内閣委員会 第30号
- 発言数
- 297 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1972/06/02
会議録
○伊能委員長 これより会議を開きます。 恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 他に御質疑もないようでありますので、議案に対する質疑はこれにて終了いたしました。 —————————————
○伊能委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。 恩給法等の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○伊能委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○伊能委員長 この際、加藤陽三君外三名より、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者より趣旨の説明を求めます。加藤陽三君。
○加藤(陽)委員 だだいま議題となりました自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、四党共同提案にかかる附帯決議案につきまして、提案者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。 まず、案文を朗読いたします。 恩給法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項についてすみやかに善処するよう要望する。 一 恩給法第二条ノ二の規定について、その制定の趣旨にかんがみ、国家公務員の給与にスライドするようその制度化を図ること。 一 旧軍人に対する一時恩給に関しては、引き続く実在職年が三年以上七年未満の兵に対しても、前向きの検討を加えること。 右決議する。 本案の趣旨につきましては、先般来の当委員会における同僚議員の質疑を通じて、すでに明らかになっておることと存じます。 よろしく御賛成をお願い申し上げます。
○伊能委員長 採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○伊能委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。 この際、山中総務長官から発言を求められておりますので、これを許します。山中総務長官。
○山中国務大臣 政府は、ただいま決議されました附帯決議の趣旨を、十分尊重して検討してまいりたいと思います。 —————————————
○伊能委員長 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊能委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○伊能委員長 許可、認可等の整理に関する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、これを許します。大出俊君。
○大出委員 この第一条ですが、これはまたどういうことになるのですか。
○小林(寧)政府委員 第一条は、近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律の一部改正でございます。これは工業団地造成事業を施行すべき土地の区域内の不動産の登記について、手続の簡素化のための不動産登記法の特例を定め、登記事務を簡素合理化しよう、こういう趣旨のものでございます。
○大出委員 そういうのがどうもすっきりせぬわけです。これは、近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律という、だいぶややこしい法律なんですが、これはこの法律をつくるときに忘れちゃったんですよ。忘れちゃったから、たとえば長田野なら長田野の工業団地をつくるという場合に、一つ一つ、所有権に基づいて抹消するなり実測するなり登記をするなりやっていたら、二、三年かかってしまった。ほかにもこの種の、議員さんが集まって超党派的みたいな法律がありますけれども、これはみんなもとの法律に入っている。ところが、この法律はどういうわけか忘れちゃった。忘れちゃったのを、きわめて便宜的に、許認可事務の整理法の一番最初にぽんと入れてくるというふざけた話はない。これは当然もとの法律を改正すべきです。 これは、ここに書いてあるように、許認可等の整理。何で出てきたかといえば、臨時行政調査会の臨調答申で、数をあげて整理すべきであると言った。それを整理法の形で整理さしていだたきたいということを総理府は冒頭に申し述べて、この形をとるようになった。臨調答申という筋がはっきりしているのに、それを近畿圏に関する法律というえらい長い法律をつくるときに、それ一本入れそこなったからというので、許認可等の整理の一番先にぽんと入れておくという、そういう筋違いなことがあるか。あなたは幾らそうおっしゃったって、この法律ができたときは私は知っている。皆さんがしまったと言っている。しまったと言っているものを、許認可の整理の中に入れてくるというばかなことはない。しまったと言うならば、当然この法律を改正すべきだと思う。そういう便宜的措置を行管がおやりになるから、行政管理庁はろくでないというのです。いかがでございますか。
○小林(寧)政府委員 ただいま先生の御指摘の点、二点あると思います。 第一点は、近畿圏について当初からなぜ特例を書かなかったかという問題でございます。首都圏の場合にも、四十年にその必要性を感じて、不動産の登記の簡素化をはかったわけでございます。近畿圏につきましても、当然当初から考えればよかったわけでありますが、しかし、その後において工業団地造成事業が活発に行なわれるようになり、現在四カ所で施行中であります。そのうちの一部は、すでに造成が終わっております土地を分譲する段階にあるので、この措置が必要になってきたわけであります。 第二点の、当然この問題は近畿圏の関係法律で措置すべきであるという点も、一応はそうは考えられますが、しかし、これは登記事務を簡素化するという観点から、登記の事務の簡素化として、従来もこうしたような特例がありますのでここに入れた、こういうことでございます。
○大出委員 本来ならば実はそう簡単に私は納得しない。うんと申し上げないのです。なぜならば、あなたはそうおっしゃるけれども、いま書いてあるノートをお読みになって説明されていましたが、まあ笑っておられるからそれでいいのですが、関係の方々がお見えになりまして、この法律をつくるにあたって、わかっておったことたいへんなミスをしました、だから筋が通らぬことになっていて、大出さん、あなたに聞かれると困るから、言わぬでくれと正直言って頼まれました。だから筋は通りませんが、そう意地悪く引っぱるわけではありません。率直に、いや実はこうだとおっしゃると思って聞いたのですが、それなりの理屈をつけようとなさるから、私もものを言いたくなったということで、先々のこともありますので。何か行政管理庁が出す整理法なら整理法というものが、法律が立案過程においてミスったといわれているものを、便法的にぽっと入れるとか、そういうことはなるべくお避け願いたい、こう思っているのですよ。やはり純粋に臨調答申を受けて始めたことですから、その趣旨に基づいて整理法は出していただく。 昨年のように、実体法に類するもの、国民生活にたいへん関係のあるものを数々お入れになっている例もあって、行政管理庁で御答弁いただけますかと言ったら、だいじょうぶですとおっしゃるから質問を始めたら、いや運輸省に聞いてくれとおっしゃる。運輸省の事務当局がおいでになって聞いてみたら、いや大臣に聞いてくれと言う。しようがないから橋本大臣にお見えいただいて質問をして、大臣依命で通達をお出しになって、歯どめをして、やっとこさっとこ片づけたという例もある。だから私は、そういう行き方というものは邪道だろうと思っているのですよ。やはり国会の審議の権威にもかかわりますから、一言だけ申し上げておこうと思って取り上げたというわけであります。深くはものは申しません。実際に動いている工業団地などの登記に困るのですから。そういう意味で、今回はいたし方ないと思いますが、ぜひ一つその点は将来に向かっては御検討おきいただきたい。これはお願いでございます。 ところで、時間がございませんので、中に七つ八つ実はどうしてもこのままじゃ困ると思うものもありますけれども、それはこの際時間の関係がございますので省略をさせていただきまして、ひとつ承っておきたいことがございます。 それは、行政管理庁が、三十九年の五月という時点でございますが、税務行政の監察をなさっておられるわけであります。ここに数々監察した結果としてあげておられますけれども、たとえば納税者の声の税務行政面への反映というようなことが載っておる。ここらの問題等が、その後どういうふうに具体化されて、機構、制度の面で生かされたかという追跡調査をおやりになったのですか。
○小林(寧)政府委員 四十年の二月に税務行政で監督いたしました。御指摘のとおり、税務行政の民主化という問題は非常に重要でありますので、詳細にわたって監督したわけであります。 回答といたしましては、やはり近づきやすい税務署にするということで、今後は共同納税相談、匿名相談を実施する、小企業者への税務指導、応接施設の改善等の方法を行なう、また税務署のサービスの充実をやる、こういうような点がございました。そして、私のほうの行政相談機能と常に連携をとって、巡回相談、あるいは行政相談委員、あるいは行管の地元の監察局と連携をとり、税務行政についてはその後においては絶えず接触しておりますが、しかし、再度現在まで監察は行なわれておりません。
○大出委員 いま、中小零細企業、特に商店などの納税目なんで、ずいぶんたくさんの町の方々の対税務署という声がある。あり過ぎるように私は思うのです。これは大蔵省の方にもお見えいただいておりますので、御両所から承りたいのでありますけれども、時間がありませんから、例を具体的にあげて承ります。 私のおりますところが横浜でございますので、はしけ回漕の業務をやっている方々がたくさんある。さて、下請企業ではしけを十三ぱい持っている。第一田中丸なら第一田中丸から始まりまして第十三田中丸まである。大小おのおの十三冊ございまして経理が行なわれている。ところが、税務署が調査をいたしましたら、第十三番目の田中丸という船がない。いろいろ調べてみたけれども、つくった形跡もない。実際に調べてみたら船は十二隻で一隻はない。ないのに一体何で帳簿面にあるのかというので、この第十三田中丸というのを調べてみると、そこにはやれ燃料費であるとか、やれ労賃であるとかいう形で落ちている。そこでこれは明らかにごまかしである、だから三年さかのぼって税金をとるんだということになる。調査が進んでまいります過程で明らかになってまいりましたのは、しからばそこで約五百万ばかりの金が税務署から更正決定をされるという筋になってきたわけでありますけれども、ほんとうにその金が田中という回漕店に収入として、利益として入っているのかというと、そうじゃない。 この業界の慣習がございまして、たとえば横浜には、元請の藤木組とか、原田港湾機械とか、第 一船舶とか、東洋船舶とか、たくさんあります。そういうところから下請へ仕事をもらうのには、その元請の営業面の係長なら係長から、おまえのほうにいい仕事をやるからと言われると、三十万なり五十万なりのつかみ金を持っていって現ナマで渡す。それをやらなければ仕事をくれない。だから現ナマで渡して仕事をもらってくる。ところが、現ナマで渡したその金については落とす場所がない。落とす場所がないから、架空の船名で帳簿をこしらえて、そこの労賃なり燃料費なりというので落としている。たまたまそれが見つかった、こういうわけです。 そうすると、握って現ナマで渡しているのですから、その会社の収入には入っていない。最初は税務署はしからば何と言うかというと、さんざんおどかしたあげくのはてに、あなたほんとうのことを言いなさい、何年何月どこに幾らやって、どこに幾らやったか、相手の名前をみな言いなさい。そうすれば相手の人のふところに入っているのだから、そっちが過少申告なんだ、そっちから税金を取ります、こういうことになる。ところが、さてその会社の社長も専務も、一言何のだれ兵衛に何月何日、これこれの金をやりましたと言ったが最後、村八分になって一ぺんに一切の下請稼業ができなくなる。なぜなら、仕事の発注がとまってしまうからです。死んだって、口がさけたって言えない。しかし、その会社の収入になっていないことだけは税務署側にだってわかっている。わかっているけれども、その会社から税金を取ろうとする、更正決定をしようとする、こういうわけです。 そうすると、その会社のもうけていないものを、行った先は別にあるのに、それが言えないという商慣習がある中で、税務署の立場ではこの問題を一体どう考えるのか。古くて新しい問題だと言ってすましていられない。これは単なる一例だけれども、この種のことは山のようにある。末端の零細企業というのはそれぞれそのつらさがあるのです。そこをとことんまでおっかぶせて税金を取ってしまう。会社の社長、社員含めてまさにくやし涙にくれるのだけれども、会社はつぶれる。しかし、それでも言わないで、また借金をして、逆にその業界仲間では、おまえはえらい、最後までわれわれの名前を答えなかった、では仕事をやろうということになって、また仕事をもらって細細と立て直す。この中心に税務署がある。税務署はその中身を知り過ぎている。そうなると、こういうものを一体いつまでほうっておけばいいのか。どこかでだれかが救済しなければならぬ筋合いです。納税者をもっと保護しなければならぬ筋合いです。私はそう思うわけであります。この辺について、具体的にいま例をあげたのですが、何百何十何万と言ったってしようがないからわかりやすく申し上げたが、大蔵省、どうお考えになりますか。
○江口説明員 いま先生御指摘の点は、リベートあるいは交際費という形で、われわれの仕事の上でしばしば問題となりやすいものでございます。ただ、これは理屈だけを申し上げて恐縮なんでございますが、税法上は、使途が不明であるといった場合にはこれを認めるわけにはいかない。まして、経理上不正な処理がされておれば、やはり事実関係を追及せざるを得ないという立場をとらざるを得ないわけでございます。 ただ、先生御指摘のとおり、社会の経済的な取引につきましては、いま御指摘のようなことがあるということは、われわれも重々わかっておるわけでございますが、しからば、それをよしとした場合に、それに籍口して脱漏が行なわれるということは、査察等でも実績がつかまれておるわけでございます。したがって、第一段階としましては、きわめて酷な調査ということにはなりましょうけれども、相手先、使途先を明らかにしてくれということをお願いするわけでございますが、現実の問題としては、取引がストップになるおそれがあるということで、大部分の方は、税金を負担するから内々にしてもらいたいというようなお話がある場合が多いわけでございます。しかし、現実的にわれわれが調査をいたしまして、明らかに社外流出があったということが確認されるような事態の起きた場合には、これを認めるにやぶさかではございません。その場合に、受け取り先のほうについての脱漏が見のがしになるという危険を伴うわけでございますが、ケース・バイ・ケースで、社外流出が明らかな場合には経費として認める。あるいはそれが交際費の範疇であれば、一定の限度をオーバーしたものについてだけ課税の処理をするといったような取り扱いをしておるわけでございます。 ただ、注意しなければいけませんのは、そうした状況の判断をいたしまして、明らかに社外流出が行なわれたからということによって、一種の裁量と申しましょうか、判断を加えて社外流出を認めたということになりますと、われわれの過去の経験によりますと、しばしばそれに籍口いたしまして、架空仕入れあるいは架空経費の計上ということが次の機会に行なわれるという危険性がございます。したがって、税務署としては、やはり血の通った職員でございますので、実情が推測される場合には情に流れるわけでございますけれども、一たんそれをゆるめますと、それが次の機会に明らかな脱漏という形で利用されるという経験がございますので、何年かをおきまして、この点については、特にこういう問題を意識した上で処理せよといったようなことを、会議その他でもって指示をしておるというのが現状でございます。
○大出委員 私がいまあげた例は実在する会社でございますが、別な名前でものを申し上げております。私も直接タッチをして、署長さんともいろいろ話してまいりましたから、結果的に納まった金額というものは知っておりますけれども、ただ、その追徴額というものは、明らかにその会社の収入でないものをその会社が負担をしたという結果なんです。税務署も百も承知です。署長も承知です。その会社の収入でないものを税金を払わされているという結果については、動かしがたい事実として存在をしている。そうすると、税法上、社外流出が明らかにならないから、あるいは言ってしまえば仕事もとまる商慣習であることを税務署は知っている。これは理屈はいろいろ言えても、現実の問題としては明らかに矛盾があるのですね。それに籍口して水増しをするだろうと言うが、それは先の話ですよ。いまここで片づくにあたっては、間違いなくよけい取られた、もうかってないのにそれだけのものを持っていかれたことになる。そのことを、泣く子と地頭には勝てぬというので、やむを得ませんと泣き寝入りさせておいていいかという問題です。 大企業の例をあげれば、租税特別措置法なんかがあって、やれ新しい工場をつくるからとか、あるいは在庫がふえたからといっていろいろな手を講じている。ところが、中小零細企業になればなるほど、そういった谷間の中で過酷な税金を取られていく。払うべきでない税金を取られていく。商慣習は厳として存在をしている。これが古くて新しい問題でわかっているんだとするならば、しからばそういうものを救済する必要がある。しかもたいへんな調査のしかたをする。こっぴどい話ですよ。しかし本人は会社がつぶれるのだから言えない。税務署はわかっているのです。そうするとこれは人権問題にまでなる。おやじさんがまさにノイローゼで、奥さんは寝込んでしまう。それでもなおかつあなた方は税金を取るのです。 そうすると、納税者の声をと言うのだが、一体納税者の声はどこに行くのですか。そうなると、これは古くて新しい問題では済まない。これは行政管理の面でいったら、制度的に一体税務署の徴税機構というものがどうあればこの種の問題を救済できるか。これは世の中にたくさんある問題です。問題は、そういう角度から監察をするということでないと意味がない。声が反映できるようにいたします、回答が来ましたなんと言ったって事は片づかない。時間がありませんから例示をするだけにいたしますが、私も自分で手がけましたからこまかい資料は一ぱい持っておりますけれども、これはたいへんな矛盾です。どこかで何かを考えなければ救済できない問題ですよ、制度的にも。単に租税不服審査請求だけで片づく問題ではない。 もう一つ例をあげますが、お菓子の小売り屋さんが、子供さんが二十円持ってチョコレートを買いにくる。森永、明治、不二屋、グリコなんという、名のあるメーカー物のチョコレートを置いておかなければ商売になりませんから、置いておく。それを売る。ところが、チョコレートの会社というのは、森永、明治、不二屋、グリコ、これが大手でございまして、その次が長崎屋という小さいのがありますが、これはもう中小です。そこから先は、三軒長屋の中でココアパウダーをいためて型に入れて駄菓子屋さんに出す。これが六十社ぐらいあるのです。ところが大手四社が圧倒的に大きなシェアを持っている。ここが建て値と称する値段をきめている。一体一個二十円売りのチョコレートの建て値は幾らかといいますと、ボール箱に入っていますから、一ボールというのですが、一ボールのボール箱には二十円のチョコレートが六十個入っている。その建て値が九百円です。これは久しく変わったことがない。公正取引委員会で問題にしなければならぬ性格のものです。六十個入っておって九百円ですから、逆算すればおわかりのように、二十円のチョコレートの原価は、仕入値段は十六円五十銭。だから三円五十銭もうかる。三円五十銭を利益率に直すと一割七分二厘です。ところが、税務署の徴税とらの巻なんと言ってはちょっと口が走り過ぎますが、税務署のほうは、二割三分から二割五分の税金を取っている。明らかに利益は一割七分二厘しかないのに、二割三分から二割五分の税金を取ろうとなさる。これは明らかな矛盾なんですね。 そうすると、個々のお菓子の小売り屋さんは、メーカー物のチョコレートを置いておかなければ客は来ないのだから置いておかざるを得ないが、売り上げの数を明確に正直に納税対象にしようとすれば、一個売るたびに損をするという結果が出てくる。ではなぜ一体そういうことをするのかというと、調べてみると中間の問屋さんがある。つまり、さっきのお話のリベートですよ。三分から一割二分にわたるリベートがある。公正取引委員会がお認めになっている。だから、一ボール買っても返還リベートは一銭もありませんけれども、百ボールなら百ボール買うと、つまり買った高に応じて、三分から一割二分のリベートが会社から返ってくる。それまで計算に入れれば、二割三分取っても二割五分取ってもおかしくない。だがしかし、中間の問屋さんは小売り店を百店舗握っているとすると、一ボールずつおろしても百ボール買える。そこでメーカーから入ってくる返還リベートは中間の問屋さんに入ってくる。問屋さんは何をやっているかというと、熱海なり湯河原なりに二カ月に一ぺんぐらい、御主人いらっしゃい、旅費だけでけっこうです、飲み食いなり何なりはこっちでそろえますからということで、女房行ってくるよと言って御主人は出かけていく。本来なら自分のとこへ入ってくるべき金で飲ましてもらって御主人は喜んで帰ってくる。そして売り上げのほうは一生懸命ごまかさなければ、このお菓子屋は成り立たない。これは明らかな矛盾なんすね。そうすると、一体そこらのところはどう考えたらいいかという問題が出てくる。いかがでございますか。
○江口説明員 いまの設例の場合に、一割七分二厘しか利益がない。これは荒利益ということになりましょうから、そのほかにいろいろな人件費、諸掛かりがあるわけでありますけれども、標準率というのは、それをそのまま適用するものではなくて、しばしば大蔵委員会その他でも御質問がありましたときに、われわれ調査の段階あるいは申告審理の段階での目安としてのものである。しかもこれはサンプル調査を毎年いたしまして、それの平均的なものでございますから、もちろんその上下にいろいろな納税層があるということはよく承知しておるわけでございます。 そこで、こうした矛盾をなくするために、現行の制度では青色申告制度というものを設けて、幸い現在のところ、営業主につきましては半数以上の方々が青色申告になられておりますし、最近四十年代になってから、われわれ申告納税制度がようやく定着したということばを部内で使うようになっておりますが、かりに比較するものとして予算の歳入を一応めどとして考えてみました場合に、九十数%が申告でもって、一応歳入を確保された姿が最近になってとられるようになってきたという事態がございまして、申告納税制度がようやく定着したという言い方をしておりますが、そのほかにも、そういう中にも、やはり申告審理をしてみますと、常識的に考えておかしいというような業種がございます。 ただ、われわれといたしましては、現在、たとえば所得税ですと約四百五十万の納税者がございます。法人では百十一万の法人がございます。税務職員はこれに対応いたしましてほとんどふえていないという実況でもございますし、また申告納税制度というものが定着したといえるような状況になっておりますので、最近におきましては、重点的に調査をする、重点的に不正ありとするもの、あるいは指導を要すると思われもの、これらについて、おおむね所得、法人を通じまして大体一五%前後の実調をいたしてございます。 昭和二十年代から三十年代の前半にかけましては三年一巡ということで、少なくともまだ申告納税制度というものについての理解あるいは了解というものが足りなかった時代には、なるべく更正期間の三年のうちに一回はおじゃまをしていろいろ御指導申し上げる、あるいは非違があればそれを指摘せざるを得ない、こういう体制をとっておりましたが、最近はそれがかなりの部分について必要がなくなったということで、実調率を下げてきております。たまたまわれわれが実調しておりますのは、問題ありとするものにしぼってやっておりますし、特に大きなものを重点的にいたしております。先生御指摘のとおりに、小さいものまでいろいろやかましくわれわれが仕事の上でやりますと、どうしてもやかましい日本語を使う立場になりまして、せっかくこちらは指導のつもりが、何かいじめられたという印象を受けられるおそれがございますので、できるだけ指導ということで、昨年も運営方針を直しまして、特に直接的な指導ではなしに、青色申告会なり、あるいは法人会なり、あるいは業種別組合等を通じまして、間接的な指導をしたほうがやわらかであろう、こんな形でもって現在進めつつあるわけでございます。 なお、標準率の適用につきましては、いまのような場合には、これは青色申告であれば当然そういう問題は起きないわけでございますが、白色の場合は荒利益から比較いたしましても標準率が非常にきついといったような場合にどうするかということにつきましては、これはいまのチョコレート屋さんの場合にはどういうことになっておるか、私、手元に資料がございませんのでつまびらかでございませんが、大体、できてしまったものについての販売形態については利益が薄いということが、これは常識でございます。 〔委員長退席、加藤(陽)委員長代理着席〕 したがって、いま先生御指摘のような二割何分というのは、一般的な標準率の場合をさすわけでございますが、こうした指導等につきましては、標準率をどうするかということは非常に危険なことになりますので、第一線としては、実態によりまして、業種別指導によりまして申告を期待いたしておるというのが一般的な例であろうかと思います。 なお、個々の事業者につきましては、小さな事業者ほどなかなかひまがない、あるいは税務上の知識がない。あるいは、かりに税務署においでをいただくといったような指導形態をとりましても、なかなか税務署は近寄りにくいといったような点がございますので、これらにつきましては、われわれは業界を通じて、あるいは一定の時期の説明会等を通じまして、あるいは相談官等を通じまして御指導を申し上げる、こういう体制をとりつつあります。 なお、今後はこの点については特に重点を置いてやってまいりたいということで、努力をしておるわけでございます。
○大出委員 これ、いま二例あげたわけですけれども、先ほどの例にしても、これは非常に深刻な問題ですよ。いまの問題も私は気がついて、私は選挙区が横浜でありますけれども、横浜市内にお菓子屋さんの小売店舗がどのくらいあるかと思いましたら、七百店舗ありまして、中間問屋さんを抜きまして、全国初のケースのボランタリーチェーン組織をつくりまして、国にも金を出していただきましたし、県からも出していただきましたし、共同仕入れ、共同配送、共同納税という形のチェーン組織をつくってちょうどまる五年ですね。今度は六年目になりましたが、そうやってみると、いまのところはたいへんやりよくなるのですね。青色申告と申しましても、これは強制じゃございませんからね。そういう意味では、別に白色だって悪くはないので。だから、荒利益云々の標準率の見方が出てまいりまして、個々の店舗のケースから言いますと非常に気の毒過ぎるところもございます。特にいまお菓子屋さんなんという業界は、大体専業以外のところで二割五分くらいを入れているのですね。ふろ屋へ行ったって袋ものは売っている、薬局へ行ったって幼児食は売っている、酒屋に行ったってつまみは売っているということになるわけですから、そういう中でいま営業状況は非常によくない。だから、それだけにやはり税金というものは一いま私、申し上げましたが、一つの機構上の問題とからんでいる。つまり中間問屋というものがありますからね。 だから、納税者の側から苦情がある場合、納税者が、いまお話しのように、近寄りがたいとおっしゃるように、税務相談なんといったって、へたなことを言って相談すれば、内幕を話すのだから、あそこはそういうことがあるならといって吹っかけられたらかなわぬから、行きはしないですよ。こわいところなんですから、税務署というのは。そうでしょう。そこに問題があるというのです、私は。官報で公布されれば法律は全部日本人は知っていることになっているんですよ。ところが、われわれは法律をつくる国会に籍を置いたってわからないのだから。税法というものは一般国民は知らないのですよ。納税者が知らない。だがしかし、税務署の職員の方、吏員の方は、すべて知っているという前提でものを言ってくれなければ困る。知らないのだからという形でものを調べようとすれば、赤子の手をひねるようなものですよ。そうでしょう。あとから例は申し上げますが……。そういう点はやはりこれは機構上の問題なんです。あとで行管の皆さんに申し上げますけれども、その前提として、いま二例あげているわけです。 もう一つ、いましきりにはやってきている朝鮮の焼き肉屋さんという業種がある。この焼き肉屋さんを税務署の職員の方が調べに行った。帳面をばらばらっとあけたら、ホチキスでぽんと一枚伝票がくっついている。見たら五キロなんということで、肉を買った伝票ですね。現金でどこかへ行って買ってきた。ところが、この焼き肉屋さんの仕入れ先はどこであるということは明らかになって、取引があって、仕入れ、売り上げ、こうなっているわけですね、帳面は。ところが、そのいつも買っている取引先でないところから現金で買ってきた伝票が一枚あった。そうすると、さてその帳簿を見てみると、ぽつぽつとホチキスをとめたあとがある。だがしかし伝票は一枚しかないというので、さてその伝票をとらえて税務署の方は、この店は一日幾ら幾ら帳簿外の利益をあげている、三年さかのぼって、みなし課税で見かけの課税をする。そうすると、それは未亡人がやっておったささやかな焼き肉屋で、それは業界全体のやはりいろいろな話が入りますから、多少そういうことはやっているけれども、三年間引き延ばされるようなことはしていないと言う。おととし、去年、本年は市況が違ってきていると言う。最近やっと売れるようになったと言う。そうなってくると、そこらに見かけ、みなしの形で課税をする。つまり税務署との問に、完全な証拠がない限りは争いは絶えないわけですよ。 だから、確かに不服審査請求もありますけれども、だがしかし、ここらの問題というのは、納税者の側が、何か言ったらよけい取られやしないかと心配で相談もできないということではなくて、一つのルールがきめられて、ここまでのことは言ったって、税務署はそのことについては触れないんだという、しかとした、だれが考えてもここはだいじょうぶだという相談の場所をつくらぬと、税務署は取るばっかりではないのですから。いつでも税務署のおそばへいらっしゃいと言ったって、どう申告したら安くなるかということを相談しに行ったらつかまってしまうと思うから、町の人たちは行きはしない。そうすると行政管理庁は、納税者の声という回答が来た、相談や何かの日をつくりましたからと言ったって、行きはしません、そんなこと。税務署へのこのこ入っていくときは、しかたがないからというときしか入っていかないのだから。そうでしょう。 そうなると、そういう点はどこかに安心して相談できるところというものを別に考えなければ、納税者の立場、人権も含めて保護されないと。盗みやどろぼうじゃないのですから。天下の大企業だって、世界百社のうちの三十幾社に入っている大企業だって、満足に税金払っているかと言ってみれば、必ずしもそうではない。零細企業ほど、どんぶり勘定に近いところほど、とことんまで取られる仕組みというのは不自然ですよ。さっき相当忙しいとおっしゃったが、確かに忙しい。忙しいから納税知識というものも余裕を持って考えられない。 〔加藤(陽)委員長代理退席、委員長着席〕 ここらのところは、そこに何かなければならぬだろうと私は思うのです。さっきの行政管理庁のお話の、ここへ回答が来ておりますからということだけではたして事が済むか、私は大きな疑問を持つのです。せっかくここに監察結果をあげておられて、納税者の声の税務行政への反映、こうありますが、いまの回答は来ておりますだけで、一体この監査結果というものは生きているのかという点を承りたい。いかがです。
○小林(寧)政府委員 確かに問題の根本でございます。結局、第一線の税務署の職員が、しっかりと事実を確認し、また相手方の声を聞くという態度が、この徴税行政の民主化の基本であると思います。 一例をあげますと、昨年度行政相談の取り扱い件数十二万件の中で、千二百四十七件が税金に関する国税関係、その中であっせんによって解決したものが百二十八件、大体一割ございます。この多くのものが事務処理上の不適正ということになっております。たとえば、別人に滞納処分をしたとか差し押えをした、自分で気がついてみると十二年前にそうなっていた、税務署へ行っても十二年前のことはわからぬ、そこでうちのほうへかけ込んできた。調べてみて、確認して、税務署及び法務関係者もそれを訂正する、そういうようなものがございます。しかし残りの九割、千百十二件は、説明教示で納得させたものでございます。といたしますと、一割は税務署側の——もちろん税務職員は神さまでございませんから、そうしたようなミスといいますか、それが当然あるわけでございます。そして残りの九割は誤解あるいは不知、つまり行って相談して初めてすっきりしたという関係が、この徴税行政においてはあるわけでございます。これは、徴税のようなむずかしい行政でございますから、国民側にそうしたような批判なり不平が出てくるということがあるのは当然でございますが、さればますますそうしたような相談体制というものをつくっていかなければだめであるということが、私どもの考え方でございます。 先ほど、回答だけを読みまして先生からおしかり受けましたが、私どものほうといたしましては、そうしたような面で、現地の税務署と十分連携をとり、税務署ではねられたようなものは、事実確認あるいは向こうへ照会するというような態度をとっております。 最終的に、非常に幼稚な結論になりますが、第一線の税務署においては五の日を相談日としております。しかし、そういうことは国民は存じておりません。五の日を相談日としておるそういうような体制をもう少しはっきりさせて、同時にその日にはいつでも、先生のおっしゃいましたそういう施設をつくりまして、自由に相談を受ける、そういう点をもう少し徹底しなければいけない、これが第一点でございます。 それから第二点は、五の日のみならず、税務署の方がいつでも受けられる。これは事実受けておるところもございますが、そういうような近づきやすい税務署というものをどうつくっていくか、これが第二の問題でございます。 さらに、欲を申しますれば、第一線の職員が全部、いま言ったような、そうした相談に乗り得る体制。規則のほうを主にせずに、相談に乗り得る体制というものをどうつくっていくか、これが第三点ではないかと思います。 また、そのような意味合いにおいて、私のほうは、勧告の回答だけでは満足せず、常時連携をとっておりますと同時に、税務署等と連携し、あるいは相談委員のほうにも、これは三千六百名の行政相談委員がございますけれども、そういう点と連携をとり、回答だけではなしに、さらにこういう点で側面から御協力申し上げたい。これが行管の立場でございます。
○大出委員 もう幾つか例をあげますが、八百屋さんなんかの業界で、いま八百屋さんの仕入れ先、つまり問屋さん、横浜の場合には中央市場、出仲といっておりますけれども、金港丸仲という元請がありますけれども、その一番大根っこのところをいま税務署は一生懸命調べております。これは関東傘下の税務署のあるところの人が、国税庁関係のつまり機動班の関係の方が、一つの基準を意見具申をしたというようなこともあって、その一番大根っこをいま調べておる。それはそれでいいです。 ところが、さて現実に、じゃ八百屋の小売り店舗に税務署の方が行った。ちょっと帳簿を見せてください。あけた。そうしたらこんな紙きれに五日分くらいの売り上げが書いてある。ところが、元帳のほうを見ると、売り上げと元帳と差がある。ある日は五千円税務署に正式に出す帳簿のほうがメモよりも少ない。ある日は三千円そのメモのほうが多い。つまり税務署の方が見る台帳のほうが少ない。だから、この日は五千円脱漏があった、この日は三千円であるというのが五日分くらい出てきた。そうしたら、それがもとになりまして、三千円と五千円で八千円ですから、まん中で割ったら四千円ないし四千五百円ということで、一つの基準にして三年さかのぼってそうみなすということになる。 ところが、たまたまそこの家には、おやじさんが中気でぶっ倒れて入院しちゃって、あと取りむすこも肝臓で入院しちゃって、この数カ月間というのはこの家の中というのは火の車になっている。つまりそういう背景があるのです。ところが、それを三年間さかのぼってと言われれば、三年間病人がいるのじゃないのですから、話を聞いていずれに信憑性があるかというと、うちじゅうで私なら私に向かって、実は先生こうなんだと言うので、なるほどそうかという気がする。しかし、さて税務署のほうはどうかというと、なかなかその点は納得しない。調査官の諸君というのは、どうしてもということになる。じゃ持っていくところに持っていけば、国税不服審査でもやらなければならぬが、これは一年かかる。そうなると、先生そこまでやってくれるのはありがたいけれども、やった場合に、あとで税務署から江戸のかたきを長崎でかたき討ちされる、そんなことよりもビールの一ぱい飲まして帰してあやまっちゃったほうがいい。そこで事実に反することについて泣くのです。 そうすると、一体こういう徴税機構というものでいいかという問題になる。その家族の方が言うことが真実ならば、税務署はよけい税金を取ったことになる、現実の問題といたしまして。じゃ一体一々行政相談に行けるかというと、これは大事な行政相談と言っていながら、行政管理庁設置法を見ると、少し簡素化するのだと言っている。おかしな話しでございましょう。そういう大事ならば、もう少し人をふやして、さっきおっしゃったことが正しければ、さあいらっしゃい、皆さんいらっしゃい、これだけふやしましたからということでなければならぬ、いわば行政サービスをやる限りは。つまり税務署にいきなりつながらないところでものを言いたいのですよ。納税者は内幕を話したいのですよ。業界には一つの慣行もある。あっちの八百屋こっちの八百屋と、仲間うちでみんないろいろ頭に入れておる。そうなると、そこにやはり今日の徴税機構というものの盲点がある。かくて納税者の声というのはどこまで保護されているか。しかもそれがこっぴどい調べを受けて、まるで夜も寝られぬ、病人が出てくるなんということになると、これは一つの人権問題でもある。 ここに書いてあるのだけれども、じゃいまの徴税機構ははたして合理的か。「調査の効率化と処分の合理的運用をはかる」、こう書いてありますけれども、一つも合理的じゃないのですね。われわれの長い、長いといっても九年間ですけれども、たくさん具体的相談を受けてきた立場からすると、矛盾撞着だらけです。じゃ税理士さんはたよれるかというと、税理士さんもまた税金を払わぬことにおいては人後に落ちない。そうなると、税理士さんだって中には四百店舗くらいかかえちゃって、一人の税理士さんが資格の何にもない若い衆を一ぱい置いて、帳簿を見てこい。帳簿をみて、このうちは大きいから八千円。しかし二千円しか課税対象にしていない。申告をしていない。税務署は知っていて黙っている。そうなると、税理士さんというのはいかに税務署とうまく話して、よけいぶっかける体制をとっていて、それを三分の一にまけさしてやったというようなことをやって、そこからまた金をもらっている。特定の人をあげているのじゃないですから、おこらぬでくださいよ。しかもそういう税理士さんの中には、所轄の税務署から出ていった職員で税理士をやっている人がよくいる。 こうなると、これは一体どうなっているのだということになる。いかに有能な税理士でも、せいぜい二、三十軒、四、五十軒持てば関の山。そんなに親切にやれるものじゃないですよ。そうしておいて、とっつかまったら、おまえさんのところは運が悪いのだという調子です。そうなると、一体いまの徴税機構というのはこれはどうなっているのだということになる。そういう矛盾を私は感ずるのですけれども、局長、いかがでございますか。
○江口説明員 一言御説明申し上げたいのですが、先生はすべてとはおっしゃっておられませんけれども、いまのお話をお聞きしますと、われわれ、せっかく過去二十年間、申告納税制度についてほとんどの場合黙って努力をしてきた、ここにあやまちがあったと思います。したがって四十七年度からは、まだわれわれから言わせれば些少ではございますけれども、そうした指導あるいは広報関係の予算をふやしてもらいまして、もっとわれわれは逆にものを申すべきである、それによって理解を求める、あるいは知らない方々に普遍的にお知らせをするといった体制をとるべきであるということで、予算をふやしてもらったわけです。 たとえば例をあげますと、いままでは予算が足りないために、ラジオで五の日の納税相談の日の宣伝をいたしました。ところがラジオというのは、タクシーの中でしか聞こえないというような状態に現在なっております。ところが、なかなかテレビを使えば予算がよけい要るといったようなことで、やむを得なくてそういう形をとっておったわけですが、ことしからは、幸いテレビも若干活用させていただくということになっておりますが、そういう努力をしておりますけれども、先生のお話を私、聞かしていただきまして、むしろ税務署は何もやっていない、あるいは納税者の側に立ってものごとを考えていないというふうに私には聞こえたものですから、あえて第一線の職員の努力のために申し上げたいのですが、われわれはそういうつもりではやっておりません。全力をあげて皆さんの納得を得る、あるいは無理な調査はしない、あくまでも納得ずくで事を済ましていくということでやっておるつもりでございます。 一例をあげますと、現在われわれの第一線の行政の中での苦情処理という問題がございます。これの一つの法的な手続として異議の申し立てという手続がございますが、これにつきましては四十三年がピークでございまして、その後、現在では五割程度までに内容が下がっております。つまり不服の申し立てが下がっておるということでございます。これはわれわれの四十年代に入ってから角度を変えての努力が実ったのではなかろうかという感じがいたします。またその上に不服審判所というのができておりますが、これも六割程度に提訴が減っておるという状況も、如実にわれわれの努力が少しではありますけれども前進しておるということが言えるのだろうと思います。 われわれもやはり、先ほど御指摘のとおり、何も紙に書いたものだけで、あるいは紙に書いたものを眼光紙背に徹して、それによって推定を下して、過去三年にさかのぼって、ありもしないことについて課税をするといったことで喜んでおりません。むしろそれを涙をもって説得をするという努力をしておるわけです。われわれもやはり常識がございますので、あるいは経験もございますので、納税者の言い分を聞けば、どこに真実があるかということはおよそ推測がつくわけです。したがって、第一線の調査職員は、職務に熱心なあまり、先生の御指摘のような面が若干ないとは申しません。しかし、そこに疑問をはさんだ場合には、必ず毎日毎日帰った場合に上席の者に報告する。自分の悩みを訴えておるわけです。上の者がそれを判定を下す。その場合には、社会常識があれば、三分の一程度はそれを認めてあげなさい。それは行政裁量ということで税理士会では問題にされておるわけでございますが、そういう苦心もわれわれはしておるわけでございます。 どうか先生、第一線のわれわれの努力ということも、もちろんあやまちがあれば、行き過ぎがあれば、われわれは直すのにやぶさかではございませんけれども、われわれ過去二十何年間努力してきたことによって申告納税が定着した。諸外国からも日本に見学に来るといったような実態というものもお認めいただきまして、悪いところはどんどん直したいと思います。その点の御指摘は、率直に私は反省するにやぶさかではございませんけれども、もう少し第一線の努力に対して御理解をいただきたいと思います。あえて御説明と申しましょうか、お願いのお話を申し上げたわけでございます。
○大出委員 江口さんでございましたですか、率直なお話をいただきまして私もたいへんありがたいのですが、私も実は税務署の第一線で一生懸命やっておる人の仲人などもいたしておりまして、私の仲人の第一号はそうなんです。ですから、私も実際その本人ともよく話しておりますから、何をやっているかということもよく知っている。だから私はさっき例を申し上げたので、例示をしてみるとこういうものが出てくると私は言うのです。たいへん御努力願っているのはわかるが、しかし、納税者の側からすると、税務署に対するものの考え方というものはそう変わっていない。何かといえば取られるという感じ。いまだにそうです、それは。 だから、さっき黙っていたのは悪かったかもしらぬとおっしゃるけれども、私は冒頭に申し上げたように、庶民一般はなかなか税法というものは理解しにくいものですから、だからもっともっと、これは行政管理庁に申し上げたいのだけれども、きょうは行政管理庁の方々に主として承ろうと思っているので、その前段でいま例示したのですが、何とかもう少し効果のある、庶民一般の税務署との関係について、何か税務署の呼び出しでも食わなければ行くものじゃないというかっこうになっていない形のところまで持っていけないかという側面で、あなた方のほうで監察をやっておられる——ちょうどこの監察が出ているのは、江口さん、いまの異議申し立てがじゃんじゃんふえているときで、いま四十三年ごろは減っているとおっしゃいましたが、これは監査期間というのは三十九年の五月以降なんですね。そうですね。これ以後やっていないでしょう。これ以後やっておれば、いまの江口さんが言った努力のほどは行政管理庁におわかりになるのです。この行管の「監察結果の概要および勧告」、この中ではどんどん異議申し立てもふえてくる。税務署の職員の数がまさに足りないと言わぬばかりのことを書いているわけですね。都市化現象が激しくなってくる、だから、過疎地の税務署の職員を減らしても、過密地域の税務署の職員をもっともっとふやさなければならぬ。日本橋だ京橋だという例をあげたりしましてね。そうでしょう。これはそういう時点にとらえているわけですね。だから、私どもが間接的にものを見ようとすれば、行政管理庁にどうなんだと言えば、今日この報告しかないのです。これ以後ないのです。そうでしょう。国税庁が出しているのじゃないですから。つまり権威あるものの見方というのはこれしかない。そうでしょう。いま幸いに減ってきているとおっしゃるので、それがどういう原因によってどういうふうに減ったのかという点は、行政管理庁が今度御調査をいただければ、そこに出てくる筋合いだと私は思う。 だが、にもかかわらず、古くて新しいとさっき申し上げましたが、そういう問題が依然として所々に見受けられるという現実。だから監察局長に申し上げたいのは、これを三十九年にやりましたというだけで済ますのか、それじゃ困るじゃないか、言いっぱなしでいいのか、それじゃ困るじゃないか、追跡調査をなぜしないか、こう言っているわけです、私の言っているのは。こういうふうにして回答をいただいて調べてみた。前進していた。そうするとなぜ前進したかというと、前進しているのには、いま国税庁の言っている姿勢があるのでしょう。それならばそこを強調して、足らないものはふやせとここに書いてあるのだから、もっと具体的にこうすべきだと言わなければいかぬでしょう。そこを言いたくて例をあげたというだけです。 だから、江口さんおっしゃっているように、私も横浜市内におりますけれども、横浜市内のどこの税務署の方々ともけんかしたことはない。何かといえば話し合いをしておりますから、きわめて仲よくしておりますから、けんかしたこともありませんが、ただ個々の納税者の側にすると、調査官はひどいやろうだという、まさにぐちだらけです。それは取られるほうだからしようがないといえばそうなんですが、そこらあたりの人間関係を何とかできないかという気がするのです。私だからけんかにならぬのかもしれないけれども、呼ばれた納税者との話というのはもっと激しいです。そうでしょう。そこらのところを、せっかくこういう勧告もしておるんだから、もう少し何とかできないか。納税時期が来ると年百年じゅうノイローゼになって飛び込んでくる人ばかりじゃ困るので、そこらのところ、もう少し何とかできないかという気がするのです。 もう一例申し上げますが、これはいま調査のさなかですから、そこから先に立ち入る気はありませんが、実は御存じのとおり、これは私、泣き込まれて話を聞いてみて、ここに書いて私なりに分析してみたのです。どういうことかと言いますと、くつ屋さんがありまして、これはきのう担当の方がお見えになりましたから、名前と場所は話しておきましたが、店を二軒持っている。横浜の伊勢佐木町の場末のほうに本店があって、また野毛の本通りを離れたところにもう一軒店舗がある。本店のほうは兄貴がおりまして、支店のほうは弟がいる、こういうわけなんですが、まことに兄弟仲がよくない関係なんです。私も長年世話しておりますからよく知っておるのですが、弟のほうは十何年も兄貴のところで経理をやってきたわけですから、本店と支店と両方一緒に経理しているのです。だから、やめるということになれば、兄貴は一千万ぐらいの金はくれてもいいじゃないか、自分だってこれだけ十六年も苦労したんだから。役員でも何でもない。合資会社ですが、出資も何もしておりませんから、その意味じゃ従業員です。だから、やめるにあたって幾らかくれてもいいじゃないか。先般、ほかに店を何とか借りてと思って、兄貴に四、五百万何とかしてくれと言ったら、ぽんと断わられたというようなこともあった。だから、彼は自分の心覚えの売り上げ等を記入していきまして、経理をやっていますから、ときどき水増しをしながら、それをずっと持っている。何に使うんだと言ったら、おれがやめるときに兄貴のやつはどうせ金をくれやしない、兄貴をおどかすんだというのですね。一千万ぐらいくれ、でないと、これを税務署に持っていくぞというおどかし材料をつくる。 ところが、たまたま今回税務署の方々が来た。それでぽかりこの書類を持っていったというわけです。ところが、あわてて一生懸命抱いたんだけれども、悪いようにはしないから出しなさいと言われたので出した。そこからものが始まったといういきさつなんです。ところで、こんなケースはよくあるのだけれども、もう死にたくなったと言って泣き込んでくる。いろいろ聞いてみたらそういう話が出てくる。 そこで、これは時のいきさつでありますが、中身というのは、結局荒利益になる形で出てくる。仕入れと両方ありますけれども、やはり両落ちではあるんだ。私はそうだろうと思うのです。ただ、その度合いの問題なんですよ。置かれている店の位置等からいきまして、この店で一体どのくらい売れるかということが、くつ屋というのは山ほどあるのですから見当がつく。伊勢佐木町の場末とまん中では違う。そうすると、その置かれている位置からすると、そのとき持っていった全くのメモですね、正式の帳簿じゃないから。そこにあらわれている数字を売り上げに加算をしていきますと、そんなに売れる店ではないということになる。だがしかし、持っていった調査官の方にすれば、両落ちで、このくらい落ちているんじゃないか、これを計算すると八千万ぐらいになるというのですね。 そこで、まず話の中身というのは、また江口さん立ち上がって、一言言わしてくれなんといわれると困るが、誤解しないでくださいよ。私は決して税務署長なんかとけんかしたことはないのですから。 そこで、申し上げておきたいのは、まず本人、つまり調査される対象である人間は税法に詳しくない。そうすると、調査官の方々が説明をされる。その説明の中で、あなたは私の言うようにしないとたいへん不利ですよというようなことを言われる。そうすると、これはさからうとえらい不利になるかもしれないと、その前にすわって混乱した頭で考えておるわけです。そうすると、これは五年間、近いほうから計算して、最初の三年間は更正決定できます、そこから先の二年間は修正をだしてください、こう言われたという、話を聞いてみると。ところが、私は全くしろうとじゃないから、帳簿を調べてみた。これは御存じのように国税通則法がございますが、七十条がつまり更正の期限に関する定めです。言うならば時効ですよ。それからもう一つ、七十二条がありますね。これは通則法でいえば裏表でしょうが、七十二条のほうは国税の徴収権の消滅時効ですね。そうでしょう。そうすると、五年とおっしゃったというのだが、私が調べてみると、この会社は合資会社ですが、四十一年の九月が決算ですから、申告は十一月になります。そうしますと、これを起算点にいたしますと、実は四年間しか押えられない筋合いなんです。だから、この調査官の方が本人に言うにあたって、三年間は更正決定でございますが、そこから一番先の二年間は修正を出してください。それはいやですと言えば四年なんですね、これは時効ですから。九月決算で、申告は四十一年の十一月なんですから。そうなりますと、これは通則法からいって四年しか対象にはならない。ところが、不利になりますよと言われて、本人は、それじゃ一番遠い二年間は修正を出さなければいけないのかな、こうなるでしょう。私、副署長さんに会っていろいろ聞いてみたら、四年じゃございませんかと言ったら、いや四年ですとおっしゃる。 そうすると、さっき私が例にあげましたように、調査をする側の人は、やはり国民全体が税法は知っているという——現実は知っておりませんけれども、知っているという前提でものを言ってくれぬと、この三年は更正ですよ、あと二年は修正ですよ、こういうぐあいにぶっかけられると、実際私が計算してみれば四年しか有効でないのに、本人は、拒否いたしますと言ったんじゃまたたいへんなことになると思って、それじゃ二年間修正で応ずるとなれば、五年取られてしまう。そうでしょう。ここらのところは非常に大事じゃないかと思う。決してその方が私は悪いと言っているのじゃないのですよ。調査官の方が懸命に実効をあげようと思っていろいろ努力されているのですから、その点では私は悪いと言うんじゃないんだが、事のあり方としては、納期はあくまでも四年なんですから、この点はやはりそういう姿勢でいかなければいけないんじゃないかという気がするのです。 そこでもう一つ、法人でございますから、社外流出というお話をさっきなさいましたけれども、はたしてこのケース、これはここで数字をあげてもお話にならぬかもしれませんけれども、私、税務署が帳簿を持っていきましたから残っているものを見たら、四十四年十月から四十五年九月までの帳簿がある。これを見たら、四十四年十月から四十五年九月までの間の売り上げが六千六百八十六万円、仕入高が四千九百五十五万円です。そうすると、六千六百八十六万円から四千九百五十五万円を引きますと、この荒利益が千七百三十万円です。荒利益率でいって二割六分なんです。これは例ですよ。そうすると、さっき私が申し上げました裏帳簿と税務署がお考えになる帳簿でいきますと、大体年間千五百万脱漏があるのです。そうすると、年間千五百万の脱漏を乗っけますと、六千六百八十六万円プラス千五百万円ですから八千百八十六万円になる。仕入れが動かないんだとすると、仕入れの四千九百五十五万円を引きますから三千二百三十万円の荒利益になる。利益率は四割になってしまう。そうすると、税務署の側で仕入れというものをがちっと立証できなければ、四割という荒利益率は高過ぎることになる。メーカーもののくつであっても、荒利益率を調べてみましたら大体三割ですね。そうなると、いずれにしても四割というのは少し高いことになる。これは調査の過程ですから、私は例として申し上げているのです。その点はお含みおきをいただきたいのですが、これは一つの事例です。そうしますと、値引きもありますし、あるいは型が古くなって安売りする場合もありますから、三割といってみてもやはり二割何分かに落ちるというのですよ。あの辺の場所は銀座なんかと違いますから。そうするとこれは、裏帳簿と目されるものの中に、確かに本人が言う水増しもあったかもしれぬという気がする面もある。兄貴のほうとの関係でそんなことがあるのかもしれないという気もする。全くそう思って話を聞いているわけではないけれども。だから税務署の側がどこまで立証するかという問題が一つある。 もう一つ、税務署の基本的な姿勢としてここが聞きたいのですけれども、千五百万の年間の脱漏があればおむね八千万ぐらいになる。そうすると、八千万ということになると、そのまま考えられたのでは、この小さな合資会社はつぶれちゃうのです。そこで隠し財産があるのだろうというので徹底的に調べられたのですね。土地があった。わずかな土地なんでありますが、綱島ですから、坪当たり単価が高いものですから、おおむね五百万円ぐらいのことにはなる土地です。ところが、これは私も知っているのですけれども、女房のほうの兄貴が自分の持っていた土地を二つに分けて、半分、妹の亭主だからというので、妹のほうにやった。だから贈与の形になって、登記も贈与とされておって、贈与税も払っている。ところが、今度は税務署側は、それは贈与じゃなくて買ったんでしょう、そうでないとあなたのほうがこれまた不利になると言う。 私はこの不利になるということばを考えたのだけれども、おそらくこういうことだろうと思う。兄弟で、役員ではない、出資者ではない、従業員。だがしかし、法人ですから、みなし役員というものの考え方の規定はある。みなし役員だということになると、その人の賞与というのは損金にならない。そうなると、法人に課税される。つまり所得にもかかってくる。こういうことをとらえて言っているんじゃないかという気が実はするのでありますが、しかし私は、やはり贈与であり、登記が行なわれて贈与税を払っているという現実が明確にあるとすると、それを、いや、それはおまえさん、帳簿をごまかしてその金で買ったんだということを認めさせる。本人はくやしがっているのだけれども、それは私はこの辺のことは、いささか無理があるという気がする。 さらに問題は、これは結論を急ぎますけれども、どういうふうにやってみても出てこない。税務署の方々がみんな銀行を調べている。確かによくやることで、架空名義の預金など持っていたりする。みんな出てきている。だけれども、現金というのは、つまり会社の決算時における金というのはおおむね五、六百万しかない。そうなると、さてこの法人をとらえてどういう立場で基本的に考えるか、私は三つあると思うのです。 一つは、対象になる資産確認はできないけれども、かまわず脱漏なり八千万なりというのでぶっかけるという方法が一つ確かにある。それからもう一つは、社外流出だという考え方で決定するという方法が一つある。もう一つは、おおむねの資産を当たっていって、多少プラスアルファがつくかわからぬが、資産に見合う形で決定をするという方法がある。つまり法人関係の例を見ると、私は一番最後のところが、ほんとうならば考え方のポイントでなければならぬという気がするのですよ。そうでなければ法人はもたないのです。だから、その場合にただ残るのは、とはいっても全部飲んじゃったり食っちゃったり——飲んだり食ったりは幾らの金でもありませんが、つまりそういうことをやって、やり得になっちゃいけないというさっきのお話に類する考え方があるいはあるかもしれないと思いますけれども、しかし問題は、その企業がおかしくなってしまったんじゃ困る。この人はまさに自殺しかねまじき状況ですよ。 だから、そこまで追い込むということは、どこまでの確認ができたかということとからみますけれども、そこらのところに、今日の中小零細な商店あるいは法人企業というものに対する、国の徴税の基本的な方針として何かなければならぬという気がする。念のために申し上げておきますが、決して私は税務署をたたいているのではないのですよ。聞いてみていただけばわかりますが、決してそうじゃない。つまりこういう問題をどう理解すればいいか。行管が納税者の声をと言っているのだが、しからば一体この種の問題をどう見たらいいか。本人は、しようがない、妹の零細な預金まで持ってきて、まだないか、まだないかと言われるものだから出しているということになっている。きのう私はお話をしておきましたからあれでしょうけれども、調査過程でございますから確たることは申し上げません。申し上げませんけれども、こういうふうな見方が、当初のやりとりの中から、私が聞いた限りではこういう判断ができるので、そこらのところは一体どういうふうに考えておられるのかということが一つですね。あと行管のほうにまた伺っていきますが、江口さんのほうからひとつ……。
○江口説明員 いまの具体的な事例につきましては、私つまびらかに承知しておりませんが、一般的な問題の解決のしかたとしましては、先生いま御指摘になった三つの方法、実はすべてその三つの方法でやっているひまがございませんから、あるいは確たる証拠書類、あるいは帳簿、あるいはその他の資料等によりまして確認できる場合には、損益計算だけでもって確定する場合がございますし、それからなお査察の場合には、損益の計算の場合と資産による洗いかえの場合と、両者を組み合わせまして、問題が多少でも残っては訴訟の維持ができませんので、両者を合わせたところで真実に最も近いという結論を引き出す努力をするわけでございます。 本件は、いまの場合、具体的な中身は私、存じませんけれども、おそらく先生のおっしゃるとおり、弟さんが妹さんとの関係である種の擬装をしたと申しましょうか、架空経理的なもので兄さんとの関係を好転させよう、こういうことがあるとすれば、おそらく損益計算と資産とは合わないはずでございます。税務署のほうもいろいろな手法を存じておりますので、資産を確認することについてそれほど大きな困難はないかと思います。したがって両者を合わせて、税務署のほうでは、最終的に重要事案審議会というもの、これは署長みずからが入りました幹部会合がございまして、こうした事案については必ず重要事案審議会の議を経た上で最終結論を出す、こういう形をとっておりますので、おそらく本件事案のような場合には、資産の関係を見た上で、どこに擬装、過剰計上の点があるのかといったようなことを判断した上で最終結論が出されるものと思います。
○大出委員 しばらくぶりで税金の問題に触れて、何点か承っておこうと思って取り上げたわけなんですが、その発端は、先ほど来申し上げておりますように行政管理庁が一これだけ複雑な徴税機構があり、これだけ複雑な社会問題があり、つまり税務署の権限に基づくみなしができるものですから、三年さかのぼろうとやれ——いまの例で言えば、二年間は修正にしてくれ、三年間は更正だ、こういうのですけれども、徴税期が参りますと至るところでこれは出てくる。相も変わらず横浜という都市はどんどん人がふえます。店舗もふえる。一方税務署の職員のほうはふえない。どんどんその次その次とこういうものが出てくる。三つをいろいろ検討しているひまはないとおっしゃいましたが、それは定員に限りがあるわけですし、人口はふえるのですから、それは税務署だってたいへんです。行政管理庁は人をふやせというようなことを言っているのだけれども、どうも管理庁は言うだけで、回答はこう来ましたと言うけれども、さっぱりそっちのほうに前進をしていない。 そうすると、これは行政管理庁のほうでやっぱり少し追跡調査をしていただいて、これこれの努力をいただいて税務署の職員もこうふえているとか、あるいは複雑な問題が山積をしている中で、納税者の声というのはこういうふうに反映されているとか、さっき江口さんがわざわざそこへ立って、第一線で一生懸命がんばっている職員のことを考えて自分も言いますということだったが、そんなことを江口さんに言わせなくても、行政管理庁のほうで、三十九年に勧告しているのだから、その後どうなっているのだということぐらいは、もう少しつかんでおいていただかなければ、まさに無責任なことができ上がると私は思っているのですが、先ほどの局長のお話と江口さんの答えとの間に非常に大きくズレがあって、私は江口さんがお話しになったほうがほんとうだと思うけれども、そうすると、行政管理庁のほうはそこをこの勧告に基づいてどうとらえているのか、もう一ぺん、そこのところをそういう角度でお答えいただけませんか。
○小林(寧)政府委員 確かに御指摘のとおり勧告は四十年でございまして、その後の回答も四十七年七月にいただきましたが、その後こうした問題について、トレースというか、追跡はいたしておりません。もちろん、私どもの行政相談との連携、それはございますから申し上げましたが、それはそれといたしまして、今後適当な機会を見つけまして、国税庁とも十分協議し、追跡調査をすると同時に、一番重要な問題である国民との関係における徴税行政の民主化、またそれに必要な対策というようなものを研究してみたいと考えております。
○大出委員 あげる時間が参りましたので、冒頭に言いにくいことを言いましたが、今回はそのことにはこだわらないことにいたしましたから……。 そこでひとつ、締めくくりにいたしますが、江口さん、先ほどあなたのほうで、あえて申し上げておくと言っておっしゃったことがわからぬわけじゃないのです。わからぬわけじゃないのだが、しかし、なおかつ、まさに雨後のタケノコのごとく、その時期が参りますと至るところに問題が出てくる。だから、もう少し納税者の側と税務署のあり方というものは、何とかならぬかという気が実は私はするのです。 そこで、片や行政管理庁があって監督はしているのだけれども、三十九年でそれっきり。だからそこらお互いに知恵をしぼったらどうか。つまり、納税義務を持っている国民の立場というものと、さてみんなごまかそうとする中で一生懸命徴税をしていこうとする一線の皆さんとの間の、つまり真剣にやろうとすれば人間関係の中では相当な激しいやりとりになる。夫婦で産婦人科の医者をやっている。奥さんもお医者さんで、朝五時過ぎに私のところに来て、へなへなとすわり込んでしまって、いまだかつて言われたこともないようなことを言われた、医者というものは、相手は患者だからよく聞くことになっているからしようがないけれどもということだった。たくさんそういう例が出てくる。だから、これは努力されておられることは認めるわけですけれども、なおかつ現実にこれだけ問題があるのです。そこをこの際ぜひひとつ行政管理庁のほうも、ただ単に行政管理庁設置法の中で、せっかくの行政相談の場所を縮小するのを変えるのということだけをお考えにならなくて、おっしゃるとおり役に立っているのなら、そこらに手をつけるというのは邪道ですよ。だからそういう意味で、これは総合的にひとつお考えをいただきたいものだ、こう思いますが、最後に大臣何か一言、そういうことで……。
○中村国務大臣 大出委員のいろいろ御指摘がありました点、これは私はやはり税金の問題は、納める者の立場と取る者の立場で根本的に違うものがある。税務署のほうから、徴税者のほうから言いますと、やはりできるだけ公正な数字をとらなければならぬし、その公正であると思っておる点が、納税者の目で見ますと必ずしも公正とは考えられない、そういう面があって非常にむずかしい問題だと思いますが、ただ、税務署等が取り上げていろいろ調査しております案件が、そういう案件というものはほかにもたくさんある中で一人が取り上げられるから、納税者のお気持ちとしても非常におさまりにくい気持ちになる、そういうことは私はあり得ると思うのです。 しかし、行政管理庁で監察をしております立場は、やはり納税者の立場に立って、税務署がはたして無理なことをしておるようなことはないのか、こういう基本的な立場で私は監察するということが正しい監察のしかたじゃないかと思います。そうして得ました結論というものを税務署に勧告して、それは税務署の納税者に対する根本的な姿勢の中に、あたたかい気持ちでやはり取り入れてもらう。具体的には大出委員もいろいろ指摘しておられましたが、なかなか両者がにこにこしながら手を握るというようなことにはならぬと思いますけれども、しかし結論を得る段階で、納税者が、やはりある程度税務署もわれわれの言い分を聞いてくれたなというような気持ちで解決することを期待して、そういう方向に納税者と徴税者の間の調和を保っていくというような気持ちを持ちながら監察行政に携わってまいりたい、かように考えます。
○大出委員 賛成ですね。それじゃ終わります。
○伊能委員長 本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。 —————————————
○伊能委員長 ただいま委員長の手元に、加藤陽三君より本案に対する修正案が提出されております。
○伊能委員長 提出者より趣旨の説明を求めます。加藤陽三君。
○加藤(陽)委員 ただいま議題となりました許可、認可等の整理に関する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。 案文は、お手元に配付いたしてありますので朗読は省略させていただき、その要旨を申し上げますと、原案では、無線局の無線設備等の検査についての規制の緩和、電波の周波数の表示の変更等に関する電波法、放送法及び郵政省設置法の改正規定は昭和四十七年六月一日から施行することとしておりますが、すでにその日が経過しておりますので、これを公布の日から施行することに改めようとするものであります。 よろしく御賛成をお願い申し上げます。
○伊能委員長 これにて修正案についての趣旨の説明は終わりました。 —————————————
○伊能委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 許可、認可等の整理に関する法律案及び修正案について採決いたします。 まず、加藤陽三君提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○伊能委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。 次に、ただいまの修正部分を除いた原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○伊能委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。 なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊能委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○伊能委員長 運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、これを許します。横路孝弘君。 横路君に申し上げますが、もう参議院の本会議が近く終了すると思いますので、終了しましたら大臣は参りますが、それまで御了承願います。
○横路委員 実はきのう行管の許認可の設置法に関連して、いまの航空の保安要員の問題についていろいろとお尋ねしたんです。きょうそれを第二次空港整備五カ年計画との関連でお尋ねをしていきたいと思いますが、大臣が来られるまでちょっと……。 この間、北海道で横浜航空のセスナが、まだ原因はわからないようでございますけれども、十人ほどなくなられたというような事故がまた発生したわけでありますけれども、この原因等について、現在までの調査がおわかりでございましたら、お答えいただきたい。
○内村(信)政府委員 先般の北海道の航空事故については、まことに申しわけないと思っております。 そこで、原因でございますけれども、現在、運輸省の事故調査員が先方に参りまして、現在調査中でございます。したがいまして、まだ原因というものははっきりいたしておらない段階でございます。
○横路委員 気象の判断を間違えたとか、いろいろなことがいわれているわけでありますけれども、こういう不定期便と新聞社等の小型機、一般航空といわれておるようなものについての状況というのは、ほとんどいま野放しになっておるような状態で、それだけに監督も規制も十分に行なわれていない現状だろうと思うのですが、そう辺のところを、今回の事故を契機にしてその辺がいろいろいわれておるわけでございますけれども、皆さんのほうとしてどのようにお考えになっておるか、お聞きしたい。
○内村(信)政府委員 今回の横浜航空株式会社、これは不定期航空運送事業をやっております。したがいまして、一応定期航空会社ではございません。その辺の問題がいま先生御指摘になったようなことでございます。ただ、法律的に申しますと、路線を定め日時を定めて運行するのが定期でございますが、不定期の場合はそれ以外のものということになっております。ただ、一般に不定期の場合も、当然、飛行計画等につきましても認可制をとっておりますし、安全性の監督はいたしておりますけれども、やはり法律上定期に比べて監督の手がゆるいということは言えるかと思います。ただ、今度の横浜航空株式会社、これはいわゆる不定期ではございますけれども、実際上、有視界飛行気象状態、天気のいいときだけではございますけれども、一定の路線を運航しております。それも大体において、定められたときにおいて運航しておるというわけでございます。ただ、これにつきましては、私ども、安全の見地から、有視界飛行気象状態というときでなければ飛んではいけませんということを条件にして許したというようなことでございます。 そこで、いわゆる安全監督その他につきましても、確かに法規上は程度の差がございます。たとえば、運航管理者というものも法的には置かなくてよろしい、あるいはパイロットにつきましても、定期航空運航事業者の免状を持っていなくてもよろしいということでございます。ただ、私どもとしても、現実の問題としてディスパッチャーも置くように行政指導をするとか、いろいろな意味において安全の万全をはかっておるつもりでございます。しかし、現実にこういうふうな事故が起きまして、世間の皆さま方もいろいろな角度からいろいろなことを申されておられます。この点につきましては、なおさらに検討いたしまして、いかにしたら安全を確保できるか、これよりいい方法が具体的にあるかどうかということについてさらに検討いたしたいと思っております。
○横路委員 女満別は去年から管制通信官が入って、東亜国内航空がYS11を去年から入れておるわけですね。特に夏場の観光シーズンになりますと、やはりほとんどお客さんがあって、定期便と変わらない形でもって飛行しておるのが実情だろうと思います。そういう意味では、ああいう空港の整備と同時に、航空会社についても、この気象の問題というのは前からいろいろと指摘されておりました。詳しい事情がまだわかりませんから何とも言えませんけれども、少なくとも離陸をするときには有視界で飛べる状況だっただろうと思うのです。離陸時も、また着陸空港の丘珠空港のほうもそういう状態であったろうと思います。その辺のところは、報道によりますと、気象台のほうの測候によると、途中に積乱雲が出ておるのであぶない状態になった。その連絡が行ったとか行かないとかいうようなこともいろいろ言われておりますけれども、途中の気象状況というものを飛行中に掌握することはできないのですか。紋別の場合ですと、最初の段階ではどの辺との連絡になるのでしょうか。
○金井政府委員 御指摘の途中の情報は、もし異常乱気流だとか異常な雷雲が出たとかいうようなときには、気象庁がそれを各空港の担当者、もちろん空港事務所を含めまして通報し、それをカンパニーラジオで通報するという手だてはございます。ただ、そういう航空路の情報については、特別の非常事態が発生しない限り気象予報はいたしません御指摘のように、有視界飛行の条件のもとに運航の許可をされていたわけでございますけれども、紋別だとか丘珠だとか各空港の気象状況は、有視界飛行の限度内にあったわけです。ただ、御指摘のように、航空路の気象情報については正確にはわからなかったということは事実でございます。
○横路委員 紋別の場合は、あそこは運輸省の管制の関係はだれもおられないわけでしょう。どことの連絡によるのですか。釧路、帯広あたりじゃないのですか。
○金井政府委員 女満別でございます。
○横路委員 そうすると、管制官じゃなくて、管制通信官を置いてある女満別空港との連絡で、一応離発着の許可といいますか、いろいろな連絡を受けて飛び立ったり降りたりする、こういうことになるわけですね。
○金井政府委員 管制通信官は紋別にはおりませんけれども、航空局出張所がございますし、航空測候所もございますから、航空測候所は、たとえば札幌の管区気象台から気象データをもらって、それを空港に用意しておく。また、空港事務所もそれを利用して、機長も出発前に紋別の空港はもちろんのこと、目的地である丘珠空港の情報もそこでキャッチして出る。先ほど申し上げましたように、航空路の気象情報については、そういう情報は出されておりません。
○横路委員 そうすると、このセスナ機はもちろんウエザーレーダーなんか積んでいませんから、飛んでいればつかまえることもできないし、途中で変化した場合の連絡も飛行機に対していかぬということになりますね。
○金井政府委員 航空路の情報につきましては、情報がないので事前に予知することはできません。したがって、端的に言って、そばにいって初めてわかるということでございます。ただ、これは先ほど局長も申し上げましたように、有視界飛行のもとに許可になっておりますので、雲は避けて飛ぶというたてまえになっております。それからもし異常気象があった場合には、飛行機の中にはVHF無線通信機を二基持っておりますので、丘珠空港の気象の連絡をカンパニーラジオで聞くことは可能でございます。
○横路委員 ただ、この飛行機の場合は、気象が原因かどうかわかりませんから何とも言えません。仮定の議論になりますけれども、着陸する直前、十分か十五分で着陸という連絡をして、その直後の事故になっていますね。そして当時、あとから判断すると、あそこには大きな積乱雲があったということになっておるわけですね。そうすると、その辺のところは、運輸省のほうからは別に、気象等について飛んでいる飛行機に対して連絡するというようなことは、こういう不定期便——不定期ですけれどもほぼ定期と同じように夏場は飛んでいるわけですが、連絡する体制というのは全然ないのですね。航空会社のほうは、ディスパッチャーはもちろん置いていないし、一応それにかわるような管理者みたいなものを空港に置いておる程度で、そういう連絡なんというのがきちんとできる体制にはなっていないわけですね。
○金井政府委員 もし、先ほど申し上げましたように、非常に予期しない異常気象が起こりそうだというときには、ボルメットとかシグメットとか、そういう手だてで通報することはできますけれども、それはもちろん、空港測候所、気象台を通じてそういう情報を空港事務所が入手して流すということでございますけれども、当日は、そういう異常気象が発生しておる、要するにシグメットとかボルメットに相当するほどの異常気象状態ではなかった。したがって、新聞その他では積乱雲が出ておったという情報がありますけれども、ほんとうにそういうものがあったかどうかということはいまわかっておりません。ただ、これからやることは、地上の目撃者その他、どの辺に雲があったのか、どういう方向にどういう雲があったかということをたよりにする以外につかみようがないというのが実情でございます。
○横路委員 幹線路の整備というのも非常に大事なんですが、ある意味では、たとえばの話ですけれども、東京−大阪なんというのは、飛行機に乗らなくたって新幹線で十分用を足すことができるわけですね、時間的にも。ところが、北海道の場合に、紋別とか女満別とか稚内ということになると、これはやはり飛行機というのが非常に便利になってくるわけです。ですから、そんな意味で、私たちも道内でもってやはり利用することがあるわけです。そんな意味では、不定期便だからということじゃなくて、やはりその辺のところの会社の体制というものも、なかなかいますぐとるのはむずかしいのかもしれませんけれども、十人程度しか乗れないといってもやはりそれなりに乗客の命を預かっているわけですから、運輸省としても、その辺のところに対する監督というものも、ぜひ十分行なっていただきたいと思いますし、それから不定期便ばかりじゃなくて、一般の新聞社等のチャーター便にしても、これから民間会社等が保有して利用するということもかなり多くなるということは、アメリカ等のようになるかどうかは別にして、予測できないわけでもないわけでありますので、その辺のところもひとつ十分に、たとえば飛行場なら飛行場の問題一つ考えてみても、これからどういう配置をしていくのかというようなことを含めて、ぜひ検討していただきたいというように思うんですが……。
○内村(信)政府委員 まことにおっしゃるとおりだと思います。確かに先生おっしゃるように、これからいろいろな小型機もふえてまいりますが、そういったものについて、いわゆる定期航空の大型機と小型機、そういうものをいかに交通整理するかというようなことも考えていかなければなりませんし、ローカル空港等につきましても、新しい空港をつくるとか、滑走路を延ばすとか、そういうことだけではなくて、やはりこまめに悪いところを直していくということも十分考えていかなければならない、こういうように考えます。
○横路委員 それでは今回の法案に関連してお尋ねをしていきたいと思いますが、当初の航空庁をつくるべきだということから、今度の場合には次長制度ということになったわけでありますが、それにはいろいろと皆さんのほうの中の事情もあったようでございますから、その点は触れませんけれども、体制として、やはり航空行政というものは非常に需要がふえてきておりますから、それに対応する体制をつくるという意味では、私たち、管制保安部でしたか、課から部に昇格するということについては賛成なわけなんですが、この第二次空港整備五カ年計画が四十六年度を初年度としてもう始まっているわけですけれども、これは総額五千六百億ということで、去年の二月にたしか閣議了解を通って、そして正式にへその中身というものが長期的な展望をもってきめられたというのがことしの三月十七日になっているわけですね。つまり、本来ならば逆でなきゃならぬのを、計画なしに実は去年から出発している。第一次空港整備計画の場合にも、財源等の問題もあったと思うんですけれども、やはりその辺のところの問題で失敗をしたんじゃないかというように思うんです。 そのように考えると、一応この第二次空港整備五カ年計画の場合には、乗客数を、国際線の場合一千万、国内線四千万というように、昭和五十年度ですかをめどにした計画になっているんですけれども、もうちょっと長期的な展望の中から空港整備というものをはかっていく必要があるんじゃなかろうか。長期的な見積もりというのをどの辺まで見通すことができるかというのは、経済的な状況の変化がありますから、そう遠くまで、先のことまで見通すことはできないんでしょうけれども、しかし、これを読んでみると、こういうことをするということはわかっても、じゃ将来的なイメージはどうなのかということになると、どうもまだ明確にこの第二次空港整備五カ年計画の中には出てこないというのが私なんかの受けとめ方なんですけれども、その辺のところで、どの程度の長期的な展望を持った上でのこの第二次空港整備五カ年計画になっているのか。何か印象としては、五千六百億をともかく何か裏づけするということのために作業を、去年の二月閣議了解があったから、あとで一生懸命その作業をやって、五千六百億というのは、だからどうもその辺のところが明確じゃないというように私は思うんですけれども、その辺のところはどうなっているんでしょうか。
○内村(信)政府委員 これは確かに五カ年の計画になっておりますが、実はこの前提といたしましては、かつて新全総というものがございまして、その際は、大体昭和六十年度を見通しまして、そのときの基礎数字として、国内線が大体一億二千万ぐらいの需要があるだろう、国際線については大体四千万程度の需要があるだろうということが、長期のいわばマクロな見通しだったわけであります。それを踏まえまして、それにつきましては、その後の情勢の変化、あるいは社会情勢がずっと変わってまいりましたので、違う点もあるかもしれぬというので一応吟味はいたしましたが、マクロ的な趨勢から見れば、一、二年の差はあるかもしれぬけれども、傾向としてはあまり変わりはないんじゃないかというふうなことを踏まえてこの五カ年計画というものを、先ほど先生がおっしゃったような需要の数字をとらまえたということでございます。 そこで、その五千六百億でまずきまってというようなことでございますけれども、五千六百億というのは、財政の問題、あるいは国の全体の投資規模の割り振りの問題、それから逆に言えば、その財源が実際上どういうふうに確保できるか、こういうような問題もございましてきまったわけででございます。それから見ましても、その需要の数字から見ましても、大体この程度でなかろうかということできめたというような実情でございます。
○横路委員 この第二次空港整備五カ年計画を実現していくためには、この財源の問題は第一次計画に比べて解決されたわけでありますが、やはり保安職員の問題と、それから民間航空会社のほうがそれに対応できるだけの体制がとれているかとれていないか、これは乗員や整備等の訓練を含めてですね。やはりその辺のところが大きな問題になるんじゃないかというように思うわけです。 そこで、一つは民間航空会社のほうの体制なんですけれども、いろいろ皆さんのほうでまだ議論されていて、きまっておらないようですが、シェア等を日本航空、全日空、東亜国内でどのようにしていくのか。その辺のところのいまの状況というのは、どうお考えになっているんですか。
○内村(信)政府委員 この点につきましては現在いろいろ検討中の段階でございますが、これはあくまでもこの前の閣議の了解がございまして、そこで大幅なその分野というものがきまっておるわけでございます。これは閣議了解の前に運輸政策審議会というふうなところで一応の政策をきめまして、それを閣議に了解を求めたというふうなことでございます。大幅なワクを申し上げますと、やはり日本航空というものは国際線と国内幹線、それから全日空は国内幹線とローカル線、それに近距離国際チャーターということで、それは機材の余裕のある限りにおいて活用するということ。それから東亜国内につきましては、さしあたりローカル路線ということでやっていくんだけれども、将来は幹線にも出ていくことを考えようというのが大まかな筋でございます。大体はその筋に沿って、どういうふうに客観情勢に合わせて具体化をはかるかということが現在の問題でございます。これについてはまだ検討中の段階でございます。
○横路委員 しかし、そうは言っても現実に会社の社内体制というものは、たとえば東亜国内航空だって、YSじゃなくてジェット化を中心とした体制整備に何か持っていこうというような動きというものは非常に大きくあるわけですね。その辺のところのシェアというものは、具体的には、どうする、こうするということは、全然議論中であってきまってない、こういうことですか。
○内村(信)政府委員 シェアというのが実は二通りの意味があると思うのです。国際、国内幹線、国内ローカル、これを通じて全体的にどういうふうに位置づけをするかというのが一つの問題。その次に、たとえば同じ幹線でもってどういうふうに入れていくかということをシェアとしてどうするかという問題、この二つの問題がございます。それで私がいままだ検討中と申し上げましたのは、幹線のシェアというものをどういうふうにすべきか、すべからざるかという問題について検討中であるということでございます。 それから全体の位置づけということにつきましては、先ほど申し上げましたような位置づけをしているわけでございますが、そのときに先ほど指摘ございました東亜国内がジェット化の準備を進めているということは、これは現実の問題としてはローカル路線のジェット化の準備を進めているわけであります。もちろん、このジェット化の準備を進めるためには、やはり日本航空というものの技術援助が必要でございまして、それがないと安全運航はできませんので、そういうふうな技術的援助がどこまでのものができるかということでもっていま検討しておりますが、方向といたしましては、ローカル線も空港が大きくなりますに従いまして、また旅客需要がふえるに従いまして、これは騒音の問題がございますけれども、この解決さえつけばジェット化していくのが一つの趨勢でございまして、そういう意味におきまして、東亜国内におきましてもジェット化の準備を進めているということでございます。
○横路委員 日本航空はだいぶ甘やかされているんじゃないか。特に日本航空の中の労務管理等を見ていると、そういう感じが非常にするわけですよ。確かにいまのような会社の体制の中で東亜国内なら東亜国内というものを、たとえば幹線を飛ばしていきなりジェット化をぼんぼんしていくといったって、とてもじゃないが、いまのあの会社の体制じゃ十分じゃない。その辺のところはなかなかむずかしいのですけれども、ただ日本の航空というものを考えた場合に、日航ばかりに比重を置かないで、もう少しそれぞれ東亜なり全日空あたりにも力をつけさしていくということは、これはどうしても必要だろうと思うのですね。私、あとで日本航空等の問題についてはまた議論したいと思うのですけれども、基本的な方向として、たとえば、東亜はローカルでいいんだといって、何か国際線が花形でそれに比重を置いてというようなことじゃなくて、国際線であろうと、国内線であろうと、ローカル線であろうと、ともかくお客さんが乗っているわけですから、これは落ちたら困るので、そういう意味できちんとした基盤をつくってやるような行政指導というものも、日本航空ばかりじゃなくて、東亜とかあるいは全日空に対してもやはり必要じゃないか。どうも日本航空にだけ少し甘過ぎて、日本航空は甘やかされてきているんじゃないかという印象がいろいろな面でするわけなんです。その辺のところも考えて、第二次空港整備五カ年計画の乗客をどういう形でさばいていくのかという体制というものを、航空会社の体制としてぜひつくっていただきたいというふうに思うのですが、その辺のところは大臣いかがですか。
○丹羽国務大臣 ただいま御質問ございましたとおりと私も考えておる次第でございます。先般、一昨年かにおきましても、ことに運輸事業におきましても、一番安全性を尊重しなければならない航空交通機関でございますから、安全性の確保ということは第一である、次に利用者の利便である、それからまた、それに従う各分野もそれに合うようにシェアをきめていくということが骨子でございまして、いままでお話がございましたように、いま定期旅客としては三社でございます。三社がやはりそれぞれの所を得ましてほんとうに協力をして、そうしておのおのが発展をしていくように体制をつくっていかなければならぬ。その根本によって進んでいくつもりでございます。
○横路委員 特に航空会社に対する指導というのは、第一次空港整備五カ年計画のときから、あの四十一年の四大事故直後からくるくる変わって、さっぱり明確な方針になっていないのですね。航空会社の関係になるといろいろな利害関係が生まれてきて、それがいろいろな圧力団体となって、その辺の力関係で動いていってさっぱりきまらないのだろうと思いますが、そういうことじゃなくて、基本的な日本の航空行政、航空界のあり方という視点から、その辺のところをぜひきめてもらいたいというふうに思うのです。 そこで、次には保安要員の問題なんです。実はきのう航空局長も大臣もおられないので、行管のほうに定員の確保についての要望をしておったのですが、その中でいろいろ調べてみても、何回も議論され何回も言われながら、なおかつ航空保安要員というものはまだまだ非常に足りない。しかも無資格者が非常に大きな割合を占めているということを指摘をしたわけなんです。 きのう大臣おられなかったので一例だけ申し上げておきますと、たとえば名古屋空港ですね。名古屋空港の場合ですと、あそこはもう飛行機の離発着回数が非常にふえて、一時間に七十三機離発着している。三時間通してみると、大体平均して二百機離発着しておるわけです。管制官の場合どういう状況になっておるかというと、フルレーティングを持っているのは大体半分ぐらいしかいない。あとはパーシャルかノーレーティングの人ですね。特にあそこは前に一度事故を起こして、資格のない人が実際上は責任を追及されるというようなことで刑事裁判で有罪判決を受けるというようなことになっているので、その辺のところは非常に注意しながら皆さん方やっておられる。飛行状態、気象状況が悪いと、無資格者を全部はずして有資格者だけで管制をやっている。そうすると、すわる席が九つか十ありながら実は半分ぐらいしか人がすわらないで、レーダーのほうとターミナル管制のほうと連絡も十分できないままに、主幹ですか主任ですかといわれるような人が、実際には席にすわって管制をやるというような実態になっているわけです。 そこで、第二次空港整備五カ年計画に関連をして、この五カ年計画をやるための保安要員というのは一体何名必要で、それが一つ一つの分類でどれだけ必要かということは検討されていますか。
○内村(信)政府委員 大体概算はいたしておるつもりでございます。申し上げますか。
○横路委員 はい。ちょっと職種別にいろいろ……。
○内村(信)政府委員 それでは保安要員に限定してお話し申し上げますけれども、航務、通信、無線、管制、施設、こういった分類で申し上げたいと思います。 そこで五カ年計画につきまして必要な人員、これは計算上でございますから端数も出ておりますけれども、千八百五十四人というふうに考えております。その中で四十六年度及び四十七年度の定員として認められたものが、四十六年度が二百六十一名、それから四十七年度が四百二十八名でございます。そこで残りますのが、千八百五十四名から現在のこの二年分の六百八十九名を引きました千百六十五名、ばく然と申しますとまあ千二百名程度が四十八、四十九、五十の残ります三年間で必要である、こういう勘定でございます。 それでこれを職種別に申し上げますと、航務関係でこれからの三年間に必要な人員が四十四名、それから通信が百四十九名、無線が三百九十四名、管制が五百十二名、施設が六十五名、合計千百六十五名でございます。これは非常に端数にまでわたって正確なようでございますけれども、計算の関係上一応こういうふうな数字になっております。大まかには大体千二百名ということでございます。
○横路委員 その必要な人間をどうやって養成していくかということが問題になるわけですね。いまの航空保安大学校の定員から言うと、無線関係、通信関係なんというのはとうていまかないきれないでしょう。あの定員はいまたしか四十の二十、二十でしたか。ちょっとその辺のところを……。
○内村(信)政府委員 確かに保安大学校の定員は若干ふやしていただいておりますが、なおかつ、それのみをもってはまかない得ないわけでございます。特に無線関係は三百九十四名要ると申し上げたわけでございますが、航空保安大学校の養成で出ますのは大体八十名程度であろうと思います。したがいまして、残りの三百十四名というものはやはり新規採用しなければいかぬというところに問題がございます。もちろん無線でございますから、必ずしも保安大学校のほうにおりませんでも、あるいは一級、二級、あるいは三級というふうな免状を持っている人に来てもらえば、それを研修して航空保安要員にさせることはできるわけでございますが、それだけ一般から局のほうにそういう仕事のために入ってきてくれるかどうか、そこが一番の問題でございます。
○横路委員 いや、そこが問題でございますといったところで、それじゃやはりだめなんで、もしそれでしたら、航空保安大学校のほうの定員をふやして、それでまかない切れるようにするとかいうような措置というものがやはり必要でしょう。いまの航空保安大学校、これもまあ出発したばかりのようなものですから、なかなかそこまで体制がいかぬのかもしれませんが、それでなかったら、要するに施設だけつくったって機械が動かないということになってしまう。 大臣、その辺のところが実は一番心配なんで、きのう行管のほうにも話しておきましたけれども、行管のほうでも、航空等については積極的に必要な定員というものは認めていこうという姿勢を、きのう大臣のほうも示されたわけです。そういうことで、定員は認められたって肝心の人がいない。ということになれば、飛行機だけどんどんふえて下のほうの施設がだめだということになれば、これは全くとんでもないことになるわけなんで、その辺のところを、民間から来てくれるかどうかわからぬけれども何とか募集してやります程度では、これ困るんじゃないかと思うのです。
○丹羽国務大臣 ただいま御質問ございましたとおりでございまして、私は就任当初からその点を一番心配をしておりました。いかにしてそういった技術者の充足を確保するかということが一番の問題でございました。これがためには、さっきからお話がございました保安大学の機構を拡充いたしまして、そこで収容人員をふやすということも直ちにしろということは指示している次第でございます。それだけで足りない。ただいま申しましたように、応急の措置としては民間からどうしてもある程度の採用をしなければならない。それにはいまの手当ではたして来るかどうかという問題がございます。特別手当その他の点につきましても、極力これを増していかなくちゃいかぬ。実は管制官につきましては再三言っておりますが、私の考えでは、民間の一般の給与からいたしましてまだまだこの点が足らない次第でございますが、公務員という特殊の自覚のもとにある程度のごしんぼうを願って来てもらうということで、漸次そういうような給与をいま増しております。それと伴いまして、今度は、通信官のそういう特別手当を増すように、ただいませっかく人事院、総理府に強く要請をいたしております。それらのものを勘案いたしますとともに、将来の昇進の方法も、いろいろの運用の方法を通じまして、ぜひひとつ民間からもわれわれの航空業務に転職をするような措置を考えてもらいたいと、いま早急に各方面と折衝しておる次第でございますので、その点でなお一そうの御鞭撻をお願いしたい、そういうふうに思います。
○横路委員 待遇の問題は、大出議員のほうからもいろいろと各方面に対して質問があったと思いますが、そこでひとつ、きのう質問したことの繰り返しになるんですけれども、大臣の頭の中に入れておいてもらいたいのは、たとえば、管制技術にしても、通信関係にしてもそうなんですけれども、技術訓練というのが非常にお粗末なんですね、運輸省の関係は。たとえば東京の航空交通管制あたりの実態を見ると、ここは管制技術の人員は二十三名なんですが、そのうち資格を持っているのが十五名ですね。資格というのは航空交通管制技術職員試験規則による技能証明書、これを持っているのが十五名。あと八名というのは何も資格を持っていない無取得者ですね。その八名の内訳は、基礎訓練、規則の四条でいう「四カ月以上」の研修というやつですね。これは航空局長が研修云々という、「基礎試験は」ということできめられているのが終わってない者が四名ですね。それから実地試験です。この実地試験が終わっていないのが四名。というのが無資格者の内容になっている。いろいろ聞いてみると、この基礎訓練というものも、実際は、「四カ月以上」と規定されているけれども一カ月だけで、皆さん方のやり方というのは、あとは現場にぶち込んで、徒弟制度みたいに、実際の仕事のローテーションの中に入れて、資格を持っている人間からいろいろと指導を受ける、そして何とか一人前になっていくということなんですね。その間における技術訓練というものを運輸省としてきちんと行なわれていない実態にあるんじゃなかろうか。ですから、たとえば東京の久留米のセンターのこの関係の実地訓練も、本来ならば、試験規則の八条で「管制技術業務は、技術証明書を有する職員以外の者に行なわせないものとする」というようにわざわざ規定されながら、実際には資格のない者にやらせている、こういうことになっているわけです。 管制技術の例だけお話申し上げましたけれども、ほかも大体全部そうです。通信技術関係もそうですし、こういう技術ばかりではなくて、管理要員とか消防、消火の関係ですね。空港の消火の関係、こういう関係も、ともかく特殊な技術の訓練の場というものが非常に弱いように思われますので、その辺のところもひとつぜひ考えて、航空保安大学を卒業してすぐということばかりじゃなくて、大学を出てくればまだいいですけれども、これからは民間からも採用しなければならぬというような場合には、とりわけこういう訓練が非常に重要になってくるので、現場にぶち込んで、その中でもって徒弟制度みたいにやっていくなんということじゃないようにお考えをいただきたいと思うのです。
○丹羽国務大臣 ただいまの問題、何といっても技術というものは、せっかく覚えましたものも実務について訓練しなくちゃなりませんし、また実務について訓練しましたのも、時代の進歩とともに技術も向上してくる、そのたびに新しき技術の知識を獲得しなくちゃならぬということがございますので、再訓練ということが必要ではないか。どこの事務職員におきましても再訓練をする場所が相当あります。ましてそういった一番大切な技術訓練でございますから、いま御指摘がございましたように、ある一定の期間、たとえば一年間つとめた者は二カ月ですか、保安大学に依頼をして新しい訓練を行なうことが私は必要だと思っている次第でございます。ただ、現実の問題といたしまして、いまお話がございましたように非常に人員不足でございまして、これは申しわけない次第でございますが、久留米のコントロールタワーにおきましても、またその他におきましてもぎりぎり一ぱいでやらしている、こういうことでございますので、その余裕がまだ出てこないということで実情やむを得ずやっている次第でございます。一番大切な問題でございますから、何とかそれらを勘案いたしまして、幾ぶんでも余暇をさきまして再訓練の機会をぜひ与えてまいりまして、いまの点の発端を開いてまいりたいと思っている次第でございます。
○横路委員 もう一つ、空港の消火体制で行管からの勧告も出ておりますし、二種空港で化学消防車が配置されながら専任の要員が一人もいないということで、きのう行管に対してお願いをしておったのですが、その辺のところで、要員の問題もぜひ二種空港に重点的に配置するように考えてもらいたいと思います。 それから訓練そのものも、化学消防車、特に飛行機の場合は、普通の消火と違って特殊な要素があるわけですが、現実を見ておると、二種空港の場合は、飛行機に対して給油をする民間の石油会社の社員と約束をしておって、その人が車を運転する。あとは一般の事務をとっている人がその消防車に飛んでいって消火作業をする。消火だって危険な仕事ですから、こんな服を着てぼっとやれるわけじゃないのに、大阪あたりですと、専門のそういう被服までまだ十分でないというようなことなんで、そういうような体制も含めた訓練の問題も、これまた、要員の配置と同時に、ひとつぜひお考えをいただきたいと思うのです。
○内村(信)政府委員 まさに先生おっしゃるとおりだと私、思っております。確かに、二種空港につきましては消防車を配置しておりますが、要員までなかなかめんどうを見切れないというのが実情でございまして、現在は、先生のおっしゃいましたように、現地の空港職員あるいは民間の職員等が一致協力して消火体制をつくっておるということでやっております。もう一つは、地方自治体の消防と協定を結びまして応援を依頼しているというようなことでやっておるわけでございますが、やはり御指摘のように、どうしても基幹空港となる空港におきましての消防要員の確保その他が筋でございまして、その方向に進めたいと思っております。 もう一つの考え方は、やはり消防というのは、もちはもち屋でございまして、そういった意味では地方公共団体における消防というようなところとも十分に連絡をとりまして、実質的に消火体制をきっちりとしたものにいたしたいというふうに考えております。
○横路委員 そういうことで、空港整備五カ年計画に対応する皆さん方の管理の部門だって、これからレーダーを一つどこかにつくるにしたって、場所の選定から何からいろいろと職員の人たちがやらなければならぬということですが、大阪航空局の例なんか調べてみると、職員の人たち平均年間三日ぐらいしか有給休暇がとれないというような状況で、広いところをあちこち走り回ってやっておるわけですね。非常に出張が多いという勤務状況になっていますので、そういうような問題を皆さん方のほうでお考えをいただきたいと思います。 そこで、きょうはちょっと日本航空の労使問題に関連して質問したいと思うのですが、労使問題ですから、運輸省よりは労働省のほうがいいだろうということで、前に予算の分科会でちょっと労働省に質問を申し上げたのですが、よくいろいろと話を聞いて考えてみると、やはりこれは単なる労使問題じゃない、そこには、安全の観点からする問題というのが実は非常に大きく横たわっているのじゃなかろうかというように思いますので、その辺のところを少し事実を指摘して、そしていま現在、会社のほうなんか、きれいなパンフレットを次から次へと出して、皆さん方の手元に行っているだろうと思いますけれども、ほんとうにむだなことにエネルギーを費やしてやっているという感じなんです。したがって、その辺で御指導いただきたいと思うのです。 最初に、この間の五月十五日のDC8−61型の事故ですね。この辺からちょっと整備の問題についてお尋ねをしていきたいと思うのです。 この日本航空のDC8−61型の事故については、警察のほうも刑事事件として捜査しているようでありますけれども、皆さん方のほうでは、一体この辺のところの原因をどういうようにお考えになっているのか。日本航空のほうでは、何か滑走路が悪いのだというふうに、もっぱら滑走路のほうに責任があるような表明が最初のころ出ておりましたが、現状どうなっているのか、その辺のところから……。
○内村(信)政府委員 詳細は技術部長から御説明申し上げますけれども、現在の段階におきましては、まだ事故調査の段階でございます。したがいまして、エンジンなどにつきましても相当分解してみなければいけませんので、いますぐ結論は出せないというふうに考えております。 それから、滑走路のコムがすべるのじゃないかというようなお説も一部にございまして、私どもこれにつきましては、やはりそういうふうなことにつきましても検査しなければいかぬということで、現実に水をまきまして滑走試験も行ないました。その結果、それほど摩擦係数は悪くないというふうな結果でございました。なお、全般につきましてはまだ調査中でございますので、はっきりした結論は申し上げられません。
○横路委員 最近の飛行機の世界的な事故の中で、離陸時の事故というのが非常にふえてきているというように、何かIATAあたりからも航空会社なんかに対して注意なんかも出ているようですね。特にDC8型の離陸時の事故というのがちょっと多いのじゃないかというように思うわけなんですけれども、この整備の体制について、エンジンの整備、機体整備が、従来やられてきたのと違って、最近、たとえば日本航空ばかりじゃなくて各航空会社全部そうですけれども、運用許容基準といいますか、キャリーオーバー基準というのを設けて、あれは皆さん方のほうで認可されているのでしょう。認可事項になっているのでしょう。
○金井政府委員 認可事項になっています。
○横路委員 そこで、各航空会社みんな出発の時間がきめられていますね。その出発がおくれると、どこへこの責任の問題が起きてくるかというと、整備のほうにディレイレポートという、なぜおくれたかというレポートを提出させているのです。そのために、整備の実態というものはどうなっているかというと、あのキャリーオーバーの基準の中に、この辺は故障していてもいいとか悪いとかというのがずっとこまかく規定されていますが、一分でもおくれるとすぐ整備のほうにディレイレポートを出させるようにしているので、これは無欠点運動と称して生産性向上運動の一環としてやっているようなんですが、結局、少々の故障があってもどんどん出してしまうわけです。ともかく定時ということのほうを安全ということよりもまず第一に考えて、定時性を確保するという観点から飛行機をどんどん飛ばしてしまっているということになっているのです。その辺のところのいまの整備の実態、これを皆さん方は掌握されているのかどうか。 確かにそれは、短い時間で整備をするということが無理がかからないでやれるような体制ですと、それは問題がないのですけれども、実際には各航空会社ともやはり要員が非常に足りない。日本航空なんかの場合でも、整備の関係というものは人がふえていない。営業の関係というものは人をどんどんふやしているけれども、整備関係というのは、たとえば機数から言うと、日本航空の場合、昭和四十年に三十三機だったのが、現在ビーチを含まないで六十五機にふえているわけです。倍以上になっているけれども、整備の人員というものは大体一・二倍程度、一・二強ぐらいしかふえていないというような状況の中で、こういう無欠点運動ということでもって時間をおくらせないような形にしていく。そうすると、その無理がどこに行くかというと、整備に行っているのです。その辺のところの現状というのを皆さん方のほうで御承知になっているかどうか、その辺どうですか。
○金井政府委員 御指摘のキャリーオーバー・スタンダードというのがございまして、このキャリーオーバー・スタンダードというのは、そのまま修理しないで飛んでもいいという項目でございます。だからといって、これをそのまま修理しないでどんどん飛ばしている実例があるということでございますけれども、キャリーオーバー・スタンダード自体というものは、なるほどそれは修理しないで飛んでもいいけれども、地方のローカル空港あるいは整備施設が十分でないところで起きた場合には、メーンベースへキャリーオーバーするというのが本来の趣旨でございますので、もし万一メーンベースでどんどん御指摘のようにキャリーオーバーすることがあるとすれば、それは望ましいことではありません。 それからまた、機数はふえたけれども整備要員は一・二倍程度しかふえていないということですけれども、御指摘のとおりでございます。ただ、これはもちろん、いろいろいい意味での整備方式の改善とかそういうことで、特に昔に比べて人数が不足しておるというふうには理解しておりません。 ただ、前に戻りますけれども、キャリーオーバー項目であるからといって、整備のメーンベースでどんどんキャリーオーバーするということは、決して望ましいことではございませんので、私どもとしては、まだ一々詳しいデータを把握しておりませんけれども、場合によりましては、立ち入り検査その他によってその事実を確認したいというふうに考えております。
○横路委員 ぜひその辺のところを確認してもらいたいのですが、実は航空安全推進会議というのがある。これは大臣も皆さん方も御承知ですね。そこで、日本航空、全日空、東亜航空の整備関係の人六百八名に対してアンケートをとった結果があるのです。この結果の中に、非常におもしろいのは、いまのキャリーオーバーの問題でどこと整備の人と対立するかというと、パイロット等といつも対立になるわけです。これでいいから飛びなさい、キャリーオーバーでいいからこれでもって飛びなさいと言うと、パイロットのほうは、いや直してくれ、こういうことになる。直してくれと言ったって、もうお客さんも乗っかっていて、荷物も積んでしまったというようなときに問題点が発見される場合もあるわけです。 たとえば、去年の十月に、日本航空の整備の人がフラップにはさまれてなくなった事故がありましたね。あれなんかも、乗ってしまってから欠陥に気がついて、それで大あわてでもって飛び込んだために、点検をやっていたフラップにはさまってなくなったという事故なんです。これもやはりある意味ではキャリーオーバー・システムの一つの犠牲だろうと思うのですが、そうやって機長と意見を異にする場合があるかというと、半分以上の人が対立しておるというわけです。つまり、飛びなさいと言う、いやだと言う、そういう意見を異にした場合に、どっちの言い分が正しいかということを整備の人にアンケートを出したわけです。そうすると、四〇%の人がやはり機長のほうが正しいと言っているのです。つまり、自分の言い分のほうがおかしい、間違っている。自分の言い分は間違っているけれども、ディレイレポートを書かなければならぬ、それはいやだから、キャリーオーバー基準できまっているのだから、少々の欠陥はいい、着陸灯がつかなくてもいいとか、エンジンの発電機一つとまってもいいとかいうようなことで飛ばしてしまうということに現状としてなっているのです。 したがって、やはりその辺のところを、これはいま技術部長のほうから実態を調査してというお話がありましたが、あれはつい先月でしたか、大臣のほうで、海と陸と空の関係について、全面的に安全の問題について点検をしなさいという指示をされたそうでありますけれども、その辺のところを、もうひとつ徹底したいまの企業に対する監督というものもなければだめじゃないかというように私、思いますので、その辺のところもひとつ大臣のほうで検討して、いまの実態というものをぜひ掌握をされていただきたいというように思うのです。
○丹羽国務大臣 非常にいい御指摘を受けた次第でございますが、原則としては、いま言ったような、機長が安全性を確保して、そしてチェックをしてもらう、私はそれでなくちゃならぬと思うし、またぜひそういうふうにやってもらいたい。推進会議の方々とも私たびたび会っておりますので、そういうふうに思っている次第でございます。何と申しましても安全性が第一でございます。ですから、かりにキャリーオーバー・システムが不合理であるということであれば直ちに廃止する。私は技術的なことはよくわかりませんが、それは十分検討さしていただきたい。それに対応するような対策をとらせたいと私はかねがね言っている次第でございます。 異常運航が非常に多いわけでございます。しかし、これは赤ランプがついたのだから安全だということを言いますが、定期性はそこなわれる次第でございますから、異常運航を少なくすることを再度私は強く航空会社にも要求をしておる。その場合におきまして、いまお話ございましたような整備士とパイロットの間の意見の相違がたびたびあるということは、やはりそこに問題があると思う次第でございます。非常に適切な御忠告をいただきましたので、ひとつその点を検討させまして、改善をさせていただきたい、こう思っておる次第でございます。
○横路委員 もちろん、飛行機のほうに関するこういうものも、科学技術というのは進歩しておりますから、何でも昔と同じやり方でやっていればいいというものではないわけですけれども、ただしかし、その前に、航空会社の考え方というのはやはり安全性というのを一定の範囲でだけ考えて、一定の範囲内の安全を越えるとあとは過剰安全だという。過剰安全なんということばが、大体航空会社の幹部の中から堂々と口にして出てくるというあたりが問題なんですね。過剰安全ということがあるだろうかということを考えてみると、やはり安全というのはぎりぎりのところまで追求されていかなければならないので、利潤と安全との調和をはかるなんというような姿勢は困るわけですね。したがって、そういう意味でのいまの実態をもうちょっとお話しをしたいと思うのです。 これは労働問題といえば労働問題なんですけれども、しかし、そうじゃなくて、それは実は飛行機を扱っているという意味では、非常に皆さん方の行政に関係をしてくる分野が多いから指摘をするわけなんです。たとえば整備の関係の勤務システムですね。これなんかも非常にひどい勤務形態というものがあって、特に成田空港ができた場合の勤務をどうするかというと、いま昼間はどんどん飛行機を飛ばして、夜の間にできるだけまとめてやろうということですね。そのために、たとえば日本航空の場合ですと、朝と昼と夜勤務の三つに分かれているわけです。朝勤務は八時から五時まで、昼勤務は一時半から午後の十時半まで、夜勤というのは夜の十時から翌朝の八時半まで、こういう勤務になっているのですね。その形態がどういう形態かというと、シフト勤務と称して、日本航空のほうから提案があったのは、これは途中で引っ込めたようなんですけれども、ナイト勤務ばっかりずっと続けてナイト、ナイト、ナイトとやって、あと明け、休暇ということになるわけですね。ナイト、ナイト、ナイトとやって明け、休暇というのを三年間も続けてやるというのですよ、同じ人間が。そうすると、夜の十時から朝の八時半までという生活を一年も二年も続けたのでは、家庭のほうはどうかというと、子供は朝学校に出かけて昼間帰ってくるという一般の人間と同じ生活なんですから。どうもこういう勤務形態の夜勤というのも、それはこういう航空会社の場合なんか、確かに昼間だけで処理できない分野として、必要な部分はたくさんあるのでしょうけれども、しかしこういうシフトを入れていくのが妥当かどうか。これは成田についての提案ですが、いま現実に行なわれているのも、昼間、夜、夜、あくる日休みで昼間、夜、夜。昼間というのは午後一時半から夜の十時半までの勤務、翌日は夜の十時から朝の八時半まで、夜の十時から朝の八時半まで、そして明けになっておるというような勤務になっているのですね。あまり一般の労使関係に行政官庁が介入するというのは、私も、労使対等の原則そのほかから見て、あまりいいことじゃないと思いますけれども、ただ、こんな整備状況の中からいろいろな問題が発生してきているとすれば、やはり皆さん方のほうとしてもお考えになっていいことじゃなかろうかというように思いますので、その辺のところもぜひ御検討をいただきたいというように、これはお願いだけしておきたいと思います。ひとつ御答弁を……。
○内村(信)政府委員 労使の問題というものにつきましては、私どもは不介入の立場を堅持しているわけでございます。したがいまして、労使関係のナーバスの問題でどうこうと言うことは差し控えなければなりませんが、やはり航空企業といたしましては安全性というものが一番重大なものでございますから、そういう点に関する限りにおいては、私どもといたしましても十分実情も見て、要すれば必要な措置もとる、こういうことでございます。
○横路委員 それから日本航空なんかの場合、オーバーホール方式がやめになって、いまエンジン・ヘビー・メンテナンスという方式に変わっていますね。これはある程度技術の進歩でこういう方法でいいのかもしれませんが、ただ、たとえばジャンボの場合は五千時間ということになっていますけれども、実際は三千時間くらいで全部エンジンは取りかえなければならない。実態はそうなんですね。実態は五千時間まで持たぬわけですよ、ジャンボの関係のエンジンというのは。そうするとこれは、科学技術が発展したから、それでもう安全性が確保できるということできめられたというよりは、手間を省くという意味できめられているという要素のほうが、いまの実態から言うとどうも強いように思うのです。DC8なんかは四十三年に時間が短縮されて、そうしてオーバーホール方式が廃止になって、いまのEHMという方式に変わったということなんですが、その辺のところも皆さん方のほうで、こういう方式変更の場合には一応認可事項になっておりますね。
○金井政府委員 認可事項になっております。
○横路委員 ですから、認可するときに、たとえばジャンボの場合のエンジンについて五千時間といったところで、実態は三千時間で全部取りかえなければならぬといういまの実情だとすれば、これは皆さん方のほうが調査不十分ということじゃないですか。
○金井政府委員 いま確かに御指摘のとおり、昔のオーバーホールという制度をやめまして、ヘビー・メンテナンスあるいはHSI制度によりまして、ジャンボの場合は五千時間、DC8の場合は七千時間、ボーイング727の場合は四千時間で点検するという条件で許可しておるわけでございますけれども、そういう許可をするについての条件としまして、常時モニターするという条件をつけてございます。モニターというのは、たとえば、運航中潤滑油の温度の上がりぐあいだとか、圧力の状況だとか、燃料ポンプの状況だとかを一応モニターして、もちろん悪ければ五千時間以内で当然取りかえる。要するにモニターをつけてそういう五千時間を許可したわけであります。ただ、このきめ方は、一応、外国の例だとか、あるいはいままでの実績だとかを根拠にする。それから、たとえば日本航空の場合には、日本航空の過去の経験、ジェット機に対する経験、それから整備の陣容、整備の熟練度はどうか、整備士の熟練度はどうか、そういうことを勘案してこの数字をきめ、しかも一応モニターするという条件つきで許可したわけでございます。ただ、御指摘のように、こまかいトラブルの出方だとかいうものももちろん当方としては監視しておって、そうして最初きめた五千時間なら五千時間という整備の方式がいいかどうかということは絶えず監視しておるつもりでございますけれども、御指摘のことにつきましては、さらに私どもとしましても、いままでのデータを見て再検討したいというふうに考えております。
○横路委員 ですから、たとえばジャンボの場合なんか、エンジンが一発だめになった場合のお客さんを乗せないで飛行するフェリー飛行ですね。このフェリー飛行は、DC8、ボーイング727の場合は一応対象にしていますけれども、ジャンボの場合それをやってはいけないということに日本航空のほうでしていますよ、あぶないから。三発だけのエンジンではさらに一発とまったときにあぶないから、ボーイング727やDC8の場合はいいけれども、ジャンボの場合はだめですということになっている。つまり開発されてまだそう時間がたっていない飛行機ですから、そういうような措置がとられているんだろうと思いますけれども、その辺のところもやはり問題として指摘をしておきたいと思います。 それで、そういうエンジンのオーバーホール・システムというのが廃止になったとか、キャリーオーバーの基準を適用させて出発させるというようなことが原因なのかどうかわかりませんけれども、新聞には、ふしぎと日本航空の場合の引き返したというのは出ないけれども、全日空の場合はよく出る。ところが件数を見るとけっこうあるのです。たとえばDC8だけで去年の九月からことし三月までの間を調べてみると、離陸を中止しているのが九件、飛んでいて引き返したのが十九件、それから飛行中にエンジンを停止したのが十四件。これはほとんど、エンジントラブルか、エンジンに関連した部分での事故によってこういうトラブルが起きているようでありますけれども、一つお尋ねしたいのは、こういうトラブルがあった場合、つまり大事故の場合は別ですけれども、この間のDC8のようなああいう事故は別ですけれども、そうじゃない、飛行中にエンジンを停止せざるを得なかったとか、引き返さざるを得なかったというような場合には、運輸省には報告は来るのですか。
○金井政府委員 定期航空の場合には、欠航はもちろんですけれども、十五分以上のディレイを生じた場合は一応報告義務を課してございます。
○横路委員 十五分以上のディレイというのは、出発が十五分以上おくれた場合ですか。
○金井政府委員 さようでございます。
○横路委員 それは理由として、たとえば飛行場がこんでいてちょっと出発がおくれたというような場合でも、運輸省のほうに報告が上がるわけですか。
○金井政府委員 気象の場合でも、それから管制によるおくれでも、メカニカルディレイといいますか、整備上のディレイによりましても、一応一カ月ごとにまとめて月末に報告をするように義務づけております。
○横路委員 それについて、皆さんのほうでの検討みたいなものはおやりになってるのでしょうか。
○金井政府委員 これは各社別に、そのデータを分析あるいは原因をさらに調査しまして、気象だとか管制ディレイというものは除きまして、メカニカルディレイの場合だけをピックアップしまして、その原因だとかそういうものを調査をして、そしてオーバーホール方式だとか整備方式を設定する場合、あるいはそれらの方式を改定するというような場合の参考資料として私どもは絶えず用意してございます。
○横路委員 それは、課としては運輸省のどこの課で、そういう上がってきたものの検討をしているのですか。
○金井政府委員 技術部検査課でございます。
○横路委員 そうすると、特にDC8という飛行機は非常に優秀な飛行機だといわれているわけですね、ストレッチ型にはだいぶ問題があるようですけれども。いずれにしてもこれだけの件数というのは、全日空と比較した場合に、日航がとりわけ少ないということではない、大体同じくらいのパーセントで起きているわけです。したがって、その辺のところも、日本航空は安全だという神話みたいにいわれているのですが、幸いなことにいつも大事故にならない。ほんとうに幸いでいいと思うのですが、大事故にならぬで済んでいる。ただ、そういう事故が起きる要素みたいなものは、各航空会社ともども、バックを見てみると、やはりこういう面であるわけなんです。その辺のところも、こういう事故についてできるだけ一つずつ検討して、それを整備の体制とか、あるいはいまの整備の方式等を含めて——これは日本航空ばかりじゃなくて、いま例としてお話ししているのですが、全日空にしても東亜国内にしても同じでありまして、東亜国内の場合は体制としてはまだまだ不十分な状況にあるわけですから、その辺のところはぜひ御検討いただきたいと思います。
○丹羽国務大臣 ただいまの御質疑のとおりでございまして、先ほどお話がございましたが、過剰安全なんということは、これはあり得ないことだと私も思っておる次第でございます。安全に対しましては徹底的にどこまでも追及をしていくということをいたしましても、人間社会のことでございますから、万一のこともあるということでございまして、私ども就任以来、いろいろ交通関係の事故を起こしまして国民に御不安を与えて申しわけなかった次第でございますが、このことについては絶対に起こらないはずであるということが、いつも新しいことにつきましては、弁解と申しますか、その理由でございます。大体この程度でだいじょうぶだろうと言っていることがいつも大きな事故の原因になっているということでございまして、そういう点では十分気をつけなくちゃいけないと思いますとともに、もちろん日本航空など三社だけでございません。今度セスナ機、いろいろございましたけれども、そういった方面の安全対策、装備点検、それから操縦、あらゆる方面におきまして、安全の上にも安全ということをまず第一番の運輸行政の基本としてやっていきたい、こういうふうに思っておる次第でございます。 技術的な点につきましては、それぞれの技術者がそういう点で注意をいたしまして、やはり技術者は科学的に見まして、百万分の一の誤差である、千万分の一の誤差であるというようなことをよく私ども聞く次第でございますが、そういう千万分の一の誤差にぶつかった人はたいへんなことでございますので、そういう点も十分注意をさしてやってまいりたい、こういうように思っておる次第でございます。
○横路委員 そこで最後に。日本航空の場合実は組合がたくさん分かれておって、その間の労使のトラブルというのが非常に続いているんです。特に昭和四十年に当時の組合の委員長、副委員長、書記長であった小嵜、田村、藤田、丸山という、これは航空士、航空機関士、パイロット、副操縦士等の人たちばかりなんですが、解雇された事件、これは延々と現在まで続いておりまして、双方ともに法律的にとれる手段全部行使をしてやっているんです。解雇されると裁判所に解雇無効の確認訴えというのができますし、それから地方労働委員会に対して不当労働行為だということでの申し立てをすることができるわけです。これがそれぞれ裁判所と地方労働委員会に申し立てられまして、若干の経過をお話しすると、地方労働委員会でも、これは不当労働行為だから解雇を取り消しなさいということになる。それに対して中央労働委員会に持ち込んでいって、それでもうそれがきまった。そうしたら今度会社側は、その中央労働委員会の解雇は無効ですよというのに対して、取り消しの行政裁判を起こした。それも一審で会社側が敗訴、それから地裁のほうに最初に出した解雇無効のほうも不当労働行為だから無効だということになって、これがいまお互いにどんどん上へ上へと行っているわけです。いままで、地裁、地労委全部含めて十九回、労働委員会や裁判所のほうから決定なり判決なりがありまして、全部これは会社のほうが負け、不当労働行為だ。そして認定の中には、当時の社長みずから不当労働行為を行なっているという認定まで出てきているわけです。この中央労働委員会のほうで解雇無効になった場合に裁判が続きますと、働いている人たちは経済力がないから困るので、緊急命令というのを出すんです、仕事につかせなさいとか。それに対して緊急命令を履行しないわけです。履行しない場合には過料を科す制裁を、中央労働委員会の申し立てによって裁判所ができるようになっております。それが一回過料の制裁で二百万円です。これに対して、一回やってもまだ聞かないものですから、中央労働委員会のほうでもまた、非常に問題だということでもう一度申請して、また過料の制裁二百万、合計四百万。まだ履行しないものだからもう一度過料の制裁を加えるというんで申し立てをしている、こういう状況になっているわけです。こういう大手会社でこんなに最後までとことん争うケースというのは非常に珍しいケースでありまして、しかもやっていることがほんとうにおとなげないようなことをやって、一生懸命争っておるわけですね。そういうことで、労働省のほうからもたしか一度御注意をしていただいたと思うのですが、ひとつ日本航空のほうで大臣が専務か何かを呼んで話をしてもらって、不当労働行為をしないようにということで、これはあたりまえのことなんですが、それも言わざるを得ないというような状況にいまなっておるわけなんですが、それの経過というのはどうなっておりますか。
○石黒政府委員 御指摘のように、三月二十四日に衆議院の予算委員会の分科会で先生の御質問ございまして、三月の二十七日に労働大臣が日本航空の斎藤専務とお会いになりまして、不当労働行為があってはならない。これはあたりまえのことでございますが、会社側に注意をいたしております。その後、事務当局におきましても、数回事情聴取をし、あるいは勤労部長に注意を喚起するというようなことをいたしておるわけでございます。
○横路委員 これは確かに法律的には争うことが許されているわけですから、争ってもそれはかまわないといえばかまわないわけですけれども、しかし、これらの人たちで、たとえばパイロットになれる人がいるわけですね。外人パイロットなんかを導入するというのでたくさんの金をかけてやっているわけですね。全くもったいない話だと思うのですけれども。この辺の十九連敗を続けながらなおがんばっている会社、これに対して、結局こういう紛争がやはり事故に結びついてくる。たとえば「ばんだい号」の事故の前後は、合併当時いろいろ問題があったというようなことも一部に指摘をされておるわけですね。その辺のところも、つまらぬ労使紛争を使用者側のほうからことさら起こすようないまの姿勢というのは、やはりやめさせるべきではないかというように私は思うのです。大臣も若干の事情は御承知かと思いますけれども、ちょっとこれは労働事件としても例がないまれなケースになっているんじゃないかというように私は思います。ひとつその辺のところを、本来ならばやはり労働省のほうから言ってもらうのがいいと思いますが、そういう意味では労働大臣からも注意があったんですが、あとでちょっとお話ししますが、まだその後も依然としてその姿勢は変わらず、あそこの斎藤さんという専務さんですか、がんばっておられるんで、ひとつ運輸省のほうからも、この辺のところの事情聴取をしてぜひ話してもらをいたいというように私は思います。
○内村(信)政府委員 先生御指摘のような非常に複雑な状況が昔からあるようでございます。この点につきましては、私も組合のほうの御意見も実は承っております。それから、会社側のほうの意見も承っておるわけでございます。それぞれいろいろな言い分があるようではございますけれども、とにかくこの事件は最高裁まで行って、そこで係属中というふうなことでございますので、私どもも、先ほど申し上げましたように、労使の問題については介入しないというような基本的なたてまえではございますけれども、やはり先生の御指摘のように、安全性に関するというようなこともあるいはあるかもしれない。やはり労使間というものは正常な形にいかないと航空事業としても思わしくないというふうなこともございますので、会社に対しましても、よく正常な労使関係回復というものにつとめるようにというようなことは指導いたしたいと思います。
○横路委員 特にそのやり方が、おまえは機長にしないぞとか、おまえは確認整備士の試験は受けさせないよというようなやり方ですね。ですから、確かに機長というのは日本航空の機長でありますけれども、これは乗客のほうから言わせると、何も航空会社の者ではなくて、われわれの命を預かってもらっておる機長ですね。それが技術がいいとか悪いとかいうことではなくて、どこの組合に属しておるとか属していないということで機長にしたりしなかったりする。組合を脱退するとすぐ機長にするんですよ、日本航空会社というのは。あくまでも技術的なものは問題ではない。今度事故を起こした機長は、組合を脱退してすぐ機長になった人ですね。 この間、分科会で質問したあとに、五月になって仙台の乗員訓練所で、こともあろうに安全監査室長や何かが行って、安全監査室長が何で組合の話をしなければならぬのか。安全監査室長、これは管理職ですね。会社側のほうの答弁によると、別に指示してやらしたわけじゃない。個人の資格でものを言うのはかまわないじゃないかと言わぬばかりの姿勢になっているわけですね。ところがそうじゃない。管理職の人間が、おまえ、組合にいると機長にしないよというような意味のことを言うと、これは社長が指示しようがなにしょうが、管理職の立場の人間がそういうことをやるのは不当労働行為になるんですよ。だから、このケースを見てみても、そういうことを明確に指摘をしているわけですね。ちょっとこれは行き過ぎといいますか、完全な不当労働行為事件なんで、個人面談の中でもいろいろなことを言っておるわけですよ。特にあの当時は、スト権を確立するというようなことで、四名解雇された、例の俗にいう第一組合じゃない組合に対する働きかけですが、第一組合じゃないほうが、ストライキ権を七〇%以上のかなりの高率で確立しているわけでしょう。つまり四十年当時分裂した組合が、いまの段階でやはりストライキ権を確立してまでやらなければなかなか安全が確保できない、自分たちの労働条件が確保できない、こういう航空会社関係の労使関係の場合に、自分たちの労働条件だけではなくて、安全要求というのが非常に前面に出てきている。ですから、日本航空の場合も、飛行機のコックピットの配置の問題からいろいろこまかい問題をたくさん取り上げて、パイロットの声を会社のほうに要求している。安全の要求が第一になっている。そういう意味では、非常にほかの組合に見られない形の労働運動を行なっているんです。そういうところに対して、こういうスト権を確立するような、そんなことだったら機長にしないみたいなことを言い、ストから脱退しても機長会のほうでめんどうを見てやるとかいうようなことを言ってやめさせるというようなことでは、ちょっとやはり困りますし、それからまた、そんなことで組合に入っているかいないかということが基準になって機長になったり、確認整備士になって、あとの優秀な人は機長にもなれない、確認整備士にもなれないということでは困る。 現実に日本航空の整備の職場を見てみると、非常な技術を持った、経験も持った優秀な人たちが、試験を受けさせてくれないために確認整備士になっていない。若い人が別のほうの組合に入っているということでどんどんなってしまう。そうするとどういうことになるかというと、確認整備士というのは整備したのを点検したりするのが仕事だ。しかも技術も年齢も自分よりはるかに上の人がやったのですから、やはりそこにいろいろと遠慮も出てきて、逆に言うと、十分な点検もできないということになるようでありますので、その辺のところも含めて、事は安全に関する問題でありますので……。 日本航空では、特にこの五月から六月にかけて、またいま毎日のように、航空会社のほうでは、いろいろなつまらぬことまでどんどん引っぱり出してはお互いにビラ合戦をやっているような状況になっているのです。そんなつまらないところにエネルギーを使わないで、安全監査室というのがもしあるならば、それは安全監査だけやっていればいいので、組合のことについて介入しないように、そういう面での指導というのは、これまた運輸省にも、労働省のほうにもぜひ検討してもらいたい。どうしてもだめだったら、一度こういう実態について、航空会社の全体の体制の問題もありますし、機会を見て日本航空の方に参考人として来てもらっていろいろお聞きしたいと思いますけれども、そこまでわざわざおいで願わなくても、皆さんのほうでぜひこの辺のところを御監督をしていただきたいというように要望しておきたいと思います。
○丹羽国務大臣 もとよりお話するまでもなく、不当労働行為の違法であることは申すまでもないことでありまして、組合の結成、加入、これは労働者の基本的権利でございまして、自由でございます。それによりましていろいろの待遇を差別するということは、絶対に避けなければいかぬということは当然のことでございます。万一そういうことによりまして、いろいろの技術の進歩、あるいはまた安全性の確保ということがおろそかになることがございましたら、えらいことでございます。私、実情をよく存じませんけれども、そういうことのないように、十分その点は平生から強く私のほうでも注意をさせていただくつもりでございまして、また、そういう点につきましては労働省とも十分相談いたしまして、正常な労使関係を樹立いたすことが一番大切な企業でございますから、そういう点については十分ひとつ監督していきたい、こう思っております。
○石黒政府委員 日航の労使関係につきましては、非常に複雑で私どもも心配をしております。特に先ほど御指摘の仙台の訓練所における管理職の発言につきまして、私ども、組合のほうから申し入れがございましたので、すぐに会社の勤労部長を呼びまして事実を確かめたわけでございますが、会社側はそういう事実はないと言っております。私どもとしては、裁判所ではございませんからそれ以上認定する権限はございませんが、特に不当労働行為に当たる行為はもちろん、不当労働行為とまぎらわしいような行為も厳に慎むようにということを勤労部長によく申しております。今後とも、御指摘のように、航空会社の労使関係というのは安全に直結する問題でございますので、私どもとしても十二分に注意を払ってまいりたいと思っております。
○横路委員 今回のこの第二次空港整備五カ年計画の保安の関係と、それに対応していく航空会社のほうも、ジェット化して大型化していくといったって、会社の中の体制というのは、そういう労使関係を含めて必ずしもいま十分じゃない状況になっておりますので、その辺のところをやはり見ながら——人の問題というのは、これはどこでもそうですけれども、非常に大きな要素を占めているのですね。いかに科学技術が進歩しても、やはり最終的な判断というのは人間にたよらざるを得ない面というのは出てくるわけなんで、その辺、そういう意味では人間の問題というのは非常に大事な問題で、これは航空会社ばかりじゃなくて、運輸省管轄の保安施設等の問題についても全く同じことが言えるのでありまして、業務量ばかり伸びて人が足りない、人がなかなかつかぬということになると、すぐいろいろと皆さん方苦労なさってお考えになって、考えることが、安全という面から見るとどうもあまりいい方向に行っていないように私、思われるので、ぜひその辺のところを指摘をしておきたいと思うのです。 最後に、パイロットとか整備の試験の関係というのは、民間人を指定するといいますか、皆さんのほうで試験をまかせるようになりましたね、去年あたりから。そういう形で確認整備士なんかになった人というのはまだいないようですけれども、民間にまかせるようになったのでしょう。
○金井政府委員 一応、許認可事項の時点で、昨年から指定養成施設という制度を設けまして、基準に合致した施設、それから教官、教材、こういうものを持っておるところは指定養成施設としまして試験の一部を免除するという制度を設けました。
○横路委員 そこで、やはり訓練のしかたとかいうようなものがだいぶ変わってきているのですね。どういうぐあいに変わってきているかというと、たとえば整備なんかの場合ですと、飛行機のコックピットに乗ってエンジンを回して、そしていろいろ作業をするというようなこと、それから最後の修理したあとの点検をするというようなことをやっておったのが、いまは整備の場合ですと、シュミレーターもなくて、みんな何と言っているかというと、つもりレーターと言っているのですが、そこにコックピットがあって、ここにいろいろなボタンがあるということを頭の中で想定をして、壁に向かってどうだとかこうだとか、何かやるようなことを訓練と称してやっているらしいのですね。つまり、運輸省のほうで監督をして国家試験をやってきたときと、やはりどうしてもそういうところが違う。エンジンを回すとお金がかかりますから、ガソリン代を食うわけですから、そこを節約しようということなんでしょうけれども、つまらぬところで節約を考えて、訓練にあたって実機を使用するというようなことをしないように何か最近なってきているらしいのですね。民間に委託をするということは、皆さん方がきちんと監督をされるということが前提になって初めて民間委託になるので、きのうも陸運事務所の民間車検の問題で議論したのですが、民間にまかせちゃうと皆さん方も安心しちゃって、これでいいやということになりかねないので、その辺のところの監督も、これは特にこれから初めてなるわけですから、十二分にひとつ抜き打ち検査そのほか行なって監督体制というものを強めていただきたい。機構が変わりますと、そういう方向にもあるいは少し余裕が出てくるかもしれませんので、皆さん方もそういう体制を十分とられてほしいというように思います。
○丹羽国務大臣 ただいまの御指摘のとおり、民間にゆだねるということは、民間の技術を活用したいということでございまして、航空局だけで最近非常に量的にふえてまいります技術検査に追いつかないという点で、両方まってやる次第でございまして、それがために民間に行ったから、そういったような監督あるいは検査の方法が粗漏になった、これはえらいことでございます。ことに航空機の機関、エンジンその他の問題につきまして、そういったような、いままでやっておったことと異なるような省略の方法でそれをやりましてルーズなことになりましては、これはえらいことでございますので、その点はとくと私のほうから技術部長のほうに命じまして、いまの御趣旨を徹底させるようにいたしたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
○横路委員 終わります。
○伊能委員長 午後三時より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後一時十六分休憩 ————◇————— 午後三時八分開議
○伊能委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 今国会内閣提出第三十三号、労働省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、これを許します。伊藤惣助丸君。
○伊藤(惣)委員 労働省設置法の一部を改正する法律案、その要綱を見てまいりますと、三点にわたって改正点があります。 その一は、大臣官房の労働統計調査部を統計情報部に改組する、このことでありますが、この中にあります「新しい需要に応ずる的確な情報を開発するため」とは、具体的にはどういうことなのか、簡単に伺いたいと思います。
○青木説明員 お答え申し上げます。 従来、労働統計調査部で行なっておりました統計調査は、たとえば賃金構造につきましては、全国の事業場につきましてそれぞれの賃金の構造を調査いたしております。そのあとは、集まりました調査表を全部集めまして、全国的な形でもって府県別くらいまでに一応おりまして、これを発表いたしております。しかし、最近の賃金の上昇傾向あるいは労働時間の短縮状況とかいうものと関連いたしまして、県の中のより小さな地域、小さな経済圏がございますが、そういう小地域経済圏、そういうところの賃金状況がどうなっておるか、こういうような需要がございます。あるいは毎月勤労統計調査というものがございまして、雇用状況なり賃金のマクロ的な把握をいたしておりますが、この統計調査におきましては、特別給与と定期給与。定期給与と申しますのは、超勤を含んだ給与の額を調べております。これに対して、いわゆる所定内給与、こういうものが一体どういう傾向で変化しておるのか、こういうような需要もございまして、そういう情報は従来は取り扱っておらなかったのでございますが、今後は大型のコンピューターを導入いたしましたこともございまして、そういう小地域賃金指数とか、所定内賃金指数とか、こういうものを開発いたしまして、これを印刷物その他の方法によって各般に提供してまいりたい、こういうふうに考えております。
○伊藤(惣)委員 それから、この第二番目の雇用促進事業団監理官を廃止する、そしてこの四月一日から実施される労災保険と失業保険の保険料の徴収事務の一元化に関する事務その他の重要事項を総括整理する職として大臣官房に審議官を置く、こういうことですが、これもこの中ではよくわからないわけですが、具体的にはどういうようなことですか、その点もお伺いしたい。
○藤繩政府委員 従来、雇用促進事業団監理官というのが官房に置かれまして、雇用促進事業団の業務につきましての監理、監督の仕事をやってまいりました。一方、いまお話しの労災保険と失業保険の徴収の一元化という問題が出てまいりました。御承知のように、二年前に労災保険、失業保険を改正いたしまして、できるだけ五人未満の事業所も含めてすべての労働者にこの労働保険を適用しようというねらいから、それには事務の簡素化をはかる必要がある、なかんずく徴収を一元化する必要があるということで、関係法律の御賛同を得たわけでございまして、今国会でその関係の労働保険特別会計法案を提出いたしまして、おかげさまでその成立を見たわけでございます。そこで、本省のそれらの事務を扱う機構として独立の機構があれば実は理想的でございますけれども、一方におきまして、いたずらに機構を拡大するということにも問題がございます。そこでこの雇用促進事業団監理官を一応廃止いたしまして、官房に新たに審議官を設けまして、従来の事業団監理官がやっておりました仕事と、さらにいまの徴収一元化の関係の仕事をやっていただく。あるいはさらに官房は、いろいろ特にその他の部局に属せざる、しかも新たな政策立案とかそういうことで相当の知識、経験を要する事務が出てまいります。そういう場合に、こういう官房審議官というものがあれば、いろいろ事務処理の上で好都合であろうかというような角度から、特に官房に審議官を置くということにいたしたわけでございます。
○伊藤(惣)委員 問題は三番目でありますけれども、労働基準局の賃金部を改組して福祉部を設置する。そして将来における勤労者生活についての総合的なビジョンの策定をはじめ、週休二日制など一般的な労働時間や賃金の問題、定年制、退職金、勤労者財産形成などの労働者の福祉の増進に関する施策を推進する、こうありますけれども、まず第一に、将来における勤労者生活についての総合的なビジョン、これはどういうようなことを策定しようとしているのか、現在構想がございましたら伺いたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 わが国も、ここ十数年来の経済の高度成長によりまして、勤労者をはじめといたします国民一般の生活水準もかなり上がってきたわけでございますが、こういった所得の上昇に応じまして、国民の要求するところも非常に多様化してまいってきておるわけでございます。経済成長のせいか、いままでは主として所得向上というほうにばかり向けられておったわけでありますが、そのほかのいろいろな生活上のゆとりだとか、生活環境の改善だとか、いろいろな要望が出てまいっておるわけでございます。したがいまして、勤労者全体の福祉をはかってまいりますためには、単なる所得の向上だけではなしに、そういう多様化してまいりました勤労者のいろいろな要求、こういうものをそれぞれに応じまして改善をしていく、そして勤労者全体の福祉、生活全体の福祉というものを達成していかなければならない、かように考えるわけでございます。 しかし、いまも申しましたように、勤労者の要求というものは非常に多様化しております。個人によっても非常に違うわけでございます。そういう中で、今後の勤労者生活といったようなものが全体的なビジョンとしてどういうようなあり方、どういうものを目標に行政を進めていくのがいいかというような一応の目標を設定いたしますことが、行政をシステマティックに効果的にしていくために非常に有効なことではなかろうか、かように考えまして、こういったような勤労者の今後の生活のビジョン、福祉ビジョンというようなものもつくりたい、かように考えております。 具体的には、昨年来労働者生活ビジョン懇談会というものをつくりまして、学識経験者あるいは労使の代表の方々お入りいただきまして発足をいたしておりますが、現在までのところは、まだいろいろな基礎的な諸資料の検討等を進めておられる段階でございますが、その上に立ちまして、大体、その懇談会におきまして、一九八〇年代における豊かな労働者生活の総合ビジョンを作成していき、これを目標に行政を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
○伊藤(惣)委員 その次の週休二日制の問題ですが、これはいままでもたまたま国会で議論されまして、総務長官は週休二日制についてはどうも賛成でないようなニュアンスの答弁がありましたし、労働大臣は週休二日制を、直ちにとは言わないまでもやるというようなお話がございました。私は、その問題について、基本的にはやはり日本も世界並みに週休二日制ということはいいと思います。しかし現在の民間の実態、あるいはまた中小企業、零細企業等における影響、こういう点から見てこれはきわめて重要であり、また今後の特に中小、零細企業に対する何らかの対策を講じないで、ただ単に週休二日制を実施するということは問題である、こう思っているわけです。 そこで、いままでの民間におけるところの週休二日制の実態について、労働省はそういう情報はいち早くつかんで、直ちにデータ処理ですか、大型の機械が入ったといま聞きましたけれども、情報分析なさっていると思いますので、現在の民間における週休二日制の実態について御報告いただきたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 週休二日制の実施状況について申し上げますと、わが国におきましては、週休二日制は昭和三十年代の後半から一部企業に採用され始まりまして、四十年代に入りましてこれを採用する企業がふえて、ここ二、三年、ことにかなりのテンポでそれが進んでいるわけでございます。 昨年の九月現在の週休二日制の実施状況をわれわれ調査いたして把握いたしておりますところを御報告申し上げますと、週休二日制と申しましても、毎週週休二日制をやっているところのほかに、隔週週休二日制とか月に一回の週休二日制とかいろいろな形がございますが、それを全部含めまして、何らかの形で週休二日制を行なっておりますものが、昨年九月で全企業の六・五%でございます。そのうち、完全な形での毎週の週休二日制をやっておりますものは、全企業の〇・五%にすぎないわけでございます。しかしながら、これは企業の数でございまして、労働者の数、週休二日制のもとで働いている労働者の数のほうで申し上げますと、何らかの形の週休二日制を実施いたしておりますものは、全部合計いたしますと二四%、約四人に一人は何らかの形の週休二日制のもとで働いておる、かような状況に相なっております。これを前の年、四十五年の九月、一年前と比べますと、企業の数でいいますと四・四から六・四へふえております。労働者の数で申しますと一七・九%から二四%へということで、一年間でかなりふえておるわけでございます。 これは全体的な趨勢でございますが、なおいま先生おっしゃいましたように、企業の規模とか業種とかによって見ますと、かなりそれぞれの実情に応じまして違いがあるわけでございますが、全体的に見ますると、大企業のほうがもちろん週休二日制の普及状況が高いわけでございまして、千人以上の企業で申しますと四割近くの企業で、労働者の数で申しますと四割五分くらいが週休二日制のもとで働いておるわけでございます。中小企業になりますと、週休二日制の実施率はかなり低くなっています。産業別に見ますと、金融、保険業とか電気機器製造業などでの普及率が非常に高うございまして、そういうふうに規模別、業種によってもかなりな差があるわけでございます。先生がいま申されました中小企業について申しますと、企業の数では三・三%、それから労働者の数で四・二%ということで、全体の平均から見ましても低いわけでございます。しかし、前年の四十五年九月から比べますと、中小企業でも企業の数では三・三でございます。それから労働者の数で申しますと、二・四%から四・二%へ。昨年かなりいろいろな状況で不況といわれた年でございますが、その不況の中でも、中小企業におきましてもこれを採用する企業が徐々にふえているというのが最近の状況でございます。 なお、今年の春闘の中におきましても、かなり多くの組合が週休二日制というものを要求いたしまして団体交渉でこれを使用者と交渉をいたしております。その結果さらに去年の九月の時点で把握いたしましたよりもふえておるかと思いますが、これにつきましては、ただいま春闘の結果を調査中でございます。
○伊藤(惣)委員 いまも御説明ありましたけれども、これはだんだんと労働者が要求し、また企業側でも特に大企業は、生産過剰であるとか、長年の設備投資も整って最近ではいろいろ国際競争力がついてきましたけれども、やはり操業短縮などの問題や公害問題等を含めて出てきておりますので、当然そういうふうになるだろうということが予想されます。 ところで二日制にした場合、中小企業においては、これは小さいものをこつこつとやっている企業でありますから、これはなかなかそうはならぬと思うわけですけれども、二日制にした場合に問題点としてはどんなことが予想されるのか。どういう影響を与えるのか。いい面と悪い面、どのように掌握されているのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 私のほうで、週休二日制を採用いたしました企業について、その効果等について調査をいたしておりますが、その結果によりますと、これを実施いたしました企業の多くでは、従業員の採用とか定着面に非常にいい効果をあげておる。それから、生産能率、出勤率もかなりよくなっているというように、事業面でもかなりの効果をあげているわけでございまして、実施した企業の四分の三は、非常に積極的に大きな効果があったと言っております。そのほか、悪い効果がないと言っておるものなども含めますと、九〇%以上が肯定的な結果を出しておりまして、マイナスの面の効果等あげておりますものは、わずか五、六%になっておるわけでございます。なお、労働者の側におきましても、週休二日制の実施によりまして、仕事による疲労の回復が十分できるとか、あるいは健康度が高まっておるとか、余暇生活の内容が向上するといったようないい効果を、大体あげておるわけであります。 ただ、私どものほうにも、特に中小企業につきましては、できればそれはけっこうなことだけれども、なかなかいまの労働力でも十分に確保ができないので、自分たちが必要と思う仕事が十分こなせないというときに、労働時間を短縮してまで、若干の生産能率の向上があったとしても、なかなか実際に実行することは容易でないという声はかなり聞くわけでございまして、私ども率直に言いまして、中小企業につきましては、そういう経営上の問題、労働力の確保困難性の問題等々からいいましていろいろ困難面があろうと考えでおるわけでございますが、しかし、中小企業におきましても、やはり今後の方向といたしましては、企業経営の近代化、合理化、生産性の向上等等はかりまして、その条件を整備する中でそういう方向に実情に応じて向かっていただくことが、労働者のためにも経営のためにも望ましいことではないか、かように考えておるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、それを性急に画一的にやろうという考えではございませんで、それはそれぞれの業種なり企業規模なりの実情に応じまして、実態に応じた形で進めていただくことを期待しているわけでございます。
○伊藤(惣)委員 これは、試験的に週休二日制を実施しているところは愛媛県庁ですか。その実情はどうなっておりますか。
○渡邊(健)政府委員 愛媛県では、ことしの一月から交代制による週休二日制を実施いたしております。具体的に申しますと、職員を二組に分けまして、一週間おきに休みの組と、それから出勤する組につきましては、土曜日も、いままでは半ドンでございましたものを八時間勤務にする。したがいまして、平均いたしますと週の労働時間は従来どおり、こういう形で週休二日制を実施いたしております。また、実施後半年足らずでございますが、自治省などから私どもが聞いておりますところでは、県民からも職員からも大体好評を得ているということでございまして、県政モニターのアンケート調査などによりますと、県民について言うと、この制度に賛成か反対かということにつきまして、賛成という者が七五・七%、反対といった者が九・四%、残り一四・九%はわからないという回答があった。それから職員について申しますと、この制度を続けることに賛成か反対かということで、賛成といった者が八三・八%、反対が一六・二%であるというような県政モニターのアンケート結果も出ているというように聞いております。
○伊藤(惣)委員 要するに、中小企業、零細企業を除いては週休二日制の成果はあがっている、こういうことですね。私はやはり、こういう点でもし問題があれば中小企業、零細企業である。こういうところに対して、先ほど近代化とか合理化とか言いましたけれども、なかなかこれはまた資金の問題であるとか、企業内容によっては職人的に企業化できないいわゆる技術の仕事があるわけですね。私はやはりこの問題については、もしそうであるならば、最低賃金制がまだはっきりはしておらないようでありますけれども、これをやって、この週休二日制が実施されたのではつぶれてしまうという企業、そういうところについては、やはりそれなりの高い賃金、それだけの報酬というものを何らかの方法でやるならば不満というものはなくなるのじゃないかと思うのですね、一つの方法として。 また週休二日制になった場合、いい面と悪い面とそれはありますけれども、大体いい面が多いように思いますけれども、たとえばレジャーでどこへ行くにしても、いまもう毎週土曜、日曜日というものは、遊びに行くより疲れに行く。もう目的地に行ってほっと一息する間もなくまたすぐ帰ってくる。現在の半ドンと一日の日曜日では休息どころか疲労に行く。だいぶ前でありますけれども、そんなような調査があったようであります。ですから、現在のような平和な時代またはレジャーを楽しむ時代には、やはりそれなりの国民が余暇を楽しむというようなことから考えてみれば、週休二日制というものをやったほうが私はいいと思うのです。ですから、これは大企業が毎年毎年伸ばしていることでありますので、私は、国民にサービスする面は別として、まあ間接的に国民にはサービスするけれども直接ではないという部門については、早急に週休二日制をやってもいいんじゃないか。これは大企業に限らず官庁でもそうすべきではないか、こう思うのですが、その点、これはもう一つは政治判断でありますので、大臣どういうように考えておられるか伺いたいと思います。
○塚原国務大臣 週休二日制は非常に好ましい姿であり、また今日はもう政治問題であり社会問題になっております。で、われわれ労働省といたしましては、先ほど基準局長が答弁いたしましたように、行政指導でこれのすみやかなる実現のために努力しているのが現状であります。ただ、中小企業につきましては、いまの説明のようになかなか困難な問題もあり、中小企業対策は、これは一労働省のみならず国全体として、特に通産省としても中小企業対策には重点を置いていろいろなことをやっておりまするが、金融面、財政面、特に税制面等において生産性の低いものへのてこ入れ等の政策を実施することによりまして、企業内容の上昇というものをはかっていかなければならないことは言うまでもありません。そうすることによって、やはり大企業と同じような労働時間、まあ週休二日制というものの実現に近づくと私は考えております。 それで、先ほどの数字にもありましたように、大企業の伸びは確かに大きいですが、不況を伝えられていたこの一年間におきましても、中小企業はやはり、カーブは少しゆるやかではありますが、伸びておることは事実であります。ですから、大企業はともかくとして、もちろんわれわれは、中小企業、零細企業に対するひとつ御援助と申しますか、行政指導というか、そういう面にこれから重点を置いていかなければならない。 そこで問題は、いかなる企業といえども金融面とのアプローチが必要でありまするので、この一月に銀行協会にお願いいたしまして、この問題についての御協議を願いまして、中間答申もいただいておりまするが、つまり言うならば、金融主導型という形を考えたわけであります。これは非常に前向きの答申であり、その面においては私は一つの前進ではあると考えておりまするけれども、いま伊藤委員の御指摘になりましたような官庁主導型というか、そういうものについては、いまのところちょっと問題がある。それはやはり、基本的には国民的なコンセンサスを得なければならぬ問題であり、これは人事局を持った総理府、それから先ほど愛媛県の話が出ましたけれども、自治省、それから人事院、それとわれわれ労働省、この四者間で御相談は十分いたしておりまするし、閣僚同士の話もいたしておりまするが、今日の段階でその国民的コンセンサスを得るという面で官庁主導型はわれわれから見れば困難な面がある。しかし、各委員会等においての御質問は、日本は親方日の丸なんだから、半ドンをつくったのもまずお役所であるから、役所からやらなければとても進まないじゃないかという御指摘があることは、私よく承知いたしておりまするが、親方日の丸じゃなくても、いま言うように逐次上昇カーブをたどっておる週休二日制につきましては、労働基準法研究会では、一九七〇年代の後半において完全な週休二日制が行なわれるであろうというような論議が重ねられておりまするが、われわれは、一九七〇年代の半ばごろには、やはり国際関係、それからまた国内のいま言う人間尊重、福祉の優先というものを今後の労働政策の基本としておる限り、もちろん余暇対策、レジャー対策、第三次産業まで含めまして、そういうことの努力を続けてこれを実現さしていかなければならない、このように考えております。なお関係閣僚との折衝は続いておりまするけれども、今日の段階で官庁主導型ということに踏み切るのはまだ難色があります。労働省としては、非常に前向きに今後ともやっていく考えであります。
○伊藤(惣)委員 前に総務長官が言っていたのは、よくわからないのですけれどもどういうことを言っていたわけですか。新聞などによりますと、民間がやったらついていくという。要するに、いま労働大臣がおっしゃったこと、官庁主導型ということは問題がある、民間主導型ならばいい、したがって民間がどんどんそうなった場合には賛成であるし、そうでなければ反対である、こういう意味なんですか。その辺のところを……。
○塚原国務大臣 私が総務長官当時はこの問題はあまり出ておりませんので、この見解は表明したことはございませんが、いまの山中長官と私と話しておるところでは、まあ山中長官もいろいろ御答弁いたしておると思いまするが、やはり国民へのサービス機関である公務員がまっ先にそういうことをやるということについて、いわゆる先ほど申した国民的コンセンサスという点から難色を示している。詳しくはひとつ山中大臣から聞いていただきたいのですが、そういう考えで、何も待っててやるというのじゃなくて、国家公務員が先頭を切るということについては、やはり国民にサービスするあり方から考えて、国民的コンセンサスの面で問題があるという考えのように私は承知いたしております。
○伊藤(惣)委員 これはやはり日本だけではなくて、世界的な面から批判がありますよ。非常に日本の品物が安い。どんなに関税をかけても、ガットの関税法の一つの定率によってかけてもかけてもなお安い。だから日本の品物はもうどこにでも入ってしまう。それはなぜかと言うと、やはり安い賃金で、しかも非常に生産性を上げる。たとえ中小企業、零細企業といえども三部交代くらいでやっている、これは現実ですね。だから逆に言いますと、日本はもっと賃金を上げてやれ、そして物が高く売れれば、もうダンピングの規制だとか、あるいはまたその疑いがあるとかいわれることはないではないか、こう言う人も実はいるわけですよ。そして日本人は働き過ぎる。もう欧米先進国はほとんどが週休二日制で、その労働時間も四十時間である。しかしわが国は四十八時間である。まあ何となく労働者が低賃金で虐待されていると言わないまでも、だいぶしいたげられている、こういう感じが私はするわけです。 ですから、そういう面から言いましても、これは民間がどうであろうと、やはりそういうような世界的な一つの情勢から言っても、もう当然ここらで踏み切るときが来ているのじゃないかと思うのです。これはまだ、私、質問を通告しておりませんけれども、もしありましたならば、欧米先進国、あるいはまた世界各国で、どういうような比率で週休二日制また労働時間四十時間というものを実施しているのか。いつごろからやっているのか。わかりましたならばお伺いしたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 諸外国におきます週休二日制あるいは労働時間の状況を申し上げますと、週休二日制につきましては、アメリカは一九三〇年代ごろから始まっております。それからヨーロッパでは大体第二次大戦後の一九五〇年代からでございまして、現在、アメリカでは、週休二日制はもちろんのこと、最近では徐々に週休三日制が始まっております。しかし、ヨーロッパでは大体一九六〇年代くらいに週休二日制がおおむね一般的になっておりまして、ヨーロッパ諸国では、もうほとんどの国が現在は週休二日制が大部分の労働者について行なわれている、こういうような状況でございます。 なお、労働時間に関して申し上げますと、日本も昭和三十年代などから見ますと、中小企業を含めまして、人手不足等の関係もございまして、労働時間が全体的には非常に短くなってきつつあるわけでございますが、しかし、まだまだ諸外国に比べては長いほうでございます。 労働時間の各国別の比較をいたしました調査といいますと、ILOなどでその調査がございます。ただこれによりますと、日本はむしろ短いほうに入っているのですが、これは労働時間の調査のしかたということが、国によりまして非常にとり方がまちまちでございまして、平板的な比較が非常に困難であります。そこで、そういうはっきりしたものはないのでございますが、同じ基準に換算してみまして、一応、試算として比べて労働省で表をつくってみたところによりますと、大体週当たりの実労働時間で、昭和四十五年について見ますと、アメリカよりは約六時間、西ドイツよりは約四時間、イギリスよりは約三時間、フランスよりは約二時間ぐらい日本のほうが長いのではないか。これは試算でございますので、試算方法によっては別なとり方もできるかと思いますが、一応、私どもが試算をしてみましたところでは大体そんなふうになっております。
○伊藤(惣)委員 確かに、国際労働機構のそういう調査もありますし、やはり労働省がこういう世界の情勢の中から率先してやる。このコンセンサスといっても二通りありまして、やはり国民の声を盛り上げて広がる行き方、あるいはまた広く国民に知らせて、なるほどと納得させてコンセンサスを求めていく方法と二通りあると思うのです。私はこの問題については、いろいろ問題がありますけれども、やはり後者であって、労働省がILOの精神を生かし、あるいはまた世界各国の情勢の中から見て、日本は工業大国として現在非常に成長しつつあるわけでありますから、このまま行きますと世界の脅威となる。あるいはまた、このまま成長した場合には、もう遠からずして世界の四分の一ぐらいの資源を日本に集めてしまう。あるいはまた、GNPの伸びがたいへん大きくなって、ついには世界一になる。そういうことを唱える学者もいるわけですね。ですから私は、ここらで労働省がこの主管官庁として、そういうような労働時間の問題または週休二日制の問題を大胆に実施して、むしろそのための行政指導をやる。さらに中小企業、零細企業に対しては、これこそまた積極的に最低賃金制を確立してあげて、これまた週休二日制にさせてあげる。もしできなければ、休まないけれどもそれだけ収入があるという一つの能率給みたいなものを与えていく。こういう方向でいくべきじゃないかと私は思うのです。 なぜ中小企業、零細企業が大企業に比べて労働時間を長くして働かなければならないか。それは大企業というのは、確かに近代設備で短時間で数多くのものをつくる。片や機械設備もなく、どちらかというともう時代おくれの生産方式でやる。ですから、その操業が、大企業が長ければ中小企業はますますがんばらなくてはいけない、短くなればやはり中小企業も短くしても対抗できる、こういうことも考えられるわけですね。たとえば一つの例を申し上げますと印刷。大企業は輪転機ですね。ところが中小企業、零細企業はまだまだ普通の手動式ですね。片や何色でも輪転機で印刷をする。しかし中小企業のほうは、いまだに手動型で一色一色印刷する。何千万の機械を入れれば、いまは四色から八色ぐらいの色を同時に刷り上げられる機械があるわけです、大企業には。それがないためにこちらは一色一色やっているから三部交代。こういう実態を見た場合、やはり操業短縮すればこちらも短縮する。三部交代を二部交代にすることができる。二日休めば、こちらも、いままで全然休まなくても今度は一週間に一回ぐらい休む、こういうことになると思うのですね。だからこの問題は、この日本の経済成長はいまのまま伸ばすのではなくて、これはもう成長はとまってもいい。GNPの伸びはとめてもいい。横ばいでもいい。ここらで国民の福祉を充実させるべきだ。福祉政策に転換させる時代に入った、私はそう思っているのです。ですから、そういう意味からも、これは前向きに労働大臣に、多少の非難や批判はあるかもしれませんけれども、世界各国のそういう実例、あるいはまた経済体制、さらにはまた将来のいろいろな問題をとらえて、これは実施に踏み切るべきじゃないか、こう私は思うのです。もう一つは、先ほど申しましたように、すでに県庁などにおいてはやっているわけです。民間においても、たとえば全体の中でまだまだとは思いますけれども、少なくともどんどんやってきているわけですから、不景気とはいいながらも。ですから、何も愛媛県庁に限らず、やろうとする地方自治体があれば、どんどん行政指導を通じてやるべきじゃないか、こう思うのです。その点いかがですか。
○塚原国務大臣 労働省は前向きに、きわめて積極的に行政指導をして今日までやってまいりましたが、ただいま伊藤委員御指摘のような点も十分踏まえまして、今後は、資料の提供、あるいは労使のコンセンサスを得るための最大限の努力は続けてまいる考えであります。 それから愛媛県庁の例でありますが、渡海自治大臣とも、この問題で私は何回も話し合っております。いまのところ、愛媛県庁以外にこれをやっているところはまだございませんが、県庁に限らず、市役所とか町役場なんというものもいろいろ現地に行って調査をしておるということも聞いておりますので、これはやや所管が違いますけれども、やはり労働時間あるいは週休二日制という問題になりますと、われわれの行政、われわれのほうの分野と言うとあれですが、非常に関係がありますから、そういう面の指導というか、資料の提供というか、そういうものはなおさらに積極的に進めていかなければならないと考えております。 それから、先ほど局長の答弁の中にも、週休二日制の採用によって出勤率がよくなるとか能率があがるとかいうこともあります。働き過ぎるという非難がありますけれども、日本人の労働力というのは世界で一番だと私は考えております。ですから、やりようによっては十分——ある程度生産が押えられてもいいと伊藤委員おっしゃったけれども、これを実施することによってかえって伸びる面も出てくるのじゃないか、それだけの素質があるのですから。そういう面も十分踏まえながら、御意見を交えての御質問でありますが、非常に傾聴すべきことがありますので、今日までも積極的ではありましたが、なおさらに積極的な行政指導をいたす考えであります。
○伊藤(惣)委員 やはり労働時間の問題が根本にあるのじゃないかと思うのですね。週四十時間でいけばいいとなれば、これはもう八時間やれば五日ですね。また、長くどうしてもという場合には、じゃ、うちは六時間ずつで六日間ということも考えられるかもわかりません。だから週四十時間、週四十八時間、このところですが、ここは非常に大事なところなんですけれども、その問題について私はあまり知識がありませんが、その関係。週四十時間で、国際労働機構でいろいろ言っていると思うのです。それからわが国が四十八時間をとっている根拠ですね。その点、ちょっとわかったら御説明願いたい。
○渡邊(健)政府委員 週休二日制と労働時間の関係につきましては、いままで週休一日であったものを二日にした場合に、一日の労働時間が全く同じであれば、その分だけ一挙に減るわけでございます。しかしながら、日本でいままで実施いたしておりますものも、週休二日にした場合に、一日の労働時間はそのままにしておいて、休日だけを一日延ばすという形をとっているところもございますけれども、必ずしもそうでない、たとえばいままで一日七時間半で六日働いておったものを、八時間にして五日にするというような形で、一日の労働時間は若干延ばしても週休二日制にするというような形をとっているところもかなりあるわけでございます。理想的に申しますと、週休二日になり週の労働時間も大幅に減るということが一番望ましいわけでございますが、これは企業等に対する影響も非常に大きいわけでございますので、私どもといたしましては、当面、週休二日を普及するために、一日の労働時間は多少延びても週休二日を採用することが効果的なんではなかろうか。実際そのようにして週休二日を実施いたしております企業が多いわけでございます。その場合にも、一日の時間を若干延ばしましても、トータルしますと、週の労働時間としてはいままでよりは一時間とか一時間半とか二時間とか、若干ずつは時間短縮の効果も生じておるわけでございます。 したがいまして、私どもは、必ずしも一日の労働時間がそのままということではなしに週休二日を進めていくことが、日本の現状に合って導入しやすい方法だろう。また、最近の労働者の通勤距離の長距離化等々考えますと、たとえば土曜日半ドンで出てまいりましても、三時間から四時間の労働をするのに、往復に二時間も三時間もかかるというようなことを考えますと、やはりすっかり休みにする、他の五日の労働時間を若干延ばすというようなことになりましても、労働者の疲労その他等々を考えますとはるかに効果的なのではないか、かように考えておるところでございます。
○伊藤(惣)委員 大臣から答弁がありましたから、どうか前向きに実施の方向で、これはいつかは必ずやると思いますが、やはり時期の問題だろうと思うのです。その時期というのはもうすみやかにさせるべきだ。いまも聞きましたけれども、確かに企業においては、たとえば一日八時間を九時間に延ばしても、働く労働者から見れば、やはり同じ時間であっても二日間だけを休ませてほしい。これはもう、人間心理としましてそういうふうになるのじゃないかと思います。特に、いまもお話がありましたように、最近の傾向としては、みんな遠距離から都心に通っておる、こういう実態から言いましても確かにそう思います。その点、労働省は、やれと号令をかけるということができるのかできないのかわかりませんけれども、行政指導という面ですみやかにそういった点を推進していただきたい、こう私は思います。 それで定年制の問題です。これは定年間近の方から話を聞くことが多いわけでありますが、確かに、現在の五十五歳という年は非常に若過ぎるように思います。特にわが国の老人対策が充実していれば問題はないのでありますけれども、五十五歳で定年になり、そして退職金をもらい、あるいはまた恩給などをもらっても、なかなか生活できないのが現状なわけですね。そこで、定年制というものが若過ぎる、早過ぎる、やめても食えない、こういうような問題があって、定年を引き上げるといいますか、そういう方向での話や陳情があります。本来から言いますと、五十五歳ですか、やめても十分老後の生活ができるような、そういう体制にすることが理想であると思います。しかし、現実なかなかできないとなれば、やはり定年制の問題についてももう少し弾力性を持たすべきだ。定年というものを上げるなり考えるべきじゃなかろうか。その点どうでしょうか。
○渡邊(健)政府委員 確かに、日本では従来五十五歳定年という形が非常に行なわれておるわけでございまして、現在の企業の七〇%くらいが五十五歳定年制をしいておりまして、大部分が五十五歳になっておるわけでございます。昔、わが国の平均寿命がそう高齢でなかったときは、それもある程度合理的な理由もあったわけでございますが、御承知のとおり、戦後非常に急速に平均寿命が延びてまいりまして、近ごろは七十歳をこえるような状況に相なっております。そういう状況といたしますと、五十五歳という年齢ではまだまだ働き盛りでおられるわけでございまして、一つには、先生おっしゃいましたような定年後の老後の生活の不安というものもございます。また、それを離れましても、まだまだ働く能力があるのに働かないでいたくない、社会でそれだけの活動をしていたい、そういう人間の当然の要求もあるわけでございます。 そういうことから考えまして、われわれ最近の状況から、定年制というものはもっと延ばしてもいいのではないか。特に労働力がだんだん不足しております。特に若い労働力が不足していく今後の趨勢を考えますと、働ける能力を持った人を定年ということで一律に退職させるということは非常にもったいないことである、そういう観点からも、それから老後の生活の安定という観点からも、働きがいという観点からも、定年制をもっと延長したほうがいいのじゃないかということで、一般にも定年制延長ということを呼びかけておりまして、徐々に定年制を延長する企業も出ております。しかし、現在のところは、延長いたしましても大体五十六歳とか七歳というところが多うございまして、せいぜいそのほかに再雇用というような形で若干延ばされるというような例が多いわけでございますが、私どもといたしましては、外国には六十五歳まで働くという国もございますけれども、当面日本といたしましては大体六十くらいまで定年を延長してもいいのではないか、こういうことで、民間の企業には定年制延長ということを呼びかけ、勧奨をしておるところでございます。
○伊藤(惣)委員 各省とか民間企業に対して、働く労働者の立場に立って勧告をし、行政指導をし、そして労働者の福祉増進をはかる、こういうのが労働省ですね。ですから労働者にとって、皆さんの存在が、われわれのために最もやってくれておるという実感というか、感触がなければいかぬと思うのです。だけれども、はっきり言って非常に弱いですね。六十歳と言いますけれども、なぜ六十五歳までやってもいいではないかというくらいの勧告ができないかということです。現在、実質問題として再雇用ということで六十五歳くらいまでやっておるところが多いですよ。最近の労働力不足から、あるいはまた経験という面から言っても。だから、私は、そういう点でもっと前向きに積極的にやるべきじゃないかと思います。 それから、老人に対する現在のおくれた制度を直すための、いろいろな意味での勧告、制度の確立が必要であろうと思うのです。公明党は党の政策でありますけれども、現在の老人対策というのは七十歳ならばありますが、実際に六十五歳くらいから働けなくなる方がたくさんいるわけです。だから、現在七十歳以上に対していろいろな制度がありますけれども、それを六十五歳に下げるとか、あるいは定年を上げて働くことによって若さを保つということもあるわけでありますから、そういう意味から、それなりの褒賞制度ですか、こういうものもつくりながら、少なくともおくれている社会保障、またおくれているところの先輩労働者といいますか——アメリカでは老人といわないですね。アメリカで老人というとしかるので、先輩市民といっているそうであります。わが国じゃまだ大きな声で老人老人と言っていますけれども、いわゆる先輩労働者、私はそう申し上げるわけですが、そういう方に対してはもっともっとすべての面で手厚い行政、保護政策、福祉行政というものを推進すべきである、こう思うのです。大臣からそれに対する一つの見解を伺っておきたいと思います。
○塚原国務大臣 五十五歳というのは、今日の時代においてはまさにこれはひどいと私も考えております。これが七十までいくのか六十五までいくのかということはまた問題があると思いますが、いまの日本の男女、それぞれ違いますけれども、平均寿命から考えますと、やはり六十ないし六十五というところに非常に問題がある。ですから、これはよほど実態を把握いたしまして——もちろんこれは労使間の協議によってきまる問題ですから、われわれが法律で、おまえのところはこうせよと言うことはできませんので、そういう面の行政指導を何歳にするか。この間、木原委員の御質問にお答えいたしまして、中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法で、下は四十五であり最高は六十五という年齢を申し上げましたけれども、一般産業の場合において、その辺のところがこれから大いに問題になってくるのではなかろうか。それから実際に五十五歳あたりでは、家庭の状況から考えても、お子さんの育ち方等によって非常にお困りの方があることは、われわれの仲間にもたくさんあってよく承知いたしておりますけれども、せっかく得たとうとい体験、貴重なる技術というものがそこで失われてしまうのですから、きわめて残念であります。もちろん、再雇用の訓練その他の問題もあり、年齢の点については、公明党さんは七十歳というお話でありましたが、私も、私自身が頑強だから言うわけじゃないですが、私個人の考えとしては、それくらいまで十分働けると思う。しかし、この間木原委員にもお答えしましたように、ある元老が、七十歳が成人式だからひとつ大いにがんばってくれというごあいさつを私がしたら、この年になってまた働かせるのかというおしかりを受けたような事情もございまして、人によって違うでしょうけれども、やはり五十五歳ではひど過ぎる。ですから、六十歳から六十五歳ぐらいの間どの程度にするか、それは会社の特性なり労使間の話し合いによってきめよう、私はできるだけ年齢を上に置いて行政指導する、こういうように考えております。
○伊藤(惣)委員 ちょっと参考までに伺いますが、自衛隊の定年は何歳か知っておりますか、将官クラスでなくて。
○渡邊(健)政府委員 階級によってそれぞれ違うと承知いたしておりますが、詳細なことはちょっといま資料を持っておりません。
○伊藤(惣)委員 知らないということはちょっと問題なんです。四十代なんですよ。しかも四十三とか四とか五とか、あるいは四十八と、非常に若いんですよ。その方々は、へたなところに行くと天下りだといわれる。それで全く違うところに入ったりするんですね。非常に若くて退職している。しかも苦労している。いままで受けた訓練が何にも役に立たない。こういう人はたくさんいるわけですよ。私はやはり、自衛隊といえども国家公務員の一員ですから、そういう点についてももう少し労働省は実態をつかんで、それなりの行政指導をすべきだと思うのです。いかがですか。
○渡邊(健)政府委員 国家公務員は労働省の直接の所管ではございませんけれども、十分調査いたしまして、連絡をよくとってみたい、かように思います。
○伊藤(惣)委員 直接の所管ではないですか。自衛隊は特別公務員ということで、所管ではないとおりしゃるわけですね。じゃ、あなた方のはだれがやるのですか。人事院ですか。人事院と皆さん方、大いに関係あるんです。直接なくても間接には大いに関係があるでしょう。だからそういう所管でないから、間接的にしか関係ないからどうでもいいやというのはうまくないと私は言っているのです。そういう若いところもあり、非常に問題なんです。私が心配しておりますのは、この内閣委員会は、いつも防衛といわれますとみな目の色を変えてやりますが、各省設置法ですと熱が入らない。なぜ入らないかというと、やってもそのときばかりで実行してくれない、実はそういうこともあるんです。ですから私たちは、こういう法律が来たときに、皆さん方の省にあるような問題を指摘して少しでも改善していきたい、少しでも国民のためになるような法律に変えさしていきたい、こう考えるから、省以外のことをいろいろやるわけです。ですから、そういう面について、直接、間接にかかわらずやはり視野を広げて、そして世界の中の日本、こういう面から積極的に、また労働者か巨労働省はたよりになるといわれるような官庁としての行き方、またその行政指導というものをやるべきじゃないかと思うのです。その点、最後に大臣から決意を伺いまして、質問を終わりたいと思います。
○塚原国務大臣 先ほどの局長の答弁は、ほかのはどうでもいいという、無関心という、そういう意味じゃございません。やはりその年齢について突然四十幾つといわれたので、私自身もいろいろ陳情を受けてもう少しということを言われたが、四十幾つという年は聞いてないのです。それはおそらく昔の曹長とか軍曹とかいう下士官クラスぐらいじゃないかとも思うのですが、これは私も調べます。私いま幾つということ、私は大体五十過ぎているというふうに考えておりましたが、これは私も調べます。内閣委員会の方は専門の方もおるようですが……(「曹のクラスは四十五歳だ」と呼ぶ者あり)だからそのことだと思いまして、これはちゃんと調べます。決してわれわれ無関心でおるわけではございません。働く力というものをどう温存させ、どうこれを活用するか。労働省はあくまで働く者の味方でありますから、きわめて積極的な対策を今後とも進めてまいります。
○伊藤(惣)委員 最後に一つ。自衛隊に労働組合をつくることはできないのですか。それをたとえば人事院がいるからつくれないという見方があります。しかし官公労は、やはり人事院の所管であっても実は組合があるわけです。その辺どうなんですか。
○藤繩政府委員 自衛隊法によりまして、労働組合法の対象外になっております。労働組合はつくることはできないことになっております。
○伊藤(惣)委員 終わります。
○伊能委員長 和田耕作君。
○和田(耕)委員 大臣、きょうは特に年配者の問題についてお尋ねしたいと思っております。 人間のしあわせということになりますと、これはいろいろ個人差がありますけれども、平均的に見まして、人間のしあわせというのは年配、つまり老齢になってしあわせであることがしあわせだということは、客観的に見て一つの動かすことのできない標準だと私は思うのです。若いときに何ぼ苦労しても年配になってしあわせであれば、若いときの苦労は全部しあわせに変わってしまう。しかし、若いときに何ぼしあわせであっても年配になって苦労する状態になれば、若いときのしあわせは全部消えてしまうということだと思うのです。したがって、人間のしあわせという問題は、個人差はありますけれども、平均して考えますと、やはり老後のしあわせという問題が人間のしあわせの一番中心になってくる、こういうように考えるのですけれども、大臣、率直な御所見をお伺いしたいと思います。
○塚原国務大臣 われわれの生活を豊かにし、幸福にするのが政治の目的だということは言うまでもありません。それで、しあわせ、幸福というものが、いま御指摘のようにいつの時点においてかということでありまするが、これはなかなかむずかしい問題であって、常にしあわせであることが、理想としてはこれが一番ベスト、一番よいことでありまするが、やはりいま御指摘のように、若いときしあわせであったものがその後くずれれば、それは何にもならぬ。一つの甘い思い出として残るかは知らぬが、現実には非常に苦しい立場におちいりますから、やはりあなたと同じように、ある年齢においてのしあわせがほんとうのしあわせではなかろうか、私はこう考えています。しかし、宗教その他によっていろいろ異なった考えを持つ方があるかもしれませんが、概念的には和田委員の御指摘になった点と私はやはり同じような考えを持っております。
○和田(耕)委員 しあわせという問題は、いま申し上げたとおり個人差があります。太く短く生きようという人もおる。しかし、事なしにしあわせに生涯を終わりたいと思う人もおる。いろいろな仕事にかければいいという方も、あるいはまた、できるだけ仕事をしないで遊んで、すみに生きたほうがいいと思う人もおる。いろいろあります。個人差は、千差万別。しかし、平均して客観的に見た人間のしあわせというものの一つの基準は、やはり老後のしあわせということが土台になってくる。これは私は間違いないと思うのだけれども、大臣、同感というあれだったのですけれども、そうでなくて、これは私は間違いないと思うのですけれども、大臣も間違いないとお思いになりませんか。
○塚原国務大臣 個人差があるということをおっしゃいましたが、われわれのつき合っている交友関係、またわれわれの知っている範囲においては、いわゆる太く短く暮らせとか、それから茨城という私の郷里は、私事にわたって恐縮ですが、非常に短兵急なところでありまするので、非常にいろいろな問題を昭和の初めごろから出しております。これは私の友だちもかなりおる。こういう連中から言わせれば、長く生きることがしあわせではない、われわれは、一つの目的に向かって邁進すればそれでいいというような思想があったことは事実であります。しかし、これは特例中の特例である。人間全般的に見た場合には、家庭の状況、子供の状況、諸般の情勢から考えて、やはりある年齢に達したときのしあわせという意味で、重ねて和田委員と同じ考えであることを申し上げます。
○和田(耕)委員 現在の状態で、その年齢を六十歳と限りまして、定年は五十五歳のところが多いと思いますけれども、六十歳以上あるいは六十五歳以上の人が、この高度経済成長した日本で——これも相対的なものです。しあわせな人もおります。全体としてしあわせな人が多いと思いますか。あるいは非常に少ないと思いますか。大臣はどう思いますか。
○塚原国務大臣 最近いろいろな事件でも見られまするように、人間関係、ヒューマンリレーションの断絶というものが私は大きな政治問題だと考えております。何によってそうなったかというようなことは、ここで申し上げようとは思いませんが、たとえば、先輩と後輩、親と子、それから生徒と先生というものとの間に確かに断絶がある。この事実は私は否定することができない。そういう面において、いま六十歳ぐらいの方という年齢が出ましたけれども、もし断絶というものを目の前に見ていたらその方は非常に不幸であろう、これははっきり言えると思うのです。 それから、じゃ老人全部が幸いであるかどうか。老人対策についてはずいぶん批判もあります。政府も一生懸命やっておるが、野党からもいろいろな問題で攻撃もされ、おしかりも受け、やっておりまするが、事実、七〇年代は内政の年といわれておるが、昨年からことしあたりにかけては、老人対策があるいは一番中心になっているのではなかろうかとも考えております。そういう面では、ふしあわせな方が多かったために、後手には回ったけれども、老人対策に最重点を置こうという考えがあったのではないか。これはやや私の個人的な見解になるかもしれませんが、しかし、労働大臣として、また国務大臣として申し上げるならば、私は、そのことははっきり言えると思うのであります。
○和田(耕)委員 いろいろな資料が出ております。老人の持っている不満だとか、あるいはしあわせと感ずることだとか、いろいろな資料が出ておりますけれども、やはりどういう場合、どういう調査でも見られることは、病気の不安というのがありますね。もう一つは、生活上の不安というのがありますね。この二つはどこにも見られておる問題だと思うのですけれども。つまり生活上の不安というのは、年金その他の問題もありますけれども、これは労働省の非常に関係することだと思います。したがって、老人に対する、いま大臣のおっしゃったような、政府としてもおそまきながら相当重点政策としてやっていこうとする体制のもとで、労働省と厚生省とは密接な連絡をとる必要があると私は思うのです。労働省、厚生省はもともと一つのものだった。戦争前にいけば内務省の一つの局だったということから考えてみても、もっともっと緊密な連絡をとる必要があると思うのですけれども、現在、労働省と厚生省とは、どういうふうな連絡が老人対策の推進についてあるかどうかをお伺いしたい。
○塚原国務大臣 具体的なこまかい問題についての接触の方法については、あとから所管局長から答弁があると思いまするが、今日の労働行政は、私は厚生省の所管もかなり先取りしなければならぬものもあるし、特に環境庁の関係も先取りしなければならないものがかなりあると考えております。この間まで御審議を願って、きょう通過いたしましたけれども、労働安全衛生法等の審議の過程におきましても、それをつくづく私も痛感いたしましたし、今後の労働行政はそうであらねばならないと考えております。したがって、今日までも、何も立法の過程で連絡をとったというのではなくて、常日ごろ非常に緊密な連絡をとっておると私は信じておりまするし、今後さらに、いま言いましたように、厚生省、環境庁、その他の省とももちろん関係もございまするけれども、特にいま指摘された厚生省との関係は、より一そう緊密な連絡を保持しなければならない、このように思います。
○和田(耕)委員 いまの佐藤内閣はもう余命幾ばくもない。これは皮肉でも何でもなしに、そういう事実になっているわけですけれども、新しい内閣ができてのことになると思いますが、老人対策を頂点にあげておるとするなれば、この問題を焦点にして労働省と厚生省とがどのように進めていくか。たとえば老人ホームという問題を考えましても、老人ホームに集まっている人たちに仕事を与える。仕事をしたいと願っておる人がたくさんあるという場合に、老人ホームにおる人たちに対して、厚生省と労働省とが緊密な連絡をとってやっていくというような一つの例ですけれども、そういうふうな各省を越えた——いまの環境庁の問題もそうです。あるいは文部省も関係するかもわかりません。そういうふうなことで、中心的な一つの機関を設ける必要があると思うのですが、それはどういうふうな形になるかは別として、そういうふうなお考えは労働省の方々にありませんか。
○道正政府委員 先生御指摘のとおり、厚生、労働両省はかつて一本でございまして、われわれ非常にたくさんの親しい友人もございます。それから、それよりも仕事の面で非常に緊密に関連がございまするし、現に安定局と社会局とは定期的に会合を持っております。それから職業紹介の面では、こういうふうな連係動作を実施いたしております。厚生省では社会福祉法人で老人のお世話をなさるという法人がございますが、その法人から、老人の無料の職業紹介をあわせてやりたいというような申し出がございまして、現在は五十三カ所の厚生省所管の社会福祉法人による無料職業紹介事業を労働大臣の許可を与えることによりまして実施していただいております。 それから基本的には、今後、労働、厚生両省のみならず、政府全体といたしまして高齢者対策に取り組んでいかなければならないわけでございますが、労働省と厚生省との関連で申し上げますならば、年金の年齢とわれわれの老人の雇用対策はもう切っても切れない関係にございます。年金の充実が叫ばれておるわけでございますが、いまの六十歳から、スライド制等を加味しました生活の十分できるような年金を実施した場合に、現役の諸君が負担するわけでありますけれども、欧米等の例を見ましてなかなかたいへんなことではないか。かたがた、老人の皆さんも六十から年金で生活するということを希望される方ばかりでもなさそうでございます。むしろ働けるだけ働きたいというような御希望もございます。そういうことで、現在すでに現実の問題といたしまして、来年度以降、七〇年代の労働、厚生政策を立案するにあたって、年金と高齢者の雇用政策というものの調整はどうしてもやらないと、両省とも仕事にならぬわけでございます。そういうことで現在接触を密にしている次第でございます。
○和田(耕)委員 この問題は、全く行政機構の問題をフリーに考えるとすると、総定員法なんというものもありますから、ほんとうを言ったら、高年齢対策局とかそういうふうなものを設けることができれば、そういうふうなものとしてこの問題を強力に推進していくというふうにやらなければならぬと思うのですけれども、これは役所の一つのセクショナリズムといいますか、なわ張りといいますか、そういうふうなことで、機動的なそういう体制は言っても非常に困難だということはわかりますが、しかし、その課題はどうしても実行していかなければならないとなると、いまのような新しい行政組織をつくらないかわりに、それに代行できるようなものをつくっていく。それはつまり、目標を定めての協力だということがなければ、この緊急課題を解決することはできないわけですね。したがって、老人対策本部というようなものでも設けるというようなことが必要ではないかと私は思うのですけれども、大臣、御所見いかがでしょうか。
○塚原国務大臣 老人対策についての御批判があって、やや後手に回った感がなきにしもあらずということを私、先ほど申しましたけれども、そういうことを意識しながら、各省において、特に労働、厚生において、いま職安局長が答弁いたしましたように、万全を期した対策を講じておりまするが、それでももし御指摘のような不備——決して私は役所のなわ張り争いとは考えたくございませんが、なおそれで至らない不備な点がございまする場合には、総理あたりが中心となりまして、各省ばらばらになっておるいまのような老人対策を総合的に考えるというようなことも、一つの案ではなかろうかと考えております。しかし、労働省といたしましては、事、労働に関する問題では、各省と十分な連携をとって万全を期しておるつもりでありまするし、また今後も期さなければならないと思っております。
○和田(耕)委員 一つの例をこれから申し上げたいと思いますけれども、中高年の就労の促進のいろんな施策をやっておられますけれども、実際の運用の結果を見ると、中年層にほとんど集中しておって、老年層にはほとんど恩恵は及んでいない。四十五歳から六十五歳というのですけれども、五十歳の中ごろまで、まだ定年以前の人たちの問題は考えられておるけれども、それ以上の人については非常に薄い効果しかあがっていないという世評がありますけれども、その点、どうでしょうか。
○道正政府委員 御指摘のとおりでございまして、四十五歳から六十五歳を一応特別対策の対象にいたしておりますけれども、まず四十代であれば、全体といたしましては求職倍率が一を下回っておりまして、比較的に困難の程度が少ないのでございますが、御指摘のように、五十歳をこえますとこれが全体として三・五になる。要するに一つの求人に対しまして求職者が三・五人、こういうことになるわけでございまして、特に五十五歳以上の方について非常にむずかしい問題がある、これは御指摘のとおりでございます。 この点は、先ほど伊藤先生の御質問のありましたように、定年の問題が非常に大きく関連してくると思いますが、定年制の延長を大きく広く呼びかけるとともに、高齢者の職業訓練を充実いたしまして転換を容易にする。あるいは、高齢者向きの職種につきまして雇用率を設定いたしまして、老人向きの職場を確保するというようなことをいままでもやってきておるわけでございますが、今後ますます老人がふえますという現実を踏まえまして、従来のような対策でいいかどうか、これはわれわれ真剣に検討し、抜本的に対策を講じたいと思っております。 現在は、二十九の職種につきましてそれぞれ雇用率を定めておりまして、たとえば、守衛さんであるとか、監視人、社宅の管理人等の職種につきましては七〇%、あるいは清掃であれば六五%というふうに、以下職種によりまして企業の実態もあわせ勘案しながら率をきめております。四十七年度におきましてはこれを倍増いたしまして、約六十種にふやす予定でございます。 そういうことも今後大いにやってまいりたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、今後、中高年齢者、特に高年齢者の雇用問題は非常に重要な問題になってくると思いますので、根本的な対策を検討し、実施に移したいというように考えております。
○和田(耕)委員 私は、これは中高年齢者というようにしないで、中年と高齢者を分けたらいいと思うのですね。それを一緒に考えますと、いまのような結果になって、老齢者がほとんど無視されて、中年者の紹介になってしまう。これはつまり、求人する側からすれば、やはり年とってもできるだけ働く人をと、つまり生産性の向上という観点から求人するのはあたりまえのことですね。したがって、その制限を一緒にしていまのような雇用促進をやれば、やはり中年者が中心になってこざるを得ない。つまり生産性というものに焦点を置くのは当然だと思いますからね。 しかし高齢者の場合は、そういうものであってはならないということですね。中年者の場合のいまのいろいろな職種の指定という問題はもっと広げていいと私は思うのですね。たとえば、デパートなんかにしても、銀行なんかにしても、もっと中年者を使っていいのです。いまの監視だとか、あるいはいろいろな公共施設、たとえば博物館とかそういうところには高齢者でよろしい。つまり高齢者でなければならない職場というものを限定してあげないと、この問題はなかなか手の届いた行政にはならないという感じがするわけであって、高齢者の雇用対策という問題をこの際強く考えてみる必要がありはしないか、そう思うのですけれども、どうでしょう。
○道正政府委員 全く同感でございます。三十八年に中高年齢者の特別対策を始めましたときには、御承知のように、三十五歳から中高年ということで対策を講じてきたわけでございますが、十年近い間にもう三十五歳から四十五歳ぐらいまでは少なくとも特別対策は要らないのじゃないかというようなことになってまいったわけでございます。御指摘のように、そのうちに、四十五歳から五十歳かあるいは五十五歳くらいまでは、要するに定年までの方については特別対策が要らなくなる事態になることも考えられます。いずれにいたしましても、中高年ということで一本にしないで、高年齢者に重点を当てて集中的に対策を考えるということは、われわれもそういう方向が正しいんではなかろうかというふうに実は考えて、目下検討しておる次第でございます。
○和田(耕)委員 まず六十歳ということに一つの区切りをつけますと、六十歳以上の人は明治生まれですね。明治生まれの環境の人は、何ぼ年をとっても働きたいんだ、働くことが生きがいなんだというふうに考えている人が非常に多いのですね。それはどういう年になってもそういう人が多いです。ところが、六十歳以上の明治時代の環境を持っている方々、いまは老齢者です。この人たちに対して、一般的な平均の生産性ということを求めるのは無理なことです。したがって老齢者の雇用促進というものを別ワクにしろというのは、そういうところにもあるわけです。つまり現在の六十歳以上のお年寄りの気持ちの中に、やはり自分は働くことが生きがいだというふうに感じている人が圧倒的に多いというこの事実。病気で働けない人もおりますけれども、働ける人は、とにかく国家のいろいろな恩恵よりは自分が御自身で働いて食っていきたいんだというような気持ちを持っている人が非常に多いですね。この人たちの希望には国はこたえるべきだ。しかもこのこたえ方が、若い者と一緒に働いて、あるいは壮年者と一緒に働いてという環境では、この願望にはこたえられない。つまり、年寄りのしあわせという問題とちぐはぐになってしまう、こういう問題があるのですね。そういうふうな点があるので、ここらで労働省の高齢者に対する就労というのですか、働いて自分が食っていきたいというこの気持ちを満たすためには、ぜひとも老齢者の就労の対策というものを、一般の生産性という問題とは離れて、福祉という面からも考えてみる必要がありはしないか、私そう思うのです。これはつまり、日雇い労働者の問題も現実の問題としてはそういうふうなことになりつつある、実態は。それから、その指導のしかたがあいまいであるか、あるいははっきりしてないので、日雇い労働者の問題も、世上いろいろあるように、きわめてきびしい批判にさらされておる。この問題は指導のしかたが悪いと私は思うのです。そういうような問題を踏まえて、ぜひともこの老齢者の雇用という問題、就労という問題を考える一つのはっきりした施策を、労働省としては打ち立ててもらいたい。こういうところに、厚生省との緊密な連絡が必要なわけですよ。その点についてひとつ御所見を伺いたい。
○道正政府委員 先生の御指摘、重ねて申し上げて恐縮でございますが、全く同感でございます。 現在におきましても、中高年の問題が雇用政策上非常に大きな問題になっておりまして、安定所におきましても、たとえば中高年者コーナーというようなものを特設いたしまして、一般の若い方方とは違ってきめのこまかいお世話をするというようなこともいたしております。しかも今後を展望いたしますと、年齢別労働力人口は、専門家の先生御承知のとおり、現在は四十五歳以上の労働力人口が全体の三割をちょっと下回るわけでありますが、十年を待たずに四〇%くらいにこれが高まるわけでございます。そういたしますと、平均寿命も伸びますし、国全体の政策といたしまして、やはり五十五歳の定年はもう論外でございまして、六十歳までがいいか、あるいは六十五歳くらいまでは適職をあっせんし、あるいは先ほど御指摘がございましたように、高齢者向きの職場を老人に独占して確保することによって、老人向きの、老人にふさわしい職場で働いていただくというようなことが必要になってくるのではないかというふうに考えます。それが同時に、老人の皆さんの生きがいにも通ずるし、福祉の向上にもなる。そういう意味で、厚生省と連係動作を今後ますます密にいたしまして、労働省としては雇用対策の分野で万全の対策を検討してまいりたいというふうに思います。
○和田(耕)委員 この高齢者の就労という問題は、ぜひひとつお願いしたいと思います。これは職業選択の自由というのが憲法にありますから、なかなか強制的なことはできないと思いますけれども、そういう憲法があるにしても、一方また高齢者も健康にして文化的な生活をする権利があるという憲法の規定があるわけであって、ここらあたりの調整をはかりながらこの問題は強力に推進してもらいたいと思います。 高齢者に対するいろいろな調査を見ましても、家族と一緒に同居したいという願望が非常に強い。これは、それだけを見ればいろいろ問題があると思います。たとえば老人ホームその他の運営の問題を考えまして、そういうおば捨て山のようなところには行きたくない。その感じ方は違うと思いますけれども、老人として能力、体力に応じて働くところがあれば、やはり家族と一緒に同居するのにおりやすい状況にもなると思うのです。そういう点から、働く意思のある老人はたくさんおる。元気な人もたくさんおります。このごろ八十になっても非常に元気な人がふえましたね。個人的にいえば非常なあれがあります。八十になっても元気な人がふえました。ですから、そういう人にできるだけ仕事を与え、生きがいを感じさせ、そうして胸を張って老後の生活ができるような措置をぜひともひとつ労働省として考慮していただきたい。これはそうしませんと、もう六十五歳以上は労働省の対象じゃないんだというようなことを考えると、これはきわめて問題であって、それ以上のことは厚生省にまかしておけばいいんだというようなことでは、老人の切なる気持ちにこたえる方法ではないと思う。そういうことですから、ぜひどもこの問題は具体化してやってもらいたい。 いまもお話のありました定年制の問題ですけれども、これは非常に複雑な問題ですね。つまり賃金制度、雇用制度との関係のある問題ですから、なかなかこれはむずかしいと思いますけれども、一般的に見て、とにかく定年五十五歳を六十歳ぐらいまでに上げるということは、これは議論のないほど必要な問題だと思いますけれども、この数年来、能率賃金という問題が盛んに一部で言われてきたのですけれども、この能率に対する賃金を支払うという考え方は、現在どの程度に普及しておりますか。賃金の問題は質問を予定していなかったので、御準備がないと思いますけれども、この質疑の経過からいって、大体の数字でけっこうです。
○青木説明員 お答え申し上げます。 業績給として支給されておりますものは、率で申しまして五・四%。なお、基本給の中で仕事給、属人給、総合給というような分け方をいたしておりますが、この仕事給も一種の能率給的なものでございますが、これが基本給の中で二三・一%を占めております。なお勤務手当、これは勤務に応じて手当を支給するものでございますが、これが約三・五%。大まかに申し上げまして、こういうような比率に相なっております。
○和田(耕)委員 それは、何らかの能率給的な色彩を持つ賃金というのは、これを足したものですか。
○青木説明員 賃金構造につきましては、先生御存じのとおりに、各企業におきまして、非常にこまかなそれぞれ違った規定を設けております。統計調査部におきましては、賃金構造調査というのを行なっておりまして、その中で、一応仕事給なり業績給なり勤務手当というような分類をいたしまして、各企業におきまするいわゆる能率給的なものをここに含めてもらう、こういうかっこうで統計をとったものでございます。
○和田(耕)委員 この傾向は次第に強化されていく、能率給的な色彩は強くなっていくというお考えになっておりますか。あるいはそれに対する労働省の態度はどういう態度ですか。
○廣政説明員 日本の賃金体系の中で、いわゆる先生御指摘の基本給、そして能率給、その割り振りの問題に関しましては、これから次第に、能率給あるいは職務給も含めまして、そういうものがふえていくという傾向にあるように存じます。
○和田(耕)委員 労働省としての指導の態度はどういうぐあいでございますか。
○廣政説明員 これからの賃金制度の中で、当然のことでございますが、労働力の不足、あるいは社会的な意識の変化、さらにまた技術革新の影響というようなことの中で、次第に日本の年功序列制というのは、職務給あるいは能率給という方向に切りかわりつつあるものと思いますし、また、私どももそのようないろいろな要請も受けておりますので、その面での研究も十分いたしておりますが、さらにこれは労働省としても、その方向で需要に応ずるように考えていかなければならない、このように考えております。
○和田(耕)委員 その考えがあることはわかりますけれども、しかし実際には、年功序列のいままでの体系がいいんだ、これをあんまりこわして能率給に変えることはいけないんだというふうに思う人も、企業の中には相当おるということを聞くんですけれども、それはそうじゃないのですか。
○廣政説明員 日本の年功序列賃金制度というものが日本の慣行の中での長い歴史を持っておるだけに、これをいま一挙に直ちにどうこうということは、私どもも、これは行き過ぎであろう、このように思います。しかしながら、先ほど申し上げましたようないろいろな事情というものを踏まえながら、それぞれの賃金の問題、もともと労使の交渉の問題でございましょうから、その中でいろいろの方向というものが出てまいる。それについて私どもは、いろいろ資料の提供もいたし、御指導も申し上げる、こういうことでございます。
○和田(耕)委員 定年制の問題は、やはり年をとって六十過ぎ、六十五歳になっても非常に元気な人がふえてきておるということですから、これを廃止するか、あるいは延長するかという議論は当然のことだと思いますけれども、しかし、いまの賃金制度がいままでの在来の日本のような状態だと、なかなか言うべくして行なわれない。つまり、いまの定年制にメリットを感ずる企業の人たちは、やはり給料の高い、しかもそれに比べて働きの少ない高齢者を五十五歳あたりで一応整理するというような気持ちが非常に強いわけだと私は思うのですけれども、その問題についての対策を一方で進めていかないと、六十までしたいんだ、したいんだというままで一向進まないということになるわけであって、こういう問題についても、労働省としての一つの方向といいますか、指導の方向というものを確立する時期に私は来ていると思うのですけれども、その点ひとつ大臣の御所見をお伺いしたい。
○塚原国務大臣 五十五歳では低過ぎる、これを六十ないし六十五までという御議論が先ほどから出ております。そこで、それぞれの企業の内部の事情にもよるでしょうけれども、いま言った年功序列の賃金のあり方、ここにやはり問題があるから、なかなかよう踏み切れないところが多いんじゃなかろうかと私は考えております。ですから、今後の労働力の需給関係その他から見て、中高年の方、特に高年の方の労働力というものは、先ほどもおっしゃった気概あるいは経験、それから技術等を生かすことは絶対必要であろう。同時に勤労婦人の労働力というものも、これも絶対必要になってくる、こういうときでありまするだけに、定年制の延長を考える各会社においては、その給与体系と、それから年功序列というようなものを、従来の考え方より一歩そこで変えなければならぬのじゃなかろうか。それは企業ごとに考えることでしょうけれども、そうして実際ある年齢に来たときには、あるダウンがあるでしょう、あるいはカットがあるかもしれませんが、そういうものによって会社の運営をやっていくようなことが一番望ましいんじゃなかろうか。そのままの形で給与がどんどん上がっていったら、これは会社としてはペイいたしませんから、そういう面の考慮というものは各企業においてそれぞれ研究されておる。実際問題として現実に労働力不足でありまするから、そういう労働力需給の関係から必要である。それを確保していくにはどうするかということがいま言ったような壁にぶつかったときの処置というものは労使間において話し合われることでありましょうが、私は、いま申し上げたような点で、ある時点においては、従来の慣例を打破するようなことがあってもやらなければこの問題の解決は困難だ、このように考えております。
○和田(耕)委員 この問題、一等先に申し上げたように、年寄りになってしあわせになるということが人間のしあわせの一つのスタンダードの考え方であるとすれば、これは、若い人たちにもこの考え方でもって指導するということは、私は説得力を持つと思うのですね。そういうようなことで、これは確かに職種によって非常な違いがありますけれども、いま大臣のおっしゃった、ある年齢で賃金をカットするというよりは漸減していくというような考え方は、これは現実的だと思うのです。そういうことをある程度まで実行していくということと並行さして定年制というものを事実上なくする。これは、六十までは定年でそれ以上はということは、もうすぐこれまた問題になってくるわけで、実際は、事実上定年制をなくするというような方向に持っていくのが私は正しいのじゃないかと思うわけです。その場合、つまり働きに応じて賃金の支払いをするという、これは一つの原則としてあるわけですから、ある合理的な水準をもって漸減さしていくような、そういう心組みというものをひとつ労働省としては至急に御検討なさって、そして働ける者は六十五になっても七十になっても仕事ができるような体制をつくっていくということが根本ではないかと思うのです。これは一部の人の言うように、いまの高い賃金のままで六十、六十五まで持っていけというようなことは、これは言うことは言えても、実際責任を持っている行政のあれとしては、あるいは会社の経営当局としてはできることではありはしない。それはそうだそうだと言いながら、それは何もしないという現状のようなことになってしまう。そういうことであるわけですから、ぜひとももう本気に考えなきゃならぬ時期に来ているわけです、このお年寄りの問題というのは。しかも、お年寄りのしあわせの一番根本は、働きたいと願っているわけですから、働けるような環境に持っていくということが一番大事なことだと私は思うのです。この問題は、いわゆる抜本的な考え方の転換といいますか、そういうようなことをぜひとも考えてもらわなければいかぬじゃないか、そういうふうに思うのですけれども、御所見をお伺いしたい。
○塚原国務大臣 実は五月三十一日だったと思いますが、OECDで日本の雇用政策——これは国別で検討されておりまするが、日本のレポート、その中で、年功序列型の日本の賃金制度は再検討されるべきであろうというようなものが採択されておるわけであります。ですから、これは日本のみならず、日本ではもちろんでありますが、一つの世界の趨勢ではなかろうか。先ほど申し上げましたように、やはり各企業ごとによって話はきまるのでしょうが、そういう点で話し合いは十分できるし、労働者も、そういった面で多少の御不満はあっても、結局話し合いで、幾らかダウンしても働きがいのある、生きがいのある生活というものをそこで十分保障されると私は思っておりまするから、これはひとつ真剣に検討し、そういう面の行政指導もいたさなければならないと考えております。
○和田(耕)委員 年配者の問題はまだたくさんありますけれども、この問題はこの程度にしておきまして、もう一つ、いま気がついたことで、いまの労働省がおもに考えなきゃならない問題は、年配者つまり働く意思を持っておる、働くことに生きがいを感じておるお年寄りに対する就労の指導という問題が一つ。もう一つの問題は、若い人たち、若い労働者に対する指導という問題も、もうそろそろここらで方針をきめなきゃならない段階に来ていると私は思うのです。 私、去年の十月にヨーロッパに行く機会があったのですけれども、パリに行きましても、ベルリンでも、あるいはロンドンでも、ストックホルムでも、何をしているかわからぬような日本の若い人たちがたくさんおることが目立っておるという感じがするのです。こういうふうな人たちがおるわけですね。現在の日本国内でも、たとえば私の事務所にも大学を出たりっぱなのが七、八人もおります。これがまともに就職すれば、これは高い六万も七万も月給をもらってサラリーマンの生活ができる男が、私のところでは四万くらいしかやってない。それでもけっこう喜ぶ優秀な人がおるのです。そういう点で、賃上げなんかのことが新聞に出ると、いやこれは内心弱ったなと思うこともあるのですが、若い優秀な人が喜んで仕事をしておるのです。いまの若い人というのは、そういうふうな感じが、一般的じゃないのですけれども、ありますね。仕事をする気になれば、アルバイトをしたって食っていくだけの生活はできるんだというような感じもあるわけなんで、そういう人たちに対する、あるいは青少年労働者に対する労働省の指導の基本的な原則みたいなものをひとつお聞かせいただきたい。
○高橋(展)政府委員 若くして職場に出て働く少年少女、その福祉を増進するということは労働行政の大きな課題であろうかと思います。特に近年は、これら若い人たちが、先生の御指摘のように意識の上でもいろいろ変化がございますし、また、その生活の実態の上でも余暇時間というものが非常にふえてきている。一方、需給関係等の影響もございまして、一般に労働条件はよくなりまして、賃金、特に若い人の賃金は上がっております。あるいはまた一方におきましては、都市への集中ということも非常に多くなってまいりまして、たとえば十年前とは非常に違った若い人の増というものが生まれてまいっておるように思うのでございます。 そういう中で、いろいろな新しい問題が起こってまいりまして、非常に安易に離転職をするとか、また、その離転職の過程で非に走るということもございますし、あるいはまた、職場に適応できないで非常に不平、不満が多い、それがまた、はけ口をよそに求めるというようなことも見られてまいっておるように思うのでございます。 そのような青少年労働者の動き方というものに対しまして、私どもといたしましては、数年来検討いたしておりましたが、これらの若い人が充実した職業生活を営んで、そして有為な職業人として成長をしていく、それを期待するためには、やはり国として基本的な法律というものをつくって、その施行を通じてその成長を守っていきたい、このような考えで、一昨年、勤労青少年福祉法というものを準備いたしまして、国会におかれて成立を見たわけでございます。 それ以来、この法の施行を通じまして、特に、この法律に基づきまして基本方針を労働大臣が定め、それを都道府県知事等に示しまして、各都道府県におきましては、知事がまた基本的計画をおつくりになるというような脈絡一貫した推進方法をとりまして、勤労青少年の福祉のための事業についてその展開をはかってまいっておるところでございます。特に、勤労青少年が余暇の生活におきまして、仲間づくりをいたしましたり、あるいは自己啓発をしてまいる、あるいはスポーツ、レクリエーション等を行なうための拠点といたしまして勤労青少年ホームという施設を各地につくってまいりますよう、地方公共団体に対してその設置の勧奨をしておりますが、これが年々増加いたしまして二百五十カ所にもなる、このような情勢に進んでおるわけでございます。
○和田(耕)委員 勤労青少年は、上は年は何歳ぐらいまでですか。
○高橋(展)政府委員 勤労青少年福祉法の対象といたしますところの勤労青少年は、およそ二十五歳ぐらいまでと考えておりますが、この福祉法の中で、特別な措置、たとえば事業所の中に福祉推進者という方を置いて青少年のめんどうを見てもらう、そういうような場合の対象といたしまして、おおむね二十歳というふうに考えております。
○和田(耕)委員 そういう方向は、私はけっこうだと思いますけれども、いまの勤労青少年の場合に、福祉というような考え方、その角度からの取り上げ方というのは非常に重要だと思うのですけれども、それ以上に出る必要があるんじゃないかという感じが私はするのです。福祉という形、そういうことを非常に強力に進めていかなければならぬたくさんの人がおりますけれども、福祉という対象よりは、それから抜け出した、もっと悪くいえば野方図ということばはよくないけれども、福祉の対象にならないで、もっと違った対策が必要だという感じの青少年勤労者もたくさんおるんじゃないか。この人たちに対しては何かお考えになっておられますか。たとえば、いまヨーロッパへ出て何やっているかわからぬ、とにかくやっているという人たちとか、あるいは私ども政治家の事務所におって、何やっておるかわからぬわけじゃない、一生懸命やっておるわけですけれども、そういう福祉というものの対象から出た勤労青少年というのが非常に多くなっていると思うのですね。こういう人たちに対する対策というものをお考えになっておるわけですか。
○高橋(展)政府委員 勤労青少年福祉法といい、あるいは福祉を増進するというように申し上げますと、福祉ということばが何かハンディキャップのある者に対する援助というようなニュアンスであるいはお聞き取りになられたのかと存じますが、私ども実はこのことばの使い方には非常に苦心いたしたところでございます。しかし福祉ということばは、あながちそのようにハンディキャップのある者に対する援助あるいは救援的なものという意味だけではなくて、より積極的、前向きに幸福と同じような意味合いで使おうではないか、たとえば福祉国家という場合の福祉と同じ意味に使おうではないか、こういうような考え方で勤労青少年福祉法にそのことばを用いたわけでございます。また、したがいまして、その法律の中で勤労青少年福祉を増進するといいます場合には、先生がおっしゃいますように、非常に前向きに生きがいのある充実感を持ち意欲を持って働く、そういう状態の実現ということを基本理念として立てているというようなわけでございまして、福祉ということにはたいへん積極的な意味合いを持たせているつもりでございますし、また施策の目標も、そのようなところに置いているわけでございます。 ただいま御指摘のような、ヨーロッパのほうに行ってしまう青少年というような例でございますが、こういう人たちが職場から脱落していった方方であるのか、あるいは学生層でおられて、その学生生活に不満でそのようになられたのか、その辺つまびらかでない点もございますが、労働省といたしましては、職場で働く青少年が、勤労生活に生きがいを持って働けるように、将来に夢を向けるように、そしてその職場から脱落するというようなことのないようにということで、なかなか万全のというところにまでまいりませんが、できる限りの努力をしていこうということでございます。
○和田(耕)委員 もっと具体的に申し上げますと、私、去年の秋に、都内の三つぐらいの大学の学園祭に、各党討論会というのがありまして、行ったんです。そのあとで十七、八人の若い者がやってきまして、ざっくばらんに自分たちの気持ちを話すのを聞く機会があったんですけれども、こういうふうな感じを持つ青年が多いのですね。これは相当多いんじゃないかと思う。つまり全くおもしろくない。いまの学生は勤労青年といってもいいような状態をしているんです。学校はろくすっぽ出ないでアルバイトやって、つまり学生時代の半分以上はアルバイトしているということですから、勤労青年と言ってもいいくらいの者が多いんですが、だいぶ長く学校におる連中もおって、君たちはどうしているんだと言うと、昼寝をしていますというようなことです。自分と同年輩の高校卒業生で学校へ入った者のちょっと生きのいいのは、みな昼寝をしている。つまり全く意義を認めないわけです。いまのサラリーマンとしての労働というものに、何かもっと生きがいのある仕事をしたいということの一つに、私どもは前に満鉄におりましたから、満鉄のことを話しましたら、和田先生、私はそういう外国に行って生きがいのある仕事をどんどんしたいんだというようなことを言う人もたくさんおりました。つまり青年たちが、こういうように余暇もどんどんふえてくる、収入も売り手市場であるから相当高い収入を得られるという状況のもとで、自分のエネルギーなり生きがいというものをもてあましておる若い人たちが多いということは事実だと思うのですね。こういう若い人たちに正しい民主的な国家の成人としての指導をするということが必要な課題になってきていると私は思うのです。こういう問題を労働省としては、そんなのもあるけれどもしようがない、しばらくほうっておけというような態度で見ておられるのか。何とか前向きに指導したいというふうに思っておられるのか。もし思っておられるとすれば、どういう方向に指導したいと思っておられるのかを、この際お聞きしたいと思うのです。これは大臣からもひとつ。
○塚原国務大臣 先ほどの外国の例は、私もたびたび参りましてそういった諸君といろいろ話し合ってみますが、私が接触した範囲では学生が多かったですね。おやじにモスクワ行きの飛行機代の金だけもらって、汽車で全部行く。あとはヒッチハイクとアルバイト、さら洗いをやると一時間に最低一ドルか一ドル半、それで世界じゅうを回ってくるという人が多かったように私は承知しております。いま一つ、質問にはなかったのですが心配なことは、きわめて意欲に燃えて工場等で働いている方が、かっこいいということでしょうか、第三次産業へ会社に黙って行ってしまう者がかなりあるというようなことを聞いております。これはなかなか容易なことではない。 先ほどからどういうふうに指導するかというお話がありましたが、行政指導としては、労働時間の問題、週休二日制の問題等もありますし、今後はあくまでも人間尊重、福祉優先という立場で、快適な働き場所、そして勤労意欲に燃えて楽しい生活を営むという方向に持っていかなければならない。もちろん婦人少年局としてもそういう方針で指導いたしておるわけでありますが、さらにいま二つの例としてあげたようなことは、将来おそるべき方向に行ってはたいへんでございますから、いまのうちに強制的ではなくそういう方向に善導していかなければならぬ、このように考えております。
○高橋(展)政府委員 私が申し上げるのは潜越なことかとも存じますが、青少年にどのような生きがいを与えるかということは、ほんとうにむずかしい問題であるかと思います。私どもといたしましては、勤労青少年を対象といたしまして、先ほどから申し上げておりますように、勤労青少年が意欲を持って職業人としての生活を営めるように環境整備をいたしたいということで努力しているところでございますが、そのような意味合いで、特にそのようなこととしていたしております若干のことを申し上げますと、勤労青少年のクラブ活動の奨励、指導というようなことに力を入れております。勤労青少年が、その余暇の生活におきまして、仲間づくりをする、あるいは自己啓発をするためにサークルをつくりグループをつくる、その中で切瑳琢磨しつつお互いに伸びてくることを期待するわけでございますが、これらの活動に対しまして、先ほど申し上げました勤労青少年ホーム等を通じて常々指導、援助いたしておりますし、またすぐれた者に対しては労働大臣から褒賞を行なうというようなことも行なっております。あるいはまた、特に勤労青少年の中でもいわゆるブルーカラーの者たちがその仕事に誇りを持っていけるようにという点からは、ブルーカラーの青少年の海外交流と申しますか、アメリカやヨーロッパのブルーカラー青少年との交流の事業がございますし、あるいはまた技能オリンピックなども、やはり若くして職場に出て腕をみがくというような者に対する非常に大きな刺激となり、意欲を高めるという役割りを果たしているのではないかと思います。 また、この青少年問題は、先生御指摘のように、学生と勤労青少年の境というのもあまりはっきりしないというような現状もございますし、労働行政だけで行ない得るという範囲も限定されておりますのでございますが、そういう意味で関係各省との協力ということが非常に必要であると思います。もちろん従来からそのようにいたしておりますが、特に総理府に青少年対策本部というものも設けられておりまして、ここで、各省共通の青少年問題等につきまして、意見の交換、情報の交換、あるいは施策の連携ということのための有機的な作業が行なわれるということでございまして、このような機関を通じましてぜひとも努力していきたい、このように考えております。
○和田(耕)委員 文部省には青年の家というのがありますね。それから毎年一回どこかの県で国体をやっておられる。あれは文部省ですね。つまりこういうようなものを労働省としても考える必要があると私は思うのですけれども、この点どうでしょうか。
○高橋(展)政府委員 文部省で青年の家という施設をお持ちになっていらっしゃるのと対応的なものは、先ほど申し上げました勤労青少年ホームであるかと思います。この勤労青少年ホームは勤労青少年だけを対象にした施設でございます。学生などと一緒ですと、何かコンプレックスを感じる可能性もあるようなブルーカラーの青年たちが、日々の仕事の余暇にそこに集まりまして、そこで大いに楽しく過ごしている、そういう施設でございまして、これが全国で二百五十カ所近くある、こういうことでございます。 また、勤労青少年を対象とした年に一度行なう大きな行事というようなものといたしましては、勤労青少年の日というのがございまして、これは先ほど申した勤労青少年福祉法によって設けられたものでございまして、七月の第三土曜日が勤労青少年の日ということになっております。この日に、労働省におきましても中央の大会をいたしますし、また各都道府県、各市町村等でも、この日にはそれぞれ勤労青少年の方を集めて、あるいは使用者を集めて、勤労青少年を激励し、また勤労青少年のすこやかな成長に対する社会の関心を喚起する、そのために多彩な行事をしておられるわけでございます。そういう中には、スポーツ、レクリエーションというふうなものも織り込まれているようでございます。
○和田(耕)委員 そういう制度も私、意味のあることだと思いますけれども、たとえば勤労青少年ホームですね、今度中野にできるのはそういうものの一番の中心ですね。あの近くの中小企業あるいは商店街の人たちの話を聞いておりますと、今度ああいうものができたのだけれども、私も協力してあれができたのだというようなことをほらを吹いてやっていますと、一般の人はあまりありがたがりていないのです。というのは、ああいう場にいろいろな職場から来るわけですね。中小企業はそれぞれ非常に見劣りのするような職場を持っておるわけです。だから、そういう職場を持っている中小企業の経営者が、そういうところへ出したがらないような空気を持っている。私はあらあらと思ったのです。そういう場に中小企業の勤労青少年が出ることをむしろいやがるような感じを持っておる中小企業の人が非常に多い。中小企業でも経営の内容はばらばらで、非常にいいところもあれば悪いところもある、中くらいのところもある。中から下のところの職場では若い者を積極的に出したがらない。そういう職場の人に、そういうところでレクリエーションをやらしたり教育をしたりするという設備の趣旨であるのに、そういうところの人は、かえってそれを敬遠して出したがらない。そういう空気があるのですけれども、これを御承知だと思いますが、これに対する対策をひとつお伺いしたいと思うのです。
○高橋(展)政府委員 私ども、従来から勤労青少年ホームというものを設置し、その運営を指導してまいった経験から申しますと、やはり初めてホームがある町にできるという際には、いまおっしゃられたと同じような危惧が、特に中小零細企業の方々の間にはあったように思います。そのような集まり場所ができると、そこに各職場から集まってきて労働条件のことなんかを言い合って、それで逃げていってしまうのではないかとか、あるいは不平不満が大きくなるのではないかとか、そのような心配があった時期が確かにあったのでございます。しかし、実際にこのホームというものができまして、その運営には地方公共団体が当たっているわけでございますが、そこできめこまかな運営指導を行なってまいりました経験から見ますと、そのような疑念というものは杞憂であったということが御理解いただけているようでございます。 やはり青少年は、かりに不平不満があるというような場合には、今日の時代においては、そのような場所に集まらなくても、そういったことはお互いに情報というものが非常に早く伝わりますし、特に若い人の場合は、一般に労働条件が、特に賃金面などは今日では平均化いたしておりますので、はなはだしい差というものはないということもございますし、また使用者のほうも、やはりそういうところに行っても、それに耐えるような労働条件でなくては若い者は居つかない、そういうような気持ちもおありのようで、むしろ使用者の方々も、そのホームの運営に協力していこう、こういうような姿勢が非常に強まってまいったように思うのでございます。そういうことで、最近では非常に事業主の方々が率先と申しますか、先に立ってそのホームを誘致することに熱心にお動きになる、こういう傾向も見えているところでございます。もちろん、そういうような成果を得るためには、それぞれのホームを運営なさる地方公共団体、またそこの指導員の方たちの非常に行き届いた啓蒙というものがあったと思いますし、また、その魅力づくりのために格段の努力をしてまいっていると思うのでございます。 中野のセンターにつきましても、これは非常に大きなものでございますからまた別のいろいろなくふうが要るかとは思いますけれども、私ども従来からの経験では、その運営のしかた、また配慮のしかたで、ただいまおっしゃられたような危惧というものは解消できるのではないか、このように考えております。
○和田(耕)委員 この問題はいろいろあると思いますけれども、いま局長がおっしゃったように、いろいろな誤解があったり不安があったりすることは事実ですけれども、その不安は、不安を持つほうに何かのうしろめたさがあるわけですから、そういうものを乗り越えて、積極的にこういうものを運営していくように要望しておきたいと思います。しかし近くのところには確かにありますよ。そういう問題をよく腹に入れてやっていっていただきたいと思います。 その問題と関連して、私もこれはどういうものかと思っていることが一つあるので、ちょうどいい機会ですから、大臣あるいは関係の方からお気持ちを率直に聞かしていただきたいと思うのですけれども、いまの若い者はだめだ、昔は徴兵検査があって兵隊があったので二十前後の人が訓練されたが、いまはないからだめだ。しかし徴兵はいけないから、これはやってはいけない。これはやっていいという人はないのですけれども、何かそういう二十前後の人を一年なり一年半なり、国土美化の運動に協力さすとかいう形で技術の訓練をするとかいうようなこととあわせて、労働のキャンプをつくったらどうだという声は案外多くの人にある。年配の人に多いのです。この問題について大臣の、これはあげ足をとったりしませんから、率直なお気持ちを、こういうものが必要であるとお考えになるのかどうかということを、お聞かせいただければ幸いだと思います。
○塚原国務大臣 若かりし時代の自分を振り返ってみたときに、だいぶでたらめな生活をいたしておりましたのが、私は甲種合格ですから、みっちり鍛えられまして、心身ともに健在になった。軍隊教育そのものについての批判はありました。隊内で問題が起きたこともありましたが、それはそれとして、やはり野方図と言うと語弊があるかもしらぬが、ただ与えられた自由のもとに育ってきた方々を、あの時期において、グループ活動とか、そういったものによって意思の交流といいますか、鍛えられたからだというものをつくることは、私はこれは必要だと思います。 先ほど勤労青少年ホームの話も出ましたが、私も二カ所ほど行ってみまして、それこそ各層各界にわたった、零細企業の方もおりますし、中小企業の方もおります、大企業の方もおりまするが、そういった若い連中と話をしまして、そのあと私が述懐した第一のことばは、私は若い者に不安を持っておったが、これから持たなくなる。それぐらいな前向きの——もちろん政治は抜きですよ。前向きな生活のあり方、それからビジョン、それから今後の人生、それから二十一世紀に向かう気持ちというようなものについて語り合っている姿を見まして、私は心配はないというようなことが最初に発したことばだったのですが、そういったものも、いまの勤労青少年ホーム、中野にできるセンターについていろいろ御心配の点をおっしゃいましたが、そういうものを活用いたしながら、若い者の気持ちというものをよき方向に持っていく努力というものは、私は絶対必要であろう。何か強制的に収容してやれば、また軍国主義の復活とかなんとかいわれまするが、そういうことは別問題といたしまして、やはり自由に育ってきて、ことにいまの世の中は民主主義の世の中ですから、われわれの育ったころとはまるで違う。ある程度、昔で言うとぶったるんだ気持ちがよくなって、しかもからだも健康になる。私は今日まで病気しないでいられますのは、やはりそのとき鍛えられたのが役に立っているのではないか、このようにも思っておりますので、結論から言えば、そういう機関があることが望ましい、そして、誤解されない形の機関が望ましい、このように考えております。
○和田(耕)委員 私も軍隊には行きましたし、戦場にも何カ所か行ったのですけれども、そういう生活を通じまして、からだと心が鍛えられたという印象はいまだに持っています。したがって、あれはまずかったなという、そういう思い出としては、率直に言ってありません。非常に鍛えられたという感じを持っております。 しかし、いまの軍国主義の問題ですけれども、そういう問題と関連づけては、これは絶対にいけません。そういうことで、今後、青少年の、特にそういう勤労青少年の場合には、いまの憲法というものをまつ正面から教育していくというこの姿勢がないと、やはり私は積極的な正しい指導はできないと思います。そういう点で、与党の政治姿勢には大いに問題があると私は思うのですけれども。あるいは憲法の改正と言っても、軍国主義の復活でないようですけれども、これはそういうふうなものとして世間に与える印象を持っておるということで、この際に、新しい日本の若い人たち、新しい世代として新しい日本をつくっていこうとするエネルギーに満ちた人たちに対する指導としては、憲法の持っておる平和主義と民主主義というものは、これはまつ正面から教育していくという、この心がまえがないと、前向きのせっかくいまの若い二十代の人たちの心身を訓練しようという考えを持っておっても、それを誤解されるような態度ではいけないわけです。またいろいろな意味からいって、新しい憲法というものは見直されてきているわけですね。 これは私は、この前、佐藤総理にも申し上げたのですけれども、私自身がソ連の捕虜から二十五年に帰ってきて、舞鶴であの新憲法の小さな書物をもらって、そんなものはだめだと、あのころにはこう思ったのです。しかし、三十年代になって、つまり戦争の主戦兵器が核兵器になったという段階から見れば、新しい憲法の持つ意味というものは脈々とよみがえってきている。四十年代の高度成長で世界の中の日本ということになりますと、もう平和なしには生きられないという状態ですね。またどこの国ともおつき合いをするためには、左のほうの政権でも、右のほうの政権でも、どこの国とも大きな顔をしておつき合いできませんよ。やはり民主政治というものはしっかり守っていかなければならない。そういうふうなことで、新憲法の持っている意味を、初めは、これはとんでもない、こんなものはできるものかと私自身はそう思った。そういうふうな感じはあったのですけれども、この核兵器の時代、世界の中の日本として世界国じゅうとおつき合いをしていくということになってくれば、この新憲法の精神を新しくしっかりと見直していく必要がある。これを政治の姿勢として確立しないと、いまのような青少年に対する心身を鍛練するためのいろいろな企てをやるという意欲も鈍ってくる。こんなことをやれば、誤解されやせぬか、こんなことをやれば新聞でたたかれやせぬかというような気持ちになってくるというわけでございます。 この民主憲法、平和憲法の持っている精神の——確かに条章的に見れば、これは問題があります。憲法九条にしても、あれを文字どおりに解釈すれば、自衛隊は違憲であるなんというような意見も出てくる余地もあると思いますけれども、私どもそう考えておりませんが、そういうふうに憲法を正しく理解をし、解釈をしながら、しかも平和と民主主義という問題をまともに考えて、新憲法の精神をまともに教育していくという政治の姿勢を持っておれば、いまの青少年、二十前後の人たちを、当然私はからだも心も鍛え上げる時期だと思います。で、それにふさわしいいろいろな行事を国が計画しても、私は正しいと思っております。 しかし、一番かなめの点は、いまの憲法の精神というものに誤りを抱かせてはいけない。誤解をおかすようなことをしてはいけない。これをおかしますと——これはいまの政府自身がそうでしょう。やりたいと思ってもできないでしょう。新聞でいろいろなことを書かれるとめんどうだという感じが先に出て、やるべきことができないということになるわけなんですから、この問題はぜひとも、新しい前向きのエネルギーに満ちた青少年を教育するという場から見れば、憲法というものをもっと重視してもらいたい。自民党大臣にそのことを強く主張するのはあれですけれども、自民党にしても、憲法改正といっても軍国主義をつくろうというわけじゃないのですから、まあ、しばらく憲法改正なんということは言わないで、そうして、若い人たちを訓練するということは、正しい愛国心を持たすということは大事なことなんですから、その問題ひとつぜひともお考えいただきたいと思うのですけれども、大臣の御所見をお伺いいたしたい。
○塚原国務大臣 いまの青少年、特に勤労青少年の諸君は、大学の講座等において憲法学というものを学ばなくても、私は、平和憲法というものはかなり定着している、このように考えております。それはわれわれが若い連中と接触しておるときにそれを感ずることであります。ですから、あくまでも戦争のない平和な民主的な国、そのにない手である青少年、勤労青少年というものが健全に育っていくことを心から望むものであります。そうして同時に、勤労の価値観というか、労働の価値観というものを今後の繁栄と結びつけて、そうして独自の前進を続けていくというような指導もいたし、またそういうことを彼らみずからが考えることを強く望んでおるものであります。
○和田(耕)委員 きょうは厚生省の山口老人福祉課長もおいで願っておると思うのですけれども、御質問したい点は、先ほどの問題、つまり厚生省と労働省とが、老人の就労、しあわせという問題については、緊密に連絡をしてもらわなければならないということをお伺いしたいと思っておったのですけれども、それについては、一言この問題について御所見をお伺いして、せっかくいらしていただいて失礼しましたけれども、御答弁をいただきたいと思います。
○山口説明員 先ほど労働省のほうからお答えありましたように、老齢者の就労問題につきましては、私どもといたしましては、福祉の立場から従来は相談事業の一環としてやっておったわけでございますけれども、非常に働くことを希望するお年寄りが多いということで、高齢者の無料職業紹介というものを労働省のほうの御理解を得まして始めたということでございます。 現在、私どもとしてさらにもう一つ検討する必要があると思っておりますのは、単に就労をあっせんというだけでありませんで、適当な職業をいろいろ検討する、あるいはそういう場をつくる、そういうような問題も含めて、さらに労働省ともお話し合いをしながら対策を検討していきたい、かように考えておる状況でございます。
○和田(耕)委員 先ほど大臣からも、老人対策というものを非常に政府としても重視しておられる。しかし、いまの職安機構では、私は、やろうとしてもなかなかうまくいけないような面があるので、といって、行政機構の改革をやろうとしたって、これはなかなかめんどうな問題だから、ぜひともそれにかわるような中心機関のようなものを連絡機関としてつくって、この問題について力を入れてもらいたいということを申し上げたわけですけれども、ひとつ大臣、この問題ぜひとも今後とも御検討いただいて、そういう形の運用ができるように御配慮いただきたいと思います。 最後になりましたけれども、最後に述べたことばがきょう私の申し上げたい一つの重点のことでございまして、やはり国民から誤解されないような政治姿勢のもとで、つまり青少年の教育あるいは訓練、特に勤労青少年の訓練という問題についてはひとつ画期的な方向を打ち出してもらいたい、このことを要望いたしまして、質問を終わることにいたします。 ありがとうございました。
○伊能委員長 東中光雄君。
○東中委員 最初に、この前の予算委員会でお聞きしたことについて若干聞いておきたいのですが、ハイタク労働者の勤務状況の問題であります。 この前、大阪の出来島交通の労働者で厚地運転手がなくなったことに関連をして、その前の約一月間くらいの勤務状況があまりにもひどい。十八日間に十五乗務、続いて七日間に連続六乗務、さらに十八日間十八乗務をやっておった、それが続いておるということを申し上げて、こういう殺人的な労働条件、それについて基準監督署としてまだ何もされていないようだということを申し上げたのですが、労働基準局長は、「その点についてはさらに調査をしてみたいと思います」という答弁をされて、この問題を終わっておるわけなんですが、どういうふうにされたか、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 この前、先生から御指摘がございまして、現地の特にその点を調べるように申したわけでございますけれども、先生がおっしゃいましたような、自動車の非常に過大な走行の実績があった等々の事情につきましては、基準局といたしましては、そういうものを確認することができなかったわけでございまして、私どもといたしましては、したがいまして、あの際に御答弁申し上げたような状況以上のことをつかんでおらないわけでございます。
○東中委員 あなた、何を言っていますか。会社側が陸運局へ出した書面の中にこれが書いてあるのです。私、数字もあげて全部言ったじゃないですか。会社側が陸運局へ出した書面があるのだということを、あのときちゃんと指摘しているでしょうが。それさえ調べないのですか。調べる事実がなかったといいますが、陸運局にその書面が出ているということを調べたのですか。調べてないのですか。
○渡邊(健)政府委員 そのタコメーター等が確認できなかったわけでございます。
○東中委員 会社が出した書面が陸運局にあると言って、私はその一部を読んで数字をあげたわけです。そういう書面を陸運局に会社が出しておるということを、それを基準局としてはお調べになっているのですか。なっていないのですか。会社がわざわざうその書面を、しかも違法になるようなことがわかっているような内容の書面を、陸運局へ出すわけがないじゃないですか。 この前はあなた、日勤だという報告を受けているということを言われたけれども、実態は日勤ではない。一乗務三百キロ以上走りておって日勤ということはあり得ないじゃないかということも私、申し上げた。しかし、聞いておられないだろうと思うから、だからその点については食い違いがあるだろうけれども、そういう事態が起こればたいへんなことだからということを言われました。それでそれをよく調べるということだって、会社が出した書面をぼくはあげて言っておるのに、それを調べているのですか。いないのですか。そこのところを聞きたい。
○渡邊(健)政府委員 事業場に対しましてそのタコメーター等を調べたわけでございますが、事業場でタコメーターが見つからなかったということで、その点が確認できなかったわけでございます。
○東中委員 大臣、これはどういうことなんでしょうか。私が資料をあげて言った。そしてそれがあまりにも異常な状態だということ。基準法からいえば真正面から違反している状態じゃないですか。大臣だって、速記録を見たら、そういうことがあるとしたらたいへんだ、しかしいま局長の言っていることと食い違っているようだからということを言われた。だから調べるということだった。会社が出してある書面さえ調べないで、タコメーターで調べて、タコメーターがないというのは、それは一年もたっているのだから、なくなっているかもしれない。しかし、ないようになってから調べたって何にもならない。現に陸運局へ出したものがあるのだと言って私、指摘しているでしょう。基準法違反が幾らあったって、そういう形で何にも調べてなかったら、基準監督署としては、基準局としては、一体何が基準法の執行をやっているということになるのですか。行政としてはきわめて怠慢じゃないですか。お調べになったのかならなかったのか、それをお聞きしたい。タコメーターのことはいいです。陸運局へ出しているそういう書面があるということについてお調べになったのですか。ならぬのですか。
○渡邊(健)政府委員 タコメーターがもし把握できれば、そのことがはっきりするのではないかと思って調べたわけですが、タコメーターは把握できなかったということで、陸運局にそこまでは調べておりません。
○東中委員 私はわざわざそれをあげて、その資料でものを申したわけです。それで調べるということになった。じゃ、何にも調べてないということになるじゃないですか。タコメーターを見に行ったって、それはなくなっておると会社が言えば、基準監督署としては調べられないのはあたりまえです。あっても、なくなっていると言うかもしれない。問題になる前に会社が出したものがあるのだから。 大臣、この前の答弁のことであります。それで、これはあまりにもひどい。あとで冗談で大臣は言われましたが、うっかり出来島交通に乗ったら危険だな、ということを笑って言われておった。実際私もそう思います。交通安全という点から見ても、労働者の労働条件という点から見ても、これは非常にほうっておけない。基準局が、こういうものを国会で指摘してさえ、そういう形で放置されておるということだったら、二・九通達にしたって何にも意味がなくなっちゃう。その点、大臣どう思いますか。
○塚原国務大臣 衆議院予算委員会の分科会での御質問、非常にこまかい例をあげられての御質問も私はよく承知いたしております。そういう問題については実態を調査しなければなりません。これはもう当然でありますが、やはり大阪の基準局が本省のあれで調べたことは、私自身まだ大阪の基準局長から聞いておりませんから、これはわかりませんが、いま局長は、調べたことは調べた、しかしわからなかったという答弁をしたのであって、あなたが調べろと言ったのを怠っておったとは私は考えておりません。ですから、私自身、詳細につきましては、大阪の局長からの報告を受けておりませんので、ここで答弁ができないのは遺憾でありますが、あのいろいろなこまかい例をあげての御質問に対して、調査すると言ったのを労働基準局が放置しておったとは私は考えておりません。調べた結果こういうことであるという報告を渡邊君が先ほどからしでいる。それがあなたの御意に召さなかったということじゃないかと思うのですが、私自身調べに行くひまもないし、またその報告もまだ私は受けておりませんから……。
○東中委員 証拠がここにあると言って、私がそれをあげて言うていることを——その証拠は役所にあるのですから、すぐ調べられるわけですね。それを調べてなかったということを私はいま言っているのです。そうして結果的には、そういう違反の事実が出てこなかったという言いわけをしているだけじゃないですか。陸運局に事業所から出した書類があるからということをちゃんと言っているじゃないですか。速記録にちゃんと出ていますよ。そして、そういう事実があるかどうかを調べると言われたのでしょう。
○塚原国務大臣 ことばを返すわけではございませんが、私も大体、いままでの委員会の質疑応答で自分が聞いたことはよく承知いたしておりまするが、あのとき陸運局とおっしゃいましたか、事業場とおっしゃいましたか。速記録に陸運局と書いてありますか。私、陸運局ということばはちょっと記憶にないのですけれども……。
○東中委員 陸運局と言っていますよ。
○塚原国務大臣 そうですか。それなら私が忘れたのかもしれません。私は陸運局ということは存じませんので、事業場云々ということで、そのほうを出先の局で調べたのではないか、このように思っております。
○東中委員 速記録を見ますと、こう書いてあります。「昨年四月六日のこの勤務状況、陸運局への会社の報告を見ますと、これは非常にすごいわけです」、こう私が述べて、そして内容を言うておるのです。その内容の写しを私はここへ持ってきて、そのときもこれを見て言ったのです。陸運局に出した報告があります、それによるとこうですよ、こう言っているのですから。それで最後は、それと違う報告を聞いていると言われた。これはあらかじめ申し上げておったけれども、そこまでこまかく言ってなかったから、違う見解が出てくるということはあり得るだろう、だからあとでよく調べます、こうなっておったわけです。ところが、私があげているそのことについては調べないで——調べれば、あることは歴然としているわけですよ。そして、タコメーターなんてないと会社が言えば、捜索するわけにもいかぬわけでしょう。そういう捜索するような断固たる根拠がまだないわけですから。私は、基準法というのは最低限度なんだから、それを厳正に執行するということは当然やられるべきことじゃないか、こう思うわけであります。 これはたまたま出来島交通の例をあげてますけれども、これはあまりにもひどい、ちょっと常識で考えられぬ。十八日間連続十六時間勤務をやって、そうしてまだ続けて何回か連続やっている。常識で考えられぬような事態が起こっているからそれを取り上げたわけですけれども、それでさえこんな状態、だったら、それはもうだめじゃないか。二・九通達だって、全く事実上基準監督の執行がやられていないということに結局なってしまう。年二回の交通安全期間にやられるということはありますよ。しかし、そんなものは全く形式的なものになってしまうじゃないですか。そういう点で言っているのですが、ひとつあらためてお調べになるでしょうか。
○渡邊(健)政府委員 あのときは、たしか私どものほうの調査で日勤者ということになっておりました。先生から、走行キロの数字をおあげいただきまして、日勤者でこれだけ走るということはおかしいではないか、こういう御指摘があった、私どもかように存じておるわけでございますが、その点について私ども確認いたしておりませんでしたので、至急調べる旨申し上げたわけでございまして、そういう意味で、はたしてそれだけの走行距離があったかどうかということを調べるように申しましたわけでございます。タコメーターを見ればわかるのではないかということで、事業場のタコメーターを調べたところが、タコメーターがないということで、その点の確認ができなかったのでございますが、運輸省の陸運局のほうについは調べておりませんので、至急その点を再度調べてさせるようにいたしたいと存じます。
○東中委員 私は調べ方を一々どうこう言っているのじゃなくて、わざわざ国会でハイタクの労働者の勤労条件というのは基準法が非常にじゅうりんされているかっこうになっている例として、私は最も典型的な例を言ったわけです。それさえまともに調査されないというようなことだったら、これは非常に遺憾なことだと思うわけであります。 そのときあわせてあげたいわゆる暴力的な職場の問題ですが、この問題についても東光交通、ゆたかタクシーあるいは三日月タクシーですか、この問題についても、現地の基準監督署へ行くと、これは西と天満と守口、この三つの監督署に分かれている。だから、ひとつ本局のほうで一括します、こういうふうに答えたそうです。これは現場の労働者が基準局へ行くと、これは五月の十二日ですけれども、ハルナという監督官だそうですが、中央から何の指示もありません、こう言っているそうです。これは昔のいわゆる監獄部屋ではないけれども、基準法五条違反の疑いが濃厚だと、具体的な例をずいぶんこまかく申し上げました。名前はこういう席ですから一々あげませんでしたけれども、しかし、いまそういう実態になっている。この暴力支配の状態についてはどうでございましょう。
○渡邊(健)政府委員 いま先生がおあげになりました、この前も話に出ましたゆたかタクシー、それから東光交通等々につきましては、せんだっても例にあげられましたいわゆる前貸し金のようなものを貸しまして、そして賃金から控除する、あるいは、それによって実質的に身分拘束的な労働をさせておるのではないか、そういう点、この前も議論に出ておりますが、それにつきましては、その後さらに調査をさせておるわけでございますが、これにつきましては、確かに、それらの三社におきまして、金を貸しまして、そのうちの返済金を毎月の賃金から差し引いているという事態がございます。 これにつきましては、賃金からの控除をするには、基準法の二十四条によりまして、労使の協定がなければ引けないことになっておるわけでございますが、これらの点につきまして、協定がないのに控除しておったという事実もございますので一それらにつきましては是正方を指示いたしますとともに、さらにそれらの点について調べましたところ、これは金銭消費貸借契約の形はとっておりますけれども、どうも基準法十七条の身分拘束的な前借金的な色彩もかなり感じられましたので、これにつきましては、所轄の監督署が指示をいたしまして、そういう前借金についての賃金からの控除を、たとえ協定をあとからつくったにいたしましても、やめるよう指示いたさせまして、ゆたかタクシーにつきましては、四月分から賃金からの控除を取りやめさせておるところでございます。なお他の二社、東光交通ともう一つ、同じ経営者が経営しております三日月タクシー等につきましては、会社から直接前貸し金を貸しているという形ではなくて、一般金融機関から貸しているという形をとっておりますために、直ちに法十七条に違反する疑いが濃いとまでは言い切れない点もございますけれども、類似の性格のおそれもございますので、現在、それらの控除をやめるよう指導をいたしておるところでございす。
○東中委員 十七条関係では大体わかったわけですが、五条関係ですね。タコ部屋ということを申し上げたと思っているんですが、相当暴力を加えたり何かしている。現場ではそれについて、昨年の八月、九月段階では、一応五条違反の疑いで調査に入られたように聞いているのですけれども、その後うやむやになっている。私が予算の分科会でお聞きしたのはそのあとなんですけれども、五条関係の、要するに暴力支配あるいは暴力団を雇い入れての支配、おどかし、こういうものについてはどうなんでしょうか。
○渡邊(健)政府委員 前回も申し上げましたように、それらの事業場においてけんか等があったという事実は、われわれも承知をいたしておるわけでございますが、なかなかこれが、五条のいわゆる暴力による就労をさせておるということを認定するまでの証拠もつかんでおりません。その後さらに調べてみたわけでございますけれども、なかなか五条違反であるという明確な証拠をつかむまでにに至っておらないわけでございます。
○東中委員 五条違反といえば、百十七条で一年以上十年以下という一番重い犯罪でありますし、しかも、昔のようないわゆるタコ部屋、監獄部屋というのがないのは当然でありますが、いまもそれに類似の動きというのがこういう形でやられている。いわゆる暴力団の態様が変わってきていますけれども、職場でのいわゆる監獄部屋的な労務管理をする場合にも、態様は変わってきているというように私は思うわけですが、特にいま、従業員間のけんかあるいはトラブルというふうに言われましたけれども、これは薬師寺という経営者が、この前も具体的な例をあげましたように、ビニールパイプでなぐるというようなこともやっておりますし、そういう点も含めて、ちょっと常識で考えられない事態が起こっておって、これが公然とそのままやり過ごされておると、だんだんそれが普及していくというかっこうになるわけですので、厳重にこれは調べていただきたい。 それと、この前も指名手配の写真を大臣に遠くからお見せしましたけれども、これはちょっと見ておいていただいたほうがいいと思うのです。黒板へ水揚げの一覧表を書いて——それは別の会社なんですよ。同一系列の会社ですけれども別の会社で、その従業員の指名手配をやっているというか、これは犯罪捜査の写真よりまだ大きいですよ、その黒板との対比で見ますと。こういうちょっと常識で考えられぬ事態がありますので、特に基準法関係からいえば、もし成立すれば一番悪質な犯罪でもありますから、ぜひ強い指導と慎重な調査をしていただきたい、こう思うのですが、その点、もう一ぺん確かめておきたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 今後ともできるだけ調査につとめまして、もし五条違反の確証が得られれば厳正な処置をとりたいと存じますし、また、その他の事業場も含めまして、五条違反と疑われるような事態が起きないように、それらの事業場につきましては、今後とも十分に監督を続けてまいりたい、かように考えます。
○東中委員 それとの関連で、これは五月二十四日付の「交通界速報」という雑誌を見ますと、「二・九通達改正運動おこす 大タ協」——大阪タクシー協会ですね。「大タ協、理事会で決める」という項目がありまして、「タクシー運転者の労働時間などを規制している二・九通達は業界の実情にマッチしていないとして早急に同通達の改正運動を展開する方針を決め、」「ちかく大阪労働基準局幹部と協会に中山太郎労働政務次官を交じえた三者による懇談会を開くことになった」、こういう報道をしているわけですが、「二・九通達改正運動については、運転者不足が深刻化する一方、二・九通達をはじめ諸法規によるシメ付けがきびしくなっており、運転者の労働時間を他産業並みに一日二時間延長するよう改正運動を起こすことを確認した。多田会長は、この問題でさきごろ上京した際、地元選出の中山労働政務次官に会い陳情した結果、行政当局と業界の懇談会に出席するとの約束を取付けたので」云々ということが報道されているのですが、二・九通達それ自体がいま守られてないということで、私、遺憾なことだと思っているのですけれども、それを今度は変えるというような動きについて、基準局としては考えていらっしゃるのか。その点どうなんでしょう。
○渡邊(健)政府委員 二・九通達は、四十二年以来、私ども自動車運輸関係についての指導の基準といたしておりますし、これは労働省の基準局長名の通達ではございますけれども、運輸省その他等とも連絡をいたしまして、適正な運転に関する労働条件の指導の基準といたしておるわけでございますので、現在のところこれを変更するような考えは持っておらないわけでございますし、いま先生から、大阪のほうにそういう動きがある旨のお話がございましたが、ごく最近、大阪の基準局に何かそういう話を持ってきたという話は聞いておりますけれども、それ以外のことは私どもは承知しておらないわけでございます。
○東中委員 これは政務次官に、多田会長ですね、いま裁判を受けておられる人ですけれども、この人が見えてそういうことになったというようなことを報道しておるのですが、大臣としては、こういう動きをするということには全然関係ない、二・九通達を変える、そういうふうな意向は全然ないというふうにお聞きしてよろしゅうございますか。
○塚原国務大臣 中山君は大阪地元ですから非常に関心を持っていると思うのですが、中山政務次官からまだこの報告を受けておりませんので、至急会いまして、その間の事情はどういうものであるか、よく伺ってみたいと思います。
○東中委員 ただ、その二・九通達自体は実情に合わなくなってきているとか、あるいは労働時間を延長するとかいうふうなことを基準局のほうで考えていらっしゃるとすれば、これは私、相当たいへんな問題になると思いますので、そういうお考えがあるのかないのか。ただ、事実上こういう動きが最近起こっているというだけで、基準局の監督行政としてそういう方向を考えているわけではないというふうにお聞きしていいのかどうかですね。その点ひとつ……。
○塚原国務大臣 いま問題になっております自動車運転者の労働条件については、労働時間、賃金形態等非常に複雑な問題を包含していることは、これは事実であります。今日まで労働省としては、労働基準行政の重点項目としてこの問題と取り組んでまいったのであります。 いま御指摘のようなことは、二・九通達を変更することがどうこうということでありますが、そういうことは別に労働省としては考えておりません。しかし、大阪の事情が何か特殊なものがあるかどうか、この間、東中委員いろいろ御指摘になった点で、私はその程度は存じておりますが、その間、多田社長ですか、それから中山政務次官云々というようなことは私、存じておりませんので、これはひとつよく調べさしていただきたいと思います。
○東中委員 それでは、その点またあとにお聞かせ願うとしまして、もう一点、次の問題でお聞きしておきたいのです。 御承知の北九州市の新日本製鉄八幡製鉄所のガス発生炉工場で発ガン性の高いタール蒸気による職業性肺ガンが集団発生した、会社側が認めている死者だけでも四十二年までに三十三人も出ておる、最近になって同じタール蒸気を出すコークス工場からの定年退職者から二人の肺ガンによる死亡者が出たということで、コークスあるいはガス発生炉等においては非常に大きな問題になっておるわけですが、これについて労働省としては、特に肺ガンの問題ですが、どういうふうな方針で臨んでおられるか、お聞きしたいのです。
○渡邊(健)政府委員 新日鉄の八幡製鉄所におきまして、ガス発生炉作業者に戦前の昭和八年からタールによる肺ガン発生が見られておるわけでございまして、四十年までに三十三名のそれによる死亡者が出ておりますことは、われわれも承知いたしております。 これにつきましては、戦前から業務上の疾病として補償がせられてまいったわけでございます。ただ、ガス発生炉につきましては、そういう非常に問題であるということで、戦後、八幡製鉄所におきましても、いろいろそれに対する対策等もとらせておったわけでございますが、そういうことで、このガス発生炉は二十八年には閉鎖をいたした次第でございます。 ところが、最近になりまして、ガス発生炉ではなしにコークス工場におきまして二名の肺ガン患者が出たということが報じられておるのでございますが、これらにつきましては、コークス工場にこういうものが出たということは初めてでございまして、私どもも、それがはたしてガス発生炉と同じような原因によるものであるかどうかということについて、現状、実情を把握いたしますために、早急に調査をするよう現地の基準局に指示して、現在調査をさせておるところでございます。
○東中委員 このコークス工場の場合ですが、これは立ち入り調査、立ち入り検査など、何かやっていらっしゃるのですか。
○渡邊(健)政府委員 コークス工場につきましても、昨年以来で三回の臨検監督を実施いたしております。
○東中委員 その結果はどうなんですか。そしていつといつといつやられたのか、ちょっとお聞きしておきたいのです。
○渡邊(健)政府委員 昨年来の状況を申し上げますと、四十六年二月二十二日、それから同年の八月三十日及び今年の二月二十七日に、いずれも洞岡のコークス工場の臨検監督を実施いたしておりますが、その検査の結果によりますと、安全衛生設備及び健康診断の実施等、いずれも違反を認めていないわけでございます。
○東中委員 新日鉄八幡製鉄所には洞岡と戸畑と両方にコークス工場がありますが、洞岡だけですか。
○渡邊(健)政府委員 ちょっと戸畑のほうの臨検監督がどうなっておるかについては、ただいま資料がございませんので、至急調べまして、後刻お知らせ申し上げます。
○東中委員 「職業環境の発がん物質の量は一般環境に比して著しく高いのが特徴である」ということで、ここに九州大学教授の倉恒匡徳さんの「職業がんの問題点」という論文があります。「産業医学」の昭和四十四年一月号ですが、これを見ますと、全くおそろしいなということを私もしろうとなりに感じるのです。たとえば「一日二十本のシガレット喫煙者は一年間に百七十五γであり、わが国で煤煙による汚染の最もひどい旭川市における年間吸入量は六百γであるに反し、熔融タール取扱い作業に一日二時間従事すると、実に二十三万γにもなる」ということを言っておるわけですが、これはもうまさに全くおそろしいという感じを禁じ得ないわけですが、このコークス工場でいま黄色い煙が一ぱい立っているという状態、そういう中で労働者はタオル二本でマスクがわりにしてそして作業をやっている。一交代で四十回コークスの製造をやる。だから十分おきにこの煙を二、三分かぶるという状態になっておるわけですが、こういう実情というのはおつかみになっておるわけですか。
○渡邊(健)政府委員 先ほども申しましたように、戦前からガス発生炉で肺ガンが出ております。これは二十八年にガス発生炉は廃止されましたけれども、そういう問題があると考えましたので、三十五年からは、コークス工場におきましても、従業員に肺のレントゲン撮影を毎年させて、十分肺ガン発生の有無について検査をしてまいってきておるわけでございますが、その限りにおいては、現在までのところ異常者は認められなかったわけでございます。
○東中委員 そんなに前からやっていらっしゃるのだったら、今回このコークス工場で、ガス炉で肺ガンでなくなった人が三十三人もおるということを知って、労働者のグループが定年退職者の中での肺ガン死亡者なんかを調べるようになった。その結果、二人の人がなくなっているということが、これは労働者のグループが心配してさがし出してわかってきたという経過ですね。しかも昭和十三年に入社してコークス工場で働いてきたAさんならAさんが、四十四年の三月に定年退職すると同時に間もなく異常を感じるようになって、四十四年六月に福岡県内の国立病院で肺ガンと判定されて、入院三カ月後に死亡しておる。もう一人は、昭和十五年に入社してコークス工場につとめてきた人ですが、四十年十二月に定年退職して、四十五年十二月ごろから倦怠感を感じて、四十六年二月、九大第一内科に入院、肺ガンと判明して七月に死亡しておる、こういうふうにいわれておるわけですが、いま言われたような三十五年から検査をしておって、これが全然捕捉できなかった、こういうことになるわけですか。
○渡邊(健)政府委員 先ほども申しましたように、三十五年以来、胸部エックス線写真をコークス工場の従業員については行なっておったわけでございます。したがって、この方々も、四十年及び四十四年に退職されるまでは、当然にそれらの胸部エックス線写真を受けておられたと思うわけでございますが、在職中におきましては、そういう異常の状況を発見するに至っておらなかったわけでございます。退職後に、いま先生おっしゃいましたように、肺ガンでなくなられたことをわれわれ承知したわけでございます。
○東中委員 その原因は、コークス工場のこの黄色い煙によるものだということは、いま認めていらっしゃるのですか。認めていらっしゃらないのですか。
○渡邊(健)政府委員 コークス工場につきましては、従来そういう例がございませんので、それがコークス工場のタールのガスによるものであるかどうかという点につきまして、ただいま調査をさせておるところでございます。
○東中委員 昭和四十三年十一月二十五日の「福岡医学雑誌」五十九巻十一号の中に「職業性肺がんの疫学的研究」という論文がありますけれども、これは八幡のことを取り上げているわけですが、その中で、しかも八幡病院の関係のお医者さんですが、職業的に多量のタールに曝露された場合発ガンのリスクは明らかに高いものと思われるということを書いていますし、年齢が高いほど、経験年数が長いほど死亡率は高い、こういう指摘もしています。そしてコークス工場で大量のタールが漏れてきて職場をまつ黄色の煙で取り巻く、そういう中で作業をやっているということは、これは現場へ行けばすぐわかるはずなんですが、これはもう常識的に考えるだけできわめて明瞭に、因果関係といいますか、職業的なガンだということが言えるように思うのです。そういう点については、これは四十三年の論文ですから、そうして現状はずっと続いているわけですから、現に死者が出ているわけですが、まだ調査という段階にとどまるわけですか。
○渡邊(健)政府委員 御指摘の二人の方がなくなられましても、いわゆる業務上災害としての災害補償請求がされてなかったわけでございます。従来、コークス工場におきましてはそういうものが出なかったので、あるいは御本人ないしは御遺族の方が、これが業務上に基因するものであるという意識がなかったのではないかと思うわけでございますが、業務上としての労災の補償請求が出ておりませんでしたので、われわれのほうにおきましても、これが業務上でそういう方がなくなられたということを承知してなかったわけでありますが、最近、先生がおあげになりましたようないろいろな報道その他によりましてそういう事実を知りましたので、それにつきまして至急に調査をするように指示して調査させておるところでございます。
○東中委員 現場のコークス工場の実情ですが、先ほどもちょっと申し上げましたが、これは基準監督署としてはっかんでいらっしゃるわけですか。
○渡邊(健)政府委員 現場の実情につきましては、先ほど申し上げましたように、昨年来だけでも三回も臨検検査をしておるわけでございますから、現場の実情は現地の局長は掌握をいたしておるわけでございます。
○東中委員 現場の現状というのは、先ほど言いました洞岡と戸畑の両コークス工場を合わせますと、コークスの生産量は年間約三百万トン、一交代四十回程度で、十分間に一回の割合でコークスを出している。原料炭装入作業間隔が十分間ですから、そのうちの二分から約五分間生ガスが出てくる。この労働者によると、ガスで皮膚がぴりぴり痛むというようなこともある、発赤することもある、さらに、マスクがわりにやっている二枚のタオルはたちまち黄色に変わってしまう、鼻の中はタールでまつ黒になる、こういうことを訴えています。黄色い蒸気はほとんど常に立ち込めておる。〇・七%から〇・九%のタールを含んでいるというふうにいわれておるわけですが、こういう状態で無煙装入装置、スモッグレスチャージというのですか、そういう装置をつけてもいない。そのままの状態がずっと続いている。むしろ最近のほうが職場の環境というのは悪くなってきたみたいに思うというふうに労働者は言っているわけですが、三回もやられておって、むしろよくならないだけでなくて、悪くなっているというふうに訴えている労働者がいるわけですが、これは一体どういうことになっているのか、ちょっと解せないのですが、実態をひとつ明らかにしていただきたい。これはもう潜伏期間が非常に長くて死んじゃうわけです。わかったときには、もうガンのことですから、たいていだめです。そういう点で、こういう職場環境に対して、新日鉄に対して改善命令を出すなり何かの処置をとられないのかどうか。その点いかがですか。
○渡邊(健)政府委員 コークスを蒸し焼きにいたします際に出ますガスには、いろいろなものが含まれておるわけでございます。炭酸ガス、一酸化炭素あるいはメタン等々いろいろなガスが含まれておるわけでございますが、それらのガスは燃焼ガスとしてホルダーに入っておるわけでございまして、臨検監督の際におきましても、安全衛生の違反があるかどうかというような点については十分に監督をいたしておるわけでございます。
○東中委員 労働安全衛生規則の百七十二条なり百七十三条なり、これは一般的な企業の順守事項を書いているわけですが、これに違反をしておったら具体的にどういう処置をされるのですか。
○渡邊(健)政府委員 違反をしておれば是正するように指示をいたすわけでございます。
○東中委員 それは指示だけですか、あとはどうもできないわけですか。
○渡邊(健)政府委員 是正勧告を出しますとあとで必ずそれについての報告を求めまして、是正勧告どおり守られているかどうかということを確認いたすわけでございます。
○東中委員 このいま私の申し上げたようなコークス工場の労働者は、皮膚がひりひり痛むというようなことも訴えている、そして彼ら自身が、自分のからだが肺ガンになるかもしれない、そういう不安を感じて調べざるを得なくなってきて調べて、二人の肺ガンでなくなった人が発見できた、こういう経過になっているわけです。この職場は非常によごれているが、しかし、労働安全衛生規則による指示あるいは是正を要求する、こういうことはやられていないわけですか。
○渡邊(健)政府委員 それらの有害なガスにつきまして、たとえば一酸化炭素等でございますれば、特定化学物質等障害予防規則等々によりまして規制がされておるわけでございまして、それに違反していればもちろん是正の措置をとらせるわけでございますが、先生御指摘の労働安全衛生規則の百七十二条、百七十三条等は、一般的な施設の改善の規定でございまして、具体的な処置をきめておるわけではございませんので、直ちにこれに従ってどういう違反があるからというので是正措置というものは、百七十二条、百七十三条等についてはとらせておるわけではないのでございます。
○東中委員 そうすると、百七十二条なり百七十三条なりには、違反するというか、これは「努めなければならない」と書いてあるわけですから、企業に対する順守義務を規定しているわけですから、それにはあまり従ってなくても、これは違反事項として是正命令を出すわけにはいかない。あまりよくない労働条件になっている、現に死者が二人出た、こういう事態だけれども、それに対して積極的なことは何にもできないということでございますか。あるいはそういう意味では全く放置しておったということになるわけでしょうか。この一年間に三回も調べに行ったと言われているが、それでどういう処置をとられるのか。
○渡邊(健)政府委員 もちろん特定の条項の違反がない場合でも、それが非常に有害であり問題であるということでありますれば、行政指導等によりまして改善をさせるということは、基準監督署としてはやっておるわけでございます。 ただ、八幡の場合におきましても、コークス工場におきましては、先ほども申しましたとおり、従来は、われわれも胸部エックス線写真を三十五年以来とらせるというようなことで十分注意はいたしておりましたけれども、その結果によりますと、胸部エックス線写真によりましても異常者を発見しておりませんし、それによる死者というものも従来はなかったわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、特にこれらの施設がそういうような特別に何らかの処置をとらなければならないような危険なものとは考えておらなかったわけでございますが、今回二名の方が出たということにつきましては、ただいまそれらにつきまして、それらのコークスの作業との因果関係等について十分調査をいたしておりますので、その結果によりまして、もしそれが原因であるということであれば、さらにこれの改善について必要な指導をしてまいりたい、かように考えております。
○東中委員 それでは、いままでは放置しておいた、そういう危険なものじゃないと思っておったということのようですが、しかし、一年に三回も立ち入りしなければいけないほど、やはり問題意識は持っておられたということになるわけであります。それで死者が二人出たということが明らかになった今日、コークス工場について正式に立ち入り調査をするというふうなことをやられるかどうか。これは全国的にも影響する問題ですから、その立ち入り調査にはぜひ私たちも一緒に立ち会って実態を見たいと思うのですが、そういう計画ができるかできないか、お聞きしたいんです。
○渡邊(健)政府委員 従来も、たとえば特定化学物質等障害予防規則で規定されております一酸化炭素などにつきましては、コークス工場も一酸化炭素等が出ますので、それらにつきましては、ただいま申しました規則等に其づく規制を守っておるかどうかというような点については、臨検検査の際は十分に監督をいたしておるわけでございます。なお、一酸化炭素以外のいままで規制してなかったような物質についてまで、そういう原因になっているかどうかという点については、ただいまも申し上げましたように、最近そういう二名の方の死亡が問題になっておりますので、臨検検査等を行なって十分調査するよう指示をいたしておりますので、現地の局においてはそれによって現在調査をしておることと、かように考えております。
○東中委員 この関係のコークス工場に働いておる人というのは現在約九百人いるわけですが、他に鋼管あるいは八幡化学など、タール蒸気を吸入しながら作業してきた人は退職者を含めると約二千人になるといわれているんですが、全国的にもこのタール関係の問題、ガスなり蒸気なりに曝露されるそういう作業場というのは相当あるはずですが、鉄鋼にしても、あるいはガス関係にしてもそうですが、そういう問題として、しかも日本の場合は、職業ガン以外のガンは外国より非常に少ないわけですが、職業ガンについては、御承知でしょうが、この八幡の問題を契機にして昭和八年にすでに学会報告がされておるわけですね。「原発性肺臓癌の業務上発生に就て」という黒田静博士の論文を私も読んでみたわけですが、昭和八年というと四十年前からそういうことが問題になっているわけですから、これは早急に調べると同時に、職場の労働者にその実情を聞き、立ち入りして現場を見るということと、それから労働者に被害状況を聞くということ、それから学者の意見を聞くということが同時に早急にやられるべきだと思うのですが、そういうことをやられるという方向で進まれるかどうか答えてください。
○渡邊(健)政府委員 ガス発生炉につきましては、先ほども申しましたように、われわれも昭和八年以来そういう事例が出ているということは承知いたしておりまして、戦後、それらについていろいろ八幡製鉄所に指導もいたしておりまして、八幡も二十八年にガス発生炉はやめたわけであります。 コークス工場につきましては、従来そういう例はわれわれ聞いておらなかったわけでございますが、ただ問題であると存じまして、三十五年以来は胸部エックス線写真を従事者にとらせるというようなことで、十分に注意をしておりまして、その結果によりますと、異常者も見られなかったということでございますが、今回そういうことで二名の方がなくなられたということでございます。ただ、まだ調査中でございますが、われわれがいままで調べたところによりますと、一名の方は転移性肺ガンだというようなことも確認されておりますので、それらがほんとうにコークス工場の業務に基因したものであるかどうかをいま調査しておるところでありまして、先生おっしゃいましたような、当該職場に従事している労働者からいろいろな聞き取りをする、あるいは学者の意見を聞く等々のことにつきましては、調査の内容として指示をいたしてございますので、そういうことも含めまして早急に調査し基因性をはっきりさせたい、かように考えております。
○東中委員 そうしますと、タール蒸気の出る企業あるいは事業所、それは全国でどれくらいあるのですか。
○渡邊(健)政府委員 これは通産省にわれわれ聞きましたのでございますが、そのお調べによりますと、そういう事業所は全国で約四十くらいあるというふうに承知いたしております。
○東中委員 タール蒸気によってのガス発生というのは、どっちにしても潜伏期間といいますか、タールガスに暴露し始めてから実際に発ガンするまでの期間が、十年なりあるいは三十五年なり非常に長いわけですから、それだけに、退職後にガンになっておられるけれどもわからない。現にこの二人の人たちも、労働者が心配して調べに行って初めてわかったということで、労災補償の請求もしていない。だからまさに埋もれているという形になるわけですね、性質上。そういう点で、タール蒸気がよくないということは、これはもうはっきりしているわけですから、発ガン性というとともはっきりしているわけですから、早急に八幡で徹底的に調査するということと、それから全国的にこの問題についての、労働者の命を守る問題でありますから、ぜひ処置されるべきだ、こう思うのですが、その点、大臣のほうでしっかり取り組むということの決意をひとつ表明していただきたいと思います。
○塚原国務大臣 いろいろの例をあげての御質問でございましたが、労働者の健康障害の予防措置というものは、これは絶対必要なものでありますから、先ほど労働基準局長も、いろいろな御指摘の点を含めた調査ということのお話をいたしましたが、十分にこれは調べまして対策を練らなければならないと考えております。
○東中委員 では質問を終わりますが、労働者の意見も聞くというふうに指示しておると言われたのですが、と同時に、関係学者の意見も早急に聞くということでありますが、いま現にタールの黄色い煙が出ているわけです。それがそのままでは、これはもう有害なことは間違いないわけで、死因と直接的に結びついているかどうかということについての科学的な確定的なものを出すということに結局なるだけであって、黄色いタール蒸気が一日一人の労働者に四十回、二分から五分間、十分間隔でずっとやってくるという状態は、早急に改善命令、あるいは命令でないまでも改善する指示をやられるべきだと思うのですが、そういうことをやられるかどうか、それだけお聞きしておきます。
○渡邊(健)政府委員 その点につきましても、どういうように改善をしたらいいのか等々も十分検討いたしまして、できるだけ改善につとめてまいりたい、かように考えます。
○東中委員 では、質問を終わります。
○伊能委員長 大出俊君。
○大出委員 この労働省設置法の最後の質問だと思いますので、あまり長い時間質問する気はありませんけれども、それにもかかわらず、何点かやはり明らかにしていただきたい点がございます。 これはもうすでに先般、運輸大臣に御出席をいただきました席で、安定局長道正さんお見えでございますが、私の承りたい問題点については触れておりますので、概略はもうおわかりいただいているわけでございます。 そこで、たいへんな速度で港湾労働が変化をしておりますけれども、これは湾港運送事業そのものの変化が与える労働条件に対する変化ということになると思うのですね。あるいは雇用態様・体系に対する変化ということになるかと思うのです。したがって、それだけにこれは、労働省自身の政策遂行にあたりましても、テンポを早めていただきませんと追いついていけないということになると思うのです。 そこで、この一九四九年にILOの内陸運輸委員会の決議というのがございます。この内陸運輸委員会の決議が後に港湾労働法制定の運びに至る出発だったと私は思うわけでありますが、このときも実は労働省と運輸省の間の見解に非常に大きな相違がありまして、たとえば港労法十六条ただし書きをめぐりましても、私どもは、どうしてもこれは入れるべきではない。つまり日雇いである場合であっても、もちろん月頭月末の集中配船等もありますから、非常にむずかしい問題ではありますけれども、つまり門前募集というものを廃止いたしまして、あくまでも安定所の窓口を通じなければ港湾労働者は雇えないのだというこの原則を、それがしり抜けにならぬようにきめなければ、おそらく三万人と策定を港湾調整審議会がいたしましても、将来は一万人に減る、あるいは五千人に減るということになりはせぬか、陰に隠れてしまいはせぬかということを強調したのでありますけれども、それにもかかわらず、労働省が悪いということは申し上げませんが、政府という立場で考えれば、きわめて不満足な結果になった。その結果、今回のこの調整審議会の策定をいたしております港湾労働者の登録日雇いの数、これが五千名という形になっていますね。こういうことになると、私どもが心配をしたことになってきたことになる。 それでは現実に行なわれている雇用というのはそんなにも減ったのかということになると、古い港のケースにはそのまま残っておりまして、相変わらず門前募集が続いているということになる。そこらのところをいまから振り返ってみて、何が間違っておるのか、何が悪かったのかということが、やはり労働省の側で検討されなければならぬ課題だと私は思う。これは昨年、塚原さん御存じだと思いますけれども、野原さんが労働大臣のときに、石井照久さんが御自分で書類を持っていって手渡して、そして説明しているのですね。そこらの経過もありますので、まずその辺をどういうふうにお考えになっているか。現行法体系とあわせまして、そこらをまず承りたいのであります。
○道正政府委員 御指摘のとおり、近年の海上コンテナ輸送の伸展あるいは港湾運送の機械化等が、私どもの想像以上に急ピッチで行なわれております。これに関連いたしまして、当然のことでございますが、港湾労働者の需給面その他に種々影響が出てきております。これも御指摘のとおりでございます。そういう急ピッチで港湾運送あるいは港湾運送労働面が変わってきている中にあっておくれないように対策を考える。これは私どもそのとおりに考えております。港湾調整審議会におきましても、幾つかの小委員会を設けまして鋭意御検討をなさっております。そういう御意見も拝聴しながら、対策におくれをとることのないように検討を目下いたしております。 なお、先生お触れになりました、十六条の問題あるいは十九条の問題等もあろうかと思いますが、立法の趣旨としては、港湾労働に波動性がありますために、最終的な歯どめとしてああいう規定を置いたものと考えられるわけでございますが、それがどうも運用の実態におきましては、その法の趣旨に反した運用をなされたような面もございまして、港湾労働上非常に問題になっていることは事実でございます。現在は、十六条、十九条合わせまして約二割五分くらいでございまして、相当かなりの高い率になってきております。例外でございますから、こういうふうに幾ら波動性がありましてもやや高過ぎるのじゃないかというふうに率直に私ども考えます。今後その問題を考えていく場合には、やはり現行の港湾労働法自体が共同雇用の理念の上に立ってできているわけでございますけれども、それをさらに一歩前進させまして、名実ともに共同雇用の実体を備えた体制をつくりまして、今後の港湾労働の変化に対応するべき時期に来ているのではないか。そのためには、労使が現在の港湾運送事業あるいは港湾運送労働をめぐる非常に深刻な事態というものを十分認識されまして、現在は労使の間におきまして、そういう点についての認識は非常に高まってきておりまして、最近労使間で、やはりそのまま放置できないという機運も盛り上がっているようでございます。また、利用者なり、政府あるいは地方公共団体としても放置できない問題であるということでございますので、港湾労働の労使を中心に、政府、地方公共団体あるいは利用者、皆さん相ともどもに対策に万全を期してまいりたいというふうに考えております。
○大出委員 つまり原則的な問題として、港湾運送の変化、ある意味の近代化、合理化というものに対しまして、前に運輸大臣に御質問いたしましたときに、ここで話しましたけれども、いまおっしゃるコンテナ化というようなことについて、この発想が資本の側から出てきたというところに一つの大きな問題があるわけでありまして、いまの産業、特に製造業の製造コストに占める割合というものが、輸送経費というものが中心になってきている。だから、それをどういうふうに下げれば利潤がふえるかということが一つのポイントになっている。そこらに、海上運送と陸上運送というものをすぽっとつなぐ、港湾で人を減らして機械化するという形でつないでいけば経済性が追求できるのだという、そういう発想が、これは、アメリカあたりの例から見ましてもそうでありますけれども、今回のコンテナであり、あるいはラッシュ船であり、長距離フェリーでありという形になっているわけであります。だからそうなると、それに対応する施策というものは、労使間の問題としては片づかない。国がどうしても一つの発想を持ってまとめる、あるいは制度化するという方向を求めねばならなくなっているというのが、国際的に見た趨勢なんですね。そうすると、そこに置かれる労働者の労働条件なり態様なりというものを、労働省というところはどうとらえるべきかということが、これは非常に大きな問題になると思うのであります。 そこで、ここでILOの諮問に応じて労働省が答えております答えが、調整審議会にいろいろな専門的な部会をつくっている、だからその結論を待ってというふうに書いてあるのですけれども、そこのところはやはり、労働省としてまずどっちを向いているのだという向きがはっきりしないと、何かそこで学識経験者が集まって相談してくれ、こう言ったってものごとははっきりしない。たとえば恩給審議会をこしらえた場合でも、新居会長さんのところに諮問するにあたって、つまり恩給法の二条ノ二、調整規定というものを政府はこしらえて、それを出して、さあ御検討願います、こういうわけなんですね。それに対する有権解釈を政府は与えていませんけれども、本来なら立法者が出すべきものを出さなかったのですけれども、それにもかかわらず一つのワクがある。そうすると、じゃ一体どういうとらえ方でその小委員会なりあるいは調整審議会なりが検討してくれというのかという点は、この回答では明らかではない。そこらのところは労働省としてはどうお考えなのか。基本的な問題ですから。
○道正政府委員 従来、港湾調整審議会におかれましては、自主的にいろいろ小委員会をつくって御検討をされております。事務当局といたしまして、私どもあるいは運輸省が参画いたしてきておりますが、どっちかと言えば、審議会の独自の発想といいますか、イニシアで小委員会をつくって御検討いただいてきているわけでございます。 ILOの総会にかかります勧告、これはいま先生御指摘のように、全体としてはわれわれ賛成でございます。しかし、いろいろこまかい点になれば非常に重要な問題がございまして、にわかに現在結論を出しまして、審議会に政府案を諮問するというところまでまだ検討が進んでおりませんが、われわれといたしましては、審議会まかせというつもりでは毛頭ございません。せっかくこういうILOの勧告案が出ていることでもありますので、こういうものも十分参考にいたしまして、また、いままでのわが国の港湾労働の実態というものも踏まえまして、しかるべき時期には役所側の案というものをもっと具体的にまとめまして、ただいま先生御指摘のような形で審議会の御意見を拝聴するべき時期に来ているというように、いま私は考えております。
○大出委員 そこが実は問題のポイントでございまして、道正さんはいま、決して審議会まかせというわけではないという。ところが、どうもながめてみると、職業安定局長さん次々おかわりになるから、前の局長はこう言ったじゃないかということを言ったってしようがないのだけれども、どうも役人というのはどんどんかわるのだから、しようがないのだと言ってしまえばそれきりだけれども、運輸省もそうですけれども、港湾局長は比田さんがやっているころから私は質問しているのだが、比田さんがやって、佐藤さんにかわり、やがて来栖さんにかわるというふうにかわっておりますね。だから、ときには前向きのことをおっしゃった人もいるけれども、かわるとまた変わってしまう。どうもたよりないことおびただしい。だから、審議会の場合、事務局は労働省が引き受けているのですが、石井さんなんかも幾らかあせりを感じている面もある。それで少し前に出てものを言う。そうすると今度は労働省が、おっかなびっくり、ちょっとトラのしっぽをさわるようなことをする。だから、「港湾労働の現状と問題点」というものを出して、なかなかいいことを言っているのだが、やろうとしない。それでは済まない時期に来ているのです。だから、この間少し言いにくいことを丹羽さんに言ったのだが、実はその点はたいへん私は感謝をしているのですけれども、丹羽さんが前向きに、確かにここまで来れば、御指摘のように労使関係だけでは片づかない、船主、荷主の諸君も引っぱり出してきて、いわゆる四者会議、五者会議という形のものを考えてやらなければだめなのだ——私もそう思うのです。だから、ストライキがずっと続いているが、この全日海のストライキが解除になれば相当な問題が出てくる。それではいけない。だからこそ、前に出るべき時期が来ておるとはっきりおっしゃって、そのように動いておったと思う。私も陰のほうはみんな知っているから何をやったかわかっておる。それでずっとやってこられて、一つの到達点に来ている。これを受ける日港協あたりのほうも、相当ないままでと違う態度が見られる。これはいまここで言うべき問題じゃありませんが、まだこの問題をまつ正面から取り上げるべき時期じゃありませんが、いませっかく話が進んでいるから、私もこわしたくないので、だからこの席で触れたくない。だが、日港協の高島副会長にしても、旧来、きょうまで、歴史的に見ていまだかつてないことをあえてやるようになるところまで決断をされている。その裏には、所管官庁である運輸省の腹がきまりつつある。だから乗ってくるのですね。だから問題は、労働省という所管官庁が、港湾労働者をながめた場合にどこで腹をきめるかという、これがないと乗ってこない。ここに私は大事な論点があると思う。 それで、ここで何を言っているかといえば、「新しい荷役取り扱い方法の採用に伴う港湾労働の問題について、港湾労働者の保護の見地から審議し、勧告を採択することは時宜を得たものと考えており、この勧告が港湾労働者の労働、生活条件の改善に大きな役割りを果たすことを期待しているところである」、こうなっている。これは新しい荷役取り扱い方法の社会的影響に対する日本政府の意見ですね。そうでしょう。そうするとこの限りは、いま道正さんおっしゃっているように、うしろ向きではない形になっている。ところが一番肝心かなめの、では日本政府はどう考えているのかというところがない。審議会でいろいろやっているからいずれ結論は出るでしょうから、その辺で考えましょうということになっているのですね。そこがどうも私どもからすると、それでは困るのじゃないか。つまり労働省は、担当の方々が苦労されて、「港湾労働の現状と問題点」というふうなものまでいろいろ調べておつくりになった時期がある。私はこれを引用させていただきまして、港湾労働の分野で相談するときにたいへん役に立った。これには問題点を明確に出しておる。ただしあとが続かなければ困る。ここらあたりを、基本的な労働省の施策としてどう考えるか。 たとえば、いまお話しに出た共同雇用の問題なんかも、これは石井照久さんが港湾調整審議会の四十五年十一月三十日ということで労働大臣あてに出しておられる。これは前からの懸案ですが、この中に明確に、共同で登録日雇い労働者の全体を確保していく、そういう考え方。これは、これに対応する労働者の姿勢を求めるわけですから、労働者の側の姿勢も確立をしたいということですけれども、つまりそういう形の雇用形態というものをつくりたい、そうすべきであるというふうに指摘をして書いておられます。そうすると、具体的に共同雇用というものの形態はどうなるかということは、もうわかっているわけですから、労働省が全く知らないとすれば全くけしからぬ話で、そうすると、ここらのところが中心課題であるが、ではこれをどうするかという問題を一歩進めてやってくれないと、そこあたりまで考える必要があるのですというだけでは事は前に進まない。そこらをもう一つ前に出る必要がないのかというところを聞きたいわけであります。
○道正政府委員 現行の港湾労働法も共同雇用の理念の上に乗って組み立てられておるわけでございますが、御指摘のように非常に不十分でございます。で、いまの非常にシビアな港湾労働をめぐる諸条件を考えますと、やはり名実ともに共同雇用ということで労使が協力して切り抜けていくということでないと、にっちもさっちもいかぬという段階に来ていると思います。先般も当委員会で大出先生の御指摘がございまして、四十五年十一月三十日の建議を御引用になりまして、特に労使関係の近代化ということの御指摘がございましたので、さっそく業界の代表者に御足労を願いましていろいろ懇談をいたしました。 私は非常に明るい希望を実は持ったのでございますが、いままでは、労使がそれぞれ第三者にはいろいろ御注文になるのでございますが、労使が直接いろいろ話をするという雰囲気が必ずしも十分でございませんで、そこが抜けているために、いろいろまわりがやきもきいたしましても、どうもうまくいかないという実態が一面あったと思います。そういう点、労使が話し合いを続けておられまして、これはまだ将来の問題でございますが、近々労使が話し合いをする、その話し合いのしかたは団体交渉としてやる、それから話がまとまればこれは労働協約の形にする、要するに他の産業と同じような近代的な労使関係を確立して今後の港湾労働問題を解決していく、こういう話し合いが非常に急ピッチで進んでおりまして、まあ、これはぜひ成功させたいと思うのでございますが、近々覚書を交換するというようなことになっております。 そういうことで、労使が真に近代的な労使関係を確立して問題解決に努力をするということでございますので、われわれといたしましても、もちろん都道府県等を督励いたしまして政府サイドにおきましては努力をいたしますが、また利用者、船主、荷主の皆さん方の御協力も得まして、何とか港湾労働あるいは港湾運送業がこの危機を乗り切っていくように、そのためにほんとうに共同雇用の実態はどうあるべきかということについて真剣に検討をいたしまして、成案を得たいというふうに考えております。
○大出委員 前回、先ほど申し上げました、運輸大臣に御出席いただき、道正さんにもお出かけをいただきまして、私が少し時間をかけてものを申し上げたときに、時の情勢を申し上げたのですけれども、船主、荷主が出てこなければここまで来ると問題は片づかないのですね。金はそっちにあるのですから。日本の特殊形態だけれども、非常に零細な中間業者がおるというところに、電話一本あれば港湾運送がやれたという戦時中のいきさつもございまして、だから船主、荷主が金を出せば何とかなるからといっても、金を出してもそれが水のあわになったんじゃ意味がない、どこに流れちゃったのかわからぬというような出し方はできないというところに、ほんとうに労使関係、共同雇用なり何なりで確保するものができて、船主、荷主側のメリットがあれば出してもいい。その金はあるのですから。ところが、まん中にいる日港協の諸君は妙に首を振ったりするものだから、ものが前に進まない。だから、首を振らせないようにどこがものを言うかというと、運輸省や労働省が言うよりしようがない。だからそこまで言ってくれということを、私はこの間言った。ところが、大臣がはっきりお答えになり、栗栖港湾局長もはっきりものをおっしゃったものだから、翌日すぐ違う。電話がかかってきた。とたんに日港協態度変更ということで、どうもいままでかたくなに過ぎましたと言ったということで、つまりそこに気がついてくれれば片づくのであって、そうなれば、実は労働形態のほうも、共同雇用という姿勢はとり得るわけでございます。 いま道正さんが中心点をおっしゃいましたが、ようやくそこに到着しかかっているわけですから、休戦期間を置いてどうのこうのということまで言っておるようでありますけれども、何とかこれを一つの土俵にのせて、業の集約なんということだけでなくて船主、荷主を入れて全体としてどう考えるか、そこに重要な責任官庁の役割りというものがある。つまりこれは、ほんとうの方向づけをしてあげないと、まん中にいる方々もなかなか一筋なわではいきませんから、皆さん経験の持ち主がそろっておるから、いわば親分諸君だから、そこのところのコントロールを、その方々のメリットも考えながら皆さんのほうでかじをとるというそこまでいかないと、実はこれは、せっかく土俵をつくっても、つくっただけで終わってしまうということになりかねない心配をもう一つするので、くどいようですが、きょうここでは時間がないところでありますけれども、ポイントだけは申し上げておきたいと思ってものを言っているのでございます。 実はここにいろいろ一件書類もございますけれども、そのことに触れないのは、いまの時期に触れてはならぬと私は思っておりまして、せっかく一つの土俵ができかかっているのだから、みんなで努力して土俵をつくって路線を敷いてあげる。それで、ジグザグはありましょうけれども、そのつどみんなで進路を修正をしながら進むということで、何とかひとつ、近代化されていく、非常なテンポで進む港湾運送という形態に応じた労使関係をつくる、労働条件を確保する、人の確保もする、こういうことにしていきたいものだという気がするのですが、どうでしょう。道正さんのいまのお話で、ポイントはすでにおわかりのように受け取れますので、労働大臣、これはいまの問題でございますから、たいへんいい機会だと私は思っておりますので、歴史的にいまだかつて一ぺんもなかったことをやろうというのでありますから、どうかぜひひとつ、そういう意味で前に出ていただくようにお願い申し上げたいのでありますが、いかがでございますか。
○塚原国務大臣 経済情勢の変化、これが中心でありますが、荷役の機械化、先ほどお話の出たコンテナ化など、非常な変化を示していることは事実であります。つまり一番原始的なあり方がいままで続いたわけでありますが、この問題につきましては、さきに運輸省も答えておるようでありますし、道正局長も答えましたように、この際何とかしなければならぬという報告は私もいただいております。機は熟しつつあると見ております。それだけに、妙な雑音が入りますと、できかかったものがこわれるんじゃないかというような気もいたします。ですから、もちろん運輸省とも御相談いたしますが、労働省は労働省の立場で、今日まで解決できなかった問題をこの機をのがさず解決するための努力を全面的に推し進めていく、このように考えております。
○大出委員 それぞれのところから、いろいろな陳情なり要請なり、あるいは請願なりが出てきているわけでありまして、これは道正さんがおいでになるところで私は取り上げて申しましたから、ほかならぬ塚原さんのことですから、おそらくもうおわかりだと思いますので、どうかひとつ、そういう意味で前にお進みをいただきますようにお願いをしておきたいと思います。 せっかく地方の自治体が、メカニカルファンドなどという、つまりアメリカの西海岸のコンテナのときにマトソンなどが問題になったときの形態を踏襲しようというだけではないのでありますが、きわめて微々たる予算ワクでものを考えているわけでございますから、せいぜいその上積みくらいしか考えられない程度のものでありますが、しかしそういう発想でものを言った自治体もある。だから、そこらの芽を絶やさないように、諸外国の例もあるわけでありますから、進めていただきますように。それには国が相当な力の入れ方をしなければできない、こういうわけでありますので、運輸省の港湾局長栗栖さんのほうは、来年度予算で要求をしたい、ここまで先般私におっしゃいましたが、どうかひとつその裏づけのほうも、労働省からもバックアップしていただいて、何とか形あるものにしていただきたい。土俵をつくった、路線が敷かれた、そこに形あるものが出てくる。それはやはり国の予算とからみます。その辺のことも、ぜひ皆さん方の立場からも前進を、あわせてお願いをしておきたいと思います。
○道正政府委員 ただいま大臣からもお答え申し上げましたように、抜本的な対策を講ずべき時期に来ていると考えます。したがいまして、労働省といたしましては、運輸省と連携を密にいたしまして、また関係審議会の御意見も拝聴しながら検討いたしますが、その過程におきましては、法律の改正を含む抜本的な措置がどうしても必要になってくるのではないかというふうに私は実は考えております。いろいろ知識経験御豊富な先生の御指導もぜひいただきまして、ほんとうに日本の港湾労働あるいは港湾業界がこの危機を何とか乗り切っていけるように、及ばずながら努力をしてまいりたいと考えております。
○大出委員 これは道正さんがかつて横浜に視察にお見えになったこともあるわけでございまして、それなりの仕事をしてお帰りになったわけでございますが、その後たいへんな御努力をいただいて、幾つか実っておる問題があるわけでございますけれども、いまお話がございましたように、今回のラッシュ船騒ぎの問題をめぐりまして、市と県とが相談した結果、やはり法改正という問題が出てきました。そこを避けては通れないということになった。だから、そこらのところも含めまして、ぜひひとつ前に進んでいただきますようにお願いをしておきたいと思います。 時間の関係もございますから、港湾問題はポイントだけにさしていただきまして、もう一点、ほかの問題について承りたいのであります。 この設置法それ自体は、実は関係団体諸君のほうと労働省の担当の責任者の方々との間で、いろいろお詰めをいただいて、詰まれば一番それがいいという気持ちもありまして、たいへん御努力をいただきまして一つの案が出てきておるようでありますから、それをまたいろいろ触れますと、せっかくまとまったものがおかしくなっても困りますから、そこに触れずに、実は一つだけ承りたいのであります。 これは先般、運輸省とのやりとりの中でも申し上げたのでありますが、ハイヤー、タクシー関係の労働条件というのは実は非常にむずかしい。いろいろな通達を出しておられますけれども、なかなか通達どおりに動いていないというのが実情であります。そこで、今回、料金値上げが行なわれたわけでありますが、この料金値上げをめぐりまして、あるいはその後におけると申しますか、いろいろ運輸省自動車局長さんにこの間聞いてみましたら、私の手元の資料とは若干違うのです。一日一車の平均走行キロ数であるとか、あるいは実車率であるとかというふうなものにつきましても、私の手元にある数字と少し違った数字がこの間出てまいりました。したがって、そこらの態様を踏まえて今後一体どう考えるか。 さきに、十何年かになりますか、通達が出ております。神風タクシーのとき、総理府の中に対策本部をつくって、そのときに出した通達が生きておったり奇妙なことになっておるのですが、現状、六大都市で今度の料金も違いますから、そうなると東京と横浜は違うわけでありますが、そこらを踏まえて、どのくらいの一日一車の平均走行キロ数が妥当なものとお考えなのか。こまかいようでありますが、これは柱でありますから、何点かそこらを承りたいのであります。労働省側としてどうお考えになっておるわけでございますか。
○渡邊(健)政府委員 ハイヤー、タクシーなど自動車運送関係の事業の適正な労働条件につきましては、労働省と運輸省、緊密に連絡をとってその適正化をはかっておるわけでございまして、現在は、労働時間や賃金形態等につきましては、労働省といたしましては、四十二年二月九日に出しました二・九通達というものによりまして指導をいたしておるわけでございまして、私どものほうでは、その通達の趣旨に従いまして労働時間の面で監督をしておるわけでございます。で、その時間の中でどの程度の走行キロが適正かというようなことは、これはその年々の交通の混雑事情等々もあるわけでございまして、その点につきましては運輸省のほうにまかせておりますので、私どものほうでは、走行キロ等につきましては、どの程度が適当であるかというようなことを申し上げる立場にないわけでございまして、私どものほうは、もっぱら主として労働時間のほうから監督をしておる、こういう立場にあるわけでございます。
○大出委員 実はそこが問題なので聞いたのです。そういう時間での押え方でうまくいくのならいい。実は現場で動いている動きというものは、一日一車の平均走行キロが基本になっていくわけですね。何キロ走ってこい、走らぬじゃないか、こうくるのですね。これはほんとうは運輸省の分野じゃない。まさにハンドルを持っている諸君を規制しているのですから、おまえさん一体何キロ走ったんだと、こうなる。ほんとうはそれではいけないのです。あなたのおっしゃる趣旨ならば、走らなくたって、キロが出なくたって、時間がたったら帰ってこなければいかぬのですよ。そうでなければ成り立たないでしょう。それは走っていってしまえば、おたくのほうで二・九通達で時間をきめたって、オーバーして走らなければ、走らないじゃないかといって時間は守られないことになるでしょう。だから聞いたんです、ポイントだから。こまかいことでありますがと言って、柱ですから、重点ですから、聞いたわけなのです。 そして今回、一日一車の平均走行キロ数は、東京は三百七十キロだとおっしゃる、横浜は三百十五キロだとおっしゃる。ところが、本来、私が料金値上げをめぐって運輸省とやりとりをした限りは、平均走行キロ数を三百キロぐらいに押えたい。それはつまり、非常に交通事情は変化しておりまして、四十五年の料金値上げのときの基礎になった資料は、東京陸運局が調べた四十三年の都内四十社の実態調査に基づく資料です。そのときの一日の走行キロ数、それと、四十五年の料金値上げをやったときの走行キロ数と比べると、あっと驚くほどに走れなくなってしまっているのですね。そうでしょう。だから逆に片っ方の実働率というのがあります。休車現象を見ましても、これは七・八かそこらになっておる。四十三年では百台のうち七台、八台走らず。ところが、さて四十三年の資料を持ってきたのならば、四十五年のときにはどうなったかというと、百台のうち約十二台、十一・九くらいになっているのです。休車現象というものはそれだけで開きがある。走行キロでも、あるいは実働率でも、休車率でもみんな違っている。だから二二・五%上げたと言うけれども、数字から見ると、実は一九%しか上げたことになってない。そうでしょう。 そうすると、いま運輸省が言うこの三百七十キロ、夢みたいなことをおっしゃる。これはこの間、野村さんが言ったのは違っているわけです。私が聞いてここに書いたのです。だからそうなると、とてもいまそんなに走れる筋合いじゃない。これはそこまでやれと経営者が言えば、おたくのきめている時間は、物理的にあってなきがごときになってしまう。そうすると、そこのところは労働省は、時間をきめたのですから私のほうの管轄じゃございません、向こうでございます——それで済みますか。済まないでしょう。だから、そこのところを、あなたのほうが運輸省まかせで、走行キロ数がと言ったんじゃいけない。二・九通達は死んじゃっているのですから。そこはどうお考えかということを聞いているのです。
○渡邊(健)政府委員 確かに、走行キロがどのくらいか、それと労働時間というものは関係がございまして、労働時間の中で走り得る走行キロ数というものは、これはその年その年の交通事情、さらにそれが年ごとに変化してくる、こういう状況によって違ってくることは先生おっしゃるとおりでありまして、私もそのように考えるわけでございます。 ただ、私どもといたしまして、われわれの所管する仕事の関係からいたしまして、それぞれの都市の交通事情がどう変化しておるか、その中でどのくらいの走行キロ走るか等々のデータをいま持っておらないわけでございます。そこで私どもといたしましては、当面はともかくこの二・九通達、これをわれわれも監督につとめまして、守らせるようにいたしておりますが、なお、これに対する違反というものは、必ずしも絶滅しておらない状況から考えまして、何とかしてこの二’九通達の時間だけは守らしたい。私どもの立場から申しますと、走行キロというものは、これは限度でございまして、何もそれだけ走らなければならないという、そのそれぞれのタクシーに義務があるわけではございません。それが最高限度というふうに考えておりますので、たとえ交通事情の変化等のためにそれだけ走れなくても、この時間だけは守らせる、こういう立場におるわけでございまして、そういう立場を運輸省に申し上げまして、これが守れるような走行キロをきめていただきたいということは申し上げておりますが、それ以上に私のほうで何キロが適当だというようなことは、私どもの行政の守備範囲では、調査能力等々から申しまして、なかなかそこまでは言えないということを申し上げたわけでございます。
○大出委員 渡邊さんのおっしゃることはわからぬわけじゃないのですが、私、前にハイヤー、タクシー問題について長時間質問したことがございます。橋本運輸大臣のときなんかもだいぶ長い質問をしたことがあります。原田さんが運輸大臣のときにもずいぶん長い質問をしたことがありますが、どうも運輸省と労働省と、片っ方に聞けば、いやそれは労働省だ、労働省に聞けば、運輸省でやっている。まん中に両方にまたがるように一つ通達があるんですね。そうすると、それが経営者のほうの逃げ場になってしまうんです。だから、いや時間だというけれども、実際は水揚げを多くしようというふうに思いますから、どうしてもけつをたたくことになる。だから、へたに一日一車の平均走行キロが幾らかというようなことを片っ方で言うと、時間が飛んでしまう。そこらのところは、もう少し運輸省、労働省両者で詰めておけないのか。労働省の権限で時間はこうだと言って、運輸省の権限で、その時間の中でじゃあ走行キロ数といったときに、その時間でおさまる走行キロを出してくれればいいのです。そうでしょう。片っ方ずつかってにものを言っているから、その盲点で少しでもよけい水揚げをしようということになるから、事故発生率だって高くなるということになる。基準法違反ということに目をつぶられることになる。そこのところが一番盲点だと思いますので、そう言っておきましたでなくて、これはそこを詰めていただけぬかということを私は言っているのですよ。あなたの言っている趣旨はよくわかるのです、わかった上で言っているのです。だからこれは、誤解をしていただきたくないのですが、決して責めるつもりで言っているのじゃなくて、実態を何とかしたいと思っているから言っているわけですから。 実は私はいみじくもこの間、運輸省から資料をいただきまして、お持ちいただいた方が運輸省の自動車局業務部旅客課の補佐官である谷口茂さん。この谷口茂さんという方は神奈川の陸運事務所にもおいでになりまして輸送課長か何かやっておられまして、ハイヤー、タクシー問題でずいぶん私は話し合った経験がある。お互いにわかり合って、何とかしなければいかぬなというので、じゃあ私のほうは組合に言おう、あなたは社長、専務にものを言ってくれというふうなところまで両者で話して、実は話を詰めたことがある。だから谷口さんがこの間来て、私に言ってましたけれども、あのときはおかげさまでうまくいきましたなんて、めったにあんなことはできないのですがというようなことで、話ができ上がったりするのですが、これはやればできるのですよ。だからそういう意味でぜひ……。 これは一例をあげたんですよ、時間がありませんから。冒頭に申し上げたように、こんな時間ですから、ここで聞きたいことはたくさんあるのですけれども、まあ一例ですが、そういう面がたくさんある。基準法その他に基づいてお考えになる労働省の立場と、業務、運行、経営、そういうふうなところにまで権限をお持ちになる運輸省の立場と、こうございまして、それがどうも、ともするとかみ合っていかない。そこにちぐはぐなものがいつもでき上がっていくということになる。それを私は非常に心配をします。一例をあげましたが、他にもございますので、ぜひひとつそこのところは、運輸省との間で、せっかく料金が上がったあとですから、お詰めいただきますようにお願いしておきたいのです。 時間がございませんから、次の質問に入りますとこれまた長くなりますので、この辺で締めくくりたいと思います。 料金値上げで私が心配しておりましたのは、はたして分配率ということばが妥当かどうかわかりませんが、営収においてどのくらいのことになるか。私が当時一番考えておりましたのは、一日の走行キロで言うならば三百が限度であろう、実車率で言うならば五〇が限度であろう。一日一車の平均走行キロを三百に押えて、実車率を五〇に押える、それでやっていける料金をきめるべきではないか。だから、それが公共料金と言えないのならば、選択的乗車料金だってこの際いいじゃないか。なぜかと言うと、経営者が全く経営意欲を失ってしまったのではタクシー経営は成り立ちません。もう一つは、そこで働く労働者が定着をしなければ、これはハイヤー・タクシー産業として存在しない。そうなりますと、経営者が経営意欲を持とうとする、そこで働いておる、ハンドルを持つ諸君のほうも働く意欲を持とうとする、その接点でものを考えなければならぬ。そうならば、走行キロを三百で押えるならば、実車率は五〇に押えろという気があった。それで野村さんとずっと詰めてきた、こういう経過がある。出た結果はそうならない。あるいは、それで押えて料金をとったら、もっと高くなるからまずいことになるかもしれませんけれども、そこに論点を置いてきめれば、今度は実態に沿わないことになる。だからそこのところあたりからすると、結果的にこれはどういうふうになっているのか。つまり料金値上げの効果が、片や経営者に、片や労働者に、こうならなければいかぬわけですね。そこらのところが労働条件とからみますけれども、皆さんの目からながめてみて——運輸省には一ぺん承りました。まだ何の反論もしておりませんが、聞いただけでございますけれども、料金値上げ後の春闘などを踏まえまして、一体どういうふうに動いているだろうか。いち早く東旅協などは、料金値上げ後のハイヤー、タクシーの運転者の賃金についてという、あの方々なりのモデル賃金なるものを出したりいたしましたが、そこらなども踏まえてみて、私はそれに不賛成でありますが、一体どういう傾向にある、そしてハイヤータクシー産業に携わる方々が定着する、つまり実働率はふえていくというふうに考えられるかどうかというふうな点を、こまかく聞きますと時間がかかりますので大ざっぱに申しましたが、所見があればいただきたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 確かに、先生おっしゃいますように、走行キロ、それから料金、それと労働者の賃金、これはお互いに非常に相関関係が密接なものがあるとわれわれ存じておるわけでございます。その料金値上げなり新しい走行キロなんかがきまりましたあとの分配がどうなるかという問題につきましては、具体的に結果としてあらわれますのは今回の春闘でございまして、私ども、春闘の結果がどうなっておるだろうかということにつきましては非常に深い関心を持っておるわけでございますが、春闘の結果、全般の集計等につきましては労政局等で逐次把握しておられるようでございますが、まだその結果を私ども承知いたしておりませんので、春闘の結果が一応まとまりましたならば、それらを十分調査いたしまして、あるいは賃金形態の変更等についても十分調査をいたしまして把握してみたい、かように考えておりますけれども、現在まだその結果が出ておりませんので、いまのところはまだそこまで把握していない状況にございます。
○大出委員 私がこの間運輸省に要求をいたしました結果出てきた数字があるのですが、これは表に出さぬでくれという条件がついているようでございますから、信義の手前、申し上げられないのですが、これを見ると、東京、横浜いずれも一カ月で一万円くらい、運転者のふところはふえるようになっている。これがはたして妥当な数字かどうかには多少私は疑義がある。 確かに料金は上がりましたが、二月にぶつかりました。二月というのはいつも少ない。そうすると、二月にぶつかった値上げだけに、皆さんが御経験のように、駅に行けば車は山ほどたまっている。ふしぎな現象が出てしまった。実車率は徐々に回復はしてきている。だがしかし、実際にここに出てくるような数字になっているかというと、必ずしもそうではないという現象が、今日方方に見られる。そうすると、また逃げる。運転者が減ったっていいのだという前提なら別ですよ。そうではないだけに、やはりハイヤー、タクシーをやっている方は、特に最近は、昔のげたの鼻緒だなんという、二年なり三年だというのではなくて、比較的長期にわたる人が多くなっている。そういう点を考えると、そこが非常に心配なので、事、労働省ですから、傾向にしろ、あるいは東京の四十社を東京陸運局が追っかけた実態調査、追跡調査もございましただけに、何かお持ちかと思って聞いたのですが、まだそれが集計されていないというならば、これはいたし方がありません。しかし、ここらのところは労働省の側では相当気をつけて見ておいでいただきませんと、すぐあとにまた料金値上げという問題が出てきかねないと思いますから。 それともう一つ、うっかり町で車をとめて乗せてもらった。私にいきなり、先生、私はもういやになった、やめたいのだ。何だと言ったら、いや、娘が、おとうさん一体ボーナス幾らもらったのだ。ところが、その娘のもらうボーナスのほうがはるかに高いものだから、おやじさんのほうがちょっと調子が悪いというので、幾らだっていいじゃないか、こう言ったのだけれども、持って帰ったって女房は喜ばぬわけです。つまりその種のボーナスにしろ退職金にしろ、一般製造業その他の産業に比べて、あまりと言えば安過ぎるということです。そうなると、乗っかるお客のほうは、それこそ信号が青になれば飛び出すというようなのに乗ると、相当もらっているんじゃないかというふうに思うのですが、実はそうでないという現象がある。そこらのところを労働省は、一つの産業形態をなすハイヤー、タクシー労働者であるだけに、どうあるべきかということについては御検討願わなければいかぬ時期になってきている。退職金の制度についても、はたしてこれで妥当なのかという点について、そういう角度からのハイヤー労働者、タクシー労働者の置かれている位置づけというものを、どのくらいなければならぬかというモデル賃金でもいい、何かそういうものをお考えになる必要がありはせぬか。 かつて横浜で、諸手当を全部やめて、固定給、本俸だけにしたところがある。一年で労使双方から、やめようということでやめちゃった。そういう特殊な形態もある。そこに働く人たちの気持ちがある。そうすると早い話が、五百円、こまかいおつりを会社から持って出て、いきなりどこへ行くかというとコーヒー屋へ行って、その金でコーヒーを飲んで、あとは一国一城のあるじでございますということになって出ていくのです。そういう習慣があるのですよ。そこらのいまのタクシー労働者かたぎというものをとらえてみて、タクシー労働者、ハイヤー労働者の賃金のあり方というのは一体どうなんだということ。港湾労働者の賃金のあり方という問題を御検討になった時期があります。たいへん大きな参考になりました。そうすると、ハイヤー、タクシー労働者の賃金のあり方というものを労働省が一ぺん研究してみる必要がありはせぬかという気がする。ですから、せっかく基準法のほうを押えておられるのだから、しかも満足でない事業所が山のようにあるのだから、そこらをお考えになって——私は仲がよ過ぎる人が多いのですけれども、世間一般の雲助稼業云々という考え方ではなくて、社会的地位の問題とあわせて労働省はものを考える必要が、皆さんの責任においてありはせぬかという気がするのですが、いかがですか。
○渡邊(健)政府委員 確かに先生おっしゃいましたように、タクシー業の運転手の定着をはかり、その必要要員を確保するためには、労働条件自身が現在の社会全体の情勢の中で適正なものである必要があると思います。 さらに、先生いま例としておあげになりましたように、ああいうタクシー運転手かたぎというものもありまして、そういうことから、賃金形態なども、日本としては非常に特殊な例として、いわゆる水揚げ歩合の率というものが他産業の労働者よりも非常に高いわけでございます。そういたしますと、若いときはかせげるけれども、年をとると、普通ならば年功序列で上がるべきものが、かえって賃金収入は増加しない、むしろ減少するというような問題もあるわけでございまして、そういうことから、タクシー運転手等につきましては、一体どういうような賃金形態がこの業界の労働者として適正なんだろうかということは、非常に大きな問題であると私ども考えております。 そこで、私どもといたしまして、具体的に、モデル的にどうということまでは言えませんけれども、やはり一定の保障給というものの上に歩合というもの、これはこの業界としてはやむを得ないと思いますけれども、そういうものがある。しかも歩合給にいたしましてもいろいろな形の歩合がございまして、一律歩合のほかに、累進であるとか、積算の歩合であるとか、いろいろな形がございます。その中にはあまりに刺激的なものがございまして、これは、かせげる人はかせげるけれども、かせげない人はかせげない、かせぎたいために無理な走行をするというようなこともございまして、逐次あまりに刺激的なものを是正させておるところでございます。 そういうようなことも含めまして、タクシー業においてどういうような賃金形態が適当であるかというような点につきましては、現在、賃金制度研究会というものを賃金部に設け、金子先生あたりを座長にいたしまして、いろいろ研究していただいております。これは逐次業種別にも、まあモデル的な賃金を拾って解説するというような形で、適正妥当な賃金制度の指導をはかりたい、かように考えております。その中におきまして、タクシー業の賃金制度等についても、現在研究を願っておるところでございます。
○大出委員 昔、私が総評本部におりますころに、全国旅客という団体がございまして、そのころは、累進歩合というものがいかに悪影響を与えているかという点をしみじみ感じておりました時代でございますので、いまは累進歩合というものは、押える傾向をもってずっと皆さんも指導してこられているから、おそらくいま累進歩合なんて考えたら、そこに労働者が定着しなくなっちゃうと思いますから、経営者もやれない。いまおっしゃるような、刺激的なというわけでありますからね。その当時、ハイヤー産業あるいはタクシー産業の労働者の賃金のあり方についてというのをひとつ検討してみる必要がありゃせぬかという問題提起を、私ども総評の中でしたことがある。ところが機熟さずして——さっき申し上げたように、幾つかそういうことをやった会社もある。ところが、そういうのは特殊なところでございまして、幾つか業種があるんですね。私鉄が経営しているタクシー会社というのは、本来その私鉄の駅におりる、あるいは来るお客を運ぶという発想で始めた営業なんですね。だからもうからなくたっていい。京急なら京急というところでやっている場合は、そこへ人が来て、そこの所長をやっているというわけでありますから、それは上がらなければ、おまえはと言われるけれども、だからといって、会社自体にとってそんなに大きくはない。だからそういうところは、じゃ一ぺん歩合給なんてやめちゃって、基本給一本でやってみようかというふうなことが成り立ったのですね。ところがこれは、妙なことにハイヤー、タクシー、特にタクシー産業なんというものは——石油資本なんというものも、石油というのは一番よけい使いますからね。売る商売なんですから。だからこれまた多少ゆとりのある経営ができる。ところが、その他の第三国資本だとかいろいろなのがございまして、にっちもさっちもいかない資本形態のところがある。そういうところは、それはもう、労働省くそ食らえ、運輸省くそ食らえなんですね。そうなると、やはりこれは、さっきの港湾じゃありませんけれども、官庁が前に出てものを言う時期が来ている。これまた、料金をそう何べんも上げてくると、世間の風当たりも出てくるわけですから。それは当然でしょう。だから、そうだとすると、その辺でタクシー労働者の賃金のあり方なり労働条件なり何なりというものを、もう一ぺん洗い直して世間の目に触れさせる。世の中いろいろ公共料金が上がっちゃっている。タクシー料金だけ据え置いていいことにはならぬのです。そういう意味においては、いまおっしゃる賃金研究会というのは非常に興味のあるところなのですが、いままでの間にもし資料がございましたら、私もいろいろ調べている過程でございますけれども、ぜひこれはいただきたいと思っておりますし、かつまた、できるだけ早く、次の料金値上げなどと言わないうちに、次の料金値上げを模索するためにも必要なのですから、一体どうあるべきかということを早く結論を求めてほしいものだという気がするのであります。 きょうは、いずれにしても時間の関係もございまして、こまかい中身に入れません。私は、去年の春闘で、東京の全会社のハイヤー、タクシーの組合が団体交渉の結果幾ら上がったかという、去年の春闘以後のものは全部持っておりますけれども、まだ本年のものは三十か四十しかありません。したがいまして、そこらのところが皆さんのほうに集計されておればぜひいただきたいのでありますが、いまの点についてひとつ早く方向づけをする、こういう点で御異論はございませんですか。
○渡邊(健)政府委員 先生御指摘のように、私どももそういうものを早くするようにいたしたい、かように考えて、そういう方向で努力いたしたいと思います。
○大出委員 これは運輸政策審議会の答申がございまして、あれを見ると、大都市交通のあり方からすると、タクシーというものは、バスや何かが走った一番末端をやるのだということになっているんですね。それから言うならば、リースライセンス的な、昔の貸し免許式なタクシー自由業ですね。そういう色彩のものまで出てきている。思想的に相当混乱をしておるんです。だからやはり、私は正しいと思いませんけれども、反対なのですけれども、そういう時期だけに事を急がないと、庶民一般が料金というものを中心にものを見るわけでありますから、ぜひひとつ、そこに置かれている人も乗る人も大半は労働者なんですから、そうだとすれば、そのタクシー労働者が、やれ乗車拒否でけしかるとかけしからぬとか言ってみたって、料金を上げてどうなったかといえば、最近、乗車拒否どころじゃない。乗ってくれということになる情勢変化があるのですから、何が一体乗車拒否をなくすポイントだったかということはおわかりになるわけです。 そういう意味で、何がいまの問題の中心かということを前向きにひとつ御検討いただきたい。運輸省だけでやらしておきますと、これまたかたわになりまして、運政審答申みたいなものができ上がりますから、したがって、そこらの点を皆さんのほうで、運輸省は運輸省のほう、おれのほうはおれのほうだのおっしゃらないで、さっきの走行キロじゃございませんけれども、かみ合っているのですから、そこのところをひとつとらえて、特に労働者の立場ということで御検討いただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。
○伊能委員長 次回は、来たる六月六日火曜日、午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後七時三十九分散会