法務委員会 第13号
- 発言数
- 100 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1972/04/11
会議録
○松澤委員長 これより会議を開きます。 理事辞任の件についておはかりいたします。 理事畑和君から理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 引き続き、理事の補欠選任を行なうのでありますが、先例により委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松澤委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長は、理事に中谷鉄也君を指名いたします。 ————◇—————
○松澤委員長 高橋英吉君外七名提出、火炎びんの使用等の処罰に関する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷鉄也君。
○中谷委員 法務省にお尋ねをいたしたいと思います。 火炎びんの使用等の処罰に関する法律案の必要性と緊急性、これらの問題を資料的に御説明をいただきたいと思うのであります。 火炎びんの使用等の処罰に関する法律案関係資料四三ページによりますと、「火炎びんの製造、所持、運搬等の処罰可能な現行法規一覧」として番号一ないし一一が記載されているわけでありますけれども、同じく資料といたしましては、昭和四十三年より今日に至る「火炎びんの使用押収状況」等が資料として記載されております。したがいまして、お尋ねいたしたい第一点は、番号一ないし一一に関する現在までの検挙件数、起訴件数をこの機会に明確にされたい。 以上であります。
○當別當説明員 お答えいたします。 昭和四十二年から昭和四十六年までの間におきまして、学生らを中心といたします集団暴力事犯につきまして、起訴いたしました件数は合計六千二百九十三人ということになっておるわけでございます。 この起訴いたしました学生らに対します適用の罪名でございますが、これは公務執行妨害あるいは放火未遂、放火予備、殺人予備、傷害、凶器準備集合といろいろな態様にわたっておるわけでございますが、総括いたしまして六千二百九十三名という数になります。
○中谷委員 重ねてお尋ねをいたします。資料四三ページには、「火炎びんの製造、所持、運搬等の処罰可能な現行法規一覧」が出ているわけであります。したがいまして、現行法を活用して一ないし一一のこれらの違反の態様というか、現行の法規関係において昭和四十三年以降どの程度の件数が検挙されましたか、及び検挙の結果起訴された件数は何件でありますかという、火炎びんの製造、所持、運搬等の処罰可能な現行法規の運用について、第一問はお尋ねをしている次第であります。
○當別當説明員 お答えいたします。 関係資料の四三ページに処罰可能な現行法規一覧が記載されておるわけでございますが、このうち最も適用を多く見ておりますのが、八番の軽犯罪法一条二号、九番の放火目的の所持、十番の殺人目的の所持、十一番のいわゆる凶器準備集合罪でございます。その他の犯罪につきましては、ほとんど適用した例がございません。 したがいまして、八番から十一番までについて申し上げますと、放火予備で四十二年から四十六年までの五年間に起訴いたしました被告人の数は合計二名でございます。殺人容疑で起訴いたしました数は合計二十七名でございます。また、軽犯罪法違反で起訴いたしました被告人の数は合計三十二名でございます。一方、凶器準備集合罪で起訴いたしました被告人の数は合計三千五百八十四名となっております。
○中谷委員 三千五百八十四名というのは、共同加害目的を有する準備集合として凶器を所持した刑法二百八条ノ二、そうしてその場合の凶器が火炎びんであった件数というふうに伺ってよろしいわけですね。
○當別當説明員 主たる凶器は火炎びんでございますが、火炎びん以外にも、いわゆる鉄棒だとかあるいはその他の凶器が含まれておるわけでございます。
○中谷委員 内訳を述べてください。
○當別當説明員 現在までのわれわれの調べによりまして、火炎びんのみを所持しておる犯罪者につきまして、これが二人以上の者の共同加害の目的で集まりました場合に凶器準備集合罪を適用した件数というのはつまびらかにいたしておりませんが、大体現在、申し上げました数の半数近くに達しておるものと考えておるわけでございます。
○中谷委員 すでに資料の収集等については、法務省が努力をしておられるわけですから、この点についての資料はすでに明確なものがあるという前提でお尋ねをいたしますが、つまびらかにしないけれども、ほぼ半数であるという根拠は、何に基づくものですか。
○當別當説明員 お答えいたします。 凶器準備集合罪を適用いたします犯罪の実態を見ますと、非常に多数の被告人が共同加害の目的で集合いたしました場合に、それぞれの被告人によって火炎びんを所持しておる者もおれば、鉄棒その他の凶器を所持しておる者もございます関係で、ただいま申し上げました起訴の被告人の数三千五百八十四名一人一人について見ますと、当該その一人が、必ずしも火炎びんを所持しておらなかった場合でありましても、いわゆる集合の状態においてその一団が火炎びんを所持しておるという事態もございますので、大体概数といたしまして半数程度と申し上げたわけでございます。
○中谷委員 概数はいいのですが、鉄棒その他凶器たり得るものというのが、裁判例等でもほぼ判例が積み重ねられてきているわけですが、それが凶器準備集合罪で起訴した者のうちの半数が火炎びんだと言われた、その根拠はどこに求めておられるのですか。それは起訴状か何かを集計せられた結果そういうふうにお答えになっておられるのですか、それともそれは参事官の従来のこの種事案に対する経験からお話しになっておられるのですかと、こうお聞きしているわけです。
○當別當説明員 起訴状について逐一各被告人ごとに、その所持しておった凶器が火炎びんである場合の、その合計の被告人の数は何名かということは集計しておりませんが、大体の実態の報告あたりから換算いたしまして、約半数は火炎びんを所持しておるというように申し上げたわけでございます。
○中谷委員 そこで、起訴件数についてお話がありましたが、検挙件数あるいは検察庁の関係で申しますと、送検された件数あるいは勾留請求をされた件数などでお答えはいただけますか。 〔委員長退席、大竹委員長代理着席〕
○辻政府委員 火炎びん使用事犯の検察庁受理並びに起訴件数ということでございますが、私どもの調べによりますと、火炎びんが使用され始めましたのは、最近におきましては、昭和四十三年十月十四日の福島県の郡山所在の日大工学部校舎の放火事件から始まるわけでございますが、それから本年の三月十三日の陸上自衛隊熊本基地の侵入火炎びん投てき事件までの間に発生いたしました件数について申し上げますと、火炎びんを使用いたしました事件として検察庁が受理いたしましたのは合計一万二千九百二十三名でございます。そのうち起訴いたしましたのが三千百八十名、不起訴が六千百四十五名、家裁送致が二千九百九十三名、未済が六百十五名、かような数になっております。
○中谷委員 受理件数で、起訴されなかった以外の者の内訳はわかりますか。
○辻政府委員 ただいま申し上げました数字で、不起訴が六千百四十五名、家裁送致が二千九百九十三名でございますが……。
○中谷委員 不起訴の内訳はわかりますか。
○辻政府委員 この内訳は、起訴猶予とかあるいは嫌疑なしという区分については現在承知いたしておりません。調べればわかるわけでございますが、この内訳は現在わかりません。
○中谷委員 集団犯罪の検挙の一つのむずかしさというのは、犯人の特定が非常にしにくいというような点にあろうかと思うのですが、反面、集団犯罪の検挙にあたっての問題点というのは、誤認逮捕が行なわれる可能性がかなりあるのではないかというふうな点が問題になろうかと私は思います。 そこで、本法案についても、人権の侵犯等があってはならないということは強く指摘されてしかるべき点であります。そういう点で、不起訴の件数の内訳、なかんずく起訴猶予以外の件数が一体どの程度あるのか。起訴猶予以外の件数というのは、逆に申しますと、さらに質問が発展をしていきまして、本来嫌疑なしで検挙された者が逮捕、勾留の処分を受けているということになりますと、誤認逮捕のそしりさえも受けざるを得ない場合があり得るかとも思うのであります。そういう点から、この点についてお答えを私はぜひいただきたいと思うのです。法務省のほうでは残念ながら資料がないようでありますので、警察庁のほうに資料がありましたらお答えをいただきたいと思います。
○富田(朝)政府委員 お答え申し上げます。 警察といたしましては、ただいまそのような資料を実は持っておりませんので、正確にお答えできないわけでございますが、昭和四十二年十月以来四十六年の末日まで検挙をいたしました過激派学生の数は二万八千三百六十七名でございまして、このうち勾留の容認をされました数は一万七千七百八十人名、起訴になりました数は、私どもの調べによりますと五千五十五名、家裁送りになりました数は六千二十八名、かような数字でございます。
○中谷委員 私がきょうぜひ知りたかったこと、また、この点は知っておかなければ、やはり火炎びん法案そのものの運用の面でも問題点になるだろうと思うのは、不起訴の内容がやはり一点あろうかと思うのです。その点についてお答えがないわけですが、非常にむずかしいことでなければ、質問を留保しておきますので、午後の委員会における本法案の私の保留質問の際にお答えをいただきたいと思うのであります。 次に、火炎びん法案の法定刑の問題に関連をしてお尋ねをいたしておきますけれども、起訴された件数の中において、すでに結審を見たものは何件ありますか。そうしてその刑については、裁判所はどのような量刑をされたでしょうか、法務省のほうからお答えいただきたいと思います。
○辻政府委員 火炎びんを伴う事犯で、すでに結審した事件の科刑状況はいかんという御指摘でございますけれども、これは御案内のとおりいろいろなほかの罪名がついておるわけでございまして、しかも、それぞれ情状がいろいろ違うわけでございます。そこで、的確に火炎びんで幾らというふうにはもちろん出てこないわけでございます。火炎びんを伴う事犯ということで申し上げざるを得ないのでございますけれども、現在、実刑を受けました者では三年というのが多いわけでございます。ほかに放火とか放火の未遂であるとか、殺人予備であるとか殺人未遂であるとか、そういうものを伴っていない事犯では、大体三年というのが多いようでございます。最高が三年というような事例になっておるようでございます。
○中谷委員 もう一度お尋ねしますが、そうすると、「火炎びんの製造、所持、運搬等の処罰可能な現行法規一覧」による八ないし一一、特に九ないし一一の放火目的所持等、殺人目的所持等、二人以上の者の共同加害目的を有する準備集合、その他火炎びんの使用によって適用さるべき現行法、刑法その他等による量刑についての実証的なあるいはまた統計的なお答えは、いただけないということになるのでしょうか。重ねてお尋ねをいたしまするけれども、火炎びんの使用に伴う事案は、火炎びんについての単独立法が現在ないわけでありまするから、ほぼ三年程度とおっしゃっているのは、罪名でいえば何と何とが一体の事案ということに相なるのでございましょうか。これらについて、すでに結審をされたものについての全体的な御答弁をまずいただき、そうしてそれらについての統計的な面に触れてお尋ねをしているわけですので、お答えいただきたいと思います。
○辻政府委員 はなはだ整理しにくい問題でございまして、いわゆる過激派集団の第一次羽田事件以来の適用罪名、これは別に統計といいますか、資料がございます。そのうちで火炎びんが使われた事件、これのまた科刑の状況という二つの仕組みというようなかっこうになるのでございますが、御指摘のうちで火炎びんを使用いたしました事件、先ほど申しました四十二件につきまして、事件名、たとえば日大工学部放火事件というものはこうなっておる、東大事件はこうなっておるという形の資料はただいま申し上げられるわけでございますけれども、いわゆる過激派集団事件の全般についての科刑、しかもそれは罪名との関係でいろいろ組み合わせがございまして、その科刑状況というのは、ただいまできていないわけでございます。
○中谷委員 例が四十二件であるなら、むしろ例を出すことは簡単でございますね、四十二件ということになれば。四十二件はすぐ出るわけでございますね。
○辻政府委員 火炎びんを使用いたしました四十二件は出るわけでございますが、これは他にどういう罪名が伴っておるかが、ちょっとここではわからないということでございます。
○中谷委員 最終日ですので、どうもわからないというお答えが出るのは気にかかるのですが、どういうふうな罪名に火炎びん使用が触れて、あるいはまたどのような犯罪と一所為数法あるいは併合罪その他いろいろな問題を生じておるのか。では、その起訴された被告人の罪名ということでお答えいただけますか。
○辻政府委員 まず、これは現在、御承知のように火炎びんという犯罪はないわけでございますので、現在まで過激派集団につきまして適用いたしました罪名を申し上げたいと思うのでございますが、一番多いのが凶器準備集合罪でございます。これが三千六百六十二名、次が公務執行妨害、これが三千百十四名、建造物侵入千百二十二名、威力業務妨害六百九十四名、傷害七百十九名、暴力行為等処罰二関スル法律三百四十八名というのが多い順でございます。 それから、重い罪名が適用されておりますものは放火六十八名、放火未遂三十二名、殺人未遂三十六名、傷害致死四十五名、逮捕監禁致傷百二十名、往来妨害九十一名、電車汽車往来危険三名、強盗三十二名、強盗傷人七名、強盗殺人四名、爆発物取締罰則違反五十四名、破壊活動防止法違反六名、航空法の危険罪、これが十四名、かような形になっております。これは過激派集団の昭和四十二年から四十六年までの状況でございます。
○中谷委員 過激派集団の犯罪件数、罪名についてお尋ねしているわけではないわけでございましょう。要するに、火炎びん使用に伴うすでに結審された者の量刑について述べてください。ただし、火炎びんの単独立法はないわけですから、それが他の法令に触れてまいりますね。そういう者についての量刑はいかが現行法のもとにおいては相なっておるのでしょうかという質問について、答えをもとに戻していただけばいいと思うのです。大体三年程度と承知しておりますと局長はお答えいただいたわけですから、それはどの罪名とどの罪名が組み合わされたものである、そういうことをお答えいただければいいわけであって、私自身、もう当然きょう御準備いただいてきている問題だと思ってお尋ねしているわけですけれども、要するに、業務上過失致死傷の刑法改正のときのような資料としてお答えをいただければいいわけでありまして、あたりまえのことを聞いているつもりなんです。
○辻政府委員 たいへん恐縮でございます。それでは火炎びんが使用されました、先ほど来申し上げております四十二件につきまして、事件別に申し上げさせていただきたいと思うのでございます。 まず、最初の日大工学部放火事件、これは全員不起訴でございます。二名ですが、二名不起訴。そういうことを言いますと非常に数が多うございますから、受理件数の大きい事件だけに限って申し上げてまいりたいと思いますが、次はいわゆる東大事件でございます。東大事件は八百十八名受理いたしまして、五百五十六名起訴いたしております。これは実刑二年というのが一番高いのでございまして、二年と六月の間に科刑が集中いたしております。そのうちには執行猶予もございます。次に多いのが四十四年の四月二十八日の沖繩デー事件でございます。これは千四十九名受理いたしまして、二百三十三名起訴いたしております。これも東大事件と同様二年が最高で、二年と六月との間に科刑が散らばっておりまして、これは実刑と執行猶予がございます。次に受理件数の多いのが、四十四年の六月のいわゆるASPACの静岡の事件でございます。これは二百八十七名受理いたしまして、四十三名起訴をいたしております。これは一年と六月の間に科刑がきまっておりまして、これは執行猶予でありますが、それはおそらく、早く確定しておりますので、情状のよろしい人だけではないかと思うのでございます。それから四十四年九月の早大事件、これは百四名受理いたしまして、十七名起訴いたしております。これも一年から六月の間に科刑がきまっております。それから四十四年九月の京大封鎖解除妨害事件、これが百二十二名受理いたしまして、四十四名起訴いたしております。これは懲役六月で執行猶予ということに相なっております。それから四十四年九月三十日の日大奪還闘争事件、これは受理人員が三百六十一名で、二十名起訴いたしております。これは科刑が二年と一年の間になっておりまして、これは執行猶予判決でございます。次に多いのが四十四年十月二十一日の国際反戦デー事件でございまして、受理人員が千三百二十三名、起訴が四百九十五名で、これは最高が三年、下が六月ということで実刑判決と猶予判決が入りまじっているわけでございます。それから、次は四十四年十一月十三日の総理訪米阻止闘争事件、これは百二十三名受理いたしまして、二十人名起訴いたしておりますが、これも科刑は三年から六月の間になっております。これは猶予判決でございます。それから非常に多いのが四十四年の十一月十六日、十七日にかけて行なわれました、やはり総理訪米阻止闘争事件でございまして、受理が二千三十八名、起訴が五百六十八名、これは三年と六月の間に科刑が行なわれておりまして、実刑と執行猶予がまざっておるわけでございます。それから同様四十五年の六月のいわゆる安保闘争事件、これは合計三回にわたっておりますけれども、合計で約九百名近い検挙者がございまして、起訴が二百十一名、これも三年から六月の間に科刑が行なわれておるということでございます。それから大きいのは四十五年六月の沖繩闘争事件、これが検挙者千十八名で、起訴が八十名、これは二年から六月の間に科刑が散らばっておるわけでございます。 こういうような状況でございますが、その場合に各事件にどういう罪名が伴っておるかということは、一つ一つきわめて明確には現在できないのでございますが、通常多いのは凶器準備集合、公務執行妨害、威力業務妨害、暴力行為等処罰ニ関スル法律違反、この四つの罪名で起訴しておる者がおそらく大部分であろうと思われるわけでございます。 それから、私が申し上げましたこの科刑の状況が比較的軽いと申しますか、軽い上に猶予判決が相当ついておるのでございますけれども、これはいわゆる公判の途中におきまして、統一、分離というような形の公判が行なわれまして、大体集団から脱落した方——脱落といいますか、離れた方は分離公判になるわけでございます。こういう方につきましては、公判が早く進みまして先に事件が確定していく、そういう者については勢い執行猶予判決が多いということでございまして、現在でも係属中のものにつきましては、相当情状の悪い者が確定せずになお係属中であるという状況でございます。
○中谷委員 現に係属している事案、あるいは起訴されてその後なお審理を続行している事案というのは、同時期に起訴された事案に比べて、被告人の争い方あるいはまた罪名の多い少ない、あるいは事実認定の容易、困難等々いろいろな内容があって、一がいに言えないと思うのでありますけれども、局長が御答弁になったように、起訴事由を認めてそうして結審を急いだという事案が、罪名等において数が少ないということになってまいりますと、量刑等において、同時期に起訴された者よりも軽いのだろうかという一応の推定は成り立つと思うのでありますけれども、はたしてそのように言えるのかどうか。ことに、統一公判要求というふうなものがどのような内容を持っておって、それが罪名が多いということがイコール統一公判というようなものと結びつくのかどうかというふうな点についても、必ずしも明らかではないと思うのであります。 そこで、法定刑の関係でお尋ねをいたしたいと思うのでありますけれども、高橋先生あるいは羽田野先生のほうからお答えをいただければ私、幸いだと思うのでありますけれども、いまの裁判所の量刑というのが、大体六月から二年あるいは二年から重くて三年、この間に集中をいたしておるようにお聞きをいたしました。そういう点から、いまあらためてお尋ねしたいと思いますけれども、本案において第二条で、「人の生命、身体又は財産に危険を生じさせた者は、十年以下の懲役に処する。」こうあることと、現に先ほど私、少し詳しくお聞きし過ぎたくらいお聞きをいたしましたけれども、量刑が六月ないし三年あるいは六月ないし二年というふうに理解をしてもよかろうかと思いますが、そのあたりに集中しておるという点をどのように理解したらよろしいのでしょうか、このあたりについてお尋ねをいたしたいと思います。もちろん、こういう点についてお尋ねを申し上げる私自身が、たとえば窃盗罪が十年以下ということに相なっておりまして、窃盗罪の量刑というものの集中度をとってみますと、八月から二年程度のところに集中しているだろうというようなことについての想像あるいは理解もあるわけでありますけれども、十年が適当とされている論拠を、現に火炎びんを使用して行なわれている犯行の量刑との比較考察の中においてお答えをいただきたい、こういう点であります。
○羽田野議員 いまの御質問でございますが、この二条の法定刑を十年以下の懲役にいたしましたのは、大体刑法犯とのバランスにおきまして、身体に対する傷害の場合に十年以下の懲役ということで、罰金刑その他もございますが、大体そういうことに相なっております。それから財産に対する侵害というものは、おおむねいまの例にも出ましたように、窃盗の場合でも詐欺、恐喝の場合でも、大体十年以下ということに相なっております。 本件の場合は、生命、身体あるいは財産に危険を生じさせた者というものであり、しかも使用したものが火炎びんであるという場合には、やはりそういう刑法犯とのバランスにおきまして、十年以下の懲役ということが妥当であるということで、こういう案をつくったわけでございます。
○中谷委員 いまの点についてでありますが、人の生命、身体または財産に対して被害を与えたということに相なりますれば、当然現行刑法の規定があるわけでありますね。生命に危険を与えた場合は、傷害致死あるいは殺人、殺人未遂ということに相なる。身体に被害を生じさせた場合には、暴行あるいはまた傷害ということに相なること、これはもう羽田野提案者が御説明になったとおりでありますが、だとするならば、具体的危険を生ぜしめた者がそれらと同列の十年の刑ではたして妥当なのかどうか、このあたりの解明というものはいかがでございましょうか。
○羽田野議員 本件におきまして最も重点を置きましたのは、結果というよりもその手段でございます。たとえば、いまの傷害にしても、あるいは財産犯にしても、結果においてはむしろそちらのほうが、そういう実際に実害が生じた場合にこれを処罰する、それが十年であるのに、この場合は、危険を生ぜしめただけで十年というのは、重いのではないかというような御意見だろうと思うのでありますが、本件の場合では、いま申し上げるように、結果よりもむしろ手段、火炎びんを使うという手段、たとえばこっそり入って人のものを盗むとか、あるいは単に手でなぐって相手に黒ずみを生じさしたとかいうような手段でなくして、非常に危険な火炎びんを使ったという手段のほうに重点を置きまして、こういう手段をもってそして危険を生ぜしめたという場合には、やはりその手段が危険でなくて結果が発生した場合と、結局両方あわせ考えればす同列に処すべきだというような考え方でございます。
○中谷委員 法定制が十年であることが妥当かどうか、具体的危険を生じさせた者が、現に被害を与えた他の法定刑と全く同一であっていいのかどうか、この点は一つ論点として残るだろうと思います。 そこで、次にお尋ねをしたいと思うのでありまするけれども、この火炎びんの使用等の処罰に関する法律案について、第二条に十年以下の懲役のほかに罰金刑を付加することの可否、それを問題点として私は考えるわけなんです。この点についての御見解を承っておきたいと思います。
○羽田野議員 私は、いまの考え方といたしましては、火炎びんを使ってこういう危険を生ぜしめた者という場合には、やはり懲役刑をもって処するということで、罰金刑の選択はせないことのほうが妥当ではないかというふうに考えております。 その理由は、こういうことでございます。いま現実の法定刑から言いますと、十年以下の懲役の場合に罰金刑を科する、懲役または罰金というような刑を定めたものがございますが、この多くは、本来の刑法犯でなくして、いろいろな財産犯あるいは法定犯の場合にさようなものがございます。刑法犯にも典型的なものとして身体を傷つけた、いわゆる傷害罪において懲役と罰金というものがございます。そういうことから見れば、罰金刑をつけてもいいんじゃないかという考え方も確かに一つの御見解だと思いますが、私は、本件の場合には、先ほど申し上げましたように、その使用器具、いわゆる火炎びんというものの危険性、非常に重大な結果を招来するおそれがあるというものを使ったという場合は、罰金刑はつけないほうがよろしいのではないかということで、こういう案をつくったわけでございます。
○中谷委員 政府委員である刑事局長にお尋ねをしたいと思いますが、改正刑法草案の考え方というのは、判決の宣告猶予であるとか、あるいはまたその他かなり総則の面において新しい制度が取り入れられようとしている。特に保安処分等については、これは将来非常に論議を呼ぶところでありますけれども、このような考え方というのもある。そういうふうな中で、各則において、かなり量刑の面においても現行刑法と異なるような法定刑が導入されようとしているというふうな中で、本法案は議員立法であって法制審議会の検討の対象になっていないわけですけれども、本法案の法定刑と改正刑法草案の量刑の考え方との間には、矛盾あるいはそごというふうなものはございませんか。
○辻政府委員 本法案に定められております法定刑と、改正刑法草案の法定刑との考え方はどうかという御指摘でございますが、私は、結論的に言いまして何ら矛盾はないのみならず、改正刑法草案ということを前提にいたしまして、この法律案に規定されております法定刑は、適当なものであるというふうに考えております。
○中谷委員 十年以下の懲役と規定された現行法の中で、そうして改正刑法草案の中で、罰金刑が「又は」との関係において付加されておるもの、これはどの罪名になるんでしょうか。
○辻政府委員 現行刑法につきましては、御承知のとおり法定刑で十年以下の懲役がありまして、なお選択刑として罰金刑があるというのは傷害罪であります。それ以外には、懲役十年ということにつきましてはないというふうに理解をいたしております。改正刑法草案のほうは、ちょっといま直ちに正確にお答えできるかどうか、やや自信がないのでございますが、大体変わりがないのではなかろうかというふうに思っております。
○中谷委員 これは刑事局長御専門ですから、こんなことはどの条文ということを、お手元に資料を差し上げれば直ちにお答えできることであって、たまたまあなたは御持参にならなかったわけですけれども、改正刑法草案の二百三十条公文書偽造、それから同じく二百三十一条の虚偽公文書の作成等、これは当然被害法益が違いますけれども、罰金刑、しかもかなり重い罰金刑が付せられておること、これは言うまでもないことでございますね。したがいまして、私が申し上げたいのは、被害法益が違った場合であって、十年以下というものに罰金刑を付するということが、それほど奇異あるいは法の体系を乱すものなのだろうかどうかというふうな問題の指摘なのであります。同時に、たとえば私が指摘をしたいのは、改正刑法草案の中では、二百二十条については三十万円以下の罰金であるとか、あるいは同じく二百三十一条についても三十万円以下の罰金というふうに、罰金の額をかなり上げているということは、私自身が申し上げるまでもないことであります。 そういうふうな点からいたしますと、必ずしも新しい単独立法である火炎びん法案、と以下申し上げますけれども、それに十年以下の懲役と罰金刑を科するということが、それほど法の体系を乱るものではないのではないか。また、先ほどの不起訴率等の内訳がさだかではありませんけれども、起訴猶予制度というものを活用するという以外に、罰金刑を付しておくことが、ある場合においてはいい面があるのではないか。これらの点について、私は問題として提起をしておきたいのです。もちろんこの点について、私自身、法案のいろいろな角度から、いろいろな立場からの見解があることは承知をいたしておりますので、私自身の見解を固執するものではありませんけれども、疑義だけは一応解明しておく、そういう意見もあったということは、会議録にとどめておくべきだろうと思うのです。この点についての局長の御見解はいかがでしょうか。
○辻政府委員 ただいま御指摘のとおり、改正刑法草案におきまして、たとえば第二百三十条の公文書の偽造という点につきましては、御指摘のとおり十年以下の懲役または三十万円以下の罰金というのがございます。私、先ほどの答弁でやや粗雑なお答えを申し上げて申しわけなかったのでございますが、御指摘のとおりこういう罰条がございます。これはただいま御指摘のように法益が違うという点でございまして、公の信用を害する罪であろうと思うのでございますけれども、これはまたこれで一つの考え方があろうと思うのでございます。 そこで、御指摘の点まことにごもっともでございますけれども、一面また罰金刑の刑罰としての効果というものにつきまして、私どもかねがね考えておるわけでございますが、御承知のとおり罰金刑といいますものは、いわゆる刑罰の機能のうちで一般予防という機能はたいへんあるのでございますが、犯人の改過遷善という意味の特別予防という機能につきましては、この機能が薄いという性格を罰金刑は本来的に持っておるわけでございまして、この火炎びん関係の事犯、特に火炎びんの使用事犯という公共の安全を害する罪というようなことを犯す犯人につきましては、この一般予防的な効果というものはそれほど重要なものではないんじゃなかろうか。それよりもやはり特別予防という機能を重視すべき刑罰が盛られてしかるべきなのではなかろうかというふうに考えておるわけでございまして、この第二条の使用事犯につきましては、これを犯すと思われる犯人との関係におきまして、罰金刑というものは、必ずしもそぐうものとは言えないというふうにいま考えておる次第でございます。
○中谷委員 次に、警察庁にお尋ねをいたしたいと思いますが、資料の四七ページであります。「火炎びんの使用押収状況」についての資料が記載されております。昭和四十三年、使用四十、押収九、昭和四十四年、使用七千二百八十一、押収が一万五十、昭和四十五年、使用二百八十八、押収六百二十一、昭和四十六年、使用四千五百六十七、押収六千七百八十三ということに相なっているわけであります。これは資料のとおり申し上げました。 そこで、押収関係についてお尋ねをいたしたいと思うのでありまするけれども、押収及び使用の本数についてこの資料は記載されているわけでありますが、その押収をした件数は何回に及ぶのか。これはどういうことに相なるでしょうか。
○富田(朝)政府委員 押収した数量につきましては、ただいま先生お読み上げのとおりでございますが、押収した件数ごとに押収した本数をまとめた統計は実はございません。主要な例で申し上げてみたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
○中谷委員 いいです。 次に、この押収というのは、任意提出あるいは任意領置といわれているものは含むのですか、含まないのですか。
○富田(朝)政府委員 ただいま御指摘のようなものは含んでおります。
○中谷委員 そこで、資料の準備をしていただいていると思いますが、押収の形態を、法律根拠を含めてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
○富田(朝)政府委員 押収の形態といたしましては、火炎びん使用によりまする具体的な事案に対しまする捜索差し押え許可状の執行によりまして押収したもの、あるいはその火炎びんの使用が予想されるような現場の周辺におきまする事前の検索等によりまして発見をいたし領置をいたしたもの、こういうものがございますが、若干の例について申し上げたいと思います。 昭和四十四年三月一日に押収した事案でございますが、京都大学の教養学部構内で、その前日法経教室で開かれた教養学部代議員大会というのに過激暴力学生が押しかけまして火炎びん等を投げつけた、こういう事案に関連をいたしまして、その過激暴力学生の指導をしております自治会の部屋につきまして、傷害、暴力行為等の容疑の令状によりまして捜索をしました結果、角材、鉄パイプ、火炎びん等三十四件、千五百九十五点を発見、押収いたしましたが、その中で、火炎びん四百十七本を押収いたしております。 同じく昭和四十四年十月の二十一日に、いわゆる国際反戦デー闘争というものに関連をいたしまして逮捕をした被疑者の自供によりまして、これの準備のために同年の十月の十五日から十七日にかけまして、某大学の研究所におきまして火炎びんを製造し、同時に、その後製造した火炎びんを新宿区のあるアパートに運び込んだということが判明をいたしましたので、凶器準備集合並びに公務執行妨害の容疑で捜索差し押え許可状の発行を得まして、同年の十一月二日にアパートの居室を捜索をいたしまして、火炎びん六十五本を発見、押収した、こういう事例がございます。 それから、いわゆる証拠物として領置をいたしました例を一例だけつけ加えて申し上げたいと思います。これは昨年の十一月十九日に千葉県の成田に所在いたしまする新東京国際空港建設用地に対しまする第二次代執行のあと、いわゆる極左暴力学生等がゲリラ活動を続けておったわけでございますが、それの警戒のために付近の山中を警戒いたしておりましたところ、成田市の天神峰八十番地先の県有林内で、段ボールの箱を発見いたしましてあけましたところが、火炎びん四百七十七本が格納されておりましたので、凶準の証拠物として領置をいたした、こういうような例がございます。先ほど御指摘のように、犯人が遺留したような形のものを任意に押収をしたというものも相当数ございます。
○中谷委員 そうすると、もう一度お尋ねいたしまするけれども、本法案の論点の一つは、所持あるいは製造等についての処罰の法条がなければ、火炎びんそのものの適切な取り締まりができないのだという点にあったと思います。その関係で、あらためて押収関係をお尋ねをいたしているわけであります。 そうすると、証拠物として任意に領置をしたというふうな場合、遺留されたものを所有者不明のままで任意領置ということに相なるのでしょうか。そういうふうにおっしゃったと思うのですけれども、領置されたという場合、所有者不明のものが任意領置になるのか、どういうことなのか、その点が理解いたしかねますが、いま、領置された場合とおっしゃった。あるいはいま一つは、いわゆる被疑者のほうから任意提出をされたものというふうなものはあるわけでしょうか。 なお、ここに押収されている火炎びんというのは、本法案にいう火炎びんに限るのか、いわゆる火炎びんに至るもの、法案第三条二項の修正案に当たるようなもの——修正案というよりも、三条二項について、われわれがそれを修正しようとして論議したようなものも含むのか、そういうものは含んでおらない趣旨なのか、この点はどうでございましょうか、あらためてこの点についてお尋ねいたしておきたいと思います。
○富田(朝)政府委員 ただいまお尋ねの件につきましては、これはいわゆるこの法案でいう完成品でございます。
○中谷委員 もう一度お尋ねいたしますけれども、任意領置された関係の割合と、それからその根拠といいますか、それは任意領置しかないわけですけれども、それはどの程度の本数になるのでしょうか。先ほど御答弁をいただいたと思うのですが、その点、具体的な例としてお話しになったので必ずしも明確でなかったと思うのですが、この押収本数のうち、任意領置あるいは任意提出を受けて、結局任意なものは一体どの程度あるのでしょうか。
○富田(朝)政府委員 これは、内容的にそういう分類集計を実はいたしておりませんが、令状等によりまして押収したものは、私のいろいろな事件の際に報告を受けました記憶等の感じから申しますと、非常にそういう令状による押収品は少なかったと、かように記憶をいたしております。
○中谷委員 要するに、令状によるものが少ないということですが、逆に言うと何が多いのでしょうか。現場に遺留されたものを押収したものが主として多いのでしょうか。令状によったものが非常に少ないとおっしゃったわけですね。そして令状によらないものが大部分を占める。そうすると、令状によらないものの内訳はどういうことに相なるのでしょうか。
○富田(朝)政府委員 先ほど現場におきまする例をちょっと申し上げましたけれども、警戒の一つの態様といたしまして、事前にその周辺の疑わしい場所の検索等を、一般の方並びに警察官の被害防止というような観点からいろいろやっておりますが、そういう際に、遺留というような形で置かれておるものを領置するというケースが多かったように記憶いたしております。ただし、相当の闘争を行なったあとその現場から立ち去っておるというような場合に、先ほども例で申し上げましたが、差し押え許可状等によって各構内の捜索、それで一件としては相当の数を押収している場合もございます。しかし、全体数から見ますると、いま申し上げたような記憶を私は強く持っております。
○中谷委員 任意提出を求めて、それを拒まれたという例もあるのでしょうか。
○富田(朝)政府委員 闘争の現場に近いような場所等で、職務質問その他等をいたしましたような場合、あるいは闘争現場で検挙活動に入っておりますような場合、そういうあとに遺留していくというような場合が相当ございます。 〔大竹委員長代理退席、委員長着席〕 したがいまして、そういうような場合で押収するようなものが多い。したがいまして、任意提出というのはあまり私の記憶にはございません。
○中谷委員 そうすると、重ねてお尋ねをいたしますけれども、任意提出というものはほとんどない。犯行現場における押収、しかもそれは遺留されたものの領置が大部分である。捜索令状によるものはある。しかしそれは全体の中においてそれほど多いものではない。その捜索令状によるものというのは、捜索令状の基本になる罪名、これは一体、従来どのような罪名に基づく捜索が行なわれたわけでしょうか。
○富田(朝)政府委員 凶器準備集合罪、あるいは公務執行妨害罪、あるいは放火予備等でございます。
○中谷委員 それらの罪名によって、証拠物として本法にいう火炎びんを押収をするということが行なわれてきたと言われているわけですが、本法案がないために押収ができなかったというふうな場合は、具体的にあるのでしょうか。
○富田(朝)政府委員 これは、たとえば単独の人間が火炎びんらしいものを隠し持っているというようなことで、大体推定はつくけれども、御承知の軽犯罪法等のたてまえもございまして、それを見のがさざるを得なかったというような例等は聞いております。
○中谷委員 具体的に火炎びんの製造、所持、運搬等の処罰可能な現行法規のうち、八の軽犯罪法の一条の二号等をお引きになったわけですけれども、そうすると、こういう場合に見のがさざるを得なかったというのは、職務質問その他の行為に及んで、結局それを任意領置されなかったという趣旨なのか、それとも、職務質問にも及ばなかった、こういうふうな趣旨なのか、具体的な例というのがあるとすれば、この点は私、かなり関心を持たざるを得ない点ですので、どういうふうな例であるのか、先ほどお話がありましたけれども、お答えいただきたいと思います。
○富田(朝)政府委員 具体的な例をただいま正確にちょっと記憶をいたしておりませんけれども、いわゆる任意提出を拒んだというようなことではなく、結果としては提出を拒んでいるわけですけれども、職務質問いたしましたその本人のいた場所あるいは隠し持っておる状況等から、いわゆる軽犯罪法にいう隠し持っておるという状況にならない、まあやや隠し持って歩いているというような形、それからその場所等、また本人が行き先等については全く答えないというような、そうした諸状況が総合されまして、警察官としては非常に重要な関心を持ったわけでありますけれども措置に及ばなかった、こういうことだと思います。
○中谷委員 設例としては、そんな場合があるということはよくわかるのですけれども、現実の職務執行法の運用の中でそんな例がはたしてあったのでしょうか。そういうことがあればある意味では非常に重大だし、ある意味では警職法が全く、何といいますか、刑法学者が厳格に理解しているような警職法の運用が警察においてもなされておって、まさにそれはわれわれとしては想像することもできない、何か刑法学者が警職法を運用しておられるようなお話を伺うわけです。局長のおっしゃるような設例は幾らでも私あり得ると思うのですが、こういうふうな例がもしありとするならば、これはもう具体的なものとして、私は何月何日そういうことがあったというふうな、これは本庁報告事項というようなことがあるかどうかわかりませんけれども、そういうことがあろうかとも思うくらいなんです。むしろ、そういうことはもうたくさんそういう例があって、とにかくそういう例は枚挙にいとまがないために、警職法その他による職質等もできないんだというふうなことなのか。それとも、いま局長がお話しになったようなことは、例としてはこういうふうな例を設例できるということでおっしゃったのか。このあたりはいかがでしょうか。
○富田(朝)政府委員 私、その具体的な場所その他についての記憶がはっきりございません。したがいまして、お尋ねのように、正確にものを申せということでございますので、そういう意味から申しますと、一応こういうような警職法の運用並びに軽犯罪法の運用、こういうことである。また、軽犯罪法以外にも凶器準備集合罪等の場合におきましては、これはやはり共同加害の目的あるいはその集合の態様、こういうふうなところから、なかなか具体的に検挙に及ばない、及べない、こういうようなことは、凶器準備集合罪等の場合には幾つかの例があったと記憶しております。
○中谷委員 いまおっしゃったのは、凶器準備集合罪には当たらなく、したがって、凶器準備集合罪の他の構成要件を充足すれば、凶器としての火炎びんを持っている、こういう場合があるという趣旨の御答弁でございますね。 そこで、大臣がおいでになるまでに、あと政府委員に対する同僚委員の質問もありますので、私これは大臣にお尋ねしたい点でもありますが、法務省政府委員にお尋ねをしておきたい点が一点あります。 今度のこの火炎びん法案については、議員立法という形でこの法案を制定することについてわれわれ努力をいたしているわけであります。そこで、そういうふうな中でお尋ねをいたしたいのですけれども、先ほどの話に戻りますが、改正刑法草案のこの審議は、昭和三十一年の十月に刑法の全面改正の作業を始めるために法務省内に刑法改正準備会が設けられ、そうして昭和三十八年の五月の二十日に法制審議会に対して諮問がなされた、こういう経過であることはもうお互いに承知をいたしているところでありますが、そういう法制審議会の中において、この火炎びん法案にかかわるような、これに類するような法案についてのことが審議され、問題として提起をされたという経過は一体あるのかないのか、この点をひとつお尋ねをしておきたいのであります。 なお、前回参考人として出席をされました平出教授がお話しになっておられましたけれども、火炎びんには一つの戦後における歴史とその足取りがある。そうして先ほどお話があったように、昭和四十三年に、あるいは四十二年の後半に火炎びんというものが使用された、こういうふうな一つのできごとといいますか、社会的な現象というものがある。こんな中で審議会の関係においては、私は刑事局長にお尋ねをいたしたいと思うのですが、そういうふうなできごとの経過の中において警察庁としては、この火炎びん法案等についてはどのようなお考えをお持ちになって、立法努力について今日までどのような作業あるいは努力を続けてきておられたのか、このあたりについてのお答えをしておいていただきたいと思うのです。
○辻政府委員 刑法改正の作業におきまして、火炎びん問題が議論されたかどうかという点でございますが、この点につきましては、この刑法改正作業の参考案として定められておりました改正刑法準備草案、これの第百八十六条の二項というのがございます。これはまさしく火炎びんというものを一つの考え方の中心として議論をし、でき上がった条文でございます。この条文は、「爆発物に類する破壊力を有する物を使用した者は、十年以下の懲役又は禁固に処する。」というこの改正刑法準備草案があったわけでございます。この爆発物に類する破壊力を有する物というのが、たとえばこれは火炎びんであるということで、この火炎びんを前提にして法制審議会の刑事法特別部会において議論されたわけでございますが、その際に、火炎びんだけを爆発物に類する破壊力を有する物ということは言えないのではなかろうか。ほかに火炎びんと同様に爆発物に類する破壊力を有する物もあるかもしれないということで、それを全部含めて規定するということは、なかなかむずかしいということが第一点。かりに火炎びんだけを改正刑法の中に取り入れるということになりますと、火炎びんだけを刑法に特定して取り入れるということは、刑法の体系上必ずしもふさわしくないということで、参考案として提示されておりました爆発物に関する罪の第百八十六条二項というものは、これは刑法には取り入れない。火炎びんについて立法の必要があるならば、これは特別法として制定していただくほうが適当であろうということが、改正刑法の審議の過程におきまして刑事法特別部会において審議され、決定されたわけでございます。 かようなわけで、今回の改正刑法草案には、改正刑法準備草案の第百八十六条二項に当たるものは削除されておるわけでございまして、これは特別法としてやっていただくのが適当であるという趣旨から出たものでございます。
○中谷委員 爆発物に類する破壊力を有する物という刑法改正準備草案が、その以前の、特に未定稿の爆発物に近い危険性を有する物というのを改めたものであって、その後、それが削除されたという経過はわかりました。その削除をされて、そうして特別立法をもってすべきだというところまで、審議会がそういう意思表示をされたとすれば、それはいつの時点でしょうか。
○辻政府委員 これは、正確にちょっといま日がわかりませんが、刑法改正作業の刑事法特別部会の審議のわりあい初期のころであったと思われますから、四十二、三年ではなかったかと思われるのでございします。
○中谷委員 重ねてお尋ねをしますけれども、それは特別立法をすべきだ、刑法から抜いて単独立法にすべきだという審議会のほうの意向は、明確に確認をしておいてよろしいでしょうね。
○辻政府委員 これは時期は四十三年でございます。このときには、刑法としては火炎びんという特別なものを入れることはふさわしくない、これを立法の必要があるならば、刑法と別に規定すべきである、こういう考え方でございました。
○中谷委員 大事な点でありますので、重ねて伺いますが、必要であるならば、刑法に入れるべきではないという点に審議会の意見はウエートがあるのですか。必要である、しかし、刑法に入れるのは適当でないので、単独立法とすべきだという点が審議会の意見なんでしょうか。この点をお尋ねしたいのです。
○辻政府委員 この法制審議会の刑事法特別部会は、刑法の全面改正の要旨を議論いたしておるわけでございまして、すべて刑法に取り入れるべきかどうかということが議論の中心でございます。したがいまして、火炎びんを刑法に取り入れないというほうがむしろ主でございますが、その結論が出る過程におきまして、必要であるならば特別法で規定すべきであって、これは特別法の領域であるから、自分からの審議会のほうでは議論をしない、こういう経過になっておるわけでございます。
○中谷委員 そこで、先ほど質問しておりますけれども、そういう経過を踏まえて警察庁にお尋ねをいたしたいと思いますが、警察庁がそういう法制審議会の審議過程を通じて、火炎びん等の法案が必要である、そういう立法を期待するというふうなことについて、意思表示をされたのはいつなんでしょうか。
○富田(朝)政府委員 先ほども若干触れて御説明をいたしましたが、現在の法の体系から、火炎びん使用事犯という非常な危険な状態、こういう本のを極力防止したい、こういう観点から、実は何らかの立法というようなことをずいぶん前から、四十三年に火炎びんが投げられ出しましてから、非常な期待を持ち、痛感をしておったわけでございます。 ところが、いまお話しのように、刑法の改正草案の論議の過程で、いまのような経過等で流れたというようなこと等もございまして、そこで、私どもとしては、事務的にはいろいろな角度から実は検討をいたしておりましたが、昭和四十六年に至りまして大量の火炎びんが使用される、しかもその過程におきまして、四名の警察官が火炎びん等によりまして殉職をする、こういうような事態も出てまいりました。これは法の運用と、並びに受傷防止の装備というものと、いろいろこれに対応させて開発していくべき面等もくふう、努力をしてまいりましたが、やはりこういう状態というのは今後も続くというふうにも、極左暴力集団の状況から申しますと考えられますので、昨年、たしかああいう殉職事案のあった直後、われわれが検討しておりました事務的な考え方等につきまして、法務省にも連絡をいたしたというふうに記憶をいたします。
○中谷委員 そうすると、法務省としてはそういう意思表示、連絡を受けられて、どういうような措置をおとりになったのでしょうか。
○辻政府委員 法務省におきましても、昭和四十三年に始まる過激派集団の火炎びん事犯というものにつきまして、これは火炎びん立法というものが必要であるんじゃないかという観点から鋭意検討も、警察庁とも一応連絡いたしまして進めておったわけでございます。
○中谷委員 そこで、最後に一点だけ警察庁にお尋ねしておきたいと思いますが、現在、法案提案理由の中に記載されている、いわゆる一部不法分子といわれている者、こういうふうな者の集団の指名手配を受けている人の数、保釈、逃走中の人を含んで一体どういうことに相なっているのでしょうか、未逮捕者の数というのは一体どのようなことになっておるのでしょうか、こういうふうな点についてお答えをいただきたいわけであります。 それから、本法案が活発かつひんぱんに適用されるという事態、そういうふうな事態が起こるということは、われわれとしては非常に残念なことだ、非常にそういうことは危険なことであり、そういう反社会的な行為が行なわれることについては、まさにそういう事象そのものがなくなることを期待し、そのことについて努力をしなければいけないと思うのです。 そこで、お尋ねをしたいのですけれども、先ほども答弁されたように、昭和四十六年の使用本数は、昭和四十五年の使用本数二百八十八本に比較いたしまして四千五百六十七本と、これは異常な増加であることは、資料そして先ほどの答弁によって明らかでありますが、このような傾向というものは、今後とも続くというふうに見通しをされるのかどうか。四十七年はたまたま統計資料としては浮かび上がってきていないわけでありますけれども、四十七年においては、使用本数はどのようなものとして大体把握をされるか。そうしてこのような不祥なできごと、反社会的な行為、一部不法分子のこのような火炎びん使用という行為が、さらに今後とも続くであろうという見通しにお立ちになっているのか。 以上の点について御答弁をいただいて、私の質問は一応留保して、あと大臣の出座を待って質問を続行いたしたいし、同時に、若干先ほど保留をした問題等につきましては、あらためてお尋ねいたしたい。あるいは政府委員のほうからいま発言を求めていただいてもけっこうでありますが、いまのことについて御答弁をいただきたいと思います。
○富田(朝)政府委員 提案理由にございます一部不法分子といわれています者については、最近といいますか、昭和四十三年以来、火炎びんあるいは爆発物、あるいは銃器、こういうものを使用しまして、非常に凶悪な犯罪を敢行してきた、またそのおそれが強い赤軍派でありますとか、あるいは京浜安保共闘、さらには革共同中核派その他いろいろなグループがございますけれども、こういうものの構成員であると理解をいたしております。 本年の一月一日現在で指名手配被疑者、ただいま申し上げましたような集団の構成員であって、犯行を犯したがゆえに指名手配をいたしております者が七十五名でございます。この間に検挙をいたしました者が六十六名で、さらに、種々の捜査の進展から六十名をこの間に指名手配をいたしておりますので、現在の未逮捕の指名手配被疑者は六十九名でございます。なお、保釈中逃走したということは私ども承知いたしておりません。 ただ、今後の問題といたしましては、こうした凶悪な犯行を犯しながら逃走を続けておる者について、徹底した捜査により逮捕をすることによって、正当な裁判を受けることによりまして、国民の不安をいささかでも解消してまいりたい、かように考えておりますが、本年に入りましてからも、火炎びんを使用しました使用本数は、四月の十日まででございますが、百六十二本でございます。なお、押収しました火炎びんは五十一本、件数にいたしますと二十件に相なります。 今後、これらの過激派暴力集団がどういう行動に出るであろうかということでございますけれども、いわゆる連合赤軍ということで、御案内の浅間山荘事件を起こし、さらにはリンチ殺害事件を起こしましたこのグループの勢力、これは逮捕いたしました者十七名、いわゆるリンチによりまして死亡した者十四名、計三十一名でございまして、連合赤軍の勢力としては相当な打撃を受けて、壊滅的な状態に相なっておると思いますが、しかし、連合赤軍を形成いたしております赤軍派でありますとかあるいは京浜安保共闘、さらには、昨年爆発物等を使用しましてまだ逃走を続けておるグループを含みます共産同RG、こうしたもの等、さらにはいわゆる中核派といわれておるグループの中にも、昨年末ごろから赤軍派等との連携を持ちたいという動きも一部あったようであります。事実、中核派も一部いわゆる軍事組織に編成するというような動き等もございます。そういうようなこの極左暴力集団の動向等から推察をいたしまして、こうした事態が直ちに終息する、火炎びんを使用したり爆発物を使用したりいたしましての、ああした過激な行動が終息するとは考えられない状態でございます。
○中谷委員 質問を中断いたしますけれども、ちょっと私いまの局長の御答弁の中で、まさにこの運用の問題を質問している質疑でありますので、気にかかった御答弁が一点あったので、真意だけをただしておきたいと思います。 正当な裁判を受けることによってというふうに局長は御答弁になったわけですけれども、警察御当局のほうから正当な裁判を受けることによってというふうな答弁は、少なくとも当委員会においては慣例語としては使われないわけであります。また司法の独立、裁判の独立という、正当な裁判を受ける権利というのは被告人、被疑者本人に存するものであって、警察当局からそういうおことばというのは、当委員会においては非常に奇異に感ずることばであります。基本的人権を侵してはならないということと、そうして反社会的な行為をさせてはならないということで、この火炎びん法案にわれわれ真剣に取り組んでいるこの最後の質問にあたっての御答弁としては、ちょっと気にかかりますので、真意をただしておきたいと思います。
○富田(朝)政府委員 たいへん表現がまずく、また言い足りない点があったように存じます。この点はたいへん遺憾に思っております。 申し上げました真意は、これを徹底して検挙をするということ、並びにこれがいろいろな司法手続を経まして、そうして彼らのそういう結末をはっきりさせていただいて、再びそういう行動に走らないようにということを、実は個人的に感じましたので、ことばとしては非常に遺憾であったと思います。
○中谷委員 それでは質問を一応保留いたします。
○松澤委員長 吉田賢一君。 参考のために吉田委員に申し上げますが、提案者の高橋英吉君、羽田野忠文君の両君が出席され、法務省からは現在村山政務次官、辻刑事局長、當別當参事官、警察庁からは丸谷調査統計官、富田警備局長、鈴木警備課長、山田調査課長が出席しておりますから、そのおつもりで御質問を願いたいと思います。 なお、間もなく法務大臣出席の予定でありますが、出席いたしましたら、また時間の割り振り等は皆さん方においてよく御協議願いたい、こういうふうに思っておりますから、一応念のために申し上げておきます。
○吉田(賢)委員 ちょっと法務省の刑事局長に伺いたいのですが、この法案の第一条の火炎びんと、それから最高裁大法廷以下の判例のあります爆発物の区別が、幾らひねくって考えてみましてもはっきりしない。結局、字句としましては、最高裁の大法廷におきましても、爆発物というのは、「理化学上の爆発現象を惹起するような不安定な平衡状態において、薬品その他の資材が結合せる物体であって、その爆発作用そのものによって公共の安全をみだし又は人の身体財産を害するに足る破壊力を有するもの」こういうふうになっております。一体理化学上の爆発現象というようなこと、ビールびんにガソリンを入れて引火する場合に、その引火するときにマッチをすることは小さい爆発に当たるのではないか、ちょっとこれはしろうとくさい考え方のようでありますけれども。理化学上の爆発現象というのは、これはどこに線を引いて、どこにその範疇をきめたらいいのだろうかというふうに思われます。 結論的には、この火炎びんと、過去におきまして爆発物取締罰則によりまして幾多の判例が出ております爆発物との区別は、一体どこに置けばいいのであろうか。この点は、ちょっとさきにも触れました最高裁のその後の三十四年の第三小法廷におけるラムネびんの、ラムネ弾と称しております、これとの区別から考えまして、どうもやはり結論を得にくい。両者法を適用する上におきまして、第一に議論の種になるのだろうと思う。 なぜそれを重視するかと言えば、一方爆発物のほうは死刑であり、本法案は十年の懲役ということで、非常な差異があるのであります。極刑と十年という区別があるのであります。したがいまして、この点は相当論争の種になるのじゃないだろうか。過去の最高裁の判例におきましても、必ずしも常識的に、社会通念等によりまして明確化しておらぬ面があるのじゃないか、こう思われますが、その点はいかがでしょうか。
○辻政府委員 火炎びんと爆発物取締罰則にいう爆発物との関係、特に最高裁の判例との関係でございますが、ただいま御指摘のように、最高裁判所は昭和三十一年六月二十七日の大法廷の判決で、火炎びんは爆発物取締罰則にいう爆発物でないという判示をいたしております。この判例でございますが、お手元の資料に掲載いたしておりますが、お手元資料の三九ページの大法廷判決の冒頭に、一応爆発物の定義をいたしておるわけでございますが、「理化学上の爆発現象を惹起するような不安定な平衡状態において、薬品その他の資材が結合せる物体であって、その爆発作用そのものによって公共の安全をみだし」云々とございます。そしてこの四一ページでございますが、四一ページの中ごろに、火炎びんにつきましては、火炎びん程度の爆発では、「爆発作用そのものによって公共の安全を撹乱しまたは人の身体財産を損傷するに足る破壊力を有しない」火炎びんは消極というふうにいっておるわけでございまして、これは爆発作用そのものによって公共の安全を撹乱し、または人の生命、身体、財産を損傷するに足る破壊力を持たなければ、爆発物取締罰則にいう爆発物でない、こういっておるわけでございます。 ところで、火炎びんにつきましては、たとえば塩素酸カリと硫酸が化学反応いたしまして、そこで一つの爆発現象が起きるわけでございますが、その爆発現象では、これは公共の安全を撹乱するほどのものではない、火炎びんの場合には、その爆発現象は、流出または飛散するガソリンその他の引火性の物質に対する発火の機能を持つにすぎないのだということでございまして、火炎びんにおきましても、特に発火の場合には、理化学的には小規模な爆発というものが起きておるわけでございますけれども、その爆発というものも、単に点火する作用にすぎないのだという趣旨に私どもは理解をいたしておるわけでございます。 これに反しまして、先ほど御指摘のございましたいわゆるラムネ弾は、これはラムネびんにカーバイドと水を入れる、そうするとこれが急激に膨張してラムネびんそのものを爆発させる、こういうことになるわけでございまして、ラムネびんの場合にはいわゆる爆発現象によって公共の安全を撹乱するというだけの作用を持っておるから、爆発物取締罰則にいう爆発物であるというふうに最高裁判例はいっておるわけでございまして、問題は、この爆発作用によってそういう破壊力を持っておるかどうかという点に、爆発物かどうかの区別があるものと解しておるわけでございます。
○吉田(賢)委員 現在の火炎びんというのは、われわれの見たところによりましても、その種類を資料によって読んでみて説明を聞いてみましても、言うならばかなり素朴な状態ですね。もう少し技術的に科学的に化学の専門家がこれを開発していきましたならば、やはり性能の相当高いものができるに違いないと思うのです。 そうなりますと、いまは、おっしゃったようにかりに爆発物と区別できるとしましても、来年はまた別の法律が追っかけていって、そして取り締まりの対象にしなければいかぬ、こういうことになるおそれがあるのじゃないか。だから、どうもいまのお説ですと、程度の高い爆発現象であって即被害を生ずる、危険を生ずると言っても、やはりそこに時間的なある何秒かがあるわけでありますから、その辺は、結局新しい高度の性能を有するものが開発されていくということになりますと、そこは議論が混淆してしまうのではないかというふうにも考えられるのですが、いまからその辺はずばりと、より高度な性能のものが開発されていきましても、これは十分に取り締まり物としてこの中に入っていく、こういうふうにあるべきではないか、そういう議論が起こったときにはどうするか、この二点です。後者は、法律上の法適用の上の議論の立て方ですけれども、前者におきましては、新しいものが開発されていくということを逃がしてしまうのではないか、こういう点です。この二点です。
○辻政府委員 御指摘のような問題につきましては、十分検討しなければならぬとは考えるのでございますが、ただ、私ども考えておりますのは、爆発というものは一つの燃焼速度の非常に速い燃焼をいうものと解しているわけでございます。そこで、爆発物にいう爆発に当たればこれはもう爆発物でございますし、爆発に至らないような燃焼で危険なものというものは、現在は火炎びんが典型的なものでございますが、こういう爆発物に当たらなくて、そして燃焼作用によって公共の安全を害するというものが新たにできてきた場合、これは十分私ども考えなければならないと思うのでございますが、一応現在のところは、爆発そのものによって公共の安全を害するに足る力を持っているものが爆発物、そうでないものは今回の火炎びんというようなことでまかなえるのではなかろうかと考えておるわけでございます。
○吉田(賢)委員 なおそれは十分解明されない領域らしい。どうも火炎びんの燃焼作用が、いわゆるいまつかんでいる爆発現象に近いような、もしくは類似するような強度のものができることは必至だと見ているのです。そのほうがまた事は簡単ですから、何も銃を盗んでこなくてもいいのですから、そこらでビール飲んだりサイダー飲めばそれでいけるのですから、だからこれはよほど注意しないと、今後こういうものが出現すると見ますので私は聞こうとするのですけれども、いまのお答えだけでは、どうもその辺がまだ将来のことに属するのではっきりしない。はっきりしないのではっきりしないままの御答弁に終わっています。終わっていますけれども、これはより強度のものが開発されることは必至と見て、あらかじめこれを対象にして法を準備する必要がないかどうかというのが、私の尋ねんとする動機であったわけであります。それ以上はやむを得ない。やむを得ないとしましても、そのようなときに、法適用の問題で議論が混淆したときにはどうするのか。これは裁判上の問題ですけれども、その点はどういうふうに考えておられますか。
○辻政府委員 ただいまの御指摘は、燃焼力が非常に強いものが出た場合にどうなるかという御指摘であろうと思うのでございます。この燃焼力という問題は燃焼速度の問題であろうと思うのでございますが、この燃焼速度が非常に速くて、そしてその燃焼そのものによって公共の安全を撹乱するということであれば、これは爆発物取締罰則にいくかもしれないし、そこまでいかないものもあるかもしれないが、そういうものについて十分の研究をしろという御指摘であろうと思いますので、私どももその点は十分研究をさせていただきたいと考えるわけであります。
○吉田(賢)委員 やはり同じところでぐるぐる回りですが、速いとかおそいとかというのは時間の問題ですから、いまでも二十秒、三十秒ですよ。ですから、それが一秒なら速いとかということになる。大きいとか小さいとかということは、これは物理的な現象としてものさしをどうするかということになりますので、これはこの程度にしましょう。これ以上解明することは研究室にまかしておかなければしょうがないのかもしれません。それから、あとの法律の適用の問題は裁判所の問題ですから、きょうは答弁もらわぬでもよろしゅうございます。その程度にしておきましょう。 大臣に伺いたいのだけれども、私は、火炎びんの被害の状況また火炎びん自体のあの作用のおそるべき実情を見まして、反面いま国民の服装は、女性は九割九分まで化繊ものであります。また家におきましても、壁にしましても、もし装飾用に麻でも使っておりましたならば、両者とも非常に火を好む引火性のものであることは申すまでもございません。したがいまして、銀座のどこかであるものを見つけまして、そしてそれに火炎びんをぶつけるといったようなときに、無辜の民衆がぱっとこれを受けましたならば、実験によって見ましても瞬間にばっと燃え上がってきまして、全く火の中に人が包まれるという現象が生ずるのであります。したがいまして、そういうことが一般民衆に及びましたらはからざる被害を与えます。 そういたしますと、そういうようなことにつきまして、もし被害者が民衆であるならば、法律といたしましてすぐに民衆の被害をどうすることもできませんし、そうかといってまた国家賠償法は、公務員の故意、過失を対象にしておりますので、したがいまして、犯人に向かって損害賠償ということになりましたら、民事訴訟でいくより手がない。こんなことを思いますと、この点につきましては、相当な保護の方法があらかじめ必要でないか。 それから、これはよほど注意しないと乱用があると思いますので、乱用につきましてもひとつ所見を伺っておきたい。 もう一点は、三点といたしましては、最近の一種のヤングパワーがこういう方面にどっといくおそれがありますので、ヤングパワーがいくということは、これは日本の未来のことを考えましたら非常におそるべきことになりまするので、そういったこの種の犯罪が起こります社会的背景につきまして、これは閣僚といたしまして、法務大臣といたしましての御所見を伺っておきたい。 この三点につきまして、法務大臣のお考えをひとつ伺っておきたい、こう思います。
○前尾国務大臣 ただいま御指摘の第一点の、最近の火炎びんその他による被害が非常に広範にわたり、また御指摘のように非常に燃焼しやすいものが使われておる、また現実にそういう損害が起こっておりますが、個別的な責任という点から見ると、なかなかその個人的な責任を追及することはできませんし、賠償を求めましても、学生でありまするからなかなかできないという問題につきましては、まさに現在において救済する規定がないことあるいは救済方法がないということについて、非常に一般が不安であるという点については、もうお話しのとおりだと思います。 これに対する対策があるかということになりますと、政府の責任でそれを全部賠償するというような考え方は、なかなかとり得ないのじゃないか。第一にはそういうことが発生しないような措置をできるだけ講じていくこと、またそういう問題が起こりましたときにできるだけの救済措置といいますか、多少なりともお見舞いをするというような意味合いのことしかおそらく現在では考えられないと思いますが、これは新しい法制体系としては確かに研究すべき問題ではなかろうか。あるいは保険制度、そろいうようなことで何らかの方法を講じる研究をしなければならない問題だと思いますので、今後私も研究してまいりたい、かように思っておるわけであります。 それから、あとの御指摘の現在の学生の風潮、これは率直に言いましていろいろな問題が複合して原因になっておると思います。確かに学校の教育につきましても、いわゆるマス教育というようなことで、教育者が以前のようにお互いに対話で人格的な教育ができなくなってきておるというような問題、あるいはまた家庭におきますしつけ、あるいは権威の失墜といいますか、それについては政治ももちろん反省をしていかなければならない問題でありますが、これはそれぞれの分野において、教育なりあるいはまた一般の国民大衆もしつけというような面で協力していただかなければなりませんし、政府もあらゆる手を使っていかなければならぬ問題だと思います。もちろん、この火炎びん法ができたからというような簡単な問題でないと思います。 しかし、とにかく現在において火炎びんであれだけの非常な危険性あるいは不安をみんなに持たしておる、それに対して何らの規定も措置もないのだということについては、非常に国民が不審に思っておる点であります。この際はぜひこういうような法案を通していただいて、そうして極力われわれも厳正にやっていかなければならない、かように考えておるわけであります。 また、もちろんこの法律ができましたからといって、個人的な人権は擁護されなければなりません。行き過ぎなり乱用によって個人的な人権を侵害するということは、よほど注意しなければならぬ問題でありますが、とにかく一面において厳正にやって、そうして少なくとも民衆の共感を呼ぶということにつとめていかなければならぬ、かように考えておるわけであります。
○松澤委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○松澤委員長 速記を始めて。
○吉田(賢)委員 大臣、私はいま第一点に伺いましたのは、やはりこの種の火炎びんにおける被害救済の件であります。これは一つは大所高所から見まして、現代は新しい福祉国家を目ざして日本はいくことになっておりますね。そういたしますと、犯罪による無辜の被害者、そしてこれに対して補償とか賠償とか請求する能力すら奪われてしまった被害者、こういった被害者というのは、一種の社会保障の対象になり得るものではなかろうかというような考え方もできます。これはすでにイギリスにおきましても、暴力に対する賠償の制度ができておりまするし、また古い歴史を持っておるのでありますが、わが国におきましては、このように福祉国家を目ざしていくというような新しい体制ができますので、やはり火炎びんのようなもので被害を受けましたような者はまっ先に取り上げまして、そして何らかの形で国家はこれに向かって賠償する、救済するとかいうことをなすべきでないだろうか。いま道交法違反の事件は、これは国家救済的な保険制度がございますね。ございますけれども、やはり火炎びんというような、こういう一種の狂暴な犯罪の被害に対しましては、一般民衆に対してはそういうふうな制度がどうしても必要ではないか、こう思いますので、それで実は伺ったわけでございます。これはひとつ閣僚のお立場で、ぜひ姿勢の問題として明らかにしていただきたいと思いますので、御答弁をお願いいたします。
○前尾国務大臣 率直に言えば、公務員の何らかの過失あるいは故意によって起こったという場合には賠償という問題があるわけです。故意、過失がない、いわゆる無過失賠償、こういうことになるかと思います。ただ、おっしゃるように、私はやはり国はそれを守るだけの責任はある。そういうことの起こらないような措置をすべきだ。したがって、だんだん国自体が豊かになれば、そういうものに対して無過失責任もとる。無過失というよりは、大きい意味では責任があるのだという考え方を将来の問題としては取り入れていくべきだ、私はさように思っております。
○吉田(賢)委員 終わります。
○松澤委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後零時五十四分休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕