逓信委員会 第6号
- 発言数
- 108 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1972/04/06
会議録
○高橋委員長 これより会議を開きます。 簡易生命保険法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部未喜男君。
○阿部(未)委員 私は、この簡易生命保険法の一部を改正する法律案については賛成をする立場を明らかにしながら、なお幾つかの点について質問をいたしたいと思います。 大臣にお伺いしたいのですけれども、今回この最高制限額を二百万から三百万円に引き上げるという法改正の内容でございますけれども、これは一体いかなる理由によるものか、まずその点をお伺いしたいと思います。
○廣瀬国務大臣 ただいまの阿部委員からの御質問でございますが、これは私どもといたしましては社会事情、経済事情の推移等ございまして、現在の制限額二百万では、どうも保障の機能が十分でないというように考えてこういう措置を講ずることにいたしましたわけでございまして、死亡の件について申しますと、葬祭費でありますとか、あるいは医療費でありますとか、また遺族の生活費の足しでありますとかいうようなこと、また養老保険につきましては、老後における生活費用というようなことも考慮に入れて、ただいま申しましたような時勢の推移に伴って、それにマッチさせる意味で三百万にいたしたわけでございます。しかし今後もだんだんまた事情が変わってまいりますし、物価等の高騰も予想されますわけでございますから、そういうほうに向かってまいりましたら、そういう時勢の情勢に順応いたしまして、さらに金額の引き上げということが必要になってくるのじゃないか、こういうふうに考えておりますわけでございます。
○阿部(未)委員 大体お考えはわかりましたけれども、私ども仄聞するところでは、郵政省としては当初、今回の引き上げを四百万円と予定されておったやに聞いております。したがって、それが三百万円になれば、いま大臣のおっしゃったような趣旨から考えますと、これでこと足りるということにはならないような気がするのですけれども、その間の事情と、三百万ならばさしむきだいじょうぶだとお考えになるのかどうか、この点を聞きたいと思うのです。
○廣瀬国務大臣 これは事務当局からあるいは詳細な折衝の経過の御答弁を申し上げるかわかりませんけれども、率直に申しまして、こういう手の裏を申し上げていいかどうかわかりませんけれども、阿部先生は特に事業の理解者でございますからほんとう申しますと、私どもといたしましては四百万円にいたしたかったわけでございまして、ぜひそういうことで実現させたいというふうに考えて努力いたしたわけでございますけれども、とうとう私どもの努力足らずして実現を見ることができなかったわけでございます。しかし、三百万であればどうやらやっていける。まあ時勢の推移にかんがみてと申しておりますけれども、これもそうきちんとしゃくし定木で計算をして出したわけでございませんので、三百万でもやっていけないことはない。当分はこういうところで契約者のほうに進めてまいりたいということで考えたわけでございまして、御指摘のとおり、最初は四百万を熱願しましたことはお話しのとおりでございまして、この点はいかにも残念に思っておりますけれども、これでもやっていけるという自信ができましたので、これを受諾して、これでやっていこうということに腹をきめたわけでございます。
○阿部(未)委員 もう一つお伺いしたいのは、法律案要綱の第一によりますと、「最近における社会経済事情の推移にかんがみ、加入者に対する保障内容の充実を図るため」、こうなっておりますが、私はこの経営に当たる郵政省としても、経営効率という面からも引き上げたほうがやりやすいのではないか、そういう含みがあるのではないかという気がするのですが、この点はどうですか。
○野田政府委員 お説のとおりでございます。
○阿部(未)委員 それで、大臣はさっき諸般の情勢からというお話があったのですけれども、そうであるとするならば国民も四百万、いやもっと多い額を期待し、経営の効率という点からももっと大きいほうがいいということになってくれば、なぜそれができなかったのかということについて、努力が足らなかったというだけではわれわれ納得できないのですが、なぜ四百万なりを五百万ぐらいに思い切って——今日の交通事故自賠から考えても三百万というのは非常に少ないような気がしますので、どこでそういう国民的な要望である保険金額の引き上げについて押えられたのか、どうも納得がいかないのです。
○野田政府委員 先生御承知かと思うのでございますが、大正五年に簡易生命保険創業の時点におきましても、これはだいぶ古い話でございますが、簡易生命保険の最高制限額が昔の帝国議会に三百円ということで提案されて、それが帝国議会で二百五十円に修正されたという歴史がございまして、独占時代にはいまよりもむしろそういう意味での最高制限額のきめ方というのはあるいはきびしかろうと思うのでございますが、昭和二十一年に簡易生命保険の政府の独占といいますか、これが撤廃された後におきましては、民間生命保険におきましても無審査保険の営業を始めておるわけでございまして、今回の四百万円の当初のわれわれの要求がなぜ三百万ということで落ちついたかという点につきましては、先ほど申し上げました対民業の関係が非常に大きく影響しておるわけでございまして、これは御承知のことかと思うのでございますが、現在民間の生命保険会社で営業をいたしております無審査保険の限度額は、会社によって違うのでございますが、いうところの大手五社といわれる民間の保険会社におきましては最高限度額が二百万ということでございます。中小の、特に小規模の生命保険会社の無審査保険の限度額というのは二百五十万円ということでございまして、いまの時点におきましても、民間保険におきまして、生命保険の無審査保険におきましての限度額がやはり二百五十万どまりという一つのバランス論もあろうかと思うのでございますが、まあ民営保険と国営保険のそれぞれ競争の中で共存共栄をはかっていくという配慮から、私どもとしてはほんとうは御指摘のように四百万といわず五百万、六百万ということにいろんな要請からしたいわけでございますけれども、そういういま申し上げましたような客観情勢といいますか、こういうことからひとまず三百万ということで、いずれにしましても国民の簡易保険に対する需要期待というものは相当大きいわけでありますし、あるいは社会、経済情勢の発展というものも今後相当テンポも早かろうと思いますので、今後の引き上げにつきましては今後の努力に待ちたい、こういうつもりでございます。
○阿部(未)委員 そこでいま局長から出ましたが、無審査保険の限度額といいますか、無審査保険での危険率といいますか、保険の数字で割り出した対数の結果、一体どのくらいまでは保険局としては無審査保険でも危険はないという考えですか。
○野田政府委員 御承知のようにこの最高制限額といいますか、保険金額、高額になるに従いまして注意を要する点は、逆選択の問題であるわけでありますが、不良契約をどうして防止するかということであります。したがって簡易保険におきましても、新規契約の募集に関しましては面接監査を厳重に行なうということで、不良契約の混入といいますか、これを極力防止をいたしておるわけでありまして、したがいまして今回引き上げることにいたしましても、事業経営上の危険はまずないもの、かように考えておるのでございますが、この限度額が理論的にあるいは保険経営の基礎になります数理の上からどのぐらいかということでございますが、簡易保険の限度額につきましては、御承知のように現在約四千五百万件という膨大な契約量をかかえておりますが、資産総額にいたしましても、つい先般三兆円を突破したというような実情でございますが、さらにまた簡易保険の外野組織というのは非常に安定している組織である。こういうふうないろんな要素を考えました場合には、限度額は相当高額になるということはいえようかと思います。その相当高額ということはどのくらいか、これは理論的な数値ということもあろうかと思いますが、私ども大ざっぱにいろいろ当たりましても、その数値は千万円台以上になろうか、かように考えております。
○阿部(未)委員 次にお伺いしたいのですが、保険事業でも貸し付けができるようになっているようでございますけれども、契約者貸し付けの状況はいまどういうふうになっておりますか。
○野田政府委員 現在制度的には簡易保険の契約者貸し付けは三種類ございまして、振りかえ貸し付け、これは貸し付けの目的が保険料に振りかえることをもって振りかえ貸し付けということで、利率も一般の普通貸し付けよりも相当低く、年四・八%ということにいたしております。そのほか一般の貸し付け、これは現金を貸し付けるわけでございますが、貸し付け利率六%、それからそのほかに団体貸し付け、これは普通貸し付けの集合ということで、特に団体貸し付けという制度を設けておるのでございます。 これの現在の規模を申し上げますと、これは四十五年度末現在でございます。四十五年度におきます簡易保険の契約者貸し付けは、貸し付けの合計が百五十八万件でございます。金額が四百七十八億、弁済が百五十六万件、弁済されました金額が三百三十九億ということでございまして、その差額の百三十九億が四十五年度におきます貸し付け金額の純増になるわけでございます。四十五年度末におきます現在高は、件数におきまして五百七十四万件、金額で千百七十四億円でございます。現在四十五年度末の状況がこういうふうな形で確定しておりますが、大体の見込みでは四十六年度末におきまして、千三百億をちょっとこしておるのではないか、われわれこのように推測いたしております。
○阿部(未)委員 振りかえ貸し付けの場合が四・八%の利息、それから一般、団体の場合が六%の利息で、これだけの金を貸し付けてコスト割れといいますか、貸し付けによる収支を考えてみて赤字になりますか、赤字になりませんか。
○野田政府委員 御承知のことと思いますが、契約者貸し付けの沿革といいますか、発生史的にはこの振りかえ貸し付けは、振りかえ貸し付けを行ないませんと当該の保険契約が失効する、あるいは消滅をしていく、こういうことを防止する意味でありますので、少なくも振りかえ貸し付けにつきましては四・八%ということでこれはコスト割れば明らかにしております。もう一つ、普通貸し付けにつきまして、これは法律上といいますか、保険料計算の基礎におきましては予定利率四分でございます。それ以上の運用収入その他がふえました分につきましては増配、配当という形で行なっておるわけでございますが、一般の運用の場合に公共貸し付けの基準は六・五%にいたしております。特にそういう点からいたしまして、契約者が自分の積み立てた掛け金の中から、積み立て金の中から借りるわけでございますので、一応六%ということで現在の時点で大体すれすれくらいじゃなかろうか。あるいは年によってはコストを割っておる、こういうことは言えようかと思いますが、ちょっとそのコストの点からだけは判断しにくい問題ではなかろうか、かように考えております。
○阿部(未)委員 簡保あるいは年金の積み立て金の運用状況はどういうふうになっていますか。
○廣瀬国務大臣 簡保、郵便年金の積み立て金の運用につきましては、先年、御承知のように運用権が郵政大臣に返ってきたということになっておるわけでございまして、したがって、私が資金運用審議会に付議いたしまして決定することになっておるわけでございます。なお、詳しく申し上げますと、そういうようなことでございますが、現状におきましては、ただいま局長から御答弁申し上げましたが、契約者貸し付けを除きますほか一切の資金はことごとく財投の資金に繰り入れるというようなことになっておりますので、法律的にはもう少し弾力的に幅広く運用ができることになっておりますけれども、現実は財投の事情等もございまして、個人貸し付け以外は、契約者以外はすべて財投に繰り入れているというのが実態でございます。
○阿部(未)委員 その財投に回っておる金は金額でどのくらいになりますか。
○野田政府委員 先ほど申し上げましたように簡易保険及び郵便年金の総資産といいますのが先般三兆を突破いたしたわけでございますが、これの運用につきましては、先ほど大臣から申しましたように全面的に財投協力という形で出ております。 おもなものを申し上げますと、有価証券に八千四百億、パーセンテージで二八・五%となっております。この有価証券の二八・五%のうちの大宗を占めますものが公社、公団、公庫債等でございまして、これに六千二百三十億約二一・一%回っておるわけでございます。そのほかの大きな項目といたしましては貸し付け金、これが五七・六%でございまして、一兆六千九百七十一億円でございます。このうちおもなものは地方公共団体に約九千八百三十億円、これが三三・三%でございます。そのほかは公社、公団、公庫等に対します貸し付けが四千九百二十億円、約一六・七%、これが貸し付け金五七・六%のおもな部分でございます。そのほか余裕金が現在資金運用部にいっておりまして、資金運用部で運用せられておるのでございます。これが約四千八十二億円、簡易保険の資金のうちでございますが、これの一三・八%を占めております。大略、以上のようでございます。
○阿部(未)委員 大蔵省来ておりますね。——ちょっと大蔵省に伺いますが、簡保の財投は国全体の財投の何%くらいに当たりますか。
○福島説明員 お答え申し上げます。最近におきましては大体一〇%から一一%程度でございます。
○阿部(未)委員 そうしますと、運用権そのものは郵政大臣にあるということになっておるようですけれども、国の財投の一〇%までが簡易保険の全国の加入者から集まったお金でまかなわれておるということになりますと、国の財政の運営についても非常に大きい役割りを果たしておると思いますが、先ほどの話に戻りますけれども、大蔵関係のほうで四百万円への引き上げについてかなり反対が強かったというふうに聞いておりますが、大蔵省はどういう観点から保険金額の引き上げについて反対をされたのか、その辺わかりませんか。
○磯辺説明員 お答えいたします。ただいま郵政省の保険局長が御説明になりましたように、第一にはあまり民業を圧迫してはならないという観点と、現在の民間の無審査保険とのバランスを考えてその程度にとめていただくことをこちらのほうから希望したということでございます。
○阿部(未)委員 大蔵省に続いてお伺いするのですけれども、国営の保険という場合と、民間で利益を追求する保険という場合では、やはり分けて考えなければならぬのじゃないかという気がするわけです。したがって、非常に膨大な何千万という保険金額をつくってやるということになれば民業の圧迫もあり得るかもわかりませんけれども、いまも申し上げましたように、集まったお金はまた国民の福祉に還元されていく、こういう性質のものであるだけに、経営上から見ても国営の保険の場合にはもう少し保険金額の引き上げを認めてやるべきではないか、認むるべきではないか、そういう気がするのですが、あくまでも民間とのバランスだけで判断をするのか、その集まったお金がどのように運営をされるかによって考えるのか、その辺少しポイントの置き方に違いがあるようですが、大蔵省の立場としてはあくまでも民間企業と比較をしながら考えておるということになれば、国営の必要はなくなってくるという気がするのですが、どんなものでしょうか。
○磯辺説明員 お答えいたします。それはなかなかむずかしい問題だと思うのでありますが、やはり国営の保険というのはあくまでも民営の保険の補完的な立場として運営されるのが筋ではないかと思っております。しかし、民営の保険につきまして無審査保険の平均二百五十万というところをはるかに上回って今度の簡保の契約額が引き上げられたというふうなこともございまして、民営だけを中心に考えて簡保の契約額の限度引き上げを考えておるというものでも決してございません。ただ、そこにはおのずから民営、国営、それぞれ両々相まってお互いに補完し合いながら大衆の福祉のための保険制度というものが発達していくのが一番好ましい姿であろうかと考えております。
○阿部(未)委員 この保険の貸し出し金利と関係があるのですが、郵便貯金の金利と銀行預貯金の金利をちょっと比較してお知らせ願いたいのです。
○磯辺説明員 お答えいたします。私の立場から民間の金融機関の金利の問題についてお答えいたしたいと思いますが、定期預金金利につきましては期限が三カ月もの、これが四%以下ということになっておりますが、実際は四%でございます。それから六カ月ものが五%以下、一年ものが五・七五%以下、それから一年六カ月ものが六%以下ということになっております。なお、定期積み金につきましては三・九%以下、それから当座預金につきましては、これは無利子、それから納税準備預金につきましては三%以下、その他の預金といたしましては普通預金としては二・二五%以下、通知預金としては二・五〇%以下、それからなお金融機関相互間の定期預金で、いわゆるインターバンク預金でございますが、これは三カ月以上六カ月未満の定期預金につきましては五%以下、六カ月以上につきましては六%以下というふうな預金金利体系になっております。
○阿部(未)委員 この前予算委員会の分科会でちょっと大蔵大臣にお伺いしたときに、いろいろ話が出たんですけれども、いまのお話によりますと、それぞれ性格が違うからそれぞれ利息が違うのであって、たとえば銀行預金の場合は三カ月でも四%の利子がつく、六カ月ならば五%の利子がつく、郵便貯金の定額貯金の場合には、六カ月以上になっても四・二五%、同じ六カ月間預金をした場合に、民間では五%の利息、定額貯金では四・二五%の利息、こういうようになるようですが、これは間違いございませんか。
○磯辺説明員 お答えいたします。民間の場合には六カ月で五%でございますが、郵便貯金のほうの定額は六カ月超で四・二五%というふうになっておるように記憶しております。
○阿部(未)委員 この前大蔵大臣にお伺いしましたときに、まず金利の面でも郵便貯金は優遇をしておる、その次に、税制の面でも優遇をしておる、こういうようなお話があって、別格官幣大社みたいになっているのだという意味のお話があったのですが、その後、私調べてみましたけれども、どうも性格が違うから、それぞれ金利の違いはあるけれども、特に優遇されておるというふうには考えられないのですが、これはどうでしょうか。
○磯辺説明員 お答えいたします。私たち大蔵省といたしましては、優遇されておるというふうに考えております。といいますのは、まず定期性預金、それを見てみますと、たとえば金融機関の場合でございますと、満期前に解約いたしますとそれが普通預金の二・二五%に戻るわけでございます。しかし、郵便貯金につきましては、いわゆる定額貯金——定期預金ではございません、定額貯金を見ますと、これは六カ月、一年、一年半、二年、二年半以上というふうにそれぞれ段階を越えまして、各その段階を、越えるごとにその利息が元加されまして、複利計算をされていく。したがいまして、たとえば一年六カ月のところで見ますと、金融機関におきましては年六%の金利でございますが、郵貯におきましては、この複利計算でありますと利回りが五・六五二になる。それから、二年になりますと、これが複利計算で六・〇〇二になる。二年六カ月余になりますと、複利計算で六・三七〇になるというように、複利計算の力というものはかなり大きなものがあるんじゃないかということで、しかも、それが中途解約をされましても六カ月以上の中途解約でございますと、直ちにそれが通常預金の金利に下がるということではなくて、すでに経過した期間に応じて高い利回り、利息がつけられるというふうな点において、やはり民間の定期預金とはかなり違った優遇措置ではないかというふうに考えておるわけでございますが、なお税制面におきましても、これはもちろん民間の金融機関の預金につきましては少額貯蓄非課税控除制度があるわけでございますけれども、いまの税制のたてまえから申しますと、本年一ぱいまでは源泉分離課税の二〇%を取られる。それからまた、来年の一月一日以降は、これは二五%の源泉分離課税になるというふうなことを考えますと、税引き後の利回り、それはすでに一年六カ月の定期預金においても、現在の税制では税引き後利回りは四・八%になるわけでございます。それに対しまして、郵便貯金のほうは一年の定額貯金、これが税金がもちろん当初から所得税法によって非課税になって、その利子に対しては課税されませんので、そういったことを考えまして、実質の利回りは四・八〇六になる。つまり、一年定額貯金とそれから一年六カ月の定期預金、その利回りはすでに現在の税制において郵便貯金のほうがはるかに有利になっておる、こういう計算をいたしまして、そういった観点に基づいて郵便貯金というのは優遇されておるということを申し上げたわけでございます。 なお、つけ加えて申しますけれども、そういうふうに郵便貯金が優遇されておるのが悪いというわけでは決してございませんで、もちろんそれは大部分が財投の原資に回されまして、国民の福祉あるいは産業の振興等に運用されるわけでございます。それゆえにこれほどの優遇をしておるというふうに認めておりますので、郵便貯金が優遇されておるということを否定する意味では決してございません。
○阿部(未)委員 私は、まず郵便貯金が優遇されておるかおらないかについて、あなたと議論したいのですけれども、私がここに一年間預け得るお金があると仮定をします。これを郵便局の定額貯金に入れれば四・七五の利回りです。民間の金融機関に入れますと五・七五の利回りになります。明らかに一%民間のほうが高いことになる。これをかりに郵便局の定期預金に入れたとしましても郵便局の定期預金は五・五%の利回り、民間の場合は五・七五。〇・二五利回りが高くなっておる。したがって、金利の分野についてはそれぞれ預金の持つ性格上それぞれの違いはあるけれども、明らかに同じ一年間預けて郵便貯金の利息は安い。郵便貯金が利息の面で優遇されておるということは、ここでは言えないのではないでしょうか。どうでしょうか。
○磯辺説明員 お答えいたします。そういった表面的な利回りだけから考えると、しかも一年というふうにとりますと、表面利率というのは市中金融機関のほうが有利な利息がつけられるということは確かに事実でございますし、その反面、たとえば通常貯金等を見ますと、郵便貯金においては三・六%、市中金融機関につきましては、普通預金が二・二五%というふうに、この面においては、またきわ立って郵便貯金のほうが優遇されておるということも言えようかと思います。したがいまして、一時点におきまして表面利率だけで比較するのではなくて、総合的に各預金体系全体を見て比較したほうが適当じゃないかと私たちは考えて、大蔵大臣はそういうふうに答弁されたのだろうと思います。
○阿部(未)委員 だから私が言っておるのは、確かに場合によっては複利計算で郵便貯金のほうが利回りがよくなる場合もあるだろう。しかしいま言ったような、同じ一年間という時点を区切って考えてみると、郵便貯金のほうが利回りは悪いのではないか。だから、これは優遇ではなく、それぞれの預金の性格からきめられた利子であるというふうに理解すべきではないかと私は主張しておる。それについて、おたくのほうは、郵便貯金の利回りのほうが有利だ、こう言うから、その辺に認識の食い違いがありはせぬか。本来性格上それぞれの預金についての利率が定められておる。どっちがいい、どっちが悪いと言うのではないのです。性格がそういうものだというふうに理解すべきであって、郵便貯金を優遇しておるのだという言い方は、これは庶民金融に関係してきますから、特にはっきりしておきたいのですが、どうですか、あくまで優遇しておるとおっしゃいますか。性格上そういう差があるとお考えですか。はっきりしてください。
○磯辺説明員 ある面では私は優遇しておると思っております。といいますのは、やはりそれが零細な国民の貯蓄であるということ、しかも、それが一元的に財投原資として運用されておる、そういった意味におきまして市中金融機関よりは有利な貯蓄体系というものを国民に与えておる、かように考えております。
○阿部(未)委員 なかなかあなたも強情ですね。ある面では優遇しておるが、ぼくが指摘した面はどうなんですか。優遇してありますか。一年間同じ金額を民間の金融機関に預ける場合と郵便局のほうに預ける場合では、金利は明らかに郵便貯金のほうが低いではないか。この面では冷遇しておるではありませんか。繰り返しますけれども、性格上こういう利子のきめ方をしておるということであって、優遇ということばは当たらないと思うのですが、どうですか。ある面ではなんて言わないで、総体的に考えてみてください。
○磯辺説明員 お答えいたします。優遇というといかにも何か特別な措置を講じておるようで語弊があるかもしれませんが、一つ一つの金利体系を見ましたら、この面においては民間のほうが有利である、この面においては郵便貯金のほうが有利であるというふうに、それぞれ一つの時点においてはバランスがあろうかと思います。しかし総体的に見ますと、たとえば初めから利子課税に対しましては所得税法で非課税になっておるというふうな面におきまして、やはり国民貯蓄、零細貯蓄を増強するためにそれだけ積極的な施策を講じておるということが言えるんじゃないかと思っております。
○阿部(未)委員 金利をずっと比較してみると、有利になっておるところはないのですよ。たとえば民間の金利は一年六カ月で六%、郵便局は一年六カ月はありませんが、定額貯金のほうでいきますと、一年六カ月の場合が五・五%、これは明らかに安いのです。税制の問題はあとでやりますから……。ただ、普通預金については少し郵便局のほうが高いようです。そう考えてみますと、これはそれぞれの預金の性格上差があるのであって、これをもって郵便貯金を特に高い金利で扱っておるという理論は成り立たない、こう私は主張しておるのです。どうですか。
○磯辺説明員 お答えいたします。金利の問題についてはなかなかむずかしいので、どちらが有利とかどちらが不利ということはストレートに言えないのじゃないか、たとえば私たちが不利とか、優遇されておるとか、有利だとか申します場合に、国で発行いたします国債につきましての利回り、それと一般の事業会社が発行します利回り、それが違う。違うのはなぜかといいますと、それだけ国のほうに信用力があるから低い利回りでもいいのだ。ところが社債等につきましては、発行する企業体の信用度が低くなるにつれてその利回りが上がってきているというのが実情でございます。つまりそれだけ信用のある手がたいところについてはそれに相応した低い金利、それから信用度の低いところについてはそれに相応してまた危険度が多いわけでございますから、高い金利を出すというのが常識でございまして、その点においてやはり国の貯金というものは一番信用度の高い貯金でございますから、金利面においては、ストレートに比較いたしますと、国のは市中の金融機関の預金よりは低くなっておるというのは事実だろうと思います。
○阿部(未)委員 いまの理屈はわかりますよ。いまの理論は、信用が高いと安心して預けられる、その点はあなたのおっしゃることを否定しません。そうだろうと思います。しかし、金利の面で優遇しておるといった大蔵大臣の言い方は明らかに間違っておる。それぞれの預金の性格によって金利が特徴を持ってきめられておる、こう理解すべきだと思うのですが、これは私だけの議論でもあれですから、郵政省貯金局のほうは、いまの大蔵省の考えについて一体どう考えておりますか。
○石井政府委員 お答えを申し上げます。確かに、郵便貯金と銀行預金の比較をいたします場合に、いろいろの要素がかみ合いますので、それぞれの制度、仕組みの違いがありますから、直接的な比較ということは非常にむずかしい問題であろうかと思います。ただいまのお話の中で出ましたような銀行の定期預金の際には、据え置き期間が同時に預入期間でありまして、一年なら一年、一年半なら一年半という間は据え置き期間でございますので、その間もし払い戻しをいたしますと、ペナルティーと申しますか、低い利率になるということは事実でございます。そういう点につきますと、われわれの定額貯金のほうは半年間の据え置き期間はございますけれども、それが過ぎますと出し入れ自由、いつでもおろせるということになっておるわけでございまして、そういう意味では拘束期間だけの面からいいますと、郵便貯金のほうが便利な面があるということはこれは否定できないと思います。ただ同時に、いまお話が出ましたように、利率の面でいいますと、たとえ郵便貯金が複利計算でやるといいましても、六カ月でいいますと四・二五%と五%、あるいは一年半で五・五%と六%、あるいは二年六カ月で定額貯金が初めて六%になる。銀行の定期預金は一年六カ月で六%になるといったようなそれぞれの要素を見ますと、これはおろしやすくなってはおるが、利率の面では明らかに銀行の定期預金のほうが有利になっておる。それらを全体を勘案いたしますと、私も現在の郵便貯金、銀行預金の利率は、全体としてそれぞれ均衡を保っておるというふうな認識を持っておることを申し上げたいと思います。
○阿部(未)委員 郵政省の考え方も大体似たような考えのようですが、大蔵省のほうは先ほどのお話でそれぞれの特徴があるということで了解ができますか、あくまで郵便貯金は利子の面で有利であるという考えを捨てませんか、はっきりしておいてもらいたいと思います。
○磯辺説明員 お答えいたします。現在の金利体系はただいま郵政省のほうからお答えいたしましたように、それぞれの特徴を持ちながらバランスを保っておる、かように考えております。
○阿部(未)委員 貯金利子についてはそれぞれの特徴を持ちながら大体バランスをとってある、こういうふうに理解をいたします。 次の点ですが、非課税の問題で、郵便貯金は税金の面でも非常に優遇されておる、こういうふうに大臣はおっしゃったのです。私そのときに、もう少し勉強していずれ逓信委員会ではっきりしましょうと申し上げておったのですけれども、先般の貯金の最高制限額を百五十万ときめた委員会でもいろいろ議論したのですけれども、民間の預金についても小口預入者の保護のためには百五十万までは同じように無税ではないのですか。どうですか。
○磯辺説明員 お答えいたします。御指摘のとおり百五十万までは、税務署に金融機関を経由いたしまして少額貯蓄非課税控除制度の適用を申告することによって無税となっております。
○阿部(未)委員 そうしますと、郵便貯金も最高制限額は百五十万、民間の預金の場合にも税務署に申告することによって百五十万までは同じように無税だとするならば、税金の面で郵便貯金が特に保護されておるということはどういうことになりますか。
○磯辺説明員 お答えいたします。ただいま私百五十万円までは申告することによって無税だと申しましたけれども、これは非課税というふうに訂正させていただきます。 それから税法の立場からいいますと、所得税法の規定によりまして、まず直ちに次の所得については利子の課税をしない、つまり初めから無税だという制度、それと一定の税務上の手続を経ることによって課税を免除される、つまり非課税になるというのは、やはり基本的に税制面においては無税だというところで優遇されておるといってもいいんじゃないかと思います。ただ、実際問題といたしましては、百五十万円までは同じだということでございます。
○阿部(未)委員 それは当然のことで、私どもは同じ百五十万を預金して、手続が要る要らぬは別です、税金がかかるかかからぬかが問題なんです。どっちも税金がかからないならば、それが無税であろうと非課税であろうと、百五十万預金した者にとっては全然変わらぬじゃないですか。どこが優遇になるのですか。どこが保護になるのですか。
○磯辺説明員 お答えいたします。ただいまの現行制度によって、実際的な効果におきましては百五十万円までは同じでございます。ただこれは税制とは離れるかと思いますけれども、やはり国民の、貯蓄者の、これはいいことか悪いことかは別といたしまして、心理面におきましては、やはりそういった初めからもう無税だというふうになっておる場合と、金融機関を経由して一応税務署のほうに申告をするということになっている制度とは、貯蓄者の心理状態においてかなり微妙な違いがあるのじゃないか、やはりそういった貯蓄機関をどこに選ぶかという選考に際しては、そういった貯蓄者の微妙な心理は無視できないのじゃないか、こういった意味におきまして、やはり税制面においても郵便貯金というのは優遇されておるというふうな表現を使ったのだろうと思います。
○阿部(未)委員 一番お金の勘定をする大もとの大蔵省のお話では、どうも私納得がいかないのですが、百五十万円の貯金を民間の銀行に貯金しても、郵便局に貯金しても、大体どっちも税金がかからない。それで優遇しているという理屈が私わからないわけです。無税も非課税も理屈は同じじゃないですか、結果的に見れば。それが無税ということばが使われておるから非常にいいんだ、心理的な影響があるとか、銀行だって百五十万円までならば税金はかかりませんよと、来た人にちゃんと言いますよ。それなら何も変わりがないじゃないですか。どこのところが違うのですか。
○磯辺説明員 お答えいたします。同じように、実際に税金がかからないそのワクといいましても、郵便貯金の場合には、郵便貯金だけで百五十万円でございまして、民間の金融機関につきましては、銀行の預金であるとか、あるいは信託であるとか、そういったものを合わせた百五十万でございます。ですから、個々の金融機関、かりに郵便貯金というものを一つ考えまして、それから銀行預金というものを一つ考える、あるいは貸付信託を考える、金銭信託を考える、こういうふうに考えてそれぞれ分けてまいりますと、やはり郵便貯金はそれだけで百五十万円までは無税である。ところが、市中の金融機関なり、あとの個人の金融資産につきましては、合計いたしまして百五十万だというところで、やはり郵便貯金のほうの課税面の優遇措置が出てきておるのじゃないか、かように考えております。 それから、なおこれは御承知のことでございますけれども、百五十万円をこえたところにおきましては、もちろんこれは現在の税制によりまして、現在は二〇%の源泉分離課税を受けるというふうになっております。
○阿部(未)委員 どうも私よくわからないのですけれども、私よく納得がいかないのですけれども、百五十万というお金を銀行に預けようと郵便局に預けようと、どっちも税金がかからぬということに変わりがないでしょう。そうすると、郵便局に百五十万円預けた、銀行に百五十万円預けた、それでやはり税金がかからぬわけでしょう。そうでしょう。どうしてそれが郵便局はいいが、市中銀行はいかぬと、こうなるのですか。どっちも百五十万円までは税金がかからない限りにおいて、預金をする人に変わりはないはずです。なぜ、郵便局がその場合に優遇されていることになるわけですか。
○磯辺説明員 お答えいたします。その百五十万円の限度におきましては、確かに先ほど申しましたように、市中金融機関においては少額貯蓄非課税の申告をすることによって税金がかからない、そこまでは全く同じでございます。
○阿部(未)委員 そうして違うところというのはどこが変わってくるのですか。それは郵便局は百五十万をこえて預金をしても税金がかからぬということになるのですか。そうじゃないでしょう。どっちも、民間も郵便局も、要するに百五十万まではどちらも税金がかからないのだ、非課税ということば、無税ということばはあるにしても、あるいは申告するしないということはあるにしても、どっちも百五十万まではどっちに預けても税金がかからない。このことに変わりはないでしょう。
○磯辺説明員 お答えいたします。変わりございません。
○阿部(未)委員 それでわかりました。 もう一つお伺いしますが、かりに郵政省がいまいろいろ巷間うわさをされておるところの庶民金融をやるということになりますと、財投にどういう影響を与えますか、大蔵省のほうはどう考えておりますか。
○福島説明員 まだ私どものほうも十分検討は詰めておりませんけれども、この小口貸し出し制度をやることによりまして財投原資が減少することになるのか、あるいは横ばいでいくのか、あるいはふえることになるのか、その辺は実はまだ資料の検討が十分済んでおりません。ただ、私どものほうも十分郵政省側の説明をまだ受けておらないのですが、たとえば、かりに千億の貸し出しワクを設定する、その限りにおいては千億の財投原資が減るわけでございます。しかし、その結果千億分の解約がなくなるという限りにおいてとんとんではないかという主張に対しては、多少問題がある。と申しますのは、たとえば今度の小口貸し出し制度の一つの考え方として、来月はボーナスだ、さしあたり入院費用が必要である。せっかく二年半積みまして、六%の利回りになっておるのに、それをいまたって解約したならば、六分の期間の利益が消失する。そこでそれをつないで、それで来月のボーナスでその分を弁済するということにすればいいではないかという御指摘があるのですが、考えますと、いまたとえば入院費用が十万円要るということで、十万円を引き出しますと、その金の相当部分は、いまのようなケースで申し上げますと、ボーナス時期に再び郵便局の窓口に還流してくるではないか。そのときは確かに四・二五という低い利息になります、一から始まるわけですから。いままで二年半積んだ利益は消滅するという意味において、貯金者にとってはある意味では不利である。しかし、いまの郵便貯金の制度というものは、もともとそういうことになっておるのだと私は思うのですけれども、そういった限りではその千億を、先ほどの冒頭に申し上げましたように、千億をリザーブすることによって千億の解約を防げるから、とんとんではないかという主張はむしろおかしいので、もし小口貸し出し制度がない場合は、千億解約した場合に幾ら還流してくるか、つまり借金をして返せない金でしたら解約せざるを得ないのですから、借金を返せるということは貯金として還流するわけです。そうしますと、これは詳細なデータはわかりませんから何とも申し上げられませんが、かりに非常に話をわかりやすく、半分還流するということになりますと、千億をリザーブして五百億しかふえない、歩どまりがないということになるわけです。千億を確かに形としては解約するのだけれども、五百億は還流する。しかしながら、千億をリザーブすることによって、確かに千億の解約は防止するのだけれども、還流する五百億は計算外になっているわけです。そういった意味で、私どもはそういった面ではむしろ財投の原資が減少するという可能性が多いではないかということを心配しておるわけでございます。
○阿部(未)委員 その限りにおいては、その理論はわかりました。ただ、逆に財投の面から見た場合に、郵便局に預金をしておけばいざというときには融資してもらえるということになれば、郵便貯金について国民がもっと協力するといいますか、そうなってくると、いまのその理論でいくと、ボーナスまでで本来ならば預金すべきものがリザーブ分に充てられる、こういう理屈はありましょうけれども、逆に今度は郵便貯金をしておくことによって融資が受けられるということで、財投の金がふえてくる、こういうことは考えられませんか。
○福島説明員 貯金者心理にかかわる問題でございますから、私ども何ともその辺はまだ見通しを申し上げる段階にはございませんが、あるいは先生御指摘のような現象が起こるかもしれません。
○阿部(未)委員 いまお話があったのですが、郵政省は、その点貸し出しを行なうと、本来それはもとに戻すということは、そういう当てがあるから貸し出しが行なわれるのだから、リザーブなかりせばふえる預金があったはずだという、こういう大蔵省の言い分ですが、どうですか。
○石井政府委員 お答えいたします。財投への影響の問題でございますが、いまかりに一千億という数字でお話が出ておりますので、私もそれで申し上げますと、私たちのほうでは、この制度がなければ、いままででございましたら郵便貯金をおろす以外になかったわけでございますので、当然一千億の金は預金者がおろされておったであろうというふうに考えておるわけでございます。この制度ができますと、そのおろされておった方々がおろさないでこの貸し付けを受けられるわけでございますので、その分は一千億の金がかりに貸し付けのほうに回るにいたしましても、預金者がおろされる額が一千億だけ減るわけでございますので、財投のほうに回す金が全然減ることにはならないという考え方を持っておるわけでございます。 なお、ちょっと先ほどの議論とあるいはかみ合わないかもしれませんが、今度の貸し付け制度ができますと、いま申し上げましたような従来おろされておった方々以外に、あるいは、こういった制度ができたんだから借りてみようかという方々が出られるということもあるかもしれませんけれども、そういった真に貸し付けを必要とされる方方以外の貸し付け需要があるといたしましても、今度の条件の中で、いまかりに限度額を十万円と押えてある、あるいは半年しか貸し出し期間は認めない、しかも借りかえは絶対に認めない、あるいはまた一括弁済といったようなこと、また利率は約六%程度をとるというふうなこと等からいたしまして、この金を借りてこれよりいい条件で回す、いい運用先を見つけるというようなことは、実際上できないのじゃないかと思いますので、この貸し付けを受けられる方はやはり実際にお金が要る方、従来であればおろさねばならなかった方々がこの貸し付けを受けられる者であるというふうに考えておるわけでございます。
○阿部(未)委員 大蔵省のほうのお答えにあったのですが、いずれにしても、かりに大蔵省の言い分をそのままのんでも、一千億の貸し付けをした場合、財投が減るとしてもその半分程度ではないかというふうに、これはそのままじゃありませんよ、一つのたとえとしてお話しになったと思うのですが、そのことは私は理解しますけれども、どっちにしてもたいしたことはないというようになろうと私は思います。一千億やそこらの金で大蔵の財投がたいへん困るという理屈にはならぬような気がしますし、またやってみて、私が申し上げたように、あるいは財投に回るお金がふえるかもわからない、そういう可能性もないとは思わない。そうなると、財投の関係から庶民金融がいけないという理屈は成り立たないような気がします。特に税金でもそれから金利でも優遇ではないという結論が出た。さらに財投の面から考えてみましても、これで財投が非常に圧迫をされて困るという理屈も成り立たないようです。 もう一つ、大臣が言ったことばがあるのです。貸し出し金利との関係でコスト割れになるのではないか、こういうこともちょっと出ておったのですが、これは一体どう考えておられますか。かりに六%の金利で郵便貯金の貸し出しをするとした場合コスト割れかどうかということについて、大蔵省のほうの利子に詳しい人の観点からどうなりますか。
○福島説明員 お答えいたします。私ども、現在の郵便貯金のコストについてまだ十分詰めておりませんけれども、御案内のように、最近の郵便貯金の中の構成は定額貯金が圧倒的に伸びておりまして、年々そのシェアが拡大しておる。つまり高利の貯金がふえまして、したがって、資金コストは上昇しておるというのが実態かと思います。一方、資金運用部のほうの実態はと申しますと、これも御案内のことかと思いますが、昨年度末、推計では大体十八兆円近い資産を保有しておるわけですが、これもまた概算でございますが、昨年度の収支状況と申しますのは、二十億円を切るか切らぬかというぐらいの収益状況でございまして、いわば万分の一程度の利益率というふうなことになっております。したがって、かりに将来郵貯の資金コストが上がった場合に、一体それに応じて私どものほうの預託金利を引き上げられるかという点になりますと、これはほとんど不可能といっても差しつかえないというのが第一点。それから第二点は、御承知のような最近の経済動向からいたしまして、低金利の趨勢というのは、かなりはっきりしておると思うのですが、そういう際に、政府資金の運用の利回りとして、私どものところで六分五厘で回しておるわけでございますが、その水準が低金利政策という、あるいは低金利時代を迎えてはたしてその誘導的、補完的な機能を果たし得るかどうかという問題も将来の問題にかかわってくるということが一つあるわけです。そこで、新たに貸し出しということが起こった場合に、そういった現在の前提条件に加えて一体どの程度のコストアップになるのかという点も、これは非常に慎重に検討しなければならぬ問題だと思います。払い戻し手続と同じであるからほとんどコストアップは招かないというのが郵政省のほうの御主張であるかに聞いておりますけれども、はたしてその程度で済むのかどうか。その辺は、いま申し上げました郵貯会計内部の問題とあるいは運用部の問題、さらには今後見通される経済情勢の推移なり趨勢というものとからみ合いまして、慎重な検討が必要ではないか、かように考えております。
○阿部(未)委員 郵政省も、これをやろうという以上は、六%の金利でコスト割れになるかどうか、これは検討されておると思うのですが、郵政省の検討の内容はどういうことになっておりますか。
○石井政府委員 お答え申し上げます。このたびの貸し付け利率をいかにすべきかということにつきましては、現在貯金の利率を郵政審議会に諮問いたしましてその答申を得て政令で定めておるのと同様に、今度の貸し付け利率も、そこの答申を得て決定するということになろうかと思うわけでございます。貯金の利率をきめます場合にも、現在、貯金法の定めによりまして、民間の金融機関の同種の業務の利率等を参酌してきめるようになっておりますが、この貸し付け利率も、そのようなことも考えなければならぬかと思うわけでございます。私どものほうで六%程度と申しておりますのは、そのようなことも考えて、最終的な決定的な数字をきめていないわけでございます。ただ、六%程度がいいのじゃないかと考えました理由の一つは、いま申し上げました民間の金融機関のやっております定期預金を担保にした貸し付けの利率を調べてみますと、六カ月のものの場合は五・七五%、一年定期担保の貸し付けの場合は六・〇〇%、一年半の定期担保の場合は六・二五%というふうな数字が出ておりましたので、そのまん中をとれば六%ということになろうかと思います。また、現実に私のほうでわずかの、かりに十万円程度の預金貸し付け制度でございますと、あまり複雑な貸し付け利率の体系をつくることもいかがであろうかというようなことで、民間のような三本立てということは避けまして、まん中の六%ということを考えましたことが一つと、国民金融公庫の恩給担保貸し付けの利率も現在六・〇〇%でありますし、先ほど話題が出ておりました簡易保険の契約者貸し付けも六%でやっております。そのようなことが一つの参考になったわけでありますが、なお、郵政省だけの立場といたしまして、今度貸し付けの対象に考えております定額貯金、それから積み立て貯金、あるいは定期貯金、この三つの貯金のコストを見ますと、六・〇六%というふうな数字が出ておるわけでございます。一番大きな定額貯金だけで申し上げますと、もっと低い五・六一%でございます。このようなことが一つの具体的な数字としてあるわけでございますが、先ほど私が申し上げましたように、今度の貸し付けに回す金は、もともとこの制度がなければ預金をおろしておった方々の金、その金を貸し付けのほうへ回すという考え方でございますので、もともと財政投融資のほうへ回して六・五%の利子をかせぐべき金をこちらのほうに回すのであれば、〇・五%だけマイナスでございますけれども、それ以前の金であるという感覚でございますので、それと離れて考えていいのじゃないか。そうしますと、郵政省内部のコスト計算でいけばいいのじゃないかということで現在の六・〇六%という数字が出るわけでありますが、なお今度のこの金は、いま申し上げましたような理由で、これは従来ならおろされておったものがおろされなくなる、貯金がこれだけ継続するわけであります。したがって、継続する間の維持費と申しますか、その間の貯金の利子とそれから維持するための経費、これは見なければならぬかと思いますけれども、預金を吸収するための経費といったものは、これは落としていいのじゃないかというふうに考えますので、そういたしますと六%を割るような数字が出るわけでございます。そのようなことで六%という数字を一応考えておるわけでございますが、この点は先ほど申し上げましたように、なお慎重に検討しなければならぬと考えておるわけでございます。
○阿部(未)委員 最近市中ではサラリーマン金融などという不都合なものができまして、非常に高い利息を取られて、サラリーマンが一時のお金を借りなければならない、そういう実例をわれわれしばしば耳にしておりますし、今回郵政省が打ち出したこの庶民金融というのは、国民の側に立って、利用者の側に立って考えますと、非常に好評を博しております。ただ、企業の側から考えればいろいろな意見がありましょう。民間の金融なり農協なり、いろいろ企業側から考えれば意見はありましょうけれども、私は、政治は原則としてあくまでも国民の側に立って、国民の利便に供するために行なわれなければならぬというふうに理解をいたします。せっかく郵政省が打ち出した方針ですから、これを少ししっかり腹を据えて推し進めてもらいたいと思いますし、大蔵の関係当局も来ておるようですからこの際申し上げておきますが、われわれが知る限りにおいて国民は非常にこの庶民金融に大きい期待を持っておるし、いままでの議論の中でも、特に大蔵省が反対をしなければならないような理由はないように見受けられますので、鋭意実現に努力してもらいたいと思います。 本来もう少し保険の関係について話をしたかったのですけれども、大臣も何か時間の都合があるようですから、残余の質問を保留しまして、私の質問は一応これにて終わらせてもらいたいと思います。
○高橋委員長 樋上新一君。
○樋上委員 きょうは大臣お忙しいようでございますので、なるべく大臣に質問しますことを先に、順序を変えて御質問したいと思います。適当な時間が参りましたらそのまま引き揚げてもらってもけっこうでございます。あと続けてまいりたいと思います。 今回の簡易生命保険の一部を改正する法律案に対しまして先ほども御質問があったと思いますが、重ねてお伺いするのですけれども、今回の改正は最高限度額を三百万円に引き上げる、その他加入者に対する保障内容の充実をはかるため、いわゆる制度の改善をはかるということでありますが、たいへんおくれておりましたこの制度も、われわれは過去にもその限度額を上げることを要求しておったことが実施されるということになって、一応私たちはこれを評価することができると思います。まず、保険金最高限度額を三百万円に引き上げる理由といたしまして、この「最近における社会、経済事情の推移にかんがみ」とありますが、これは最近の物価の上昇や公共料金等の値上げにより、現在の二百万円では価値がなくなってきた、保険をかけても危険に対する準備財産としての意味がなくなってきた、このように考えているわけでございますが、この点はいかがでございましょうか。
○廣瀬国務大臣 その問題につきましては、先刻阿部委員にもお答えいたしたのでございますが、ただいま先生がおっしゃっておりますとおりでございまして、社会事情、経済事情が非常に変わってきた、物価も高騰してきたというような現在の状態でございますから、二百万ではあまりに少ない、これでは保障の機能が果たせないということを考えまして、実は先刻申しましたように、四百万に上げたいという気持ちを持っておったのでございますけれども、大蔵省が民業というようなことを特に考えて、大蔵省との折衝段階でその実現の達成ができなかったわけでございます。ただ先刻大蔵省当局は、いかにも民業優先で官業は補完的なものだというような、あとではことばがだいぶ変わってまいりましたけれども、冒頭ではそのような意味の答弁があったのでございますけれども、私どもはむしろ逆に考えておるのでございまして、こういう国家のやっております社会保障的な制度でございますから、むしろ民間の生命保険をリードするような簡易保険でありたい。しかし、これはあくまで庶民大衆の保険でございますから、保険金額をやたらに大きくするということはできないわけでございまして、ただ大蔵省が、民業が第一で官業は補完的だという、あと回しのような形では、これは大蔵省の考え方は非常に間違っておると思うのであります。そういう意味で、しょせん私どもの努力が足らなかったわけでございますが、三百万ということに落ちつかざるを得なかったわけでございますが、まあこういう程度であれば当分やっていけるという自信が持てましたので、これで了承して話がきまったということになったわけでございまして、先刻申し上げましたように、医療費の問題でありますとか、葬祭費の問題でありますとか、あるいは遺族の生活資金の足しでありますとか、さらにまた養老保険にいたしましては老後の生活資金というようなことを考えますと、どうしても二百万では足らない、少なくとも三百万にはしてもらわなければならないということで、こういうことになったわけでございます。
○樋上委員 先ほどの四百万円を三百万円に、大蔵省のほうとの話し合いがいけなくてというお話の質疑のやりとりを私も聞いておったのですけれども、民間保険とのバランスというような点も考えられておるのですけれども、これをもっと突っ込んでいけば、私はいろいろ問題があると思うのですよ。それで、その最高限度額を三百万円に引き上げることは無診査として経営上危険はなかろうか、この点も私は考えておるのです。また今般このように二、三年ごとに最高限度額を引き上げる場合に、私は、無診査保険の限度額を大臣はどのぐらいと考えていらっしゃるのか、御所見を承りたいと思うのです。
○廣瀬国務大臣 御指摘のように、金額がふえますと、逆選択の心配が一そう大きくなってくるわけでございまして、これにつきましては面接監査というものをよほど厳重にやらなければならぬ。従来もやっておりましたわけでございますけれども、さらにそういうことを体しまして、万遺憾ない契約をしなければならないということを考えるわけでございまして、その限度をどの程度まで無診査でやっていけるかということにつきましては、事務当局から御答弁いたさせます。
○野田政府委員 簡易保険の無診査、簡易保険は無診査でございますが、最高限度額を将来どのように考えるかという問題でございますけれども、この今回の法律案の改正の理由にもあげておりますように、やはり基本的には社会、経済情勢の推移を見守るということでございますが、先般阿部委員の御質問にも御答弁申し上げましたように、簡易保険は契約件数も四千五百万をこえておりますし、資産の総量も三兆を突破するという大きな保険基金というものがすでにでき上がっております。そのほか経営の内容、特に非常に整備された外野組織というものを持っております。したがいまして、理論的に申し上げました場合にはまさに数千万円の限度額にもたえ得るものがあるだろうと思うのでございますが、先ほど申し上げましたように、これは民営保険でも無診査保険を経営いたしております。そういう観点から簡易保険自体の経営の中もよく考えまして、社会経済情勢の推移を見守って適宜きめていくということになろうかと思います。
○樋上委員 今回、最低限度額は引き上げておりませんね。現在十万円になっているが、引き上げを行なっていないのはまたどういうことなんですか。現在どのくらいの割合になってるのですか。
○野田政府委員 お答え申し上げます。現在簡易生命保険法におきまして被保険者一人当たりの契約の最低限度額は十万でございます。生命保険の趣旨なり経営効率等から見ますと、この額はいささか低きに失しておるだろう、こういうことは確かにいなめないのでございます。しかしながら、簡易生命保険は広く国民各層への普及を目的としているという大原則といいますか大前提がございます。さらにまた、それならば現在十万円に加入しておる加入層がどの程度あるかということでございますが、総獲得契約量の約五%程度が最低限度の十万円の契約でございます。したがいまして、これは年々低下はいたしておりますけれども、なお現在の時点でこの十万円を二十万円に切り上げていくということはいささかちゅうちょせざるを得ないということで、もう少し状況を見守っていきたい、このように考えております。
○樋上委員 大臣、先般の改正で制定された学資保険契約の状況はどうなっているのでしょうか。また、目標額は達成されたのかどうかをお伺いいたしたいと思うのです。
○廣瀬国務大臣 お尋ねの学資保険は意想外に好評を博しましてたいへん伸びてまいりまして、現在では総契約高の二九%というような域まで達しております。
○樋上委員 目標額に達しているのですか。それはどういう状況なんですか。
○野田政府委員 学資保険につきましては、御承知のように昨年の九月一日から発売をいたしておりまして、特段に学資保険それ自体として目標を設定して販売はいたしていないわけでございますが、先ほど大臣が申し上げましたように昨年九月以降売れました総契約の中で、学資保険が占めております占率といいますかシェアは二九%でございまして、われわれが期待しておりました以上の売れ行きを示しておる、こういうことでございます。
○樋上委員 傷害特約保険の収支状況はどうなっているのですか。
○野田政府委員 お答えいたします。傷害特約は、御承知のとおり昭和四十四年九月に発売をいたしたのでございますが、発売以来非常に加入者に好評をもって迎えられております。四十六年度の契約状況について申し上げますと、四十七年二月末現在でございますけれども、新契約が三百九十六万件、保険金が二兆八千九十億円ということでございます。付加率といいますか、新しくとれました契約に、これは特約ですので傷害特約がついております率は九九%になっております。発売以来の件数、保有契約ということでありますが、これは一千七十万件、六兆九千十一億円という非常に膨大な量になっております。 なお、収支状況でございますが、昭和四十五年度におきましては保険料収入が六十二億六千二百万円でございました。これに対しまして傷害事故発生による保険金等の支払い額が二十八億四千二百万円、収入に対する割合は四五%ということになっております。四十六年度につきましては、まだ全部がまとまっておりませんので集計中でございまして、これは一応の見込みでございますが、収入保険料は約百二十億円、傷害特約保険金の支払い額は五十五億円になるものと見込まれております。その支払い率は四六%をちょっと上回るものと見込まれておるのでありまして、前年度に比べまして少し支払い率は上昇するのではないか、このように考えられます。 なお、支払い率が以上のように比較的低率になっておりますことは、制度の開始以来まだ日も浅うございますし、安定状態にまだ達していないことと、もう一つは幸いにしまして非常に大きな事故の発生を見なかったということ等によるものであります。しかしながら、なお交通事故等も傷害特約に関します限り非常に増加をいたしております、したがって、今後支払い率はある程度高くなっていくのではないか、こういう予測を持っております。
○樋上委員 いま新しい学資保険または傷害特約保険などを聞きました。非常に順調なすべり出しである。その反面、大臣、郵便年金保険についてお伺いするのですが、四十五年度の統計を見ますと新契約状況は、積極的な募集を行なわなかったのでそういう関係もあろうと思いますけれども、件数が十件でありまして年金額が二十九万円ということであります。もうこれはこの辺で何とかしなければならないと思うのですが、郵政省、大臣としてはどういうぐあいに考えておられますか。またこんなに成績があがらないのだったら、優遇するとか、また装いを新たにして何とかこの際積極的に考えるべき時期が来たのではないか、こう思うのですが、大臣いかがでしょう。
○廣瀬国務大臣 郵便年金が非常にふるわなくなったということは御指摘のとおりでございますが、これは他のいろいろな年金制度が非常に拡充してまいりましたものですから自然押されたというかっこうになっておるかと思いますが、現在は、昨年の十二月末現在の郵便年金の保有契約が二十三万四千件でございます。もともと終身年金というのが年金のうちで制度の本来的な趣旨の年金でございますが、これがわずかにそのうち二割程度、件数で申しますと五万件というような状況になっておるわけでございます。こういうわけで郵便年金はただいまお話しのようにまさに魅力を失ってまいりました状況でございまして、こういうような国民の需要に沿いますために、新種年金の創設はいろいろな事情から申しまして非常に困難だと思うわけでございまして、したがってこの郵便年金制度の存廃についても、ひとつこの際根本的に検討する必要があろうかと考えておるわけでございます。
○樋上委員 せっかくできた年金のことでございますから、廃止することは簡単に廃止をしていいんですけれども、こういう年金ができたのだから、できるときは非常に苦労してやったものですから、私はその意味から尋ねておるのですけれども、廃止しなかったら廃止しないで優遇の処置をしていくという考えはないか。それともやめてしまうか。こういう点をお伺いするのですけれども。
○廣瀬国務大臣 樋上委員の御意見も踏まえて十分ひとつ検討してみたい、かように考えております。
○樋上委員 大臣の時間もだんだん迫ってまいりましたので、飛ばしまして、お伺いしておきたいと思うのですが、民間保険と今度の簡保を比較してみますと、これは郵政省からいただいた資料ですけれども、昭和三十五年に満三十歳の人が、簡易保険と民間保険の二十年満期養老保険を月掛けでやった。そうしますと、全期払い込み、保険金額が百万円の生命保険に同時に加入し、健康でこの人がめでたく保険期間を満了した場合を比較してみたわけですが、こういう表になってくるのですね。ちょっと見えないかもしれぬけれども、表をこしらえてみたのですよ。そうしますと、満三十歳の人が百万円の二十年満期養老保険をかけた。そのときに月掛け保険料が民保の場合は四千円なんです。簡保の場合は三千九百五十円ですね。そうすると今度払い込み保険料が民保が九十六万円なんです。簡保のほうが九十四万八千円となるのです。そこへ分配金、配当金が民保が三十九万八百円、簡保が三十一万二千五十円、正味保険料は民保の場合が五十六万九千二百円になる。簡保は六十三万五千九百五十円になるのです。簡保は約七万円多く払い込まねばならないという状態になっているのですが、最も大衆を目標としてやらねばならないのが、民保と簡易保険でこれだけの差がついておる。これはどういうようにお考えになるか。
○廣瀬国務大臣 ただいまの樋上委員の御指摘、例を示されての御質問でございますが、簡易保険の正味保険料を引き下げるということが問題の眼目であろうかと思いますけれども、その保険料を引き下げるには二つの方法が考えられるわけでございまして、第一は運用利回りをよくするということでございますが、現行制度のワク内ではこれ以上の利回り向上は望めないというような状態であるわけでございます。これを改正いたしますには、御承知の一年間持っております余裕金、この余裕金を郵政省が直接運用するというようなこと、あるいは公益事業、社債等への運用範囲の拡大、あるいはさらにこの財政投融資外の運用をはかる。こういうことについては先刻積み立て金については阿部委員にお答えしたわけでございますが、余裕金の問題につきましてもそういうような問題があろうかと思います。今後ともそうした道を開き改善をしていくということについては努力をしてまいりたい。これは郵政省が常に考えておるところでございますけれども、その道がなかなか隘路でございまして、非常に困難をなめておりますが、保険料を引き下げるという大目的のためには、こういうことにさらに勇気をもって努力をしてまいらなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。 その第二は、新規契約を大量に獲得するということでございまして、そうすると事業費の率が自然下がってくるわけでございます。かりに前年度の三〇%増しで順調に新規契約の募集ができるといたしますと、三年に一度の割合で約五%程度の保険料の引き下げができるというような数字になるようでございます。 こういう二つに着目いたしまして、今後とも簡易保険の運用にあたりましては努力を傾注いたしまして、ただいまおっしゃられましたような国民大衆に対して非常に大きい使命を持つ簡易保険のことでございますから、努力を重ねてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○樋上委員 これについてはいろいろあるでしょう。いま私が申しましたように、簡易生命保険法の第一条の「なるべく安い保険料で提供し、もって国民の経済生活の安定を図り」、こういう点からも十分考えていただきたい、こう思うのでございます。戦前は事業費の率なんかも一五%前後であったわけですけれども、四十五年度の事業費の比率は一八・三%と、戦前に比べると三%くらい上回っておるわけです。ですからこういう点、もっといろいろ考えていただいて、財投に向けます場合でも高利回りの電力債を買われるとかいろいろな点があろうかと思います。簡保の場合、投資で民間と違いがある。もっと高利回りのところを考えるべきではなかろうかと私は思うのです。結局事業費の率を引き下げるということが保険料の中の付加保険料を下げることになるわけであります。現在の付加保険料の中に占める割合というものは高いもので二〇%にもなっておるものがあるわけです。この比率をもっと下げることによって保険料を引き下げることができると私は思うのですが、この点はいかがでしょうか。
○野田政府委員 お答え申し上げます。御指摘のように、たしか戦前昭和十一、二年の基準年度につきましては事業費率は一五%前後でございました。終戦後事業費率が非常に上がりまして、一番高いときには二八%をこえるような事業費率を示しておったこともあるのでございます。しかし、最近におきます事業費率の推移は非常に向上してきておりまして、昭和四十三年度の決算によりますと一九・一%程度の事業費率を示しておったのでございますが、四十五年度におきましてはこれが一八・三というふうに下がってきておりまして、逐次そういう意味での成績というものは向上してきておりまして、四十六年度の見通しもさらに前年度よりは上向いてきておる、こういうことが申せようかと思います。
○樋上委員 ここでちょっと、大蔵省の山内主税局総務課長さんおいでになっておりますね。——現行二百万円で保険金受け取り人に対する税金関係はどうなっていますか。また相続人の場合はどうなっているのかをお伺いしたいのですが。
○山内説明員 二十年満期の場合を想定をいたしますと、たとえば三十歳加入の場合でございまするならば、二百万円の保険金を受け取るためには月々七千九百円の払い込みをするということに相なるかと存じます。これが相続の場合に、死亡によりまして相続が起こりますと、その場合に受け取りまず保険金のうち、法定相続人一人につき百五十万円は相続財産から控除をされるという扱いになっております。
○樋上委員 今度三百万円になるんですね。三百万円になったときはどういうふうになるのですか。
○山内説明員 その月々の掛け金額が一万一八百五十円になるというふうに承知をいたしてます。
○樋上委員 これは簡易保険の加入者も税金の対象になるということになっておるわけですが、私が考えますのに、ほかの生命保険ですね、全部の生命保険を総合してそうして百五十万円が控除されるのでしたら、簡保の分だけ別に課税対象からはずすべきだと私は思うのですが、この点はどうでしょうか。
○山内説明員 もともと受け取ります生命保険金は、これはたてまえ上すべて相続財産を構成するということになっておりまして、そういう意味合いからいたしますと何カ所入っておろうが、あるいはその入っております保険が民間のものであろうが簡保であろうが、その点のところは問わないということがたてまえであろうかと考えております。現在一人につき百五十万円控除いたしておりますのは、これは特別に国民感情を考慮いたしまして、少額のものにまでその全額を課税の対象にするということを遠慮いたしておる次第でございますので、そういう意味合いから申しますと、保険の種類によりまして別々に百五十万円の金額を計算するということは、現在のところ考えていない次第でございます。
○樋上委員 簡易保険の原資は財投に入っているわけでしょう。ですから、勤労大衆から集めた金をいわゆる公共事業に投資して、そして国の重要な一翼をになっておるのですね。ですから、この簡易保険加入者に税金をかけるということは酷ではないか、こう思うのでございますが、私のいま申しております簡易保険に対してだけは税金の対象外にすべきである。私はこういう点をいま大臣がお出になっていたら、大蔵省に働きかけていただいて、何とかこの簡保の保険金を受け取る場合、これだけは課税対象から、百五十万円といわずに、保険金が上がってきたのですから、掛け金が上がってきたのですから、もっと免除額を上へ上げるとか、控除額を改善するとか、ここは時代に応じてそういう点を郵政省から大蔵省に——大蔵省の主税局も真剣にこういう点を考えるべきときでなかろうかと私は思うのですが、大臣はもうおいでになりませんので、保険局長どうですか、こういうことをお考えになっておりませんか。
○野田政府委員 先生御指摘のように、簡易保険が置かれておる立場といいますか、たとえば資金の運用面におきましても、一般の民間保険に比べまして現在の時点でも約一・三、四%ないしは一・五、六%程度低金利で回しておるというような実情等々いろいろな特殊な事情がございまして、郵政当局としましては、毎年大蔵当局及び自治省当局に対しまして、簡易生命保険加入者に対し税法上優遇措置を講じてもらいたい旨の要望を繰り返しております。理由としましては、いま先生があげられました簡易保険加入者の特殊性といいますか、いま御指摘になりました、運用が非常に低利で回っておる、それで保険料もそれほど安くないじゃないかという点を考慮する。そのほか、基本的には社会保障政策を多面的に推進する必要がある、及びこれは保険金に対する相続税法上の非課税限度額を引き上げてもらいたい。これは簡易生命保険の保障機能を有効に十分に発揮できるように、こういう理由であります。そのほか、勤労者の貯蓄増強策を強力に推進するため税法上の優遇措置を講じてもらいたいということを、ほとんど毎年にわたって要望いたしておるわけでありまして、この姿勢は今後とも続けていこう、こういうふうに考えております。
○樋上委員 簡易保険の運用利回りは最近六・五%前後だ、こういうふうにいわれておるのですが、これは何とかもっと有利に引き上げるように努力すべきじゃないか、先ほども申し上げましたとおりです。結局運用収入の増大は、簡保の会計をより好調にし剰余金を増加させることになるわけでありますが、言いかえれば保険料の引き下げにもなっていくと思うのです。そこで三十八年の七月に簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律というものの改正によって、高利回り債として電力債が運用対象に加えられるようになった。運用の利回り向上という点では大きな意義があったわけですが、運用額の限度が積み立て基金総額の五%と定められておる。運用利回りのわずかな向上にとどまったわけでありますが、より高利回りのもとにもつと運用のできるように大蔵省とも私は折衝すべきである、こう考えておるのでございますが、なお私の記憶によれば、昨年末予算要求の段階では、たしか運用範囲の拡大を内容とする簡保年金積立金の運用法の一部改正を考えていたように思うのでありますが、そのいきさつについて御説明を願いたいと思うのです。
○野田政府委員 簡易保険の資金の運用利回りの向上につきましては、微力ながらいろいろな手を打ちまして努力をいたしておるのでございますが、三十八年の運用法改正以来、法律改正としては目ぼしいものはございません。御指摘のように運用利回りの向上を目ざしまして、基本的には法律を改正せざるを得ない、それを目ざして努力をいたしておるのでございますが、昨年度におきましても、余裕金を郵政大臣が運用をすること並びに運用範囲の拡大といたしまして、公社債等にまで運用範囲を拡大するということで一応のスタートを切りまして努力をいたしたのでありますが、結局最終的にはこれが日の目を見るに至らなかったわけでありまして、これらの点につきましてはもう少し本腰を入れまして努力をいたしていきたい、このように決意をいたしております。
○樋上委員 今後のこの運用法の改正について、努力をしていただきたいと要求しておきます。 それから簡易保険の加入者サービスとして簡易保険郵便年金福祉事業団が行なっている福祉施設がございますが、現在どういう事業を行なっているのですかお聞きしたいのですが。
○野田政府委員 簡易保険郵便年金福祉事業団が簡易保険事業の事業内容の一つであります加入者福祉関係につきまして委託を受けております施設なり事業の内容につきましては、まず第一に加入者に対します医療施設、診療所を設けまして、加入者に対します簡単な医療、診療を行なっておるのでありますが、これが全国に二十九カ所ございます。そのほかに老人福祉の施設といたしまして加入者ホームというのがございまして、これは全国に十三カ所設けておるのでありますが、そのほかに加入者の保養を目的としました保養センター、これが現在の時点で全国に四十五カ所ございます。そのほかに青少年レクリエーションセンター、これが東京に一カ所ございます。現在これが営業をいたしております種類と個所数でありますが、このほか現在保養センターにつきましては十三カ所この新設を決定をいたしております。そのほか都市におきます加入者の生活の利便と文化の向上をはかりますために、都市センターの建設に着手をいたしておるのでありますが、これは京都で着工をいたしております。 なお、今後の加入者福祉施設につきましては、全国の加入者に施設利用の均てんをはかるため、あるいは内容の向上をはかりまして、今後における事業の進展と加入者の動向を十分考え合わせました上で、いま申し上げました施設の拡充強化さらに新しい方面への進出というようなものをいろいろ今後計画をいたしていきたい、このように考えております。
○樋上委員 お伺いしましたこれらの施設の利用状況を見ましても、たいへん利用されておる。これらの施設も一ぺんにふやすことはできないでしょうけれども、積極的に増加させるようにお願いするわけでございますが、その他簡易保険サービスの希望といたしまして、教育資金の貸し付けとか、住宅資金の貸し付け、託児所の設置等いろいろな希望があるわけですが、これらも早急に検討してもらいたいと思うのですが、この点はいかがでございましょうか。
○野田政府委員 先生御指摘の事項につきましては、実は郵政大臣の諮問機関でございます郵政審議会から郵政大臣に対します答申、これは特色ある簡易保険とするためにどういう手を打てばいいかという諮問に対します答申でございますが、その中にもいま先生御指摘の託児所の問題等々、加入者福祉施設の種類等々につきまして答申があるわけでございますが、われわれも常々こういうものを検討いたしまして、できるだけ早い時期に適当なものを開発といいますか、着手をしていきたい、このように考えております。
○樋上委員 私はこういういろいろなサービスの向上をしていかなければ、簡易保険はほんとうの魅力のない保険になってしまう。こうであってはならないと思うのでございます。もしそういうことであるならば、国民から忘れられてしまうのではなかろうか。保険内容の充実といっても、やはり実質的な利益が加入者に還元されなければ国民は納得いかないと思うのです。こういう魅力のない保険に加入をされているのですから、外務員が行き過ぎた勧誘をしなければならなくなってしまうこう私は思うのです。もっと簡易保険を魅力のある保険にするためには積極的に取り組んでもらいたい、こう思います。また今後新種の保険を考えておられますかどうですか、この点をお伺いするのですが。
○野田政府委員 まさに御指摘のとおりでございまして、魅力ある簡易保険にしますためにも、また事業の進展を期しますためにも新しい保険種類の開発あるいは新しい方面への進出というものを大いにやっていかなければいかぬわけでございますが、近年皆さま方の非常な御支援によりまして災害特約制度を四十四年に発売をいたしましたし、昨年九月一日からは学資保険及び特別終身保険、これの発売もできたのでありますが、今後保険需要の高度化、多角化というようなものに対応いたしまして、開発すべき保険分野もますます広がっていくだろう、かように考えられるのであります。今後われわれが検討をいたしたいということで考えております保険種類、これは現実にすでに新種保険の開発委員会というものを局内に設けまして検討を開始をいたしておるのでありますが、疾病保険、それから保険金増額保険、簡易災害保険というようなものの創設につきまして基礎的な研究にすでに着手をいたしておる次第でございます。
○樋上委員 四十七年度の予算で新規契約目標額が二百三十五億円と前年に比べてだいぶ増加して、いる。保険の種類別にどういう目標を立てておられるのかということをお伺いしたのですが、いろいろな面に御構想があると思いますが、十分達成できるように努力をしていただきたいと思います。 次に、この要綱の中にあります「事業経営の状況にかんがみ、加入者に対する保障内容の充実を図る」ということで、三点改善することが出ておるのですが、これはあとで質問を行なうといたしまして、「事業経営の状況」とありますが、いま簡易保険の経営状況はどうなっているのですか。
○野田政府委員 四十六年度が実は先般終わりましたばかりで、四十六年度につきましてはまだ決算も終了いたしておりませんし、目下急いで集計中でございますが、四十五年度について申し上げますと、新規契約高が四百九万件、これは対前年比が七・七%増ということでございます。保険料額が百五十三億円、これは対前年比五四・二%、というふうに、実に史上初めてといっていいほどの躍進を示しておりますし、保険金額も二兆八千三十一億円ということで対前年比四一%の増でございます。このような状況が四十六年度に入りまして少しスローダウンはしてきておるのであります。前年に比べますとそれほど伸びておりませんけれども、一応の取りまとめとしましてはまあまあということでありますが、以上申し上げましたような新規契約高あるいは保険料額、金額等も含めまして、新規契約の獲得状況等から、最近におきます利益、剰余金の発生状況は、資金の効率的な運用と死亡率の改善というような質的向上と相まちまして順調に進んできております。四十五年度では四十四年度の三百五十七億円を上回りまして、五百十八億円を利益剰余金として計上をいたすことができたのであります。ことしといいますか、もうすでに前年になりましたけれども、四十六年度におきましても、いまのところ、大体におきまして六百億程度の剰余金の発生が見込まれるのでございまして、四十七年度におきましてもここ数年来続けております分配金の増額を実施をいたす、こういうことに予定をいたしております。
○樋上委員 種々承りましたが、非常に好調な面に向かっているようにも思いますし、最後に私は簡易保険をほんとうに魅力のある保険商品とすることによって、いわゆる既契約の維持と新規契約の伸張をもたらして、国民大衆の中に簡易保険を一そう浸透させることができるのであると私は思います。簡易保険が比較的所得の低い国民大衆の福祉のためのものであります以上、保険財政の許す限りにおいて、できるだけ加入者の利益を増進をはかるとともに、この制度によってカバーされる国民大衆の範囲を拡大することがこの制度の使命であるといわなければならないと思うのでございます。どうか、鋭意努力されてこの制度を大衆のほんとうに魅力ある保険となるように最後に要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
○高橋委員長 次回は来たる四月十二日午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後二時二分散会