法務委員会 第12号
- 発言数
- 31 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1972/04/07
会議録
○松澤委員長 これより会議を開きます。内閣提出、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、これを許します。羽田野忠文君。
○羽田野委員 まず最初に、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案、この法案をどういうことで提出しなければならなかったのか、いわゆる改正の必要性についてお述べいただきたいと思います。
○笛吹政府委員 お答え申し上げます。御承知のとおり、犯罪者予防更生法の今回の一部改正は、中央更生保護審査会の委員長を常勤にしていただくことに関連する一部改正でございます。御承知のとおり、中央更生保護審査会は、法務大臣に対しまして、特赦、特定の者に対する減刑、刑の執行の免除、特定の者に対する復権の実施についての申し出、いわゆる恩赦の申し出でございますが、この恩赦の申し出をし、また仮出獄の取り消し決定など、地方更生保護委員会がいたしました決定についての不服の申し立てに対する裁決をするなどの権限を持っておりまして、裁判所の有罪判決の効果を事後に変更し、あるいは地方更生保護委員会の決定を審査するなどの重要な権限を行使しているのでございます。特に委員長は、審査会を代表いたしまして、会務を総理するとともに、議決をしたりあるいは裁決をいたします際に、出席委員の意見が可否同数でありますときは、これを決定する責任を負っているのでございます。このため、委員長はすべての審査の対象になる事件の事件記録その他の関係の記録を精査し、あるいは審査会の指名により審理を担当いたしております主査委員との間に事前の協議も行なっておるのでございますが、審査対象の事件が最近著しく増加してまいりましたので、その事務量は他の委員に比べましてかなり重いものになってきているのでございます。このように、委員長の負担しております事務量とその負わせられておる職責の重大性にかんがみまして、この法律案におきまして、委員長を常勤ということにしていただきますとともに、これに伴います若干の改正を行なおうとするものでございます。
○羽田野委員 この中央更生保護審査会というものは、一般の人には比較的なじみの少ない審査会でありますので、審査会の性格だとか、権限だとか、どういう方法で審査をするのかとか、あるいは最近の恩赦事件あるいは審査請求事件の受理件数だとか、あるいはそういうものがどういう程度に処理をされているか、そういうアウトラインを簡単に説明してください。
○笛吹政府委員 中央更生保護審査会は、先ほど申しましたように、犯罪者予防更生法でその組織などが定められておるのでございますが、委員五人で組織されておりまして、法務大臣に対しまして恩赦の申し出をしたり、また、地方更生保護委員会の決定いたしました仮出獄の取り消しなどの処分についての不服の申し立てといったものに対する裁決をするなどの行政権限を行使しているのでございますが、審査会という名前がついておりますので、若干一般の諮問機関的な審議会と混同される向きもございますが、そうではございませんで、諮問的または調査的な審議会などとは異なりまして、一つの行政委員会的な性格をもって、独立した権限を持っておるのでございます。そこで、この中央更生保護審査会におきます審査の方法でございますが、中央更生保護審査会におきましては、恩赦事件または審査請求事件を受理いたしますと、まず委員長が事件記録その他の関係記録を十分見まして、調べました上で、犯罪者予防更生法の第十条第三項、この第三項の規定では、「審査会がその権能として行う調査又は審理は、審査会の指名により、いずれか一人の委員で行うことができる。」こういうようになっております。この第三項の規定によりまして主査委員が指名されるのでございますが、この主査委員が審理を行なうのでございます。 その主査委員の審理の過程におきまして、必要に応じて委員長と主査委員の間で協議が行なわれておりますが、その主査委員の審理が終わりますと、今度は、この事件が五人の委員で構成される審査会の会議にかけられまして、出席委員の過半数で決定する、こういうことになっておるのでございます。そしてその場合に、出席委員の意見が可否同数のときには、委員長の決するところによると規定されておるのでございます。ところで、最近の恩赦事件の受理の状況でございますが、最近の新受事件として申し上げますと、昭和四十三年度が百八十二件でございます。昭和四十四年度が八百三十六件と一躍ふえておりますが、これはいわゆる明治百年記念の恩赦のあと始末がございましてふえておるのであります。これはちょっと特殊なものでございます。昭和四十五年には二百七十一件、昭和四十六年には二百八十三件というように逐年増加いたしてきておるのでございます。一方、地方更生保護委員会の決定に対する不服の申し立ての審査請求の事件でございますが、これは大体そう大きな動きはございませんですが、しかし、昭和四十三年が三件でありましたのが、四十四年には十一件、四十五年は五件というように、少し上がっておるカーブを示しておるのでございます。
○羽田野委員 その五人の委員というのは、現在どういうふうな人がなっているのか、またそのうちの委員長はだれであるかということ、それからその委員はどういう経歴の人がいつ任命されたのかというようなこと、それからその委員の給与などについてもちょっと簡単に説明してください。
○笛吹政府委員 五人の委員の名前並びに略歴でございますが、五人の委員の中の一名が法務大臣から委員長ということで任命をされておりますが、現在、その委員長には柳川眞文氏が当たっておられます。柳川先生は元検事でございまして、大阪高等検察庁の検事長を昭和四十一年の三月に定年で退官された方でございまして、昭和四十五年の四月一日に委員に任命されて、現在まで委員であり委員長の職についておられるわけでございます。 次に、ほかの四人の委員でございますが、一人は三宅富士郎という方でございまして、この先生は元判事でございまして、東京高等裁判所の部長判事を最後にいたしまして、昭和四十三年の八月に定年退官された方でございまして、昭和四十四年の十一月四日に中央更生保護審査会の委員に任命されて今日に至っております。 次は、赤塚孝氏でございますが、この人は元矯正職員でございまして、中央矯正研修所長を最後に昭和四十二年の一月に退職されまして、昭和四十四年の十一月四日、三宅先生と同じ日でございますが、四十四年の十一月四日以来この中央更生保護審査会の委員に任ぜられております。 それから、次が古賀忠道氏でございますが、この方は元上野の動物園長をされておった方でございまして、昭和三十七年の七月動物園長を退職されまして、現在は東京動物園協会の理事長をされております。古賀先生は昭和四十五年の四月一日以降中央更生保護審査会の委員になっておられます。 次が、女性で三田庸子さんでございますが、この方は元和歌山刑務所長、東京婦人補導院長を歴任され、最後は関東地方更生保護委員会の委員でございまして、昭和四十二年の三月に退職されまして、昭和四十六年の四月一日以来中央更生保護審査会の委員に任ぜられておる方でございます。 現在の委員長並びに委員の給与の問題でございますが、現在、委員長を含めて五人の委員いずれも非常勤になっております。その給与は、委員長におきましては日額手当が、新年度の暫定予算で八千百円になっております。それで、大体予算上の制約もございますので、一カ月平均十五日分でございますので、一カ月で十二万一千五百円程度が支給されております。また、他の四人の委員の方は少し少ないのでございますが、日額手当が、今度の四十七年度の暫定予算におきまして七千五百円とされておりまして、一カ月十一日程度出勤をされるその予算が出ておりますが、その一カ月の平均の給与は八万二千五百円、このようになっておるのでございます。
○羽田野委員 今回の改正で委員長が常勤ということになるようでありますが、委員長が常勤になったことによって、審査会の構成あるいは委員長の給与というものはどういうふうに改められ、またそれが他の委員との関係で、この給与等に不均衡を生ずるというようなおそれはないのか、その点をちょっとお伺いいたします。
○笛吹政府委員 今度の改正案の附則の三項でございますが、「特別職の職員の給与に関する法律(昭和二十四年法律第二百五十二号)の一部を次のように改正する。」といたしまして、中央更生保護審査会の委員長の給与を、特別職の給与法の中で国家公安委員会の委員とかあるいは地方財政審議会の会長並みに変えていただくということを出しておるのでございますが、この法案が通りますと、この給与表によりますと、委員長の給与は月額四十万円になるはずでございます。したがいまして、委員長の給与と、今度改正になりません非常勤の委員四人の給与との間に相当の差ができることはやむを得ないのでございますが、これは委員長が常勤ということになりますためのものでございまして、このために委員長は、営利事業を営んだりその他金銭上の利益を目的とする業務などへの兼職が制限されることとなりますので、全般的な所得から申しますと、必ずしもそう大きな格差が生じたということでもないかと思うのでございます。 以上でございます。
○羽田野委員 現行法では委員長はどういうふうな方法で選任するようになっておるのかということと、もう一つは、改正案五条によると、委員長の任命に両議院の同意を必要とするというようなことが定められております。これはどういう理由でさような規定を設けるようになったのか、その事情……。
○笛吹政府委員 現行法によりますと、審査会の委員は五人で組織するということで、五人とも委員ということになっておりますが、この委員の五人はいずれも国会、両議院の同意を得て法務大臣が任命することになっております。そして、この五人の委員の中で委員長を互選しておりまして、その互選された者を法務大臣が委員長に任命する、こういう仕組みになっております。これは現在の犯罪者予防更生法の第九条できめておるわけでございます。したがいまして、この委員長は委員として国会の同意を得ておるものでございますが、委員長として国会の同意を受けておるものではないのでざいます。 ところで、このたびの改正案は、改正法案の第四条でございますが、「委員長及び委員四人で組織する。」というように改正していただくことにしております。したがいまして、この委員長、委員はいままでと違いまして任命が別のものになるわけでございます。したがいまして、いままでは委員として両院の同意を得ておりましたが、今度は委員長としての同意を得なければならないということで、改正法案の第五条に、「委員長及び委員は、両議院の同意を得て、法務大臣が任命する。」こういう形をとらしていただいたわけでございます。
○羽田野委員 この委員長に対して、今回新たに、政治活動の制限あるいは兼業の禁止、こういう七条の規定を設けたようなんですけれども、これはどういう理由ですか。
○笛吹政府委員 もともと中央更生保護審査会の現在の委員は非常勤でございますので、非常勤の公務員というものにつきましては、この兼業についての制限はなかったわけでございますが、今度は委員長が常勤になりますので、その常勤になれます関係から、この兼業の制限あるいはまた私企業からの隔離ということを設けたわけでございます。 また一方、第七条で、「積極的に政治運動をしてはならない。」という規定を設けましたが、これは本来の中央更生保護審査会の職責というものから考えまして、委員がそんなに積極的な政治活動をするということはまずあり得ないと思うのでございますが、しかしながら、委員長が常勤となりましたので、その点を特に規定いたしまして、職務の中正を期するという点を明記したわけでございます。
○羽田野委員 最後に、犯罪者予防更生法というのは非常にじみな法律なんだけれども、実際はきわめて大事なことだと思うのです。私がいつも考えるのは、いわゆる法秩序を守るために、その秩序の破壊者に対しては制裁を科する。しかしながら、制裁を科されたその人も社会の構成メンバーです。これをいかに早くいい状態で社会に復帰させるかということが、やはり制裁を加えたその国家としてのまた一面の重大な命題だと思うのです。その命題を果たすのは、この更生法に定められたいろいろな機関においてやられると思う。その中央更生保護審査会の委員長を常勤に定めたということは、そういう意味できわめて適切な措置だと思うのですが、これによって、いま私が申し上げたような大事な仕事を、今後十分に果たせていける見通しがあるかどうか、委員長を専任にしたことによって非常な効果が期待できるかどうか、その点最後にお答えいただきたい。
○笛吹政府委員 御意見のように、犯罪者を改悛させて一日も早く一般社会に復帰させるということが、今日の国家の要請でございます。そういった意味におきまして保護局関係の各官庁、地方更生保護委員会におきましても、保護観察所におきましても努力いたしておるわけでございますが、中央更生保護審査会の恩赦関係を主としたお仕事というものは、その最後の仕上げをする段階だろうと私は思っておるわけでございます。犯罪を犯し最後の刑の執行も完全に終わって罪の償いを全部いたしましたその人たちが、これからでも社会に完全に復帰するということが中央更生保護審査会の機能でございます。そういった意味におきまして、先生おっしゃいましたように非常に適切に行なわなければならないのでございまして、その職責は重大でございます。 そこで、今回はその中で、ただ委員長だけではございまするけれども常勤ということにさしていただきました。仕事の量もふえておりまするところへ職責が非常に重大であるということも御認識いただきまして、常勤といたしてもらいたいということでございます。これが実現いたしますならば、中央更生保護審査会の職責というものが一段と認識されたことにもなりますし、この機能の充実にもなると思うのでございまして、今後ますますこの大切な仕事は、より充実していけるものと期待しておるものでございます。
○羽田野委員 終わります。
○鍛冶委員 関連して。保護委員会の権限についてですが、これは諮問機関でなく決定機関でございますか、まずそれから。
○笛吹政府委員 いま委員会とおっしゃいましたが、中央更生保護審査会のことでございますか。
○鍛冶委員 そうです。
○笛吹政府委員 中央更生保護審査会は、先ほども申しましたように、恩赦と申しますか、これは個別恩赦でございますが、個別恩赦に関します事件を審査いたしまして、これを内閣に申し出るかどうかを審査、決定する機関でございます。したがいまして、これは諮問機関ではございません。こういう各機関からそういう上申がございますると、それを審査いたしまして、審査会の権限において可否を決定する機関でございます。また、地方更生保護委員会の決定に対する不服の申し出があったそれに対する審査請求につきましても、これは中央更生保護審査会が独自の権限で取り消すかどうかということを決定するものでございます。
○鍛冶委員 よくあるのは個人からの恩赦の申し出でございます。それに対して審査会が決定するわけですな。これはわれわれいままで諮問するのだと思っておったのですが、そうすると、審査会が決定するので、法務大臣はこれに拘束されるんですか、いかがですか。
○笛吹政府委員 恩赦の点でございますが、特定の人が出願をいたしてまいりますると、それは大体検察庁、あるいは刑務所、あるいは保護観察所という各機関で受理いたしまして、これの内容を調べまして、各機関の意見をつけて中央更生保護審査会のほうに上申をしてくるわけでございます。この場合に中央更生保護審査会におきましては、ただいま申しました五人の委員によりまして審査会を開いて、内閣に対して恩赦の申し出をするかどうかということを決定するわけでございます。したがいまして、ここで恩赦の申し出をするという決定になりますと、これは法務大臣を通じて内閣に上がります。したがって、内閣でこれを恩赦にすべきかどうかを御審議になって、内閣でこれは恩赦相当ということになりますと、閣議決定できまりまして、それをさらに今度は、天皇の認証を得まして最終的に決定するということになっておるのでございます。 そこで、この中央更生保護審査会におきまして、この事件は恩赦の申し出をすべきでない、こういう意見になりました場合には法務大臣にも上げませんので、これは審査会限りでございます。
○鍛冶委員 恩赦をしてもらいたいということは法務大臣に申請するわけですね。そこで、法務大臣が審査会にかけるには、恩赦をすべきものと思わなければかけぬものだと私は思うのです。見込みのないものを審査会にかけたってしょうがないからね。そこで審査会にどうだということでかけるのは、どうもそういう意味においては私は諮問機関であるべきものと思うのだが、それを諮問機関じゃなくて決定機関にかけるのだ、こういうことになると、法務大臣は審査すべきものだと思うのに、審査会がいかぬと言われれば、法務大臣は審査会に拘束されるのですか。その点はどうも合点がいかぬところがあるのですが、その点を明確にしてもらいたいと思うのです。
○笛吹政府委員 恩赦の出願をいたしますのは、法務大臣に対してするのではなく、中央更生保護審査会に対してすることになっております。したがいまして、大臣から中央更生保護審査会に諮問するという形はございません。先ほど申しました検察庁、刑務所、保護観察所といった三つの機関を通じて出願が上申されてくるわけでございますが、この上申先は中央更生保護審査会でございます。したがいまして、中央更生保護審査会がそれを受けて、自分の独自の権限で審査するということになっておりまして、これを恩赦の申し出をするのが相当であると決定いたしました場合に、法務大臣を通じて内閣に上申する、こういう組織になっておるのでございます。
○鍛冶委員 そうすると各地の検察庁、それからあなた方のほうの保護局から審査会に回るのでしょう。そうすると、検察庁でもあなた方でも、このことだけは審査会の下仕事をしておる。法務省の仕事をしておるのではなしに、審査会の下仕事をしておると解釈すべきように思うのですが、そういうことですか。
○笛吹政府委員 検察庁とか刑務所あるいは保護観察所が、審査会の下仕事をしているというわけではないのですけれども、事個別の恩赦につきましては、審査会へ出願する事件を検察庁、刑務所、保護観察所が受理しまして、それを意見をつけて審査会に上申する、こういう形になっております。下仕事というわけじゃございませんが、そこを一つ通じて来るという形になっておるのでございます。 それから、ちょっと先ほどおっしゃいましたが、保護局は中央更生保護審査会の庶務を行なうところになっております。中央更生保護審査会の事務局というのがございませんので、この庶務は法務省保護局が行なうということになっておるのでございます。
○鍛冶委員 どうもしっくりしないのですが、要するに、恩赦をする場合には更生保護審査会を通じて来なければならぬという規則になっておる。それが法務省の機関であればこれは問題がないのです。法務省の機関でないものですから、それを通るのに法務省の機関がその下仕事をしておる。しこうしてまた審査するのは法務省へ出しておるのに、法務省が法務省外の機関に束縛される、ここにどうもちょっと納得のいかぬようなことがある。そこを少ししっくり説明していただきたい。
○笛吹政府委員 法務省設置法第十三条の八というのがございまして、これには、「法務大臣の所轄の下に、犯罪者予防更生法第三条の事務を掌らせるため、中央更生保護審査会を置く。」二項に、「中央更生保護審査会については、犯罪者予防更生法の定めるところによる。」こう規定されておるのでございまして、法務大臣の所轄のもとに審査会が置かれるのでございますので、全然法務省の外の役所だということではございません。法務省の中の一つの機関でございます。
○鍛冶委員 今度委員長が常勤になればいいのですが、いままでは審査会というのは外郭機関だと思うのです。これは法務省の職員じゃないのでしょう。やはり一種の外郭団体でしょう。
○笛吹政府委員 外郭団体というような、そういうものじゃございませんで、やはり法務省の中の機関でございます。また、委員長は法務大臣か任命されますので、法務省の職員でございます。現在の委員も、非常勤ではありますけれども、国会の同意を得て法務大臣が任命いたしておりますので、これもやはり法務省の非常勤の職員でございます。
○松澤委員長 次回は、来たる十一日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時四十分散会