農林水産委員会 第11号
- 発言数
- 187 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1972/04/19
会議録
○藤田委員長 これより会議を開きます。 漁港法の一部を改正する法律案、中小漁業振興特別措置法の一部を改正する法律案及び漁業協同組合整備促進法を廃止する等の法律案の各案を一−括して議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中恒利君。
○田中(恒)委員 きょうは大臣もお見えになっておりますので、漁業問題についての一般的な問題と法律案につきまして御質問をいたします。 まず最初に、昨日も同僚委員のほうから御質問があったわけですが、特にきょうは、この問題にたいへん御苦労をされました農林大臣がお見えになっておりますので、重ねて、二、三日中に妥結をするであろうといわれております日ソ漁業交渉の問題について、大臣の所信をお伺いいたしたいと思います。 〔委員長退席、松野(幸)委員長代理着席〕 新聞報道等によりますと、ことしの日ソ漁業交渉は、従来の難航を続けた百日交渉に対して比較的スムーズに交渉が進んだ、内容についても、きょう仮調印をしたという問題につきましても、まあまあじゃないか、こういう報道がなされておるようでありますが、農林大臣は長い間御苦労されたわけですが、これまでの漁業交渉に比べて、ことしの漁業交渉の印象をどういうふうに受け取られておるのか、この点をまずお聞かせいただきたいと思うのです。
○赤城国務大臣 ことしの日ソ漁業交渉の私の印象でございますが、一つは、国交関係の変化といいますか、世界情勢あるいはアジアの情勢、こういうものから見まして、日ソ関係の外交的といいますか、非常にムードがいいような状況にある背景が日ソ漁業の交渉にも反映しておると思います。きのう報告を受けたので、新聞にも出ていますが、最後のサケ・マス、カニなどが妥結にくる前に、ソ連の副首相の筆頭であるマズロフ氏などが私のほうの日本の代表に会いにきておる。こういうのはちょっと珍しいことでございます。そういう点からいいまして、国際的な緊張緩和のムード、これが日ソ関係には非常にいい方面に反映している。これが漁業交渉がわりあいに早期に妥結するような傾向になってきたことの一つだと思います。 もう一つは、この国際間の関係はいかに友好ムードであるからといっても、なかなかきびしいものでございます。去年もおととしも非常にきびしかったのでございますので、あらかじめ去年、おととしのようなことを繰り返さないようにということで、水産庁長官なども帯同しまして、去年の十月、まあ地ならしといいますか、向こうの最高漁業首脳者と一緒に、去年あるいはおととしのようなことを繰り返さないように、たとえばカニなどにつきまして、大陸だな資源だ、いや、公海資源だと、一カ月も一カ月半もそのことだけで争っておる、しかし、結果は、そういうものはたな上げにしてきめてきているじゃないか、だから、そういう観念論的な立場はたな上げにして、そして実質的な交渉に入るようにというような準備作業を去年やりました。手前みそではございませんが、そういうようなこともあって、ことしの交渉がいままでよりは短い期間に、そして内容等におきましてもそう無理のないようなことに進んだと思います。 それからもう一つは、毎年新しい問題が出てくることでございます。去年などはニシンの問題が日本ではそれほど重大化すると思ってなかったものが、向こうへ行ってみると、コスイギン首相からしてニシンの問題をいきなり私に持ち出すというような、新しい問題が出てきて、その問題の解決がサケ・マスあるいはカニ等にも影響して、それが解決しなくちゃいつものサケ・マス、カニの交渉もなかなか解決をしないというような態度に出た。そういうようなことがあったのでございますが、ことしはそういう新しい問題がありません。もっともツブの問題があったのでございますが、ツブの問題は、去年十月に私どもが行きましたときに基本的には解決しておきましたから、量の問題とか区域の問題とかというだけが残った。でありますので、昨年、一昨年あるいは従来のような新しい問題が出てきて、その問題にかこつけて本来の交渉を非常にやりにくくするというようなことがことしはなかった。 大体、大きく言って、いまの三つの問題がことしの日ソ漁業交渉の一つの特徴ではないか、こういうように考えております。
○田中(恒)委員 米中間、日中間をめぐる最近の国際情勢の変化を受けて、ソビエトの日本に対する漁業交渉その他の問題が比較的ムードがよくなったということは私どもにも予想されるわけですが、いま御指摘になったように、二、三年来、その場にぶつかっていろいろごたごたやってきたというやり方を、昨年大臣が訪ソせられて地ならしをやった、こういうことがやはり影響しておる、こういうふうに私どもも思うわけですが、まだことしは終わっておるわけではないのですけれども、また来年こういうような事前の地ならしを、大臣みずからが訪ソせられるかどうかは別といたしまして、やったほうがよろしい、こういうふうにお考えになっておられるでしょうかどうか、重ねてお聞きをしておきたいと思うのです。
○赤城国務大臣 米ソあるいはいろいろな関係からということもありますが、国と国との交渉というのはきびしいものでございます。そういうことでよくなるというような楽観的な態度は私もよくないと思います。でございますので、漁業交渉につきましても、ことしがいいから来年もいいとは必ずしも考えられないと思います。ことしは不漁年、来年は豊漁年ですから、そういう点ではちょっと感じは違いますけれども。ですから、決していまいいから来年もいいというような態度で交渉に臨むべきものじゃないと思います。しかし、いまお話しのように、事前に地ならしをするようなことはなくても済むのじゃないか、代表団同志で議論を戦わしながらも大体済むような状況にだんだん入ってきているのじゃないか、こういう見通しでございます。しかし、もしこの交渉が非常に難航するようなことがありますならば、私は、大臣をやっていてもやっていなくても、あえて向こうへ行って折衝などするのを辞しません。行ってくる気持ちはいま持っておりますけれども、そういうことにはならないで来年の交渉もやれるのじゃないか、こういう見通しは持っております。
○田中(恒)委員 長い体験の上で、国と国との関係は別にして、多少前向きに、従来とは違ったような交渉の方向や内容が出てくるのじゃないかというお話でありますが、そのことは従来から問題になっておりますように、日本とソビエトとの漁獲量をめぐって、現実に数年来、たとえば七、三程度の比率であったものが、だんだん日本の漁獲量が少なくなって、ソビエト側は半々程度というような方向を従来から示しておるといわれておるわけですが、そういう方向へ日本側も落ちつかざるを得ない、こういう判断に立っておられるのかどうか、この点をお尋ねしてみたいと思うのです。
○赤城国務大臣 ソ連側は、公海漁業なものですから、日本とソ連との公海資源の分け前といいますか、それをだんだん半々のように持っていきたいという空気は、従来うかがわれました。しかし、日本では、北洋漁業というものは日本が開発したんだし、そうしてまた日本の実績というものがあるのですから、そうソ連の言うようにはできないということで、ずっと突っぱねてきました。そうしてまた、資源の問題は、やはり資源の増殖維持というものが大事だという観点も必要だということで、人工増殖の問題なども日本から提案しておったのであります。ようやく向こうも人工増殖の必要を感じ、そうして新聞等にもありまするように、カムチャツカの南端に人工増殖を共同でやろうというような動きをしてきました。そういう面から見ますと、海洋における資源の半分半分の分配論というものは幾らか緩和されてきているのじゃないか。ですから、日本の態度としては、従来どおり、北洋のサケ・マス漁業などは日本が開発したのであり、そうしてまた、日本の実績というものを尊重してもらわねばならぬという主張は、依然として撤回するわけにはまいらぬと思います。 ただ、向こうも、海洋の資源ですから、少し割り込みたい——母船漁業はいままでサケ・マスはやってないのです、カニはやってますが……。自分のほうも母船漁業の権利はあるということで、去年なども、御承知のように、三万トンのサケ・マスのソ連の割り込みを主張し、最終的には一万トンになりました。ことしもそういう要求をしております。しかし、その一万トンの要求もだいぶ減らしてきて日本の分け前をふやしたようでございますが、そういうふうに、形式的な半分半分の分け前論というようなものは、少し後退してきているのじゃないかと思います。また、日本としてはそういう主張に順応するという気持ちではございません。先ほど言いましたように、日本が北洋漁業を開発し、そうして実績を持っているというたてまえをくずさないでいるわけであります。 しかしながら、向こうも、だんだん資源が減ってきているからひとつ規制区域を設けようとかなんとかいうことから言いますと、この資源の分配論も、半々に持っていきたいという気持ちはなくしていないと思います。というのは、去年なども、毎年毎年漁業交渉しているのではお互いに困るじゃないか、二年か三年の長期的にきめようというようなことを申し入れたのでございますが、それを向こうでなかなかうんと言いません。うんと言わないところを見ますと、やはり将来は半分半分ぐらいに分けていきたいという底意がまだ残っておると思います。でありますが、私のほうとしては、やはり主張としては、開発した日本の実績というものを尊重しながら漁獲量等もきめていくべきだという主張は撤回しないで交渉に臨むつもりでございます。
○田中(恒)委員 いろいろお骨折りをいただいておるわけでありますけれども、やはり漁獲量が減るし、それに伴って配船が減隻をしていく、この数年来こういう状態になっておることも現実の姿であります。そこで、ことしも約一割の漁獲高が少なくなるのではないか。特にことしは不漁年でありますから、一割というのは一昨年に比べると、比較的軽いのじゃないか、こういう予想——まだこれは予想でありますけれども、されておるのですが、新聞を見ますると、十七日に中央漁業調整審議会に対して北洋サケ・マス漁業の減船案を諮問して了承を得た、こういうことが新聞にちょっと載っておるわけですが、これは具体的にどういうことですか。
○赤城国務大臣 具体的には水産庁長官から申し上げたいと思いますが、その前に私のほうから申し上げておきたいことがございます。 サケ・マス漁業につきましては昭和三十七年に減船を実施しました。それ以来今日まで同一の操業規模を維持してまいったのでございます。しかし、その間に漁獲量は約二割減少してきております、いまのお話のように。操業上、経営上も種々困難が生じてきておりまして、さらに今年の日ソ漁業交渉の経過等から見まして、サケ・マス漁業の長期安定をはかるためには、自主的に本年各漁種を通じましておおむね一割の減船を実施するということに決定したのでございます。これは漁業の交渉がまとまってから手をつけるべきでございますが、去年のニシンのような問題もございますから、大体あらかじめそういうようなことで手を打っておかなくちゃいかぬじゃないか、こういうことで、大体自主的に——向こうから強要されたり何かするということやあるいは交渉でそういうことを話しているということじゃなくて、見通しを見て私のほうで自主的に一割の減船をする準備をしておったほうがいいのじゃないか、こういうことで水産庁当局などにその運びをさしておったのでございます。 詳しくは、具体的には水産庁長官から御説明申し上げます。
○太田(康)政府委員 御承知のように、私ども一昨十七日に漁業法第五十八条第一項の規定に基づく中型サケ・マス流し網漁業と母船式サケ・マス漁業の許可隻数の公示につきまして、中央漁業調整審議会に諮問をいたしたわけでございます。 その中身につきまして御説明申し上げますと、ただいま大臣の御説明にもございましたように、今回一割の減船をするということでございまして、中型サケ・マス流し網漁業でございますが、従来四十八度以南の太平洋の海域、A区域とB区域とあるわけでございますが、そこで操業しているサケ・マス流し網の隻数は三百二十四隻あったわけでありますが、これを三十三隻減じまして二百九十一隻という公示を考えております。 それから、いわゆるB区域で操業いたしております従来の北洋のはえなわの漁業でございますが、これは三百六十九隻いままで操業しておったわけでございますけれども、これは経営的にもかなり問題がある。と申しますのは、不漁年等におきまして漁獲のノルマの取り残しがあるというようなことで、数年来これをできれば流し網に転換したいという要望があったわけでございます。そこで、漁獲の数量等も勘案をいたしまして、三百六十九隻の一割の減船ということで三百三十二隻、これを四隻に一隻の割合で共同経営を認めるといずことで八十三隻分を流し網に転換する。しかし、その操業区域は従来のB区域ということで転換を認めまして、B区域のみに限っての操業をいたしますところの流し網漁業というものを八十三隻公示をいたしたのでございます。 それから母船式のサケ・マス漁業につきましては、御承知のとおり、従来母船は十一隻操業をいたしておりましたが、これを一隻減じて十隻。これに独航船が三百六十九隻あったわけでございますけれども、これも一割を減じまして三百三十二隻、こういう諮問をいたしまして、大体私どもの諮問したとおりでけっこうだというような内容の答申をいただいておるわけでございまして、正式にはこれを二十一日に官報告示をする、・こういうことにいたしておる次第でございます。
○田中(恒)委員 これは政府のほうが減船をするということで諮問をして、調整審議会でよかろうということになったのか。いま大臣の御答弁の中に、多少自主的に減船をする、こういうあれがあったわけですが、その辺の性格はどちらなんですか。
○太田(康)政府委員 大臣のお答えにもございましたように、昭和三十七年度以来減船ということはなかったわけでございます。したがいまして、同一規模で操業を維持してきたというのが実情でございますが、ここ二、三年来、御承知のとおり、日本海では五割、その他の地域においては二割の減船というようなことがしばしばソ連側からも主張されてきたわけでございます。そういった事情もございますが、私どもやはり操業上の問題、経営上の問題につきましても、種々困難な問題が生じてきておるという問題意識を持っておったわけでございます。そこで、サケ・マス漁業の長期安定をはかるというような見地から、一割程度の減船を実施するという方針を私どもとして一応方針を打ち出しまして、そういった内容の諮問をいたした、こういうことでございます。
○田中(恒)委員 そういたしますと、この減船は、政府の責任で業界に対して減船を求めたということになるわけですね。そういうことですね。
○太田(康)政府委員 操業隻数の問題は毎度議論になりますが、これはあくまで国内の問題であって、ソ連側から強要されて云々する問題ではないということを私ども言っているわけでございまして、いま大臣のおっしゃった自主的という意味も、そういう意味であるというふうに理解をいたしております。
○田中(恒)委員 たてまえはそういうことですが、しかし、現実問題としては、やはり一割の漁獲高が減って一割の減船がなされる。タイミングが非常にじょうずに組み合わされているということでありまして、しかし、国内問題としてそういうふうに自主的にこの問題を処理をしたということだと思うのです。 ただ、これに伴っていろいろ問題が起きると思うのですね。いわゆる減船をせられた船主、こういう者に対する処置、通称いわれます損害補償というか、これに伴う被害処置をどうするのか。この問題で、昨年は非常に多かったものですから、政府は特別な処置をとられたわけですが、今回の場合はどういうような処置をとられる予定なのか。
○太田(康)政府委員 先ほど大臣もお答えを申し上げたわけでございますけれども、昨年の場合は、御承知のとおり、ニシンについての全面禁漁ということに相なりましてああいう措置を講じたわけでございますけれども、今回の場合は、御承知のとおり、一割——一部の方が減船の対象になる。したがいまして、残りの方はむしろある意味においては安定的な漁業経営ができるという結果にもなるわけでございます。それも一つのねらいとして今回の減船というような措置を講ぜられたと考えるわけでございますけれども、御承知のとおり、本年度自主減船を行なう以西底びき網漁業者に対する利子助成というような予算措置も講じられているわけでございますので私どもといたしましては、これらを参考として検討いたしまして、早急に結論を得たいというふうに考えております。 以西底びき網の例を申し上げますと、結局、残った方々がやめた方々に相補償をするということでございます。そこで、その場合の金融上のあっせん並びに借り入れ金利をできるだけ引き下げるというような意味での利子を引き下げるための助成ということでございまして、私ども、そういった例もあるわけでございますから、いま申し上げましたように、これらを参考にしながら至急検討いたしたい、かように存じております。
○田中(恒)委員 ですから、結局、何らかの救済処置を特別に講ずるということだと思うのですね。そのために以西底びき網の利子補給等ということですが、それだけで事済むのかどうか。私は、昨年もやったようないろいろな方策も含めて考えなければ、あるいはことしだけでこれは済む問題ではないかもしれない、来年も同じような状態が起きるかもしれません。起きませんか。——起きなければいいわけですが、三十七年にやって、それから全然やっていなくて、ことし一割、それでも大きくやったということですから、それでいけば来年は、ということでしょうが、いずれにせよ、もう少し突っ込んだ救済処置をやらないと、これは当然そういう声が関係者からは大きく出てくると思いますし、水産庁としてまだ煮詰まっていないようですけれども、具体的に早くそういう方針を出していただきますように、この際要請をしておきたいと思います。 それから、先ほど大臣からお話がありましたが、日ソ間の漁業問題はいつも資源問題が問題になって、この資源問題をどうするかということで、いろいろ検討せられたわけですが、昨年、大臣が帰られて、日ソサケ・マスのふ化場の建設について、向こう側にいろいろ意向打診をせられた。その話が、いまお話しのように、共同で人工ふ化場を建設する、こういう話に具体的になってきたわけですか。
○太田(康)政府委員 昨年大臣がいらっしゃいましたときに、この問題の提起をされまして、イシコフ大臣もこれに非常に共鳴されまして、ぜひひとつお互いに検討しようじゃないかというお話が行なわれたことは御承知のとおりでございます。 そこで、この問題は、サケ・マスの人工再生産の専門家会議というところで討議が行なわれておるわけでございますが、いままで私どもに入っております情報によりますと、双方の専門家の間で共同水域のサケ・マス再生産効率の改善のための日ソ共同によるサケ・マスの生産実験研究施設を設立運営する、そしてサケ・マスの産卵河山の環境の改善とか人工産卵水路あるいは産卵床を造成する、あるいは人工ふ化の放流技術の向上等について実験研究を推進することが望ましいということについての意見の一致を見た。それから、双方の専門家は、この実験研究施設の建設の候補地の一つとして、これまた先ほど大臣が申されましたように、西カムチャッカのオゼルナや水系のクリル湖畔、これは紅ザケの繁殖場であったようでありますが、そこを考えるべきだということに大体意見が一致したわけでございます。今後これが実現の可能性をさらに検討するということで、専門家が会合を開いてさらに検討を深めるということになっておるようでございますので、具体化が漸次次進むであろうというふうに期待をいたしております。
○田中(恒)委員 大臣の出席時間がわずかになりましたので、次に、私は、沿岸漁業の振興の問題に関連をいたしまして、内海の汚染の問題、特に瀬戸内海の汚染の問題について農林大臣の御所見をまずお尋ねをして、関係者からなお若干お聞きをしたいと思うのです。 私も四国でありますから、船で瀬戸内海を渡るわけですが、ほんとうにあの瀬戸内海というのはたいへんな汚濁でありまして、しかも全域に広がっておりまして、先般、広島で水産関係の研究者が集まって、二十年もするかしないうちに瀬戸内海に魚は住めなくなるおそれがある、こういう話というか研究も発表されておるわけですね。現実に瀬戸内海沿岸ではしっぽのない魚が出た、頭が変形した魚が出た、奇妙な魚が出始めておるわけです。もちろん環境問題もあるわけですけれども、特に瀬戸内海というものが、先般の海洋資源開発法によっても、沿岸海域の栽培漁業センターをつくって、そして高級魚の漁場として育成していく、こういう方針を打ち出したばかりでありますけれども、現実に瀬戸内海の汚染というのはきわめて憂慮すべき状態になっておるわけであります。この問題は農林省だけでどうこうということではありませんけれども、特に漁場、沿岸漁民の生活、こういうものと非常に関連しておりますだけに、農林大臣が先頭を切って瀬戸内海の汚染防止対策というものに対して強い主張をしていただきたいと思います。この際、大臣のほうから、この問題についての御所見をお尋ねしておきたいと思うのです。
○赤城国務大臣 確かにいまお話しのようなことを各方面から私も耳にいたしております。瀬戸内海の汚染の進行につきましては、まことに憂慮すべきものと私も考えておりまして、農林省としても、各種の水産資源を保護し、多数の漁業関係者の経営の安定をはかるためにも強い姿勢でその防止、回復をはかることを考えております。でありますので、公害関係法令の厳正な運用につとめるということがまず一つ、それから漁場の維持、回復、こういうことにつきましては十分に力を注いでいきたい、こういうふうに考えております。 なお、水産当局から補足説明を申し上げたいと思います。
○太田(康)政府委員 御承知のとおり、先生がおっしゃったような、いまのままのようなたれ流しの状態を続けますと、確かにゆゆしい問題になるというような意見があることも私どもはよく承知いたしておるのでございまして、私どもといたしましては、何としても先般制定されました各種の公害立法、これの厳正な運用をはかって、少なくとも現状以上に公害の進行が食いとめられるようにつとめてまいりたいということが基本の姿勢であるわけでございます。 そこで、それを一方進めつつ、生産力の減退した漁場につきましては、加害者がはっきりしている場合には、御承知のとおり、公害につきましては加害者が負担するのが原則になっておりますので——これは問題があるわけでございますけれども、瀬戸内海のようになかなか加害者がはっきりしないというような場合、私どもは漁場の回復をはかる予算も計上いたしておりまして、これによりましてしゅんせつ、客土あるいはみおつくり等の事業をやりまして、漁場のすみやかなる生産力の回復をはかる。 それから、赤潮等の問題が瀬戸内海ではたいへん問題になるわけでございますけれども、私どもといたしましては、赤潮等につきましての発生機構等についての調査研究の強化につとめることはもちろんでございますが、一方発生をできる限り事前に予知するというようなことで、最近開発されましたブイロボットの設置、瀬戸内海はたしか四カ所だと思いましたが、その設置の助成もするというようなことによりまして、漁業公害の発生の早期発見というようなことにもつとめまして、瀬戸内海は貴重な漁場でございますから、これの維持をはかってまいりたい。 さらに、御承知のとおり、昨年の十月八日の閣議におきまして、関係各省を中心といたしましての瀬戸内海の環境保全対策推進会議というのが環境庁に設けられたわけでございまして、関係者集まりまして、総合的かつ効果的な対策の推進をはかるということで、よりより対策の検討をいたしておるのでございまして、私どももこれに積極的に参加をいたしまして、この問題の解決に取り組んでまいりたい、かように存じております。
○田中(恒)委員 環境庁がお見えになっておると思いますが、いま水産庁長官からお話のありました瀬戸内海の環境保全対策推進会議で、プロジェクトチームを編成して、いろいろ対策を検討せられておるわけですが、具体的に、今日までどういうような話し合いのもとにどういうことが進められておるのか、この際、御報告をしていただきたいと思うのです。
○岡安政府委員 お話の瀬戸内海環境保全対策推進会議につきましては、四つの部会を設けまして、赤潮の部会、水質汚濁対策の部会、自然保護の部会、それからマスタープランをつくる部会と四つつくりまして、審議をいまやっておるわけでございます。 瀬戸内海全般につきましてまず申し上げますと、瀬戸内海の水質汚濁対策につきましては、すでに旧水質保全法の時代におきましても、排出規制をそれぞれ行なってきたわけでございます。さらに最近におきましては、基本法に基づきまして環境基準をつくるという作業も進んでおります。 また、新しい水質汚濁防止法によりまして基準をつくると同時に、上のせ排水基準というものが各県で進んでおるという背景がございますが、さらにそういうような総合的な対策を推進するということで、先ほども申し上げました推進会議の水質汚濁部会におきましては、昨年の十二月に中間報告を出しまして、とりあえず推進する施策と、それから恒久的施策と分けて報告をいたしたわけでございます。 とりあえず実施すべき施策といたしましては、公害防止計画というものを、現在瀬戸内海の周辺におきましてもつくられておりますけれども、これをもう少しふやす、促進をするという作業が一つあります。それから、現在、瀬戸内海に屎尿が日常三千キロリットルぐらい捨てられておりますけれども、これは四十七年度一ぱいで全面的に禁止をするというようなこと、さらには下水道につきまして、先般第三次の下水道計画ができましたけれども、瀬戸内海につきましてもこれを促進するというようなこと、それから廃油等の問題につきましては、やはり瀬戸内海沿岸につきまして廃油処理施設の整備をはかるというように、とりあえずできること、しなければならないこと、これを推進する計画を立てたわけでございます。その中には、先ほど水産庁長官からお答えがございましたとおり、漁場関係のいろいろ予防改善措置等も含まれております。 それから、恒久的な措置といたしましては、瀬戸内海の汚染の機構等がはっきりしない面もございますので、四十七年度におきまして総合的な調査を実施するということを考えておりまして、その結果を待ちましてさらに根本的な対策をつくってまいりたいというふうに実は考えておるわけでございます。 なお、赤潮等の問題につきましては、四十二年から四十四年までの一応の調査が済みまして、中間報告が出ましたけれども、なお根本的に解決すべき、たとえば赤潮の基本的な燐、窒素等による富栄養化という基盤の問題はわかったわけでございますけれども、それを発生させる誘因といいますか、それらがはっきりいたしておらないので、今後さらに継続的に調査をするということで、四十八年までの目標で、四十六、四十七、四十八年の三カ年計画でもってさらに究明を進めるということにいたしておるわけでございます。 そういうような諸種の総合施策をできるだけ促進をいたしまして、具体的な対策を積み上げたいというように実は考えておる現状でございます。
○田中(恒)委員 少し具体的にお尋ねいたしますが、瀬戸内海における水質汚濁防止法の上のせ排水基準は、各県ごとにどういう状態で現在進められておるのかが第一点。それから、総量規制をやるのかやらないのか、これが第二点。瀬戸内海のヘドロの処理はどうするのか、これが第三点。それから、いまお話しのように、屎尿処理については瀬戸内海は来年の四月から投棄を禁止するということでありますが、同時に伊勢湾、東京湾等、瀬戸内海に類似する地方は下水整備事業が終わる年までといったようなことのようですけれども、これは瀬戸内海と同じような取り扱いがなぜできないのか、この点を、少し具体的な質問ですけれども、お答えいただきたいと思うのです。
○岡安政府委員 まず上のせ排水基準の設定の状況でございますが、現在まで私ども承知いたしておりますのは、大阪府、兵庫県におきましては、これは県内の河川の全域につきまして、すでに上のせ排水基準を設定いたしております。それから岡山県におきましては水島水域、児島湾水域等につきましての設定が進んでおります。山口県につきましては岩国水域、徳山水域、三田尻水域、宇部水域、小野田水域というものについての上のせが済みました。愛媛県では新居浜水域、香川県では高松市内水域というように、それぞれ岡山、山口、愛媛につきましては、一部の水域についてでございますけれども、基準設定を見ておるわけでございます。私どもは、なおこれらの府県につきましてはなるべく全域に上のせができるように、さらに、まだ設定を準備中の県等につきましては促進をするように進めてまいりたいというように考えております。 それから、総量規制の問題でございますが、私ども、現在の濃度規制は必ずしも十分でない、特に瀬戸内海のように水の交換が非常に困難な水域等につきましては、やはり総量規制の方向に持っていくべきであるというふうに考えております。現在の水質汚濁防止法によりましても総量規制の考え方を導入することは必ずしも困難ではないと思っておりますけれども、たとえば上のせの排水基準の設定のしかた等によりましてその実施が不可能ではないと思っておりますが、やはり本格的な総量規制の方向に持っていく。ただし、これにつきましては、技術的な問題、たとえば水量、それから質等を同時に測定をするとか、そういう技術的な問題、解決を要する問題がございますので、そういうような技術的な問題の解明をもちまして、私どもは近い将来総量規制のほうに持っていきたい。その間におきましては、上のせ排水基準の活用によりまして、総量規制を加味した規制を行ないたいというふうに実は考えております。 それからヘドロでございますが、ヘドロ一般につきましては、現在、ヘドロが海水その他水質に及ぼす影響、またヘドロ中に含有されます有害重金属等が水質に及ぼす影響等のメカニズムが必ずしも明らかになっておりません。現在、私どもそれらの調査を四十七年度からすぐやりたいということを考えておる現状でございますけれども、一方、港湾等につきましては、運輸省におきまして、四十七年度から公害対策を目標といたしましたヘドロのしゅんせつといいますか、それらの予算をお願いをいたしておる次第でございまして、港湾等につきましては順次ヘドロしゅんせつ事業が推進されると思っております。ただ、瀬戸内海全域のヘドロしゅんせつということになりますと、いろいろその効果、方法等に問題がございますので、これは今後の研究課題ではなかろうかと実は考えております。 それから屎尿の投棄でございますが、東京湾、伊勢湾をどうするかというお話でございますけれども、現在の屎尿投棄につきましては、御承知のとおり、清掃法によりまして海岸から一定距離の沖合いでなければ捨ててはならないというふうになっておりまして、東京湾、伊勢湾等では現状でも投棄はなされておりません。しかし、私どもは将来、海洋汚染防止法がことしの六月二十四日から施行になりますけれども、施行になりましたならば、原則としまして屎尿等につきましては沿岸から五十海里以遠に投棄をさせたいというふうに考えております。 ただ、屎尿は元来なるべく海洋に投棄をしないで、処理をしてから処分をする陸上処理を原則といたしたいというふうに実は考えております。陸上処理につきましては、土地の確保、施設の整備等につきまして、現在、四カ年計画ですか、それができまして、それによりまして各市町村が整備をすることになっておりますので、その整備の歩調に合わせまして原則の五十海里以遠というものを規制するというようなことを現在考えまして、政令の措置を準備いたしている段階でございます。
○田中(恒)委員 環境整備はなかなかたいへんな問題でありますけれども、いまお話を聞いた範囲では、いろいろ調査研究、対策の方向を模索せられておるようでありますが、現実は非常にきびしく進行しておるわけでありまして、基本的には、瀬戸内海沿岸地帯にあれだけの石油工業を中心とする企業を集中しなければいけない、そういうところに一番大きな問題があるし、瀬戸内海が六十年に一回しか海の水がかわらない、こういうところでありますだけに、この汚染が非常に進行しておるわけです。そこで、日本で最も沿岸漁業の高級魚の中心漁場をつくっていく、こういうたてまえと非常に矛盾をいたしまして、現実には漁場ができるどころか、沿岸漁業の中高級魚を特につくる漁場でありますから、養殖——小さな魚ですけれども、あれは多少大きくなる稚魚までが大切なんで、あの段階でもうみなつぶれてしまって、せっかく瀬戸内海に放流しても、もうあそこで生息ができるような状態でなくなっているわけですね。ですから、これはよほど多面的な対策を立ててもらわなければいけないわけです。しかし、水産庁としては相当強く環境庁等と連絡をとりながら、いまいろいろお話のありましたような処置、なかなか言うはやすく行なうはかたしで、むずかしい問題が次から次へと出ると思うのです。しかし、基本的に海を美しくしていくということで、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。 特に赤潮の問題は、もう数年以来言われてきておることでありまして、いわゆる海面漁業につきまして赤潮が与えておる影響、被害というのは非常に大きいわけです。さっき長官から聞きますと、赤潮の発生の原因調査研究をやるとおっしゃるのですけれども、大体原因はほぼ出かかっておるように思うのですが、それをじゃ、どう直していくかということになったら、いまの話と同じで汚染が——赤潮の原因はそこにあるわけですから、これは非常に簡単に一年、二年でできるということじゃないですね。ですから、できた場所をいち早く察知して、それを拡散させるか何か、あるいは特別な、海面の真珠とか養殖とかをやっているようなところへやらせないような、そういう臨機応変の処置を早急に考えてもらわないと、赤潮に対する被害が非常にふえてきておるわけですね。そこで、この赤潮の問題についてはもう少し力を入れてもらって、できるだけ早く発見をして、発見したものをどうしていくか、こういう当面の策を立てていただきたいと思うのです。 気象庁お見えになっていると思いますが、この赤潮の発生の通報というか、あるいは赤潮についての調査というものを気象庁としてはやっておるわけですか。
○高橋(浩)政府委員 気象庁といたしましては、どちらかと申しますと、物理的な問題に取り組んでおりまして、赤潮の問題につきましては特別にやっておりません。
○田中(恒)委員 それで、これは気象庁はやっていないということですが、私もやってないということを聞いておったのですが、やっぱりもう少し、気象庁だけでは不十分でしょうけれども、あらゆる観測、実態把握を、海上保安庁、漁協、そういうものを動員して行ない、赤潮の発生をいち早く察知していくという体制を早急にとらないと、調査をして原因を突き詰めてといったって、すぐに赤潮をなくする方法ができるかといったって、これはできませんよ。そう簡単なものじゃないと思うのですね。ですから、いまの段階で早くつかまえてそれを予報して、あるいはそれを何かなくするような科学的な方法がないか、そういう面に重点をしぼっていただきたいと思うのですよ。これは予算を何カ所か今度つけるといっておられましたけれども、これは気象庁等とも連絡をしてその観測陣がいち早く赤潮の実態を握っていくというような方向にひとつ力を入れてもらいたい、こういうふうに特に要望しておきます。 それから、いま一つ水産庁にお尋ねいたしますが、今国会に海上交通安全法案が提出をされておりますが、いわゆる二百メートル以上の巨大船の航路優先というものを中心にいたしまして、従の、操業中の漁船に対しては船舶が待避をするか、あるいは漁船が待避するか、そういう観点が非常にはっきりと、漁船が待避しなければいけない、こういうふうになって、関係漁民の間にはこの問題についていま非常に強く反対の意向が表明をされておるわけでありますけれども、水産庁としては、これはいずれ運輸委員会で具体的に検討せられるわけでありますけれども、漁場の確保、特に漁民の生活権を侵害させてはいけない、こういう観点で、この海上交通安全法案の提案に至る間、水産庁としてこの問題についてどういう取り組みというか調整というか、そういうものをされてきたのか、この点もこの機会に御報告をいただきたいと思うのです。
○太田(康)政府委員 海上交通安全法案につきましては、たしか昭和四十四年以来何回か立案をされたわけでございますけれども、そのつど何と申しますか、いろいろな関係もございまして実現を見なかったわけでございますが、御承知のとおり、今回、東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海、ここにおきますところの船舶交通の安全をはかることを目的として、海上交通安全法という法案が立案されまして、政府提案として出されたわけでございます。御承知のとおり、これらの海域におきまする船舶交通のふくそうの状況、あるいは巨大船の出現など、そういった最近におきますところの海上交通の実情にかんがみまして、私どもといたしましては、何らかの海上交通規制が必要であるというふうにも考えておるのでございまして、当然その際、漁船操業の安全確保というような観点からも、その必要性は認めざるを得ないというふうに考えておったのでございます。御承知のとおり、現在の制度といたしましては、海上衝突予防法がございまして、どちらかと申しますと、いわゆる漁労に従事する船舶、網とかトロール関係の船舶でございますが、これにつきましては、むしろ通常の船舶のほうが避航の義務を負っておるというようなことになっておったわけでございますけれども、瀬戸内海等におきましては、特水令によりまして逆に漁労船のほうが避航の義務を負っているというような状況に相なっておったのでございます。しかし、私どもといたしましては、交通安全というような面から新たな規制を加えるにあたりましても、その海面につきましては、やはり漁業が行なわれておるという実態があるわけでございますので、少なくとも漁業生産活動を十分尊重するというような観点に立ちまして、規制を加えるにいたしましても、必要最小限度の規制にとどめるということを基本の方針といたしまして、この法案の折衝に当たったわけでございまして、おおむねそういった意味での所要の調整はできたと思うのでございます。 具体的な中身について申し上げますと、たとえば適用海域等につきましては、できるだけこれを狭めてもらう、たとえば漁業権の及ぶような区域は原則としてはずしてもらうというようなことでございます。それから避航の義務につきましても、いわゆる漁労船につきましては、巨大船に対する避航義務だけを負う。それから航行中の漁船、これだけが負うというようなことで、まあそれほど大きな義務が漁業に従事する船舶にかからないように考えていくというようなこともいたしたわけでございます。それ以外に、適用海域等を含めまして工作物の設置等につきましての許可制あるいは事前届け出制があるわけでございますけれども、水産の関係で設置するような、漁労のために設置するような施設につきましては、そういったことは原則として免除をするというようなことも考えたわけでございます。 なお、将来の問題といたしまして、私どもといたしましては、やはり内海、内湾等に巨大船が入ってくるというようなことが問題でございますので、運輸当局に対しましては、巨大船の入域規制というような問題をすみやかに検討してもらいたいというような要望も実は出しておるわけでございます。これらにつきましては、むしろいろいろ施設の整備等が行なわれませんとなかなか困難でありますが、保安庁といたしましても、当然前向きに検討するというようなことも言っておるのでございまして、あれこれ勘案をいたしますと、おおむね私どもの主張が入れられまして、そういった意味で、必要最小限度の規制にとどめたことにも相なっておるというふうに理解をいたしております。 これらの点につきましての、私どもの漁業者に対するPR、説得、これがまだ不十分であるというふうにも感じておりますので、法案の趣旨等もよく説明をいたしまして、すみやかに協力が得られるように持ってまいりたい、かように考えております。
○田中(恒)委員 この問題であまりこまかい議論をするというわけにはいきませんが、やはりこれはたいへんな問題ですよ。特に瀬戸内海等、あれだけ船が出入りしておるところで、網を張って魚をとっておりましたら、——私なんかも小さいときは、四つ手網という網を持って小さな船に乗って一晩じゅうイワシをとったものですが、ちょっと大きな船が、商船が通っても、横波を受けてたいへんなものなんですよ。これが十万トン、二十万トンの大型タンカーがどんどん走り出して、網を上げよと言ったって、目の前に来たときは速度が速いし、横っ腹に波を受けて転覆する、こういう現象が特に瀬戸内海等におきましては次から次に私は起きると思うのです。だから、いまお話しのように、大型船の規制等も当然考えられなければいけないと思いますが、とにかく全体として沿岸漁業の問題が日本の漁業の問題として非常に行き詰まってきている。それを行き詰まらせる状況というものは、汚染の問題から始まって、こういう船舶の航行が非常に激しくなっていくと、沿岸漁業をめぐる条件というのが非常にきびしいわけですね。そこで、零細な漁民は魚をとって生計を立てていかなければいけない、こういう問題があるわけであります。私はあとでいろいろまた御質問いたしたいと思いますけれども、沿岸のこういう漁場や漁民に対して特別に強力な保護処置をとらないと、時の流れで押し流されてしまって、漁場もなければ漁民もつぶれる、こういう事態が進んでいったら、こういうことになっていきますよ。だから、こういう点を特に問題点として御指摘を申し上げて、水産庁当局が今後取り組む一つの方針としていただきたいと思うのです。 いま一つ、原子力発電所の問題ですが、との問題も、私は、水産庁のそれに対する対策が最もおくれておると思っておるのです。いわゆる原子力発電所というものが漁業にどう影響を与えるかということが、実はいまこの原子力発電所の建設をめぐって漁民が一番これについて不安を持っておるし、また反対をやっておる。その最大の理由は、やはり漁業に対する影響が非常に大きい。水産庁の見解というのは、必ずしも科学技術庁の見解と私は一致しないと見ているわけですけれども、水産庁として、一体、この原子力発電所というもの、特に温排水の問題をめぐって、漁業にどういう影響を与えているかという調査研究がさほど進んでいないように聞いておるのです、人間も何人おるか知らぬが。これは現実の問題としては、非常に大きな問題ですけれども、日本のこれからのエネルギーの方向がそうだということになってきておりますし、私のところも一つ原子力発電所の問題をかかえていま弱っておりますけれども、私は、この問題を蒸し返したら、水産庁に文句を言わなければならないことはたくさんあるのです。いずれ機会を見て申し上げなければいけぬと思っておりますが、この問題に関連の漁業の指導から始まって、関係漁民に対する行政的措置はほとんどなされておりません。この原子力発電所が漁業に対してどういう影響を与えているか、こういう問題については、これは大臣、農業も関係あるわけですよ。私なんかのところはミカンの地帯でありますから、ミカンに影響ありはせぬか、こういう心配をしておるわけであります。あるとかないとかということは別にして、やはり実証してやらなければいけぬと思うのですよ。こういう点を十分検討していただきたいということを、漁業問題をめぐる一般問題として御指摘申し上げておきたいと思うのです。 もう一つ、せっかくあれですからお願いしておきますけれども、気象庁長官、ことしの四月から全国四十一カ所の地区測候所の予報業務が簡素化されて、いわゆる県庁所在地の気象台がやる、こういうことになったわけですけれども、この問題でも、実は私も二、三の地区から陳情を受けているわけですけれども、やはり漁民が最も心配をしておるわけです。気象予報は、おたくのほうは、出せないことはない、管区気象台で出したものを発表するんだとおっしゃっているのですけれども、現実にいままで測候所の予報というものを受けておった漁協やあるいは漁民が戸惑いをしておることは事実なんですね。私は、この問題について特に気象庁に申し上げなければいけないのは、こういう公共的な政府が行なっておる予報業務を簡素化していく——なくしていくとわれわれは言っておるわけですけれども、そういう場合には、これは国鉄の貨物駅を廃止するとか駅の集約化とかといったような場合でも同じでありますけれども、やはり関係地区の市町村とかあるいは漁協とか、こういう関係団体にはあらかじめ連絡をして、こういうふうになるので、この点については今後こうなりますよというような、事前の相談や了解というものをある程度得た上でこういうことをやらないと、一方的にあなたのところの御都合で、私のところは宇和島ですが、宇和島の測候所で一人減らして予報業務をなくします、こういうことをやられたんじゃ、さっそくそのことが関係地区の——特に気象というのは、長官は一番御承知ですけれども、日本の場合は局地的に気象の変化が激しいのでありまして、一本づりで、正直言って命を的にして海へ行って、突風でも吹いたら命がなくなるという商売を漁民はやっておるのです。そういう人々にとっては、この測候所の予報というものは、当たるか当たらぬかは別として、頼みになっておったわけです。ところが、現実に予報がなくなるということになる。しかも漁協も知らぬ、町村も知らぬ、こういう形でやるわけですよ。私は、あなたのところはいまからいろいろ人間を減らしていくという方向にだんだん向いていくんじゃないかと思いますが、やはり国鉄だって、その他郵便局だって、いろいろ政府の関係した仕事をやっておるところは、少なくとも関係地区の町村なり、あるいはおたくの場合には漁協であるとか、こういうところと相談をして、あらかじめ了解を得た上でやってもらわなければいけぬと思うのですが、この点、どうでしょうかね。
○高橋(浩)政府委員 ただいまの件につきまして、いろいろ御心配をかけて申しわけなく思っております。ただ、今度の問題につきましては、予報ということばの問題がございまして、実はその予報を外へ出すことが変化したわけではないのでございます。御承知のように、いろいろ気象技術も近代化いたしまして、いろいろやり方を変えていく必要がある。特に予報を出す場合に、いろいろな材料を使う必要がございますので、そういう意味では、ある程度まとめて作業をしたほうがいい予報が出るだろう、こういう観点から、今度の措置をとったわけです。それをつくりました予報を測候所なり何なりに流しまして、測候所では、それをもとにいたしましていろいろ外へお知らせするということをするわけでございます。もちろん、その場合に、単にオウム返しにお知らせするわけではございません。やはりその辺の現実や状況や何かも見まして、あるいは使い方も考えまして——解説と申しておりますけれども、そういう方向にやろう、こういう考えなんでございます。したがって、外のほうから申しますと、いままでとほとんど変わりがないわけでございまして、そういう点で、外部に対してのいろいろな御説明が不足した点はあるかと思うのでございますが、そういう点は申しわけなく思っているわけでございます。
○田中(恒)委員 いや、外部に支障があるとかないとかいうことをここで言い合いをしてもだめですから、私が申し上げたいのは、こういう処置をとる場合には、関係地区の関係者や関係団体にあらかじめ連絡をして相談をして、少なくとも政府がやる機関でありますから、地域の人々の反対を押し切ってまでやるという姿勢はやめなければいけない。やはり了解を得て——国鉄があれだけの赤字をかかえておっても、地域の関係者がこのことによって非常に対策ができなくて困っておるから、これは考えますということを言っておるわけですけれども、私は、気象庁の問題でも、特に漁民にとっては気象予報というのはたいへんな問題ですから、少なくとも漁業団体、市町村ですね、こういうものについて了解を得た上でないとやらない、こういうふうにしてもらわにゃいけぬと思うのです。この点はどうですか。
○高橋(浩)政府委員 将来はそういった方向で進めていきたいと考えております。
○田中(恒)委員 そういう方向で進めてもらうということだけじゃ済まぬのですけれども、そういうふうにしてもらわにゃいけませんよ。私は、まだ気象の問題はこまかい問題はあっちこっちありますから、あなた、どこぞ出張でもしてあれしてみたいと思います。 次に、漁港法の問題についてお尋ねをいたしますが、まず、法第二条でいわれております指定漁港というのは、現在幾らあって、現在まで第一次から第四次の整備計画に基づいてどれだけの漁港が整備の対象になってきたか、この点、ちょっと数字をお知らせください。
○太田(康)政府委員 四十六年二月一日現在で指定の漁港数を申し上げますと、一種漁港が二千百九、二種漁港が四百六十七、三種が九十三、特定三種が十一、四種漁港が八十一、合計二千七百六十一港ということでございます。このうち国会の承認を得まして現在第四次漁港整備計画で採択いたしておりますところの整備計画の採択漁港数は一種漁港で八十三、二種漁港で百四十四、三種漁港で七十五、特定三種は全部十一、四種漁港五十七、計三百七十港、こういうことに相なっております。
○田中(恒)委員 二千七百六十一港のうち三百七十港ですから、これも先般の土地改良法と同じように、これまたなかなかたいへんでありますけれども、一体、こういう指定漁港の整備をめぐって、特に今日の漁業をめぐる情勢の中で、漁港としての役割りを十分に果たすためにどういう方針で漁港の整備に臨まれるのか。
○太田(康)政府委員 漁港の整備につきましては、現在進行中のものは、昭和四十四年から四十八年までの第四次漁港整備計画ということで国会の承認を得た計画に基づきまして実施をいたしておりまして、昭和四十七年度の予算が完全に実行されますと、進度率が大体計画に対しまして七一・四%ということに相なるわけでございます。しかし、私どもといたしましては、昨日も申し上げたわけでございますけれども、四十四年に制定をいたしました当時と現在とでは、漁業を取り巻く情勢がいろいろと変化をいたしております。特に私ども今後考えなければならないのは、漁業の生産がかなり当時に比べますとふえたということが一つ、それから漁船の大型化というものがかなり進行をしておるということが一つでございます。それ以外に、生産基盤ということを漁港についてはいっておりますが、漁港をめぐりましてやはり流通のセンター的な機能もあるわけでございまして、そういった面から漁港の機能というものをもう一度考え直す必要があろう、さらに、最近におきましては、増養殖事業というものが、四十四年当時と比べますと、進展をいたしておりますので、これらの生産の実態というようなものも漁港の整備を考える場合に考える必要があろうというようなことを念頭に置きまして、実は現在新しく第五次漁港整備計画というものを私どもといたしましては四十八年に立ててまいりたいということで、その基本的な考え方につきまして部内で検討いたしておる段階でございます。おおむねいま言ったような点に重点を置きまして、漁港の整備計画というようなものを検討いたしておるということでございます。
○田中(恒)委員 そういたしますと、やはり重点をしぼって、そしてそのしぼった漁港に対して完全な漁港としての機能の発揮できるような基本施設から機能施設へ一連の体制をつくりあげていく、こういう方針と理解をしてよろしゅうございますか。
○太田(康)政府委員 漁港の場合には、御承知のとおり、やればやるだけ確かに部分効果があるわけでございますけれども、対象の数がかなり多いということで、先ほど整備計画の漁港としては三百七十港ということを申し上げましたけれども、それ以外に、先生御承知のとおり、改修事業とか、局部改良事業ということもやっておるわけでございます。しかし、お尋ねのように、やはり整備は一体的でなければならないということでございますので、おっしゃいますように、流通問題等も非常に重要な問題になってきておりますから、漁港の施設整備をいたします場合に、外郭施設、水域施設等の整備と相まちまして、そういった本来の流通施設等の整備もあわせて事業として実施をして、漁港の機能が十全に発揮されるというようなことを基本に考えなければならないだろうと思っております。これは事業の進め方の問題でございますが、私どもは当然そういった考え方で今後事業に取り組んでまいりたい、こう思っております。
○田中(恒)委員 そういたしますと、たとえば第一種、第二種、第三種、第四種と漁港の種別がありますね。そういう種別でいきますと、全国的な規模で荷が集まってくる漁港、いわゆる第三種ですね、こういうところに焦点をしぼっていく、こういうふうに理解してよろしいですか。
○太田(康)政府委員 確かに特定第三種漁港あるいは三種漁港、これが非常に水揚げ高も大きなウエートを占めておりますし、利用する外来船舶も非常に多いということで、施設的には整備計画等で取り上げる場合に、これらが重点になることはもう間違いないだろうと思うわけでございますが、できる限り、私どもといたしましては、漁港の大型化に比べますと現在の施設整備がおくれておりますので、かなり規模を大きな計画にいたしまして、幅広く、もちろんそういったところに重点があるわけでございますけれども、それ以外のところにつきましても事業の実施が可能になるように取り組んでまいりたい、こう思っております。
○田中(恒)委員 この漁港法の第三条で、漁港の施設というのは基本施設と機能施設、こういうふうに区分をして、機能施設というものを十項目、三十三施設にわたって明記をされておるわけですね。ところが、現実にこれに対する国の助成というのは、今度は漁港法施行令から見る限りにおきましては、輸送施設と漁港の施設用地、それから通信施設の三項目にこれは限定をしておるわけですね。いわゆる十項目三十三施設の中で三項目に漁港法による施行令ではしぼっておるわけです。これはどういう理由ですか。
○太田(康)政府委員 御承知のとおり、漁港の施設整備につきましては公共事業で実施をいたしておりまして、機能施設につきましては、確かに全部を補助対象にしていないということに相なっておりますが、これは私どもの考え方といたしまして、公共性の高いもの、こういったものは私どもの漁港の整備予算で整備をする、それから企業的な性格の強いようなものにつきましては、私どもといたしましては、御承知のとおり、産地流通形成事業等で冷蔵庫の施設の整備、あるいは加工場の施設の整備等の補助予算も講じておりますし、あるいは農林漁業金融公庫、近代化資金等の利用もできるわけでございますから、これらと両々相まちまして、先ほどお尋ねのような漁港が一体的に整備されて機能を発揮するというふうに持ってまいりたい、かように存じております。
○田中(恒)委員 漁港が一体的に強化をされていくというふうに言われるのですけれども、現実的には、いまもおっしゃったように、水産庁の内部でも、たとえば水産物流通消費改善事業とか、沿岸漁業構造改善事業、水産物産地流通加工センターの事業とか、こういういろいろな水産政策の一環として、漁港の中で機能施設として位置づけられておるものがある、それから運輸省関係の事項もこの漁港の機能施設の中にはたくさんある。そういうふうに漁港法上漁港の機能施設として機能しなければならないと位置づけられておる項目の中には、各省や、水産庁の中でも漁港関係以外の一般政策として位置づけられておるものがたくさんある。こういったようなものを全体的に、一体的に機能させるということは行政的に非常にむずかしさが私はあると思うのですよ。それを何らかの形で解決をしないと、漁港の機能というものが、完全に発揮するにしても、これは不十分な発揮しかしないのじゃないか。やはり流通の観点でいけば、無理をしても、どこかのところがつくったよりももっとりっぱな倉庫なり冷凍施設をつくろう、こういう競争が出てきて、漁港の体系の中で位置づけられておるという観点よりも、それぞれの独自目標でのものが出てきまして、そこで遊休であるとか過剰であるとかという問題が起きてくるわけですよ。この辺を、あなたが言われたように、一体的に機能発揮できるようないわゆる体制整備を——漁港法ができてから、これは議員立法でできた法律ですから、その辺の関係とあなたのところの行政執行上のたてまえとの間に私は狂いがあるような気がしてならぬので、この辺は漁港法の改正の中で議論されたかどうかはわかりませんけれども、私は今後十分検討しなければいけない問題だ、こういうふうに思っておりますので、この点を申し上げておるわけですが、何か御意見がありましたら伺いたい。
○太田(康)政府委員 たいへん的確なる御指摘でございまして、私自身もそういうことを痛感いたしておったのでございます。そこで、漁港の整備の問題は、先ほど申し上げた新しい観点から取り組まなければならないということでございますので、こう言うと、ちょっとことばが過ぎるかもわかりませんが、従来漁港部まかせというような形で、水産庁全体がこれに取り組むというような姿勢に確かに欠けている点があったかと思います。したがいまして、現段階におきましては、まず基本的な考え方を練り上げる段階から関係者全員寄りまして、あらゆる角度からどういう形で漁港な整備するか、その際当然流通問題なんかも含めまして漁港の整備という問題に取り組んでおるわけでございます。 そこで、事業の実施面に入っての問題になるわけでございますが、いま申し上げましたように、部分的な効果はあると申し上げましても、ちぐはぐになって、たとえば水揚げ高に対して不相当な流通施設があるというようなことでございますれば、むだな過剰投資にもなるわけでございますので、そういった点、一港一港整備にあたりましての具体的な計画を関係者寄りまして詰めた上でこれに着手するということを考えてまいりたい、こういうことでございます。
○田中(恒)委員 それから、最近、魚介類の物価高の問題を、消費者というか、一般的にマスコミ等でいうわけですね。これはきのうも話が出ましたが、高いときもあり安いときもある。農業と同じでありますが、しかし、農業に比べると、漁業関係のこういう施設体系というのは相当おくれておると私は思うのです。そこで、昨年来からよくいわれたように、イカが産地で安くて東京でたいへん高い。政府が補助した冷凍倉庫が投機の施設になってしまっておる、こういう指摘も出ておるわけですけれども、本来であれば、政府が政府直営のそういうものを持てばいいと思うのですが、それができなくとも、たとえば補助金等を出した場合においては、こういう流通安定という観点から、規制をするような処置を今後とっていく方針かどうか。この流通問題がたいへんやかましくなってきておりますので、これらとからませて水産庁というか政府段階で何かテスト的にやれるような方法はないのか、こういう点を十分検討していただきたいと思うのですが、これについて何かありますか。
○太田(康)政府委員 たしか昭和三十九年か四十年だったと思いますが、国が冷蔵庫の補助をいたしまして、晴海と大阪に生産者団体等が設置する冷蔵庫に助成をいたしたのでございます。これを通じて多獲性大衆魚を保存いたしまして、周年安定供給という使命をこれによって果たさせて、魚価安定をはかろうというようなことをやったことがあるわけであります。御承知のとおり、冷蔵庫というのは、本来需給の調整、価格の安定あるいは加工用原料の保蔵等の目的で物を保管する機能を有するものでありまして、私どもといたしましては、水産物の流通上欠くべからざるものだというふうに考えておるのでございます。このため、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、水産物の産地流通加工センターの形成事業あるいは構造改善事業等でこれらの施設に対する助成も行なっておりますし、あるいは共同利用施設等につきましては、農林漁業金融公庫の融資あるいは近代化資金の融通等も行なっておるのでございます。そこで、冷蔵庫がその保蔵機能から見まして、単に物が保蔵されているからといって、保蔵寄託者の意図が投機にあるのかどうかということをにわかに判断することもできないわけでございまして、確かに昨年スルメイカ等が境港等でかなり投機の対象にされて冷蔵庫に保管されてしまってさっぱり出てこないというような問題があったことはわれわれもよく承知をいたしておるのでございます。その際、私どもといたしましても実情の調査をいたしまして、将来の見通しもあるわけでございますけれども、すみやかに放出したらどうかというような指導もいたしたのでございまして、その指導どおり必ずしも動かなかったというきらいはあるわけでございますけれども、そういったことにもつとめたわけでございます。そこで、そういった機能を持っておるわけでございますから、需給状況いかんでは確かに投機的な目的のために使用されるおそれなしとしないということでございまして、補助冷蔵庫につきましては、私どもといたしまして補助した一定期間について運用状況等について報告を聴するというようなことをいたしまして、いま言ったようなことに使われる、たとえば明らかに投機の目的に使われているというようなことがはっきりいたしますような場合には、一段と強い行政指導を加えてまいりたい、かように存じております。
○田中(恒)委員 中小漁業振興特別措置法について御質問いたしますが、昭和四十二年に制度が発足いたしまして、指定業種としてカツオ・マグロ漁業と以西底びき網漁業の二業種が指定されましたが、四十二年から四十六年のこの五カ年間のこの二つの業種の実施状況はどうなっておるのか、この点を御報告いただきたいのです。
○太田(康)政府委員 四十二年以降指定された四業種についての中小漁業振興の内容についてまず申し上げますと、経営規模の拡大でありますが、以西底びき網漁業につきましては、使用漁船の総トン数は百五十トン以上二百トン未満の範囲まで拡大する。それからカツオ・マグロ漁業につきましては、一経営体当たりの使用隻数を四隻以上に増加するということにいたしたのでございます。それから資本装備の高度化につきましては、以西底びき網漁業につきましては、漁船に省力あぐり網の装置等の省力設備の設置、カツオ・マグロ漁業につきましては、漁船にパワーリール等の省力設備または高性能の冷凍設備を設置することをいたしたわけでございます。 そこで、四十六年度末の実績でございますが、金融面におきましては、この数字といたしましてはまき網、沖合い、底びき漁業等も含んでおるのでございますが、融資実績は四百七十七億五千八百万円、計画額に対しまして一一一・三%ということになっております。私の記憶に間違いなければ、カツオ・マグロにつきましては計画額に対してたしか一三六%というようなことに相なったかと思うのでございます。その内訳を見ますと、資本装備の高度化についての達成率というものに比べまして、残念ながら経営規模の拡大ということについての達成率がきわめて低かったと思うのでございます。 それから税制面でございますが、これは推定になるわけでございますけれども、漁船の割り増し償却を実施した中小漁業者というのは、四十六年度末までで延べ四百二十九経営体、毎年一割前後の経営体が制度の恩典を受けているというふうに理解をいたしております。
○田中(恒)委員 その悪かったという経営規模の達成率は一体どうなんですか、カツオ・マグロ漁業で。
○太田(康)政府委員 カツオ・マグロ漁業の経営規模の拡大等につきましては、先ほど申し上げたような内容のことを計画いたしたのでございますが、非常に資源状態が悪かったというようなこともございましたけれども、中高級魚に対する需要が非常に旺盛であったということで、魚価高というようなこともありまして、はなはだ残念ながら、合併等の達成率というのはきわめて低かったということでございます。
○田中(恒)委員 きわめて低いということですが、私がいただいておる資料では、四十五年度末においては計画百六十隻に対し実績五十八隻、達成率三六・三%、四十六年度見込み十三隻を加えると七十一隻となり、計画達成率三四・一%、いわゆる三四、五%の経営規模の拡大しか実現をしていない、こういうことでありますが、間違いはございませんか。
○太田(康)政府委員 私どものカツオ・マグロに対する経営規模の拡大といたしまして、四隻までの取得、建造、合併による拡大という数値で申し上げますと、計画は初年度から四十六年度まで二百八ということで計画をいたしたのでございます。四十五年度末の実績が五十八で二七・九%、四十六年度の見込みが十三で合計いたしまして、初年度から四十六年度までの実績値が七十一ということで、達成率は一応三四・一%という推定をいたしております。
○田中(恒)委員 この経営規模の拡大が三四・一%ですね。それから資本装備はいまカツオ・マグロでは一三六%と言われましたが相当やっておるのですね。これはおそらく新しい船をどんどんつくっていったということで、事は予定以上行っておるわけですね。ところが、三隻を四隻にしていくという経営規模の拡大ということはほとんど進んでいない。この原因は一体どういうところにあるのですか。
○太田(康)政府委員 私どもの指導も不十分な点もあったかと思いますが、先ほど申し上げましたように、経営的に見ますと、確かに四隻以上の経営というのが経営収支もよろしいし経営も安定ということでもございますので、私どもはそれを経営規模の拡大の目標にいたしたのでございますが、魚価高等にささえられまして、漁獲量そのものにつきましては釣獲率が低下したというようなことでなかなか問題もあったわけでございますけれども、経営的に必ずしも悪くなかったというようなこともございまして、計画に反して必ずしも所期のとおりの達成を見なかった、こういうことが実情ではないかと考えております。
○田中(恒)委員 これは魚価高等いろいろ言われましたけれども、いまの三隻を四隻にしていくという振興計画に問題がありはしないかという意見もあるわけですね。現実問題としてカツオ・マグロの許可隻数というのは千五、六百あるわけでしょう、実際に稼働しておるのはそれだけあるかどうかは別にして。その大半はおそらく一隻親方が多いんじゃないかと思うのですが、三隻を四隻にしていくということは、こういう層では現実問題としてなかなか困難なので、たとえば一隻を二隻にしていくというような方向はこれからの新しい振興計画の中に取り入れられないかどうか。そういうことが考えられないと、現実に規模拡大というのはむずかしいんじゃないか、こういう見解もあるわけですが、この見解に対してはどういうふうにお考えになっておりましょうか。
○太田(康)政府委員 私どもといたしまして、カツオ・マグロのごとく周年的に操業をいたしておるものにつきましては、ある程度のそれなりの経営分析ができるわけでございますので、そういった経営の分析から見まして、最も収益の安定したところに持っていきたいということが、経営規模の拡大の目標にもなるわけでございます。しかし、確かに御指摘のような点も、われわれやってみまして必ずしも達成率が所期のごとく進まなかったというような反省もあるわけでございますから、過去におきますところの伸展の状況等も十分反省いたしまして、この法律が通りました暁におきましては、私どもの振興計画を立てる場合あるいは業界の自主的団体が構造改善事業計画を立てるときにも、そういった点を十分配慮して今後対処してまいりたい、かように存じております。
○田中(恒)委員 そこで、この振興計画というものは性格的には一体どういうものなのか。これは三隻を四隻にするというきわめて具体的な内容を持たなければいけないのか、それとも、もう少し抽象的に弾力的に振興計画というものが考えられてしかるべきではないか、こういうふうにも考えられるわけですが、昨日、長官は同僚委員の質問に対して、振興計画というものは振興方針というべき性格のものだ、こういうような御答弁があったやに記憶をしているわけであります。これから新しい振興計画が出るわけですけれども、これは振興方針、方針といったような形で理解してよろしいですか。
○太田(康)政府委員 御承知のとおり、法律の第三条で、農林大臣は、指定業種ごとに、その指定業種にかかる中小漁業についての振興計画を定めなければならない。そこで、振興計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする、ということで、経営規模の拡大、生産行程についての協業化、資本装備の高度化等経営の近代化の目標、それからもう一つは、第二号といたしまして沿岸漁業等振興法第九条各号に掲げる事項の改善に関する基本的事項、こういうことを特定されておるわけでございます。 そこで、第一次の際には、経営規模の拡大といたしまして、当該漁業に使用する漁船の総トン数を、百五十トン以上二百トン未満の範囲に増大するための漁船の改造、建造または取得に必要な資金、あるいは資本装備の高度化といたしまして、先ほども触れましたが、省力あぐり網装置を漁船に設置するための改造または建造に必要な資金、あるいは省力あぐり網装置の設置に必要な資金というようなことを計画の骨子として定めたわけでございますが、今回の場合にはやはり経営規模の拡大あるいは新漁場拡大に対処した漁船の大型化、生産行程の協業化というような法律に定められた事項についての基本的な考え方につきまして定めてまいりたい、こう思っております。
○田中(恒)委員 これは基本的な考え方ではいままではなかったと思うんです。基本的な考え方というものは、いまおっしゃられたような事項を書いておるのだが、具体的に三隻を四隻にしなければいけない、こういうふうにやられると、その方針に基づいておたくへ申請を、構造改善計画を出して、そして許可を与えられるわけですから、三隻を四隻というふうにぴしゃっときまっておるわけですよ。そういうふうなものじゃなくて、もっと余裕のあるもので出さないと、構造改善計画というものが自主的に生きたものにならぬのじゃないかという感じがするわけです。そういう意味で、振興計画というものがそういう一般論的なものなのか、それとも、あなたのところで経営分析をやって安定経営体はこれだけだ、それに持っていくのだということで、一ぺんにいまのような四隻以上、こういうような形で出されるようなことをこれからも踏襲していくのか、この点、どうですか。
○太田(康)政府委員 たいへん失礼いたしました。私、先ほど申し上げたのは以西底びき網漁業の第一次の振興計画の内容並びに今回考えております振興計画の内容でございますが、カツオ・マグロ漁業につきましては、第一次の振興計画におきましては、先生御指摘のとおり、三隻以下の経営体を四隻以上の経営体に拡大するための漁船の建造または取得に必要な資金ということで、これを経営規模の拡大の一つの目標にいたしたのでございます。しかし、御指摘のとおり、三隻を四隻といいましても、なかなかそう簡単にできないというようなことが私どもの過去の経験で明らかになったわけでございますので、今回のマグロ漁業のこの関係につきましては、私どもは、昨日も申し上げたわけでございますけれども、マグロはえなわ漁業についての問題点といたしまして、資源問題が非常に問題である。しかも国際規制も非常に強化されておるというようなことでございますので、むしろ資源が豊かであるといわれておるカツオへの転換ということを積極的に進める。そこで、マグロ資源及びカツオ資源の現状にかんがみまして、遠洋マグロ及び近海マグロはえなわ漁業からカツオ漁業への移行ということに重点を置きました振興計画というものを、今回はマグロ漁業につきましては考えていきたい、こう思っております。
○田中(恒)委員 どうも長官はいいところばかり答弁をせられまして、ちょっと問題のところは避けて通るお役人のじょうずな姿勢があるわけですけれども、カツオ・マグロ漁業、いわゆる指定業種で、特定業種ごとに振興計画というものを政府が出す。その振興計画というものに基づいて、いわゆる構造改善計画というものが出されるわけですね。この政府が出していく振興計画というものにあまりにもきびしいワクが、条件が具体的にきめられておるから、漁業者が出す構造改善計画というのはもう選択の余裕がないわけですよ。三隻か四隻以上じゃないとこの対象にはせぬのだ、金は貸さぬのだ、税金はまけてやらぬのだ、こういうことになるのじゃなくて、これはきのうも長官が言われたように、基本方針である。方針というものは、いわゆる規模拡大である。その規模拡大の方向というものは、こういうものが好ましいくらいが最低であって、三隻か四隻でなければいかぬというふうに書いたのでは、これは方針じゃないんですよ。そういうところを変えなければ三〇%か三四、五%台にとどまってしまうんだ。そこまでワクをはめなければいかぬ理由がどこにあるんだ。それは、結局、構造改善計画とも関係をしてくるわけです。構造改善計画をやれといったって、もうちゃんとやらなければいけない点はしぼられておるわけですから、限られてしまうわけですよ。だから、振興計画というものに余裕を持たせなければいけないのじゃないか、こういうことを言っておるのです。ところが、現実にあなたのところから出されておるカツオ・マグロの第二次の、昭和四十七年から五十一年度の振興計画の骨子なるものを見ても、依然として振興計画というものは実施計画みたいな形になっておるわけですね。この点をゆるめなければ、漁業者の自主的な創意に基づく規模拡大というものも着実に進まないのではないか、こういう点を指摘しておるわけです。
○太田(康)政府委員 経営規模の拡大、基本的なカツオ釣り漁業への移行の問題も先ほどお話し申し上げましたが、経営規模の拡大の問題につきましては、確かに第一次振興計画において多少ぎすぎすした点があった、したがって、その達成率が非常に低かったというような反省もあるわけでございます。そこで、私どもといたしましては、第二次の振興計画におきましては、一隻から三隻まである経営体というものが、船体構造あるいは漁労装置等の装備が総合的に合理化された標準仕様船というものをつくっておりますから、それをもって四隻までの範囲内で増隻するための漁船の建造または取得に必要な資金ということを計画いたしております。したがいまして、一隻が二隻になるというような場合も農林漁業金融公庫の特利の融資の対象にしていくというふうに、従来に比べますとかなり弾力的に運用できるようなことも考えております。 そこで、今回は構造改善事業計画というものを業界が自主的にお立てになるわけでございますけれども、私どもの振興計画が当然そのための指針にもなるわけでございます。そこで、中小漁業振興計画というものはいわば基本方針的な性格を持つものでございますので、具体的な構造改善計画の作成段階で業界の自主性が十分生かされなければならないということでもございますので、その策定にあたりましては、業界の意見等も十分参酌いたしまして私どもの考え方をきめてまいりたい、かように存じております。
○田中(恒)委員 業界との話でということ以外に言えぬのでしょうけれども、漁業資源の問題、いろいろあります。金のワクの問題もあろうし、いろいろありましょうが、やはり制度が非常に硬直化というかしておるような感じがしてならないので、この点をひとつ十分検討をして、漁業者の自主的な構造改善計画というものに基づいて、政府のほうで指導すべきあり方というもののめどは出さなければいけません。政府がきめてしまったものの中で構造改善計画というものをがちゃがちゃやっても、これはさほど意味がないと思うのです。こういう点を十分に配慮していただくように御要望をしておきたいと思います。 それから、構造改善計画ですが、これはだれがつくるのかという問題です。漁業協同組合並びに政令等できめるということになっておるわけですけれども、漁業団体は非常にふくそうをしておりまして、非常に多種多様なわけです。全国段階、県段階、それから単協段階、しかもそれぞれが業種別にきわめて多様な形で分化をしておるわけです。一体この構造改善計画をつくっていく主体はどこなのか、この点をこの機会に示していただきたいと思うのです。
○太田(康)政府委員 御承知のとおり、今回の中小漁業振興特別措置法の一部を改正する法律案におきまして、構造改善事業計画を立てます主体につきましては、特定業種漁業を営む中小漁業者を構成員とする漁業協同組合、その他政令で定める法人というふうに規定をされております。したがいまして、政令において定めるわけでございますが、政令におきましては、漁業協同組合のほかに、業界の実情に応じまして民法第三十四条で定める社団法人等につきましても指定をすることを予定いたしております。そこで、当面私どもが特定業種として指定業種の中から特定をいたすものといたしましては、カツオ・マグロ漁業と以西底びき網漁業を考えておるわけでございますが、カツオ・マグロ漁業につきましては、先生御指摘のとおり、遠洋カツオ・マグロ漁業と近海カツオ・マグロ漁業がございますから、遠洋カツオ・マグロ漁業につきましては日本鰹鮪漁業協同組合連合会、これが適切ではないかというふうに考えておりますし、近海カツオ・マグロ漁業につきましては、全国漁業協同組合連合会が行なうことが適切ではないかというふうに考えております。それから以西底びき網漁業でございますが、これは以西底びき網漁業者の全員によりまして組織されておりますところの社団法人の日本遠洋底びき網漁業協会という民法の先ほど申し上げました法人があるわけでございますから、これが立てることが適切ではないかというふうに現在考えておるのでございます。
○田中(恒)委員 近海カツオ・マグロ漁業は全漁連が適当でないかということでありますが、全漁連もなかなかたいへんな仕事じゃなかろうかというふうにも言っておりますね。非常にたくさんあるし、たくさんある中でどれがどれだけ動いておるのか、実態の把握もなかなかたいへんですし、地区へおりていくとまた業種組合なんかに入っておるし、地区漁連にも腰かけでやっておるということで、非常に複雑でございますから、これの計画策定にあたっては、当然水産庁が行政的に県等を通じて援助をするんだと思いますけれども、これは相当骨を折ってやらないと、特に近海カツオ・マグロ漁業等についてはなかなか複雑な流れをしておりますから、この点は十分配慮していただかねばならない、こういうふうに思います。 それから、今後における新しい指定業種はいまのところはあまり考えられていない、こういうふうに聞いておるのですが、そうでしょうか。
○太田(康)政府委員 御承知のとおり、この法律が四十二年に制定、施行されまして、四十二年にはカツオ・マグロ漁業と以西底びき網漁業を指定いたしまして、翌年四十三年にまき網漁業、四十四年に沖合い底びき漁業という指定をしてまいったのでございます。これも法律ではっきり指定の要件がきめられておるのでございますが、これに類似の中小漁業といたしましては、たとえばイカ釣り漁業あるいはサンマ漁業、それから北洋のサケ・マス流し網漁業等が中小漁業者によって営まれておるという点におきましては、全く同じような性格のものであるという理解をいたしておりますけれども、前二者につきましては、先生も御承知のとおり、実は兼業関係が非常に複雑になっておるわけでございまして、この兼業との関係をどう割り切るかというような問題もあるわけでございます。たとえばイカ釣り漁業等につきましては、漸次イカ釣り専用船というようなものも出てまいりまして、かなり周年操業というような形態も出てまいっておりますし、業界自身におきましても、あわせてこれを指定漁業にして、農林大臣の許可制にしてくれというような動きも出ております。そういったことで、いまその点も検討いたしておりますが、そういった事態になってまいりますれば、法律の要件に照らして適切であるというような場合には指定をすることもやぶさかではないわけでございますれけども、現段階におきましては、そういった問題がこれらについてはあるということでございます。 それから、流し網の漁業につきましては、御承知のとおり、毎年日ソの漁業交渉によりまして操業する。その際、最近までの実情によりますと、船の大型化あるいは増ワクというようなことよりも、どちらかといいますと、そういったことは抑制するというようなことで行政指導をいたしておるというような実態もございますので、ちょっと対象になりにくいのではないかということで、現在は四業種の指定にとどまっておる、こういう実態でございます。
○田中(恒)委員 この法律の改正後、指定業種については、五年間振興計画に基づいていわゆる近代化というものをやって、そして引き続いて五年間構造改善事業という形でより近代化を進めていく、こういうことになるわけですが、この制度運用上、いわゆる指定業種といたして指定をし、同時に特定業種として指定をして、構造改善が一挙にやれる、こういうような制度の運用は可能なのかどうか、そのことについてはどういうふうにお考えになっておるか。
○太田(康)政府委員 昨日も申し上げたわけでございますけれども、この法律を作成する過程におきましていろいろ議論をいたしまして、できれば単純に延長というような形がとれないかというような議論もいたしたのでございますが、類似の中小企業につきまして、近代化計画をやって、その次は構造改善計画に進むというようなことで措置をいたしたという例もあるわけでございます。特に税制上の立場からいいますと、先生御指摘のとおり、現行制度におきましては、指定漁業について五カ年間というような特例になっておるわけでございます。そこで、従来の指定業種になっておりませんと、今後指定業種として追加いたしたものにつきましては、特定業種として指定をいたしましても、直ちに租税特別措置法の恩典が受けられないという難点がございます。この点につきましては、先ほど申し上げましたように、もし将来指定業種として指定をし、これを特定業種として対象にするというような場合には、租税特別措置法で税制上の措置は年々講ずるわけでございますから、私どもは大蔵省と折衝をいたしまして、その点につきましてはぜひ、当然他の業種が受けられる恩典と同様の恩典が受けられるような税法上の措置というものも講じてまいらなければならないというふうに考えておるのでございます。それから、確かに構造改善事業というのは新しい試みでもございまして、中小企業の手法をそのまま持ち込むということでうまくいくかどうかという問題もあるわけでございますが、これから業界等とも十分話し合いをいたしまして、私どもの先ほど御指摘の振興計画の作成、あるいはそれの基本方針に沿って立てられますところの業界の自主的な計画としての構造改善事業計画というものが両々相まちまして円滑にいくように、私どもはつとめてよく話し合いをして、円滑にまいりますように取り組んでまいりたい、かように存じております。
○田中(恒)委員 時間が過ぎましたので、最後に一括して御質問をいたしますが、近海カツオ・マグロ漁業の問題について、いわゆるカツオ・マグロ漁業一括ということじゃなくて、遠洋と近海と二つに区分をしてこの問題についての必要な処置をとる考えはないかどうか。それから漁船のトン数を、いま七十トンですか、これを引き上げるということなのかどうか。それから千五百隻の許可隻数というものについて、妥当かどうか。こういう点を、近海マグロ漁業の本法実施に伴う今後の取り扱いとしてお尋ねをしておきたい。 それから第二点は、以西底びき網漁業の資源問題の行き詰まりが、自主的に一五%の減船というような問題を出してきておるわけですが、この問題を今後許可ワクの設定にあたってどういうふうにお考えになっておるのか。ことしは新しい一斉更新の時期に入っておりますので、これらを含ませて水産庁の見解をお聞きをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○太田(康)政府委員 御指摘のとおり、確かに遠洋カツオ・マグロ漁業と近海カツオ・マグロ漁業の実態は大いに相違があるわけでございまして、そのために構造改善計画を立てる主体も、私ども、先ほど申し上げましたように、全漁連と日かつ連というふうに分離をしておると考えておるのであります。 近海カツオ・マグロ漁業の実態を申し上げますと、私どもの許認可隻数のうちの六七%程度しか実は稼働していない。先ほど、これも先生から御指摘があったわけですが、そういった実態でございます。しかもこのうち他種漁業と兼業するものがかなり多いというような実態もあるわけでございまして、専業の傾向を持ちます五十トン以上の隻数ということになりますと、千何百隻のうちの二百六十隻程度ということで、実稼働隻数の四分の一に限られるということで、全体として確かに投資意欲が低い、あるいは漁業生産の生産性も低いというようなことで、振興計画が低調であったというのは、先ほど申し上げましたようなことも加えまして、ここに原因があったと思うのでございます。そこで、私どもといたしましては、そういった実態を踏まえまして、振興計画あるいは構造改善計画等を立てます場合にもそういったことを十分反映した取り扱いにいたしたいと思っております。 それからトン数の引き上げにつきましては、現在七十トンということになっておりますが、八十トン未満ということで引き上げることにいたしまして、今回の一斉更新の際にそういった取り扱いをする。この点につきましても、先般の中央漁業調整審議会の同意を得ておるのでございます。 それから以西底びき網につきましては、御承知のとおり、以西底びき網漁業が日韓あるいは日中等との競合問題、あるいは漁区規制の問題、さらに魚価がスケソウダラの関係で低迷をしている問題等がございまして、資源的に見ましても経営的に見ましても問題があるということで、今回業界が自主的に、全員の総意をもちまして四十七年度に総トン数の一五%、四十八年度に五%、合わせまして、二カ年で二〇%程度のトン数の減を、それに伴う減船でございますが、行なうことになったわけでございます。そういたしますと、当然減船対象船というものは漁業許可を廃業するということになるわけでございまして、私どものいまの見通しで申し上げますと、大体九十トン型のものが多く減船されるであろうということで、約百二十隻ほどがとりあえず四十七年度は減船されるというふうに考えております。 そこで、一体減船をどうするかというような問題もあるわけでございますが、おそらくイカ釣り漁業等に従事することも考えられましょう。それから私どもといたしまして、実はニシンの際にも問題が出たわけでございますけれども、まあサケ・マスの減船に伴いましてもその問題もあるわけでございますけれども、従来でございますと、沖合いから遠洋へというような形でカツオ・マグロ漁業への転換等も認められたのでございますが、昨今の情勢におきましては、業界の方面からは、あるいは北転船にもう少しふやしてもらいたいとか、あるいはノートン岬のほうにまで出たいというような要望がございましたけれども、現在の情勢ではそう簡単に他種漁業への転換というようなこともできないわけでございますので、私どもといたしましては、多少時間がかかるかもわかりませんけれども、新漁場開発ということでせっかくセンターも設置したわけでございますので、これによりまして、漁場の開発をいたしまして、新しい指定漁業の許可ができるような場合には、そういったものの優先的な取り扱いというようなことも考慮しなければならないだろうというふうに、現段階においては考えております。 なお、以西底びき網の場合には実は労働が非常に過重でございますので、乗り組み員の確保という問題につきましてはいろいろ問題があるわけでございまして、そう言うとあるいは誤解を招くようなことになるかとも思いますが、今回の減船に伴いまして、どちらかといいますと、残られた方々につきましては、むしろ漁船員の確保というような点につきましては安定的にこれが確保できるというような、ことばは悪うございますが、メリットもあるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、減船という事実があるわけでございますから、これらの方々のいわゆる兼業業種の取り扱い等につきましては十分考えてまいりたい、かように存じ上げております。
○田中(恒)委員 以上で私の質問を終わりますが、私は全体として、当初申し上げましたように、日本の漁業の中で最もいま停滞しております沿岸漁業、これは漁業内部の問題というよりも、漁業を包む諸条件がたいへん悪化をしております。しかもこれは零細な漁業者が非常に多いわけであります。こういう点について、特に水産庁としても大きく目を開いていただかねばいけないということが一つ。 それから中小漁業の問題について、これは中小漁業だけでありませんけれども、きょうは十分議論はできませんでしたが、長官の御答弁の中にもありましたが、日本の漁業全体が漁獲高をふやしていく、こういう需要が非常にあるものですから、そういう方向に方針がどうも向けられて、漁獲高をふやすための漁船の巨大化というようなこと、あるいは資本装備の充実、こういう観点が非常に強いのではなかろうか。それ以外にもっと重要な問題が幾つかあって、そういう点がなおざりにされておるきらいがあるのではないか、こういう心配を従来から持っておるものであります。こういう点はこの法律だけでは不十分な面もあろうかと思いますが、やはり日本の中小漁業の中に大きなウエートを占めておるのは、今度の法改正でいわゆる二千トンが三千トンになりましたけれども、千トン未満のいわゆる中小の小の漁業者が非常に大きな役割りを果たしておることは事実なんです。ところが、二千トンを三千トンにして中の上でも一番大きいほうへ焦点がだんだん向けられて、それらに対する有利な施策が仕組まれていく、こういう感じもなきにしもあらずです。この辺もやはり中小の小の部分をどうしていくか、こういう点も十分考慮をされてしかるべきだと思います。 それから、漁港法の問題については、この法律制定のときの客観情勢と今日の情勢は非常に変わってきております。長官もいま言われたように、流通問題からひっかけて生産と消費との関連基地としての漁港の位置づけ、新しい資本装備、機能施設の問題、こういうものが整備されないと、漁港というものは、従来のように、ただ港に堤防を張って船が安全に退避できればいい、こういう簡単なものではなくなってきておるというのが現状なんです。そういう意味に立ってのいまの漁港法の体系なり仕組みに問題はないか、こういう点が私はやはり一つの重要な問題でなかろうかと思いながら若干の御質問をしたわけでありますが、十分な議論はできませんでしたけれども、またそれらを勘案して、具体的にこの内容の整備をはかっていただきますことを要請して、終わります。
○松野(幸)委員長代理 午後二時再開することとし、これにて休憩いたします。 午後零時四十五分休憩 ————◇————— 午後二時十三分開議
○三ツ林委員長代理 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑を続行いたします。斎藤実君。
○斎藤(実)委員 私は、提案をされております漁業三法に関連をいたしまして、わが国の水産問題について若干お尋ねをいします。農林大臣がお見えになっておりませんので、水産庁長官に若干お尋ねをして、後ほどまた農林大臣がお見えになれば質問したいと思います。 長官も御存じのように、わが国の漁業の動きにつきましては、先般、漁業白書で指摘をされておりますように、昭和四十五年度の漁業生産量は九百三十万トン、史上始まって以来の九百万トンを突破した。しかしながら、水産物の需要は非常に旺盛でありまして生産が対応できない。こういった現状によりまして、非常に値上がりの傾向を示しておるわけです。こういった状況に応じて生産をふやすということ、これは基本的に早急に対策を講じなければならないというふうに考えるわけです。その反面、漁場の環境が悪化をしてきているということ、それから発展途上国が権利を主張するということで、漁場の制限等の強い主張があるわけです。そういった内外の情勢を含めてわが国の漁業は非常にきびしいものがある。そういったことを踏まえまして、わが国の食料産業の中で水産業の位置というものが非常に重要になっておるし、水産の振興については、農林省全体の中で水産行政をどうするかということが非常に大きな問題になっておるわけです。 そこで、農林省の予算の中では水産の予算というのはわずか五%、特に昨年制定を見ました海洋水産資源開発促進法の運用面についても、沿岸部門をとってみますと、非常に施策が前向きではない。わが国の産業の中で水産について水産庁としてこれからどう対処をされていくのか、総括的、基本的なお考えをまず伺っておきたいと思います。
○太田(康)政府委員 水産物に対する需要が多様化、高度化して、非常に高い伸びを示しておるということは、御指摘のとおりでございます。 そこで、われわれ水産の行政を預かる者といたしましては、水産政策ということは、一つは国民の必要とする動物性たん白としての水産物というものを安定的に供給することにつとめなければならないと思っておりますし、第二番目には、これに従事している漁業者の所得なり生活の水準をできるだけ高めまして、他産業の従事者との均衡をはかるようにつとめるということになろうかと思うのでございます。 そういった観点から水産業を取り上げました場合に、現在動物性たん白の中で五三%は水産物によって供給されておるということでもございますし、今後畜産も伸びてまいりましょうから、これらの関係がどうなりますか、いろいろ問題もあるわけでございますけれども、私どもといたしましては、従来、ともすると水産業というのは、何か単にいるものをとるという感じで、いろいろな面で施策が、農業等に比べますと、おくれていることは御指摘のとおりでございます。特に最近私どもが感じておりますことは、当方面においてその意向がたいへん強いわけでございますけれども、やはりたん白質供給産業としての水産業の確立ということを目ざしてこれからの水産政策は進めなければならない。したがいまして、広い立場で、総合農政の一環としてこの問題に取り組んでまいるということを基本の姿勢として、水産業の位置づけというものを考えておる次第でございます。
○斎藤(実)委員 海洋水産資源開発センターの件について、沿岸部門の予算についてちょっと触れてみますと、海洋新漁場開発費十四億二千三百万円、それから沿岸漁業構造改善二十億三千二百万円、それから大規模増殖の漁場の調査費百五十万円、この資源の確保あるいは生産を増大するということからいけば、この沿岸漁業の振興についての予算については非常に微々たるものだと思いますし、私は沿岸漁場の開発を整備するという国策の一環として進める以上は、この大規模な浅海養殖事業を強力に推進する必要があるのではないか。海洋水産資源開発センターの中で沿岸部門を進めるということも私は一応納得いたしますけれども、大規模な浅海養殖事業というものを別な面で具体化をする必要があるのではないかと思うのですが、長官、いかがですか。
○太田(康)政府委員 御承知のとおり、昨年御審議をいただきました水産資源開発促進法によりまして、沿岸部門におきましては、増養殖事業の推進、このための開発区域の設定というようなことによりまして、他産業の調整等をはかりつつ生産の増強をはかる。沖合い、遠洋につきましては、新漁場開発ということで、開発センターの設立をお認めいただいたわけでございます。 そこで、沿岸についての振興対策として、もう全く御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましては、非常に漁場環境が悪くなっておりますけれども、これにつきましては、けさほど来問題になりましたように、今後は各県等におきましても、公害についての基準等につきましての上のせ基準をつくりまして、少なくとも現状以上に漁場の悪化が進行するようなことを防ぐというような体制もとっておりますので、そういった体制の上に立ちまして新しい増養殖事業を進めていかなければならないだろうというふうに思っております。 そこで、四十七年度の予算についてまず申し上げますと、私どもが沿岸の水産資源の開発関連予算というふうに理解をいたしておりますものによりますれば、四十六年度が約二十九億七千三百万、これが三十八億六千万くらいに増加をいたしております。御承知のとおり、一つは公共事業として実施いたしております大型漁礁の設置事業それから浅海漁場の造成事業、これらはいずれも公共事業として実施いたしておることは御承知のとおりでございます。それから新しい予算といたしまして、金額としてはまだ非常にわずかでございますが、調査費を計上いたしまして、大規模な増殖場の開発予算、いわば俗っぽいことばで言いますと、海底牧場を将来設置するというようなことで、当面三カ所の県に委託をして調査をすることにいたしております。これらの調査の完成を待ちまして事業化に移る。その際はやはり公共事業によって実施するということをいま私どもは期待をいたしておるわけでございますが、これをさらに全国的に推し広めていくというふうにいたしたい。 それから、先ほど御指摘のございました沿岸漁業構造改善事業、それから開発漁場の保全調査の経費、それに従来から瀬戸内海について事業化もいたしまして実施いたしております栽培漁業の推進でございますが、この関係につきましては、かねて栽培漁業というつくる漁業をできるだけ推進すべきであるということで、栽培漁業の全国化ということがいわれたわけでございますけれども、この点につきましても、昭和四十六年から瀬戸内海では事業を実施すると同時に、日本海についての調査にも着手をいたしたわけでございますけれども、四十七年度におきましてはさらにその全国化を目ざしまして、太平洋の北区、太平洋の中区、それから沖繩等を含めました、東シナ海まで含めました有明の地区ということで、三地区についての県の試験研究機関に委託しての共同調査を実施するという予算も計上いたしたのでございまして、これらが逐次調査を完了いたしますれば、私どもの計画に従いまして栽培センターの設置をし、さらにふ化放流事業を実施するということにもなるわけでございます。確かに当面、予算の措置といたしましては、調査の経費等がありますために、金額としてまだ十分ではないという反省はいたしておりますが、調査が済んだ段階におきまして事業化ということになりますと、かなり多額の予算をこれに計上できるのではないかということに期待をかけておるのでございます。
○斎藤(実)委員 いま長官から、養殖事業については今後も進めていくという答弁がありました。私は、わが国の漁業の中で、いろんな環境の悪条件もありますけれども、大規模な沿岸の養殖事業というものをどうしてもとらざるを得ない。ですから、こういったことについてひとつ積極的な前向きな施策を特に私は要望したいと思うのです。 それから、ここにありますように、昭和四十六年十月六日に公表をした海洋水産資源開発基本方針、この中で生産の目標は、昭和五十年で百五十七万六千トンが不足になるであろうというふうに見込んでおりますので、沿岸については、沿岸の養殖によって三十一万トン、沖合いの新漁場開発によって四十万トン、七十一万トンを見込んでおるわけですが、全国的に見てこの生産増大の地域の可能性といいますか、こういう観点から考えますと、北海道の沿岸漁場というものがやはり中心になるであろう。いままでの実績あるいは歴史、生産量等を通して考えてみますると、北海道の沿岸漁場を重点的に開発整備するということが非常に大事ではないか。ですから、この沿岸の三十一万トンという基本方針の中に示された生産増大目標は、非常にこれは少ないのではないか、こういうふうに考えるわけですが、いかがですか。
○太田(康)政府委員 私ども昨年十月六日に資源開発促進法に基づきますところの開発基本方針というものを公表いたしたわけでございます。その際、法律の定めるところに従いまして、第一が「沿岸海域における水産動植物の増殖および養殖の推進に関する事項」ということで、増殖または養殖を推進することが適当な水産動植物の種類というものをまず特定いたしたのでございます。それからいま御指摘の水産動植物の増殖または養殖による漁業生産の増大目標というのを立てまして、さらにこういった増殖または養殖に適する自然的な条件に関する基準というものをきめまして、さらにこの目標を達成するために、漁業生産の基盤の整備及び開発並びに施設の整備等に関する基本的な事項というものを、沿岸については増養殖についての関係として定めたわけでございます。もちろんそれ以外に「海洋の新漁場における漁業生産の企業化の促進に関する事項」ということで、センターに関する部分の事項も定めまして公表いたしたわけでございます。 そこで、いま申し上げたような条件で、私どもそれぞれ今後進めるべき増殖または養殖の水産動植物の種類というものを特定し、さらにこれに見合うところの自然的条件等についてもつぶさに各物別に全部定めたわけでございまして、その際、最も大きな問題でございますところの漁業生産の増大の目標というようなことも、実はそういった条件を踏まえまして、過去におきますところの生産の推移並びに最近におきます技術の進歩、そういったものも勘案しながら推定をいたしたのでございます。それによりまして、もちろん御指摘のように、少し少ないのではないかというような御意見もあったのでございますが、魚介類で二十二万トン、海藻類で九万トン、合わせて三十一万トンということにいたしたわけでございまして、これらを定める過程におきましては、個別の県とも十分相談をいたしまして、県等の計画ももちろん今後これに基づいて具体的に開発区域についての開発計画が立てられるわけでございますけれども、県独自でいままでいろいろな計画もあるわけでございますから、これらの資料等も十分参酌いたしまして、最近におきます動向等に基準を置きまして試算をいたしたものでございまして、見方によりましては、もうちょっと意欲的にやったらどうかというような御意見もあったわけでございますけれども、一応私どもの推算の過程はいま申し上げたような手順で推定をいたしまして、公表をいたした、こういうことでございます。
○斎藤(実)委員 先ほどから長官も答弁されておりますように、生産の増大についてはお認めになっておりますし、これが水産行政の大きな課題だと私は思うのです。 そこで、第二次構造改善に関連をいたしましてお尋ねをしたい。長官、御存じのように、第二次構造改善については施設補助が認められておるわけですね。昭和四十六年から発足をいたしました。この事業規模については資料がありますけれども、北海道第三期総合開発計画とこの第二次構造改善事業を比較をしてみますと、非常に第二次構造改善はワクが低いし、意欲的な構造改善をやっていこうという沿岸漁場の整備開発について意欲的な地域にとっては、非常にこれは障害になっているという現状もあるわけでございまして、この北海道第三期総合開発計画による事業の数量と第二次構造改善事業の数量では格段の差がある。こういったアンバランスでは困ると思うし、これは全国的な要望として、構造改善事業を拡大してもらいたい、こういう意向もずいぶんあるわけですね。予算の面でも抜本的にこれは改める時期にきているのではないか、こういう主張もずいぶん私は聞いておるのですが、この点についてはどうでしょうか。
○太田(康)政府委員 第一次の構造改善事業の実施の反省の上に立ちまして、昭和四十六年度から第二次沿岸漁業構造改善事業というものを打ち出したことは御承知のとおりでございまして、その際、計画の地域数といたしましては、従来の一次構造改善ではおおむね県単位が地区として採択されておったというようなことが、あまりにも広がりが広いということで、今回の計画では地域数を一地域当たり数市町村ということで、おおむね百八ぐらいを予定するということ、さらに事業規模におきましても、そういったこともございまして補助事業あるいは融資事業は、前回の一次構造改善に比べますとふやしておることは御承知のとおりでございます。その際、総ワクのものの考え方として、私、当時水産庁には職を奉じていなかったわけですけれども、聞くところによりますと、農業の構造改善事業との対比、特に従事者の数あるいは生産額、そういったようなことを比較検討した上で総ワクがある程度セットされたというような経緯もあるようでございます。 四十七年度の予算の編成にあたりまして、私ども、この取り扱いにつきましていろいろな方面からいま御指摘のような問題が提起をされたこともよく承知をいたしております。構造改善事業という事業の名のもとにたとえばすべての予算が入ってしまっているからなかなか新規予算が取りにくいというような、実は逆の難点もあるというようなこともよく承知をいたしております。ただ、御承知のとおり、四十六年度から発足して四十七年度で直ちにその基本的な考え方を大幅にくずすということは、私どもと財政当局との約束でもございますので、そうなかなか簡単にもいかないということでございます。 そこで、私どもこれからも御指摘の増養殖事業については思い切って力を入れなければいかぬわけでございますから、予算が構造改善の予算だけでこれをやっていく、あるいは近代化資金だとか公庫融資だけでやっていくのだというようなことでは、いま言ったようなギャップも出てくるというようなことも考えられるわけでございます。私、いつも内部で申し上げておるのでございますけれども、農業の場合にも、新しい施策として一方で農業構造改善の大きな予算を持ちながら、たとえば営農団地構想というようなことでかなり大きな予算もこれによって打ち出しておるというような実態もあるわけでございますから、私どもといたしましても、沿岸につきましては増養殖ということの振興が最も大事であるという認識も持っておりますので、ひとつ一方で構造改善をやりながらも何かこれにこたえる別の道も検討しなければならないということで、鋭意いまそれをどういうふうに仕組んだら最も効果的な予算が仕組め、しかも大蔵省、財政当局を説得してその予算化ができるか。その柱として、さっき申し上げたような海底牧場の設置の調査の予算も計上したというようなこともあるわけですけれども、なおわれわれさらに検討を加えまして、この面についての努力を一そう払ってまいりたい、かように存じ上げております。
○斎藤(実)委員 沿岸の増殖については長官も非常に意欲的な答弁をされましたけれども、同じ国の決定の計画で差があってはやはり困るということを私は申し上げておるのであって、四十七年度からすぐやれということは私は言っていないです。こういった一つの同じ国の計画の中で差があっては困るし、一方では意欲的に沿岸の増殖をやっていこうという前向きな意欲はひとつ十分認識をしていただいて、そういった方向に持っていってもらいたいということを強く御要望申し上げておきます。 それから、国際漁業の問題につきまして若干お尋ねをいたしたいと思います。 御存じのように明年第三回国際海洋法会議が開かれるわけです。それで昨年の準備会では、国の国境線ともいわれる領海の問題が取り上げられたわけですね。この問題についても当然明年の議題になると思われるわけです。準備会では、世界の大勢というものは領海十二海里説が圧倒的だという声もあるし、それから開発途上国の主張しております二百海里という説も十分ある。こういった問題をとらえて水産庁として明年の国際海洋法会議を控えての基本的な考えが固まったかどうか。もし固まっていれば、どういう方向でいくのか、基本的な考えを伺いたいと思います。
○太田(康)政府委員 御指摘のとおり、明年、準備が整いますれば国連の第三回の海洋法会議が開催されるわけでございまして、これに対処するために、ことしの春も準備会が開かれまして、さらにまた夏に準備会議が持たれるわけでございます。この準備会議の成果のいかんによって、明年開かれる、あるいは一年延びるかというようなこともあるわけでございますけれども、おそかれ早・かれ、とにかく問題が出てくるわけでございます。 御指摘のとおり、AA諸国、ラ米諸国等のいわゆる後進国でございますが、こういった国々は非常に漁業専管水域というものを大幅に広げる、いまおっしゃいましたような二百海里というようなことを打ち出しております。しかもこの主張に同調する国はかなり多い。これに対しまして、わが国のように、現在三海里と言っておりますが、国際的な場におきまして合意が得られるならば、通常言われておりますところの十二海里をとることもやぶさかでないというような立場。そこで、後進国の立場も考えまして、後進国に限ってはその領海十二海里の外にある程度の漁業専管水域を設けることもやむを得ないんではないかというような主張をしているわが国あるいはイギリス、オランダ等の意見も、まあソ連もこれに近いわけでございますけれども、あるわけでございますけれども、むしろこういった意見のほうが少ないというようなことでございます。 そこで、われわれいろいろ最近のそういった国際的な動向も考えますと、一方におきまして、わが国沿岸水域においても近年外国漁船の操業が非常に活発になっておる。しかも、これがいろいろ沿岸漁民の方との間にトラブルも起こっておる。しかし、領海の外で操業しておる、いわゆる公海での操業ということになっておるわけですけれども、問題が出ておる。また、わが国は沿岸漁業国でありますけれども、同時に遠洋漁業国でもあるということで、われわれの先輩が世界のすみずみまで雄飛をいたしまして、遠洋漁業の振興、漁場の開発ということにつとめてまいった実態もあるわけでございまして、そこで、基本的には必ずしも三海里ということには固執しませんで、現在最も多くの国々が採用いたしておりますところの領海十二海里につきまして、先ほども申しましたように、国際的な合意が得られるならば、この合意を支持するということで対処する考えだというのが、政府の基本的なこの問題についての考え方になっております。 しかし、漁業問題につきましては、距岸二百海里に及ぶ広大な領海または漁業専管水域の設置、あるいは後進国の沿岸国が漁業権の優先権の主張が強い、特に遡河性魚類等につきましては、やはりソ連なんかもアメリカと同調いたしまして、産卵河川のある国に優先的な漁獲権があるんだというような主張もいたしておることでございまして、公海でございましても、従来どおり全く自由な遠洋漁業の操業を確保するということが非常に困難になるということは、いまからでもある程度予想のできることでございます。しかしながら、御指摘のとおり、遠洋漁業のわが国漁業の生産の中に占めるウエートというのは、先ほどおっしゃいました九百三十一万五千トンの中の四割近くも実は占めておるのでございまして、この漁業はわれわれとして将来とも育成をしていかなければならないと思うわけでございます。 そういった意味で、やはり関係諸国と十分協力いたしまして、一方におきまして資源保存に力を尽くすということが大事であると思うわけでございますし、後進国等の沿岸国に対しましては、技術協力あるいは経済協力等を通じまして、一そうの国際的な協調をはかりながら、あるいは、何と申しますか入漁料の支払いによる漁獲の確保、あるいは合弁企業による共同経営というような形で、わが国の外国沿岸沖合いにおきますところの遠洋漁業の実績を確保するということを基本にいたしまして対処していきたい、かように存じておる次第でございます。
○斎藤(実)委員 確かに攻める漁業という、こちらから出かけていくという漁業の立場からと、それから沿岸漁業を守るという立場からでは、矛盾する問題を含んでおるわけです。しかしながら、日本の置かれている立場からいけば、やはり世界の趨勢も領海を広げるあるいは専管水域を設置するという方向に行っておる。これはいつまでも出かけていくという立場も固執できないのではないか。世界の大勢がそうなっておりますので、十分ひとつ配慮をされて、日本の沿岸漁業の振興という意味から、日本の沿岸漁業を守るという立場から、ひとつ十分検討されるよう要望を申し上げておきます。 それから、魚の値段が非常に上昇しておる。年に比べて二〇%も上がっているものがあるわけですね。それでアジ、マグロ、イカ、タイ、カレイ、サンマ、需要がふえておるにかかわらず、生産は減少しておる。ですから、生産が減少しているために値上がりでカバーをしているということになろうかと私は思うのですが、流通機構の問題とかいろいろな設備の拡充等で、この魚の値上がりについて、生産量が伸びないということも大きな原因でしょうけれども、当面考えられる魚価安定の対策についてはどう対処されようとしているのか、ひとつ伺いたいと思います。
○太田(康)政府委員 魚の産地における価格あるいは消費地における価格がたいへん高くなっておりまして、今回白書でも御報告申し上げておるわけでございますけれども、四十年を基準として、四十五年に産地におきましては、たしか一六五%でしたか、消費地におきましては一六六・何%かの値上がりをいたしておる。よく魚が生鮮食料品の物価値上がりの大きな原因をなしておるということをいわれるわけでございます。それぞれ生産面におきましても、やはり労働力の確保でいろいろ問題になり、賃金が上がるというような、一般の産業と同じような事情もございますし、漁場が遠隔化するというような意味でのコストアップの要因もあるわけでございます。それから、魚の場合には、よく産地でせられて、さらに消費地の卸り市場でせられるというようなこともあるわけでございまして、最近は冷凍施設等がふえましたので、必ずしも全部が全部そういうことではありませんけれども、二度ぜりというようなことも問題になるわけでございます。私たちしばしば調査をいたしまして、各流通段階別の経費等を調査するわけでございますけれども、最近の傾向として特に出てまいりますのは、やはり小売り段階のシェアが若干ふえておるのではないかということでございます。小売り段階におきましては、御承知のとおり、対面調理販売、しかも日々非常なわずかな数量の買い方というようなこともございまして、サービスを購入しているというような面が非常に強うございますので、どうしても値上がりの要因にもなっておるということもあるわけでございます。 そこで、私どもといたしまして、基本的には先ほど先生がおっしゃいましたような需給の不均衡に問題がある。現にスケソウダラのように非常にふえまして、合理化が行なわれて、これを原料としてつくられる練り製品等につきましては値上がりがないというようなこともあるわけでございますし、おっしゃいましたように、従来多獲性大衆魚といわれて、しかも最近におきましてはさっぱりとれなくなったというような魚の値上がりが非常に著しい。さらに供給量が十分でないけれども、需要の強い中高級魚の値上がりが著しいというようなことがはっきり出ておるわけでございますけれども、魚の場合には、農産物と違いまして、なかなか計画生産ということはできませんが、こういったものの生産をふやすようなことをしなければならない。そういった意味におきましても、沿岸漁業の増養殖ということは中高級魚の供給で果たしておる役割りが非常に大きいわけですから、われわれ非常に大事であるというふうに考えております。 そこで、生産の増強をはかるための施策につきましては、水産資源開発促進法で明らかにいたしておるわけでございますが、さらに流通面におきましても、産地におきますところのいろいろな流通施設が不備であるというようなことで、これの主産地形成事業等による加工施設あるいは冷蔵施設等の助成もいたしておりますし、また沿岸漁業構造改善等におきましてもこれらの施設の助成をはかり、産地における流通の合理化というようなこともはかっておるわけでございます。 消費地の対策といたしましては、やはり公設小売り市場の設置、食料品総合小売りセンター等の設置に対する助成という形で、もうちょっと大型の単位で売るというような努力、さらに私ども実験事業といたしまして実施をいたしておるわけですが、多獲性大衆魚といわれておるような魚を産地で冷蔵処理いたしまして、これを消費地で荷が少なくて値上がりするというような場合に放出するというような事業も実施しておりますし、さらにデパート等に消費者コーナーというものを設けまして、従来消費者にあまり親しまれていない冷凍フィーレ等を直接販売するというような事業にも助成をいたしておるのでございます。 そんなことで直ちに価格安定になるかと言われますと、もちろんそれだけで十分であるわけではないわけでございまして、私ども昨年学識経験者の方にお集まりいただいて、野菜に次いで魚についての調査もお願いをいたしたということでございますが、最近物価安定政策会議でもこの問題を取り上げて、本年七月までに調査を取りまとめいただけるというようなことにもなっておりますし、そこで、私どもこの調査にも協力をいたしまして、これらの結果から得られるもし有効適切な施策がございますれば、これを取り上げて予算化しまして、私ども最もこれから力を入れていかなければならない流通改善事業、魚価の安定というものにつとめてまいりたい、かように存じております。
○斎藤(実)委員 次に、水産物の輸出については、昭和四十五年では一千四百億円を突破しておるわけです。先ほど来論議をしておりますように、今後の国内での魚の需要の増大、それから一方では日本経済が外貨の急増に困っておる、さらにはまた近いうちに円の切り上げがあるのではないだろうか。こういう懸念をされておる状態の中で、輸出の振興ということではなくて、いままで一千四百億以上輸出しておったのですが、国内の需要というものは非常に伸びてきておるし、輸出対象品目をいかにして国内の需要に振り向けるかということが非常に重要ではないかと思うのですが、この点、いかがでしょうか。
○太田(康)政府委員 最近の事態におきますれば、御指摘のとおり、輸出の振興ということよりも、私どもは秩序ある輸出というふうに言うべきであったというふうに、実はその点について反省をいたしております。ただ、水産物の中には、先生も御承知のとおり、ビンナガマグロ等につきましては、いままではともすると国民の嗜好に適さないというのですか、あまり食べられていない。しかし、アメリカにこれを塩水づけのマグロかん詰めに仕立てて出しますと、全体の中の九〇%をこえるようなシェアを日本が持っておるというようなことで、このことは同時にカツオ・マグロ漁業の価格の維持にも役立っておるわけでございますので、塩水づけマグロかん詰め等、これが実は水産物の中で一番大きなウエートを占めておるわけでございますが、そういったものもあるわけでございます。油づけにつきましては業者自身もかなり国内の販売努力もいたしておるわけでございますが、塩水づけマグロかん詰め等については、そういった努力がなくて、輸出市場ばかりに依存していたというようなことは確かにあるわけでございます。しかし、たとえばあまりアメリカ一辺倒というようなことになりまして、輸出ばかりにたよっておりますと、今回おおむね解決を見たわけですけれども、デコンポーズの問題などで輸入を拒否されるという問題も出てくるわけでございますので、やはり内需の開拓ということにも当然力を入れなければならないわけでございます。内需が旺盛であるにもかかわらず国内供給が不足しておる、にもかかわらず輸出しておるのはおかしいじゃないかというのは、しごくごもっともな御指摘でございます。そういった事情も一方にあるわけでございますけれども、私どもといたしましては、輸出秩序の確保あるいは輸出水産業の経営の安定、そのことが同時に漁業者の価格の維持にも役立つというような面もあるわけでございますから、全く輸出を全部ストップするというわけにもまいらぬかと思いますが、そういう点については今後十分配慮してまいりたい、かように存じております。
○斎藤(実)委員 農林大臣、ひとつお尋ねをしますけれども、日ソ漁業交渉に関連をしまして、昨年も大臣はだいぶ御苦労されましたが、抱卵ニシンが全面禁漁になりまして漁業関係者並びに加工業者は非常に打撃を受けたわけですが、当面の間ということで、いつまで抱卵ニシンの禁止をするということはうたわれておりません。今回の漁業交渉におきましても、抱卵ニシンについては昨年どおり全面禁漁ということになっていると思いますが、大臣、この抱卵ニシンの問題についてどういう交渉をされたのか、いつまで続く予定なのか、抱卵ニシンの全面禁漁について今後の見通しはいかがでしょうか、お尋ねしたいと思います。
○赤城国務大臣 抱卵ニシンにつきましての向こうの言い分でございますが、私どもそれはそう思いますが、世界的に抱卵ニシンの資源というものが非常に減っておる、こういうことが一つでございます。そういう意味から、一方的に日本だけでなくて、自分のほうも資源を保存、増殖するという意味で抱卵ニシンの漁獲をやめたいから、日本もひとつしばらくやめてもらうようなことにならぬか、こういうことでございました。それで、向こうとしては特に抱卵ニシンをとるのに、領海ですね、沿岸などのこともやめたいんだ、相当制限したいんだ、そういうようなことでお互いに資源が回復する間やめようじゃないか。ところが、見方としては資源の回復ということはなかなか困難だと思います。ですから、いつまでお互いにやめているのだということになりますと、いつまでという期限はお互いに言えないのではないかと思います。私のほうでも、しばらくということで、いつまでだとは申し上げかねるのでございます。まあ条件としては資源の回復だ、そういう意味のものですから、区域によりましては、試験操業を認めろということで、試験操業なども認めさせてやっておるような次第でございます。でございますので、こういう試験操業の結果なども見、資源がだんだん上向きになってよくなってきたからという時期にお互いにまた入漁するようなことになると思います。でございますので、期限的にいつということはちょっと申しかねるような状況でございます。 交渉の経過及びその期限等につきましては、以上のような次第でございます。
○斎藤(実)委員 日ソのカニ交渉については仮調印がされました。それで昨年よりも一割減だ、サケ・マスにつきましてはソ連のほうで八万五千トン、こちらのほうは八万八千トンということで、だいぶ数量のことで食い違っているようですけれども、大臣、サケ・マスについては、数量的にこちらの態度としてはどういう態度なのか、見通しについてひとつ伺いたいと思います。
○赤城国務大臣 向こうの考え方は、公海のサケ・マス資源だから、大体半分くらいずつまで持っていきたいという考え方はあると思うのです。それで、おととしまでですか、実は北洋におけるサケ・マスの漁獲は、日本だけで十万トンとかあるいは十一万トンとか、こういうことでサケ・マスの漁業をやっていたわけであります。私が最初に交渉に行ったときも、あれは公海なんだから、いまソ連は母船漁業はサケ・マスでやってないけれども、おれのほうにだって権利はあるのだ、資格はあるのだ、こんなことを言っていましたが、そんなことで去年なども、三万トンだけはソ連のほうの一つの権利ということで主張してきたのは御承知のとおりでございます。それをいろいろ話をしまして、一万トンだけ権利として向こうの公海における漁獲量ということにしたのでございますが、私のほうとしては、これは前に交渉したときもそうなんですが、公海だ公海だと言ったって、資源の問題からいえば、沿岸だってそうだし、川だって同じだということを私も反論したこともございますが、そういうようなことで、向こうも一定の漁獲量を確保しておく、あるいは権利として保留する、こういうことで、ことしもマスの不漁年でございますからおととしと同じですが、おととし九万トン、そのうちで一万トンはソ連のほうの権利として保留したい、こういうことでございました。そうすると、日本のほうは八万トンということになるのでございますが、先ほど田中さんの御質問にも答えたのですが、日本はそういうように半々まで持っていくという主張は容認できない、日本が開発した漁場であり、日本の実績というものは見なければならぬ、こういうことで突っぱってきておるのでございますので、ことしも八万トンじゃだめだということで、ほんとうは全部九万トンと言いたいところなんですが、それじゃ向こうもなかなか聞かないものですから、八万八千というような主張をして、大体いまお話しのように向こうでも認めて、三千トンだけおれのほうの持ち分にしようということで、八万七千までいっておるのでございます。でございますので、この漁獲量は大体その程度で折り合うことになるのじゃないか。規制区域の問題が残っておるものですから、カニよりもおくれておりますが、カニをきのうイニシアルするくらいで、ほんとうは一緒に調印したいと言っていたのにカニを早くするような、そんなことですから、これは私の見通しだけなんですが、やはりサケ・マスも結論に達するところまで来ておる。カニのほうも漁期が早いので早くイニシアルしようということになったのだろうと思いますから、近くサケ・マスのほうも漁獲量では八万七千の三千というようなところ、あと規制区域を少し調整して、私どものほうの要求を入れさして、この交渉がきまるのじゃないか、こういう見通しでございます。
○斎藤(実)委員 次に、私は、特に沿岸漁業の立場で非常に重視をしなければならぬことは、漁場の環境の悪化が非常に最近激しくなりました。そこで、工場排水あるいは都市下水、それから工場の廃棄物等、全国津々浦々まで漁場が荒廃をしておるわけです。私は国民の健康上からも非常に問題でもあるし、魚類の資源の保護の面からもこれは急を要するのではないか。そこで、去る十四日、衆議院の公害環境、科学技術特別委員会でPCBの連合審査会があった。そのときに厚生大臣が、現在、魚の中のPCBの量を水産庁と共同で調査中だ、この調査で特定の地域の魚の中に高い濃度のPCBが検出されたという結果がもし出た場合には、その地域でとれた魚を食べることを禁止することもあり得る、こういう答弁をされておりますけれども、水産庁としてはこの公害についてどう対策をとろうとされておるのか、ひとつお尋ねをしたいと思います。
○太田(康)政府委員 お尋ねの水産物のPCB汚染の問題につきましては、東京湾あるいは駿河湾、琵琶湖、大阪湾、こういったところで主として各県の衛生研究所等の手によりまして、魚の種類によって違うわけですけれども、かなり高濃度のPCBが検出されているということも承知をいたしております。 そこで、PCB問題というのは、新しいというと語弊がございますが、最近特に顕著になってきた問題でございまして、そこで、環境庁が中心になりまして、関係各省協力いたしましてPCBの一斉調査に当たるということで、私どもも関係各省庁の組織的な調査研究の一環として、関係府県の水産試験場の協力を得まして、私どもの担当いたしております魚介藻類等の汚染実態の把握、魚介藻類等への蓄積機構等についての調査研究を実施するということになっております。これらはすみやかにやりたいということでございます。一方、厚生省のほうでは、先ほど厚生大臣のお話もあったわけですけれども、一方において国の研究機関が協力して汚染の状況を調べる。それと併行しまして、その調査の結果を待って、いわゆるガイドラインというのですか、基準値、こういったものを定めていきたい。その間には調査の完了を待つということがございますから、できる限り早くということは言っておりますが、二カ月ぐらいの余裕はあろうかと思います。 そこで、私どもは、もう現にPCBに汚染されておるというような実態もあるわけでございますので、それまでに至急対策をきめなければならないと思っております。そこで、いま私どものこれに対する基本的な立場といたしましては、やはり食生活の安全の確保ということはどうしても私どもも考えなければならぬことでございますし、国民の健康をいかに確保するかということは大事なことでございますので、そういった立場、それと、PCBが一体どの程度あれば、しかもどの程度食すればそれが体内に蓄積されて健康を阻害するかというようなことにつきまして、まだ確たるあれがないわけでございますけれども、そういった意味で、いたずらに不安を惹起させない、この二つの面にまず十分配慮をして、対策を検討しなければならないだろう。 そこで、検討の分野といたしましては、消費者の食生活をいかに確保するかという点が第一点でございます。そのためには、斎藤厚生大臣のおっしゃったように、非常に高濃度の蓄積をしているような地点につきましては、ある程度米等についてやりましたような、地域を限りまして、そこの魚は食用には供さないというようなことも、場合によっては必要かと思います。そういった場合に、当然漁業者としては影響を受けるわけでございますから、その影響をいかにして緩和していくか、いかにして救済していくかという問題もあろうかと思います。 それから、PCBにつきましては、汚染された漁場の復旧の問題があるわけでございます。これをどういう形で——しゅんせつをしたらいいのか、客土をしたらいいのか、しゅんせつした場合に、しゅんせつしたどろをどう処理したらいいかという問題があります。これらにつきましては、実は私どもたいへん不勉強で申しわけないわけですけれども、PCBの専門の学者、先生がおられるわけでありますから、この方たちを訪問いたしまして、その御意見もよく伺い、有効適切な処理の方針がございますれば、その線に沿った事業も実施しなければならないということでございます。対策をすみやかに立てなければならないということは私ども十分承知をいたしておりますが、暫定基準値がどういうふうに定まるかということとの関連もあるわけであります。そこで、私どもといたしましては、いま言ったようなことに重点を置いて至急対策を検討し、その具体化をはかっていくということにいたしておるのでございます。
○斎藤(実)委員 先ほど来、日本の産業の中での水産の位置づけとか構造改善のワクの拡大であるとか、あるいは農林水産予算の中で水産が非常にウエートが低いということをいろいろ論議いたしましたけれども、水産振興という立場で非常に生産の増大が要求されるし、反面、需要も大きいという立場から、ひとつ積極的な施策を特に要望申し上げて、私の質問を終わります。
○三ツ林委員長代理 小宮武喜君。
○小宮委員 法律案の質問に入る前に、きょうは大臣がわざわざ出席しておりますので、大臣に対して水産業振興の立場から若干質問したいと思います。 その第一は、先ほども質問がありました日ソ漁業交渉の問題ですが、カニ交渉については妥結を見ておりますけれども、サケ・マス交渉においてはまだ妥結を見ておりません。したがいまして、この交渉の妥結の見通しはいつごろになるのか。ある報道によれば、明日中とか二十日ごろとかいろいろいわれておりますが、ひとつ大臣から、妥結の見通しはいつごろになるのか、御答弁を願いたいと思います。
○赤城国務大臣 どうも交渉でございますから、はっきり申し上げるわけにはまいりませんけれども、いまお話しのように、カニは大体きまりかけておったのでありますが、サケ・マスの妥結と一緒にしたいということで、少し足踏みしておったのが、急にゆうべ、カニのほうは去年より実質五%ぐらい減るわけでございますが、それでもう仮調印したいがという請訓がありましたから、けっこうだ、こういうふうにきめたわけでございます。でございますから、初めはサケ・マスと一緒にカニをきめたい、こう言っていたのを、カニが先回りしてきめてしまうということになったものですから、サケ・マスの話が妥結するのもごく近いことになったのじゃないか、こう私は見通しというか、推察をするわけであります。 サケ・マスの交渉につきましては、先ほど申し上げましたように、漁獲量につきましては大体話がついて、規制区域のところにつきましても、私のほうから少し半要求と申しますか、向こうから言ったのじゃなくて、こっちからの妥結的な要求を出しまして、それがきまればサケ・マスのほうもきまりますから、二十日前後にはこのほうもきまるのじゃないか、こういうふうに見ているわけでございます。しかし、これはほんとうに見通しでございますから、正確だとか的確だとか、こういうわけにはまいりませんが、そういう見方をしています。
○小宮委員 昨年もそうですが、日ソ漁業交渉の結果、いつも減船という問題が起きてまいります。その意味で、今回の交渉の結果においても減船問題が出てくるというように考えておりましたやさきに、これは農林大臣が中央漁業調整審議会に一〇%の減船案を諮問して、そして了承を得た、したがって水産庁は二十一日にこれを告示するというような報道がなされておるわけですが、この一〇%の減船案というものの内容をもう少し具体的に、これは水産庁長官でけっこうですから、説明をしてください。
○太田(康)政府委員 一〇%の減船のことでございますが、昭和三十七年以降今日まで操業規模は全然変更しなかったわけでございますけれども、当時は十二万五千トンというようなこと、それが今日では九万五千トンというふうに、取りきめておる漁獲の数量も落ちておるわけでございまして、約七九%ぐらいに落ちているわけでございます。にもかかわらず漁船の操業隻数の規模を変えなかったというようなことから、私どもといたしましては、漁業者の経営上の問題もございますし、それに取り締まり上の問題もあるわけでございまして、今年度不漁年であるというようなこともございまして、減船ということで諮問を申し上げ、御答申をいただいたわけでございます。 その中身につきましては、中型サケ・マス流し網漁業と母船式サケ・マス漁業でございまして、中型サケ・マス流し網漁業は現在——現在といいますか、四十六年度は三百二十四隻操業をいたしておりました。したがいまして、これは一割減船ということで三十三隻を落としまして二百九十一隻ということでございます。 一方、いわゆるB区域で操業いたしておりましたところのはえなわ漁業が三百六十九隻あったわけでございます。これを一割減船しまして三百二十二隻になるわけでございますが、先生も御承知のとおり、はえなわ漁業は非常に漁獲が不安定であるというようなこともございまして、前々から網に転換をいたしたいという要請もあったわけでございますし、取り残し等の事態も、ノルマ達成ができないというような事態も時によってはあるというようなことで、経営的に採算が乗りにくい面もあるというようなことでもございますので、今回の減船に伴いまして、ある程度これを網に転換したらどうかということで、漁獲量等の勘案をいたしまして四隻に一隻の割で共同経営を認めるということを基本の理念といたしまして、三百二十二隻でございますから八十三隻というものを流し網への転換を認める。ただ、これは御承知のとおり、従来はえなわはB区域で操業いたしておったわけでございますから、この八十三隻につきましては操業区域はB区域だけということにいたしております。 それから、母船式サケ・マス漁業は、母船が十一隻で独航船が三百六十九隻いままで操業をいたしておりましたが、母船につきましては一隻減じまして十隻、それから独航船につきましては三十七隻減じまして三百三十二隻ということで操業隻数を諮問いたしまして、これでよろしいという答申をいただいた、これが十七日の中央漁業調整審議会にかけたものの内容でございます。
○小宮委員 この減船の場合、これは以西底びきの場合も、国として金利年三・五%以下になるまで五年間利子補給を行なった。昨年の抱卵ニシンの場合も、これは四十一億九千万だったですか、救済措置を講じた。今回の場合もその救済措置を講ずるのかどうか。講ずるとすれば、金額ははっきりはわからぬでしょうけれども、大体どのくらい救済措置を施そうと考えておるのか、その点、ひとつ長官から御答弁願います。
○太田(康)政府委員 その点につきましては、けさほど大臣もお答えを申し上げたわけでございますけれども、ここで一割減船という問題が出てきたわけでございます。そこで、いま先生のお尋ねの中にございましたように、以西底びき網につきましては、結局、残った方々がやめていく方の補償をする相補償の制度でございますので、以西底びきの場合には、私どもまずその相補償する方々のための金融上の措置を手当てをする。それは農林中央金庫から大体相補償に必要な資金の貸し付けをするということをきめたわけでございます。なお、その場合に、末端の金利ができる限り安くなるようにということで、現在水産関係で最も安い金利のものは構造改善の資金に三分五厘という資金がございますから、末端の金利が三分五厘になるように利子補給の補助をいたしたという例が実はあるわけでございます。したがいまして、昨年の抱卵ニシンの場合には、先生御承知のとおり、全面禁漁ということで相補償制度もとれないということもあったわけでございますが、今回の場合は、さっき申し上げましたように、経営安定という意味で、残った方々が、先ほど大臣がおっしゃいましたような漁獲量になりますれば、むしろ七〇年よりも有利になるというようなことも実はあるわけでございます。したがいまして、相補償というようなことが考えられるわけでございまして、たまたま以西底びきに例があるわけでございますから、私どもはこれらを踏まえまして、大体以西に準じたような措置ということで至急検討いたしたい、こういうことでございます。
○小宮委員 われわれがこの減船の場合に一番心配するのは、そこに乗り組んでおる漁船員が失業するということなんです。この問題について、一割減船の場合に、たとえば漁船員がどれだけ職を失うことになるのか、その数がわかっておれば、数を知らしてもらいたい。
○太田(康)政府委員 漁船員の数につきましては、ちょっといまあれしておりませんが、私どもといたしましては、サケ・マスの場合には新規雇用の抑制とかそれから減船対象となった漁船員の優先雇用、こういったことを実は業界に指導いたしております。船員組合の方々にもそういうことで業界を指導するからというふうに申し上げておるのでございまして、こういったことを通じまして、実際には職を失うことのないようにということで指導をいたしておりまして、私どもがいま聞いております範囲におきましては、私どもの指導に沿ったような結果が得られるのではないかというふうに考えております。 それから、以西底びきの場合には、具体的にトン数でいいますと、ことしは一五%の減トンということで、隻数にいたしますと、九十トン型で換算いたしまして約百二十隻になりまして、乗組員が約千四百名程度というふうに聞いております。そこで、この場合も同様でございまして、一方におきまして減船が円滑に行なえるような先ほどの措置も講じたわけでございますけれども、以西底びきの場合には、裏作と申しますか、イカ釣り漁業等の問題もございます。むしろ以西の場合には、これは先生も十分御承知のとおり、従来漁船の乗り組み員の確保に非常に苦慮していたというような問題もあるわけでございまして、今回のこういった減船措置を通じまして、逆に安定的に乗り組み員の確保ができるというようなメリットも実はあるわけでございまして、そういった対策等を通じまして、乗り組み員の方の雇用の安定ということには、漁業経営者を通じまして指導をしておるということでございます。
○小宮委員 それにサケ・マス漁業の場合もやはりかなりの失業者が出るし、それから以西底びきの場合も、いま言う一五%減船した場合は千四百名ですか、こういった大量の漁船員の方々が職を失うという結果になるので、その点、特に政府としても雇用保障の問題について、先ほどからいろいろ長官の説明を聞いておると、片一方では船員が不足しておるというような中で、この問題については何とか雇用を保障できるというような御答弁のようですが、そのように理解していいですか。
○太田(康)政府委員 私どもといたしましては、漁業経営者の方を通じましてそういう指導をいたしておるわけでございます。サケ・マスの場合にはそれがかなり実効ある結果が得られるように聞いておるのでございまして、確かに職を失われるということはたいへんなことでございますから、なお今後とも一そうそういった面の指導を強化していきたい、こういうふうに存じております。
○小宮委員 次の第二の質問は、これは大臣に対する質問ですが、先ほど質問があって、水産庁長官からは具体的な説明はあっておりますけれども、特に大臣の見解を聞かしてもらいたいということは、いま国会に提案されている海上交通安全法案、これに対して盛んに各漁業団体からもいろいろな反対運動が相当起きておるわけですけれども、その経過については一応長官が午前中説明をされたのでわかりましたけれども、漁業サイドに立った場合に、農林大臣としての所見をひとつ聞いておきたい、こういうふうに思います。
○赤城国務大臣 海上保安の区域が三カ所になっておりまして、全部ではございませんが、非常に海上交通というのがふえている場所でございます。それで、陸上と同じように事故も相当出てきておるという場所でございます。同時に、ここにおいては漁業をやっておるところであります。だから、陸上に例をとってみれば、陸上の田畑の中を通っていくようなかっこうになるようなところでございますから、漁業者の権益といいますか、権益がこれによって侵されるということでございますが、しかし、交通事故というものが海上におきましても非常に起きやすいのですから、これは調整しなくてはならぬということで、漁業者のデモや反対などを聞いておりますが、やむを得ないところで調整をする。しかし、その権益というものは水産庁関係としては守っていってやらなくちゃならぬが、交通安全という大きな面に協力しても、漁業者としての権利といいますか、そういうものは保持して、そうして調整しながらこれに協力していこう、こういう方針でございます。
○小宮委員 それから第三の質問は、これは最近海底資源の開発ということが非常に叫ばれまして、すでにこれは長崎県の五島西方地域の東シナ海で石油試掘の具体化が現在行なわれておるわけです。近々その試掘が実施されるという予定になっておるわけです。 そこで、漁民の保護の立場、それから公害防止の面からいって、海底資源の開発についても何らかの規制に関する立法措置が必要ではないかというようなことが関係漁民の間からも出ておるわけですが、この海底資源の開発についての大臣の所見をひとつお聞きしたいと思います。
○赤城国務大臣 いまお話しのように、長崎の海域は大陸だなでありまして、その上部水域は沿岸、沖合い漁業にとって多数の漁民が操業する優良な漁場である、こう承知しております。したがいまして、これらの海底鉱物資源の開発に伴う海域の占用、廃水さらに石油の流出等の海水汚濁等の工業と漁業との調整につきましての諸問題の検討を進めまして、当面通産省等の関係各省と十分協議の上、これらの開発が漁業の操業及び水産資源の保護に不当に悪影響を与えぬよう調整をはかってまいります。これは行政の面でございます。 いまの立法のことでございますが、海岸の開発利用は今後ますます多岐にわたるものと考えられますので、漁業と他の海洋利用との調整につきましては、先般成立を見ました海洋水産資源開発促進法によりまして、開発区域及び重要な漁場である指定水域における海底の掘さく等の行為について届け出を義務づける、それとともに必要な勧告をすることができることとなっておりますが、その指定水域につきましては関係各省とおおむね調整がついておりますので、近く政令を改正いたしまして海域の指定を行なう、こういうような段階にいま進んでおります。
○小宮委員 それから第四の質問は、先ほども質問がありましたけれども、明年開催される海洋法会議に臨むわが国の基本姿勢でありますが、最近の世界各国の動きを見ますと、アフリカの統一機構の科学委員会では、これも答弁にありましたように、二百海里の外にさらに十二海里の専管立ち入り禁止区域を設けることを加盟国に勧告をしたり、またEC六カ国の外相会議での、沿岸漁業を保護するという立場から領海の外にまた漁業専管水域を現在の三海里から六海里に拡大する方向にあるというような問題等を考えた場合に、その基本方針について、先ほどの長官の答弁では、各国の合意がととのうならば十二海里説をとりたいというような、私は聞いておりますと非常に消極的な印象を受けたのですが、特にこういった領海の幅に関しての問題で一番困っておるのは、第一線で働く漁業者なんです。このために拿捕されたり銃撃を受けたりあるいは抑留をされたり罰金を食らったり、いろんな被害を受けておるわけですから、そういった意味で海洋法会議に出席するわが国の基本方針としては、やはり十二海里説を強硬に積極的に主張してもらって、むしろ外国に同調を求めるような立場で積極的にやってもらいたいという意見を私は持っておるわけですけれども、これに対して大臣の所見をひとつお聞きしておきたいと思います。
○赤城国務大臣 領海三海里を日本がとっておるのは、一つの伝統でございましょうか、御承知のように、大砲のたまの届く距離を領海とするのだというようなことが三海里説の始まりだったと思います。しかし、日本が三海里をやっていたのは、公海自由の原則で、公海は広げれば広げるほどほんとうは自由で、漁業でも航行でもそうであったわけでございますが、ところが、御承知のように、公海がだんだん自由でなくなってきております。日ソ漁業交渉だって、公海の漁業なんですが、かってに魚をとっているわけではなくて、両国間の協定、漁業条約によってとっている。あるいはまたチリのように二百海里も領海を広げるということになって、公海がそう自由ではなくなってきている、こういうことになってきているわけであります。そこで、三海里で引っ込んでおるというのは国として、いまよく国益、国益といいますが、国益上あまりいいことじゃないと私は思います。世界もまた全部十二海里にしたり、そのほかに漁業専管水域というのを設けているというようなこと、日韓交渉にも私は当たりましたが、これもだいぶ領海とか専管水域という問題で苦労して調整することにしたわけでございます。ずっとそういうような漁業交渉やあるいは北洋の安全操業の問題やらいろいろ考えたり、それから公海自由の原則というものがだんだんなくなってきて、公海が狭くなってくるというようなことも考えますと、やはり領海十二海里が私はいいと思うのです。これはまあ宣言でございまして、別にどうこうということじゃないのでございますが、やはり相手国、世界各国とのお互いの関係もございますから、海洋法会議でも多数説が大体十二海里です。もっと広く主張する人もありますが、そういうことでこれはもう十二海里に踏み切ったらいいんじゃないか。率先してというわけじゃないですが、みんながそういうふうなときに日本だけが三海里でやるんですなんということは言う必要はないし、大体十二海里でいくなら、それに応じていったらいいんじゃないか、賛成していったらいいんじゃないか、そういうふうに考えているわけであります。
○小宮委員 次は、法律案に対しての質問に入りますが、まず漁港法の一部を改正する法律案について質問します。 この改正の第一点である特定第三種漁港に対する国の費用負担割りの問題ですが、これは改正案によりますと、その基本施設の中での外郭施設と水域施設関係だけを現行の百分の六十から七十に引き上げておるわけです。しかし、この問題については、関係団体等で百分の七十五に引き上げてほしいというようないろんな声が非常に強いのです。この問題、百分の七十五を七十ということで、ちょっと下げて中間をとったということになっておりますが、七十五に引き上げられなかった根拠、理由についてひとつ御説明を願いたい。
○太田(康)政府委員 特定第三種漁港につきましての国庫負担率の引き上げ問題というのは、かねてからわれわれもそのことを計画いたしておりましたし、業界からも強い要望があったわけでございますけれども、今回予算折衝の過程におきまして、一般的に公共事業の補助率の引き上げということは認めないというきびしい方針の中で、特定第三種漁港につきましては、実は旧年来の宿題であったわけでございますけれども、今回百分の六十を百分の七十に引き上げることができたわけでございます。 確かに私どもの原案におきましては百分の七十五というようなことで要求をいたしたことは事実でございます。予算折衝の過程におきまして、いま申し上げたようなきびしい情勢もあり、それから何を横にらみでにらむかということで、きのうも実は申し上げたのですが、やはり港湾等が一つの比較する尺度にもなるというようなことも勘案いたしまして百七十ということになったわけでございます。もちろん七十五ということで、地元負担をできる限り軽減するということがよろしかったわけでございますけれども、一歩前進ということで、九年来の宿題が、完全ではございませんが、解決したということで、百分の七十で妥結をしたということでございます。
○小宮委員 妥結をしたというのは、だれと妥結をしたのか、大蔵省と妥結したのかよくわかりませんが、いろいろ私は漁業問題を考えてみる場合に、農林省自体も農業問題に比べてこの漁業問題についてはどうも少し積極さが足りぬのではないかというような感じがいつもしておるわけです。その意味では、長官も水産界を背負って立っておるわけですから、特にその責任も重大ですから、そういった意味ではもっともっと大臣の力も借りて、これは大蔵省に対しても漁業の立ちおくれ、この問題についても積極的に取り組んでもらわぬと、どうも影が薄れておるような感じがしてならぬのです。これは大臣の姿勢にも問題があろうかと思うのですが、そこまではもう言いませんけれども、結局、基本施設の中で係留施設を除外したのはどういう理由ですか、たとえば引き上げから。
○太田(康)政府委員 これは私ども当初の予算要求の段階におきましても、外郭施設と水域施設に限って補助率、国庫負担率の引き上げを要請いたしたわけでございまして、それも全部が全部できればよろしいわけでございますけれども、やはり重点をしぼったわけでございます。 何が重点かといいますと、外郭施設と水域施設が漁港施設の中の基本的な施設であり、事業規模も大きいというようなことを考慮した上で、これにしぼって重点的に要求をした、その結果そういうことになった、こういうことでございます。
○小宮委員 漁港整備の問題については、基本施設の問題だけではなくて、機能施設の問題も非常に立ちおくれておるわけです。そういった意味で、特に冷凍、冷蔵、こういった問題が非常に不足が目立っており、また立ちおくれしておるわけです。だから、私は、この基本施設だけでなくて、機能設備に対しても、これは今度はやむを得ないとしても、今後積極的にこの整備をはかっていくということをしなければ、この法律ができた当時とは情勢も変わっておるので、そういうような意味で、特に機能設備の助成、拡充についても、来年度あたり考えてもらいたい。そしていま言ったような長官の答弁を信用するとしても、基本施設の引き上げの問題にしても、機能施設についても、来年あたりはそろそろ積極的に取り上げてもらうということを考えてほしいと思うのですが、ひとつ長官の見解をお聞きしたい。
○太田(康)政府委員 御承知のとおり、漁港の機能施設に対する補助は、現在のところ、公共性の高いものということで、輸送施設並びに公共漁港の施設用地、これに限られております。漁港の持つ機能を十全に発揮するために、おっしゃいましたような冷蔵庫の設置等が必要であることは申すまでもないわけでございまして、きょう田中先生の御質問に対してもお答え申し上げたわけですけれども、外郭施設、水域施設等が整備をいたしましても、こういった設備が完備いたしませんと、確かに漁港としての機能を十全に発揮できないというような問題もあるわけでございまして、私どもといたしましては、従来は冷蔵庫等につきましては、沿岸漁業構造改善事業とか、水産物の流通加工センター形成事業等によりまして整備をはかってきておるわけでございますが、その実行の段階におきまして、漁港整備のテンポとこういったものの施設の整備というものが必ずしもマッチしていないで、ばらばらに行なわれておるというきらいがあったことは御指摘のとおりでございまして、事業を一体的に実施するという体制をどうしても今後とっていかなきゃならぬだろうと思います。 なお、機能施設の敷地でありますが、たとえば漁業協同組合等が設置をいたしますところの施設の敷地、これは当然私どもの機能施設の先ほど申し上げました施設用地ということで、公共事業によって補助対象にいたしておるということでございます。 なお、その他の全般の問題につきましては、私どもといたしましていろいろ困難な問題があろうかと思いますが、現在新しい次の整備計画ということで検討いたしておりますので、その一環として今後研究をしていきたい、かように存じております。
○小宮委員 それから、第三種漁港についても、これは今回は見送られておるし、また従来からこれは一回も引き上げられていないわけですね。しかし、もうそろそろこれも再検討して、第三種漁港に対する補助の問題も、助成の問題も考えてもらうべきだというように考えるのですが、再検討する用意があるかどうか、その点、どうですか。
○太田(康)政府委員 第三種漁港の国庫負担率の引き上げ問題が、特定第三種漁港と同じように毎年漁港大会等で打ち出されておるということもよく承知をいたしております。したがいまして、私どもといたしましていま申し上げたような過程におきまして検討いたしておりますから、その一環としてこの問題についても取り組んでいきたいと思っております。
○小宮委員 第五次漁港整備計画ですね、これは四十八年度から繰り上げて実施するわけですか。
○太田(康)政府委員 従来のこういった種類の長期計画につきましては、漁港整備計画を例に取り上げてもいいわけですけれども、一応たとえば五カ年の計画を立てましても、ある程度進捗した段階で事態の進展も非常に早く動いておりますので、実情に即して計画を立て直すというのが例になっておるわけでございます。ことしの治山治水の緊急措置法の改正なんかも、そういった一環として取り上げられたと思うのでございまして、私どもといたしましては、御承知のとおり、たしか昭和四十四年に国会の承認を得まして、四十四年を初年度とし四十八年度を最終年度とする五カ年の漁港整備計画というものを立てまして、三百七十港の修築事業、これに対しまして改修、局部改良等も含めまして、二千三百億という総事業費の御決定をいただいたわけでございますけれども、私どもの見通しによりますと、四十七年度のいま計上いたしております予算で事業を実行いたしますと、おおむね計画に対しまして七一・四%の進度の確保ということになるわけでございます。 そこで、私どもの考え方といたしましては、これはまだ水産庁限りでございますけれども、やはり四十八年度を初年度といたしまして五十二年度を最終年度とする第五次の漁港整備計画というものをぜひ四十八年度には立てたいということで、いまその前提になりますところの基本的な数字の検討、収集あるいはその考え方等につきまして、せっかく検討いたしておるのでございまして、いずれ農林省の内部で予算の編成の段階には、私どもこれを取りまとめまして予算化をはかっていきたい、こう思っております。
○小宮委員 その第五次漁港整備計画を検討しておるというその検討の中に、新長崎漁港計画の問題があるわけですが、これは第五次漁港整備計画の中に含まれておるのかどうか、これはぜひ含めていただきたいと思うのですが、その点、ひとつどうでしょうか。
○太田(康)政府委員 私どもが計画を立てます場合には、決して机上の計画を立てるわけではございませんので、もちろん各県から十分事情聴取して、極端に言いますと、一港一港ごとに全部積み上げてやっておるわけでございます。したがいまして、いま御指摘の長崎県の場合も、長崎漁港の整備という問題は、私ども十分話も聞いておりますので、幸いにして第五次漁港整備計画というものができるようになりますれば、当然その対象の中に加えて検討することは言うまでもないわけでございます。
○小宮委員 次は、漁業協同組合整備促進法を廃止する等の法律案について若干質問いたします。 この法律案の提案理由の説明によりますと、この法律に基づく漁業協同組合の整備計画の達成の最終期限が来たので廃止するのだというような感じを受けるわけですが、主たる理由は、結局、期限が来たので廃止するということなんですか。
○太田(康)政府委員 この法律のねらいが、御承知のとおり、特別の認可法人でございますところの漁協整備基金というものを設けて、この基金が漁業協同組合の整備促進の仕事に当たったわけでございまして、その具体的な内容といたしましては、不振組合の持っておりますところの利子を免除した金融機関に対する利子見合い分の助成という仕事と、それからいま一つの面といたしましては、合併をした組合に対しましての奨励金の交付ということがあったわけでございます。 この法律が三十七年度にできまして、これを十年間でやっていくということで、その計画の承認等の事業はすでに終わっておりまして、もう最終段階に入っております。したがいまして、一応この段階におきまして整備基金を廃止するということを主眼にして、この法律を提出したわけでございまして、なお、政府におきますところの特殊法人等の整理に関する方針におきましても、整備基金は業務が終わればこれを廃止するということはすでに閣議決定にもなっておったのでございます。 もちろん、そうは申しましても、漁協の整備ということの必要なことは言うまでもないわけでございまして、先般国会におきまして、先生方の提案によりまして合併助成法等の延長もされたわけでございますので、私どもといたしましては、従来にも増しまして漁協の定例検査をより確実に実施する、あるいは巡回指導、駐在指導等も強化するというようなことも考えておりますし、それから系統内部の制度ではございましたが、不振組合に対して取りつけ騒ぎが起こらないように、資金を貸すような基金もできたようでございますので、これら両々相まちまして、不振組合の解消、合併の促進というような点につきましては一段と力を入れてまいる必要があることは十分認識をいたしておりますし、また、施策の面におきましてもこれから一そう強力に取り進めなければならないというふうに考えております。
○小宮委員 確かに漁業協同組合の経営は好転をしておることは事実なんです。しかしながら、先ほどからいろいろ質問が出ておるように、今後の漁業生産環境というのは非常にきびしいものがあるわけですから、そういった意味で、不振組合がまた今後出てこないとも限りませんし、また、そうでない立場からいろいろなそういうような不振が出てくるかもしれません。 そういったことを考えた場合に、今後の漁協経営の見通しについてどう考えておられるのか、それと同時に、そういった現在の不振組合または今後不振組合が出てきた場合に、どのように対処していくのか、その点、御答弁を願いたいと思います。
○太田(康)政府委員 私どもは、漁協の経営の改善をはかるためには、先ほど申し上げたようなことで指導強化することはもちろんでありますが、法律の延長をいただきました漁業協同組合合併助成法という法律に基づいて、合併の推進をはかっていくことが大事であろうと考えております。 ただ、漁協の場合には、御承知のとおり、他の協同組合と違いまして、漁業権管理団体としての性格を有するということで、漁業権行使についての合併予定組合間の利害の対立あるいは組合間の漁民感情の調整ということが非常にむずかしい。計画を立てましても、実はなかなかその計画どおりいかないということで、四十六年度の合併実績というのは、合併件数で十二件、参加組合数が三十二組合である。合併助成法が当初制定されまして施行されたまでの間におきましては、合併件数七十九件、合併参加組合二百四十組合ということで、実は私どもが当初予定いたしました計画に比べますと、きわめて達成率が低い、一七%程度にとまっておる。そのむずかしさは先ほど申し上げたような理由があるということは御了解をいただけるかと思います。 そこで、私どもといたしましては、せっかく法律の延長までいただいたわけでございますので、四十六年四月から五十一年三月までの間に、一応都道府県を通じてどのくらいの計画があるかということで調べたわけでございますけれども、いま私どもの手元でまとまった数字によりますと、四百四十八件で参加組合が千六百三組合、こういうことになっております。 そこで、先ほど申し上げましたように、この問題につきましては系統自体の指導力という問題もあるわけでございますし、われわれも、先ほど来申し上げておるような、予算面におきましても指導面におきます補助等について強化をいたしましたので、積極的にこれに取り組んでまいりたい。また、私どもそう言うとやや口幅ったいのですが、系統団体自身の取り組み方も不十分ではないかと思っております。 それから不振組合等につきましては、もちろん指導の強化によってこれに対応するわけでありますけれども、先ほど申し上げましたように、漁協信用事業援助基金協会というような協会もできまして、取りつけ騒ぎが起こることのないように、経営の非常に悪い組合に対しましては、この基金を通じて金を流しまして、そういった不安がなからしめるようにする。これによりまして漁協の預貯金業務をさらに強化するというような制度もとられております。これらを私たちも全面的にバックアップいたしまして、系統団体とともに合併促進ということに今後は一段と積極的に取り組んでいくべきであるというふうに考えております。
○小宮委員 時間がございませんので、次に移ります。 次に、中小漁業振興特別措置法の一部を改正する法律案、この法律は沿岸漁業等振興法とどのような関係があるのか、まずこれを確認しておきたいと思います。
○太田(康)政府委員 御承知のとおり、中小漁業振興特別措置法の母法と申しますか基本法は沿岸漁業等振興法にあるわけでございまして、沿岸漁業等振興法の第九条に即して制定された法律でございます。そこで、私どもは、沿岸漁業等振興法が基本法としての基本的な政策目標を規定したものでありまして、本法はそれの実施規定であるという理解をいたしております。
○小宮委員 それでは、この三条による特定業種として指定するものは何と何か、念のため聞いておきたいと思います。
○太田(康)政府委員 この法律の御審議をいただきまして国会で成立いたしますれば、直ちに指定業種の中から特定業種としての指定を行なうわけでございますので、私どもといたしましては、当初の法律が制定されました昭和四十二年に指定をいたしましたカツオ・マグロ漁業、それと以西底びき網漁業、これを当面四十七年度におきましては特定業種として取り扱ったらどうかというふうにただいまのところは考えておるのでございます。 なお、四十三年あるいは四十四年にまき網漁業あるいは沖合い底びき網漁業等も指定業種になっておりますが、これらにつきましては、また明年度以降その情勢によりまして同様な取り扱いについての検討をしたいというふうに思っております。
○小宮委員 指定業種のうちカツオ・マグロと以西底びきと二業種だけを特定業種として今後の構造改善事業をはかっていくということになるわけですけれども、ほかの指定業種は構造改善の必要はないということになりますか。二業種だけを指定した理由についてひとつお聞きしたい。
○太田(康)政府委員 この制度が二本の柱をねらいといたしまして、一つは農林漁業金融公庫の特利による融資でございます。いま一つは、御承知のとおり、租税特別措置法によりますところの税制上の優遇措置でございます。このうち租税特別措置法の措置につきましては、五年間の期限が限られておりまして、今回法律改正したゆえんのものも、さらにこの制度を続けたい、租税上の優遇措置を講じたいということにもあったわけでございます。そこで、先ほど申し上げましたように、当面四十二年に指定業種といたしましたものをまず取り上げまして構造改善事業計画という新しい事業を起こしたのでございまして、決して、先ほどちょっと申し上げました、現在指定になっております業種の構造改善が必要でないというふうには理解をいたしておるわけではございません。
○小宮委員 指定された四業種については、いまお話がありましたように、国から税制面からもまた金融面からもいろいろな優遇を受けて経営の近代化をはかっておるわけですが、そのほかに漁業法上の指定漁業並びに承認漁業の中にはまだ未指定漁業もあるわけです。特にその中で中小漁業は非常に多いわけですね。したがって、今度、今回の法改正以降においても、やはりこの業種の経営が極度に悪化するとか、また不安定になるというような場合は、指定業種としてこれを指定して、その経営の近代化をはかっていくということは当然ではないかというふうに考えるのですが、政府としてこの新規指定業種に対して認めるのか、また今後どのような考え方を持っておるのか、その点の御答弁を願います。
○太田(康)政府委員 御承知のとおり、これは中小漁業振興特別措置法であるわけでございますので、中小漁業の業種が対象になるわけでございます。御指摘のとおり、現在は四業種しか指定業種にいたしておらぬわけでございますけれども、中小漁業の業種といたしましては、類似のものといたしましてたとえばイカ釣り漁業あるいはサンマ漁業、さらにはサケ・マスの流し網漁業等があるわけでございまして、これらはいずれも中小漁業の方々によって営まれておる漁業であるわけでございます。ただ、いままでの漁業の実態から申し上げますと、イカ釣り漁業もサンマ漁業もいずれも、御承知のとおり、兼業の形態が大部分でございまして、これらを指定業種とするということになりますと、その船が営んでおりますところの他の兼業業種との関連におきまして、これをどういうふに取り扱うかというようなことにつきまして、私どもといたしましてはいま少し検討する必要があるということでございます。 イカ釣漁業等につきましては、最近におきまして、まあこれも資源関係等の問題もあるわけでございますけれども、百トン以上を指定漁業にして大臣の許可制にしてくれということがございます。そうなりますとかなり専業性も出てくるわけでございまして、そういった事態がだんだん明らかになってまいりますれば、法律の要件に照らして適合するというようなことであれば、指定ということもあろうかと思います。 それからサケ・マスの流し網漁業につきましては、日ソ交渉によりまして漁獲量が定められるということにもなっておりますし、漁業の実態等から見まして、新しい設備投資をどんどんするというよりも、むしろこれを抑制ぎみにはかりまして経費の節減に資するということが、収益性の向上をはかる上でむしろ望ましいというふうに考えておりますので、当面指定業種とする考えはないわけでございます。 ただ、指定業種になりますと、税制上の措置の恩典が受けられるかどうかという問題があるわけですが、現行法におきましては、いままでの指定業種でありませんと租税特別措置法の恩典が受けられないという問題がございます。そこで、私どもといたしましては、かりに指定業種の追加ということが行なわれます場合には、当然現在とられておる税法上の優遇措置と同じようなことができますように財政当局とも話をつけまして措置いたしたい、こういうふうに存じております。
○小宮委員 いまイカ釣り漁業の話が出ましたので、イカ釣り漁業の問題について質問しますが、いまイカ釣り漁業に従事する漁船は大体全国で三万四千隻、こういうふうにいわれておりますが、このイカ釣り漁船はほとんどが老朽化しておって、それで海難事故が非常に多く起きておる。おそらくこれは漁船の海難では第一位を占めておるわけですね。したがって、先ほどからも長官が言われるように、この十トン以上は知事の承認漁業になっておるし、百トン以上は農林大臣の承認漁業になっておるわけですね。そういった意味では、やはりこのイカ釣漁業の近代化というのが非常に焦眉の急になっておるわけです。そういった意味で、イカ釣り漁業全部とは言わぬでも、そういった百トン以上のやつは農林大臣の承認漁業になっておるわけですから、何トン以上ということで限度をきめてでも私は指定漁業に入れるべきじゃないのか、ぜひそうしなければいけないというふうに考えておるわけです。したがって、先ほど長官も、どうもそういうような考えがあるようなないような答弁で私よくわかりませんが、このイカ釣り漁業についても、そのように近代化がいま非常に強く要請されておるという中で、全部と言わぬでも、トン数によって、ある一定のトン数以上は指定漁業にするというようなことをぜひひとつ考えてもらいたいと思うのですが、その点の見解をお聞きしたいと思います。
○太田(康)政府委員 現在イカ釣り漁業は中小漁業振興特別措置法の指定業種になっておりませんので、私どもといたしましては、金融上の措置としては、漁業近代化資金等で対応しておるわけでございますけれども、最近イカ釣り漁業もずいぶん変わってまいりまして、業界等から、いま御指摘のとおり、百トン以上の現在承認でやっておりますものを許可制、いわゆる指定漁業として扱ってくれというような声も出ております。私のほうの研究課題にもなっておるわけでありますので、御指摘の点等も含めまして十分検討してまいりたい、かように存じております。
○小宮委員 この沿岸漁業等振興法の中で、この改善に関する基本的な事項の中で、これは漁船員の賃金の問題あるいは設備のいろいろな労働環境の問題、労働条件の問題、いろいろな問題が沿岸漁業等振興法の中にうたわれておるわけですが、この点について昭和四十三年に総理府と水産庁の共同による漁船乗り組み員の意識調査をやっておりますね。ひとつその調査結果を説明を願いたいと思います。
○太田(康)政府委員 実は、私、ちょっといま手元に実施いたしました意識調査の内容について十分御説明申し上げるデータを持っておりませんが、私どもが理解をいたしておりますのは、漁船員からの寝室、食堂、換気装置等についての設備改善の要求が非常に強い。そこで、漁船設備の改善策というものを積極的に講ずべきであるというふうに考えております。私ども、漁船の乗り組み員というのは、洋上におきまして船舶の運航と漁業の生産活動に従事しておる、特に漁船の船内の船員設備につきましては快適な居住設備を設けて、乗り組み員の健康管理にも十分即するように意を用いなければならないということであるわけでございます。そこで、昭和四十二年の指定漁業の許可の一斉更新にあたりまして、新たに建造される漁船につきましては、漁船の船員設備基準というものを強制適用いたしまして、寝室、食堂等の船員設備の改善をはかってまいったのでございます。なお、御承知のとおり、本年度は第二回目の指定漁業の許可の一斉更新の時期を迎えるわけでございますけれども、私どもその許可の基本方針といたしまして、さらに船員設備の改善をはかるということで、関係各方面の意見を聴取いたしまして、設備基準の全面的な改善整備を行ないまして、今後新建造する船舶についてはこれを適用するということで対処しておるのでございます。
○小宮委員 いまの漁船乗り組み員の意識調査の結果を見ますと、これは船員設備のうちで改善を最もしてほしいというのが、やはり寝室ですね、これが三二・四%。それから食堂が一六%、換気装置が二二・六%、休憩室が八%というようになっておます。したがって、いかに、漁船の場合に寝室が不備で、結局、食堂あたりの設備も非常に悪いということをこの意識調査の結果は物語っておるわけです。また、その船内生活で最も楽しいことは何かというと、睡眠が四四・六%、雑談が一四・六%、食事が一一・八%、ラジオが四・四%、レコードが二・四%と、娯楽とかレクリエーションより、ひまさえあればひとつ眠りたいということで、船内労働の非常にきびしさと、それから疲労度の高いことを示しておると思うのです。そのためには、やはりいま言われたように、もっともっと漁船員の設備改善、労働条件の改善に水産庁としても積極的に取り組んでもらいたいということを考えるわけですが、このことについては、いま言われたように、はっきりと沿岸漁業等振興法の第九条の改善に関する基本事項の中でうたっておるわけです。賃金等の労働条件その他労働関係及び労働環境に関する事項がうたわれておるわけですけれども、この中小漁業振興計画の中にこのことが含まれておるのかどうか。私は少なくともいままでの振興計画の中には経営の規模拡大と資本装備の高度化二つだけに大体限られておると理解をしておるわけですけれども、はっきりこういうふうに法にうたわれておるわけですから、そういうふうにただ二つだけ、経営の規模拡大と資本の装備の高度化だけを取り上げるなら——先ほど私がそのために中小漁業振興特別措置法の問題と沿岸漁業等振興法との関係を聞いたわけですから、そういうことになりますと、この法律にうたわれておる趣旨に対して、結局、農林省としては、法の精神にもこれは反するのではないのかというふうに考えるのですが、その点の所見はどうですか。
○太田(康)政府委員 御承知のとおり、法律で個別経営のあるべき姿としての経営規模の拡大あるいは資本装備の高度化という経営の近代化の目標をきめることになっておりますし、それから御指摘の沿岸漁業等振興法第九条各号に掲げる事項の改善に関する基本的事項というものを定めることに振興計画ではなっておるわけでございます。そこで、私ども昭和四十二年にカツオ・マグロ漁業の中小漁業振興計画というものを定めましたときにも、当然この点については明らかに定めておるわけでございまして、「賃金等の労働条件その他の労働関係及び労働環境に関する事項」といたしまして、「漁船乗組員の労働条件及び労働環境の改善を図るため、賃金体系の合理化、漁船船員設備の改善、労務管理の近代化、福利厚生施設の充実等を促進する」ということをはっきり振興計画の中に明示をいたしておるのでございます。現に漁船の建造等にあたりましては、こういった意味での乗り組み員の方々の環境改善という面には特に力を入れて、大型化もはかっておるというのが実態になっておるわけでございます。
○小宮委員 それではひとつ漁船員の労働の実態、これを参考までにお聞きしたいと思います。 特にこれは陸上労働者に比べて漁船の労働者は、もう肉体的にも精神的にも非常にきびしい悪条件下で非常に長時間労働をやっておる。そういった問題について水産庁としてこの漁船員の労働の実態についてどのように認識しておるのか、ひとつ御説明を願いたいと思います。
○太田(康)政府委員 漁業労働の実態でございますが、私どもの認識といたしましては、漁業の労働は漁船という特殊な環境の中で行なわれておるわけでございまして、漁業作業というものは、漁業種類によりましてそれぞれ異なるわけでございますけれども、おおむね長時間に及ぶことが多く、しかも昼夜の別なく行なわれておる。私も船員組合の方々なんかとお話をする機会もあるわけでございますけれども、そこで伺いますと、最近におきましてはカツオ・マグロ漁業のごときは釣獲率が非常に落ちて、操業の期間も、極端に言いますと、十一カ月にも及ぶというようなことも聞いております。しかも労働力が非常に不足をいたしまして、たとえば水揚げ等の場合も積極的にそういった労働にもかり出されるというようなことで、たいへん労働強化が行なわれておるというような実態も聞いております。最近におきましては、技術革新等によりまして機械化、近代化が進みまして、肉体的な負担が若干軽減したということもあるわけでございますが、その反面、逆に精神的な負担が増加するというようなことも問題として提起されるわけでございます。しかもそういった労働環境にあるわけでございますので、労働災害等についての運輸省の船員局でやっておられる調査の結果を見ましても、職務上の災害で見ました統計によりますと、やはり陸上労働に比べますとかなり事故の発生率が高いということで、陸上の場合よりも二・六倍強になっておるという数字もあるわけでございまして、確かにたいへん労働が過重である。したがって、先ほど来意識調査にも出てまいりましたようなたとえば寝室の改善とかというような環境の改善には特にこれから意を用いていかなければ——やはり船主といたしましても乗り組み員の確保ということがなければ船の運航もできないわけでございますし、漁労活動もできないわけでございますので、そういった面には今後特段の努力を払っていくということが必要であるというふうに思っております。
○小宮委員 念のために、それではせっかくですから、この漁船乗り組み員の労働賃金とか労働条件の問題はどのように考えておりますか。
○太田(康)政府委員 賃金の問題でございますが、一般産業におきますところの賃金の上昇や漁業労働者の不足などによりまして賃金が年々上昇しておるというふうに理解をいたしております。そこで中小漁業経営について一人当たりの年間の雇用労賃を見てまいりますと、四十五年におきましては九十五万一千円ということで、前年に対する上昇率が一〇・八%というふうになっております。 賃金問題につきましては、私どもといたしましては、できる限り固定給をふやしまして歩合給を減らすというような方向で考えておりますが、これももちろん労使間の話し合いということで最終的には決定になるわけでございますけれども、漁業の生産の実態によりまして、ぐんぐん生産が伸びておるというような場合には、船員の方から見ますと、あるいは歩合制のほうの比率が高いほうが有利だというようなこともありまして、一がいにはどちらがいいということの基準もないわけでございますけれども、方向としてはやはり賃金の安定というような意味からいきまして、基本的な方向として固定部分をふやすということがよろしかろうということで、それを一応の指導の方針ということで打ち出しておるのでございます。
○小宮委員 長官も御存じのように、漁船員の労働者というのは、われわれ陸上で働いておる人が考えも及ばないような、非常に悪条件下で一生懸命長時間働いておるわけですから、そういった意味でのいま言う船員設備の問題、あるいはいまの労働賃金の問題にしても、九十五万円というのは陸上の労働者に比べればいかにも安い、そういうような問題も考えて、長官がここでただ抽象的に、努力しますと言ってみたって、現実にそういうような実態は依然として改善されておらぬ。だから、そういった意味でのこの漁船員労働者の近代化、こういった問題にもっともっと水産庁は積極的に取り組んでもらいたいということを、特に要望しておきます。 それから関連して、これは漁船におけるお医者さんの乗船範囲の問題について質問したいと思うのです。 現行船員法では、漁船の医師の乗船範囲は、人員が百名以上、それから総トン数三千トン以上の母船にのみ限られておるわけです。最近遠洋底びき網漁船とかあるいは運搬船にしてもだんだん大型化されてきております。そこで、水産庁にちょっとお聞きしておきたいのは、いま漁船の中で医者の乗船義務をきめておる、結局、百名以上、三千トン以上の漁船というのは、母船以外にも現在存在するわけですが、何隻ぐらいおりますか。
○太田(康)政府委員 いま先生は船員法をあげられましたが、医師の乗船が義務づけられているものというのは約三十隻というふうに理解をいたしております。それ以外に遠洋底びき網漁業とか遠洋カツオ・マグロ漁業、一般に遠洋漁業といわれているものに従事する漁船につきまして、現在これは約二千三百隻あるわけでございますが、このうち航海日数が比較的短期間にわたるものということで医師の乗船が義務づけられていない母船——先ほど義務づけられているのは総トン数三千トン以上あるいは百人以上の母船ということになっていますから、こういったことが義務づけられていない母船、それから三千トン以上の漁船、それから百トン以上の遠洋カツオ・マグロ漁業、それからトロール漁業、こういったものにつきましては、やはり船員法に基づきまして一定の資格を有する衛生管理者の乗船が義務づけられておる。この対象になっておりますのは、私どもの調査によりますと、約千三百隻というふうに考えております。また、それ以外の漁船につきましては、乗り組み員の中から衛生担当者というものを選任しなければならないというふうにされております。 そこで、私ども母船式の漁業の母船以外の漁船にも医師の乗船を義務づけるということにつきましては、医師の確保等の関係からなかなか実際は困難であるわけでございますけれども、水産庁といたしまして、現在サケ・マス漁業及びカツオ・マグロ漁業の漁船の乗り組み員を対象といたしまして、洋上診療事業というものを実施しております。特に四十七年度におきましては、補給船等もかねまして日かつ連で、カツオ・マグロ漁業につきましては船を建造するようでございますので、その建造する部分のうちの医療部分に当たるものにつきまして、定額補助で船舶建造につきまして約三千万の助成もするというような予算も講じましたし、北洋のサケ・マス漁業につきましては医師を乗船せしめるというようなことで、その経費の補助を北海道水産会にしております。なお、それ以外に将来試験を受けて資格を取るというための衛生管理者の養成等の研修につきましての助成もいたしておるわけでございます。これらを通じまして広い意味での医療確保の対策を講じておるという実態でございます。
○小宮委員 いまの水産庁の答弁のように、結局、現在の船員法で医師の乗船を義務づけておる漁船、いわゆる百名以上、三千トン以上の船はほかにもあるわけですね。そうすると、いまそれぞれ水産庁としては衛生管理者を置くとか、船員の中から何かそういうような人を選んで何か置いておるというような話でありますけれども、これは運輸省にお聞きします。 実態がそうであれば、現行の船員法の中では、そういうような船が現に存在しておる、おるけれども乗船を義務づけておるのは母船のみに限られておるということになれば、水産庁は水産庁なりにそういうようないろいろな手段を講じておるようですけれども、現在そういった漁船がおるわけですから、その船員法ができた当時はおそらく三千トン、百名以上の漁船は母船だけしかいなかったので、審議の対象にならなかった、こういうように私は判断しますけれども、現在はそういうような三千トン以上、百名以上の漁船が母船以外にもあるわけです。だから、医者の確保がむずかしいという問題は別として、現行の船員法の実態に合わせて改正すべきだ、こういうように思うのです。すでに矛盾しておる。だから、医者がおるとかおらぬとかいう問題は運用上の問題で、法律的な問題ではない。だから、その点、運輸省の船舶局ですか、この問題について船員法を改正する意思があるかどうか。
○栗山説明員 お答えいたします。 漁船が最近非常に大型化が進んで、三千トン以上、最大塔載人員百名以上の船は、私のほうで大体四十隻、要するに、商船に持ってくれば当然医師が乗っていると考えられる船が大体四十隻程度現在あるというように考えております。ただ、最近、商船関係で医者がなかなか——従来から商船関係は、非常に衛生状態の悪いパキスタン、インド、アフリカというようなところへ寄港する船には船医を乗船させるという船員法上の義務があったわけでございますけれども、事実問題として、医者不足ということで、なかなか船医が確保しにくいという観点から、衛生管理者制度をある程度手直ししまして、従来の衛生管理者より非常に資質の高い衛生管理者を配置する、それからあわせて関係のそういう地方の外国の病院と、それから従来から商船に乗り組んでいた医者というものをプールいたしまして、医療事業団というのをつくりまして、そういう面でできるだけ効率よく医療制度を行なっていくというふうに改定しているというようなこともございますので、まあ漁船では非常に災害率も高く、船員からの医者がほしいという要望も、よくその心情も理解できるわけですけれども、現実の医者不足の問題から、直ちに法律を改正して、漁船について一隻一隻医者を張りつけていくということは非常に困難ではないか。逆に衛生管理者制度の衛生管理者の資質の向上、それから医療無線、診療船というような総合的な海上医療体制の整備という方向で対処していくのが、現段階では最善ではないかというふうに考えておる次第でございます。
○小宮委員 それは、医者がおらぬから運用上そういうふうにしたほうがよろしい、したがって法律を改正する必要はないというように受け取れるのですけれども、これはやはり矛盾したものは矛盾したもので法改正をやって、きちっと法体系だけはっきりしておく。そこで運用上どうしても医者がおらぬというなら、そういうような方法を講ずるということもやむを得ないと思うのですけれども、そういったやむを得ない、やむを得ないということでやっておると——いま言うように、百数十日もとにかく沖合い漁業へ出ておる、ましてや二十四時間、四六時中漁業に従事しておるというような中で労働災害も一番多い。こういうようないまの漁船労働者、乗り組み員の実態等を考えた場合に、少なくとも百名以上、三千トン以上の漁船に対しても医師を配置できるように検討してもらいたい。これは要望しておきます。 あと時間がもうないようですから、最後の質問に移ります。これは長崎県の佐世保港及びその周辺海域における自衛隊法並びに特損法による提供水域または制限水域における漁業補償についてちょっとお尋ねします。 御存じのように、この佐世保港は特殊事情にある関係上、漁業者もいろいろ漁業上制約を受けながらも、これはやむを得ざるものとして今日まで全面的に協力をしてきておるわけです。しかし、関係漁民の間では、もう早く漁場を全面開放してくれという気持ちが非常に強いのです。特に従来はこういった漁場で生活を立てておったわけですから、その気持ちは当然だと思うのです。それにしても、そういう協力をしておるわりあいに非常に漁業補償が安いということが不満の一つでもあり、そしてその漁業補償をきめる際に、結局、漁民の意向というものが反映されておらぬということで、いろんな不満を漏らしておるわけですが、幸い来月の二十二日は契約の更新期ですから、この際、この問題について漁業補償をもっと引き上げてやるべきではないのかというふうに考えます。 そこで、現行の漁業補償の補償基準はどのようにして算出しておるのか、それをひとつ説明してもらいたいと思う。
○森山説明員 御説明いたします。 駐留軍関係につきましては、佐世保海軍施設水域でございますね。あの港内にある施設がさようでございます。これの漁業補償につきましては、漁船の操業制限等に関する法律に基づく損失補償額の決定等に関する実施規程という総理府訓令がございます。その総理府訓令に基づきまして、漁船の操業期間中において漁船の操業の制限がない状態、これを私ども平年と申しておりますけれども、漁船の操業の制限がない状態で得られるであろう漁業所得額、これから制限がある状態、すなわち実際の水揚げから経費を引いたものになりますけれども、制限がある状態の漁業所得額を差し引いた額の八割をもって損失補償額とするというふうにきめられております。 また自衛隊関係につきましては、佐世保港外の向後埼港湾防備訓練水域、これが自衛隊法百五条の規定によって操業制限をしている水域でございますけれども、これにつきましても、自衛隊法第百五条の規定に基づく漁船の操業の制限等による損失補償の事務処理に関する実施規則という全く同じような総理府の訓令がございまして、この規定に基づいて駐留軍の場合と全く同じような算定をいたしております。 ちょっと補足いたしますと、制限時の、すなわち制限がある状態の漁業所得額といいますのは、制限時の粗収入を漁業種類別にそれぞれ組合の水揚げ台帳だとかあるいは個人の記帳とかそういったものから調査の上確定して、その粗収入から粗収入に要する経費を差し引いたものをもって制限時の所得額としております。それから制限がない状態、すなわち平年の所得額につきましては、漁業種類別に近傍類似の制限を受けていない組合その他の近傍類似の粗収入を調査いたしまして、それから制限のない状態の補償対象者の平年所得額を確定しておる。このようなやり方をやっております。
○小宮委員 その補償の算定基準については理解しましたが、では、もう来月の二十二日が契約の更新期ですが、この補償額を上げるのか上げぬのか。もう端的に、上げますと言ってもらえばいいわけです。その点、どうですか。
○森山説明員 従来私ども実施している補償につきましては、現地調査の上、漁民の皆さまと話し合った上で補償額を決定してきたわけです。ただ、先生のおっしゃるように、しぶしぶあるいはいやいやということもあろうかと思います。それで、実際に、私、一月に関係組合長さんの陳情を受けまして、こまかく具体的にいろんな面を聞いてまいりました。それで増額とか補償対象者の拡大等の御要望がありましたので、これにつきましては、現在、担当の局であります福岡施設局において調査中で、きめこまかく組合等との調整をやっております。したがって、補償額は当然上がると思います。
○小宮委員 ありがとうございました。きょうはこれで質問を終わります。
○三ツ林委員長代理 津川武一君。
○津川委員 議題となっている法案と関連したり、法案そのものについて若干質問します。 一つは内水面漁業ですが、米の生産調整ともからんで内水面漁業に転換するのがかなり多くなっているし、意欲も出ておると思います。こういう情勢でありますので、内水面漁業を漁業の中でどのように位置づけるか、まずこれを大臣にお伺いします。
○太田(康)政府委員 内水面漁業につきましては、いわゆる養殖漁業と河川、湖沼漁業があるわけでございまして、河川、湖沼等におきましてはアユ、フナ、コイ等が行なわれておるわけでございます。非常に増殖努力が行なわれておりますが、私どもの総点検によりましても、河川、湖沼等ではかなり漁場環境の悪化が進んでおりまして、生産が停滞をいたしておるということでございます。私どもといたしましては、漁業全般の問題でございますけれども、水質汚濁防止法を初めとした公害諸立法の厳正なる運用ということによりまして、漁場環境の悪化をいま以上に進行させない、防止するということ、それから水産資源の保護及び仔魚の放流ということによりまして、積極的に増殖事業を推進するということで、資源の保護、培養につとめるということにいたしております。 それから、内水面水域については、私ども考えますと、社会生活の複雑化と申しますか、都市化の進行というようなことに伴いまして、国民の遊漁の場として、健全ないこいの場としてこれを取り上げていく。しかもその利用もかなり近年著しく高まってきておるということでございますので、こういった傾向も踏まえて考えていかなければならないだろうと思っております。 一方、内水面の養殖漁業で、ウナギとかコイとかニジマス、アユ、こういったものが中心になりますが、これらの水産物につきましては需要がたいへん旺盛でございますし、養殖技術もかなり進歩いたしまして、急速に発展をいたしております。内水面も、先ほど申し上げました河川、湖沼と同じようにかなり漁場の悪化というような問題もあるわけでございまして、全般としては生産を取り巻く条件はきびしくなっておりますが、やはり内水面漁業全体ではここが生産増大の中心的役割りをになっておるというふうに考えておりますので、今後もその傾向が続くであろうというふうに考えております。 それから、御指摘の水田転換に伴いまして、かなりウナギとかドジョウとかニジマスとかコイ、コイの中には養殖用のコイもありますし、観賞用のコイもありますが、この転換の希望も多くなっております。そこで、私どもといたしまして、これらが定着するように予算上の措置も講じまして、養殖業の安定的発展をはかる必要があるということでございまして、生産の面、それから遊漁の振興に伴います国民のいこいの場としての内水面の漁業の振興という、両面からその振興をはかってまいる必要があるというふうに考えております。
○津川委員 そういう方針であるということですが、米作から転換していく農民はしろうとばかりなので、試験研究を非常に求めている。勉強を求めておるわけです。したがって、そういう状況からいうと、試験研究を拡大する、整備することは非常に大事だと思うのですが、この試験研究に対してどう考えているか。特に淡水区研究所の強化についてどう考えておるか、長官、答えていただきます。
○太田(康)政府委員 最初に内水面に関する試験研究の体制をちょっと申し上げたいわけでございますけれども、私どもの国の淡水区水産研究所がございます。ここでは職員が全部で六十四人おりまして、そのうち研究の職に従事しています者は三十五人ということになっております。それから、三十四の都道府県の水産試験場がございまして、うち内水面の専門水試は十八ということになっております。全体として内水面関係の研究者の総数は約三百人ということになっております。 そこで、私どもといたしまして、現在、国自体の体制におきましてもいろいろな面でやってはいるわけでございますけれども、今後は増養殖事業というのはかなり積極的に取り上げなければならないというふうに考えておりますので、私どもといたしましては、将来の水産研究所のあり方として増殖専門の研究機関をつくる必要があるのではないかということで、現在せっかく内部で整備強化についての検討をいたしておる、こういう段階でございます。
○津川委員 農林省の人員整理から淡水区研究所を閉鎖されるといううわさまで聞いているのですが、そんなことはないでしょうね。
○太田(康)政府委員 たしか一般職の削減率は九%だと思いましたが、研究職につきましてはむしろ低率で、たしか三%くらいになっておりまして、淡水区水研を縮小するということでなしに、先ほど申し上げましたように、増養殖部門の専門試験研究機関をぜひつくりたいということで、検討いたしておる中の一環として、これは淡水区水研が中心になりましてそういったものをつくっていく、むしろ発展的拡大の方向で考えているということでございます。
○津川委員 そこで、大臣にお尋ねしますが、私たちの水産業は公害やいろいろなところでその発展を阻害するものが出てきている。したがって、その発展を阻害するものを排除することは非常に必要だと思うのです。その一つとして、米軍関係によって漁場が奪われている。こういうことで昭和四十一年から四十五年度米軍関係水域別漁業補償支払いの実績を見てみますと、二十の水域にわたって二百三の協同組合、昭和四十五年だけでも四億九千三百八十七万、これだけの漁場が狭められているわけであります。私は漁場を拡大する意味において、その二十のうち六つが返還になっておりますが、系統的に返還計画を立ててアメリカに要求すべきだと思うのですが、大臣の抱負を聞きます。
○赤城国務大臣 系統的にということは私もよく研究はしていませんが、返還させる方針で進めてきたことは、まあ私もすぐ近くの水戸の射爆場のところで標的の問題などがありまして、ずいぶん防衛庁長官の時代にも交渉して、漁場に被害のないように、また補償なども出すようにしてやってまいりましたが、いまのお話のように、不用の域というものが当然あるはずですから、そういうものについてはできるだけ返還要求をすべきだ。これは防衛庁、施設庁ともよく相談いたしまして、そういう場所につきましては御指摘のような措置をとるような方向で進めていきたいと思います。
○津川委員 アメリカ軍による漁場水域の使用と並んでもう一つの問題は、米軍と日本の自衛隊の合同演習による漁場の制限でございます。具体的に指摘してみますと、昨年五月の末で、ちょうど日本海のサケ・マス漁の最盛期に、二十八の被害件数、そして被害請求額二千八百三十七万、調停された補償額は二千五百四十四万円。これを関係漁民が知らなかった、関係漁業協同組合は知らなかったわけです。その漁民とその漁業協同組合のある自治体、その海域に関係している自治体が知らなかった。漁民に言わせると、知っておったならば無理にそこに船を出さなかったとこう言っているわけです。こういう点で、昨年のこの合同演習、ほんとうに水産庁は知らなかったのか。長官、これ、答えていただきます。
○赤城国務大臣 いまのお話に関連してですが、おととしでしたか、ソ連が日本海で演習するということだったと思うのですが、これは魚に非常に害があるというので、私も向こうへ行きまして抗議をしましたら、すぐやめました。そういう手続をとったことがあります。 いまのアメリカとの関係のことは私もよく承知しておりませんので、長官から答弁いたします。
○太田(康)政府委員 あの当時、私、水産庁におりませんでしたので、当時の情勢につきまして調べたわけでございますけれども、演習は御承知のとおり五月の二十八日から六月五日まで行なわれまして、いまおっしゃいましたように、流し網の最盛期でもあるというようなことで、私のほうが事前連絡はいただいております。ただ、しいて申し上げれば、演習実施の直前であったというようなことで、必ずしも十分に事前調整ができなかったうらみはあったようでございます。私どもといたしましてはそういったサケ・マスの盛漁期でありますから、漁船のみならず流し網についての損傷もないようにしてもらいたい、事故が発生した場合には万全の補償をしてもらいたい、関係県には防衛庁から事前に十分連絡をしていただきたい、あるいは今後この種の計画がございますときには早期に事前に連絡していただきたいというふうなことを、口頭で申し入れをいたしたのでございます。
○津川委員 大臣、防衛庁が青森県の車力のところにミサイルの射場を設置するときに、関係漁民の漁業の収獲高がどのくらいであるか知らない。知らないところで演習をやるわけなんです。水産庁に聞いたら、水産庁も知らないんだ。だから、どれほどの被害を受けるかについて正確なものをつかんでいない。そして漁民は前からそこでやっておるところなんだ。それから、農業についても、あそこの扉風山というところの開畑、開田計画がある。これも知らないままにやっておる。農林省に教えないで、関係農民にも教えないで、防衛庁だけが一人よがりといってもいい、独善、独断と言ってもいいような状況なんです。こういう状態に対して、その後皆さんの反対で、防衛庁は説得はいま一時やめていますけれども、また行くと言っているわけなんです。その点で水産業に与える影響、農業に与える影響などというものを具体的に農林省と相談していましょうか。これはいけないと思うので、農林省としては、調べて、それを文句言わなければならない立場にあると思うのですが、どうでございましょうか。まず農林大臣から態度を表明していただきたいと思います。
○赤城国務大臣 そういう損害を受けるような場所は、こっちが落度でした。こっちがほんとうは調べていて、ちゃんと防衛庁とも相談して補償させるようにしなければいかぬと思います。
○津川委員 大臣はそういう防衛庁の一方的なやり方は認めないというわけですか。
○赤城国務大臣 一方的にやることはよくないから、こちらでやはり申し入れして、知らない面もあるかもしれぬし、また知っていても知らぬふりするかもしれないから、こっちが悪いならこっちが申し入れなければならぬと思います。
○津川委員 そのこととも関連しますが、ことしの八月ごろ、小笠原方面で海上自衛隊の第一護衛部隊とアメリカの原子力潜水艦をやっつける部隊が合同演習する計画が出ておるようです。横須賀から出て太平洋岸を北上して津軽海峡を渡って日本海に出て、対馬海峡で終わる演習の計画、一月半ぐらいの計画、その時期はちょうど小笠原方面から漁業の最盛期に当たるわけなんであります。私、これを指摘しますので、今度こそ昨年度の轍を踏まないように、ソ連の艦隊の轍を踏まないように忠告しながら、大臣の方針、決意を聞いておきます。
○赤城国務大臣 合同演習の時期あるいは編成のことなんかまだ聞いておりませんが、合同演習は毎年やるにはやるんです、日本の海上自衛隊とアメリカの海軍との関係で。ですから、合同演習をするようなときには、そういう時期を避けるとかあるいはまたそういう場所を避けるとかそういうことをしてやらせなくてはいかぬと思います。ですから、私のほうで日を忘れることがあるときには、あなたのほうからこういうときがあるはずだから注意しろ、こう言ってもらえば、私どもも、大いにいかぬぞ、いま魚をとる時期だからとかなんとか、そういうことをよく向こうへ話をつけたいと思います。
○津川委員 私たちはこういう演習はごめんで、やめさせるべきだと思うのですが、そこまで大臣に言わせることは少し酷なんで、その点だけはきょうは遠慮しておきます。 その次は、さっきの日ソの関係です。私たち、三年前の一九六九年二月二十一日に、共産党の中央委員会から内閣総理大臣佐藤榮作に、漁業に関するソ連との調整を申し込んだわけです。大臣、そのとき御存だかどうだかわかりませんけれども、一つには、宣言でいいんだから——向こうも十二海里には異存がない。日本もそう考えている。三海里というのは、日本の巡洋艦が大砲を突きつけてソ連の沿岸から魚をとったときの侵略的な、攻めながらとるという立場から軍艦を持っていったときの三海里がいけないので、これは自己反省してあやまらなければならぬ海里だと思うのです。幸いに両方とも十二海里になりましたので、とりあえずソ連とは十二海里の漁業の専管水域を設定して、お互いにトラブルがなくなるように、これが一つ。 サケ、マス、カニ、ツブ、サバ、サンマ、こういったものの資源を科学的につかむために、共同の調査、共同の規制、共同の措置——今度サケ・マスのふ化を共同でやるということにきまりましたが、ここまで進めなければならぬ。これが二つ。 もう一つは、ソ連や韓国の船団による日本の漁業者に対する被害、漁具の被害、そうした直接被害はとりあえず国で補償して、相手の国と国がやり合うべきものだ、こう考えているわけですが、この三点、いかが考えておいでになりますか。お答え願います。
○赤城国務大臣 領海十二海里は先ほどの御質問に答弁しましたが、三海里というもののいきさつは、大砲のたまが届く距離ということで三海里をやった。一面においては公海自由の原則で、公海での航行の自由はもちろんでございますが、漁業でも何でも自由だというのが原則でございます。ところが、漁業関係は決して公海の自由ではなくなって、公海でも実は日露漁業条約に基づいたり、あるいはカナダともそうですし、韓国なんかもみんな条約を結んで、公海での資源の保存をはかり、分け前をとるというような形になっておりますから、公海が自由でなければ領海も三海里にしておく必要はない。両方お互いに、十二海里に世界的にもなっているのですから、私は沿岸の領海も十二海里にしたほうがいいと思うのです。おととしでしたか、ソ連に行きましたら、ソ連の漁業大臣の秘書官が、日本も十二海里に来年するのでしょうと私に言っていました。それはあなたたちがこういうものを出すというのはよくわかっているのです、だから、海洋法会議できめれば私のほうでももちろんそれに同調すると言っておいたのですが、そういうような考え方でございます。 それから、両国の科学的な共同調査、これは毎年漁業交渉などにおきましても、科学的な共同調査を進めようじゃないか。漁業交渉すると、いつも資源の状況等について意見が必ずしも一致しないのです。これじゃまずい、共同で科学的に調査して、データなんかも一致するようにして、できれば毎年毎年の交渉じゃなくて二、三年ぐらい同じような状況でやっていくというようなきめ方をしようじゃないかということを言っておりますし、また事実、科学調査をしているのですが、交渉になると、科学調査がまだ十分じゃないというようなことで、いろいろデータの突き合わせなんかをやっているようなわけでございます。でございますから、お話しのように、科学技術調査をしたり、また協力の点においても科学的な協力、いまお話がありましたサケ・マスの人工増殖というような点なども科学的調査に基づいてやっていこうということに話が進んできておりますから、お話しのようなことはなお一そう進めていきたい、こう思います。 それから三番目の、ソ連の船団が日本の太平洋の銚子沖あたりまでも出てくるようなことで、向こうへは私も抗議したのですが、公海だから何も漁業するのに文句を言うわけではないけれども、日本の漁場へ入ってきて、そうして網やなにかに損害なんかを与えることが間々あると言いましたら、向こうでは、試験船だ、こういうことを言っていましたが、試験船なんだからといったって損害を与えていいということはないからということを私もよく言っているのですが、その損害につきましては、これも私もよく調査してなかったのですが、この間外務省と打ち合せしましたら、損害の要求はずっと留保していて放棄していない、こういうことでございますが、損害を賠償したということは実際してないのじゃないか、私はそう思います。やはり権利を留保する。放棄するということはまずいと思います。しかし、できるだけ損害がないように、来るにしても日本の漁業なんかに損害のないようによく話し合いをしていかなければならぬ問題だ、こう思います。
○津川委員 その点で、やはりソ連でも十二海里と言っている。日本も十二海里と言っている。領海とまでいかなくても、漁業の専管水域、この点で大臣、ソ連と話し合ってみませんか。私は、いま大臣がこれだけ骨を折られて、ことばが悪ければやめますけれども、自民党の大臣の中では大臣は向こうに非常に信用があるのだから、大臣がやっているうちなら私はできると思うのです。これをひとつ進めていただけば、あの拿捕なんかは非常になくなる。この前、実際ソ連船が三陸沖へやってきたときに、こちらの船がマイクを持っていって、ロシア語でこちらの性格はこうなんだと話したら非常によくなった。魚の追い散らしも少なくなる。その点では具体的に水産庁なり大臣茶中に入って、ソ連のサンマ船などと話し合いをすること、これが二つ目。三つ目には、外交交渉になるので、損害がいまだに補償されてないのがあるのです。漁民が泣き寝入りしている。これをまず日本の国がその損害補償を立てかえて、そしてソ連なり韓国に当たることが私は必要だと思うのです。くどいようですが、これをひとつ承りたい。
○赤城国務大臣 専管水域十二海里とか、領海の問題は話し合う必要はないと思います。これはジュネーブの会議で大体きまって、日本がそれできめるということになれば、宣言すればいいことですから、大体その方向にいくと思います。 それから専管水域につきましては、やはり入り組んでいると十二海里をやらなければ困ってしまうところがあるのです。対馬のまわりとか何か、私は日韓漁業交渉のときに、日本も専管水域十二海里とやった記憶があります。ですから、そういう入り組んでいるところは、やはり相互に話し合うというようなこともあり得ると思います。 それから、日本の漁船が損害を受けたのを日本でまず払っておいて、それを向こうへ請求しろ。一つの筋で、日韓の漁業交渉のときにも、日本で五十億でしたか払って、向こうから取るつもりだったが、取れなかったのですよ。そういうことがあります。だから、これも一つの考え方ですが、いま払っちゃって、向こうが出すか出さないかわからぬということになると——しかしそれにしても日本の漁民に対して日本の政府が大いにカバ一すべきだという考え方はございます。しかし、ほんとうはまず向こうから払わして、めどがついて、いつごろから払えそうだというときに、こっちから立てかえて出すというかっこうのほうがいい。ですが、これは研究させてください。いまどうとも言えませんから。
○津川委員 それでは次は、中小漁業振興特別措置法の一部を改正する法律案について少し質問してみますが、この振興法で、先ほど小宮委員が水産庁長官とかなりやっておりましたけれども、改善に関する基本的事項として、「賃金等の労働条件その他の労働関係及び労働環境に関する事項」として整理しなければならなくなっているわけです。ところが、実際に漁業労働者に聞いてみると、生産第一主義であって、労働者の待遇改善だとか船の中における福利施設だとか、先ほど問題になりました診療のことなんかそっちのけだという。今度の改正の中でも、構造改善事業を計画して、生産性が向上されると見なしたときには農林大臣が認める、こうなっている。やはり抜けているというのが具体的な指摘だと思うのです。これは「水産界」という雑誌で、労働者でなく、学者が書いている論文なんです。こうあるのです。「こと労働組合というと、極端な拒絶反応を示して、業者の意にかなう企業内組合的なものを作り資金援助や温存を図り……(中略)労働条件を極度に低く押え、人間性の解放を阻害してきた。……底曳業界がこのような体質を改めない限り、いかなる再建策もそれは本質的な砂上の楼閣でしかない。」こういうことなんです。実際上いろいろな問題がそこで出てくるわけです。船の中における安全操業の問題、時間が長い問題、遭難の問題、福利施設の問題、洋上診療の問題がしょっちゅう出てくるわけです。今度の場合も、生産性の向上を条件にして構造改善事業を認める、こう受け取られるのですが、大臣、これは、これだけだと、どの人たちの意見を聞いてみても、労働条件を改善して、労働者の待遇をはっきりさせない限り、以西底びき網はもう一度このことを繰り返さなければならぬと言っているわけです。この点について大臣の所信をまず承ります。
○赤城国務大臣 水産庁長官からも御答弁申し上げますが、労働が過酷であるというのは、歴史的にも、まあカニ工船などもあったのでありますが、いまはそんなことはないのですが、そういうように伝統的に労働条件が十分改善されていないというようなことがあると思います。しかし、労働法もでき、労働基準法もでき、労働条件をよくするということは十分考えなくてはならぬ時代でございます。そしてまた、それが生産性を上げる原因でもあろうと私は考えます。労働条件をよくする、船内の健康、こういうようなものをよくするということは十分考えていかなくてはならぬと私は考えます。そういう意味におきまして、十分でない点がありましたならば、よく改めさせるように指導いたしたいと思います。
○津川委員 きのうも出ましたが、きょうは小宮委員が一生懸命漁業労働者の待遇改善のことを問題にして、私も非常に興味を持って聞いたのですが、長官のことばは、これはもっけの幸いだ、こんな意味にとれるのです。千四百人首切られる。これは何としても再就職だとか退職手当とか、いろいろなことをしなければならぬが、そこで、問題は、そうすると、あとの人たちが何かこうさっぱりする、いろいろなことをやっていける、めんどうな問題が払われていくというかっこうになる、そういう意味に聞こえるわけです。残った労働者に対して基本的な態度を立てようという意味には聞こえなかったわけなんだけれども、今度の指導の中に、構造改善の中に、融資のときに、こういう洋上の安全、洋上の福祉、洋上の治療、こういうことを条件にして私は構造改善をやるべきだと思うのですが、長官、どうでございますか。
○太田(康)政府委員 先ほども小宮先生の御質問に対してお答え申し上げたわけでございますけれども、振興計画の中には、当然沿振法九条各号に掲げてある事項のうちの「賃金等の労働条件その他の労働関係及び労働環境に関する事項」ということも定めるわけでございまして、これに即しまして構造改善事業計画というものが立てられるというふうに考えております。 そこで、私どもといたしましては、指定漁業の許可の一斉更新の時期にも当たっておりますので、今般漁船船員設備基準の全面的な改正整備というものを行なったわけでございます。これも先般中央漁業調整審議会に諮問いたしまして、原案どおりの答申をいただいておるわけでございまして、いま申し上げたように、振興計画の中でそういった面もうたわれておりますが、その具体的な裏づけとしての設備基準の全面的な改善整備というようなこともいたしまして、これからは漁業生産を大いにあげるといいましても、やはり漁船員の確保なくしてはこれができないわけでございまして、できる限り環境条件を整備するということが、これからの福祉行政を推進する上におきまして特に重要である。従来そういった面におきまして、先生が読み上げられたように、確かに漁業経営者自体の中にも、何と申しますか、十分でなかったというような点もあるわけでございます。指定漁業の許可の適格性の中にも、労働に関する法令をよく順守しなければいかぬのだというような基準も書かれておりまして、これらに違反した回数が多いものにつきましては許可を与えないというようなことも、実は行政上もやっておるわけでございます。 それから、医療面の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、サケ・マス等につきましては、北海道の水産界に助成をいたしまして、医師を乗船せしめて操業期間これが医療の業務に従事する。それからカツオ・マグロ漁業につきましても、従来そういうことをいたしておったわけでございますけれども、今回日かつ連のほうで補給等も兼ねました船舶の建造をいたす計画がございまして、その際、その中に医療の設備等も整備をいたすようでございますので、私どもといたしましては、定額補助ということで三千万の補助金を交付するというようなこともいたしまして、疾病、労働災害の発生に対処するための洋上診療事業の強化ということもはかったわけでございまして、こういった面の行政が、確かに従来生産オンリーと申しますか、第一主義であった、こういった面の政策が多少ウイークであったという点につきましては反省をいたしておりますが、現実の問題として、いま言ったように、労働力の確保というのが非常に大きな問題にもなっておりますので、この面の行政にはさらに力を入れていかなければいかぬというふうに反省をいたしております。
○津川委員 くどいようだけれども、長官、これは衆議院の農林水産委員会の調査室の、皆さん、これは見ているね。何と書いてあるかというと、こういうふうに労働条件を改善するような仕組みになっているが、「現に、農林大臣が定めた振興基本計画の具体的な内容は、(1)経営規模の拡大、(2)資本装備の高度化の二つの事項に限って定められている」、こんなことが繰り返されないということは、私は長官の答弁で納得していいのだと思うのだけれども、こういう指摘が再びないように、ひとつ厳重にこれを要求しておきます。 そこで、いま長官が話をした例の三千万円の補助を出してやる巡回診療船、非常にけっこうですが、これが無医船にならないかということ、せっかくつくってもらっても無医船になる心配がある。一度災害対策特別委員会の席上で、私、この話をしたら、責任を持って船に乗せるとみえを切ってくれたのですが、これは水産庁長官もいるし、大臣もいるから、このできた船に医者が乗るか乗らないか、これは厚生省の格段の援助がなければできないと思うので、厚生省の方針を聞かしてもらいます。
○春日説明員 ただいまの件でございますが、北洋サケ・マス漁船の場合は巡視船に医師をいま乗せておりますが……。
○津川委員 それじゃなくて、長官がしゃべった今度予算がついた三千万円で、船に具体的に乗せるかどうかということなんです。
○春日説明員 これはもちろんおやりになっております新造船に診療所を開設した以上、医師を乗せるということは、もう当然なことでございますので、水産庁あるいは日かつ連等から要請があり次第、私どもも積極的に御援助を申し上げるつもりでおります。
○津川委員 終わります。
○三ツ林委員長代理 次回は、明二十日、木曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時十六分散会