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68回国会衆議院1972/04/21

文教委員会 第10号

発言数
79
登壇者
8
会派数
4
開催日
1972/04/21

会議録

丹羽兵助自由民主党

○丹羽委員長 これより会議を開きます。  国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。有島君。

有島重武公明党

○有島委員 議題となっております国立学校設置法の一部改正案について先日来同僚委員により質問がずっとございました。私、なるべくそれと重複しないように、大体総括的なことがございましたので、その中の重点的な問題を二、三質問さしていただきたいと思います。  先日文部大臣が、私立医科大学の新設にあたっては審査を二年間がっちりやっていくんだ、そういうふうな方針を言われました。これにつきまして、一般の大学ですね、この前は私立医科大学の話がおもでございましたけれども、一般の大学、また学部の設置——いま議題になっておりますのは学部の設置でありますが、この新設についてはどうなのか、これが一つ。  それから、大体この設置を認可するのに巖重に審査するその目的というのは、いわゆる質の確保といいますか、言いかえれば、学生が勉学しようと思って学校に行く、その学生の期待に十分こたえ得るだけの受け入れ体制をしっかりさせるということが目的であろうかと思うのですけれども、この点についてもう一ぺん確認しておきたい。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 大臣が先般当委員会でお答え申し上げましたことは、当面課題になっております医科大学の設置のことでございまして、御案内のように、医科大学につきましては、七、八十億あるいは百億をこえる大きな資金、資材を必要といたします。そういう関係から、学校の施設あるいは病院施設の準備も相当の時間を要しますので、いま私どももいろいろと世人の指摘もございます医科大学につきまして、審査の手順をもう少し慎重にしていくということを考えています。  あわせまして、ややそれに準じたものとして歯科についてどうするかという検討も進めておるところでございます。しかし、他の一般の学部等につきましては、規模のかなりいい歯に比べ、ますと格段に違いますので、そういう点で、従来からやってまいりました審査方式を、この際一緒に変える必要はいまのところないのではないかというふうに考えております。  いずれにいたしましても、大学設置審議会及び私立大学審議会のそれぞれにおきまして、審査方法を医を中心にいたしまして検討を進めておる段階でありますので、それらの審議会の御意見を待ちまして、文部省として四十七年度の手順をきめたいと考えております。

有島重武公明党

○有島委員 私の伺ったのは、一般の大学、また学部の新設について、これはどのような方向にしていらっしゃるのかということが一つ。それから、そうした新設についての審査を厳重にしていく目的ですね。この二つについて大臣からひと…。

高見三郎自由民主党文部大臣

○高見国務大臣 二段審査にいたしたいと申し上げましたのは、私の気持ちでは、医科大学の新設の場合を申し上げたのであります。と申しますのは、これはばく大な金を要する。しかも建物はつくった、認可にはならない、という状態になりますというと、そのこと自体が一つの大きな社会問題を起こすおそれがある。(有島委員「委員長、ざわざわして大臣の声が聞こえないんです」と呼ぶ)

丹羽兵助自由民主党

○丹羽委長長 皆さん、お静かに願います。

高見三郎自由民主党文部大臣

○高見国務大臣 医大につきましては特に厳重にやりたい。それから学部の創設につきまして考えます場合には、必ずしもそこまで厳重にする必要はなかろうと思っております。  そこで、もう一ぺん区別をして申し上げますと、医科大学をつくるという場合には、私どものほうではできるだけ厳重な審査をやる。それには設立者に迷惑をかけないように二段審査をする。また受験者が迷わないように二段審査をする。一般の学部につきましては、設備が相当のものであるならばこれは認可する、二段審査の必要があると考えてはおりません。

有島重武公明党

○有島委員 非常に自明のことのように思いますけれども、その審査を厳重にする目的について…。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 申し上げるまでもございませんが、いい大学を、少なくとも設置基準に明記してございます基準に十分合致した水準を維持したいということからでございます。

有島重武公明党

○有島委員 設置基準のお話が出ましたけれども、設置基準というのはやはりよい教育をやっていくということが目的である。これは非常に自明のことみたいだけれども、なかなかそういったずばりのおことばが出ないのはどういうわけなのか。  それから、文部省側はいい授業をしていくことである、逆に言えば、学生がほんとうに期待できるような大学にしていくんだ、そういうことだ。それが一番のかなめであって、あとは付随的なことになるんじゃないですか。それで、その設置の段階では非常にきびしくなっていくけれども、それじゃ、自後の問題はどうであるか。私は別に管理をきびしくせい、そういうようなことはではありません。けれども、特に大学の現在員ですね、大学生の定員数と現在員とのギャップが非常に大きいように聞いております。これについて現在どのようになっておるか、そのことを伺っておきたい。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 私立大学について申し上げますと、認可をいたしました、あるいはその後届け出がありまして、私立大学としての定員をこのようにいたしたいというものの総トータルに対しまして、私立大学が入れておられます実際の入学実員は約七割を上回っておるという状況でございます。  ちなみに、昭和四十六年につきましては、私立大学の入学定員は十五万九千人でございますが、入学いたしました実員は二十八万二千人となっております。

有島重武公明党

○有島委員 大臣、お聞きのように、七〇%以上定員オーバーといいますか、水増しというか、そういうような状況である。私立大学の補助でございますけれども、この私大補助ということは、当然年々大幅にしていかなければならない問題であろうと思うのですけれども、私立大学としても水増し入学をさせるということは、教育上の配慮からいってはまずいけれども、経営上の配慮からどうしてもしようがない、そういうような事情でこういうことが行なわれているのだと思うのでけれども、これは学生にとっては非常に迷惑な話です。  特にここでもって伺っておきたいのは、補助金の特に多い大学ですね。その中から私学財団のほうに報告した学生の人員、それから実際の人員ですね、これを見ますと、日本大学なんかですと、財団に報告した人員は七万三千三百三十九、これに対して実人員は九万一千二十八、これは一万七千六百八十九人、これだけの差がさらに出ているわけですね。こんな状況でもって、設置基準はしっかりしている、一生懸命やる、それで始まった。それで私学財団のほうにも報告がある、またそれ以上の水増しが起こる、そういうような現状を一体どうなさるのか。  さらに、文部省の認めている入学学生定員と実人員を比較してみますと、いまの日大なんかの場合には、学生定員としては一万六百十。これは入学学生です。この学生定員一万六百十に対して実人員が一万六千四百四十六、これは五千八百三十六人オーバーで、六〇%のオーバーですね。それから慶應なんかの場合、三千九百六十人という定員に対して六千七百四十三人、二千七百八十三名のオーバーで、七〇%のオーバー。それから早稲田は七千九百二十の定員に対して九千五百九十一、千六百七十一人のオーバー。これは期待をして入学をした学生にとっては、非常に心外な状況になっておるのじゃないかと思うわけです。まあ中には非常に良心的なところもたくさんございますけれども、こういう状況の中で、私学財団のほうでは補助の算定調査を行なうにあたっては、教官の数と学生の数のバランスについて三〇%の幅をもって加減をする、それからもう一つは、学生の定員と実人員との関係、このバランスによってまた三〇%というふうに、大体全体の六〇%ぐらいの幅をもって私学財団のほうの算定をしているようでございますけれども、こうした学生数の把握のいかんによっていろいろ補助も変わってくる。こうした大学の昭和四十五年度の補助金の支給額を見ますと、日本大学が七億八百三十三万円ですか、それから慈恵大学が三億六千八百六十八万、それから東京女子医大が三億一千五百九十四万、慶應が四億八千三百七十五万、これが二位になっておりますが、早稲田が三位でもって三億七千三百九十四万、こんなふうなことになっているようであります。  これはほんの一例でございますけれども、これは国の大学行政の非常に大きな問題じゃないかと思うのですね。こういった問題について大臣の御見解を承っておきたい。どういうふうにお考えになっているのですか。

高見三郎自由民主党文部大臣

○高見国務大臣 大学を一ぺん認可いたしますと、学生という人質を持っております。これを、当初約束をいたしておりました定員をオーバーしたからといって直ちに閉鎖を命ずるわけにはまいりません。そこがこちらの非常な弱味なんであります。が、望ましいことでないことは申すまでもないことであります。  私は、こういう状態が続く限り、大学の経常費等における補助金というものの配分のあり方についても検討し直さなければならぬ、真に大学としての使命を果たしておる大学に対する補助金の扱い方というようなものと、こういう形の大学に対する補助金の扱い方というものには、おのずから差別をつけてもいいじゃないかという考えすら持っておるのであります。しかし、私立学校の場合におきまして一つの大きな問題がありますのは、入子を許可いたしました場合に、その許可よりも、さらに国立大学等に入学をいたしまして、二またかけておって、突然入学をしないという学生が出くる場合があるということを予想いたしまして、ある程度の過剰人員をとるということはやむを得ないと思うのであります。しかし、そういうことを予測いたしましても、六割とか七割とかいう過剰入学をさせるということは決して好ましい状態ではない。大学側の反省を求めておるところであります。望ましい姿でないことは申すまでもございません。これは大学が、学校経営の立場と申しますよりは、学生に対する背信行為であるという意味において、私はまことに遺憾なことだと思っておるのであります。

有島重武公明党

○有島委員 まことに遺憾なことであると思っておるということでございますが、先ほども言ったように、私学財団のほうではそういったことを勘案しながら補助を出しておる。しかも、先ほど局長が言われましたように、昭和四十五年は六八%の水増しであった。四十六年度は七七%の水増しになっておる。ことしはどのくらいだったのか、ともかく年々一〇%くらいずつエスカレートをしている状況が見られるわけでございます。それで、遺憾であるということでもってこれを一体どうするのか。これを深刻に考えていかなければならないと思うのですけれども、こういうことについての手の打ち方について、これをいたずらに、そういう水増しをするところには金を出さないぞというような行き方ではなしに、どうしてこうならざるを得ないのか、これほどいまのところ私大の補助が足りないのだ、そういうふうな受け取り方をしていただきたい、そう思うのですけれども、いかがですか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 定員に対します実員の動きというのは、実は昭和四十一、二年のベビーブームのときが一番激しゅうございました。逐次、あるコンスタントな状態といいますか、過剰の状態になってまいりましたのですが、四十五年と四十六年を比べますとまた上向きになっているということは御指摘のとおりだと思います。今後大学生の推移をどう考え、またこれからの大学のあり方というものをどう考えるかということが、いま御質問になりましたことの基本にある課題であると思います。  いろいろな関係者が言われますように、これからますます大学への進学率が高まっていくということになりますと、ある程度の多数の学生に対する教育方法の改善という問題ともっともっと真剣に取り組みまして、従来、新しい学制のもとで二十数年前につくってまいりました大学の設置基準の考え方、逐次年とともに若干の変化は加えておりますけれども、この教育指導方法の改善ということについて、さらに一段とくふうを加えていく必要があろうかと思っております。  ベビーブームのころには多人数教育をどういうふううにしたらいいかという実験的な導入もいたしました。必ずしもまだ十分な成果をあげるに至っておりませんが、数多くをこなすというだけでなくて、一面におきましては、少人数のセミナーのようなものも普及させていく、一面におきましては数多くの学生に対して効率の高い指導方法をくふうする、こうした指導法の改善というものをぜひ考え合わせまして、今後の基本的なあり方を検討すべきだ、こう考えております。

有島重武公明党

○有島委員 設置基準のことについてはちょっとあとまわしにして、私大補助について言いましたので、もう一つ問題があると思うのですけれども、これは四十六年度私立大学等経常費補助金取扱要領というのがございますけれども、これによりますと、補助金を交付する対象からはずされるものとして、設置後完成年度を越えないものというのがあげてあるわけです。ですから、できたての学校に対しては補助がおりないということになっておる。それから、たとえば短大から大学に昇格したい、そういった場合にも、これは新しいものとして補助がもらえないということになっておりますね。これは一番お金のたくさん必要な段階のときに金を出してもらえない、そういうような問題になるんじゃないかと思うのです。こうしたことについても、これはもう考え直されてはどうかと思いますけれども、検討し直してみるということはお考えになりませんか。

安嶋彌文部省管理局長

○安嶋政府委員 私立大学の経常費の補助でございますが、私立大学は元来自主的な経営ということがたてまえでございますから、新設の際は、やはり自主的な財源でもって相当の経営が可能であるという見通しのあるものについて認可をするというたてまえになっております。つまり、私立大学が基本財産として教育研究に必要な施設設備を保有しなければならないわけでありますが、ほかに年間の運営が正常にできまする経常費も用意してもらいたいということを申しております。したがいまして、設置の認可申請の際は、そうしたことも審査の対象にしておるわけでございますので、相当期間はやはり自立できるという見通しのもとに初めて私立大学、私立短期大学等が認可されるということでございます。したがいまして、設立の当初から臨時費ではなくて経常費を補助に仰ぐということは、やはり私学の本来のあり方からして問題があろうというふうに考えます。  さらに、最近のように私立の医科大学が多数設立されるということになりますと、特にこうした場合には安易な新設が行なわれる可能性もあるのではないか。そうしたものの新設の抑制をはかるという意味におきましても、初年度から経常費の補助をするということはいかがかというふうに考えております。  さらに、この補助金の対象といたしましては、やはり社会的な評価が定まりました私立大学に対して補助をするということが補助の趣旨であろうかと思います。そういう意味におきましても、新設の当初から経常費について補助をするということは、私ども必ずしも適当でないんじゃないかというふうに考えております。  なお、つけ加えて申しますと、臨時費につきましては補助はいたしております。特にこれは医工系統の場合に限られますけれども、臨時費の補助はいたしております。経常費につきましては、私学のあり方からしてやはり疑問があるのではないかということでございます。  それから、最後に具体的な問題としてお話がございました短期大学が四年制の大学に転換をするという場合でございますが、これは形式的に申しますと、短期大学の廃止、四年制大学の新設ということでございますから、新設校には完成年度まで補助金を出さないという原則に従って現在は補助金を出していないわけでございます。ただ、形式論はそうでございますが、実質はやはり短期大学が四年制大学に転換をしたんだという実質に着目しまして、ただいまお話もございましたので、今後何らかの形で補助を継続し得るような方途を検討してみたいというふうに考えております。

有島重武公明党

○有島委員 先ほどの水増しの問題、大臣は、これは学生に対しての背信行為である、遺憾なことである、それだけ申されたわけで、それから大学局長からは、これに対してもう少し授業の形態についてくふうしていく、そういうようなことを言われたと思いますけれども、その関連についてもう少し突っ込んでいきたいと思います。  先般発表されました大学における単位の互換制度、これは学生の側からいいますと、勉学をして、いく場を広げたことになる。われわれ、教育の場の拡大、それから自由選択の拡張ということ、それから現在ある制度をどのくらい効率的に運用できるか、そういったことが今後の文教行政の課題の三つの問題ではないかと思いますが、こうした見地から、単位の互換制はたいへん評価すべきものであると思います。これは、一つには自分の属している大学の学部から他の学部、それからほかの学校、それから外国の学校にまで及ぼすようにするかどうか。それからもう一つは、学校という名前ではないけれども、研究所等の施設にまで及ぼすようにお考えになるかどうか、これは大臣に伺っておきます。

高見三郎自由民主党文部大臣

○高見国務大臣 この互換制度をとりましたのは、有島先生先ほどの御指摘のとおりの趣旨でやったのであります。これは大学についてやったのでありまして、研究所までこれを延ばすといういまの段階ではないように私は思っております。ただ、非常に教育の国際交流というものがひんぱんに行なわれておりますし、その意味からいうと、これは国内のみにとどめず、その結果によりましては外国の大学との互換制度というものも考えてみなければならぬ時代が来るであろう。また私は、そういう状態が一日も早く来るように、今度の制度におきましてもこれは準用するという形をとっております。適用するということではございませんが、これを準用するという形をとっておりますので、これは御指摘のように案外実現が早いのじゃないか、かように考えております。  ただ、研究所——実は日本の大学で、私は大学よりも研究所を重視しなければならぬとさえ思っておる際でありますので、研究所の研究体制というものを学校教育の一つの形において考えられるかどうかということは、今後の問題として検討いたしたいと考えております。

有島重武公明党

○有島委員 水増しにこだわるようでございますけれどもこの互換制が、学生の水増し入学の口実に逆に悪用されないという保証はありますか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 今回改正いたしましたのは、設置基準の中で、大学は、教育上有益と認めるときは、学生が他の大学の授業科目を履修することを認めることができる、ということにいたしたわけでございますが、その場合に、その大学は学生が他の大学で修得をいたしました単位について三十単位までを自分の大学で修得したものとみなすことができる、こういうふうに定めました。  Aの大学の学生がBの大学へ参りまして、そこで三十単位まで——何単位になるかそれぞれでございますが、単位をもらってまいりますにつきましては、Bの大学にこういう学生が世話になるということが明確になっていなければなりません。ですから、この規定の運用にあたりましては、Aの大学とBの大学との間に協議が行なわれ、そして承諾があった者について学生の委託、受託というものが行なわれると考えております。したがいまして、いま御心配のありましたようなことは、大学間の協議によって十分良心的な扱いもでき、防げるものというように考えておりますし、また、このように三十単位までは当該大学で修得したものとみなすから、三十単位分の施設とか教員はなくてもいいんだ、こういうふうには基準の運用を考えるつもりはございませんので、大学の基準が低下するということにはならないというふうに考えております。

有島重武公明党

○有島委員 互換制ですから当然出すほうと受け入れるほうのことですね、これが同時に行なわれなければならないけれども、これは固まって三十人、五十人というものがある学校に移っていくのならばいいけれども、これが非常に柔軟に運用されるときには、かなり事務的に繁雑なことが起こり得るのじゃないかと思います。  それから、現在でも必ずしも良心的な状態でないというような学校が幾つもある。それがまた互換制を始めるということでございますから、やはり一番基本のことを良心的にほんとうに学校が運営できるようにまずしてあげるということが、その前提にどうしても必要になるのじゃないか、こういうように思いますね。  それで国立大学と私立大学との間の互換制も当然これはあるわけでございますね。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 御指摘のように、いろいろな大学相互間の単位の交換ということを考えております。

有島重武公明党

○有島委員 そこで、さっき大学局長ちょっと言われましたけれども、私は互換制の一つのねらいは、学生さんの選択の自由ということの拡大にかかわるものであろう。あるいはもう一つの効果として、大学を建てるのにあたっては、何が何でもワンセット、いろいろな要件が全部そろっておらなくてはならないというのがいままでのたてまえでございましたけれども、この互換制が柔軟に運用されればさらに特徴のある大学、いままでの設置基準としては不十分であっても、ある特定の学科科目については非常にすぐれたものがある、それで、弱い部分は他の大学にこれを移管するといいますか、平俗なことばでいえば下請に出すというような、そういうようなこともだんだん可能になってくるのではないかと思います。そうすると、そういった向きに設置基準もおいおい考えていってよろしいのではないか。これはまあだいぶ先の話になるかもしれませんけれども、特徴のある大学をつくっていく、そういう方向をお考えになるべきじゃないかと私は思うのです。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 この単位の互換制度によりまして、特徴のある大学が生まれるようにありたいという御指摘は、私どもも同感に思いますが、しかし大学にはやはり通常必要とされる共通の基準というのが備わっておる必要がございます。卒業までに四年間で百二十四単位、一般教養科目はかくかくでありたいという最低の基準、これは、大学である以上どの大学でも十分に教えられるという基準の保持はぜひ確保しておきたい。そのことまでも他の大学にゆだねてしまうということになりますと、大学の基本的な要件を欠くようになるわけでございますから、今回の単位の互換制というのをいま直ちにそのところまで考えるということはいたしたくないと思います。

有島重武公明党

○有島委員 いま直ちにそういったことをしろというわけではありませんけれども、いまの大学の設置基準が、あまりにももう一通りのものを全部そろえないとならないというので、その内容が非常に薄手のものになって、実は互換制によって他の大学に行くよりもさらに何かまずい状態といいますか、いわば兼任の講師がたくさんできてしまって、教師のほうが来るのか学生が向こうに行くのかという違いだけでもって、内容は実は大学が形の上では一通りそろえたけれどもというような状態がしばしばある。そういったことをまたこれは早晩考えられなければならないんじゃないかと私は思いますので、そういった御検討をそろそろお始めになってもよろしいのではないかと思うわけでございます。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 高校卒業者が入ってまいります四年制の学部段階の教育におきましては、この互換制度というのは、よほど特別な場合に専門課程について起こってくるかと思っておりますが、主たるねらいは、学問の専門分化が相当進んでおりまして、とうてい一つの大学であらゆる領域について十分な教官を十分な数だけそろえるということは事実不可能になってきておりますので、そういった要請が強く感じられます大学院におきましては、大学院の専門的な学問研究のために、他の大学のふさわしい教官の指導を受けるということを進めるということが現に起こっております。この制度は、その意味におきまして大学間の協議によって行なわれるわけでございますから、学部段階でもあり得るわけでありますけれども、主たる働きは、まず大学院のところで始まるのではなかろうかというふうに考えております。しかし、外国への留学等のこともございまするし、学部段階におきましても専門科目になってまいりました場合に、ある分野を特に学習したいという希望の学生に、それに最もふさわしい教官の指導が受けられるようにするという許容性を残しておくことは非常に意味のあることでございますから、今回のような措置をとったわけでございます。一番基本になっております大学の共通の科目をはじめ、一応ベーシックな通常の科目につきましては、互換制度というものがいま直ちに働くということは適切なことではないというふうに思っております。

有島重武公明党

○有島委員 大学設置基準の中でもって、第二十九条に「授業を行う学生数は、おおむね五十人とする。」こういうことになっておりますが、五十人というのはどういう根拠から出たものかということが一つある。それからもう一つは、現実には、さっき大学局長からもお話がありましたけれどもうんと少人数の単位でもっていわゆるゼミですね、ゼミナール形式でもってやっている。それから四十人、五十人の単位でやっているものもある。それからますます大ぜいの人数のものが非常に多くなっている。そういうふうに少人数、中人数、大人数というふうな分け方ができると思うのですけれども、その平均値をとって五十人とおっしゃっているのか。それからもう一つは、大人数過ぎちゃって学内におけるマスメディアを使っているところもある。これはかえって中人数ぐらいより何か親近感のある効果をあらわしているところもあるようですね。  こうした授業形態というか、受講形態と申しますか、こうした授業形態が、実は大体少人数、中人数、大人数、三つないしは今度はマスメディアを含めれば四種類のものが現実には行なわれておる。これを今度は、いまの互換制ということを考えますと、この四つの受講形態に関して、これを自分の大学でやっておるのか、また他の大学でもってやった場合に、大人数教室で開かなければならないのか、あるいはゼミナールが受けられるのか、そういったことが、これは学生にとっては非常な関心事になるし、特に専門科目についてはこのような形態でもってやっていきたいということですが、行ったはいいけれども大部屋に詰め込まれたというようなのでもこれは期待はずれであろうかと思いますね。こういうようなことについて授業形態を明らかにしておく、受講形態を明記していくということを、今後大学の運営に関する一つの重要な要件に加えるべきではないかと私は思うのですけれども、それについていかがでしょうか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 御指摘の条文に「おおむね五十人」という基準が定められております。これは特に精密な計算があったというふうには私は考えておりませんが、詳細な経緯を存じませんけれども、一応従来からの慣行、それから学校の施設の教室の大きさ、通常の場合のことを考えての一応の基準かと思いますし、また、一番学生が共通に履修をいたします外国語あるいは物理、数学等の基礎的な履修人員の多いものを分類いたします場合の一応の単位の数として、従来慣行的に五十人という一つのめどを持っておったということが、この基準の中に上がっておるかと思います。大学の教官数を配置いたします場合、外国語の教官等についてもそうでございますけれども、一応こうしたことをめどにして必要な人員の算定ということも出てくることになろうかと思いますが、これは一応のめどでございまして、実際の授業は、それに必要な時間講師だとかあるいは他の専任教官等を動員いたしまして、ある場合にはセミナー形式の小人数のものを実施する等、専門の分野ごとにそれぞれのくふうがあって行なわれておるところでございます。  こうした授業の形態は、かなり学問分野別に異なってくる点がございますから、一律な規則としてこれ以上のことを明示していくということはむずかしかろうと思いますが、学生に対しましては、御指摘のようにいろいろと各大学ごとに学生のための要覧をつくっております。そうした講義の態様が明示されてまいりますならば非常に便利なことというふうに考えます。

有島重武公明党

○有島委員 学生について便利というのは、教育上そういうことが望ましいということになろうかと思います。逆にそういうことが全くなかったとすると、これはずいぶん不親切なことになるかと思うのです。そうなりますと、これは文部省として授業形態を明らかにそこに記載するようにしなさいという指導を将来なさったらいいんだろうと思うのですけれども、それはいかがですか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 各大学におきましては、個々の学生に対しましてその履修すべきコースめ指導と申しますか、教科目の履修につきましてもいろいろな指導をいたしておりますし、それによりまして選択科目等の場合に学生が自分の履修コースを申し込むわけでございまして、その結果を取りまとめまして、教官の指導力等の限界から、特にゼミナールのような場合には、学生の希望どおりにたくさんの学生を受け入れるということにもまいらないという実態がございますので、それぞれその科目によりまして、学生に対してこれはどのくらいのことであるという指導は行なわれておると思います。それを一律にどの程度に書けますかどうか、これは専門ごとにそれぞれの指導のあることというふうに承知をいたしておりますし、また学生要覧にはかなりこまかくそうした点の科目のあり方が記載をされてございます。先生の御指摘になりましたように、マスメディアの利用、活用等の授業形態があります場合に、そうしたことが今後学生の指導要覧の中に記載されてくるということは、これは学生指導の問題として十分考えられることでございますし、私どももそうしたガイダンスの徹底を期するという意味では、授業のみならず厚生補導につきましても、生活問題につきましても、大学側と緊密な連携をとっておりますので、こうした授業形態の多様化に伴いまして、適切な指導が行なわれるように協力をしてまいりたいというふうに考えます。

有島重武公明党

○有島委員 ぜひその指導はやっていただきたい。私ども、三年前くらいだったと思うのですけれども、大学問題についての提言をいたしましたときに、この受講形態を明記することが一つ、そして互換制を入れることが一つ、その上でもっての受講形態を多様化していく、そういうことが今後の大学運営についてぜひ大切なことであろうと思って御提唱申し上げていたわけなんですけれども、これを明記させるように指導すればどういう結果が出てくるかというと、この大学については多人数の学科がばかに多いというところと、それから、少なくともこの科目、この科目については少人数教育を確保してもらえる、それからそのかわりマスメディアを大いに駆使する、これは学生にとっても納得できることであろうと思うのです。そういたしますと、いまの大体五十人をめどにして教官をそろえなければいけないとか、そういうような設置基準そのものがもう少し弾力的に運用できるようになるのではないか。いまの設置基準のままこれに当てはまるか当てはまらないかというので二年間も厳密に審査なさるというのも、これは一つのお考えでございますが、その設置基準そのものをもう少し考えてみる。その後の運用について学生を著しく失望させるようなことがないように、これは文部省が管理するんじゃなくて、おのずからそういった——どんな受講形態をとっているかが明らかになるようなふうにしていくということは、これは非常に穏便でもあり、合理的でもあり、それから学校自体が一つの努力目標をつくるということに通じるのじゃないか、そういうように私は考えます。  大臣、ひとつせっかく互換制をお踏み切りになったわけでございますから、今度は受講形態を明記するという方向をぜひ打ち出していただきたい。いかがです。

高見三郎自由民主党文部大臣

○高見国務大臣 これはたしか三年前であったかと思いますが、御提言になりました問題を私どももごもっともだと思って検討を加えまして、ことし初めて取り上げた制度であります。したがいまして、いろいろな長所、欠点も出てくるだろうと思います。思いますが、それにはそれ相応の処置を講じていかなければならない。ただ初めから、これを予想できるからこうするということでなしに、一ぺんやってみさしていただきたいと思うのであります。いますぐ制度をいじるというようなことを考えてはおりません。おりませんけれども御提言でありますので、十分敬意を表して承っておきます。

有島重武公明党

○有島委員 それから中途退学の問題にちょっと触れておきたい。  四年制大学についての中途退学なんですけれども、三十五年の四月に入学した者が国立については四万六千四百九十人、それから三十九年三月に卒業したのが四万二千四百八十八人、約一割の四千二名の方々がここで消えている。これは必ずしも全部が中途退学とは限らないと思いますけれども、これは三十九年度でございますが、ずっと飛ばして四十一年四月に入学したのが、これは総数ですけれども二十九万二千九百五十八、これは全部含んでいるわけです。それで四十五年の三月に卒業したのが二十四万九百二十一、この差が五万二千三十七名ということになりますので、約二割程度の目減り——目減りと言っちゃおかしいけれども、あると思うのです。こうした中途退学の方々について、この中にはほんとうは後にまた重ねて勉学したいのだけれども中途退学していった方が大ぜいいらっしゃるんじゃないかと思います。それからまた、潜在的にあとから継ぎ足しの勉強ができるならば、四年間大学にいないで、その途中でもって社会に出て働いて、一つの目標をはっきりさせてまた勉学をしていく、そういうような状態が可能なのではないかど思うのです。この継ぎ足し教育ということ、これは文部大臣が生涯教育ということを言っておられますけれども、そういうことを一般化していくような方法をお考えになりませんか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 いま御指摘になりました数字の差が、全部中途で学外に去ってしまったかどうかという点については、私ども詳細なデータを持っておりませんので、的確にお答え申し上げるわけにまいりませんけれども、卒業までに四年だけでなくて五年、六年にかけておる学生も少なからずいるわけでございますから、そうした中で、いま御意見のございましたように、大学にもう少し出入りが楽になるというようなこと、あるいは途中で退学した者に対する補充的、補完的な大学教育ということがもっとやりやすくなるようにという御意見は、私どもまことにごもっともだと思っております。先般来御指摘のございます放送大学等のことを考えましても、そうした学生に対しまして、やはり大学教育を十分に受けたいときに受けられるようにしていこうという御要請をその中でくみ取っていくべきものだ、また個々の大学におきましても、単位の互換制度を進めてまいりました趣旨は、何らかの事情によりまして勉強を中断いたしました者に対しましてもまた大学が広く門戸を開くという気風をつちかっていくことにもなろうと思いますから、御意見の方向は私どもも十分拝聴して、今後の大学運営のあり方として考えてまいりたいというふうに思います。

有島重武公明党

○有島委員 特にお願いしておきたいのは、現在でも五年、六年かかっている方もいらっしゃいますが、その間学費をずっと払い続けないとだめなわけですね。これは経済的なことからいいまして中途退学——やめてしまえば中途退学ということになってしまいまして、中途退学の方々の名簿や学業成績などというものは、必ずしも永年保管してあるわけではないですね。卒業生についてはたいがい保管してありますけれども。いまのままでそうした意識なしにまいりますと、あたら可能性を十分に持っていらっしゃる方々が、全部あきらめて、それで今度は別の、ほんとうに志ある方が、後に勉強を始めようとすると、初めからやらなければならないということになっておりますので、これも互換制に踏み切られた御英断を信じて、なお続いてぜひともこのことについて考えていただきたい。これは大臣にお願いしたいのです。

高見三郎自由民主党文部大臣

○高見国務大臣 ごもっともな御意見でありますので、私どものほうでも十分検討をいたします。

有島重武公明党

○有島委員 まだ幾つか残っておりますけれども、これは大学の基本的なことになりますので、この法案についてはほぼ——これは出発のことでございますから、現在の学校を含めてこのアフターケアをしっかりやらなければいけない。そのしっかりのやり方が、何かお役人が来てやかましく管理をしていくというような形ではなく、学生がほんとうに勉学ができるというような方向であとを見守っていっていただきたい。  あと一つだけ気になりますことは、大阪大学にできました人間科学部ですか、この名称についてでございますけれども、この名称についていろいろな意見があるようでございますが、それはお耳に入っておりますか。ある学者の方々から言わせますと、人間科学と銘打って、じゃほかの科学をやっておるのは人間とは無関係のことをやっておるのかというふうなことになるじゃないか、もう少し名前を考えてみたらどうか、そういうような御意見があったようですけれども、そういったことについては何か議論がありましたですか、お考えがありますか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 確かに新しい名称でございまして、この学部名をきめますにつきましては、数年にわたりまして大阪大学当局の中で、また私どもの間でも論議をかわした次第でございます。諸外国でもいろいろな論議が行なわれておるようでございますが、最近フランスでも、パリ大学に人間科学部というような名称の学部が生まれておりますし、ドイツにおきましても、人間科学という呼称のもとで、生物、医学、心理学、社会学、人類学、政治学といったものをある程度総合的に考えてみようという動きが出ております。新しい呼称ではございますけれども、社会的に見ました人間の行動、社会生活における人間の形成にかかわる諸科学という意味で、それらを部分的にでなく、全体として取り扱ってみたいということから、人間諸科学の学問の部、こういう意味で名称をつけました。確かになじまない点がまだございますけれども、新しい試みでありますから、私どもも、大学当局のそうした意欲をそのまま受けとめまして、こうした新しい名称の学部をつくらしていただくということにきめたわけでございます。いろいろな論議が呼称について今後もなお若干は続くことだろうと思いますが、これはやはり学問領域の呼称の問題として、専門家の今後の推移にゆだねてよろしいのではないかというふうに思っております。

有島重武公明党

○有島委員 では、時間の制限があるので、これでとめます。

丹羽兵助自由民主党

○丹羽委員長 鈴木一君。

鈴木一民社党

○鈴木(一)委員 理事会の決定もございますので、大体私の持ち時間は十五分ということでございます。その中でおさめたいと思いますので、大臣からもひとつよろしく答弁を願いたいと思います。  高見文部大臣とは前々からのお知り合いでもあり、いろいろ大臣になられる前からも、文教政策についてはプライベートにもお話ししておりますので、大体私の意見とそう違いはないと思います。したがって、十五分以内におさめますから、あまり長々と御答弁は要りません。私の申し上げたことに対して賛成なら賛成だ、こういうことでけっこうでございます。  まず最初にお伺いしたいことは、同僚議員が今日までるる医師の養成のことについてお尋ねしておるわけでございます。私も坂田文部大臣のころからこの問題は取り上げてきておるわけでございますが、あのように金のかかる、一人の医師を養成するのに相当金がかかるわけです。医科大学を一つつくれば六十億とか百億かかるといわれておるわけでございますから、このような金のかかる教育は、原則としてできるならば国が全責任をもってやるべきである、私は常日ごろこういうふうに思っておるわけでございます。国が怠慢であるかどうか知りませんが、今日まで積極的にやらないために、多額の寄付金をもらって、いわば企業のような形で医科大学をつくる。それで入学金が一千万もかかるというふうなことになっていくわけですね。これはまことにゆゆしき問題だと私思っております。できればこれは国が全責任をもってつくるというふうにいくのがほんとうの姿ではないかというふうに私思っておりますが、大臣はどういうふうに思われますか。

高見三郎自由民主党文部大臣

○高見国務大臣 これは、鈴木先生が前から御主張になっておるとおり、私も国・公立の大学を中心に考えなければならぬということを真剣に考えておるのであります。これがために、三校の創設準備費を計上して御審議をわずらわしておるところであります。今後といえども私は、国・公立医科大学を充実していくという方向に全力を注いでいく、かように考えております。

鈴木一民社党

○鈴木(一)委員 その基本方針はけっこうだと思いますけれども、それを実行していただきたいと思います。ただその際、われわれが調べてみますと、医学部をつくるについて、臨床関係の教授はかなり求めることができる。しかし、一番大事な基礎医学のほうの先生はなかなか充足ができない。そういうところに、医学部をつくる財政問題以外の大きな悩みがあるんだというふうに聞いておるわけでございます。文部省からいただきましたこの東京大学の医学部の内容を見てみましても、基礎医学の講座が十八、臨床が二十二、東北大学の場合は基礎医学が十八、それから臨床が十五と、こういうふうになっておるわけですね。ですから、いかに基礎医学というものが大事であるかということがこれでもわかるわけでありますが、そういうじみな、しかも大事な基礎医学のほうへ進む学生が非常に少ない。最近設立されております私学ですね、民間の医科大学なんかで基礎医学のほうへ進むなんという人はまずほとんどないと私は思うのです。一千万もかければ、やはり回収を一生の間にしなければならないということでありますから、そういう基礎医学のほうへ進むような者は期待できない。どうしてもやはり国・公立でこうした基礎医学に進む人を養成しなければならないわけでございますが、なぜ基礎医学のほうに——大事でありながらこういう方面に進む学生が少ないのか、そういう点についてお伺いしたいと思います。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 私も、なぜという点につきまして端的にお答えできるだけのものをまだ持っておりません。しかし、医学教育につきまして問題が起こり、医学を発端にいたしまして学生紛争が火を吹きまして以来、医学関係者は真剣にそのことを考えております。御指摘のように、国立大学につきましても、臨床の学問を勉強しようという学生が、国立大学で基礎の——大学院の定員が七百四十五名ほどございますが、入学をいたしてまいりますのはその二割の百七十名程度という数字になっておりまして、各大学の基礎の教官方はひとしくその後継者の養成ということを心配をしておられます。医学部は、大学騒動以来大学院への在籍ということが非常に少なくなってまいりまして、今日卒業後大学で臨床その他基礎につきましても研究をしております学生は多々ございますけれども、正規の大学院学生として医学を勉強する、学問を勉強するという数がたいへん少なくなっております。これはいま私ども関係者が、医学歯学の教育のあり方全体を考え直すべく論議を詰めて鋭意検討を急いでおりまして、できるだけ早く医学教育の体制を立て直しまして、そうした心配がないようにしてまいりたいと思います。  また、医学の基礎は、現在の教官の構成を見て、おりましても、約四割近くがむしろ理学部の出身者系統で占められておる、あるいは薬学関係の人であったりしております。そうした他学部の基礎をつちかう教官等との関連も十分考えまして、今後の医学部の基礎研究の充実ということを、私どもも大学の教官と一緒になってひとつ取り組んでみたいというふうに思っております。

鈴木一民社党

○鈴木(一)委員 抽象的に、充実をはかりたいということはわかるわけでございますが、やはりここに何か深刻な問題が私はあるだろうと思うのですね。最初は基礎医学でもやろうかというふうな気持ちで大学に入り、卒業近くになる。しかし考えてみると、待遇とかそういうことになると、まことにさびしい気が私はあるだろうと思うのです。しかも物価はこのとおりどんどん上がっていくし、安閑として真理の探究というか、そういうような方面に進んでもおられない。生活がかかっておれば、やはり金のもうかる臨床のほうに行ってしまう。卒業をして間もない、二年ぐらいたって医師の資格を持った場合でも、ちょっとどこかの病院にアルバイトに行けば二十万、三十万の報酬をもらえるわけです。しかし片方は、全然そういうふうな副収入というか、収入がないということであれば、やはり人間でありますし、妻子もあることですし、そういう基礎医学のほうに進む気にはならなくなるだろうと思うのです。だから、ただ抽象的に、充実をはかりたいということではだめなんであって、こういうふうに待遇を十分考える、別途考えるというふうな施策をとらなければ、なかなか基礎医学の充実はできないのじゃないか。しかもいい人がそういう方面に進むということは、ますます困難になるのじゃないかというふうな感じがするわけでございます。たとえば同じ教育部門でも、特殊教育の問題を取り上げてみましても、いま八%の加俸でしたか、ソ連あたりでは二〇%ぐらいの加俸をしているわけですね。やはり何かそういう社会主義国家でもそれぐらいの待遇をしているわけですから、基礎医学に向かう人に対しても、ただ理学部とか薬学部のほうから応援を得ればいいのだということではなくて、待遇を改善することによってそうした基礎医学の人員を充実するような方策を早急にとらなければ、ただ相談ばかりしておってもらちがあかないのじゃないかという感じがするのでありますが、大臣、どう思いますか。

高見三郎自由民主党文部大臣

○高見国務大臣 これは鈴木さんのおっしゃるとおりであります。私もこの問題については、やはり待遇の問題を考えなければならぬだろうということを真剣に考えております。昔は、開業医であるお医者さんのあと取りにするつもりで大学へ入れたが、どっこいそうはいかぬ、私は基礎医学をやるのだといういわば親不孝者がおったという時代が実はあったのであります。ところが今日では、臨床のほうがもうかるというところから、臨床のほうへ臨床のほうへとみんな行っておるという状態は、日本の医学の将来を考えまする場合にまことにさびしい限りであります。したがいまして、この問題については、特殊の加俸制度をつくるという道を講じなければとうてい確保はできない。ただ奨励をするという形では実現する方法はないという心証を私は持っております。そのつもりで努力をいたすつもりであります。

鈴木一民社党

○鈴木(一)委員 これは非常に急がなければならないことだと思うのです。少なくとも来年度の予算においてそういうふうな措置を考えるというところまで決意できますか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 いま、大学教官を含めまして、教官の待遇改善のことも検討を進めております。  一方、医学、歯学の委員会におきまして、医学教育のあり方、基礎、臨床含めまして検討を進めておりまして、そうした両面からの検討を進めてまいりたいと思います。

鈴木一民社党

○鈴木(一)委員 私がお伺いしているのは、方々で研究、検討しておるというのではなくて、もうわかり切っていると思うのですよ、問題の所在は。ですから、少なくとも来年度の予算においてこういうことが考慮できるようなお考えがあるかどうか、そういうことを聞いているのです。

高見三郎自由民主党文部大臣

○高見国務大臣 これは鈴木さん御承知のとおり、人事院との関係もございます。私どもも極力努力をいたしましてその方向へ持っていきたいという熱意があることだけは御了承をいただきたいと思います。

鈴木一民社党

○鈴木(一)委員 教特法の場合でも、文部省側に熱意があったから人事院も動かされたのですね。人事院のほうから何とかしょうと言ってきたんじゃないと思うのですよ。やはりあずかっている主務大臣であるまた国務大臣である高見さんが、そういうふうな気持ちで、とにかく、完全なものではないけれども、この際何とかしなければならない、少なくとも来年度の予算ではこういうものの芽を出したいというふうなかたい決意であれば、私はこれはできないことはないと思うのですね。先ほど言ったように、同じ先生でも、特殊教育をやっている先生には八%の加俸をしている。ソ連あたりは二〇%、少なくともヨーロッパあたりは大体そういう水準でやっているわけですね。ですから、これはほかの先生からも異議はないところだと私は思うのですね。こういうふうな特別扱いをしなければ、せっかく方々の国・公立の大学に医学部をつくっても、そこに行く基礎医学の先生がいないということであれば、学校をつくっても開校できないということになると思うのですが、もう少し決意のほどを示してもらいたい。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 いま御指摘になりました御意見はわかることでございますが、医学関係者の中でも必ずしも基礎にだけそうした特別の措置をしろというふうな御意見が強く出てまいっているわけでもございませんし、臨床の教官のあり方につきましても、いろいろな意味で問題もございますから、しばらく検討を詰めさせていただきたいというふうに思います。四十八年度にどうこうということは御猶予願いたいと思います。

鈴木一民社党

○鈴木(一)委員 高見さんのことだから、何とかするという返事があると思ったのですが、いまのは局長の答弁ですが、大臣はどうですか。

高見三郎自由民主党文部大臣

○高見国務大臣 人事院総裁は私の内務省の先輩であります。この問題については、特に人事院に私自身が出向いて御相談をしてみたい。私は鈴木さんのおっしゃることが最も正しいことだと思います。しかし、大学局長の申しておりますのは、医学教官全体が実は開業したほうがはるかに有利であるという状態でございますので、医学教官全体を含めての問題を大学局長は考えておるわけでございます。基礎医学についても、学生の確保、教官の確保というものは何よりも大事なことであることについては、局長と私の意見に食い違いはないということを御承知を願いたいと思います。

鈴木一民社党

○鈴木(一)委員 時間がないから、これ以上詰めても同じような答えかもしれませんが、とにかく相談ばかりしておったってだめなんで——文部省は何か重要問題があると、いつも中教審だとかそういうところに逃げてしまうのですね。いまここに火事で燃えているにもかかわらず、この消し方を中教審に相談するんだというふうなことがいままで多いんですよね。そうでしょう。それではやっぱりだめなんで、ここに問題があったら、不完全であっても、一応それに即応するというふうな臨機応変の措置をして、それがもし不十分だったら後日またそれを手直ししていくというふうに、一つ一つやっていかなければならない。何かここに完全なものができて、それで今後やっていくということでは、もうタイミングが狂ってしまって取り返しのつかないことになると思う。どうも文部省のやり方は、都合の悪いときは中教審にさあっと逃げてしまう、そういう点が多過ぎはしないかと思うのですよ。私の言っていることは間違っていないと大臣おっしゃいますから、これはほかの臨床の先生の待遇をよくすることもけっこうでありますけれども、特に日本の医師の養成、医学の充実のために格段の研究努力、それからまた施策をしていただきたいということを強く要望しておきます。  なお、最初に戻りますけれども、浪速大学の問題とか、いろいろここに新しい大学の問題が起こっております。こういうふうなことが起こるということは、政府の医師養成の教育に対する怠慢だと思っているのですよ。しかし私も、われわれ野党だからそんなこと知っちゃいないんだという気持ちではありません。やはり国会に議席を持っている以上、困ったことだ、外に対してはまことに恥ずかしい気持ちでおるわけですが、大臣は、私学の医科大学に入るのに一千万もかかるというようなことを質問されて、これはしようがないんだ、こういうふうにお思いになっているのか、それとも、自分たちがまことに至らず怠慢である、こういうふうな問題は何とか早く解決しなければならないというふうに思っておられるのか、その点だけお伺いしておきます。

高見三郎自由民主党文部大臣

○高見国務大臣 これは御承知のように秋田大学を新しくつくりましたときを境にいたしまして、ことしは三校の創設を準備する、これは大学の医学教育に対する国の姿勢を一つ大きく前進させたものであると私は確信をいたしております。私立大学のやみ入学金の問題のごときは、国立大学が充実してくるならばおのずから解消するものである、またそういう大学はあってもらう必要はない。同時にまた、これは厚生省の所管の問題でありますけれども、国家試験をもう少し厳重にしてやってもらいたいものだ、大学さえ卒業すれば九〇何%というものは国家試験をパスするということは、どんなばかでもパスするということなのか、あるいは医学教育はその間において非常に充実した医学教育が行なわれるものであるのか、どうも私は前者のほうに結論を持っていかざるを得ない。たとえば獣医師の試験は五六%しか国家試験を通っておりません。しかるに医師試験は九五、六%という毛のが国家試験を通るということ自体に私は問題がある。少なくとも国家試験というものを権威あるものにしてもらいたい。それによって医学というものの姿勢もおのずから変わってくるだろう。そのためには国立大学をふやしていかなければならぬ、こういう考え方をしております。

鈴木一民社党

○鈴木(一)委員 御熱意のほどはわかりましたけれども、それならもっと具体的に、人口十万人に対して百五十人程度の医師が常時おるようにしたいというなら、国として五カ年計画なら五カ年計画を立てて、その間にそこまでいけるような医学部をつくるとか、はっきりしたものを出していただかなければ、いま大臣が言ったようなことは、そういう金のかかるような大学は不必要だというふうなことにはつながっていかないと思うのです。うるさく言われたから三校を来年度はつくるようにことしは調査費をつけた、あとは大臣がかわればそれっきりだ。大学問題だってそうでしょう。あれだけ紛争が起こって大騒ぎをして、臨時措置法もつくった。しかし、一応火事は消えたようになっておるけれども、あとは何一つ大学の根本的な改革をしようという声は出てこないのですよ。そのときそのとき、これはわれわれも悪いかもしれないけれども、ほんとうにそういうような方向に持っていきたいというなら、五カ年計画でも立てて確実にそれが実行できるようなことを国民に示さなければ、せっかく大臣がここで力んでみても意味がないと思うのです。

高見三郎自由民主党文部大臣

○高見国務大臣 五カ年計画が必要であるか、十カ年計画が必要であるか、御承知のように一人前の医者をつくるのに十年かかります。十年かかると、昭和六十年に、人口十万について百五十人の医師を必要とするという——現在の欧米諸国の情勢と非常な隔たりがまだある状態が起こると私は思っております。と申しますのは、人口の増加がその十年の間に一千万の増加ということを考えなければなりません。それらのことを考えますと、私は国・公立の大学というものを漸次ふやしていかなければならぬ。それには御承知のように条件としてまず基礎医学の教官をどうするかという問題がある。それらの設置の場所についての配分を考えなければなりません。設備の問題もあります。それらのことを考えますと、非常に綿密な計画のもとに逐次できるものからやっていくという考え方で、国・公立中心の大学をつくっていきたい、こういう考え方でおるわけであります。

鈴木一民社党

○鈴木(一)委員 まだまだたくさんこの問題についてはお聞きしたいことがあるのですけれども、約束の時間が来ましたので、ただ一言だけ医師養成の問題について申し上げたいことは、やはり人命を預かる仕事ですから、優秀な人たちにこういう方面に行っていただきたいと思うのですね。しかし、幾らそういう希望があり、本人に能力があっても、門が狭ければ入れない、こういうことになると思うのですね。ですから昔、師範学校があって、大臣も師範学校出身のようでございますが、あの当時、経済が許さないということで普通の大学やなんかに行かれなかったような人は——大臣は違うと思いますけれども、師範学校に入れて、そして教育をし、——それは昔の師範学校の内容についてはいろいろ批判も今日においてはあるかもしれません。しかし、とにかく明治の教育、大正、昭和の教育のにない手として優秀な人材をあそこで養成しているわけです。ですから、やはり医学のような場合も、能力がある、しかし一千万の金は出せない、五百万出せないというふうな人を、なるべく早く国・公立を充実させてそっちのほうに入れるようにぜひしてもらいたい。それはいろいろ問題があることはわかりますよ。しかし、全部が検討されなければ何にも進まないのだというのじゃなくて、不完全ながら装備してでも戦闘はするというふうな気持ちでこの問題に積極的に取り組んでいただきたいと思います。  あと一つ、先ほど有島さんからも御質問がありましたが、大阪大学の人間科学部のことでございますが、なるほどこういうものをつくろうとする意図は私はわかると思うのです。たとえば教育学、社会学、心理学というふうな学問が分化していって、それが何ら統一されずにそのまま進んでいっているというふうなことでございますから、それをもう一回統合して、人間のあり方、個人のあり方、社会のあり方、集団のあり方というものを検討していこうというふうな意図のようでございますから、それはそれなりにわかるのでございますが、さてそこを卒業した人が何をやったかさっぱりわからないというふうな人間が出てきて、使いものにならない、こういうふうになったら、あまりハイカラ過ぎて困ったことになりはしないかというふうな心配もあるわけでございますが、将来そこを卒業した人たちは主として社会のどういう部門で研さんした学問を発揮させるのか、そういうことに対するいまからの推定というか、見通しというものを聞かしていただきたいと思います。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 人間科学部人間科学科として心理学、社会学、教育学あるいはその他の人間諸科学の学習をある程度の系統のもとにしながら卒業、生が出ていくことになろうと思います。卒業者は情報産業でありますとか、あるいは教育関係でありますとか、企業内の職業指導とか教育関係でありますとか、あるいは児童の扶育衛生関係でありますとか、やはりそうした各方面にそれぞれの専門を生かして就職することになっていこうかと思っております。

鈴木一民社党

○鈴木(一)委員 終わります。

丹羽兵助自由民主党

○丹羽委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

丹羽兵助自由民主党

○丹羽委員長 速記を始めて。山原健二郎君。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 現在、大学において、各大学でありますが、非常に臨時の職員がふえているわけです。これはこの間も東大の各研究所からの確保に対する要請もありましたし、また、各大学を調べてみますと、二割、三割というように非常に多いわけですね。東大の航空宇宙研などは臨時職員のロケットだといわれるくらいの状態でありまして、学生数の増加に対して職員が非常に少ないというところからこういう事態が起こっていると思う。これは全く異常な事態だと思うのですが、これについてどういうふうに解決をしていくかということを一言大臣から伺っておきたいのです。

高見三郎自由民主党文部大臣

○高見国務大臣 山原さんの御質問でありますので私からお答えいたしましょう。  御指摘のように国立大学の非常勤の職員というものは非常に多いのでありますが、給与法に基づきまして文部省の基準及び各大学の予算の範囲内で各大学が非常勤の職員を置くことができるということにいたしております。それで、この非常勤の職員は、あるいは季節的にあるいは研究分野の問題で特に必要であるという場合に非常勤職員としてお願いをしているわけでありますが、これを全部定員化するということになりますと、定員法の問題もありますし、実際問題として非常に困難な問題が生ずるのであります。お気持ちは私は実によくわかるのでありますが、これが全部御希望のとおり常勤職員になるというわけにもまいりませんが、私どもとしては、事情の許す限りできるだけ非常勤職員を常勤職員にするような努力をいたしておるということだけは御了承願っておきたいと思います。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 私の調べましたところでは、文部省関係が非常に多いのですね。林野庁関係がもっと多いんだろうと思っておりましたが、林野庁よりもさらに多いというような状態にあるわけです。いま大臣のほうからやや前進した形の御答弁があったわけですけれども、これはぜひとも解決するという考え方で今後とも進んでもらいたいと思うのです。  次に、時間がありませんから、四月三日に予算委員会におきましてわが党の松本善明議員が質問をしました、東京大学の医学部神経科の問題について大臣のほうもなるべく早く解決したいという答弁があったそうでありますけれども、私は事実の認識において大臣の認識と私どもの調査の状態とがちょっと違うように思うのですが、大臣としては解決する見通しを持っておりますか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 これは山原委員のよく御案内のとおりでございますが、事柄はかなり長期間を要して今日にまで至りまして、関係者の気持ちのほぐれその他のことを考えながら、病院長、医学部長、その他関係者が骨折っておるところでございます。  先般来、国会で御指摘のありましたことにつきましても、重ねて私どもからもその趣旨を伝え、また善処方を求めておるところでございます。関係者がいま鋭意努力しておるというふうに私ども承知をいたしておりますが、早急に、すぐあすからどうこうというような状態にはまだ至っていないというふうに考えていまして、若干長引くかもしれぬということは遺憾に思っております。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 その答弁では認識が違うと私は言うのです。それは三月十六日に非公式で病院側と占拠しておる側とそして教授側との話し合いがなされておりますけれども、その話し合いの内容は、占拠医側のほうから出ておりますのは、基本的な姿勢がなってないから絶対に一緒にやっていけないと言明をしておる。基本的な態度とは何かというと、それについては確たる話がないという状態ですね。話し合いもしない、一緒にはもうやっていけないんだという、こういう考え方を持っておる。しかも神経科を占拠しておる占拠医側から出ておる三名という者はどういう人物かと調べてみますと、石川という教授は確かに東京大学の医師でありますが、この人物も東大の保健センター勤務でありまして、大体兼務の状態ですね。だから病棟にほとんどいない。そのあと、森山、宮下という人物がこの会談に出ております。しかし、これは陽和病院につとめておる医師でありまして、研修医としての手続も何にもとっていません。だから東大の職員でも何でもないわけですね。そういう人物が入って、全く東京大学と関係のない者が入ってきて会談をしているというような異常な話し合いを持ったところで、どうして正常な解決になるであろうかというのが第一点です。  それから、私がなぜ緊急に解決しなければならないと言うかと申しますと、すでに今年度入りました学生百六十名でありますが、病棟の実習ができない状態にあるわけですね。それから、いままで卒業しました三百人の医学生が、病棟実習ができないで外来の実習で済ましておるという状態です。東京大学という最高の学府において、病棟実習もできないまま学生が医師として輩出されておるというこういう異常な状態がすでに三年間にわたって続いておるということであります。  さらに、院長も申しておりますけれども、現在この神経科は治療できる環境ではないということを言っておるわけであります。そして、現在四十ベッドここにはありますけれども、医師一人、看護婦二名、そして患者十六名、この事態もこれは明らかに医療法、医師法の違反行為だと私は思うのですね。そういう中で四月の十五日、ほんのこの間ですが、土曜日の午後十二時三十分に食堂で一人の患者が自殺をはかっております。これはステレオのコードで首を締めまして自殺をはかっているのですが、この事実は局長は御存じでしょうか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 まだ私は報告を聞いておりません。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 だから、四月の三日に予算委員会でああいう質問が行なわれまして、私は文部省としては怠慢だと思うのですよ。一人の患者が、しかも神経科の患者が自殺をはかり、その場所には看護婦も医師もいない。そこで、食堂の好仁会という、これは業者だと思いますが、好仁会の従業員が発見をしましてやっと助けておるのです。そして、看護婦をさがし回ってやっと治療を加えるという状態なんですね。これも全く異常な状態、しかも、東京大学の医学部に来ておる神経科の三百人の方々が入院希望しておりますけれども、全然入ることができない。こういう状態がいつまでも続いてよいはずはありません。全く異常な状態であります。  さらに、これは赤れんがと呼ばれておるわけでありますけれども、大臣がこの前答弁しておりましたように、セクト間の争いとか見解の違いによる争いではもうないと私は思うのであります。そのことを実証したいのでありますけれども、ここに彼らの出しておる新聞があります。これは「全日本医学生新聞」ですね。この医学生新聞によりますと、この赤れんがは三里塚闘争の出撃基地である、東大闘争の出撃基地であるということをはっきり書かれております。さらに、この赤れんがをどういうふうに言っているかといいますと、「赤れんがは、文字通り、全国、全人民にひらかれた「根拠地」である。」これを死守しなければならない、こういう考えに立っているわけです。  こういう考え方でこの病棟を占拠しておる連中と話し合いをして問題が解決できるなどという甘い考え方は持つべきでないと私は思うのです。さらにここへ、この病棟に出入りをしておる十数名の医師その他について調べてみました。これは病院長からいただいたものです。この十数名の中に、たとえば三吉譲という医師は一体どういう人物かというと、これはかって昭和四十三年の東大紛争のときに、読売新聞の谷川記者に暴行を加えて逮捕されておる人物です。谷川記者を階段から突き落とす、あるいは友人が谷川記者を羽がい締めにしてそれをなぐるという暴行を加えた首謀者なんです。これが現在出入りをしておるというのが実情であります。  さらに、この病棟に出入りしている者の中に寺岡慧、合田静というものがおります。これは東大の寺岡は小児科の医師です。それから合田は老人科の看護婦であります。この二人については名前を聞いておわかりだと思うのですが、これは今度の連合赤軍派事件のときに中村愛子という人物から頼良ちゃんという子供を預かった人ですね。これは新聞にも出ましたから私も名前を出したわけでありますが、二月の七日に頼良ちゃんを預かりまして、そうして実に三十五日間この子供を預かっているのです。一方では連合赤軍問題でああいうことが毎日毎日テレビ、新聞で出されている状態の中でこういう状態です。だから、この経過から見ましても、連合赤軍、中村愛子、合田、寺岡というつながりが出てくる。こういう者がこの神経科の病棟に出入りしておる、そうして占拠しているのですよ。こういう状態です。  さらに、本年の三月一日に病院長が採用しました木村和子という看護婦がおります。これは神経科病棟に三月一日に採用になっているわけです。これは院長も、この採用にあたっては、占拠医師側から要求されて採用したのだと思いますけれども、この人物がどういう人物かと申しますと、これは四十五年に佐藤訪米阻止のときに上京しまして、これは関西のいわゆる暴力学生集団の一員であります。そうして昨年の十月主人と別居して上京しまして、三月一日に採用になっているのですが、この主人も京都大学における共産同赤軍派に属しておるわけです。こういう状態ですね。だから、こういう形で自分たちの主張に従わない者に対しては暴力をもって排除する。これは話し合いで解決できるようなものでは私はないと思うのです。しかもこの前の質問のときに、後藤田長官が答弁しておりますように、赤軍派は凶悪犯罪者の集団となっているという答弁がなされているのです。私はこの限りにおいてはこれはまさに的確な表現だろうと思うのです。たとえば今度出ました読売新聞の四月十六日の警察官殺しの竹本という京都大学の助手をしておる人物ですね、これが麻薬あるいはブルーフィルムですか、そういうものを販売して資金をかせいでおるというようなことを考えてみますと、これは黙認できるような状態ではありません。   〔委員長退席、河野(洋)委員長代理着席〕  時間がもうありませんから、最後に文部省に対して見解を聞きたいのでありますけれども、セクトの相違だとか、考え方の相違だとかいうものは、どこの企業でも、どこの会社でもあるわけです。しかし、自分の意見に従わない者は暴力をもって排除する。しかもこの赤れんがを死守するというような状態になって、いまの文部大臣のような見解で問題が処理できるかというと、私は処理できないと思うのです。  そこで私は、こういうふうに思うのです。一つは、この赤れんが東大医学部神経科病棟の占拠ということは、これは明らかに不法な行為である、不当な行為であるということを、明確に学長あるいは院長を通じてはっきりさすべきだと思うのです。いまだにそのことが伝えられていないのですね。話の中には出てまいりますけれども、明確にそのことは出されていないのです。出ていますか。学内においてそういうことをはっきりと宣言しておるかどうか。宣言すべきだと思うのです。それに基づいて十分な調査を行なうべきだと思うのです。事実の調査ですね。単に院長から意見を聴取するということだけでなくして、事実がどうなっているかということを調査しなければ問題の解決にはなりません。これは日本の大学の学問の自由の面からいっても——笑いごとではないのですよ。これは文部省の怠慢ですよ。その点について、見解を伺っておきたい。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 御指摘の事態が不当な、場合によりましては違法な事態であることは私どもも十分承知し、関係者にも十分伝えてあります。実態その他につきましても、病院長あるいは診療科の科長そのものが中に入れないようなはなはだ遺憾な状態にあるということも御指摘のとおりであります。そこで患者をとりこにして、この関係者が意地を張っていると申しますか、非常に無法なことをしておるときに、どういうふうな措置をとることが適切であるかというのは、やはり病院当局大学当局の判断において私は処理さるべきことだと思います。文部省から、外からああしろこうしろというふうに指示すべきことではございません。注意を喚起し、大学のとるべき措置を一刻も早く促す。またそれが関係者によってとれるようになるという時期を見なければならぬかと考えております。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 それではおそらく解決しないだろうと私は思うのです。もっと文部省が介入することを言っておるんじゃないんです。しかし、もっと暴力に対してき然たる態度をとるということが必要なんです。そういう姿勢が大学当局に適切な措置をとらす原動力になるわけですから、そのことを私は要求したいと思うのです。  まだいろいろお尋ねしたいことがありますけれども時間がないのでおきますが、この法案に関するいろいろな問題につきましては、なお一般質疑その他でやっていきたいと思いますので、これで終わります。

河野洋平自由民主党

○河野(洋)委員長代理 ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕   〔河野(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

丹羽兵助自由民主党

○丹羽委員長 速記を始めてください。  これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————

丹羽兵助自由民主党

○丹羽委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  国立学校設置法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

丹羽兵助自由民主党

○丹羽委員長 起立総員。よって本案は原案のとおり可決いたしました。  なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

丹羽兵助自由民主党

○丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————

丹羽兵助自由民主党

○丹羽委員長 次回は来たる二十六日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十六分散会

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