大蔵委員会 第11号
- 発言数
- 117 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1972/03/28
会議録
○齋藤委員長 これより会議を開きます。 租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。広瀬秀吉君。
○広瀬(秀)委員 最初に、主税局長にお伺いしますが、前回もこの租税特別措置をめぐる基本的な問題として、一つはこの租税特別措置全体に通じていえることですが、基本的に税の公平を害するという面がある、しかも政策目標、政策目的というものに対してどれだけ有効性があるかという判定がきわめてむずかしい、そういう中で、一たんつくられたらもう必然的に長期化し、慢性化してしまう、こういう問題があるわけであります。したがって、現在百四十八項目の多数、もちろんその中に交際費の課税の特例というようなものがあるわけですけれども、それは一部経費性を否認していくという、これは本則からいえば増税になる分でありまするけれども、大部分は減税であるということで、非常に複雑多岐にわたっている。こういう問題について、個々的に、これをこのままどんどん新しい要請に応じて古いものを整理できない、もう政策目的を達成した、あるいは政策の有効性というものがきわめて疑わしいというようなものなどがかなりあるわけですけれども、そういうものを大幅に大胆に整理をして、この縮小、大改廃をしていく、こういう方向をわれわれはいつでもこの委員会で指摘をし、要求をしてきたところでありまするけれども、それにもかかわらず減収額も逐年ふえ続けている、項目もまたふえ続けている、こういう状況なわけでありますが、これに対して、やはり大幅な整理縮小というものをやる考えがほんとうにあるのかどうか。これは項目の整理も、対策目的がきわめてあいまいであり、あるいはすでにその目的は達成したというようなものは大胆に整理をするのだ、そういう問題。したがって、それは項目の整理になるわけですが、毎年累増しているこの減収額、こういうものの金額も減らしていくのだ、そういう方向をわれわれは大幅整理、改廃、こう言っておるわけですが、そういう方向に向かって抜本的に一度見直していくべき段階だろうと思います。 というのは、何といっても戦後の日本経済の復興、それはもう生産第一主義、輸出第一主義という経済運営の基本姿勢に貫かれて、それを裏づけるためのこういう租税特別措置であったということが言えるわけでありますから、そういう問題を踏まえて、現在はもうそういう時代ではない、七〇年代は、総理も大蔵大臣もしばしば言われるように、そういう生産・輸出第一主義、高度経済成長から完全に安定成長路線に乗せ、むしろ生活最優先、福祉最優先の方向に行くのだ、こういうことであるならば、あるいはまた、社会資本の充実の立ちおくれというような問題にこたえていく、こういうことがやはり経済財政運営の基本姿勢に——言うならば、発想の転換ということがそういうことなのでありますが、そういう方向に来ているという場合に、まさにいまこそ勇断をふるって整理、改廃に踏み切るべき段階だという考えをすべてが持つわけなんですが、その方向に向けてやる気があるのかないのかということについて、局長の見解をまずお聞きいたしたいと思います。
○高木(文)政府委員 租税特別措置のいろいろな整理、合理化という点につきましては、当委員会におきましてもしばしば御指摘を受けておりますし、それから政府部内におきましても税制調査会の答申等を通じていろいろ指摘を受けておりますので、従来からも努力をしたつもりではございますし、今後ともいたしたいと思います。 ただ、従来最も重点が置かれておりましたのは、私ども事務的な考え方といいますか、立場といたしましては、どちらかといいますと、各種の租税特別措置のうちで、たとえば特別償却とか準備金というふうな、いわば一種の課税の繰り延べのような効果を持つものと、それから所得控除あるいは税額控除というように、いわば減税のしっ切りになるものと、やや区別をいたしまして、そして後者のほうの最終的に減税になるもの、つまり所得控除、税額控除、非課税というような措置をだんだんなくしてまいりたいという点に最大の重点を置いた傾向があったということができると思います。 それで、ただいま御指摘の点はいろいろあるわけでございますが、今後の問題として一つ問題になりますのは、これはひとり租税特別措置に限りませず、やはり税の制度全般の問題になろうかと思いますが、国といいますか、政府といいますか、全体の施策の転換に伴って、租税特別措置で何を、どういうポリシーを目的として租税特別措置がとられるかというウエートの置き方が変わっていくのではないか、その点はなかなか私ども、いわば事務的なものというよりは、もう少し広い立場といいますか、あるいは世論の支持といいますか、あるいは政治的な方向といいますか、そういうものによって左右されるところが非常に大きいとは思いますが、近ごろよくいわれておりますいわば発想の転換であるとか政策の転換であるとかいうことがたいへんいわれておりますので、特に租税特別措置の場合は政策目的を持っているわけでございますから、そういう点は大勢としても変わってこようと思いますし、私どもとしてもそういう方向で主たるねらいがだんだん変わっていくように方向づけていかなければならないと思っております。 それから三番目に、項目整理の問題につきましては、いままでも決してなおざりにしたつもりではございませんが、やはりいろいろの非常にたくさんの御要求がある中から、まあまあ税制としてもそれほど不公平になるまいという点、それから、政策目的もかなり達せられるだろうものが毎年新しくあがってきているわけでありますが、廃止のほうにつきましても、一度できますと、御指摘のようになかなかやめられないということになっております。それは事実でございます。軽々に、私どもここで必ず項目を減らしますというお約束もなかなかできかねる実情にあるわけでありますが、気持ちとしてはそういう努力をなお続けていきたいと思います。 最後に、四番目に減収額がどうもふえるではないかという点でございますが、この点も基本的にはそうあってはならぬということではございますけれども、しかし、やはり経済が伸びますとベースの課税額がふえますので、たとえば特別償却にいたしましても、それから貯蓄等の非課税措置にいたしましても、ベースの償却資産がふえましたり貯蓄がふえますと、それについて特例をとれば、どうしてもその特例によりますところの減収は計算上ふえていくわけでありまして、この減収額そのものを経済の伸びにかかわらずなお前年度あるいは前々年度よりさらに減らしていくということはなかなかこれはむずかしいわけでございます。いままでは少なくとも新しく特別措置を設ける場合には、前の制度をやめて、やめることによって増税になるといいますか減収をとりやめる部分に見合った限度でしか新しい制度はつくらないルールといいますか土俵をきめてやっておりますが、その結果毎年毎年手を触れない部分についてはどうしても伸びていくという結果になるわけでございます。その点につきましてもなお各方面からも指摘もありますので、今後とも心してまいるつもりではありますが、しかしこれはなかなか経済の大きさによって伸びていく部分をさらにいわば落とし込む、削り込んでいくというのは非常にむずかしい仕事でございます。ではありますが、なお今後ともその点についても前年度より減らすということはむずかしいかもしれませんが、伸びを落とすようにいたしたいというふうに考えます。
○広瀬(秀)委員 伸びを落とすようにしたいという程度のことであって、これは税金をまけてもらうことですから、いろんな業界なり各層からるる要求が出てくる事情というのはわかるわけですけれども、税制調査会でも、なるほど経済活動自体がものすごく大型化してくるという中でも、新しくつけ加える、新しくしっかりした政策目的を達成するためにどうしてもこの減税措置は必要だというようなものについて、たとえば四十七年度にはこういう新しいものが出てくるというような場合には、それに見合う分くらいはやはり過去のものについて整理をしろというようなことを去年ですかおととしですかの答申でいっているわけです。そういうようなことから考えても、ずっと金額がふえ続けて、四十七年度で四千七百三十億だという、これは必ずしも確実なものではないにしても、皆さんの減収試算が行なわれている。ちょうど十年前の三十八年当時は千六百九十六億という程度であったものがいまや約三倍に金額が増額されている。十年間に三倍ですね。これはいかにも税の公平を害することによって生産を刺激していくというような政策目標にかなり奉仕をしてきたものであるということがいえるわけです。 そういう点で、もう少し税制調査会の意向というようなものもこの面について生かして、もう少し勇断を持って、なかなかむずかしいというだけではなしに、前向きに、国民の目からは最も租税公平を害するものであるという税に対する不信の的になっている問題点でありますから、かなり勇気を持って政策目標をこの際一ぺん原点に返って洗い直してみたらどうか。もうまさに発想の転換というようなことがこの面でも、なるほど公害関係であるとかあるいは中小企業振興のためであるとか、そういうようなものの比率が十年前に比較すれば伸びてきたことは私どもも認めるにやぶさかではないけれども、それじゃそういう問題についてもほかに方法がないの、かというようなことも含めてあわせて検討をして、減らすものは大胆に減らしていかなければならない。 たとえば貯蓄の奨励等につきましても、これなんかはもうずっと永久におそらく日本経済が続いていく限り、日本国が存続する限り一定の政策目的、貯蓄増強ということはいつになっても要請は変わらぬのだというようなことになりましょう。しかし考えようによっては、そういう中でも、たとえば少額貯蓄非課税というようなものがあるんだからそれ一つくらいは残すにしても、高額所得者に対する源泉分離税率を選ぶというようなことを残して、それも現在五十年あたりのところでようやく二五%にしましょうという程度で、それから先のことは何も考えぬということでそのまま残っていくんだという状況になっているわけですけれども、こういう問題などにつきましてもこれはやはり思い切った措置をとっていくことが必要だろうと思うのです。 一体貯蓄を増強するということは税制でこれだけのメリットをやらなければ貯蓄増強という趣旨にはかなわないのかどうかという点についても、かつてもずいぶん論議をされたけれども、可処分所得がふえるということと九七、八%も関連性を持っている。これがやはり貯蓄増強のためには一番大きいものなんだ、税制上のこれだけのメリットがあるから貯蓄をするのだというのは、日銀の貯蓄増強推進本部ですか、あそこの調査なんかでも一つも出てこないんです。こういうメリットがあるから私は貯蓄するんですということは、貯蓄動機の調査なんかについても一つも出てこないんです。やはりかつて税調が指摘したように、可処分所得をふやすこと、そういう全体的な総合的な政策で貯蓄はふえるし、あるいはまた社会保障などの進みぐあい、こういうようなものとも関連する。全般的な総合的な政策との見合いで将来に対する不安というようなものに対して庶民大衆が貯蓄をするというような面、こういうようなもので貯蓄がふえたり減ったりするのだということになっているわけですから、これをいつまで残すのだというようなことも、これは当然検討されてしかるべき時期である。生産の基盤になる資金を大衆のこういう資金から仰いで、これを財投に持っていって生産を刺激する、そういう政策体系というようなものはもう改めるんだ、そこが発想の転換だといいながらちっともそういうものがこういう問題について、配当所得の問題についてもそうでありますが、まさに考え直すべき時期ではないのかということがいえるわけでありまして、そういう問題あるいは準備金あるいは引当金、特別償却、こういうようなものなんかについても、具体的にこの政策目的に対する有効性というものがほんとうに具体例をもって立証されるというような明確なものにやはり限っていくんだという原点に返った立場で考えて洗い直しを全面的にやる、こういう時期はいまをおいてほかにないのじゃないか、こういうように思うのですが、いかがですか。
○高木(文)政府委員 四十六年度の改正と四十七年度の改正で最も重点がございましたのが輸出振興税制の整理縮減でございます。これの一つ例をとってみましても十年以上続いたものでございます。これは少し過保護といいますか、輸出奨励は重要であるとしても、少し手厚いではないかという批判はもうかなり長いことありたわけでございます。それを整理縮小いたしますにつきましても、やはり率直に申し上げてかなりいろいろ骨が折れたわけでございますが、しかしこういうような異常な事態がありました関係もありましてまだ少し残っておりますけれども、ほとんど整理するというかっこうになりたわけでございます。この一つの経験をとらえてみましても、なかなか容易でないわけでございますので、御指摘の点は私どもも全く同じような感じを持つ点が多いわけでございますけれども、さりとて軽々にことしから来年にかけて、近々の間にそう一挙にあれもこれもというわけにはなかなかまいらないと思うのでございます。 たとえば、ただいま貯蓄の問題がございましたが、この貯蓄の問題につきましても、これは長い歴史があるということは、ある意味ではもうやめてもいいではないかという、おっしゃるとおりそういう面もありますけれども、反面またこれが長い間続いているということは、決してただ漫然ということではなくて、これは何度も何度も議論して、やはりそれなりに一方において理由があるからということで続いておるわけでございますし、特に昭和四十五年度の税制改正で、税の立場から申しますと長年の懸案でございました利子の総合課税というたてまえを取り入れまして、そのかわりに、多分に経過的措置という意味も含めて、源泉選択制度を採用することにしたわけでございまして、制度があまりしょっちゅう変わっておるということは混乱が起こるということから、五十年度までこうしますということで、五年間の制度ということになっております。そこで、最近金融事情がたいへん変わってきたというようなこともございますし、世界的な金利の水準の影響を敏感に受けるような情勢にもございますし、産業界の体質改善問題もございますし、そういう意味ではやはりおっしゃるように、いろいろ検討すべきときであることは否定をいたしませんが、しかしながら一方において、四十五年度改正で、五年間ということで五十年度までの仕組みがきめられておりますので、それを途中でまたいろいろ手を加えますことについては非常に問題があろうかと思います。一つ一つにつきまして、非常に事情のあるものと、御指摘のように、何となく、いわば漫然と続いているという感じがないではないものと、いろいろございますから、それを取拾選択いたしまして、可能な限り洗いかえを行なっていくという努力を続けてまいりたいと思います。たまたまいま利子の例をおあげになりましたから申し上げますけれども、利子の場合には、いま言ったような事情もございますので、ちょっとことしから来年にかけてそれに手を加えるというのはむずかしい。それがいいか悪いかということは相当問題があるということではないかと思っております。
○広瀬(秀)委員 もうすでに租税特別措置というのがかなり慢性化し、既得権化している、既成の事実ということでまさに既得権化している、そういうようなところからの困難性というものを主税局長は強調されておるわけだけれども、やはりそういう面は確かにある。あるからむしろ問題なんであって、そこを勇断をふるってこの整理縮小というものに踏み切らなければ、一体何の発想の転換——経済運営の重点が福祉に移り、あるいは庶民大衆の生活を豊かにするということに移っているんだということに対して、いかにもふさわしくない税制であるということになるわけであって、そこにある程度の蛮勇というか勇断というか、これからの新しい国民生活のあり方、財政運営、経済運営のあり方というものを展望して、やはり切るべきものは切るというものを大胆に出していかなければならない時期に来ている、このように考えるわけであります。 このところばかりやっていますと先に進みませんので、政務次官、この点、あなた政治家としてもう少し前向きの答弁をすべきだと思うのですが、いかがでございますか。
○田中(六)政府委員 広瀬委員御指摘のように、慢性化しあるいは既得権化するということが一番おそろしいことで、その点は十分配慮して発想の転換ということを現実に移していかなくちゃならぬというふうに思っております。 ただ、具体的な例を一つ申し上げますと、たとえば最近、日本人の可処分所得の二一、二%は貯蓄性向で貯蓄に向ける、これは世界一ですが、そういうふうになっておるから、貯蓄の面でもそう特別措置をはたして講じていいかどうかという疑問がまさしくあるわけです。それで私も、小口を除いてはそういう面のいろいろな特別措置というものはどうかという疑問を持ちますが、反面、たとえばこれは大企業だけに集中するというふうに非難を持たれそうですけれども、やはり社内留保といいますか、日本の企業の自己資本というのは世界に比べますと、一等国、二等国といわれていても二十数%だという、そういう点をいろいろ勘案しますと、いますぐ全体的にどうということに踏み切ることはどうかという懸念はあるわけです。しかし、外貨がもうすぐに二百億ドルになるかもわからぬというようなことになることも頭に置かなくちゃいけませんし、産業の体質も、そういう意味ではかなり強くなっておるということも言えるわけですので、ここで思い切って大きく転換するという線を政府、与党としては打ち出してもいいというふうにまさしく思うわけでございますので、その点は私も広瀬委員と全く同じ見解であるということを申し上げておきたいと思います。
○広瀬(秀)委員 しっかりやってもらいたいと思います。 それから、毎々問題になることですが、今回の審議にあたっても、この減収試算というものが平年度で出る問題さらにその減収試算がどういう計算で行なわれて、はたして実績がその試算とほぼ同じなのか、あるいは相当な実績の狂いというものが出ておるのか、これは一切報告もされないし明らかにされない。この租税特別措置法における審議において一番いつも問題になる点なんですが、予算委員会において阿部委員の一般質問に対して、大蔵大臣も主税局長も、実績を出しますと、こう答弁をされているわけですね。このことは非常に重要な問題でありますので、この点をきちっとひとつ確認をしておきたいと思うのですが、実績は出せるんですね。
○高木(文)政府委員 ただいまお話しのように、予算委員会でもそのように御答弁申し上げております。そこでその後も検討いたしまして、いまお出しできるものと、それから計算上、計算不可能なものと仕分けております。そこできわめて早い機会に、たとえば理事会等で御相談いただきたいというふうなものを用意いたしております。
○広瀬(秀)委員 実績を出せるものは出すということでせっかく検討中だというから、その検討の結果を待ちたいと思いますが、この実績が計算不可能であるということも、中には準備金やその他であるかもしれませんが、その分についても、少なくとも減収試算を出すわけですね。そのときにはやはり計算の方式というものがちゃんとあるわけですね。そしてその計算の方式にはどういう要素をどう数字としてつかまえて、結論として減収額が出てくるというその算式というものがあるだろう、その算式の中に投入するエレメントになるもの、数字、そういうようなものがどう変わったかということは、これは一年間過ぎた段階でいろいろなその他の経済諸指標等からつかまえられる実績というものが出てくるだろうと思うのです。したがって、そういう問題についても、減収額の実績が確実にぴしっと出るというのは、これはもう一つ一つの申告書なりに基づいて全部チェックをして一つ一つ上げてこなければ、それを積み上げ計算をするという以外になかなかむずかしい。しかし総体的に減収試算を出すと同じ計算式を使って、その要素になる数字がこう動いたからこのくらいになったはずであるというような実績推定というものは、やはりこれは当然あってしかるべきだと思うのですね。そういうものについても、この大蔵委員会における租税特別措置法の審議の際は、この項目についてはこのような算式で、こういう数字をどういう統計の中からとってやったんだということを明らかにする、そしてまた次のその年度の決算の段階までにはこの要素の数字というものもかなり確実なものがつかめるはずでありますから、そういうものがどう変わったかということについて審議にあたって対比ができるような、そういう努力というものも私はしていただきたいと思うのですが、その点いかがでございますか。
○高木(文)政府委員 実績そのものをお出しできるものと、減収試算のときに、推定で出しましたその推定の前提となったファクターというのが非常に変わったから、よってもって新しい段階で、決算的な時期といいますか、年度が過ぎた段階で新しくつかみ得る前提でそれを置きかえる、しかし、それはやはりあくまで推定ではある、いわば実績推定ともいうべきものと、大別して二種類に分かれると思いますが、そういう意味の数字は出し得るわけでございますので、そういう方向で考えたいと思います。
○広瀬(秀)委員 そのようにぜひひとつ持っていっていただきたい、このことを強く要請いたしておきます。 そこで、この前大蔵大臣お見えになったときにも住宅貯蓄控除における勤労者財産形成促進法、いわゆる財形法での問題点として問題を提示をいたしまして、具体的には転勤の場合でありますが、その場合も引き続いて継続してこの制度の恩恵が受けられる、そういう問題点について前向きに検討をされるというお返事があったのですが、その点をもう一度具体的に、労働金庫同士で、各県それぞれ独立している、その間に業務提携というもので貯蓄契約に基づく債権債務がそのまま転勤先の労働金庫に受け継がれていくというようなことによって——この財形法の趣旨というものは転勤によって中断される、そしてその効果を十分に発揮し得ない。特に税務署の人たちなんというのは、二年間は同じところに置かぬということでしょっちゅう転勤などもあるわけですから、そういう問題も考えて、これはもう前向きで、そういう点で受け継ぎの関係、承継の関係がうまくいくと考えているならば、同一金融機関でなくとも受け入れられるような所得税の施行令の改正、これをやられるお考えであるかどうか、この点をもう一ぺんはっきり確認しておきたい。
○高木(文)政府委員 労働金庫相互間で業務提携をすることにつきまして労働金庫同士の間でお話し合いができ、銀行局のほうでもそのやり方等について問題がないということになりましたならば、ただいま御指摘のように政令を改正して引き継ぎができるようにいたします。ただ一般的に、異種の銀行その他一般ということまではなかなかむずかしいかもしれません。とりあえず労働金庫その他についてはそういたしたいと思っています。
○広瀬(秀)委員 ぜひひとつ事務的に支障のない限りはそういうことが実現するように、さらに前向きで処置をしていただくように要請をいたしておきたいと思うわけであります。 次に、為替差損の救済のために今回準備金の制度を設けられるわけでありますが、前も藤田議員がだいぶこの問題についてやりましたから、非常に十年間という長期にわたってやるというようなことが、今日の為替不安というか、きわめて流動的、一体次の国際通貨体制がどうなるのか、あるいはまた円の再切り上げが必至だというような見方がある。ECあたりも変動相場制にあるいは移るかもしれぬというような、そういう中で、こういうものが十年間という期限でどうなのかという、そういう問題点いろいろあるんですが、今回設けた昭和四十六年の十二月二十日以降に発生した差損に対する措置、こういうものは、一体円の再切り上げというものはあるんだと、まあ切り上げばかりではなくて、それだけが要因ではないかもしれないけれども、少なくとも今日具体的に考えられることとしては円の切り上げがある、そういう中で為替差損が発生するであろう、こういう予想に立たないと、この制度もたいした意味がないわけなんですけれども、一体この円切り上げというようなものについて、やはりこういう税制上準備しておこうということは、そういう情勢というものを予定をしてつくられた制度ではないのかという疑問が依然としてあるわけです。それで、円の再切り上げはないと大蔵大臣は予算委員会でも答えておられる、この辺の関連は一体どういうことなんですか、これは政務次官。
○高木(文)政府委員 今回御審議をお願いしております通貨調整後に取得した長期外貨建て債権についての準備金制度でございますが、これは一言で申しまして、いわゆる為替変動とは全く関係がないわけでございます。世上しばしば為替変動に伴います準備金、まあ為替変動準備金というようなものをつくったらどうかという議論がございました。そういった一般の声といいますか御要求といいますか、それを受けてこの制度をつくったわけではありません。一般伝えられておりました為替変動準備金というような、内容ははっきりいたしませんが、やはり為替がこう動く、動くことによりて損が出るかもしれない、その損をあらかじめある程度の幅で積んでおくべしという思想から出ておるものだったと思いますが、今回御審議を願っております準備金はそういうものではございません。 ではどういう性質のものかと申しますと、企業が長期の外貨建て債権を持っておるという場合に、今回調整措置によってきまりました変動幅の範囲内において、企業がその外貨建て債権を取得した時期と、それから期末との間において為替相場が変わったという場合に、企業は普通でございますと、これは換算を行なうべきでございます。たとえば仮定の例で、企業が外貨建て債権を持ちました時期に三百十五円なら十五円しておった。ところが、決算期にたとえば三百十円なら十円になっておったといえば、常識として期末の相場によるというのが原則でございます。ところが、それを行なわない。いろいろ事務も繁雑であるしするから、幅もそう大きなものではないから行なわないということで、取得時の三百十五円のままにしておく。一応換算がえをしないという場合において、企業会計のほうでそうする場合において、税務上期末の為替相場、つまり私がいま申し上げました例で申しますと、三百十円なら十円ということで、期末の為替相場による換算額と帳簿価額、つまり三百十五円との差額、その五円を準備金として積み立てるということを認めるわけでございます。これは将来におきますところの為替相場の変動に備えるための準備金として積み立てを行なうという性質のものではないのでありまして、いわば一種の会社経理の便宜のために簡便法というようなものでございます。 そこの点について、一般的に為替変動準備金という概念で世の中でいわれておりましたのは、およそたとえば長期外貨建て債権の五%とか一〇%とかいうものを、将来動くかむしれませんからそれを積ましてもらえないかというような話であったわけでありますが、そういうことは現在のところ考えていない。一つには、また通貨が動くということをいまから予想するのはいかがかという意味もありますし、そういう大きな額を積むということは租税特別措置としてたいへん大きな減収を来たすことにもなりますので、そこまでは考えていないわけでありまして、変動相場制の幅の中の話だけを考えているわけでございます。 なお、いま申し上げましたうち、一点だけちょっと不正確な点がございましたから、直させていただきますが、三百十円と三百十五円という例で申しましたが、その場合換算を行なうべきが原則であると申しましたが、これは換算を行なうべきであるか、あるいは十円に換算するのが原則なのか、十五円にするほうが原則なのかということは、はっきりいたしておりません。私、いまちょっと十円に換算するほうが原則であるのにかかわらずというふうに表現しましたが、それは誤りでありまして、三百十円で表現するのか、三百十五円で表現するのか、そこはいまだ企業会計審議会のほうの意見書が明確になっておりません。どちらでもいいということになっております。そこで、期末が十円になっております場合に、企業会計のほうで換算をしてもいいし、しないでおいて税務申告の上でその差額を準備金として建ててもいいというのがこの制度でございます。
○広瀬(秀)委員 将来、円の再切り上げという問題とは直接関係がないとおっしゃるけれども、しかし、そういう事態がなければ、簿価と現実の期末の評価とこの債権の評価額がそう変わるわけはないですね。したがって、将来国際通貨制度がどうなるか、そういう中で円が上がってくる、強くなってくる、こういうものを予想して、その中で簿価と期末における債権の価額が減価していわゆる差損が出るという事態になるわけでありまして、これは関連がないとはいうものの、やはりそういうものを予定しなければ本来成り立たない。すでにそういう事態というものは現に起きておるわけです。 そういうことならば、けさの各新聞等にも、通産省あたりであるいは経団連あたりで、為替差損のリスク保険制度でカバーしていこうというような、為替リスク保険制度というものを新設しよう、こういう構想が出ておる。三月二十七日ですからきのうですが、通産省の輸出保険審議会がこの問題を審議された。それで、輸出保険の中でこれをカバーするのはなかなかむずかしいだろうということで、為替リスク保険制度をとっていこう、そういうものを新設していこうという方向が大体打ち出されておるようであります。 本来この問題は、そういうものでやっていくならば、何もこういう税制を必ずしもつくる必要もないのではないか。あとは国際通貨の相場変動による為替差損というものが、みなそういう新しい制度の中でカバーできていくというようなことでいったほうがむしろすっきりするのであって、税制でこれをめんどう見るということはまた一つ問題なのではないか、こういう気がするわけでありますが、その点の関連というものはどのようにお考えでしょうか。
○高木(文)政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、この制度はあくまで将来における通貨の再調整とか為替のレートを変えるとかいうことを前提としているものではございません。そういう仮定の問題にお答えするのは非常にまずいのですが、かりにもし通貨が非常に動くというようなことがある場合に、いかなる対応策をあらかじめ用意すべきかということになりますと、ただいまちょっとお触れになりましたように、一種の輸出為替についての保険制度を新しく設けるかどうか。これはもうすでに西独等で始めたのかあるいは始めることになっておるのか正確ではございませんが、西独等で研究しておるのと似たような制度を日本でもつくるかどうか、これは通産省でも研究しておられますが、大蔵省でもいま研究をいたしております。そういう制度をとるかどうか。それから現在停止しております制度でございますが、設備等輸出為替損失補償法による損失補償制度をとるかどうかという問題。それから第三には、私がさきの御質問に御答弁いたしましたときに触れましたような為替変動損失準備金のような制度を税制上設けるかどうか、この三つのうちのいずれによるべきやという問題が起こってまいろうかと思います。 しかし、いまここで御審議をお願いしております準備金というものは、それらによってもし起こった場合にはといいますか、それらの三つの制度の研究対象としております為替変動とは全く別のものでございまして、基準レートを三百八円なら三百八円を基準にして、前後にごくわずかでありますが現在動いておりますので、そのごく小さい幅で動いております変動を前提にして、そして長期外貨建て債権の取得時価と期末時価との調整だけをやる、一種のいわば経理技術として考えているだけでありまして、損失補償という概念とは全く離れておるわけでございます。したがって、それであればこの制度はあまり意味がないじゃないかとおっしゃるかもしれませんが、まさにそのとおりでございまして、あまり意味がないといえば意味がないのであります。むしろ簡便法といいますか、経理なり何なりの便宜のために置いてある程度のものでございまして、大きな為替変動を予定したものでもなく、またそういうことにはとてもたえられる制度ではないわけです。非常に大きな変動があります場合には、先ほどおっしゃいました、またいま私が申しました何か別のことを考えなければだめだということでございます。
○広瀬(秀)委員 そうしますと、これは大体基準レートが十二月二十日に決定されて、再調整されてそれで発足をした。上下の変動幅、ワイダーバンドは上下各二・二五ずつになって、四・五の幅があるわけですけれども、そういう程度のことなんだというわけですね。したがって、言うならば、これは為替リスクというようなものに対するものではないのだ、そういうものであるならばそのとおりだろうと思いますが、その程度のものであるならば、何もこの制度を租税特別措置の中に、諸外国からまたいちゃもんつけられるようなこういう、少なくとも輸出業者に対して、たとえ少額であっても新しいメリットを与える。しかしながら、項目としては、ああいうこともやっているじゃないか、こういうこともやっているじゃないかというような非常に注目の的になっている一種の非関税障壁だというようなことで、具体的にアメリカの議会あたりでも、海外市場開拓準備金というようなことについてもたいへん目くじらを立てられている。こういうようなところにいちゃもんつけられる材料をまた一つつけ加えたということになるのではないかということも考えられるわけです。 その程度のものであったならば、企業が自分の力の中で消化をしていくことで足りるのではないか、そして大きい為替リスクというような問題については保険制度の方向にまかしていいんじゃないか、こういう考えが当然成り立つと思うのでありますが、将来ともこの制度の意味するところというのはそれでは一体どういう程度なんだ。これによって輸出業者がどれだけ助かるのか。これはもうほんとうに技術的な、事務的な、企業会計のやり方に合わしてうまくやりやすいようにしてやったんだというような程度のものだというのか。しかしながら、現実の問題としては、少なくともこの準備金として積み立てた分は内部に一年間は留保されるわけですから、その分の利子分だけが輸出業者優遇になる、こういうように割り切っていいのですか。その程度のものであったならば、将来輸出業者そのものに、その程度のものはもう当然独自に消化をさせていく、やりくりさせていくということで一向差しつかえないのではないか、このように考えるのですが、いかがでしょうか。
○高木(文)政府委員 海外市場開拓準備金のように、いわば企業にとってかなりのメリットがあるものでは全くございません。よって、こういう制度がありましても、これは諸外国から何らかの意味において非難を受けるという心配は全くない。逆に申しますと、それほど企業にとってもあまり大きなメリットになるものではございません。むしろ一種の簡便法みたいなものと御理解いただきたいと思います。 それから、これによるメリットは、企業が企業会計のほうで換算を行なえば、当然、決算日に換算がえをして、それで評価をすれば、長期外貨建て債権をつければよろしいわけでありますから、この規定によりまして企業会計のほうで下げて評価しましても、企業会計のほうでは下げて評価しないでおいて税務会計のほうで評価して下げましても、それによるメリットは、いわば減収額というものは減収メリット的なものは出てこないわけでありまして、全くそこのところは、企業会計でやるか税務会計でやるかの一種の簡便法というふうに申し上げたほうが理解していただきやすいのではないかと思います。
○広瀬(秀)委員 この措置の適用基準は政令で定めるということになっているわけですが、この政令ではどういうことをお考えになっているのでしょうか。
○高木(文)政府委員 六十八条の三の四項で政令で規定することにしておりますが、その政令では、本邦通貨による保証約款が付されている、それから収益及び費用の計上を割賦基準または延べ払い基準によって経理している場合の当該収益にかかわる金銭債権、それから資源開発投資損失準備金の積み立ての対象となる金銭債権等につきまして政令で定めまして、六十八条の三、二項の三行目あたりにありますところの外国為替の売買相場変動による損失を生ずるおそれのないものその他政令で定めるものというのをそこで定めるというつもりでおります。こういうものは準備金の対象にならないという趣旨でございます。
○広瀬(秀)委員 交際費の問題ですが、去年改正をしまして、四十八年の三月三十一日でまた期限が到来するわけですが、この問題については、いままで予算の分科会であるとかあるいはその他でもお答えがあるようでありますが、やはりもう少し課税強化の方向で検討をする、こういう方向でございますか。
○高木(文)政府委員 交際費につきましては、来年の三月末をもって期限がまいりますので、その際に当然検討いたしますが、それまでに強化すべきかどうかということを、ちょっといまここで申し上げにくいのでございます。その事情は、実は先般予算委員会でもいろいろ御指摘がございましたのですが、諸外国の交際費制度をなおよく比べてみる必要があるのでございますが、その点はお断わりしなければならぬのですが、私ども非常に不勉強でございまして、諸外国の制度はわかっておりますのですが、その制度がどういうふうに諸外国で運用されているかという研究がどうも不十分でございます。それで、かねてからアメリカにおきましても交際費の否認制度がかなり厳格になっておりますのですが、それがなかなか運用がうまくいかないで困っているという話は、まあいろいろな会います機会にアメリカの国税庁の担当官あたりからも話は聞いておるのでございますけれども、現実にどういうふうになっているのかというところを詰めて聞いてないのでありまして、諸外国等では非常に日本よりも厳格になっているということは、制度上は確かにそういう面があるのでございますが、運用を含めたところでどういうことになっているかということがどうもはっきりいたしません。そこでしばしばその点が問題になりますので、まずそこらのことも調べてみなければなりません。そういうことも含めまして検討の上で、また一般の御批判を聞きまして、さらに強化すべきであるということであれば、そういう方向に進むかと思いますが、いまのところ主税局と申しますか、事務当局といたしまして強化の方向といまきめて検討するというのは、少し申し上げるのは早いと思います。 なお、交際費につきましては、問題点は三つほどあります。一つは否認割合の問題、それから第二は足切りの問題、三番目は交際費の範囲の問題、この三つが問題になろうかと思います。
○広瀬(秀)委員 交際費課税の強化の方向ということはまだ言えないということ。大臣は予算委員会ではこの方向はもうはっきり出しているんじゃないでしょうか。それを事務当局が、たとえば不算入割合二六・九%だというようなことではけしからぬではないかと、こういうことも言っておるし、足切りの問題等もしばしばこの委員会で若干四百万というものを減らしてもいいのではないか、あるいはまた、大企業だからといって、膨大な資本金を持つものが千分の二・五ですか、こういうものでそれに積み重ねていくというようなことも問題だろうと、これも見直す必要があるだろうというようなことを問題としてずいぶん提起をし、交際費課税についてはもう少し強化をする方向だということは、もう大蔵大臣がこの委員会でも、その辺のところを十分検討して、その方向でいくんだということは言っていると思うのですよ。それをさらに後退した答弁で引き下がるわけにわれわれは断じていかないわけです。 すでにもう一兆円をはるかにこえるような交際費が使われている。しかも課税の対象になる分は二六・九%だということでは、これはけしからぬではないか、こういうことなんですから、まあ諸外国の例なども参考にされるのはいいけれども、やはり今日交際費課税に対しても非常に国民からも疑惑の目をもって見られておる段階において、ほかとの関係を見ることもけっこうだろうけれども、いままでのこの委員会における審議の経過というようなもので、去年やったんだから、ことしまたやれということは少し問題だということは、大蔵大臣もここで言われたことはあります。しかしながら、そういう強化の方向というものははっきりされていると思うのですが、その面まで後退してしまったのでは、これはもう話にならない。もう一度答弁してください。
○高木(文)政府委員 交際費については、社会的批判がたいへん強いことは事実でございますから、私どもも交際費については何らか考えなければいかぬ、真剣に取り組まなければいかぬというふうには考えております。ただ、もともとこの交際費の問題というのは、いわば社用経費的なものがある。それを抑制しなければならない。それがためには、過剰な交際費を、経費ではあるが否認をするということで、税をかけることによって抑制しようということでいまの制度ができておるわけでございますが、私ども税のほうから申しますと、はたして税だけで完全に抑制できるかどうかということには相当問題がある。税は税、決して逃げるわけではありませんが、税だけで完全に抑制できるかどうか。なかなか世の中の習慣を税だけで直すということは非常にむずかしいということを、執行の段階等を通じましても痛感するわけでございます。 そこで、どういうふうにしたら本来の目的であったそういう冗費といいますか、むだな経費といいますか、社用費といいますか、そういうものが抑制できるかということを本来考えるべきであり、それがためには、おっしゃるように現行制度のままで交際費制度を強化していくというのも、確かに非常に有力な手段だとは思いますけれども、それだけでいいかどうか、また交際費を課税するということの強化の程度が強まってまいりますというと、しばしば問題になります広告費等との関係をどうするかというような問題が出てまいりますので、事務の立場といたしましては、必ずや来年交際費を課税するという案で御審議をお願いいたすことになろうというところまではまだ私どもとしては申し上げにくいということでございます。
○広瀬(秀)委員 政務次官、いかがですか。
○田中(六)政府委員 いま高木局長が言っているのは、来年は困難じゃないかということを言っていることでございまして、私どもは全体的には、方向としてはこれを厳重に、しかも強く削減の方向に進んでいかなくちゃいかぬという方針でいます。(堀委員「やらないということもきまってないのだろう。もしやらないという方向なら、これは僭越だ」と呼ぶ)
○広瀬(秀)委員 いま堀委員のほうからも発言があったのですけれども、主税局長、あなたがそこまで消極的な発言をされたのを、私はまことに寄異に感ずるのですよ。来年の税制改正の際に必ずやりますということは言えない、これならばまだそれはそれなりに話はわかる。しかし、来年やれるかどうかということを別に私、聞いたわけじゃない。来年期限が来るということは前提に置いて話をしたのだけれども、政務次官も厳格に、シビアにやっていきたいということは、これは言外に、交際費課税の強化というものはいまよりも少なくとも強化の方向に歩を進めたいということをちゃんと言っているわけですよ。なぜいまの段階で、少なくともどういう形であるか、足切りの方法をやるか、あるいは資本金比例分をいじるか、あるいはまた課税率ですね、七〇%まできたものをさらに一〇%上積みして八〇%にするか、こういういろいろなやり方はあるけれども、少なくとも交際費課税についてはさらに課税強化をする余地はあると私どもはしばしば指摘をして、そういう方向というものを要求してきているわけなんです。これを、そういう方向であるということもだめだということでは、これはもうわれわれは引き下がるわけにはいかぬわけです。これはもう課税強化の方向に向けて検討をするということでなければ、いままでのずっと長いこの問題についての審議からいって、われわれ引き下がるわけにいかぬわけです。もう一ぺん、ひとつ真意を表明してください。
○高木(文)政府委員 ただいまおっしゃいましたように、いろいろ検討すべき問題は残っておりますが、最後におっしゃいましたように、課税強化の方向に向けて検討するということは申し上げられると思います。ただ、さっきから少し慎重なお答え方をしておりますのは、否認割合を上げました結果どういうことになったかということは、四十六年の結果を見てみないとわかりません。そういう数字は全くまだ現在進行年度中でございますのでわかりませんし、否認割合が六〇から七〇に上がりました結果がどうなったかということはわかりませんので、そこで、やや慎重に申し上げたわけでございますが、まさにおっしゃるように、課税強化の方向に向けて検討するということは言えると思います。
○齋藤委員長 関連して、堀昌雄君。
○堀委員 いまの七〇%に引き上げた結果がよくわからないということですね。これは否認割合をずんずん上げてきたわけですよ。過去のデータを一ぺんずっと、どこで否認割合を幾らに上げたときにはその影響はその前に対してどうだったのか、過年度にさかのぼって少し具体的に言ってもらえば、いま初めて六〇から七〇に上げたわけじゃないのですから、過去からずっとそうやって引き上げてきたのをトレースをしてみれば、あまり引き上げたことは実際には影響していないというのが私の分析なんですが、否認割合のスタートのところから一ぺんずっと述べてください。
○高木(文)政府委員 最初に、制度の変遷を申し上げますと、昭和三十七年度に基礎控除が三百万円と資本金の千分の一でございました。そしてそのときの否認割合といいますか、課税割合といいますか、いまの七割に当たる率が二割でございました。それから三十九年度に改正をいたしまして、三百万円を百万円上げて四百万円に上げました。それから資本金の千分の一を千分の二・五に上げました。つまり足切りを上に上げたわけでありますが、そのかわり、課税割合は三〇%に改められております。それから四十年度に、足切りは同じにして、課税割合を五〇%に上げております。それから四十二年度から、前年までと比べて交際費が五号以上ふえた場合には一〇〇%否認、減った場合には課税をしないという制度が四十二年から入って、やや複雑になっております。それから四十四年に否認割合が五〇から六〇に上がっております。四十六年に七〇%に上がっております。 そこで、交際費のうちの否認割合でございますが、三十七年、八年は九号、三十九年が一〇%、四十年から四十三年までが、五〇%の時代でございますが、漸次上がりまして、一三%から二一%であります。四十四年が同じく二一、四十五年が二六・九となっております。 問題は、交際費の否認割合は率が上がることによってはたして抑制されたということが言えるかどうかがよくわからないわけでございまして、ただ言えますことは、四十年当時交際費が大体営業収入千円当たり六円二十二銭ということでありましたのが、ずっと下がってまいりまして、四十五年には千円当たり五円十一銭まで下がってきております。この営業収入当たりの交際費が減ってきているということは、やはり抑制効果があらわれてきているということもある意味では言えると思います。しかし、一方におきましては、やはり経営体の単位といいますか、規模が大きくなっていますから、そっちのほうで減ってきたのか、それとも抑制税制のメリットとして減ってきたのかというようなことがよくわからぬということでございます。
○堀委員 ちょっと私、いま手元に資料を持っておりませんから、いまの三十七年からずっといって四十五年が一兆七百億円になっておる経過を、金額的に合わせて言ってください。
○高木(文)政府委員 経費ですか。
○堀委員 要するに総額です。交際費として国税庁で出しておる……。
○高木(文)政府委員 交際費支出額を申し上げます。 三十七年度が三千七百八十七億円、三十八年度が四千五百六十二億円、三十九年度が五千三百六十五億円、四十年度は五千七百四十九億円、四十一年度五千九百二十六億円、四十二年度六千九百三十三億円、四十三年度七千七百三十四億円、四十四年度九千百五十五億円、四十五年度一兆七百一億円でございます。
○堀委員 これで見ると、五〇%から六〇%に上げたからといって、実はそうたいしてこれは抑制効果はないわけなんですよね。いま、四十五年が一兆七百億、それから今度は四十六年にそれを七〇%に引き上げた。ずっと過去の大体の伸び率を見ますと、多いときには一ぺんに千億近くも伸びているところもあるし、それから伸びてないところもあるのは、多分に景気の動向に実は関係があるのであって、皆さんが否認割合の部分を当初二〇%であったものを今日七〇%に引き上げたからといって、そんなに実は効果がない。その効果のない最大の理由は一体どこにあるかというと、三十七年に三百万円であったのを四百万円に引き上げたところにあるわけですね。だから、これが非常に大きく働いておるから、そこのところをさわらない限りこの問題解決にならないのですよ。こっち側の七〇を次に八〇にしたところで、これは所期の効果というのはあまり期待できない、こうなるわけですね。だから、問題は根っこの中にある。いまの四百万円と千分の二・五というものをさわらない限り、こっち側の超過分の否認割合なんというものはあまり効果がないというのが私は現状だと思う。 そこであなたのさっきの答弁を聞いておると、七〇%になったら一体どうなったのかをはっきりしてから考えたいという話だけれども、少なくとも主税局のようなところは、税金の問題というのは単年度の実績でものを見るのじゃなくて、ずっと過年度における傾向と、それに対するいろいろな措置と、あるいは経済の全体の広がりなり、そういうものから見て、景気のいいとき悪いときという問題はありますけれども、そういうものから見て、問題が一体どこにあるかというのを当然把握していてしかるべきであって、さっきあなたが七〇%になったのは四十六年の実績を見てからという話は、それは見ないよりは見たほうがいいにきまっておるけれども、今日の交際費課税の議論というのは、すでにいま広瀬委員が言っておるように、これは四百万と千分の二・五をどうするかという話なんです。だから私はかつてから、三十七年の姿に返すように漸進的に考えたらどうなんだ。要するに四百万円を一ぺんに三百万円にできないのなら、三百五十万にしてその次に三百万にすればいいじゃないか、千分の二・五を〇・五ずつ多年度に落としていったらどうだ、千分の二・五を千分の二にしよう、その次に千分の一・五にしよう、千分の一と三百万円というところへきたらしばらく様子を見て、それでもう一ぺん考える。これが常識的な判断だと思うのです。過去の税制の歴史をもう一ぺん逆に歩んでみようという方向は、私は決して間違った方向ではないと考えておるわけです。少なくともそれらについて皆さんデータをちゃんと持っているわけだから、さっきからの答弁を聞いていると、要するに問題をいかに回避をしようかというような答弁に聞こえてしかたがないのです。その交際費課税の一番中心的な眼目はどこにあるかといえば、三十七年から三十九年のときに三百万と千分の一を動かしたというところに非常に大きな問題が残されておるということで、やはり主税局は事務当局としてもこの交際費課税の一番の問題点がどこにあるかというくらいは把握して答弁してもらわなければ、われわれとしてはいまのような答弁をそのまま聞き流すわけにはいかないのであって、その点をひとつ主税局長から明確に答えていただきたい。
○高木(文)政府委員 その点もひとつ勉強をいたします。はなはだ不勉強で申しわけございませんが、二〇から三〇に上がり、それと同時に三百万から四百万に足を上げたというあたりのところを少しこまかく勉強してみたいと思います。
○広瀬(秀)委員 交際費課税の問題につきましては、やはりいま堀委員も指摘しましたように、そういう方向でさらに強化の方向で検討を必ずやってもらいたいということを強く要望して、次に広告関係をお聞きします。 この前大蔵大臣も、何らかの形で広告費課税をやるような方向で前向きで検討をしたいという御返事をいただいたわけでありますが、通産省にちょっとお伺いしたいのですが、この前カラーテレビの問題で、それほど技術的に非常に変わったところがないにもかかわらず、そのモデルチェンジをあまりにやり過ぎるということを具体的な数字をあげて指摘したわけでありますが、この家電関係は、カラーテレビだけの広告というのを抜き出してというのがちょっと無理であれば、家電全体でいいのですが、そう何社もあるわけではありませんので、どのくらい経営費の中で広告費を使っているか、これをちょっとお聞きしたいと思います。
○関山説明員 一つの試算でございますけれども、電気機械製造業のうちで通信機械及び民生電気機械製造業につきまして、売り上げ高と広告宣伝費の比率をとってみますと、二・〇という数字がございます。これは全製造業平均よりは若干上回っております。
○広瀬(秀)委員 前に、不必要と思われるような売らんかなだけのモデルチェンジをしばしばやるということが、非常にマスプロダクトで大量生産をやっていながら、若干は下がったにしても、特にカラーテレビのごときは国内販売価格と輸出価格との間にべらぼうな乖離があるというような問題も大きく国会でも問題になって、幾らかは下がったようでありますが、そういうモデルチェンジを意味もなく、業界にしては意味があると強弁されることは当然だろうと思うけれども、ほんとうに技術が画期的に変わったというような形の中で宣伝が行なわれるのではなくて、少しばかりのモデルチェンジ、外ワクの飾りの部分、ボックスの部分というようなものを変えることによって宣伝をどんどんやる。こういう経費というものがきわめて大きいのじゃないか。最近また物品税が上がることによってこれを値上げする。カラーテレビについてはそういう方向も確実に打ち出している。こういう点について通産行政としても、次々とモデルチェンジをしては広告をめちゃくちゃにやる、こういうことに対して何らか有効な規制というようなものを当然講じていいだろうと思うのです。われわれの目から見れば、非常に過度の広告が行なわれている一番大きい分野だと思うわけなんですが、そういう点について通産省としてはどうお考えになっているのか、もう一度聞きたいと思います。
○関山説明員 御指摘のカラーテレビにつきましては、これは家電製品一般にも多少通ずることでございますけれども、最近の電子技術等を応用いたしました技術集約型の商品でございますために、技術開発の要素が非常に大きいわけでございます。たとえて申しますと、カラーテレビにつきましては本格的に製品化されました三十七年からわずか数年の間に、ブラウン管の光輝度とか調整機構の自動化、回路のトランジスタ化、IC化等の目ざましい技術革新がなされておるわけでございます。この技術進歩の過程で各メーカーは製品開発競争を行ないまして、新しい技術が開発されるたびに大なり小なり新しい技術を採用した新製品の発売を行なってまいってきたわけでございます。 さらにこのような技術革新に加えまして、近年カラーテレビの普及率が高まってまいりますと、カラーテレビの需要の中心がより小型、簡易型のものへ移行してまいる傾向がございます。そのようなことからも数多くの小型、簡易型のテレビの発売ということが行なわれてきておるわけでございます。 そのような事情を反映いたしましてモデルチェンジが行なわれているというふうにわれわれは把握しておりますけれども、ただ御指摘のような単に消費者の目先を変えるだけの一部の装飾的な模様をちょっと直したというような問題でのモデルチェンジが非常に過度に行なわれるということは、消費者に誤認を与えるというような面からも好ましくないというようにわれわれ考えております。
○広瀬(秀)委員 いろいろな専門的な分野において技術の改善、改革、開発というようなものによってそういうモデルチェンジも起きておるのだという説明ですけれども、私どもの目から見れば、なるほどそういうのもあるだろう。しかしそれにしても、モデルチェンジが日本の商品の場合にあまりにも多過ぎる。特にカラーテレビなどにおきましては非常にこれが多過ぎる、こういう感覚をどうしても持たざるを得ない。これは国民全般がそう思っていると思うのであります。そうしますと、当然これは古い機種については何かやはりあれだけ宣伝をやられると取り残されたような気持ちになって、ほっておけばまだそんなものを買おうという気が起きないのに起きてくる、買おうということが知らず知らずの間に強制されてしまうというようなことになるわけです。そしてしかもまだまだ使えるものをほうり出してしまう。そのことが最近における都市公害としてのごみ処理問題とも非常に大きな問題になって困難性を増しているというようなこともあるわけで、これらの問題については、一そう、広告のあり方それからモデルチェンジのあり方というようなものについては、シビアな態度でもう少し監督をしっかりやってもらわなければ困る、こういうことを通産省にも強く要求しておきたいと思うわけであります。 それから、自動車の関係ですが、自動車もこれまたモデルチェンジがしばしば行なわれる。たとえばフォルクスワーゲンであるとかああいうものなんかはそれほどモデルチェンジがない。まあアメリカではかなり——大体アメリカスタイルを日本がすぐまねするという傾向があるのですけれども、アメリカスタイルかもしれないけれども、少しモデルチェンジをやり過ぎるんじゃないか。そのたびに今度はプレス機械なども取りかえなければならぬというようなことで、まさに資源の浪費をやっているんじゃないか。そして、やはり新機種が出れば、スタイルも流線型になってよさそうだとか、一部安全の面も考慮したんだというようなことも入るであろうけれども、あまりにも過度にモデルチェンジをやり過ぎるということを私は思うのです。たとえばトヨペットあるいはセドリック、代表的な乗用車、こういうようなものが過去十年間ぐらいにどれだけモデルチェンジを、何度ぐらいやってきているか。おそらく二年あるいは一年くらいでやっているんじゃないかと思うのですが、その点実情をちょっと明らかにしていただきたい。
○石原説明員 自動車のモデルチェンジにつきましては、マイナーチェンジと申しますか、ちょっとしたチェンジ、これが一ないし二年に一ぺん、それから全面的なフルチェンジと申しますか、これが三ないし四年に一ぺんというのが普通のしかたでございます。で、昭和三十年代ごろは性能とか居住性の向上ということと一緒にやっておりましたが、近ごろは多少御指摘のように公害とか安全とか、そういう対策を組み合わせて、途中で開発されました技術をその段階でやるということはいたしております。
○広瀬(秀)委員 そのモデルチェンジをやるたびにまた大きな宣伝広告が行なわれる。こういうことで広告費も交際費と同じようにとめどもなく、いまややっぱり広告費も七千六百八十五億というような数字がおそらく四十六年度の数字として見込まれておるわけですが、これもおそらく数字は実際には一兆くらいになっているだろうといわれておるわけなんですね。そういうように、本来広告というものあるいは宣伝というものは、資本主義社会においてはある程度行なわれるということはわかるし、その意味ではやはり交際費が本来的にあるべき経費だというものと、あるいはそれ以上にむしろ強い経費性を持つということはわかるのですが、今日の姿はやはり過度広告の時代になっているのではないか。なるほど国際的には日本を上回っているのはアメリカであり西ドイツであるという数字が出ております。そして、単位当たりの広告費の率はまだ低いのでございますというようなことを言うけれども、広告のはんらん、この狭い国土の中に広告のはんらんというのはきわめて目に余るものが今日ある。しかもそういう中から非常に不当な広告、さらに虚偽の広告というようなものなんかが出ている問題も無視し得ない問題として出ているわけであります。相当問題点が多い。公取でももう応接にいとまがないというように不当景品の問題だとか、不当表示の問題だとか、あるいは欠陥広告であるとか、こういうものに対して排除命令を出したり、表示を改めさせたりというようなことをやっているわけです。やはりこういうものがまかり通るというのは、広告費はもうこれは文句なしの経費なんだということになっておると、やはり広告におけるモラルというか倫理というか、そういうようなものなどもどんどん退廃し、単に消費者を惑わし、消費者の購買力を、購買意欲をくすぐるというようなもので、社会全体を広告のはんらんによって混乱させるというような事態までいく可能性が、現にもうそういう時代を迎えていると思うのですが、そういう状況というものがあるだろうと思うのです。これに対して通産行政の中でも過当な広告あるいは過度の広告というものに対しては、やはり抑制する方向、そういう中においてもモデルチェンジなどの問題についても、あまりにも過度に過ぎる、度が過ぎている、こういう点をやはり指摘せざるを得ないと思うのです。だからそういうものを正しい姿勢に戻すためにも、いまこそやはり広告費課税というものに踏み切って、適正な、そしてほんとうに消費者のために奉仕するような広告の指導、もちろんこれは企業がやることですから、企業の売り上げを増加させていく、利潤を増大さしていくということに奉仕することに間違いはないのだけれども、その中にもやはり折り目を正させるというような意味でも、無制限な広告というものを、広告費支出というものを経費に認めていくということは、もう改むべき段階に来ていると思うわけでありまして、これは通産行政の、その面でのモデルチェンジなんかについてのあり方とも関連して、これはぜひひとつ、この間大蔵大臣も広告費課税を考えるということで答弁がありますから、これ以上申し上げませんけれども、ぜひひとついい結果が出るようにしっかりこの問題もやっていただきたい、こういうことを申し上げまして、時間がだいぶ超過しましたので、これで私の質問を終わります。
○齋藤委員長 小林政子君。
○小林(政)委員 法人税率三五%に五%の付加税率の適用期限を二年間特別措置で延期をはかったわけですけれども、付加税率の一・七五は二年後に一体これは法人税本則に組み込むという考え方のもとにこのような措置が今回とられたのか、それとも二年後に廃止という方向をもって、とりあえず二年間の特別措置ということで延期を認められたのか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
○高木(文)政府委員 五%の付加税率は四十五年度の改正のときに設けられた制度であることは御承知のとおりでございます。で、その当時は一つには過去の法人税の税率水準から見ましても、また国際的な水準から見ましても三五という現行法の水準は、決して高いとは言えないという認識に立って少し上げるべきだということで考えたのでございますが、同時にそれについては、必ずしも各方面すべてのコンセンサスが得られたわけではなくて、そうは考えないけれども、四十五年当時でございますから非常に景気がいいので、こういう景気のいい状態のときには多少高くてもやむを得ぬということで、それもよかろうという御意見の方が税制調査会の中にありまして、そういうことも含めて臨時措置として二年間やったわけでございます。その期限がこの四月三十日に切れるわけですが、今回また臨時措置として二年間延長することにいたしましたのは、前回と違いまして、今回は不況期でございます。不況期でありますので、四十五年度のときとはたいへん事情が違うわけでございますが、にもかかわらず今度は主として財政事情等から、俗に言う赤字国債を発行しなければならぬかもしらぬというような財政事情にあるということも考慮されて、それで不況期にあるにかかわらず、なお五%を今後とも二年間続けるということになったわけでございます。 その際、それを法人税法に織り込むといいますか、本則税率に織り込むかどうかということも一応は検討いたしましたが、何ぶんまだ御意見が、税制調査会の中でも必ずしも固まらない状態にありますので、もう二年間臨時措置ということにしたわけでありまして、しからば二年後にどうなるかということについては、現段階では、はなはだ、まだなんとも申し上げにくいわけでございますが、しかしさきの二年間は好況時でありましたし、あとの二年間は不況時に、五%の付加税率を設けられたわけでございますので、二年たちました暁には、やはり相当基本的な問題として検討されることになろうかというふうに私どもは予測をしておるわけでございます。しかしさりとて、今日の段階でそれがどういうことになりますか、ちょっと二年先のことをいまお約束することは困難であろうかと思います。
○小林(政)委員 二年後にどうするかという点については、税制調査会の中でも意見がまとまらなかったというお話ですけれども、しかし長期税制のあり方についての調査会の答申を読んでみますと、わが国の法人税は今後もっとこれから引き上げていくべきであるということが答申の中に明らかに書かれております。私はこのようなもとにおいて法人税の負担のあり方、こういったものについて大蔵当局は今後一体どのような方針を持っておられるのか、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
○高木(文)政府委員 昨年の八月に長期税制のあり方についての答申を税制調査会から受けておりますが、その前の、四十三年の長期税制についての答申がまとめられます前の段階で、法人税のあり方、俗なことばで実在説とか擬制説という議論がございますが、そういうあり方を議論いたしました上で、なかなかその問題について決着をつけることがむずかしいということで、四十三年のときは終わったわけでございます。四十三年から四十六年までの間には、実はこの法人税の仕組みについての基本的問題点はあまり議論をされませんで、ただ、しかし、別の角度から配当控除の引き下げというようなことが行なわれ、一方においていまの、臨時に法人税率を上げるということが行なわれたわけでございます。 そこで最近の問題としては、個人の中小事業者と法人の中小経営者との間の課税のバランス問題についての論議がたいへん盛んになってきております。具体的には、個人事業主についての事業主報酬制度ということで論議されてきております。そこでこの問題をめぐって個人と法人の課税のあり方をもう一度程制調査会において議論していただくことになっておりますので、個人と法人の課税のバランスの問題、当然その場合にはいわゆる給与所得者とのバランスもまた同時に議論されることになると思いますが、その議論を一度していただいたところで、場合によりまして、時間が間に合いますれば、法人課税のあり方、つまり実在説、擬制説といったような議論、それもやっていただいた上で法人税課税のあり方を議論する、そのあり方との関連において税率水準についても議論するということになろうかと思います。 確かに、税率の問題につきましては、全般的水準と申しますか、法人税負担のあり方については小林委員御指摘のようにまだ上がってもいいという認識が、税制調査会を中心にあると思いますが、それは同時に法人税の仕組みの問題と密接に関連をいたしますので、両者が並行的に議論されませんと、なかなか法人税の基本税率を直すというところまではいかないのではないかというふうな感じがいたします。
○小林(政)委員 法人所得に対する法人の負担率、これを調べてみますと、三十五年から三十九年まで、いわゆる法人所得に対する法人税の負担率は平均三三%です。そして四十年から四十六年は、これも平均の数字ですけれども、二八・五%。いわゆる法人所得に対する法人税の負担率というものは、年々年々低下していっているわけです。逆に、一方、個人所得に対する所得税の負担というものは、昭和三十五年に三・二%、それが四十五年には四・六%と、これは年々上昇をしているわけです。私は、このことは、やはり企業課税が優遇をされているということを示しているものだというふうに考えますし、今後このような企業課税の優遇措置については、当然これは改めていかなければならないのじゃないか。 そしてまた、税制調査会等で法人税のあり方についてはいわゆる法人擬制説その他をめぐっていろいろ論議があるというふうにいわれておりますけれども、税調の答申の中には、いわゆる法人の問題等については法人の置かれている経済的社会的なその実態に基づいてということが明記をされているわけでございます。 こういう点から考えて私は、むしろ大蔵省自身が、このいままで論議をされてき、また税調でもこのようなことが指摘をされている、こういう立場に立って、具体的に積極的にどう企業優遇の課税を改めていこうとしているのか、こういう点についてやはり明確にしていただきたいと思います。
○高木(文)政府委員 法人税につきましては、御存じのように、四十年と四十一年に合計税率が三%下がっております。それから、措置法の規定というのは、必ずしも税制だけではなかなかわかりませんので、特別償却等の規定は企業に所得があります程度に応じてその制度を利用できるわけでございますから、その制度がありましても所得がなければ利用できないわけでございますので、好況、不況によりまして——いまおっしゃったのは、たぶん法人所得をグローバルにとらえられたものと法人税との割合の問題ではないかと思いますが、そういう数字はおっしゃるような傾向があるいは出ておるかもしらぬと思います。 いずれにいたしましても、税制調査会の答申にも明確に出ておりますように、個人の負担というのは、今後とも国民所得が上がるということを考えますと、多少は上がってもよろしいでしょうけれども、絶えず減税を行なって、負担率が税制改正を行ないませんとどんどん上がっていくことになりますので、そういうことが起きないようにしなければなりませんし、法人につきましては、なお負担の余地があるのではないかということを検討しなければならないという、長期税制のあり方についての税制調査会の答申の骨子が、私どももよるべき指針であると考えております。
○小林(政)委員 非常に税調の方針というものもはっきり中身としては答申がある程度具体化されて方向づけがされているわけですけれども、大蔵省の考え方自体の中に私はちょっとこれはむしろ、もっと企業課税の優遇措置を積極的に改めていこうとする姿勢が足らないのではないか、このような印象を強く受けるわけです。いろいろといま御説明が述べられましたけれども、法人税の税率を今後徐々にではあるのかそれともどの程度であるのかは別にして、引き上げていくという方向を持っているのかいないのか、そういう方向についてはいままで一度も考えたことはないのかどうか、明確にしていただきたいと思います。
○高木(文)政府委員 現に四十五年度のときに、戦後いわば下がる一方であった法人税の税率を、たとえわずか一・七五%でありましても上げたわけでございます。それを今回またお願いをして、こういう不況期にも維持をしていこうということでございます。これからどうするかということについてのお尋ねにお答えするのは非常にむずかしいわけでございますが、昭和二十五、六年からずっととにかく下がる一方であった法人税率を、下げるのはやめて、むしろ上げる方向に四十五年度からやっておるわけでございますから、その辺に大体私どもの考え方をおくみ取りいただきたい。しかし、さてそれでは何%がいいか、現在の三六・七五%では低いので、三七がいいか三八がいいかということになりますと、たいへんいわば決定的な基準というべきものもございませんし、あるいは事業税の負担であるとか、また固定資産税等、その他もろもろの税の負担も考慮しなければなりませんし、また租税特別措置法による軽減等も行ないますので、それらを総合して判断しなければならぬわけでございますが、私どもは少なくとも、これから法人税の負担水準は下がってもいいというふうには考えておりません。
○小林(政)委員 少なくとも一・七五の付加税率を特別措置でもって今回延期をされたわけです。したがって、来年のことはわからない、再来年のことはもっとわからないというようなこういうような態度では、少なくとも租税特別措置ということで一応これは暫定規定といいますか、臨時的なこのような措置として設けられている以上、一体これをどうしようと考えているのか、そういう点が明確にならないで、そしてこれは二年後にどうなるのかわからないというようなことで審議ができるのでしょうか。私ども、少なくとも大蔵省がこの問題については、今回はこういう措置で二年延期したのならした、しかし、今後の方向としてはこういうふうに対処するというものが明確でなければ、また二年後にどうなるのか、こういったようなこともわからないままで、とりあえず二年間だけというその部分だけを見て、この賛否をきめたりあるいはその内容を検討するというようなことは、いやしくも私は法案の審議という点から、非常にこれは不見識なことになるのではないか、このように考えます。特にこの法人税の負担については、いろいろと言われておりますし、国際的に見ても高いものではないというふうに言われておりますし、日本の実効税率が諸外国に比べても、一応四五・〇四%ということですから低いわけですし、私は、こういう点からはっきりと、法人税の問題については、少なくとも今回のこの一・七五については、付加税率については本法に当然これは組み入れるべきであったのではないか、このように考えるわけです。 その場合、この法人税の場合には、法人といっても中小大さまざま法人がございますけれども、法人税は比例税率が適用されております。したがって、個人企業と大差ないような法人もあれば、大きな法人もあるわけでございますし、これについては、やはり法人の税率の決定については、社会的、経済的な実態に即して累進制などを取り入れていく、こういったような考え方をとるべきではないだろうか、このように考えますけれども、お伺いをいたします。
○高木(文)政府委員 まず第一点の、本法に組み入れるべきではなかったかという点は、冒頭にお答えいたしましたことの繰り返しになりますが、やはりそこがまだ本法に組み入れてもいいというほど安定的にいまコンセンサスが得られていないのでありまして、まだ反対の御意見もあり、二年間の臨時措置として四十五年に一・七五%加重したのであるから二年でやめるべきだという御意見もないではなかったという状況もあります。と申しますのは、長期税制では、御指摘のように、法人税負担はなお高くないということになっておりますけれども、不幸にして今回の税制改正について税制調査会で議論していただきます段階では、通貨調整等をめぐる非常な不況でもございました関係もありまして、一・七五をむしろやめたらどうかという意見もないわけではないという情勢でありましたので、本法に組み入れるというところまでは行き得なかったというのが率直なところでございます。 第二点の、法人税について比例税率でない方式をとってはどうかということでございますが、現に中小法人と大法人と二段階になっておるわけでございます。 〔委員長退席、木野委員長代理着席〕 しかし、いま二段階にはなっておりますが、比例税率で、累進にはなっていないという現状でございます。ですから、この段階を刻むということは全く技術的に不可能だというふうには申し上げられませんが、しかし個人の場合と違いまして、法人はいわば幾らでもつくれるという状態にあるわけでありますから、したがって、累進税率によって所得の大小によって税率を累進的に高くすれば、会社を分散をするということが、やろうと思えばできることになってまいりますし、そうでなくとも、先ほどもちょっとお話が出ましたような交際費について一社当たり四百万円までは足切り限度があるというようなことから、とかく会社を分けたほうがいいんだというような問題もありますので、どうも理論的に比例税率がいいか悪いかという問題も基本的にはありますが、それを別にして考えても、累進税率ということにしますと、いろいろな意味で混乱が起こるのではないかと思います。さらに基本的には、擬制説あるいは実在説というような問題がありますけれども、そのいずれをとるにいたしましても、やはり累進税率のようなものは、なま身の個人、生きた人間をつかまえます個人であってこそ初めて考えられる制度でございまして、人間が集まってこしらえることができる法人というようなものについて累進税率をつくるのはやはりむずかしい、それは不自然であるというのが、これまでの日本だけでなくて各国の税制の専門家の意見のようでございます。よって、私どもは、いま法人についてはちょっと累進税率を考えるということはいまの段階では予想してないわけでございます。
○小林(政)委員 その問題についても少し明らかにしたいというふうに思いますけれども、あと四、五点残っておりますので、先へ進みたいと思います。 私は、特に今回の法人税の基本税率は動かさないでそのままにして、そして特別措置によって付加税を二年間延長をしたわけですけれども、これは税法のたてまえからいって、こういった措置というものは正しい措置だというふうにお考えになっていらっしゃるのかどうなのか。私は、税法のたてまえからいって、法人税の税率を特別措置によって動かすというようなあり方というものはどういうことなのかという点について、お伺いをいたしたいと思います。
○高木(文)政府委員 本来ならば、法人税の税率は基本法である法人税法によってきめる、そしてそれは一本税率であるということが望ましいと思います。わざわざ基本税率は三五のままにしておいて、それで特別措置法で別途臨時に付加税率を設けるというのは、率直にいって不自然なことであると思います。それを特別措置法で定めて、臨時に二年間一・七五加重し、さらにまた二年間加重しようというのは、主として臨時的なもの、しかもそれが必ずしも法人税制自体についての議論について固まっていないというようなことが重なってそうなっているのであって、私どももでき得ればなるべく早くいろいろな議論の統一するところを求めて、基本税率で一本税率にしたいというのが念願でございますけれども、なかなかそこまで行き切れなかったということでございます。
○小林(政)委員 そうすると、基本税率になっていないことは不自然なことだと思うけれども、要するに、景気調整としてこれが活用されているというように理解してよろしいのですね。
○高木(文)政府委員 必ずしも景気調整ということではなくて、と申しますのは、前回は好況でございましたので一・七五ということで加算になったわけですが、今回は一般的に不況であるにかかわらず、なお一・七五を継続するわけでございますから、この制度は前回と今回とをつないでみますと、景気調整ということでは説明し切れないというふうに思います。そういう意味では、やはり基本の税率そのものを三五を三六・七五に直したというのとほとんど同じ意味だと思います。 ただ、どこに落ちつくべきかということについて、たとえば三六・七五がいいのだともなかなか言えない。過去においては三五であったこともありますし、三七であったこともありますし、三八であったこともあります。また一番高いときには四二であったこともあるわけでありまして、端数がつきました三六・七五というのがいいのかどうかということはなかなかむずかしいわけでございまして、景気調節だから、それで特別措置にしてあるということではないと思います。もう少しほかの意味も含めて臨時措置であるから租税特別措置で規定させていただいているというふうに御説明するほうが正しいかと思います。
○小林(政)委員 非常にいろいろとれるあいまいな税の措置だというふうに思いますけれども、私は、少なくとも税率というものは、納税義務者とかあるいはまた課税対象とともに租税を構成する重要な要素であるというふうに考えております。したがって、租税特別措置というものは、あくまでいま言われたように臨時的なものである、あるいはまたそのときそのときの情勢によってどうにでもとれるような名目がつけられたりするものでございますし、税法の基本原則というものからなかなか入れられないというようなものが、いままでその多くを特別措置によって政策的に認めるというようなことがやられているわけですけれども、軽々に税率を、いろいろとられるようなそういう機能として都合によって動かすというようなことは、やはり租税法律主義という原則的な立場から考えて、これはそれに反するものだというふうにいわなければならないと思いますけれども、今後の問題も含めて、ひとつ御答弁をお願いいたしたいと思います。
○高木(文)政府委員 その点はいささか私、小林委員の御意見に異論がありますのですが、法人税法も租税特別措置法もひとしく法律でございまして、国会の御審議を経る手続等も全く同じでございます。ただ、租税特別措置法は、基本法としての所得税法なり法人税法なり他のもろもろの間接税法に比べまして、いわば臨時的なもの、特例的なものを規定しておるために一つの法形式をとっておるわけでありまして、法律としての意味は全く同じでございますから、租税法定主義という意味においては何ら非難さるべきものでないと思うのでございます。 ただ、せっかく法律で書くのであれば、納税者の皆さんにわかりいいように、何も片方の法律に三五と書き、片方に一・七五と書かなくても、三六・七五と一ぺんに書いたらいいではないかとおっしゃればまさにそれはそのとおりであると思うのでございます。それをなぜ分けましたかといいますれば、やはりそこは臨時措置であるということからそうなったわけでございます。しかし、いつまでもそう臨時措置、臨時措置というわけにはいかないわけでありますから、いずれの日にか、なるべく早い時期に本法のほうに統一するのが望ましいことである。いずれの意味におきましても、望ましいということにおいては小林委員の御意見と全く同じでございます。
○小林(政)委員 それでは次に伺いたい問題は、昨年新政策として発足をいたしました青色申告事業主特別経費準備金、これを今回青色申告控除十万円ということで変えた理由というのは一体何なのか、その点をお伺いいたします。
○高木(文)政府委員 青色事業主の特別経費の準備金と申しますのは、青色事業主につきまして、いろいろ退職時まで毎年一定の準備金を積む、それを大部分の方はむすこさんなり何なりが継がれるわけですけれども、そのときにそれを取りくずして、そしてそれを一時所得として課税をする。しかし一時所得ですから半額課税で済むということで、青色の事業主の負担を若干軽減するとともに、いわば一種の老後に対する措置というようなことから考えられたものでございます。 しかしながら、この措置については、本来立法の経緯でございまして、法律の上にはあらわれてきておりませんけれども、立法過程において、青色事業主報酬制度を事業主についても認めてはどうかという御議論の展開の過程の一つとして生まれてきたものであったわけでございますが、昨年御審議をお願いし法律となりましたけれども、どうもやはりこの準備金については、将来たとえ老年になってその事業を引き継ぐという場合に、一時所得の課税であるにもせよ、一応課税が起こるということから不満足であるというか、不十分であるということが関係者の間から主張されました。 なお、その前からずっと議論されておった青色事業主報酬制度の採用ということが今回の税制改正で再び議論されたわけでございます。しかし、青色事業主報酬制度ということになりますと、これは詳しく申し上げますとたいへん複雑なことになりますけれども、個人事業者に一種のみなし法人課税をやるというようなことになりまして、現行税制に非常に乗りにくい形のものになりますので、それはなかなかむずかしいということもあり、しかしながら青色でございますから、いわばガラス張り申告であるということも一つあります。そしてサラリーマンと違って給与所得控除の適用がないという御不満があります。それらのことを総合的に勘案いたしまして、青色申告のサポートといいますか、奨励といいますか、そういう青色申告の奨励なりサポートなりの趣旨から、定額十万円の控除という制度を設けることにしたわけでございます。その際、青色申告について事業主報酬を認めてはどうかという議論が立法の検討の過程で議論されたことは事実でございますが、これは給与所得者についての給与所得控除というようなものとは全く違うわけでありまして、 一種の奨励措置としての控除というふうに考えております。
○小林(政)委員 時間がなくなりましたので、一点にしぼって質問したいと思いますけれども、いま御説明のあった青色申告控除十万円の創設、これを青色の普及ということで実施に踏み切ったということでございますけれども、これの実施によって実質的な課税最低限、こういうものに大きな開きができてくるわけです。たとえば青色申告者の場合には、いわゆる十万円の申告控除を入れますと、九十三万九千九百八十八円の課税最低限に一応標準家庭の事業主の場合なるわけですけれども、白色の場合は七十万九千八百九十六円、したがってその差異は二十三万になるのですね。青色、白色の差というものはこのような大きな差が出る。しかも、課税最低限が二十万以上にもなるということは、明らかにこれは不公平であり、不公平の拡大であると同時に、税の公平という立場から考えて一体どういうことになるのか、この点をひとつ第一点明確に御答弁を願いたいというふうに思います。 それから、私は少なくともこのように二十万をこすというような、課税最低限に大きな開きが出るということは、単なる奨励という、青色を奨励していく、そういう範囲の限界というものをはるかにこれは越えるものではないだろうか、格差の拡大であり、むしろ不公平税制に大きくこれはつながっていくものであって、私はこれは大きな問題を残していくのではないか、こういうふうに考えますけれども、この点が第二点です。 私どもやはり、このいま言われた中身の問題についても、いろいろと議論をしたいことがございますけれども、少なくとも事業主報酬制というものが大きく世論として出てきていることは、私どももよく承知をしております。それを実施するということが当面すぐにはできないというのであるならば、私はむしろこの控除制度を青、白区別することなく適用を当然すべきではないだろうか。 以上、三点にわたって質問をいたしたいと思います。
○高木(文)政府委員 課税最低限に非常に大きな差が出るとおっしゃいますが、その点は青色の事業主控除十万円からだけ出てくる話ではなくて、配偶者についての専従者給与の問題と両方から出てくる問題でございます。そこで、青色申告制度を普及奨励するためのおもな制度として、従来から配偶者についての専従者の制度があるわけでございまして、それと今度の青色事業主控除と、この二つによって青色申告制度がサポートされる、こういうことでございます。 いま言い間違えましたが、青色申告者控除と、それから従来からありました専従者控除制度と、この二つによってサポートされるわけでございます。その二つによりまして課税最低限に開きが出るわけでございます。 この開きが青と白との間で大き過ぎるかどうかということについては、それはいろいろ御批判があろうかと思います。しかし、私どもはむしろその開きがあることが当然であるという考え方に立っております。そこはやはり青色制度というものに非常に重要な意味を感ずるのでありまして、青色制度によって収支が明確になる、また財産状況が明らかになる、それによって御自身で納税額を計算をしていただいて、そうして納めていただくということが申告納税制度上きわめて重要なことと思っているわけでありまして、その意味におきまして、そこにただいま御指摘のようなかなりの格差があることがむしろ正当ではないかと考えたればこそ、新しい制度を御提案申し上げているわけであります。もちろん白色の申告者の方々からはたいへん御不満があろうことは承知はしておりますが、しかし、そこはやはり青というものの、何といいますか、青色申告制度というものを今後とも伸ばしていきたいということでございます。 それから、青、白の区別なく適用してはどうかという点については、いま御答弁申し上げたことでおわかりいただけると思いますが、初めから青、白を区別すべきだという前提に立つわけでございますから、区別なく適用していくというわけにはまいらないと思います。 〔木野委員長代理退席、委員長着席〕 白というのは、いろいろ御事情もあって、また、お仕事の都合もあって、どうしても白でなければならぬという場合もこれはあるかもしれないと思います。絶対青にはなりにくいという業種もないわけではないと思いますが、どなたでも白の方で青になれるわけであります。最近では簡易帳簿制度等も国税庁を中心にやっておるわけでございますから、なるべく一人でも多くの方に青になっていただきたいという気持ちを持っているわけでございます。そういう意味において、私どもはやはり青と白とは違っていいではないかという前提に立っております。
○齋藤委員長 山中吾郎君。
○山中(吾)委員 私、この法案をずっと検討して、全体として次の三つの点に疑問を感じたので、その三つの点について私、この中からひとつ事例を出して政府当局の解明をしていただきたいと思うのですが、一つは、この特別措置には公害対策、住宅対策、学術研究、その他そういう政策のための減税があるわけですが、そのすべてが企業保護に立脚しているのではないかというのが一つであります。企業を保護することによって公害対策を、企業を保護することによって住宅政策を、企業を保護することによって学術研究を、という構造が一貫をしておるように思うのですが、その点について解明を願いたいことが一つ。 それから第二には、その中で、企業を特に保護するために過保護になって、ずっと見てますと、脱税思想を奨励しておる結果になっておるのではないか、税を軽視する思想を奨励しておる結果になっておるのではないかという面がある。それが第二点。 第三点には、全体を見ますと、国際比較を見ると、税率は決して日本は高くはない。むしろ低い。ところが、どうしてこんなに国民が重圧感を感ずるのか、与えておるのか。 その三つの点を非常に疑問に感じますので、この法案の中から特に感じたことを質問いたしますから、当局は明快に私の疑問が解明できるように答弁していただきたい。 その一つは、公害対策としてこの法案に出ておる免税の部面でありますが、これは既存の産業で政府の基準以上に公害を出しておるものに対してのみ、施設その他に対する出資に免税をするというのか、あるいはこれから新しく公害が発生することがもうきまっておる産業を新規にやろうとするものに対しても同じように適用することになっているのか、これはこの法案の構成からどうなっておるのですか。
○高木(文)政府委員 端的に申しまして、旧来の施設を改善するためにいろいろ防止施設を整備するという場合も、それから新しく公害を出すおそれのある工場をつくられる場合も、いろいろな特例措置は同様に適用されることになっております。その点はまさに私どもも日ごろから一つの問題点と考えている点でありまして、従来から工場があって多少とも公害を引き起こしておった、ところが今度は公害を出さないようにということで非常にやかましくなったので、いろいろ設備等をしなければならなくなったから、それを奨励する趣旨で特例措置をとるというのにとどまらず、新設の場合にまでそれが及ぶということは少し行き過ぎではないかという点は、ただいま山中委員が御指摘のとおりでありまして、その点は私ども自身もいわば疑問というか、悩みを持っている点でございます。 ただ、現状におきましては、公害問題が非常に大きく取り上げられてまいりましたのはここ数年来のことでございますし、特に一昨年秋の国会以来、公害関係諸法案が整備されて、基準等も明確になってきたという現状でございますので、ここ何年と申し上げたらいいかわかりませんが、当分の間は、とにかく公害を防除するということにあらゆる努力をすべきでありましょうと考えられますので、たとえば新しく発電所ができる、発電所のために高い煙突を立てなければならないという場合、その公害防止用の煙突については特別措置的なものを適用しないというのもまたいかがなものであろうかということで、現在の段階では、新しく設けられる発電所の公害防止用の煙突についても、既存のものと同様に特例措置を適用することにしております。 しかし、これはあくまで経過的と申しますか、臨時的なるがゆえに認められてしかるべきものと思います。ある程度公害についての対策が一般的に定着をいたしましたならば、当然そういう考え方はおかしいのではないかと思っております。
○山中(吾)委員 非常に悩みを含んだ局長の答弁ですが、どうも私は、現在すでに操業しておる産業が公害を発生している、この公害を出すことをきめつければ倒産をする、それでは産業に大きい影響を与えるから、やむを得ないので特別に保護をして、免税その他の措置をとり、補助をして施設をやらす、現在の産業を守るために万やむを得ないというところから来ておると思うのです。しかも現在、経済成長のテンポが早過ぎるために、日本の国民経済が同時に公害発生日本列島になるということで、民族生存の問題まで論議されておるときなのだから、これから新しく公害が発生する産業についてはある程度抑制するのが正しいのだ。これから事業をやるものに公害発生することが明らかな産業に対してあらかじめ免税措置を認めていけば、これは公害産業奨励政策になるのじゃないか、これこそ私は過保護になると思う。現存の公害を発生する産業に対してのみ適用するべきである、この法案の思想から言いまして。日本のこれから公害をなくしていこうと環境庁まで設置をした政府が、恩典を与えて公害産業をさらに奨励するような法案は、私、どうしても納得できない。いま局長のやむを得ないというその答弁は、やはり既存の産業に対してなら私はわかる。新しく発電をするにしても、当然、利益を得る立場において設計を立てて、採算がとれる。そこまで需要が多くなってきたのだ、そこで新しい事業場をつくる、抑制しながら需要に応じて新しい工場が設置されるということでいいじゃないか。何も保護してまでする必要はないじゃないか。どうしてもこれは納得できない。通産省はその立場でどう考えますか。
○高木(文)政府委員 その前に、一言私のほうからお答えいたしますが、その問題は私からお答えするのはちょっとあれかもしれませんが、公害の問題と産業の問題との調整の問題でございまして、いまの問題は、新しく工場をつくる、その工場をつくるものが新しく公害をまき散らしては困るから一定基準までは押える、そういう条件のもとに新しく工場をつくる。そうすると、古い工場であろうと新しい工場であろうと、新しい工場をつくる以上は高い煙突を立てなければならぬ。こうなりますと、古い工場のほうの煙突は特例措置で税制上何らかの優遇措置をとるが、新しい工場のほうは、同じ煙突の規格で、これはだめです、こういうことにするのか、これは初めから承知の上でつくるのではありますが、やはり高い煙突をつくるにはどうしても金がよけいかかりますから、それは何らかの措置をとるというあたりで産業政策と公害防止政策の調整をはかるのか、そこらにあると思うのです。どの辺で産業政策と公害防止政策の調整をはかるのかというあたりのきめ方の問題であると思いますが、私どもはいい悪いは別にしまして、現在の政府の一般的な方針としては、その辺の点に調和を求めているのではないか。もし経費がよけいかかるのであれば、もう発電は起こすなというわけにもまいらぬのではないか。よって、高い煙突を建てなければいかぬのであれば、新設の工場であっても、その煙突については特例を認めざるを得ないのではないかという判断に立っておるわけでございまして、そこらは高いのを覚悟の上でなければつくらさぬというふうにおきめいただけば、私のほうはそれでもいいのですが、そこらあたりは私どもはつくる以上はやはりそちらと同じ基準のものまでは認めるということを言っているのは、いま言ったような趣旨でございます。
○山中(吾)委員 局長の答弁ではどうも承服できないのです。既存の産業だから、現実に公害を出しているから、国が援助をして公害を除去する施設、設備をやらす、これはやむを得ない。しかし、これから新しくつくる、ある人が金もうけをしようとして一つの企業をやるときに、当然国の基準に基づいて設計をするが、それを免税で保護するような形で奨励する必要がどこにあるかというのです。ことに現在のように過剰投資で一つの経済構造にひずみを呼んでおる、そのためにまた公害を生んでおるのじゃないですか。公害産業奨励政策になるようなこの法案ではないのか。既存の産業のみに適用すべきだとするのが正しいのじゃないか。新しくつくるものが事業を開始するときに、国の特例なしに、課税対象になっていることを前提としてその煙突をつくる、そして採算がとれるときに出発させて十分であるのではないか。それ以上までなぜ特例にせねばならぬのかということです。おかしくないですか。これは私のように偏見なく、アマチュア的にこの法案を見たらすぐそういうように感ずる。なぜ、現在の公害を防止するということと、新しい公害産業の発生を押えていくということを同時に、この法案を構成するときに考えないのか。どうもあなたの答弁がぼくにはぴったりこない。
○高木(文)政府委員 私どもは、それはいま山中委員のおっしゃるようなお考えもあり得ると思いますが、それをどう御説明したらいいか、非常にむずかしいのですけれども、現在の段階では、確かに公害を起こさせてはならぬ、公害防止を非常に短期間にどんどん進めなければならぬということではありますけれども、そうかといって、それがために産業を著しく押える結果になってはならぬ。この二つの相矛盾する政策をやっていこうというあたりに、いまの産業政策と公害防止政策が両々並行しながら行なわれているという状態ではないか。 そういう考え方に立たないで、公害を少しでも出すのであれば、それはもう一切新規に仕事をしてはならぬ、それをあえてやろうというのであれば、従来に比べれば相当な経費負担になっても、それはその企業の負担でやりなさいという考え方に立つべきだというあたりに、公害問題と産業問題の調整のポイントを置くべきだということであれば、先生のおっしゃるようなことになると思うのです。そこらは確かに先生から御指摘を受ければ、そういうお考え方も十分成り立つと思うのでありますけれども、私どもはその産業と公害防止の調整点というのを、そこまで産業抑制型で考えてないということを御説明する以外に方法はないかと思います。
○山中(吾)委員 何回聞いてもピントがはずれておるのです。そういう公害産業を一律に抑制するなんて一つもない。特に新しく公害産業を起こすのに国家の恩典を与える必要はないじゃないか、自然でいいじゃないか。しかし、現存をしておる産業は、そこに多くの労働者もおる。そうしていままで産業を続けてきたのであるから、特に公害施設には特別の補助を与えても、できるだけ存続するようにしないと、国民経済に非常に影響を与えるから、公害を抑制することと産業を保護するところの調節、調和は、私の言う考え方なり、私の意見にならなければ一致しない。あなたは反対を言っているのじゃないですか。
○田中(六)政府委員 御承知のように、公害につきましては諸法案ができておりまして、それについての規制が、別途法律がたくさんあるわけでございます。したがって、新しい産業が起こる場合には、その規制を受けるのは当然でございます。したがって、そっちの面の規制は十分とは言えなくても、いろいろな規制でその産業は出発するわけでございまして、他面、私どもの一つの政策といたしましては、国際的に見た場合、他国との競争とかそういう面で弱体な産業を育成しなくちゃいかぬという面から見た場合に、やはりここに公害投資の負担をどの程度カバーするかということは、産業政策上どうしても一つの政府の政策としてあるのは当然だと思います。この二つをいかように勘案し、調整していくかということが、いま委員の御指摘の点だというふうに思いますが、その点は私ども、一方において規制措置があるから、産業が起こる場合はそれに十分規制できますし、他面、弱体な産業は、健全な産業は別でございますが、これがいまから出発して他国との競争に入るというような面も政策としては当然考えなくちゃいけませんので、そういう面の措置は、一本の措置として適用を受けさせるのは、これは当然じゃないかという考えから、そういう二つの両面があるのじゃないかというふうに思います。
○山中(吾)委員 次官の話なら私の意見と同じ政策をとるべきだと思うのですね。公害を防止することと経済の発展、現存のものは特典を与えて、新しいものについては自然にしておくのだ、禁止も抑制も何もしないのだ、恩典も与えないのだ、公害を発生する危険がある産業については。そうして経済成長のテンポもある程度ゆるめなければならぬという経済的要求もあるのだから、この法律の適用は現存の産業に限るとするのが一番皆さんの答弁と合う、そういう結論になるのじゃないですか。政務次官の政治感覚からいっても、あなたの言っていることならば私の意見に賛成だという答弁になると思うのです。これはすなおに検討されてはどうですか。
○船後政府委員 環境庁の立場から、ただいま山中先生の御質問に対して考え方を申し上げたいのでございますが、環境庁といたしましては、環境汚染のコストというものは経済メカニズムに内部化されねばならない。したがいまして、企業の公害防除の経費というものは企業の負担である、これが原則であると考えております。 ただ、経過的な問題といたしましては、何らかの財政援助が必要となる。これはOECDの議論におきましても、世界各国と申しますか、OECDの加盟国の間ではほぼコンセンサスを得た考え方であろうと思います。そこで、財政援助を経過的に考えます場合に、やはり企業の負担能力とその財政援助の程度ということから考えますと、大体一般論といたしましては、直接の補助金を企業に交付する。これはスウェーデンあたりでやっておりますが、こういった場合には、事の緊急性という意味から既存工場のみに限るという考え方が支配的のようでございます。しかし、税制上の特別償却制度の措置ということになりますれば、まあ大体各国とも、既設新設を問わず償却というような経済的インセンティブを企業に与えようという考え方をとっておりますし、それからもっとゆるやかな財政援助、つまり融資というような問題になってきますれば、経過的な措置というよりは、もう少し息の長い措置として考えるというようなことでございまして、原則は原則でございますが、経過的措置としての財政援助をどのように考えていくかということにつきましては、やはり財政援助の程度と、それから公害防止の緊要性という両者からケース・バイ・ケースで判断していくべき問題である、かように考えております。
○山中(吾)委員 私の質問の答弁になっていないのです。全然関係ないのです。公害施設の設備に対する免税制度、そのものに限って論議している、法案の審議ですから。新規の産業にまで適用さすことは不当である。公害産業奨励政策になるから、既存の産業だけに限定すべきである。この特別措置法は基本税制に対して例外法であるから。それを私、主張しておるので、どうも皆さんの答弁は、結論が私に反対なら論理は合わない。これは質問の一番最後に保留しておきます。 その次、この法案の中で、公害の運営費まで一定の積み立てをすることによって免税する制度をとっております。これは私は企業過保護になると思うのですが、どうですか。
○高木(文)政府委員 この運営費でございますが、運営費を免税するとおっしゃいましたけれども、免税するつもりは全くないわけでございます。運営費は当然企業において負担されるべきものでございます。ただ問題は、企業によりまして所得変動が非常に大きいということがございます。その場合に税は期間を区切っております。法人税は一年間ないし半年なりで期間を区切って期間計算をいたすわけであります。そうしますと、その期間期間に所得の多いときと小さいときと出てくるということになってくるわけでございます。ところが、経費のほうは比較的安定的にかかる。景気がよくて売り上げが伸びましても、売り上げがとまりましても、経費は安定的にかかるということでございます。 そこで、公害の防止事業を企業に円滑に実施をさせるということのための措置として、その公害防止経費を比較的好況であるといいますか、売り上げが多いとき、したがって所得が多いであろうと思われるときに不況時のために積んでおくということを認めるわけでありまして、税の優遇としては、その間におけるいわば利子分、税をその期間納めずに済むという意味で、利子分が企業としてはメリットになります。そういうふうにして経費を好況期といいますか、売り上げの多い所得期に置くということは、企業がいわば安んじて公害防止のための投資をして、そして運転費がかかってもそれをまかなっていけるようにすることが、公害防止についての熱意を引っぱり出すのに役立つであろうという考え方からでございます。
○山中(吾)委員 公害防止施設に対して免税措置で保護する、そのあと施設を維持するために、売り上げ高なんかを勘案をしながらまた維持費を守るということのようですが、どうもそれ自体私の感覚では公害産業過保護政策のような感じがするのです。 それは特に私の経験からその実感を持っておるのは、私は岩手ですが、松尾鉱山が倒産をした。倒産をした最大の原因は、石油コンビナートから亜硫酸が出る。これが社会問題になって、そこで石油コンビナートのほうで亜硫酸ガスを防止するために施設をしたことから、脱硫硫黄が副産物としてあらわれてきた。副産物でありますから、幾ら価格を安くしてもこれはその会社については一向差しつかえない。ただでくれてもいいものなんです。国の援助を受けて公害施設を行ない、そこから予想しない硫黄が生まれてきた。幾ら安くてもいいから、安い価格で売り出した。日本の民族資源であるところの自然の硫黄鉱山は、それでほとんど倒産をしておるのである。 そういう企業に対して、その設備を保護するためにまた免税するとかというふうなこと、これは想像もつかない過保護の過保護なんです。むしろその公害施設を行なうことによって副産物が出たことは、会社からいえばたいしたボロもうけになるのであるから、逆にあらゆる特典を取っていいじゃないかということになると思うのです。一般論としてこの法律を見ますと、そういうものを全体に維持費まで免税にするという法律思想になっておる。まことに矛盾を感ずる。それはどういうことになりますか。
○高木(文)政府委員 ただいま例示をあげられました石油産業が脱硫装置によって副産物として硫黄が出てくる場合につきましては、私どもの考え方としては、副産物収入はもちろん計算の中に入れる。計算の中に入れるという意味は、準備金を積みますときには、売り上げの何%というものを準備金の積み立て限度としておりますが、その売り上げの中から副産物収入はもちろん除外をするという考え方をとっております。現実の一つの計算例、脱硫コストと重油の、で見ますと、副産物収入の関係は大体脱硫コスト十に対して硫黄の副産物収入は一ぐらいの割合になっておるようでございます。副産物収入が非常に大きくなりまして脱硫コストを上回る——上回るというところまでいかなくても非常に大きくなれば、またいまの程度ではいけないので、別途何か考えなければいけないかもしれませんが、いまの場合は脱硫コストと副産物収入の割合は十対一強というくらいの割合になっておるようであります。その程度でありますので、現在考えておりますところでは、売り上げの何%まで積んでよろしいというその売り上げを計算するときの売り上げ、それは石油製品の売り上げでございますが、石油製品の売り上げの中には副産物収入はもちろん入れませんが、その程度のものであれば脱硫コストから売り上げ収入を引いたものが準備金の対象となる、経費として見るというふうに考えております。
○山中(吾)委員 どうも私、そういうことはあまり専門でないから説明を聞いてもわからないのだけれども、いずれにしても、そういう公害施設を行なうことによって副産物があらわれてきた、そういう産業まで保護する理由はもうなくなるのでありますから、そういう意味において、この法案が一般論として適用するということを私は考えてみたときに、過保護になる危険が非常にある。だから、実際適用については、その点、日本列島の中に公害産業を奨励するような結果にならないように特に戒心をしてもらいたい。 もう少し深めていきたいと思うのですが、時間がないようですから、また次の研究課題にしておきたいと思います。 次にお聞きしたいのは、この同じ公害で、この間、大石環境庁長官が公害税という発想を新聞に発表した。そうして大蔵省はそれに対して反対の意向を出したという新聞が載っておるのです。これはうそかほんとうか。政治家である環境庁長官の言ったことを、すぐ事務当局が否定するようなことも越権行為だと思うのですが、大蔵大臣が言うなら別ですが、いずれにしてもそういう新聞が出ておる。この点についてひとつ環境庁のほうから、大体どういう事情なのか。これは三月二十四日の朝日新聞でありますけれども、大蔵省でこれに反対する表明をしたのは、その真相はどうなのか、お聞かせください。
○船後政府委員 大石長官が公害税新設云々という発言を外部でいたしておりますが、この点につきましては、実は先般公害対策及び環境保全特別委員会で御質問がございまして、長官は、まだ私個人の考え方であるがということを前提として、全企業を対象にそういうものの新設を考えたいというような、まあばく然とした、構想に至らない程度の考えを持っておるという御答弁がございました。さらに、先般二十四日の第一分科会で、長官の発表しておる公害税というのは、端的に言えば、これはタックスなのか、チャージなのか、ペナルティーなのかというような御質問がございまして、これに対しまして長官は、現在考えておるところでは、これはタックスというよりはむしろチャージというように表現したほうがよかろうと、御質問が英語でございましたので長官も英語で答えておりましたが、チャージすなわち課徴金というように表現したほうがいいのではないか、こういうことがございました。 〔委員長退席、丹羽(久)委員長代理着席〕 したがいまして、こういったものの考え方自体につきましては、環境庁でも事務的にかねてから、この公害防止費用をいかに負担すべきやという一般論といたしまして検討はいたしておりますけれども、報道されておりますような公害税というような観点からの検討はいたしておりません。私どもが現在考えておりますのは、現在わが国では、いわゆる直接規制という方法で環境基準なり排出基準の達成をはかっておるわけでございますけれども、欧米諸国におきましては、この排出規制にかえて課徴金というような方法も実行されておりまして、まあどういう手段が一番効率的であり、公平であるかという観点から、OECDでも現在検討をしておるところでございまして、私ども今後、そういう意味におきましては、課徴金の導入ということはわが国においても十分検討していく必要があろう、かように考えております。 代表的なケースとして考えられますのは、企業が本来個別的に公害防除施設をすべきでありますけれども、これを共同処理したほうがより効果的であるというふうな場合には、強制的に拠出を求めまして、施設に要する費用を義務づけるというふうなことも考えられますし、それから因果関係が非常にはっきりしません被害につきまして、共同的に損害賠償を処理するために拠出を求めるというふうなことも考えられるわけでございます。そういった点を中心に今後検討いたしたいと思います。
○山中(吾)委員 大蔵省、どうですか。
○高木(文)政府委員 環境庁長官が公害税ということをおっしゃっておるのは、私ども新聞を通じて承知をいたしております。しかし、環境庁からもそれから、大臣が先般委員会で答弁をいたしておりますが、環境庁長官からも私どもの大臣へお話しはないようでございます。したがって、公害税というのはいかなる構想のものであるか、内容がわかりませんので、私どもとしては批判ができない、見解を持ち得ないという状態でございます。
○山中(吾)委員 先ほど広瀬委員、それから共産党の委員からも質問があったと思うのですが、この法人税の基本税率ですね、三五%に対して暫定税率が一・七五%、二カ年延長してそのまま行くが、そのあとはどういう方針だということでやりとりがあった。政府のほうではなかなか明確な答弁をされなかった。それを聞いておったわけですが、そのときに私は、大石長官が政治感覚として言ったこの公害税というものがどうしても私の頭に浮かんでくるわけです。大体国際比較を見ると、法人税の基本税率は日本が非常に低い、そうしてそういうことも勘案をして、不況であるにかかわらずということが立法精神に書いてあるが、その暫定税率を温存をしていくというのがこの法案である。そういうことを考えたときに、企業のほうからはこれを基本税率に入れるときにはある程度抵抗があるでしょう。それは経済合理主義からの要求ですから、それが資本主義であるので抵抗があると思う。そういうときに、同時に産業全体の責任として、国民の生存の条件に影響する公害が発生をして、経済界の代表である経団連等においても、これは産業全体の責任において防止すべきである、考えなければならぬという意見、声明も出しておる。そうしますと、私は、この一・七五の暫定税率を基本税率に組み入れるときに、そういういろいろの世論を背景にして一・七五%をいわゆる公害防止に用いるというふうにはっきり、それは目的税あるいは政治的了解でもいいが、企業の共同責任という立場で、公害防止をするという社会的責任もこういう機会にやはり確立をすることも含んで、いわゆる目的税的な意図でこの分を用いる、基本税率に組み入れるときにこういった構想を出して解決をしてはどうかということを非常に痛感をしたわけなんです。 〔丹羽(久)委員長代理退席、委員長着席〕 これは政治的な感覚も入っているものですから、それで政務次官及び局長から、こういういろいろと要求の対立矛盾した中で解決をする一つの考え方として私がいま考えておるわけなんで、御意見をお聞きしておきたい。
○高木(文)政府委員 法人税の加重税率の一・七五%の問題につきましては、先ほども他の委員の御質問にお答えいたしましたように、私どもとしては今後の推移を見なければわかりませんけれども、できればなるべく基本税率のほうに組み入れてまいりたいというふうに、先々の問題でございますが、そういう願望といいますか希望といいますか、願いを持っております。その場合に一つの案として、いま御指摘のように一・七五%分を一種の目的税みたいにしてはどうかというお話でございますが、この点はちょっと私、疑問に思いますのは、法人税はすべての企業にかかりますし、公害をつくり出す企業というのはかなり限定されますので、全く公害に関係のない企業もたくさんあります。いまの法人税はすべての企業に一律にかかっていくわけでありますから、公害をつくり出さない企業のほうから非常に異論の出る危険があるのではないかという感じがいたしますので、もし公害税というようなものを何か考えるといたしましても、やはり何か公害の——ここから先が非常にむずかしいわけですが、公害をつくり出すといったらおかしいですが、公害をまき散らす量というか、そういうものと関連がないといけないので、およそ法人税を納める場合に、すべての法人がある割合を目的税的に公害防止上出すという行き方はなかなかむずかしいのではないか、論理の立て方もむずかしいし、公害を出さない企業の納得を求めることは非常にむずかしいのではないかという感じをちょっと持つ次第でございます。
○田中(六)政府委員 第一点につきましては、局長がいま答弁いたしましたように、できるだけ基本税率に付加税率を加えていく基本方針は、私もそうだというふうに思います。 それから、公害税でございますが、考え方としては、将来やはりそういうものを設けなくちゃいかぬのじゃないかというふうに私も考えております。
○山中(吾)委員 この機会に私の見解を申し上げておきたいと思うのですが、個々の産業、企業が公害を発生するしないにかかわらず、企業の社会的責任というものを強調する時期にもう来ておると思うのです。一つの公害から発生する製品を取り扱う商業企業もあるだろうし、産業全体はやはり関連性があるので、産業の連帯責任というものを強調すべき段階である。そして公害問題というのは一般の国民からは一つの熾烈な要求があり、そして基本税率に入れるという一つのたてまえのときに、ただ入れるということよりも、やはり組織を持っておる産業界に対してこれを訴えれば、日本の経営者の国に対する社会的責任もこのごろ高揚してきておるのですから——私たちも企業を否定するのでなく、企業の社会化、社会的責任を要求するのがわれわれ社会党の立場でもあるし、これは試みとしてそういう努力の方向をやはりお考えになってはどうか。少なくともそういうことも含んで二年後に基本税率に加えていくという方向は一つの手段として有効な手段であると私は思うのです。もう一度政務次官に……。
○高木(文)政府委員 その点はまさにおっしゃるとおりでございまして、実は昨年八月に出されました税制調査会の長期答申にこのようなくだりがございます。法人税のところに「法人税の負担水準のあり方については、今後における財政支出のうちには、公害防止や社会資本の充実など企業活動に密接に関連するものの増大が見込まれる点からみても企業に対し応分の負担を求めるのはやむをえないこと、」云々ということで、いままさに先生が御指摘になったような趣旨も含めて、法人税の負担は若干上がってもいいのではないかということが、税制調査会の中でかなりこまかい、いろいろ議論しました際に、そういう議論が出ております。ただ、私が申しましたのは、そのうちのある部分だけ、たとえば一・七五の部分というものを切り離して、何かそれを目的税的にというのはいかがかということを申し上げたわけでございまして、企業に、社会的責任といいますか、当然、そういう企業活動のはね返りとしての財政支出がふえるから、それはもっと持ちなさいという思想があってもいいという点で全く賛成でございます。
○山中(吾)委員 その方向の努力を切望いたしておきます。 次に、住宅の関係ですが、住宅の関係は、これもこの関係からいって企業には非常に保護が厚くて、住宅の困窮しておる個人に対しては非常に薄いという感じが痛烈にするのです。この法案における住宅に対する特別措置で、ちょっと一べついたしますと、住宅の標準取得価格ですね、この法案の免税の算出基礎になる住宅を取得する場合の標準価格が非常に低い、現実に合わないほど低いじゃないかということが一つ。 それから、免税対象にしておる住宅についても、百二十平米ですか、こういう限定もずいぶんけちくさい。むしろ、最近、おみおつけのさめないところに老人の離れを建ててやることが日本人の精神構造から一番ぴったりするのであり、老人の孤独感をなくするのにもこれが理想だということがいわれておるのでありますが、家を建てるときに老人のための離れを建てる、そういうものを含んで免税を考えてやるくらいの血の通った考慮があってしかるべきだ。そういう点において非常にけちくさいので、少し説明してください。
○高木(文)政府委員 持ち家を持ちました場合の、取得した場合の税額控除制度は、従来のもろもろの住宅に関する税制から見ますと、かなり画期的なものでございます。ただ、その場合に、私どもとしていわば非常に慎重といいますか、やや憶病になります点は、住宅政策といいますか、新しい住宅をどんどん建てる、特に最近のように比較的中小所得階層まで家を建てるということになることは望ましいことだと思います。それは奨励すべきことだと思います。ただ反面において、さらにそれよりも所得階層からいって下の階層に対する税制とのバランスがいかにあるべきかということが非常に問題だと思います。この制度については、いままで政府施策住宅のようなものについては補助金であるとか融資であるとか、いろいろな形があったが、個人の持ち家政策については、政府のいわば施策が欠如しておった、それをこういう制度をやることは非常にけっこうなことだという角度からのいわばおほめのことばをいただく場合と、まだとても家を建てられない所得階層がたくさんあるのに、住宅を自分で、借金をしてにもせよ、建てられる人に対して税制上特別措置をとるのはいかがなものであろうかという御批判が、両方から出てくるわけでございます。そこで、どうしても必要最小限度といいますか、最低限といいますか、最小限度の家を建てた場合に限定をせざるを得ない。かなりの所得の方が、また現に所得はそれほどなくてもかなりの金額の借り入れをして家を建てられるという場合に、その租税特別措置法上の優遇措置をするということはいかがかという基本的な考え方があるわけでございます。 そこで、百二十平米と申しますのは、実は現在の住宅金融公庫が融資をいたします場合の融資の条件に、百二十平米までの家を建てる場合に住宅金融公庫から低利のお金を貸しますということになっております。それから、在来からございました住宅貯蓄というものについても税額控除の制度がございます。この場合にも、住宅貯蓄をした金を頭金にして家を建てる場合の奨励措置をしておりますが、その場合の条件も、従来は百平米でありましたけれども、今回百二十平米ということにしております。これもいずれにしても住宅金融公庫の融資条件と合わしているわけでございます。住宅金融公庫の融資の条件として百二十平米というものがきまっておりますのは、まあいわば庶民住宅的な感覚であろうかと思います。そこで、その程度のもの以上のものについては税制上特別措置をするのはいかがかということであるわけでございます。 それから、標準価格の問題につきましては、これは一つの税法上の技術のようなものでございまして、標準価格の一%、これを税額控除するということになっておるわけでございますが、これは大体いまのところ坪当たり十万円ぐらいのことを考えておりますけれども、それはどういうものの考え方かといいますと、現在木造で家を建てます場合には、十五万から二十万ぐらいが常識的なところかと思いますけれども、いろいろな調査によりますと、大体いま新たにサラリーマンが家を建てます場合、三分の一ぐらいがいわゆる頭金となりまして、それは自分で調達するなりあるいはいままでに貯蓄をしておくなりしておきまして、三分の二ぐらいを新たに借り入れをして家を建てるというのが通常のようでございます。その借り入れをして建てた部分の元利の償還負担が非常に負担になるということでございますので、その借り入れ負担というものを一つ頭に置きましてこの制度を考えました関係もありまして、建設価格でなしに、建設価格の半分ないし三分の二ぐらいということを頭に置いて十万円、それの一%相当というようなことを頭に置いたわけでございます。
○山中(吾)委員 局長の答弁に二つの事項があるのですが、あとのほうですね。二百万という建設費、それは百二十平米ですから四十坪です。これは坪五万円に計算しなければ二百万にならないでしょう。あなたは十万とかなんとか、四百万ぐらいになるような話をしておったが、この辺が非常に低過ぎると思うので、あなたの説明自身も間違いがある。計算に合わない。坪五万円と見ているのか。坪五万円にして四十坪で二百万になる。だから、これは非常にけちくさいじゃないかと言うんだ。あとで訂正するならしてください。 その前の、家を建てる者は、建てられない者よりは豊かだから、そこであまり特典を与えると比較に合わないのでという理屈なんですが、この間東京都の国民生活センターの調査によると、五千何人の対象で調査したものですが、家がなくて困っているというのが四〇%、これはきのうの新聞に出ておりました。そしてその中でも、何とか家を建てたい、公団に入る可能性があるという者を除いて、どうにもならないというのが一八%、約二割くらいある。それは金も何もないからだと思うのですが、そういう人との比較でこういうけちくさい特典を考えているのだということなんです。 そうでなくて、どうにもならない、家を建てることもできない借家住まいの者に、その借り賃は課税しているでしょう。その課税をとってやればいいじゃないですか。何ぼけちくさくとも家を建てられる程度の者に免税をしているのを、より低額所得者の場合とバランスがとれないからという理屈を正しいとすれば、借金で月一万、二万と高額な家賃を出している人の課税をとってやる、免税にしてやるという論理でなければ、一方に課税をしておって、そしてその関係からいって、片一方をけちくさくしてバランスをとったという論理は逆にならないですか。そういうどうにもならない借家住まいの人、五人家族で一部屋か二部屋に入っているというような人から考えて、一方けちくさい住宅免税をやるというのでなくて、持ち家を持つ可能性のない者に対してなぜ免税制度を考えるという方向に法案を立てるときにお考えにならないのか。逆になっているのではないかということを言うのです。 前の算出の基礎の間違いと、両方もう一度答弁してください。
○高木(文)政府委員 算出の基礎を申し上げます。 この税額控除の対象となる家屋は、一つの条件は、百二十平米以下のものに限りますという条件が、一つございます。ただ、総額控除は、一方において税額で二万円までというもう一つ別の制限を置いております。二万円というのはどういう考え方をとったかと申しますと、大体一方の制限は百二十平米までの家ならばよろしいわけですけれども、しかし、その中で三十六坪くらいの家もありましょうし、二十五坪の家も二十坪の家もありましょうから、そのどのような家をお建てになるにいたしましても、大体——またけちくさいことになるわけですが、二十坪分については免税対象にする、十万円掛ける二十坪の二百万円、それの一%相当額という考え方でございます。ですから、いよいよ御指摘のようにけちくさいことになるわけでございますけれども、百二十平米全体を免税にするという考え方でなくて、百二十平米の家であれば——あまり大きい家は初めからいけません。たとえば百坪の家を建てられても、そのうちの何坪まではいいという考え方ではなくて、その家そのものが百二十平米以下の家でなければいけませんという条件が一つついているわけですが、対象になるのは、これは私どもの頭の中でのことでございますが、坪標準建設費を大体十万と置きまして二十坪で二百万、それの一%で二万円まで、こういう考え方でございます。 それから第二の住宅の税額控除とは別に、家を借りている人、家賃を払っている人について何か特別な税制を考えてはどうか、それを十分とった上で、住宅のこの税額控除についてはそんなけちなことを考えないでもう少しおおらかに考えたらどうか、こういう御質問でございますが、第一の点につきましては、これは実は所得税のものの考え方のかなり基本的な問題で、御批判を仰ぎたいと思うのですが、現在は所得税は、衣食住についてはあくまで本人については基礎控除、それから奥さんについては配偶者控除、子供さんについては扶養控除で見てもらう、そういう制度があるので、衣食住についてはそこで見てもらうという考え方をとっております。 たとえば、最近非常にそれでは不十分だから特別に控除を見てはどうかというお話がある中で、教育費控除というのを見てはどうか、あるいは乳飲み子をかかえている場合の何か保育控除みたいなものを考えてはどうかというような、まだほかにもいろいろあります。たとえば非常に雪が降ります地帯について積寒地帯特別控除、屋根の雪おろしをしなければならないからということで、積寒地帯特別控除というようなものを見てはどうか。また各種各般のいろいろの諸控除の御提案があるわけであります。 しかし、その中のかなり大ぜいの方からのお話であり、また最も有力な御意見の一つとして、家賃控除を見てはどうかという御議論があるわけであります。その場合の家賃控除の御主張には、いろいろな御主張がありますが、特に都市、大都市において異常家賃が発生しておる。平均的な家賃までは、これは基礎控除なり配偶者控除なり扶養控除なりで見ておるといってもいいかもしれないけれども、異常家賃が発生している場合の異常部分については、何か見てもいいではないかという御主張があるわけです。似たり寄ったりのことは教育費控除なんかの場合も、教育費が国立大学の場合と私立大学の場合の授業料が違うとかいろんなことで、異常教育費とかそういうことがいろいろあるわけであります。 そういう異常経費部分を抜き出していろいろ諸控除制度をつくるということになりますと、これはかなり制度として煩項なものになるであろうということで、私どもとしては、及ばずながら少しずつでも基礎控除なり配偶者控除なり扶養控除なりをだんだん毎年控除額をふやしていきまして、その基礎額のほうをふやしていくことを一生懸命やるべきであって、もろもろの諸控除制度をつくるのはいかがなものか、こういう考え方があるわけでございます。 そこで、家賃控除についても、実はわからないではないのですけれども、そういうもろもろの控除の御要求との関連上、非常に消極的なわけでございます。それで、それが消極的であることとも関連して、まさに先生御指摘のように、多少新しい家を建てることについて憶病になったのかもしれない、けちなものになったのかもしれないということはあると思います。しかし、それは住宅控除、家賃控除との関連がなくても、やはり住宅を建てるということがいかに重要な施策であるとしても、そしてそれが今日の国民が家を建てたいという要望にこたえることであるといたしましても、やはり家を——所得税には非常に特別措置が少ないものでございますから、そこで、住宅についてそういう特別措置をとるにつきましては、やはり一定の限度を置きませんと、あまり大規模なものまでそれを広げることは、現在の所得税の体系といいますか、実態からいいますと、あまり大きなデラックスな家までそれを認めることはどうかなということで、先ほどは若干住宅控除、家賃控除との関連から御説明いたしましたけれども、所得税全体の立場からいいましても、あまりぜいたくといっては語弊がありますが、ごく必要最小限度のものだけにとどめないと、どうもやはりいろいろまた御批判を受けることになるのではないかというふうに考えるわけでございます。
○山中(吾)委員 二十坪の場合は、十万掛ける二十坪という、その算出の基礎は初めて聞いたわけですが、私はせめて老人が住める一部屋まで含んで考えてやるというぐらいのことは、これはけちな控除でももうそれくらいの配慮があっていいと思うのだが、事実二十坪じゃ入るかね。局長は何坪の家におるのかな。
○高木(文)政府委員 実は二十坪という数字を頭に置きました一つの根拠でございますが、これは御説明になるかどうかわかりませんが、四十四年中に持ち家として住宅で着工いたしました着工届けを拾ってみましたところ、全体を一〇〇としまして、百平米以上のものが二九%でございます。それから百平米以下のものがしたがって七一%でございます。その百平米以下のものの平均が大体二十一坪くらいになっております。これはどういう家かと申しますと、これは建設省の調べでございますのでそう詳しいことはわかりませんのですが、いわゆる新築持ち家住宅の規模として建設省のほうで調べていただいた数字でございます。そこで、最近のいわゆる持ち家なるものの一般平均的なものがそのくらいの面積ではなかろうかという判断に立っているわけでございます。
○山中(吾)委員 それ以上言いませんが、せめて、孤独感を特に日本の老人が持つ性格があるから、みそ汁のさめないところで老人が一部屋持てるに足る坪数は検討してもらいたい。 それから、基礎控除の中に衣食住も入っておるというが、現在の基礎控除の中に住宅は一体どのくらい入っておると見ておるのですか。どのくらい占めておると思うのか。
○高木(文)政府委員 この基礎控除は、全部の基礎控除なり配偶者控除なり扶養控除なりは即生計費とつながらないわけでございますが、別途総理府のほうで調査をしておられます勤労者世帯の生計費調査、いわゆる家計費調査によりますと、大体住居費は、全国全世帯で持ち家の場合に、消費支出金額のちょうど一割くらいになっております。民営借家の場合にはこれが一五%ぐらい、それから公営借家の場合に消費支出金額の大体一割くらいになっております。ですから、しいて申しますれば、基礎控除……
○山中(吾)委員 基礎控除は平均収入の大体何%……。
○高木(文)政府委員 基礎控除と住居費の関係をどういうふうに御説明したらいいか、ちょっとすぐにうまく御説明がつきませんが、昭和四十五年の家計費調査で、全国全世帯で持ち家に入っている方の消費支出金額が百四万五千円になっております。これは家族の数が四・一四人になっております。勤労者でございますから、われわれの税のほうでいいますといわゆる給与所得控除の適用がある人になりますので、年がちょっと違いますが、四十七年、今年度の税のほうで申しますと、この百四万という方はちょうど課税最低限すれすれのところへ来るわけです。ことしの課税最低限が百三万七千円になりまして、この方々は基礎控除が二十万円、配遇者控除が二十万円、それから四人ですから、扶養控除が二人ですから二十八万円、給与所得控除が約三十万ほどになります。給与所得控除は概念としては必要経費でございますから、住居費とは関係ございませんので、ちょっと住居費と基礎控除と生計費の関係をうまくこの場で即座に御説明できませんけれども、そういう関係でございます。
○山中(吾)委員 いずれにしても、持ち家の人も持ち家でない人も基礎控除は同じですから、持ち家の場合については特典が与えられて、一番困る借家の人は何もないということだけが明確になっていると思うので、したがってその点からいいますと、基磯控除の性格からという、局長がいろいろの理論を述べておられるけれども、現実から遊離した理論なんというものは、私は政治からいったら何もならないと思うのです。だから、持ち家にこれだけ特典を与えるなら、なあ困る借家住まいの者にはくふうをして何かをしなければ、この法案についての私の評価は落第点になってしまう。これももっといろいろ苦心をして、いままでの理論の延長線でなくて新しい角度から、いわゆる水平思考をして考えられるべき問題ではないかということを特に、論議をするなら幾らでもすることがあるのですが、問題を提起だけしておきたいと思います。 それから、一応予定したものだけはぜひやらしていただきたいと思うのですが、最後にこの法案で私に残るのは、国際比較からしてそう税率は高くはない、むしろヨーロッパ水準からいえば低いともいえる、にもかかわらず、どうしてこういう重圧感を日本の国民が感ずるかということを解明をしないと、この法案の評価がなかなかできがたい。この法案に出ない隠れたる税との関係から不公平感がはなはだしい。重圧感を来たしておる。したがって、そのことがわれわれが提案されたこの法案に賛成することができないということになると思うので、ぜひこれは解明を政府からしてもらいたいのであります。 その前に、文化庁来ておられましたね——これは一番最後にしますから、文化庁に先に順序で聞かなければならぬ。この法案の中で、文化財を国に譲渡した場合には免税にするという新しい内容が出てきた。私は一つの進歩だと思うのです。民族の遺産としてあるものを個人が所有しておって所有権を制限をされて、それを保存の義務がある。国はそれに対して特別の援助をしていない。個人に負担をさせておるのでいろいろ批判がある。保存をするために国にこれを譲渡したときまで課税をしないで、できるだけ個人の保存から公の力で保存するように奨励することが正しいという意味において賛意を表するのですが、ただ疑問になるのは、局長にも聞きますが、国に譲渡しただけを免税にしている。なぜ地方公共団体とか公の財団法人に譲渡したときに免税にしないのか。同じ自分の所有権を放していくのですから、そして文化財を他に譲ることによってもっと有利な保存状態に持っていくという税の立法精神でしょうから、国に譲渡したときだけ免税にして、公共団体、財団法人のときに免税にしないという理屈がわからない。そこで、局長と文化庁の御意見を聞いておきたいと思う。
○高木(文)政府委員 最初に申し上げておきたいのは、特別措置によります税制上のいろいろな措置がございますが、この文化財の措置は非課税でございます。いろいろ措置はございますけれども、たとえば償却制度であるとか、あるいは一定額の税額控除であるとか、所得控除であるとか、いろいろな税制上の優遇措置がございますけれども、この非課税というのはあらゆる優遇措置の中の最も最大の優遇措置、ある意味からいうと最大の不公平措置になるわけでございます。これはいわば文化財でございますから、お値段のないようなものでございますので、そこで幾らで取引されましても、それが百万であろうと二百万であろうと五百万であろうと一千万円であろうと、その額のいかんにかかわらず全く非課税にしようという考え方でございます。その意味では特例措置中の特例措置でございますから、従来から非常に強い御要望があったのでございますが、そういうことがあったものですから今日までなかなか実現しなかったのでございます。 今回それをいたしますについては、そのかわり、ひとつ文化庁のほうにもいろいろお立場がございましょうが、お願いをして、非常に制限的にのみしていただきたい。ほんとうに大事な文化財というのはたくさんあろうと思いますし、国民的財産として子孫に伝えておかなければならないもの、あるいは海外に流出してはならぬものというのは、言ってみればいろいろあろうと思いますけれども、そう言っては切りがないので、そこでごく制限してスタートするということにしてもらいたい。現状は、御存じのように国の予算で、文部省の予算で、毎年ごくわずかの予算でございますが、一番大事なものだけはどうしても国外に逃げないようにというような意味もあって買い上げをやっております。そのどれを買うかということについては、予算の少ないせいもあって、きわめて大ぜいの専門家のお集まりで慎重審議の上でおきめ願っておりますので、そこだけに限定しておけば、かりにかなりの額のものを非課税にしてしまってもまあまあ世間的に批判もなかろうと思います。 ところが、地方公共団体なりもろもろの団体で文化財保存をするために買い上げるというものを広げていくとしますと、その量というものはどのくらいになっていくかわからないものでございますから、文化財もなるほど大事であるけれどもこういうものもまた大事だから非課税にしたらどうだというような議論がまただんだん広がってくるかもしれない。しかし、非課税というのは、冒頭に申しましたように、あくまで特例でありますので、今回特例を新たに設けますについては、ぜひひとつしぼって制限的に願いたい。これは予算で額もきまっておりますから、そう広がることもないということで、ここに限定をするということで、文化庁は必ずしも最初からそれでいいとおっしゃったわけではなくて、でき得ればもう少し広げてほしいなという話はあったのですけれども、まあ、どうも初めてだからこの辺でということで、がまんをしてもらったというのが実態でございます。
○安達政府委員 文化財、重要文化財は、お話しのように、貴重な文化的遺産でございますから、これは単に個人が私蔵するのではなくて、やはり大切に保存すると同時に、一般の国民の方々に見ていただく、活用していただくという趣旨からいたしまして、そういうものを公有化していく、あるいは一般の人にも見ていただけるようにするというようなことは、われわれとしては大いに促進しなければならないことだと思っておるわけでございます。そこで、この点を税制の面からどうするかということで、大蔵省にも従来からお願いをいたしておったわけでございますが、ただいま高木局長からお話のあった点と、もう一つは、文化財保護法の四十六条に国に対する売り渡しの申し出という制度がございまして、Aという人がBという人に文化財を売り渡そうとするときに、「重要文化財を有償で譲り渡そうとする」ときには、文化庁にその予定価格を書いて届け出をする、そして三十日以内に文化庁のほうでこれを買うと言った場合には、文化庁はその値段で買うことができる、いわゆる先買い権の規定があるわけでございます。そういうような趣旨からいたしまして、国が買って、そして博物館等でこれを一般に見せるというようなことが法律的にも保障されておるというような趣旨からいたしまして、われわれとしても、希望としては先生のおっしゃるようなことでございますけれども、税の問題として考え、第一段の措置としては、国に対する譲渡をした場合の非課税措置をしていただくということは大きな前進ではないだろうか、こういうように考えた次第でございます。
○山中(吾)委員 国立博物館でも県立博物館でも市町村立博物館でも、私はその点は差別すべきでないと思うので、局長はどこまで広がるかわからないと言うのですが、国宝と認定したもの、重要文化財と認定したものはきまっているのですから、広がることはないですよ。ただ国が買い上げるものだけ、非常にこれもけちくさいというか、どうも考え方が文化財保護という立場で、国が買い上げたときだけが免税ということには何か古い国家観がつきまとっているような感じがするので、どうしてこういう制限をしたのか、その点がどうも論理的でないし、文化庁もそれでいいというなら文化庁もちょっとおかしいし、局長のほうでも査定をするときには、まだ文化財の保護というものについて十分理解しないなまのままでこの法案ができたのじゃないかと思う。もしこれをいま修正しなさいとか言うと、また委員長も心配するだろうから、それはできないのですが、これはどうも論理的にすっきりしないのですね。どこまでも広がるということはないのですよ。国で国宝、文化財ときまっているのですから、少しも拡大しない。そして文化財に対して熱心な知事がおって、県立博物館をつくる、そこへというときに、これは課税だ、国立ならいい、これは理屈が立たないのじゃないですかね。どうでしょう。
○高木(文)政府委員 若干これは個人的なことになって恐縮でございますが、二十年ほど前に文化財保護法ができますときに、おなくなりになりました山本有三先生と私、若いころいろいろ議論したことがございまして、実はこの問題は当時からの問題であったわけでございます。それで、主税局としては実は長年非課税というところでひっかかりがありまして、二十年間実現しなかった経緯がございます。そこにやはり、たとえば土地をいろいろな公共目的のために収用するというような場合にも、これは国たると何たるとを問わず公共目的のために収用するという場合でも、たとえば千二百万円というような限度を置いておるわけでございます。これは国宝、文化財でございますから、どういうことになるかわかりませんが、場合によりましたら何千万というかなり大きな金額になってくることもあろうかと思います。そこでまたそういう何千万という金額のものでございますから、実はどういう方がお持ちになっているか、どういう方がお売りになるか、それは必ずしもいわゆる低所得層ということとはつながらない場合もかなりあり得るわけでございます。しかし、この制度そのものは文化財保護法のたてまえなり文化庁のたてまえからいきますと、どこかで頭を打たれて、千二百万控除とか何千万控除とかいうことでは意味がないので、どうも非課税にしなければいかぬというところにいままでむずかしい点があったわけでございます。 決して国だからいいとか地方だからだめということではなかったのでございますけれども、どうしても何とかこの際解決いたしたいということもあり、まあ非課税にしよう、まず一番、先ほど文化庁次長のほうから御説明のありました文化財保護法による先買い権と申しますか、買い取り請求との関連のところから出発していこうというところに着目してしぼったわけでございます。当然、、こういう税制の規定というものは、片一方においてこうやっておりますと、ぜひこれを拡充しろという御意見も出るわけでございます。これはたいへんいい制度だということでほめていただくということもあるわけでございますけれども、一面これを非課税にするならこれとよく似たこういうものも非課税にしろという御意見もまた一方で出てくるわけでございますので、もうしばらく状況を見さしていただきたいというのがいまの私の心境でございます。
○山中(吾)委員 そういうのは論理にならざる論理というのです。局長の答弁の中にも、国だから県だからというわけではないがと言っておるので、国だけに持ってきた——いままでからいえば一つの進歩だと思うのだが、どうも進歩のしかたがまことにどこか偏見がある。だから、対象にするものについては、一級の文化財とか何とかいうようなことは、これは文化庁にちゃんとあるのですから、ここまで、これ以下のそうたいしたものでない文化財は対象にしない。その制限は幾らでもできると思う。ただ奈良とかあるいはまた非常に文化財の多い地域の自治体の首長というのは、やはり何とか散逸しないためにという非常に熱心な知事さんが中にたくさんあると思う。そういう人々に対して、国が買い上げたときだけはという法律は、私たちはどうもそういう人たちの立場からいっても賛成できない、矛盾があるということを私は強調しておるわけです。 そこで、そういうことも含んで、文化財についてこの機会にやはり理解を深めてもらいたいと思うのだが、相続の場合においても、文化財を持つておる人であらゆる保存の責任を持ちながら譲っていく場合についても、私は特典をむしろ与えていいとさえ思っておるのですよ。金のある人なら、一つの財産の保存方法として文化財を持っておる人がたくさんある。けっこうなことだと私は思う。財産の保存に民族の文化財を保存することによって保存するというのは、むしろ抑制するのでなくて奨励していい。その辺の土地を独占をし、て、そして投機的に巨利をおさめるというような悪い精神の人からいったら、うんと奨励していいのじゃないか。ところがどうも皆さんの潜在意識の中に、お金のある人が文化財を持っているのだからそういうことは特にせぬでもいいという偏見が、こういう一つの法案をつくるときに矛盾のままに出てくるのではないか。それを私が強調するわけです。局長、私の言うことに思い当たることがありますか。これはやはり、一たん法律ができても、またこれを改正することも法律の進歩ですから、そういうことも含んで検討してください。新規の一つの規定としてここに顔が出てきたことは、私は進歩だと思うのです。それは評価いたします。しかし、顔の出し方について非常に矛盾があるということを強調しておきたいと思うのです。 最後に、私がどうして重圧感を感ずるのだろうかということの疑問は、ここにいわゆるお医者さんの必要経費、それから交際費というものが出てくるわけですが、医者の必要経費について、私がこの間読売新聞の記事を見たときにはっと思ったのは、七二%まで免税にしておるということは、特に人間の命を守る職業であるから重視をすべきだという思想を裏づけるいい意味の政策としてプラスになっているかと思っておったのですが、逆に税を軽視をして脱税思想を奨励している政策になっているということを実は思い出したわけです。 これについて厚生省からも御意見を聞きたいと思うのですが、三月二十二日の読売の読者の声欄に相当するものだと思いますが、これによりますと、ここに訴えておる人は「昨年は、私と娘がかわるがわる五つの病院にかかり、出費も相当なものでした。そこで医療費控除を申告しようと思い、各病院に領収書の発行を頼んだところ、出せないと断わられた」「お金を支払った人に領収書を書いて渡すのは、受け取った人の当然の義務だと思います。医者の脱税などのニュースを聞くたびに腹が立ってしようがありません。」という訴えなんです。これに対して、所得税法七十三条に定められた納税者の当然の権利として、医療控除を申請するときに必要な証拠書類を要求したのに対して、病院のほうへ電話をかけて領収書の発行を頼んだところ、税金の申告のための領収書は一切書きませんという返事である。あるいはその次の病院は、領収書は原則として発行しないと病院に張り紙を張ってある。そこで厚生省の医務局のほうに問い合わせたならば、断わる根拠はないはずだ、金を支払った人に領収書を書くというのは何事によらず常識でしょうと言うだけで、しかたないというような返事であった。ところが一方に、国税庁が先月発表した四十六年の脱税業種二十位までの中に、第一位は病院で、それから外科医、整形外科医、産婦人科医がずらっと顔を並べている。 こういう全体の中で、われわれが公平の原則から非常に逸脱しておるというので、サラリーマンの重圧感を感ずる税とよく比較をして交際費と医師の診療費の免税とが出てくるわけでありますが、こういうことの中に——大体課税される場合に五〇%以下くらいでしたら、国家がその業種に対して重視をしておるというような感覚で、その税だけは必ず払わなきゃならぬというようなむしろ責任感を呼び起こすことになるが、七十何%になると、逆に税軽視、脱税思想を奨励することになるのじゃないかという感じが私はしたのです。 そういうことで、ここに私は非常に疑問に思うので、結論としてお聞きしたいことは、厚生省はこういう病院に対する監督行政庁の立場から、こういう問題に対してどうお考えになるのかということが一つ。 それから、大蔵省に対しては、この法律には出ていないけれども、税制調査会の報告その他によれば、何回か勧告しておるけれども実現をしないというふうにこの参考資料にも出ております。法律はまだ芽が出ていないけれども、「当調査会としても、昭和三十一年以来実に八回にわたり、その是正につき答申を提出しているところであるが、その後なんらの改善措置も講じられてきていない実情」だ、そして収入の七二%とされているけれども実際の経費率は五一%程度といわれているという、一つの提案もして要望しておる。しかしこの法案にはなかなか顔を出さない。いろいろの政治勢力もあるでしょうし、またその他説明すればいろいろの理由もあるのでしょう。しかし、公平の原則からいってあまりにも逸脱をしておるということと、それから一般国民の国際比較において低い税率である日本の国が非常に重圧感を与えておることの理由になっておることと、逆に医師自身が病院経営その他に対して税を払わないのがあたりまえだという考えで、領収書も出さないと病院に張り紙をするような思想にまで至っておる、脱税思想普及政策にまでなっておるということになれば、私は事は違ってくると思うのです。単なる税制問題ではない、やはり国民の精神形成の問題にまでなってきておると思うので、事は重大だと感じた。 そういう意味において、厚生省のこれについての意見と、大蔵省のほんとうの腹をひとつ話してもらって、将来の展望を私はここで知りたいと思うのです。
○松浦説明員 ただいま先生御指摘の医療機関において領収書を書かない、こういう問題でございますが、この新聞にもございますように、確かに領収書を書くか書かないかということは、医療機関の常識といいますかモラルの問題であろうかと思います。確かに御指摘のように、医療機関が税金の控除のために患者さんが領収書がほしいと言われた場合には、当然これは常識として書くべきものであるというように私ども考えるわけでございます。この新聞にも出ておりますように、あるいは御指摘のような事実でございますので、私どもといたしましては病院団体あるいは医療関係者の団体というところと十分お話し合いいたしまして、今後そういうことがないようにということで進めていきたいと考えております。
○高木(文)政府委員 税制調査会から何回も御答申をいただいておりますのに、今日までじんぜん日を送る結果になったことは、私どもの力の至らざるところでありまして、非常に申しわけないと思っております。 なぜそうなっているかということでありますけれども、こうなりましたについては、単に税の問題だけじゃなくて、いろいろ医療費制度全体にからむ問題があって、やはりなかなか解決困難であるということによるものと思いますけれども、しかしいまお話がございましたように、どうにもたいへん、何といいますか、不公平感、重税感という問題で、単にお医者さんの課税の問題ということだけにとどまらず、全般的な納税思想の問題に著しく好ましくない結果を招来しておりますので、何とか一日も早く解決の道を見出さねばならぬと思っております。 そこで、具体的には今回の四十七年度税制改正に関する税制調査会の答申では、税制調査会自身が一種の特別調査会のようなものを設けまして、そこでいろいろ専門家の御意見をみずから聴取をするというようなことを通じて、具体案を立てたいということをいっておるわけでございまして、四十八年度の税制改正に向けて、間もなく国会の御審議、四十七年度税制についての御審議が一段落いたしましたならば、いろいろな問題を私どももいわば宿題を次々にやらなければならないのでございますので、その時期が参りましたならば、結局税制調査会のお手伝いは私どもがいたさなければなりませんものですから、いま税制調査会からは早くやりたいというお申し出が、実はその後も非公式には出ておるわけでございますけれども、こちらの事務の都合もありまして、ちょっといま待っていただいている事情でございますが、国会の審議等も一段落になりましたならば、さっそくこの答申に基づいて税制調査会において特別調査会を開かれ、そこで直接にいろいろ専門家の方にお集まり願ったり、あるいは意見を聴取されたりして具体案を出されることになろうかと思います。で、その具体案の方向がどういうことになるか。たとえば、全く廃止をするのか、それともそういうことはとてもなかなかむずかしいとして、たとえばいままでの七二という率がいけないということで、何か新しい率を発見することになるのか、あるいはまた一律七二ということがいけないということになるのかというような、具体的にどういうところに解決の糸口を見出すのかということにつきましては、私どもは全く白紙でございまして、事務局としてお手伝いはいたしますが、私どもが何か具体的な案をお示しをするということは、いまのところ考えておりません。税制調査会の東畑会長は、中医協の会長もしておられたことで、医療関係のことについてもかなりの御経験をお持ちでございますので、何か具体的な案をいずれお出しになることと思っております。私どもとしては、税制調査会のお指図に従って、できる限りの、何といいますか裏方の仕事をやっていきたいというふうに考えております。
○山中(吾)委員 政治的にデリケートな問題もあるので、局長は客観的に人ごとのようにしゃべらざるを得ないという事情わかるのです。わかるけれども、ここまで矛盾が極限に達しておれば、やはりこれはあらゆるいままでのいきさつがあっても、これは超党派的にもやはり解決しなければならぬ。国民の精神的影響まであるという問題だから、単なる税務行政ではないと私は見たのです。 この必要経費の七二%というのは、言いかえれば先ほど論議した、これは基礎控除的なものになっていると思うのですね、一律ですから。収入からこれだけ課税対象から抜くというわけですね。その中に、医者の場合の後継者養成費までみな入っていると私は思う。医大に入れるのに二千万も出せる。年間百万、二百万かかるものをどんどん出せる。しかし一般のサラリーマンから子供の教育費が差し引かれてはいない。家計支出の教育費、これは大学に入れるにいま平均三十万一時に要る。そういうものは全部課税対象になっている。医者の場合には、子供の教育費は免税のそういうものの中に入っていると思うのです。そういうものも、一方の医療制度側の抜本改正がしてないから、しかたなしにこれで肩がわりしている、その理屈はもう立たない。そういうことを簡単にいまのような行き方をしておりますと、ますますマイナス面だけが出て、医療自体も退廃すると私は思う。医科大学に入るにしても、一方にそういう特典があるために、幾ら金を出しても医者は後継者の子供を入れていく。貧乏人の秀才は医者になれないで、優秀な堀さんみたいな人は医者になることはこれからなくなっていくだろう。医者のむすこで人の命を預けるに心配でならないような者が医者になっていく。医学教育、医療行政、税務行政ひっくるめて、全部ここまで矛盾が極限に達していると私は痛感をした。 そういう意味において、また適当にじんぜん日を過ごすのじゃなくて、ひとつ次の通常国会までに何か明るいものが出るように、これは委員長も政務次官も、それから事務当局も各党もやはり真剣に考えるべき問題であろうと思いますので、それを要望して私の質問を終わりたいと思いますが、そこで一番最初に、最後に保留すると言っておきました公害の、新規公害産業に特典を与えるのかどうか、答弁できるなら、何か次の準備まで考えて答弁していただいたらいいと思います。
○田中(六)政府委員 この問題は非常にお答えするのはむずかしいのですが、私は観点が私どもと委員と違うのではないかと思うのです。というのは、新しい産業と古い産業がありまして、新しい産業にこれを適用することはストップしなければ、公害を促進するようなものではないか、過保護になるのじゃないかという問題でございますが、私どもはやはり産業に対して公平に扱いたいし、古い産業も新しい産業も含めて、公害防止のための諸法案というものは十幾つあるわけでございますので、それで十分規制はできる。といって、公害のために投資し過ぎて産業が過重な負担がかかる場合は、やはりそれにある程度投資の控除が必要じゃないかという考えを持っておりますので、これは新しい産業にも古い産業にもかけていいのじゃないか。過保護の危険というものは公害規制法案で十分規制できるのじゃないかという見解を持っております。
○山中(吾)委員 終わりますが、政務次官、黙って聞いておると、私、納得したように思われては困るので、その意見には全然納得できない。その考えには非常に偏見がある。何回も顔を見るときがあるのだから、もう少し検討を切望しておきます。
○齋藤委員長 堀昌雄君より発言を求められておりますのでこれを許します。
○堀委員 資料要求をひとつお願いしたいのでありますけれども、租税特別措置による減収額の中で、交際費課税の特例については、ここのところずっと増収になっておるわけです。四十七年については千二百九十七億増収になっております。そこで、いまの片方の減収、否認額の推移と比べてみますと、どうもこれは平年度計算ということで片っ方は組みかえております。それでお願いしたいのは、区分をしていただいて、要するに四百万円に該当する部分というのは一体いま交際費の中では幾らになり、千分の二・五に該当するものは幾らになり、それを超過する部分が幾らになるということがわかれば、われわれとしてはもう少しこれらの問題を詰めた論議ができると思うので、ひとつ最近の、例の国税庁が発表しております民間企業の実態調査等の原票等があるのだろうと思いますので、それからひとついまの四百万円相当の分がたとえば一兆七百億の場合には、それによる減収部分が幾らである、千分の二・五は幾らである、それから超過分が幾らで、その超過分にいま七〇%の分を処理したらどうなるか、こうなるわけでありますから、ひとつその中身の区分け等についての資料を一通り当委員会に提出していただきたい。
○高木(文)政府委員 わかっている範囲は全部調製いたします。ただ千分の二・五で足を切られている企業と、千分の二・五と四百万の関係は別にプラスですから、そこのところはいまどういうふうな表になって出てくるか……。
○堀委員 というのは、さっき私は主税局長の答弁を聞いておりますと、超過分についての七〇%否認ということをやった経過を見たいという話があるのですね。私はもうそこは一〇〇%にしたって限界があると前から見ているわけだから、根っこの部分ですよ、いま触わっていない部分、千分の二・五と四百万円という、その根っこの部分というのは一体どういう形で動いておるのかというところを実は知りたいわけなんです。そうしないと、その超過分だけの議論しかこれまでしてないから。私は、超過分なんというものはもうたいしたことはない。幾らそれを一〇〇%にしたってたいしたことはない。そうでなしに、その中身に入れというのが、いまの私に必要なものですから、そのためには一体いまの交際費の中をそういう四百万円分、千分の二・五の分及び超過分というふうに分けないことには、一体どうなるか——この前私一回資料をいただいたことがあると思うのです。だから出せるはずだと思うので、それをひとつお願い申し上げます。
○高木(文)政府委員 すぐに調べて調製いたします。
○齋藤委員長 次回は、明二十九日水曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することといたし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時三十三分散会