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68回国会衆議院1972/04/12

内閣委員会 第9号

発言数
344
登壇者
17
会派数
4
開催日
1972/04/12

会議録

伊能繁次郎自由民主党

○伊能委員長 これより会議を開きます。  この際、おはかりをいたします。  外務省機密漏洩問題について、外務委員会に連合審査会開会の申し入れをいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊能繁次郎自由民主党

○伊能委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、連合審査会の開会日時は、関係委員長の協議により、明十三日午前十時より開会する予定であります。      ————◇—————

伊能繁次郎自由民主党

○伊能委員長 沖繩開発庁設置法案及び沖繩の復帰に伴う防衛庁関係法律の適用の特別措置等に関する法律案の両案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤陽三君。

加藤陽三自由民主党

○加藤(陽)委員 私、沖繩の復帰に伴う防衛庁関係法律の適用の特別措置等に関する法律案について、若干の御質問をいたしたいと思います。  まず第一に、今度、沖繩へ自衛隊を配備することにしておられるわけでございますが、私自身も、沖繩が日本に復帰すれば自衛隊を配備することが必要だとの私なりの考えを持っておりますが、国民の中の一部には、戦前沖繩には日本の軍隊がいなかったじゃないか、だから沖繩は返っても自衛隊を配備せぬでもいいんじゃないかという議論がございますが、これに対しまして長官はどういうふうにお考えになりますか、まずそれからお伺いいたします。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 沖繩が私どもの主権下に戻ってくるということになれば、これは日本の本土と同様なことになるわけでありますから、局地防衛の措置、民生協力、こういった面において本土並みの措置を沖繩にとる、これは当然なことであるというふうに認識いたしております。  もともと沖繩は、戦前におきましては、台湾があり朝鮮半島があったというようなことから、戦略的に重要な位置ということではなかったと思います。しからば今度はどういうことになるか。もともと日本は専守防衛のたてまえをとっておりますから、沖繩の地理的位置が防衛上きわめて重要であるというふうには特に思いません。ただ、最南端の島で相当な距離があるという点で、何か事があった場合に九州から及び腰では急の場面に問に合いませんので、したがってある程度の陸海空自衛隊を配備していく、これはやはり必要なことだと思います。  しかし、しばしばお答えを申し上げておりますように、沖繩には連隊区司令部しかなかった。また、沖繩に師団が入ってきたときには、それが最後の決戦場になる前ぶれであった。その結果は、いわゆる沖繩本島を焦土としての最後の決戦があそこで行なわれた。しかも、住民がその半数に近いくらい、これは三分の一ということもいわれまするが、とにかく死傷の対象になった。かれこれそういうことを考えますると、やはりこの配備につきましては——自衛隊というものは旧軍隊とは全然関係はありません。無関係であります。しかも防衛にのみ徹するものであります。しかし、そういう新しい自衛隊の性格というものをよくよく沖繩県民に理解をしてもらう、その理解を得た上、堂々と配備していく、これが私どもが繰り返し申し上げておるところであります。そんな心がまえで配備してまいりたいと思います。

加藤陽三自由民主党

○加藤(陽)委員 次にお伺いいたしますのは、昭和四十四年の佐藤・ニクソン共同声明では、御承知と思いますが、「これに関連して、総理大臣は、復帰後は沖繩の局地防衛の責務は日本自体の防衛のための努力の一環として徐々にこれを負うとの日本政府の意図を明らかにした。」これは四十四年の共同声明です。これは昨年の沖繩委員会でいただいた、アメリカの上院の外交委員会の聴聞会におけるパッカード国防次官の冒頭説明でありますが、その中には「一九六九年十一月の共同声明の一環として、佐藤総理大臣は、日本が沖繩の局地防衛の責任を徐々に負うべきことに同意している。お手許の協定に至るまでの日本との交渉の一面は、この沖繩局地防衛責務の日本への移管の段取りにかかわるものであった。これらの点に関する取極が、沖繩交渉団軍事代表、ウォルター・L・カーティス二世海軍中将と、日本の防衛庁の代表者の間で交渉された。この防衛取極は、復帰後日本が沖繩に展開する陸上、海上及び航空自衛隊について述べている。その目的は、日本の自衛隊が、一九七三年七月までに沖繩の局地防衛について第一義的な責務を引き受けるということである。われわれは、防衛庁側の沖繩への部隊配備計画は、それが引き受ける防衛任務を遂行するために十分であると考えている。」こういう冒頭説明を国防次官がしているわけでありますが、四十四年の共同声明の、徐々に負うべきものだという佐藤総理の声明と、ここでうたっておる一九七三年七月までに日本の自衛隊が沖繩の局地防衛についての第一義的な責任を引き受けるということとの関連はどうなりますか。徐々に負うということが、一九七三年の七月までに負う、こういうことになるのでしょうか。その辺はどうでしょうか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 いまお読み上げになりましたとおりだというふうに私どもも認識をいたしております。したがいまして、局地防衛の責務に任ずるわけでありますが、施設の改修であるとか、要員の養成であるとか、そういったものが整い次第、完全に責任を分担していくということになるわけであります。  ただ、現在御承知のとおり、佐藤総理から、沖繩県民の感情をよほど理解した形で自衛隊配備については慎重の上にも慎重を期されたい、こういう強い要請が私にあったわけであります。先般、国防会議を開こうというわけで、参事官会議、幹事会と積み上げてまいりましたが、いよいよ国防会議を開くという前日、私が大体の幹事会を通過した試案を持って説明に参りましたところ、なおひとつ検討をしてくれまいか。それは、復帰の時点に、全然自衛隊に対する理解がまだ行き届いていないところへどかっと行く、ということばを使っておられたわけですが、これは当初、久保・カーチス取りきめ当時の防衛庁の構想では、六百名程度のものを配備しよう。これを五〇%削って、三百名から四百名程度ということを考えておったわけでありまするが、なおその点等についても重ねて考慮の余地はないだろうか。それからまた、久保・カーチス取りきめの本質を動かすというのは、国際信義の上からも決して好もしいことではないが、できる限りこの人数を減し、またその配備の時期というものを先に持っていくことはできないか。これは、自衛隊の配備ということも必要であるが、同時に主権の戻ってくる沖繩県に対する政治配慮も必要だと思う。この意見に関しまする限り、私も異議はありませんので、それはごもっともだ、なお再検討しましょうということで、現在まだ検討をいたしておる段階でありまするが、とりあえず当初は、引き継ぎをいたしまする陸海空の施設等の管理要員をどの程度に配備するか、これに実は検討の重点を置いておるわけであります。  それから、六カ月以内に三千二百人程度を配備する、この問題でございまするが、これも幸い復帰の時期は五月十五日ということで早まったわけでありまして、非常に歓迎すべきでありまするが、この六カ月以内ということばを久保・カーチス取りきめに支障を来たさない程度でスローダウンをしてはどうであろうか。このことは、沖繩県民がやはり自衛隊に深い理解を持ってあたたかく迎えてくれる——迎えてくれないまでも、少なくとも主権の存するところ、局地防衛の任に当たったり民生協力をする自衛隊というものは配備やむなしという感じが県民に浸透することを、私どもは考えておるわけであります。  なお、防衛任務の引き受けにつきましては、先ほどお話のありました、七三年七月一日までに完了したい、この終末については、そんなつもりで計画を立てております。

加藤陽三自由民主党

○加藤(陽)委員 御苦心のところはよくわかりました。そうすると、終末については大体七三年七月を目途としておる、しかし配置する人員等についてはさらによく検討したい、こういう立場だと考えてよろしいですね。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 はい、そうです。

加藤陽三自由民主党

○加藤(陽)委員 そうしますと、次に、これは防衛局長でもよろしいのですが、久保・カーチス協定できめた自衛隊の配備すべき部隊の基準ですね。これはどういう根拠でこれだけの部隊を沖繩へ配置しようということをおきめになったのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。

久保卓也防衛庁防衛局長

○久保政府委員 沖繩が、やはり長官も言われましたように、本土から非常に遠く離れた地域にあるということで、最小限の機能をそれぞれワンセット、言うならば最小限の機能についての最小限の単位部隊を配置したい、こういう考え方に基づいております。したがいまして、たとえばナイキ、ホークそれぞれ一隊でありまするし、レーダーサイト等についても一つのセットであります。そういたしますと、それぞれが合計しますと約三千名ぐらいの防空部隊になってしまう。それから陸上部隊で申しますると、単位部隊は普通科の部隊でありますが、広大な地域、施設でありますので、これの装備を含めますると、それからまた、災害派遣ということを考えますと、普通科中隊単位でいえば一個中隊が最低かもしれませんが、そういうことを配慮して二個中隊。それから災害派遣と民生協力関係では、施設科の中隊を最小限にとどめて一個中隊。それからヘリコプターについては、これはやはり民生協力その他いろいろございまするので、比較的大目に配置をする、約十機前後というような考え方であります。それから、艦艇で申しますると、艦艇が那覇に寄港する場合のお世話、サービスをする部隊、基地隊としまして若干の部隊。それから対潜哨戒、周辺海域が非常に広大でありますので、その哨戒任務を引き受けるといたしますと、最低の単位は一隊十二機でありますが、当初の半年の間はさらにその半分、六機という程度でありますが、そういうようなことで、われわれのほうからしますと、一応必要な機能を網羅しまして、その機能に対する最小の部隊、合計をいたしますと、大体六千数百名になりますが、そのうち半年の間で三千名ばかりというのが一応の基準になっております。

加藤陽三自由民主党

○加藤(陽)委員 お考え方はわかりました。そうすると、まだ四次防は大綱がきまっただけで、これからおきめになるわけですが、四次防の計画の中では、いまあなたがお述べになった数字はさらに検討される予定ですかどうですか、その点をお聞きしたい。

久保卓也防衛庁防衛局長

○久保政府委員 沖繩への部隊配備の最終的な数は六千数百名になりますが、これはやはり四次防の計画策定の過程の中で、部内でも検討し、また関係各省とも協議をしなければいけない筋合いのものだと思います。そこでさしあたって、現在きまっておりますのは四十七年度分だけ、特にその中でも約半年の間というものを中心にして部隊の計画を練っておりますが、いま言われましたように、六千数百名というものも、確定ということではありませんで、今後の検討の対象になろうかと思います。

加藤陽三自由民主党

○加藤(陽)委員 私、これは中曽根構想を持ち出しては悪いのですが、四次防の新防衛力整備計画ですか、説明を聞いたときには、やはり地理的な特性から沖繩に機動力と独立性を備えた部隊の配置を考えたいというふうなことを言っておられたのを覚えておりますが、まことにそのとおりだろうと思います。ただ、久保・カーチス協定できめられた部隊を見ますと、こういう構想とはおよそほど遠いような感じがするのです。私は何か一つ筋金が入っていないような気がします。これをひとつ四次防の際においてでもよく御検討いただきたい。ほんとうに役に立つ有効な部隊配置をお考えいただきたい、こう思うものであります。  その次にお伺いしますのは、法律の中に、琉球政府の職員を自衛隊に採用するような計画があるようになっておりますが、これはどういうような計画ですか。どういうところへどういう人を採用するのですか。

江藤淳雄防衛庁人事教育局長

○江藤政府委員 現在のところ、防衛施設庁関係で六十名ばかり、それから自衛隊関係で部隊職員として、これは数字ははっきりしませんけれども、百人ないし二百人ぐらいは採用したいというふうに考えております。

加藤陽三自由民主党

○加藤(陽)委員 ちょっとこまかいのですが、この法律の第二条二項にお医者さんの給料のことが書いてありますね。この医師、歯科医師はどういう種類の職員になるのですか。医師と歯科医師は、自衛官じゃなしにシビルの医師として自衛隊に採用するということですか。

江藤淳雄防衛庁人事教育局長

○江藤政府委員 これは、沖繩関係の職員の身分を引き継ぐということが起きた場合には、一般職と同じような扱いでそういう措置をいたしたいという考えで特に規定を設けたわけでございます。一応現在のところ特に想定されるものはないわけでございますが、将来、海空あたりでシビリアンの医師を採用するという場合にはこの規定が適用されることになります。

加藤陽三自由民主党

○加藤(陽)委員 私は、本土のほうにないのに、沖繩だけこういう制度をとられるのかと思ってお聞きしたわけなんですが、そういうことはないのですか。あり得るかわからぬということで書いたのですか。

江藤淳雄防衛庁人事教育局長

○江藤政府委員 これは特に手当を支給する規定でございまして、沖繩関係に勤務する者について、本土から沖繩へ行く場合もございますが、沖繩で沖繩の者を医師または歯科医師として採用する場合には、特に沖繩関係の勤務としての特別手当を支給しようという根拠をここで設けようということでございます。

加藤陽三自由民主党

○加藤(陽)委員 次に、第二点として米軍との関係のことについてお伺いしたいと思います。  沖繩返還と同時に撤退をする米軍の部隊、及び今後一年内に撤退する見込みであろう米軍の部隊をお示し願いたいと思います。

久保卓也防衛庁防衛局長

○久保政府委員 全般的に申し上げますると、米側の説明、これはわれわれが情報の段階で知っている範囲で申しますると、一般的な意味では、返還に伴って米軍が縮小もしくは撤退するものではないという説明を、これはたしか米軍の首脳部が答えておるようであります。ただ、沖繩返還交渉の過程におきまして、外務省と大使館との話の中で出ておりまするのは、いわゆる特殊部隊、たとえば、陸軍混成サービス群、それから太平洋陸軍情報学校の撤退は返還時に完了しておるというふうにいわれております。それからレーダーサイトとかナイキ、ホークの部隊が、先ほどお話がありましたように、来年の一月一日までに自衛隊に引き継ぐことになっておりまするけれども、この担当部隊そのものはおそらく不要になりますので、撤退するか、あるいは任務が他にかわるか、いずれかになるだろうと思いますが、特殊な部隊でありますので、おそらくその分は縮小するのではなかろうかというふうに私は思っております。その他のものについてはいまのところ情報はございません。

加藤陽三自由民主党

○加藤(陽)委員 そうしますと、残留する米軍と日本におる米軍との関係ですが、たとえば空軍は第五空軍が管轄しておりますね。陸軍は独立しておったはずです。海軍も独立しておったのじゃないかと思うのですが、今後もやはり、沖繩におる米陸軍、沖繩に残る米海軍あるいは海兵隊というものは、在日米軍司令部とは関係がなく任務を継続するわけですか。在日米軍司令部とはどういう関係になるのでしょうか。

久保卓也防衛庁防衛局長

○久保政府委員 まず空軍は変わりありません。第五空軍が府中におりますので、その傘下になるということであります。それから陸軍について申しますると、沖繩にあります米陸軍司令部、及び非常に大きな補給部隊でありまする第二兵たんコマンド、これは解体されまして、沖繩の米陸軍べースコマンドという名前で統合されることになります。そしてその沖繩米陸軍ベースコマンドは在日米陸軍の隷下に入ることになります。それから海兵隊の関係は、これは岩国も沖繩も同じであると思いますけれども、第七艦隊の指揮下に入るということになろうと思います。この指揮系統は従来と変わらない。おそらく在日米軍司令部が調整をすることになろうというふうに思います。

加藤陽三自由民主党

○加藤(陽)委員 海軍の関係はどうなりますか。

久保卓也防衛庁防衛局長

○久保政府委員 海軍は、第七艦隊の隷下の部隊がありましたり、それから基地隊関係については、情報はございませんけれども、沖繩のすべてが一応本土と同じ指揮系統になりますので、第七艦隊の指揮下にあるものか、もしくは在日米海軍司令部の指揮下に入るというふうに思います。

加藤陽三自由民主党

○加藤(陽)委員 これは長官、ちょっとお聞き願いたいのですが、いま防衛局長から御説明がありましたけれども、沖繩が本土に返還されましたら、沖繩にある米軍の部隊に関する一切の交渉は、向こうの窓口を一本にしてもらわないと、私は非常に都合が悪いと思うのです。在日米軍司令部で統括するように、これはぜひひとつ努力をしていただきたい。そうしないとやりづらいと思うのです。沖繩の米軍がかってなことをやりましたりしますと、つまらない問題を起こすと思いますので、このことをお願い申し上げておきます。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 わかりました。

加藤陽三自由民主党

○加藤(陽)委員 その次にお伺いしたいのは、現地での米軍と今度参ります自衛隊との共同体制の問題です。レーダーサイトはいつ返るのでしたか。

久保卓也防衛庁防衛局長

○久保政府委員 レーダーサイトは、ナイキ、ホークを含めまして、来年の七月一日までにわがほうで完全に引き受ける。それまではいわゆるOJTということで自衛隊員を配置をして訓練を続けておるというかっこうになります。

加藤陽三自由民主党

○加藤(陽)委員 そうしますと、その間わがほうの飛行機が行く、航空自衛隊が行くということになりますと、その飛行機は米軍が運営しているレーダーサイトを使って飛行訓練をする、あるいはいざ必要な場合には実際の行動に移る、こういうことになるわけですね。その場合は、もちろん指揮系統は、この久保・カーチス協定にも別だと書いてありますが、松前・バーンズ協定というものはどういうふうに適用になるのですか。

久保卓也防衛庁防衛局長

○久保政府委員 松前・バーンズ協定のその前提になります岡崎・マーフィー書簡は沖繩にも適用されるという解釈に立っております。したがいまして、両書簡あるいは協定ともに適用されていくわけでありますが、運用につきましては、それぞれ実際に運用される場合には指揮が別系統になります。ただし、事実上、防衛任務は七月一日までは米側が担当するということになりますので、七月一日までの場合には、領空侵犯措置があれば来軍機が米軍の指揮系統を通じて飛び立つ。しかし、万一わがほうで現地に配置されておりますF104が防空任務を何らかの必要があって行なう場合は、レーダーサイトにおりますわがほうの自衛隊員の指揮系統を通じて指揮をする。ちょうど三十四、五年ごろまで、米国側がレーダーサイトを本土で管理運用しておりましたころと同じ指揮系統になろうかと思います。

加藤陽三自由民主党

○加藤(陽)委員 現在、本土においてはバッジシステムを採用しているわけですが、沖繩のレーダーサイトのシステムはバッジと連結が可能ですかどうですか。

久保卓也防衛庁防衛局長

○久保政府委員 現在、沖繩のレーダーサイトによります防空情報は、府中の米軍司令部の中に入ってまいりまして、そこから日本側が必要な情報を受けるということになります。それが返還になりますと、沖繩のDC、CCサイトからの防空情報は、今度は府中の自衛隊のいわゆるCOC、防空指揮所に入ってまいります。そこから今度は日本から米側に情報の伝達を行なうというかっこうになります。ただし、これはいまのところ、四次防でもそうでありますが、沖繩にバッジ組織を建設する予定になっておりませんので、すべて音声、いわゆる手動で連絡が行なわれるというかっこうになります。

加藤陽三自由民主党

○加藤(陽)委員 それはそれでいいのだろうと思うのですが、私はやはり沖繩も将来はバッジシステムに変えることが必要なのじゃないかと思います。  その次にお伺いしたいのは、ナイキハーキュリーズを今度引き受けられるわけですが、これは買収されるわけですね。と同時に、言うまでもないところでありますが、ナイキハーキュリーズは核装備可能な兵器ということになっているわけですね。日本で持っておるのは、核装備ができないようになっておるというふうな政府の御説明であります。現実に沖繩のナイキハーキュリーズが核装備可能になっておるものを、どういうところを直せば核装備ができないようになるのですか。技術的な問題かもしれませんが、大事な問題ですから、これをひとつ御説明願いたい。

黒部穰防衛庁装備局長

○黒部政府委員 先生御指摘のとおり、現在の沖繩のナイキハーキュリーズは、核、非核両用であるわけでございます。当方が受け取る場合は、もちろん核弾頭はついていないわけでございますけれども、これを改修いたしましてJタイプにいたすわけでありますが、そのためには、本土へ持ってまいりまして改修工事をいたします。  改修工事の内容といたしましては、弾頭部分のところに、核弾頭が入り得ないように、一つの鉄製のクモの巣型の遮蔽板を入れます。それから核弾頭用に用いられるところの電池がついているわけですが、この電池を除去いたします。その際に重さが変わるといけませんので、ほぼ同じ重量の擬似電池を装着いたします。それからランチャーとミサイルとの間にケーブルがあるわけでございますが、このケーブルに、核弾頭の場合に必要な電線がハーキュリーズの場合は入っているわけです。この電線を取り去った形のケーブルを使用するようにいたします。  大体そんなようなところが非核化の工事になろうかと思います。

加藤陽三自由民主党

○加藤(陽)委員 結局、いま日本で本土に持っていらっしゃるやつは、初めからつくったナイキハーキュリーズですが、今度、核、非核両用のナイキハーキュリーズも、本土に持っておるのと同じように改修ができる、こういうふうに了解していいわけですね。  その次に、これはちょっと余談になるかもわかりませんけれども、やはり核の問題で、わがほうが持とうとしておる、ことに今度また沖繩に持っていこうとしているファントムも、一般に核爆弾装てん可能な飛行機として世界に知られておるわけです。これは、わがほうで持っておる飛行機は、もちろん核爆弾が装てん可能になっておるとは思いませんけれども、飛行機の構造上、どういうところを変えることによって、核爆弾が搭載可能になり、あるいは搭載不可能になるのですか。そこのところを少し御説明願いたいと思います。

黒部穰防衛庁装備局長

○黒部政府委員 ファントムは、米軍の持っているファントムと、わがほうで保有しており、あるいはこれから製造いたしますファントムは同じシリーズでございますが、やはりF4EJというJタイプにいたしてございます。この核関係の点では、核爆弾を米国のF4Eはつけられるようになっておりますが、わがほうのJタイプでは、爆撃計算機、あるいはコントロールボックス、あるいは核の管制装置、さようなものを全部はずしてございます。はずすというよりは、最初からつけない計画でこのJタイプができ上がっております。したがいまして、つけようと思いましても作動させることができないというようなことになっております。

加藤陽三自由民主党

○加藤(陽)委員 Jタイプは、場所的に核爆弾をオペレートするような装置の余積がなくしてあるわけですか。あるいはその中の余積が残っておるのですか。

黒部穰防衛庁装備局長

○黒部政府委員 わがほうのJタイプの部分は全然別の計算機が入っております。それをはずして入れればあるいは入れられるかもしれませんが、当方ではさような計算機の知識は全然ありませんので、いまさらちょっと入れるわけにはまいらぬと思います。

加藤陽三自由民主党

○加藤(陽)委員 その次にひとつお伺いしたいのは、沖繩委員会のときいただいた資料で、上院の軍事委員会の聴聞会で統合参謀本部議長の代理としてウェストモーランド陸軍参謀総長が証言しているのですが、その中にこういうことを述べているのです。「アーリー ウォーニング レーダーズロケーテッド オン オキナワ アー パートオブジ エアー ディフェンス システム フロム ジャパン ツー フィリピンズ。サーフィス・ツー・エアー ミサイルズ アベイラブル オン オキナワアー フオー ローカル エアーディフェンス オンリー。エアーディフェンス エアークラフトオン オキナワ アー スペシフィカリー タスクドツー ディフェンド オキナワ」、まあ後段のほうはいいですが、沖繩にロケートしておる早期警戒レーダというものは日本からフィリピンに至る防空システムの一環である、こういうことをウェストモーランドが上院の軍事委員会で述べているわけです。このアーリーウォーニング・レーダーをそのまま日本が引き継ぐということになりますと、このアーリーウォーニング・レーダー・システムそのものは、日本から沖繩に至る防空システムの一環に組み込まれるということになるのではないですか。その辺はどうでしょうか。

久保卓也防衛庁防衛局長

○久保政府委員 沖繩と今日の米軍司令部との関係、それから返還後の沖繩と自衛隊との関係は先ほど申し上げました。そこで、いま御指摘の点が何を言おうとしておるのかはっきりわかりませんが、あるいはこういうことではなかろうかという気もいたします。つまり米軍では、第七艦隊と日本のバッジから来る防空情報、これについては福岡に中継センターをつくることになっております。そこで、この中継センターができますと、第七艦隊からの情報と日本のバッジからの情報は自動的にそこに集約されます。これはコンピューターが違いますので、そこでモディファイをして集中するわけでございますが、そこでまた、日本の防衛に必要な情報の中で、たとえば、沖繩でありますとか、あるいは韓国の情報、日本の防衛に必要な範囲におきましては、米側からこれは日本側に伝達されます。その部分はバッジの中に入れます。バッジがまた、いま申し上げたように、米側の中継センターに送られるというようなことで、この中継センターの中で、米側としては、日本周辺の防空情報というものを集中的に把握できるということになっております。  そこで、その際に、フィリピンはたしか第八空軍でございますので、第五空軍の管轄と違いますから、この点が私にはちょっと理解しかねるわけでありますが、しかし、フィリピンの北のほう生では第五空軍の管轄でありますし、いま申し上げたように、第七艦隊はこれは相当広範囲に移動いたしますから、その部分を含めれば、おおよそその海域、空域の防空情報は米側のところで集約されている、またそのうち日本側に必要なものは日本側に伝達される、こういうふうな関係を申し上げたのではなかろうかというふうに思います。

加藤陽三自由民主党

○加藤(陽)委員 どうもいまの説明ちょっと私、了解しかねるのですが、要するにアーリーウォーニング・レーダー・システムを引き受ける際には、日本は専守防衛に徹するのだという見地から、その内容をよくお調べになって、国民に疑惑を抱かせないような姿で引き受けてもらいたいということを要望しておきます。  その次に、防空識別圏の問題ですが、沖繩返還後における防空識別圏は、いまの米軍がとっておる防空識別圏をそのまま採用なさるつもりですかどうですか。

久保卓也防衛庁防衛局長

○久保政府委員 現在の防空識別圏については、国会でも再々御質問があるわけで、特に舟山列島の周辺を通っているところ、これは中国の領土に近いということで御指摘があることと、それからもう一つは、尖閣列島が中に入っておる、それが適当かどうかという御指摘がございます。私どものいまの考え方では、尖閣列島はわがほうの領土でもありますし、またレーダーカバレージあるいは航空機の行動半径等からいいましても、この中に入れるのが適当ではなかろうか。しかし、舟山列島の付近を通っております防空識別圏のラインについては、検討の余地があるというふうに思っております。いずれ近いうちに結論を出したいと考えております。

加藤陽三自由民主党

○加藤(陽)委員 その点わかりました。その次に、第三の問題として施設庁関係を少しお伺いしたいと思います。  いままで、米軍基地の周辺整備というものは、どういうやり方でやられておったのでしょうか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 今日まで、沖繩におきます米軍基地の周辺整備事業は、四十年度から四十二年度までにつきましては、米国の援助資金をもちまして、琉球政府が嘉手納飛行場周辺の三つの小中学校の防音工事をやっております。日本の額にしまして約一億四千万円ぐらいでございますが、さらに四十五年度から、本土政府からの対策費によりまして、これもやはり琉球政府が、学校等の防音工事、耐暑工事などで、七校、金額にして約三億一千万円でございますが、そういう周辺対策事業をやっておる、こういうように承知をしております。

加藤陽三自由民主党

○加藤(陽)委員 これはどうも、本土の周辺対策事業に比べたら、問題にならないほど貧弱ですね。こんなのでは、私は沖繩の基地周辺の方々が不平、不満を持たれるのは当然だと思います。これはひとつ、本土に復帰しましたら、基地周辺の対策を大いに進めていただきたいと思うのです。  そこで、法律の中で、私、読んでちょっとわからなかったのですが、第四条に「防衛施設周辺の整備等に関する法律第四条の規定の沖繩県の区域における適用については、当分の間、同条中「市町村で」とあるのは「沖繩県又は沖繩県の区域内の市町村で」」と読みかえることになっておりますが、本土では県を対象とした周辺整備事業をやっていないわけですね。なぜ沖繩では県を対象とした周辺整備事業が必要なんですか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 この周辺整備法第四条の関係については、民生安定に関する一般的な補助事業が対象でございますので、実は国が補助します場合にはどうしてもその市町村に財政的な負担がかかってくるわけでございます。そこで沖繩の場合におきましては、一つはやはり市町村のそういう財政的な負担能力が非常に貧弱であろうということと、それから市町村におきまして、その市町村が防音工事その他の発注をいたしますが、その場合、設計その他の技術能力も非常に劣っておるということも考えまして、沖繩の場合に限りまして、沖繩県を対象にする、こういうことが必要ではなかろうかということで、こういう規定を設けたわけでございます。

加藤陽三自由民主党

○加藤(陽)委員 その点わかりました。  その次に、法律案の第三案の「人身損害に対する見舞金の支給」のことですが、これは昭和二十年八月十六日から昭和二十七年四月二十八日までの間における人身にかかる損害の支払いについては、一九六七年高等弁務官布令第六〇号に基づいて行なわれた支払いの例に準じて見舞い金を支給する、こういうことが第三条で書いてあるわけでありますが、これは日本本土における人身損害に対する見舞い金、補償金の法律との関係はどうなんですか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 御指摘のように、本土において占領期間中に人身被害を受けました場合の救済補償の方式では、いわゆる給付金法というものがございまして、これによって三十六年と四十二年、この二回にわたりまして各種の給付金その他の見舞い金等を支給してまいったわけでありますが、今回のこの第三条に御提案申し上げておりますのは、布令第六〇号によりまして、すでに米国側が講和前の補償をいたしておるわけでございますが、その際に、いろいろな米軍並びに琉球政府側の指導の不十分もありましたし、それから締め切りの期日も、過去一定の期間をもって締め切ったということもございまして、この補償から漏れた人たちがあるわけでございます。そこで、そういう人たちを救済する必要があるというので、この布令六〇号との関係におきましては、あくまで布令六〇号による補償漏れでございますが、それとのバランスをとることがまず何よりも必要であるということで、そういう方々に対しまして、その事情を十分調査の上、必要があると認めるときは、布令六〇号に基づいて支払いが行なわれた例に準じて見舞い金を支給する、こういうことになったわけでございます。  そこで、本土の場合における給付金法とこの布令六〇号との支給内容の点でございますけれども、全般的に見まして、布令六〇号のほうが手厚く補償をされるということでございまして、本土の場合と若干相違がございますけれども、今回の措置は、あくまでそういう不均衡を是正しようということでございますので、本土の給付金法によらずしてこの布令六〇号の基準による、こういうことにいたしたわけでございます。

加藤陽三自由民主党

○加藤(陽)委員 これはちょっと意外なんですが、いままで基地周辺整備でも何でも本土のほうがうんと進んでいる。人身損害の賠償だけは沖繩の米軍の布令のほうがいいというのはちょっと変なのですが、本土の法律と比べてどういうふうにいいのですか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 まず算定方式でございますけれども、これはいずれも、基準収入日額に労働基準法に定める補償日数を乗じて算定をしておる、その点においてはほぼ同様でございます。その場合の基礎となる基準収入日額につきましては、本土の給付金法は、昭和二十七年における全産業別平均賃金日額をもとにいたしまして、有職、無職にかかわらず一律に三百五十五円というものを採用いたしておりますが、布令六〇号によりましては、軍雇用者と民間の雇用労務者とを区別いたしまして、軍雇用者の場合には、昭和三十三年における軍労務者の平均日額一ドル五十六セント、これを三百六十倍いたしますと五百六十一円という基準平均日額になります。それから民間雇用の労務者の場合は、全産業別平均賃金による日額一ドル五十二セント、五百四十七円ということで、基準の日額におきましてかなりの開きがございます。  支給種目につきましては、遺族給付とか葬祭給付、障害給付、療養給付、休業給付というように大体類似いたしておりますけれども、特に違いますのは、沖繩におきましては、強姦による精神的な苦痛に対するもの、あるいは被害者が出産いたしました場合の出産費あるいは養育費、こういうものが本土にはない制度として認められておるわけでございまして、こういうものを総体的に計算していきますと、たとえば死亡でございますと、本土の給付金法の場合には、遺族給付金、葬祭給付金、それから妻に対する給付金等を合計いたしますと四十一万円。布令六〇号によりますと、遺族見舞い金、葬祭見舞い金で七十四万六千円くらいということで、かなりの差がございます。したがいまして、今回の場合は、あくまですでに補償をもらった人との均衡を保つということが主眼でございますので、布令六〇号の基準によった、こういうことでございます。

加藤陽三自由民主党

○加藤(陽)委員 よくわかりました。やはりこれは布令六〇号によらなければいかぬと思います。いかぬと思いますけれども、沖繩のほうが本土よりこんなにいいということはけっこうなことですが、本土のほうが悪いのかもわかりません。  その次にお伺いしたいのは、これは内閣委員会の理事の皆さんがおいでになったときの報告書の中に書いてありますが、「軍労働者の雇用安定対策について」ということで、米軍が復帰前に大幅な軍労働者の解雇をしようとしておるので、軍労働者の雇用安定と円滑なる復帰という立場から、米軍と強力な折衝をしてもらいたいということが第一。第二は第四種軍労働者について適切な措置を望みたい。この二つが書いてあるわけであります。聞きますと、復帰前の大幅な軍労働者の解雇ということがすでに行なわれておるようであります。長い間ストをやっておられたようでありますが、現況はどうなっておりますか。また、第四種の軍労働者についてどういうふうなことをいま考えておられますか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 かねて私どもとしましても、復帰前におきます大量解雇につきましては、社会的な不安をもたらすということで、米側のほうには、解雇はやむを得ぬとしても大量な解雇は極力見合わしてほしいということを申し入れいたしておりましたが、これは二月でございますけれども、約千六百名程度の解雇者が出ました。かたがた私どもとしましては、沖繩の現在の軍の直接雇用制度から本土並みの間接雇用制度に移行するための移行措置案につきまして、日米間で検討いたしてまいりまして、一月末にその仮合意を得ましたので、これを全軍労のほうに提示いたしまして、協議いたしておりました。そこでストライキが発生いたしましたのは、大量解雇の撤回ということを求めまして出発いたしまして、それからこの間接雇用に対する移行条件をさらに有利にしよう、こういうことでストが続いたわけでございます。  そこで、前者につきましては、米側としても解雇の撤回ということは応じられない。これは一つは、たとえば民政府のように、復帰の時点におきまして解体されるという、そういうやむを得ざる事情によりますところの解雇もございますので、米側としても、この解雇の撤回については非常にむずかしいということで、日本政府におきましては、これは総理府でございますけれども、米側から受ける退職金、さらに日本の援助費で、本土との退職金の差額あるいは見舞い金の支給ということをやってまいっておりますけれども、これの差額の支給と同時に、円レートの引き上げによりますところのいわば差損的なものを積み上げていくという措置をとられまして、これが解雇者に対する一つの措置として政府として打ち出されたものでございます。  それから、一方の間接雇用への切りかえの問題につきましては、本土との間に基本給の算定その他各種の労働条件についての違いがございますので、その辺をできるだけ、私どもとしては沖繩の事情というものも考慮しながら米側と折衝してまいりましたが、日米間で仮合意したものにつきまして全軍労としては不満である。ことに基本給につきまして勤続年数を加味した是正をしてもらいたい。それから保障語学手当、前夜勤手当についても沖繩の特殊事情を加味してもらいたい。こういうふうにだんだんとしぼられてまいりまして、それを中心にして米側と折衝いたしまして、私どもの修正案につきまして米側ものんでくれました。それを今日最終案として全軍労のほうに提示いたしたわけであります。  そこで、全軍労のほうも、当初の十日間のストライキをさらに一週間延ばし、さらに無期限ストに入ったわけでございますけれども、約一カ月間にわたりますストライキでございますので、これの影響というものは非常に大きくなってまいります。また日本政府としても非常に重大な関心事で、いろいろなそういう特別な措置を講じてまいっておりました。その辺の客観情勢なり、あるいは日米間の折衝なり日本政府の努力というものに対しまして、一応全軍労側としても了承をされ、そして全般の情勢を見て、今回、三役がストを撤回するということを発表いたしたわけでございます。  実は手続的に若干の問題が残っておるのでございます。つまり中央闘争委員会でこの戦術をきめることになっておりまして、それが物理的にいろいろな妨害のためにできないということで、三役が思い切ってスト撤回を発表した。しかしながら、事実上は大部分の支部はもうピケを解きまして就業いたしておる、一部が二日ばかりストを延期した、こういう状況でございます。

加藤陽三自由民主党

○加藤(陽)委員 それで私、一つ心配しておるのは、駐留軍労務者の健康保険組合ですね。いままでも財政状態が非常に悪かったのですが、今度また沖繩の軍労働者がこの健康保険組合に入りますと、たいへんな赤字の累積で経営が困難になりやせぬかと思いますが、これはいまどういう方針で進んでおられるのですか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 健康保険組合制度につきましては、沖繩の場合におきましては、従業員の意向をまず尊重しなければならないというふうに考えます。そこで、現在の財政状況からしますと、本土のほうは非常に赤字が多いわけでありますが、沖繩の場合におきましては、医療給付が比較的少ないということもございまして、かなりの黒字でございます。しかしながら、一応組合員の非公式な意向によりますれば、まず政府管掌の健康保険に加入いたしまして、そして医療給付等の実態を見て今後組合管掌の健康保険に切りかえよう、こういう意向のようでございますので、私どもといたしましても、今後の医療給付の実態等を十分調査いたしまして、しかるべき機会に組合管掌の健康保険に持っていきたい。その場合に、現在の駐留軍の健康保険組合と一体になるのか、あるいは別の組合をつくっていくのか、その辺はこれからの問題でございますけれども、私どもは、厚生省ともよく相談しながら、この問題が適正に処理されるように持っていきたい、かように考えております。

加藤陽三自由民主党

○加藤(陽)委員 ついでと申しては恐縮なんですが、現在の駐留軍労務者の健康保険組合の経理状況はどういうふうになっておりますか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 現在はかなりの大きな赤字を出しておりますので、実は毎年度の予算で二億程度の補助金を出しておるわけでございます。しかしながら、医療費の値上げ等によりましてさらに赤字が累積をするということで、非常に組合側としてもその対策には苦慮しているわけでございますけれども、今後も引き続き政府としても補助をいたさなければならないというふうに考えております。どうしても経営状態が悪ければ、あるいは一部の財産を処分するというようなことも出てくるかと思いますが、そういうことのないように政府として十分補助をしていきたい、かように考えておるわけでございます。

加藤陽三自由民主党

○加藤(陽)委員 最後に一つ、軍用地の地主との交渉ですね。これはいまどういうふうに進んでおりますか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 これは、本年の当初から、借料単価等の問題につきまして地主会の連合会と折衝いたしてまいりまして、三月の上旬から、各市町村の地主会に対しまして、そういう問題についての説明をし、協議をいたしてまいりました。私どもとしてはできるだけ、この借料につきましてはかねての要求の満額を認めるという形で、実は地主会の連合会の要求の百八十八億のものが、これが実際は復帰日が五月十五日になりましたので、百六十五億といいますか、これが満額認められた。ただその中で、百六十五億がまるまるいわゆる純借料ではございませんで、借料は百三億、それに若干の不動産購入費を含めた額でございます。それ以外は約三十五億が見舞い金という形で処理をされるわけでございます。  こういう点につきましてのこれまでの説明が、まだ若干控え目なところがございますので、これから、そういう内容の全貌につきまして、さらに詳細に地主会等に説明をして了解を求めたい。最終的に何%くらいの方が契約に応じてくれるか、それについての見通しがまだちょっとわかりませんけれども、かなり多数の者が応じてくれるのではなかろうかという見通しでございます。

加藤陽三自由民主党

○加藤(陽)委員 たいへん御苦労なお仕事ですが、大事な仕事ですから、どうか一生懸命やっていただきたいと思います。質問を終わります。

伊能繁次郎自由民主党

○伊能委員長 木原実君。

木原実日本社会党

○木原委員 まず、総務長官にお伺いをいたしたいと思います。  沖繩の問題につきましては、昨年の秋の国会以来、たくさんのことが論議をされ、また多くの問題が出されたのでありますけれども、残念ながらなおたくさんの問題が残っておりますし、基本的な点で私どももなかなか了解のできない点が多いわけであります。  きょう審議の対象になっております開発庁問題にいたしましても、すでに幾つかの問題が論議をされたわけでございますけれども、この法案を見ましてまず第一に疑問に思いますことは、名前は開発庁の設置法なんですけれども、たいへんにいままでのワクの中に入らない形に相なっている。たとえば、数えてみますと、国のブロックの出先機関、こういうものがたくさん包含をされて総合事務局というようなものが設置をされておる。その中には直接開発と関係をしないような省庁の出先機関も含まれておる。そうなりますと、他省の権限も場合によれば開発庁が指揮をする、こういうような関係も生ずるかと思うのですが、一体、どういうことでこれだけの大きな出先機関を集中をし、あるいはまたその権限を集約をしたのか、その辺のことから伺いたいと思います。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 沖繩の方々は、二十数年にわたって、国政事務といえる分野まで現在の琉球政府の行政の機構の中で担当してもらっております。したがって、国政事務であるべきものまで、沖繩の人たちは、自分たちの身近な琉球政府において、アメリカの関係はありますが、大体日常行政は最終処理がされておる。しかし、復帰いたしますと、県の行政としては国政事務そのものを全部やるわけにもいきませんので、そうしますと、沖繩において、許認可、あるいは行政指導、助成等の問題について、身近な住民への協力あるいは援助、サービス業務、こういうものが全部本来の国の機関であるブロック機関のほうに上がってしまいます。そうしますと、沖繩の人たちにとっては、行政というものが自分たちから非常に遠ざかっているような形になってしまうおそれが多分にあります。  しかしながら、沖繩に、しからばいままでの琉球政府のやっておりました国政事務にふさわしいような出先を全部単独でつくれるかといいますと、これまた一県でございますから、きわめて困難な状態にあります。しかしながら、一県であるといっても、最も南であり、第十管区の鹿児島からさらに離れておって、その沿海も非常に広い、そういうようなことからの特殊性で、海上保安部などについて第十一管区海上保安本部をつくるということが予算上もすでに措置がされておりまして、可能なものもあります。しかしながら、その他の部門では、おおむね単独ではブロックの長の権限が与えられない機構を、この際沖繩の住民の利便のために、現地に総合事務局を設立することによって、そこにブロックの長の権限を委譲もしくは委任するという形をとることによって、沖繩の人たちがいままで閉鎖社会の中で、曲がりなりにも国政事務まで全部身近な自分たちの政府で処理してもらっていたということが、極端に、熊本まで行かなければならぬとか、あるいは福岡まで行かなければならぬとかいうことのないように処理をしたいというつもりでやっておるわけであります。

木原実日本社会党

○木原委員 これは問題は幾つかあると思うのです。おっしゃるように、これは国のサービスだ、こういう側面を強調されるわけなんですが、一つは国家行政組織法なんというものがあるわけです。どう考えましても、いままであまり例のない、言ってみれば国家行政組織法のワクからはみ出たような機構なり体制なりというものができる。それを沖繩の特殊事情だとおっしゃる、あるいは国のサービスだとおっしゃるわけなんですが、しかし、これはたての半面からしますと、国の行政機関が集中をされまして、ある意味では、あのひよわな沖繩の自治の機能というものを上から押えつけてしまう、こういう側面も考えられないわけではないわけです。ですから長官が、サービスだ、こうおっしゃいましても、たての半面から、ましてや、いままで全く例を見ないような形の行政機関の集中、それがしかも開発庁という形で集約されるわけですから、何か行政の運営として、これから先ちぐはぐな問題を起こしてくるのではないか、こういう心配があるわけなんです。  ですから私は、振興開発という前提に立ってこういう機関をつくるわけなんですけれども、その前提の考え方の中に、サービスの名において、国が金も出すし計画も何も上から押しつけてしまう。あれだけ苦労をなめてきた沖繩の県民が求めておる自治の機能や開発についての独自の意欲というものを吸収をしていくという側面が、それにしても弱いのではないか、この機構を見てこういう感じを抱くわけですが、そういう懸念はないですか、どうですか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 これは当然、沖繩県が戦後の新憲法下の地方自治体として、本土におくれること二十年余りで再出発をさせられるわけでありますから、その点は私たちはほんとうに慎重に注意して、そういうことのないように事を運びたいと思ってまいりました。したがってこの案をつくりますとき、琉球政府との間にも十分調整もいたしておりますし、たとえば直轄工事を初めから行なう、原則としては、都道府県知事もしくは管理者あるいは市町村長等が、河川あるいは道路等について申請があった場合に国が工事を行なうことができるとしておりますが、しかし初めから、たとえば北部水系の福地ダムを含む安波、新川、普久川等のダム等については国がやりまして、それは琉球政府のほうでとても手に負えないから国でやってくれというようなことで十分に詰めてございます。  したがって、一応建議書には、そういうあまり膨大な国の権力機構が沖繩県の中に入り込んでおかれることは、地方自治を侵害するおそれがあるということが書いてございます。しかし、そのいきさつはいろいろありましたけれども、持参されました主席も、まあ、そのことばはことばとして、打ち合わせば十分に済んでおるし、今後の運用をよろしく配慮をしてくれということでございました。したがって私としては、機構権限の上からは、沖繩の本来の、他の府県ならば持っているべき自治権というものを取り上げておる部門は一つもないと思います。  しかし、今後、それだけのものが、沖繩県の自治体の範囲内において、国の出先機関としての権限を何といっても総合的に駆使するために出ていくわけでありますから、この運用の面で、沖繩県から、自治権の侵害であるというような意向の克明がなされることの絶対にないような運用がなされなければならぬ。やはりそのためには、単に機構権限のみでなくて、人の問題も十分注意して選ばなければならぬと考えております。  琉球政府の現在の職員のうちの六千人ほどを国家公務員にかわってもらうことになるわけでありますが、総合事務局には三分の二、現在の琉球政府職員の方々が移ってこられます。したがって沖繩県の人たちにとっては、大部分の人は身近な顔なじみの親近感のある人たち、そして沖繩県民が大部分で構成された実際の人的の面の出先事務局というものが発足をいたしますと、そう心配するような運営にもならないのではなかろうか。しかし、国の姿勢ということがそれに対して幾らでも響くわけでありますから、これは今後よく自粛自戒、そしていまの御質問のようなことが絶対にあってはならない本土と沖繩の関係である。本土はさかさになっても、沖繩にそういうようなことを言わせるようなことをする資格はないということをきちんと守っていきたいと思っております。

木原実日本社会党

○木原委員 これは長官、私は念を押しておるわけなんです。おっしゃるように、これは運用の中の問題。沖繩自身がジレンマを持っておるのです。これから先行きのことを考えれば、やはり国の相当の援助がなければどうにもならないという側面と、しかし従来のいろいろないきさつから、自治の機能というもの、沖繩県の自主性というものを高めないと、本土の政府はあまり信用もできないのだ、こういう実態とそのジレンマの中にあると思うのです。  いま屋良主席の話が出ましたが、おそらく屋良さんもずいぶん悩まれていると思うのです。それだけにこれは、こういう形でいけば、冒頭に長官がおっしゃいましたように、国のサービスなんだ、しかしこれは同時に権力が集中をしていくということであり、国が出過ぎちゃって自治の機能がその分だけ沈んでいく、こういう二つの側面を持ったことになると思うのです。  ですから、私がこの段階であえて質問という形で申し上げたいことは一運用と申しました、確かにこれだけの、考えようによってはたいへんな機構をつくるわけですから、どちらかに片寄ればこれは取り返しのつかないことになるという危惧は常に残っておるわけです。それを、人的な配置だとかあるいは運用の中で万全を期していくんだ、こういう御答弁なんですが、しかし、それならばもう少しそれを裏づけるような制度上の何か保障というものが考えられないか。  たとえば、同時に審議会の設置等が考えられているわけなんですけれども、それならば、やはりこの人員構成等については、かつて論議があったように私は聞いておりますが、たとえば、そこで知事の発言、あるいはまた沖繩県知事の拒否権というのですか、そういったようなものをやはり保障をしていく。国が最善だと思っても地元としてはやはり困る、こういう問題については知事がきっぱりとものが言える、そういう裏づけになる保障、制度的にそういうものを保障するという余地はもうないものでしょうか。いかがでしょう。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 これは振興開発その他の問題とも関連をいたしますが、沖繩県知事の原案作成提出権というものが認めてあります。そこで審議会について、これは私の配慮の不足でもあったのですが、関係省庁があまり多いものですから、二十五名中十三名が省庁の代表する役人であったということで、私もすなおにその御批判を受けて、衆議院で全会一致で五名増の三十名に修正されました。したがって、私のほうとしては、過半数を上回る人たちを——法律では、県知事、県議会議長、市町村長代表二名、市町村議会議長代表二名、こういうことにしてございますが、ふえましたのが学識経験者でございますから、沖繩県の代表というものを過半数その中に入ってもらうことによって、実際上は——法律で拒否権とかなんとかと言いますと、初めからぎすぎすすることを予想しておりますから、そうあっては私はならないと思います。沖繩側の言い分に十分以上に耳を傾けないと、私は、沖繩を迎えた本土政府というものは、たいへんな間違いをおかすおそれがあると思います。これは単に行政の形だけではありません。精神的にもそういう間違いをおかしてはならならいと私は思っておりますから、衆議院の御修正、最終的な、国会の決定されました審議会の人数を何のためにふやされたのであるかということを十分念頭に置いて、実質上、過半数は沖繩県を代表する見解の人たちが入っておる審議会の構成にしたい。それによって、もし時がかわって、人がかわって、本土政府が何か沖繩の自主権にそぐわないような行動をする場合に、そこがブレーキになるようなことをきちんとしておきたいと思っております。

木原実日本社会党

○木原委員 こういうことがあると思うのです。国のこういう機関が非常に強力な形で、金も出す、事業もやる、こういうことになりますと、県の仕事というものはそれだけ国のほうへおんぶしていくわけです。そうなりますと、県のほうはやはり市町村のほうの仕事にさらにタッチをしていくという形になっていく。そうなりますと、やはり市町村対県のいろいろな予測しがたいような問題が出てくると思うのです。したがって、この自治の機能というものは上へ上へと吸い上げられていってしまう。  これは沖繩だけでなくて、伊能先生もそうですが、千葉県なんかの例を見ておりましても、そういうことが間々ある。たとえば開発という側面から見ますと、最初は、貧乏県だから、それは国の事業、国の援助でできるだけ開発をやりたい。私どもの県がそうであった。ところが、それが、一定のレベルを越してしまうと、もう県なんというものは国の下請になっておるわけなんです。そういうのがもう事実上私どもの県なんかでも出ているわけなんです。それが沖繩という状態の中で、しかもこれからかなり短時日の間にそういうことが行なわれますと、これはちょっと取り返しのつかないような事態になるのではないか。  つまり、本土で間々ある、いままで体験をしてきた、そういう事例等にもかんがみて、これはどうしてもやはり万全の上にも万全を期して、開発政策を一つ立てるについても、それを実施に移すについても、ことばは長官のことばを借りますと、やはり万全を期していく、運用の中で万全を期するということなんですが、しかしそれについては、住民の意思というもので、問題が起こったときには、それについてノーと言える、ストップをかける、その発言権がより多く尊重をされる、こういうような保障というものが何らかの形でないと、私は五年先、十年先の沖繩の状態が目に浮かぶような感じがするわけです。しかも非常に経済基盤も産業基盤もひ弱いところだ。そこで国がサービスということで強大な力と予算をもって臨むということになると、やはり自治の機能が乱されてくる、それを心配するわけなんです。  ですから、審議会のことを申されましたけれども、これからも、何かそれ以外のところで、住民の声を優先的に吸い上げていくような機能、あるいはまたそれを保障をするような制度的裏づけ、そういう問題について、残念ながら、法案を幾ら読みかえしましても、そういうものは一つもないわけです。おっしゃるように、沖繩に苦労をかけたから国が一生懸命これからサービスをしてやるんだ、こういう発想なんですが、それはもろ刃の剣ですからね。だから、悪い事態になったときに住民の意思で歯どめがかけられるような、そういうものをやはり何らかの形で挿入をしておく必要があるのではないか。残念ながらこの法案のどこを読んでもそれがない。それが疑問だものですからこういう質問を申し上げておるわけなんです。いかがでしょうか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 私はそういう御意見もやはりお聞かせ願ったほうがいいと思います。ことに、先ほどちらっと触れられましたけれども、私たちは沖繩県と国という議論が多いように思うのです。やはり沖繩県になったあとの、自治体と今度は沖繩県内の市町村この問題もやはり十分念頭に置いて税、財政、行政の上で十分な配慮をしておきませんと、問題が起こってはいけない。  幸いにして、一例をあげますと、現在、安謝新港と呼ばれている那覇新港は、那覇市の管理者としての地位がきまっておりましたけれども、那覇商港と泊港は琉球政府でやる。しかしながら、どうしても沖繩の今後の発展を考えた場合に、ことにアメリカ側がまだ商港の南岸のほうを返しておりませんし、この一元管理ということがどうしても必要だということをいろいろ相談をいたしておりまして、琉球政府と那覇市と相談されて、これは那覇市のほうで一元管理することに合意をされたようであります。従業員の諸君、公務員の諸君で少しごたごたがあったようでありますが、これも大体身分の問題で、市に移ってもだいじょうぶだというようなことで話し合いが円満に進んだようでありまして、私どもの心配するようなことは、大体、県とその県内の自治体との間にはあまりかいだろうと思います。しかし、国と県との問題、あるいは場合によっては、市町村長の申請によって国がその工事をかわって行なう場合等がありますから、それらは国と市町村との関係も十分念頭に置いてやっていかなければならぬということは、私もよく承知いたしております。

木原実日本社会党

○木原委員 でき得べくんば、そういう面についての調整というか、歯どめというか、そういうものを法律の中で制度的に保障をしたい、私はこういう考え方を持っているわけなんです。  あわせて伺いたいわけですが、たとえば、開発庁、それから審議会のこれからの仕事の中で、将来の問題として出てくる可能性の問題としまして、たとえば基地のあと地の利用の問題等、あるいはまた、施設庁長官いらしゃいますけれども、おそらく防衛庁としましても、これから次第に自衛隊の派遣をやる、あと地の利用等を含めていろいろな新しい施設を持ちたい、こういう問題が起こりますね。そうしますと、沖繩の開発のさまざまな計画立案の中で、これとの競合関係というものがおそらく出てくると思うのです。そういう調整は、たとえば開発庁なら開発庁の中でやるということになるのですか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 沖繩における軍用地、なかんずく拠点島である沖繩本島と軍用地、この問題はもうずっと議論され続けてきたところであります。ことに一番利用価値の高い中南部における軍用地の占める比率というものは、これはたびたび外務大臣、総理大臣等においても議論をしてきたところでありますが、今後の沖繩の経済発展計画というものの青写真を描く上において、やはり基地の存在というものは、道路一本とってみても非常な問題を提起しております。事実、現在でも、本部半島にきまりました海洋博の輸送手段というものに、非常に基地の存在というものが設計しにくい条件を障害として提起しておる、そういう状態であります。  したがって、北谷、読谷というふうに、典型的な墓地に土地を取られてしまった村を中心として、那覇市等もそうでありますが、琉球政府全体の中でそれぞれの市町村が、自分たちのかつての市町村の土地であったものが軍用地から解放された場合にはこのように経済開発に利用したいという、皆さんがそれぞれ地域の英知を集めて設計図を描いておられるわけです。それで琉球政府のほうから、公文書でもありませんが、琉球政府が、もし軍用地というものが自分たちの自由にできる日が来るならば、それを早く望むわけですけれども、こういう計画を持っておりますという、非常に分厚い、青写真の一ぱい載ったものを持ってきておられます。これは私どもとしては、沖繩の今後の経済振興、産業開発の上にきわめて貴重なものでありますので、これを十分参考にしながら、随時今後の計画の具体的な作成にあたって、そのような意向を尊重しつつ、そしてまた、防衛、外交というようなもので、沖繩の軍用地というものがすみやかに——私たちは安保条約を承認する立場にありますけれども、その場合においても、最小限沖繩に必要な米軍基地以外のものはなるべく返してもらう、そのスピードを早くしてもらうという努力を続けると同時に、返してもらった場合におけるその利用というものは、沖繩県の長い未来に向かっての大きな発展に寄与するようなものにしたいということを考えておるわけであります。

木原実日本社会党

○木原委員 長官、それはそうなんですがね。これは、防衛庁長官もいらっしゃいますので、確認をしておきたいのですが、起こり得ることだと思うのです。つまり軍用地のあと地の利用等については、それぞれ沖繩の市町村なりあるいは沖繩県なりにビジョンがあるんですね。ところが、おそらく防衛庁にしましても、将来にわたってさまざまな防衛庁の立場からの考えなども当然あると思うのです。それの調整の場がどこになるのかということが一つと、それからもう一つは、これはどこかで調整しなければならぬわけですが、調整にあたっては、ことばを簡潔に言えば、開発優先でいくのか、部隊優先でいくのか、その辺の原則的なことはどうなのか、こういう問題を確かめておきたいと思うのですが、いかがなものでしょう。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 御質問の趣旨はわかるような気がいたします。それはやはり地元の要望ということに沿うことが、何としても私は第一だと思います。そうかといって、国防の問題というのはなおざりにできぬものでありますから、われわれ、自衛隊が必要とする土地があれば、十分地元側に納得のいく、やはり理解を進めるだけの話し合いということは必要だと思います。地元に協力してまいりたいと思います。

木原実日本社会党

○木原委員 個々のケースの問題が当然含まれるわけなんですけれども、これはやはり全体的な計画の中で開発計画がさまざまに練られているわけなんですが、そういう中で、現在は米軍基地、あるいはそこがあけば防衛庁がほしいにきまっているようなところがいろいろあるわけです。それは総務長官おっしゃるように、特に中南部の重要なところは相互に取りたい。そういうもう目に見えた問題がすぐ前にあると思うのです。  だから、そういう際に、やはり私は国際情勢だとかいろいろなことが出てくると思うのですが、しかしこれは、沖繩という島は、地元の要望を聞けば、これは非常に単純明快だと思うのです。およそ当面、名目においても、たとえば火器を持ったようなものは来てもらいたくないというのは、これはさまざまな意見がありますけれども、平均的な要望だと思うのです。そうなりますと、やはり私は、開発振興ということにあたっては、文字どおりこの民意を尊重をして、開発振興にまず優先権を与える、こういう姿勢でいくのか、それともやはり、いろいろな問題の多い地域だから、そうは言っても、防衛庁長官はことば巧みにお答えになりましたけれども、必要最小限度の中で国防の目的を果たしたいということ、それはそうだと思うのです。しかし、これは別の形でいきますと、やはり開発の中にその部分がかなりのウエートを占めて入ってくる状況にあることもまた間違いない。これは基本的に一番大きな問題で、解決のしにくい問題だと私は思うのです。それだけに、将来にわたってともかく民意を尊重して開発優先でいくのだ、こういう原則というものが確認できるのかどうかということなんですね。  防衛庁長官の立場もわからぬわけではございませんけれども、私はやはり、原則的なことは非常に大事なことだし、そのことによってこれから開発庁の仕事というものもかなり左右されるのではなかろうか、このように考えるわけなので、現に起こっておる個々の問題以上に、将来にわたっての原則的な立場というようなものが表明できないものかどうか、これは総務長官いかがでしょう。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 これは日米合同委員会のほうで、沖繩の日本返還ということになって定められた範囲のものは、私どもとしても、返還に伴うものとしてやむを得ないものだと思います。しかし、今後米側が撤退をしていった基地は全部自衛隊が行くのだということには、やはり現実においてもならないのだと私は思うのです。そこのところは、防衛庁長官も言っておられましたように、地元の開発計画あるいは沖繩県全体としての経済開発計画と照応しつつ、自衛隊というものがどうしても必要な場所があるならば、前提は十分なる話し合い、理解というものの上に立ってでありませんと、行ってみても、実際は周囲から白眼視された基地というものも、アメリカの基地なら別として、われわれ日本の自衛隊というものが維持するということはあまり好ましいことではないと私は思います。したがって、本土においてもそういう傾向があるわけでありますから、沖繩においては、まして基本的には、沖繩県民の素朴な感情として、昭和二十年の戦争が終わった瞬間から自衛隊というものに対する理解が全くなくて、いま旧軍のイメージというものと、沖繩側からすれば、自衛隊への理解が過程として全然存在しなかったまま、突如直結しようとするような気持ちを受けておられるわけでありますから、ここらのところは、防衛庁長官といつも私は話しておりますし、総理も非常にその点を心配しておられます。  そこで、そういう基本的な問題もございますから、今後、沖繩のあの狭い地域における広大な宙用地、しかも利用価値の最も高いところが基地になっておるということを十分踏まえて、沖繩県民の要望というものは、即時基地の完全撤去であるということをやはり念頭に置いて、その目標のもとに進めるような経済計画というものが、基地も含めて消化されていくように努力をしたいと思います。

木原実日本社会党

○木原委員 ちょっと話が違いますけれども、旧軍のイメージという話が出ましたのでこの際伺っておきたいのです。  どうもなかなか言いにくいことなんですけれども、いまも沖繩で非常に問題になっていると聞いておるわけですが、私自身も一昨年沖繩に参りましたときに、その話を非常に聞かされた。例の伊江島、久米島等における終戦前後の旧軍による地元の人たちに対する一つの凄惨な自決の強要であるとか、あるいは殺人というような問題が、あらためて問題になっておる。沖繩の人たちにとっては、文字どおり自分の庭先が戦場になったわけでありますから、われわれは本土で、さまざまな空襲や、あるいは原爆の洗礼を受ける等の、これまた戦争の被害を真正面からこうむりましたけれども、それとは性格の異なる事態が起こった。しかも、それがなお二十七年を経て氷解をしていないどころか、その当事者、おそらくわれわれと同じ世代の、私どもにとっては広い意味の戦友だろうと思いますが、そういう諸君が、あの終戦前後の中で狂気の状態になって殺人を繰り返した、こういうようなことが問題になっておるのは御承知のとおりであります。  先般も参議院の委員会で、喜屋武委員のほうから総理に対する質問があったと聞いておりますが、私はやはりこの種の問題については、これだけ問題になっていることでもあるし、でき得べくんば何かの措置をすべきだと思うのです。ただ、法律的その他によって、遡及をして下手人等に対しての追及をするということが困難だと聞いておりますけれども、しかし私は、やはり黙視することができない、そういう思いにかられるわけなんです。一面では、それに手を下した同胞を追及すること等も、日本人の感情としてはなかなかやりにくいことなのですが、しかしながら、適切な措置をとり、問題の解決の方向をはかっていく、こういうことがやはりいまだ残された問題の大きな柱ではないのか、こういう感じがするわけなんです。しからばといって、どういう措置をしたらいいかということについては、私も別に考えがあるわけではありません。しかしながら、ただこのままこの問題を見過ごして、あのときはどうも悪かったというだけではやはり済まない問題があるわけなんです。これがおそらく自衛隊に対する感情の問題にもあらわれてくるでしょうし、あるいはまた本土に対する不信感、本土との断絶を引き起こしておる要因でもあろうかと思うのです。そこで、総理は、できればお見舞いでもというような御発言があったというふうに聞いておりますけれども、これは総理府の仕事だと私は思いますけれども、このような事態についてやはり何か適切な対策を考えていく、こういうお考え方はございませんか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 どうも今回の表に出ました久米島事件というものは、われわれやはり同じ日本民族の中の——もっとも戦場心理学というようなものもあるぐらいでありますけれども、しかし、それにしても、同胞の中における問題として深く心をえぐられた気持ちがしております。したがって、沖繩においては、久米島出身者というものを中心にして、広い県民運動的に広がっておりますことは、この事件をあらためて掘り起こして、反省の色が見えないということで——実際にその加害者であった指揮官が生きている。しかも談話にもテレビにも記事にも、見るところ、それを何ら反省していないのだというようなことから、たいへんな波紋を現地で起こしておるわけであります。  これは総理から私に指示がありまして、現在、アメリカの軍人から受けた損害については、講和以前の補償漏れというようなもの等を含めて防衛庁が法律を持っておるわけでありますから、大体そこで処理するにしても、私は前に、沖繩戦が実質上終結し、米国から言えばニミッツ布告が出た、それからあとは日本本土はなお戦っていて、八月十五日に戦争が済んだまでの間に講和前人身損害というものがあったならば、その間は実際上は戦場として占領された状態にあるわけでありますから、これは絶対になかったと言えないであろう。したがって、その問題は総理府が窓口となって十分にそういうことに対する補償をしよう、その調査をしよう、こういうことにしておりますが、さらに、今回の問題は日本の軍人によって引き起こされた事件であります。このように明確に表に出てまいりますと、総理もこの点を心痛されて、すみやかにまず事実関係というものを明らかにして、そうして国において、これは被害者のほうでありますが、何らかの措置をとるようにという指示がありました。私どもは即日、開発庁の沖繩事務局に電話いたしました。いまその事実関係の調査に当たらせております。  そうなりますと、これは最終的には、日本が降伏をいたしました後、八月の二十日までその行為が続いたわけであります。しかし、やはり戦争中にも行なわれておるわけでありますから、これは、講和前とか、あるいはまた日本降伏後とか、あるいは沖繩における戦闘が停止した後とかいう区別が実はつけにくくなってまいります。そこで、日本軍によってほかにもそういう事例があり得る可能性を秘めておりますので、したがって、それらの問題も含めてすみやかに調査をして、同胞によって、戦争の異常な心理状態の中であっても、家族や、あるいはとおとい、かけがえのない自分自身というものを失っていかれた人たち、しかも何のいわれもないそういう人たちに対して、国は何らかの責めを負わなければならないだろう、私はそう思うわけであります。  しかし、いまの段階では現在調査を命じておりますので、その事実関係が——一応報道等ではわかっておりますけれども、やはり措置をするのには、その件だけではないのではないかという気持ちもしておりますので、実態を把握して、そして国の責任において措置をする。とりあえず総理がそういう指示をしておられますから、その総理の姿勢を受けて総理府のほうの出先においていま調査中である、現段階ではこの程度しか答えられないのであります。

木原実日本社会党

○木原委員 戦争が終わりまして、戦争裁判というのは旧敵国によって行なわれたわけです。戦争中にかけて各地でいろいろなはなはだ軍規を逸脱をしたような形の行為が行なわれたという事実もたくさんあるわけであります。残念ながら戦争犯罪をさばくということは旧敵国によって行なわれた。そういうことをわれわれは顧みまして、それはそれで、戦争中のことは悪うございましたということで今日まで来たと思います。しかし、深く追及をしていけば、戦争というものの持っているさまざまな人を狂わせる状況や、あるいはまた、われわれ日本人の中に、何か特定の状況の中に置かれればそのような行為に走らせるファナチックな体質があるのではないのかというようなことを考えますと、この問題は、私は一つには、やはりきびしく事態を追及すべきだと思うのです。  いま調査ということをおっしゃいました。私も何回か沖繩に参りましたたびごとに、いろいろな話を聞かされました。聞きました。いろいろな記録もあるわけであります。それから生き残られた方々が、まだ元気で証言に立つ方々もたくさんあるわけですね。これは伊江島やこの久米島だけの問題ではなくて、他にも、決戦場になった周辺にも、それに類した行為がたくさんあるように聞いておるわけなんです。したがいまして、私は、ただたまたまその一部が問題になっているということではなくて、調査をされるのならば、やはり思い切ってこれらの事態について、いまならまだ間に合うと思いますから、十分な事実関係を究明をし、その上で国として何ができるか別にいたし止して、われわれは、やはりこれからのわれわれの戒めとしましても、きびしく調査をして、そして国としてできるだけの適切な措置をとる。そのことによってあの行為が償われるわけではないと思いますけれども、これからのわれわれのいろいろな姿勢を正すという意味でもそういう措置をとるべきではないのか、こういう考えを持っております。  したがいまして、長官の御答弁の中に、総理の指示で調査に乗り出し、できるだけのことをしたいという御答弁がございましたけれども、これをさらにもう少しきびしく、それから、同じ調査をされるのならば、思い切った徹底的な調査を行なって、そしてその上で適切な措置をとる、こういうふうにしてもらいたいと思うわけでありますが、いかがでしょうか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 そのとおりいたすつもりであります。

木原実日本社会党

○木原委員 話が少し横道へそれましたが、一つ防衛庁のほうに伺っておきたいのです。  いままでの沖繩県の職員の一部が新しくできる施設庁に吸収をされる、こういうことなんですが、職員の移管というのはスムースにいく予定ですかどうですか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 琉球政府と相談いたしておりますが、私どもの一応の人数としては約六十名を予定いたしておりますが、この六十名は何とか確保できるのではなかろうかというふうに考えております。

木原実日本社会党

○木原委員 アメリカ局長がおいでですので、この機会に少し伺っておきたいのですが、御承知のように、例の電報の問題が明らかになりまして、実は私どももがく然といたしました。いろいろいままでもやりとりがあったわけでありますけれども、残念ながらああいう事実が明らかになってまいりますと、沖繩協定そのものにまだたくさんの問題が残っているのじゃないのか。つまり、返還協定そのものをもう一ぺん洗い直して、疑い直さなくちゃならぬのじゃないか、こういう印象を受けたわけなんです。  そこで、いままで出ました問題はともかくとしまして、いま問題になっております例の事前協議の問題、これもずいぶんわれわれ問題にしてまいりました。初めから、これは一つの歯どめになるのだという政府側の見解であったわけですけれども、非常に形式的で実質の伴わない措置ではないか、こういう考え方をしばしば申し上げてきたところなんです。  ところが、最近、御承知のようにベトナムの情勢が急展開をしますと、今度は、本土からおそらく直接に移動をした、あるいは出撃したと考えられるような事態が起こってきたということになりますと、これからの沖繩にいるアメリカ軍の行動は、現在はまだアメリカの施政権下ですが、一カ月後に迫った返還後に、はたしてうまく切りかえられるのかどうなのか。ましてや、沖繩の返還にあたっては、アメリカ側の責任ある人たちの発言の中で、従来どおり自由に使えるのだ、こういう発言がしばしばあったわけであります。そうなりますと、沖繩が返還をされれば沖繩に安保条約が適用される、安保条約が適用されれば事前協議制がここでも生きてくるのだ、それが歯どめになるのだという政府側の説明、それと、これからの事態の推移の中で、一体いまのような事前協議制なんというものがほんとうに歯どめになるのかどうかということを、もう一ぺん沖繩の状況に照らして考え直さなければならないような、そういう感じがするわけです。  そこでお伺いをするわけですけれども、返還協定の交渉の中で、たとえばこの事前協議制について、沖繩基地の使用等について、何か日本の政府側から、たとえば、事前協議制は弾力的に運営をいたしますとか、アメリカ側の意向を十分に尊重して支障のないように措置をしますとか、こういう約束みたいなことはやっていらっしゃるというような事実はないでしょうね。

吉野文六外務省アメリカ局長

○吉野政府委員 御存じのとおり、沖繩返還協定の原則はいわゆる核抜き本土並みということで、六九年の十一月の共同声明できまったわけでございますが、そのときの本土並みというのは、安保条約及び地位協定を、日本の本土と同じようにそのまま沖繩に適用する、こういうことでございます。そこで、いま先生のおっしゃられましたような、安保条約ないし事前協議の運用について、沖繩の基地については何か弾力的な扱いをするような了解なり合意というようなものは、もちろん何らございません。  御存じのとおり、沖繩協定、条約は、アメリカの上院において八十四名賛成、六名反対という形で通過したわけでございます。そのときの六名の反対議員の意見は、沖繩が日本に返還されること自体については何ら異議はないのだ、私たちもこれに大いに賛成したいのだ、ただし沖繩が月本に帰った場合、安保条約及び地位協定がそのまま適用される。したがって、沖繩の基地が従来と同じように自由にアメリカには使われない。そうするとアメリカとしては、韓国や台湾に対するアメリカが持っておる防衛の義務を満足に果たし得ない。したがってこの点から沖繩の返還には反対である、こういうように述べております。この点から見ましても、沖繩の返還自体は、まさに彼らが指摘しているように、自由には使えないのだ、日米安保条約及び地位協定に従って事前協議がかぶさって使われるのだ、こういうことでございます。

木原実日本社会党

○木原委員 それならば、ジョンソン次官その他がアメリカの議会で証言しておる中にも、そういうことばがあらわれてくるわけですけれども、従来どおり変わりない形で使われるのだという意味の向こう側の発言が、しばしばわれわれの目にもとまるわけなんです。そうしますと、それは言ってみれば、向こう側のそれこそ議会対策用のことばだ。あるいは、従来のように使えないから六名の方が反対をして議会を通過した、こういうことなんですけれども、しかし、それにしてもアメリカ側の姿勢というのは、非常に弾力的な運用というものにむしろ期待を寄せて、だからこそ沖繩の基地は半ば永久的にアメリカが自由に使える価値の高い基地だ、こういう形で議会で答弁をして説得をした傾きがあるわけです。  だから、私どもとしては、局長はそうおっしゃいますけれども、あるいはまたその際に、事前協議制というような歯どめの協定はあるけれども、しかしこれは、現在われわれが目の前に見るように、そういうものはあっても、形の上では歯どめになっているけれども、実質的にはアメリカが自由に使えるのだ、こういう解釈でそういう発言をしているのか。いずれにしましてもわれわれとしては、たいへん疑わしい側面が多いわけなんです。ですから、そうなりますと、現在ある岸・ハーター交換公文による事前協議制というものが、これが初めから、運用によってはたいへん抜け穴、抜け道の多い協定ではなかったのか、こういう感じを持つわけなんですが、そういう点はいかがでしょうかね。

吉野文六外務省アメリカ局長

○吉野政府委員 御存じのとおり事前協議は、われわれとしては、日本が日本の欲せざる戦争に巻き込まれない、こういうことを主眼として入ってきたわけでございますし、アメリカといたしましては、万一日本を戦争に巻き込むようなことになるならば、日本の基地というものは、日本国民が心からこれをサポートしてくれないと、実際上基地としての役割りをなさない、こういう観点からできてきているわけでございます。したがって、事前協議を彼らがないがしろにして日本を戦争に巻き込むようなことは、彼らとしては得策でございませんし、またそのようなことは事実上ないわけでございます。  一方、事前協議というものは、それ自体の性格上、たとえば日本から日本の基地を使って直接戦闘行動に参加する場合、こういうような形で考えられております。しかしこれは、非常に形式的な、いわば典型的な例でございまして、実際問題として、そのような例はいままでないわけでございますから、したがって事前協議のようなケースはいままでなかった、こういうことでございます。しかしながら、アメリカといたしましては、これは日本も同様なんですが、安保条約及び地位協定は、極東の平和及び日本の安全のためにあるのだ、したがって、その範囲内においての基地の使用片わがほうも喜んで提供する、これが現在の安保条約のたてまえでございます。したがって、あくまでも日米間のそういう信頼関係に基づいて事前協議もできているわけでございます。  問題は要するに、アメリカが日本の基地を全面的に使って戦争する、こういうようなことはわれわれとしては予見していないわけです。あり得ないわけなんですが、しかしそういう場合には、当然日本国民の支持を得なければ日本の基地は使えないわけでございます。そういう点を考えますと、いろいろ形式的な問題が考え方としてはあり得ると思いますが、われわれはあくまでも、事前協議というものはそういう意味で解釈すべきものである。したがって、その他のいろいろの抽象的な議論というものは、実際問題としては、単に法律ないしは運用の問題として考え得るが、事前協議の運用によって、あるいは運用しないことによって日本が好まざる戦争に巻き込まれる、こういうことはあり得ないと考えております。

木原実日本社会党

○木原委員 ベトナムの事態などというものは、大体想定しておらなかったでしょうね。国民の支持を得られる云々というような御発言がございましたけれども、どうですか。いままでは少なくとも、たとえば岩国から沖繩へ飛び立つ、沖繩からベトナムへ行く、こういういわば中継的な形で事前協議の必要がないという形になっていたわけですね。ですから、この交換公文ができましたときの状況等、たとえば朝鮮に何かの起こる可能性みたいなものは想定していたけれども、ベトナムにアメリカが出撃するなどということは想定していなかった。そういう状況の中でできた事前協議制ですね。ですから、私どもが心配いたしますのは、いままでは沖繩からベトナムヘまっすぐ行っていたわけですが、今度沖繩が返ってきましたときに、はたしてアメリカのいろいろな戦略とか作戦を考えました場合に、何か便宜の措置が講じられるのかという想定に立ちましても、なかなかそうはいかないだろう。だから、この事前協議制そのものは、ベトナムのような状態を想定していなかった。たとえば朝鮮に何かが起こったような場合は、これはたいへんだから、国民の支持を得るために事前協議制というようなことは考えるけれども、ベトナムのような状態は少なくとも考慮していなかった。しかしいまや問題は、ベトナムに今度は日本の領土の一部である新しい沖繩から出撃が可能になってきた、こういうように事態が変わってきていると思うのです。そこで、事前協議制について、いままでの考え方や運用の問題についての態度やそういうものを、やはりあらためて変更していく時期が来ているのではないか、こういう感じがするのですが、いかがですか。

吉野文六外務省アメリカ局長

○吉野政府委員 先生のおっしゃいますように、安保条約のできた当時、ベトナム戦争というものはいまのような形では考えていなかったのだろうと思います。しかしながら、御存じのとおり、六九年に日米共同声明が出た。なお、その共同声明の中に、いわゆるベトナム条項というものが入っておりまして、場合によっては、いまの沖繩返還協定についても再検討し得るというような余地も残しておったわけでございますが、しかしながら、現在まで、また将来ももちろんないわけでございますが、沖繩協定は、実際現在のような形で結はれ、批准され、そして沖繩が返ってくる、こういう段階になってきておるわけでございます。そしてその間、御存じのとおり、アメリカは少なくとも地上軍隊を沖繩から漸減しておりまして、今後もその漸減の傾向が続くだろうと思います。したがって、沖繩がベトナム戦争のために基地として使われるという役割りは非常に少なくなったわけでございます。  なお、基地として使われるにつきましても、直接沖繩がベトナム戦争のための発進基地として使われずに、あくまでも補給基地として使われる、こういうように使われる場合も考えられているわけでございます。  なお、いろいろいま言われております、沖繩ないし日本の本土からベトナム戦争のためにアメリカの飛行機なり艦隊が出撃するという事例につきましては、これはあくまでも、御存じのとおり、まずベトナムないしはベトナムの沖合いに出かけまして、そこで新たに作戦行動を開始するわけでございますから、したがってこれは形式的にも、われわれとしては事前協議の対象にならぬ。また、日米安保条約のたてまえ上、極東の平和ないしは極東の平和を脅かすような周辺の事態に対しては、日本の基地は、その程度の使用であればこれは差しつかえない、こういうことになっておるわけであります。

木原実日本社会党

○木原委員 それで、ことばをとらえるようですが、その程度の基地の使用と申しましても、どうも子供のような話ですよね。日本から出ていく、日本の港から、あるいは日本の基地から出ていく、そこでは出動命令は受けてない、どこかで出動命令を受けたから行きました、これはまことに形式だけの問題でして、実質的には日本の港や日本の基地から出ていったという事実には変わりはないわけであります。だからこれは、それこそ国民をごまかすための一つの手続上の措置でしかない。実態は日本から出かけていっておる。まして沖繩からは従来もかなりの出動が行なわれている。補給基地といいますけれども、補給ということの持っている作戦上の意味は、私は非常に大きいと思う。しかも、一カ月後には沖繩が返ってくる。日本の本土の一部の沖繩から今度はともかく従来どおりの行動が行なわれる可能性というものは非常に多いわけですね。その際にも、沖繩を飛び立つときには作戦命令は受けてなかった、台湾の空かどこかで命令を受けたからベトナムに行ったんだ、こういうようなことが繰り返されれば、私は、国際的にも国内的にも、そういうのは通用しないと思うのですね。まさに国民の意思に反して日本の国土の一部が他国の戦争の道具に使われている、こういう事態になることはこれは目に見えていると思うんです。それが言ってみれば、われわれを含めて、特に返還後の沖繩の人たちの非常な心配の一つであることは事実なんです。  ですからこの際、自由出撃の問題等についてあらためて問題が出ているわけなんですけれども、それからまた、報道によりますと、外務省も、何らかの形で問題を洗い直してアメリカと交渉をしたいという何か報道がありますけれども、それをおやりになるのなら、もう少しきっちりした歯どめになるような形の問題を出してアメリカ側から約束を取りつける、こういう姿勢で交渉はできないものですか、どうですか。

吉野文六外務省アメリカ局長

○吉野政府委員 木原先生の御指摘の点は、われわれも案件としては十分考慮しているわけでございますが、いわゆる直接戦闘のために日本の基地から発進する、これは少なくとも、形式的にそういう要件を満たすものが事前協議の対象になる、こういうことになっておるわけでございます。したがって、これ自体がいいか悪いかという根本問題がございますが、これはあくまでも、日本が日本の欲せざる戦争に直接巻き込まれることから防ぐ、これが主たる目的でございます。そしてその点につきましては、先ほど申し上げましたとおり、アメリカ政府としても十分われわれの政策ないしは意図を理解しているわけでございます。  なお、一般に日本の基地が将来安保条約のたてまえからどういうように使用されていくか、あるいは米軍の行動が将来、日本の安全あるいは平和のために、極東の平和のためにどのように使用されていくか、こういう根本問題は、これは時の流れとともにしょっちゅう変わっていくわけでございますから、こういうことを含めまして、近い将来米側といろいろ協議していきたい、こういうふうにいま考えております。

木原実日本社会党

○木原委員 どうも局長の言われること、さっぱりわからないんですが、それじゃアメリカ側と何を交渉されますか。たとえば岩国からファントムがベトナムに行っていたという事実が報道された。あるいはまた横須賀から攻撃型の空母が相次いで出港をした、それがベトナム水域へ行っているという事実が明らかにされておりますね。そういう事実を踏まえて、事前協議の問題についてアメリカ側と何を交渉されるんでしょうか。その事実を確かめるだけのことですか。あるいはあの事実はいけなかったというふうに抗議をされることですか。あるいはこれからの事前協議の運用について、もう少しきびしく、少なくとも沖繩返還ということを踏まえて、ベトナムの情勢はどうなるかわかりませんけれども、少なくとも沖繩から大手を振ってアメリカの飛行機その他の出動が行なわれるというようなことについては、これはもう日本としては許しがたいことだ、こういう観点で交渉されるんですかどうですか。

吉野文六外務省アメリカ局長

○吉野政府委員 ただいま、その事前協議の関係についてアメリカ側と交渉すると先生はおっしゃられたわけでございますが、われわれは、いまのところ交渉ということは考えておりません。ともかく日米間でお互いに、安保条約及び地位協定をどういうように運営していくかということについてもっと理解を深めるために協議していきたい、こういうように考えているわけでございます。  なお、その事前協議の具体的な事例につきまして、一々、これが事前協議の対象になるかならないか、こういうことをやることは、ある意味では形式的には多少の意味がございますが、実際問題としてはそういうことは、われわれとしては、それほど大きな意味合いは持たぬじゃないか。すなわち、先ほど先生自身が申されましたように、一体どういう場合に日本の基地から直接発進したことになるだろうか、この例を一つとりましても、われわれの見解は、日本の基地が直接戦争のために使われた場合に事前協議の対象になる。したがって、たとえばベトナムに岩国から海兵隊の飛行隊が飛んでいきまして、どこかの飛行場におりて、そこで補給をしたり作戦命令を受けたり、あるいは爆弾を積んで北ベトナムに爆撃に行く、こういうことは形式的にいえば事前協議の対象にならないわけです。したがって、それを事前協議の範囲に含めるとか含めないとかということは、これはやはり事前協議の本質が、あくまでも日本を日本の欲せざる戦争に引き込めないためにわれわれとしても歯どめが要るんだ、また米側としても、日本国民の支持を受けないような戦争を日本の基地から直接行なうことはないんだ、こういう精神からいたしまして、多小問題の性質が違う。したがって、われわれとしては、米側ともっと今後協議によって理解を深めていきたいというのは、全体として日本の安全をどのように安保条約及び地位協定の規定により守っていくか、こういうもっと根本的な問題にあるんじゃないかと考えております。

木原実日本社会党

○木原委員 根本的な問題とおっしゃるわけですけれども、局長がいまお述べになりましたようなことでは、確かに六〇年安保の改定のあとで岸・ハーター交換公文が出た段階は、まだ日本の立場はアメリカに対して弱かったと思うのです。だからなかなかむずかしいところもあったと思うのです。しかしその後のいろいろな事態の推移もあります。しかも、まさかと思っていたんですけれども、岩国や横須賀あたりからおそらく直接にベトナム水域あるいはベトナムに向かったというような事実も明らかになってきている。ましてや沖繩が返ってきて、何らそれについての歯どめがはっきりしない。局長の答弁を幾ら聞きましても、その辺がはっきりしないわけなんです。それならば、これはおそらく、沖繩の人たちを含めてわれわれの不安というものは、ちょっとぬぐい去りがたいものがあると思うのですよ。いろいろな根本的な問題を理解を深めるんだと言うんですけれども、やはり出てきた事実については、せめてやはり、遺憾であるぐらいの抗議をするくらいの姿勢がないと、相手は戦争をやっているわけですから、多少のことはやる立場にあるわけなんですよ。それだけに私どもとしては、ベトナム戦争が拡大をすることを欲していないし、われわれの国土の中から作戦用の飛行機が飛び立つことを決して歓迎をしていない。これは国民のすべての意思だと思うのですね。そういう意思がある以上は、少なくとも念には念を入れて、本土にあるアメリカの基地、あるいはまた返ってくるアメリカの基地のこれからの使い方について、もう一つ進んだ約束なり何なりをとりつけるべきじゃないでしょうか。  そうしませんと、これは抜け穴だらけで、十数年前にできた事前協議制そのものがおかしくなっているということは認めるわけですけれども、こんなものじゃ間に合いませんね。だから、そうではなくして、根本的に理解を深めるというなら、やはり十分に日本の立場を強調して、少なくとも安保を適用するということの限界というものをもう一ぺん締め直していく、こういう姿勢がないと、せっかく沖繩が返ってくるわけですけれども、依然として不安は残る、そういう感じがするのです。  私は逆に非常にいい機会だと思うのです。アメリカの行動をつかまえて、かりにも返ってくる沖繩が、こういう何か目先をごまかしたような形でしょっちゅうやられたのでは、理解しようにも理解ができない、こういう形で新しい事態の上に立って歯どめを求めるという姿勢でアメリカに交渉といいますか——交渉じゃないんだと言いましたけれども、文字どおり交渉をするという、そういう立場はできないものですか。どうも外務省というのは、申しわけないのですけれども、そういう面で非常に弱いと思うのです。これは沖繩県民の感情や国民の感情からしますと、こんなにずれているのですよ。どうでしょうか。

吉野文六外務省アメリカ局長

○吉野政府委員 先生のおっしゃる点も、私としてはよく理解するわけでございますが、また沖繩につきましては、ともかく基地が多過ぎる、したがってそれを整理して統合していかなければいかぬ、そのためにはアメリカの理解も求めていかなければいかぬ、ここら辺の事情はよく理解し、またそのために努力を続けていきたいと思っております。  しかしながら、全般の問題といたしまして、安保条約及び地位協定の運営との関連において、一体アメリカが日本を含む極東に対して今後どのような観点からその安全を確保していこうと考えているのか、こういう根本問題がまずあるわけでございます。御存じのとおり、ニクソンの訪中とかいろいろの事態によって引き起こされた現在の流動的な情勢の中におきまして、アメリカが今後どういうような政策で一体極東に対して臨んでくるのか。またわれわれとしては、どういうようなことをアメリカに求めていくのか。そしてさらにそれでは、その関係において、日本の安全を保ち、あるいは極東の平和を確保していくためには、どういうような政策であるべきか。こういうようなことをまず探求していかなければならぬだろうと思うわけでございます。その意味で私は申し上げた次第でございます。

木原実日本社会党

○木原委員 これはもういいでしょう、そういう姿勢ですとなかなかかみ合いませんから。ともかく、沖繩が返ってくるという事態を踏まえて、いまお話しのようなことでございましたら、やはり安保の運用についてきちんとした限界をつくり出していくように、私は努力を、求めたいと思うのです。  時間がありませんので、もう一つ伺いたいのですが、沖繩返還にとっての大きな柱であった核抜きの問題、沖繩から核を撤去をしておる状態について、何か情報がございますか。

吉野文六外務省アメリカ局長

○吉野政府委員 この点は、実際上核をどうやって抜いておるかという状況だろうと思います。この点は、御存じのとおりアメリカは、一切われわれにその状況を知らせる立場にない、こういうことを申しておりますし、われわれとしても、いろいろ現地の情報を集めておりますが、われわれとしてこの状況を知るような情報を持っていないというのが現状でございます。

木原実日本社会党

○木原委員 返還の時点で核がないという状態になるのだ、こういう従来のことなんですが、そうしますと、撤去しているかどうかもさっぱりわからないということなんですね。私はこれが非常に気になるわけなんです。核というのはたいへんな機密事項ですから、どういう形でやっているか、それはわからないと言えばわからないわけなんでしょうけれども、しかしその動きが何ら知らされていないということは、機密であるだけに別な意味で不安なんです。それは、返還の時点でアメリカ側から一方的に宣言か言明が行なわれるということなんですか。

吉野文六外務省アメリカ局長

○吉野政府委員 いまのところ、アメリカ側から核を撤去したという確認をアメリカ政府の名においてわれわれに対して通報される。どのような形になるかわかりませんですが、おそらく大統領が、直接これについて認識しているということがあらわれるような形で、われわれに対して確認が与えられるだろうとわれわれは期待しております。

木原実日本社会党

○木原委員 われわれが得る現地からのいろいろな情報の中では、何か抜くのじゃなくて施設がふえているのじゃないかという情報がしばしばあるわけなんです。しかも、従来もしばしば問題になりましたけれども、それを確認するすべはこちら側は一つもない。そういう中で、局長おっしゃいましたように、アメリカ政府からなくなりましたよ、これだけのことなんですよ。これは従来もいろいろ問題になったことですけれども、依然として私どもは不安です。もうすでに五月十五日が目の前に来ておるわけなんですけれども、幾ら機密事項だとしましても、中間的に、どういうことになっているのだというくらいの問い合わせばできないものですかどうですか。

吉野文六外務省アメリカ局長

○吉野政府委員 この点につきましては、われわれも再三アメリカ側にいろいろ照会しておりますが、先方の答えは常に、この点については何ら言い得ない、したがってともかくアメリカ政府の最高責任者が日本政府の最高責任者に対して与えた約束をひとつ信じてほしい、こういうことでございます。

木原実日本社会党

○木原委員 先ほど防衛庁の装備局長が、ナイキ等の撤去にあたって、これを非核化するために本土に運んでやりかえるのだ、こういう説明がありました。これはそのとおり行なわれるのですか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 そのとおりに行なわれます。

木原実日本社会党

○木原委員 ナイキハーキュリーズ等は防衛庁も持っておるわけですし、これも核兵器の一部であることは間違いございませんが、ただ、それをアメリカのほうから日本に運んできて手直しをするということですけれども、そこには核弾頭をつけることになっているわけですし、それ自体は核兵器ですから、これはかなり機密度の高いものです。それを今度日本のほうでさわるというわけですから、そうすると、核弾頭を入れる装置そのものが技術的に明らかになるわけです。そういうことを含めてオーケーをとった、こういうことですか。

久保卓也防衛庁防衛局長

○久保政府委員 これは、FMSと申します米軍からの軍用品の買い取りの中で話が出ていると思います。私、ちょっとタッチしておりませんので承知しておりませんが……。ただし、ナイキJを日本でつくるときには、すでに当初から青写真を持っておりまして、それに基づいてつくったわけでございますから、これは防衛機密になっておりますが、その限りにおいて、知識が全然ないというわけでもないと思います。したがいまして、ナイキJをつくったと同じ操作過程において改修ができると思います。

木原実日本社会党

○木原委員 ナイキをJの型式に変えていくというと、私はやはり、アメリカのかなり機密の高いものを日本の手で直すということになると思うのですね。そうなりますと、私はこれは外務省の姿勢に関連をすると思うのですが、他の分野では、ある意味では日本が機密の問題に触れているわけですよ。ですから、撤去のやり方はいろいろあると思うのですが、これだけ沖繩返還にあたっての国民の一番大きな関心の問題であった。政治的にも一番大きな問題であった。それならばもう一歩突っ込んで、われわれが心配をしておるというような点について——幾つかの問題があると思うんですね。それらの点について、せめてアメリカ側に、核の撤去の状態はどうなっているんですくらいの中間的な問い合わせをして、そして確かに核は撤去されているんだということくらいは、何か国民に知らせるということができないかと思うんですがね。それが、ただこのままいきまして、五月十五日になってアメリカの政府から、なくなりましたよと言われただけでは、ああそうかというだけのことだと思うのです。私はその辺が非常に気がかりなんですが、再度伺うようですが、その点どうですか。できないものでしょうか。

吉野文六外務省アメリカ局長

○吉野政府委員 この点は、先生の御指摘のとおり、われわれも、何回も何回も実は念には念を押していろいろ照会しておりますし、またサンクレメンテにおきましても、この問題を含めて先方に照会したわけでございますが、結局、結論といたしましては、先ほど私が申し上げましたとおりでございます。  なお、返還日が五月十五日にきまったということは、米側がそれまでには、すべて日本に対して、あらゆるものを協定どおりに引き渡す用意ができた、こういうことだと御解釈願って差しつかえございません。

木原実日本社会党

○木原委員 最後に尖閣列島の問題を一つ聞いておきたいと思うのです。  その前に、これは防衛庁長官にお伺いするわけですが、自衛隊が沖繩に配備になりますと、識別圏の中に入っている尖閣列島は、当然パトロールを海なり空から行なう範囲に入るわけですね。どうでしょう。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 日本の領土であるということで確認されておりますので、これは入れていくという方針であります。いま、パトロール等にあたりましては、さっき防衛局長も申しておりましたように、相手方を刺激しないように十分配慮をしていきたい、こういう考え方であります。

木原実日本社会党

○木原委員 これは先ほど加藤さんも何か触れておられましたようですけれども、少なくとも来年の一月までには、アメリカ側のレーダーで誘導されながらいろいろな任務に当たるということになるわけですね。これは私は非常に問題があると思いますが、刺激をしないようにということなんですが、しかし、刺激をしないような形で、部隊の体制が整えば、当然パトロールの圏内に入ってパトロール行動をやるということは、もう間違いないことなんですね。どうでしょう。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 当然そうなります。

木原実日本社会党

○木原委員 アメリカ局長にお伺いしたいんですが、尖閣列島の問題等については、御承知のように、台湾からも、また中国政府のほうからも、領有権の主張が行なわれている。アメリカは、報道によりますと、いままでは沖繩の一部として施政権下に置いたけれども、しかし領有権の問題等については当事国同士でやれ、こういう話が来ておるというふうに聞いております。それからまた日本政府としては、福田外務大臣でしたか、ともかくこの問題は中国側といずれ話をしていくことがあるだろうというふうに聞こえるような、何か話も聞いたことがあるのですが、この領有権の問題については、あらためて、たとえば、中国側、あるいはいまの台湾その他に対して、何か意思表示をするという、そういう措置はやらないわけですか。

吉野文六外務省アメリカ局長

○吉野政府委員 最初に、アメリカ側の立場は、御存じのとおり、サンフランシスコ条約第三条によって日本から沖繩地域の施政権を受け取った、その状況でまた日本に返還するんだ、こういうことでございまして、彼らの立場は、返還によって、日本が持っていた権利以上のものを日本に与えるのでもなければ、日本が平和条約前に持っておった権利からいささかも減らして返すわけじゃないのだ、こういうことを言っておるわけでございます。しかしながら、御存じのとおり、われわれは尖閣諸島はあくまでも日本の領土であるということを確信を持っておりますし、またそのためのいろいろの過去の証明する事実もあるわけでございます。したがって、この点につきましては、日本側はあえて他国に対してみずから話し合いを持つという必要はないのだと考えております。

木原実日本社会党

○木原委員 通産省の予算の中に、一部、尖閣列島周辺の資源の調査を、おそらく部分的だろうと思いますけれども、やるような動きもあるわけです。そうしますと、特に資源の問題をめぐりまして、これまた領有権の問題に関連をしながら、別の問題が出てくると思うのです。いろいろ渦巻いている問題がたくさんあるわけでありますから、資源調査に乗り出すということになると、そのこについては、あるいは台湾なりあるいは中国な、と、その問題については話し合いをしなくてはいけませんね。それは話し合いをする用意があるわけでございますか。

吉野文六外務省アメリカ局長

○吉野政府委員 この点につきましては、具体的な計画は直接聞いておりませんが、御存じのとおり、尖閣諸島の周辺の大陸だなの資源ということになりますと、大陸だなの考え方それ自体が、あるいは大陸だなの開発それ自体が、それぞれ関係国の関係もありまして、その間にある程度の話し合いをしておかないと、将来問題が起こり得るのじゃないかということも考えられるわけでございます。その意味で、このような問題につきましては、円満に事が運ばれるよう措置することになるだろうと考えております。

木原実日本社会党

○木原委員 円満にとおっしゃいましても、台湾のほうとの話し合いをするルートはまだあると思いますけれども、大陸だな等の部分的な調査を始めれば中国のほうからクレームがついてくる。しかし、特に中国側とは、なかなか話し合いをするルートがないと思うのですが、話し合いができない限りは、大陸だな等の調査も事実上行なえない、そういう姿になっていると理解してよろしいですか。

吉野文六外務省アメリカ局長

○吉野政府委員 この点は具体的な調査の方法を私も直接知っておりませんから何とも申し上げられませんですが、単に船がその周辺を通って適当にラジオゾンデかなにかで調査するということであれば、これはだれの権利も害さないわけでございますから、その程度の調査は別にどことも相談しなくもできるだろうと、まあ私見でありますが、私は考えるわけであります。しかしながら、それ以上に、いろいろ施設を持っていって、穴を掘るとかいろいろのことになりますと、これはまたそれ自体がいろいろ関係国の関係も出てくるだろうと思いますから、そのときには、そのときに、それに対応する話し合いをしていかなければならぬのではないかと思います。ただし、これが必ずしも政府レベルでやるべきものかどうか、ここら辺は、具体的な事態が出てくるまでは、何とも申し上げることができません。

木原実日本社会党

○木原委員 従来も琉球政府も、尖閣列島については明らかに沖繩の一部である、こういうことで主張をしてまいっておりますし、われわれの主張は、領有権の問題についての主張というのは、すべて一致していると思うのです。ただ、繰り返すようですけれども、あの周辺には何か膨大な資源があるやにいままでしばしば調査や報告が行なわれているわけですね。それからまた、本格的な調査ということになると、これまたやはり膨大な資金を投じて、政府の事業としてもたいへんな事業だと思うのです。しかも民間等からもいろいろな要望が関係省のほうに出ているというふうにも聞いております。そういうことになりますと、この資源の問題をめぐりましてかなりのところまで来ていると思うのですね。しかし、それは同時に、調査は領有権の問題に当然からんできて、そして特に中国側のほうから中国側の主張が行なわれてくる、こういう状態になってくると思うのです。ですから、私どもがお尋ねしたいことは、結局、領有権の問題はともかくとして、一つには調査ということについて少なくとも中国側と話をしなければならないのではないか。そうしないと、どういう方法にしろなかなかこの調査ということが事実上進まない。その辺を打開をしていく方法があるのかということと、それから、この大陸だなの問題資源の問題、調査の問題を出していけば、当然領有権の問題にはね返ってくる、こういう関係にあると思うのですね。だから、そういう形で問題が停滞をしておるわけなんですが、これを打開していくという方法については何かお考えがあるのかどうか、私の質問はこういうことなんです。

吉野文六外務省アメリカ局長

○吉野政府委員 先生の御質問の諸点は、われわれとしてもよく理解しておりますが、何ぶんそこら辺の問題につきましては、私も担当の局長でございませんから、正確な返答をする立場にございませんから、ひとつよろしく御理解願います。

木原実日本社会党

○木原委員 それじゃ、もうそろそろ質問を終わりたいと思いますが、最後に防衛庁長官にお伺いしたいわけなんですが、先ほども加藤さんからも御質問がございました、国防会議を若干延期をして再検討するということなんですが、実際のスケジュールとして、五月十五日という一つの期限があり、沖繩の現地では、かなりの部分が自衛隊の配備については反対であり、多くの疑問が残されている、こういう事実もあるわけです。そこで、一つのスケジュールとしまして再検討をやられていると思うのですが、まず、どういう形で配備計画をきめていくのか、それらについての一つの腹づもりをお聞かせ願いたいと思うのですが、いかがですか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 さっき加藤委員にお答え申し上げたとおりでありますが、要するに、さっき御指摘の、ああいう終戦時の虐殺事件だとかいろいろなことがありまして、旧軍隊と日本の自衛隊というものは何ら関係はありません、これはもうさい然と一線を画しておるわけでありまするし、性格から言うならば、専守防衛、そうして民生協力といったような面が非常に大きく取り上げられておるわけでありまするが、しかし、従来、施政権が別であっただけに、この自衛隊を、こういうわけだから理解してくれとPRしても、なかなかすんなり理解はしにくいという実情は察しなければならぬと思うのです。したがいまして、総理の言われる意味も、局地防衛に任ずる、その責務の重大なことはわかるが、そういった政治配慮もまた同様にきわめて重大じゃないか。私は、その指摘に関する限り、まさにそのとおりだと思うわけです。  そこで、久保・カーチス取りきめによりまして、一応、施政権返還時においては六百名程度の要員を陸海空配備しよう、こういうことにしておりましたが、復帰の時点においては、相手方から戻ってくる建物、施設、あらゆるものを含めて、今後自衛隊が使う基地、そういうものの管理要員というものをまず何名出すか、どれだけにできるのか、こういう点をいま検討しておるわけであります。それから、復帰の時点から六カ月以内に三千二百名の陸海空自衛隊員を配備する、これについても検討の余地はないのか。そこで、二千九百名程度というものを防衛庁においては一応考えたわけであります。その六カ月以内というが、これを一体どの時点まで延ばし得るかどうなのか。全般的にこれはやはり徐々に理解というものは深まる。もちろんその間には、地理的位置からいって、お気の毒なことですが、災害常襲地帯といったような地帯でもありまするので、またこれはほうっておけることじゃありませんので、自衛隊が協力をしなければならぬというようなことなどを通じて、だんだんやはり自衛隊に対する理解を深めていく。そのためには、最大限いつまで延ばし得るのか、まあこういったことを目下急ぎながら検討をしておるというのが実情であります。五月十五日ももう目前に迫っておりまするので、そういつまでも検討を続けるというわけにはまいりませんので、すみやかに結論を得て国防会議の議に供したい、こう考えております。

木原実日本社会党

○木原委員 もうそろそろ終わりたいと思いますけれども、配備をされる計画の部隊というのは、これは結局、直轄部隊になるわけですね。陸海空それぞれ行くわけですけれども、地方の直轄部隊。ほかにも、いろいろな連隊だとかなんとか配備されているのと違いまして、一括して直轄という部隊になっていく。私がお伺いしたいのは、争ういう編成上のことよりも、やはりアメリカ軍との関係ですね。共同作戦あるいは共同の行動、やはりいろいろな疑問が残るわけですが、かなり軍事的な機能を事実上アメリカがまだ握っている中で、そうして自衛隊のワクはこうですよ、こういう形で行くと思うのですが、しかし、いろいろな事態の中では、やはり共同作戦のような可能性というものは絶えずあるわけですね。それらについてこれから先、自衛隊の配備という見通しがつくような段階であらためてアメリカ側と——いろいろな面があると思うのです。やはり基地の共同使用の問題もあるでしょうし、先ほど指摘をいたしましたパトロールの問題もあるでしょうし、命令系統は別ですけれども、レーダーは向こう側だ、しかし部隊はこっちが動いている、こういうような入り組んだ関係が非常に指摘できる面がたくさんあると思うのですね。それらについては、あらためて協定を結ぶとか、あらためて話し合いをするとか、そういう作業は必要ありませんかどうですか。必要あるのですか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 現在、そういう必要があるとは考えておりません。もちろん沖繩に配備いたしまする自衛隊は本土の自衛隊並みに扱っていく、当然そうなります。

木原実日本社会党

○木原委員 それでは、これで終わりますが、最後に防衛庁長官に申し上げておきたいと思うのですけれども、いろいろな沖繩返還協定をめぐっての問題もございましたし、なかんずく、自衛隊の配備という問題につきましては、現在なお、現地だけじゃなくて、われわれも非常に疑問を持つものが多いわけであります。したがいまして、この自衛隊の配備につきましては、総理の指示があったということですけれども、慎重の上にも慎重を期してもらいたい。  自衛隊の配備が行なわれるということによってこれは逆の形になれば、これはもう何しに行ったかわからないわけでありますし、御存じのとおり、沖繩県民の願いというのは、ともかくきなくさいものには一つも来てもらいたくない、文字どおり裸でいいから平和な島としてやっていきたい、こういう願いが満ち満ちていると思うのです。自衛隊に対する反感であるとか、理解をどうするとかいうことではなくて、これはあの戦争以来の結末として、あるいはまた、沖繩県民の持っているそういう体質からいっても、そういうものが強いのですね。しかも、そこにあえてかなり強大な自衛隊を配備するのは無理があると思うのです。ですから、くれぐれも無理がないように、それから、アメリカ軍との関係において疑惑を招くことがないように、やはりきちんとしたけじめを持ち、慎重な態度で行動をしてもらいたい。これは要望ですけれども、一つ申し添えまして私の質問を終わりたいと思います。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 わかりました。

伊能繁次郎自由民主党

○伊能委員長 西宮弘君。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 私は主として請求権の問題を中心にして若干お尋ねをしたいのでありますが、その前にいま木原委員もるるお尋ねをいたしましたけれども、いま沖繩の心をきわめて暗くしている問題が二つあると思うのです。一つは例の外務省関係の機密が発覚したという問題、もう一つはこの間の久米島問題でありますが、この問題が沖繩の現地の人たちにとりましてはこれは何ともやりきれない問題、こういう気持ちが非常に強いと思うのであります。これは向こうのたよりなどを見ておりますと、そのことがひしひしと痛感をされるわけです。  私は、この問題についていま詳細質疑をされましたので、この久米島問題についてはあえて繰り返しませんけれども、前段申し上げましたいわゆる沖繩機密の問題、この問題について一言だけお尋ねをして、アメリカ局長、急いでいるようですから帰っていただきたいと思うのでありますが、なぜああいうことになったのか、あるいはなぜああいうことにしたのか、私にはちょっと常識で考えられないのですよ。あの復元補償の問題、これは沖繩側からいえばどうしてもやってもらわなければならない。したがって、アメリカと折衝をして、アメリカがどうしてもやれないというのならば、それじゃやむを得ない、日本政府がやりましょうということで、日本政府が予算に計上してそれをやる、こういうことになれば何も問題はなかった。それをなぜああいう回りくどいことをせざるを得なかったのか、私はその点、非常に疑問なんですが、まずそこをひとつ答えてください。

吉野文六外務省アメリカ局長

○吉野政府委員 この点につきましては、いろいろ世間をお騒がせいたしまして、はなはだわれわれも遺憾に思っておる次第でございますが、そもそも沖繩協定に関しましては、交渉の経緯におきましていろいろの問題もありましたし、またそれらの各点につきまして交渉している彼我のやりとりも、いろいろの経緯があるわけでございます。ところが、不幸なことに、そのほんとうに一部の電報が外部に漏れまして、それが大きく報道されておる、これが実情でございます。したがって、その前の交渉の経緯、あるいはその電報の出たあとの交渉の経緯につきましては、何も一般には明らかにされていないわけです。したがってその点からもいろいろの誤解が生じ得るだろうと、われわれは考えているわけでございます。  かいつまんでこの請求権の問題だけについてお話しいたしますと、御存じのとおり昭和四十年に、三十六年六月三十日までに開放された土地については、講和前の損害であっても復元補償をアメリカ側はしたわけでございますが、その後三十六年七月一日から開放される土地につきましては、アメリカ側は、理論的には復元補償のためのいわゆる見舞い金とか補償をすべきであったわけでございますが、彼らは最終段階になりまして、そのための金がない、あるいは金を支出する方法がない、こういうことをわがほうに言ってきたわけでございます。これに対しましてわがほうは、ともかくアメリカ側の請求権に関する主張は、まず第一に、平和条約第十九条で講和前のものはわがほうは放棄しておる。しかしながら土地の講和前の損害に対しては、先ほど申しましたように、一部先方は見舞い金を払った、したがって、それとのかね合いにおいて、これと全く同性質のものを昭和三十六年六月三十日ないし七月一日を境にして払うとか払わないとかいうのはおかしいじゃないか。公平の見地からぜひともこの補償の分を払ってほしいということを強く要望したわけでございます。先方はすでに、御存じのとおり四条三項をそのときにはのんでおったわけでございますが、しかしながら、いま申し上げましたように、アメリカも、議会に対して説明のしょうがないから日本側でいろいろ協力してほしい、こういうことを言ってきたわけでございます。その一つが、今度の電報にもあらわれていますように、たとえば、さきにきまった三億二千万ドルのうちからその一部をこれにさけるような形で協定に書いてくれれば、先方としては国会に対して非常に説明がしやすい、こういうことを言ったわけでございます。  これに対しましてわがほうは、あくまでもそれは、いままでの交渉の経緯からいっても、話し合いの筋からいっても違う。したがってこれはのめないということで、強硬にこれを突っぱねたわけでございます。しかしながら、その途中におきまして、先方は執拗に食い下がりまして、いろいろの提案をしてきたわけであります。たとえば愛知大臣から手紙を書いてその点をカバーしてくれとか、協定の一部にちょっとこの文句を入れてくれとか、いろいろ言ってきたわけであります。結論から申し上げますと、それらは全部われわれとしては拒否したわけでございまして、したがって現在のような協定になったわけでございます。  なお、その際にわれわれが先方に言ったことは、ともかくアメリカは金がないから払えないというようなことを言うけれども、それはおかしいじゃないか。ともかくわがほうとしては、少なくとも三億二千万ドルという金をいろいろのことを考慮して払っておる。したがって、少なくともそれだけの金をわがほうが支払うというのに、これが四百万ドルになるか、あるいは幾らになるか、最終的にはわかりませんが、そのぐらいの金が払えないというのはおかしいじゃないか、こういう議論をやったわけでございます。そこら辺の事槽が現在のような報道ぶりになったわけであります。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 いまの御説明で非常によくわかったと思うのです。つまり、わがほうが三億二千万ドル払うのだ、だから金がないという主張はできないんじゃないかということを言ってやった、こういうことですから、それはもう当然に三億二千万ドルを財源にして四百万ドル相当分を払う、こういう約束になった、取引になったと思うのです。私はこの点は、どんなにことばを費やして説明されましょうとも、きわめて明瞭だと思うので、よ。むろん、いまのお話しのような、一九六一年の六月三十日あるいは七月一日、それを境にして補償をするとかしないとか、そういうことはおかしい、こういうことで主張されましたことは、これは結果として当然なことだと思うのですが、そういう問題が積み重なってきて、その四百万ドル相当の復元補償をするかしないかということになりまして、いまのような結果になったわけです。私はいまの答弁でその点は明らかになったと思いますので、これ以上お尋ねをいたしません。帰りを急がれるそうですから、帰っていただいてけっこうですが、ただ関連質問をしたいということですから……。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 アメリカ局長にちょっと関連の質問をいたしたいと思います。  あした外務大臣もお見えになる機会もあるようですから、ただしたいと思っておりますけれども、せんだって参議院の予算委員会で、事前協議の問題について洗い直して問題点を検討してみたいという趣旨の発言がございましたけれども、これは、アメリカ局長の段階に、その検討をしろというような具体的な措置をやっておりますか。

吉野文六外務省アメリカ局長

○吉野政府委員 この点は、先ほど木原先生からも御質問がございまして、一応お答えしたつもりでございますが、福田大臣がお答えになった趣旨は、われわれとしてもよく了解しております。したがって、その意味で事務的にはいろいろ研究しております。  ただし根本的には、事前協議というものは安保条約のいわゆる一つの歯どめでありまして、それ自体はいまのところ運用を変えるというわけにはいかない。こういう問題を変えるということは、これは安保条約の根本問題でございますから、よく得失を考えて研究してかからないと、かりそめにもこの問題は軽々と手がつけられないのじゃないかとわれわれは考えておるわけでございます。しかしながら、日本の安全をこの新しい情勢のもとに確保していくために、地位協定及び安保条約の全般の運営をどのようにしていくかということにつきまして、日米間で今後さらにもっと理解を深めるために協議していきたい、われわれとしてはこういうように考えております。  それから先ほどの関連でございますが、西宮先生のおっしゃられたことにつきまして、私として一言つけ加えさせていただきたいのは、われわれとしては、先方に財源がないというのはおかしいじゃないかということを主張したわけでございまして、先方が復元補償のための費用をどこから捻出してくるか、これはわれわれとしてはあえて究明しない、こういうことでございますから、誤解のないようにお願いいたします。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 いまの大臣の発言ですが、この段階、つまりベトナム戦争がたいへん緊迫した状態に達しておる。もともと沖繩返還を開いてきた最初の佐藤・ニクソン共同声明のときに、ベトナム戦争云々の前提があったように思うのですけれども、それがまさしく現在、一カ月後に控えた返還時に、ベトナム戦争はたいへんな緊張状態に達しておる。全力をあげて、爆撃だけでなくて海兵隊が派遣されるのじゃないかというような報道も見られるという段階で、外務大臣の事前協議の問題を洗い直して問題点を検討してみたいという発言は、いろいろ意味がとられるわけです。  つまり、いま全く形だけの事前協議の段階、これは最近の事例でも明らかなんですけれども、それをもっと実のある方向に検討するという意味と、また逆に、沖繩が返ってくる、事前協議の完全な対象にするとはいっても、特別な、例外的な方向を考えてみるというような逆の方向も考えられるわけなんですね。事前協議の内容を、あのことばのとおり、法の趣旨のとおり実行できるように洗い直していこうという方向と、もう一つは、沖繩における特例的な自由発進の余地を認めるというような方向と、現在の状況から見れば両方とれる。  そういう心配が私にはあるわけですけれども、そういうことを含めて、外務大臣が予算委員会で答弁しただけでなくて、あなた方自身にも、そういう点にわたって検討をしろというような命令が下されておるかどうか。あなた方の検討しておるのは、いまの答弁によれば、事前協議の実体的な内容についての検討はできない。これは安保条約の基本的な問題に関連するからできないということになれば、それじゃどういう点を検討するのかということについて疑問になるわけですね。単に予算委員会で言っただけのことだとは考えられない。その点についてもう一言……。

吉野文六外務省アメリカ局長

○吉野政府委員 この点につきましては、大臣もすでに、先ほどの予算委員会の席上だけではなくて、楢崎議員からの質問に対しましても、多少似通った趣旨で答弁しておりますから、われわれとしても、十分大臣の御趣旨は了解しておりまして、そのラインに沿って、いまいろいろの問題点を洗おうとしておるわけでございます。ただ大臣も、たとえば沖繩と本土との間に安保条約の事前協議の運営について差異を設けるというようなことは、これはそもそも法律上も不可能でございますし、また、実際としてもそういうことはあり得ないとわれわれは考えておりますから、この点はひとつ誤解のないようにしていただきたいと思います。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 局長はまた同じことを繰り返されたわけでありますが、つまり日本は、三億二千万ドル払っているじゃないか、そういうことを主張し、先方がどこから出すか、これは全く日本は関知しない、こういうことだというお話で、実はそれで全部尽きていると思うのですよ。要するに、三億二千万ドル日本は払っているのだ、あなたのほうはどこからでも払ってくれ、それはこっちの知ったことじゃない、こういうことで、これはもう明らかにその中から出しているということにならざるを得ない。これはしかし、局長だけを責めませんよ。福田外務大臣も同じようなことを答弁しているのですから。三億二千万ドルと四百万ドルと関係が全くないのかという質問に対して、関係がないとは言い切らないわけです。言わないわけです。結局同じようなことを言っている。だからこれは、どんなに外務省が言を費やして説明されましょうとも、それはとうてい全く無関係だというふうにはとれない。もう局長の答弁は、だいぶ急いでおられるようですから、お帰りいただいてけっこうでございます。それ以上追及いたしませんから……。  その点は、沖繩の人たちにとってみると、そういう大事な問題についても機密の取引がある、密約がある、こういうことだとこれ以外に一体何があるのだろう、一体何が約束されたかわからぬ、そういう不安がぬぐい切れないと思うのですよ。それが、さっき申し上げたように、沖繩の県民としては全くやりきれない思いだというのが一つ。  それからもう一つは、さっき申し上げました久米島事件ですね。あの事件は、さっき木原委員に対していろいろ大臣も答弁しておられましたので、私はそれをさらに重ねてお尋ねはいたしませんけれども、ただ、ああいう問題が出ると、本土の反響というのは、そういう戦争の犠牲というのは沖繩だけじゃないのじゃないか、沖繩を甘やかし過ぎるのじゃないか、こういうような声が常にはね返ってくるわけですね。このことに対して、おそらく沖繩の人たちは、何としても耐えきれないという気持ちだろうと思うのですね。特にその道、その方面の責任者であるはずの福岡の高橋施設局長、ああいう人が簡単にああいうことを発言をするというようなこと、これはあの程度で終わってしまいましたけれども——あの程度というのは、防衛庁としては訓戒処分に付したそうですが、あるいは国会でもちょっと佐藤総理もそれに対して釈明をしたようですけれども、そんな程度で軽く済んでおりますが、私は、その基本的な精神に非常に大きな問題があるのじゃないかということを、これは強く指摘しないわけにいかない。  しかも、そういうさなかに自衛隊が沖繩に乗り込んでくる、こういうことでありますから、自艦隊と旧軍人とは別なんだと、どんなにこれを言ってみても、決して異質のものとはとらないわけです。そしてしかも、その自衛隊の最高幹部の一人がこういうことを簡単にぬけぬけと言うというようなところを見ると、沖繩の人たちには、何としても耐えられない気持ちだという感じがするわけですけれども、これに対する長官の基本的な考え方をまずお聞きをしたいと思います。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 御指摘の高橋施設局長の放言につきましては、きわめて遺憾なことに思っております。そこで、厳重な訓戒をしたわけでありまするが、彼の処置その他につきましては、これはひとつ私におまかせ願いたいと思います。  それから、久米島事件の問題は、先ほど山中総務長官から御答弁がありましたように、これまた残念なことでありまして、戦場の異常心理といいますか、殺すか殺されるか、生きるか死ぬかというような場面でできたあの悲惨事は、まことに思い返すだに、二度と再びこれを繰り返してはならぬということを思います。  旧軍隊と私ども自衛隊とは、いま御指摘のように、全然関係がありませんので、さてしからば、久米島事件の遺族等々に対してどうするかということになりますると、これは私の担当範囲から出るわけであります。したがいまして、私どもとしては、二度と再び戦争などということの起こる事態をもたらしてはならぬ。現在とっております日本の平和主議というものをどこまでも貫いていかなければならぬということをしみじみ思い返す次第であります。  さて、沖繩に対する自衛隊の配備でありまするが、まさしく旧軍隊と自衛隊とは関係ない。一線を画されておって、何ら共通点はないし、性格も違うんだなんということを言ってみても、これはにわかに理解されないのが当然だと思います。そこで、隣におられます山中総務長官等々も、しきりに沖繩の県民感情ということを私どもにサゼスチョンしてくれます。総理の言われる政治的な配慮をという意味も、やはりこの県民感情というものを一通りのものと考えないで、念には念を入れて、配備については十分細心の注意を払うように、こういうことであろうと思います。これは意見としては、西宮さんのおっしゃる意味も、首相が私どもに申しておりまする意味も、全く同じだと思いまするし、正しい判断だと思います。そういう見地に立って、十分細心の配慮をしてまいりたいと思っております。ただ問題は、施政権が戻ってくれば、これは国の従来の方針といたしまして、局地防衛に任ずる、これはやはり重要なことでありまするので、配備をいたしてまいりまするが、その方法、時期等々については、いま申し上げた気持ちで実行に移してまいりたいと思います。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 重ねて長官にもう一つだけ伺って、中座をされるそうですからどうぞ。  私がきょうお尋ねしたいと思っております請求権の問題でありますが、これなども、予算をことさらに防衛庁の予算に計上する、こういうことは、いまのように、いわばプラスの面と申しますか、そういう恩恵を与えるといったような面を防衛庁ができるだけ担当することによって向こうの人心をやわらげよう、そういうねらいだろうと思うのですけれども、私はこんなのはかえって目ざわりだと思うんですね。それを、いかにも恩着せがましく予算をくれてやる、あるいはいろいろ基地周辺の施設について予算のめんどうを見でやる、そういうことで恩を売りながら自衛隊を理解させようというようなやり方は、私はかえって拙劣だと思うんですよ。むろんそれ以外の理由として、たとえば防衛庁は、いままで本土でそういう事務を取り扱ってきて、事務になれているというような点なども、理由の一つにはなっていましょうけれども、私は、それ以上に根本的なねらいは、いま言ったような点にあると思う。かえって私はそういう点は拙劣だと思うのですね。むしろこういう予算等は、よろしく総理府その他の適当なところに計上して、防衛庁はそういうものにはタッチしない、こういうことのほうがかえってスマートにいくんじゃないかという気がするわけです。そこだけ答えていただいて、中座をしていただきます。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 指摘される意味はよくわかりますが、決してそういう意識で施設庁に調査をまかせておるというていのものでは、これは絶対ございません。従来、安保条約に基づきまして米軍の基地等を提供したり、また、そのことに伴う人身被害補償金といったことについての査定は、やはり施設庁が長年の間手がけておりまして、本土に沖繩が戻ってくれば、これはやはり本土も沖繩も一体という感じからいけば、施設庁がこれに当たることが便利であろう、また不均衡をもたらさないためにもこのほうが望ましいと、こういうことであります。  ところが、人身被害その他の補償問題につきましては、先ごろ来、首相を中心にいたしまして、山中総務長官とも十分相談をしております。そこで、そういう補償問題の窓口はやはり沖繩開発庁が望ましいのではないか。山中長官のところを窓口にして、そうして実際の処理は、施設庁が熟達しておりまするし、また他のバランス等を勘案していく上からもそのほうが望ましい。これはやはり政治的に十分機宜の配慮をしてまいりたいと思っておりまするので、御質問の御趣意にはやや沿えるかと考えております。  それから基地周辺対策につきましては、これは本土でも非常に問題が多いわけでありまして、これはひとつ、基地が巻き起こす直接の被害をどうするかということでありまするので、従来どおり施設庁において対策をさせたいと考えておりまするが、御指摘のような、かりそめにも何かそれによって懐柔をするというか、そういう形や誤解を招かないように努力をするつもりでおります。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 いまのことは、私も国会答弁で、山中長官のほうが窓口になるというような話も聞いておりますけれども、とにかくこれは、誤解というより、むしろそういうふうに考えるのが人情の自然だと思う。そういうことにならぬように十分気をつけていただきたいと思います。  島田長官にお尋ねいたしますが、人身被害の補償について予算に計上してある三億三千七百万のうち二億三千三百万というのが、講和前の人身被害の補償に対する金額というふうに予算で見ておりますが、これは何件を対象にしているのか。私は、未補償者連盟が出しております資料で見ると、三百三十四件あるわけです。死亡が百六十四件、傷害が百七十件という件数をあげておりますが、かりに三百三十四件で割ってみると七十万円ちょっと欠けるわけですね。非常に少ない金額なんだけれども、そんな程度しか考えていないわけですか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 これは私どもの資料によりますれば、講和前人身被害の支給漏れ者は、現地の被害者連盟の調査によりますれば、三百八十名ということになっておりまして、それに対して御指摘のように二億三千三百万ということでございます。これにつきましては、主として被害者連盟の御調査に基づきまして、琉球政府もそのような考え方で、私どももそのような計算をしたわけでございます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 三百三十四名と私が申し上げたのは時点が古いので、その後の調査だといまのお話の三百八十名ということになるのかもしれません。そうなれば、ますます一人当たりの金額が減るわけでございまして、おそらく六十万円前後ということになるんだろうと思います。死亡あるいは傷害に六十万円程度の補償というのでは、補償の名に値しないと思うわけですが、私は、あとで困るんじゃないか、なぜこういう程度の補償しかできないのかということを非常に疑問に感ずるわけです。  それから山中長官、対馬丸ですね。あれの補償は予算では一億五千四百五十一万六千円計上してあるんですけれども、これまた単価にしてみると、まことに少ない金額なんですが、単価はおわかりですか。一件当たりどのくらいに見ているのか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 実は対馬丸事件は、いわゆる学童疎開船が奄美大島の沖で撃沈された事件であります。これについては、すでに学童及び引率の教師その他については措置がしてございます。したがって今回は、強制疎開もしくは子供たちにどうしてもついていかなければならなかったという必然性というものがわからない人たちが、場合によっては、自分の意思でも乗り込んだ人もあり得るというようなこともございまして、そんなことで、きわめて算定がむずかしかったわけであります。しかしながら、最終的には、やはり学童と同じように、やむなく乗ったものであろうということに断定をいたしました。そして学童が二万円もらっておりますから、それを物価指数で直した金額、一人当たり三万円というもので、これはその金額が妥当か妥当でないかよりも、対馬丸の国から見舞い金をもらっていない人たちを措置できるかどうかという問題で処理をいたしました。  これは、現地の遺族の方々にとっては、もちろんその金額というものは納得しておられません。したがって、自分たちは予算を措置されてもその単価では受領しないという、一応対馬丸遺族連盟の幹部の方々の決議がございます。私としては、しかしほかに積算の根拠を求めるとすれば、また学童から全部洗い直しをしなければならないという立場にもなりますので、今回の予算措置をいたしておるわけでありますが、その後、一応そういう決議はしたけれども、国の真心であれば金額の多寡をいうのはやめようという御意見等もあるやに伺っておりますので、これは、国の真心とその金額と現地の遺族の方々等の心情とが一致しない問題として、私もきわめてつらい思いをしておりますので、よく理解をしてもらう努力をまず展開してみたいと思っております。  なお、この金額の中には、台湾疎開途中、尖閣列島沖において疎開船が沈没したために、生き延びた人たちもおられますけれども、不幸にしてなくなった方々もおられます。それらの人々にも、同じ計算の単価をもって支給することにしております。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 真心だ、したがって沖繩の人たちに理解させる努力をするというお話でありますが、真心といっても常識的な限度があると思うのですね。二万円ないし三万円という金では、とうてい私は納得されないのは当然だと思うのですね。片や対米交渉においては、さっきも申し上げた四百万ドルなんという金が、きわめてむぞうさに、いわゆるどんぶり勘定で出てしまうんですよ。あるいは外務大臣等がたびたび言っておるように、三億二千万ドルという金もきわめてむぞうさに、いわゆるどんぶり勘定で——高度の政治的配慮という表現で、どんぶり勘定ということばは使いませんけれども、これはわれわれげすの使うことばでしょうけれども、そういうことで簡単にそういう金が出てしまうわけですね。そういうのに比べて、あまりにもみみっちいんじゃないですかな。あるいは、沖繩本島で戦争で死んだ子供たちにも、六歳未満の者には二万円ずつ支給したわけですよ。これなども、私はまことに非常識な金額だと思うし、ましてやこれから出そうという金額が一人当たり三万円だ。死んだ人にですよ。これでは文字どおり、線香代にもなるかならぬかじゃないかという気がするんですね。どうですかな。向こうの人たちを説得する、その努力をするというお話ですけれども、向こうの人たちを説得する努力をする前に、日本の財政当局を説得する、そういうおつもりはないんですか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 私は、沖繩のことであるならば、沖繩の人のために私の力の最大限を尽くしたいという気で、予算もみずから、ときには知事みたいだなと言いながら、こまかいことまでやっているわけです。しかしこれは、金額の問題よりも、対象にするかしないかという基本的な問題であります。  というのは、本土、内地においても、学童の疎開途上における列車が空襲にあった等の事例がございまして、これらがやはり本土においても残っておりますけれども、措置を実はされておりません。空襲被害者その他について、全部にそういうことがされておりませんし、そして沖繩においても、いままでの考え方であるならば、軍属もしくは準軍属という扱いにできる範囲の人たちを拾っております。しかし私としては、ここで復帰をいたしますときに、沖繩の人たちの中で、自分たちの住んでいる場所がことごとく戦場に化したという背景のもとで、疎開を余儀なくされたいわゆる婦女子の強制疎開命令、そして学童の疎開命令等により、国家のために不幸な立場に立たされた人たちに対して、これを解釈がきわめてむずかしいからといって、復帰の日まで解決しないということはできないことだということで取り組んだわけであります。  大蔵も最終的には、私の基本的な認識に同意をしてくれたわけでありますが、金額の問題になりますと、いま申しましたように、根拠のある金額に対する根拠のある計算によってはじき出さなければならない。いわゆる本土、内地における空襲その他の被害とのバランスの問題がございまして、私としても、この問題をこれで満足だと思って単価をのんだわけではありませんが、しかし、始末がつけられない状態で祖国復帰を迎えてはならぬということで、一応こういう措置をしてもらいたいという立場でいまおるわけであります。御指摘される点は、おっしゃるまでもなく、私自身がよく肝に据えて考えておる点でございます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 ここで押し問答してもしかたがありませんから、今後善処をお願いすることにして、次に移りたいと思います。  島田長官にお尋ねいたしますが、復元補償で問題になっておりますいわゆるアメリカの自発的支払いというのがなされるわけですが、その復元補償が完了するまで、せっかく土地を返してもらっても全く使えない、そういう状態が続いているという土地がたくさんあるわけですけれども、これはアメリカに支払わせるというわけにはいかないのですか。あるいは、もしそれまで含めてやらせるということになれば、四百万ドルのほかにどのくらいの金額になるのか、試算しておりますか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 復帰前に形質変更されたものが復帰前に返還になった、その場合の原状回復あるいはそれに見合う補償の問題でございますが、これは現在アメリカの施政権下にある状況でございますので、それにつきましては、布令二〇号等もございますし、これはアメリカで補償すべきものだというふうに一応考えておるわけでございます。アメリカがそれについての当然なすべき処置についてなさないか、あるいはきわめて不十分な場合に、これは復帰後日本政府としてどういうふうに補償していくかという問題があろうかと思います。  そこで、そういう点につきましては、今後私どもも十分検討してまいりたいと思いますが、復元補償につきまして、復帰協定の四条三項、それから四条二項の関係、この両者を合わせまして、これは三百六十円換算でございますけれども、一応三十五億くらいの金額になっておるわけでございます。その中に四百万ドルに見合うものが含まれておる、こういうことでございます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 私がお尋ねをしたのは、その土地が開放された、しかしはなはだしく土地の状況が形質を変更されて、そのために返されても使いものにならぬ。したがってその間は長い間使えないで放置してあるわけですよ。したがって、その使えないで放置している期間の損失を補償しろ、こういう問題なんですよ。だからそれは当然にアメリカに負担させるというのが筋だと思うのですが、その点はどうですか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 この点は、先ほど申し上げましたように、本来はアメリカが処理すべき問題だと思います。そこで、確かに現在の状況におきまして、アメリカが復元補償をいたしませんので、返還された地主の方々がたいへんお困りだという状況にあることは、私どもも推測にかたくないわけでございまして、それについて何らかの措置を復帰後の時点においてとらなければいかぬということをわれわれも考えております。ただ、それが金額的にどの程度になるかということについての試算はいまございません。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 私は、本来アメリカがやるべきであるのに、やらなければ日本がかわってやる、それは当然でしょうけれども、そう簡単に日本がかわってやるというようなことを言わないで、やはり筋として、アメリカならばアメリカに向かって堂々と要求する、そういう姿勢がまず絶対に必要だと私は思うのですよ。  これは四月九日の新聞でありますが、アメリカ民政府はそれはお断わりすると言ってきた。それで地主連合会のほうから出した金額は、四百万ドルを含めて千二百万ドルです。そういう金額であるわけですが、それをアメリカが拒否してきた。こういうことなんだけれども、私はそれは、簡単にアメリカが出さなければ日本が出しますというのは、少し弱過ぎるのじゃないか。やはり主張としては堂々とアメリカに向かって要求する、そういう強い態度が絶対に必要だと思うのですが、どうなんですか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 復元補償の請求の関係でございますが、これは六一年から七一年までの請求金額が一千三十七万七千ドルという程度でございますが、一部補償が支払われておりまして、未補償の金額が九百九十五万ドル程度のものになっておるわけでございます。これは復元補償の問題なり財産補償の問題のみでございませんで、いま、外国人資産の請求なり、あるいは土地裁判所に対する訴願のケースがいろいろございますが、それに対しまして、一応アメリカ側として復帰前の段階におきまして処理をしたというものもございます。ただその場合に、請求額と実支払い額との間にかなり大きな開きがあるというものもございますし、ものによりましては、却下されておるというものもございます。それから未処理のものもございます。そういう問題を含めまして、これは返還協定の四条二項に書いてございますが、引き続き米側が、復帰後におきましても担当の職員を残しまして、これをして処理をさせるということでございますので、まずアメリカが処理すべきものは、私どもとしても、その処理につきまして十分督促をし要望するという気持ちはございます。  そこで、まずそれがやはり第一義的に行なわれまして、その請求額に対する支払いが非常に不満足である、あるいは却下された理由が必ずしも妥当性がないというふうなものにつきましては、これはやはり、実情調査の上、日本政府として何らかの措置を講じなければならないという考え方でございます。確かに、まず米側が処理すべきものは、私どもとしても、十分これを督促して、誠意をもってその補償をいたすようにいたしていきたい、かように考えておるわけでございます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 今度新たに契約をし直して、自衛隊なりあるいはアメリカに使わせるという土地について、その契約を締結するにあたっては、原状回復の時点をどこに置いているか、これは、アメリカ側が使用開始したとき、こういうふうにして契約書にちゃんとうたっていますか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 そういうことでございます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 今度、借地料を値上げしたわけですけれども、それによって復元補償の基準も変わってくると思うのです。そうなりますと、たとえば五月十五日以降は、何か六・四四倍とかの値上げといわれておるけれども、そういうアップされた金額で、それを基準にして復元補償が考えられる、こういうことになるのでしょうな。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 これは借料の増額と直接の関係はございませんで、返還の時点におきまして、原状を回復するに要する経費、それが幾らであるかということを算定いたしまして、それによって原状を回復するか、あるいは原状回復が適当でなければその金額を補償する、こういう形になるわけでございます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 今度値上げしましたね。平均して六・四四倍というふうにいわれておりますけれども、これはかつての賃料が非常に安かったわけですね。極端に安かった。それをこれでカバーするというふうな気持ちもあるわけですか。そういう過去の問題は全然別だ、こういう考えですか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 地主会連合会が要求をしておりましたいわゆる百八十九億に見合う額としまして、これは復帰時点が五月十五日になりましたので、その分の再計算をいたしますと百六十五億ということになります。その中で、純借料として百三億を計上いたしておりまして、それから不動産購入費、これは借料関連経費といたしまして約二十六億を計上いたしております。それ以外の分、これが約三十五億ございますが、見舞い金という形で支給したい。で、過去のその借料につきましては、これはその施設ごとの、周囲の開発状況なりあるいは土地の売買価格等を算定いたしまして、それに基づいて適正な借料を算定するということでございます。したがいまして、その借料の基準そのものは本土の基準とほぼ同様である。  しかしながら、それだけでは、私どもとしても、この沖繩の特殊事情からしまして十分でないというところから、約三十五億の見舞い金を計上いたしておりますが、これは御指摘のように、過去二十数年にわたりまして米軍に対しまして土地を提供してきたという、そのことによりますところの、経済的なあるいは心理的な負担というものに対する一つの見舞い的な要素もその中に加味をしておる。しかしながら、これは今後毎年改定されるでありましょう借料そのものではないという形で、過去の負担に対するものをそういう見舞い金という形で処理していこう、こういう考え方でございます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 伝えられるところによると、それは契約に自発的に応じた人、その人にだけ出すのだ、こういう話だが、そのとおりですか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 これは過去のそういう負担に対する一つの措置でございますので、この大部分のものは、契約に応じた人にも契約に応じない人にも支払われるべきものである。ただ、積極的に協力していただくということにつきまして、やはり若干のいわば協力に対する謝礼と申しますか、そういう形で支払いたいということで、いま積算を進めておるところでございます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 その最後に言われたようなそういりあれならば、見舞い金ということがすでにおかしいと思うのですね。何か協力感謝費とかなんとか、そんな金であれば、あるいはそういうところに使ってもいいかもしれない。しかし、見舞い金なるものは、それは過去の負担に対する補償だ、あるいは謝礼だ、こういうことならば、その契約に自発的に応ずるか応じないかということによって区別をつけることは、全く意味がない、あるいは全く筋が違うと思うのです。その点はどうなんですか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 見舞い金ということばを使いましたのは、これは一つの予算科目上の技術的なものでございまして、その中身は、先ほど申しましたような、そういう長年の心理的、経済的な負担に対する一つのいわば見舞いという形のものでございますし、その中に一部、まあ積極的に協力してくれた人たちに対する、いわばこれは協力謝金とでも申しますか、そういうものもその中には入っておる、こういうことでございます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 私はこの問題には二つ問題があると思うのです。一つは、そういうふうに、自発的に協力をしたという人とそうでない人との間に区別をつけるということは、全く筋が違うと思う。あなたが言われるように、過去の負担に対する償いだというのであれば、これはそこに区別をつける理由は全然ない。だから、それに区別を設けるということは、私は当然絶対にやめなければならぬと思うのです。  それからもう一つは、いままでの現地の人たちとの交渉で、いろいろ交渉の経過があったと思いますが、その結果、六・四四倍になったというふうに現地の人はみな思っているわけですね。ところが、見舞い金というようなものはそういう性質のものだということになれば、今後は出なくなるおそれがある。おそらくこれは、将来永久にこの金額を出すというような筋ではないのじゃないかと思うのです。その点はどうですか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 百六十五億というこれは、広い意味で借料関連経費になると思いますけれども、これをまるまるいわゆる純借料ということになりますれば、これは本土への当然のはね返りがございます。したがいまして、その中の純借料は、先ほど申しましたように百三億ドル、不動産購入費の一部をその借料に使用するということで、それがいわば借料でございまして、これは、今後周辺の土地の値上がりによりまして、毎年毎年更改をしていかなければならない、こういう性質のものだと思います。  そこで実は、いまのところ、百六十五億につきまして、借料が逐次増額してまいりまして、それがある年度に達しますれば、いまの百六十五億を突破する、そういう時点が参ると思いますが、それまでの間は、借料が増額するにつれまして見舞い金の額は年々漸減をしていくという形になると思いますけれども、とにかく総体におきまして、地主に支払われる金額が百六十五億を下らない、こういうふうな形で、今後、これは毎年毎年の予算要求でございますけれども、そのときにそういう形でこの問題を処理するような措置を講じていきたい、かように考えておるわけでございます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 ところで、現時点において、どの程度にその契約は進行していますか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 昨年末来、地主会連合会の人たちとは、借料単価の計算方式その他について話し合いを続けてまいりまして、ことしの三月になりまして、各市長村の地主会に手当てをいたしまして、その辺の状況を説明いたしました。まだ説明が必ずしも十分でない点もございまして、いろいろ御質問の点もありますし、若干の不安もあるようでございますので、近々第二回目の説明をいたしまして、その際におきましては、いまの見舞い金の問題も含めまして全貌を提示していく、こういうことでいま段取りを進めておるわけでございますが、その全貌が明らかになりますれば、逐次、契約に応じてくれる人がどれくらいあるかということが判明してくると思います。まだ、今日の時点におきまして、どの程度のパーセンテージのものが応じてくれるかということについての明確な見通しはございませんが、その総体の金額の提示によりまして、具体的に何%ということではなかなか申し上げかねますけれども、相当多数の方々が契約に応じてくれるものだということを信じておるわけでございます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 その金額を提示をすると、それで相当多数の人が契約に応ずる、そういうお話だけれども、その金額そのものも、現地の新聞等を見ると、非常にそれには不満を持っておる。したがって、平均して六・四四倍になったという話なんだけれども、実際はそれをかなり下回った金額で折衝している。だから、結局トータルでは予算が余ってしまうのじゃないか、むしろそういう情勢にあるんじゃないかというふうに思うのですが、その点はどうですか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 率直に申しまして、交渉ごとでございますし、その交渉の過程において、いろいろな御意見、御要望あるいは御不満という点をしんしゃくしながら、最後においてこれをまとめていくという性質のものでございますので、いままでは必ずしも全貌を明らかにいたしておりません。   〔委員長退席、塩谷委員長代理着席〕 そういう関係で、いろいろ疑問もあり、御不満の点もあると思います。一部新聞が報道しておられるようなほどの問題点はございませんけれども、確かに一部にそういう不満があるということは、私どもとしても聞いておるところでございますが、これは今後逐次全貌が明らかにされるにつれまして、相当の部分の方が御納得していただけるというふうに考えておりますけれども、この金額を余すというようなことは、もちろんわれわれとしても毛頭考えておりませんので、予算を十分有効に活用してこの契約の交渉を進めていきたい、かように考えておるわけでございます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 例の公用地の暫定使用法ですか、あの法律の発動を準備をしているわけですか。あるいはそれとの関係はどうなっておりますか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 告示をいたします場合には、まず所在場所から範囲、境界の確定、それから使用の方法等についてこれを明らかにする必要がございますので、いまそのための準備を鋭意進めておるところでございます。一部、全軍労の長期ストのために事務が停滞いたしておりますけれども、まあ私どものめどとしては、四月の下旬までには何とか告示をいたしたいということで、いま鋭意努力をしておるところでございます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 もう一つ海没地の問題。これは、海底に沈んでおる土地を対象にして、従来アメリカは金を払っておったわけですね。今後日本の場合はその点はどうしますか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 御承知のとおり、那覇軍港の海没地につきましては、交換公文によりまして、アメリカが埋め立てた土地と交換をするということでございまして、これの作業につきましては、現在、米側と私どもの担当者、それから地元の地主の方々と、三者の協議によりまして逐次進んでおりまして、候補地が一応きまっておる状況でございます。これは地主の方々から若干の条件が提示されておりますので、それについて目下調整中ということでございます。  それから、それ以外に面積におきまして七十八万八千平米の海没地がございまして、九カ市村にわたっておりますが、この中には基地内のものもございますし、基地外のものもございます。そこで、基地内のものにつきましては、海没に至りました原因がどこにあるか、それから基地との関係がどういうふうになっておるか、あるいはその海没地の形状、形態がどういうふうになっておるかということについて目下調査中でございます。  これらにつきましては、従来、米軍の基地内の場合におきましては、御承知のとおりに、米軍が公簿、公図をそこに当てはめまして、それに基づいて一応賃借料を支払ってきたということでございますので、これが最終的な処理を見ますまでの問は、従来どおり借料を支払うか、あるいは滅失補償というような形で一時的な補償をするかというような問題が残っておりますので、それについても、いま復帰までに間に合うように作業を進め  ているということでございます。   〔塩谷委員長代理退席、委員長着席〕

西宮弘日本社会党

○西宮委員 その海没地の場合ですが、従来アメリカは、海底に沈んでいる土地を対象にして金を払ったわけですね。これはきわめて変則的なやり方だと思うのですが、復帰後はまた同じようなやり方をとりますか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 まだ実態が必ずしも明確でございませんので、いま実態を鋭意調査中でございますが、この問題を最終的にどういうふうに処理することが適当かということは、米軍あるいは地主の方々とも十分話し合いながらきめていかなければならぬと思いますが、それが復帰までに最終的な結論が得られない場合には、従来どおりの借料を払うか、あるいはそこは滅失したということに伴う滅失補償だという形でこれを解決するかということについて、いま検討中というところでございます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 総務長官にお尋ねをいたしますが、那覇軍港をもっと民生安定の向上というような目的のために使わせる、そういうねらいのもとに何らかの施策はないかということなんですが、旧軍港市転換法という法律があるわけです。これは横須賀、呉、舞鶴、佐世保を対象にして、ある特殊な恩典を与え、いろいろその条件を緩和するというようなことで地元に有利に使わせたわけですが、そういう意味で旧軍港市転換法というようなものを制定する意思はないか、お尋ねします。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 これは私もそのような実例も知っておりますし、これは憲法に基づいて住民投票もしたものだと思います。したがって、沖繩において唯一の基幹的な港湾である那覇港、これの水面の中央線から南は全部軍港とし米軍が使用しておりますことは、今後の経済発展の上にきわめて遺憾なことでありまして、そのためにやむを得ず安謝港等の建設に着手をし、その代替という意味ではございませんが、来年度調査費をつけました東海岸の泡瀬一帯の巨大港湾の建設、こういうこともやらなければならない状態になっておるわけであります。そこで、これはアメリカが一応大きな軍艦はホワイト・ビーチを使っておりますが、物資の陸揚げその他については、立地的に便利であるせいもあって、依然として非常にひんぱんに那覇軍港を活用しておるようであります。  この点は、あれだけの商港が、それこそ北と南で、反対側は軍港、反対側は商港という、一般乗客、貨物等の錯綜ぶりから見ても放置できない状態に来ておりますので、対米交渉、すなわち那覇軍港を日本側に返還してもらうという交渉を優先させなければならぬと思います。幸いにこれが返ってくることになりますならば、いま言ったような、佐世保、呉、舞鶴等の先例にありましたような特例を、沖繩にも当然国として措置をしてあげなければならない。占拠されたことにより、港湾が利用できない損失というものが過去においてずいぶん蓄積されたわけでありますから、今後の活用については十分配慮をしていかなければならぬと思います。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 同じような意味でもう一つ基地交付金ですね。これは自治体に対して交付される金でありますけれども、ことしの予算で見ると、この施設等所在市町村調整交付金という金は四十七年はだいぶふえています。前年よりも四倍ぐらいにふえています。もう一つ、国有提供施設等所在市町村助成交付金、これは自衛隊と米軍の両方の基地の所在市町村に対して出す交付金であります。これは若干ふえているけれども、そうたいして目立ったふえ方もしていない。これは沖繩を対象にしてはどういうふうに考えているのですか。

岡部秀一沖繩・北方対策庁長官

○岡部(秀)政府委員 基地交付金沖繩関係一億七千万円、調整交付金十一億四千万円でございます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 基地交付金なるものは、本土の場合だと、基地ができたときから交付されているわけですね。沖繩の場合は、それと同じ趣旨ならば、当然沖繩に基地が設けられた時期——もっとも戦争時代はやむを得ないのでしょうから、少なくとも平和条約の発効したその時点にさかのぼって交付すべきだというふうに考えるのですが、どうですか。所管は自治省ですが、これは、対策庁としても、あるいは総理府としても、十分関心を持つ問題だと思う。そういう意味でお尋ねしたのです。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 あるいはそういう考え方も沖繩のためには持ったほうがいいかとも思いますが、一方米軍からも非細分土地交付金等の交付も受けて、名前は違いますけれども実態は似たようなものでありまして、市町村としては一応財源にしておるわけであります。しかしながら、本土の制度になりますと、基地交付金になり、米ドル資産所在市町村の交付金になるわけでありまして、ことに今回の米ドル資産等については、本土の予算に比べて沖繩の予算は非常に大きな金額にウエートとしてはなっております。また読谷、北谷、嘉手納、こういうようなところなどは、交付金の金額などが相当な金額になるだろうと思いますが、それだけの犠牲を払っているだけに、当然のことながらそういう交付金が行くわけでございまして、これらは議論はいろいろあると思いますけれども、やはり市町村の財源になるという意味において、今回の両交付金がとられますと、大体、基地等所在の市町村並びにアメリカ側の米ドル資産の所在する市町村というものについては、金で不便をしのげということは言えないわけですけれども、市町村財政上は、いままでと比べものにならない財源交付がなされるであろうというふうに見ております。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 もう一つ総務長官、本土の場合には戦災都市について戦災復興事業がなされたわけですね。沖繩などは戦災都市としては最たるものだと思うのですが、これに対しては復興事業は今日まで行なわれていない。これについての将来の考え方はどうですか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 このことは当然、沖繩において実施されなかった法律であり、本土においてはすでに任務を終わった法律でありますから、沖繩に適用すべきかどうか。適用するとした場合に、その対象はどういうことになるのであろうか。適用しないとすれば、その事業対象が、たとえば都市計画法なり何なり、そういうようなもので代替できるのであろうか。代替できる場合においては、補助率その他において、戦災都市復興の法律よりも高い補助率あるいは起債、そういうものでできるかどうか。これは検討してみまして、戦災都市復興に類するような沖繩の都市計画、あるいは都市公園、市街地道路、その他の計画が、戦災復興の法律をあらためて沖繩に適用するということをしなくても大体やっていけるように予算上の配慮をしたつもりでございます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 何ぶんにも沖繩の場合、戦災の状況もひどい。それに何らの都市改造というようなことが行なわれておりませんために、たとえば那覇、浦添、宜野湾、コザ、四つの市と北谷、嘉手納、読谷、三つの村を合わせた地域は、地域から申すと沖繩全体の三・四六%という土地なんでありますが、そこに四八・八七%という人間が住んでいるわけです。実にひどい過密になっておるわけです。想像できないような過密状態、飽和状態にあるわけです。どうしてもこれは思い切った都市改造ということができるだけ早い機会になされなければ、沖繩の経済的な機能、あるいはふだんの日常生活の機能も全く麻癒してしまうということが痛感されるので、何らかの早急な手を打つ必要があると考えるのですが、総務長官、もう一ぺんその点についてお答えください。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 お話をまつまでもなく、実態はまさにそのとおりであります。しかも那覇、浦添、宜野湾、ここらの過密というものは、都市形態として無視できない状態にありますし、コザは比較的余裕がありますが、一方、嘉手納、読谷、北谷、ここらは本来の村の面積の七割五分から八割以上に達する面積を取られて、海岸べりに押し詰められた形で、あるいははさまれた形で谷間に生活する、そういうまことに気の毒な状況であります。  したがって、自分の村に自分の村の学校も義務教育設備としてつくれないで、よその村に自分たちの学校を置いておるというようなこともございますし、これはほんとうに申しわけのないことだと思っておりますが、少なくとも、すぐに基地が返ってこない場合でも、これらの残ったところに対する都市計画、あるいは都市公園、あるいはまたそれに付随する各種の社会福祉、あるいは学校、教育環境、こういう問題等についてはすみやかに整備をいたしませんと、まことに人道上の問題であり、あるいは子供たちにとって、一年施策がおくれますと、その一年は取り返しのつかない一年で、去年小学校の六年生であった者は、もう人生に二度と六年生という義務教育最初の六年の最後の段階を人生において迎えることはできない貴重な一年であるということで、私も非常にあせりを感じております。  したがって、復帰前においても、嘉手納等においては、本土にはない全額補助等による大型公民館等も、一応建設にすでにかかっておりますが、沖繩については、今後、こういうような全く特殊な事例というものの中に立って、地方都市計画、あるいは市街地建設、あるいは都市公園、こういうようなもの等について十分の配慮をして急速に整備してあげませんと、いまの状態では、県庁所在地にもうすぐなろうとする那覇市も、都市計画が行なわれたとはおせじにも言えない形態で、ただ人が集まって建物がだんだん近代化していきつつあるというふうにしか見えませんので、この面においては最善の努力を尽くすべき義務があると考えます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 私はそういう観点から、沖繩で急ぐ仕事は、そういうこと、あるいは基地の縮小の問題とか、そういう問題だと思うのです。ところが今日、たとえば国土緑化の仕事とか、あるいは国体とか、あるいはさらに沖繩海洋博とか、そういう行事が行なわれる。もちろんそれにはそれ相当の理由もありましょうし、それを一がいにいけかいとは申しません。同時にまた、これが地元の自発的な意思からそういう構想が生まれてきたという経過もありましょうから、それをあえて否定片しませんけれども、そういういわばお祭り騒ぎをするということよりも、そういう問題を一つ一つ解決をしていくということのほうがはるかに大声だと私は思うのです。たとえば国体をやるということよりは、沖繩の不中学校の体育館でも全部完備させる、こういうことになったら、そのほうがどんなに沖繩の体位向上に役立つかわからぬ。そういうのに比べて、どうもお祭り騒ぎが多過ぎる。  あるいは海洋博に至っては、私は意味がないとは申しませんけれども、それはそれとしてのメリットを持っておりますけれども、しかし、あそこで海洋博をやって全世界に紹介するというのには、全くアメリカの植民地みたいなところですね。これは沖繩の恥、日本の恥であり、恥を天下にさらすことである。あるいは同時にアメリカの恥でもあるかもしらぬ。それを天下にさらす、こういうことにむしろなるんじゃないか。そういう懸念が多分にあるわけですが、その点についての御感想はどうですか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 現地の要請もあってのこととは承知しておるという前置きがあるわけでありますから、私もそのつもりでお答えいたしますが、国体にいたしましても、屋内体育館等について、本来ならば高校屋内体育館は国の補助はあまり出ませんけれども、これを機会に、二カ年計画でもつて北部、南部の各高校に全部体育館が整備されますし、なお義務教育については、五年間で本土の五年後の施設、校舎等の整備状態に追いつくための年次計画の初年度分というものが大体予算化できたと思っております。  海洋博の問題は、確かに、ある立場から、あるいはある角度からこれを見ますと、日本の恥、場合によってはアメリカが世界じゅうに恥部をさらけ出すことになるぞというそのことは、私は確かに一面の真理としてあり得ると思うのです。  しかし、これはもうここで海洋博の意義は説きませんが、沖繩の人たちにとって、本土のすべてがいま失われようとしている海洋環境というものをもとにして、今後の沖繩というものが長く観光立県の一つの柱にもなりましょうし、また海洋開発という人類の未開の神秘にいどむ拠点としての研究施設等が残れば、沖繩のためにプラスではあってもマイナスではないというふうに考えておりますので、いま申されましたような点は、たとえば沖繩の中央縦貫道路というものを建設しようと計画をしてみましても、どうしても基地にひっかかるというようなことがあって、結局は、現在既存の道路というものを中心に拡幅、舗装していかなければならぬというようなこと等で、現実にもうすでにその問題にぶつかっておるわけであります。この点は、もう昭和五十年、予算でいえば今年を含めてもう七、八、九の三カ年で完成させなければならない短い期間でございますので、海洋博に世界からつえを引く人たちが相当数かりにあったとしても、これを基地のない、あるいはその関係者が、米軍の基地を一ぱいかかえておる日本というイメージを打破するところまでなかなかいけないのじゃないだろうか。その点は、今後、海洋博をいざ実際上行なっていくという段階に立ち至るまでの、慎重な日米両国の配慮をしていかなければならない事柄の、これはあまり表で議論されておりませんけれども、隠れた一つの問題点であろうと思っております。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 防衛庁長官にお尋ねをいたしますが、返還協定に盛られている基地のいわゆるABCに分けたリスト、これは当然に改定されなければならぬ。たとえばC表に載っている那覇空港の問題、そういう点をはじめとして改定の必要が起こっているということだと思うのですが、どの程度いま問題になっておりますか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 これは、暫定予算を組まなければならなかったということ、それから本予算の成立のかね合い等でやはり工事がおくれる。それからまたその工事自体も、これもまだ施政権が戻ってまいりませんうちに施設庁がその指揮に当たるわけでありますが、そこへ入ってまいりまして、はたしてどんどん工事をやっていいものであろうか、どうであろうか。このあたりも県民感情を十分配意しながら、仕事の着手についても、準備行動であるからいいといえばいいわけですが、そのあたりを細部の注意を払って、復帰の時点から仕事を始めよう、こういうことで政府側としては意思統一をいたしたようなわけであります。したがって那覇空港のP3の移転問題等も実質上は相当程度おくれるのではないか、こういう見込みであります。  先般来、それについて、どうせ五月十五日、もっと早く暫定予算でない形で予算を使っておったとしても、事実上はできなかったのではないか。それを暫定予算でいい幸いにして、そういうスローダウンに踏み切ったのだろうという説をなす方もあります。しかし、それは間違っておりまして、実は二千七百メートルの滑走路を普天間に移す場面で当然整備しなければならない。しかし、ここにおります施設庁の長官等々と、五月十五日どうするかということを真剣に検討いたしました段階では、二千七百メートル全部を完成することは不可能であっても、二千メートルを第一期工事として完成することは可能だ。そうすれば、アメリカ軍の了解があれば、これは離着陸に支障はないのではないか。安全度を十分踏まえれば、二千七百メートルだが何とかなるだろう、こういうことではあったわけです。しかし、冒頭申し上げましたような事情によって延期せざるを得ないというのが実情でございます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 私は別に那覇空港の整備状況を詳しくお聞きしようというつもりではなかったので、要するにC表からはずさなければならぬという状況にあるわけです。この点はどういう扱いをするのですか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 P3が暫定的に那覇空港に残るということになりますれば、これはわがほうに管理が移りました飛行場の一時的な共同使用ということもやむを得ないかという感じでございまして、この取り扱いについては、目下外務省のほうで検討をされておるわけです。まだ最終的な結論を私ども承知しておりません。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 それでは、外務省の担当官が帰りましたから質問するわけにいかないのですが、いまの那覇空港はC表からはずすというようなことが必要だろうし、あるいは現に、たとえば本島の北のほうでありますが、川田、瀬嵩、安波なんという訓練場ですね。これがそれぞれAリストに載った三号、八号、二号という訓練場ですけれども、これなども実際は手に入らないという状況のようであります。あるいは渡嘉敷の前島ですね。あの訓練場も同じように使わせない、こういう考え方がはっきりしているようですが、そうなると当然にABC全体を通じて改定をしなければならぬ、こういうことになると思うのですけれども、そういう点について全部ひっくるめてどういう態度をとられるのか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 この問題もこれから外務省と真剣に検討いたさなければならぬ問題でございますが、いまの一時使用訓練場の七カ所のうちで、いまのところ二カ所が、米軍との間におきまして村長の使用許可がおりておらないということになりますれば、これは例の暫定使用法を適用するというわけにはまいりません。しかしながら、これからの契約交渉によりまして、その二カ所につきましても、円満妥結すれば米側に提供するということは可能でございます。したがいまして、この二カ所につきましても一応いまのAリストに載っておりますが、これは日本側としては一応提供するという責務を負っておるという形でございますが、暫定使用法はかけられないにしても、もし子の地元の方々がいわゆる契約交渉に応じてくだ太れば提供できるということになりますので、その二カ所について、直ちにAリストからこれをはずす必要があるかどうかということについては、問題がございます。そのまま残しておいても、今後のわれわれの努力によりまして、提供することも可能であるということになろうかと思います。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 いまの訓練場のごときは、賃借料しいうか何というか、それの支払いはどうするのですか。それから従来これは年間ぶっ通しに使っておったわけではないわけですね。そうすると、使用の期間に応じてその日数分だけ払う、こういうことになるわけですか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 今後の使用条件といたしまして、年間たとえば二十日なら二十日ということになりますれば、一年間の借料を払うことは適当でございません。そこで、借料の一部について、年間分でございますけれども支払いまして、そうしてその間に米軍がそれを使用すれば、その使用期間に応じましてさらに補償するという形でこの問題を処理したいと考えておるわけでございます。借料をどの程度払うかということについては、目下まだ最終的に結論を得ておりませんけれども、一応の年間の借料の支払い、それに使用期間によりますところの補償、現実に何らかの損失がありますれば、それに対する補償、こういうことになろうかと思います。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 長官、これはかなりむずかしい問題だと思うのですよ。なぜならば、使うのは一年間にごくわずかな日数、あるいは年によると全然使わないという場合もあるわけですね。それを一年間の契約をして全部拘束してしまうということは、地元にとってはたいへんな迷惑になるわけですね。さればといって、そういう拘束をする反面、年間を通じての賃料みたいなものを払っていく。名目は何でありましょうとも、金を払っていくということになると、これはまた、払うほうの側、いわば納税者といいますか、そういう立場から見ると、これまたきわめて不合理なんですね。そういうところにわれわれの税金がたいへん不合理に使われるということは納得できないと思うのですね。そういう点で非常にこれは扱いにくい問題だと思うのですが、地元は、いま私があげたような点は、いずれも反対しているわけです。あるいは渡嘉敷の前島なんというのも、そういうことでしばられてしまうと、地元の開発計画が全部だめになってしまうということで強く反対をしているようです。ですから、そういう点は、これは私はリストからはずしてしまって全部地元に開放する、こういうことが絶対に必要だと思うのですが、いかがですか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 これはやはり、必要に応じて使うということも防衛上、訓練上の一つの条件でありまして、御指摘の点はよくわかります。したがって、使いはするが、もう借りたのだから、使用料を払っているのだからということで住民と対立をするというようなことのないように、極力理解を得ながら、話し合いをしながらいく。そしてまた、地元の開発計画にどうしても必要であるということならば、そういうものは再検討をして、地元の要望にもこたえていくというような弾力的な姿勢が望ましいと思います。十分留意をして対処したいと思います。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 渡嘉敷の前島等から詳細な資料が来ておりますから、長官の言うように、そんなに簡単に、地元と話をすれば、地元の将来の開発計画も達成できるし、同時にこっちも使いたいといえば使わせる、こういうことが可能になる状態ではないと私は思うのです。書類で見る限りそう思うわけですね。だから、そういうことになると、どうしても地元の将来の民生安定あるいは産業の開発というようなことを中心にする。これはしかも使うのは、従来のアメリカも一年のうちで長くて二十日ぐらいなものですよ。あるいは二年も三年も使わないでぶん投げておくときもあった。だから、そういうところはよろしく思い切って開放してしまうという姿勢が絶対に必要だと思う。基本的な姿勢としていかがですか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 おっしゃる意味はよくわかります。もともと、ベトナム戦争に協力体制をとりながらあの沖繩を戻すということは、私は、非常な政治配慮であり、アメリカとしても勇断であったと思うのです。そのことが今日また、けさ方の議論にもなっておりましたが、そこで基地をどう縮小するか、これは政治当局にしてみますると、ペンタゴンに対しても、なかなか思うように要求ができなかったのではないか。これは、日本と国情が違いましても、想像にかたくない点だと思います。したがいまして、米軍基地というものが何か廠舎の基地といった形で、非常に大きいということは否定できません。ですから、今後といえども不必要な基地はどんどん解除してもらう、これは粘り強く続けていく必要がある、率直に私はそう思っております。また、サンクレメンテでのあの巨頭会談においても、返還後、基地の縮小整理については話し合いをしていこう、こういうことが確認されております。したがいまして、この返還後は、当然、いま御指摘のような基地等については、十分調査の上、善処をしたいと思います。  何かいま山中長官のささやかれるところによると、村長が私有地であるのを公有地と間違えて提供してしまったというようないきさつがあるそうです。もし、そうだとすれば、これなどはやはり誤りは誤りとして是正するのが当然の政治ですから、十分配慮いたします。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 サンクレメンテの共同発表では、返還後ということになっておりますから、したがって、あるいはまだ全然手をつけていない、こういうことかもしれませんけれども、現段階においては、基地縮小という問題については、アメリカとの折衝は何ら持たれておらないのですか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 サンクレメンテにも、資料として、外務省側、施設庁側と打ち合わせましたものを持参されました。それは使われなかったと思います。しかしそのときも、相当数の基地返還を求めておったことは事実であります。したがいまして、そういった資料等すでに手持ちにあるわけですから、十分ひとつ促進をする方向で努力いたします。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 そこでお尋ねをいたしますが、今度本土返還に伴って沖繩におけるアメリカの軍隊の軍事機能を強化されたことになるのかどうかということが一つの問題だと思うのです。現地の新聞等は、それ相当の材料をもとにして判断しておるのだろうと思うのですけれども、本土返還に伴って日本本土の司令部の中に所属することになるわけです。しかし沖繩に関する限り、沖繩の米陸軍と第二兵たんコマンドと一緒になって在沖繩米陸軍基地司令部というものが設けられる、沖繩の基地は機能的に強化されることになるのだ、そういうことが明らかになった。沖繩の基地は、陸軍の補給機能と、それから海兵隊の戦闘機能、この二つの任務をもって強化された、こういうふうに説明をしておるわけですが、長官はどういうふうにごらんになりますか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 この点は見方によっていろいろ意見が分かれると思いますが、私はしばしば、それと類似の質問に対しまして、弱化するのではないかという想像を率直に申しておるわけであります。  もともと軍人というものは、その機能が低下しても低下したということをまつ正面から言わないものです。低下しないということは太平洋軍司令官などもしばしば言明しておるところであります。ところが、事前協議の対象となり、すべてが日米安全保障条約の適用範囲内でいわゆる本土並みになるわけです。そういうことになりますと、午前中の議論にもありましたように、やはり相当制約を受ける面というものが出てくるのではないか。なればこそ、さっきアメリカ局長も答えておりましたように、上院で、沖繩を返還すること自体には異議はないが、基地が自由に使えぬではないか、それを考慮すれば反対に回らざるを得ないという反対者があった。これはさもありそうな点だと思います。そういう点におきまして、だんだん低下していく、また低下していいのではないかというふうに私考えております。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 現地の新聞の報ずるところによると、これは全く現象面からの判断でありましょうけれども、たとえば、従来は長くても二年ないし三年の勤務状態であったのが、今度は勤続五年になった。最近、沖繩にアメリカから派遣されてくる関係者は、五年になったということを言っておる。あるいは従来単身で来た者が家族同伴で来るということになったとか、そういう現象面からの判断かもしれないが、とにかくアメリカは永久の基地として長くあそこに居すわる、そういう体制が次第にはっきりしてきた、こういうことを報道しておるわけです。そういう点に対しての見方はどうですか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 アメリカの厭戦気分というものは想像以上のものがある。私も二年ほど前にアメリカへ参りまして、五千人ほどの大衆が集まる場面で演説をする機会があった。ところが、たまたまアメリカの上院議員が演説をするときに、反戦的な言辞を弄するとたいへんな反響がある。これは議員対議員で話し合っていてもわからない点です。ちょうどその席には、ここの塩谷委員も御一緒でありましたが、政治家の発言に対する民衆の反応というものを見る、これくらい正確なものはないような気がいたしました。そういう点から、いまの、兵員に対して家族を同伴させるとか、いろいろな優遇措置をとるとか、これはアメリカ側のやむを得ざる措置ではないかというふうに考えております。  それから、アメリカがにわかにあの沖繩基地を全面返還などというような形になるとは、私も思えません。しかし、先ほど来御議論になっておりました海洋博等がいよいよ開催されることになれば、一体、あの沖繩本島の一番いいところにアメリカの基地が蟠踞しておるという形が、国際的に見て、アメリカのプライドというものからいっても通るであろうかどうであろうか、私は多分に疑問の存するところだと思います。しかも海洋博は国際博でありまするから、国際的にいろいろな国から来訪されることになるわけです。もちろん、基地の外に立ったからといって基地の内容をうかがい知ることはできませんが、しかし、こんなに広大な基地を持っておるということは、どこの国の何人にもすみやかに理解されることですから、そういうことなどを考えると、今後われわれがねばり強く基地返還について話し合いをしていけば、相当程度応じる可能性はある。私は決して夢物語りではないという深い希望をつなぐものであります。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 ぜひそういうのでがんばっていただきたいと思います。海洋博に対する私の感じも、いまの長官の気持ちと全く同様で、これはアメリカにとっても一つの恥だと思うのですね。そういうことよりも、もっと急がなければならない問題が足元にたくさん山積をしているということをさっき総務長官に申し上げたのですけれども……。  そこで、総務長官、だんだんに基地が縮小される、こういうことになって基地が開放されたとき、いまのままで開放されてもだれの土地かわからぬということでたいへんな混乱におちいるわけですね。そこで私は、むろんいまの時点でできるだけ所有関係を明確にする、そういう作業をすることが絶対に必要でありますが、それはなかなかいろいろな壁にぶつかるということもありますから、そうであるならば、開放された直後にはしばらく現状をそのままにしておいて、借り賃だけは従来どおり払っていく。開放になっても、個人の所有権が確認されるまでは地代は払っていく、そしてその間に明確にして安定させるということが必要じゃないか。そうでないと、何か特別に力の強い者が、ある一部を開放された瞬間に占拠してしまう——これは防衛庁の仕事ですかな。というようなことになると、たいへんなことになると思うのですね。ですから、開放された場合には、しばらくその状態をくぎづけにして、ただし賃料は継続して支払っていく。そして個人の所有権が明確になったその時点でみんなに分配する、こういうことにすることが必要である。そうでないと、力づくで分取り合いをしてしまうというようなことになるおそれがあるのですね。ぜひそういうふうにする必要があると思うのですが、いかがですか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 開放された土地の所有者の関係が明確でないというようなことは、確かにそういうケースが間々あると思いますが、それをどういうふうに処理をするかということはたいへんむずかしい問題でございます。しかしながら、いずれにいたしましても、できるだけ早く土地の真正の所有者というものが明確になることが必要でございますし、それまでの間、何らか政府として、たとえば管理費のような形におきまして、従来の持ち主に対しまして、いわゆる登記簿上の所有者と申しますかに借料相当額を支払っていくというようなことを、これはわれわれとしても今後検討していかなければならないだろうという感じがいたしております。  しかしながら、何よりも土地調査の関係が軍用地につきましても進みまして、真正の所有者が明確になることが前提でございますので、その面もわれわれとしてもできるだけ急いで、そういう調査を進めることが必要であろうということで、いま琉球政府がやっております土地調査というものをできる限り基地内にも及ぼしていくということが必要じゃないかという感じを持っております。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 もちろん基地の中までそういうことが十分に調査されることになれば望ましいわけだが、実際問題としてなかなかそれが容易でない。所有権の確認ができないということが間々あるというような状態では全くないので、これはむしろわからないのが通常の状態であるようなそういう状況下にあるわけですから、ぜひいま私が提案したことを真剣に考慮してもらいたいと思います。  最後に、たいへん時間がおそくなってしまいましたので、一括して一言で概括してお答えをいただきたい。これは総務長官あるいは防衛庁長官。ほんとうは外務省の所管であるかもしれませんが……。  請求権の放棄に伴って起こってくる数々の問題でありますが、それでこれは、たとえば今度の返還協定の四条の二項、三項によっていわゆる自発的な支払いがなされる、こういうこともありますけれども、その支払いでは不満の人、不服の人がある。あるいは従来外国人損害賠償法において処置されたものについても同様。あるいはまた海没地には代替地を提供するということになっておりますが、これまた不服の者もある。あるいは布令六〇号に対する漏れておる者。あるいは土地裁判所についても同じようなことがある。布令二〇号も同様。こういうことで、従来アメリカの施政権下において行なわれましたこれらの問題は、たとえばアメリカの法律に従っていくと、あるいは土地裁判所というような名前が用いられたりしはいたしましたけれども、これらは実体的に裁判所でも何でもない。こういうことで、私は前に沖繩国会の際にこの点はるる申し上げ、佐藤総理からは、それについては、沖繩が日本本土にあった場合と同じような、沖繩の施政権の分断なかりせば享受したであろうと同じような補償を受けるのが当然だ、こういう答弁をいただいておるわけですが、いよいよこれらが現実の問題になってくるわけです。したがって、沖繩県民にとりましては、こういう問題について、放棄された請求権を日本本土政府はどのようにカバーしてくれるかということが非常に神経を使っている問題だと思うのです。したがって、以上あげたような数々の問題についてどういう態度でこれに臨まれるか。  私は、沖繩の人たちが安心して心配なしに暮らせるような立法措置が絶対に必要だというふうに考えておるのですが、いままで政府の答弁では、予算で済むものは予算でやる、法律が必要なものには法律をつくる、こういうことを繰り返してきたわけですけれども、そのいずれによるか。あるいは立法によるものあり、あるいは予算によるものあり、それぞれいろいろあると思うのです。そういう点について、その時期が近づいてきましたので、ぜひ明確なる方針を伺っておきたいと思います。どちらからでもけっこうですが、お願いいたします。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 これは総理の答弁にもありましたように、日本政府がアメリカ政府との問に、放棄はしても沖繩県民の受けた被害というものが消滅をしたわけではなく、かつまたその事実が消えるわけでもございませんし、沖繩県民個々にとっては、相手がアメリカであるべき至当な理由があっても、それを日本政府の意思によって放棄したというならば、日本政府がかわってやるべきだという、結局は要求者としての立場は何ら変わっていないという事実が私はあると思います。  そこで、いま行なわれております、例をあげられました一見合法的なように見える土地裁判所、ここでも漁業協同組合は漁業被害があったといっているのに、土地裁判所では漁業権が存在したかどうかということに法律上の議論を置いて、それを存在していなかったと却下するというようなこと等から見れば、これはどうも私ども本土の実際上の受けた漁民の被害に対する補償という考え方から見ると、そういう法律になっているのかもしれませんが、それは私どもとしては論理のすりかえだという気がするのです。そういうことはもうずいぶんころがっておりますので、個々のケースもいろいろありますから、やはり一応はそれらの実態をすみやかに調査をして明らかにする。そして結論としては、予算処理で済むものは予算処理で——これは立法をしなければちょっと予算化できないというものも出てくると思いますから、そういうものは当然特別立法をして、沖繩のこの請求権の放棄したことに伴う国家の措置をするための法律というものが私は必要になると思います。  しかしこれらは、復帰の日に直ちにその法律を適用するために準備をするには、あまりにも実態というものが多種多様でございますので、これはもう起こってしまったことは過去のことであって、一年それが置いておかれたことによって著しく実態が変わるものではありませんから、その点は一年の間に十分に相談をし、調査をし、立証を固めて、そして法律を何本必要とするか、あるいはどのようなものが法律の中に入らなければ支出できないか、その他は積算根処を明らかにして予算化できるか、少なくともこれらの作業を今後していかなければならぬだろう、こう考えております。  実務の面になりますと、どこがこれをやるかということになりましょうが、実務そのものは、本土の法律は、駐留米軍との間のことは全部防衛施設庁が処理しておりますから、そちらのほうにいくと思いますが、総理の政治姿勢として、沖繩については、総理直属の機関たる総理府において、総合調整の立場から窓口としての努力、協力を惜しまぬようという御指示がありますので、私どもその立場を踏まえて、現地の総合事務局を御承認願えますならば、これをフルに活用しながら施設庁との間に十分の連携を保っていきたいと考えます。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 ただいまの山中長官の答弁で十分尽くされておるように思います。私どももきめこまかに総理府側の協力を得ながら事に処してまいりたいと思います。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 防衛庁長官のきめこまかにというのですけれども、それにしてもあまりにも予算が貧弱なんですね。たとえば通損補償。通損補償といえばたくさんあるわけですね。いわゆる通常損害と称するものは種類だけでも非常にたくさんあるわけですが、それに対してわずかに六百万円しか組んでいないわけですね。あまり貧弱な予算で、これではたしてあんな膨大な被害に対して調査ができるのだろうか、まことに疑問だと思うのですが、いかがですか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 これはやはり、施政権が戻ってまいりましてから十分調査をする、その調査費が六百万円、こういうことでありまするので、まあ六百万円あれば、そう広いところでもありませんし、十分調査はできると思いまするし、またその費用が足りなければ、款内流用等々も考えまして、十分御期待に沿えるように努力をいたします。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 それでは将来、山中長官もるる答弁されましたけれども、請求権の問題については、私は、請求権を補償するという、そういうたてまえの立法が一つ必要だと思うのですよ。個々の一つ一つの問題についての立法ではなしに、そういう放棄された請求権をカバーする、そのための基本的な法律が一本必要だというふうに考えておるわけですが、しかしいま時間がありませんから、この問題の議論は後日に譲ることにいたしまして、これで終わりにいたしますが、どうか一つ、その失われた請求権に対するカバーの問題、あるいはさらにるる申し上げた基地の補償の問題、こういう問題について全面的に作業にかかっていただきたいということを強く御要望いたしまして、終わりにいたします。

伊能繁次郎自由民主党

○伊能委員長 和田耕作君。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 先ほどアメリカ局長にお話を申し上げておったのですけれども、沖繩の基地とベトナム戦争というのは非常に密接な関係を持っておると思うのですけれども、私は三年ほど前に沖繩へ参りましたときに、沖繩の那覇軍港にはベトナムの戦死者の遺骸を氷詰めにしたものが何百もあったことを記憶しておるのです。そしてまた、昨年の七月に沖繩に参りまして嘉手納基地を拝見したのですけれども、これはもう全く開店休業というような印象を受けた。この二月に沖繩へ参りましたときも、いよいよニクソンの訪中を控えて、ベトナムの戦争も大体終息をするんじゃないかという見通しもあって、これは沖繩の基地の問題はあんまり心配しなくても、本土並みということが完全に行なわれるような状態が案外近く来るのじゃないかというような印象を持ったのですけれども、それだけに今回のベトナムにおける戦況の緊迫化という問題は、これは日本の当局としては非常に慎重に検討しなければならぬ問題を数々含んでおるのじゃないかと思うのです。  それで、その際に福田外務大臣から、事前協議の問題を洗い直して問題点をひとつ検討してみたいという発言があったわけなんですけれども、これは防衛庁長官、ひょっとしたら、長官も先ほどおっしゃられたように、アメリカの上院の有力な議員も、沖繩を返せば自由使用が困難になるのじゃないかという心配をしておるという面もあって、何らかの形で沖繩の基地を事実上自由に使用できるような申し出があるかもわからないというふうに私は心配されるのですけれども、このような見通しについて、長官はどのようにお考えになっておりますか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 そういう申し入れば私は絶対ないと思います。それはもう外交の根本に触れることになってまいりまして、いわゆる沖繩の本土並みという条項が根底からくずれるわけでありまするし、それからまた専守防衛にもともと立つ沖繩が、基地を貸与することによって、それは自由発進でかってほうだいというようなことが許されるとしたら、これはまた日本の国防方針にも非常な支障、疑義を生じてくるわけであります。そういうことこそ隣国に対しても不必要な刺激や誤解を招く原因をなすわけでありまするから、そういうことはないと思いまするし、かりにそういうことがあったとしても、これは条理を尽くして断固として排除していくということが当然であろうかと思います。  それからベトナムについては、これはわれわれ局外者が軽々に見通しを述べるわけにはまいりませんが、北側の攻勢というものは、その武器の援助、協力の態勢、整備された状況等々から判断しまして、長期には続かないのではないか。アメリカ側もしばしば撤兵を宣言し和平交渉に誘導しておりましたが、それとは逆な形で北の攻勢という形が展開された。これに対応して、やはり戦闘状況にある地域でありまするから、アメリカ側としてもほっておけないので、にわかに主力をあの戦線に向けるというようなことになったと思われるわけで、これは短期に解決するもの、そんなに険しい戦闘状況が長期化するとは思えないという見解に立っております。一日もすみやかにもう一度前の事実上停戦状況に戻って、アメリカ言明のように、デスクに着くことができ、また予定通りに兵員が撤退されるというような形になることが望ましいと考えております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 いまの問題、つまり事前協議の問題で午前中木原君からいろいろと指摘がありましたけれども、事前協議を自由発進に事実上できるようにという申し出があっても、政府は当然断固として反対をする、そして反省を求めるということは当然だと思うのですけれども、その際に、事実上沖繩の基地からの発進を認めるような心がまえを持つ——これはしはしはいままで問題にされた点なんですけれども、つまり、福田外務大臣がおっしゃったような、洗い直して問題点を検討するという意味が、逆に沖繩の基地は本土並みになっても、実際上運営の点から自由にやらすというような、これはぬぐうことのできない国民の不安があると思うのですね。また、そういう不安はいわれのないものではないと思うのですね。これは沖繩をアメリカから無理に取ったということになれば別だけれども、やはり外交の話し合いの中で沖繩を日本に返してもらうということですから、佐藤総理大臣のおっしゃるように、これは歴史上なかなか例の少ないことなんですから、したがって、この交渉の中には当然重要な問題についての含みのある話し合いがあることは当然のことだと私は思うのです。そういうことも、だんだんと緊張が緩和されてベトナム紛争がしまってくれば、そういうふうな心配もほとんどなくなってしまうというふうに思っておったのですけれども、いまのベトナム戦争の、私も転機だと思いますけれども、非常に険しい状態が出てくる。しかも一カ月後に沖繩が日本に返ってくるということで、返ったあともかなり大規模に沖繩の基地を使用して、直接、間接にベトナムに向かうということを想像するというのは、あながち杞憂とは言われない。そういうような場合の措置として政府は十分その問題について腹をきめての交渉をすべきだと私は思うのですけれども、いま防衛庁長官からの決意の表明はお聞きしましたけれども、沖繩関係の一番の元締めである国務大臣としての山中長官、この問題についてのお気持ちを聞かしていただきたいと思います。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 私は、安保条約の事前協議の内容その他について、その運用の実態その他を私が私の意見を述べる立場にありませんが、いまのすべてその問題の前提である基地の問題については、これは外務大臣が、江崎防衛庁長官もそうでありますが、現地を一番よく知っている閣僚としての私、そして沖繩の人たちの県民感情というものを一応私が閣内で一番知っておるという立場において、よく相談をしてもらっております。したがって、サンクレメンテに外務大臣が参ります前も、君が見て、沖繩の人たちが、いつまでもいてもらっちゃ困る、こういうところをいつまでも占拠しているのはどうかな。あるいは県民感情から見て、どうもアメリカ軍がやることはおかしいというような場所をいろいろ教えてくれということがありまして、私は私なりにそういうものを指摘して参考にしてもらったことがあります。  なお、復帰後は基地の縮小というものに対して、サンクレメンテでのおおよその合意を踏まえた外交交渉を持たれるにあたっては、いまの姿勢では、私も相談を受けるようでありますから、むしろ私どもが積極的に考えております沖繩の基地の、たとえば、いま嘉手納を返せと言ったって、なかなか返さないでしょう。しかし、かといって、いまこちら側が、あそこは必要ないじゃないかと言えば、向こうも返答に困るような場所がずいぶんございます。そこらの点は、私のほうで沖繩担当大臣として手抜かりのないように、そうしてまたそれが外交に反映されるように、私としては積極的な努力を展開していきたいと思います。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 重ねてしつこいようですけれども、福田さんのあの発言は、あるいは、こういう答弁をしたけれども、相談をして何とかしようではないかという相談は、閣議でも、防衛庁長官あるいは総務長官には話があったのでしょうか。なかったのでしょうか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 これはございませんでした。あの場面で答えられた雰囲気を私は見ておりましたが、これは福田さんとしては、やはり検討をしようという熱意でああいう発言になったものというふうに私受け取っております。のみならず、本土からの発進もさることながら、沖繩からベトナムに発進する、これも日米安全保障条約の審議段階において、極東の範囲とはということでしばしば議論が繰り返された上に、フィリピンからまっすぐ、マニラからまっすぐに北に延ばした線ということになっておりますね。ですから、それにはみ出るベトナムに直進するなんということは、これはまた当然検討しなければならぬ重要問題でありまして、福田さんの言われる意味が正しいと思うし、またこれは私どももやはり側面から協力しまして、検討課題として十分話し合いをしてみたいと思います。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 ああいう場の答弁でその場の気持ちを表明するということは、決して悪いことじゃないと思うのですけれども、自由にやってもらいたいと思うのです。それに対して私どもも、あげ足をとったりすることはしないつもりでおりますけれども、この問題は非常に重要な問題だと思うのですね。当然こういうふうな公式の場の発言については、先ほどアメリカ局長に聞いてみたところが、格別具体的にやるかまえの相談もしていないようだし、そうしてアメリカ局長のほうも、安保条約の根幹である事前協議の問題について内容的に変える意思はないというような答弁だったのですが、そういうふうなところから見ると、あの場で福田外務大臣は、一つの思いつきとしてああいう発言をしたとも受け取れる。いままでのいろいろな御意見を聞いて思うのですけれども、これは思いつきとしては非常に上等の思いつきで、しかもベトナムと沖繩というのは当初からひっかかった問題ですね。ベトナム戦争がどういう状況であれば、ひょっとしたら沖繩は返されぬかもわからぬというふうな心配まで出た。そういう論議が出たほどの関係のある問題なんですね。それが現にベトナムで起こっておるということですから、これをひとつ長官としても、外務大臣とあらためて、あなたはああいう発言をしたのだから、この問題についてはどうするのだということについての御相談なり、閣議の御意向を確かめるような方向で努力していただきたいと思うのです。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 このことにつきましては、きのうの朝、自分はああいう発言をしたが、あれはひとつ防衛庁長官、検討してみようじゃないか、こう言って、参議院の予算委員会が始まりまする前に、特に私に呼びかけがありました。ですから、いま和田さんがおっしゃるような思いつきで言ったということではないと思います。  いまお話しのうちに、私、思い出したから補足するわけですが、事実重要な問題で、さっき私も、アメリカ局長の答弁を聞きながら、役所の責任者としてはあの程度しかこれは答えられないと思います。まだ大臣と詳細の検討したわけじゃないでしょうからね。しかし、われわれ政治家からするならば、従来の安保条約締結のあの経緯等から見ても、やはりこれはひとつ十分話し合いをしていくべきだ。アメリカにしてみれば、沖繩を返してやったのにもう足元からすぐそういうことを言うと、実際、国際信義の上から言うと、いろいろな向こうは向こうとしての議論も出てきましょうけれども、しかし、それとこれとは問題が別ですから、やはり十分礼儀を尽くしながら日本の立場というものを話していく、理解させる、これは大事なことだと思います。きょうも何か参議院のほうへ外務大臣呼ばれておるようですが、機密漏洩問題でも片づいたら、早急にひとつ打ち合わせをしてみたいと思います。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 機密漏洩問題でも、もともとそう隠す必要のないことを政府が隠すというところに問題があるわけだと私は思うのです。ああいうことは何も国民に率直に訴えればわからぬはずのものではないのです。沖繩が返ってくるという大きな仕事に、ことばは過ぎるかもわからないけれども、一億や二億の金を出すということはわかる人はわかるわけなんですね。そういうことをひた隠しに隠すというその根性がぐあいが悪いということだと思うのですよ。  したがって、この事前協議の問題について、特に沖繩の基地の事前協議の問題については、何ぼ政府がいろいろなことをおっしゃいましても、四囲の状況から見て、アメリカがその基地を使う気になればほとんど協議らしい協議はしないだろう。共同声明なんかを見てもそういうことは考えられるのですけれども、暗黙に政府もこれを承知をしておるというように国民の目では受け取られるわけですね。これは好意的に見ても、私どもわりふい好意的に見ているわけですけれども、おそらくそのくらいの話し合いはしているだろうと思うのです。思うくらいの非常に危険な事態が現在起こってきておるわけですから、この問題についてはひとつ閣議でも十分話し合いをしてもらいたい。  戦闘のことですから、どういうふうに発展するかわかりません。あるいはアメリカ軍は、数はごく少なくなっておりますけれども、本国からまた再び増兵するというようなことはやりもしないしやれないと思うのですが、そうであればあるほど、近隣の兵力を集中するという状況も多分に考えられる。日本の兵力、あるいは朝鮮の兵力、あるいは台湾その他の兵力を急激にベトナム戦争の変化に従って集中するということは考えられる。現にそういうふうな動きもある。こういう問題ですから、もっとあけすけに話をよくすればわかるので、ひとつ政府としても、今度の機密漏洩問題を教訓として、ぜひともそういう態度をとっていただきたい。  続きまして開発庁の問題ですけれども、長官、開発庁の設置法の趣旨説明、私よく拝見いたしました。この開発庁が必要であるということもよくわかります。ただ、これは行政組織の基本問題として、沖繩には地方行政の基本である県というものが置かれ、知事が置かれる。それに対して、開発庁というものは総合的な官庁として設置されるということで、これは、特殊な必要、あるいはある一定時期必要だというような性質のものではないかと思うのですけれども、沖繩開発庁は、沖繩の開発十カ年計画というものがあるのですけれども、おおよそどれくらいの時期をめどとして必要であるとお思いになるのか。また、どういうふうな条件になれば、この開発庁はもう廃止されていいものであるのか。こういうものの見当をつけておられると思うのですけれども、よろしかったらお聞かせいただきたい。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 沖繩開発十カ年計画というものが、十カ年で完全に本土各県並みというような成果をあげれば、これはまさに喜びにたえないところであります。そのために努力しなければなりません。したがって、その他の法律は大体時限的な考えでやっておりますから、沖繩がひとり歩きができる日まで御加勢しましょうという意味でありますので、開発庁も大体はこの十カ年計画の間というような感じでおりますけれども、しかし、ことしの予算編成を現実的にやってみまして、これは単に中央の政府が必要だからつくるのだということばかりではない。私は前にも質疑応答で申したのですけれども、沖繩側としても長年里子に出されて、ほうり出されていた。起債もなければ交付税もない。その中で累積赤字をたいへんな金額積み重ねてきながらなお行政を保ってきた。その立場から本土政府に対していちゃもんをつけるという、ことばはおかしなことばでありますけれども、責任者がだれかいないと文句のつけようがない。  今度、この開発庁の考え方にのっとって予算の一括計上方式その他をやってみたわけであります。ところが、各省庁にゆだねた分になりますと、その各省庁、その中でもまたその所管の局等の感触によって、私どもからは、そう簡単におりてもらっては困るような予算が、査定の途中で消えてしまっていたり、あわてて私のほうで強力にまた掘り起こして獲得したり、ずいぶん汗をかきました。その意味ではやはり沖繩側が、話が違う、あるいはそんなことじゃだめだといって文句をつけていく相手、政府の姿勢というものを問いかける相手というものがやはり要るのではなかろうかという気が、今回の予算編成を通じても実感として私わいたのであります。そういう意味で、やはり総合調整能力と主要な予算の一括計上というものはどうしても開発庁がやって、これは沖繩のためにもぞうあるべきだと思いますが、いつまでも沖繩探題的に置いておくことはどんなものであろうということは、私は初めからそう思っております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 それでは、大体この開発十カ年計画というものをにらみながら、十年ないし長くても十五年くらいの期間だというふうに大きな見当をつけてこの問題を考えてよろしゅうございますね。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 内部の議論としては、十年ということを法律に書こうかというところまで議論しました。しかし十年目になって、これは延長すればいいことですけれども、こういう国家行政組織の機構というものを、そう簡単に十年間というものを、ほかのいろいろな振興法みたいに、五年計画をまた五年延ばしていくというものとはちょっと違いますので、だから慎重をとって、法律には十年間というようなことは書いておりませんが、その議論は確かにいたしました。そのときには十年間でどうだという議論であったわけです。しかしながら、時限立法をやって、もしその期限内に沖繩側の期待に沿えない、やはりもう少しやらなければならぬという場合に、またあらためて沖繩側が必要とするような情勢になるかもしれませんが、それは本土政府の施政よろしきを得なかったことによってなるわけでありますから、無用の議論を起こすくらいならば、何もこれを永久の機構であるというようなことで、ある意味では沖繩側の頭の上にもう一つ国の機構がかさをかぶったような重苦しい感じに感ずる人もおるわけでありますから、そういうことが永続的なものであるという印象を私たちとしては与えたくないから、そういうつもりはもともとないわけであります。率直な内輪話をした次第であります。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 山中長官に率直な話をしていただきますと、私ども非常によくわかるわけでございまして、ぜひともそういうふうな心がまえでやっていただきたいと思います。  この二月に屋良主席とも会いましたが、彼が一番心配している問題は屋上屋ということで、実際上、知事としての権限がほとんど有名無実になるのではないかというような心配をなさっておるわけでございまして、なおこの問題については安里議員からあと御質疑さしていただきます。  もう一つ、私この際お聞きしておきたいのは、この二月に参りましたときに、私のよく知っている大会社の重役さんの何人かに向こうの現地でお目にかかりました。これは偶然にお目にかかったのですけれども、どうして来ているのだといったら、これは観光の事業をやろうと思って土地を物色しているのだというようなお話だったのですけれども、その後いろいろ話を聞いておりますと、幾つかの大商社もすでに現地に出張っていって、そうして、あとから御質問する海洋博を当て込んで、いろいろな事業計画をなさっておられるように聞いておるのですけれども、これは通産省でしょうか、現在の沖繩に出張っておる、また近い将来出張るであろうような大商社はどのような状態になっておるのか、そのことについてお伺いいたしたい。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 これから企業が出ていく問題は、法律は振興法等で定めておりますが、実務は通産省がやりますから通産省から説明させますが、いままで現在の布令第二号に基づいて許可を得た本土資本がどれくらいあるかということになりますと、各業種別に分けてみますと、総計では百三十あります。  その業種別の内訳を申しますと、もうすでに古くから入ってる製糖業十五。それからパイン業十一、これもずいぶん古うございます。農林業五、畜産業六、水産業三、石油事業一、衣料その他の繊維製品製造業十、家具製作業三、軽工業十六、アルミ事業一、化学工業四、皮革製品製造業一、清涼飲料水四、輸入販売七、機械修理販売一、放送・出版・広告サービス八、専門的サービス十、運輸六、保険・金融一、レストラン業・観光ホテル三、百貨店二、その他十二、計百三十となっております。  今後の企業進出については通産省から説明させます。

田中芳秋通商産業省企業局参事官

○田中(芳)政府委員 商社のこれからの計画でございますが、私どものほうでは、御承知のとおり工業サイドが中心になりますので、商社で、たとえば、勝連半島、平安座島の付近を大規模に埋め立てまして、石油あるいは船、食品、自動車、住宅産業、こうしたものなど配置する計画があるという段階は聞いておりますけれども、具体的にそれがどこまで実現し得るかというところになりますと、むしろこれから現地の状況その他を詰めていかなければならないという段階の話でございます。したがいまして、幾つかの商社、主といたしまして、いま申し上げましたような、石油関係を中心といたしまして動きがあるわけでございますけれども、これが具体的に実施段階に入りますまでには、私どもとしましては、なお十分指導していかなければならない、いまの段階ではまさに仮案を立てておる、このように受け取っておる段階でございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 これは現地の資本というのですか、現地で商売をなさってる人たちとの関係でいろんな問題が起こってるようですね。たとえば、現地の銀行にしても、金融機関にしても、あるいは交通機関にしても、いろんな百貨店等の問題にしても、合併するとか系列下にするとかという問題が非常に起こってると思うのですけれども、そういう問題はつかまえておりますか。

田中芳秋通商産業省企業局参事官

○田中(芳)政府委員 ただいまのような点につきましては、私どもも情報に接していないわけでございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 総務長官、こういう問題はもっと気を配ってやってあげる必要があると私は思うのです。たとえば私が現地で偶然に会った人は、相当大規模な土地を買おうとしている。しかもそれは非常にいい場所ですね。今後政府がいろいろなことをやるにしても、こういう大商社の人が入って、今後開発されるであろう土地を大規模に買い占めるとか、あるいは沖繩の現地の経営資本を系列下にするとか、独占的ないろんなものをやっていくとかというようなものについては、もっと慎重な一つの計画なり配慮が必要だと私は思うのですけれども、長官の御意向を伺いたい。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 その点は、私は十分現地の感情を知っておりますから、たとえば三越が沖繩で大城さんのほうと提携してデパートをつくる、こういう話を聞きましたときも、私どもは直ちに、国際通りの商店街の人たちが、日本一の規模の三越というデパートが、資本が合弁とはいえ進出することによって、これはもちろん社長その他は現地の人でありますけれども、影響を受けないだろうか、反対はないかというようなことを調べさせました。しかし幸いにして、そういうことはなく順調な合弁がなされたようであります。また山形屋等については、戦前から現地にデパートを持っておりましたために、これも抵抗なく受け入れられておるようであります。あるいは琉球セメント、これは、琉球という立場に追い込まれてからできた装置産業で、一県で一社ができるには、原料は本部半島の石灰石が非常によろしいので、本土の業者が目をつけるほどいい石があるとしても、やはり原料面だけでは装置産業の宿命として存立は困難だろうと思われておりましたのを、今日までは何とかやっておるわけであります。これも合意の上で、なお琉球資本の存続ができるような形で、日本セメントとの間に、これは外資のカイザーが四九%入っておりますから、カイザー側とも話がついて大体順調に進んでいるというようなことで、私の耳に目に入りました範囲は、その反響なり沖繩の未来にとって、あるいは現地資本が営営として築き上げた労苦にとってそれがマイナスにならないように、細心の配慮と注意をしておるわけであります。  法律的には、国の行政権で措置するものとして、既存企業を脅かすようなものの本土からの新規進出を認めない、あるいは現在の運賃同盟加盟社以外のもののなぐり込み的な航路の割り込みを許さないとか、いろいろなことを合意しておりますので、大体何とかいけると思っておりますが、一番心配しておりますのは、布令並びに政府立法によって、非琉球人、現在の沖繩県民以外の者が土地の取得あるいは地上権、耕作権等を設定する、こういうようなことは琉球政府行政主席の許可が要るという法律が厳として存在しておりますけれども、どういうルートでどういうふうにしていくのか、伝えられるような土地の思惑買いというものがあちこちに見られます。これは沖繩本島あるいは海洋博関係の地域も激しいようでありますが、風光明媚な離島のほう等にも例が相当あります。これらは納得づく、合意づく、場合によっては町村あるいは議会の議決による誘致等によってやっておるところもあるわけでありますけれども、これが沖繩の経済再建計画の上に支障になるというようなことがあったら困るわけでありますので、ここらのところを、好ましいものならば、沖繩の恵まれた条件の一つである観光立県に大きく貢献するということで歓迎もいたしますが、どうもその法律に隠れて土地の取得をやっておるのじゃないかと思われる節がありまして、建設、農林から、総理府から依頼をしまして、現地の調査もしてもらいました。  しかし、ことごとくなかなか明らかにすることはできませんで、私も沖繩の二紙の、土地の買い占めと申しますか、ブロカーの暗躍のルポルタージュとかいろいろなものを読んで、そのつど実態を知ろうとしておりますけれども、なかなかよくわからないというのが現状でございます。しかし、これはアメリカ軍の土地取り上げとはやや性格を異にいたしておりますので、問題は、それが沖繩の県民のためになり沖繩県の発展になることである、そして経済開発の障害にならないことの範囲でなければならぬということで、琉球政府には十分監視、調査をしてもらうように頼んではあります。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 そういう問題は今後ますます起こってくると思うのですけれども、適当な、たとえば開発委員会というようなものを設置して、そしてそういう問題を正しく導いていく。あんまりやかましく言いますと、いろんなものが入っていかなければ困るという面もあるわけですから、正しく善導するための機関を開発庁の総合事務所の中にも置くとかいうような配慮が当面必要じゃないかと思うのです。機関を置いても、各機関のどこかが扱うのでしょうけれども、そういうものじゃなくて、当面、この問題を処理するような機動的な機関、開発委員会というようなものでもいいと思いますけれども、設置の必要があると思うのですが、どうでしょうか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 これは先般の国会で通過いたしました法律の中央に置かれる審議会、これの過半数の方々は沖繩の人にやっていただきたい、こう思っておりますが、問題は、復帰いたしましたあとは県になりますので、この土地取得の問題等は、大体農業委員会系統の仕事に——現在は農地法がありませんが、復帰いたしますとそういうことになりますから、やはり一番身近な沖繩県あたりの立場において、自分たちも中央の審議会にも参加し、また沖繩県自体も計画を策定しつつある過程において、これはどうもじゃまになるというようなものについては、審議会その他を県でおつくりになってもけっこうなわけでありますから、申請をそこをスクリーンすることによって却下する、あるいは受け付ける、あるいはチェックする、こういう機構を当然自主的にも持ってもらってもけっこうだと思いますが、法律でさらに、国のどこかの機関で持つということは、少し大げさ過ぎるような気もいたすわけでありますが、その御注意はよく承って善処したいと思います。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 それと関連するわけですけれども、先ほど問題になった海洋博の問題なんですけれども、去年私は七月に参ったときに、現地の商工会議所の方々と会って、相当強い陳情がございました。そのとき私は申し上げたのですけれども、七五年に海洋博を開く、これに対して日本の政府から、日本の民間から大量の資金を動員してやりたいというような御意向のようでありますが、まあそれはそれでいいとして、沖繩で開くということのためには、その実態として、すでに沖繩の中に、たとえば海洋大学とか、あるいは海洋資源開発の研究機関とか、あるいは大規模な養魚業、あるいはその他の実際の施設がなければ、国際的な海洋博を開いても意味がないのじゃないか。単にデモンストレーションのような、うわついたものになるのじゃないか。そういう点にどういうような政策を持つのだということを聞きますと、あまり確たるあれがないわけですね。ただ、沖繩が帰ってくる、そのままにほっておいたらたいへんなことだから、士気を鼓舞するためにこれをやる。あるいは、軍用基地その他の核基地、さまざまの議論があるから、それを気分一新するためにこういうことをやるのだという趣旨のあれを聞いたのです。  それから帰ってくると、八月ごろでしたか、閣議が決定しているというわけですけれども、はたして政府は、この海洋博を開くために、その基幹になる幾つかの施設についてどういうふうなものをお考えになっておられるか。たとえば海洋研究所とか、あるいは大きな養魚場をつくるとか、あるいは海洋の公園をつくるとかいうようなことを当然考えられていいと思うのですけれども、七五年といえばあともう三年、この期間に、限られた時間なんですから、政府としてどういうような計画を持っておられるのか、それをお伺いしたい。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 今日まで私がお世話をいたしてまいっておりますが、大体、今年度予算からは、海洋博のほうは、協会の発足、そのあとの運営、先般はテーマがきまったようでありますが、そういうようなこと等も、すべて通産省のほうでやってもらうことにしてあります。しかし、私との間は絶えず連絡がございまして、テーマの設定等についても、あるいはそれを決定する委員の人選等についても御相談を願っておりますから、いまのところたいへん緊密にいっております。  今後もそういう意味で協力し合っていきたいと思いますが、それぞれ各省庁でいま、たとえば水産庁において海底牧場計画を持っております。これは、これだけでも二百億かけたいという夢を持っておるようでありますが、あるいは科学技術庁、運輸省とかいろいろとございますが、これは通産当局が説明できる範囲は説明するといたしまして、要するにいま私の一番心配なことは、本部半島というやや予想よりも北に寄り過ぎたところにきまったために、この会場までの輸送手段、それと宿泊の問題。現地に泊まれない場所であるというようなことで、一番いま頭を悩ましておるわけであります。陸上輸送の建設省道路局、あるいは海上輸送、あるいは宿泊の問題、こういうような問題。あるいは、資材を陸揚げし建設をどんどん進めていく会場の近くの港としては、どうしても運天港あたりを一万トン級の接岸をさせなければならない。これはすみやかに二年くらいで完成しないと、必要資材を揚げるわけでありますから、こういうような問題等いまやっております。  いま一番の最終的な問題として苦労しておりますのは、大阪の万博の経験からはじきましたデータによりますと、一応現在沖繩の海洋博が開かれた場合に予想される入場者と申しますか、来島者、そういう人たちの宿泊施設が、なお最後まで残っております。平日一千二百名、ピークすなわち土曜、日曜、祭日、こういうときになりますと、大阪の数値でいけば、千六百名の宿泊施設がどうしても足らない。これをあと三年間で完備しなければなりません。また一方二百億をこえるような本部の会場に至る道路の建設、これはまた建設省としても突貫工事をやってようやく間に合うか間に合わないかという技術上の問題があるようでございます。これをいろいろと集まってもらって協議をしておるところであります。  なお、計画の具体的な内容その他、さらに詳細なものをいまの段階において御存じになりたいということであれば、通産省からちょっと補足して御説明申し上げます。

田中芳秋通商産業省企業局参事官

○田中(芳)政府委員 補足して御説明申し上げたいと思います。  ただいま御指摘の点につきましては、沖繩の地元からの要望といたしましても、特に海洋を中心といたします学術研究の振興、第二には水産の振興、第三には海中あるいは海底におきます資源開発、それに関します振興、第四番目といたしましては観光あるいはレクリエーションに関します振興、こういった点を踏まえて博覧会の展開をしてほしいという強い御要望があるわけであります。  私どもといたしましては、ただいま博覧会協会に事業計画委員会といいますものを設置いたしまして、民間の各識者、それに現地側の方々も加わっていただきまして、展示の内容につきまして鋭意検討をいたしておりますとともに、政府といたしましても、博覧会に政府出展をいたします関係から、ただいま申し上げましたような御要望の線に沿うような出展物を考えたい。  なおさらに、博覧会終了後もこれの施設が十分あとに利用されて、現地にそういったものが有効に活用されるようにいたしたい、こういうような考え方を踏まえまして、現在、具体的な内容につきまして、ただいま山中長官からも、たとえば海中牧場というような例示の御指摘が一、二ありましたが、そういったものも取り入れるような計画を練っておるところでございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 その計画はいつできるのですか。

田中芳秋通商産業省企業局参事官

○田中(芳)政府委員 この計画を遂行いたしますためには、今後かなり多くの額の予算措置を必要といたします関係上、私どもといたしましては、六月ないし七月にはその計画をつくり上げたい、このように考えておるわけでございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 来年度の予算からということになると、もう二年しかないということになりますね。  つまり、こういう問題を私、現地で話し合ったときに、単なる見せものみたいな形でやることは、これは意味がないのです。先ほどいろんな御意見があったのですけれども、一つの浪費というふうな意味にも考えられる。そういうようなものにしてはいけない。万博の場合は、世界二位というGNPを誇った日本がその実力をもってやっているわけですけれども、沖繩の現地には何にもないというのが現状でしょう。いまの学術研究にしても、水産にしても、海中資源の開発にしても、観光にしても、何にもないところでそういう催しをつくろうというわけですね。したがってあとへ残るものをつくりたい。いまの海底牧場なんというものは非常にいい考えだと思うのですけれども、こういうものを単なる見せかけのものにしないで、今後の沖繩を海洋開発の基地にするというお考えのようですけれども、この基地にふさわしい施設は、三つか四つの柱になるものは本格的な開発をしていかなければならない。第一、総務長官、沖繩を今後海洋開発の基地にするという基本方針は、もうきまっておりますか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 少なくとも私から通産省に引き継ぎますまでの間は、それが単なる六カ月間の海の祭典みたいなものであってはならないので、沖繩の後代にわたって、そして日本の海洋学というものの拠点たるにふさわしい研究所等として引き継がれていくような設計をしていこうということで引き継いでおりますから、連絡は絶えておりませんので、今後、海洋博協会というものが具体的にやっていきまする過程において、私も絶えずそういう方向に沿っておるかどうかを検討さしてもらう、助言さしてもらうつもりでおりますし、なお、補正予算は組まないということになっておりますから、いまの段階ではそういうことは言えませんが、こういう計画ができましたならば、四十八、四十九両年度だけではたして可能なのかどうか。  先ほど私が、一番急ぐものは、資材陸上げ港の本部半島にある運天港を一万トン接岸バースとして整備することであるということを申しましたが、これはもう四十八年の末には完成しておりませんと、海上建設を四十九年度一ぱいでやってどうかという非常なせわしいタイミングでありますから、そうすると、やはりその計画ができましたならば、それの再検討も含めながら、ことしの予算等もそっちのほうに、場合によっては道路等は、道路その他の既定の予算の流用によって来年度以降で措置できる点があるかもしれません。そういう三カ年計画というものを立てて、そしてきっちりと国の責任を年次ごとに正確な定めたもめをもって進捗させていきたい、こう思っておりますので、これは通産省のことでありますが、沖繩の立場に立ってもそういうことが必要でありますから、現地をよく知っている立場から、四十八年度予算を待っていたのではあるいは間に合わぬ施設が出てくるという心配がありますので、これは補正予算論議その他ではなくて、もっと別な論議として真剣に検討していかなければならぬ課題  の一つであるというふうに見ております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 これも沖繩の審議の、きびしい核あるいは軍事基地の議論のそばでそういう議論をかわすような、あるいはベールをかけるような感じを私は持ったのですけれども、いまの御答弁をいろいろ承っておりますと、実際はたして実のあるものができるかどうかということが心配になるわけですけれども、長官ひとつ各省を督励してやはり閣議で決定をする。そうして沖繩というのは、だれが考えてみても、海洋開発の基地という点は一つの重要なポイントになると思うのです。したがって本気になってこのきめたものは実行していく。かりそめにも単なるショーのようなものになってはならない。それでは金のむだづかいみたいなことで、ショーなら沖繩でやらぬでもいいのです。沖繩でやる限りは、その実体をつくり上げる、今後の海洋開発の基地にするんだという方針をきめてやらないと、ほとんど意味がなくなるということを心配しますので、その点を特に要望しておきたいと思います。  最後に、自衛隊の移駐の問題なんですけれども、私は、防衛施設庁の分局を那覇に置くということは必要だと思います。いろいろ問題がありましても、こういうものがないと、引き継ぎの問題について必要を満たすことができないというふうに思うのですけれども、この自衛隊の移駐の問題については、今朝来、政府の佐藤総理以下の皆さま方の配慮をよく承りまして、これは総理もおそらくそういうお考えだと思いますけれども、沖繩国会のときも、私は最後の段階にそういうことを申し上げたのですけれども、沖繩の人たちに理解されないと、どうせ配備をしてもトラブルを起こすだけのことであって、意味をなさない問題なんてすから、十分受け入れの問題については意を尽くして、現地の方々と取り組んでもらうような配慮をしていただきたい。沖繩が五月十五日に返ってきたからといって、かっこうだけでも入れなければならぬというふうな考えをできるだけおとりにならないで、ぜひともこの問題については善処をしていただきたいと思うのです。ひとつもう一度、長官のその問題についての御決意をお聞きしたい。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 これは和田委員御指摘のとおり、全くおっしゃる意には私どもも同感に思います。沖繩が戻ってきたから何となく自衛隊配備が優先するんだ、といったそういう感じじゃなくて、やはり県民感情に受け入れられる自衛隊という姿で配備をしていきたい。  ただ、御了解を願っておきたいことは、いろいろな基地施設等戻ってまいりまするものの、引き継ぎ、管理、こういったことはきわめて重要ですし、急がれるものであります。そういった準備行動には入りたいと思っておりまするが、久保・カーチス取りきめによる局地防衛の自衛隊の配備については慎重に検討してまいります。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 引き継がれる基地の管理については、最小限どれくらいの人員が必要だと思いますか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 現在これは検討中でございまして、六百人を四百人にし、あとそれをどうするかというわけです。準備要員が大体九十三名、約百名、これは復帰前に参るわけでありまするから、それを含んでどうするかということを一両日中に結論を得たい、こう思っております。そして国防会議等正式の議を経て最終決定にこぎつける、こういう段取りになっております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 それでは、もうあと一週間ぐらいのうちには国防会議の議に付せられるということになりますか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 そのとおりでございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 この問題はまたいろいろ騒ぎを起こすと思いますけれども、立川の問題でも、この間、沖繩に物資を送った問題もあるように、これは正々堂々とやってもらいたいですね。この問題だけはぜひ肝に銘じて正々堂々と議論をし、正正堂々とやっていただきたいと思うのです。これはかりそめにも自衛隊ですから、日本の国土を防衛するものですから、こういうものが夜陰に乗じて行ったり、あるいは、送ることが防衛庁側の十分意思疎通がなくて、制服が独走したのじゃないかというふうなあれを起こさせるような形ではなくて、堂々とひとつ議論をして、そしてやっていただきたい。沖繩が返ってくるわけですから、その基地の引き継ぎとかというような問題ですから、これは私はやむを得ない問題が多いと思います。しかし、その最小限度の問題については、ぜひとも堂々とやってもらいたい、このことを要望しておきたいと思います。  これは沖繩審議のときも私は申し上げたのですけれども、私どもの考え方としては、沖繩が日本に返ってくる、日本の領土だ、アメリカ軍の基地がある、日本の領土にアメリカの軍隊だけがおって日本の自衛隊が全然影も形もないということは、これは逆におかしなことなんです。いろいろな政治的な含みをのけまして考えた場合に。しかし、現地のいろいろな自衛隊に対する理解しがたいような問題がありますから、その問題については十分話し合いをして、最小限度のものを沖繩に配置するという考え方だけはぜひとも堅持していただきたい。そのことを特に要望いたしまして、私の質問を終わります。

伊能繁次郎自由民主党

○伊能委員長 この際、おはかりいたします。  議員安里積千代君から委員外発言を求められております。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊能繁次郎自由民主党

○伊能委員長 御異議なしと認めます。よって、これを許可いたします。安里積千代君。

安里積千代無所属

○安里議員 委員外発言を許していただきまして、まことにありがとうございます。  沖繩開発庁設置法案、それから防衛庁に関係する問題につきましてお聞きしたいのでありますが、すでにこういった法案につきましては、当委員会において御審議があり、いろいろと疑義の点も解明になったことだと思います。そういう関係で、あるいはすでに解明済みの点もあろうかと思うのでございますけれども、ごく簡単に御説明を願いたいものがございます。  それでは、防衛庁長官からまずお聞きしたいと思います。佐藤総理も長官も、しばしば、今度の自衛隊派遣、あるいはまた土地の契約などにつきましては、沖繩の県民感情というものを配慮してと、こういうおことばがございますが、いまの県民感情というものをどういうふうに受けとった意味においてそのようにおっしゃられておるかを、まず一応お聞きしたいと思います。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 沖繩の県民自体の動向というものは、非常に正直で平和的な、まっすぐな県民性質といいますか、そういう性格が非常に強い。それだけに、日本本土の実情がわかりませんので、本土の実情を極端に説明する人が、これは右にしろ左にしろありますと、やはり不安なうちに非常な影響も受けやすい。このことは、ひいては心配にもなるというわけで、やはり復帰という現実をめぐって少なからざる不安感がある。これはやはり否定できないと思うのです。それは、同じ民族でありながら、長い間風俗、習慣の違う異国の施政権下に置かれた立場として、いかにも察するにあまりあるものが多いと思います。  さて、そこで、私の問題としては自衛隊の配備ということになるわけでありますが、これは先ほど来議論になりましたあの終戦時の久米島の虐殺、この一つの問題をめぐっても、やはり沖繩県民と本土の感情とでは、いかにも遺憾なことだと思いつつも、そこに受け取り方というものはおのずと差異があろうかと思うのです。そういうことを考えるにつけましても、旧軍隊とは無縁のものである新しい時代の新しい自衛隊であるとはいいながら、やはり慎重に配慮する。先ほど和田さんが言われるように、施政権が戻ってきた沖繩に、米軍のみがおって日本の独立刻としての自衛隊がいないということはおかしいではないか、まさにそういう意見も私は正しい意見だと思っております。そうかといって、十分の理解を得ないままに配備をすることがしからば適切であるかどうかというと、これは風俗、習慣も違い、あの終戦のときに悲惨な状況というものがあっただけに、文字どおりこれが理解されないという憂いも多分にあろうかと思えるのであります。そういう意味から、慎重の上にも慎重な配慮を重ねて実施に移りたい、こういうふうに思っております。私は、沖繩県民全体としては、非常にまじめな、りっぱな県民性を持っておられるというように、おせじでなく率直に思っております。

安里積千代無所属

○安里議員 防衛庁長官も、長官に御就任になる前から、しばしば沖繩へ参られましたし、私は、山中長官とともに、閣僚の中において最も沖繩を理解しておられる方だと思っております。  そこで、いまのようなお話でございますけれども、私は、少なくとも沖繩の場合におきましては、いまおっしゃった以外におきまして、特に戦場となった、あるいはいまおっしゃったような日本の軍隊によりまして、ここであばきたくはありませんけれども、いろいろな不当なことを受けてきた。なお、それから以後今日まで、アメリカの軍隊の中においてどのような被害を受けてきたかということ。いろいろな意味におきまして、少なくとも、軍備とかあるいは戦争とかいうことに対しまする、あるいはこれにつながる一切のことに対しまする拒否的な気持ちというものは、本土の皆さん方以上に強いものだと思っております。平和という観念も、観念論的なものでなくて、身をもって味わっておるものだと思います。ですから、今度の協定におきまして、アメリカにほとんどの土地が提供される、そしてその上に自衛隊が派遣されてくるということに対しましては、単に感情的な問題じゃない。ただ感情だといえば、感情をやわらげさえすればいいという安易な気持ちが出てくるかもしれませんけれども、もっと深い意味において、私ども沖繩の人々が軍事基地に対して反対をする、ひいては来る自衛隊に対しても反対する気持ちというものをよく理解していただかないと、ただ感情的なものだというふうにとられたのでは、私はあとの作業ができないのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。  限られた時間でございますので、私はその点はそれだけにいたしておきまして、先ほどのお答えの中に、軍用地の契約について、まだ何%程度のものができておるとは明確にはお答え願わなかったのでありますが、少なくとも私の知る範囲内におきましては、現在まだ一筆も契約はしていない、そういうふうに受け取っておりますが、いかがでありましょうか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 先ほど申し上げましたように、現在、地主会連合会並びに各市町村の地主会に対しまして、折衝をし協議を重ねておるところでございます。第一回の説明の際には、まだ私ども借料関連経費の全貌について御説明申し上げておりませんので、そこに疑問を生じておるようでございますので、引き続き近々第二回の説明会をいたしまして、その上で全貌の御説明をし、御理解いただくという手はずにしておりますので、まだ今日の段階におきましては、合意といいますか、仮契約と申しますか、そういうところまでは至っておらない、今後この問題は逐次進展をしていくであろう、かように考えております。

安里積千代無所属

○安里議員 あと一カ月しかないのですよ。前から説明をするするということはありましたが、一カ月しかありません。そうなりますと、はたしてこの一カ月の間に、皆さん方が説得により、そしてあの契約が個々になされるはずであります。とするならば、一カ月の間に任意契約がなされるということは、私は事務的にも実際問題でも非常に困難じゃないかというふうに見るわけでございまするが、皆さんとされましては、五月十五日までの段階において、ほとんどの大部分の任意契約は可能である、こういうふうなお見通しでございますか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 確かに日時も残り少なくなってまいりましたので、私どもとしても、急速に合意を取りつけるように努力したいと思いますが、若干予定の日程よりもおくれておる感じもいたしますけれども、今後十分御説明することによりまして、少なくとも前日までには相当多数のものが合意していただける、かような見通しを持っておるわけでございます。

安里積千代無所属

○安里議員 私がそのことを申し上げますのは、公用地の暫定使用法をつくります際に、この法律の必要なゆえんは、軍用地地主の中には、外国へ行っておるとか不在とかで、通信とかいろいろなものがなかなかできないから、これをするためには相当にやはり期間を置かなければならないというようなお話もあったと思うわけです。ですから、あの立法当時の様子から見ますならば、ほとんどのものが任意に契約ができ、わずかに特殊なものだけが残る。だからこの法の強制する——強制法と申しましょう。その法の適用を受けるものは一部であるのだというふうな感じを受けるような皆さん方の御説明であったと思います。しかし現実には、私はおそらくあの公用地の暫定使用法の適用を受けるものがほとんどであって、実際上のあの収用法というものが適用されるのであって、任意に契約が終わるものはわずかしかないのじゃないか、こういう感じを持つわけでありますが、だいじょうぶですか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 私も、先週でございますけれども、沖繩に参りまして、連合会の方々ともお話し合いをしたわけでございます。やはり若干われわれの説明不足のところもございまして、今週から精力的にさらに再び説明を開始するわけでございます。もちろん私どもも、暫定使用法の告示をやります場合には、相当程度の見通しが立てばいいということでございましたけれども、若干その辺作業がおくれておるということは事実でございますが、しかしながら、復帰日の前日までには相当の部分が合意をしていただくというふうに考えます。ことにその手続としましては、地主会あるいはその部落ごとに取りまとめて仮契約をするということも可能でございますので、その辺は十分手続的にも能率的にいくようにしたい、かように考えておるわけでございます。

安里積千代無所属

○安里議員 ざっくばらんに言って、実際にあたって一体何が進行しない原因になっておると思っていますか。皆さん方がお話しされてから相当の期間ですよ。だけれども、一体何が妨げ、がんになっておるか。ひっかかりになっておるか。そのひっかかりというものを取り除けば問題解決の道があろうかと思いますけれども、皆さんとしては、一体何が契約を妨げておる、遅延せしめておる原因となっておると思っておりますか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 各施設ごとに、あの施設の借料は非常によろしいが、自分のところはそれほど至っていないというふうな御不満、つまり比較をしての御不満も若干あるようでございますけれども、これは今後十分借料なり見舞い金の御説明をすることによって、その辺の疑惑は解消するのだと思います。ものごとの性質が交渉でございますので、私どもは最初から全貌を示しておりませんので、その辺についての説明不足が今日まであるという感じはいたしておりますけれども、それは今後急速に解消するのだ、かように思っております。

安里積千代無所属

○安里議員 先ほどもちょっと触れておられましたけれども、見舞い金の性質はどんなものなんですか。そして見舞い金の基準は定まっておりますか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 見舞い金は、先ほども御説明いたしましたけれども、これは、過去長年にわたりまして土地を米軍に提供してこられた、そういう地主の方々の経済的あるいは心理的な負担に対しまして、これにおこたえするという意味と、それから今後積極的にこの契約に協力していただくという方々に対する一つの謝礼的な意味と、この二つを見舞い金は持っているわけでございます。その辺についての御説明がいままで必ずしも十分でなかったという点で、これは今後急速にその辺の御理解をいただけるものだというふうに考えております。

安里積千代無所属

○安里議員 皆さま方がこの見舞い金をもって、これまでの協力に対する、あるいはこれからの契約に対する協力に対する金として見舞い金をあげておるということ自体が、逆にこれはむしろ一番災いをなしております。あれは金の力によって買収されて契約をした、あるいはあれだけの利益を与えたからやったのだ、こう言う。ほんとうはこの契約について皆さん方としては誠意がないですよ。金さえ見せれば、金の力でといったような気持ちというものが非常に働いておるのではないかと私は思う。沖繩の地主の皆さん方は金で良心を売りたくないという気持ち、純真な気持ちが非常にある。それを、あの人は金でもって見舞い金をたくさんやったから、あるいはこれをやったから、こういった不平等観念もありますと同時に、また一面、悪いことばであるかもしれませんけれども、金の力で買収されたといったような、こういうこともいま現地においては強くいわれて、これだけの金があるのだったらなぜ地料のうちに加えてやらないか。しいてそういうことによって契約に協力させる。だから、ある特殊な人には金がいく、もらわない人もいる、ここにまた新しい不平も生まれてくる。むしろ、こういうことがすっきりしないところから地主の人々の忌避にあっておるということも知ってもらわなければならぬ、こう私は思っております。しかし答弁は求めません。  そこで、先ほどの御説明で、たとえば前島の例をとりましたけれども、あの訓練場は強制収用の対象にならないというふうに私、聞いたつもりでございますが、そのとおりでございますか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 前島の訓練施設につきましては、米側との関係において村長の使用許可は発出されておるわけでございます。したがいまして、形の上におきましては米側との間に一応契約は成立しておる。そうなりますと、法律の適用におきましては、復帰の前の日に米側との間に契約が成立しているものでございますので、これが引き続き米軍あるいは自衛隊に使用される。この場合はもちろん米軍でございますが、そういうケースになりますので、これも暫定使用の対象にはなるというふうに考えておりますが、ただ、だんだん調査が進んでくるにつれまして、その辺に若干地元のいわゆる民有地の地主の方々と村当局との間に少し行き違いがあったようでございます。  これについては、今後どうするかということをわれわれは検討いたしたいと思いますが、少なくともあすこは村有地と民有地がございます。米側の使用状況等につきましても、これも必ずしもそう頻度は高くあるわけではございません。したがいまして、これを一応米側に提供いたしまして、そしてこれが非常に問題があるということになりますれば、復帰後の時点においてそれを再検討するというふうなことも考えなければならぬというふうに考えておりますが、その辺は今後外務省のほうとも十分話し合いまして、この措置を考えたい、かように考えておるわけであります。

安里積千代無所属

○安里議員 ほかのところでもいろいろ論じられておりますから、私はあまりその問題に取り組みたくありませんけれども、あれは契約がかりに有効に成立しておったとしても、アメリカの権利は六月三十日までですね。六月三十日までの契約期間のはずです。そうしまするならば、五月十五日から一カ月かそこらの権利しかアメリカはなかったはずです。そうすると、今度強制収用によりますと、アメリカがこれまで持っておった権利以上の期間提供する、そういうような収用のやり方をやられるわけですか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 それらは、御承知のように暫定使用法は、五年以内の期間におきまして政令で具体的には定めるということになっております。そこで、この使用期間をどの程度にするかということを政令の段階で定めることになりますので、いま検討いたしておりますが、私どもとしましては、一時的な使用訓練場でもありますので、この使用期間をそう長期にするということは必ずしも適当でない、短い期間でよかろう、こういうことでいま検討いたしておるところであります。

安里積千代無所属

○安里議員 私が言うのはそうじゃないのですよ。アメリカは六月三十日までしか契約をしていなかった。しかし、施設庁が今度しようとする場合には、六月三十日を越してまでも、五年であれ三年であれ、そういうアメリカがこれまで持っていた以上のものを提供するのかということですよ。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 この問題につきましても、引き続き、防衛施設庁といたしましては、契約の締結について努力をいたします。そうなりますと、それが応じてくだされば、それに応じて契約の期間が定まってくると思いますが、この暫定使用法を適用するとなりますと、これは何も六月一ぱいということではございませんで、少なくとも復帰の前日にそういう米側との間に契約が成立しておるものにつきましては、暫定使用法がかかりますれば、一応最大限は五年ということになりまするけれども、これはやはり訓練場の性質上、私どもはその使用期間を短期間に定めたいということでいま検討いたしております。

安里積千代無所属

○安里議員 この問題でいま議論をしたくはございませんけれども、アメリカは六月三十日まで借りておった、それ以上のものを提供するといったようなことにつきましては、アメリカとの交渉の中において皆さん方が、そのような必要ないとアメリカに対して要求するくらいの腹があっていいんじゃないか、こう私は思うわけです。  そこで、いまP3Bの対潜哨戒機が普天間のほうへ移駐の準備を進めております。お聞きしたいのは、普天間に移駐することにつきましては、たぶん一月の何日かに決定をしたと思うのでありますが、返還協定当時、那覇空港からの移駐につきましては、沖繩のどこかに移駐するということが協定の内容としては出され、そうして普天間に移駐するということにつきましては、その後の交渉において決定したものだと思いまするが、普天間に移駐することに対してはいつ決定をされたのでしょうか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 那覇空港の返還は、これは返還協定の際にいわゆるCリストに載っておりますので、その時点において決定をされたのでありますが、その後、外務省と米側との間に具体的に話し合いを進めている過程におきまして、私どもが承知いたしておりますのは、昨年の暮れでございます。そこで、P3の移転に伴う経費、これは那覇空港におきますところの諸部隊を嘉手納及び普天間に移駐させるということで、それに要する経費三十八億円を実は今度の予算に計上いたしておるわけでございまして、私どもが承知いたしましたのは昨年の暮れでございます。

安里積千代無所属

○安里議員 もちろんこの移駐については、ただ外務省の交渉だけではなくて、防衛庁としましても合議の上でなされておるわけでございましょうね。外務省単独になっておるのじゃなくて、防衛庁自身といたしましても、外務省と相談の上なされたものでございましょうね。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 私どもが受けましたのが昨年の十二月でございますので、外務省と米側との間では、それ以前の段階でそういう交渉が始まっておるかと思います。

安里積千代無所属

○安里議員 この対潜哨戒機については、これは久保・カーチス協定にも関係がございますか。

久保卓也防衛庁防衛局長

○久保政府委員 関係ございません。

安里積千代無所属

○安里議員 そこで、普天間に移駐したことによりまして、これは沖繩の立場からしますると、那覇空港の場合は海に面しておるところであったのですが、普天間のほうは町の中です。普天間の宜野湾の市会におきましても、強硬な反対決議がなされております。これまで以上に爆音その他の危険度と申しますか、公害度というものが、あそこの場所は非常に加わることなんです。そのことについては何らかの配慮がなされておりますか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 P3を普天間に移駐させるということにつきましては、当然それに伴う工事が必要となってまいりますので、普天間は御承知のとおり宜野湾がすぐございます。したがいまして、工事の際におきましては、十分宜野湾市当局とも話し合いをしたい、かように考えておるわけでございます。なお、この普天間に対するP3の移駐に伴いまして、いろいろ生じます障害が予想されますので、もちろん、そういう障害を軽減するための周辺対策の問題については、私どもとしては、できるだけ地元の御要望の線で極力やってまいりたい、かように考えておるわけでございます。

安里積千代無所属

○安里議員 移駐につきましては、滑走路の延長、拡大、その他諸施設がなされなければなりませんけれども、これは施設庁の関係でなされておりますか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 P3の普天間移駐に伴いまして、格納庫とか駐機場、それから滑走路その他いろいろの整備が必要になってまいります。しかしながら、滑走路につきましては、現在二千七百メートルございますので、これを延長する必要はございません。米側から要望がありますのは、現在のコンクリートの滑走路の上に約一・五インチ程度のアスファルトのオーバレイをしてほしい、こういう条件が出ておるわけでございます。

安里積千代無所属

○安里議員 これは現在でも施設庁のほうで改修工事というものを進めておられるようでありますが、そのとおり間違いありませんか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 現在までにやってまいりましたのは、いろいろ設計をいたしますに必要な材料を集める、あるいは工事の日程を作成するための必要ないろいろな資料の集収等で、いわゆる測量調査というものをやってまいりましたけれども、滑走路の補修工事自体にはまだ着工しておらないというわけでございます。

安里積千代無所属

○安里議員 いま、先ほどからの御質問がありましたベトナム戦争の激化というような徴候を来たして、本土からも出たとか出なかったとか、あるいは事前協議というような問題が実は出ております。沖繩におきましては、その影響というものは非常に強く、沖繩の海兵隊の出動の機会もということで、物情騒然と言ったらあるいはオーバーかもしれませんけれども、非常な動揺を来たしておると報じられております。そういうところから、沖繩におきまするアメリカの基地というものが今後どのように使用されるかということに対しましては、やはり沖繩県民の持っております不安というものはぬぐい去ることのできないものがございます。おそらくこのことも、これからの土地の契約というような問題につきましても、私は大きく響いてくるんじゃないかと思っております。  そこで、ただ一点だけ私はお伺いしたいと思うのでありますが、それは、沖繩が復帰することによって安保条約の適用を受けて、そして事前協議というところの一つの歯どめができるんだ、だから、いまはアメリカが自由に出ておっても、今後はそれが制約を受けるんだということが、本土並みということでよく説明されておりました。そこで、いろいろの場合が予想されますけれども、今度の場合においても、事前協議の対象になるかならぬかという問題がいろいろと議論になって、本土でも問題になっておるようでありますけれども、かりにアメリカ自身の考え方と日本の考え方とに相違がある場合があると思うのです。これは日本からいえば事前協議の対象になる、向こうからいえばならぬ、こういう場合もあるかもしれません。あるいは、明らかになる問題につきましても、戦争という非常事態につきましては、これは条約があろうと何があろうと、ある場合には無視される場合も、これは予想しなければなりません。  そこで私は、ただ一点だけ聞きたいのは、もし事前協議を要するような事項について、沖繩からアメリカが出撃をした、これは今度は事前協議の対象になるんだといったような問題が起こりましたときに、この場合はどのような処理がなされるのでしょうか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 これも当然厳重な抗議をして、やはり事前協議を求めていく、こういうことだと思います。かりに沖繩の施政権が日本に戻ってきた時点を想像して、その施政権のあるところから出て行くときは出動命令はなかったが、その途中において命令が出たなどという話は、これは実際説得力に欠けますね。ですから、そういう疑いがあるようなことについては、外務大臣が申しましたように、施政権返還というものを契機にしてもう一度洗い直してみる必要がある、再検討する必要がある、その点を私は指摘したものだと思っております。これはアメリカとの親善関係から言うならば、いま施政権を返してやったのに、すぐ日本はそういう抗議をしてくると、いろいろ疑惑もありましょう。疑問もありましょう。しかし、これは日本の国是ですから、やはり日本側の主張というものを、ねばり強くアメリカ側に十分礼儀を尽くして理解に供する、これはやはり政治家の仕事だと考えております。

安里積千代無所属

○安里議員 アメリカはそんなにむちゃな、事前協議事項をみずから破棄して、協定を無視して出るようなことはなかろうというような甘い考えは、私は危険だと思うのです。万々一アメリカがその事前協議なしに出た場合においても、私はこれは事前協議の対象だというふうに安易に考えておるということ自体は非常な誤りではないか。やってしまったあとからアメリカに文句を言って抗議をしたところで、私は始まらぬと思う。そういう危険性というものが沖繩のアメリカの基地にはあるということを私たち考えましたときに、このことについて、私どもといたしましては、政府といたしましても、強い見通しをもって当たらなければならぬ、このように考えます。  時間がありませんのでちょっと総務長官、今度の開発庁設置法につきまして、もちろん復帰後におきます沖繩の振興開発のために、政府が心を砕いての処置だということを理解できますし、また長官自身も、復帰後の沖繩の諸対策について非常に御熱心にやっておられます。ただ、それにもかかわらず、沖繩におきましては、いろいろな不平不満というものがあることも御承知のとおりであります。それは返還協定自体の中に、沖繩県民の当然要求すべきところのものに対しても放棄をする、人身その他のあらゆる損害についても。あるいはまた、資産は買い取る、あるいはまたアメリカの資産を残す。あるいはまた復元補償は、今回あらわれましたように、日本が肩がわりしてアメリカは払わぬ。こういったような政治姿勢に対しても、沖繩の人々に不満がありますし、またドル問題が起こっております。いろいろな問題でも非常に不満がございます。沖繩の要求がすべて通らなければならぬというものではございません。しかし、少なくとも私たち沖繩から見ますならば、政府の責任からなされなければならぬものはたくさんあると思います。むしろわれわれの気持ちというものがまだ十分あらわれてない、こうさえいわれております。  長官は、いつかのテレビ対談のときに、沖繩の心をどう思っておるかというような質問に、なかなかわからぬ、これはほんとうにむずかしい問題で、わかったと自分で言える自信はないのだ、という趣旨のことをおっしゃっておりました。私は、沖繩の心を最もよく知っている長官とされまして、そういう謙虚なお話があったのをほんとは感心したのですけれども、ところがテレビに出た翌日には、逆に山中長官は沖繩を甘やかしておるのだという報道がなされまして、非常にショックを受けました。決して長官とされては、一局長が言ったって、何だという大きな気持ちであるかもしれませんが、沖繩の人たちは非常なショックだったと私は思います。とともに、佐藤総理自身も、沖繩の問題に対しては、どんなことをしても報いなければならん、これが基本的な姿勢であるし、また長官としても同じような気持ちで臨んでおると思うのであります。しかし、もし少しでもいろいろな要求というものが、沖繩を甘やかしておるのだというような気持ちで政治に当たり行政に当たる場合には、非常な、誤まるものだと考えております。これは決して大臣の意思に沿うものであるとは考えませんけれども、少なくとも総理以下皆さん方が、どんなことをしても苦労に報いなければならぬというふうに考えておるときに、行政当局がそんなようなちぐはぐなことでありますことは、これはもう私は、政治あるいは行政の姿勢そのものに欠陥があるような気持ちもいたします。  そこで、最後の質問に入ります前に、山中長官の沖繩に対するいろいろな施策に対する気持ちを長官自身の口から私は承りたい、こう思います。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 いまの具体的な起こったできごとに関連をして聞かれますと、はなはだものが言いにくいわけでありますけれども、私は、毀誉褒駈相半ばすると言ったらうぬぼれになるほど、批判のほうが多い人間でありますから、ちっとも私自身は気にいたしておりません。また私としては、まともに取り上げるほどの問題ではないと思っておりますが、しかし総理はそのことを重大視されて、参議院の予算委員会において、みずから国の一出先機関の局長の言動に対して謝罪をされました。私はまことにそのときに粛然たる思いをいたしたわけであります。異例のことであったと私は思います。しかし私は、私をどのように批判しようと自由でありますが、しかし、国の公務員であり、そしてまた沖繩において、現に防衛施設庁の職員が、一番、沖繩の地主の人たちや、今後直接国が雇用する全軍労の人たちの親がわりになってめんどうを見なければならない。これはまた自衛隊とは別な性格を持った職員でありますだけに、当事者でないといっても、やはり沖繩の人人にきわめて大きな誤解を与えるおそれがあり、事実与えただろう。また、沖繩の人たちの心を踏みにじったという意味において、これは一市井の人が言ったこととしても問題があるけれども、国の役人であるということからいって、きわめて無視できないことであるということは、防衛庁長官に申しました。私に関連しては一切触れてもらいたくないということで、防衛庁の処罰の理由も、私の批判については全然その理由になっておりません。沖繩県民に対して取り返しのつかない軽はずみな言動をしたということが処罰の理由になっていると、防衛庁長官より私は説明を受けております。それでけっこうであります。  しかし私は、先ほど例にあげられました、テレビを見ていただいておったようでありますが、もう一つことばをつけ加えました。私が沖繩の心を知っていると言ったらそれは沖繩の人に失礼になるということを申しました。まさにそのつもりでございます。したがって、指折られれば数多く、私として抗弁できない、満足し切らぬ点がございますが、あと三十三日余すのみとなりました今日、一日一日私としてはイバラの上にすわっておるような気持ちでございます。しかし、微力でございますが、誠心誠意、全力をあげて努力を続けてまいりたい決意であります。

安里積千代無所属

○安里議員 法案について一点だけ質問します。  この開発庁設置法の第四条におきまして、事務権限が示されております。それは「沖繩振興開発特別措置法に基づく沖繩振興開発計画の作成及びその作成のため必要な調査を行なうこと」ということが権限の第一に示されております。ここに示されておりますところの沖繩振興開発特別措置法、これに基づくのでありますから、そのほうを見ますと、第四条におきまして、「沖繩県知事は、振興開発計画の案を作成し、内閣総理大臣に提出するものとする」、こういうふうにございます。そこで私がお聞きいたしたいのは、振興開発特別措置法におきましては、振興開発計画の案は沖繩県知事が作成して、最終的には内閣総理大臣が決定をするということでございますが、今度は、いまの特別措置法に基づく沖繩振興開発計画の作成ということが、この開発庁の職務権限事項になっております。ですから、沖繩の振興開発計画というものは、特別措置法によれば、沖繩県知事が原案を作成するようなことになり、開発庁設置法におきましては、開発庁が振興開発計画を作成し調査するところの権限があるように、二重になっております。ですから、どちらにこの振興開発計画の権限があるのか。この二つをどのようにかみ合わすと申しますか、調和するようなことになっておるのか、その点だけを本法案についてお伺いしたいと思います。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 これは、沖繩開発庁設置法案第四条には、「沖繩開発庁の所掌事務の範囲は」といって、一、二、三までが関係がありますが、そういう振興開発計画に関することが書いてございます。そしてその事務の範囲における権限の行使は、その範囲内で法律に従ってなされなければならない。ということは、沖繩県知事が作成いたします原案というものが権限として提出をされます。そして最終的に審議会の議を経て内閣総理大臣が決定をいたします。これはそのまますぐに、コピーするように、知事が持ってきたものが審議会をすっと通って、総理大臣がオーケーと言うものでは実はありませんで、やはり国が、財源あるいは計画の実際上、当該年度あるいは十カ年の中というもので妥当であり、かつ実行可能であり、それらの問題について確信を得なければ、最終案には国の責任をもっては実はなり得ないということになりますので、沖繩県知事が作成いたしました権限に基づく原案というものに基づいて、その法律の命ずるところに従って、事務として作業を行なう。すなわちその作業は、振興開発特別措置法が命ずる、知事の提出した原案について、最終的に総理の決定するであろう案を作成するための調査や作成の事務ということでありまして、これは単なる作業であります。したがって、これらの作業の過程を踏まえませんと、審議会にも県知事の案が出ました、これだけでございますというわけにはまいりませんので、各種の必要なデータその他を集めて、そして審議会の各位に最終決定を事実上していただく。そのお伝いをする事務のことをここに書いてあるということでございますので、全然その間の混淆するところはございません。

安里積千代無所属

○安里議員 いまの振興開発特別措置法には、地方自治法によります県知事あるいは県の仕事がほとんど入っておると思います。だから、見ようによっては、地方自治体におきますそれらの通常の職務権限をこの法律によって制限をされたというような感じを受けますけれども、自治法の特別法たるところの性格も持ちますか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 持っておりません。すなわち、自治法が本来与えておる地方自治体の長の権限あるいは港湾、河川等の管理者の権限というものを侵す点は一つもないわけであります。すなわち、十分の十の補助のものであったとしても、すなわち全額国費であったとしても、それは県知事あるいは港湾、河川等の管理者、あるいは市町村長という方々の、それは国のほうで仕事をやってもらいたいという申請があって、それを受けて開発庁長官が、建設省なり何なりの長と協議をして、それを受けるかどうかきめていくわけでありますから、逆に言いますと、自分はそれを国にやってもらいたくない、自分でやる、あるいは港湾管理者としてやる、あるいは市町村で自分たちでやりたいという場合において、補助率を低くしたり、あるいは予算をやらなかったりというような行為はできないということでありますから、結論的に申しますと、都道府県あるいは市町村の持っておる固有の自治体の権限というものを侵すことができないようにしてあるということで御理解願いたいと思います。

安里積千代無所属

○安里議員 一つの例をあげますと、公有水面の埋め立ての許可と申しますか、権限は県知事にあるはずであります。そうしますと、この埋め立て事業というものが、今度は措置法によりまして、もちろん知事の申請にはよりますけれども、最終の決定は総理大臣だということになりますと、総理大臣が決定してから後でなければ埋め立ての許可なんというものは知事の権限として行使できない、こういう結果になることはございませんか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 それは違います。振興開発計画の中で計画づけられた前提としての埋め立てであるという場合においては、これはあり得ることです。その計画がなくても、埋め立てというものは、やろうと思えば知事の権限でやれるわけであります。しかしそれは、たとえば、国が万々一、その計画はちょっとすぐには実行不可能だ、その前提である埋め立てというものをこの振興開発十カ年計画の中としては無理だといった場合、しからば実は埋め立てられないかといえば、それは埋め立てることは可能であります。したがって、振興開発計画以外の県単事業として行なうことは可能でありますから、別段それは知事ができないということにはつながらないわけでありますから、御安心願いたいと思います。

安里積千代無所属

○安里議員 いま、前に予算委員会で問題になりました四百万ドルの復元補償の問題に関連をして私は非常に思うわけですけれども、それは、このものに対する御批判は別といたしまして考えまするならば、復元補償ということは、私はアメリカの当然の義務だと思うのですが、その義務的なものは払わずに、要するに払うべきものは払わずに取るものは取るといったような態度というものが今度の返還におけるアメリカの態度で、私は非常に不愉快でたまらないのです。  それと関連をいたしまして、いま琉銀のアメリカの五一%の株というものが開放されております。この処分額面一ドル五十セント、売り出しが二ドル六十セントですか、こういうことであります。アメリカが一ドル五十セントのものを二ドル六十セントで処分するわけですけれども、その金というのも、われわれから言いますならば、アメリカが沖繩のために還元し、何らかの開発なり、あるいは教育なり社会福祉なり、こういったものにやってもいいじゃないかという気持ちさえするわけなんですけれども、おそらくはほっておけばアメリカは自分の国に持って帰るものだ、こう思います。この琉球銀行の利益を得たこのものさえもアメリカは持ち帰ろうとしておるのじゃないか、こう私は思うのですけれども、そういったことに対して担当大臣とされてどのように思われますか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 問題点が二つあると思います。そもそも五一%の金は一体だれが出した金であるかという問題ですね。すなわちガリオアの見返り資金が大部分で、ゼネラルファンドというものもありますけれども、これは正確に言うと、沖繩県民がガリオア資金としてアメリカ側に結局は支払ったことになる金であります。しかし、アメリカとしては見返りの資金でありますから、そのものずばり五一%株式にしたのかもしれませんが、そこのところはどうもやはり割り切れないものがあるんじゃないか。ゼネラルファンドのほうは別であります。  それから第二点目は、額面は、その五一%出資をしたときの額面と違って、これが現在の沖繩県民のみに対して処分される場合に、むしろ最低の場合でも四ドル、高いと八ドルくらいになるのではないかという心配をしておりましたが、その点は本土の客観的な株式評価をやったようでありますから、これはある意味で大蔵省のお手柄でありますが、私から見れば、比較的押えられた、むしろ価値の高い株式のような気がいたします。しかし、それといっても、額面よりか一ドル十セント上回っておるということでありますから、これは確かに沖繩の人から見れば、自分たちがいわゆる琉銀を太らしたのだ。資産にしても何にしてもですね。それを今度は処分するのはけっこうとしても、どうして額面で自分たちに渡さないのかというこの二つの気持ちがあると思います。  確かに私もその点はそう思うのでありますけれども、しかし、開金の資産の引き継ぎ、あるいは水道、電力その他英語センター等、あらゆるものを引き継がされたアメリカの姿勢から見ると、やはりこれもどうもただでよこすようなことはしなかっただろうし、この回収した、三百八円のレートで換算すれば、日本円で約四億円相当のドルというものは、おそらくアメリカが持っていくであろう、アメリカ政府に帰するであろうというふうに見ております。しかし、私どものほうから、それはこちらによこせと言うのもまた少し——むしろ二ドル六十セントよりも高い価値があると私は見ておりますが、その株主になる資格を取得するための納得ずくで、四倍以上の希望者があって配分に四苦八苦したという実態を見ても、その金をアメリカに持って帰るなと言うのはちょっとむずかしいような気もしておりますが、割り切れない気持ちがするであろうということは私もわかります。

安里積千代無所属

○安里議員 私はこれを要求しろというような立場では申し上げておりません。しかし私は、少なくともこういったことを通じて、アメリカ自体の実態をほんとうは明らかにしたいのです。払うべきものは払わないで、もうかったものはみんな持っていくというえげつないやり方を大国アメリカがやるということはおかしい話なんです。ですから、こういった文句が起これば、アメリカ自身の反省のもとになって、やる気も起こる。そういったことで、私はほんとうは、アメリカのためにこのことをこの場を通じて申し上げたわけであります。  最後に、全軍労がずいぶん長期のストに入りまして、幸いいま終息したようでございます。こんなに長期にわたるスト、この問題は当初から現地で解決できる問題ではございませんでした。復帰に伴いまして、その後の雇用あるいはまた負担の問題もありまして、当然、本土におきます政府とアメリカの折衝、あるいは本土政府の態度というものが問題解決のポイントであったと思いますし、そのことが長期にわたるストの結果になったろう、こう思っております。幸い一応終息したということでありますけれども、これも非常に不満な状況ではございますけれども、それまでに至るところの今日の経過、結果、これをお伺いしたいとともに、いままた全逓のストがございます。これはまた給与の問題に関連をいたしております。これまた本土政府の復帰に伴います処理に関係があると思うのでございますので、あわせてひとつ……。  いまの全軍労の問題は、防衛庁が関係しておるだろうと思いますから、これまでの経過、何でこんなにおくれたのかということ、それから全逓の問題につきましては、総務長官から、これは復帰に関連してくる問題でございますので、このストの収拾などにつきます考えをお伺いしたいと思います。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 全軍労の長期ストは、この大体が終息に向かったといいましても、おそらく賃金カットだけで一カ月分の給料に匹敵するほどのダメージを個々が受けたことであろうと思います。そういうようなきびしいストをやらなければならなかったという、そのことについて私どもの努力がおくれたことを申しわけなく思いますが、これは、不幸にしてやめざるを得ない、しかもひどい人は、復帰の前日に、極端に言うと、今夜午前零時は復帰だという日にその地位を追われるという人たちもおる特殊な環境でありましたために、やめていく人たちに対する措置というものは、一応私のほうで相当早目に決定いたしておりましたけれども、しかしながら、やめていく人たちに対する措置は最悪の事態に対する措置でありますし、それと同時に、今回は幸いにして首にならなかった、しかしながら、復帰後、本土政府の雇用形態、いわゆる本土の間接雇用形態に移行する残る人たちの給料、あるいは手当、その他の身分上の問題の話し合いが同時にセットしないとおりられない、ストを収束できないという内部事情があったようでございます。  そこで、私も防衛庁と一緒になっていろいろと苦労いたしたわけでありますが、何ぶん防衛施設庁、防衛庁、外務省、米軍、米大使館という対外折衝の問題になりましたし、したがって、先ほどお話しになりましたような、よけい出すことになるとなかなかしぶいという米側の立場等もありまして、ずいぶん防衛庁においても苦労されたようであります。よその役所がおくれたからという意味で私は申し上げておるわけじゃありませんで、やめていく人と残る人と、両方ともに措置がなされなければ本土政府の措置として発表ができなかった。これはまた全軍労の人たちともよく打ち合わせをしておったことでありますが、その意味において、最終的処理が非常におくれましたことを心からおわびをいたす次第でございます。

安里積千代無所属

○安里議員 終わりますが、いま提案になっておりまする開発庁設置の問題は詳しくお話を承ることができませんけれども、少なくとも沖繩の側の受ける感じといたしましては、もちろんこれは、法律の上でどうであれ、先ほどお話のありました運営の面においてどう影響するかということが、私は現実の問題としては来るのじゃないかと思っております。法的には別に干渉するわけじゃない、あるいはまた、自治を取り上げるわけじゃないのだ、こういうことを申しましても、また逆に運営の面におきまして、事実上屋上屋を架する、あるいはそのほうの権力というものが非常に強くなる。ことに開発庁は予算を伴うことであるので、中央の権力というものが非常に影響をするというような結果にならぬとも限らぬと思います。したがいまして、この開発庁の運営そのものにつきましては、地方の自治を尊重し、地方自治体を尊重するという基本的な線を、運営の面において誤りないようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

伊能繁次郎自由民主党

○伊能委員長 上原康助君。

上原康助日本社会党

○上原委員 私はきょうは、沖繩戦終了前後に久米島で起きた住民の大量虐殺事件を中心に、政府の御見解なり、いろいろお尋ねをしたいと思います。  この件につきましては、すでに本委員会あるいは他の委員会でも取り上げられたようですが、私のほうにも、現地の住民の方々、また県民のほうからいろいろの要求が出てきております。そこで、いまさら古傷をあさるな、あるいは、ああいう戦時中のことだからそっとしておいてもいいのじゃないかという言い分もいろいろあるようですが、私たちは、そういうむごい事件というもの、殺害事件というものを、ただ感傷的にとらえてはならない。むしろその本質というものが一体何であったかということを、政治の場にいる者、あるいは沖繩が返還をされる現時点において、国民全体がこの問題について、また、沖繩返還全体というものを深く掘り下げていかなければいけない、そういう立場で取り上げてみたいと思いますので、ぜひ関係者の誠意ある御答弁を冒頭お願いをしておきたいと思うのです。  本論に入る前に、一、二点、防衛庁長官にお尋ねをいたしますが、自衛官がこれまで沖繩に、戦史の研究とかあるいは訓練その他視察ということで相当行っているわけですが、その場合に、手続としては一体どうなさっているのか、どういう身分で沖繩に渡航を許可しているのか、その点について承わっておきたいと思います。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 現在行っております者は復帰の準備要員ということで、米軍側と具体的に返還される施設等の引き継ぎに関する打ち合わせに行っておるわけです。したがって、これはすでに私どもは、四次防大綱の中にも示しておりまするが、その二項七号という点でカバーしている、こう御答弁申し上げてきておるわけです。これが準備業務をしておる。しかし、これもまだ現在の時点では十数名でありまして、ほんの少ない数であります。現在の計画としましては、復帰の時点までになるべくすみやかに、それは九十名程度の者を準備要員ということで派遣をしてまいりたい。まあ先般のなべ・かま過剰輸送といったような問題がありましてから、この準備要員の派遣もちょっと足踏みをしておるというのが実情であります。  その他、戦史の研究等についての身分はどういう身分として派遣されたか、この自衛官の身分については防衛局長から答弁をさせます。

久保卓也防衛庁防衛局長

○久保政府委員 沖繩に参りまする自衛官は、引き継ぎの関係その他もありまして、現地の視察の分野。それから、防衛研修所あるいは幹部学校等からの現地視察、これは旧戦場でありましたところについてのいわば戦史的な研究という意味で参っております。これらは自衛官でありますから、通常の公務員の出張手続であり、それぞれの部局によって長官までの決裁もあるものもありましょうし、幕僚長限りのものもあるというような段階で出張しているものと思います。

上原康助日本社会党

○上原委員 二月の二十日過ぎだと思うのですが、かなりの自衛官が戦史研究ということで沖繩現地に派遣されたと思うのです。その場合は通常の旅行手続をやって行ったんですか。

久保卓也防衛庁防衛局長

○久保政府委員 この種の問題は私の所管ではございませんが、担当者がおりませんので便宜お答えいたしますが、たしか幹部学校の学生が行ったと思います。これは沖繩出張と同様の手続を経ているものと思います。

上原康助日本社会党

○上原委員 私はきょうは、物資搬入とかあるいは自衛隊配備というようなことでなくして、沖繩に寄り寄り行く自衛官というもの、自衛隊というものが県民にどう受けとめられているのか、その点を問題にしていきたいわけです。  通常の公務員の出張形式をとっていろいろ行っているんだ、あるいはまた復帰準備要員として長期の滞在といいますか、そういう形で九十名前後行っているんだ、そういう自衛官が基地内の施設を利用する。それはアメリカ側が便宜供与をはかるからそうなるのか、あるいは防衛庁として基地施設を十分利用していいんだという立場で考えておられるのか、そこいらはどうなんですか。

久保卓也防衛庁防衛局長

○久保政府委員 米軍の施設の中に宿泊している分野もあると思います。これは米軍が便宜供与をしているものであります。

上原康助日本社会党

○上原委員 そこで、沖繩に行く自衛隊が米軍施設内にあるいわゆるPXから脱税品、そういうものを大量に買い込んでおる、これはかなり問題になりました。この点について長官はどうお考えですか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 PXでたばこを余分に買ったとか酒類などを買ったとか、そういうことを聞きましたので、私も直ちに報告を受けたわけであります。やはり新しい土地に参りますと、つい自分たちの身分を忘れまして、安ければ何かおみやげにでもしたいといったような感情にかられる。これは若い人の通有性だと思いますが、しかし、みずからの義務を顧みることは当然必要でありまするから、PXで余分なものを買い入れるなんということは好ましいことではないと思います。しかし、調べてみますると、そんなにえらいたくさんなものを買ったわけではないというふうに私は報告を受けております。

上原康助日本社会党

○上原委員 アメリカ側から、いわゆる身分証明書、施設内の販売所、PXを利用できるIDカードというものが交付されている。これは在沖米軍と協議の上でIDカードというものを自衛官に与えているのか、あるいは米側が自主的にやっているのか。また、PXで買える範囲は十ドル以下だというような報道もありますが、実際そうなのか。この問題はきょうは詰めようとは思いませんが関連がありますので聞いているのです。そんなに買ってないのだという御答弁ですが、私はそうは思いません。その点どうなんですか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 もしもっと詳しくという詰めであるならば、私ももう少し詳しく調査してみたいと思います。これは、米軍側が便宜供与をしてくれた、歓迎の意味を含めてPX使用を許した。したがって、ものを買うというならば、常識の範囲で買うということが、米軍側の便宜供与に対する一つの礼儀でもありましょう。その便宜供与というものに甘えて余分なものを買う、これは若い人にありがちでありますが、遺憾なことだと思っております。

上原康助日本社会党

○上原委員 そういたしますと、長官のお立場では、米側が便宜供与をはかってあげているのだから、PXを常識の範囲で使用することは別に問題がない、そういうお立場をとっていらっしゃるわけですか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 これは詳細には、よく調べてみなければ確たる答弁はできませんが、向こうが便宜供与、歓迎の意味でPX使用を許したとするならば、その好意に大体沿う常識範囲の買いものというものはいいではないか、常識の範囲を出る買いものをするということはやはり身分、立場上好ましくない、こういうことを言っておるわけです。

上原康助日本社会党

○上原委員 じゃ、本土の場合は自衛隊がPXを使用することはできるんですか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 本土の場合は、これはできません。したがってアメリカは、施政権がいまの場面では全然違いまするので、好意的に多少歓迎的な意味を含めてそういう措置を向こうが許してくれた、これはさっきから申し上げておるとおりであります。

上原康助日本社会党

○上原委員 じゃ、自衛隊の幹部がたとえば米軍施設内のゴルフ場でゴルフをやる、そういうことについてはどうお考えですか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 厳密に言えば、これも米軍のためにある施設ですから、許されることではありませんが、もともと信頼と友好の上に立っておる米軍ですから、ゴルフというものは、私はやりませんけれども、なごやかにみんなでやるというチームワークの上に立つなら、誘われてやる、これはやはりあっていいことだと思います。

上原康助日本社会党

○上原委員 本土の場合は施設内のPXは利用できないのだ、いま施政権が異なるから、沖繩では歓迎といいますか、米側が歓迎をしてPXからの購買を許しているのだということですが、復帰後はどうなるんですか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 これはやはり本土並みですから、本土並みになることが望ましい、こう思います。

上原康助日本社会党

○上原委員 じゃ長官のいまの御答弁を含めて、自衛隊が米軍施設内に出入りをして、しかも特別のIDカードをもらって安い品物を買っている、あるいは自衛隊の幹部が米人の軍人、軍属と一緒に広々としたゴルフ場でゴルフを楽しむ、そういう風景というものが、沖繩県民あるいは国民にどういう印象を与えるとお感じですか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 これはさっきから何べんも申し上げているように、決して好ましいことではない。また便乗をしてそういうところで特権意識をエンジョイしたがる連中があるとすれば、そういうものはやはり厳重に取り締まっていかなければならぬと思います。しかし、友好関係、交友を深めるという程度でおつき合いをするということなら、これは本土であろうと沖繩であろうと、やはり限度の問題だと思うのですね。そのあたりは上原さんもおわかりいただけると思うのです。

上原康助日本社会党

○上原委員 きょうはこの問題はこれ以上は突っ込みませんが、ただ長官のいまの御答弁からして、自衛隊のとってきた行動、あるいはとっている行動というもの、それと沖繩県民の受ける感じ、自衛隊に対しての見方、そのことが十分理解されていない、あるいは何か特権意識めいたものさえ感ぜざるを得ないわけです。  なぜ私が冒頭この問題をお尋ねするかといいますと、自衛隊は軍隊ではないのだ、災害対策に沖繩にも派遣するのだということさえもこれまで言われた面もあるわけです。しかし、米側と友好関係を結ぶということも、ある意味じゃそれも軍隊ですからあるかもしれぬ。しかし私はそのことを肯定はいたしません。だが、ほんとうに自衛隊が軍隊でない、あるいは沖繩配備等の問題がいま問題になっている中でアメリカ側と友好関係を持つというよりも、私は百歩譲ったとしても、県民にどういう印象を与えるのか。沖繩県民との友好関係といいますか、県民との関係は一体どうするのかということを政府としては考えるべき筋合いのものであって、軍事施設に入り込んでそういう行動をとること、それは問題だと思うのです。そこにやはり感覚の重大な相違があるという点をまず指摘をして、これから議論を進めてまいりたいと思うのです。  そこで、本論の久米島における鹿山元海軍兵曹長の虐殺行為なんですが、この点について、私、先ほど木原委員が御質問なさっている点ちょっとだけ伺ったのですが、いろいろ調査をしているのだ。また、せんだって決算委員会でも沖繩出身の瀬長委員が取り上げておりますが、どういう調査をやっておられるのか。調査をする場合は、現地に行って、現に被害を受けた、殺害をされた遺族なり、あるいは目撃者の方々の言い分等も聞くような調査もやるのか。あるいは残虐行為をやった鹿山を呼んで調査をするということなのか。その点についてどうなのか、まず総務長官なり、あるいは防衛庁長官の御答弁を賜わっておきたいと思うのです。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 これは私が総理に命ぜられて、沖繩・北方対策庁の沖繩事務局を通じて、いま調査をいたしておるところであります。しかしながら、今日まで得ておる情報では、事実関係の確認がなかなか困難であるというようなこと等もあるようであります。琉球政府のほうも、これの正確な資料がそろっておるとはなかなか言いがたい点もあるようであります。したがって、これはさしあたり事実関係を明らかにすることが先だという総理の御命令を受けてやっておることでありますが、いまお話しになりましたように、目撃者がいる事件もあれば、目撃者が全くいない事件もあるというような、きわめて何回にもわたって島内各地で行なわれたものでありますから、まあ具志川村が村長、村議会の声明あるいは決議、そういうものもやっておりますから、おそらく協力をしてもらえることと思いますので、さしあたり事実関係の究明をしろという御指示を受けたこと以外に、ほかにもこの種の事件があるのではなかろうかという、あまりいい予想ではありませんが、不吉な気持ちもないではありませんので、全体的に、もしあったとするならばどうするかという問題と一緒に、詳しく検討したいと思っております。一応私のところでその仕事をやります。

上原康助日本社会党

○上原委員 いま、事実関係の確認が非常にむずかしいということですが、確かに戦後二十七年の年月が過ぎ去ろうとしているわけですから、むずかしいかと思うのです。しかしすでに、マスコミなり、あるいは現地の目撃者の方々、遺族の方々から、鹿山の残虐行為を許してはならぬという県民世論というのが騒然とわき起こってきております。私は事実関係の確認がむずかしいとは思いません。  そこで、きょうは当時の久米島の実情というのが一体どうであったのか、そのことを私はおもに申し上げてみたいと思うのですよ。  ここに、昭和二十年、四五年当時の日誌もございます。また警防日誌といって、こういうふうに非常に古い当時の日誌というものがあります。もう二十七年の年月が過ぎていますから、読めないところもある。さらにこういった戦争日誌というものもございます。またこれらの記録から、この問題の重大さというものを、具志川の中学の校長先生をしておられた方がまとめたわけです。それに基づいて私は一々申し上げたいわけですが、こういう記録はあるわけですよ、長官。そういう意味で、いま長官が事実確認がむずかしいということは、これまでの長官の答弁からすると非常に消極的な印象を与える。沖繩・北方対策庁に調査を依頼してあるということは、現地の実情調査ということに重点を置いているわけですか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 これは私の態度がどうこうという問題ではなくて、このようなことが今日明らかにされて、しかもその当時の守備隊長であった某兵曹長が、週刊誌や新聞に出たり、あるいはテレビ等に出て、現地の人たちの声明その他を見ても、あるいは本人の言動等から見ても、自分としてはそれは恥じない、申しわけないとは思っておらぬというようなこと等を言ったやに伝えられております。これらはきわめて明確に本人も肯定をしておることでありますから、私としてこの問題が不明確なままで済まされるものであるとは思っていないわけです。  しかし、やはり国が調査をし、国が責任を持ってそれの調査に基づいた事実によって何をしなければならないのか。すでに現在でも、たとえばここに持っております地図でも、それぞれの二十名に及ぶ殺害された人々の名前あるいは場所、あるいはそのとき何名あるいはどこの事件は目撃者があった、どこの場合は、目撃者はなくて、焼けあとから銃剣で刺されたらしい焼死体になって見つかったというものはわかっておりますし、「元逓信従業員沖繩戦記」、あるいは「久米島具志川中学校創立十周年記念誌」、こういうようなものも残っておりますから、こういうものはすでに調査をしておるわけです。しかし、さらにこの事件を解明すると同時に、その他の場所においても、私自身も聞かないでもない問題が存在すると思いますので、祖国復帰と同時にこのような問題を調査することは、まことにいまわしいできごとになってしまったと思いますけれども、事実は事実ですから、この問題は絶対にやみからやみに葬ることは国家としてしないという姿勢を明らかにするまで調査をし、そして措置をとっていくつもりであります。

上原康助日本社会党

○上原委員 そこで、その具体的な調査を早急に進めていただく意味でも、きょうは事実関係をまず明らかにしておきたいと思うのです。  ここに、ぜひこの問題を取り上げてもらいたいという一婦人の投書が来ております。ちょっと長いのですが、読んでみたいと思うのです。   いまになって他人の古傷をいじろうとは考えていません。鹿山は僧侶になって殺した人の冥福を祈っていると聞いていましたが、「軍人として当然のことをやったのだ、良心の苛責もない、絶対に謝罪もしない」ということで立ち上がりました。   こんな旧軍人の考え方は、知らず知らずのうちにいまの自衛隊の中に入っていきますし、政治にもあらわれます。「民間機のことを考えていては訓練ができない」といったことにあらわれています。その自衛隊が沖繩に配備されることは、婦人として県民として許せません。いまからでも平和に暮らす権利があります。   次は私ごとで立ち上がるわけ。この方も目撃者であり、また被害者である。   私は戦時中、具志川国民学校につとめていました。家も学校に一番近いところで、当時日本軍の休みどころのようになっていましたので、兵隊の動静はたいてい知っています。この軍というのは友軍です。軍には物心両面でできるだけ協力しました。ところが、鹿山は私の隣組九軒を殺す予定であったが、終戦が殺す予定の日より二日早かったために免れました。生きています。   米軍は上陸後学校の焼けあとや運動場に駐とんしましたので、子供たちは米兵と遊ぶようになりましたし、米兵も私の隣組に出入りしていました。それでも男たちはすきあらば切り込みをと考えていたようです。   鹿山は、自分の部下であろうが軍の協力者であろうが、ちょっとでも疑いがあると確かめもせずに殺してしまいました。   当時のブラックリストに載っている人の中には「赤軍派以上のことをやってのけたから許してはいけない」というくらいおこっている人もいます。   一番残虐な殺され方をした谷川さんの長男は、私の組の級長で家族のことをよく知っています。スパイどころかむしろ軍の協力者でありました。父親は朝鮮人で古い鉄くず買いのその日暮らし、母は具志村の人で当時の国防婦人会の熱心な会員。朝鮮人で、食べもののたくわえがないため早く山からおりてきたので、スパイと疑われました。   知人の台所に女の子と一緒に隠れているのを見つけられ、首になわをかけて道から引きずっていく間に息絶えたので、護岸の上から足でけり落としてしまいました。連れていた子は二人の兵隊が手と足を引っぱって父親のしかばねの上にほうり投げたら「とうちゃんよう」と泣き出したので、おりていって突き殺したようです。残った妻子も同様なむごい殺され方です。   戦場ならいざ知らず平和な島で鹿山は血迷ったのか、軍法会議にもかけず調べもせずおそろしいことをやっています。   個人を責めるのでなく、軍人としてやったことを追及したいと思います。いまの日本がまたまた鹿山のような人を育てるのではないかと心配しています。よろしくお願いします。  これは一つの例なんですが、ほかにもこういう種類の投書はたくさん来ております。  こういう当時の目撃者なり、あるいはやがては殺害をされたかもしれない方のこの切々とした訴え、あるいは怒りに満ちた訴えというものを聞いて、お二人の長官はどういうお気持ちを持つのか。私はこれはやはり沖繩のほんとうの心をあらわしていると思うのです。また、久米島の鹿山の残虐行為がいかにむごたらしいものであったかということが如実に示されていると思うのですね。どうですか、これに対してのお気持ちは。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 私は、御本人が徳島県で農協につとめているところを突きとめられて、会見に応じて、そしてそれらの事実をすべて肯定し、自分は国家の任務のためにやったのだというようなことを言っておるのを見まして、非常な衝激を受けました。正常な人間であるならば、まず地球より重いといわれる生命を——彼は自分の部下も殺しているようです。ましてや素朴な島民感情で、わずかの守備隊、雲霞のごとき米兵という中で、文字どおり皇軍という立場の日本軍に協力をせられたそれらの島の人たちを——戦闘か事実上終了して、子供が米兵と一緒に遊んでいたと書いてあります。そのとおり戦争が終わっている。またさらに日本本国も降伏をした後、最終的に八月の二十日に殺害が行なわれております。  これらの異常な状態を思いまするときに、私は、これがかつての日本軍人の全部が持っておる本性であるとは思いたくありませんけれども、また日本人の血液に全部そういうものが流れておるとは私は思いたくありません。またそういうことはないと思います。しかし、御本人がそういう態度をとっておられることか——今日、久米島の人たちも、いまさら古傷をあばき立てることをするつもりはなかったのだ、というようなことをだれもみんな前提として話をしておられるところを見ますと、まことに不可解な言動としか私は言いようがありません。  総理にはその旨を、新聞の切り抜きやその他を私から差し上げて、説明をいたしました。喜屋武さんが参議院の質問のときに、そのことを触れないでテーブルをたたかれたものですから、総理はびっくりして私をそんなに責めないでくれと言われたのですが、時間が短かったせいで、喜屋武さんはそのできごとに触れられなかったわけです。それで私のほうで、こういうことがあって激高して憤りを押えることができなかったと思うということを説明をいたしたのでありますが、総理もきわめて深刻な衝撃を受けられました。そして直ちに私に、まず事実関係の調査をするようにということでございましたので、いま調査をやっておりますが、問題は沖繩の人たちはいろいろ言い分もある。しかしながら、米軍支配下という、そういう状態から脱却をして、究極的には県民のすべての願いであった本土に帰れる日が真近になったときに、このようなことが表に出てきたということについて、私はまことに不幸なできごとであると考えております。  私自身が償える性格のものでもありません。しかし、やはり現在日本の政府の中にあり、そして沖繩担当の大臣として、日本人の一人がやったことであり、そしてまた、その言動がいま一人の人によって衝撃を与えたことであっても、やはり私としては、沖繩の人たちに、遠い戦争中のことであったとしても、心から申しわけのないことであった。そしてこういうことがいま沖繩の人たちにあらためて深い憤りの念をかき立てていることについて、心から、日本の本土の一人として、申しわけないことであると考えております。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 山中長官の意見に同感であります。いかにも御同情にたえません。しかし戦争というものは、そういう人を非常な異常な事態に追いやるのですね。それにしても限度がある。私の知る範囲では、鹿山兵曹長と一緒にいた青木兵曹なる者は紳士であると、ちゃんと被害者は評価しておられるのですね。悪いのは悪い、いいのはいいというふうに評価しておられる。そういう記述を読むにつけましても、この異常事態は、ただに戦争という異常事態以上に残虐なものであって、いかにも残念に思います。しかし、私どもとしては、二度と再びそういう環境をつくらないこと、これが防衛庁長官としては一番大事な教訓ではないかというふうに考えております。

上原康助日本社会党

○上原委員 さらに、当時の模様を記録を追って少し読んでみたいわけですが、   六月二日 「沖繩地上戦闘は日に激化を辿る一方にて首里、那覇線に於て白兵戦闘中なり」との報あり。首里、那覇が落ちれば、全面的に  敗戦だ!! これは吉浜という人の日記なんです。   六月四日 「首里、那覇、与那原を結ぶ線に侵入せるも、県民は敵中増産、昼夜の別なし」との報あり。 やはり県民には、そういう攻撃を受けながら、あるいは戦争中でも、増産に励め励めというふうに軍は言ってきてるわけですね。そういうことを切々とつづってある。   生きている県民も、いるのか、敵中増産とは虚報のようだが、この情報は久米島全島民に最も意を強くせしめた。「一人でも多く生き残れよ、犬死するな。島民よ!!増産だ。食糧だ。餓死は人間の恥だぞ」と声高く放送した。午後四時、島尻山方面に轟沈の火柱四つ見ゆ。先日来、島の周辺に、アメリカ物資の漂流物が多い。 こういうふうに日誌をたどる中で、この記録が島の状況を次々とあらわしているわけですね。   六月十四日 「東京に大相撲」 「第八七回臨時国会は一三日閉会し、東京に大相撲大会あり」との情報あり。   沖繩民族を、犠牲にし、皇軍将兵が、玉砕を期しての最後的情報を受けなが!!「大相撲大会」などとは、何たることぞ?東京では、呑気に、相撲見物等で気晴しをする、国民が居るのか?「国難!!茲に至れる“最後の日”」だ。吾々にはその気持が知れぬ。私はこの六月十四日の朝日新聞を、この記録がほんとうなのかどうかという、またでっち上げのものじゃないかと言う方もいるかと思って、調べてみました。やはりそういう状況なんですね、東京は。「奉納大相撲 千秋楽」とちゃんと出ております。昭和二十年六月十四日の朝日新聞です。さらにその中で、「沖繩縣民の血闘に學べ 醜敵激撃・一億特攻の魁け わが腕、わが肉體で 父租の地を死守職場去らぬ女學生」、こういう見出しで沖繩の戦況というものを伝えております。県民が本土の最後のとりでという形で、一方においては、皇軍といい友軍といわれた人に殺害を受ける。最前線においてはそういう犠牲を受けてきているわけですよ、沖繩県民は。  そればかりではないのです。この記録というものが、これからつづってあるものなんですが、この鹿山というのがどういうことをやっているかというと   六月二六日 「米軍、久米島に上陸、入山六六日目、空襲九六日目」   午前八時、仲里村イーフの浜に米軍無血上陸す。島民クモの子を散らした如く、奥山へ、奥山へと四散す。米軍の素相が判明するまで、勉めて発覚を避けようと、山奥へ移動するのであるが、小さな島の中!!どうにもならない。   この日をもって、農業会職員も各々、家族の退避所へ、分散した。為に、山の日本軍への飯米供出もできなくなった。責任者は、両面の敵に、警戒せねばならぬ、危険に置かれた。   尤も、上陸に処して、部落婦人会員の夜業で、米を揺ぎ、予め余分の供出はしてあるが、四〇余名の人員を賄う、飯米としては、ものの一〇日とは持たない。   食糧がつきると、鬼畜の如き鹿山兵曹長の事だから、むしろ上陸軍よりも危険率は高い。之に処する対策も、考えておかねばならぬ。 こういうふうにつづっているのですね。   七月五日 「日本軍、切り込みをなす」鹿山兵曹長(隊長)は、自分は山奥を転々として、安逸をむさぼりながら「切り込み」と称して部下には、五、六名を一組とし、二、三丁の銃器を与え、残りは竹槍を持たせ、米軍の通過する路傍に待機させて狙撃を行わしめた。兵曹内田常雄氏の一隊五名は、小港坂の下で、米軍戦車に発砲した為、直ちに発見され、機関銃掃射を受けて戦死した。同兵曹と共に、村義勇隊員、字鳥島の青年仲宗根寿君も戦死し、隊員から二名負傷した。   七月六日 「鹿山兵曹長、民衆を脅迫すm一民衆が山から下りると、山に残るのは、軍人ということになるので、女をつれ廻って、うろたえている鹿山は、民衆に向い、「退山する者は、米軍に通ずる者として殺害すべし」と宣伝した。民衆之に怖えて、下山する者なし。   七月八日 山の手の部落は、鹿山の脅迫におびえて下山せず、下の部落では、「米兵、婦女子を、恥かしめる」という噂により、再び山へ退避し始めた。   七月九日 「鹿山兵曹長、山賊化す」   「退山する者は殺害する」という、鹿山の言で、下山を怖れていると、米軍から、「住民は、一日も早く、帰宅して農耕すべし。左なくば、日本軍と見なし、山を掃討する」と布告が発せられた。民衆は、山にも居れず、里にも居れずで、只路上を右往、左往するばかり。「鳴呼、信頼していた皇軍!!今完全に山賊化し、民衆の安住を妨害す」耕さねば、日一日と窮迫する食糧の現状をも知らず、自己の安逸をのみむさぼる、鹿山兵曹長は、一体、いつまで逃げまわるのだろうか? こういうふうにつづっているのです。  もっとたくさんあるわけですが、事実関係が確認がむずかしいという御答弁もありましたので、いろいろ時間をとって読ましていただいたのですが、ほんとうにまともな人間としては、たとえ軍隊であろうがそういうことは考えられないわけなんです。スパイ行為だということで、二十一人も赤子に至るまで殺害をしている。この行為に対して、私たちは絶対に許すわけにはまいらぬと思うのです。  そこで法務省にお尋ねをしたいわけですが、いま私がいろいろ例をあげました。そのほかにもあげられることはあるわけですが、鹿山のとったこういう行動は法的には一体どうお考えなのか、彼が軍人という立場であったにしても、どういうことになるのか、少し説明をしていただきたいと思います。

吉田淳一法務省刑事局参事官

○吉田説明員 この問題につきましては、いまの御答弁にありましたように、対策庁のほうで事実関係をいろいろ詳細御調査中のようでございます。で、法務省といたしましては、その事実関係がいよいよはっきりしてきた段階において、その刑事上の問題とか、私、刑事局の者で、民事のことの専門ではございませんけれども、あるいは民事上の責任の問題とか、そういうことについて検討をいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。現在の段階ではそういうことでございますので、何といたしましても、仮定的なことしか申し上げることができないわけでございます。  ただ、一般論として申しますれば、軍人の行為につきましても、当時御承知のように軍刑法というのがございます。また軍刑法以外にも一般の刑法等の刑罰法令が適用されておるわけでございまして、軍刑法だけしか犯罪が成立しないというようなものではないと思います。本件が、そのような刑法上の犯罪、あるいは軍刑法上の犯罪か、よくわかりませんけれども、そういうわが国の刑罰法令に触れるものであるのかどうか、そういう点につきましては、事柄が刑事責任に関する問題でございますので、十分事実がはっきりした上でその問題について検討いたしたい、こういうことでおるわけでございます。

上原康助日本社会党

○上原委員 どうも歯切れの悪い御答弁ですが、要するに私がお伺いしておきたいことは、確かに、鹿山をさばくとなると、相当の法的根拠のいろいろな面を調査しなければいかないという点は、私も、全然法律はわかりませんが、理解しないわけでもありません。彼が殺害をしたのは、六月二十七日に安里さんですね。さらに六月二十九日に九人の方々をやっている。そうしますと、この六月の二十七日、九日というのはどうか。一般的には沖繩戦は六月二十三日にすでに済んでいるわけですね。だから慰霊の日として六月二十三日が法定休日になっている。たとえ久米島が離島にあったにしても、一応は沖繩戦が終了をしたという段階になっているわけです。もう二件は八月十八日に仲村渠明勇さん親子三人、さらに八月二十日に谷川昇さん、実に十二歳の長男を頭に七名の家族が殺されている。そうしますと、八月十五日というのは、日本は終戦なんでしょう。降伏したわけでしょう。そういう面で、鹿山のとった行動というもの、行為というものは一体どうなるんですか。

吉田淳一法務省刑事局参事官

○吉田説明員 お尋ねの件につきましては、これは法務省だけでお答えしてよろしいのかどうかやや問題があるわけでございますけれども、私が理解しております限りでは、いわゆる戦争状態と申しますか、国際法的な問題になりますので、そう申し上げておるのでございますが、いわゆる正式に休戦状態に入りましたのは九月二日の降伏文書に署名をした日ではないかと私は考えておるのでございます。この辺につきましては外務省のほうが専門の所管だと思いますが、法的には、八月十五日の前後も、九月二日に至るまでは、いわば事実上の休戦状態と申しますか、交戦状態が終了した、そういうふうに理解しております。あるいは御質問の趣旨にはずれておるのかもわかりませんけれども、戦争状態が終わっているではないかという御指摘がございましたので、私なりの、あるいは外務省の問題だと思いますけれども、考えておることを申し上げたわけでございます。

上原康助日本社会党

○上原委員 これは法律論争も必要かと思うのですが、正式には九月二日に降伏受諾をした。私がお尋ねしたいのは、鹿山がとった先ほどあげた事例は、たとえ軍人という立場であったにしても、陸軍刑法なり軍法会議の法律がいろいろあるでしょう。そういうものに照らし合わせてみても、法的に妥当と考えておるのかどうかということなんです、一つ聞きたいことは。  それともう一つは、彼の行動というのは一体戦争行為なのか、あるいは戦争外的行為なのか。あるいはまた戦闘行為に該当するのか。そういう面についてはどう法務省としてはお考えなのか。これはいろいろ議論が発展していくと思いますので、きょうの段階でお尋ねをしておきたいと思うのです。

吉田淳一法務省刑事局参事官

○吉田説明員 実際に問題となっている兵曹長がやった行為がどういう刑罰法令に触れるかという点につきましては、本日その事実関係の点がはっきりいたしませんので、法務省として公式に、こういう責任があるとか、何々の犯罪が成立するとかということを、ここで申し上げるわけにはいかないというだけでございます。いろいろその点につきましては、事実関係がはっきりし次第、その犯罪の成否という問題もおのずからはっきりしてくると思います。  そこで問題は、軍人としてやったものとして妥当かどうかという点でございますけれども、まさしくその点は具体的な事実関係そのものでございますので、いろいろ先ほどからお話が出ておりますように、相当問題があろうと思いますけれども、ここではっきり何罪が成立するかということを申し上げにくいのでございます。ただ、先ほども私が申しましたように、たとえ軍人でありましても、正当な行動、あるいは軍に随伴する行動、あるいは職務行為その他を逸脱したようなものであれば、刑法その他の犯罪に当たることがあるのは、これは当然だと思うのでございまして、そういうことに本件が当たるのかどうか、そういう点について、さらに事実関係をはっきりした上でお答えを申し上げたいということを申し上げておるわけでございます。

上原康助日本社会党

○上原委員 鹿山が住民を殺害をした理由は、スパイ行為をやっているのじゃないか、そういう疑いをかけているわけですよ。しかし、スパイ行為をしたからといって、すぐ一兵曹長の命令で殺すことはできないと思うのですよ、戦地であっても。この点はどうなんですか。  私は百歩譲って、当時の陸軍刑法あるいは軍法会議に関する法律等を見ても、あいつはスパイらしいからすぐ殺せということにはならないと思うのです。やはり法的な手続を踏まなければいかないと思うのです。十分調べてはございませんが、スパイの疑いがかりにあったにしても、正式な手続を経ないといかないわけでしょう、考えられることは。軍機保護法二条あるいは三条、四条にスパイ行為の面が載っているようです。これとて、詳しくは調べてありませんが、六カ月から十年以下の懲役なり、あるいは三年以上無期というふうに、一応公的手続を経て刑を執行するという軍事規則になっているようなんです。  だから私が申し上げたいのは、たとえ軍人だと彼が言い張っておっても、先ほど言ったようなそういうむごたらしい殺害のしかたは許されるものではないのだ。ましてや一人の人間としてそういう残虐な行為ができるのかということをお尋ねしているわけなんです。いますぐ、鹿山を何カ年の懲役にするとか、裁判にかけるとかいう断定づけた答弁をやれということではないのですよ。常識的に考えても、そういう主張というものは成り立つのじゃないのか。法務省はそうはお考えにならないのですか。

吉田淳一法務省刑事局参事官

○吉田説明員 私が申し上げておるのは、決してそういうことではございません。私も十分研究してまいったわけではございませんけれども、陸軍軍法会議法あるいは海軍軍法会議法のそれぞれの条項を見ましても、外地等におきまして、そういう軍法会議については、たしか臨時軍法会議という軍法会議を創設いたしまして、そしてその軍法会議によって裁判を行なって処罰するということになっておると了解しております。本件について、そのようなことが行なわれなかったように御説明があり、従来もそういうふうに拝聴しておるわけでございますけれども、私がここで申し上げているのは、軍人だから何をやってもいいんだというようなことを決して法務省として考えておるわけではございません。

伊能繁次郎自由民主党

○伊能委員長 上原君に申し上げますが、御質疑の事件の概貌は一応明らかにされましたが、政府としては、事実関係を明確にした上で法務省も処理をする、こういうことでございますので、詳細は当該委員会、法務委員会等で十分に法律的なものは御審議を賜わりたいと思いますので、ここでは事実の問題等について一応の解明だけにとどめていただきたいと思います。

上原康助日本社会党

○上原委員 わかりました。  そこで、いま一点、法務省の見解をお尋ねしておきますが、刑事訴訟法二百五十五条の点については、この件との関連においてどうお考えなのか。

吉田淳一法務省刑事局参事官

○吉田説明員 刑事訴訟法二百五十五条は、公訴時効の停止制度に関する規定でございます。それで、簡単に申しますけれども、公訴時効というのは、犯罪行為が終わったときから進行し始めまして、かりに殺人罪といたしますれば、その公訴時効は十五年と刑事訴訟法二百五十条一号によって定められているわけでございます。この兵曹長なる人が国外にいたのかどうか。すなわち日本国外にいたのかどうか。現在は徳島に住んでいるということだそうでございますが、そうでありますれば、国外にはおりません関係から、公訴時効はこの二百五十五条によっては停止をしていない、すなわち時効はその後進行している、こういうことでございます。ただ、いつごろから日本国内に戻ってきておられるのか、そういう点の事実関係がよくわかりませんので、一般論を申し上げました。

上原康助日本社会党

○上原委員 委員長の御指摘もございますので、法的なものについてはまた別な機会に譲りますが、いわゆる沖繩の施政権との関係で、ただそういういまの御答弁で片づけられていいものかどうか十分はわかりませんが、疑問のあるところなんです。その点についてもぜひ御検討を賜わりたいと思います。  そこで、先ほど私がいろいろお尋ねいたしましたが、防衛庁長官として、よしんば、戦時中あるいは戦争中の行為だというようなことで片づけるかもしれませんが、片づけられる問題ではないと私は思うのです。陸軍刑法なり海軍刑法に基づいて当然処罰しなければいかない。その手順を全然踏まないでやった行為だということはお認めになりますか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 これはきわめて遺憾なことだということは、さっき申し上げたとおりです。しからばこれをどう処置するかということについては、旧軍といまの自衛隊、防衛庁長官というものは全然関係がありませんので、事実関係が明らかになった上で私の個人的見解を言えということになれば、率直に申し上げることができまするが、いまの時点では、先ほど申し上げた、きわめて遺憾なことである、また防衛庁長官としては、こういう事態が起こるような環境は絶対つくっちゃならぬ、これを申し上げておきたい。

上原康助日本社会党

○上原委員 加害者である鹿山をどうさばくか、あるいはこの事件を今後どう取り扱っていくかということについては、法的にももっと検討しなければいかない、あるいは事実関係の裏づけ調査というものもやらなければいかないということであります。問題は、そういうことを進めながらも、実際に殺害をされた方々なり、あるいは遺族に対する補償というものは、じゃ一体どうなるかということだと思うのですね。この種の時効が進行しているからといっても、現に本人もやったと言っているわけですよね。しかし、殺害をされた遺族というもの、あるいは目撃者、関係の被害者というものは、全然補償もされない、罪はおきっぱなし、それじゃ道理が通らないと思うのです。  この件について山中長官にお尋ねしたいわけですが、遺族に対する補償なり救援措置というものを一もちろん私は、鹿山の残虐行為そのものとは関係はあっても、直接的に結びつける考え方はしません。殺されたから金を取るというようなやましい気持ちで言っているわけではない。しかし、さっきあげたような例で二十名余りの方々が殺されたという事実はもう明々白々、その遺族や殺された方に対する国の賠償というものは一体どうするのかということは、当然考えられてしかるべきだと思うのです。この件についてはどうお考えなのか、またどう対策を進めていかれるのか、お尋ねしておきたいと思います。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 すでに、遺族給付金を受けておられる方、あるいは特別弔慰金、あるいは普通弔慰金その他を受けておられる方、いろいろあるようでありますが、しかしこれは、これらの事実がここまで克明に判明する前に、大体の事実に基づいてとられた措置としか思えませんので、これは事実関係を、私どもの沖繩事務局の法務担当の者が、現地の具志川村に参りまして、久米島警部派出所員の協力を得て一応の調査をしております。したがって、本人の報告では、これ以上の詳細な事実関係を確認しようとすれば、大体上原君の読まれましたようなものは私のところにも来ておりますが、鹿山元兵曹長本人もしくは部下、そういう人たちを調べて、現地においてこれを確認する以外に手段はないであろうというような意見をつけてきております。いまそのような段階になっておりますので、もちろんこれは重大な問題として、総理の指示も受けなければなりませんが、政府としては、まずとりあえず今日まで明らかになった事実をもとに、法務省等とも相談をいたしながら、政府がどのような手段を御遺族にとり得るかどうか、それについてすみやかな検討をするつもりです。

上原康助日本社会党

○上原委員 調査の上で、遺族の方々あるいは殺された方々に対してどういう処置をとられるか、検討するということですが、この問題は、やはり沖繩の戦後処理というものがなされていないという一つの例だと思うのですね。典型的なサンプルだと思うのです。先ほど長官、ほかにもあるかもしらぬということですが、もちろんあると思います。われわれの記憶にもいろいろある。そういう意味で、鹿山のとった行為そのものをどうするかということと、二十七年間犠牲を受けてほうり出された、その方々に対する処置をどうするかということは、当然私はやらなければいかない問題だと思いますので、こういう問題は、えてして事実関係が確認がむずかしいとか、いろいろなことでうやむやにされがちですが、そういうことのないように、特に早急に遺族に対する補償というものをやるように努力をしていただきたいと思うのです。  そこで、ここで一つまた例をあげたいわけです。   小橋川友晃さんという夫が殺されて、その妻カマドさんは現在六十歳、三人の子供をかかえ、女手一つで生き抜いてきたつらさを語る。「殺されたのを知ったのは三日後、だれも気づかって教えてくれなかった。そのときの気持ちは言いようがありません。夫と確認しながら、遺体に手をつけたら殺されるぞということで、二カ月近くもそのままにしなければならなかったのですよ。」 こういうふうにいま述べているわけですね。夫は殺されて女手一つで、しかもあいつはスパイだった、そういうぬれぎぬも一面においては負いながら、営々と生活をしてこなければならなかったこの生き証人のことばというものを、私は政府はかみしめていただきたいと思うのですよ。この点ぜひ早急に対策を立てていただきたいと思います。  そこで私は、この問題は非常に重要なことでございますので、まだ党の理事と十分御相談はしていませんが、ほかにもいろいろお尋ねしたい面がありますので、委員長にお願いですが、一応留保しておきたいと思います。  そこで、きょうの段階で御要望申し上げておきたいことは、現に遺族の方々もいらっしゃるし、目撃者もおられ、また犯人もはっきりしている。そういう意味で、理事会において、国会に証人としての喚問を御検討していただきたい。私は、いまさら古傷をあさるような、あるいは自衛隊の問題とただ関連づけてこの問題を考えようとは思いません。人間の生きる権利、平和というもの、戦争というもの、その本質は何かということをもう一度私たちは突き詰めていかなければいけないと思うんです。そういう意味で、委員長としても特段の御検討をしていただくように御要望申し上げておきます。  ほかにもそういった例は参議院の場合ありますので、そこいらも十分御検討した上で、関係者を証人として喚問をする中で事実関係も明らかにする、補償というものもやっていくということをぜひ御検討するように御要望を申し上げて、この件についての質問は一応留保をしておきたいと思います。

伊能繁次郎自由民主党

○伊能委員長 ただいま御希望の件につきましては、当委員会のみならず、他に法務委員会等、主管委員会もございますので、理事会等において御希望の向きをはかりたいと思います。

上原康助日本社会党

○上原委員 約束の時間が過ぎておりますので、あと二点だけ簡単にお尋ねをしておきたいと思います。  先ほども御発言がございましたが、沖繩全逓の賃金問題なんです。御承知のように、すでに五日間のストライキを打って、この二十日からまた百二十時間のストライキをかまえている。これは本土並みの賃金にしなさいという要求なんですね。いまもらっている賃金を三百六十円に読みかえて本土並みにしなさい。しかし本土より高いからだめなんだと言っているんです。全軍労の場合は本土並みにならない。低いから上げなさい、いやこれはむずかしい、高いものは本土並みにしないと、安いものを本土並みに上げなさいと言ってもやらない。きわめて矛盾した特徴的な点だと思うんですね。  その中身の議論は別として、五月十五日の復帰というものを目前に控えて、郵便業務、郵政関係の業務というものが全部ストップをした場合に、いろいろの面で支障を来たすと思うんです。すでに大きな支障を来たしておる。そういう意味でも私は、総理府なり郵政省として、もっとこの問題に、第二波百二十時間のストライキに入らない以前に解決する最大の努力を長官として払うべきだと思うのです。先ほど安里委員の御質問に答弁なかったのですが、どうなっているんですか。この問題を解決しないと、いろいろな面で支障を来たしている。現に私たちも、一週間余り現地の新聞も入らなかった。郵便物も入らない。社会的に大きな混乱を招く要因になっているわけですね。全軍労の問題だって、何回か何回か言っても、タイミングを失してああいうふうな状態。今度また全逓の問題にしても、やはり政府の積極的な政治的な判断なりいろいろな解決方法というものをお考えにならないと、また時間的に失した面、いろいろな労使の対立というものが出てくると思いますので、どうお考えなのか、またどういう方法があるのか、御答弁を賜わっておきたいと思います。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 私のほうは、大体引き継ぎの職員は、それぞれの省庁ごとにやはり話し合いをしてもらっております。したがって、全軍労の場合であっても、復帰後の給与引き継ぎ等の身分の諸手当等の問題については、防衛庁に一義的に相談に乗ってもらったわけです。したがって、郵政関係の職員の問題としては、郵政省において、いま中央においては全逓、そして沖繩全逓との間に話し合いをずっと持っているようであります。しかしながら、その現在受けている給与が、本土に復帰した場合に読みかえをした場合は本土よりも高くなる。いわゆる本土並みに引き上げるということでなくて、その点が高いということで、そのあとの操作について、現在の給与の高いのを支給することについては郵政省も認めておるようでありますが、それをいつまで一体認めるのかという問題について話が合わないと聞いております。  そこで私どもも、郵政大臣のほうへ、これは大体所管省の身分引き継ぎは所管省でやってもらっておりますから、国家公務員の例に準じ、そしてすみやかにこれを収拾してもらいたい。ストに入る前ですけれども、お願いしてあるわけであります。郵政省としては努力をしておるということでありましたけれども、私のほうからさらに、郵政省のほうにどのような感触で助言したらいいか、それらの点は、ちょっと現地の情報その他をいただいて、それから、大体この程度でいいんじゃないか、あるいはここらで話をつけるべきじゃないかというような感触を助言いたしませんと、いまは本来の親元である郵政省との間に行なわれておりますから、これが片づきませんと、おそらく電電職員にも影響を波及していくと思うのです。そうなりますと、郵便渋滞ばかりでなくて電波と、目も耳もふさがれるおそれもありますから、重大な支障を来たしますので、事柄の重大性と、この引き継ぎ問題については、関係省庁のくちばしをいれるタイミングがたいへんむずかしゅうございますが、その範囲をよく心得た上で、私としてのできるだけの努力をしたいと思っております。

上原康助日本社会党

○上原委員 もう二十日は目の前です。私も、きのうもいろいろ関係者に会って話してみましたが、交渉はなかなか進展をしていない。したがって、労使の合意点が見出されない場合は、二十日からの五日間のストライキというのは必至の状況が見えます。いろいろな面に影響をいたしますし、現地の新聞を見ても、全軍労の問題やら、もう復帰を目前に控えてますます社会的に険悪な状態になってきておる。そこは何といっても本土政府が、いろいろな面でむずかしい面もあるでしょうが、親身になってやらない限り解決できないと思うのです。ぜひその点、早急に郵政省とも連絡をとり合って解決をするようにお願いをしておきたいと思います。  そこで終えたいわけですが、防衛庁長官にぜひ御理解いただきたいことは、私が最初に取り上げた、自衛隊が沖繩へ行くこと。自分たちは軍隊なんだ、軍人なんだという気質で、アメリカ人気質になって沖繩県民の手が出ない買いものをやる、あるいは広々としたゴルフ場でゴルフを楽しむ、そういうことは、本質的にはいつかは鹿山のような軍隊をつくりかねない。昔の軍隊といまの自衛隊は変わるんだという、私はそう簡単な問題じゃないと思う。軍人の本質というものは、なりふりかまわず人間を殺す。友軍であろうが味方であろうがやっている。  しかも私がこの中で一番指摘をしておきたいことは、鹿山は、沖繩は植民地なんだ、伊江島は植民地なんだというとらえ方をしております。さらに谷川昇さんという朝鮮の方がいる。彼には、ありありと沖繩に対するべつ視があったということ。いわゆるヤマトンチュといううぬぼれの中にああいう残虐行為をやったのだ。いまの自衛隊の中にも、私はそういう気質は十分あると思う。十分というよりか、かなりあると思う。そのことを私は強く指摘をしておきたいのですよ。だから私たちは、きょうは自衛隊問題というものをいわゆる精神的な立場でとらえましたが、県民の受ける印象というのはそうしか見ない。またいつか来た道を歩むんだ、そのことをとくと考えていただいて、四次防の問題も、あるいは自衛隊の問題も、日本の今後の防衛というものをどうしていくのか、平和外交というものをどうしていくかということを考えないといけないと思うのです。その点も指摘をしたかった。ああいうようなことも厳重にやめていただきたい。自衛隊の諸君に対して、そこに本土と沖繩の大きな断絶があり、ギャップがあるということ。また、いまの自衛隊の中にも、どうせおれたちは軍人なんだと、軍人気質でどんどん軍備を拡大していく方向に進むこと。シビリアンコントロールの問題もそうでしょう。その点を強く指摘をしておきたいし、これに対して何か長官の答弁がありましたらいただいて、時間が来ましたので質問を終えたいと思います。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 御指摘の点はおのずから限界のある問題だと思います。特に沖繩県民の感情が、自衛隊を含めてまだ消化し切れないものがあるというならば、沖繩に準備行動で行っている者が、何となく米軍との友情とはいいながら、特権をひけらかすような形で行動することはよくない。言われる意味はよくわかります。ただ、相手の好意でPXで多少の買いものをするということはありがちなことです。しかしこれも限度の問題だと思います。したがいまして、何でも自覚の上に立って行動するように、よく注意はしてまいりたいと思います。  ただ、普通の社交上、好意的なあれを受けるという点では、私どもも沖繩に参りましたときには、戻ってくるときに、自分が飲む当てもないウイスキーを買って、だれかにやろうというようなことをしたことがあります。これらは、安いということになりますと、つい人情、人間の弱さといいますか、ありがちなことです。労働組合の大会が行なわれたら、労働組合の人も高級ウイスキーをよけい買ったと、何か新聞で騒がれたことがあります。しかし、一々そういうことにぎすぎす、目くじらを立てることもどうであろうか。これは政治家としてそういうふうに思うわけです。しかし、自衛官にはおのずから特殊な任務というものがありますから、よく御注意の点などについては承りました。

上原康助日本社会党

○上原委員 やめようかと思ったのですが、そういう立場で私は言っておるわけじゃないのです。ちゃんと沖繩の市中に免税店があるじゃないか。そこを利用なさればいいんだ。なぜあえて軍施設のPXに車を借りて乗り込んでいって大量に買い込むか。日本人が仕事をしているのじゃないですか。私はぎすぎすした立場で言っておるのじゃないのです。そういう自衛隊の態度では、知らず知らずに太った豚みたいな軍人になっていくということです。そのことを指摘しておきたいのです。本土の方々が沖繩に行って免税店から買う、そこまで私はとがめようと思いません。そのために免税店もあるわけですから。そこをお取り違えになってそう簡単に言われたのじゃ、長官も佐藤内閣の防衛庁長官になってからだんだん質が悪くなっておる。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○江崎国務大臣 いや、そういう意味を申し上げたのじゃないのです。自衛官としてのおのずからの立場もありますから、それは深く戒めるようにいたしております。そして第一陣の参りましたあれがまことに評判が悪かった。したがって、その第二陣以降の者については厳重に注意をしておりますから、自今そういうことはないというふうに思っております。

上原康助日本社会党

○上原委員 きょうはこの程度にしておきます。

伊能繁次郎自由民主党

○伊能委員長 次回は、明十三日木曜日、午後二時より理事会、二時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時十七分散会

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