地方行政委員会 第31号
- 発言数
- 57 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1972/06/02
会議録
○大野委員長 これより会議を開きます。 風俗営業等取締法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本弥之助君。
○山本(弥)委員 いわゆるモーテルの営業の規制の問題でありますが、従来の質疑応答の過程から言いますと、現在大体五千軒あるモーテル営業のうち、いわゆるワンルーム・ワンガレージの様式を持っておるモーテルが約七割を占めておるということでありますので、さらに地域の指定によりましてそれから漏れるものもあろうかと思うのでありますけれども、まず、モーテルの規制としては大体網羅することができるというふうに考えるわけでありますが、そうでございましょうか。
○本庄政府委員 モーテルといいました場合、いろいろ概念があるわけでございますが、先生がいまおっしゃいましたように、世間で俗に言うモーテルが約五千軒、そのうちの七割近くが、今度この法律で規制しようとする法律的な意味におけるモーテルでございますが、その法律的な意味におけるモーテルにつきましては、今回の地域規制によりまして——はっきりした数は、これは府県条例で地域をきめるわけでございますから申し上げられませんが、まず、ほぼ規制の目的を達する程度には包含されるのではないかと思うわけであります。
○山本(弥)委員 この地域指定につきまして、都道府県の条例で指定することになっておりますが、これは知事が条例をきめるわけでありますけれども、その所管業務といいますか、それはどこでおやりになりますか。
○本庄政府委員 御案内のように、条例の提案は知事でございます。しかし、実態といたしましては、これは風俗面における規制でございますので、都道府県公安委員会が関係の市町村あるいは地域住民等の意向を十分そんたくいたしまして、事務的な検討を加え、そして知事に提案をお願いする。したがいまして、そういう事務的な意味での所管は公安委員会というわけであります。
○山本(弥)委員 そういたしますと、規制を受けるモーテルにつきましても旅館業法の許可営業になっておるわけですね。そういたしますと、今後、許可された営業でも一年以内に廃業しなければならぬことがあるという、これは警備業法などと違って相当きつい規制になるわけでありますが、今後、旅館業法によりましてモーテルの許可をするという場合におきましては、許可をしても、もしそれが指定区域の中に該当するということがあとでわかるということになると、当然これは直ちに廃止をしなければならぬという事態が起こりますね。その間の連絡はどういうふうになさるわけですか。
○本庄政府委員 理論的には、旅館業法に基づく知事の許可は、旅館業としての許可でございまして、モーテル営業としての許可ではございませんので、旅館業の許可要件を充足しておれば許可しなければならないということになると思います。しかしながら、条例ではっきりと地域をきめて公告するわけでございますから、当該申請にかかるものが、かりに旅館業としての要件を満たして許可になったところが、実態はモーテル営業を開始したという場合には、先生のおっしゃられましたように、その日から廃止しなければならないという理屈になるわけでございます。地域につきましては、これは条例できめて県民全般にわたるように公告をいたしますので、当該人に必ずしもわからないかもしれませんが、それぞれの関係行政庁は全部わかっておるわけでございますから、そういった場合にはよく事前に話をいたしまして、この旅館業は形態としては風営法の規制に基づくモーテルに該当するので、旅館業としての許可を受けてもモーテルとしては営業はできないんですよという話を十分して、許可の申請を取り下げてもらうといったような、そういう具体的な指導によってそういう御懸念のようなことのないようにやっていただきたい、かように考えております。
○山本(弥)委員 厚生省がお見えになっておりますので、お尋ねいたします。 この点は林委員からも質問があったと思うのでありますが、従来は、旅館業の許可につきましては、環境衛生の立場から許可をしておった。それに対しまして、最近の改正、昭和四十五年だったかの改正によりましては、環境衛生とあわせて「旅館業によって善良の風俗が害されることがないようにこれに必要な規制を加え、」ということで、いわゆる許可の基準が、善良な風俗と、それから旅館業としての環境衛生の保持という見地から許可することになっているわけですね。そういたしますと、これはもうすでに質問済みでありますけれども、厚生省のほうは、モーテル規制につきまして、従来の規制は、たとえば教育施設あるいは福祉施設の周辺百メートル以内で、善良な風俗を保持することに著しく阻害を来たすという場合に許可をしないという基準になっているわけですね。そういういわゆる善良な風俗の保持という見地からの許可をしておるということから言いますと、この程度のモーテルの規制をする場合には、当然厚生省でもできるのじゃないでしょうか。この法律の目的から言いますと、そのほうが業者としても便利なんですね。できないぞと言うと、許可がないわけですから、許可しないということになるわけですから、これはおそらく厚生省と警察庁は十分打ち合わせ済みだろうと思うのですけれども、この点について御意見を聞かしていただきたいと思います。 環境の保持とか善良な風俗の保持とか、そういった立場は、府県にしろ、市町村行政にいたしましても、これからの重要な業務なんですね。したがって、ある程度まで都道府県の権限として、あるいは市町村の権限として——私はむしろ市町村に重点を置くべきだと思っておるわけでありますが、そういう意味におきましては許可の一体化、あるいはそういう業者の便益のためから言いますと、できるだけ法律の目的に沿うような配慮が手数がかかりましても厚生省はおやりになる必要があるんじゃないか。 それからもう一つ、これは所管が違うかどうかわかりませんが、建設省からもお見えになっておるようでありますが——建設省お見えになっておりますか。——それじゃその点だけひとつお聞かせ願います。
○加地説明員 御質問の趣旨は、具体的な取り締まりの機関という問題もありますし、そういった問題から風俗営業法の改正というよりも、旅館業法上の手当てがなぜできないかという御質問の趣旨だと思いますが、それについてお答え申し上げたいと思います。 今回、警察と十分連絡をとりながら風俗営業法の改正の形でお願いをしておるわけでありますけれども、実は、その場合に、二つの考え方からこういう形にしたいというふうに考えておるわけであります。 一つは、モーテルの営業の実態と申しましょうか、営業の姿勢といいますか、そういった営業の実態からくる問題が一つございます。それからもう一つは、旅館業法と風俗営業取締法との法律の性格の違い。この二点からでございます。 最初のモーテル営業の実態という問題でございますが、これは、一般的には、もう先生方御承知のように、モーテルというのは、自動車で旅行する旅行者の宿泊設備という意味でモーテルを考えますと、今日のようにまさしく道路交通の発達した時代では、そういう社会的な需要に応じて、いわば旅館がそういうモーテルの形に対応していく。過去に旅館がいろいろと時代の要請にこたえて、その要請に沿っていったと同じように、今日の時代では、一般的な意味のモーテルという意味では、まさに一つの要請であろうと思うのです。現にまた警察庁から実際にお出しになっております数字の中でも、一部には、いわゆるそういった新しい時代の要請にこたえたモーテルもあるわけでございます。現にアメリカなんかでは、そういったモーテルの運営がなされておるわけでございますけれども、問題は、現実のモーテルというものの大部分が、いま問題になっているような社会的な批判を受けるとか、そういう問題になっておる運営の実態があるわけでございます。 そこで、今度は法律の問題でございますけれども、旅館業法は、確かに、御指摘のように、従来、いわゆる公衆衛生の観点から旅館業法を考えておったわけでありますけれども、三十二年の改正のときから、実は、「善良の風俗」という規定が加わったわけでございます。この三十二年の改正のときは、御承知のように、当時一般旅館に関して、ことばはあまり適当じゃありませんが、いわゆる連れ込み宿といった問題が非常に問題になりまして、あのときの改正が、従来公衆衛生という面だけであったのが善良の風俗が入ったわけであります。現行法ではまさしくそうなっておりますし、この前の四十五年の改正の際にも、許可の条件としては、善良の風俗の観点から条件を付することができるという改正も実はしたわけでございます。しかし、旅館業法自体は、やはり宿泊者の公衆衛生上の維持というところに実は重点のある法律でございます。したがって、旅館業法としては、それだけに法律上ある制約があるわけでございまして、一方風俗営業法は、御承知のように、善良の風俗を維持するという、まさにそういった趣旨の法律でございます。そこで、モーテル運営の実態と制度のそういう性格という面から、今回もそういうような形で風俗営業のほうでやっていただけばよろしいんじゃないかというようになったわけでございます。きのうも実は申し上げましたけれども、四十五年の改正の際にもあのときは、モーテルを主眼に置きまして旅館業法の改正をやったわけであります。その際に、時の厚生大臣あるいは国家公安委員長が、モーテルの規制を中心にした旅館業法の改正は、四十五年のあのときの改正がいわば限界である、したがって、その制度の運用状況を見て、これ以上さらに運営上問題になってくるものがあれば、それを風俗営業取締法のほうで考えましょう、と、こういうことを当時実は国会で答弁をされておりますけれども、その御趣旨も、いま私が申し上げました二つの点から出てきたことではなかろうかというふうに考えております。
○山本(弥)委員 本来モーテルというのは、ワンガレージ・ワンルームだろうが何だろうが、共同駐車場を持とうが、お話しのとおり、従来から、アメリカにしろ、欧州にしろ、いわゆる健全な長期自動車旅行に備えた形態なんですね。簡易宿泊なんですね。それが日本の場合には変形的な道筋をたどったわけなんですが、私ども、実際、こういう規定をこれにしなければならないというのはほんとうに残念なわけなんです。 ただ、問題は、許可にあたりまして、不健全な構造ということになれば、法律の趣旨から言って、当然旅館業法で建物の規制もできるんじゃないかと私は思うのですね。それに、名目から言っても、旅館業法から言いましても、善良な風俗の保持ということは、これは考えられることなんです。たとえば部屋がまる見えになるような構造は、やはり風俗の保持ということの見地から配慮することになるでしょうからね。 それともう一つは、今回のモーテルの営業の規制にはもう一つの意味があると思うのです。それは、犯罪の防止ということだろうと思うのです。ワンルーム・ワンガレージの場合のほうが、当然犯罪の発生件数が多いわけですから、それを犯罪の防止という意味から規制するということになり、そのほうに重点を置くことによりまして、警察庁のほうの所管ということで進められたと思うのですが、これは本来ならば旅館業法の所管であると思う。厚生省のほうから言いますと、いろいろ技術的な保健衛生の見地もありましょうけれども、実際はこういう旅館業の配置というような問題については、やはり地域の町づくりの一環として考える問題だと私は思っているわけなんです。そのことは、でき得れば、できるだけ末端の市町村というものに権限を持たせるということにやはり力を入れなければならぬと思うのであります。ただ、この条文にあらわれておりませんけれども犯罪の防止ということがある。そして、二つのたてまえがありますけれども、法律のたてまえからいくと、やはり善良な風俗の保持という見地から規定がなされているわけなんですね。ですから、できれば旅館業法の改正でいくべきだという見地を私は持っているのです。なぜかといいますと、これは環境衛生のほうの環境同業組合等の努力によって、できるだけ善良なモーテル本来の職務のほうに誘導していき、地域住民の市民運動その他によりましてそういうほうに誘導していき、また、協同組合の指導団体等あるいは環境の設備の改善の金融公庫の融資等から言いましても、できるだけそういうふうに誘導していき、単なる取り締まりの対象ということではなくて、いわば、いろいろな角度からそういうモーテルを利用するという実態をなくしていくという努力——これは単なる取り締まりだけでできるものではありませんので、各方面の市民運動その他によりまして是正していくんだ、モーテルの本来の用途にできるだけ近づかしていくんだという努力、これは当然市町村でもやらなければならぬし、今後本来の意味の用途がふえてくるんじゃないか。そのときにワンルーム・ワンガレージじゃいかぬという考え方はちょっとおかしくなってきやしないかという時代がだんだん来ると思うのです。そういうことから考えますと、旅館業法の改正でいくべきではないかという感じがどうも強いのです。 それからもう一つ、いまの警察のほうの使命から言いますと、毎年大量の警察官を増員しなければならぬという実態にあるわけです。これは、一つは、いわゆる学生を中心とする暴力集団の取り締まり。これは治安上から言いましても重要な問題です。それからもう一つは交通警察。最近、東京は、一週間に千人をこえる光化学スモッグの被害が出てきている。これに対して警察は、交通規制の面でどう対処するかということについて非常に苦慮しておる。これに対処するために相当の警察官を動員しなければ交通事故が発生するということで、いわば交通規制の問題と、それからいわゆる公害の予防ということの板ばさみになって、どの程度の警察官を増員すればこれに対応できるのかということにも苦慮していると思うのです。その二つの大きな要素によりまして毎年警察官の増員が必要になると同時に、最近の犯罪の趨勢から見ますと、団地が多く造成されたりして、駐在所が必要になってくる。その駐在所を分割して配置すべきか、あるいはある程度まで集団的な五人から十人くらいの大駐在所制度でいくかどうかということも、警察庁でも地方警察でも大きな問題になっておると私は思うのです。そういうことを考えますと、警察はやらなくてもいいことはできるだけ手を抜くという体制をとるべきではないか。そうして、市民運動にまかせられるところはまかせていくんだという体制をおとりにならぬと、取り締まりの見地からこういう方面にまで手をお出しになるとたいへんなことになる。ことに、地域の市民運動との折衝の矢面に市町村が立ち、その市町村の背後に国家公安委員会が——実際は警察本部でありますが、あるんだというあり方は好ましくない。 それから、建設省からもお見えになっておると思いますけれども、町づくりの見地から言いまして、第一種住宅地区とか第二種住宅地区の整備によりまして、モーテルよりもっと広範にわたりまして、キャバレーとか旅館業というものをその地域には認めないという新しい都市計画上の規制もあると思うのです。あるいは、文教地上区に指定することによりまして、その辺には設けられなくなるという都市計画上の規制もあると思うのです。いわば、地域住民が地域の市民運動とともにどういうふうな町づくりをやるかというような見地から考えますと、警察庁、国家公安委員会、市町村という系統はどうも妥当を欠くのではないか。 警備業法以来、どうも警察の気に入らぬことばかり私は申し上げるようでありますけれども、私は、むしろ、警察はあまり仕事を持たぬで、手を抜いて、本来やるべき仕事を——これだって取り締まりの関係は出てくるでしょうけれども、それらのほうに重点を置くほうが好ましいのではないかというように考えておりますが、これについて、建設省のほうからは、こういうものの規制が都市計画法上どの程度までできるのかということについて、それから長官からは、いま警察の立場に立って申し上げたことについての御見解をお聞かせ願いたいと思うのです。
○香取説明員 建築基準法の集団規定といたしまして、各地域、地区に基づく建築物の用途規制がございます。ところが、この用途規制は、都市計画区域内で、かつ市街化区域内についてだけ対象になるものでございます。市街化区域内につきまして、改正基準法によります八種類の用途地域を指定いたすわけでございます。その中で第一種住専、第二種住専と八種類の用途地域が定められるわけであります。したがいまして、市街化区域内につきましては、この用途地域の指定によりまして用途の規制が行なわれますが、モーテルならば建築基準法上旅館という扱いでございまして、これは規制できるわけでございます。ただ、モーテルの実態を統計等で言いますと、待合、料理店、キャバレー等の特殊建築物が主として市街化地域内の繁華街で問題になっておりますのに比較いたしまして、市街化区域の内外を問わず、ほぼ全国的に分布している。そこで問題になっておるようでございます。したがいまして、そういう観点からは、市街化区域内の用途地域の指定による規制というだけでは全体的に不十分ではないかというふうに考えられまして、そのような見地からは風俗営業等取締法の規制によるのが至当ではないかと私ども考えるわけでございます。 ただ、今後の将来の問題といたしまして、市街地の住居地域で問題を起こしているモーテルも少なくはございませんので、今後、建築基準法の別表の改正というふうな問題等もあわせまして十分に検討してまいりたいというふうに考えておるというところでございます。
○後藤田政府委員 モーテル営業について、旅館業法で規制したらいいのではないかというまず第一点の御質問でございますが、私、ただいまの御意見にいささかも反対するところはございません。そういったやり方でできれば、それがいいのではないかと考えますが、その点につきましては、先ほど厚生省当局からもいろいろ御意見がございましたような御見解もあり、また、何ぶんにもモーテル営業というものが特殊な形態でやっておって、いろいろな形態がございますが、旅館というものの社会的な通念から考えられる一般的な考え方で対処しておる旅館業法ではこういう特殊なものはやりにくいんだという御意見、これはまたごもっともであろうと思います。先例として、トルコぶろで同じような問題があったわけでございます。それからまた、深夜飲食店も同じような問題があったわけでございます。したがって、こういうような特殊な風俗上の問題がある点については、先例もあり、この際一般国民の批判もあって、これに何らかの形でこたえなければならぬ、だとするならば、風営法の中に一業態として取り入れて規制をするのもやむを得なかろう、こういう意味で立法したわけでございます。私は、ただいまの御意見、御質問にいささかも反対するところはございません。ただ、私としては、現実的処理はこれ以外に方法はないんだ、こういう考えで立法した次第でございます。 さらに、第二点の、警察は本来の司法警察に徹していろいろな仕事を整理したらどうだという御意見、これまた私は反対するところはございません。まさにそうでなければならぬと思います。そういう見地から最近の行政全般を見まして、助長行政を担当する方々に私がぜひお願いしたいのは、助長行政を推進する場合に、社会的なマイナス面というものは必ずあるわけでございますが、このマイナス面にいま少し配慮を願えないものであろうか、もう少してきぱきしたマイナス面対策がとれぬであろうか、これがどうも手落ちになっておりはせぬかということで、その結果、一般国民から見れば、これではどうにもならぬじゃないかということが出てくるわけでございます。それに対処するのをほうっておくわけにはいかぬということで、私どもとしては、マイナス行政を担当している面から国民の要望にこたえざるを得ないんだということで、いろいろな仕事がふえていく。これが実態でございます。これも、今日の現実的な必要性にどう対処していくかということで、やむを得ずやらざるを得ない仕事なんだということで、警察というものは、罰則適用の司法警察とでもいいますか、これに本来純化すべきものであるという基本の考え方には、これまた私はいささかも反対ではございませんが、何ぶんにも、現実面をどう処理するかというようなことで私どもがこれに対処せざるを得なくなっておるのだということをぜひ御理解賜わりたいと思います。
○山本(弥)委員 ワンガレージ・ワンルームの規制ですが、そのものを規制しなければならぬということについては、私どもはいま反対をいたしておりません。また、今後の都市計画上からもそういうものをある程度規制する区域が出てくると私は思うのです。もう一つは、業者の自発的な協力、いわば誘導的な経営ということからも、業者の自主的な協同組合運営で問題を解決していかなければならぬものであって、本来のモーテルの役割りを果たすように誘導すべきではないかと思う。 それからもう一つは、地域の指定につきましては、市町村に非常に関係が深いと思うのです。したがって、これはこの法案のたてまえ、法体系上から言ってもむずかしいと思うのですが、やはり英断的なやり方が必要なのではないか。間違って許可をした場合に、あとから許可営業ができなくなるとか、それがいわゆる取り締まりの対象のモーテルに該当することによって直ちに廃業しなければならぬということについては、統合しておる所管から言うとまずいのではないか。かりにこの法案の所管を警察庁にするにしても、善良な風俗というものは当然地域住民の判断によるわけで、地域の指定をしなければならぬことは当然なことで、警察も自分の意見を——ポルノ論議もありましたけれども、これは犯罪があるかどうかの捜査でありますので、私は差しつかえないと思うのでありますが、こういうある地域を指定に入れて、そういうものを排除するということには、地域住民の意見を尊重しなければならぬ。そういうことになりますと、当然、何としても、知事の、警察以外の系統と市町村の結びつき、これを尊重しなければならぬのじゃないだろうかと思うのです。ことに百メートル以内の範囲ということについても、旅館業法のほうは相当きびしいのですね。大学の場合は大学の学長の意見を聞かなければならぬし、福祉施設の場合、福祉施設を経営しておる市町村長の意見を聞かなければならぬ。経営者の意見を聞かなければならぬ。それによって規制をする。これなんか、おそらく、公聴会その他によって地域住民の意向を尊重しながら地域指定が行なわれると思うのですが、そのときに、市町村公安委員会という系統がなじみが薄い。あるいは業界の指導にしても、警察の指導よりも、同業組合を通じての自発的な指導がいい。まして、改築その他で融資を握っている環営公庫の取り扱いから言いましても、これは警察と無縁のものである。いま所管を変えることが困難であれば、地域指定の条例は思い切って——旅館業法の所管は厚生部になりますか、どちらになりますか、そちらのほうがして、警察庁はその後の犯罪防止上の見地から考えていくというふうに、府県が総合的な仕事をやりやすいような英断的なことを考えなければいかぬと思うのです。今日、府県にしても、市町村にしても、縦割り行政で、県から同じような問題が、ばらばらに通達があり、指示がされる。府県もそうなんですね。各省のやつを受けて、それを総合的に運営していくのが知事の職務である。そうしますと、すでに同じような法案の規定があるとするならば、当然、この際英断的に、ちょっと変態的かもわかりませんけれども、都道府県の所管の条例をつくり、主管も、警察庁と公安委員会と相談しながら、いわば公安委員会以外のところで法案をつくり、地域指定をどうするかということについては、警察以外の系統で話し合いをつけて、しかも許可営業との矛盾の出ないような配慮をするということがこの際必要になってくるのじゃないでしょうか。私どもは、地方行政のたてまえから言いまして、事務の再配分、それに対する財源の裏打ち、あるいは許認可事項の整理ということを主張しておるのですが、毎年許認可事項整理も法案が出ておりますけれども、毎年どうでもいいようなものが小刻みになくなっていくというような程度で、思い切った整理というものがなされていない。今日、地方公共団体はそれに忙殺されて、一方経費の節減ということになりますと、人件費の節減が天下り的の五%というようなあり方で、それらの点を総合して考えますと、この際、警察庁が率先して、いわゆる都道府県あるいは市町村の総合的な運営のできますように、所管を公安委員会からほかの部に移すという配慮をすることによってこの運営も非常にうまくいくのじゃないかと私は考えるのですが、その点、長官いかがでございますか。
○後藤田政府委員 先ほどの御質問にも関連をしておるわけでございますが、私は、御意見としては反対ありません。ただ、その場合には、モーテル営業の規制がやはり旅館業法によらざるを得ないと思いますが、風営法の所管というものが公安委員会所管であるときまっておる以上は、その事務の所管はやはり公安委員会にならざるを得ない。この風営法の中に、これは都道府県の民政部の所管であるというふうにするのは、これはちょっとむずかしい。やはり、法の所管の根本にさかのぼらなければ無理であろうと思います。しかし、御意見としては、私はいささかも反対はございませんが、それが、先ほど言いましたようになかなか困難であるといったようなことで、理論面でもいろいろな御意見が先ほどあったようですが、また、実際のいろいろな折衝の過程でもなかなかむずかしいということで、しかも一方、何らかの規制を必要とする社会的実態がある。こういうことでございまして、風営法の中に取り入れるということになったわけでございます。 そこで、公安委員会の所管にならざるを得ないわけですが、現実にこの仕事を進める上においては、当然、これは、都道府県の民政部の方々なり、あるいは市町村、地元の住民の意向を十分取り入れて、事前の調整ということをやった上で規制をやらなければ実効はあがらぬものと私どもとしては考えます。したがって、そういう点については十分指導をやってまいりたい、かようなつもりでおります。
○山本(弥)委員 長官の答弁によりまして御趣旨もよくわかりましたので、これ以上私は申し上げませんが、厚生省も、本来のお仕事を突き詰めていって、どうすればモーテルがいいものになるかという配慮をして、仕事から逃げないで、積極的に取り組む姿勢を持ってもらいたいということを強く要望いたしておきます。 憲法の営業の自由だとか私権の制限ということに反しない限り、都市計画というものはある程度まで強化されるべきであるという考え方を私は持っているわけでありますが、都市計画の地域指定、しかも不健全なモーテル——非常に遠く離れた山の中にあるモーテルというなら、付近の状況から言っても、これは問題にならぬ。どういうことをやろうとも、男女が許された性行為をやるということについては取り締まりようがないわけなんですね。また、バイパスとか国道の沿道筋にモーテルができるというときに、それらのあり方というものは、指導をすれば経営者は十分変えてくるのじゃないかと私は思うのですが、問題は、今後十年間で市街化しようというなところ、いま市街化区域に含まれておるところ、あるいは調整区域との境目あたりのところに、大都市周辺にこういうものができ、安易に自動車で行って利用するという形態が続出していることじゃないかと思います。そうなりますと、都市計画の見地から言っても、健康な都市づくりをするしから言っても、市町村の努力によりましてこういう問題は当然に逐次解消できる問題じゃないかと思いますので、厚生省も手を抜かぬように、今後警察庁との折衝を進めていただきたい。また、長官も、私の申し上げたことについては十分御理解をいただいたと思いますので、そういう意味におきまして、どうかこれ以上モーテルを——私どもの党の中にももっと強化すべきであるという議論もありますけれども、今回の取り締まりでほとんど目的が到達ができるのではないか。これ以上拡大する必要はない。それはもう取り締まりの範囲でなくて、いわば総ぐるみでかからなければならぬ問題だと思っておりますので、これ以上拡大はないと思いますけれども、この問題も、できるだけ健全なものに誘導するという、取り締まりの見地よりも誘導していくのだという見地から、警察も身軽になるような今後の御努力を願いたい。かようなことを要望いたしまして、質問を終わります。
○大野委員長 門司亮君。
○門司委員 私、最初に聞いておきたいと思いますことは、この法律を出された発想についてでありますが、先ほど山本委員からの質問でもたびたび聞かれておりますように、風俗営業というものと旅館営業というものとの区別ですが、それがこの法律によりますと、何か混同しているように見受けられるのですが、これはどういうわけですか。
○本庄政府委員 旅館業法は、これは厚生省の所管でございますから、本来ならば厚生省のほうからお答え願うべきであろうかと思いますが、簡単に私から申し上げますと、御案内のように、保健衛生上の見地からの規制というのが主たる内容であろうかと思います。風俗営業等取締法、このいわゆる風営につきましては、善良なる風俗を保持するという風俗的な要素を主たる規制の内容としておるということは御案内のとおりであろうかと思います。 次に、しからば、現在問題になっておりますいわゆるモーテルというものが、実態的には一体どちらなのかといった場合に、はっきり申しまして、どちらだけだということは言えない。両方にまたがっている。両方の要素を持っているということではなかろうかと思います。旅館としての要素、これは十分に持っております。しかし、一方、旅館ではございますが、御案内のような特殊な機能といいますか、実態と申しますか、そういうことによりまして、風俗的な要素もあわせ持っておるということになろうかと思います。そういった場合に、その規制をやる際に、どちらの法律でやるのがベターであるかということになろうかと思いますが、考えようによりましては、一つの行き方としては、両方からはずしてしまって、ひっこ抜いた全く新しいモーテル規制法というものをつくることも、これは理論的には可能ではあろうかと思いますが、やはり既存の法律というものがございます以上は、できれば、その法律の座敷の中で適切な規制が行なわれるならば一番いいのではないかといった見地からいろいろ私たちも検討いたしましたし、厚生省とも協議をいたしまして、各般の意見も十分聞きまして、先ほど来論議されておりますような経過で、特殊な風俗的な要素を持ったものであるということで、従来のトルコぶろあるいは深夜飲食店の例もございますので、風営法の中で規制をするということに政府として意思統一をしておるわけでございます。
○門司委員 これは法律をすんなり読みますと、どう考えても旅館のほうに入るべき筋合いのものなんですね。風俗営業の中には「宿泊」という文字はどこにもないのですね。今度は「宿泊」が出てきているでしょう。この点は、私どもどう解釈していいのかわからぬのです。今度風俗営業の中に「宿泊」を入れるのは、入れたんだから入れておいでになると思うのですが、旅館業のほうには「宿泊」が入っておる。そうして実態としては、旅館によっては、そのうちで飲食をさせるところもありますし、させないところもあります。風俗営業の形は、主として飲食を中心とし、あるいは遊技場その他というようなものがこれに入ってきちんと区別されておる。ところが、この法律を読んでみますと、両方一緒に書いてあるのですね。だから旅館業と風俗営業とのけじめがつかないということなんです。ここに私は、この法律の立法される過程における——いま相談をされたと言うのですけれども、こういう法律をこしらえると実際は迷惑だと思うのですよ。取り締まりを何とかしなければならぬということはわかっているんです。何とか規制をしなければ行き過ぎだということはわかっている。しかし、法律というものは、やはり基本になる概念というものをきちんとしておかないといけないのであって、そういうきちんとした概念から生まれてきた法律でないと、概念と反した法律というのは、法律のていさい上から言っても非常にむずかしいと言うより、まずいのであって、この点は、時間もあまりないときでもあるし、やかましいことをこれから一々私は申し上げませんが、しかし、法律としては当然そういうことが今度言えるということであって、どこをどうひっくり返してみたって、現行の風俗営業等取締法の中には「宿泊」という文字は出てこない。宿泊を中心とした取り締まりというのは、これは大体旅館業法で取り締まることにならざるを得ないのであって、この辺の法の取り扱いについて、非常に大きな疑問を実は持っているわけであります。むしろウエートの置き方、いわゆる「宿泊」が主としてのものであるか、それからくる客観的に見た犯罪との関係かというようなことになると、どうもこれは、「宿泊」というものよりも、むしろ風俗営業のほうに入れて取り締まったほうがよろしいんじゃないかというような概念がわいてくることは一応わかります。わかるが、しかし、ここにこういうふうにはっきり書いてしまうと法律が混同するという危険が出てまいります。したがって、私は、いまの御答弁だけで満足するわけにいきませんで、やはり法律はきちんとしてもらうということが正しい取り扱いになろうかと思います。 それから問題になりますのは、先ほど山本委貸からかなり聞かれておりますので、時間がないときに重複するようなことは申し上げませんが、一応そういう考え方の上に立ってこれから質問を進めていきたい。こういうことを二つのまくらにしておきたいと思いますが、現在のモーテル建築の規制というものに対して、各市の条例でいろいろのものがいろいろと地域指定というような形で考えられております。これを大体府県別に考えてみると、四十六都道府県の中で、沖繩が入りますから今度四十七になりましょうが、四十七都道府県の中でこういう規定を持っておりまするのが三十六都道府県ある。こういう特殊の旅館に対する何らかの規制をしなければならないという形、それは表現のしかたはいろいろありまして、はっきりとしたものは、「モーテル建築の規制に関する条例」というようなはっきりとしたものが五つあるわけであります。それから、「特殊旅館業を目的とした建築物の抑制に関する条例」というのがある。「環境俗全に伴う旅館建築の規制に関する条例」というのがある。こういうふうに、モーテルというものに対しては、特殊の旅館建築としての条例が、いま申し上げました三十六都道府県の三十八の市に条例として制定されて、すでに出ております。そういたしますと、いままでのこの種の問題に関して、建築関係から見た場合には、いずれもこれは建築条例としてここに出ておるのでありまして、それらに対してどういう指導を建設省は今日までしてきたかということ、それから、警察当局としても、こういう条例に対してどういうふうに今日まで指導をされてきたかということ、この辺がもしおわかりなら、ひとつ教えておいていただきたいと思います。
○香取説明員 先ほども申し上げたわけでありますけれども、モーテルにつきましては、建築基準法上旅館ということでございまして、用途規制上は、改正基準によります第一種住居専用地域、第二種住居専用地域、それから工業地域または工業専用地域においては建築ができないことになっております。そういうことでございまして、新しい改正基準法によります用途地域は、現在幾つかの都市で指定されておりますけれども、大部分は準備中でございまして、四十八年一ぱいに全国の都市で指定されることになっております。これまでは、改正前の建築基準法によります従前の用途地域におきましては、工業地域では禁止ということになっております。それから、もちろん工業専用地域でも禁止されておる。それから、従前の住民専用地域でも建築できないというふうになっております。あくまでこれはモーテルも旅館ということでございまして、旅館の建築規制というふうにしか行なっておりません。
○門司委員 いま申し上げましたように、条例はそういうふうに書いてあります。十七の市と十九の町と二つの村、合わせて三十八市町村にこういう条例ができておる。この条例の対象はいずれも普通の旅館ではないということなんですね。普通の旅館ならこういう条例は要りはしません。また、表題もみんなそうなっている。中には、埼玉県の大宮の条例などは、「旅館業を目的とした建築の規制に関する条例」と書いてある。ところが、その他のものになってまいりますと、いま申し上げましたように、「モーテル建築の規制に関する条例」というのが、さっき言ったように五つある。たとえば長野県の飯田の市、あるいは同じ長野県の茅野の市、同じ長野県の穂高の町、それから宮崎県の宮崎市に「特殊旅館業を目的とした建築物の抑制に関する条例」というのがある。福井県の鯖江の市、これは「モーテル」という字をはっきり使っておる。旅館の営業に対して特別のこうした市の条例によって規制しなければならないという問題に対して、いまの建設省の諸君は実態がわかっていないんじゃないですか。あなた方にわかっておれば、ああいう建築は許可されるはずがないんですよ。旅館としての規格になっているかなっていないかということ。さっき言いましたように、旅館としてならば、当然旅館業法に基づく宿泊を中心とした設備でなければならないということである。ところが、決してそうでない。そうでないからこういう条例を必要としてくるということです。ここに問題があるのじゃないか。旅館業法としてあるなら、何も「モーテル」というよけいな文字は使わなくてもいいはずである。市において規制をしておる。これは市の条例であろうと、県の条例であろうと、法律に違反しない限り条例を制定することは自由でありますから、できている。それに対して建設省は今日までどういう指導をしてきたか、どういう状態を知っておるか。いまここで読み上げましたものを全部あなたのほうに差し上げてもいいですが、これは警察で調べればすぐわかることでありますし、あなたのほうで調べてもすぐわかることである。これが特殊なこういう規制を設けなければならなかった実情、これはいろいろ弊害が出ておるから、何とかしなければならぬだろうということである。ところが、これらの規制をしなければならない市町村の実態というのが、建築の大もとである建設省に十分報告をされ、その内容かどうであるかということが一体わかっておったかどうかということです。わかっておったか、わかっていないかということだけはっきりしておいてもらいたい。
○香取説明員 モーテルの問題は建築行政と非常に密接な関係がございますので、過去の、これまでのモーテルの問題につきましては、全国の特定行政庁等を通じまして、十分にその実態については承知をいたしておるつもりでございます。 ただ、先ほど仰せになりました各府県等の幾多の条例は、厳密には建築基準法に基づく条例ではございません。建築基準法によりましても、法の規定を、さらに制限を付加するか、あるいは緩和するとかの条例が制定できる場合もございますけれども、モーテルに関する条例は、建築基準法によらない条例としてそれぞれ定められているようでございます。モーテルの問題というのは従前から私どもも非常に念頭にありまして、何とかしなければならないというように考えて、建築基準法令を中心とする建築行政の中で何とか処理できないかということは検討してきたわけでございますが、いろいろな別表の改正等によります処理上の問題がございまして、今日に至りました。そこで、今回、警察庁のほうで、風営法の改正ということで御提案になりまして、それの改正法の成立による運用によりまして、かなりその目的が達成されるのではないかというように考えております。
○門司委員 一体建設省は何をお考えになっているんですか。建築基準法というものが入るとか入らぬとか言うけれども、家を建てて人が住む場合の、ことに、他人が入ってきて何かの行為を行なうというようなところ等の部屋についての採光あるいは建築の様相というものは、これはあなたのほうの仕事でしょう。あなた方、行ってモーテルをごらんになったことがありますか。採光がどういうふうになっていて、部屋の大きさ、窓がどういうふうになっているか見たことがあるのですか。そういうものに対して建設省はいままで何をやっておったかと聞いているのであって、法律上の解釈を聞いているのではない。法律上の解釈はあなたから聞かなくたって、六法全書を読んでもわかるし、われわれも検討してきている。ただ、実態はそうなっておらないということ。たとえばワンガレージ・ワンルームという建築を見てごらんなさい。上に上がってみても、部屋の中の光線が一体どれだけとれているか。風俗営業にしても、中の人の行なっている行為というものがある程度外から見えるという形のものが認められておるわけである。それから、光も、何ルクスでなければならぬということを規定している。ルクスの問題にしても、大体光線の強さがどれだけあればどういう形で中の行為がわかるかということ——一方においては、いろいろな不正な行為、犯罪を防止しなければならない。あるいは、いわゆる良風あるいは風紀を乱す者は法律でも取り締まるように書いてある。それらの行為をどういうふうに押えていくかということについては、建築の構造ばかなり大きな役割りを果たしていると思わなければならない。それがモーテルのほうはこっちに入っていないとか、建築基準法がどうとかこうとか言うならば、どうしてあなたのほうで法律を出さないのですか。もっと厳格に言えば、あの構造等を見てまいりましたときに、これはあなたのほうの仕事だと思って見てきた。どうしてこういう建築を許しているんだろう。しかも逃げる場所がはっきりしているかというと、そうじゃない。上がってしまえば、自動車はシャッターがおりてしまう。出口は一つしかない。しかも、今度は、法律が変わっての旅館としての取り扱い。宿泊をしてもよろしいということになる。そうすると、前段に申し上げましたように、旅館営業とこの法律との境というものは実に複雑なものになって、そこまで考えると、何が何だか私にはわからぬようになってくる。ところが、それを現在の建築状態から見てまいって、どう考えても、私どもは、これが宿泊を許す旅館業法の中に入れられるかどうかということに非常に大きな疑問があるから聞いているわけである。いままでどういう態度をとってきたか。また、これからどうしようというのか。
○救仁郷説明員 お答えいたします。 建物のいろいろな構造、設備等につきましては、これは、従来からも当然旅館業法上の旅館でございます。したがいまして、建築基準法上は、宿泊できるための旅館として、いろいろな構造、設備あるいは防火、避難といったような面について規制を行なってきているわけでございます。
○門司委員 いままで私どもが見てまいりましたものには、二階にありましても、避難の場所とか避難の設備とかいうものはほとんどない。全部平屋建てのものじゃありませんで、ワンガレージ・ワンルームというのは二階になっているのですが、これなどはほとんど窓らしい窓はあるわけじゃありませんし、ここにこの問題の派生してくる原因がある。これは、一般の旅館と同じように、ある程度オープンになっており、一般の風俗営業取り締まりの対象になっているものは、いま申し上げましたように、いろいろ制限はしておりますよ。光線が幾らでなければならぬとか、窓の採光はどうであるとかいうような制限はしているけれども、ある意味においてはかなりオープンでやっている。自由に客の出入りはできるということなんです。 ところがこの場合は、法律の文面にどういうふうに書いてあるかということになると、御承知のように、第四条の六に、「個室に自動車の車庫が個個に接続する施設であって総理府令で定めるものを設け、当該施設を異性を同伴する客の宿泊に利用させ」という文字がちゃんと入っておる。異性を同伴しようとすまいと、一般論としては別に問題はない。ところが、なぜこういうことを書かなければならなかったかというところに問題があるのである。法律の文面から言っても、こういうものは、厳密に言えば人権じゅうりんになりますよ。異性を伴おうと伴うまいと大きなお世話だ、宿屋に泊まるのに何が悪いんだということになる。ところが、こんな文字を書いて制限しなければならぬというところに問題がある。その問題の一つとして、構造上の問題が出てくる。これは当然のことであります。現在のものは、さっきから言っておりますように、ワンガレージ・ワンルームのところは一つづつ遮断されておって、その他の家は全部別むねになっておる。ちゃんとそういうものが用意してあるということであって、普通の旅館や普通のホテルのようにオープンになっていない。こういう形のものがちゃんとできている。こういう建築上の問題等をいままで建設省で何も考えないで、いま言われるような法文上の解釈のような理屈をこねておってもしようがない。この法律の書き方についても、ここに書いてある「異性を同伴する」というようなことばはよけいなことだと思っている。これこそ、ある意味においては人権じゅうりんの違憲訴訟が起こるかもしれない。だが、しかし、こういうものを設けなければならないというところに問題があるということであって、実体論としては、それをただ理屈だけこねているわけにはいかないというところに問題がある。ところが、それを見てまいりますと、建築についてはいろいろ問題がある。しかも、こういうふうに三十八の市町村が特例の条例を設けなければならないというところに問題がありはしないか。だから、いずれも旅館の建築に対する問題でございますので、これはこの法律をそういつまでもここに置いておくわけにいきませんので、いま私の手元に昭和四十七年四月一日までのものがございますので、大体ことしのものは全部これはあるはずでありますが、建設省が、これら三十八の市町村の条例をひとつここに出してもらいたい。これは建築に関する条例ですから、あなたのほうに関係がないわけじゃない。いずれもそういう「環境保全に伴う旅館建築の規制に関する条例」ということである。これは法律に違反しない範囲における市町村の、あるいは都道府県の憲法で定めた規定による権限の行使でありますから、あなたのほうで何とも文句の言いようがないと思う。それをひとつ出していただきたい。それと、それから、あなたのほうの今日までの指導が一体どうなっておったかということ等については少し検討する必要がありはしないかということ。一般の旅館業であるならば、こういう特殊のものは要らぬはずである。この中には「市街地整備に伴う旅館建築の規制に関する条例」というのも、やはりこれが対象になっているということも大体言えるかと思います。こういう問題も、これらの法律を直していくということになると、警察のほうで今日こういう法律を出されたからそれでよろしいのだなんというのは、私は、この建設省のものの考え方というのは誤りじゃないかと思う。これらの問題でこういう法律を出さなければならないような仕組みになっているところには、何らかの法律で規制ができるのじゃないか。しかし、法律がないからこの三十八の市町村というのはたまりかねてこういうものをこしらえていると思うのですね。そういう意味では、建設省は一体何をおやりになっておったかということを私は書いたいのでありますが、今日まで何もやらなければやらないで、それでいいかと思います。もう少し建築に対するいろいろな問題を検討されておるというならば、これが今度の法律で、社会的にも、旅館としてでなくして風俗営業としての取り締まりを受けるということになってまいりますと、そこには非常に大きな矛盾が出てくるのですね。そのことで、私は、特にこれを建設省にいまいろいろお話を聞くわけですが、将来これが旅館としての立場から離れて、風俗営業として形の中で行なわれるということになりますと、建築の面についても、いままでのような旅館の建築についてのものの考え方で律しられるわけにはいかぬのじゃないかということがどうしても考えられるので、一応そういう面を私はお聞きをしたわけであります。 それから、もう一つこの機会に聞いておきたいと思いますことは、地域を指定すると言っておりますが、これもある意味においては非常に大きな認識の不足なところがありはしないかということが私には考えられる。なるほど、地域を指定して、そうして市街地をどうするかということ等についての規定が要るのは当然の一つの考え方であると思います。たとえば学校の近所にこういうものができては困るとか、あるいは病院の近所にこういうものができては困るとかいうような問題が当然出てくる。それで、そういうところはひとつこしらえないようにしようという考え方が出てくるのは当然でありまして、だから、地域を指定するということは一つの方法であることには間違いはない。しかし、この種の営業といいますか、行為自身というものは、場所の遠近にはあまり関係がないということですよ。人間の本質というものについては、警察当局である限りにおいては十分理解しておると私は思うか、人間の本質は一体何であるかということである。人間の最大の娯楽、慰安というものは何であるかということである。これを検討されたことがあるかどうかということです。人間の最も近い距離での最も大きな慰安は——これは慰安ということばだけにしておきましょうが、慰安を得ようとすれば何であるかと言えば、それは酒と女とばくちだ。これは人間の本来の性質でありますから、どんなに取り締まろうとしてもなかなか取り締まりができないのであります。酒を飲むなと言ったって飲むということ、これは一番手近な慰安であります。一ぱい飲んで、少し神経だけを麻痺させて、おれはいままでの憂うつなことも何もいま忘れてしまったということ、これが一番手近な慰安である。その次は、人間は性を持っておりますから、性関係というものが一つの大きな慰安である。しかも、いろいろな犯罪は性からくるものがたくさんある。あれは欲求不満だからああいう犯罪が起こったのだなんということをよくみな言っているでしょう。これは人間の本能であります。その次に出てくるのは、結局、やはり賭博という一つのかけごと。この人間の三つの本能というものは人間から取り除くことができない。これらがある種の罪悪の根源であると考えられておりながら、この罪悪の根源である三つが除けないということは、これは人間の本能でありますから除けない。アメリカがどんなにやかましいことを言って禁酒をやりましても、どうにもならなかった。どこの国に行っても、昔から、ばくちを打ってよろしいなんて国はほとんどありはしない。モナコだけ、ばくちの国なんと言っておりますけれども、モナコのばくちというものは違うのであって、ただあれを公にやっているというだけでありまして、しかも身分がきちんとしているということが、普通の人はあそこの中に入ろうたって入れない。身分がきちんとしない限りは入れない。外国人だって、パスポートを見せて、身分がわからなければ中には入れないわけである。性行為につきましても、これからくる犯罪というものはたくさんある。しかし、性行為についての犯罪があるからといって性行為を禁ずるにいかぬでしょう。そこに人間の本能からくる社会の犯罪との関係があるのでありまして、これらの問題を十分考えてこういう問題に対処することにいたしませんと、ただ地域だけを限っても、それで効果があるかといえば、そうじゃないのである。特に、いわゆるこれらの行為を行なう者は自動車で行くのですから、市街地から二キロ離れていようと、五キロ離れていようと、そんなことはたいした問題じゃない。だから、ただ単に市街地のそうしたところにこういうものがあっては困るというようなものについて制限をすることは、 一つの方法であることには間違いがないが、基本的なこれらの問題の取り締まりにはならぬということである。したがって、この法律でこういうふうに規制をいたしましても、規制以外にどんどんできてくれば、これはどうしようもない。しかもそれは要求は非常に多いのでありまして、いま申し上げましたように、これは人間の本能の一つである。だから、この種の法律をこしらえようとすれば、やはり問題は、ここにありますように、この風俗営業というような形の中に入れてしまうよりも、むしろ、旅館なら旅館営業というような形の中で、ある程度オープンで十分営業がやれるような形をとる必要があるということである。これを風俗営業の中に入れてしまって——旅館営業の中にある名簿をつけなければならないとかいうようなこと、現在まだあれはおそらくやっていないでしょう。顔を見るのもあるし、ひょっとすると、中には顔も見ないのもありますからね。そういうあいまいな状態であるものをなぜ一体風俗営業の中に入れなければならないかということである。風俗を乱しておるから風俗営業だという観念だけではこの問題は片づかない。 みんなおそろいになったこととは思いますが、皆さんに御迷惑かけることもとうかと思うが——それはよけいなことですけれども、とにかく、そういうことで、問題になるのは、どうしても私にはその辺のけじめがはっきりしないということである。これを何とかしなければならないということはわかっておる。が、しかし、それをするには、ここに「宿泊」という文字を入れたり、また「異性を同伴する客」というようなあいまいな文字を入れたりして、——これはあいまいじゃない、はっきりしているんだとそちらのほうで言うかもしれないが、そしてこれを風俗営業に入れるということは、私は、どう考えても、徹底したこの種の取り締まりにはならぬのじゃないかというような気がする。そうして同時に、この風俗営業に対しまする建築その他との関連からしても、旅館営業であれば、たとえばこの建築にしても、二階の場合あるいは三階の場合等についてのいろいろな避難の設備、避難の場所というようなものもきちんとしなければならないが、風俗常業のほうにはそんなことはどこにもちっとも書いてないのですね。そういうものがたくさんここへ出てくるのである。だから、何とかこれを規制しなければならぬということはわかっておるが、しかし、法律の取り扱いとしては、これでは万全でないと私は考えるのですけれども、この点をひとつ長官から、あるいは運営者の中村大臣のほうからでもいいが、伺いたい。かなり駄弁を長く申し上げましたが、人間の本能というものからくる犯罪というものを防止しようとするものの考え方の上に立っては、この法律ではあまり効果がないのじゃないかということが考えられるので、その点についての御答弁を願っておきたいと思います。
○後藤田政府委員 先ほど来の門司先生からの御意見は、縦割り行政の一つの弊害の面での御指摘と、いま一つは、人間の本質に根ざしたものを取り締まるのでは、だめではないかという御趣旨の御意見だと承りましたが、いずれも私ども考えなければならぬ点を含んでおると思います。 問題は、縦割り行政の点につきましては、私が先ほど山本先生の御質問にお答えしましたように、今日、建築基準法であるとかあるいは旅館業法であるとかという法律があるわけですから、これに従って適切な処置が行なわれておるならば、かような状態はある程度は防げたと思います。しかし、現実には、建築基準法のほうでは、宿泊施設とはどういうものかということを頭に置いてやっていらっしゃい、旅館業法のほうは、社会通念上旅館として理解されるような限度のものを考えて機構ができておるというようなことで、今日のモーテル業はいかにも特典なものである、しかもそれが風俗環境を乱しておる、こういった特異な形態のものは必ずしもカバーできないという面があるのだ、こういうようなことで、私どもとしては、その風俗的な面の弊害を取り上げて、先例等もあり、風俗等の取り締まり法の中に取り入れざるを得なかったのだ、こういうことでございます。 また、人間の本質のほうの問題につきましては、私どもは、やはり本質に根ざすものであるだけに、警察で取り締まるだけで全部がカバーできるというようなことは考えておりません。しかしながら、同時に、他面、私どもとしては、弊害面を除去をしたい、そして清浄な環境を保持する必要がある。その清浄環境を保持する必要のある地域を、具体的に地方の実態に応じて条例できめて、その面から今日の特異形態のモーテル業を除きたい、こういうことで立法したわけでございます。 もちろん、昨日の御質問でもございましたように、いろいろ脱法行為があるかもしれません。しかし、私は、この法律がお認め願えれば、これによって指導を千分行なうことによって相当効果があるのではないか、かように考えます。私どもとしては、今後は、建設当局及び厚生当局ともさらに一そう緊密な連絡をして、建築基準法、旅館業法、また今回お認め願えるならば風俗営業等取締法、こういうものの三者一体となった適切な運用によって、今日一般国民から非常に非難を浴びておるモーテル営業についての規制を十分に効果があがるようにやってまいりたい、かように考えておりまするので、ぜひひとつ御理解を賜わりたいと思います。
○門司委員 念のために私から申し上げておきますが、たとえば四十六年の九月末日現在と書いてありますが、この種の業態のあるのが全国で五千九十二という教字が書いてあります。その中で、居住地域にあるものが千百十九、風致地区にあるものが百七十一、文教地区にあるものが二、自然公園内にあるものが九十九、その他の地域にあるものが三千七百一と書いてある。この数字が正しいとすれば、この法律の適用を受けるものは大体全体の三割にすぎないということであります。七割以上は、いま申し上げましたような、居住地域、風致地区、文教地区、自然公園というようなもの以外にあるということが大体わかるのですね。だから、地域を指定いたしますと、ここに書いてある地域よりももっと広い地域がおそらく指定されるであろうというようなことは想像にかたくありませんが、現実の状態から見るとそういう数字になっておる。 しかも、犯罪状況というようなものも、これが、四十六年度中の犯罪として最も多く行なわれたのは窃盗でありまするが、全部で二千四百六十六件の中で窃盗が千七百八十七件。ところが、問題になるのは、強姦が二百六十七、暴行傷害が六十三、強制わいせつが二十一という数字が出てきた。この数字は、私どもはそう簡単にこれを見のがすわけにはいかない。したがって、地域をどんなに指定いたしてまいりましても、結果においてはそう変わらない状態が出てきやしないかということであって、いまたくさんの費用をかけて、そしていろいろ設備をいたしておりますから、これを全部きょうからやめたということで、やめてほかに行くというのもなかなかめんどうでしょうけれども、今後のこれらの取り締まりというものが、いわゆる指定された地域外にだんだん移動していくという危険性が必ずあると私は思う。 したがって、最後に聞いておきたいと思いますが、この法律が施行された後に、そうした意味において、他にだんだんこれが移動していって、山の中の一軒家みたいなところにこういうものができてくるとすると、これはその地域の外であって、別にまわりにあまり大きな刺激を与えないが、しかし、中ではより以上の犯罪が行なわれるだろうというととは想像にかたくない。こういう事態が必ず出てくると私は思う。したがって、将来のこの積の業種に対する取り締まりの方針を一応この際明らかにしておいていただきたいと思います。
○本庄政府委員 この法案の提案をした主たる趣旨は、清浄な風俗環境を維持しようというのがねらいであるということは前にも申し述べました。あわせて、いわゆるモーテルにおける犯罪も防止するという副次的な効果ももちろんあるわけでございます。 先ほど先生から御指摘がございました住居地域あるいは風致地区、あるいは文教地区という分類でございますが、これは便宜現在の関係各省庁できめられておる法律の用語を使いまして分類したものでございまして、私たちがこの間から説明いたしております際に住宅地域というふうなことばを使っておりますが、これは、たとえば、都市計画法にいう住居地域というものと必ずしもイコールではございませんで、実態的に判断をいたしましての住宅地域で、これはむしろ、健全なる社会通念と申しますか、社会常識と申しますか、そういう実態的な判断の上に立った住宅地域あるいは善良なる健全なる行楽地域といったようなものを考えておるわけでございまして、そういう意味におきまして、この法律ができても、規制されるのはごく一部ではないということにつきましては、実は、この資料それも私のほうでつくった資料だと思いますが、この資料につきましての注釈なり説明が不十分であったことを申し添えておきたいと思います。 それから、いま御設例の犯罪の面につきまして、遠隔地の一軒家については規制ができない、そういったところにおける犯罪は防止できないじゃないかということにつきましては、この遠隔地の一軒家というのがいろいろあろうかと思いますが、具体的にわかりやすいように例をあげますと、たとえば富士山の五合目というのは、これはもう片は人跡未踏とは言わないにしても、リュックをかついで下から苦労して上がっていかなければ行かれないところであったわけです。ところが、最近では、きれいなドライブウエーができて、楽に登れる。したがいまして、富士山の五合目といいますと、何か人跡未踏なところのような感じがするのでございますが、人間の生活エリアの中に非常に入ってきておる。現在入ってきていないとすれば、近い将来には入るのではなかろうか。そういう場合には、先ほど申しましたような趣旨で、これらがやはり規制地域になるということが当然考えられるわけでございます。しかしながら、まことに極端な例でございますが、たとえば北海道の日高の山の奥というようなところ、これにはおそらくできないと私は思いますが、そういうところにかりにできた場合に、そういうところは規制対象にならない。これは仰せのとおりでございます。そういった特殊なところにおける犯罪というものにつきましては、やはり、犯罪防止には犯罪防止のためのいろいろな既存の法令もございますし、いろいろな手だてがあるわけでございますから、そういう方法によりまして、その規制対象地域外におけるモーテルの犯罪防止には全力をあげてまいりたい。かような考えでおりますので、御理解いただきたいと思います。
○門司委員 いまの答弁ですけれども、あまりオーバーにものごとを考えてもらっては弱るのだが、ここには「都道府県の条例で」と書いてあるのですよ。いまのようなお考えなら、国の法律できめたらどうですか。大体、この辺とこの辺はよろしいのだ、この辺とこの辺は全部だめだということにしてしまって、都道府県の条例にゆだねておるところに一つの問題があるのです。これは県が全体だめだというのなら、それはそれで、たとえば私のおります神奈川県は全部だめだと県条例でこしらえれば、それで済んでしまう。しかし、それではいけない。営業というのは憲法に定められた個人の自由ですからね。そうむやみにぴしゃっとやるわけにはいかぬと私は思う。絶対に営業のできないような条例はこしらえられないと思うのです。実際はそこに問題があると思うのです。そういう面からいくと、条例をこしらえるというのは非常にむずかしいのであって、神奈川全体に実施するというような条例が容易にできるかどうかということである。営業はやはり個々の自由であって、それを阻害することができるかどうかということ。これは地域的に指定できるというのは、一方において自由を認めながらそれを規制することであって、禁止するというのとは全然違うのであって、したがって私がいま聞いたようなことを話したのですけれども、警察当局はどうもそれをオーバーしたような話をされる。富士山のてっぺんにだれもそんなものをこしらえることはなかろうと思いますけれども、そういうものの見方、考え方の答弁では、いつまででも議論しなければならぬようになるのですよ。それなら、府県の条例で定められる地域というのは、一体どの地域をあなた方は想定しているかということである。こういうふうになってくると非常にむずかしい問題になってくるが、きょうは私はよけいなことをこれ以上聞きませんが、あと一つだけ残っておるのを聞くのは、消防の関係です。 これがこういう形で、風俗営業のほうに、ここに出てくるようなことになって、旅館だか何だか、どっちかあいまいな形になってくる。その場合における消防の関係として、旅館その他に対する消防設備その他を要請しておるものとの関係はどうなりますか。いまのカフェーであるとか、キャバレーであるとかいうようなものと、旅館営業との間における消防庁の、取り締まりということばを使うのはどうかと思いますが、指導は異なっていると思うのだが、その辺は一体どっちにウエートを置いて取り締まりあるいは指導を消防庁はされようとするのか。その辺をちょっと聞かしておいていただきたいと思います。
○山田(滋)政府委員 モーテルにつきましては、消防法上は、旅館、ホテルに類した施設といたしまして、同じような防火対象物としての扱いをいたしております。その基準を当てはめる関係上、御存じのようなモーテルの構造、これは構造等によりまして、なかなか規制が当てはまらない場合も多うございます。その点に消防法上悩みがございますが、たとえば消火器であるとか、あるいは自動火災報知設備であるとか、あるいは非常警報機、避難器具、誘導灯、これらにつきましては、相当部分につきましては当てはまるところもございますけれども、むねが別になっております関係上、一体としての面積になかなか当てはまりませんので、該当しない場合が多うございます。そこで、個々の現地の消防におきましては、特にこのモーテルが問題点をはらんでおります。それは、たとえば、先ほどお話がございましたように、一つは、密室構造で出入り口が一つであるとか、あるいは盗難防止の関係もございまして、窓には格子をはめておりまして、出入り口が施錠されておる。外から施錠されておるという場合もございます。それから防火区画の関係も、一階と二階との間で完全にできておらない場合が多うございます。それからまた、集中暖房が完全にできておらなくて、ストーブ等を室内に持ち込んでおります。そういうことで、出火の危険も多い。それから、たとえばこういう例もありましたが、自動火災報知機の感知器をつけておりますが、これを盗聴器と間違えましてこわしてしまったというふうな例もございまして、たいへん防火上は問題をはらんでおります。 基本的には、さっき申し上げたように、一むねの延べ面積が少ないので、なかなか規制に当てはまらない。その点が問題でございます。そこで、たとえば東京消防庁あるいは名古屋市あたりでは、特に、指導の強化に当たりまして、一つは、必ず各室に避難器具を設ける。たとえば避難ロープとかはしご、そういうものについては、各室ごにこれを置くようにする。それから、たとえばじゅうたんその他の可燃物をなるべく制限をする。それから、さっきのとびらでございますが、内部から容易に開錠できるような、そういう構造にせよとか、それから内装材料については、可燃材料など使用しないようにする。それから、設置義務がかりになくても、自動火災報知機等は設けるようにする。こういう指導を強化いたしておりますが、たとえば東京消防庁では、条例をもちまして、自動火災報知設備については、法令上は三百平米以上でございますが、百五十平米に小さくしまして規制をいたしております。そのような措置をとっておりますが、実は、全国通じましての悩みの点は、大都市の消防の管内には比較的少のうございまして。郊外、近郊地帯等に多い関係で、消防力が必ずしも充実していない地域にこういうものがあるという点が多少私どもとしては悩みがございます。しかしながら、全体としましては、現地の消防が特に力を入れようとしておりますところの避難の問題、これらにつきましては重点的に今後も措置をしていきたい、かように考えております。
○門司委員 大体そういう御答弁だと思いますが、私が心配しておりますのは、普通のいまの消防法から来るものの考え方の中では、やはり不特定多数の人が始終入りするようなところというようなことが一つの対象になっておるのであるが、ところが、この場合は、法律に書いてあるとおり、「同伴」で、大体二人だと思います。ところが、これがしょっちゅう人間がかわる。普通の家屋と全然違うということであって、しかも、この種の業種の実態というのは、一晩泊まるという人は比較的少ないのではないか。きわめて短い時間ではないかと考えられる。そういたしますと、避難設備というのはよほど周知徹底することにしておきませんと、普通の旅館というような形で、何か誘導する諸君がおるとかというようなのは別ですが、これは全く個室になる。ほんとうの密室みたいなところですから、何があったのかわからないということで、これが火災に発展していくという危険性がないわけじゃありませんし、これらの問題を考えると、どう考えても、この法律というものは、やむを得ない、せっぱ詰まった、一つの社会悪に対する取り締まりをしようという当局の気持ちはわかりますけれども、もう少し考えられた、各方面から来るところの特別の立法がこの際必要ではないかということまで実は考えるのです。そうしないと万全を期しがたいのではないかということが考えられる。そういう点等については、今後の課題として当局でもひとつ考えていただきたいと思いまして、きょうはこの辺で私の質問は終わっておきたいと思います。
○大野委員長 本案に対する質疑は、これにて終了いたしました。 —————————————
○大野委員長 これより討論を行なうのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○大野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 ————◇—————
○大野委員長 警備業法案を議題といたします。 他に質疑もありませんので、本案に対する質疑は終局いたしました。 —————————————
○大野委員長 警備業法案に対して、上村千一郎君から、自由民主党提出にかかる修正案が提出されております。
○大野委員長 この際、提出者より趣旨の説明を求めます。上村千一郎君。
○上村委員 警備業法案に対する修正案の趣旨説明をさせていただきます。 ただいま議題になりました警備業法案に対する修正案につきまして、私は、自由民主党を代表して、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。 案文は、お手元に配付いたしてありますので、朗読は省略させていただきます。 警備業者及び警備員が警備業務を行なうにあたって携帯する護身用具につきましては、政府案の第十条第一項において「法令の規定により禁止されているものを除き、必要な護身用具を携帯することができる。」とし、同条第二項において「公安委員会は、公共の安全を維持するため必要があると認めるときは、」「護身用具の携帯を禁止し、又は制限することができる。」としておりまするが、本条の規定が警備業者及び警備員に特別の権限を与えた趣旨でないことを明確にするため、修正案においては、警備業者及び警備員が携帯する護身用具について、公安委員会が禁止または制限することができるものとする規定のみに改めたのであります。 以上が修正案の提案理由とその内容であります。 何とぞ皆さんの御質問を得まして、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。 —————————————
○大野委員長 警備業法及びこれにに対する修正案を一括して討論を行ないます。 討論の申し出がありますので、順次これを許します。山本弥之助君。
○山本(弥)委員 日本社会党を代表いたしまして、内閣提出の警備業法案に反対の意見を申し述べたいと存じます。 社会経済の進展に伴いまして、民間自衛の需要に応じて、警備を営業とするいわゆる警備会社が続出してきたのでございます。これに関連いたしまして、警備員の犯罪や労働争議に介入する事例も相次いで起こっているわけでありまして、いろいろな問題を惹起するに至っているわけであります。世論のこれに対する要望もあるわけでありますので、今日、何らかの警備業者に対する規制を加えるべきであると思っております。したがって、今回、警備業者に対する規制を内容とする警備業法案の制定そのものに反対するものではございませんが、しかし、本来、人の財産生命を守ることは警察の使命であるのであります。したがって、個人に与えられた正当な自衛行為を民法上の契約によりまして代行するという営業につきましては、あくまで行き過ぎのないように厳正な規制をする必要があるのであります。また、その規定につきましても、でき得る限り疑義の生じないように明確に規定をする必要があると考えるのであります。 したがいまして、今回の法案につきましては、この点がきわめて不備な点が多いわけでありまして、第一に、警備業務につきましては、違法行為を誘発するおそれのある第二条の第二号及び第四号等は削除すべきであると存ずるのでございます。 また警備業者及び警備員の欠格規定のごときにつきましては、すでに申し上げましたように、警察の業務をいわば個人の委託によって代行するという重要な業務でありますので、他の許可営業の欠格事由よりも厳正にする必要があるのでございまして、他の許可営業と同じような欠格年限にすることは不適当であると考えるものであります。 また、第十五条の、警備業務の適当な実施が著しく害されるおそれがあるときや、また、本法の規定の違反に対する営業の全部または一部の停止期間につき失しても、他の法令よりきびしくする。停止の上限、裁量の余地を高めておく必要があると思います。 ことに、警備業者の最近の事例は、多くの労働争議に介入しておるのでありまして、いわば経営者の委託によりましてスト破り等の行為を行ない、中には傷害事件等も発生しているのでございます。したがいまして、この際、最近頻発をしております争議行為介入等の事例にかんがみましてて、争議行為に介入するというようなことにつきましては、厳に規制をするという意味におきまして、明文を設けて禁止する規定を置く必要があるのでございます。 以上、反対理由のおもなところを申し上げたのでございますが、以上をもちまして反対討論といたします。(拍手)
○大野委員長 小濱新次君。
○小濱委員 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となっております警備業法案についての、反対討論を行ないます。 最近の社会経済の急激な変化と時代の要求に応じて、警備業者は著しく増加しております。その反面、警備業務の実施に伴う不祥事件は増加の一途をたどり、これに対する批判が高まりつつあります。そこで、ガードマンに対する一定の制限その他の規定を定めるよう、世論が次第に高まってまいりました。こうしたときに、本法案制定の趣旨に対しては何ら否定するものではありませんが、ただいま議題となっております本法案は、多くの問題点を含み、今後の国民生活に多大な悪影響を及ぼすおそれがあり、賛意を表するわけにはまいらないのであります。 以下、そのおもな理由を申し述べます。 まず、最初に、本法案によりますと、警備業者に対して「人若しくは車両の雑踏する場所又はこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務」という、いわゆる交通整理の特権を与えておりますが、本来、これらの業務は警察が行なう業務であり、特殊な場合でも、道交法に規定された交通巡視員に限られております。現在でも、権限が与えられていない警備業者が、あたかも権限を与えられているがごときの行為を行なうため、国民に多大な疑惑をもたらしているのが現状であります。しかるにこうした現状に対して、法律上特定の民間業者に特別な権限を与えるような規定を設けることは、さらにその疑惑を助長せしめることになることは明確であります。また、このことは、法律上の均衡を欠くとともに、ひいては国民の権利を侵すおそれがあるもので、許せないものであります。 これが反対理由の第一であります。 次に、第二条には、「人の身体に対する危害の発生を、その身辺において警戒し、防止する業務」と規定しておりますが、本来、これらの行為は警察の業務であります。特にこのようなことを特別に規定したことは、警備業者に対する特殊意識を助長することにもなりかねないのであり、特別な規定を設ける必要はないと思うのであります。 なお、第八条に「個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない。」と規定しておりますが、いままで国民の疑惑を起こしている事例として、成田闘争、那珂湊市臨時職員問題、千代田学園紛争等、労働争議や学園紛争に不当な介入を行なったものがあります。このような過去の事例からも、今後の労働運動に対して不当な介入が行なわれることなく、あくまで労使当事者間で解決されるためにも、八条の規定のような抽象的なものでなく、争議行為等の規定を注入することが必要であると強く主張したのでありますが、原案のままで修正が行なわれておりません。 われわれは、警備業法の制定の趣旨には賛意を表しますが、不十分な法制定は、今後かえって問題が起こるおそれがあることにかんがみ、原案に反対するものであります。 なお、修正案に対して賛成いたします。 以上。
○大野委員長 門司亮君。
○門司委員 私は、民社党を代長いたしまして、修正部分を除く原案に反対の意見を申し述べておきたいと思います。 私どもが反対をいたします一つの大きな理由は、すでに社会党さん、公明党さんのほうからもいろいろ申し上げられておりますので、重複するかと思いますが、この種の業種が非常に盛んになってきたという社会現象の寄ってきたることを見のがすわけにはまいらぬのが一つであります。そのことは、発生した当初におけるいろいろの問題が、いま申し述べられております八条関係に主としてあったのではないかということが一応考えられるということが一つあります。これは、いずれの場合も、ある種の紛争が起こったような場合に、これらの業者の出動が往々にして今日まで見られたということは、これは否定することのできない一つの問題であります。したがって、こうした発想の中から出てきた業種というもの——営業は自由でありますから、これを制限することのほうが間違いだと私は思うのだが、しかし、弊害があれば、これをある程度規制しないわけにまいりませんので、その一つの規制の方法としての発想等については異議を申し上げる余地もないかと私は思いますが、しかし、法の内容は、いま申し上げましたような、いわゆる二条の定義の中の一項の二号と四号というのが直接人に関係を持つものでございまして、これらを私どもはそのまま見のがすわけにはいかない。 いわゆる二号にありますような交通規制というようなものは当然道路上の問題であって、しかもこれは、現実にはわかっていても、やはり、何かお祭りがあるとか、あるいは一つの事業所でダンプカーの出入りが多いとかいうような場合には、その事件に関しては、当然施行者が常識的に交通を規制していくというようなことはいままでも現実に行なわれているのであって、同時に、こういう場合でも、取り締まり官である警察とは一応連絡をとって、そして警察との協力のもとにこういうことが行なわれているのである。ところがこれと別にこういう新しい規定を設けてくる、いうことになると、そこに特殊の権限を与えているというような錯覚あるいは誤認から、往々にして、必要以上の行為に出るであろうということは想像にかたくないのでありまして、いままでの状態でよろしいのではないかということが考えられる。 四号にあります人との問題でありますが、これは労働基準法から言いますと、四十二条あるいは四十四条等の規定から考えてまいりますと、どう考えてもおかしいのであって、個人が個人を雇える場合の、その人の仕事というものは、その雇った人個人がこれに指揮、命令するという形が出てまいりますと、これはいささか労基法との関係では疑問がある。こういうものがそのまま法律の中で認められる。同時に、ここには制限をしてありませんから、一人の人が何人かの警備員あるいはボデーガードを雇うということも可能であるということ。こういうあいまいな規定はぜひ除いにおいてもらいたい。これがあって、これが拡大解釈、されて乱用されてくるということになりますと、非常に大きな問題を起こしはしないかという懸念があるということでございます。これらの点はこの法律自体でなくて、やはり労基法との関係等を十分考える必要があるということ。 それから、問題はやはり次の八条の問題でございますが、八条にいたしましても、やはり他の法律によって、正当な労働争議等に介入してはならないという実例が法律の中にあるわけでありまして、それがなぜ一体ここに持ってこられないのかということである。私は、この点については、当局のがんこさに少しあきれたのでありますが、ほかの法律にこういうものがあるのですから、正当な労働行為に干渉してはならないというのがほかの立法にあるのだから、ここに入れてもたいして差しつかえなかったのじゃないかと私は思うのですが、その辺は少しがんこ過ぎやしないかということである。そこに何か非常に大きなあいまいな規定を残しておるというようなことが考えられる。 十条においても同じことでありまして、修正をされましたので、私ども、修正の趣旨については賛成をするものでありますが、少なくとも、護身用具を持って歩くというのは、これは国民全体に許された行為でありまして、別に警備員だけの特定のものではない。法律できめられた銃砲刀剣類所持等の取り締まりに関する法律だとか、あるいは凶器を集めて持って集合する集合罪であるとかいうような法律が規定しておりますもの以外のものは、だれが持って歩いたからといって、ちっとも差しつかえがない。同時に、個人が考えて、ここは危険な場所だと考えるときに、護身用具を持って歩くことはちっとも差しつかえがない。夜警をする場合に、懐中電灯一つ持つことも、これも一つの護身用具でありまして、別に問題はない。ここに悪い犬がいるから、この犬を追っ払うからということで棒を持って歩いたからといって、その人がそんなものを持って歩いたらけしからぬという法律はどこにもない。国民の許された護身の行為というものは、これは当然そのまま認めるべきである。ところが、これを特に警備員に対して護身用具云々ということになりますと、何らかここには一つの特権を与えられたような印象を与えられてくる。国民全体が持っておる権利が特別にまた与えられるような誤認をするわけであります。この点は、自民党の各位の良識によりまして、原案と異なった、規制することのできる文面に変わっておりますので、私から考えればあまり徹底したものではないとは考えるが、しかし、一応の条文の上ではその改正が行なわれたと聞いておりまして、その分における修正案には私は賛成をするものであります。 以上いろいろ申し上げたけれども、世論がいま何とか規制をしなければならないということは、警察官の類似行為あるいは警察官に類似した服装を行なっておることによって世人が非常に迷惑をしておるということ、これだけを取り除けばよかったのではないか。平たく言えば、どうも少し法律の書き過ぎだと思うのですよ。書き過ぎにいたしましても、私どもとしては、そういう観念からくる考え方、つまり、この法律の前段等におけるように、明らかに民法上の私契約であるものに公権力を与えるような印象を与えてくるということは、法律のていさいとしては慎しむべきことだと思うのであって、この点等については、きょう私がここで反対しても、自民党さんは大ぜいおいででありますからこのまま通ろうかと思いますが、今後施行にあたっては、ぜひ最大の御考慮をしていただきたいということを老婆心ながら申し添えて、反対の討論を終わりたいと思います。
○大野委員長 林百郎君。
○林(百)委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっている警備業法案並びにその修正案にも反対の討論をいたします。 本法案は、いわゆるガードマンが、労働争議、学園紛争、公害反対の住民運動、あるいは成田闘争などに対して介入し、暴力をふるい、威迫を加えるなどの事件が続発して、ガードマンに対する世論のきびしい批判が集中する中で、ガードマンを規制することを名目として、また、警察としてもそうせざるを得なくなった中で提案されたものであると考えます。 ところが、本法案は、世論の期待にこたえるものではなくて、その中身は、労働争議、学園紛争、民主的な大衆運動への介入を、世論が望んでいるような方向とは逆に実質的にはほとんど規制できないだけではなく、ガードマンに警棒やゲバ棒を持つことを法制的に認めて、そして、これに権利的な意識を与えることになるような法体制をつくり、市民への思想調査も事情聴取というような形で自由にできるというような、これは民主主義的な基準から言えばたいへんな内容になっているものであります。 さらに、本法案は、私設警察公認法あるいは警察の補完部隊づくりとも言える部分もありまして、こういう観点から、わが党は強く、反対するものであります。 具体的に申し上げますと、第一に、第二条の、本法案の警備業の定義でありますが、これはすでに門司委員からも討論がありましたが、この定義では、公道、私道を問わず、混雑場所、通行危険なところの交通整理、警戒、事故防止をしたり、また、一項四号では、人の身体の危険の発生の警戒、防止などをすることになっているが、これは本来警察法に基づいて警察がやるべき責務であります。ところが、このことを、私的な民事的な契約に基づいて警備業者にやらせて、そして、そのことを合法化するということは、これは私権を公権化することになることでありまして、このようなことは法体制から言っても許されないことだと思います。 第二には、第八条の問題でありますが、これも各委員から意見が述べられましたが、法案の第八条は、警備業者と警備員は特別の権限を持っているものではなく、他人の権利や自由を侵害し、個人、団体の正当な活動に干渉してはならないと述べています。このことは、一見ガードマンの不法行為に規制を加えるように見えますけれど、この条項は、ガードマンが争議や市民運動の場に出動することを禁止しているものでもなく、これは介入した場合の注意規定にすぎません。したがって、自分が正当だとかってに判断すればガードマンが実力行使ができることになるという意味を含んでおる、なかなかくせ者的な意味を持つ条項だと思います。ガードマンが雇われた会社に命令されたり、相手方を不当とかってに判断したときは、幾らでも争議や市民運動に侵害、干渉ができるという抜け道がつくられていると言えると思います。しかも、この条項に違反した場合に直接の罰則のないことは明らかであります。 第三には、第十条の問題でありますが、ガードマンは必要な護身用具を携帯できるという原則は、修正案によってもこれは否定されておりません。それで、警察当局の説明によれば、護身用具とは武器として使えるもので、たとえば六尺棒、ゲバ棒なども入り得る場合も考えられます。これは、一般の人が常に護身用具を持って歩くなどということはしないし、また、会社の守衛でも武器などは携帯しておりません。にもかかわらず、これを法的に認め、特権的な意識を与えることになるのであります。したがって、私たちは、この第十条の点から言いましても本法によってガードマンに特権意識を与え、普通の人が常に持っておらないような護身用具を常時持つことをむしろ法制化すようなこういうことに対しては反対でございます。 第四に、第三条でありますけれども、禁錮以上の刑を受け、刑が終わって三年以内の者を役員にしたりガードマンに雇ったりすることはできない、その場合は会社を認めないこともできるとありますが、しかし、恐喝、暴力行為などを常習とする暴力団員がガードマンに雇われ、事件を起こしている例が頻発し、世論に糾弾されているのはもう言うまでもありません。そこで、この条項をつくったのはそのような背景があるからだと思いますけれども、三年たったらまた戻ってこいと言わぬばかりの条文だとも言えるわけであります。したがって、入れかわり立ちかわり、三年ごとにガードマンに前科を持つ者が入り得る余地は十分この条文からも出てくると思います。したがって、悪質なガードマンの追放の歯どめにはならないのではないかと思いますし、また、役員の場合でも、顧問という形で黒幕として実権を握ることもできるということは、これは当局の答弁によって明らかであります。したがって、私たちの第四の反対の点はこの点にあります。 第五は、第十二条でありますが、ガードマン会社は、名称、役員氏名、所在地などを公安委員会、警察に届けることになっています。また、公安委員会、警察が情報の提供を求めた場合は書類や報告を提供するということになっています。でもない者に警官まがいの仕事を業務とさせて、労働争議や市民運動に介入することもよろしい、暴力団員雇い入れもできるという会社を届けさせて公認して、そこから情報提供もさせるというのですから、これはまさしく現在の警察を補完する私設警察公認法と言ってもよろしいかと思います。——警察庁長官、横を向いておりますが、これは十分そういう可能性が考えられるわけであります。 結論といたしまして、この法案は取り締まり規制法となっていないことからもわかるように、国民全体が望んでおるガードマンを取り締まるということになっておらない。ガードマンの不祥事件を取り締まるというたてまえは見られずに、警官にはなかなかできないことを、かえってガードマンなら自由にできるようにしているという点が非常な危険な点だと思います。たとえば、労働争議への介入、市民運動弾圧に出動する場合、警官なら警職法などの法律で規制され、そう簡単に出動できない。また、不法行為には職権乱用罪なども適用されます。ところが、ガードマンは全く私的な契約によって、そのことが野放しにできるのであります。この法案では法的な根拠がガードマンにそのようなことによって与えられ、さらに公然と出動できるようになっております。介入、弾圧ばかりでなく、たとえば、大手ガードマン会社の一つの綜合山警備保障会社の業務内容には、思想調査として、特定人物、団体組織の思想動向、背後関係調査などが、公然と、堂々と、その目的として記載されております。これは警備公安警察がやるべきことなのでありますけれども、この警備公安警察同様の業務さえやることが公然と目的に記載されているわけであります。 ガードマンは、本来、その業務内容としては、ビルの管理だとか夜警など単純なものに限定すべきであって、労働運動、市民運動などへの介入は一切禁止することを明示して、違反者にはきびしい罰則を設けるべきである。このことが世論の望んでおるガードマンに対する規制だと私たちは思います。 さらに、修正案につきましてわが党が反対しますのは、ガードマンに護身用具を原則として持たせることを前提として、それに対して一定の制限を加えることもあり得るということでありますが、このような、特権意識をガードマンに与える護身用具の常時携帯というようなことを法制化すること自身については何ら根本的な修正がなされておりませんので、この修正案についてもわが党は反対でありまして、賛成するわけにはいきません。 また、附帯決議につきましては、以上述べた、反対理由によりまして、(「まだ出ていないよ」と呼び、その他発言する者あり)出ていない。出ていないけれども、先に言っておきますが……(発言する者多し)それなら、附帯決議については、この際意見を遠慮しておきます。この際附帯決議に対する態度も述べておこうと思いましたが、まだ出ておりませんから、そのことについては保留しておきます。
○大野委員長 これにて討論は終局いたしました。 採決いたします。 まず、上村千一郎君提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○大野委員長 起立多数。よって、上村千一郎君提出の修正案は可決されました。 次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○大野委員長 起立多数。よって、警備業法案は修正議決すべきものと決しました。 —————————————
○大野委員長 上村千一郎君、山本弥之助君、小濱新次君及び門司亮君から、四派共同をもって、ただいま修正議決いたしました法律案に対して附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 この際、本動議を議題とし、提出者から趣旨の説明を求めます。上村千一郎君。
○上村委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表いたしまして、警備業法案に対しまして附帯決議を付したいと思います。 案文の朗読により、その趣旨説明にかえさせていただきます。 警備業法案に対する附帯決議(案) 政府は、本法の施行にあたり、特に左の点に留意し、遺憾なきを期すべきである。 一、人もしくは車両の雑踏する場所、またはこれらの通行に危険のある場所における事故防止および人の身体に対する危害の発生をその身辺において警戒、防止する業務は、警察の業務と関連のあるものであることにかんがみ、警備業者および警備員が警備業務を行なうにあたっては、本法によって特別の権限が与えられているものでないことに十分留意し、行き過ぎることがないようにすること。 二、警備業者および警備員は、警備業務を行なうにあたり、いやしくも労働者の労働基本権を侵害し、または正当な争議行為その他労働組合の正当な活動に干渉することがないようにすること。 三、警備業者および警備員が警備業務を行なうにあたっては、職業安定法の趣旨にのっとり、ほんらいの警備業務の範囲を逸脱することなく、いやしくも労働者供給事業の禁止規定にふれることがないよう厳正に運営すること。 右決議する。 以上であります。 何とぞ皆さまの御賛同をお願いいたします。
○大野委員長 本動議を採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○大野委員長 起立総員。よって、上村千一郎君外三名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。 国家公安委員長から発言を求められておりますので、この際、これを許します。中村国務大臣。
○中村国務大臣 ただいま御決議に相なりました趣旨を尊重いたしまして、御期待に沿うよう、運用の面でつとめてまいりたいと存じます。 —————————————
○大野委員長 おはかりいたします。 ただいま議決いたしました両法律案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○大野委員長 次回は、来たる六日火曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時三分散会