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68回国会衆議院1972/03/24

大蔵委員会 第10号

発言数
120
登壇者
16
会派数
5
開催日
1972/03/24

会議録

齋藤邦吉自由民主党

○齋藤委員長 これより会議を開きます。  租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。寒川喜一君。

寒川喜一民社党

○寒川委員 ちょうど大会をやっておりまして、時間がございませんので、簡潔にひとつ御答弁いただきたいと思います。  最後に、租税特別措置法という法律の実態が、どうも一般の人がこの法律を読んでもおそらくわからないのじゃないかと思います。私もかなり読んでみましても、御承知のように、措置の実態が非常に多岐にわたっております。したがって、主管の局長から、租税特別措置法の実態というものはこうなんだということを、私に説明をするというよりも、特に事業をやっておる中小企業の皆さんが理解できるという感覚でひとつ説明をしていただきたいと思います。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 税法はかねてかなり複雑な規定になっておりましたところ、数年前に所得税法、法人税法については多少ともわかりやすくするということで、全文書き直しをしたのですが、その際に、租税特別措置法の書き直しまでは手が回りませんでしたので、以前のままの条文で手直し、手直しが続いておりますので、たいへん読みにくいことになっておるわけでございます。  租税特別措置法は言うまでもなく各税法の特例的規定、主として租税を政策的な目的に充てるためのもろもろの規定として、そしてそれが臨時的であるものをこの租税特別措置法に取りまとめて規定してあるわけでありまして、所得税法、法人税法はもちろん、各種間接税法の特例法もあげられておるわけでございます。その場合に、税法のいまの各条の条文の並びが、政策目的別に書かれているというよりは、たとえば準備金は準備金でまとめられて各条が並んでおりますし、特別償却一は特別償却で各条が並んでおるというようなことになっておりますものですから、一般の方はもちろん、関係者の方にもお読みになる場合にたいへんごらんになりにくい規定の順序の配列にもなっておりますし、それから条文の文章自体も、本法の特例でございますので、かなりむずかしい本法そのものの条文を十分御理解願わないと、その例外の意味がくみ取りにくいということで、たいへん複雑になっているのは、いずれかの機会に直さなければいけないので、ぐあい悪いと思っております。  お答えになるかどうかわかりませんが、大要を申しますと以上のようなことでございます。

寒川喜一民社党

○寒川委員 この制度自体が負担の公平をある程度犠牲にするのだということであり、その犠牲によって政策目的を遂行しよう、こういう趣旨で立法されておりまするけれども、特に私が指摘をしたいのは、普遍性のないものが、しかも税額においてはかなりそれで落としておるという制度があると思いまするが、そういったものについて、特に産業別に内容を御説明いただきたい。それは私の理解と主税局自身がお考えになっておる考え方の相違というものがあるかどうか承りたいわけなんです。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 税法の条に必ずしもよりませんで、政策目的別に分類をいたしますと、大体、いま私どもが国会にお出ししております減収計算のときの分類によって御説明いたしますと、一つのグループは、貯蓄の奨励ということになります。これは主として、所得税の例外規定を中心としたものでございます。

寒川喜一民社党

○寒川委員 時間がございませんので、そういう普遍性のあるものはいいのですよ。特定に限られておるようなものがどういうものか、説明してほしいわけなんです。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 特定という意味がよくわかりませんが、たとえば幾つかのグループの中で、資源の開発の促進ということを目的としたものがございますが、その中には海外投資を奨励するもの、資源開発投資を奨励するもの、原子力発電を奨励するもの、それから国内における鉱業資源の開発を奨励するものという種類、あるいは電子計算機産業、これは現在自由化との関連で非常に問題産業でございますが、電子計算機産業を奨励するもの、あるいはこれは非常に特殊なものでございますが、社会保険診療の報酬の特例計算に関するもの等、ごく一例をあげただけでございますが、かなりいろいろの特定業種、特定産業に対する措置が盛り込まれております。

寒川喜一民社党

○寒川委員 そこで、やはりこういう政策立法でございましても、経済情勢の著しい変化あるいはそれの内容自体が刻々と変わっていくといったような性質のもの、のみならずそういう保護政策をするということは、民主主義国家においては、やはり国民全体がそれに対して負担をしていくという考え方に考え方を変えていかなければいけないのじゃないかと私は思うのです。そういった意味合いにおいて、税制の措置によって企業自身が一定の財源を確保するから、かって気ままに使ってもいいのじゃないかという一つの傾向があるのではないかと私は思います。そういう意味で一般大衆が、政治権力と大企業の癒着という問題を通して、租税特別措置法に対して強い批判と憤りを持っておる側面があると私は思います。  したがって、そういうものについてはむしろ財政的な援助をして、国の産業政策として実行していくということであれば、むしろこういった措置よりも金を補助して、それがどう使われ、どう効果を果たしておるかということでございませんと、当然本則によって徴税さるべき性質のものを特別措置によって措置することによる弊害のほうがさらに大きくなり、同時にまた、税の公平あるいは税務当局の姿勢としての、徴税というものに対して、大きな不信というものが現在起こりつつあるのではないか、かような判断を私はいたしておりまするが、大蔵当局の御見解はいかがでしょうか。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 租税特別措置は、まさにいま御指摘のようにいろいろな各種各様のものが盛り込まれておりますので、それぞれの規定がそれなりに一つの目的を持ち、それぞれの効果を果たしているとは思いますが、ただいま御指摘のように、かなりデメリットと申しますか、税制上複雑になっておりますし、またいわゆる課税の公平という見地からいたしますと問題がある点がなくはないのでございまして、その意味におきまして、かねがねその一つ一つの制度の持ちます本来の目的を果たしたものについてはどんどん改廃をしていく、そしてまた新しく必要のあるものを取り上げていくという、見直しを行なうということを絶えず行なっているわけでございます。と同時にまた、久しく続いておりますものにつきましても、その効果が十分発揮されているかどうかについては、いろいろの資料等によりまして実績等を見ておるつもりでございますが、ややもすればマンネリ化をする危険があるわけでございまして、ただいま御指摘のような点は、私どもとしても日ごろから注意はいたしておりますが、今後とも心がけて注意をしていきたいと思っております。

寒川喜一民社党

○寒川委員 それで、今度の御提案になっておるものの中にも、やはり新しい形でそういうものがございます。したがって、見直されて、改廃という御説明がございましたけれども、実態は著しくいまの御説明とは違っておる、私はこんな感じを強く持っております。  したがって、基本的なことについて大臣に伺いたいのですけれども、いま主税局長から、現状並びに将来に対する態度といったようなものについて御見解の表明がございましたけれども、大蔵当局の責任者として、租税特別措置法のあり方について、将来、いま主税局長が御説明をされたような形でいいのか、やはり政治の不信にまでこういった徴税のことが及ぶに至っては——本格的に取り組んでいただいて、他の基本法を改定したように、この問題につきましても、やはりシャウプ勧告以来のこの制度がもう整理されて、改革をされる時期に来ておると私は思いまするが、大臣の御所見はいかがでしょうか、お伺いをいたしたいと思います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 この租税特別措置は、要するに産業政策を税制を通じて行なおうとするものでございますので、本来ならこれは産業行政として行なうべきもので、たとえば必要があればおっしゃられたような助成金とか補助金というもので対処してしかるべきものもございましょう。ところが、それがそういう形では不適当である、やはり税の誘引的機能を利用していくことがこの政策目的を達成することだ、他にかわるべき方法はないというときに限って許されるのがこの特別措置であると思いますので、そういう点から安易にこの措置をやたらに採用することをまず避けなければならぬということが一つ。  それからもう一つは、いままで租税の特別措置は、御承知のように、経済成長政策を強くとっておったときでございますので、その方針によって産業の体質強化、輸出の増進というようなものを中心にする措置が多かったと思うのですが、経済情勢が変わってきまして、福祉政策を重点とするという方向に向かいました以上は、特別措置の方向というものも、従来の政策目的は果たしたというものはここでどんどん洗い直しをやって、整理縮減して、そして新しくさっき申しましたような措置で、行政によって措置するよりも税の機能を通じて行なったほうが有効的であるというもの、福祉政策を中心としたものに置きかえるというような方向転換の見直しということもまた今後やる必要もあると思います。同時に、先ほどもおっしゃられましたが、たとえば中小企業についての措置でございます。いろいろのことにおいて中小企業は特例をもって助成しなければならぬ問題がございますが、その積み重ねによって、金額で見ますと、特別措置の減税四千七百幾らのうちで中小企業分が千三百億円ぐらいあると思います。ここまでの金額が中小企業のための措置として行なわれるとするなら、そういうばらばらな施策を要するのか、もっと見直されて、これが整理統合されて、中小企業のためになるもっとほかの仕組みがくふうされないかというようなこともやはり今後考えられていいと思いますので、そういう点について十分今後検討を続けたいと思っております。

寒川喜一民社党

○寒川委員 いまの御答弁で全面的に理解はいたしませんけれども、ただ私は、このことについて特に大蔵大臣に要望いたしておきますことは、基本的にはいまおっしゃられたように、国の財政政策の基本というものが、御説明にございましたように、福祉国家を建設していくのだということに見合う税体系の指向ということについては肯定できますけれども、やはりその速度が問題になってくると思うのです。そういう意味で、政府自身がこのことについて本格的に取り組めないのは、やはり政治資金との重大な関係があるからできないんだという批判は、巷間のもっぱらの批判だと思います。そういう意味もひとつ受けて、至急にこの問題について取り組んでいただいて、金を出さなければいかないものについてはやはり取って、国民の名において渡して、ほんとうに政策目的に合ってその産業が運営されていくのかどうか、あるいは国民のためになっておるのかどうかという方向でひとつ措置願いたいことを、御答弁は要りませんが、ひとつ強く大臣に要望をいたしておきます。  なお特に、小さいことになりますが、御承知のように、いま国の政策の中でおくれておるものの最大のものは、私はやはり住宅の問題だと思います、今回の措置におきましても若干の措置をされておりますが、従来も国中心でこの問題について措置をされてきております。ところが、家を持つ者としては、地方税とも重大なかかわり合いがございます。しし営々として、サラリーマンの皆さんが、わずかの給与のうちから少しずつ貯めていく、そういった貯蓄によって家をつくる、つくってしまうと、地方税のあり方では、金持ちが家をつくるのと同じような感覚で措置をしておる。このことについて自治省当局から大蔵省に対して何か御相談があり、大蔵当局は国、地方を含めて税制上の優遇措置を講ずるということについて御相談があったのかどうか、お漏らしをいただきたいと思います。

佐々木喜久治自治省税務局長

○佐々木(喜)政府委員 住宅対策は、ただいま御指摘のとおり、わが国の経済政策上も重要な課題になっているわけでございまして、その意味におきまして、地方税におきましては不動産取得税並びに固定資産税におきまして、住宅の新築に対応する軽減措置ということがとられておるわけでございます。  まず、不動産取得税につきましては、住宅を新築をする、あるいは建て売り住宅を購入するという場合におきましては、取得価格から百五十万円の控除を行なっておるわけでございます。この百五十万円の控除によりまして、新築住宅の約七〇%が課税対象から除外をされるということになっております。この百五十万円は、取得価格も百五十万円もいわば固定資産税における評価額について行なうわけでありますから、現実には相当課税対象から除外されている件数が、いま申しましたように多くなっているわけであります。  また、新築用の土地につきましても、その土地に対する不動産取得税の税額から、取得価格百五十万円に相当する税額、あるいは住宅用地一平米当たりの単価に家屋の床面積の二倍の面積、これは二百平米を限度といたしておりますけれども、その額に相当する評価額に対応する税額、このいずれか高いほうを減額をするということになっております。したがいまして、新築住宅用の土地につきましては、大体九〇%のものがこの特例措置の適用を受けているという状況になっております。  また、固定資産税におきましては、昭和五十年までの特例といたしまして、新築住宅につきましては、一般の住宅の場合には新築後三年間、それから中高層の耐火建築住宅につきましては、三階建て及び四階建てのものにつきましては新築後五年間、五階建て以上のものにつきましては新築後十年間、それぞれ二分の一の減額措置が講ぜられておるわけでございます。  そういうことで、大体地方税としましては、地方税の体系の中で考えられる限りの住宅対策は講じておるつもりでございます。

寒川喜一民社党

○寒川委員 私、現行の制度は大体承知をいたしておりますけれども、こういう考え方自身が根本的に間違っておると思うのです。したがって、これは財産を持っておる者が家をつくるが、勤労者だから多少優遇措置をしてやろう、こういう発想から私は出発しておると思うのです。最近の状況を見ておりますと、労働省なんかにおきましても持ち家制度の奨励というようなことで、やはりそれぞれ家を持とうという気風が出ております。そういった観点からいたしますと、月給のうちからわずかずつためていって、自分の金で家を建てて、そうして取得税を取られるというような政策を根本的に改めない限り、公営住宅をたくさん建てて、皆さんそんな心配は要りませんよということを労働者の諸君に言われるのであれば、これは何をか言わんでございます。本来、低所得の諸君の家の問題は、諸外国の例を見ましても公営住宅主義でやっております。今日の経済繁栄の中で、日本の住宅は一千万戸ほど建てなければ、古いものの更新とあわせて需要が満たない、こういう状態でございます。都市における公営住宅の申し込み応募状況にしましても、やはり現在まだ非常に多い倍率でございます。そういう時期において、自分が月給の中からわずかずつ、一万五千円というような形でためていったものを、もう一ぺん家をつくったら税金を召し上げるというような形の住宅政策をしておって、ほんとうに国民の協力を得て家が建つと判断をされていらっしゃいますか。  この問題は、やはり大蔵省の考え方もまた私は大きな影響を持つと思いますが、大蔵大臣の御所見はいかがですか。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 今回租税特別措置法で、国税のほうで、持ち家を主として勤労者が持たれた場合の税額控除の制度を設けることとなりましたに際しまして、地方税のほうの関係も一応検討はいたしました。ただ、いま自治省の税務局長から御答弁がございましたように、むしろ地方税のほうがやや先行して措置がついておるような感じを私どもは持っておるわけでございまして、ある意味ではまだ非常にいま対象としている、租税特別措置で優遇といいますか、奨励といいますか、いわゆる軽減措置の対象としている住宅の規模はあるいは小さいといわれるかもしれませんが、その程度のものであれば、不動産取得税におきましても課税にならないというのが大部分でございます。今後とも国税と地方税の関係は、相互に調整のとれた制度でないといけないわけでございますから、引き続いて検討はいたしますが、今回の措置に関する限りは、まずまず両者がそう不調整のものではないというふうに判断をして、今回の措置に関します限りは国だけの措置として税額控除をいたすということになったわけでございます。  なお、国税、地方税を通じまして、住宅対策についてさらに一そう何か考えるべきであるという御所見だとも思いますが、その点につきましては住宅対策という見地からだけいたしますと、まさに御指摘のとおりではございますが、一方においてまだとうてい住宅を持ち得ない、さらに持ち得るところに至らない低所得層の問題もあるわけでございまして、かねがねから、いわば家賃控除といいますか、そういう制度を税法上設けてはどうかというようなお話も各方面から出ているわけでございまして、税の立場からいたしますと、新しく家をどんどん建てなければならない住宅建設計画に、税の面からも優引的効果を果たすようなものでなければならないということは、一般論としてはそのとおりでございますけれども、しかしまた、まだ家を持てないという方とのバランスをどうするかという問題がありますので、なかなか限度があって、そう思い切ったことができないという実情であることを御了解願いたいと思います。

寒川喜一民社党

○寒川委員 予定の時間が参りましたので、これでおきたいと思いますけれども、私が申し上げていることは、やはり衣食住を足って礼節を知るということがございますが、特に最近のような現況でありますると、家族が一緒に家に住めないというような問題等からやはり親子の話ができない、核家族化していくという問題等もあって、社会自身が健全な発展をするためには最小限度親子、きょうだいが同じところに住んで仲よくしていくというこのことが実現せずに国家の正常な発展ということはあり得ないと思います。そういった意味合いからいえば、家の問題について、税の立場からいたしましても発想の転換というものをやはり大きくしないと、問題は私は片づいていかないと思います。具体的な提案等の用意もございますが、残念ながら時間がございませんので、別の機会に譲りたいと思います。  そういった面で今後とも頭を変えて取り組んでいくということについて、大蔵大臣自身は、このような状態でいいのか、少しずつ税金をまけてやったらいいというようなことで住宅政策自身が遂行できるとお考えかどうか、このことを最後にお聞きして、質問を終わりたいと思います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 私はいまの御意見、もっともだと思います。特にしじゅう問題になっておりますことは、一つ地所内に親子が住むために子供の家を建ててやろうというときにも、これがなかなかむずかしく贈与税の問題や何か起こりまして円満にいかないことについてのいろいろな陳情等がきておる実情でございますので、そういう方面においてはもう少しくふうをこらす余地があるのではないかと思いますので、十分検討いたしたいと思います。

寒川喜一民社党

○寒川委員 終わります。

齋藤邦吉自由民主党

○齋藤委員長 広瀬秀吉君。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 租税特別措置の質問に入ります前に、若干一般的な当面の問題について質問をいたしたいと思います。  最近、郵政省が郵便貯金を原資として郵便局の窓口で小口、低利の庶民金融というか消費金融というか、そういうものをやりたいということで、これはまた国民的な立場でも非常に要望が強い問題だ。しかも日本の今日までの金融制度の中では、そういう低利の小口庶民金融というものはきわめて不十分な段階である状況であった。こういうようなことも踏まえて、国民的要望も強いし、また国の政策自身も輸出生産第一主義からやはり国民の福祉の増進、こういうような方向に向いてきている。したがって、そういう消費金融面の充実というようなことも当然強化拡充されていくのがあたりまえのことだ、こういう問題もあるだろうと思うのですね。そういうことで、郵政省がいい案を練っているということになっておるわけでありますが、これももう十年前からもいきさつがあって、いろいろな紆余曲折は経てきている。しかし、これはいい制度であろうというようなことではだれもが一致してきた問題だと思うのです。しかし、いろいろ及ぼす影響があるからということで、今日まで延び延びになってきたけれども、郵政省も今度は本腰を入れてそういう方向に踏み切りたい、こういうように言っておられるわけであります。  大蔵省は今日なおこの問題について否定的な形であるということに新聞その他では報道されているわけなんですけれども、大蔵大臣の考えをこの際、この問題の処理について大蔵大臣としては、水田さんとしてはどうお考えになっておられるのか。これを積極的に進めて、国民の要望にこたえるおつもりなのかどうか、あるいはこれはだめなんだという否定的な見解をお持ちなのか、その辺のところをきょうはひとつざっくばらんに大蔵大臣としての気持ちをお聞きいたしたいと思います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 だめなんだときめてかかっているわけじゃありません。庶民金融の必要なことはわかりますが、現在の制度の現在のたてまえにおいて、郵便貯金が貸し付けを行なう、庶民金融を行なうということにしますと、それを中心にして解決しなければならぬ、検討しなければならぬ問題が非常に広範にあるということでございます。もともと貸し付けということを考えないたてまえの制度でございますので、したがって、国民が預金をする、預金をしていつでも払い下げができる、必要なときには払い下げができる、そのときにはこういう形で優遇もされるんだというようなことで、一般金融機関の持たない金利とかあるいは優遇制度、税制においてもしかりですし、金利においてもしかりです。そういう優遇制度を現在特に郵便貯金は持っておるものでございますので、そういうものをそのままにして、単純に貸し付けをそのままさせるというようなことは一般との均衡を害する問題でございますし、いろいろ問題が起こるというようなことで、性格を変えるということに伴った非常に広い問題がございますので、そういう問題をじっくり私どもは検討してから結論を出したいということでございます。  私自身としましても、御承知のようにいろんな問題をたくさん控えているときでございますので、この予算の見通しでもついたら、この問題も私は一ぺんゆっくりと全部にわたって国の金融政策というようなもの——いま御承知のように金利も一つの治外法権的な形をなしておりますが、そういう形で、世界で一番大きい、九兆というような預金を持ったものが国の金融調整のワク外にあるというようなあり方のもとに、今度は貸し付け制度を行なうかどうかというそういうもっと大きい問題がございますので、こういう問題について全面的に私自身は検討したいということで、いま結論を出しているわけでも何でもございません。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 この前に、大蔵大臣は予算委員会でございますか、答弁をしておられるはずですが、財政投融資の原資を国民の福祉のために一元的に使われる必要がある、これを各局段階で貸し出して回すと財政投融資の一元的運用ができなくなるのだ、郵便局には貸し出しの是非をきめる審査のための組織や能力がなく、適正な貸し出しができるかどうか問題である、中小金融機関を圧迫するという大体三点ぐらいに集約される御答弁をなさったようでありますが、こういうように会議録に出ておるわけであります。  そこで、国民福祉のために一元的に使われているんだ。しかし今度郵政省が当初考えたのは二百億程度という。そしてまた増加額の一%ぐらいをそれに追加をしていこうという程度であって、この財政投融資の持つ本来的な意味をそこなうものではないだろうということがまずあなたの答弁に対して反駁できる問題であるし、貸し出しの是非をきめる審査のための機能がないという。しかし当初からそんな信用を供与するというようなものではなしに、ちゃんと担保なるものを、適正の積み金なり預金なりというものの見返りの中で、その範囲内で貸すのだというのですから、そういうものは固定した一つの基準として公示されればそれでもう済むわけですね、審査とかなんとかいうめんどうなこと一切なしに。しかもその程度の金額で、せいぜい二十万から三十万ということで考えておるということになれば、そういう点では問題ない、客観的な基準というものができるのだ。  それからまた中小金融機関を圧迫する。これはいままで中小金融機関がそういうところまで手が届かなかった。それはやはり中小企業を中心にして貸し出しをする。しかし庶民大衆のいわゆる生活面での緊急の不時の必要というようなものに向かって貸していくのだということですから、対象がそれほどダブるものではない。ある程度の圧迫要因、かすかなものはあるのかもしれぬけれども、中小金融機関を圧迫しますというようなことは別に反対する理由にはならぬと私は思う。  たとえばせがれに嫁さんをもらいたい、いま結納金がちょっとないのだというような場合に、ちょっとかけていけば二十万、三十万程度借りられる、それで間に合うというようなこと。そのほかせがれを大学にやる、二十万ぐらいは一ぺんに即金で少なくとも払わなければならぬ、それに間に合わせたいというようないろんな必要性があるので、そういうようなことを考えると、あまりにもここも問題だ、あそこも問題だというようなこと、そこのところを、いま私が一部申し上げたけれども、そのようなことでやっていけばこれはかなり国民の——国民にほんとうに要望がなければ制度をつくったって使われないかもしれないのですね。しかし要望が非常にあるというようなところでは、適正な金額というものをそのほうに回しても一向統一的運用を、財投を国民福祉のために使う運用を阻害することにはならぬと思う。いままであまりにも零細な国民大衆の金が、大きいところにばかり回されておったということに対して、庶民のささやかな要望を入れてくれというのがこの郵便貯金の貸し付け制度の願いだと思うのですね。そういうものに対して、あなた自身は前向きなんですね。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 いまあなたからおっしゃられる範囲のこと自身が、ことごとくこれは検討の対象になるべきものだと思います。百億、二百億で済むのだというのですが、その程度の金額では郵便局に貸し出し機能を与えるというには、それはあまり意味がない。やるならもう少し大きいものでなかったら実際意味がないということになりましょうし、わずかだからいいじゃないかという議論でいくとそこに問題が起こるということ。  それから、担保は十分あるのだから簡単にやれるのではないかというのですが、もしそうだとするなら、これはいつでも引き出せることを目的としていろんな優遇措置を与えているのですから、それこそそういう必要に迫られた場合には引き出しても金利の損がないというような保証をされているものですから、それこそ引き出したらいいということにもなりましょうし、今度貸し付けを安くしておいたほうが得だということにするためには、財投に六分五厘で預託して運用させておいて、それでもまだこの会計があまり黒字にならないというときに、さらにその黒字を大きくして、そういうために赤字が出るのをどういうふうにしてやっていくかというような、一つ一つが一応検討されなければならぬ問題でございますので、そういう問題をもっとじっくりやって、やるんならいい制度にすべきでありますし、なまはんかなものでやることは、とにかく広範に影響する問題でございますから、私は、簡単な問題でない、そういうふうに思っています。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 非常に慎重のようですが、これはやるべきでないという前提に立ってこの検討をするのか、やる方向で検討をするのか。これは基本的なあなたの立場がいまの答弁では全く明快ではないわけですね。なるほどこれは百億や二百億というものは——当初そういうことで出したが、これは自民党の政調でも千億円ぐらいまでいったらどうか、あとは増加額の一%ずつふやしていくという方向でどうだというようなことにもなっておるようだし、また貸し付け限度額も当初の原案三十万から十万になる。われわれやはり当初原案、郵政省原案というか、その程度以内ということが必要だろうし、また資金量としてはやはり初年度は、百億、二百億ではしようがあるまい、もっと多くてけっこうであろう、あとは増加額の一%だということでいいじゃないかというようなことをわれわれとしても考えておるわけです。基本的に国民にサービスをする、国民のそういう不時の出費に安心して借りられる基準があるならば、こんなものはいいじゃないかというけれども、そこが問題だと思うのですね。やはり郵便貯金を減らさないで、それを返しながら担保力としてだけ置いて、貯金をさらに増強するというような一挙両得というような面だってあるわけですから、郵便貯金しておったら、それを担保にして——下げちゃえばいいじゃないか、必要があれば下げればいいじゃないか、こういうことは大蔵大臣とも思えない発言だと思うのです。それをそのまま担保貸しとしておきながら、なおそれを見合いにして借りたものについては返していくということになれば、その貴重な財投の原資である郵便貯金というものを減らさないでやっていけるということもある。こういうことがやはりこの制度の一つのみそだということになるわけです。だから、根本的にどっち向きで検討されるのか、その点をこの問題についての最後の質問として聞いておきたいのです。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 先ほど申しましたように、私はこれから取り組んでいきたいと思っておりますことで、いま結論が出ておりません。いままで言われているような形のままでは問題が多くて、これはなかなかむずかしいというふうに考えておりますが、そういういろんな障害が克服される道が考究されるのなら、またそれに沿った考え方もできましょうし、もっと多角的な角度から見直さなければならぬ問題だと思います。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 きょうは、この問題が主体ではないから、その辺のところで終わっておきますが、どちら向きかも示さないというのはまことに大臣遺憾であります。どうも参議院に行くと、かなりのことを示唆するのだけれども、大蔵委員会へ来るとカタツムリがからをかむったように、何ものも言質を与えまいという態度がきわめてこのごろの大蔵大臣には目立つのであって、その点はきわめてわれわれ遺憾に思うわけです。こちらで質問しても言わぬことを参議院では言って、ちゃんと新聞に出る。こういうようなことをしょっちゅうやっているならば、われわれもそのつもりであなたとこの法案の審議について考えなければならぬと思うのです。その点どうなんですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 参議院も衆議院も両方違ったことは言っていないつもりでございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 では次の質問に移りますが、公定歩合の第六次の引き下げは、やはり外資のたまり過ぎの問題、外資流入禁止政策において外資が流入しないような措置を考えるということ、あるいはまた景気刺激のためにも低金利政策をとるという方向はもう出ていると思うのですが、第六次の、〇・二五%ぐらいまた下げて四・五%ぐらいまで持っていきたいということをあなたはどこかで語ったようなんですけれども、第六次の公定歩合引き下げということをやられる御意向であるのかどうか、その点お伺いいたしたい。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 私が申しましたのは、全体として金利の引き下げということは趨勢として必要な方向であるということは言いますが、いま急速に実勢金利が下がっておるときでございますので、したがっていま公定歩合を特に下げなければならぬという必要があるかと申しますと、あるとすれば国内問題よりはむしろ国際関係からくるものというようなことも一応予測されますが、その点におきましては、日本の為替管理も過日改正をいたしまして、短資の流入というものが防げるような情勢にもなりましたので、また米国の金利も徐々に上がっていく方向へ来ておりますので、そういう問題からはそう差し迫ったことでもないというふうに考えられますので、この問題はいま差し迫った問題として私どもは別に考えていない、情勢によって善処されるだろう、そういうような問題は日銀総裁にいま私どもはまかせてあるのだ、この間こういう答弁をしたのでございますが、大体そういうことでございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 その点はわかりました。  そこで、国債の発行条件、これは四十年以降一兆九千五百億という日本の歴史始まって以来の大量の国債を出すわけでありますが、この国債の発行条件については、大蔵省としてはこの表面利率あるいは発行価格、応募者利回り、こういうようなものについてもう結論を出したのでありますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 結論を出しました。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 ではちょっと中身を説明してください。

大蔵公雄大蔵省理財局次長

○大蔵説明員 国債の発行条件につきましては、これまで表面金利、クーポンレートが七%の、発行価格九十八円九十銭でございましたものを、この四月から発行いたします分に関しましては、表面利率は以前と同じクーポンレートの七%、発行価格九十九円八十銭、すなわち今日より九十銭上げの九十九円八十銭で発行をいたすことにいたしておりまして、応募者利回りは今日までが七・一八九でございましたものが、新しいレートによりますと七・〇三四ということに相なるということでございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 われわれは国民が喜んでほんとうの意味で個人消化比率が高まるような、そういう発行条件にしろというようなことをいままで年来主張しているわけですけれども、こういう経済の状況になって、低金利政策がまだかなり強く進められなければならぬ、特に国際関係においてそういう状況が出てきているということで、発行条件の引き下げがきめられたわけでありますが、それに伴って事業債あるいは金融債、こういうものの条件、金利の引き下げというものは、いつから、どういうように実施をしていくつもりであるのか。四月から実施をすると言う者あり、あるいは五月からと言う者があるようでありますが、その点をここではっきりさせていただきたい。

近藤道生大蔵省銀行局長

○近藤政府委員 金融債、貸付信託等につきまして私から御答弁申し上げます。  金融債及び貸付信託につきましては、ただいま業界内で鋭意利下げの方向で検討中のようでございます。金融債につきましては、きょうじゅうにも結論が出るかと存じます。それから貸付信託につきましても、きわめて近い将来、数日以内には結論に達するのではないかと考えております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 結論が出ましたら、理事会等において報告をしていただきたいと思います。  そこで、大蔵大臣にもう一つだけ伺いたいのは、いま低金利の時期を迎えている。この中で郵貯をはじめ預金金利の引き下げというようなことが、金融業界から大蔵省に対しても要求されている。むしろかなり圧力がかかっているという状況のようであります。日本の経済が一昨年以来ずっと不況段階をたどって、ドル・ショックがそれに加わって今日もなお不況状況で低迷している。そういう中で銀行は、少なくとも去年の九月期まで十四期連続増収、増益をあげてきた。こういう特別な、強力な収益力を持つという中で推移してきたわけであります。若干その貸し出し金利を下げていく、〇・二%ぐらいの金利下げということによって、今度は預貯金の利子を相当大幅に下げなければやっていけぬというような状況ではないと私は思うのであります。当分、少なくとも今年じゅうに預貯金の利子を下げるというようなことは大蔵大臣としては考えない、こういうのが当然の態度だろうと思うのですが、その点いかがでござますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 預貯金の利子については、従来からも慎重な考慮をしておるところでございますが、まだ私ども、当分この預金利子の問題については慎重な態度を持していきたい、こう思っております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 慎重な態度だけですか。これじゃどっちなんだか全然見当がつかないわけです。あなた自身の気持ちをもう少しフランクに、下げたくないという願望でもいいわけですよ。どうなんですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 いま政府が企図しております長期金利の引き下げ、それからこれからさらに、まだ経済情勢がわかりませんが、金利も一段の金利下げの必要が出るかどうか、これはわかりませんが、そういうときでも、必ずしもすぐにそれと預金金利を連動させる必要はないというふうに考えております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 長期金利、貸し出し金利の引き下げがあっても、直ちに預金金利引き下げということに連動させる必要はないと考えておる、そういうお答えがありましたから、次に進みます。  租税特別措置法関係について質問をしたいと思います。この租税特別措置はだいぶ論じ尽くされてきて、今回の大蔵委員会においてもかなり時間をかけて問題点がそれぞれの立場で指摘されてきたわけでありますが、租税特別措置全体がきわめて数が多くなって、複雑多様化しておる、項目も百四十八項目もある、その中で期限をつけないものがまた七十もあるというような状況になってきておる。  そこで私は、また別な角度から、租税特別措置による減収額というのを昭和三十年度から四十七年度、ことしまで含めて集計をしてみたのですが、国税分だけで大体三兆七千二百九十一億、これだけまけてやっております。地方税は必ずしもぴしゃっと正確ではないのでありますが、四十七年度までで大体二兆五、六千億になる。その両方を合わせますと大体六兆三、四千億にはなっているのじゃないかと思います。これを確実な数字で言いますと、三十七年から四十七年度分まで加えますと、国税で三兆五百七十一億、地方税関係で、これは比較的正確な数字なんですが二兆二百二十三億、合計しまして三十七年度以降の十年間で、四十七年を入れれば十一年間になるわけですが、皆さんが出された毎年の数字を積算していきますと、五兆七百九十四億という数字になるわけです。こういう大きなものが租税特別措置によって減税されている。  一方、毎年私どもは血道を上げて減税を叫び、また国民大衆も叫んできた所得税の減税は、昭和三十年からで、四十七年二千五百三十億、これは去年のはね返りがあると言っておられるから、それまで含めてわずかに一兆八千八百五十五億、これしかないんですね。この間に物品税が六百二十三億、酒税が四百三十五億、法人税は上がったり下がったりがありましたが、減税分だけをとってみますと千百八十三億、印紙収入が三十五億というようなことで、これを全部合わせましても一般減税といわれるものは二兆一千億くらいである。黙っておって租税特別措置では五兆あるいは六兆、三十年からとればもう六兆をこえておる。三十七年以降でも約五兆ということになっておるわけです。  租税特別措置による減税というものは、ものによっては全く補助金と同じようなものなんかもあるわけだし、これだけ税金をまけて日本の経済発展を促してきた。主として三十年代から四十年度あたりまではほとんど大企業、高額所得層に七、八割減収分のメリットは帰属してきたということであります。四十年代に入ってからややその構成が変わって、中小企業とか公害防止とかというところにもかなりの比重がかかってきたことは認めますが、こういう状況になっている。  こういう状況になれば、大蔵大臣、もう日本の経済もここまで国際競争力もついて、円が世界一強いなどといわれている。どこまでほんとうに実力があるかは別として、この前の通貨調整でも最高の円切り上げをやらされた。そしてまた依然として輸出も衰えない、輸入もそれほどふえないというようなことで、外貨はどんどんたまる。こういうようなことで円の再切り上げということが真剣に考えられ、その対策が望まれているという事態において、こういう租税特別措置のあり方という問題について、大蔵大臣は一体どのように考えられておるのか。これはかなりおかしいものもあるというような考え方に立って整理縮小の方向に進む考えがあるのかどうか、まずこの基本的な問題をひとつお尋ねをいたします。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 問題は政策目的の合理性ということだろうと思います。目的に合理性を失ったものでございますれば、これは税制でその目的を遂行しようとする必要はございませんし、したがって、今度はその遂行の手段の有効性という問題とからんで始終見直さなければならぬということはいつも申していることでございますが、そういう方針で今年度の租税特別措置法の改正におきましても、私どもは、いままでの政策目的は一応もう果たされておる、合理性を相当なくしておるものと思うものは、たとえば輸出振興税制というようなものをはじめとして、これは大幅に整理いたしましたし、それにかわって新しい福祉政策上これを税の誘引的な機能を利用して行なうことが合理的であり、有効であると思われる幾つかの新しい措置に置きかえるということを今年度の改正でもいたしましたが、今後もこういう方針で絶えずこれを見直して、中身を変えていくということをしなければならぬと思っております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 現在、昭和四十七年度の今度の法改正で期限の切れるものを延長するというようなことで、百四十八項目も租税特別措置がある。これは非常に複雑多岐になり過ぎて問題がある。しかも、もう政策目的の合理性もなくなったのではないかと思うようなものみんな、昭和四十七年度において今度の法改正を通じて存続するものが百四十八もある。こういうようなもの全体についてすべて妥当性をどこまでもその百四十八は持っていくのだ、さらに新しく時代の要請に応じてどんどん追加をしていくのだ、そういうことですか。その辺のところでもう一ぺん政策目的の合理性なり有効性なり、あるいは租税特別措置がそもそもは当面の、ある程度の緊急性というものを持って出発したはずなんだが、そういうものも含めて、もう慢性化し、既得権化していると思われるようなものを大胆に整理をすべきものがあるというようにお考えになりませんか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 それを十分に考えてやっておるつもりでございます。たとえばいまの特別措置の四千七百三十億ですか、この減税の金額を見ますと、貯蓄奨励を中心としたものその他が五六%に及んでおって、あとは中小企業、大企業に関係する減税ということでございますが、その内容を見ますと、その部分が四十何%になる。そのうち二八、九%というものは中小企業の減税ということになっておりますので、年々内容が変わり、姿が変わっておると思います。本年度も金融機関の貸倒準備金というようなものの整理というようなことで、相当実質的な変更はしておるつもりでございますが、見直しをやって大体今年度これは整理したいというようなものは毎年問題にして検討のあげく、そのつどここの御審議も願っておるというようなことで、その段階、段階においては、一応政策目的というものは認められたものに限られておる。そう不当とか、全く不要であるというようなものはない。しかし逐次これを不要化していく傾向にあるものでございますから、毎年毎年政策目的とその手段の有効性というものを見直していけばいいのであって、慢性化すことを防ぐことに努力すればいいので、一応は理屈のないものがいま残っておるというふうには考えておりません。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 主税局長、現在ある中で一番長い年数続けてやっておるものは何年くらいになりますか。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 ちょっと正確ではないかもしれませんが、やはり貯蓄に関するものなどが非常に長い歴史を持っておると思います。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 少なくとももう二十年以上たっているものがあるわけですよ、これなどは。これはそのつど多くしてみたり少なくしてみたりというような改正はありましたけれども、そういう長期化しているものもある。貯蓄奨励というふうなことは、いつになっても変わらぬという理屈立てはあるでしょうけれども、これはやはり高額所得層に非常にメリットがいく。全体的な所得のレベルも非常に上がってきているというようなことで、少なくとも少額貯蓄非課税制度、このくらいのものを残して、もうあとはやめてしまっても、源泉分離などはもうやめて総合課税にしたっていいのじゃないかというような気もするわけであります。  政府委員の中で時間の都合でおれない方もあるようですから、一時そこのところをたな上げにしまして、租税特別措置の中で、これは単に国税面ばかりでなくて、国税でこの租税特別措置をやることによってそのままストレートに地方税にはね返っている分が非常に大きいわけであります。昭和四十七年度の分につきましても、国税における租税特別措置の減収に伴ってそのまま地方税にはね返る分が千四百五十八億にものぼる、こういうことであります。一体大蔵大臣、国が特定の政策目標を達成するためにつくった、そしてその国の政策を遂行するために必要だとしてつくった制度が、そのまま地方税にまではね返らねばならない必然性というものは私はないと思うのです。国のやるべきこと、さらに地方自治がやるべきことは、おのずから違うと思うのです。地方がやることは、やはり住民自治の本旨に従って住民の福祉を主体にして考えていかなければならぬことだと思うのですが、国がやったからそのまま地方税に響くのだ、そういうことで所得税の減税をやれば、とたんに地方税に影響が及んでたいへんな減収になったり、増収になったりというようなことになる。そういう関係を遮断しようというようなことがかつて行なわれました。そして現行の地方税体系ができているのでありますが、この租税特別措置については、その関係というものは依然として続いている。その分が、先ほど私が申し上げたように、昭和三十年以来で考えれば二兆五千億にもなるというようなことであります。  いま地方の財源も非常に逼迫しているというようなことで、いつでも自治大臣と大蔵大臣との間に、地方の財源をめぐっての相当なやりとりがあって、妙なかっこうに何とかかんとかかっこうをつけておっつけるというようなことをやっているわけですが、そういう点はやはりおかしい問題だ。それをはね返らせることなしに、その影響というものを遮断して、国は国、地方自治体は自治体の本旨に従って、本来の地方自治体の目標に従って、独自の立場でどうしても必要だと思うものは、合目的な地方独自の租税特別措置をやるのは若干は必要でありましょう。しかしながら、国がやっている分がそのままストレートに影響をして減収効果をあげていく、こういうかっこうについては、私はいささかこの辺で考え直していいことだろうと思うのですが、まず最初に、自治省の税務局長から、その点について自治省としてどういうようにお考えになっておられるか、お聞きをいたしたいと思います。

佐々木喜久治自治省税務局長

○佐々木(喜)政府委員 ただいま御指摘のとおり、国の租税特別措置法の規定によって地方税にはね返っている分が千四百億をこえている状況にあるわけです。確かに現在の地方税制のたてまえからいたしますならば、国の政策目的がそのまま地方にとってその政策目的に合致するということは必ずしもいえないということもあるわけでございますが、一面におきましては、そうした国の政策目的が、地方も同時に協力するという立場において達成されるというものもあるわけでございます。その辺は十分判断をして措置しなければならないというふうに考えております。  また一面、地方税は御承知のとおり、独立税のたてまえをとって、それぞれの税制を組み立てておるわけでございますけれども、納税者からの要請として、少なくとも所得計算上において同様の計算を行なう税については、でき得る限り課税標準の算定等について国税の計算の場合に合わしてもらいたいというような要請もあるわけでありまして、そういう点が特に個人関係の住民税等に非常に強いわけでございます。そういうことで、税制として、いわば納税者のいろいろな手続的な負担を軽減をするためにまた措置せざるを得ないというようなたてまえのものもあるわけでございます。さらにはまた、貯蓄奨励のような場合には、現在の課税技術等から見て、地方税のほうで国税の現行のたてまえをもとにしながら、地方税だけで独自にこれを徴税できるかということになりますと、これがまず技術的に不可能に近いような状況にあるものもございます。そういう意味におきまして、いろいろ租税特別措置がそのまま地方税にあらわれてきておるわけでございます。私どもとしましては、遮断できるものはできる限りこれを遮断していきたいということで、毎回の税制改正のたびにいろいろ検討を続けておるところでございますけれども、まだ現在これだけの減収見込みが立っておるというような状況にあると思います。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 大蔵大臣、国税である所得税、これは応能原則というような、いわゆる担税力に見合う形というものが非常に重要な要素になる。地方税の場合には、住民自治の本旨に従って若干そういう原則からむしろ応益原則というものが強く働く税体系をとっておる。こういう点は原則的なものとしてそういうことであるということをお認めになりますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 原則的にはそうだと思います。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 そういうことですから、住民税における均等割なんというものも見てちゃんと徴収をしておるということなんですね。応益原則がかなり強く働く地方税の立場というようなものに対して、租税特別措置がそういう課税の原則と関係なしに、やはり国でやったからそのままストレートに地方税も減額をしてやる。さっき佐々木局長が課税所得を所得税の定めるところによるというようなことで引用されておる、そういうような税務行政上の、むしろ事務的な処理が複雑にならないようにというようなことが事務的にはある。確かにそれはそうあるだろうと思うのです。しかし、そういうもので四十七年度千四百五十八億、四十六年度におきましても千三百八十三億というような、これほど膨大な税の減収になるようなものをそのまま受け入れている、国できめたものがそのままストレートに地方税に影響を与えているということは、少なくとも不合理だろうと思うのです。いまのような説明ではやはり納得のできないものがあるわけです。  これはどうでしょう、大蔵大臣、こういうものを影響を遮断するために税制調査会にかけて、もう一ぺんこの問題について検討をしてもらうというようなことをやられるお気持ちはありませんか。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 租税特別措置に限りませず、国税と地方税のあり方の問題は、税制調査会の議論の中で非常に重要な部分を占め、時間的にもかなり時間をとっていつも議論をいたしておるところでございます。  委員の間の議論は大別して二つに分かれておりまして、委員の中には、地方自治団体の自主性ということに着目をして、地方税制度の自主性といいますか主体性といいますか、そういうことを万事について非常に重く見られる方が、一つのグループとしてあります。しかし片や、いわば納税者グループといったらことばは悪いのですが、納税者の立場に立って考えてみると、国税といい、地方税といっても、結局一人の人が納める税である、そこで、国税と地方税をどういうふうに取るかということを国なり地方団体なりの都合だけで考えられては困るので、その財源配分は国と地方で相談し合って考えたらよかろう、納税者との間に関する限りはなるべく簡素にして一本で取ってもらうようにしてほしい、納税者として見れば、申告の際にもあそこの税務署へ行け、こっちの税務事務所へ行け、あっちへ行けこっちへ行けと言われる、それからこういう書類を出せ、ああいう書類を出せと言われるのも困るし、あるいは、たとえば不注意で滞納したときに、向こうから令書が来たり、こっちから令書が来たりして非常に困るので、そのことについては少しでも納税者の便宜を考えてほしい、理屈はともかくとして、非常に巨額の税を納める方はともかくとして、少しの税を納める者、たとえば住民税のようなものについては、そこらは何か簡素にしてほしい、こういう考え方がいつの税制調査会においても常にあります。いわば相拮抗した状態で来ておるわけでございます。  そこで、理論的には広瀬委員が御指摘になりましたように、国税と地方税はだいぶ性格が違いますし、それから租税特別措置によりますところのもろもろの政策的な減税措置は、しばしば主として国の政策によるものである、国、地方を通ずる政策というよりは国の政策によるものであるというものも多いわけでございますから、そこのあたりはあるいはおっしゃるように遮断をされるものがもっと多く考えられてもいいのではないかという御指摘は、確かにそういう面があるわけでございます。しかし、私どもは別に国の税の仕事をやっておりますから申しますわけではございませんので、税制調査会のそういう空気を見ておりますと、簡素化といいますか納税者の便宜といいますか、それをもっとウエートを置いて考えることが、非常に長い意味で、また広い意味で、いわば納税者の納税思想といいますか、そういうものを大事に育てていくためにも決してなおざりにできないという点から、なかなか簡素化という点を軽視はできないと思うわけでございまして、御指摘の点はいままでもいろいろ議論されておりました。  また租税特別措置が、何か少し金額の大きい特別措置ができますと、いつも大蔵省と自治省との間でも議論いたしておりますし、税調でも議論いたしておりますが、今後ともそのような議論は必ずありますが、おっしゃるようになかなかいきにくい面があるということを申し上げて御了解をいただきたいと思います。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 なかなかこれは私も了解するわけにはいかないのです。大蔵大臣、配当だけの所得者が三百四十三万一千六百五十二円までは配当控除によって所得税はびた一文かからない、こういうことなんですね。給与所得者がこれだけの所得があったとすれば、所得税で三十一万六千八百円、住民税で十九万一千九百五十九円、こういうようになるわけですね。   〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕 ところが配当所得である場合には、地方税までストレートに及んでいきますから、住民税の負担が給与所得者の十九万一千円に対して十三万一千円ということで、これだけの差が出てくるわけですね。事業所得者の場合には住民税で二十四万九千七十八円だ。それに対して配当所得者は十三万一千円だ。これはもう十一万円も差ができている。こういうようなことになるわけですよね、地方税までそれがストレートにいくという形によって。  こういうものを、これは単にストレートに税務行政上の——ということは、同時に納税者サイドからいっても簡素な方法で、簡易な書式でというようなことを願っておるのはだれしものことではあるけれども、租税特別措置を受けるような人たちというのは大体において青申をちゃんとやり、帳簿を備えつけているというような人たちが大部分なんですね。   〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕 もちろん利子課税の問題なんかでは、そればかりではないけれども、そういうものなんですから、書式のくふうによって、この課税所得の計算は所得税の定めるところによるという措置で、それをそのまま地方税の欄に落としてくれというようなことじゃなしに、この場合にはこれは積算されて上積みされるのですという、課税所得はこの部分は上積みされるのですということにすれば、この影響は遮断して、しかも一枚の紙でやれるというようなことだって、事務的にはもっと知恵を働かせればできないことはない。  これほど地方財源がどうのこうのといわれる中で、千四百億、千三百億というように——年々千三百億から千四百億にはね上がってくるというようにどんどんふえてくる。こういうものについて、やはりこの影響を遮断して、応益原則の強く働く地方税にふさわしいものに持っていかなければ、この面からそういう原則を侵しているということもいえるわけで、この点はぜひ、いままでは同じ申告の用紙で地方税と両方ができてしまうような簡素なものにしようということであったけれども、こういう面で、国税における特別措置の影響というものがそのまま地方税にいくという形、国の政策遂行の目的で設けられたそういうものを地方まで、地方政治にまで減収を及ぼすということが、はたしていいのかどうかという、基本問題を踏まえた上で、この影響の遮断をすべきものがかなりあるだろうというように私は考えるわけなんですが、その辺のところを税制調査会のかなり主要なる議題にして、簡素化、簡素化ということじゃなしに、根本原則に立ち返って、技術的な、事務的な面は改善の余地は知恵をしぼれば私はあると思うのです、納税者のサイドからそういうように願っておるのだとすれば。そういう点の改善をするということを考えながら、これはひとつ前向きにぜひやっていただかなければならぬと思うのでございますが、いかがでございますか。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 大臣からお答えする前に一言だけあれいたしますが、おっしゃるように、配当控除の場合には確かに遮断をすることが望ましいという考え方があるわけでございまして、実は現在でも遮断をすでにしておるわけでございます。したがって、御指摘になりましたように、四十七年度で申しますと、実際に世の中にそういう方は非常に少ないのですが、配当だけしかない方で所得税がかからない限度は幾らになっているかという数字がいつも問題になりますが、その数字で、夫婦子二人の方ですと、国税、所得税のほうは三百四十三万ということになっておりますが、住民税のほうは、道府県住民税は百十万三千円、市町村住民税のほうは百六十一万三千円ということになっております。この場合は、私もそう詳しくは存じませんが、申告の段階で、一つには所得控除でなくて税額控除なものですから、わりあいに技術的に計算がやりやすい。いわば納税者に御迷惑になるということも非常に少ないということがあるものですから、税額控除で、最後の段階で計算すればよろしいものでございますから、これは別計算になっておりまして、そういう関係で、若干、直接にはやはり配当控除も地方住民税に及んではおりますが、少し影響のしかたが違ってくるという計算になっております。  そこで、いま御指摘のように、確かにおっしゃる点はいろいろございますので、いずれ大臣がお答えになられると思いますが、事務的にも、おっしゃるように可能なもの、あるいはまた理論的に当然遮断すべきものはそうあるべきである。そこと先ほど申しました点とを調整しながら、そのつど可能なものを拾い上げると申しますか、そして納税者のほうからも極度に困るといわれないものについてはそういう方向で考えていくということが、私ども当局の態度ではないかと思っております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 大蔵大臣いかがですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 税制調査会の議論を見てもわかりますように、完全に遮断すべきものであるということになりますと、意見が対立して、遮断しないほうが納税者にとっては便利だというような、いろいろな議論が出ますので、問題はやはりいま局長が言ったように、ケース、ケースで問題を解決する、そうして遮断できるものを十分検討の上遮断していくという方向で改善していくことが好ましいと思っております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 それではその点けっこうです。  労働基準局長がもう時間がなくて退席しなければならぬというものですから、実は今度住宅貯蓄控除といいますか、この利子の減税の中に、勤労者財産形成法に基づいて、この勤労者が事業者との関係において天引きをすることによって金融機関と貯蓄契約をするその分についても、住宅貯蓄控除制度に取り入れられたわけですね。そこで、労働省としては、現在せっかく労働者の持ち家制度を飛躍的に前進させようという形でつくったことで、税制もそれを受けて取り組んだわけでございますが、労働者にはやはり転勤という問題がある。この転勤をしますと、せっかくの住宅貯蓄契約がそこで中断されてしまう。もし非常に恵まれたところで、貯蓄契約をやっておった前の土地と同じ金融機関が転勤先にもあったといえば、それはそのまま続くということだけれども、必ずしもそういうような転勤ばかりではないようであります。そういう県を越えての転勤というようなことがきわめて多いわけであります。いまも転勤の時期なんですけれども、そういう際に、住宅貯蓄控除に勤労者財産形成法の貯蓄が転勤の場合そこで打ち切られてしまう。同一金融機関でない限り、あるいは譲渡、移管というようなものがない限りは、所得税法施行令四十一条二項、四十二条ですか、こういうようなものがあって打ち切られてしまうということで、また新しく始めなければならない。その先でやらなければならぬということで、ちぐはぐになって、こま切れこま切れになってしまってたとえば税務職員なんというのは二年とか三年でみな転勤するというようなことが、かなりきびしく行なわれているわけです。そうでなくても転勤辞令というものが多いのですが、そういう問題で本来の趣旨が生かされない面があるんだということについて、どのようにお考えになっておられますか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 お尋ねは、財産形成貯蓄のことであると存ずるのでありますが、財産形成貯蓄につきましては、ただいま同一金融機関でなければ継続できないことに相なっております。したがいまして、転勤等の場合に、前に財産形成貯蓄をいたしておりました金融機関と同一の金融機関の支店等がない場合には継続できないことに相なるわけでございまして、確かに御指摘のような不便がある場合があると思うわけでございますが、この点につきましては、私どもも財産形成貯蓄を伸ばすという趣旨から、たとえば一般の大きな金融機関でございますと支店網がかなりございますが、労働金庫といったような場合でございますと、別々の金融機関になっておりますから継続ができないという問題もございますので、貯蓄の継続という処置がそういう異なった金融機関、たとえば労働金庫同士等においてできないかどうか、こういう点については今後大蔵省と協議をいたしまして、十分検討をいたしたい、かように考えておるところでございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 あっち行ったりこっち行ったりで申しわけないのですが、さっき大蔵大臣から答弁があったのですが、しかし自治政務次官、せっかくおいでになったのですから、自治省のお考えも大蔵大臣と同じように考えていく、こういうことに了解してよろしゅうございますか。

小山省二自由民主党自治政務次官

○小山政府委員 方向としては先生御指摘のとおりだと私ども考えております。四十三年の税制調査会の答申にもその方向は明らかに示しております。地方税の負担の公平をはかるという見地から、国の租税特別措置が自動的に作用しないように配慮することを指摘をいたしておりますから、私はまさに先生御指摘のとおりと思っております。しかし、国のそうした特別措置と一体性を持つことが、課税上いろいろな点で利便になったり、あるいはまたその必要性がある場合もございますので、一がいにすべてを遮断するということもどうかと思いますが、原則としてはそういう方向で今後地方税制を検討しなければならぬと考えております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 ところで主税局長、いま労働基準局長からこの問題について、転勤の問題で非常に不合理が出ているということで、大蔵省ともよく相談してそういう不都合のないようにしたいという希望を述べられたわけでございますが、やはり持ち家制度を促進するために財形法がせっかくできて、ところが転勤のある人はそのつど中断してしまっていつになっても持ち家制度にありつけないということにならざるを得ないわけなんです。ところで、現在労働者のために労働金庫があるわけです。これは全国各都道府県にみんな一つはあるわけです。そうしてこの財形法をやはり労働金庫としても十分その成果をあらしめるようにやろうということで、取り扱い関係について全部全国ネットで業務提携をして、どこの県へ行っても労働金庫と契約したものについてはそのまま権利義務を引き継ぐ、住宅貯蓄契約そのものが引き受けできるように業務提携をしているということなんですけれども、しかし、そういうものについても現実には同一金融機関でなければだめだ、継続しないということでみんな中断されてしまって予期の成果があがらぬ。この問題について、これはせっかく法律をつくりながら転勤者には全く働きませんということであってはならぬと思うのですね。その点、大蔵省としても財形法の趣旨に従って、そういう転換をさせられるというのは、これはやはり本人がだんだんえらくなるためにはやむを得ないことかもしらぬけれども、いつまでたってもうちを持つことができない、またその住宅貯蓄についての税額控除も受けられない、こういうようなことになるということは目的に反することになるのじゃないか、税制面の取り扱いが少しシビアに過ぎる面がありはしないのか、こういうことなんでございますが、その点、どのように改善され、業務が完全に同一でなくて違う金融機関であっても、業務提携等において債権債務がちゃんと引き継ぎされる、継続されるということが確認されれば、それで継続さしていって、この税制のメリットを与えるという方向に直すべきだと思うのでありますが、その点、ずばりひとつ答弁をしていただきたいと思います。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 財形貯蓄はこの一月一日から始まったばかりでございまして、いまるる御指摘がありましたような問題があることに実は気づいておらなかったわけであります。最近そういう問題のあることを承知いたしました。その解決方法をいろいろ研究いたしておりますが、ただいま先生が具体的にお示しがありました業務提携契約を労働金庫相互間で結ぶということが、一番具体的に解決しやすい方法ではないかというふうに私どもはいま考えております。  そこで、労働省のほうでそういう指導ができないかということをいま研究をしていただいているわけでありますが、ただ、労働金庫間にもいろいろ事情がありますようで、その辺の事情はよくわかりませんが、そういう提携契約がうまくできるかどうか、まずそこを検討してもらって、それができるようであれば私どももその線で解決していただく方向に処理していきたい。それで、提携契約そのものがうまくできないという場合にはどうするのかというようなことを、次の問題として考えたいというふうに思っております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 その気になれば、もうすでに労働金庫は全国ネットで原則として各都道府県単位に設けられているわけですけれども、一つのところに二つあるのもありますが、そういうところが業務提携をしておるということで、労働省にも申し出てあるそうです。その中身について、大蔵省の税制面での立場もあるでしょうから、そういうものをにらんで、これなら差しつかえなさそうだという自信が持てたら、この継続ができるようにひとつやっていただくようにお願いをいたしたいと思うわけであります。  そこで、大蔵大臣に次にお伺いしたいことは、広告費課税をもうそろそろやっていいんじゃないか。なるほど日本の広告費はアメリカ、西ドイツに次いで世界で三番目で、四十六年度で大体七千八百六十八億くらいの広告費が支出されたろうというのでありますが、これも必ずしも正確な数字じゃない。おそらくこれをかなりの程度上回って、もう一兆円に近いんじゃなかろうか。広告費支出はそういう状況だということでございまして、今日の広告というものが、所得課税を少なくするために経費として認められるんだからということで幾らでも、もうとめどもなく使っているという印象を私どもは受けるわけなんですよ。もうテレビを見ておりましても、同じものが何回でもいやというほど、もうむしろ不愉快になるくらいにこれでもか、これでもかということでやられるわけなんですね。そういうことですから、これほどはんらんをし、これほど消費者にむしろ強制を与えるような形の広告宣伝の時代というものは、やはり行き過ぎではなかろうかという感じもしないではないわけです。  実はそのことと関連しまして、ほんとうに新製品を開発した、いままでの製品とどこが違うのかというような使い方を教えるとか、あるいはいままでと違う、技術がこうすぐれているんだ、こういうことなんですというほんとうに必要な広告も当然あるはずだと思うのです。ところが、東京都の消費者センターで出している「かしこい消費者」というのを私のところに送ってきたものですから見たのですが、家電の、特にカラーテレビのモデルチェンジの問題について取り上げているんです。「モデル・チェンジはだれのためのもの」かということでありますが、機種の数について、二十インチカラーテレビに限ってみると、あるメーカーでは現在十二種類あるという。また電子機械工業会に各メーカーから報告されたデータによると、四十六年九月二十一日から十二月十五日の八十日余の間に十一のメーカーが合計で三十九機種の新製品を売り出したというのですね。これは東京都の消費者センターですからうそは書いてない。この三十九機種の標準価格は十万三千円から十九万八千円、かなりの開きがある。そしてここで機種の違いは一体どこにあるかというと、スピーカーの数が違う、デザインや大きさなど意匠まわりの違い、リモートコントロールの有無、トランジスタの石の数、ICの数、これらの違いなんですね。新しく技術を開発した、新技術を取り入れたというようなもので機種が生まれるんではなくて、モデルチェンジがこういうようなことでどんどん行なわれる。そしてモデルチェンジをやったら今度はそれに向かって猛烈な宣伝をやる、こういうことなんかがあるわけですね。しかも今度はそれがすぐこわれる。こわれると、どこへ持っていっても、アフターケアがあるはずなんだけれども、なかなか直してくれないというような消費者の苦情から、東京都の消費者センターでいろいろ調べたところがこういうことだということになっているのです。  実は新しく出た機種というのがすぐこわれるという消費者の苦情があちこちで出て、しかもそれをテレビ屋でも直してくれない。直したけれども直しがへたでまた見えないというような、そういう苦情が寄せられたというようなところから、そういう問題の記述がずっと行なわれているわけなんですが、こういう問題に対して、何らかの形で広告費課税というものをすべき段階に来たように私は思うのですが、大蔵大臣、いかがでございますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 この問題は私どもとしては、これから検討すべき問題として取り上げることになっておりますので、これから検討を始めたいと思います。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 主税局長、この広告費課税について、一体どういうところがむずかしい問題なんでしょうか。それを克服する方法はないのか。その点二つお答えしてください。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 広告費は交際費とよく比べられるわけでございますが、交際費の課税は本来、税の問題というよりは、何かそれがむだ使いであるというところからこれを抑制するという意味で、税がそういうむだ使いを抑制するのに役立つということで、現在の交際費課税制度が行なわれているわけでありますが、交際費と広告費を比べますと、交際費のほうはとかくそれが個人の利益につながっておる。特に飲食費等になりますと、名前は交際費ということになっておりますが、関係者が飲食をする、あるいはたとえばいろいろのお祝いごととか悲しみごととかいうときに、お祝い品とか弔慰金とかいう形でお金が動くわけですが、結局それは法人間で動くというよりは、法人から取引先の個人、まあ役員さんとか幹部の方とかに動く。こういうことになって法人から個人に流れていくという関係があるので、交際費のほうは税の面からいいましても、いわば公平論からいって相当問題があるという面があるわけでございます。  やや、むだ使い的色彩の点では、広告費も交際費と似てはおるわけですが、広告費のほうはその出した、支出の結果が、だれか特定の個人に著しく受益になっていくという関係が明確でないというか、そういうものがあまりないという点で、同じ社用、社用というような感じはありますけれども、そこでまず基本的に違うという問題がありますので、税としていわば抑制税的な意味での広告税というのを、交際費と全く同じように考えるということについては、基本的にちょっと理論の立て方でなかなか問題があるという点が第一点でございます。  第二点は、交際費については、日本の商慣習等から見まして、諸外国に比べてどうも少し多く使われ過ぎておるんじゃないかという感じがあるわけでございますが、広告費は、このよしあしは別にしまして、十分な統計等はございませんけれども、一応いま国際広告協会等で世界の広告費を調べて——どうやって調べているか詳しくは知りませんが、調べているところによりますと、日本の広告費はそう著しく高くない。人口当たりとか国民所得当たりとか非常に大ざっぱなつかみ方でございますけれども、そういうもので見ますと、アメリカ、西ドイツ、イギリス、カナダ、スイス、スウェーデン、オーストリアというような国などに比べまして、まだ日本のほうが低いということで、日本がそう著しく広告費を使っているという現象が指摘できない。それが交際費の場合とは違う点でございます。そういう点から、従来は交際費と同じようにはなかなか扱いにくいという考え方で否定的な——これまでも何度か税制調査会等でも議論ありますけれども、その二つの事情が主たる理由で、今日までは見送りということできたわけでございます。  それで、今後の問題として一番問題となるのは、おそらく交際費のように一種の所得課税といいますか、法人税の問題として一応損金ではあるが、税務上は損金として一部認めないというような形での扱い、そういう形で取り上げられるのか、あるいは流通税のような形で取り上げられることになるのか、そこらの問題も交際費とはちょっと違った意味で問題が起こってこようかと思うわけでございます。  それからもう一つは、広告というのは、ものを周知徹底するためにやるわけでありますが、同時に販売のための一つのテクニックであるわけです。販売のためのテクニックとしては、広告のほかにリベートというような方式で、販売員を使って、販売員に多くのリベートを与えることによって、どんどん売り込んでいくというような販売形式がありましたり、それから交際費をたくさん使って、相手の企業といろいろ連絡をとってやっていくというやり方があったり、いろいろするわけです。その広告費を押えるといいますか、そういう方向をとった場合に、いろいろな販売形式がまた変わってくるんではないかということ。  それから、広告費の範囲をどの程度にすべきものなのか。いわゆる広告の概念には一般に入っておりません、何といいますか、郵便を使いまして、メールでどんどん送るというような方式、そういったものとのバランスというような問題がいろいろあります。そういうことで、まだ広範囲に検討すべきものが残っていると思います。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 いずれにしても大蔵大臣、これは重要課題として検討し、課税の方向で検討するということでありますから、こまかい問題については今後にしたいと思います。  最後に一つだけ大蔵大臣に伺いたいのは、社会保険診療報酬課税の特例の問題でありますが、これは本会議でも答えられておるわけでありますが、これは税制調査会が八回答申して何にもやらぬのはけしからぬということで、こんなたいへんきびしい調子で答申を書かれるというのは今回が初めてであります。しかも今度のこの法改正の中におきましても、あるいはその減収の項目を見ましても上から二番目くらいに、いわゆる貯蓄奨励の分を除いては、一番減収金額も大きくなっている。四十七年度は八百億になっている。そういう段階を踏まえて、それで診療報酬適正化の作業までの暫定措置であるという附帯決議もついておるのですが、それが二十九年以降ここまでもう約二十年続いちゃっているということで、いまやどこにもこの不公平税制というもの、診療報酬適正化の作業が——これは厚生省に伺ったところが、これは事務的には、午後もやりたいと思いますが、いつまでたっても、適正化というものは、これは相対的なものであって、向こうが適正でないと思えばそれまでであって、もう三回、四回と、その間に適正化の作業を積み重ねてきている。厚生省は、聞けば、まあ適正化が行なわれたんだ。それが条件になっているような形で今日まで手つかずにきて、そして税制調査会も新春早々にでもやるのだ、この問題で独自の見解を出す、答申をする、こう言われておるわけでありますが、これはいつ税制調査会が開かれて答申が出るか、これについて、ひとつ、どういう段取り、スケジュールで、税制調査会の特別な委員会を設けてやるというのですが、それが行なわれるのか、そしてその答申が出たならば年内にも実施をする、こういうことになるのでありますか。その点を、大蔵大臣の決意を聞いて、午前の質問を終わりたいと私は思うのですが、いかがですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 私は、何日からいつまでに検討を終えるかという日程をまだこまかく知っておりませんが、もうすでにこの検討を税制調査会において始めておるそうでございます。この答申を見てからでないと、いつ実施するとかいうこともまだきまりませんので、この答申の趣旨は必ず尊重して政府は今度は実施するという責任を持つということを私は答弁してございますので、答申が出ましたら、そのとおりに扱いたいと思っております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 それじゃ時間がありませんので……。

齋藤邦吉自由民主党

○齋藤委員長 貝沼次郎君。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 大臣に二、三お尋ねいたします。  きょう考えておりました問題のほかに、初め、ちょっとお伺いしたいと思うのですけれども、きのうの大臣の答弁の中で、景気回復がおくれれば所得税の年内減税も辞さないというような発言があったようでありますけれども、これについて考え方をもう一度お伺いいたします。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 私はまだ、けさ新聞の表題を読んだだけで中身を読んでございませんが、きのうは、もし景気の回復というものができなくてもっと深刻な状態になったらどうかということでございましたので、そういうときにはさらに次の不況対策というものをとらなければいかぬだろうということは考えていく、しかし今年度の場合そういう事態にはならなくて済む、必ず後半期においては景気は上向くだろうという答弁をしたことでございます。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 後半に上向くだろうということは、これは大蔵大臣としてはいまのところ言わなければならぬと思うのですけれども、しかしながら、本会議において、大蔵大臣、総理大臣両方とも、われわれがいま減税をすべきではないか、最も景気浮揚の即効性のあるのは減税ではないかということでずいぶん質問したときに、政府のがんとした姿勢というものは、やらないという線であったわけですね。ところが幾らもたたないうち、まだ予算も通ってないのですよ、そういう段階で、すでに場合によってはというふうな発言が出るということは、私は、総理大臣並びに大蔵大臣の本会議における発言というのは一体どれだけの信用というか権威というものがあるのかということが非常に疑われます。  そこでひとつ、正直に答えていただきたいと思うのですけれども、はかばかしくないような判断が立った場合というわけでありますけれども、このはかばかしくない場合というのはどういうところで判断されますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 いまの不況がさらに落ち込むという状態になったときということでございましょうが、それはおそらく考えられない、そういう事態にはならないということを前提として答えたものでございますので、したがって私どもは本会議で答えたときの認識を変えたというわけではございません。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 本会議のときと認識が変わっていないとおっしゃいますけれども、しかしながら、大蔵大臣が一たん発言をするときは、そう軽々しい発言は私はなさらないと思います。特に年内減税ということば、あるいは補正予算というようなことばも出ているようにうかがわれますけれども、こういうことは非常に影響力の大きいことばであります。したがって、あのときの考え方と変わっておらないと言いますけれども、やはり何らかの不安というものが大蔵大臣の胸の中にあるからこういうことばが出たのではないかと私は思うのですが、この点はいかがでしょうか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 これは質問者がもしこういう状態だったときにもなおかつ何もしないかというようなことでございましたので、そういうときには第二段のいろいろな措置が必要だろうと思うが、しかし今年度はそういう事態にはならないということを断わって答弁してございますので、そういう印象を与えたとするとこれはきわめて適切でなかったと思いますが、質問に答えたことでございまして、仮定の質問には答えなかったほうがよかったかもしれません。

松尾正吉公明党

○松尾(正)委員 関連して。大臣のことばとしてはこれは非常に穏やかでないと思う。本会議で、まだわずか一週間ばかり前です。今年度の不況というものは外貨の蓄積あるいは現状を見て相当暗いではないか、こういう前提で、所得税減税を今年度やったやったというけれども、実際にはやっていない、したがって、これは直ちにやるべきである、最悪の場合には補正を組んででもやるべきだ、こういう質問が、社会党も公明党も民社党も野党からそろって出た。その場合に総理大臣も大蔵大臣も、見通しについてはそういう暗いことはない、したがってそういう考えはない、こういう表明をしておって、わずか十日足らずの間に財政の主管大臣が景気が暗くなればやるんだというようなこんな不見識な態度が、そんな財政の考え方というものが許されるかということなんです。想定問題が出たから答えたというけれども、ここでも想定問題一ぱい出ていますよ。想定問題には私は答えませんとあなたは常々言っているじゃないですか。もう日にちがないからというような考えでいいかげんなことを言うのは慎んでもらいたいと思うのです。あなたは財政の責任者なんだ。はっきりしてもらいたい。   〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 いま申しましたとおりでございまして、私どもはきのうも言いましたとおり、企画庁の発言にもございましたように、昨年の減税にしろ、予算の補正にしろ、これが非常に有効に働いておるということを述べておりますが、もしそうだとすれば、これに新年度の予算が作用するというようなことになったら必ずこの不況は克服されると自分は思う。四十七年度の後半期、秋ごろからは景気が上向いていくということは間違いないと思う。この点はいまでも変わりませんし、したがって、さらに不況に対する強い措置というようなことをいま考えているわけでもございませんし、考える必要はないと私は思っておりますが、ただ質問の場合に、これは仮定でございます、しかしこういう事態になったときにはどうかというのですから、なったというときには何にもしないというわけではなくて、なったというときには当然財政責任者として、なったときにはそれに応じた予算の補正が必要ならば補正をしましょうし、あるいはさらに国債を増発して、あるいは減税をすることが必要だという事態にいけばそうしなければいけないというような、当局としていろいろそういうことをしなければならぬでしょうが、そういう事態にはいまのところならないというふうに私は答えたことでございまして、ちっともあいまいなことを言っておるわけではございません。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 それでは次に進みます。  公害税という名前でいろいろ言われておりますが、公害税という名前がいいのか悪いのかこれは別問題といたしまして、米国の場合は、政府が企業に対して公害防止のために補助金を出したり、あるいは税制上の優遇措置などをとると貿易面で国際競争力の不公正な問題が生じるとして、公害費用は原因者が負担すべきであるとのPPP原則を主張しておるわけであります。これは御存じのとおりでありますが、こういうようなところから、やはりこれは租税特別措置法と関係が深いわけでありますので、私は取り上げます。  先日、環境庁長官も公害税を考えるような内容の発言があったようでありますけれども、まず、これについて大臣はどういうふうにお受け取りになりますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 環境庁長官の公害税という構想はまだ十分承知しておりませんが、欧米諸国で見られるような課徴金という考え方のようなことをいっているのではないかと思いますが、そういう問題についてはいまOECDでも研究しておると聞いておりますので、わが国においてもこの問題を検討する必要はあるだろうと考えます。環境庁では審議会にこの問題を諮問することを考えておるということでございますので、諮問していただくのはけっこうだと思いますが、どういう構想であるか、内容は私どもまだ全然承知しておりません。   〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 OECDのほうで研究しておるとおっしゃいましたか——パリで開かれた経済協力開発機構、OEODの環境委員会は二月十一日に公害防止費用は発生源企業が負担するという原則を中心として綱領をきめたわけであります。これは日本の代表も大蔵審議官がちゃんと加わっておりまして、採択をしたわけでありますけれども、しかも日本の代表はこれに賛成を表明しておるわけでありますが、それでも大蔵大臣はまだ研究不足でよろしいのでしょうか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 いま私が申しましたのは、環境庁長官のいっておる公害税というのがどういう内容のものであるかということはまだ十分承知していない。しかしOECDあたりではこういう研究がされておるので、日本もあわせてこの問題は検討したいということを言ったわけでございます。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 検討したいというのはどういう機関で検討しますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 もちろん大蔵省の主税局においても検討いたします。しかし、いま環境庁長官のほうは、中央公害対策審議会に特別の部会を設けて、被害者救済のための基金制度というようなものも含めてこの問題の検討に入りたいということを考えているようでございますので、そうだとすればこの審議会においても検討していただきたいということであります。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 大臣は、こういうような性格のものは、これは公害税ということにすべきと思いますか、それとも性格としてはたとえば罰則的な内容を持つものが望ましいとお思いですか、これはどちらのほうが妥当と考えますか。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 まだたいへん新しいニュース、私どもにとってもニュースにすぎないような状況でございまして、大臣にも環境庁長官のおっしゃっているのはどういう案であろうかということを申し上げてないのでございます。そこで、私ども自身も、実はまだ環境庁からもどういうことをお考えかということを何も承っていないのでございまして、環境庁長官のおっしゃっているのはどのような案かということがわかりませんものですから、これに対して何とも、批判といいますか、考え方をお示しできないわけでございます。  ただ、これに関連しまして 一言御参考といいますか、お答えになるかどうかわかりませんが、アメリカ等におきましても、しばしば新聞報道で報ぜられておりますように、いろんな案が考えられていることは事実でございますが、その案はいろんな案がこれまたあるようでございまして、いわゆる税というような考え方のほかに、課徴金というような考え方、たとえば製造工程から出て大気中に放出される硫黄に対して課徴金を取ったらどうかとか、いろんな具体案が出て、アメリカでも議会で審議されて流れたとか審議中であるとか、いろいろなニュースがございます。諸外国ともまだいずれも検討中でございまして、ちょっと主税当局として公害税という概念でいまの段階でよしあしを申し上げるに足るだけの材料を持っていないというのが現状でございます。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 きょうの新聞報道によりますと、大蔵省は強く反対する意向であるというふうに報道されまして、その内容として三つばかり理由が書いてあるわけでありますけれども、こういうことは大蔵省では示唆した覚えはありませんか。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 私の知る限りでは、大蔵省として申した覚えはございません。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 大蔵大臣、この地球の汚染防止ということは、これは国際協力上非常に問題でありますけれども、今回この国際協力というものを一歩進めるという意味から考えていきますと、やはり現在アメリカ側で考えておるような公害税の方式というものは、これはかなり積極的に検討する必要があると思うんですけれども、その辺の姿勢のぐあいはいかがでしょうか。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 先般OECDの環境委員会におけるいわゆるPPP原則等について議論されましたにあたりましても、私どもが承知しておりますところでは、一方においていわゆる公害対策といいますか、そういう角度からも検討されたことは事実でございますけれども、同時に、世界的な通商なり貿易なりの問題との関連において議論されたようでありまして、一国だけが公害防止を非常に強く規制をするとか、あるいはそれに対して負担をかけるということになりますと、国際競争力が落ちてくるということになりますし、逆にどこかの国がそれを自由にほっておくということになりますと、その国はいわばたれ流しをしながら安い品物をつくるというようなことになってくるという関係にございますので、どうもこの問題は、そういう意味で、単に一国の環境維持ないし公害の防止という問題から、だんだんそういった国際的な環境問題あるいは国際的な通商問題にまで発展していくような形勢に動いているようでございまして、私どももそういう動きといいますか、国際的な動きをよく見ていかなければならぬ時期に来ているのかなという感じを、はなはだまだ初期的なといいますか、おぼろげなものでございますが、感じておるような状況でございます。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 内容については、まだ詳しくあらわれているわけじゃありませんから、それは当然のことであろうと思うのですけれども、しかし、やはり姿勢というのは大臣の姿勢いかんでどういう方向にも行くわけですね。大臣が、世界的な趨勢としてOECDでそういうものが採択されておる。PPP原則ですね。こういうような観点から日本の将来の立場というものを考えた場合に、積極的にこれを検討して、そうして早目に結論を出すとか、ただ検討するだけでは私はわかりませんので、いつごろまでに結論を出したいとか、そういうようなお考えはございませんか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 これは、いまお話がありましたように、各国と歩調を合わせて結論を出すべき問題であると思っております。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 歩調を合わせて——それは歩調は大事ですけれども、ただ歩調だけではやはり町の哲学になるんですね。歩調だけではなく、その歩調を合わせるために、それでは日本は、環境庁の審議会という話がありましたけれども、大蔵省としては直接どこで携わりますか。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 この環境問題は、御存じのように、非常に新しい問題でございますので、実は私ども事務体制もまだまだほかの仕事に比べますと、若干はっきりしない点がございます。税については当然私どもの主税局の仕事でございますが、そのほかに金融の問題もあり予算の問題もありということでございますので、大蔵省あげていろいろ研究はしております。しかし、いずれにしましても、もう少し環境庁御自身のほうでいろいろな検討が進んでいかないと、われわれのほうで何とも、どの問題についてもなかなか意見を出しにくいというところでございます。  いまのOECDのほうのいろいろな討議の内容も、結果は聞いておりますが、やはりまだ微妙な点ではありましょうが、各国間にいろいろ差異もあるようでございますので、そういう様子、世界的な動きも伺いながら、決して消極的な意味でなしに取り組んでいかなければならないと思いますが、いずれにしても、非常に立ちおくれといいますか、あとから追っかけておるような状態でございますので、まず各国なりなんなりの情勢を見ながらというのは、現段階ではやむを得ないことではないかと思っております。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 大石長官はつくりたい旨の発言があったわけです。大蔵省は各国の情勢を見ながら歩調を合わせていくと言っております。いまの高木局長の話によりますと、環境庁できめればという意味の話もあります。そうしますと、環境庁でこれをやろうとした場合には、大蔵省はそれに従っていく姿勢があるわけですね。これは環境庁がそうしてみなければわかりませんけれども、もし環境庁でやりたい、こうなった場合には、そうしたら大蔵大臣はそれについてどういう姿勢をとりますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 公害対策は主管官庁が環境庁でございますので、環境庁がいろいろな検討をされることは当然でございます。そこで、一応必要な政策として決定されるようなことでございましたら、むろん、大蔵省もこれに協力するということでございますが、いまのところ全然内容も何もまだ環境庁自身においても検討されてないような問題だろうと思いますので、いまのところ何とも申し上げかねます。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 いまのところ何ともということでありますが、これに関連いたしまして、最近問題になっておりますのが、海洋投棄の問題であります。これは何も環境庁だけではなくて、私はずっときのうも分科会で環境庁の問題を扱ったのでありますけれども、せんじ詰めるところは、やはりお金の問題なんです。究極は大蔵省の態度ですべてが決定するということになってくる。こういうようなところから、私は大蔵省の姿勢というものがこの公害対策に対する重大な地位を占めるのではないかと思いますのでお尋ねいたします。  いよいよ海洋投棄の政令ができ上がりまして非常にきびしくなります。これはけっこうなんでありますが、ところが、その制度だけをつくっても、今度はそれを監視する体制というものが非常に不備であります。たとえば海上保安庁あたりの実態というものはきわめて不備であって、瀬戸内海沿岸、第六管区の海上保安、つまり広島、山口、岡山あたりを含めたもの、あるいは四国までも入っておりますけれども、これで海上投棄についてのいろんな監視を行なうわけでありますけれども、その飛行機の数にしても、あるいはもし油等が流れた場合でも、それに対処する方法にいたしましても、非常に微々たる設備しかありません。ことに油などこぼれますと、この油にもし火花でも散った場合はたちまち引火をするということは、これはもうだれもが知っておることでありますが、その場合非常に重大な問題が起こるにもかかわらず、消防艇なんというのは二隻しかないのです。  どうして国民の生活というものを守っていく政治とこうもかけ離れたような現象が起こるのだろうかと思うのでありますけれども、よくよくせんじ詰めてみると、海上保安庁というのは運輸省の中にあるわけですね。運輸省のほうは国鉄でもって赤字を出しておりますので、運輸省という名前を聞いたとたんにどうもうまくないわけですね。そうして肝心かなめの私たちの生活を守るところのそういう施設の整備というものが充実されておらない、こういうところがあるのです。  そういうような観点から、やはりそういう公害の問題は新しい問題でありますから、過去の実例というのはあまりないわけでありますから、もっと大蔵大臣が前向きの姿勢で施設をどんどんそろえていくのだ、あるいはそういう要請があった場合には前向きで認めていくのだ、こういうような姿勢があっていいのではないかと思いますけれども、この点はいかがですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 そのとおりだと思います。本年度におきましても、巡視船をはじめこの問題の予算総額は約三十億円ぐらい。船、ヘリコプター、そういうものの整備も本年度は相当予算を計上いたしましたが、問題は要求官庁との協議によってきめるべきものでございまして、本年度は国鉄の赤字があるからといってこちらのほうの予算を削減したというようなことは全然ございません。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 今年度はちゃんとつけたような意味の答弁でありますけれども、しかし大臣、瀬戸内海のあの広いところで消防艇が二隻というのは、これでよろしいですかね。あそこは船は一隻、二隻走っておるのではないのです。それはものすごい数です。たとえば昭和四十三年に水島港だけを見ましても、一万トン以上のタンカーというのは三百六十三隻入っておるのです。ところが、四十五年になりますと、六百六十三隻というふうにたくさん入っておる。ところが、消防艇のほうはたった二隻しかないのです。これでは私はその体制を整えたということにならないと思うのです。きょう昼からまた分科会でやろうかと思っておるのですけれども、これではああいうようなところで仕事をしておる人たちはあぶなくてしようがない。したがって、ただ前からの予算がこれだけ伸びたからつけたのだというような言い方ではなくて、私は実態に応じた予算の配分というものが必要だと思うのです。この点はいかがですか。

吉瀬維哉大蔵省主計局次長

○吉瀬政府委員 水島港の防災体制は、確かに相当大型タンカーが入ってきておりますので、大事なことだと思っております。特に四十六年度に一隻、御承知のとおりいま二隻になっておるわけでございますが、四十七年度にはさらに一隻、在来型でございますが、増配する予定に保安庁のほうではなっております。  なおほかに、先ほど御指摘がございましたが、たとえばたれ流しされた油を夜間でも見ることができるような監視装置とか、あるいは監視要員の増員とか、海上のたれ流しの汚染の防止につきましては、予算上もいろいろやっております。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 うしろのほうがよく聞こえなかったのでありますけれども、私は何も陳情しておるのではないのです。これは新しい問題であり、重大な問題だということを言っておるわけです。ことに今度のこの特別措置法の中でも公害とか住宅とかいうふうに柱が出ておるわけでありますから、ここまで大蔵省が公害に関心を持つならば、もっとこの辺までもちゃんと関心を持ってしかるべきではないか、こういう意味なんであります。  それから、時間がもう幾らもありませんので、はしょってお尋ねをいたします。先ほど庶民金融について広瀬議員からいろいろ質問がありましたけれども、私はダブることを避けまして二、三お尋ねをいたしたいと思います。  郵政省と大蔵省との関係になっておるわけでありますが、こういう庶民金融ということについて、郵政省と大蔵省が何らかの方法でこの話し合いをする計画はありますか。

近藤道生大蔵省銀行局長

○近藤政府委員 郵政事務当局と大蔵事務当局との間ではいままで何度か話を続けておりますし、今後ともお話はしてまいりたいと思っております。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 それで、その結論はいつごろをめどとして出す予定ですか。

近藤道生大蔵省銀行局長

○近藤政府委員 ただいま非常にむずかしい問題が幾つかございますので、なかなか結論が具体的にいつかというようなことが申し上げられる段階ではありません。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 大蔵大臣は現在大蔵省の銀行局の案と、それから郵政省の案とについてどういう見解をお持ちですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 先ほど申しましたように、問題がたくさんで、また影響は広範でございますので、十分これは検討しなければ賛否の言えない問題である、さっき申したとおりであります。しかし、いままでいわれている程度の案でございましたら、これはさっきも申しましたように、非常に支障の多い賛成のできない案だということははっきり言えようと思います。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 それじゃ、それは終わります。  それから、これもちょっとお尋ねするわけでありますが、アメリカのボルカー財務次官が記者会見で米国の基本的な考えを三点にして明らかにしておるようでありますけれども、その中で日本についてはいまのところ訪問する予定はないが、国際通貨制度に対する日本の出方は注目しているというふうにつけ加えておるようでありますが、大臣は、この国際通貨制度というものについて、個人的でもけっこうでありますから、どういうものが望ましいとお考えになっているか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 これは将来、これからの国際通貨をどうすべきかという問題でございますので、これは非常に大きい、むずかしい問題でございますので、いまわが国としてはわが国のこの考え方をいろいろまとめておるところでございます。いずれにしましても、この国際通貨の問題については、日本は積極的にこれから国際協議に参加して、この問題の解決に努力をするという立場をとっておりますが、その過程においてはいろいろな問題が起こるかもしれませんし、十分私どもは私ども独自の見解もこれを練って、そうして今後の国際通貨のいろいろな場においてこれが当然論議されると思います。まだ論議の場すらいまきまっておりませんが、それに対するわれわれの考えをいろいろいままとめておる最中でございます。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 それならば、いよいよことしの暮れには外貨準備高も二百億ドルになるのではないかといわれておりますが、この外貨減らしは基本的に大臣はどのようにお考えですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 まず対外均衡が非常に不均衡で、どんどん黒字が累積していくという状態を避けなければなりませんので、これを避けるためには、何としても国際均衡の回復ということでございます。そのためには、国内のいまの不況を克服して景気を回復させるということが一番大きいきめ手であると思っております。これによって輸出入の姿というものは直ってくることははっきりいたしますので、まずこのことを私どもは当面の一番大きい仕事としてやりたいと思っております。そうしてそういういろいろな努力をし、前のいわゆる対外政策八項目も、これもいま一つずつ実行しておるところでございますので、こういう総合的な政策によって効果を期待しながら、一方、すでにたまっておる外貨の活用ということも考えなければなりませんので、この活用策についてはいろいろな考え方があると思います。  御承知のように、外貨は、民間の持っている外貨を円の代価を払って政府が買ったものでございまして、また民間が必要である場合はいつでもこれは売り戻さなければならないものでございますので、そういう公的な資産でございますから、なかなか活用するといっても、特定のものを利するというようなことにこれを使ったり何かすることはできませんし、流動性をすっかり無視した運用のしかたということも問題でございますので、一定の流動性というものを確保しながら、そのほかは安全性、収益性ということを主眼とした運用を考えることが必要でありますし、そのためにはたとえば為替銀行に預託するというようなことによって短期債務の返済の肩がわりにするというような活用のしかたもございますし、非常に有利な外国債券に投資し、あるいは国際機関にこれを貸し付けるというような措置も考えられますし、いろいろなことによって蓄積された外貨はこれを活用し、そうして今後そういう異常な蓄積のしかたがないようにするという、政策を二つに分けて考えて実行していくものと思っております。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 時間がもう幾らもありませんので、それでは具体的な問題をお尋ねいたします。  これは国税庁関係になりますが、国税庁が国民に親しまれる税務署とか、いろいろなキャッチフレーズでずいぶん努力しておるとは思うのですが、実際にこんな事件がありました。  これは広島県の尾道の例でありますけれども、尾道の市の道路があって、そこのわきに税務署の官舎があるわけです。そうしてその税務署の官舎の人たちが出入りする道がそのわきについておる。市の道のわきのところは、これはやはり国有地のようでありますがあき地、そしてこっちの隣のところに民家があるわけです、二軒。   〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕 ところが、この家が建ってからしばらくしたら、国税庁のほうから、この道は通ってはならない、これは国有財産であるという理由で、この家の前からわきのところをブロックのへいでもって囲ってしまった。いわば七委員室みたいになってしまって、入り口がたった一つしかないのに、そこのところをブロックでもってさあっと、来てはならないというふうにへいをつくられてしまった。このためにこの人たちは出るところがありません。そこで、国税庁に対して、何とかこの道を通らしてくれないかということをお願いした。しかしながら、どうもだめらしい。そこで、尾道の税務署から本人のところにやってきまして、だめだと言ったらだめなんだ、こういうことで全然話を聞いてくれない。こういうような事件がありました。それで、しかたがないので、地元の国会議員に頼んで、何とか通れるだけでも通れるようにならぬものかという話があったようでありますけれども、これに対しては、そういう偉い人のところへ言っていくとはとんでもないというので、またどなられたという例があるのでありますけれども、こういうことは大蔵大臣、よろしいのでしょうか。国税庁、大蔵大臣、どうでしょう。

星野孝俊国税庁長官官房会計課長

○星野説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。  いま御指摘の点につきましては、地元から現地の税務署にも陳情がございまして、また国税局のほうからも私どものほうに連絡がございまして、実はただいま事実関係を調査中でございます。へいを設けましたのは、国有財産であるこの宿舎用地の管理の適正を期するために市との境界をはっきりしようということで設けたもので、他意はないわけでございますけれども、ただいま御指摘のような点がございましたならば、この点の事実関係を検討いたしまして、善処を要する点がありましたならば、至急処置したいと思っております。  それから後段の、何かおどかしをかけたという点につきましては、もしそのような事実関係があるとしますならば、まことに遺憾なことでございまして、今後このようなことのないようにいたしたいと思います。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 私は、税務署というのはやはりそういう態度ではいけないと思いますね。小さな例でありますけれども、やはり国民に親しまれるような態度でなければならぬわけでありますから、せっかく自分たちが通る道がありながら、わざわざへいをつくってしまった。そしてその人は、今度はへいの外に階段をつくって、こっそりと税務署の人たちがだれも見ていないときにさっとへいを飛び越えて、家を出入りしておるのです。こういうようなことはだれが考えても常識的なことじゃありませんから、やはりそのときそのとき話を聞いてあげるなり、あるいは場合によってはへいをこわしてでも、ある期間だけでもいいと思いますから、何らかの措置をとるということは、私は当然のことだと思います。よろしくお願いいたします。  では、時間が来ましたので、終わります。

山下元利自由民主党

○山下(元)委員長代理 小林政子君。

小林政子日本共産党

○小林(政)委員 私は、八月のいわゆる変動相場制に移行以前、非常に膨大な為替投機が行なわれたわけですけれども、特にこの十二月二十日以前の為替差益の問題等について、当然これは課税の対象にすべきである、こういう立場から質問をいたしたいと思います。  大蔵省当局は、この差益の捕捉というものはきわめて困難であって、なかなかつかみにくいのだ。確かにこの問題については、長期外貨建て債権あるいは債務の問題については、企業会計処理について、昨年の十二月二十四日の企業会計審議会の意見第四でもって、長期外貨建ての債権債務等についての取り扱いについては、その取得時または発生時の為替相場で円の換算をするという、こういうことができるようになっております。したがって、差益という問題は、そこからは出てまいりません。しかし、差損については、税法上の特例というものを設けて、決算時の為替相場で評価がえをしたということを認める、こういう措置がとられたわけです。取得時のもので、決算時の為替相場との差額といいますか、これについても相当額を、いわゆる十年間の繰り延べを認める、こういう税制上の措置をとられたわけですけれども、このことは、損金に計上するということは、実質的にまだ具体的に実現してないそういう損金、そういうものを十年間の繰り延べという期限を設けて認めるということは、実質的に国の資金でその間融資を認めてやっているということと同じではないだろうか、私はこういうふうに考えるわけです。  したがって、為替の差益についても、差損のときに計算したと同じような方法を用いて、四十六年の十二月二十日、ここに締めくくりの時期を定めて、その時期に確定している長期外貨建ての債権債務と、それ以後のものというものをはっきり区別をして取り扱いをしていけば、当然これは差益の分についても、理論上、計算上差益そのものが明らかになるであろう、私はこういうふうに考えるわけですけれども、なぜ特別な手を差益については打たなかったのか、この点について明確にお答えを願いたいと思います。   〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 一般的に為替差益の問題がたいへん論議されておるわけでございますが、ただいま御質問の中にもお触れになりましたように、差益の把握というのはたいへんむずかしいわけでございます。  差益についてはいろいろなものがあると思います。外貨建ての債務が、換算によって生ずることによる差益が一つ考えられます。それから一般的に輸入価格が下がったということによる利益というようなものも考えられます。その他、今度の通貨調整による為替上の差益というのはいろいろな形であらわれてくると思います。  その中で特にお触れになりました外貨建ての債務の換算差益の問題でございますが、この換算差益については、当然それは、法人でありますれば、その法人の所得としてあらわれてくるべき性質のものでございますから、それは普通の所得と同じように課税をされることになるわけでありまして、問題は、その差益なるがゆえに特別の税率を設けてよけい課税するかどうかということであろうかと思います。普通の税率による差益課税は、所得として実現するはずでありますから、特別に何か回避行為が行なわれない限りは課税されることになるのであります。よって、その差益だけは、法人税で申しますと、現在三六・七五に法人だけでなっておりますが、さらにそれ以上に五〇%なり七〇%なりという高い税率で課税してはどうかという御意見かと思います。  そうしますと、今度はそれをどの範囲のものを差益としてとらえるかということがむずかしいという問題があります。何か範囲を、確かにこれならばとらえられるだろうというものもあるかもしれません。あるかもしれませんが、一般的に外貨建ての債務というのは多種多様でございますから、それのうち一定の部分だけを区切るということが非常にむずかしいということが一つと、それから外貨建ての債務の換算による益が、ある債務者に帰属したといたしましても、それは実態では、実はそこと取引関係のある他の企業にその差益が、転嫁の逆みたいな形ですが、分かれていく。たとえば商社なら商社だけに差益が帰属するのではなくして、それに関連する取引関係者にそれが分かれていくということがどうもあるようでございます。なかなかその差益の帰属というものを最終的に固定的に考えることがむずかしいのでありまして、しばしば御議論がございましたので、私どもも技術的にはたいへんむずかしいということは申し上げてはおりましたが、同時に、何とかできないものかという検討もいたしてはみたのでありますけれども、どうも私どもの知恵が足りませんのか、いろいろ検討しましたけれども、どうもうまい基準でつかまえることができないということで、特別課税をすることを見送ったといいますか、できないという結論になったわけでございます。

小林政子日本共産党

○小林(政)委員 いろいろ検討したけれどもできないということになったとおっしゃるのですけれども、私は、やはり十二月の二十日、いわゆる変動相場制から固定相場制にはっきりと調整がついて、そして移った。ここにやはり線を引けば、これはもうその後の問題等については、大臣もしばしば言っているように、物価等を引き下げるというような点にこの差益分を還元していくというようなことが重要だと思いますけれども、それ以前の投機的な、あるいはまたそれ以前のいわゆる膨大な差益、こういったようなものについては、これはやはり明らかに区別をして、課税の対象にすべきだ。この利益というものは、明らかにこれは企業の努力というものでなくて、むしろ私は、企業の不労所得だ、こういうふうに考えるのです。当然それを課税の対象とするということは必要なんじゃないだろうか。むしろ差損に対しては、一応救済措置ということで税法のたてまえをとっていながら、利益を得たほうに何らこれが野放しで何にも手を打っていないことは、やっぱり大きな問題点であろうというふうに私は思いますけれども、国民が聞いても納得のいくように、ひとつ明快な御答弁をお願いしたいと思います。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 ただいまの御質問は、先ほどの御質問とはまたちょっと異なって、今度は投機的なものだけを押えてそれをとらえてはどうかという御意見のように承りますが、その点につきましては、先般の秋の国会来非常に問題があった点でございます。いろいろな形で国際金融局あるいは通産省等から資料を一部御提示をしたはずでございます。それをもっておわかりいただけたかと思いますが、いわゆる投機的なものと世上いわれておりますけれども、それによって得た益というものは、当該企業が持っておる為替差損と見比べまして、それをオーバーするような大きなものはないということはおわかりいただけたはずであります。差益、差損通算して、結局、差益が巨大であるという事例がありましたならば、おっしゃるような点が問題になってくると思いますが、為替銀行なり商社なり等につきましても、差益と差損とを引き比べてみました場合に、それを通計してみて差益が飛び出しておるという事例がありました場合には、そこのところは、投機的為替差益の把握の問題というのは、あるいは課税上も何か考えなければならぬところがあったかとも思いますが、それは先般の資料等でも御了解願えるように、そういう形がないということでございますので、企業全体として見ましたならば、差益、差損通算すれば、差益が飛び出してないということもあるので、私どもとして、そこの部分だけをとらえなければならないような形のものは、今回の場合には認められなかったというふうに理解しております。

小林政子日本共産党

○小林(政)委員 そういう具体的な企業があればとおっしゃることですけれども、私もいまここで短い時間で具体的な例をあげるということはできませんが、特に重油等を取り扱っている、あるいはまたそういった輸入関係、こういったようなところにはやはり相当いろいろ問題が出てくるであろうということだけを指摘して、議論をしている時間がありませんので、この問題はまた後ほどに譲りたいと思います。  最後に一点だけお伺いしたいのは、最近の外貨の蓄積、これが非常にふえてきている。こういったところから、円の再切り上げというようなこともいろいろと新聞紙上等でも問題になってきているところです。外貨準備高というのが二月末で百六十四億七千八百万ドル、そうしますとおそらく年内には二百億ドルをこすのではないかということもいろいろと取りざたされている、こういう状況が出てきているわけですけれども、私はこのような事態を招いた責任と申しますか、こういったものは、やはり従来国民生活の向上というような立場からの経済政策というものが非常になおざりにされてきた、そうして国民の犠牲の上に立って輸出第一主義あるいは生産第一主義、こういったような政策がいままでとられてきているところに今日のような事態を招いた根本的な一つの原因があるだろう、こういうふうに思います。国民生活優先の立場、それを今後ほんとうに実施をしていくという点で、この外貨の活用等を積極的にはかっていく。こういう姿勢と考え方について大臣の見解を伺って、私の質問を終わりたいと思います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 国民福祉のために外貨の活用といいますと、公共事業面においても、福祉に関係のある、生活環境に関係のある公共事業を多くすることによって、これが輸入の促進になる、外貨がそれによって使われるということが活用のしかたの一つでございますし、さらに物価対策の上から、国民の生活必需物資に関係して、できるだけ多い輸入をはかるというようなことも福祉に関係するものだと思います。そういう一連の活用のしかたについては、ただいま十分検討しておりまして、来月、四月中には、いま保有されている外貨がほとんど全部といってもいいぐらい有効に活用されるような事態になっていくだろう、そういうふうに考えております。

齋藤邦吉自由民主党

○齋藤委員長 次回は、来たる二十八日火曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時十六分散会

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