予算委員会 第5号
- 発言数
- 259 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1972/02/28
会議録
○瀬戸山委員長 これより会議を開きます。 昭和四十七年度一般会計予算、昭和四十七年度特別会計予算、昭和四十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 この際、辻原君より発言を求められております。これを許します。辻原弘市君。
○辻原委員 一昨日佐藤総理は、当予算委員会におきまして、四次防と昭和四十七年度予算案の関係についての船田衆議院議長のあっせん案受諾の経緯を踏まえられ、遺憾の意を表明され、かつまた政府みずからの手で予算案を修正減額されました。 このことは、当然に防衛予算編成の過程に政府の非のあったことを認められたわけであり、これらの点に関する佐藤内閣として負わなければならぬ政治責任は、今後においてもきわめて大きいといわざるを得ません。 われわれは、議長あっせんを予算審議再開の条件としてこれを受け入れました。しかしながら、政府修正の金額及び内容については、いささかもこれに同意をいたしたものでは決してありません。特にわが党は、防衛の基本的な態度、方針について、政府とはその考えを異にいたしております。ましてや今日、すでに発表せられました米中会談における共同声明を見ても明らかなように、アジアを含む世界の情勢は刻々緊張から雪解けにと動いておるのであります。したがって、この観点から私どもは、政府修正の内容をも含め、防衛問題全般のあり方について、今後の審議を通じて追及いたしたいという態度をこの機会に明確に表明をいたしておきまするので、委員長におかれましても、特に今後の審議について特段の御配慮をいただきたいことをお願い申し上げて、私の発言を終わりたいと存じます。(拍手) ―――――――――――――
○瀬戸山委員長 これより総括質疑を続行いたします。矢野絢也君。
○矢野委員 本委員会は、八日の日に私の質問のところで紛糾をいたしまして二十日にわたる空白状態がございまして、その間、政府の手による防衛予算の削減その他、さまざまなことがあったわけでございます。私は、八日の質問に引き続きまして外交あるいは安全保障問題、あるいは時間の余裕があれば内政問題などについて政府の見解をただしたい、このように考えておるわけでございます。 そこで、問題になりましたこの四次防問題、あるいは昨日、米中共同声明が発表されました。米国と中国との国交問題だけではなく、私たちにとりまして最も重大な意味のある日中国交回復の問題、この四次防問題と中国問題に力点を置いてお尋ねをしたいと思っておるわけでございますが、この二つの問題に共通する要素は、わが国が世界平和のためあるいはまたアジアの平和、わが国の平和的存立のために国際情勢をどう分析しておるか、アジアの緊張がいま激化しつつあるか、緩和しつつあるか、こういった認識を基本にして、わが国の防衛あるいは対中国政策ということを考えていかなくちゃならない。つまり、議論の前提として、国際情勢の分析ということがきわめて重要なことであろうかと思うわけでございます。 そこで、お尋ねをする前に、その前提として私は総理の基本的な考えを承っておきたいのでありますが、この一週間ばかりテレビで私たちは、ニクソン・アメリカ大統領が北京を訪問された、はなやかなテレビによる中継放送がございまして、私たち日本国民はこれを見ておりまして、一面では、米中が和解することはきわめて喜ばしいという気持ちを持ちながらも、一面では、わが国が取り残されたと申しますか、最も地理的、文化的、歴史的に密接な関係を持たねばならない、持っておるはずのわが国が取り残されてしまった。その原因は、あげて今日、わが国政府の外交姿勢に重大な責任がある。まあ、いらだたしさと申しますか残念さと申しますか、このテレビを見ながらも日本国民は非常に、わが国の将来に不安を持ったわけでございます。 そこで、昨日、米中共同声明と申しますか、この両国の見解が発表されたわけでございます。これは米中和解を意味すると私たちは理解しておりますけれども、総理はこの共同声明をどのように評価しておられるか、この点についてまずお尋ねをしたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 ニクソン大統領が、まだ国交の正常化がはかられておらない、また未承認の国、中華人民共和国をみずから訪問され、そうして米中両国の間で忌憚のない意見を交換された。このことは世界、ことにアジアにおける緊張の緩和に非常に役立つ、かように私は考えております。また、そういう方向で今後の推移を見守らなければならない、かように私は考えております。
○矢野委員 共同声明というものは、たとえば大統領の場合は、アメリカ国内における保守派と申しますかそういう人たちの意向をも考えなくちゃならない、あるいはまた従来からの友好諸国、たとえば日本であるとか韓国、台湾、こういった意向、従来の関係も考えなくちゃならないということで、当然表現というものはそういった配慮がなされるのは当然だと私は思います。しかし、いずれにいたしましてもアメリカが、朝鮮戦争以後、ここ二十年間にわたりまして明確な中国封じ込め政策あるいはまた露骨な敵視政策、こういったものを取り続けてまいりました。これが今日においてもはや通用しなくなった、もはやこういう中国封じ込め敵視政策ではアメリカとしての世界政策を推進することができない。したがって、この封じ込め敵視政策をやめて、そして中国と仲よくなろう、友好関係を結ぼう、このように考えておるということは私は間違いないと思うのです。ところが総理、やはり問題は、わが国は日米安保条約、終戦後基本的に日米関係を基調として今日に来たわけでありますが、そのアメリカのアジアにおける中国封じ込め政策なり敵視政策、これに基本的に、安保条約によってわが国の外交、防衛政策が制約され、方向づけられてきた、こう思うわけです。たとえば総理がアメリカへ行かれた六九年の共同声明というのがあります。それ以前にも共同声明がございます。基本的に中国の脅威ということを前提にして、たとえば沖繩における米軍基地というものはわが国の安全にとって重要な要素がある、こういう認識をわが国政府はとり続けてきたわけであります。しかし、その相手先であるアメリカは、いま申しましたように対決から対話というふうに基本的に外交政策を変えようとしておる。私たち日本国民としては、はしごをはずされたという俗なことばがありますけれども、はしごをはずされただけではない、私たちがアメリカの肩がわりをなお一そう倍加、押しつけられるんじゃないか、こう心配をしておるわけでございます。 そこで、私は、いま総理がお答えになったような抽象的なことではなくして、アメリカのアジア政策、中国政策は変わったと認識をしておられるかどうか、そして、それに基づいてわが国の外交、安全保障政策は、この二十数年間のある種の惰性を払拭して重大な決意に立って転換をはからねばならないときが来ておると思いますが、この点についての御意見を承りたい。
○佐藤内閣総理大臣 昨年国連に中華人民共和国が議席を持ったということ、さらにまた安全保障理事会の常任理事国の一つになったというこの事実が、もうそのこと自身で非常にいままでの経過と変わってきている。したがって、ただいま御指摘になりました一九六九年の私とニクソン大統領との共同声明と、ただいまの国連に議席を持った今日とは、これはよほど違っておる、そういうことをやはり前提にしてものごとを見ていかなければならぬと思います。私はサンクレメンテでニクソン大統領と直接話をしたことも、ただいま申し上げるような事態の大変化、これを前提にしてものごとを考えるべきではないか、かように実は申したのであります。これがわが国の主張でもある。でありますから、国会等を通じて一貫して説明しておるのは、この昨年の国連の決議以後の状況、またそれ以前の状況、これは区別して考えていただきたい、かように思います。
○矢野委員 サンクレメンテでいろいろなお話をされたことなんですけれども、声明では何一つ明快なものは出ておりません。すべてニクソン訪中待ちということで、本会議でも答弁を避けてこられたわけであります。私はいま総理のお答えを聞いておりますと、緊張緩和への方向にあることは間違いないという認識を持っておられるし、またアメリカのアジア政策、中国政策も、国連以後もちろん変わりつつあるという認識を持っておられる。しかし、そのお話を聞いて、私はきわめて、何といいますか納得ができないわけであります。そのようにアジアの緊張緩和が進む方向にあるのに、なぜ総理は無理やりに軍事力増強を予算の手続を無視してまでやらなければならないか。これはもうどう考えてもわからない話であります。国際情勢がいま変わりつつある、平和への胎動がある。これならば当然その前後のあるいは周囲の状況等も慎重に考えて、そしてわが国の安全保障はかくあるべきだという結論を得て、そしてまた、国民の理解も深めてかかる防衛予算というものは対処していかなければならないのでありますけれども、この二十日間の一連の動きは、いま総理が国連以後はわが国の姿勢も変わっておるのだということを言われましたけれども、何ら変わったとは言えない。依然としてうしろ向きと申しますか、極端な言い方をすれば力の論理、冷戦思想というものを背景にしたいわば単純な敵味方論、こういうことによってものごとを判断しようとしておられる。この辺について総理の見解を承りたい。
○佐藤内閣総理大臣 ただいまの段階は共同声明が出たばかり、また通信機関から私どもそれを入手している。しかし、マーシャル・グリーンがきょうは日本を訪問する、こういうことでありますから、正確なものはその後において私どもがこれを把握できるだろう、かように思います。 そこで、矢野君も御承知のように、この米中共同声明では、米中の関係を主としていろいろ意見を交換し、その間において一致した点また一致しないようなもの、ただしかし、その考え方を明確にしたもの、こういうように書き分けられておるように私は読みますが、その中でやはり日米の関係は、日中関係におきましても従前の関係を、ぜひとも友好親善を厚くしていく、こういうのがアメリカの考え方であります。私はこのアメリカの考え方が、いままで日本とアメリカそれぞれが独立国家であり、主権国家ではある、行き方は必ずしも一致はしておらないけれども、この問題に関する限りわれわれが共通するものもあった、かように私は理解しています。ただいま言われるように防衛、そういう問題になりますと、このことは私どももかねてから、われわれは自衛力は持つけれども他国に脅威を与えないようにする、こういう立場で私ども自衛力の整備をはかっておる、これは御了承をいただきたいと思います。また、かつて皆さん方のほうから話しされたところでもありますが、中華人民共和国の周恩来首相も、日本が自衛力を持つこと、これは独立国家として当然のことだ、こういうようなことも言われた、かように私は聞いております。ただ私は、問題は、いま御指摘になりましたように、われわれが持つ自衛力、これはいわゆる他国に脅威を与えるものであったりあるいは仮想敵国を持ったり、さようなものであってはならない。現在の状況のもとにおきましては、やはり私どもはいわゆる備えあれば憂いなし、こういう観点で防衛、自衛力の整備をはかるべきだ。この辺がどうも野党の諸君とはやや違っております。しかし私は、国力、国情に応じてそういうものを持つ、これが私どもの考え方でございます。
○矢野委員 私は、中国問題につきましては四次防問題のあとで具体的に御質問したいと思っておるわけで、いずれにしても、たとえば台湾条項、台湾海峡で万が一のことがあればあなたは在日米軍やあるいは沖繩における米軍の行動について、つまり安保条約の事前協議について前向き、弾力的に考える、いわばフリーに出ていってもいいかと受け取れるような問題の発言をしておられる。明らかに中国の問題に対する内政干渉である、武力干渉を容認する姿勢であります。あるいはまた、いま東南アジア、中国をはじめとした世界各国からわが国が軍国主義復活の心配がされておる。にもかかわらず、あなたはシビリアンコントロールを無視してまでああいうようなことをなされた。こういったことについては逐次お尋ねをしていきたいと思っております。 そこで、先ほど辻原委員からもお話がございました。今回社会党、公明党、民社党三党が協力をいたしまして、今回の四次防の予算についての政府の態度が、これは将来のわが国の平和に重大な危険を及ぼす暴挙である、シビリアンコントロールの形骸化であるという立場で強く抗議をし、まあ政府は、三機種分について予算の削減をされたわけであります。もちろんこの予算の削減につきましても、債務負担行為――手付金だけは削るけれども、そのあとの総額については削らないという、全く理解できない頑強な態度をとられたわけであります。私たち公明党も、今回の政府による予算修正、これは十分だと思っておりません。これは三機種分でいいか悪いか。いいとは思っておりません。しかし、予算の問題もございます。国民生活に密接な関係のあるこの予算、この国会をいつまでも空白にさしておくわけにいかないということで、審議に応ずる条件として私たちは議長あっせんを理解しておるわけでございまして、きょうこれからこの問題について聞くわけでありますが、あの議長あっせんによって四次防の問題は審議が始まったということだけであって、問題は解決されておらないということをまず御理解願わなくちゃならない。 内閣総理大臣は、防衛庁設置法によって、六十二条において安全保障、防衛に関する重要な問題を国防会議にはからねばならないという趣旨の規定がございます。内閣総理大臣はシビリアンコントロールの最高責任者であると私は考えておりますが、国防会議議長である総理、あなたのお考えを承りたいのであります。
○佐藤内閣総理大臣 政府の内部におきましては、ただいま矢野君が御指摘になりましたとおり、シビリアンコントロール、そういう立場で総理大臣が全責任を持っておると思います。また国の機構といたしましては立法、司法、行政、三機関がございますが、これはやはり何と申しましても国権の最高機関、こういうものが十分シビリアンコントロールのその立場において機能を発揮しておる、私はかように理解しております。
○矢野委員 議長あっせんで、四十七年度予算と四次防計画との関係について政府は遺憾の意を表する、これはあっせんの文書でございます。その議長あっせんの趣旨に沿って総理は、まあことばとしてはきわめて丁寧、つまり深く反省するとか申しわけないという意味のことばを使われたわけでありますが、私たちは、この申しわけないとか反省するということばが、国会を紛糾さしたことが申しわけないというふうにしか受け取れないのであります。私は、この遺憾の意を表する――遺憾とは一体どういう意味なのか、政府が申しわけないと思っておるのは一体どういう意味なのか、この中身をひとつ聞かしていただきたいのであります。
○佐藤内閣総理大臣 御承知のようにこの四次防、まだ内閣としては四次防を決定したわけではございませんけれども、事務当局の間で四次防計画があったという、そういう事実は踏んまえておる。そうしてそれがよほど先行した、そういう形で国会の審議におきましてもいろいろ問題をかもし出した。これは私どももたいへん残念に思っておることであります。そこで議長のあっせんが出ました。私は衆議院議長、このあっせんが出れば、やはり政府もあっせんに従う、こういうことが望ましいことではないか、かように考えて、その判断から実は議長のあっせんを承諾した、こういうことであります。その意味において皆さん方に対しても紛糾さしたことについての十分の反省をしての遺憾の意は表明した。しかし、もちろん問題はどこにあるのか。この議長あっせん案の骨子は、ただいまの予算の修正もさることながら、シビリアンコントロールということについて重大なる指摘があった、かように私は理解しておりますので、それらの点において遺憾なきを期したい、かように思っておる次第でございます。
○矢野委員 何かことばはたくさんおっしゃったようでありますけれども、さっぱりわからないのであります。要するに今回のこの紛争が政府には何の落ち度――落ち度と申しますか非はなかったのだけれども、国会がもめたからやむを得ないので予算を削減したという御理解なのか、あるいは若干の手続上のミスがあったので予算を削減したという御理解なのか、あるいはまた私たちが指摘するような、単なる若干の手続上のミスではなくして、あなたがシビリアンコントロールの最高責任者として、国民に対して責任を持たなくちゃならないシビリアンコントロールを無視した、この政治責任と申しますか、このことについて遺憾の意を表されたのか、この辺を立て分けでひとつ御説明願いたいのであります。
○佐藤内閣総理大臣 御承知のように議長からあっせん案が出ました。私は、議長のごあっせんというものは、私どもとしてこれを忠実にお引き受けするのが当然のことだ、かように実は考えております。だからいま言われるような、その中身についてのいろいろな御議論をする前に、ただいまのようなあっせんが出た、そういう事態に対してわれわれは対処する、これが政府の考え方であります。私は、その問題がただ単に三機種に関するもの、その減額だけではなく、その骨子はシビリアンコントロールに重点が置かれておると、かように理解してこの問題と取り組んでおる次第でございます。
○矢野委員 まあ現象面的に、表面的にものごとを考えましても、政府がみずから提出された予算をみずからの手で削減する、これはまことに不見識きわまると申しますか、大失態のきわみであります。その背景とかそのいきさつは抜きにしただけでも、これはもう重大な政治責任がある、削ったというそのことだけでも。しかも私がここで強調したいことは、削ったということも、これは大蔵大臣、大蔵大臣の失態です、これは。削らにゃいかぬような予算を出してきた。国民の税金を預かっておる大蔵大臣として一体何を考えているんだということになります。これは削らないよりも削ったほうが、完ぺきではない、不十分でありますけれども、ましだと思います。しかし、いずれにしても予算を削ったというこの背景、削らざるを得なかった政府の失態があった。政府の失敗があった。こういう認識を総理は持っておられるかどうか、このことを私はさっきから聞いておるのです。これは明確にひとつ御答弁願いたい。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま、政府は議長のあっせん案をのんだ、こういうことでございます。これは政府自身まことに、陳謝いたしましたように遺憾の意を表した、これで私は国民がいかに判断されるか、そこでおわかりだろうと思います。
○矢野委員 たとえば事務的な手続上の行き違いと申しますか、あるいは政府の答弁の食い違いと申しますか、そこに疑惑を生じた、疑義を生じた、だからこれは訂正するんだ、またそういったことは、私は総理が率直に訂正されることによって問題は解決すると思うんですね。ただ問題は、ここはやはり総理もよく考えてもらわなくちゃならないのです。なぜこのシビリアンコントロールがやかましく論議されたかといえば、これは後世に対する戒めと申しますか、将来こういうことがあってはならないという意味において、今回安易な取り扱いができない。まあ簡単な言い方をすれば、シビリアンコントロールを無視したやり方でもって予算を組もうとしたけれども、野党や国民に言われて予算を削った。ただそれだけで済んでしまったのだということでは、後世の戒めにもならなければ、ほんとうのシビリアンコントロールの尊厳というものを国民に周知させることにもならないのであります。だから私は、遺憾の意を表されたほんとうの意味というものをこの際明確にすることが、予算を削ることも大事でありますけれども、そのほうがもっと大事だという意味で私は申し上げておるわけです。ところが総理の御答弁を聞いておると、何だかさっぱりわからないのであります。議長がこういうふうに言われたからこうしたんだとかというようなことでありますけれども、端的に私は伺います。今回の予算の削減は、政府の予算措置に誤りがあったから削減されたのか、国会対策のために削減されたのか、二つに一つどちらかで答えていただきたい。
○佐藤内閣総理大臣 この点は、先ほど冒頭に申し上げましたように、いろいろ問題が紛糾し、議論がいろいろ出てきた。そこで議長のあっせん案が出ました。私どもは議長のあっせん案をそのまま了承することが当然だ、かように考えたから了承したのでございます。もちろん、ただいまのように、何ら落ち度がなくてりっぱなものなら、われわれも、議長が幾らあっせん案を出してものまないでしょう。しかし、これが絶対に誤りがあったんだ、こういうような意味に解釈されるとやや強い、かように私は思いますので、先ほど来ことばを丁寧に申し上げておる。だから、その辺のところは御了承願いたいと思います。
○矢野委員 これは、私個人の趣味の問題としてこの責任の問題について、くどく申し上げることは好まないことであります。しかし、これはゆるがせにはできない問題なんです。いま総理は、政府のやったことについて、誤りがあったとは思えないという意味のことを言っておられますけれども、これは聞きのがしにできない問題であります。この二十日間、何のために国会が空白になったか。これだけ国民も注目し、日本の将来について心配をした、これは、あなたは新聞やテレビ、国民の反応からわからないはずがないでしょう。それなのに、いまだにそんな感覚でいらっしゃるのか。これは私は大問題だと思いますよ。自民党のほうでも政府のほうでも、たとえばあの統一見解、これはまた矛盾きわまる統一見解でありました。あれが正しいんだ、政府は間違っていないんだ、予算措置は間違っていないんだ。ただ国会を何とかしなくちゃならないからこうしたんだ。へたな強がりは、私はこの際やめられたほうがいいと思うのです。 露骨な言い方をすれば、佐藤総理、あなたはいずれ近いうちに引退されるというふうに聞いております。いわばそう長くない内閣、このメンツにこだわるよりも、この際総理が勇断をもって、私たち政府のやったことは重大なミスがあった、この点、この点において二度とおかしてはならないミスがあった、この点について私は責任をとるんだ、長くない内閣のメンツにこだわるよりも、後世の戒めとして、総理がシビリアンコントロールの厳粛さを天下に声明される意味において、内閣の責任を明らかにされたほうが、私は佐藤内閣の有終の美を飾ることになると思いますよ。この点についてはっきりと御答弁を願いたい。
○佐藤内閣総理大臣 ただいまことばを尽くしてお話でございます。私は衆議院議長のあっせんというものは、いわゆる衆議院議長が判決を下した、こういうものではないように思います。おそらく議会運営上から見て望ましい方法はこれだ、かように議長は考えられたのではないかと思っております。私どもはそれを受け入れるのは当然だ。いまおっしゃるように、私自身も、政府が一たん出した予算を政府みずからが修正するということ、これはたいへん重大なる事柄でございます。これをあえてしたこと、やはり議長のあっせんをのんだということ、これはたいへんな重大なる決意がなければのめることではございません。その点を先ほど来申し上げておるのでございまして、その点で十分御理解をいただきたい。将来においても、またかような事柄が二度と繰り返されないように、政府自身がみずからを戒めている、かように御了承いただきたいと思います。
○矢野委員 この問題、私はいろいろな角度から、具体的にさらにお尋ねをしたいと思っております。 大蔵大臣に伺いたいのでありますけれども、あなたは、当初お出しになった予算、これは大蔵大臣の責任においてお出しになった予算であると私は信じております。税金をあなたが責任をもって管理していかなくてはならない直接の立場でありますから、そんないいかげんなことでお出しになるはずもない。しかし、同じ大蔵大臣が、いま総理が言っておられるように、理由があいまいだ。またそれを削減して別の予算になって出されてくる。この辺の心境が私にはわからないのであります。大蔵大臣は、今回の予算削減について、単なる国会対策のためか、あるいは政府の予算措置が間違っておったから削減したと考えるか、これはどっちかひとつ御答弁を願いたい。
○水田国務大臣 これは、最初御説明しましたような事情で予算の編成をいたしました。しかし、これについては、いろいろ野党、政府・与党の間に御意見があり、そのためにこういう事態が起こったことでございますので、ここで私どもは、やはり諸般の事情を考慮して、高度の政治判断によって政府は遺憾の意を表し、そうして予算の修正をすることがいいというふうに考えてこの修正をした次第でございますので、これは、いろいろの議論をしたらなかなかむずかしい問題がありますので、議長のあっせんによる高度の政治解決をした問題でございますので、解決がされましたら、された線をもう是認するということが一番いいと思いますので、私は、この予算を修正していい、これを承認して修正案を提出して御審議を願っておるという心境でございます。
○矢野委員 まあ高度の政治的な判断、えらいあいまいなことばを使われますけれども、なぜ政府が予算を削減しなければならなかったか。これは、政府がわが国の経済力の見通し、あるいはまたわが国を中心とした国際情勢の分析、こういったものを十分になさなかった。よろしゅうございますか。ニクソン大統領が中国を訪問した。先ほど総理は、緊張緩和の方向にあると言われたわけです。こういうような国際情勢の分析をきちっとやって、そうして防衛計画というものを、なるほどこれならわかるというものをきちっと策定をされて、それを国民に周知し、理解を求め、その上で予算措置をされるのが、政府の最も正しい防衛予算に関する姿勢だと私は思うのですね。これはあたりまえなことです。そのために、内閣総理大臣は国防の問題について国防会議にはからねばならないと義務づけられておるわけです。そういう基本的な手順というものを怠ったということ、あるいはまたいま申し上げたような、ただ既成事実さえつくればいい、まあ軍備というものはふやしていけばいいんだ、しゃにむにそういう方向で行こうとするその姿勢が、国民から批判されたわけであります。高度の政治判断などという抽象的なことばであいまいに過ごせる問題ではない。大蔵大臣は、予算措置が誤っておった、いま私が申し上げた意味において、とるべき手順を踏まなかった、とるべき配慮をしなかった、だから削減したのだという立場をとるのか、あるいは根拠もなしに削減をしたのか、ひとつその点をもう一ぺんはっきり言ってもらいたい。
○水田国務大臣 御承知のように、四次防計画というものは、予算編成のときまでには全くできておりませんでした。したがって、できていない状態でどう予算を編成するかと申しますというと、現有勢力を維持する最小限度の経費を盛るという方針で予算の査定をして、今年度のとりあえず予算の査定をする以外には方法がなかったので、その線に沿った予算の査定をしたということでございます。
○矢野委員 いま大蔵大臣が言われたことは統一見解ですね。第一項目にあります、つまり、「防衛関係予算については、沖繩への配備は別にして、三次防の継続事業、従来装備の維持・更新に係るもの、人件費等について必要な経費を計上するとの原則によって予算編成を行なった。」これは八日の前に出た見解でございますね。この見解はいまでも変わらぬといういまの御趣旨の御答弁だと思いますけれども、そのとおりですか。
○水田国務大臣 その場合に、従来装備の更新ということの中には、機種の変更ということがございます。こういうものは国防会議を経てきめたほうがいいではないかというような御意見も、今度の議論の中には出てまいりました。しかし、当時私どもは、この問題を国防会議の議題にしなくてもいいかということを検討しましたが、従来の例によって、この機種の変更は、特別にしなくてもいいというふうな意見でございましたし、また同時に、すでに二次防、三次防時代から、この国産機の開発、廃止される飛行機の後継機の問題については研究し、もう予算の支出をしておったものでございまして、それがようやく試験機ができて、飛んで成績もいいというところにきておりましたので、それをそのまま採用するという程度は、これは別に、新機種の採用といっても、従来装備の更新というものであって、これは差しつかえがないという見解でございましたから、これは……(「反省がないじゃないか」と呼ぶ者あり)いや、そこで申し上げますが、そうしますというと、四次防というものはなかったのですが、四次防計画というものが一ぺん防衛庁の案として発表されたことがございます。その中にある装備の増強というものは、別の新しい構想に基づいた装備の増強計画でございます。それに基づいた予算要求というものも、今度は概算要求として防衛庁から出ておりました。総額を見ますというと、九千十一億ぐらいの予算要求でございますが、そういう新構想に基づく装備の増強分と見込まれるものは、これは全部見合わせてもらうことにして、装備の増強は査定で大幅に落としてございます。そうして、減耗控除といわれる部分だけを拾って、そうして、これは飛行機も機種を多くふやしておりません。いまから何年たてばこれだけ減ると、減るものを埋めるという程度に私どもの査定は縮めてあって、その点は、いまの方針どおりに査定したつもりでございます。 ただ問題は、この新しい機種のこういう問題を、やはり国防会議にかけるほうがいいんではないかというような基本的な問題が出ましたので、それはやはり政府としては、四次防が先にきまっておりさえすればこういう問題は起こさなかった。そういう点にいろいろの不手ぎわはあったと思いますので、そういう意味から、私どもはここでそういう問題になった点を、ちょうど議長のあっせんもございましたので、この際、これを修正することがいいという意見で修正したということでございます。
○矢野委員 長々とお話しされました。簡単に伺いましょう。 まず、今回の予算手続について、間違っておったとは言えないという認識のようでありますけれども、まず予算そのものが、国防会議の議を経る必要があるのかないのか、この点について、この問題、あんまり長くしゃべってもらうとかえって迷惑いたしますから、簡単にひとつ。防衛予算、これは国防会議の議を経ておらなくてもいいみたいなあなたのお話でありますね。まずその点についての考えを聞かしてもらいたい。
○水田国務大臣 国防会議の議題には、予算そのものは議題ではないというふうに法律上はなっております。
○矢野委員 私も、そのように現在の国防会議のシステムはなっておると思います。これは不十分だと思いますよ、こういうやり方は。それでまず予算そのものは、国防会議に第一義的にかける必要はないといたしましても、新しいステップと申しますか、新しい構想を前提にした予算、これは私は当然かけなくちゃならない。予算そのものはかけなくても、その予算の前提になる防衛構想というものは、国防会議の承認がなければ、私はこれはシビリアンコントロールを無視したことになると思いますが、この点はどうですか。
○水田国務大臣 そこで新しい機種とかいうような問題は、従来は、いま言いましたような解釈でございましたが、大体全体の防衛計画そのものは国防会議にかけなければなりません。その防衛計画の中は三つに分かれておりまして、御承知のように大綱と、主要の内容と、それから経費のワク、経費のワクがとにかく防衛計画の中ではきめられるものでございますので、したがって、予算そのものは国防会議の議題ではございませんが、この国防計画そのものが国防会議の議題になる以上は、予算の大ワクというものも自然にそこできめられるということになりますので、したがって、個々の単年度の予算は、別に国防会議の審議を経なくてもいいということになるだろうと思います。
○矢野委員 たとえば農林省とか厚生省の予算、これは私は特別のそういう国防会議的なものの承認を必要としないで――もちろん審議会というものはありますけれども、この防衛予算とそれ以外の予算とはおのずから性格が違うわけですね。これは前の戦争の苦い体験ということから、いわゆる軍事力の独走を許してはならないという立場で国防会議の制度はできておる。私はこれは十分だとは思いません。しかし、十分だとは思わないけれども、現在私たちがたよりにしなくちゃならない、まずこの国防会議の機能を十二分に活用するということ、そしてこの国会の審議においてそれをチェックしなくちゃならないということであります。だから、まず基本的に予算そのものは、ほかの予算と同じように、防衛予算も国防会議にかけなくてもいいというその思想は、私はこれは賛成はほんとうはできない。これはまずはっきり認識してもらいたい。しかし、現在のたてまえではそういうことになっておるということであるならば、国防会議にかけなければならない性格のものと、かける必要のない性格のものというものは、この際はっきりしておかなくちゃならないと私は思うんです。予算そのものは国防会議の議を必要としないんだからというやり方を、これからもやられたんじゃたまったものじゃないのであります。 そこで私の理解では、いま大蔵大臣の話を聞いておりますと、第四次防衛計画がいろいろな事情で間に合わなかった。ほんとうは、この防衛計画が先にきちっと国防会議で承認を受けて、それから予算措置をすることが最も望ましい、それは水田さんもそう思っていらっしゃると私は思いますよ。しかし防衛計画ができなかった。できなかったときには、たとえば公務員の給料の場合、本予算が通らなければ暫定予算で給料の支払いを確保する、これは一つの例でありますけれども、少なくとも防衛計画がきまらぬ場合には暫定予算的なものに限定するのが、シビリアンコントロールを尊重したことになるのであります。ところが、これは今度の予算はどういうことですか、前年比約一九・七%の増であります。こういう予算を組んでおきながら、この統一見解にあるごとく、新規装備分は含まないんだ。私が江崎さんに御質問をして、それがいかにうそであるかということは実証いたしました。こういう膨大な予算を組んでおいて、そして防衛計画がまだできておりませんから、できておらない段階におきましてはやむを得ないので、とりあえずのことだけにとどめましたという言い方が、大蔵大臣、それでもあなた通ると思いますか。はっきり御答弁を願いたい。
○水田国務大臣 膨大な予算は間違いございませんが、しかしいままでは、伸び率が、昨年の場合は一七・六%という伸び率でございましたが、今回は計画ができておりませんので、いま申しましたように、新規の増強分と思われるものだけは見合わせるということにしましたために、沖繩分を除けば一五%台であって、従来よりも今年度の防衛費の伸び率は非常に少なくなっておる、こういう事情にはなっております。
○矢野委員 私は、基本的に防衛予算というものは、たとえ人件費という当然の経費であったとしても、政府はシビリアンコントロールを守っていかなくちゃならない義務があるという立場からも、これは国防会議にはからなくちゃならないと理解をしておるつもりです、ほんとうはそういう計画まで。しかしそれは別問題にして、あなたがどう言われようとも、今回の防衛予算の予算措置にあたって、国防会議の議を経なかったことは、悪いことではなかったという見解をとる限りにおいては、この審議はほんとうは進みませんぞ。私は最初から申し上げているとおり、何のために予算を削減したのだ、野党ががたがたうるさいからしようがないから、泣く子と地頭には勝てないから予算を削ったのだというそんな単純なことなのか、あるいはまた、みずからが今回の予算措置にあたって誤りがあったから予算を削減されたのか、この点を明確にしなければ、この問題の本質的な解決にならない。だから私は先ほどからくどくど言っているわけであります。だからそういう枝葉の国防会議のあり方まで話が進んでいったわけでありますけれども、私のお聞きしたい真意は、政治責任をどう考えておられるかということを聞きたい。だから具体的にあらゆる角度から聞いておるわけでありますけれども、大蔵大臣は今回の予算措置にあたって、削減したというそのいきさつから考えて、政治責任はないとお考えになっているのか、あると思われているのか、はっきりひとつ御答弁を願いたい。
○水田国務大臣 それは私はさっき申しましたように、こういう議論をしておって、なかなかむずかしい問題になっておりますので、ここで議長のごあっせんによって政治解決をしたということは、私どもは、いままではよかったとかなんとかということを主張することではおさまりません。結局そういういろいろ手落ちもあるというようなことで、また諸般のそういう事情を考えて議長もごあっせんになったものと思いますので、したがって、私どもはこの政治的解決にきれいに服してそのとおりにしたということでございますので、それを、こごでこの問題を繰り返されることはどうかと思います。私どもは、よかったとも悪かったともこれは申し上げられません。こういう解決に気持ちよく従ったということでございます。
○矢野委員 政治責任ということばはどぎついことばでありますから、こういう形で私が、おまえあるのかないのかというような言い方は好みませんけれども、くどいようでありますが、今回の予算措置は、大蔵大臣としてはミスがなかったと理解しておられますか。これだけに限定して答えてください。
○水田国務大臣 そういうミスもあるというような判断もあったと私は思うのですが、そういうことで修正しろというごあっせんが出て、それを私どもが気持ちよく修正したということで、おわかりだろうと思います。
○矢野委員 議長、議長と議長のあっせんを盛んに言われますけれども、議長あっせんの前に政府は予算を削減することを決定しておられるのですよ。このいきさつを、まずあなたごまかしてはいけません。だから、本来議長、議長というようなことは、今回のケースには、あなたはそう言えるはずがないのであります。その前にあなた方は、これはいかぬから削減しなくちゃならぬと先にきめておられるじゃありませんか。そこで責任が何とか、変な言い方をされました。あるようなないような、あると言えばあるというのですか、何かそういうような変な言い方をされた、ちょっとまねができませんけれども。そういう予算の措置のミスというものは、たとえば計算の間違いというような単純なものではないと私は思うのですよ、大蔵大臣。そろばんを置き間違ったから修正、これなら私はがたがた言わない。先ほどからくどく申し上げておるとおり、軍事力の独走と申しますか、それは防衛庁の立場からいけばいまの防衛庁のあり方は、どうやら力の論理ということを前提にしていらっしゃるようでありますから、あれもほしいこれもほしいという立場に立つのは、これは防衛庁としては当然だろう、私はそれが正しいとは思いませんけれども。そしてあれもこれもという要求をされた。まず第一次の査定では、いわゆる四次防の目玉といわれておるような目玉商品、こういうようなものは大蔵省は削ったのですよ。あなた、削られたのですよ。そして次官折衝や大臣折衝の段階で、一気にこの四次防の目玉商品が復活したのです。そのとき防衛庁の方々は欣喜雀躍と申しますか、びっくりしたともいわれておりますけれども、それほどびっくりぎょうてんするくらいの復活を大蔵大臣はなさった。しかもその場合、いま私が申し上げたとおり、四次防の先取りであるにもかかわらず、国防会議の議を経てないという重大なミスをあなたはおかしておる。あなたは、これは四次防の先取りではないのだ、三次防の継続なんだから国防会議なんかにはかける筋合いのものではないのだ、だから国防会議にかけなかったことは何ら手落ちではないのだという認識にあなたは立っておられる。だから政府のやった予算措置については、誤りはないという立場をおとりになろうとしておる。しかしいろいろな、たとえば野党がうるさく言う、議長のあっせんがあったから手を打ったのだという言い方をされる。削ったという事柄は、これはどこから見ても削ったということでありますけれども、問題は、そういう認識で削ったということなら、何ら意味はないということであります。現にまたこの四十七年度予算が、四次防の先取りであることはあまりにも歴然としておるじゃありませんか。防衛庁がつくられた昨年四月の防衛庁の原案、ここに戦っておるいわゆる目玉が、全部今回の予算に入っておるじゃありませんか。それをあなたは、いや、新しいものを含むそんなたいそうなものじゃないのだという認識で、だからこの予算は国防会議の議を経なくたって、別に違法じゃないのだという認識をおとりになることは、これはだめですよ。この辺についてもう少し、二十日間も空費したこのいきさつ、もっと貴重な教訓と申しますか、貴重な将来の戒めを、お互いメンツは捨ててきちっとしておかなければならないと思うのですよ。そんなごまかしをやったのじゃ、何のために動いたのかわからない。このことについて、もう一度大蔵大臣答弁を願いたい。
○水田国務大臣 メンツを捨ててというお話でございましたが、そういうものではございません。主張すべきものを、いまもとと同じ主張をしたのではこの問題の解決になりません。この問題の解決は、私どもの主張を曲げて、そしてこれはこういうことだから修正するという行為をすることによって解決するということは、意味のないことではなくて、これは非常に大きい政治的な解決でございまして、それを承知する以上は気持ちよく承知して、そうであったということを私が承認するのですから、この問題をそれ以上追及されることは、少しおかしいと思います。
○矢野委員 この問題をこれ以上追及されるのは云々と言われました。私も、こういう同じ問題についてくどく申し上げることは好まないところであります。しかしこれは、私は水田さんや総理やその他皆さん方に対する個人的感情、こういうものを越えたもっと重大な問題なんです。だから私はくどく申し上げておるわけです。 防衛庁長官に次に伺いましょう。あなたは何か最近は被害者みたいな顔つきをしておられる。せっかく防衛庁が獲得した予算を野党ががたがた言うものだから削られてしまったというような――冗談じゃありません。あなたは、この防衛庁の中にあっては、制服とかせびろとかいうことばは適当ではありませんけれども、制服の防衛庁長官――防衛庁長官はせびろですね。せびろの立場で、つまりシビリアンの立場で、わが国の安全保障政策、わが国の防衛力というものが、国民の期待する方向と違った方向に行かないように指導監督をする義務があるわけであります。これはシビリアンコントロールの責任者でもあるという意味で申し上げているわけです。ところが、今回の紛糾、このもめごとは、あなたではなかったけれども、防衛庁が一方的に防衛庁原案なるものを発表し、そしてそれを、あたかも既定の路線、既成事実であるかのごとく防衛庁は理解をしている。その後何か原案の修正というようなこともおやりになったことは聞いておりますが、それは公表されておらない。そしてそのまま予算折衝に入られて、この原案において考えられておった四次跡の目玉というものを獲得されたわけであります。さぞかしその時点においては気分がよかっただろうと思うのでありますけれども、しかしそれはあくまでも、あなたが踏まねばならない、国防会議へはかりシビリアンコントロールを尊重するという手続を怠った。ましてや四次防がきまらないということは、国際情勢が非常に流動的で分析ができない、経済の成長率もわからないという立場で、いわば腰だめの状態においてあなたは一方的に先取りをされた。今回のもめごとの最大の原因は、私は大蔵大臣にあると先ほど言いましたけれども、大蔵大臣も、国の税金を預かる立場から重大な責任がありますが、もめごとを起こした最大の原因は、そういう防衛庁の、いわば何でもいいからほしいんだという手続を無視した姿勢にあったと私は思います。いわばもめごとの最大の原因者はあなたなんだ。 そこで、いま大蔵大臣と私との質疑応答を聞いておられて、四十七年度予算が四次防の先取りであるかどうかという基本的な問題において、政府の理解がまだそこに至っておらない。私は、これは非常に残念だ、これは許されぬと思いますけれども、防衛庁長官はどのようにその点を理解しておられるか、御答弁を願いたい。
○江崎国務大臣 御指摘の点は、さっき大蔵大臣も申しておりましたように、査定にあたっては、四次防というものがありませんので、くどく繰り返しませんが、政府の統一見解のような形で査定をされたもの――さっき防衛庁は欣喜雀躍したという御表現がありましたが、それはうそなんです。それは昨年の予算の伸びは一七・八%。なるほど初めは一九・七%ということでありましたが、沖繩の経費を差っ引きまするというと、今日では一五・二%の伸びなんです。したがって、制服にしてみますると、それはやはりちゃんと数字はわかりまするから、ことしは四次防というものはまだあの段階では策定されていなかったから、予算の伸びというものは少ないな、こういう感じはあったものというふうに思っております。
○矢野委員 いま私がお尋ねした、四十七年度予算に四次防の先取り的なものが多い、これは前回も私が具体的にそのことを申し上げましたね。あなたのところでおつくりになった第四次防衛計画の原案に、四次防の目玉として扱われているものがそのまま今回の四十七年度予算に入っておるわけです。その一部は、結果的には債務負担行為は残すという、まことにへんてこりんなかっこうでありますけれども、一応は削るということになりましたけれども、それだけじゃない。基本的に今回の前年比一九・七%増という予算は四次防予算なんです。だからこそ、四次防計画ができればこれを四次防の初年度とするんだというようなことを統一見解でも言っておられるじゃないですか。四次防の先取り予算であったということを、防衛庁長官、認められますか。
○江崎国務大臣 これは、先取りということばの扱いでありまするが、私どもは、年度内に四次防を策定してまいりたい、こういう考えでおりましたから、したがって、この四十七年度予算というものをその初年度にしていくということは自然であるという見解に立っておったわけでありまするが、もし先取りと申しますならば、八千三十億全体が先取りということになるわけでございまして、そこでしからば新機種を、いま御指摘のありまする前々、もう一つ前の長官ですか、当時の防衛庁に原案というものがあるではないか、その目玉がいわゆる予算化されたのではないか、こういう御指摘でありますが、これはやはり、訓練上また国防上支障を来たすというたてまえのものを補備、更新するということで大蔵省は査定をされたわけです。そこで、この新しい機種、これはもともと高等という名称が上につくわけですが、練習機であります。一つは輸送機であります。一つは偵察機であります。そんなことから、私どもは従来の経緯にかんがみまして、これは国防会議の議に付さなくてもいいと、従来の慣習に従ったわけです。しかし、あなたをはじめ野党の各位から、こういうものは当然国防会議の議に付すべきであるという、ここに見解がもつれまして、そして総理が言われまするように、疑義を生じたわけであります。したがいまして、今後は、総理もしばしば繰り返されましたように、疑義を生じないように十全の手続をとってまいりたい、かように考えております。
○矢野委員 防衛計画が策定されておらないので新規でない、継続的なものであるということに尽きるわけであります、あなたの説明は。それは新規であることを認めるならば、国防会議にはかったとかはからないということが問題になるので、その点にあくまでも固執されるわけであります。これはもう客観的に見て、国防会議の議を経なければ予算措置できない規模のものです。またその内容のものです。いかに江崎さんが詭弁を弄されても、そういう内容のものですよ。あなたがそういうことを言いたい――大蔵大臣がまた先ほどいろいろなことを言っておられましたけれども、そういうことを言いたい予算であるならば、私はもっとつつましやかな――私は、自衛隊の諸君のお給料を払ってはいかぬ、そんなむちゃなことを言っているわけではない。必要な経費を予算措置してはいけないと言っているわけではないのです。もちろん政府と公明党は自衛力の考え方について意見が違います。しかし、現在その任務についておる諸君の人件費を予算措置をしてはいかぬ、そんなことを言っているのではないのです。国際情勢とかいろいろな要素を勘案してこそ新しい要素がきめられるべきなんです。そのことをやらないで、しゃにむに、それこそゴリ押しに予算だけを約二〇%ふやすのだ、この姿勢が根本的に問題だということでやかましく言っているわけです。それをあなた方は、新規だ、いや新規でない、更新だ、継続だという形式論理でこの問題をすりかえようとしておられる。しかもその形式論理自体がうそなんです。何とあなた方が強弁されても、四十七年度予算は四次防の先取りではありませんか。時間があれば中身を具体的に徹底的にあげたいくらいです。具体的に一つずつ聞けば、幾らあなたがおっしゃっても、四次防の先取りであるということは明らかです。それをいま私が言ったように、形式論理を合わせて、これは政府の予算措置に誤りがなかったんだというメンツにこだわる答弁では、今回のほんとうの解決にならない、そういう意味で私は申し上げておるわけです。私はこの問題について、最終的に総理の所信と申しますか――いつまでたってもこんな議論では、時間がたつばかりです。私たちは二十日間も審議を拒否したことになっておる。したくてしたわけじゃない。三機種の二十六億円ぽっきりというと語弊がありますけれども、それを削ってもらいたいために審議を拒否したわけじゃないのです。シビリアンコントロールの大事さというものを政府に心から認識してもらいたいし、これからの政治のあり方についての教訓にしなくちゃならないから、この二十日間の空白があったのです。金額を削る削らぬ――この削り方だって私は気に食わぬ。債務負担行為を残す、一体これはどういうわけですか。明らかに防衛産業に対する気がねと申しますか、配慮じゃありませんか。 こういったことはまた次の問題にして、いま私が大蔵大臣や防衛庁長官にいろいろとお尋ねをした。伝え聞くところによれば、お二人は憤然としておられた。閣議で予算が削られるときに、そんなものおれはがまんがならぬ。お立場上そうでしょう。お二方にこの問題についてこれ以上聞くのはあるいは酷かもわからない。言いたくとも言えないことがあるのかもわからない、内閣全体の責任になるから。私は総理に、この問題について納得のできる、なるほどこれならこの収拾、議長あっせんを受け入れたことがほんとうに意味があったというような答弁をしてもらわなければ、私はこの問題に対して質問はもう続けられませんぞ。
○瀬戸山委員長 委員長から……(発言する者あり)静かにしなさい。委員長から政府に申し上げます。 一昨日の当委員会においての政府の釈明は、委員長としては、予算編成時までは、たびたび政府から言われておるように、間違いはないものとして編成、提出したけれども、その後の各種の意見、議論の中で、言われてみると疑義を生ずる点があった。国防会議の議を経ないという点まで含めてやや手抜かりがあったことを認める。そのために審議が中断したことについて、それを含めて遺憾であったから、申しわけない、釈明をするという趣旨であると私は解しております。率直に……(発言する者あり)静かにしなさい。(発言する者あり)静かにしなさい。率直に見解の表明をお願いいたします。総理大臣。
○佐藤内閣総理大臣 いろいろの経緯がございますけれども、先ほど来申し上げたとおりです。政府は政府の責任においてこういう問題をやはり撤回する、修正をする、こういうことでございまして、それについてさらに議長からもあっせん案が出た。そうしてそれを受け入れることは望ましいことであった、かように思います。そうして今後の取り扱いとして、先ほども触れたのですが、シビリアンコントロール、これを徹底さすことが何よりも大事なことであります。 事柄の性質は、いわゆる三次防、その期限が切れた、四次防に移らなければならない、その時期に来た、当然国防会議にかけるべき筋のものだ、かように思いますが、それがかけられなかった。いろいろの事情もございます。またそういう意味からも、その取り上げる問題が、私が説明し、皆さんから、どうもけしからぬ説明だといってしかられたのですが、四次防計画と関係のない予算というようなことを申しましたが、そうじゃないんで、予算編成の際は四次防計画がまだできてない、これをつくることができなかった、かような意味を申したのでございますが、しかしこのことが、それがなければ四次防計画がないという、そういう状態で予算を組めば皆さんからも別に御疑問を持たれなかっただろうと思います。ただいまも委員長からお話がありましたように、御注意がありましたように、今後、国防会議は私ども簡単に開くことができるのですから、これは当然この国防会議においてその議題を整理して、その国防会議でこれを十分検討する、そうしてしかる上で予算を提出する、こういうことに取り運びたいと思います。 まあ先ほど来いろいろの御議論が出ております。私は、今回の処置について政府自身が陳謝し深く反省したゆえん、この点がただいま申し上げた点でございます。御了承願います。
○矢野委員 いずれにしても、陳謝し深く反省ということばを使っていらっしゃるわけでありまして、私たちがそういうふうに反省しておられる政府に対して、あやまり方がいかぬといって文句をつける、これはそういう意味じゃないのですよ。私たちが言っておることは、くどいようでありますけれども、こういう重大な失態を生じた。こういうときにとる政府の政治責任のとり方というものは一体どう考えるべきであるか、詰めていけば。こういう失態をおかした。これは野党が要求するので予算を削りました、これからもそういうことのないように、遺漏のないように制度の改革を行なう、これは当然のことだと思うんですよ。しかし、これはたとえが悪い、そういうたとえの意味で言うわけじゃありませんけれども、これは政府だという意味で言うわけでありませんが、たとえば私のものを、たいへん失礼でありますけれども、鈴切君がこの時計を持っていった。変なたとえでありますけれどもね。私がそれを見つけちゃった。見つかっちゃったからあんた返しておくわというようなものじゃないわけですよ、これははっきり言いまして。返そうが返すまいが私の時計を持っていった鈴切君の責任というものは残るわけであります。これは極端な例を申し上げているわけでありますよ。たとえばの話であります。しかし、これは極端な例でありますけれども、内閣はシビリアンコントロールを無視した形で予算措置をやった。これが誤りでないかのごとく説明をして、そして予算案を削減して、混乱をさしたことは申しわけない、そして将来はそういうことのないようにしたい、これじゃ問題の解決にならないということを、私はくどいようでありますが、言っておるわけであります。そういう意味で政府として政治責任をどのように考えておられるか。まず、あるのかないのか、あるとすれば、具体的にどのように明らかにされるかを明確にしていただきたい。
○佐藤内閣総理大臣 土曜日に私が陳謝したところで、その責任の所在は明確だと思います。
○矢野委員 この問題についてはくどくは言いたくありませんけれども、私は委員長に要求を、お願いをしたいのであります。 大体議論の経過というものは御承知のとおりでありまして、問題の本質は四十七年度予算が四次防の先取りであるかどうか、この認識によって国防会議にかけることが適当であったかなかったかの判断が分かれるような答弁であります。しかし私たち野党は、この四十七年度予算は、たとえ三機種分が削減されたといえども、当初予算の立場からいけば明らかに先取りであるという考え方を持っております。この問題をあいまいにしたまま、ことばの上で幾ら反省だ、陳謝だと言われましても、その意は私は大いに了といたしますが、基本的な認識の点について、これをあいまいにされたまま私たちは次の質問を続けられない。このことについてひとつ委員長においてお取り扱いを御検討願いたいと思います。
○鈴切委員 議事進行について。 政府はいままで政治責任というものを明らかにしないで今日までやってまいりました。これは私は、今日の国民の政治不信がすべてそこにあろうかと思うのであります。政治責任というものは、これは結果責任であります。言うならば、行政府である総理大臣は予算の編成権を持っております。しかし、予算の編成権を持っている総理大臣が予算の中においてミスをおかしたということであれば、やはり当然これは政治責任の問題になろうかと私は思うのであります。そういう意味から、いままで大蔵大臣並びに防衛庁長官は、この政治責任についてあいまいに事を過ごそうとしているが、これは私は納得がいかないのであります。そういう意味において、政治責任を明らかにしていただかなければ、この問題は先に進めません。委員長のもとでこの取り扱いを御協議願いたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 私、先ほど申しましたように、土曜日に、政府、総理として、責任をもって、責任を感ずるがゆえに実は陳謝したのでございます。この点で、ただいまの閣僚の一人一人の発言はともかくとして、内閣自身その責任の所在をはっきりさしている、かように御了承いただきたいと思います。御了承お願いいたします。
○矢野委員 それでは、この問題につきましては、委員長はじめ理事各位に取り扱いをおまかせするといたしまして、保留さしていただきましょう。私もいたずらに審議を混乱させることが目的で言っておるわけではございません。明確になさねばならないことはきちっとしておかなくてはならないから言っておるわけでございまして、これはひとつ委員長、よろしくお願い申し上げます。 次に進みますけれども、防衛庁長官に伺いたいのでありますが、にわかづくりと申しますか、予算を合法化するためと申しますか、国防会議を開いて四次防の大綱をおきめになりました。このこと自体が、わずか二時間ばかりの会議でこれからの五年間のわが国の国防の大綱をきめるなんて、全くナンセンスと申しますか、お粗末きわまりないことだと思うわけであります。しかもその内容は、三次防の大綱なり計画の焼き直しと申しますか、全くこれは引き写しにひとしいわけであります。しかし、どういう意図であれ、一たび国防会議の決定を経て閣議でも決定されたのですが、大綱をきめられたわけでありますが、私たち、昨年四月に発表されました四次防原案、これと今回の大綱とを見比べましたときに非常に大きな差がある、こう考えております。 たとえば、あの四次防原案では、「航空優勢」、空軍力の優勢ですね。「航空優勢」と「制海を確保」というようなことばが使われておりました。三次防では、重要地域の空の守りというような任務規定になっておりましたね。ところが、「航空優勢」というような、非常に外に出る姿勢のニュアンスのあることばに変わっておる、原案では。あるいは「制海を確保」。制海と申したら、一体どれだけの範囲の海を制するのかという問題も出てまいるのであります。そういうふうに四次防原案と大綱とは非常に表現も違っておりますし、中身も違ってきておる。 そこで、四次防というものを、今後国際情勢なり経済力と見比べながら計画をお立てになるわけでありますが、まず第一点伺いたいことは、あの四次防原案なるものは、防衛庁として廃棄される、あれはもうないものだとお考えになっておるかどうか、これが一点でございます。そして大綱の線に沿って四次防を練り直すかどうかということがお尋ねの二点であります。練り直すとするならば、先ほど総理に一番最初に伺いましたとおりに、緊張緩和という前提に立って考えなくてはならない。どういうふうにこの練り直しをされるか、これが質問の三点であります。 この三つの点についてお尋ねをいたします。
○江崎国務大臣 第一点につきましては、すでに私の前任者でありました西村防衛庁長官のときから手直しに入っておるわけです。したがいまして、三次防の大綱と四次防の大綱とがまことに似ておるではないか、こういう御指摘でありますが、この似ておるところがまことに重要でありまして、四次防のいわゆる防衛庁原案なるものは、あの国防会議の議を経て大綱ができました時点においてなくなった、こういうふうにお考えいただいてけっこうであります。したがいまして、四次防大綱なるものは、ちょうど三次防を策定いたしました当時の国防の基本方針にのっとってこれを策定していこうという方向づけをいたしたものであります。したがいまして、御指摘のように、経済の見通し等についてもさだかなものがまだありません。国際的にもいろいろ問題が起きております。新たな視点に立って今後慎重に検討を加えて、主要項目等々について決定をいたしてまいりたい。当然手続を踏むことはあたりまえでございます。
○矢野委員 あらかじめ御指示をいただいておる時間も一応近づいてまいっておりますので、とりあえず結論を急ぎたいと思います。 私がこの四次防問題につきまして考えなくちゃならぬことは、いままでいろいろ申し上げましたシビリアンコントロールの問題。それともう一つ重要なことは、この米中接近という新しい状況において、四次防というものははたして必要なのかどうなのか。極端な言い方になりましたけれども……。わが国の防衛構想というものも抜本的に考え直さなくちゃならない重要な、それこそ戦後二十年間、惰性といえば失礼でありますけれども、ずっと同一路線を延長の形で、ただひたすら防衛力を増強するという方向で来られたわけでありますが、やはりここは重要な転換の時期であると私は思うわけでございまして、その意味においてもこの手続論というのは重要になってくるわけでありますが、それはさておきまして、この四次防そのものに対する総理の考え、新しい事態にどのようにわが国の防衛力整備を構想していかれるか、これについて御意見を承りたい。
○佐藤内閣総理大臣 わが国の自衛力、これは国力、国情に応じということでございます。また同時に、それかといって、GNPがどんどんふえてくる、それに比例してどこまでもふえる、こういうものでないことは、片一方で、いわゆる仮想敵国を持たないとか、あるいは外国に対して脅威を与えない、こういうコントロールがございますから、その点では誤解がないだろうと思います。ただしかし私どもは、何と申しましても、わが国の安全、また国土を守るというこの点から必要なる自衛力は持たなければならない。これはどうしても、国民の納得のいく範囲において、また国民の了承を得た上で、それらの必要なる自衛力を整備していく、こういう立場に立って進んでいくつもりでございます。
○瀬戸山委員長 先ほどの政府の答弁の問題がありましたが、この点については理事会で相談をすることにいたします。 午前の会議はこの程度にとどめ、午後は零時四十分より再開することとし、暫定休憩いたします。 午前十一時五十八分休憩 ――――◇――――― 午後零時五十一分開議
○瀬戸山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 午前の矢野委員の発言中、政府の責任に関する点については、理事会において種々協議いたしました結果を政府に申し入れましたので、しかるべき時期に政府から答弁させることにいたします。 総括質疑を続行いたします。矢野絢也君。
○矢野委員 それでは、午前中の質問に引き続きまして質問をいたします。昼からは主として日中問題につきまして総理並びに政府の御見解を承りたいと思います。 質問の冒頭に、昨日の米中会談の共同声明についての政府の御見解、評価というものを承ったわけであります。米中関係の改善ということが、ただ単に米中だけの問題ではなくして、わが国の将来の方向に重大な影響を与えるものであることは、総理の御答弁にもうかがわれたわけでございますが、こういった状況を踏まえまして、今後の日中国交回復をどのような立場で政府は考えておられるか、具体的にお尋ねをしていきたいと思うわけであります。 総理は、ことしの一月、サンクレメンテに行かれまして、日米首脳会談をやられました。これは、ドル・ショックに伴うわが国の対米感情の悪化、あるいはニクソン訪中頭越し外交、こういったことに伴う日米間の関係を再調整しなければならない、あるいはまた中国の国連復帰という新しい情勢の中で今後をどのように展望するか、こういう意図で首脳会談をおやりになったわけでございますが、その結果、沖繩の返還の期日が確定をしたことは、私はこれは評価できることであると考えております。しかし、まあいやみな話でありますが、アメリカの新聞ワシントン・ポスト、こういった新聞では、沖繩返還日の繰り上げということは、アメリカにとっては、これはもうそうたいしたことではないんだ、アメリカにとって譲歩であるけれども、ちっぽけな譲歩であって、そのちっぽけな譲歩によって大きなものを得たという意味のことをアメリカのマスコミは論評しておるわけでございます。アメリカはどういうものを得たか、これが問題になるわけでございますが、いずれにしてもこのサンクレメンテの会談というものが、今回の米中会談と密接な関係があるとわが国の立場からは受け取らざるを得ない。総理は、具体的にはその内容の経過を今日まで、米中会談があるということで沈黙を守ってこられたわけでございますが、幸い米中会談の結果も昨日はっきりとしたわけでございまして、この時点なら総理の日中国交回復その他に対する新しい情勢を踏まえた所信を伺うことができるし、また言うべき当然の義務があると私は思います。 そこで、まずサンクレメンテで、中国へのアプローチについては日米それぞれがやはり独自の立場があるんだ、こういう合意があったやに聞いております。まあ独自、これはあたりまえのことでございまして、国が違う、民族が違う、状況が違うわけでありますので、どういう独自なのかというのが問題になるわけであります。少なくとも共同声明によりましてこの米中の間がわが国とはだいぶ違う方向で展開されてきたし、これからもされる。そういう意味の違い、そういう意味の独自はわかってまいりました。しかしわが国の場合、前向きの独自性というものがはたして総理の胸の中にあるのかどうか、これが非常に心配になるわけでございまして、独自ということについてのお考えを承りたいことがまず第一点でございます。 それから緊張緩和はけっこうなことであるし、緊張緩和するであろうということを先ほど総理は言われまして、私たちもその点については同感でありますけれども、サンクレメンテのあとで、牛場駐米大使、牛場さんが、日本の頭越しの米中接近というものは、わが国国内においても、たとえば日米安保に対する考え方等の影響が出てきて、それに頭越しの米中接近は、わが国にも非常に大きな影響を与える、端的に言えば、米中接近を牽制するかのごときそういう意味の発言をしておられる。政府の公式の出先である大使が米中接近を喜ばない、頭越し外交を喜ばない、これは非常に問題であろうかと思うわけでありまして、それはやはり政府の端的な本音であろうかと思いますけれども、今日、緊張緩和になるだろうし、歓迎するということは、これまた矛盾することであります。わが国の従来からの外交姿勢から見て、この米中接近がどのような影響を与えるか、わが国にとっての影響、これをひとつお聞かせを願いたい。 以上二点についてお尋ねいたします。
○佐藤内閣総理大臣 米中会談が行なわれ、コミュニケが出されました。先ほどもちょっと触れたのですが、これがただいまのところ正確に全部を把握している、こういう段階ではありません。しかし北京を訪問いたしましたニクソン大統領の一行のうちのマーシャル・グリーンが日本に参りまして、そして正確なところを連携をとってくれますから、それまでしばらく、いままでのいわゆる情報機関等によって発表されているもので私どもが判断するところでは、これは米中間の話ではございますけれども、このことは緊張緩和に役立つ、こういう意味で私どもは歓迎すべきものだと、かように思います。しかし私どもなかなか十分つかみ得ないのは、米中間の問題というような表現はいたしておりますが、いわゆる日中間の国交正常化と、こういうことばは使ってない、この表現の一つの問題があるように思います。 私は、よく引っぱり合いに出されるのは、一九六九年のニクソンとの共同声明がしばしば引き合いに出されますけれども、きょうも午前中に申し上げましたように、国連において中華人民共和国が迎えられたこと、安保の常任理事国になったこと、これによって事態は大変更を来たしております。私ども、その立場において、どうしても日中間の国交の正常化をはからなければいけない、そういう意味のいろいろの立場を申し上げておるのでありまして、今日までの国民同士のつながりはともかくとして、政府間の交渉による国交の正常化をはかることが何よりも必要なことと、かように考えております。ただいまその点に非常な欠如がございますから、これを今後とも努力してまいるつもりであります。 また、ニクソン大統領のいわゆる頭越し訪中、これは当時発表になった際にいろいろ問題になりました。しかし、今回の北京における共同コミュニケを読んでみると、ただいまのような点が違うばかりでなく、日米間の問題に触れては、これは国会に対する教書においても、また今回の共同声明においても、日米間は何よりも大事だ、そういう意味で日米間の親交はこれから後も一そう深めていく、これはちょうど、私が所信表明を国会でしたと同じでございます。私は、それらの点において、いまの米中間の問題と日米間の問題、これはこの共同コミュニケを通じましても、いままでのところは変化のない、むしろこれで立場が非常にはっきりした、明らかになってきた、かように感じておる次第でございます。一応この点だけ……。
○矢野委員 米中両国とも、相互に今後解決をしていかなくちゃならない問題が存在しておるという認識においては、これは一致しておるわけでして、米中会談によってすべての米中間の問題が解決した、そういうものではないことは、これはおっしゃるとおりだと思うわけです。しかし、いま総理が言われたとおり、基本的に従来の問題が変わっておらないという受け取り方は、これは私は、やはりうしろ向きではないかと思うわけです。やはり決定的な違いと申しますか、これは、アメリカは、つまりトルーマン、アチソン声明というのがありましたけれども、朝鮮戦争以来、それを否定した形で、中国を封じ込め、敵視するという政策を一貫してとってきた、これはもう明らかなことであります。それが、そういう対決の姿勢が、今後問題は残されておるけれども対話の形に変わってきたという認識は、これは当然正しいと思うわけです。もちろん台湾問題についても、わが党がかねてから主張しているがごとき正しい解決というものはまだまだなされておらない。しかし、解決の方向にかなり含みのある表現をとっておるということもこれは事実であります。これは具体的に後ほど伺いたいわけでございますが。 そこで、今回の米中対話の一つの特徴は、中国がかねてから言っておりましたいわゆる平和五原則、主権と領土の保全、尊重ということ、平等互恵であるとか、相互不可侵であるとか、平和共存であるとか、こういう平和五原則というものをアメリカ大統領がいわば初めてこれを認めた形で、その平和五原則に従って米中対話をしていこう、こういうことなんです。これは一つの特徴だと思います。 そこで、佐藤総理に伺いますが、この平和五原則というものは、アメリカ大統領がこれを受け入れたごとく、日本政府も受け入れる姿勢があるかどうか、この点についてお話を承りたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 多くは申しませんが、受け入れる姿勢がございます。
○矢野委員 けっこうなことだと思います。ただ、それが日中問題のすべての解決になるわけではないという、これはあたりまえのことであります。特にアメリカと日本との対中国関係の違いというものをこの際思い返さなくちゃならないと思うのです。もちろん朝鮮戦争以来、アメリカは敵対関係にあった。しかし、いわゆる法的な戦争状態というものは存在しなかったわけでありまして、わが国の場合は、いわゆる日支戦争、大東亜戦争、そういう戦争の過程を通じて、中国とは直接交戦状態にあった。そして、それが政府の立場では、いわゆる日台条約においてこの戦争状態というものは終わっておるんだという見解を従来ずっと取り続けてきましたけれども、いずれにしても、この戦争状態というものが北京政府を相手にして解決されたものではないという日本の特殊な事情があるわけです。いわばアメリカは、そういう米中仲直りのための平和条約であるとかあるいは戦争状態の終結宣言というような法的な手続は必要としない。極端な言い方をすれば、一国の元首が、つまりニクソン大統領が中国の首都である北京を訪問するその行為自体がすでにもう黙示の承認行為とすらいわれておる。ましてや今回のような共同声明が発表されたということは、これはもう非常に大きな前進をしているわけです。わが国の場合はそういう特殊な事情がある。それに対して日本政府は非常にうしろ向きの姿勢を今日まで取り続けてこられたがゆえに、今日の、いわばアメリカにおくれをとると申しますか、国民の目から見れば主体性のない、佐藤総理の哲学かもわかりませんが、待つ、情勢を待つ、待ち過ぎて、当の日本の国益を損じてしまっておるんではないのか、むしろいろいろな意味でマイナスになっておるんではないか、こういう印象があるわけです。そこで、これは私の意見でございますけれども、アメリカと日本の対中国の姿勢、条件において違いがある、こういう認識に立って、私がこれからお尋ねすることについて御答弁を願いたいわけでありますけれども、まず、新しい点でありますから、イロハのイから聞くようなことになりますけれども、まず、中国は一つであるという認識を持っておられるかどうか。それが一点です。台湾は中国の領土である――この場合、私が言っているのはいわゆるチャイナという意味の中国であります。中華人民共和国という意味では申し上げておりません。台湾は中国の領土であるかどうかという、これが二点であります。第三点は、台湾は中華人民共和国政府にその領土権があるとお考えになっておるかどうか、これが三点であります。そして第四点は、いわゆる中国大陸と台湾は不可分の領土であるという認識を持っておられるかどうか。以上四点について、一点は中国は一つであるかどうか、二点は台湾は中国の領土であるかどうか、三点は台湾は中華人民共和国政府に領土権があるという認識を持っておられるかどうか、四点は台湾と中国大陸は不可分の領土であるという認識を持っておられるかどうか、この四点についてお答えを願いたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま、米国と日本との中国に対する根本的な相違点、これをお触れになりました。確かに日本自身は中国と戦ってきた。アメリカは戦ったという、これが、朝鮮事変の際にいろいろの問題は起こしたけれども、いわゆる共同の敵として日本と戦った、こういう立場でございますから、このアプローチのしかたもよほど違うんじゃないかと、かように思います。これが根本的な問題でございます。私は、さっきも申し上げたのでございますが、国連に迎えられた今日、この迎えられる以前の状態と、これはよほど違っておると、この認識をぜひとも持っていただきたい。私は、その立場に立ってお話しをするのであります。御承知のように私どもは台湾にいる中華民国と日華平和条約を結んだ。サンフランシスコ条約締結後の当時結んだ相手方が国民政府であった、私は、そのことはおそらく当時の状況において許されることではないかと、かように考えております。許容されることではないかと考えております。しかし、今日、国連に中華人民共和国が中国の代表政権として迎えられた今日においては、ただいまの日華平和条約締結の当時とは事情は変わっている、それをやっぱりわれわれは考えて進まなければならないと、かように思っております。そこで、この国連に中華人民共和国が迎えられる以前におきましても、中華民国も中華人民共和国も、中国は一つだ、かように実ははっきり言っております。これについては第三者であるわれわれがとやかく言う筋のものではない。このことをしばしば国会でも私自身説明しておりますから、誤解がないことだと思っております。中国は一つだ。 第二の問題として、台湾はどうだ、こういうことでありますが、サンフランシスコ条約で台湾における領土権、一切の権利、権原を放棄した、そういう立場で私どもはその帰属についてとやかく言う筋はないはずであります。しかしながらこの台湾を占拠している国民政府と講和条約を結んだ、さように考えると、台湾の帰属はもうきまっておるのじゃないか。そこを占拠しておる国民政府は中国は一つだとこう言っている、かように申すと、これは論理的に申しましても、台湾はやはり中国の一部だ、こういうことになるのではないかと、私はかように理解しております。われわれは、権利を放棄した、その状態においてその当時の進め方、国際情勢の進め方から見ましての結論は、はっきり中国に放棄したとは申しませんけれど、しかしこれは当然中国のものだと、かように私は考えております。 そこで、第二の問題はそれで済むのですが、ただいま国連において中華人民共和国が中国を代表する政権といわれております。さような立場に立って台湾の帰属を考える場合に、これまた文句の余地はない。中華人民共和国そのものだと、かように考えてしかるべきではないか、かように思っております。またこのいわゆる不可分のものと、このことは私は当然の主張であろうと思いますし、また第三国日本がとやかく言う筋のものでないと、かように私は思いますし、ただいまの中華人民共和国と中華民国とその間において話し合われる筋の国内問題だろうと、かように私は考えております。 したがって、四つの問題については、私は私なりに明快に割り切ったつもりでございます。
○矢野委員 非常に示唆に富む御答弁であったと思いますが、特にお尋ねした中で第三点、台湾は中華人民共和国政府に領土権があるかどうかということをお尋ねしたわけでありますが、それについての答えとして中華人民共和国政府が中国を代表しておるんだ、中華人民共和国政府の領土なんだというお答えがあったように理解してよろしゅうございますか、第三点につきましては。
○佐藤内閣総理大臣 そのとおりです。これは中国のものだと、こういうことを申して、中国を代表するものは中華人民共和国だ、これはただいままでの国連においての明確なる結論が出ているのでございますから、ただいま中国の領土といえば中華人民共和国のものだと、かように考えるのは当然でございます。
○矢野委員 非常に従来の御答弁から見れば前進された御答弁だろうと思います。つまり台湾の領土権は国民政府というよりも中華人民共和国政府にある。これは将来日台条約の扱いについても考えを進めていかなくてはならない、その入り口を通過された、こういうように私は理解しておりますが、この点についていかがでございましょうか。
○佐藤内閣総理大臣 ただいまも申し上げましたとおり、日本の場合はサンフランシスコ条約からその後に引き続いて国民政府との間に日華平和条約を結んだ。その当時の状況では台湾を選ぶことについてだれも問題はなかったのではないかと、私はいまだに考えております。しかし国連において中華人民共和国が中国を代表するものとして迎えられた今日において、この台湾の地位というものは、その立場において解決されなければならないと思います。私はただいまの状況で直ちに日華平和条約が無効に帰したものだとかあるいは私ども無効宣言を直ちにする、こういう立場にはないように思っております。したがって日中国交の正常化をはかる、その過程においてこの問題が取り上げられ、この問題が解決される筋のものだと、かように私は思っております。
○矢野委員 国民政府を相手としていわゆる日台条約を締結された。あの当時のいきさつとしてはこれが許容される。これはわが党の立場から申し上げれば、それ自体が許容されないことである。やはりあの時点において中華人民共和国政府を中国を代表する正統政府として、いわゆる講和手続というものをとるべきであった、こういう立場に立っておりますが、いずれにしても、過去においては許容されたという表現をしていらっしゃることは、現在においてはそれは許容されなくなりつつある。それを現に政府は、日台条約を廃棄という明確な立場をまだお出しになっていないわけでありますけれども、あの判断というものがいまの時代、いまの状況に合わなくなってきておると私には受け取れるわけでありますが、日台条約そのものは交渉の過程において検討される、こういうお話でありますが、これを堅持される方向において交渉されるのか、あるいはまた、これを解消されるという方向、方針をお持ちになって、この交渉の過程、交渉にお入りになるのか、このこと自体と密接な関係がある、こういう意味でいまお尋ねをして、まあ私なりに御答弁をいただいたように思いますが、事柄がきわめて重大でありますから、念のため申し上げます。交渉の過程においてこれを堅持する方向か、解消する方向かということについて。
○佐藤内閣総理大臣 先ほども申しましたように、日中国交の正常化をはからなければならない、これは当然のことです。隣の国ではありますし、私ども過去の古い歴史もありますが、これからも仲よくしていかなければならない。戦争したというずいぶん苦い過去もございますけれども、仲よくしていく。平和国家としての日本はそうあるべきでございます。いわゆる国交の正常化、その過程において、ただいまのような問題が解決さるべきだと、かように私は理解しております。
○矢野委員 解決されるべきだということばの意味が、まだ私には明確にわかりませんけれども、これはまた後ほどあらためて、重要な問題でありますからお尋ねをいたします。 そこで、これまた問題の整理の意味でお尋ねをするわけでありますが、一つの中国の立場をおとりになるということは、これではっきりわかりましたし、国連での決定が、中国を代表する政権は中華人民共和国政府であるという認識、そういう前提に立ってものごとをお考えになっておるということもよくわかります。 そこで、これをパターンといいますか形に分けて考えますと、二つの中国はとらない、一つの中国だけれども、一つの中国、一つの政府というのが一つのパターンとしてあります。一つの中国、一つの政府。それから一つの中国、一つの台湾というパターンが第二番目のパターンとしてあります。それから第三番目のパターンは一つの中国、二つの政府ですね。ですから三つに分類し得ると思うのですね。一つの中国、一つの政府という認識、一つの中国、一つの台湾という二つ目の認識、三つ目の認識は一つの中国、二つの政府という認識、このいずれの御認識をおとりになっておるかということ、これについてお答えを願いたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 いま、現状は一体どうか、また原則はどうか、こういうように私は別な見方から分けてみると、一つの中国、当然一つの政府、これであるのが原則だと、かように私考えております。またそうなければならないと、かように考えております。また、ただいまの状態は不幸にしてそういう状態でないということもつけ加えさしておきます。本来一つの中国、一つの政府、かくあるべきだと、かように思います。
○矢野委員 現状認識として二つの政府が現に存在しておる、その現状認識それ自体、私は何も否定するわけじゃございません。これはいいとか悪いとかは別問題として、現実にそれぞれが存在しておるわけでありますから、ですから、それをつけ加えられるということばの意味は、私は、その意味においてつけ加えられたんだと思うのです。先ほど言われたとおり、一つの中国、一つの政府が原則であって、それが正しい方向である。しかも、従来、わが国が、いわゆる台湾、国府と条約関係があった。それはあの時点において許容されることだが、今後においては、はっきり言えば、考え直さなくちゃならないという意味だと思いますけれども、そういうことで、一つの中国、一つの政府――現実は二つが存在するが、その一つの政府を目ざす努力をわが国としてするんだ――これはやはり認識の問題だと思うのですよ。現実に二つあっても、どちらが正統であるか、どちらがいわば正統でないか、これは、その国と国交関係を結ぶわが国がどう認識するかということによって判断されますが、先ほどの御答弁でも、国連での決定云々というお話がありましたから、総理の御意図はわかるような気がしますが、念のため伺います。 現実に二つの政府が存在しておりますが、わが国としては、将来、どちらを正統政府として――しかも、この場合は、一つの中国、一つの政府でありますから、唯一の正統政府という認識になるわけでありますから、将来どちらを正統政府として御認識されておるか。
○佐藤内閣総理大臣 これはもう、問題は、別に議論する余地のない、はっきりしたことのように思っております。サンフランシスコ条約当時に、われわれはなぜ国民政府と日華平和条約を結んだか。当時は、国連においても、国連の創設者でもあるし、メンバーは国民政府であり、また、安保の常任理事国でもあった。その地位にある、その立場で、やはりわれわれは日華平和条約を結んだ。当時から、統治権の及んでいる範囲は非常に狭い島だけであった。だが、しかし、国連における地位等をも考えて、ただいまのような結論が下された。しかし、今日は、昨年から中華人民共和国が国連に迎えられた。そうして、その立場はすっかり変わったんです。新しい状態になっているのです。だから、私は、いま、日中国交の正常化をはからなければならないという立場に立つと、何と申しましても、中華人民共和国と話をつけなければならない、かように実は思っております。これは別にいままでの主張と矛盾もしないし、これはもうはっきりしたことで、ただいま矢野君の御指摘になるとおりだ、かように私は思っております。
○矢野委員 私が申し上げたとおりであると御答弁願った以上は、もうこの問題についてくどくを申し上げる必要はないと思います。 そこで、端的に私の感想を申し上げれば、総理は、新しい事態におけるわが国の処するべき方針ということについて、総理なりの決意がおありであると、私は、いまの御答弁を承る限りにおいては非常に敬意を表せざるを得ないし、また、その方向においてぜひやはり、これはまたあとで答弁が変わるということでなしに、明確な方針をとっていかなければならないことであると思います。そういう意味で、これは非常に評価すべき所信であろうかと思っております。 そこで伺いたいことは、サンクレメンテにおきまして、総理は、いわゆる台湾条項というものについて、あれはなくなったかのごとき表現を一時はされたのでありますが、その後、そうでないというような御表現もあったようであります。この点について伺うわけでありますが、そもそも、アメリカは、米台条約というものは、少なくとも共同声明を見る限りは、これをやめるというようなことは書いてございません。しかし、現実に平和五原則を受け入れ、そして、多少の留保条件というものはついておるにしても、台湾の領土権というものが中国であるという立場をとった。しかも、その中国を代表するものはだれかといえば、いまニクソンさんが行っておる国であるということは、これまた事実が示しておるわけであります。そこで、米台条約というものがありまして、そのためにアメリカが軍事的な台湾に対する義務を負っておる。これは条約の上では負っておると思います。しかし、このような米中接近によりまして、中国人同士の間で解決すべき問題だという認識をこの台湾について持った以上は、条約上の義務は存在しておるけれども、事実上はその義務を発動する気持ちはアメリカにはない。むしろ、米台条約なるものは、メンツ上存続されておるが、実質的には、防衛義務というような面では、今回の共同声明において形骸化された、こう私は理解をしておるわけです。そうでなければ、この共同声明はまた理解できないものになります。したがって、そういう立場から考えれば、アメリカの台湾海峡における行動というものは、条約そのものはまだ廃棄しないにしても、その可能性もなくなった。形骸化しようとしておる。とすれば、やはり、こういう状況に際しまして、総理は、明確に――いわゆるあの台湾条項、要するに、台湾海峡に万が一のことがあれば、わが国の安全にとって重要な要素である、台湾の安全が日本の安全にとって重大な関連があるという認識、そういうときには安保条約の事前協議というのを前向き弾力的に適用するのだ、俗なことばで端的に言えば、アメリカ軍に自由に行動するフリーハンドを与えるのだ、これが台湾条項の意味だと思いますけれども、こういう新しい状況に際したときには、この際明確に、台湾条項というものは日本政府としては考えておらないということをはっきりしたほうが、国交回復のためにもはるかにプラスになるのではないか、こう私は考えておりますが、いかがでございましょうか。
○佐藤内閣総理大臣 共同声明というのは、そのときの情勢でいろいろ考えて、両国で話し合う、こういう筋のものであります。私は、最近の状況から見まして、最近、ニクソン大統領が訪中し、北京を訪問し、そうして、それらの関係で非常に緊張は緩和した、ただいまのような心配は無用の状況になっている、現在はそういう状況ではないだろうか、かように思いますので、よしその理論がどうあろうと、いまになって心配無用の状況になっていることをむしろ心から歓迎する、そういうのが望ましいことではないだろうか、かように思います。
○矢野委員 心配無用の状況になったという認識は、私も同感なんです。ただ、問題は、そういうことが起こらないからいいんだという、これは、総理の言われることはいいのですけれども、もっと問題は、先ほど、一つの中国が、台湾領土はどうだということを私がいろいろお尋ねしたときに、非常に明快な、すっきりしたお答えが返ってきましたですね。そういう認識に立つ限りは、台湾というのは中国の内政問題であるという理解をしなくてはならないと思うのですよ。台湾は中国の内政問題である、一つの中国である、しかも、それを代表しておるのは中華人民共和国政府だという方向において考えるという御認識のようでありますから、したがって、そういう台湾海峡で事が起こらないからどうのこうのじゃなくして、事が起ころうが起るまいが、わが国政府がアメリカに対して、いわゆる台湾条項というある種の義務を持つということは、これは内政干渉になるという意味があるわけですね。したがって、そういうことが起こらないからこういう必要がないんだという認識よりも、こういう考えはわが国政府が持たないのだという認識のほうがもっと大事なんです。そういうことについてお答えを願いたいわけであります。
○佐藤内閣総理大臣 これは、国交の正常化をはかれば、ただいまのような問題は解消して、あとへ残らないだろうと思います。ただ、日本の場合は、日中間の国交の正常化もはかるが、同時に、片一方でアメリカとの間に安保条約がございますから、二つの条約が矛盾しないでわれわれが行動ができるという、お互いにぶつからないで行動のできる、そういうことにものごとを取り計らっていかなければならない、かように私考えておりますので、ただ内政問題だというだけで簡単には実は処理できないものがあるのじゃないのか、かように私は思っております。片一方で、日米間の安保条約体制、これに支障を来たさない、こういう保障がないとちょっと困った問題じゃないか、かように思っております。
○矢野委員 まあ、私たちの立場から言えば、日米安保条約は早期に解消したほうがいいという立場をとっております。しかし、これをいまあなたに押しつけても議論が平行線になるだけであります。 ですから、こう思うのです。いい悪いは別として、安保条約によってわが国が義務を持たなくてはならないのは、いわゆる極東条項であります。極東、これは何も、台湾とか、韓国とか、ベトナム、そんなことばは書いてございません。わが国の平和にとって関係のある事態ということですね。ですから、安保条約を守った――私たちはそれはいやですけれども、政府がそれを維持された上においても、いわゆるこの極東条項の解釈、安保条約の義務をなお続けながらも、この台湾条項というのをやめることができると私は思うのですよ。つまり、台湾というのは、極東条項にいう極東ではない。総理、たとえば朝鮮半島についても、いわゆる極東条項には北鮮というのは入っていないのです。これは、政府の御見解によれば韓国です。たとえば、中国広東省というのは、極東条項の地域範囲に入りません。これは中国の領土ですから。広東省で事があろうと、そんなことは日本政府にとって関係ないという認識。だから、極東条項があっても、これは対象にならない。同じように、今回、この台湾というものは、米中間においても、もはや中国人同士の問題として解決されるべきだ。これは、アメリカは武力侵攻はないという認識を持ったんでしょう、おそらく。これはどうあろうとも、そのように、もはや台湾というものが中国の内政問題であるという理解が深まりつつある。この段階においては、安保条約をお守りになる立場においても、この極東の範囲の中に台湾はもう含める必要はない、こういう認識を持てば、あっちとの関係、こっちとの関係も、これは十分両立し得るわけであります。そういう意味において、この台湾条項というものは、あまりこだわりをされると、これは内政問題に干渉をする。干渉の手助けをする。しかも、その干渉する張本人であるアメリカがその意図をなくしておる。そんなことをわが国がこだわらねばならない必然性というものは、政府の立場から考えても、もはやこれは残っておらないと思うのです。そういう意味で、この際、台湾条項というのを明確に否定し、かつ、極東の範囲の中で台湾は含まないという認識をお持ちになるべきであると思いますが、その点いかがでございましょうか。
○佐藤内閣総理大臣 いまの米中会談――ただいま、われわれがいままで説明してまいりましたいわゆる極東の範囲、これを修正のできるような状態にまで米中会談が進んでおればたいへん私はしあわせだと思っております。 その点は、私どもも、いま言われることもわかりますから、十分検討はいたしますが、そういう意味で、マーシャル・グリーンも来ることですから、そういうところまでもう少し検討さしてください。 私ども、どこまでも日本の国益を守ることが何よりも大事なのでございまして、別に、アメリカのために日米安保条約をとやかく、かように考えることはございません。どこまでも日本の国益を守る、これに徹する、そういう立場に矛盾しない、こういうことでありたい、かように思っております。
○矢野委員 まあ、私は、言論的な立場で、基本的な問題を順次お尋ねをするということでありますから、あとの質問者の方々のさらに具体的な詰めがあろうかと思いますが、わが党としても、この問題はもっとお考えを聞いていきたいと思います。 私の言わんとすることは基本的には賛成である、ただ、この米中会談の状況もわからない、中身もまだわからない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○福田国務大臣 矢野さんのお話を承っておりまして、私ちょっと感ずるところがありますのは、矢野さんは、この米中会談の共同声明をごらんになりまして、事実上の承認が始まったというような認識を持っておられるようであります。私どもは、サンクレメンテで、アメリカの大統領、国務長官等と会談をいたしたわけでありますが、その際、アメリカははっきり言っていることがある。北京を訪問しますが、台湾の問題につきましては、対台湾政策は一切変えません、こういうこと。それから、台湾に対する防衛上のコミットは守ります、こういうことを言っておるのです。そういうことを言っておりますので、私もあの共同声明をつぶさに検討したのですが、なかなかその辺は用心深く配意をいたしておるようであります。つまり、台湾の領土条項の問題につきましては、これは、台湾海峡をはさむところの両人民において、中国は一つであるという主張をしておる、これはよく承知しておる、こう言うのです。そういうふうに言っておるのですが、そこで、アメリカのこの問題に対する態度というものは、そこが限界になっておる、こういうふうに、私は、この共同声明の範囲においては理解をしておるわけなんです。 そこで、問題になりますのは、あなたは、冒頭に、日本とアメリカとの対中政策の差異はどこにあるのだ、こういうお話でありますが、同じ点は、日米両国とも、中国に対しましては接近政策をとるべきである、これが極東の緊張緩和につながるのだ、こういうことであります。しかし、その接近の方法は違ってもしようがないじゃないか、こういうこと。その違ってもしようないという、その点についてお尋ねでございますが、わが国は日中国交の正常化をはかる。この正常化をはかるというところが大事なんです。アメリカはどうだというと、正常化という文句を使いません。米中関係の正常化、関係というところを使っておる。そこに非常な含蓄があるのじゃないか。わが国は、総理がいま申し上げましたとおり、中国を支配するものは中華人民共和国である、これは国連においても認められたことじゃないか、その中国を相手にいたしまして、中華人民共和国を相手にいたしまして、わが国は正常化をはかる、そういう大きな旗を掲げて、ここで政府間接触を始めたい、こう言っているのです。それに反しまして、アメリカは、米中の関係の正常化をはかる、そのために文化の交流をやります、通商の拡大をやりましょう、あるいはコミュニケーションの何らかの形を考えましょう、そういうようなことを言っているわけでございますが、アメリカはいわゆる積み上げ方式である。わが国は、これに対して、もう政府間接触で、まあ、一挙にというか、一発というか、そういうことを考えておる。そこが非常に違う点でありまして、その違いをはっきり御認識いただいた上でお話しくださいますると、われわれの答えも十分に行き届くことになろうか、かように存ずる次第でございます。
○矢野委員 私は外務大臣にお伺いしたわけでもないのに出てこられたわけでありまして、あなたも次期総裁を目しておられる候補の一人でありますけれども、ここへ出てきてあまりうしろ向きのことをおっしゃらないほうがよろしい。総理のほうがずっと従容として話がよくわかるけれども、外務大臣の話はさっぱりわからない。それはよろしいです。交渉の過程で解決をするという政府の基本的な方針。われわれの立場から言えば、やはり、交渉というものは、相手の立場もあれば、こっちの立場もある。相手は明確に立場を言っておるわけです。こっちもやはりそれなりの明確な立場というものを出していかなければ、交渉にすらならないわけであります。 そこで、私は伺いたいのでありますが、交渉というのはやはり目的があると思います。ただ仲よしムードになりましょうというようなものじゃない。 まず、この交渉の目的ということでありますけれども、平和条約の締結、まあ、これは一つの例でありますけれども、あるいはまた、何といいますか、戦争状態の終結宣言、こういったことも含めた交渉をされるということなのか、ちょっと行ってきて話をしようかということなのか、目的をまず明確にしていただきたい。そうでなければ、過程もわからない。目的のないプロセスというものはあり得ないのでありますから。
○佐藤内閣総理大臣 これは、国交の正常化ということを申し上げております。国交の正常化、それは、具体的には一体何だ――ただいまのような事柄も、御指摘になったような点もあるだろうと思います。しかし、私は、とにかく、いままでのいきさつから見まして、どうしても国交の正常化をはからなければならない、かように思っております。台湾の問題が出てまいりますが、これを、その過程においてというような言い方をするのも、いままでやってきたことが、それは無効だとか、不当だとか、こういうような非難はあるでしょうが、日本は日本なりにこれを解釈しております。だから、いわゆる経過を無視して、いきなり新しい状態をぽっかりつくる、こういうものではなくて、やはり、いままでの経過を踏まえつつ、新しい状態ができる。その新しい状態は、中華人民共和国との間の国交の正常化をはかるんだ、こういう立場でいままでのものを――さっきは、前向きというか、解消の方向でとかいうような表現がございましたが、本来は、中華人民共和国との国交の正常化、これが本筋でありますから、そういう立場でものごとを整理していく、こういうことであります。
○瀬戸山委員長 矢野君に申し上げますが、時間がだいぶ迫りましたので……。
○矢野委員 国交正常化のためであるということ、これは俗によく言われるわけでありますけれども、もうちょっと正確な規定が必要だと思います。いわゆる条約締結行為というものが必要であると私は思っておりますけれども、どうでしょうか。
○佐藤内閣総理大臣 事柄によっては、そういう場合もあろうかと思います。また、いままでのものを引き継ぐというような場合もありましょう。接近の方法、私は、これはいろいろあるんだろうと思う。それをどれに限定すると言わないで、そこはいわゆる話し合ってみる、こういうことじゃないかと思います。
○矢野委員 いま、総理は、はしなくも引き継ぎということばを使われましたけれども、確かに、国交正常化のパターンとしては、新たなる条約を北京政府とわが国の間につくるというパターンが一つありますね。その前は、一国一政府、先ほど総理が明快に言われたとおり、中華人民共和国政府と条約を結べば、日台条約というものはおのずから意味がなくなってしまう。 いま、総理は、引き継ぎということを言われました。もう一つのパターンは、日台条約というもの、その効果を承継していく、こういうことも交渉の一つの中身としてお考えになっておるのかどうか、これをひとつ聞かしてください。二つに一つしかないわけです。
○佐藤内閣総理大臣 そういうことも考えてしかるべきだと思っております。
○矢野委員 総理、私は、この一時間きわめて穏やかに質問さしていただいておるわけです。というのは、総理も、新しい事態に対処して非常に柔軟に考えようとしておられる。その姿勢に敬意を表しておるわけでございますが、本来、日台条約というものは、基本的な認識を深めていただかなくてはならないんです。 中華人民共和国政府が成立したのは、四九年九月の二十九日でしたか、ここに全国人民協商会議というものがありまして、これは北京で行なわれた。そして、これまで締結した条約は再検討、引き継ぎの余地あり、今後蒋政権の締結するいかなる条約も無効、関知せず、こういうふうに、北京政府は、明確に、いままでの中華民国が結んだ条約については、いいものは継承するんですよ、悪いものは廃棄しますよと言っている。これは四九年の時点です。そういうふうにセレクトする。しかし、その後の条約、蒋介石政権がつくった条約については、これは一切無効であり、関知しないという態度をはっきりととっているわけです。日台条約というものは、事柄のいきさつは総理のほうが御存じです。この四九年九月二十九日の全国協商会議の宣言、蒋介石政権と結ぶいかなる条約も、北京政府は、無効であり、関知しないということ、そのあとですね、日台条約というものは。 ですから、私が申し上げたいことは、この日台条約の処理というものは、いまさら北京政府に相談する筋合いのものではないということです、事柄の性質というものは。北京政府は、もうはっきりと、それまでの条約のいいものは引き継ぐと言っておる。それ以後の条約については知らないぞと言っておるわけです。そして、その後において日台条約というのは成立しているわけですね。これは、わが国がしておいて、そんな事情は知りませんでしたなんという、そんな子供じみたことは言えませんですね。 そうしますと、この日台条約の処理という問題は、いわゆる北京政府と日本政府の交渉のテーマになるべきものじゃないということです。わが国からそんなことを言い出す筋合いもないということです。何も、北京政府がこの期に及んでむちゃなことを言っておるわけじゃないのですね。その当時からこれははっきりしていることです。ですから、私は、条約の承継などということも可能性の一つとして考えていらっしゃるのは、これは失礼ながらナンセンスだと思いますけれども、こういうことを考えても意味がない。日中間の交渉のテーマにすらならない。これは、日本と台湾とが、どうしようか、できれば両方合意の上やめちゃおうか、これが一番いいでしょう。それで、台湾が了解しなければ、わが国政府は決断をして、日台条約についてはこうするんだという腹をきめて交渉しなければ、交渉にすら入れない。これが現在の佐藤内閣の置かれておる立場だと思うのですよね。ですから、日台条約というもののある種の継承というような発想をおなかに置いて交渉する。これはだめです。この点もひとつお聞かせください。
○佐藤内閣総理大臣 引き継ぎだとか、承継だとか、これでやろうという、そこまで申したわけじゃございません。いま、矢野君のいろいろの御注意、これは私、たいへん建設的な御意見だと拝聴いたしたのでございます。だから、そういう意味でひとつ十分考えますが、私ども、やはり、サンフランシスコ条約、これを原点に返って見たときに、どうしてあそこに中国の代表者を招請することができなかったか。これは、中国の代表者が招請されていたら、全面講和ができたと思うのですね。これないがためにただいまのような問題が起きている。このことはまことに残念でございます。だから、そういう点も、とにかくひざをつき合わして話をすれば、この間の空白をどういうように埋めるか――そういう点で、私は、お教えがあってしかるべきだ、かように思う次第でございます。
○瀬戸山委員長 矢野君に申し上げます。申し合わせの時間がもうほとんどありませんから……。
○矢野委員 時間が参りましたから、もう結論を急ぎます。 私が伺ったことは、日台条約の承継を政府は考えておるときめつけておるわけじゃないし、わが党としては、そんなことはもう全く反対であります。日台条約は廃棄されるべき筋合いのものであります。私が言っていることは、この日台条約の処理という問題は、日中間のテーマにはならないと思うがどうかということを聞いておるわけですよ。交渉に入ってから、実はこれを何とかしたいと思うんですけれどもどうでしょうかというような相談は、いまさら恥ずかしくて、といいますか、理屈に合わない。あらかじめ、北京政府が、今後結ぶ条約というのは北京政府は関知しませんぞと言っているのを承知の上で日本政府は結んでおるわけです、日台条約を。それの処理を、言うておる本人のところへ行って、どうしようかと言ったって、だから言わぬこっちゃないでしょうが、と言われたら、それまでのことじゃないですか。ですから、交渉の過程において解決する問題で、日本政府が決断しなくちゃいかぬ問題だ、そういう性格のものだと言っておるわけです。この点についての御認識を承っておるわけです。
○佐藤内閣総理大臣 もちろん、この問題は日本政府の問題だ、かように私も考えております。しかし、私は私として、日本としてやはり主張すべきものは主張すべきだ、かように思っておりますので、ただいまのように、これはもう別だ、かように言うことはやや早いように思っております。
○矢野委員 それでは、時間も参りましたので、これ以上の御質問は、また同僚議員にお願いをすることにいたします。 最後に委員長にお願い申し上げますが、私の質問中、政府の、例の四次防問題に関しまする政治責任、この限界については、委員長においていろいろとお取り計らいをいただいておるわけでございますが、政府の見解が出ますまで留保させていただきまして、その時点においてまた質問させていただく、このことをよろしくお願い申し上げます。 どうもありがとうございました。
○瀬戸山委員長 これにて矢野君の質疑は終了いたしました。(拍手) 次に、佐々木良作君。
○佐々木(良)委員 私は、質問に入ります前に、いまテレビ報道を通じて日本の全国に放送されております浅間山荘の過激派グループ事件について、いまの情報によりますとすでに二名の殉職者が出たとか、さらにまた、報道人にまで負傷者が次々に出てきつつあるようであります。私はこれらの殉職者に対しまして心から弔意を表するものでございますが、あわせまして、きびしいきびしい政治の責任を痛感いたしております。佐藤総理の御所見を承りたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 ただいまこの事件の起きていること、これは私もまことに残念に思っております。最近の法秩序の維持、これができないこと、これは各面においてわれわれはいろいろ考えさせられるのでございまして、ただいま佐々木君の言われるように、そういうことはその大部分が政治家の責任であろう、かように私は思います。どうしても失われている法秩序、これをやはり取り返すことに最善を尽くさなければならない、かように思っております。
○佐々木(良)委員 法秩序の維持は、力によってのみ維持できるものではございません。むしろ、ほんとうの国民の合意があって初めて可能になってくると思います。その意味において、私は最近における政治の姿勢の中に、必ずしも与党だけを責めるわけではございませんが、私ども大きな責任を痛感いたしておるわけであります。せんだって来の約三週間に及ぶ空白国会にいたしましても、その発端に、総理、私はやはりほんとうの意味での正しい意見を引っぱり出し、正しい意見を実施しようとする姿勢が政治からだんだん欠けてきつつあるのではあるまいか。むしろ自由民主党の三百名という大きな力が、ほんとうは私どもにさえ何ともおかしがたい大きな壁のような感じを持ちまして、したがいまして、この政治の場でのほんとうの話し合い、コンセンサスを求める姿勢が失われつつあることを痛感するものであります。私は決してこの浅間山荘事件だけを例にとるわけではありませんけれども、むしろ禍を転じて福となす意味におきまして、自由民主党の政治姿勢の中で、対決の姿勢から本格的な話し合いの姿勢にひとつ入られんことを強く要望いたします。よろしゅうございますか。
○佐藤内閣総理大臣 佐々木君のただいまの御意見、私どもも十分考えてまいりたいと思います。とにかく国会は、申すまでもなく最高の国政機関。そこでやはり国民を代表して国民のための政治をする、初めてここにおける論戦が意義があることになるのでございます。そういうことを考えますと、やはり何と言ってもお互いが、その立場において国民のために一そう守るべきは守り、また言うべきは言う、こういうことでなければならぬ、かように思います。
○佐々木(良)委員 米中首脳会談の成果につきまして、いろんな見方があるようでありますが、先ほど来お話がありますように、これを機会に、米中両国がいわゆる対決の姿勢の時代に終止符を打った形で、そしてここに新たな対話の時代へ歩み出そうとしておること、このこと自身が私はまことに重要なことだろうと思います。緊張緩和への新しい潮流が動き出した、こういう意味での評価と期待がいま世界じゅうに、また同時に日本の国のすみずみにまでみなぎっておるものだと思います。わが国としましては、この緊張緩和の潮流の促進にみずからも主体的に参加して、その中で新しい日米関係あるいは対中正常化への実現という問題に取り組み直すことが必要ではなかろうか。その意味で、アジアの冷戦構造の中で対米依存に安住してきた従来の日本外交の根本が、ほんとうは再吟味の段階に来ておるのではあるまいか。 〔委員長退席、田中(龍)委員長代理着席〕 きょうの各社の新聞の社説をごらんいただきますと、ほとんど同様な姿勢のもとに、日本の外交姿勢の根本的な再検討を私は要請しているように思います。これらの要請に対してお答えいただきたいと思いますが、福田外務大臣、率直にお答えいただきたいと思います。
○福田国務大臣 率直に申し上げますが、私は、世界情勢が昨今非常な大転換期に来ておる、こういうふうに見ておるのであります。つまり、一つはアジアにおける中国の国連参加という問題であります。また、ヨーロッパにおけるイギリスを加えるECの政治的、経済的な重みの問題であります。そういう時代、つまりいま佐々木さんは冷戦構造とおっしゃいますが、米ソ二大国の支配の世界から多極化時代へ入った、こういう認識を持っておるわけであります。したがいまして、わが国の外交姿勢も多極化外交でなければならぬ、こういうふうに考えておる次第でございまして、さきのバングラデシュの問題の処理、また北越に対する工作、モンゴルとの外交関係の樹立、そういうようなことは、そういろ多極化外交に処するわが国の方針の一つのあらわれである、こういうふうに御理解願って差しつかえない、こういうふうに存じます。 中国問題につきましては、これはどうしても解決しなければならぬ問題である。私どもは、これは歴史の流れであるとまで言い切っておるのです。日中間には日中戦争という、ああいう悲惨な事態があったわけです。そのあとを受けましてもろもろの困難な問題が横たわっておりますが、そういうもろもろの困難を乗り越えまして、日中間の国交の正常化――正常化ということは、これは外交関係の樹立ということであります。そういうはっきりした姿勢を掲げまして、いま政府間接触を始めようという呼びかけをしておる、これもまた私は、多極化外交の一面であると、こういうふうに御理解願って差しつかえなかろう。また、グロムイコ・ソビエト外務大臣、この方との間におきましても定期協議を行なったわけであります。この会談は友好裏に終了いたしましたが、これもまた多極外交の一つのあらわれである、こういうふうに御理解願って差しつかえなかろうと思います。 わが国は、いまやそういう世界環境の中で、わが国の進路を見違うことなく、ほんとうに世界じゅうを見回して、そしてわが国の姿勢にあやまちなきやということをあしたに夕べに反省して、そうしてこれと取り組んでいかなければならぬ時期に来ておる、そういうふうに存じます。
○佐々木(良)委員 私は外務大臣のいまの答弁に、必ずしも私の期待するような率直さを感じません。それはこれまでの継続をああやった、こうやったということを言いわけされるだけでありまして、少なくともテレビがとらえましたところの劇的なこの状態、しかしこれは必ずしもドラマチックだけに私は見るべきではないと思いますが、従来の流れを変えたことだけは事実だ。そしてこの流れが変わろうとしておることにぴたっと焦点を合わせようとするところに、私はいま国民の多くが、そして新聞社の各社説が求めているものがあると思います。言いわけが、福田さん、過ぎます。先ほどの矢野書記長に対する御答弁の中でも、同様な感じを私は持ちました。きょうの新聞の中におきましても、たとえば、あの共同声明の中で、台湾ではなお両国の原則的な対立が存続しておるんだという点をとらえて、いかにもわが国だけが取り残されたのではない、こういう安心感が――まあ言うならば、外務省胸をなでおろしているような感じさえにじみ出ております。そして、そのような姿勢を、悪いけれども、福田外務大臣、あなたもお感じになっておるのではあるまいかな、そういう感じを皆さんが抱いたとするならば、これはいいことではないと思います。私は、現実に個別的な問題について米中双方が譲り合えなかったことがたくさんある、それがためにこそ、その両国の対立点がなおきびしく存在しておることをはっきりと私どもが認識するわけです。にもかかわらず、米中の平和共存の確認という中でこれから動こうとしておることをはっきりと見なければならぬ、動こうとしておる中に、しかもアジアの地域になお米中両方の中にはっきりと意見が対立し、なお危険が存在しておることも見のがしてはならぬわけだ。その危険が存在していることをとらえて、あなたは、それ見ろ、私どもはアメリカとそれほど考えが違ったわけではないみたいな感を持たれるならば、アジアの一員としての日本の使命は私はなくなると思います。むしろ私は逆だと思います。そういうふうに、せっかく緊張緩和の動きになろうとしておるのにかかわらず、なおアジアには問題が存在しておるぞと、この問題、この危険を日本自身が自分の問題として、本格的に新しく始まるところの緊張緩和の潮流の中でとらえて解決していこうという姿勢こそが、いま求められておるものだと思います。いまや日本外交の任務、課題はそこにあると思います。もう一ぺん御所見を承りましょう。
○福田国務大臣 全く佐々木さんのおっしゃるとおりです。いま米中会談、歴史的な会談が行なわれた。その共同声明も発表されました。これがかもし出す緊張緩和のムード、これは私は貴重なものである、そういうふうに思います。この貴重なムードを育て上げなきゃならぬ、また育て上げ得るであろう、こういうふうに考えておりますが、ぜひともわが国の外交の姿勢はさような考えで進んでいきたいものだ、かように考えております。
○佐々木(良)委員 続いてでありますから、やはり福田大臣にお伺いいたしましょうか。 私はその立場に立ってごらんになるときに、どうしてアメリカと中国とのこのような接近が可能になったのであろうか、その背景といいますか根本原因をどうとらえられておりますか、御所見を承りたいと思います。
○福田国務大臣 私は、いま多極化外交ということを申し上げましたが、ある一国を相手にしてものを考える場合におきまして、他の地域を度外視するわけにいかぬ。私は、率直に申し上げまして、米中会談の成功の裏には、一つは世界の潮流というものがあると思います。つまり、米ソ二大強国が軍備競争をしておる、これはつまらないことじゃないか、そういう反省ですね。そういう問題が一つあると思うのです。それからもう一つは、やはりアメリカとソビエトの関係、また中国とソビエトの関係、つまりソビエトというものを一つの介在体としての多極化外交の考え方、そういうものがあるだろうと思う。そういうものが、これがまあ歴史の流れというか、戦後二十六年間の経過というか、経過のうちに結実された。これが今回の米中会談である、さようなとらえ方をしております。
○佐々木(良)委員 私は、端的にニクソンドクトリンというものの意味を痛感いたします。アメリカが、アジアに対して現実に軍事力をはっきりと持って、そして中国を中心とする共産主義の国々の勢力がそこから自由世界に出てこようとすることをぐっと押えておりました。アジアにおけるこのような力、このようなアメリカの軍事的な力をだんだんとうしろに引き下げようというこのニクソンドクトリンこそは、私は、アジアにおけるこれまでのそのような冷戦構造下にある状態を構造的に変えようとする、必然的に変わろうとする傾向をはっきりと含んでおるものだと思います。そしてそのことが、中国にとっても完全に危険がそれだけ去るわけでありまするから、私は、はっきりと利益に結びついた――この従来の封じ込め政策を中心とするところの冷戦構造からアメリカが撤退しよう、引き下がろうとすること、この構造的な変化が、アメリカ自身はドルの、言うならばドル防衛失敗ということに原因があったであろうが、いかなる原因、いかなる理由にかかわらず、アジアから兵力をだんだんと撤退しようとする動きが明らかにアジアにおける構造的な変化に結びつこうとしておる、この構造的な変化を中国ははっきりと歓迎するという姿勢をとっておるわけだ、こういうふうにお考えになりませんか。
○福田国務大臣 私は、いま簡単に歴史の流れというふうに申し上げたわけでありますが、七億、八億の民を擁する中国という大国、これが国際社会の外にある、また世界でも非常に重要な立場にあるところのアメリカと封じ込めというような関係を保っておる、これはアメリカから見ましても、また中国から見ましても妥当なことじゃない、これは私はそういうふうに歴史が流れてきているのじゃないか、そういうふうに思うのです。つまり、脱イデオロギーというか、イデオロギーを越えまして世界を交流させなきゃならぬ、これが最近における戦後史の大きな流れとなってきておる。私は、これが米中会談の背景にある、そのことを歴史の流れ、こういうことばで申し上げたわけであります。
○佐々木(良)委員 そうであるならば、そのような抽象的な方針や、それから世界じゅうの人が好むような方向が当然に歴史的に流れるということでありますならば、先ほど総理もあなた自身も、中国に向かって盛んに正常化しようという呼びかけをされておるということです。にもかかわらず、日本と中国との間はどうしてその道が開けないとお考えになりますか。米中接近が、そのような単なる歴史的な必然だというような抽象的なかっこうで流れるから流れるというようにごらんいただくならば、それならば、いまあなた自身も同じかっこうで中国に対してその姿勢をとっておられるのでしょう。どうしてそれが向こうに通じないのだとお考えになりますか。
○福田国務大臣 私は、日本と中国、またアメリカと中国、これは非常に違ったものを持っておると思うのです。一面におきまして、わが日本は、二千年の交流の歴史を中国との間に持っておる。また、戦後におきましても、中国から見ますと、わが国は世界第一の貿易の相手国である。昨年のごときは、わが日本の国民が六千人も中国を訪問しておる。アメリカはどうだといえば、五百万ドルの商売しかしておらぬじゃないか、百人の人しか訪問しておらぬ、そういう状態、それなのにアメリカの大統領の北京訪問が実現されておる。わが佐藤総理大臣の北京訪問が実現されない。これは一体何だというと、私は、やはり過去における満州事変、特に満州事変以来日中戦争に至るあの歴史がそうさしておる、そういうふうに思うのです。また、そういうようなことで、中国の間に日本に対する誤解や不信の念が非常にある、その辺に私は大きな壁があるのだ、こういうふうな認識を持っておるわけですが、それだけに、わが国は、日中の間につきましては米中の間以上に努力をしなければならぬ立場にある、そういうふうに考え、いまその努力をしつつあるというのが現況であります。
○佐々木(良)委員 いまお話しになりました、過去の満州事変からシナ事変についてのそのような歴史を持っておると言われました、そのような歴史が中国に警戒心を抱かしておるとするならば、その警戒心の一番根源になるものは何ですか、日本の武力じゃなかったですか、違いますか。
○福田国務大臣 やはり日本の軍国主義化ということであろうか、かように思います。
○佐々木(良)委員 そこに非常に重要な意味があるというわけです。あなたは先ほど歴史的な流れとかなんとか言われました。まさにそのことも歴史的な流れでしょう。しかしながら、私は、もっと的確に問題をとらえなければならぬと思います。歴史的な流れならば必然的にずっと流れるものだ。しかしながら、今度どうして米中会談があのようなかっこうに可能になったかという現実の背景は、中国とアメリカとの間に完全に利害が一致したものがあるからだ。しかも利害の一致は、共通なものはアジアからアメリカ軍の撤退という事実だ。アメリカは、御承知のようにドル防衛に失敗して、何とも財政的な破綻から引き揚げなければならぬ必然性を持っている。それを面目を保ったままで引き揚げようという姿勢をとっている。引き揚げることに対して中国自身はそれはいいことだ、理由のいかんにかかわらず、ここはこういう状態になって緊張が緩和してくるに違いないからいいことだ、この点をはっきりととらえていると私は思います。したがって、同じ問題の軍事力という問題をはっきりと見詰めなければ、日本と中国との問題のほんとうの意味の話し合いの筋道は出てこないだろうと思います。 昨日発表の共同声明の中で、日本に対する見方は両方併記されていることは御案内のとおりであります。この両方併記されておる中で、アメリカは日本との友好関係を一そう増進することに対して異常な、言うならば熱意を込めておられる。中国側は、全然反対に、日本において軍国主義が復活するであろうこと、あるいは復活することに対して大きな警戒を持ってそれをとめなければならぬと思っておる。この二つの見方の相違をどうお考えになりますか。
○福田国務大臣 中国は、かねて日本の軍国主義化ということを警告をいたしておる。間接な方法でありますが、言い続けてきておるのです。それをいろいろな人が行って聞いてみる。そうしますと、これは軍国主義化というけれども実は経済の膨張だ、こういうことを言うことが多いようであります。つまり、経済力の膨張というものは必ず軍事大国への道につながる、こういう考え方、これが先ほど私が指摘しました満州事変以来日中戦争に至る経過、その辺から出てきている考え方じゃあるまいか、そういうふうにとらえるのであります。しかし、私どもはもう常々申し上げている。日本の経済は強大になった、しかし軍事大国にはならぬ、こういうことをはっきり申し上げている。そうすればどういうふうに日本の国はなっていくのだということにつきましては、経済力をもって世界の平和と安全、繁栄に貢献していくのだ、この日本の国のあり方というものをほんとうに中国側に理解してもらう必要がある、私はそう考えるのです。その辺の理解が非常に希薄である。これは政府間接触、こういうものを始めて初めて理解し得ることじゃあるまいか。ほんとうに私は、この北京との間に日本の国の真の考え方、平和福祉国家としての日本の考え方というものを理解してもらいたい、そういうふうに考えます。どうもその辺に日中間に大きな誤解の根源がある、そういうふうな理解をいたしております。
○佐々木(良)委員 私は福田さんが、私のはっきりととらえておる焦点にはっきりとほんとうに考えようという姿勢をされないことは残念です。私はこういう場こそほんとうは――アメリカと中国とは可能なのにかかわらずなぜ日本と中国とが不可能なのか、やはりそこに軍事力という問題があることは今度の共同声明の中にもにじみ出ているものだと思うのだ。それをあなたのいい頭で、官僚的な責任のないかっこうで、ずるずるとそいつを錯誤されるようなかっこうでものを言われることに対してはなはだ残念な気がいたします。日本の項におけるこの両方の見方こそは、まさにあなたが指摘されたところの日本の経済力が、それがそのまま軍事力に結びつくかもしれない、結びついておるかもしれない、それに対するアメリカ側の期待と中国側のそれに対する、言うならば警戒とが端的にあらわれているものじゃありませんか。私は決していま日本に軍国主義が復活しておるというのじゃありませんよ。しかしながら、日本との友好関係をなお一そう強めようというアメリカの姿勢の中には、やはりニクソンドクトリンによって軍事力をアジアから引き揚げていこうとする姿勢の中に、日本列島を中心として、まあその辺で守ってほしいという願望を兼ねてという見方にしておいたほうがいいと思いますが、そういう形で日本の経済力が軍事力にだんだんと変わることをほんとうはある意味で期待していること、にもかかわらず、そのこと自身が中国にとっては最大の脅威になり、最大の心配事になっておること、私はここに日本の外交としての一番大きな問題があると思うのです。いま私は、どっちにつけと言うのじゃありませんよ。私は、ほんとうは今度の米中会談を見ておって、しみじみと痛感しました。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━はっきりといまここで私は取り消しておきますから、したがって記録には残さぬようにいたしましょう。しかし、国民感情をはっきりごらんいただきたい。そういうものだと私は思います。そして私ははっきりと、その意味で軍事力の脅威という問題がアジアの中にアメリカの駐留軍として存在しておったならば、まさにアメリカに対する非常に大きな脅威が、何とも和解のない脅威として中国に映っておった。これがずっと引き下がろうとしておるときに、米中接近がぐっと出ようとしておる。そして米中接近が出ようとしておるのにもかかわらず、日本の経済力の膨張は、それがそのまま、ひょっとすると潜在軍事力という形で軍事力に結びつきはしないかという警戒が、歴史の流れのかつての経験を思い出しながら、中国からは最も強く警戒の焦点に置かれておる。ここを解消する努力を――ただことばで日本の真意がわかるとかわからないとかいうことじゃなしに、ここを解消する努力をあなたはされなければならない。中国だけがそのような脅威を感じておるのじゃないのです。日本の周辺において、最近におきましては東南アジアの国々、発展途上国の国々まで日本の経済力がそのまま軍事力に結びつく脅威として、そしていまの軍国主義復活ということばに結びつくような脅威として感じ始まっておることは、私はまさに重大だと思うのです。御答弁は預けておきましょう。 ここで私は、四次防問題に突如として戻ります。 四次防は、先ほど来矢野さんからずいぶん激しく総理に対して質問がされ、そして内容と矛盾と責任とを追及されました。私はすべて同感です。この際に四次防をどうしても四十七年度から発足させなければならぬという理由は、総理、どうしても国民には納得できませんよ。防衛力増強の空白時代があってはならぬと言われるけれども、空白じゃない。防衛力は減りはせぬのだ。現実にあるのだ。それをどうしてもというところに、私は国民が納得できないところの最大のものがあると思うのです。したがって、むしろ私どもが今度の事件で一番取り上げましたのは、矢野君がしみじみと言いましたように、当然のごとくに膨張する防衛計画を考える前に、いま国際的に心配をされておるような脅威を取り除く方向に、そしてまた日本の国民が恋い焦がれておるところの福祉国家建設への方向に、この方向を明らかに出して、その後にこそ初めて防衛問題を考える、こういう姿勢にならなければならなかったと思うのです。もう一ぺん、今度は総理にお考えいただきましょう。
○佐藤内閣総理大臣 ただいまの佐々木君の御意見ですが、私は、一国の安全あるいは独立を守るというか、これはそれなりに意味があると思っております。また福祉国家をつくることも、これもそれなりに意味がある。また産業の発展も、これまた必要なことだと思います。要は、やはり総合的な立場に立ってものごとを推進していかないと、一つに片寄るととんでもないものができるんじゃないだろうか。ましてそれが軍備である場合には、特にその批判を受けやすい、かように私考えますので、この防衛力の整備、これも自衛力でありますから、いわゆる他国に脅威を与えないという、そういう限度はありますけれども、また国力、国情に応じと、かようには申しておりますが、またシビリアンコントロールという厳重なる監視下に置かれておりますから、そう平和憲法のワクをはずすようなことはあり得ない、私はかように考えております。私は、やはり政治を担当する者といたしまして、わが国の安全、独立、これは何にも増してやはり必要なことであります。それがためにあらゆる力を動員しろと言うのではありません。私は、総合的な計画のもとにさようなものを整備していくのがやはり政治の目標ではないだろうか、かように思います。 私は、ただいま四次防計画、これが、三次防が経過したから直ちに四次防につながらなければならない、必ずしもそうは考えておりませんけれども、私は、よし三次防の延長にしろ、そういう防衛計画を持つのは普通のたてまえだろう、かように思いますし、けさほどの考え方で非常に明確になったのは、こういう事柄について国防会議を持たないで、そういうような安易な形で防衛計画を進めていくという、これがおしかりを受けておりますから、シビリアンコントロールのもとでこれからも批判のないようにいたしたいものだ、かように思います。 ただいまの佐々木君のお尋ねと、あるいは合わない点が多分にあるように、私も答えながら思っておりますが、どうもその点をもう少し明確にしていただくならば、私も答えることができるかと思っております。
○佐々木(良)委員 私のいまの外交政策の転換の問題も、それから防衛力増強を考える前に、民生安定、さらにまた平和外交の推進を考えるという問題も、言えば言うほど、言うならば見解の相違みたいなかっこうにもってこられてしまう危険性がある。私は、国会の場というのが、ほんとうはそういう内容をつつき合うものであるのにかかわらず、実際はそうでない状態にいまなってしまっていることは、たいへん残念なんです。 外務大臣に重ねてお伺いいたしましょう。いま総理大臣は、そのように国防会議でもって非常に、言うならばシビリアンコントロールのとどめがきいているような現状であるからだいじょうぶだというお話がありましたけれども、この間形式的に開かれた国防会議の席上で、これから少なくとも三年間なり五年間なり相当長期の日本の周辺の国際環境をどのようにとらえて、その中で国防というものがどうあるべきだという認識に立たれて賛意を表されたのか。防衛計画に対してどのような態度をとられたのか。その前には、当然に日本の周辺の国際環境の消化の上になされなければならぬと思いますが、なされましたか。
○福田国務大臣 防衛を考える場合におきまして外交関係を考える、これはもう当然のことです。わが国は、これは経済的には非常に強い立場に立ってきた。しかし軍事大国にはならぬ。これは、一つは有史以来初めていくさに負けた、戦争はもう再びしまいという考え方、これは国民のコンセンサスだと思うのです。それからもう一つは……。
○佐々木(良)委員 そんなこと聞いているんじゃない。
○福田国務大臣 いやいや、それは関連があるのです。もう一つは原爆を受けた最初の被爆国である。核について非常なアレルギーを持っておる。それから憲法第九条がある。そういうことを踏んまえまして……。
○佐々木(良)委員 発言中ですけれども、そんな日本の主観的なことを聞いているんじゃないというんだ。日本の周辺の国際環境がどう流れるという認定のもとに、日本の防衛をどうあるべきか、こうお考えになったか。
○福田国務大臣 いや、それはわかっております。
○佐々木(良)委員 防衛力の中身をつくるのは防衛庁のほうだ。
○田中(龍)委員長代理 発言中でありますから……。
○佐々木(良)委員 あなたが言われなければならぬことは、日本の置かれておる環境がどのような状態に推移するか。これから三年間、五年間、どのような関係に推移するかということを見届けて、そのことを国防会議にはっきりと反映されたかと聞いておるわけだ。
○福田国務大臣 そういう立場にあるわが日本ではありますが、しかし、わが日本の自衛隊の抑止力、これは十分でない。そこで、安保条約の締結ということが必要になってくるわけです。いまなおその必要性がある。しかし、わが国をめぐる諸般の環境を考えましてもなお抑止力が足りない。四次防は必要である、こういう判断を持ったわけであります。
○佐々木(良)委員 私の質問の答弁になってはおりません。四次防の背景を、どのような外交関係、国際関係がつくられるかと認定されてそのような立場をとられたか。四次防の相談の、大綱決定でよろしい。それなら大綱決定される国防会議で、あなたは、これから数年間の日本の置かれておる周辺の国際環境の変化をはっきりと読み取って提示されましたか。同じことをここで言ってもらいたい。
○福田国務大臣 ただいま申し上げましたように、わが国の抑止力が足りない。これは周囲の状況が緊張緩和に向かうであろう、こういう認識を持っております。 〔田中(龍)委員長代理退席、委員長着席〕 それにもかかわらず、わが国の抑止力は十分でない。日米安全保障条約がありますけれども、わが国としてはわが国の努力をしなければならぬ、そういう認識でございます。
○佐々木(良)委員 抑止力が足りないって、何の抑止力が足りない。何の心配があるのですか。私はこんなことを質問するつもりじゃなかったのだ。あまりにもふまじめな答弁に私は憤慨してきたわけだ。よろしいか、抑止力が足りないって、何の抑止力が足りないのか。戦争が起きる危険性をあなたはいつどのように感ぜられたのか。これからの数年間に、四次防が妥当しようとする年間に、どのような危険が起きる可能性があり、これに対して抑止力が足りないと考えたのか、御答弁いただきたい。
○福田国務大臣 抑止力というのは、侵略に対する抑止力であります。これは、世界じゅうの国がほんとうに聖人君子の国ばかりであれば格別であります。しかし、そういう緊張緩和の状態ではありますけれども、そういう不心得者がいつできるかもわからない。そういう可能性に対して備えておく、これが抑止力であります。
○佐々木(良)委員 そのような侵略が、これから五年間のうちに、どの近所から起こりそうだという、そのことを国防会議で言われるのがあなたの任務だ。どこからどのような状態でその心配が起きるという認定を下されたか。
○福田国務大臣 これは、私は緊張緩和の勢いが出てくるであろうという認識を持っておるのです。しかし、世界じゅうの国が、繰り返して申し上げますが、聖人君子の国ばかりじゃありません。いつ気違いが出てくるかもしれない。そういう可能性に対して備える、これこそが安全保障体制でございます。そのことを申し上げておる。
○佐々木(良)委員 従来から日本の防衛力は存在するわけだ。そうして普通のかっこうで防衛力は動いておるわけだ。四次防が格別に大きな問題を提起したのは、去年の春以来四次防にかけられておるところの質的な変化そのものに対してわれわれは疑問を抱き、あるいはそれが日本で妥当であるであろうかという認識に立っておるわけだ。先ほど矢野君の質問に対しまして、これからイロハから考え直すという防衛長官のお話でありますから、その内容を私はいま追おうとするものではない。しかし、あなたは昨年からもう外務大臣のはずだ。その昨年から立てられあるいは消され、その動いておった間に、その変化に対して、日本の周辺の中で、どのような見通しを背景として動いておったか、そのようなことをいつでも検討することが前提になって防衛力というものは考えられなければなりませんよと言っている。それをいいかげんに言われるなら、私は幾らでもこれをずっとやっていく。どの心配があって、このような質的な変化の四次防というものに取り組まなければならぬとお考えになりましたか。
○福田国務大臣 われわれは、いま仮想敵国というものは持っておりません。持つべきじゃない。しかし、不心得者が国際社会において出てこないという保証はないのです。そういう際におきましてわれわれは備えることがなければならない、これが私どもの防衛の基本方針なんです。そのことを申し上げているのです。緊張緩和が出てくるであろう。そのことは百も承知しております。
○佐々木(良)委員 木村企画庁長官にお伺いいたします。 木村企画庁長官も同様に国防会議のメンバーでございます。私は、国防会議のメンバーに経済企画庁長官が列席されておることは、むしろ日本の経済計画が適当な状態で大きくなり発展する過程を逸脱するような形で防衛力だけが独走してはなるまい、こういう配慮を中心として、日本の国民生活安定というものを前提として、そしてその中で長期の経済見通しを立てられ、長期の経済見通しに相応するような範囲においてのみ防衛力というものは認められてしかるべきだ、こういう観点に立たれたのだろうと思う。そのような前提に立つ七今度の四次防の大綱決定に参加されましたか。
○木村国務大臣 わが国の防衛力の整備、当然これは国力、国情に応じてということになっております。その国力の内容をなすものは経済力でございます。したがいまして、わが国の経済国力、その内容をなす具体的に経済成長との均衡、調和ということは、最も必要でございます。そのために、われわれがいまから策定いたします経済長期計画、それとの食い違いのないように四次防をぜひ策定すること、これは最も肝要でございますが、また国情に応じてという中には、国内諸施策との調和の問題がございます。すなわち、わが国の社会福祉水準との均衡、調和というものが四次防の中ではかられなければならぬ。 こういうような意味におきましても、私は四次防の決定にあたりましては、これから策定しようとするわが国の長期経済計画との調和が最も必要だ、こういう考えのもとに参画しておりますが、先般策定されました四次防大綱には、そのような趣旨を、前言にも、またあとの整備方針にも盛られております。すなわち、経済社会発展情勢その他国の内外諸施策との調和、均衡をはかって四次防を策定する、こういう項目が含まれておりますのも、そういう意味でございます。
○佐々木(良)委員 今年度、四十七年度予算案を中心とする佐藤内閣の姿勢の最大なものは、これまでの成長からむしろ福祉優先への、そういう国民生活安定の方向に切りかえようということであります。その方向は必ずしもまだ定着いたしておりません。したがいまして、この方向がはっきりと具体的に定着するということと、そしていまお話しになっておるところの四次防の策定ということとは密接不可分であります。あなたは、そのような、いまのような観点に立ちまして、先ほどの福祉優先の方針が定着することを見届けながら、国防会議における任務を達成されるおつもりでございますか。
○木村国務大臣 当然私どもは長期計画の中で、そういういま言われましたような、わが国の社会福祉の状態が定着するということを眼目に経済計画を策定するものでございますが、しかしながら、この長期経済計画の中に、やはり五カ年という一つの幅がございます。また、四次防といえども長期の国防計画でございますから、ことしの第一年度のわが国の福祉予算、これが出発いたします際に四次防計画の当初の年度が出発するということは、あながち矛盾するものではない、私はこういう考えでございます。
○佐々木(良)委員 先ほど来矢野書記長が最も痛烈に反省を求めたことに対して、私はむしろ正面からではなしに、もう一ぺん四次防を練り直すと言われるのだから、その四次防を練り直す過程において、平和外交が優先しなければならぬこと、そして同時にまた民生安定が優先しなければならぬこと、その辺を十分考慮に入れた上で四次防問題に取り組む、こういうふうに理解したいのでありますけれども、総理、どうにもこれまでのとらわれ方から、そのような観点には戻られそうにもない外務大臣の姿勢であり、同時にまた木村企画庁長官も、同町並行的でいいから、それはそっちで四次防きめてもいいと言わんばかりの発言がございますが、それは私の考え方が少し甘過ぎるのでしょうか、承りたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 国防会議の議長として、いろいろの意見がありますが、それを最後にまとめるのが私の仕事だ、かように思っております。 ただいま御指摘になりますように、四次防、これから長期計画を立てる、これはやはり長期経済計画の一つの問題でもございます。だから、そういうものを十分にらんで四次防というものを立てなければならないということでありますから、これは、今後の進め方にひとつ期待をしていただきたいと思います。 いろいろお話しになることも私しごくもっともだと思いますが、私は片一方で、わが国の安全と独立を保つために必要な自衛力は整備したいと思いますけれども、しかし、何といいましても私どもがこれから歩んで行く道は、平和憲法の命ずるその趣旨でございますから、それを踏みはずすようなことがあってはならない、かように思いますので、それぞれの大臣からそれぞれの立場でお答えはいたしておりますが、ただいま御指摘になりましたように国内にも問題がありますし、国際的には緊張緩和の方向へ向かっておるのですから、こういう際にこそわれわれがどういう道か。これはやはり一つだけを強くするとか片寄ったものにはしない、やはり均衡のとれたものが必要だろう、かように思いますので、しばらく四次防の策定、その結果を見てひとつ御批判を願いたいと思います。
○佐々木(良)委員 先ほど来話がありましたように、四十七年度の予算案中防衛関係予算と第四次防との関係について生じた疑問は、ほんとうは総理、正直に申し上げまして全然解消はしておりません。あなたは、四次防と全然無関係に編成したと言われた。そうしておいてすぐ国防会議を開かれて大綱を決定された。少々まぎれたものが入っておっても、大綱を決定したのだからこれで手続は済んでおるではないかと書いたそうな形で形を整えられた。そして今度はその後に、しかしどうもおかしいからというので、ほんとうは濃厚な疑いのある部分について一応削除の方針をとられました。これは全部ジグザグコースでありまして、決して疑いは解消しておりません。 私は一番端的に、この質問を保留したときの最後の私のことばは、四十七年度予算案の中には四次防が入っておるのか入っておらぬのか、編成のときに入っておらなかったものが、全然編成とは関係ない国防会議できめたときに、とたんに位置づけるとかというたいへんりっぱなことばをつくってきて位置づけると言ったところで、入っていないものは入っていない、入っているなら初めから入っている、そんなばかな話があるか、入っておるのか入っておらないのかはっきりしましょうということで、私はむしろ質問を保留して切ったわけなんです。その辺の性格はまだ決して解消されてはおりません。しかし、私はそれにもかかわらず審議を開始し、そしていまの大きな問題の中から、まず第一には、ともかくも去年一応発表されたかっこうになっておる四次防は、うそかほんとうか知りませんけれども、もう一ぺん白紙に還元した形でイロハから大綱を決定し、質的にも三次防とそれほど変わるものではないということばの中で、これから四次防決定の作業に入られようとするのだ、一応そういうふうに私は理解しようとしているわけだ。そしてその過程において、いま米中会談を中心にして新しく世界が流れようとしておる、緊張緩和の方向を十分にわれわれは見届けながら、その方向の中で日本が一そう緊張緩和に向かい、アジアがはらんでおる危険をみずから解消する形で飛び込もうという姿勢の中で、なお四次防がどれほど必要であるか、内容はどうかということを見詰めようとこれからされるなと、一生懸命思い聞かしているんですよ。そしてまた、同様な意味で、今度は経済企画庁長官を中心として佐藤総理自身が、成長から今度は福祉へという転換を行なわれる、この民生安定の方向をまず最優先させる、この最優先させるという姿勢の中で、軍事力というか、防衛力を見直せばいい、こういう姿勢の中で、私は、これからおそらく夏までかかって検討を開始されるだろうと思うのです。しかし、それにもかかわらず、私はその姿勢を一応了承して審議に入ろうと思っておりますが、実際は御承知のような、私どもが見るところ、なかなかもって本格的な反省がなさそうなところに、いま矢野さんが言ったように、やろうと思っては、こんちくしょう、もうやめちまってやろうかと思い、行きつ戻りつの不信感があるわけだ。おわかりになりますかな。私はまさにそうですよ。しかし、総理自身がそう言われながら、今度は一生懸命外務大臣は、従来とちっとも変わったことじゃないと言われる。それから今度は企画庁長官は、そのつもりだけれども、防衛力のほうを先にきめたって別に文句はなかろうと言われる。一生懸命私自身があるべき姿を想定しながら、そういうふうに理解しよう、しようとしておるのにかかわらず、次々にぶっこわされたのでは、それならイロハからもう一ぺんやりましょうということにならぜるを得ないような気がするわけであります。まあしかしながら時間もありませんから、一応私は先に進みましょう。 そのような形で、今後長期の防衛計画にははっきりと取り組まれるのだ、まあ、やっぱりこれまでは国防会議も軽視されたし、そのような意味で、ほんとうの意味の長期防衛計画に取り組む姿勢は不十分であったかもしれないが、今後十分にその姿勢をとって取り組もうではないか、こういうふうにしいて了解してよろしいか、総理。
○佐藤内閣総理大臣 もう大体、この四次防の問題はいろいろ議論し尽くした。政府から申し上げたいことも、また各党から発言された事柄も、私どもの耳の底にはよく入っております。したがいまして、今後この策定するであろうところの四次防、これにつきましては、十分に御期待に沿い得るようなそういう態度で策定したい、かように思っていますから、いましばらく時間をかすことを、ひとつお許しを願いたいと思います。
○佐々木(良)委員 まず第一にシビコン体制を強化して、その中で十分検討して進もうという総理のいまの言明を一応了といたします。 それから二番目に、今度はちょっと角度を変えて建設的にお伺いいたします。総理の一昨日のお話、むしろ釈明の中に、今後シビリアン体制の実をあげるために特段の措置を考えてやりたい、この意味の御発言がございましたが、いま何らかの構想を持っておられますか。
○佐藤内閣総理大臣 現在、国防会議というものがございますから、これを、この運用で足らない点をやることがまず第一であります。また、そういう意味からも、国会に国防会議というようなものが、国防委員会ですか、そういうものができたらどうだろう、こういうことは、いままでも各党それぞれから発言されたこともあります。これはまあ国会の問題でありますから、政府の問題というよりも、皆さんで十分それらの点も考えていただきたい、かように思います。
○佐々木(良)委員 繰り返して言うようでありますけれども、今回の四次防の先取り問題というのは、ほんとうは歴代の自民党内閣が、国防会議というものを単なる手続機関的な運営の中で問題をとらえて、したがって、今回の場合も同様に、その手続上のミスがあったかなかったかという点を中心に、言うならば糊塗策を講ぜられようとしたところに、深みに入った最大の原因があったと思います。同時に私は、この現在の法制の中で、シビコン体制というものが特に行政府の中でも十分であるかどうかということに対して、やはり疑問を持っております。しかしながら、それにもかかわらずシビコンの体制というものは、法制上の制度によって私は全からしめるものではなくて、行政府の責任者であるところの総理のほんとうの心がまえ、これが第一。それから第二番目には、国会自身がそれに対して身をもってシビコンの体制を築いていくということだと思います。この姿勢の中で、少々法制が欠陥があろうがなかろうが、つくり上げていかなければならぬのがわれわれの任務だと考えます。しかし、それはそうといたしまして、それでも欠陥があるとするならば、私どもはそれの改善、改革を行なっていかなければならぬというふうに思うわけであります。 御承知のように、わが民社党は、最小限の自衛措置を認めるという立場に立った政党であります。最小限の自衛措置を認めるという考え方に立っておるがゆえに、最小限の自衛措置とは何か、どこまでが限度かというものを、最も徹底的にこれを守り抜くことがシビリアンコントロール体制の基本だ、こう考えておりまするがゆえに、このシビリアンコントロール体制というものに対して非常に強い関心を持ち、任務をみずから感じておるわけであります。したがって、民社党としましても、もし他党並びに政府において、このような現在のシビコン体制の法制上その他の欠陥があるならば、これを是正しようという考え方に立たれるならば、民社党自身もあえて一案を提案をして、そうして審議にゆだね、相談の検討にゆだねたい、こう思っておるわけであります。 まず第一に、何よりも国会の中で、シビリアンコントロール体制が十分に発揮されるためには、予算委員会もその一つで、きょうのこの動きもその一つでありまするけれども、これまで国防問題というものが国会論議のタブーになっておって、国民には、国会の中で国防という内容、実態がほとんどわからずじまいになっておるということは、私はよくないことだと思います。いまの自衛隊に反対という立場であっても、現実に存在するとするならば、その内容がどうなっており、それは本来あるべき姿ではないのではあるまいか、こういう観点で、国会の中でそのような検討を十分するというための機関、機構が必要だろう、こういう考え方をまずとることが一つです。 それから二つ目には、長期の防衛計画というものは、そのように見ますといかにも重要でありますから、やはり私は本質的には国会の承認事項として位置づけて、その国防計画自身を国会の検討の爼上にのせるべきではなかろうかと思います。この問題については、ほんとうは私どもの検討の中にも、むしろ自民党の強大なる力を、いま存在しておる強大なる力を見れば、それがそのままオーソライズする危険性さえあって、逆の危険を感じないわけではありません。逆の危険を感じないわけではありませんけれども、こっそりと隠れたままで長期防衛計画が、民生安定の施策よりもあるいはまた平和外交の姿勢よりも優先して、先取りされるということであるならば、それのほうがより重大だ、こういう観点に立って、やはり長期防衛計画は国会承認事項とするというたてまえのほうがいいのではなかろうか、あえて危険をおかして問題を提起してみようか、こういう考え方に立っております。 それから、三番目におきまして、現在の国防会議というものは、御承知のように防衛庁設置法の中に位置づけられておる。そうして必ずしもこの機能というものは十分ではございません。したがって、これをはっきりと、国家安全保障会議というような名前に相当するような実態をつくるがために独立の法制によって位置づけて、そうしてその任務を明確にすることが必要ではなかろうか、こういう観点に立って、現在の国防会議自身を単独の独立法によって制定をし、そうしてその機能充実をすべきではなかろうか、こういう考え方に立っておりますし、そうしてそのメンバーも、どうもいまのメンバーだけではどうであろうか、こういう観点から、まあ閣内のなお必要な数名を入れられることも必要でありましょうけれども、やはりこれは閣内だけではなしに、民間の有識者一両名、数名ぐらいはこれに参加せしめたほうが、より客観的、より国民的な検討ができるのではあるまいか、こういう観点に立って国防会議自身の改革を検討いたしておるわけであります。 さらに、国防会議自身が、いまのように言うならば力のないものであり、事務スタッフもないものであっては意味のないことでありますから、これが決して、制服ということばは悪いかもしれませんが、防衛庁の一つの力だけで押し殺されてしまうようなスタッフだけではない、有能なスタッフを実質的に配置することが必要ではあるまいか、こういう観点に立ってシビリアンコントロールの強化に対する具体的な法制上の改革も考えるべきではあるまいかと考えておるわけでございますが、私どもがこの問題に取り組めば、自民党内閣としてこれに対してどのような姿勢をされるか、お考えを承りたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 佐々木君からいろいろ具体的な提案をされました。その中には私どもも考えないではないものがあります。大体国防会議を開いたということ自身が、ある時期には、何か防衛計画を非常に拡大するんだ、よけいなことをしている、こういうような批判を受けた事態もあるようであります。したがいまして、国防会議を開くことについてなかなか政府自身も憶病であった。誤解を受けては困る、こういうような立場であったように思います。したがって、ただいま国家安全保障会議と、こういうように銘打って出されると、なおさら、ただいまのような平和憲法、そのもとにおいてはなじみにくい制度ではないだろうかと、私はひとつ考えるのであります。これはせっかくの問題でございますが、私は率直に私の受ける感じを御披露しておきます。したがって、まあそれを検討しないというわけじゃありませんが、十分検討するつもりでございますけれども、ただいまのような感がいたします。 それからもう一つ、やっぱり国会の問題ですが、国会は予算委員会だけでは足らないという、これはもうしばしば各党でそれぞれが指摘しておるようでございますから、これは国会において十二分に検討願って、必要なる機構、これは整備していただく、かようになれば、ただいまの国家安全保障会議もそういう意味では生きてくるのではないだろうかと思います。国会そのものにこれらの審議の機構がない、そういうところに一つの問題があるように思いますから、これはあわせて考うべきだろうと思います。 また、そういう場合に、長期防衛計画をそこで承認事項にかけろ、こういうようなお話が出ておりますが、これはその他の問題でも長期計画を国会の承認にしておるような事例は幾つもありますから、また、ただ予算だけで承認事項にかかっているというのでなしに、ただいまのような専門の審議機関ができれば、そういうところでさらに掘り下げられるんじゃないか、かように私思います。 これは結局問題は、国会における機構がいかに整備されるか、また政府自身が、この国防会議というものについて、シビリアンコントロールの実をあげるように、成果を十分あげるように積極的な姿勢を持つこと、これによりまして、大部分いままでの疑惑が解消されるのじゃないだろうか、また不安も除かれるのじゃないだろうか、かように私は思います。
○佐々木(良)委員 シビリアンコントロール体制を、事実上、言うならば機構、制度の中にどう取り入れるかということは、最初私申し上げましたように、われわれの側からしてもはなはだ危険であり、私どももたいへん問題だと思うのです。しかし現実に、わけのわからぬところで計画が立てられておって、そしてあっと気がついたときには、予算委を三週間もとめてそこで大騒動をやらなければ目がさめないという状態は、どうも私は不自然だと考えます。本来議会というものができた歴史的なその出発点を考えてみましても、一番このことを中心に相談するためのシビリアンの集まりであった、こう考えたときに、やっぱりこの国会の機能の中心にその問題をとらえるべきではなかろうか、こういうふうな考え方に立っておるからであります。この問題が、今度の事件を禍を転じて福となす形で今後発展するように、ひとつ政府としても十分考慮されたいと思います。 次に、二月一日の本会議における春日委員長の質問についてでありまして、いわゆる台湾の問題と安保条約との関係についてでありますが、これは先ほど公明党の書記長とのお話で、ほとんど私のただしたいことが具体的にただされました。そしてこの中で総理は、これまで私どもが相当に不明瞭に感じておった問題を、きょうは率直に、言うならば相当具体的に提示されました。私はそのことをきょうはうんと高く評価するものでありますが、ただ問題は、やっぱり福田大臣の答弁になりますとぐうっと前の次元に戻ってしまった。これははなはだ私にとっては不満足であります。したがいまして、その点だけ重ねてちょっと伺っておきます。 例の台湾海域において武力衝突みたいな非常事態が起こった場合に、総理は、対岸の火災視するりもりはありませんと言われるし、福田外務大臣は、台湾の安全について日本も責任があるととれるようなことばがちらっと出て、それで問題になったときのことであります。このことを私、繰り返そうとは思いません。北山委員との質疑応答の中でも考え方は明らかになりました。その明らかになったところの福田外務大臣の条約解釈上の理論的な発展といいますか、そのようなとらえ方と、それから事実認識という問題を別にして言われましたけれども、その条約解釈の発展的なとらえ方は、一口に言うと、日本はアメリカに対して安保条約上基地を提供する義務を負っておる。しかしながら、アメリカが台湾防衛のために日本基地から発進の事前協議を求められた場合にイエスを言うかノーを言うかは日本のかってだ、したがって当然に日本はいかなる意味においても台湾防衛について積極的な責任を負うようなものではない、こういうことだったと思いますが、よろしゅうございますか。
○福田国務大臣 私は理論的の場合と実際の問題を分けて……(佐々木(良)委員「実際はよろしい」と呼ぶ)実際のほうはもうたいした問題がない、こういうことです。理論的には、台湾海峡で何か戦乱が起こったという際に、米軍がわが内地から、わが国土から発進をしたいという申し出がある。そういう際にイエスと言うかノーと言うか、これはわが国の裁量である。その裁量は、わが国の国益、つまりその台湾海狭の火の粉を日本がかぶるか、かぶらないか、こういう国益を踏んまえて判断すべき問題である、こういうふうに申し上げたわけであります。
○佐々木(良)委員 けっこうでございます。この問題について、当時の春日委員長に理論的発展をお聞きいただきたいと思います。それは、三十五年の二月二十六日の日米安全保障条約等特別委員会、要するに新安保の特別委員会の審議の際におきまして、御承知のように、いわゆる条約上の「極東」の範囲ということについてずいぶんとお話し合いが行なわれて、そして岸総理と愛知委員との間に相当明確にその範囲についての解釈がここに出されております。政府と自民党との話し合いでありますから、このことが解釈の根源になっておると私は思いますが、その方針が明らかに出されておる。それは、日米共通の関心を有するような極東の地域というのは自由陣営に属する領域と解すべきものであって、したがって共産圏に属する地域は入らないのだ。先ほどの事実認識じゃないのですよ。事実認識ではなくて、条約解釈上の、要するに防衛の対象としてとらえるところの「極東」の範囲という問題について、共産圏は入らない、こういうふうに明らかに言明をされて、中共が支配しておるンナ大陸、ソ連の領土、北朝鮮、北ベトナム、北千島と具体的にあげられて、これらは入るものではありません、こういうふうになっておるわけであります。 そこで、そうすると、そのような理論的発展からいきますというと、今度の中国問題で、中国が一つであり、その意味で台湾が中国の領土であり、その一つの中国の主人公が中華人民共和国、北京政府である、こういう解釈に立つならば、そうすると、当然に台湾は安保でいう「極東」の範囲には含まれなくなってくるのであって、したがって、安保条約に基づいて日本の基地から台湾地域に向けて台湾防衛のために米軍機が発進するということはないはずではないか、むしろ事前協議の対象にもならぬのではないか、こういうことであります。違いましたらひとつ意見を承りたいと思います。
○福田国務大臣 いまわが日本は、中国は一つである、それから中華人民共和国は中国を代表する政府である、そういう認識のもとに中華人民共和国との間に国交の正常化をいたしたい、そういう政府間接触を持ちたい、こういう態度をとっておるわけなんです。まだ過程の状態でありまして、そういう事態が実現したわけじゃございません。ですから、今日この時点における問題としては、台湾海峡が、台湾島がこの安保条約の対象地域であるということには何らの変更はない、こういうふうに考えております。そういうことでございます。
○佐々木(良)委員 そうすると、現行安保条約によって日本の基地からの米軍の出撃を可能にしておくような形で日中の国交回復をはかれよう、こういうお考えですか。
○福田国務大臣 その問題こそ日中政府間接触の過程において話し合うべき問題である、かように考えております。
○佐々木(良)委員 私はこれは、先ほどの矢野さんと総理との質疑応答でほんとうはきわめて明確になった、だから質問やめようと思ったのです。総理自身もこれまでは、中国と台湾は一つだ、つまり一つの中国だという認識は持たれておりましたけれども、それが、中華人民共和国、つまり北京政府が主人公だ、早く言ってしまえば主人公だ、そういう観点に立つことを非常にちゅうちょされたものの言い方であった。しかしながら、もうそう認めなければならぬし、現実にそうだ、こういう観点をはっきりと出そうとされておりまするがゆえに、むしろそうなれば当然に、台湾に対するアメリカ軍の出撃というものも、日本の基地を使うというようなことはだんだんなくなってくるし、条約上もそのようなことはなくなるのだ、こう解するのが当然であるわけですけれども、そのこともまだ福田外務大臣はちゅうちょされるのですか。
○福田国務大臣 日中国交正常化が実現し、日中間に外交関係が設立されるということになると話は違ってきます。しかし今日この時点は過程の状態なんです。進行中の状態です。まだ政府間接触も始まらない、そういう状態において、今日この時点において、台湾島並びに台湾海峡が安保条約の対象外であるという考え方は、私はとっておりませんです。
○佐々木(良)委員 先ほど総理は、去年の国連の総会において、御承知のように中華人民共和国政府が承認された時点から、はっきりと状態は変わってきたという認識に立っておられる。そのことといまの外務大臣の認識とは全然違うじゃありませんか。つまり、日本と中国との国交回復が現実になった時点でなければだめだ――そうですか。
○福田国務大臣 そのとおりでございます。
○佐々木(良)委員 現状におきましては、台湾は中国の領土であることを認めてはおられないわけか。
○福田国務大臣 いま申し上げましたそういう認識に立って日中国交正常化の話し合いを始めよう、こういう状態なんです。いまゴーイングの状態なんです。そういう状態において、この時点においては、台湾海峡が、台湾島が安保条約適用の範囲外である、さような考え方はとりませんです。
○佐々木(良)委員 その認識に立つから、「極東」の範囲からはずして、そして中国は台湾も含めて一つのものだ、この認識に結びつくわけじゃありませんか。そこを行きつ戻りつしておったのじゃ、またもとへ戻ってしまうじゃないですか。せっかく総理自身がすらっとした姿勢を示されようとしておるときに、どうしてそうこだわられるのですか。
○福田国務大臣 認識に立ってということは、そういう考え方で政府間接触を始めますと、始めた結果、日中間に国交が正常化された、台湾島もほんとうにわが国の立場として中国の一環となったということになれば、話は違います。しかし今日この時点でそういう状態じゃございませんです。ただ、そういうかまえで日中折衝をやろう、こういう段階だ。その段階におきましては、まだ台湾島が、台湾海峡が安保条約の対象外である、そういう法的な解釈はいたしません、こういうことに言っているわけであります。
○佐々木(良)委員 総理自身が、佐藤内閣自身が、いまのような認識に立っておられるのにかかわらず、その認識を認めないというのはどういうわけですか。向こうが認める、認めないじゃないじゃないですか。日本側がこの認識に立っておるという、それであるのにかかわらず、中国が認めるか認めないかによってこっちの認識がまた変わるということですか。
○福田国務大臣 おそらく総理も、日中国交正常化が実現した暁にはそういうことになるであろう、そういうことを頭に描きながらこれから話し合いを始めたいのだ、こういうことを申し上げているのじゃないか、そういうふうに思います。
○佐々木(良)委員 まあ幾ら押し問答したってこういうものだと思います。私はいま、三百代言的な、形式的な論議をしようと思っているのではない。しかし、この論議をたとえば中国側から聞けば、何ともこれは理解できませんよ。私は、先ほどの総理の矢野さんに対する答弁でもって、まあ手続論や何かは少々残ったとしても、これで姿勢ははっきりなった、こう思っておるにかかわらず、もう一ぺん官僚解釈次元に戻ってこなければならぬということであるならば、何のためだかさっぱりわけがわからぬ。まあひとつ総理の御見解を承りましょう。
○佐藤内閣総理大臣 私がちょっと席をはずしていた間にだいぶ問題が紛糾しているようですけれども、いま私、外務大臣の答弁を聞いていて、私と別に違ってないな、かように思っておるのです。先ほども申しましたように、私はやはり、何といっても中華人民共和国と国交の正常化をはからなければならない。また台湾自身は、これは日本は放棄したので、その国が、その領土がだれのものだ、こういうことを言う権利はないけれども、しかし、ここを占拠している国民政府との間に日華平和条約を結んだのだ、その結んだ相手の国民政府は中国は一つだと言っている、北京もやはり中国は一つだと言っている、したがって日本も、台湾の帰属、これはもう領土帰属としては解決済みじゃないか、かようなことを考えるが、ただいまの状況では、一つの国で一つの政府、これが理想の形だけれども、まだ現実にはそこまでいってない。いってない関係におけるといろいろな問題ができる。しかし、片一方で私どもは日中の国交の正常化をはかるが、同時にまたわれわれは、安全保障条約を日米間に結んでおるから、これにもやはり矛盾しないようにしたいものだ。そこでいろいろ考えてみるが、ただいまの台湾の問題については、これはただいま緊張が緩和して、そういういわゆる安保条約の問題から発動するような事態は起こらないように考える。したがって私は、これはしあわせなことだ、かようには実は申しました。しかし、これをいま詰めて理論的に言うといろいろ問題があるだろうと思います。しかし私は、とにかく中国は一つである、また台湾の領土自身がどこに帰属するか、中国に帰属する、こういう立場からこの問題は解決されてしかるべきじゃないだろうか。そのことをただいま外務大臣も言っておるのですが、いま文理解釈的な問題よりも、大局的に立ってこの問題を見ることがもっと必要なことではないだろうか、私、かように思いますので、誤解のないように願います。
○佐々木(良)委員 安保条約は日本の安全のために日本側は結んだことになっておる。したがって、中国の領土、共産圏の領土を安全に保たなければ日本が不安におとしいれられるということはないという認識に立っておる。したがいまして、いま言ったように、台湾が中国に帰属するものであるならば、台湾自身は、中国が言うならば内政問題としてやればいいことだから、われわれが安全の心配をしなくてもいい問題だ、こう考えるのは当然であって、私は安保条約の当然解釈として出てくると思うのです。しかしながら、どうしてもこの問題がまだ解釈がつかないということでありまするならば、これは委員長に預けておきましょう。この委員会の審議の過程の中において、いま矢野さんが明確に求められたところの政府の見解、それからいま外務大臣がどうしてもそれを認められない見解と、それに対してはっきりと政府の統一見解をこしらえて私どもに示していただきたい。それによってまた次の質問なり審議なりするということにいたしましょう。
○佐藤内閣総理大臣 もう一つ、ただいまの説明で、私、落としておりましたことをつけ加えさしていただきます。 私が申し上げるまでもなく、安保条約は日本の国益に反しない範囲において私どもが考える、こういうことも先ほどお答えしたとおりであります。したがいまして、ただいまの中国の問題の領土、その領域内の問題になってくると、よほど考え方も変わってくるだろう。どこまでもわれわれは、安保の運用にあたりましてはわが国益を考える、かように御了承願います。
○佐々木(良)委員 先ほど申し上げましたように、委員長にお預けをいたします。これからの審議の過程において、委員長の扱いに対して、わが党の代表との間で接触をいただきたいと思います。 この国会は、本来は私は内政問題を中心にして議論がせられなければならぬ事態だと思っておりました。特に、成長から福祉へという路線がむしろ今度の予算の中心であったわけであります。そしてその一つの大きな問題の柱が、福祉とは何か、予算の中に占めるウエートは何かというところにありましたし、それを、福祉を福祉として位置づけるために、物価という問題がきわめて大きなウエートを占めておった。そういう観点に立って私は、内政路線、内政問題を、国民の要望にこたえてはっきりとこの予算の委員会で審議しなければならぬ、こう思っておったわけであります。ところが、御案内のような事情で、私どもは、質問の時間の大部分を、やはりいまの四次防問題にとられざるを得ないということで、残念でたまらぬわけであります。したがいまして、問題を残したままで、少々の時間でありましても内政問題に取り組んでいきたい、こう思います。 福田外務大臣にお伺いいたします。私はもう徹底的に福田さんに聞くことにする。これからあなたはポスト佐藤のナンバーワンのようでございますから、したがいまして、佐藤さんの考え方とそんなに違ったら私は困るからであります。 四十七年度の予算案及び財政金融の基本方針を成長と福祉の調和に置きまして、その路線を今後定着させていきたいとして今度の政府方針ができ上がっております。いまの四十七年度の方針で佐藤内閣が出された方針は、かつてあなたが安定成長路線としてとらえられて、池田内閣の路線に最も痛烈なる批判をされた、そのような安定成長路線と違うものか同じものか、お答えをいただきたいと思います。
○福田国務大臣 違うものか同じものか、白か黒かということについてのお答えは、なかなかむずかしゅうございます。しかし、基本的な考え方といたしましては当時の考え方のとおりだ、かように考えます。
○佐々木(良)委員 木村長官にお伺いをいたします。 いま申し上げましたところの四十七年度予算案の基本方針は、三経済閣僚とも同様な方針をとられておりますが、その中で特に木村長官は、経済運営のあり方に基本的な問題を提起されておって、従来のわが国経済社会の発展の方向と仕組みに大修正を加える必要があり、そのためには福祉と成長との関連を根本的に考え直さなければならぬ、こういう意味でいわゆる発想の転換という考え方に立っておられます。これは、佐藤内閣が安定成長路線を目ざして――先ほどのお話によりますと、池田内閣にかわって安定成長路線を福田さん自身が目ざされたようでありますから、これは、佐藤内閣が安定成長路線を目ざして七年間やってみたけれども、どうもうまくいかぬので、その路線に日本経済社会を方向づけて定着することができなかったけれども、それをどうしても定着させようとするならば、ここで思い切った発想の転換をやらなければならぬ、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○木村国務大臣 私どもは、経済政策の中で、成長は手段であり、目標はあくまで国民福祉である、こういう基本的立場をとっております。そういう意味におきまして、現在までのわが国の経済政策の運営が、必ずしもそういう基本的態度を貫いておりません。そういうことから、今回、経済政策を大きく転換して国民福祉優先主義に持っていこうというのが、これからの政府の経済政策の根幹でございます。そういう意味におきますと、今回の来年度の予算は、私は率直に申し上げて、決して満足したものではないと思いますが、しかしながら、長期的な展望においてそれに出発する最初の初年度の着手としては、相当効果のある予算の内容である、こう考えております。
○佐々木(良)委員 私がいま問題にしておるのは、沖繩国会のときに佐藤総理にお伺いしましたように、佐藤総理自身が池田路線を修正しようと思ってかかられた、それがどうもうまくいかなかった、それを今度また同じように修正しようとされておる、そのこととどこが根本的に違うのかということをやはり吟味してみなければならぬ、こう思っておるからであります。したがいまして、いまのようなことであればあるほど、佐藤総理の七年間のこの業績と照らし合わせながら私は見なければならぬ、こういう感じがするわけであります。 田中通産大臣、眠そうな顔をしておられますから、一言お伺いいたしましょう。 田中通産大臣は、佐藤総理の第一回目の組閣のときの大蔵大臣でございます。そして従来の所得倍増政策から安定成長路線を目ざそうとされるときの最初の大蔵大臣ということであります。四十年度の予算案をつくられたわけでありまするが、その際に、四十年度の予算案の規模を、言うならば一二・四%程度に規模を縮小され、それから公共事業も、前年と比べましてこれを一五・七%ぐらいに落とし、社会保障費はほんのちょっと上げたというかっこうで、言うならば堅実な予算を組まれておりまするが、それにもかかわらず、三回の公定歩合の引き下げをやったりしたのにもかかわらず、民間設備投資は伸びずに、経済成長率は五・四という、四十年度は非常に大きな落ち込みを記録いたしました。 これは、あなたに記憶をよみがえらせるために言ったわけでありますが、当時の田中大蔵大臣は、池田内閣から佐藤内閣にかわって、特に従来の成長路線から安定路線へ切りかえようということが佐藤総理のあのときの言明でありましたが、それを意識されたこのような予算編成であったでしょうか。簡単でけっこうでございます。
○田中国務大臣 二十九年から三十九年まで十カ年間の平均成長率は一〇・四%でございますから、非常に高い成長率であり、当時超高度政策といわれたことは事実でございます。しかし、三十九年から四十年にわたり佐藤内閣の大蔵大臣を引き続きつとめたわけでございますが、このとき安定成長路線へ行こうという政策のもとで予算編成をしたのでございますが、実は状態が非常に悪かったわけであります。もう少し一〇%路線を続けることがよかったかもしれません。それは、三十九年に十四条国から八条国に移行するという大きな変化がございましたので、いわゆる四十年不況ということで、日銀法二十五条の発動さえなさなければならなかったわけでございます。三十七年、四十年、今度の不況ということと、ここ十カ年ばかりで三回の大不況、こういうふうに指数的には明らかでございます。そういう意味で、三十九年に八条国に移行する、当時外貨準備高二十億ドルが十七億ドルまでに落ち込まなければならないというような状況下において、安定成長という名目に切りかえたということは、感じの上では少し早かったような気もいたします。しかし通年をしてみますと、六〇年代を逆算して十年間を見ますと一一・一%という高い成長率でございましたから、三十九年の後半から四十年度の約一年にわたる落み込みは別として、十年間を見ますと、やはり安定成長路線を掲げながらも一一・一%、池田内閣時代よりももっと高い成長があったわけでございます。ですから今度は少し引き締めなければならないと言ておるときに、ちょうどことしの四%成長――まあ言うなれば皮肉だともいえすまが、十年間一一・一%成長でございましたから少し引き締めなければならないといったときにドル・ショックが起こり、一〇・一%を見た昭和四十六年度成長率は四%台におさまったわけでありまして、安定成長路線を掲げながら、その五年、六年、七年目にはこの世界的な変化、ドル・ショックその他が、円平価の調整等がありましたので、積極財政を組まざるを得ない。これは理想的な姿の中で、安定成長路線をやっておるから積極予算は組んじゃいかぬのだ、また積極政策を掲げておるから安定成長の補正予算を組んじゃいかぬのだということではないので、やはり今度七・二%ないし七・五%というのが正常な日本の経済の姿だろうという見通しでありますから、掲げた政策の方向とことしの予算編成の方向は間違ったものではない。具体的には、落ち込んでおるものを、十年間一一・一%ずつ成長したものを四%台に引き下げて生きているわけはないのです。ですから、足して二で割っても幾らかというと七・五%。七・二%ぐらいはどうしても必要だと考えるのは経済的にも常識的な理論である、こう考えます。
○佐々木(良)委員 聞かないところまで先走られてしまいまして……。私は、最初池田内閣から明らかに路線を変えようとする意識がどの程度まで動いて、それが七年間のうちにどうして変わったのかということをほんとうは国民と一緒に考えたいということなんです。それで田中さんの御登場を願ったわけですが、確かに四十年度予算はそういう方針で組まれました。 そこで恐縮ですけれども福田外務大臣に、その次の大蔵大臣は福田さんでございましたからその意味でお伺いをするわけであります。 国際収支の均衡と物価の安定を確保し、社会資本の充実、社会保障の充実などを遂行する、経済の安定成長をはかり、豊かな福祉国家の実現を期する、これは覚えがあろうかと思いますけれども、四十一年度の予算編成の方針です。水田さん、ことしの予算編成の方針と全然同じで、これは置き、かえても変わりがないような感じがすると思いますが……。いまの福田さんが大蔵大臣で、二代目の大蔵大臣として不景気を、落ち込んだときを持ち上げようとされたときの方針であります。この方針に従って四十一年度の予算は編成をされまして、そしてその結果、公債政策と相まちまして景気は確かに浮揚してきたと私は思います。そしていまもお話がありましたように、経済成長率は四十一年度には一一・四%まで回復してきましたし、それから四十二年度はさらに一三・一%、四十三年度は一三・七%と、これから成長の機動力がぐっとついてきたことになったわけであります。そして一方、四十一年度の民間設備投資の伸び率を一挙に二五・四%に飛躍させました。民間設備投資型にここで明らかに変わってきたと私は思います。社会保障関係経費の伸び率は二〇・三%、一般予算内の構成比率は一四・五%等でありまして、従来どおりであります。つまり四十年度の不況を克服するために四十一年度の予算を中心として福田さんが大蔵大臣としてとられた方針は、まさにちょうどことし水田さんが苦労されながらやろうとしておられる状態と酷似しておる。そしてそれはまさに的中してうんと浮揚力がつきました。しかしながら浮揚力がついていくと同時に、御承知のように民間設備投資型にまたはっきりと変わっていった。このことに対しましては、昨年でありますか、わが党の河村委員の質問に対して率直にその非を認められておりましたが、その見方は現在同じでございますか。しかもこの方向は特に四十四年度から四十五年度に至って、言うならば決定的な、まあ失敗の方向に来たと私は思いますけれども、反省がありましたらお聞かせいただきたいと思います。
○福田国務大臣 私が安定成長と申し上げますのは二つの側面があるのです。一つは、毎年毎年の成長の高さ、これを均等化しよう、こういう考え方であります。そういうこと、それから成長の内容の問題です。つまり成長がいま御指摘のような民間整備投資型に偏重する、こういうことになりますると、どうしても社会資本の立ちおくれ、こういうものがあり、住宅だとか道路だとかあるいは水道、下水道、そういうものが間に合わなくなる。また最近に至りましては公害問題というものも大きな問題になってくる。そういう問題が起きる。その質的な側面、これに配意をする。つまり安定成長と私どもが言いましたのは、そういう成長の高さを毎年均等化しようということと同時に、それと並行して経済の内容においてバランス、均衡をとっていきたい、こういうことであったわけでありますが、しかし四十一年は景気が非常に沈んでおった。そこで初めて公債政策を採用する。そういうようなことからその刺激が非常にまあ強く出まして、さて景気はよくなった、ずっとよくなって、四年間は続きましたが、一面において質的な面におきましても問題が出てきた。これを是正しなければならぬ。こういう段階に来ておると思うのです。 そこで反省という問題でございますが、反省として見ると、またその景気回復、それに力を用いるのあまり、これがまた過熱に走るというようなおそれがありますると、過去数年間のような状態を反復するおそれがある。ですから歯どめというものにつきましてよほど苦心をしながら景気政策をとらなければならぬ。同時に新しい問題として出てきております公害の問題・また前々からの問題であるところの物価の問題、そういう問題に特に重点を置いた配慮をしながらこの景気政策を進めなければならぬ、さように考えております。
○佐々木(良)委員 四十三年の十一月末に福田さんは再度大蔵大臣に就任されました。そして先ほどお話がありましたように四十年度不況、ぐっと浮力をつけて上がってきたところ、そのような意味で四十四年度の予算を編成されたのはあなたでありまして、したがって四十四年度並びに四十五年度の日本経済の状況というものは、私はほんとうはきわめて重大だったと思います。あなたがいまお話しのような安定成長路線に名実ともに行かせようとされるならば、この四十四年度の予算編成並びに四十五年度の経済方針については相当に反省がなければならなかったのではないか、私はこう思うのです。現実に経済の、景気の浮揚力がついたのにかかわらず、四十四年度の一般会計予算規模の伸び率が、一三・五%と押えて、そして公共事業費を一二・八%、社会保障費一六・一%と伸び率を少し上げましたけれども、こんな程度でほんとうに安定成長路線に戻せるとお考えになったのであろうか。結果は御承知のように、民間設備投資は二九・六%、約十三兆円という高額で最高に伸び、消費者物価は一挙に五%台をこえて六・四%と非常に危険な高騰を示しました。高度成長の軌道に乗った日本経済のかじを再度握られた当時の福田さんは、安定成長路線の主張者でありまするならば、四十四年度のこの経済の運営に対しまして、格別予算編成に対しましては私はきわめて甘かったのではないか、こう思いますが、その辺のお考えは違いありませんか。
○福田国務大臣 いま顧みてみまして、四十四年度、四十五年度のこの予算の編成、またそれをてことしての経済の運営、少し甘かったかもしらぬと思います。しかし、私は、これはもう今日あるというようなことを当時すでに憂えておりまして、私の任務はもう景気の問題じゃないんだ、この過熱しようという景気に対しまして水をさす。つまり私は大蔵大臣というよりは消防庁長官こそが私の任務でなければならぬということを内外に喧伝し、そのようにつとめたわけでありまするけれども、一たび調子に乗った、軌道に乗ったという景気上昇の勢い、これがどうも微力な消防庁長官には消しとめ得なかった、これが実情かと思いますが、そういうことを今後あらしめてはならぬ、こういうふうに考えております。
○佐々木(良)委員 そのことを承知しておりながら消しとめる役ができなかった。池田内閣のときもほんとうは内閣の外におられたところの実力者方あるいは自民党の方々は、おれがやればあれを消しとめ得る、消しとめさせろといわれたのじゃないかと、佐藤総理にたいへん失礼でありますけれども、池田成長路線に対しましては手きびしい御批判を当時されております。そしてそれがそのまま、むしろ池田成長路線をそのまま踏襲された結果と相なっておる。私はここに佐藤さんの大きな反省がある、こういうふうに見ているわけであります。 したがいまして、私どもがいま一番考えますことは、福田さん御自身もいま閣内にあって努力をしてもできなかった、今後ほんとうにできるでしょうかという不安であります。先ほど中国問題に対して、おれはこう思っておる、そいつを何とか向こうが理解してくれないのが悪いといわんばかりのお話でございます。福田さん自身、四十四年度の予算編成にあたっても同様のことを考えておってもできなかった。できなかったから、このような、言うならば経済の暴発をやってしまった。だから今度はだいじょうぶだからついてこいと言い得るだろうか。たいへん失礼な話でありますけれども、どうも自民党という体質の中にこの根源はやはりある。やはり政党内閣でありますから、佐藤さんが幾ら池田成長路線を批判されても、自由民主党という体質、自由民主党という根は同じ根でありますから、この根からはえるところの木、それから出す芽は、少々枝ぶりがいいように見えてもやはり同じものではあるまいか。むしろほんとうはその意味において政策の転換は政党内閣自身の転換でなければならぬ。それをいかにもたらい回し政権でできるがごとき錯覚を与えられるものだから国民にも期待があり過ぎるし、そしてまた二回、三回と、言うならば結果的にうそをついたことにならざるを得ないという感じがするわけであります。 重ねてお伺いをいたします。木村長官は発想の転換こそいま必要だと覆われた。そしてまた福田外務大臣も当時それをやろうと思って努力されたができなかった。四十七年度の予算案の方針に基づいてこれから景気が浮揚してきてももとの路線に戻らないようにほんとうに福祉優先、福祉国家の路線にほんとうに定着させるためにはどんな、どこの部分の発想の転換が必要かと福田さんはお考えになりますか。
○福田国務大臣 発想の転換といいますか、当面の景気はどうしても是正する必要がある、私はこういうふうに考えますが、この歯どめなしの景気政策ではいかぬ、そういうことをしみじみ感ずるわけであります。同時にいま国民が要望しているものは何だ、こういいますれば、生活環境の整備、物価の問題、また公害対策、そういうことであります。それらのことに十分配意をする、こういうことではあるまいか、さように考えます。
○佐々木(良)委員 同僚から大蔵大臣に聞けという話があります。ただ、私がむしろこの質問を通じて国民の方々にも承知してもらいたいと思うのは、池田内閣から佐藤内閣にずっと継続されまして――大蔵大臣をちょっと読み上げてみましょうか。第一次池田内閣のときの大蔵大臣は水田さんです。二年間やられまして三十六年度、三十七年度の予算案をつくられました。そしてその次の三十七年からは田中さんにかわられました。中身はもう省略いたしましょう。そして田中さんが三十八年、三十九年、四十年と予算を編成されております。そしてその最後の年に池田さんから佐藤さんにかわられておる。そして四十年の六月には今度は福田さんが大蔵大臣になられました。そして四十一年度予算を編成された。ところが今度は四十二年度の予算編成にはまた水田さんがなられております。四十三年度の予算編成も水田さんであります。そして今度は逆にもう一ぺんもとに戻って福田さんがそれから四十四年、四十五年、四十六年度と三カ年の予算編成をされております。そうしていまや四十七年度予算案は水田さんによって編成されております。まことに自民党人多しといえども水田、田中、福田、ほとんどこれだけで、あれほど痛烈に池田内閣を批判し、あるいはまた佐藤内閣の経済政策を云々されてもほとんどこの四、五人で大蔵大臣がずっとつとめられて、過去御承知のような十年間以上が同じような形で同じようなパターンに従って予算編成が行なわれておる。そしていま経済の非常に大きな不況に落ち込んだ、今度は不況をはっきりと浮揚力をつける、つけたとたんに福祉優先の福祉国家、こういわれても、この経過をはっきりと見ますと私どもは大きな疑問、大きな不満を持つわけです。したがいまして、今度の施政方針演説の中でもやはり従来七年間やってみてぐあいが悪かったからほんとうに発想の転換をといわれればその発想の転換のもとはどこを変えられるのか、こう聞かなければならなくなってくるということです。 総理、私は端的に実感を申し上げて御所見を承りたいと思う。単年度予算で一年一年こうやったのでは必ず似たような結果になる。先ほどの防衛力の増強計画だけが五カ年間先取りされるといいますけれども、五カ年間のほんとうの計画、三カ年間のほんとうの計画路線をいくのは防衛力増強計画だけであった、私はこれを言いたいのです。そして不況の一番最中には必ず福祉優先の路線に乗せると言明された。ところが景気がちょっとついてくるといつでも同じように民間設備投資型に変わってしまって、決して財政主導型は長もちしておらぬ。四十年から四十一年にかけての状態、しかも上がってきてからの四十四年から四十五年の予算編成方針の中の実績を見たときに四十七年度の予算案を私どもが吟味し、四十七年度の方針をめぐっての施政方針演説の中で似たような政策の転換、成長から福祉への話をどのようにされてもどうにもまゆつばの感じを私どもはぬぐい得ないわけだ。したがって、総理に私の端的なお願いと私の希望は、防衛計画と同様に福祉路線にのせる内容を三カ年ないしは五カ年の長期の見通し、長期計画をまずお立てになりませんか。少なくとも、福祉路線への長期計画化というものが絵にかけた後に、防衛計画の五カ年計画をお考えになりませんか。防衛と言うと、また総理は防衛のほうが先に頭にあるから、それなら防衛のほうをあとにしなくてもよろしいが、福祉の計画化というものをほんとうにやるお考えはございませんか。
○佐藤内閣総理大臣 いまの単年度予算の弊害というものを、これも忌憚なくえぐられた、かように私思いますが、いま必要な社会資本の充実、これらの問題は、福祉予算の長期化と同様に行なわれておりますね。道路、港湾、上下水道の整備等々、これあたりもやはり長期計画があって初めて社会資本の充実もできるのであります。私は、防衛計画だけが長期計画を持っておる、こういうものではない、これはもう佐々木君の最も専門だから、それらの実情はよく御承知だと思う。私はそういうことを考えながら、各種の長期計画を持っておる。これは木村君の担当しておる部面でもあり、また大蔵省自身も予算を単年度限りというような組み方はしないで、できるだけ社会資本の長期計画化を具体化していく、そういう方向で組んでおること、これは御承知のとおりだと思います。
○佐々木(良)委員 それは御承知のとおりではございません。防衛計画は現実に五兆八千億という数字さえ出た、四次防は。まあ、これからイロハから直して変えられると言われますから、あえてつつきますまい。しかし、どれだけ減るか見ておってごらんなさい。たいしたことはない。このものだけはそれほど膨大に長期計画が立てられる。水田さんがこの間から、この予算委員会において立ち往生されるのも、それならば社会保障を年次計画であるいは三カ年、五カ年間でどこまで持っていけるか返事をしなさいと言われても、大蔵大臣返事ができぬわけだ。 御承知のように、社会保障の問題は、ヨーロッパと比べて十年間おくれておるといわれる。ILO百二号条約もまだ批准の段階に至っていない。社会保障、福祉路線は、そのような意味において日本はまだまだ西欧に比べては後進的な性格を持っておると私は思う。 それならば、まずこの後進的な性格を持っておるものをいまややられようというのだから、せめてこれの五カ年間の見取り図ぐらいを立てて、大体このつもりでいくから、まあ防衛計画もちっとは消化してくれよというゼスチュアでもするくらいなことをやらなければ、国民に対して申しわけないじゃありませんか。私はそのことをはっきり言うわけなんです。 水田さんに答弁を求めたいけれども、水田さんこの間からそのことを聞かれても、これから計画化するすると言われてますけれども、ほんとうは長期経済見通しが立たない。木村長官も長期経済見通しが立たない。長期経済見通しが立たないから、五カ年間の福祉計画も立たない。にもかかわらず防衛計画だけは立つというところに、国民がどうにも納得しがたいものがあることをどうかひとつ胸に刻んでおっていただきたいというふうに私は強く要望するものであります。 予算の単年度主義の改革案等につきましては、民社党は春日委員長の本会議質問でさえも、はっきりと単年度主義の、言うならば改革案も持っております。だから、いますぐこれを直せと言われても、はいそうですと言われないことは承知だ。しかしながら、民社党さえもそんな感じで一生懸命考えておるのに、政府を握っておる皆さん方が、できなかったことをもうちょっと長期にやろうと思えば、それくらいのことを本気に詰めてお考えになる姿勢を持っていただかなければならぬ。希望だけを申し上げておきます。 次の問題に移りたいと思いますけれども、私は物価問題に移りたいのであります。今度の施政方針演説の中で、おのおのの経済大臣が最も強く主張されておることの一点だけをはっきりとお聞きした上で、物価問題をちょっと突きたいと思います。 これまではなかなか十分にやれなかったけれども、おそらく私は外貨がたまったということだろうと思いますけれども、外貨がたまったから、これから福祉の方向をうんとやるのだ、こういう考え方を立てられると同時に、基本的な原則として貿易自由化の原則を推し進めて、そして一部の国が保護貿易主義になろうとする姿勢に、あるいはまたそれに似たようなうしろ向きに走る姿勢に、言うならばブレーキをかけようとする姿勢をとられております。このことは私は正しい主張だと思います。 そこで総理にお伺いいたしますが、日本の貿易の中で、言うならば貿易自由化、自由貿易の方向という意味で一番問題になっておるのは、農産物の自由化問題である。外国から日本に対して一番迫っておるのも農産物の貿易自由化という問題だ。私はいまこれの賛否を言っておるわけじゃありませんよ。ことしに限ってこの貿易の自由化という問題を非常に強くクローズアップされておるという姿勢の中から、総理はこの農産物の自由化問題に従来とは違った拡大方針をはっきり立てられようという姿勢なのかどうか、基本的な考え方をまずお聞かせいただきたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 農業問題、ことに農産物、これをやはり国民に豊富、低廉に供給すること、これは政治の大眼目だと思っております。しかし、やはり農業の近代化をはかって、農業従事者の所得もふやしていかなければならない。こういう観点に立って見た場合に、ただいま国内で必要とする食糧その他農産物物資、これの自給度を高めようといたしましても、やはり最近の、国土の狭小な点あるいはまた他の工業等の面から見ましてなかなかできないのであります。したがって、どうしても外国からそれが入ってくる。これが入ってくるが、そのままにして関税その他がなくなって、低廉な農産物が国民に消費の面にそのまま回っていけばけっこうですが、なかなかそれが回らない。一面では国内の農業も保護育成しなければならない。そうして他面で消費者の便益もはかっていかなければならぬ。ここに両者の調和をはかる、こういうところに私は目標を置いておるのでありまして、これまたいままでと政策が別に変わってはおりません。いままでの両者の調整をはかっていく、調和をはかる、こういう立場でやっておりますので、今回とっております態度もそれと同様であります。
○佐々木(良)委員 赤城農林大臣は、ちょうど似たような形で、本会議のわが党の代表質問に対しましてお答えの中で、農産物輸入については国内農業に悪影響を与えない範囲で考える、こう言っておられます。それであるなら、これは従来とちっとも変わったことじゃない。従来とちっとも変わったことでないのにかかわらず、施政方針で特大にこの考え方を主張されるのはどういうわけか。答弁はあえて求めますまい。 そこで私は木村長官に、お気の毒に思われるから、問題を提起しておきたい。あなたの物価対策の中で、その農産物を中心とする輸入ということが物価対策の大きな柱にうたわれておる。あなたの演説にも施策が出ておる。いまのお話なら、従来とちっとも変わったことじゃないじゃないですか。従来とちっとも変わったことがないのにかかわらず、物価対策の大きな柱にこの輸入というものをあげられておることは、これは明らかに、言うならばうそということにならざるを得ない。違いますか。御答弁いただきましょうか。
○木村国務大臣 私は決して矛盾はしておらぬと思います。輸入自由化が品目ごとにだんだんなされておることは現実でございますが、同時に農業品に対する国内総合対策と申しますか、総合農政も着実に進んでおりますので、その農業政策の方向とマッチするように輸入自由化方式をこれから推進していく。また現実に輸入自由化のみならず、たとえば関税の引き下げとかあるいは輸入割り当てワクの拡大、いろいろな面で私は、農産品の輸入自由化がわが国の物価対策に寄与することは、これは今後十分考えられると思います。
○佐々木(良)委員 苦しい御答弁でございますけれども、おそらく、国民は、いまの答弁を聞きましても、農産物の自由化問題あるいは輸入問題は大差ないな、それからたいして物価に対する期待はできないな、と考えるだろうと私は思います。いまの御答弁によって国民が少しでも納得すれば幸いでありますけれども、たぶんそうではありますまい。総理、私は、この施政方針演説というものの中に、ほとんど従来と変わらないものを、あんまりこうことばでクローズアップされることはよくないことだと思います。同じ意味で、従来と非常にあいまいな方針があるのに、いまお話のありましたところの低生産性部門、特別、農業の体質改善という問題がある。七年間の施政方針演説でこれに触れられなかった年はありませんですよ。そして、それであるのにかかわらず、低生産性部門の体質の改善は遅々として、結果として、進んでおりません。私は、本格的に安定成長路線に日本経済を向けるのには、国内需要の中で、福祉路線をぐっと拡大することによって、ある程度のその意味の国内需要を満たさなければならぬということと、それから、日本経済のいわゆる二重構造という問題について、低生産部門の体質改善というところから、言うならば、バランスのとれた経済体質にしなければならぬということ、これがほんとうは安定成長路線への基本的なものだと思うのです。にもかかわらず、やっぱり、この農業生産部門に対する体質改善はほとんど名目だけであります。おそらく、赤城さんに御質問をすれば、まあ、農林省で立てておられる何とか団地だという問題を次々に出されるだろうと思いますけれども、これがほとんど実質的に効果をあげておらないことは、農林大臣自身がよく御承知のことだと私は思います。 それで、これはまた木村企画庁長官に聞くのは酷なようでありますけれども、木村企画庁長官の演説の中で、自由貿易の推進と保護貿易的機運の打開を強調されて、このことについて、このことは、同時に、わが国経済構造の改善と転換とを強く迫るものであります、農業や労働集約型産業などが国際競争にたえ得る体質を持つことができるよう努力していく、こういう一項目がございます。これは、端的に私どもが見ました場合に、二色にとれるんです。第一は、直ちに、大幅な、たとえば農産物の自由化などを断行して、国際競争にさらすことによって、日本農業の体質改善を迫れ、こういうふうな意味なのか。逆に、農産物自由化を行なっても、わが国農業が圧倒されてしまうようなことがないように、国際競争力をつけることをまず先に、体質改善という意味で急ごう、こういう意味なのか。つまり、体質改善をやるまではあまり国際競争場裏に置かないという意味なのか、国際競争にさらすことによって一挙に体質改善へ持っていこうという意味なのか、ウエートはどっちにあるのかお聞かせいただきますか。
○木村国務大臣 これは、私は、端的に申しますと、長期的には、いま佐々木さんがおっしゃった前段のほうでございます。短期的には、後段のほう、こうお答えするほうが適当であろうと思います。すなわち、やはり、わが国の農業部門はまだまだ生産性が低い部門でございますが、これを直ちに国際経済競争の中にさらしますと、農業そのものの基本をあぶなくいたします。短期的には、総合農政の推進を通じて、そういう、直ちに外の冷たい空気にさらさないような方法をとっていかなければならない。しかしながら、長期的に申しますと、それではわが国農業の国際場裏における将来はないということからいって、長期的にはぜひともそういうような方針をこれからとっていかなきゃならぬ。長期、短期の面をあらわしたものでございます。
○佐々木(良)委員 時間がございませんから先を急がしていただきますが、一言だけ赤城農林大臣にお伺いしないと、せっかく農林の話をしているわけですから、一言、簡単にお伺いいたします。 農業の体質改善ということが言われまして、農業の体質改善の中には当然に畜産というものを相当に取り入れなければならぬという、農業自身の構造の中で畜産という問題が取り入れられておる。ところが、私の聞くととろによりますと、いま畜産の中心になっておるのは、鶏が一つの柱のようでありますけれども、鶏卵一個が十二円とするならば、その四五%、六円に近いものが輸入飼料代だという話でありますが、ほんとうにそんなものですか。もしそうであるとするならば、幾ら日本の農業の体質改善のために畜産を持ち込もうとしても、畜産自身が外国農業の余りものに依存するような状態で、日本の農業体質が改善されるわけはないと私は思う。日本の農業体質の改善という例の中で、畜産という問題が出され、そして輸入物資の中でえさ代というものがべらぼうに大きい状態から見て、日本の農業の体質改善というものは、ひょっとしたら方向が間違っておるのではあるまいか、あるいはまた、あまりにも遅々としたものではあるまいか、こう考えますけれども、私のどこからか聞いたのがいいかげんな話であるかどうか、ちょっとお答えいただきましょうか。
○赤城国務大臣 お話しのように、畜産の畜産産業としての体質改善はむずかしいじゃないか、こういうお話がありますが、その例として卵の例をとられましたが、確かに、飼料の輸入は非常に多いのでございます。飼料に依存しておるところがありますけれども、その自給面からいいまするならば、卵類なんかはほとんど自給製品というか、産んだもので自給できておるようになっておりますし、あるいは畜産でも、豚肉あるいは鶏、こういうものは自給に近いようになってきております。その中で、非常に骨を折らなくちゃならないのは牛肉のようなものでございます。でございますので、えさの点につきましては、多角化といいますか、輸入などを多角化する、多面化するような方向に持っていくべきであるし、それからまた、自給できないような牛肉、牛等につきましては、飼料の面を、自給できるといいますか、草等に依存するような方向へ持っていく。こういうような方向で、やっぱり日本の農業も、穀類から畜産、果樹、蔬菜、こういう方向へ持っていって、その方面の体質改善をはかっていくというのが方向であろうと思います。そういう意味におきまして施策を講じておるわけであります。
○佐々木(良)委員 御努力にもかかわらず、農業の低生産部門がほとんど改善されておらない現状に、はっきりと私どもは目を向けなければならぬと思います。 時間がございませんから、私は、この国会で物価問題に触れないわけにはいきませんので、最後にちょっとだけ物価問題に触れさしていただきます。 昨年末の沖繩国会におきましても、私は、やっぱり、民生安定上の最大の問題として、物価問題に触れました。特に、総理に対しましては、言うならば、その政治責任的な立場から、この問題に対する取り組みを迫ったわけであります。しかしながら、今度の施政方針の中を見ましても、どうも、具体的にこの問題に対して取り組まれようとする姿勢が十分でない気がいたしまして、残念でたまりません。むしろ、逆に、公共料金を中心とする姿勢がぐっと一挙に出てきておることは、私はまことに残念でしかたがないわけであります。したがいまして、この問題をやっぱりここで一応爼上に乗せさせていただきます。 木村長官にお尋ねいたしますが、昭和四十年以降四十六年までの佐藤内閣の施政七年間で、大体どれくらい消費者物価は上がっておりましょうか。――まあ、時間の関係で私のほうから言いましょう。少なくとも四〇%くらいは上がっているんじゃないでしょうか。私は、指数から見て、約一四〇くらい上がっておると思う。言うならば、百万円たんす預金をしておったら、佐藤さんになってから、知らぬ間に四十万円強盗にあったみたいなものだ。こういう感じさえするわけであります。したがいまして、この四十万円という問題を見るというと、働き盛りを過ぎた老人などにとっては、私は、たまらない問題だと思います。今度の福祉の問題の中で、老齢年金の増額ということが一つの大きな目玉になっております。千円も増加されたことは、私は、なかなか思い切ったやり方だとは思いますけれども、しかしながら、この物価の値上がり状況から見た場合には、暗たんたるものが老人層にはあるだろうことをはっきりと痛感をするわけであります。 そこで、いま焦点の公共料金の値上げ問題について伺ってみましょう。 公共料金というものは、少なくとも、政府が上げようとしなければ上がらないものであります。したがって、上げるには上げるだけの理由がはっきりとなければならぬ。その理由というのは、一方的な政府の理由ではなくて、国民側もしかたがないのかと、こういうふうな国民側への説得力を持つものでなければならぬと私は思います。これはだれもが聞くことですけれども、総理、どうして同じ時期にこんなに一斉の値上げということになったのか。これは偶然になったのか、それとも、もういまがその時期だと判断されてなったのか。意地悪い質問かもしれませんけれども、どっちでしょうか。
○佐藤内閣総理大臣 公共料金。ただいま、たいへん率直な、たまたま一緒になったのか、あるいはこの時期かと、こういうようにお尋ねでございますが、これはもう私が申し上げるまでもなく、たまたま上げるその時期にきた、かように御理解をいただきたいと思います。 もともと、公共料金を抑制するというのは政府の立場でございます。しかしながら、公共料金といえども、これはやはり物価を形成しているその立場でございますから、これをいつまでも据え置くとか、こういうわけにもなかなかいかないのです。あらゆるくふうはしております。合理化等もしておる。まあ、鉄道運賃の値上げなどは、ずいぶん従業員の協力も得て、積極的な合理化をはかっておる。しかしながら、なお、どうも、その事業を存続することができない。こういう立場で、やむを得ず、その一部を利用者の負担にする、こういうようなたてまえであります。 この鉄道運賃の値上げなどは、政府が一般会計からこれを援助したことはいままでにない例じゃないか、かように私は思いますが、それをやっても、なおかつ上げざるを得ない、こういうような点でございます。基本的な態度にいろいろの批判はあろうと思いますけれども、政府自身が野方図にやっておるわけでないことだけ御了承願います。
○佐々木(良)委員 公共料金の値上げの問題について、一番大事なことは、いまお話の中に出ましたような合理性、国民に対する説得力があり得るかどうかという合理性の問題と、それからもう一つは、上げなきゃならぬとしても、いまの時期がいいか悪いかという時期の問題とであると思います。私は、この時期の問題について、ほんとうは、ことしは、物価値上げについて、歯どめをする絶好のチャンスだったと思ったわけであります。御承知のように、不景気だ。そしてまた、御承知のように、暖冬異変が影響したのか知らないけれども、生鮮食料関係も値下がり状態にある。私は、この年をとらえて、しかも、貿易をこれから自由化して、輸入をふやそうという、この時をとらえて、低物価政策の方針を断行する最もいい時期だと思う。このような判断が、内閣においてほんとうに論議されたのか、されないのか。聞いてみたところで、おそらく、あまりいい答弁もなさそうでありますから、私の想像だけにしますけれども、また国防会議を例に出して悪いのですけれども、国防会議自身が、手続機関としてさらされるくらいでありまして、ほんとうに物価問題をとらえて、いま物価にブレーキをかけるべき時期であるかないかというようなことについて、閣僚級の中で本格的な論議が行なわれたかどうかということに大きな疑問を持つわけです。私は、総理自身が本日はたいへん率直になっておられまするから、だんだんとそういう実感を持っておられるだろうと思いますが、ほんとうに考えるなれば、ことしこそは、インフレ傾向に歯どめを与え、物価の値上がりを押えて、物価の安定化政策を行なうのに絶好の時期であった。その時期に、一挙にこの公共料金値上げを集中されたということに対する、言うならば政治性のなさということに対して、私は、大きな責任を感じてもらわなければならぬという感じがいたします。 それから二番目に、少しだけ詰めましょう。その合理性の問題。国民に納得を求めることができるような合理性を持っておるかどうかということであります。 運賃の値上げ関係の例を見ますというと、この前の値上げの際に――これも当然佐藤内閣時代でありますが、これまでの値上げの際に国民や利用者に対して約束した方針が、現実にきょうまでにどれだけ実施されておるか。利用者負担の原則もいいかもしれません。しかし、利用者負担の原則というへ理屈をつける前に、国民にうそをつかないことのほうがほんとうだと思います。この前上げるときに、上げたらこれをこうするのだと言っておいて、そのことが実施されないままで、また次の追い打ちをかけることは、決して国民に納得を得る道ではございません。タクシー料金の値上げ、総理自身が一日の指令を出されたというところの乗車拒否の問題も、これも何ら実施されておりません。それから、いま国鉄運賃の値上げのお話がありました。総理には、これは詳しい話ですけれども、国鉄運賃の値上げは、赤字路線の廃止ということをいつでも方針の基本に掲げておられました。この赤字路線の廃止という、こういう前提があるのにかかわらず、その問題がほんとうに消化されたであろうか、私は、大きな疑問があります。具体的な例を出してもよろしゅうございますけれども、今度の四十七年度予算の中でも、現実に会計検査院から注意を受けて、そういうものは取りやめよと言われている。そういうところに、現実に予算化された例がずらっと並んでおる。これが政治の実態だと言ってしまえば、そうかもしれませんけれども、赤字路線も廃止すると言っておいて、それに予算をつける形で、国民に運賃の値上げを要求して納得せいということは、それは、総理、どうしても理解できない。政府も金を出しておるからといって、政府がただで金を出すわけがない。政府の金も全部国民の金だ。したがって、私は、納得のいくわけはないと思います。運賃の値上げがずらっと並んでおりまするけれども――運輸大臣おられますか。御答弁ございますか。簡単にやってみてください。国民が納得するかどうか。
○丹羽国務大臣 ただいまの、いろいろごもっともな御質問でございますが、今回のタクシー料金の値上げにつきましては、御承知のとおり、タクシーの乗車拒否というものが社会問題まで発展をした次第でございまして、私どもも、公共料金の抑制は、総理の指示もございまして、できるだけその抑制につとめた次第でございますが、善良なる乗客が乗車拒否にあいまして、こういうことでもって公共性が保てるか。一年以前から運賃値上げの申請がございまして、私どもつぶさに検討いたしましたが、やはり実車率が非常に高くなっております。要するに、需要供給のバランスがくずれておりまして、タクシーが安いからうんと乗るというのが非常にふえておりますので、どうしてもこの際は実車率を下げるということをいたしませんと、乗車拒否をなくなすところの実効はあがらぬということを考えまして、実車率、走行キロ、稼働時間というのを勘案をいたしまして、そういう点で、やむを得ずその実車率を引き下げることに踏み切った次第でございます。現在はまだ三週間くらいでございますが、その結果、非常に実車率は下がってまいりまして、ただいまのところは乗車拒否に対する不満はないようでございますが、私どもは、やはり前からも言っておりますように、そういうような問題につきましては、近代化センターの充実、指導の強化とか、あるいはまた、違法に対するところの厳罰主義であるとか、また、計画配車の実行であるとか、そういったものをずっと連続的に続けてまいりまして、公共機関として、輸送機関としてのタクシーの使命、業者の自覚等と相まちまして、これらのものを実行してまいりたい、こういうように思っている次第でございます。 また、国鉄運賃につきましては、ただいま総理からも御答弁がございましたけれども、四十四年に国会の御協賛をいただまして、一応改正をした次第でございますが、その後、輸送状況の変化であるとか、あるいはまた、予想外のベースアップによりまして、それらの採算の根底が非常にくずれてまいりまして、この国民の重大なる足の動脈でございます国鉄の経営に非常に大きな危惧の問題を生じてまいりました。また、一面におきまして、国民といたしましても、新幹線その他、この国鉄に対する希望、また期待は非常に多いというところでございますので、今回は、政府全体といたしましても、輸送力の増強をこの際思い切ってはかりまして、また、そういった国民の輸送方法の合理化もはかってやっていかなくちゃならぬということで、いままでにない、本年度予算にいたしましては、千百八十四億という多額の政府の財政援助を待ちまして――しかしながら、人件費の増高であるとか、あるいは燃料費の上げであるとかというような、いわゆる可変的経費の増高が非常に大きくなっておりますので、やはり一部は利用者に御負担を願わなくちゃならないということによりまして今回踏み切った次第でございまして、これらはやはり国会を通じまして、いろいろ私のほうからも資料を出しまして、また、御説明を申し上げまして、御審議を願う次第でございますが、そういう点におきまして、大動脈であるところの国鉄の使命を達成いたしたい、こういうように思っている次第でございますので、よろしくお願いを申し上げます。
○佐々木(良)委員 せっかく御答弁願いましたけれども、同僚からもひやかされるほどで、国民にこれは説得力があったであろうか。私は、むしろ、国会の中で、審議がストップしたり、それを中心とする問題だけが脚光を浴びることをはなはだ残念に思うわけです。物価問題についてのいまの釈明が一つでも国民を納得させ得るものであったかどうか、私はきわめて残念に思うわけであります。 もう一つ例を……(「またストップだよ」「汽車をストップしてどうするのだ」と呼ぶ者あり)汽車は走っておりますよ。汽車は走っておる。 もう一つ、医療費の値上げというのが最大の問題になっておる。医療費というのが非常に多く、しかも、医療費の中に薬代というものが占めるウエートというものはたいへんある。斎藤大臣、専門家か知りませんけれども、あまり時間をかけずに、端的にお答えいただきたいのだが、内容を私のところに投書みたいに持ってきた人があります。それによりますと、普通の保険医が入手する薬の購入価格というものと、医師に支払われる価格である、いわゆる薬価基準額というものにはよほど大きな格差というものがあるらしい。ほんとうですかな。普通の保険医が入手する薬の購入価格と、それから薬価基準額との間にほんとうに大きな格差があるとするならば、私は重大だと思いますよ。うそかほんとうか知りませんけれども、私のところにくれたデータはこうなっておる。どんな薬か知らぬけれども、クロロマイセチンというもの何とかミリグラムというのが書いてあるけれども、その薬価基準が四十六円五十銭、それに保険医協会のあっせん価格は八円だそうです。つまり、五・八倍だ、薬価基準が。エリスロマイシンというものがあるそうだ、わしは知らぬけれども。それは三十四円五十銭という。それに対してあっせん価格は十五円、約二・三倍だ。テトラサイクリンというのがある。この基準額は四十六円五十銭だという。これに対してあっせん価格は九円だという。まさに五・二倍。カピランというのが十八円三十銭だという。にもかかわらず、ほんとうの入手価格は四円五十銭だという。四倍だ。総理、うそかほんとうか知りませんよ。だけれども、私は、大かた真相を射ておるものではなかろうかと思う。お医者さんが買われるところの薬の代金と、そのお医者さんに支払われるべき薬価基準、しかもそれは、むずかしくむずかしく、専門家どもがつついてつついてきめる価格だ。それが五倍だとか三倍だとかいう値段の差があって、これで合理的だと言い得るか。今度の値上げでも、お医者さんの技術料云々という話だそうだけれども、理屈はそのとおりだ。いろいろな理屈が誓われるけれども、現実にこのような投書があるところを見ると、私は、この幅に相当な不合理なものがあるに違いないと思う。厚生大臣、一分間で返事していただけませんか。
○斎藤国務大臣 薬価基準と実際の販売の購入価格との間に開きのあることは、私は事実だと思います。ただいまあげられました数字は、これは、私は全部がそうだとは思いません。と申しますのは、販売競争が非常にきびしくて、したがって、ある種のものについては、あるメーカーについては非常な値引きをするという事実もあるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、毎年薬価の実勢調査をやって、そして実態に合うように薬価を引き下げる努力をいたしております。このたびも三・九%の薬価の引き下げを行ないましたが、しかし、その実勢調査がまだ十分とは思いませんので、今後一そうその実勢調査を適正にやりまして、そして、その実勢に合うように薬価基準を引き下げたい、かように努力をいたしておる次第でございます。
○佐々木(良)委員 私は、いまそのような努力がちょいちょいされつつあることを否定するのじゃありません。しかし、幾ら大臣が弁解され、役所で説明してみたところで、現実に三倍、五倍。こういう幅のあるものを国民に納得させることができるか。国民に結果として納得させることのできないような値上げというものはやってはならぬということだと思います。しかも、公共料金的性格であれば一そうそうだということであります。私は、したがいまして、総理をはじめ各閣僚に対しまして――本年度をほんとうに物価安定へのスタートの時期とするためにも、政府は、たとえば国鉄などの交通料金の問題でありまするならば、これまでに約束したところのものをやるために、ともかく、国鉄の問題も、料金の値上げを一たん中止して、やらなければならぬ方策に全力を傾ける。総合交通政策を立てなければならぬというなら、立てればいいじゃないですか。そして、その中で利用者負担というものの位置づけをすればいいじゃないですか。値上げをするときにだけ、値上げのための理屈、値上げのための理由として言ったのじゃ、どうしても国民を納得させるわけにはいかぬということだ。政府自身がこのような交通政策でも立てて、そしてそのような内容をはっきりとつかもうとされるのでありますならば、私どもも全力をあげて協力いたします。しかしながら、そのような措置も講ぜられずに、成り行きまかせで、ともかくも上げる、ともかくも上げるということでありまするならば、このような不合理の押しつけということになりますから、私は、あえてあらゆる手段を動員してもそれが法的措置をとられようとするならば、どんなことがあっても阻止しなければならぬ、こう思うわけです。理屈や話し合いの納得ができずに、いつでも事件でなければどうにもならぬということでありまするならば、また予算委員会のストップもよかろう。運輸委員会のストップもよかろう。ともかくも、私は、荒療治をもってしても、本格的な物価問題に取り組むためのチャンスをどうしてもこの国会の中につかまなければならぬ、こういう感じになっておるわけであります。どうか、ひとつ、その点を十分お考えをいただきたいと私は思います。 最後に、私は公共料金だけでなしに、一般物価の問題について、資本主義的なメカニズムの中では経済成長というものが速度を速めれば、だれかがどこかで適当な抑制措置をとらぬ限り、物価は上昇過程に入るものだというふうに考えます。この抑制措置を講ずるものが政府で、そのためにこそ私は公共料金制度というものがある、こう考えておる。したがって、このことは保守党であろうが革新政党であろうが関係なしに、この物価の歯どめに対して、経済成長が当然にもたらすかもしれない物価の値上げに対しては政府としてやらなければならぬ、政府の任務だ、こういうように私は考えるわけであります。やらなければならぬ抑制措置を、もし自由民主党であるがゆえに、私権への権力介入などといって手をこまぬいておられるのでありますならば、私は、それはいまの現代における政府の機構、政府の機能を喪失したものだというふうに見なければならぬと思います。そしてさらに、ことしのように不況期に入って値下がりが進み始めますと、また資本主義的なメカニズムが動いてまいりまして、値下げ競争を食いとめるための方法、手段を生み出すものであります。これがカルテルというものであります。したがって、カルテルの抑制もまた物価政策として政府がなさねばならぬ基本的な姿勢だと私は思います。時間があれば、この問題についても公取の最近の姿勢等を私ははっきりとただしながら、この年を物価抑制への出発点とするための政策を集中いたしたいと思いましたが、すでに時間も来たようでございまするから、それらに触れることができないことはまことに残念であります。 重ねて私は、この物価問題があくまでも――防衛問題、防衛増強問題も大事でありましょうけれども、そしてまた日中国交回復は何よりも基本的な姿勢として必要でありましょうけれども、そのような問題を、国民合意のもとにむしろスムーズにそれをやろうとすればするほど、国民の納得を得なければならぬ。国民の納得を得るためには、国民のための民生安定措置がすべてに優先されなければならぬ。国会論議の一番中心がここに置かれなければならぬ。私は心からこのことを強調いたしまして、政府の反省を促して質問を終わります。(拍手)
○瀬戸山委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。 次に、原茂君。
○原(茂)委員 冒頭に連合赤軍の浅間山荘における、いままだ最終的な事態の進展があるようでありますが、お気の毒にもうすでに高見警部の殉職が認められておりますし、なお警視庁の機動隊長、その他あるいは信越放送のカメラマンの方まで負傷をせられるという、重軽傷者が四名すでに出られているようであります。何といっても人命が一番大事でございますので、現に進行中ではございますが、どうぞひとつ、一そう人命の損傷を防ぎつつ事態の解決に専念していただくように、緊急の事態ではございますが、心からお願いを申し上げたいと思うわけであります。 なお、本来ですと、きょうの私の質問の順序も、米中問題並びに四次防を中心の政治責任の問題なり、また北方領土問題を中心にした御質問なりを約七項にわたって、おもなものを一つずつくらいドリリングしてお伺いをしようと考えておりましたが、お聞きいたしますと木村長官の御母堂が御逝去になりまして、たいへん心から冥福をお祈りいたすわけでありますが、きょう五時少し過ぎにはどうしてもここをおのきになるというお話がございました。やむなく本来一番最後に物価問題に集中しようと考えておりましたが、順序を変えまして物価から先に、五時を目途にスピードを上げて、しかも時間がありませんので要点のみ、といいましても少し数字を中心に具体的な問題にも触れながらお伺いをして長官にお帰りをいただきたい、こういうふうに考えますので、順序は逆でございますし、最初にじみな物価の問題に入りますので、しかもきょうは相当長時間、総理以下各閣僚のこうした御出席があるわけでありますが、もうしばらく全閣僚の御協力をちょうだいしたいと存じます。 いまも佐々木さんの物価に関する非常に熱意のある御意見なり論旨の展開がございました。全く私も同感でございますが、私は少し角度を変えまして、今日いわれております物価の見通しの五・三%というものに一体信憑性があるかどうかをただしてみたいと思うわけであります。 その前に佐藤総理は事あるごとに、といいますよりは、今日まで国会の開かれるたびごとに、物価に関して非常に貴重な、しかも配慮のある御発言をなさっております。毎回の発言がほとんど内容は同じようでございますが、しかし、年々物価は上がる一方で、下がっておりません。こういう点に関しては、本来総理自身も相当責任を感じなければいけないと思うのでありますが、こういう点、総理の一体責任といいますよりはこの物価に取り組む姿勢が、ただ口頭禅に終わって、今日七年を経過したように思われる点を、最初にひとつ総理としての反省なり感懐をお伺いして、今後の物価に取り組む総理の決意だけは先にお伺いをいたしたい、かように思います。 〔委員長退席、田中(龍)委員長代理着席〕
○佐藤内閣総理大臣 一口に物価と申しますけれども、物価はこれを安定させる、あるいはさらにまたこれを下降の状態に持っていくこと、たいへんむずかしいことでございます。これは政府だけではもちろんできない。別に責任を転嫁するわけではありませんが、国民の協力なくしてはできることではありません。 ところで、まずいろいろ生産をふやす方法、これがまず一つの方法だと思いますが、同時に、この生産増強についてはずいぶん力が払われておりますが、いわゆる流通機構、こういうものについてはどうも思い切った改善が行なわれておらない、これにやはりメスを入れることが必要ではないかと思っております。 もう一つの点は、先ほども議論がありましたが、やはり輸入物資、これについての輸入の自由化あるいは関税の障壁をなくするとか、いろいろのそれぞれの処置がとられる、こういう具体的な処置をとって、それぞれを追跡して初めて効果があがるのではないだろうか、かように思っております。もちろん、私が申し上げるまでもなく、生産者もまた消費者なり、かような立場に立って、この生産者の協力も得て、物価安定への道を見出す、これが最も大事なことではないだろうか、かように思います。簡単に申し上げておきます。
○原(茂)委員 長官、少しこまかくなって恐縮ですが、まず最初に、CPIの基準時、これはいつから改定したのでしょうか。改定になったようですが、その時期をひとつ。
○木村国務大臣 四十六年十一月に改定をいたしました。
○原(茂)委員 これは一ぺんに二、三ずつお伺いしますから、まとめて答えていただきましょう。 採用品目とそのウエート、これも変更になりましたかどうか、それが第一点。 それからもし品目とウエートを変更したとすれば、その特色は一体何か、いわゆる昨年の十月から変更いたしました品目とウエートの変更による特色があるわけですが、その特色というのは一体どんなものがあるだろうか。 それから、最近長官やあるいは経企庁の当局の皆さんも言っているのですが、四十六年度の六・一%あるいは六%のCPI上昇率の見込みは――四十七年度のCPI上昇率の見通しの五・三%はすでにこの新しいCPIによって算出されたと聞いていますが、あるいは昨年の十月までのCPIと十月以降新しく採用したCPIとの混用なのかという点も、四つ目にあわして先に聞きます。
○木村国務大臣 お尋ねの第一でございますが、まず今度の改定によりまして品目の数を四百二十八品目にふやした。また消費構造が、経済社会情勢がいろいろ変化いたしましたので、非常に変わっておりますので、そのウエートの変更をいたしたわけでございます。 そのウエートの変更の特色と申しますと、当然これは消費構造の変化に伴うものでございますが、具体的に申し上げますと、やはり最近の消費動向と申しますか、たとえば毎日購入する財またはサービスの変化がございますが、それについて具体的にそのウエートを変えたという点でございます。 次に第三点でございますが、四十七年度の経済――消費者物価見通しの五・三%は新指数によるものでございます。
○原(茂)委員 そうすると、四十六年末の六・一%、あるいは四十七年三月までこれは計算することになるだろうと思うのですが、これが五%台になるかもしれないということを長官かあるいは局長か、どなたかが前にどこかでお話になっておりましたが、一体五%台に下がるというその上昇率の見込みの数字の算出の基礎というのはどこにあるのでしょう。いま資料を持っておりませんが、たしかどこかで長官かあるいは局長さんかが、三月まで入れますと五%台になる見込みだ、五・七ぐらいになる見込みと言ったのか、そう言っておりますが、その算出の基礎というのはどういうことになるのでしょう。現在のやつが、いまお答えにありましたように新CPIで計算をするというんですが、なおかつそうであるとするなら、生鮮食料品の値下がりだなんだということもいわゆる季節的な商品の値下がり等を当時は考えたと思うのです。 時間がありません先に聞きますが、一体現在のように急に寒さだの雪がというようになってまいりますと、この生鮮食料品の値段もすでに値上がりをしているというようなこの状況の中で、六・一が五%台になるだろうという見込みの算出の基礎というのは一体何なのだろうかというのをひとつ……。
○木村国務大臣 たいへん数字的にこまかくなって恐縮でございますが、昨年の十月から一月までの間の上昇率は五・五%、非常に鈍化しております。したがいまして、この一月までのいまの物価動向、これが一体いつまで続くかということでございますが、東京都区部だけの二月の指数を見てみますと、幸いにして暖冬の影響ももちろん大きうございますが、一昨年四十五年の秋以降の不況がじりじり浸透しておりまして、これが大体一年から一年半ぐらいのタイムラグでもって物価に影響を与えております。そういう面から、単に生鮮食料品のみならず工業製品も非常に落ちついております。そういう面を参酌いたしますと、二月、三月、これは例年あまり消費者物価が上がらない月でございますので、そういう面を予測いたしまして六・一%、見直しをいたしました昭和四十六年度の消費者物価指数も、いまのところ五・七%ぐらいに落ちつくのではないか、こういう見通しをとっております。
○原(茂)委員 いまの答弁に反対するわけじゃないのですが、御存じの国民生活センターの発行しております月刊国民生活、七二年の一月号の九ページに、今回の指数の改定で四十六年上半期の物価上昇率は、旧指数で前年比七%上昇であるのに新指数では六・六%になるのだ、こういうことをいっているのですが、これはこっちが間違いでしょうか。
○木村国務大臣 それは間違いではございません。大体旧指数と新指数の間に〇・四%ぐらいの違いがございます。
○原(茂)委員 ということになりますと、四十六年十月以降からのCPIの下落傾向も、一つは統計上の操作がやはりある。五・七になるというのは新指数による、いわゆる数字のとらえ方によって五・七といえるのであって、旧指数そのままでいけば、やはり七%台に六・一が上がるということも言い得るのではないかということを考えられますが、これはひとつ第一の問題としてお答えをいただきたいと思うのです。 それから、最初のCPIの上昇率の見込みが旧CPIで五・五%、これは四十六年度の経済見通しでおっしゃっているわけです。新CPIを採用した以上、当初の見込みの五・五%というのも当然変わらなければいけない。途中で十月に変更しておいて、それを新と旧を区別して指数の内容が発表されないと、いかにも何か新しく下がる、新CPIで発表した数字で大衆がごまかされる。われわれも最初ちょっと勘違いしたのですが、旧CPIでいけばこうなるのだ、四十五年の指数でいけばこうなるというようなものを経済企画庁としては同時に発表する親切というものがないと、ほんとうに指数をとらえて経済の動向を模索しようというときに非常な不都合が起きるし、大衆の感覚からいっても何かだまされたような感じがするのですが、この点どう思いますか、二つ目に。 それから昨年末からのCPIの下落傾向があることはある。確かにあります。四十六年末のCPIの上昇率と四十六年当初の見積もりの五・五%の間にあるその幅ですね、これはだんだん大きくなるわけですね、旧と新でいきますから。大きくなる。これが六・一でなくて旧指数でいったときに、相当大きく狂ってしまったことにはならないだろうか、前段の質問に関連するわけですから。したがって、これは数字だけははっきり区別して考えておきませんと、五・三%というものの実相をとらえることができないという意味でお伺いする。二つまず先に……。
○木村国務大臣 先ほどお答えいたしましたとおり、旧指数と新指数との間におおよそ〇一四%の差があります。したがいまして、かりに五・七%の昭和四十六年度の見通しにそれをプラスいたしますと六・一%になるじゃないか、こういうお考えだろうと思います。確かにそのとおりでございます。したがって、私どもは、この消費者物価指数をあげますときに、消費者物価指数が現在こういう指数であるから、それが物価対策として非常にメリットをあげたというような考えはございません。したがって、物価対策上その前年度の同月比あるいは前月比と一体どういう比率でもって物価の上昇があるかということを物価対策上の参考にしたいためでございまして、国民の生活実感との間にはズレがあることは当然であろうと思いますが、そういう意味で私どもは、決してこれが新指数で五・七%になったからといって、それを誇る考えは毛頭ございません。
○原(茂)委員 それでは鹿野次官にちょっとお伺いしたいのですが、この一月三十一日の日経に出ていましたが、CPI算出の方法にげたばきということばを使っているんですが、このげたというのは何なのでしょう。これがわからないと、われわれもほんとうのことがわからない。
○木村国務大臣 これはいわば俗語でございまして、たとえば暦年をとりますと昭和四十六年の一月から十二月まで、棒グラフにしますとよくわかるのですが、毎月の消費者物価の指数がございます。その平均をとります。それが昭和四十六年の平均物価水準。ところが昭和四十六年の十二月と申しますと、その十二月のその指数は必ずしもその平均指数と合致いたしません。もう十二月にはすでにその平均指数をこえて消費者物価の実勢というものはそこまで上がってきておるということになりますので、昭和四十六年度の平均指数をかりに四・五といたします。十二月の実勢が五・五といたします。そうしますと、昭和四十七年度の消費者物価というものは、すでに年間全然それが上がらなくとも、四・六という実態は昭和四十七年にたれ込むわけです。したがって、それをもとにして昭和四十七年の物価指数というものがスタートするわけでございますので、したがって、それプラス昭和四十六年度中の上昇率というものがそれに加わって、昭和四十七年度の消費者物価指数の見通しができ上がる。たいへんまだるっこくて失礼でございますが、そういうようなことでございます。
○原(茂)委員 わかりました。 さっきの次官のお話では、げたというのは、大体四十七年度のげたがどのくらいだという数字も発表されていたのですが、たしか二・三%くらいのげただという発表をされたようですが、これ、次官覚えていますかね。事実二・三%のげたを見込んでいるかどうかですね。
○木村国務大臣 当初六・一%という見通しを、改定見通しの際には二・三%げたとして考えておりました。しかし、かりにそれが五・七%の上昇でとどまりますと、それが一・四%のげた、こういうことに相なるわけでございます。したがいまして、昭和四十七年度の当初の消費者物価が一・四のげたをはいてスタートいたしますと、非常に昭和四十七年度の消費者物価内の上昇と申しますか、そのプラスアルファというものが、アローアンスというものが非常に低くて済む――多くて済むということになります。
○原(茂)委員 どうも失礼しました。次官が日経で言ったやつだから次官次官と言いましたが、長官全部おわかりのようですから長官でけっこうですが、そこでもう一つこまかいことを、申しわけないのですが……。 では、おのおのの予想上昇率ですね、それからウエート、個別の効果、その総合効果といいますか、これをちょっといまのように簡単に説明していただきますと、これ全部わかってしまうのですが、――五品目でいいですね。
○宮崎(仁)政府委員 四十七年度の物価の見通しにつきまして、もちろん作業といたしましては、CPIの中分類によりまして各費目ごとに四十七年度、どの程度の上昇を示すであろうかということを積み上げ計算、あるいはモデル計算等を使いまして、いろいろの試算をいたしております。そういったものを一方に置いて推定いたしまして、そうして他方におきましては、公共料金の問題とか、あるいは予算によっていろいろいたします構造政策の効果とか、こういった政策効果もございますが、そういったものも考えに入れまして、そうして総合的に五・三という数字を出したわけでございます。もちろん計算の内訳ということになれば、これは非常に大きく出る場合、非常に低く出る場合、いろいろの想定で数通りの計算が行なわれておりますけれども、実はその内容を個々に申し上げるようなものではございません。そういった計算はいたしましたけれども、全体としてほかの各種の成長率その他との斉合性等も考えまして、五・三という数字に経済見通しの段階できめたわけでございます。もちろんこれには公共料金等も織り込んでございます。内容という形にはなっておりません。
○原(茂)委員 五・三%を基準にして経済見通しをこれから国として立てていくわけですね。その五・三%の中に二・三というげたがあるということが明瞭になったが、残った三%と二・三%の品目別のウエートあるいはその効果を算出しないでどうして二・三といえるのでしょうか。げたが二・三ということになるというのは、算出根拠なしで勘でやったといういまの答弁なんですが、毎年指数の発表があるのですが、全部狂っています。その狂う原因もちょっと少し怠慢じゃないかと思うのですが、勘でやっているみたいな答弁、少なくとも中分類であろうと、五品目の品目別の内訳がすぐにわかるくらいでなければ、この物価指数というもののいわゆる信憑性といいますか、これは非常に重要なんで、いつでもわれわれはこの指数というものは非常に大事なものとして、一年のいわゆる動向というものを勘案し、そして政治の効果が、あるいは政策の効果というものがどの程度きいてきたかを最後に締めくくった実数によって批判をする、こういう習慣をつけなければいけないわけですから、当然その目で見ようというのに、五・三のうちに二・三のげたがある、そのげたばきの内容が、これはひとつ勘なんだと言わぬばかりな答弁というものは、どうも時間がないから、あるいは資料がないからそう答弁されたのではないかと思うのですが、これはほんとうはもう少し時間がありますと、きょう実はこれは一時間半ぐらいじっくりひとつと思いまして、皆さんにも私の調べた表を資料としてお回ししているほど実はいろいろこれはこまかく準備をしたのですが、長官の御都合でどうもそうもいかなくなってしまいましたし、ほかの問題もありますから、時間は確かに私にもありません。しかし、これはあとで、もうちょっと明快な答弁をひとつ書いたものでちょうだいをするように、これは委員長にお願いしておきます。 それからいまのげたばきの上昇率を引いたその三%の今度は算出の根拠も、ついでにこれも書いたものでちょうだいをしたい。そうしないと、五・三というものがどんなものであるかというほんとうの真相をつかめないわけですから……。 私は端的に言いますと、私のいろいろ調べてきた範囲では、どうも五・三というのには確たる数字の根拠がなさそうだという疑いをもって実は質問を始めて――毎年毎年この見込みというものはずいぶん狂っています。狂っている原因がここにあるのだ、こんなことではだめじゃないか、激励を含めながら、非常に大事な数字なんですから、もっとしっかりしたその根拠を、いまもう電算機もありますから、やろうと思えばどんなことでもできるわけですから、もうちょっと信憑性のある数字を出すように、しかもそれを信頼して、国民が安心してことしはこの程度でいけるというような、企画庁が発表した五あるいは六というものに基準を置いて生活設計ができるようになるまで、やはり信憑性を与えていくということが必要ではないかということでこの問題を締めくくろうと思ったのですが、いま時間もなし、皆さんにその資料もないようですから、ひとついま言った二・三のげたと三%の内訳に関しては、書類でちょうだいをして、また他の機会にこの問題を専門にひとつお伺いをしてみたい、こういうふうに考えます。 それから、委員会の要求いたしました資料の二三ページの中に、経企庁が今年度中に公共料金として上げるもの、すでにもう上がったものが六品目ですかあがっています。予想されるものが三品目、九項目が載っていました。まず、値上げがすでにされたもの、さらに予算に計上されて値上げが確定的なもの、そういうものは一体どういうものなのかをここでお伺いしたい。要するに、公共料金のはね返りが五・三とどういう関係があるかで、ある程度の見通しが、また違った数字が出てくるわけですから、そういう意味で、公共料金に関する皆さんのお出しになった資料の二三ページの左の六項目と右の三項目、九項目に関してひとつお答えをいただきたい。 ついでに、いまの値上げ率とそのCPIにおけるウエートですね、これも一緒に。
○木村国務大臣 すでに値上げが決定しておるものに、二月一日から診察料がございます。郵便料は、もう昨年六月に国会を通していただきまして、これは二月一日からやはり実施をしております。電報料は、同じく昨年六月の国会で議決されましたとおり、三月一日からこれを上げることにしております。国鉄運賃は、御承知のとおり予算的には決定いたしましたが、当然これは国鉄運賃法案の審議を通じて国会で御審議を願うことになります。タクシー代は、これは公共料金であるかどうかという性格論もございますが、これは御承知のようないろいろ経緯を経まして、ことしの二月五日から実施をしております。授業料、これは国立大学の授業料、これは予算的に決定をいたしておりますが、これは当然四月一日から実施ということに相なると思います。 これの四十七年度CPIの上昇寄与率と申しますか、診察料は〇・二四%、郵便料は〇・〇四%、電報料は〇・〇一%、国鉄運賃は、これは貨物運賃その他がございますが、平均ならしまして〇・三四%、タクシー代は、これも東京だけをとりますと〇・二になりますが、全国ならしますと〇・〇七、国立大学の授業料は〇・〇三、こういうようなことで、いま申し述べました全部の公共料金の合計の消費者物価に対する上昇寄与度は、合わせて〇・七三、こういう数字になります。
○原(茂)委員 そうしますと、この五・三からいまのげたの二・三を引いて、残りの三%の中にこの〇・七三は入っているのでしょうね。それが一つ。 それから、これを入っているものとしての直接効果がこれで出てくる。いまお話しになるような数字というのは、いま申し上げたような直接効果なんですから、これの間接効果というのが、これは計算がなかなかむずかしいでしょうが、波及効果といいますか、こういうものが実際の物価にはたいへん大きな影響をして値上がりをさせているわけですから、この波及効果あるいは間接効果というか、これも計算をしないと実際のCPIというのは出てこない。予想指数は出てこない。したがって、この波及効果をどのくらいに見ているか。これを見ないで、直接効果だけで五・三を、これだけ上がるのだといっているのではおかしいので、波及効果は必ず見ていると思う。これをどのくらいに見ているかをひとつ。
○木村国務大臣 五・三%の中には、当然いま申し上げたような公共料金の値上げ幅を織り込み済みでございます。ただし、二月、三月実施の診察料、郵便料、電報料、これはすでにもう昭和四十六年度実施でございますから、それは、いま申し上げたげたの二・三%の中に入っておるわけです。 それから、先ほど五・三%から二・三%のげたを引いた三%の算出根拠をおっしゃいましたが、これは大体過去五年間のその年度内における上昇率の平均を三%、こういうふうに踏んでおります。
○原(茂)委員 ですから、五・三の中にげたの二・三、その中に二つの品目が入っている。それから公共料金の分の〇・七三がある。残った三%の中には、波及効果、間接効果も含まっているのではないかというのが私の質問なんです。これが算出されていないと信憑性のある数字にならないが、その数字の、いわゆる間接効果としての数字をお教えいただきたい。これが一つ。 それから、ここに表がある。皆さんにもお配りしてあるのですが、公共料金などを一〇%引き上げたときの直接と間接の効果というのを一応ここに出してあります。これは試算をしてあるわけですが、お手元にたぶんお配りしたと思いますが、これで見ましても、間接効果というのも、やはり相当程度三%の中のウエートを占めている。こういうものをほんとうに計算してあるのかどうかだけでもけっこうですし、わかっているならその数字をおっしゃっていただきたい。
○宮崎(仁)政府委員 公共料金等につきまして、物価見通しの中に入れます際には、従来ありました場合の効果といいますか、そういった相関関係をとってモデルでやってまいりますので、したがいまして、従来ありました程度の間接効果は入っていくというふうに私ども考えておるわけでございます。ただ、今回はかなり集中をいたしておりますから、それが従来どおりの形でいいかどうか、これは議論が若干あるかもしれません。そういったかっこうで、作業としては一応見込んでおる、こういうふうに御理解願いたいと思います。
○原(茂)委員 従来の慣例では、過去五年間の平均をとって繰り入れることがあってもいいかもしれません。しかし、この一斉に公共料金を値上げするような本年度の場合、従来の指数をとりましたでは済まないですね。これだけの公共料金の値上げの予想がついている限り、それもせんさくして、その分の波及効果というものをしっかり出して、それが三%の中にどのくらいあるかを、もっと正確に数字が示されるようになっていなければいけない。最初に言ったように、五・三%というものの信憑性というものを、いわゆる政府のつくられたその数字に、国民の信頼性というものをがっちり持たしていくことが大事だ、こういう意味で申し上げているのですから、先ほど申し上げた二枚のほかに、これは私自身のためにも――私はある程度つかんでいますが、間接効果というものを、どのくらいあるかというのを、ひとつあとで、これも推定できる表というものをお出しいただきたい。 そこで、端的に言いますと、まだまだ数字を中心にいろいろ言いたいのですが、波及効果の問題では、これは某私立の中学校なんですが、入学願書をもらおうと思うと、月謝は幾らだ、こう書いてある。いよいよ受験しました、受かりました、ことし行ってみたらその発表より千円高いんですね。いまさらいやだと言えない。要するに便乗値上げというのでしょうか、ちゃんとことしの一月に配ったその受験案内には、たとえば三千円なら三千円と書いてある。受かって手続に行ったら、実は千円上がりました。もう一斉に公共料金をどうせ上げるのだからというので、これは一例ですが、こんなことが至るところで行なわれている。その実例がたくさんあるのです。という波及効果、間接効果、いわゆる便乗値上げというようなものが考えられますと、この五・三%なんというものが、これでおさまるはずがないのであります。従来の経緯からいっても非常に狂っているし、いつも高目になっている。非常に高い。今回のように一斉に公共料金を値上げしておきながら、なお五・三でおさまるなどというようなことは絶対ない。七以%上になるのではないかと、経企庁のある人ですら言っているくらいなんです。七%以上になるんじゃないだろうか。こういうように、五・三というものが非常に信憑性のないものだということを十分に承知の上で、公共料金のこれからの値上げ予定のものに関しては最もきびしく、長官ずいぶん苦労されたようですが、体当たりで防いでいきませんと、これはたいへんな、前代未聞の上昇率を示すおそれがあるということを十分に考えていただきませんと。しかも、この物価値上げの一番大きく影響を受けるのは、一体だれかといいますと、残念ながら、五分位の表を皆さんにお配りしてありますが、一番所得の低い人ほど非常に大きな影響を受けるのであります。 経済企画庁の幹部職員の物価に対する感じは一体どうだろうというので、ある新聞社が世論調査をしたものが新聞に出ていましたね。経企庁の幹部は、物価に対して関心があるのは、下げたいというのは、約六%ぐらいしかいないのです。一般大衆は、物価を下げてもらいたいという切実な要求が八三%もある。経企庁の幹部職員は、わずか六%だけしか物価を下げてもらいたいという感じを持っていないというようなことも、長官としては十分に、庁内の幹部職員が、それは生活の実態が違うから、ゆとりがあるから、いまの物価の程度は当然だ、こうお考えかもしれませんが、いまのように物価が次から次に上がってくる、インフレ傾向が強くなってまいりますと、一般大衆、特に低所得者に対してのみ非常な重圧になっていくという数字を資料としては皆さんにお配りしてある。これをお考えいただいたら、これから上げる公共料金に関しては、絶対上げないくらいな決意が、総理以下皆さんにありませんと、確かに私は五・三ではなくて、七%以上という前代未聞の物価の上昇を来たすであろうということを申し上げたいわけです。是が非でも公共料金に対しては総理と長官が、これから上がると予想されるものがまだずいぶんあります、私立大学の授業料ほかその他ずいぶんありますが、これを何としても防いでいただきませんと、との年末になったときの庶民の怨嗟というものが異常な政治不信となるし、たいへんな、思いもつかない大きな経済の変動も起きるのではないか、社会の変動も起きるおそれがある。いろいろな角度から私はそういう見通しを持っていますし、不安を持っておりますので、十分に配慮をしていただきたいと思うのであります。 したがって、まだまだ申し上げたいことがたくさんありますが、私は率直に言って、総理も、主婦の買いものかごを重くしようということにいまこそ政治の重点を置くべきだ。いわゆる買いものかごを重くする、こういう政治が、いま内政の最重点でなければいけないということを十分身にしみて考えていただいて、まず経企庁の五・三に対する態度からして、私の調べたよりもまだ非常に粗漏であり、不熱心であり、このようなものの見通しの狂う、狂わないということに対する責任感の希薄さが、従来ずっとあたりまえのことのように、なれてしまっているということも、私はおそるべきことと考えて、何とかしてここらで五・三の指数に関しては徹底的な検討を加えて、もし〇・三%、〇・五%でも変動のあるようなことがあったら、重大な責任をとるという強い決意で臨んでいただきませんと、七%以上に本年度の指数は上昇するであろうということを私は考えておりますので、十分にこれを引き下げる効果というものを、ひとつ総理を中心に、長官にもお考えいただき、手当てを加えていただくようにお願いをいたしたいと思うのです。 もう一度申し上げますが、ぜひ買いものかごを重くするという政治に徹していただくように、これは総理の決意だけお伺いしておきたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 これはなかなかむずかしいことですが、とにかく物価問題等、さらにさらに熱意をもって取り組む、このことをお約束したいと思います。
○原(茂)委員 それでは長官どうぞ。 あと、公共料金について先にお伺いをしたいと思いますが、本来これも長官が体当たりでやっていただく問題なんですが、二、三の問題についてだけお伺いしたいのです。 まず第一に国鉄なんですが、先ほどもちょっと御質問がありましたけれども、私は、受益者負担というのを当然のことのように、値上げをするといえば、いわれなくすぐに値上げをして大衆に押しつける、こういうことが何かあたりまえな、感覚が麻痺したようにされているように思うのです。特に国鉄運賃のごときは、従来値上げをするときには、こういうことをするから値上げをするのだ、こういうふうに大衆の利便をはかるから、受益者にプラスになるから値上げをするのだということが主体の説明があった。そのとおりできていない部分もずいぶんありました。しかし、まだまだ私はそれなら了とできるのです。しかし、今回の場合は、受益者負担といいながら、こういうふうに大幅な値上げをします、そのかわり大衆に対してはこれだけの利益を与えます、こういう仕事を通じてサービスの向上をいたしますというのが何らないのが、この国鉄運賃値上げの第一の欠陥だと思うのです。 第二の問題は、であればあるほどに、いつでも受益者負担というものを軽く扱われると、非常に大衆に迷惑がかかりますから、私は公共料金に関する限り、受益者負担の限界というものを設ける必要があるのではないか。特に国鉄のような公共料金の場合には、受益者負担の限界というものを設けておかないといけないように思うので、この限界を設けるという検討をされたことがあるかどうか。全然限界なしに、何か都合が悪ければ一番安易な受益者負担だ、値上げだ、こういうやり方を常に繰り返すことはもう許されないから、受益者負担の限界というものはやはり設けておく必要があると思いますので、これは総理が中心になりまして、十分な検討をする必要があると思いますが、そんなことをいままでは検討したことがありませんか。そういう気があるのか、全然そういうことを検討したことがない、もう限界などというものは全然考えたことがないというのか。 それから、今回の国鉄の値上げに関する第一の問題としては、これは事務当局でけっこうですが、一体この値上げを通じて何のサービスを与えようとするのか、どういう反対給付が大衆に対してあるのかということを、これは事務当局からお答えいただきたいと思います。
○丹羽国務大臣 ただいま、国鉄の今回の値上げの目的につきましての御質問でございますので、私からお答えをさせていただきます。 もうすでに御承知のとおり、四十四年度に国鉄財政十カ年計画を計画いたしまして、そして国会の御承認を得まして財政再建計画をつくった次第でございますが、その後自動車輸送の増強、それから経済社会構造の変革等によりまして、必ずしも国鉄の増収が伸びておりません。また、予想外のベースアップによりまして人件費等々が上がりまして、御承知のように、このままほうっておきますと、本年度におきまして千七百億ぐらい償却前赤字が出る、こういうことでございます。 しかし、ただいま御指摘がございました良質のサービスをどういうふうにするか、そういうのは一つもないじゃないか。これはこれから御審議を願う次第でございますが、国鉄も御承知のとおり、まだ国民の大動脈としての使命は相当強くございまして、新幹線につきまする要望も非常に強い。また最近の過密都市におきまするところの輸送増強、幹線の複線化、あるいはまた電力化、それから大都市関係におきまするところの輸送力の増強、また貨物におきまする中長距離に対しまする一貫輸送ということが非常にいわれておる次第でございまして、これらを思い切ってこの際設備投資をしていかなくてはならぬという観点に立ちまして、御承知のとおり、これからいろいろ資料も差し出しまして御審議を願いたいと思う次第でございますが、十カ年におきまして、設備投資におきまして何と一兆円、それから、いままでのいろいろそういった設備に対する利子負担その他、あるいはまた債務のたな上げ等につきまして一兆円、国におきまして二兆円の出資をしよう、財政援助をする。いままでにない画期的なことでございます。先ほど総理からお話がございましたが、御承知のとおり、鉄道公社ができましてから出資はわずかに八十九億程度でございまして、昨年でやっと新幹線につきまして三十五億出資がございまして、それだけでございますから、今回は千百八十四億という国の財政援助をするということは、画期的なことだと私どもは思っておる次第でございます。もとより先生御指摘のような、できるだけこれは利用者に負担をさせない、なるべくこれを避けて通りたい。私ども、いまの法制のたてまえからいたしますると、何と申しましても輸送サービスの対価というものは受益者負担ということが法制上のたてまえ、いままで慣行上のたてまえからなっておる次第でございまするが、たとえば国鉄であるとか、あるいは地下鉄であるとか、急激に非常な設備投資をしなくてはいかぬ。その利子負担あるいは設備投資の費用だけでもたいへんだというようなものは、できるだけやはり国からの援助、あるいはまた地方公共団体からの出資を求めまして、できるだけ利用者負担をしていかなくてはならぬ、こういうふうに思っておる次第でございまするが、御承知のように、最近におきまする燃料費の増高あるいは人件費の増高、大体いまの経済社会発展計画の伸び率で一二・一%に押えましても、大体十カ年でもって六兆四千億の経費の増がかかる、こういうところでございます。これも、大体計画といたしましては十一万人の、これは非常にあれでございますが、合理化をするといたしましてもそれだけかかる。一方におきまして、御承知の運賃も、そういうような可変経費の点は、ある程度ひとつ利用者に御負担を願わなければならぬということを考えまして、今回は実質一五%の運賃の改定をぜひお願いをしたいということで、運賃法改定を国会に提出いたしまして御審議をお願いしておる次第でございますので、よろしくひとつ御審議をお願いをいたします。 先ほどございました、要するに受益者負担の限界をどこにするか。これは非常に、私ども絶えず官房を中心といたしましてそれらの問題を研究しておりまして、設備投資のどの程度のものをやはり国あるいは地方公共団体に、いわゆる納税者負担にするか、あるいはまた一般利用者の負担にするかというような問題が出ておりまして、学者を交えましていま研究をしている次第でございますが、なかなかにその限界というものが、各学者におきましても、どの程度の限界をつかまえるかというととが問題でございまして、私どもといたしましても、いわゆる税の配分の問題でございまして、福祉行政にどのくらい出すが、それから、特定の利用者に対しまして一般の納税者の負担をどのぐらいにするかということは、非常な大きな問題でございますが、今回の点は、総理、大蔵大臣以下相当な決意をもちまして、この際国民の是である大動脈をいかにして生かすか、健全なるものにするかということで、そういう点でもって非常な決意を示された次第でございまして、あえてお願いをする次第でございますので御了解を願いたい、こう思う次第でございます。
○田中(龍)委員長代理 一言原委員に申し上げておきますが、もし御了承を得られるならば、この際、浅間山荘事件に関しまして国家公安委員長から発言を求められておりますので、中間報告をさせていただきたいと存じますが、いかがでございますか。
○原(茂)委員 はい、どうぞ。
○田中(龍)委員長代理 よろしゅうございますか。 中村国家公安委員長。
○中村国務大臣 お許しを得まして、連合赤軍による人質籠城事件の今日までの経過並びにこれに対する警察措置につきまして説明申し上げます。 二月の十九日、逃走中の連合赤軍が、軽井沢の河合楽器の保養所、いわゆる浅間山荘と称されておるものに侵入いたしました。人数は三人ないし五人ということであります。そうしまして、管理人の妻牟田泰子さんを人質に籠城以来、長野県の警察現地警備本部は、警視庁等の応援警察官を含めまして、最高時は約千四百名の警察官を動員して包囲体制をとり、人質の安全確認と救出並びに犯人の説得逮捕とを基本方針として、警察、それから人質の家族、犯人の母親等による説得を繰り返すほか、内部状況把握のための諸方策を忍耐強く講じてきたのであります。 しかしながら、猟銃等の発射(合計八十発、五人負傷)以外には彼らの反応は少なく、人質の安否を十分確認できないままに十日間が過ぎ、人質となっている中田泰子さんが、精神的にも肉体的にもきわめて憂慮される事態に立ち至ったのであります。 このような状況下におきまして、警察は泰子さんの救出を果たすためには、保養所内に立ち入り、犯人らの抵抗を排除するため断固たる措置をとらざるを得ないと判断し、本日午前十時から着手いたしておるのであります。 本日決行いたしております人質救出、犯人逮捕のための警察活動の概要について説明申しますと、出動警察官は、野中長野県警本部長指揮のもとに、地元長野県警察のほか、警視庁、神奈川県警察の応援を含めて約千人であります。突入方法は、午前九時三十分から最後警告を行なった上で、まず放水等で銃眼を制圧しながら、階段や銃眼を破壊して突入し、人質を救出するとともに、犯人逮捕に当たることを決意いたしました。 その後の実施状況を申し上げますと、午前九時警察部隊の現場配備を完了すると同時に、警告を再開し、午前九時五十五分からは最後の警告を繰り返しましたが、犯人らは何の返答もなく、かえって猟銃等を乱射して抵抗の姿勢を変えなかったのであります。 このため、午前十時四十七分、クレーン車による作業を開始し、まず三階から二階へ通ずる階段を閉塞し、次いで同階の便所の窓、管理人室の壁を破壊し、同十一時四十分三階管理人室へ、同時に一階、二階にも窓等を破ってそれぞれ警察官が突入し、人質の救出及び犯人の逮捕に当たっておりますが、まだ泰子さんを発見するに至っておりません。 一方、これは四時に私が警察庁を出てきましたときの報告でございますが、犯人は屋内に突入しようとする警察官の頭部をねらって銃撃を加え、午前十一時三十三分から同五十五分ごろにかけて玄関付近において警察官四人が負傷、うち一人が死亡しております。そのほか、午後零時五十分には、正面玄関前方の山の上で取材中のカメラマンが銃撃を受けて負傷しております。死亡者は、警視庁特科車両隊本部付警部高見繁光、四十二歳、散弾による顔面負傷、午後零時二十六分死亡。それから警視庁第二機動隊長警視内田尚孝、ライフルによる左眼上盲管銃創、これは私が出てくるまでは重体でございましたが、こっちに着いたときに、死亡したという連絡を受けました。以上で、死者は二人になります。 それから、警視庁第二機動隊員巡査大津高幸、散弾による顔面負傷でございます。これは重体というところではないようでございます。警視庁第二機動隊第四中隊長警部上原勉、散弾による顔面負傷。それから、信越放送のカメラマン小林忠治、三十六歳、この方はライフルによる右足膝貫通銃創であります。 なお、警察側は一階、二階の全部及び三階の管理人室、厨房を制圧しており、犯人は三階の屋根裏に一人、談話室に一人がこもっており、ベッドルームに人質と犯人が何人かいる可能性はありますが、その詳細は不明でございます。これは四時に私が来るまででございます。 〔田中(龍)委員長代理退席、瀬戸山委員長着 席〕 今後の対策でございますが、厨房及び玄関方面から放水及びガス筒などを使用して断固たる手段をとって天井裏及び談話室の犯人を制圧し、泰子さんを救出する方針であります。 それから、いま入ってまいりました情報によりますと、三時三十分から最後の作業を再開いたしまして、厨房から警視庁の機動隊の二機、玄関から九機がそれぞれベッドルームに向けてガス筒を集中発射し、ベッドルームの中に男が三名、女が一人おることを確認しております。この女性が人質の牟田泰子さんであるかどうかということは判明いたしておりません。 こういう状態でございまして、警察当局といたしましては、いま最後まできょうのうちに解決したいという気持ちで続けておる段階でございます。 以上でございます。
○原(茂)委員 冒頭申し上げましたように、心配したことがだんだん拡大していますが、早く解決するように祈ります。 国鉄値上げの問題に関して大臣にお伺いしておきますが、いまの累積赤字が二兆六千億円になるとか、いろいろのこまかい値上げの内容ですとか、そういうものを全部承知いたしておりますので、その前提なんですが、たとえば赤字線の三千四百キロを廃止するということを掲げていながら、しかも赤字線確実だと思う二百キロを新たに新設をする、こういう矛盾がどうしても納得できないし、こういうことはやはり勇気をもっておやりにならないといけないのではないかと思うので、これが一つ。 それから、まあ国鉄は公共事業だ。この公共性があるというので、公共性という名にかこつけて、赤字になるのを承知の上で新線をつけていくというような累積がいわゆる二兆六千億円の相当部分をやはり占めた元凶だと思うのですね。ですから何といっても、公共性という名に隠れて政治的に赤字が明瞭である線まで押しつけておきながら、それに対する予算上の配慮も手当てもしてやらないで赤字になった国鉄、これも私は気の毒だと思う。当然だと思う。これはもう政治の指針のとり方が悪い。いわゆる公共性という名に関して、やはりもうちょっときびしいワクを――もし明瞭に赤字になる線をやらせるというなら、その赤字線に関しては当初から予算の裏づけをしてやるということがない限り、公共事業をやっていけるはずがないという意味では、公共事業全体に対する姿勢、考え方がどうも今日まであいまい過ぎたし、安易に流れ過ぎた。これはひとり運輸省ばかりではありません。内閣全体の問題としても、どうも公共性という名に隠れて少しいままで甘え過ぎた、押しつけ過ぎたという傾向があるのですが、こういう点はいわゆる運輸当局として一体どう考えるか。
○丹羽国務大臣 ただいまの御指摘、私もそのとおりだと思っておる次第でございます。いわゆる閑散線と申しますか、大体三千四百キロというような想定でございますが、大体ランニングコストで五千キロのうち、輸送代替の可能性のないものとか、その他積雪の地帯とか、いろいろなものを含めまして、大体おおむねそのくらいのものを整理しなくちゃいかぬじゃないかというふうに思っている次第でございます。そういう点につきましては、ただいま御指摘がございましたように、国鉄の特性を生かすことができぬ、しかもよその輸送機関であれば十分それの効果も発揮できて経済的にもいいというものにつきましては、断固たる措置で合理性を貫いてまいりたい、こう思っておる次第でございますので、ひとつ御鞭撻をお願いしたいと思う次第でございます。 また、いまもう一つお話がございましたが、新線のほうでございます。新線のほうは、私どもといたしましては、新全総にのっとります国土開発計画、どうしても地方といたしましても必要欠くべからざるもの、いわゆる公共用で欠くべからざるものというような点につきましては、片一方におきまして廃止をする、片一方はつくるというところのいろいろな矛盾が先般の私どもの委員会でも指摘されましたですけれども、そういうことのないようにほんとうに合理性を詰めましてやってまいりたい。 ただいまの御指摘のそういうものにつきましては、すでに地方線につきましては、全然利子をつけぬ政府の資金においてやりました。国鉄に貸与する場合におきましても、無償で貸与するという方針をとっておりますが、それらにつきましても、合理性をあくまでも貫きまして、いわゆるそういう不合理、矛盾のあるような線はつくらせぬ決心でやってまいりたいと思う次第でございますので、一そうのひとつ御鞭撻と御指導をお願いしたい、こう思う次第でございます。 〔田中(龍)委員長代理退席、委員長退席〕
○原(茂)委員 時間がないから指摘だけしておくのですが、今度は、先ほどの受益者の限界というものがないという、まだそれがきまっていない、相談はしているということになりますと、やはり運賃の値上げで千七百億を充足するという案なんですが、この千七百億円上げるというやつも、勘で上げているのだというふうにしか受け取れないのですね。もっと確実な、科学的な、合理的な、千七百億はいわゆる大衆の受益者負担にするのだ、そういう根拠は何だということが、今後なるべく早くあらゆる機会に、この公共性のある事業に関する限り必ず発表するようにしなければいけないだろう、こう思うのですね。 それからもう一点は、ことし四十七年と五十年と五十三年、三回にわたって値上げをする。で、いまの案でいきますと、ちょうど運賃倍増ですね。五十三年で運賃倍増になりますよ、いまのこの値上げをずっとすると。ですから、もうきめたんだから値上げをするんだというんじゃなくて、いま申し上げたような確たる合理的な根拠というものをやはり算出して、大衆が納得するような数字を示しながら、五十年、五十三年は再度検討をする。これは、今回の国会で別途の法案として通過、成立したら、もう五十三年になれば運賃倍増でいいのだ、こういう考えは少し安易に過ぎるんじゃないかと思うんです。四十七年度はとりあえずこれでやむを得ないということになるかもしれません。しかし、五十年と五十三年までひっくるめて、ここでもうきまっちゃった、したがって運賃は五十三年で倍になるんだよ、これじゃどうもいわゆる大衆の側からいいますと非常に納得がいかないので、いまの千七百億に関しても、基本的ないわゆる根拠、そういう数字をもっと示し、大衆の納得を得た上で五十年、五十三年に関する値上げも引続き検討はする。そうしてそのつどやはり十分な納得を得られるような配慮をいま申し上げた手順でやる必要があるんじゃないか、こう思いますから、この点をお願いしておきます。一々これもみんなお伺いしなければいけなかったのですが、その時間がないようです。 次に健康保険の問題に入りたいのですが、その前に鉄道に関係して、運輸大臣もそうですが、山中さんにちょっとお伺いしておきたいのだけれども、沖繩ですね。沖繩に縦貫鉄道でもつくる計画はありませんか。あの島は、おいでになってわかると思うのですが、あそこには縦貫が一本あっていいのじゃないかというふうに思うのですが、敷設法ですか、何か法律があって、日本の島では淡路島ですか、この間入ったのは。どうも沖繩はそんなことになっていないようですから、まず沖繩に近い将来に鉄道の縦貫線ぐらいはつくるべきだと思うので、そういうことができるために、いわゆる沖繩本島を敷設法の中に入れるというようなことを、運輸当局と相談をして配慮をして、大至急に沖繩に縦貫鉄道ぐらいはつくるというようなことをしていただきたいと私は思うのですが、どうでしょう。
○山中国務大臣 これは先国会において、総理大臣からも、そのようなことも検討していく価値のあることであろうと、戦前の軽便鉄道等の例も引いてお話がありました。しかしいま、昭和五十年に予定いたしております沖繩の海洋博に対する運送手段その他について全力を傾倒いたしておりますので、現在、主として北部市町村の協力を得て、大部分が公有地を経過する高速道路の建設を、本部半島の海上まですみやかな調査をして着手をするようにいたしたいと思っておりますが、その効果等も見まして、沖繩に鉄道が必要であるというような結論に達しまするならば、これは海洋博に間に合わなくとも、そのような検討も将来すべき時期が、沖繩の長い未来においてあるいは必要であるかもしれません。しかし、沖繩の場合は、採算という問題は前提に考えてはならない、また、あり得ない条件下にあることも承知しての検討でなければならぬと考えます。
○原(茂)委員 厚生大臣にお伺いしたいのですが、健保の問題で、これもごく一、二だけしぼってお伺いしたいのです。 この間、答申が両審議会から出ました。この両審議会から出た答申を見ますと、これはもうほとんど政府の試案に対しては批判的であり反対的なんです。これをそのまままた政府がこの国会に出してこようとしているようですが、両審議会の答申というのは、去年もそうだったのですが、ことしまた、こういう反対の意向が強い、批判的な意向が強い、とにかくこれでは困るといっているものを、それをまた知らぬ顔をして、もとどおり、去年と同じ案をまたこの国会に出そうとしているのじゃないかと思うのですが、これは一体そういうふうになっているんでしょうか。出すつもりでしょうか。全然手直ししないつもりなのかどうか。
○斎藤国務大臣 ただいまのお尋ねは健康保険法の一部改正の問題であろうと存じますが、御承知のように両審議会から答申をいただきました。両審議会とも必ずしも一致した意見ではございませんし、また答申の内容も、その審議会が一致してこれは絶対反対というものも少ないわけでありますが、ただ、両方とも大体一致していると思いますのは、今度の諮問をいたしました一部改正は、これは財政対策の法案として出しているわけでありますが、その中で、保険の累積赤字約二千億余りでありますが、これをたな上げをして、そしてこれは、保険財政から返還するのでなくて一般会計から将来返還するようにしよう、そのかわりに、保険の費用がかさんでまいればある程度自動的に国の補助の率も上げるというような事柄が入っておるのであります。これはむしろ抜本改正に入れるべきじゃないかという御意見が両審議会ともございました。しかしながら、抜本改正は、これもただいま諮問中でございますが、政府管掌保険の赤字の解消対策として抜本改正をやるのでなくて、抜本改正は国民皆保険の見地から、ほんとうに皆保険のあり方としての保険改正をいたしたい、赤字対策としてやるのではございませんということで割り切って、抜本改正は政管の赤字対策としてやるのでないという見地からいたしますると、やはりこの財政対策の中に、本年度あるいは来年度の財政対策のみならず、恒久的な財政対策も織り込んで、そうしてこの政管健保の恒久的な財政対策というものができれば、抜本改正は財政対策と無関係にやってまいりたい、こういう趣旨で諮問をいたしたわけでございます。しかし、その点は意見が相違をいたしたわけでございますが、政府といたしましては、抜本改正は赤字対策としてやるのでないという趣旨を貫きたい、また、そのほうが適当であろう、かように思いまして、面審議会の意見どおりに修正をすることができなかったというのが現状でございますので、その点は特に御了承いただきたいと存じます。
○原(茂)委員 健保は専門に、また、ほかの問題もみんな同僚の委員から逐次詳細な質疑をする予定ですが、健保も、国防会議の議を経る、経ないというあの問題と同じように、審議会がせっかくあるのに、審議会の答申というのがほとんど尊重されていない、あるいは無視されているというところにたいへん問題があるのじゃないかと思う。ただおざなりに審議会にかげたのだというだけでずっと通ってきている。これも内閣の姿勢として私はどうかと思うのですね。こういうことは、もう毎年同じことをやっているのでしょう。だから、もうちょっといわゆる審議会の存在というものが政治に反映するということを、ぴしっとやらせるべきではないかと思うのです。おていさいでもいいから、一カ所か二カ所、そうか、じゃ変えてみるかといったようなことでもだんだんやっていかないと、こんなばかげた、審議会を何か言いわけをする道具に使っているような状態で今回の両審議会の答申を扱っている。 いまお話を聞くと、わずかしか一致した意見がないように言っていますが、社会保険審議会にしても、三者とも共通している問題は三つある。あるいは二者が一致している問題が二つある。全然三者とも意見の合わない問題が幾つかある。あるいは社会保障制度審議会の答申に至っては、これは全会一致なんだ。その両審議会の意見で一致している共通の問題も三つある。というと、意見不一致なんという問題はほとんどない。これはもう何と強弁しようとも、徹底的にいわゆる審議会を尊重する、審議会の貴重な労力に対してその意見を取り入れる、あるいは検討を十分にする、そうしてそれを反映させるという姿勢がない限り、しかもこの健保の問題に関しては、労働階級もまた、先ほど言ったように相当大きな負担を受けるのです。相当大きな迷惑がかかる、たいへんな大幅な値上げになるのだというようなことを考えると、どうもいまのような御答弁でいいかというと、それじゃ済まない。 私はそのことだけ申し上げておきたいのと、もう一つは、抜本改正に触れられましたが、抜本改正なくして――財政調整なんというのを二本の柱に今回出されてきているようですが、財政調整というのはあとのあとなんです。抜本改正がもちろん先なんです。しかも、その抜本改正の中には、医療制度そのものに相当思い切ったメスを入れないと、お医者さんたちの現状をそのまま放置しておいて、そうして患者にのみ負担がかかることを安易にやっていくことは許されない、こう私は思う。国民皆保険という精神からいっても、これは非常に時代の逆行の性格を持った法案をいま出そうとされているわけです。これはもう断じて許すことができません。 ましていわんや財政調整の名によって、組合健保、これを政管健保の赤字の埋めに使おうという構想を具体的に出ていますが、これは逆なんです。現在の赤字の元凶である政府管掌健保というものを組合化していくということで、組合間の調整をはかっていくことを次に考える、そういう考え方でなければさか立ちしたいわゆる健保行政なんであって、抜本改正なしに財政調整に手をつけることは絶対いけない。論理的にも大きな矛盾がありますから、これは別途にまた論議するとして、とにかく私の決意としては、今回の健保一部改正案に対しては、いまのような内容である限りは、これはもう国会をあげて絶対に承服することができないということだけ、ひとつ申し上げておきたいと思います。 それから次に本来の順序に戻って質問を申し上げたいと思うのですが、きょうお伺いいたしております矢野さん、佐々木さんの、いわゆる米中問題に関する、あるいは四次防問題に関する趣旨なり御論旨に関しては、全面的に同感でございますので、これと同じことを触れることは、時間の関係もあり、避けたいと思いますが、ただ、米中関係の問題に関して一つの筋だけお伺いしたいと思うのは、政府は中華人民共和国のいう平和五原則をアメリカと同じようにお認めになるかどうか、これを第一にお伺いをしたい。
○福田国務大臣 平和五原則はまことにりっぱな原則である、かように見ております。
○原(茂)委員 先ほども矢野さんの質疑応答を見たり佐々木さんの質疑応答を見ましても、はっきりした、ぴしっと回答が返ってこないというきらいがあるのですが、いまも、りっぱなものであるということをお認めになるということで、結局はまあまあ政府としても、平和五原則を正式に認める方向で現在模索、試行をしているんだ、こういうふうに私のほうで理解をしておきたいと思うのです。 そこで二つ目の問題に入るのは、いまいわゆる日華平和条約というものがあるわけです。いわゆる台湾と日本との日台条約ともいっています。この条約は本来、中国を代表するという前提でいわゆる国民政府がわが国と締結した条約だと思うのですが、そう理解してよろしゅうございますか。
○福田国務大臣 これは地域的にいいますと多少問題があるのです。つまり中華民国、国民政府が実効的支配を及ぼしておるという地域に適用される、こういうふうに考えております。しかし、地域的な観念のない分野につきましては、これは中国を代表する政府として締結したものである、さような理解であります。
○原(茂)委員 そこで私は、一国の政体をきめるのはその国の国民だと思う。これはおそらく同感だろうと思うのですが、日本だって例外ではありません。ということになりますと、たとえば米中共同声明に見られますように、アメリカですら、いわゆる全中国人民の意思がこうだ云々ということばを使っているのですが、わが国の場合も、やがて中国全人民の意向が、たとえば日華条約を廃棄するとか必要としないとかいう決定をしたとき――私どもがきめるのじゃないのですよ。中国の全国民が、いわゆるこの条約に関する態度、意思を決定したときには、わが国はそれに従わざるを得ないだろう。たとえば、中国人民の意思が、全部の人民の意思として、日華条約というようなものは認めない、廃棄すべきだ、やめるべきだ、こういうような決定をされたときには、日本がそうする、しないではなくて、わが国が当然のこと、その国の国民の意思決定がそう出たときには、それに従うということはあり得ると思うのですが、どうでしょうか。これは総理、どうでしょう。
○福田国務大臣 国民政府、これは条約の対象国でありますから、国民政府が、日華条約を廃棄いたします、こういう決定をいたしますれば、わが国もこれに応ずるというほかはないと思います。
○原(茂)委員 私の申し上げているのは、いまの台湾政府が、あるいは台湾の国民がそれを決定するというのではないのです。米中会談の声明にあるように、ニクソンですら、台湾の人民も本国の人民も含めて、全中国の大衆、人民の意思がという表現を使っているのと同じように、今後、万が一中国全人民の意思がきめられてきた場合には、日本もそれに従う。たとえば中国自体の決定で、中国人民の全体の意思として、いわゆる日本と結んでいる台湾の条約に関して意思表示があれば、その意思表示には、日本は、わが国は従わざるを得ない。日本が廃棄するとかしないとかいうのじゃなくて、あちらが中国人民の意思として、台湾が日本と結んでいる条約に対する何らかの意思表示があったときに、決定があったときには、それに従うのが、人民の意思によって政体が決定されるという前提がある限り、それを日本は認めざるを得ないだろう。そのときには、自動的にいわゆる台湾問題の違った角度からの解決というのが、そういうケースでもあり得るのではないかと、予想を前提にしていま私は言っているわけです。日本からいま台湾をどうするかということは、政府の立場でお考えになっても、われわれに対する明瞭な回答は当然得られない。いままでの御答弁をお聞きしてもよくわかります。いわゆる中華人民共和国との話し合いの過程でその問題はおのずから解決できるのだ、この態度を貫いておいでになる。やむを得ないと思います。しかし、その前に、米中がいま会談をしている、あれがもっと進んでいく、いろいろな形で発展したときに、中国人民の意思として、いわゆる台湾と日本と結んでおります日台条約に関して何らかの意思決定があったときには、中国全人民の意思決定である場合には、その決定を受けてわれわれは対処する、従うということがあり得るだろうと思うので、そのときには従うのじゃないかという、そういう質問をしているわけです。
○福田国務大臣 政治的にはいろいろの見方がございましょうが、全人民のその意思を代表する――一体どういう形でそれが代表されるのでしょうか、やはりこれは、人民の意思を代表するものは当該政府である、こういうふうに考えるわけです。したがいまして、わが国が日華平和条約を締結しているその相手方は、これは中国人民ではありまするけれども、これを代表するものは中華民国、国民政府であったわけなんです。ですから、国民政府から、廃棄しましょう、こういう意思表示があれば、これは受けて立つ、当然のことだと思います。
○原(茂)委員 私の質問している意図がまだよくわかっていただけないのだけれども、これは時間がもったいないので、あとでこれは個人的にまた話しますが、ちょっと私は違ったことを考えている。そういう角度、アングルからいわゆる台湾問題というものをひとつ検討する必要があるのじゃないかということに最後には持っていきたいのですが、時間がありません。これはペンディングにしておきますが、その次に先ほどもちょっと話が出たようでしたけれども、今度のニクソンの訪中というのは黙示的承認を意味するとおとりになりますかね、事実上の承認とおとりになるか、どうでしょう。明示的な承認ではもちろんないのですが、アメリカが中国に対してこの黙示的な承認をしたのだ、ニクソンの訪中というのはいわゆる事実上の承認なんだ、あるいはもう一歩進んで黙示的な承認ととれるのだ、これはどちらにおとりになりますか。
○福田国務大臣 私は日本の場合とアメリカの場合は非常に違うと思うのです。日本の場合は国交の正常化、つまりその終着駅は何だといえば、承認であります。大使の交換であります。ところがアメリカはそこまで言わない。米中関係の正常化というふうに表現をいたしておるわけであります。つまり私から観察いたしますれば、米中関係をどういうふうに打開していくか、これは積み上げ方式でやっていくんだ、こういうことでございます。終着駅を示しておらぬ。そういうようなところから見まして、どうも事実上の承認だとまで言い切るのは少し言い過ぎではあるまいか、かように考えております。
○原(茂)委員 私は、明示的承認がある。黙示的承認、一番下が事実上の承認だ。こういう意味ではニクソンの訪中というのはもう事実上の承認であることには間違いないと思うのですね。事実上の承認であることは間違いないと思う。もう一歩突っ込んで、黙示的な承認であるというふうに私は解釈すべきだと思っているんです。しかしこれはただ現象をとらえての問題ですし、中身がまだ今後どうなるかわかりませんから、外務大臣おっしゃるように、事実上の承認ということも少し言い過ぎじゃないかと言われますと、一体あれは何なんだろうということになるのですね。外交上のことばとして言おうとすればこの三つしかないわけですからね、承認には。事実上の承認、黙示的承認、明示的承認しかないのでしょう。ですから、そうでも言えないという――しかもアメリカの大統領が未承認国の中国を訪問してあれだけの会談をやったというような事実は、私は最小限度でも事実上の承認ということになるんじゃないかと思う。これは見解が違うようですが、私はそう思う。もう一歩突っ込んで黙示的な承認と私はみなしているわけです。もっと近くアメリカが中国を承認し得る状態というものがもうここにできてきたのではないか。これは将来のことですからわかりません。そういう意味で黙示的な承認と私は響いたいのですが、福田外務大臣がちょいちょい、もしできればおれも中国へ行きたいし、行ってとにかく問題の解決に当たりたい、そのチャンスがないから行けないだけなんだ、もう中国問題解決のためには私自身が行こうという決意を持っている、こういうことをあらゆる機会におっしゃっておいでになります。私は万が一外務大臣が中国へ何らかの形で訪問ができるということになったら、するチャンスがあってするようになったら、あるいは佐藤総理が中国へ行くというようなことになったときには、これは一つのいわゆる事実上の承認あるいは黙示的承認、ニクソンの訪中と同じようなそういう性格を持つんじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。その事実上の承認のできる前提づくりはもちろん必要ですが、その上でとにかく行ける、行って会談をするというようなことになったときには、事実上中国を承認したということに理解できるんではないかと思いますが、どうでしょうか。
○福田国務大臣 わが国は中国に対しまして中国は一つである、それから中華人民共和国は中国を代表する政府であるというたてまえをとっているわけです。そういうたてまえのもとに日中国交の正常化をいたしたい。その正常化をするために政府間の接触をいたしましょうと、こう言っているわけです。その接触の方法は、これは私は第三者を通ずるとかなんとかそういう必要はないと思うのです。つまり政府の首脳が中国側の首脳とじかにぶつかる、こういうことでいいと思うのです。あるいは総理が北京を訪問される、これも一つの行き方でしょう。あるいは外務大臣が行くということも一つの方法でしょう。あるいは特派大使をして交渉せしむるということも一つの方法だと思います。しかし、この接触というものは、先ほど申し上げましたように、日中国交の正常化をはかる、その前提として中華人民共和国を中国を代表する政府として考える、こういうことでありますから、終着駅は、もし話がちゃんとつきますれば、国交の回復、つまり承認行為、また大使の交換というところまで行くわけですが、そこまで行く前の段階としての初めての政府間接触、総理の北京訪問、外務大臣の北京訪問というようなことがありといたしますれば、それは承認への第一段階を画するものである、こういうふうに考えてよかろうと思います。
○原(茂)委員 いまお答えになったことは、もう何回もお伺いしておりますからよく理解しているんですが、中国に実際に何らかのルートを通じて接触を試みているということがちょいちょい言われるんですが、具体的にここで言えるんでしょうか、どんな方法でいま接触を試みているということをですね。アヒルの水かきだそうですけれども、これが一体どんな方法で実際にやっているかという、具体的に何かわれわれにここで公開で言えるものはなんでしょうかね。言えるんでしたらちょっとお聞かせいただくと、私たちにも知恵があるかもしれないのですが、どうでしょうか。
○福田国務大臣 最も有効な接触への努力、これは何かといいますれば、国会を通じてわが国の日中国交打開への熱意を政府当局が表明をいたしておる、このことだろうと、こういうふうに思います。しかし、それでもあるいは足らぬということもあるかもしれない、そういうことを考えまして、まああるいは人を通じましてそういう日本の真意を語らしめるという努力もいたしておる、これは総理がたいへんいろいろと苦心をされておるところであります。 また何かいいお知恵でもありましたならば承りたい、かように考えます。
○原(茂)委員 まあ具体的にはお答えがないようですが、私たちもできるだけ日中の接触に関しては思い切ったやはり前向きの姿勢でおやりになることが必要だろうと思うのですが、その前提にしましても、ニクソンの訪中に関しては頭越しということばが使われましたけれども、こういう政治的な頭越しのほかに、今度の米中会談を通じて経済的にも日本の頭越しが行なわれるきらいがあるのじゃないかという気がするのです。経済的にも頭越しが行なわれる危険がある――危険じゃない、そういうことも予想されるというように思うので、それを考えますと、少なくとも日本もあの例の吉田書簡ですね、それとココムに関する明快な従来の懸案としての態度、処置、これをしませんと、私はどうも経済の頭越しが米中の間に行なわれるだろうと思います。たいしたことはまだありません、事実。しかし、そのことが急速度に日本の経済にとってもある種の影響の来ることは間違いない。それを考えても、私はやはりここらでわれわれのなすべきことは吉田書簡をどうするかということ、これをはっきりしないとにっちもさっちもいかなくなるだろうと思う。ココムをどうするのか。ココムに対する態度もここでまた再度検討して明確にする必要があるのじゃないかというようなことを考えますが、この点どうでしょう。
○福田国務大臣 事、経済につきましては、アメリカが日本の頭越しをしておるというのじゃなくて、むしろ日本のほうがアメリカの頭越しをしておるというような状態かと思うのです。わが国は、いま御承知のとおり、九億ドルの貿易をいたしておるわけです。それに対しましてアメリカのほうはわずかに昨年五百万ドル、それくらいの貿易です。そういうことを考えますと、決して経済でアメリカが日本の頭越しだというようなことはなかろうと思います。しかし、政治的に日中関係というものが非常に変わりつつある。ことに昨年の十月国連に中国が加盟をいたしておる。こういうようなことを考えまするときに、わが国は中国との間にかなり大きな貿易をやっておりまするけれども、さらにさらにこれを積極化するということを考えていいと思うのです。 吉田書簡は、これは輸銀に関する問題でありますが、私どもは最近におきまして、この輸銀の使用問題につきましては中国は他の国々との間と同様に前向きでこれに対処するという考えにいたしております。これに関連して吉田書簡はどうだということでありますが、これは一個人の手紙でございまして、これを廃棄するとかしないとかいう問題ではないのです。もうすでに死滅しておる、これはもう相手にされる必要はない、口の端に乗せられる必要のないぐらいな問題である、こういうふうに考えております。 また、ココムにつきましては、ちょうどただいまパリでココムに関する会議が行なわれておりまするけれども、わが国はこのココムの制限はなるべくこれを撤廃しよう、こういう方向で臨んでおる次第でございまして、まあ全廃ということにはならぬと思いまするけれども、今後はかなりの緩和が行なわれるでありましょう。こういう見通しを持っております。
○原(茂)委員 時間がありませんので、次に、四次防の問題にちょっと触れたいのですが、私は今回の四次防中心の国会の二十日間にわたる空白というもの、これはやっぱり二百九十九の絶対多数の議席を占める自由民主党といえども、やはり肝心の政策の決定の上で誤りがあれば少数のわれわれに敗れるという、その意味では民主主義の正しいルールが、議会制民主主義というものの正しい妙味というものが初めてここに発揮されたのだという意味で、勝った負けたのではないのですが、たいへん貴重な記録を残しましたし、あるいは国会議員としては与野党を通じて私は同慶にたえないとすら実は考えているわけであります。この四次防そのものを、先ほどのお二人の論議にダブらずにものを申し上げるのですが、考えますときに、四十七年度の防衛予算との関連でいろいろと論議があったわけでありますが、四次防そのものを四十五年にフランスのル・モンド紙が取り上げまして、おそらく日本における第四次防というものは日本が初めて正式に再軍備を行なう出発点になるだろうということを、あれはたしか九月の幾日かに社説で書いていました。何かこう外国のほうですらこの四次防というものを取り上げたときに、あの内容を見たときに、新鋭の装備の、いわゆる整備を考えるわが国の防衛方針に関して、初めてかつての軍国日本を思い出してそれに通ずる再軍備へのスタートだ、こういったきめつけを行なうような感覚で外国ですら見ている一つの例だと思うのです。そういう意味では、私どもがいろいろと沖繩国会を通じ、今国会を通じていま論議をし、これからも論議を展開するわけですが、私は、この四次防を中心に紛糾をした国会を通じて国民が――これは国民にあえて申し上げることになりますが、一体わが国の安全保障というものを武力防衛という観点で考えている自由民主党の皆さんの考え方が、いまのいわゆる緊張緩和の状況がもし出されているこの時点でも正しいとお思いになるのか、あるいは私どものようにわが国の安全保障は話し合いによるという考え方がいいとお考えになるかを国民がいよいよ選択をする時期が来たと思うのです。得来はその点が非常に混迷していて明瞭でなかったわけでありますが、今回のこの空白の時間を通じて四次防というものは何だろう、これにつれた四十七年度の防衛予算の八千三十億というのは一体内容は何だというようなことにかつてない国民的な関心が寄せられた約十九日間だと私は思う。その意味では国民がいままでは何かこうあまり身近なものと感じていなかった防衛、わが国の安全保障というものに対して再度認識を持ち始めた非常に絶好の機会があのトラブルによって与えられたのではないかというふうに私は考える意味で、第一に申し上げたいまのまあまあ議会民主主義の妙味をたいへん発揮した、少数といえども、多数党のあやまった政策決定があれば、その意思が通るという事例を残したことと、これを通じて国民があらためてわが国の安全保障、防衛というものを見直し、考え直し、一体武力による防衛がいいのか、そうして国民の税金が年々歳々いわゆるエスカレートして拡大されて使われていくようなこの防衛、安全保障がいいのか、話し合いによるわが党の安全保障政策がいいのかを十分に見定める機会を与えられたという意味で非常に貴重だったと思うのですが、この点第一、第二の問題に関して総理のお考えをお聞きしたいと思う。
○佐藤内閣総理大臣 今回の防衛問題につきましては、いろいろの意見がかわされるだろうと思います。最も国民に私どもが期待するものは、やはり何といってもわが国の安全と独立を守るためにわれわれがいままで払ってきたいろいろの効果のある諸措置、そういうものについて十分の理解をしていただきたい、かように私は思うのであります。どうもわが国のこの基本的な問題が「国力、国情に応じ」というような表現はしておりますが、また他国に脅威を与えない、そういう自衛力の整備だ、こういうことを言ったりあるいはまたすでに国会でも決議されましたように非核三原則、さらにまた私どもが徴兵制は持たないとかいろいろ言っておりましても、さっきのル・モンドではありませんが、日本は軍国主義化するのではないか、またこのことが今回のニクソン大統領の訪中に際しましても、あのコミュニケのうちにそういうことばが出ている。私はそういうようなことを考えながら、いまの状態が軍国主義化は絶対にしない、また徴兵制なども採用するような考えはない。このことを考えると、一連のとっておる政策はそんな危険なものでない。これはル・モンドやあるいはアメリカの一部にもそういう議論がある。かように私は聞いておりますが、また一面からいうと、日米安全保障条約は日本の軍国主義化を押える一つの歯どめにもなるのだ、こういう全然変わった意見も出ております。しかしわれわれの選んでいるその道は、これはどこまでも平和憲法、その趣旨、またそのワクをはみ出るものでないことは、これだけは私ははっきり申し上げ得る、かように思います。そういう意味から、今回の問題が起きたこの機会に、さらにこの自衛力、こういう問題についてもっと国民的なコンセンサスも得たいし、また各党の御理解もぜひ願いたい、私はかように考えるものでございます。
○原(茂)委員 そういう点では立場が違いますから、違った角度でお答えがあったので、それ以上は追及いたしません。 この四次防あるいは四十七年度の防衛予算を通じて二つだけお聞きをしておきたいと思うのは、あるいは私の意見が御批判をいただくことになるのかもしれませんが、多くの事例がありますが、それはこの場であまり言うべきではないと思うけれども、いわゆる産軍複合ということばがございますね。今度の四次防に関して、四十七年度を初年度にしなければいけないという政府のかたくななまでのこの態度、あるいは国防会議を急遽開いて大綱をおきめになってまで、いわゆる四次防をここで日を当たらせたいと考えたああいう事態等をからめてみまして、もうすでに、わが国の今日の経済界の様相からいって、この不況といわれる状態であればあるほどに、軍需産業、兵器産業というものによってわが国の財界が今後生きていきたい、今後に対処したい、しかも長期の戦略をもって、いわゆる自主防衛ということばによるわが国の財界の方針というものが、兵器産業を中心にこれから拡大していこうという、経済の安定化をはかろうという、そういう意図というものがあらゆる角度から明瞭になってきているわけであります。あらゆるところで、あらゆる発言が集中的になされて今日に至っています。単なる想像でなくて、たくさんの事例がありますが、あえてここで具体的に申し上げることは必要としないと思う。このような産業の要求というものが圧力となって、四次防なりあるいは四十七年度の予算にたいへん大きないわゆる影響を与えて今日のいままでに至る事態が起きた一つの原因にもなっているということを考えますと、私はそのことのあるないを御答弁をいただこうと思うのではない、そういうことを考えると、やがて、一度たとえばT2にしても、RF4Eにいたしましても、あるいはその他の新鋭、目玉といわれる問題の兵器というものが練習機だ、あるいは偵察機だ、輸送機だといいながらも、これが初年度二十機だ十四機だといっておるものが、やがてもうすでに二十機だ百機だ三百機だというようなものがきまって、後年度にまで予算がもうすでにきめられていくような、そういう長期の見通しに立った兵器産業としてのいわゆる拡大、設備の強化というものが私たちの知らない間に非常に大きくわが国の産業分野を占めていく、どんどんどんどんエスカレートしていく、こういうものを一体、万が一国際緊張が非常に緩和されて、わが国の自衛隊を中心に考えても軍縮をしてよろしい、軍備の縮小ができる時代になったというようなときがあったときに、はたしてそこで兵器産業が拡大していく、エスカレートしていく本能的な動きに歯どめを食わすようなことができるかどうか。私は従来の、過去の経験からいうなら、できた事例を見たことがない。今日アメリカが非常に経済的な困難を感じているのは、ベトナム戦線を縮小することによる兵器産業をどうしても転換しなければいけない。これが今日アメリカの二年、あるいは三年、ことしの事態であることは知っておりますが、わが国の場合などは、かつての戦争におけるあの事態を見ましても、どんどん、いわゆる兵器産業が拡大に拡大を告げていってわれわれの生活をあのどん底におとしいれて、しかも敗戦のうき目を見るという事態を招来した経験があるだけであります。はたして、いまのようにどんどんどんどん先取り先取りで、まるで兵器産業のエスカレートしていくこの事態に対して、どこで歯どめを食わせ、どういうときにこれを縮小するという保証があるのかどうかがたいへんな問題だと思うのであります。 しかも二つ目の問題点は、いまいわれております目玉商品というT2にしてもRF4Eにいたしましても、これに代替できるアメリカのグラマンあるいはその他の会社でできるこの品物を買いますと、大体半値で買える。十四億だといっておりますが、この十四億が七億で買えてみたりというふうに、大かた半値ないし三分の一のものもあるということを考えますと、国産ということで、いま防衛庁の防衛の基本方針にありますように、いわゆるわが国の国産技術の開発を行ない、この開発された技術を中心に国内産業を通じてわが国の防衛力の充実をはかるという基本方針がうたわれていますから、それに沿ってやるのだということになるのでしょうが、私はやはり国防会議では無理かもしれませんが、もう少し決定的な論議というものを――一体兵器そのものを必要とする場合でも、国産か輸入かという問題のこの限界をきちっと設けておかないと、私は原則としては輸入が一番よろしい、しかし輸入だけにたよって、国内の技術開発をしながら平和的にそれを利用する、いわゆる兵器産業だってあり得ます、そういうものまでストップをかけるということはどうかと思うので、十分なくふうと検討をして、いわゆる限界を設ける必要がある。そうでないと、どんどん、どんどんエスカレートして、もう拡大された兵器産業界というものをとめる力がもう日本になくなるという事態が非常におそろしいのであります。そのことが予想されます。しかも現在の試作機のごとき、あるいはわずかな数を買おうとする、つくろうとするときには、半値で買えるということは国民の大きな利益にも通ずるということを考えますと、ここらでいわゆる防衛力の国産というものに対してその限界を設けることにも留意を払っておく必要があるのじゃないかと思うのですが、こういう点が一体、本来の四次防あるいは四十七年度の予算などを考えましたときに、やはり私は相当大きな圧力になって、いま政治そのものが押し流されているようにすら感じられてなりませんし、その裏には、先を考えていま言った三つの不安がある、何とか歯どめを食わせなければいけないというようなことを考えておりますが、これに対して、これは防衛庁長官でけっこうです。
○江崎国務大臣 いろいろ御指摘でありますが、先にこの防衛産業、兵器産業の件から申し上げますと、御心配の点はごもっともだと思うのです。ところが現在の時点では、とうていそこまでは行っていない。それは鉱工業生産に占めます現在の日本の防衛産業というものは、わずかに〇・四%、それから私も実は戦中派ですからそういうことが苦になりますので、赴任早々、実は兵器を生産する上位十社、これの総生産量、その会社上位十社が兵器を一体どれだけつくっておるか、これを計算させてみたのです。そうしますと、上位十社が総生産額の三・八%、それからよく議論になりますT2などの主力契約会社になっております三菱が、防衛生産というものが六・四%ぐらい。ですから、これはまだまだ産軍複合といったようなアメリカ式の憂慮などということにはほど遠いものであります。そればかりか、現在御存じだと思いますが、海上自衛隊の艦船などを発注をいたしまするというと規格がめんどうであるし、検収がめんどうだというわけで、いま、造船事業というものが盛んであればあるほど、実は、海上自衛隊の船の受注を、必ずしも造船会社では喜ばないという傾向すらあらわれておる。ですから、御指摘の点については御心配はないわけでございます。 それから、第一点で御質問になりました、なぜ四十七年度を初年度とするのかということ。これは、年度内に策定をして、できるならばこの予算審議の締めくくりぐらいまでの段階には出したい、こういうことを考えておったわけでありますね。これが先へ延びたというわけなんです。ですから、四十七年度を初年度とするととが、これが自然である。政府側としましても、全くこれは正直なところなんです。また、これを拙速できめなかったということも、これは、私は、シビリアンコントロールの一つのあらわれというふうにお聞き取りを願いたいと思うのです。 しからば、なぜ継続をさせるのかという点でありまするが、これは本年度の八千三十億――いまは八千二億になりましたわけですが、ここの中にも、実は、三次防から国庫債務負担行為で送り込まれて、現実に品物になって経費として落とすものが二千億円あるのです。今後も合わせますると、三千七百億程度というものが三次防からずっと送られて入ってくるわけでございますね。したがって、継続的であることが望ましい。また、自衛隊の装備というものは、御承知のとおり、あのT2等にしましても、今度はこれが凍結されたわけでありまするが、品物を見るまでには二年という時日がかかる。そうすると、これは空白を置かないで継続的に流れていくことが、これもその性格上望ましい、こういうわけでございます。しかも、日本の武備というものはゼロから始まったわけでありまして、まだ充実の段階にある。私どもとしてはこういう見解に立つわけで、これは見解が分かれるところでありまするが、そういう意味で、実は、継続が望ましい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○原(茂)委員 時間が詰まってきておりますので、特に、冒頭に申し上げたように、矢野さんやあるいは佐々木さんの御質疑とダブらないようにしていますから、答弁も同じことをおっしゃらないで――よくわかっておりますし、全くあのお二人の意見に同感なんでありますから、そのことを言おうとは思いません。全然ダブらないようにという配慮でやっておるわけであります。 結論的に言いますと、この四次防というものは、結局、グアム・ドクトリン――ニクソン・ドクトリンからいっても、やはりアメリカの防衛の肩がわりを日本がさせられるということに結果的にはなる。緊張緩和をしているという、そういう雪解けムードがあるのにもかかわらず、わが国は、遺憾ながら、アメリカの肩がわり、いわゆる防衛分担、防衛計画の分担というようなものをさせられるという心配、そういうものを十分に私は事前にも言える準備がありますが、これは見解の相違になるでしょう。しかし、そういう心配があるし、そういうことがあっては断じていけないいまであればあるほどに、少なくとも、話し合いによる安全保障という道を、困難があっても徹底的に模索すべきだというのが私どもの態度ですから、四次防はもとより、それから四十七年度の八千三十億のこの予算に関しても、断固これは絶対認めるわけにいかないという立場であることだけは明瞭に申し上げておいて、最後の問題に移りたいと思うわけであります。 最後の問題は、特に総理、外務大臣にお伺いしたいのですが、北方領土の問題なんであります。 いきなり領土の問題を申し上げようと思わないんですが、海の資源というものは非常に重要になってきたことは御存じのとおりであります。わが国には、海洋国家ですから、特に、海底を含めた海の資源というものは非常に重要であります。この海底資源という問題に真剣に取り組んでいかないと、たいへん国際的にも大きなおくれをとる心配があるので、というたてまえから言えば言うほどに、いわゆる千島列島、あるいは竹島、尖閣列島というような、いわゆる日本の領土権を明確に堂々と主張すべき問題は、やはり政府としても、大胆に、しかも、あらゆる機会にそれを主張し、わが国に返還されることを実現するように努力をすべきだと思いますし、その点では、われわれのなすべきととがあれば、思い切って、野党であろうと協力を惜しみなくしたいという前提でお伺いをしたい一点が、いわゆる北方領土の問題であります。 で、グロムイコ・ソ連外相がこの間来日しました。これは、たいへん重要になってまいりました日ソ関係の改善、あるいは日ソ両国人民の友好というような、非常に前進的な話し合いが持たれたようでありますが、日ソ定期協議が、ようやく久しぶりに、グロムイコが来て持たれたのですが、このときのおもなテーマというものは一体何だろうと考えてみますと、日ソ共同宣言以来、ほかの問題はほとんど解決したといいますか、ルールがついたということになれば、グロムイコが日本に参りましたときの問題というのは、領土問題以外にないというふうに考えるのですが、領土問題にお触れになってグロムイコとの会談をおやりになりましたかどうか。
○福田国務大臣 日ソ定期協議では、もちろん広範な問題が論議されたわけです。世界の問題、また両国間の問題。両国間の問題といたしましては、わが国の首相、またソビエトの首脳の相互交歓訪問の問題、あるいは定期協議を毎年一回以上やりましょうとか、あるいは漁業の問題、あるいは経済開発の問題、貿易の問題、文化、科学技術の交流の問題、そういうような問題が話し合われておりますが、この領土の問題、これはわが国として最も重大な問題でございます。 そこで、私は、グロムイコ外務大臣に対しまして、ソビエトロシアというあの大きな領域を擁する国から見ますれば、国後、択捉、歯舞、色丹のごときは、ほんとうに細事たる、びょうたる四つの孤島じゃないか、これが解決されれば日ソの間に平和条約が締結される、平和条約が締結されるということは、日ソ友好関係というものを定着させるという効果があるんだ、その大きな効果から見れば小さな代償じゃございませんか、どうかひとつ、ふん切りをつけてもらいたい、こういう話をしたわけなんです。そういうような話は、私ばかりじゃない、歴代の外務大臣あるいは総理大臣から話をしておるわけでありますが、いままでの経過を見ますると、これはもう解決済みな問題であるといって話に乗ってこなかった。今度は、様子が少し違うのです。わが国にもわが国の国内事情があります、そういうことを考えると、わが国としては非常にまた頭の痛い問題であるというようなグロムイコ外務大臣の応酬でありました。私は、ああ少し調子が従来と変わってきたなということを感じました。まあ、しかし、とにかく、一九五六年でありますか、日ソ共同宣言が発せられた。その際に、この共同宣言に引き続いて平和条約の交渉をいたしましょう、こういうふうになっておったにかかわらず、今日まで平和条約交渉というものが行なわれておらない。そのゆえんのものは何かといえば、国後、択捉、この両島がひっかかっておったわけなんです。平和条約とは何だといえば、実体は領土の問題を確定するということなんですから、とにかく、日ソ平和条約締結のための交渉を本年内に行ないましょう、こういうことになったわけでありまして、まあ、私は、この会談はそういう意味において非常に大きな意義を持っておった会談であった、かように考えております。
○原(茂)委員 いまから言うと十五年前ですか、日ソ共同宣言が締結されましたね。発表されました。日ソ共同宣言。あの時点に、この間グロムイコが来て初めて返ったんだと私は思うんですよ。グロムイコが来て、日ソの定期協議が久しぶりに開かれて、何か成果があったようにちょっと感じやすいのですが、私は、何にも成果はなかった――何もと言うと大げさです、が私は、十五年前の日ソ共同宣言の、あの宣言に従って、領土の問題をまた話し合いを始めたという感じなんですね。一つもあの当時から進展はしていない。いまの答弁を聞いて、ですね。私の言いたいのは、成田委員長がこの国会の冒頭で代表質問をしましたときに、佐藤総理の答弁がございまして、そのときに、総理は、私は、成田君のように、歯舞、色丹で平和条約を結ぼうとは思わない、国後、択捉が返ってきたときに平和条約は結ぶのだ、こういうふうにおっしゃったように記憶しているのですね。ところが、私どもは、歯舞、色丹でいいなんということを考えてはいないのであります。千島といえども日本の固有の領土なんですから、国後、択捉を含めた南はもちろん、北千島といえども、かつて他国の領土になったことはないのです、千島というものは。これは日本の固有の領土であることに断じて間違いない。ですから、歯舞、色丹、国後、択捉、これはもとより、全千島がわが国に返ってこなければいけないというのがわが党の態度なんです。それを、総理が何か勘違いをされて、ああいう発言をされたと思うのでありますが、私は、ある意味で、思い切って、国後、択捉なんというけちなことを言わないで、全千島を返してもらうのだ、それが平和条約締結の条件だ、こう言っていいんじゃないかと思うのでありまして、このくらいでなければ、ほんとうに北方領土の問題を解決する姿勢にはならない。事実上も、千島は他国の領土になったことがないという歴史がある。これだけはもう絶対にわれわれは譲らないということを、今後、グロムイコであろうと、だれであろうと、対ソ交渉には押し出していくことが必要だと思います。 時間がありませんから、この問題だけ強く要望を申し上げるのですが、総理のこれに対する決意だけお伺いして終わりたいと思います。総理ひとつ……。
○福田国務大臣 私は、原さんのお話、非常に傾聴いたしました。しかし、残念ながら、平和条約におきまして、千島はこれを放棄すると、こういうふうに書いてあるのです。ですから、もう、千島をこの際要求するという立場には私どもはないのです。やはり、わが国の固有の領土であるところの国後、択捉、歯舞、色丹、これを要求する、これが精一ぱいのことである、こういうふうに考えます。しかし、意気込みは、ただいま原さんのおっしゃるくらいな意気込みを持って、この固有領土の返還の交渉に当たりたい、かように考えております。
○原(茂)委員 これで終わろうと思ったのですが、一言だけ申し上げておきたい。 意気込みではなくて、これは、わが党の決意であり、方針でございますから、いまのお話のような千島を放棄した、これは確かに平和条約で放棄いたしておりますが、しかし、ヤルタ協定でございますとか、その他いろいろの問題をずうっと検討してまいりましても、あの平和条約で千島を放棄したということ自体にわれわれは承服をしていないのであります。だって条約があるんだからだめじゃないか、こういうたてまえをとるなら、千島の南の一部が国後、択捉であることも間違いないのであります。なぜ一体千島の南の一部だけの国後、択捉を皆さんが取り上げるのかは、たいへん大きな疑義がここにも出てまいりますから、われわれの意気込みではなくて、十分に根拠があって申し上げる、千島全島の返還を要求するということを強く要求して終わりたいと思います。
○瀬戸山委員長 これにて、原君の質疑は終了いたしました。 この際、中村国家公安委員長が善後措置のため出席できませんので、委員長からかわって御報告いたします。 浅間山荘の事件は落着したようであります。午後六時過ぎに、犯人五名を全員逮捕いたしました。人質の泰子さんは、少しけがをしておられるそうでありますが、救出いたしまして、心配はないという報告であります。(拍手) 次回は、明二十九日午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後六時三十五分散会