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68回国会衆議院1972/04/11

農林水産委員会 第8号

発言数
31
登壇者
8
会派数
3
開催日
1972/04/11

会議録

藤田義光自由民主党

○藤田委員長 これより会議を開きます。  土地改良法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  本日は、本案について参考人から意見を聴取することといたします。  本日御出席の参考人は、東京農業大学農学部助教授佐藤俊朗君、東京大学農学部教授八幡敏雄君、全国土地改良事業団体連合会前理事、新潟県土地改良事業団体連合会会長鷲尾貞一君、以上三名の方々でございます。  参考人各位に申し上げます。参考人各位には、御多用中にもかかわらず、本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとう存じます。  ただいま本委員会におきましては土地改良法の一部を改正する法律案について審査をいたしておりますが、本案につきまして、参考人各位のそれぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただきたいと存じます。  なお、はなはだかってでありますが、参考人各位からの御意見の開陳は、お一人おおむね二十分程度にお願いしたいと存じます。その後、委員からの質疑があれば、これにお答えいただくことにいたしたいと存じます。  御意見の開陳は、佐藤参考人、八幡参考人、鷲尾参考人の順序でお願いいたします。  それでは、佐藤参考人にお願いいたします。

佐藤俊朗東京農業大学助教授

○佐藤参考人 今回、土地改良法の一部改正について参考意見を申し述べろという当局から御依頼がありましたので、あまり法律には無縁なような仕事をしているわけですが、関連としては非常に重要な位置にあるので、私見を述べたいと思います。   [委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕 もともと法律屋ではないので、しかも土地改良法全般についての勉強をしているわけでもありませんので、かねがね自分の研究フィールドの範囲内でこれと対応するというか、あるいはこれに関連の深い問題について意見を申し上げたいと思います。  農業土木のうち、特に水利用、農業水利について二十年ぐらい勉強している者で、農業水利、農業の水利用についての側面から意見を申し上げることにするわけですが、その前に、日本農業の置かれている位置というものが、どうも現社会においてあいまいにとられているのではないだろうかと思いますので、農業の位置それから農業内部における、農業における水利用の位置というものを一、二分お話ししたいと思います。  かねがね私は、農業はこの国のすべての産業の母体であった、かつてそうであった、それが時期が経過するに従って、中世から近世、現代に至る過程において、いろいろな、内部機能あるいは内部的条件の差はありますが、それから一つ一つ独立した産業が生まれるようになったのではないだろうか。卑近な例を申し上げますと、われわれが少年時代、われわれのいなかでは現在工業あるいはそのほかの産業に回っているものが、農業の部内でだいぶ処理されていた、生産されていたのが多いわけです。それが現社会においては、大体利潤が相償うというようなものはそのまま農業の内部から独立しまして、そして発展して一つの産業を形成していくというようなことが多かったように思います。さらに古い時代でありますと、これは利潤の追求ということではなくて、違った目的で分化して、特にその中で技術の位置は高かったように思われます。近ごろの近代産業における分化過程を見ますと、これは必ずしも技術によって分化が進むというものではなくて、むしろ利潤型の分化が非常に多いように思われます。農業というのは、そういう過程をとって現在に至っているということでありますし、さらに農業の部内で、農業での水利用を考えますと、これは日本農業の一つの基幹をなしていたように考えられます。  そういう前提を踏まえて、農業での水利用を考える場合に、われわれは、どうしても農業という産業があるいは現在では産業と見られない側面もありますが、これが属地的なつまり社会の人為的な条件で簡単に動くのではなくて、土地に非常に制約された、さらに水の条件ということになりますと、気象条件に非常に制限された形で発展する、これが実はほかの産業と非常に違った農業の一側面じゃないか、こういうふうに思っているわけです。そういう中で、特に水利用は、そういう自然をどこまでも基調として発展してきたものである。現在ではかなり人為的なコントロールが進んでおりますが、しかし、自然を無視して水利用を考える段階あるいは農業の水利用を実現化する段階には到達していないし、これはおそらく将来もなかなか他の産業での水利用のような単一化したものにはならないのじゃないだろうか。それから、さらに重要なことには、そうしたほうがいいのかどうかということはまたきわめて重要な問題であって、必ずしもシンプル化した、単純化した水利用が農業側で有利であるというようなことはあえて言えないのじゃないだろうかというような考えを持っております。  そういう前提で、農業の水利用を現状に立ち返って考えてみますと、行政府で考えているいわゆる農業水利というものと水利用というものとにはたいへんな差があるように私は考えるわけです。その一つは、土地に非常に従属する属地的な性格を持つところから、農業側での水利用は非常に限定された地域性を持つ。それに対して、概括的な農業水利というような考えは、それを包括しているような感じがあるわけです。たとえば、農業用水で、あるいは農業での水利用で最も核心的な問題として考えられるのは、しかもこれは近代社会を形成した明治初期から一貫して考えられているのは、用水量です。農業の水利用量は一体どういうふうなものなのだ、そしてそれはどういうふうにして決定するのだ、こういう問題があります。さらに、最近では、これに上乗せした形で、他産業からあるいは無秩序な都市や工場化の拡散から、汚濁水あるいはごみというような問題が加わるわけですが、そういう問題を除外した昭和十五、六年以前の時代でも、用水量の決定にはたいへん重要な意義があったように私は考えるわけです。そこで、用水量はどういうふうにして決定していたかというと、いわゆる減水深方式というような形で、これは農林省もそうだし、学会でもそうだしあるいは各府県庁でもそうですが、物理的な要因、つまり蒸発と地下の浸透というようなものを中心にして用水量を決定しているわけです。ところが、実際の水利用というのはそういうものではないのであって、どこまでも農業者が自己経営の内部で水を考えるわけです。そういうことですから、用水量決定にあたっては、近代科学というような形の減水深方式と、それから実際の利用者の間ではたいへんな差がある。それが現実の形では、たとえば同じ単位面積についても非常な用水量の差がある。これは物理的な土地条件の差だけではなくて、かなり人為的な経営的な面によってそういうことがとられているわけです。これが重要な一つの問題であると思います。  次に、特にこれは今度の土地改良法の改正などでは考えられなければならないし、考えられているようですが、用水量と水質ないしはごみの問題です。用水量は、いま言ったような形で、非常に間違ったというか、少し内容にそぐわないような形で決定されている。特に官僚技術といわれるような農業土木ではそういうことが強いわけですが、最近のようなごみや水質汚濁から、農業のほうは、あえてこの事態に至っては、量だけでなくて質の問題に経営能力を失いつつあるような方向をとっている、このままでは。これでは農業が経営の内部で行き詰まるということは必至であって、ここから農業側では、近ごろいわれているような農業水利の合理化あるいは近代化というようなことで、農業用水を守ろう、つまり取り入れ口から農業用水をパイプラインのような形で取ってしまおう、そうすれば用水自体に汚濁水が入らないというようなことを考えているわけです。一部は、この事業も決して新しいわけではなくて、大正の七、八年ころ、私の知り得るところでは、どうも干拓地において最初に行なわれたようですが、このころと現在のパイプライン方式とではかなり思想が違う。そういう違った思想ではありますが、わが国ではすでに五十年のそういう端緒的な歴史を持っておるわけですが、いまやごみや汚濁水から農業用水を守ろうという形でそれが出てきた。  そうしますと、ここで非常に問題なのは、農業用水はもともと徳川の中期ごろにほぼ完成したわけですが、非常に有機的な複合的な形で運営され、水路もあるいは農地も開発されているわけです。それを単純化するということはどういう意味を持つか。確かに水質やあるいはごみの処理には便利になるわけですが、地域全体として考えてみた場合に、一体そういうことがプラスに作用するのであろうか、あるいは農業用水の量という形で見ると、いままで非常に複合的な形で有機的に結びついた形で利用されていた用水が単純化してしまう。こういうことになりますと、私は、非常に用水量自体も増量するであろう、反面において他産業側が非常に用水をねらっているあるいはどこからか比較的安いコストの水源を求めようとしている時代に、農業用水が増量するようなことでは、これは広い視野で見た場合に非常に困るのではないだろうか、こういうふうに考えている。  そういう実例は方々に出ております。個々の実例については触れませんが、一昨年、私は、農地局の企画調整で水の利用量が十年くらいでどういうふうに変化したかということを検討してもらえないかと言われて、検討したことがあるのですが、全国的に主要水系についても増量している現状です。反面、農地面積はどんどん減っている。減っておりながら用水量が増量するというのはどういうことであるか。これはいま最初に申しました、近代技術というか、そういう決定方式の減水深方式では説明できない問題です。減水深方式はどこまでも面積によって水量が決定されるものですが、そういう方法では、面積が減少して用水量がふえるというような実態はどこからも説明できないわけです。さらに、現在考えられているような単純化した合理化事業というか、パイプライン方式の配水形態を考えるというと、この水量はかなり増量するんじゃないだろうか。それから、組織的にではなくても、方々で水質汚濁を防ぐために、その希釈用水としてかなりの水量を流しております。先日、木曽川の犬山頭首工に行っていろいろ聞き取りをしてみますと、あそこでは冬場、つまり非かんがい期十月一日から三月三十一日まで、大体畑かん用水として〇・一トンを見込まれているわけですが、現状は〇・五トン通水しております。つまり五倍の通水をしておる。それは何のためにかと申しますと、水質汚濁を希釈するために——数年前に土呂の遺跡で有名な静岡市の海岸側の農地を歩いてみますと、この中に、市街地ですが、非常にたくさんポンプが目立つ。ポンプがどういう形で作動しているのかと思って、よく調べてみますと、ポンプから直接用水を水田に引いているんじゃないのです。配水路に地下水を上げて、入れて、そしてその配水路をせきとめて水を取っている。つまり地下水を上げただけでは足らない。それで静岡市内の汚濁水をその地下水によって希釈して、それを農業用水として利用している、こういう現状です。そういうことを踏まえてみますと、どうもいまのような無秩序な、これは農業側にも当てはまるのかもしれませんが、むしろ外部の諸産業あるいは地域開発がそういう形で進められると、農業用水も量的にもかなりの増量が見込まれるような形になる。もちろん特別な地域についてはパイプラインにしたほうが水量を減少するような場合もないわけではありませんが、一般には、しかし、そういうような形になってあらわれるんじゃないだろうか、こういうふうに考えるわけです。  そこで、農業用水は、どうも単純な農業というような産業のための用水ばかりでなくて、広範な土地に付随するという意味から社会的な用水である。そういうことから、近ごろ私は農業用水というようなものを地域用水というように考えなければ、この国の将来の方向をどうも誤りはしないかというような考えを持っているわけです。そういうことになりますと、土地改良事業などで現在助成金とか補助金とかいうようなものが、国や地方公共団体で支出するわけですが、これは一時代前には農業に対する保護政策としてとられている面が非常に強かったわけですが、農業——私は用水の場面だけ申すわけですが、用水が地域的に非常に効果を果たすものであるとするならば、これは補助というよりはむしろ地域や国家が農業用水に対してあるいは土地改良事業に対して、補助という形でなくて、当然に負担する義務さえあるんじゃないだろうかというようなことを考えているわけです。そういう地域用水の内容として、たとえば景観があるでしょう、あるいは環境形成あるいは地下水の涵養あるいは生活用水、消防用水、最もわれわれに卑近な例として響くのは洪水調節機能、数年前から都市の消火せんが非常にはんらんする傾向が目立つ。それは無謀なあるいは無作為的な都市開発であるというようなことをいわれていますが、たとえば水田で畦畔十センチないし二十センチあったとして、十センチが常にその余裕高であるとすると、洪水時にはそれだけの貯水能力があるわけです。十センチといいますと一ヘクタールにして一千トンです。大体大都会というのは河川の下流部にある。そうしますと、この水田を一ヘクタールなくすということは、洪水時に一千トンの貯水、洪水調整池をつくる、そういう反面がなければ、当然にはんらんということに結びつくわけです。そういうものを踏まえるというと、農業用水が地域用水として、これはあえて国家用水というような形でなくて、地域というのは水系主義がどこまでも貫かれるのが一般の農業用水ですから、農業用水を私はそういうふうな形で見るわけですが、地域全体として、その土地改良事業における農業内部の効果だけでなくて、農業部外の効果、つまり間接効果といったらいいのかしれませんが、それがむしろ農業用水の場合には高くなる時期もあってもいいんじゃないだろうか、そういうことを私は私なりに現在考えているわけです。  これは今度の改正法案の内部の一、二のところでそういう問題が指摘されているように見受けられます。たとえば農業用水の、これは用水及び排水も含めてですが、そういうものの負担の問題であるとか、あるいは農業用水を完全に近代化し、パイプラインにすることによる功徳だとか、そういうものが若干ふえているようですが、私の場から言うと、むしろそういうものをもっと積極的に出してもいいんじゃないだろうかと思うくらいです。  非常に時間に制限されているために、そのほかいろいろ申し述べたいこともあるんですが、農業用水を専門に勉強している場から農業用水の一端を述べた次第です。  以上簡単ですが……。(拍手)

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長代理 次に、八幡参考人。

八幡敏雄東京大学教授

○八幡参考人 私は土地改良の学問をやっておりますが、私の専門は技術的な工学でございまして、土地改良の法制とか土地改良の行政につきまして、特に勉強しているものではございません。しかし、私どもがやっております工学の成果が具体的な姿をとる場面では土地改良の法制あるいは土地改良の行政、そういうものを通じて具現するわけでございますので、そういう点で関心は持っております。以下申し述べることはそういう立場、かなり常識的な立場から申し述べる、つまり今度の法改正案に盛られている考え方につきまして私見を述べさしていただくわけでございます。  法律改正案の提案理由の説明のところを読みますと、三つの柱が立っておりまして、一つは総合農政の新しい展開をはかるということ、そういう要請にこたえるための措置である、これが一つ。それから二番目は、土地改良のいろいろな事業の内容の実質的な変化に対応するための処置である。三番目は、都市化の進展に伴いまして、農村における都市と水の農業上の利用とそれから都市的な利用増の競合が方々でできておるわけでありますが、そういうものに対処するための措置である、そういうふうに提案理由が説明されております。  まず、土地改良の行政のワク内でそういう改正が必要であるかどうかという、そういうそのワク内での立場から所見を述べますと、まずこの場合に考えることは、そういうような改正案に盛られている考えが、内容がはたして適当であるかどうか、そういうようなことが一つと、それから、新しい改正がいままでの土地改良法の中に持っているそのメリットをそこなうということがないか、そういうような点を考えてみたわけであります。  現在は、農業の事情が非常に複雑、これは地域的にもそうでございますし、いろいろな階層によって非常に複雑でございます。非常に農業に関心を深く持っている農民もございますし、かなり関心を失っている、そういうような者もおりまして、そういう関心の濃淡と申しますか、そういうものが非常に多様でございます。そういう中で一律的な法改正というようなことが考えられた場合に、それを評価することはたいへんむずかしいわけでございますけれども、とにかくこの前の改正、つまり昭和三十九年以後の農業を取り巻く諸情勢は非常に変わっておりまして、したがって、それをいつまでも昭和三十九年の時点で改正された法律で処理するということの矛盾は、これはもう言うまでもございません。そういう点で、当然、その事態に対応した改正をしていくべきであろう、そう思います。いろいろな自分自身の経験から考えましても、今度お考えになっておられる改正案のように法律が改正されたならば、多くのメリットがそこに生じるであろう、そういうふうに一応考えます。また、現行の法律が持っておりますメリットを失わないというような配慮も、改正案の条文を読ましていただきますと、相当にされている、そういうふうに考えます。したがって、改正された暁には、その運用面で——いろいろの御説明のところで、見込みが確実なものだけやるとか、あるいは受益者に説明して十分意見を聞くとか、あるいは地元の意見を十分に参考にするとか、そういうふうないろいろな御説明があるようですが、これはその運用面で守っていただくようにぜひお願いしたい、そういうふうに考えます。したがいまして、土地改良法というワクの中で考える場合には、今度の改正案は、全般的には評価に値するものだと思います。  ただ、これは一応土地改良法という法律のワク内で考えた話でありまして、これは少し話がワクの外に出ることになりますけれども、いかにそういう農民のためを考え、新しい事態を反映させて法律が改正されても、肝心な農業をになう農民にあすの希望がない、こういう状態であれば、そういう新しい法律もまたたいへんむなしいものになってしまうだろうと思います。たとえば、これは後ほどもまたちょっと触れるかもしれませんが、受益者の三分の二以上の賛成云々というようなことがございまして、十分に農民の受益者の意向が尊重されることになっておりますが、これは当然守らなければやっていけないことだと思いますけれども、その三分の二がたとえ四分の三であろうとも、そういう個々の農民の中にあすへの希望と申しますか、そういうものがなければ、その三分の二もまた、数の上ではたいへんけっこうなんでありますが、内容的にはたいへんむなしいもの、そらぞらしいものになってしまうのじゃないか、そういうふうに思うわけでございます。実際に、私どものそばにおります若い人たちがいろいろな機会に農村に出ていろいろなことを調べてまいりますが、そういう人たちが帰ってきて口をそろえて申しますのは、やはり農業をやっている人たちに非常に希望が失われている、そういうことをまっ先に私どもに報告するわけでございます。  そういう点からひるがえって考えますと、今回の土地改良法の改正も、しょせんは、その法の内部での対症療法的な性格のものである、そういうふうに考えざるを得ないわけでありまして、先ほど、今度の案はおおむね評価できると、そういうふうに申し上げましたけれども、それもそういうようないわば限定的な意味で支持するのでありまして、政府あるいは立法の府といたしましては、一日も早くそういう日本農業の将来、そういうものに希望を持たせるような、そういう方向を明確な形で打ち出していただきまして、そういう展望の中で改正された土地改良法、そういうものが、そういう明るい展望の中でしっかりと位置づけられたものであるようにぜひしていただきたい、こういうふうに思うわけであります。それこそが真の改正案である、そういうふうに思います。  以上は、全般的なことに対しての所感でございますが、個別的なことにつきまして若干申し上げますと、まず第一に、圃場整備事業等における非農用地の取り扱いの改善、そういうことでございますが、農村の生産施設、たとえば農道というようなこともちょっと考えてみましても、これは一応いままでの土地改良法の中では、生産施設、生産上の機能だけが強調されて考えられていたわけでございますが、実際にそういうことを調べてみましても、決してそういうものではございませんで、非常に生活上の機能をあわせ持っているということがよくわかるわけでございます。今度のこの改正は、そういうような機能を改めて、圃場整備とか農用地の造成、そういうものにも配慮できる、そういうふうにお考えのようで、そういう改正は、確かにたいへんおそまきながら一歩踏み出した、そういうふうに評価いたすものであります。農道に限らず、一般に土地改良の事業の効果というのは、その裏面にと申しますか、農業上の生産的な機能の向上、そういうことの裏側に意外なほど多くの派生効果、二次効果と申しますか、たとえば福祉効果、そういうものを生み出しているものでございます。ところが、それが何か法律の形式上の観点から、そういう効果はことさらに無視されている。そういうようなことがあって、国民の一人といたしましてはたいへん歯がゆい思いをいたします。そういう点から考えましても、一歩の前進ではあるけれども、なお今後もさらに一そうそういう観点からの根本的な改正をお考えいただきたい、そういるふうに考えます。  なお、ちょっと心配なのは、こういう改正が行なわれますと、一応文面の上では、公共施設の土地の取得を強制されることはないということになっておりますけれども、実際の場面では、いろいろな社会的な陰の強制が加わりまして、農民から土地が奪われてしまう、そういう結果になりはしないかということがちょっと心配であります。しかし、そうだからといって、非農用地には全く触れられない、宅地が一つぽつんとあるところは水路もずっと迂回させなければならない、そういうような法の内容をいつまでもそのままにしておくというようなこともたいへんおかしな話でございます。この点は若干心配はございますけれども、重ねて運用面での慎重な配慮をぜひともお願いをしたい、こういうふうに考えます。  それから二番目は、土地改良事業の総合化でございますが、これは技術者の立場からすれば、非常に当然の改正だと思います。従来工種別申請主義と申しますか、あるいは一事業一土地改良区主義と申しますか、そういうことで、むしろこっけいなようなことがところどころに起こっているように思いますが、これは私どものやっている教育の面でも技術的な知識を集約しております。たとえば技術のハンドブックなんというようなものにつきましても、とっくにこういうことはやっておりませんで、いろいろな工種を一つの場面に有機的に総合して改良をはかっていくというようなことは、研究や学問や教育の面ではすでにやっていることでございます。これは法律のほうがたいへんおくれておる、そういうふうに考えます。したがって、こういう改正はたいへん賛成でございます。若干そこに補助率云々というような問題があるやに伺いますけれども、こういう総合事業につきましては、そういう点も十分に配慮する必要があるかと思います。  それから、農業振興地域整備計画、これに基づきますところの基幹事業の実施の方式を今度はたいへん改善される、そういうことでございます。これも技術者の立場からしますと、こういう改正案はやはり必要であろうというふうに思います。基盤の整備事業というものの内容は刻々に変わっておりますが、特に前の改正、昭和三十九年以後、たいへん方式が近代化し、大規模化しております。もちろん農民の自主的な意見に従いまして事業を実施するという現在行なわれております仕組みは、そのメリットは、先ほども申し上げましたように、保存しなければならないと思いますけれども、新しい事態が起こっているということもまた無視し得ないことでございます。したがいまして、その改正は賛成でございますけれども、しかし、これはかなり歯どめを要することであって、あくまでかなり先を見た先行投資的な、あるいはかなり長期にわたる大規模な地域の開発的な性格を持ったそういう場合だけに限定すべきであろうというふうに思います。  ここではそういう場合の事業費の負担の主体の問題があるようでございまして、これは私どもどういうふうにしたらよいか、これはかなり政策判断的な問題がからんでいると思いますので、積極的な意見はございませんが、最近の基盤整備事業の機能が昔よりも非常に広くなっているということから考えまして、国あるいは地方公共団体の助成の方式というものにつきましても、よりもっと突っ込んだ検討が今後も引き続き行なわれるべきであろう、そういうふうに考えます。  最後に、例の用排水施設の利用の関係の調整で、国営の造成施設等の農業以外の他種用水との共有化の問題でございます。これはいま佐藤先生からいろいろなお話を伺いましたが、これはもしほんとうに水が余っているのであれば、その水はほかならぬ国民の水でありますから、これはまたそういう事態、農業用水から他種の水利に転用が進んでいるという事実もまた否定できないわけでございまして、そういう時代あるいはそういう国民経済の変貌に法のほうが不備でありまして、現実的な事態への対処ができない、そういうことであればこれはたいへん困りますので、そういうものにルールをきちっとしておく、そういう意味ではこれはやはり必要なことであろうと思います。  ただ、農業にどれだけの水が必要であるか、そういうような場合にこれをどういうふうにはかるか。あるいは、だれが、この程度は必要であり、この程度は必要でない、そういうようなことを判断するかということにはいろいろな問題があると思いますけれども、このほうは行政が暴走するというような心配はあまり私は感じないわけでありまして、むしろコンサーバティブに機能するであろう、そういうように考えます。  以上でございます。(拍手)

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長代理 次に、鷲尾参考人。

鷲尾貞一全国土地改良事業団体連合会前理事

○鷲尾参考人 私は、ただいま御紹介いただきました鷲尾でございますが、土地改良専門にやっております関係上、ある点、こまかい点にも触れて御意見を申し上げたいと思うわけでございます。  御意見を申し上げます前に、現在御審議をいただいております土地改良法の一部改正案でございますが、私どもが長い間問題を提起しあるいはまた改正を望んでおりました点を各項目ごとによくとらえていただきましたことを厚くお礼を申し上げるとともに、高く評価をいたしておるわけでございます。一部不十分の点といいますか、十分とは申しがたい点もありますが、待望の改正法案でございますので、できるだけすみやかに御審議をお進めいただきまして、法案の成立を見るようにお願い申し上げる次第でございます。  なお、せっかくの機会でございますので、私どもの希望とお願いを含めましてできるだけ条を追いながら御意見を申し述べさせていただきたいと思います。  まず、第二条の二項の一号及び三号で、総合土地改良事業の新設を見ましたことは当然のことでありまして、むしろおそきに失した感がありますが、この事業の採択、施行にあたりましてぜひお願いいたしたいことは、できるだけ高率の補助で農民の負担が急激に増すことのないように特別の御配慮をお願いいたしたいと思うわけでございます。  次に、第三条の四項、第九十五条、第百条、第百十八条で、農地保有合理化法人の事業参加が認められ、あるいは実施主体になり得る資格を与えるとともに、交換分合、測量等ができ得るようになりますが、現在きわめて広義なあるいは拡大された解釈がなされておる向きも聞き及んでおります。土地改良区、土地改良連合会との競合あるいは摩擦等が起き得ないように十分の御配慮と御指導を望むわけでございます。  三条の六、七、八項、非農用地の取り込み等の事業参加資格の取り扱いあるいは五条七項の非農用地の取り込みいわゆる宅地等の地区編入の新設等は適切なものと存じます。  次に、三十六条の二項並びに八項で、土地改良区が行なう土地改良事業によるところの利益を受ける組合員以外からも経費の一部負担を徴収することができるようになさりましたことは、私ども長年の主張であり、当を得たものでありますが、ただ、宅地等の場合、その徴収にあたりましてはきわめて困難性が伴うものであります。運用上の要望といたしましては、でき得るならば、市町村等が肩がわり納入できるような仕組みをお考えいただきたいと思うわけでございます。  また、ここでこの本論から少しはずれるかもしれませんが、関連がありますので、ぜひこの際にお考え、お願いいたしたいと思うのでございますが、現行法の第九十条の五項、九十一条の二項にある市町村の国営事業の負担金、分担金の取り扱いでございます。  私は、新潟県の蒲原平野の穀倉地帯西蒲原の土地改良区の理事長をやっております。現在田畑合わせまして二万三千有余町歩でございますが、この中に一級河川約六十キロ、二級河川約六十キロ入っております。しかも、御承知のとおりの地盤沈下の激甚地がこの耕地の中に半分以上被害地が出ておる状況の地勢の中で、一たん私どもが管理委託を受けあるいはまた直接管理いたしております排水機等がとまりますと、七、八千町歩が水浸しになるというような現況の中にあります。本法にあります趣旨からして、各自治体からも応分の御負担をいただきたいというお願いをいたしておるわけでございますが、現段階において、各自治体あるいはまた各自治体の議会とも十分の御理解をいただきながら、自治体からの出費の裏づけになる保障措置がなされておらない。いわゆる適債あるいは交付金対象額としての出費がなされない。あくまでも自己財源からの出費になります関係上、きわめてこの問題の解決に困難を来たしております。私は議会等で正当の形で議決されたこれらの出費というものは、当然地方交付税の対象需要額算定の中に織り込むとか、あるいは起債対象にしてめんどうを見るというような形での措置が講ぜられまして、ひいては私ども農民の負担軽減にもつながるようなお取り計らいをこの機会にお願い申し上げる次第でございます。  なおまた、これからお話し申し上げます改正案の八十五条の二項で、市町村の特別申請事業というようなからみ合いからいたしましても、ぜひともその点については強くお願いを申し上げたい次第でございます。  なお、第三十六条の二の団体営土地改良事業の受益地の目的外使用の特別徴収あるいは四十八条四項の土地改良事業計画の軽微の変更同意の取り扱い、五十二条二項の工区間の飛び地換地を認める点をはじめ、換地に関する幾多の改正はきわめて適切なものと思われます。とりわけ第五十三条の三項、同条三項の二の創設換地の制度の拡大は時宜に適したものと思います。ただ、工場用地、公共用地等の創設換地の際には、精算金によるところの決済をされることになっておりますが、これらは関係農民の同意のある場合は、共同減歩方式によるところの保有を認めることが適当ではないかというふうな考えを持っております。なぜならば、直ちに換地後精算して、そこに工場なり学校なり建つ場合はよろしいのでありますが、精算されたあとの土地が長らくそのままになっておるというような事態も考えられるわけでございます。それは、取得者にあるいは場合によっては投機的な利用をされるような機会を与える形にもなり、また精算金と売却代金との差額等の取り扱いで非常に関係農民に不明朗さが生じやすい要因になることも考えられますので、ぜひともそのようなことをお考え願えないかというふうに考えるわけでございます。  第五十六条の二項で、土地改良施設が市街化による他の施設の供用を適当と認めた場合の関係地方公共団体との協議請求権、五十七条三の予定外廃水の差しとめ請求権は当然のことでございますが、漸次市街化されていく場合の自然増排水の形態が起こる場合、これらの協議の対象者あるいはまた協議が不調に終わる場合が非常に多いと思うわけでございます。これらに対しては何らか公的な調停機関等を設けて、強力な行政指導をされて円満な解決の方途を講じらかることが妥当ではないかというふうに感じておる次第でございます。  八十五条の二で、先ほどありました市町村特別申請事業による国、県営事業の実施が可能になったわけでございますが、特に三条資格者の同意を得ないで行なう場合もあり得るのでありますが、できるだけこの取り扱いは慎重にされまして、農民の意思を十分に反映できるような格別な御配慮をいただき、事業施行にあたっての紛争等の起きないよう十分の行政指導を賜わりたいと思うわけでございます。  また、このようなきわめて公共性の高い基幹的な大規模の事業については、全額公費負担というような形で行なわれるべきであるというふうに考えますので、十分の御措置を講ぜられますようお願い申し上げる次第でございます。  第九十条より九十四条の改正等については、私どもとしましては、きわめて適切なものと思うわけでございます。  以上、おもなる点についての御意見を申し上げた次第でございますが、土地基盤整備のほんとうの推進母体であります私ども、あるいはまた日本の農政の上できわめて重要な役割りを果たしつつある土地改良区、土地改良連合会の育成強化に対する何らの手当てがなされなかったことはきわめてその点遺憾に思いますから、十分今後御検討いただきましてよろしくお願い申し上げたいと思う次第でございます。  なお、現在、米の生産調整が強く推し進められており、またそれとともに生産調整奨励金等の措置がなされておりますために、土地基盤整備事業が順調に実施されておるように現在見えますが、やがてこれらの施策、制度等が打ち切られましたとき、米価の抑制と相まって、全く沈滞しておる農村の状況からいたしまして、はたしてその時点で国際農業へのレベルアップのための基幹事業である土地改良事業が順調に推し進められるであろうかと、きわめて私ども憂慮にたえないものでございます。  本改正法案全体から受ける感じといたしまして、今後の土地改良事業の推進を土地改良区、土地改良連合から地方自治体を主体としたような方向づけが感ぜられるわけでございますが、土地改良区、土地改良連合会の果たしてきた従来の実績あるいはまたその公共性、重要性を十分再認識せられまして、特に土地改良連合会を中心としました広域的な指導推進体制の確立と援助措置を講ぜられますようお願い申し上げる次第でございます。  なお、長期計画の改定、地域分担の明確化等、早急に実施せられるとともに、前段申し上げましたごとく、市町村財政に対する援助措置をはじめ、補助率の引き上げ、金利の引き下げ等々農民負担の軽減をはかり、日本農政の基幹事業であります土地改良事業というものを大局的な立場から御検討、実施くださいますようお願いを申し上げまして、私の意見といたす次第でございます。よろしくお願い申し上げます。(拍手)

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長代理 以上で参考人からの御意見の開陳は終わりました。

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。角屋堅次郎君。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 きょうは土地改良法の一部改正の最終段階にあたりまして、東京農業大学農学部助教授の佐藤先生、東京大学の農学部教授の八幡先生並びに土地改良事業団体連合会の前理事であり新潟県土地改良事業団体連合会の会長であられる鷲尾さんの三氏から、審議の過程におきまして非常に貴重な御意見の開陳を受けてありがとうございました。  八幡先生は、かつて母校で教鞭をとっておられた関係がございますので、ちょっと質問をやりにくいわけですが、数点について御質問を申し上げたいと思います。  最初に佐藤先生、八幡先生のお二人方から、いわゆる農業水利権という問題について、これは今度の法改正でも都市用水との関連とか他用水への転用とかいろいろな問題が出てきて、許可水利権あるいは慣行水利権というふうな、いわゆる農民の立場からの水利権の問題というのが取り扱い上もこれから大きな問題の一つだと思われますが、御専門の立場から、農業水利権問題というものについてどう考えるか、あるいは他用水への転用という問題とのからみ合いで、どういうふうに農民の立場から取り扱っていったらいいのかという点について、まず佐藤先生、八幡先生のほうから御意見があれば承りたい、こういうふうに思います。

佐藤俊朗東京農業大学助教授

○佐藤参考人 ただいま水利権についてのお話ですが、農業水利権はその成立が非常に古いということと、それからそれに関連するわけですが、内容がきわめて——内容というのはおもに取水量ですが、きわめて不明確である。こういうことから明治二十九年の河川法成立のおりにもあえて慣行水利権というような形で、法律上きわめて不明確なまま残され、二十四年の土地改良法でも三十九年の新しい河川法でも、この問題は明確な形をとらないまま現在にきているわけです。  しかし、そういう中にあって、私はそういうことを勉強する一学徒として非常に不満に思うのは、むずかしいむずかしいという形を非常に強く標榜していながら、それに対する実態の詰めが非常になかったということなんです。一昨年、一体建設省では水利権をどういうふうに処理してどういうふうにそれを明示しているかというようなことを建設省にも、それからある県等にも聞いてみたわけですが、県の河川課などでもほとんどそういうものに対してはっきりしたものは持っていない。そしてわれわれも非常に間違っていたというか、力及ばなかったのかもしれませんが、それをはっきりしようとすることがどうも欠けていたのじゃないかと思うわけです。たとえば、われわれは出生と同時に戸籍がつくられるわけだが、農業水利権に対して、古い戸籍は別としても、新しいものに対してそういう戸籍があるかないか、ほとんどの県でそういうものを持っていない。あるいは農林省自体もそういうものを網羅的に持っているわけじゃありません。これは非常に不満なわけです。  それで、そういうことではいけないので、いまからでもおそくはないわけで、水利権台帳をひとつつくるべきじゃないかというような発言をしたこともあります。現在、私は埼玉県でそういうことを実施しているわけですが、もちろんこの内容は、水量にまであるいは水質にまで及ぶような詳細なことはなかなかできるものじゃありません。しかし、できる範囲で、たとえば河川がこういう状態であって、その場合にこの水位まで水があればここのせきがかりは何とか農業用水として評価でき、内部でも不足はなかったというようなことだけでも明示する必要がある。それから水質についても、どこどこにどういう工場ができる前には、ここではこういう魚がいたとかいないとか、あるいはホタルがいたとかいないとかいうようなことはわかるわけです。これは本来逆な形でいまやっているからそういうことになるわけですが、やはりそれほど水利権が重要な問題であるならば、私は当然国なりあるいは地方公共団体は明確な水利権台帳というようなものを各項目について持つべきものであるというふうに考えております。  それから、いま言いましたようなことは最も基本的なことなんですが、現在、最も水利問題で直面していることは、転用だとかあるいは農業部門内の水利用だとかいうものに対する、つまり社会全体についての水利用をどう進めたらいいのか。そしてその進め方をプラスの方向に進める。つまり農業者にとっても、あるいは農業以外の産業、その転用を受ける都市用水も含めてですが、側にとってもやはり一つの希望を持つようなものでなければいけないと思うわけです。それを現在の法律は非常に規制するというか、阻害するような要件を持っているのじゃないだろうかと思うわけです。それはたとえば水利権は、農業用水では三百年あるいは五百年という長い時間をもって、たいへんな労力と費用をかけて維持してきた。それを、農業部門内で現在の農地転用等で面積が減ったから、無条件に都市側にあるいは工場用水に転用しろ——しろといっても、それもなかなかできないわけですが、それはやはりたいへん無謀な発言ではないだろうかと思うわけです。そういうような、たとえば水資源の開発というようなことをいう場合に、開発できるような——開発というのはここでは転用ですが、転用できるような条件をつくらないで、転用できるような条件を阻害するような方向を非常に強くとっていて、そして反面では転用しろというのは、これはおかしいと思うわけです。  事例を示すならば、農業用水で、たとえば現在五トン用水を取っている。しかし、これをある種の維持管理をするならば三トンに減量できる。しかし減量するのにはそれだけの施設なり労力なりが必要なわけです。そういうものに対する手当ては考えないで、これを三トンにしろといったって、これはするわけがないわけです。水利権に対しての主権はやはり農民側にあるわけですから、そういうことはないわけです。だから、方向としては私はそういう裏づけを法制的にもつくる必要があるんじゃないだろうか、こういうふうに考えます。非常に簡単ですが……。

八幡敏雄東京大学教授

○八幡参考人 特に農民の立場から水利権をどういうふうに考えるかという御質問ですが、佐藤先生のような専門的な知識はございません。したがって、あまりつけ加えることはございませんが、農民の立場からいいますと、これは申すまでもないことですが、土地と水と空気及び熱、太陽の光は、農業生産の上の欠くことのできない必須の生産手段でありまして、それぞれにはっきりした権利の主張ができるような形を保障されているというのが、これが基本的な要請であろうと思います。土地につきましてはもう多くの権利設定ができているわけでありますが、水はちょうど空気と土地の中間のようなものでありまして、必ずしも十分の権利が設定されていないように思われます。将来は、草地農業なんかではだんだん空気の問題までいまに問題になってくるかと思いますけれども、さしあたっては水につきましてもう少し権利が明確にされている必要があると思います。  それからいまのお話にも出ましたが、水と申しますと、水利権の中の水というのはとかく物理的な量、全体のマスあるいはその流量、そういうようなものとしていままで考えられているわけでございますけれども、農業の水は、ある何トンというような水がただ貯水池あるいはその川に保証されているというそういうことだけではなくて、必要な時期に必要なものが、しかも必要な質、つまり水質及び水温、そういうものまでが水というものの内容でありますので、水利権といった場合の水の内容は、まさにそういうものでなければならない、そういうふうに思います。  農民の立場から考えまして、そういうふうに考えます。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 鷲尾さんに少しくお伺いしたいのですが、先ほど来、これは直接事業推進のいわば基幹部隊という立場もございまして、各条項にわたって御意見の開陳がございましたが、全国土地改良事業団体連合会の土地改良法の改正に対する詳細な意見資料というのを私どもも承知しておるわけですけれども、そういう中では、たとえば農道法の制定問題であるとか、あるいはまた、いま両先生にお伺いしましたが、慣行水利権の法制化の問題だとか、あるいは、先ほどもちょっと触れられましたけれども、土地改良施設等の維持管理の費用を国、県等がそれを持つというふうなことをもう少し法的に措置すべきだというふうなことも含めて、いろいろ詳細な意見の開陳の資料を私ども承知しておるわけですが、ただ、この機会に、今後の非常に困難な農業情勢の中で農業基盤の整備というのは積極的に進めていかなければならぬ。これは国際競争力を付与するという点と、やはり農業近代化とか、いろいろな面でそれをやっていかなければならぬと思うのですが、そういう面では、公共性のきわめて強い土地改良団体の体制整備ということも、これは十分必要なことでありますし、その場合に、従来から全国土地改良事業団体連合会では、いわゆる団体側の運営費とかあるいは人件費というふうなものについても、きちっとした明確な財政援助をやってもらいたい。そこで、土地改良区から、県段階、全国段階を通じて事務運営費あるいは人件費というものは大体どれぐらいの規模になる、あるいはそういうものに対していわゆる政府の財政援助としてはどれぐらいのものを最小限やってもらいたい、こういうふうな点もおそらく団体内部では意見がまとまっておるのじゃないかと思いますので、そういう点を含めて、ひとつお答えを願いたいと思います。

鷲尾貞一全国土地改良事業団体連合会前理事

○鷲尾参考人 ただいま土地改良区、土地改良連合を含めての事務費、人件費の助成の問題についての御質問でございます。  御承知かと思いますが、私ども三年ぐらい前でございましたか、ぜひとも私どものやっておる仕事の公共性をお認めいただきたい、そしてまた日本農政の中の土地改良区の、土地改良事業のほんとうの意味の推進をやっておる母体であるというような観点から一部お願いを申し上げ、あるいはまた採択、御審議をいただいた段階もあるのでございます。ただ、残念なことには、全国一万二千の土地改良区がございますが、実質的に〇・五人の職員しかいないという——これは極端な例でございますが、役場の事務員が兼ねておるというような土地改良区、弱小といいますか、小さい土地改良区等も相当数あります。そのために、なかなか一律的にその問題を把握して、事務費、人件費という形での支出が困難であるというようなことで、皆さま方からの御協力を得まして、事業費にプラスする形での御助成の道を開いていただいておるわけでございます。  ただ、私は、先ほど申し上げましたように、総額的の金額等については、詳細手元にいま資料がございませんのでお述べ申し上げられませんが、感じとしまして、これからの農業の土地改良は、きわめて沈滞ムードの中で将来相当の額の自己負担をやって、なおかつ農業の基盤である土地改良事業を推し進めていくだけの気力がほんとうに残っておるだろうか。あるいはまた、私ども現在圃場整備等を相当積極的に進めるべきだということで、内部に入りましてある程度の話し合いは進めましても、なかなか自己負担の問題等のかね合いで、ついてこれないというのが現状でございます。そんな中で、私どもはできるだけこの事業費とかね合いの形でも事務費等のめんどうを見ていただくような組織、あるいはまた、極論といいますか、ほんとうはでき得ましたら、私はやはり農業委員会なり共済組合と同じような形での、先ほど申し上げました土地改良連合会というような母体を主体とした広域的な形での機関を、公的な機関の形でもいいと思いますから、実施していただいて、今後の土地改良事業を進めるような、いわゆる機構的な組織の確立をぜひお願いしたい、また望みたいという気持ちでございます。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 きょうは午後本会議の開会予定もありまして、せっかく参考人がおいででありますが、他の同僚諸君の質問の予定がありますので、私もまだ幾つかの点をお伺いしたいのでありますが、この程度で私の質問を終わります。

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長代理 瀬野栄次郎君。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 佐藤参考人、八幡参考人、鷲尾参考人、たいへん忙しいところきょうは貴重な御意見を承りましてたいへんありがとうございました。  若干時間をいただきまして、今後の審議に関しましてぜひお聞きしたい点をお尋ねいたしたいと思います。  まず、佐藤参考人にお伺いいたしたいのでございますが、先ほど佐藤参考人の供述の中で、農業用水は地域用水として考えないと国の将来の方向を誤る、こういう趣旨がありまして、パイプラインの話等がございました。地域的に効果をもたらすものである、こういったことの開陳がございましたが、このことについてもう少し具体的に、簡潔にひとつお答えをいただきたいと思います。

佐藤俊朗東京農業大学助教授

○佐藤参考人 農業用水は、古くから地域と密着しているということが農業用水の特質なんです。そうしますと、地域と産業が分離したような形、つまり農業を除いたほかの産業は、概して属地的といっても非常に限定された形で進められるわけです。ところが、農業の場合には水系主義的な属地的内容を持つわけで、この意味において私は地域用水ということを考えているわけです。  それでは、地域用水として農業用水が農業外に、農業という個人経営外に果たしている効果、機能はどういうものがあるかということになるわけです。先ほども洪水調節機能については申しましたが、さらに地下水涵養というようなことを考えてみますと、水田にあれだけの湛水をするからこそ地下水はかなり涵養されているわけです。日本のような急峻な地形の状態で、こういう機構がなければ地下水は非常に少なくなるのだろうと思うのです。たとえばわれわれ小学校のころから、日本は水が非常に豊富なんだというようなことを言われてきましたが、昭和十年前後になりますと、白い石炭だとかいわれて、水力発電、これが非常に日本の象徴であったわけです。火力によらない、高いところから水を落とすことによって、これは日本の地形と密着しているわけですが、発電することができる。ところが、もう一つ進んで考えてみますと、アメリカなどに比べると、日本の水は非常に少ないわけです。それはアメリカに比べれば確かに雨量は多いわけです。しかし、それは大部分が使えない水になる。急峻な川を流れて海にすぐ放出されてしまう。つまり、雨量が多いということとそれから利用可能な水が多いということは全く別な問題なんです。アメリカのように非常に平たんなところでは、雨量が少なくとも、それが緩慢な流れで地下水という形で地下に貯蔵されるわけです。これをくみ上げて使うということが水利用上非常に有利になるわけです。日本の場合はそういう条件がない。しかし、それをかなり補強しているのが水田であると思います。  それから、いまはなくなりましたが、これは昭和の十年、利根川筋などでも昭和の六、七年までは舟運がかなり農業用水を使っております。それから、先ほど私は話の中に入れなかったのですが、パイプラインをした、つまり地下かんがいをするような次元になると非常に妙な現象が起きるわけです。それは地表を流れている川は汚濁で非常にきたない水である、そして地下に埋設された農業用水はきれいな水が流れている。これは地域の景観上きわめて問題になると思います。われわれがこの国で川だとか水だとかいうものを無視して自然を論ずるということはほとんどできないだろうと思いますが、そういうことでやはりその近代化の一つがあらわれている。しかし、これは農業側からの何としても自己防衛的なものがなければ、農業自体が経営できないということになりますと、あえてそれもやらなければならないということになるのだろうと思います。  このほか地域にプラスするものが多々あるわけです。たとえば、だんだん減ってはおりますが、生活用水として、クリーク地帯などを歩いてみますと、以前はクリークの水を飲料水にも使っていた、あるいは洗たくにも使うということ、ふろ水にも使う。つまり生活用水としての一面がある。そういうものを踏まえないでかんがい用水——これは現在の河川法では農業用水というような表現をカットしてしまって、機能オンリーのかんがい用水というようなことにしております。これは非常に間違ったことをやったと思うのですが、農業用水は、そういう用水としての機能が非常に高く作用するにもかかわらず、それは農業が地域に密着している、属地的な性格を持つということからゆえんするわけですが、それを忘れた法律にしても、そういう近代法を私はやはり改めなければならないのじゃないだろうかと思うわけです。  話すというと、これは非常にたくさんあるわけですが、これくらいにしておきます。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 佐藤さん個人にいまの件で、この機会にもう一点お伺いしておきますが、ここでやっていても論議すると相当時間がかかると思うのですけれども、昭和四十五年の一月でしたか、農林省が農業水利問題研究会を発足させまして、都市化過程における農業水利中間報告というものを出しております。その中で、用水路の管路化ということをうたっているわけですね。いわゆる先生のおっしゃるパイプラインのことだと思うのです。いまいろいろるる説明がございましたが、確かにパイプライン、管路化をやると用水が減水しないということで、水利用が十分果たされることは当然ですけれども、実際にこういうことをしますと、いま先生から御指摘ありましたが、現在の日本の自然の水というのがいまのような状態であるがゆえに、地下水を保ち、地盤沈下がしないということで、自然というものは実にうまくできている、こう思うわけです。それを生産調整その他から、単に農業用水が余っているから他のほうへすぐこれをよこせ。もちろん余っているものは回してけっこうだと思うのですけれども、一がいにはそう言えない点もあるわけです。先生のいまの説明から伺いますと、結局、場所によってはパイプラインも必要であるし、また一がいにそう言えない。やはり自然はいまのような状態を保つということも当然必要であるというふうにもいろいろ聞こえるのですけれども、地域によっては、場所によっては必要でもあるし、また現在のまま用水というのは確保していくべきである、こういうふうにも思うのですが、その点、明確にひとつ、簡潔でけっこうでございますので、お考えをお示しいただければ、こう思うわけでございます。

佐藤俊朗東京農業大学助教授

○佐藤参考人 先ほどから申しておるわけですが、農業用水はそういう属地的な性格を持っている。そこにおいて農林省は、確かにいまお話しのように、農業水利問題研究会が水利用合理化の方向をそういう形で打ち出しているわけです。しかし、一がいに、これはそのままを標榜するというのは非常に危険がある、危険性を伴うというふうに私は考えるわけです。  なぜかというと、これは今度のこの法案の中にも入っておりますが、これは私は非常にすぐれた考えだと思うわけですが、ほかの雑用水あるいは排水が農業用水内に入る場合の規制条件が設けられている。これは非常に当然といえば当然なんですが、水質を農業側が防御する意味でたいへんに高く評価してもいいと思うのです。ところが、農業用水は、これは農村を歩いてみると、どこでもそうですが、ほかの用水の排水、余水をキャッチしてその地区の用水にしている、あるいは用水でなくても、自然の河川をそのまま使って用水にしているというところが非常にたくさんあるわけです。卑近な例であるというと、たとえば日本の代表的な用水路である見沼代用水路であるとか葛西用水路——現在直しましたが、この機構などは、見沼代用水路の余排水、つまり見沼代用水路が一回使った水をほとんど全量葛西用水は引き受けて、そして葛西用水の用水源にする。木曽川筋でも木津用水という用水がありますが、これと宮田用水なんという代用水があるわけですが、この関係が同じです。そうしますと、当然にその地区の余排水が下流地区の用水源になるわけですから、これを何らかの意味で処理しない限りにおいては、その下流地区は水質汚濁に困るわけです。自然の河川を利用するわけですから、そこには工場の排水だとか都市の下水だとか、無条件に入ってきます。これは困るというので管路化ができるわけです。  しかし、パイプライン方式というか管路化というか、これも全部そうした場合に、そういう一水系全部そういう形でなくて、断片的に使っているところが多いわけです。自然河川を用水路に使ったり、あるいは他の用水路との有機的な結びつきというのは、全流域でなくて、局部的なものがかなり含まれる。そうすると、管路にした場合に、農業用水側が非常に自己中心の防備をするわけですが、そうした場合に、その排水部門、つまり現在無意識かあるいは認めているか認めていないかは別ですが、そこに流し込んでいた都市下水や工場排水を一体どういうふうに処理するのか、こういうことになります。そういうことも考えますと、地区によっては、そういうことがないところでは、パイプラインを敷設することによって非常に合理的な農業用水、あるいは都市側にとってもそう問題にならないことがあるわけですが、そういうところになってきますと、非常に困ってくる。  それから、これは方々で聞くわけですが、パイプラインにするような場合は、これはやはり都市化の進んだところになるわけです。三年使うのかあるいは五年使うのか、一年で終わってしまうかわからないところに、農民側が巨額な投資をしてパイプラインにするというようなことは、これは農民側から反対が出るのはあたりまえです。そうすると、パイプラインを敷設するのはかなり長期間、少なくとも十年や十五年は利用できるような地帯でなければならないということになるわけです。しかし、そういうところは比較的都市化がおくれるというか、後進的というか、そういうところになりますから、そういうところはむしろパイプラインよりも、その排水側の条件を整備しなければならないだろう。つまり、用水路と排水路、自然河川が複合している地帯なんです。  だから、私は全般的に言うわけにはいきませんが、これは地域に適合したような形で選ぶべきであって、近代化というのは、あるいは合理化というのはパイプライン方式なんだというようなことでやるというのは非常に誤りがあるのじゃないだろうか、こういうふうに考えているわけです。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 次に、八幡参考人にちょっとお伺いいたします。  八幡参考人は先ほどいろいろ述べられましたが、その中に、今回の土地改良法はしょせんは内部の対症療法である、希望を持たせることが大事である、明るい展望の中で位置づけることが真の改正案である、こういった趣旨のことを申されまして、土地改良の今回の改正案にはおおむね評価できる、しかし、自分のところによくたずねてくる学生とか、たくさんの関係者の意見を聞くと、そらぞらしいものがある、あすへの希望がないと内容的には失なわれてしまうという意味のことを言われまして、われわれもいろいろ想像にかたくないのですが、この機会に、先生のおそばでいろいろとそういった話が出てくる問題で、特にこういった問題が話に出ているということをお示しいただくと参考になると思いますのですが、簡単に要点だけでけっこうでございますので、お願いしたいと思います。

八幡敏雄東京大学教授

○八幡参考人 私が先ほど申し上げましたのは、法がいかに文面の上できれいに整備されても、やはりその法を活用し、自分の生産を伸ばすというそういう農民の側に立ちますと、ほんとうに希望がなければ、組合の総会に行って手をあげるにしても何にしても、非常に投げやりと申しますか、そういうような人もかなり実際には出てきつつあるわけで、そういうことでは、せっかく苦心してつくり上げる改正案も、その改正案のワクの中で検討すれば確かに前進ではあるけれども、しかし、それでは、この法律に限りませんけれども、農民を守るはずの法律が真に守り得ないのではないか、そういうことを申し上げましたわけです。  具体的なことを申すわけでございますか。——私ども身の回りの者が実際に農村に行ってまいりまして、いろいろな若い人たちと討論して帰ってきたりなんかしたときに、そういう話を非常によく聞くわけでございます。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 時間もあれですから、最後に鷲尾参考人にお尋ねをいたします。時間が詰まってまいりましたので、若干問題を言いまして、失礼ですが、簡単にお答えいただきたいと思います。  土地改良の新規開田については、四十四年度から抑制されまして、今後土地改良の中心というものが営農近代化に沿ったところの既存水田の圃場整備だとか、かん排施設、こういったことで限られたものになる。すなわち水田に対する土地改良のあり方というものが、拡張でなく、いままでの条件整備、こういうようなことに考えられるというようなことで、米の生産調整、稲作転換対策といかに今後調整していくかということが、今後問題になるわけでございますが、これに対して専門的立場でいろいろいままで連合会の理事をされ、今回新潟県の会長もされておられる鷲尾参考人からお伺いしたい。  それともう一つは、将来の問題としまして、土地改良の施設の維持管理だとか、土地改良区の運営、農業水利権といったような問題がかなり残されておるわけです。こういったものに対して見解の一端をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。

鷲尾貞一全国土地改良事業団体連合会前理事

○鷲尾参考人 ただいまお話のありました、いわゆる限定された中での土地改良を進める、いわゆるいまおっしゃる中ではおそらく将来の開拓とか、いろいろな問題をお考えでの御発言かと思います。現在行なわれます米の問題との関連で、現行の中で抑制されておるわけでございますが、私ども農民側の立場から言いますと、やはりこの問題は、生産調整の問題と別個に、自然の条件を生かすような形で積極的に取り組んでいただきたいという考えを持っております。  それから、土地改良区の運営の問題でございますが、私どもいま生産調整等の問題からきわめて財政的に逼迫するような状態を迎えつつある。現段階ではまだそこまでは行っておりませんが、現実の姿としては、そういう逼迫した条件がひしひしと迫ってきておる感じでございます。それよりも私ども土地改良区あるいは土地改良連合というものが果たしておる役割りというものからして、先ほどから水あるいは基盤整備というものがきわめて公共性の高い性格を持つ事業がその中に含まれておるという観点からして、できるだけ私どもの機構というものに対する公共性の認識を一そう強めていただいて、助成措置をいただきたいというのが私どもの主張でございます。

瀬野栄次郎公明党

○瀬野委員 ありがとうございました。

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長代理 長谷部七郎君。

長谷部七郎日本社会党

○長谷部委員 先ほど来御三人の先生方からたいへん貴重な御意見を伺ったわけでありますが、時間がありますといろいろお尋ねしたい点もあるわけでありますけれども、限られた時間でございますから、私は二点にしぼって土地改良事業団体連合会の鷲尾先生にひとつお尋ねをしたい。  その問題は農民負担の軽減の問題でございます。  先ほどのお話の中にも土地改良事業の公共性を強調されまして、農民負担を軽減するためには国の補助率を引き上げていく方向で願いたい、さらには、今回県、市町村では基幹事業については県会あるいは市町村議会の議決を経て基幹事業が行なわれることになるわけでありますが、その際、県、市町村、いわゆる自治体においても応分の財政負担をできるようにしてもらいたい、それがためには起債のワクをふやしていただくと同時に、その起債の償還金については地方交付税で補てんをする、こういうような制度をひとつ新たに考えるべきではないか、こういう御意見があったと思うのであります。私もこの点につきましては全く同感でございます。したがって、この補助率の引き上げあるいは都道府県、市町村の財政負担のめどというものを、どこら辺に置かれて現在団体として運動を展開されておられるのか、この点をまずひとつ承りたい。  それから、私も末端の土地改良区の理事長としていま非常に苦慮しておりますることは、昭和四十五年から実は米の生産調整が実施をされておる。五十年までこれが継続をされる。非常に農家の経済は行き詰まっておるわけであります。それがために賦課金の徴収、これにいま非常に苦慮しておるのが実態であります。したがって、私の願いは、農民の願いは、せめてこの生産調整期間中は土地改良資金の償還金について延納を認めていただく、こういうような措置をきわめて強く要望されておるのが実態であります。同時に、こういう農村経済の行き詰まり、疲弊から生産調整が解除された昭和五十一年以降における土地改良事業に対する農民の意欲というものがはたして出てくるのかどうか、こういうことについてもきわめていま心配されておる、こういう状態であります。したがって、この二点につきまして、一体団体としては、どういう考え方で対処されておられるのか。これは、われわれも地方へ帰りまして、団体の上部はこういう考え方でやっておるんだということについても説明をする必要もございますので、この機会にひとつ明確にしていただきたい。

鷲尾貞一全国土地改良事業団体連合会前理事

○鷲尾参考人 最初にお断わりいたしますが、団体の上部の考えということよりも、私自身の私見もまじっておりますので……。ただ、先ほどの地方財政の援助措置の問題でございますが、端的に申し上げますと、先ほど私の実際の土地改良区の実情を申し上げたわけでございますが、当然負担すべきであるというふうに自治体の執行部あるいは議会も承知しておりながら、現在それを出した場合に、自己財源での出費になるというのが現在の状況でございます。何らあと交付金とか起債の対象にならないというのが自治体の苦しい立場だと思います。ことに財政的に非常に逼迫しております関係上、理詰めで詰めていって、当然この分は、このくらいのものは出すべきだということはわかっておりながら、自分の自治体の財政需要の状況からして出せないというのが、私どもとの間で非常に煮詰める段階に困った状態だと思うわけでございます。それで、いわゆる正式の議会の議決を経て、そうして正式の公的な立場での出費がなされたものに対しては、現在とられております災害復旧とか防災とか湛防とかいうような、起債対象にするとかあるいは特別交付金対象にするとかという形でのいわゆる自治体助成の道をぜひこの機会に開いていただく、そのことが農民負担の軽減につながるのだというふうな率直な私どもの考えを持っております。ぜひともこれは実現していただきたいというふうに考えております。  それからいま、生産調整等にからみまして、土地改良区の賦課徴収に非常に困難な状態にございます。これはいまお話がありましたように、ほんとうにその立場に立ってみないとわからないのでございますが、私ども自身は非常な苦しみを持っておるわけでございます。  御承知のように、できるならばその期間中だけでも延納の措置がとられてしかるべきだと思いますが、もっと基本的な問題としましては、私ども、この金利の問題それから償還期限の問題、それらをこの非常事態を迎えた農村の実情からしましてきわめて大幅にいろいろな面で手厚い——生産調整あるいはそれらの国の需要にからむ施策とあわせてうらはらで手厚い保護をされることが、私ども農民に対する安心といいますか、将来への希望をつなげる唯一の道ではないかというふうに考えているわけでございます。

長谷部七郎日本社会党

○長谷部委員 ただいまお話がございました市町村の財政負担の問題について、あるいは生産調整に伴う償還金の延納もしくはその金利の軽減あるいは償還期限の延長というような問題については、全くわれわれも同感でございますので、何とかひとつ団体側からもこの点は強力に政府に対して働きかけを願うようにしていただきたい。われわれはもちろんやりますけれども、ぜひひとつお願いをいたしておきたい、こういうぐあいに考えます。  それからもう一つは、今度土地改良の基幹的事業については都道府県議会や市町村議会の同意があれば実行できるわけでありますけれども、その基幹事業が完成した暁に、今度はいわゆる団体営という事業ができてくるわけであります。その場合に問題になるのは、その基幹事業を推進する場合に、関係団体営の受益者の三分の二の同意を経なくとも基幹事業は推進できるというシステムになるわけであります。これは関係受益農民を無視した形で行なわれる危険性が私は内在をしておると思います。そういう意味で、ひとつ団体としてこういう点をいかに防止するかについて御見解がありましたならば、承わっておきたいと思うわけであります。

鷲尾貞一全国土地改良事業団体連合会前理事

○鷲尾参考人 私が先ほどの意見でも申し上げましたとおりでございますが、あの改正法案を読みますと、当初から関係地区の農民がわかっておる場合には同意をとる趣旨になっておると思います。ただ、行なう基幹事業を三条資格者のどの範囲の者に及ぼすかということが不明確の場合に、いわゆるそれらの同意を得ずにやるという法律になっておると思います。私もその点は非常に不安を持っております。あるいは関係土地改良区の意見を聞くというふうになっておりますが、土地改良区のない地区もあり得ると思います。そんな意味で、ぜひともこの問題については私ども非常な重大な関心を持ち、またいかに基幹的な公共性の強い事業といえども、最後にはそれらの負担も、場合によれば、負わなければならない立場に置かれる三条資格者であるかもしれない。その点がありますので、ぜひともそれらの点の運用については十分の措置を講じて施行されるということが望ましいし、また私は強くその点は希望をするわけでございます。

長谷部七郎日本社会党

○長谷部委員 終わります。

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長代理 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  次回は、明後十三日、木曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時三十分散会

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