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68回国会衆議院1972/04/25

法務委員会 第18号

発言数
71
登壇者
9
会派数
3
開催日
1972/04/25

会議録

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西宮弘君。   〔委員長退席、田中(伊)委員長代理着席〕

西宮弘日本社会党

○西宮委員 私、この前お願いいたしました資料が提出をされましたので、それによって若干質問したいと思うのでありますが、その前に、大臣にお尋ねをいたします。  ちょうどこの前私がここで質問をしているその同じ日でありますが、その日に佐藤総理は、沖繩恩赦を実施するというような意向を伝えたようでありますが、そのいわゆる沖繩恩赦というのはどういう状況にありましょうか。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 実は、この前にも申し上げたかと思いますが、総理から私には何のお話もありませんし、私のほうからも、できるだけ慎重に考えていくべき問題だということで、具体的には検討に入っていないのであります。実は、きょう閣議がありましたからお話があるかと思いましたが、別段のお話もありませんし、あのときには、やることがいいかどうかというようなことを言われたんじゃなかろうかというふうに聞いております。したがって、どういうような恩赦を考えているとか考えていないとかという段階では、まだないと思います。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 いま私がお尋ねをしておりますのは、沖繩県民でアメリカの施政権下で罪に問われた、こういう人に対するいわば救済策、こういうことで行なわれる恩赦のことをお尋ねしているわけですが、五月十五日が目の前に迫って、いま何にも方針が立っておらない、あるいは準備もしておらないということでは、とても五月十五日に間に合わせるということはできないんじゃないかと思うのですが、その点どうですか。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 沖繩の現在の犯罪者につきましてやるかどうかは、これも最終的には決定いたしておりませんけれども、沖繩の従来行なわれておる裁判がどうであるか、いろいろのお話はありましたが、実際に当たってみますと、そんなにめちゃなことをやった実績もありませんけれども、沖繩については、特にいろいろ考えていかなければならぬと思っております。事実向こうの裁判の状況なり調査をやっておる段階でありまして、これは何らかのことを考えていかなければならぬ、かように思っております。   〔田中(伊)委員長代理退席、羽田野委員長代   理着席〕

西宮弘日本社会党

○西宮委員 だいぶ本土と法体系も違いまして、本土では起こり得ないような問題があると思うのですね。本土にはなかったいろいろな問題があると思う。たとえば税の問題、あるいは本土と沖繩との間の密出入国の問題、あるいは密輸出輸入の問題、その他いろいろ沖繩特有の問題があったわけでして、したがってそういう問題は、なかなか本土ではその実態がよくわかっておらないし、あるいはまた不当に量刑が重かったというような問題も当然あると思うのですが、そういう問題、いま大臣の御答弁だと、それほど想像したほどひどくはない、こういうお話でありますが、しかし、その大臣が想像したほどでないかどうかは別問題として、とにもかくにも沖繩県民を対象としての恩赦をやる、こういう方針はきまっているわけですね。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 それを検討いたしておる段階であります。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 私は、本土の場合を例にとってみましても、いままで行なわれた恩赦で、たとえば講和恩赦のときなどを見ると、大赦あるいは減刑、復権というようなものが行なわれておる。このうちの復権は、比較的簡単ではないかというふうに常識的に思いますけれども、それ以外の大赦とか一減刑とか、これらはかなり準備をしないと、調査をしないと、なかなか恩赦についての的確な措置というものをとることができないのではないかと思うのですよ。たとえば本土の場合なんか、古くからそういう調査が行なわれたと私は思うのですね、講和恩赦のときなどは。なぜならば、講和恩赦が実施された昭和二十七年の四月二十八日ですね、あの日には、もうすでにその講和恩赦を受ける人のために、手引き書みたいな書物が市販をされているわけですよ。ですから、相当前からそういう準備にかかっておった、あるいは方針がきまっておったということはもう明瞭だと思うのですね。その講和恩赦に該当する人のための便宜をはかって、いろいろその手続、そういう手引き書みたいなものがすでにそのときには発売されておりますから、かなりの時間を費してそういう準備をしたに違いないと思うのです。それに比べて、いま大臣の御答弁のように、まあこれから検討するという程度では、五月の十五日に間に合わないのじゃないかと思うのですが、この点、局長でけっこうですが、いかがですか。事務的なその準備です。

笛吹亨三法務省保護局長

○笛吹政府委員 沖繩で裁判を受けた者で、復帰後、日本の法制から見まして不当といいますか、あるいは不当に近いような人があれば、これを救済していこうということは、これは前の沖繩国会においても大臣などから御答弁があったところでございまして、そういうような方針でおります。  ただ沖繩の、いわゆる日本の法制にない沖繩における刑罰法令といったものだけに該当する人と、それから向こうの沖繩の特殊な法令にも該当して、沖繩の刑法、これは日本の刑法と大体一緒でございますが、そういったものと併合罪の関係にあるような人といろいろございまして、その併合罪の関係にある者につきましては、これはなかなかむずかしい問題がございます。したがいまして、これはもっとその内容を十分検討していかねばならないということで検討しておりますが、何ぶん沖繩とこっちとの関係がございまして、なかなか十分には進んでおりません。ただ、日本の法令に合わないような、沖繩の特殊な法令だけに該当する者があるかということについては、まだいまちょっとわかりません。そういうような状況であります。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 なかなか調査がむずかしいという点ももちろんありましょうが、それでは大臣、やろうとすればやはり五月の十五日にやるのでしょう。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 やるとすればもちろん五月十五日であります。やるとすればそれに間に合うようにやるというふうに私は考えております。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 やるとすれば五月十五日だというのだと、なかなかいまのような程度だと、たとえば減刑一つをとってもずいぶん容易じゃないんじゃないかという気が私はするわけです。しかし、それに間に合わせるベくやっているのなら、あえてよけいなことを私は言う必要はないと思うのですが、やるのかやらぬのかわからぬと言いながら、しかもやる場合は五月十五日だということが、何となく矛盾を感ずるわけです。  ついでに伺いますが、新聞等でちょっと見たのでありますが、アメリカの高等弁務官が最後に恩赦のような措置をとって、従来の受刑者を一掃とまでいかないのかもしれぬが、とにかく大幅にそういう恩赦みたいなものをやるだろうというような説も伝わっておりますが、その点は、何か情報がありますか。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 別に公式には何ら聞いておりませんが、そういうようなうわさもいろいろありますので、その点は遺漏のないようにしていきたい、かように考えております。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 戦後二十数年間、いわば不当な支配をしながら県民を弾圧したりいそういうことをアメリカ側としてはやってきたわけですが、最後に、いわば罪ほろぼしというようなつもりで、あるいはまた一種のごきげんとりかもしれません、そういうことでやろうとしておるのだろうと思いますが、私は何となく、高等弁務官がそういう措置をとるということは、われわれの気持ちとしてぴんとこないような気がします。これで終わりなんだ、あとはわれわれの責任じゃないんだ、あとはかってにしろというようなことで、最後にそういう措置をとるということは、いわばきわめて無責任な御都合主義というような感じがします。むしろそれよりは、やはり本土の政府が慎重に調査をして、それに基づいて妥当な、適正な恩赦をするというほうが合理的だというふうに私は思うのですが、しかし、これはアメリカのことですから、やるかやらぬかわからぬし、またそれに対してやれともやるなとも言われぬだろうから、これ以上議論してもしかたがないと思います。ただ願わくば、もし彼らがそういうことをやるならば、あと本土政府の恩赦の実施によってアンバランス等の起こらないように、不合理な面が出ないように、そういった点については十分配慮をしていただきたいと思います。  その次の質問でありますが、今度は、以下お尋ねをすることは、いわゆる沖繩県民に対する恩赦の問題ではなしに、本土の問題であります。つまり、いわばこの沖繩恩赦に便乗して、本土でも恩赦をするのではないかということが伝えられているわけであります。これまたお尋ねをすると、まだ何にもきまっておらぬという答弁をされるだろうと思いますので、同じことをお尋ねはしません。  ただ、お尋ねをしておきたいのは、この前これは答弁をいただいておりますから、いわば重ねてのだめ押しみたいな形になりますけれども、やる場合には、あくまでも刑事政策の目的に沿って、そのために恩赦を実施するんだ、こういう点を、大臣から私はもう一ぺん答弁をいただいておきたいと思います。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 先般も申しましたように、できるだけ刑事政策的にやっていきたいというのが、私の恩赦全般に関して持っておる考え方でありまして、その点はまだ何ら変わっておりません。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 局長でもいいと思うけれども、刑事政策を目的にしてやる恩赦ならば、個別恩赦が正しいのではないのですか。つまり刑を科するということは、これはもちろん個別に行なわれるわけですね。したがって、それに対して刑事政策的にその科された刑をモディファイしていくというような問題は、当然これは個別に行なわるべきであって、したがって、刑事政策を目的とする恩赦は当然に個別恩赦になる、こういうことが筋だと思うのですが、どうですか。

笛吹亨三法務省保護局長

○笛吹政府委員 恩赦の刑事政策的な機能を突き詰めていきますと、そういったことになるのではないかと思いますが、もっと広くこれを考えてみますと一般的恩赦といったものも、一般犯罪を犯した相当広い範囲の者一般につきまして、やはり将来に向かって更生をさせていくために恩赦の恩典を与えることも、刑事政策的な意義があろうと思います。  恩赦制度審議会が、これは先般も申し上げましたが、昭和二十三年の十一月に最終の意見書を出しておりますが、恩赦制度審議会の最終意見書におきましても、この一般的恩赦というものの意義はやはり評価しておるわけでありますので、そういった意味におきまして、私は、個別恩赦の刑事政策的な意義というものももちろんございますけれども、すなわち一方におきましては一般的恩赦といったものも、やはりそういった刑事政策的な意義、また合理的な意義もあるのではなかろうかと考えております。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 特に局長は、この前の私の質問に対して、従来行なわれた恩赦がきわめて刑事政策的だったということを何回も答弁されたのですが、いま局長の言われたことを、何も全部否定するわけではありませんが、刑を科することが個別的であると同じように、その科された刑に修正を加えるという点も個別的であるべきだ、これはそもそも基本原則だと思うのです。この前も私、申し上げましたが、たとえば社会、政治、経済、そういう面での非常に大きな変化があったという場合には、それに対応して、その当時科された刑について修正を加えるということがあっていいと思う。その限りにおきましては、これはやはり刑事政策の一つのあらわれだと思うのです。私は、だからその点は、終戦後行なわれた恩赦をずっと見てみると、そういう点では局長が強調されるように、刑事政策の面を多分に持っているという点は十分承認できると思います。  たとえば終戦後三回の恩赦、昭和二十年の十月の第一回の恩赦から数えて三つ目くらいまでは、特に戦争終結に伴って、戦時法規で罪に問われた人、こういう人を救済するということを目的にしてきた、あるいはまた経済統制事犯というような人たちを救ってきた、これらは明らかに、その基本になった社会的な条件が大きく変化をしたわけですから、それはそれでよろしいと思うのです。私は一番問題なのは、その次の国連加盟恩赦だと思うのですよ。それから続いてまた行なわれたつまり御成婚と明治百年、これには刑事政策的な面が、さっきと同じような意味で入っている。しかし、国連加盟恩赦だけは何としても私には了解できないわけですね。これは六万九千六百二十七名が恩赦を受けている。そのうち六万九千五百二十五名が公職選挙法違反者なんですね。六万九千六百二十七名の中が六万九千五百二十五名が公職選挙法の違反者で、九九・八六%というのですね。  さらに、そればかりではありません。たとえば地方自治法の七十四条の四であるとか、あるいは政治資金規正法の違反であるとか、こういうのがあって、それらをひっくるめるとほとんど全部選挙関係者ですよ。とりわけ政治資金規正法の違反のごときは、この前も申し上げたように、これは明らかに佐藤榮作さんを救済するために初めてやったわけですね。従来取り上げていなかった政治資金規正法というのを初めて取り上げて佐藤榮作さんを救った、こういうことでありまして、あまりにも露骨な政策的あるいは政略的な恩赦であったということが、これは断定できると思うのです。その点について弁明の余地がない。したがって、裁判所も検察庁も猛烈な反対をしたことは、先日若干私が読み上げたとおりであります。特に、検察庁などは非常な勢いで反対をした。裁判所も同様であります。一部この前も申し上げたので、きょうはそれ以上のことを申し上げませんけれども、あの当時の新聞の記事などを見ると、そういう記事が幾らでもあとからあとから出てくるということで、法務当局はとにかく猛然たる反対をしたというのは当然だと思うのですね。つまり、ここでは刑事政策という面は完全にゼロだったと言ってよろしいと思うのであります。  その次の皇太子御成婚の恩赦、これは、その前の国連加盟恩赦がそういう選挙違反オンリーであったということでごうごうたる非難を受けましたために、いわばそれをカムフラージュするためだったと思いますが、食管法の違反あるいは物価統制令の違反というようなものを加えました。特に食管法の違反は、三万三千八十三人というのがこの法律で救われておりますから、実は一番数が多いわけであります。それがために、選挙違反はパーセンテージからいくとずっと少なくなったということですね。これは明らかに、選挙違反をぼかすためにこういうものを加えたんだというふうに見てよろしいと思う。  しかし、そうは言うものの、私は、この食管法とか地代家賃統制令の違反なんというのは、昭和三十四年という時点は、まだ社会的に食管法あるいは地代家賃の統制というのがそうゆるんではいないと思いますね。ゆるんではいないと思いますが、それでもまあいわば戦時統制、戦後の統制のなごりをかなり持っている法律ですから、これを恩赦の対象にしたということは、私は必ずしも間違いではないと思います。そこにも刑事政策の面は生きておったと思います。  一ぺんに言ってしまいますけれども、明治百年恩赦、これは食管法、物価統制令、地代家賃統制令、それから道交法、同じように自動車の保管場所の確保等に関する法律というのをあげました。これも私は、局長言うところの刑事政策がここでも生かされていると言ってもよろしいと思いますよ。ことに百年恩赦は昭和四十三年ですから、食管法とか物価統制令、地代家賃統制令というようなものは、もうだいぶ存在の意義が薄くなってきました。したがって、かつてそういう法律に問われた人を救っていこうというのは意味があると思います。それから道交法あるいは自動車の保管場所の確保等に関する法律の違反者、これが一番多いのですよ。六万八千七百十一人というたいへんな数であります。したがって、これが入ったおかげで選挙のほうのシェアがずっと小さくなったということになりますけれども、これは駐車違反などを処罰する法律ですから、現在ではこれらは、いずれも刑罰ではなしに反則金に変わってしまったと思います。元来、そういうスピード違反とか駐車違反とかというものは、反則金みたいなもので処置をするというのが、いわば本来の性格に合致をするのでしょうから、その意味において、この該当者を恩赦によって救済したということは、私はやはり意味があると思いますね。  そこで、何としてもその説明がつかないのは選挙違反ですよ。これはどう考えてみても、私には刑事政策というような観点からはとうてい考えられない。局長、いかがですか。

笛吹亨三法務省保護局長

○笛吹政府委員 当時のことは私、直接タッチしておりませんので、あとから拝見してのことを申し上げることになるので、当を得ているか得ていないかちょっとわかりませんが、当を得ていなければ、ひとつお許しを願いたいと思うのでございます。  昭和三十一年十二月の国連加盟恩赦、これは大赦が行なわれたのでございますが、ただいま御指摘のように、六万九千六百二十七の政令恩赦の該当者の中で、ほとんどが公職選挙法違反を中心としたものであるということで、これはそのとおりでございますが、私この恩赦がなぜ行なわれたのであろうかということを考えてみますと、日本が第二次大戦で負けまして、その後連合国軍の占領のもとにあって、ようやく二十七年に講和条約が結ばれて独立国として立ったわけでございますけれども、国際的には、まだやはり国際社会の中に十分復帰しておりません。いわば国際的な孤児のような形でおったものが、昭和三十一年に国際連合に加盟できまして国際社会に復帰したという、これは日本にとって政治的、外交的に非常に記念すべきときであったのであろうと思います。  したがいまして、そういったことを記念するという意味で恩赦が行なわれたのではないかと思うのでございますが、そういった意味もございまして、政治的な色彩の濃い記念恩赦を行なうということから、公職選挙法を中心とした恩赦が行なわれたのではないかと考えておるのであります。そういった意味で、そういう政治的な犯罪を犯した人たちを、この際人心を一新しまして、新しく立ち直らして新出発させるという意味において行なわれました恩赦として、これまたやはりそういった意味における刑事政策的な意味があったのではなかろうか、このように考えております。  それから、次の昭和三十四年の皇太子御成婚の恩赦でございますが、これは復権令だけが行なわれまして、その際に、ただいまおっしゃいましたように公職選挙法を中心とした政治的な犯罪と、あと食管法とか物統令とかいいます経済関係法令違反といった者を含めた復権令が出されたわけでございます。この皇太子の御成婚というのは、やはり日本といたしましては国をあげてお喜び申し上げるといったような行事でございますので、そういったときに、国民に広く喜びを分かつという意味において恩赦が行なわれたのではないかと思うのでございますが、そういった日本が戦後非常な苦難をなめてきてここまで発展してきたという意味もあって、選挙関係を中心とした政治的な犯罪を犯された方々、あるいはまた経済統制でいろいろ戦中、戦後にわたって処罰されてきたような人がございますが、そういった人たちも、経済的に立ち直った日本の今日においては、そういった面で権利を回復さす必要があるのではないかということから出されたのではないかと考えておるのであります。  さらに、昭和四十三年の明治百年記念の恩赦でございますが、これは復権令が出されまして、ただいまおっしゃいましたように公職選挙法関係の政治関係の犯罪、それから物価統制令、食管法その他の経済関係法令、さらに道路交通法と自動車の保管場所の確保等に関する法律、こういった道路交通関係の犯罪といった者を対象にして復権令が出されたわけでございます。明治百年というのは、日本が徳川時代までの封建的な社会から明治の時代になって、新しい民主的な社会に一歩を踏み出した、そして明治になってから日本が国際的に発展していって今日の隆盛を見たということから、非常に記念すべきときである。これを記念して国民とともに喜ぶとともに、さらに将来に対して国家の発展を記念するという意味における明治百年記念の恩赦が行なわれたのも、また一つの意味があるのではないかと思うものであります。日本がこんなに立ち直ったというようなことは、その政治に当たられた方々の非常な功績もあるのではなかろうかと思っておりますが、そういった意味における政治的な犯罪に対する恩赦、これは復権でございますが、そういった意味において権利を回復さすということも意味があるのではないかと思っております。  さらにまた、経済統制関係の違反につきましては、そのようにもうすでにその当時、経済的にほとんど立ち直ってこんな隆盛を見ておる時代でございますから、そういった意味における犯罪を犯した人の権利を回復させたり、さらにまた道路交通につきましては、道路交通法違反というのはこれまでに非常に数が多かったわけでございます。該当者は、ちょっとお手元に差し上げております数字は、一応こちらでチェックできましたものだけが載っておるのですが、実際はこれは一千万以上ございます。何人かちょっと把握できないくらい多かったわけでございますが、それほど道路交通法違反者というものが、みな罰金を払ったりあるいはまたその他の刑罰に処せられて前科になっておったのでございますが、いわゆる交通反則金制度ができましたのと置きかえに、やはりこの際それらの人たちは権利を回復さすのが相当であろうといったような配慮から、この復権令の中に入れられたものと考えるのであります。  私は、そういう意味において、これらの恩赦はそれぞれ意味がございまして、合理性も盛った、やはり刑事政策的な意味も盛り込んだ恩赦ではなかったのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 過去に行なわれた数回の恩赦、それがそれぞれその時点において意義を持っておった、十分な理由があった、これは私は否定していないんだから、そんなことをお尋ねしていないんだから別に説明も要らないし、大体経済統制とか、あるいは戦時法規とか、あるいは道交法の問題とか、こういうのは私が申し上げたことと全く同じことを局長も言われたわけだから、別にその点は局長からるる伺う必要はない。私は、どう考えても納得できないのは選挙違反だということを申し上げておるんで、それに対して局長は、事務当局としていわばやむを得ない立場上の答弁だと思いますけれども、たとえば、さっき申し上げた国連復帰の恩赦ですね、あのときなどは、さっき申し上げたように、裁判所も検察庁もあるいは法務省も猛然と反対をした。司法の独立を侵すと言って反対をしたわけです。  それで時の法務大臣、牧野大臣は長い談話を述べておられますけれども、そのうちでたとえば、「選挙違反事件の赦免を中心とする大赦について「あまりにも政治的すぎる」という非難はあるが、そういう非難をする人は素直でない。」「これまで反対の立場をとってきた法務事務当局にも政府の方針として選挙違反の大赦を指示したのである。」こういうようなことで事務当局を説得をして、いわば無理にやらした、これが実態なんです。おそらく事務当局の立場からいったら、こういう選挙違反オンリー——オンリーでないと言うならば、佐藤榮作さんを救うために、政治資金規正法を初めて入れたというだけがオンリーのほかですな。あとは全部選挙違反オンリーではないですか。こういうのがこのときの恩赦であったので、したがって、それに対して法務省当局が猛然たる反対をしたというのは当然だと思う。あるいは新聞等は、「前例のないお手盛り恩赦」こういう見出しで非難をしております。全新聞がそれに類した表現で非難をしておりますけれども、そういう非難が出るのはあたりまえです。  私は、それは過去のことで、局長がその当時おったわけでもありませんから、別に局長の責任を追及しませんけれども、大臣、いかがでしょう。こういうふうに社会情勢の変化に伴って、それに対応するいろいろな措置をとってきたということは、私は恩赦をやるとすればこれは当然だと思うのですよ。その中でこの選挙違反の問題だけは、何としてもそういう刑事政策の面からははみ出していると私は考えるのですが、大臣の所見はいかがですか。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 私、いろいろ御意見を慎重にお聞きして公平な判断をしたいと思っております。いろいろの御意見、それぞれみなもっともな根拠のあることであります。それらにつきましては、私も十分検討いたしまして、一番正しい結論を出していきたい、かように考えております。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 いままでの例を見ると、たとえば日本の例ですが、昭和十六年の十二月に戦争が始まった。そうすると十七年の二月には復権令を出して、応召して戦地に行った、そういう軍人には復権をしております。これは明らかに社会情勢の変化、前提条件の大きな変化、それが基礎である。あるいはまた外国の例でありますが、前のドゴールに反対をいたしまして五月革命というもの行なわれた。これに参加をした人たちがそれぞれ処罰を受けましたけれども、ドゴールが退陣をしてポンピドーの内閣になるとこれを全部赦免をした、こういう例などもあります。  こういうふうに、日本でも外国でもそういう条件の変化に伴って、実態に合わせるということは当然あり得ることです。ただ、日本の恩赦は特に戦後その点が著しいわけですよ。ほとんど選挙違反のために恩赦をやっている。これはこの前るる申し上げたので繰り返しませんけれども、そのための恩赦だということがあまりにも露骨なんですね。あまりにもその点が露骨すぎるということは、これは国民の立場でどうしても納得できない。  次は、局長にもう一つお尋ねいたしますが、御成婚恩赦とそれから明治百年の恩赦、これはその前に行なわれた復権に比べるとかなり緩和されているわけですね。その前と申しますのは、復権は講和恩赦であります。その講和恩赦のときは、従来の原則どおりにその復権がされておる。というのは、刑の執行を終わった、あるいはまた刑の執行の免除を受けた日から三年ないし五年たった人が恩赦の恩典にあずかる、こういうことが行なわれたわけですね。ところが、御成婚と明治百年ではそれはやめてしまった。そして御成婚も明治百年も、基準日の前日までに刑の執行を終わりまたは刑の執行の免除を受けた者、それは基準日の前日までに罰金を納めれば該当するということになっている。しかもそれだけではない。まだまだ条件は緩和された。その基準日までに納めていなくても、今後二カ月以内に納める者はそれでもよろしい。それからさらにその範囲を拡大して、現在係争中の者も、三カ月以内に刑が確定して罰金を納めればそれでもよろしい、こういうふうに、原則に対して著しく範囲を拡大したわけですよ。条件をものすごく緩和したわけです。これは一体どういうことなのですか。これによって選挙違反が救われた。これをまず聞きましょう。

笛吹亨三法務省保護局長

○笛吹政府委員 復権令の内容でございますが、これはそれぞれの復権令によって少しずつ変わってまいったようでございます。  それで、ただいまおっしゃいましたように、第二次大戦終局の恩赦、日本国憲法発布の恩赦、それから平和条約発効の恩赦、これまではすべて対象が罰金以上ということで、罰金以上の刑にせられた者で確定した者、こういった者が全部入るという形に対象はなっておって、そして経過期間をそれぞれ三年とか五年とか、罰金は三年以上あるいは禁錮は五年以上というような経過期間を設けておったのでございます。ところが、皇太子御成婚の記念恩赦になりますと、この対象を罰金の中で、公職選挙法とか政治資金規正法、地方自治法、最高裁判所裁判官国民審査法、あるいは経済関係の統制法令の食管法、物統令、地代家賃統制令といったような九つの犯罪に制限しております。そしてまたこの反面、経過期間において、ただいまおっしゃいましたように緩和したといいますか、経過期間を設けないで、しかも、基準日以後三カ月以内に確定して罰金を納めた者も復権の対象にするというようなことに相なっておるわけでございます。そしてまた明治百年のときも、罰金刑で、しかも皇太子御成婚恩赦の対象に、さらにそれに道路交通法と自動車の保管場所の確保等に関する法律を加えた十一の法律に制限いたしました。そして経過期間は設けないで、皇太子御成婚恩赦と同じ三カ月間まで食い込むと申しますか、そういったものを認めたわけでございます。  したがいまして、その対象の面につきましては、皇太子御成婚それから明治百年記念恩赦というのは、それまでの復権令よりも対象の面においては制限されておるわけでございます。ただ、経過期間について、ただいまおっしゃいましたように緩和されておるというような経過をたどっておるのでございますが、これも、なぜこういうことになったのか、私もちょっとこの当時のことはわかりませんが、私、思いますのに、基準というもの、これは復権にいたしましても、恩赦はそのときでないとわかりませんので、基準日といいますか、復権令が公布されたその日でないとわかりません。そうすると、それまでに判決の言い渡しがあり、さらに確定した者ということに、またそれまでに何年間か経過した者というようなしぼり方をするのと、それからさらに皇太子御成婚とか明治百年のように、基準日までに判決の言い渡しがあったが、確定は基準日以後であってもよろしいというように、経過期間なくして食い込みを認めるのとどちらがいいのかということ、これはいろいろまた考え方があるのじゃなかろうかと思いますが、広く恩赦の恩典を認めるといいますか、なるべく公平にといいますか、そういったような観点から考えますと、やはり基準日というもののときにはまだどんな恩赦があるのかわかっておりません。わかった段階で、確定していない人も確定して執行を終えれば、復権の対象にするということも一つの考え方ではなかったんではないか、こういうふうに考えております。

高橋英吉自由民主党

○高橋(英)委員 関連して。選挙違反の恩赦の問題なんかが中心に論ぜられておって、これがこの委員会ばかりでなしに、日本全体として恩赦関係で問題になっていると思いますが、ちょっと法務大臣や保護局長にお伺いしたいと思います。  恩赦関係は原則として、古いことばでございますが国事犯、すなわち政治的な犯罪、これが第一に対象になるべきであり、第二においては、個別恩赦よりも一般恩赦が原則であるというふうに考えるのですが、それはいかがお考えでございましょうか。  国事犯というのは古いことばですが、昔から国事犯は恩赦の対象に常になりますし、これが第一に対象になるべき問題だというふうな社会通念といいますか、国家通念といいますか、そういうものがあるわけなんです。社会情勢や国家情勢の変化によって政治犯とか国事犯とかいうふうなものは影響を受ける、そういうふうなことで、これは第一の対象になる。それからまた恩赦の形式も、特別恩赦というよりも、個別恩赦というよりも、一般恩赦が原則じゃないか。個別恩赦というのは刑事法の成条にもあるわけでございまして、常に特別恩赦、個別恩赦が行なわれなければならない。行なわれる可能性がある者に対しては行なわれる。しかし、この個別恩赦というのは、どうしてもその観点がお役所本位といいますか、行政本位になり、事務本位になるという傾向がある。恩赦の本質である政治的な、国家的な見地からの高度の政治的な判断に基づく結論が出ないおそれがあるわけでございますから、したがって、個別恩赦というのは常に行なわれておるわけでございますから、特にそれを程度を高める程度の恩赦ということになれば、これはほんとうの恩赦のうちに入らない。したがって、原則としては一般恩赦でなければならないというふうに私どもは考える。  選挙違反を恩赦の対象として取り上げることがいけないというふうなことが盛んに言われておるのが、私どもはふしぎでございます。この間もテレビで市川房枝さんと対決したわけですが、議論の上では、市川房枝さんも私の議論に納得されたような形になっておったやに思いますが、私どもは選挙違反こそ一般恩赦の対象になければならないというふうに考えております。  それはなぜかと言いますと、何といいましても選挙違反というのは、御承知のように政治的な関心の深い人、政治的に熱心な人、国家のため地方のために一生懸命やらなければならないという、そういうふうな国事に熱意のある人たちの勇み足であるというのが現状でございます。  選挙違反は、御承知のようにルール違反でして、そのルールはだれがこしらえるかというと、われわれ国会議員が、ことに現役が便利なようにこしらえて、不便なものはこしらえないというので、非常に不完全なものということが言われております。したがって、選挙違反にかかった者はこれは悪いことをしたのではない、不運なんだ、ふしあわせなんだというふうなことになっておる。戸別訪問にしましても、またその運動員に対するそれぞれの手当とか費用、そういうふうなものに対しましても、日本のように制限されておるどころはない。これは日本独特の風土的な関係でこういう法律になったんでございましょうし、さらに、現役の国会議員が戸別訪問というふうなことに対しては、費用もかかる、また重労働に耐えないという、そういうふうな関係からこういう戸別訪問の禁止ができている。鳩山先生のおかあさんと奥さんが、市会議員の選挙のときに始められたのがこれが濫觴になっております。これがいろいろの都合で、現役の国会議員によってこれを制限するような規定になっているけれども、世界じゅうに戸別訪問なんかを禁止されているところはありません。アメリカでもイギリスでもそうで、イギリスなんはもう年がら年じゅう政党が戸別訪問して、おまえはどこの政党を支持するか、まあ政党選挙でございまするから、毎日毎日歩いて戸別訪問して勧誘している。そういうふうなことで、戸別訪問を禁止している国はない。日本でも戸別訪問の禁止を解いたらいいじゃないかというふうな選挙制度審議会の答申もあったのでございますが、それを実施しようとしたところが、費用がたくさんかかるからというようなことです。  大体、政治資金の表面的な制限、それが現在実際の効力があるかないか、こういうふうな問題があるわけですが、これも世界じゅうにそういう費用の制限なんかしているところはほとんどない。そういうふうなことで、制限の限度においても、日本は非常に現役代議士の都合のいいようにこしらえておる。  そういう不完全なルールですから、これはいろいろ勇み足によって破られ、違反されることがある。それを極悪非道の犯罪のように、特に恩赦の対象からはずさなければならないというふうな意見、これはもってのほかだと私は考えております。選挙違反にかかるような人は、先ほど申し上げましたように、地方地方において国家社会のために一生懸命やる人……。

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長代理 高橋委員に申し上げますけれども、申し合わせの時間がありますので、関連質問はなるべく簡潔に願います。

高橋英吉自由民主党

○高橋(英)委員 無制限にやっているんじゃないかな、法務委員会は。

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長代理 きょうは本会議がありますから、あとの時間をしぼってございます。

高橋英吉自由民主党

○高橋(英)委員 とにかく簡単に申し上げます。  いまの地方の指導者なんかというものは、国家のため地方のために一生懸命やって、それが勇み足になっておる。棄権したり傍観したりして政治に無関心な人たちと違うのです。そういうような地方の一部の人たちが、一たび選挙違反にかかって検挙されて刑務所へ入る。社会的な境遇と全然違ったところの生活になるのでありますから、環境下になるのですから、心身の打撃がたいへんなものです。したがって、選挙違反の拘禁者くらい自殺者が出るものはありません。そういうふうなことで、検挙されて刑務所に行けとほうり込まれただけで、それでそういう制裁は十分達せられておりますから、選挙の判決においてもほとんど九割九分が執行猶予、罰金、したがって、恩赦の対象になりましても実益は別段ございません。  現に、実刑を科せられて入っておる人たちとかなんとかが救われるのは、これは別のほうの関係の犯罪者であって、選挙違反の人は実益はほとんどない。復権という程度のことはあるでしょうけれども、しかし、大体において執行猶予か罰金です。したがって、実際の利益がないわけでございますけれども、しかし、何といってもこの恩赦の対象になる第一は政治に熱心な人たち、これでなければならないというわけでございまして、恩赦の本来の目的もまた政治的な人たちを救うということにあると思うのでございます。したがってまた、原則として一般恩赦というのが最も適当と思いまするから、選挙違反だけはどうしても大赦にしてもらわなければならない。これは返答はできますまいから、あえてその点についてのノーかイエスは大臣から聞こうと思いませんし、局長からも聞こうと思いませんけれども、われわれとしましては、恩赦の目的は国事犯を救済するにある。したがって、その恩赦が出まする以上は、どうしても選挙違反に対しては大赦でなければならない。しかも、これは沖繩返還というものをどう評価するかにかかっておるのでありまして、沖繩返還が真に日本のために大慶事であるということになりますならば、これは当然第一級の恩赦の発動があるべきであります。もしこれを軽く見ることになりますならば、沖繩返還というものは、一部の人たちが言われるように、条件が完全でないから、一〇〇%の条件下でないから軽く見るというふうな、そういうような根本的な誤りを犯しておると思います。  われわれは、沖繩返還というものは最大級の慶事であるというふうなことを前提として一般恩赦であり、選挙違反は大赦であるべきであるということを主張しまするが、その点についてぜひ御答弁願いたいと思います。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 恩赦の制度の起源を考えれば、やはり天皇の御慶事というようなことに対して、いわゆる仁政と申しますか恩恵、そういうような意味合いから出発して起こった制度だと思います。しかし現在、新憲法におきましては内閣が責任をもって行なうのでありまして、一面、旧憲法から新憲法に変わってきた考え方というものから考えれば、やはりこれが少なくとも刑事政策に障害になるようなことではなしに、これが活用されて刑事政策上も好ましいというような方向に持っていくということは、私は今後の恩赦のあり方として考えるべき問題ではないかと思います。  そういう意味で、要するに国の慶事に対して予期せざる喜びにあって、そうしてなお今後二度と犯罪を繰り返さないようにというような配慮をこれは当然すべきであろう。そこで、結局この国の慶事に対する喜びを分かつという考え方と刑事政策と、いかにしてマッチさせていくかということではなかろうか。したがいまして、その間にもやはり公平の観念といいますか、そういうようなこともなければならぬ。ただ国事犯だからそれだけをやっていいとか、考え方としては、だんだんそういうものではなくなってきつつあるということではないかと思います。  要は、この恩赦制度の起源の意味も無視することはできませんし、と申しまして、刑事政策の面も無視するわけにはいかない。そこでどういうふうにこれをマッチさせて、そうして国の慶事をみんなで喜び合うとともに、今後戒めて、二度と犯罪を繰り返さないというような方向に持っていくにはどうすればいいかということが回答になると思います。私は、そういう意味で慎重に検討したい、こう申し上げてきておるわけであります。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 先ほどの質問の続きを継続いたしまして、あと一問くらいで私は終わりにしたいと思うのであります。  ただ、たまたま高橋委員が非常に根本的な問題を提起されたので、私はぜひ大臣の御所見を伺っておきたいと思いますが、いわゆる選挙犯罪は国事犯である、したがって、地域社会に非常に貢献しておる人がそのために起こす問題で、いわゆる国事犯として、むしろ動機なりなんなりがきわめて高く評価をされるべき犯罪であるというふうに、高橋委員は強調されたわけであります。私はその点について、大臣のいまの答弁の中には、その問題についての御答弁はないんですが、そこはぜひひとつ明らかにしていただきたいと思います。  選挙違反は国事犯である、したがって、それならば確信犯ということになるわけでありますが、私はむしろ選挙違反こそ民主主義のルールを乱す、民主主義の大原則に抵触をする、あるいは民主主義の大原則を踏みにじる重大な問題で、あるいはその意味においては、議会制度も否認するというところに通ずるほど重大な内容を持つ、選挙違反というのはそういう性格のものだというふうに思っておるわけです。高橋先生が犯罪者を弁護されるような立場でいまのようなお話をされることは、私は御自由だと思います。しかし、大臣がもしそういうふうに、選挙違反は全くいわゆる国事犯なんだ、こういうことで臨むということであるならば、これはもちろんいまの選挙運動に対する罰則なんていうのは、みんなやめていいはずなんです。さらに、大臣が言われたように、再び同じ犯罪を犯させないというようにというようなことは、もうとうてい不可能になってしまう。つまり、選挙違反は堂々と赦免すべきだということが大原則ならば、もうこれで再犯をさせないというような配慮というのは、もちろん全然不可能になるわけであります。  要するに、根本的な認識は、いわゆる選挙犯罪なるものは国事犯として推賞に値する、国家社会のために奔走している人の犯した罪なんだ、そういう性格と認識をするのかどうかという点について、私と根本的な見解の違いがある。この点についての大臣の御所見を伺っておきたいと思います。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 選挙違反が国事犯であるかどうかということは、国事犯という意味がどういう意味か私よくわかりませんが、要するに、いわゆる自然犯罪でないという意味でお使いになっておるかと思いますが、いずれにしましても、法律は守っていただかなければならない。でありまするから、選挙違反がいいというふうな結論は当然出ないわけであります。少なくとも法に触れておるという意味からいたしますと、私はやはり他の犯罪と同様に、少なくとも考えていかなければならぬというふうに考えておるわけであります。まあ選挙に関心を持っておるという点で、称賛すべきかもわかりませんが、しかし、称賛すべき行為でないことだけでは、これはもう事実であります。何としても選挙違反を犯されるということだけは、私ども将来に向かって防止していかなければならぬ、かように考えております。  その点は、私もそういう問題について、二度と犯さないようにということだけは考えていかなければならぬと思いますし、個々にわたって態様を考えればいろいろあります。気の毒だったという人もありますし、法に対して無知だったという人もありますし、また悪質な者もあるわけでありますから、どうも一がいに言うわけにはいかぬと思います。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 もう一問だけこの問題について申し上げておきたいと思いますが、いま大臣は、要するに他の犯罪と同様なんだということを言われた。それならば、もし大臣が言うように、恩赦なるものが予期せざる喜びを広く国民に分かち与えるのだ、こういうことならば、私は同じような刑罰を受けた人全部を救ったらいいと思います。それならばほんとうにそういう喜びを国民に分かち与えられる。そういう刑事犯罪に問われた人を救うことができると思うのです。それがいままでやってきたものは、特殊ないわゆる刑事政策的な、つまりその時点時点における戦時法規の該当者であるとか、あるいは経済事犯の該当者であるとか、あるいは道交法の問題であるとか、その時点において当然対象にすべき人を対象にした、それはよろしいのですよ。それはよろしいが、決して犯罪者全般を救ったわけではありません。  たとえば、講和恩赦などは百二十の大分類をして、それをこまく分けたら何百にもなると思うのですが、それを対象にしております。それを対象にしているけれども、これはことごとく戦時法規からの解放です。そういう特殊なものを対象にしたということはよろしいと思う。ただ、常に選挙違反を取り上げてきたというところに問題がありますが、もし同じ犯罪だから同じように喜びを与えるのだというならば、ほかの犯罪もよろしくその対象にすべきだ。さっきから申し上げておるように、たとえば国連恩赦のごときは選挙オンリーなんですよ。約七万人の該当者が選挙オンリーなわけです。続いて行なわれた二つの恩赦も、大体絶対数からいうと似たり寄ったりの人数が救われているわけです。  それで、さっき局長はるる説明しておったけれども、これは実際はそんな問題じゃないのです。つまり、私の質問したこともきわめて簡単だと思うのですが、講和恩赦と御成婚、明治百年、これは同じように復権令で復権していますから、その二つを対象にした場合に、しかも私は罰金を言っているわけですよ。罰金は、刑が確定してからあるいは執行してから、三年間経なければ恩典にはあずからないというのが講和のときの規定なんです。ところが、御成婚と明治百年のときはそれを全部なくしてしまった。将来にわたって三カ月の猶予を認めた。これは明らかに、御成婚の昭和三十四年の恩赦というのは、その前に、三十三年に衆議院の総選挙があります。あるいは明治百年の場合は四十三年ですから、その前に四十二年の選挙があります。あるいは四十三年の六月には参議院の選挙がある。何とかして参議院の六月の選挙をそれにも該当させろというので、たいへん熱心な運動が自民党内にあって、それを取り上げて、当時の法務大臣も追い詰められて、とうとうそこまで後退せざるを得なかった。そういう現実がある。私が取り上げたことはきわめて簡明です。  それではもう一問だけお尋ねいたします。それで終わりにいたしますが、私は、明治百年は御成婚からさらにまたその条件が緩和されていると思うのです。たとえば御成婚の場合は、罰金の前科が二犯以上ある者は、原則として復権の対象にしなかったわけです。ただ、特別に例外として、選挙違反の罰金の前科が一つと、それからほかに公職選挙法以外の罪に問われておる者、そういう前科がある場合には二つでもよろしい、こういうことになっておる。  ところが、今後明治百年の場合は、一つまたは二つの罰金に処せられたる者、こういうことにしてしまったわけですね。だから二つある者は、選挙違反でもちっともかまわない。いわば選挙違反の常習者を復権の対象にしている。そういう点ではこれは重大なる後退です。条件の緩和ですよ。こういうふうにずるずると選挙違反に対して後退している。これは一体どういうわけですか。

笛吹亨三法務省保護局長

○笛吹政府委員 御承知のように、明法百年の記念恩赦におきましては、道路交通法違反、それから自動車の保管場所の確保等に関する法律といったものが加わったわけであります。すでに御承知と思いますけれども、道路交通法違反をする者は一人で何回も違反を犯しまして、二回も三回も罰金を納めている者がおるわけでございます。こういつた人を罰金一回だけだということで制限いたしますると、復権の対象になりませんので、そういった人たちを含めて復権の対象にすべきではないかという配慮が、ここに働いてこういうことになったと聞いております。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 私は、道交法はそれでよろしいと思うのですよ。選挙違反を、さっき大臣が言ったように二度と繰り返させないようにしたい、こういうことを言われるなら、いわば選挙違反の常習者、そういう人を救済するというようなことは当然やめるべきだと思う。道交法はそれでよろしいのですよ。当然その罪種を区別して扱うべきだ。御成婚のときもそうしているのですし、講和のときには三年という条件をさらにつけているのですからね。そういう態度では、私はとうてい選挙違反の常習者というものを救うことができないと考えるわけです。  私は、時間がなくなりましたので終わりにいたしますが、大臣、この前ちょっとお尋ねしたとき私の質問をよく御了解されなかったんじゃないかと思いますので、もう一ぺん伺いますが、この恩赦制度審議会の答申では、恩赦を行なうかどうかについて審査する機関をつくれ、こういうことを答申しているわけです。二つ答申しておって、一つのほうはすでに実施をしている。もう一つの、恩赦をやることについてその可否を問うという審議会をつくりなさいという答申をしているのですが、それをおやりになる御意思はございませんか。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 ただいままでの議論、私いろいろ教えられるところがありまして、今後検討するにつきまして十分考えていきたいと思います。  ただいまの恩赦審議会というお話でありますが、恩赦という制度を考えてみますときに、これは天皇がおやりになるわけでありますが、内閣の助言なりまた承認によって行なわれる国事ということに変わってきておるわけであります。  そこで一点は、やはり内閣が全責任をもってやるという責任の所在が明らかでなければならぬ。そういう場合に、恩赦審議会というようなものに責任がいくということがどうであろうか、これが一点問題があるかと思います。  それからもう一点の問題は、御承知のように、これはやはり恩赦の日までは秘密でなければ、それによっていろいろ、まあそのためにわざわざ犯罪を犯す人もないでありましょうが、しかし、厳格に言えばそういう問題があります。そういう制度でありますと、恩赦審議会ということで審議され、それが一般にいろいろ知られ渡るということに問題点があるというふうに考えますので、ただいまここで、私、どうしたらいいかということにちょっとお答えしかねるので、今後勉強さしていただきたいと思います。

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長代理 関連質問を許します。高橋君。

高橋英吉自由民主党

○高橋(英)委員 ちょっと関連して、ひとつ局長にお聞きしたいのですが、選挙違反の問題ですね。選挙違反の問題の大部分の罰金刑もしくは執行猶予になって、実刑を科せられるという者は、よほど例外的な者でないとないわけです。自然犯、刑事犯みたいに執行猶予なんか特別の場合だということと全然違うわけですね。したがって、恩赦の対象にする場合なんかも、そういう本質的なものも考慮に入れられる必要があると思うが、これは局長どうお思いですか、その点ひとつ……。

笛吹亨三法務省保護局長

○笛吹政府委員 選挙違反では罰金あるいは執行猶予が大部分であって、つまり自由刑の実刑に科せられる者が非常に少ないということは、そのとおりでございます。これはなぜだということになりますと、ちょっと私の立場からは何とも申し上げかねますが、裁判所なり検察官のお考えでございましょう。

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長代理 林孝矩君。

林孝矩公明党

○林(孝)委員 いま恩赦の問題でいろいろ論議がありまして、私、感ずるところを一点にしぼってお伺いしたいと思います。  先ほど法務大臣の答弁の中に、やるとしたら五月十五日という御答弁がございました。それから選挙違反を除外しろ、そういう意見、さらに関連質問で、対象になるのは当然だという意見があったわけですけれども、大臣の答弁の中で、合理的な意味を持つもの、刑事政策的に意味を持つもの、こういう位置づけがなされました。現時点で考えて、選挙違反ははたして恩赦の対象として合理的な意味を持つかどうか、刑事政策的な意味を持つかどうか、そういう疑問を持つわけです。特に指摘したいことは、選挙違反の中でも買収、供応といわれるようなそうした違反、戸別訪問につきましては、先ほど高橋委員から指摘がありましたように、これは自由化されるべきものだというお話ですが、こういう形式犯を除いて、特に買収、供応等、そういう人に対してまでも恩赦の対象とするということになった場合に、はたしてそれが刑事政策上意味があるか、合理的な意味の範疇に入るのか、そういう疑問を私は感じました。大臣にその点について御見解をお伺いしたいと思います。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 これはまあ一般論として言えというお話だろうと思いますが、もうこれは、ここで私の考えがまとまっておれば申し上げても差しつかえないかもわかりませんが、それらの問題については、先ほど来いろいろ御意見がありますとおりで、それらを総合的にどういうふうに考えていくかというので、いまここで御答弁させていただくことは控えさせていただきたいと思うのですが、先ほど来申しておりますように、恩赦という制度自体が、これはやはり国の慶事をみんなで喜ぶ、その恩恵にあずかるという面もありますし、と申しまして、私は刑事政策自体を無視していいものだとは思っておりません。むしろ刑事政策にも資して、将来違反がなくなるように、あるいは犯罪がなくなるように、そういう配慮だけはできるだけやっていくべき問題だ、かように考えております。  この際、選挙違反をどういうふうに考えるかということにつきましては、そういうようないろいろな角度から検討して、ほんとうに自分として間違いのない結論を出したい、かように考えております。

林孝矩公明党

○林(孝)委員 私がお尋ねした一般論でけっこうだと思うのですけれども、いま大臣から答弁もありましたけれども、さらにもう一歩、五月十五日ということを云々しますと、今回のケースというふうに大臣もとられると思います。あくまでも一般論として、現時点で考えた場合に、いま国会の中においても選挙違反は除くべきであるという意見が非常に多くあるわけです。また国民の中にも、当然のこととしてそうした声が起こってきております。そして先ほどから指摘があったように、総理があのような発言をされた。法務大臣はそれを否定されておりますけれども、その反響はすでに各方面でいろいろな反応となって起こってきておる。そうした動きのあるときに、そういうものをある程度考え方としてはっきりすべきではないか。その一番ポイントになっておるのが、選挙違反を除くかどうかという問題であると私は思うわけです。そういう意味において、一般論として大臣の御見解をお伺いしたいと思うわけです。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 ずっと以前でありましたら一般論でお答えできるのですが、もうこの段階で一般論で言えと言われましても、率直に結びつけられることは間違いないのですから、この際は御遠慮させていただきたいと思います。

林孝矩公明党

○林(孝)委員 それでは、犯罪者予防更生法の問題でありますけれども、五点まず最初にお伺いします。  保護観察の目的が一点、それから保護観察の対象者及びその保護観察の期間、これが第二点、保護観察所の設置の単位、数、対象人数に対する問題保護観察官、保護司の業務などの五点についてお伺いします。

笛吹亨三法務省保護局長

○笛吹政府委員 まず保護観察の目的でございますが、わが国における保護観察と一がいに言っておりますものには二つの種類がございます。一つは、犯罪あるいは非行を犯した者を、社会内において更生をはかっていくというために、初めから矯正施設に収容しないで更生教育をしていこうといういわゆるプロベーションでございます。それからもう一つは、矯正施設に収容された後、その収容期間が満了するまでに、むしろ社会内で教育をしたほうが、その人の更生をはかる上において適当であるという判断のもとに、社会内で、かりに出しましてそこで更生をはかっていこうといういわゆるパロールと称するものでございますが、この二種類あるわけでございます。  この二つともに考えますと、犯罪ないし非行を犯した者を矯正施設内で矯正教育を施すことも必要ではございますけれども、それとともに、さらにこの人たちはいずれ一般社会に復帰する人でありますから、そういった人たちを社会内において教育していこうということが、この保護観察の目的でございます。  それから、二番目に対象者でございますが、まず一つは、家庭裁判所において少年事件として取り扱われまして、家庭裁判所がこの少年を保護観察に処するという決定をいたしました者でございます。これは期間といいますのは、満二十歳になるまででございます。  第二番目に、家庭裁判所の決定によりまして少年院に送られまして、少年院におきまして矯正教育を受けておりました者が、これは本来は二十歳になるまででございますけれども、それまでの間に矯正の成績がいいということで、満二十歳になるまでに仮退院をさせまして、社会内において教育をしようというのが第二番目でございます。  それから三番目には、いわゆる仮出獄といっているものでございまして、刑法の二十八条によりまして、一般の刑務所に懲役、禁錮で収容された者が、刑期が満了するまでの間に改俊の状が顕著であり、また刑法で定められました一定の期間を経過いたしております者について、いろいろ環境その他を調べまして、社会内において教育するほうが適当であろうという者について、仮出獄させまして保護観察いたしますのが三番目でございます。これはその刑期の満了までの期間でございます。  それから四番目は、裁判所におきまして自由刑に処せられ、執行猶予に付せられますが、この執行猶予を付する際に、保護観察処分に付するということがつけられる場合があるのでありまして、いわゆる保護観察つき執行猶予の判決でございますが、そういった保護観察に付せられた執行猶予者であります。これは裁判所の判決によるわけでございまして、この期間は執行猶予の期間でございます。  それから五番目に、婦人補導院に収容されております、いわゆる売春婦の経験者でございますが、その者たちが婦人補導院に入れられておりまする六カ月の期間でございますが、この六カ月の期間の満了前に、成績のいいということで仮退院させます者、これを保護観察に付しておるのでございまして、これも六カ月の期間が満了するまでの期間でございます。  それから三番目に、保護観察所の設置の基準といいますか、単位でございますが、これは各都府県に一カ所ずつ置いております。北海道につきましては、道一つじゃございませんで、札幌、函館、旭川、釧路、四カ所になっておりますが、その他の都府県におきましてはそれぞれ一カ所ずつでございます。それから、東京の八王子と大阪の堺、福岡県の北九州には、それぞれ観察所の支部がございます。  それから、保護観察官と保護司の業務の問題でございますが、これは、保護観察官は、保護観察所におる保護観察官と地方更生保護委員会の事務局におる保護観察官の二種類がございまして、ここで御質問は、主として保護観察所における保護観察官の業務であろうと思いますが、この保護観察官は、ただいままでに申し上げましたような各種の保護観察の対象者につきましてそれぞれ担当いたしまして、自分の担当の保護対象者につきまして常に観察をいたしております。しかしながら、保護観察所における保護観察官が現在全国で七百二十数名でございまして、そのうちさらに所長とか総務課長とかといった管理業務に属しておる者もございますので、実際に観察業務に従事できる者はまあ六百人を切れるようでございますが、そういった人たちで、現在のところで約八万何千人かの対象者を担当いたしておりますので、一人当たりたいへんな受け持ちになる。それをカバーする意味もございまして、保護司が全国に約五万おります。この保護司は、保護観察官と保護司が共同でこの保護観察に当たるということになっておりまして、保護司は保護観察官の足りないところを補うということに法律上なっておりまするけれども、保護観察官と保護司が共同で保護観察の業務を行なうということになっておるのであります。  それから、保護観察官は主としてその対象者を見ていくわけでございまするけれども、そのほかに保護司の教育というものもございます。全国五万の保護司は民間の人でございまして、初めは全然この道のしろうとでございますから、そういった人たちを、こういった犯罪者を更生さしていくというむずかしい仕事をさせるためには教育していかなければなりませんので、その意味におきまして専門的な知識、経験を持っておる保護観察官がこれを教育するということもやっております。それからさらに、更生保護会といいまして、犯罪を犯した人たちで居住場所のない人たちを収容する民間の施設がございますが、こういったものの指導といったこともやっておるわけでございます。  大体、以上でございます。

林孝矩公明党

○林(孝)委員 そこで、保護観察の実際問題として、保護観察官、保護司との協力関係に基づいて行なわれておるわけでございますが、実際はほとんど保護司が担当されておる。結局、保護観察官が足らないのではないかという気がするわけです。その点に対してどういう御見解を持って当たられておるか、どういう対策を講じられようとしておるかという点が一点。  それから第二点は、保護観察における指導、監督、補導、援護を行なうにあたって、どのようだ点を考慮されているか、その二点についてお伺いします。

笛吹亨三法務省保護局長

○笛吹政府委員 ただいま申し上げましたように、保護観察官の数が、対象者の数に比較いたしまして非常に少ないわけでございまして、大体、保護観察官一人当たり常時百五十人から百六十人を担当する、平均しますとそういう数になりますので、これを保護観察官が全部を十分見るということは、とてもこれは物理的に不可能な数字でございます。保護観察官を直接処遇していく上におきましても、もっと保護観察官をふやさなければならない、このように考えますので、毎年保護観察官の増員ということにつきまして努力いたしておるのでございます。  それから、保護観察におきまする指導、監督の点でございますが、この保護観察の目的は、先ほど申しましたように、対象者の更生をはかるということでございますので、まず対象者につきまして、どういったことをしてはいけないという順守事項というものも、大体対象者につきましてそれぞれつくっておりまして、その順守事項を守るということがまず基本でございます。それから、それとともに対象者が自分で更生するという、いわゆる自助の責任を養うといいますか、対象者が自分で更生をしていくという自助の精神を養うということにもっぱら努力いたしておるのでございます。そのために対象者の就職につきまして、また住居その他の問題、環境の問題につきましていろいろ相談に応じて、その更生を援助していっておるわけでございます。

林孝矩公明党

○林(孝)委員 いま順守事項を守るというお話がございましたが、先日来問題になっておりました大阪大学の入試問題が盗み出された。これが保護観察中の対象になっている人であった。それ以外に大久保清だとか、あるいは最近のあれでは連合赤軍のたしか加藤、これもその対象になっている。そのように対象者がその期間中に犯罪を犯しておる。こういうことをはたして予防できないものかどうか、事前に防止できないか、あるいはどうしてそういう犯罪がその観察中に起こったのか、そういう点について、当局はどのような分析をされて、どのような認識に立っているのか、その点についてお伺いしたいと思います。

笛吹亨三法務省保護局長

○笛吹政府委員 保護観察中の者の再犯につきましては、これはそれぞれの対象者のいろいろのケースによりましてそれぞれの理由があるわけでございますが、ただいま御指摘の大阪刑務所の事件でございますが、これにつきましては、これは無期懲役の仮出獄者が二人参加しておるのでございます。   〔羽田野委員長代理退席、委員長着席〕 これは仮出獄になりまして、それぞれ保護観察になりましたときに、やはり保護観察の中で、無期懲役の仮出獄という人は重点的な観察をするというふうにいたしておりますので、相当重点を指向いたしまして観察することにいたすのでございますが、いずれにいたしましても、これは担当の保護司をつけなければならないので、保護司をつけて担当させましたところが、これは二人共通の問題になりますけれども、居住地を指定するわけでございますが、初め仮出獄させるときにきめました職業というものが、仮出獄いたしまして間まなく、この道についてみますと、たとえばある一人の者につきましては、農業をするということになっておりますが、その道についてみますと、なかなか自分ではうまくいかないので、そのほかに就職を見つけるというようなことがありまして、都会に出て就職をするというので、したがって、住居も変わりたいというような希望が出まして、それが、調べてみますと、それは悪い就職口でもなかったようでございますので、それを許可するといったことで、住居も、最初の仮出獄したときの住居から離れていっております。  そういうことが遠い原因になったのかしれませんですが、そういう就職口を自分でさがしていったというところに多少問題があるようでございましたが、仲間と相通じ合ってああいう犯罪を犯すということがあったようでございます。こういった面で私たちは、これを一つの先例といたしまして、今後の保護観察につきましては、特に長期の者の仮出獄につきましては、仮出獄後の就職、住居の移転ということにつきまして、非常に慎重にやるということで心がけておりますが、それも、仮出獄いたしましても、やはりその人の更生をはかる意味もあり、またある程度人権というものを尊重していかなければなりませんので、なかなかそこの制限というものはむずかしい問題でございます。したがいまして、制限はできないけれども、よく監督指導していくという立場に立ってやっていかなければならぬと思っております。  また、大久保清の問題でございますが、これはすでに御指摘のような経過をたどって、仮出獄してから間もなくああいった犯罪を犯しておるのでございまするが、これは観察官も経験者をつけておりますし、それから保護司は、年齢が八十歳をこえた方が担当されましたので、社会の皆さん方の一般の目からは、ああいうお年寄りの保護司を担当させたのが悪いというような御批判もいただいておりまするけれども、これは八十何歳ではございますけれども、非常に御元気な、そうして経験も豊かで活動的な、能力のある保護司さんであったわけでございます。その八十歳をこえているということだけで、不適当な保護司であったとは考えないのでございまするけれども、何ぶん二十四時間ずっとこの対象者についてもおるわけにもいきませんので、自動車に乗ってあちらこちら精力的に走っておるということで、まじめに更生をはかってくれておるものだと信じ込んでおったのがあだになって、ああいう事件を犯したということで、その点、われわれ保護という仕事にタッチしている者は、対象者を、やはり人間関係でありまするから信用、信頼する必要はありまするけれども、その裏に、その人のやっていることにある程度の疑問というものも持って観察していかなければならぬのじゃないかというように考えておるのでございます。  それから、連合赤軍の加藤でございますが、これは昭和四十六年に、当時彼が高校三年のときでありまするけれども、爆発物取締罰則違反で検挙されまして、名古屋の家庭裁判所の岡崎支部で保護観察に付されたのでございます。そうして名古屋の保護観察所に出頭いたしまして、担当の保護司は、この少年のおとうさんが小学校の先生でございましたので、この先生の知り合いの校長先生で保護司の人がおりましたので、その人に保護を担当していただいて保護観察を始めたわけでございます。しかし、やはりこれは家に落ちつかなくて、その年の八月二十七日、二カ月半ばかりたちましてから弟と一緒に家出をしてしまった。保護司はもちろんすぐに保護観察所のほうに報告してくるわけでございます。その報告を受けて保護観察所においては、保護観察所同士はもちろんのこと、関係機関にも通報いたしまして、その所在の発見につとめたわけでございますけれども、結局見つからないで、ことしのあの事件が起きて発見されたというような次第でございます。  保護観察中に所在不明になるという者が、保護観察としては一番危険な対象でございますので、これは極力保護観察に付する初期におきまして、住居を変えるときには必ず保護司あるいはまた保護観察官に連絡してその許可をとるという、順守事項を絶対に守るようにということをくれぐれも申しておりますし、またこういった少年におきましては、父兄なり保護者なりにその点は十分伝えて協力を願っておるわけでございまして、このようにほんとうにわからないで、所在不明になってもぐってしまった者につきましては、いささか手の打ちどころがないなという感じを受けておるのでございますが、極力そういった面で家庭との連絡といったこともはかり、無断で所在不明にならないような、できるだけの措置を講じておるつもりでございます。

林孝矩公明党

○林(孝)国務大臣 いまお聞きのとおり、大阪大学の入試問題にしても、また大久保清の問題にしても、連合赤軍の加藤の問題にしても、軽微な犯罪を犯したわけではないわけです。非常に凶悪な犯罪を犯している。そして保護観察になって、その期間中にさらに多くの人の生命を奪う、また大きな社会問題を引き起こす、そうした犯罪を犯した、こういうことなんです。いま答弁の中にありましたように、住居が定まっていない、そして本人がどこに行ったかわからない間にこうした再犯が起こっているということなんですけれども、こうしたケースが今後起こってはならないし、また起こるようなシステムであってはならない。そういう意味から、法務省としてもこうした問題に対しては、抜本的な対策が必要ではないかと思うのですけれども、法務大臣はどのように対策を考えておられますか。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 これは保護観察もさることでありますが、法務省としてはもっともっと深く考えていかなければならぬ問題だと思います。保護観察につきましても、ただいま局長から話しましたように、何といっても保護司さんにたよらなければなりませんが、保護観察官がもっと責任の持てる体制にしていかなければならぬ。その点では、ことしは二十二名か増員を要求しておるわけであります。  しかし、もっと根本的に再犯について考えていかなければならぬことは、一つは、刑が終えましたら、これは何としても出さなければならぬ。でありますから、再犯のおそれがある者が刑を終えれば出ていくという、これはやはりやむを得ないことでありますが、今度の刑法で考えられている不定期刑の問題あるいは保安処分の問題、こういうものは、再犯防止という意味から、やっぱりつくっていかなければならぬ。そうして、ことに日本では、再犯防止というような意味の精神医学といいますか、そういう面が非常に発達がおくれているのじゃないか。それでありますから、保安処分が制度そのものとしていいか悪いかは別としまして、もっともっと科学的に——再犯を犯すような人間であるかどうかということに対する最初の観察が十分でないということではなかろうかと思います。さらにまた、これは刑務所の処遇がやはり根本で、将来二度と犯罪を犯さないような教育をしていくべきでありますし、ことに最近は、技術というか、手に職をしっかり覚えさすということに重点を置いておりますから、それは非常にけっこうでありますが、処刑中にいろいろなテストをして、どういうふうにすれば社会に出しましても十分社会に適応し、二度と犯罪を犯さぬようなところまで教育できるかということを、もっと研究していくべきであろう。  言いかえれば、私は現在の法務行政全体が、率直に言って、一回犯罪を犯すということはあるいはやむを得ないかもしれない。しかし、それが再犯を犯し、しかもそれが非常に重大な、ことに私、大久保清の問題で痛感したのでありますが、ああいうことがなぜわからなかったか。これはもう少しいろいろなテストをし、あるいは精神医学で追求してもっと研究しておれば、そういう性質なり何なりがわかったのではなかろうか。率直に言って、非常にうまい、口から出まかせといいますか、そういうことで、保護司もみんな瞞着されてしまった。しかし、少なくともそういう傾向を刑務所内において見破って、保護観察官がもっと責任をもって指導できるという体制をつくり上げたければならぬ、かように痛感しておるわけであります。要するに、現在の法務行政全体として、もっともっと根本的に考えていくべき問題があると思っておりますので、それを逐次実現していきたい、かように思っております。

林孝矩公明党

○林(孝)委員 いま大臣から、刑務所内の処遇、それから刑務所内でそうしたことを見破る、これは理想として私も非常に重大なところを指摘されていると思います。ところが、現実問題を見てみますと、現在の刑務所の中において、ほんとうにそうした大臣の意向を受けて、実現されているかどうかという点になりますと、いろいろ疑問もあり、また問題も起こっておるわけです。  かつて私、奈良少年刑務所の中でのリンチ事件について当委員会でも取り上げましたけれども、そのときにおいて、正直言って私は、重大な反省をすべき問題であるのにもかかわらず、重大な反省がなされていなかったという印象を受けております。ところが、最近また奈良少年刑務所の中で一つの問題が起こりました。それはどういうことかといいますと、服役中に逮捕状を偽造して、出所後京都でそれを犯行に使った、簡単に言えばこういう問題であります。その中に、警察の裏づけによりますと、刑務所の中から出て外で仕事をする、その作業のときにどういうものを持ち出しているかということがチェックされていなかった、これは警察の裏づけでありますが、そういう管理のずさんさから善良な市民が被害を受けた。そして、これは不成功に終わって逮捕されたからいいようなものの、もしこの犯罪者が目的を達しておった場合は、生命も奪われておったでありましょうし、また再びそうした犯罪を重ねていくだけの逮捕状など持っておったわけですから、続いてそうした犯罪が起こりておったかもしれない、そういう問題であります。この事件は、そうした意味において、刑務所内の、いま大臣が指摘された問題を裏づける事件だと私は思うわけですけれども、いかがでしょう。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 奈良少年刑務所の問題は、非常に遺憾な問題だと思います。  ただ、印刷物を持ち出したのでなしに、出てからつくったのではなかろうかとも思うのであります。ということは、にせの令状でありますから、中から持ち出したものではないと思います。しかし私も、刑務所の中でそんなことを指導した者があるとかないとかいうようなこと、あるいはまたいろいろなことも言われておりますので、もっともっと究明して、どこに欠陥があったかということについて十分な追及をして、そういうことのないようにしていかなければならぬと思います。  ただ、先ほど申したように、保護観察官ももっと定員をふやして、そしてやっていかなければなりませんし、また質も、よほど訓練をしていかなければならぬというふうに考えておりますが、これは将来の問題として十分努力していきたいと思います。

林孝矩公明党

○林(孝)委員 矯正局長に私、確認しておきますけれども、いま答弁がありましたように、これはにせの逮捕状、本物ではありません。しかし、印刷されたのは刑務所の中である、こういうことが報道されておるわけであります。受刑者が刑務所の中で印刷をして、そして、印刷しているものは本物でありますが、それを覚えておいて印刷したものだから、実際のものと違っている逮捕状なんだけれども、その逮捕状を外で作業する機会に持って出て、埋めておいて、そして出所してからそれを掘り出して使った、こういう事実だというふうに私は理解しておるわけですけれども、いまの話だとそうではなしに、外へ出てからつくったにせものだということでしょうか。

羽山忠弘法務省矯正局長

○羽山政府委員 ただいまのお尋ねの点でございますが、私どもといたしましては、本人によく聞く方法がさしあたりないわけでございまして、警察のほうから間接に聞きましたところでは、本人は施設内でつくったんだというふうに申しておるそうでございます。もしそれが事実といたしますれば、これはまことに申しわけないことでございまして、なぜそういうことになったのかということを十分究明いたしたいと思います。  御承知のように、施設内におきましては、個人の行動の観察が非常に厳重なはずでございまして、便所に行くのにも一々見ておるというようなことでございまして、それが写真印刷の技術かあるいは植字の技術か存じませんけれども、活字を並べまして組んだというようなことをいたしますには、かなり時間的な余裕があったわけで、もしそうだといたしますれば、そこに観察上の非常な手抜かりがあったと言わざるを得ないと思って、私どものほうも、これは非常に重大な事故であるというふうに考えまして、せめて検察庁の段階にでも移りましたときに、十分調べてもらおうかというふうに考えておるのでございます。  ただ、御参考までに申し上げますと、この本人が奈良の刑務所に入りました前歴に、窃盗、恐喝、傷害、いろいろなことをやっておるのでございますが、その中に有印公文書偽造行使ということをやっておる。それは自動車の免許証を盗みまして、写真を張りかえ、免許証を不正につくって行使したということでございますが、すでにこのような手口を持っておりますので、あるいは場合によっては外でつくったのではないかというような感じもいたすのでございます。  ただ、それにいたしましても、私どもは、公文書偽造行使というふうな前歴を持った人間を、はたして印刷工場で働かすというようなことは、適当であったかどうかというふうな点につきましても、十分検討を重ねてみたいと思っておる次第でございます。

林孝矩公明党

○林(孝)委員 いずれにしましても、刑務所の中にはいろいろな技術を持っていらっしゃる方が服役しているわけです、もう自給自足ができるくらいですから。それだけに、十分な管理がなされなければならない。刑務所それから保護観察、そうした一連の問題として考えていかないと、片一方だけ重視して片一方軽視しますとこういった問題が起こってくる。まさしく大臣が言われるとおりであります。そういう面から、この事件を一つの契機として、たとえば全国の刑務所でどういう職業指導がなされておるのか。印刷という技術を習得するという目的でなされている職業指導、こういうものを一例にあげますと、たとえば大阪の大学入試事件の場合は、大学の入試問題の印刷、今回のこの場合は逮捕状の印刷です。印刷されている内容が、万々が一悪くいくとこうした事件に発展するという可能性を持っているわけですね。ですから、職業指導をやるにしても、どういう内容のものをもって職業指導をしていくかということも、やはり重大な問題であると思うわけです。  そこで私、資料要求をひとつしておきたいと思うのですけれども、どういう職業指導を現在刑務所内で行なっているか、その具体的な内容の資料を提出していただきたいと思うのですけれども、委員長においてお取り計らいをよろしくお願いいたします。

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 はい、けっこうです。

林孝矩公明党

○林(孝)委員 これで私、質問を終わりますけれども、最後に大臣に要望しておきたいことは、こういう刑務所内での事件、あるいは保護観察の対象者が起こす再犯、そのたびに問題は、善良な市民の多くが、ある人は生命を奪われ、ある人は財産を奪われるというような被害にあっておる。こういうことが数多く起こってはいけないし、完全になくしていかなければならないのは当然でありますけれども、そのために、先ほどから申し上げておりますように、本腰を入れて防止していくという決意と対策が必要である、そのように思うわけです。大臣の御見解を伺って、私の質問を終わります。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 私も率直に言いまして、多少みなマンネリズムになりがちではなかろうかということを心配しておるのであります。こういうような問題があったときに、ほんとうに徹底的にその原因を究明し、そしてそれに対処し得ることは即時にやり、また、定員なりの問題で行き詰まるとすれば、ことしの定員もそれに相応したものを獲得するというようなことで、まず根本の原因を究明しながら、先ほど申した刑法の改正とかいろいろなことが全体的としては必要でありますが、とにかく可能なものからそこにきまりをつけて、そしてそれをやって、どういう効果があるかという効果も十分見きわめて、やはり計画を持って将来の改善に対処する。  そういう点で、私、悪く申すと、法務省の諸君はそれになれておられるのではないか。私なんかしろうとが入ってみますと、こういうことが起こるかなということが起こりますので、そういう点・いろいろ皆さんと研究し、今後とにかく究明して、それに対する対処ということについて十分努力していきたい、かように考えておる次第であります。

林孝矩公明党

○林(孝)委員 終わります。

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 中谷鉄也君。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 二問だけお尋ねをいたしたいと思います。  矯正局長にお尋ねをいたしたいと思いますが、私たちが手元に持っております現行法規総覧の十七、刑事法の部には、仮釈放審査規程と仮出獄及ヒ仮出場ニ関スル取扱手続、この二つが現在存置されておるわけですけれども、それはそういうふうに拝見してよろしいでしょうか。

羽山忠弘法務省矯正局長

○羽山政府委員 そのとおりでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 私、大臣にひとつ御所見を伺っておきたいと思うのです。犯罪者予防更生法の審議にあたりまして、先ほど大臣も御所見を述べておられましたけれども、精神医学であるとか心理学であるとか、そういうふうな科学的なものが導入されねばならないということ、それから社会の動向、進歩、発展というようなものと犯罪者予防行政が対応しなければならないというような点、いろいろな点について私も感じを同じくするわけですけれども、私は、この問題については、前の犯罪者予防更生法の改正のときにもお尋ねをした点なんです。  と申しますのは、仮出獄及ヒ仮出場ニ関スル取扱手続に別記第四号書式というのが現行法規総覧の中にありまして、その別記第四号書式によりますと、「思想犯仮出獄者証票」というものが現行法規総覧の中に生きているわけであります。そういう思想犯というふうなことばは、すでに死語になっているという点を私は前の改正のときにも申し上げた次第であります。現在、こういうようなもものが現実の証票として適用されていないということはあたりまえのことなんですけれども、なお現行法規総覧の中にこれらのものが生きておる。私は、法務行政全体が非常に保守的な色彩、あるいはまた非常に固定的なものとしてとらえられているのではないかと思うのであります。大臣が法制審議会の諮問の進捗状況について不満の意を表明されたというように私、伺いましたけれども、それについては私なりの考え方があるわけですけれども、前の国会において、こういうふうなものが法務省の規程の中にあるということは、非常に恥ずかしいことだと言って私が指摘した点がいまなお存置されておる。これは私は、国政調査あるいは委員会における審議努力という点からいいましても非常に不満であります。  仮釈放審査規程の中には、「思想及信仰」ということばが第二条の四号の中に出ておる。「思想及信仰」というふうなことが仮釈放審査規程の対象となるべきではないということも、私はこの前指摘したわけであります。これは現在は精神状態というようなことで、そういう欄は設けておりませんということで当然のことだと思いますけれども、現在なおそれらのものが改正されずに、削除されずに生きておるという点については、非常に不満であるし、そういう点に私は法務行政そのものの一端をうかがわしめるものがあるのではないかという感じさえするわけであります。当然これは削除になっているものだと思うのですけれども、どうも削除になっていないらしいということであれば、その点に非常に不満と疑義を感じます。  そこで、お願いしたいのは次の点であります。仮釈放審査規程の中に「思想及信仰」ということばが現在なお存置されておるならば、これは早急に削除されてしかる、べきではなかろうかという点、それから、こんなことが生きておらないということは当然のことでありますけれども、思想犯などというふうなことばが別記第四号書式としてなお現行法規総覧の中にはあるということも、当然私は現行法規総覧の中から削除されてしかるべきだと思うわけです。憲法的な感覚ということを前回私は指摘したわけです。法務省は最も憲法感覚のきびしい役所でなければならぬということを指摘したわけですけれども、どうもいまなおそれが法規総覧から削除されておらないことについて、非常な不満の意を私は表明する。現行法規総覧の読み違いであれば幸いでありますけれども、大臣の御所見を承りたい。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 おっしゃるように、こういう審査規程に、「思想及信仰」という欄があることは、私もどうも解せないのでありまして、あるいは情操とかいろいろな問題はあります。だが、少なくともこの表現は私は感心いたしません。これは早急に直させたいと思います。早急に検討いたします。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 私は、前の国会のこの前の改正のときにも、実際には使われてはいないけれども、法規総覧の中に削除されずに法律的には生きたものとしてこういうものが掲げられていることについて、非常に法務省の法務行政の姿勢というものを疑わしめると質問した。それは規程その他手続等を整理しておる段階だという御答弁があったのでありますけれども、私がそういう質問をいたしましてから、もうすでに足かけ三年になるわけですが、いまなお削除されておらないことについては不満であります。この点については、現に適用されていないわけですから、削除するという方向で——というよりも削除していただきたい、この点をひとつ申し上げたいと思います。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 少なくともことばの用語がおかしいと思います。その点は是正いたします。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 次に、私はやはりこれは非常にむずかしい問題だと思いますけれども、これは報酬主義というものが必ずしも導入しがたい、実費弁償というふうなこととも関連すると思いますけれども、保護司さんの年齢が四十歳未満が二・五%に満たないというような点については、保護局長どういうふうにお考えになるでしょうか。  なお、膨大な質問を予定しましたけれども、予鈴がなったようですから、その点だけお答えをいただいて、あとの質問は放棄をいたします。

笛吹亨三法務省保護局長

○笛吹政府委員 保護司の年齢が年々高齢化してまいっております。これは、いま御指摘のように、四十歳未満の方が全体の二・四六%でございますが、それもさることながら、さらに六十歳以上の人が多いということが問題であろうかと思います。対象者がわりあい少年が多いというのに対しまして、それを受け持つ保護司が高齢化していくということには問題がございます。  そこで、私たちのほうといたしましては、年をとっているから能力がないというわけじゃございません……(中谷委員「簡単にしてください」と呼ぶ)それでは簡単に申し上げます。なるべく高齢の方は再任しないようにし、若い人をとるように、各自治体にも働きかけて人材を集めるように努力をいたしております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 質問を終わります。

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。  次回は、明二十六日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時五十二分散会

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