大蔵委員会 第14号
- 発言数
- 67 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1972/04/04
会議録
○齋藤委員長 これより会議を開きます。 労働保険特別会計法案、空港整備特別会計法の一部を改正する法律案及び石炭対策特別会計法の一部を改正する法律案、以上の各案を一括して議題といたします。
○齋藤委員長 これより、各案について政府より提案理由の説明を求めます。田中大蔵政務次官。
○田中(六)政府委員 ただいま議題となりました労働保険特別会計法案外二法律案につきまして、提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。 初めに、労働保険特別会計法案につきまして御説明申し上げます。 労働者災害補償保険事業及び失業保険事業につきましては、労働保険の保険料の徴収等に関する法律が第六十二回国会において成立し、本年四月一日から施行され、その保険料の徴収の一元化が実施されることとなりました。 これに伴いまして、現行の労働者災害補償保険特別会計及び失業保険特別会計を統合して新たに労働保険特別会計を設置することとするため、この法律案を提出することといたした次第であります。 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。 第一に、この会計は、労災保険事業及び失業保険事業に関する政府の経理を明確にすることを目的として設置され、労働大臣が管理することとしております。 第二に、この会計は、労災勘定、失業勘定及び徴収勘定に区分することとしております。 第三に、この会計の歳入歳出について申し上げます。 まず、労災勘定におきましては、徴収勘定で収納される労働保険料のうち労災保険にかかる部分の同勘定からの受け入れ金、労災保険事業に要する費用の一部補助としての一般会計からの受け入れ金、借り入れ金その他の収入をもってその歳入とし、労災保険の保険給付費、保険施設費、労働福祉事業団への出資金、徴収関係事務費等の財源として徴収勘定へ繰り入れる繰り入れ金、業務取扱費等の経費をもってその歳出とすることとしております。 次に、失業勘定におきましては、徴収勘定で収納される労働保険料のうち失業保険にかかる部分の同勘定からの受け入れ金、失業保険の保険給付費及び保険事業の事務の執行に要する費用の一部負担としての一般会計からの受け入れ金、借り入れ金その他の収入をもってその歳入とし、失業保険の保険給付費、保険施設費、雇用促進事業団への出資金、徴収関係事務費等の財源として徴収勘定へ繰り入れる繰り入れ金、業務取り扱い費等の経費をもってその歳出とすることとしております。 また、徴収勘定におきましては、労働保険料、郵政事業特別会計からの印紙保険料にかかる受け入れ金、徴収関係事務費等の財源としての労災勘定及び失業勘定からの受け入れ金並びに付属雑収入をもってその歳入とし、収納した労働保険料を労災勘定及び失業勘定へそれぞれ繰り入れる繰り入れ金、労働保険料の返還金並びに業務取り扱い費等の経費をもってその歳出とすることとしております。 第四に、この会計の経理に関し必要なその他の事項として、勘定間の繰り入れ、借り入れ金または一時借り入れ金の借り入れ、予算及び決算の作成及び提出、決算上の剰余金の処理等につきまして所要の規定を設けております。 第五に、この法律は、公布の日から施行し、昭和四十七年度の予算から適用することとし、労働者災害補償保険特別会計法及び失業保険特別会計法は、廃止することとしております。 なお、この法律の施行前に行なわれた昭和四十七年度に属する債務の負担及び支出並びに収入で労災保険事業及び失業保険事業にかかるものは、この会計の労災勘定、失業勘定または徴収勘定において行なわれたものとみなすことといたしております。 その他この法律の施行に伴い必要な経過規定及び関係法律の諸規定の整備を行なうこととしております。 次に、空港整備特別会計法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。 現在、空港整備特別会計におきましては、空港整備事業に関する政府の経理を一般会計と区分して行なっておりますが、最近における航空輸送需要の増大に対処し、航空交通の安全の確保をはかるためには、空港の整備及び航空保安業務の一そうの充実につとめることが必要であること等を勘案し、従来、一般会計で経理いたしておりました空港整備事業についての出資、航空保安大学校の管理及び運営その他航空保安業務に密接な関係のある業務についても、この会計において一元的に経理することといたしますとともに、別途御審議をお願いいたしました航空機燃料税法に基づく航空機燃料税収入の一部を一般会計からこの会計に繰り入れることといたしまして、空港整備事業等の財源の強化をはかることといたすものであります。 次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。 第一に、新たに空港整備事業についての出資、航空保安大学校の管理及び運営並びに航空機を使用して行なう航空保安施設の検査等に関する業務にかかる経理を空港整備特別会計において行なうことができることといたしております。 第二に、空港の緊急な整備等に資するため、空港整備事業等の財源として一般会計から空港整備特別会計に繰り入れている繰り入れ金に、当分の間、航空機燃料税収入の十三分の十一に相当する金額を含めることといたしております。 第三に、当分の間、離島への旅客の運送の用に供される短距離発着可能機の購入費に対する補助金及び沖繩県が下地島に設置する訓練用の飛行場の設置費に対する補助金についても、この会計の歳出とすることといたしております。 その他歳入歳出及び権利義務の帰属等について所要の規定の整備を行なうことといたしております。 なお、この法律の施行前に行なわれた昭和四十七年度に属する債務の負担及び支出並びに収入で航空保安大学校の管理及び運営並びに航空機を使用して行なう航空保安施設の検査等に関する業務にかかるものは、この会計において行なわれたものとみなすことといたしております。 最後に、石炭対策特別会計法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。 政府におきましては、従来から石油及び可燃性天然ガスの安定的かつ低廉な供給の確保をはかるため種々の石油対策を行なってきたところでありますが、これらの対策の一そうの充実に資するため、その財源として原重油関税収入のうち石炭対策に充てられる部分以外の収入を充てることにするとともに、その経理の全貌を明らかにするため一般会計と区分して経理することとし、従来の石炭対策特別会計を石炭及び石油対策特別会計に改め、同会計に石炭勘定及び石油勘定を設けて経理することが適切であると認められますので、ここにこの法律案を提出いたした次第であります。 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。 第一に、この会計を石炭及び石油対策特別会計に改め、石炭勘定及び石油勘定に区分して経理することとしております。 第二に、新たに石油勘定を設けて経理する石油対策とは、石油及び可燃性天然ガス資源の開発の促進、石油の備蓄の増強のための施策並びに石油の流通の合理化のために通商産業大臣が行なう施策に関する財政上の措置であって、石油開発公団に対する出資、石油等の探鉱及びこれに必要な地質構造の調査並びに石油の備蓄の増強のための貸し付け事業にかかる補助等をいうものとしております。 第三に、原重油関税収入につきましては、その総額をこの会計の歳入上することとしておりますが、石炭勘定及び石油勘定の歳入に組み入れる額は、石炭対策及び石油対策に必要な費用を勘案して、予算で定めるところによることとしております。なお、昭和四十七年度及び昭和四十八年度におきましては、石炭対策にかかる部分については、現行どおり原重油関税収入のいわゆる十二分の十相当を石炭勘定の歳入とし、残りの十二分の二相当分を石油勘定の歳入とすることといたしております。 第四に、新たに設けられる石油勘定の歳入及び歳出を明らかにするとともに、歳入歳出予算の区分、一時借り入れ金の借り入れ及び支出残額の繰り越し等所要の規定の整備をいたしております。 なお、附則におきまして、この特別会計法の有効期限を昭和四十七年度以降五年間とし、昭和五十二年三月三十一日までに廃止することといたしております。また、昭和四十七年度に限り、石炭勘定の当初予算に見込まれた石炭鉱山整理促進交付金等の額が同年度にその交付等に要する額に不足するときは、その不足する金額を限度として、借り入れ金をすることができることとしております。 さらに、この法律の施行前に行なわれた昭和四十七年度に属する債務の負担及び支出並びに収入で石炭対策及び石油対策にかかるものは、この会計の石炭勘定または石油勘定において行なわれたものとみなすことといたしております。 以上が、労働保険特別会計法案外二法律案の提案の理由及び概要であります。 何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○齋藤委員長 これにて各案の提案理由の説明は終わりました。 ―――――――――――――
○齋藤委員長 これより質疑に入ります。広瀬秀吉君。
○広瀬(秀)委員 労働保険特別会計法案に関連して若干質問をいたしたいと思います。 ただいま提案理由の説明があったわけですが、去る四十四年十二月の第六十二国会において、労働者災害補償保険法、失業保険法、両法の一部改正があったわけでありますが、そこでこの適用範囲を拡大することがきまったわけです。この改正法は本年の四月一日から施行されることになっておるわけでありますが、適用範囲の拡大の問題についてはその間においても政令で措置をすることと、こういうことになっておったわけでありますが、政令でどういうような適用事業の拡大を行なったか、このことをまずひとつ明らかにいたしていただきたいと思います。
○藤繩政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、いま御審議をいただいておりますこの会計法は、四十四年の暮れに成立しました労災、失保法の改正及び現行の法律と関連をいたしておるわけでございますが、二年前にそういう大きな制度改正が行なわれましたのは、主たる目的は、まさにこの労災、失保両保険をできるだけ早く五人未満の労働者にも適用を及ぼそう、いわゆる全面適用を実現しようというねらいから行なわれたものでございます。ただし、その実施につきましては、本年四月一日から行なうということになっておるわけでございます。その趣旨は、やはり実際問題といたしまして、五人未満の零細事業にはたいへん未加入の事業が多い。そこでこれについて段階的、現実的に措置をする必要があるというわけでございまして、たとえば失業保険の場合を申し上げますと、五人未満の適用事業場でまだ任意適用事業とされているものが百万に達するわけでございます。これを一挙に適用事業とすることは事務的にも非常にむずかしいということでございまして、実は政令で当面は製造業、建設業、運輸通信業及び電気ガス水道業、この四業種につきまして、この四月一日から当然適用事業といたしたわけでございます。 なお、失業保険につきましては、現在任意適用事業となっております農林水産というような事業につきましては、そのときの改正法の附則の二条二項の規定に基づきまして、これを当然適用事業とするための方策について調査し、研究を行ない、昭和五十一年の一月三十一日までに必要な措置を講ずる、かようになっておりますので、鋭意調査研究を行なっておるところでございます。 労災保険適用につきましても、現在五人未満の事業のうち、建設業、林業それから一部の製造業、一部の運輸通信業等につきまして強制適用事業となっておりますけれども、失業保険の適用拡大と相まって、これもこの四月一日から、現在任意適用事業として残っております一部の製造業それから鉱業、運輸通信業等を当然適用事業としたところでございます。 なお、今後の適用拡大の計画でございますが、これらの四業種の、これらの新たに強制適用といたしました業種の適用状況、事務処理体制等考慮いたしまして、おおむね三年程度を目途に、所期の目的を達成する適用拡大を実現してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○広瀬(秀)委員 労働省からいただいた資料でございますが、「労災保険及び失業保険の適用範囲」という、こういう図解をした資料をいただいたのですが、これで「現在」とそれから「四業種適用拡大(四十七年四月)」、さらに「商業等適用拡大大(将来の予定)」という、こういう三つに分かれているわけでありますが、この「現在」のところで「労働者五人以上の事業」、これは現在でも全面的に強制適用になっておるわけでありますが、「労働者五人未満」のところでは空白になっておるところがあるわけであります。ここのところを、失保でも同じでありますが、この表に従って、労働者五人以上の事業でどれぐらいの適用人員があるのか、それから五人未満の製造業、鉱業、あるいは運輸通信業、電気・ガス・水道業、建設業、林業・水産業というようなところが適用になっているわけですが、この適用の人員をこの内訳に従ってひとつこの際お示しをいただきたいと思うわけであります。 失保関係についても、同じように適用者数、「現在」というところ、それから四業種を拡大して、それがどう変化するか、まずその数字をお伺いいたしたい。
○藤繩政府委員 四十六年度末の時点で申し上げますと、全事業所数は、事業所センサスによりますと二百四十二万二千ございます。そのうち五人以上が九十五万八千、五人未満が百四十六万四千でございます。そのうち適用になっておりますものが、労災保険について申し上げますと百二十七万でございまして、うち五人以上が五十九万六千、五人未満が三十二万二千、それから二元適用になっておりますものが三十五万二千でございます。 それから、失業保険につきまして申し上げますと、トータルで七十四万五千でございます。五人以上が五十三万二千、五人未満が二十一万三千、かようになっております。これが現状でございます。 この四月から適用拡大をいたしますと、全体といたしまして事業所センサス数でとらえまして、これは事業所の増加がございますから、四十七年度末では二百五十二万一千であります。五人以上がそのうち九十九万八千、五人未満が百五十二万三千になりますが、適用状況は労災保険について申し上げますと、トータルで百四十四万四千、五人以上がうち六十八万七千、五人未満が三十八万八千、それから別々に適用いたします二元適用が三十六万九千でございます。 失業保険について申し上げますと、トータルが百万五千でございまして、五人以上が六十五万九千、五人未満が三十四万六千、かようになってまいります。 その余の分につきましては、先ほど申し上げましたようにおおむね三年程度を目途に全面適用に移ってまいりたいという考えでおるわけでございます。
○広瀬(秀)委員 労働者サイドから強くこの適用拡大が叫ばれてきた歴史的経過もあるわけで、このあと三年計画で全面適用に持っていきたい、こういうことでありますが、それはもうすでに年次計画のようなものを持っておるわけでありますか。それとも三年後に、その間準備をしながら、あるいはPRをしながら、教育宣伝等をしながら、三年後にといいますと、ことしは四十七年でございますから五十年目標ということでございますか、その段階で一気にやるのか。ぽつりぽつり条件の出てきたところからやっていくという、そういうどのような具体的な構想をお持ちでございますか。
○藤繩政府委員 理想を申し上げますと、先生御指摘のように、三年計画というようなものを立てて、逐次年次的に実施に移していくということが理想でございますけれども、実はこの五人未満の適用ということは長年希望がございましたが、ようやくここで緒についたという事実が示しますように、たいへん事務的にはむずかしい問題が多々ございます。それをこなしますために、場合によりましては労働保険事務組合の育成を行なうとか、あるいはそれでもどうしてもできない場合には二元的な適用をしていくとか、いろいろなくふうを重ねて、現時点でいよいよ適用拡大を始めたわけでございます。 そこで私どもは、当面この四十七年度からは先ほど申し上げましたような業種につきまして適用拡大に入ったわけでございますが、実は徴収の一元化という業務がこれまた実務面ではたいへんな業務でございまして、現在実は私どもの出先でもこの事務を当面どう乗り切るかということで手一ぱいでございます。職員のほうにもたいへんな負担を実はかけておるわけであります。そこで、これをまず乗り切りまして、そしてさらに適用拡大をやっていくという考えでございますから、とりあえずは四業種ということで、四十七年度、四十八年度、四十九年度、おおむね三年と申し上げましたが、その辺の見通しにつきましては本年度の経過をもう少し見ました上でさらに関係審議会等の御意見も承りながら、実行可能なプランを立てて進めてまいりたい、かように思っておるわけでございます。
○広瀬(秀)委員 そうしますと、先ほど三年計画ということでありますが、かなりこの三年計画というものは流動的であり、この三年計画が五年計画になり、あるいはそれ以上にもなる可能性もある、こういう中身になっておるわけですか。
○藤繩政府委員 先ほど最初に申し上げましたように、五人未満の労働者に全面的に適用するということで法改正に踏み切ったわけでございますから、これはできるだけ早くというのが当然のことでございます。そこで私どもは現段階におきましておおむね三年程度ということを申し上げておるわけでございますが、実際の事務の進め方につきましてはなかなかむずかしい問題があるということは先ほども申し上げたとおりであります。しかしながら、だからといって五年だとかあるいは十年だとかいうようなそういうことではこれは相すまないわけでありまして、おおむね三年程度と申し上げておりますのは、なかなかの困難な事情がございますけれども、私どもとしてはそれを克服して、できれば三年くらいのうちに全面的な適用に移ってまいりたい。 なお改正法のときに議論のありました農林水産等につきましても、ただいま関係の審議会で部会を設けまして、これのまた適用につきましても、先ほど申し上げましたように五十一年の一月末までには必要な措置を講ずることになっております。そういうタイムリミットも実はあるわけでございますから、おおむね三年程度という中でできるだけの努力をいたしたい、かように考えております。
○広瀬(秀)委員 これは労働者側からも非常に強い要請があることですし、いろいろ事務的な問題としては困難性があることはわかりますが、理解はできますけれども、三年ということを前々からおっしゃっておるわけでありますから、この問題については、この三年というものの範囲の中でやはり具体的にそういう困難を克服してやれるようにしっかりこれはやっていただきたい。これは鞭撻の意味で申し上げておくわけであります。 そこで、労働保険として労災保険法と失業保険法とあるわけでありますが、この保険料のいわゆる徴収一元化ということをやられたわけでありますが、法律をつくったわけでありますが、これは常識的には、二つのそれぞれの保険に入る人たちが完全に重なっているというような場合において、この保険料を納め、保険に加入をしている人たちの立場でも確かに利便であるということと同時に、いわゆる労働行政、官庁業務の合理化という面でもこれは確かにメリットのあるものだと思うわけでありますが、事務的に徴収事務を一元化するという問題と、労働保険という範疇の中で、労働者が業務上の災害を受けあるいは傷病を受けるというような場合にそれに療養の補償を与えたりあるいは休業補償を与えたり、その他の給付を与えるというようなことと、失業保険、こういうものの間に、何らか労働保険としての共通の地盤というものは一体どういうところにあるのか、この問題について、労働省としては、この徴収事務の一元化の言うならばバックグラウンドをなす思想的なと申しますか、理論的な根拠、こういうようなものについてどのようにお考えでしょうか。
○藤繩政府委員 終戦直後に現在の労災保険法、失業保険法ができまして、それ以来二十何年それぞれの制度としてやってまいりましたが、この段階に参りまして、徴収、適用の面だけでございますけれども、労働保険の一元化というものを行ないました趣旨は、先ほど来申し上げておりますように、こういう保険を一番必要とする五人未満というものにいかにして適用を及ぼすかという点で、やはりそれには少なくとも適用、徴収面において事務的な簡素化を推進するよりほかに方法はない、そういうことからこの一元化が行なわれたわけでございます。したがいまして、立場としては、いわば便宜的な処理として出てきたという面があることは疑いないわけでございますが、反面、各種の社会保険というものについて、たとえばこれを一元化できないかというような議論も昔からあるところでございます。そこで、いま先生の御指摘は、少なくともこの両保険を一元的に処理するというのは、一体どういう思想的な考え方に立っておるのか、こういう御指摘だと思いますが、いま申し上げましたように、一応便宜的な処置として出発したことは間違いない。ただ、失業保険、労災保険とも、他の一般のいわゆる広い意味の社会保険と違っております点は、労使関係の場においてこういった保険が適用されているという点だろうと思います。 言うまでもなく、労災保険につきましては、本来業務上の災害については労働基準法で事業主に災害補償の責任がある、それを保険的なシステムをもって担保するということで、責任保険として発足をしたということでございますし、失業保険につきましても、これは労使負担、それから国の負担ということで行なわれておりますけれども、いずれにしましても労使関係の場においてとらえられているという点が、いわば一つの考え方の根拠になるということがいえるかと思います。
○広瀬(秀)委員 いろいろこの問題については労働法学者の間にも、あるいはまた労働省の見解をめぐって若干論争があった問題だと思うわけでありますが、いまおっしゃったように、共通の土台というようなものは労使関係というものを前提にしているということだろうと思うのですが、その後の適用拡大というようなことで、一人親方であるとか、あるいは雇用関係というようなもののない、雇用従属関係といいますか、使用者と被用者という立場にない事業などについても、適用拡大の方向というものがくる、だんだんそういうところにまで及んでいく。特に労働者災害補償保険法というようなところでは、そういうところにも適用が拡大されてくる傾向にあると私は思うのです。 そうすると、労使関係というものがやはり微妙に変化をして、それだけではやはり律し切れないものが出てくるのではないか。大きな意味ではやはり労働保険全体の持つ土台というものは、もっと経済的な機能というようなものに着目し、あるいは社会保障政策的な要素というものが強く出てくる段階にいまきつつあるのではないか、こういうように思うわけでありますが、そういう変化というものは労働省としてどう受けとめられておりますか。
○藤繩政府委員 確かに御指摘のように、たとえば労災保険におきましては、一人親方でございますとか、中小企業の零細事業主でございますとか、あるいは家内労働者でございますとか、そういう人が特別の適用対象になっておることは事実でございますが、これはあくまでも実態が労使関係にある労働者と非常に似ておるということから、付帯的にとられた制度でございまして、できることなら、こういった業態につきましても独立の災害補償保険というものがあってしかるべきであるという、こういう考えもございましょうけれども、労災保険あるいは失業保険というような制度がありますから、それに付帯的に便宜的に処理しているということではなかろうかと思うわけでございます。先ほど労災につきまして申し上げましたが、労災についていえば、災害補償保険という性格を持っておるわけでございまして、事業主の本来的な災害補償責任を保険で担保するという性格を現在持っておるわけでございます。 御指摘のようにこういった労働保険がさらに一歩を進めまして、漸次社会保障的なものに移行をしていくということは、これは外国の例等を見ましても考えられるところでございますけれども、それはそれなりに各種の社会保険の沿革、性格あるいは客観的な経済社会の条件というようなことのかみ合わせの中で実現をしていく問題ではなかろうかと思うわけでございまして、私どもとしては現段階におきましてはとりあえずこの適用、徴収面の一元化ということで、とにかく適用を拡大していくということに踏み切ったというわけでございます。
○広瀬(秀)委員 労働者災害補償保険、失業保険、それはそれなりに大きな立場でいえば、この両保険とも労働力保全ということに集約されるのでしょうが、そういう面がやはりおのずから基礎にはあるだろうと思うわけでございます。これはやはり認識のしかたによって、国の負担というものをどう導入していくかというような問題にも関係のある問題だと思うわけであります。これはあとで触れますが、労働者災害補償保険の適用範囲を拡大して全労働者に及ぼしていこうという、今日労働者サイドから、あるいはまた一人親方なり個人事業主というようなところからも加入させてもらいたいという要望が強い。そういう問題と失業保険というものとは、また適用範囲を拡大していってもどこまでいけるのかということについては、これはやはりおのずから若干差があるような気持ちもするし、また考えようによっては、たとえば最近農業に魅力を非常に感じなくなった。生産調整だ、米価の据え置きだというような、あるいはまた去年のように災害多発というようなことになりますと、いわゆる零細農家などは先行きに見切りをつけてやめざるを得ない。やめてもすぐそれがはたして――これからの経済の動向にもよりますけれども、いまのところそれほど深刻な就職難というものもないかもしれないけれども、どんなところでもいいという、職種を選ばないということになれば、財政主導型の公共事業関係を中心にした財政関係というような中で吸収される面はあるかもしれないけれども、そういうようにいくまでに、いままでやってきた農業をちゃんと整理をするというような期間なども相当長期にかかるというような場合などは、これはやはり何らかの形で失業保険的な給付というようなことも必要になるということもこれはあり得るかと思うのですね。 そうしてきますと、この二つを別個のものとして適用対象について広げる場合でもおのずから限界がある。失業保険のほうよりは労働者災害補償保険のほうが、より多くのそういう人たちに適用が広げられる可能性がある。あるいは失業保険はそこまではいき切らぬという、そういう微妙な問題が出てくるかと思うのですが、これもやはり考え方いかんによっては相対的なものであって、これがほとんど同じように労働保険というような形で一本化するというような方向まで目ざせるものであるのか、あるいはまた画然と両保険に分かれて、将来ともいくものであるのか、この辺のところは先行き皆さんのお考えとしてはどういうようにお考えでしょう。
○藤繩政府委員 先ほどお尋ねの点で、共通の何か考え方というか思想がありはせぬかという御指摘で、労使関係の場においてとらえられる問題であるという点では共通ではなかろうかという点をお答えいたしたわけであります。しかしながら、労災、失保それぞれの保険を見ますと、実は沿革的には、これはもう戦前からそれぞれ――それぞれと申しましても労災だけでありますが、戦前にありましたのは――相当違った考え方で、また制度も異なった歩みをしてきておるわけでございます。 そこで、先ほど来申し上げているような趣旨で、徴収の面では一元的に処理をいたすことになりましたけれども、今後の適用拡大にあたりまして、これを一本でやるという点につきましては、現状では直ちにそういう考え方に踏み切るということはなかなかできないことではなかろうか、少なくとも、できるだけそれぞれの保険を幅広く適用するということで適用拡大を進めるということではなかろうかと思います。ただいま先生がおあげになりました農林水産というような面につきましても、そのおっしゃっている御趣旨は、農民それ自体、つまりいわば労使関係にない業種の問題になろうかと思いますが、そこまではたしていけるかという点につきましては、私どもいかんとも申上げかねますけれども、労使関係にございます、雇用関係にございます農林水産等の方々につきましては、先ほど申し上げましたように、これも近い将来に適用を及ぼしていくような措置ができるように、法律上も要請されておりますので、私どもとしてはそういうような考え方をもって進めておるわけでございます。
○広瀬(秀)委員 これは将来の問題だと思います。 ところで、いわゆる一人親方、大工さんだとか左官屋さんだとか、板金、とび職だとか、そういうようなことをやっておるいわゆる一人親方という業種があるわけであります。それと同じように、また農業者、農業経営をやっている人、農業経営も最近では農業機械がかなり発展して、農作業のあらゆる段階で機械が導入されている。昔のように、いわゆる手でやったりあるいは足でやったりということでなくて、機械化農業の時代に入っていることは御承知のとおりであります。そういうことで、農民の農機具を使用することによる災害などもかなり激増をしておるわけですが、こういう一人親方、農民等について、まず最初に一人親方について、この特別加入ということについてはどういう処置がどの範囲でなされておるか、この点をちょっと説明してほしいのです。その次に農民の問題に入ります。
○石井説明員 特別加入につきましては、一つは一人親方問題がございます。 まず特別加入の範囲についてちょっと申し上げますと、まず第一は、中小企業の事業主、常時三百人を雇っている者以下の、つまり三百人未満の労働者を使用している事業主で、その場合に労災保険の事務組合に加入しているというものがこの条件でございます。当然中小企業事業主が行なう事業に従事している者もその中に入ることになります。 それからもう一つは、一人親方といわれておるもの、いわゆる自営業者でございますが、第一は、自動車を使用して行なう旅客あるいは貨物の運送の事業を行なう者が第一でございます。それから第二が、建設の事業を行なう者、すなわち大工とかあるいは左官、とびといったようないわゆる典型的な一人親方がこの中に入るわけでございます。それから漁船による水産動植物の採補の事業を行なう者、こういうものがその一人親方の中に入ります。 それから、特定の農業機械の作業に従事する、すなわち自営農業のうちで重度の障害を起こす危険度が高いと認められる種類のたとえば自走式の農業機械、例を申し上げますと動力耕うん機とかあるいは農業用のトラクターといったようなものを使用して農作業に従事する方、こういう方々がその対象に入る、こういうことに相なります。 それから、先ほど官房長から申し上げました家内労働者またはその補助者といったようなものがこの中にございます。 その内容につきましては、いわゆる労災保険のいわば労働者とみなす形で加入をしておりますけれども、ただその場合に、いわゆる労災保険の仕組みは、賃金に対応して保険料を納めるというようなことでございますけれども、それが特別加入者には賃金というものがございませんで、給付基礎日額につきましては、中小事業主などの場合におきましては、その事業に使用される労働者の賃金の額その他の事情を考慮してきめるということになります。それから一人親方につきましては、その事業と同じような種類または類似の事業に使用される労働者の賃金の額を勘案をいたしましてそれぞれ労働大臣が定める、こういうことになっておりまして、その保険料につきましては、いわゆる賃金総額に一定の保険料率を乗じて算定されますけれども、そういうものにつきましては大体労災保険と同じような仕組みでございます。 それから、給付その他については同じような給付をされる、こういう状態になっております。
○広瀬(秀)委員 わかりました。いまおっしゃったような人たちが特別加入ということになりますが、自走型の農機具、こういうものを使用するもの、これだけでは私は農民の場合に不十分であろうと思うわけです。これは農業関係について、いわゆる農機具、この自走という意味が、動力がついて走るけれども、運転者はその上に乗らないで、運転は下におりてやる農機具もあるわけですね。いわゆるハンドトラクターというようなもの、それからやや中型から大型になればそのトラクターの上に乗ってこの運転をするというようなものもある。おそらくいまその特別加入の対象になっている農民はそういうものではないかと思いますが、そのほかのそういうハンドトラクターのようなものを運転するというような場合にも、それでけがをするというような事例というものが非常に多いわけなんです。農業それ自体の中で、あるいは農協系統の中でそういうものに対する災害補償というようなものは何もないわけであります。農民も今日そういう意味では非常に危険な労働をしている労働者と見られないこともないわけであります。自営業者であることという性格もあるけれども、現に土地を持ち、生産手段を持っているという意味では、一種の経営者であると同時に労働者である。そういう機械を運転して仕事をやっているわけです。そういう中で災害が多発する。これが労働者災害保険法には乗れない。こういう問題等についてもかなり適用を拡大していっていいのではないかというようなことで、その辺についての考え方というものは、一体どの程度まで認めようという前向きの姿勢があるのか、これをひとつ伺っておきたいと思うわけであります。
○石井説明員 いま先生のおっしゃいましたハンドトラクターの場合には適用の範囲に入るということでございます。 なお、現在の考え方と申しますか、それは、農業に従事しております中で重度の障害を起こす危険度が非常に高いというものをメルクマールにいたしまして、この特別加入を労災保険の中に入れるときの審議会で、このような自走式の農業機械ということでやったわけでございますが、問題は、いわゆる重度の障害を起こす危険度の高いものが現実にどういう変化を起こしておって、どういう実態があるかということが一つの問題だろうと思います。したがいまして、今後ともそういう面について実態を十分に把握いたしまして、これに対する措置をするような方向で検討いたしたいと考えております。
○広瀬(秀)委員 この問題もぜひひとつ前向きに検討をして範囲を拡大するようにしていただきたい、そういう要請をいたしまして、次の質問に移ります。 補償の関係でございますが、休業補償の場合に、最初の三日間だけは使用者が支払いをするのだ、これも日額の六〇%、三日間について休業補償を使用者が自分でやる、こういうことになっているわけでございますが、これは一体どういうわけなんですか。何も最初の三日間を切ってやらないで、全部労災保険の休業補償給付でまかなって何ら差しつかえないのじゃないでしょうか。これはどういう趣旨にいずるものでございますか。とりあえず三日間、いろいろ手続や何かの関係もあるから、その間のつなぎとして出せ、こういうことなんでございましょうか。
○石井説明員 休業補償につきましては、三日間の待期を労災補償法の中で規定してございますが、その間は休業補償給付は労災保険では支給されません。しかしながら、基準法の中で休業補償の規定がございますので、基準法による使用者の責任としてこれを支払うということで、労災保険上は三日間の待期がございますが、実質上は基準法で使用者が支払う、こういうことでございます。 三日間の待期を置いたという理由につきましては、いろいろ事務的な問題あるいはその他ありますけれども、大体各国とも、ILOにおきましても三日間の待期を置くということが一般的な通例でございます。
○広瀬(秀)委員 これはそう大きい問題ではないし、使用者の立場に立てばたいがいこのくらいのことをやるのは常識的なことかもしれませんから、この問題は小さい問題ですからあまり申し上げません。 次に、長期傷病補償給付、療養開始後三年を経過してなお治癒しないという場合に療養補償給付、休業補償給付にかえて年金が支給される、こういうことでありますが、その場合には、療養の給付とともに給付基礎日額の三百六十五倍をしたものの六〇%の年金が出されるわけでありますが、この年金の場合にスライド規定がありまして、賃金水準の変動が二〇%をこえる場合に変動率にスライドをして年金額を引き上げる、こういうことでありますが、これをもう少し小きざみにやっていいのではないかと思うわけであります。特にたとえばここ二、三年来一五%をこえるような賃上げがある。そうすると、もうすでに一五%の差がつくわけです。それの六〇%でありますから、一そう下がるわけですけれども、一五%だからまだこの規定は発動できない。またもう一年たって一五%になる。そうすると、三〇%という格差ができてしまうのですね。そうすれば二〇%をこえたということで、その段階でスライド規定が働く、こういうことになって、常に、二〇%という限定があるものですから、三〇%も上がらないと発動できない。そうすると、時期的に非常にズレがくる、こういうことになろうと思うのですね。 具体的にこの問題の適用というものは、こういう状況の中では、スライドで二〇%ということを、これ自身にも私どもは不満であるのだけれども、現実には一五%も上がるというような今日の状況の中で、それが二年経過した段階でないとスライド規定が働かないということで、その間の損失、損害というものは、病床にあえぐ労災受給者にとっては、耐えがたい苦痛であろうと思うわけです。この辺のことを考えますと、この二〇%というようなものは、やはり一〇%ぐらいに落として、スライド規定を有効に、そのものずばりで、労災を受けて年金を受給しているというような気の毒な人たちに、賃金水準の上昇に伴う年金のスライド、上昇というようなものが連動して有効に働くようにしてやる必要があるのではないか。こういう経済の激動の時期でもありますから、こういう問題についてどのようにお考えになっておるか、この点伺いたいと思うのですが、官房長いかがでございますか。
○石井説明員 スライド制につきましては、先生がおっしゃいますように、二〇%という規定でございます。現在各種社会保険を含めまして、いわゆる自動スライド制をとっておりますのは、そのほか政策スライドその他全体を含めまして、労災保険のスライドが法律的にはっきりしている唯一のものでございます。まあ失保もございますけれども。ただ、問題になりますのは、現在各省間で、公的ないわゆる社会保険全体のそういつたスライドのシステムをどう考えるかということが検討の渦中にございます。それからもう一つは、現在の賃金水準の上昇が非常に激しいわけでございますが、大体実態的には二年前後ぐらいのところであろう。それをどう評価するかという問題がございますけれども、現在のところ、各省間で社会保険全体のそういったスライド、特に年金のスライドシステムについての基本的な考え方を検討しておるわけでございまして、それは長い間相当精力的にやっている現状でございます。私どもとしましては、そういった全体の立場を踏まえながら、スライドの現実的なあり方の問題について総合的な社会保険全体の中の一環として今後検討を進めていきたい、こんなふうに考えておるわけでございます。
○広瀬(秀)委員 私は、むしろ逆なんでして、これはこの委員会でも国家公務員の共済組合法あるいは公企体の職員等共済組合法、こういうものを論議する際にいつでもこのスライドの問題が問題になっている。ところが公的年金制度調整連絡会議というのが総理府に設けられて、ここで審議をしている、それでいつ結論が出るんだといってもめどが全然立っていない、こういう事情にあるわけなんです。すでに当時の賃金から六〇%ということで低く押えられて、しかも病気がなおらない、なおらないという段階において療養給付とともに六〇%の年金に移行する、こういう気の毒な事情にある。そうして療養生活を依然として続けている。働く意思があってもからだがこれを許さぬという気の毒な状態にある。そういう者に対して、まずこういうところがもっとほんとうに労働者にメリットのあるスライドというようなものを実現してやる必要性というものが一番高い例だと思うのですね。もちろんその他の一般的な退職公務員とか退職公企体職員とか、こういうような人たちの老後保障という問題も大事であるけれども、それ以上にこういう問題は非常に緊急を要する問題だということで、むしろこういうところが先べんをつけるという形で突破口を開くというような形でも、非常に気の毒な問題であるだけに、こういうところで、もっとスライドの問題について一歩前進したものを示していくということがむしろ公的年金制度調整連絡会議ですか、そこの議論を前向きに結論を出させることにもつながっていくであろう、こういうような配慮も加えながら、もう一つ前進をしたらどうだ、こういう気持ちで申し上げているわけであって、その点もう一度答えていただきたいのです。 それと、どれだけ賃金が上がったんだということは、毎勤統計とかいろんな統計がありますが、どういう統計をとって、どの機関が判断をしてそのスライドに踏み切るんだというその手順は一体どうなっているのか、その二つを答えていただきたいと思うのです。 前者の部分は官房長の所見を……。
○藤繩政府委員 ただいま先生の御指摘になりました点は、被災労働者の立場から考えます場合にまことにごもっともでございまして、最近のような賃金上昇の激しい場合にできるだけ十分な保険給付を得るという立場から当然の御主張ではなかろうかと思いますけれども、一面先ほど管理課長からお答えいたしましたように、従来から関係の制度にも影響を及ぼす非常に大きな問題でございます。それからまた保険経済自体からいいましても、保険経済の安定性の確保あるいは保険料とも関連する問題というようなことで、なかなかむずかしい問題であるということも御理解いただけると思います。ただ、御主張の点は私ども十分理解できますので、私どもの役所といたしましても、あらためて先生の御指摘の点を十分勉強させていただきたいというふうに思います。
○石井説明員 スライド制の実際の運用のしかたでございますが、この場合に休業補償給付のスライドのしかたとそれから年金給付のスライドのしかたと二つの方式がございます。 まず、休業補償給付のスライドの場合におきましては、一つのパターンは、常時百人以上の労働者を使用する事業場の場合におきましては、その労働者の所属する事業場の同種の労働者の賃金がその変動率において二〇%をこえる場合それに対応してスライドが行なわれる、こういう形でございます。それから百人未満の事業場の場合におきましては、労働省が作成をいたします毎勤によりまして、その事業場の属する産業の各四半期の労働者一人当たりの平均給与額の変動状況を見まして同じようにスライドしていく、こういう形をとります。 それから、年金給付のスライドの場合におきましては、これも全産業の年間の賃金水準の二〇%をこえた場合に当たるわけでありますが、これらはすべて労働省が作成するいわゆる毎勤統計によりまして、全産業の労働者の平均給与額の変動率ということをメルクマールにいたして運用しておる、こういう状況でございます。
○広瀬(秀)委員 大蔵省、この問題、毎勤統計のとり方とかなんとかということじゃなくて、官房長がいまお答えになったスライド問題について、大蔵省の立場で老後保障、いわゆる共済年金等についても前々問題になっておることなんですけれども、こういう労働災害を受けて苦しんでおる人たち、しかももうすでに休業補償あるいは年金額も六〇%というようなところに下げられている人たち、現実に非常に困っておるわけです。こういう人たちに対して公的年金制度調整連絡会議というものの結論がいつまでも出ない、いつなのかめども立たない、こういう段階において、なるほど相互の関連においてむずかしい面はあるけれども、一方こういう面でやはりめんどうを見るというか、国のあたたかい配慮というものがこういうところにも及んでいるのだという立場でこれは前進を必ずさせる、ほかの公的年金全体のスライドにおける原理あるいはこうやろうというような結論が出る前にもこの問題はとりあえず、このような賃金の大幅な上昇が見られるここ数年の傾向なんでありますが、そういう中でこういうものが常に取り残されていく、二〇%をこえる段階に至るまで、もう一五%上がっている人たちがいるときにまだスライド規定は働かないということでがまんしてなければならない、よりつらい思いをしなければならない、そういうことでさらに一年待って、毎勤統計にちゃんと一五%上がって合計で三〇%になりました、二〇%をこえましたという段階までの間やはりたいへんな犠牲を受け損害を受ける人たちに対して、大蔵省として、主計局として、この特別会計の責任官庁として、どのようにこれを改善するお気持ちがあるのか、この点をひとつ主計局次長からお伺いをしたいと思います。
○長岡政府委員 社会保障制度全体の中で特にこの年金制度のようなものにつきましては、賃金とか物価とか、こういったようなものとのスライドの関係、その調整が非常に重要な問題であることは私どももよく承知いたしております。ただ、社会保険全体を見まして、スライド制をとっているのは労災保険だけである。二〇%の率がいま広瀬先生がおっしゃるように十分であるかどうか、そこまでこなければ改定しないということが実情に合致しておるかどうかという問題はあろうかと思いますけれども、考え方としては非常に進んだ制度がここに実現されておる。これ以外の種々の公的年金制度においては、一体いまの問題をどういうふうにして解決していくかということ自体が大きな課題になっておる段階でございますので、私どもの立場からいたしますと、社会保障制度全体あるいは公的年金制度全体の問題としてこの問題も受けとめざるを得ないと思うわけでございます。 いずれにいたしましても、社会保障制度の充実というのは、やはり諸種の制度の充実の度合いのバランスが非常に重要であると考えますので、この問題だけにつきまして、この二〇%をさらに幅を縮めて改定をしていくようなことをいま大蔵省が考えておるかという御質問でございますと、直ちにそのような考えを持っておるというお答えはいたしかねますけれども、先ほど労働省の官房長のお話もございましたように、いろいろの角度から検討が進められていく場合には、私どもとしても、十分に労働省とも御相談をしながら検討を進めてまいりたい、こういう考えは申し上げることができると思います。
○広瀬(秀)委員 幾らかでも前向きに考えようというお気持ちは表明されたけれども、私どもは容易にその言を信ずるわけにはまいらない。もう十年近くも私はずっとこの問題をここで、国家公務員なり公企体共済組合なりで訴え続けてきておるのですよ。そしてその間に調整規定ができた。しかし、その調整規定は公的年金制度調整連絡会議を設置したというところまではいったのですが、その審議がさっぱり進まないということで、前向きに前向きにというリップサービスはあっても、実現しなければ何にもならないわけであって、特にこの問題については先ほどからるる申し上げているような気の毒な実情にもあるのだから、こういうところをまずやる、そういう実情が認められたから、今日スライドというものは現実にはない。法律にはなるほど調整規定というものが入って、スライドの趣旨が法定されているけれども、現実の問題としてはそれが実行に移されてないということで、もう数年を徒過しているわけですが、公的年金制度調整連絡会議ができてからでさえも、私の記憶が確実ならば、たしか四年たったと思うのです。四年たって何の結論も出ていない。中間的な答申すらも出ていない。こういうような事情ではいまの次長の御答弁では全く納得できないわけです。 これは政務次官いかがですか。こういう問題についてはまずそういうもたつきがある中で、とりあえずスライド規定ができているのだ。そのスライド規定があまりにも過酷なものになっているということがあってはならないので、この辺から突破口を開くような気持ちで、これについてはほんとうに名実ともに前向きで検討し、実現に移すような方向を考えたい、こういう気持ちがほんとうにあるのかないのかということについて、政務次官から責任のある答弁をお聞きいたしたいと思います。
○田中(六)政府委員 こういうスライド制については、リップサービスだというふうに広瀬先生はおっしゃっておりますが、このように年限がかかっておるという事態はまさしくリップサービスと言われてもいたしかたないわけでございます。しかし、それだけに内容を実現するためには非常に困難なところがございます。しかし、最近のように外貨がたまって、国内の社会保障制度とかあるいは社会資本の充実とかいうようなことになりますと、この年金制度につきましても、どうしても大きな転換した考え方を促進しなければいかぬのじゃないか、社会情勢がそういうふうにかもし出されておりますので、こういうスライド問題も、いままでかかった年限よりも非常に短縮されて実現を迫られていくのではないか。客観情勢はそうなっている。それだけに政府もこれを促進する体制で、ほんとうに実現するということでこれから検討しなければいかぬのじゃないかと考えます。
○広瀬(秀)委員 本気になってこの問題の解決のために取り組んでもらいたい。時間があまりありませんから、この程度にしておきます。 次に、徴収保険料率の問題に移りますが、過去三年間の災害率などを考慮して業種ごとに定められる。千分の二から千分の八十の間に分布しているわけでありますが、四十八業種について二十四段階のものを設けられておるという労働省のお話でありますが、この基準率というか、保険料の基準になる数字というものがあって、それに災害発生率などを考慮するということで、料率をプラスしたりあるいはマイナスしたりということで考えられているんだろうと思うのでありますが、この辺のところは一体どういう基準でやっておられるのか、お聞きしたいと思うのであります。特に百人以上の従業員を持つ適用事業所等については、いわゆるメリット制というようなことで災害発生率その他を考慮して徴収率を加減している。これはどういう要素をどのように考慮して料率を下げたり上げたりしておるのか、この辺の仕組みというものをこの際明らかにしていただきたい、こう思うわけであります。
○石井説明員 メリットの問題でございますけれども、メリット制は労災保険特有のシステムであります。すなわち、その考え方は、個々の事業主の災害予防意欲を向上させるという側面が、この保険料負担の具体的な公平を保つという問題と非常に関連し合った問題であります。そのために、同種の事業でありましても、一定規模以上のものにつきましては、個々の事業ごとにそれぞれの災害率と収支率、すなわち労災保険につきましては労災保険の保険料と保険給付の額の割合がいわばそのメルクマールになりますけれども、それに対応いたしまして、すなわち災害率と保険率との収支を見まして、それによってそのメリットの具体的な料率を決定する、こういうかっこうになっております。
○広瀬(秀)委員 二十数段階に分かれたこの料率表があるわけでありますが、毎年これは洗いがえというか見直し、料率修正があるんだと思うのでありますが、たとえば昭和四十六年度中に、どういう業種が過去三年にわたってその災害が多発してこうなりました、そういうような例がやはりあるだろうと思うのです。皆さんからいただいたこういう表があるのですが、林業、漁業あるいは鉱業、建設事業、製造業、運輸業、電気・ガス、その他の事業というように分かれているわけですが、この表の中で四十五年度と四十六年度で徴収保険率を修正した例はありますか。
○石井説明員 四十六年につきましては、四十六年一月一日で改正をいたしておりますけれども、大体二十種類ぐらいがそれによって改善された、こういうことであります。
○広瀬(秀)委員 それでは二十種類ぐらい改正されたということで、その中で一つでも二つでもいいですから、一、二の例をあげて、この業種についてはこのように災害が多発したのでこう上げましたというもの、あるいは下げたものがあれば、こういうように災害が減ったからこのように下げましたと、そういう上げたものと下げたものを具体例について計算の方式をこの委員会にひとつ資料として全員にあとでお配りいただきたいと思うのです。この法案を審議している間になるべく早急に出してもらいたいということであります。 それから、いまのこのメリット制、百人以上、こういうことなんですけれども、小さいところだって大いに努力をして、災害にかからないように、災害を未然に防止をするという安全管理が行き届いている、あるいは健康管理が行き届いている、そういうような努力をやっているところなんかも、三十人とかあるいは二十人とかいうようなところだってあるだろうと思うのです。したがって、この百人以上というものは、これは三十人ぐらいまで将来は下げたいという希望もあるようでありますが、具体的に三十人ぐらいまで下げるというのは、そしてメリット制を適用していくというのはいつごろをめどにやるつもりでありますか。こういういいことは早く実現に移したほうがいいと思うのでありますが、その点いかがでございますか。
○石井説明員 ただいま先生が御指摘になりました三十人以上になるというのは四十九年一月からということであります。
○広瀬(秀)委員 これはいいことがわかっているのならば、もっと早くやったらどうですか。そういう点では事務的にどうしても追いつかないということなんですか。その他に何か理由がありますか。
○石井説明員 このメリット制につきましては、労働保険の保険料の徴収等に関する法律によりまして、四十九年一月ということになっておりますが、実際上は三年間のデータを相当厳密に当たる必要もございますので、そういういわば電子計算機を使用いたしまして相当の仕事の量があるということもその背後にあるということでございます。
○広瀬(秀)委員 あまり熱意のない御答弁なんですが、そんなことではなくて、厳密性を要求されることは当然だと思うのです、これは権利義務に関係あることですから。それはそれとして、やはりこの百人以上ということでは、これはけしからぬ話である。やはり百人は大企業とはいえないけれども、中企業ぐらいのところですよ。特にサービス業だとかそういうことなんかではむしろ大企業に入るということでもございますから、そういう小さいところはメリット制を受けられないで常に割高のものを負担させられているという面がなきにしもあらずであります。そういうものを是正するという努力は、これは行政サイドにおいて十分そういう点はやって、労働省はサービス行政、労働者サービス行政をやるところなんですから、このサービス精神を大いに発揮して、やはりなるべく早く、一年でも早く、四十九年を待たずにでもこの作業を累積して、厳格性を要求されるということは私も否定しませんが、それとこの時期を早めるというようなことを両立させるような立場でひとつ事を運んでいただきたい。これは官房長もできるだけ早めるために努力されるおつもりがあるかどうか、その点だけ答えていただいて、次の質問に移りたいと思います。
○藤繩政府委員 御趣旨はよくわかりますので、できるだけの努力をいたしたいと思います。ただ、先ほども御説明申し上げましたように、法律上の規定がございますので、その範囲内でできるだけの努力をいたしたいと考えております。
○広瀬(秀)委員 次に、労働災害でいつも問題になるのは通勤途上で発生した事故、これをいわゆる労災保険で見るかどうかという問題があるわけでありますが、この問題については調査会も設置をしておられるそうでありますが、この結論はいつごろ出るのか、そして労働省自身としてはこの問題についての基本的なかまえ方はどっち向きなのか、この点をお聞きいたしたい。
○石井説明員 通勤途上災害の問題につきましては非常に長い間の議論がございます。ただいま先生から御指摘ありましたように、一昨年の二月に通勤途上災害調査会を設置をいたしまして、労働大臣が御検討をお願いしたところでございます。この調査会におきましてはいろいろな議論がございましたが、ただしかし現在時点におきましては、現在の通勤状況あるいは交通状況、あるいは企業と通勤という問題の実際上の評価、そういった問題を勘案をいたしまして、少なくとも現在以上の何らかの保護制度を設けるべきであるということについては調査会は意見の一致を見ておるところでございます。 ただ、基本的に問題になりますのは、一つは費用の負担の問題がございます。それから給付の水準をどうするかという問題、この二つの重要問題が現在その議論の渦中にございまして、私どもといたしましては、その議論が相当進んでおるというふうに拝見をしておるところでございます。労働省といたしましては、現在の通勤途上の実態それから諸外国の実情から見まして、現在の形を上回る何らかの保護制度をつくるべきであるという考え方は最初の前提にございますが、ただ現在、先ほど申し上げましたように、非常に進捗を見つつございますので、労働省といたしましては、調査会の意見がそう長い時間をとらずにちょうだいできるのじゃなかろうかというような感じをいたしておるわけでございます。したがいまして、当然、その調査会の見解が示されるならば、その具体化につきまして検討いたしまして、法律改正ということをやってまいりたい、こういうことでございます。
○広瀬(秀)委員 ILOの百二十一号条約でも、これは明確に労災という概念の中には通勤途上の災害を含むように改正すべきだ、それぞれの国で法改正をやるべきだということをいっているわけですね。したがって、諸外国の方向もそういうことにあるだろうと私ども思うわけなんです。この問題についてはそれはいろいろな意見はあるでしょう。特に使用者側はこの費用の大部分、一部国の負担もありますから、大部分といっておきますが、ほとんど全額に近いものが使用者負担になるということでありますが、通勤というのは、やはりこれは労使関係というものがあって、その契約に基づいて、今日の特に都市生活なんかについては通勤をかなり遠距離からせざるを得ない、そういう状況にあるし、最近の交通災害だとかその他いろいろな問題もあります。交通災害の場合には、また自賠法というようなものとの関連も出てきますけれども、その関係にはきょうは触れませんけれども、いろいろな形で通勤途上における災害というものも、長距離化すればするほど、そしてまた交通機関などもいろいろな乗り継ぎ乗り継ぎをやるというようなことからすれば、また都市生活というようなものが非常に複雑化しているというような状況の中で、やはりこれは当然労災の概念の中に通勤途上における災害というものを取り込むということは、これはしごく当然な成り行きであろうと思うのです。やはり世界的な傾向だろうと思うのです。ILO百二十一号条約、これは日本は批准していませんけれども、国際条約として、すでにこれは日本も参加はしているわけですから、そういう立場で、この問題についても労働省としてそういう趣旨が生きるように前向きな姿勢で取り組んでいただくように、これは要請をいたしておきます。 それからまたもう一つは、いわゆる業務上外の問題、この問題についてもいろいろありまするけれども、やはり反証がない限り業務上として扱うべきだ、こういうような意見も当然出ますし、また業務上外が疑わしいものは全部業務上とすることは使用者に酷な責任を負わせることになるという反対意見もある。しかし、やはり百二十一号勧告は、原因のいかんを問わず、作業場もしくはその付近または当該労働者がその業務についていなかったとすればい合わせなかったであろうその場所において労働時間中にこうむった災害はすべて労災とすべきであるというような、これは私ども常識的に考えてきわめて妥当な見解だと思うわけでありますが、こういう面でもILO百二十一号勧告ではこういう前向きな、私ども、また国民全体の合意を得られる見解の表明というか、しておるわけですね。勧告でそういうことを表明しておられるわけですから、この問題についてもこれは十分前向きに検討をしていただきたいと思うわけでありますが、この問題についてはどのようにお考えになっておるか、この点をお伺いいたします。
○石井説明員 労災保険の問題の基本的な問題は、一つは業務上の問題でございますから、それが業務上であるか業務上でないかということがまず非常に端緒的な第一段階の問題でございます。現在、業務上問題の基本的な考え方は、結局業務の起因性と申しますか、その災害が業務によって相当因果関係の中で起因ざれたものであるということと、それからいわば業務遂行性といいますか、つまり支配下の問題がございます。 現在特に職業病につきまして非常な多様化の時代を迎えているわけでありまして、私どもも非常に具体的なケースでいろいろなその対応に苦労しておるわけでございますが、ただいま先生が言われました、いわば因果関係の推定というような問題でございますが、これにつきましては、特に職業病につきましての新しいパターンというものが疫学的な実態についても非常に過渡的な段階でございます。したがいまして、現在のところは業務上の疾病につきまして、基準法の施行規則の三十五条の中で三十六の項目につきましていわゆる業務上疾病についての認定の範囲といいますか、そういうものをきめておるわけでございます。 ただ、最近のように職業病の非常に多様的な形が発生してまいりまして、これに対する認定のやり方については、具体的な事例の発生したつどに、いわゆる労災医員といいますかお医者さんをお願いしておる、あるいは専門の医者の意見を聞いたりという形を現在とりながら、具体的なケースにそれぞれ現場が当たっておるわけでございます。ただいま先生が御指摘になりましたような因果関係の推定をする基盤が今後どれだけ出てくるかということを、十分実態を見た上で、この問題は検討する必要があるのじゃないかというような考え方を持っております。
○広瀬(秀)委員 いろいろ御説明があったわけですけれども、この業務上外の問題というのは、これは基本問題でありますけれども、特に総括的にいわゆる職業病といわれるようなものが、経済関係における新しい技術の開発や何かによって、また環境の激変というようなことによって、いろいろな問題が次々に出てきているという状況にあるわけです。労災がどうもあまりにそういう問題に対応し切れないでいるということが、これは一般的な国民の受けとめ方であろうと思うのです。慎重を期することはけっこうだけれども、そのために気の毒な被災者に対して犠牲をしいるような結果になるというようなことについては、やはり耐えがたいものがあるだろうと思うわけであって、この問題についても因果起因性というようなものが当然考えられることでありまするけれども、そういう問題についても十分――私はやはり労働力を適切に保全をするということ、こういう大目的に沿った制度本来の趣旨というところにさかのぼって、小さなことにあまり目くじらを立てて適用をできるだけ広げまいというようなけちった考えではなしに、常識的に因果関係がとらえられるということであるならば、できる限り適用を認めていく、きわめて弾力的に認めていくというような姿勢というものはこれは必要だろうと思うのです。三十五条でございましたか、幾つかの職業病のすでに正式に認定され、確立されたものが例示されておるわけであります。その他因果関係のはっきりしたものというようなことで包括的な規定もあるわけでありますが、そういう中でこの問題についても十分ひとつ前向きに検討をしていただきたい、このように思うわけであります。 そこで次に、失保関係に若干質問を移しますが、失業保険の保険金の受給者の平均給付日額というものを労働省に伺ったところ、下からずっと積み上げていって大体まん中ぐらいだというところで、日額千百二十円というお答えでしたか、そういうようなことなんです。今度改正で、最低がいままでの三百七十円から四百九十円、最高が二千二百八十円ということのようですが、この千百二十円程度というものが平均的な数字である、こういうように見ていいわけでありますか、どういう分布になっているのか、そして加重平均的な数字というものは千百円くらいなのか、この点をひとつ明らかにしてください。
○中原政府委員 先生の御指摘のとおりでございます。二十二等級というのは千百四十円でございまして、これに三十日かけますと、三万四千二百円、これが昭和四十六年の七月の数字でございます。この平均のとり方につきましてはいろいろあるわけでございますが、一週間くらいもらってやめてしまうという人もありますので、単純な平均でいきますとなかなか正確な数が出ませんので、いま先生御指摘のとおり、等級別の受給者数によりまして中位等級というのを加重平均で出しますと、大体まん中の人というのは、いま申しましたように千百四十円でございまして、これを一カ月に直すと大体三万四千二百円程度、かようなことかと思われるわけでございます。
○広瀬(秀)委員 東京都あたりで生活保護を四人家族くらいでもらっている場合にはいま幾らになりましたか。これは大蔵省でも労働省でもどっちでもいいですが、生活保護は厚生省の問題ですけれども、参考までに、いま私もちょっと数字を持っておりませんものですから……。
○岩田説明員 単身者の十八歳以上の生活保護基準額で見ますと、四十六年度におきましては、一級地が四百七十一円、二級地では四百二十九円、三級地三百八十六円、四級地三百四十四円で、平均四百八円となっております。
○広瀬(秀)委員 東京都で夫婦子供二人ということです。
○長岡政府委員 四十七年四月一日から御承知のように一四%引き上げておりますが、これで一級地の標準四人世帯、これは一応とっておりますのは、三十五歳の男子、三十歳の女子、九歳の男の子、四歳の女の子というのをとりまして、その世帯で生活扶助の月額基準額は四万四千三百六十四円でございます。
○広瀬(秀)委員 二十二等級三万四千二百円という、これは失保受給者の平均とはたしていえるかどうかは別として、これは厳密性はないわけですけれども、かりに大体そのぐらいだ、そういう人が奥さんを持ち子供が二人あったとした場合に、これは若干のものがかりについたにしても、生活保護基準の給付を受ける人が三十五歳、三十歳の奥さん、九歳、四歳の子供さんで四万四千円という状況になっている。これはなるほど災害を受けて仕事はしていないということであるけれども、生活保護基準者並みにはこういうものもなっていいのではないか。これは制度の立っている基盤も違うし、趣旨も違うから、そういう比較というのをストレートに比較することについては若干の異論もあるかもしれない。しかしながら、生活保護基準という、一番最低の生活ができるというような条件にある生活保護世帯、これよりも一万円も下回るという状況というものについて、労働省としては、やはりこの絶対額というものが日本の低賃金構造にも由来するけれども、それが基礎となって六〇%かけられるわけでありますから、したがって低いということにもなるかもしれないけれども、失業したらもうとたんにそういう状況になってしまうということではいささかおかしくはないかということなんです。 その辺のところを労働省、絶対的に失業保険というものは、これは日本の低賃金構造に本来由来するから、したがってこの問題を改善するためには、いま一足飛びに日本の低賃金をヨーロッパ並みに追いつかせるといってもなかなか無理なところがあるけれども、そういうものを前提にして、やはり失業をしてもちゃんと、いままでよりは若干下回ることはやむを得ないにしても、仕事をしておったときよりも下回ることはやむを得ないにしても、やはり低い賃金の上に、これは世界大体共通の六〇%ということでは生活ができないものだということになるわけです。だからそういう点ではこの給付率をやはり引き上げる。ヨーロッパが六〇%だから、西ドイツもイタリアもイギリスもそうですということだけでは済まされない問題がこういう数字の中に出てくるだろうと思うのです。だからこの辺のところではやはり給付率を引き上げるというようなことを――これは完全にヨーロッパ並みの賃金になった、西ドイツ並みの賃金に追いついたという段階にはこの六〇%もいいかもしれないけれども、そういう点で、この労働力保全、そして失業中における労働力が荒廃しないように、やはり国の責任で、あるいは使用者の責任でこの労働力を保全していくというような根本的な立場に立てば、もっと配慮があってしかるべきだと思うのですが、いかがでございますか。これは労働省、大蔵省、両方からお答えをいただきたい。
○中原政府委員 先生御指摘の失業保険の給付水準でございますが、先ほどお話がございましたけれども、今年度はこの四月一日からかなり大幅に額を上げまして、最低で、先ほど先生もお話がありましたが、三百七十円を四百三十円、これは三二・四%アップになっております。それから最高は千八百円を二千二百八十円、これは二六・一%アップになっております。 実質的にどれくらいアップになるかというのは、その受給の実数が出ないとなかなかわかりませんが、こういうことでございまして、賃金自体が欧米よりも低いので、同じ六割といっても気の毒ではないか、こういう御指摘でございますけれども、確かにまだ日本の賃金はアメリカ等に比べればはるかに低いわけでございますが、ILOでは賃金の四五%というのが百二十号条約の一応の基準になっております。私どもとしましては、このほかに扶養手当その他訓練を受けた場合の技能取得手当等につきましても今年度は増額いたしまして、今後とも先生御指摘のように十分その失業の実態に見合う給付水準というものを確保していくように努力してまいりたいと思うわけでございます。
○長岡政府委員 失業保険の給付の内容の改善につきましては、毎年度できる限りの努力をいたしているつもりでございますが、ただいまの六割給付の問題につきましては、失業保険制度の趣旨と申しますか、やはり究極的には再就職、再雇用を促進していくというねらいを持ち、またそのための措置もいろいろとっておる状態でございまして、諸外国においても給付の水準が六割に押えられておるということは、やはり失業保険制度というものの基本に触れる問題ではなかろうかと考えておりますので、まあ大蔵省の考え方を申し上げますれば、いまのところ六割給付を引き上げるという考えは持っておりません。
○広瀬(秀)委員 基本に触れる問題だから六割を引き上げないという、これでは答弁になりませんね。例として生活保護適用者の夫婦子供二人というものとの差を見たわけでありますが、それを見ると、このような誤りがあります。二十二等級で夫婦子供二人というような世帯だってずいぶんあるわけです。なるほど二千二百八十円になった。これを三十倍すれば六万八千何ぼかになるというようなことを、この間新聞にも盛んに宣伝をしたわけです。いまの物価高の中でも、やめるときの賃金水準で何とか生活できる人もある。しかし、四百九十円、あるいはそれ以上ずっと、何段階になっていると言いましたか、等級がずいぶんあるわけですが、そういう中で、失業保険をもらっておるけれどもとてもそれでは食えないというような状況というものが今日ではもう出ているのじゃないか。 そこで、大体段階に応じてどれくらい受給者があるのか。四月一日発足の、前に通った新しい法律の施行によって給付額が引き上げられたということで、この段階に応じた受給者の数というものはわかりますか。これはいまわからぬでもよろしいですが、一覧表にしてこの委員会にやはり資料として出していただきたいと思います。よろしいですね。――よろしいようですから、それを見てさらに突っ込んだ質問をあとでいたしたいと思います。 それから、私、どうも常識的にわかりかねる問題があるのですが、傷病給付金ですね。受給資格者が傷病のため一時的に労働の能力を失ったときには、所定給付日数の範囲内で、これはおまえの事業所に何年つとめておったというようなことで支給日数が違うわけでありますが、その支給日数の範囲内でということで失業保険相当額が支給されるというわけでございます。これはちょっとおかしいのではないか。失業保険制度の原則というか、働く意思と能力がありながら業につけない、こういう者に対して補償をする、これが本来の趣旨なんですね。ところが、傷病で働く意思も能力もないという状況の中で、失業保険の給付を受ける日数の中でそれをまかなうということはいささかおかしいのではないか、それは全然別ワクにして見てやるのが当然ではないのか、こういう気がするわけでありますが、その点は矛盾がありませんか。 けがをし、あるいは病気になって、まあ働く気持ちぐらいはあるかもしらぬが、能力がなくなる。病気では働けないのですからね。そういうものを、失業保険の受けられる日数の中でその失業保険相当額を見ようということは、どうもおかしい。それは別ワクにしなければ論理的におかしいのではないか。原則的におかしいことではないのか。矛盾ではないのか。失業して、しかも病気になったというときには、その病気の期間は別ワクで見てやるというようなことは、これは当然考えられてしかるべき問題ではないかと思うのですが、いかがでございますか。
○岩田説明員 先生のおっしゃるようなこともあるかと思うのでございますが、その病気中の問題は、本来健康保険とかあるいは国民保険、こういったようなもので見るのが一応の筋ではないかというふうにも考えられるわけでございますが、一たん失業をいたしまして失業保険金を受給し始めた人たちに対しましては、失業保険制度のワク内でできるだけの生活の保障をいたしたいというふうなことで、失業保険制度のワク内におきましてできるだけのことをするということでやる場合、所定給付日数の範囲内で、その間失業しているものとみなしまして、その間に失業保険と同様の傷病給付金を支給するという制度のたてまえになっておりますので、あしからず御了承いただきたいと思います。
○広瀬(秀)委員 もうあまり時間がありませんからそろそろやめたいと思いますが、ドル・ショック以来、特に産地産業などを中心にしてかなり大量の失業者が出るだろうということを予想されて、失業保険の受給者も急増するのではないか、こういうように考えておったわけなんですが、案外にその点ふえてないのですけれども、今後の見通しとして、いままで繊維関係などでも、産地産業として、繊維協定と円切り上げというダブルパンチを食って非常に不況であったはずの繊維業界なども、その後の輸出も非常に好調であったということが、少なくとも三月段階ぐらいまではそういう状況が見られるわけなんです。そういうことですから、輸出によって失業者が比較的出なかった。しかし、そこにはかなり無理をしたものがあるのではないか。出血輸出をしておったというようなこともいわれておるわけなんです。これはマスコミの報道などもそういうことを報じておるわけなんですが、そういうことが、これは景気の見通しとも関係するわけでありますが、四月にはそういう出血輸出というようなことも続かないのではないかというようなことで、これからは、予算がいつから有効に働き出すかというようなことも関係がありますけれども、大蔵省の見通しといたしまして、失業者数、そして失業保険の受給者数というものが上昇に転ずるというような傾向について、短期の問題で、ここ二、三カ月ぐらいのところで、四、五、六と、四十七年度の第一・四半期あたり、ふえる傾向にあるのではないかというように見られるわけでありますが、その点の見通しはいかがでございますか。
○長岡政府委員 失業保険金の受給者の数が本年に入りまして一時ちょっとふえましたのが、ごく最近、また若干減っておるようでございます。広瀬先生の御質問のここ二、三カ月の間にその趨勢値がどのようなカーブを描くかという点につきましては、私どもあまり確信を持ったお答えができませんけれども、かりに今後の景気の推移いかんによって失業者の数が若干ふえていくというようなことになりました場合にも、私どもといたしましてはこの失業保険の事業が円滑に実施されて保険金の給付等に支障がないように措置をしなければならないわけでございますけれども、二、三カ月間という御質問に対する直接のお答えにはなりませんけれども、四十七年度には、この特別会計におきましても、約三百九十億円の予備費を計上することといたしておりまして、財源的には十分な措置を講じておるということは申し上げられると思います。
○広瀬(秀)委員 これはちょっと資料が古いのですけれども、四十四年でございますか、失業保険法に基づく保険料収入が二千五十一億、給付額が千三百二十二億、約七百三十億からの、これは差し引きだけで剰余とは言えないかもしれませんが、そういう保険料収入がかなり大きく上回っている、こういう状況にあるわけでございますが、いま失業保険のこういうような数字をただ算術的に見れば、非常に収支の状況というものは黒が出ている、こういう状況にあるわけでありますが、今後こういう状況というものはまさに雇用状況がどう変化するかにかかるわけですけれども、大体失業保険の受給者というものが十三万とか十四万ぐらいのところで推移するとすれば、しかも適用事業所がかなりふえてくるというようなことになれば、保険料収入はいよいよふえてくるだろう、近代的な技術を駆使して災害防止というようなことをやれば非常に目立った、企業、事業所がふえたことに比例して、災害が激増するというようなことはそれほどないだろう、そうすればこの面からかなり剰余が出てくるのじゃないか、この見通しについてどのようにお考えでしょうか。
○長岡政府委員 今後失業者の発生数が非常に低位に推移いたしまして、この保険の積み立て金が必要以上に積み立てられるというような事態になった場合一体どうするのだというような御質問とも解釈するわけでございますけれども、先生御承知のように、この失業保険制度は、保険制度でございます以上、不測の事態に備えて積み立て金を保有していなければならないことは当然でございますけれども、その積み立て金がある年度の保険料収入の一定額を、割合を越えましたときには、保険料率を引き下げていくというような、保険料率のきめ方に弾力条項が入っておりますので、かりにいまのような事態がそのまま続きまして、失業者の発生は比較的低く押えられ、かつ事業所数等もふえて、保険の積み立て金がどんどんふえていくという場合には、保険料率のほうで調整をしていくということになるのではなかろうかと思います。
○広瀬(秀)委員 私が次の段階に質問しようと思ったことまでお答えになったわけなんですが、この保険料率を下げるということ、そういう事態になれば下げていきたいということなんですが、わが党では、この四十四年の法改正の際にも給付のほうが低過ぎる、先ほども六〇%を七〇%に、あるいは八〇%にということも申したわけですが、低賃金構造の中で失業しておるということはそれに六〇%というのは国際的に大体同じようなレベルだといわれているけれども、これを七〇%にあるいは八〇%にするというような方向、保険料率を下げるということだけではなしに給付をよくするということ、こういう点にも配慮すべき余地がやはり出てくるのではないか、そういう問題。あるいはまた給付日数等につきましても九カ月以下の者でも百二十日、五年未満の者は二百七十日、五年以上十年未満の者が二百九十日、十年以上の者は三百二十日、このくらいまで改善したらどうだ、こういうような考え方も私どもはすでに出しているわけなんです。 だから当分、ことしの大型予算が動き出して景気回復が促進されるということになれば、やはりかなり雇用状況、労働者の需給状況というものは逼迫を続ける、そういう中では失業保険の受給人員も率も下がってくる可能性もある。そういうことではもう剰余がこの会計からかなり出るのではないか。あるいはまた労働者の災害等も十分な災害の予防というようなこと、予防的措置が万全に講じられていくならば、やはりそういう面からもかなり余剰が累積していくであろう。もちろん将来に備えての備金、積み立て備金というようなものは厚くしていかなければならぬ。そういうようなものともにらみ合わせながら、まだまだ失保法にしてもあるいはこの労災法にしても給付の改善ということがやはり緊急の問題になっている、この点の認識を一そう新たにして、その面の改善にも十分配慮をする、こういう方向でいっていただきたいと思うのですが、最後に大蔵次官の答弁をお聞きして私の質問を終わりたいと思います。
○田中(六)政府委員 いずれにしても、私どもといたしましては、失業に見合う給付水準というものを確保して十分対処していきたいというふうに考えます。
○広瀬(秀)委員 終わります。
○齋藤委員長 次回は、明五日水曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することといたし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時四十七分散会 ――――◇―――――