大蔵委員会 第24号
- 発言数
- 101 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1972/05/09
会議録
○齋藤委員長 これより会議を開きます。 日本開発銀行法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。藤田高敏君。
○藤田(高)委員 すでに日本開発銀行法の一部改正に関する法律案の審議についてはさまざまな角度から質問が行なわれてきておるわけですが、私、今日までの審議過程を通していまなお理解できがたい問題点、一部同僚議員の質問点と重複する面があるかもしれませんけれども、さらに理解を深める立場から、以下質問をいたしたいと思います。まず第一にお伺いしたいのですが、この法律改正にあたって開発銀行法の目的の条文が変わったわけですけれども、この条文が変わることによって開発銀行それ自体の基本的な性格に変更があるのかどうか。端的に申しますと、たいへん俗っぽい表現でありますけれども、ライスカレーをカレーライスといったような上と下の置きかえでこの目的の変更がなされておるようですけれども、このことによって開発銀行それ自体の融資目的なりこれからの融資条件、そういうものに重大な変更、いわゆる目的変更に即応する変化というのが起こるのかどうか、その点について説明してもらいたいと思います。
○近藤政府委員 ただいま御指摘の点は、今回の開銀の目的の改正によりまして中身がどう変わっていくかという点でございますが、主として変わりますと申しますか、力点が従来以上に置かれます点は、たとえば従来は基幹産業中心あるいは産業中心というようなことでございましたものが、最近では大都市の再開発、流通近代化、公害防止というような、いわゆる社会開発に資する融資に次第にウエートが移っていたわけでございますが、この点を法律上も明確にいたすことによりまして、さらにそちらの方面、つまりたとえば生活優先というようなことを強く打ち出してまいりたいということが目的改正のねらいである、そういう意味での変化があろうかと存じております。
○藤田(高)委員 それでは、現在の融資実績の推移については、私も少しく資料を持ち合わせておりますが、今日までのこういった融資実績というものは、将来に向けて、いま局長の答弁があった方向に沿って融資のワクについても増大していくのかどうか、この点お尋ねしておきたいと思うことが一つ。 それと、政府関係の金融機関として、この種の銀行がこの目的に合致するような資金融資を行なう場合に、従来のような産業開発あるいは経済社会の発展という概念ではなくて、今日非常に社会開発にあたって重要視されておる問題は、私、後ほどもそれに関連して質問したいと思っておるところですけれども、いわゆる公害をなくする、公害を発生させない産業ということが中心にならなければならぬと思うのです。もちろん、この融資項目の中には公害防止の施設についても融資がなされておりますけれども、私は、今回の法律改正にあたって、いま言ったような形で、昭和二十六年にこの銀行法が設置されて以来、いわば性格変更ともいうべき目的の変更がなされるということであれば、この機会に「産業の開発及び経済社会の発展」という前段に、公害を発生させないという文句を入れるか、あるいは自然環境、生活環境を破壊しない、そういう産業の開発に対してのみこの開発銀行の融資は充当していくんだ、こういう性格づけをこの際明確にする必要があるのではないかと思うのですが、そのことを含めて見解をお尋ねしたい。
○近藤政府委員 まず前段の、今後この目的変更に伴いまして融資額のウェートも変化していくかどうかという点でございますが、これは目的の変化に伴いまして、当然融資額のウエートも変化してまいるべきであろうかと存じます。過去の実績でまいりましても、たとえば社会開発関係の融資のウェートは、昭和三十五年度におきまして四・五%でございましたが、四十五年度にはこれが十五・七%になり、今度の四十七年度の計画では二三・八%ということに相なっております。この間かなりの増加、シェア拡大が見られるわけでございます。それから産業開発につきましては、三十五年度の八二・八%が四十五年度では六九・一%、四十七年度には六〇・六%、このほうはまたかなりのシェアの縮小が見られるわけでございます。このような傾向は今回の目的改正とともにますます進められるというように考えております。 それから、後段の公害防止ということにつきましては、全く御指摘のとおりでございまして、公害防止ということを今後の重点の一つとして取り上げてまいることになろうかと存じます。「経済社会の発展」ということが目的の改正でうたわれることになっておりますから、「経済社会の発展」ということばの意味は、新経済社会発展計画にもございますように、「充実した経済力にふさわしい国民生活実現のための社会的基盤を整備し」「真に豊かな社会の建設を目ざす」、つまり、住みいい社会の建設ということでございますので、公害防止ということについては、この目的の経済社会の発展ということからまいりましても、大いにウエートが置かれるとということになろうかと存じます。
○藤田(高)委員 一般的なものの考え方としては、いまの答弁で理解することはできるのですけれども、それでは、後ほど触れることにいたしておりますが、たとえば原子力発電の問題のように、放射能公害の問題なり温排水公害、こういったものについての対策なり、あるいは安全性そのものについての十分な結論が出ていない、そういった原子力発電に対して、この開発銀行が、ことしの計画を見ても相当ことしも融資をすることになっています。ところが、いまの局長の答弁でいけば、当然公害は起こさない、あるいは公害防止に重点を置いた、そういう産業に向けて融資をしていくのだということではありますが、実際の実態というものは必ずしもそういうわけにはいかない。ですから、この開発銀行が融資をする産業なり地域開発なりいろいろありますが、少なくとも、この銀行融資によってつくられる施設、そういったものからは一切公害は出さないのだ、少なくとも国の排出基準あるいは環境基準、そういった以下の条件が整備できてない、逆にいえばできておる、そういう産業なり企業に対して融資をするのだという大きな歯どめをかける必要があるのじゃないか。そのためにはこの第一条の目的の中に、表現のいかんはともかくとして、公害を発生させない産業の開発及び云々、こういう何かそこに適切な、公害の発生企業に対しては、あるいはそういう開発に対しては、この銀行は融資をしないのだという性格づけをすることがきわめて重要ではないかと思うのですけれども、そういうことはできないかどうか。これはできないかどうかというのはおかしな話で、私はそうすべきだと思うのですが、重ねてその見解を聞きたいと思います。
○近藤政府委員 公害を発生するおそれのある企業に対する融資につきましての歯どめにつきましては、先ほど御指摘のございましたように、各種の措置、たとえば原子力委員会の意見とか原子炉安全専門委員会の結論、原子炉設置に対する総理大臣の認可、許可といったような個々の許認可を通じて十分検討をしてまいる必要があろうかと存じます。その辺の細目につきましては、開発銀行の総裁からお答えいただくほうがよろしいかと存じますが、ただいまの第一条の中に公害を発生する企業自体に対する融資をしないという趣旨のことを織り込むかどうかという点でございますが、この点はまさに先ほども申し上げましたように、経済社会の発展ということばは新経済社会発展計画にもございますとおりの意味内容でございまして、したがいまして、ただいまの御指摘の線にまさに沿った表現であり、また実際の運営にあたりましても、当然その方向で運営がなされるべきものであるというふうに考えている次第でございます。
○石原説明員 私どものほうで公害に関係をいたします融資上の点といたしましては二つあるかと思います。一つは、先ほども銀行局長がお答えされましたように、公害防止関係の融資が非常にふえてきております。この場合におきましては、御承知のように大気汚染防止法以下の法律に基づきまして、中央にある許容基準、またそれに基づきまして地方自治体がさらにきめている基準、それからまた企業によりましてはいわゆる公害防止協定というものを結んで、ある限度以下に発生量を押えるということをやっております。そこら辺につきましては各個の融資ごとに、公害防止施設がそれらの協定なり基準なりを守れるかという点を確認をいたしまして融資をいたしております。 それから第二の問題は、原子力発電のお話がございましたが、原子力発電につきましては銀行局長がお答えをされましたように、原子炉の安全の審査の専門委員会というのがございまして、そこで十分専門家によりまする安全審査をせられまして、それに基づきまして総理大臣の許可がございます。それとまた別途並行いたしまして、電気事業法に基づきます通産大臣の認可がございます。これは設置の認可と運転の認可と両方あったと思いますが、いずれにいたしましてもそういうような認可がすでに済み、その点の確認がせられておるということを前提といたしまして、原子力関係の融資をいたしております。 なお、第三に申し上げておきますることは、一般の融資につきましても、これまた公害の問題も問題になり得ることでありますから、これは大気汚染防止法、水質汚濁防止法以下公害の規制をいたしております法律がございます。その法律に基づきます基準の範囲内でこれらの設備が運営せられるか、そこら辺につきましての十二分の確認をいたしました上で一般の融資もいたします。 したがいまして藤田委員の御指摘になりましたような頭で、現在の公害防止融資あるいは原子力発電の融資ばかりではなくて、全体の融資につきましてそういうようなたてまえでやっておるということを申し上げておきます。
○藤田(高)委員 それでは、この問題は以下私が質問する原子力発電の問題とも関連をいたしますから、その問題の中で最終的にどういうふうに目的の中に条文として、いわばうたい込むかどうかということを、あらためて念を押したいと思っております。 そこで、時間を節約する意味において、私の手元の資料で質問をいたしますが、開発銀行の融資実績の推移表によりますと、昭和四十二年からここ五年間の実績をとりますと、電力関係の融資総額、四十二年百六十八億、そのうち原子力関係が四十四億。四十三年が百八十四億に対して五十八億。四十四年が二百二十一億に対して六十二億。四十五年二百三十三億に対して百十六億。四十六年の四月から九月までのこれは実績でありますが、百七十五億に対して二百十三億。こういうふうに数字の面で逆の数字が出ておりますが、ここのところはひとつ注釈を加えて答弁を願いたいと思います。四十七年は原子力発電の関係だけで三百十七億、こういう計画になっておると思うのですけれども、その数字には間違いありませんか。
○石原説明員 原子力発電の数字は大体ただいまお読み上げになりました数字でございますが、四十二年度四十四億、四十三年度五十八億、四十四年度六十九億、四十五年度百二十三億、四十六年度上期とそれから年度の見込みと両方ございますが、上期におきまして百四十五億、年度全体の見通しといたしまして二百十四億、こういう数字があります。
○藤田(高)委員 若干の数字の違いはあるにしましても、大綱的な数字としては間違いないと思うのです。そういたしますと、電力関係の融資ワクのうち、この原子力発電に向けての融資額というものがこの大宗をなしておる、こういうふうに見ても差しつかえないのですね。
○石原説明員 先ほど藤田委員が数字でおっしゃいましたように、四十二年、四十三年におきましては、原子力発電のウエートはそう大きくございません。と申しまするのは、石炭火力の関係がまだその当時残っておりましたのと、重電機延べ払いと申します大型の発電機の国産化の問題がございまして、これに対します延べ払い融資をいたしております。その石炭火力が四十五年度をもって終わり、重電機延べ払いも四十五年度をもって新規融資打ち切り、四十五年度で金がなくなりました。したがいまして、現在の段階で申し上げますと、電力関係の融資は、原子力発電が四十七年度ベースにおきましてはその全部である、こういうことに相なっております。
○藤田(高)委員 そこで私、少し原子力発電に関する技術的な問題について、これは科学技術庁なりあるいは環境庁なり通産省なり、主として科学技術庁になろうかと思いますが、お尋ねをしたいわけです。私もこの種のことについてはしろうとでありますけれども、ごく常識的な質問をしてみたいと思うのですが、現在原子力発電の発電能力というのは約百三十万キロワット、こういわれています。五十年には九百四十万キロワット、五年先には約一千五十万キロワット、昭和六十年には六千万キロワットという、いろいろ数字上の計画もあるようです。こういうものを中心に、ひとつ理解しやすい意味においてお尋ねをしたいのですが、現在つくられておる原子力発電の中で、約三十万キロワットの出力の原子力発電で、俗に言われている死の灰というのは一日に何キログラム出るのか、年間に直して何キログラム出るのか。また、三十万キロワットを単位にして、いま問題になっておる使用済み燃料というのは、トン数にしてどの程度出るのか。これを一つの基準にいたしますと、現在全国で約百三十万キロワットですけれども、理解をしやすい意味において、百万キロワット、約三倍ということで計算すれば、おのずからそこに死の灰と称するもの、あるいは使用済み燃料と称するものの量が出てくるわけですが、これはどれくらいなものが出るのか。科学技術庁でもけっこうですし、環境庁でもけっこうですから、お答えをいただきたいと思うのです。
○大坂説明員 ただいま先生の御質問の資料につきましては、持ち合わせておりませんので、後ほど資料として提出いたしたいと思います。
○藤田(高)委員 私、質問の機会がきょうにずっとずれたわけですけれども、約一週間前ですかに質問を予定されておったときにも、特別に科学技術庁なりあるいは通産省なりあるいは環境庁の責任者といいますか、専門家を呼ばなくとも、少なくともいま私が質問しておる程度のことは——私自身も冒頭断わったように、常識的な質問をする、しかしながら少しくこういった技術的な数字も扱うので、開発銀行それ自体で答弁できればいいが、できなければひとつ関係各省の専門家を呼んでほしい。しかし、やはり関係各省のそういう専門家を呼んでおくほうがよかろうということで、私、念のために呼んでおるわけですね。次長でしょう。科学技術庁の次長がこの程度のことが答弁できないというのでは、それ自体私、原子力発電についての問題があると思うのです。最近、公害問題の中で、御承知のとおり、原発にかけての問題というのが毎日のように大きなスペースをとって新聞紙上でもあれだけ論議されておる。これが答弁できないというのはおかしいのですが、環境庁どうですか。環境庁来ていますか。——環境庁の立場から答弁してください。
○岡安政府委員 実は私のほうは、法律的には、放射性物質等によります環境汚染につきましては、科学技術庁で担当するというたてまえになっております。そこで、こまかい数字等につきましては、現在お答えできない状態でございます。
○大坂説明員 概略の数字でございますけれども、たとえば敦賀発電所は御承知のように三十四万キロワットでございますが、そこから排出されます気体廃棄物の量としましては、数万キュリー、大体六万ないし七万キュリーというぐあいに考えられております。それから水に出ますところの放射性廃棄物としましては、年間二ないし三キュリーぐらいじゃないかというふうに考えております。それから使用済み燃料として再処理を要しますものが、これも概数でございますが、大体二十トン程度であろうと思っております。
○藤田(高)委員 答弁の用意が十分でないようですから、いわゆるしろうとと称する私のほうからごく常識的な材料を提供しながら質問します。本来なれば、私は答弁が正確にできる政府委員を求めてから質問を継続したいわけですけれども、いろいろな考慮を払って質問をしますが、この三十万キロワットというのは、私一つの計算上の単位としてまる数で言ったほうが理解しやすいだろうということで質問しかけたわけです。現在三十三万キロワットの原子力発電で死の灰が一日どれくらいできるかといえば、一日一キログラム、年間三百六十キログラム。死の灰の一キログラムというのは、常識的に言って、広島に落ちた原爆の死の灰と同じ量のもの、三十三万キロワットの原子力発電所一基から毎日できる死の灰がこれだけある。私は、この程度のことはごく常識的なこととして科学技術庁が知らぬはずはないと思うのです。この点ひとつ言っておきますが、その程度のものが出るわけですよ。使用済み燃料は、いま答弁がありましたが二十トン、そうしますと、結局現在ある全国の四基の原子力発電所の出力は、百三十万キロワットですか、これを約三倍と見て、死の灰が年間一トン、ですから、広島に落ちた原爆の千倍以上のものがいまわが国でつくられておるわけですね。ですから、それに関連して使用済み燃料はどれくらいになるかといえば、いまの科学技術庁の答弁で二十トンという数字が一応仮定の数字として出れば、約その三倍ですから六十トンの使用済み燃料ができる、こういう計算になりますね。そうすると、いわゆる死の灰、使用済み燃料の処理の問題は、きわめて重要な問題になってこざるを得ない。その場合、現在東海村におけるいわゆる使用済み燃料の再処理の問題が論議されておりますけれども、現在の使用済み燃料の処理能力は、東海村の場合は大体二百十トン。そうしますと、これを逆算しますと、東海村でかりに使用済み燃料の再処理をやろうとすれば、そこからできる死の灰の量というのは最低六トン。常識的に理解しやすいたとえをすれば、広島の原爆の六千倍ないし七千倍ですね。それだけの死の灰ができるわけです。これらの処理について、いわゆる放射能公害を起こさない、そういう対策なり、安全性を中心とした処理能力というものがあり得るのかどうか、私は、ここが中心になると思うのです。その点について科学技術庁はどう考えているのか。 あるいは環境庁は、最近新聞で見たところによりますと、たしか前月の何日でしたか、参議院におけるわれわれ社会党の同僚議員の質問に大石長官が答えて、この問題はいままで、端的に言えば科学技術庁まかせであったけれども、これは、環境保全の問題に関する限り環境庁もいわば一枚かまなければいけない、むしろ原発の許可をするかどうかについても、先ほどの開発銀行総裁の答弁ではありませんが、いままでは一つの科学技術庁の安全審査をパスすればそれで許可になっていた。しかし、これからは環境庁が許可するかどうかについても一つの権限を持つというような構想が打ち出されておりますが、これはどういうことなのか。いわゆる処理能力というものが完全にあるのかどうか。その処理能力をもってして、放射能公害というものは絶対起こらないのかどうか。私、あえてこのことを申し上げるのは、放射能公害に関する限りは、公害が出たからあとから対策を講じればそれでいいじゃないかというものとは、いままでの一般的にいわれてきている公害被害の問題とは違うと思うのですよ。そういう意味において、事前の対策なり安全性について絶対という保障がない限り、この原発の開発問題については、この時期において一ぺん再検討する必要があるのではないか。それに関連して、日本開発銀行がその原発に向けて融資をするわけですから、そういう安全性についての保障条件のない企業に対して融資をすることは、私は、今日の段階で見合わすべきじゃないかという見解を持つものです。そういう考え方においてひとつ先ほどの質問に対してお答えをいただきたい。
○大坂説明員 ただいま御質問のございました、動燃で現在建設しております東海村の再処理工場でございますが、ここから排出されます廃棄物につきましては、原子力発電所に比べて相当程度高いことは御指摘のとおりでございます。ただ、この再処理工場の安全性につきましては、特別に原子力委員会に再処理工場の安全審査のための専門部会を設けまして、そこで慎重に検討いたしました結果、安全であるという結論を得たわけでございます。たとえば気体廃棄物につきましては、相当量の放射性廃棄物が出ますけれども、これによって計算いたしましたところ、敷地の境界線に、例が悪いのですけれども、たとえば裸で成人が立っておりました場合に浴びる一年間の放射線量と申しますのは、三十二ミリレムということでございまして、御承知のように、国際的に設けられております許容基準が五百ミリレム、日本もそれを採用いたしまして法制化しておりますけれども、・それに比べて十分に低い。それから海に放出されます排水中に含まれます放射性物質は、一日平均〇・七キュリーということでございまして、それらの海水による拡散等を通じて海産資源その他に対する影響はほとんどないということで、それらを総合いたしまして安全であるという結論を得たわけでございます。 なお、濃度の高い放射性物質あるいは固体廃棄物等につきましては、すべて再処理工場の敷地内に安全に貯蔵あるいは保管するというしかけになっておるわけでございます。
○藤田(高)委員 いま答弁になった見解は、結論はいつ出ましたか。
○大坂説明員 聞き忘れましたが、たしか四十五年だったと思います。
○藤田(高)委員 これは新聞に出ておる程度の資料でも、そういう安全性についてだいじょうぶだということは出ていない、こういっていますが、四十五年に出たといえば、もうこれは二年前ですね。ところが、私の手元にある資料でいきますと、四十六年の十月十九日付で科学技術庁が発表した見解によっても、「放射性廃棄物は施設内にある限り安全であり、当面の貯蔵能力に心配はないが、将来に備え、これを最終的に安全に処分する具体的方策を立てる必要があり、鋭意検討を続けている。」鋭意検討中、こういう見解が出ております。いまの次長の答弁からいきますと、四十五年にだいじょうぶだ、こう言っておるのですけれども、その一年あと、というよりも、むしろ四十六年の十月ですから、いまからいったら半年ほど前に、科学技術庁は放射性の廃棄物の安全性については具体的な方策を立てる必要があり、鋭意検討中、こういう見解を正式に発表しておるじゃないですか。これはどうですか。
○大坂説明員 再処理工場の安全審査につきましては、先ほど申し上げましたように原子力委員会に設けられました安全審査のための専門部会の御答申を四十五年に得たわけでございますが、ただいま先生の御指摘の廃棄物についてさらに調査研究を進めるとか検討を進めるというのは、おそらく固体廃棄物の最終的な処分を行なうための方策を立てるべきであるということじゃないかと思います。その点につきましては、原子力局内に固体廃棄物の処理、処分の検討会というものを設けまして、昨年の六月だったと思いますけれども、検討会の結論を得たわけでありますが、それによりますと、固体廃棄物は、数年の研究開発及び海洋調査等を経て、海洋処分を試験的に行なうかあるいは地上に安全に保管するための研究開発を行なうべきであるという結論を得ているわけでございますが、それに基づきまして、現在なお原子力委員会に設けられます環境安全専門部会というところで、その検討会の答申を具体的にどういう方法でやっていくかということについて検討しておる段階でございます。
○藤田(高)委員 いまそういうような答弁を聞いても、俗にいわれている使用済み燃料についての廃棄物処理にあたって、そこから出てくるところの放射能についての安全性についてはまだ結論が出ていない、検討中だ、そういうことですね。
○大坂説明員 説明が十分じゃなかったかと思いますが、ただいま申しました固体廃棄物の海洋処分あるいは陸上保管というものの対象になりますものは、低レベルの廃棄物でございまして、たとえば二百リットル入りのドラムかんの中に廃棄物を入れて、さらにそれをコンクリートあるいはアスファルトで固化するというようなことで安全にいたしまして、それをたとえば海洋投棄するという場合におきます廃棄物の量としましては、一キュリー以下のものになろうかと思います。再処理工場から出ます廃棄物は、そういう低レベルのほかに高レベルあるいは中レベルのものがかなり出てまいりますので、そういうものにつきましては、再処理工場の敷地内に完全に保管して外に出さないという方針でやっておるわけでございます。
○藤田(高)委員 いまいろいろ重大な答弁がありましたけれども、もちろん低いもの、中のもの、高いものというふうに分けての答弁ですけれども、海洋投棄をやるという答弁がいまありました。海洋投棄は、これは国際的にもそういうことはしてはだめだということが方向づけられておるでしょう。海洋投棄をやっていくんですか、現在貯蔵されておるものは。現在原子力研究所だけでも、この廃棄物がドラムかんの中に一万本、動力炉・核燃料開発事業団に二千三、四百本、原子力発電所にかれこれ二千五百本程度というものが、もうすでに貯蔵されておるわけですね。そういったものは全部海洋投棄やるんですか、どうですか。こんなばかな話はないよ。
○大坂説明員 先ほど申しましたように、高レベルのもの及び中レベルのものにつきましては、現在のところそれをどういうふうに最終的に処分するかということの方針はきまっておりませんので、敷地内に安全に貯蔵させるという方針をとっております。ただし、先ほど申しましたように、低レベルの固体廃棄物につきましては、これをドラムかん内にコンクリートまたはアスファルトでもって固化いたしまして、そして海洋投棄するなりあるいは陸上にまとめて保管するというような方式を現在検討中でございまして、四十七年度では海洋投棄をいたす場合におきましても、ただやみくもに投棄するわけにはいきませんので、そのためのコンクリートといいますか、容器の研究あるいは海洋の調査等を各省にお願いいたしまして進めているわけでございます。 ただいま先生御指摘のありました原研、動燃あるいは原子力発電所等に数千本あるいは一万本のドラムかんがあるという御指摘でございますが、そのうち特に高いものは除きまして、低レベルのものにつきましては、試験的に投棄する対象になるかどうかをこれから検討するというわけでございます。
○藤田(高)委員 先ほど、三十万キロワットの原子力発電で使用済み燃料がどれくらいできるかといいますと、約二十トンだ、こう答弁されましたね。この計算からいきますと、結局四十五年から四十五年、四十六年というふうにずっと累積して原子力発電所がたくさん次から次できていくんですから、それと並行して廃棄物がずっと累積していくわけです。そうすると、たとえば最も近い機会、東海村の再処理工場が動き出すのは、昭和五十年でしょう。五十年といったって、もうあと三年じゃないですか。三年先の段階では廃棄物はそうしたらどれくらいのトン数できるんですか、その計算でいけば。千トンこすでしょう。どうですかこれは、私の概算だけれども。
○大坂説明員 動燃の再処理工場が稼働いたします昭和五十年前半かと思いますが、そのときにおきます使用済み燃料の量は、概数でございますけれども、七、八百トン程度じゃないかと思います。
○藤田(高)委員 その数字は一千トンになるかあるいは七、八百トンになるか知りませんが、結局これだけのものができるわけです。そうでしょう。そうすると、この廃棄物をどう処理するかということが、重要な問題になってくる。その廃棄物を処理する段階で、放射能公害が起こらないのかどうか。これは私こういったことについてももちろんしろうとですが、たとえば再処理にあたって非常に有毒な放射性ガス、いわゆるクリプトン八五というガスが——大体この廃棄物の中からは、プルトニウム二三九とウラン二三五、これはもう非常に少量しか分解できない。常識的な言い方をすると、九〇%以上がこのクリプトン八五というガスとして発生する。このガスは空気より三倍くらい重い。ですから、地面におりるわけですね。ですから、場所にもよりますけれども、よほど強い風ででも吹き流されるというようなことでない限り、これは地面に滞留するというか、はうようなガスだ。いま現在の科学的知識をもってしては、この有毒性はどれほどおそろしいかということについて、まだわかってないとさえいわれている。 そうすると、現在百三十万キロワット、今度は五十年段階は一千万キロワット、昭和六十年の段階では六千万キロワット、それに向けて日本開発銀行はどんどんどんどん原子力発電所に融資をしていくわけです。融資していって原子力発電所をつくったけれども、結局そこで出てきた廃棄物はどこへ来るかといえば、いまの段階では昭和五十年に東海村のここへ持ってくるという計画だということになれば、その最終処理についての方法、対策、そこでその再処理をやる場合に放射能公害は出ません、その対策というものが十分できてない段階でどんどんどんどんつくっていくということは、私は、これは産業開発という冒頭言った公害を発生させないという見地から考えて、これは重要な問題だと思うのです。 ですから、科学技術庁のいまの答弁によっても、これはあとでもお答え願いたいですが、安全性の問題については絶対だいじょうぶだという保障はないでしょう。その点はどうですか。そのことに関連して、これは私は科学技術庁まかせではいけない。それから通産省の産業対策という通産省まかせではいけない。科学技術庁が一つお墨つきを与えたからということで、無条件で開発銀行はだいじょうぶだろうということで不定見な融資をするということもいけない。少なくとも原発を推進したり開発したりする側は、極端にいえば、一つの産業対策なり利潤追求の政策として、高度な観点からいえばなるほどエネルギー政策という観点から推進をしていくでしょうけれども、被害を受ける、放射能公害を受ける住民なり国民の立場からいけば、これは環境庁は少なくとも責任をもって、いま私が質問しておる最終廃棄物の処理にあたっては、安全性についても絶対だいじょうぶです、こういう保障条件がない限り、この原発それ自体についての建設あるいは融資というものについては再検討する必要があるんじゃないか、こういうふうに考えるのです。そういう立場に立って科学技術庁、環境庁、それから開発銀行、それぞれ答弁を願いたいと思います。
○大坂説明員 先ほど御指摘がありました廃棄物の最終的な処分の方法がきまらないうちに原子力発電所をどんどんつくるのは問題だという御指摘でございますが、固体廃棄物の処理、処分にあたりましては、先ほども申しましたように、ここ三年ないし四年の間に海洋投棄あるいは陸上保管についてめどをつけるという考えで現在検討している段階でございますが、それまでの間におきましても、原子力発電所の敷地内に十分貯蔵し、安全に保管する施設を持っておりますので——たとえば現在の各発電所の敷地内には五年ないし六年の貯蔵庫を持っております。したがって、それが一ぱいになりますれば、さらにそれを増設する……。
○藤田(高)委員 いまのところ、ちょっともう一ぺん言ってください。
○大坂説明員 ドラムかんに詰めたものが、発電所によって違いますけれども、たとえば敦賀の発電所でありますと、年間二千本程度のドラムかんが出てまいりますし、加圧水型の美浜発電所等になりますと、それの半分以下になるというような発生状況でございますけれども、そういうものは各発電所の敷地内に安全に保管できる貯蔵庫を持っておりまして、発電所によって違いますが、大体五年ないし六年分の発生分はそこで安全に保管できるということでございます。もしそれまでに最終処分の方法が確立されなければ、さらに貯蔵庫を増設させて安全に保管させるという方法をとらざるを得ないと思いますが、いずれにしましても、そういうことで固体廃棄物は安全に貯蔵できるという体制をとっているわけでございます。 なお、先ほど御指摘のありました海洋投棄につきまして、世界各国とも反対であるという御意見でございますけれども、確かに米国におきましては、高レベルの廃棄物につきましてはこれを海洋に投棄してはならないという国内法もございますし、国際的にもそういう動きはございます。ただ、私が先ほど申しました低レベルの廃棄物につきましては、これを規制するということは出ておりますけれども、その規制の方法につきましては、各国政府の規制に従ってやるというのが現在までの動きでございまして、今後どういう方向をたどるかはわかりませんが、いずれにしましても、日本のみならずヨーロッパにおきましても、敷地的な制限がございますので、国際的な問題としてこれを検討していく必要があるんじゃないかということで、国際機関に日本としても提唱しているわけでございます。 いずれにしましても、廃棄物の問題につきまして御説明申し上げましたが、原子力発電所の安全問題につきましては、その安全性につきまして原子炉安全専門審議会というところで権威ある先生方の審査を経、それからその建設設計の段階でチェックし、あるいは運転の段階で逐一チェックをして、安全の上にも安全をはかっているというのが現状でございますが、ただ、それにしましてもその廃棄物の最終処分の問題を今後どういうふうに計画的にやっていくかとか、あるいは温排水の問題をどういうふうに考えていくかとか、あるいは、今後大型化、集中化の傾向をとることはやむを得ないと思いますが、その場合に、これに積極的に対処していくためにはどういうふうな研究開発を進める必要があるかということで、先ほど申しました原子力委員会に環境安全専門部会を設けまして、いわば先取りするようなかっこうで議論し、研究を進めているというのが、現状でございます。
○岡安政府委員 放射性の廃棄物の処理、処分につきましては、まず法律制度の面におきましては、先生御承知のとおり、現在科学技術庁において一元的にこれを処理することになっております。ただ、私どもはやはり環境一般の保全といいますか、それに責任があるわけでございますし、特に一度汚染された場合にはこれはもとへ戻らないというような汚染につきましては、絶対阻止しなければならないという立場にございます。 そこで私どもは、放射性廃棄物につきましても、安全性の確認等がはっきりされない間は軽々にこれを処理してはならないというふうに考えております。たとえこれは低レベルの放射性の廃棄物でありましても、試験、研究、調査の結果安全性が十分確認された上で、処理の方法、また処理の場所等をきめるべきであるというふうに考えております。 これにつきましては、現在、先ほどの御答弁もございますとおり、科学技術庁におきまして年次計画をもちまして安全性の確認等を急いでおるようでございます。私どもも今後、科学技術庁と十分連絡をいたしまして、安全性の確保につきましては遺憾のないようにいたしてまいりたいと考えておる次第であります。
○藤田(高)委員 開発銀行の総裁はあとでお尋ねします。 いまの環境庁の答弁を聞いてもわかりますように、最終廃棄物の処理方法について、あるいは場所、量的なものを含めて、どこへどういうふうに処理していくか、捨てていくか。捨てるといったって、これはもうアメリカのように、あるいはソビエトのように、広い地域で、何でも岩塩層というのですか、何か一定の、放射能公害が起こらないように密閉するところへ処理するようななにが、日本の場合はない。そういう段階で、端的にいえば、処理方法についても、出る量はわかるが、それをどこへどういうふうに処分をするのかということについては、まだ結論が出ていないですね。これは検討中でしょう。——それはあとでなにしてください。そういうことがきまっていない段階で、普通のことでしたら、並行的に検討して、それで安全性についても万遺憾なきを期します、これで終わり、こうなると私は思うのです。しかし、放射能公害の問題はそういうわけにいかぬ。まず、その放射能公害が起こらないためにどうするか。最終廃棄物から出るものは、東海村から出るクリプトンについては、これはたとえば十年間かからなければ——その有毒なガスの有毒性というものは十年間たっても半分にしか減らぬというような、これはおそろしいガスでしょう。そういうものが、二年、三年先には東海村で再処理をやろうかという、そういう計画がある。しかし、そこから出てくるガスについての処置方法、そういうものが全然対策が講じられてないまま、開発銀行からもどんどん金を出してそういうものをつくって、そうしてここに廃棄物だけがたくさんできる。どういうことになるのでしょうかね。これから、年次計画がありますように、六十年の六千万キロワットに向けてどんどん原子力発電所が増設されていく。 そうすると、これもお尋ねしたいのですけれども、原子炉の寿命というのは大体十年から十二、三年だというふうにわれわれ理解しておるわけですが、そういうものかどうか、これはあとで聞かしてもらいたい。そうすると、昭和五十五年から六十年にかけては、原子炉それ自身を今度はつくりかえなければいかぬ。そうすると、原子炉それ自身がたいへんな放射能を含んだ廃棄物の対象になる。そういうものの処理はどうするんだ、そういうことがきちんと——最終処理の、東海村で処理するなにについてはこういうふうに処理します、これについては安全性はこうです、六十年の段階でこんなにたくさんできても、その処理方法はこうですというものが、今日の段階で科学的、技術的に一つの結論が出た上で、この原子力発電というものは公害がない、放射能公害についての心配はない、安全性についてはだいじょうぶだということで私は開発を促進すべきじゃないかと思うのですよ。そういうものは、科学技術庁は科学技術庁だけでやる。科学技術庁の安全審査会でパスしたら、これはもう絶対なものだとして開発銀行は融資する。全く私は不見識だと思いますね。国民の命なんというものをどういうふうに考えておるのだと、この観点からいけば、私は、安全性の問題について明確な結論が出るまでは、原発それ自体について、これはひとり開発銀行だけではありません、各省間で再検討して、国際的にも十分な権威のある結論が出るまでは、原発それ自体の開発について、少なくとも国が奨励策を講じてまでやるべきものでない、こういうふうに考えるわけですが、どうでしょうか。この一番最後の問題、ひとつ政務次官から聞かしてください。
○田中(六)政府委員 原発の開発にはやはり安全性の確保ということが大事だと思いますし、したがって藤田委員の指摘のように、その安全性の確保が確立してない限り、これを進めていいかどうかということは、国民の命の問題として十分検討しなければならないと思いますので、私どももその点から配慮していかなければならないと思います。 ただ、事務当局が指摘しておりますように、安全性の、保管、貯蔵の年限が五、六年は十分だということを、私も実はこれはあまり詳しくないのですが、いま答弁で聞いたのですが、そういうことを考えれば、その間に何とかそういう方向で検討をしていけばいいんじゃないかという気がしますし、いずれにしても、そういう安全性の確保ということが何よりも大事だというふうに考えております。
○大坂説明員 耐用年数につきましては、税法上の取り扱いは原子炉につきまして十五年ということになっておりますが、実際の運転可能年数は二十年ないし三十年というふうに考えております。それが終わった後どういうふうに処理するかという問題は確かに大きな問題でございまして、各立地の市町村あるいは府県等におきましてもその質問をしばしば受けるわけでございますが、現在、私ども考えております一つの方法としましては、原子炉のうち、たとえば上のほうの分解できる分を取り去りまして、そして残ったところで、その放射性物質を含んでいる炉心とかあるいはそれに関連するような施設で残るものがございますが、それにつきましては、たとえば上から全部土砂をかけてこんもりとする。それで放射能が外に逸散しないようにするというような方法も一つの方法かと思いますが、その場合は結局、岩盤まで掘さくいたしますから、大体二十五メートル程度付近より低くなっておりますから、その面でそう大きく飛び出すこともないし、美観上といいますか、外観上もそのほうがよろしいんじゃないかというようなことも一つの方法かと思いますが、いずれにしましても、今後この寿命を果たした後の原子炉をどういうふうに処理していくかというのが、私どもの一つの課題かと思います。 なお、再処理工場に関連して、先生から数回にわたってクリプトン八五が出る、それをどういうふうに取り扱うのかという御意見がございましたけれども、確かに非常にむずかしい問題でございます。世界各国とも再処理工場が数カ工場ございまして現在稼働しておりますが、このクリプトン八五の処理につきましては、各国ともいたしかたないということで大気中に放散させておりますが、各国ともこれを何とかして押えよう。ただ、押えるのは技術的に可能であっても、それをいかにしてコンテインするというか、貯蔵していくかということがかなり大きな問題でございまして、この問題につきましては、国際的にも研究を進めていくという動向になっております。ただ、その研究開発ができ上がりますれば、当然動燃の再処理工場にもそれをつけさせるという考えでございますが、その研究開発が進まない段階におきましても、先ほども申しましたように、原子力委員会の再処理工場の安全の専門部会におきまして検討いたしました結果、クリプトン八五の影響も考慮いたしまして、敷地の境界線上に立っておりました成人の者が一年間に三十二ミリレムということで、国際的な、あるいは日本の許容基準の十数分の一ということになっておりますので、私どもとしましては、クリプトン八五の捕集設備が完成するまでも十分安全であるというふうに考えているわけでございます。
○岡安政府委員 放射性の廃棄物のように、環境汚染をしました場合、これはもとに戻らないというようなおそれのあるような物質につきましては、私どもは、これは結論が出る前に軽々に処分すべきではないというふうに考えております。ただ、これは安全な処理並びに処分の場所等がわかりますまでは、むしろやはりこれは安全保管をしておいたほうが、環境汚染を防止する上からいって適当であろうというふうに考えております。私どもとしましては、科学技術庁とも協力いたしまして、廃棄物の処理、処分の方法につきましては、環境を絶対に汚染をしないという方法の発見に努力をいたしまして、そういう方法ができるまでは極力できるだけ安全に保管をしておくという方向で進むべきであると実は考えておるわけであります。
○藤田(高)委員 科学技術庁と環境庁では若干ニュアンスの違いはありますが、環境庁のほうは、最終廃棄物の処理については、再処理の過程で放射能公害が起こらないという、そういう安全性の保障が発見できるまでは貯蔵をし、保管をして、いわば再処理をすべきではない、こういう答弁だと思うのです。しかし、科学技術庁のほうは、クリプトン八五というような有毒なガスが出ても、これは大気中に国際的にも放出、放散しておるのだから、これは当面やむを得ない、こういう言い方をしたと思うのですが、それは意見はちょっと違っていますが、どうですか。見解は、いま私が整理したとおりでしょう。どうですか。環境庁、私の言ったとおりでしょうね。
○岡安政府委員 私、申し上げましたのは、放射性の固形廃棄物の処理につきましての考え方を申し上げたわけでございます。先生御指摘のクリプトン八五ですか、これにつきましては、なかなかむずかしい問題はあるようでございます。これにつきましても、一般的には、おっしゃるとおり、極力これは環境汚染をしないような処理をする努力をすべきであるというふうに実は考えております。これにつきましては科学技術庁のほうで先ほど御答弁ございましたとおり、世界各国とも連絡をとりながら最上の技術レベルでもって処理をするというふうに伺っております。私どもやはりこういう危険なものにつきましては、最大限環境汚染のないように努力すべきであろうと考えておりますし、この点につきましても、今後さらに科学技術庁と十分な連絡をとりまして、処理に遺憾のないようにいたしたいと考えております。
○大坂説明員 ただいま岡安水質保全局長の御答弁がありましたように、固体廃棄物の処理、処分につきましては、私どもとしましても、軽々に海洋投棄をするというような行動を起こす考えはございませんで、十分に容器の研究開発とかあるいは海洋そのものの調査を行なった上で、確信を深めた上で試験投棄を行なって、徐々に本格化していきたいという考え方でございます。 なお、クリプトン八五等に関連いたします気体廃棄物につきましては、岡安局長のほうからもお話がありましたように、私どもも、その技術が開発されることに努力をいたしまして、懸命に国際的な協力も得てやってまいる所存でございますが、もしそれが完成いたしますれば、さっそくにも再処理工場につけさせる、つけさせないまでもできるだけそれを低減するような方法を考えていくということで進んでいるわけでございます。
○藤田(高)委員 これは私の持ち時間の中では、とうてい私自身が納得いく結論は出ません。というのは、いわば最終的な、結論的な答弁があったわけですが、放射性の固形廃棄物については、これはできるだけ貯蔵していこう、海洋投棄は見合わせよう。しかし、研究の結果海洋投棄もやろう。しかし、私は、この海洋投棄の問題は、公式にここでそういったことが論議されて、正式な政府見解として国際的に発表されたら、重大な問題になると思うのですよ。そうしたら、どこへ捨てるんだ。日本だって、日本の近海でなにすれば、当然またこれは問題が起こる。だから、太平洋のどのあたりに持っていくのか、場所によっては国際的にたいへんな反響を呼ぶと思うのですね。海洋投棄の問題は、国際的な通念からいって海洋投棄はすべきでない。国際会議の方向としても、それは低レベルの問題となにはありますよ。ありますけれども、海洋投棄の問題については、少なくとも公式見解として、たとえば政府が固形廃棄物については海洋投棄をするのだ、そういう方向で研究を続けていくのだということは、私は賛成できません。これが一つ。 それと、気体廃棄物の再処理工場の問題ですね。これはクリプトン八五のガスの発生の問題については、いまから鋭意研究して、そして再処理工場についても、そういうガスが出ないような、かりに出ても影響のないような施設をつくりたい、いまそういう答弁だったのですけれども、私は、少なくとも一これはもう五十年といったら目の先なんですね。二年、三年といったってすぐですよ。目の先に、もはや東海村で再処理工場が完成して動き出す、こういう段階に、この有毒なガスの発生処理方法についての権威ある処理方法というものができてないまま原発をたくさんつくっていく、そういう最終処理の方法、安全性の問題について安心できる施設ができてないままこの東海村の工場をつくっていくということについては、全くこれは産業レベルというか、資本の利潤追求そのものにすべてを置いた産業開発じゃないか。人間の命、国民の生命なんということは、どのように考えておるんだ。被害をもし受けたらたいへんなことになるという地域住民の立場というものは、この開発計画の中には何も考えられてないじゃないか。 したがって、私は、原発を推進するのであれば、いま最終的に質問をしておる、気体廃棄物についての処理の過程において、公害は起とらない、安全性についてはだいじょうぶだ、放射性の固形廃棄物については、政府の計画は六十年までのはや十何年先の計画ができておるのですから、少なくともその計画ができるのであれば、固形廃棄物についてもその段階まではずっと累積していくわけですから、ずっとそれこそ幾何級数的に累積していくので、固形廃棄物をどう処理するのだということがきちっとできてこない限り、私は、やはり原発問題については、科学技術庁としても、原発を増設することについて、ここで一ぺん原発それ自体の開発を科学的な安全性の結論が出るまでは見合わす、こういう方向をとるべきじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。それについて最終的にひとつ開発銀行の、われわれのやりとりの過程で少しく常識的な——私の質問は常識的だと思いますけれども、原発についての安全性の問題に理解を深めることができたのじゃないかと思うのですが、そういう観点から、開発銀行が融資をする場合の基本的な姿勢の問題としてどうでしょうか。 それと最終的に、一番最初の質問に返りますが、やはり原発問題は、公害がいまの段階では起こるということは、はっきりしておるわけですね。そういう企業に対して融資を現実に行なおうとしておるわけですけれども、そういう立場からいけば、実際の問題と目的、第一条にうたうこの目的に、銀行局長の答弁のありました公害を発生させないということが前提だと言いながら、事実はそういうきれいごとでは終わりませんよ。そういう実態に即して、この条文のうたい文句をどうするかということについての見解をひとつ聞かしてもらいたい。
○大坂説明員 最初の御質問にお答えいたします。 固体廃棄物の海洋投棄につきまして、国際的に許せないことになるのじゃないかという御意見でございますが、すでにヨーロッパの欧州原子力機関に加盟いたしておりますイギリス、ドイツ、フランス等数カ国が、一九六八年、七〇年、七一年ですか、すでに三回にわたりましてアイスランド、それからスペイン等の大西洋の沖合いにおきまして、相当量の海洋投棄をいたしております。そのときに監督官として原子力研究所の専門家が同乗しておりますけれども、そのときのやり方に比べまして、日本では特に念には念を入れるというやり方で研究開発しているのが現状でございまして、先ほど申しました三年ないし四年以内に容器及び海洋調査等を十分に行なって、念を入れて調査する、その上で確証を得たときに初めて試験投棄を行ない、徐々に本格的な投棄に持っていくということで、国際的に何ら非難を受ける方法ではない、最も慎重な方法であると私ども考えておりますので、そのために三年ないし四年を要するというふうに考えておるわけでございます。 それから、クリプトン八五に関連いたしまして、放射能公害が再処理工場から起こるかのごときお話でございますけれども、私が先ほど申しましたように、原子力委員会の再処理工場の安全専門部会で慎重な検討をいたしました結果、クリプトン八五も十分考慮いたしまして、三十二ミリレムということで、国際的な許容線量であります五百ミリレムに対して十数分の一ということでございますから、少なくとも放射能公害というようなことは起きないだろうというふうに確信いたしております。ただ、それじゃこれを放置していいのかというと、まあそういうわけにもいきませんので、国際的な問題になっておりますこのクリプトン八五をいかにして押えてこれを保管していくかということにつきましても、国際的に、また日本におきましても研究開発を進めるということでございまして、それができればますますありがたいということで、それができなければ直ちに放射能公害に結びつくということでないことをお断わりしておきたいと考えております。
○石原説明員 政府側のお答えで大体尽きておると思うわけでありますが、ただいまお話のございましたように、固形廃棄物あるいは気体廃棄物いずれにいたしましても、当面のところその安全をはかるに必要な措置がとられておるわけでありまして、今日のところ、私どもが融資をいたしております原子力発電所の関係でそういった公害が生ずることには相ならぬのではないかということを考えておるわけでございます。ただ、藤田委員御指摘のように、相当今後原子力発電所の数もふえますし、発電量もふえる関係にございます。したがいまして、廃棄物の量もふえることに相なります。あるいは先ほど御指摘のクリプトン八五の問題につきましても、いろいろな技術開発の結果、それを捕集して、ただいまお話しのように、現在すでに低い水準でございますが、それ以下にまた下げるというようなことも可能ではないかと思うわけであります。そこら辺のところは、これからできるだけ早い機会に結論を得られて、さらにもう一そう安全をはかられるということをわれわれも期待しておるわけでありますが、今後もそういうような安全性の確認というものを怠らないで私どもの原子力発電の事業を進めてまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。
○藤田(高)委員 私の持ち時間若干経過しましたが、いまの科学技術庁の答弁にもありましたが、規制基準そのものについての議論は、これはもうこれ以上ここで私はやりません。これは科学技術特別委員会の関係もしくは公害対策特別委員会で私やりますが、少なくとも気体廃棄物についての採集を行なう処理能力、この安全性の問題については、政府答弁では私自身は納得いかないということを申しあげておきます。 なお、固体廃棄物の処理の問題についても、先ほど指摘いたしましたように、累積していく固体廃棄物の処理計画というものは、必ずしも明確でない。それについては、私自身非常に多くの疑問なり不安を持っておりますことをここに申し添えて、別の委員会でその種の問題については再度質問をする、こういうことで開発銀行法に関する私の質問は、これで終わります。 ————◇—————
○齋藤委員長 次に、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び相続税法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。阿部助哉君。
○阿部(助)委員 ことしは青色の準備金をやめまして、それを控除に変えましたけれども、これはどういうことで変えられたんです。
○高木(文)政府委員 かねてから個人事業者、特に青色申告をしておられる事業者の間から、法人経営で事業をしておられる方々との間で実質的に課税負担の上においてややバランスを欠くのではないか、つまり個人事業者のほうが負担が重くなるのではないかという御議論がございまして、それでそれを解決する一つの方法として、よくいわれております事業主報酬制度を採用したらどうかという御議論が、ここ数年来非常に重要な問題として議論されておるところでございます。で、四十六年度の税制改正におきましても、この点はたいへん慎重に、また熱心に議論されたわけでございますが、その結果、一つの解決方法として、青色事業主特別経費準備金制度というのを考えました。そういう制度を新しく起こしまして、四十六年度税制改正の一環としてつくっていただいたわけでございます。しかし、この制度は、主として青色事業主の方々が事業を将来やめられるというような場合に備えての制度でありまして、その時点において、準備金を取りくずしたものは一時所得としていわば二分の一課税になるということを前提にしての制度であったわけでございますが、やはりそういう制度では不十分といいますか、本来青色の方々を中心として主張されておりました事業主報酬制度というものから見ますと、あまりにも離れるところが大きいということから、さらに何か考える余地はないかということがいろいろ議論されました。しかしながら、事業主報酬制度というのは、またこれ現行の所得税法、法人税法の基本的問題に触れる非常に大きな問題でございまして、私どもといたしましても、これ以上踏み切ることは非常に困難な事情にございます。そこでなおいろいろ考えました結果、いわば朝令暮改と申しますか、一年で改めるのは非常に遺憾でございますが、たいへん申しわけない次第でございますが、これを改めまして、準備金ではなしに、最高十万円までという限度を置きまして、損金算入を認めるところの青色申告控除制度というものに切りかえたわけでございます。で、準備金は所得の五彩もしくは最高十万円ということでございましたけれども、今回は所得の何彩または最高十万円というのでなしに、金額限度一律十万円ということになったわけでございます。
○阿部(助)委員 昨年は細見さんが局長でございまして、それでこれには大体三つの要点を準備金の場合にあげたと思うのです。一つは記帳の奨励、一つはいまおっしゃったように不況のとき取りくずす、そしてこれはまたそのときに課税するのだというようなことで、三番目にはやはり老後の保障といいますか、そういう三つの点をあげられたのだけれども、今度これを控除にした場合には、性格は全然違ってきておると思うのですが、その点はお認めになりますか。
○高木(文)政府委員 確かに、明らかに性格は違ってきておると思います。今回の青色申告控除制度というものは、青色申告を奨励し、正確な記帳による事業経営の健全化をはかるというものでございまして、前回の準備金制度の際に考えられておりました、いわば老後保障というような観念からは離れておると言うことができると思います。
○阿部(助)委員 実は昨年、私、この問題を質問しておるわけです。その場合に、農業というものは青色申告が非常に少ない。それは国税庁長官もこれは認めておられるわけです。なぜ少ないかということになりますと、これは国税庁長官の吉國さんのお話によりますと、農業というものは現年度収入だ、一年一年の収穫によって収入を得るのだ、だからこれはどだい青色申告記帳をするにはむずかしいということをお認めになっておるわけですね。それであるならば、なぜ農業が——農家の大半が、これは青色でない、白色だ。ますますこれで白色と青色との間の差がつくのではないか。私は、青色の控除を反対するのではないのであります。零細企業にもっと減税措置をすべきであります。大企業には今年度もこの特別措置のワクを広げておるといういまの大蔵省のやり方から見れば、零細な企業に、青色といえどもさらに減税すべきであります。だけれども、それならば、同時にまた記帳が初めから困難だと皆さんも認めておるところの農業になお差をつけるというのはおかしいのであって、白色にもやはり減税の措置を当然講ずべきだと、昨年もそれを言ったのでありますが、昨年はさっき申し上げた三つの理由をあげて細見さんは拒否をしておるわけであります。今度は性格が変わった。ますますこれはおかしいのではないかという感じがするのであります。農業に、なぜ白色に恩恵を与えないのか、お答えを願いたいのであります。
○高木(文)政府委員 農業課税の問題については、私もいろいろむずかしい問題があることは承知をいたしておりますが、しかし、この今回の青色事業主特別経費準備金制度にかえて青色申告控除制度を設けたということと、おことばではありますが、必ずしも直接の関連のある問題ではないのではないかというふうに私は理解をいたします。と申しますのは、四十六年度の改正でつくっていただきました準備金制度につきましても、それから今回の申告控除制度につきましても、あくまでもこれは青色申告ということを前提といたし、そしてそれが記帳によって仕入れなり売り上げなりがいわば全部ガラス張りになっておる。そして、ガラス張りになっておると同時に、またいわゆるお店の経済と奥の経済が明確に分離されておるという、本来のあるべき青色申告の姿というものを前提といたしまして、なお青色申告制度、本来の青色申告制度がより一そう普及することを期待いたしましてこういう制度を設けておるわけでございまして、しからば農業課税の問題についていかがいたすべきやという問題は、これまたなかなかむずかしい問題でございますが、さりとて、その場合に農業課税の問題について今回の青色申告控除のようなテクニックと申しますか、この手法が直ちに農業課税の問題の解決につながる問題だとは、私はちょっといま考えないわけでございます。
○阿部(助)委員 いや、皆さんがつながろうとつながるまいと、差がつくことだけは間違いがないのですね。そうでしょう。青色と白色で差がつくことだけは間違いがないのでしょう。
○高木(文)政府委員 御存じのように、農業課税につきましては、ほとんど大部分がいわゆる白による課税となっております。白による課税は、もうよく御承知のとおり、一応大筋として収入を一つの前提として、そうして一種の標準率といいますか、そういうものを前提として計算をするという計算方式になっているわけでありまして、青色のように個別に仕入れを記帳し、売り上げを記帳するという方式とは違っておるわけでございます。 そこで、白の課税方式について現行制度でいいかどうか、なお何らかの改善を加うべき余地があるやいなやということになりますと、これはまさに御指摘のように、なお今後いろいろ考えるべき問題がございましょうし、標準率等の問題につきましては、これは私がお答え申し上げるのは必ずしも適当ではないので、むしろ国税庁の問題であると思いますけれども、その問題に触れてくると思いますが、それはその分野においての研究課題として今後に残された問題ではないかと思います。
○阿部(助)委員 何かいまのお話、さっぱりわからないですよ。私の聞いておるのは、青色に、去年はいろいろと私に言わせればこじつけた御説明をなすって、準備金という制度をつくった。一年たったら、もうこれを変えて、今度は控除ということでずばりとまけてやる。それならば、白色はどうなんだ。特に農業、ほんとうの零細企業、一番帳面のつけにくいということは、もう皆さんも御承知なんだ。農業が青色になりにくいという現実を皆さんもお認めになっておる。それをぶん投げっぱなしでおるということは、これは税の公平という立場からいかがなんだ、おかしいではないかという私の質問なんで、それはやり方はいろいろ違うとかへったくれだとかいうことはあるでしょう。大企業の特別措置、あれだけまけておる。大企業だからと皆さんは言うかもしれないけれども、皆さんは皆さんなりの理屈をつけるかもわからぬ。しかし、だれが見てもおかしい。同じ所得に対して同一課税、同一所得同一課税というのは、これは皆さんのおっしゃっておる税の公平の原則ではないのですか。これは農業がつけやすいというならば別ですけれども、農業が記帳をしにくいという前提を皆さん認めておるわけでしょう。そうすれば、その困難なものにやれと言ったって無理なんです。無理だからといってそれをぶん投げるというのは、公平の原則じゃない。差がつくのではないかということを私は聞いておるのです。
○高木(文)政府委員 そもそも現行制度の上において、二十年前ぐらいから青色申告制度が採用されたわけでございます。いわゆる白の制度と青の制度がある、所得税に二つの制度があるということから起こってきておる問題でございまして、白という制度と青という制度がある結果として、白と青との間に若干の差異が生ずるのは、これまたやむを得ないという前提に立っております。私どもは一貫してむしろなるべく青を採用することが望ましいという前提に立っております結果として、白と青との間に若干の差が出てきておることはやむを得ないものというふうに考えております。その場合に、農業につきまして非常に記帳がむずかしいということがあるというお話でございますが、農業の場合にもいろいろの種類によって、いろいろの業種によって問題が違ってくるのではないかと思いますが、一般的には商工業の場合のように記帳の慣行がないという実態がございますから、その意味において、米麦生産等を中心とする農業の場合に、現在のわが国の農家の実態として記帳慣習が非常におくれておるということも事実でございますから、したがって、先ほど御指摘のように、現在農業課税について青色申告を推し進めようといたしましても、そこには相当無理があり、なかなかそれが困難であるということは先ほどおっしゃったとおりでございます。 そこで、その場合にそれでは農業についての課税問題をいかなる方法で糸口といいますか、出口といいますか、それを見出すべきかということになってまいりますと、白の制度におきます課税のいろいろな制度上あるいは執行上くふうを要する分野があるということについては、私どもも考えて、と申しますか、御指摘の点を認めるわけでございまして、それをもっと大いに勉強すべきだという御指摘については、何ら異論を差しはさむものではございません。
○阿部(助)委員 昨年の記録を見ますと、細見さんは、準備金をつくられたというときにいろいろおっしゃっておるけれども、ある委員からはもっとこの幅を大幅にしろ、こういう意見も述べられているそのときに、これがぎりぎりの限度でございます、こうおっしゃっておるわけですね。しかし、準備金と控除という場合、青色をしておられる方々にとってどっちがプラスだと思いますか。
○高木(文)政府委員 それは控除のほうがプラスだと思います。
○阿部(助)委員 そうでしょう。去年、一年前にはこれがぎりぎりの限界でございます、こう言っておる。それはより零細の方によけい税金をまけてやるのは賛成です。だけれども、賛成だけれども、それならば困難であるという前提に立っておる農家の白色、ごく零細企業で記帳にたえないような人たちの減税措置というものにもう少しあたたかい手を差し伸べる、そして税の公平を期するというのは、これは課税当局の当然のことだと私は思うのですがね。それを抜きにして、記帳だ、事務だ、いや青色の奨励だ——奨励は奨励でおやりになるのはけっこうだけれども、だんだん大きな差をつけていく。それはやはり私はうなずけないのですがね。困難だと皆さん認めておるのですよ。農業は記帳が困難だ。その困難な、しかもい、ま政府の政策で、三年続きの米価の据え置きだとか作付減反しろだとかいうことで農家が困っておるときに、なぜそれをもっといじめなければいかぬのです。
○高木(文)政府委員 もともと青色事業主についての事業主報酬制度の問題につきましても、それから昨年お認め願いました青色事業主特別経費準備金制度の問題につきましても、また今回お願いしております青色申告控除制度の問題につきましても、いずれにいたしましても個人経営の事業者のための制度でございますから、それについての特例制度が設けられた場合に、他の納税者、たとえばサラリーマンでありますとか、それからただいま御指摘の農業経営者でありますとかとの関連から申しますというと、いわゆる水平的公平論というむずかしいことばがこのごろはやっておりますが、他とのバランスから申しますというと、個人事業経営者に対して何らかの優遇措置をとるということが、他の形態の納税者、給与所得者や農業経営者に相対的に不利をもたらすということは避けられないことであると言わざるを得ないと思います。
○阿部(助)委員 青色については、優遇措置はまだほかにあるでしょう。だから、じゃどの程度差をつけるのが一番いいんですか。そんな標準があるんですか。
○高木(文)政府委員 それは制度をおきめいただくときの御判断の問題でございまして、必ずしも何か客観的に、この程度までの優遇措置ならばいいし、これを越えてはいかぬという、その尺度を見つけることはなかなか困難だと思います。 ただ、この問題が起こってまいりました最も大きな理由は、これまた法人形態の個人事業をやっておられる方とのバランスの問題でございまして、法人形態で事業をやっておられる場合に、ほぼ同規模の個人とほぼ同規模の店舗の規模なりあるいは経営の規模なり売り上げの規模なりがありました場合でも、たとえば代表者あるいはその配偶者が、社長とか他の重役とかいう形態で、給与所得者という形を通じて給与所得控除の適用を法人形態をとっておれば受けられるということとの関係から、個人事業主サイドからは、やはり所得税と法人税との課税バランスからいって一なお現行の同じ青色相互間でございますが、法人と個人の間にアンバランスがあるという御指摘がかねがねからあるわけでございまして、さりとてそれをあまり強調し過ぎますというと、これまた今度はサラリーマンなり農業経営者なりさらには商業というようなもろもろの職業形態の納税者の方々とのバランスを失してくるということで、税の問題として一番重要な公平をどの程度に求めるべきかということでございまして、これを尺度をもってお示しすることは非常に困難であります。
○阿部(助)委員 あなたは何かこの委員会で、国会でおきめ願えばいいんだとおっしゃるのだが、理屈はそのとおりなんですよ。だけれども、この提案権を持っておる皆さんのほうの意向というものが、やはりここの場では非常に大きなウエートを持っておるという現実は、残念ながらわれわれも認めざるを得ないのです。それがなければ、こんな質問私はしないですよ。それを、とにかく何か自分で提案しておいて、あとはみな国会がきめるのだ、きめればいいのじゃないかという皆さんの御意見であるならば、それならばそれなりの質問をせざるを得ない。現実はそうではないでしょう。だから、皆さんの課税当局で提案する。皆さんで十万円の控除をされる。十万円でもいいですよ。だけれども、昨年、たった一年前に準備金をつくられるときに、あれだけの説明をされておるわけですよ。もう一ぺんそこからひっくり返さなければいかぬ。昨年の提案のとき、皆さんどうおっしゃったのですか。
○高木(文)政府委員 準備金制度と今度の……
○阿部(助)委員 いや、準備金制度のときの提案を言ってごらんなさい。
○高木(文)政府委員 準備金制度と今度の申告控除制度の違いでございますが、一番違う点は、将来において準備金の場合はそれを取りくずすことがある。控除制度の場合は、取りくずしという乙とがなくて、いわばまけきりになるわけでございます。でございますから、それはどこに違いがあるかといいますと、将来その準備金を取りくずすときに、二分の一課税が従来の制度だったらございますけれども、今度の場合はそういうことがないということでございまして、先ほどいずれが甘いといいますか、より個人事業主にとって有利かという御質問がございましたから、それに対して今度の制度のほうが有利だというふうに申し上げましたが、各年客年の課税関係で申しますと、十万円で控除があります場合とそれから十万円で準備金をされます場合との現実の課税額は、同じでございます。ただ、昨年までは所得の五%または十万円ということになっておりましたから、所得の小さい方については十万円まで積めない場合があったわけでございますが、今度は十万円ということになっておりますから、所得の小さい方については今回のほうが若干有利な部分があります。その点をまず明確にいたしておきたいと思います。 そこで今度は、ただいまの御質問の昨年度の創設のときの経緯でございますけれども、昨年度の創設のときの経緯といたしましては、あくまでも中小企業者の事業主という場合に、先々の不安といいますか、老後の保障といいますか、そういう点において欠くるものがある。法人形態をとる場合としからざる場合とによってそこに非常に差異があるということに着目をいたしまして、そこで準備金をつくるということが非常に大きな根拠として考えられたわけでございます。それに対して本年度の場合に今度お願いしておりますのは、同じく毎年毎年の控除という点では準備金制度とそれから青色申告控除制度と私はあまり大差がないと確信をいたしますが、先に参りまして取りくずしということがあるかないかという点で差があるわけでございますが、その持ちます意味は、若干事業主報酬制度というもののかねがねの主張があるわけでございまして、その事業主報酬制度についての主張というものは、個人経営者についても一種の給与所得控除的なものを認めるべしという主張とつながっておるというところに問題がある。それを準備金制度ということで、たとえ二分の一であるにせよ、将来であるにせよ、課税というのが、事業主報酬制度の主張される論理からいいますと非常にそぐわないということが問題になったわけでありまして、そこで昨年度の準備金制度のときの一つの大きな理由でありました老後の保障、よってもってそれらのための準備金という考え方を離れるということにしたわけであります。そこは、御指摘のように非常に質的な変化であるということでございます。
○阿部(助)委員 私の言うこと、質問の趣旨とどうもかみ合わないのですが、去年準備金制度を設けるときに、皆さんは何とおっしゃったんですかと聞いているのです。
○高木(文)政府委員 昨年度は、あくまで青色申告を奨励し、正確な記帳による事業経営の健全化をはかるということが一つと、それから青色事業者の老後の保障をするということが一つ、それから準備金でありまするから、事業所得に変動があった場合に、その変動の調節がはかれる、その三点をあげて御説明をいたしたと思います。
○阿部(助)委員 それで私はそのときも、それでは白色、特に農業の場合にどうなんだという質問をしたわけでありまして、これはあなたともう何べんか繰り返し繰り返し同じことを言わなければいかぬのだけれども、そのときに国税庁長官も細見さんも、農業は青色にするのが困難なんだ、それでもうこれ以上何か差をつけることはどうかと思うみたいな話であった。ところが、ことし、さらに去年よりも片方には、青色には恩恵があるわけです。そうすると、その差はさらについていくということなんですね。去年の説明とだいぶ違うんですよ。だから私は、零細な業者が青色の控除をされるということについては、これは賛成なんですよ。だけれども、それならば、やはり一番記帳が困難であって困っておる一番低い層を皆さんはぶん投げるつもりなのかどうか。それはおかしいじゃないか。零細な農業、いま生活に困っておる農業をぶん投げてしまうということは残酷ではないか。しかもだんだんそれに差をつけていくということは・さらに酷ではないかということを去年も指摘しておるわけです。今度もさらにその差をつけるということは、これは残酷過ぎるということなんで、それならば白色にも控除額をもっとつけるべきだ。この際に白色の農家に対する控除額を当然引き上げるべきだ。そうでなければ、バランスがとれないじゃないですか。青色の奨励というのは奨励で、わからぬではないです。それにはたしか家族給与の問題であるとか、幾つかのまだ恩典があるんです。だけれども、これだけ差をつけることはどうなんですか、零細のほうを。もう少しあたたかい手を差し伸べるのが私は当然のことだ、こう思うのですが、いかがですか。
○高木(文)政府委員 青色申告制度について、いろいろの恩典がございます。しかし、そのすべての恩典は、青色事業者についてブックキーピングが行なわれておる、記帳があるということがすべての前提でございます。したがって、その記帳を前提にして、その記録が残っておる、保存されておるということがありますからして、継続的に記録がつけられておるということがありまするから、たとえば将来の変動に備えるための準備金であるとか、いろいろな制度を考えることができてくるわけでございます。白というのは、帳面が全くないということがこれまた前提になっておるわけでございますから、そこで年をまたがって変動を調整するとか、老後の保障のために何か積んでおくとかいうことを考える、くふうをする余地がなかなか出てこないというところに、非常につらいところがあるわけでございます。そこで、それでは農家、農業経営という場合に、何か記帳ということが考えられ得るかというと、これまた非常に困難だというところで、両方のサイドからそこが行き詰まっておるというのが、現在の農家、農業経営についての課税問題の一番出口を見つけにくい問題点になっているわけでございます。そこで、長年の間にいろいろくふうしました結果、たとえば農家のための簡易簿記であるとか、いろいろやってまいりましたけれども、簡易簿記といってもなかなかうまくいかないという実情になっているわけでございまして、どうしてもいまお話しのように、何か農家についても考えろということになる。それはたとえば所得変動であるとか老後の保障であるとかいう、税金は一年一年の問題であるのに対して、ある期間を置いた、時間をまたがる問題を解決しようといたしますと、記帳がないということでは解決の方法がないということで行き詰まっておるというのが、現状でございます。私どもは、一方において記帳ということが非常になじみにくいということは十分承知をいたしておりますが、さりとて全く何も記帳がないということでは動きがつかないということでもございますので、たとえばその一例として簡易簿記ということも考えたわけでございますが、何かその辺に今後とも出口といいますか、解決点を見出していくほかないのではないかと思っているわけでございます。
○阿部(助)委員 いや、あなたの話、違うじゃないですか。昨年は、準備金の制度をつくるときには、いまおっしゃったように不況のときに取りくずしをするとか、老後に退職金もないこの人たちにそういう制度をつくる、老後の保障というものを考えて準備金をつくるのだ、こう説明しておられるわけです。ところが、今度はその準備金を控除にすれば、少なくとも皆さんは去年あげた三つのうち二の取りくずしの問題、老後の保障の問題というものは、離れてしまったわけです、ほとんどなくなったわけです。そうすると、いまあなたのおっしゃるように、青色だから老後の保障云々ということは、今度の場合なくなった。白色と同じことなんです。それをまた同じことを、準備金のときのことをいま控除の場合におっしゃってもおかしいのです。だから、今度控除にしたのです。それならば、そのときに、白色であるけれども、これは記帳がしにくいという条件である農業の全般の人たちに対して、この控除額を引き上げるという措置を当然とるべきであったのだというのが、私の意見なんです。当然のことだと思うのです。それをいまあなたが、準備金から控除に引き上げた段階でなおかつ去年と同じような、取りくずしができるとか、不況のときの問題だとか、老後の保障の問題とおっしゃるけれども、今度はずばりと控除なんだから、これは白と同じことなんです。あなた、そこを混同しておるのじゃないですか。
○高木(文)政府委員 しかしながら、記帳は一切なし、控除は特別のものありということは、非常にむずかしいと思います。
○阿部(助)委員 むずかしいと言うけれども、全然ないですか。それじゃ、白色には全然控除がないですか。
○高木(文)政府委員 たとえば専従控除のような制度はございます。
○阿部(助)委員 あるんですよ。ただ、その金額を低く押えておくか、もう少し上げるかということだけであって、白色だから控除ができないなどということは何もないのです。やればすぐできるんです。皆さん、提案してごらんなさい。何もそれがむずかしいなんということはない。皆さんが、この前質問したときみたいに、特別償却の場合に、初めから何分の一だ、何ぼ償却するなんということは、あれこそつかみ金であって何も根拠がない。皆さん方、大企業のほうにはつかみ金で税金をまけてやっているじゃないですか。こういうのは、理由を説明しろと言っても説明できない。青色に今度十万円控除するのだ。それならば、白色には七万円とか八万円とか控除をするくらいのことをやるのは、一つもむずかしくないでしょう。提案してごらんなさい。それはちっともむずかしくない。それよりも、特別措置なんかで何ぼ償却するなんというのは、よほどむずかしい。理屈も何もありゃしない。皆さんは理屈があるようなことを言っても、何もありゃしない。初めからつかみ金でしょう。そういうことを皆さんやっておって、これは理由がむずかしいんだというのは、何がむずかしいのかちっともわからない。上げることはひとつもむずかしくない。ただやりたくないからやらぬだけでしょう。零細な農家をもっとつぶそうという皆さんのお考えであるならば、それをはっきりおっしゃればいい。ただそれだけの話でしょう。どこがむずかしいのですか。
○高木(文)政府委員 たいへん話があちこちいたしますが、特別償却制度がつかみ金というのは、私どもはそうは考えておりません。それぞれ理由があるものと思っております。 それから農家の課税についても、記帳が非常に困難であるということは、しばしば御指摘のように私どももそう考えております。困難であるけれども、しかし方向としては、何らかの方法で具体的方法を見出して、きわめて簡易、簡素なものでもけっこうでございますので、全く何も記帳なしという前提でものごとが進んでいくというよりは、たとえ簡素なものでございましても、一定の記帳のもとに制度が進むことが望ましいというふうに考えておるわけでございます。 その意味におきまして、私どもが考えます方向といたしましては、農業につきましても、特に今後おそらくわが国の農業も漸次経営規模も拡大してまいりましょうし、畜産とか果樹とかそういう複雑な経営形態になってまいりましょうし、米麦のように一年一年の収支ということよりは、いろいろな償却資産等が導入されての経営になってまいりましょうから、そうなってまいりますと、やはり記帳ということが前提となり、ある種の損益計算が前提となった所得計算というのが本来の姿ではないかと私どもは考えるわけでございまして、その意味におきまして、非常に困難だということはわかりますけれども、大きな方向としては、なるべく青と申しますか、青的なもので進んでいくべきものと考えるわけでございます。その意味におきまして私どもは、青という制度についての奨励については、かなり思い切りがいいわけでございますが、たいへんおしかりを受けましたが、白についてはどうも踏み切りにくいということでございます。
○阿部(助)委員 これは局長、つけにくいというのは、農家だけの責任ではないのですよ。その部落、村、そういうものが発生し、いままでやってきた歴史的な経過の中で、かん詰め一つ買ったら一々領収書をもらってくるというような仕組みに、農村のいなかに行った場合にはなっていないのです。これは農家だけの責任ではなしに、社会の発生してきたいままでの歴史の中で、実際いうてその記帳というもの、これは領収書をみんな取るという仕組みに、都会と違って、社会の構造がなっていない。そういうところで、これは農家だけの責任とはいえないんじゃないですか。それで困難だということは皆さんもお認めになっておるのです。その困難だという青色を、記帳を奨励し、なるたけ簡素な形でこれをつけていくという方向へ御指導なさるのは、これはけっこうなんです。けっこうだけれども、一挙にこれを青色にするには、まだまだいろんな問題がある。歴史的な経過もある。生活環境の問題もある。そういうものは逐次解決されながら、ここで皆さんの指導と相まって記帳をするようにだんだんなるだろうけれども、実際はむずかしい。そのことは皆さんもお認めになっておる。そうすれば、この当分の間やはり公平の原則、青色と白色に何がしかの——この十万円の控除を別にしても、奨励のための恩典を与えておるわけです。そうすれば、同一所得同一課税というこの大原則になるたけ近づくためにも、これは白色にも控除をすべきではないか。繰り返すけれども、私は、これはあまりにもこの白色をぶん投げ過ぎておる。しかも、どっちかといえばいまの農業というものは、全く皆さんのこの高度成長政策の中で踏みつけられておる。なぜこれができないのか。理由づけがむずかしいなんというのは、私は通らないと思うのであります。そうではなしに、やはりこれを近づけていく、これにも特別控除をしていくという、バランスをとっていくという方向を私は聞いておるんでして、それはこれから大いに検討する必要があると思うんですが、いかがです。
○高木(文)政府委員 私は問題を二つに分けて考えさしていただきたいと思うんですが、青の問題と白の問題という点については、たいへんこだわるようでございますが、やはり全体としては青のほうを伸ばしていく、そういうことが全体の税の制度、納税者の課税のバランスという点からいって望ましいのではないかというふうに考えます。 それからただいまのお話は、もう一つ農業の問題というのがあるわけでございまして、農業の問題はまさにいま御指摘になりましたように、農村の置かれております環境とか歴史的な事情とか、いろいろのことによって非常にむずかしい問題があるわけでございます。多少個人的な私見みたいなことになりますけれども、非常に累進税率になじみにくい環境があるだろうと思います。非常に長い間、いわば比例税率的なもので育ってきた農村環境というものがあるだろうと思います。そういうところからくるむずかしさというものが、農業課税には潜在をしていると思います。しかしながら、先ほどもちょっと申しましたように、漸次この農業経営の形態も複雑な形態になっていくわけでございますし、その場合に、全部が全部青になってくださいといっても問題が片づかないということもよく承知しておりますので、農業課税問題について何らかの解決点を見出さなければならぬという点については、まさに御指摘の点を今後の検討課題としてまいりたいと思います。
○阿部(助)委員 この青色に今度控除をしたということは、これはあれですか、これから皆さんは自家労賃を認めるという方向での検討をしておる、その布石だと、こういう感じもするんですが、いかがですか。
○高木(文)政府委員 この青色申告控除制度の本質については、非常に皆さんの、この制度ができましたときにいろいろの大ぜいの方の間で議論されたわけでございますが、その議論されました皆さんの間においても、非常に認識が違っておるということでございます。私どもはその中で非常に大きなお考えの一つとしては、ただいまおっしゃいましたように、一種の勤労性所得の控除という精神を現在の所得税法の中に持ち込むべきだという主張が、背後に非常に強くあることは事実でございます。事業主報酬制度を認めよということは、個人経営者であっても事業主報酬というものを考えて、そしてそれに給与所得控除を認めよということであり、そのお考えの中には、給与所得控除というものは、やはり勤労性所得についての若干の優遇措置であるという思想があるわけでございまして、そこにこの議論が発足いたしました源があることを考えますと、この青色申告制度というものにつきましては、やはり何か、十万円という金額の持ちます意味につきまして、一種の勤労性控除的な意味を持たせよという考え方があることは、否定できないと思います。 それから一方におきまして、一種の給与所得控除的なものと非常に近いようなものを考えよという思想のもう一つは、率直に申しまして、把握控除と申しますか、青色申告制度であるから、一〇〇彩ガラス張りに収支が明らかになっておるということが前提となり、そこはいわゆるサラリーマンのように、よくクロヨン論議で議論されますように、いわゆる所得そのものの把握率が非常に高いということを前提にして、そして青色申告者の把握率は高いということとの関連上、よくいわれます把握控除的思想からそういう主張がなされておるということも、また否定ができないだろうと思うわけでございます。 ただし私どもといたしましては、現在所得税のたてまえといたしまして、給与所得控除はあくまで必要経費の概算控除であるというふうに考えておりますので、給与所得控除の中に勤労性控除というものが含まれておるというふうには考えておりません。また把握控除というものが含まれておるとは考えていないわけでございますので、そこで私どもといたしましては、この申告控除制度というものを設けますにつきまして、個人事業主について、何らか個人事業主の所得が勤労性のものがあるから、あるいは一種の把握が高いからということで控除制度が設けられたというふうには理解していないわけでございまして、私どもが控除制度を設けることに、いわば昨年の主税局長の説明でもぎりぎりだと申しておりましたのを、さらにまた踏み出しましたのは、もう全く単純に、青色申告制度の奨励ということ以外に何らそれ以上の説明を下すということでなしに考えたいと思っております。
○阿部(助)委員 勤労性所得控除という考えが底流にあるとすれば、なおさらいまのこの白色であろうと何であろうと、農業の場合の自家労賃という構想というものが、当然出てくるべきだと思う。そうすれば、いまあなたがおっしゃったように、この十万円というこれを出したとすれば、これもやっぱり白色にも出すことは一つも困難ではないんではないか。私は、むしろ将来にわたって、これは自家労賃を認めながら差をつけていく、そして零細企業、農業というものをつぶしていく、非常に端的な言い方だけれども、これを絞め上げていくという方向でお考えになっておるんではないかという感じがするわけであります。そういう点で、皆さん何といままで説明をされようと、私には理解ができないし、おそらく農民は、いまの答弁を聞いておっても、これの記録を読んでみても、なぜ白色にだけこれだけ差をつけるのかということに対しては納得をしないだろうと思うのでありまして、これは何とか早急に、やはり現在農業が記帳しにくいという現実をお認めになっておるならば、やはり公平の原則に近づけるという点で、控除を引き上げるべきだという感じが私はするわけであります。 次に、こればかりやっておると時間がたちますので、国税庁にお伺いしたいのでありますけれども、昨年も私お伺いして、たしか吉國長官は、何とか直すという話をしたと記憶しておるんですが、農機具の耐用年数は長過ぎる。あんなバインダーやあの肥料の入っておるたんぼを動いておる機械が、七年も八年ももつなんということはあり得ないですよ。大体、現実に、私は米どころにおるんですけれども、八年間機械がもったなんという農民を見たことがないです。なぜそのようなものを八年間も長い期間償却を見なければいかぬのですか。去年はたしか吉國長官は、確かにそうだから、これは短縮するという話をされたと思っておるんですけれども、全然下のほうにはいってないようでありますが、国税庁どういうお考えですか。
○高木(文)政府委員 実は耐用年数をきめますのは主税局のほうでございますので、私のほうからお答えいたします。 これにつきましては、かねがね農業界から非常に強い御要請があり、そして最近の技術革新といいますか、そういう面から見まして、確かに御指摘のように農機具の経済的耐用年数がだんだん短くなってきておるという実態が認められますので、だいぶ前からいろいろ研究いたしておりましたのですが、最近に至りまして、耐用年数を短くするということで、具体的に大蔵省令で年数がきまっておりますので、その年数を短くするという方向できめたいと思っております。最後の詰めを私どもの手元でいたすべくしておりまして、まあ何年何年ということは私ちょっといまここで覚えておりませんが、必ず短くすることをお約束できると思っております。
○阿部(助)委員 去年もたしかそうおっしゃったと思うのですけれどもね。大体バインダーや何かは、まあ四年もてばいいほうなんですね。ことし中にそれは年数を短くするということなんですか。
○高木(文)政府委員 四十七年度分の所得に適用になるように、短くするということを考えております。
○阿部(助)委員 どのくらい短くするんですか。
○高木(文)政府委員 ちょっとそれはただいま記憶しておりません。
○阿部(助)委員 ことしは、これは皆さんどなたも質問されると思うのですけれども、減税を見送った。なぜ減税を見送られたんですか。皆さんの説明では昨年減税したから、こうおっしゃるだろうけれども、物価は依然として上昇していく。そして、特に日本の場合には低所得の人たちの税金が高過ぎるわけでありますから、特にこの低所得層に向けての減税措置は必要だと思うのです。しかも、皆さんが景気対策だとかいろいろなことをおやりになっておるけれども、皆さんはことしも何といいますか、企業減税はやる。特に特別措置では減税の額は拡大しておる。公共投資はふえておる。そして、公共投資はまた次の公共投資を生むということは、これはもう皆さんお話しのとおりだ。そうして日本の産業構造をもう少し検討しなければいかぬところへもうきておる。このときに一番必要なのは私は減税だと思うのでありますけれども、減税を今年中におやりになるのかどうか、これは次官からひとつ御答弁を願いたいと思います。 〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕
○田中(六)政府委員 いま阿部委員御指摘のとおりに、昨年暮れに千六百五十億の所得減税をやっておりますので、その減税の観点からいきますと、四十七年度は二千三百億以上になりますので、私どもといたしましては、所得減税をそれ以上するという考えは、いまのところございません。
○阿部(助)委員 いまのところないというお答えでありますけれども、これだけ物価が上がっておるとすれば重税になるということをそれではお認めになるわけですか。しかたがないということですか。
○高木(文)政府委員 これは何度も申し上げておることでございまして恐縮でございますが、昨年度千六百五十億、ことしの二千五百三十億という減税は、これは私どもといたしましては、四十七年度分の毎年行なっております減税の姿としてどのくらいの規模であるべきかということを前提において減税を考えたつもりでございまして、ただ、景気浮揚ということがございましたので、公共投資の拡大による景気の浮揚よりは減税による景気の浮揚のほうが効果が早く出るということで、その意味でそれを特に昨年に繰り上げて、九カ月分だけ早くやったということに考えておるわけでございます。そういう意味から申しますと、二千五百三十億の減税のときに、これは当然物価との関係はある程度考えたわけでございますが、物価と減税をどう考えるかということはなかなかむずかしいわけでございますが、一応は課税最低限の引き上げ率を考えますときには、やはり消費者物価の上昇率との関係を考えているわけでございます。その関係で申しますと、課税最低限の引き上げ率は、夫婦子二人の場合に、今度の二千五百三十億の減税は七・七彩ぐらいになっております。独身の場合で六・三彩ぐらいの課税最低限の引き上げ、これは給与所得者についてでございますが、そのぐらいになっております。それからなお参考までに申しますと、夫婦と子供三人という場合の課税最低限の引き上げ率が、七・二形になっておるわけでございます。 それに対しまして、消費者物価の上昇率、これは予測でございますからたいへんむずかしいわけでございますが、現在のいわゆる政府見通しでは、御存じのとおり五・三彩ということになっておるわけでございますから、十分の余裕はありませんけれども、物価の上昇率は十分上回っておるということでございます。 なお、必ずしも年々の課税最低限の上昇率と物価の上昇率とをスライドさせていくということではない、またその必要はないというふうに考えておるわけでありまして、まあここ数年の間を見ますと、課税最低限の引き上げ率はたいへん大幅でございまして、物価の上昇率を非常に大きく上回ってきておりますので、物価上昇と課税最低限の関係からだけ申しますれば、これは問題はないという経過をたどっておるわけでございます。 〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕
○阿部(助)委員 物価の問題になりますと時間をとりますから、私、物価委員会でやるつもりでおったのでありますけれども、皆さんの政府の見通しというのはいつでもこれははずれることになっておるのですね。そうして皆さんの物価指数のとり方にも問題があるわけです。実際言って、生活実感とはあまりにも食い違っており過ぎるわけであります。物価指数は、品目の数をよけいとったからそれでいいというものではないでしょう。たとえば書籍をとれと、こうわれわれは言いました。そうしたところが、今度書籍をとりました。とったのは岩波新書です。日本で一番値段の変更のない岩波新書を、これは書籍の中でとっておられる。こんなことをすれば、皆さんの統計、政府の統計では、物価は上がらないことになってしまうのですよ。しかし、いまの生活実感、一般書籍の値上がり、こう見てくると、これは実際は食い違い過ぎる。大銀行の調査部の統計では、ことしは春闘で一万円のベースアップをしても生活はさらに苦しくなるだろうということを発表しておるくらいでして、東京都の物価のあれを見ましても、大体一三・四%上がっておると、こういわれておるのです。皆さんは、政府のほうの統計がこれが真実だ、これ以外にたよるものがないと、こうおっしゃるかもわからぬけれども、勤労者の生活は、少しくらい減税してもらっても、春闘で賃上げをしてみても、ますますよくなっていないでしょう。日本の場合に、卸売り物価はこれは横ばいだ。それはなるほど大企業にとってみれば、卸売り物価、すなわちこれは輸出物価でしょう。これが安定さえしておる限り安心でしょう。私は時間がありませんからくどく言いませんけれども、ある意味でいえば、皆さんの政府の総力をあげて卸売り物価の安定をはかっておる。消費者物価の値上がりも、卸売り物価の安定のためにこれは消費者物価を上げておるといっても、私は言い過ぎではないと思う。私はその理由は幾つかあげることはできますけれども、消費者物価も上げる、金融の道も講じてやる、企業減税もしてやる、あらゆる努力を払いつつ日本は卸売り物価、輸出物価の安定に努力はしておるかもわからぬけれども、おかげさまで消費者物価はどんどん上がっておるじゃないですか。生活は一つもよくならないのです。日本の経済、大きくなればなるほど、農民の生活は落ちているのです。私は、落ちておる数字をはっきりあげることができる。労働者の生活だって一つもよくならないと大銀行の調査部はいっておる。そういった中で、物価の指数、政府は予想は五・三彩だから減税のほうの率が大きいのだなんということで、もう少し大蔵省は生活の実態というもの、特に低所得層の実態というものを把握して立案すべきだと私は思うのですが、いかがですか。
○高木(文)政府委員 いろいろ御指摘でございますけれども、私どもはやはり現在の消費者物価なり卸売り物価指数というものを頭に置いていろいろの施策を立てるしかない。生活実感のお話がございましたけれども、私どもは、若干先生御指摘の点とは違う感じを持っておるわけでございます。しばしば政府見通しは当たらないという御指摘でございますが、一番近い四十六年度につきましても、なるほど当初はたしか五・五%くらいの見通しでおりましたところが、それではおさまらないということで、改定見通しでは六・一くらいに直したわけでございます。最近出ました実績の見込み、これは確定数字ではございませんが、五・七くらいのところでおさまったというところでございまして、政府の出しております物価指数そのものが実感と合わないということになればまたちょっと議論がかみ合わないわけでございますが、必ずしも政府見通しがそう著しく実態と離れているということは言えないのではないかと思うわけでございます。 そこでいま一つ、税制と物価との関係でございますが、これは私ども非常に関心を持っております。諸外国の税制におきましても、どちらかといいますと日本が一番課税最低限の引き上げを最近行なっておりまして、諸外国ではかなり長い間課税最低限は据え置きになっておったわけでございます。しかし、最近におきまして、アメリカ等におきましても、御存じのように課税最低限の改定が行なわれるようになりました。それは、やはり諸外国におきましても、物価の変動が顕著になってきたということの影響であろうかと思います。 したがいまして、率直に申し上げて、私どもは必ずしもそう神経質に課税最低限と物価の関係を結びつけて、それのみで課税最低限を考えることはいかがかと思うわけでございます。特に、年々の物価の上昇率と年々の課税最低限の引き上げ率について非常に厳密に考えることについてはいかがかと思うわけでございますが、しかしそうは申しましても、いまわが国の物価の変動は非常に大きいわけでございますから、今後の税制を考えてまいります上には、長い目で見た物価の動きと長い目で見た課税最低限の動きというものを考え合わすということで、今後とも課税最低限の水準を考えていかねばならぬと思っております。
○阿部(助)委員 あなたのほうが物価との話をしたから私も物価との問題をしただけの話でして、大体所得税を納める人たちの数がもう三千万人でしょう。これはほんとうに大衆課税、重税だといって間違いがないところへ来たんじゃないですか。中学を卒業した子供たちでも、ちょっと超過勤務をすれば、これは税金がかかってくる。洋服をつくるのには親のすねをかじっておるような子供まで税金をかけるなんという、これはやはり少しひど過ぎるのじゃないですか。やはり少なくとも課税最低限、低所得層に対する減税はすべきじゃないですか。そうしながら、やはり自然増というものが毎年あるということから見れば、皆さんが何と言おうと、これは重税だという点では争えないのじゃないですか。皆さんのこの資料を見ましても、低所得の場合には、日本ではかかっておりても、アメリカとかフランスとかというのはかかっていない。それは高額の所得の場合には多少バランスはとれておるようでありますけれども、低所得の場合には明らかに日本が一番税金が重いということは、これは争えないのじゃないですか。少なくともこの層に対して皆さんは減税措置を講ずべきじゃないかと私は思うのですが、いかがです。
○高木(文)政府委員 まあどの家族構成を前提にして各国と比べるべきかという議論があるわけでございますが、しばしば使われております夫婦と子供二人という家計を中心に考えますと、ときおり申し上げておりますように……(「親はどうなるのだ」と呼ぶ者あり)夫婦と扶養親族二人ということになりますから、親を含めてでございます。現在の日本の平均の家族数が四人をちょっと切っておりますから、そういう意味で夫婦と扶養親族二人という場合のことで考えるわけでございますが、その場合に、実は通貨調整等でレートが変わった関係等もございまして、課税最低限は日本よりも軽くなっておりますのはアメリカだけということになりまして、フランスと日本とはほぼ並ぶ、ごくわずかの額でございますが、フランスのほうがちょっと重いという、こういうことになってきたわけでございます。御存じのように、アメリカのように非常に大所得者がいる国の場合、フランスのように間接税のほうにウエートが非常に多い国ということを比べまして、なお日本がその水準にあるということから比べますと、課税最低限の問題も、ここ十年ほど非常に最大の懸案として、所得税の最大関心事として改善を加えてきたわけでございますが、そろそろこの課税最低限問題についてのものの考え方については、若干考え直すときがきているのじゃないかというふうに私どもは考えているわけでございます。 なお、先ほど御指摘の学校を出てすぐに課税になるではないか。中学を出てどこかへつとめるというのは、家庭の事情その他からいってやむを得ずそうなるので、非常に大ぜいの人が高等学校へ行くように進学率が高まった。中学を出てすぐつとめなければならないという人の場合にも課税になるという現状になってまいりました。そのことはたいへん私どもも、どう考えるべきか、何かくふうを要する問題の一つであると思っております。と申しますのは、別の表現をとりますと、夫婦と子供二人という標準家庭ではそういう形になっておりますけれども、なおいろいろな家族構成の場合——いまの場合は独身者の場合の問題になるわけでございますが、いろいろな家族構成の場合にそれぞれどうであるかという点は、なお今後とも考えるべき問題だと思っております。
○阿部(助)委員 日本の法人税の場合、実効税率で見ても、法人の場合にはこれは外国に比べて高いのですか、安いのですか。
○高木(文)政府委員 これはいろいろの見方がございます。見方がございますが、決して私は日本の法人税は諸外国に比べて高過ぎることはない。また過去の三八とか、極端な場合には四二というようなこともあったわけでございますから、過去から比べても高過ぎることはないという税制調査会の答申にありますのが、公平な見方であろうかと思っております。
○阿部(助)委員 それでは、特別措置の数は日本くらい多い国はどこかあるのですか。
○高木(文)政府委員 その点たいへん不勉強でございまして、諸外国における特別措置の数を数えたことがございません。また、わが国における特別措置の数の数え方がたいへんむずかしいわけで、一応百四十八と申しておりますが、ありますが、諸外国にもいろいろのものがあるようでございまして、必ずしも日本だけがそうものすごく多いというわけでもないのではないかと思っております。
○阿部(助)委員 局長、少し話がいいかげんだと思うのですが、皆さんの資料を見ても、特別措置の項目を見れば、日本だけがめちゃくちゃ多いのです。皆さんの資料に書いてある。外国ではあまりないのだ。日本が一番多い。その次はドイツが多い。法人税はあなたは適当だというようなことをおっしゃるけれども、これはやはり実効税率は日本が一番安いじゃないですか。そうしながら納税人口はどんどんふえていく。ふえていくというのは、税金が重いのですよ。低所得層はもう少し税金を、最低限を引き上げるべきだと私は思う。物価の話を皆さんされてもどの話をされても、私は何か皆さんのあれは言いわけをしておるとしか思えないわけです。もう少し真剣に私は税の公平という点で御検討を願いたいのであります。 皆さんのいまのような政策をやっていく限り、物価の安定なんというものはあり得ない。もっとも、皆さんのほうは物価が安定するなんて思っていないのでしょうけれども、物価の安定なんというのはあり得ない。そうして納税人口はいま三千万人にもふくれてしまった。そして法人のほうは特別措置でどんどんまけていって、企業だけは大きく肥え太ってしまう。そうしながら勤労者だ農民だなんというのは、だんだん生活が苦しくなっていっておる。私のところの農民の計算をしてみても、新潟県という米どころで、米収入一つとってみたところで、私の計算では四〇%以上の収入減です。そうすれば、これは出かせぎだ、日雇いだというところに回らざるを得ない。そうして出ていけば、労働災害が次から次へとウナギ登りにふえておる。その一番多いものが臨時雇い、日雇いの人たちなんです。高度成長、高度成長というて日本の経済が大きくなり、大きくなればなるほど勤労者は苦しい生活に追い込まれておるというのが、現在の姿でしょう。私は、農業のいまの実数をいうならば、皆さんに幾らでもお示しすることができる。そういうときに依然として減税はいたしませんなんということは、私は筋が通らな過ぎると思うのです。私は、もう一ぺんこの減税問題を皆さん真剣に検討をすべきだ、こういうことを要望いたしまして、時間でありますので、私の質問をここで終わります。 ————◇—————
○齋藤委員長 この際、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。 すなわち、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、相続税法の一部を改正する法律案の各案について、参考人の出席を求め、その意見を聴取することとし、参考人出席の日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○齋藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次回は、明十日水曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することといたし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時二十六分散会