法務委員会 第9号
- 発言数
- 118 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1972/03/22
会議録
○松澤委員長 これより会議を開きます。 参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。 高橋英吉君外七名提出の火炎びんの使用等の処罰に関する法律案について、明後二十四日、参考人の出席を求め意見を聴取することとし、その人選につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○松澤委員長 おはかりいたします。本日、最高裁判所長井総務局長、西村民事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○松澤委員長 裁判所の司法行政に関する件及び法務行政に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。中谷鉄也君。
○中谷委員 石川地方公安調査局の問題というのが、かなり複雑な事実関係と、そしてわれわれ国民の立場から見まして、想像もできないような経過をたどりまして今日に至っているわけでありますが、私は特に大臣の御出席をいただいて、ひとつ大臣のじっくりした御見解を承りたい点が本日ございます。 それは次の点であります。地方公安調査局の窃取された資料等によりますと、協力者甲あるいは協力者乙というふうなことで、ナンバーの続きぐあいがどのようなものであるかは、私はしさいには存じませんけれども、たとえば協力者番号が甲一〇五号というふうな人の名前も相出てまいるわけであります。したがって、多数の協力者というものが一地方局にも存在することがうかがわれるわけであります。 そこで、私がお聞きしたいのは次の点であります。特にその協力者の中には大学の学生、こういうふうなものが協力者として存在をするわけであります。教育基本法の基本的なたてまえ、学校教育法の大学のあり方、そういうふうなものをいまさら引用するまでもなしに、将来社会有用の人材にならなければならないところの大学生が、いかなる経過、いかなる理由、いかなる原因、調査官とのどのような交渉関係によったかはともかくとして、協力者になるというふうなことは、その学生の社会人としての将来を誤らせることになるのではないか。たとえば、一つの企業につとめた人間は、企業に対する信義、誠実な勤務をしなければならない、一つの組織に属した者は、組織に対してまじめに誠実に組織の方針その他に従う、これは私は世の中の倫理であり、モラルであろうと思うのであります。これはただ単に政党のみならず、あらゆる集団に共通するところのものだと思う。にもかかわらず、まさに最終の教育を受けている大学生が多数協力者として、あらゆるその学生が接触をしておる団体の情報を地方公安調査局の調査官に流す、こういうようなことが教育のあり方から見て、また青年というもののあり方から見て、はたして適当なことであろうか、こういうようなことを私は深刻に考えるわけであります。 法務大臣にお尋ねをいたしたいのは、地方公安調査局が資料収集の必要があるんだということをもって私はお答えをいただこうとは思いません。資料収集の必要があるということと、大学教育を根底から破壊するような、その大学生が大学教育を受けていることが基本から無に帰するようなところの、協力者というふうなものにその学生を仕上げていくということは、その学生の人生を誤らしめることではないのか。地方公安調査局の資料の中に多くの学生の名前が散見される、こういうような中で私はそういう感を深くするわけであります。これはひいてはその学生個人の一生に暗い影を落とすと同時に、半面、大学そのもののあり方をも公安調査局自身が問われねばならぬのじゃないか。法務大臣に私は率直な御所見を承りたいと思います。
○前尾国務大臣 石川県のあの事件は、非常に遺憾な事件であると思います。また、ただいまお話しのとおり、抽象的に申しますと私もあなたと同様な感を持ちますが、具体的に、学生といえども最近いろいろな破壊活動をやっておるという点から考えますと、とにかく破壊活動を防止しなければならぬという前提に立ち、それを理解し、それに協力してくれる学生があるとすれば、私はその協力を得ることは、要するにその役割りというのが、いわゆるスパイ行為というような感じのものではなしに、事実の調査の材料を提供するというような意味であるとすればやむを得ないのではないか。 ただ、申し上げましたように、その具体的な必要性ということを考えていきませんと、ただ単に抽象的に、思想調査式に何人かの協力者を培養するというような考え方で臨んだのではいかぬのじゃないか、かように考えております。
○中谷委員 長官にお尋ねをいたしますが、要するにある組織に属しておる学生、その学生が協力者であることを秘して、その組織の会議の模様、決定内容等を知らせる、こういうことは、率直に言って私はいやしい行為ではないか、こう思うわけなんです。もしかりに一つの組織と敵対関係にある人間が、その組織に対して痛烈な批判を加えるというふうなことは、私は当然あっていいことだし、言論の自由の名において許される。ひそかに、まさにひそかに、そういうふうに組織に忠誠を誓っているように装いながら——装うことが資料の収集を容易にする。そしてしかも、あとでも触れますけれども、地方公安調査局から協力者としての報酬を受けてとにかく資料を収集するというようなことが、そのことが公安調査局として必要なんだ。その資料の収集が必要なんだということと、そのことによって教育のあり方が侵害される、破壊される、またその人の人生に一体だれが責任を持つのか。そういう協力者というふうな人間が将来も協力者であることを隠しておきますよ。隠しておいても、良心は隠すわけにはいかないと私は思う。そういう人間がはたして良心に傷なしに、良心の痛みなしに協力者になり得るのかどうか。これは全く私自身の個人的な、一つの人間としての生き方の問題、私自身のきわめて素朴な人間としての気持ちをきょうは申し上げたいと思う。 一体協力者というのは何なのだ。スパイじゃありませんか、犬じゃありませんか。そういうふうなことを学生に調査官が働きかけて、一体何のためにその学生は大学で学んでおるのか、そういうことを考えてみると、きわめて私は残酷な行為だと思うのです。そういうことについて何の良心の苛責も感じないという学生がおるならば、それこそ教育の基本から問い直さなければならぬ、こういうようにさえ私は感ずるのです。 一体そういうことが今後とも続けられるのかどうか、そういうことがあっていいのかどうか、これを私は質問の冒頭にお尋ねをいたしたい。資料収集の必要性の名においてそのようなことが行なわれていいのかどうか、この点について何の反省も公安調査庁としては示す必要がないのかどうか、この点がお尋ねをしたい点であります。
○川口政府委員 お答えいたします。 先ほど法務大臣からも御答弁がありましたように、学生の中にも協力者を相当数持っていることは事実でございます。ただ、いま先生がお尋ねになりましたような、良心に恥ずる行為ではないかという点につきましては、いささか事実と違うのではないか。 私ども、学生の協力者を得る場合、最初に説得をするわけでございます。御承知のように過日の連合赤軍事件、ああいうような事件、これは非常に行き過ぎた事件でございますが、あの種の暴力的な破壊活動を行なう団体が学生の中にあります。これに対して、破防法に規定されていますように、公共の安全を守るという立場からこれを調査しなければならないのだ、それにぜひ協力してもらいたいと言って、むしろその正義感を刺激して、法律を守る上に必要な行為ということで協力していただくわけであります。決して金銭で買収するわけでもございません。スパイというおことばを使われましたけれども、あるいは犬ということばをお使いになりましたけれども、私たちは、日本の自由と安全を守るためにわが庁の調査業務に協力してもらう、むしろそういう、何と申しますか、愛国心といいますか、そういう気持ちから協力してくれる学生が多い次第でございまして、いささか先生のお考えとは違うと思います。 したがって、教育上別に、むしろ過激派学生よりも協力者のほうがよい人間になるのではないかと私どもは考えておるわけであります。
○中谷委員 民事局の方にお尋ねいたしたいと思います。 ある組織、ある企業の秘密、ノーハウ、そういうものを企業の従業員が他の企業に売り渡す、そうして利得を得る、こういうことは当然懲戒処分の対象になり、Aの企業からBの企業に対して損害賠償の問題を生ずることは、私はもう当然の事実だと思うのですが、いかがでしょうか。
○古館説明員 お答えいたします。 いまの、買い受けておるのがBの企業だということになりますと、その買い受けたものにつきまして、民法の不法行為の要件が満たされる場合には損害賠償というのが成立すると思います。
○中谷委員 では民事局にお尋ねいたしますが、ある組織、たとえば特定政党、その特定政党の秘密あるいはその特定政党が他に知られたくない事情、そういうふうなものを、その特定政党の構成員が国家機関の協力者になって、とにかくそういうものを国家機関に漏らした、そういうことで組織が損害を受けたという場合、その協力者は不法行為の責任を問われるでしょうか。被害があったという場合ですね。
○古館説明員 お答えいたします。 お尋ねは、その組織が財産以外の損害を受けた場合にも、精神上の損害を受けた場合にも、損害賠償の請求ができるかという御質問の趣旨かと思います。この点につきましては最高裁の判例もございまして、できるというふうに考えております。
○中谷委員 長官にお尋ねいたしたいと思いますけれども、民事局は協力者のそういう行為は不法行為を構成するという場合があり得ると言っておるのですが、それでは愛国心とは一体どういうことなんでしょうか。逆に言いますと、不法行為はやりなさい、やってもいいのですよということになる。公安調査庁は大学の中に、率直に言ってどろ足を突っ込んでいくということになるじゃありませんか。たとえば協力者一〇号は、レストラン等において、大学のあらゆるサークル活動の打ち合わせ等を足場にして、そして大学のいろいろな状況を、調査官荒井君に対して報告をしているではありませんか。そういうことが、不法行為が構成してもはたして許されていいことなのかどうか。私は不法行為というのは、民法の基本的な原則をきめた規定だと思う。そんなことがあってもそれは許されるのだ、わからなければ許されるのだというふうなことが、愛国心なんということばを使って、私は愛国者でありたいと思いますけれども、こういうところでお使いになるということはもってのほかだと私は思います。不法行為を構成してもそれはいいのだ、これは暴論ではないでしょうか。
○川口政府委員 お答えいたします。 私は、不法行為とは思いません。
○中谷委員 最高裁の判決があるわけでしょう。長官、最高裁の判決もあるし、とにかく、たとえばこの書類を持ち出したということは、書類を持ち出されたということは窃取行為なんでしょう。そうでしょう、どろぼうなんでしょう。だから、ある組織の書類を協力者Aが持ち出した、協力者乙が持ち出したというふうなことは、それ自体許せないことじゃないですか。そんなことまで愛国心の名において許してもいいんですか。だから逆に言うと、窃盗してもいい、とにかく情報を提供してもいい、そのことによって組織が損害を受けてもいい、それはともかくいいのだというふうなことは許せないことではないのでしょうか。そんなことまで、何か愛国心だとかいうふうなことばによってカバーしていいんでしょうか、いかがですか。不法行為だとおっしゃられても——幾ら何でも公安調査庁という役所が、裁判所の判決に従わないはずはないでしょう。破壊活動防止法というものには、とにかくこの法律については非常な論争があった法律ですけれども、法律とか基本的人権を守りなさいと書いてあるじゃないですか。不法行為が行なわれていいというはずがありません。いかがですか。
○川口政府委員 お答えいたします。 私ども、もちろん裁判所の判例を尊重しております。結局、公共の安全を守るという法益、国益といいますか、これと侵される人権との比較検討と申しますか、そこから不法行為になったりあるいはならなかったりするのではないかと思います。この点につきましては、新潟あるいは広島の裁判所の判例等もございまして、例の秘聴器の問題でございますが、大体この判決の趣旨を参考にして私ども仕事をしております。
○中谷委員 違います。質問に答えていただきたいと思うのです。協力者ナンバーワン、ナンバーツーが不法行為を構成するではありませんかと言っているんです。そうですね、私が言っているのは。公安調査局自体がどういうような法律上の責任を生ずるかどうかということをお尋ねしておるわけではないんです。協力者甲のナンバー一一、ナンバー一二が不法行為を構成するではありませんか、私はこうお聞きしているわけでしょう。そうでしょう。そのことは否定はされないわけでしょう。場合によっては不法行為が構成する場合があるということはあたりまえじゃないですか。長官は有名な法律家じゃありませんか。そのことを私はお聞きしているわけなんです。いかがですか。
○川口政府委員 お答えいたします。 私は、協力者から不法行為あるいは犯罪によって得た情報を得ようということは、期待しておりません。
○中谷委員 そこで、では、他に知られたくない情報を協力者甲が漏らしたということによって、組織や精神上の被害を受けたという場合は——当然、あたりまえのことを聞いているんです。そのことは公安調査局がどうだこうだと言っているんじゃないんですが、こういう協力者甲の一〇、一一は、不法行為を構成するでしょうと聞いているんです。
○川口政府委員 先ほどお答えしたとおりでございます。
○中谷委員 先ほどどう答えられたんですか。
○川口政府委員 不法行為または犯罪行為によっての情報は、期待していないということでございます。
○中谷委員 そうじゃないんです。不法行為になるでしょう、こういう場合には不法行為にならないのですかと聞いているんです。不法行為・犯罪行為による資料の収集は、私は期待していませんとあなたはおっしゃったんでしょう。ところが、ある物を、そういうようなものがとにかくひそかに渡される、そして秘密にしておかなければならない情報とか決定等を、とにかく他に漏らすというふうなことは不法行為にならないですか、不法行為になる場合があるじゃないですかと聞いているんですよ。不法行為を云々しているわけじゃない。不法行為や犯罪行為を云々という、そういうことは不法行為にはなりませんかと聞いているんですよ。長官、答えてください。
○松澤委員長 発言者にも答弁者にもお願い申し上げておきます。委員長の許可を得て発言を願います。
○川口政府委員 お答えいたします。 私は、そういう場合でも、先ほど申しました判例の趣旨などから申して、不法行為にならないと考えます。
○中谷委員 次に、活動費は十億四千九百三十一万二千円ということで組んでおりますね。先ほど学生に対して協力費は渡さないんだとおっしゃったんですけれども、これはそういうふうにお答えになったわけじゃないわけですね。どうですか。
○川口政府委員 お答えいたします。 協力者を獲得するのに金銭で買収するのではないと申し上げただけで、協力費を渡さないということを申し上げたわけではございません。
○中谷委員 金銭で買収するんじゃなくて協力費は渡すんだ。とにかくあなたは有能な検事さんですから、買収するんじゃないかと言ったら、協力費というのは結局買収費じゃないんだ、文字どおり協力費だということをおっしゃりたいわけですか。そうなら、十億四千九百三十一万二千円の内訳を言ってください。どういうふうな費目があるのですか。公安調査官の調査活動費の内訳を言ってください。
○川口政府委員 調査活動費の本年度の請求額は御質問のとおりでございますが、大体調査活動、調査官が調査に行くタクシー代とかあるいは食事代とか、そういう実際の活動に必要な経費が大体三割くらいでございます。それから、その他に協力者に実費あるいは報酬として渡す分が大体残りの七割、こういうようにお考え願っていいのではないかと思います。
○中谷委員 実費というのは、この場合どういうものが実費になるわけですか、もう一度質問を追加します。たとえば学生の協力者が喫茶店に来た、レストランに来た、そして調査官にいろいろなことを報告した、この場合、実費というのはどういうものが実費になるのでしょうか。
○川口政府委員 お答えいたします。 お尋ねのような場合は、その喫茶店に出頭するまでの電車賃とかあるいはタクシー代、あるいはその喫茶店におけるコーヒー代とか、そういうものでございます。
○中谷委員 次に、文部省にお尋ねをいたしたいと思います。 文部省は四十七年三月十七日、初等中等教育局長名をもって各都道府県教育委員会教育長、各指定都市教育委員会教育長あてに、「教職員の思想調査について」という通知をお出しになりました。そこで、この通知の趣旨について確認と申しますか、お尋ねしておきたいと思うのでありますけれども、要するに教育委員会が、教職員の住所、職歴等を市教育委員会に対し職員が報告して、公安調査官に答えたという点が認定をされた事実関係として記載されているわけですけれども、教職員が特定政党もしくはその同調者であるというふうなことの調査に、教育委員会の一職員が応じたというのが事実関係の真相のようであります。事実関係の認定が私は違うと思う。これは認定された資料の違いがこういうことになってきたと思うので、その点をとやかくは申しませんが、お尋ねをいたしたいのは、教育委員会が特定政党あるいはその同調者であるようなことについての調査に協力をするというようなことは許されることなんでしょうかどうか、この点はいかがでしょうか。
○鈴木説明員 私どもが御指摘のような通達を出しました趣旨は、この事実関係は、石川県教育委員会の報告に基づきましてこのとおりと私どもは考えましてやったものでございますけれども、いずれにしましても、関連をして教員の思想調査を行なっているのではないかというような疑惑を招くようなことがあった。その点については、今後とも社会一般の疑惑を招くことがあってはいけないというのが、この通達の趣旨でございます。
○中谷委員 そこで、その通達の趣旨をお聞きしているのではなしに、文部省の御見解を承りたいのですが、特定政党またはその同調者を、教育委員会が公安調査局の調査に応ずるなどというようなことはあり得ることでしょうか、許されることでしょうかと聞いているのです。
○鈴木説明員 その点につきましては、許されるかどうかという問題はあろうと思いますけれども、教育委員会の職員が、職務の関連におきまして思想調査を行なうというふうな疑惑を招くことは、きわめて遺憾であるというふうに考えております。
○中谷委員 もう少しはっきり言ってほしいのです。いずれにしても、教育委員会と文部行政のありようについて明確に言っていただきたいのです。もう一度聞きます。特定政党またはその同調者の名前等を、公安調査局の調査官に報告をするというふうなことは、教育委員会の職員として、文部省はそういうことをお認めになるのですかと聞いているのです。
○鈴木説明員 私どもは、当該の事件につきましては、教育委員会の職員がそのようなことを行なったという事実は、確認いたしていないわけでございます。
○中谷委員 そうじゃないのです。一般論としてお聞きをしているわけなんです。そのようなことは教育委員会として許されるのですか、そういうことは文部省はお認めになるのですか、それともそういうことは禁止されるのですか、誤解を招かないように、そういうことに協力しないようにということをおっしゃるのですかと聞いているのです。
○鈴木説明員 先生の御質問にお答えしないようなことになって申しわけないと思いますけれども、そういう仮定のことにつきましては……。私どもは、とにもかくにも影響を及ぼすような、思想調査にわたるような疑いのあることは、あくまでもいけないということをこの通達によりまして徹底をしたいということでございます。
○中谷委員 通達を離れてお聞きしているわけです。教育基本法や学校教育法、教育委員会法のたてまえから見て、特定政党及びその同調者を公安調査局調査官に伝える、知らせるというふうなことは、教育委員会あるいは教育委員会職員として、そのようなことは文部省としてはお認めになるのですかと聞いているのです。
○鈴木説明員 あくまでも仮定の問題であろうと思いますので、私どもとしては現実の問題に即しまして、疑いのあるようなことは厳に慎むようにということで徹底をしていきたいと考えております。
○中谷委員 教育の中立性を守らなきゃならない、学問の自由は守らなきゃならないというような問題について質問をして、それは仮定の問題だということのお答えが出てくるはずはございませんね。だから私は、どこの教育委員会がどんなことをしたとかというようなことをお尋ねしているのではないのです。非常に抽象的なことをお尋ねしているのです。教育委員会が特定政党及びその同調者の氏名あるいは住所等を、公安調査局等に知らせることは許されますかと聞いているのです。仮定の問題ではないのです。そういうふうなことは許されますかと聞いているのです。現にそういうふうなことが行なわれているから聞いているのです。現実の問題として行なわれているわけです。もう一度読み上げてみましょうか。四十五年十二月十四日、金沢市の教育委員会学校教育課におもむいて、同管理主事奥という人に面接をした。その際、主事は調査官に対して、私のほうで把握している金沢市内の特定政党の党員またはその同調者と見られる小学校教員の名前を申し上げますと言って、手帳を出して言った事実があるのです。こういうふうな具体的事実ですね。仮定の事実には答えられないというならば、こういう事実は許されますか。具体的な事実についての評価をしていただきたい。
○鈴木説明員 私ども、この案件につきましては、金沢市教育委員会あるいは石川県教育委員会のほうから詳細に事情を聴取いたしまして、先生の御指摘のような報道がございましたけれども、調査の結果には、そういうふうな事実はないという報告を正式に受けているわけでございます。
○中谷委員 もう一度お尋ねをいたします。法務委員会ですから質問は詰めますよ。要するに、荒井調査官作成の調査書によれば、教育委員会主事は調査官に対して特定政党またはその同調者と見られる教員の名前を申し上げますという行為があったということが調査書に記載されている。そんなことは許されるのですかと聞いているのです。
○鈴木説明員 先ほどお答えいたしましたとおり、私どもも、正式の報告によりますと、公安調査官の求めに応じて、一般市民の照会にも応じている範囲内の教員の住所、年齢、経歴等を述べたにとどまるという報告を受けておりますので、そういう事実を前提としてお答えをしているわけでございます。
○中谷委員 あなたは私の部屋へ来られて、この調査書をごらんになりましたね。この調査書の記載は、だから調査官が作成したものであることはあなた自身認められますね。だから、こういうふうな事実は具体的な事実なんです。こういうことが許されるのですかと聞いているのです。石川県教育委員会の報告というのは横へ置いていただきたい。この調査書のようなことが許されるかと聞いているのです。
○鈴木説明員 確かに中谷先生のお部屋でその書類をべっ見さしていただきましたが、詳細を拝見しておりませんので、評価をすることは差し控えさしていただきたいと思います。(高橋(英)委員「関連質問」と呼ぶ)
○中谷委員 そうすると、二十五日の予算委員会分科会までには、この問題についてはもう一度——あなたはべっ見されただけとおっしゃるのだから、これは私、正確に見せますから、この点について御答弁をいただけますね。その点についてだけお答えになってください。
○鈴木説明員 拝見さしていただきましてから検討いたしたいと思います。
○松澤委員長 中谷君に申し上げます。関連質問がありますから……。(高橋(英)委員「もういいです」と呼ぶ)
○中谷委員 そこで、次にお尋ねいたしたいのは、次の点であります。 三月八日、私は予算委員会において次のようにお尋ねをいたしました。資料要求、公安調査庁の訓令、達について提出方をお願いいたしたいということを、瀬戸山委員長に対してお取り計らいをいただきたいという旨の発言がございます。それに対して川口長官は、「その点検に相当時間を要すると思いますが、できるだけ御要望に沿うようにいたしたいと思います。」そこで秘密区分、秘になっていないものは出せますねと、これは私の質問です。それで「秘区分の件名については、これは明確にできますね。」こうお尋ねをいたしました。これに対して長官は、「できると思います。」こういうふうに御答弁になっておられるわけであります。 そこで、三月八日以来今日まで十回近く訓令、達の提出方を資料要求をいたしました。いやしくも国会の予算委員会の中において、「秘区分の件名については、これは名確にできますね。」「できると思います。」こういう答えに相なっているわけです。それについて、先ほどからの御答弁がどうこうというわけではありませんけれども、今日すでに二十二日、この間いまなお資料の提出方がありません。これは国会における答弁でありまして、あなたとのお約束ですから、この点については、私は食言が許されるわけはないと思うのです。また、食言だとおっしゃるわけはないと思うのです。その点について日を切っていただきたい。 きょうは、私はこれで質問を終わろうと思っておったけれども、あらためて質問せざるを得ない。二十五日の予算分科会で質問をいたしますから、この点について、少なくとも二十五日の質問までにお出しいただくことを確約をしていただきたい。出すということをすでに八日の日に言っておられるのだからね。いかがでしょうか。
○川口政府委員 お答えいたします。 御質問のように、八日の予算委員会で私は先生の御質問に対しまして、できるだけ御要望に沿いたいというような答弁をいたしました。帰庁いたしまして調べてみますと、この前も申し上げましたように、開庁以来の訓令、通達は数千点ございまして、全部秘扱いということになっております。極秘または秘ということで、それでは件名だけでも提出できないかと思いまして検討させてみましたところ、件名自体から大体内容が推測できるというような件名のつけ方をしておりまして、これも今後の調査に支障を来たすおそれがあるということで、現在まで御要望に沿えない段階で、引き続き検討を続けているという段階でございます。二十五日にはちょっと間に合いかねると考えます。
○中谷委員 私は、松澤委員長にもひとつ聞いていただきたいと思いますけれども、できるだけ御要望にというふうにあなたはおっしゃいましたねと私は聞いて、それならそれでけっこうです、「まず、秘になっていないものについては出せますね。」こうお尋ねした。そうして「秘区分の件名については、これは明確にできますね。」とあらためてここで私は聞いているのです。そうですね。あなたの持っておられるのは、おそらくその最初の質問のところだけでしょう。多数ありますので、相当時間を要すると思いますけれども、できるだけ御要望にこたえますと言って、それでそのとき私のほうから不規則発言があって、出すのか出さないのかを聞いているのですよと言ったら、重ねてあなたは、「できるだけ御要望に沿うようにいたしたいと思います。」と言っておられるのですね。そこで、とりあえずまず秘になっていないものはすぐ出してください、「秘区分の件名については、これは明確にできますね。」と言ったら、あなたは「できると思います。」こういうふうに答えておられるのです。長官になって一体何年になられるのです。もう二年でしょう。いまごろになってそういうことをおっしゃったって話は通じませんよ。予算委員会で「できると思います。」とあなたはお答えになっているのだから。 とにかく、数千点とおっしゃいますけれども、そんなものはゼロックスをかければ一発なんです、言ってみれば。その点について「できると思います。」ということで、あなたのほうの職員の方が来られたときに、お約束に基づいてそれを出していただいて、そのことについて質問をするからということで、それが八日、以後今日二十二日まで経過をしている、そういうことですね。そういう経過があるという事実は、あなたはお認めになるでしょう。 だから、率直に言って、きょうのあなたの答弁は食言的な答弁になりかねないと思うのですよ。あなた自身言っていて非常にかっこ悪いでしょう。そういうふうなことでは通りはしないですよ。あなた自身が、個人的にかっこ悪いとかかっこいいとかいうようなことで通りはしませんよ。「できると思います。」とあなたは言っておられるのです。予算委員会だから「できると思います。」と言って、法務委員会に来たら検討中だというのでは、十何日という時間の経過があって、話になりませんよ。二十五日は予算の分科会ですから、あらためて私はあなたの答弁を引用してもう一度質問せざるを得ない。用意できますかどうか、もう一度答えてください。努力をされるわけでしょう。その点はいかがですか。
○川口政府委員 お答えいたします。 先ほども申し上げましたとおり、引き続き検討しておる段階でございます。たくさんございまして、私の着任以後の訓令、通達はもちろん全部記憶しておりますが、その前十数年間に発せられた訓令、通達の内容は一々覚えておりませんでしたから、それで秘でないものもあるのではないかと考えてあのように申し上げたわけでございます。
○中谷委員 答弁が違いますよ。「秘区分の件名については、これは明確にできますね。」と私は聞いているのですよ。秘のものがあったなんということを聞いているのじゃないですよ。あなたも法律家でしょう。そのあなたに私はわざわざ、とにかく全文出すのはたいへんだろう、では秘区分の件名については出せますねと聞いているのです。そうしたらあたたは「できると思います。」と答えているのですよ。一体、予算委員会なり国会をどういうように考えておられるのですか。「できると思います。」とおっしゃったことが、帰ってみたら秘のものがあった。秘区分の件名については出せますねとあなたに聞いたんですよ。あなたはできると言ったのですから、帰ってみたら秘のものがあったというのは何ですか。答弁が首尾一貫しないじゃないですか。一貫すると思われますか。
○川口政府委員 お答えいたします。 首尾一貫していると思っております。秘の件名は出せると思います、こういうようにあの際申し上げましたが、検討してみたところ、その秘の件名自体から内容がうかがわれて調査に支障を来たすということで、提出は相当でないということになったわけでございまして、全然首尾一貫していると自分では考えております。
○中谷委員 「秘区分の件名については、これは明確にできますね。」「できると思います。」こういうように答えておられるわけでしょう。まず、秘になっていないものについては出せるわけですね。そうですね。そして、秘区分の件名についてはこれを明確にできるかと、特に私は件名と言っているわけですね。「秘区分の件名については」と言っているのですよ。秘区分の全文を出せと言っているのじゃないのです。あなたは、公安調査庁の長官としての職責を汚すこと二年でしょう。件名と言えば、当然そのことについては認識があったはずなんです。そして「できると思います。」と答えているのですから、できないということは、では答弁が違ってくるわけですか、どういうことなんですか、それをお答えください。
○川口政府委員 お答えいたします。 先ほど答弁申し上げたとおりでございまして、秘の件名は出せると思っておりましたけれど、私の着任以前のたくさんの訓令、通達を見ましたところ、その件名自体から内容がうかがわれるので、提出は相当でないということになったわけでございます。
○中谷委員 検討されたのですね。では秘区分の件数を言ってください。
○川口政府委員 お答えいたします。 私自身で勘定したこともございませんし、件数はわかりません。
○中谷委員 委員長、こういうふうな答弁でいいのですか。とにかく、三月八日に出してもらいたいということをお願いしたのです。私はそれから十数回にわたってあなたのほうに、早く持ってきなさい、早く持ってきなさい、質問の都合がありますからと言ったのです。秘区分の件名を見たら、件名だけでうかがわれるものがあると言う。では、うかがわれるものは何件で、うかがわれないものは何件なんですか。そういう調査をしなければおかしいじゃないですか。そういう調査をせずに、どういう準備をしてきょうここにおいでになったのですか。そういうものについては私は存じておりませんなどと、そういう言い方は無責任ですよ。検討すると言ったのでしょう。だからどんな検討をされたのですか。件数を言わなければだめじゃないですか。件数はこれだけあります、件名で言えないものはこれだけありますと、こういうようなお答えがあってしかるべきじゃないですか。
○川口政府委員 お答えいたします。 先ほど申し上げましたように、昭和二十七年開庁以来の訓令、通達は数千件ございまして、それぞれ調査対象団体ごとに所管の部課が分かれておりまして、そのそれぞれの責任者に命じて現在検討を続けているところでございまして、どの関係が何件と、そういうこまかい数字は私まだ把握していない、あるいは報告を受けていないということでございます。その点御了承願いたいと思います。
○中谷委員 そうすると、もう一度お尋ねしますけれども、日を切らずに仕事を命じているということなんですか、公安調査庁というのは。だからどろぼうが入るんですよ。日を切らずに仕事を命じているんですか。いつまでにこの仕事をしなさいということを命じてないんですか。
○川口政府委員 お答えいたします。 特にそのことに専従さしているわけじゃございません。それぞれの課が本来の仕事、毎日の業務をやりながら、その余暇を見て検討しているという関係でおくれているのではないかと私は考えております。
○中谷委員 人ごとみたいなことを言ったらだめですよ、おくれているんじゃないかなんて。こちらはとにかく二十一日に質問しますよ、何日に質問しますよということを言っているんですよ。それならばいつまでにと答弁されるということは当然じゃないですか。いつまでにその仕事をしておきなさい。日は切らないというふうなことで、話がとにかく進んでいいんでしょうか。委員長、一体そういうことでいいんでしょうか。いつまでに仕事をするかわからぬ、そうして、とにかくそれは出すか出さないか検討します、余暇に仕事をしています。議員の資料要求というのは余暇なんですか。議員の資料要求を国会でお約束したことが余暇なんですか。
○松澤委員長 答弁者に申し上げますけれども、できるだけ国会に答弁する場合は、誠意をもってお答えになるようにお願いします。政府との間の質疑、答弁ですから、委員長といえどもその内容にまでは触れませんけれども、そういう気持ちで御答弁を願いたいと思います。
○川口政府委員 お答えいたします。 私ども、もちろん誠心誠意をもって仕事はしております。先ほど本来の仕事の余暇にというようなことを申したかもしれませんが、それは言い間違いでございまして、緊急やむを得ない仕事もいろいろありますので、もちろん、国会を第一と考えて一生懸命検討している段階でございます。
○中谷委員 私は納得しませんからね。しかし委員会がある限り、私が委員である限りは、この問題は徹底的に追及します。とにかく資料要求は本来の仕事じゃないのですか。国会に対してそういうものは出しますと言って国会で約束されたことが、本来の仕事でないのですか。議員に対してそういうものを出すことは恩恵的なものだと思っているのですか。副次的なこと、恩恵的なこと、議員がうるさく言うからそれは出してもいいじゃないかというように聞こえますよ。本来の仕事でないのですか、あなたの仕事は。お答えください。
○高橋(英)委員 関連して。国会で約束されたことは非常に重大なことですね、国会は国家の最高機関ですからね。たいへん重要なことだから、余暇で調べるとか研究するとかいうことはもってのほかだと思うけれども、しかし、国会の院議でやる場合とか委員会の会議で要求する場合とかというのと、個人の国会議員が要求する場合とは違うのですよ。そういう場合に、国益に反するような、行政機関として絶対に部外に漏らすことができないようなものに関しては、軽々にその材料を提出するとかしないとかいうふうな表現をすることは慎まれたらいいと思うのです。できることとできないこととある。しかし、国会のそれぞれの規則によって、院議できめる、委員会の会議できめるというふうなことによって、成規の手続によって、絶対にその提出の義務がある場合は別です。そうでない場合は、個人個人の国会議員の場合においては、やはり行政府と立法府の区別を判別して、そして、そこで応じていいものと応じなくてもいいものというようなことをよく研究せられて、慎重に答弁せられることが必要である。しかし、一たび提出を約束された以上は、それは誠意をもって提出されなければいけないと思うのです。いま言ったように、とにかく行政府と立法府の区別というものをはっきりして、部外へどうしても出してはいけないようなもの、そういう国益に反するもの、行政管理としてそういうことを漏らすべき、提出すべきものでないというふうな確信を持っているものについては、それは成規の手続に従って提出の義務が生じた場合は別だけれども、非常に慎重に答弁されるように希望します。しかし、お約束になっているんだったら、それは誠心誠意お約束を実行されなければいかぬと私は思います。
○川口政府委員 お答えいたします。 もちろん、国会は国の最高機関として私、尊重しなければならぬと考えておりますし、先生の御質問に対しても誠心誠意答弁しているわけでございまして、先ほど検討中だ、たくさんあるのでそれが若干おくれているというわけでございますから、その点を御了承願いたいと思います。
○中谷委員 とにかく一つずつ片づけていきますが、余暇でやっています、本来の仕事の余暇でやっています、この二つのことは維持されるのですか。あなたはそう言ったじゃないですか。余暇でやっています、本来の仕事があります、本来の仕事の余暇でやっています。瀬戸山委員長が中に入って、特に私の資料要求に対しては、川口長官のその資料要求についての答弁を求めます、こう言われて、あなたは、とにかく出せると思います、そして、できると思いますと二回にわたって答えているのですよ。あなたはその点について、件名もわからぬ、件数も調べてない、とにかく各課でやっているんでしょう、そしていつまでという日が切ってない、そうしてそれは余暇です、本来の仕事の余暇にやっています。あなたがとにかくどこかの特捜の部長か何かやっているんならそういうことで通りますけれども、国会の中でそういうことが通るはずはありませんよ。私とあなたの関係じゃありませんよ。とにかく約束したことについてそういうことが行なわれていない。しかもそれが余暇でやっている。何事です、一体それは。
○川口政府委員 お答えいたします。 その点は、先ほど不穏当として取り消しましたから……。
○中谷委員 不穏当として取り消したと言ったけれども、余暇でやっていることは事実なんですか。余暇でやっているということが不穏当だということで取り消したが、余暇でやっているということは事実なんですか。ことばが不穏当だということと、事実やっているということとは別でしょう。現実はどうなんですか。余暇なんですか。取り消すというふうなことばじゃなくて、行為を取り消さなければいけませんよ。行為を取り消すことができますか。三月八日から今日まで、余暇でやっていたという事実を取り消しますか。取り消せないでしょう。そうでしょう。ことばが不穏当じゃないですか。委員会をのたくっている考え方じゃないですか、あなたの考え方は。そうでしょう。要するに、そういうことばは取り消しますと言われても、現実に余暇でやっておったといった事実は取り消しできないじゃないですか。どっちなんですか。
○川口政府委員 お答えいたします。 先ほどからたびたび申し上げますように、たくさんありますので、その検討にひまどっているというわけでございます。
○中谷委員 話が違うんですよ。たくさんあってひまどっているという話は何べんも聞きましたよ。本務があるので余暇でやっているということをあなたはおっしゃったのですよ。そうして与党の委員も質問をされたので、どうも旗色が悪いからといってあなたは取り消したのでしょう。そうでしょう。ことばは取り消しても、余暇でやっているという事実の取り消しはできないじゃないですか。私は、あなたに何べんこのことについて要求したのですか。十回は上回っていますよ。そのことについて何のことも検討もしてない。とにかく何の誠意もない。そんなことが公安調査庁自体のすべての体質じゃないですか。日を切ってください。
○川口政府委員 お答えいたします。 先ほどからたびたび申し上げますように、膨大な件数なので、日を切ることはできないとお答えいたします。
○中谷委員 できないというのは、三月かもわからない、四月かもわからない、五月かもわからないというふうな切り方もできないのですか。何月何日何時というふうな切り方、その他いろいろな切り方があるでしょう。一体作業の日程はどの程度進んでいるのですか。
○川口政府委員 お答えいたします。 極力努力して、なるべく早く結論が出るようにいたしたいと思います。
○中谷委員 話をしますけれども、あしたでも私のところへ来て、そうして資料はお見せします、説明をしますと言ったのはあなたのところの役所の人じゃないですか。何を言っているのですか、一体。極力早くとおっしゃっていますけれども、とにかく持ってきて説明をします しかし先生限りにしてください。こういうことは話はしたくないけれども、あまりあなたの態度が誠意がないから申し上げる。説明をしたい、そうしてとにかく資料としてお渡しするについてはごかんべんをいただきたい、いつでもその点については持っていきますとあなたの部下は言っているじゃないですか。あなたはこの委員会さえ何か言ってのたくっていけばいいという考え方でしょう。なるべく早くなんて、準備はできているのですよ。先生のところへ持っていきます、私のところへ持っていきます、説明をします、日はきめてくれてけっこうです、こう言っているじゃないですか。それといまの答弁はどういうふうな関連を持つのですか。それだけ答えてください。
○川口政府委員 お答えいたします。 当庁の笹岡審理課長が先生の……(中谷委員「次長ですよ」と呼ぶ)冨田次長と笹岡審理課長が先生の議員会館のお部屋に伺ってお話をしたということは聞いておりますが、その資料提出の約束、あるいはそういうものを持っていったということは聞いておりません。
○中谷委員 持ってきたと言わないのだよ。持っていきますと言ったのですよ。その点とどういう関係がありますかと聞いているのです。持っていきますとさつきから何回も言っているでしょう。
○川口政府委員 そこまではよく聞いておりません。
○中谷委員 だから首尾一貫しない。どろぼうが入るのはあたりまえの役所です、あなたのところは。とにかく次長が言って、課長が言ったことをあなたが聞いてない。下克上があるか、内部紊乱なのか、私のところへ来て、とにかく見てください、ただ先生、外部へ漏らすのはかんにんしてくださいよ。その点については、そういうことは、お渡しはしませんけれども、とにかく説明はしますから見られるものは見てください、こういうお話があったのです。そういう話があっておきながら、いまになって検討中だ。何も検討していないのです、あなたは。ここへ出てきたら、とにかく何とか、お互いに法律家同士だから、ごまかしていけば時間かせぎになるだろうという考え方ですよ。 いずれにいたしましても、もう一度明確に取り消していただきたい。とにかく余暇で、本務外の仕事で余暇としてやっておったというようなことを明確に取り消して陳謝していただきたい。あなたの言ったことを取り消していただきたい。
○川口政府委員 お答えいたします。 余暇と申し上げたかどうか、私、記憶しておりませんが、もしそう申し上げたとしたならば非常にまずい表現だ。先ほど取り消したとおりでございます。もしやそういう発言をしていましたならば、この席でおわび申し上げます。
○中谷委員 それでは二十五日までに会議録を調べていただいて、事実であるかないかをお調べになって、二十五日の予算分科会であらためて、発言の事実があれば陳謝されることを要望しておきます。 次の質問に移ります。最後の質問は簡単にいたしておきますけれども、なぜこんなどろぼうが入ったのですか。一体どういうことが原因なんですか。一体どんなところに遠因があるのですか。長官自身はこの点についてどんな責任をおとりになろうと思われるのですか。この点についてはどうですか。
○川口政府委員 お答えいたします。 ただいま事件は捜査中でございまして、詳細はまだはっきりいたしませんが、いままでにわかった点から見ますと、端的には本人の異常な性格ということが原因ではないか。もちろん私どものほうの人事管理、あるいは庁舎の管理に欠陥もあったということも認めますが、端的には先ほど申しましたように、本人の異常な性格ということに原因している、こういうように考えております。
○中谷委員 異常な性格などということをいまごろになって言われたって、破防法というたいへんな、凶器にもなりかねない法律の一端を調査する調査官が、異常でした、そうして何年かの間調査官としてやっておったが、そういうことがわからなかった。とにかく全く言語道断だと言わざるを得ないと私は思うのです。そして、一番肝心なことについてお答えになっていないじゃないですか。あなた自身はこのことについてどういう責任をおとりになるのですか。個人的にはこういうことを聞くのははなはだ忍びないものがあるけれども、あなた自身はどういう責任をおとりになりますか。これほど世間を騒がせた、これほどいやらしい、不愉快な事件というのはない。そういうものを起こした責任をどういうかっこうでおとりになるのですか。
○川口政府委員 お答えいたします。 今度の事件によりまして、関係の各方面にいろいろ御迷惑をかけたことを非常に申しわけなく思っております。先ほど申し上げましたように、ただいま検察庁、警察に事件の処理をおまかせして捜査中でございます。おととい勾留状が出まして、いずれ近日中に処分がきまると思いますが、その全貌が明らかになり、刑事事件の処理が済んだ段階で、私を含めてそれぞれ責任ある者の処分、あるいは懲戒ということを考えたいと考えております。 以上でございます。
○中谷委員 最後の質問ですが、刑事局長待たせておりました。刑事局長にお聞きいたしたいと思いますけれども、どろぼうが入ったのは二月二十二日ですね。そして届け出は一体いつ警察にあったのですか。そうしてどろぼうが入った日の宿直の人は、警察に何べんも出頭しなさい出頭しなさいと言われて、出頭したのは一体何日だったでしょうか。こんなことが一体被害を受けた役所のするべき態度なのかどうか、私ははなはだしく不愉快というか、ずさんというか、不誠意ということを言わざるを得ないと思う。その点、局長ひとつお答えになってください。
○高松政府委員 金沢中警察署に被害の届け出がありましたのは三月八日でございます。それで、当時当直しておりました荒井調査官を取り調べましたのは三月十四日でございます。彼はその当時研修のために上京して、そのために取り調べがおくれた、こういうふうに聞いております。
○中谷委員 大臣に最後にお答えをいただいて私は終わりたいと思いますけれども、まず、原局の関係では二月二十二日にどろぼうが入った。電話線が切断してあった。犯行があったことは歴然としている。その届け出を三月八日まで放置してあった。じかも局にもそれから庁にも報告がなかった。これは原局の仕事として私は非常に責めらるべき点であると思う。ところが、三月八日に届け出をして、そしてその日私が予算委員会でこの問題についての指摘をいたしました。その後、荒井調査官というのは当時宿直をしておった方ですが、そうすると現場関係の保存、現場がどうだったかということについては一番大事な参考人でございますね。この人がとにかく出頭したのが十四日。警察のほうはやいのやいのと言って、荒井君を出してくれと出頭を命じているわけです。私は本庁のほうは知らないはずはないと思うのです。八日から十四日までの間出頭しなかったということ、しかもそれは研修だと言うのです。研修があって、こういうふうなものがなくなったということについて何ら出頭をしておらない。ずさんと言おうか紊乱と言おうか、しかも、これは長官自身が知らないわけはないと思うのです。本庁自身も、出頭してなかったことについては知っておった事実がある。こんなことが世の中にあっていいものかどうか。そして警察のほうは、捜査非協力ということについて非常に不満を漏らしている。何でそういうふうな役所が人さまの秘密を調べる資格があるかというふうに私は言いたい。本庁から地方局に至って、役所がだらけ切っている。しかも非常に陰惨な形でだらけ切っている。訓令、達の問題について、先ほどの質疑応答を通じても、答弁がきわめて陰気ですよ。 そこで、私が大臣にお聞きしたいのは、長官自身が荒井調査官を出頭させなかった特段の理由があるのか。研修というふうなことで金沢まで行かせなかった理由があるのかどうか。こんな点についてはきわめて遺憾だと思うのです。この点についての大臣の御所見を承って青柳さんの質問にかわりたいと思いますが、いかがでしょうか。
○前尾国務大臣 冒頭にも申しましたように、今回の事件は非常に遺憾な事件だと私ども思っております。また、御質問のありましたときには、さっそく本省から事務官が参っていろいろと調査しておるというふうに聞いておりましたのですが、ただいまお話しのとおり、どうもかなりいろいろ遅滞しておったのではないかということ、あるいは全体的に弛緩しておるのではないかというような懸念を私も持っておるわけで、今後あくまで追及して刷新したい、かように考えております。
○中谷委員 終わります。
○松澤委員長 青柳盛雄君。
○青柳委員 私はきょうは、東京地方裁判所民事第三十五部というのがございますが、 〔委員長退席、高橋(英)委員長代理着席〕 そこで数年前から、書記官が証人の証言とか本人尋問の供述などを録音機によって録取し、そのテープを当事者の依頼する筆耕屋、いわゆる謄写屋に貸し出して反訳をさせ、これを書記官が点検した上、訂正とか加筆をした上で再び筆耕屋さんに浄書をさせる、その一部を調書添付の正本とする、それから他の部分を申請者に対して写しとして渡すとか、あるいは謄本に使う、こういう方式を採用しているといわれております。これは単に三十五部だけではなくて、民事十二部とか、あるいはその他一説によりますと十数カ所においてとられている方式だそうで、ただ三十五部が最初に始めたので、三十五部方式とも略称されているそうであります。 その詳細は、全国裁判所書記官協議会の会報三十三号の論文がございまして、これは筆者は東京地裁民事第三十五部所属の主任書記官の小林寿という方の書いた「書記官制度改革の基盤」副題が「供述録音による調書作成を中心として」というのに詳細にあります。内容も大体それによって私は知ったわけでございますが、この法的な根拠について、最高裁判所は何ら違法のないものであるという見解を持っておられるのかどうか。もしそうだとするならば、その根拠はどこにあるのか、まず最初にお尋ねしたいと思います。
○長井最高裁判所長官代理者 東京地方裁判所民事第三十五部ほか民事の数カ部におきまして、ただいま御指摘のような速記による調書録取の方法がとられていることは事実でございます。 その法的根拠につきましては、民事訴訟法の百四十八条、民事訴訟規則九条の二等が根拠になっておるわけでございます。
○青柳委員 これは長井局長さん、ちょっと誤解をしていらっしゃるのではないかと思いますが、先ほど申しました論文の趣旨によりますと、録音を反訳するわけですから、速記ではないですね。ですから、これは民事訴訟規則の十条によりまして裁判所が録音を許可する、そしてその許可された結果でき上がったところのテープをもとに反訳をするわけです。 〔高橋(英)委員長代理退席、委員長着席〕 この反訳はだれがやるかといいますと、書記官ではないのですね。謄写屋を通じてと申しましょうか、筆耕屋さんがやるわけです。その筆耕屋さんというのが、実は障害者センターなどと連携をとった人でありまして、私の聞いたところでは、まず、その録音を聞きながら盲人の方がカナタイプで反訳をする。それを心身障害者で字の書ける方が、今度は漢字やかな文字に変えていくというような連鎖方式で完成をし、それを書記官のもとへ提出する。書記官はそれを読んでみて、間違いがないと思ったらそれを浄書させるし、何か間違っている部分があるとすれば訂正したりして、その上で浄書させる、こういうことなんで、いま御指摘の民訴の百四十八条、あるいは九条の二というのは、速記ではないでしょうか。この点いかがですか。
○長井最高裁判所長官代理者 失礼いたしました。速記者の使用につきましては百四十八条が根拠になっているわけでございますけれども、御指摘のように民事訴訟規則の十条の規定によりまして録音をいたし、それに基づいて書記官が調書の作成をいたすわけでございます。ただ、調書の作成にあたりましては、すでに判例も昭和四年に出ておるところでございますが、調書の内容をみずから筆写することを要しない、補助者を使用して作成した場合であっても、その内容が作成権限者の意思に完全に合致しておって、法律の方式に定められた形式を備えておれば調書として法律上の効果に欠くるところはない、このような解釈に基づいてなされておるものでございます。
○青柳委員 この民事訴訟規則十条に基づいて供述の録音を許可するというわけでありますが、だれに対してこれを許可するという形をとり、またテープを貸し出すというようなことについて、裁判所はどの程度関与するのであるかということです。この点は全く許可するだけであって、あとの扱い方については裁判所は関知しないということなのかどうか、その点はいかがですか。
○長井最高裁判所長官代理者 録音機の使用は書記官に対して許可いたすものでありまして、その許可は受訴裁判所の権限といたしております。録音いたしました後、その反訳につきましては、書記官が補助者を使用して反訳をなさしめるということになっておりまして、録音の内容をそれ以外に引用することを、裁判所が許しておるわけではございません。
○青柳委員 裁判所がこの規則十条によって録音を許可するという基準ですね、これは条文によりますと、「必要があると認めるときは、」ということになっておりますが、規則の九条の二のほうで、裁判所が速記をさせる場合には、「相当であると認めるときは、」というふうに書いてあります。この基準というものは、速記の場合も録音を許可する場合も表現は違っておっても同じであろうと思うのでありますが、何か具体的にあるのでしょうか。それともケース、ケースによって許可する場合もあれば許可しない場合もある、速記をつける場合もあるし、つけない場合もあるというようなものでしょうか。
○西村最高裁判所長官代理者 速記につきましては主として重大な事件、非常に複雑な事件、証言内容が入り組んでいて書記官として調書がとりにくかった、そういうものを主として速記官によってとる、こういう形で一般的には認められております。録音につきましては、速記官がついた場合にも、なおかつ不十分な場合に録音もあわせて使用するということもございますけれども、速記官がつかない事件については、できる限り録音を書記官のメモの補充のために使用するということで、使える限り使うということで、一般的に広く認めておるのが実情でございます。
○青柳委員 全司法労働組合が行ないましたアンケート調査の集計結果を見ましても、録音機使用というのが四九・九%で、正確な調書作成のため補助的に使用するということがその理由になっております。その理由が、当事者の要請とか裁判官の要請とか、手書きでは自信がない、その他ある中で一番多いのは、正確な調書作成のための補助に使う、こういうことで、現実には書記官が自分の任務を遂行する上でこの機械的な作用を利用するということで、それ自体問題点は少ないと思うのですが、さりながら自分で反訳するということの手数を省くだけでなしに、筆耕屋さんに出すということですが、この費用はだれが持つのかという点が問題になるわけですが、裁判所のほうで三十五部方式の場合の費用はだれが持っているか、調べられたことはありますか。
○長井最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘の三十五部方式につきましては、結論を申し上げますれば、当事者が負担をして反訳の費用に充てていたというのが実情でございます。これは時代の要請と申しますか、裁判所法六十条二項に記載してありますような書記官の記録の公証の任務が、要領のみでは現代の要求を満たし得なくなりまして、逐語調書に対する要求、また迅速な調書の作成に対する要求、次回期日に尋問の基礎となる資料としての迅速なる作成ということが要求されてまいりまして、費用は当事者が負担するから、そのような方法をとられたいという要請に基づいて行なわれてきたものであります。 しかしながら、そのような方法は画一性を欠きまして、公判事務の遂行として適当でないという見地から、現行法で許されます範囲内において、これを国における調書の作成の費用といたしますべく、昭和四十七年度にその実験の費用を要求いたしまして、予定経費の要求としてただいま御審議をいただいておりますので、この予算が認められますれば、認められた範囲内において国の負担において作成がなされるということになるわけでございます。
○青柳委員 その予算は、現在東京地方裁判所三十五部をはじめとする何カ部かで行なっているのを、全部まかなうに足る程度のものと考えられるのか、それともいままで全部当事者の負担にされていたものの一部分をカバーする程度にとどまるのか、その点はいかがでしょう。
○長井最高裁判所長官代理者 行く行くはすべてを国の費用でまかなうことが理想と申しますか、 〔委員長退席、羽田野委員長代理着席〕 あたりまえであるわけでございますが、何ぶんにも手始めでございまして、いろいろな組織、手続をその前に確実にしておく必要がございますので、さしあたりは実験の費用ということで一千万円余りを計上いたしたわけでございます。したがいまして、さしあたり直ちにすべてをまかなうという金額ではございません。この実験の結果によりまして、無理のない予算の執行によりまして、当事者の要請する正確なる逐語調書を迅速に作成するという要請にこたえていきたい、このような計画でございます。
○青柳委員 このようなものを、財政的な裏づけまでとって制度化するということについての問題点と思われるものをお尋ねしたいのですが、裁判所のほうでは書記官の調書作成の職務というものを、こういう方法によって比較的簡素化し、それによって余った力を裁判所法六十条三項の調査事務というものに当たらせるというようなねらいがあるのかどうか。これは相当問題のあることなんですね。裁判官の補助役をする、そして裁判官は幾らかほかのほうにエネルギーをさくことができるといったようなことで、書記官の任務が調書作成ということよりも、調査活動のほうに重点が移るということになれば、また相当問題も起こると思うのですが、この点はどうでしょうか。
○長井最高裁判所長官代理者 裁判所法六十条三項に定めております調査事務の補助の規定も、国会のたいへんな御審議をいただいて権限として付加していただいたものでございますが、実情は、この規定の活用がほとんどなされておらないのが現状でございます。 その理由は、一つは最近の事件における証人数の増加、証言内容の複雑多岐と証言時間の延長、これがきわめて著しいものがございまして、先ほども申し上げました六十条三項の補助事務はもちろんのこと、それ以外にもたくさんの手続の事務がございます。これらが調書の作成事務に漸次圧迫されてまいりまして、その関係が遅延しがちでございますので、この調書作成事務は現代の要請する形に解決しながら、本来の補助事務並びに六十条三項の事務を、その権限を適正に行使するという形で書記官の職務の遂行をさせたいという配慮に基づいているものでございます。
○青柳委員 もう古くから速記官制度というものがあって、これを充実することによって、いま言われた書記官の任務を軽減するということも可能になるのに、そのほうとあわせていま言われたような新しいものが制度化されて、財政的な裏づけも与えるということになると、このほうが案外と安上がりだというようなことになって、速記官制度を縮小あるいは廃止する方向が出てくるおそれはないだろうか。現に速記官の定員というものが相当多くなっているにもかかわらず、現実にはその定員が充足されていない。相当数欠員になっておる。その分の予算はほかに回されているというようなことを聞いております。ですから、速記官は数が少ないのに事件は相当多いので、いろいろの病気、職業病になったりしているということも聞いておりますし、またこの給料がなかなか上がらないというようなこともいわれております。これは前の委員会で質問したこともございますけれども、こういう速記官制度そのものに、この制度はどういう影響を持つかという点は、いかがでしょうか。
○長井最高裁判所長官代理者 速記官制度が別に裁判所法の規定によりまして設けられておりますことは、御指摘のとおりでございます。ただ、速記官制度はその目的が違いますので、その点をちょっと御説明させていただきます。 新しい訴訟制度が新憲法のもとで受け継がれまして、民事訴訟も刑事訴訟も交互尋問制に尋問の制度が切りかえられました。従前は訴訟の記録によりまして、裁判所の書記官も尋問内容があらかじめほぼ予測されましたので、尋問とこれに対する供述が書記官の要領の筆記によりましてほぼ正確に録取することができたわけでございますが、交互尋問になりましてからは、ことに反対尋問におきましては、予想外の質問によりまして相手方の陳述の信憑性をくつがえすというような方策がとられますために、反対尋問の当初の質問の内容が、録取者に十分のみ込めないまま記録せざるを得ないというようなことから、調書の内容が必ずしも正確を期しがたいというようになったわけでございますが、録取の制度につきましては、従前の裁判所書記、現在で裁判所書記官の制度に引き継がれたまま、録取について何ら手当てがなされなかったわけでございます。この点に非常に短所を見出しまして、何らかの手当てをせざるを得ないということで、昭和三十二年に裁判所法の改正をいたしまして、速記官制度を設けたわけでございます。 それで速記官制度は、ただいま九百三十五名の定員にまで、現在在職の書記官、事務官の定員を漸次改めてまいったわけでありますが、何ぶんにも速記官という職務内容は高度に長時間の緊張を要し、しかもその緊張を指の先に反映しなけねばならないという、人間の心理と肉体とを極度に緊張させた状態でするという特殊の職業でありますために、その人の適性な性格がないという場合には、法廷に立ち合ってもなかなかついていけないという非常な回復しがたい欠陥を露呈いたします。このような関係で、優秀な速記官の素質を持っておる方を採用することにつとめ、当初は外部からも採用いたしたわけでございますが、だんだん経済の成長に伴いまして、公務員である速記官の予定者に素質の十分な方が来てもらえない。しかも外部から速記の養成部門に入所していただきましても、養成の過程でその素質の欠格者であることが発見されますと、これは早期にそのことを本人に伝えませんと、将来回復しがたい損失が生じてきます。このような関係で、養成部門に入れましてから欠格者も非常に多数出てくるというような関係から、外部の採用にたよることもきわめて希望者本人に気の毒な結果が出るということから、部内採用に切りかえてまいったわけでございます。部内採用でありますれば、適性に欠けることが発見されました場合でも、もとのポストに戻ってもらうことができるという関係になるわけでございます。 このようにして速記官制度の育成をはかってまいったわけでございますが、九百三十五名の定員にまで完全に充員することは、適性な素質の所有者を得るという観点からきわめて困難に逢着いたしまして、常時五十名を上回る充員の困難という関係が出てまいり、また現に養成中の方は事務官の身分を持っておりますが、その関係の人員の充員の困難さ、それから養成を終えまして実務につきましても、いろいろな関係で退職する者が多いために、相当数の欠員を出さざるを得ないという結果に相なっておるわけでございます。 しかしながら、速記の制度はやはり人間という高度の頭脳が活躍する場面でございますから、同時に幾つかの発言がございましても、どれを録取すべきかということの選択ができるわけでございますが、先ほど申し上げました録音機による録音反訳という方法では、機械の限度というものがございまして、同時発言等がございました場合には、そのとるべき録取ということができないというような関係もございます。それぞれの特色がございますので、決して録音反訳方式の採用によって速記官制度が無用になるというようなことはございません。やはり速記官の制度にたよらなければならない特殊の複雑な事件が相当数ございますので、この制度は、その特色によりまして今後も維持していかなければならないものと考えている次第でございます。ただ、この充員が意にまかせないということは、非常に残念なことでございます。 〔羽田野委員長代理退席、委員長着席〕
○青柳委員 調書を正確にするということは、訴訟当事者にとって、ないし国民にとって正確な正しい裁判をしてもらう資料が保存されるということでありますから好ましいことでありますので、そういう意味では、この制度は積極面を持っておりますが、その反面において、速記と違った録音でございますので、その反訳を部外者がやる、いわゆる書記官の補助者がやる、その補助者も、外注のような形で筆耕屋さんがやるということでございますから、その正確を期するための何か手当てというものが考えられているかどうか、この点を簡単にお答え願いたいのです。
○長井最高裁判所長官代理者 正確を期します点では、これは担当の書記官に全責任があるわけでございまして、反訳して戻ってまいりました原稿は、書記官が手元にございます録音の原本に基づきまして全部点検いたしまして、その趣旨が正確であるように十分訂正、加筆いたしまして、録音に全く基づくものであるということを確認しました上で署名捺印をし、裁判官がこれを記名して初めてその調書として確定され、またその調書の謄本の交付ということができるわけでございます。
○青柳委員 その外注を受ける人、いわゆる筆耕者といいますか、そういう八相恒か宣誓をさせられるというようなことがこの本には書いてありますけれども、何かそういう制度があるのでしょうか。
○長井最高裁判所長官代理者 反訳に当たります人は公務員ではございませんから、法律上の効果を持つ宣誓ではございませんが、何ぶんにもただいま実験の段階でございますので、全く精神的な倫理的な意味しかございませんが、宣誓をさせているというのが現状でございます。 なお、この点につきましては、民事訴訟の記録は公開制をとっておりますので、外注することは違法とは考えておりませんが、間違いを予防するため、この実験段階を通して間違いのないように、確実なものにしたいと考えて努力いたすつもりでおります。
○青柳委員 まさかこの録音テープが偽造ないし変造されるというようなことは、まず例外的にもあり得ないとわれわれ期待するのですが、それにしても、調書に対しては当事者から異議を申し立てる権利が保障されておりますので、当事者とすれば、もう録音のとおりこれは反訳したのだから文句の言いようがないのだと言われたのでは困るので、これに対抗するためには、当事者もまた録音をしておくということも必要な場合が、同時録音ですね、あり得るのじゃないか。こういうことについても当事者からの請求があれば許すつもりがあるかどうかということと、時間がありませんから、最後的に申し上げたいのは、国がこの費用を全部持つということでないと、費用の負担できる当事者は何かそれだけ正確な資料を得ることができるけれども、そうでない当事者はそういう機会に恵まれないという不公平が出てくると思います。これは全部国が責任を持つ。速記の場合と違うわけでございますから、実験的に一千万ですかの予算をとったというのですが、もしこれを普遍化するならば、第一義的にやはり国が全部持つという方式にしていくことが望ましい。しかも私が先ほどから憂えている、これによって書記官をふやさないとか速記官をふやさないというような、いわば労働強化をこれでカバーするというような合理化は絶対に避けなければならぬと思うのですが、これを最後にお尋ねいたしまして終わりにいたします。
○長井最高裁判所長官代理者 正確性の担保の点につきましては、録音したものはなお保証を期するために、希望があれば、その録音体のコピーを当事者に交付いたしております。 それから、負担過重のしわ寄せをしない点につきましては、速記官につきましては、現在充員にはなはだ困却しておる状態でございますが、決して労働時間と申しますか、立ち会い録取の時間をそれによって延長するようなことはごうもいたしておりません。書記官につきましては、この方法によりますと、調書作成の時間が相当短縮されますので、準法律職としてみずから好む方向に自分の才能を、職務のときに発揮していくということができると考えております。 なお費用につきましては、全部がこの録音反訳の方法によることができますように大いに努力したい、すべてを国費でまかない得ることを目標に努力したいと思っておりますので、御支援をいただきたいと思います。
○松澤委員長 次回は、明後二十四日午前十時より理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時二十八分散会