございます。しかし、いずれにしましても法人、個人を通ずる企業の税負担のバランスの問題、それからもう一つは、他方において給与所得者の税負担との関連の問題、この三つがからんでいる問題でございまして、一つだけ簡単に税制として割り切れない問題がございますので、これは総合的に全部を検討し直してこの解決をはかるよりほかしかたがないと思いますので、税制調査会にこの問題はやはり取り組んでもらうというよりほかに、これはなかなか、私はこれからお願いしますが、今年暮れまでにはたして結論が出るかどうか私はわからないと思います。四十八年度の実現ということはお約束できませんが、できるだけ早くこれは検討するようにお願いしたいと思っております。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいま大蔵大臣からお答えをいたしたとおり、私はもっと、事務的でなしに、この問題は積極的に取り組むべき問題だろう、先ほど来のお話を聞いていると、どうも税の問題で、その経営形態いかんで非常な幸不幸がある、かような事態があってはならないと思いますので、これは早急にこの問題を検討していただくというか、税制調査会にもさような意味で急いで結論を出してもらうように、私からもお願いしたいと思います。

竹本孫一民社党

○竹本委員 ぜひ総理御答弁のように、これは早急に結論を出していただきたい。いいですか。私は繰り返しますけれども、マルクスの資本論みたように大資本家と労働者だけではないのだから、日本の経済社会の現実に即した税制を考える一つとしてこれを考えてもらいたいし、また中小企業にとっては、特に零細企業にとってはまことに深刻な問題で、中小企業の指導に近代化を通産大臣が幾らやってみても、税法から攻め立てるような今日のようなやり方ではだめなんですよ。だからこれは早急にということを、ほんとうの意味で早急にお願いをしたいと思います。  次へ参ります。  時間があまりありませんから、それではついでに中小企業の立場からも、ひとつ銀行のあり方について私はお伺いしておきたい、  最近、例の郵便局の融資問題が出てまいりまして、これがだいぶトピックスになってまいりましたが、これはなかなかむずかしい問題であると思います。郵政大臣の御意見も伺いたいのでありますけれども、私も、これは大蔵省当局のほうには反対の意見がある、これもよくわかります。たとえば、二万からある郵便局の審査能力が、貸し付けをやる場合にはたしてどれだけあるだろうかというような問題についても考慮をしなければならぬでしょう。また金融を将来引き締めるといったような場合に、郵便局が一つの別ワクになっておるために日本の金融政策がうまく機能しないといったような心配もあることでありましょう。しかしながら、郵政大臣がこの問題を取り上げられてからというものは、非常に各方面にいろいろのセンセーションを起こしておる。一番大きなショックを受けたのは私は銀行であろうと思うが、銀行のほうもあわてまして庶民金融を考える。大体銀行というのは、私はいつかも総理に御質問をいたしましたけれども、これはマスター・オフ・サーバントと私はあのとき言いましたですね。とにかく経済界のマスターになってはいけないのだ、日本国民経済にサーバントとして、召使としてサービスをするという機能を金融機関というものは持たなければならぬと思いますが、なかなかそうなっていない。時間がありませんからきょうは申し上げませんが、たとえば中小企業は、日本の生産の少なくとも五割は持っておる。輸出も五割から六割持っておる。そういうときに、一番最近の数字で見ても、全金融機関が中小企業のためにまかなっている分野、シェアは四六%です。最も悪いのは、都市銀行のごときは二五%、全国銀行で一二%ぐらいです。でありますから、中小企業というものは大体景気がよくても悪くても不渡り手形を出さなければならぬように、数学的必然がちゃんとここにあるのです。エネルギーは、生産を五割担当すれば原料も五割要る、五割原料を買うには金も五割要るのにかかわらず、金のほうは都市銀行の場合には二五%である、その他でも三一%だ、全部合わせてみても四六%だ。こういうことではとにかく金融難で中小企業が困る。大体、日本の経済の二重構造がよく言われますけれども、一番大きな二重構造は金融の二重構造であるということを、もう少しこれはわれわれは認識しなければならぬと思うのです。金融の二重構造。金融はそういう意味で二重構造になっておる。しかも総理御存じかどうか知りませんが、一体金融機関の利益というものはこんなに膨大であってよろしいかどうかということについても、私は疑問を持っておる。一々名前は申しませんが、大体いまはおもな銀行は月に二十億円もうけておるのですよ、月に二十億円。半期百三十七億円だとか百三十億円だとか百二十一億円だという銀行が三つもある。その他一々名前をあげればきりがありませんが、人の金を右から左へ回しておるだけで、金融資本、銀行という立場だけで月に二十億円の利益をあげるということを、一体政府はいつまで許しておくつもりであるか、これが一つ伺いたい。  次に、中小企業に対して、受け持ちの分野に見合うだけの金融は当然政府がめんどう見るべきだ。五〇%生産しているものに対して、あるいは四〇%、あるいは二五%しかめんどう見ないということになれば、中小企業が金融に行き詰まるのはきわめて当然ではないか。金融の二重構造を打破するために、政府は一体どういう考えを持っておられるか。  三番目には、これは郵政大臣に郵政省のお考えを承るのですが、それに関連して、一体大蔵大臣はこの問題についてはどういうお考えでおられるのか。虚をつかれたような形で、庶民のめんどうを見ることが足らない、その矛盾の虚をつかれて、郵便局の融資の問題が取り上げられてきておる。そうしますと、銀行のほうはあわてまして、これから庶民金融を大いにやりますといっていま騒いでおるが、そして、従来その点について先見の明が少しあった横浜銀行のごときは、ほかの銀行からまたいろいろと批判も受けておるというニュースもありますが、とにかく企業に対して、特に中小企業に対して、また一般庶民に対して、いまの銀行のあり方というものは根本的に問題があると思いますので、以上、まず最初に郵政大臣からお考えを承り、これに対する大蔵大臣のお考え、並びに金融機関の姿勢の問題として、そのあり方についての総理の御見解を承りたいと思います。

廣瀬正雄自由民主党郵政大臣

○廣瀬国務大臣 郵政省におきましては、ただいま郵便貯金の預金者への個人貸し付け、つまり郵便貯金を担保といたしまして、預貯金の預入者に生活資金を貸し付ける。つまり日常の生活におきまして、病人ができましてその薬代でありますとか、あるいは家族に新しく入学する者ができてその入学資金でありますとか、また家屋の修繕をやるというようなために不時の入費が出てきたという場合に、その足しになるというようなお金を郵便貯金の預入者に貸し付けたい。これは、私どもで考えておりますのはきわめて少規模のものでございまして、金額におきましても、郵政省は三十万円ということを申しておったのでありますけれども、党内におきましては、むしろ増額しろというよりも逆でございまして、金額を小さく、十万円程度にして、たくさんの者に貸し付けるようにというような御意見のようでございます。期間は六カ月程度を考えておりますが。金利は六分というようなことに考えて、要綱を大蔵省のほうにも送っておりますわけでございます。  先生御承知のように、郵便局におきましては、郵便貯金のほかに簡易保険をやっておるわけでございますが、この簡易保険におきましては、もうすでに簡易保険の契約者に対しまして、個人貸し付けを数十年前から実施いたしておるのでありまして、つまり保険料の払い込みの範囲内で個人の不時の入費の場合に貸し付けるという道を開いておりまして、これはすでに五十年程度の実績をあげております。  こういうように、郵便局は窓口において個人の貸し付けの経験もございますし、事新しいものではないのでございます。また、今度考えております郵便貯金の貸し付けは、通帳によってすぐに貸し付ける、預金の範囲内で貸し付けるわけでございますから、別に特別の審査も必要としないというようなことで考えております。  まあ世界各国、政府が郵便貯金をやっておりますところは、ほとんど全部貸し付けもやっておりますし、また公共的な事業として貯蓄銀行をやっておりますところは、これまたほとんど全部貸し付けもやっておりますような実情でございまして、わが国におきましても、すでに昭和三十七年以来四回にわたりまして衆参両院で、衆議院が三回、参議院が一回でございますけれども、この郵便貯金の個人貸し付けはやるべきだ、検討しろというような激励もいただいておるわけでございますが、申すまでもなく日本は、従来、産業資金の融資の制度については相当充実したものがあったと思いますけれども、個人の生活資金については、どうもあまり道が広くなかったと思うのでございまして、そういう方面に寄与いたしたい。  また、ただいまでは、産業よりも人間、経済よりも福祉というようなことをいわれておりまする時代でございますから、そういうような時世の要望にもこたえたいということで、私ども構想を発表し、また要綱を発表しましたところ、たいへん受けておりますわけでございます。  御推察のように、いろいろ各方面から反対の御意見も聞くようでございます。これは十分傾聴しなければならないと思っておりますが、どうも私ども、その反対の御意見にはうなずくことができないことが多いようでございます。たとえば、郵便貯金は財投の非常に重要な使命を持っておるじゃないかということでございまして、これは当然でございます。財投の三割八分は郵便貯金によってになっておりますわけでございますが、しかし、毎年郵便貯金から財投に入れます金は大体二兆円程度でありまして、その一%の二百億円程度を全国の貸し出し限度にいたしたい。それは少な過ぎる、三分、四分、五分程度にしろという御意見もございます。これは検討中でございますけれども、まあ一分が三分ということになっても、まあ九十数%は財投に入るわけでございまして、私は財投には影響はない、こういうように思っております。  それから金融業者、民間の金融業者が反対をいたしておりますことは御指摘のとおりでございますけれども、私どものねらっておりますのは、金融業者がやるべくしてやらなかった、最低と申しますか、庶民階層の生活資金、こういう方面に全然貸してくれないというのが従来の実態であったと思うのでございます。そういうブランクを埋めたい。最近、だんだんそういう方面に着眼して、やりたいということを申しておるようでございますが、銀行がお始めになってもけっこうだと思いますし、郵便局と両々相まって、お互いに補完し合って庶民の生活資金の金融の道を進めていくということが、当今といたしまして必要ではないか、こういうように考えて、ぜひ御激励のとおりやりたいと思っております。十分促進いたしたいと思っております。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 銀行の、金融機関のあり方でございますが、御承知のとおり、もっと庶民金融に積極的でなければならなかったと思います。いま私どもが資料で調べた範囲におきますと、大体庶民金融といわれるものは、都銀、地銀、相銀、信金という機関合計で大体三兆円ぐらいで、総貸し出しの六%という程度であろうと思います。六%の比重は非常に少ないものでございますが、昭和四十三年ごろの統計から見ますというと、非常なテンポで伸びてきておることは確かでございます。その伸びているうちで総貸し出しの比率は、大きい銀行ほど比率が少なくて、これはまあ当然でございますが、都銀よりも地銀、地銀よりも相銀、相銀よりも信金というふうにパーセントが上がっておりまして、信用金庫あたりは相当、貸し出しの十何%ということになっておりますので、そこで、いままでできなかったこういうものが、この金融緩慢の情勢に即して、各金融機関がこういうほうにもっと積極的な態勢を示そう、ことにこの雑金融機関といわれる金融機関が一生懸命であり、また農協及び労働金庫まで一生懸命にこの方面の問題をやっておる。傾向としてはそういうところへきておるときに、この郵便局問題が起こったことは事実でございますが、これはそのこと自体は決して悪いことではございません。問題は機構の問題であろうと私は思います。  御承知のように、郵便局というものは国民に簡易、安全な貯蓄手段を提供するということを目的として現在まで運営されてきたものでございまして、いわば国民の金庫ということで、必要な金は同時に引き出して使うことができる、そうして貸し付けはしないという性格のものとして今日まで役割りを果たさせてきましたから、したがって、他の金融機関とは違った特別の優遇措置というものを郵便局に与えておるということと、もう一つは、政府の金融機関は、貯金の受け入れというものと貸し出しというものを厳格に分けて経営しておる、そうして一般民間の金融機関との調和をはかっておる。こういうことで大体金融機構が定着して今日に来ておるというときに、この郵便局に貸し出しの業務を与えるかということは、そういうものとのいろいろなバランスの問題で、これをどう調整するかにいい方法があるのなら、これは決して悪いことじゃない、こう思いますが、そういう根本的な問題を含んでおりますので、これはいま私のほうの与党でも、十分そういう問題を検討してから結論を出さぬといけないというので、政調の各機関でもこの問題はいま検討してもらっているところですし、私のほうでもこの問題をいま検討をしているところでございまして、まだ結論は出ません。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいま大蔵大臣並びに郵政大臣から、郵便局の貸し付けの問題についてお話がありました。私は事態の性格をやはり分類してみるべきじゃないだろうか、かように思います。  ただいまの庶民金融、これは大事なことでございますから、庶民金融が円滑にまんべんなく行なわれておるかどうか。金融の貸し付けという問題が非常に大企業に偏在するとか、こういうことがあって、いわゆる国民一般のめんどうが十分見られていないという、そういう点があれば、これは私どもも率直に、その点にあたたかい救済の手が及ぶようにしなければならないと思います。  もう一つは、金融機関、その場合に国のもの、あるいはまた市中、地方、信金等のそれぞれの銀行機能がございますから、そういうものの分類がはたしてそれぞれの分野を保つ、こういうような意味合いで分類ができるかどうか、それは別の問題として考うべきではないだろうか、私しろうとなりにさように考えております。  要は庶民金融、これが大企業と区別されて虐待されるというようなことがあってはならない。おそらく竹本君の御指摘もそういう点であろうかと思いますので、そういう点について十分の思いをいたす、ひとつそういう意味でいましばらく時間をかしていただきたい、これをお願いしておきます。

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 これにて竹本君の質疑は終了いたしました。  次に、細谷治嘉君。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 私は主として税財政問題、特に国と地方との関係、そういう問題について、なお時間がありましたら、若干公害問題等について質問をいたしたいと思います。   〔委員長退席、田中(龍)委員長代理着席〕  最初に、渡海自治大臣に御質問いたしますが、この予算委員会の冒頭、私どもの辻原理事から議事進行に関連して、いわゆる国の財政、予算と密接不可分の関係を持っておる、言いますならば、国の審議しております一般会計予算の半分以上が、国庫支出金あるいは負担金として出ていっておる地方の財政の問題、それを端的に表現しております地方財政計画というものを、国の予算と一緒に出してくれなければ審議できないじゃないかと、こういうことがありまして、いつ出すのか、こういう辻原理事からのお尋ねに対して、できるだけ早くと、こういう答弁でありましたが、事実は、二月の十八日閣議の了承があって、この予算委員の手元に届いたのはきょうであります。  そういうことになりますと、今度は例の四次防の問題で審議が空白の時間があったから、たまたまこの私の質問にも間に合いましたけれども、国の予算がきまってから、地方財政計画は十八日閣議で了承を受けたので三十七日間あるわけですよ。どうしてこんなにかかるのか。大体国から交付税がいく、補助金がいく、そういうものを集約してあらかじめ準備しておるわけでありますから、そういうものをまとめれば、地方財政計画というのは、少なくとも国の予算がきまりましたら、一週間か十日で出せるはずです。出せないのは、私は、地方財政が全部国の予算のしりぬぐいをしているようなかっこうで、ごみ箱をさらうようなかっこうをやっているからではないかと、こう思うのであります。ことしはそういう事情でありますが、この地方財政計画というのがなければ予算の審議はできないと言っても過言でないと思うのでありますが、そして私はできることだと思うのであります。これについて、ことしはそういうことでありますが、昨年はどうかといいますと、十二月の二十九日に国の予算がきまりまして、地方財政計画が出たのは二月三日でありますから、四十一日かかっているわけですよ。今度は三十七日ですから、努力のあとは認められますけれども、これではだめだと思うのであります。今後一体どうするのか、冒頭ひとつお伺いしておきたいと思います。

渡海元三郎自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○渡海国務大臣 細谷委員御承知のとおり、国の予算がきまりましてから各省におきますところの事業の振り当てあるいは各省における施策の割り当て等、国の予算がきまりましてから後において、地方財政的に盛らるべき各省の措置が見当がつきましてから、初めて地方財政計画というものを立てておるのが現状の姿でございます。そういった姿におきまして、各省庁にも御協力を賜わりまして、本年度、当委員会で辻原委員の御要望に答えましたとおりの二月十八日の閣議了承の線に持っていかさしていただいた次第でございまして、現在の地方財政計画の立て方、それに対する事務処理ということから考えまして、その程度の日時の要することは御了承賜わりたいと思いますが、予算審議にあたりまして、地方財政計画と国の予算がともに出ることによって、初めて十分の予算審議ができるという細谷委員の御指摘、まことにごもっともでございますので、今後ともに極力その差が縮まりますように努力さしていただきたい、このように考えますので、御了承賜わりたいと存じます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 いまの御答弁では、これは来年もどうなることか保証できない。総理、来年もやっておるかどうかわかりませんけれども、これはかつて福田大蔵大臣時代に、国の財政と地方財政というのは車の両輪だ。車の両輪なら、片輪ばかりで走らせるなんということはできないわけですから、少なくとも、予算の総括質問が済むのじゃなくて、総括質問が始まるまでには、来年度からは地方財政計画を出しますと、少なくとも骨組みははっきりするわけですから、そういうことをここではっきりお約束いただきたいと思います。いかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいまの細谷君の御意見は、私しろうとなりに聞いておりましてしごくごもっともだと思います。またそういう意味からも、自治省におきましても、いままでのようなことでなしに早急に、急いで資料を提出することだと思いますが、ただいま、ただ早く早くというだけでなしに、ただいま言われるように、とにかく予算審議が始まる前にそういうものを出せ、こういうことのほうが非常にはっきりしていていいのじゃないだろうかと、かように私は思います。どうも、自治省には自治省なりにそのでき上がりについてのいろいろの問題があるようでありますから、ただいまのような基本的な考え方に立ちましても、そのとおり案外やれないかもわからぬと私は思います。思いますが、そうあるべきものだと、かように私は思いますので、その点、しろうとらしい説明でございますが、考え方を申し上げておきたいと思います。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 総理に、少なくとも、地方財政計画の完成したものでないにしても、その骨組みというのは、国の予算がきまりますときまってくるわけでありますから、予算の総括質問が始まるまでには出していただくということを、強く要望しておきたいと思います。  その次に質問いたしたいことは、今度の十一兆四千億という一般会計予算、その中に一兆九千五百億という建設国債、こういうものが計入をされております。そこで、この経過については、与党の有力な人が、いや、もう国債は赤字国債でもけっこうだから、二兆五千億出したらどうだ、あるいは三兆円出したらどうだ、財界は四兆円くらい出してやれと、こういうようなこともありましたが、水田大蔵大臣は、昨年の秋ごろは、どうも予算規模は十一兆を割らなければならぬと、かなり国債を押えるようなことを言っておったかと思いますと、だんだん予算編成期に、暮れが近づいてくるに従ってだんだんつり上げていった。そうして従来と変わった形で、建設国債のワクはこれだけありますから、このワクで一兆九千五百億を出したのだ、こういうことであります。申すまでもなく、ことしは官庁営繕費とか福祉施設とか、そういうものをワクを広げまして、そうして、大蔵省にお聞きいたしますと、建設国債の対象になるワクが二兆一千百三十億円ある、だからそのワク内だということでありますけれども、この国債問題というのが四十一年に取り上げられた、そして財政法四条の規定が設けられたころ、そういうものから比べていきますと、非常な大きな変遷、場当たり、そういうような形で建設国債という名の国債が取り入れられた。これはこの予算委員会でも問題になったとおりであります。  こういうことからいって、建設国債というけれども歯どめがないのだ。来年あたりになったら、軍艦をつくるということまでもこれは建設国債の対象になるんじゃないか、こういうふうに憂慮しておる学者などもおります。この建設国債という名で一発九千五百億、予算の一七鬼に相当するような膨大な国債を計上したわけでありますけれども、一体歯どめがあるのですかないのですか、歯どめになるのですかならないのですか、お尋ねをいたします。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 財政法自身が、私はいまりっぱに国債発行については歯どめになっておると思います。したがって、この財政法に従って、その範囲内で国債発行額をおさめることがいいということから、この際公債の大幅増発というような議論、要望も非常に多うございましたが、財政法の許す範囲内におさめたというのが今度の国債の発行でございます。で、この建設公債の対象になる経費は、四十一年のときに、すでにこのときにはっきりと総則できめれればよかったのですが、あのときにはきめてございませんが、そのときすでに当時の大蔵大臣から、官庁営繕費というようなものも当然これは、将来国家、国民の財産として残って、その利益を国民が享受することができるし、回り回ってこれが経済に貢献するというものである以上は、これも対象経費になっていいんだというようなことを、あのときすでに言われておったものでございますが、それは四十一年の公債発行のときには、これが対象経費になっていませんでしたので、今回検討して、当時対象になっていいと言われたようなものを二つばかり取り入れたというだけでございまして、別に方針を変えたわけではございませんし、この対象内で、対象となる経費の範囲内で公債の発行をしたということで、この財政法の規定それ自身が、公債発行についてのりっぱな歯どめになっておると思います。  もう一つの歯どめは、これを日銀引き受けにするかどうかというような問題もございますが、これはもう絶対にそうしないで、市中消化を原則とする、市中消化によって公債の消化をするんだという、これは変えないという、この二つの原則が何よりも有効な歯どめであると思います。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 大蔵大臣は財政法四条、五条の規定がりっぱな歯どめだとこう言っておるわけでありますけれども、財政法が二十二年に制定されましてから、この公共事業対象あるいはそれの関連費と、こういう形であげられておる内容というのは、幾たびか変遷してきておるわけですよ。そしてきわめて御都合主義に、ことしは二兆一千億程度の建設国債のワクだというものが二つばかり追加して、農業構造改善事業なども入れるというのですが、それははずしてできたわけです。ですからどなたも、このままいきますと財政法四条は形骸化してしまうだろう、こういうふうなことを憂慮しております。  大蔵大臣は、この予算委員会の冒頭で、大体今度の国債発行でも、諸外国に比べると国債による負担というのはまだ少ないから、財政硬直化の要因にはならないんだ、こう言っていますけれども、財政硬直化の最大要因であることは、四十一年に本格的に公債政策に踏み切ってから、四十二年には大蔵省が大騒ぎした経過からいっても、これはたいへんな問題。そうして財政審は、国債というのは五%以下に押えるべきだという勧告までしたいきさつがございます。そこでお尋ねいたしますが、今度のワクについては、対象事業については問題がありますけれども、今後はこれ以上建設国債というワクは広げない、こういうことをお約束できますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 大体検討の結果、広げるものとして適切な対象はもうないと私は思います。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 検討の結果もうないというのですから、来年になったら、検討したらまた出てきたということになるのですよ。これはいままでの経過からいって、これをやりましたらもう歯どめになりませんよ。四条の形骸化ですよ。ですから、それはいろいろ検討をしたが、これがもう最大のワクなんだ、このくらいはっきりいただかなければ、どなたも信用できないと思うのです。いかがですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 そのとおりです。農業の基盤整備費というようなものも、これは昭和四十年のときに一緒に検討されてあった問題でございますが、やはりこれは今回は不適当だといって採用しませんでしたが、まあここらが検討し得る最後の対象ではないかと思っております。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 この国債の問題についてはいろいろ議論したい点がありますけれども、時間の関係もありますから、これが最大のワクだという大蔵大臣のおことばでありますから、それを確認して次に移りたいと思います。  今度の四十七年度予算の目的というのは、一つには景気を浮揚させるんだ。もう一つは、いままでのいわゆる産業基盤あるいは産業優先、輸出第一主義という、そういう予算の編成を抜本的に改めて、福祉政策というものを財政主導型でやっていくんだ、そういう二つの目的を掲げた、こういうことであります。そこで私は、まず経済企画庁長官にお尋ねをいたしたいのであります。  最近たいへん新聞をにぎわしている問題は、一体四十七年度は国際収支はどうなるのか、こういうことで、あとでそれぞれの大臣にもお尋ねいたしたいのでありますけれども、この「昭和四十七年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」、こういうものを拝見いたしますと、「長期資本収支については、」云々と書いて、「四十七年度の基礎的収支は二十七億ドル程度の黒字となるものと見込まれる。」そこで私はお尋ねいたしたいのでありますけれども、今日までの事情で、けさの新聞によりますと、先ほど通産大臣が答えたように、外貨が百六十四億ドルたまったわけですね。二月の間に五億二千万ドル外貨がふえたわけですね。それで、本年末あるいは四十七年度末には、一体ドルはどの程度になるのですか。これは明確じゃないんですよ。今後景気が浮揚いたしますと大体輸入がふえてくるからうまくいくだろう、貿易の輸出輸入では七十一億五千万ドルの黒字――これにも書いてありますように、こう見込んでおるわけですけれども、そんなところでおさまらないんじゃないか、こういうことが憂慮されております。いかがですかこの見通し、経済企画庁長官。

木村俊夫自由民主党経済企画庁長官

○木村国務大臣 国際収支という面では、私ども、昭和四十六年度及び昭和四十七年度の見通しをいま御指摘のように見ておりますが、ただ問題は、その国際収支によって生ずる外貨準備高、これがいま百六十億ドルとか、あるいは昭和四十七年度には二百億ドルに達するであろう、こういろいろ報道されております。そういう見込みが出ておりますが、しかし、これは御承知のとおり、外国為替銀行の資金ポジションの変化等がございますので、国際収支の面からして一体どのように外貨準備高がふえるであろうかということは正確に予測しがたいということは、もう御承知のとおりでございます。  しかしながら、国際収支自体といたしましては、私どもは率直に申しまして、昭和四十七年度でそう大きく改善されることはなかなか不可能ではないか。したがいまして、もうすでに西ドイツのマルク切り上げのときにも経験いたしましたとおり、またOECDの事務当局すらも、通貨調整によって国際収支がある大きな改善と申しますか、そういう変化を受けるのはどうしてもやはり一年ないし一年半の経過が必要であるというようなことが定説になっております。そういう面から見ますと、国際収支を改善すること自体は相当私は時間がかかると思いますが、それによって生ずる外貨準備高というものは、いま申し上げましたとおり、外国為替銀行の資金ポジションがいろいろ変化いたしますので、その要因によって、いま的確にこれを見通すことは非常に困難であるということを申し上げざるを得ないと思います。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 総理は、一月十八日に記者会見か何かで、円の切り上げ幅一六・八八%というのは不足だった、こういうふうに語られたわけですね。そこで一月二十日の日に竹下長官は、総理のことばはことば足らずであって、百年先はともかくとして、円の再切り上げはないと――百年先ですよ。こう官房長官は言っておるわけです。ところが田中通産大臣は、一月十九日に日本生産性本部で演説をされまして、四十七年度末の外貨準備高は現在の百五十億ドル――当時百五十億ドルで、二月末には百六十四億ドルです。百五十億ドルから百八十億ドルないし二百億ドルの規模に達しよう、こういうふうに言われまして、その後田中通産大臣は、せっかく持った外貨だからこれを有効に活用したらどうかということで大蔵省に話を持ちかけておるけれども、その話がうまくいかぬとけさの新聞等にも出ておりました。田中通産大臣、四十七年度の外貨の見通し、これはこのとき語られた見通しと変わっておりませんか。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○田中国務大臣 正確な申しようは、いま木村経済企画庁長官が述べたことでいいと思います。私が述べましたのは、このままで推移せんかという頭があります。まくらがあるわけです。このままでずっと進んでいくならば百八十億ドル、二百億ドルになるかもしれない。それはもうすでに百六十四億ドルになっているわけでございますから。  そういう見通しを述べたわけでございまして、そういうことでは困るので、外圧が非常に大きくなるから投資を進めなければならない。時ちょうど、鉄鉱石を引き取るとか、銅の鉱石を引き取るとかいう状態においては、こちらが景気浮揚がまだほんとうに軌道に乗っておりませんので、海外の現地でもって積んでおる、引き取らないということで現地と紛争を起こしているという問題がございます。そういう意味で外貨の直接貸しということはやらなければいかぬのじゃないか。八項目の中で外貨の直接貸しというのはあったのです。これ一つだけが抜けているわけです、いままで実行できないのは。ですからそれをひとつやったらどうか。これはいまの制度の中では、円の収縮を伴わない外貨貸しというものはどうも制度に穴をあけるようになるのでという、大蔵事務当局に確かに議論があります。ありますが、そんなことを言っておって二百億ドルになればたいへんじゃないか。そういう意味で、日本経済のために、また現地とのトラブルを起こさないためにも使わなければならぬことだから、またやり方は十分あるんだから使ったらどうかということであって、いま大蔵省考えていてくれます。そしてこれはMOFに売り渡すまでの間を多少期日を延ばすとかいろんなことを考えれば、いまの制度をそのままにしておって外貨の利用ということもできるわけでございますし、まあ外貨債を出してというような考え方も日銀の一部にはあったようでございますが、これはやはり使うということが先決であって、まず使うときめて、そして方法はあとから考えるというほうが正しいんじゃないか、こう考えていま大蔵大臣に話を持ちかけておるということでございます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 非常に歯切れのいい通産大臣が、よそで見通しは言っているけれども国会で答えるときには、いや前提条件があったんだ、こういうことで明確にならない。そういうのがまた奇妙に当たるんですね。ここで正確な数字を言うと、その数字は全部当たらぬ。これがいままでの国会の論議の姿ですね。  そこでひとつ大蔵大臣、いまあなたのほうは右往左往しているわけですね、この外貨がふえておるので。たとえば、外貨の集中管理の問題とか、あるいは輸出のドルの先取り問題というので、二転三転しているでしょう。これはあなたのほうでは、この外貨の問題というのに非常に重大な関心を寄せている。ある程度危機感がある。数日前の新聞には、もう田中通産大臣どころじゃない、秋になったらば二百億ドルの線に達するだろうと、こういうことまで書いておるわけですね。どうして一体大蔵省はああいうふうに右往左往しているのか。二月前に解禁をしたかと思うとまた規制する、規制したかと思うと解禁する、こういうかっこうで動いているでしょう。大蔵大臣、見通しどうなんですか。だいじょうぶなんですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 御承知のように、世界各国の市場においてドルが弱くなっておりますが、これに対しては、各国ともすでに決定した通貨調整をみんな守るということで、それぞれ国内政策において対処するということになっておりまして、ドイツにおきましては、たとえば公定歩合の引き下げをする、あるいは短資の流入の規制をするという、為替管理については各国ともこれを行なっていますが、やはり日本もその一環としまして、この短資の流入に対する規制はここでする必要が出てまいりました。そういう意味でこの規制はやったわけでございますが、別に右往左往ということではございませんで、この情勢に応じて適切な措置をとっていくことは今後においても変わりないことだと思っています。  そこで、依然として国際収支は黒字でございますので外貨は蓄積すると思いますが、この外貨をできるだけ減らすということは国際摩擦をなくし国際均衡を回復するということですが、このきめ手は、何といってもここで日本の不況を克服して輸入をふやす以外にはないと思います。したがってこの政策を急ぐことが一番でございますが、それとあわせて蓄積された外貨の有効活用ということも当然考えなければなりませんので、この問題についてはいま関係省でいろいろ相談をして研究しておるところでございますので、近いうちに、こういう問題についても適切な対策をわれわれは立てられるということになるというふうに思っております。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 残念ながら非常に抽象的で何が何だかわからぬわけです。先ほど来申し上げるように、百六十四億ドル二月末で外貨はたまったわけですね。三月にも大体同じようなことで外貨がふえるだろうと、こういうふうに新聞等も観測をしております。けさの新聞にもそう書いてあります。そうしますと、この国会に「昭和四十七年度予算に関する参考資料」として大蔵省から出されたもので「予算に基づく財政資金対民間収支見込み」、これを見ますと、外為資金で四十六年度の当初予算に基づく見込みでは払い超が千七百五十億円であったのが、十二月末には三兆九千七百四十億円になっておるわけですね。これはもう外貨がうんとたまっておるのです。四十七年度の見込みはどうかといいますと、外国為替資金の散布超は一兆一千百三十億円。一兆一千百三十億円の散布超になっておるのですよ。これをドルに換算いたしますと三十六億何千万ドルですよ。そうしますと、これは私どもしろうとでも、百六十四億ドル二月にたまっておるのですから、このあなたのほうの見込みどおりいけば二百億ドルになるでしょう。そうでしょう。そうなんじゃないですか。お答えいただきます。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 これはさっき企画庁長官がお答えしましたように、来年度の国際収支の見通しは、一応経常収支と長期資本収支の黒字を合わせて二十七億ドルということになっておりますが、問題は短期資金の動きがどうなるかということでございまして、これは情勢によって変化するものでございますので、やはりいざというときのものも予定しておかなければなりませんが、しかし現状から見ましたら、これは短期資金がさらにふえるという情勢は避けられると私どもは思っております。円の切り上げの効果というものはすぐには出てこない、これは当然でございますが、しかし私は、今年にいって下半期以降というようなものには、輸出について何らかの傾向はやはりあらわれてくると思いますし、したがって、外貨保有高が幾らになるかということの見通しというものは困難でございますが、しかし、一応動きのとれる体制だけはとっておかなければならないということで、必ずそうなるということを見越しておるわけではございません。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 これは大蔵大臣、あなたの答弁はたいへんな答弁ですよ。こんな資料はうそだということですか。万々あり得ない、可能性は若干あるけれども、そういうもので見込んでこういう数字を出したというのですか。あなたのほうでは、いまの見通しからいって、そして予算がこういうふうに進んでいった場合にはこういう財政資金対民間収支見込みになるという。それは決算と違いますから、見込みでありますから違うこともあるでしょう。しかし、この可能性が一番大きいと、こういうもとで国会にこういう資料を出したんでしょう。そういうことでしょう。でありますから、この資料を出しておきながら、この資料は参考にならぬわと、こんなようなことでは審議できませんよ。

稲村光一大蔵省国際金融局長

○稲村(光)政府委員 ただいまの御質問でございますが、先ほど企画庁長官から御答弁申し上げましたように、来年度の国際収支の見込みといたしましては、基礎収支で二十七億ドルの黒字ということで算定をいたしております。ただ御承知のとおり、外貨準備にそれがどれだけ響くかという点に関しましては、先ほど大臣からも御答弁ございましたように、短期資金の移動、それから銀行部門の移動というのがございまして、それがそのまま外貨準備には響きませんのでございますが、その間は、いろいろ全体の通貨情勢とか短資の移動等は、これは実際問題といたしまして、見込むことが非常にむずかしゅうございます。実際問題として、来年度末どのくらいの外貨準備高になるかということは、きわめてむずかしいわけでございますが、他方、外国為替資金特別会計のほうの予算の御審議をお願いいたしておりますので、それにつきましては、その積算をいたしませんと予算の御審議をいただくわけにまいりませんので、その際に仮定を立てまして、それがどのくらいになるかということでいたしております。  それの一つの仮定として、外貨準備は大体三十六億ドルぐらい増加するという仮定を立てました。その仮定のもとは、先ほど申しました、たとえば輸出でございますと、輸出はそのまま全部受け取りになる。しかし輸入のほうは、大部分がユーザンスと申しますか、輸入をいたしましても支払いが延びる。これは前からずれ込んでおりますので、実はことしに国際収支の上では輸入に至っておりますが、実際の外貨の支払いはおくれる。これはおくれおくれになってまいりますからその差ということになりますが、そういうようないろいろな仮定を立てまして、外準にどれだけ響くかという計算を立てたわけでございます。大体そういう仮定で実は外為会計の予算を作成いたしまして、御審議をお願い申し上げております。それによりますと、先ほどの財政資金対民間資金の計算におきましても、その同じ仮定の上で計数的にはじきますと、一兆一千百三十億円の散超、こういうことになるわけでございます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 事務官の説明を聞いても、私の質問に答えてないわけですよ。少なくとも予算を編成し、そして経済の見通しを立てた。経済運営の基本的態度をきめた。それに基づいてこういうふうに推移していくだろうということでこれが出たんでしょう。そうでしょう。ところが、アメリカのドルも不安定だ、いろいろな短資の問題もわからないものがある。ですから、これは単なる参考資料にも値しないものだ。それならば一体どこを信用すればいいんですか。予算と財政経済の見通し、そういうものに基づいてこれができたわけですから、これをもとにして審議する以外にないでしょう。そうなってまいりますと、私はどうも、田中通産大臣の見通しというのは、ここではっきり言いませんけれども、やはりほんとうだろう。大蔵大臣はひた隠しに隠しておる。いみじくもぴしゃりと言ったのは総理大臣だ、こう思うのです。そして官房長官は、百年先まで再び円切り上げのプレッシャーなどあり得ないんだ、こういうことになっていると思うのですよ。佐藤総理は、あれはことばが足らなかったんじゃなくて、ほんとうのことを言ったんじゃないかと私は思うのですよ。ですから、ほかのほうの大臣、特に大蔵大臣は、出した資料まで、これは当てになりませんよなんということをおっしゃってもらったのでは、これはどうにもならぬですよ。総理、いかがですか。これじゃ進めないですよ。私は特に財政問題として、数字の問題として質問しているわけです。しかも昨年は、八月のニクソン・ショックという形で、十五日、十五日であったわけですけれども、たいへんな問題があったでしょう。ようやく経済が景気浮揚の状態にはっきりと入った段階でドル・ショックがあったために、日本の経済はまた沈下しちゃった。そこでいまあわてて、四十六年度の補正予算といまの国債を膨大なものまで発行して、景気浮揚策を講じているのでしょう。一番予算の重要な点じゃないですか。それを、出した資料まで当てにならぬ、こういうことではどうにもならぬ。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 誤解があるといけませんから……。当てにならぬということではございませんで、いま説明しましたように、一定の前提のもとに積算して計算をしたもので、根拠あるものでございますが、ただ私は、はたしてそのとおりにいくかいかないかということについては、これはむずかしくてわからぬということを言っただけでございます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 この円とドルとの交換割合、こういう問題を実は総理として、よしいかなる場所であろうと、そういうところで発言したことは、これは軽率であったと思います。多分に思惑を誘発するものでございます。いませっかく国際通貨の問題、これが一応でき上がっておりますが、この状態は、相当長期にわたって経過、推移を見ないと、これはきまるものでないのだ、かように私は思いますので、この際もそういう意味で、事態そのもので思惑あるいは変動を生ずるようなことがあってはならない、かように思っております。私、そういう意味で、先ほど来の両大臣にいたしましても、たいへん慎重な答弁をしておる。またおそらく細谷君はそういうことも御承知の上で政府にいろいろ、はっきりしたことを言え、こういうようなお尋ねだろうと思いますが、事柄の性質上、ただいま申し上げることではない。いましばらくこの経過を見ていくこと、このほうが大事だ、かように思いますので、その辺はしかるべく、ただいま私が説明したそういう意味合いでこの問題をとっていただきたい、かように思います。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 私がこの問題をやっているときには、当時の大蔵大臣は去年の予算委員会で、円の問題は一体どうなるか、こう言ったときに、私の頭のすみにかけらもありませんと、こう言ったですよ。確かに、この問題だけはうそをついてもいいのだ、こういうふうにいわれておりますけれども、頭のすみのすみにもかけらもありませんと、こう言った。   〔田中(龍)委員長代理退席、委員長着席〕 この間の本会議で何とおっしゃったですか。それは頭のまん中にありましたと、こうきているのです。これはたいへん重要な問題であり、これはもう予算の性格そのものなのです。そのポイントであります。しかも政府のほうからこういう資料が出ておるわけであります。確かに責任者である大蔵大臣がずばり言いにくいこともあるでしょうけれども、きわめて問題点がある。したがって、これをはっきりできないことには、抜本的な財政経済政策の転換ということを前提にして予算を組んでおるのだけれども、その予算そのものの基本性格に問題がある、こういうことに帰結するのではないかと思うのですよ。でありますから、私は十分な時間でありませんけれども、この問題について時間をかけて言っている。  言ってみますならば、景気浮揚の対策と、もう一つは福祉政策を目ざしての予算だと言っておりますけれども、ほんとうのところこの予算の重要な盲点というものは、どうもこの辺のことをはっきりしてないところにあるのじゃないか、こういうふうに言ってもよろしいかと思うのであります。でありますから、私はあとでいろいろ質問したいのでありますけれども、この予算は何とか景気を浮揚しよう、こういうことで、福祉対策なんというのはつけたりである。これはいろいろな人が言っておりますように、社会保障制度に重点を置いたのだというけれども、伸びはありますけれども構成比は一向変わらぬ。こういうサイドから指摘されておるところだと私は思うのですよ。まあしかし、総理もああいう発言をしたし、私はこの問題は非常に重要な問題でありますから、予算自体が画餅に帰するおそれもあるし、しかも来年度からこういうことを聞くわけじゃありませんから、この点を若干時間をかけて御質問したわけです。  そこで、私がその次に質問したい点は、もう一つの点でありますけれども、福祉政策に重大な転換をやっていくんだ、こう言っておりますけれども、どうもその予算案というのはそうなっていない。景気浮揚策というのは当面の策です。福祉政策をやっていくのならば、やはりこれは少なくとも中期的な計画、そういうものを持たなければどなたもこれは信用できないことだと思うのです。それが全く欠けておる。これはこの委員会でもすでに指摘されたところであります。ですから、大蔵大臣、四十一年度の予算編成のときに公債政策を導入していきました。そして依然として超高度経済成長政策は進められていったわけですね。そのために輸出第一主義でドルとの基礎的不均衡が起こった。そしてまたこういう形になってきたわけですよ。ですから、私が尋ねたい点は、先ほど大蔵大臣も、民間投資の芽ばえ、そういうものをたてにして景気浮揚をはかるのだと言っておりましたけれども、どうも大蔵大臣の頭のまん中には、今度の四十七年度の予算というものに基づいてまたぞろ四十二年、三年、四年というような道を歩もうとしておるんじゃないか、こう思うのであります。この道を歩んではいけないと私は思うのでありますけれども、総理大臣、いかがでありますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいまの景気浮揚政策、同時にまた福祉社会を建設するというこの目的は必ずしもセパレートのものではございません。たとえばただいま景気浮揚として私どもは公債を発行しておる。それでやはり社会資本の充実をはかっておる。これがやはりわれわれの福祉社会にもつながる、かように私は思います。だからいわゆる老人年金をどうするとか医療費をどうするとか、こういうことも直接の福祉国家建設へ役立つことでありますけれども、同時にまた生活環境を整備する、そういう意味から社会資本の不足を充実さしていくという、そういう意味の住宅整備計画、これなどは最も大きいものだと思います。しかし同時に道路建設もそういう意味では非常に役立つものじゃないか、かように思いますから、それこそ中身全般についてやはり御批判をいただくということが望ましいのではないだろうか、かように私は思います。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 中身全体について分析と検討をしなければならぬことは当然であります。  いろいろと問題点があります。私どもの第一陣に立ちました北山委員からも大体内需というものをふやしていくべきじゃないか、そのためには、日本の雇用者所得というのは非常に低いのだ、逆に法人留保等が諸外国と比べて非常に多いじゃないか、こういうことになってまいりますと、財政経済政策運営の抜本的な転換をこの時期にやるのだ、災いを転じて福となすのだ、こうおっしゃっておりますけれども、これはかけ声にすぎなくなってしまう、こういうことが指摘されました。私もそのとおりだと思うのであります。そういう点で、たとえば雇用者所得、こういうものについて諸外国並みにふやしていくという配慮が全くない。あるいは社会保障は確かに伸びましたけれども、きわめて重点的に取り上げられたとはいえないような姿だ、こういうふうに申さなければならぬと思うのであります。  そこで、時間がありませんから、いまちょうど総理が言われた点、たとえばこれからの住宅政策あるいは住宅産業、こういうものに重点を置くのだ、こういうふうにおっしゃっておりましたけれども、建設大臣、昭和四十六年度の住宅建設計画というものは、民間住宅も加えて計画どおりいっておりますか。たいへんな落ち込みをしているのじゃないですか。

西村英一自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○西村国務大臣 第二期住宅計画はたいへん落ち込んでおるのじゃないかというのですが、実は昨年はやはり景気の不況もございましたので、民間の住宅は多少落ち込みました。しかし公的の住宅は初めの予定よりもさらに追加をいたしましたので、その差はわずかでございます。今年度におきましては、初めの予定の民間住宅はやはりことしも落ち込むであろうということで、そのかわりに公的資金による住宅を予定よりもさらにふやしておるわけでございまして、両年、四十六年、四十七年を合わせまして、少し計画より落ち込んでおるというようなことになっておりますが、あまり大差はない、かように思っております。ことしは民間が予定どおりいけばたいしたあれはない、かように思っております。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 民間住宅というものはずいぶん落ち込んでおるのですね。私の手元にございますが、大体四十五年までは前年に比べてずっと伸びていっておるのですけれども、昨年の十月まではずいぶん落ち込んでおるわけですね。そしてこういう問題について専門的に取り上げた人の見通しからいきますと、これは民間の住宅、あなたがおっしゃるように、公的住宅の比重はふやしたというけれども、日本の住宅政策というものは何のことはない、民間住宅主体でありますね。そうですね。公的住宅というものはわりあい少ない。私どもは、その公的住宅の中でも特に公営住宅に――財投によるものじゃなくて、家賃の安い公営住宅に重点を置くべきだ、こういうことを主張しておるわけでありますけれども、遺憾ながら政府の住宅計画というものは民間住宅に重点を置かれておるわけですね。なるほど今度の予算では税金をひとつ二年ばかりまけてやろうとか、あるいは融資のワクをふやしてやろう、こういうことでありますけれども、残念ながら物価騰貴、土地問題、そういうもので個人のふところぐあいがぐあい悪くなっちゃっているわけですから、言ってみますと可処分所得の限界外に政府の住宅政策は出ていってしまったのですから、これはもう土地問題も含めて、なかなかうまくいかぬのではないか、私はこういうことを憂慮しております。計画どおりまいりますか。残念ながらそういう点についてもっと積極的な手当てをしなければこれはだめじゃないか。  もう一つは、どうも公的住宅というけれども、郵便貯金とかなんとかという零細な人の資金を――あとでまた質問するのですが、財投のほうに全部押しやって、税金からの住宅の恩恵というものはウエートが非常に後退しておる。こういうことも問題だと思うのですよ。時間がありません。簡単に要点をお答えいただきたい。

西村英一自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○西村国務大臣 いま細谷先生の言われるのは、第一の五カ年計画では、確かに民間は九%ぐらい伸びておるわけでございまして、一期計画はようやくそれによって達成されたのであります。この二期計画を完全にやれるかやれぬかということでございます。それに対しては、民間の伸び率は三・八%ぐらいで、その三・八%ぐらいの伸び率ならば達成できるのです。しかし、いまは多少民間が落ち込んでおりますけれども、景気が回復すれば、また所得がふえれば、民間の現在の計画は達成できる。もちろん公的の問題も達成できる、かように考えている次第でございます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 大蔵大臣、お尋ねいたしますが、一つの傾向として重要な点は、いま公共といいますけれども、たとえば大まかにいきまして、国の一般会計の資金あるいは財投等をながめてみますと、年々歳々の重要な傾向として、生産基盤、産業基盤、そういうものに公共事業というもののウエートが置かれていって、生活基盤に対する公共事業のウエートというのは、生産基盤等から比べますと非常に少なくて、その少ない分はどこにやっているかといいますと、財投のほうに押しやられている。したがって、問題になったような何万円もする公団でなければ入れない、こういう傾向が年々歳々強くなっておるということをお認めになりますか。具体的に数字をあげればいいのですけれども、時間がありませんからあげませんけれども、いかがですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 政府が直接やるべきものは一般会計でやっておりますし、そうでなくて、たとえば有料道路とかあるいは公団住宅というようなものは民間資金よりも低廉な政府財投資金をつぎ込むということによって需要者の便をはかるということになるわけでございますから、そういう点に相当大きい財投を投入しているということは、これは年々の傾向であろうと思います。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 どうも私の質問に答えておらぬようでありますけれども、私は、庶民の人たちに直接関係のある部分というのは、次第次第に一般会計から財投に押しやられていっている、こういう傾向が当初からありましたけれども、だんだんそういう傾向が強くなっていっている、こういう点を強く指摘しておきたいと思うのです。  そこで私は、この財投問題について少し質問をやらなければいかぬことがありますけれども、時間の関係で財投問題にちょっと入らしていただきます。  大蔵大臣、私は不勉強でありまして、政府の財投計画というものを見ていきますと、間違いではありませんけれども、きわめて不親切だなと思うのであります。  この財投の原資というものを見てみますと、四十七年度の政府案では、産投会計出資というのが七百六十四億円、資金運用部資金というのが四兆二千百九十三億円、その内訳というのは郵便貯金と厚生年金と国民年金でありますけれども、これでは資金運用部資金の合計に足りないのですよ。これはどういうわけですか。

橋口收大蔵省理財局長

○橋口政府委員 計数の問題でございますから私からお答えを申し上げたいと思いますが、ただいま御指摘がございました四十七年度の財政投融資の原資でございますが、先生御指摘になりましたのは、郵便貯金その他おもな資金運用部資金の内容を掲記いたしたものでございます。したがいまして、郵便貯金等のほかに資金運用部資金としてすでに持っております資金を予定いたしておりますのがこの差額でございます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 少なくとも私どもが見てもわかるように、資金運用部資金というのは四兆二千百九十二億円ならば、そのうちの郵便貯金が一兆七千億だ、厚生年金が一兆二千百六億だ、国民年金が二千百二十三億だ、その合計が資金運用部資金という四兆二千億になるように、親切に、その他が幾らだ、このくらい書いておいていただかなければ、これは知らしむべからず、よらしむべしだ。これは改めるべきですよ。毎年のことこういうことですよ。内訳を書くのなら、合計がぴしゃっと合うように、ちゃんとその他くらい入れるべきですよ、来年度から入れますかどうですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 それは別に隠したわけではございませんので、入れます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 私が特に申し上げたいのは、財投の問題で、大蔵原案というものと政府案決定の段階ではものすごくこれはふえてきたのです。言ってみますと、一般会計は余裕財源一千百億でありましたけれども、それどころじゃないわけですね、財投のほう。ぐっと伸びたわけですよ。どこを伸ばしたかといいますと、郵便貯金は一兆七千億、変わりません。厚生年金は一兆二千百二十億が大蔵原案で、逆に政府案というのは一兆二千百六億で、減っておる。国民年金はほとんど変わりません。  そこで、何がふえたかというと、ふえているところは、産投は六百二十五億が七百六十四億で、あとも変わっていないのですよ。それなのに、五兆三千九百十六億円というその大蔵原案が一ぺんに三千億円ぐらいふえちゃったのですね。どこかといいますと、項目に書いてないところをふやしているのですよ。いまおっしゃった、その他の部分にふえているのですよ。こんなばかな資料はないと思う。まあしかし、大蔵大臣は、来年度からその他ということをきちんと入れます、こういうことでありますから、その点は了承いたしますが、実はこのその他の部分というのをゴムを引っぱるように伸ばしているわけですね。そうでしょう。三千億ぐらい、これを伸ばしているわけですよ。先ほど竹本委員からも質問がありましたけれども、こういうやり方は、一体予算編成の権威はどこにあるのか。適当に、陳情で圧力がかかった、一般会計に入らぬ、それなら財投に持ち込もうか、財投の原資がない、それなら、わからないところのその他の部分で伸ばしておこうかというわけで三千億も伸ばした。こういう予算の編成の方針みずからがその権威がないのであって、二十七億削ったら責任をとってやめるとかやめないという問題――金額から見ると、かえって非常に大きいですよ。こういうやり方はいかがかと思うのでありますが、総理大臣、いかがですか。

橋口收大蔵省理財局長

○橋口政府委員 四十七年度財政投融資計画の作成の過程においてふえた金額は先生の御指摘では三千億ということでございますが、正確に申しますと二千四百三十四億円でございます。  二千四百三十四億円の原資でございますが、産投出資が百三十九億円の増、資金運用部資金の増が二千百五十四億円、なおそのほかに公募債借り入れ金等で百四十一億を増加しておりますので、合わせて二千四百三十四億円でございます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 その数字はちゃんとおっしゃったように私も調べてきているのですよ。全体として二千四百三十四億円伸ばした、二千四百三十四億円伸ばす中で表に書いてないところが二千百七十四億円伸びているじゃないですか。こんなばかばかしいやり方は許されぬと、こう私は申し上げておるわけです。来年からその他のものをきちんと入れる、そういうことになれば、これは一般の人が見てもわかるでありましょう。こういう官僚的な、しかも不見識な、伸ばすのは幾らでも伸ばせる、こういう予算のやり方、こういうものはよろしくないと私は思うのです。総理、こういうことをやらないようにしていただきたいのです。いかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 先ほど大蔵大臣も非を改める、来年からはそういうことはないようにしますと、かように申しておりますからこれは御了承いただきたいと思います。伸ばせるものを伸ばした、かような表現はちょっと合わないかと思いますが、大事な予算でございますから、さように自由自在に伸縮自在だ、かようなものではございません。もちろん先ほど申しますように大蔵大臣が責任のある、そういう意味で説明のできる行為をすると、かように申しておりますから……。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 この財投問題に関連してもう一点お尋ねいたしたい。  これも予算委員会の冒頭辻原理事から、しかも前から問題になっておるわけでありますけれども財投問題、これは総理どう見ても、卑近なことばでありますけれども、この財投五兆六千三百五十億というのは、間違いなくこれは第二の予算ですよ。内容、予算と変わりません。いよいよなったら、とにかく一般会計十一兆四千億に対して半分以上、五兆六千三百五十億、しかも一般会計に入り込まなかったものをこの財投に押しやっている。しかもその内容というのはきわめて公共的なもの、道路をはじめ住宅いろいろなものをやっておるわけですね。そういう財政投融資計画というものが、全く出さぬでも出してもいいような参考資料として国会に出す。参考資料として出す。これで予算審議しろというのもおかしな話だと私は思うのです。そういうことについていま、昨年の予算委員会で問題になったから、当時の大蔵大臣が財政制度審議会に意見を聞いております。財政制度審議会の報告書というのを見ますと、いまこういうものを一般会計から特別会計にやるようになっているから、これはもう決議されておるんだから、一般会計の決議、審議のときに済んでいるんだから、もういいんだ。こういうものは予算の説明書――大蔵省の予算の説明書で議案じゃないんですよ、これは、参考資料でしょう。予算の説明書に書いてあるからこれでいいんだ。そこでまあ、公団とか事業団のやつは財政法二十八条に基づいて今度は資金のあれを一表ふやしたからこれでもう済むんだ、こういう形で、財政制度審議会の意見はこれから出すということで、総理も本会議で、いま財政制度審議会に意見を尋ねているから、その結論が出たらそれに従うということでありますけれども、この問題は国会の非常に重要な問題であり、いまや一般会計予算と財投とは切って離すことのできない問題であり、そうして先ほど申し上げた地方財政計画、この三つはもう不可分の問題なのでありますから、一体のものなのでありますから、これは財政制度審議会の答申待ちというような、そんな不見識なことじゃなくて、少なくとも政府として、あるいは国会の要求も非常に強いわけでありますから、これはもう堂々と国会に出すべきじゃないか、こう思うのであります。財政制度審議会の意見を待つなんということじゃなくて、政府の方針をきちんと確立すべきじゃないかと思うのでありますけれども、いかがですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 もう答申がこの秋までに出ることになっております。私どもは、それを待たずにとりあえずどこを改善したらいいかということをいろいろ考えた結果、資金収支の表を別表につける、これによってこの資金がどこに使われているかが非常にはっきりいたしますので、答申が出るまでそういう改善措置をとっておいて、あとは答申が出てからこれによって善処したいと思っております。御承知のように二重議決云々ということがありますが、しかしいずれにしましても、いまの財投が財政的な資金の配分という性格を持っているものでございますから、これについては検討する必要があるというのも審議会の答申になっておりますので、その方向でいまやっておりますので、おそらく御期待に沿うようなものが出ると思います。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 自治大臣にお尋ねいたしますが、地方財政計画というのは何に基づいて出しておるのですか。地方交付税法七条の規定に基づいて出しているのでしょう。国会に出すこと、義務的になっていますね。ところが地方財政計画というのは、一年間の全国の公共団体の歳入歳出の見積もり、それに財政運営の政府としての態度というものを含んで地方財政計画はきめられるわけです。それに基づいて、それぞれの地方公共団体というのはやはり予算をつくって、そして議会の議決を得てできるわけですね。ところが大蔵大臣、財投計画というのは違うのですよ。地方財政計画と同じように不可分の一体をなしておりますけれども、これが地方団体で、それに基づいて議決するなんという筋のものじゃないのですよ。予算の説明書に書いてあるからいいんだ。ですから、地方財政計画は確かにこれは国会に出す義務はありますけれども、議案ではありません。この財投計画は少なくとも地方財政計画よりも、これは地方団体、ほかの議会で議論するわけじゃないのですから、予算と一体のものとしてこれはやはり国会の――むろん財投計画でありますから運用の弾力性というのは考えなければなりませんけれども、具体的には、法律的な根拠を持った国会の承認を要するようなそういう形のものでなければならぬと思うのでありますけれども、いかがですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 そういう問題がございますから、ただいま審議会の法制部会にかけてもう数回審議しておる状況でございますので、いましばらくこの検討をお願いして答申を待ちたいと思います。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 それはそういうことでひとつきちんと、重要な問題でありますから善処をお願いしたいと思います。  そこで、先ほどちょっと税の問題がありましたけれども、私も若干税の問題についてお尋ねしたいのであります。  先ほども話がございましたけれども、税制調査会というのは総理大臣の諮問機関としてあります。財政制度審議会というのは財政法で規定されておりまして、大蔵大臣の諮問機関であります。そういう点では税制調査会のほうが格が上ですよ。格が上とか下とか言ってはいけませんけれども、これは総理大臣の諮問機関でありますから格が上です。ところがその税制調査会が答申を出しました、この税制改正に関する答申というものは、これに基づいて税制改正をやられたのですか、ただ参考資料でございますか、いかがですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 税制調査会は、税制についての方向とか大筋についての意見を出してきますので、それに基づいて具体的な税制大綱をつくって、税制の改正を政府案としてきめて、国会の御審議を願うという順序で手続をしております。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 そういたしますと、税制調査会の答申が行なわれる、それに基づいて税制改正大綱ができる、その税制改正大綱に基づいて税制改正要綱ができる、その要綱に基づいて法律案ができていく、こういう形になるわけですね。そうでしょう。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 税制調査会で御答申をいただきまして、それを重要な参考事項として税制改正大綱がつくられ、さらにいろいろ議論の末で要綱がつくられます。税制調査会の諮問事項は総理大臣から諮問されますが、その諮問に基づいて、税制調査会からは、四十七年度の税制改正に関する答申という形で、諮問に対する答申をいただいております。それには、四十七年度の税制改正に関しまして、基本となるべき事項が網羅されておりますが、技術的なこともございますので、詳細にわたってすべてがそこの答申に載っておるわけではございませんので、調査会の答申にない事項で、大綱なり要綱なりできめられていることもあるわけでございます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 いまの主税局長の答弁。税制調査会の答申が出た、今度の場合は十二月二十四日に答申がなされた、それに基づいて一月の五日に税制改正大綱ができ上がった、そして一月の二十五日に税制改正要綱ができ上がった、こういう経過をたどっております。私は、この動きを見まして感ずることは、先ほど竹本委員も指摘されましたけれども、税制調査会の答申というのは、どういうアクションがあったか知りませんけれども、だんだん抽象化してきまして、あまり具体的な数字を並べなくなった。そうして、税制改正大綱なり、改正要綱の段階で具体的なものがつけ加えられていく。そういうことがきわめて顕著になっておると思うのですね。たとえば、税調答申の中にあらわれた国税の税制改正による増減見込みというのは、平年度換算で百二十億円の増収だというのですよ。ところが、最終的な要綱ではどうなったかといいますと、四十六億円の減収だということですよ。そういうかっこうになっています。ずいぶん変形してきているわけですよ。そして、私は、時間がありませんから、変形した内容について、先ほども指摘がありましたけれども、申し上げてみたいと思うのでありますけれども、たとえば税調のこの答申の中では、「公害、住宅、生活環境、」これだけしか書いてありません。ところが、今度は、この税制改正の要綱を拝見いたしますと、公害ということに名をかりて、たとえば「発電及び製鉄に供される燃焼用揮発油に対する揮発油税及び地方道路税を三年間免除する。」「電子計算機の特別償却について、その率を四分の一に引き上げたうえ、適用期限を二年間延長する。」「電子計算機買戻損失準備金について、その積立率を二〇%に引き上げる。」ソフトウエアについてもこう出ているわけですね。さらに「通貨調整に伴う措置」として、ずばり言いますと、差損の起こったところについて、税制調査会では言っていないのに減税しているわけです。差益のあったところはそのままにしておる。こういうかっこうです。そして最後の「その他」のところで、「中型及び大型の乗用自動車に対する物品税の税率を暫定的に二〇%に引き下げる。」とあるが、税制調査会の答申には何も書いてないのですよ。こういうふうにきわめて恣意的に税制調査会の答申が扱われておる。しかも、問題は、製鉄所とかなんとかというのは、これは差益のあった企業ですよ。それに対する税金を取らない。これは公害が理由ですね。でありますから、OECDで、せんだって、企業の公害防止策政府助成は非関税障壁とみなすという決定までなされたわけですね。このOECDの決定に、大蔵省は行って賛成しているのですが、問題がありますよ。こういう税制調査会の答申と、その後の大綱から要綱決定の間に、こういう形で、しかも日本の有力企業、しかも、差損じゃなくて差益の起こっている企業まで公害という名において減税するなんてもってのほかだと思うのですよ。どうですか、これは。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 税制調査会の答申の線に沿っていままではやっておりますが、さっき主税局長が申しましたように、税制調査会の答申から漏れているものは一切政府は税の政策はとれないのかということになりますと、必ずしもそうではございませんで、必要に応じたものは、税制調査会の答申から漏れておるものでございましても、政府がこれを改正案に取り入れるということはこれまでもしばしばございましたし、また、これはあってしかるべきものであろうというふうに考えます。税制調査会はそこまで全部をこまかいところまで指示するわけではございませんで、大筋には常にわれわれは従っておりますが、税制は、御承知のように、ちょうど予算と同じように、税制についての希望は非常にたくさんございますし、また、法案作成の過程においては、与党との調整とか、いろいろな問題をたくさん経て、最後に政府案ができるのでございますから、その過程においてそういう問題があり得ることは、これまでもしばしばあったところでございます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 大蔵大臣、私は、税制調査会の答申を金科玉条として、それから一歩も後退しちゃいけない、一歩も前進しちゃいかぬ、手直しができないなんてことを言っているのじゃないんですよ。今度の場合には手直しがひど過ぎるではないか。私は、昨年の予算委員会で、税調というのは、何か、大蔵省の主張を税制調査会に作文をさしたり、もともと自主性のない税制調査会じゃないかということを言いました。世間でもそういう批判があります。ですから、大蔵省のかなり意のままに動く税制調査会、そこでできてきた答申、それをそのままやれとは言っておりません。しかし、やり方がひど過ぎるではないか、選択がおかしいじゃないか、こういうことを言っているのですよ。私の意見は間違いでしょうか。具体的に例をあげますよ。そう思うのですが、大蔵大臣、感じませんか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 税制調査会の答申と無関係で採用した中には、いろいろな事情がございます。たとえば、大型自動車の物品税を減らすというようなことは、やはり、日本の対外貿易の必要上、新たに出てきた問題でございまして、どうしてもこの国会でお願いする必要があるということで、最後にこの改正案の中に取り入れられたというような事情のものもございまして、一応の理由はみんなございます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 先ほど不規則発言で、閣僚の中でたいへん評判がいいと言われた大石環境庁長官にお尋ねしますが、大体、鉄鋼とか何とか、燃す燃料、これは公害源になることは明らかでありますけれども、それを減税してやらなければ公害問題というのは片づかぬですか。どうなんですか、環境庁長官。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 ちょっと御説明いたしますが、ナフサの免税の問題は、発電用に使います重油につきまして、公害を起こさないという目的のために、ナフサをたきますものについての免税でございます。そういう趣旨のものであることだけを御説明さしていただきます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 大石長官にお尋ねしますが、せんだって、二月になりまして、OECDの環境委員会が――これは日本の政府からも行っているんですよ、公害専門官が。これが、企業の公害防止策政府助成は非関税障壁と見なして禁止すると、こういう決定をしたわけですね。わが国は防止機器の特別償却融資税制で公害対策を推進しておる。こういうことは、これは問題になっておるわけですね。こういう形のやり方は、非関税障壁だと、こう言っているんですから。こういうOECDの決定は正しいと思いますか。いかがですか。

大石武一自由民主党環境庁長官

○大石国務大臣 OECDにおきましては、関係諸国がそのような一応の話し合いをいたしたのでございますが、まだ、理事会では、そのことは決定いたしておりません。しかし、いずれ、将来には、そのような考えは妥当化されるものと私は考えております。(「わが国はどうだ」と呼ぶ者あり)同じことです。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 通産大臣、ものを言いたいんでしょうけれども、通産大臣はどうも邪道に入りそうですから、お答えは聞きません。  もう一つお尋ねいたしますけれども、自治大臣にお尋ねします。発電所の問題がたいへん問題になっているわけですね。今度発電所に対する法人税の分割――発電所をやりますと、公害が起こるということで地元で反対するから、まあひとつ、おまえのところの法人税の分割をよくしてやるということで、これをなだめようとしているんです。そのために税法を改正しようというんです。こういうやり方は、私は好ましくないと思うんですね。住民が反対する、いや発電所が来たら税金がふえるんだぞ、法人税割りがよけい来るぞ――法人税割り分割を、二分の一は発電所のあるところにやるというんですから、これはたいへんけっこうですわね。ところが、公害が来るわけです。そういう公害のやり方というのはよろしくない。むしろ、発電所を設けますと、地方税法三百四十九条の三によって、二百億円ぐらいの、そういう施設に対する租税特別措置の減税を行なわれているわけですよ。そうでしょう。それをまともに取ったらいかがですか。私も調べてみました。調べてみますと、こういう発電所は、発電所ができてから、建物と償却資産に対して三分の一しか税の対象にならないんですね。五年過ぎますと三分の二税の対象になるというわけですよ。まともに十年後に取れるころになると、償却が済んでしまうわけですよ。こんなことでは地元の財政にメリットがないわけですね。こういう地方税法の租税特別措置――電力というものについては、これは通産行政ですよ。でありますが、それをまともに地方団体にまでかぶせるなんというのはおかしい。しかも、これによって公害対策の解決の一助にしようという姿は、よろしくない。うわさに聞きますと、消費税である電気ガス税まで発電所のほうに持っていこうかなんという説までなす人が最近出てきておりますよ。これでは税体系を乱す、ほんとうの公害対策を推進する姿勢じゃない、こういうふうに申さなければならぬのであります。  自治大臣、あなたのほうの関係の税法が改正されようとしておるのですから、こういうこそくなことはよろしくないんじゃないか、むしろ堂々と、発電所ができたらば、あたりまえの固定資産税を取るようになさったらどうか、こういうことを私は思うのですが、いかがですか。

渡海元三郎自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○渡海国務大臣 電気供給事業者に対する税の取り方の改正につきましては、公害防止といいますか、公害に関係するというよりも、むしろ発電事業の活動、電気供給事業全部の活動のあり方を、ウエートを発電所の活動に置いての改正であるという意味で、今回手直しをさしていただいたことは事実でございます。  いま、固定資産税の問題がございましたが、固定資産税の問題は、確かに、細谷委員御指摘のような点の効果はあると思いますが、固定資産税の減税は、初年度において、建設当時において、高い固定資産税をかけることが、長期的にながめまして、電気料金の安定ということもございまして、いま減免措置の特例を講じておるというふうな理由もございまして、やっておる問題でございます。  検討すべき点はあろうと思いますが、それぞれの目的は、そのような観点で検討して現在行なっておりますので、将来ともの検討課題として御意見を承っておきたい、かように存じます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 答弁になっておらぬわけですけれども、時間がありませんから……。  ちょっと話がもとに返りますけれども、税調の答申の中で、従来から問題になっておりました都市税源の中で、事務所・事業所税というものを創設すべきであるという答申がなされておるわけですね。ところが、今度事務所・事業所税というのはものにならない。お流れになっておるわけですよ。そして、書いてないものがものになっておるわけですね。なるほど、これは「すみやかに実施することが適当である。」と、十二月に出たのでありますから、四十七年度実施してもけっこうなはずですがね。書いてないものだけが減税になっておって、「すみやかに実施する」と書いた事務所・事業所税がどうして実現しなかったのですか。これは田中通産大臣も推奨しているんじゃないかと思うんですか。まあ、田中通産大臣の最近の工場立地のあれで、どうも吹っ飛ぶらしいようですね。  この事務所・事業所税には、田中通産大臣は賛成なようで反対のようでありますけれども、自治大臣、これはどうももっぱら自治省の努力なり熱意が足らなかったから今度実現しなかったんだといううわさがありますけれども、自治大臣のお考えをお聞かせいただきたい。

渡海元三郎自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○渡海国務大臣 事業所・事務所税の法制化するに至りませなんだ点、いま自治省の努力が足りなんだという御指摘でございますが、まことにそうでございまして、私も残念に存じております。ぜひとも今後も検討を続け、実現に持ってまいりたい、かように考えております。  いま、通産省との関係の御指摘がございましたけれども、そういったことは全然ございません。また、前の御質問の中で、電気消費税すら発電県に持っていったらどうかというふうな御議論、私もうわさの程度に聞いておりましたですが、消費税の性格でございますので、そのようなことは、もし御要望がありましても行なうべきものでない、こういうふうに私は考えております。あわせてお答えさせていただきます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 私どもで、予算委員会が始まる冒頭、四十七年度の租税特別措置は、国税、地方税を合わせてどのくらいになるのか、こういう資料をいただきたいということを要望しておりましたが、私の調べたところではまだ出ておらないようであります。出されたのでしょうか。(「出ておる」と呼ぶ者あり)  出されたとするならば、一体、四十七年度はどう見積もられているのでしょうか。お聞かせいただきたい。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 計算作業がおくれておりまして申しわけございませんが、まだ御提出いたしておりません。二、三日うちに御提出できると思っております。  数字は、大体昨年度が四千三百億くらいでございましたが、その約一割ふえるくらいのことであろうかと、いま、私どもの手元の作業ではなっております。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 いま、与党の二階堂筆頭理事が、出している、出していると言ったけれども、私の言うことが正しかったのです。  いまお聞きいたしますと、四十六年度が、租税特別措置による国税の減が四千三百九十四億円、四千四百億円ですね。これの一割ふえるというのでありますから約五千億円であります。  自治大臣、地方税はどうなりますか。この租税特別措置なり、地方税自体の非課税措置による減収は。

渡海元三郎自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○渡海国務大臣 明細な数字は存じ上げておりませんが、国税の租税特別措置に比べまして大体三〇%余りの地方税における税額になろうと思いますので、いま四十六年度と比べて千億ほどふえましたら、その三〇%程度の額が予想されるのではないかと思いますが、詳細は必要であれば、事務当局から答弁させます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 地方税は、四十六年度は、国の租税特別措置に基づいて、四千三百億円ばかりのうち千三百八十三億円かぶっているわけですね。これはもう国のほうが租税特別措置をやっているから、自動的に地方税は減ってきておるわけですね。先ほど申し上げたような地方税自体の租税特別措置あるいは非課税規定、そういうものによって千六百二十七億円であります。合計三千十億円というのが四十六年度の地方税の租税特別措置ですよ。そういたしますと、国のほうが四千三百九十四億円でありますから、租税特別措置に対して七〇%地方税も租税特別措置をかぶっているわけですよ。これは国の政策に基づいてやっているわけですね。国の政策。それに地方は協力しなければいけませんけれども、自動的に七〇%も減税をおっかぶせる。今度の所得税は、おれのほうは税金がない、建設国債のワクを飛び越しちゃうから、どうにもならぬから、性格は違う、違う、と、一生懸命言っておった住民税の減税のほうに押しつけたでしょう。それを、自治省は反対でしょうけれども、筋としては、たいへんな課税最低限の差が起こってくるわけで、やらざるを得ない。やったのですね。こういうやるべき所得税の減税をやらないで、地方税だけに逃げ込んだ。そして、租税特別措置で、五千億の七〇%、三千五百億の特別措置を地方にかぶせるという姿は私は好ましくないと思う。これはもう大蔵大臣に言うとあたりまえだと言うでしょうけれども、総理がちょっとおりませんから、総理にはあとで聞きます。  自治大臣、いまの数字、大体間違いないでしょう。時間がかかるから――大体そういうことですね。

渡海元三郎自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○渡海国務大臣 数字は、大体そのような数字になると考えます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 総理が参りましたから……。総理、四十七年度に、先ほど来申し上げたような、公害等も含めた国の租税特別措置というのがおおよそ五千億に近寄ります。そうしますと、その七割、三千五百億というのが地方税にかぶってきます。したがって、八千五百億の租税特別措置が行なわれておる。こういう姿は、国と地方との関係、税の負担公平という問題からいって好ましい姿でないと思うのですけれども、総理のお考えをひとつお聞かせいただきたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 これは大蔵大臣が説明したほうがいいのじゃないかと思います。いわゆる中央で減税した、それが地方の減収になった、こういうことですから、そういう意味で大蔵大臣から説明させます。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 遮断したほうがいいという意見と、中央の政策減税に対して地方税が全く無関係でいいかというような問題、いろいろむずかしい問題はともかくといたしまして、明らかに、今回の場合は、地方財政も悪い、国の財政も悪いというときでございますので、そこで、現実に国の減税によってこうむった地方財政の減収については国がある程度の責任を持とうという形で、起債の部分はほとんど政府資金を、いままでと比べて五〇%も増強してみるというようなことをしますし、また、減収分とちょうど数字が合う地方税の減税、一千億ちょっとですが、それだけのものを国が見るというようなことで今度の問題は解決をはかったわけでございますが、いずれにしても、この問題はこれからの制度の問題でございますので、研究する必要は十分あろうとは思いますが、しかし、これが全く遮断されるということになりますと、両方で別々の計算をする。この事務は非常に煩瑣でございまして、地方財政においてもこれはあまり好ましいことではございませんし、全部を遮断するということはできませんで、どの辺までを遮断するのが合理的であるかというような問題については検討の余地が十分あろうと思います。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 私は、全部遮断しちゃえなんということを言っておるわけではありません。ただ、こういう問題というのは、国の政策に基づいて租税特別措置というものが設けられておる。しかも、この租税特別措置については、税の不公平のガンではないか、公平課税のガンではないか、こういわれておる問題です。それをそのまま七〇%もかぶるという今日の姿は、検討をすべき内容を持っておるのではないか。全部遮断するなんということを言っておりません。したがって、こういう姿については改むべきじゃないか、こういうことを私は申し上げておるわけです。  時間がありませんから――そこで大蔵大臣、いまのことばを聞いて、自治省は、一兆円四十七年度の財源が不足だと言った。とうとう大蔵大臣と自治大臣が話し合って、八千億円近い地方財政対策が行なわれました。そして、大蔵大臣どう言っておるかといいますと、減税をしたのをかぶった分については――地方税の減税は千五十三億、あなたのほうが交付税で見てやったというのは、臨時特例交付金で見てやったというのは千五十億でしょう。ちょうど数字が合う。それで見てやったということです。それは八千億の中の数字ですよ。そのほかに沖繩の特例で三百六十億見ただけじゃないですか。あとはみな借金じゃないですか。その借金も地方債をふやしてやりましたからと言いますけれども、六分五厘の政府資金というのはたった五五%ですよ。前年度は幾らかといいますと六割ですよ。コストの高い、質の悪い地方債をがさがさふやしてやって、そうして八千億見てやったなんてことで公共事業優先でやれなんていうことでは、減税分を見てやったなんて恩を着せるようなことばじゃないと私は思うのですよ。自治大臣に聞いては、自治大臣もこの段階では、いやたいへんよく見てもらったんだと言うでしょうけれども、私は大蔵大臣のことばをそのまま受け取ることはできません。そのことばは返上いたします。しかし、時間がありませんからこの問題はあまりやりません。  そこで、時間でありますから、あと二、三お尋ねしたいのでありますけれども、行政管理庁長官いらっしゃいますか。――けっこうです。それでは話を進めます。行政管理庁のほうから、昨年五月からことし二月までの九カ月間の「公害対策に関する行政監察結果に基づく勧告」、こういうものが出されております。自治大臣、お読みになりましたか。

渡海元三郎自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○渡海国務大臣 精細には承知いたしておりませんが、概要は拝見させていただきました。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 この行政管理庁長官の資料内容によりますと、公害対策に従事する技術職員がきわめて少ない、機械を買ってもそれを動かす職員がおらぬ、技術の職員が必要なところに事務の職員が配当されておる、こういうことで、これを環境庁に早く自治省なりあるいはその他の関係省、通産省と相談して改めなさいと、こう書いてあります。  そこで私は調べてみましたら、自治省が今日まで、一昨年の公害国会、それに基づいて以後公害関係についてどのくらいの人間を措置したかといいますと、都道府県に対して千三百人、市町村に対して千七百四十六人、合計三千四十六人、地方公共団体の公害対策ということで、公害対策の職員が従事しておるというのが四十五年七月現在であります。その後ふえておるかもしれません。ところが、地方財政計画でどう見ているかといいますと、四十五年に地方財政計画で見たのは二百二十六人、四十六年に、さすがに法律が通りましたから千八十四名になった。四十七年の地方財政計画は五百三十三人、地方財政計画に見ておる人員は合計千八百四十三名、間違いないですか。

渡海元三郎自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○渡海国務大臣 地方財政計画で現在四十七年度分として見ております人員は五千名余りになっておりまして、いま申されました四十六年度の千名余り、四十七年度の五百三十三名、それは増員分の数字であろうと思いますので、詳細は事務当局から答弁させます。

鎌田要人自治省財政局長

○鎌田政府委員 四十七年度の地方財政計画で見込みまして、交付税に算入する予定の公害関係職員数でございますが、県分が二千八百五人、市町村分で二千四百二十五人、合計五千二百三十名を計画に計上しまして、交付税に算入することにいたしております。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 四十七年度は、計画人員は合わせて五千二百三十名、これで行管の指摘どおりやれますか。

鎌田要人自治省財政局長

○鎌田政府委員 これは公害関係の実態、先ほど御指摘になりましたが、私ども実員でいま把握いたしておりますのが四十五年の約三千名でございますが、この程度の人員でありますれば、私どもは十分見れるのではないだろうか。なおそのほかに、公害関係の測定機器につきましても百四十億、去年に比べまして四十億ふやしております。また公害関係の事業債もふやしております。現在の段階では、もちろん十分でないと思いますけれども、財政計画上、交付税上は十分に見たつもりでおります。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 公害をやるには地方公共団体の監視体制、測定体制というのが非常重要であります。人ばかりふやしてもこれを教育しなければどうにもならぬわけでありますから、私はきょうはこれ以上は申し上げませんけれども、行管の指摘、これはもっともな点が多々ありますから、ひとつ十分に環境庁長官、自治大臣御配慮いただきたいと思います。  そこで環境庁長官にお尋ねするのですが、いまの環境保全、公害対策というものはすべてうまくいっていましょうか。

大石武一自由民主党環境庁長官

○大石国務大臣 御承知のように、環境保全の行政は新しい行政で、まだ始まったばかりでございます。しかもその総合的な一元化の行政は、ようやく昨年の七月から始まっております。したがいまして、この行政につきましては全力をあげて努力いたしておりますが、大体は自分の考えている方向に進むと思います。しかし、全体から見ましたら、まだまだそれは不十分でございますけれども、一応希望する方向に進みつつあるように感じております。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 希望する方向にやっているし、環境庁長官はたいへん努力していることは敬意を払いますけれども、若干から回りしているのではないかという感じがいたします。  そこで、環境庁長官、もう一度お尋ねします。  全国の大気汚染の一番大きな問題は亜硫酸ガスでございますね。その亜硫酸ガスというのは、どこから出てくるのでしょうか。環境庁長官、一元化ということですが、どこから出てくるのでありましょうか。お答えいただきます。

大石武一自由民主党環境庁長官

○大石国務大臣 よく細谷委員も御存じと思いますが、いろいろございますけれども、まず大きな元凶は自動車の排気ガスとかあるいは工場からの排煙、あるいはその排煙の中には火力発電所なりいろいろな工場、そういうものがたくさんございますが、そういうものが大体原因と考えております。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 私はきわめて鮮明に聞いているわけです。亜硫酸ガスに限って聞いているわけです。亜硫酸ガスはどこから出ているかと聞いたら、自動車とか工場とか、そんなことを答えておっては、環境庁長官はつとまりませんよ。ずばり言ってくださいよ。

大石武一自由民主党環境庁長官

○大石国務大臣 大体元凶は、一番大きなものは火力発電所でございます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 火力発電所はあなたの権限外ですね。公害立法は体系化しておりますけれども、九九%亜硫酸ガスを出している発電所はあなたの権限外ですよ。  通産大臣、あなたの管轄下の、この亜硫酸ガスを九九%も出している発電所というのは、残念ながら公害立法の適用除外になっているわけですよ。これはもはや環境庁発足して一年、非常に環境上の重要な問題でありますから、適用除外というのはおやめになったほうがよろしいのじゃないか、こう思うのでありますけれども、いかがでしょう。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○田中国務大臣 発電所の問題については、通産省所管のほうが正しいという感じであります。これはどういうことかと申し上げますと、公害をなくするためには水力発電所をどうするか。また、先ほども御指摘ございましたように、減税をしなければならない。ナフサをたかなければならない。たかない場合にはどうするのかということは、いまの関西電力の例を見てみればわかるとおり、ことしは全く電力はピンチの状態でございました。ございましたが、景気が当初見込んだように一〇・一%にならなかったために、ようやく減電をしないで済んでおるということでございます。この問題については、姫路の火力発電所の問題等がございましたが、これは遠くにつくろうとすれば新舞鶴のようになかなか受け付けてくれない。そうすると、姫路をやらなければならない。姫路は、火力をたけば公害が出る。そうすればナフサをたかなければならない、こういうことになるわけでありまして、これはもう電力行政の中の最大の問題であります。それでこれがすぐ電力料金にからんでくる問題でございますので、電気事業法によってやっておることに障害があれば別でございますが、障害のない限りは、これは通産省が所管する法律によることが望ましいことは、私が申すまでもないことだと思います。これは薬の公害に対して、全部薬事法から除いて環境庁に持っていけるものじゃありません。これはほんとうに私たちも十分議論をした結果、今日の法制下におきまして、知事の意見も聞くことになっております。電源調整審議会においては地元の意見も十分聞かなければならない。地元が納得しないような状態において発電所の建設は現に行なわれないということでありますので、私は、現行法制のもとで万全である、こう考えております。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 通産大臣お答え要りませんけれども、私はやはり通産省がプロダクション、生産ということに重点を置くべきであって、それが環境をおかしてくるならば環境庁がチェックするという行政姿勢がよろしいのではないか、こう思うのです。したがって、その生産のほうまでタッチしてどうのこうのなんということではありません。環境を汚染するならば、その時点において環境庁がチェックしていくというのがよろしいじゃないか。ところが残念ながら、せっかく法律はできたけれども、これが適用から険外されていっている、こういうことに問題があるのであって、通産大臣としてはなかなかこの辺は踏み切れないでしょうけれども、御検討をいただきたい。  もう一つ、最近、ロサンゼルスと違って東京に光化学スモッグ、しかも夜夜中にできてくる、こういうことがいわれております。夜夜中にできるというのは、これはもう東京都の公害研究所の分析上の誤りです。これは当然アメリカでやっているように、大気汚染の分析方法に準じてやっていないところに問題があったので、はからないでいいものを二重にはかって、ああいう光化学スモッグなんて出たわけですから……。  ところで、私はその点はいずれまた分科会等で詳しくお聞きしたいと思うのでありますけれども、その光化学スモッグの原因は、引き金は、申すまでもなく酸化窒素であります。ロサンゼルスでは、光化学スモッグの引き金の酸化窒素の六割というのは自動車なんですよ。日本の場合は、そうではなくて逆なんですね。三五%が自動車なんです。ロサンゼルスの場合は六割というのが自動車、日本の場合は三五%しか自動車でなくて、あとどこから来るかといいますと、これは間違いなく発電所から来るわけです。高温でたきますから空気中の窒素が酸化される、こういうことであります。でありますから、この問題を解決するためにも、私はこの電気事業関係が公害問題から――公害法にひっかからないということはもはやよろしくないんじゃないか、こう思っております。この辺についてひとつ御検討をいただきたい。  もう一つ通産大臣にお尋ねいたしますけれども、最近環境汚染上の問題としてたいへん大きく問題になっておるのはPCBですよ。例のカネミ・ライスオイルでたいへんな被害が起こったわけですね。このPCBについて通産省では若干の手は打っております。手は打っておりますけれども、最近新聞の社説等でもこれは全廃すべきである、こういうことがいわれておりますが、これを生産をやめさせる、DDT、BHCと同じようにやめさせる、こういう方針をおとりにならないかどうか、これをお尋ねいたします。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○田中国務大臣 PCBにつきましては、御指摘のとおり非常に大きな公害問題でございますので、通産省も鋭意検討し、またこの製造業者が二社であるということでありますので、この二社に対して実情も調査をいたし、万全の対策をとっております。この一社はもうすでに製造を全面的に廃止することとしました。あとの一社もただやっておるということでございますが、これが公害に結びつくような使用のしかたということに対しては、厳重にそういうことのないように配慮をいたしております。これは使われることは、開放性と閉鎖性に二つ使われておるわけでございますが、開放性のものに対しては全然製造をしないということでございます。新聞紙などにどうして一体含まれるのか、その経路もさだかではないということでございますし、また古い紙を再生をしておるために、ちり紙などが大きく汚染されておるというものもありますが、これをつくったものは全部新しくつくっておりませんから、こういう開放性のものに対しては全くなくなったと言っていいと思いますし、製造が再開されるおそれはないということでございます。製造ができないような法制的処置が必要かどうかということは、政府部内で慎重に検討いたしております。  それから閉鎖性の中は、なかなかこれにかわるものがないというようなもの、これは全部回収をするようなもの以外は使ってはならないということで、トランスその他は回収ができますから、これは回収して十分の措置がとれるわけですが、小型のもの、コンデンサーその他に対してはまだまだ回収しないものもありますし、これがまた古紙の回収によって新しいちり紙に含まれるような経路を再現するようなことがあってはならないということで、業者とも連絡をとりながら万全な体制をとっておるわけであります。  問題は立法処置が必要であるかどうかということでございますから、この問題に対しては鋭意検討を進めておるというのが実情でございます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 開放性のものは禁止した。しかし、現、実にまだやはり六千トンくらい、盛んなころの五割五分か六割ぐらいまだあるし、主たるものは熱媒体とかあるいは電気トランスフォーマー等にあるわけですが、これも回収される保証はないわけですね。しかも一応これが捨てられますと、これは未来永劫に分解するものでないだけに、すぐれた性質はありますけれども、環境汚染の最たるものである。BHC、DDTをやめたのならば、農薬ではありませんけれども、やはりこれをやめるべきじゃないか。そこまで踏み切る、それだけのリーダーシップを政府がおとりになることが今日大切ではないか、こう思いますから、ひとつ再検討をいただきたい。  最後に、時間がありませんから、環境庁長官御答弁がなくてよろしいんですけれども、環境庁長官は、最近の新聞によりますと、原子力発電の問題で火力発電よりも原子力発電のほうが安全性がよろしいんだ、だから自然公園であろうと、電気が足らないんだから火力発電をつくったほうがいいという御趣旨のことを信念として述べられました。これは、私はお医者さんである環境庁長官を前に置いてたいへん恐縮でありますが、科学者であります環境庁長官に申しわけありませんけれども、ちと放射能の問題についての認識が誤っておるのではないか、こういうふうに思っております。これだけを指摘しておきます。御答弁があるならお聞きしますが、私は言うだけでいいです。

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 環境庁長官。簡単に願います。

大石武一自由民主党環境庁長官

○大石国務大臣 私のいまの立場は、公害をできるだけ防止したいということでございます。そういう意味で、先ほど御指摘のありましたような、いわゆる大気汚染の元凶である現在の火力発電所、しかもあの脱硫装置がまだ必ずしも完成しておらない現状におきましては、やはりできるだけ公害の少ないものは私は原子力発電所であると考えております。いままでの私の持っております知識では、公害というものははるかに少ないと私は考えております。ただ、いろいろと温排水の問題その他の漁業問題についてはいろいろと検討しなければならない問題がございますが、そういう意味で私は、どうせ建つならば原子力発電所のほうが火力発電所より望ましいという考えを持っております。しかし、やはり私は公害の防止と自然環境の保全ということをわれわれの任務といたしておりますので、どこでも手当たり次第何でもよろしいということは考えておりません。十分に自然環境の保全なりその他のいろいろなわれわれの生活環境の保全ということを中心にいたしまして、判断をいたしたいと考えております。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 委員長、一言。これで終わります。

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 もう時間がだいぶ経過しておりますから……。細谷君。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 環境庁長官、医学者であり科学者であるあなたが、まだはっきりわからない点は多々ありますけれども、火力発電から出る亜硫酸ガス等による大気汚染よりも、放射能公害のほうがこわくないのだという認識は私は誤りだと思いますから、十分にひとつ勉強をしていただきたいということを要望して、私の質問を終わります。

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 これにて細谷君の質疑は終了いたしました。  次に、広沢直樹君。

広沢直樹公明党

○広沢委員 私は、総理並びに各関係大臣に、内政の各般にわたって総括的に伺いたいと思います。  新年度予算の背景というものは、いわゆる昨年のドル・ショック、また円の切り上げ、また外交的には中国の国連復帰とかあるいは米中首脳会談等、日本を取り巻いております国際情勢、経済情勢というものは非常に激動してきて、その影響を受けて、国内経済を見てみましても、不況が長期化するのではないか、また深刻化するのではないかということが問題になっておりますし、これまでの政府の施策につきましての批判が高まってきているわけであります。  そういう中で編成された来年度の予算でありますけれども、まず三十年代の高度成長のひずみ、さらには四十年代には、佐藤総理も施政方針演説の中で申されましたけれども、超高度成長、そういう形になっておりますが、そのひずみが、公害あるいは高物価または住宅、過密、過疎、そういう各般に出てきております。そこで経済構造をまず産業第一から福祉へ転換させる、いわゆる生活環境の整備に重点を置く、そういう軌道修正をやれるかどうかということが問題であります。  そこで、予算の具体的な内容に入ります前に、基本的な姿勢について総理にお伺いしておきたいと思うのであります。  総理は、施政方針演説の中で、福祉ということばを相当使っておられます。国民福祉の充実、または高度福祉国家建設への軌道の設定、さらに具体的には国土の総合開発、生活環境の改善、福祉社会の建設は社会保障を充実する、自然環境の保護につとめなければならない、そうたくさん福祉ということばを使っているわけでありますけれども、こういうことは国民は期待こそすれ反対するわけはない。事実そのとおり実行してもらうことを望んでいるわけであります。  しかしながら、そういうことばはいままで再々聞いたわけでありますけれども、具体的に福祉への道というものは、国民の前にまだ示されていないと思うのであります。政府の答弁を聞いておりますと、従来の福祉関係のほうに予算が少し多く回されている、そういう点をとらえて福祉への第一歩である、このようなことを申されておるわけでありますけれども、それだけでは福祉への第一歩とも受け取れませんし、いままでの過程から考えてみましても、単年度だけではそれは評価できない。やはり次年度、そしてその次、二、三年先の具体的な福祉への道を示さないことには了解できないわけであります。そういう意味におきまして、まず総理の所見を承りたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 簡単に申し上げますが、ただいま広沢君が御指摘になりましたような、そういう観点に立って今回の予算の編成をやっております。もちろん、経済の不況、これはずいぶん長く続いておりますから、この景気の浮揚と、ただいま御指摘になりましたような国内においての福祉国家の建設、そういう意味の問題をやっております。福祉国家を建設する場合に力を入れるのはやはり社会資本の充実でありまして、また個々の具体的問題等についても老人その他心身障害児等に対する対策等、それぞれ福祉国家の建設を目ざして所要の予算を組んだというように御理解いただきます。

広沢直樹公明党

○広沢委員 私がまずお伺いした点は、池田内閣のときには、国民に対して、いわゆる所得倍増計画というものを出されました。それについて高度経済成長政策ということもとられたわけでありますが、それはやはりGNPが先進国に追いつこう、あるいは国民所得もそこまで追いついていかなければならない、一応その目安というものが示されておったわけであります。  次いで佐藤総理は、福祉への道ということを説かれたわけでありますけれども、それはことばがあるけれども、具体的にどういうふうにその福祉への道の建設がなされていくかというスケジュールといいますか、具体的な計画というものが明確じゃないわけであります。そういう面において、福祉への軌道修正をしていくんだということでありますならば、やはり具体的な計画というものをここへ示さなければならないと思うわけであります。いまおっしゃったことは、いままでに何回も聞いた話でありますから、そういう具体的な計画をお示しになるつもりはあるのかどうか、それをまず伺いたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 その中身の計画、いわゆる社会資本の充実等の問題につきましては、これは大蔵大臣からお答えさせたいと思います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 御承知のとおり、昭和二十年代、三十年代、四十年代と、二十年代はよくパンか大砲かと一時言われた時代がございましたが、現在では、御承知のようにもう社会保障費が一兆六千億円、防衛費が八千億円、比重から見ましても、この社会保障費のほうが倍になるというところまでいまこぎつけてきましたが、その間には、いろいろ努力しながらこの福祉政策というものを準備してきました。財政が十分でなかった時代でございますから、給付を十分にするわけにはいかないのですが、いずれにしろ制度の創設を急ごうということで、まず国民皆保険ということから始め、それから各種年金の整備というものに手をつけ、ようやく昨年度、皆さんが主張されました児童手当という制度をつくることによって、一応制度自身は西欧並みの水準までいったのですが、問題は、これから内容の充実というところへようやく来ておると思いますが、これが、いままで国際収支の問題そのほか制約要因が非常に多かったために、十分福祉政策への充実ができなかったのですが、こういうときになって初めてこの転換できる条件がいま整ったというふうに思いますので、まず今年度の予算から踏み切りをしたわけでございますが、一たん踏み切りをしました以上は、いつも申しますように、この社会保障制度というものはあと戻りのできないものでございますので、今後何年かの経済の見通しをして、この見通しに沿った福祉充実の計画というものを、やはり私はここで持たなければいけないというふうに思っています。防衛の問題も同様でございまして、この経済見通しができないために各種の計画が停とんしておりますが、福祉政策もその一つだろうと思っています。やはり五年ぐらいの経済見通しというものを立てることによって、この福祉計画も立てる必要があると思っています。

広沢直樹公明党

○広沢委員 いままだ具体的な計画は、これから内容的には立てていくところだというお話でありますけれども、やはり具体的な計画を立てなくて、福祉への第一歩であるということをおっしゃるから、これは問題があるわけでありまして、そういう福祉への道をどういうふうにやっていけばいいかということは、これから検討していくのだということであれば、まだ話はわからぬわけでもないのです。しかし、本年度の予算はいわゆる軌道修正をし、そして福祉へのもう第一歩を踏み出したのだ。ならば、具体的な計画はどういうふうになっているのか、こういうことになるわけでありまして、いまの答弁を聞いておりますと、そうではなくて、これから具体的な計画を検討するんだというお話なんですね。  それからもう一つは、やっと条件が整ったということをいま総理おっしゃったのです。総理は七年前も、御存じだろうと思うのですが、わが党の代表質問の中にも、この点は指摘申し上げました。ちょうど佐藤総理が総理になられたとき、いわゆる三十九年末においては、所得倍増計画のいわゆるひずみといいますか、景気が停滞いたしまして、いわゆる物価がどんどん上がってくるために、所得倍増じゃなくてこれは物価倍増じゃないかという批判の声も国民の中から大きく高まっておりました。そこで総理は政権を担当されることになったわけでありますけれども、そのときに総理が、まず、四十七国会だったと思いますけれども、おっしゃった演説の内容というものは、よくいわれております人間尊重の政治、そして社会開発、さらに福祉への道、こういうことを明確にそのときおっしゃっていられるわけです。なかんずく物価問題に対しましては総力をあげて取り組むと、こうおっしゃっておられるわけでありますね。それからちょうど七年たっているわけでありますけれども、じゃ具体的に、いまやっと条件が整って、内容的にはこれから検討するのだというのでは、いま佐藤総理が福祉への道をということを国民の前に説いたところで、具体案を示さなければ、これは納得できないわけです。ですからその点を、もう少し具体案を、いま作成中であるならば、このように具体的に示していくのだという前向きの答弁をいただきたいと思います。ただいままでのように福祉を繰り返す、そういう抽象的な話では納得できないわけです。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 これから整えるのだ、これから計画を立てるのだというのではございません。長期の見通しを立てて、それによって全体の社会保障計画を立てることは必要だということを言ったのでございますが、すでに今回の場合におきましては、まず社会資本の整備ということについて特別の考慮を払いましたが、これは、いままでは、公共事業をふやすという場合に、生活環境に対する投資というものの比重が非常に少なかったということは事実でございますので、今回はこれについて、たとえば公園、上下水道においてもそうでございますし、廃棄物の処理施設についても、それぞれ五カ年計画をもって整備するというので、新たに新しい五カ年計画をこれらの社会資本については立てまして、それによって今年度は、たとえば上下水道でいいますと五四%、あるいは公園では九七%、廃棄物処理施設については九二%というふうに、いままでの予算の伸び率から見ましたら相当強化した伸び率で、この社会資本の整備ということについては特別の考慮を払っておるということで、これはもう年次計画に基づいた一歩を本年度から踏み出したということで、きわめて具体的な問題でございます。  その次は、社会資本の整備と同時に、社会保障の充実ということが必要でございますが、これは御承知のように、やはり老人対策から強化することが必要であろうということで、老人医療の無料化とかあるいは老齢福祉年金の改善を中心として各種の年金のアップ、それから生活扶助基準の引き上げというような一連のものを、今回相当大幅の手直しをいたしましたが、これがまず今年度の出だしといいますか、踏み切りでございまして、これを後年度においてどういうふうに計画的に進めていくかということは、これからの問題であるというふうに思って、本年度はその一歩を踏み出したということが言えようと思います。  それから、やはり高度成長のひずみといわれております公害問題につきましても、今年は金額で見ますと千五百億円以上というので、昨年の予算に比べましては約五〇%増の比重をつけた予算の配賦をするというようなことで、一連の予算の編成におきまして、社会福祉向上ということを中心にした方面に資金配分の考慮を払ったということは、今度の予算においてはっきり言えるだろうと思います。  さっき条件が整ったと言いましたが、私も過去経験者でございますが、こういう方面に、たとえば社会資本の方面に予算を強化しようとしましても、経済がなかなかそういかなくて、国際収支の天井が低いために、これにぶつかってしまうというと、公共的な仕事を少し強化すればすぐに経済を加熱させ、国際収支を悪くしてしまうということで、したがって、引き締め政策をやらざるを得なかったというようなことから、ほんとうに社会資本の充実と口では言っても、なかなか外貨事情に押えられてできなかったという面が過去の実際でございますが、ようやく、そういう点から見ますと、相当思い切ったこういうものの投資をして、輸入がこれによって促進されても少しも国際収支の心配がないというときにぶつかったのですから、このときに、今度は生産力を伸ばす方面だけへの刺激じゃなくて、ちょうどこの福祉対策としての公共投資をする最も条件を備えたときにわれわれ際会しているのだというふうな認識でございます。

広沢直樹公明党

○広沢委員 いまるる御説明があったことは、予算書を見ればわかることでありますけれども、いまのお話の中で少し気にかかることは、社会資本の充実というものがいままであまり具体的に進まなかったというのは、いわゆる景気対策、もしもそれを進めていけば景気を過熱することになる、国民生活環境の問題については景気対策の上から考えておったということは、私は、佐藤総理のいままでの福祉なくして成長なしとか、いろいろ国母向けのことばからして受け取りがたいわけです。指摘するまでもなく、もう経済企画庁が試算として出しております。福祉水準あるいは生活環境、公的なそういうものがどれくらいおくれているか。やはり私的なものは、確かに経済成長してまいりますと、耐久消費財であるとかあるいは食生活であるとかその他教育水準、文化水準ですか、それは先進国並みに上がってきているかもわかりません。しかしながら、いま申しました公の財政をもってやらなければならないものというのは、全く手をつけられてなかったと言っても過言ではない。それが景気対策の上から考えてきたんだ、いま不況だから手をつけられるのだというのであれば、じゃ、これは景気が回復したならばこのことはどうなるのですか、一体。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 景気が回復しても、国際収支のために国内政策をゆがめる必要のない状態にいま来ておりますので、この点の心配はないと思います。  さっきのお話でございますが、昭和四十二年度のごときは、一たんきめたこういう公共投資も、国際収支の制約の上から三千億円、国会できめた予算の執行を押えるという事態まで昭和四十二年にはございましたが、過去においては、そういうふうに公共投資というものは国際収支の事情で常に押えられがちであったというようなことが、この不均衡を今日来たしている一つの原因であろうと私は考えております。

広沢直樹公明党

○広沢委員 この基本的な姿勢の問題で時間をあまりとりたくないわけでありますけれども、やはり先ほどからお話がありますように、下水道とかあるいは都市公園の問題であるとか、そういう面については五カ年計画も策定されてきている。確かにそういう面にはうかがうことができるわけでありますけれども、先ほども例に出しましたいわゆる社会保障――福祉というならば、狭義的にいえば社会保障ということになるし、広義的にいえば生活環境にもなってくると思うのです。したがって、社会保障については具体的な計画というものが出されてないじゃないか。前向きに取り組んだという姿勢はある程度、ある面では評価できるかもわかりませんけれども、私は、いままで何らそれには手が加えられなかったから当然のことだと思っているわけです。したがって、そういう恵まれない方々に対する、そして当然社会の連帯責任の上において考えてあげなければならない方方に対する、希望と夢を持てるような具体的なスケジュールというか、計画というものを示すべきじゃないか、このことを申し上げているわけであります。その点についてはいかがでありますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 これは経済見通しができるに従って、この計画は当然われわれは策定するつもりでございます。

広沢直樹公明党

○広沢委員 非常にあいまいでわかりませんけれども、総理にこのことで一応最後に一言伺いたいと思うのです。  総理は、いままで数々、福祉ということを重点に旧えられていることは御存じのとおりでありますけれども、その中で特に、経済の成長のあり方を変えても社会開発を進めなければならぬ、成長といわゆる社会開発の調和ということを強く主張されているわけであります。ところがこの七年間、特に四十年代に入りますと、先ほども申し上げたとおり、非常に超高度な経済成長を遂げてきているわけであります。ところが、経済計画の基本になっておりますいわゆる中期経済計画、さらには経済社会発展計画というものも出されておりますし、続いて新経済社会発展計画というものも出されております。その内容を読んでみましても、経済成長というものはやはり一〇%以下、八%を目標にする。では、その基本は何であるかといいますと、いわゆる国際収支と消費者物価の安定の上からそういうような施策を考えなければならないし、さらには住宅、生活環境の充実、あるいは低生産性部門の近代化、こういった資源配分をしていかなければならないという面から、八%に押えるということを出しているわけであります。いわゆる経済の基本計画というものはそこにあるわけでありますね。ところが、実績というものはそうじゃなくて、実質的にいいましても一〇%をこえているということであります。ですから、具体的には何らここに手が加えられたというふうにはわれわれは考えられないわけであります。  そこで、先ほども申し上げましたように、佐藤総理が確かに施政方針演説の中で具体的な福祉への道を説かれたとしても、具体的計画というものをはっきり国民に示さない限りにおいてはそれは受け取れないし、実行計画というものを出すべきであるということを申し上げたわけであります。いま新しい経済社会発展計画というものを作成中だということでありますけれども、やはりその中に、いままでの経済計画の中に述べられました抽象的な言い方ではなくて、これまでおくれてきたいわゆる社会保障の面につきましても、具体的に計画というものを明示すべきじゃないのか。要望も含めて、最後に佐藤総理にこの件について御答弁願いたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 先ほど大蔵大臣から詳しく申しましたが、それについては広沢君も御指摘になりましたように、予算の中身を見ればわかることじゃないか、そんなものはもう別に説明を聞かぬでもいい、かように言われましたが、私は、その予算の性格というものは、やはり何といってもその款項目等でただいまのような社会福祉の事業が取り上げられているかどうか、こういうことだと思います。そうしてそれはもちろん一年ぽっきりのものではございません。したがって、ことしなぞ、始まったもの、たとえば社会資本の充実の問題にしても上下水道の整備、かようなことは出ております。しかもその増加率は非常に高いという、これは、過去においてあまりそういうものにやられておらないからこそ今回その増加率が高いのだと思いますし、また住宅においても同様なことが言えると思います。私は、何といってもそういう生活環境が整備されない限り、いわゆる福祉国家の建設はできないと思います。また同時に、さような生活環境の整備をすることと同時に、いわゆる社会保障の各項目それぞれを整備する、内容を充実していく、こういうことだと思います。もちろん、今回のこの社会保障の中身につきましてはまだまだ程度が低い、項目としては一応そろったが、もっと充実していかなければならない、こういうことは皆さんから、これからまた予算の審議にあたりましてさらに突っ込んでの要望が出てくるのではないかと思います。私はただいまのような点を申し上げて、これが一年限りのものではないのだ、来年は、もうすでにスタートした以上、これからはそういう中身が充実していく方向において予算が編成される、かように理解してしかるべきではないかと思います。いわゆる私が好んで使います福祉なくして成長なし、こういうような方向に予算の編成もできているのだ、これを御理解いただきたいと思います。

広沢直樹公明党

○広沢委員 前向きに取り組んでいただきたいと思います。  次に、いま予算の編成方針は、いわゆる福祉と景気対策ということでありますけれども、やはり先ほどもお答えになっておられましたように、景気対策と福祉政策というものは必ずしも一致するものなのかという問題でありますけれども、やはり不況対策というのは、これは短期的な政策を必要といたしますし、また福祉政策というのは、いまもお話しのように長期的な計画、これを一つ一つ積み上げていかなければならないわけであります。そうして、いま二つの面を柱とした予算編成だと言われておりますけれども、やはり景気対策が、いま言ったような見地から考えましても主体になっているんじゃないか、このように受け取れるわけであります。水田大蔵大臣は東京の帝国ホテルの日本記者クラブの講演の中で、秋口から景気はよくなるだろう、上向かなければ予算が失敗だったということになる、いままでの不況は一年だったが、今回の不況は潜在期間を入れると二年になり、もう一年回復をおくらせてはたいへんだ、回復が来年になることは絶対にないというお話をなさったそうでありますね。そういう意味から考えましても、これは不況対策が中心になった予算編成じゃないのか、こういうことも考えられるわけでありますが、その点についていかがでしょう。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 いわゆる不況対策として、非常に典型的なものは民間の設備投資型だと、かようにいわれるのであります。これは同時に経済の拡大をももたらす、こういうことでありますが、今回はそのほうはわれわれが直ちに手を染めないで、いわゆる社会資本の不足の面、このほうに重点を置いてそして予算の編成をした、いわゆる国家予算、それによっての景気のささえをする、こういう形でございますから、いままでの景気対策、それとは事が変わって生活環境が整備される、そういう方向に力を入れるとか、あるいは公害対策について力を入れるとか、こういうことになると、これは国内の消費を刺激するし、しかも、それを刺激することによってわれわれの生活環境は改善される。これがいわゆる福祉国家建設への方法ではないか、同時に、それがまた景気回復にもつながることだ、かように御理解されてはいかがかと、私はさように実は理解しておるのでございます。

広沢直樹公明党

○広沢委員 国国福祉優先に、いわゆる公共事業の拡大もはかったということでありますけれども、不況のときはやはり両立したかのように見えるものじゃないかと思うのです。いままでの経済パターンを変えまして、産業に力を入れ、生産に力を入れ、そして輸出を促進していくというやり方ではいけない、ならば、これから軌道を修正して景気を回復させようとすれば、社会資本の充実をはかることば当然でありますし、その中でも、いまお話がありましたように、生活環境整備のほうに目を向けていく。これは、そういうわけで、景気との関係から考えまして、いわゆる不況のときは、確かにその面からとらえますと両立したかのように見えるわけであります。それが来年度予算の特徴とも言えるかもわかりませんけれども、しからば、景気が回復したときには、いわゆる公共事業、国民生活環境を充実すべく拡大された予算というものが、また景気対策のためにあるいは押えられるとか、そういうことになりはしないかということになるわけでありますけれども、その点はいかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 先ほどの水田君からのお話にもありましたように、実は動き出したこの方向の予算、これは景気がよくなったからといってこれを変えるわけにはいきません。おそらくただいまの社会福祉型の予算は、どんどん増額こそすれ、これが縮少されるものではないだろうと思います。そこでただいまのような心配のないように、私どももこれから注意すべきだろう、かように思います。

広沢直樹公明党

○広沢委員 さらにお伺いしたいことは、先ほどもお話がありましたけれども、いわゆる需給ギャップ、デフレギャップの問題についてでありますけれども、一般的には五兆円ともあるいは十兆円ともいろいろいわれております。また製造ベースでの設備過剰率というのは二割、二〇%前後ともいわれておりますが、政府はデフレギャップをどのように想定しているのか、また今回の予算の景気効果の面ということから判断して、どういうふうに判断しておられるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

木村俊夫自由民主党経済企画庁長官

○木村国務大臣 需給ギャップの問題でございますが、私どもでは大体四十六年度六・四%程度、ただし四十六年の中でも下期は七・四%程度、こういう需給ギャップを想定しております。

広沢直樹公明党

○広沢委員 いわゆる景気を刺激するために公共事業というものを拡大している、その財源はいままでにない大型の国債を発行しているわけでありますけれども、実際に公共事業をそのように拡大していったからといって、景気回復になるかどうかという問題ですね。よくいわれております問題は、公共事業を拡大していく。公共事業といいましても、道路の問題だとか、あるいは住宅問題に相当ウエートが置かれておるわけです。しかし、それにはやはり、道路をつくる場合は、大都市に限っては相当用地費にその費用は食われてしまうのじゃないか。したがって、実際にその効果があがるかどうかということがいま疑問視されているわけでありますけれども、その点について具体的な方向というものをひとつ御説明願いたいと思います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 デフレギャップの計算は非常にむずかしい問題でございますが、しかし、今度の大型予算によって大体どれくらいのギャップの解消になるかというようなこと、これは正確になかなか言いづらい問題でございますが、それと減税と、また社会保障の充実ということと、一方民間活動、いろいろなものを勘案してみまして、私は今度の予算編成によって、すでに昨年の補正予算とあわせて、昨年度の予算は動いておる最中でございますが、相当効果をあげておると思いますので、これに新しい来年度の予算が動き出すということになったら、日本のいままで心配された不況というものも、必ず落ち込みなく上向きに転ずるというふうに、大体私どもはいまのところは考えておるところでございます。私は、これが足らないので再び補正予算を盛ったり何かするというような事態を避けたいということから、国債の発行額についても相当思い切った措置をとったつもりでございますので、補正予算なしでもこの不況を回復し得るという方針のもとに予算を編成したつもりでございます。

広沢直樹公明党

○広沢委員 国債問題につきましては、あとから具体的にお伺いいたします。  それでは次に、円の問題について伺いたいと思います。  昨年の暮れにワシントンのスミソニアンで多国間の調整が行なわれまして、新しいレートというものが生まれたわけでありますけれども、いまよくいわれております三百八円経済、こういうふうにいわれておりますけれども、最近の国際情勢から考えまして、再切り上げがあるのじゃないかということが盛んにいわれているわけであります。昨年のスミソニアンの体制というものは、やはりこれは、過渡的なものであると総理も演説の中で申されておりますけれども、過渡的なものである。そういうことになれば、情勢いかんによっては、そういう危険性というか、状況も考え得るということか、いわゆる円の再切り上げという情勢も考え得るということを意味しているのかどうか、お伺いしたい。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 昨年の通貨調整は、確かに最終的なものではございませんで、まだ国際通貨の問題は、これから本格的に長期的な課題として各国が取り組もうということになっておりますので、それまでは過渡的なものと考えてよろしいと思いますが、しかし、一ぺんきめたこういう問題は、二度これを変更するということは、私はおそらく実際問題としてできないものと思っています。通貨の多角調整などという、昔なら夢にも考えられなかったことが今度できたのは画期的なことであると私は思いますが、それだけそう簡単に再調整というものはできないということを各国ともみんな承知しておりますので、先般OECDの作業部会にみな集合して意見の交換を行ないましたが、いまいろいろな短期的な現象は出てくるにしても、この国際収支にほんとうの効果があらわれてくるのは少なくとも一年から二年を要するだろう、だからそういう長期的な目でこの問題を見なければならない、そのためには各国が協力して一たんきめたこの調整を守り抜こうではないかというようなことを申し合わせて、各国ともいまドルの値下がりに対してそれぞれこれを守る方法をとっております。金利を下げたりいろいろなことをして、為替管理も各国ともむしろ強化するという方向でいろいろなことをしてこの通貨の混乱を避けるということへ協力体制をとっておりますので、私はこれは必ず早晩落ちつくと思います。一つの問題は、アメリカ自身が議会でまだ金の値上げをきめていないということも関係しておると思いますが、これはもう各国にあらためて不安を与える事実ではございませんし、各国の金利の問題も、ドイツをはじめとしてそれぞれいま善処しておるようでございますので、したがってこれは一応もう落ちついてくる。そうすれば、そう簡単に一、二年の間にこの調整が再び繰り返されるという懸念はおそらくない。それがないようにおそらく各国が協力する体制をもっと強化するだろうというふうに私は考えております。

広沢直樹公明党

○広沢委員 佐藤総理は、一月の十八日のテレビ放談の中で、それを示唆したかのようにとれる発言をしておられるわけです。私も聞いておったわけでありますけれども。それから竹下官房長、官は、記者会見で直ちにこれを釈明されて、一応それを否定されたわけであります。そのときには、三百八円の切り上げ幅が不十分であるということを意図した発言ではないんだ、現に東京相場において、基準レート三百八円に対し三百十三円前後、一・六ないし一・七%程度の円安ドル高相場だ、円に関して見る限り決してさきの切り上げ幅が不十分であったとは言えない。切り上げ後一カ月たったときにはそうであったかもわかりませんけれども、じゃ現実にはどうなっているかといいますと、これはまさしく逆になっているわけです。円高ドル安という形になってきているわけですね。最近の為替市場の状況を見ますと、そういうふうな形になってきております。したがって、この情勢から考えていって、佐藤総理はその以前に、ニクソン大統領の側近の一人といわれております国際経済政策会議事務局長補佐官リチャード・アレン氏と会談をしておられた。そのおりにやはりこの問題についての指摘があったというふうに報道されておったわけでありますけれども、その点はいかがでありましょう。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 リチャード・アレンさんからただいまのような点について指摘されたことはございません。それははっきり申し上げておきます。また、私のテレビ対談が、いかにも為替レートについてこれが不適当であるかのような印象を与えた、こういうことで、先ほど御指摘がありましたように、竹下官房長官が、さような意味の発言ではなかったのだ、こういうことでこれを訂正したと思います。また先ほどの水田大蔵大臣の話でおそらく誤解はないと思いますが、先ほど社会党の細谷君に私どもも答えたように、どうもこの多数国間の為替レート、これはともすると思惑を生みやすいし、そういう意味で、これに対する態度をはっきりさせなければいけない。それには、全然話をしないというわけではなく、先ほど水田大蔵大臣が申しますように、せっかくきまった多数国間の調整のできたそのレートだから、これについてはそのレートを守り抜こう、こういうことで各国とも努力をしているんだ、これを短期間の状態でとやかくの判断をすることは間違いが起こりやすい、混乱が起こりやすい。したがって、静かにその推移を見守ること、これが大事ではないか。もっと時間をかけてみなければ、これに対する正しい判断、評価はできないのじゃないか、かようなことでございます。この点は別に誤解はないだろうと思いますが、私からも、私の発言も引き合いに出されておりますから、この点ははっきり申し上げて、多数国間の為替レート、これはやはりもう少し経過を長期的に見てその上で処置をつけるべきだ、判断すべきだ、かように思います。

広沢直樹公明党

○広沢委員 こういった問題が取り上げられるのは、言うまでもなく、外貨準備高がむしろ減るのではなくてふえつつあるということであります。先ほども御指摘がありましたように、二月末においては百六十四億ドルですか、そういうふうに、減るはずの具体的な政策を、先ほども申されたとおりいろいろ立てておりながら、これがふえていっておるというところが問題だろうと思うわけであります。  そこで、これは田中通産大臣にお伺いいたしますが、同じころ、一月の十九日でありますけれども、日本生産性本部の「これからの日本」と題する講演の中で、アメリカと対等につき合うためには、GNPを三百兆円、一兆ドルにする必要があり、そのために、今後十五年間、年間一〇%程度の経済成長を達成しなければならないと、いわゆる超高度経済成長路線というものを提唱したように報道されておったわけでありますが、具体的に御説明いただきたいと思います。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○田中国務大臣 アメリカと対等につき合うためには三百兆円ぐらいの国民総生産を確保しなければならないと申し上げたのではありません。これは全く違うことでございます。これは日本がこう行くために申し上げたわけでございます。  第一次産業比率は現に一七・四%でございます。アメリカは四・四%であります。ECは六%であります。これを少なくとも九・四%に引き下げるとすれば、先進工業国並みになるとすれば、六百四十八万九千人という大きな一次産業からの人口の流出があるわけでございます。これを五%に引き下げるとすると、八百九十二万六千人という非常に大きい人口が流出をするということになります。これは主要工業国の数字でございますから、このような傾向をたどらなければならないということは認めざるを得ないことでございます。  それからもう一つは、人口一人当たりのGNPの増加を見ますと、三十年に二百六十八ドルであったものが、三十五年に四百六十二ドルになり、四十年には九百一ドルになり、四十五年には千九百七ドルになったわけであります。しかしこれは、まだアメリカの四千七百四十三ドルに比べると非常に小さいものであります。日本人がそれほど能力がないのかというと、必ずしもそうではないと思います。一人当たりの国民総生産が拡大してまいりますと、国民所得の数字で見ますと、三十年に二百二十七ドルであったものが、三十五年に三百九十四ドルになり、四十年には七百三十四ドルになり、四十五年には七倍の千五百六十ドルになったわけであります。しかし、千五百六十ドルになりましたけれども、アメリカの国民所得に比べるとはるかに低く、国民総生産は拡大したが国民所得は十六番目、十七番目ではないかと常に御指摘を受ける数字でございます。  こういうような状態が続きました過程において、社会保障費は二〇%余ずつコンスタントに伸びてきたわけであります。しかし、伸びてきましたけれども、日本の社会保障は万全のものではないということで、現在の状態においては、第二の問題としましては、社会保障の拡充と社会環境の整備という大きな命題がございます。  もう一つは社会資本の不足を補わなければなりません。アメリカと日本との対比は四対一であります。ですから、少なくとも日本の社会資本比率が四倍にならなければアメリカ並みにはならないわけでございます。  もう一つは、第三番目には、知識集約化やオートメ化が進んでまいります。そうすればどうしても国民総生産は上がるわけであります。  第四に申し上げますと、二十九年から三十九年まで平均一〇・四%の成長を続けております。三十五年から四十五年の十カ年をとりますと一一・一%であります。この平均率は一〇・七五であります。この一〇・七五という十五年間の平均成長率に去年の成長率四・二五%の相加平均値をとりますと、七・五%になります。ですから四十七年度の予算編成に際しまして、十五年間一〇・七五%も高い成長を続けてきたものが、五%台の成長で日本の経済が維持できるわけはない、そういう考え方で、七・二%ないし七・五%という平均値をとって、まず四十七年度の景気回復の目標をここらに置かなければならない、こう考えたわけでございます。  その意味で、私が日本の潜在成長力を計算をいたしますと、四十五年の国民総生産が七十三兆円でございますので、これをベースにして六十年を展望し、年率平均五%で計算をしますと、六十年には百五十二兆円になります。七・五%で計算をしますと二百十六兆円になります。一〇%で計算をすると三百四兆円になるのでございます。過去十五年間の平均数字よりも下の一〇%をとっても三百四兆円の国民総生産は確保できます。このような数字が確保できるとすれば、社会環境の整備も社会資本の充実も、またアメリカ並みを求めておる日本の平均国民所得もおおむねその目的を達することができると思います。  こう述べておるのでございまして、これは記録もございますので、私はそういう話をどこでもやっておりますし、都市政策の中にも数字として出しておりますし、そういう意味では、アメリカと対抗するためにどうこうという超高度成長論者という立場で申し上げたものではないということを御理解いただきたい。

広沢直樹公明党

○広沢委員 ところで、四十七年度予算の内容を見てみますると、景気見通しの中から拾い上げて見ましても、外貨が減るのではなくてやはり相当ふえていくのではないか。数字的には先ほどもお話がありましたように、基礎的収支というものは二十七億ドルの黒、こういうことになっておりますけれども、内容的に見ますと、はたしてそういうふうな希望どおりになるかどうかということを二、三伺ってみたいと思うわけであります。  と申しますのは、四十七年度の政府の経済見通しによりますと、いわゆる七十一億ドルがやはり貿易収支において黒字になる、こういうふうに出ております。また四十六年度の貿易収支は七十五億五千万ドル。民間の見通しによりますと、これが四十七年度はやはり八十億ドル台をほとんどが示しているわけでありますが、政府が一番低くて、七十一億ドル、こういう見通しになっております。貿易収支が大きいことはこの表からもはっきり読み取れるわけでありますが、四十六年度の伸び率から考えて、一七・八%の輸出、それが四十七年度は八・三%に急激に下がった数字になっておりますね。今度は輸入の場合は、四十六年度の二・九%から四十七年度は一五・一%、約五倍に輸入がふえるということになっているわけであります。これは具体的にはどういうふうな施策を講じていくのかということを――これは、数字だけでは数字合わせということはできるわけでありますから、そういう意味ではなくて、具体的に内容をひとつ説明していただきたいということであります。

木村俊夫自由民主党経済企画庁長官

○木村国務大臣 私どもでいま来年度の輸入、輸出の見通しを策定しております。特に輸入につきましては、最近の景気対策効果がだんだん浸潤してまいりますし、また輸入自由化等の輸入対策、これを推進してまいりますために、輸入の増加を相当見込んでおります。輸出につきましては、御承知のように景気対策もその一面ではございますが、特にわれわれのほうといたしまして輸入対策というものを相当重く見ておりまして、その面からこれを推進していくという面で輸出の減少を見ておるわけでございます。

広沢直樹公明党

○広沢委員 いまの説明ではよくわからないわけでありますけれども、こういうふうに急激にこの数字が変わってきているという内容は、相当具体的な手を打たなければならないと思うわけであります。  今度金額的に見た場合においては、輸出は二百三十四億ドル、四十七年度は八・三%で二百五十四億五千万ドル。輸入の場合、四十六年度が百五十八億五千万ドル、四十七年度は一五・一%の高い比率で百八十二億五千万ドル、その差が七十一億ドルという高い数字になっておるわけです。数字の上からは相当な輸出、輸入の変わった形が見えるわけでありますが、実質的に言いますと、七十一億ドルという大きな黒字を出しているわけであります。先ほども問題になっておりましたような、いわゆる円再切り上げという問題が、外貨が減らないでたまっていくのだ、そういう観点から起こってくるとするならば、もう少しこれは輸入というものを具体的に検討してふやしていかなければならないのじゃないだろうか。いわゆる二・九%から一五・一%に輸入をふやすというけれども、具体的にはどういう方法をやってこの一五・一%、五倍に輸入をふやしていくのか。これだけでも、いまの数字ではやはり外貨はたまる一方ということになるわけでありますから、それを調整していくということになれば、減らしていかなければならないと思うわけです。そういう面からひとつお考えを伺いたいと思います。

田中角榮自由民主党通商産業大臣

○田中国務大臣 四十七年度は景気見通し、景気の浮揚にかかっておるわけでございます。景気は、四十六年度は実質で私は先ほど四・二五%と申し上げましたが、これは私の推定数字でございまして、経企庁でやっても四・二五%から四・三%ぐらいだろう、実質的には四%を割っているかもしれないという見方もございます。これはいずれ数字で出てくるわけでございますが、こういうことになりますと内需は盛んになりませんので、どうしても輸入は押えられ輸出ドライブというような姿になります。そういう意味で貿易収支は非常に大きな黒字になったわけでございます。しかし、ことしは七・二%の成長率を維持するということでございます。現在の状態では、まだ二月でありますから四%台だと思います。ですから七-九月、十-十二月、来年の一-三月というようなものを考えると、相当程度高い成長率にならないと七・二%ないし七・五%の維持はむずかしいと思います。  そういうことになりますと、七・二%ぐらいになると、先ほど申し上げましたように貿易収支は七十億ドルの黒字であっても、その他の総合収支でもって差し引きいたしますと三十五、六億ドルの黒字。これがそのまま外貨としてたまるわけではありませんが、たまればちょうど百六十四億ドルプラス三十六億ドルというと二百億ドルになるわけでございますが、外貨はそういう計算ではたまりません。これは西独が公定歩合を引き下げたりして、こちらがまだ金利が高ければ短資は流入するわけでございますので、そういうわけで外貨を計算するわけにはまいりませんが、いずれにしても、健全な計算のしかたから考えますと、輸入を拡大するためには原材料をどうしても使うようにしなければなりません。そういう意味で、経済成長を七%以上に引き上げるために、予算の早期執行等いろいろなことを考えていかなければならぬことは当然でございます。特にことしは、先ほども細谷さんの御質問がありましたが、いままでのように、政府投資が先行してくると付随的に民間投資が活発になるという状態ではありません。そういう意味で、今度の景気浮揚ということに対しては、財政主導型ともいえるわけでございますので、相当力を入れなければならないということでございます。  特にこの四十五年の個人消費支出の中に占める財貨の購入に充てられたものは、七百九億ドルという膨大もないものでございます。この七百九億ドルに対して直接消費財の輸入は三十三億ドルであって、この比率は四・七%でありますので、こんな状態では物価は下がらないとかいろんなことがいわれるわけでございますので、やはり景気浮揚を強力に推し進めるとともに、輸入品のこの七百九億ドル――まあことしは一〇%以上個人支出がふえるわけでありますから八百億ドル近くなると思います。そういうものの中に占める輸入品のシェアというものを一〇%に上げればどのくらい物が下がるのかというような計算は比較的簡単にできるわけでありますので、一次産品やそういうものは、そんなに簡単に輸入できるわけではないけれども、やはりそういうことも考えながら輸出入のバランスをとるということが非常に重要な問題だと思います。

広沢直樹公明党

○広沢委員 いろいろ御説明をいただいたわけでありますが、私もこの問題について、時間がありませんので、これくらいにしたいと思うわけでありますけれども、一例をあげれば、やはり個人の消費支出というものがあまり伸びていない。そういうことは、輸入をこれから増大さすのだといいましても、いろいろ手段というものはあるでありましょうけれども、基本的には国民総支出の大半を占めております個人消費支出というものが伸びるような体制でなければ、輸入というものもそうふえていくわけじゃないのではないか、こう思うわけです。いままでのように、輸入をし、そうしてまた、それを付加価値をつけてどんどん輸出していくというような形はとれないということでありますから、そういう面から考えましても、こういう点については十分配慮していかなければならないのではないかと思います。  次に、税制についてこれから若干伺ってみたいと思うわけでありますが、まず、先ほどからも指摘がありましたように、四十七年度予算を税制の上から見ました場合においては、景気対策あるいは福祉優先、そういう二つの予算編成の基本方針といいますか、そういったものが全く感じられないわけであります。四十七年度の税制改正による国税の増減収見込み額によりますと、実質的には四十八億円の増税になっておるわけであります。政府は、例年減税を行なってきた。景気回復と福祉優先ということであれば、四十七年度、こういう時期にこそ大幅な減税をしていかなければならないと思うわけです。先ほどの質問に対して水田大蔵大臣は、追加減税ということは非常にむずかしいのではないか、それよりも社会保障のほうへ回す必要があるのではないか、こういうことで追加減税というものはできなかった、こういうような答弁をなさっていらっしゃるわけであります。その点、基本的になりますことは、繰り上げて減税をしているんだということはどうも理解しがたいわけでありますけれども、具体的に御説明いただきたいわけであります。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 繰り上げ減税は、昨年の暮れの国会のときも、法案を提出しましたときにはっきり御説明しましたとおりでございます。四十七年度税制としてこの国会に提出して御審議をお願いするという予定のものを、昨年の不況の度合いから見まして、ことに十二月の消費活動の最も旺盛なときに繰り上げて減税する効果というものが非常に大きいことを見まして、早目に実施するということをやったわけでございますが、いまから考えて、私はその効果はもうすでに現在出ておるところでございますので、この減税を繰り上げてやったことは非常によかったんではないかと考えておりますが、そのほかに、御承知のような、所得税の減税をやりますというと今度は地方税との不均衡の問題が起こりますので、地方税の減税を一千億円以上するというようなことをあわせてやりましたので、本年度の減税の幅も相当大きくなっておるところでございますので、いままでの減税と比べて今度の措置が非常に少ないというようなことはないだろうというふうに私は考えています。

広沢直樹公明党

○広沢委員 四十六年度の補正予算において大幅減税を繰り上げてやったということですけれども、それは四十六年度の当初、四月にさかのぼったわけですね。したがって、四十六年度当初の千六百六十億ですか、その四十六年度の減税というものは、むしろ少な過ぎたのではないか。いわゆる当初の見通しが誤っておったのではないかと思うわけです。その間におきまして、御存じのようにドルショックが起こってきておりますし、あるいは不況が長引くのではないかという問題もありました。そういうようなことから考えて、補正において景気浮揚をまず第一のねらいとしていわゆる大幅な減税をまたやった、こういうことになるわけであります。したがって、その両方を足しまして三千三百十億円の減税となるわけでありまして、四十一年の不況のときと比べてみましても、この補正を加えた四十六年度の減税というものが決して大きいものではない、むしろそれは少ないといえば少ないだろうと私は思うのですね。そういう意味において、いまさかのぼった――さかのぼったというか、繰り上げ減税をやったということは、どうしても理解しかねるわけでありますけれども、むしろ四十七年度の減税財源がなかったということじゃないのか。そちらのほうへ回していく財源というものがなかったと、率直にそうおっしゃったほうがすっきりするのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 四十七年度に予定しておったものを繰り上げて実施するということをむしろ断わって皆さんの御賛同を得たというのが実際でございますので、財源がないからやらなかったというのじゃなくて、予定したものを繰り上げたということが実際で、御質問へのお答えもみな速記録に出ておることでございますし、特に私は、場合によったら繰り上げも一月から三月、年度内減税でなくて、もう少し範囲をという話も、最初そういう案も考えましたが、これは当時いろいろ野党の方々等の御意見も私は聞きましたが、やるのなら十二月にさかのぼってやることが最も効果的だ、それではこれはもう四十七年度の減税ですよということも皆さん御承知の上で、これは前回御承認を願ったことでございまして、この問題は私がうそを言っているわけではございませんから、もうこの程度で……。

広沢直樹公明党

○広沢委員 私は、その当時の大蔵委員会の議事録も読んでみたわけです。しかしながら、そこの指摘というのは、佐藤総理もいらっしゃるわけですが、佐藤総理が景気対策上年内減税をやれ、こういう指示も出されたというふうに伺っておるわけでありますが、やはりいまおっしゃったように、四十七年度にやるべきを繰り上げたんだ、これは了承したんだというふうには、私はどうも理解できないわけですね。  それならば、毎年毎年減税をやっているわけでありますけれども、繰り上げたからその波及効果が、二千五百三十億ですか、四十七年度にその効果があらわれてくるんだというその論法どおりにいきますと、では毎年毎年減税をやっている分の翌年分の波及効果というものも具体的に説明をいただかなければならないことになるわけです。この統計から見ましても、そういう説明なんというものは統計上からも出てきませんし、いままでもそういう説明はないわけです。毎年毎年やはり減税をしていく、そうして四十六年度はたとえああいう経済情勢の中にあったとしても、これでは景気回復を早くやらなければならないというひとつの効果をねらってやったわけであります。ですから私は、これは当然四十六年度の追加減税であって、四十七年度を繰り上げてやったというふうな、あえてこの間に限ってそういう説明は詭弁としか受け取れないわけなんです。いかがでしょうか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 四十六年度の当初の減税は、むろん平年度化せばこれはやはり二千数百億円になるものでございまして、これは今年度に及んでおるわけでございますし、それに年末に行なった千六百五十億円の平年度化、この二つが今年度は重なって、今年度の実際の減税効果をあらわしておるということでございまして、毎年毎年やる減税は、むろんその減税の効果というのは次の年度には及んでおりますが、それとは別に年度年度で、たいてい所得税の減税は年中行事としてやっておりますが、今年度は、四十七年度分を予定しておりましたものを昨年の暮れに実施したということでございますので、この二つの平年度化の効果というものは大体四千七、八百億円になっておるのじゃないかというふうに考えております。

広沢直樹公明党

○広沢委員 今回に限って特にそういう理屈をつけて説明される意味というのが私にはよく理解できないわけでありますが、もう一ぺん観点を変えて申しますと、四十一年の不況のときには、自然増収に対する一般減税の比率というのは、ここに書いてありますが約六九・七%、四十二年度景気が上昇し始めたときにもやはり四八・三%。四十六年度は、その補正分を四十六年度減税として加えたとしても四〇%そこそこであります。ですから、いま戦後最大の不況あるいは深刻化なんということが言われておりますけれども、景気対策と福祉ということを考えていくならば、これはまさしく四十六年度の減税であって、四十七年度は一般減税なしということになるのじゃありませんか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 形の上では四十七年度減税と銘を打たなかったというだけでございまして、実質的には四十七年度に予定しておった減税を実行した、繰り上げ実施したということは間違いございませんで、これは四十七年度減税であると私どもは考えております。

広沢直樹公明党

○広沢委員 昨年の十一月九日の大蔵委員会の議事録を読ましていただきますと、いま言うようないろいろな質問に対しまして、来年度は減税はやらないのではない、やれないのではないか、自然増収との関係においてなかなかやれないのではないかと思うという答弁がありました。水田大蔵大臣がそこに出席なさっていたかどうか、ちょっとここにありませんけれども、政府答弁としてそういう答弁がなされているわけです。したがって、四十七年度はやはり公共事業を大幅に拡大する、その必要から公債を多量に発行したわけでありますが、減税する財源が不足している、それを補わなければならないから減税に回すお金はないのだ、こういうような意味にとれるわけであります。大蔵大臣は終始一貫して、いまさっきの説明をずっと繰り返されていらっしゃるわけでありますけれども、いまるる御指摘申し上げたように、やはり言い方によるとはおっしゃったけれども、四十七年度は一般減税はやらなかったのだ、こういうふうに受け取ってよろしいですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 当時から、それじゃ四十七年度には所得税の減税は出さないかということでしたが、ここで繰り上げて実施すればあらためて出す余裕というものはないだろうというような考えからの答弁をしたように記憶しておりますが、これははっきりしておりません。要するにそういう意味で、いまやればそれ以上の余裕はない、おそらくこれにプラスしたさらに新しい所得税の減税案は出さないつもりであるということを、あのときははっきり申し上げてあるつもりでございます。

広沢直樹公明党

○広沢委員 それにしましても四十七年度は、再再指摘がありましたとおり、国鉄はじめ健保その他公共料金が一斉に上がるわけでありますから、一般減税がないということは、物価上昇によって可処分所得がそれだけ減るということでありますから、形の変わったいわゆる増税、こういう形になるのじゃないかと思うのです。要するに大蔵大臣は、昨年この問題が起こったときには、四十七年度の財政というものは非常にきびしいものである、その証拠に公債があれだけの大きな金額になっているわけでありますから、そういうことを見越されて、いわゆる繰り上げ減税だということをその当時強調なさったのじゃないかと思うのです。しかし現実はやはり四十六年度の追加減税であって、先ほど数字で説明申し上げたとおり、不況期における減税というものは、いままでの実例から考えてみますと、これは四十六年度の減税と見られるべきである。そういうようなことから、いま申し上げているように、少なくとも物価上昇分についての減税ということは考えるべきじゃなかったのか。そうでないとするならば、昨年の繰り上げ減税した時点において、今日の一斉の物価上昇というものをすでに予測しておられたのかどうかということです。まあ政府の消費者物価に対する公共料金の寄与率といいますか、その中にも代表的なものしか加えられてないわけです。一般的にこれから上がるであろうと予測されるし、現実的にその動きになってきているものについては加味されてないので、いわゆる政府見通しの消費者物価上昇率五・三%というのは、これは維持できるかどうかということが論点になっているぐらいであります。したがって、あなたがそうおっしゃるならば、その時点において物価上昇というものを、一応今日のあり方というものを予測されておったかどうかということになるわけです。もしも、そうではない、予測される分もあったかもしれませんが、ここに一斉にこういう形になってあらわれてくるということは予測されなかったとするならば、少なくともいま申し上げたように、物価調整減税というものはやるべきじゃないか、このように思うわけでありますが、いかがですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 時期的に見ましても、すでに今年度の一月に予算をきめ法案を出すということですから、昨年にはもうそういうもののいろんな準備をいたしておりましたので、四十七年度の減税というようなものも大体昨年の暮れには準備が進んでおったために、それをもう繰り上げて四十七年度から実施しなくても、こういう経済情勢のときだから、去年のうちに年内繰り上げて実施して適用するほうが国民のためには非常にいいし、またこれがかたがた不況対策にもなるということを考えて、あのときに四十七年度の準備をした法案を年内に繰り上げて国会に出して御承認を願った、こういういきさつから見ましても、時期的にもう提出する期間がかりにあのときに提出しなくても、ことしの一月になればもう予算と一緒にこの法案は準備すべきものでございますので、もう時期的にもほとんど一緒になっておったということですから、繰り上げて実施するという措置をあのとき思い切ってとった、こういう事情でございます。

広沢直樹公明党

○広沢委員 これからも大蔵大臣、やはり減税、物価調整減税だとか、あるいはまあいわゆる公平負担の原則に基づいた課税最低限の引き上げとか、あるいは税率の調整だとか、こういう減税は今後も考えていらっしゃるわけでしょう。いかがでしょう。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 これはもう当然でございます。昭和四十八年度減税は、もう今年度、これから私どもは、もうすでにこの検討に取りかかるということでございます。

広沢直樹公明党

○広沢委員 ですから、消費者物価の上昇率五・三%として、いわゆる所得税の課税最低限を消費者物価の上昇率だけ引き上げたとした場合の減収額というのは八百九十億ですか、こういうふうに資料は出されておりますけれども、この五・三%の中身というのは、いまメジロ押しにずっとこう物価上昇が考えられている。あるいは問題になってきている問題全部含んでいるわけじゃないわけです。したがって、民間のその見通しにおきましても、まあ五%台なんというのはほんのわずかしかありませんし、ほとんどがまあ六%をこえるだろう。まあ非情な見方をしているところは七%にもいくんじゃないかというふうな見通しさえ民間の見通しでは立っているわけでありますから、そういう考え方からしますと、この問題が多少含まれているとしても、今日の情勢から考えていけば、やはり物価調整減税をやっていくというくらいのことは当然考えるべきじゃなかったのか、このように思うわけです。先ほどもいろいろ指摘がありましたように、やはり減税というものが景気対策の上から考えてみましてもあるいは福祉面の対策から考えてみましても、両面においてこれは最大の効果があらわれる処置じゃないかと、こういうふうな指摘がありました。そういうようなことから考えまして、いまの答弁では十分理解できないわけでありますけれども、もう一度具体的に答弁願いたいと思います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 御理解いただけないということでございますが、いま申しましたような事情によって、われわれは四十七年度分として検討した税制案を繰り上げて実施したために、あの減税案は四十七年度分の減税だというふうに理解しておる次第でございます。

広沢直樹公明党

○広沢委員 これは先ほどの質問にもありましたのですけれども、いわゆる減税財源というものが全くないのかというと、私はそうじゃないと思うのです。税制の中だけを洗い直してみましても、租税特別措置、こういったものをもう少し洗い直してみる必要があるんじゃないか。いろいろ大蔵委員会で指摘されております社会保険診療報酬の特例の問題につきましても、あるいは交際費課税の問題、特にまた利子配当課税の特例、こういったいままで数々指摘されておった問題についても、これはやはり十分検討を加えていくならば、当然一千数百億の財源というものは生み出されるのではないか、その範囲の中でも、やはりこういう物価上昇のおりにおいては、低所得者層に対する非常な圧迫になるわけでありますから、いわゆる一般減税というものをやっていくべきではないのか。いわんや補正減税のときに問題になりましたことはやはりこれは上厚下薄じゃないかということが指摘されておりました。いわゆるいままでとは違いまして、その千六百五十億という金額の半分がやはり税率の調整、それも上部の税率の調整に使われている。ですから、少なくとも四十七年度においては、その低所得者層に対する減税というものは考えなければならぬはずじゃないかということも盛んに論議されておったところであります。したがって、こういう面を洗い直してみただけでもその財源は十分出てくるのじゃないかということでありますが、いかがでありますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 今回はいろいろの政策上の問題がございまして、そういうものの特別措置が必要になっているものが非常に多うございますので、それらを調達するために、いわゆる従来から言われておった特別措置の整理は、相当今度はやったつもりでございます。たとえば貸し倒れ準備金の問題、輸出振興税制の問題、そこに手を触れて、相当大きい増税部門もつくって必要な減税をやっているというようなことでございまして、他に必要な減税もございましたから、そういうこともやっておりますし、所得税の減税についてはいま言ったような事情で、そうしてやはり国税だけではなくて、国民の負担を軽くするという意味からは同じことでございますから、今度はやはり地方税の減税に手をつけてほしいと思いまして、自治省と相談の上で、自治省が住民税、事業税の減税を一千億円以上する、それに対して国は乏しいながらいろいろ財源的な協力もするというような形で全体の減税を案分したということでございますので、ことしのような事情のときにおきまして自然増のない年においては減税の幅としては私はそう少ないものではないというふうに思っております。

広沢直樹公明党

○広沢委員 いままでのいろいろな措置から考えてみましても、いまおっしゃいましたけれども、今度新たに産業安全衛生設備特別償却あるいは発電、製鉄燃焼用揮発油税免税あるいは電子計算機特別償却率の引き上げ、船舶特別償却率の引き上げ等々、新しくまた減税をやっているわけです。先ほども指摘がありました公害防止準備金の問題についてもそうでありますがね。ですから、福祉予算へという一つの面を税制の上から考えてみるならば、こういったおりにおいてはやはり一般の減税というものを行なうべきじゃないだろうか。この租税特別措置というものはそれだけの政策目的を持ってなされていることはいなめないわけでありますけれども、こういったおりには産業というものに重点を置いた特別措置の扱いではなくて、むしろそれを整備して一般減税のほうへ回していくべきじゃないか、こういうふうに私は考えます。そういった面からも、やはり税制面における福祉優先へという感じが私はしないのであります。これは指摘を申し上げておく程度になりましたけれども……。  次に私は国債の問題についてお伺いしたいと思います。  国債の問題についても先ほどいろいろ議論がございました。やはり私は、国債の問題はまあ発行の限度額というものが一つは問題である。それからもう一つは、具体的な償還計画といいますか、管理政策ですね、これが一つ重要な問題であると思うわけであります。  そこでまずお伺いしておきたいことは、財政法第四条によって建設国債に限ると、こういうふうになっておりますし、あるいは財政法第五条によりまして直接日銀の引き受けというものはできないことになっております。したがって、このたびの国債発行に対しまして、節度ある運営という観点からまず伺ってみたいわけでありますが、四十一年度の国債依存度というものは一六・九%、四十二年度は二八・二%、これをピークにしましてだんだん漸減しております。四十六年度当初予算においては四千三百億、依存度が四・六%までこれは下がっておりますですね。まあこれは財政当局が国債依存度を西欧水準並みの五%まで引き下げる国債発行漸減政策をとった。これは当時の大蔵大臣でありました福田さんがやはり景気の動向によって弾力的にこれを扱うのだということを申しておりましたし、民間の企業がよくなれば公債はこれを減らしていく、民間の企業が落ち込む事態になれば公債政策を強化せざるを得ない。今回は景気が急速に回復して、経済成長をとってまいりましたからいままでは四・六%に下がったのかもわかりません。しかしながら、その自制力があったとしても、今後はそういうふうになり得ないんじゃないかというふうにまず考えるわけです。したがって、いままで五%以下にするという財政制度審議会の答申もありましたが、それをめどとした考え方をいまも持っていらっしゃるか、今後の基本的な運営について簡単にひとつ説明いただきたいと思います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 国債発行のめどというのは、当時においては経済のいいときを予想して、いいときを背景にしてきめたものでございますので、あの意見は非常に妥当であったと思います。また私どももその方針に従って年々依存率を下げてまいりました。したがって、最近におきましては非常にこの国債発行の余力というものは蓄積されておったというふうに思っております。ところが、こういうニクソン・ショック以来の特別な事態から予想しない不況というものが誘発されてきたのでございますから、この際はあのときの財政制度審議会の意見どおりの依存率に従う必要はないんだ。結局国債の発行はそのときの経済情勢によってきめられるべきであると思いますので、今回は四十一年のときよりもむしろこの依存率が高くてもやむを得ないという事態ではないかというふうに私どもは考えて、これだけの大幅な公債政策の活用を考えたというわけでございます。

広沢直樹公明党

○広沢委員 問題は、これからの見通しが一つ大きな問題になってくると思うのですね。いままでの分についてはどうこうということをいいましても、具体的な計画を立ててやらなければなりませんですが、今後はどうなるのかということであります。いままでは、先ほどもお話がありましたように、景気がいいということで税の自然増収というものも相当あったわけですし、四十五年は一兆数千億というぐらいまで自然増収というものが見込まれたわけですから、その税収によってそれは補っていくことができたと思います。しかし今後においては、いま言うように、先ほどもお話がありましたが非常に成長が落ちて、いま四・何%だということです。これから一〇%台に景気を回復さすということで上がっていったとしても、平均したら先ほどのお話のように七%前後というのが政府の見通しでありますね。そういうことになると、これからは自然増収によってこれを減らしていくということは考えられないわけですね。今後についてはこれはどういうふうな考え方を持っているか、この点についてお答えいただきたい。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 不況が回復して好況になりさえすれば、いままでの例によりまして税収というものはふえて、自然増というものは必ずふえてまいりますので、それに応じて国債の依存率というものはまたいままでのように年々切っていくという運営が当然できるだろうというふうに思っております。

広沢直樹公明党

○広沢委員 自然増収というものがあまり見込まれないし、来年においては見込みが三分の一以下、五千五百二十五億。来年度は自然増収はそれぐらいじゃないかというふうな見通しですね。しかしながら、景気がよくなったとしても、安定成長というからには、いままでのような一兆数千億なんてことは当然考えられないわけですね。したがって来年度かりに大幅に発行していくということになれば、これはますます国債がたまっていくわけでありますから、そういう点に関しては具体的に来年は一体どういうふうに考えていらっしゃるのか、ひとつお答えいただきたい。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 私は、来年は国債依存率は、少なくとも今年度よりは相当下げることができるというふうに思っております。それが下げられないくらい来年まだ不況が続くということはたいへんなことでございますが、私は必ず来年は今年度のような状態にはならない。不況が少しでも回復すれば、今年度のこの不況ですら減税を考えなければ八千億円以上の自然増が見込まれたのですから、これを減税して六千億円近い自然増ということですが、これが少しでも公共のほうへ向かえば相当の自然増は期待されることと思いますので、したがって、国債の依存率はそれによって切ることができると思っております。

広沢直樹公明党

○広沢委員 先ほどもお話がありましたように、やはり来年も減税をなさるわけですよ。来年というのは四十八年度です。よろしいですか。いまのお話のように、減税をしなかったら八千億ぐらいあったんじゃないかというようなことをおっしゃいますけれども、これは減税するのですから、先ほどお答えなさったように。ですから、なかったという仮定じゃ困るわけですね。  それから、どれぐらいな成長率を考えていらっしゃるのかわかりませんが、先ほどのお答えでは大体七・二%ですか。これを経済運営の目標になさっていらっしゃるわけでしょう。そうすると、一〇%以上こえているときに一兆円をこす自然増収というのは考えられたわけですね。今度の税収の落ち込みというのは、これは法人税が非常に落ちているわけですから、そういう観点から考えてみましても減らしていくという気持ちはわかる。当然減らさなければならぬと私も思うのです。しかし、具体的にどういうふうに減らしていくことができるのかという計画がおありなのかどうか、ひとつその計画をいまお答えいただきたいと思うのです。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 国債の発行高は、そのときの経済事情と歳出、歳入の事情によってきめらるべきものでありまして、そう簡単に、前もって来年は幾らにするということをいまから予定を立てておくというわけにはまいらないだろうと思います。

広沢直樹公明党

○広沢委員 参議院の代表質問のときのわが党の二宮副委員長の質問に対しまして、大蔵大臣の答弁は、来年度公債の依存率を下げることができなければ四十七年度の政府の財政政策が失敗であったことになる、来年度の公債依存度はそういう意味で政府施策のバロメーターである、そういうふうにお答えなさっていらっしゃるですね。その決意はけっこうだと思うわけでありますけれども、具体的にいまそのときの情勢でなければわからぬというふうなお答えのようでありますけれども、いまこの依存度を下げていくとするなれば、何か変わった財源を見出してくるか――よろしいですか、自然増収というものは、これからはいままでのようにそう見込まれないと私は思うのです。そうなってくると、これは先ほど総理からもお答えがありましたように、これから福祉重点にして生活環境整備をやる、この面に対しての予算というものは押えるわけにはいかないし、これから自然に伸びるのは当然である。こういう見方――需要は大きいわけですね。そうなりますと、いまおっしゃっておられるようにやはり安定成長に持っていくということになれば、いままでのようにこの節度ある運営とは言いながら、もう下げていくということは非常にむずかしくなってくるのではないか。下げていこうというあなたのいまのおことばどおりであれば、それだったならば何かほかに財源というものを考えなければならなくなってきているのではないだろうか、その点はいかがですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 これは税制調査会の答申の中にも出ておりますが、将来の税制のあり方として所得税は年々減税していく方向で考えらるべきもの、それから法人税はいまの水準を維持することがいい、そうして間接税はやはりこの姿を直す方向で研究されたいというような大づかみの方向が出ておりますが、結局国民の所得水準が上がるということによって、国民の負担が所得水準に応じて若干上がることはやむを得ないということも税制調査会で示唆しているところでございますが、そういう形でなければやはり高度の福祉国家をつくるということはむずかしいということで、これはそのとおりであろうと思います。したがいまして、先進国の税の負担のあり方を見ますと、これは日本の国民負担よりも少なくともみんな倍ぐらいの負担率になっておる。しかし、日本はいままで国民所得の水準が低かったために、負担率は外国並みにはいかなかったのですが、これから経済が安定成長の路線にほんとうに乗って国民の所得水準が順調に増していくというときには、それに応じた国民負担の若干の増加というようなことを考えながら税制の問題を考えることと、それと不足財源をいま言った公債の活用はどういうふうにしてどの限度において活用するかというようないろいろなからみによって、これはやっていくよりほかにしかたがないのではないかというふうに考えています。

広沢直樹公明党

○広沢委員 高度成長はもう考えないといいますし、自然増収というのはあまり期待できない、そういうことになりますと、結論から言うと、また国債を発行せざるを得ないのではないか。それはもうすでに大蔵大臣がいろいろおっしゃっておられるように、建設国債というのではなくてもう赤字国債にならざるを得ないのじゃないか。それで今度はいわゆる税制を考え直すという段階に踏み込んでいくか、そうするか、二者択一になるのではないかと私は思うわけです。いまのお話のように、ある程度そういう面を考えているというお話でありますけれども、それまでにやはりいまの財政というものを一ぺん洗い直してみる必要があるのじゃないだろうか。ただ単にいわゆる高福祉高負担だ、福祉のためには、これを充実していくためには高負担もやむを得ないのだといういままでのやり方を上塗りしたような考え方でやっていくということでは賛成しかねるわけです。  時間がありませんので、最後に一言申し上げておきたいことは、ともかくも財源が足りなくなったら借金をすればいいんだ、公債を発行すればいいのだ、あるいはまたそれがどうも大きくなり過ぎてどうにもならなくなるといえば増税すればいいのだという、単純というか、国民に押しつけた考え方であってはならないと思うわけでありますので、その点は十分今後も配慮願いたいと思うわけであります。  あと、具体的に国債問題につきまして御質問申し上げるつもりでありましたけれども、時間がありませんので、国債の問題はこれぐらいにいたします。  次に、福祉というからには、私は社会保障関係を取り上げてみたいと思うわけであります。  これは、佐藤総理の施政方針演説の中にも、とにかく一人一人の国民が安心して安定した生活ができるということ、単に施設面だけをよくするということではなくて、それは考えていかなければならない、こういうふうに申されておりますし、その一つのあらわれとして、いわゆる老人の福祉対策という問題がここに例にあげられていらっしゃいました。私は、その問題を具体的に取り上げる前に、基本的な問題を二、三聞いておきたいと思うわけでありますが、まず、社会保障関係費というのは、前年比二二・一%、予算の伸びから見ると少し伸びが大きいようでありますけれども、ほとんど変わらない。これは大蔵原案の段階では、予算の伸びよりもまだ保障関係費の伸び率は低かった。二一・五%か幾らであったと思うのです。大蔵原案の場合においてはですよ。そしてまた、さらに予算の構成比別に見ますと、四十五、四十六、四十七年とも一四・三%で構成比は変わっておりません。まあ福祉重点というならば、冒頭にも申し上げましたように、やはりここに十分なる配慮が加えられていなければならない。これは全体的に見ての話でありますけれども、発想の転換というならば、やはりこういった面から改めていかなければならない。ここに端的に、福祉重点とはいうものの、佐藤内閣の姿勢があらわれているのじゃないかと私は思うわけであります。この点につきましてひとつ総理の所見を伺っておきたい。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 この総予算に占める比重ですが、三十年代は、御承知のように社会保障費は一一・四%ですか、そのくらいのところであったのが、四十年代になって一四%ということになりましたが、ことしは構成比が去年と同じでまことにぐあいが悪いかっこうなんですが、これは実質的には違うんで、ことしの予算の中には沖繩とかいろいろなものが含まれておりますので、例年と違う特別な要素を差し引きますというと、ことしは一五%以上の比重になっておるというようなことでございまして、伸び率から見たら、いままでとはもう全く違う伸び率ではございますが、予算の中の構成比といいますというと、なかなかこれは一挙に上げることはむずかしいのですが、しかし、ことしは一%とにかく上がっておる、実質的に上がっておるということは事実でございます。

広沢直樹公明党

○広沢委員 先ほどもいろいろ御指摘がありましたけれども、防衛費については先取りをやっていく。しかしながら、こういう社会保障関係になりますと、いわゆる予算編成のときにはやはり二五%のワク内でとか、あるいは前年と同じ伸び率になる、そのワクの中でとにかくやりくりしろ、こういうかっこうにとれるわけであります。それは確かに伸び率からいいますと、福祉予算の中で社会保障費だけを取り上げてみますと、これは、多少伸びております。しかし、全体として福祉という形から取り上げたときには、いま申し上げましたとおり、社会保障関係費という立場で申し上げますと、伸び率というものは全然変わらない。これは二、三年ずっと同じ姿勢であるということになれば、どこに発想の転換かということになってしまうわけであります。  それからもう一つ具体的に申し上げますと、今度は経済計画の中でこれを見てまいりますと、よく社会保障の基準といいますか、それを比較相対していくとき、振替所得、これは内容的にはいろいろ問題がありますけれども、使われるわけでありますが、四十年度のGNPに対する振替所得は五・六%、ところが四十六年度は、政府の経済社会発展計画によれば、これは二%引き上げて、この発展計画の終わる時分においては七・五%程度になるという目標になっているわけです。ところが実質は五・五%で、むしろ四十年より低下しているわけですね。経済先進国、まあ主要国ですが、それはすでに一五%を上回っている、これは再々指摘されているとおりであります。このままでいくならば、やはり先進国との格差というものは増大していくんじゃないか。そこで、今度新経済社会発展計画になってみましても、その内容を見ますと、四十四年の振替所得の五・二%を、昭和五十年までに二%またこれは同じような考え方で引き上げていきまして、七・二%程度に上昇させる、こういうように言っているわけであります。これでは当初の計画である、前の経済社会発展計画よりも後退しているといいますか、そういう低率になっているわけですね。これでは私は、幾ら経済社会発展計画の中に福祉を重点にするということを織り込んでみても、やはり社会保障の充実といいますか、強化といいますか、これまでのおくれを取り戻していくということにはならないんじゃないか、こういうふうに考えるわけでありますけれども、その点についてお答えいただきたいと思います。

木村俊夫自由民主党経済企画庁長官

○木村国務大臣 御指摘のとおり、現行の新経済社会発展計画の中では、四十四年度五・二%を最終目標二ポイント程度上げるということになっております。こういうことで、われわれは現行の計画に今回見直しをいたしまして、長期経済計画の中で、この振替所得と国民所得の比率をどのように上げていくかということを今後検討したいと思います。現在経済政策の転換の中で、ぜひともこれはそういう目標を達成したい、こういう考えで、いま作業中でございます。

広沢直樹公明党

○広沢委員 それは十分ひとつお考えいただきたいと思うわけであります。  時間がありませんので、具体的な老人問題について二、三伺いたいと思うわけでありますけれども、まず総理は、この老人福祉の問題につきまして、いままでにない改善を行なったことを十分評価してほしい、こういう質問に対する答弁がありました。しかしながら、再三指摘されておりますように、老齢福祉年金ですね、特にこの問題については、重要な問題でありますが、二千三百円から三千三百円になった。これは三十四年の発足以来十数年たっておりますけれども、それからの伸びから考えますと、相当前向きになったと言えるかもしれません。しかし、私はいま、それは数字の問題を、伸び率がどうだこうだということを言っている段階じゃないんじゃないかと思うのです。やはり具体的に実勢に合ったように、この問題というものは取り上げていかなければならないんじゃないか。単に千円上がった、それは三千三百円になったからといっても、よく言われておりますように、これはあめ玉からたばこ代に変わっただけじゃないか。それがましてや年金制度の中に無拠出の年金として組み込まれているわけです。それならば、年金制度の基本的な考え方というものはどうなんだということになってくるわけですね。その程度で財源がないからしかたがないんだ、あるいは年金制度が未成熟であるからこれはやむを得ないんだということになりますと、時間があれば私は具体的な問題についてこれは指摘申し上げたかったわけでありますけれども、問題は、私は、その三千三百円の老齢福祉年金じゃなくて、やはり思い切ってやろうと思えば、実勢に合った年金の制度、こういう福祉年金も切りかえれるんじゃないかというふうに考えているわけであります。その点に関しまして、総理のお考えをまずお伺いしておきたいと思うのです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 今度の予算にちゃんと盛り込んでいることは、広沢君よく御承知ですから、私は重ねて申しません。われわれはもっとさらにさらにこれを進めていかなければならぬ、かように思っております。

広沢直樹公明党

○広沢委員 私が申し上げるのは、こういう老人の方々は、もう総理も十分御存じのように、戦前、戦後を通じて過渡期を過ごされている方であります。そうしてやっといわゆる社会保障の柱になっております年金ができた。しかし、それには加えてもらえなかった方々でありますね。それがそういういわゆる年金制度の補完的な中でしか取り上げられない、ここにやはり基本的な考え方を、発想といいますか、改めてもらわなければならないと私は思うわけです。いまのように、ただ前向きに取り組んでいくというんじゃなくて、先ほども申し上げましたけれども、いまや伸び率だとかそういう前向きに取り組むということばをお聞きしているんじゃなくて、私は実勢に合ったようにできるんじゃないか。具体的な一つの例を申し上げますと、七十歳以上の方で一人暮らしであった場合、これはだれからも経済的に援助がありません。そうすると、この方々の生活というものは一体どうなるかといいますと、生活保護を受けることになります。生活保護におんぶしたと言ったら語弊があるかもしれませんが、年金はわずか三千三百円ですから、これは生活できるわけがありません。そういう形でしかその対策は考えられていない。老人福祉法というものが三十八年にできて、その内容は一体どういう基本姿勢というものがなされているかというと、そういう実態から見た場合、全くこれは福祉法の精神なんというものは加味されていないといわざるを得ないわけです。それじゃ現実に政府が支出している金額的に見ましても、やはりすでに二万円以上の金額に相当する、いわゆる実勢に応じてやはり生活ということを考えていくならば、年金が生活保障であるとかあるいは所得保障であるという面から考えてみましても、当然これは、現実にはもう二万円は必要なんだということを示しているんじゃないかと私は思うのです。ですから、ここで発想の転換だとか福祉への重点だというのだったら、思い切ってその点を考え直してみる考えはないのかということが一点であります。  それからもう一つは、そこまでどうしてもいま財源的にむずかしいというのであれば、いわゆる千円アップということじゃなくて、いま言われておりますように来年度は五千円にする、さらにその次についてはこれぐらいにしていくのだ、したがっていまの実勢に合う二万円に何とかして持っていきたい、さらに加えて、年金制度を今後十分検討するそうでありますけれども、制度の中でやはりスライド制というものを用いて、実勢に合った上に今後はやっていくということをお考え願わなければならないと思うのですが、総理大臣並びに厚生大臣もひとつお答えいただきたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 今日の日本の人口構造から考えまして、老人の所得保障が非常に大事なことになってまいりました。お説のように、日本の年金制度が出発いたしました当時は、この福祉年金は必ずしも所得保障というほどの考えではなかったと思います。しかし、今日では、やはりそういう考え方を加味して、そして拠出年金の増額と同時に、これに見合って福祉年金の増額を考えていかなければならないと思います。先般この委員会でも申し上げましたが、少なくとも来年度は五千円の福祉年金の実現をいたしたい、かように考えまするし、また、拠出年金も、年金の再計算期が四十九年また五十年ということになっておりますが、これを引き上げまして、四十八年度に改定をいたしたい、来年はこの年金がやはり一番大きな老人の所得保障として取り上げられなければならない問題だ、かように考えているわけでございます。

広沢直樹公明党

○広沢委員 時間がもう一ぱいになりましたけれども、それじゃ最後に――具体的に、今後も引き続いて別の場所でまたお伺いするわけでありますので、二、三点だけ質問申し上げておきたいと思うのですが、いまお答えになったことは、発足当時はそうであったかもしれませんけれども、年金法の目的、基本精神からいきますと、発足当時はそうだったからというわけにはいかないわけです。その点は十分厚生大臣御存じのとおりであります。  そこで三点ばかりお伺いしておきたいことは、まず現在の修正積み立て方式というお答えでしたけれども、今後賦課方式へ持っていくような方向で検討なさるかどうかということ。それからもう一つは、先ほども申し上げたいわゆる実勢に合ったスライド制というもの、これはいろいろ通りがあるそうですけれども、完全な自動スライド、そういうふうな方向へ持っていくお考えがあるかどうかということ、その点だけを基本的にお伺い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 ただいまの年金の積み立て方式を、ただいま修正積み立てでございますが、完全な賦課方式ということには、私は、まだ日本の現在においてはよほど疑問である、かように考えます。そういった考え方を加味していくことは必要であると存じますが、と申しまするのは、今日の年金の受給者とそれから年金保険の加入者との比率を考えてみますると、やっと二%程度というわけであります。したがって、これが二〇%あるいは二五%程度にまでなりませんと後代に大きな負担を残すことになります。出発の際には非常に楽でありますけれども、あとのほうで非常にむずかしくなる、かように考えまするので、完全な賦課方式に移行するのにはまだ若干の時日を要するであろう。したがって、修正積み立て方式をいまおっしゃいましたような賦課方式を加味して考えて、当分はいくべきではなかろうか。

広沢直樹公明党

○広沢委員 完全賦課ではなくて、修正賦課方式にするかということです。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 それを、おっしゃいますように、賦課方式を加味するような考え方でいけないかということを検討してみたい、かように考えております。  それから完全なスライド制、私はこれが成熟をいたしてまいれば、やはり行く行くは完全なスライド制であろうと存じます。しかし、現状におきましては、物価、人件費あるいは給料等を勘案をして、そして増額をしていくという不完全なスライド的な考え方をとる以外に、当分の間はなかろう。しかしながら、行く行くは完全なスライド方式にいくべきである、かように考えまするので、そういう方向でいろいろと検討をしてまいりたい、かように考えます

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 これにて広沢君の質疑は終了いたしました。おそくまで御協力いただき、ありがとうございました。  次回は明二日午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時二十七分散会

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