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68回国会衆議院1972/05/25

商工委員会 第25号

発言数
85
登壇者
11
会派数
2
開催日
1972/05/25

会議録

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、工業再配置促進法案及び産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案の両案を議題にいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田利春君。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 本日は、同僚議員の質問がありますので、時間が限られておりますから、端的に御質問いたしますので、答弁も簡潔明瞭にひとつお願いいたしたいと思います。  今日までの工業立地政策を見てまいりますと、新産法あるいは工業整備特別地域整備促進法あるいは低工法あるいは農村地域工業導入促進法、そして今度工業再配置促進法が出されておるわけです。いままでの法律は、いずれも促進法という名前がついておるわけですが、促進という名前がついた法律で、これが実効面で促進されたことがないというのがきわめて常識的に語り伝えられておるわけです。したがって、今回の工業再配置促進法につきましては、特に田中通産大臣が先般来当委員会でいろいろ答弁をされておりますけれども、問題は、この実効を上げるために具体的にどうするのかという点では、当面何といっても土地対策を具体的に進めるということが肝要ではなかろうかと思うわけです。もちろん、これは工業立地のみならず、公共投資その他全般に関しても、いま政府の当面の最大の政治課題ではなかろうか。水を治める者は国を治めるといいますけれども、今日土地問題を解決する者は国を治める、こうわが国の政治で言っても過言ではないと思うのであります。そういう意味で、当面この土地問題をどう解決をするのか、それと同時にまた、一定の展望に立つ場合に、工業立地関係のそれぞれの法体系を整備をする、この二つの視点が明確に定められて本法が生きてくる、かように私は存ずるわけです。まず第一に、この面についての田中通産大臣の所信を承っておきたいと存じます。

田中角榮自由民主党通商産業大臣・経済企画庁長官事務代理

○田中国務大臣 御指摘のとおり、都市化現象は世界的な現象でございます。また、特に日本においては戦後急速な都市集中が行なわれて、その過程における超高度成長ともいわれる経済成長をもたらしたわけでございます。しかし、何ぶんにもいま御指摘ございましたように、都市問題というのが大きく浮かび上がっておりますのは、日本においては二%という都市地域、総面積の二%に七〇%以上の人口、産業というものが集中しておって、文字どおり過度集中の状態でございます。しかしこれからまだ成長が続いていくわけでございますので、都市機能の確保をはかるということは、これ以上過度集中をさせないように一つの歯どめをしなければならないということが一つございます。もう一つは、都市に存在しないでいいものについてはこれを地方に分散せしめるということも、第二の問題として当然必要でございます。そういう意味で、工業の分散一再配置というものと都市政策は全くうらはらでもある、こういうことでございます。このままにすれば六十年には八五%近くになり、過度集中の上に集中を続けるであろうといわれておるのが現状でございますので、工場の分散、二次産業比率の平準化政策を進めるいうことによって、日本の経済機構そのもの、生活機構そのものを整備するには、どうしてもいま御審議いただいておるような政策を推進することが不可欠である、こう考えておるわけでございます。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 本法を運用するにあたって、特に工業再配置の基本計画の策定にあたっては、それぞれ都道府県知事の意見を積極的に吸い上げる、こういう姿勢が私は最も肝要ではなかろうかと思います。それと同時に、また五条に定めてありますように、認可をする場合についても当然都道府県知事の意見書が添付をされ、そういうものを参考にしながら移転工場について認可を与える、こういう考え方が最も妥当ではなかろうかと思います。そしてまた現実にはそれぞれの都道府県傘下の市町村に立地するわけでありますから、そういう意味で、また都道府県知事は立地する関係市町村のそれぞれの首長の意見を聞く、こういう配慮がなされることによって、いわば公害の分散あるいはまた環境保全に対するそれぞれの地元住民の懸念というものは解消される、こう判断をするわけです。したがって本法の目ざす方向は、いま私が申し上げた方向を目ざしておる、もちろんこの法の内容では不十分な面もありますけれども、少なくともそういう立場に立って本法を提案をしている、こう理解してよろしゅうございますか。

田中角榮自由民主党通商産業大臣・経済企画庁長官事務代理

○田中国務大臣 工場立地の認定に対して、当然地方の意見、地元の意見が反映されなければならない、これは当然のことと考えておりますし、地方の意見が反映されないでこの法律が実効をあげることなどはできません。そういう意味で、いま御指摘になったような趣旨で本法の条文を整備をいたしたいと思うわけでございます。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 工業用地の造成が単に工場を分散、再配置をするというだけではなくして、いまわが国の経済指標を分析いたしますと、機械工業だけでも新全総によればこれを七倍にするという指標が出ているくらいでありますから、工業立地の造成、このことはやはり積極的に政府は環境の整備あるいはその他の環境の保全を十分配慮して、いかなる場合においても工場の用地の造成についてはそういう基本の上に立って進めていく、こういう積極的な姿勢をまず政府は明らかにする必要があるのではないか。もちろん将来は関連立地法を体系的に整備する中において、工場が立地する工業団地についてもある程度の基準を示すということもこれからは検討してまいらなければならないのではないか、こういう点についての政府の姿勢について伺っておきたいと思います。

田中角榮自由民主党通商産業大臣・経済企画庁長官事務代理

○田中国務大臣 生産第一主義から生活第一主義に切りかえなければならないのが新しい時代の要請である、こういつも答えております。工業の再配置という考え方自体が環境を整備したいということに根ざしておるわけであります。でありますから、新しく工業用地となる団地その他の開発地球というものの環境が整備されなければならないということは申すまでもないところであります。いままでの法制によりますと、建築基準法や都市計画法その他によって、人間の宅地というものに対しては建蔽率その他でいろいろ環境整備が要求されておりますが、工場用地に対しても全くそうでなければならないと思います。特に高性能の機械が動くのでありますから、公害というようなものだけではなく、道路の幅を広げたり遮断緑地をつくったり、建蔽率をある意味においては住宅用地に対する住宅の建蔽率よりももっと厳密な制限をしなければならないという考えでございます。ですから、外国の絵はがきにある理想的な大学の用地というのがありますが、西ドイツの工業地帯は大学の用地か住宅団地か工場団地か、遠目にはわからないというくらい環境整備が要求せられております。日本も残されておるところ、山紫水明の地に工場等、一次、二次、三次産業の調和をはかろうということでありますので、この環境基準、環境の整備ということは非常に厳密に要求される、またそうでなければならないし、この法律はそれを目途にいたしております。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 本法の提案理由の説明の中には、もちろん工業の平準化をはかるために工場を分散すと同時に、過密地帯から工場分散したあと地については三年たつと自動的に公団が取得をする、しかもその用地は都市再開発のために役立てるというのが原則であり、したがって公共の用途あるいは住民福祉、こういうものが優先されて整備をされていく。残念ながら本法にはこの点うたっていないのでありますけれども、したがってそういう趣旨はむしろ積極的に明示をする、こういうことのほうが望ましいのではないかと私は判断するのでありますが、大臣の見解を承っておきます。

田中角榮自由民主党通商産業大臣・経済企画庁長官事務代理

○田中国務大臣 地方に移転した工場あと地の処理については、この公団が貸し付ける際に条件をつけて都市改造等の用に供し得るように、また供さなければならないという制限をつけ、条件を付するつもりでございます。そうでないと、せっかくの転出をしたあと地がまた工場に使われる、その他のものに使われるということになれば、これはもうさいの河原を続けるわけでございます。悪循環を続けていくわけでありますから、そういうことは絶対に避けなければならない。これはやはり次の段階において、都市計画法やその他の都市の再開発法の中にこういうあと地というものの整備をどうするか、いまの現行法だけでもって法律に許される住宅ならつくってもいいというようなことだけだと、また同じことが繰り返されるわけでありますから、そういうことはもう再び起こさないように、この法律が両面のメリットをあげることができるような状態にしたいということを考えておりますし、この法律の中にそういうことを意味する条文を挿入されるとか修正をされるということに対しては全く異議ありません。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 この法律を提案した限りにおいて、政府はむしろみずから率先して政府関係機関の工場というものを積極的に誘導地域に分散をしていく、新増設については誘導地域に立地をさせていく、まず政府自身がそういう姿勢がないと民間を指導することはできないと私は思うわけです。いままでも、かつて産炭地域に政府関係機関の工場を配置をするということもしばしば述べられてまいりましたけれども、残念ながらこの実行はないのであります。しかし基本的に工場の分散を進めるという本法を提案した以上、政府は積極的に誘導地域に関係機関の工場配置をする、率先してまず範を示すという姿勢がなければこの法律は生きてこないし、実効をあげることも困難ではなかろうか、私はこう思うのであります。これは単に通産大臣だけの所管ではございませんでしょうが、国務大臣として、工場のみならず研究機関その他のいろいろな多面的な政府機関というものをできるだけ過密地帯から離していく、分散をしていくという基本的な姿勢を私は示すべきだと思うのでありますが、所信を承っておきます。

田中角榮自由民主党通商産業大臣・経済企画庁長官事務代理

○田中国務大臣 本件に関しては全く同一の考えを持っております。これは私はかつて産炭地振興のためには当然政府機関を移すべきであるという強い主張をいたしておったわけでございますし、いまは政府機関は過密の中におる必要は全くないのであります。ですから、御承知の学校を含めた研究機関等を筑波山ろくに移転することをもう十年来実行いたしておるわけでございます。これは筑波学園都市構想よりももっと進めて、新幹線交通網が整備をされる、その中で特に高速自動車道、高速度鉄道、飛行機というものがこれだけ発達しておるのでございますし、政府関係機関で、北海道だったら——北海道を一つの例に私はいろいろな青写真を描いておるのでございますが、北海道に印刷工場とかの造幣局の仕事とか、もし移せるとしたならば、その隣接地に小型飛行場をつくっても、そんなことはめんどうなことじゃないんです。そのほうがどのぐらい合理的であるか。こういうものにメスを入れないで過密を促進さしてきたという責任の一半はやはり政府も謙虚に認めなければならないと思います。私は、法律をもって、制度をもって誘導政策をやらなければならないという事態にありながら、過密のまん中に政府機関が蟠踞しておる、これはまさに蟠踞と言うに値すると思うのです。そういうものに対してはひとつ皆さんの御意見も十分いただきながら、場合によれば私は第二次立法手段に訴えなければならない、立法措置を必要とするというような問題だとさえ思っておるわけでございますので、政府機関の地方に対する分散、これはもうどうしても考えてまいりたい。特に私は郵政大臣のときに言ったのですが、全国にある原簿というようなものを東京へみんな持ってくる、最も危険なところへ持ってくるよりも、電子計算機が入っておるわけでございますから、原簿などはほんとうは絶対に安全な地域に置くべきでございます。貯金の原簿もしかりでございます。そういう意味で、政府機関の分散という問題に対しては、これはひとつ積極的に推進をしてまいりたい、こう考えます。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 移転促進地域、いわゆる過密地帯からの工場の分散の促進、このことを本法はねらっておるわけですが、しかしあやまちは二度繰り返してはならない。したがって、過密傾向にある地域も工場の立地については十分配慮がなされなければならないと私は思うのです。いわばある程度の抑制、規制を行なって、そして過密からまた分散の再開発の誤りを繰り返さないという考え方も私は非常に重要であると思うわけです。しかしこれを規制する場合については、当面非常にむずかしさがあると思いますけれども、やはりこの移転促進地域あるいは過密傾向を強めておる地域、こういう地域に立地する工場応対しては何らかの負担を課する、いわゆる税その他負担を課する。そういう中でこの規制をある程度進めていく、効果をあげていく。しかもそういう財源を、工場分散にあたってこれを積極的に進めるために地方財源に充当して固定資産税の減免等についても思い切った措置をとる。あるいは、またそれ以外の本法の目的に資する方向にその財源を使っていく。このことがやはり基本であり、このことが明確になっていないという点を私は非常に残念に思うわけであります。しかし大体三年の減免措置というのはあらゆる立法でも示されているわけです。本法が施行されてもこれから十月に公団が発足をして、そしてそれから計画をつくって個々の認可をする。認可された工場は、移転する場合については建設に二、三年要すれば、その後、三年間固定資産税の減免、優遇措置が行なわれるということになるわけですから、大体四年後の問題だと思うのです。したがって本法のいま最終的な審議にあたって、この問題は解決できませんけれども、いま申し上げました精神というものは共通の認識として確認しておく必要があるのではないか。そしてすみやかにこれらの問題については検討を加えられて実効があがる面については、これは四年後になるわけでありますから、多少ずれても間に合うという面もございますので、この面についてはぜひ考え方については基本的に一致さしておく必要があるという意味で、通産大臣と、きょうは財務当局から主税局からも見えられておると思いますから、この機会に明確な答弁を願っておきたいと思います。

田中角榮自由民主党通商産業大臣・経済企画庁長官事務代理

○田中国務大臣 本法を計画いたしたときに、三段階に分けて税法上の措置を考えるつもりでございました。それは過密の地方、過密になるおそれのある地方、それから過疎の地帯、こう三つに分けられるわけでございまして、まん中は現行どおりでもよろしい、そして過密のところは新しい税を賦課する、そして新しい税を賦課したと同じ額を第三の過疎のところの税を軽減、減免をする、こういうことになれば政策的傾斜がつくわけでございまして、集中のメリットを追って過度集中の現象を起こしたということと逆な流れができるということでございますから、これは当然やってまいらなければならないということでございます。しかしこの税が過密のところで徴収されても、それがすぐ特別財源として使われるならまた別でございますが、そうではなく、ただ一般的な地方財源として使われると、過密の悪循環を続けるということになるのであります。これは整備をするとそれだけ人が寄ってくる。道路をつくれば道路の両側に全部うちができてしまう。野っ原に駅をつくってもすぐ町ができるというようなことにもすぐつながりますので、やはり税というものは、いま指摘されたように特別財源として誘導政策の財源に使わるべきものだ、こういう考え方でなければならない、こう思います。その一つの例がトン税でございます。これはそうでなければ自動車の運行ができなくなる。いまの十兆三千五百億を二十兆円、二十五兆円、三十兆円、やがては六十兆円計画に拡大をしても自動車は運行できない。だから貨物は鉄道に移さなければならない。よって、自動車から徴収した税金ではあるが鉄道建設にも使う、こういうことをやったわけでございます。これは初めはちょっと考えるとおかしいのですが、言ってみれば何ともおかしくはない。荷物を鉄道に移す、海運に移さなければ自動車の運行ができない。これは同じ例でございますので、税法の運用に対しては十分な配慮が必要である、こう思います。  第二の三年間という固定資産税の減免、補てんの期間、これは私は初めは二十五年と言ったのです。まあ不動産の投資をさせるときに四分の一世紀というのはこれはもう常識なんです。これは世界の例がそうなんです。イタリアが労働者住宅促進のための施策をつくったときに、損保及び政府の剰余金は労働者住宅以外に使ってはならない。住宅用の土地については国有地を無償で提供する、同時に固定資産税は二十五年全免する。これだから労働住宅はできたのです。そのくらいでないと、三年間だけは税を免じてくれますから、じゃお互いのうちを北海道の阿寒湖のほとりに建てよう、こういったって、それはなかなか全部が全部建つわけがないのです。それならちゃんとそこに定着をするメリットを与えなければいかぬ。そのメリットというのはやはり二十五年、四分の一世紀、こういうことでありますが、どうもそうならなかったことは、間々申し上げておりますように、暫定税率である一・七五の行くえがさだかでなかったというところで、一年間はどうにもならないということで現行税法のとおり三年間としたわけでありますが、御指摘のとおり実質的には三、四年の間に新しい制度に踏み切っていければいいのでございますので、そういうことが前提でこの法律が立法されているのだ。しかもそれだけじゃだめなんです。まだまだ税法上の特典をもっと与えなけれならないのです。ですからそういうことで、理想はこれを推し進めてまいる。いまは三年ですが、現実的には、この法律の精神が生かされ、政策が遂行されるように税制上も考えてまいりたい、こう考えます。

中橋敬次郎大蔵大臣官房審議官

○中橋政府委員 移転促進地域から工場を誘導地域に再配置するにつきまして適当な税制があるかどうかということについては、もちろん主税当局としましてもかねて関心を持っておるところでございます。なお今後も、先ほど通産大臣が申されましたように、私どもも真剣に検討するについてまやぶさかでございません。  ただ、その場合には税制についてやはり避けがたい問題点というのがございますことは、私からあらためて申し上げるまでもないと思います。一番問題は、先ほど通産大臣が申されましたように、誘導地域における軽減ということはかなりやりやすいのでございますけれども、移転促進地域において何らかの税収をあげるための適当な税金はないかということになりますとなかなかむずかしゅうございます。特に利益についてそういうものを求めるということは、地域を範囲といたしておりまするので、非常にむずかしい。その場合にはやはり物件というようなものがかなり重要な問題になるのじゃないかというふうに思いますけれども、いずれにしましてもそういうものは今後とも私どもは一生懸命勉強してまいりたいと思っております。それからさらに、そういったものを御指摘のように誘導地域への財源という問題として考えるとしますれば、一体国税がいいのか地方税がいいのかという問題もございますから、あわせまして今後私どもも勉強いたしてまいりたいと思っております。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 もしこの地球上に人間の大量死があるとするならば、一つには核戦争による大量死、第二には公害による人間の大量死、もちろん第三には世代の断絶による人間の精神の大量死、こういうことを政治家は考えておかなければならぬのではなかろうか。そういう意味でやはり公害という問題の解決は、基本的には理想的な工業立地政策を進める、このことなくして幾ら場当たり的にやっても問題の本質的な解決はなかなかむずかしかろうと思います。私はそういう意味において、それぞれの地方自治団体の過疎過密の現状等をも勘案する場合に、また自治体政策としても本問題については大きな観点に立って取り組んでまいらなければならない問題であろうと思うわけです。したがって、誘導地域に対する固定資産税の減免が大幅に延長されるとしても、地方財源そのものとしてこれに補てん措置が明確に伴えば、そのことについては問題はないのではないのか。むしろそういう政策を導入していくことが自治省としても必要ではなかろうか、こういう感じを、私は実は持っておるわけです。そういう意味において、いま私が述べた考え方に立って誘導地域に配置をされる工場の固定資産税の大幅な減免の期間の延長ということについては、自治省はどういう見解か、この機会に明確に承っておきたいと思います。——来ていませんか、それならけっこうです。  本法を運用するにあたって、当分の間は、せっかくこれだけの施策をするわけでありますから、誘導地域の中でもむしろ困難な地域、こういうものにまず原則的に焦点を合わせて政府は努力をする、こういう姿勢もまた私は大事ではなかろうかと思うわけです。したがって、移転計画の認定にあたっては、いろいろたくさんの申し出もあるかもしれません。そのうちでも、原則として当分の間は、まだその実効がようやくあがりつつある産炭地域、あるいは農村地域の工業導入地区、あるいはまたいま公共団体が造成している団地、またもちろん公社等これに準ずる公共団体もございますけれども、まずこういう団体に限って、優先順位の考え方の上に立って工場を分散する場合の認可の基準にすべきではなかろうか。そういう姿勢がまず当初から示されることが最も望ましいと考えるのでありますけれども、この点について見解を承っておきます。

田中角榮自由民主党通商産業大臣・経済企画庁長官事務代理

○田中国務大臣 移転計画の認定につきましては、いま御指摘のとおり産炭地、工業導入促進地域、それからいまの団地造成ができておるところ、これはもう当然そういうものを最優先的に考えるということでございまして、現実問題としてはやはり初めはそこしかないということです。スタートの時点においては、いまあなたが述べられたところだけが認定されるということを考えていただいていいと思います。あとは団地造成が行なわれておっても、少し規模が小さいとかいろいろなものがありますから、そういう環境整備ももう少し——ちゃちな、いまの制度で四メートル道路でもっていいのだというようなものもありますから、そういうものは新しい規格に合わせる、新しい環境整備が行なわれるような方向で指導をいたしますが、認定はいま御指摘を受けたような方向で認定をする、こう考えていただいていいと思います。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 今回の措置で、誘導地域に工場が立地をする場合に、その企業に対して平米当たり五千円、また当該自治体に対して五千円の助成措置を行なうということになっておるわけでありますけれども、私はこれはむしろ当初、この一万円を地方自治体に向けてはどうか、こういう見解をも持っておったのでありますが、しかし、企業にもしやる場合においても、その目的が環境の整備、いわば緑の工業立地を完成するということでありますから、当然きわめて限定された施設に対して、そういう施設を行なうものに対してのみこの五千円の助成金は使われるべきだ。もちろん地方自治団体の場合も、この企業進出に伴う環境の整備、福利施設の充実、こういう限定されたものに当然助成金は使われるべきだ、厳格にそういう形で運営さるべきもの、こう判断をいたしておるのでありますが、この点についてはいかがでしょうか。

田中角榮自由民主党通商産業大臣・経済企画庁長官事務代理

○田中国務大臣 工業再配置促進補助金の使途ということでございますが、環境保全施設または福祉施設に限定することにしております。これは具体的にはグリーンベルト、公園、運動場、プール、体育館など、工場と地域社会の融和に寄与するものということが一つでございますし、もう一歩進めて言うと、いままでのような規模よりも環境整備という規模、それから基準はきびしくりますから、当然企業の負担というものもそこで多くなるわけです。そういう将来にわたっての環境の保全が可能であるというようなものに重点を置いて支出する、こういうことが原則でございます。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 過密地帯における工場、これを取り巻く中小企業群、すなわち下請あるいは再下請、こういうものが存在して、いわば事業が連動的に動いておる。そういうところにまた過密地帯のメリットがある。したがって、どちらかといえば機械工業などは本来であれば独立してもいいのでありますけれども、そういう連動関係においてどんどん過密地帯に立地する、こういう傾向を東京の場合でも深めておりますから、大体六割以上は機械工業が立地しておるということでもわかるのじゃないかと思うのです。したがって、この一つの工場が誘導地域に移転をするという場合に、これに伴う中小企業が連動して移転できるかどうか。したがって、認定する場合、業種によっては、その及ぼす中小企業の面について十分配慮が行なわれなければきわめて社会問題を起こすと私は思うわけです。この点についてまず第一点、通産省としてはどのように考えておるか。  第二点としては、労働省に承っておきますけれども、いわば炭鉱等が閉山になりますと、それぞれの企業に労働者が移転就職するということになるわけでありますが、今度の場合には誘導地域に工場が分散するのですから、いわば工場、人間ぐるみの移動ということになるわけです。しかし半面考えてみますと、すでにその地域に住宅をかまえておる者もおるでしょう。これが住宅を放棄して工場とともに地方に分散するということは非常に困難なことだと思うわけです。したがって常識的に考えても、工場移転に伴って工場とともに地方に現在の住居を捨てて移転するということが困難なために、結局退職をしなければならないという問題も発生してくることはきわめて当然だと思うわけです。あるいはまた工場だけが移転したけれども、なかなか入居する体制が整備できないという問題も当然出てくると私は思うわけです。そういう判断から考えて、特に移転後の労働条件の問題、また移転に伴う雇用問題、この問題がどういう形であらわれてくるか、非常に多様な形であらわれてくると私は判断しておるわけです。これに一体どう対処していくか。いますぐ立法措置でこれを受けとめるということは困難でしょうけれども、事態によってはある程度の特別立方あるいは関連法律の改正を行なっても、この面については、スムーズに雇用問題が解決されて、また移転後の労働条件等についても従来と変わらない保障というものがなされる、こういう原則だけはまず確立して、現行法で運営できない場合には、現行法の改正あるいは新たな労働立法措置をとるというくらいの決意で労働省はこれを受けとめなければならないのではないかと思うのでありますが、この二点について、それぞれの見解を承っておきます。

田中角榮自由民主党通商産業大臣・経済企画庁長官事務代理

○田中国務大臣 親企業が移るときに、また中堅企業が移るときに、付随する下請企業その他中小零細企業を移せるか、これは当然移したい、移すことを目的にしておる。これはワンセット移動ということを考えておるわけです。ですから、きのうもちょっとお答えいたしましたが、一つの元請工場が五千人の従業員を擁しておりますと、これに対して五、六倍の家族や関連者が移動する。四、五倍から五、六倍の者。また、その者に対してのそれと同じような下請企業、関連企業というものが移動をしなければならない、こういうことでありまして、これは関連中小企業が分散できるように措置をいたしたい、こう考えております。また、下請と元請との間の問題点についても指導助言ということは当然行ないたい、こう考えております。あとは労働省からお答えいたさせます。

道正邦彦労働省職業安定局長

○道正政府委員 お答えいたします。  工場の再配置に伴いまして雇用問題がきわめて重要な関連を持つことは御指摘のとおりでございます。したがいまして、本法案の目的におきましてもその旨を明記いたしておりまするし、また地域の決定あるいは計画の策定等に至りましても、雇用面に十分配意するというたてまえになっておるわけでございます。特に工場の再配置に伴いまして移転する場合、離職者の発生が出ることは好ましいことではございませんので、企業に対しましても極力配置転換その他指導を加えてまいりたいと思います。しかしながら、万が一離職者が発生することも予想されます。そういう場合には、離職前の職業相談でございますとか、あるいは求人の確保であるとか、あるいは再就職のための訓練の実施であるとか、そういうもろもろの施策を、雇用対策法あるいは職業安定法あるいは職業訓練法等々の規定に基づきまして各種の援護措置が定められておりますので、そういうものを総合的かつ機動的に運用することによりまして対処してまいりたいと思います。  御指摘がございました住宅問題でございますが、これも非常に重要な問題であることは御指摘のとおりでございます。その点につきまして、従業員のほうから見れば過密地帯から過疎地帯へ行くわけであるから、その最大のメリットは、過密地帯にいる限り住宅問題はなかなかむずかしいけれども、過疎地帯へ行けば住宅は何とかなるだろうという期待を当然持つだろうと思います。そういう点につきまして、労働省といたしましてもいろいろ施策を講じておりますが、労働省の住宅政策といたしましては離職者中心のたてまえになっておりまして、現行制度のワク内ではいろいろ制約がございますが、そういう点につきましてはわれわれといたしましても十分労働省なりに検討いたしますが、関係各省と十分連携を密にいたしまして、移転する場合の従業員の住宅確保対策につきましても努力をしてまいりたいと考えます。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 時間がありませんから……。中小企業もワンパッケージで移転をするという場合に、親企業の場合には力があっても、中小企業の場合にはなかなかそれについていけないという場合もある。そうすると、一応一回離職をして、そうして移住資金をもらえるような体制で分散についていくというようなことも私は考えられるのだと思うわけです。その点、法は弾力的に運用できるでしょうし、またこれからケースがあらわれてくるわけですから、私はそういう問題が必ず出る、こういう予測に立っておりますので、そういう意味で、労働施策と雇用問題に対する工場分散に対する措置というものについてこの機会に強く要望をいたしておきたいと思います。  最後に、今度十月から、この法律の改正によって工業再配置・産炭地域振興公団という形で今日の産炭地事業団が組織がえを行なうわけです。もちろんそれぞれの事業団、それぞれの公団には歴史的な経過もあるでしょう。また労使の関係もございましょう。しかし、公団の場合には総裁という名称を使い、それに相当する待遇が行なわれる。事業団の場合には理事長ということで、それに即応する待遇が行なわれる。こういう面から考えますと、結局今度公団として発足する場合には、当然公団並みの組織体制になるのでありますから、当然その待遇、労働条件等についても公団並みの待遇がとられるものと私は判断をするわけです。この点、明確な大臣の御答弁をいただいておきたいと思います。

田中角榮自由民主党通商産業大臣・経済企画庁長官事務代理

○田中国務大臣 工業再配置・産炭地域振興公団の発足を機会に、他の公団の給与体系をも参考にいたしまして、公団発足後できるだけ早い時期に給与体系の合理的是正にかかるよう公団を指導してまいりたい、こう考えます。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 以上で終わりますけれども、特にこの公団は、経理は産炭地は産炭地で、経理区分で行なわれる公団であるわけです。したがって、人事体制その他についても積極的な交流が行なわれて、その意思の疎通が公団として滞りのないような、そういう運用をすることが最も望ましいと思うわけです。私はそういう意味において、この公団が今度の予算編成において、本来であれば別途の工業再配置公団として発足したいというのが通産省の考え方でありましたけれども、産炭地を含めてこういう公団になったのでありますから、この面の運用について明確な所信を承って終わりたいと思います。

田中角榮自由民主党通商産業大臣・経済企画庁長官事務代理

○田中国務大臣 工業再配置部門に対しましては、経験のある産炭地部門から人を移しまして、人材の活用をはかってまいりたい、こう存じます。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 終わります。

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員長 石川次夫君。

石川次夫日本社会党

○石川委員 工業再配置、この法案は田中通産大臣が独自の着想で始められたということで、われわれもかねてこれを念願しておったわけでございますから、その限りにおいてはきわめて高く評価をしたいと思うのでありますけれども、しかしいままでのいろいろな計画が必ずしも計画どおりにはいっていない、計画倒れに終わっておるというようなことの反省の上に立って、これからどう進めるかということは、非常に大きな難問がたくさんあるのではないかと思っておるわけであります。  まずお伺いしたいのでありますけれども、旧全総は大体格差是正ということを目標としていろいろな計画を立てられました。昭和三十三年では関東、近畿で五七%というのを、昭和四十五年は四九%にする、こういうような構想で出発したものが、関東地方だけについていいますと、三一・八%が逆に三六・四%というふうにふえておるというような過去の実績を示しておるわけであります。それで、新全総はその上に立ちまして新たに立て直したわけでありますけれども、ここできょう、田中通産大臣は経済企画庁長官も臨時に兼ねておるというので、そういう意味でも質問したいと思っておりますけれども、新全総は大体四十一年から六十年の間に年率八%の経済成長ということのもとに、昭和六十年では工業出荷額が大体百六十兆円、こういうふうな構想であったと思うのです。ところが意外に工業成長率のテンポが早くて、四十六年から六十年の再配置の計画においては一〇%成長、昭和六十年には大体二百七十兆円である、こういうような構想だというふうに漏れ承っておるわけでありますけれども、簡単でけっこうでございます、大体そんな構想だと見てよろしいのでしょうか。

田中角榮自由民主党通商産業大臣・経済企画庁長官事務代理

○田中国務大臣 まだ正確な数字が出ておりませんが、五%にすると四十五年価格で百五十二兆円、七・五%にしますと二百十六兆円、八・五%にしますと二百四十八兆円、一〇%成長にしますと三百四兆円という数字、一応実質成長率でもって見ますとそういう計算になります。だから、この間木村経済企画庁長官が参議院予算委員会で述べられたのが、まあ成長率そのものを考えますと八%ないし九%の間でもって考えざるを得ないと思います。その中間値をとると八・五%、二百四十八兆円ということになるわけでございますが、まだ事務的に全部積み重ねておるという状態ではないと思います。事務当局からお答えさせましょうか。——私がいま申し上げたことで、今日の段階はこういうこと以外にはないということで申し上げておるわけです。

石川次夫日本社会党

○石川委員 私のほうの推定と大体似たり寄ったりの数字だと思うのですが、いまのはたぶん工業生産額だろうと思うのです。私は出荷額ということを申し上げていますから大体合っているんじゃないかと思います。  そういたしますと、実は最近において自然環境を破壊するという問題、公害の問題、非常に大きな課題になっておるわけですが、実はこの間驚いたのですけれども、農林省の権威のある方が発表している数字は、二十一世紀、日本の人口は幾らになるか、私は一億二千万くらいになるんだろう、こう思っておったのでありますけれども、そうじゃなくて四千万人を割るでろう、こういう数字が出ておるわけです。この根拠についてまだ私つまびらかにいたしておりません。それほど経済成長というもののもたらす資源の破壊、自然の破壊、それから公害、こういうもの、あるいはまた食品添加物の弊害というものがつけ加わって、人口の生産、増殖率が、ふえるどころじゃなくてどんどん低下していくというような数字が最近になって出てきておるわけであります。そういうことからいいますと、一〇%の成長あるいは八%の成長であろう、あるいは政策的にそういうふうに誘導していくというような考え方ではなくて、もう人間が二十一世紀に生き延びることができるかどうかという観点で政策というものを見直さなければればならぬきわめて重要な段階に差しかかっておるものではないかというふうに私は判断をいたしております。  そこで、新全総の考え方の基本になっているのは、たとえば昭和四十年には石油化学は生産量八十万トンのところが、昭和六十年には十数倍になって一千万トンになる。ただ一つの例を申し上げます。こういうふうな成長というものはそのとおりで、前提と考えてもいいのか、新全総といいますがその基本線に沿ってやってもいいものかということが、私のひそかな心配の種になっておるわけであります。それから、たとえば工業誘致がすなわち地域の繁栄につながるという考え方は、工業を誘致をする側の住民は最近はそうは考えておらぬわけです。工業が誘致をされたから、おまえたちは貧しいから繁栄させてやるんだというふうに言っても、なかなかおいそれと納得はしないというふうな情勢というものがだんだんに出始めておる。たとえば私の県の鹿島開発にいたしましても、いまになって、あまりにも工業というものが急いで導入されたということに対する反発というものが相当強く出てきておる。それからあと一つ考えたいのは、自然とか景勝地に対するところの認識というものは相当甘いのではないか。これは周防灘とかいろいろな景勝の地にどんどん工業計画というものを立てて、住民の相当猛烈な反対にあっている。こういう点が新全総の基本をなしているのでありますけれども、この新全総はつくりかえなければならない。新々全総というものをいま考えておられるということでありますが、こういう点はどういうようにお考えになって新々全総というものをつくるか。ということは、再配置の問題は、新全総の前提の総合計画の一環として組み立てられるということになると、基本になる新全総自体の考え方が変わらないと、私はたいへん問題が大きいのではないかと思われるのであえて伺うわけでありますが、こういうふうな石油化学についてはこのとおりいかねと思いまけれども、こういうふうな見方、自然破壊の考え方あるいは景勝地に対する考え方あるいは工業誘致すなわち地域繁栄というふうに住民が受け取っていないというような、こういうことを考えの中に入れて新しい計画、こういうものにつくりかえる必要があるのではないか、こう考えるのですが、どうでしょうか。

田中角榮自由民主党通商産業大臣・経済企画庁長官事務代理

○田中国務大臣 御指摘のとおりいままでのものを見直し、新しい視野と立場から積み重ねを行なう、積み重ねというよりは、今度は青写真をかいてこれから逆算してくるというような計画的な面を持った新々全総ということにならなけばならないだろうと思います。私もその意味で新々全総計画に対しては非常に関心を持っておりますし、特に新々全総の中に占める二次産業比率と全国的な二次産業の分布の状態ということを十分調整をしなければならない立場にあります。特に御指摘になった公害問題はこの三年ばかりでございます。私が昭和四十二年から四十三年に都市における公害問題ということを初めて提案をしたわけでありますが、このときにはあまり問題にされなかったわけであります。地価の問題は非常に問題になりましたが、牛込の柳町の交差点それから大原町の交差点を例に引いて都市対策大綱というものを出したわけでございますが、そのときにはあまり問題にされなかったのが、一年間たった四十四年にはもうほうはいとして公害問題が起こってまいりました。そういう意味で、やはり新々全総といいますか改定新全国総合開発計画の中には、この再配置計画というものとの調整というものは十分考えられなければならない。私は、この公団や再配置というものの機構とのつながりも、経済企画庁、いま新全総をやっておる諸君とのつながりも十分つけていこうという、大体そういう感じで施策を考えております。ですからいままでの新全総ということだけではなく、計画性を持った、そうなると思いますということでなく、そういたしたいと思いますというくらいのことを国会で申し上げられるようなものにしなければならない、こう考えております。

石川次夫日本社会党

○石川委員 新全総ではあと一つたいへん大きな問題があると思うのですが、都市人口の過度集中、いわゆる過密過疎、この解決をはかるといいながら人口分散ということが一つもいわれておらぬわけです。むしろそうではなくて、産業振興によって過疎地域の人口流出を食いとめようとしたが失敗した、いまやそれの見込みがないところは人口流出を進めて切り捨てるんだ、こういう考え方が新全総には流れておるわけです。この考え方は私は非常にけしからぬ考え方ではないか、この考え方は人口分散という字は一字も使ってない、一回も使ってない、そうして過疎のところは過疎のままどんどん人口を流出させて切り捨ててしまえばいいではないか、こういう冷酷な考え方に立っているのが新全総の基本的な考え方である。こういう考え方もぜひ直してもらわなければならぬと思うのですが、いかがでしょうか。

田中角榮自由民主党通商産業大臣・経済企画庁長官事務代理

○田中国務大臣 全くそのとおりです。これは私も閣員の一人として主張もしなければならぬ立場だと思います。どうもこれは率直に言いまして、集中するには集中するだけのメリットがあるから集中するのであって、それは避けがたいことだという自然発生を是認しておる議論が非常に多いのであります。ですからこのままで六十年になりますと、いま日本橋のまん中に道路原標があります。道路元標にコンパスの軸を置いて半径百キロの円を描けば、法律でいう首都圏ということになるわけでありますが、この首都圏の人口は二千七百五十万人といわれておりますが、現実には二千八百万人をこしております。私が四十二年に都市政策大綱をつくるときに、いろいろな調査をしたときに二千七百五十万人だったのです。ですが二千八百万人をはるかにこしておる。そうすると、それに六十年には一千万人ふえて二千七百五十万人が三千七百五十万人ないし三千八百万人になるということを申し上げておったのですが、今度の新全総でもって計画をしていろいろな算定をしますと、関東地方にはという、首都圏という百キロ圏に限定しておりませんが、四千万人以上集まるであろう。それをいろいろな政策をやって歯どめをして入ってこないようにしても三千八百万人にはなります、こう言っておるのですから、これは私が四、五年前に言っていたこととびっしり合っているのです。そのときは、先ほど申し上げましたが、六十年における日本の総人口は一億一千七百万人、私が想定したときは四十六年度には一億三百五十万人。それがそこまでふえておるわけであります。一億一千七百万人になるであろう。一億一千五百万人ないし一億一千七百万人のときに、この狭い関東地方に四千万人という人が集まって、それで一体政策が立つのかというと、これはもう全く立たない、これは公害対策も全然立たない、こういうことでございまして、そういう意味で、どうしても二次、三次産業比率の平準化ということの裏には各地別適正人口の分布図があわせて描かれなければならない。いまのままでもって自然発生をすると、九十年間たってやっと五百二十万人になった北海道は百五十万人以上も減るような状態になる。そんな状態で一体どうするのかという問題があるわけでございまして、水と土地と労働力の調査、いわゆる一次産業から一〇%以上の人たちが二次、三次産業に移動するということを前提にして考えますと、全国的人口の分布図というものを前提にして過密地帯から人口を移すということでないと、これはどんな政策を進めても成長のメリットは全部相殺されて、これは都市集中のデメリットというのではなく、成長のメリットというものを国民が享受することはできない。これは名目成長になってしまうという結論は明確であります。そういう意味で、人口の分散ということは、工業分散は人口の分散であるというのとほとんど同義語であるというふうに私は解しておるわけでございます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 たいへんうんちくを傾けた御答弁なんですが、実は私に与えられた時間があと三十分ということなんですから、答弁は極力簡潔にお願いたしたいと思うのです。  いまの新全総の考え方は過疎地帯の極端な人口流出は押えないで切り捨てるという考え方に立っているので、この考え方はやめて、人口の分散というものを中心として考え直すというふうにいまの答弁から理解をいたします。そういう点で新全総というものは見直されなければならぬ時期に来ているということを申し上げたいと思うのです。  それで、いま過密ということの弊害がいろいろ言われたわけですが、産業というものは人口稠密地帯にどうしても集まりがちだし、文化が集中しているところに魅力があって、求心力が大いに出てくるということもございます。それから何といっても情報化社会でありますから、いかに工場を分散してもオンラインシステムその他でもって中枢的な機能というものは地方分散することはあり得ない。情報の集まるところにどうしても産業というものは集まらざるを得ない、文化というものも集中せざるを得ないという歴史の必然というものがあるわけです。そういうものに抵抗して何とかして分散をしようというのでありますから、これは多少の誘導政策というものではとうてい実現しないであろう。いままでの計画と同じような計画倒れに終わりてしまうのではないかという懸念が多分に持たれるわけです。地方からの抵抗というものも相当あるでしょうし、それからたとえば周防灘、志布志開発計画というものについては計画を練り直せという結論が諮問機関の審議会のほうから出ておる。これは大臣も御承知だと思うのでありますけれども、たとえば産業廃棄物の量と処理法が明確ではない、それから誘致企業による雇用人口の算出に水増しがある、用地用水だけを見ても企業優先で住民という配慮が欠けておる、こういう点で周防灘、志布志の開発計画というものは現在の計画は反対である、こういう結論が公式の機関から出ておるわけであります。これは運輸省の委託を受けた結論として出してある。ところが新全総計画に基づいた周防灘と志布志計画であったはずなんです。そういうものがどんどん計画をやめろというところにまで現在は批判をされておるという実態をよく反省をしてもらわなければならないと思うのです。そこで巨大工業開発が必ずしも住民福祉とか地域振興を意味しないというのが最近での思想になっておる。  それから現状以上の開発をいう前に、無公害技術というものを何としても開発しなければならぬ。そういうことで私はこの前特に声を大にして——排煙脱硫というものは工業技術院でやっておりますけれども、実験段階は一応終わったといっておりますけれども、全然あんなものは役に立たぬです。日本ではどうしても稠密な地帯に、アメリカの単位面積あたり八倍から十倍のエネルギーを多消費をするというようなことになれば、この排煙脱硫なんかはまずもって何といってもマンハッタン計画に匹敵するような大規模な計画でもって確立されなければならぬ。それでなければ産業が発展するなんということは絵にかいたもちにすぎないということは言うまでもないと思うのです。これをぜひやってもらいたい。そういう発想の転換をぜひやった上で新全総計画を新々全総というものに切りかえて、その上に立って工場再配置、しかも自然に求心力のある情報の集まるところに産業が集まらないように分散をさせようというのでありますから、相当抵抗を排除してやるのだということになるわけです。あと一つは、過密都市に集中したところから出たところの自然増加人口というものをさらに地方に分散させようということは非常に無理な話なんです。でありますから、この計画はきわめて雄大な構想として評価はしますけれども、現実の問題としてはできるのか、こういう懸念というものはどうしてもつきまとわざるを得ないのです。  そこで私は端的に申し上げますけれども、これはほんとうは社会党の発想ということになりますけれども、エネルギー産業というものは私は国家がやはり一元的に握らなければならぬと思う。そういうことでエネルギーの配分ということを通じて産業構造の変革あるいは工場の再配置というものまで考えないと、金で補助をする、あるいはまたいろいろな税制でもって控除をするという程度のことではこの構想というものはとても実現はできないのではないか。私はこれは田中さんの非常な政治力をもってしても非常に困難だということを銘記した上でひとつ取り組んでもらいたいと思うのです。私はもうエネルギーというものを押えておいて、エネルギーの配分ということから産業構造の変革、たとえばいまのエネルギー多消費産業の日本はGNPの中で一〇%は占めておる。先進国はすべて五%から六%のものが、日本では一〇%も占めておる。こういうことから、この産業構造の変革からあわせて考えていかなければならぬ問題ではないか。  それからあと一つは、いままではスクラップアンド・ビルド、こういっておりますけれども、ビルドのほうばかりが進められておる。スクラップのほうがほとんど進んでおらなかった。今度は初めてスクラップの方針としていろいろな方法が考えられておるということは一歩前進であろうと、その点は評価をするにやぶさかではございません。そういう点で非常に困難な事情があるので、私はよほど思い切った取り組み方をしないと、いままでの計画と同じようなことになりはしないかということをおそれておるわけであります。  それから何といってもこの問題で工場分散ができるかできないかという問題は、土地政策と地価対策に尽きるといっても過言ではないと思っております。そこで地価問題について連合審査があるのですけれども、商工委員会ではそれに参加をすることになっておりませんが、工場再配置というような問題になれば土地問題、地価対策抜きにして考えられる問題ではございません。私は前に当選してからずっと建設委員会の理事をやっておりまして、それで土地問題、地価対策はたいへんな問題になるぞというので、十年前に実にドラスチックな案を出していたのです。全然それが取り上げられておりません。今日になっていよいよこの地価対策というものはたいへんなものだというふうな形になっておりますけれども、四十年間営々として働いた退職手当でうちを建てられる人が一体何人あるのだ、東京で土地を求めて家を建てるなんていうことはほとんど不可能です。たとえば四十年近く働いて退職手当千万円という人はほとんどないでしょう。一握りでしょう。その退職手当で東京で土地を買うとすると、二十万円の土地だったら五十坪で終わりですね。そういうふうなばかなことを許してはいかぬ。これはどう考えても政治上の犯罪だというふうに私は考えざるを得ないのです。そこで、説法するつもりで申し上げるわけじゃございませんけれども、孫文が地価平均説というのをだいぶ昔言っておることがあるわけです。これは、土地が開発によって発展をして値上がりをした分を、これを個人に帰属させてはいけない、社会に帰属せしめるべきである、こういう大胆率直な意見を孫文先生が戦争中に言っておられるわけです。  それからあと一つ伺いたいのでありますけれども、憲法改正になったときの原文に、第二十八条に、こういう原案としては文句があったわけです。「土地及一切ノ天然資源ノ空極的所有権ハ人民ノ集団的代表者トシテノ国家ニ帰属ス。国家ハ土地又ハ其ノ他ノ天然資源ヲ、其ノ保存、開発、利用又ハ管理ヲ確保、又ハ改良スルタメニ、公正ナル補償ヲ払ヒテ収用スルコトヲ得」というのでありますから、地下資源と土地というものは個人に所有権が究極的にあるわけではないんだ。これはいわばイギリスにおいていわれておりましたように、キングスランドの思想だと思うのですね。皇帝の土地である、人民、国民はそれを使用するだけだというような思想であります。この法文が出たときに、これは共産主義の思想ではないかということで、日本の政府があわてふためいてマッカーサーの司令部にかけつけて、これを取り消さしたといういきさつがあるわけです。しかし、いまこの法文が憲法として残っておれば土地政策は実にやりよかった。考え方の基本は、やはり土地というものは個人のものではないんだ、これは公共のものであるという思想がまず基本的に確立をされないというと、土地政策というものは私は確立をされないのではないか。非常に困難な問題ではあるけれども、この辺から普及徹底させて、そのような使用権だけを国民一人一人が持っておるんだ、究極的所有権は国家に帰属する、こういうようなところまでいかなければ、土地政策というものの完ぺきを期することはできないんではなかろうか、こう思うのでありますけれども、この憲法の改正の原文が残っておればよかったとお考えになりますか、これは改正するのが当然だったとお考えになりますか。

田中角榮自由民主党通商産業大臣・経済企画庁長官事務代理

○田中国務大臣 私は新憲法下第一回の選挙において国会に議席を得たわけでございますから、憲法改正の問題につきましてはあとからいろいろ勉強したわけでございまして、憲法改正のメモランダムに関しては私自身は審議に参加しておりません。おりませんが、メモランダムの原案も知っておりますし、どのような状態を経て現行憲法になったかという成立の過程は承知いたしております。  しかし土地に対する考え方は、やはり二十九条の規定、これはもう私権尊重、所有権尊重ということで私はいい、こう思います。しかしあなたが述べたような公益のために土地は使用せられるべきである、究極においては国家国民、主権は今日は在君から在民に移っておりますから、主権の所有であるということの考え方というものに対しては、私自身はそれをそのまま理解をいたします。ただ、それは法制上主権の、国民のものである、国家のものであるということよりも、現実的に土地の利用が、その目的を達成することができるようにすれば足るという考え方を長いこと議員としても個人としても、また学説としても私はそれを信じておるのでございます。だから私はそういう意味で立法も行ない、それから今日これからもそうしたいと思っておるのであります。  それから先買い権を制定したり、土地の収用権を制定したり、これはやむを得ない処置としてやっておりますが、それよりも国土全体の利用計画を法定するということを行なう。そうすれば地価問題も土地問題も片づくのです。そしてもう一つ大事な問題は、国土の一%に三千二百万人も集め、それがまた五千万人になることもやむを得ないという前提をとる以上は地価は上がる。これはあたりまえだと思うのです。全国土の二%に七〇%以上の人が住んでおる、その集中はやむを得ないんだという態度をとっておる限りにおいて、地価は無制限に上がる、こういう考え方なんです。しかしそういう意味では、分散をして二%の面積を二〇%にすれば、これはもう十分の一に下がるわけであります。それだけじゃない。いま一・七階平均である東京の土地を十七階以上にしなければならない。これは全く仮定の議論でありますが十七階以上にしなければならない。そのためには金も貸すし税制上の優遇もいたします、それでもなおやらなかったら、都市改造公団か国か地方公共団体が代執行を行ないます、その期限は十五年である、こう法定できるとすれば、地価は十分の一に下がるわけであります。また、工場地帯でなければ、緑地帯に指定されれば、建物が建たない土地でありますから、それは東京の二十三区の中でも坪一万円もしない、こういうことでありますから、法定でもって、いま建築基準法とか都市計画法によって建蔽率をきめたり利用率をきめております。だから住居専用地区の中にはビルができない。ビルができない土地は安い。これは幾ら土地がなくてももう上がらないのです。そういう意味で、土地の利用ということを非常に正確に規定をすることによって、あなたがいま指摘をした憲法の原案、それ以上の効果をあげることができる。今度はこの分散の法律そのものが地価、土地問題を解決する一つの手段である、こういうふうに考えておるのでありまして、憲法の原案そのものは土地はすべて国のものだ——。私の考え方では、地表から五十メートル以下は私権が及ばないとか、空中権に対しては公益は私益に優先するということでもって、モノレールはビルの中を、二点間の最短距離の直線を結ぶべきである、その程度の私権制限はやむを得ない、これは憲法二十九条に違反する行為ではない。私は世界的に見ても非常に新しいといわれる土地に対する、私権に対する考え方を打ち出しておるわけでございますが、これからはやはりそういう立場で、もう少し角度を変えて土地問題というものを見ていただく。私はあなたの土地に対する御発言をずっと聞いておりまして、見識ある発言だと思っておりますが、いつかひとつこういう立場ではなく、あなたのお考え非常に参考になるものがあります。私勉強しておりますが、ひとつ私の考え方もぜひ聞いていただきたい、こう思います。

石川次夫日本社会党

○石川委員 地価問題をやりますと、幾ら時間をかけても、これはとても結論の出る問題ではございません。私は十年前に、古いものを私持っておりますけれども、一定の限定された地域内の土地の売買は全部国家がやる、私企業でやらせるべきじゃない、そこまで徹底しなければ土地問題はたいへんなことになるよという警告を発しておった記憶がまだなまなましく残っておるのです。それに近い考え方でおれば、今日このように土地問題で悩まなくても済んだのではなかろうか。  それからあと一つは、新全総のように国家の全部の土地利用計画をこまかに規定していくということが必要であろうということを当時提案をいたしておるわけであります。そこで、非常に枝葉末節のようなお話になって恐縮なんでありますけれども、住宅宅地審議会ではいろいろ小出しに土地政策の問題について答申をいたしております。これは建設省の中に入っておりますが、私は住宅宅地審議会の性格からして、一つの省に所属せしめるべきではない、これは内閣に所属をさせて、内閣全体が取り組むべき問題ではなかろうか、私はこういうふうな考え方を持っておりますが、その点についての田中通産大臣の御意見、結論的でけっこうでありますので……。  それからあと一つは、日本には不動産学という学問が大学にないのです。私は十年前から、アメリカの大学には、非常に実証的な学問が進んでいるところですから、日本のように抽象論ではなくて、具体的な問題について、不動産学部というものがあって、都市計画とか不動産経営とか鑑定評価をやる。そうして、そういう人たちが卒業してから土地鑑定士という免状を持って、土地はいかにあるべきか、土地はいかに評価すべきかということで、地価公示制度の前提として、大学における一つの見識ある学問、学部として成立させる必要があるのではないかという提案をしておったわけでありますけれども、これもまだ生まれておりません。  この二点についてどうお考えになりますか。

田中角榮自由民主党通商産業大臣・経済企画庁長官事務代理

○田中国務大臣 住宅宅地審議会というものが建設省という一省に所管さるべきでなく、内閣という立場で所管さるべきだ、これは長いこと議論されたものでございます。これは御説のような考え方もあります。ただ、内閣に全部持っていってしまうということになると、各省に全部関係のあるものは経済企画庁にみな持っていってしまう。経済企画庁にみんな持っていってしまうので、どうも経済企画庁というのは苦情処理省だなどということもいわれたわけでございます。これは海外経済協力基金が、通産省と大蔵省と外務省がもめたので経済企画庁に持っていけ、何でも権限紛淆を来たすおそれのあるものは全部経済企画庁で、経済企画庁とは何ぞや。これは内閣に持っていくということだったのです。それが一体いいものかどうか。いまはまた総務長官に全部持っていっている。交通安全でも何でも総務長官です。交通安全というのは、いろいろあるけれども、やっぱり運輸省のほうがいいのじゃないか、責任がはっきりするのじゃないか。しかし、理論的にいうと、運輸省という一省じゃだめだから内閣へ持っていけということで、現に内閣でやっておるのですが……。まあ建設省を国土省ということにして、国土計画は建設省をしてやらしめるという考え方と、内閣にすべて持っていって、予算も内閣の予算局ということでやるべきだ、大蔵省に専管さすべきじゃない、こういう考え方がずっと戦後続いておりますが、要は、宅地制度というものが政治的に一番大きな問題でありますので、内閣で所管するかどうかは別にして、もう少し広範な立場で、専門的過ぎる議論だけに終始をしておるというようなことではなく、もっとある意味においては政治的、国際的視野に立って宅地制度を見れるようなものにする必要があるのじゃないかということを、私自身は宅地制度にも関係をしてまいりましたから、そういう感じを持っております。  学問的に、不動産特に土地という問題の研究が十分でない。これはほんとうにそうなんです。これは水といっても河川工学というようなものを主体にしておりまして、利水と治水というものを一つにしたものがなかったように、われわれが生活のために生命を託しておる大地、土地問題に対して、明確な学問もなし、制度もなしということ。これは不動産鑑定士とか土地家屋調査士とか、これはみな議員立法であります。内閣がかかる重大な土地問題や宅地問題に対してさえも閣法として提案をしないで、必要やむを得ざるというような事態に対処して議員立法で今日なってきて、それしか制度はないというのですから、どうもおかしいという感じは、私も同じ感じを持っているのです。これはやっぱりもっと学問的にも制度的にも確立を必要とする。御説と大体同じ考えであります。

石川次夫日本社会党

○石川委員 大学に不動産学部がないということは、日本の場合非常に不自然だし、非常な欠陥だと思うので、この点もひとつあわせて御配慮願いたいと思うのですが、土地問題をやりますと時間が幾らあっても足りませんので、結論的に申し上げます。  いま土地の配分計画あるいは工業再配置というものが成功すれば、それが地価の低下につながるという面だけを強調されておりますけれども、配置をされたその先では、土地を持っている人はよろしいけれども、やはりそこでも、土地が上がって地価公害というものに悩まされるという結果が、逆に出てくるわけであります。土地を持たない人は、工場を誘致されることは、住宅をつくる上についても何についても非常な障害になるという、地価公害が生れるという逆な側面というものを忘れてはいかぬと思うのです。いずれにいたしましても、地域開発については、地価が高騰してしまって、八〇%以上かかってしまうというようなことでは、いかに公共投資をやってみたところで、土地を買うだけに費用を使ってしまうという形では公共投資が生きてこないし、土地成金を生んでいるだけだということになっている。この重大な欠陥ですね。これは地価対策としては何としても取り組まなければならぬ深刻な問題だと思うのです。  そこで、私は、住宅宅地審議会の問題は、経済企画庁に所管をさせるとか総理府に所管をさせるとかいう考え方ではないのです。これだけ地価の問題、土地の問題が重大な問題になれば、内閣総理大臣直属の権威のある機関にしろ、そして真剣に取り組む必要があるのじゃないかということを私は提言したかったのです。経済企画庁とか総理府とかいうことになれば、非常に煩瑣な仕事をかかえた中の一環としてこれをとらえるという形になりますから、そうではない面でこれをとらえる必要があるのじゃないかということで申し上げたかったわけであります。地域開発の非常な障害になっているということ、それから二重担保その他で信用インフレになっている。十年前にはほとんど騒がれておらなかったのですが、最近財界が騒ぎ始めたというのは、アメリカの十倍以上、二十倍にもなって、生産物の価格というものに反映して、これでは国際競争力が低下をするというようなことから、財界があわてふためいているということでありまして、いままでの、土地を担保として、土地が値上がりをするとさらに抵当権というものが増強されるということで、むしろ歓迎をしておったというような考え方は、抜本的に改められなければならぬと思うのであります。  それからあと一つは、この前の高額所得者の一覧表でもわかりますように、土地を持っていればどんどんもうかる、土地を持っていない者は住宅もつくれないというようなことでは、勤労意欲は非常に低下するし、人心の荒廃にこれ以上の影響を与えるものは少ないのではなかろうかと私は考えざるを得ないのです。そういういろいろな面からいって、土地の問題、地価の問題は、憲法の原案であった、究極的所有権は国家に帰属するという考え方に立った上で、抜本的な取り組みをしないと、とてもあだやおろそかではケリのつく問題ではなかろう、こう思っておるわけであります。  時間の関係がありますからきょうはこの程度でよしますけれども、何といたしましても、土地政策と地価問題というものはたいへんな問題であります。何としても解決しなければならぬ問題である。私は、十年前から出している提案が全然生かされていないということを非常に残念に思っております。その点で最後に田中大臣の信念というか所信を聞きまして、私の質問はきょうはやむを得ず、時間の関係上終わりにしたいと思います。

田中角榮自由民主党通商産業大臣・経済企画庁長官事務代理

○田中国務大臣 土地問題は、これはほんとうに政治問題でもあるし、この問題に対して結論を早急に出さない限り、国民的安定を得ることはできない、そう思います。実際世界に例のないほど所得が短い間に向上しておりながら、一生働いても幾ばくかの土地しか持てないということであるなら、これはもう何をか言わんやということでございます。それは言うまでもなく、局限された土地で、月給は上がったが、無制限に集まるということを是認しながら東京や大阪で土地を求めようとするところに問題があるわけでございまして、小なりといえども、日本の国土全体を考えれば、一億人ぐらいに土地を与えられないということはない。これは、考え方によって、私がいま提案をしておるような政策が進められる限りにおいては、必ず土地を持つことは可能である、こういうことでございます。  それで、最後に、この法律が成立をいたしまして地方の地価が上がるというようなことにならないように、必要な法制は整備いたしたいと思います。これはいまの都市計画法や建築基準法によって使用制限をいたしておることによって地価が抑制されているように、工場地帯であっても、その整備すべき条件を法律や条例で明示をすれば、地価は一様に押えられるわけでありますので、そういう制度の完備も引き続いて実行してまいりたい、こう考えます。

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員長 次に中村重光君。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 きょうは、これから先の運営の問題についてはまたあらためてお尋ねをすることにいたしますが、自治大臣が十二時四十分ごろ見えられるそうでありますから、きょうは田中大臣の答弁はあまり制限をいたしませんから、どうぞひとつ十分に抱負を述べていただきたい。  まず大臣に、同僚諸君への答弁をずっとお聞きしておりますと、本法案は全国的な開発計画である、その他の首都圏整備であるとか、あるいは近畿圏であるとか、あるいは産炭地であるとか、農村工業導入であるとか、その他諸計画は、これは地域開発で、たいへん違うところだというようなお答えに実はなっているわけですが、なるほど本計画は、小さい一都道府県であるとか、あるいは市町村とかということじゃなくて、もっと広い範囲の一つのブロック的な形で計画を進められるという点については、私は、広範な計画である、それが全国的な開発計画であるということもいえようかと思うわけであります。しかし実質的に、いままでの地域開発計画であるとか、あるいは拠点開発計画というものとどう違うのかという点であります。必ずしもその点明確ではございません。ですから大臣だけがわかっていただいても、これはどうも私どもも十分理解しなければいけないことでありますので、その点具体的にひとつ大臣の、相違点ということで確信をお持ちになっていらっしゃるところを御説明いただければはっきりするのではないかと思います。

田中角榮自由民主党通商産業大臣・経済企画庁長官事務代理

○田中国務大臣 私も何回か申し上げましたが、地域立法がずっと行なわれてまいりました。これは私たちもずっと関係してまいったわけでありますが、中には熱海国際観光温泉文化都市建設法、京都国際観光温泉文化都市建設法、旧軍港市転換法、それから新産業都市建設促進法、それから離島振興法、山村振興法、低開発地域工業開発促進法、それから北海道防寒住宅建設等促進法とかいろいろな局地的な問題がありました。これは北海道、東北開発法、四国、九州開発法もそのとおりであります。首都圏整備法の前法である首都の整備促進に関する法律、工業整備特別地域整備促進法、その他ほかにもなおいろいろなものがつくられてまいりました。その他の具体的な政策としては八郎潟干拓だとか、それから豊川用水法とかいろいろなものもつくられてまいりましたが、これはやはりその地域その地域のものでございます。ですから地域を指定してやる。同じような体系ではありますが、産炭地振興法もしかりであります。しかしこれはどうしても過疎と過密がありますので、過疎地帯から人が逃げ出さないように、過疎地帯を振興するためにというような地域からの陳情、請願という国に対する要求という立場、方向からつくられた法律であることは間違いないわけでございます。ところが初めて今度は現時点において四十七都道府県の中で、また市町村の区域の中で、工業生産の集積度の一定限度以上のものを全部列挙いたします。現に人口の集中率が一定限度を越えているものも全部明らかにいたします。そして人口が非常に少ないところ、一次産業比率の高いところというものが一目瞭然になります。そうすると、これから東京や大阪に出たいという人は、出ないで自分のところで工場をつくったほうがいいんだということは明確にわかります。それから東京や大阪という過密地帯にある工場は、さてここでもって公害防除投資をしなければならないのです。同時に、公害防除投資をするだけではなく、設備の更改時期にもう来ているわけであります。そうすると、そのときに産業自体とすると、準拠法というようなもりや、禁止をするとか、それから出ていくなら誘導政策をするとか、誘導だけではなく補助政策もあるのだということを明示されないと、なかなか新しい工場をつくって稼働させることができなくなったんだというような問題がたくさんあるわけです。そういうことで、やはり六十年といえばそんなに長い話ではありません。だから、これだけ国会では公害論争をやっておりますし、公害の設備などはどうしてもやらなければいかぬ、公害の出るようなものは全部新しいものに更改しなければならないのだ。そのときにやはりいまの土地でもって新しく大きな投資をするか、いまの土地を売って、圧縮記帳という税制でもって免除を受けられますから、いまの東京でもって三百坪の中小企業の町工場を売っても、三十万円にしても三三が九で一億になるのですから、そうすればそれを新しいところに持っていけば新しい設備で十倍の環境のいいところに移ることができる。しかしそれは自分だけ移ってもどうにもならないのだが、政府はそこに団地をつくってくれるという制度がある。しかも税制は減免税をするのだ、これからは全部そうなってくるのだということを明らかにすることによって、移転も促進されるわけであります。いま私のところからでも、北海道でもって、私は北海道の話ばかり出して恐縮でございますが、美唄の炭鉱がとにかく閉山した。そのときに大三菱グループが美唄に対して工場を持っていけないはずはない、一カ月に一億ずつ炭鉱をやっておれば赤字が出るというのだから、二年間たてば二十五億になるじゃありませんか。二十五億ここで投資をして、しかもそれは赤字が出るということを覚悟していた分を投資をしてあそこに工場をつくればペイしないはずはない、こういうこと。そこでどうなるかというと、それなら二十五億の赤字相当分を使って工場を持っていくことは簡単ですが、ほかの工場も来るのか来ないのか。しかも政府が誘導政策や補助政策をやってくれるのかやってくれないのかというと、石炭山というものは石炭が出るから町ができたのであって、石炭がやめれば必ずほかの産業にいいという条件ではないのです。港湾があるというわけじゃないし、消費地がすぐ隣にあるというわけじゃないんですから、石炭山が閉山したときにほんとうに他に集中的な大きな投資をするときには、国の政策の方向がはっきりしてなければこれはむずかしいです。そういうことに対して、今度は産炭地は誘導地域に指定するんだ、この法律は通すのだ、絶対実現するんだ、国の政策の方向はそうなんだ、こう言うと、そうなればそれは考えられますなと、こういうことですから、これはほんとうに中小企業などは方向を全部きめてやらないと、とてもやれるものじゃありません。しかも自分が行こうとすればいろいろな処方せんも案内図もちゃんと公団は用意してくれておる、政府との連絡もとってやる、それで金は貸してあげます、あと地は買ってあげます、税制上はこう優遇します。そういう制度をつくらないで、いまの家を売ってどこかいいところへ行きたいなと思っておっても、あっと言っているうちに三年、五年、十年は夢の間に過ぎるのが実際なのです。そこに過密という弊害がどんどんと積み重ねられていって、石川さんもさっき言ったけれども、確かに十年前にやればいまのコストの何十分の一でできたと思うのです。しかしいまになってしまった。一日一日とこの状態が悪くなっておる、こういうことでありますので、地域立法と、今度の全国的なものが十月一日のスタートまでには青写真をかきますが、これを二重写しにするときに、この地域開発というものはいまよりも非常に大きく促進する、こういうふうに見ておるわけでございます。ですから、地域立法はばらばらと、時を同じうしてつくっておりませんし、ほぼ同じような方向ではあるが目的が違うということで、その関連性というものは調整することはむずかしかったのですが、今度の工業再配置というもので、いままでの地域立法のいろいろな問題、いいところが全部調整ができるように調整すれば力は大きくなるのです。流れは大きくなるはずであります。そういう意味で、水の流れをショートカットすることによっていろいろな流れが全部そこに来る、こういうような調節機能も行なうし、総合的な計画の推進が行なえるということで、この法律というものは、いままでは地域の振興のための具体策ばかりやっておったのですが、振興をするにはどこかから持ってこなければいかぬ、持っていくためには追い出すという、ポンプと排水口と同じことをやはり政策として考えなければいかぬ、これは完ぺきではありませんが、そういう考えを持って立法されたものであるということだけはひとつ御理解いただきたいと思います。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 大臣の考え方というのですか構想というのはわかるのですけれども、それは将来に期待されることになるわけですよ。なるほど誘導地域とそれから移転促進地域という形に分けるわけですね。ところが、その課税の特例の問題、誘導地域に移転していく企業に対してのこの特例も変わらないのですよ。固定資産税の三カ年間というのも同じなんですね。それから加速償却の問題だって三カ年というのはみなやっているわけです。その限りでは変わらない。将来は別ですよ。将来構想は、固定資産税の問題についても二十五年構想というのがあるわけだから、それから移転促進地域において追い出し的な、外形賦課税というのか何か、これは大臣は確信を持っておられる、これはぜひやらなければならぬと言っている。将来の大臣の考え方というか構想というものはわかるわけですけれども、私どもがいまこの法律案を審議する限りにおいては、その点は表に出てきてないということなのです。したがって、移転促進地域という、そういう形にはなっておるけれども、これは移転促進のための懲罰的なものも何もないということです。そういったような点から、この法律案に基づくところの計画というものが全国的であり、従来の地域開発計画であるとかあるいは拠点開発計画といったようなものとの相違点は必ずしもここで明確に出ていないということなのです。存じです。私たちは低開発地域促進法はよく知っておる。しかし山間の山梨県でもないと岩手県でもないと、山村振興法ということはあまり興味がない、ようわからぬ。いろんなことで産炭地に関係のない人は産炭地振興法もよくわからぬ。だからどういう工場が行くのかなかなかよくわからぬ。だから制度上は不完備でありますが、これはほんとうに工場というものが主体にならなければならない。この主管庁である通産省が、産炭地なら通産省がやっておりますから、通産省は今度この工業再配置促進法というものを立案し御審議をいただいて、これを通していただく。今度そうなったから同時に中小企業白書の中でも、中小企業に移転の意思があるかないかということを聞いているわけです。二七%は直ちに移転をしたい、五〇%は条件がそろえば移転したい、こういうことであります。だから今度、全国の産業に対して、いわゆる制限地域にあるような産業、制限地域じゃなくてもいろんな企業に対して一切通産省は移転希望とか説明をいたします。産炭地はこうなりますと、全国的に直ちに産炭地などは誘導地区として指定いたしますから、そういうものは通産省の内部として一切説明もできますから、そうして移動したほうがいいですよ、ではどっちがいいんですか、北海道へ行くか四国へ行くかという問題はあります。やはりそういうような情報の提供、それから仲介、説明、そして制度上の援助、こういうものがありますので、まあ平年度三百億、ことしは百五十億ではございますが、これはうまくほんとうに認定がどんどんと進んでいくということであれば百五十億にこだわるものでもございません、そういう意味で制度としてはどうも中途はんぱだが、どのくらいの制度になれば一番いいかというと、申し上げたようにニュータウン法と同じような条文がこれにあれば、これはいやおうなしに分散しなければならない、受け入れ地は整備をしなければならないと、こういうふうになって明確になるのですが、いま御審議いただいておりまするその中には不備がある。だからここはどうもあまりメリットがないのじゃないか、もっと魂を入れなければいかぬというお気持ちは、私もそう思っております。しかしこれはないよりも——ないよりもというより、これはもう絶対に必要である。そこで青写真をかいて調整をスタートさせる。来年度とにかく二千億、三千億という予算を獲得しなければなりませんし、そういうことによっていろいろな法律の調整も進めるということでは大きなメリットがある、私はそう考えておるのです。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 いま大臣が率直にお認めになったんだから、大臣のそうした将来の構想というものには私は期待をしたいと思うのですよ。しかし少なくとも大臣がいま答弁されたような形でこの法律案というものが推進されなければいけないし、不十分な点は補ってもらわなければならぬと私は思うのです。  それで、いま大臣がお答えになった限りでも、私はやはり工業の適正配置としての立地政策としては不十分だと思うのです。したがって、工業立地政策の基本を示すところの立法が必要じゃなかろうかというように私は思っておるのですが、その点は大臣としては、この法律案を何か基本法的な役割りを果たしていく基本計画とか実施計画というような形に分けていくとか、いろいろ内容を盛り込んでいくという形においてそういう点を十分生かすようにしたいという考え方でしょうか、あるいは将来とも工業立地の基本法をつくっていこうとする考え方があるのですか。

田中角榮自由民主党通商産業大臣・経済企画庁長官事務代理

○田中国務大臣 この法律を基本法にしたいという考え方でありまして、この法律にいろいろなものが付加してまいるという考えであります。いま都市計画法でありますとか建築基準法で、都市計画区域内における土地の利用制限というものをちゃんときめるようになっております。ですから地価の抑制ができるのです。ところがこの法律でもってやはり工場をやる場合に、都道府県知事か通商産業大臣はということで、国土の利用計画というものを建築基準法や何かと同じようにきめて地価を押える、こういうことと、工業団地の基準も全部きめることが望ましいと考えたのです。ところが、どうもそうすると、工業再配置の名において国土改造法をつくろうとしておるということになって、権限紛淆が起こってくるのです。いま私は経済企画庁長官の臨時代理をやっておりますから、きょうは言えるんですが、来月の初めになってまた通産大臣という専管に戻るとちょっと言えないのですが、そういう法律があるかというと、二十五年に国土総合開発法がある。国土開発法の中に今度一条を付加して、総理大臣は国土の利用計画を定めなければならない、利用区分を明示し、これを公示しなければならないという建築基準法、都市計画法と同じ条文を挿入すれば足りるんです。ところがこの法律と、国土総合開発法を一緒にここで御審議いただくということにはならなかったわけです。この法律案というものを審議していただいて、法律にしてもらって、さらにこの法律の中に必要最小限のものを書くのか、他の法律でもってやるのかという問題は、もう少し練らしていただきたい。この法律が通れば、この次には工場団地の基準とか、それからいま御審議いただいております、御質問があり、あと修正になるかもわかりませんが、環境の確保のため、ちゃんと法律とか政令で環境の確保の基準をきめなければならない、こういうような、これが具備しなければならぬ条件が一ぱいあるのです。そういう問題は、半分、三分の二、おおよその案はあるのでありますが、しかしこれから御意見を承りながら完ぺきなものにしてまいろう、こういうことであります。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 時間がずいぶんあり余っておると思いましたところが、もう残り少なくなってまいりました。これからはひとつ、重要な問題でありますけれども、簡潔にお互いにいくことにしたいと思います。  それから公害の問題ですけれども、大臣は、本法案は公害をなくするところに意義がある、そこで公害をまき散らすという批判は当たらない、こう強調しておられる。これは大臣が耳にされたように、工場分散法、同時に公害分散法であるというような批判があることは、これは事実なんです。それはやはりこの法律案の条文の中にも公害に対する問題が、環境保全なんというきわめて簡単なことばで出ているにすぎないからです。あまりにも公害が続出しておるからです。私はまた通産省の姿勢にも関連をしてくるんだと思うのです。  そこで、私は不安があります点をここでメモしましたので考え方をお聞かせいただきたいと思うのですが、工場を分散いたしましょう、——これを受け入れる側ですね、ここで道路であるとかあるいは下水道であるとか、住宅であるとか公園であるとか、こういう社会資本が整備されないまま進められていく、あるいはまた企業が公害防止を怠ってくるということになってまいりますと、これは工場分散と同時に公害分散という形になっていくんじゃないでしょうか、この点はどう考えておりますか。

田中角榮自由民主党通商産業大臣・経済企画庁長官事務代理

○田中国務大臣 この法律の中に、国は工業用水の確保をはからなければならない、国は移転産業が維持できるように交通網の整備をしなければならない、港湾の整備につとめなければならないという規定を置くとともに、具体的な方向を示そうかとも思ったのです。しかし、これはまずこの法律にすべてのものを入れるということになると、時間がかかってなかなか議論がまとまらないということがありましたし、この法律が制定をされれば当然そういう問題が次に起こってまいります。だからそういう意味では、国はそうしなければならないということを、補助金を出したり税制上の優遇をしたり、同じように環境整備をしなければならない。新幹線などというものは、いままでは町があったからそこに駅をつくる。そうじゃない、駅をつくることによって町をつくるということになるほうがはるかに安い、こういうことで、それを具体化するように何か条文を挿入できないかということでございましたが、そういうものはあわせて引き続き検討しようということになっております。  しかも環境の保全、環境の整備ということでございますが、これは移転計画の認定について、環境整備その他環境の保全に配意されておることを認定条件として法文上に明確に入れたほうがいいのかどうかという問題になると思いますが、そういう問題等は、当然のことでありますが、修正条文としてもし採用されるということであれば、全く異議はないということであります。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 私、先月の二十六日だったと思うのですが、大臣に基本的な問題についてお尋ねしました際にも引用したのですが、先ほど石川君のほうからも指摘をいたしておりました茨城県の鹿島臨海工業地帯、これは近代工業が進出したんですね。ところが、人口がふえた、交通量は増大をした、交通事故は十倍にふえた、さらに公害が出る、ごみは堆積している、どうにもならぬような状態になっているんですね。だから、これを貴重な経験として、これから先の工業再配置に対しては、こういうことを再び繰り返さない、これは決意と同時に、決意だけではだめでして、具体的な対策というものが打ち出されてこなければならぬと思うのです。大臣は、これらの問題についてはしばしば決意としてはお答えになっているわけですが、環境庁からお越しでございますし、工業再配置の法律案に対しましては環境庁も合い議をして十分この問題については御関心をお持ちになり、また環境庁としての対策をお立てになっていらっしゃるであろう、こう思いますから、ひとつ環境庁の考え方をお示しいただきたいと思います。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 工業再配置は、過度の工業の集積地帯から比較的集積度が低いという地域に移転を促進するということによりまして、私どもといたしましては、国土全体の環境保全に資するというような使命を持っておるものと考えております。ただ問題は、やはり誘導地域に工場が移転いたしますと、どういたしましても大気あるいは水の汚染あるいは悪臭、騒音といったような問題が予想されますし、また敷地の造成等に伴いまして、やはり自然環境の破壊というような問題も心配されるわけでございます。したがいまして、今回の法案におきましては、こういった公害の防止、自然環境の保全という問題を含めました環境保全につきまして十分配慮する、そういった事項が計画の立案当初から十分に配慮されまして、先ほど先生御指摘のような、いままで新産あるいは工特というような計画におきましてたとえば鹿島のような問題というものが再び繰り返されることのないように、環境庁といたしましても十分通産当局と連絡しながら努力してまいりたいと考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 いまあなたは、工場の集積度の高いところから低いところに移るのだというようなことで、比較的その点心配がないようなお考え方であるわけです。そこで、どういう企業が移っていくのかという想定の問題なんですよ。私はこういうような想定をしているのです。現在の工場が非常に狭隘になったということです。したがって、どうしても広いところに移っていかなければならぬというのが一つ考えられますね。そういったような企業は成長企業ですよね。成長企業でございますから、これは公害がはなはだしく、立ちのきを要請されているというようなところですね、それがそういったようなところに行くということではなくて、比較的に近代化されているというところではないでしょうけれども、比較的条件のいいところに、成長産業というのは財政力が強いから移っていくわけですね。ところが、もう力がない、しかし公害をまき散らす、そういったようなことで立ちのきを要請されてどうしても出ていかなければならぬ、そういう企業も出ていきましょうけれども、それは比較的に過疎化しているところですね、そういったところに出ていくことになっていくのではなかろうかという感じがするわけです。これの選別というものは政府にはできない。これは地方自治体も意見を言ったり、あるいは市町村長にも協議をしたり、いろいろなことは私どもは——法律案に不十分でありましたから修正等をいたしまして、都道府県知事の意見を聞いたり、あるいは認定にあたっては都道府県知事が意見書を添えなければならぬ、その場合に、市町村長に対して都道府県知事は協議をしなければならないといったようなことで歯どめを実はしようとした。これは先ほど岡田君からも実は申し上げたところでありますけれども、そういうことで、現在非常に成長産業であるが工場が狭い、だからして出ていかなければならぬというような企業、それから第二点に申し上げましたけれども、公害でつまはじきされてどうしても出ていかなければならぬ、そうして力が弱い、こういうものはいま申し上げたような比較的過疎化したところに出ていくということになってまいりますから、公害対策の抜本対策という形に私はなり得ないのだと思う。そういうことも、どういう企業が出ていくのだという想定をされて、その上に立ったもろもろの対策というものが立てられなければならないと私は思います。その点に対しては、具体的に起こってくる問題でございますから、通産大臣から考え方をお聞かせいただきたいと思います。

田中角榮自由民主党通商産業大臣・経済企画庁長官事務代理

○田中国務大臣 とにかく事業を継続していく限りにおいては、公害防除対策を行なわなければなりません。公害投資をしなければならないわけであります。現在、公害を発生するような機械、設備も全部新しいものにかえなければならないという状態にございます。そういう意味で、移転が行なわれる場合には、少なくとも公害防除ということに対しては万全の体制が整えられて移転がされるということが前提でございます。  それからもう一つ、悪臭とか騒音とか、いろいろなものがあるものが都会におれないから出ていくというときには、地元でもそんな工場がそのままに出ていくことに賛成をするわけはございません。いま原子力発電所とか、いろいろな問題に対しても地元に非常に反対があり、政府は地元の納得ということを前提にしてあの仕事を進めるということでございますので、第二の条件としては、いままで千坪の小さいところでやっておったものが、どうしてもやらなければならないというときには、遮断帯をつくったり、公害というものが住民に影響を及ぼさないような面積で調整をしたり、いろいろな設備で調整をしたりされなければなりません。また、そういうことに対しては地方の知事及び市町村長とも十分連絡をとりながらやるということでございますので、今度企業が分散をしていくこと、新しく企業が立地することによって公害をまき散らす、公害を分散するということでは絶対にない、公害は完全に除去してのものである、こういうふうにお考えいただきたいし、われわれもそうでなければならない。この問題で私がよく言う例は五つあるのですが、苫小牧、それから鹿島、四日市、水島、大分湾、こうあるのですが、やはり、少しあっという間に集中し過ぎた。東京と大阪と名古屋の小型のものができたというような気もいたします。だから、そういうことではならない、今度は工業の分散というものは理想的な姿のものである、そういうことでなければならないということであり、施策の万全を期そう、こう考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 自治大臣がお見えになりましたから、見解を伺ってみたいと思うのですが、今度の工業再配置法案ですね。これは、いままでの地域開発計画、それも法律案に基づいて計画ができているわけですが、そういうものと比較をいたしますと、私は、よりましなものだと考えているのです。ましてや田中構想という形においてこの法律案が内容が充実されてまいりますと、過密過疎というものを解消していくとか、あるいは公害をなくしていくとか、そういう面においては私は大いに歓迎してよろしいと思うのです。問題は、政府全体がそういう姿勢になるかどうかということだと思うのですよ。たとえば今度、よりましだと私が申し上げますのは、財政援助の問題で、地方自信本に対して一平方米当たり五千円、企業に対しても同じように出そうとしておられるわけです。これはいままでの地域開発の中ではなかったことなんです。しかし、その程度では、地方自治体に対しても五千円程度のものではどうにもならないのじゃないかということです。これは、もっと地方自治体に対して財政援助というようなものをしていかなければならぬのじゃないか。その点に対しては自治大臣はどのようにお考えになっておられるかということです。

渡海元三郎自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○渡海国務大臣 工場再配置をします上につきまして、その工場再配置される地域が、これに伴いますところの公共施設その他の施設が相当膨大になりますことは事実でございます。その意味からいいまして、いま申されました現在の財政措置その他におきましては、中村委員御指摘のとおり、地方財政に対する援助といたしましては過小である、かような点は私も認めるものでございますが、地方財政計画等におきましても十分その点、交付税あるいは起債等におきまして努力をして、地方財政運営に支障のないよう、また工場再配置法によりますところの趣旨に沿い得るような地方財政運営ができますよう、今後とも努力してまいりたい、かように考えておるものであります。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 具体的な問題でお尋ねをいたしますが、この誘導地域へ移転しようとする事業者に対して固定資産税の減免を三カ年間しようとしている。これは田中構想でまいりますと二十五年というのです。二十五年の田中構想まではこれはたいへんなことだと思いますけれども、私は三年では不十分だと思います。やはりこれは相当期間延長しなければならぬことだと思っています。そうなってまいりますと、地方自治体の財源をどうして補てんするか。これは交付税ではだめなんです。三カ年間は交付税でやる。それ以上は交付税でやるということは、これは交付税でありますから実際どれだけの援助をされたのかわからない、つかめない。だからはっきりした目的財源でなければならないと思います。目的財源という形になってまいりますと、これは田中構想にございましたが、これは後退をしてしまったのですが、いま言う工場が集積しているところの移転促進地域、それから出ていかないところの企業に対して追い出し的なことも意味するのであろう。それだけではなくて、そういう大都市に集中している企業は税金ぐらいたいしたことはない、税金だけ納めたならばそこへ居すわってよろしいということになれば居すわるでしょうから、だからやはり誘導的な形にこの本法を推進する、そういう形に援助というものが地方自治体に対しても企業に対してもなされなければならない、そう私は思うわけです。公害対策においてはなおさらなんです。そうなってまいりますと、田中構想にありましたような外形付加税的なものがいいのかあるいは事業所税のようなものがいいのか、あるいは公共施設、道路であるとかあるいは下水道であるとか、そういったものを利用する利用者負担というのか、何らかの形でこの負担をさせるということで、一石二鳥というようなことにもなってまいりましょうが、そこで誘導地域に対する積極的な支援がなされていかなければならない。いま申し上げましたような固定資産税の三カ年間というものをさらに延長する、そうしたことで初めて実現をするのであろう、こう思うのであります。その点に対しての自治大臣の考えをお聞かせいただきたいと思います。

渡海元三郎自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○渡海国務大臣 工場再配置法の目的としております工場の地方への分散の誘導措置としての税財政措置を考える場合、これは国策でございますから、まず国がこれらに対する税財源対策を講じていただくのが私は本来の立場でないか、かように考えております。いま申されましたように、今回の法案の中、固定資産税の減免が三カ年間となっておることは、田中構想の二十五年と比べて誘導するためにはあまりにも少ないじゃないかという御指摘はごもっともであろうと思います。しかしながら、工場再配置される誘導地域というものは、本来財政力も乏しいところでございますので、その地方の固有の財源となりますところの固定資産税を減免するような措置になりましたら、その自治体だけでこれは行なうことができず、おそらく地方団体全体の財源であるところの地方交付税から措置しなければ行なうことができない、こういうことになるのではなかろうかと思います。そういった場合におきましては、現在こういった制度を行なっておりますのは、大体法令としては三カ年を限度としておる。固定資産税そのものの性格もございまして、限度といたしておりますが、今回のその措置もかようにさせていただいた次第でございます。しかしいま中村委員御指摘のように、国そのものがこれらの減免に対して措置をとっていただくということをあわせ行なっていただきましたなれば、その措置をとっていただく期間等とも見合いまして、十分私たちもその延長を努力いたしてまいりたい、かように考えておるのであります。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 おっしゃるとおりだと思うのです。国が財源を補てんしなければならぬ。  そこで田中政務次官もお見えでございますから、具体的なことは大倉主計局次長からお答えをいただくことにいたしますが、いま私の質問に対してそれぞれ自治大臣からお答えがあったわけです。この固定資産税の三カ年というものを延長していくということになると、これは交付税ではだめなんです。どうしてもその財源補てんというものは国がやらなければならない。国がやるということになってくると、一般会計でやるのか。これもいろいろとまた抵抗も出てくるであろう。してまいりますと、移転促進地域に対しての何らかの形で、いわゆる外形付加税というのか事業所税というのか、先ほど私が申し上げましたようないろいろな方法があるであろう。この法案を推進するについては、やはりそういう目的財源というものによって強力に推進していくということでなければ、私は本計画というものも竜頭蛇尾に終わる。いままでのように、さあ法律をつくった、計画はできたけれども、もう実際何にも実効はあがらないではないか、そういう形になる可能性が私はあると思います。この点に対して、基本的な問題については田中政務次官、具体的ないままでのいろいろな折衝もございましょうから、その点は主計局次長から、それぞれお答えをいただきたいと思います。

田中六助自由民主党大蔵政務次官

○田中(六)政府委員 いま自治大臣がお答えいたしましたように、私どもとしては十分研究、検討をすべき事項でございます。しかし大蔵省といたしましては、いますぐこれを確約しろというようなことはできませず、今後とも十分自治省と相談をして検討していきたいというふうに考えております。

大倉眞隆大蔵省主計局次長

○大倉政府委員 お答えいたします。  基本的な考え方につきましては、ただいま政務次官が申し上げたとおりでございますが、私どものやや技術的な観点から申し上げますと、御承知のとおり国、地方の財源調整問題というのは毎年毎年非常な大問題でございまして、本件もおそらくその一環ということになってまいろうかと思います。この誘導地域にございます市町村の新たな財源、財政需要に対する財源というものをどうやって見ていくのか。交付税でいくのか、地方債でいくのか、あるいは全然別に新しいアイデアを出すのかということで、ただいまの中村委員の御指摘は目的税を取って、それを特定財源として充ててやったらどうか、こういう御指摘であるように思います。主税局も来てはおりますが、目的税としてどういう税が取れるか、それは地方税でやるのか国税でやるのか。かりに国税でやるとすれば、交付方式をどうするか、地方税でやるとすれば、それはだれが取って、どういうふうに分担していくかというふうに、技術的に今後研究すべき面が多いように思いますけれども、いずれにいたしましても、政務次官が申し上げましたとおり、長期的な観点からこの問題に真剣に取り組んでまいるということで勉強させていただきたいと思います。

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員長 この際、自治大臣に対して岡田君から関連質疑の申し出がありますので、これを許します。岡田君。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 いまの中村委員の質問でそれぞれ答弁があったわけですが、自治省としては、今日の自治体の過疎過密、特に地方は過疎化現象が非常に拡大をしておるわけです。積極的に一次、二次産業のバランスをとりながら地域開発を進めていく、それにはやはり何らかこれを促進する制度が必要ではないかと私は思うわけです。したがって、過密地帯でもし地方税を課すれば、東京都のような場合にはこれは特別交付金の対象になりませんから、合理的な傾斜というものがなかなかむずかしい。したがってそういう点で全国的なバランスを考えますと、結局何らかの形で過密地域、規制地域、これらには税の負担を課する、一方において地方財源全体のワクを減じないよう負担をするという意味で固定資産税の減免を思い切って延長する、したがって二重に傾斜がつくわけですね。そういう点で地方財源を確保しながら、一方において過密地帯に特別の付加税を課してこの工場の分散を積極的に進めて、国土の利用、開発あるいは地方開発を進めて地方雇用を増していく、こういう基本的な考え方が一方にやはり通っていなければならないのじゃないか、こう思うわけです。具体的な問題は、これから勉強するんでしょうけれども、この法律が施行されますと、その実効をあげるためには三カ年はもう本法で規定されておりますから、大体四カ年目が問題になってくるわけです。したがって、ここ一、二年の間に検討してその結論が出されるとすれば、非常に有効ではないかと私は判断をするわけです。したがって、その時期は大体本法施行後二年以内程度にはこの結論は出すべきだ。一方、大蔵省の場合は、今後の場合、問題になりましたように法人税の特別付加の問題がございますから、これは二カ年延長されておるわけですから、こういう面とも関連して、やはり政府として結論を出すべきではないか、こう私は判断をするわけです。そういう私の考え方に対して、自治大臣としてはどういう見解を持たれておるか。もう一度大蔵省としても、大蔵大臣は本会議において、とにかくそういうものごとの考え方については傾聴さるべき意見であり、当然検討しなければならないという積極的な姿勢をも示しているわけですから、そういう原則的な考え方については了解ができるものかどうか、端的にお答え願いたいと思うわけです。

渡海元三郎自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○渡海国務大臣 自治省といたしましては、過密地域に対する地方自治体の行なわなければならない財政需要が、過密ということで増大いたしております。このために、現在都市財源の充実をはかれということが地方財政の中の大きな問題の一つになっております。一方、過疎地域、いま申されました過疎地域を行なわなければならない。そういった意味からも、過疎地域に対する地域の効果的な発展のために資するような財源の付与ということも必要とされております。したがいまして、過密地域に対して税を特別に課する、その場合、もし地方税において行なえば、私たち、これらの財源のためにも、また過密地帯に対するいま申し上げました工場の、何と申しますか間接的な過疎地帯への誘導ということにもなろうと思いまして、事務所事業所税等も計画いたしました。不幸にして本年はこれの実現を見ることができなかったのでございますが、今後ともその点は努力いたしたいと思います。しかし、それはあくまでも過密地帯の都市の財源でございまして、これが直ちに過疎地帯への財源になるということは行ないがたい、これが地方税制度のあり方ではないか、こう考えるのでございます。  一方、いまの固定資産税の問題でございますが、固定資産税は本来その地方の最も重要なる市町村の財源でございまして、これを減免するというふうな場合、何らかの補てんがない限りにおいてはなし得ないという姿でございますので、他の固定資産税との均衡等も考えまして、現在行なっております三年というものが、立法例から見ましても限度である、そういう意味で、本法案ではそのようにさしていただいたのでございます。しかしながら、いま申されましたような誘導という点の必要性がございますので、国の立場からこれに対する特別な補てん措置を行なっていただきますなれば、十分私たちもこの期限に応じまして期限の延長を配慮したい、このようにいま中村委員に答えさしていただいた次第でございまして、地方財政そのものへの、一方に課することによって一方へ与えよということは、やはり国という財源操作、交付税ということの財源操作というものを通じまして、国との関連においてこれを検討せなければならない課題でないか。地方財政のみでそれをなし得るには税制度だけではむずかしい問題じゃないか、かように考えておるような次第でございますが、いま中村委員にお答えいたしましたとおり、国との関連におきまして、政府一体として過密過疎の解決のために、この問題も私たち地方財政の立場からも趣旨に沿うように努力してまいらなければならない、かように考えておる次第でございます。

田中六助自由民主党大蔵政務次官

○田中(六)政府委員 集積の利益を受けておる工場に付加税を課すべきじゃないかという、簡単に言えばそういう御質問だと思いますが、まさしく大蔵大臣が本会議でお答えしましたように、そういう適当な税目があるならば、私どもはこれを考えて地方財源に充てたりあるいはそういう過疎過密地帯の解決をはかりたいというように考えております。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 ちょっと満足できないわけですが、私は一応考え方を示して、固定的に質問しているわけじゃないわけです。一方において地方財源を確保するという立場も明確にしておるわけです。したがって検討する検討すると言っても、いつでも政府は検討するということで逃げられるわけですが、少なくとも本法を提案し、ここまで議論が相当なされてきたわけでありますから、大体こういうものを制度的に解決をするとするならば、大体もう二年程度以内に結論を出してしかるべきじゃないか。一年とこう私は言っているのじゃないのですよ。二年以内にはこの問題については結論を出して、地方財政を十分考えながら、集積地域に対する特別の負担を課して、それを財源としながら本法の目的を推進をしていくという意味の、具体的な制度的な結論を出すべきじゃないのかという点についていかがかという質問をしたのでありまして、その点やる気があるのかないのか。検討する検討するでも、検討するのじゃなくて、二年以内には何らかの結論を出すべき問題だという認識があるのかどうか、この点について明確にお答え願いたいということ。  関連質問でありますから、渡海自治大臣は北海道開発庁長官でもありますので、次いで、北海道は第三期総合開発計画が発足して二年目、今度三年目にかかってまいるわけでありますけれども、大体北海道の産業を見ますと、農業を見ましても大きな転換期に立たされておりますし、また中枢の石炭産業は、その指標から見れば大幅にその政策規模の縮小過程に入っておることは御承知のとおりです。一方において、今度示す指標から一応の判断をいたしますと、北海道の工業出荷高というものは当初の計画よりも一応三倍の数字は出しておりますけれども、とにかく大幅に工業出荷高の指標を引き上げていく、こういう積極的な展望を一応示されておると私は理解をしておるわけです。このように判断しますと、北海道の第三期の総合開発計画は、ある部分、相当部分、もう手直しをしなければならぬ時期が迫りつつある。そういう意味で私はこの修正をするのか、あるいは補完的に一部変えていくのか、いずれにしても第三期計画は、今度政府が検討している社会経済発展五カ年計画、あるいはまた新全総についてもこれから再検討するという段階でありますから、それに見合って、北海道第三期開発計画も再検討を当然されるべきだ。十年間の計画を策定したわけですから、大体前期五年以内には当然再検討さるべきだ、こう思いますので、この面もあわせて承っておきたいと思います。

渡海元三郎自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○渡海国務大臣 まず前段の過密過疎の地方財政的な分でございますが、私何も消極的に申し上げたのでございませんでして、私自身積極的に地域差のあるところの税を地方に、税においても地方財政においても行なわなければならないのじゃないかという意味から、事務所事業所税そのものも本年度からすでに検討に入った、実現することはできませんでしたが、来年はぜひ実現したい、このように考えておるものでございますが、地方財政は、御承知のとおりそのもの自体その地方の財源になるような関係上、これを調整的に使うということは困難であるから、国のほうとの関連において行なう、こういうことを申し上げましたので、ひとつこの点御了承を賜わりたいと思っております。  なお、ただいまの北海道の三期計画の問題でございますが、これは岡田委員、三期計画の策定にあたりまして委員の一人としてたいへんお力添えを願ったということを私もお聞きしておりますので、十分御承知のことと思いますが、三期計画の基本といたしておりますところでは、北海道の有しておりますところの発展潜在力というものを高度に開発することにおいて国土再開発というものに資していきたい。同時に、そのことによりまして、いま私たち目ざしますところの生産と生活の調和のとれた豊かな地域社会を、先駆的に北海道においてこれをつくるのだということを計画の基本方針といたしておりますが、いま御指摘になりました新経済計画あるいは新全総の点検等もこの基本方針と全く同じ趣旨において私は行なわれるものだ、このように考えておりますので、この基本方針そのものは何ら変更する必要はない、かように考えております。ただ、御指摘のとおり、新全総その他も点検が行なわれております。またこの工業再配置促進法が発足いたしましたなれば、誘導地域の最も有力な一つとしてあげられるのが北海道じゃなかろうか、かように考えます。こういう意味におきまして、いま御指摘になられたような計画の変更と申しますか、分もあろうと思いますが、計画そのものにも細部の分につきましては弾力的に運営しろ、こういう姿でございますので、現在の段階におきましては、そういうような筋で変わってまいります分は、十分運用にあたりまして弾力的に考えさせていただく、運用するということで十分でないか、かように考えておる次第でございます。先般も、いまあげられました農業の問題でございますが、道東地区を視察させていただきまして、現在進めようとしております計画、現在の新全総の点検等もございますが、計画どおり実施することこそ、今後の国全体としての新全総の形にも合致するものである、基本計画どおりぜひとも早急に実現に移したい、このように強く感じて帰ったような次第でございますので、弾力的運営によってぜひとも目的を達したいと思います。せっかく御協力をお願い申し上げて、答弁にかえさせていただきたいと思います。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 時間の関係がありますので、政府として田中通産大臣から最後に明確にお答えいただいて質疑を終わりたいと思います。  私どもは、課税の特例としては不十分である、地方自治体の財源の助成についても不十分である、そういう考え方を持ちまして、実は修正をしようと考えた。しかし、税制上の問題でありますので修正もなかなかむずかしい。そこで、与党の理事諸君から、それぞれ関係各省の、できれば大臣あるいはそうでない場合でも責任ある地位の方に来ていただきまして、そこで明確にお答えをいただくということで、実は附帯決議に譲りまして修正をしなかったわけであります。たとえば、誘導地域に移転しようとする企業に対しましての減価償却の問題にいたしましても、三カ年間の加速償却、これは同じなんです。全く特例という形にならない。ましてや加速償却というものは、黒字企業にとりましては恩典でありましても、赤字企業にとりましては青色申告五年間という形で、これは無効になってまいりますから、したがって恩典という恩典ではない、きわめて制約された形の恩典にすぎないということであります。また、いまの固定資産税の問題にいたしましても、私は田中構想によるそうした二十五年でないにいたしましても、大幅に延長していく必要がある。同時に、地方自治体に対しましては、財源補てんというものを、いま自治大臣がお答えになりましたように、これはやるということにおいて本法の推進をはかっていかなければならない、それがない限り、私は本法もまたいままでの地域開発計画あるいは拠点開発計画と同じような結果におちいることを憂うるわけであります。したがいまして、ただいま私どもがそれぞれこうあるべきであるということを指摘をいたしました方向に、通産大臣は責任をもってこの後推進をする決意であるのかどうか、そのことを明確にお答えをいただきたいと思います。

田中角榮自由民主党通商産業大臣・経済企画庁長官事務代理

○田中国務大臣 本法起案の当初考えた二十五年という考え方は、私はいささかも変えておらないのです。二十五年は長きに失するというような御議論もありますが、そういう考え方自体が私はいままで地域立法に目が入らなかったゆえんだと思っているのです。政策効果をあげるには鮮烈な政策をやらなければ政策効果はあがりません。これは各国の例を見ても明らかであります。私はそういう意味で、この政策がどうしても必要だということの認識が深まれば、固定資産税の減収補てんという道は当然考えられると思うし、考えなければならない。しかももう財政だけでもってできない。四十年不況のときに使われたものはやはり税である。それは御承知のとおり二%法人税率を引き下げた、そのために交付税率を二%引き上げた、それが非常に高い成長を維持した一つの原動力にもなったわけでありますから、これからやはり財政というものを主体にして二〇%も二五%も対前年度伸ばしていくということは、これは事実できないと思うのです。税というものをやはり活用しなければならない。私はそういう考えにおいて、この問題を解決する具体的な道は十分あると思う。私自身が、いままででも、皆さんの御協力を得て、皆さんと一緒になって二つの税をやってまいりました。それがガソリン税の目的税であり、第二は自動車トン税である。第三は、直ちに増税ということではありませんし、第三の新税ということではありませんが、これはもう当然考えられることである。かつて二%交付税率を引き上げたいという問題もあるわけでございますから、これでいままたいろいろな電気ガス税の問題とか固定資産税の配分の問題とか、これはこの国会でお願いしているものもあります。私はこの法律の生命であるともいうべき減免による減収補てんということに対しては、精力的な努力を傾けるつもりでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 工業集積地帯である移転促進地域に対するところの付加税あるいは事業所税等々についてもこれを課税する、そこで本法推進の財源に充てるということについては、確信を持ってよろしいわけですね。

田中角榮自由民主党通商産業大臣・経済企画庁長官事務代理

○田中国務大臣 この法律の推進に必要な税制上の措置というものに対しては、万全の措置を講ずべく努力をいたします。

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員長 以上で両案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員長 工場再配置促進法案に対し、武藤嘉文君外三名から、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案にかかる修正案が提出されております。

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員長 この際、修正案について提出者より趣旨の説明を求めます。岡田利春君。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 工場再配置促進法案に対する修正案につきまして、提案者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。  案文は、お手元に配付したとおりでございますが、以下、修正の趣旨を簡単に申し述べます。  第一点は、目的等の規定中「環境の保全」を「環境の整備その他環境の保全」に改めることであります。  第二点は、工業再配置計画が産炭地域振興基本計画との調和が保たれるべきことを明記するとともに、関係都道府県知事は、工業再配置計画に関し、通商産業大臣に意見を申し出ることができる旨の規定を加えることであります。  第三点は、移転促進地域から誘導地域への工場の移転計画の認定要件として、環境の整備その他環境の保全に配意されたものであることを明記するとともに、企業が移転計画を提出する場合には、当該誘導地域の都道府県知事の意見書を添付しなければならないという規定を加えることであります。  第四点は、誘導地域において工場用地を造成しようとする者は、環境の整備その他環境の保全に配意して行なうべき旨の規定並びに国及び地方公共団体は、移転促進地域における工場の移転あと地が公共の用途その他住民の福祉の増進に資する用途に利用されるようつとめるべきである旨の規定を加えることであります。  以上のような修正を行なう理由につきましては、委員会における質疑等を通じ、すでに明らかにされているところと存じますので、説明を省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員長 以上で修正案の趣旨説明は終わりました。     —————————————

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員長 これより工業再配置促進法案及びこれに対する修正案並びに産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案を一括して討論に入るのでありますが、別に討論の申し出がありませんから、順次採決に入ります。  工業再配置促進法案について採決いたします。  まず、武藤嘉文君外三名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま議決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  これを可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員長 起立多数。よって、工業再配置促進法案は武藤嘉文君外三名提出の修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。  次に、産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員長 起立多数。よって、産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員長 ただいま議決いたしました両案中、工業再配置促進法案に対し、武藤嘉文君外三名より、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。岡田利春君。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 工業再配置促進法案に関する附帯決議案につきまして、提案者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    工業再配置促進法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、工業再配置の円滑な推進を図るため、地価高騰の抑制等について抜本的な土地対策を確立するとともに、特に次の諸点につき適切な措置を講ずべきである。  一 政府及び政府関係機関の工場を積極的に誘導地域に移転するよう努めること。  二 移転促進地域における工場の分散の促進及び過密傾向の地域における工場の新増設の抑制のため、これらの工場に対し特別の負担を課することを含め立地の規制措置について検討すること。  三 工業再配置の推進にあたつては、誘導地域における農業等他の産業との調和の確保並びに当該地域の生活環境施設及び福祉施設の整備に努めるとともに、公害の防止及び自然環境の保全について万全の措置を講ずること。    なお、関連中小企業対策に十分留意すること。  四 誘導地域へ移転した事業者に対する固定資産税の減免に伴う地方財源の減収補填について特別の措置を講じ、減免期間の大幅な延長を行ない得るよう速やかに検討すること。  五 移転計画の認定は、当分の間、原則として産炭地域、農村地域工業導入地区及び地方公共団体又はこれに準ずる者の造成する団地に移転するものについて行なうこと。  六 誘導地域に工場を移転する場合には、特に雇用問題に留意するとともに、移転後の労働条件等が低下しないよう、指導に万全を期すること。  七 工業再配置・産炭地域振興公団の造成する中核団地においては、中小企業の用地の確保に留意して造成計画を定めること。 以上でございます。  決議の各項目につきましては、委員会における質疑等によってよく御承知のことと存じますので、個別の説明は省略させていただきます。何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  直ちに採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、附帯決議について政府から発言を求められておりますので、これを許します。田中通商産業大臣。

田中角榮自由民主党通商産業大臣・経済企画庁長官事務代理

○田中国務大臣 ただいま御議決をいただきました附帯決議に対しましては、政府といたしましてその趣旨を尊重し、万遺憾なきを期する所存でございます。(拍手)     —————————————

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員長 おはかりいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十五分散会

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