大蔵委員会 第28号
- 発言数
- 197 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1972/05/17
会議録
○齋藤委員長 これより会議を開きます。 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、相続税法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。佐藤観樹君。
○佐藤(観)委員 私は、きょうは土地政策及びそれに関連する土地税制について、少し論議をしてみたいと思うわけです。 〔委員長退席、木野委員長代理着席〕 と申しますのは、四十六年度の高額所得者の所得番付を見ました場合に、百人のうち九十五人までが土地の譲渡によってその所得がたいへん大きくなっているということで、これは土地の分離課税、新土地税制のたまものであるということでございますけれども、まず主税局長から、今度の所得番付百人中九十五人が土地の譲渡によって譲渡所得が入っている、新土地税制がこういう結果をもたらしたということについて、まず総括的な御意見をお伺いしたいと思います。
○高木(文)政府委員 土地税制の問題は、五年ほど前から土地の供給をどうやってふやすか、しかもそれはなるべく安い土地をふやす。つまり土地の価格を上げないようにしながら土地の供給をどうやってふやすかということが、土地政策ということで非常に問題になりました。そこで税のほうでも何らかの形でそれに誘引的効果といいますか、そういうものを考えていいという各方面からの声が非常に高まりまして、税制調査会の中におきましても土地税制についての部会を設けて、一年余りにわたって慎重に検討された結果、現在の、昔から持っておる土地についての軽課措置、安くする措置、それから最近に至って取得した土地についてはむしろ税金を高くする措置というものを、四十四年度の税制改正で採用することにしていただいたわけでございます。 その当時から、制度をつくりますときから、課税の公平の問題とこういう誘引政策の調和点をどこに求めるかということは非常に問題でございまして、そういう制度を設けることによって若干課税の公平が害されるおそれがあるということはいわば覚悟しつつこういう制度を採用したわけでございましたが、四十四年、五年、六年は一〇%、四十七年度と四十八年度は一五%で、四十九年度から二〇%の分離課税ということで、だんだんあとになればなるほど若干ずつ税率を上げていくということにいたしました結果、四十六暦年と四十七暦年では税率に五%の差ができますので、いわばよくいわれておりますようにかなりのかけ込み販売が行なわれました結果、総体といたしましても、四十六年の所得税の申告状況を見ますと土地の譲渡所得がたいへん急激にふえておりますし、ただいま御指摘にありましたように、高額所得者を拾ってみますと、所得の金額で見ます限り、御指摘のように上位百人を拾ってみると九十五人までが土地の譲渡に関連したものであるという結果になったわけでありますが、ある意味におきましては、それは予測された結果でありますと同時に、ある意味におきましては、いかに当初予測したものとはいえ、そういう政策的な処理が課税の公平上相当問題があるということをかなり明確に露呈をする結果を来たしたわけであります。私どもといたしましては、ある程度予測しておったところとは申せ、ますます土地の問題は非常に深刻な問題になっております。経済財政政策の一種の基本の問題として非常に重要な問題になっておりますので、現行の所得税についての制度を変えるつもりはございませんが、さらに、別途土地を取り巻くもろもろの税制についてはしばしば申し上げておりますとおり、税制で何でもできるというわけではなく、税制は補完的な役割りしか果たせないこととはいうものの、そういう位置づけをしながら、なお今後土地問題は重大であるだけに何らかの方策はないものかということを検討を続けてまいりたいと思っております。
○佐藤(観)委員 それで、これからの論議をしていく上においてある程度共通のベースがなければいけないと思うので、ちょっと確認しておきたいと思うのですけれども、いま局長のお話にもありましたように、土地問題と呼んでおる問題は、これはいわゆる一般の市民の方々が宅地をつくるのに必要な土地を十分供給する、あるいはほんとうに企業が設備をふやすために、必要な土地をスムーズにしかもある程度の額で供給をする、こういう問題だと思うのですね。つまり、大手の不動産業者が土地を買いやすくなったり、あるいは土地は放出されたけれども、それが銀行なりあるいは鉄道会社なりそういう本来土地を持つべき形でないような形で土地を持つ、これを持たせやすいようにすることが土地問題という概念ではないと思うのです。その辺をまず確認をして論議に入りたいと思います。
○高木(文)政府委員 おっしゃるとおりでございます。ただ、最終的にその土地がほどほどの適当な価格で、宅地なりあるいは企業の事業用の土地として個人もしくは事業者の手に入るのであれば、中間においてデベロッパーなり何なりの手を経由することがあるということはやむを得ないことでありまして、第一次的に土地を譲り受けた者が法人であるから、第一次的に譲り受けた者が個人でないからということで評価すべきものではなくて、最終的にその土地が住宅なり事業用の土地になっておればよろしいので、そこが、第一次的な取得者が必ずしも建物を建てる人ではないからといって直ちに非難さるべきではないという点がなかなかめんどうな点であると思っております。
○佐藤(観)委員 先ほど局長も、今度の新土地税制についてある程度、私もそう思うのですけれども、成功した部分はあると思うのです。つまり、この税制によって土地の放出があったことは事実だと思うのですね。ただし、問題なのは、私、後ほど分離課税の問題についてもう少しお伺いをしますけれども、問題なのは、この放出された土地がほとんど大企業の法人なりあるいはその中間の民間デベロッパーといいますか、そういうところにいってしまって、一体どういうように最終的な土地を必要とする人にいっているだろうかということが一番問題だと思うのですね。たしかに税制によって土地の放出があった、土地の供給があった、これは事実としてあるわけですから、その意味ではこの新土地税制というのはそれなりに効果をあげていると思うのです。問題は、いま基本的な問題であるいわゆる宅地の造成に放出された土地が役立つかどうかということだと思うのです。 そこで、建設省にお伺いをしたいのですけれども、いわゆる現在土地の動きと申しますか、売買の動きですね。これはおたくのほうではどの程度の資料がございますか。
○関口説明員 私どもは土地の売買に関しまして全国的にまとめた資料というのは持ち合わせておりません。全国的にまとまったものとしては、売買の件数だけでございますが、法務省に登記関係の調査資料がございます。私どもとしては、個別的にその担当と申しますか、東京周辺の宅地の需給関係を主として調べておる、こういう状況でございます。
○佐藤(観)委員 さらに突っ込んでお伺いをしたいのですが、それは建設省として調べる必要がないということなのか、それとも調べる手だてがないということなんでしょうか。
○関口説明員 土地関係の資料につきまして統一的なものがないので、いろいろ私どもとしましても事務執行上不便を感じておることは事実でございます。ただ、土地の売買の関係につきまして、いろいろ正確にこれをフォローしていくということになりますと、機構、人員、それからどういうことを主眼としてやっていくか、その辺につきましてまだ解決すべき問題が残されておりますから、まだ先生御指摘のような全国的な統一資料を作成するに至っていないような次第でございます。
○佐藤(観)委員 私もこの前大蔵大臣が来たときに少し触れましたけれども、現在第一部上場の法人が持っている土地というものが、全国合わせますと京都府くらいの面積がある。これはもちろんいわゆる製紙工場なんかが持っている山林も含めてですけれども、京都府ぐらいある。大体日本の面積の平地面積というのですか、そのくらいと同じくらい持っているということで、たいへん大きな面積を法人が持っている。しかも、住宅難、あるいは政府が財政投融資をしょう、あるいは景気回復のためにいろいろな設備をつくろうといっても、まず土地だということで、何をやるにしても土地がないことにはできないわけですね。その意味において、現在土地の売買と申しますか、土地の移動と申しますか、これがどういう実態になっているかということがわからぬとどうにも政策の立てようがないように思うのですね。これはどうなんですか。さらに前に進めて、今後何らかの形で全国的な調査をしようとする方向なのか。いま人員あるいは制度その他の問題、私は後ほど——法人が土地を買ってもこれは分離課税になっておりませんから、なかなか売買というものが表へ出てこない。法人の決算書だけではわからないということで、なかなかわかりにくい部分もあるので、これも後ほどお伺いするわけなんですが、どうなんですか、建設省としては、そういう全国的な土地の保有、移動について、これからさらに調べていこう、あるいは統計をつくっていこうという方向にあるのですか。
○関口説明員 昨今金融緩和というようなものを背景とした土地の買い占めが盛んであるということがいろいろ報道されておることは事実でございます。そういう観点から、法人の土地の実態につきまして、最近でございますが、一、二部の上場会社あてにアンケート調査の形でいま着手いたしております。また東京周辺のいろいろの土地の売買、こういうものにつきましては昨年来調査に手をつけております。そういうことでもって、私どもは全然放置しておるわけではございません。いろいろな手だてを尽くして調査をいたしております。ただ、しかしながら、全国的な取引がどうなっておるかというようなことにつきましては、まだ十分お答えするような調査を実施していない、こういう状況でございますので、御了承をお願いいたします。
○佐藤(観)委員 私もおたくの宅地部から四十四年分の土地保有移動状況調査というのをいただいておるわけなんですけれども、これは東京都下の調査ですね。この調査の件数が四万九千百四十一件ですね。かなり大きいわけですけれども、これは地域的には東京の区部及び島部を除く三十二市町村ということなんですけれども、一応とにかくその部分については調査が出ているということのようですけれども、私がお伺いしたいのは、この議論ばかりしていてもしようがないのですが、どうなんですか、さらにこれを全国的な規模で調査をしていくような方向にあるのですか、それともいままでなかなかそこまで手が回らないということなんでしょうか。
○関口説明員 先生からお話のございました四十四年につきましては、東京の区部を除く俗にいう都下を対象にいたしております。それから四十五年にはさらに若干広げまして、東京に隣接するいわば宅地の取引の事実上盛んと思われるようなところまで含めて調査対象にしております。それらの経験を踏まえましてこれを全国的にどういうふうに推し進めていくかということを検討しておるのが現状でございます。
○佐藤(観)委員 その検討しているというのはいつごろの目安を立てているわけですか。もう土地問題というのはずいぶん前から叫ばれているわけですね。それで一体検討しているというのはどのくらいの先の話なのか。
○関口説明員 先ほど来申し上げておりますように、私どもといたしまして、土地の取引の実態につきまして、部分的ではございますが、いま御指摘のような資料でもって当面の解明には必要最小限のものはそろえておる、こういうふうに考えております。ただ、今後さらにそれを広めまして、より調査の精度を期すと申しますか、こういう観点から今後なお検討を進めていきたい、こういうことを考えている次第でございます。
○佐藤(観)委員 それでは少し問題を、観点を変えまして、また最初の話に戻したいわけですけれども、先ほど申しましたように、確かに土地は放出された。しかし問題は、その土地を買った人がどんな人かということが問題だと思うのですね。これはここに出されたのは四十四年ですから、先ほどの四十六年度の所得番付と直接には関係ないのですけれども、おたくの資料を見ましても、面積でいって買い取りの四四・七%が民間法人であるということで、今度の所得番付に出た土地の売買についても、買っているほうはほとんどが民間の法人であるという結論をはたして出していいのかどうなのか、その辺は主税局長と建設省のほうで、ではどういうふうに土地が買われているというふうに考えられていらっしゃるのか、その点いかがですか。
○高木(文)政府委員 ただいまの点は、私どものほうも必ずしもあまり的確な資料を持っておりません。ただ、参考までに申し上げますが、昭和四十四年分の譲渡所得につきまして、土地税制を検討する材料として前に調べたことがございますが、東京近郊にありますところの五つの税務署でサンプル調査をいたしたことがございます。五つの税務署の譲渡所得について、約二十分の一の抽出で調査をしてみたことがありますが、そのときの結果によりますと、人数では全体が調査対象の人数が二千人ほどでありまして、譲り渡したほうが二千人、譲り受けたほうがやはり二千人になるわけですが、譲り受けた二千人のうちで、約千五百人余りが個人で、法人が五百余りということで、人数では圧倒的に譲り受け者は個人が多いのでございますけれども、面積でいいますと法人のほうが大体六割を占めるという形で、つまり法人は当然のことながら資金力が強いということでありますから、単位の大きなものを法人が買っておる、そういう結果が出ております。四十六年度分についてはどういうことになるかについては、まだ申告があった段階だけでございますから、現在のところは把握をいたしておりません。少なくともいわゆる高額の所得者の表に出てくるような大きな場合というのは、一件当たりの取り扱い金額が大きいわけでございますから、個人ではなかなか資金繰りがつきにくいという、金融力を持たないということもありますので、非常に多くの場合が法人によって買われておるということがいえるであろうと思われます。
○佐藤(観)委員 大蔵省の資料によっても、面積からいうと法人のほうが百四十六万平方メートル、これは先ほど局長が言われた資料ですが、個人の場合が百九万平方メートルということで、百五十対百という大体の比率になっているわけですね。 もう一つ、建設省のほうにお願いというか要望しておきたいのですけれども、これから土地という問題がますます重要な問題になってくるのに、資料にしても、二十分の一の抽出で、件数が合計二千二百ぐらいなわけですけれども、これも地域的には東京近郊の八王子、神奈川、松戸、川越、春日部という地域ということで、全国的な政策を立てるということになると、どうしても全国的な土地の行き来というものがどうなっているかという資料が必要になってくるので、ぜひともこれは早急に何らかの対策を立ててもらいたい、そういう調査の手だてを打ってもらいたいということを強く要望しておきたいと思うのです。 いま申しましたように、面積からいうと大体百五十対百という形で、法人のほうが一倍半ぐらいの面積を買っているということなわけです。そこで私は、まず分離課税の問題なんですけれども、個人が法人に売った場合、たとえば個人が銀行なりあるいは大手の不動産業なりあるいは鉄道関係のところなりというようなところに、つまり最終需要者じゃないところに売った場合については、これは分離課税をやめにして、この場合には総合課税にすべきではないか。つまり分離課税の精神というのは、土地を放出させるというための政策ですけれども、しかしそれが結局最終需要者に結びつかない場合には、この土地税制としては生きてこないし、これは分離課税の落とし穴じゃないかと私は思うのです。今度の四十六年度の所得申告の場合の問題にしても、最終需要者に行くか行かないかは別としてとにかく土地を売った場合には分離課税になっているというのは、これはやはり、この新土地税制をつくった本来の目的からいうと、はずれているのではないかと思うわけなんですが、その点、局長、いかがですか。
○高木(文)政府委員 私は佐藤委員の御意見に多少異論があるのでございます。四十四年以来どういうわけで分離課税にしたかというのは、先ほど申しました基本的にはなるべく安い価格で大量に供給が行なわれるようにということが基本的な考え方でございますが、それと同時に、宅地が虫食い状態になって供給されるのは非常に困る、むしろある程度まとまった形で供給されて、住宅地が地域としてある程度整備されていくことが望ましいという見地からいたしますと、累進税率でいきますと、土地を団地として持っている方がそれを売る場合に、毎年少しずつ切り売りをしていかないと、累進税率の関係上非常に重い税金を納めなければならないということになるので、従来の総合課税、そして累進税率ということになりますと、どうしても売るほうは部分部分を区切って売っていく、こういうことになります。そうすると買うほうは面積が小さいわけですから買いやすいということになるかもしれませんけれども、そのかわり非常に無計画に売られていく、こういうことになっていくわけであります。宅地をつくっていくという見地からいたしますと、むしろ、これは建設省さんのお考え方にもよりましょうが、やはりある程度の団地ができていくということが望ましい。これはいろいろな計画を進める上においても、上下水道とか道路とかの計画等の関係からいっても、やはりある程度の団地ができつついくほうが望ましいと考えますならば、団地がまとめて供給されることが望ましい。そうだとすれば累進税率では無理なので、分離で、比例税率、こういう考え方がとられたわけであります。 そこで、そうなりますと、しかし今度は買い手のほうからいいますと、まとめてはとても買えないわけですから、だれかがそれを一括して買い取って、それをある程度区画をしたり造成をしたり、あるいは道路なり若干下水道の整備なりをして、そしてこれを売り出すという形になるわけでありますから、第一次的にはいわゆるデベロッパーや、先ほどちょっとお触れになりました鉄道会社等にそれが売られましても、そういうところが何か異常利益を得てそれを販売するということでなしに、常識的な価格でもってそれが宅地として造成されて売られていくのであれば、これは初め制度を考えましたときに予測したところに沿ったということになるのであろうと思うのであります。 問題は、御指摘のように、家を建てようとする人でなしに、第三者の人、特に法人がそれを買ってしまって、しかもそれを長年保持をしておって値上がりを待っておる、そういう状態が非常に好ましくないということではないか。しかし、そういう保有をしてずっと持ったままの状態であるかどうか、それから、買った人が本来趣旨としたとおりそれを宅地として直ちに供給するかどうかという差異によって、最初に売った人の税金の額が動いてくるということは、これまた問題がありますので、おっしゃるように、売った土地が売った先で直ちに宅地になれば分離課税でもいいけれども、そうでない場合は分離課税を適用しないというのは、売った人の土地がうまく直ちに宅地にならなかった場合には税金が重くなるということになりますというと、これはちょっと売ったほうの人にとって過酷になるのではないかというような関係がありまして、直ちに宅地になったかならないかということで区分して、分離課税か総合課税かということの選択をするということは、これはちょっと無理ではないかというのが私どもの考え方でございます。 しかし、いずれにしましても、もしそれが本来の趣旨に反して非常に長年の間値上がりを待って持っておるというような状態は、これはいかにも困ることでありますので、この点につきましては、そういう状態が非常に多いということになってまいりますならば、大いに考え直さなければならぬということになってまいろうかと思っております。
○佐藤(観)委員 最後に局長が言われた無理だというのは、課税技術上ですね。たとえば何年に売った、それで法人が土地を買った、その後三年たってもつくらない、五年たってもつくらない、したがって、これは分離課税を適用はしたけれども、もとへ戻して総合課税にするというようなことは、これは事実上無理だと思うのですね。ただ、たとえば銀行がこんなところに大体店ができるはずないというような、明らかに——たとえば銀行に限れば余った資金を土地に投資をしておくというようなこと、あるいは鉄道でも、鉄道といっても鉄道自体ではなくして、別個に不動産をやっている部分がありますね、これはまた話は別だと思うのです。不動産の部分あるいは普通の不動産業、これが宅地造成をするための部分については、これはもちろん第一段階が一つ入るわけですけれども、これは近い将来に宅地になるわけですから、これは私は分離課税という考え方でいいと思うのですね。ただ、売るほうは分離課税にした、土地を放出した、しかしその結果においては、法人が余った資金で買っておいて、そしてそれが土地の値上がりを待っているという状態がいま一番問題なわけです。 しかし、本来分離課税の精神というのは、局長が最初言われたように、一つは大きく土地を買うということもありますし、もう一つは、私は最初にこれが共通の土地問題というものの話のベースだと申しましたように、宅地ができる、あるいはほんとうに企業が設備をする場合に必要な土地が買えるということだと思うのです。その意味で、分離課税の考え方というのはそういうところから来ているところから考えますと、値上がりを待っているその法人が、直接その土地を持たなくても営業できる部分についてまで分離課税を適用するということは、これは分離課税の考え方からいってどうも合わないのじゃないか、これは、実際の徴税上はなかなかいろいろな技術的な問題も出てくるかと思いますけれども、考え方としてはそういうふうに考えるべきじゃないか。 とにかく分離課税にして、持っている人は土地を放出しやすくなった。しかしその結果が今度は余っている土地が、しかもその部分の土地を持たなくてもいい法人に行ってしまった、何ら宅地造成の部分に回ってこないということでは、これは分離課税というものが、半分は、土地を放出させたという分では生きているけれども、本来のもう一つ大きな目的の部分には合致していないじゃないか。これは異常に、土地を持っている人に、非常な優遇措置を与える形になっている。税の公平性からいってもおかしいのではないかと思うわけです。その点いかがでしょう。
○高木(文)政府委員 土地に関する税制の問題は、いろいろややこしい問題がございますが、ただいま御指摘の、法人が土地を買い取った、本来ならばそれはすみやかに宅地造成なり何なりをして供給されることが望ましいにかかわらず、それを供給せずに、じっと持っておって値上がりを待っておるというようなことは、たいへん社会的正義感と申しますか、そういう意味からいって好ましくない。それを何か抑制する方法はないかということでありますならば、やや私の思いつきのようなことで、恐縮ではございますが、そういうことを何か考えないと、実は最近の金融緩和ということとの関連上、法人が資金を比較的安易に調達をしてきて、土地をどんどん保有するということが行なわれやすくなってきた状態から言いまして、何らかの対策がどうも必要ではないかという気がますますしてきておるわけでございます。 それはどうしたらいいかということになりますと、いま御指摘の譲渡所得の課税の問題とはまた別に、法人の保有している土地についての一種の保有課税の問題としてどう考えたらいいかという問題に、どうもなってくるのではないか。つまり、片一方で法人の財産を考えてみますと、法人は、非常に多くの場合は金を借りて土地を買っているものと思われますが、その借りておりますところの金利と土地の値上がりというものとのスピードを考えながら、そしてもう一つはその土地についての保有課税、つまり固定資産税の額というものを考えながら、値上がり益と販売の時期をねらっておるということになるのだろうと思いますので、そこで金利負担と保有課税負担との関係から、そこの企業の判断というものはきまってくると思います。そこで、一般的に現在保有課税、つまり固定資産税の評価というものはきまっておりますけれども、もしそれを特に抑制をする必要がある、あるいは税の働きを使って押し出すといいますか、放出を促進する必要があるというのであれば、保有課税上何らかの対策をとるということが、考えられ得る一つの道ではないかというふうに考えられますけれども、実は現在固定資産税の仕事は地方公共団体の仕事でございますし、その全般的な仕事は自治省の仕事でございますので、ちょっと私どもがあまり踏み込んだ意見を言いにくいわけでございますけれども、しかしそうはいっておれませんので、私どもも最近の現象からしますと、法人が持っておりますそういう土地の保有課税問題に少し首を突っ込んでみなければいかぬというふうな感じを、まだ現在の段階ではやや私の個人的見解のようなものでございますが、そこに問題が一つありはせぬかと思っております。
○佐藤(観)委員 どうも少し問題がはぐらかされたようですが、さっき話が出たので、その話をちょっとやりますと銀行局のほうは終わりますので、その問題に触れておきたいと思うのですけれども、いま局長も言われましたように、金融が緩和しているということで銀行が、これも実はあまりこまかい統計としては出てないのですけれども、非常に銀行の持っている土地というものは、単価にすると、簿価にしても優良の土地を持っている。総面積ではたいしたことないですけれども、非常に都心のいいところを持っているような資料が出ている。あるいはお話に聞いたところでは不動産業に対する銀行からの融資、こういう土地がたいへん問題になっているときなので、これをなるべく押えるように銀行局として指導をしたいという話を散見したのですけれども、これはいろいろ考えてみるとむずかしいと思うのです。思うけれども、しかし私が先ほど申しましたように、銀行が将来銀行を建てる部分でないところに土地を買う、それがまた値上がりを待っているというようなことについては、これは銀行法のたてまえからいってもおかしいだろうと思うのですが、具体的に銀行局として銀行の土地所有あるいは不動産業に対する銀行からの融資をチェックするという方向があるのかないのか、どうでしょう。
○松川説明員 お尋ねの第一点の、銀行自体が土地を持つというケースでございますが、これはたとえば担保流れで土地を持つというようなことがございますが、これは本日の御審議とはちょっと関係がないと思いますので別におきますと、そのほかの場合で、私どもが金融機関を指導いたしますのに土地を取得していいと言っておりますのは、店舗自体の用地、職員の宿舎、職員の厚生施設、こういったものに限っております。そしてそれ以外のものにつきましては、私どもが資産内容の純化と言っておりますが、検査のときにあればこれを処分するよう指導いたしております。したがいまして、銀行自体が不当に土地を持ち、または将来の値上がりを見込んで土地を持つということはないものと考え、またその線で指導をいたしております。 具体的に、ただいまお尋ねの、銀行の土地は非常に高いという御指摘がございましたが、これは私ども金融機関の店舗行政についてという通達を出しておりますが、その通達の中で「新設店舗の規模等」という欄におきまして、「店舗新設に伴う土地取得については、いやしくも地価上昇を主導することのないよう充分留意させるものとし、取得価額が不当に高額であると認められる場合には、たとえ内示後であってもその店舗の設置を許可しないものとする。」こういう通達を出しておりまして、店舗が新しくできますとき、周辺の地価を不当に上げることがないよう極力配意いたしてきておるところでございます。 次に、不動産業に対する融資についての御質問でございますが、ただいま銀行局が指導をしておるやに聞いておる云々とおっしゃいましたのは、私ども現在金融機関から一連の聞き取り調査をやっております。この聞き取り調査の趣旨は、金融が非常に緩和してきておる、そのときに各金融機関の融資態度がどうあるべきか、またどういうふうに指導していくべきかということを頭に置きまして、たとえば貸し出し金利の引き下げの状況であるとか、ただいま問題になっております土地の関係であるとか、株の関係であるとか、こういうものを総合的に聞き取り調査をいたしております。そこで、総合的にいたしましたあとで所感を申し上げるのが筋かと思いますが、ただいまその中間的な感じで申し上げましても、土地の取得というのは非常に種々な形態がある、個々のケースによってその評価自体も違ってこようかと思います。そこで土地についてはあるいはもう一度この総合的な聞き取りをやったあとに、もう少し具体的にまた焦点をしぼった聞き取りをやろうかということを内々考えておる段階でございます。 そこで、ただいままでに判明いたしましたところで御参考になるかと思われる一、二のことを申し上げますと、たとえばいわゆる都銀と申します上位の銀行でございますが、その中でさらに上位の例をただいままでに集めましたところでは、本年の二月末の残高と前年の二月末の残高を比べますと、約二三%貸し出しがふえておりますが、不動産及び建設業に対するものはその間五三%の伸びを示しております。これはまだ中間の計数でございますので、将来全部まとめましたときには、違った数字が出てくるかもしれませんが、大きな線としてはやはり不動産業に対する融資が相当貸し進んでおるということは事実であろうかと思います。ただ貸されました金が全部土地の取得の代金に回るわけではございませんが、これも感じでございますが、大体五分の一程度が直接の土地の購入費に充てられておるのではなかろうか、このような印象をただいま持っております。 そこで第一次の聞き取りが終わり、またさらに第二次の聞き取りが終わった段階で、私どもが一体何ができるだろうかということを現在頭に置きながら聞いておるのでありますが、私どもとしてこれはやれるということは実のところまだはっきりしためどは持っておりません。ただ聞き取りの途中で非常に悪質なものが出てくれば、悪質というのは御指摘のように地価の値上がりを待っておるようなものに対して巨額の融資をするというようなことがあれば、これは何らかの形で是正を求めるつもりでおりますが、ただいままでのところ、はっきりこれはそうだと断定できるケースはございません。もう一つ言えることは、私どもがそうやって金融機関の総合的な聞き取りから、さらに土地についてはもう一度やろうかということを考えておりますので、その聞き取り調査をやっておること自身が間接的に金融機関の土地に対する融資態度が非常に公共性を帯びたものになってくれることを私どもは心から願っておる次第でございます。
○佐藤(観)委員 銀行の部分についてはわかりました。不動産業、建設業についての部分ですけれども、これは松川さん言われるように、なかなか私はむずかしいのだと思うのです。つまり資本主義の社会である以上、銀行がもうかるところにお金を貸すのは当然なことなんです。ですから、非常にむずかしい問題だと思うのです。私が言っていること自体、最初の結論からいいますと非常に矛盾をしているのですけれども、しかし実際のところ銀行がもうかると思ったところへ金を貸すのはあたりまえのことなんですから、なかなかこの部分でチェックをするというのは、実際上は銀行局がはたしてそこまで立ち入れるかということになると、これはなかなかむずかしいことだと思うのです。実は私自身がいま言っていることは非常に矛盾をしていることなんですけれども、ただ何といっても金融緩和のときに、いま銀行は金を貸し出したくて貸し出したくてしょうがないときですからね。そういう面からいくと非常に率のいい不動産業あるいは建設業について大幅に貸し出しているだろう、あるいは聞き取り調査をしていることがチェックになるということは幸いですけれども、私はこれはあまり正直のところ期待できないと思うのです。銀行がもうかるというところにお金を貸すというのは、これは銀行も商売ですから、私は銀行の肩を持つわけじゃないけれども、この面から実際にはチェックというのはなかなかできにくいのじゃないか、私自身そういうふうに考えているのです。もう少しその動静がわかりましたらまたいろいろ考えさせてもらいたいと思うのです。銀行局はけっこうでございます。 それでまた話を戻しますけれども、先ほどの法人については、直接住宅をつくる部分でない法人が土地を買った場合に、売ったほうの分離課税の優遇措置というものははずすべきではないかという私の考えですけれども、高木局長のお話では、売ったほうの相手によって、売った人の課税の形態が変わるというのはおかしいのではないかというお考えですか。
○高木(文)政府委員 売ったほうの形態によってということもありますし、同時に、つまり買ったほうがそれをどう処理するかということによって売ったほうの課税が変わるというのはおかしいということのほかに、それもまさにそうなんでございますが、同時に、買ったほうがそれをどう処理するかということが売った時点ではわからないで、しばらく時間の経過を見てからでなければわからない。土地というものは、造成とかそういうことが起こるものですから、ある時間経過したあとでないと、それが有効に使われたかどうかわからないという、その時間の経過という問題があるために、一そう事柄を複雑にするということでございます。
○佐藤(観)委員 そこで私は、個人の場合は、個人でも非常に大規模なことになれば少し話は別ですが、個人はこの際おいでおいで、法人の場合に、いわゆる民間デベロッパーと呼ばれておるたぐいのものについては、これは本来、最終需要者というけれども、最終需要者が全部土地の造成から建物をつくることからするということは、現状ではできないと思うんですね。しかしその間に民間デベロッパーというものが入ってくるということで、民間デベロッパーについては売ったほうも、宅地が何年後にできるか、それはそこまで遡及していましたら、局長の言われるようになるから、それは無理だと思うのです。ただし、そこには、本来土地をその地域に取得する必要のない業種というのはあると思うんですね。それについては、私に言わせれば不動産業を除く他の業種、もちろんこのごろは鉄道なんかでも民間で土地の造成をしたりしておりますから、それはおそらくたいていは不動産部というのがやっておりますから、そういうもの以外の最終需要者に結びつかない。つまり、ただそこに土地を買っておいて、値上がりを待つというものに対してまで分離課税の恩典を与えるというのは、これは分離課税の本来の考え方からいっておかしいのではないかというふうに思うわけです。ですから、私はその場ですぐ土地が造成がなる、建物が建つ、これは無理だと思うんですよ。ただし本来そこに土地を買わなくてもいいような業種が土地を買う、これについては何も分離課税の恩典を与える必要はないんではないかと思うのですが、もう一度いかがですか。
○高木(文)政府委員 その点になりますと、もう一つのアプローチのしかたとしては、買い手の資格とか要件によって若干の差をつける方法があり得るかどうかということになってくると思うんですが、そこでその手がかりになりますのは、宅地建物取引業法というのがありまして、「宅地建物取引業を営もうとする者は、」「都道府県知事の免許を受けなければならない。」ということになっておるわけでございます。 そこで、宅地建物取引業法による免許を受けた業者に売った場合と、しからざる場合で区分するというような方法があり得るかどうかというのが一つのアプローチの方法だと思うのですが、ところが、この宅地建物の取引業法による免許というのが何か相当強い免許になっておって、そうして非常にいわば公益的といってはことばがあれですが、全く単に営利のみを追求するということでなしに、何か宅地供給のためにある程度、ことばは悪いのですが、公益的精神で営業する方についてだけこの免許が与えられるというような形にでもなっておって、そうしてそういう業者についての一定の指導監督がかなり強い程度で行なわれるというようなことの法制にでもなってくれれば、また一つの何か税の上でそれを足がかり、手がかりにしてやっていく方法があり得ると思うんですが、この点は従来から建設省との間でいろいろ議論をし、ある意味では議論が分かれてしまっておる点なんですけれども、現行法上あるいはまた現行法の運用上、現在私どもから見ますと、宅地建物のこの免許の運用あるいは法律上の制度の立て方が、税法上区分をするほどにははっきりしてないといいますか、区分ができてないという感じでございまして、この免許を一つの手がかりにして仕分けをするというのには、ちょっとまだこの法律のたてまえが不十分であるというふうに私どもは考えるわけでございます。 そこで、かねがねデベロッパーのようなものに対して売る場合と、そうでない場合とを仕分けるとか、あるいは法人について現在の個人と同じように、土地の譲渡による法人の所得について他の所得と分離をして、ある部分については重く、あるいはある部分については軽く課税をするという方式が考えられないかということも絶えずいわれておるわけでございますが、この点につきましても同様、法人というのはどんな事業もできるわけでございますので、その法人の中でいかなる法人についても全部課税をしてしまうと今度デベロッパーが困りますし、優良といいますか、きちっとしたデベロッパーだけについて別扱いにするということが非常にむずかしいというところ、その辺でひとつ行き詰まっておるというのが現状でございます。
○佐藤(観)委員 せっかく話がそこまでいったので、法人の保有している土地の問題ですけれども、これも確かに最終需要者というのは、一体どこまでを最終需要者といったらいいのかという考えもあろうと思いますけれども、とにかく個人がそこの土地を買って宅地をつくる場合、あるいはいま目安として宅地建物取引業法にいうところの不動産業、これが宅地造成を行ない、住宅をつくる場合、こまかい概念規定はいろいろあるにしても、とにかく頭の中に描かれる最終需要者というのは私はそういうものだと思うんですけれども、法人が持っている土地をそういうところに売った場合には、これは私は分離課税にしていいんじゃないか、法人の場合にそういうところに売った場合には法人の譲渡益、譲渡所得について分離課税にしていいんじゃないか。法人を分離課税にすることについての利便というのは、一つは先ほど私も申し上げましたように、とにかく土地の資料がないわけですね、どういうふうに土地が動いているかという。その部分で法人本来の業務から出てくる益と、それから全然そうじゃない遊ばしていた土地を売ったことによって得た譲渡益、譲渡所得、これとの合算でそのままになっているということは、土地問題についてまず資料を得るのに非常に得にくいし、それから政策の面からいっても、法人のそういう土地を吐き出させるという意味においても、ひとつ分離課税を考える必要があるんではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○高木(文)政府委員 法人の所得についても、個人と同じように一種の分離課税制度を設けてはどうかということは、かねてから御指摘もございまして、四十五年に税制調査会で前の土地税制部会のメンバーでありました方々、先般当委員会に参考人として御出席になりました稲葉先生あたりにまた再び臨時に税調の委員になっていただいて、そして土地にかかる法人所得課税の強化ができないかどうかということを当時議論していただいたことがございます。議論していただいたことがございますが、その段階では、結論的には先ほど申しましたような、どういう土地あるいはどういう法人についてだけ仕分けをするかというあたりがなかなかきめかねるということから、結論が出ないままで終わっておるわけでございます。 ただ土地問題は、これを検討していただきました四十五年当時と比べまして、この答申といいますか検討結果が出ましたのは四十五年の十月でございますから、それからまた約一年半余りたっておりますし、その間において土地問題はさらにまた事が深刻になってきておりますので、まだ私どもとして最終的に腹をきめているわけではございませんが、なお法人の土地課税問題についてはいま一度あらためて検討すべきかどうかということをいま考えているところでございます。
○佐藤(観)委員 それからもう一つは、これはよく言われることですけれども、問題なのは遊ばしている土地を利用しないでそのまま置いておく、値上がりを待っている、このことが問題なわけですね。考え方として、使わない土地に対して未利用地税、使用しない、利用しない未利用地税、あるいは固定資産税を重課する。あるいは私もこの前ちょっとあげましたように、再評価税というのを、これは過去三回やりましたけれども、もう一度ここで全部清算するために再評価税をして、払えない部分については土地で供出をさせるというような、かなり強引な手も考え方としてはあるだろうと思うのですけれども、ここで問題は、一体、利用している土地、利用してない土地というのはどういうものだろうかということが非常に問題になってくるわけですね。これはこの前大蔵大臣とも再評価税の問題を言ったときにも、いわゆる遊休地とは一体何だろうかということが、非常に判定がむずかしいということだったわけですけれども、自治省の方、いらしていますか——固定資産税の場合に、たしか固定資産税では、遊ばしてあっても、あるいはその上に建物が乗っていても、これは評価は一緒だったと思うのですけれども、この固定資産の部分から未利用地税というような考え方というのは具体的にできるのかできないのか、判断ができないのか、徴税技術上できないものなのだろうか、その辺はどうでしょうか。
○石川説明員 固定資産税は、御承知のように固定資産に対しまして収益力を表現すると見られる価格を課税標準として課税するものでございます。したがいまして、固定資産税の現在の性格から申しますれば、同一の資産価値のあるものについては同一の税負担を求めていく、こういう考え方の上に立っていると思われるのでございます。土地を利用していないでも同一の負担を求めていくということでございまして、土地を利用していないからさらに重課していこうということにまで固定資産税の性格上いけるかどうか、その辺のところが一つの問題になろうというふうに考えております。 それから同時に、いまお話のございました未利用地というものの範囲を具体的に、客観的に、しかも市町村の段階で簡単に区分けができるかというような、課税技術上の問題も非常にむずかしいということもございます。御承知のように、税制調査会におきましても未利用地の問題を検討いたします際に、いろいろな土地利用計画とかその他の問題もございますが、同時に課税技術上の問題が非常にむずかしいということでございまして、これは市町村の段階で判定させるというのには、それだけの具体的な基準なり環境というものができておりませんとむずかしいのではなかろうか、こういうふうに考えるわけでございます。
○佐藤(観)委員 いま市町村の段階でというふうにお断わりになりましたけれども、それは自治省としてだからそういうふうにお断わりになったのか。あるいは判断の基準を示せということですけれども、おそらくこれがなかなかできないだろうし、たとえば隣にあき地があったとしても、くい一本というか、あるいは土台だけある程度つくっておけば、これは利用しているのだと言われてしまえばそれはそれでおしまいになってしまうということで、もう少し徴税技術上、固定資産税の問題はわかりました、固定資産税の考え方からいくとそれはできない。じゃ、未利用地税ということを考えた場合に、具体的にどういうふうな概念だといわれても、確かになかなかこいつは私もむずかしいと思うのですけれども、これは市町村の段階とお断わりになったけれども、そういうことじゃなくして、それは概念規定というものができないということでしょうか。
○高木(文)政府委員 土地税制のあり方についての、ちょっと古くなりますが、四十三年七月の答申のときに、いま御指摘の空閑地税、未利用地税、高度利用促進特別税というようなものが考えられないかということについていろいろ検討した過程がございます。その段階では、御指摘のように必ずしも地方公共団体が課税主体になるということだけを前提にしないで、国または地方公共団体のいずれかが課税主体になることを前提として、一体これら空閑地税等の新税の課税の対象とさるべき土地というものの判定ができるかどうかということをこまごまと検討されておるのでございますが、結局どうも現行の法制のもとにおいては何がいわば空閑地であるか、何が未利用地であるかということを判定をすることが技術的に非常に困難だということで、他のいろいろの法制上、そういう制度を設けるについては税以外の法制というものが何かあって、そしてたとえば敷地と建物の関係ではどのくらいの割合であるべきだとかなんとかいうことについての基準なり何なりがあるとかいう基準ができてこないとなかなか空閑地の判定はむずかしいのではないかということで、当時の段階ではまだそういう新税を起こすのは無理であるという結論になっておるわけでございます。
○佐藤(観)委員 宅政課長さんが他の委員会もあるようなので、ちょっとお伺いをしておきたいのですけれども、いま大体論議しましたように、税の部分からいきますと土地行政、土地問題というものはなかなかむずかしい。私も本来税制というものはある政策を誘導するものであって、税制だけで土地問題は解決できないと思っているわけなんですね。もう時間がありませんから、ざっと申し上げますと、たとえば土地公社というようなことを考えまして、これもあとで時間があればお聞きしたいのですが、公示制度の問題がありますけれども、とにかくそういう国である価格をきめて、その土地公社以外、しかもその価格以外にはもう売れないというような、かなり——これは憲法問題ともずいぶんいろいろとからんでくる問題かもしれませんけれども、そのくらいのことを考えないと、これは地域開発の問題からいってもどうにもならぬのじゃないかという気がするわけですね。建設省としては、この宅地に問題を限れば、一体どういうふうにしていこうとするのか。 いま申し上げましたように、税というのはあくまで補完的なもの、誘導的なものだと私は思うのですね。それ以前にやはり土地の売買について、土地造成、宅地供給というものがスムーズにいくような何らかのやり方を考えなければいけないと思うのです。私が申し上げているのは、土地公社のような、そこを通してしか土地の売買というのはできないというような、かなり強い権限のものを考える必要があるのじゃないかというのが私の考えですけれども、建設省のほうはいかがでしょうか。
○関口説明員 土地問題を解決する場合に、税制のみによって解決することは困難だということは、御指摘のとおりでございます。私どもの考え方といたしましては、土地問題の発生が、非常にありきたりの文句でございますが、人口、産業の大都市集中というものから惹起されたという面もございますので、そういうものの抑制措置、さらには人口、産業の積極的な分散、こういうものがまず必要でございます。それと同時に、先生御指摘のような、現実の宅地需要の要請にこたえるための宅地供給、これも大きな柱でございます。こういうものと並んで、先ほどから先生御指摘のように、土地それ自体がともすれば投機的取引と思われるようなものの対象になりやすいという性格を持っておりますので、こういう面については、これは税制のほうでできる限り御配慮をいただけなかろうかというのが、建設省のほうの立場でございます。 そこで、お尋ねの現実の宅地の供給対策でございますが、これにつきましては、大規模供給が何をおいても必要だ、かように考えておりますので、従来から大規模供給につとめておったのですけれども、この国会に、新しい宅地取得の手法として、新都市基盤整備法案を御提案し、御審議をお願いしていることも、先生御案内のとおりでございます。なおまた、いわば土地の取引を一元化するということも、これは非常に御卓見と思いますけれども、現実問題、一挙にそこまでいくのもむずかしい事情がございまして、そういうことも踏まえまして、公有地拡大推進法案という形で、いま国会で、これまた御審議願っておることも御案内のとおりだろうと思います。私どもとしては、こういう手法によりまして、必要な公共施設用地あるいは宅地の先行的な確保につとめてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○佐藤(観)委員 いま産業の分散ということも言われましたけれども、分散しますと、行ったほうの土地が今度はまた値上がりを起こすというのが現実なわけですね。おっしゃるとおり、確かに迂遠な方法で、平均的に土地が利用されれば、そんなに上がることもないという考え方かもしれないけれども、しかし、現実にはなかなかそうもいかないのじゃないかと思うのです。 もう一つ、これはやはり税の問題ですけれども、私はこういう考え方があると思うのです。これはまだなかなか確立をしておりませんけれども、いわゆる公示価格というのが、いま税務署の関係と建設省のほうであるわけですね。大蔵省がきめる公示価格、それから建設省がきめる公示価格、これはどういう構成で公示価格というのはできますか。
○関口説明員 公的な土地の評価という点につきましては、先生御指摘のように、いわば相続税法であるとか固定資産税の課税標準としての評価額もございますし、それから、私どものやっております公示価格という制度もございます。それで、税法系列の評価は、やはりそれぞれの税法のたてまえとリンクいたしております。それに対しまして、私どもの地価公示価格というのは、俗なことばで恐縮でございますが、ごく大づかみに申しますと、いわゆる中値というものを目ざしております。これは、正常な取引価格という意味で中値というふうに申して曲るのでございますが、そういう考え方でこれを公示いたしておるような次第でございます。したがいまして、現実に公示価格と税の評価額との間にずれがあるということも、これは先生御案内のとおりでございます。 それらの問題につきまして、公的評価の一元化ということで、今後の検討課題として地価対策閣僚協議会の決定事項の中にも入っておるということも、御案内のとおりでございます。そういう問題につきましては、なお関係各省と十分御相談を重ねてまいりたい、かように考えております。
○佐藤(観)委員 私自身だいぶ時間もなくなってきたので、高木局長にお伺いをしたいのですが、地価公示価格の問題、評価額の問題、この制度についてやっているとまた時間がかかるからやめますけれども、こういうことをやったらはたしてできるかできないかということなんです。 いまお話がありましたように、公的評価の一元化をやる、あるいは不動産鑑定制度というものをさらに確立をしまして、とにかく全国に公示価格をきめこまかにいろいろな観点からきめる、そしてその公示価格以上に土地を売買した人については、その度合いに応じて八〇%、九〇%、一〇〇%という税金を課するということにすれば、それ以上高く売ると、これはある意味では脱税行為になりますから摘発できるわけですけれども、そういうような公示価格——いまは実際の売り値はこうだけれども公示価格はこうだ、また逆に公示価格はこうだけれども実際の売り値はこうなんだというようなふうに、公示価格というものが何ら年きていないと思うのですね。もちろん相続税の問題とか、そういうときにはそれが基準になりますけれども、そこで土地売買について公示価格以上に売った者については、いま申しましたように八〇%、九〇%、一〇〇%というような税を課することによって、公示価格以上に売らせないということも可能ではないかと思うのですが、それはいかがでしょうか。
○高木(文)政府委員 実は、基本的に土地の所有権の問題に触れてくる問題ではないかと思います。公示価格というものは、現実にはかくあるべしというものできめられたものではなくて、実際の売買実例等からいいまして、この地点の土地価格はこのくらいであるということを明らかにすることによって、相対売買が行なわれる場合の一つの目安が示されると同時に、公共事業等によって土地を取得する場合の価格の一つの目安を示すという趣旨のものと私どもは理解しているわけですが、本来かくあるべしというものとは公示価格自体もまた違っているのではないかと思うわけでございます。 しかしおっしゃるように、大いに有力な一つの目安でありますので、今度はその公示価格の意味を変えてまいりまして、公示価格をこえた場合には、極端にいえば一〇〇%の全額課税という方法をとることは、考え方としてはあり得ることだと思うのでございますが、しかしその前提としては、私有財産権との関連上土地の所有についてどう考えるか。土地の所有というものは他の財産の所有とは別に考えて、そして土地の所有についてその値上がり益というものについては、ほかの物を持っている場合の値上がり益とは別に考えて、そういうものについては個人の所得に帰属させないのだという思想がまず生まれてくるという前提でないと、それを全額、たとえば九割にしても八割にしても、ほぼ全額に近いような率で課税をするということになれば、その辺の土地所有権についてのものの考え方ということを、もう一度基本的によく広く国民の間で議論していただく必要があるのではなかろうかと思います。 たとえば、いろいろ財産を保有する形態として、土地以外にも貴石とか貴金属とか骨とう品とか、いろいろな形で財産保有が行なわれるわけでありますけれども、そういうものについては、かりに値上がりがあって、それで譲渡いたしましても、全額ということでないのだけれども、土地についてだけは、公益性というか、値上がりがあったからといって、その持っていた人に帰属するのはおかしいのだという、一つの哲学といいますか、ものの考え方といいますか、まずそれが十分確立してからでないと、税の面でも、その基礎に立ってこそ、それはいわばけしからぬとか、そういう意味があって、初めて全額徴収ということになってくるんだろうと思いますし、基本的に公示価格を基準といたしますのも一つの方法でございましょうし、また何か別のものを基準といたしましてもよろしいのでございましょうが、ある額をこえたものについては全額課税という説がだいぶ最近強くなってきておりますが、どのような技術を用うるにいたしましても、基本的には、土地所有権についての基本的な考え方というものについて、よほど一種の憲法論議といいますか、そういう議論を詰めておいていただいた上でないと、なかなか税の上で全額課税ということに入りにくいのではないかと思うのであります。確かにそういうことになりますと、また裏取引というような問題がありまして、税の執行というような角度から、またいろいろな問題がないわけではございませんが、現在土地問題がたいへんな問題でございますので、そういうことについてのある程度の合意が得られるのであれば、税としてそういうことを考える余地はあると思いますけれども、もう一つその前の基本の問題が非常に重要な問題ではないかと思います。
○佐藤(観)委員 公示制度をつくるにしても、これはなかなかどういう要因を含めてその価格をきめるかというのは、たいへんむずかしい問題だと聞いております。したがって、そう簡単にはできないでしょうけれども、現在の土地税制というもの、あるいはもちろん基本的には税制だけではできないわけですけれども、税の面からいくと、私はいろいろ分離課税というのも矛盾を含んでいるし、あるいはやるとしたら再評価税をかけて土地を放出させる、そうじゃない場合は、その売買については、いわゆるいま申しましたように、公示価格以上のものについてはこれを全額あるいは率によって税金として徴収をするというような、確かに基本的に土地というものに対する財産の問題として考え方があるわけですけれども、もうこの狭い日本ですから、そう土地を財産として——しかも普通の人が住むうちがない、あるいは公共用地にしようと思ってもなかなか手に入らないというこの日本の状態の中で、とにかくかなりの思い切ったことをやらなければいかぬのじゃないだろうかと思うわけであります。この前もちょっと大臣にお伺いしたら、そんなことはないという話でした。大蔵省としても、これは何という制度ですか、とにかく公示価格以上の値段で売った場合には税を課するという制度、これも検討に入ったというふうに聞いておるわけですけれども、この前大蔵大臣は否定なさいましたが、これはもっと真剣に考えてみる必要があるのではないかと私は思うわけです。 ちょうど時間にもなりましたので、きょうは何かいろいろとあっちこっち結論を出さないままになってしまったような感があるわけなんですけれども、そう一回でこの土地の問題は解決がつかないと思いますので、またの機会にさせていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
○高木(文)政府委員 ただいま最後に言われました中で、前回大臣が答弁いたしました土地の一定価格以上についての非常に高い税率での課税ということについて、大臣からそういうことは考えていないという意味の答弁がございましたが、それは実は当時新聞記事で、非常に大蔵省のほうで積極的にそういうことを考えているような感じで報道が伝えられましたので、そういう意味では否定をされたものでございます。基本的には土地政策については、政府全体として何とかしなければならぬ問題でございますし、税制としてもあくまで補完的な作用ではあるとはいうものの、真剣に取り組まなければならぬ問題でありまして、そしてその中の一つとして、ただいま御指摘の点があることは、おっしゃるとおりでございますが、何か他の政策に先がけて、ある一定額をこえた部分の全額徴収というような制度を、いわば大蔵省がまっ先になって考えているというようなことではないという意味での否定の答弁であったと私どもは理解をいたしておりますので、付言させていただきます。
○木野委員長代理 午後一時三十分より再開することといたし、この際、暫時休憩いたします。 午後零時七分休憩 ————◇————— 午後一時四十九分開議
○齋藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。広瀬秀吉君。
○広瀬(秀)委員 租税三法の政府から提案されている法案の質問に入る前に、税理士関係の問題について若干の質問をいたしたいと思うわけであります。 そこで、昭和四十七年三月二十四日に、内閣総理大臣から、横山利秋君の税理士制度に関する質問に対する答弁書が出されました。この答弁書攻めぐって最初に質問をいたしたいと思いますが、横山利秋君から、三月十七日に、税理士制度に関する質問主意書が出されたわけなんです。これは要するに、わが国の税制は自主申告納税を基本とした租税法律主義による納税制度を採用している。そこで、今日の税制全般を通じて、ある程度の不平等問題、重税の問題、手続がきわめて繁雑である、こういう問題があるということを指摘をいたしまして、そういう中における税理士の持っている使命というものはきわめて重大である。 そこで、税理士は、納税者の代理人となり、納税義務の実現及び権利救済に奉任する者であることは当然であるが、租税の憲法的意義を踏まえて、租税制度全般にわたって国民の権利を擁護すべき立場にあるのだ。この点について現行法では、税理士の立場というものを「中正な立場」という表現を使っておる。これは三十九年の法改正の際にも、「中正な立場」とは一体何なのかということをめぐってたいへんな議論が行なわれ、その際の税理士法改正案は葬られたいきさつもあるわけでありますが、どうも、国税当局、大蔵当局におきましては、税理士制度を「中正な立場」ということに名をかりながら、納税行政の補助機関としてとらえておるのではないかということが問題であるということを指摘をいたしまして、税理士の基本的職責を再検討し、税理士は、租税法による国民の権利を擁護し、納税義務の適正な実現をはかることを税理士の使命として根本的に規定をし直すべきではないか、そのための税理士制度におけるいわゆる自主性の強化ということで、自主的な賞罰、自主的な研究、そして社会的地位を向上する、そういうような形で法律改正の必要がある、こういうことをいっておるわけでございます。 次いで、この問題ときわめて深い関連のある今日の税理士の試験制度について、いわゆる特別試験というものと一般競争試験というものとの間にきわめて大きなアンバランスがあるということを、数字を指摘してこの不合理というものを強調しておるわけであります。したがってこういう問題についての改善策を当然講ずべきであろう、このようにいっておるわけであります。そうして、この試験制度の不平等、不合理というものから、特試の場合には合格率が平均しても八〇%に近いという状況であり、しかも現在二万名近くも特試の人たちがおるというようなことも指摘をいたしておるわけでありまして、この点の是正というものが必要であろう、こういうように問題を提出して質問をいたし、この点における改正の考えはないかということをただしておるわけであります。 このようなものに対して、総理大臣の答弁書が先ほど申し上げたように出されたわけでありますが、改正の必要は認めない、また、特別試験制度は、「いたずらに暗記力に頼る試験になり易く、実務能力を強く要請される税理士の資格を判定する試験方法としては必ずしも適当でない面が多い」というふうに税調の答申を引用いたしまして、一般試験を補う上で一応の意義があったと評価しているのだ、こういうようにいっておるわけであります。したがって、諸般の配慮を欠いたまま特別試験制度をにわかに改廃することはないのだ、こういう答弁書を出されておるわけであります。 そこで質問をいたしたいのは、今日の税理士制度において、三十九年改正法が提案され、これは廃案になったことは先ほど申し上げたとおりでありますが、税理士法について、全く改正の意図はないか。しかもこの委員会で十分論議されたような「中正な立場」という問題を、基本的なものとしてこれにはかなりの問題がある、やはり税理士の立場というものは、租税法律主義に基づいて、国民の側からいうならば正しく納税をする権利というものがある、そういう納税者の権利というものを擁護する立場に立つ、こういう面が一つもいわれないというようなことでは問題があるということが、前にも非常に論議されたわけであります。そういうようなものを踏まえて、さらにそれとの関連をもって、税理士の自主性というものをもっと強化する方向において税理士法の改正ということを全くやる気がないのかどうか。この問題についてまずお伺いをいたしたいと思うわけであります。
○高木(文)政府委員 税理士法制度全般につきましては、いろいろ問題点がございます。また、社会経済事情の変化に伴いまして、制度が随時流動していかなければならないものであるというふうには考えておりますが、しかし、各般のいろいろら事情から見まして、たとえばことしとか来年という時期に特に税理士制度の改正問題をたとえば税制調査会で取り上げて議論するということは、現在の段階では考えていないわけでございます。 しかし、ただいま御指摘のような問題もありますし、ほかにもいろいろ問題がございますので、長期的な観点においては、いずれの時期にかこれを取り上げていくべきであろうかと思っております。
○広瀬(秀)委員 税理士法が制定されたのが昭和二十六年と記憶いたしますが、二十六年から見てもう二十一年の経過を経ておるわけであります。その前にも税務代理士法というものがあったわけでありますが、そういう中でも、税理士法というものが二十年の経験を経ておる。こういう中で実績も積み上げられてきておる。そういうような立場で、しかも「中正な立場」というものは一体どういうものなんだということでありますが、この問題については、先ほども申し上げたように、三十九年の法改正のときにきわめて多くの議論が行なわれている。それで、税理士というのは納税者の権利を擁護するということは、主税当局としても答えられているし、当時の国税庁長官も答えられておるし、大蔵大臣もそういうことを答えられておるわけであります。それにもかかわらず、どこまでもこの「中正な立場」というものを固執されるというのは、今日までの実績の上に立って、いささか時代おくれではないのか、こういう気がするわけでありますが、今回の答弁書においてもそういうところから一歩も前進をしてない。税理士法改正をやる気はないというように言っておられる。このことについて長期的にはそういう方向というものに改正の気持ちはあるというのですが、どのくらいの時期を想定してそういう答弁をされるのか、この点を伺いたいと思うのです。
○高木(文)政府委員 私が申し上げましたのは、ただいま御質問の「中正な立場」という点だけについて申し上げたわけではなくて、むしろ全般について申し上げたわけでございますが、先般来商法の改正の問題等と関連をいたしまして、公認会計士の問題等との関係で非常にデリケートな問題がいろいろ起こっております。そこらについての税理士業界、公認会計士業界あたりの非常に複雑な関係もございますので、私はいまたとえば昭和何年くらいからということはなかなか申し上げにくいわけでございますが、少なくともことしの段階においてはちょっとこれを取り上げる時期としては適当でないのではないかというふうに考えておるわけであります。
○広瀬(秀)委員 大蔵大臣、この税理士の立場というものは、今日の税理士法では「中正な立場」こういう文字が用いられている。大蔵大臣はこの「中正な立場」というものをどのような解釈を持っておられるのか、この点を……。
○高木(文)政府委員 先にちょっと説明させていただきますが、私どもの考え方といたしましては、前回の質問主意書に対する答弁書に引用いたしました税制調査会の審議の過程においても詳しく議論されたわけでございますが、税務の仕事というのは、いわば非常に大量的な仕事でございますし、それから税については何よりもやはり公平ということが最大の問題でございます。確かに税務におきます納税者の権利の擁護、義務の適正な実現ということが必要なわけでありますが、その場合に、他のいろいろな弁護士をはじめとする職能とどういうふうに考えるべきかという場合に、税の場合には単にその税理士に依頼をしました依頼者の権利を一〇〇%擁護すればすべてであるというわけになかなかいかないのではないか。つまり国の課税権が法律の予定するところを越えては絶対にいかぬわけでありますけれども、一面においてまたそれは法律の予定するところに従って適正に実現していかなければならないという関係にあるわけでありまして、一方の特定の方の納税義務が完全に履行されないということは、それだけまた他の納税者との関係において不公平を生むという関係にあるわけでございますから、そこに税務というものの非常に特殊性があるということが言えるのではないか。普通の民事、刑事のいろいろな紛争についての処理とはその辺の事情が違うということを特に考えるべきではないか。その意味において、この「中正な立場」ということの税理士における特殊性ということが強調されておるものと考えておるのでございます。
○広瀬(秀)委員 この答弁書によりますと、「法令に規定された納税義務の適正な実現に資するためには、税理士が納税者の委嘱を受けて職務を果たしていくその立場は、委嘱者の立場とまったく重複するような形においてではなく、税務会計専門家として見識のある判断を加えるという形において把握されなければならないことは当然であろう。」こういうようにいっておられる。納税者は相当な法所定の料金を払って税理士をそれぞれ頼むわけであります。だから、金を払っている者に対して何でもかまわない、その利益だけ擁護すればいいのだ、こういうようなことを私どもも言っているわけではない。その点は横山利秋君の質問主意書の中でも、税理士の基本的職責を再検討して、税理士は租税法による国民の権利を擁護する——租税法による国民のという前提をちゃんと置いているのです。国民の権利を擁護し、納税義務の適正な実現をはかるのだ、こういうきわめてあいまいな概念であるこの「中正な立場」というものを、そういうぐあいに私どもは改正をすべきだ、このほうがよほどはっきりする。どうしても現行法の税理士の職責という、税理士法第一条、「税理士は、中正な立場において、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務を適正に実現し、納税に関する道義を高めるように努力しなければならない。」この「中正な立場」ということばほどわかりにくいあい使いなことばはない。したがってこういう目的というものがやはり今日の税理士問題、税理士の不満というようなものの根元をなしているきわめてあいまいな概念である。 そこで大蔵当局は、この租税権力主義というものをどうしてもぬぐい切れないものを持っておる。そういう中からこの中正という立場を出すことによって税理士というものを、言うならば国税庁の補助機関のようにしていこうというものが、どうしてもその法律の体系の展開の中でそういうものになっていく、その根元はこの「中正な立場」というものの中にある、こういうふうに思うわけです。よりその点を明確にするためには、私どもが主張するような、先ほど申し上げたような表現に変えてすっきりさせていく、そういう納税者の権利を擁護する、そうして租税法律主義に基づく、税法に基づく義務の適正な実現をはかっていくのだということでいささかも支障はないし、国民の側においても、税理士の職責というものがはっきりするし、納税者の租税法に定められた権利義務、特に権利の擁護者としての立場というものが明確になっていく、こういう関係にあるだろう。いまの「中正な立場」というような表現はきわめてあいまいもことしている概念である。こういうものに対しては、もうすでに二十年を越す年限がたっているわけでありまして、税理士制度というものも定着をしておる、こういう状況にもあるわけでありますから、大蔵大臣どうですか、もうそろそろこういう租税権力主義から抜け出した形で税理士の立場というものを、権利の擁護者である、そうして適正な租税法に基づく国民の義務の実現をはかる、そういう明確なものにこの職責を直していくというようなことを含めて、税理士法の改正というものも早急に、これは来年やれあるいはことしやれというようなことは、いま約束をしてもらおうとは思いませんけれども、もうそういうことをやるべき段階に来たのではないか、このように私は思うのですが、大蔵大臣の所見を伺いたい。
○水田国務大臣 税理士制度はもう長い年月を経ておりますので、もう定着してきている制度でございますし、したがって長期的に見ては検討の時期に来ているといういま答弁があったとおり、私もこれは検討していいことであると思っております。中正ということばが非常にあいまいだということでございましたが、必ずしも字に固執するのではなくて、実際の内容において徐々に国民の権利を擁護する機能というものが多くなっていき、それを中心にいろいろ長期的な改善がはかられるということはいいことだと思いますが、御承知のように、いまはまだ納税者の権利擁護一点ばりでいくというよりは現実には税理士は青色申告の指導者とか啓蒙者とか、そういういろんな意味も果たしておって、税制全体の公平ということにもいま非常に貢献しているし、またそういうことに尽くすべき使命も現在において与えられるというのが実情でございますので、一方へ脱し切れないということは、まだそこまでいままでの条件が成熟していなかったということもいえるだろうと思います。これは条件がだんだんに成熟していくということになりますと、税理士の機能というものもどこへ重点が置かれるかというような変化がだんだんにあってもいいというふうに私は思います。
○広瀬(秀)委員 やや前向きな答弁ではありますが、先ほど読み上げましたように納税者の権利を擁護するということについては何一つうたっていない。かろうじて「納税義務者の信頼にこたえ、」ということになっている。 〔委員長退席、木野委員長代理着席〕 それから、納税義務の適正な実現ということは、われわれも全然否定しておりません。これはわれわれのほうでもこういうふうに改正すべきだということでちゃんとそのことを言っているわけです。 さらに、権利擁護一辺倒のことではない。そのために青色申告のすすめをやったりというようなこともあるし、あるいは納税に対する道義を高めるように努力をしなければならないことになったり、三十九年当時は道義を高めるものとするとかなんとか、努力という表現じゃなくて改正案は出たようでありましたけれども、そういう問題。それも税理士というものはやはり憲法における租税法律主義に基づいて、その法律に定められておる適正な納税をするという、これは義務であり同時に権利である。そういうような権利を擁護する、少なくとも税法に定められたものが適正に実現されないでそれ以上不当に高く税金を納めなければならぬというような疑いを持っている一人一人の納税者に対して、権利を擁護するんだという立場をはっきりさせて初めて信頼というものも出てまいるんだし、そしてまた指導やその他の面で国税当局に協力する問題なども、そういうものが土台にあって初めて有効に指導もできるし、あるいは青色申告を白の中から指導をして進めていく、白から青にどんどん転換をするというような指導などもやっていくということがより有効に適切に展開をされていく基礎が初めてできるんだと思うのです。ただ、権利擁護という面がまるきり欠落しているこの条文の中からはそういう税理士に対する信頼というものは出てこないようになる。あとはほんとうにばく然とした、評判であの人はいいあれだというようなことで信頼がされるというような、個人的な人徳でというのじゃなくて、あの人はやっぱりきちんと権利を守ってくれるんだ、そういうような形における本質的な信頼関係が打ち立てられるためにも、もうそういう時期が私は来ていると思うのだけれども、大臣はそういう時期に来ているという考えにはまだ立てないのですか。
○水田国務大臣 実際問題においては、税理士が納税者の権利を擁護しなくて税務署側の言うことばかり聞くという税理士だったらこれは信頼されないというので、事実上は権利の擁護をしておることは間違いございませんが、ただ現行法上においていままで「中正な立場」という字を使用しておりますので、これをきれいにとるということになるについては、とるだけのまた税理士法の改正の一つの結論を持っていなければなりませんが、まだ改正の方向とか結論というものを十分に持っていませんので、それは結局まだいままでこの字句をとる情勢が熟していなかったということもいえるでしょうが、しかし実際においてはその方面に比重を置いた方向の検討がなされなければならぬということを私どもは認めますので、したがってこれからこの税理士法の問題はなくなるということでございますし、実質案を検討したいと私は思います。
○広瀬(秀)委員 いまおっしゃった趣旨は十分理解できます。しかし、そこまで大臣が言われるのならば、この「中正な立場」というような何やらわからぬ立場、しかし現実の運営の中ではやはり国税当局自身の権力主義的な、また権力優位的な考え方というものがどうしてもまだまだ国民の中からぬぐい去れない状況の中で、税理士の職責というものを、租税法による国民の権利を擁護するんだ、そして納税義務の適正な実現をはかるんだというような形に直していけばこれがより一そう明確になるのであって、大臣のいま前段に言われた権利擁護というものがなければ信頼も得られないであろうというそういうものは、そのまま、職責という点についての法文を改正するとすれば、私が先ほどから何回も言っているようなものに改められてしかるべきものである、こういうように考えるのでありまして、そういう点で、この問題については前向きに一歩を進めて真剣に検討をされるように要望をいたしておきます。 そこで、事務当局に伺いますが、いま税理士に登録している人数は一番新しい数字でどのくらいおりますか。
○吉國(二)政府委員 四十六年度末におきまして二万五千八百七名でございます。
○広瀬(秀)委員 そのうち一般試験合格者と特試合格者に分けてどういう数字になりますか。
○吉國(二)政府委員 一般試験と特別試験だけのグループではなくて資格認定者もございますので、ちょっと分けて申しますと、特別試験合格者が五千五百七十五名、それから資格認定ないし特例法の認定による者が二千二百六十九名、残りが一般試験の合格者でございます。
○広瀬(秀)委員 残りの数字を言ってください。
○吉國(二)政府委員 残りは、差し引きいたしまして一万七千九百六十三名がいわば一般試験合格者になるわけでございます。もっとも、その中に公認会計士、弁護士が入っておりますので、さらにそこから三千六百七十五名を差し引かなければいけませんので、純粋に一般試験で合格した者というのは一万四千二百八十八名ということになります。
○広瀬(秀)委員 昭和四十六年度の一般試験で何名合格をし、また特別試験、あるいは資格認定者、こういうような者、四十六年度ではどういうことになっておりますか。
○吉國(二)政府委員 一般試験の合格者が、四十六年度におきまして七百二十一名でございます。それから特別試験の合格者が、二千七百四十二名ということになっております。
○広瀬(秀)委員 この一般試験の合格者、いま七百二十一名ということでありますが、これはどのくらいの受験者の中であったか、そして合格率は何%でございますか。
○吉國(二)政府委員 受験者数は三万二千九百九十七名、この合格率は二・二%ということになっております。
○広瀬(秀)委員 特別試験の合格者が二千七百四十二名、これは受験者は何名で、同じく合格率は何%でございますか。
○吉國(二)政府委員 四十六年度におきましては、受験者数が三千百三名、合格率が八六・六%になっております。
○広瀬(秀)委員 横山委員が質問趣意書の中で、いままでの制度発足以来の数字のおおよそをあげておきました税理士試験の受験者が、制度発足以来かどうかわかりませんが、三万三千名、ほかにこれを目ざして勉学に励んでいる者約二万名はあるといわれる。この試験の合格率は、四十六年度の調べでは一三・一%課目合格率、最終合格率二・二%、こういうきわめて狭い門であるということを指摘しております。これは四十六年度のことでございますね。それで一方において特別試験によるものは、三千百三名中二千七百四十二名で合格率八六・六%、こういう状況であります。 大臣、こういう数字をなまで出されて、同じ税理士を目ざす者として、この数字をいまお聞きになって、片方一般試験によるものは三万二千九百九十七名のうち七百二十一名、合格率二・二%という、片方は三千百三名中二千七百四十二名、そうして八六・六%、約九割に近い合格者が出ていますね。こういうものについて、大臣の率直な御感想を……。
○水田国務大臣 問題は、特別試験制度というものがいいか悪いかという問題だろうと思います。もし特別試験制度というものの必要があるということで、この試験を行なうとしますと、ただ単に税理士試験に受かるための勉強をしている一般の人と、そうじゃなくて長い間税の実務に携わっておる人の合格率では、これは税の試験である以上は、長い間実務に携わっている経験者のほうが合格率が多いのは当然であって、またそれだけ実務家であるだけ、納税者にとっては便宜が多いということになるだろうと思います。 〔木野委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、合格率の多い少ないというのは、当然経験者のほうが多いというのはあたりまえだと思いますが、問題は、そういう試験をすれば合格率の多くなる特別試験制度の適否、可否とかいうような問題はあるでしょうが、合格率の多いということについてはこれは私は当然であって、何もふしぎはないという気がいたします。
○広瀬(秀)委員 合格率が多いのは当然だと言っておるわけですが、同じ税理士になるのに一般競争試験では二・二%であり、一方は特別試験なるがゆえに合格率が八六・六%にもなる。こういうことは、実務経験を持った者が税理士になることが必要なんだ、こういう立場に立って、そういう必要がある限りにおいては、その実務経験の豊かな者が合格率が高いのはあたりまえだという答弁でありますが、これほどの差があってはたしていいのかどうかということであります。 最初に、それならば昭和二十六年の税理士法が制定をされた際には、この特別試験制度というのはなかったはずであります。そして昭和三十一年改正の際に、五年間という期限をつけて、税理士の職責を全うするために実務能力というものが非常に必要だというようなことで、当時はまた税理士の数も、一般競争試験をもって合格する者あるいはまた弁護士でやる者、こういうような者が非常に少ないというようなことから、五年間というようなことも出されたんだろうと思うんですね。そういうことである。しかも三十六年改正では、それが今度は五年の期限が取り払われて当分の間ということになった。そしてそれ以来もうすでに十一年もたっておるわけでありますが、そのまま当分の間ということで、このような非常に合格率の高い特別な試験、その特別な試験もこれは合理的な試験とは必ずしも言えない、非常にメリットのある不平等な試験制度が行なわれている。落とさないように、合格させるためにあらゆる苦労をするというようなことで、メリット点を与えるとかというようなことまで含めて、非常に問題のある試験制度になっている。こういうようなことについても、そういうものはもう目的正しければどうでもいいことなんだというようなお考えで、この問題について何ら疑問を差しはさむ余地はないとおっしゃるのですか。
○水田国務大臣 この合格についてのいろいろなそういう問題で、検討すべき問題があるということでございましたら、これはその点は是正すべき点は是正しなければなりませんが、いまおっしゃられましたように、この合格率が全く格段に違うことについてどうかということでございましたので、違うことについては私は当然である、こういうふうに考えているわけであります。それじゃそれだけの差を持っているんですから、現在の税理士が全部この特別試験制度による税理士によって占領されておるかということになりますと、実際においては二万名のうち大体五千人というような比率を維持しておるということでございますので、その点においてもそう不合理な比率ということにもなっていないのじゃないかという気がいたします。
○広瀬(秀)委員 一定の税務官署に勤務をした年限というものがあれば、税法は免除をされる、こういう試験科目の免除があるわけであります。そしてさらにその上に、あと税務職員の場合だったら会計学あるいは財務諸表というようなものについてだけ試験が行なわれる。この試験の内容もきわめて程度が低いというか、やさしいというか、そういうものを問題としても出される。そしてその点数が足りなければ、さらに口頭試問の段階で合格する点を与えるような試問をして補ってあげましょう。さらにまた、勤続年数に応じて点数の足りないところは百分の三十あるいは勤続年数かける百分の一というような点数を合計して、試験で獲得した点数にそれをプラスしてやる、こういうようなことまで行なわれている。これは法の前に国民は平等であるという憲法上の規定からいっても、少しく権衡を失してはいないのだろうかというように私どもどうしても考えざるを得ないわけであります。こういう特別試験というものを設けた趣旨は一体どこにあるのか、このこととあわせて大臣の所見を承りたいと思うわけであります。
○水田国務大臣 一ぺん、試験執行の実情について国税庁長官から……。
○吉國(二)政府委員 御承知のように、税理士制度に至りますまでにはいろいろな時期がございまして、最初は税務代弁取締法というような取り締まり規則でやっておったような時代がございましたが、昭和十七年に税務代理士法ができたわけでございます。当時は一定の年限税務行政に携わった者につきましては、資格審査をいたしまして税務代理士になるという道があったわけでございますが、税理士法ができました際に、十五年以上勤務をいたした者につきましては資格認定をいたしまして、その認定を受けた者は税理士の資格を得るということで、一応そこで整理をいたしました。しかし、当時十五年を経過していた者が資格認定を受けて、その後さらに経験を積んで十五年に達した者が全く放置されているというのは不権衡であるということから、昭和三十一年にこの試験制度ができたわけでございます。さらに、御承知のように、五年間の経過がございまして改正をするということになりましたが、根本的な検討が十分でないので、その検討による改正を行なうまでは当分の間はその特別試験を存置するということで現在に至ったことは御承知のとおりでございますし、その間税制調査会でもいろいろと検討いたしまして、三十九年に改正法を一応提出したというかっこうになっております。 なお、この試験制度の問題といたしまして、御指摘のように非常に差別があるではないかというお話でございますけれども、この税理士の資格を認定するについて、試験だけを形式的に行なうべきか、あるいは実質に即して認定をすべきかという問題が当然あると思います。現にアメリカにおきましてもドイツにおきましても、試験制度のほかに、たしかドイツでは五年、アメリカでもたしか五年でございますか、課税の実務に携わった者については無条件で税理士の資格を与えているわけでございます。つまり実質的に税理士としての適格が推定されるような職務についていた者については、それをもって認定とするというのがいまの両国の例でございますし、わが国の立法例にいたしましても、弁理士、司法書士、海事代理士、測量士、いずれも試験制度でございますけれども、実務に携わっていた者については認定によって資格を与えているわけであります。そういう意味では、税制調査会の検討によりますと、一定の年限を経過した税務職員については、むしろ認定をもって資格を与えるべきではないかという議論がありまして、政府原案では当初はそういう案であったわけであります。 そういう意味の現在の特別試験と一般試験を並列して全く同じレベルで考えることは、私は無理があるのではないかと思いますし、また全国の税務職員の団体でございます組合におきましても、昔のように認定制度というものを強く要望もいたしておるという一面もございます。そういう意味で、この特別税理士試験につきましてこれをどうするかというのは、根本的にやはりもう一回考えて、あるいは極端にいえば、一方の極には資格認定でもいいではないかという考え方、また一方の極端には特別試験廃止という考え方があるわけでございまして、その間をいかに調整していくかというのが今後の課題であろうか、かように考える次第であります。
○広瀬(秀)委員 長官、それではもう一つ聞きますが、大体税調などでも、試験制度において暗記力にたよる試験になりやすいという弊害があるということで、実務能力を強く要請される税理士の資格を判定する試験方法としては必ずしも適当じゃないんだ、こういうことを言っておるわけであります。 そこで、一般試験で合格される平均年齢というのは大体何歳ぐらいですか。
○吉國(二)政府委員 現在正確な資料を持っておりませんが、大体三十年代だと思います。御承知のとおり、一般試験の場合は科目別合格制度をとっておりますので、三万人受けていると申しましても、実はその中で一科目だけ受けているというのが大多数でございます。したがいまして、全科目を受けて全科目で合格するという者はほとんどない。一つずつとっていくという形の試験でございますので、全体として見ますと二・二%でございますけれども、受けた科目について見れば大体一六、七%が平均の合格率ということになっておると思います。 ちょっと余談になりましたが、平均年齢は大体三十年代とお考えいただけばいいと思います。
○広瀬(秀)委員 三十年代ということになれば、記憶力、暗記力というようなものは十代から二十代、むしろ十代が一番すぐれているだろうと思います。それからだんだん減退してくる。最終的にようやく到達をする人たちが大体三十歳から三十歳ぐらいのところに集中しているようであります。そういうことになれば、暗記力にたよって合格に必要な点数を獲得していくという者も、なるほどそれはあるけれども、その年代でなければ通らぬということでは、実際に一般試験で受験しておる人たちももうそろそろ暗記力が減退して、経理事務所で働いているとか、あるいは税理事務所で働いているとか会計事務所で働いているとか、かなりそういうような実務をやりながらやっている人たちだろうと思うのです。そしてかなり暗記力も減退したところで、最終的にはようやく合格していくというような結果が、しかも一科目、一科目ずつ営々として積み上げて取ってきて、最終的に、税法を三つ、会計二つという五科目を制覇をして、ようやくそこへ到達をする。そういうきわめてたくさんの激しい競争の中から、そういう困難を克服しながら合格をして、したがって、科目では十何%になるにしても、最終合格というものが毎年出るのが二%とか三%とかいうようなことになるというものと、片方では、科目も免除される、その上に、限られただけの、ほんの会計関係の二科目、これも非常にやさしい試験が出される、しかも、それを口頭試問で補う、さらに勤続年数によるいわゆる参酌点というようなもので救われていくと、こういうようなことが今日の特別試験制度になっている。こういうような問題について、同じ資格を取得するための試験において、片方は実務経験があるからということでそれだけの優遇を受けるということについて、皆さんは全く疑問を持たれないのですか。少し不平等過ぎるというような気持ちは持たれないのでありますか。その点念を押して伺っておきます。
○吉國(二)政府委員 先ほど申し上げましたように、税理士の仕事というものについての実務経験というものは、税務行政の中で税務の仕事をしたということによりてほぼその大部分をカバーするだろうということがいえると思うのであります。そういうところを考えて、むしろ諸外国では、一定の年限つとめれば認定で認めてしまう、試験を必要としないということにしておりますのが実情であると申し上げましたが、わが国におきましては、その点、二十年という実務経験を一応要求し、かつ試験を加えているわけであります。まあ私どもの立場で申すと、たいへんかってなようにお聞き取りかと思いますが、私どもは、むしろ日本では厳格な資格認定をやっているんじゃないかというふうに考えているわけでございます。そういう意味では、私どもはむしろ、あるいはその資格認定について厳格な条件が必要かとは思いますけれども、六十、五十というような人に試験をするというよりは、その実績を認定をして資格を与えるという税制調査会の考え方にしていただくほうがよりいいんではないか。そういう点から申しますと、あるいは御指摘のように甘いという御感覚かもしれませんが、私どもは、これだけ、数十年の経験を持った者が一片の試験で左右されてしまうということには、むしろ忍びないような気もいたすわけでございまして、でき得れば資格認定という道を開いていただきたいというのが率直な気持ちでございます。
○広瀬(秀)委員 この資格認定という問題になりますと、これはまた新しい、別な角度から論じなければならない問題も含まれると思うのでありますが、三十九年の改正法では、そういう方向で、一応税調答申をもとにして出されたということでありますが、現在やはり税理士も、国民の納税上の権利を擁護しながら、信頼にこたえながら、そしてまた納税道義の高揚につとめながらということをやっておるわけでありますが、やはり業としてりっぱにそれらの職責を果たすことを通じて生活をしていかなければならない人たちであります。そして今日の、いわゆる税理士が関与するお得意先というか、こういうようなものが一体どのような数字で増加をし、そしてまた特別試験を含めて、合格者の数がどういうようにふえていくかということの間にきわめて大きなアンバランスがあり、税理士のふえていく数はものすごいピッチで、五年間で倍以上になるというような形になっている。ところが、いわゆる関与先として主として申告所得者あるいは申告法人、こういうようなもののふえ方、特に税理士の関与するところは比較的中小企業の分野が多いわけでありますが、そういうもののふえ方というものを、資料があったらひとつお示しをいただきたいのでありますが、私どもの調べたところによりますと、大体お得意先がふえる数というものが三〇%ぐらいに対して二・五倍ぐらいの数がふえているというようなことがいわれておるわけでありますが、大体そういう数字に間違いありませんか。
○吉國(二)政府委員 御指摘のように最近確かに税理士の登録者数はふえてきております。三十年当時約八千人でございましたのが、現在二万五千ということでございますから、約三倍だと思います。同時に、納税者数にいたしましても、申告納税の納税義務者数は昭和三十年から約二倍をこえておりますし、法人数にいたしましても、二倍半をこえる程度になってきております。もちろんそのふえたすべてが税理士が関与するというわけではございませんが、税理士関与を求めるという傾向は次第にふえつつあると思いますので、そういう意味では、両者のふえ方がパラレルでなくても、機会が非常に減ってくるという状況までは立ち至ってないのではないかというのが私どもの観測であります。
○広瀬(秀)委員 昭和三十五年から中小企業の事業所数というものは、四十四年まで十年間で、大体三十五年を一〇〇にして一三〇ぐらいにしかなっていない。これに対して税理士登録数は二・二倍ぐらいになっている。こういう数字があるわけでありますけれども、まあ、この傾向というものはこのくらいの開きがあるんじゃないか。いま二倍と三倍というようなことを言われましたが、少し正確にその辺のところを示してもらいたいことが一つと、それから、先ほど特別試験合格者の中で登録者は五千五百七十五だというのでありますが、合格をしてまだ登録をしてない、まだ在職をしている、こういう人たちがどのくらいあるか、この数字も同時に示していただきたい。
○吉國(二)政府委員 現職で資格を持っていて、もちろん現職でございますから登録できないという形のものが、概数にして一万五千程度でございます。
○広瀬(秀)委員 それから前段の……。
○吉國(二)政府委員 私が申し上げました二倍ないし二倍半と申しますのは、三十年から現在まででございまして、営業の納税義務者数は二倍ということを申し上げましたが、正確にはこれは後ほど数字で申し上げます。それから法人数にいたしますと、三十年からは、当時の法人数が約四十万、現在は百万をこえておりますので、二倍半ということになります。三十年から三十五年の間に法人が非常にふえておりまして、三十五年から申しますと、法人数が六十万から百万になっておるというのが実情でございます。
○広瀬(秀)委員 いま最後におっしゃった数字によりましても、非常に問題があると思うわけであります。特試による合格者が一万五千、これは言うならば潜在予備軍みたいな形でいま税務署の中にまだおられる、こういうことになるわけであります。この人たちがやがては税理士として立っていくのに、またお得意さんを獲得するのに目安がつくと、事務所を開設してちゃんとやっていける目安がつけば、どんどん登録して税理士業務を始めていくということになっていくわけでございます。それで、大体二十年以上つとめたというような人たちがみなそういう試験を合格していく。いまは国税職員は大体五万二、三千ということだと思うのでありますが、この人たちのうち大部分がやはり全部これから特試の恩恵にあずかって、税理士に天下りというか横すべりというか、そういうような形でずっといくということになると、一般試験というものがいよいよむずかしくなってくるし、一般試験の狭き門を通った人たちの活動の分野というものが非常に狭められていく、また業としても得意先というようなものが狭まることによって、たいへんな生活の脅威にさらされるというようなことにもなりかねない、こういう可能性というものをはらんでいるわけですね。だとすれば、最初五年間で出発をした当初はそういう制度はなかった。さらに五年間、それから当分の間ということで、一体どこまでこの制度を続けていかれるのか。そしてこれは現在でも一万五千というような予備軍がおる。これが毎年、先ほどの四十六年の数字を見ましても二千七百人もふえている。毎年そういうような形でどんどんふえていくということが当然に予想されるわけです、現行制度そのままだとすれば。そういうことになるわけですね。 この点について、将来の見通し、一般競争試験、激烈な狭き門を突破してなる人たちが、特試によって比較的安易に資格を与えられる人たちと非常に激しい生存競争の中で生きていくというようなことについて、どういうような見通しを皆さんは持っておられるのか。その時期は意外に早く、この一万五千人の予備軍がどっと一ぺんに出ただけでもたいへんなことになるだろうと思うのですね。これは税理士業務というものが、標準的には、なかなかむずかしいでしょうけれども、大体どのくらいのお得意先を持てば業としてりっぱに成り立っていくのかどうかというようなものをどのくらいに見ておられるのかという見通しを含めて、将来このような勢いで合格者が出ていくということについて、一体長官としてはどう見られておるのか。この点を伺いたい。
○吉國(二)政府委員 確かに潜在的な資格者が一万数千名おるということになりますけれども、ここ十年程度を考えてみますと、税務の退職者というのが年間千四、五百人前後でございます。そういう意味から申しますと、その潜在資格者が非常に多いという点は、これは御承知のとおり、昭和二十年から二十五年の間に税務職員の数は非常にふえまして、その職員が現在すべて二十年をこえまして資格者になったということがございますが、その関係でこれらの人がまだ相当つとめるということも予想されますし、毎年の現実の登録のふえ方を見てまいりますと、千四、五百人退職をいたしましても、その登録のふえ方はそれほどでもありませんので、一万五千という人が全部短期間にふえるということは予想できないという感じがいたします。さらに、税理士特別試験もことしぐらいがいわばピークでございまして、今後は受験資格者が非常に減ってまいります。そういう関係で、私どもは、これから試験を受けて税理士資格をとる者の数は特別試験では急激に減るだろうという見通しを持っております。いずれにいたしましても、税理士として退職後仕事をする人数は、この一万五千がすべて一時に出るということは考えられないわけでございますけれども、今後かなり登録者数がふえることは事実だと思います。 ただ、先ほどのお話にございました、どのくらいの人数を持てば税理士の仕事が成り立つかというのは非常に個人差がございまして、極端に仕事のやり方によって差が出てまいります。私どもとしては、現在のままで飽和状態にあるとは考えておりません。むしろ僻陬の地等では税理士が不足をしていて、ことし御承知のように申告期には商工会議所の職員等を臨時税理士として認めていただかなければならぬというような状態になったわけでございまして、これによって非常な飽和状態にあるとは考えておりませんが、いずれにいたしましても、この問題は、そういう御指摘のような点もあわせて考えながら、将来の問題として制度として考えていくべきことは事実だと思っております。
○広瀬(秀)委員 比較的楽観的な見方をしておられるようですが、これは特に狭き門を突破して一般競争試験の中で専業として税理士をやっておられる人たちにとって、この特試による資格者がどんどん年々歳々ふえ続けていくということは非常に問題だろうと思うし、また特試で合格をした人たちも、せっかくそういう資格はとったけれども、税理士の数が非常に過剰になって、得意先が非常に狭められてお互いに食い合いをするということになったら、その人たちもせっかく特試に合格はしても、なかなか生計を維持し、りっぱな生活をそれでやっていくということにはなれなくなってくるということにもなりかねないわけで、漫然といまの制度を続けていく限りはそういう事態に必ずなっていくのだということは、だれが、三つ子が考えても、算術的に考えたってそういう事態になっていくことだと思うのです。 そこで、このような特別試験制度というものを、最初法ができたばかりには、特別な資格認定をやったということはあった。それはその回一回限りの措置としてやった。しかし、そのあと今度は五年の期限、そのあと当分の間ということで、そこに何らの歯どめもないのですね。当分の間がもうすでに十六年も続くということになっているわけです。一体この特別試験を設けなければならなかったほんとうの理由というのは一体どこにあるのか。これは税務職員が非常に低賃金の中で、労働条件の悪い中で、納税者の抵抗や何かもあったりという中できびしい仕事に従事をしている。そういうものに対する優遇措置というような観点からこれをやられるとするならば、それはそれなりに問題がある。優遇措置というのは、在職時における給与をもっとよくするとかあるいはまた退職時における退職手当というものについて特別な配慮をするとか、ほかの方法というものがあり得るはずだし、そしてまた税務職員が在職当時から税法に精通し、さらに会計や簿記に精通し、そういうような実力が認められるということになれば、退職のあとにおいてもそれは適当なところに、どこにでも引っ張りだこで来てくれ、来てくれということで新しい生計の道も得られるというようなことになる。そういう点でむしろ考慮をすべきであって、同じ職責を持つ試験で片方は二・二%の合格率という形、片方は九〇%にも近いような合格率という形で、こういう不平等というものはあまりにも目に余るものがある。優遇ということでやるならば別な方法があるではないかということなんですが、その辺のところを、率直にあなた方の気持ちというものを聞かせてもらいたいと思います。 先ほど忍びないということばがあった。そういう点は別の方向で税務職員を優遇する。そして誘惑に負けず、き然として国民の権利も擁護しながら、同時に適正な税法に基づく納税義務の実現をはかっていくという本来の職責が全うし得られるだけの待遇というものを在職時において与える。またそういうような形で内部における教育あるいは退職時における退職金というようなものの優遇を通じてそれはカバーすべきではないのか、こういうように思うのでありますが、その本旨はどこにあるのでありますか。
○吉國(二)政府委員 特別試験の初めの状態と申しますのは、先ほど申し上げましたように税理士が八千人程度で、申告納税が定着してくるにつれてある意味では非常に不足ぎみであったということもあったと思います。それで、そこに実力として税理士に相当するだけの資格を持つ者がいるので、これを当然現実として受け入れるべきではないかという考え方が一面においてあったと思います。また御指摘のような税務職員のいわば第二の人生の仕事としても適当な仕事じゃないかという面もあったと思います。そういう両面がこの制度の基礎をなしているかと思うのでありまして、税務においてそれだけの長い経験を積んだ人間にその能力にふさわしい仕事を与えるという意味では国民経済上も利益であるという判断がさらにあったかと思いますが、そういう点が今後どういうふうに条件として変わっていくか。税務職員の待遇というものにつきましても、さらにいい待遇をしていただきたいということを私はしょっちゅう申しておりますが、そういう点も考えあわせてやっていくべき点はあろうかと思いますけれども、当時の考え方はそういうところにあったかと考えております。
○広瀬(秀)委員 少なくともこういう試験制度としてはまことに不平等な制度が現に行なわれているわけですが、大蔵大臣はこの制度を設けた本来の趣旨をどのように理解しておられますか。
○水田国務大臣 私は優遇というよりは活用というということばのほうがぴったりするんじゃないかと思いますが、この税理士制度の意義、効用、その目的という点からいいましたら、一般試験によって学理も実務も合格してくる税理士も、これは納税者にとっては非常に役に立つことであろうと思いますが、しかしこの税理士制度を置く目的から考えましたならば、税の実務に長い間従っている者を活用されないということがおかしいんであって、これだけの実務経験上、当然長い間には税の理論についても勉強をしているはずでございますので、これが活用されるということは、この制度を置いた目的から見ましても有効なことでございますし、むしろ一般納税者のためには、こういう経験者の中から有能な人たちを活用してもらうということのほうが実際には便宜になるんじゃないかというふうに私は考えます。したがって、これがただ無制限に、無審査で合格するというような制度ではなく、外国ではそうであるとしても、日本の場合はいまむしろきついといわれているくらいの選考制度でございますが、やはりこの程度の要件を置いて採用されるということは差しつかえないことじゃないかと私は思います。
○広瀬(秀)委員 まあどうにでもとれる説明をなさったわけだけれども、活用をするんだと言う。活用するのもある程度はいいだろうと私ども思う。しかしそれにしても、たとえば税務職員というのはなるほど税法には明かるいでしょう。税法科目はそのために試験を免除をされる。そして今度は会計学なりあるいは財務諸表なりこういうような科目については、本気になって試験を目ざして勉強する者との間にやはり相当な差もあるだろうと思われる。そういう者についてはしんしゃくしてというようなことで、あるいは口頭試問の段階でこの点数を割り増しをして、ある程度不合理な姿で少なくとも合格をさせていくというような、そういうことまでやる必要があるんだろうか。税務についてその試験を免除するというような程度でかりに活用をするとしても——これは税法に関してはだれよりも実務に精通しているし、どこにでも使えるんだが、しかし会計、簿記あるいは財務諸表というようなそういう科目についてはやはりシビアに、一般試験の中で一科目、二科目をとっていってもらうというようなことでやらなければ、ほんとうに税理士としての職責を全うできないのではないか。近代的な複雑な経済社会の中で、そういうものがきわめて高度に要求される段階にもなってきているというようなときに、きわめてルーズなというか、あまりにも特典を与え過ぎた形でできる限り合格させてやろうという、そういう立場におけるものを与えているということについては、国民的な合意はなかなか得られるものではなかろうと思う。 したがって、税法を免除するという特典ぐらいのところで活用する、そういう限度で押えていくということでないと、このままの形でずうっと延長をしていったら、これはやはり税理士業界におけるたいへんな混乱にもなるし、またそういう形で税理士になっているんだということでは、必ずしもその実務経験が十二分に発揮されて、りっぱな税理士であるという評価をいただけないことにもなりかねないのではないか。そういうような面もおそれられるわけですね。したがってもうそろそろそれらの問題についても、五年としあるいは当分の間とし、それがずるずると十五年も延びてきているというようなことになったら、これはもうその使命は終わったのではないか。一定の限界を設けてここまではめんどうを見る。当然活用という立場において、ここまではめんどう見ましょうというような一線を引いて、現行の附則三十項の試験のやり方というようなところまでメリットを与えていくということについてはやはり大きな疑問なしとしない。かえって特試による税理士さんの評価を低めるようなことにもなりかねないということにもなるであろう、こういう問題を含めていかがでございますか。
○吉國(二)政府委員 御指摘の特別試験の内容でございますけれども、やはり経験年数を加えた参酌点というような問題について御指摘がございましたが、一面において税務職員は税法だけ知っておっても仕事にならないわけでございまして、会計、簿記についてもやはり専門家であるということは皆さんはお認めいただけると思うのであります。そういう意味では、私は特別税理士試験があまりに寛大過ぎるという御批判があるかとは思いますけれども、会計、簿記につきましても実務においては私は税務職員はりっぱな一人前の専門家である、かように考えておりますが、いずれにいたしましてもこの問題は全体の税理士制度を含めまして税制調査会の審議を求めるというふうに私は聞いておりますから、その御審議を仰いだ上で結論を出していただきたい、かように存じます。
○広瀬(秀)委員 私どもはどうしても納得できないのは、やはり税理士全体に対して自主性を与えない、あくまで国税庁の厳格な指揮、監督のもとにおいていわゆる徴税の補助機関的なものにしよう、そのためにはやはり税務職員をそういう形でどこまでも特試制度で優遇を与えながら数多くつくり出して、そして少なくとも長いこと税務職員として勤務をしたんだ、そういう人たちならば国税庁のいいなりに大体なっていくであろう、こういうような、そして補助機関的なものにしておこう、独自の、社会的に名誉ある地位を、自主性を認めるというようなところへいかないで、補助機関的な立場でどうにでも操作できるような、そういうものにしていこうということがやはり皆さんの決断を鈍らしておる根本ではないかという気がしてならないのですけれども、大蔵大臣、そういうことじゃないのでしょうか。
○高木(文)政府委員 横山先生からの質問趣意書の中にも、先ほどお読みあげになりましたように、私どもがといいますか、政府が税理士制度について納税行政の補助機関としてとらえるという傾向があるという御指摘があります。また、ただいま広瀬委員の御質問の中にもそういうことがございますが、私どもとしては税理士制度について納税行政の補助機関という角度で税理士制度を見ておるということは全くないつもりでございます。ただ申し上げたいのは、やや似て非だといいますか、弁護士であるとかあるいは弁理士であるとか、いろいろ制度が、自由職業といいますか、そういう制度がございます。その刑事、民事についての弁護士の職責というものと税務についての税理士の職責というものはたいへん類似していることは私どもも認めるわけでございますが、しかしそれはまた全く同じではない。どこが違うのかというと、冒頭にも申し上げましたように税というものの性質から出てくるものではないか。しばしば税理士の方々の中で、先ほどもおっしゃいましたような、いまの税理士のあり方は少しおかしいので、税理士の自主性を認むべしというような議論が出ておりました。その税理士の自主性はけっこうでありますが、さりとて、それが全く弁護士なり何なりと同じものだという角度でものをとらえることはよろしいかどうかということになりますと、私どもは異論があるわけでございまして、うまいことばがないものですからあいまいということで非難をされましたが、「中正な立場」ということのことばのままで何かそれに置きかえるべき適当なことばがないために今日まで至っておりますが、そのあいまいと言ってはまことに遺憾でございます、何かうまいことばがあればと思うわけでございますが、さりとてそのことが補助機関だという角度でものを考えているということでないことだけはひとつ御了承願いたいと思います。
○広瀬(秀)委員 三十九年、法案の審議にあたりましても、主税当局も国税当局もそういうことは考えないのだ、やはり納税者の権利擁護という面は当然持っているのだということは議事録がありますから答弁の中で幾らでも引用ができますけれども、そういう答弁をきちんとされておるのです。されておるのだが、どうもこの問題について見通しを立て、そろそろこの役割りは終わった。活用の余地がまだずいぶん多いのだという観点に立っておられるようであるけれども、税理士の狭き門を突破した、一般試験を合格してきた人たちは、この問題が一体どこまで続いていくのだろう、税理士を登録して業を始めるというようなことに非常な脅威を抱いているというようなことも無視することのできない、現実の非常に深刻な問題点だろうと思うのです。そういうものに対してどうもはっきりした態度もとらないということで、とめどもなく合格者をふやし続ける。その人たちは予備軍としていつ何どきでも割り込んでくるという問題があるわけです。 しかも税理士法四十二条においては職員は「離職後一年間は、その離職前一年内に占めていた職の所掌に属すべき事件について税理士業務を行ってはならない。」こういうようなことになっている。ところが決算委員会で坂井代議士が取り上げた問題ですが、大坂の南税務署署長の天下りについて、問題の六人の署長さんが天下ったという問題でありますが、昭和三十四年四月から三十六年の七月まで松田さんという方、それから三十六年七月から三十八年七月まで高井さんという方、三十八年七月から四十年七月まで井内田さんという署長さん、それから溝畑さんが四十一年七月から四十二年七月、木田さんが四十二年七月から四十五年七月まで在職した人でありますが、さらに杉井さんという人は四十五年七月から四十六年七月まで、こういう六代にわたる署長さんが大阪のいわゆる日証に天下りしてそこに入ったという。こういう人もおそらく税理士の資格を持っておった人だろうと思うのです。こういう場合に一体四十二条の「一年以内」というようなものについて、国税庁長官が、あなたの代になってからでけっこうですが、ただし書きで国税庁長官が認めたときはこの限りにあらずという、この承認書を与えた——この事件でなくてもほかに事例があるかどうか。こういう問題などが非常に問題として取り上げられておるわけであります。
○吉國(二)政府委員 このただし書きの承認は、私のときになってからは一件もいたしておりません。御指摘になりました件につきましては、実は私どももどこにだれが関与しているかという問題は、税理士の関与届出書——申告書を提出いたしますときにその届出書を出してくることでわかるわけでございまして、そういう意味では、ある意味ではどうも御指摘のあった点については不十分な点があったと反省をいたしております。現在はすべてこの点は是正されておりますが、この四十二条につきましては国税庁で通達を出しておりまして、退職者に必ず徹底するようにということを言っておりますし、退職者が自分の税務署の管内で、自分と申しますのは、ある税務署の管内で登録をしたという事実があった場合には、その現在の署長はその登録をした者に四十二条の趣旨を通知をして、違反のないようにということをやらせるように励行はいたしております。この点は私ども非常に気をつけておりますが、先般のような点は非常に反省を要する点だ、さらに深く注意を喚起いたしたいと思っております。
○広瀬(秀)委員 この法文の読み方ですが、税務署の大体退職時期というのは七月だと常識的にいわれておるわけです。通常の退職期といいますか、そういうものになっている。そして六月決算の会社が自分の所轄にあった。そういう場合に、税務署長という場合に、それはそういう会社があって、七月に退職されたというような場合には、一年というのはどこから一年なんですか。退職の七月から翌年の六月三十日までというその間はそれに関与してはならない、こういう趣旨なんですか。どういうように読むのですか。
○吉國(二)政府委員 税理士業務でございますので、申告書の提出あるいは作成というだけに限られません。税務相談もございます。そういう意味では退職してから一年間税理士業務をやってはいかぬというのが正確な解釈と思います。
○広瀬(秀)委員 そのとおりにならないで、実際にやっている者があるということを私ども実は聞いているのです。そういう点ではきわめてこれはざる法的なものになっている。大体国税庁長官のところにその承認を求めてくるというようなことすらしないでやる。そして税理士登録はちゃんと出す。そしてその拒否事由の中にこのことが入っていない。こういうようなざるの関係になっているというようなことを御存じでしょうか。
○吉國(二)政府委員 私どもは先ほど申し上げましたように、各個人に徹底をはかっておりますが、その結果がいかになっているかという点でやや把握不足の点はあるかと思います。しかし大部分はわれわれの注意を十分守ってくれていると思いますけれども、そういう遺憾な事例があればもちろん注意を発して是正をするということは当然いたしたいと思います。
○広瀬(秀)委員 その点も厳格にやってもらいたいし、少なくともこの四十二条をほんとうに法制定の趣旨に従ってやるとするならば、二年間ぐらいはその所轄であった場合にはやってはならないというぐらいのものにしたらどうかというようなことだけを申し上げておきます。 そこで、合格者が一万五千人いま署に待機をしておるわけですね。この人たちが現職時代に大体所轄の中でお得意さんに調査に行ったり、何か税務相談を受けたり、あるいは申告書の審査をしたり、いろいろな仕事を署内でやっているわけですが、そういう在職時代に大体関与先というようなものを何軒か約束をするというようなことは、これはもう常識的に考えてあり得ることだし、またいろいろな話を私ども聞いておりますと、そういうケースが非常に多い。署長が今度やめるという場合には、課長クラスの人たちがいろいろ調査にあたって、署長が今度はやめるのだけれども、税理士を開業するからひとつ頼んでやってくれ、得意先になってもらいたい、関与先になってもらいたいというような話が大体できて、事務所を開設して登録をするというようなことが現実には行なわれるというようなことがやはり一つの問題点として指摘される。こういう問題も、この特試の問題ともからんで、そして在職時代にもう試験に合格した人たちが待機をしている、やめる時期がもう間近だという場合にはそういう状態も非常に多いという話を私ども聞くわけであります。絶無だと言い切れる自信がございますか。
○吉國(二)政府委員 私は絶無だと申し上げたいのでございますが、中にはそういうこともあり得るかとは思いますけれども、そういうことがないように、特に私ども気をつけておりますのは、第一はあまり長く同一の税務署には勤務をしないように転勤をさせるということを一つやっておりますのと、それから調査をいたします際に、いわゆる調査対象の選定ということは、すべて上司に至るまでチェックしておりまして、かってに自分が調査対象法人を選んでしまうということにはさしておりませんので、調査対象法人とかあるいは個人を常に、異動させるというようなことで、特殊な関係が生じないように注意はいたしておりますが、そういうようなことが起こらないように今後とも努力をしていきたいというふうにお答えを申したいと思います。
○広瀬(秀)委員 もうこの問題ばかりで時間がだいぶたちましたので、最後に大蔵大臣に伺いますが、この問題は先ほどからいろいろ問題点をあげて質問をしてきたわけですが、税理士法の改正の根本的な、「中正な立場」という問題をめぐる基本問題、さらには特別試験の問題、あるいはさらに天下りだとかあるいは在職中における関与先の獲得というようないろいろな問題があるわけであります。これらの問題を十分実情を把握しながら、先ほどから私が提案をしておりますように、もうそろそろけじめをつけて、この特別試験というものをずるずるとどこまでも持っていくというようなことに対しては、廃止の方向で十分ひとつこれは根本問題も含めて検討をさるべきだと思うのですが、その点のお考えを聞いて、この問題について質問を終わりたいと思うわけであります。
○水田国務大臣 もう相当に長くなっている制度でございますし、したがっていろいろそういう御批判もございますときでございますから、いま国税庁長官が言いましたように、やはり税制調査会にもこの問題を検討してもらうというような形で検討をしてまいりたいと思います。
○広瀬(秀)委員 問題点はずいぶん指摘したわけですから、これらの問題点を十分踏まえながら、また税理士会の諸君の意向等も十分反映をさせて、近いうちに税理士法の全面的な基本問題を含んだ改正をやられるように強く要望をいたしておきたいと思います。 所得税法関係の質問をいたしたいと思いますが、退職金課税の問題について、同僚の藤田議員からいろいろ民間の実例などをあげて質問があったわけであります。この問題について、公務員関係あるいは公企体関係等の退職金の実情というようなものを私なりに調べてみたわけでありますが、五年前につくったものでありますから、その後の大幅な給与の引き上げ等で、できるだけ少なくとも三十五年勤続で五百万までは退職金には課税しまい、こういうことで制定の当時はかなりの、おそらく八、九割以上と見ていいと思いますが、退職金課税から免れたわけでありますが、いま現に国鉄の例を引きますと、三十年勤続で、これは職名によって、職階給がありますから、若干俸給にも差がある。したがって退職金にも差があるということになるのですが、三十年勤続では三百五十万が退職金控除を受けられるわけであります。ところが、四十六年の退職者の実例を調べてもらったのですが、これは日本国有鉄道の職員局から出たものであります。助役が大体三十年勤続で五百五十一万退職金をもらっております。それから機関士が四百七十九万、専務車掌で四百五十七万、旅客掛三百九十四万、構内掛四百四十八万、軌道掛、これは保線関係のあれですが四百十七万、用務掛三百九十九万。用務掛とか旅客掛という人たちは、職種としては一番下の職種になりますから、比較的給料が安いということで三百万台でありますが、それでも三百九十四万とか三百九十九万とかいうようなことになっておるわけです。三百五十万の退職金控除しか受けられないということになりますと、みな軒並み全部税金がかかっているわけですね。 当時は三十五年、五百万ということで、最初十年が一年につき五万、次の十年間が一年につき十万というようなぐあいにして積算してきたあの当時は、ほとんど大部分は税金を課せられない状態であったけれども、いまではほとんど全部が退職金にかなり重い税金がかかるというような事態になっているわけであります。三十五年のところで見ますと、これは五百万が控除されるところでありますが、助役が六百六十八万になっております。機関士が六百四十一万、専務車掌が五百三十九万、旅客掛が五百五十五万、構内掛が五百六十八万というような状況になっているのですね。その他の三公社、専売あるいは電電、公務員関係は資料がどうしても四十四年までしか集まらないのですが、その後の賃金上昇分を考慮しますと、やはり大体同じような傾向になると思うわけであります。そういう問題ですから、どうしてもやはりことし年内にやるかあるいは来年になるか、いずれにしてもすみやかな間にこの退職金課税に対する見直しをやって、少なくとも退職金の現状に照らして、五年前の現行の退職控除制を実現した当時と同じような状況になるように改正をしていただかなければならぬと思うわけでありますが、この点に対する大蔵大臣の考えをひとつずばりと聞かしていただきたいと思います。 そこで、私どもが要望したいのは、少なくとも三十年勤続では大体六百万ぐらいまでいってもらいたい。三十五年で八百万、このぐらいまでいかなければ、最近の退職金に対する課税がきわめて重課されるという結果になるのであって、その辺のところも含めてお答えをいただきたいと思うわけであります。
○水田国務大臣 退職所得の控除額の引き上げにつきましては、財源があればやりたいと考えておりましたが、昭和四十七年度の税制改正では、諸般の事情からこれを見送ったものでございます。御質問のように三十五年で八百万円程度という額が適当かどうかはともかくといたしまして、御要望のように昭和四十八年度の税制改正におきまして引き上げをはかりたいと考えております。
○広瀬(秀)委員 これはぜひひとつ実現をしていただきたいと思うわけであります。 それから第二番目にお伺いしたいことは、最近労働力需給がここ数年来非常に逼迫をしておるわけであります。ドル・ショック以来若干求人求職の関係が逆転したというような一時期はありましたけれども、それもまたもとに戻りつつある、景気の回復とともにまた労働力需給というものがきわめて逼迫をしてくるという状況であります。そういう中で共かせぎという事例が非常に多くなっておるわけであります。労働省の四十六年の統計を調べてみますと、有配偶者の女子が働いている——これは男子は大体働いているのがあたりまえと見て、四百七十九万という数字が共かせぎ夫婦とまず推定される数字であります。労働省の調べでありますから、これはほぼ間違いない数字である、こういうように出ておるわけです。 そこで、前回堀委員の質問で、いわゆる所得税における寡婦控除の問題をめぐりまして、扶養親族がなくなれば寡婦控除は同時になくなってしまう、こういうことであまりにも気の毒だということで、死別した寡婦というものにだけは、今度は百五十万の所得制限をつけながらもやろう、寡婦控除だけは残そう、こういうことで、死別した者だけということで、生別の者には適用されないというような問題点が指摘されました。こういうような死別者あるいは離別者、こういう女子も百十六万もおるということであります。したがって、皆さんが出された改正点もそれはそれなりに一つの前進であります。しかし、死別と生別となぜ分けるかというような問題については、憲法上の議論にまで発展をしながら問題になってきたわけですが、これはまたこのあと堀さんがやられると思いますから、その点は申し上げませんが、いずれにいたしましても、共かせぎ夫婦が多くなり、かぎっ子というような非劇がだいぶ出ておるわけであります。そういうことが問題になって、不良化やあるいは不慮の事故にあうというようなことをおそれて、共かせぎなるがゆえの追加費用というか余分の経費というようなものをかけて、お手伝いさんを頼むとか近所の手すきのおばあちゃんに頼むとかあるいはその他いろいろな形で余分な費用というものを共かせぎ夫婦というものはかけておるはずなんです。これは実態調査をしていただければどのくらいかかるかということはわかるわけですけれども、相当な費用であるに違いない。少なくとも月十万から十五万ぐらいのところはかかっているのじゃないかと思うわけです。少なくともその程度のよけいな費用を支出して初めて共かせぎが可能になる、こういう状況なんです。そういうことで、これは給与所得における夫婦の二分二乗課税方式などの問題とも関係がありますけれども、そういう問題との関係も含みながら何らかの形で、子女養育のために共かせぎなるがゆえに余分な出費をしているという者については、税制上何らか控除のようなものを、何というか特段に、試案的に言えば子女養育費控除とでもいいますか、そういうような中身のものを何らか考えるべき時期に来ている、私はこのように思うわけでありますが、これについて何らかの形でそういうものの実現をはかるべきだ。これに対しての御所見を伺いたいと思うわけであります。 さらに現行制度では配偶者のない所得者の扶養親族の一人目について十五万円。一般の扶養控除の十四万円に対して一万円の色をつけたといいますかかさ上げをしておるわけですけれども、これについても一万円ということではあまりに実情に即しないものである。やはり配偶者のいない所得者というものはそれなりの多くの経費というものをかけておるだろう、このように考えるわけであって、この点についての配慮というものを少なくとも配偶者並みと私どもは主張したいのでありますが、配偶者よりやや少ないという十八万なり十九万なりというところまで持っていくべきではないのか、そのほうがこういう特別な事情にある人たちに対する非常にあたたかい税制の配慮でもあろうと思うわけでありますが、その点もあわせてひとつお答えをいただきたいと思うわけです。
○水田国務大臣 子女の養育費といいますか世話費といいますか、この控除は所得税における研究課題として従来から長い間検討してまいったところでございますが、わが国の所得税制が稼得者単位課税によっていますところから、共かせぎについてこれを認めるということは、片かせぎ世帯との負担のバランスから非常に問題がございますので、この問題は長期的な課題として慎重に検討してまいりたいと存じます。 ところで配偶者のない所得者の一人目の扶養親族の控除につきましては、御指摘のような十八万、十九万という額については検討の余地がございますが、引き上げの方向でこれは必ず措置してまいりたいと思います。
○広瀬(秀)委員 非常に前向きな答弁をいただきましたが、少なくとも明年度においてはぜひこれを実現するように強く要望をいたしておきます。 それから、個人事業所得のいわゆる青色申告者について事業主報酬制度を導入する問題、これは長い期間にわたってずいぶん論ぜられた問題でありますからくどくどしくは申し上げませんが、この問題に対するお考えは一体どのように主税当局は考えておられるのか、主税局長からでけっこうですが、事業主報酬制なりあるいはまた事業主控除なりこういうようなものを設けられるお考えがあるのかどうか、そしてまた税調に対してそういうものを持ち込んでいく用意があるかどうか、この点を伺いたいと思います。
○高木(文)政府委員 これまでも他の委員の御質問にお答えしたことと思いますが、事業主報酬問題を中心といたしまして、個人事業所得者の課税の問題につきましては、当然にサラリーマンとか、あるいはまた法人の事業者とのバランスの問題にも触れますので、相互の関係を見ながら、いかがいたしたらいいかということを中心に検討してまいりたいと思います。 そのためには、去る四月中旬に税制調査会のほうで小規模企業といいますか中小企業の課税問題についての特別調査会が設けられましたのですが、この特別調査会が設けられた趣旨は、ただいま御質問がありましたような点、また私がただいま申しましたような点を中心に、そこで議論をするということでございます。たいへん問題が大きい問題でございますから、あるいはかなり時間がかかるかもしれませんが、各方面から非常に強く要望されておりますので、なるべく早く答申をいただけるように期待をいたしたいと思っております。
○広瀬(秀)委員 ぜひひとつ誠意をもって、そういう方向が実現するように努力をいただきたいと思いますが、大蔵大臣、いかがですか。
○水田国務大臣 いま、その方向で努力中でございます。
○齋藤委員長 松尾正吉君。
○松尾(正)委員 私の党としては、この税三法についてはきょうは最後になりますので、大体総まとめという意味で簡潔に伺いたいと思います。 まず、三法の具体的な問題につきましては、特にただいまの退職所得控除の引き上げその他については、まれに見る水田大蔵大臣の歯切れのいい答弁をいただいたのですが、どうかこれは低所得層に恩典を与えなければならないという意味で、積極的にひとつ実現をしていただきたいということを要望しておきます。 それから、所得税の減税でありますが、これにつきましてもぜひやりたいという先日の竹本委員に対する答弁、ただいまの広瀬委員に対する答弁等で、年内減税も含めて努力をしたいということでありますが、私はここで特に大蔵大臣に年度内の所得減税を実施してもらいたい。この腹を固めてもらう意味で、二つの点をあげて伺っておきたいと思うのです。 まずその一つは、税の公平という観点、もう一つは国民生活を中心に考えた上で、こういう二点で伺いたいと思うのですが、まず公平という点から見て、どうも私ども納得できない点は、一つは納税者数に対する納税割合、まず四十七年度の給与所得者数を見ますと、二千九百二十一万人、四十六年度よりも約二百五十万人ほど増加しておるわけです。これは全サラリーマンの大体八二%が納税義務者になっている。これに比べて農業所得者の割合は一五%程度、その他の事業所得者が大体三三%、こういう納税義務者の割合を見たときに、割合だけを見てもサラリーマン等に非常に重くのしかかっているという感じを受けるわけです。 時間がありませんから私のほうで全部意見として申し上げますが、二つ目は、法人税率については先般竹本委員に対して、世界的な水準よりもまだやや低いから逐次上げていきたい、こういう答弁がありました。法人税全体とこの所得税を比べてみてもやはり所得税のほうが少し強い課税が行なわれている。さらにいままでいろいろ問題になっておりますけれども、四十六年度中に土地を売った者に対して、これはいろいろ政策的な意味があると思うのですけれども、一〇%の課税ということで優遇措置が講じられた、その結果長者番付の百番中九十人もが土地を売った所得者だ、こういうことで勤労所得者と土地を持っておる者との格差が大きく開いた。こういった問題を見てもこれではどうしても公平とはいえないではないかという感じがするわけです。 さらに昭和四十六年度の年内減税の恩典について私ども指摘してまいりましたけれども、あの年内減税では年収五百万円以上の高額所得者には非常に恩典があったけれども、最も重要な二百万円クラスの人たちに対する減税というのはスズメの涙ほどという状態であって、あの時点だけを見ますと所得税の中のアンバランスが見られる。これをこのまま四十七年度に持ってきているということは、こうしたアンバランスを助長した結果になっていないか。こういう点から公平を唯一とする税の本旨にももとる。こういう意味から年内減税はどうしても腹をきめてやってもらいたい、これが一点です。 それからもう一点は、国民生活を十分考慮してみると、やはり年内の減税が必要であるということをひとつ考えていただきたいという意味なんですが、さきに厚生省が発表をいたしました「国民生活の実態調査」によると、四十六年度のわが国の平均世帯家族数が三・六人、これに対する年収の平均が大体百三十万円、年収二百万円以上というのは全世帯の大体一七%余りなんですね。大部分が二百万円以下である。さらにこの調査の中で、老後の生活に対する意見をアンケートをとって求めたところが、生活が困難だというのが五一%、それから将来の暮らしはどうかという問いに対しては、子供にたよる以外にないというのが七三・六%、暮らし向きについては普通以下だと答えた者が八二%、もうほとんどが生活がたいへんである、こういう状態であります。 さらに、生活面でもう一点物価問題を見ますと、公共料金の値上げ、さらに土地対策が野放しになっているためにこれが非常に物価を押し上げている、住宅費その他暮らしにくい面を助長している、こういう状態を考えてみましたときに、どうしてもこれら低所得層の人たちの生活を考えてあげることが福祉に転換した税の重要な課題であろう、こう考えるわけです。したがって、ぜひやりたいという大臣の答弁には私ども非常に心強く感じていると同時に期待をするのですが、もう一度この努力をしたいという点についてはっきり確認をしておきたいと思いますので、大臣からお答えをいただきたいと思います。
○水田国務大臣 所得税の減税が国民全体の強い要望であることは十分承知しておるところでございますので、私としてもぜひ減税はやりたいと存じます。その場合は、ただいま御要望がございましたように公平な減税ともう一つはやはり国民福祉に沿った減免ということを考えていきたいと思います。ことに所得税の減税について、いま二百万程度の者に非常に薄いということを言われましたが、これは昨年の年内減税のときのことであろうと思います。昨年度は当初においてと年末においてと二回減税を行なっておりますが、当初減税のときにおいてこの二百万円程度のところの所得者について相当優遇措置をとっておりますので、むしろ十二月の減税はその均衡是正の意味を持った減税でもあったということから、今後の減税につきましてはやはり全体の均衡のとれた所得税の減税が望ましいと存じますので、そういう点に十分留意したいと存じます。 ただ、そういう御要望の年内減税ということも含めまして、どのような時期に所得税負担の見直しを行なうかということにつきましては、今年度はまだ始まったばかりでございまして、今後の税収の背景となる経済情勢の見通しがただいまのところ必ずしも明確でございません。したがってどれだけ早くその機会が到来するかということは現在明確に予想はできませんが、いずれにしましても税制調査会の答申にも述べておりますように所得、物価水準等の動向に注意するとともに、租税収入の推移に留意して対処してまいりたいと存ずる次第でございます。
○松尾(正)委員 これは税制の本会議質問以来、私ども公明党はもちろん全野党の強い要望でありますので、どうかいまの国民生活を考えて実現の方向で努力をしていただきたいということを強く要望しておきます。 それから、これは私の個人的な考えなんですけれども、サラリーマンの必要経費というものが、諸物価の高騰を含め、またサラリーマンが非常に多角的な業種に移ってきておりますために、現存給与所得控除現行十三万円で押えていくということは、これは非常に困難なものもあるのではないかということが考えられるわけです。したがって、この給与所得控除定額分についてやはり考えていかなければならないと思うのですけれども、これについては大臣はどういうふうにお考えになっておりますか、伺いたいと思います。
○高木(文)政府委員 給与所得控除の額につきましては、最近かなり早いスピードで上げられてきたわけでございます。特に定額控除は最初一万円という低い水準から始まりまして、十年間にいま十三万円でございますから十三倍にも上がった、こういう関係にあるわけでございます。そこで給与所得者の減税ということを考えます場合には当然給与所得控除の問題を相当ウエートを置いて考えなければならないわけではございますが、先ほど他の委員から御指摘がございましたように、事業所得者の課税問題も起こっておることは御存じのとおりでございまして、そして事業所得者の課税問題は、個人事業所得者について一種の給与所得控除的なものを認めよという御主張につながっているという関係もあるわけであります。また、白色の問題もいろいろ問題になっているということでございますので、ただいま松尾委員からおっしゃいました給与所得控除問題は、給与所得者のサラリーマンの課税の問題としてはよくわかるのでございますけれども、他の事業所得者等の課税の均衡との関係から申しますと、かなり苦しいところに置かれているところでございます。 いずれにいたしましても、ただいま大臣から答弁のありました所得税の減税の一環でございますので、その中の問題として十分に検討してまいりたいと思っておる次第でございます。
○松尾(正)委員 私も、この給与所得控除そのものをどんどん上げていくということについては、いろいろな関係で非常にむずかしいということは理解できるのです。そこでひとつ、これはむずかしいんですけれども、サラリーマンの職種というようなものが非常に多様化している。したがって、相当上げても、現行十三万よりももっと上げても、カバーし切れないような業種、職種についている人たちが現在でもあろうし、また今後そういう者もどんどん出てくるんではないかということが考えられるわけであって。したがってこれらの人たちに不公平でないように、これらの人に十分こたえるようにするためには、ここでやはり一律な定額でなくして、米あるいはフランス、西独等で採用している実額控除の申告制を検討してみたらどうか。これは考え方によっては高額所得者にのみ有利な方向ということも一応は考えられるのですけれども、しかしこういうふうにサラリーマンの職種等が多様化してきた場合には、やはり必要経費ということについてある程度考慮していくことが大事ではないか。したがって、実額控除に対して申告制かあるいは定額を選ぶか、この選択制方式等を検討することが大事ではないかというふうに考えますので、大蔵大臣、この点については定額控除、つまり一律に給与所得控除でもって一本で押していく方向が妥当であるのか、あるいは実額控除等を考えて、それで選択の機会を与えるということがより公平になるのかという点につきまして、大臣はどう考えておられるか。むしろこれは検討を積極的に進める時間にもう来ているんではないかと思うのですけれども、これに対する大臣の考え方を承りたいと思います。
○水田国務大臣 この選択の問題は、すでに税制調査会において一ぺん検討された問題でございますが、結論としてはまだ時期尚早ということでございまして、むずかしい問題だということに現在なっております。と申しますのは、やはり必要経費といって、何が必要な費用であるかということが、実際においてはむずかしいことでございますので、その問題を解決しないで問題を残したままに制度を採用するということにしますと、税務執行上非常に混乱を起こす。これは確かに費用だといってがんばる技術のうまい人、またなかなか強引な者とそうでないおとなしい人とによって、ずいぶん税に場合によっては不均衡が起きるだろうというような問題がございますし、まだいまのところではこの選択制というのは採用するのが尚早だというのが、税制調査会で検討した一応の結論でございます。
○松尾(正)委員 確かにいま大臣のおっしゃったような点も、これは難点ではあろうと思うんです。けれども、国民の一番大事な税の公平という点から、やはりいま単に時期が早いというだけでなしに、今後引き続いて検討していただいて、全体の税の公平のためにこうあるべきだということで検討を進めていったほうがいいんではないか、こういう考え方を私持っておりますので、これは検討を進めていただきたいと思うんです。 それから次に、土地税制につきまして伺いたいのですが、土地問題、土地税制ということが非常に大きな問題になっておりますので、私はここで簡潔にしたいために、建設省からもおいでいただいているんですけれども、この土地成金を生んだ理由その他も伺いたかったのですが、そういうことは省いて、竹本委員から先日土地政策がないからといって税制をいいかげんにしてはならぬ、こういう質問がありました。私もまさにそのとおりだと思う。けれどもこの土地税制については、やはり限られた土地ですから、したがって需要がもう無制限という状態でありますので、非常に税制が先行して、手を打っていけばいくほど、いろいろな問題が起きてくるんではないかということが考えられる。土地税制には限界があるんじゃないか、こういうふうに思うんですけれども、その限界があるからといってしっかりやらなければいけませんが、こういうむずかしい土地について税制だけが先行するというのはいけない、やはり土地政策をまずはっきりさせるべきだ、こう思うわけであります。 建設省においでいただいておりますが、この土地政策がやはり先行しなければならぬと思うけれども、その点についてはどうですか。
○河野説明員 おっしゃるとおりでございまして、土地政策というのがむずかしい非常に総合的な施策であることを要求されております関係から、各方面の力を合わせましていろいろなことをやってきたことは、累次にわたりまして御答弁申し上げたとおりでございます。しかし、なかなか効果があがっておりません。これまた事実でございます。この効果があがっていないということの言いわけになりますが、それぞれの施策が効果を生むまで非常に時間のかかる施策であるということでございます。 御承知のように、税制その他土地政策の展開の基本となります土地利用計画の確立ということ一つをとりましても、都市計画法を成立させるまでに数年かかり、成立しました都市計画法に基づく線引き作業も民主的な手続を経ます関係から二、三年かかっております。現在まだ九十数%しかできていない。また地価公示制度も、全国にまたがります市街化区域全域についての地価公示の目標、これは四十九年になりましてようやくできるというような次第でございまして、なかなか土地政策そのものが供給対策あるいは長期的投資、仮需要の抑制策、あるいは人口、産業の分散策等々とりましても、非常に時間のかかるものであるということでございます。今後とも、しかしそういう各般の施策を強力に進めてまいりたいと考えております。
○松尾(正)委員 確かにこの土地政策が簡単にいくものだったら、もう当然整備されておるわけですが、いまの答弁のとおりむずかしいと思います。けれども、ここで一点、これは建設省にも大蔵大臣の意見も伺いたいのですが、現在の地価の価格ですね、この国定資産税に対する価格、相続税に対する価格、収用に対する価格あるいは全国の公示価格、これらがばらばらであってはっきり統一されていない。ここに一番いろいろな問題を発生してくる原因があるのじゃないかと思うのです。すでに審議会あたりでもこの公示価格、全国の土地価格を統一しろという意見は出ていると思うのですけれども、私はこれを実現しない限り、いまのいろいろな首都圏計画も近郊計画も都市計画も、その他都市の過密過疎という問題等も、ますますむずかしさを生むばっかりじゃないか、こう思うわけでありますが、もちろん、全国の土地価格を統一しろという事業、これはたいへんな事業でありますけれども、しかしいまのようなことでいつまでもむずかしいからと言っているよりも、むしろこれを計画的に手がけていくことがいまの段階としては一番大事じゃないか、そう思うのであります。そうして、それに基づいて固定資産税が、評価が上がってしまうということはもちろんあると思いますけれども、それらは税率の面で勘案できる、こういうかっこうでいけば補完的な税というものが生きてくるのではないか、こう思うのですけれども、この全国の土地価格の統一についてその実現がはたして可能なのかどうなのか、そんな点を含めてお答えいただきたいと思います。終わったあとで、ひとつ大臣からもお答えをいただきたいと思います。
○河野説明員 ただいまの御趣旨まことにごもっともでございます。政府におきましても、昭和四十五年の八月の地価対策閣僚協議会の決定におきまして、今後地価公示法による公示価格との関連において公的土地評価の適正化と一本化をはかるべし、これが検討事項として決定されております。ただ、先生もおっしゃいましたように、全国の土地、これは何万筆、何億筆あるかわかりませんが、その各土地について、公示価格を中心といたしまして統一ある評価体系を形成するということは、おっしゃるとおりたいへんむずかしい問題でございます。私どもといたしましても、この地価対策閣僚協議会の決定に基づきまして、地価公示の標準地点の増加、対象地域の拡充ということをはかるとともに、各筆の地域の公示価格の基準方法というものにつきまして、科学的な方法ありやいなや等も含めまして現在研究中でございます。ある段階が参りましたら、大蔵省、自治省等とも協議をいたしまして進めてまいる所存でおりますが、必ずしも不可能ではないというふうに考えております。
○水田国務大臣 地価の公示制度の普及ということは、これは望むべきことでございますが、実際においてはなかなか困難でございますが、ぜひこれはそのような方向で普及させたいと考えているわけであります。従来は各土地土地の地目、地柄、性質、価値、みんなそれぞれ異なっておりましたので、それに即して一応、評価が違っておっても統一されていなくても、そう支障なく制度が運営されてきましたが、もう最近のように開発が進んで、既開発のところは行き詰まってしまっておりますし、未開発のところは急速に開発されるというので、土地の価値が全く違ってきておりますので、したがって、従来一応均衡がとれておった評価というようなものもここへ来たら非常に支障を来たすことでございますので、そういうところから順次公示制度を拡充していくというような努力をすべきであるというふうに考えております。
○松尾(正)委員 確かにむずかしいのですけれども、いまのような評価基準がばらばらですと、そのつど努力しながら問題が起きてくるわけですね。固定資産税、相続税の場合には、どうもこれは高いから安くしてくれ、それから収用あるいは公示価格による場合にはもっと上げてほしい。これは当然だろうと思うのです。したがって、いま大蔵大臣の場合には、全国の公示価格を拡充していきたい、こういうことですけれども、要するにそれらを統一するという方向については、大臣もそういうお考えをお持ちですか。拡充していくということは、いまの全国の公示価格制度をどんどん広げていくということで、これはもう当然のことでありますから、いま建設省で考えておったのは、この相続税や収用やあるいは固定資産税の基準価格が違うからこれを何とか一本にした上でしていきたいという考え方なんですけれども、その点については大臣、どうでしょうか。
○水田国務大臣 公示制度が普及すれば、したがってこの基準が当然統一されていくということになると思います。
○松尾(正)委員 これはむずかしい問題ですし、私どもも実際にこうという考えはありません。困難ではありますけれども、四十五年度から出発をして努力をされておるようでありますから、まずそういう実現の方向でぜひ努力をしていただきたい。これは私の個人的な考え方であります。 それから、法人税については、国際水準より若干低いのでさらに今後税率その他を努力していく、こういう御答弁でございましたけれども、前回の租税特別措置の審議のときに、鉄鋼その他の租税特別措置の適用を見ますと、非常に多項目にわたって措置が講じられている。これらも全部が全部まけっぱなしというわけではありませんから、これを一挙に取り除くということはできないと思いますけれども、税率の面で軽減をしていく考えなのか、あるいはいま不公平だといわれている租税特別措置を整理しながら並行してやっていかれようとするのか、その点だけ大臣の考え方を伺っておきたいと思います。
○高木(文)政府委員 法人税の負担水準の問題は、いま御指摘のように、税率とそれから課税標準の問題と両方から検討されていくべきものだと思っております。四十七年度は、御存じのように五%の加重税率をそのまま継続させていただくということが中心であったわけでありますが、同時に輸出振興税制の整理等若干課税標準を直すということも一部行なってきたわけであります。今後とも税率の問題も当然検討されてしかるべきものと思われますが、先般租税特別措置法の御審議の際にしばしば御指摘がありましたような各種の問題等を中心に、税率以外の問題につきましても絶えず、常時見直していかなければならないというふうに考えております。
○松尾(正)委員 最後に相続税について、実はきょうの新聞に、大蔵省が妻の座については引き続き優遇をするという中産階級に対する優遇措置について腹を固めた、こういう記事が出ているのですが、大蔵大臣はだれがこしらえたのだろうという答弁をされたのですけれども、この相続税に対する来年度以降の考え方を伺って私は終わりにしたいと思うんですが、このとおりかどうか、もし見られておったら、それだけ伺えばけっこうです。
○高木(文)政府委員 申しわけありません、けさの新聞をよく見ていないのですけれども、実は本年は相続税については、御存じのように妻の相続ということに重点があったわけでございますが、今後に残されました問題といたしましては、やはり本年度の改正の際に、私ども事務的に検討いたしました際に問題になりました点の一つは、現在の基礎控除の額、大体相続人五人で、妻がある場合は千二百万円になっておりますが、この基礎控除の額がそれでよろしいかどうか。これは、相続財産の中に土地の占めるウエートが非常に高く、そして土地の評価額が急激に上がっておることとの関係上、この千二百万円というものがいいかどうかという問題が一点と、それから一般的に相続税の税率そのものにつきまして、かなり長い間据え置きになっておりますが、それがそのままでよろしいかどうかという点が一点。これはやはり、いつも申し上げておりますとおり、控除と税率の組み合わせでできております関係上、ある程度控除額と税率とを組み合わして考えるべきではなかろうか。これは四十八年度の問題になるかどうかはちょっといまここではっきり申し上げかねますが、やはりその二点は追っかけ検討すべき問題と思っております。 それからもう一点は、先般来今国会で、衆参を通ずる各委員会で非常に御指摘を受けましたのは、贈与税のこの四十万という額がかなり長期据え置きになっておるので、これをこのままでいいかどうか。これまた物価、なかんずく土地の評価額との関連上あるいは見直すべき時期に来ているんではないかという御指摘があり、また、なかんずく妻に対する贈与、これは居住用財産について三百六十万円の特別控除がありますが、この三百六十万円は、昨年度の税制改正で大幅に増額を願いまして、百六十万から三百六十万まで上げていただいたわけでございますが、なお、都市部におきます土地、家屋の値上がり等から考えまして少ないのではないかという問題点、そこらが一番当面の問題であろうかと思っております。で、相続税、贈与税の問題は、とかく、所得税、法人税等と比べますと偶発的なものでございますので、改正がおくれがちでございますけれども、やはり物の値段、評価の変わりが激しいので、従来のように何年か置くということでなしに、随時少しずつでも手直しをしていくべきものでなかろうかというような感じを持っております。
○松尾(正)委員 所得税減税その他について非常にきめのこまかい、むずかしい大臣も積極的な発言がありましたので、ぜひそれを実現していただきたいということを要望して、私の質問を終わります。
○齋藤委員長 堀昌雄君。
○堀委員 最初に、石油ガス税に関する問題を少しお伺いをいたしたいと思います。昭和四十一年でありましたか、当委員会で石油ガス税法が修正をして決定をいたしました。そのときに、当時修正案の提案者でありました山中貞則委員が触れておることでありますけれども、この石油ガス税を取りますについて、その納税義務者をどうするかという問題について、実は石油ガス、プロパンガスというものが国民の燃料用消費として大きな部分を占めております関係上、これを蔵出し税等のような処置をすることはたいへん複雑になるという関係もありまして、この石油ガス税を取る目的が、ガソリン税との権衡の問題にあったわけでありますから、要するに目的は自動車等の石油ガスの使用に関して税を取ればいいんだ、こういうことになっていたわけでもありまして、その関連から、石油ガスのスタンドを納税義務者とするということに法律は決定をしたわけでありますけれども、これらの決定の経緯の中には、与党としても検討が十分でなかった点があったので、それらの問題については今後十分に配慮をして運用をしてもらいたいというような一つの発言が実は行なわれていたわけであります。その後、もう御承知のように長い時間の経過があったわけでありますけれども、その中で、当時、最初の法案では納税の日数が六十日と定められておりましたものが、それでは少し問題があろうということで九十日に修正をされて今日に至っているわけでありますけれども、LPガス協会のほうの調査によりますと、これらについても、昭和四十五年四月のデータでありますと、納期までの回収が五三・一八%で、納期後の回収が四六・八二%ということで、かなりLPガススタンドがこれを立てかえて納税をしておるというような実態も明らかになってきておるわけであります。 そこで本日は、ちょっとこの問題に関連してお伺いをいたしますが、私は、税の公平の問題というのは、やはり同一の業種、業態の場合にはその権衡がとられることが相当ではないのかと、こう考えるわけであります。そういたしますと、現在LPガススタンドとガソリンスタンドとの間には税の面ではたいへんなアンバランスがある、こう考えますけれども、大臣はどういうふうにお考えになるか、最初にちょっとお答えをいただきたいと思います。
○吉國(二)政府委員 おそらく御指摘の点は、揮発油税の場合は製造者において納税をいたしまして、納税済みの、したがって課税額を含んだ価格によってガソリンスタンドが販売をするという形になっておりまして、その場合に製造業者の段階ですでに課税を受けておりますので、それが運ばれ、実際に販売されます際には欠減が生ずるということは当然考えられるわけであります。そういう意味で、課税をいたします際に、実際に製造業者から移出をいたしました数量に対して一・五%の欠減控除というものを認めているわけでございます。しかしこれはあくまでも実際にその一・五%欠減するとすれば、石油がなくなると同時に税はその分だけからになるわけでございますからそれを引くという意味でございますが、その場合に、実際に欠減を起こすのはどこかと申しますと、製造者の場合は、つくったものをすぐ出すわけでございますから実際は製造者のところでは欠減がない。実はそれが運ばれて、そして最後にガソリンスタンドに入って売られる最終段階まで欠減が起こっておるはずである。そういうことから、納税義務者のところで控除されました欠減の控除額というものは、実は末端まで流さなくちゃいかぬじゃないかということで、一部納税義務者である製造者からガソリンスタンドに、その分に相当するものとして幾らかの欠減控除料というものを払っているという事実がございます。 これに対しましてLPGの場合は、LPGスタンドで実際に詰めた、その量を課税標準にいたしますので欠減というものは生じようがないわけであります。したがって欠減控除というものは全然ない。認められていない。その点がしいていえば違いがあるということかと思います。
○堀委員 一番大きなところをあなたははずしていると思うのですね。いま私も前段で触れたように、ガソリンスタンドは納税に関してはフリーなんですよ。LPガスはスタンドが納税義務者にされているわけですね。しかし、本来的に言うならば、立場は同じなんですよ。揮発油を売るのもLPガスを売るのも、スタンド業者としては同じ業態の仕事をしておる。片方はたまたま国民が広い範囲に使っておるものだから、LPガススタンドをもって納税者としておる。片一方は、いろいろ議論があった農業用ガソリンその他の問題がありましたけれども、その部分はウエートが小さくて、ガソリンというのは主として自動車が使用するということで、製造課税になって、当委員会で長年にわたって私どもも農業用ガソリンの問題というのをやった経緯があるわけですけれども、そういうことになっておるわけですね。だから、要するに、片方は納税義務者として納税の諸般の事務を請け負わされ、そしていまのように九十日の納期となっているけれども、実際には納期を越えて支払いを受けるものが四七%程度もあるということは、要するに、本来ならばそれを使用する者が納税すべきものをかわって納税をして、おまけに支払いがおくれるから、その人たちの払うべき税金をスタンドが立てかえて払わなければいかぬということは、納税者であるとないとの違いが一番大きな違いじゃないでしょうかね。国税庁はそういうところはおかまいなしで、とにかく欠減だけの、リベートだけのわずかなところに差があるなどという認識は、私はちょっと国税庁長官の認識としてはいかがかと思うのですが、答弁する余地があればひとつ答弁してください。
○吉國(二)政府委員 これは前提にしてお話になっておると思いましたので、ちょっととちったわけでございます。ただ、いまも申されましたが、やや似た問題はガソリンスタンドにもあるということをガソリンスタンド側は申しておるわけです。つまり、サイトが違う。製造業者に対して払うサイトが力関係で非常にしぼられておる。それに対してガソリンスタンドが消費者から受けるサイトが非常に長い。そういう意味では、税を含んだ価格で売られているのであるから、いわば、税を立てかえているのは自分らも同じだという言い方をいたしておりますが、納税義務が基本的に違う、これはもう仰せのとおりでございます。
○堀委員 大臣、いまお聞きになったようなことで、ですから、大臣もその相違は少し頭の中に入れていただいたと思うのですね。本来ならばみなこういうような税というのはガソリンなりLPGを使う者が負担をするのが一番筋だと思うのです。ただ、それではなかなか課税の問題としてむずかしいし、いろいろな取り扱い上から、課税上一番やりやすいのは根元で取るのが一番やりやすいということが一つありますから、だから、その結果こうなっておると思いますけれども、いまの国税庁長官の話を聞いておると、ガソリンスタンドは、ガソリンを供給するものは大手の企業で、なかなか問題があって、消費者のほうも払いがおくれるという点はLPGも同じですね。LPGは中小企業が供給しているかといったら、これもやはり大きな企業じゃないですか。吉國さん、そこのところはそんなに違わぬと思うのです。LPGというのは、大体、輸入業者は別だろうけれども、出てくるのは大体石油精製で出てくるわけですからね。それから使用者は全部タクシーと乗用車ですからね。トラックもあるかもしれませんが、これは業態として谷間にはさまっているという点は同一なんじゃないですか、どうですか。
○吉國(二)政府委員 そういう意味で、LPGのスタンドがサイトの点で非常に不利であるという問題は、ガソリン業者にも同じことがいえるということをガソリン業者が言っているということを申し上げたわけです。なお、ガソリン業者の言い分は、税法ではLPGも揮発油税も同じような納期と延納期を持っておりますが、納税者である大業者のほうは納期でしぼられるから、したがってスタンドへのサイトがきつくなる。したがって、実際に消費者の支払い期との間に乖離があるということを言っておるわけです。LPGのほうは、直接納税する納期は揮発油製造業者と同じ納期で取られる。実際には消費者から納付を受けるのはだいぶおくれるということを言っておりますので、そこはパラレルじゃないかということを言っておるわけです。
○堀委員 そこで、この問題は、その後に何とかして社団法人全国エルピーガススタンド協会がこれらの問題について一括的な取り扱いをしたいという時期があったようでありますが、この会議録を読んでみると、泉さんが長官のときのようでありますが、どうもまだエルピーガススタンド協会というものにそういうようなことは期待しにくいのではないかというような答弁が——実は読んでみると、修正案を一ぺん三段階税制にしました。いろいろな問題があったわけですが、私が、当時山中貞則理事が自動車の物品税で三段階方式というものを考えられてやった経緯があったものですから、LPガスも三段階で処理したらどうかというので、最終的にはわれわれの提案どおりの修正になって、一〇%段階でこれは二年延長しようという改正案が出された。そのころの会議録を読んでみると、その当時の泉国税庁長官の答弁があるわけですが、私は、今日この社団法人エルピーガススタンド協会というのは十分体制も整備されて、いろいろなLPガスのスタンドの業者の団体として認識をしても支障がない状態にある、こう考えておるわけです。これは事務的なことにもなりましょうから、国税庁もその点については私と同一の認識だと思うのですが、ちょっとお答えをいただきたいと思います。
○吉國(二)政府委員 エルピーガススタンド協会というものが業界の実情を把握したりあるいはいろいろなPRを行なったりということを活発にやっていることは私も知っております。したがいまして、この社団法人が漸次整備されつつあるということは事実だと思います。
○堀委員 そこで私は、いろいろな国なり地方なりの問題の中には、公共的な国なり地方自治体がやっている制度でありながら、必ずしもバランスのとれていないものがかなりある。一つの例は、地方道路税に関連をいたしまして、軽油引取税につきましては、地方税ではありますが、これらの引き取りに関して団体の処理をしておる結果、千分の十程度の徴税手数料的なものを地方自治体としては支払うことになっておる、このように承知しておるのですが、この点については国税庁はどういうふうに理解をしておりますか。
○吉國(二)政府委員 たしか四十五年度からかと思いますけれども、地方税関係では軽油引取税に関して一%以内で補助金を交付するというような扱いをしておるように承知しております。ただ、地方税の場合は、御承知のように料理飲食等消費税とかそういうものについても同じような扱いをしておる。これはおそらく一つの特別徴収義務者の直接納税方式をとっておるというところからきているかと思いますし、また考えようによっては、固定資産税等についても早期納付したものには割り戻しをするというのが地方税の一つの特色かとも思います。
○堀委員 地方でかなり納税組合その他についても配慮しておることは私も承知しておりますが、要するに、地方で行なっておること、それはもとをただせば、合理的な納税方法によって納税コストが下がる。そういう納税コストの下がる面を、ある程度そういう徴収事務的な手数料的な発想で支払っておる。これは私は地方税でこういう措置をしておる一番大きな問題点だろう、こう思いますけれども、その点はどうでしょうか。
○吉國(二)政府委員 おそらく理論的にはそういう考え方が基礎になるだろうと思います。早期納付に対する報奨金にいたしましても、やはりそれによって早期納付が行なわれ、期限内納付が行なわれるということを目ざしておるのだろうと思います。
○堀委員 そこで、現在のこのL・Pガスのスタンドの皆さんは、同じような業体で片方にはガソリンスタンドが非常な違う立場で置かれておる。片方は軽油取り引きに関して地方税の部面では千分の十以内程度のいまの徴収事務的な手数料をもらっておる。ちょうどまん中のようなところにあるLPガスだけが何らの措置がされていないということについては、何とかひとつこの点について改正してもらいたいという強い要求があるわけです。私もこれまでの揮発油、石油ガス税の審議に参加をし、その当時のいろいろな論議を通じて、LPガスのスタンドの皆さんが少なくともその他のそういう軽油を取り扱うもの、あるいはガソリンスタンド等と著しく権衡を失しないような取り扱いを受けることが当然考えられてしかるべきではないか、こう考えるのですが、大蔵大臣、その点についてはいかがでございましょうか。
○水田国務大臣 いまお話がありましたように、軽油税については消費者が納税者であって、スタンドは税の徴収者で徴収責任者にある。したがって、徴収の手数料を受けることができる。同じスタンドでありながら一方では、国税のほうは消費者を納税責任者にはしないで、製造業者、販売業者をするという国税の間接税はそういうふうになっておりますが、これをもし徴収責任だけを負わせて、そうして手数料を払うというようなことをすれば、事は済むかもしれませんが、それは国税における間接税については全部一律にそういう制度をとっておりますので、一つ例外をつくったら、これはもうあらゆる間接税制度に響きますので、これはできない。ということになりますというと、一方ガソリンにおいては欠減の問題があり、一方は軽油税のような優遇があるということになりますというと、それじゃ何でこの問題を考えたらいいかといいますというと、やはりこれは貸し倒れに対する税の控除制度というようなものが現在は十分働いていないのですから、こういう問題について合理的にこれを見るというようなところをくふうするか、そういうようないろいろな問題が均衡をとる上にはまだ残っておるのではないかと思いますので、こういう点の検討は十分しなければならぬと思っております。
○堀委員 大臣のいまの答弁、ちょっと穴があるようです。いまあなたはもしいま国税の消費税で例外を一つつくるとあとたいへんなことになる、こういうふうにおっしゃったのですね。ちょっとお伺いをいたしますけれども、飛行機の通行税というのはだれが納税義務者ですか。
○高木(文)政府委員 通行税については航空会社なり国鉄なりが特別徴収責任者ということで、お客さんが納税義務者ということになっております。
○堀委員 大蔵大臣、いま一つ例外をつくったらたいへんなことになるとおっしゃったのですが、一つ例外があるのですね。要するに間接税の中では、飛行機については旅客が納税義務者なんです。航空会社は特別徴収義務者になっておるわけですね。例外は一つすでにあるのですね。しかしそうだからといって、私はいまガソリンスタンドをすぐ特別納税義務者にしろということを言うつもりはないのです。まあだんだんと広がってくることは、いまの国の消費税の問題というのは、本来の納税義務者であるべき者が納税義務者にならないで、それを販売したりいろいろする者が納税義務者になっておるほうが多いですね。だからそこで、要するに地方税の場合は料理飲食税にしたところで、特別徴収義務者にしておる。ほとんどが特別徴収義務者にしてあるけれども、それはものの考え方の取り扱い上の問題であって、現実に本来の考え方から言えば、国の消費税だって消費者が払うのが、これが消費税というものの本来の姿なんです。あなた方がいま考えておる例の付加価値税その他を通じてみても、それは最終的には消費者が払うということになるわけでして、だからあなた方がいまこういう問題にこだわって、いまの消費税というものはそういうものでないということになるのなら、私はいまの付加価値税の問題などというものは、これはちょっといまの発想とはかなり違った関係になりはしないかという気がするわけです。 私はきょうは時間もありませんので、そんな議論をするつもりはありませんが、少なくとも国税はそういう一つのパターンを持っておる。本来の納税義務者である者から税を取らないで、その一番近いところで、しかし取りやすいところで取るというのが国税のパターンになっておる。地方税は消費者が払うのだというたてまえで、軽油引取税にしてもそうだし、料理飲食税にしてもそうだし、みなそこが払うので、それを納税義務者にして、特別徴収義務者というものを置いておる。だからそのことは、特別徴収義務者であるからそういうことがあっていいんだ。納税義務者だったらそれは別だという話には私はならないと思うのですけれども、大臣、その点はそういうことで一回御答弁をいただいておきたいと思います。
○水田国務大臣 それはそうだと思います。
○堀委員 そこで、結論を少し申し上げますと、確かにいま国税の場合には納税組合というものが各地域に設けられておって、これに対して確か名目はどうかわかりませんが、やや報奨金的なものというか、事務取り扱い費というのが支払われておりますね。これは一体一年間にどのくらい支払われておりますか。
○吉國(二)政府委員 大体六千八百万円程度になっております。
○堀委員 いまの六千八百万円の納税組合に対する費用では、ちょっと私はいま社団法人LPガススタンド協会が期待をしておられる費用等を考えますと、これを全部持っていっても足りないようなことになるという気がいたします。LPガススタンド協会では、少なくともいまの欠減控除やあるいは軽油引取税との関連から見て、できれば千分の十五程度の徴収義務的なものを協会が一括して納税をするから配慮をしてもらいたいというのがLPガススタンド協会としての考え方のようであります。私はこの千分の十五がいいのか、千分の十がいいのか、そこらの問題はさておき、少なくとも今後の検討課題として、私は社団法人LPガススタンド協会が全国のLPがスタンドの納めるべき納税を代行して一括納税されるということは、私は前段で触れた税の徴収の効率を高め、要するに徴税コストを引き下げる非常に大きな合理的な方法、手段だと思うのですね。まず、この社団法人LPガススタンド協会が、全国でそのスタンドが納税するものを一括して納期にきちんと納税するということについては、大蔵大臣、たいへん私はけっこうなことだと思うのですが、いかがでございましょう。その納税のほうだけ……。
○水田国務大臣 これはやはり技術的な問題に関係しますので、そういう形の協会が一括して払うという形がいいのかどうか、他のいろいろなものとの関連がございますので、それでこっちから答弁をさせます。
○吉國(二)政府委員 御承知のように、納税貯蓄組合が一括納付をいたしますというのが昔あったわけです。これは納税貯蓄組合が共同で納税貯蓄をいたしまして、税務署が各納税義務者についての具体的数字を与えて、その一人一人の名義において事実上代行したわけです。ですから、一括納付ということで納税義務が消滅するということにはならない。やはり一つ一つのスタンドの名においてスタンドが納めて、それをただ事実上代行しているということでなければ、納税義務の消滅ということにはならぬと思います。
○堀委員 技術的にはそういうことでいいのですよ。法律できめておるものを、その納税義務者を社団法人LPガススタンド協会にしろなんて私はひとつも言ってない。要するに個々の人が納めるものを、社団法人LPガススタンド協会が全部集めて一括して納めるということなら、税金をもらうほうからしたら、これほど私はけっこうなことはないと思う。だから私は、いま何も納税義務者をかえろとかなんとか一言も言ってない。社団法人LPガススタンド協会がLPガスのスタンドの納めるべき税金を一括して納めるということは、国にとってはたいへん好都合ではないか、こう常識論で聞いているわけです。大臣、どうでしょう。
○水田国務大臣 国にとっては都合の悪いことではないように思いますけれども、もしそうだとしたら、そういう形をとるのなら、まとめて納めてもらうほうが税が減るとかなんとかのメリットがあるのならともかく、そうでなくて、納税義務者が依然として各スタンドであって、その納むべき額を全部まとめて協会が扱って納めるということの、今度はメリットの問題で、金融についての措置がとられるからいいというのかどういうのか、そこらがちょっと私は技術的にわからないと思っておるのでございます。
○堀委員 技術論は私は大臣、聞いてないのですよ。何か私があとから言い出すだろうと思って、おそるおそるでかまえているものだから、どうも答弁が何だかぎくしゃくしているのですよ。もっと大臣、すなおに——私、すなおに聞いているわけだ。またあとのことはあとで聞きますから、そのとき答えればいいわけだ。だからもっとすなおに、いまLPガススタンド協会が代行して納めるというのに、それを何だかんだという必要はない。国から見ればこれほどけっこうなことはない。これは当然のことじゃないですか。大臣、ちょっともう一ぺんそこだけ答弁してください。たいへんけっこうなことです、これでいいのじゃないですかね。
○水田国務大臣 だから私がいま言っているとうり、どこにメリットがあるのか。国から見たら、各人が納めてくれても協会が一括納めても、納める額が同じ、同じ時期に納めてくれるということでしたら、結局同じことになるというふうに思われますので、その協会に納めてもらう利得はどこにあるかということによって、そのほうがいいとか悪いとかという判断がつくだろうと私は思います。
○堀委員 いまの大臣の言い方を聞いていると、では納税組合というものも、何も納税組合があったからといって納税組合が納税義務者になるわけじゃなくて、納税者が団体をつくって納税組合になった。そこで納税貯金をして納期にきちっと払うということで意味があるので、同じことじゃないですか、私がいま言っていること。それでは大臣は、納税組合もメリットはない、そんなものは要らないんで、各人がばらばらに払えばいいという考えですか、大蔵大臣。
○水田国務大臣 納税組合があれば、各自がばらばらに払うよりも、各自がその組合に加入して支払うほうが払いいいというメリットがございますので、納税組合は非常にいい、納税のためにはいい組合であるということがいえると思います。
○堀委員 どうもいまの大臣の答弁、ちょっと首尾一貫してないのですよ。 要するに、前段に、一年に六千八百万円という国民の費用を充てて納税組合に出しているということは、納税組合が一括して納めてくれることが、個々に納めることによっておくれるものもあるしいろいろあるものが、納期のときにきちっと入るということに国としてのメリットがあるのでしょう。だから六千八百万円払っているのじゃないですか。ほかの理由ですか。国税庁の長官答えてください。
○吉國(二)政府委員 いま納税組合とおっしゃっておりますが、これは正式には納税貯蓄組合でございます。そして納税資金を組合をつくって貯蓄をするのを奨励しているわけで、一括納付は、その手続として、一緒に納税貯蓄をしているから払い出すときに共有財産を払い出すというかっこうで認められているというふうに考えていただきたいと思います。つまり、所得税とか法人税のように、一体幾ら課税標準がきまり幾ら税金がかかるかわからないものについて、あらかじめ納税貯蓄をさせるというところにこの納税貯蓄組合の意義があるわけでございますが、いまのLPガススタンド協会の場合は、まさに大臣がおっしゃったように、毎月徴収すれば必ず課税標準がきまってしまい税額がきまってしまう。そうすると納税貯蓄組合の前半である貯蓄のほうはあまり意味がない、それを各人が納めれば同じではないかという大臣の御疑問は、私もやはり同じように持っておるわけなんです。
○堀委員 そうすると、納税貯蓄組合に出しているのは貯蓄奨励金ですね。ちょっとこれは、国税庁が貯蓄奨励金を出すのはおかしいですよ。やはり貯蓄をすることによって納税を簡易ならしめるということではないのですか。これは、そんなことをあなた言うのだったら、重大問題ですよ。
○吉國(二)政府委員 もちろん納税貯蓄をしっぱなしではだめなんでございます。納税貯蓄を通じて納税を完遂する、それに対する事務費を補助するというのがたてまえなんでございます。
○堀委員 要するに納税に対する手続のための事務費でしょう。貯蓄に対する手続の事務費じゃないのでしょう。そこをはっきり答えてください。そんなあいまいな答弁じゃ困る。
○吉國(二)政府委員 この納税の手続というのは、納税貯蓄を奨励することによって、納税資金を円滑に集め、それによって納税の完遂をはかるというのが、納税貯蓄組合の本来の目的。ですから、そういう点では……
○堀委員 貯蓄のほうよりも納税のほうに比重がかかっているのでしょう。納税よりも貯蓄のほうに比重がかかっているのですか。
○吉國(二)政府委員 おそらく、所得税等におきましては、納税資金というものがあらかじめ用意されるということが必要でございます。それがあって初めて納税完遂ができるという意味で、それが一体となって目的とされていると私は思います。
○堀委員 一体となっているのはいいですよ。さっきの話を聞いていたら、貯蓄奨励のためにやっているような話になっているから……。ですから、一体となっているというのは、納税がスムーズに行なわれるために設けられておる制度には相違ないのだから、そのスムーズに納税を行なうために貯蓄をしておきなさいということで、貯蓄が先で納税があとじゃないですよ。納税をするための手段として貯蓄をしておきなさいということなんだから、一体だけれども順序からいけば納税が先で貯蓄はあとなんですよ。その納税を合理的に行なうという点においては、私はいまの問題は、LPGのスタンドが全体として一体となってもし納めるとするならば、個々のLPGスタンドがやるよりもこれは効率としてはマイナスというのはちっともなくて、全国の金が一ぺんに、たとえば東京の国税局なら、どこかへぽんと入るというなら、それは全国で、ばらばらになって、たまには延納になったりいろいろする、したがって手続が複雑になったり、いろいろ問題があったりすることに比べれば、私はそのほうがやはり、ばらばらに納めておるよりはいいと思うのですが、大臣どうですか、やはりばらばらに納めるほうがいいですか。
○水田国務大臣 これはばらばらでなくてまとまって納めるほうがぐあいいいと思います。
○堀委員 ずいぶん時間がかかるね、十分からこのことを……。 そこで、ばらばらに納めるよりは一つで納めたほうがいいということになれば、そうやって一つに納めてもらった場合に、今後それに対してどうするかということは、いまの六千八百万円の納税貯蓄組合の費用をもって充てるということでは、これはとてもなかなかむずかしい問題ですから、そこのところはひとつ今後の検討課題として、いまの大臣が前段でおっしゃった、LPGスタンドというものが、片や軽油に関するスタンドあるいはガソリンに関するスタンドと著しく権衡を失しておるので、これは何らか少し検討して配慮をしてしかるべきではないか、こう私は思います。検討の中身は、まだ来年の税制の中できめていただくことだし、与党なり皆さんと十分御相談をしてまた今後やっていきたいと思いますから、中身はけっこうですが、方向としては、この際、ひとつそうやって、せっかく社団法人LPGスタンド協会の皆さんが一括納税をして納税に協力しよう、こう言ってもらっておる際でもあるし、その際、そういう納税に対して協力をしていただくならば、前段の貸倒引当金の準備金等の問題も、それは検討の課題として中に入れていただくと同時に、少し私は、LPGスタンド協会が、ガソリンスタンドあるいは軽油引き取りの関係者に権衡を著しく失しないような配慮を、ひとつこの際検討課題として考えてもらいたい、こう思うわけですが、大蔵大臣いかがでございましょうか。
○水田国務大臣 御提言の趣旨は十分わかりましたので、検討いたします。
○堀委員 もう一つ、せっかくそういうふうに検討していただく過程の中では、ひとつ現在、実際に最終的に貸し倒れになったものについては、税法十五条三項でしたか何かで、税務署長に対して業者が申し出て手続きをすれば還付が受けられる、こういう制度がありますね、これらも全国あちこちでばらばらがたいへんあるんだろうと思うのですが、これもひとつ社団法人LPGスタンド協会で代行して処理をさせてもらいたい。これもやはり個々のガソリンスタンドが一々取り扱うのに比べて、そちらでやってもらえば、個々のガソリンスタンドとしてはたいへん助かる問題になろうかと思うので、あわせてこの点もひとつ検討してもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
○水田国務大臣 先ほど申しましたように、基本問題は一応検討したい、こう思っております。
○堀委員 その問題はやりたいという御答弁でありますから、ぜひひとつ実行に移していただきたいと思います。 以上で、LPGに関する質問を終わりまして、恒例によりまして、架空名義預金の問題を本年も取り上げることにいたします。 実は、私がこの架空名義預金を取り上げてここで論議をさせていただいてから、昭和四十二年からでありますから、二年、三年、四年、五年、六年、七年と、ことしで実に六年目になるわけであります。その六年目になった経緯について、査察告発事件の総預金の状態について、ひとつ国税庁長官から御報告をいただきたいと思います。
○吉國(二)政府委員 例年恒例の数字がきまっておりますので、それを読み上げて御説明いたしたいと思います。 本年度告発をいたしました査察件数百二十八件について調べました結果でございますが、これが前年の預金を一〇〇といたしまして、その納税者が公表預金として保有しておりましたものが、預金額に対しまして三二・六%であります。これは昨年の数字は二七・三%でございました。それから六七・四%に相当いたします別口の預金、この中で、実名になっておりますのが一〇・九%、これは昨年は四・〇%でございました。それから無記名預金の形態をとっておりますものが二三・六%、これは昨年は二三・二%でございました。残りの三二・九%、つまり総体預金一〇〇%のうちの三二・九%が架空名義になっております。これは昨年の数字は四五・五%という数字になっております。 なお、この別口預金の中で申しますと、そのいまの数字は別口預金を一〇〇といたしますと、架空名義が四八・九%、昨年はそれが六二・六%、それから無記名が三五・一%、昨年は三一・九%、実名預金が二八%、昨年は五・五%という数字で、数字の上では若干、実名預金ないし公表預金のウエートが高まってはおります。
○堀委員 これはことしの査察の状態でちょっと特異的なものがその中に入っておるということに関係があるんじゃないでしょうか。
○吉國(二)政府委員 御承知のように、この百二十八件のうちには、非常に大きなウエートを占めるものとして、例の熊本におきます第一相互経済研究所の件が入っておりますが、これはちょっと特異な事件で、実名預金が非常に多かったということがあるわけでございます。そこを一切除いてしまいまして、この一件だけを除いて構成比をとってみますと、四八・九%と申し上げました架名預金の率が五五%ということになりまして、昨年の六二・六よりは少ないわけでございますが、ややウエートが高まるようでございます。
○堀委員 あわせて、この前からお願いしております中で、昨年から初めて御報告をいただくようにしたわけですけれども、都市銀行、相互銀行等の金融機関別にはどういう姿になっておるかをちょっとお答えをいただきたいと思います。
○吉國(二)政府委員 都市銀行は、今回の調査に関係のありました預入店舗が二百五十二店でございます。昨年がこれが三百九十店でございました。その意味では、前年に対して六五%ということになっております。それから、地方銀行は百十一店舗でございまして、これが前年百二十二でございます。それから相互銀行が百四十二店舗、これが昨年は百三十六店舗でございます。信用金庫が百十二店舗、これが昨年は九十九店舗、その他が百三十四店舗、昨年が百七十六店舗、こういうことになっております。
○堀委員 都市銀行はいま前年比六五%という話でありますが、昨年が非常に多かったのですね。三百九十というのは昨年が非常に多かったので、その前年は二百二十四でありますから、そこからいうと、まあまあ横ばいということですね。 そこで、昨年から初めていまの二百五十何店舗というものの中身はどうかということで、昨年一回御報告をいただきました。ことしも四十六年度の分について、これはまあ銀行の関係上、符号でもって御発表いただいておるわけですが、本年はどういう形になっているかをちょっと伺いたいと思います。
○吉國(二)政府委員 かりにABCで申し上げますと、一番多いA銀行と申しますのは、昨年四十八店舗でございますが、ことしが五十店舗、Bが五十一店舗だったのが三十四店舗、Cが六十一店舗だったのが三十二店舗、Dが二十六店舗だったのが二十五、Eが二十八店舗が二十、Fが三十九店舗が十九、Gが三十六店舗が十四、Hが二十四店舗が十四、Iが九店舗が十一、Jが二十五店舗が十、Kが二十店舗が九店舗、Lが十四店舗が七店舗、Mが八店舗が四店舗、Nが一店舗が三店舗ということで、一番多い銀行を除きますと、それぞれかなり減ってはおります。
○堀委員 大蔵大臣、いまお聞きになったように、これは六年がかりで、確かにことしは少し、ことしというか、実体は昨年のことでありましょうが、ことし御報告をいただきました内容は改善のあとが見えてまいっております。私もこれはたいへんけっこうなことだと思うのであります。銀行局でもいろいろ指導を強化しておられる成果があがってきたのだ、こう思うのでありますが、ただ一つ、いまの銀行別の問題を見てみますと、たいへん残念なことに、こういう姿になっております。いまお話しになったのは、A、B、Cというのはことしの一番多いところからランクして順繰りにA、B、Cという名前で実は出していただいたわけですね。ところが昨年は、Aというのは何番目であったかといいますと、昨年の三番目が今度は一番になった。それから昨年の二番目はことしも二番目なんです。それから昨年の一番目がことしは三番目になりました。一、二、三というのは順序は少し変わりましたが、上位三は去年もことしも上位三なんです。その次に、去年の七番目がことしは四番目、去年の六番目が五番目に、去年の四番目が六番目に、去年の五番目が七番目に、こうなりますと、その次の一サークル、四、五、六、七というものも去年と同じように四、五、六、七の中に入っておる。要するに、去年の一番から七番までというのは、一番から三番まではこういう並びに入り、四、五、六、七も順序は多少変わったけれども、やはりこういう並びに入って、七番目までというのは上からずっと同じように、減ってはきておるけれども多いですね。それ以下のところは順序がいろいろと入れかわっておりますし、件数としても少ない。こういうのが実態なんですね。 これを見ておりますと、やはりどうも架空名義預金の多いところというのは、やはり銀行局の指導の姿がいまひとつ不十分だということではないのだろうか。特に、いまお話を聞いておりますと、下のほうはKが九、Lが七、Mが四、Nが三というふうに十を割っておるわけですね。上位のほうは一番が去年が四十八店舗、ことしが五十店舗などというのは、どうも下位のまじめな銀行に比べると著しくこれは相違があり過ぎる、こういうふうな感じがしてなりません。ここらはこれまた来年も恒例によってやらしてもらいますから、だんだんとこの姿がはっきりしてくるだろうと思うのですが、私もどこの銀行かわかりませんが、やはり大蔵大臣、これは同じ都市銀行なら都市銀行の中で、このように架空名義預金がたくさん出てくるところとあまり出ないところがあるというのは、やはり考えてもらう必要があるのじゃないか。特に、架空名義預金については、いま御報告がありましたので見ましても、一件当たり大体百万円近いことになります。毎年申し上げますけれども、いま銀行が百万円からの預金のある個人の名前の人をほうっておくわけはないのでして、必ず銀行員が、またひとつ貯金をお願いしますといって行ってみる〜、その当該場所に名前が書かれておったものがないということで、これが架空名義預金だというのはすぐわかっておるわけです。私は、銀行が知らなかったということはほとんどあり得ないと思う。五万や十万の預金ならともかく、平均が百万円単位になって、ことしはこれが百二十八件ですか、この百二十八件でいまの架空名義の件数を割ったら平均して一件当たり口数でどのくらいになりますか。
○吉國(二)政府委員 一件当たり五十件程度だと思います。
○堀委員 いまお答えのように、これは一人の平均ですから、多いのも少ないのもあるかもしれませんが、かりに平均すれば一人が百万円として五十口として五千万円なんです。それはおそらく五千万円も一つの銀行に入れていないでしょう。あるいは分散しておるかもしれません。しかし、それにしてもかなりの預金をしておるわけですから、私は架空名義預金は銀行が知らなかったということはほとんどあり得ないのじゃないかという気持ちがいたしております。ですから、どうかひとつ、やはりこういうことは望ましくないことだということについては大蔵大臣も私と全く同感だろうと思います。要するに、架空名義預金というものは、脱税に、よって出たものがそこへ裏預金というかっこうで秘匿されておる。これが歩積み、両建ての原資に使われるということもあるだろうと思うのです。 ですから、これらについては、特にこういうデータをとらしていただくようになってからは、どの銀行が行儀がいいのか悪いのかということがわかるようになってきたわけでありますから、どうかひとつ十分きびしく監督をしていただいて、もし三年にわたって上位三行というのが変わらなければ、上位三行については、ひとつ来年度は公表をするという含みをもって監督の強化をしてもらいたいと思いますが、大臣どうでしょうか。
○水田国務大臣 たしか四十二年のときだったと思いますが、各銀行の店頭に掲示をさせるというようなことからこの取り締まりをやりましたが、いまでも各銀行に対して十分この警告をいたしておりまして、特に国税庁の査察事案に関連して把握されたものは、全部銀行局、財務局に連絡してもらう、通知をしてもらって、そしてまた銀行局独自の銀行検査の場合にも極力把握につとめて、そうしてその多い銀行に対しては特別に警告を発して取り締まるというようなことを現在相当やっておりますが、なかなか改善されないことは遺憾でございます。 そこで、その結果を見ますと、上位何行が変わらないというようなことでございましたが、私の開いておるところによりますと、大体同じようなクラスの金融機関というものは多かれ少なかれ、どこが多いのではなくて、同じような程度において存在しているのではないか。国税庁のたまたまこの査察事案に関係した件数だけが正確ではなくて、大体このクラスの銀行においては同じ程度の事例が行なわれているのではないかというような気がいたしますので、いま言った順序が上がったとかいうようなことについてはむろん厳重な監督をいたしますが、全体としてこの絶滅を期すことがやはり必要だと思います。したがいまして、今後さらに関係部内で緊密な連絡をとって、この問題にはもう少し積極的なことをやりたいと思っております。
○堀委員 私も国税庁の査察案件に出たこのデータだけが全部正確だとは、正確というかまだ隠れたものもあるから、必ずしもこのデータで、一〇〇%これでやりなさいという意味ではありません。ありませんが、何年かやっておれば、やはりこれは一つの傾向といいますか、毎年いつも同じものが上位三番に出てくるとするならば、これはやはり問題があるだろうと思うのです。もうすでに二年続いて、いま私が指摘したように昨年の三番目がことしは一番目、昨年の二番はことしも同じ二番目、昨年の一番目がことしは三番目などというようなことは、どう考えても私としてはちょっと異様に感じられるのです。昨年も下のほうはやはり八件とか九件とか一件とか少ないところがあって、その少ないところはことしも、その九件はことしはふえて十一件になっているけれども、そんなにふえていない。昨年八件のところは四件、昨年一件のところは三件だ。やはり低いところはそれなりに低いのが出ておりますから、ことしすぐどうこうとは言いません。これもやはりいまのような確率の問題がありますから言いませんが、三年間続けて上位三行というのがまた上位三行になったということになれば、これは偶然の一致じゃないと私は見ていいと思うのです。ですから私は、その上位三行がどこかも知れないし、何もそこにどうこうというのではないけれども、姿勢を少しきびしくしていただくといういまの御答弁で私はけっこうなんですが、その方法、手段としては、かりに来年もまた三行が同じように三行になったら、この三行だけは仮空名義預金について適切でない銀行だということを当委員会で報告してもらいたい。そのくらいのことをここであなたが、そうなったら報告しますと言ってあれば、この三行だけは大いに緊張して努力しますよ。そうすれば報告しないで済むようになるんだ。だから大蔵大臣、ひとつこの際、われわれが六年もかかってやっておるわけですから、私はいつも申し上げておるように、正しくないものを正すためには、私が国会議員である間じゅうやる、こう言っておるわけですから、まだまだこれが何年続くかわからぬわけです。だから、少なくともそういうことで、三行の名前をいま出せという気持ちはないのです。また来年三行が上位三行になったらその三行の名前は公表します、上位三行からはずれれば公表する必要はありませんから、そこらを含めて銀行局長はその点についてどう考えるか。先に銀行局長答えてください。
○近藤政府委員 先ほど大臣からお話がございましたように、規模の大小等によって、比較的同じような程度の仮装名義預金があるというようなことはあろうかと存じます。ただ、ただいまお示しの、常に上位に位するという銀行があれば、それについて特別の監視をするということは当然のことでありまして、実は一昨年でございましたか、御質問の際にもお答え申し上げましたように、国税庁から御連絡を受けまして、それによって、その事案を私ども独自の立場で分析いたしまして、その場合に預金者側により多く非があるか、あるいは銀行側により多く非があるか、個々のケースによってかなり程度が違っております。銀行側に非常に非が多くあるというふうに認められましたケースにつきましては厳重に注意をいたしまして、その結果に基づいて現実に、たとえば役員報酬のカットであるとか、あるいは配置がえ、譴責処分というようなことが行なわれている事例もございます。そういうことによりましてできるだけ改善につとめてまいりたいというふうに考えております。
○堀委員 それはいいのです。相手が金融機関だからということで名誉を尊重することはいいのですが、名誉を尊重するに足る実態がなければ困ります。金融機関という社会的な公共性のあるものが、要するに脱税その他に間接的に手を貸しておるような関係が、私どもが国会でこれだけ声を大にして毎年毎年やっておるにもかかわらず起こっておるということは、私は遺憾なことだと思うのです。だからそれについて、いま上にある三行が来年もまた三行になったときは、いま私が提案しておるように、委員会でその名前を出しましょうということは、改善をすれば何も出ることはないのですから、努力が実れば出ないで済むんだから、私はちっともかまわぬと思うのですが、大臣、どうですか。私の提案をひとつ考えてもらいたいということです。
○水田国務大臣 何らかの措置は考えましょう。
○堀委員 何らかの措置と言われるのですが、私の提案を含めて考えてもらいたい、こういうことを言っているのですよ。
○水田国務大臣 すぐに名前を発表するとかなんとかいう措置が妥当であるかどうか。しかしいずれにしましてもその改善がなかった銀行は十分に監督され、非難されるようないろいろな措置というものは十分考えられると思いますので、何らかの措置は考えるつもりでございます。
○堀委員 よくわかるのですよ、何らかの措置——私も何らかの措置で済むならいいと思うのですが、これはいつまでやっても変わらないのですよ。六年たってもこういう状態ですね、徐々に改善されておることは認めますが。だから私が言っておるのは、来年一番になったところは公表しろというなら問題がありますよ。しかし二年間三位の中に入っておるものでも努力をしたら公表されないで済むのですよ。努力をしない結果、依然としてこれからやっていればひっかかるというなら、また三位の中に入ったものについても公表するといったってちっともかまわないじゃないですか。どうですか。この銀行を公表するということではないのだから。
○吉國(二)政府委員 御承知のように査察の場合、三年過去にさかのぼっておりますし、さらに事実上その前を調べまして五年まで調べております。その間にすでに他に移したり、あるいは解約したりしたものも、課税の損益計算のためには全部洗い上げるわけでございます。したがいまして極端な場合、その三行も、去年でいえば五年前、いまからいえば六年前までの実績でやられているわけですね。ですから努力を続けているべきだと思いますが、来年三年目だということでやるのはまだちょっと早いかという感じがいたします。
○堀委員 わかりました。いまの件、なるほど査察は四十六年度だけれども、確かに前五年ありますから、そこらは来年からちょっと整理してくれませんか。要するに結果的にこの一年、要するに実際にその事案が起きた年にどうなっているかという問題をあわせて出してもらえば、前の問題はしょうがないですよ。これから先の問題だけで私は議論したいわけだから、そのときに来年出てくるものに三年前のものも入ってきたというのでは、これはちょっと私がいま言っておる趣旨に必ずしも合いませんから、そういう意味で最近単年度ではどうなっているかということの資料を含めて出していただけば、それが改善されていくかどうかは単年度で見ていればわかるわけです。少なくともそうなると思うので、それらを含めて検討していただいて、いまの提案は、その点ではちょっと無理がありますから、きびしくこういう問題のなくなるように最善の努力を尽くしてもらいたいと思いますが、大臣、いかがですか。
○水田国務大臣 そのとおりいたします。
○堀委員 それじゃ質問を終わります。
○齋藤委員長 これにて各案に対する質疑は終了いたしました。 次回は、明十八日木曜日、午前十時三十分理事会、十一時委員会を開会することといたし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時二十八分散会