法務委員会 第15号
- 発言数
- 54 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1972/04/18
会議録
○松澤委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、罰金等臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。前尾法務大臣。
○前尾国務大臣 罰金等臨時措置法の一部を改正する法律案について、提案の理由を御説明いたします。 刑法その他の刑罰法規に定められた罰金及び科料の額等につきましては、第二次大戦後における経済事情の急激な変動を考慮して、昭和二十三年に制定されました罰金等臨時措置法によることとされているのでありますが、同法制定後現在に至るまで二十数年間における経済事情の変動には著しいものがあり、物価は約三倍、賃金は十倍以上に上昇しております。また、経済事情が比較的安定したと見られる昭和三十年を基準といたしましても、賃金は約四倍、一人当たりの国民所得は約六倍となっているのであります。このような状況のもとで、刑法その他の刑罰法規に定められた罰金及び科料の額等を現行のままにとどめておきますことは、これらの財産刑の刑罰としての機能を低下させるばかりでなく、刑事司法の適正な運営を阻害するおそれも少なくないと考えられるのであります。 特に、罰金は、全刑事事件の九五%以上に対して適用され、刑事政策上きわめて重要な役割りを果たしているのでありますが、最近における科刑の実情を見ますと、傷害、暴行、業務上過失致死傷、脅迫、住居侵入等の罪につきまして、法定刑の上限ないしこれに近接した額の罰金が言い渡される事例が増大し、いわゆる頭打ちの現象を呈しているのであります。したがいまして、現行の罰金等臨時措置法に定められた罰金及び科料の額等を改定し、これを現在の経済事情等に適合したものとすることは、刑事司法の適正な運営という観点から見て、回避することのできない緊急の課題となるに至っているのであります。 この法律案は、以上のような事情を考慮いたしまして、罰金等臨時措置法に定める罰金及び科料であります。すなわち、罰金の寡額は四千円、科料の額は二十円以上四千円未満とすること、刑法、暴力行為等処罰ニ関スル法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪について定める罰金の多額をその二百倍に相当する額とすること、これらの罪以外の罪について定める罰金の多額が八千円に満たないときはこれを八千円とすること、刑の執行を猶予することのできる罰金の最高額を二十万円とすること、略式命令または即決裁判によって科することのできる罰金の最高額を二十万円とすること、以上に関連して、逮捕、勾留、公判廷への出頭義務及び未決勾留日数の法定通算の基準となる罰金額等を改定することなどをその内容としております。 なお、条例に定める罰金及び科料の額につきましては、地方自治の本旨に照らし、法律で直接これを改定することは適当でないと考えられますので、施行後一年間はなお従前どおりとすることとし、各地方公共団体においてその改正をはかるための猶予期間を設けております。 以上が、罰金等臨時措置法の一部を改正する法律案の趣旨であります。 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
○松澤委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。 本案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。 ————◇—————
○松澤委員長 次に、内閣提出、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。青柳盛雄君。
○青柳委員 この犯罪者予防更生法の改正に関連いたしますので、お尋ねをいたしたいのであります。 犯罪者予防更生法の第三条によりますと、中央更生保護審査会の権限に関する事務について規定がございます。これについて数点お尋ねをいたしたいと思うのでありますが、第一号は、「法務大臣に対し、特赦、特定の者に対する減刑、刑の執行の免除又は特定の者に対する復権の実施について申出をすること。」とあります。これは当然刑の言い渡しを受けた個人からの出願に基づいて審査をした結果を法務大臣に申し出るものだと思いますが、最近の事例ではどういった種類のものが扱われておりますか、お尋ねをいたしたいと思います。
○笛吹政府委員 「法務大臣に対し、特赦、特定の者に対する減刑、刑の執行の免除又は特定の者に対する復権の実施について申出をする」という条項に当たるものが、最近どういう状況であるかという御質問だと思います。 これは、私たちがいわゆる情状恩赦と称しておるものでございます。刑を受けた者が、それぞれの状況によりましてこういった特典を受けることを出願し、それを受けた検察庁あるいは刑務所または保護観察所におきまして、意見を付して中央更生保護審査会に上申をしてまいるものでございまして、それを中央更生保護審査会で審理、審査いたしまして、恩赦相当と認める者につきましては法務大臣に恩赦の実施を申し出る、恩赦不相当と思われる者は不相当として申し出ないという処分をいたしておるものでございます。 最近の状況は、この情状恩赦が年々徐々に増加いたしてまいっております。前回にもここで申し上げましたように、四十三年から四十六年までの状況を見ますと、昭和四十三年におきましてはこの受理件数が百八十二件、四十四年におきましては百九十六件のほかに六百四十件という明治百年記念恩赦からの落ちこぼれといいますか、そういったものが入りまして八百三十六件、それから四十五年におきましては二百三十二件のほかに、いまの明治百年記念恩赦の落ちこぼれと申しますか、そういった関連事件がございまして、これが三十九件で二百七十一件、それから昭和四十六年、昨年一年におきましては二百八十三件、こういつた件数の状況になっておるのでございます。
○青柳委員 件数はいまお話しのとおりでございましょうが、私どもが関心を持ちますのは、その形態とか種類とか申しますものがどんなものであるかということなのでございますけれども、それはいろいろのものであって一口には言えないということかと思いますが、たとえば、最近沖繩恩赦で世論の関心をだいぶ集めております選挙違反なんかにつきまして、復権の恩赦をもらいたいのだというような申請があるのかどうか、そういう点もお尋ねしておきたいと思います。
○笛吹政府委員 公職選挙法違反関係もございます。
○青柳委員 先ほどの数字で、四十四年の百九十六件のほかに六百四十件、四十五年の二百三十二件のほかに三十九件、これが明治百年記念恩赦において落ちこぼれたものであるというお話でございましたが、その種類はどういったものでございますか。
○笛吹政府委員 この中の内訳は、ちょっといまのところわかりませんですが……。
○青柳委員 平時の場合、情状恩赦といわれておりました、要するに落ちこぼれというようなものではなくて、政令恩赦の直後というのではなく、一定の政令恩赦の適用を受ける者が一段落ついて、それから次の恩赦に至るまでの期間に出される情状恩赦といわれるものの中にも公職選挙法違反があるといたしますと、それはどういうような理由によって申請がなされ、また、それに対処をするにあたってはどういう配慮といいますか、審査が行なわれるのか、検討したことがございますか。
○笛吹政府委員 情状恩赦をいたします態度といたしましては、中央更生保護審査会におきまして十分内容を審査いたしまして、当該事件、事案の内容、その情状、それから当該出願者の犯罪後の状況、その後刑を終えたあとの状況など、すべての状況を慎重に審理いたします。また一般の社会に与えておる影響を十分考慮いたします。またさらに、この人の恩赦の必要性といったものも考えるわけでございますが、そういったすべての状況を慎重に考慮いたしまして、その者が恩赦相当であるかどうかを審理、審査いたしておるのでございます。 したがいまして、これは政令が出たあとのいわゆる落ちこぼれ、そういった時代ではなく、平素の時代でもそういう恩赦は実施されておるのでございまして、この中に公職選挙法違反も当然入っており、いろいろな種類の犯罪が入っておるのであります。
○青柳委員 お答えが非常に概括的で一般的でございますので、具体的な案件によって検討するが一番わかりやすいと思いますが、私は、不幸にして公職選挙法違反でどういうような事案が申請をされて、どういう措置を受けたかというようことをつまびらかにしておりませんから、これはおかしいじゃないかとか、あるいはこれは妥当ではないかというような点で意見が出ないのでございますが、要するに、この中央更生保護審査会が行なう法務大臣に対する恩赦の申し出、これの標準というのは、この犯罪者予防更生法の第二条の「運用の基準」というところに尽きるのじゃないかという感じもいたしますけれども、しかし、政令恩赦の際にいろいろと標準的なものが出ておりますが、これは一つの前例として大きな基準の中に入ってくるかどうか、それをお尋ねしたいと思います。
○笛吹政府委員 ちょっといまの御質問の趣旨を十分了解しかねておるのでございますが……。
○青柳委員 たとえば、政令恩赦の場合、大赦令あるいは減刑令などで強盗殺人罪のような者については、あるいはその他もたくさんありますが、全く除外をしているということが全部見てわかるのでございますけれども、そういうような者は情状恩赦の場合にもやはり一つの標準になるのかどうか。だから政令恩赦では強盗殺人罪は除外されておるけれども、情状恩赦の場合には、それとは無関係に考える余地があるというのかどうか、その結論だけ聞かしてもらいたい。
○笛吹政府委員 情状恩赦の場合、恩赦のいろいろな種類がございますので、一口に申しますとあるいは誤解を招くおそれもございますが、たとえば強盗殺人で無期懲役になって、相当長期間刑務所で服役いたしまして仮出獄になった者は、仮出獄で相当長期間保護観察いたしておりますが、その保護観察の成績が非常に良好であるといったような者でありますと、これは恩赦の特典を与えまして刑の執行の免除ということをいたしております。したがいまして、強盗殺人でも恩赦になるということは言えるわけでございますが、しかし特赦とか、そういったものにつきましては、ちょっといままでやっておりません。これは別に基準というものがあってやっておるわけではございません。
○青柳委員 わかりました。 そこで、運用上お尋ねするのですが、たとえば再審請求をしている方が恩赦を出願するという場合がありますけれども、再審請求をしている者はおおむね、その刑が不服であるというよりも、再審はおもに事実関係を争うわけでございますから無罪を主張しておる。こういう無罪をあくまでも主張する者が刑を免除してくれの、停止をしてくれの、軽くしてくれのという恩赦を出願するのは、理論的にはおかしいじゃないかという形で、事実上恩赦にはしてやらないというようなことがあり得るのかどうか。理屈から言えばそんな感じもいたしますけれども、しかし、確定判決を再審手続によってくつがえすということは、なかなか困難であるという現在の実情から見ますと、再審の結果無罪、青天白日の身になる可能性が百のうち非常に少ない。しかし、せめて恩赦のほうで死一等を減じられて無期懲役になる、あるいは先ほどのお話のように刑の一部執行免除ですか、そういう恩赦にあずかることを期待するというのも、私は人情だと思いますが、これはどう扱っておられますか。
○笛吹政府委員 ただいまの仰せのように、理屈からいいますと再審請求と恩赦とは矛盾するようなものでございますが、しかし、実際上の取り扱いといたしまして、再審請求が出ておるから恩赦は全然審査しない、そういったことはないようでございます。 ただ、再審請求がありますと刑事記録が全部裁判所へ行ってしまいますので、中央更生保護審査会もやはりその刑事記録に基づいて審理、審査しなければなりません関係上、どうしても再審が済んでからといったような事件が多いようでございます。
○青柳委員 それに関連して法務大臣にお尋ねをするのですが、非常に具体的なケースでございます。これはいわゆる帝銀事件といわれる戦後間もない時期に起こった不幸な事件でございますけれども、その犯人ということで確定判決を受けていまだに死刑の執行はされておりませんが、平沢貞通という方です。法務大臣がかわるたびに、ぜひ恩赦のことも考えていただきたい。あるいは恩赦は、法務大臣が最終的には決裁するので、中央更生保護審査会がやることですけれども、それにしても刑の執行はしばらく待っていただきたい。規定でいうと、恩赦請求がまだきまらないうちは執行は停止になっているようでございますけれども、いつ何どきこの恩赦のほうがだめということにならないとも限らない。本人に知らせがあったときには、もうすでに大臣の命令が出ておったというようなことがあると、これはたいへんな肩透かしといいますか、本人並びに関係者にとってみると実に抜き打ち的な感じを受けるわけでございまして、そういうような点については、やはり人情味のある配慮がとられることが望ましいと思うわけでございますが、法務大臣はどうお考えでいらっしゃいますか。
○前尾国務大臣 先ほど局長から御説明しましたように、主張がやや矛盾しておるようには思いますが、しかしそれはそれで、現在平沢氏につきましても、恩赦の出願もしている、また一面再審の申請も出ておる、こういうことでありますから、それはそれなりにやっていきたいのでありますが、ただいま、さっきの説明にもありましたように書類が非常に膨大になっておる。でありますから、あれをみんな委員が全部読むのに一年ぐらいは優にかかるらしいのです。そういうような関係で、その調節をどういうふうにやっていくかということが、私、非常に問題だと思います。具体的にその点はよく考えていくべき問題だ、かように思っておる次第でございます。
○沖本委員 関連して、ちょっと大臣にお伺いいたします。 仮釈放の基準についてでございますが、仮釈放の基準の中には、「本人が善良な社会人として自立するに最も適当と認められる時期にこれを許すもの」としている。それから中身だけ少し抜いて言いますと、「改俊の状があること。仮出獄期間中再犯の虞がないこと。社会の感情が仮出獄を是認すると認められること。」こういうふうな基準があるわけであります。すでにこういうふうな方々の中では、大阪大学の不正入試事件問題が出ております。これも仮出獄した人たちが犯しているわけです。大久保清の事件も同じことが言えるわけです。それからピストル事件、永山事件等もあるわけです。 そこで、私たちが疑問に思うことは、往々にしてこういう人たちが仮釈放中犯罪をいろいろ犯して、大きな問題を起こしてきている。そうなりますと、この更生保護審査会なりあるいは刑務所の中の審査の中身にいろいろな欠陥があるんじゃないだろうかということを考えざるを得ないわけであります。これは、ほかの方々も言っておりましたけれども、いろいろな条件としては、本人がむっつりだんまりであって、あまり外から見たものがよくないとか、その反面に、今度は非常に従順にして、まじめにつとめて、人当たりもいいとか、こういうふうな外見だけの問題で、本人にこんな条件ができてくる。あるいはまた仮釈放を受けられるようなお金の準備ができないとか、こういうことで、むしろ善良な、社会に出しても問題のない人が刑期一ぱい中でつとめて、そうでない者がむしろ逆に出てきている。そしてこういう事件を犯して社会にいろいろな迷惑をかけている、こういうことが言えるのじゃないかと思うわけでございますが、今度の法律改正にあたってはこのところが一番重大な問題じゃないか、私はこう考えられるわけでございます。 この点につきまして、今後の問題として非常にむずかしいことであろうとは思います。いろいろ観察してその中からきめていかなければならないわけですけれども、いわゆるこういう人たちを一定のところに囲っておくこと自体が、社会に対して犯罪を犯して迷惑をかけない、またあるいは犯罪を犯すおそれがある、こういうことのために監禁の方法をとるわけです。そういう中にあって、特に極悪な事件を犯す人たちがすっすっと出てきて、そして事件を再び犯しているのじゃないか。そういうところに何か欠陥があって、むしろ社会にこちらのほうから問題を投げかけてしまうようなことになるのじゃないか、こういうおそれがあるわけでありますが、大臣の御所見を承りたいと思います。
○前尾国務大臣 率直に申しますと、両方の面において、言いかえれば、仮釈放をするまでのいままでの行状といいますか、更生保護委員会が再犯の可能性についての判断が非常に困難である。反面から言えば、それにまだ十分な能力がないというような心配と、それから釈放しましたあと保護観察というものが十分にいっていない。保護司に預けるわけでありますが、保護司も、形式的にと言っちゃ悪いのでありますけれども、みんな献身的にはやっていただいてはおりますが、なかなか十分に保護観察はやっていただけない、こういう二つの面があると思います。 更生保護委員会は、御承知のように独立機関というのでありますが、これももちろん、刑務所内のいろいろな行状もさることながら、審査には 一々その人間に当たりましてやっておるわけでありますし、また従来の慣例からいいますと、刑期を七割でありますか八割つとめますと大体において出してやっておるというようなことでありまして、言いかえれば、一応判決の刑は終わったというふうに見るべき者、たとえば大久保清の場合とかそういう場合には、なるほど早く出してはおりますが、大体はもうそこらで出すということで、私はむしろこういう者については、保護観察という面でよほど強化していかないといけないのじゃないかというふうに考えております。 と申しまして、私は更生保護委員会なりあるいは刑務所内のいろいろな行状の審査というものが、万全であるとは決して考えておりません。その点についてはあらゆる面で今後研究すべきで、ことに犯罪についてのいわゆる精神医学というか、そういうような面の研究が日本では非常におくれているということを痛感しておるのであります。そういう面で、今後は刑務所内の行状なり観察なり、あるいはまたそれを矯正していくというような方法について新機軸を出していくべきじゃないかというふうに考えて、現在いろいろ研究してもらっておるわけであります。
○沖本委員 もう一点だけ、同じ内容になりますが……。結局、いま大臣のお答えでありますけれども、形式的に流れまして、いろいろな形式的な基準があって、形式的な基準に沿っていって仮釈放されたりするんじゃないだろうかという面が非常に多いわけです。それで結局大阪事件のときにも、刑務所内のつとめていらっしゃる方々の内容にも問題がいろいろ出てきたわけでございます。これは金嬉老事件からいろいろ検討されてきた中身でありますけれども、その辺がほんとうの連携がとれているようでなければならないんじゃないかというふうに考えられます。いわゆる形式的に流れていきますけれども、保護観察という面から考えてみても、これもまた形式的な保護観察に終わって問題点がはずされてしまっている。そこに犯罪の次の分を生み出す要素が出てくるんじゃないかという点もございますから、特に社会に迷惑をかけて、そして社会的な問題になって刑を受けておる方に関しては、本人の許される限りの人権の面は考えなければなりませんけれども、その上にやはり十分な観察なり何なりを持ちながら、仮出獄しても社会に再び事件を起こさないような何らかの方法なり何なりを講じておかなければ、この種のことはまた再び起きるんじゃないか、こういうふうな危惧が持たれるわけです。特に暴力犯に関しましては、もう単純にお礼参りがあるとか、あるいはどれくらいすれば出てこれるんだとか、金を幾ら積めばどうなるんだとかいうことが往々にして世間でいわれるわけです。そういうふうなことも、結局一般の社会人自体は、この種の人たちの事件に関しては、またやられるという危惧を持っておるわけですね。そういうものがきちっとされ、あとあと心配のないようなある程度のことが行なわれるようにしていただかなければならないんじゃないか、そういうふうに考えられるわけです。 あとずっとこの法案を審議する間に、いろいろな御質問はするつもりではおりますけれども、いま申し上げました内容について、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○前尾国務大臣 全くおっしゃるとおりで、私も率直に言って、要するに再犯を起こさせないとか、そういう面がいままで非常におろそかにされておる。言いかえれば、要するに犯罪者の捜査、そして判決をし、刑務所にほうり込むということに重点が置かれ過ぎておった。ですから、今後はむしろ重点を変えて、全く再犯をさせないということを中心にいろいろな問題を研究し、解決をしていくべきときに来ておる、かように思っておりますが、まだ私も具体的な面で、いま十分お答えするだけのあれがありませんから、局長から補足答弁をいたさせます。
○笛吹政府委員 大臣の御答弁につけ加えることもないのでございますが、私たち直接仮釈放あるいは保護観察の衝に当たっている者の考え方といたしましても、いま沖本委員の言われましたように、確かに対象者の人権というものを十分考えなければいけません。この人をいかにして更生させていかなければいかぬかという一つの要請と、それから社会の安全を守るといいますか、そういった要請との調和ということにいま非常に苦労しているわけでございます。 そのためには、刑務所に入っているその段階から矯正の方途を、私たちの保護の関係の者とが常に連絡いたしまして、矯正施設内における対象者の行状、情状その他環境の関係といったようなものを把握して、いかなる時点で仮釈放をするのが最も適当であるか、あるいはまたこの人は仮釈放に適しない人であるかというようなことも、常にデータを集めながら、矯正の長から申請がありました場合に、地方更生保護委員会のほうで的確な判断ができるといったような材料を集めておるわけでございます。 また、仮釈放になりまして保護観察に入りました場合におきましても、先ほど大臣もおっしゃいましたが、保護観察はいままで少し問題があったようでございます。しかし今後は、現在いろいろな措置を講じておるのでございますが、もうすでにあるいは御存じかもしれませんが、分類処遇というものをやっておりまして、対象者の処遇の難易と申しますか、更生の度合いがいいかよくないかといったような程度で判断するわけですが、その難易によりまして分類いたしまして、分類の度合いの強い者につきましては、保護観察官が直接観察する度合いを強めていく、そうでない者はある程度保護司のほうにおまかせしていくといったような色合いをまぜた保護観察をして、いろいろな多様性を持った保護観察をやっていくというようなことから、再犯を起こさせないようにしていきたいということにつとめておるわけでございます。
○沖本委員 これで終わりますが、大臣にお願いしたいわけですが、たとえにしますと非常に表現がまずいかもわかりませんが、チャップリンのガラス割りみたいに、片一方でガラスを割っては片一方でまたはめる、その次また割っているような悪循環の繰り返しがあってはならぬと考えられるわけです。それだけ社会不安が起きてくるわけでございますから、こういう点について何らかの方方法で厳重な、内容を充実したものをこの際つくり上げていただきたいわけでございます。その点について大臣……。
○前尾国務大臣 私も全く同感で、その面に就任以来いろいろと皆さんと御相談しながらやっておるわけでありますが、さらにもっと、率直に言いますと、いまの刑法でなしに新しい刑法にはいろいろなアイデアが入っておるわけです。だからまず新しい刑法を出して、そしてそのアイデアを活用することが最も肝心じゃないかというふうにも考えておりますし、また、これに従いまして刑務所についてももちろんやらなければなりません。そういうような点、できるだけその成案を急ぐと一緒に、もっともっと研究して、世界でもいろいろなことが行なわれておるのですから、そのデータをとって、いいものをどんどん日本に採用していくということで進みたいというふうに考えて、常々皆さんに申し上げておるわけであります。
○沖本委員 以上で終わります。
○青柳委員 引き続き先ほどに関連した質問を行ないますが、犯罪者予防更生法の第三条第二号は、地方更生保護委員会が行なった決定についての審査を行ない、裁決をするといとことになっております。地方更生保護委員会がした決定の種類というものはいろいろあると思うのですが、その中で、私どもがちょっと考えるところでは、たとえば仮出獄、仮出場、仮退院等の申請があって、それが許されないという決定が地方更生保護委員会のほうで出されたときに、これを中央更生保護審査会のほうで審査して、それを変更するとかいうようなことがあるのがいいのじゃないか、それが民主的な制度のあり方ではないかと思うのですが、そういうことは全然考えられていないのかどうか、お尋ねいたします。
○笛吹政府委員 仮釈放の申請でございますが、これは犯罪者予防更生法の二十九条にも載っておりますが、主として監獄の長から申請をするたてまえになっておるのでございます。その仮出獄対象者から申請する制度にはなっていないわけでございます。 本来この仮出獄というものは、御承知のように、刑法二十八条に定める要件が備わった場合の対象者につきまして審理するわけでございますが、そういった仮出獄そのものは、本人から権利として請求できる性質のものではございませんので、これは刑務所あるいは少年院、そういった施設の長が申請する権限を持つというたてまえになっております。したがいまして、その申請者である矯正施設の長の申請を却下したということがございましても、これは異議申し立ての対象にはならないわけでございます。
○青柳委員 その結果は当然服役中の人、刑の執行を受けている人に及ぶわけでございますので、制度的に言うならば、なるほどこの法律が二十九条で出願というか、出願は本人がするのかもしれないけれども、申請というものは監獄の長などがやるんだ、本人がやるんじゃないから却下されても、本人としては手も足も出ないのだ、手続上はそうなっているのかもしれません。しかし、この申請権といいますか、これはやはり監獄の長などにあるだから、この監獄の長が本人になりかわってといいますか、更生保護の任務を十分に遂行するために、中央保護審査会に異議申し立てをする道があってもおかしくはないのじゃないか。何か役人同士の争いごとのようにちょっと見えますけれども、決してそうではないというふうに私は思うのですが、この点は検討されたことがございませんでしょうか。
○笛吹政府委員 具体的に私、ちょっと経験したことはないのですけれども、ずっと前にそういうようなことを検討した時代があったようでございます。しかし、これはやはり制度のたてまえとして、申請権者だからといって国の機関が異議を申し立ててくるというものではない、これはたてまえからそういうようになって、結論は、やはり現在のような状況になっておるように聞いております。
○青柳委員 ここで議論ばかりしてもしようがありませんが、国の機関でも裁判所と検察庁というように任務が変わっておりますから、だから監獄の長が、これはもう仮釈放してもらってもよろしいと言ったところが、それを審査をする地方委員会のほうでは却下した、もう一つ上の中央審査会のほうへ持っていったら、さらに高い見地からそれが審査されて、申請者の希望するような結果になったということがあっても、これは少しもおかしくないし、また中央更生保護審査会の構成を見ましても、大体大臣が国会の承認を得て任命はされるのですけれども、普通の公務員とは違う特別職でございまして、しかも一党一派に偏しない、こういう歯どめのような規定があって、非常に民主的に運営される、そういうことが期待されているわけでございますから、そういうところで、仮釈放が許されなかったということははたして妥当であったかどうか、検討する価値があると思う。先ほども、仮釈放が乱用されるとまた弊害があるというようなことも議論があったようでございますけれども、私はやはりこの制度をもっと民主的に運営するのには、いまの点も検討される価値があるのではないかというふうに思いますが、時間もなんですから、その点は私の意見だけ申し述べます。 さらに第三号に進みますが、三号にはその他の事項というので、大体犯罪者予防更生法の第五十五条の規定に従って、関係人を呼び出し審問する権限などがそれに当たるという解釈だそうでありますが、この関係者を呼び出して審問する、それは必要があると思いますけれども、その手当といいますか、関係者として呼び出された人に対する国のほうの物質的な手当については、非常に不公正なものがあると私は思うのでございます。これは政令にまかされておって、現在政令によりますと、三十一年の百二十六号で改正されたものでございますけれども、日当が一日百十五円から二百三十円。現在、裁判所あるいは検察審査会などのほうでは日当は千七百円でございまして、百十五円とは、もうちょうどけたが一つ違うわけでございます。それから宿泊料は、甲地方千二百二十円、乙地方が九百八十円。ところが、裁判所等の宿泊料は、甲地方は二千七百円以内、乙地方は二千三百円以内。いずれも裁判所あるいは検察審査会の旅費、日当などは現状に沿うように修正されております、十分とは言えませんけれども。それにしても、この懸隔がはなはだしくあるわけですね。これを何とか是正するという考え方があるのかないのか、これをお尋ねしたいと思います。
○笛吹政府委員 御指摘のように日当、宿泊料、まことに安いわけでございまして、これは何とも申しわけない次第でございますが、現在非常に安いということは私たちも痛感しておりますので、これは大蔵当局ともよく連絡をとりまして、もっと増額するように検討をいたしておる最中でございます。 なお、私たちあるいは審査会、委員会のほうの考え方では、できるだけ自分らのほうから出かけていくというたてまえにはしておりますけれども、いかにいたしましてもこの規定によりまする金額は低いということは、これはもうまことに申しわけないことでございますので、これは早急に何とか是正したい、このように考えまして検討中でございます。
○青柳委員 昭和三十一年のときから現在まで月日が相当たっているのですが、単に検討するというような段階はもう過ぎて、政令の改正を直ちに行なうということではないかと思うのです。これはもちろん予算措置等の裏づけがなければできないことではございますけれども、政令を変えてそしてどんどん実施する中で金が必要になってくる、当然これは予算要求をするということになるので、まず法務省のほうの政令を改正するという姿勢がきまり、それが実施されないと、大蔵省のほうは別にみずから進んでその分の予算を法務省のほうへつけてくれるということはないわけなんですね。だから、この点検討するというのも、もうそう長い期間検討する必要はないと思うのですが、その点だけお尋ねしたいと思います。
○笛吹政府委員 早急に御趣旨に沿えるように努力をいたします。
○青柳委員 終わります。
○松澤委員長 沖本泰幸君。
○沖本委員 法務省から出ております「保護観察読本」、これによりますと、この中の「更生保護の意味」という中に、まん中を抜いて読んでみますと、「更生保護は、人を社会に生きかえらせる仕事であり、人間に人間らしい生活と栄光をとりもどさせる人助けの仕事であるから、」云々というところから、「この更生保護は、社会のためにはどんな意義があるだろうか。これについては、簡単に言いつくすことはできないが、一つはっきりしていることは、」という点で、「犯罪者が更生すれば再犯がなくなり、非行少年が更生すれば非行がなくなる、ということである。だから更生保護は、社会にとっては、すくなくとも先ず、犯罪や非行の再発を防いで社会を護る、という大切な役割をするのである。要約すれば、更生保護は、人を助けて再犯の防止をする方法であるから、刑事政策上の最良の方法であり、個人の利益と社会の利益を同時に確保する重要な事業である。」こういうふうにうたわれておるわけです。 これはこのとおりだろうと思いますけれども、それでは実際にこの更生保護のお仕事をおやりになった歴史があると思いますけれども、その中でどういうふうな業績を、まあしろうと目にわかる、一般国民にわかるような表現の方法として、大体こういうことがおもに行なわれてきたからこれは必要なんだ、これからも大いに役割りを果たすのだ、そういうふうなものはお持ちじゃございませんでしょうか。
○笛吹政府委員 やはり保護観察の結果がどのような状況であるかということをおわかりいただきますと、一番はっきりするのじゃないかと思っておるわけでございます。 そこで、保護観察の期間終了、まあいろいろな形で終了するわけでございますが、保護観察の期間を終了いたしましたときに、成績が良好で終了する者と、成績が悪くて、ひどい者は再犯を犯して取り消されたりなどして収容することになりまするけれども、良好という成績をもって終了する、あるいは家裁からの少年の観察処分のような者でも、再犯をしないで解除になるといったような、良好な成績で終了する者の最近のパーセンテージを申し上げたいと思います。 昭和四十一年には、この保護観察を終了いたしました全体の者の数の四三・八%が良好でございます。四十二年になりますと四六・一%、四十三年が四八・八%、四十四年が五一・四%、四十五年が五三・二%となっておるのでございます。四十六年はまだちょっと数字が出ておりませんので恐縮ですが、四十五年までを見ますと、年々やはりこのパーセンテージが上がっているということから、これは保護観察期間だけでございますから、この期間終了後また何をしでかすか、これは私のほうでフォローできませんのでわかりませんですが、その期間だけを見ますと、こういったように年々成績が上がっておるということで、これは相当保護観察の効果があがっておるのだと考えておるのでございます。 〔委員長退席、大竹委員長代理着席〕
○沖本委員 大体法務省関係のこういうお仕事は、ほとんどじみなことで、世間にあまり知られない。陰でいろいろ社会の安全のためにやっていらっしゃる。社会不安を除こうという面はいろいろわかるわけですが、この面に関して皮肉な考え方をもって見ますと、これは仮出所あるいは仮退院の一つの制度であって、そこのほうで申請をすれば出られるという一つの機関ではないか、そういうふうな働きを持った制度であるというふうな、こういう問題に関係する人たちの頭の中がそういうふうになっているのじゃないか。外からこれを利用しようとする人、こちらから利用しようとする人たちは、その点だけで考えられているのじゃないか。そういう役割りのために、刑務所の中の審査制度と外からの審査制度で、国会の二院制度のような形でこういう内容のものがあって、それが一つの制度として、そこの門を通らないと実際社会に出られないのだ、こういう役割りで終わっているのじゃないか、こう皮肉な考え方を持てば持てないこともないということになるわけです。 ですから、先ほどから御質問しておることは、実際受刑者自体、あるいは少年院なり何なりに入っている人たちが、そういう制度の中からりっぱな善良な社会人として、あるいは国民としての生活を取り戻せるようになるということが大事なんですけれども、そうするには、中にどういう機関があるか、どういう網の目があって、それからセレクトされていってちゃんとなっていくような内容があるのか。ただ保護観察官あるいは保護司、そういう方々がじっと観察する、本人から申告がある、あるいはたずねてくる、あるいは見ている、そういう関係筋だけで本人の状態を観察して、その結果成績の割り出しが行なわれておるのか、その辺が私たちには非常に疑問なんです。その点についてお答え願いたいと思います。
○笛吹政府委員 何といいますか、実質的な保護観察、そういったことをどのようにやっておるかということになるかと思います。 御承知のように、保護観察は、保護観察官と保護司とが協力してやっておるのでございますが、保護観察官は心理学とか教育学とかあるいは社会学とか、そういった専門的な知識を持って、そしてまた常時トレーニングを受けてやっておる専門家でございます。保護司は大体民間の方から出られた、そういった専門家でない方が多いわけでございます。しかしながら民間におって、何といいますか、役人でないところの気持ちで、そういった雰囲気を対象者に伝える。またその地域に住んでおられる方が保護司になられるものですから、地域の状況がよくわかっておる。またその家庭その他その対象者の日常をよく把握しておられるという方になっていただいておるのが普通でございますので、そういった観察官と保護司との組み合わせによりまして、常時対象者がどういう行動をしておるか、またどういう気持ちの動きを持っておるのだろうかということをできるだけ把握して、それに対応した措置を講じなければいけないときには早く講ずるというようなことでやってまいっておるのでございます。これがうまくいけば失敗することはないのでございますけれども、失敗例もございますから、御指摘を受けるようなことになるのでございますけれども、私たちの気持ちとしては、そのようなつもりでできるだけのことはやっておるのでございます。
○沖本委員 ちょっと話が横道のほうへいくわけなんですが、この間も私、地元のほうで御年輩の保護司さんとそういう問題について話し合いをしたわけなんですが、保護司の方を有給にしてはどうですかと私よく申し上げているのですけれども、そういう考え方でお話し合いをしてみたのです。むしろ有給にしたほうがまずいのじゃないかというお考えを述べていらっしゃいました。その保護司さんは、無給でやるということになりますと、非常に意欲的な方でなうればこれはできないということで、その人のおことばの中に出てきたのですけれども、結果的にはやる人とやらない人とがはっきりしてくる。ただ肩書きだけを持っておって、そのまま期間を過ごしていく方、それから今度は、やる人は熱心にやっている、この二つに分類される、こういうふうなことを言われておりました。また、その方が言っておるのは、案外保護司のやる仕事に対して目を通していない。あるいはその地方自治体の長、県知事であるとか市長であるとかいう人たちの、そういう人たちに対しての目の向け方というものが機械的で、何かの会合で認識する程度のことであって、社会的に果たす役割りについてはほとんど考えられていない、こういう点も例をあげておっしゃっておられました。 そういうところで考えられることは、こういう仕事に携わる方々の年齢の問題も以前から申し上げておるわけですけれども、現在の少年なら少年に例をとって申し上げますと、思想的な問題、社会の環境改善、こういうものが、いまわれわれは人間疎外であるとか人間尊重であるとか、生命尊重であるとか、この国全体がいろいろな問題の中に巻き込まれている現状なんです。そういうところで何を果たしていくのかということに問題が出てくると思うわけです。そうすると、そういう方々が現在の社会情勢あるいはいろいろな環境を、どういう角度から見ながら仕事をしていらっしゃるか。極端な例を言うと、この前も言いましたけれども、ゴーゴーをおどっていたら、もうその人はある程度社会的によくない少年である、そういう外から見た一面だけで結論を出す、そうするとその人の報告書というものは違った角度でできてくる、こういうことになってくるわけです。そうすると、その辺で具体的に保護観察を受ける人、これは成人あるいは成人に満たない人に関しても、深くその人の生活の中に入った観察というものがなかったらとらえられないと思うのです。それが機械的にただ、本人から一定期間のときに申し出があるとか、元気でやっておりますとか、いまこうしておりますというだけをとらえておる、そういうところに、事件を起こしてくるような落とし穴があったりいろんなものがあると思うのです。 ですから、こういう人々が十分に役割りを果たせばある程度防げるが、その辺に、私はどうしても現在の内容にもう一つしっくりいかないものを感じるわけなんです。その点はばく然とした御質問ですけれども、どうでございますか。
○笛吹政府委員 まことに的をついた御質問でございまして、まず保護司の有給、無給の問題でございますが、これは前から若干そういった御意見を承ったこともあるのでございますが、いまおっしゃいました保護司さんのように、保護司の大部分の方は無給のほうがわれわれとしてはやりがいがある、こういう気持ちでおられるようでございます。やはり報酬をもらってやっておる仕事じゃないんだ、われわれがほんとうに世の中から犯罪をなくしたいという気持ちから、こういった犯罪あるいは非行におちいった人たちを更生さしていきたいんだという心からの気持で、熱意でやっておられる方が非常に多いようでございます。 ただ、中には、保護司にはなっておるけれども、結局そういった面ではやっておられないという方が形の上では出てくるわけです。というのは、保護観察になっておる対象者を持っていないという保護司もおられるわけですが、これはまたその中で、大部分の人は地域の犯罪防止といいますか、犯罪予防、そういった思想の啓発の面でいろいろ、地域のちょっとした名士の方がおられますから、そういった面で活躍をされておるというのが多いように思われます。これが結局はそういった広い意味におきまして、そういう犯罪を犯した対象者をよくすることにもなりますし、もっと広い、社会から犯罪をなくすることに貢献されておるんだと思っておるのでございます。 ただ、対象者を持っておられる保護司にいたしましても、いま申されましたように、保護観察を単に機械的にやっておるということではこれは実があがりません。対象者が月一回向こうから来る、こっちが一回行く、あるいは二回行く、あるいは二回来る、こういったことで、おまえが来たから判こを押すということで済ましておったんでは、これは保護観察の実はあがらないわけでございますので、その対象者の実質、先ほど申しましたようにどういった気持ちの動きがあるか、またこのごろの子供などの考え方というものが変わってきておりますので、そういった思想的な問題もあれば、考え方の断層といったものもありますので、その断層をつくらないようにつとめて、対象者の気持ちをよく把握して動きをつかんでいくということが必要だろうと思っておりますが、そういった意味におきまして、私たちのほうでは保護司の会と協力いたしまして、私たちのほう自身もやっておりますが、保護司会を指導いたしまして、できるだけ研修の会をつくっております。そして保護司を集めましてどういうようにやっていくかということをお互いに研修し合って、保護技術あるいは知識の向上をはかるということをいたしておりまして、これによって保護観察を充実したものにしていきたいと考えておるわけでございます。
○沖本委員 先ほども申し上げたんですが、仮出獄許可の基準ですが、二度繰り返すようなことになったらいけないと思いますけれども、この内容で、先ほど申し上げましたように、「刑法第二十八条又は少年法第五十八条の規定による期間を経過していること。改俊の状があること。仮出獄期間中再犯の虞がないこと。社会の感情が仮出獄を是認すると認められること。善良な社会人として自立することを期待することができない者であっても、前各号に該当し、且つ、刑期の大半を経過し、行刑成績良好な者で、保護観察に付することが本人の改善に役立つと認められるときは、仮出獄を許すことができる。」こうあるのですが、先ほど大臣のお答えの中にもあったわけですけれども、「刑期の大半を経過し、」と、ほぼ大体余すところなくなって出さなければいかぬ、そういうふうな機械的な問題の中にいろいろ問題があるのじゃないだろうか。先ほど大臣のお答えですと、刑法全面改正に待つ、その中にいろいろなアイデアが入っているということをおっしゃっておられましたけれども、これはまだまだなかなかいろいろ問題点がありまして、その中に期待できることは非常にむずかしいわけでありますけれども、はたしてこの基準でいまたえ得るのかどうかということになるわけです。 そこで、この基準に従って刑務所のほうでもこの問題をいろいろ審査していらっしゃる。また、月に何回とか一定期間を設けて吸い上げてきてはいろいろ検討していらっしゃいますね。この更生保護委員会との関連性ですね、両方の関連性、こっちから書類が回ってそれを検討なさって中へ入っていくのか、そういうふうな具体的な内容はどういうふうな形をとっていらっしゃるのか。
○笛吹政府委員 先ほどもちょっとおっしゃいましたが、矯正施設の中における行刑成績とかそういったものと仮釈放というものが非常に密接な関係を持っておりますので、私どもの出先機関である保護観察所なりあるいは地方更生保護委員会の職員は、常に矯正施設と連絡をとっております。 具体的に申し上げますと、対象者は、収容されまして矯正施設の中に入りますとすぐ身上調査書というものが、矯正施設からその帰住するであろう帰住予定地を管轄する保護観察所に送られるわけでございます。それによりまして保護観察所が、われわれ環境と申しておりますけれども、その対象者の環境の調査を始めるわけでございます。これはまだいつ釈放になるかわからない非常に遠い時期でありまするけれども、そういったときからそういうことを始めまして、そして刑法なり少年法なりに規定されております期間、これをわれわれは応当日と申しておりますが、応当日が参りますと、施設のほうから応当日経過通告というものが地方更生保護委員会のほうに参るわけでございます。普通はこの応当日の通告があって——なければちょっと保護のほうではわからないわけでございますが、この応当日の経過通告がございまして大体仮釈放の準備にかかるわけでございますが、それから仮釈放の申請があるまで、これまたそれぞれの人によりまして期間がございます。その間に矯正施設のほうでは、行刑の成績あるいは犯罪の状況その他の状況をいろいろ検討しまして、矯正施設の意見としてこれを仮釈放の申請をすべきかどうかということを判断するわけでございます。そのためには、ある程度のランクに上がっておらなければいけないわけでございますけれども、そういう段階で仮釈放の申請をしてくるわけでございます。地方更生保護委員会はその申請を受けて審理をすることになるのでございますけれども、それでは十分ではないということを考えまして、私たちのほうでは、最近その申請がある前に仮釈放の準備調査というものをいたしております。それは、申請がまだない段階におきまして保護観察官、地方更生保護委員会の事務局に所属する保護観察官をして、施設の中に行って本人に面接させて、いろいろな状況を聴取して、その本人の改俊の状とかそういったものを見るとともに、その環境の状況も聴取いたしまして、仮釈放に適するかどうか、あるいは適する環境があるかどうか、その環境をどう調整すればいいのかといったようなことを検討いたしまして、調整すべきものは調整するということをいたしておるのでございます。 その後、申請がありましてから、いよいよ主査委員というものを任命いたしまして主査委員の審理が始まる、こういう段階になって、その矯正のほうとは連絡をとりながら、しかもその法律で規定されておる申請があったあとに動き出すというのじゃなくして、その前からすでに実際上は動いて、その仮釈放というものを充実した、慎重でしかも間違いのない、しかもまた対象者にとってほんとうに更生させるべき者は更生させ得るような状況で仮釈放したいというようなことで進んでおるのでございます。
○沖本委員 そうしますと、ちょっとお伺いしたいのですが、刑務所の中で重刑者ですね、重い、長い刑を受けている、長期刑あるいは無期刑とかに該当する人たちで、仮出獄をした人たちの数はどれくらいか、その中でまた事件を起こして戻ったのはどれくらいあるか、参考になるような数字をお示しいただきたいと思います。
○笛吹政府委員 無期刑の仮釈放の問題でございますが、これはあまり古くから言いますと数字が多くなって御参考にもなりませんので、昭和四十四年、四十五年、四十六年の三年間で、地方更生保護委員会が審理いたしました無期刑の者の仮出獄の取り消しの状況を申し上げますと大体おわかりが願うと思うのでございます。これは、無期刑で何か犯罪を犯したら全部取り消しになるわけではございませんけれども、まあ取り消しになるのが多いようでございますが、これは五十二件審理いたしまして、仮出獄の取り消しの決定のあったのが三年間で二十一件でございます。残りは、何か再犯もあったのでしょうが、それほど重くないということで取り消しにはしていないというのがあるわけでございます。
○沖本委員 そうしますと、この無期刑や長期刑に付せられている人たちが、あらゆる機会の恩典を自分で利用して仮出獄をなさっている期間は、おもにどういうふうな方法を講じながら、本人の立場とそれから保護観察していらっしゃる側の立場との連携ですね、そういうものはどういうふうになっておるのでしょうか。
○笛吹政府委員 これは、こういった長期収容しておった者が突然社会に出ますといろいろ問題もあるのでございますが、先ほども申しましたように、早くから環境の調査、調整をいたします。したがいまして、この対象者が仮出獄で出た場合にどこへ帰住するか、これは相当むずかしい問題になってくるわけでございます。こういった人たちの中には、家族が引き受けないという人もあります。自分らのほうでは引き受けられないという人もあります。そういうところへこれは無理に帰住させるわけにもまいりません。そこで、そういった人たちをその家族でないだれか引き受けてくれる人があれば、そういう人に引き受けてもらって、その者の仮出獄中の日常の生活を世話を見ていただく。これはもちろん保護観察になりますから保護司がつく、保護観察官もつくわけでございまするけれども、それとともにそういった日常の生活を世話していただく人がやはり必要ではないか、こういうふうに思っておるわけでございます。 そして、どこでどういった仕事をやるか、就職の問題ですが、そういったことも考えていかなければいけません。生活、就職、そういったことが目鼻がつきませんとまた再犯のもとになりますから、そういったことも十分環境調査、調整をいたさなければいけません。それで、どこにも帰住することのできないような者でありましても非常に行刑成績もよく、改俊の状も明らかであるとして仮釈放に適するような者がありますれば、これはさらに更生保護会などに委託いたしまして、まあ若干の期間ではございまするけれども更生保護会で生活をし、そしてどこかに就職を世話してやって就職させて生活の道を立てさしていく、そのうちに本人が完全に自立するようになるのを促進さすというようなことも考えておるのでございます。
○沖本委員 いまの御答弁を伺っていますと、大臣がおっしゃったように、あと残りの少ない人が出ていって、あとの分を刑務所で過ごすかわりに社会復帰するための期間を、そういうところを設けて、その間に観察しながら、刑期一ぱい終わらしたような形で終えるというふうな感じにとれるのですが、そういう意味でおっしゃったわけですか。
○笛吹政府委員 いまの更生保護会の施設の存在は、まさにそのとおりでございます。
○沖本委員 私の家の近所にもそういう施設があるのです。私は大阪の西成ですがあるのですけれども、それには問題がありますからまた日を改めていろいろお伺いしたいとは思っておりますけれども、私、その辺に何か問題があるのじゃないかとどうしても勘ぐりたくなってくるんですね。結局、引き受け人がないというのは安全でないということになるんですね。その辺の基準の置き方、そういうものにも問題があるのではないか、こうも考えられるわけです。というのは、たとえば大阪で不正入試事件が起きたときに殺された人も長期刑だったわけです。たしかそうだったと思うのですがね。ほとんど長期刑の人たちだけであの事件が起きたということであり、その間に豪華な外車を乗り回していたということも問題だったわけですね。そういう問題をとらえて私は申し上げているわけです。ですから長期刑の人たちが仮出所して、その長期刑の人たちで連携をとりながら事件を起こしたという、最も合っている事件があの事件じゃなかったかと思うわけですね。殺人事件まで巻き起こし、大きな社会不安を起こしたわけですから、そういう問題が起きているのに、ただわれわれは出してやることだけを考えて、あと保護観察の中に入っていって、そのワクの中でいろいろやっている分だけ見ていけばいいんだ、あと再犯をしてくるのは、これは期間を過ぎた分であるから、そういうことはタッチできないんだというふうな区分されたお考えを持っていると、大きな間違いになってくるのじゃないか、こういうふうに考えられます。社会人的な考え方から申すと、そういうふうな社会不安を起こすおそれのあるような人は出てもらいたくない、いてもらいたい。ただし本人にも人権があるわけですから、その点も考えなければならないということになりますけれども、私はそういうところにもつともっと考えなければならない大きな、深い問題があるのじゃないか、こういうふうに考えられるわけでございます。 まだたくさん質問の材料がありますので、続きものにいたしまして、きょうはこれくらいにして、質問を留保させていただきたいと思います。
○大竹委員長代理 次回は、明十九日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時三分散会