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68回国会衆議院1972/02/04

予算委員会 第1号

発言数
181
登壇者
21
会派数
4
開催日
1972/02/04

会議録

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 これより会議を開きます。  まず、理事の補欠選任についておはかりいたします。  委員の異動によりまして、現在理事が四名欠員となっております。  この際、その補欠選任を行ないたいと存じますが、これは先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 御異議なしと認めます。  よって、委員長は、       二階堂 進君    阪上安太郎君       辻原 弘市君    小平  忠君 を理事に指名いたします。     —————————————

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 これより昭和四十七年度一般会計予算、昭和四十七年度特別会計予算、昭和四十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、審査に入ります。  昭和四十七年度一般会計予算  昭和四十七年度特別会計予算  昭和四十七年度政府関係機関予算   〔本号(その二)に掲載〕     —————————————

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 まず、三案の趣旨について政府の説明を求めます。大蔵大臣水田三喜男君。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 昭和四十七年度予算の編成の基本方針及びその大綱につきましては、先日、本会議において申し述べましたところでありますが、予算委員会での御審議をお願いするにあたり、あらためてその概要を御説明いたします。  昭和四十七年度予算の編成にあたりましては、内外の諸情勢にかんがみ、財政の健全性を保ちつつ、積極的に有効需要の拡大をはかり、かつ、国民福祉の向上を強力に推進することを主眼といたしましたが、その特色は次の諸点であります。  第一は、通貨調整に伴う国際経済環境の新たな展開に即応しつつ、当面する国内経済停滞をすみやかに克服するため、予算及び財政投融資計画を通じ、積極的な規模の拡大をはかったことであります。  このため、公債政策を活用することといたし、建設公債、市中消化の原則を堅持しつつ、一般会計における公債発行規模を一兆九千五百億円に拡大しております。また、財政投融資計画における政府保証債の発行額は、四千億円を予定しております。  第二は、国民福祉の向上のための施策の充実をはかったことであります。  すなわち、各種社会資本の整備、社会保障施策の充実、物価対策、公害対策など、国民生活の充実向上のための諸施策の推進に特に重点を置いております。  第三は、租税負担の軽減合理化をはかったことであります。  所得税につきましては、さきの臨時国会において年内減税を行なったところでありますが、昭和四十七年度には、個人住民税を中心として負担軽減を行なうことといたしました。これらの改正による減税額は、昭和四十七年度では約三千五百億円と見込まれます。  以上により編成されました昭和四十七年度一般会計予算の総額は、歳入歳出とも十一兆四千七百四億円でありまして、昭和四十六年度当初予算に対し二兆五百六十一億円、二一・八%の増加となっております。  また、昭和四十七年度財政投融資計画の総額は五兆六千三百五十億円でありまして、昭和四十六年度当初計画に対し一兆三千五百四十六億円、三一・六%の増加となっております。  まず、一般会計を中心に、その概要について申し上げます。  歳入予算の内訳は、租税及び印紙収入八兆八千四百八十五億円、税外収入五千七百二十四億円、公債金一兆九千五百億円及び前年度剰余金受け入れ九百九十五億円となっております。  歳入予算のうち、租税及び印紙収入について申し上げます。  個人課税の一般的軽減につきましては、さきの臨時国会において一千六百五十億円の所得税の年内減税を行ないましたが、これは、昭和四十七年度におきましては二千五百三十億円程度の減税になるのであります。昭和四十七年度の税制改正におきましては、これに引き続き、所得税におきましては、老人扶養控除の創設、寡婦控除の適用範囲の拡大をはかっており、また、相続税におきましては配偶者及び心身障害者に対する負担軽減を行なうことといたしております。  企業課税につきましては、法人税の付加税率の適用期間を二年間延長することとし、また、当面の経済社会情勢に即応する措置としては、輸出振興税制を大幅に整理縮減するほか、住宅対策、公害防止対策、中小企業対策等の措置を講ずることといたしております。  さらに、空港施設等の整備充実に資するため、航空機燃料税を創設することといたしております。  以上の税制改正による増減収見込みのほか、原重油関税の石炭及び石油対策特別会計への振りかえを織り込み、昭和四十七年度の租税及び印紙収入予算額は八兆八千四百八十五億円となっております。これは、昭和四十六年度の当初予算に対し、五千五百二十二億円の増加となっております。  次に、歳出のおもな経費について、順次、御説明いたします。  社会保障関係費といたしましては、総額一兆六千四百十五億円を計上し、施策の充実をはかっております。  まず、老人福祉の充実強化をはかるため、老人医療の無料化の実施、老齢福祉年金の大幅改善その他老人対策の飛躍的な拡充を行なうことといたしております。  さらに、社会福祉施設の充実、障害福祉年金及び母子福祉年金の改善、生活扶助基準の引き上げ、身体障害者、児童、母子等の福祉対策、特殊疾患対策の充実など各般の施策に配意いたしております。  なお、健康保険財政の健全化のため、所要の改善合理化措置を講ずることとしております。  文教及び科学振興費といたしましては、総額一兆三千四十四億円を計上しております。  文教につきましては、公立文教施設整備の拡充、幼稚園教育の振興、育英事業の推進、私学助成の強化、医学教育の充実等各般の施策を講じております。  科学技術の振興につきましては、新しい原子炉の開発、宇宙開発、海洋開発等を進めるほか、電子計算機技術の振興にも配意しております。  以上のほか、社会教育施設及び体育施設の整備、芸術・文化の振興等につきましても施策の充実をはかっております。  国債費につきましては、一般会計の負担に属する国債の償還及び利子の支払い等に要する財源を国債整理基金特別会計へ繰り入れるため、四千五百万十四億円を計上いたしております。  恩給関係費につきましては、恩給金額の改定、旧軍人等の遺族、傷病者及び老齢者の優遇等の措置を講ずることとし、三千七百二十四億円を計上いたしております。  次に、地方財政関係について申し上げます。  まず、既定分の地方交付税交付金といたしましては二兆一千九百五十四億円を計上いたしておりますが、景気の停滞による地方税及び地方交付税の伸びの鈍化、住民税、事業税等の地方税の大幅減税の実施等を考慮し、昭和四十七年度限りの特例措置として、臨時地方特例交付金一千五十億円を一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れるほか、同特別会計において資金運用部資金から一千六百億円を借り入れることといたしております。  また、沖繩の県及び市町村に交付する必要があると見込まれる地方交付税の財源につきましても、別途昭和五十年度までの経過的な特別措置を講ずることとし、臨時沖繩特別交付金三百六十五億円を計上しております。交付税及び譲与税配付金特別会計におきましては、これらを財源として、総額二兆四千九百三十九億円の地方交付税交付金を地方公共団体に交付することといたしております。このほか、小学校校舎整備費補助金の補助率の引き上げ等による地方負担の軽減、地方債の増額等を行ない、地方財政の健全な運営を確保することといたしております。  防衛関係費につきましては、引き続き防衛力の整備をはかるほか、本土及び沖繩を通じ基地関係諸施策を推進することとし、総額八千三十億円を計上いたしております。  公共事業関係費につきましては、特に大幅な増額をはかり、昭和四十六年度当初予算に対し、二九%増の二兆一千四百八十五億円を計上しております。  すなわち、経済動向に即応し、有効需要の積極的な喚起をはかり、国民生活の質的向上を期するため、住宅及び上下水道、公園、廃棄物処理施設等の生活環境施設の整備を重点的に推進するほか、道路、港湾及び空港の整備、治山治水の推進等についても、それぞれ大幅な増額をはかっております。  なお、治山事業、治水事業及び都市公園の整備につきましては、それぞれ昭和四十七年度を初年度とする新規五カ年計画を策定することとしており、さらに、廃棄物処理施設につきましても新たな五カ年計画の策定を予定いたしております。  以上のほか、新幹線鉄道等の建設を円滑に進めるため、日本国有鉄道及び日本鉄道建設公団に対する出資を大幅に増額するほか、日本国有鉄道の財政再建をはかるため、国からの助成を強化するとともに、所要の運賃改定等を行なうこととしております。  また、日本電信電話公社におきましても、引き続き施設の整備を推進することといたしております。  海外経済協力と貿易対策につきましては、新しい国際経済環境の展開に即応しつつ、日本輸出入銀行及び海外経済協力基金の事業規模の拡大、経済開発特別援助、技術協力の充実などにつとめております。  なお、原油等のエネルギー資源の安定的な確保についても、所要の措置を講ずることといたしております。  中小企業対策につきましては、国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工組合中央金庫、中小企業振興事業団等の融資規模の拡大、小規模事業対策の強化等の施策を講じ、あわせて政府関係中小企業金融三機関等の貸し出し基準金利を〇・二%引き下げることとしております。  以上のほか、最近における繊維産業の状況にかんがみ、繊維工業の体質改善、離職者対策等についても配意しております。  次に、農林漁業関係について申し上げます。  まず、食糧管理費につきましては、米の需給の実態に即応し、引き続き生産調整措置を講ずることとし、米価水準を据え置きとして所要の経費を算定するほか、政府手持ち過剰米の計画的な処分を推進することとし、総額五千二百八億円を計上いたしております。  さらに、生産性の向上をはかりつつ、需要の動向に即応した農政を推進するため、野菜をはじめ果樹、畜産等の振興、稲作転換対策の推進、農業基盤、漁港、林道等の整備、構造改善事業の推進、農林漁業金融の充実、農畜水産物の流通改善等各般の施策を講ずることとしております。  次に、以上の説明と重複するところもありますが、物価対策、公害対策及び沖繩振興対策について総括して申し述べます。  物価対策につきましては、消費者物価の安定をはかるため、引き続き、低生産性部門の生産性の向上、流通対策、労働力の流動化、競争条件の整備、生活必需物資等の安定的供給、住宅及び地価対策等の各般の対策を積極的に推進することといたしております。特に、近年価格上昇の著しい野菜をはじめとする生鮮食料品の安定的供給と円滑な流通をはかるため、生産、出荷、流通の各面にわたる施策を大幅に拡充することとしております。また、関税面においても、生活関連物資を中心に関税率の引き下げを行ない、物価の安定に資することとしております。  公害防止及び環境保全につきましては、上下水道、廃棄物処理施設等の生活環境施設の大幅な充実、水質保全、大気汚染防止、騒音防止等のための諸施策の推進、公害防止事業団、日本開発銀行等の公害対策関係融資ワクの大幅拡大、税制面における公害防止準備金制度の創設、公害防止施設特別償却の範囲の拡大など各般の施策を講ずるほか、国立公園内の民有地の買い上げを進めるなど自然環境の保全にも配意しております。  沖繩振興対策につきましては、県民の生活と職業の安定、福祉の向上、教育の充実、各種社会資本の整備、産業経済の振興等各面にわたる施策に十分配意することとし、沖繩返還協定に基づく特別支出金等を含め、沖繩関係経費として総額二千二百二億円を計上いたしております。  以上、主として、一般会計について申し述べましたが、特別会計及び政府関係機関の予算につきましても、一般会計に準じ、資金の重点的配分と経費の効率的使用につとめ、事業の適切な運営をはかることといたしております。  なお、特別会計につきましては、従来の石炭対策特別会計を石炭及び石油対策特別会計に改めるほか、労働者災害補償保険特別会計及び失業保険特別会計を統合して労働保険特別会計を設けることとし、政府関係機関につきましては、新たに沖繩振興開発金融公庫を設立することといたしております。  財政投融資計画につきましては、以上それぞれ関係する項目においても説明したところでありますが、資金の配分にあたりましては、住宅、道路、鉄道等の社会資本の整備、下水道整備等公害対策の推進、地方公共団体の事業を推進するための財源対策等に重点を置いております。  その原資といたしましては、産業投資特別会計出資七百六十四億円、資金運用部資金四兆二千百九十三億円及び簡保資金六千百五十億円を見込みますほか、公募債借入金等として、政府保証債四千億円を含め、七千二百四十三億円を予定しております。  以上、昭和四十七年度予算につきましてその概要を御説明いたしましたが、なお、詳細にわたる点につきましては、政府委員をして補足説明いたさせます。  何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛同いただきたいと存じます。

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 これにて大蔵大臣の説明は終わりました。  引き続き政府の補足説明を順次許します。相澤主計局長。

相澤英之大蔵省主計局長

○相澤政府委員 昭和四十七年度予算の概要につきましては、ただいま大蔵大臣から御説明いたしましたとおりでありますが、なお、若干の点につきまして補足して御説明することといたします。  まず、財政の規模等について御説明いたします。  昭和四十七年度一般会計予算の総額は、歳入歳出とも十一兆四千七百四億円でありますが、この予算の国民総生産に対する比率は一二・七%となっております。ちなみに、四十六年度について申しますと、補正後予算の国民総生産実績見込みに対する比率は一二%となっております。  また、中央、地方を含めた国民所得計算上の政府財貨サービス購入は、沖繩分を除きまして、前年度に対し経済成長率一二・四%を大幅に上回る一七%の増加率となる見込みであります。  次に、歳入について御説明いたします。  まず、税外収入は、五千七百二十四億円でありますが、その内訳は、専売納付金三千百六十三億円、官業益金及び官業収入三十一億円、政府資産整理収入百八十八億円、雑収入二千三百四十二億円となっております。  公債発行額につきましては、前年度当初予算に対し一兆五千二百億円増の一兆九千五百億円を予定しておりますが、その歳入総額に対する割合は一七%となっております。  前年度剰余金受け入れ九百九十五億円は、四十五年度決算の結果生じた剰余金であります。このうち、二百六十三億円は地方交付税、道路整備費等の財源に充てられ、これを差し引いた残額の二分の一相当額三百六十六億円は、財政法第六条の規定により、国債償還の財源として国債整理基金特別会計へ繰り入れることとしております。  次に、歳出について御説明いたします。  まず、社会保障関係費一兆六千四百十五億円は、前年度当初予算に対し二千九百九十四億円、二二・一%の増加となっております。  生活保護のうち、生活扶助基準につきましては一四%引き上げることとしており、東京都の標準四人世帯を例にとりますと、その支給額は、月額三万八千九百十六円から四万四千三百六十四円に増額されることになります。  老人福祉につきましては、七十歳以上の老人を対象に、四十八年一月から、医療保険自己負担分の全額を公費で負担する形で老人医療の無料化を実施することといたしております。  福祉年金につきましては、老齢福祉年金月額を二千三百円から三千三百円に引き上げるとともに、障害福祉年金及び母子・準母子福祉年金についてもそれぞれ月額を引き上げることといたしますほか、扶養義務者等の所得制限の緩和等の改善をはかることとしております。  政府管掌健康保険につきましては、単年度収支の均衡回復を目途として、保険料率の引き上げ、標準報酬の上下限の引き上げ等所要の改善合理化措置を講ずることとしておりますが、その一環として、従来の定額補助を医療給付費等に対する定率五%の補助へ切りかえることとし、三百七十三億円の国庫補助を行なうことといたしております。  次に、文教及び科学振興費一兆三千四十四億円は、前年度当初予算に対し二千二百五十五億円、二〇・九%の増加となっております。  まず、公立文教施設の整備につきましては、小学校校舎整備費の補助率を三分の一から二分の一に引き上げるほか、前年度に引き続き、児童生徒急増市町村の公立小中学校施設整備に対し特別の助成を行なうことといたしております。また、養護学校未設置県の解消をはかるため、未設置県にかかる養護学校の新設につきまして、補助率を二分の一から三分の二に引き上げることとしております。  私学の振興につきましては、私立の大学及び高等専門学校の教育研究の充実向上及び経営の健全化をはかるため、私立大学等の経常費に対する助成をさらに拡充することとし、前年度当初予算に対し約五〇%増の三百一億円を予定しておりますほか、日本私学振興財団について、一般会計出資十億円、財政投融資百八十億円を予定いたしております。  育英事業につきましては、日本育英会の育英資金の貸与月額を大幅に引き上げる等、その充実をはかることとし、前年度当初予算に対し五十八億円増の二百二十六億円を予定しております。  科学技術の振興につきましては、時代の要請に即応し、動力炉、宇宙、海洋、大型工業技術及び電子計算機技術の開発等を中心としてその推進をはかることとし、前年度当初予算に対し三百四十六億円増の一千六百八十四億円を予定しております。  次に、公共事業関係費二兆一千四百八十五億円は、前年度当初予算に対し、四千八百二十九億円、二九%の増加となっております。なお、災害復旧等を除く一般公共事業費では二六・四%の増加であります。  まず、上下水道、公園、廃棄物処理施設等の生活環境施設の整備につきましては、特に重点を置き、前年度当初予算を五八・九%上回る一千四百一億円を予定しております。このうち、都市公園の整備につきましては、新たに、四十七年度を初年度とする総額九千億円の五カ年計画を策定することとし、また、廃棄物処理施設につきましても第二次屎尿処理五カ年計画及びごみ処理施設整備五カ年計画を改定し、四十六年度を初年度とする廃棄物処理施設整備五カ年計画を策定することといたしております。  住宅につきましては、第二期五カ年計画の二年度目として、公的資金による住宅六十八万九千九百戸の建設を予定いたしております。このため、四十七年度におきましては、住宅対策費として前年度当初予算を二九・九%上回る一千五百六億円を予定するとともに、財政投融資計画において、住宅金融公庫及び日本住宅公団につき、前年度当初計画を三四%上回る九千三百六十七億円を予定しております。  道路整備につきましては、国道二次改築、都道府県及び市町村道の改良、都市交通対策等に重点を置き、前年度当初予算に対し二二・五%増の八千五百七億円を予定しております。  次に、港湾、漁港、空港の整備につきましては、前年度当初予算に対し三一・八%増の一千八百六十四億円を予定しておりますが、このうち、空港施設等の整備につきましては、その財源の強化をはかるため、航空機燃料税を新設することといたしております。  さらに、治山、治水につきましては、国土保全の強化をはかるため、前年度当初予算に対し二三・九%増の三千四百五十四億円を予定しておりますが、治水事業につきましては、総額四兆五百億円の第四次治水事業五カ年計画を、また、治山事業につきましては、民有林、国有林を合わせ総額六千八百五十億円の第四次治山事業五カ年計画をそれぞれ策定することといたしております。  次に、貿易振興及び経済協力費は、前年度当初予算に対し百四十一億円増の一千百五十二億円となっておりますが、その内訳は、貿易振興費百二十九億円、経済協力費一千二十三億円であります。  日本輸出入銀行につきましては、貸し付け規模を前年度に対し一千億円増の六千三百五十億円とし、六百三十億円の産業投資特別会計出資を予定しております。  海外経済協力基金につきましては、投融資規模を前年度に対し三百三十億円増の一千二百二十億円とし、四百二十億円の一般会計出資を予定しております。  次に、中小企業対策費といたしましては、六百九十七億円を予定しておりますが、四十七年度におきましては、このほか、主として中小企業者に対する施策である臨時繊維産業特別対策費が計上されており、このうちの中小企業者分を中小企業対策費に加えますと、四十七年度における中小企業者に対する予算額は八百七十億円となり、前年度当初予算に対し五〇・三%の大幅な増加となっております。  まず、中小企業振興事業団につきましては、中小企業者の共同公害防止施設等のための特定高度化資金をはじめとして事業規模の拡大をはかることとし、このため、一般会計出資三百四十六億円を予定いたしております。  また、国民金融公庫等政府関係中小企業金融三機関に対する財政投融資計画額は、六千九百十六億円でありますが、その内訳は、国民金融公庫三千三百六十七億円、中小企業金融公庫三千四百十九億円、商工組合中央金庫百三十億円となっております。  なお、中小企業信用保険公庫への出資金は、百五十億円を予定しておりますが、その内訳は、保険準備基金五十三億円、融資基金九十七億円であります。  次に、農林漁業関係について御説明いたします。  まず、米につきましては、需給の実態に即応し、引き続き生産調整措置を講ずることとしております。すなわち、四十七年産米につきましては、自主流通米を二百十五万トン、政府買い入れ数量を五百八十万トンと見込み、二百十五万トンの生産調整を実施することとして、米生産調整奨励補助金一千七百十九億円及び米生産調整協力特別交付金百億円を予定しております。  なお、過剰米の処理につきましては、前年度に引き続き二百万トンの処理を予定するとともに、これに伴う損失を計画的に補てんすることといたしております。  また、野菜、果樹、畜産等につきましては、需給の動向に応じ、生産、流通等各般にわたり施策を推進することとしておりますが、特に野菜につきましては、その安定的供給と円滑な流通をはかるため、生産の合理化、価格の安定、流通の改善等の施策を大幅に拡充することといたしております。  農業基盤整備につきましては、農道整備、圃場整備、畑作振興等の諸事業を重点的に促進することとし、前年度当初予算に対し二三・三%増の二千七百五十五億円を予定しております。  農林漁業金融におきましては、農林漁業金融公庫の融資ワクを前年度に対し三百五十億円増の二千九百七十億円に拡大するとともに、農業近代化資金の融資ワクを引き続き三千億円と予定し、漁業近代化資金の融資ワクを前年度に対し百億円増の四百五十億円に拡大しております。  次に、以上の説明と重複するところもありますが、物価対策、公害対策及び沖繩振興対策について御説明いたします。  物価対策につきましては、低生産性部門の生産性の向上、流通対策、労働力の流動化、競争条件の整備、生活必需物資等の安定的供給、住宅及び地価対策等各般の施策を一段と充実することといたしまして、一般会計、特別会計を通じ、前年度当初予算を二七・一%上回る一兆四百二十一億円の物価対策関係経費を計上しております。  公害対策につきましては、一般会計、特別会計を通じ、総額一千五百六億円の公害対策経費を計上しておりますが、これは、前年度当初予算に対し四八・四%の増加となっております。  沖繩につきましては、四十七年五月十五日、本土に復帰することとなりましたが、これに伴い、沖繩に関する各般の施策の推進をはかることといたしまして総額二千二百二億円を計上しております。その内容のおもなものは、社会保障関係費百四十三億円、文教及び科学振興費百六十八億円、公共事業関係費二百九十億円、沖繩振興開発金融公庫出資金三十億円、臨時沖繩特別交付金三百六十五億円、通貨等切替対策特別給付金二百六十億円、沖繩返還協定特別支出金三百八億円等となっております。  以上をもちまして、所管する事項についての補足説明を終わらせていただきます。

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 次に、高木主税局長。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 昭和四十七年度予算のうち、租税及び印紙収入につきまして、補足して御説明いたします。  昭和四十七年度の一般会計歳入予算のうち、租税及び印紙収入の額は、八兆八千四百八十五億円でありまして、昭和四十六年度の当初の予算額八兆二千九百六十三億円に対しまして、五千五百二十二億円の増加となっております。なお、これを補正後の予算額と比較いたしますと、増加額は一兆二百七十九億円でございます。  この租税及び印紙収入予算額は、昭和四十六年度の当初の予算額に、昭和四十七年度の自然増収見込み額五千七百三十二億円を加算した現行法による収入見込み額八兆八千六百九十五億円を基礎とし、この見込み額に、昭和四十七年度の税制改正による増収額四十八億円を加え、他方、原重油関税のうちの一般会計から特別会計への振りかえ額二百五十八億円を差し引いたものであります。  なお、この一般会計租税及び印紙収入予算額に、交付税及び譲与税配付金特別会計の歳入となります諸税千六百三十二億円、石炭及び石油対策特別会計の歳入となります原重油関税千二百五十九億円を加えました昭和四十七年度の国の租税及び印紙収入予算の総額は、九兆一千三百七十六億円となっております。  以上が、昭和四十七年度の一般会計租税及び印紙収入予算の概要でありますが、次に、その内容につきまして、御説明申し上げることといたします。  まず、昭和四十七年度の収入見込み額の基礎となっております自然増収額五千七百三十二億円の見積もりについて御説明いたします。この見積もり額は、昭和四十七年度の政府経済見通しを基礎とし、最近までの課税実績及び収入状況等を勘案して見込んだものでございます。  通貨調整後のわが国経済は、昭和四十七年度におきましては、積極的な経済運営策の効果が次第に浸透し、また、新経済環境に対する適応も漸次進んでいくものと思われますので、おそくとも年度の後半には景気が回復基調に向かうものと見込まれます。  これに即応しまして、鉱工業生産も、昭和四十七年度におきましては、対前年度比七・五%と伸び率を回復するものと見込まれておりますが、昭和四十六年度後半における経済活動の停滞が影響いたしまして、法人税収は低調であり、昭和四十六年度当初予算に対しまして、三千百四億円減少するものと見込まれます。他方、所得税につきましては、雇用、賃金の推移等に見合って、相応の増収が見込まれるところでありまして、先般の年内減税による二千五百三十億円の減税後において、なお五千九百三十二億円の自然増収が見込まれる次第でございます。  その他、各税目ごとに、経済動向、課税実績及び収入状況等を考慮いたしまして積算し、五千七百三十二億円の自然増収額を見込んだ次第でございまして、この自然増収額の昭和四十六年度当初予算額に対する伸びは六・九%となっております。  次に、昭和四十七年度の税制改正につきまして、その規模及び内容を御説明いたします。  所得税の減税につきましては、さきの第六十七回国会において御審議をいただき、千六百五十億円のいわゆる年内減税が実施されましたが、これは昭和四十七年度におきましては、二千五百三十億円の減税規模になるものと見込まれます。今次の税制改正におきましては、これに加え、老人扶養控除を創設し、年齢七十歳以上の扶養親族について、通常の十四万円の扶養控除にかえて十六万円を控除することとするほか、寡婦控除を拡充することとしております。これらの改正によります減収見込み額は七十三億円でございます。  なお、先般年内減税の行なわれなかった地方税につきましても、今回、個人住民税及び個人事業税について平年度一千億円をこえる減税が行なわれることが予定されております。  さらに、相続税におきまして、配偶者の取得する遺産については、婚姻期間が二十年以上である場合には、その取得額三千万円まで相続税を課税しないこととする等、配偶者に対する相続税を軽減し、また、障害者控除を創設いたしまして、心身障害者に対する相続税の軽減をはかっております。これらの改正によります減収額は三十億円と見込まれます。  次に、法人税につきましては、その基本税率三五%の五%に当たります付加税率の適用期限が本年四月末に到来いたしますが、これをなお二年間延長することといたしております。  また、経済社会情勢の進展に即応いたしまして、輸出振興税制につき、輸出割り増し償却制度を廃止する等、大幅に整理することとしておりますほか、金融保険業の貸し倒れ引き当て金の繰り入れ率の改正を行なうこととしておりまして、これらの改正によります増収額は六百七十四億円と見込まれます。  他面、昭和四十七年度におきましては、持ち家取得控除の創設等の住宅対策、公害防止準備金の創設等の公害対策を講ずることとしておりますほか、中小企業につきましても、中小企業用合理化機械の特別償却制度にかえて、概括的な特別償却制度を設ける等、特に配意いたしております。また、技術開発、企業体質の改善等につきましても所要の措置を講ずることとしておりますほか、通貨調整に伴う税制上の措置等を講ずることとしております。これらの諸措置によります減収額は五百七十一億円と見込まれます。  また、新たに航空機燃料税を創設することとしております。すなわち、空港整備等が緊急を要する現状にかんがみまして、航空機燃料用揮発油に対する免税措置の期限の到来に伴い、航空機燃料税を創設することといたしております。税率は一キロリットルにつき一万三千円でありますが、所要の暫定措置を講ずることとしております。本税の創設に伴う増収額は、初年度五十七億円と見込まれますが、このうち十三分の二相当額が地方に譲与されるため、四十八億円が一般会計の歳入に計上されております。なお、本則税率を直ちに適用したと仮定した場合の増収額は、総額百四十三億円、一般会計分百二十一億円と見込まれます。  昭和四十七年度の専売納付金を含めて、国税収入全体の構成を見ますと、所得税収の占める割合が上昇して三六・〇%となっております。これは、自然増収の見積もりについての説明にあたって申し上げましたように、所得税につきましては、個人の所得の伸びにつれて税収の増加が見込まれる反面、景気の停滞によりまして法人税収が低調であると見込まれ、その割合が二七・四%に低下していることも影響しております。  また、国税収入全体に占める直接税と間接税等との割合、いわゆる直間比率は、直接税が六六・一%であり、昭和四十六年度の補正後の予算において見込まれました直接税の割合六五・九%とほぼ同じ割合となっております。  以上申し述べました昭和四十七年度の租税及び印紙収入予算を基礎といたしまして、国民所得に対する租税負担率を推計してみますと、国税につきましては一三・〇%程度になるものと見込まれます。地方税の収入見込み額は、なお確定していないのでありますが、一応の推算をいたしますと、租税負担率は六・〇%程度と見込まれ、したがって国税、地方税全体では一九・〇%程度となり、昭和四十六年度の見込み一九・二%に比べて若干の低下となるものと見込まれる次第でございます。  以上をもちまして、租税及び印紙収入につきましての補足説明を終わらせていただきます。

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 次に、橋口理財局長。

橋口收大蔵省理財局長

○橋口政府委員 昭和四十七年度財政投融資計画及び財政資金対民間収支見込みについて補足説明を申し上げます。  昭和四十七年度の財政投融資計画は、総額五兆六千三百五十億円でありまして、これを四十六年度当初計画額四兆二千八百四億円と比較いたしますと、一兆三千五百四十六億円の増加となっており、その伸び率は三一・六%であります。  この計画の策定にあたりましては、景気のすみやかな回復をはかり、あわせて社会資本の充実と国民福祉の向上に資するよう財政投融資の規模を積極的に拡大するとともに、資金の重点的かつ効率的な配分に留意いたしております。  最初に、原資について御説明申し上げます。  まず、産業投資特別会計出資は、七百六十四億円を計上しております。これは、前年度計画額に対し、八十九億円、一〇・四%の減少となっております。  次に、資金運用部資金は、前年度計画額に対し、一兆八百五十九億円、三四・七%増の四兆二千百九十三億円を見込んでおります。このうち、郵便貯金につきましては一兆七千億円、厚生年金につきましては一兆二千百六億円、国民年金につきましては二千百二十三億円をそれぞれ見込んでおります。  次に、簡保資金につきましては、前年度計画額に対し、一千二百億円、二四・二%増の六千百五十億円を見込んでおります。  また、公募債借り入れ金等につきましては、前年度計画額に対し、一千五百七十六億円、二七・八%増の七千二百四十三億円を予定いたしております。このうち、政府保証債につきましては、前年度計画額より一千億円増額し、四千億円を予定いたしております。  これらの資金を合計いたしますと、原資の総額は、五兆六千三百五十億円となります。  この原資をもちまして、財政投融資の運用を行なうのでありますが、先ほど、大蔵大臣からも説明いたしましたように、四十七年度におきましては、特に、住宅、道路、鉄道等の社会資本の整備、下水道整備等公害対策の推進及び地方公共団体の事業を推進するための財源対策等に重点を置いております。  各機関に対する運用につきましては、資金計画の表に掲げてございますが、ここでは、概略して、使途別分類表によって御説明申し上げます。  使途別分類表のうち、住宅、生活環境整備、厚生福祉施設、文教施設、中小企業及び農林漁業につきましては、国民生活に最も密接に関係する部門でございますが、これらに対する財政投融資の額は、三兆二千八百三十三億円でありまして、財政投融資総額の五八・三%を占めております。そのうち、住宅、生活環境整備につきましては、国民福祉向上の見地から、特に重点的に配慮しており、前年度計画額に対し四〇・二%と大幅な増加を予定いたしております。  次に、国土保全・災害復旧、道路、運輸通信及び地域開発に対する財政投融資の額は、一兆五千四百三十六億円となっております。  なお、国土保全・災害復旧、道路、運輸通信に、住宅、生活環境整備、厚生福祉施設、文教施設を加えました広義の社会資本と目される部門を集計いたしますと、財政投融資総額の六二・五%に当たり、その前年度計画額に対する伸び率も三六・七%と、総額の伸び率に比べて大きな増加となっております。  また、基幹産業につきましては、二千六百四十一億円、貿易・経済協力につきましては、五千四百四十億円を計上しております。  以上で、昭和四十七年度財政投融資計画の補足説明を終わります。  次に、財政資金対民間収支見込みについて御説明申し上げます。  昭和四十七年度の財政資金対民間収支見込みでありますが、予算を前提として推計いたしますと、一兆百八十億円の散布超過と見込まれます。  まず、一般会計におきまして、前年度剰余金一千億円を使用することにより、一千億円の散布超過が見込まれます。また、食管会計におきまして、食糧証券の発行減少によりまして、二百三十億円の引き揚げ超過が見込まれ、資金運用部におきましては、国債の引き受けにより二千五百億円の散布超過が見込まれます。  以上、差し引きいたしまして散布超過要因が三千二百七十億円になります。  その他、特別会計等の収支で、四千二百二十億円の引き揚げ超過が見込まれますので、これらの要因をさらに差し引きいたしますと、外為資金以外の財政資金対民間収支では、九百五十億円の引き揚げ超過が見込まれる次第であります。  最後に外為資金につきましては、昭和四十七年度の国際収支の動向等から見て、一兆一千百三十億円の散布超過が見込まれますので、これを差し引きいたしまして、財政資金対民間収支全体といたしましては、一兆百八十億円の散布超過を見込んだ次第であります。  以上で、昭和四十七年度の財政資金対民間収支見込みについての補足説明を終わります。

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 以上をもって大蔵省関係の説明は終わりました。  次に、新田経済企画庁調整局長。

新田庚一経済企画庁調整局長

○新田政府委員 予算案の参考として、お手元にお配りしてあります「昭和四十七年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」について、その概要を御説明いたします。  初めに、四十七年度の出発点となります四十六年度の経済情勢について申し述べますと、わが国経済は四十五年秋以来の景気後退及び四カ月余続いた国際通貨問題の影響を受けて停滞し、この結果、年度の実質成長率としては四・三%、また国際収支は経常収支で五十五億ドル程度の黒字となる見通してあります。他方、物価面では卸売り物価が前年度比一%弱の低下が見込まれるのに対し、消費者物価は六・一%程度の上昇となる見込みであります。  四十七年度のわが国経済は、このような四十六年度経済のあとを受けてきわめて重要な局面に立っております。  対外面では、保護主義的傾向、通貨調整に伴う過渡的摩擦、今回の通貨調整に続く新しい通貨体制の確立等、今後一そう緊密な国際協調を必要とする多くの問題があります。  また国内面では、景気後退下の通貨調整という試練を受けており、景気停滞が長期化すれば国民生活や国際収支調整にも大きな影響を与えるおそれがあります。  こうした内外の情勢にかんがみ、四十七年度の経済運営にあたりましては、積極的な景気振興策を展開するとともに、対外均衡の達成と国民福祉の向上を軸とする新しい経済発展に向かって第一歩を踏み出す年とすることとしております。このため、  第一に、公債政策を活用した積極的かつ機動的な財政金融政策の展開  第二に、生活関連社会資本の整備、社会保障の充実等社会開発の積極的推進  第三に、対外経済政策の一そう積極的な展開  第四に、消費者物価安定諸施策の強力な実施  第五に、新しい経済発展の基盤強化のための国内条件の整備 等の諸施策を重点的に講ずることとしております。  なお、四十七年度においては内外の新経済環境に応じた新たな長期計画を策定することとしております。  このような経済運営のもとにおける四十七年度の経済見通しについて述べますと、わが国経済はおそくとも年度後半には安定成長路線へ回復し、国民総生産の規模は九十兆五千五百億円程度、成長率は実質七・七%程度の伸びとなる見込であります。  この場合、沖繩の本土復帰による増加分を控除すれば、その実質成長率は七・二%程度となりますが、その内訳を見ますと、個人消費支出、民間住宅とも比較的底がたい伸びを示し、在庫投資も次第に回復すると見込まれるのに対し、民間設備投資は製造業を中心になお停滞し、三%弱の伸びにとどまる見込であります。これに対し財政面では、景気振興、国民福祉の向上を基本とする施策を進めることとしており、政府財貨サービス購入は、前年度比一七・〇%の伸びを見込んでおります。  このような総需要の動きを反映して、鉱工業生産の伸びは前年度比七・五%程度になるものと見込まれます。  また物価につきましては、卸売り物価がほぼ横ばいと見込まれる反面、消費者物価は、円切り上げによる価格引き下げ効果が期待されるものの、依然その騰勢は根強く、各般の物価対策を強力に推進することにより、前年度比五・三%程度の上昇にとどめるようつとめることとしております。  他方、国際収支面では通貨調整の影響や、国内の景気の回復等を考慮すると、輸出の伸びは八・五%程度、輸入の伸びは一五・一%程度と見込まれ、経常収支は四十七億ドル程度の黒字となる見込みでありますが、黒字幅は年度後半にかけて次第に縮小の方向に向かうものと思われます。  以上、「昭和四十七年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」につきまして、御説明した次第でございます。

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 以上をもちまして補足説明は終わりました。      ————◇—————

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 この際、公聴会の件についておはかりいたします。  昭和四十七年度総予算について、議長に対して公聴会開会の承認要求をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、公聴会の開会承認要求並びに公聴会の開会に関する諸般の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  午前の会議はこの程度にとどめ、午後は零時三十分より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午前十一時三分休憩      ————◇—————    午後零時三十四分開議

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、昭和四十七年度予算に関し、辻原弘市君より議事進行について発言を求められております。これを許します。辻原弘市君。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 四十七年度予算案の具体的な審議に入る前に、ぜひとも政府にただしておきたい問題が数点ございます。したがって、逐次お尋ねをいたしてまいりますから、政府からはっきりした答弁をいただきたいと思います。  最初に承りたいのは、昭和四十七年度予算案の中に含まれておる防衛関係費は、先ほど説明にもありましたように、全体として約八千三十億円の巨額にのぼっております。前年度に比べますと、一九・七%、おおむね二割アップという、まことに膨大な予算になっており、国民のこの防衛予算に対する関心も一そう深まっておるわけであります。また、わが国の軍国主義化ということを指摘をいたしております諸外国の中でも、この問題は非常に重要な関心事として受け取られております。したがって、私は、この防衛予算について次のことを総理にただし、総理から、政府としての統一された見解として承りたいと思うのであります。  それは、この四十七年度予算案中の防衛関係費というものは、従来しばしば政府がいわれておるいわゆる第四次防、第四次防衛力整備五カ年計画というものと一体どういう関係にあるのか、関係があるのかないのか、この点についての統一された見解を承りたい。すでに過日の本会議におきましても、わが党の成田委員長の代表質問においてもお答えがありましたけれども、その後、新聞に報道せられている内容等と若干違っておる点もありますし、不明確でありますので、あらためて統一見解として承りたいと思うのであります。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 これは、第四次防、いわゆる防衛計画とは関係がないと、はっきり申し上げておきます。  私が申し上げるまでもなく、国防関係は、これは国力、国情に応じて整備するというわが国の基本的方針でございます。わが国の基本的方針に変わりはただいまももちろんございませんが、そこで第三次と第四次、第三次が切れたこの暁において第四次防、国力も相当増進したから増強されるかと、かようなお考えかと思いますが、今回の防衛予算、これは四次防計画を閣議で策定する前に実は編成せざるを得ない状況になりました。したがって、沖繩関係、新しく返ってまいります沖繩関係の防衛関係費を除いては、新しいものとしてはまずないといっても差しつかえないかと思いますが、いままでの三次防の継続のもの、さらにまた装備の更改のもの、あるいはまた人件費等が人事院勧告があってその関係でふやすもの、こういうようなものでございます。したがって、四次防計画、それを当然この際に明らかにしなければならない。三次防が切れた暁でありますし、また、防衛庁自身で四次防というものを発表しておる段階でありますから、そういうものを考えて政府としてもそれに対する考え方を明らかにする必要はあります。ありますが、何ぶんにもこの四次防計画を樹立するための国内の為替、通貨その他経済情勢等勘案しますと、今日、計画樹立に不適当な状態でありますし、また、四次防そのものにつきましても、国内にもいろいろの議論がございます。したがって、今回はそういうものとは別に、ただいま申し上げるような所要経費だけを計上した、これが実際でございます。  しかし、いずれにいたしましても、三次防が切れた今日、四次防計画、これを樹立しなければならない、そういう段階になっております。できるだけ早くその四次防の実態を明らかにしたい、かように考えまして、年度内には何とかなるだろうというようなこともいままで申しておりましたが、今日の段階になってまいりますと、年度内にこれを明らかにすることは困難であります。したがって、年度内には四次防はできない、かように御理解をいただきたいと思います。ただ、四次防の大綱、その大綱ともなるべきものは、これはやはりわれわれとして国民の皆さまの御理解を得る上からもつくらなければならないかと思っておりますので、三次防の計画樹立に際しても明らかにしたような、ああいう大綱は、これはつくりたい、かように考えております。  諸準備すべてが、ただいま申し上げるように、四次防を明確にする段階でない。したがって、今回の予算では、金額はずいぶんふえておりますけれども、これがこの割合で四次防計画そのものができる、かようなものでないこと、言いかえますならば、今回の予算、これは沖繩関係というような一時限りの問題、また人件費等の問題があります。ただ、一つつけ加えさしていただくならば、いわゆる装備の関係で新しい機種を選定した、これなどが新しいものであり、四次防に出てくるのではないか、こういうようなお話があろうかと思いますが、これはいままでの三次防の過程でいろいろ計画を進めてきた、研究をしてきた、そういうものでございますから、いわゆる四次防としての新たなる増強計画、これは載っておらない、かように御理解をいただきたいと思います。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 議事進行でありますから、内容についての詳細はこれからの論議に私はゆだねたいと思うのでありますが、ただ、いま総理がおっしゃったことでもどうも合点がいきません。四十七年度防衛関係費は四次防とは全然無関係である、こうおっしゃったのでありますが、そういたしますと、四次防というものは少なくとも本年度中にはその初年度としての発足を見ない、常識的にはこう受け取らざるを得ないが、間違いございませんか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 私が申しますのは、四次防としての新規増強計画、これとは関係はございません、こういうことを申し上げておるのです。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 ちょっとますますわからなくなってきたのですが、四次防としての新規増強とは無関係、そうすると四次防で新規増強以外の部分がこの中に含まれているということですか。論理的にはそういうことになりますが……。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 もちろん沖繩の関係、あるいはまた装備の新式なものに取りかえるもの、いわゆるポンコツを新しくする、あるいはまた人事院勧告に従っての人件費の増加、こういうものは計上されております。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 それは四次防の中にあるものを本年度予算化したという意味ですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 もちろんこれらの事柄は四次防の中にも入ってくる、かように思いますが、問題になる一番の観点は、いわゆる四次防としての新規増強計画、そういうものがあるのか、こう言われると、そういうものはございません、かように申し上げておるわけです。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 具体的に四十七年度防衛計画の中で、いま総理も言われておるポンコツを取りかえたという部分がどこどこだという指摘は、これは私はいま本論じゃありませんから避けたいと思います。しかしながら、いま総理も言われたように、一例をあげてみただけでも、いわゆる新鋭装備と目されるものが相当数入っておるのです。しかもそれは従来三次防にはなかったもの。したがって、総理のことばをこまかく吟味をするならば、いま総理はこうおっしゃった。これは後刻速記録を見れば明らかだと思うが、四次防とは無関係だが、いわゆる四次防としての新鋭装備については入っていないけれども、しかし、その他沖繩、それから若干新しい装備、新しい機種とおっしゃった、そういうものは入っております。そう言った限り、明らかにこの防衛予算というものは四次防に頭を突っ込んでおる、四次防のうちかなり先取りをしておるという理解をしても差しつかえありませんか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 まさしくただいま言われるとおりのものがあるだろうと思いますが、私は、たいへん誤解を避けたいと思いますのは、四次防の第一年度だ、こういうような意味で、この割合この比率で来年度予算、五カ年計画、それが全部計画される、かようには考えていただきたくないのであります。もちろん三次防の計画は終わった今日でありますから、四次防にもう手をかけた、かように言われてもこれはしかたがないと思いますが、しかし、今年のこの増加率を維持することが四次防全体のワクぎめになるのだ、かようにはお考えにならないように願っておきたい、こういうことを申し上げておる。

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 辻原君に申し上げますが……。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 もう少し明確にいたしておきたいと思います、わかりませんのでね。ということは、総理、もう一ぺんしつこいようですがお尋ねをいたします。  先ほど総理から、大綱をできるだけ早くきめたい、しかし、年度内にはむずかしかろうというお話があった。それで私は、無関係ならば四次防は四十七年度を初年としては実施しないのか、こういうことを総理が御答弁になったのかどうかをお尋ねしたのです。だからあらためてこの点を明確にしてもらいたいと思うのですが、四次防の初年度は何年とされるのか、それからもう一つは、大綱とおっしゃったのは一体どういうものなのか、従来三次防できめているようなものを大綱とおっしゃっているのかどうかということ、それから、大綱をきめたならばそのきめた時点から防衛計画を発足させるのかどうか、この点をもう一度明確にしていただきたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 先ほど来申しますように、予算、また防衛関係費予算、これは一日もなくしては困りますから、私どもはそれを整備はいたしております。これは冒頭に申しました国力、国情に応じて、こういうたてまえでございます。それかといって、非常な画期的な——非常なものでなくても、画期的な新しい考え方で増強するかというと、そういうものは取り組んでおりません。しかし、ことしからスタートする、もう三次防が切れたのですから、やはり四次防の第一年と見てそれはちっとも差しつかえないと思いますが、しかし、それかといってこの増加率をいつまでも維持して全貌をこのワク内できめるという、こういうような考え方でない、こういうことを先ほど来申し上げております。それから、ただいま御意見のありました、いわゆる大綱をきめたらそれをどういうように扱うか、こういうことですが、これは、大綱をきめるにつきましては事務当局ばかりでできないものがありますし、さらにわれわれがそれぞれの手続を経て、そうして発表すべきものは発表する、こういう段階に進まざるを得ないのでありますが、ただいま、まだそこまでできておらない段階でありますので、もう少し、とにかく皆さん方にも納得がいくように明らかにする必要があるだろう、かように思って、私は、大綱をそのうちつくります、しかし、それが年度内にはできませんと、こういうことを申し上げておるのでございます。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 まああとは、これは議事進行ですから、疑問だらけでありますけれども、最後に、この問題について特に私は申し上げておきたい。  それは、いやしくも新規防衛計画と考えられるものを予算に盛る場合、法律のたてまえ、それは防衛庁設置法のたてまえによれば、特にわが国の戦前の経緯からかんがみて、シビリアンコントロールを貫くためにも、国防会議というものが設定をされ、総理は国防会議の議長を兼ねておられるが、その国防会議にかけて、しかる後にその計画を遂行していくというのがたてまえであります。これは総理もうなずいておられるから、あえて念を押しませんけれども、したがって、新規防衛計画に触れておる部分がある予算案は、これは少なくとも国防会議の議を経なければ、予算としてわれわれは国会の審議にはあずかれませんということです。いま四次防とは無関係だと基本的におっしゃったから、細部の議論については、私は先ほども申し上げておりまするように、今後の審議にゆだねたいと思いますが、もし今後、総理のおっしゃった四次防とは無関係だというお考えが、具体的にこの予算の内容から違ってくれば、そのときには、私どもはこの予算に対しては責任を持ちませんよ。総理、最後にお答えを願いたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 誤解はないだろうと思いますが、いま辻原君の言われるとおり、国防会議というものがございますから、もちろんそういうものを経ないでわれわれが防衛計画をつくるわけはございません。そういうものに時間をかしてくださいということを申し上げておる。今回御審議をいただきますものは、緊急やむを得ないところのもので、しかもそれが国防の基本に触れない、こういうような関係のものでございますから、これを御了承いただきたいと思います。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 先ほどから再三お尋ねをしているのですけれども、まだはっきりいたさない点がたくさんあります。一体四次防の初年度はいつにするか、こういった問題も残っておりますが、これはまたわが党のあとの質問においてひとつ明確にしていただきたい。  私が議事進行で特に念を押したい第二点は、昨年の当予算委員会の審議の際にもかなり議論をいたしました、財政投融資についてこれを国会審議の案件とすべきであるということについて、本年度の財政投融資の扱いを見ますると、そのような議論をあまり重視せられておりません。せんだって大蔵大臣は、本会議の席上では一応答弁せられておりますけれども、しかし、明確でありませんので、あらためて要求をいたしておきたいと思うのでありますが、当然五兆六千億、七千億というこの規模は、通常一般会計の半分にも匹敵する膨大なものであります。これが国権の最高機関である国会の審議にゆだねられないということは、いかにも現状から見ておかしいと判断できる。したがって、当然これは審議の対象とすべきである。あらためて大蔵大臣からこの点についての前向きの答弁をいただきたい。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 政府におきましては、この財投計画と国会の審議の関係についての検討を財政制度審議会にお願いいたしてございますが、財政制度審議会では、同会の法制部会においてもう数回にわたってこの検討をいたしておるところでございますが、最終の結論は、ことしの秋までには出してこれを報告するということになっておりまして、まだ、ただいまは検討中でございますが、昨年の暮れに一応中間報告というものが出されております。  その中間報告について申し上げますと、現在の財政投融資計画には、産投特別会計からの投資とかあるいは資金運用部資金の特別会計貸し付け等のように、すでに国会の議決を受けたものが含まれておって、予算と同様に財投計画の全体について国会の議決案件とするということは二重議決の問題を生ずることになって、法律制度上採用することはできない。しかし、財投資金の運用が、受動的な資金の安全・確実・有利な運用という性格から、財政的資金の配分といった性格を兼ね備えるに至っておること、及び運用対象法人の活動分野が多岐にわたってきている現状から見まして、これらの内容を国民の前により明らかにしていく仕組みについて今後検討することが必要であると認められる。こういうのが中間の答申でございました。そうして最終的結論は、いま申し上げましたように、昭和四十八年度の予算の処理のときにまで間に合うように、ことしの秋までに報告をしていただくということに大体なっております。  そこで、政府としましては、この中間報告の趣旨にかんがみまして、さしあたり、ただいま御審議を願っております昭和四十七年度の予算におきましては、財政法第二十八条に基づく添付書類として、新たに主要政府出資法人の資金収支というものを追加することにいたしております。従来は、損益計算書、貸借対照表でございましたが、この資金収支というものを追加いたしますと、やはり財投資金の受け入れが明確になりますので、この中間答申の趣旨によって新たにこういうものを追加することにいたして、当該法人の事業活動をより明らかにするし、また、財投計画との関係もあわせて明らかになるようにということにした次第でございます。  そのほかは、従来予算の説明のときに財投計画の説明をいたしておりますが、これを本年度から非常に詳細にするように改善を加えることといたしておりますが、本格的にどういう措置をとったらいいかということは、やはりこの答申が出てからそれに基づいて善処したいというふうに考えております。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 いまの部分については、財政法二十八条の資料を幾ら多くしたって、根本的なやり方は変わらぬわけですから……。われわれが要求しておるのは、審議の案件とせよということでありますから、まあ財政制度審議会の中間報告から最終的答申を待ってということですから、それまで待ちましょう。待ちますが、来年には、やはり中間報告の趣旨の中でも、二重議決その他を除けば当然議決の対象とすべきだという必要性を認めておられるのだから、そういうものを尊重して、四十八年度の予算審議にあたっては、少なくとも従来の要望をいれて前向きでお考えなさることを、ここでもう一ぺんお約束を願いたいと思います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 むろん法制部分に研究願っておることでございますから、この結論が出ましたらそういうふうにいたしたいと思います。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 最後に、これは官房長官と自治大臣に、お尋ねというよりも、特に強くわれわれは不満の意を申し上げて、要望しておきたいと思います。  それは、例年必ず予算委員会が始まる前にこういうことを申さなければならぬということは遺憾しごくでありますが、本年度議運に提出をせられました政府提案の予定される法律案件というものは約百十五件ですか、そのうちで予算関係法案が当初五十九件、何か一件減って五十八件ということでありますが、本日私の調べたところによりますると、いまだ、たった十件しか出ておりません。予算関係法律が成立をしなければ、予算をつくっても意味のないことは、これはもう政府のだれが考えたって、百もわかった理屈であります。にもかかわらず、予算案は、審議してくれの、すみやかに決定してくれの言っておりながら、肝心の執行の基本になる法律案が出てこないということは、これは不合理きわまるのです。従来はいろいろの事務的なそういういきさつ、あるいはボリューム、こういう点から私どももある程度は理解をし、了承もしてきましたけれども、毎年毎年こういうことをやるということは、これは国会軽視もはなはだしいといわなければなりません。したがって、本年度は、少なくとも予算の総括質問が終わる段階までには、ことごとく予算関係法律五十八件は出してもらいたい。もしそれが提出できないということになれば、これまた先ほどと同じような理屈で、われわれはそのままにして予算を打ち上げるわけにはいきません。この点を強く要望しておきますと同時に、ことしはまあ現在までずれ込んでおりますから、いまさら言っても始まりませんから、少なくとも今後は、予算とこの法律案というものは一体的にひとつ出されるような措置を、これはひとつ総理、総理もよく聞いておいていただきたいと思うのでありますが、特にくふうを願って、これは実行してもらいたい。これをひとつ強く官房長官にも申し入れておきます。  それから自治大臣は、これは地方財政に対する所管大臣だが、ことしは地方財政がどれほど大切なものかは、あなた自身もよくおわかりになっておる。ところが、例年に比べても、これまた、財政計画というものがかなり大幅におくれているようにわれわれは受け取っておるのですが、まことにこれも、所管大臣としては怠慢しごくといわなければならぬ。一体地方財政計画をいつまでに出すのか。本予算が通ればそんなものはいつでもいいのだというような感覚でおやりになっておられるのか。地方の側から見れば、この計画が非常に重要性がある。予算全体にも非常にこれは関連があるわけだから、これをすみやかに出してもらわなければ、地方財政に関する予算案についての審議は困難です。  お二人からそれぞれ、今後の取り扱いの決意と善処方をひとつお答え願いたいと思うのです。

竹下登自由民主党内閣官房長官

○竹下国務大臣 辻原さんの御要望、御督励をも兼ねた御質問でございます。  今国会提出を予定しております予算関係法案は五十八件であります。そこで、この数年来議論をいただきまして、少なくとも昨年の予算審議の際は、いやしくも、予算が通過してそれを実行する際の基準なり内容なりを規定しておる法律案は、予算案と同時に提出すべきであると、こういう御意見でありました。これが四党の国会対策委員長会談でも議題となりまして、政府に、その意味における機構の拡充なりあるいは人員の整備なりをすべきであるという御要望がありました。私も、その際は要望する側におったわけであります。ところが、内閣へ参ってまいりますと、内閣の姿勢といたしまして、各省庁に極力増員なりあるいは部局をふやすことについて抑制するという姿勢を貫いております。また、にわかに法制審査能力のある専門家を養成するということについても、必ずしも一年でできるわけでもない。こういうようないろいろな角度から検討いたしました結果、来年度予算におきまして、法制審査能力をつけた参事官と事務官との振りかえを行なうことによって、二名の事実上の実効のあがる配置転換を行なったわけであります。したがいまして、ただいまの御要望につきましては、引き続き前向きに検討さしていただきたい。むしろ私に対する御鞭撻の意味も兼ねての御発言であろうと思います。  そこで、いま御審議をいただいております来年度予算に関する関係法律案につきましては、お説のとおり、いま提出しておりますのはわずか十件であります。これを計画的に処理をいたしまして、できるだけ早い機会に提出をしたい。そのつど理事会等に御連絡を申し上げまして、事情を説明し、また御協議をいただきたいと、このように考えております。  以上、お答えいたします。

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 渡海自治大臣、簡潔に願います。

渡海元三郎自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○渡海国務大臣 地方財政計画につきましては、できるだけ早く国会に提出できますように、目下鋭意作業を進めておるところであります。ただいまのところ、十八日の閣議了解を目途に作業を進めておりますので、御了承賜わりたいと思います。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 終わります。

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 鈴切君より関連して発言を求められております。これを許しますが、簡潔に願います。

鈴切康雄公明党

○鈴切委員 委員長の許可を得まして、議事進行についての関連質問をさしていただきます。  ゆえに、内容につきましては、また後日、同僚議員等がこれについての質問をされると思いますが、基本的な考え方でございますけれども、佐藤総理がおっしゃっておる四次防と三次防の問題ですけれども、どうもこれをこんがらがって佐藤総理は言われておるような感じを受けるわけであります。この間、理事会に竹下官房長官をお呼びいたしましてお聞きしましたところ、やはり総理と同じようなことを言われました。内容的には第三次防の継続で、現有勢力の維持のための予算であるし、四次防増強計画の計上ではない、このように、先ほどの御答弁のとおりでございました。  とすると、まずお聞きしたいことは、今度の四次防の計画というものは、昭和四十七年に始まるのか、四十八年に始まるのか、初年度をいつにおきめになるのでしょうか、その点についてお伺いします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 もちろん四十七年から始まります。

鈴切康雄公明党

○鈴切委員 佐藤総理は、四次防と関係ないとそのように言われていながら、四十七年度を初年度にするということは、これはおかしいじゃないですか。こんな自語相違する答弁はないと思います。こんなことは承知できません。審議できないじゃないですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 いまの問題でございますが、総理が四次防と関係ないと言われましたのは、今度の予算編成においては、いわゆる四次防計画というものが策定ができなかった、間に合わなかった。それなら四十七年の予算を一体どうするかという問題でございましたが、これは四次防計画ができないということになりましたら、当然予算のつくり方について関係者が相談する必要がある問題でございますので、昨年の十二月に、この問題で関係閣僚が集まって相談いたしましたが、これは、予算の編成はとりあえず、そういう四次防というものとは関係なく、普通の予算折衝によってこの編成をする。ただ、発注の必要があったりして長期計画を要するというようなものについては、個別的に話し合ってきめるよりほかはない。そのほかは、三次防の延長として当面必要なものを最小限度きめて来年度の予算とする。ただし、そのあとで——この四次防というものはきめなければなりませんので、当然策定されることと思います。四次防が策定されたときには、この四十七年度予算をこの四次防計画の初年度予算とするという了解で、この四十七年度の予算の編成を始めたということでございます。  それはどういうことかと申しますと、これは御承知だと思いますが、四次防計画についての一応の防衛庁案というものがございまして、これは発表されております。しかし、その後、これはまだ国防会議の議を経るところまで至らないうちに、防衛庁長官がかわられるというようなことがあって、この防衛庁案の見直しが始まっておったことは御承知だと思います。この見直しの結果、新しい長官の一つの案は、この四次防計画というものはそう質的に大きく変わった計画ではなくて、三次防計画のいわば延長というような考えからこの見直しをやっておるということでございますので、したがって、四次防計画というと、何か特別、質的に変わった計画のように思われるかもしれませんが、内容はそうじゃなくて、いまの三次防計画の一つの延長、そして更新さるべきものは更新されるという程度のものになっておりますので、四十七年度の予算が四次防計画に基づいたものではなくても、四次防計画が策定されたときには、これを初年度予算としても少しも差しつかえない。永続性を持ったものでございますので、私はそれで差しつかえないものと思っております。

鈴切康雄公明党

○鈴切委員 これは、先ほどお聞きしますと、完全に予算の先取りになるわけですね。少なくとも第三次防衛力整備計画の期間は四十二年度から四十六年度までにされると、はっきり明記されているわけですよ。とすると、この五カ年計画が終われば、当然ここに国防会議を開いて、そしてことしは見送るとか、あるいは四次防計画をこうこうしかじかという大綱をきめて、そして佐藤総理のもとに国防会議を開かなくてはならない性質のものです。言うならば、これは完全に法律違反じゃないですか。  委員長、この問題、納得がいきません。(「不法行為をわれわれはやることはできませんよ」と呼び、その他発言する者多し)

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 内容の問題はともかくとしまして……(「先取り、先取り」「だめですよ」と呼び、その他発言する者多し)内容の問題はともかくとしまして、私は、こういう取り扱いは少しも違法でも何でもないと思います。と申しますのは、御承知のように、同じような問題が今度の予算にはございますが、たとえば沖繩の開発計画というようなものは、これは十年計画を立てなければならないということに今度は法律でなっておりまして、この立て方は、沖繩の新しい知事が選ばれて、知事の手でこの計画は立てられなければならぬ。しかし、それは今度の予算には間に合いませんので、今度の予算は、一応関係者の要求した要求によって、そして開発の予算を一応計上する。計上して今年度はきめますが、今後十年計画は、沖繩が復帰後当然きまりますから、きまった場合には、この四十七年度予算を一応十年計画の初年度予算として、そして正式にきまったものは二年度予算から出発するというような取り扱いにしようというようなこともございますが、国防予算も同じでございまして、まだ別に計画はできておりませんから、したがって、通常の予算折衝によってきめる。しかし、いままでの五カ年計画はなくなりましたので、次へのつなぎをどうするかということでございますが、次に正式の計画ができたら、本年度の予算を初年度予算とみなして出発しようということは、少しも差しつかえないことだろうと私は思います。

鈴切康雄公明党

○鈴切委員 いまいろいろお聞きしておりますと、実に納得がいかない点が多々あります。違法行為であり、ほんとうに納得がいきません。しかし、先ほどからお約束で、議事進行としての立場で関連をさしていただきましたので、あと同僚議員にお譲りをしたいと、そのように思います。

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 この際、和田君より関連して発言を求められております。これを許します。和田春生君。  和田君に申し上げます。一問に限ってお許しをいたします。

和田春生民社党

○和田(春)委員 ただいまの辻原、鈴切両委員からの質問に関連いたしまして、委員長から一問に限ってということでございますので、その点は尊重をして関連質問いたしたいと思います。  先ほど総理は、この四十七年度予算案は四次防には関係がないということを、再三おっしゃっておりました。そして、ただいまの鈴切委員の質問に対しましては、四次防はもちろん四十七年度から発足をする。これは前言と重大な食い違いがあるわけであります。さらに大蔵大臣の補足説明によりまして、先ほど四次防の質的な面を問題にされたわけでございますけれども、防衛予算に関しては、御承知のように、防衛計画の大綱について総理大臣は国防会議にはからなくてはならない、こういうことが法律上明定をされているわけであります。したがいまして、そういう大綱がきまった上で、それに基づく執行に関して必要な予算を組む、これが道理であろうと思うのですけれども、先ほど来の御説明を聞いておりますと、ここの予算案の審議は、一体四次防なるものがまぼろしの状態のままで予算案の中に入ってきて、四十七年度予算案で審議をされるのか、あるいは四十七年度予算案は四次防には無関係であるという観点で審議をしていいのか、その点が全然はっきりしていない。さらに、総理と大蔵大臣の発言にも大きな食い違いがあるように存ずるわけであります。したがいまして、われわれがこの予算案の審議に取り組むたてまえとして、一体四十七年度予算案と四次防のからみ合いはどうかということを明確にしてもらう。もし総理の御発言のように、四次防の初年度がもちろん四十七年度から始まる、こういうことであるならば、われわれがこれから審議しようとする予算案には四次防が当然含まれていると考えざるを得ない。そういう点において、予算審議に取り組む議事進行に重大な関係があるわけでありますから、総理と大蔵大臣の間において発言を調整して、その点を明確にしていただきたい、このことを要求したいと思います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 何か四次防計画というものが飛躍した、質的に違った計画のように思われるかもしれませんが、そうではございませんで、現に三次防計画に基づいていま自衛隊というものが存在している。それで、これは四次防計画があろうとなかろうと、現在おる人員が、本年度において同じ数においてやはり給料は支払われておりますし、必要な装備はいたしておるということでございますので、実質的に自衛隊は、いままでの三次防の一つの継続として現在存在しておる。したがって、四次防計画というものが策定されない以上は、現状に基づいて必要最低限の経費を一応査定して、四十七年度の予算を編成しておこう、こういうことで四十七年度の予算が編成されておりますので、四十七年度の予算は、四次防という計画を土台にして編成された予算ではないということははっきりしております。したがって、これから四次防計画というものは策定されるでございましょうが、いままでのところにおいては、これは経済にも大きい変化がございましたし、したがって、長期計画を立てる上においては、経済の長期見通しがはっきりしなければいけないというようなことから考えますと、企画庁方面で担当しておる作業もございますので、なかなか、急いでもことしの夏ごろまでには、これは四次防計画というものを策定することはむずかしいというようなことがはっきりいたしましたので、昨日、関係閣僚が集まって、四次防計画は、これは今度は見送る。そうして、いままでの討議をまとめて、せめて大綱を作成するということをしようということを申し合わせたわけでございますが、それによって大綱に肉づけができて、四次防ができたというときには、それを来年度から発足させるか、一応今年度のものをその中に入れて扱うかということは、これは取り扱いの問題だと思いますが、ことしの予算は一応四次防に基づいてつくられた予算ではないということを申し上げただけだろうと思います。

和田春生民社党

○和田(春)委員 議事進行に関して。質問でありません、要望……。  ただいまの御答弁では納得ができません。そういう状態においては審議に入りにくいと思いますので、休憩して、理事会を開いて、扱い方について相談をしていただきたいと考えます。  さらにまた、そういう点の発言の調整ができないまま予算審議が進みますならば、具体的な内容の追及を通じて、政府の責任を明らかにしてもらう。そのことを保留をしておきたいと思います。

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 それでは、このままの姿で十分間休憩いたします。    午後一時二十三分休憩      ————◇—————    午後一時二十八分開議

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  ただいまの問題につきましては、明日の委員会において政府の統一見解を求めることとして、審議を続行いたします。

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 これより総括質疑に入ります。  この際、委員長より政府側に要望しておきます。質疑者の時間には制約がありますから、政府の答弁は簡にして要を得て、簡潔にお願いすることに申し入れをしておきます。  この際、北山愛郎君の発言を許します。北山君。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 私は、日本社会党を代表しまして、当面しておる外交、防衛、経済の基本問題についてお尋ねをしたいと思うのであります。  ただ、いま議事進行の問題で出ましたから、私の考え方、ちょっと触れておきたいと思うのでありますが、いまのやりとりをほかの第三者の人が見ていたらおかしいと思うだろうと思うのです。要するに、いま審議しようとしているのは、四十七年度の予算、その中には四十七年度の防衛庁の予算があるわけです。四十七年度の予算なんです。それを、政府は、これは四次防には関係はない、三次防の延長であると説明している。そうしておいて、あとになって計画をつくって、これを四次防にすりかえるというのです。ですから、今度の四十七年度予算は、三次防の延長であると同時に四次防でもあるという性格を持つ。こんなごまかしはないと思うのです。たとえば、子供だって、小づかいを親がくれる。これは一月分でございますよと言ってやっておきながら、あとになって、あれは二月分だったからもう二月分はないよ、こういったことと同じことなんです。だれが見たって道理に合わないですよ。四十七年度の予算が三次防というか、四次防ではない、三次防の延長であるというようなことを言っておきながら、あとになって四次防にするというのはどういうことですか。ごまかしじゃないですか。そんな論理に合わないことはない。そんな審議を国会でやっていると思えば私は国民に笑われると思うのです。ですから、この点についてあとで政府の統一見解を出すそうでありますから、またあとでも触れますけれども、まずもって、いまのやりとりを見て私の感じを率直に申し上げた。こういうことがすなわち政治の不信感につながると思うのであります。  いまのわれわれ政治に携わる者として重大なことは、やはり議会政治に対する国民の信頼が、大きく低下しつつあるということだと思うのであります。いかにして信頼を回復するかということが共通の問題だと思うのです。世論調査を見ますと、佐藤総理に対する支持率は極端に下がっております。ですけれども、この点については、総理御自身があえて意に介さないようでございますからどうでもいいことでありますけれども、しかし、議会政治全体としてはこのままにほうってはおけない、こういうふうに思うのです。私はいろいろな方法があると思いますけれども、一番大事なことは、やはり政治家が公約を守るということだと思うのであります。言ったことに責任を持つということなんです。これは、しばしば毎国会、佐藤内閣の公約不履行については追及を受けております。佐藤さんはこれに対して、遺憾であるとかなんとかということを言いますけれども、ほんとうに反省しておらないのじゃないか。やはり公約として国民に約束しておいた以上、これができなかったらできない理由、なぜできなかったのかはっきり説明をして、そして国民の理解を得るという姿勢が私は政治の信頼を回復する一つの方法だと思うのでありますが、この点について、総理の考え方をお聞きしたいと思うのであります。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいまの北山君の御意見どおり、私も考えております。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 この点は、もう佐藤さんもあとあまり長くない、そういわれておりますから、今後の問題として、姿勢の上でなかなかいまのとおりのことを実行するということはむずかしいかと思いますけれども、しかし、いま大事なこの時期において、やはり議会政治の信頼を回復するために、あらゆる機会を通じ、あらゆる問題を通じてお互いにこれは努力したい、こういうふうに考えます。  次に、総理の施政演説にもございましたが、沖繩の返還については、なみなみならぬ執念をもって当たられたということはよくわかるのです。おそらく総理は、一つの仕事をやった、完了した、あるいはまた、沖繩が返れば戦後は終わるというようなことかもしれませんけれども、しかし、われわれからするならば、あるいは沖繩の県民からするならば問題は解決しておらない。沖繩の県民の要望は、やはり基地のない、核のない平和な島として復帰をする、これが沖繩県民の熱願だと思うのであります。これは、われわれ沖繩の人たちと一緒に、本土の基地も沖繩の基地もなくするために戦うという問題が今後残されております。  ただ、いま施政権返還までの間に、沖繩の県民の人たちは、特に返還までの、今日経済の混乱、物価が上がるということで非常な不安な状態に置かれておるわけであります。いろいろな問題がありますけれども、特に最近労働者のストライキ等があるようでありますが、この問題は、給与について、いままで一ドル三百六十円で計算しておったものが三百八円になってしまう、ベースダウンになる。こういうことに対する非常に不安感があるようでございます。これは、公務員とまた民間労働者の人たちと共通の問題ではありますが、政府としては今度の予算でも、どうやらやはり三百八円で計算するというふうに私は聞いておるわけです。こうなりますと、従来の既得権、返還によって、復帰によって生活がより悪くなるということにもなるわけであります。ですから、本土の公務員、労働者とかりに同じでなくても、あるいは向こうのほうが少し高くても、やはり激変緩和、その既得権というものを認めてやるようなあたたかい措置がこの際必要ではないか、こう思うのでありますが、政府としてはこれらの問題、公務員法が直接の問題ですが、民間の労働者についても同じような措置がとられるように配慮をしていただきたい、私はそう思うのでありますが、これは、総理あるいは担当の大臣からお答えを願いたいと思います。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 確かに沖繩の復帰までの間の問題として、ただいまの御指摘のような点が存在して、沖繩現地では混乱状態に近い問題が提起されております。ただし、国家公務員あるいはそれに準ずる公社職員、もしくは国家が雇用して提供する軍労等については、三百六十円換算という方式はとれない形になっておりますけれども、実質上、自分の所得というものが保障される本土相当号俸にそれを当てはめていく作業をいたしております。さらに、沖繩の給与体系の違いによって、公務員の中で本土号俸に当てはめた場合に、そのままではやや手取りが減るという者については、手当を支給するということで確保いたしてまいりたいと思いますが、問題は、いま言われたように、民間の給与という問題であろうと考えます。これは理論的に言うならば、企業の全体の収益も三百八円であり、そして労働者に払う賃金も三百八円であればそれで済むことなのでありますが、現実には、本土と沖繩との間の労働者の賃金については、現在すでに格差があります上に、本土が沖繩の人々にかかわりなくとった国際通貨調整の一環としての円の切り上げという事実によって、その行為だけで、自動的に手取りがさらに本土労働者との間に格差が生ずるということは、とても忍びないことであります。しかしながら、これは、沖繩の企業で雇用しております人々全体の問題でありますので、目下私の手元において、労働、通産等からも知恵をかしていただくつもりでおりますが、沖繩の現地において現実に妥結したところもありますし、妥結しておらないでスト等に突入しておるところもありますから、一体、経営者全体の立場としては、どのような手段をとればそれが可能なのであるか。これは三百六十円という言い方そのものでなくとも、実質上、本来のいままでのドル建ての給与というものが確保されていくためには何をなし得るかという問題で、目下真剣に詰めておるところでございまして、沖繩の経済あるいは労使間に、この紛争をいつまでもエンドレスに続けることは申しわけのないことだと思っておりますので、しばらく時間をかしていただきたいと考えます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 確かに民間の労働者に対する措置は、直接にはなかなかむずかしいと思います。ですが、いまもお話しのような特殊な事態に置かれておる人たちでありますから、もうあとう限りの方法、手段を通じて、せっかく帰ってこられる人たちが、そのために不利にならないように配慮していただきたいということを要望いたしておきます。それから次に、グアム島から帰られました横井さんの問題でございます。二十八年の孤独に耐え、非常な精神力でもって生き抜いてきた横井さんには、全くその生命力というか、頭の下がる思いがいたします。また、国民の中に言い知れない非常ないろいろな感動を及ぼしたわけであります。私はその内容について申し上げるわけではございませんが、何しろ非常に、ほんとうに苦労されたわけでありますから、国としてもいろいろこれからのお世話を十分にあたたかい気持ちでやるという配慮を、これは当然お考えかと思いますけれども、する義務があるのではないか、こう思うわけであります。大騒ぎをするのではなくて、もっとやはり静かに落ちついて環境になれていただくように、あるいはまた、ただ一時的じゃなくて、やはり長く十分な処遇をされるというふうに、ひとつ政府にその措置を要望いたします。  また同時に、横井さんは遺骨を持ってこられました。志知さんと中畠さんの二人の遺骨を持って帰られましたが、それで感じますことは、戦後外地へ残されたあるいは生存されている方々の調査、あるいはまた、外地において戦死をされ、いまでも帰ってこない遺骨が約百万以上あるわけでございますが、そういう調査を徹底的にやったのならば、あるいはこのお二人の方々も生きて帰れたのではないかとすら私は思うわけであります。  そこで、たしか昭和四十二年にこの席で佐藤さんに私は要望したわけでありますが、大陸とか南海の島々に朽ち果てておる遺骸あるいは遺骨、百万以上あるわけでありますが、これはやはり徹底的にあらゆる手を尽くしてそしてこれを調査して弔ってあげる、これはぜひやらなきゃならぬ問題だというので、その当時要望しておいたわけでございますが、その後もこの事業は続いておるわけでありますが、こういうことから考えましても、やはりもう少し大規模に、しかも計画的にこれを徹底的にやるというふうに進めていただきたい、こういうように思うのでございますが、厚生大臣から、いままでの経過、それから今後もそのようになさるかどうか、こういうことを報告をされて、そしてこの措置をお答え願いたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 グアムから引き揚げられました横井さんの今後の処遇、政府の対処のしかたにつきましては、ただいま北山委員のおっしゃいましたとおりに考えております。できるだけ政府としてのなすべきことをやりたい、かように思ってやっておるわけでございます。  四十二年に北山委員から、遺骨の収集について特に激励の、あるいはおしかりを込めた御質問があったことを私も承知をいたしておるので、四十二年以来、計画的に、できたら四十六年度までには遺骨の収集のできる範囲のところの収集は終わりたいというつもりでやっておりましたが、まだ十分とは申せません。四十二年以来遺骨の収集をいたしました数は、七万三千体余りでございます。したがいまして、今年もさらに遺骨の収集に力を注ぎたいと思っておるわけでございますが、しかし、おっしゃいますように、ことにこのたびの横井さんのお帰りになった事情等を考えますると、まだまだ遺骨の収集をもっと手広く、また集約的にやる必要がある、かように考えまして、今後一そうこれに力を入れたい、かように思います。  また、生存者のお方の捜査につきましても、グアム島においてもかって二名の日本人らしい方がおられるという情報もありまして、その前にもアメリカ政府に依頼をして、その情報の収集方をずいぶんお願いをいたしておりました。そういうような関係で、そういった生存しておられるという情報がありましたときには、グアム島にも二度こちらから出かけてまいり、戦友の方と一緒に捜査をしたこともあるのでありますが、今日までその成果を見られなかったのは非常に残念に思います。まだ今日も二名ばかりおられるのではなかろうかという情報がございますので、特にグアム島のシャルフ刑事さんに非常に熱心にやってもらっております。いまこちらに見えておるようでありますが、特に横井さんの出てこられたいきさつ等を記載した新聞を持って帰ってもらって、これをできるだけ島内、ことに生存者がおられるであろうと思えるような地域に配布をしてもらって、そうして出てきていただくように、いま手配をいたしております。また、要すればこちらからも人を派遣していたしたい、かように思います。ただ、御承知のように、出ていったならばつかまえられて殺されるのではないかというような危惧の念をみな持っておられるらしいのであります。横井さんも、出てきたときには、土着の二人の方が取り押えるのに相当反抗をせられたようでございます。横井さんも、出てくるようにという呼びかけはたびたび聞いた、聞いたけれども、出ていったならばやられてしまうのではないかというので隠れておったということでございますので、したがって、どうもさがしに来られたらしいということになると、またわからないところへ隠れていくというような、そういった、われわれいまの時点で判断すると判断しにくいような心理状態が生存者の方にあるらしいので、その点ははなはだむずかしいと思いますが、ただいまも申しますように、生存者の情報があれば、できるだけのことをいたしたい。きょうの閣議におきましても、総理からの御指示もあり、こういう点については、金を惜しまずに、いままでの計画より以上に密に集約的にやるというように、閣議でも了解を得ました。総理の指示もありましたので、今後これに十分力を注いでまいりたい、かように思います。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 私、厚生省からこの遺骨収集の状況の資料をもらっているのですが、戦没者の総数が、概数として二百四十万です。そのうち、復員のときとか、いわゆる送還されたものが九十二万六千、政府の派遣団による送還数というものが十一万五千ですね。ですから、まだ百数十万という人たちが残っておるわけですね。非常に困難な地域もあると思いますけれども、私は、やはりいままでの政府の取り組みというものは非常に不足したのではないかと思うのです。ことしの予算でもわずか千三百万円と聞いております。やはりこれは四十二年と同じことを繰り返すことになりますけれども、ひとつできるだけのことをするためにやはり計画的にやっていただきたい、しかも腰を据えてやっていただきたい、こういうことを要望いたしておきます。  次に、外交問題に移りますが、総理の施政演説やあるいは外務大臣の外交演説を拝聴し、あるいはあとで私は何回も繰り返して読んだわけです。ところが、いわゆる日本をめぐる国際情勢の変化ということについては、ニクソンの訪中であるとか、あるいは中国の国連の代表権の回復とか、いろいろ大きな変化があって、しかも東西の対立が緩和している、緊張が緩和しているという大きな流れを政府としては認めている。ところが、これに対応する外交政策としては旧態依然たるものがある。いわゆる緊張緩和である、東西対立の緩和であると言っておきながら、日中問題にしても、朝鮮問題にしても、一向に一歩も進んでいない。むしろこの前の臨時国会あたりよりは後退をしたんじゃないか。従来の姿勢、冷戦的な思想というものの上に立った硬直した外交、言うならば安保外交といいますか、そういう中へ閉じこもってしまったんじゃないか、後退したんじゃないかと思うのです。ですから、私は、外務大臣の演説でも同じです、総理の演説でも同じですが、状況の変化は認めながら、これに対応する日本の外交の転換というものについては何らの策がない、こういう印象を非常に強くしたわけですが、この点について、総理及び外務大臣からお答えを願いたいと思うのです。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 私は、先般の外交演説におきましても、世界情勢は動きつつある、つまり、米ソ対立の世界情勢から多極化の世界情勢に移りつつある、こういうことをはっきり申し上げたわけです。それに対応して多角的な外交を展開しなければならぬ、そういうことも申し上げておるわけであります。まさに多角的な外交を展開しておる。御承知のように、グロムイコ外務大臣との間に、日ソ間ではあれだけの友好の前進があった。また、年初ではありますけれども、フランスのシューマン外相とも会談しております。またさらに、今月はイギリスのヒューム外務大臣が会談のために日本にやってくる。ヨーロッパ外交というものにもかなり力を入れておる。それから中国の問題、これはわが国としては非常に重大な問題である。これに対しましても、日中国交正常化、こういう目標をはっきりと示しまして、これにまっ正面から取り組む、こういう姿勢を打ち出しており、中国側がこれに対応せられるように切に期待するということを申し上げておるわけでありまして、決してわが国が世界の情勢に対しまして晏如としておるということじゃないのです。むしろ非常に積極的に多角外交を展開しておる、こういうふうに考えます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいま外務大臣からお答えをしたとおりでございまして、私からつけ加えることはございません。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 いまのお答えですが、たとえば日ソの会談なんというのは、こっちから積極的にやったというよりは、むしろ向こうから——いまの情勢も作用しておるでしょうが、どうも自主的にこちらからやった、切り開いたというものじゃないと思うのですね。その他のヨーロッパ、世界の各国とのつき合いも、これは通常のつき合いであって、一定の方針のもとに展開している外交、積極的な自主的な外交とはいえない。一番大事なことはやはり日中の問題だと思うのです。  その前に、私は総理にお伺いしたいのですが、実は総理の施政演説と外務大臣の演説は違うのです。情勢分析とか、その点についてですね。総理の演説を要約しますと、確かにそれは緊張緩和の傾向もあるというようなことを認めながら、しかし、あわてちゃいかぬよ——昨年来の問題をいうのだろうと思うのですが、国民は不安や焦燥感を持ってあわてちゃいかぬよ、よく実態を見きわめながら、百年の大計を誤ってはならぬ——百年の大計を誤ってはならぬと言うのですが、一体、総理の百年の大計とは、どういう方向へ向かうということなんですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 これはもちろん、各国とも希望するものは平和でございますから、ことに善隣友好、よき隣人になるというそのことはもちろん考えなければならない。一国にいいと第二国に悪いとか第三国に悪い影響があるとか、こういう事柄も絶えず考えていかなければならない。われわれはすべての国と仲よくするのでございますから、一国だけ特別な関係を持つことが、全体の平和友好ということに必ずしも結びつかない、そういう点を特にわれわれは注意していかなければならぬ、かように思っております。その点に触れたのでございます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 何としてもわれわれが積極的に道を開かなければならない一番大きな問題は、日中の国交回復だと思うのであります。これはもうすでにおそいのです。実は昨年、私は夏の臨時国会のときに本会議でも申し上げましたが、日中の関係は特殊な事情にある、アメリカのあとをついていくとか、あるいは国連総会で世界の大勢がきまってからのこのこ行ったのでは、これは条件がきびしくなる、こういう気持ちであの際申し上げたと思うのであります。  ところが、もうこれは各方面から論議されておりまして、あらためて政府のこまかい問題について聞く意欲を私は実は失っておるのですが、要するに、この施政方針の演説とか、あるいは本会議等における質疑を通じて見ることは、日中の国交回復、国交正常化の意欲だけを示しておる。具体的に何がネックになっているかということは、もう周知の事実です。いわゆる台湾の問題です。いわゆる日華条約というものをやはり廃棄すべきであるという、これを確認する上に立って進めなければ、もうにっちもさっちもいかない、これは明らかですね。それをどうするかということなんです。ただ日中正常化であると言って、そういう点をあいまいにしておいて、いまの態度を続けて、いつまで待てば一体日中国交回復ができるか。もうわかり切っているわけですね。いまの態度で続けていって、向こうの態度が変わるのをいつまでも待つという、こういう姿勢ですか。佐藤総理は施政の期間があるいは短いからかもしれませんですが、あとの後継内閣というもの——ここには候補者が何人かおられますけれども、そういう人たちも同じような考え方でいったら、いつまでたっても日中の国交回復はできない。これがもう現実ですよ。これをどう切り開いていくという気持ちなのか、そういう点が少しもはっきりしないわけです。私の言いたいのは、うしろ向きだ、あるいは後退しているというのはその点なんです。これは外務大臣からもお伺いしたいと思う。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 ことしの正月、サンクレメンテで総理と大統領との会談が行なわれた。その席でも明らかになったのでありますが、とにかく、わが国は日中国交の正常化ということを基本的な考え方としてやっていく、アメリカのほうは大統領の北京訪問が事の始まりだ、こういうこと、両国におきまして、とにかく八億の民を持つこの大国中華人民共和国というものを国際社会の外に置く、また、隣の日本やいろんな深い関係のあるアメリカがこれと正常な関係を持たない、こういうことは非常に遺憾なことである、こういうことにつきましては意見の一致が見られたわけでありますが、そのアプローチの方法は、わが国にはわが国の行き方がある。わが国は、いま申し上げましたように、日中国交正常化という非常に大きな旗を掲げておるわけであります。それで、そういう目標を掲げながら、中国側が要請しておる諸問題、伝えられるところの諸問題につきましては、早く政府間の接触を始めて話し合いをしようじゃありませんか——話せばわかるということがありますが、これは話し合いが大事なんだ、こういうことを私どもは申し上げているのです。そういう話し合いの過程においてもろもろのむずかしい問題はおのずから解決されていくじゃありませんか、この話し合いを始めましょう、こういうふうなことを言っておる。アメリカと比べますと非常に進んだ考え方を持っておるわけでありまして、私はこの考え方はぜひひとつ御理解を願いたいと思うのですが、そういう姿勢を中国におきましても理解してもらいたい。日本は中国とほんとうに接触を始めたい、国交の正常化をやりたいんだというこの考え方につきまして、先方も理解を持ってもらわなければいかぬ。この相互の理解があって初めて日中間の諸問題というものは解決されていくんだ、こういうふうに私は思う。先方から申し出た条件を全部聞かなければ政府間接触は始まらぬ、こういうことじゃないと思うのです。相互だと思うのです。わが国にはわが国の立場がある、向こうにも向こうの立場がある、それは話せばおのずから解決してくる問題だ、こういう認識で粘り強く日中問題の解決の推進に当たりたい、これが私の考えであります。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 私どもの理解しておるのは、そういう態度では一歩も進まないということなんです。これは私だけじゃなくて、もう天下周知の事実ですよ。話し合ってきめましょう、それまで待つということでは、問題がはっきりしているのですから、台湾問題と。中国は一つであって、台湾はその一部であって、いまの中華人民共和国の政府がその代表する唯一の政府である、そういう立場に立って、そしていずれは結局、日華条約というものは、台湾との条約というのは、これは廃棄せられるべきものだ。もともとこれはその有効性についても問題があるわけです。それはもういま常識じゃないですか。それをどう解決するのか、それが問題なのであって、いま外務大臣が言っているような姿勢では、いつまでたったってそれは解決しないということなんです。口だけで、話し合いの上で解決するとかなんとか言ってますけれども、それは解決しないということなんです。しかも、これはアメリカやなんかと違って、日本はアメリカと戦争する前に、中国に侵略戦争をしかけたんだ。十余年間も侵略をしたんだ。そういう問題があとになっていまだに解決をしないということ。こういう点からしても、こっちの言い分を聞かないからとかなんとかという態度ではいけないと思うのです。そういう意味で特殊な関係にある。最も誠意を披瀝して、そして中国との関係をほんとうに友好——まあ国交を回復するということが私はいまの国民的課題だと思うので、いまの外務大臣のようなことでは、これはもういまの佐藤内閣はもちろん、福田内閣になってもできませんよ。そうじゃないですか。問題の所在はもうはっきりしておるのです。そういう意味で私は、去年の臨時国会あたりは相当に前向きになったはずなんだけれども、もう一歩も二歩も後退したんじゃないかということを申し上げる。  これは具体的に言えば、ちょうど、せんだって本会議での答弁にもありましたけれども、いわゆる共同声明、日米共同声明の韓国・台湾条項です。これについてお尋ねをしたいことは、これは総理にお尋ねをするのですが、これは初め、日米首脳会談のあとで総理は、四十四年秋の共同声明の中での韓国・台湾条項はなくなったというふうなことを首相記者会見で言っている。あとでこれを訂正しているわけですね。あるいはまた昨年の国会で、事前協議に対して前向きに態度を決定するとあの四十四年の共同声明のあとでの会見で言っている、そういうことは言い過ぎであったと言って、はっきりこれは訂正したじゃないですか。それをまたあとでひっくり返している。どういう事情でそういうことになるのですか。総理に私はお尋ねをしたいのです。その点を明らかにしてもらいたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 第一段の問題は、私のサングレメンテにおける記者会見のその模様についてのお尋ねかと思います。  今回の共同声明では、確かに朝鮮あるいは台湾条項というものは落ちておる。これは他の場所でも申しましたように、もちろん、共同声明だとか、共同コミュニケだとか、こういうものは、そのときどきに関心のある事項について発表されるのでありまして、それが落ちたからといって、それが修正されたとか、かように考えることは早計だと思います。私はその後におきましても、もしも韓国や台湾にそういうような事変が起こるとしたら、それは日本は対岸の火災祝してぬく手がしておれるような状態ではありません、それは重大な問題であります、関心のあることだ、こういうことを申し上げておるのであります。これは別に訂正したわけでもございません。これは一貫してさように考えておるのでございます。今日も同じように考えております。しかし、そういうような事態は現在は起こらないと、かように私は思いますので、たいへんしあわせなことではないかと思っております。そういうような事態が起こるような不安な状態はない、かように私は思っておりますので、この点ではたいへんしあわせだと、かように思っております。  また、先ほど福田外務大臣からるる説明をいたしましたが、とにかく昨年の、中華人民共和国が国連に入り、安保理事会の常任理事国になったということ、これは重大なる変化でありまして、私どもが外交の基本の一つの柱に国連中心主義、かような旗じるしをしておる限り、そのもとにおきまして、私どもの外交面も積極的に変化せざるを得ない、そういう状態になっておると思います。しかし、これはやはり、日本が幾らその方針に立って善隣友好を呼びましても、相手方のあることでございますから、福田外務大臣の答えるように、ただいまいかようのしかたもない。ただその場合に、お話のように、これは一切の日中間の関係は改善されない、こう言っておられるかどうか。どうもそうは言ってはおれない状況なんです。私どもの変化した状態も十分理解していただいて、そうして中華人民共和国もやはり話し合いに入っていただき、そうして話をしていけば、必ず私は、福田外務大臣の先ほども申したように、話せばわかる。善隣友好を望む限り、必ずそれはまた、共存共栄を叫ぶ限り、平和のうちに話し合いは進行できる、かように私は考えております。でありますから、国会でも特に声を大にして、中国は一つだという観点に立って、昨年の国際変化に対応するということをはっきり実は申し上げたつもりであります。もしも、その点において誤解があろうとは思いませんが、私は、中国は一つであり、中国を代表するものは中華人民共和国である、国連ではっきりそのことが決定されたのでありますから、そのもとにおいて善隣友好を続けていこうという、この態度はそのままやはり受け取っていただきたい、かように思います。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 私はいま聞いているのは、共同声明の中の韓国・台湾条項なんです。これをなくなったとはっきり言われたわけですから。ところが、伝えられるところによると、その後アメリカからいろいろ申し出がある、問い合わせがあるということでもって、またなくなったということですね。そういう問題について問い合わせがあって、そうして訂正されたんじゃないかという経過の新聞の報道もあるわけです。そういうことがあったということはおそらく言わないと思うのですけれども、そういう経過がある。私どもとしては、この共同声明の中の韓国・台湾条項というものはあってほしくないものである。あれがあることがすなわち、日中の国交回復あるいは全朝鮮との平和的な今後の国交のために非常に障害になっている。ですから、なくなったというならたいへんけっこうだと思ったところが、またもとへ返ってしまった。  私はさらに 福田外務大臣のこの前の本会議における答弁。台湾の安全が脅かされるということになれば、沖繩とかあるいは日本にある米軍が出動する。日本も、間接かもしれませんが防衛の責任がある、安全について責任があると言ったんです。一体何を根拠にして責任があるんですか。だれに対して責任を持っているんですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 私はこの間、本会議で春日委員長の質問に対しまして、台湾の防衛につきましてはアメリカが全責任を持っておる、しかし日本が、だからといって何らそれに関連がないのかというと、そうじゃない、米軍が日本の基地から発進をするという場合にイエスまたはノーと言う、そういう責任があるんだ、そういうことを言ったのです。安保条約を踏んまえまして、その限度において責任がある、こういうことを申し上げたわけであります。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 安保条約そのものには、日本は、アメリカが日本の基地を使って極東でいろいろ活動することについての直接の責任はないんです。日本が都合の悪いときにノーと言える、これが安保条約の精神なんですよ。いまの安保条約の一体どこに、米軍がどこか台湾なり韓国なりに行動するときに、イエスと言わなければならぬ責任があるのですか。安保条約のどこにあるのですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 安保条約は、日本の防衛に責任を持つ、それからまた極東の安全に責任を持つ、こういう趣旨であります。そういう趣旨におきまして米軍が日本の基地から発進をする、そういう場合がある。それに対してイエスと言い、あるいはノーと言う、そういう場合があるんです。台湾海峡につきましては、いま総理から申されたように、もう緊張緩和ですから、まあ万々そういう事態はあるまい、私はそういうふうに思います。しかし万一という場合がある。理論的に考えまして、台湾海峡に対して米軍が本土から発進をする、そういう際におきまして、イエスと言い、あるいはノーと言う。そういうイエスと言う際におきましてはそれだけの責任がある、こういうことを申し上げておるわけであります。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 安保条約は、日本に関する限りは、日本の領域、日本の本土の防衛ということで、日本が外部から武力攻撃を受けたときにはもちろん発動するが、そのときにアメリカが日本と共同して日本を助けてくれる。しかし日本は、アメリカの日本の領域以外における行動に対しては、責任とか協力とかいうことはないんです。共通の関心を持っている。関心は持っているけれども、協力するという規定はどこにもないんですよ。ただしかし、基地を提供して、アメリカはその提供された日本における基地をもって、極東なりそういうところに活動するわけです。しかしそれは無責任であっちゃいかぬ。日本に都合が悪い場合があってはいかぬのですから、ノーと言える。それがすなわち事前協議なんです。ですから日本が、韓国とか台湾とか、あるいはその他の極東の地域の安全に責任を持つなんということは、安保条約にはどこにもないんですよ。それは関連はあるでしょう。日本の安全に客観的に関連はあるでしょう。そういうことになれば、ヨーロッパの安全だって関連がありますからね。関連があるということと、協力したり責任を持つということは、全然別なんですよ。一体いまの安保条約のどこに、日本が韓国や台湾の安全に責任を持つような規定がありますか。義務がどこにありますか。はっきり答えてください。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 わが国はアメリカに対して基地を提供する義務を負っております。その基地を根拠といたしまして米軍は、日本の防衛と、また日本周辺、すなわち極東の安全の責任を負うわけです。そういう限りにおいて、間接的にではありまするけれども、基地を提供するという意味において日本にも責任がある、こういうことを申し上げておるわけなんです。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 しかし、この前のあなたの答弁は、そういう意味じゃないんですよ。韓国の安全が脅かされたときにはやはり日本も責任あるというふうな、そしてまた、これこそが共同声明の中の台湾条項であり韓国条項なんです。だから、そこで共同声明というものは安保条約を逸脱しているんです。  安保条約は、当時のあの六〇年安保のときの審議でもわかるとおりです。日本はアメリカを助ける義務はないんですと、藤山外務大臣が説明したんだから。アメリカの行動が自分のために都合の悪いときにはノーと言える、チェックするんだ。しかし、極東その他においてアメリカが行動することについては、日本は責任を持たない、いかに行動しようが。ところが共同声明は、沖繩その他の極東における米軍の行動を支持した。いてもらったことが非常にいいことだといって、しかも、全体的に日本以外の極東の安全あるいは平和の維持について協力するというふうに、安保条約を越えて佐藤さんはニクソンと約束したわけです。そこに安保条約というものの性格が拡大して、いわゆるアジア安保になってきている。その一つがすなわち韓国条項であり台湾条項なんです。その台湾条項があるからこそ、これが日中の国交回復の障害になっている。これは私の意見じゃなくて通説ですよ。  だから私どもは、総理が、韓国条項、台湾条項は、あれはなくなったんだと言った。ああ、けっこうなことだと思った。少なくても前進だと思った。そういうことによって日中の国交回復のとびらが開かれると思った。ところが、実はそうじゃなくて、後退しちゃった。これじゃ、いつまでたったって日中の国交回復はできませんよ。  しかも、私ども聞くところによると、訪中するニクソンに何か頼んだという話もあるわけですね。ほんとうかどうか知りませんが。あるいはシューマン外相に頼んだ。これは私は、中国の問題はほかのことと違うと思う。私が周恩来であれば、よその人に頼むほど、日本と中国の関係、お国との関係はそんな水くさいものじゃないはずだ、直接にぶつかって話し合う関係ではないかと、私が周恩来であればそんなものけ飛ばしますよ。私は、そういう気持ちではなかったら、まあ美濃部さんどころじゃなくて、あの手この手を回してやるような小手先のことで日中の国交回復を考えてもらっちゃ困るんです。ほんとうにあの戦争の与えはかり知れない犠牲ということの上に立って、その反省の上に立ってこそ初めて日中のほんとうの国交回復ができる。小手先の外交じゃだめですよ。  とにかく私は、佐藤内閣については、冒頭に申し上げたとおり、日中問題は解決できないだろうと思う。ただしかし、次の内閣、佐藤内閣の次の何内閣か知りませんが、その内閣が同じようなことをやっておったら、いつまでたってもこの問題は解決をしないし、またそれこそ日本の国の百年の大計を誤る。もう真剣に私はそう考えているんです。いまの佐藤内閣のいままでたどってきた道は、アメリカのニクソン大統領のいわゆるニクソン・ドクトリンの線に誘導されている。この前の本会議でも言ったとおりです。去年の七月にキッシンジャーが北京に行って、そしてニクソン訪中の話し合いをしているその同じ時期に、日本にはレアード国防長官をよこして、日本の防衛力増強の話をしているじゃないですか。違ったことをやっているじゃないですか。日本に極東の防衛の役割りをだんだん肩がわりをさせていく。あるいは台湾問題もいつまでもくっつけておいて、それを日中国交回復の障害にしていく。そして自分は日本の頭の上を越して中国と接近をする。いつまでも中国と日本は仲たがい、対立の関係を続けていく。いわゆるアジア人同士対立させるというのがニクソンのドクトリンじゃないでしょうか。私どもは、そういう道をずるずる行ったんじゃ日本の国益に反するですよ。だから私はそれを言っているんです。その点について総理から、見解があればお聞かせを願いたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 だいぶん北山君、誤解しておられるようです。どこの新聞か、新聞記事をたいへん高く評価しておられます。私のここで直接お話しすることよりも、どこかの新聞記事には出ていたという、そのほうが高い評価のようです。私はさようなことはないということをはっきり申し上げておきます。  私は、先ほど来申したように、この前の一九六九年、その時分に朝鮮条項あるいは台湾条項があった、これは書かずもがなのことで、これはよけいなことであったと、これは確かに申しました。今回のサンクレメンテにおける際の共同声明ではそれが落ちております。それは抜かれております。これは一体どういうことなのか、そのときと考え方が変わっているのか、かように申しますと、これは変わっておらない。先ほど申したとおりであります。隣国日本から見まして、朝鮮や台湾に事変が起これば、これはたいへんな問題だ、これは対岸の火災視できない、これはあたりまえであります。しかしそれを、どこかの新聞の報道では、アメリカの要請によって声明を変えたとか変えないとかいうようなお話ですが、さような事実はございません。アメリカも日本に、さような主権国に対して干渉がましいことを申すわけがございません。その新聞があれば、その新聞の名前もはっきりしていただいて、それはどういうような事柄でその記事が出たのか、私もはっきりさせたい、かように思います。だから、さようなことはどうか御信頼なく、この席で私が申し上げておることが、このまま国民にも伝わるのでありますし、これをひとつ大事に、ただいまのような点があるならば、それはひとつ誤解だとして取り除いていただきたいと思います。  また、ただいまのニクソン訪中、こういう事態が起こりますし、われわれはなかなか北京に出かけるというような機会もまだない。そこにはたいへんな開きがあります。ニクソン大統領が北京に訪問するのも今月じゅうでありますから、その結果が一体どう出るか、そこらはやっぱり事態の推移を見ないと、先取りをして、外交交渉の先回りでいろんなうわさをすることは、それこそ間違いじゃないかと思っておりますから、私はこれはニクソン大統領が訪中する、それにまかしたらいい、かように思っております。そうして私どもは、私どもとしてはっきりしたその立場を貫きたい。その立場を貫くことは、先ほど申しましたように、われわれの一つの外交の方針に、善隣友好、同時にまた国連中心主義というものがございます。その国連で事態は非常な変化を来たしておりますから、国連中心にのっとってわれわれがこれからの外交を展開するのだ、こういうことをはっきり申し上げたいと思います。  あるいはニクソン大統領に日中間の関係の調整をお願いをしたとか、あるいはシューマン外相にいろんな日中間の関係について協力を求めたとか、これなども言い過ぎではないかと思っております。もちろん私は、ニクソン大統領が訪中されれば、日本の置かれておる今日の立場について正確な認識を持ってもらいたいと思っている。そのはっきり言えることは、日本が再軍国主義化する、そういうことが盛んにいわれておりますが、ニクソン大統領が話をするのに一番いい適当な人じゃないかと思っております。しばしばいわれておるのですが、安保条約のもとでは日本は核を持つことはできないとか、あるいは核は持たさないとか、かように言っているというようなことまでうわさされておりますから、これは私、ニクソン大統領に、十分日本を理解していただくように北京政府にもよく話してください。これは私、最も時宜を得た方法じゃないかと思う。北山君もそういう意味でこれは御理解いただきたいと思うのです。またシューマン外相。これは私は、シューマン外相には何も頼んだことはございません。しかし比較的にパリは中国外交の中心地だといわれております。最近はカナダにも変わったといわれるが、やはりパリが一番わかりいい場所だ、かようにいわれておる。そういうことを考えながらシューマン外相といろいろ意見も交換しております。これはこの席ではっきり申し上げ得ることでありますので、これははっきり申し上げます。  とにかくいろいろな新聞記事その他が出ております。記者諸君には実際気の毒ですが、正確に伝えてもらわないと困るように思います。ただいま、いろいろお話しのうちに誤解を招いた点があるようですから、その点だけを解明しておきます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 やはり非常にむずかしい局面で外交上の転換をやるということは、これは容易ならざることですね。ですから私の言いたいのは、あっちこっち手を回すのではなくて、やはりそのときにはぶつかっていくという姿勢が必要だ。ニクソンの訪中もいろいろ評価はあるでしょうけれども、アメリカの大統領が北京に行くなんていうことはやはりそういう一つだと思うのですね。やはりそういうくらいの気持ちでやっていかぬと、日本のいまの外交を、いわゆる東西対立の緊張の緩和という非常に——しかも、平和共存の空気が強くなった、中国も国連に帰ったというようなそういう情勢の中で、日本の新しい外交を展開することはできないということです。そういうことを私は強く申し上げたい。  私どもは、いろいろと情報を他から得てものを判断する以外にないのですが、それならば総理は、直接ニクソンにお会いになったわけですから、しかも中国問題もお話しになったと思うのですから、そこで、ニクソン訪中の評価についての考え方、もし評価ができればそれをひとつお聞かせ願えたら、そう思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 この評価がいろいろあるだろうと思いますし、私もまたニクソン大統領と直接この点では話し合ったのでございますから、ニクソン大統領の意向は、できればこの機会にお話しをしたいと思いますけれども、しかし事柄は、ニクソン大統領がいま北京に行こうとしておる、その最中でございますし、そのニクソン大統領が行かれてみずから明らかにされることを、私ども先回りをしてお話しをすることはいかがかと思いますから、それは遠慮させていただきたいと思います。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 外交問題は以上で終わるわけですが、私は、政府が中国問題や何かについて後退をしたというのは、やはりアメリカとの関係——去年は相当経済その他の問題で対立をしたわけです。ニクソン・ショックを受けたわけです。そういう問題が、ワシントンにおける通貨調整の会議や、あるいはサンクレメンテの会議で若干よりが戻ったというか、まあ戻ったということに一つの安堵感を覚えて、また安易な姿勢に戻ったのではないかという気もするのです。しかし、私は注意しておきますけれども、国際通貨不安の問題にしても、決してワシントンの例の通貨調整で落ちつかない、やはり通貨危機というものは続くであろう。したがって日米の経済問題のいろいろな障害も生まれてくると思うのです。あるいはまた、ニクソンが北京に行けば、やはり局面は非常に変わってくると思うのです。そういうときに、日本が相変わらず対米協調——対米追従といいますか、そういう安保外交であっては、そのときにまたあわてなければならないことが起こるのじゃないか、私はそう思いますので、その点はひとつ、注意といえばあれですが、申し上げておきたいと思うのであります。   〔委員長退席、田中(龍)委員長代理着席〕  次に、軍国主義の問題が出ましたが、例の防衛費の予算であります。これはよく世間では、四十七年度の防衛費の予算というのは八千三十億である、去年に比べて千三百二十一億ふえた、それも沖繩を含んでふえただけだ、こう言いますけれども、実は防衛費については、この前も問題にしましたように、相当大きな国庫債務負担行為と継続費において、四十八年度以降の予算を先食いしている。それが四千百八十三億ある。いろんな飛行機や新しい飛行機をつくるにしても、これは四十七年度だけの問題じゃなくて、四十八、四十九、ずっと長期のものなんです。ですから、その四千百八十三億というものは予算そのものがなくても注文ができる金なんですね。したがって、八千三十億プラス四千百八十三億ですから、まさに四十七年度で一兆二千億以上の防衛費になっておると言っても過言ではない。そしてその四千百八十三億のいわゆる四十八年度以降の予算の先取りの中に、新しい偵察機であるとかいろいろなものが入っておるわけですよ。私は先ほど、最初に申し上げましたが、これは四次防じゃないんだと言いましたね。四十七年度予算は四次防じゃないと言ったわけです。四次防として組んだのじゃないわけでしょう。三次防にちょっと上乗せするぐらいな程度でやる。それがどうして一体年度の中途になって四次防になるのですか。おかしいじゃないですか。いまの段階では三次防の延長だと言っておいて、そして、あとで計画ができれば四次防に編入する、そんなインチキなことはないじゃないですか。先ほど言ったように、子供だってわかりますよ、そんなことは。もし四十七年度の予算が四次防ではないとするならば、それで貫くべきなんです。四次防が四十八年度から発足したっていいじゃないですか。それを年度の途中になって、今度はあらためてそれを四次防に振りかえていくというのは、これはだれが考えたっておかしいですよ。どうですか。いまは三次防にしておいて、あとでは四次防にするというのはおかしいじゃないですか。四十七年度の一つの予算ですよ。どうして一体説明がつくんです。子供に話したっておかしいじゃないですか。そんなことで一体国の予算が編成をされ、国会で審議できますか。はっきり答えていただきたい。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 先ほどもお話ししましたように、四次防計画ができようとできまいと、現実に自衛隊があるのでございますから、防衛力があるのでございますから、この現有勢力の維持というものを中心にして、新規構想に基づく特別の増強ということはしない立場で今年度の予算の査定をする、それ以外に予算を編成する方法はございませんので、そういう立場でこの予算の編成をするという方針を関係者で申し合わせて今年度の予算をつくったということは事実でございます。  そこで、それなら四次防というものはどうするのかということでございますが、いまの見通しでは、なかなか四次防計画というのは策定がむずかしい問題でございます、というのは、まだ長期の経済計画がはっきりできませんので、そのためにほんとうの四次防計画というものはできない。いまの見通しでは、少なくとも夏以前にはできないということがはっきりいたしましたので、私どもはもっと先にいって四次防はつくるというふうに考えております。  そうしますと、では今年度の予算と四次防との関係ということになりますが、これは前には、一年、計画的な防衛力の増強ということについてブランクの年がございました。年度に属さない中間にブランクの年もございましたが、そういう年をつくってもかまいません。そうして、四次防ができてからきめた四十八年度までにできますれば、そのときから第一年度とやっても私はいいとは思いますが、しかし、そうでなくて、いま描いている、最初防衛庁で発表しました防衛庁の原案というものは、相当新規構想に基づいた増強計画であったと思いますが、その後これについては見直しが行なわれまして、そういう性質のものでなくて、現在の三次防を継続する、そして現有勢力を維持することを中心とした計画というものを大体次期の計画にしたいというような一つの考え方が、訂正の考え方が防衛庁自身にできてきておりますので、もしそういうものに基づいて将来四次防計画というものがはっきり策定されるというようなことでしたら、この四十七年度の予算とのそう質的差異をつけなくてもいいので、これをそのときの計画の一年度と見てもいいのではないかという考えも持っておりますし、それがいけないので、ことしはことしでもう単年度予算として計画に無関係なもので次からやれといえば、それもいけないというわけではございませんが、これは私はそう固執してどちらがいかぬとかいいとかいう問題ではないと思います。要するに、四次防計画というものがいま立っていないのですから、できたあとで今年度をどういうふうに位置づけるかというだけの問題であろうと私は思います。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 いろいろ言われますが、要するに、どういう位置づけをするかというのですが、三次防の延長だといってまず予算の審議のときやっておく、あとでいかにしてこれを四次防にすりかえるかということなんですね。はっきりいま正直にそれを言っているのですよ、大蔵大臣は正直だから。ただ、しかし、やはり三次防にしても四次防にしても、整備目標というものはあるわけですよ。その整備目標というのは、四十六年度の予算のたしか審議の中にあったのだけれども、四十六年度の予算を実行しますというと三次防はどの程度に達成できますかというときに、たしか九七%は達成できると言った。三次防の大部分は四十六年度予算でできておるのですよ。ところが今度のは、その八千三十億だけを見るとちょっぴり頭を出しただけですけれども、しかし国庫債務負担行為とかあるいは継続費、新規分二千五百億あるのです。四十六年度とか前年度からの繰り越しを含めば四千百八十三億なんです。新規なものが入っているのですよ。  これは防衛庁からの予算の大綱ですけれども、この中に新規分と既定分とみな分けて書いてある。新規の中で、これは新聞でもいっているとおりですけれども、四次防に予定されておった偵察機RF4E、十四機、二百七十八億もかかるわけですね。そのうち四十七年度の予算に頭を出して四億五千五百万円ただ組んであるだけで、あとのものは四十八年度以降なんです。長期なんですよ。臨時に四十七年度の予算を組んだのではないですよ。こういう膨大な金の要るものを、数年間にわたる長期のものなんですよ。それをどこまでも三次防というのですか。いまのところは四次防がないから、しかたがないから三次防だと言っておけ、あとになって四次防に切りかえろ、こういうことなんでしょう。こんなことでは、これはだれだって納得できませんよ。輸送機にしても、あるいは高等練習機T2、これが二十機ですね、二百八十二億、ことしの四十七年度の予算には十三億四千六百万しか組んでないが、これは頭出しただけ、頭金だけです。しかし、あとの分はもう決定してしまうのですからね、四十七年度で。四十八年になってやはりその金を計上して払わなければならぬということを義務づけるわけです。ですから、長期のものなんですよ。  その他いろいろありますけれども、そんな三次防の延長でございますというような答弁では、だれだって納得しませんよ。事実がそうなんです。しかも、いままで、四十六年度ではもう大半が三次防は済みますぞと……。これは整備目標がありますからね。それが四十六年度で済んでいるという。ですから、四十七年度は大体新規なわけですよ。その新規分が四次防に入るべきものなんです、もともと。それを四次防をつくらないでおいて、そしておいていまのところは三次防でいきましょう、あとになったら四次防にすりかえましょう、こういうことでは納得ができません。そういう問題については先ほども政府もいろいろ協議をしてやると言いますから、私はこの場でこれ以上は言いませんが、問題を私は保留しておきます。委員長、いいですか。  それで先へ進みますが、ただ四次防をつくるとか四次防をつくらないで予算を組んだのはけしからぬという手続論だけではないのです。われわれが新しいこれからの防衛力の計画ですね、それを組むときには、やはり客観的な条件というものを考えなければならぬ。客観的な条件とは何かといえば、それは外交方針、外交演説の中にありましたように、東西の対立、緊張が緩和したのだ。まあそれにつけ加えて言えば、平和共存という空気が非常に盛んになってきておる、進んできておる。そのときに、一体そういう情勢に逆行して何でこの膨大な、五兆数千億というような四次防を始める必要がどこにあるのだということ、それを納得ができるように説明できなければいけない。そういう計画でなければならない。  第二には、いま日本に対して、中国だけじゃありませんよ、アジアの国々、あるいはアメリカからすらも軍国主義化の危険があるということが指摘されておる。われわれが主観的にどう言おうと、よそからはそういうことを心配されておる。日本はエコノミックアニマルだけではなくて、これからまたぞろ軍国主義が復活をするのだという心配をしておるのです。そのときに、われわれ日本人がそれに合うように四次防を何でつくる必要があるか。ますます日本は軍国主義化の方向に進むということを裏づけるようなことをやる。これが一体日本の国益に合いますか。だから、そういうことをやはり客観条件としてわれわれは考えなければならぬ。  それからもう一つは財政問題ですよ。長期の経済の見通しが立たない、経済の見通しはわかっているのですよ。ことし一兆九千五百億の赤字公債、公債を発行して予算を組まなければならぬほどに財政がぐあいが悪いのじゃないですか。来年も、四十八年もおそらく相当な公債を組まなければやっていけないでしょう。そういう財政状態の中で、こんな膨大な何千億もの計画を何でそうやらなければならぬかということです。そういういろいろな客観的な条件を納得できる、それでもなおかつ必要であるという積極的な理由がなければ四次防は組めないのです。延期すべきなんです。それを、その観点からの国防会議その他における討議をしないで、そうしておいて予算だけはずるずると組んでいる。これは国会をなめているのですよ。あるいは国民をなめているのです。そうじゃないですか。そんな防衛力の計画でいいのですか。総理大臣、どうですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 何か四次防計画に基づいて予算を組んだというようなお話に聞き取れるようなところがございますが、説明いたしていますように、四次防計画というものはできておりませんので、それに基づいて今年度の予算の編成をいたしておりません。したがって防衛庁についても、装備の更新にいたしましても、現有勢力を維持する必要最低限度のものに私どもは限って予算の査定も行なっておりますし、今後四次防というものが策定されたときにこれはどういうことになるか知りませんが、これができてない以上は、私どもはこのいまの三次防のいきさつに顧みてこれを維持する必要最低限度の経費にとどめておるというのが今度の予算でございます。  ただその場合に、新しい種類の選定というような問題がございましたが、こういうものは、いままでの三次防からのいきさつに考えまして、防衛庁の説明を十分聞いて査定した問題というものもございますが、全体としては四次防の計画にのっとった査定では、今度の予算はございません。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 これはまあ冒頭でいろいろお尋ねがあり、政府見解統一を明朝最初に出すことにしておりますので、北山君もいまちょっとお触れになりましたが、いろいろその統一見解をひとつお聞き取りの上、さらに御審議をいただきたいと思います。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 それではこの点はひとつ保留をさせていただきます。いろいろな角度からの疑問があるのですが、しかし保留をしますけれども、いまの大蔵大臣の、大蔵大臣としての答弁をしていただきたいのですね。四次防がないのですからね。四次防で組んだのだろうなんて私ども言うはずがないのですよ。むしろあとで四次防にすりかえようというのがあなたのほうじゃないですか。四次防に組んだのだろうなんて、私はそんなやぼなことは言いませんよ。しかし三次防じゃないんじゃないか。三次防には一つの目標があって、それはもう達成されておる。新しいものが、かりに更新であろうとも、それは四次防になるんじゃないか、こういうことは申しますけれども、四次防で組んだなんということは言うはずがない。四次防はないんじゃないですか、現実に。  それからもう一つは、財政状態の立場から、ぼくは今度の防衛費の予算なんかは財政当局としてのもう少し見識のある態度をとってもらいたかったのです。いま申し上げたように、ことしは何とか、約二兆円、あるいは地方の起債も一兆七千億なんというような借金財政ですよ。このままで四十八年度また借金しなければならぬ。だから水田さんは付加価値税という新税を考えておるのでしょう。それほどまでに財政が苦しいのに、何で一体、いろいろ外部から、先ほど申し上げたように客観情勢が備わっておらない、新規の——四次防と言いませんよ、新規の、防衛費というのは非常に金がかかりますから、たとえばC1、これは一機が三十億もかかる、練習機は十四億もかかる、RF4Eという新しい偵察機は二十億もかかるのです、一台が。そういう高い防衛力というものを、次年度以降四千億も約束をするというようなそういうことをなぜやるかということなんです。そういうことは、財政当局からの考え方が非常に足りなかった、何か特別な事情があるのじゃないかと私は思うのですけれども、とにかくこの問題はひとつ保留しておきます。  なお安全保障についてちょっと私触れておきたい大きな根本的な問題があるのですが、それは、安全保障、一体何を守るかということなんですよ。なるほど自衛隊法には、国の独立とか安全とかそういうものを守る、あるいは国民の生存を守る、こういうことをいっていますけれども、ところが日米安保条約なんというのはそうじゃないのですよ、これは。いわゆる自由な制度、資本主義の制度を守るという中身が入っているでしょう、第二条に。それからアメリカが結ぶ安全保障、共同防衛の条約というのはみんなそれが入っているのです。一定の体制を守るというのです。これはおかしいじゃないかと思うのです。私どもと政府の皆さんとは考え方が違う。資本主義を守ろうとするでしょう。私どもは社会主義に変えなければならぬと思っている。イデオロギーが違うわけです。これは一生懸命戦っていこうじゃないですか。しかしその優劣をきめる、勝ち負けをきめるときに自衛隊の力を使っていまの体制を守るなんておかしいじゃないですか。神聖同盟みたいなものですよ、日米の安保条約というのは。ただ、国の安全を守るお互いの軍事同盟じゃなくて、一定の体制を守るということなんです。こういう考え方は現実にはあるのですよ。あるけれども、だんだんはやらなくなっていっているというのが、すなわち平和共存なんだ。体制の相違を越えて国家間のつき合いをしようじゃないかというのが平和共存でしょう。もとだったら、もう東西の対立でもって、共産主義ぶっ倒せというようなことで、核兵器も何も使おう、こういうことなんですが、そういう世界の情勢が変わってきている。これがすなわち、いまのいわゆる平和共存の方向だろうと思うのです。あるいは民族自決、ベトナムの問題はベトナムの人にまかせろということなんです。朝鮮の問題は朝鮮の人にまかせろ。外部から金を出したり軍隊を出してかいらい政権をつくって、一定の、ベトナムにはこういう制度でなければならぬ、資本主義でなければならぬ、そんなことをやるということは通用しなくなってきている。法律上は何にもそういうことはないにもかかわらず、自衛隊の教育の中でもあるいは政府のいろいろな宣伝文書の中にも、やはり国の安全と国民の生存以外に、独占資本主義、そういうものが支配しているいまの資本主義の制度を守ろうという、そういう内容を持っている。そうすると、敵は共産主義あるいは社会主義である。いまの体制に反対する者はみんな敵だということになるから、そこで国民のほうへ鉄砲を向けるような治安出動訓練なんかすることになるのですよ。こういうことはやめてもらいたい。やはり国民のコンセンサスとして、軍隊というものあるいは戦争というものによって体制を守る、体制のための戦争なんというのはやめにしてしまおう、こういうことでなければならぬと思うのです。どんな体制をとるかということは、これは民主的、平和的にきめるべきものである。それを守るために自衛隊や——警察、自衛隊でこれを守ろうとするのがすなわち軍事、警察国家なんです。福祉国家ではないのですよ。総理が今度の施政演説でも高度の福祉国家と言われましたけれども、自衛隊で体制を守ろうなんというのは福祉国家じゃないのです。やはり国民のほんとうのコンセンサス、国民の意思の中から、その上に立って一定の体制を守っていく、あるいはそれが発展していく、これこそが民主主義じゃないでしょうか。  私はそういう点で、また何を守るかということがはっきりすれば守る方法も変わってくると思うのです。いろいろ膨大な自衛隊がありますけれども、それは海外派兵をしないといっている。いざというときには国内で戦闘しますね。北海道とかそういうところであの戦車を動かしたり大砲を撃ったりするでしょう。ところが、そこには日本人が住んでいるのですよ。万一そういう事態になったときに、その住民の生活はどう考えているのですか。守ってやる、守ってやるといったって、ベトナムのように住民が生活ができない、それじゃ守ることにならないじゃないですか。一体そういう場合のことを、住民のことをどう考えていますか。演習をしばしばやっておるようですが、これは防衛庁長官にひとつお伺いしたいのです。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 私ども、一億の国民と主権の存するところ、これは当然民主主義を基調とした国の独立と平和、これを守っていくことがやはり大切だというふうに思っております。いまお示しの、まさに戦車が働かなければならぬなんということは最悪の事態であります。しかし、そういうときにはわれわれ一億の国民というものは侵略にさらされるわけですから、座して死を待つというか、黙してこの侵略を受けるというようなことがあってはならぬと思います。もちろんそんな事態があってはならぬわけですから、平和確保のために平和外交を推進していくことは、これは議論の余地のないところであります。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 だから、そういうことを考えたときに、たとえば国民が協力するとかなんとかいったって、日本というのは、これはいつかも言ったかもしれませんが、ソ連やアメリカや中国や、あるいはベトナムとも違うのですよ。日本の経済なり生活をささえている物資というのは、四億トン以上の膨大な物資を輸送してきてやって、それで成り立っていくのです。もし万一そういう事態になったときに守れないのです。食糧だってないでしょう。これは農林大臣に聞きたいわけだけれども、万一そういう事態になったときに、一体日本人、われわれは何を食えるかということになると——だから、そういう万一の事態で国民がすぐ食生活にも困る、食べるものもないというような状態において、自衛隊がどんなに精強であったって、そんなものは守れないから、相手から見たって抑止力にならないということなんです。特殊なそういう地理的な、自然的な条件を持っているのであって、武力で日本の国を守るなんという考え方は成り立たない。安保条約じゃなくて、どこまでも平和憲法で守る方向に、経済が発展すればするほどそういう方向になっていく。だから武力で守れるなどという考え方を捨てろ、それから社会の体制を腕力で守ろう、武力で守ろうなんという考え方を捨てなさい。私は時間がいろいろ進んできておりますから以上のところだけを申し上げますが、さらに防衛庁長官とそれから外務大臣にもお伺いしたいのです。  最近の新聞に出ております横須賀の基地のドックの問題です。これはおととしの十二月二十一日に日米両国の安保の協議委員会が慎重に検討されて、そうしてこの横須賀のドック、一号から六号まであるうち、六号だけは保留してあとのものは日本に返還する、こういうことでもう合意ができておったものを、最近、そのうち四号と五号を、これは返せないというような話をアメリカから言ってきて、それで現地の人たちも返還を非常に望んでおる、非常に不安に思っておるわけです。私は、その共同声明というか、協議委員会のおととしのコミュニケを見ましたけれども、やはりいろいろ慎重に検討した結果なんです。それを今度はいきなり向こうの都合で、これはもう返せない、そういうことはけしからぬと思うのですね。黙ってアメリカの要望に従っていってはいかぬと思うのです。ですから私はこの点について、現地の横須賀の人たちも、返してもらうことを期待しておった人たちも非常に憤激をしておるわけですから、そこで防衛庁長官はどういう見解を持っておるか、これをまずお伺いしたい。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 ただいまの横須賀の海軍修理施設の問題は、これはいまお話しのとおりの状況です。つまり、一昨年の十二月に、米軍はあそこにある六つのドック、そのうちの第六ドックを除きまして全部日本に返す、こういうことを了承したわけであります。ところが準備が整わない、こういうことで、昨年の六月です、六月までに返すというわけだったのですが、準備が整いません、こういうので一年延期します、こういうことになって、そこで返還日がことしの六月になるわけであります。ところが最近、いまお話しのような事態が起きてきておる。それは、一昨年の十二月に返還しますと言った際に、わが国の施設になる、その施設を米軍の艦船の修理のためにも使わせる、こういう条件がついておった、その条件がうまく履行できるかどうかということについて疑義が出てきた、こういうことであります。そこで、当初の計画どおり一号から二号までは返しましょう。これは自衛隊が使うことにしております。そこで問題になるのは四号と五号と、こういう二つのドックになるわけでありますが、この二つのドックにつきましては、わが国がこれを引き受ける。そうすると、民間に行きますが、民間がアメリカの艦船の修理を十分にやれるかどうかという問題がありまして、ただいま、米軍当局と、また運輸省、この当局と相談をしておる、こういうのが現状でございます。  私は、現地当局の要請、これはよく承知しております。そういうことを踏んまえましてこの交渉に当たりたい、こういうふうな考えでございます。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 経緯につきましては、ただいま外務大臣からお話があったとおりであります。  そこで、アメリカ側は、アメリカの艦船修理に支障を来たさないようにしたい、ここらがほんとうの要望であろうと思うのです。そこで、今度は一号から三号までは海上自衛隊が使えるということで、予算化も見ておりまするし、したがって、まあそこでも修理ができるわけですが、   〔田中(龍)委員長代理退席、委員長着席〕 当然、この四号、五号についても、今後米軍の修理に支障を来たさない話し合いといいますか、策を気がまえて、そうして外務省当局で話し合いをしてもらえばきっとこれはいけるんではないか。したがって、これには、私どもの施設庁においても緊密な関係がありまするし、また、今後のこともありまするので、あと、返ってきた場合には、アメリカの修理に支障を来たさない、あくまでそういう前提を具体的にしながら交渉をしていく、こういう態度でおります。  戻ってきた上においては、まあ、国有民営というような形にでもして——民有民営ですと、約束をしておきましても、だんだん日がたつにしたがって、優先的修理とか、いろいろなことにまた不便をもたらすというようなことがあってもいけませんから、そのあたりを、今後の運営をどうするか、十分考えて善処したいと思っております。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 この問題は、横須賀の人たちは、これはアメリカの一つの方針が変わって、横須賀の基地がまた再び強化をされて、あるいは航空母艦が置かれるとか、来るとか、というようなことにつながっているんじゃないかというわけで、非常に不安に思っているわけです。いまお話しのような内容であれば、それはひとつ、やはり、おととしのせっかくでき上がった約束というものを実行させるということの方針でいってもらいたい。要望いたしておきます。  それからなお、ちょっと私疑問に思っておることがあるんですが、例の非核三原則なんです。それは、四十三年の国会のときに、総理が三原則を言われたわけです。ただ、核を持たず、つくらず、持ち込ませずという三原則は、施政方針の演説のときには、非常に格調が高くてりっぱだったんですけれども、あとで、それには条件があるんだ——その三原則のほかに三つある。一つは核軍縮であり、平和利用であり、もう一つは、アメリカの核のかさのもとにある、抑止力のもとに置かれるという前提条件で三原則の政策をとるんだ、こういうのがこの佐藤内閣の非核三原則だと承知しているのです。  ところで、去年の十一月ですか、国会で、非核三原則、非核決議がされたわけですが、その決議を政府は尊重すると言っておりますが、それは、国会の決議のほうには条件がついていませんから、いわゆる総理が言っているような、アメリカの核のかさに置かれることを前提条件としてというわけじゃないのですから、あの決議を尊重すると言われた以上は、その前提条件はなしでも——かりに、安保がなくなったり、それからアメリカの核抑止力のもとに置かれなくても、三原則は、そういう前提条件なしに支持するという意味ですか。その点をはっきりしてください。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 昨年、非核三原則、国会で決議がございました。これはもう国会の、最高機関でございますから、これを尊重することは当然でございます。はっきり申し上げておきます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 ですから、重ねてお尋ねしますけれども、尊重すると言われた。ところが、その国会の非核決議には、総理が言っておったような前提条件はないのですよ。前提条件なしにできておる国会の決議を尊重するというのですから、従来の政府の考え方を直した、訂正された、こう考えていいですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 この非核三原則は、安保には触れておりません。これは、安保を改正するような考えはいま政府は持っておらない。しかし、持ち込みは許さないというのですから、これははっきりしておる。学術上の問題、あるいは平和利用の問題、これはもう当然のことであり、独立国家として、この点に国会が触れられなかったのは当然だろうと思います。もし疑問があるとすれば、第三の問題だろうと思います。いわゆる核のかさのもとで、日本の安全を確保するという、その問題だろうと思いますが、しかし、この安保がありましても、核は持ち込みを許さないという、これはもうはっきりしておりますから、その点では誤解のないように願っておきます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 国会の決議はそんなことは考えていないのですから、これは無条件の非核決議なわけです。ただ、政府、佐藤総理は、絶対にあの条件を固執したのです。アメリカの核のかさ、抑止力を前提にして非核三原則の政策をとるんだ、それは切り離せないんだと、こういうことを言っておったでしょう。だから、国会の決議を尊重するという以上は、核のかさのもとにあるとかないとか、そんなことを別にして、無条件にその非核三原則をこれからとられるという方針であるかどうか、この点をお尋ねをするのです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 いまもお答えをいたしましたように、私どもは、片一方で日米安全保障条約、それを持っておること、やっぱりそれと矛盾しないようにただいまの非核三原則、これが運用される、かように考えております。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 次に、経済の問題それから予算の問題に入りますが、この経済の問題、あるいは財政政策の問題にしても、外交と同じように、日本の経済が当面しておる問題は非常に深刻だし、いままでのような、従来の政策を大きく転換しなければならない情勢にある、そういう認識に政府も立っておると思うのですが、それは施政方針の中にもありますけれども、そのときに、今度の予算は、景気を浮揚させるということが一つと、それから福祉政策——総理は高度福祉国家ということを言われました。その軌道を進むんだ、こういうふうに大きく転換するんだと、こういうことを言われました。  そこで、お尋ねすることは、一体、その不景気になった原因というのは何かということなんです。私は、私の解釈をまず申し上げますと、これはやはり高度成長のために、それが、ひずみが起きて不景気になった。いわゆる生産力だけがどんどんふえて、そして、それを消費する国民大衆のふところに購買力がない、こういうためになったんじゃないんですか。それは、あの国民経済計算の中においても、日本の場合、労働者の賃金はどんどん上がった上がったというけれども、国民所得の中における労働者の取り分、雇用者所得というものの比率というものは、佐藤内閣ができてからは停滞しているのです。むしろ下がりぎみなんですね。労働者が六百万もふえていますよ、佐藤内閣ができてから。頭数もふえている。賃金も上がったといいながら、国民所得分配の中の労働者の取り分の割合がさっぱりふえていない。総体としてふえていないということになっておるわけです。それも一つの原因となって、日本の個人消費の割合が五〇%そこそこなんです。まるで戦時状態みたいなものですよ。しかも、佐藤さんが内閣をつくられた四十年ごろは、五六・六%くらいに個人消費の割合があったわけです。それがどんどん低下をしていって、五〇%そこそこに去年あたりは下がった。ということは、やはり、そこに、一つの経済の統計の中に、国民の金をかき集めて、そして生産設備投資に集中をした、生産力はふえたが、大衆のふところには金がないから、そこで供給過剰を起こしたということが大きな原因ではないでしょうか。これは大蔵大臣、それから経企庁長官からお答えを願います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 私は、日本が、敗戦後、まだ輸出が五億ドルくらいで、輸入が九億ドルくらいのときの国民生活の安定策ということになりますと、各種の統制を置いてやったあの一連の措置が、やはり当時における国民の生活安定策であったと思うのですが、この段階において、国民の生活向上というものを確保することはできないということから、やはり、経済成長を達して国民の所得水準、生活水準を上げなければならぬということを日本が急ぐために一定期間ああいう政策がとられたのは、私は、これはやむを得なかったというよりも、政策的に悪いことではなかったと思いますが、問題は、この成長政策の過程において、民間投資と公共投資のつり合いがとれなかったということが、これがいわゆるひずみの問題でございまして、この不均衡を是正するということは、どうしても経済を均衡的に発展させる上において必要だ。いっそういう不均衡を打破する政策転換をすべきかということについては、これは歴代内閣が非常に頭を使っておったところだと思いますが、実際においては、国際収支のゆとりがなかったというためにこれができなかった。ようやくここへ来て、そういう政策をしようと思えばできるという条件ができた。そこに私どもはいま遭遇しているということでございまして、私は、過去の成長政策が悪かったということじゃなくて、成長政策の過程におけるこの不均衡がいけなかったんだ、これをいま直す政策転換をこれからするんだというところに意味があるんじゃないかというふうに思っています。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 ちょっと、問題とお答えが別なわけですよ。公共投資と民間設備投資の対比をやっているんじゃないのですよ。生産力と、それから国民の消費力とのアンバランスですね。これは生産力がふえたから、ふえればふえただけ、多いほどいいというわけではないのですね。アンバランスになれば困るんだから、それはバランスがとれていなければならぬ。すでに、昭和四十年のときにそうしなければならなかったはずなんです。昭和三十九年の十一月に、初めて佐藤総理が施政方針の演説をやりましたときに、高度福祉国家にするということを言いましたね。七年半たって、今度の施政方針の中でも、高度福祉国家の軌道へ進めると言いましたね。もう初めのときにそういうことを言っておって、実は逆なことをやっておった。それは一つの公約違反ということにもなりますけれども、私は、総理が一体福祉国家というものをどういうふうに了解しているかお聞きしたいのです。福祉国家というのはどういうふうなものが福祉国家だというふうに考えていますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 お答えいたしますが、物心両面豊かな国民生活のできるのを福祉国家と申します。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 これはやはり、富の不均衡というものを——生活の平等化といいますかそういうことが一つの条件だし、それから先ほども言いましたけれども、どんどん軍隊をつくったりふやしたりしていくのは、それは福祉国家ではないのですよ。それから、経済を自由経済にそのままほっぽり出しておいて強い者勝ちだというのは、これは福祉国家じゃないのです。やはり強い者を押えて、そうして富や所得の分配を平等化していく。不平等を是正していく。その一部として社会保障などもあるでしょうね。それが福祉国家じゃないでしょうか、ヨーロッパとかそういうところの。これが定義じゃないでしょうか、どうでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 私は、先ほど定義を申しました。また、北山君は北山君らしい定義を述べておられます。これはあんまりその点で議論してもしかたがないかと思いますが、先ほど、経済成長と国民消費の問題がどうもアンバランスだ、あるいは設備投資が非常に生産第一の方向に向かっている、こういうことを御指摘になりました。これで、一度、ずいぶん立場が違うなと、かように思った点は、問題は、わが国の資源というものが、わが国で、高度先進工業国になり得るような資源、それが不足しておる。そういう状態から見ると、この資源を外国に仰がなければならない。この辺から説き起こさないと北山君とどうも話が合わないのかなと思いながら実は聞いていたのであります。  申すまでもなく、わが国は、経済国家、また福祉国家、またお互いが豊かになるためには、現在の不足がちな資源を外国に求めて、そうしてそれを加工して、そうしてその利益で日本の国民生活の向上をはかっていく、こういうことにならざるを得ないのです。どうも、いままでやってきたことが、その手段のほうに力が入っていて、国民に還元がおくれていた、こういうことが指摘できるのではないかと思っております。そういう点を是正していかないと、北山君の言われるような福祉国家になかなかならない。やはり、原材料は外国から仰ぐ、そのために、工業施設、生産施設、その高度のものもつくり上げ、能率も上げていく。そして、外国にも売っていくが、同時に、日本が富んで、その利益を国民全般に分け与える、こういうような政策をとるべきだ、かように思っております。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 どうも、いろいろお話を聞いておると、総理は、福祉国家というものがどういうものかということをわからないで福祉国家というものを施政演説で使っていると思う。外国から資源を持ってくるとか持ってこないとかいうことは福祉国家とは無関係ですよ。私は、先ほど、防衛の問題からいっても、やはり日本という国は、国内が資源が少ない、外国から持ってきて、それを加工するということをしなければならない、それだからこそ軍隊で守れない国だということを申し上げた。それは別の問題ですよ、福祉国家とは。私は、さらに、なぜ福祉国家のことを聞いたかといえば、やはり、今度の不況対策にしても、社会保障、社会福祉ということにしても、単に老人の年金を少しばかり上げたから福祉国家だなんというようなちゃちなことでごまかされてはいけないということなんですよ。やはり、根本の富の不均衡と所得の不均衡を直すというのが政治の目的になるのが、すなわち福祉国家なんです。だから、たとえばいまの税金の制度だって直しなさいよ、不平等を。租税特別措置、何千億というもの、これを、一部の、いわゆる企業成長のために、資本蓄積のために大部分はやっておる。あの租税特別措置ですね。四十五年度でいえば六千五百二十一億。四十六、七と、どんどんふえているでしょう。これは地方税まで入れるとばく大なものですよ。そういうものを、一部のものに減税の恩典を与えている。そういうものを直すべきだというのです。そういう方向へ行かなければ福祉国家にならないということなんです。たとえば、ここで、前にも、私、田中さんが大蔵大臣のときに質問したことがありますが、例の悪名高き配当所得控除ですね。それによって、一体、標準世帯、四人世帯でもって配当所得だけの者は、幾らまで非課税になっていますか、お答えを願いたい。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 配当のみの所得を持っておられる方の課税になるかならないかという限度額は、四十六年分では三百二十六万六千円、四十七年は三百四十三万一千円でございます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 そのとおりですよ。四人世帯、何もしないで、株の配当だけでやっておるのは、三百四十三万円の所得があっても所得税がかからないんですよ。これが、もし、働いて、給与所得で三百何十万あるとすれば、五十一万二千円ばかり税金がかかるのですよ。事業所得であれば八十四万円かかるのです。配当所得者だけがなぜそんなに恩典が与えられるか。給与所得者であれば、四十七年度では、百三万七千八百六十円以上あれば所得税がかかるでしょう。働く人からは税金をよけい取って、そうして株を何千万もたくさん持っても一そのことだけで資産家ですよ。その配当所得に所得税をかけないなんというそんな税制をなぜ——私は、何年か前に、田中さんとこれをやったんだ。田中さんとやったときには、この制度は公平ですか、不公平ですか、あなたどう思いますかと私は田中さんに聞いたんです。同じことをまた質問しなければならぬですよ。こんなことでは働く人は意欲を失いますよ。納税者も、納税意欲を失いますよ。政治の不信がそこから起こるわけですよ。何でこれが直せないのです。こういう特別な資産所得者に対する減税。大減税ですね。まるで非常識な減税。これをはっきり直すということをここで言明しなさいよ。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 これは、もう御承知だと思いますが、法人をどう見るかということで、税制調査会においても長い間研究している問題でございますが、個人が税を払わないというんじゃないので、法人がかわってこれに払っているという立場の税制になっておりますので、そこの矛盾をどうするかということはいま論議されている最中でございまして、なかなかむずかしい問題で、まだ解決されてはおりません。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 税制調査会に、問題を、責任をすりかえちゃいけないですよ。これは大きな政治の問題なんですよ。しかも、それは、国際的にも、法人実在説と擬制説、いろいろあるでしょう。それから、日本でもいろいろな経過がある。前には法人実在説をとって、戦後ですね、擬制説に変わってきている。しかし、やはり大勢というのは、法人擬制説じゃ実態に合わない、経済活動においては個人だって法人だって同じじゃないか、株主というのは、ただたまたま株を持っているだけであって、その会社の身内だというようなものじゃないんだ、こういうことで実在説にいっている。イギリスだって実在説になったでしょう。その方向にいっているじゃないですか。これを決断するのは政治家ですよ。税制調査会なんかで、いつまでも、何年も何年も議論している。どうですか、佐藤さん。こういう不公平な税制をやったんじゃ、断じて福祉国家になれませんよ。働く者が損する。財産の上にあぐらをかいている者が得をする。これだけじゃないのです。これは代表的な例ですから、私は、非常にわかる例だから言うのです。こういうものはやめますということをはっきり言いませんか。福祉国家というものを、あなたがその道を進むというなら、そうしなければならぬわけです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいま大蔵大臣が答えたとおりでございますが、御意見は御意見としてよく承っておきます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 そんな答弁をもう何年も何年もしておるから、政治に対する信頼がなくなるんですよ。政治というものは、それは利害関係もあるでしょうけれども、やはり、大きくは道理に従った政治をしなければ、これは民主政治とはいえないと思うんですよ。こういうものはやはりどんどんやめていく。やめるためにほんとうに真剣に熱意を傾けるというところに政治家の役目があるのじゃないでしょうか。そうでなかったら政治不信は直らない。もうこれだけじゃないんですよ。たとえば、法人擬制説からまた出てくるところの、法人持ちの株の配当には税金がかからないでしょう。だから、このごろは、法人がどんどんよその会社の株を買って、それを支配する。松下電器であれば、五百くらいな子会社を持って、その株を持って支配しているでしょう。その配当金には税金はかからないんだからね。そういうことをやっている。したがって、株の分布を見たって、だんだん金融機関とか法人の持ち株がふえていって、個人の持ち株は減っているんですよ。たとえば、これは四十五年でいえば、個人株主というものは三九・七六%しか株を持っていない。金融機関が三〇・九一、その他の法人が二四・六九ですからして、金融機関と会社を足しますと五割五分、五五%、株の半分以上は法人持ちなんです。で、その分には配当金に税がかからないなんという不公平なことをやっている。こういうことも直さなければいかぬですよ。それから、とにかく、そういうふうな租税特別措置というものを計画的に、まあ三年なら三年、二年なら二年という計画を立ててこれを整理するという、そのことくらいはひとつ言ってもらいたいですね。意見として承っておきますじゃなくて——私は、私だけの意見で言っているんじゃないんですよ。普通の世間の常識と申しますか、おそらくあたりまえなことを私は代弁して言っているのです。ですから、そういう不公平を生み出しているこれを、このまま残しておいたのじゃ、所得や富の不公平、不平等というものはだんだん開いていく。そういうものをどんどん整理をするということぐらいは言えないわけはないじゃないですか。どんなに資本主義を守る政党だってそうじゃないですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 御承知のように、税の問題は、これは立場によってたいへんな意見のある問題であります。したがいまして、政府も幾ら強力だからといって、総理あるいは大蔵大臣がかってに税の問題を左右することはできません。それには、やはり税制改正をするのには、税制調査会その他のそれぞれの委員会があって、各方面の、各界各層の意見を聞いて、しかる上で妥当な線を実施するわけであります。ただいま、この委員会で北山君から言われたからといって、直ちにそれを直すと、そういうわけにはいきません。いままでの制度をやはり尊重もし、また、そこらに主たる意見もあることを十分お考えいただいて——政府がそれらの意見をも無視してどうこうしているというのなら、これはおしかりを受けても当然だと思います。それぞれやはり手続を踏んでやっておりますから、どうか御了承いただきます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 税制に限らず、経済政策でもそうですけれども、その政策をつくる審議会とかなんとかというのは、政府がかってにきめているじゃないですか。そうして、経済審議会にしたって、税制調査会にしたって、何審議会だって、みんな財界の代表がずらっと並んで、あとは役所から上がってきた人ですね。多少学者等、そういうものがある。そういうものは学者、中立の人をキャップにして、そしてやはり公平に各界の意見を取り入れるということをしない。そういうことをしないから、税金だってこういう税制が出ているのですよ。もっとやはり道理に従った税制改革というものを私は強く要望するのです。そうでなかったら、高度福祉国家なんというのはただ看板だけですよ。ことばだけですよ。そういう例がたくさんあるのですけれども、四十七年度の予算ですね、私は、そういうものを整理するならば、税金はまだ取れる。あるいはインフレでもうかった人から税金を取るならば取れる。それを取らないでおいて、そうしてただ公債に訴えるというところに、私は四十七年度予算の一つの問題点があると思うのです。一兆九千五百億ですね。公募債が七千億、それ以外に地方債が一兆七千億、全体として非常に借金財政です。それでその借金をどう返すのですか。私、政府の予算の資料を見ると、もう四十八年度から毎年何千億、四、五千億ずつ償還しなければならぬ、あるいは利子を払わなければならぬという。すごいですよ。今度の一兆九千五百億の公債はいつ返すのですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 いま公債は七年債と十年債とございますが、今年度から十年債を発行することになりましたので、償還期限は十年たつとまいります。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 地方団体だって借金をするときには年次償還表をつくるのですよ。そうして議会にはかって決定するのですね、何年間かに分割して。ところが、政府の償還表はことし一兆九千五百億出す、十年債だからというので昭和五十七年に一兆九千五百億払う、こんな非現実的な表をつくっているのですね。一年で一体一兆九千五百億返せますか。そのときになると今度は借りかえだ、こうくる。とにかくこれからこの勢いで四十八年度も公債を発行するということになると、もうどんどん累積をしてくるわけです、この二年間に三兆円も公債がふえたのですから。ですから、おそらく大蔵大臣も四十八年度は考えなければならぬ、こう思っておるでしょう。少なくとも一兆九千五百億という膨大な公債を出すときには、これはやはり財政法の第四条や第五条の原則に従うということが一つですね。やはり市中消化を原則とするとか、あるいは建設公債にするという条件もあるが、少なくとも長期の財政計画見通しを立てなければ、こんなその場限りのことはできないと思うのですよ。四十八年度以降の財政について、一体大蔵大臣はどういうことを考えていますか。付加価値税を考えていますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 いま日本の国債残高の累積は、GNPに対してまだ七%台でございます。少ないというわけではございませんが、米国の三〇%とかあるいはイギリスの六〇%と比べてまだ国債の管理にそうむずかしい問題が出ているという状況ではございませんが、しかし、いずれにしましてもこれが無計画に累積されるということは将来の財政にとって大きい問題でございますので、問題は、やはり国債の発行についての節度を当面の問題としては守っていくということと、それから今年度のような一七%の依存率というようなことは異常なことでございますので、これによって経済が回復に向かっていくようなことがございましたら、それに応じてこの国債の依存率を切り下げていくというようなことをすると同時に、公社債の流通過程の育成というようなことに気をつけていけば、まだ日本の公債の発行について、いまそう心配されるような状態では私はないと思っております。  問題は、やはり将来の問題をどうするかということでございますが、福祉国家、福祉政策への転換ということをしました以上は、これはもうあと戻りできませんので、この財源調達をどうするかということになりますと、結局最後はこれは国民負担に帰する問題でございますが、公債の発行というようなことに財源の調達を求めるのか、国民の相応分の税負担という形をとって対処すべき問題か、この点について、いろいろ今後の財政政策については真剣な検討を要する問題があると思います。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 実はこれ、国税庁が編さんしている「私たちの税金」という本ですよ。それを見たところが、おしまいのほうへいって「第五節付加価値税」というのがあるのですよ。知らない人が見ると、日本にはもう付加価値税をやっているように見える。水田さんの指導よろしきを得ましてもう大蔵省では付加価値税を実行しているような、この「私たちの税金」という本を出しているのですよ。もう付加価値税をやろうとしているのじゃないですか。付加価値税のよしあしはまたいずれあるとしましても、とにかくこれはやはり大衆課税ですよ、明らかに。いま物価が毎年どんどん上がっているときに、それに上積みをして消費税を間接にかけるなんというようなことはおかしいですよ。日本の租税負担率が低いのは、企業特に大企業、それから資産所有者、キャピタルゲインに対する課税がほとんど薄いからその分だけ安くなっているのです。勤労者の税金は決して安くないです。むしろそういうものから税金を取るべきであって、取ろうとすれば幾らでも取れる。いま不景気なときに株式市場だけはどんどん活況を呈しているのです。おかしな話ですね。ところが有価証券の譲渡所得はさっぱり税金を取ってないでしょう。ただ流通税というか、株券の場合は有価証券取引税を一万分の十五ですよ。フランスなんかずっともっと取っているのです。そういうものは安くしてある。土地税制だってそうでしょう。四十四年度のあの土地税制によってそして何ができたかと言えば、新聞に出ておりますように土地成金がいっぱい出ちゃって、四十四年、四十五年の国税庁発表を見ると、もう土地を売った高額所得者がずらっと並んでいるわけです。松下さんだとか上原さんというようなのよりずっと上になっちゃった。分離課税して一〇%しかかけない。そして恩典を与えて土地を手放しやすくしたのですが、そのために土地の値段は下がったでしょうか。四十四年度の土地税制の効果について、ひとつ大蔵大臣からお考えを聞きたい。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 四十四年の土地税制の効果は、あれによってとにかく土地供給が非常にふえたということははっきりしておると思います。これは土地の譲渡税のふえ方によってもはっきりいたしておりますが、供給がふえたことは確かでございますが、ほんとうの土地のほしいという需要者にこの土地が渡っていない。中間の土地開発者とか土地不動産業者、あるいはそのほかの土地の商売には関係のない法人というようなものにこの土地が保有されているということが非常に問題になって、その土地に対してどうするかというような税制の別の問題がまた出ていろいろ検討しておりますが、まだ結論は出ていないということでございます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 時間がたってきますので相当詰めてお話ししますけれども、いまお話しのとおり、せっかく四十四年度の土地税制をやって土地を手放しやすくした。分離課税一〇%にして安くした。なるほど土地の供給はふえたけれども、買った者は実際の需要者じゃなくて法人ですね、会社。大手の不動産投資というものが非常にふえた。最近の新聞にも載っておるとおりですよ。新幹線が通る、縦貫自動車道が通るというと、どんどん先回りして土地を買っている。金にまかして買っている。金融機関もみな子会社の不動産会社を持っている。たとえば乳業会社とかあるいは魚をとる会社まで不動産会社をどんどんつくってやっているのですよ。それじゃあ売りやすくしたって何にもならないですよ。とにかく土地の問題というのは、今度公共投資をふやすにしても二〇%、三〇%、みんな用地費や補償費に取られちゃったんじゃ、これはまず最初に地主に金が行っちゃって地主を潤してしまうだけであって、景気の浮揚策にもならないじゃないですか。これは重大な問題ですよ。私、いろいろこれを調べてみますと、昭和三十年から去年まで、土地の値上がりというのは百兆円以上になっている。佐藤内閣ができてから——佐藤さんいやな顔をするけれども、佐藤内閣になってから六十五兆円ばかり値上がりしたというかっこうです。これは宅地ですよ。そうすると、労働者の二年分の賃金以上ですよ。営々として労働者が働いて、一年に三十兆ぐらいでしょう。二年分何上が黙っておってもだんだん土地が値上がりして、結局その人たちの所得になるんじゃないですか。そういう社会的な構成から見てもこれはほうっておけないし、これから公共投資をふやすなら絶対にこの土地対策というものは考えてもらわなければならぬし、お互いに考えなければならぬと思うのです。  私は、一つの提案をします。いろいろと方法があるでしょうが、こういうことをひとつ検討してもらいたい。一つは、法人の土地購入を許可制にするということです。それから、不動産投資への金融を規制するということです。これは政府ができるでしょう。ある程度の行政指導でもってできる。土地税制を改正して、実際の需要者に売った場合にのみ分離課税を適用するということ、これは技術的にも非常に問題があるかと思うのだけれども、しかし、大臣が言ったように、とんでもないほうへ売られたんじゃ何にもなりません。ですから、そういう改正をするということ。それから、地方公共団体に公共用地の先買い権を与えること。これは建設省や自治省でも検討しているようでありますが、私はこれだけやったってだめだと思うのです。ほかのいまの土地取引というものをこのままにしないで、それを規制して、そういう前提のもとに初めて地方公共団体が先買い権を持つというなら効果が出てくると思う。あわせてやる必要がある。それから、これは成田委員長が本会議でも言いましたが、法人所有の土地については固定資産評価額まで評価がえをして、保有土地の再評価税を課する。これは私の試算ですけれども、いま法人が持っておる土地というのは、これは帳簿価格ですから、簿価でいってこれは評価がえしていないのです。帳簿価格で七兆円ぐらいです。自治省に聞いて、法人持ちの土地の固定資産評価額による評価総額というのは幾らかというと、十三兆五千億です。しかし、それでもこれは時価の三分の一かあるいは四割ぐらいです。ですから、とりあえず固定資産評価額まで評価しても六兆やそこらの評価益が出るわけですから、それに対して相当な税金を出す。個人についてはいろいろ問題があろうと思いますが、別途の方法で、むしろ譲渡所得で取ったほうがよろしいと思います。  いずれにしても、これだけが対策ではありませんけれども、しかし、そのようないろいろ総合的な思い切った対策をやるべきじゃないでしょうか。総理大臣どうですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 いまおっしゃられたような問題も、一応土地税制の問題としてはみな検討している問題でございますが、そのうちでたとえばいま百兆と言われました。これは土地の評価益のことであろうと思いますが、それだけ評価益があるのだから益に税金かけたらいいではないかということは、実際において売買がなされない物件について、まだそれだけの利益が現実に出ないというものについて税をかけるということですから、これはもう税理論の基本の問題に触れることで、なかなか簡単な問題ではございません。  それから宅地開発というものが単なる個人の力でできるかというと、なかなかそうはいきません。国の力だけでも間に合いませんから、できるだけ民間の力を動員して宅地開発をしなければならぬというときになりますというと、土地の譲渡が個人に譲られた場合はいいが、法人に譲られた場合はどうということになりますと、ほんとうの宅地開発をする力は法人にあるでございましょうし、今度は開発されていないところを直接需要者が片すみを買うということをしてもこれは実際に宅地にはなりませんから、そういうような意味において、原則をそういうふうにきめた税制をとるというわけにもまいらないと思います。  解決している問題は、市街化地域における農地というようなもの、明らかにこれは時価が上がっておるのですから、この固定資産の評価を上げて、一度ではこれは無理でございますから、年次的に固定資産税をふやすというような措置は現在実行済みでございます。  そのほか開発利益をどう生むかというようなことでございますが、開発利益を吸収するということは、税によることはなかなか技術的にむずかしい問題があって、これはやはり受益者負担方式というようなもので解決されるのが望ましいのじゃないかというので、そういう方法のいま検討をいたしておりますが、税ではなかなかむずかしい問題があるということでございます。いずれにしろ土地問題の解決は必要でございますので、あらゆる問題とわれわれは取り組むつもりでございます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 たいへん土地の問題について示唆に富んだ御意見を述べられましたが、ことに私興味を覚えましたのは、個人と法人の場合を区別して、そうして個人のほうはこれは別としても法人について特別な規制を加えたらどうか、だから法人の土地取得について、あるいは許可制にするとかあるいは金融上の措置についても特別な考慮を払うとか、あるいは分離課税の方法だとかいろいろお話がありました。とにかくいずれにしても土地の問題については、ある程度憲法上の権利についても拘束を加えざるを得ないのじゃないか。最近の地価の値上がり等を見ましてそういうことを感じます。その場合にやはり個人、これは何とか守ってやりたいという気持ちが多分にいたしておりますが、また法人のほうが目についていろいろ買いあさりあるいは買いだめとでも申しますか、そういうような事柄が比較的やりやすいし、ことに最近の新産都市あるいは開発地域についてそういうような徴候も見えます。これは実に私も心配している一つでありますが、ただいま言われるような点、これも真剣に考えるべきだろうと思います。しかし、これだけで全部が済むわけでもありませんし、もう少し全体の問題としての土地についての関心、地価の高騰についての関心を高めるような方策をとり、また自粛、自制、そういうような意味合いからもこれと取り組むべきだろう、かように思います。私が聞いたことで間違いがなければ、法人と個人については区別しろ、こういうような御主張であったように思っております。これは私、いままであまり聞かないような新しい意見であったように思います。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 大蔵大臣、もうちょっと、もう非常に簡単なことなのですから、いまお話がありましたけれども、法人の場合はちょっとおかしいというようなことを言うけれども、売らない限りは利益が出ないとか言うけれども、たなおろし資産というものはやはり同じことなのですよ。それから戦後財産税、再評価税をかけたことがあるのですよ。やはり大きくその価値の変動があったときには、特殊な従来の含み資産というものにかけていくという場合だってあるわけですよ。何も法人税で取ろうというのじゃないのですよ。いろいろ税理論はあるでしょうけれども、従来だってやったことがあるし、そんなすぐ簡単にあれしないで、もっとこれは検討してもらいたいと思います。  それから、都市郊外のいわゆる線引きの農地の宅地並み課税ですね。これはひとつ考え方を変えていただきたいのです。あの趣旨は、要するに農地であろうともこれはもう宅地にすべきところだからというので税金を上げて、これこそ、また売らせようとするのですよ。税を上げ、宅地並みの課税をすれば売らざるを得ないだろう、自分は農業をやりたいと思ったって、これは市街化地域だから、もうあなたはそんなの売りなさいと言わぬばかりのことなのです。あれは悪税ですよ。やはり農業というものをやっている以上は、その時点ではやはり私はみなし課税はすべきでない、ただし、それを宅地にして売ったときに、それこそ譲渡所得で取ればいいのですよ。それこそ一〇%の分離課税なんかしないで取るべきなのです。私は、あの点はひとつ自民党の中でもいろいろ批判があって再検討するというのですが、線引きそのものがまた問題なのだ。何か都市計画でもして、ここまでは区画整理をするとかなんとかというのならいいですよ。ただ地図の上に線を引っぱって、ここからこっちは宅地並み課税なんて、そんな実態に合わぬようなことをやってはいけないですよ。線だけ引くのじゃない、税金まで違ってくるのだ、そういうことは、やはり線引きそのものからして私は再検討すべきだと思うのですよ。ああいう人たちだってやはり自分の利益ですよ。市街化地域にして線引きするときには、自分も自分もと市街化地域に入っておって、税金かけられたら今度は反対だ、それはよくわかるのです。わかるのですが、やはり線引きそのものとか、あるいはいまのみなし課税というようなことは、やはりほんとうの道理に基づくというのか、すぐ結果としてわかることなのですね。無理をやっちゃいけないのです。  それから、いま申し上げたように、どんな供給をふやすための税制をやったって、一方で買うやつが大半が法人で、中間投資をやるものがどんどんふえたのでは、地価を下げることにはならないということなのですよ。だから、その線引きの市街化地域における宅地並み課税についてもいま各地で紛争が起きている、その実態をまっこうからただとらえて——これは建設大臣も考えていただきたい、線引きそのものを考えていただきたい、税も考えてまいらなければならぬ、これは自治大臣も関係がありますからね、私は時間がないから答弁は要求しませんが、これはあわせて土地問題というのは大きいから、いろいろな角度からひとつ国会でも特別委員会でもつくってもいいほどの問題で、単に審議会とかそういうものにまかしたら何年もかかっちゃう、一つのことが何年もかかってできない。やはり国会の中で特別の委員会をつくって、いろいろな意見を取り入れてこの問題を解決するということが政治ではないかと思うのですね。ああでもないこうでもないといって、いつまでたってもらちがあかないでは困る。  それから物価の問題があるのですが、時間が迫ってきましたし、いずれ同僚の委員がいろいろ詳細に公共料金その他の問題をただすことになっております。  土地問題を取り上げましたが、一つは例の四月からやるという米の物統令の問題ですね。これは私は農林大臣に聞きたいのです。  かいつまんで申し上げますと、私は、あれは食管法そのものにも違反するのではないかと思うのです。いまお聞きをしたい第一の点は、政府が買い入れしますね、そして売り渡しをする、その間管理費その他で一体政府は——政府というよりは一般会計からどのくらい繰り入れて、一トン当たりどのくらい負担しているのですか。三万何千円かと思うのですが、もし御存じならここで言っていただきたい。要するに買い入れ価格よりも売り渡し価格のほうが安いことですね、逆になっているから。トン当たり三万円から四万円くらいは一般会計、税金で負担しているわけですね。幾らですか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 事務当局から答弁いたさせます。

亀長友義食糧庁長官

○亀長政府委員 現在のところ政府管理経費はトン当たり二万四千円、これは四十五年予算でございまして、四十六年では二万六千円程度でございます。四十七年予算におきましても、詳細計算を持っておりませんが、これと大差はございません。  以上でございます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 私は管理経費だけを聞いたのではなかったのですよ。実は管理経費も含めて、買い入れ価格と売り渡し価格の逆ざやのところを聞きたかったのです。

亀長友義食糧庁長官

○亀長政府委員 トン当たりで申し上げますと、政府管理経費が先ほど申し上げましたように二万六千円でございまして、政府買い入れ価格は十三万七千円、昨年少し上がっておりますので約十四万円、政府売り渡し価格は十二万三千円でございますので、この差がいわゆる逆ざやということになるわけでございまして、政府売り渡し価格と政府買い入れ価格との差はトン当たり約一万五千円でございます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 そのようにする趣旨は何でしょうか。一つは、やはり生産農家の問題もあるでしょうが、これは農家のほうはしばらくの間据え置きですからね、やはり消費者米価を安くというか、家計に見合ったような形で売ろうというところにそれだけ、ただ経済ベースじゃなくて、一般会計からそれだけのものをつぎ込んで、一トン当たり数万円の金をつぎ込んで安く売り渡すわけですね。ところが今度の物統令を廃止しますと、売り払い価格は従来どおり安く売るのですよ。ところが小売り価格は自由になってしまう。そのトン何万円という負担が生きるという保証が何にもないのですよ。おそらくこれは上がるでしょうね。せっかく安く売っても小売り価格が上がったのでは、そんな税金を負担する意味もなくなってしまうということにもなるし、もう一つは、食管法の第四条にこれは違反すると思うのです。食管法第四条には政府の売り渡し価格のことが出ていますが、二項に「前項ノ場合ニ於ケル政府ノ売渡ノ価格ハ政令ノ定ムル所ニ依リ家計費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ消費者ノ家計ヲ安定セシムルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」と書いてある。いまの配給制度ならば、このとおりちゃんと実行できるのです。売り渡し価格は、やはり家計費を考えるように結びつきがあるわけなんです。それを物統令の廃止によって小売り価格を自由にしたのなら、せっかく家計を助けようと思って安く売ったものが、それをそのとおりに結果としてなる保証がないのですよ、自由価格になってしまう。いろいろ行政指導すると言っている。せっかく財政負担をやっているのに、そういうことになったのではまずいのじゃないですか。これは農林大臣不自由ですから、政府委員のほうから答弁してください。

亀長友義食糧庁長官

○亀長政府委員 お答えを申し上げます。  食管法第四条は、政府の売り渡し価格に関する規定でございまして、これはすなわち政府が米の卸業者に売る価格に関する規定でございます。その価格をきめる際に、末端の消費者家計の安定をも考慮をしてきめなさいというのが第四条の規定でございます。末端の消費者価格に関する食糧管理法の規定はございません。ただ、第十条に、必要があればいろいろな価格統制ができるということがございますので、それを発動すれば別でございますが、従来それは発動いたしておらないのでございます。したがいまして、食管法の体系といたしましては、政府の業者に対する卸売り価格を第四条が規定しておるものと考えております。  ただ、御承知のように、終戦後ポツダム政令によります物統令ができまして、末端価格を安定せしめるために、別途物価統制令によりまして消費者の価格をもきめておりまして、これを今回撤廃しようというものでございます。したがいまして、法体系としては別でございますので、食管法違反ということにはならないと思いますが、問題は、卸価格をきめる際に、末端の消費者価格並びに家計安定を配慮したものがどのように実現できるかという、その趣旨に沿ったような価格が実現するかどうかという問題であろうかと思いますが、これは結局法律上の問題ではなくて、卸売り価格に盛られた趣旨が末端においてどのように実現するかという政策配慮を行なうべき問題であろうと考えております。そのような点に関しまして、私どもとしましていろいろな……   〔発言する者あり〕

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 静かにしなさい。

亀長友義食糧庁長官

○亀長政府委員 行政施策をするつもりでございます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 これは売り渡し価格の問題ですけれども、その売り渡し価格が、せっかく消費者価格と家計を考えた売り渡し価格ということは、結果としてそうなる保証がないといけないのです。そうでなかったら、これは常識的に考えたってわかるとおりで、せっかく安く売って、そういうつもりでやったって、途中の業者がもうかってしまって、消費者に高くならないという保証はどこにもないでしょう。それじゃせっかくの財政負担が、一トン当たり何万円というものが、ふいになっちゃうじゃないですか。業者にもうけさすことになるのじゃないですか。だから、私はこの第四条というものをほんとうに実体的に考えるならば、売り渡し価格を安くするということを保証する小売り価格がどこかできめられていなければいけないということ。従来はそれだから配給価格があったわけですよ。しかもいま何割かの人たちが、やはりキロ百五十二円の米を食べている人がある。それをやめちゃったら、やはりいまの自主流通米とかやみ米の線にこれからいっちゃうでしょう。行政指導でやると言うけれども、いままでの食糧庁の行政指導は一体何ですか。この前、本会議で長谷川農林大臣が、自主流通米は小袋に入れて、産地、銘柄、生産年月日から、そのつくった人の名前まで入れて配給しますと言ったじゃないですか。そのとおり実行されておりますか。言ったことを実行しない。これはだんだんに統制が解けるのだという方向でやっているのでしょう。いままでちゃんとある中ですらもそんなだらしない行政指導をやっているのですから、今度は配給を取っ払ったら、もっとでたらめになってしまうことは明らかなんです。私は、この物価統制令の消費者米価については、もっと真剣に考えてもらいたいと思うのです。ほかの公共料金もそうですけれども、いずれほかの人たちがこの点をやるでしょう。医療費にしても何にしてもやるでしょうが、やはりどうも安易にやっているのじゃないか。私は、法律の解釈からいってもこれは法律違反にもなる。  総理は、かつて食管制度の根幹を維持すると言った。そういうことを約束したでしょう。やはりいまのままで、米といわず何といわず、日本の農業生産が後退していくような政策をとって、農産物を輸入するという方針をとっていく。おそらくカロリー計算でいくならば、四割ぐらいに落ちているでしょう。それでは安い農産物はほんとうは消費できないのです。外国に安いものがあるから全部外国に依存したら、それはほんとうに安いものにならないのです。国内にもあるというところで初めて安いものが保証できるのであって、外国のがいま安いから、それでは全部こっちは生産をやめて安いものを買おうじゃないか。必ず高くなりますよ。大豆だって何だってみなそうでしょう。だからそういう点を考えるならば、これは農民の立場からしたって消費者の立場からしたって、このいまの配給制度というもの、これを改善するということは、それはもちろん必要ですけれども、それを取っ払ってしまって、何千億という財政負担がさっぱりふいになってしまう。そんなでたらめなことはできないと思うのですがね。ひとつ総理、この点は再検討しますか。消費者米価の物価統制令……。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいまのところ、きめたのでございますが、きめたからといって必ずそのとおりというわけでもございません。もちろん弊害が生ずれば、これは私ども改正していくのはあたりまえでありますし、国民のための食管制度、国民のための食糧でございますから、これは十分考えていかなければならぬ。  ただ、この問題については、北山君の御指摘と政府の見るところとでは差がございまして、私どもは現在の状態で、ただいま御指摘になったように高騰すると、かようには実は考えておりません。米価は維持できる、かように思っておりますので、この辺は実施の上で十分なお検討すべきものは検討する、こういう態度でございます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 総理はそういう官僚答弁をやってはだめですよ。この食糧庁の書類だって要領が書いてありますが、その中に、騰貴した場合はと書いてある。ちゃんと騰貴する場合もやはり予想されるからそんなことを書いているのですよ。騰貴したのではもうだめなんですよ。高くなったらこういう操作をするとあるのですよ。それは食糧庁の要領の中にありますね、食糧庁長官。どうですか、騰貴した場合にはこういう操作をする、やはり騰貴する心配があるからそういうことをいっているんですよ。

亀長友義食糧庁長官

○亀長政府委員 たぶん、私どもで「物統令の適用廃止に伴う関連措置について」という資料を作成しておりまして、先日の米価審議会懇談会でもそれに従って御説明申し上げましたので、その資料のことだと思いますが、撤廃をしても米価の騰貴を来たさないような各般の措置が列挙をしてあるわけでございます。その中に、万一米価が暴騰するような場合には、政府において直売する方法を開く。切符も、切符がなくても災害に準じたような形で売ることも、緊急の場合には考えておるという条項がございますので、そのことを御指摘かと思いますが、私どもは、そういう事態はまずないということでございますけれども、万一という場合に備えて書いてあるにすぎないのでございます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 常識的に言えば上がると考えるほうが私は——何しろいまのような状態ですからね。自由価格になったら、どんなに払い下げ価格を安くしたって、小売り価格がいまの普通の自主流通米とかその線までいってしまうですよ。それから、特にいいものと悪いものと仕分けされて、そういう値段が出るでしょう。いずれにしても、私はこの食糧庁の出したそういうものも全部読みました。その中には、高くなったときにはこういう操作をする、どうする、そんなことを心配してなぜわざわざやらなければならぬのですか、小売り価格の撤廃を。そんな危険なことを。だから、私はこれは官僚的な答弁よりも、もっとやはり問題があることは検討をするという姿勢でいってもらいたいのです。一たんきめたから何が何でもやるのだ、そんなことじゃだめだと思うのですよ。やはり各方面の意見も聞き、いろいろの角度から検討をする。ただおれはそう思うのだから、おれの考えは間違いないなんて言ってやってみて、失敗したってその責任はだれもとらない。それではいかぬと思うので、私は、ことにこの米の問題については慎重にまだ再検討し、そういう統制令の廃止なんかはやめてもらいたい。物価問題で、医療費にしたって今度は三千億ぐらいは国民の負担がふえるとか、あるいは国鉄の運賃が上がれば千八百億ぐらいふえるとか、ずっとこう上げたやつを全部足してみたら、何千億も国民の負担がふえるのですよ。そんなことじゃ福祉国家じゃないですよ。そっちの方向じゃないですよ。そして土地のブローカーとか不動産業者は野放しにしておく、それから財産にあぐらをかいた所得は税金は安くする、そんな政治、これを直してもらうことが福祉国家だ。だから私は、ことに福祉国家ということにこだわって、それを中心にして経済政策を総理は施政方針に書いているのですから、これから高度福祉国家の軌道に進めていくなんてりっぱなことを書いているのですから、それならそのとおり実行するためには、税制だとか金融だとか、そういうものがその方向にいかなかったら、日本の保守党の政治というのはやっぱり命は短いといわざるを得ないと思うのです。  私はいろいろ、長い時間でございましたけれども、非常にかいつまんで、あるいは説教みたいなことを言ったかもしれません。失礼なことを言ったかもしれませんが、一問一答では時間がかかり過ぎて困るのでかいつまんで申し上げたわけです。いずれにしても、外交、防衛、経済の問題、大きな転換期です。そうして政府とわれわれ社会党とは、それは思想的にまるきり違います。違いますが、しかし、やはり政府だって、自民党の人たちだって、政治が道理に基づかなければならぬということだけは私は認めると思うのです。道理に合わないような政治は、これは民主政治とは言えない。いま大事なことはそれだと思うのです。そういう角度から、ひとつ今度の予算でも直すべきものは直してもらいたい。こだわらないですなおに直してもらいたい。それがりっぱな態度だ、りっぱな政治の姿勢だ、こう思いますので、きょうから予算審議が始まったわけですけれども、今後そういう姿勢でもって政府はどんどんいい問題は取り上げる、悪い点は直すということで、審議に当たってもらいたいと思います。  以上申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 これにて北山君の質疑は終了いたしました。  次に、園田直君。

園田直自由民主党

○園田委員 長時間お疲れのところでありますが、私はただいまから、佐藤総理はじめ関係閣僚に少しくお尋ねいたしたいと存じます。どうか簡明に、国民の方にわかりやすい御答弁をお願いをいたします。  まず最初に、佐藤総理に一言申し上げたいと存じます。  総理は、七年という例のない長い間政権を担当されましたが、それは長いというだけではなくて、内外に問題は山積をし、その動きは奔流怒濤のごとく激しく動き、一日一日が国の運命を左右するような期間であったと存じます。その間、内には経済問題あるいは類例のない学生騒動等、これをはじめとして各種の問題を逐次処理し、外にはILO、日韓、安保、小笠原等々解決をし、特に沖繩の復帰については、信念と情熱を燃やされて国民の念願を達成をされ、平和と話し合いで、戦いでとられた領土が血潮を流さずして祖国のふところに返るという、いままでの歴史になかった偉業を達成されたわけであります。総理は、福祉なくして成長なしと言われましたが、ただいま提案された予算案では、大きく福祉国家の建設に向かって、音を立てて政治のかじを切ったわけでありまして、心から敬意と感謝の意を表する次第であります。なお、昨日は札幌で、ある時期に勇退の意をほのめかされたように漏れ承っておりますが、まさに時は重大であり、総理の心身はますます健康であります。佐藤政治の総決算と、ゆるぎなき日本民族の進路に、腹をきめて大きな布陣をされるよう、心からお願いをする次第であります。  そこで、最初に政治の基本というものについてお伺いをいたします。いま国民の間では、政治不信ということがよく言われております。国民が政治から離反しているということであります。原因はいろいろあると思いますが、最大の原因は、国民にとって政治がわかりにくくなっておるということだと私は思います。たとえばグアム島で二十八年間、文字どおり地下にもぐって生き続けた横井庄一さん、横井さんと同じ運命をたどりながら、中途で飢え死にをされた御遺骨が帰ってきたわけでありますが、これに対して政治というものは、償っても償い切れない重い責任を持っておるわけであります。現行の法律でいけば、国が横井さんに支払うのは、二十八年に及ぶ死の苦しみに対してわずか四万円弱の給料と、帰還手当一万円であるわけでありますが、これに対し、マスコミをはじめ世論は、何という血も涙もないことかと、あげて政治の冷たさを非難いたしました。ところが、同じマスコミや世論は、わずか半月前に、すなわち昭和四十七年度予算案編成の際、軍人の遺族や傷痍軍人に対する年金や手当についてどのように論評しましたか。まるで軍国主義の亡霊がとてつもない政治的な圧力をかけて、盗人のごとく税金をぶんどっていった、こういう意味の非難をいたしました。しかし、考えてみますと、高いと言って非難された軍人や遺族や傷痍軍人の恩給年金も、安過ぎるといって非難される旧軍人の給料も、同じ法体系に基づく基準でございます。にもかかわらず、片や軍人、遺族や傷痍軍人の恩給年金に対しては、政治の横暴だと言って非難し、横井さんの給料に対しては政治の冷淡さを非難するのであります。まさに政権担当者にとっては、あちら立てればこちらが立たず、あれもこれもすべては政治が悪いということで、政治から国民が離れていく原因になっておると存じます。こうしたことになる原因は、先ほど申し上げましたとおりに、政治がわかりにくくなっておる。特に国会の論争や争いが、国民にはわかりにくくなっておる。政治について国民に納得のいくように説明しないから起こる現象であると考えるのであります。こういう点を踏まえて、いわゆる政治不信がつのる原因はどこにあると総理大臣はお考えになるのか、御所見を伺いたいと存じます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 政治不信がどこから起こるかという、そういうことの前に、まず二十八年間孤独の生活を続けられ、ジャングルの生活を続けられ、そうして無事帰国された横井さん、これに心からお祝いを申し上げたいと思いますし、また同時に、たいへん世間と隔絶していただけに、横井さんを荒波にさらすことのないように、そっとして、そして社会に復帰される日を迎えたいと思います。私は、横井さんが、いろいろマスコミについても批判されて、どうもほんとうのことを言ってくれないから会うのはいやだと言われたとかいうことも聞きますが、そういうようなことを言われるようでは、やっぱりまだずいぶん隔絶があるのだと思いますから、やっぱりそっとして、そうしていまの荒波に耐え得るようなそういう状況、健康状態になられる、そういう日が一日も早く来られるように、そうして社会へ復帰されるように、心から願うものであります。  私はその意味においても、いろいろ政治がなさねばならない問題を、いま園田君はお触れになったと思います。事柄は横井さん個人の問題ではない。やっぱりこれから何を考えるか。横井さんの問題でまず問題になるのは、横井さんと同じような運命で、いまなおジャングルの中にいられる方はないだろうか。もしもさような方があるならば、われわれはもっと積極的にさがし出さなければならないんじゃないか。もっとその努力をすべきではないのか。また横井さんの同僚、戦死された方々、その遺骨がやっぱり雨露にさらされているというようなことがいまなおあるに違いない、これではまことに相済まないのだ、遺骨を祖国へ迎える運動も積極的にすべきではないか、かように私は思って、きょうも閣議でさような発言をし、厚生省にいろいろの計画の推進方について鞭撻をしたような次第であります。  最近は、ただいま御指摘になりましたように、いわゆるマスコミが非常に発達した。そういう意味でわれわれは便益も受けておりますが、同時にそのマスコミが、事実をそのまま報道してくれないと意外な結果を生ずるのではないかと思っております。私は、必ずしも現在の国民全体が政治不信にあろうとは思いません。私は、わずかなことですが、昨日オリンピックの札幌の開会式に参りました。これは両陛下がお出ましになった、こういうことでいやが上にも高まったと思いますが、私自身札幌の町を自動車で走りまして、つじつじに立ちあるいは街頭に私の車を迎える市民の胸のうちにも、どうもいままで考えていたような、非常な低率な支持率では必ずしもなさそうであります。こういうことは、私、別にマスコミを批判するわけではありませんが、国民と一体となる機会は至るところにあるんだ、そのことが実は申し上げたいのです。国民の皆さん方とわれわれとの心と心が通ずる、そういう場をつくること、それが望ましいのではないか、かように実は思っております。もちろん皆さん方は、国民の代表として選ばれて議席を持っておられる。衆参両院において、いま直接国民が政治に参画するような方法はありませんけれども、間接の参画方法をとっておりますが、この議会を通じて十二分に国民の意思、意欲を反映することもできるのではないかと思っております。私はこれが片寄らないように、国民の意欲、また意思、希望、そういうものが、この国会を通じて十分政治の上に生かされるように、この上とも最善の努力を払っていきたいと思いますし、またそうでなければならない。せっかくの国民の代表として選ばれた者が、国民の期待に沿わないようなことがあってはならない。またみずからを自粛自戒しながら、同時にまた国民のためにわれわれは政治と取り組むのだ、国民の利益を考えて勇気を出して取り組むのだ、かように思いますと、政治のしがいもあるように実は思っておるような次第であります。私はそのことを感じながら、ただいま園田君のお尋ねにお答えするような次第でございます。  また前半についてのいろいろの事柄につきましては、これは申すまでもなく、日本国民全体が沖繩の祖国復帰に取り組んだのでありまして、その結果であります。私は、一致協力すれば戦争で失った領土も返ってくるじゃないか、そのことを痛切に感ずるのであります。私はただ国民を代表して使いしただけだ、その背景には、うしろには、何といっても一億国民、沖繩百万の県民はもちろんのこと、祖国一億の国民がついている、がんばれ、こういうことで私はがんばってきたように思っております。そういうことで、最も大事なことは、国民のために国民とともに政治をする、その姿勢こそ最も必要なことであり、われわれは絶えず反省もし、また謙虚に各方面の意見を聞かなければならない、かように思う次第であります。

園田直自由民主党

○園田委員 次は、発想の転換ということでございます。われわれは発想の転換ということをよく口にいたしますが、なかなか発想の転換というのはむずかしいことである。たとえば、ただいまの横井さんの問題について考えますると、この問題の処理にあたっては、依然として昔の法律を持ち出して、この古い法体系に横井さんを無理やり当てはめて処理しようとしているわけであります。ですから、二十八年という気の遠くなるような苦しみに対して、スズメの涙しか出せないわけであります。  そこで、そうではなくて、横井さんを法律に当てはめるのではなくて、法律を横井さんに当てはめるように改める、それが発想の転換であり、それでこそ愛情のある政治だと思うわけであります。わが自由民主党は、全議員が見舞い金を、閣僚、政務次官もまたそれぞれ見舞い金を出し、なお衆議院内においては、衆議院の全員が見舞い金を出そうという話があるそうでありますけれども、しかし、何千万見舞い金を出しましても、それは愛情ある政治家の行動ではあるけれども、愛情ある政治ではないわけでありまして、あくまで国と政治がどう責任をとるかというのが問題であります。政府は、横井さんに対して、なおまた三十五年に帰られた同様ケースの二人に対して、法律を出すかあるいは議員立法にするか、そういう処置は別でありますけれども、どういう待遇をしようとしておられるのか。そうでなければ、見舞い金だけで処置しては、その場限りの政治をやったと言って非難されるわけであります。恩給とか手当が高いなら高い、安いなら安い、国民の皆さんどう思われますかと、いい意味で開き直って、国民の納得のいくように、スピーディーに法律や制度を改めるなら、いわれもない批判や非難は生じないのでありまして、総理は、施政方針演説の中で、いまこそ発想の転換を行動に移すべきだ、こう演説をしておられますが、総理は発想の転換というものをどのように理解されておられるのか、続いて厚生大臣はどのような待遇をされるのか、お答えを願いたいと存じます。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 ただいま横井さんの問題について、具体的にどう考えているかというお尋ねのほうを先に申し上げます。  おっしゃいますように、横井さんに適用する法律は、終戦直後にできた法律でありますから、その後すっかりすべての様相が変わっております、物価もまた考え方も。したがいまして、今日の横井さんに適用するような、そういうように法律を改めるか、あるいは事実上、法律でなくても政府の金で、そうして今日の時勢に合うように支出をするようにいたしたい。法律をつくるかどうかという点につきましては、ただいまいろいろと検討をいたしておるわけでありますが、お考えは、ただいまおっしゃいますようなお考えで実行いたしたいと、かように考えます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 私も、ずいぶんもう長くなりますが、社会開発を唱えておる。なかなか実効があがらないで今日までまいっております。しかし、今日考えることは、やはり何といっても、内にあってはいままでの生産第一主義から社会福祉建設の方向に切りかえるべきじゃないか、かように思っております。もうすでに、日本の経済成長、これも自由世界第二だと、かようにいわれております。内においても、そういう意味では相当の余力もできたはずです。したがって、われわれが発想を転換して、いわゆる福祉国家の建設、その方向に前進すべきだ、かように思います。また、先ほどの北山君からも、その福祉国家はなかなかできないじゃないか、何を一体考えておる、こういうようなおしかりも受けました。私は、それほど国民の皆さんは、福祉国家ということについてたいへん期待をしておられると思います。その期待の大きいことに対しましても、われわれは積極的にこの問題と取り組んで前進していかなきゃならないと思います。同時にまたこれは、予算規模が大きいとか、あるいは施設の数をふやしたとか、こういうものだけではございません。やはり何といいましてもきめこまかな発想がないと、この福祉国家の建設などはできるものではないように思います。私は、予算だけで済むようなものではない、こういうことをこの機会にもつけ加えて、また、きめこまかな情的な問題、これは政治ではないとおっしゃるかわかりませんが、政治を動かす情的なものもその基礎にあることを十分理解していただいて、そうして福祉国家の建設に邁進すべきだと思います。  また、外に向かってのいままでの輸出第一主義、これもある程度必要ではございますけれども、われわれは、輸入原材料を供給される国々、それらについての発展途上国に対する、ともに手を携えて繁栄へ向かうという、そういう方向でなければならないこと、これは申すまでもないところであります。もちろん平和第一主義、そういう意味から考えて、国内においてもいわゆる利己主義は許されませんが、国際的にも利己主義的な国家主義は考えられない、こういうことに思いをいたして、平和でともに繁栄する、そういう方向で努力すべきではないかと思っております。これが、私がいま考えておる発想の転換、実行に移すべきその段階に来ていると、かように言う点でございます。

園田直自由民主党

○園田委員 次は、政治姿勢に関連をしてお伺いをいたします。  このところ、閣僚や国会役員が相次いで更迭、実は辞任しておるわけでありますが、国民はやはり奇異の目をもって見ていると思うのであります。どう考えてもその数が多過ぎます。また、あまりにもあっさりと首をすげかえているという印象を国民に与えております。いわゆる放言とか失言とかがその理由といいますけれども、一人の政治家が、公の席であろうと、また私的な席であろうと、その言論には責任と信念があるわけであり、ところが、それを他党の諸君が、やれ放言だ、やれ失言だと騒ぐと、何らの弁明もなく他党の要求どおりに首を切ったという印象を国民に与えております。しかし、かりに放言や失言があったとしても、単に首を切るか辞任させることによって当面を糊塗するというのは、問題の解決ではなく、まして議会制民主主義の正常な発展とは何ら関係がないのではないかと思うのであります。  こうした風潮は、政治家の言論の自由をみずからと他からと抑制をされ、暗黒政治におちいるのではないかという国民の不安が出てきておりまして、まことに憂うべきことだと思うのであります。また、こうしたことも政治不信を助長していると思うのでありますが、この際、政治家の言論の自由について総理の忌憚のない御意見を伺いたいと存じます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 本来政治家は、これはもう言論は自由、表現も自由、それで押し通せるものだと思います。しかしながら、どうも理解のできない、また納得のいかないような表現あるいは発言があると、地位が地位でありますだけに、やはり政治家としての本分も尽くすことができないのじゃないか、かように私は思います。また、そういう意味から、地位がものを言う閣僚の場合におきましても、その言論、それについての責任はやはり十分発言者がとり得る、そういう状態でなければならない。自分でとれないような発言をする、それは失言であり、暴言であり、ときには放言だ、かような非難を受けるのもあたりまえではないかと思います。  ただ、一般的にやや他人の事柄について少し関心を持ち過ぎる、これはやはりお互いに慎まなければならないのではないか、みずから省みてそういうように思います。私は、党内だけで処理すべき問題が他党からもいろいろ問題にされるとか、こういうような場合もありますから、そういうような事柄はやはり自分の党で処理すべきことではないだろうか。各党で内政干渉しないほうがよろしいように思います。しかし、いやしくも閣僚である限りにおいては、国民からその言動について十分説明を求められる、その説明が答えられない、それができない、こういうようなことであってはならないように思います。政治家は、これはもう公的な地位にあるのでありますから、国民からすべてが監視されている。したがって、みずからの発言に対してはみずから責任を負う、そういうことははっきりすべきだ、かように思っております。  そういうことができれば、私は別に問題はないだろうと思っておりますが、どうも最近のマスコミあるいはその他の状況は、必ずしもただいま申し上げるようには思えませんし、どうも時に興味本位に報道されているのではないだろうか、こういうような節もあります。これは私の忌憚のない意見であります。そういうことはやはり慎むべきだろう、かように思っております。

園田直自由民主党

○園田委員 わが自民党は、戦後二十数年間、一貫して国民に支持され、政権を担当してまいっておるわけでありますが、国民が自由民主党に政権をゆだねてきた理由は、一つは、自由民主党があくまで議会制民主主義を守るという期待、二つには、いろいろあるが、防衛は自由党にまかしたほうがよいという安心感、三つには、敗戦の焦土の中から国を立て直し、経済を成長させるということに対する信頼、この三つが自由民主党が国民から支持されたゆえんだと思うのであります。しかし、いまや最初の二つは、ややもすると空洞化、空文化の危機にさらされ、さらに経済成長は、時代が変わって人間中心の時代に変わろうとしております。  この点から反省をしていろいろ考えますると、議会制度にいたしましても、安保や沖繩の問題で与野党が論議をしますけれども、国民の大多数にとってみれば、その議論の内容がよくわからない。沖繩の問題にしても、返ってくるのがいいのか悪いのかという議論ではなくて、返ってくる姿が問題だという他党の諸君の議論であります。それでは、理想の姿になるまで沖繩は返ってこなくても、百万同胞の願望はかなえなくてもよいのかというと、そうでもない。そして、やれ廃案だ、やれ継続審議だと言う。最後には、一たん参議院まで通過したものが、二度目の衆議院では、今度は審議に応じられないと言い、あげくの果ては、自民党の単独審議はけしからぬ、横暴だ、議会制民主主義を踏みにじる暴挙だと非難したのでありますが、国民にとってはまことにわけのわからぬというのが国会の姿だろうと考えるわけであります。国会の論議を聞けば、きょうの暮らし、あすの生活設計に役立つというのが国会の議論である。しかしそういう議論は非常に少ない。国民にとって、いまや議会制度、国会論議というものが全く無縁のものになり、わけのわからない、かけ引きの場として映っております。いまや空洞化の危機にさらされておるのでありまして、おそらくテレビの中継を見ましても、何だといってチャンネルを切りかえるのが、いまの国民の心情ではないかと考えます。議会制民主主義の危機について佐藤総理はどのようなお考えか、率直にお聞かせを願いたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいま御指摘になりましたが、いろいろ国会運営上には各党とも苦心をし、あるいはまた国会闘争にはいろいろ苦心もあることだと思います。そういう点は、国民もそれぞれがそれぞれで理解されておると思いますから、その戦術的なことについてとやかく言う必要はないだろうと思います。私はただ、こういう公の場で、これこそが国民を代表して発言のできる場所だ、かように思うと、ほんとうにわれわれを選んでくれた国民は何を希望しているのか、その琴線に触れるようなこと、そういう点を意見を述べたいし、またそういうことを政府も答えてほしい、これが国民の偽らない気持ちだろうと思います。  私はどうも、民主主義、その発展の途上におきましてはいろいろ問題があったと思いますが、しかし、最近におきましては、大体国民の期待されるような方向に進んでおるのではないだろうかと思います。たとえば、佐藤総理の支持率は低くても、自民党は支持率がなかなか高いという。やはり自民党が各党に比べて一等頭角をあらわしておる。そういう政党であるということについて、国民は十分期待を持ち、信頼をされておるその結果だ、かように私は思いますので、こういうことを考えながら、国民はやはり何といってもりっぱに理解しておられる、かように思います。  そういうことを考えるにつけましても、われわれがやはり、国民のために、国民の代表として国民とともに政治をするというその心がけだけは絶えず注意して行なわなければならない。みずからおごるようなことがあったり、また謙虚にものごとを考えないようなことがあったり、自省しないというようなことがあると、国民から見放される。こういうところに代議制のいいところもあるが、同時にむずかしさもあるんではないだろうか、かように思ってみずから戒めておるような次第であります。

園田直自由民主党

○園田委員 今日の議会制度の沿革及び時代の変遷、こういうものから考えまして、議会制度を変えるべき時期に来ておると思います。議会制度について、与党はこれを乗り切りの場所だと考えて、波乗り切りかのごとく考えておる。野党は政府をじゃますることを考えておる。ところが、その与党もいつかは野党になるわけでありまして、また、野党になる政治がいいことであります。また、野党の諸君もいつかは与党になるわけでありますから、このままで政治と行政の癒着がないのか、あるいはこのままで国民生活に関係のある論争がほんとうにできるか、こういうことを政党の立場を離れて考えるときであると私は考えます。  なお、それは国会の制度ばかりでなく、今日、国民の政治参加をいわれておりますけれども、今日のままの制度では、野党の諸君は議論はしておるが政治に参加する機会がございません。やはり何らかの方法で、事があるときばかりでなく、絶えず野党の諸君と党首会談を開くとか、あるいは予算の編成についても野党の諸君の意見をまず聞いてみるとか、そういうことを考えながら、ひとつ議会というものがほんとうに国民の生活に密着する議会になるべき時期だと考えますので、これは御答弁は要りませんがお願いをいたしておきます。  とにかく私は、いま政治への信頼を回復するのには、わかりやすい政治、イエスかノーかしろうとにわかる政治、そういうものが最大のものであると考えます。政治資金規制の問題にいたしましても、やるのかやらぬのか、はっきりさせたほうがよいと思うのであります。これまでのように、やるやると言って、何だかんだと理屈をつけてやらないよりも、かりにやれないものなら、やろうと思ったがいまはこういう理由でやれない、そのわけはこうだと、はっきりしろうとにもわかるように言ったほうが、よほど国民の信頼を回復することになると思うのであります。この点を、政治資金の問題との関連で、政治姿勢について総理から御答弁を願いたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 いま国会、これが改正の時期に来ている、こういうように言われましたが、それはどういう意味か。あるいは選挙区の問題かと実は思いますが、選挙制度そのものにつきましては、なお検討あるいは改善を加えるべきときがあるだろう。これは定数の問題であり、あるいは選挙運動取り締まりの問題である、かように私は思います。ちょうどだだいま選挙制度審議会におはかりしておりますのが、政党本位で金のかからない選挙はいかにあるべきか、こういうことで、制度をも含めていま答申を願っておる最中であります。  政治資金規正法の問題につきましては、過去において私は苦い経験を三回もなめております。なかなか各党一致した意見ができませんで、これは成立を見ることができませんでした。しかしこれは、やはり国民から申せば、選挙に金がかかる、また選挙は膨大な地域において行なわれる、これはなかなか納得のいかないことだろうと思います。したがいまして、選挙資金また政治資金、そういうものはたくさんでないようにぜひともしていかなければならぬと思います。一昨日も共産党の野坂議長から、佐藤派は二兆円も金を集めておる、こう言われてびっくりしたのですが、すぐそれは間違いだった、二億ということだったということで訂正されましたが、しかしそれにしても、二億も金を集めて佐藤派がそういう派閥の中の政治活動に使っておるという、そういうことはなかなか国民の理解のできることではないと思います。私はそういうことを考えながら、もっと金がかからない政治、それはできないものだろうか。そうして国民も、もっと選挙しやすいような、使途のわかるような方法はないだろうか。それがいわゆる、いま選挙制度審議会で取り組んでおる、政党本位の、金のかからない政治、こういうことにつながるのだと思います。あるいは、小選挙区は自分たちは反対だ、大選挙区でなきゃならぬととか、あるいは中選挙区がいいとか、あるいは連記がいいとか、いろんな議論が出ておりますが、それもやはり、考えてみると党利党略的なにおいがしないわけでもない。これはやはり、そこらのことを考えると、第三者構成の選挙制度審議会、その御意見を待つことが望ましいのではないだろうか、かように思っておる次第であります。  ただいま、政治資金規制は絶対にできないと、かように私は思ってはおりませんし、また、これは野方図に許されるべきものではないと思っております。ただしかし、金だけの面でこれを取り締まろうということには無理があるのではないだろうか、かように思いますので、全部の政党のあり方、選挙制度のあり方、それらとも関連をして適当な規制方法を考えるならば、国民の皆さんも納得されるだろうし、各党にはまたそれぞれの言い分があるだろうけれども、おそらくただいまのような点で一致する点も見出せるのじゃないだろうか、かように私は思いますので、その方向で努力したいと思っております。

園田直自由民主党

○園田委員 次は、外交問題について総理大臣並びに外務大臣にお伺いいたしたいと存じます。  何といっても、沖繩が話し合いで返ってきたということは偉大な事実であります。自由を守り平和に徹するという佐藤総理の外交姿勢はまことに正しいということであって、この平和と話し合いということをあくまで貫くべきだと思うのであります。  私は、かつて生前のマッカーサー元帥とアメリカでお会いをいたしました際、マッカーサー元帥はみずから発言をして、日本国の憲法第九条に触れました。あの条項は、日本では押しつけ憲法だといわれておるが、事実はそうでなくて、雨のそぼ降る夕方、幣原総理がやってきてその件を提案をした。自分はびっくりした。ところが幣原氏は、私どもは原爆の洗礼を受けたただ一つの民族でありますと言われて、自分は返すことばがなかった。これを係に指示したと言っておりました。  またマッカーサー元帥は、当時、幣原氏に対して、戦争放棄を憲法に規定することは歴史に例を見ない、だが数年をたたずして大論争を呼ぶであろう、だがその論争の中でこれを守り抜けば、やがては全世界から日本は人類の先覚者として称賛されるだろうと言いました。重ねて、自衛権を否定するものではないが、その自衛権は自分の国の実情と国際情勢を踏んまえてやらなければ、マンモスのようにみずからのきばで滅びていく、自衛のために国が滅びていくということもつけ加え、当時は米ソ緊張のときでありましたが、理屈なしに、米国とソ連が戦いを開いたならば、もし日本がソ連に味方すれば、アメリカはじゅうたんのごとくこれをひきつぶし、米国に味方をすればソ連はまたローラーのごとくこれをやるだろう、地理的囚人である、断じて日本は世界にいくささしてはならぬということを言ったわけであります。  何にいたしましても、第九条というものは偉大なものであって、これを守ってきたところに今日の日本の繁栄があると考えるのであります。自衛隊設置の本義と戦争放棄の日本の理想というものは別であって、あくまで第九条の自由と平和に徹するということは、今後の日本の進路であると思いますが、総理の決意を伺いたいと存じます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 自由を守り平和に徹すると私がしょっちゅう申しますと、爆笑が出てまいります。しかし、ただいま言われるように、やはり平和、それこそはたいへんとうといものだし、これをどこまでも追求するというその態度は望ましいのだと思います。  ただいま、わが国憲法の第九条について、平和を追求することのその意義を述べられました。私は、ただいま世界は平和追求の方向に向いて大きく動いておると思います。申すまでもなく、そのことは、東西ドイツ、これがソ連との間に話し合いがつこうとしておる。これはやはり平和への努力が払われておる証拠であります。もうなくなりました、故人であるアデナウァーさん、私どもがアデナウァーさんに会ったときに、どうも東西ドイツに分かれておることは、ドイツ民族にとってこんな不幸はない、しかし、これが平和のうちにまた一緒になり得るかどうか、たいへん疑問がある、こう言って心配をしておられたアデナウアーさん、それが、ただいま話し合いがつこうとしておるブラントさんの努力というもの、これを地下でどういうように見ておられるか。私はそのことを考えながら、アジアにおいては中国問題は、アルバニア案の可決によってもうすでに中国の代表者はきまりました。また、ベトナムにおける南北ベトナムの問題も、これも一応の曙光が見られつつあります。ただいま心配なのは韓国の問題であります。しかしこれも、三十八度線を境にして両国の赤十字社間である程度の話がつこうとしておる。やはり平和への努力、それは各国とも努力しておる最中だと思っております。私は、そういうことを考えながら、やはりわれわれが平和への努力、平和を守り抜くというこの気持ちを国民にも知っていただきたいと思います。  しかし平和は、ただことばだけで達成されるものではありません。平和、それがゆえに非武装中立だ、こういうような議論もありますが、それには私は賛成ではありません。平和を望めばこそ自衛力も整備する必要がありますし、また、われわれが安全保障条約を日米との間に結ぶ必要のあることも、われわれ自身が知っておるはずであります。今日の繁栄は、わが国が平和であった、そのおかげで今日の繁栄があった、かように達成されたことを考えますと、われわれは、やはりわれわれが自衛力を持ち、日米安全保障条約のもとでこの平和が確保されておる、そのことを十分理解していかなければならないと思います。今日、この長い平和な状態が続きますと、何だか平和は自然にわいてくるかのような感を一部に持つ。非武装中立、その議論がそれの代表的なものであります。これは私はそれには賛成をしない。ただいま申し上げますように、どこまでも自衛力を持ち、日米安全保障条約のもとでわが国の平和は保たれる。また、アジアの平和もここにある、戦いが起こらないのもここにある、また世界の平和もここにある、かように思っております。また、この状態はいましばらく続くのではないか、かように思っております。何よりも大事なことは平和であること、そのためにはわれわれもなすべきことはなさなければならない、犠牲も払わなければならない、かように思っております。

園田直自由民主党

○園田委員 ところで、憲法第九条にいう正義と秩序を基調とする国際平和を希求しという願いは、日本が戦争をしかけないと同時に、他国からも戦争をしかけられない、他の国々にも戦争をさせない、こういう国際情勢をつくる、そのための外交を展開をする、国内体制もまたそういう方向に向かって整えていくということだと思うわけでありますが、そこで、ただいまの御答弁に関連をして、日本軍国主義の復活という問題についてであります。  この問題は、主として中国のほうから言われておるばかりでなく、アメリカのキッシンジャー補佐官が、公開の席上で二回にわたって、日本の軍国主義復活の可能性を指摘しておるわけであります。けれども、この軍国主義の復活という非難について、われわれは単に他国の非難として聞くのではなくて、みずからが反省してみる必要があると思います。日本軍国主義の復活は、他の国からの警戒ばかりでなく、日本国の運命に影響するからであります。それを端的にいえば、日本が内在している拡張主義、進出主義、何事につけても攻撃的な姿勢、こういったものが誤解をされるのであります。ですから経済援助にしたところで、それが輸出市場の拡大をいたしたものであれば、エコノミックアニマル、アグリージャパン、醜い日本人、そういった批判からだんだん発展をして軍国主義云々ということになるのではなかろうかと考えるわけであります。要するに、自己の目的を達成するためには手段を選ばぬ式の対外姿勢が、広い意味での日本軍国主義という非難となるのであります。したがって、外交においても発想の転換が必要だということになると思うのでありますが、外務大臣の御所見を伺いたいと存じます。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 軍国主義の復活ということばを、私も国際社会でしばしば聞く。私は、昨年の秋、陛下のお供をしてヨーロッパを回る、そうしますと、その際にヨーロッパの首脳の方にお目にかかります。そういうときよく聞かれるのですが、経済大国になった日本は、さてこれからどういう国になるのですか、こういうことです。そういうことを聞きまして、私は、ビーンとくるのは、どうも日本が軍国大国の道へ行くのじゃないかという想像でもしているのじゃないか、そういうような響きを持ったわけであります。私は、先ほど北山さんの質問を聞いておりまして、四次防の問題、三次防の問題を議論されまして、こういうことがあるから軍事大国なんて言われるのだというようなお話でありましたが、私が国際社会で聞く軍事大国という意味はそうじゃないのです。そうじゃなくて、世界の歴史が、経済大国は必ず軍事大国になるのだ、そういう流れを踏んまえまして、日本が今日経済大国になった、これから軍事大国になっていくのだろう、そういう見方をしておるのじゃないか。そういう受け取りをしておるわけでございますが、先ほども申し上げましたが、わが日本は、これはもう平和国家、文化国家日本を目ざしておる。憲法第九条があります。また、いくさに初めて負けて、いくさはもうこりこりだという国民感情もある。また、最初の被爆国というような運命をになった、そういう立場にもあります。そういう日本でありますが、しかし私は、そういう状態下において憲法第九条を守り、平和日本という姿勢を貫く。また、そういう世界的環境もできておると思うのです。つまり米ソ二大強国、これは核兵器を開発しておる。この核兵器を使うような、またこの二大国が巻き込まれるような世界第三次大戦争というものは起こるまい。ですから、世界に臨むわが国の姿勢といたしまして、軍事力を背景としてものの言える日本、影響力を持つ日本ということを目ざすべきかというと、そうじゃない。今日は軍事力よりは戦争の展望できない、第三次世界大戦争の展望できないような今日の世界情勢下においては、私は、世界に臨んでものの言える背景、力というものは経済力に根源を持つ、そういうふうに考える。ですから、私は、軍備を持たぬで、経済大国になりましたけれども、軍備を持たない日本だということを決意しておるということを申し上げておるわけでありますが、そういうことをよく世界じゅうに理解してもらう、これが非常に大事なことだろう、こういうふうに思うのです。  それから、園田さん、いま御指摘がありましたが、あまりどうも、世界に向かって好戦的な態度というか、スピリットの面であります。そういう姿勢がよくない、こういうことでございますが、やはり軍事大国といわれるもう一つの側面があると思うのです。それは何かというと、経済力を背景といたしまして、経済大国になった日本が、経済侵略というか、経済帝国主義というか、そういうような方向をたどるのじゃあるまいかという見方であります。私も、もういままでの歴史からいえば、そういう国の行き方というものがあったと思うのです。この点も理解を求め、そうしてそういうような傾向がいやしくもあってはならぬということを心してやっていかなければならぬ、さように考えます。

園田直自由民主党

○園田委員 軍国主義の復活の可能性がないということを世界各国に理解してもらい、同時にまた、日本の民族の運命のためにもその可能性を消し去ることはきわめて大事であります。そういう意味で、いま言われましたように、伸びた経済が市場を求めて世界に進出するというのではなくて、伸びた経済の半分は国民に還元をする、半分はアジアの諸国に還元をする、こういう方向にかじを切ったということは、これまた一つの証拠であると考えます。そういう観点からいたしますると、私は新しく設けられた国際交流基金というものは、おくればせながら、世界の国々と心の交流を遂げて無用の摩擦を回避するものであり、画期的な試みとして高く評価するものであります。しかし、これとても、先ほど指摘しましたように、一歩間違えばいわれのない非難をされかねないと心配する向きもあると思うのであります。この点、外務大臣としてはどのような決意のもとに運用していくおつもりなのか。この基金を将来はどの程度まで増額していく方針なのか、それらをあわせて御答弁を願いたいと存じます。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 先ほど申し上げましたようなわが国の平和国家、文化国家としての立場を理解してもらう、こういうことがこの国際交流基金を設けた趣旨であります。私は、いま日本がそういうような崇高な立国の精神を持ちながらも、諸外国からあらぬ警戒心を抱かれたり、あるいは誤れる批判を浴びたりするような立場にある、と同時に、わが国の世界に臨む姿勢が経済に片寄っておる、経済を通じて世界じゅうにわが国というものが認識されるような立場にある、そういうことでありますと、先ほど申し上げましたような経済侵略でありますとか、あるいは経済帝国主義だというような考え方と受け取られがちである。そうあってはならない。私は、先ほど申し上げましたような日本国のあり方というものを正しく理解してもらう。また、それを正しく理解していただくためには、相手国の事情というものもわが国が正しく理解しておかなければならぬということが前提になると思うのです。そういう意味において、この国際交流基金というものを設定いたしまして、物と物とのつながり、そういうものからさらに一歩前進いたしまして、心と心との触れ合いという形をつくり上げていきたい、こういうふうに考えておるのですが、それが行き過ぎまして、また今度は文化侵略だとか文化帝国主義だなんていわれるようなことになれば、これはまたたいへんなことでありますから、その辺は特に心してまいりたい、かように存じます。

園田直自由民主党

○園田委員 中国問題についてお伺いをいたします。  私は、二十年前、ダレス外交に追随する日本の進路を批判し、日中国交回復を叫んで、党紀委員会にかけられたものであります。いまもなお、一日を急いで中国と国交回復をすべきであるという熱情を持ち続けております。だからこそ、きわめて大事な問題でありますからお伺いをいたしますが、今日の中国問題をめぐる動きほど、国民がわけのわからないものはございません。中国との国交回復を急ぐ、そういう点で国論がほぼ一致しておると思うのでありますが、国民世論の動向というものを総理はどのように受け取っておられるか、あらためてお聞きしたいと存じます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 もちろん、国民全体といたしましては、今日は中国と一日も早く国交を回復すべきだ、かように考えておると思います。

園田直自由民主党

○園田委員 すでに知られているとおりに、中国問題についてはわが党の中にさえ異なった意見がございます。そして、ハトはよくてタカはいかぬという単純な印象がいつの間にか国民に植えつけられております。何が何でも中国の言いなりになっても国交を開くのがハトで、それは善玉であり、世界の情勢を見詰めながらマイペースで国益を考えて事を運ぶのがタカで、これは悪玉だ、そういった印象が国民の中にでき上がっておる。しかもそうした誤解のままに中国問題がまさにいま政争の具になろうとしておるのであります。そうした点について総理大臣はどうお考えなのか、お伺いしたいと存じます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいまハト派あるいはタカ派と、こういう表現で区分をしておられます。それにはやはり何といいましても一日も早く国交の正常化をはかって、さようなハト派だとかタカ派だとか区別されないように党内も一本にすることが大事だと思っております。  ことに最近の情勢といたしましては、すべてが、政財界ともに中国との国交正常化の方向に向かっておりますから、そのほうの努力が払われないという、いわゆる政府側、これは積極的な行動はとっておりましても相手方のあることでございますから、いかにもそれがタカ派であるかのような印象をもって見られる。そういうことではないので、われわれは、どこまでも、一日も早く正常化すべし、そのためには、政府は進んで、いつでも、どこでもそういう話に応ずる、こういうことをずいぶん長い間呼びかけてきております。しかしながら、それにはそれなりに一応原則を立てなければ、幾らただいまのようなことを言ってもそれはだめだ、こういうような批判も受けております。しかし、私は事前の原則もさることながら、やはりそれぞれがそれぞれの立場があるのでございますから、その立場についても十分の理解を相互に持たない限り、真の親善関係はでき上がらない、かように実は思っております。したがって、ただいま両国の間に政府間の折衝を一日も早く開くべきだと、こういうことを叫び続けているのが現状でございます。そうして日中相互の間には長い交流がありますが、それを基礎にして、また最近起こった忌まわしい事件等についても反省しながら、今日取り組むべき種々の問題、これらをもひっくるめて話し合っていくということでございます。そのためには何といたしましても基本的には両国友好親善関係を樹立すると、こういうことで意見が一致すれば、その他の問題はその後の問題として、また同時でもその話はつくだろうと、かように私は考えておる次第であります。

園田直自由民主党

○園田委員 中華人民共和国が中国における唯一の政府であることは、中国の国連加盟によって国際的に証明されたわけであります。この事実を待つまでもなく、私もまた条件さえ整えば早急に中国を承認し、中国と早急に国交を回復するのが、日本として当然とるべき態度であると考えております。しかし、要はその手続でございます。事外交交渉ごとである以上、まずお互いの言い分を率直に述べ合うことが肝要であると存じます。したがって、政府間交渉というものをあくまで前提にすべきであり、それに至るまでにはあらゆるルートを通じて誠意ある呼びかけをするのは当然の措置と考えます。こういう観点から、だれに頼んだかれに頼んだということではなくて、保利書簡といったものもまことに意義があると考えております。  そこで台湾問題でありますが、この台湾問題は、先ほど申し上げましたとおりに、中国の唯一の政府は中華人民共和国と立証されたわけでありますから、この台湾問題は中国にとっての内政問題であります。われわれがどうのこうのと介入すべき権利もないし、またそうすべき問題でもないと考えます。一方、中国もまた、みずから解決すべき内政問題を他国に解決させるというか、台湾問題をさながら踏み絵のようにして解決を迫るというのは納得できないところであります。交渉ごとである以上、掛け値のあるのは当然かもわかりませんが、台湾問題を解決してこない限り、国交回復の下話さえできないという論理は理解に苦しむところであります。日台条約にいたしましても、中華人民共和国は国民党政府に対する革命政権でありますから、前政府の締結した国際的な権利と義務を継承するのが原則で、継承国家論は国際法上変更されることのない概念でありますから、話し合いの上修正するならする、破棄するなら破棄するということであると考えます。  なお、われわれ日本には一九六〇年一月十九日の日米安保条約相互協定があります。その十年前に、相手の中国は、一九五〇年二月一日、中ソ友好同盟及び相互不可侵条約を結んでおるわけであります。しかし、斯界の現実は、日本が持っておる安保条約も、中国が持っておる中ソ不可侵条約も、それぞれ変質をしてまいりました。そういう異なった立場で話し合いを進め、真にアジアの平和と日中の繁栄を願って話し合うわけでありますから、問題はいろいろあるわけでありましょうけれども、あの手この手を通じて、まず何が何でも下話をすることが必要であると考えるわけであります。  ことに戦前、日本の軍閥や財閥が中国の内政に干渉し、国内の対立をあおり、中国を日本の都合のよいほうに持っていこうとしたことは、これは許されないことであって、率直に謝罪してしかるべきだと考えます。しかし、だからといって、その後われわれが中国の指摘するように、台湾の本土進攻をそのかした事実もなければ、独立運動に手をかした覚えもまたないわけであります。にもかかわらず、台湾問題がネックになるということについて外務大臣はどうお考えでありますか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 わが日本は、日中国交回復はこれは歴史の流れである、そこまで考えておるわけであります。その歴史の流れを解決する、そういうためにまずとにかく政府間接触を持つ、そのためのいろんな働きかけをしておる、これはまさに園田委員の御指摘のとおりであります。  台湾問題をどう考えるかということでありますが、これは、台湾問題は、いろいろありますけれども、園田委員の御指摘のように、これは中国の内政問題である。しかも総理は中国は一つである、こう言っておるのです。その一つであるところの中国、しかも北京政府は中国を代表する政府であるという認識に立って、中国との間に政府間接触を始めようとしておる。そのむずかしい日中間の諸問題、これは平和条約というような問題をどうするかとか、条約の形がどうだとか、いろいろな問題があると思います。そういう問題にまつわる諸問題もある。それらの問題は、その政府間接触が始まりますれば、そういう日本政府の認識でありますれば、おのずから雪の解けるように解決を見るであろう、私はこういうふうに考えておるのでありまして、お話しのように、何としても政府間接触を始めることがこの問題を解決するまず第一歩である、こういうふうな見解でございます。

園田直自由民主党

○園田委員 政府は、中国問題についてもっと日本人らしい態度をとってしかるべきだと存じます。もともと外交は相手のあることである以上、相互に言い分があるわけであります。しかし、中国と国交を回復するために、中国側から、佐藤内閣はいかぬとか、亜流ではいかぬとか言われたら、そうしなければならないようなムードができておるということであります。しかし、おまえはよいが、おまえはだめだと言われて、はい、そうですかと黙って引き下がることはない。国家としての権威、誇りというものを失墜してよいというものではないと考えます。自分の国の権威と誇りを考えない者が他の国の名誉としあわせを真に願えるかどうかということは、中国の人はよくわかっておるはずであります。総理大臣はどのようにお考えになりますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいま言われることは私は当然だと思いますが、先ほど来の御意見を交えての外務大臣に対するお尋ねのうちに、やや私は所見を異にするものがありますから、その辺をつけ加えて説明をいたしたいと思います。  問題の起こりは、サンフランシスコ条約、同時にそれに続いて行なわれた日華平和条約、これが問題だったと思います。サンフランシスコ条約の際に中国の代表がその席にいたなら、これは問題がなかったと思います。大東亜戦争は、起こりは日中の戦争でありながら、中国の代表者をサンフランシスコに迎えることができなかった、ここに両国の不幸があったように思います。その際はもうすでに現在の中華人民共和国はできておりますし、また、国民政府は台湾にあったはずであります。そうしてその際に、サンフランシスコにいずれの国をも招請することができなかった——いずれの「国」は間違いですが、いずれの政府、政権をも中国の代表として迎えることができなかった。そこに連合国側の意見も一致しなかったのであります。したがって、サンフランシスコ条約は中国抜きで締結された。ソ連はその席にいたけれども条約には調印をしなかった。こういういきさつがあります。  私どもは、大東亜戦争は日中の戦争がその起こりだと思いますので、講和条約はぜひ締結したい。そこで、サンフランシスコ条約に引き続いて中華民国と日華平和条約を結んだのであります。日華平和条約と言わないで日台条約というようなことを言われますが、当時は日台条約ではございません。これは日華平和条約であります。もちろん、その際も、中華民国が全中国を支配していないことについては全権は十分注意をいたしまして、その中華民国の施政の及ぶ範囲にとどめた。しかし、両国間の戦争はこれで解決した、やんだ、こういうことを日華平和条約ではうたっておるわけであります。  これが私どもが選んだ道であり、当時の国連また、代表として台湾にある蒋政権を国連に招請している。昨年まで中華民国が国連で安保の常任理事国であったことも、これもすでに御承知のとおりであります。  しかし、昨年はこの状態に大変化を来たした。そうして、国民政府は追放され、中華人民共和国はあらためて国連の議席を持つことになり、また、これが安保の常任理事国になったわけであります。したがって、われわれが国連中心外交を展開しておる今日、この状態のもとにおいて中華民国との関係を中華人民共和国と取りかえるといいますか、中華人民共和国との間に正常化をはかっていこうというのが今日の考え方であり、そうして同時に、心配がないように、中国は一つだ、こういう原則に立っておるわけであります。中国は一つだということは、毛主席はもちろんのこと、蒋総統も同様に申しておりますから、台湾の帰属の問題も、これは明らかなことであります。私は、こういうような点が十分理解されるならば、話し合いができるはずだ、かように思うのでありまして、私はまた、今日まで日中戦争でずいぶんいろいろな不幸な事件の起きたことも省みながら、一日も早く両国の国交を正常化すべきだ、かように考えておるわけであります。これが過日の本会議の席における私の施政方針演説でもあり、また、きょう、先ほど来から園田君にお答えしておるゆえんでもあります。ここではっきりしておく、かように思っております。

園田直自由民主党

○園田委員 要は、中国問題だけを別個に考えるから混乱や誤解や不信が生ずるものだと考えます。アメリカはベトナムで旗色が悪い。ソビエトはアジアでの存在を主張しておる。イギリスはスエズ以東から引き揚げておる。中国は国際地位が向上しておる。こうした新しい情勢の中で、いかにして日本の安全を守りつつ、世界、特にアジアの緊張を緩和していくかというところに七〇年代日本外交の課題があり、中国問題もまた、米・中・ソ・EC・日本という五極構造の中で総合的に処理していかなければならないと考えるわけであります。  そこで、ソビエト問題について簡単にお伺いをいたしますが、総理のソビエト訪問を私は主張してきたものであります。ソビエト訪問の意思、基本的なお考え等もお伺いしたいと思いますが、時間がございません。  ソビエトは、シベリアの資源開発を戦術的に利用しながら、日本をはじめ西側関係国と友好関係を深め、新しい力関係をつくることによって、中国封じ込めもねらうという世界戦略を持っておるといわれておりますが、日本とソ連の仲は、この対立する中ソの中で、この緊張を激化させるべきものであってはならず、対立する中ソの仲を緩和させるという意味で、中国問題も十分考えつつ対ソ外交を進めていくべきと考えるわけでありますが、総理、外務大臣はいかがお考えでありますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 そのとおりであります。外交のむずかしさは、ただいま御指摘になったとおりであります。ある国とよくなったが、他の国とまずくなった、こういうことがあってはならない。いずれの国とも仲よくしていく、いずれの国とも平和繁栄への道をたどる、こういうことでなければならない。そこに外交のむずかしさがあると思っております。

園田直自由民主党

○園田委員 一九七〇年代の日本外交は、多極化する国際情勢の中で、国の安全と国益を守り、いずれの国とも対立関係をつくらず、経済大国の力は持ちながらも軍事大国には絶対ならないという、言うべくして多難な道を選択するわけであります。その意味で、日米関係の難問が山積するでありましょう。いずれにいたしましても、私は、対米追随を基本にしたいままでの戦後外交は幕をおろすべきときであり、新しい意味で、日米協調のもとに外交を進めていくべきであると考えるわけであります。  次に、防衛問題について、国民が不審に思う点をお聞きしたいと思います。  八千三十億円にのぼる防衛予算決定のいきさつを見ますと、国民はどうしても納得がいかないようであります。昨年四月末に、五兆八千億円の四次防の防衛庁原案が、国防会議にもかけられず、一方的に発表されました。その後、ニクソン・ショックで、多少多過ぎるとか、一年延期せよという批判が出たため、防衛庁は、自主的に五千億円ほど削った案を出して予算折衝に臨みましたが、その際、防衛庁は、あくまで四次防の初年度分として要求し、ほとんど満額認められております。ところが、政府は、その後、実はこれは四次防予算ではない、損耗分を補うだけだと説明しております。しかし、その口うらで、四次防が正式決定したときには、これはその初年度分になると言うております。同じ中身の予算が、四次防の決定以前は四次防ではなく、決定すれば、その初年度分だと言う。これでは、野党の諸君でなくとも不審に思うのは当然であります。  そこで、最初に伺いますが、昨年十二月十日に、防衛、大蔵両大臣及び官房長官の三閣僚会談を開いて、四次防は延期しない、四十七年度を初年度とするということをきめたそうでありますが、この三閣僚会議はどういう資格で開かれたのか、また、この会議と国防会議はどういう関係にあるのか、会議に列席された方から、どなたからでもお伺いしたいと存じます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 その問題は、いろいろそのいきさつも聞きたいだろうと思いますが、その問題だけでも保留願って、あしたの朝、野党のお尋ねにお答えすることにいたしておりますから、その上で、ただいまのように、さらに突き進んだお話を聞いていただきたいと思います。

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 園田君に委員長から申し上げます。  この問題は、先ほど、午前の質疑中、明日の委員会で政府の統一見解を述べるということにお約束してありますから、混乱を避けるために、そこでとどめておいてもらいたいと思います。

園田直自由民主党

○園田委員 防衛の問題は、北山君は、社会主義、資本主義、共産主義の競争のじゃまになるから自衛隊はだめだ、こうおっしゃいますが、資本主義、共産主義、社会主義の競争はこの議会でやるべきでありまして、自衛隊というのはあくまで、防衛庁長官、国の秩序を乱すもの、混乱をさせるもの、直接間接の攻撃に対して備えるべきものであります。  そこで、そういう意味から、自衛隊の健全な成長と、そしてたよりになる自衛隊を望んでおる国民の側から、私は意見だけを簡単に申し上げますが、さらに政府は、一月二十八日及び昨日、関係閣僚会議を開いて段取りを相談したそうでありますが、防衛庁設置法六十二条によれば、国防に関する重要事項を審議するために国防会議を置くことになっております。四次防は国防に関する重要事項であります。したがって、国民は、健全なる自衛隊の成長を願うと同時に、歯どめなく無制限に伸びていく自衛隊というものに、非常にまた一方には不安を持つわけであります。そこで、重要な問題であればあるほど、手順をちゃんと踏んで、そして、国民が納得いくように——野党の追及がかわせないからこうやる。それじゃ、野党の追及がかわせたらそのままほうっておかれるのか。そういうことは国民が納得できません。どうか、そういう点をよく注意をされ——また、大蔵大臣も、予算編成のときに、大蔵省当局は、社会福祉予算の話をするとすぐ歯どめ論を出すが、この防衛庁の予算に対しては、歯どめはどこに置かれているのか。どういう議論をされたのか。こういうことを質問はいたしませんけれども、やはり国民の税金を握っている大蔵大臣は、大事なところでありますから、野党の追及があるとかないとかいうことは別にして、ひとつ、慎重にこの問題を解決をして、そして防衛庁長官は——とかく国民は自衛隊に期待をいたしております。ところが、どうやらいろいろ野党の意見を聞いてみると、何かアメリカの要請によって自衛隊が伸びておるのかとか、あるいは、中には、アメリカがドル・ショックで困っておるから何か買ってやらなければならぬのかというような、ほんとうに日本の国を守る自衛隊かということを心配しておるわけでありますから、幸い、権威ある江崎防衛庁長官は、この国民の期待に沿って、自衛隊の健全な力を充実されるよう心からお願いするものであります。  そこで、大蔵大臣にお願いをいたします。大蔵大臣は、この予算で景気回復はいつごろからできるとお思いでありますか。また、物価の上昇は押えられると本気でお考えになっておりますか。野党の諸君はインフレ大型予算だと言いますけれども、二一・八%に達する一般会計予算の伸び率は、昭和三十六年、三十七年の二四%をこえる伸び率に比べると、まだまだ、さほど驚くべき大型予算ではないのであって、むしろ、私は、この予算は、今後の国内の経済状態を見詰めつつ、場合によってはさらに大型補正予算あるいは福祉予算の追加、あるいは公債等を発行する必要があるのではないかと考えますが、大蔵大臣の御答弁を願います。

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 大蔵大臣に申し上げます。  先ほど、答弁を要らないと言われましたけれども、問題が重要でありますから、あわせて御答弁を願っておきます。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 先にさっきのほうを一応答弁します。(「よけいなことはいいよ」と呼ぶ者あり)いやいや、これは答弁要らないと言って、言いっぱなしのことをされたのですが、それは、防衛庁の要求どおりの予算を全部査定したというようなことを言いっぱなされたのだが、そうではございません。これは、新しい構想に基づく装備の増強というものは、四次防の計画はできておりませんので、予算査定においてはこれは認めませんでした。したがって、正面、装備の点におきましては、今回は大幅な査定減になっておるというようなことでございまして、少しく予算についての認識が違うようでございますので、ひとつお答えいたしておきます。  その次は、いまの今回の予算によって当面の不況が克服できるかということでございますが、私どもは、過去における不況のあり方と、それに対する対処のしかたと、それから、現在見られておるドル・ショック以来のこの不況の深さと、いろいろなものを一応考えました結果、今回程度の措置によって、また同時に、すでに実施いたしました前年度の補正予算そのほかの金融措置によって、大体上半期においてこの不況は克服できる、これ以上の落ち込みを防いで、下半期からは好況への路線に回復できるというふうにいまのところは信じております。

園田直自由民主党

○園田委員 物価の問題でも、時間がございませんから省略をいたしますけれども、相次ぐ公共料金値上げが、あたかも物価の上昇を政府がしかけておるような印象を与えておりますが、そうではなくて、まず、政府は、権限のある公共料金の値上げに歯どめをして、その歯どめをしている間に他の対策を講ずる、ところが、それをやったが、間に合わなくて、やむを得ず物価が上昇するという説明をされてしかるべきだと存じます。いま、国民は、口をそろえて物価を下げろと言いますけれども、一面には公共料金の値上げ、一面には給料の値上げ、春闘、野党と政府の板ばさみにあって、物価上昇におびえておるというのが国民の実態であります。質問はいたしませんが、どうか政府は——今度の予算で、初めて物価対策が動き始めたという感じがいたします。農林省にいたしましても、いままでは生産者の側に立って物価をきめようとしておったのが、今度の予算で、初めて、消費者の側に立って物価を調整しよう、こうきたわけでありまして、正直に言って、困難ではあるが、ようやく物価問題が動き始めた、こういうところでありますから、経済企画庁長官を中心にして、ぜひひとつ物価の問題を解決をしていただきたい。  次に、福祉についてお尋ねをいたします。  さて、四十七年度予算は、その一四・三%を社会福祉関係費が占めており、従来からすれば、福祉重視の予算として高く評価ができます。特に、七十歳以上の老人医療の無料化は、おそきに失したとはいえ画期的なことであり、発想の転換の具体的なあらわれとして高く評価いたします。また、年金がようやく年金らしい年金として踏み出したことも評価に値します。しかし、福祉年金は、年金制度に加入していなかった者を対象とする経過的な年金であり、何といっても、年金問題の支柱は、厚生年金や国民年金などに加入して保険料を納めている者のための年金であります。この際、年金制度全体にわたる改正の方向、今後の福祉年金の改善の目標にも触れて、厚生大臣の所信を簡単にお伺いいたします。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 昨今のわが国の年齢構造の変化等を考えまして、これからの問題は、いまおっしゃいますように、やはり年金の問題であろうと思います。今年は、老人医療の無料化、あるいは福祉年金の相当思い切った上げ幅でございますが、しかし、この次には、年金問題を、今日の時代に合うように、今日の高齢者の人たちの生活にマッチするような年金にぜひする必要があろうと考えておるわけであります。したがいまして、来年度は、年金問題と十分取り組んでまいりたい。また、与党のお考えもそこにあるやに考えまするので、そういう姿勢で来年年金問題と取り組んでまいりたい。また、福祉年金は、月三千三百円になりましたが、私らの目ざすところは、来年度はこれを五千円にいたしたい、そういう考えで臨みたいと思っております。

園田直自由民主党

○園田委員 年金財政のあり方についても質問をいたしたいと存じますが、時間がありませんから省略をいたします。  この際、大蔵大臣にばかりたてつくようでありますが、お伺いをいたしたいと存じます。  いまの問題と関連をして、年金制度の保険料積み立て金は、国の財政投融資の原資としてきわめて大きな比重を占めております。四千五百万人をこえる年金加入者が、自分たちの納めた保険料の行くえとして見守っている財政投融資のあり方が、依然として経済優先、生産第一主義で使われるとすれば、福祉優先の姿勢もかけ声だけで終わるおそれがあるわけであります。そこで、来年度は、年金の保険料積み立て金が福祉優先の線に沿ってどのように計画されておるのか、大蔵大臣からひとつお伺いしたいと存じます。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 四十七年度の財投計画における年金資金等の総額は一兆四千八百九十四億円でございまして、財投原資の五兆六千三百五十億円の二六・四%を占める大きい量でございますが、これの使途は、この国会に提出いたしてございますが、使途別分類表でごらんになればおわかりになりますとおり、この年金資金は、ことごとく、住宅、生活環境整備、厚生福祉施設、文教施設、中小企業、農林漁業、それからさらに道路、地域開発、運輸通信、ここに全部配分されておりまして、基幹産業、そのほか、貿易・経済協力という方面にもこれはほとんど一円も配分されていないということでございますので、ほとんどこれは全部国民生活の安定向上に直接役立つ部面に使われておるということが言えるだろうと思います。

園田直自由民主党

○園田委員 私が申し上げたのは、国民生活に使ってくださいというのではなくて、社会福祉のほうに役立つように使ってくださいとお願いしたわけであります。ぜひひとつお願いいたします。  この際、保険の問題もありまして、これは、私も、党の責任者として、あるいは国対、副議長として、しばしば野党の諸君からおしかりを受けた問題でありますが、いまこそ勇断をもってこれは改正すべき時期であります。これについて厚生大臣の意見を聞きたいと思いましたが、それぞれ発表されるようでありますから、本日は伺いません。  この際、老人対策上の見地から自治大臣にお願いがあるわけでありますが、地方公務員法の一部改正法律案、いわゆる地方公務員の定年制という法律案がしばしば出されて、審議未了になっておるわけであります。これは全国の市町村長の、自治体の財政の困窮からくる非常な熱望ではありますけれども、一面、老人対策の面から考えますると、人間がある年齢に達したときに、これから先勇気をつけてやらなければならぬときに、政府や政治が助けをやらなければならぬときに、何歳になったからおまえはこれから一人前じゃないと、法律で宣告することほど無情なものはないと考えます。老人対策というのは、年をとって動けない人を飼い殺しにするのではなくて、時勢の変化と人口構造の変化に伴い、戸籍上の年齢はとったが、そういう人々に施設をつくり、医療をつけて、あくまで健康と生命を持続させ、生きがいを感じさせ、長く第一線で働いてもらうということが老人対策の最後の願いであると私は考えます。そういう意味におきまして、全国市町村長の熱望もあるでありましょうけれども、どうかひとつ、人間を法律の力で、もうおまえは予備役だと片づけるような法律案は、よく御相談の上御検討を願いたいと存じます。

渡海元三郎自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○渡海国務大臣 老人対策問題としての御意見は十分拝聴いたしました。しかし、定年制の問題は、地方公共団体が業務の効率的な運用を推進していくということのために、活発な新陳代謝を行なわなければならないというところで、これが地方公共団体におきましては、国と違って非常に規模が小さいものでございますから、人事運営のあり方が直ちに行政効率にも響いてまいりますので、このような点を考慮し、この問題を取り上げたような次第でございます。現在、勧奨退職を行なわれておるところも多分にございますが、しょせん勧奨退職には限度がある。また、この制度による分におきましても、あるいは職員間に不平等感を植えつけるというふうな姿もございまして、かえって活発なる公務員の活動を怠っておるという結果にもなっておるのじゃなかろうか、かように考えておるような次第でございます。しかしながら、現在、地方公共団体では、そういった面におきまして、いまだ人員の新陳代謝におきまして不活発な点もあって、支障を来たし、地方公共団体の要望も強いものでありますが、国会の審議と諸般の点を考えまして十分検討を加えますが、これらの定年制が行なわれる場合は、前のときにもそうでございましたが、いま言われました御意見を十分しんしゃくの上、定年者に対する再雇用の道を開く等、積極的に御意見をいれまして、制定できるような制度で運営を行なっていきたい、かように考えております。

園田直自由民主党

○園田委員 なかなかむずかしい答弁でありましたけれども、渡海自治大臣の人柄に信頼をして、私は質問はこれで終わります。  先ごろ、私は、二つの対照的なニュースを新聞で見たわけであります。一方は、群馬県で、脳性小児麻痺の子供をかかえたおかあさんが、思い余って湖に入って死なれた。一方は、脳性小児麻痺の三十歳になる女性が、血のにじむような努力の末、かな文字のタイプライターで文章をつづって、「宛名の無い手紙」という本を出したという、対照的な事実であります。対照的でもありますが、共通していえることは、からだの不自由な人、難病に苦しむ人、あるいはスモン、筋ジストロフィーなど、病気の原因、治療の方法さえわからない人々、そうした人の親、きょうだいが、いかに周囲の励ましと血の通った政治を渇望しておるかということであります。今回の予算は、福祉的な面で、画期的なものを数多く盛り込んであり、一つの芽ばえとして高く評価したいと思いますが、と同時に、国民が叫んでからこうした政策が打ち出されるまで何年もかかったということ、ドル・ショックが必要だったということは、それだけ国民に、政治とは冷たいもの、スローなもの、たよりにならぬものという印象を与えてきたに違いありません。どうか、景気、不景気に関係なく、ということは、政府の予算の効果があって、景気が上がってきた場合に、今度は抑制中型予算になる時期があるでありましょうが、そのときに、いままた芽を出した福祉予算をまっ先に押え込まないように、景気、不景気に関係なく、国民の福祉を守って、たよりがいのある政治をやるのだという決意を総理大臣からぜひ一言お願いいたします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 福祉にせっかく乗り出したのでございますから、それを後退さすようなことはございません。ただ、ひとつ御理解を願っておきたいのは、景気浮揚のためにいろいろ減税をする、こういう事柄が、これは当然のことのように行なわれております。したがって、今度、場合によると増税もして景気を軌道に直す、そういうことも必要ではないだろうか、かように思いますから——増税ということについては、たいへん国会ではむずかしい事柄で、だれも賛成する方はありませんけれども、いまの福祉予算に、そのほうに手はかけませんが、税の持つ景気対策、こういう事柄を十分生かして必要なる諸策をとる、こういうことで進みたいと思っております。

園田直自由民主党

○園田委員 あとしばらくで終わりますので、しばらくお許しを願いたいと存じます。  この際、都市政策と農業問題に触れたいと存じます。  都市政策と農村政策は一体不可分のものであると考えます。東京の地下鉄建設費は一キロメートル当たり七十五億円といわれております。こうした地下鉄のみならず、膨大な財政投資によって、過密化が解消したかといえば、現実は逆であって、結局は過密化が促進されるという悪循環を繰り返し、片や農村は、過疎という名において疲弊しておるわけであります。今日の都市の過密化という事実と、農村が常に国家繁栄の爆発的エネルギーの根源だったという事実を考え、この際、都市政策の一環としても、農村を守るべきものと考えます。そこで、思い切って、大都市の機能強化という過密のイタチごっこをやめて、地方への都市の分散——大都市への投資を抑制し、その膨大な財政投資を地方分散に転換すべきだと考えます。また、その意味で、ただいまありまする国土総合開発計画は、発想としても時代おくれであって、新しい計画のもとに国土の総合的な能力を開発すべきだと考えますが、企画庁長官から一言だけお伺いをいたします。

木村俊夫自由民主党経済企画庁長官

○木村国務大臣 いま、新全総のことについてお尋ねがございましたが、実は、その新全総そのものの基本的方針は、私は、決して古くはなってはおらぬと思います。その中で、もちろん環境問題、自然保護、いま御指摘になりましたような産業の地方配置、そういうものを取り上げております。ただ、何せ昭和四十四年に策定されたばかりで、その実施面でおくれをとっております。そういう意味におきまして、今後の方針といたしましては、大企業プロジェクトの地方分散、遠隔地におけるそういう大規模プロジェクトの設置を急ぎますと同時に、さらに最近特にまた問題になっております環境問題、あるいは自然保護の問題について、さらに総点検をする方針でございます。

園田直自由民主党

○園田委員 農業は、保護農業から自立農業へ転換すべきであり、農村の農業者自体もそのように考えております。いままでの農業の惰性で、弱いところ、困るところを助けてくれるという農業よりも、むしろ新しい目標に向かって、自分の力で、自由化があっても戦いができるのだ、自立産業として農業がやっていけるのだという農業の体力づくりが必要であると考えます。そこで、その農業の体力づくりに、農民の力をもってやらせようというのは無理でありまして、学者の調査によると、土地改良、かんがい排水、基盤の整備あるいは魚の養殖、こういうものを十年間で十五兆円をかけて近代化をすれば、この上で農民や漁民の努力によって一人前の自立産業として戦いができる、こういっておりますが、どうか農林大臣は、御答弁は要りませんが、こういう観点から、自分で働けば自分で産業としてやっていける、自由化があってもやっていけるという農業に切りかえていただくように、それまでは政府の力で自立農業への体力づくりをやっていただきたいと存じます。  以上、長時間にわたって、国民の立場から不審に思うことを率直にお尋ねしてまいりましたが、明年度予算は、円の切り上げを契機にしたとはいえ、福祉国家の建設に向かって力強く第一歩を踏み出したものであり、この英断に対し深く敬意を表します。また、国民も多くがそう評価しておると存じます。と同時に、生産第一主義から豊かな人間中心主義、福祉優先主義に切りかえたこのかじを、決してもとへ戻すことのないよう、また、その運用にくれぐれも誤りなきよう、十分の配慮をお願いして、私の質問を終わります。  長時間ありがとうございました。(拍手)

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 これにて、園田君の質疑は終了いたしました。  次回は、明五日午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十九分散会

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