商工委員会 第22号
- 発言数
- 148 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1972/05/17
会議録
○鴨田委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、工業再配置促進法案及び産炭地域振興事業団法の一部改正する法律案の両案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、これを許します。岡田利春君。
○岡田委員 法案の質問に先立って、通産大臣に承っておきたいのでありますが、円切り上げ要請にこたえてこれに対するわが国の対策は、本委員会でもしばしば大臣から答弁があったところであります。伝えられるところによると、新しく円再切り上げに対するわが国の措置として五項目の方針を一応きめられて、十九日に政府としては最終的にこれを決定する、このように実は伝えられておるわけです。金利の引き下げ、関税の引き下げ、外貨の利用あるいは輸出の規制等五項目をあげておるわけです。しかし従来の政府の施策は、それぞれ対策項目をきめるのでありますけれども、これを具体的に実効あがる措置をとるまでには相当の時間を経過して、タイミングを逸している、このように私は考えておるわけです。したがって、今回の場合も五項目の対策をきめられて、これをいざ実行に移す段階になると、相当時間を経過して結局タイミングを逸するのではないか。特に最近の財務当局の、円再切り上げに対する各国からの要請については非常に楽観的な態度も見受けられるわけです。このことは、いま不況から脱出しようとするわが国経済にとってはきわめて重大な関心事であるといわなければならないと思うわけです。したがって、これらの諸対策を進めるにあたって、経済閣僚としてこれに通産大臣は積極的に参加されておるわけですが、通産大臣のこの問題に関する見解をひとつこの機会に承っておきたいと思います。
○田中国務大臣 いま御指摘になりましたように関係省の間で二、三問題点を詰めておることは事実でございます。国会の審議過程において申し上げましたとおり、外貨の急増、貿易の問題等いろいろな問題がございますので、まず外貨の活用を積極的に進めますために、できればこの国会に法律案を提案をし、御審議をいただきたいということを間々申し上げておったわけでございます。予算通過後、大蔵省を中心にしまして関係省が意見を持ち寄りまして、この問題に対して意見を交換し、最終的に結論を得たいという状態になっております。それから、あわせて国際的に低金利時代を招来いたしておりますので、金利を引き下げなければならないという問題に対しても議論をいたしております。また輸出秩序の確立という問題もございますので、輸出秩序の確立をするにはどうしなければならないか、どうすることが望ましいかというような問題も検討いたしております。輸入の拡大という問題に対しても、輸入拡大を促進するために具体的にどうあるべきかというような問題でございますが、大蔵省を中心に通産、農林、経企、外務等が意見を出し合いまして検討いたしております。また外貨預託の問題につきましても、輸銀、為銀それから石油開発公団とか金属探鉱事業団とかいろいろなものを全部俎上にいたしまして、どうすべきかというような問題も検討いたしております。できるだけ早い機会に結論を得たい、こう存じておるわけであります。十九日にすべてのものがきまるかどうかさだかにまだ見通しはつきませんが、いずれにしても引き続いて検討を進め、すみやかに結論を得たい、こう考えておるのでございます。
○岡田委員 そうしますと、いまの大臣の答弁では、大臣がかねがねこの委員会で述べられた第二外為会計は、一応実質的にこれにかわるものとして措置し、この第二外為会計の設置については、大臣としては現時点で見送るという考え方なのかどうか。 それから、いま大臣は、今国会中にこれらの必要措置については立法の必要のあるものは提出する、こう言われておりますが、御存じのように会期は余すところわずかになっておるわけです。したがって、輸入の拡大の一環として関税の引き下げあるいはまた外貨の活用等、また、いま大臣は秩序ある輸出、こう申し述べられましたけれども、簡単に言えば輸出の規制ということになると思うのです。いずれにしても重大な問題であり、しかも立法措置を伴う面も非常に強いと思うわけです。したがって、今国会にこれらの必要な文法措置については提出をするのかどうか。提出をするとするならば、当然大幅な会期延長がなければならないということに論理的に実際的になるのではないか、こう私はいまの大臣の答弁を聞いて判断をいたしましたけれども、いかがですか。
○田中国務大臣 この国会に立法措置をお願いしたいという考え方は変わっておりません。これはもうそうでなければ間に合わなくなってしまうということですから、依然としてこの国会でお願いをいたしたい。緊急必要なことでございますし、まあ内容は皆さん御存じのことでございますから、大幅会期延長というようなことでなくとも、いずれにしてもこの国会で御審議をいただかなければならないという考え方には変わりありません。 第二外為の設置ということに対しては、これは大蔵省側が現在の外為法を改正しないで外貨の活用をやりたいということでありましたから、そうすれば第二外為をつくる以外にないじゃないかということだったのです。ところが外為法の改正をやるということになれば、第二外為が必ずしも必要でないということにもなるわけでございますので、そういうところをいま詰めておるわけでございます。第二外為をつくらなくとも外為法の改正を行なって、輸銀法の改正までいくかどうかという問題もございますが、第二外為でなくとも、いわゆる第一外為の必要論の前提であった外為法の改正を行なわないということでありましたから、これが外為法の改正が議題になれば第二外為というものは固執すべき問題ではない。要は、外貨が活用され大幅に運用されれば足るという実利的な方向をとっておるわけでございます。
○岡田委員 いまの答弁で、いままで大臣としては、この際、緊急対策として即効的に効果をあげるのはやはり第二外為会計をつくる積極的な姿勢が望ましいし、断固これはやりますというしばしば大臣の所信を承っておったところでありますが、いずれにしましても緊急を要する問題であり、タイミングを逸してはならない措置でありますから、いままでの通産大臣の本委員会に対する答弁もありますけれども、いま述べられた問題点はおそらくあす、あさってじゅうにきまるのではなかろうか、こう思いますので、特にこの点について注意を喚起しておきたいと思います。 そこで、時間がありませんからさっそく問題点に入ってまいりますが、通産大臣になられてから、世上しばしば田中構想といわれるものが矢つぎばやに出されておるわけです。特に政調会長当時でしたか、幹事長時代でございましたか、都市問題の一環として工場の分散、こういう基本的な方向を田中構想として打ち出され、その後通産大臣になって、この問題についてさらに具体的にそれぞれの指標をあげながら田中構想というものが発表になっておるわけです。まずこの田中構想は、田中通産大臣個人の構想であるのか、田中通産大臣として、いわゆる通産省としての構想であるのか、このいずれかということをまずはっきり承っておきたいと思います。
○田中国務大臣 田中角榮個人の考え方と、政府・自由民主党、通産省の考え方が全く一つになった、こういうことでございまして、出した法律案は、これは内閣として提出をしたものでございます。ですから個人も心から賛成である、こういうことでございまして、これはもう内閣の政策である、ましてや内閣の一部局である通産省も含めた内閣のものでございます。
○岡田委員 提出されているこの法律は、確かに閣議決定によって政府が提案いたしておるわけでありますから、これは問題がないと思うのです。しかし、この法案の提出に至る過程において、田中構想というものが打ち出されてきたわけです。その中の一つとして工場分散の問題を本法律として提案をした、こういういきさつであろうと思うのです。私はこの法律案について問題を提摘しておるのではなくして、経過に至る田中構想というのは、田中角榮個人であるのか、それは通産省の構想であるのか、この点がどうもはっきりしてない。個人の構想であり、これを何か通産省が受けているというような感じで、通産省案であるとはいえないのではないか。通産省の構想、政策、こういうものではないのでではないか。たまたま出されている法律案は政府提案でありますから、当然通産省の案であり、政府の案でありますけれども、これを取り巻く一連の田中構想について実は承ったわけであります。
○田中国務大臣 通産省案でございます。この法律案文を起案をし、法律大綱をつくり、要綱をつくり、法律案にしたのは本田企業局長が中心になってやったのでございまして、田中角榮が中心になってやったのではありません。通産省事務局が中心になって通産省一体になってやったものである。ですから、もう全く通産省案である。田中角榮も通産省の一員でございますから、私も含めた通産省案である。これはもう間違いありません。
○岡田委員 まあいいでしょう。何か無理やりドッキングしたような印象を私は非常に強く持っているわけです。 そこで、通産大臣に次にお聞きしたいのでありますが、通産大臣は、田中構想の中で昭和六十年の経済指標について一応述べられておるわけです。これらをずっと分析してまいりますと、田中通産大臣は池田、佐藤内閣の流れをくむ俗にいう高度経済成長論者である、こう私はいわざるを得ないのではないかと思うのであります。端的に伺っておきたいのでありますが、田中通産大臣は高度成長論者か、それとも安定経済成長論者なのか、こう分けた場合には、田中通産大臣の経済政策に対する考え方はいずれに属するとお思いですか。
○田中国務大臣 安定経済論者である。新安定経済論者である、こう述べたほうが正しいかもわかりません。
○岡田委員 次に、もう一つ伺っておきたいと思うのでありますが、円切り上げ以降の国際経済の動向、いわゆる七〇年代の世界経済の特徴といいますか、特に円切り対策等も具体化してくる過程の中においては、これらの問題点についても当然分析、把握されると思うのです。したがって、円切上げ以降の国際経済の動向、いわゆる七〇年代の世界経済の特徴的な動きを通産省は一体どのように把握をしておるのか、この点について通産大臣の所見を承っておきたいと思います。
○田中国務大臣 戦後、多国間平価調整というものを初めて行なったわけでございます。これは非常にむずかしい問題でございましたが、平価調整が行なわれました。四五年第二次世界大戦が終わってから、国連の下部機構としてのIMFができ、世銀ができ、第二世銀ができ、ガットができ、DACができるというように、いろいろなものができたわけでございます。またOECDその他国際的な経済機構とでも申しましょうか、そういうものができ、またそれは戦後必然性を持ってつくられたものでございますが、それが四分の一世紀以上にわたって平和の維持にも貢献をしてまいりましたし、安定的拡大経済基調を確保しながらまいれたわけでございます。その結果、その過程においてはアメリカがやはり中心になって、ドルがキーカレンシーとしての役目を果たしながら四分の一世紀以上平和に貢献してまいったわけでざいます。ところがアメリカの力にも限界がございます。これは四分の一世紀たってドル防衛、バイアメリカン、シップアメリカンというような政策となってこざるを得なかったわけでございます。二次戦争が始まるまでには世界の六〇%ないし七〇%の金を保有できたというものが、二次戦争に介入し、二次戦争後の平和維持という名における出費その他国際経済機構をささえるという立場において、ドルも無限の力を持ってはおらなかったということがバイアメリカン、シップアメリカン、ドル防衛、最終的にはドルの切り下げ、各国通貨の調整ということになったわけでございます。そういう意味で国連の下部機構、経済機構というものの存立が議論されるような非常に危殆に瀕しておる状態でございます。その中でやはりこれらの機構は守らなければならないという考え方が多数国間の平価調整を可能ならしめた、こう考えるのが至当だと思います。 そういう立場において新しい第二の四分の一世紀が始まるわけでございますが、そこで問題になったのは、多国間平価調整に対して加わらなかった開整途上国が意見を述べてきたわけでございます。意見を述べるだけなく当然権利の主張というものがあります。それが今度のUNCTAD会議になったわけでございます。俗にいう南北問題ということです。これはこれから平価調整でも何でも、十カ国蔵相会議プラスアルファということで二十カ国にし三十カ国にし、これが百カ国になればIMFの総会になり、世銀の総会につながっていくわけでございますから、これは問題はないと思うのです。ただ、そうでなく、第二の四分の一世紀のスタートにあたっては南北問題の焦点である援助の問題が議題になり、それが確立をし、確保をし、推進をされない限りにおいて通貨問題もうまく片づかないし、アメリカのドル問題も片づかぬし、世界の貿易を拡大基調に維持することも確保できないし、もちろん平和の維持にもつながらないというのが第二のスタートでございますから、日本はその意味において、国内的には自衛隊という非常に大きな財政支出がございますが、その自衛隊の予算が幾らか大きいとか小さいとかいってたいへん問題になる。その自衛隊全部に匹敵する政府援助をこれからやろう、これが七〇年代最後の目標としては国民総生産の〇・七%を政府ベースでやろう。しかも条件なし、ひもつきでないものを拡大していこうという愛知発言になったわけでございますので、やはり広い立場から日本も国際的な義務を果たす、また果たさなければ日本の貿易経済もノーマルな状態において拡大はしていかないということでありますので、国内政策と国外政策というものは両々相まって初めて一つの前進的政策になる。それが先ほどから御指摘になった新しい八項目ともいうべき政策も必要であるということにつながっておるわけでございます。
○岡田委員 これからのわが国の経済の発展のためには、外にはいま述べられた南北問題、すなわち経済協力の姿勢をまず正すということ、少なくとも第二次国連の開発十カ年計画の精神に基づいてこれをわが国が確実に実行していく、こういう姿勢がまず明確にならなければならないのではないか。また国内的には、非常に狭い国土でありますから、国民の生活をより豊かにしながらどう国土を効率的に活用していくか、すなわちこの方向は政府がとっている新全総の方向でもあろうと思うわけです。これを内外の軸にして、多面的な、高度な経済社会を構築していかなければならないのではないか、それ以外にわが国の生きていく道はないのではないかと極言をもしてよろしいのではないか、こういう実は受けとめ方を私は持っておるわけです。そしてその一環として今度の工業再配置促進法が提案されておると思うのでありますが、ここで私は非常に疑問に思いますのは、なぜ通産省は今回単独で工業再配置促進法案を出したのか。いままでの立法例を見ますと、新全総があり、しかもこの新全総の中ではそれぞれ地域の開発計画をも策定する、こう法律は定めておるのにかかわらず、新全総の場合には、残念ながら都道府県の総合開発計画や地方総合開発計画等を策定しないで、各地方の開発促進法にこの面はゆだねてしまっている。いわば法律から逸脱した運用を今日しているといわなければならないと思うわけなんです。私は、そういう意味からいって、まず新全総そのものの再検討をすべきではないのか、その上に立ってそれぞれの開発立法について新全総の路線にこれを引き戻すのか、それとも現在行なっているそれぞれの個別の地方開発立法にゆだねるのか、いずれにしてもこの面を明確にする必要があるのではないか。そういう中から一連の工業立地関係の立法体系というものが整備をされなければならないだろう、こう考えるわけです。 そこでまず、経済企画庁の方も出ておりますから、経済企画庁としてはこれらについて一体どういう態度を持っているのか。同時に、新全総がいま再検討されて、近くこれの改正案が提出をされるとも聞いておるわけでありますが、この点のめどは一体どうなのか。それと同時に、法そのものを改正する意思も意図も含まれて今日検討されておるのかどうか、この点についてまず承っておきたいと思うわけです。
○岡部政府委員 お答え申し上げます。 ただいま先生の最初に仰せられました、いわゆる地域開発諸立法とこの工業配置の立法との関係についての私どもの考え方、これは先生の本会議の御質問にもあったわけでございますが、いわゆる新産都市の建設促進法あるいは工業整備特別地域の整備促進法あるいは低開発地域工業開発促進法あるいは農村地域工業導入促進法、こういういろいろな地域開発立法であり、また工業配置の立法でもあるという性格の法律が多々あることは確かでございます。私どもの考え方といたしましては、たとえばただいまあげましたような四つの法律と、今回提案をいたしております本法案との関係がどういうふうなものであるかという考え方でございますが、さきに申しました四つのすでにございます法律、この考え方は、むしろ工業開発と申しますか、たとえば新産、工特のようなものでは、工業開発の拠点として、いわゆる拠点問題方式でございますが、ある地域を開発する、その一つの非常に大きな問題点としてそこに工業を誘致、導入していこうという考え方が中心でございます。また低開発地域でも同様な考え方でございます。それから農村地域においてもやはり同様でございますが、低開発地域、農村地域の問題では、もう少しその地域の、たとえば農村地域でありますれば、農業振興と工業というものをどういうふうに調和させていくかというような感覚が非常に強くなっておるわけでございます。 そこで、ただいま提案中のこの法案につきましては、むしろ私どものほんとうの理解といたしましては、いわゆる過密、過度集中というところから工業を分散させるということで、そちらのほうに重点が置かれておるという考え方でございます。したがいまして、たとえばこういう工業の立地の移動と申しますか、そういうものに対する助成のたてまえから申しましても、従来の法では受け入れ側の受け入れたものに対する助成である。それを今回の法律では一つ飛で出まして、ちょっとことばが悪いかもしれませんが、追い出すほうのことに対して助成をしていく。要するに移転促進地域から誘導地域に移転したものに対しての助成であるというような考え方で、結局このような考え方の違い、これを一本の法にすればいいじゃないかといわれればそのとおりかもしれません。しかしこういう考え方の違いというものが両々相まって、今後の工業再配置という問題について、また地域開発というものについて十分効果があげられるのではなかろうかという考え方でございます。 それから第二点のいわゆる新全総計画を現段階でどういうふうに考えておるかという問題につきましては、しばしば御説明申し上げておりますが、新全総計画自体の考え方というものは、そう間違ったものではないという考え方をわれわれはとっておるわけでございます。ただ現実の姿として、確かにあの新全総計画の一つの目標というか前提といたしております経済のフレームの問題あるいは環境の問題、これはずいぶん強調いたしておりますが、現実に起きております公害等の環境破壊の現実の問題、こういう点では確かにあの計画をつくりました当時と非常に情勢が変わっておる。そういうことを受けまして、むしろ私どもの考え方は、新全総計画の実施面で非常に問題がある、したがって大いにこの実施面については反省しなければいかぬ点があるのだという考え方に立ちまして、たとえば環境問題あるいは都市の過密の問題、あるいは地方都市をむしろもっと整備するというような等々の問題点につきまして、いわゆる総点検と称しておりますが、現在点検をしているわけでございます。この点検作業につきましては、大体今年一ぱいにおも立ったものについてめどをつけまして、その上でたとえば新全総を改定する必要があるのかどうか、あるいは新全総を改定はしないけれども、実施についてこういう問題点があるというような考え方に立つのか、そこの辺を具体的に検討してまいりたいという考え方でございます。 それから第三点のいわゆる国土総合開発法、これは私どもの考え方では、やはり国土を開発するという総合的な意味では、一つの中心的な基本的な法律だと存じております。ただその法律の実施面あるいは運用面、そういう点でただいま先生から御指摘ございましたように、全国総合開発計画、地方総合開発計画、府県の総合開発計画あるいは特定地域の総合開発計画、こういう四種類の計画が法定されておりますが、そのうちで現実に現在生きてございますのは御指摘のように新全総計画いわゆる全国総合開発計画だけでございます。特定地域の開発計画というものは、あの立法当時たとえば北上川の総合開発計画であるとかそういうことで実施はいたしましたが、現実に現在の段階では全国総合開発計画だけが生きておりまして、むしろ地方開発計画というものは、確かに御指摘のとおりそれぞれの地方ブロックの開発促進法というものに基づいた計画というかっこうになっておりまして、この点は確かにわれわれとしても現段階で反省をいたしております。 そこで国土総合開発法をどういうふうに考えるかという点で、実はもうすでに一昨年あたりから相当に詰めた議論をしているところでございます。そこで、いわゆる国土総合開発のための基本法的な考え方で、一体この法律をどういうふうに位置づけして、どういう内容を持たせるかという点について現在検討中でございます。したがいまして、でき得れば今国会に提出して御審議いただきたいという考え方でございましたが、どうも残念ながらその段階にまでまだまだいろいろ問題がございますのでそこまで進みませんでしたので、今後もこの検討を続けまして、できる限り早い機会に御審議をいただくという考え方でございます。
○岡田委員 通産省としては新産法、工業整備特別地域整備促進法、低開発、それに農村地域、これらの立法がなされて、さらに今度工業再配置の促進法が提案されておるわけです。しかし今日の動向から判断しますと、いま政府が第三セクター方式で進めているように、いわば大規模工業基地の建設、これらについてはこれを立法化する意図というものが一体あるのかどうか、それは検討中なのかどうか。大規模工業基地建設促進法、こういう仮称等もすでに通産構想として発表された例があるわけです。こういう立法については全然検討していないのか、検討しているのか。検討しているけれどもまだ結論は出ないのか。それとも、こういう法律にたよることはやめて現在進めている第三セクター方式で大規模基地開発を進めていくという方針なのか、このいずれに立っているのか、この機会に明らかにしていただきたいと思うわけです。 それと同時に、この工業再配置促進法と関連のある意味で、いわゆる工業関係の第二次産業の調整、いわば輸出輸入の関係、これをさらに調整していく、好ましい輸出好ましくない輸出、こういうものを振り分けて産業調整をし、産業構造を変えていく、こういう方向が通産省の方針としてあるわけでありますけれども、これらについては産業調整法的なものをつくることを検討しておるのか、していないのか、現在検討中なのか。そういう立法にたより立法措置をするということは全然検討していないのか、この機会に二点について明らかにしていただきたいと思うわけです。
○田中国務大臣 大規模工業地帯、これが立法を必要とするかどうか、これはもう少し検討しなければならないと思います。これはある時期においては整備促進のための立法ということが必要とも思われますが、いまどういう形態で立法するのか、またどういう中に位置せしめるのかという問題、まださだかに結論を出しておりません。それはいまも御質問ございましたが、実際ばらばらなんです。ばらばらでもってやむを得ざるものから先にやってきたのです。これは二十五年に国土開発法を制定しましたときにはこれはもっと合理的にやるつもりだったのです。二十五年制定の国土開発法は、歴史上を見ますと閣法でありますが、これは議員立法であります。議員立法を中心にして成案を得て、かかる基本法というものは議員立法よりも政府立法のほうがよさそうだということで閣法にしたのですが、どうもその閣法にしただけ実態が伴わなかった。それで今日このような法律を出さざるを得ないようになった。これは国土開発法が閣法になる前に議員立法でもって成案を得て、得るまでの過程においては超党派的だったのです。そのころ超党派でやった法律でもって非常に大きな法律があります。現行道路法しかり、ガソリン税を目的税にした法律しかり、有料道路法しかり、まあ有料道路法などは一応提出権は閣法にしましたけれども、これはみな議員立法形態で生まれたものであります。いまの公営住宅法もしかりでありますし、電源開発促進法もしかりでありますし、国土開発に関係するものはほとんどしかりであります。北海道東北開発法、新産業都市建設法、低開発地方開発促進法、産炭地域振興法、山村振興法、離島振興法、工業整備特別地域整備促進法、農村工業導入促進法みなそうです。こういうものがばらばらに行なわれておることは事実なのです。政府がこういうものに対して主導権をとらなかったということは、二十五年の歴史を見れば明らかであります。それだけではない、いまの首都圏整備法なども議員立法であって、しかも熱海温泉都市建設法とか、横須賀軍港都市整備法、これはみな議員立法であります。こういうような状態で新全総というもの、全国総合開発計画、それを改定したものが新全総、今後改定するものが新々全総ということで、これは三年や五年でできるものではない。戦後二十数年間積み重ねて、必要やむを得ずつくったものである。普通ならば、ここまでくれば、昭和六十年展望の全国総合開発計画がびしっときまって、その中でもって北海道はどうあるべきだ、それから沖繩はどうあるべきだ、各府県の一次産業比率、二次産業比率、三次産業比率がどうあるべきだ、それに対して新幹線はどうであり、それから海運はどう整備され、輸送体系はどうあるべきだというのがほんとうだと思うのですが、やはり計画というよりも自然発生を是認しながら調整をしてきたのが行政でございましたので、やはり行政計画というものはあとを追ってきたわけであります。そういう意味でいままでの地域立法みなこれはばらばらのような気がいたしますが、いつかやはり理想的な全国総合開発計画の中の実体法としてこれは統合整備さるべきものであるということは、私はそのとおりだと思います。 それから国内的な経済調整法が必要かどうかということでありますが、国内的には各種の立法がございますから、あえて経済調整法というものが必要だとも思いません。しかし国際的な経済波動に対応する経済調整法というものは必要であろう。今度あなたが一番初めに御質問ございました五項目等はどういうことかといったら、要すればそういうものが国際経済調整法のはずなのです。実態は国際経済調整法によって行なわるべきものである。去年七月ごろからずっと八項目の円対策等をやってまいりましたが、円対策から今度の五対策をやらなければならないとしたならば、これらは国際経済調整法として処理されることが一番望ましい。今度もそういうものを国際経済調整法にしないで、輸銀法の改正というようなもので持っていったらどうかという話がいま出ておりますが、やはりそういうものにばかりしぼるべきものでなく、ある時期には国際経済調整法というようなものに統合さるべきものだという考え方は依然として持っております。
○岡田委員 私どもはこの法律案を読んで一番抵抗を感ずるのは、いま質問しましたわが国の工業立地の法体系がいわばその場当たりでそれぞれ立法されておる。いま大臣から答弁あったわけですが、それにさらに今度工業再配置の促進法が制定をされる、あるいはまた必要によっては大規模工業基地建設促進法が制定をされる、こういう形で、いつまでたっても法体系が整備をされないで、屋上屋を重ねるといいますか、そういう立法の方向がさらに惰性的に続くのではないか、このことを基本的に、この法案をわれわれは受けとめてまず問題点にしておる。いま大臣から、この点は時間はかかるけれども、法体系は整備さるべきものだという基本的な考え方が述べられましたけれども、この点特にそういう受けとめ方をしておるという点を強調し、指摘をしておきたいと思います。 そこで、今回出されました工業再配置促進法でありますけれども、なぜ一体この法律は工業再配置促進法としたのか。法の内容をずっと読んでまいりますと、私はこの法律案の名前が適当ではないのではないかという感じを非常に強く持つわけです。新全総の示す方向を見ましても、機械工業でも昭和六十年には現在の出荷高の大体七倍、あるいは資源産業についても、鉄鋼あるいはそれぞれの基礎物資の関係の伸び率を見ましても、相当高い伸び率を予想しておるわけです。三倍とか四倍という数字が出ておるわけです。もちろんこれは訂正をされるでしょうけれども、そういう一つの傾向から判断しますと、この内容をさらにそういう面から検討しますと、工業の再配置という面もあるけれども、問題は工業を適正に配置をしていくという面がむしろ思想として優先されていなければならないのではないか。こう考えますと、単に工業の再配置、いわゆる分散という面を強調する法律案の名前は適当ではないのではないか。むしろこれは工業適正配置促進法というか、その中にいわば過密地帯から分散するものもあれば、新規の工業立地の整備もあるのだという考え方のほうが非常に当を得ているのではないか。あまり当初の構想の分散されなければならぬという面が強調され過ぎて、安易に再配置という名前をこの法律案につけたのではないか、こう私は受けとめるわけなんですけれども、この点についてはいかがですか。
○田中国務大臣 それは御指摘のとおり、工業再配置でもよし、工業適正配置でもよし、工業新配置でもよし、二次産業比率の平準化促進法でもよし、これは見方によってはあなたの言われるとおりだと思います。六十年展望に立つ、七十年でも、新工業配置でも適正配置でもいいと思うのです。しかし、そうなると議論が少し分かれるのです。私もいろいろ考えてみたのですが、適正配置ということになると、適正とはどういうことか、いろいろな議論がそこに生まれてきます。再配置というのは、明治から百年間、一次産業比率が九〇%であったものが御承知の一七%程度まで下がったわけであります。その間において都市化が進められた。都市化が進められたということは世界的な傾向でありますが、日本においては太平洋ベルト地帯、東京、大阪、名古屋というような東海、山陽地区に集中的に集まった。だから、そういう意味でいろいろな弊害が起こってきた。その弊害だけということであればいいのですが、このままきわまると成長のメリットが全部相殺されてしまって、ほんとうにどうにもならないような状態になる。これは、いまのまま太平洋ベルト地帯を是認して、これから五%でも七%でも成長をもしそのまま是認するとしますとどうなるか、こういったら、これは全く政策の立てようがないわけです。この間も経済企画庁がいみじくもここで述べたのです。昭和六十年展望に立つと、現在二千七百五十万人おる首都圏が一千万人以上ふえて三千八百万人、北関東まで入れると四千万人をこすかもしれませんという。そういう数字も、 コンピューターがはじき出す数字はということですが、昭和六十年には一億一千七百万人を想定される日本人の中で、四千万人以上関東地方に集めて、一体可能なのかどうかということの議論が日本にないことはおかしいのです。その場合は、高い成長率から生まれてくる財源をすべてぶち込んでも社会資本のアンバランスはいまよりもはるかに大きくなる。これは全然日本の財政ではまかなえないということになるのです。東京で一台いま車が新たに増車されると千五百万円の道路の維持補修費がかかるという事実に徴して考えてみれば、道路を広げられるはずはない。公害を除去できるはずはないのです。そういう現状を踏まえて考えますと、やはりいまよりも過度集中をさせない。そうして、しかも今度の中小企業白書に見られるとおり、中小企業の二〇%以上は直ちにでも地方へ分散をしたい、またそのほかに条件が許せばというのを含めれば、五〇%以上が分散をしたいという希望を述べておるわけであります。そういう事態から考えてみても、物価、土地、公害、あらゆる問題の解決ができないのは、無制限な集中を是認しておるところにきめ手がないのです。全人口の四割も東京や関東に集まって、地価が下がるという議論が一体どこから生まれるのか、どんな人が言ってもそれは生まれないのです。需給のバランスがとれないところに地価が下がるわけはありません。そういう状態から考えてみますと、私がいつも言っているように、東京と大阪と名古屋の三地域五十キロ圏を合わせれば全国土の一%だ、一%に三千二百万人の人が住んでおって、やがて四千万人が住もうとして、物価が下がるわけはないじゃないですか。公害が除去できるはずはないじゃありませんか。寝ているところにダンプが飛び込んでくるのはあたりまえのことなんです。 そういうことに対して、総合的な計画ができて積み重ねができなければ法律はつくらないというわけにはいかない。だから、やがてはつくらなければならないけれども、いまは少なくとも過密の中から分散を促進させる。これは前にも、私が大蔵省におるときにあったのです。圧縮記帳という制度を設けたのです。都市の中から地方に分散をする場合には圧縮記帳制度をある一定期間認めるという制度を採用いたしました。そうすると、帳簿価格で百万円しかないものでも、いま売れば一億や十億にもなる、そうすれば、それを圧縮記帳をそのまま税法上は認めることによって、地方に出て新しい設備ができる、こういう制度を採用したのですが、そういうものだけでは分散がとても促進されないということで、今度は工業再配置、分散を主点にした再配置をやったのですが、究極の目的は、あなたがいま言う新しい適正配置を実現するための前提として再配置法案を出した、こういうことでありますから、あなたが言っておる適正配置促進法でも私はいいと思うのです。 ただ、いま当面する問題は、太平洋ベルト地帯とか過度に集中しておるものから分散をして、これ以上ここには寄せない。これ以上寄せたら爆発してしまう、こういう状態でございますから、そういう意味で再配置という名前を表に出した、こういうことでございまして、この法律を通していただいて、来年はこの法律の名前を適正配置というふうにして、予算を三千億ぐらいにしてもらうということが望ましいことである、こう思います。
○岡田委員 大臣は時間がないようですから、大臣に対する質問は後に譲りたいと思うのですが、通産大臣も二十五年間議員として在職をいたしておるわけですから、あまり評論家的にものを言わないで、反省を込めて、もう少し謙虚にものを言ってもらいたいと思います。 そこで事務当局にこれから質問をいたしますが、せっかく各省からも出ておりますから、法律案の問題点を端的にこの機会に伺っておきたいと思います。 この工場分散の政策をとるにあたって、本法の第二条では、工業の過密傾向のある地域と過密地域というものは厳格に区別されていないわけです。したがって、第二条で示している「移転促進地域」及び「誘導地域」、この二つの地域と、それ以外の三つの地域にわが国土が一応色分けされるわけですが、しかし移転促進地域の対象になるのはいわば首都圏、さらに中部、それに大阪・京都の一部、この三地点に限られる、このように実は説明を受けておるわけです。しかし、すでに過密傾向のある地域を度外視しておったのでは、この法の精神というものは生きてこないのではないのか、このように私どもは判断せざるを得ないわけです。したがって、この三ブロック方式を、私はむしろこの際、四ブロック方式に改めるべきではないか。すなわち、移転促進地域及び過密傾向のある規制地域、さらに誘導地域、その他、こういう方向のほうが、より法の目ざす精神にかなった方向ではなかろうか、このように実は考えるわけです。そういう点については検討されたのか、されていないのか。 また、すでに本法が国会に提案をされたということで、水島地域とか北九州とか、県は非常に小そうございますけれども、ここから工場の移転をぜひしてほしい、こういう要望がそれぞれの地方から来ているわけです。たとえば兵庫県なんかは代表的なものであります。そう判断いたしますと、やはりこの過密傾向にある地域は、当然規制をしなければならぬのではないか。一歩進めれば、いま工場立地の調査等に関する法律がございますけれども、これは一応届け出をすればいいことにとどまっています。しかし、イギリスではすでに、御承知のように地方雇用法を制定し、フランスでは工業配置法というものが制定されている。これに対して、日本の通産官僚の中でも、こういう法律をつくっているから経済の成長が非常にうまくいかないんだ、むしろそれが足かせになっている、こう批判をした者もおりますけれども、私は、結局再開発をする、しなければならぬという今日の段階を考えれば、あながちそういう議論というものは当てはまらないのではないかと思うわけです。そういう意味で、せっかく本法を制定するのでありますから、むしろそういう意味で、過密傾向にすでにある地域は当然規制対象にすべきだ。そういう積極的な面を示していかなければ、本法の目的を達成することはできないのではないかと思うわけです。この点について、立法にあたってこれらについてどういう検討をなされてこういう成案を得たのか、ひとつ承っておきたいと思います。
○本田政府委員 お答えいたします。 御指摘のように、過密になる傾向を持っておる地域につきまして今後新増設等の抑制を考えるべきではないかという点でございますが、われわれとしても、その点につきましては一応検討いたしました。この方法といたしましては、一つは立地を制限するという直接的な方法と、もう一つは企業等に税金を課することによりまして調整をする方法とがあると思います。許可制につきましては、これはいろいろむずかしい問題もございますし、現実問題としてもいろいろ問題が出ますので、われわれといたしましては、一応税金を課するという方法によりましてこれを調整することを検討いたしまして、本年四月に期限の来る法人税の付加税について、これが期限満了によって廃止される場合には、過密傾向にある地域の新増設工場について税を課すということによって抑制することを検討いたしたのでございますが、御案内のとおり、二カ年延長するということにも相なりましたので、今向はこれを見送った次第でございます。ただ、御指摘のように、過密傾向にある地域の新増設についてこれを抑制することについての検討が必要であるという問題意識を持っておりまして、今後も税の賦課問題について引き続き検討いたしたい。そうして、その際に、御指摘のような現在の三つの地域分けの考え方を四つの地域分けの考え方にするという考え方をあわせ検討する考え方を持っておる次第でございます。
○岡田委員 しかし通産省の資料等を見ますと、過密地域から工場を他の地域に分散する、こういう実績はいままでもあるわけです。しかしほとんどが——もちろん特定のものは遠くの地域に分散したものもありますけれども、普通の場合は、その地域の周辺の地域に分散をしている。それはさらに過密化して、さらにそこからまた分散しなければならない。こういう傾向が、特にいま首都圏の場合には顕著にあらわれているわけです。そういういままでの流れから見ても、結局過密地域と過密傾向にある地域、こういうものを規制してむしろ遠距離に分散をする、すなわち誘導地域に分散をしていく、こういう積極的な姿勢があっていいのじゃないか。それと、過密傾向にあるところは過密地域に準じて工場の立地は規制をする。特に業種によって、ここは立地としていいというものもあるでしょうし、それから業種としては、やはりここは規制をしなければならぬというところもあるわけでしょうから、そういう点は一定基準をきめて規制をするということなしには私は本法の目的は達成されないのだと思うわけです。そのことは、いままで通産の出している資料を見ても明らかではないかと判断するわけです。ですから、もちろん税金の問題もあるでしょうけれども、首都圏の場合は厳格な規制が行なわれている。新増設について、あるいはまた床面積についてそれぞれのきびしい規制があるわけですから、当然今度指定される中部や大阪の場合も首都圏と同様な規制をすることになるのではないかと思うわけです。あるいはまたそういう規制をするとするならば、過密傾向にある地域についても当然それに準じた規制をする。それをやはり立法上明確にこの際すべきではないかと思うわけです。単に税制によって、過密地域や過密傾向にある地域の工場に外形付加税を賦課するというだけでは問題は解決されないのではないか。むしろ積極的な法律によって規制をすべきではないのかというのが私の意見でありますけれども、もう一度その点——どうもいまの局長の答弁では、そういうことは税制の面で、付加税の問題で検討したという程度の答弁でありますが、私は、むしろ法律的に規制すべきだ、こういう意見を持っておるわけでありまして、この点、もう一度答弁をしていただきたいと思うのです。
○本田政府委員 許可制の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、実際に許可の地域をどう線を引いていくか、どこまで拡張するかということにつきましてはいろいろ問題があろうと存じます。そういう意味で、われわれとしては税制による抑制策というのが効果的だというふうに判断いたしたのでありますが、さきのような事情で一応見送って再検討するということにいたした。しかし誘導地域に工場立地を促進する必要はきわめて重要でございますので、これに対しましては、団地造成に対する利子補給あるいは地方自治体に対する補助金の交付、あるいは移転するものにつきましては移転企業に対する補助金の交付というふうに、従来にない誘導策を講じまして、御指摘のように周辺地区への移転でなくて、誘導地域へ距離を延ばして移転するということの誘導策を考えた次第でございますが、御指摘の点につきましては、先ほどのような事情で今回見送っておりますが、この点についてはさらに実効ある方法を検討いたしたいということでございます。
○岡田委員 問題点としてこの点は残しておきたいと思います。 次に、これだけの立法をするにあたって、それぞれの地域でいま工業団地というものを、地方自治団体やあるいはまたそれに準ずる公社等によって行なわれる。大規模の場合は第三セクター方式で大規模の工業基地が造成をされる。私は、少なくともここまで立法するにあたっては、工業団地、工業基地と名前のつくものは、すべて施行にあたって、通産大臣なら通産大臣、関係の大臣を含めて認可をしなければ工業団地というものは造成できないんだというくらいの積極的な姿勢を示してもいいのではないかと思うのです。たとえば、工特法の場合でも法律でいろいろ規制をいたしておりますけれども、工業用水道なんかについてはちゃんと法律の条文に書いてある。水を使えば当然排水されるわけですよ。下水道についてはこの法律案は全然触れていないわけですよ。ですから法律案自体も今日の情勢に適応しない面が——すでに立法されておる法律の中でもあるわけですね。だから、私はそういう意味において、一切を含めてとにかく工業団地という名前をつけてこれを造成するという場合には宅地と同じように、工業を配置されるわけですから、工業団地ですから、当然そういう意味ではこれは一定の基準を設けて認可制にすべきではないか、そういう姿勢をもこの中に織り込んでしかるべきではないか。工業団地が造成されてしまってからそこに工場を配置される。いや、それが公害であれば、特定施設の届け出があるから、ここに基準に合うかどうか、こういう検討ができるからいいんだというのではなくして、これから工業団地が造成される場合には、工業団地そのものがやはり一つの一定基準に基づいてつくられなければならない。そしてその配置は、当然環境等を考慮しなければなりませんから、そういう意味において認可を受けなければならないというくらいの積極的なところまで姿勢を進めていかないと、この法律は生きてこないのではないか。今度の法律案で、内陸に中核工業団地をつくる、それは県の委託を受けてつくるというふうになっておりますけれども、その場合は当然一定の基準に基づいて団地が国の手でつくられるわけですから、整備をされるのだと思いますけれども、それ以外の工業団地の場合にも現段階までくればこれを規制する、認可制にする、許可制にする。そうして工業用水から下水道に至るまで、やはり一定の基準に基づいて団地がつくられなければならない。人間が住むところと工場を配置する地域が調和あるような指導されなければならないという姿勢が確立されないで、単にこれだけの法律をつくっても、法の精神は全うすることができないと思うのでございますけれども、この点については何らか立法に当たって検討されたのか、それともこの点については何らか別に行政指導で考えているのか、承っておきたいと思うわけです。
○本田政府委員 お答えいたします。 工業団地の造成に際しまして、環境との調和をはかる必要がある、あるいは安全の確保を考えるべきであるとし、また周辺の土地利用との調整が必要でございましょうし、あるいは関連施設の整備が必要であるというような点から、その点を確保する必要があるということが御指摘であろうと思いますが、その点はまことにそのとおりであろうと存じます。ただ、工業団地の造成につきましては、現在都市計画法が適用されておるような地域につきましては都市計画法によりまして開発行為が許可制になっておりまして、そして都市再開発法の精神からまいりますと、いま申し上げましたような点を考慮して許可が行なわれるという体制でございますし、臨海地域では公有水面埋立法によります免訴制がございますが、この免訴の段階におきましても同様の配慮に基づく調整が行なわれております。また農村地域におきましては、農村地域工業導入促進法によりまして、工業導入実施計画を道県または市町村が行なうということになっておりまして、地方公共団地としては、当然御指摘のような配慮に基づく計画によりまして団地を造成する。産炭地域振興事業団が行なっておる団地造成も同様の配慮をもって行なわれておるというような現状でございますので、これら諸制度を運用されてまいりますならば御指摘のような効果が確保できるというふうに考えておるわけでございまして、新たに認可制を取り入れるということによって、まあ二重の規制というような形にも相なりますので、われわれとしては現行制度の適正な運用ということによって御指摘のような問題点を整備して、必要なる団地の要件を十分確保できるように考えておる次第でございます。
○岡田委員 いま答弁がありましたけれども、実態はそうなっていないわけですね。実際は、われわれが工業団地の視察等に行きますと、もちろんある程度整備をされておるものもありますけれども、工場と住宅が雑居しておったり、あるいはその団地内の施設の設備が、これが工業団地かと思われるようなものがやはりたくさんあるわけですよ。そういう実態論の中から、やはり工業団地と名のつくものはこれを総合的に把握をして、初めから一定基準に基づいて整備をしていく。いままでの場合には安上がりでやってきたわけですからやむを得ぬとしても、これからの場合にはやはり少なくとも再開発の必要のない団地整備をするというような姿勢でなければいかぬではないか、この点も時間がないから問題点として残しておきたいと思います。 次に自治省にお伺いいたしたいのでありますけれども、たとえば、いま産炭地域振興臨時措置法に基づいて事業団が団地を造成をする、ここに行く企業については三カ年間の固定資産税の減税補てん措置をとるという制度があるわけです。そして今度の法案の場合にも同様の趣旨のものが盛られておるわけです。大体新産法であろうがあるいは農村地域工業導入促進法であろうが、いずれの立法の場合も、大体そこに進出する企業については三カ年間の固定資産税の減免補てんの優遇措置をとるということになっておるわけです。しかし私は、少なくとも工業の再配置、分散をする場合にはもう一歩進んで優遇措置をとっていいのではないか。しかし地方財源から見ればこれはワクの中のものでありますから、当然財源が減るという意味になるわけです。しかし先ほども答弁がありましたように、たとえば地方自治団体では、いま事務所事業税を課する、こういうような要望、意見等もすでに、それぞれの自治体からも出ておりますし、あるいはまたそれと別途な外形付加税を課して、それで財源を確保するということも検討されておるわけですから、この立法にあたって、地方財源についてそういう新しい付加税から財源の補てん措置がとられれば、ある程度思い切った優遇措置をとっていいのではないか。なぜそう申すかということは、やはり産炭地の団地を見ましても、団地は造成されたけれども企業の配置がなかなか思うようにいかないという地点も非常に多いのであります。特に内陸型の場合にはそういう傾向が非常に強いわけです。そういう一連のいままでの経過にかんがみて、今度の立法をほんとうに実効あるものにしていくという意味で、その間の措置をとることが必要ではないか。しかし財源については、いま申し上げましたように、新しい付加税、これを分配することによってある程度補てんされれば問題はないのではないかと、私はそこまで考えながら質問をいたすわけでありますが、この点について見解を承っておきたいと思います。
○佐々木(喜)政府委員 この法案の立案にあたりまして固定資産税の軽減措置についての要望がございました。私どももいろいろ検討したわけでございます。 まずこの固定資産税の軽減措置がいわば誘導地域の市町村において行なわれる。この誘導地域の場合には現在各種の地域立法がございます。したがって、この各種の地域立法における地方税の軽減措置との均衡という問題が一つあったわけでございます。それからこの軽減期間をどれだけにするかという問題があったわけでございますけれども、現在私どもが固定資産税で対象にしております企業用の資産の平均の耐用年数というものが約十一年になっておるわけであります。そういたしますと、たとえば二十五年の軽減措置ということになりますと、工場が新設されてなお資産が再度更新されてもまだ軽減対象になっておるというような、税制の運営上も非常に問題がある。そういう意味におきましては、やはりその軽減期間というものについては一定の限界があるというふうに考えたわけでございます。さらにまた、長期間にわたって交付税で補てんをするということにつきましては、やはり交付税制度自体が、一般財源措置として考えられているものについて特定財源化するというような非常な交付税上の問題があります。そういうことから考えまして、固定資産税の減免に対しまして交付税の補てん措置をするならば、やはり他の地域立法との関係において三年というものが一つの限界であろうというふうに考えたわけであります。ただ、これはやはり地方財政のワクの中での措置がこの程度だということでございまして、ただいま御指摘のように国がそれに対応する財源措置を講ずるという場合におきましては、また別な観点からその軽減期間というものについては検討する必要があるだろうというふうに考えておりますけれども、その際にも、先ほど申しましたように税制としての問題もあるわけでございますので、一定の限界はあるだろうというふうに考えておるわけでございますが、なおこれは税制だけの問題ではございませんので、やはり誘導地域におきまして、こういう企業が立地をするということになりますと、いろんな財政上の問題が出てまいります。そういう措置についてどういうふうに対策を講ずるかという点が、まだこの法律におきましては未解決の問題になっておるというふうに私どもは考えております。
○岡田委員 この問題について、大蔵省からも出ておりますから、伺っておきたいのでありますが、いま私が質問しましたように、本法の目ざす方向というものをより実効あるものにするためには、大蔵大臣は、外形付加税については検討に値する意見であるということで十分検討していきたいということをすでに本会議で述べられておるわけです。したがって、税制財政両々相まって進めてまいらなければなりませんが、自治省としては単にこの固定資産税の減免を延長しなさい、もう少し延ばしなさいといっても、財源との問題もありますし、税制上の問題もありますが、特に財源の問題がある。ですから、外形付加税を課税する場合には、単にこれを国が特定財源として保留するのではなくして、地方財源の減収分については当然これはその面でさらに補てんをしてやる、その中で、地方交付税等でそれぞれ適正に配分されるという方向がとられていいのではないか。もちろんそれは大体年間の一応の計画に見合う金額、こういうものを想定すればいいのではないかと思うわけです。そして、それ以上余った金額については国が収納するという、税制と財政両面相まって進めることによって、この法律はより実効をあげ得るのではないか。せっかく過密地域あるいは規制さるべき地域についてもし外形課税が賦課される、こういう場合には、そういう態度でこれを受けとめていいのではないか、こういう意見を私は持っておるわけです。極端に言えば、どれだけ財源になるかという問題もありますけれども、当初基本的原則としては折半主義、半分は国が収納し、半分は地方財源にこれを補てんするというような原則的な考え方で対処し、この法律の実効ある方法を目ざすべきではないか、こういう意見を持ってるのでありますが、財務当局の見解を承おっておきたいと思います。
○山内説明員 いまの御質問の御趣旨は、法人税について何らかの形で付加税を取ることによって過密地帯に立地をしておる法人に対して課税を重課をしたらどうかという御趣旨であろうかと存じますけれども、御承知のとおり法人税の課税標準は所得ということになっておるわけです。その所得を構成いたしますのは、確かに御指摘のように過密地帯に立地することによってこうむる利便ということもかなりのウエートを占めておるとは思いますけれども、それ以外に、たとえば新市場の開発の努力でありますとか、あるいは新しい技術の開発の努力でありますとか、そういった立地とは関係なしにそれぞれの企業における企業努力というものが大幅に反映をしているということもいなめない点であろうかと思います。したがいまして、法人の所得の中からこれを区分をして取り出して、どの部分が過密地帯に立地をすることに伴う利便であるかということを分けますことは、これは事実上非常に困難であるということは申し上げられるかと思います。したがいまして、過密地帯に立地をしたことに伴う利便を一応所得の形で概括的につかまえて、それに対して課税を強化したらどうかということになろうかと思うのでありますけれども、この点につきましても、先ほど申しましたように、所得を構成します要因といたしましてはいろいろ複雑なものがからみ合っておりますので、直ちに所得の額がそのままパラレルに過密の利便というふうにもなかなかまいりかねるであろうと思いますので、そういうふうな観点から過密地帯に立地しております法人についての法人税ないしはそれを基準といたしました付加税というものをとりたて別の法人と区分けをして課税をする、ないしは重課をするということは非常にむずかしいというふうにわれわれは考えております。 ただ一般論として申し上げますと、法人に対する法人税率そのものにつきましては、なおわれわれといたしましても現状のままでいいのかどうか。先ほど御議論にも出ましたが、一・七五%の加重を行なっておりますけれども、それを行ないましてもなおかつその程度の水準ではたして十分であるかどうかという点はいろいろ議論の余地があるところでございまして、われわれとしても今後さらに検討を進めてまいりたいと思いますが、そういうふうなことでもし法人税率を若干引き上げることが可能だということに相なりますれば、そのうちの相当部分は地方交付税という形で地方財源の充実にも役立つということになりますので、私どもといたしましては、問題の根本的な解決はそちらのほうにあるのではないかというふうに現在考えておる次第でございます。
○岡田委員 時間がきょう十二時で終わるということで飛び飛びになるのですけれども、いまの問題も検討中で、いつまで検討されるのか、私どもは、本法律案の審議の過程において何らかのめどというものはつかないだろうか、こういう意思を持って質問しておりますことをこの機会に明らかにしておきたいと思います。 それともう一つ、大蔵省に聞いておきたいのですが、現在公社、公団、事業団それぞれあるわけでありますけれども、今度、工業再配置・産炭地域振興公団と、こうなるわけです。したがって、従来の事業団ですと、理事長というものがおりまして、それぞれ副理事長、理事が配置をされている。公団になると、総裁、副総裁二名配置をされる、そして理事が配置をされるということに変わっているわけです。したがって、公団職員、総裁以下職員を含めての待遇問題については、事業団と公団の場合には差があるわけです。これは御承知かと思います。したがって、本法が通過をし、十月から産炭地域振興事業団が今度新しく公団になる場合には、あらゆる給与条件というものが当然公団並みに十月一日から改善されると理解されるのが当然かと思いますけれども、この点財務当局としてはどういう見解を持たれておるか、この機会に承っておきたいと思います。
○徳田説明員 お答えいたします。 職員の給与の問題は実は私の主管ではございません。これは給与課長の主管でございますので、あるいは若干それたお答えになるかもしれませんが、ただいま先生御指摘のとおり、今度発足を予定されております公団は、総裁のもとに副総裁が二名おりまして、これはこの程度の規模の公団としては非常に異例なことでございまして、副総裁二人ということは、それぞれが工業再配置、産炭地振興を専担いたされまして、仕事としても画然と区分をする。したがいまして、従来の産炭地域振興事業団の仕事をそのまま片方では受け継ぐ、こういう形になっているわけでございます。したがいまして、仕事がほぼ同一内容でございますので、その点の給与をどのようにするかということは非常に大きな問題でございます。これは発足は十月と予定されておりますので、その間にこれから検討してまいる、そういう段階であると考えられます。
○岡田委員 この点も明確にならないで、この二法に対して私どもは態度を決定することはできないと思うのであります。したがって、本法が採決されるまでの間に明らかにされるべきだ、こういう見解を持っておりますことをこの機会に明らかにしておきたいと思います。 きょう予定が何か理事会で狂いまして、十二時でやめろ、こういうことでありますから、各省から来ておりますけれども、この程度できょうはとどめておきます。
○鴨田委員長 午後二時再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時十一分休憩 ————◇————— 午後二時九分開議
○鴨田委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑を続行いたします。橋口隆君。
○橋口委員 本委員会に提案をされております工業再配置促進法案について、若干質問を試みたいと思います。 工業再配置の問題は、わが国においては最近非常に大きな課題となってまいりました。特に工業化が日本列島の中では太平洋岸に集中をする、また都市の周辺に位置するということから、非常な過密状態を呈してきて、それより出る弊害が非常に大きくなってきたことは言うまでもないところであります。また、これに関連をしまして公害の問題が非常にやかましくなりまして、そのためにどうしても既成の大工業地帯から地方へ分散をしなければならないということが、もうすでに一般の世論になりつつあるのは言うまでもないところでございます。 また新全総におきましてもそういう趣旨をうたって、いままでその実現を主張してきたわけでございますが、通産省としても、たびたびこれについては法案あるいは計画を準備しながら、なかなかそれが実行に移されなかったのでございますが、今回田中通産大臣の御就任によってこれを取り上げて、強力に推進されて、この法案の提案を見るに至りましたことは、まことに御同慶にたえないところでございまして、通産大臣の御尽力に対して心から敬意を表する次第でございます。 つきましては、この問題につきましてひとつお伺いしたいと思いますが、まず初めに事務当局に伺いますが、この法案は、既成の移転促進地域から誘導地域へ工場を移すというわけでありますが、これは大体どのくらいの地点を想定をされておるか。まずその概要を御説明いただいて、それからなお、これに要する工場用地を一体何万ヘクタールぐらい過密地帯から移転をするのであるか、そういう点についての概要を御説明を願いたいと思います。
○本田政府委員 お答えいたします。 この法律で、工業の集積度が高く移転を必要とする地域として、移転促進地域というものを政令で定めるということに相なっております。それから、工業の集積度が低く人口も減少しておるということで、工場の移転あるいは当該地域の工場の新増設を必要とする地域、これを誘導地域ということにいたしております。この誘導地域についても政令で定めるということに相なっております。全国的な平均を前提にして考慮いたしますと、移転促進地域として考えられますのは、首都圏の既成市街区域、近畿圏のやはり既成の都市区域等が該当すると存じます。 それから、当該地域には現在一万七千ヘクタール程度の工場用地がございますが、これを目標の六十年度までには約半分程度にいたしたい。したがって、八千ヘクタール程度の工場用地を移転する必要があろうかというふうに考えております。 それから誘導地域につきましては、北海道、東北、北陸それから長野、山梨、山陰、四国、九州の諸県が誘導地域に該当するであろうというふうに考えておる次第でございまして、これに隣接する市町村について、第二号の規定によりまして、ある程度の市町村がこれに該当するであろうというふうに考えます。
○橋口委員 非常に大きな規模の再開発が行なわれるわけでありますが、その点で一番問題になりますのは、移転促進地域から工場を分散をさせる場合、これに対しては、今度の法案でもあるいは予算でも、企業に対して補助金をやるなりあるいは公団によるあと地買い上げ、融資等の措置を考えているようでありますが、それだけではたして工場は移転するかどうかがかなり問題であろうかと思います。どうしても私は、もっと企業を移転させるために強力な措置を講ずべきではないかと思う。それはたとえば過密税とかあるいは公害税というようなもの、あるいは公共事業を利用するための賦課金とかいうような、そういう制度を新たに創設をいたしまして、そしてこれを強力に推進をすることが必要ではないか。この法案でその一番大事な点がちょっと欠けているように思われますが、この点について大臣の御所見を承りたいと思います。
○田中国務大臣 理想的には御指摘のとおりだと思います。しかし急速にそこまで手をつけるということについては慎重を期したわけであります。それはやはりこの法律の提案によって、より合理的にするためにはどうしなければならないかということは、世論の形成ができてまいりますから、そういう事態においてだんだんといま御指摘ありましたような制度が付加される。これはいままでは東京とか大阪とか県庁の所在地とかいうものに産業が集中するメリットがあったわけであります。これは生産と消費が直結をしておるということもそうでありますし、いろいろメリットがあったわけです。ですから、大きな都市に集中をしておるにはそれだけのメリットがありますから、今度は逆傾斜をつけなければならない。これからまた誘導しなければならない地域に対しては補助金を交付する、税の減免を行なうということにしなければなりませんし、それから分散をはからなければならない過密地域に対しては、税が高い、また港を使い道路を使うにしても有料になるというようなことで、分散をするメリットというものが明確に存在をするようにしなければ誘導政策にはならない。だからあなたがいま指摘されるのは、誘導政策をとると同時に、過密地帯には禁止策政をあわせて行なう。全くそのとおりなんですが、だんだん付加されるということで御理解をいただきたいと思います。
○橋口委員 これはいま大臣のお話のとおり、だんだん整備していただいて、完全にこれが実現のできるように、ひとつ御推進をいただきたいと思います。 そこでもう一つ、これは企業局長に伺いますが、これからの工場用地ですね。五年ないし十年と日本経済がどんどん伸びていくわけですが、目標年度昭和六十年度に一体日本では新しくどのくらいの工場用地を必要とされるか。その推算ができておりますか。それを簡単に伺いたい。
○本田政府委員 かりに鉱工業生産が年率一〇%程度の増加があるということで、かつ産業構造におきましても資源消費型から知識集約型に移っていくというような構造を一応頭に置きまして、四十五年におきます工場用地は十三万ヘクタールでございましたが、これが六十年では二十八万ヘクタール必要じゃないかという試算をいたしております。
○橋口委員 いまのお話によると、四十五年度で十三万ヘクタールのものが六十年度は二十八万ヘクタールになる。そうすると、十五万ヘクタール、これから十二、三年の間にふえていく、こういうことになります。そうなった場合に、一体どこにこれをはめ込んだらいいのか。この膨大な工場用地をどういうふうに解決するのであるか。これをひとつ通産大臣にお伺いしたいと思います。
○田中国務大臣 日本の都市部の面積が大体総面積の二%ぐらいでございます。ですから、二%ぐらいのところに人口が七〇%以上集まっておるわけでございます。そのまま手を加えないでもってやるとどうなるかということであります。が、その場合は、この二%の地域を目ざして昭和六十年には八五%ぐらいの人が集まるだろう、こういうことでありますから、これではもうそのまま自然に放置はできないわけであります。できないから計画的な配置を考えなければならないということでございます。特にその中で問題になるのは、やはり二次産業でございます。ですから、東京、大阪、名古屋、福岡というようなものが中心であったものが、今度はそういう歴史的な地域だけではなしに、新しく大規模なものは、これは北海道にも苫小牧があり釧路の湿原地帯があり、下北が存在をし、秋田湾があり、それから金沢には北潟がございますし、それから鳥取、島根には中海干拓がありますし、これはずっと計算をしていくとあるわけです。いまの有明干拓地もしかり、八代干拓地もしかり、鹿児島県の志布志湾しかり、宿毛湾しかり、橘湾しかり、ずっとあるわけでありまして、これはもう大阪、東京、阪神、京浜に匹敵するような条件のところが十分存在いたします。こういうようなところが一つの大規模基地になるわけでございます。その他は内陸部に、二次産業の基地に転換ができるところ、これはもうまだまだ十分可能であります。可能な地域が十分ございます。
○橋口委員 そうしますと、いまのその立地点のうちで、一番これから期待をされ最も重要なものは、いまお話がありました大規模工業基地ではないかと思います。その大規模工業基地をどうするかということについて、今度のこの工業再配置促進法案ではどういうふうに扱っておられるのか。あるいは誘導地域として政令で定めることになるのか、それとも別個に新しい法案を将来おつくりになるのか、その基本的な方針についてひとつ伺いたいと思います。
○本田政府委員 お答えいたします。 大規模工業基地の建設ということになりますと、きわめて大規模な資金あるいは基本的な調査、あるいはそれのための基本設計等を要するわけでございまして、現在はむつ小川原ですでに第三セクターとして成立しておりますむつ小川原開発会社ができておりますが、今後他の地域におきましてもこうした方式による開発が適当であろうというふうに考えておりまして、もちろん誘導地域としては、この大規模工業基地も誘導地域に総合することに相なりますが、その基地の開発の方式としては、第三セクター方式のような方式で開発するのが適当であろうというふうに考えております。
○橋口委員 そうすると、新しくこれについては法的な措置は必要でないというふうにお考えになっていますか。いまのままで間に合うという考えですね。
○田中国務大臣 先ほども御質問ございましたが、いまのところどういう法律にするかというような骨子はまとまっておりませんが、しかし、ある段階において必要ではないかという議論もございます。この工業再配置というものに付加して、もう少し完備すべきかという議論もございますが、これはむつ小川原とか秋田湾とか、そういうものをだんだんとやってまいりますと、もう少し法制を整備しなければならないという議論が有力であります。これはまた検討いたします。
○橋口委員 従来政府では、通産省だけではなく、経済企画庁あるいは運輸省その他関係省庁におきまして、まあ日本列島の中で、北は苫小牧の東部から南は志布志湾に至るまで、大体五、六カ所を想定しまして、これを大規模工業基地として育成しよう、こういう方針でございました。ところが、最近になりまして、どの地点においても、むつ小川原にしても志布志湾にしても、公害反対あるいは埋め立て反対、あるいは自然保護、自然破壊反対というようなことで非常に紛争がありまして、新しい工業基地の創設が非常な困難に直面をしておると思うのでございますが、通産大臣としては、今後やはりこの大規模工業基地については既定の方針でお進めになりますか。その点をお伺いしいと思います。
○田中国務大臣 これはもう残された日本の宝庫ともいうべきところでございますかち、これを最も効率的に利用できるようにしなければならないというためには、慎重かつ周到な計画をいたしまして、これはもう当然やらなければならない。そして、汚染をしないようにするとか、風光明媚な土地というものを保存できることは、周到な計画によって周到に進めれば、これはもう十分できるわけであります。何かいままでのように、いままでと同じような開発を行なうので海も自然も汚染をされるということを前提にしての反対論でございますが、しかしそうではなく、青写真を提示をして、こうなるのだ、だから東京湾や大阪湾のようにはいたしません、風光明媚のままに、付加するにこうします。こういうことでございますから、これはやはり地元民の賛成を十分得られるということでなければならないし、残されたこういう大基地をそのままにしておくことは、これは沖繩を一次産業の基地としてそのまま残しておくということと同じことであって、そういうことではないわけです。沖繩の自然、沖繩の海や空を守りながら、沖繩の非常に所得の低い、三九%、四〇%にものぼろうとする高い一次産業比率を二次産業比率に置きかえるためには、どうしても開発を進めなければならない。これはもう避けがたいことですし、人類進化の過程において当然たどるべき道である、このように理解しております。
○橋口委員 いまの大臣のお話を伺って非常に心強く思うわけでございますが、具体的に一つ問題を取り上げますと、この志布志湾におきましては、大規模工業基地をやろうということで鹿児島県当局がいまこの試案を打ち出しておるところでございます。ところがこれにつきましては、あの地域が国定公園になっておるものでございますから、その解除につきまして、先般環境庁の長官は、この解除が非常に困難である、あそこに大工業基地をつくることは反対であるように発言されたと聞いておりますが、環境庁からきょうどなたか見えておりますか。——その点について一体長官はどういうお考えをお持ちになっているか、それをひとつあなたのほうでちょっと説明していただきたいと思います。
○宇野説明員 お答え申し上げます。 先生御指摘のとおり、志布志の地区は昭和三十年に日南海岸国定公園に指定されてございます。いま私どもは、鹿児島県から試案という形でこの新大隅開発計画の御説明を受けておる段階でございますが、これによりますと、どうしてもこの国定公園の一部でございます志布志湾の地区が、その地先の海面が埋め立てられる、そういうことになっておるわけでございまして、私どもの検討いたしましたところでは、まだ結論を出しているわけではございませんが、この試案のままを実行されますと、国定公園としての価値がなくなってしまう、そういうようなことでございます。私どもの大石長官は、この問題につきましてたびたび国会でも答弁いたしておるところでございますが、結論は出していないけれども、私どもの立場といたしましては、できれば国定公園をそのままに存続させたいという立場でございますけれども、いろいろの今後の全般的な問題を考え合わせてまいりますと、いろいろ考えてまいらなければならない点もあるかと思います。 そこで、この新全総との関係におきまして、経済企画庁のほうで関係省庁の連絡会議というふうなものをつくられまして、いろいろ調査とかあるいは今後の問題につきまして調整をされるというふうに聞いておるところでございます。私どもは現在のところ、そういう連絡調整あるいは今後の調査の資料の結果というものを待ちたいと思っておるわけでございます。
○橋口委員 それでは、いまの段階ではまあ何とも言えない、今後の検討、調査を待って、それからきめたいというお考えだろうと思いますが、ところが一方政府では、御承知のように志布志湾に開銀から出資をするために、きのうの本会議で開銀法の改正案が通過したわけでございます。これにつきましては、政府としては大規模工業基地開発の第一歩に乗り出した、こうわれわれ理解しておるのでございますが、ひとつ一番所管の通産大臣として、志布志湾のこの大規模工業基地については今後どういう方針で取り組んでいただけるか、その御所見を伺いたいと思います。
○田中国務大臣 北海道、東北等は北海道東北開発公庫がございますので、資金はそこから出ることになっております。今度は開発銀行の中の地方開発資金ということで法律も改正をし、制度金融は開発銀行からやろうということになっておるわけでございます。志布志それから宿毛、橘、陸奥湾、これはかって連合艦隊全艦隊を収容したところでございます。それだけではなく、これは水深四十メートルという日本に残された全く自然の宝庫であるということであります。それでありますから風光は明媚である。これは橘湾などは特にそうでありますし、宿毛湾もそうです。いまの志布志も例外ではありません。連合艦隊が全部入ったようなものはまだ和歌浦湾とかいろいろあります。ありますし、みんなそれは風光明媚なところでありますが、水深が四十メートル。四十メートルというとすぐ計算されるのは五十万トンタンカーということで、五十万トンタンカーですと水深四十メートル、こういうことになりますから、そういう意味ですぐタンカーの基地にして海をよごすんじゃないか、こういうことで反対論が起きますが、そうではなく、自然の港でもって水深四十メートルというものが残っておったということ自体は、残された日本の宝庫だ、こういうわけであります。釧路の湿原地帯などを掘り込んでも約三十万トンということでございます。自然の良港でもってほんとうに水深四十メートル以上などというところは、もう求めがたいほどの天然の資源である。だからこの資源を、風光明媚な自然の条件をそこなわないで何とかしなければならないということは当然だと思うのです。ですから今度の石油を備蓄しようというような問題も橘湾では問題がございまして、橘湾から少し位置を動かそうということで県側も一つの地域を設けたようでございます。志布志も石油化学の基地としては全くいいところでございますが、石油化学だけではなく、私はやはり日本が貿易の国であるということから考え、あらゆるものを全部海外から入れてこなければいかぬ、それを製品にして出さなければならないという特性を考えますと、志布志の開発ということは理想的に開発をさるべきものだ。特に私も研究した過程でよくわかったのですが、明治から偉い人がたくさん出ておる鹿児島県でありながら、なぜ県民所得が低いのかというと、一次産業比率が高いというところに基因をしておるわけであります。しかし今日になってみると、なぜ志布志湾や鹿児島湾を——まあ鹿児島湾は船もふくそうしておりますが、志布志湾のような天然の良港が残っておったということは、これからおくればせながら南九州というものを見ると、この志布志湾の開発いかんによっては県民所得も工業生産量もぐんとふえるわけでありますので、そのためには全く合理的、効率的な開発を行なうということを進めなければならない、こう考えております。
○橋口委員 大臣のただいまの御意見にはわれわれ全く同感でございまして、ほんとうに理想的な公害のない大工業基地をつくりたい、これをつくっていただきたい、こう切望する次第であります。 つきましては公害保安局長、ひとつ通産省の立場としては今後各地の大規模工業基地、そこに非常に公害に対する不安がある。地元民は政府からも県からもあまりPRされないで誤解をしている向きが非常に多いと思います。そういう点で、今回のようにたとえば石油コンビナートをつくった場合には、はたして人体には影響がない、いわゆる公害がないといえるかどうか、その点について見解を表明していただきたいと思います。
○久良知政府委員 最近の新しくつくります工業地帯におきまして、平均してみますと公害問題というのはほとんどないわけでございますが、レベルが一般にぐっと下がってきますと、ときたまガスなり水なりで異変がありますとそれが非常に大きなニュースになる。これは昔の状態ですと全然問題にならないようなことがかえってニュースになるということが、私ども、全体がよくなっておるということの一つの証拠であろうかと思うわけでございます。たとえば鹿島についてみましても、いわゆるときどきニュースになるわけでございますが、しさいに調べてみますと、これは公害問題として取り上げられる性格のものかどうかというような事件も何回かあったわけでございまして、その原因も調べてみますと、たとえば操業の単純なミスであるとか、前からわかっておったのにたまたま企業のほうで若干の時期的な狂いがあったというふうなことでございまして、私ども工業地帯に対しましていわゆる総合事前調査というものをやりまして、地域地域の持っていきます工場なり業種によりまして将来どういうふうな汚染の結果になるのか、それが公害になるかどうかということの予測をやっておるわけでございます。この予測の精度と申しますのも、最近の経験によりましてかなり進歩してまいりまして、たとえば近い例で申し上げますと、東京湾の富津地区でございますが、ここの開発計画につきましても、これは千葉県と共同してやったわけでございますが、その結果というものについては、これは県当局だけではなくて、やはりそこに進出を計画している企業にもかなり信頼をされております。先生御承知のように、あの地区の開発計画というものについては、非常に大幅な変更が加えられたわけでございます。 そういうことでございますので、この陸奥湾それから志布志湾の問題、これから計画をし工業誘致をするという段階にあるわけでございますが、公害の予測に基づきまして合理的な立地なり計画をするならば、公害というほどの汚染は決して起こらない。これは私確信をいたしておるわけでございます。ただ、そのためにはやはり計画どおりと申しますか、企業自身、業種の選択それから工場のレイアウトというふうなものについては、調査の結果というものをよく尊重していただきたいということ、それから操業にあたりまして万全の用意と申しますか、公害防止のための組織を整備する法律というものはことしの九月から発効するわけでございまして、各工場ごとに管理組織というものがこれからでき上がっていくわけでございます。そういう組織によります運営ということによりまして、公害に結びつくような操業上のミスというものは将来なくしていきたい。そういうことによりまして新しい工業地帯の公害というものはなくし得るというふうに考えておるわけでございます。
○橋口委員 ただいまの御意見でわれわれ非常に安心しているわけですが、これから大規模工業基地を推進するにつきましては、各県がこの問題で非常に苦労しているところでございますから、通産省からも十分ひとつよく御指導いただくように、そして住民が十分納得できるようにひとつ御配慮をいただきたいと思います。 最後に、経企庁の政務次官にお伺いいたしますけれども、今度の工業再配置、また今後六十年を見越しましても、たいへんな工業立地が行なわれるわけでございますが、これはおそらく新全総の最大のプロジェクトになると思います。そういう意味で公害を起こさない、過密状態が解消する、また自然を保護するというような、そういう条件をとらえて新全総の総点検をするというお話でありますが、これはぜひともやられる必要があると思います。その点についてどういうふうにお考えになるか。 それからまた、今度の法律によって移転促進地域のそのあとには都市再開発の総合的な事業が必要だろうと思います。またこの法案の第十条でもうたわれているところですが、道路とか水道とか港湾とか、そういうものを総合的に整備しなければならない、こういう規定が誘導地域にも規定をされております。そうなりますと、その誘導地域における総合的な地域開発政策というものが必要だろうと思うのですが、こういう点については今後どういうふうに進められるおつもりでございますか。それを念のためにひとつ伺っておきたいと思います。
○木部政府委員 ただいま田中大臣からもお答えがありましたように、たとえば大規模工業地域を建設する場合でも、いかにして自然環境を維持するか、また同時にいかにして豊かな環境をつくり上げていくかということが非常に望まれるわけでございます。同時にまた、地域住民の方々からそういう意見というものが非常に強く出ておることはわれわれもよく承知をいたしておるわけでございます。しかしいま申しましたように、国土の再利用ということは非常に重要な使命を帯びておりますので、われわれはそうした点を十分考えまして、そして新全総もそういう精神に沿って総点検しよういうことで準備を進めておるわけでございます。
○岡部政府委員 お答え申し上げます。 あと地の開発、それから誘導地域の総合的な開発いわゆる地域開発の問題でございますが、まずあと地のほうの問題について申しますならば、いわゆる過大都市と申しますか、そういうものの問題点を非常に含んでおります。したがって過大都市の一つの泣きどころと申しますか、非常に困っておるのが新たな公共的な土地の取得の困難さでございます。したがいまして、そういうあと地の利用、活用というものが非常に重要であるということになるわけでございます。 さらに誘導地域のほうで申しますれば、従来の開発、いわゆるどうも害を流していかぬという従来の開発方式というものの反省はわれわれも持っておるわけでございまして、工業を誘致する、ところがその地域全般に対してのいわゆる町づくりであるとか社会資本の投資というものがおくれがちでございます。したがいまして、そういうものを十分バランスをとって、むしろそういうものを先行ぎみに整備しなければならないということが非常に重要な点になってくるかと存じます。したがいまして、そういうような考え方でこれからの地域開発を進めていきたいというのが企画庁としての考え方でございます。
○橋口委員 それでは、最後に通産大臣にお願いしておきますが、この工業再配置の法案は、冒頭に申し上げましたように国土改造が一番のきめ手であろうかと思います。そういう意味で、大臣がこれからまっこうからこれに取り組んいただくのは、われわれもほんとうに全面的な賛同を措しまないところであります。これから大臣の行動力、政治力を発揮されて、これが完成をされて日本の国土がりっぱにつくりかえられますように、その御努力をお願いしまして私の質問を終わりたいと思います。
○鴨田委員長 次に、塩崎君。
○塩崎委員 もう時間がありませんので、大臣だけに御質問申し上げたいと思います。 いま橋口委員からお話がございましたように、この提案について私は田中大臣の御意図をたいへん多とするものでございますが、どうもいまお聞きしておりますと、ときどき田中大臣らしくないような御答弁があってたいへん私も心配するわけです。私の抱いておる田中イメージというものは、もう少し官僚的慎重さのない勇猛果敢、大胆な提案をされる大臣だというふうに考えておったわけでございます。しかも私も、いつも大臣が指摘されますところの地域開発その他の開発計画の実際を見ておりますと、どうも大臣がいま御答弁になっただんだんというようなことでは、大臣の御意図になっておるところの太平洋ベルト地帯の工業生産額が七割から五割になる、工場面積がいまの半分くらいになるというようなことはとてもできそうもないと思うのです。それが証拠に、もう新産都市ができましてから十年、わが愛媛にも新産都市の指定があったのでございますが、さっぱりと企業も来ないし経済力も充実してない。これが愛媛県の実情でございます。しかし大臣はときどきわが選挙区に来まして、いかにも、あすにも天国が来るようなことを言われる。わが良民は全くあすにも来るように信じておるのでありますけれども、このような法案だけではまだまだ非常に不十分だ。私はその理由は三つぐらいあるのですが、大臣いかがですか、この法案の場合には、これを見ますと、まず第一に誘導の対象というものが民間企業だけに限られておる。政府の工場というものが一つも入っておらぬじゃないか、政府関係機関の工場も入っておらぬじゃないか、これが一つでございます。第二は、私はこの工場の再配置は一つの理由があると思うのでありますけれども、工場だけではないと思うのです。ほんとうは経済力の分散をはからなければいかぬ。そうすると工場のほかに事務所もある、雇用人員もある。ここまで考えるのが、将来総理をやられる田中大臣の大きな構想であったはずだと思うのです。どうもこのあたりに通産官僚の慎重さが何かあらわれておるような気がしてならない。第三は、ただいま橋口委員も御指摘をされましたが、財政上の仕組みでもどうもけちくさい。もう少し田中式の大きな構想があってしかるべきだ。それを早く直して、早く法律の中に織り込んで一挙にいったほうがいいというのは、過去の地域開発法の経過から見て明らかじゃないか。 そこで、私はおそらく田中大臣のことでございますから、総理大臣になったらという取っておきだろうと思うのです。しかし私は、少なくともこの法案をひとつ来年くらいには、たとえば特定地域の過度経済力集中の排除法並びに経済力分散法とか国土開発法とかいうような大きな田中式の法案に直される、そしていま私が申し上げました三つの観点、まず企業、それから経済力、そして財政上の措置を大きく取り入れて、ひとつ勇敢に田中ラッパを吹いていかれる気持ちがあるかどうか、お聞きしたいと思います。
○田中国務大臣 理想を実現するということが、これは一つあります。それからもう一つは、これは排除のためには真にやむを得ない、どうしてもやらなければならないのだ、理想とは遠くてもほうっておくわけにはいかぬのだということもあります。理想はあるのです。これは自民党の都市政策大綱の名において国土の改造というものが明らかにされております。この方向に沿って国土総合開発というものが具体的には一つずつ立法になっておるのです。この立法が本四架橋公団法になった。第二は新幹線建設促進法になった。第三は自動車トン税法にちゃんとなってきておるでしょう。これはもうきちんと一つずつできたのです。なぜかというと、一ぺんにやるには——明治から百年間ずっと集中のメリットを追求してきたものを、デメリットとメリットがちょうど明治百年でもってパアになって、これからは集中をすると、どんなに国民総生産が拡大をしてもそれは名目成長になってしまう。なぜかならば、東京と大阪、名古屋の経済を維持していくだけでもって、生産拡大面を全部公共投資に回しても社会資本比率は拡大しない、バランスがとれない、だんだんと開いていくということであります。それは、全国で鉄道がキロ当たり単線が三億五千万円でできるものが、東京の地下鉄はキロ当たり百億かかるということを例に出せばもういうまでもないことであります。しかも全国で道路事業費の三〇%ないし五〇%が用地買収費であるにもかかわらず、過密地帯における、いうなれば東京、大阪を例にとると街路事業費の九四%までが用地買収費である。一兆円の道路の費用を計上しても九千四百億は用地買収費である。しかもこの率はだんだん高まっていって、残地補償を行なえば、全事業費よりも用地買収費が上回る、こういう状態でありますから、これは、これから経済を絶対に拡大しないなら別でありますが、拡大を幾ばくかでもするということを前提に考えれば、どうしても全国土を利用するということを考える以外にない。水もしかり、労働力もしかり、これはもう千百万戸の住宅をつくり、これから九百七十万戸の住宅をつくっても、関東地方に総人口の四〇%、四千五百万人の集中を是認して、住宅が余るはずはない。そういうような前提に立って総合的な政策は出ておりますが、なかなか発想の転換と一口で言いますけれども、全部転換をすることは非常にむずかしいわけであります。だからそういう意味で、まずことしは百五十億という費用でスタートしたわけです。これは十月一日発足で半年ですから、平年度三百億。だからさっき私はいみじくも言ったのです。まるを一つつけなければいかぬ。三千億でスタートをすべきものなんで、これは初年度三千億でスタートするとして、その三千億を前提にしていくべきであったのです。私どもの案はそういう立案であった。ところがそれには特定財源を必要とする。特定財源には御承知のとおり法人税の一・七五の千四百億、これを今年度に引き伸ばすと千五百億になるわけです。特定財源千五百億に一般財源千五百億を加えると三千億ということでスタートしたことは間違いないのです。予算要求はそういう要求をしてある。そういう思想でスタートしたのであります。ところが一・七五というものは、この経済情勢ではことしはどうにもならぬということでありましたので、この一・七五を除外してスタートをしたのでその十分の一になったということであります。しかし私はこの制度をスタートをしてまいりまして、先ほどからも御質問ございますが、やはり大規模のプロジェクトに対しては単独法が必要になると思います。それは八郎潟とかそれから豊川用水とか愛知用水とかいうものに対しても立法を必要とした。ですからそれよりもはるかに規模の大きいものを立法をしないでやって、幾らか失敗しているのです。それは苫小牧である。それは鹿島であり水島であり、それは大分湾であり、もう一つは三重県の四日市なんです。これは少なくとも豊川用水式な立法をしてスタートをすれば、あんな過密の、それは明治百年間を五年間で集中したような姿のものは私はできなかったと思うのです。そういう意味では志布志とかいまの橘とか陸奥湾にしても、立法を必要とする、こういうことを考えておりますが、ことしのスタートではそういう事態を想定をしながらもスタートはできなかったというのは財源の問題が一つあったわけです。 もう一つの、誘導政策だけを先行させて——禁止政策というものはなかなかこれはのみにくいのです。それで自治省は逆に過密都市における事務所税を徴収しようという案がちょうど時を同じくしてあったのですが、どうも自治省の財源確保というものと、この新しい政策と混淆されることは非常によろしくないということで切り離してスタートをしたわけですから、これは方向としてはこれ以外にない。これが一年間もしスタートがおくれればそれだけロスも大きくなるし、公害も過密も一切のものが大きくなって積み重ねられていく。だから東京や大阪の改造を考えてもこれ以上に過密にならないということの歯どめをしない限りにおいては改造は不可能である。こういうことでありますから、やはりスタートは小さい。どうもふろしきにしてはばかに小さな、ハンカチのようなということは非常によくわかるのです。あなたの言うとおりに考えておるのですが、ほんとうにハンカチのようなふろしきをもっと大きなふろしきにしていただきたい。これはほんとうに、私はそれ以外に公害問題とか住宅問題とか地価の値上がり問題とかそういう問題に王手飛車の政策はない、これはほんとうにそういう立場から通産省は考えたのでございまして、とにかくこれをほんとうに大きなふろしきにしていただきたい。だからそういうふうに修正していただくならけっこうでございます。
○塩崎委員 田中大臣のふろしきは私もかねてからよく伺っておりますが、ハンカチになってしまったのがどうも通産官僚のせいだというふうに聞こえてならないわけでございます。 そこで、私がいま一つお答えをほしかったのは政府工場ですね。これをなぜ大臣この対象にしないか。私は工場だけでも不満だと思う。経済力の集中排除であるのに、大臣の大ぶろしきの中には入っていないのかどうか。それはどうなんです。
○田中国務大臣 これはもう当然入っております。入っておりますし、これは次々に出てくる問題だと思うのです。これは学園都市をつくるということでやっておりましても、もう四十二年からでございますから、まる五年たってやっとでしょう。だから、大学の問題とか、それから産炭地のときに、なぜ東京のまん中に印刷工場を置かなければいかぬのだ。あなたも専門家でございますが、私もかって大蔵大臣やりましたが、お互いにはっきり申し上げるのは、大阪のどまん中になぜ造幣局を置かなければならぬのか。あんな単純な仕事で、あれをなぜ産炭地へ持っていかないかということは、私はやはり自民党政府としては追及されるべきことだと思うのです。産炭地振興という法律をつくっておきながら、とにかく大阪のどまん中に貨幣工場を置く。だから、そういう意味では、かつて大蔵大臣の職にあった私も、あなたもまた共同の責任があるわけであります。
○塩崎委員 私も責任があるようでございます。 そこで、大臣のそのふろしきの中に、ほんとうに善意であるお気持ちから見ると政府の工場もここへ入れていいのだと言われるなら、なぜ法律に書かない。私は過去の議会政治の沿革から見て、何か政府の行動を縛るのは——法律なくしてやる、政府がかってにきめればいいじゃないかというようなことできておりますが、これはおかしいじゃないかと思うのです。ことに党人政治家といたしまして私のあこがれの的である田中大臣が、なぜ工場再配置法に政府関係の工場を対象として入れない。私は生まれかわらない限り党人政治家になれないので非常に残念であると思うのですが、大臣どうなんです。議会政治を確立するのに、工場はひとつこの法律の対象にして、法律で国民の前に明確にして議会で決定をする。そして工場なら工場として——私は工場だけじゃいかぬと思うのですよ。しかしそれを全般的に見て、民間もこうするが政府もこうするというように、法の前には政府も国民と企業と同じだというふうにしたらいかがですか。
○田中国務大臣 それは第二段、第三段で当然考えなければならぬ問題でありますが、第一段目にすべての方向だけをきめなければいかぬ。今日にして方向さえもきめずんばという気概でこの法律を出しておるのです。しかしこれは、万全なものにするには、いま言うように政府機関とかそういうものもまっ先にやらなければならぬと思うので、それは首都圏の中における住宅地域の中から工場を追い出す。もう増力を禁止をしておりますが、住居専用地区の中においてはモーターを使う工場などは禁止すべきです。そういうものから、地下水のくみ上げの禁止とか、だんだん禁止をしているときに、これだけ公害論争をやっておりながら、受け入れの法律を政府が全然つくっておらない。これでは困るということで、今度は音は出しませんが、黙って受け入れの法律はつくってあるのです。そうしないで、住居地域から全部工場は禁止する、こういうことをいまやる場合、禁止したものはどこへ行くのだという全く政治の責任を果たせない体制になっていることは事実なんです。そうではなく、誘導できるような制度をスタートさせなければいかぬ。そしてこれができれば来年は過密地域における工場は禁止をする。何馬力以上の工場は禁止をするというふうになるわけであります。地下水は掘れない、水の供給はしない、騒音は立てるな、公害は規制をするということになれば出ていくわけなんです。そういうものはやはりこの受け入れの法律を先行させておかないと、そういう規制が行なえないのです。これはあなたが言うように、追い出しも受け入れもむしろ一本の法律ですることが望ましい。ところがそれをあまりやりますと、いろいろな議論が出てきて、この国会では間に合わないようになってしまう。こういうことも考えながら、最小限度出さなければならない責任を果たした、こういうことであります。
○塩崎委員 私の質問にお答えになっていないようなんですが、政府の工場をまっ先に移転するようなことをなぜ法律に書かないか。私は、いままでの法体系から見て官僚政治を助長するような仕組みだ、政府の関係機関なら政府がかってにきめるから、法律の拘束を受けないからここに入れてないという考え方があるのではないか、こういう質問をしたかったのです。それはまたあとで事務当局にお聞きすることにいたしまして、大臣、これはぜひともひとつ考えていただきたい点でございます。 そこで、第二の要素でございますが、経済力という問題、大臣は先ほど橋口委員に対しまして、集積の理由がメリット、デメリットがたくさんある、よってこれを一挙に剥奪するのはむずかしいというお話がございましたが、私はこんなようになってもやはり都市近郊に工場が出てくる。いま大臣御指摘の関東の内陸部、これはたいへんな人口増加で、もはや団地の造成を県が断わるような状況になっておることを考えると、やはり私は集積の最大の原因は、需要あるところに工場あり、こういうふうに思うのです。そこで、いまこの工業再配置の中で、政府の工場ぐらい少なくともその消費地のそばからはずしていく。そしてわが愛媛に持ってきてもらって、愛媛で物をつくるというようなやり方をしていただきたいということをお願いしたいわけでございます。それはひとつ——大臣がお約束していただいたからこれはもう確かだと思っております。できる。これはもうあすからできると私は思いたい。 そこで、私はいま申しましたように、やはり需要が根本的な動機で、企業は私企業自由の原則であるがごとく需要のそばに寄る。そこで、大臣が実力大臣でどうにでもなると思うのですが、たとえば官庁が発注するもの、官庁の下請企業のものでも、私はずいぶん調べてみましたが、東京、大阪の工場に発注している。たとえば具体的な例を申し上げますと、四国であれだけのたばこの生産をしておるが、たばこのケースの印刷は全部東京大阪でやる。なぜ大臣、四国の印刷所でたばこの印刷をやらせないのか。これはしかし、大臣がきょう専売公社の総裁に向かって、四国の松山の工場にひとつ発注しろと言えばすぐできると思うのです。こういった事柄は検討すべきだと思うのですが、なかなか大臣そう言っても、大臣がかわられたら通産省の威令が行なわれない。私はこの法律の中に、大臣、特に田中大臣のときにはそうなんですけれども、各省大臣に指示する力もあり権限もあるような法律を設けて、いまの大臣の御意図をほんとうに実現したらどうなんですか。
○田中国務大臣 それはよくわかるのですし、そういう方向に行かなければならないのですが、本法と具体的な工場の性質とは混淆しませんで、この法律はとにかく基本法であるという考え方でひとつ考えていただきたい。それであとはこの法律が立法化されれば、国の意思はきまるわけでございますし、現実的には過密地帯における国の機関、国の出資に基づく機関、そういうものの工場はできるだけ地方へ移すという付随する法律ができてきます。これはもうそうしなければいけない。それは官需の発注先を中小企業にしぼるためには閣議決定によって毎年目標をきめるのと同じように、そういうものをきめる。そうすれば私も言っておるように紙幣の工場とか、滝野川工場もそのとおりですが、大阪の造幣局もこれはほんとうに北海道でも九州でもいいのです。それで紙幣やたばこはあなたの言うとおりなんです。飛行機で専用機で運べばいいのです。そうすることによって、もっともっと合理的な新しい工場もできるし、そうしてそのまわりには全部社宅も与えることができるのです。そういうことを全然しないのは、過密ということがどこかのよその馬がころんだような気持ちでおるから、政府自体がほんとうにこの過密の中におって、官の工場さえも動かせないということだと思うのですよ。私はそういう意味で、これからは都会の中に存在することによって都民やいろいろな市民に迷惑をかけているというようなものはできるだけ遠くへ、そのためにこそ新幹線九千キロを六十年までにやろう、そうすれば一時間で行かれるなら、何も東京に家をつくらなくてもいいじゃありませんか、宇都宮の先からでも通えるじゃありませんか、そのために新幹線の建設促進をやっておる、そういうことであって、この工場の中に特定な工場の名前、いわゆる予算をもって行なう国立、公立というようなものを動かすということは、それは別に実体法として別なものをいろいろ考えていく。これは農林省でいうと、区画整理法、干拓法というような一般法じゃなくて、あとは特別なものは八郎潟開拓事業団法、それから豊川用水法というようなものでしぼっていって、だんだんとこれに付加していけばりっぱな法体系が完備する、こう理解していただきたいと思います。
○塩崎委員 私は経済力の集中排除、分散をお願いしておるわけで、その一つとして、需要は、もうできる限り遠隔のほうに持っていって供給してまかなうということをお願いしたわけでございます。それを法律の中で明らかにしていただきたい。そうして議会政治で、官僚政治じゃなくて議会政治で、法の前に私どもがひれ伏すようになることをお願いしておるわけであります。 まだたくさんあるのですが、たまたま大臣が私の五倍ぐらいの答弁をされるものですから私の質問がほとんどできなくなりましたが、ただ一つ、財政上の問題について一つだけお伺いいたしたいと思います。 先ほど大臣は、法律で付加税を千五五百億円ばかり取って、この裏打ちの財政援助の柱としたい、こういうお話がありました。私は確かに大臣の構想は賛成なんですけれども、私が考えるとすれば、利益に対する税金というのではなくて、つまり企業が大都市、過密都市におるならばコストが高いのだ、利益の裏の税じゃなくて、コストとして考えるような税の形で財源を取るというほうが、付加税方式よりもはるかに説得力があるのではなかろうか。しかも、単に工場というのではなくて、私は経済力分散の一つとして、従業員まで含めて、外形標準に基づくところの経済力排除税みたいなものをひとつ考えていただいて、特別会計でもつくっていただいて、そうしてこれを引き当てに公債でも起こして、ほんように大きな田中ラッパを打ち出していただきたいと思うのです。そこで私は、いま大臣がみずから自治省の事務所税というお話がございましたが、私は事務所税というものは考えられる方式ではあるけれども、地方税で取ればまた大都市に還元される。つまり大都市においてはコストが高いのだという意識を植えつけさして、また大都市に還元して、大都市のサービスがよくなったんでは田中構想と反する。これはしたがって、地方に還元するような、つまりわが愛媛県のようにまだまだ財源の貧弱なところにひとつ配分するような仕組みを、私は自治省でもかまわない、それを大臣ひとつぜひとも考えていただいて、要するに大きな財政援助を、私の第三の柱でございますが考えていただけるかどうか。来年田中総理大臣のもとでやっていただくように考えておるのですが、御答弁をお願いたしたいと思います。
○田中国務大臣 ことし千五百億程度になる一・七五を特別財源にしたがったんです。しかし、それにはあなたがいま言ったように、そういうものよりもやはり禁止税制、都市における禁止税制で財源を確保して、特別会計にそれを積み立てて、そうしてそれを誘導税制に使う。これは一番合理的です。合理的ですが、都会から税金をとるとすぐ、あなたがいま述べたように、そこへ地方税として還元をするので、まず制度をスタートさしてから合理的なものを考えていかないと、一ぺんではなかなか手間がとれてできないというところがあったんです。それは今度の、私は大蔵省の相当反対を押し切って議員立法したわけですが、ガソリン税を目的税にしたのです。もう一つは、御承知のとおり、一般の自動車の税を鉄道に振り向けるという自動車トン税の発案者であります。そういうことをなぜやりますかというと、その第三は何かというと、いまあなたの言っていることなんです。第三は、税の負担力のあるところから税を取って、誘導税制の財源に使わなければならない道しか残っておらないのですが、それはよほど慎重にやらないとなかなかうまく理想が達成せられない。そういう意味で私は、小さなことですが、いまの地方税の中で発電所税とかそれから電気ガス税とか固定資産税の分配を変えたり、いまある税の総ワクを動かさないでおいて、そういうことを、まあ小手先でございますが、それは支持と理解を求めながら進めないと、政策がどんなにりっぱでも途中で妨害されて日の目を見なければ何にもならないのです。そういう意味で、税はあなたの言うとおりなんです。新しい特別財源が必ずできます。できなければこれは成功しない。ですから、特別会計もことしはスタートをしないけれども、来年は特別会計をスタートさせようという話し合いを大蔵省側としているわけです。大蔵省側には特別会計でもって予算要求をしておるのですから、これはもうちゃんとあなたの言うとおり特別会計と特別財源と禁止税と誘導税、そこへもってきて金融上の優遇措置もあわせて行なっておる。そこへ二十五年の固定資産税の免税、こういうのが原案でございましたから、だんだんこういう審議の過程でいいところに持っていっていただきたい、こういうことでございます。
○塩崎委員 最後に一つお願いでございますが、私は田中イメージからは官僚的——だんだんということばですね、これがないところがいいと思って、どうしてもひとつ勇敢な案を織り込んでいただきたい。いろいろなところの抵抗は私はむしろ別なところに、むしろ官僚の中にあるとすれば、これは残念なことでございますから、ひとつ大臣、大いにこの点を考えていただきたい。と同時に、いまの工場を民間の工場だけに限定している問題、あるいはこれを拡大して官庁や政府の工場まで含める問題、あるいは経済力全般としての事務所あるいは雇用の問題、それからいまの財政措置の問題、これはひとつ法律修正といきたいのですけれども、何らかの形で将来残るようにひとつこの委員会で取り上げていただくことを委員長にお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
○鴨田委員長 樋上君。
○樋上委員 大臣、たいへんお忙しいということでずっと最後までいてもらえませんので、大臣に質問するところだけちょいちょいとかいつまんで御質問いたします。途中になりまして時間が参りましたら自由に行っていただいてけっこうでございますが、私の質問も前質問者に重複する点が多々ある、こう思いますけれども、その点ひとつよろしく御回答願いたいと思います。 最初に、田中通産大臣はこの法案に対して非常に力を入れておられる。よくわかります。この法案の目的とするところ、大臣が一番ここだというところをちょっと簡単に御説明願いたいと思います。
○田中国務大臣 一番むずかしい、一番ポイントの御質問でございますから申し上げますが、明治から百年の間、都市に人口が集中いたしました。その中で、産業が都市に集中をいたしました。いたしました結果、過密の弊害というのが起こってまいったわけでございます。過密の弊害というのは、一つには水が足らない、地価の値上がり、それから住宅の不足、それから都市機能低下によってコストがだんだんとアップしてくるということでございます。もう一つは、これ以上都市に過度に集中をいたしますと、道路や交通をささえていくためにも膨大もない国民的な投資が前提にならなければ都市機能は喪失してしまうということでございます。しかし、いまよりももっと工場生産力というものが上がっていかなければなりません。上がっていかなければ、国民所得そのものも増大をしないわけでございます。国民所得を増大をせしめ、そして公害を除去をし、そして理想的な生活環境を確保し維持するためにはどうするかというと、ただ便利であるということだけで、局限された小さな地域にすべてがひしめき合うというようなことになったらたいへんである。また、特に東京都の防災会議の結論を見ますとおそろしいことが書いてございます。いま関東大震災と同じ規模の地震が東京を襲った場合どうなるか。東京下町のある区の生存可能率は三%以下であろう、下町は全部助からぬということが、現に公の機関で答申をする過程において数字が出ておるわけであります。にもかかわらず、憲法は自由だから集まってくるのは全部集めるべきである、そして昭和六十年には総人口の四〇%を関東地域に集めてもいいんだということは、これは政治が存在しないと言われてもしょうがないと思うのです。だから水を、土地を、労働力をということを前提にしながら考えますと、全国総合開発という新しい考え方をもととして進めなければならないということになります。そうすると東京や大阪や県庁の所在地がこれ以上混乱をするような大きなトラックや大きな荷物や、排煙脱硫をやるにしても公害のもとになるようなものは、これ以上集めないようにしなければいかぬ。集めないだけではない、いまの住宅地域の中にある工場はこれを出さなければならない。特に中小企業や産業人の意識調査をやってみると、いますぐにでも地方へ分散をしたい、政府が誘導政策をやってくれれば直ちににもやりたいという者が過半数以上になっておるわけであります。ですから国全体の経済的な投資効率の面から考えましても、やはり二次産業の分散ということをまず行なわなければ、これからわれわれがいま考えておる安い水、公共料金を上げない、それから公害のない生活、自分の寝ておるところにダンプが飛び込むようなおそれがないというような環境をつくることはできなくなる。だから純経済ベースで考えるものと、もう一つは政治的に要請される面から、二次産業の全国平準化という言い方をしているわけです。これは言い直すと、工業の再配置、先ほど御質問がございましたが、工場の適正配置、私は理想的な姿は、究極は岡田さんが言ったように適正配置だと思うのです。適正配置に行くまでの間の具体的な考え方としては、まずあるものを排除するということにならなければならない。これがこの法律を提案した真の目的であり、理由でございます。
○樋上委員 遠大な御構想を承ってまことに賛意を表するのでありますけれども、それじゃ、その誘導地域を指定するにあたって、そういったものを配分する誘導地域というものにしたその基準をどこに置いて選ばれたかということをお述べいただきたい。
○田中国務大臣 三つくらい考えられておる。それはその府県全体の二次産業比率、二次産業、工業比率というものを六十年までの間で大体同じレベルにしたいということでございます。ちょうどいまどうして沖繩の県民所得を上げるかということと同じ考え方であります。北海道地域の一次産業比率が高い。また長崎県とか佐賀県とか非常に高いのです。高いけれども、このままにしておけば、その人口は全部大阪や阪神や京浜に流れてきてしまって過疎地帯になるわけであります。そういう意味で、まず二次産業比率を六十年度において平準化さそうということ。そこに水があるか、水はいまの三倍も工業用水に使うわけでありますから、水が一体得られるのか。土地があるか、一次産業の総合農政を続けていく限り、余剰労働力が出るわけでありますから、この余剰労働力を他に移さないで済むような状態で、就業場所を与えるということを考えまして逆算をしているわけでございまして、これはまだ理想的な姿でないと思うのです。全く一応の一つの姿である。この中で誘導地域として文句のないところは、産炭地は文句ないと思うのです。これは産炭地でもって炭鉱を閉山したのですから、ここはもう美唄は八万人が四万人になっておる、四万人をこのままにすれば二万人になるのですから、二万人にしないために、これは三菱と一緒になって工場を持っていこう、誘導政策をやることによって、ここは誘導地域の第一号に指定しようというのですから、これは私はだれが考えても異存はないと思うのですが、全国的に見た誘導地域というものは、必ずしも合理的であり、完全理想的であるかというと、まだまだ検討すべきところがたくさんあると思います。
○樋上委員 そこで、そういう点があると思いますけれども、道県のほかに、政令によって近隣の市町村、これを指定することもできるようになっておる、こうなっておるのですが、その場合に公平を欠かないように私は行なわれねばならないと思うのですが、この点はどうなんでしょうか。
○田中国務大臣 公平を欠くということもありますし、公平を欠いてはならないということもございます。同時に、行政区画にそんなにとらわれる必要はないと思うのです。これは、考え方は鉄道、道路、それから舟運、航空というようなものを完備することによって一つの経済圏、通える経済圏というものを理想図としてかこう。これは一つの例を申しますと、人口八十万というと、いまの山梨県が一つの姿でございます。山梨県だと、甲府に工場が存在すれば、山梨県内は全部一日で自分のところから甲府へ出て、自分のところへ夕方帰れるわけです。そして拘束八時間といういまの法規を守って、そして行動できる範囲というものが一つの経済圏だ、こういう考え方でありますし、東京というものが拡大していくと、行政区画として神奈川も千葉も埼玉もあるわけですが、これは東京都が無制限に膨張するために、行政区画を越えて神奈川や埼玉や千葉は迷惑を受けているわけですが、その逆に一つの経済圏というものが形成をされていく、合理的にそのような姿ができるとすれば、行政区画とは別に、不公平論というのはなくなってくると思うのです。全国どこにおっても同じ給料の職場があるということにもなるわけでございます。だから、そうじゃないと、これは例をあげてちょっとあれですが、いまの岩手県、青森県などをそのままにしておきますと、こういう政策を進めないと人口は半分になってしまうということにもなるわけです。しかし、ここは水があり、むつ小川原の適地を持っており、法律さえうまく進めれば、人口は倍にもなるし、県外など出ないで済むわけであります。そういう条件下にありながら、政策的に完備しないために過疎地帯がどんどん出ているというようなことは避けなければならない。これは資源配分のためにも、全く別な考えをしなければならないということを考えながら、誘導地域というのをきめております。
○樋上委員 さらに老婆心のようなことをお伺いするのですけれども、政令要件に該当する市町村は誘導地域から除外されているのですが、その要件を定めるに際して、この人口のみにとらわれず、また工業の集積の程度、面積、都市形成の沿革をよく考慮した上で除外区域がきめられるような処置をとって、そして実態に即応して私は行なうべきであると思うのですが、この点について御所見を承りたい。
○田中国務大臣 それは最も柔軟に対処しなければならぬと思います。これは六十年度で法律でもってきちっと統制をして、二次産業比率を平準化できるわけはありません。これは一つの目標ラインをきめて、そして過度集中による弊害というものをなくしよう。これは実際において関東地方に四千万人集まってもいいのだという人が四、五年前にございました。ほんとうにいいのですか、こう言ったら、どうして悪いのかと言うから、それは昭和六十年度に関東地方が四千万人になるとすると、全関東平野の六二・五%、一世帯五十坪ずつの土地を与えるとして計算をしますと、宅地面積は三千七百平方キロ、数字は間違っておればまたあとから訂正いたしますが、全関東平野の六二・五%を宅地にしなければならない、こういう数字が逆算すると出るわけでありまして、物理的にもそんなことはだめなんです。そうなると、車が昭和六十年にいまの二千万台が三千九百万台ないし四千万台になる、そうすると、二千万台以上の車が関東地方を動くわけでございますので、そうすると、いまの道路の五倍か六倍くらいな道路面積を持たなければ交通は全然動かないということになる。これは物理的に実際だめなんです。何かこう二階にすれば、三階にすれば可能ではないかというように、理想とははるかに遠いことを前提に議論をする方もありますので、そういうものはやはり避けなければいかぬということで、一応の青写真をかいておるのですが、これは固定したものではなく、あなたがいま述べられたように、これは絶えず実情に合うように調整を行なっていくべきでありまして、一ぺん指定されたからそれで永久に指定なんだ、指定から落ちたからこれはもう永久にということではない。これは全くそういうことではなく、この法律の目的を達成するためにこそ、実情に合うように柔軟に運用さるべきだというふうに基本的に考えております。
○樋上委員 大臣の時間がだんだん迫ってきましたので、飛ばしまして、もう一、二問お伺いしたいのですが、この過密地域内の企業は、企業活動を規制する制度としては、現在首都圏、近畿圏の工業等制限法によるいわゆる工場新設の制限や公害防止関係の諸法律による公害規制がありますが、本法律にはまるでそれがない。当初の田中構想では、四十七年度法人税を一・七五%を引き下げる場合、いわゆる過密指定地域の企業においては現在のまま据え置くような考えであったようであるが、一括して引き下げられたようである。この辺の経過は一体どうなんでしょうか。
○田中国務大臣 分散させる場合には、分散を必要とするところは税金を高くすることがいいのです。それで、分散もしないでもだんだんと過密になっていくというような中間地帯は現行法のままがいいわけです。そして誘導地域は税を安くする。三段階にすることが一番望ましいことでございます。だから現行法のままの税は、自然発生にまかしておく地域でございます。北海道のように、また沖繩のように、どうしても工場をやりたいというところは、これは税が低くなければいかぬ、いまよりも減税をする。減税をするところは、今度は過密地帯から増税をしてちゃんとバランスをとる。これが理論的には非常にうまくいくわけですが、東京や大阪というような過密地帯から新税を徴収するということがスタートするのには、景気もよくありませんでしたし、時期がちょっと悪いというような問題もあったわけです。またそれをやるなら、法人税の一・七五はなくしてしまって——これは暫定税率になっておりますから、これは昭和四十年に二%引き下げたわけであります。二%引き下げた法人税率を一・七五、暫定税率として二年間だけまた元に戻したわけであります。もう暫定期間が切れたから、これはもうやめようという議論がありますときに、もともと二%あった税率を下げたんだから、やめるのはおかしい、それなら特定財源として使おう、こう言ったのですが、ことしは財源が少ないので、特定財源としてこれを使うこともむずかしいということで一年間時を見ようということになりましたので、一・七五、千五百億円の金を、税金をまけられないという状態のときに、まける税はまけない、新税は徴収するというのではこれは政治じゃないから、両方とも一年待とう、こういうことになったわけであります。
○樋上委員 固定資産税の減免ですが、移転先の地方公共団体が移転工場について固定資産税を三年間減免することになったわけですが、当初の田中構想では二十五年間ともいわれていたようです。三年間の減免では特色がないのではないかと私は思うのですが、どうでしょう。
○田中国務大臣 全く御説のとおりでございます。こういうのを換骨奪胎というんだろうと思いますが、こんな法律案を提案することは全くじくじたる思いでございます。これは、先ほど申し上げたとおり、補てん財源としてねらっておりました一・七五が特定財源になりませんでしたので、現行法でいう三年というところにしたわけでございます。しかしこれは自治省との間にも、これは審議の過程で十五年くらいに直されるかもしれぬということさえも私は言っておるのでございまして、これはどうしても来年度にも二十五年にしなければいかぬという強い決意を私は持っております。それは、三年などというものはメリットがないのです。イタリアが労働者住宅をつくるときには固定資産税は二十五年免税にするというから政策効果があるのであって、三年などというのは恥ずかしいくらいなことでございますが、どうも今年度の実情真にやむを得ずということでございますので、ここらはひとつ国会の御見識で御決定のほどをお願いいたします。
○樋上委員 誘導地域を優遇するというような特別なことをすべきではないか、こう要望しておきます。 あと一分でございますので、最後に一問でございますが、田中構想のニューコミュニティーについてお伺いしたいが、全国で何カ所くらい計画しておるのですか。また何年くらいの目標で行なうのか。このニューコミュニティーにおける中核団地の位置づけ、関連はどうなっているのか。また公団法の第九条に基づく中核団地についてお伺いしたいのですが、全国で何カ所、規模はどのくらいの最終目標を持っていらっしゃるのか。現在候補地としてどこを考えていらっしゃるのか。その所要資金は最終はどのくらい考えていらっしゃるのかということをお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
○田中国務大臣 これはこれから積算しなければならない問題でございますし、各府県の状態、水の状態、それから各都道府県の実情、希望、それから誘致をしたい事業の内容、こういうものによってみな違ってまいりますが、中核都市として考えられるのは一県に一つ、五十カ所くらいはどうしても考えなければいけないというような感じでございました。しかし二十五万というのは一つの逆算数字でございまして、これは二十万でいいのか、十五万しかできない場合もございます。これは背後地との関係によって、また事業の内容によって変わってくるわけでございますが、一県に一つくらは考えられる。 それからもう一つの拠点というのは、これも一県に一つということも考えられますが、これは人口七、八十万、さっきちょっと申し上げた山梨県に一つくらいというのは、拠点に対して交通網さえ整備すれば、全部自分のうちから通ってこれる。自然の中に生まれ育ち、そこから職場に通えるということが一つの理想図でございますので、選挙区の数とすると百二十五あるわけでありますが、百二十五が一体適当なのか、七十五が適当なのかという問題は、これから十分各県、各地方——谷とか、どうしても通えないところもあります。そういう地形、地勢上の制約もあります。水系別の制約もあります。港や河口のために規模が自然と大きくなるというところもございます。そういう意味で画一、一律的にはまいらないと思いますが、大ざっぱに言うと、いま申し上げたようなことを基本にして、これから計算をしていくということだと思います。
○樋上委員 あとお伺いするのですが、先ほど大臣に、政令要件に該当する市町村は誘導地域から除外されていくが、その要件を定めるに際しては人口のみにとらわれてはならない、工業集積面積、都市形成の沿革をよく考えた上で除外区域が定められるような措置をとって、実態に即応して行なうべきではないか、こういう点についてはどう考えていらっしゃるかというところまでお伺いして、さてその続きをお伺いするのですが、移動する企業として全く心配なことは、移動した場合、はたして現在の労働力を確保することができるかどうか、いわゆる誘導地域における雇用対策。あるいは労働力を確保できたとしても、その施設はどうか、それらに対する職業訓練等いろいろなことがあると思うのですが、これらに対してはどのような対策を持っていらっしゃるか。 〔委員長退席、小宮山委員長代理着席〕
○本田政府委員 お答えいたします。 御案内のとおり、誘導地域におきましては、総体的には労働力の需給が緩和されておる地域でございますので、また農村が多い関係から、農村労働力を工業労働力に転用するということも期待できるわけでございますので、労働力確保については比較的問題が少なかろうというふうに考えるわけでございます。しかしながら福利厚生施設等の労働環境が十分整備されない可能性もございますので、今回の措置といたしまして、移転企業に対しましては工業再配置促進補助金を交付することにいたしまして、そしてこれを福利厚生施設あるいは環境施設の整備に使途を指定して使わせるということで、労働環境の整備をはかりたいというふうに考えております。 また移転計画の認定の申請がございました際には労働省のほうに連絡をいたしまして、移転先での労働力の確保について労働省の御協力をお願いするという体制を整えることにいたしておるわけでございます。
○樋上委員 移動したくても、あまりにも規模が小さ過ぎる中小零細企業の場合に対してどのような対策を立てられておるか。いわゆる大企業だったらそれは労働力確保という点もあまり心配はなかろう、こう思うのですけれども、はたして零細企業の移動、こういうことに対してどういう対策をお考えになっておるか。
○本田政府委員 工場の移転あるいは誘導地域におきます企業の工場の新増設等につきましては、大企業も中小企業についても同様に考えてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。しかし、御指摘のように中小企業が遠隔地に移転するということにつきましては、取引先の確保あるいは資金力等の点で大企業に比べまして一そう困難な点があろうかと存じます。しかしながら、最近では中小企業の場合におきましても集団的に移転するという動きも出てまいっておりますし、あるいは大企業の移転に伴いまして関連中小企業として移転するということも起こってまいっておりますので、これらにつきましては中小企業の施策を通じまして恩典が受けられるように十分配慮いたしたいというふうに存ずるわけでございます。なお、中小企業につきましては誘導地域以外のいわゆる中間地帯へ移転することもあるわけでございますが、これらにつきましては中小企業振興事業団の団地造成あるいは中小公庫の特別ワクによる融資等がございまして、中小企業の移転の促進の一つの助成の効果をあげる方法もあるわけでございます
○樋上委員 その助成の方法、いろいろな点についてよほど考慮し対策を練ってもらわなければ、ただ単なる構想だけ、理想論だけでは何にもならぬと私は思うのです。この点十分綿密な対策のもとにやっていかなければならぬ、こう思います。この点を十分考慮していただきたいと思います。 また、移転促進地域について今度お伺いするのですけれども、移転促進地域の設定基準は一体どうなっているのかということ、何地域を指定するのですか、その点をお伺いするのです。
○本田政府委員 移転促進地域につきましては、大都市及びその周辺の地域で、しかも工業の集積が著しく高いことによりまして工場の移転をはかることが必要だという地域というふうな内容で政令で定めるということに相なっておりますが、具体的にはさしあたり首都圏の既成市街地それから近畿圏の既成都市区域が当面これに該当するというふうに考えております。
○樋上委員 そうしますと、この対象地域以外の過密対策及び防止対策は一体どう考えていらっしゃるのですか。
○本田政府委員 いま申し上げました地域のさらにその外側の地域についてはどうかということであろうと思いますし、その他のかなり工業の集積のしている地域についてどうか、こういうことであろうと存じます。この点につきましては、実は先ほどの大臣が答弁申し上げました付加税の賦課ということを考えました際に、その周辺地域について新増設をする場合には付加税を課するということによりまして抑制するということを考慮したわけでございますが、先ほど御答弁がありましたような事情で一年見送りになったわけでございますので、本年はその点についての措置をいたしておりませんが、引き続き検討するということによりまして御指摘のような問題点の解決をはかりたいというふうに考えておる次第でございます。
○樋上委員 それじゃ工場移転にかかわるいわゆる労働保障はどのように考えていらっしゃるのですか。
○本田政府委員 お答えいたします。 誘導地域へ企業が工場を移転する場合には、できるだけ労働者の方々には移転地へ移動してもらうということを原則的に考えたい。そのために誘導地域に工場を建設するにあたりましては、住居地域と工場地域とを分離しました住宅地域というものの建設も考慮しまして、労務者用住宅の確保をはかることを考えたいということを考えております。ただ、事情によりまして移転が困難だという方も出てくると存じますが、これらにつきましては現在労働省のほうでいろいろの各種法律によりまして職業訓練その他による職業の転換といいますか、これらにつきましての諸方策が講ぜられておりますが、これらを適用してまいりまして新たなる職場をあっせんするということを考えにるわけでございますが、労働省のほうのお考えにおきましては、移転促進地域におきます労働需給の最近の状況からいきますと、これらの諸施策を講ずれば新しい職場のあっせんは十分可能であるというふうに見ておるわけでございます。
○樋上委員 本法律案の目的として、いわゆる過度に工業が集積している地域から工業集積の低い地域へ工場を移転し、国土の均衡ある発展と国民の福祉の向上に資する、こうありますね。移転する企業にとってみると、よほどの優遇処置を講じない限り移動するということはむずかしいんじゃないか、こういう点を私は考えておるのですが、この優遇処置ということについてはどうお考えになっていますか。
○本田政府委員 お答えいたします。 税制、金融の面で、さらに財政補助の面で優遇をすることを本法律案におきまして考えておる次第でございます。 税制につきましては、企業が誘導地域へ移転するにつきましては、相当の期間を計画いたしまして移転を完了するということになろうと思いますので、移転に伴って廃棄すべき資産につきましては加速償却の制度を導入することになっております。 それから移転しました先での税制といたしましては、先ほど御指摘がございました固定資産税の減免の措置を考えておるわけでございます。 それから補助金といたしましては、移転する場合には移転先の地方公共団体と移転する企業に対しまして補助金を交付するということによりまして、しかもこれらの用途としましては環境の整備あるいは福利厚生施設の整備という用途を指定しまして、移転に伴う環境問題、公害防止問題の解決に資したい、こういうふうに存じます。 それから移転に伴いまして、従来の制度で問題になっておりましたあと地の処理につきまして、提案しております新しい公団によりましてあと地につきまして八割を考えておりますが、試価額の八割を融資いたしまして、三年間たちましても処分ができない場合には公団で買い取るということにいたしております。 また誘導地域におきまして、地方公共団体が団地を造成する場合には、利子補給金を交付いたしまして、できるだけ低廉な団地の造成をはかるということにいたしまして、これらの新しい優遇措置によりまして、誘導地域に移転することが御指摘のようなコスト高にならないように、資金的に行き詰まらないように配慮をいたしておる次第でございます。
○樋上委員 この法律の目的を遂行するためにも、企業が都市に立地していることによって受ける集積の利益を何らかの形で国や地方公共団体に還元させる処置、たとえば公共施設、道路、鉄道、下水道等、この利用負担金の徴収等について私は考える必要があろうと思うのです。この点はどうでしょうか。
○本田政府委員 この点につきましては、先ほど大臣から答弁いたしましたように、出ていくことにつきまして、一応法人税の付加税ということによって移転を促進する効果をねらったわけでございますが、これは宿題として来年度以降に残っておるわけでございまして、引き続き検討いたしたいと思います。 それからもう一点は、集積の利益が誘導地域においても利益を受けられる状態になることが必要であろうと思います。そのことが移転を促進する有力な手段であろうと思いますので、それらにつきましては、十条で「国及び地方公共団体は、誘導地域において道路、通信運輸施設、厚生施設、教育施設、職業訓練施設その他の施設の整備の促進に努めなければならない。」ということで、誘導地域におきます各種の社会資本というものをできるだけ早く整備いたしまして、受け入れ側の体制を整備するようにいたしたいということを十条で規定いたしておるわけでございます。
○樋上委員 この移転促進地域から今度は新立地を求めて移転するに際して、交通また労働力等の状況その他の便宜の面から、過密都市に比較的近い周辺地区に集中する傾向が強くなってくるのじゃなかろうか。そこで再び同様の過密都市が起こることがあればどうなるか。したがってまた、この移転促進地域でもなく誘導地域でもない地区への工業立地については何らかの調整措置が必要であると思うのですが、この点はいかがでございましょう。
○本田政府委員 お答えいたします。御指摘のように、首都圏におきます工場の制限に伴いまして、周辺地区に工場が移ったという点を御指摘いただいておるのだと存じますが、この点につきましては、先ほども申し上げましたように、その周辺地区への移転ではなくて日本の外周部への移転を促進したいというのがこの法律のねらいでございまして、そのために周辺部への移転につきましては、やはり税制による抑制というものを考えたわけでございますが、これが今回の税制の改正では実現しなかったということで宿題になっておるわけでございますが、一面各種施設の整備によりまして、地価も安く、労働力の確保も容易な誘導地域の社会資本整備を行なうことによりまして、誘導効果をあげてまいるということによりまして、一足飛びに誘導地域のほうに移転を促進したいということで、それらの関連施設の整備を大いに進めたいという考えでおるわけでございますが、御指摘の問題点はわれわれも問題意識として持っておりまして、引き続き検討さしていただきたいというふうに考えております。
○樋上委員 これなんか重要な課題として考慮してもらわなければ、こういう傾向が起こらないとも限らない、こう思います。起こってからその処置をどろなわ式にやっていたのでは、これは所期の目的を達しない、こう思いますので、いま申し上げているのでございまして、この点は私も非常に心配しておる点でございます。重要な課題として取り上げていただきたい、要望しておきます。 それから産炭地域及び農村工業導入地域へのいわゆる工業立地の場合、誘導地域の中でも産炭地域及び農村工業導入地域は特別の工業導入、企業誘致がはかられているのでありますから、この地域への工業立地については特別優先的な配慮をすべきではないか、こう思うのですが、いかがでございましょう。
○本田政府委員 御指摘のように産炭地域並びに農村工業導入のための工業導入地区につきましては、特に法律でこれらの地域への導入を推進することを規定いたしておるわけでございます。ただ、この法律はマクロ的に企業を日本の外周部に立地することを推進するということでございますが、むしろいわばピッチャーの役をやっておるわけでございまして、産炭地域振興法あるいは農村地域工業導入法は、工業、企業を受け入れるサイドの整備をはかって、そうして適正な地域、団地等に企業の受け入れを行なうための整備を行なうことを規定しておるわけで、キャッチャーの役目をいたしているわけでございますので、この両法律がそれぞれのねらいを生かしまして、企業の移転あるいは新規立地の推進と、それを受けるサイドの産炭地域あるいは工業導入地区としての役割りを十分考慮しまして、御指摘のように産炭地あるいは工業導入地区に工業立地が推進されるようにいたしたいと思います。特に農工法の関連では、われわれといしましては、それらの地区への企業の進出につきましては認定制度がございますので、認定にあたりまして農工法との関連で、企業を受け入れる地区につきましては、当該地区であるということを認定の要件にいたしたいということで、工業導入地区への企業の進出といいますか、移転を促進してまいりたいというふうに考えております。
○樋上委員 この特別誘導も、優先的にこれは配慮すべきだということも私は重要なことだと思います。 さらにお伺いするのですが、工業再配置促進補助金、このことについてお伺いいたします。 移転促進地域からこの誘導地域に移転した工場については、いわゆる工場床面積平方メートル当たり企業に対して五千円、地方公共団体に対して五千円を交付することになっておりますが、その使途としては「環境保全施設、福祉施設の建設費に限る。」とありますが、もう少し明確にこの点を説明していただきたいのです。
○本田政府委員 移転促進地域から誘導地域へ移転する企業に対しまして、御指摘のとおり地方公共団体に対して床面積平方メートル当たり五千円、企業に対ても同額を補助金として交付するということにいたしておりますが、これを環境整備あるいは福利厚生施設の建設整備費にのみ充当するということにいたしておりますのは、移転企業といたしましては、やはり資金その他の関係から各種の資金的な必要がございましょうけれども、移転してまいる以上は地域住氏に対て十分快適な工場環境を整備して、そして企業活動に入ることが必要であろうと思います。先ほど御指摘のありましたように、労務者の確保につきましても、福利厚生施設の整備を十分しておくことが必要であろうと思いますので、企業に対してはそうした環境整備あるいは福利厚生施設に補助金を使うことに限定をいたしておるわけでございます。これは、企業移転が地域との関係で十分地元から歓迎を受けられるような状態を実現するために用途を指定した、こういうことでございます。
○樋上委員 極端なことかもしれませんが、公害の補償などには使用しないでしょうな。
○本田政府委員 公害施設の整備あるいは公害の補償等には使ってはならないということになっております。
○樋上委員 移転促進地域の中での工場において、つまり、たとえば現在移転する工場が百坪あったとする。その場合、誘導地域に移動して三百坪の工場を建設した場合、この二百坪に対ても補助金が出るのかどうか、この点いかがですか。
○本田政府委員 お尋ねの例でいいますと、百坪の中小企業の工場があって三百坪の工場を建設した、その際何坪が補助金の対象になるかということだろうと存じますが、百坪が移転の対象であって、二百坪は新増設の対象であるというふうに御理解をいただきたいと存じます。補助金といたしましては、百坪について企業に補助金が出まして、三百坪について地方公共団体に補助金が出る、こういうことに相なります。
○樋上委員 移転促進地域に指定されていない地域から誘導地域に工場を新増設した工場に対して、これは範囲を限定するのですけれども、工場面積平方メートル当たり地元市町村に対し五千円を交付するとありますが、このことについて具体的な説明をしていただきたいと思うのですが、この点通産省と大蔵省側からひとつ御答弁願いたいと思うのです。
○田中(芳)政府委員 誘導地域におきます企業の新増設につきましての補助金の交付でございますが、現在細目につきましてなお検討はいたしておりますけれども、たとえば地場におきます企業の増設あるいは新設等の形まで当該市町村に補助金を交付するという形よりは、むしろ大企業が移転した、それに伴って中小企業が新たに工場を新設したというような形のものに対して、できるだけこういうものは援助していくという趣旨も貫きたいということで、すべての新増設という形ではなくて、そういう誘導地域におきます一つの方向づけのある新増設について地元市町村に積極的に援助をしてまいりたい、このように考えて規定をつくりたいということで検討してくるわけでございます。
○樋上委員 もう一問お伺いするのですけれども、移転する企業において、たとえば本社が移転促進地域にあって工場が地域内にない場合、補助金はどうするのですか。
○本田政府委員 お答えいたします。 これは工場の移転を考えておりますので、本社が移転促進地域にあって工場がない場合には移転とは取り扱われないということに相なります。
○樋上委員 こんなことじゃ質問できない。集めてもらいたい。
○小宮山委員長代理 しばらく速記をとめてください。 〔速記中止〕
○小宮山委員長代理 速記を始めて。
○樋上委員 先ほど質問いたしました大蔵省のほうの答弁を……。
○徳田説明員 お答えいたします。 先ほど御質問のございました工業再配置促進費補助金の実施の細目につきましては、先ほど通産省からその大綱について説明があったとおりでございますが、ただこの実施の細目につきましては、御存じのとおり財政法三十四条の二に基づきます実施計画を通じてきめることになっておりまして、これは十月から適用になりますものでございますから、まだこの実施計画の提出を見ていないわけでございます。したがいまして、細目につきましてはさらにこれから詰める、こういうことになっておるわけでございます。
○樋上委員 何も五千円ずつを配分しなくても、一万円を市町村に出すべきでないか、こう思うのですが、どうでしょう、その点は。
○本田政府委員 お答えいたします。 企業につきましては、誘導地域へ移転するにつきましてかなり負担も大きくなることでございますので、先ほども御説明申し上げましたように、中間の白地地帯を越えて移転していくことにつきましてインセンティブが必要であろうと存ずるわけでございます。先ほど申し上げましたような固定資産税の問題等につきましては、他の例にならいまして三年ということでございまして、特に厚い税制上の優遇措置が講ぜられなかったということもございますので、今後、先ほど大臣から答弁いたしましたように、これらについてはさらに検討することになっておりますが、これらの検討の際に考慮するということにさしていただきたいと存じます。現在の時点におきましては、インセンティブの効果ということを必要とする状況を御理解いただきまして、われわれといたしましてはやはり企業に対して同額のものを補助金として出すことが必要であろうというふうに考えているわけでございます。
○樋上委員 誘導地域に工場を新設するのは大体大企業であり、また大企業に対する恩典が非常に多いように思うのですが、この点はいかがですか。
○本田政府委員 工場移転の必要だという状況からまいりますと、大企業であれ中小企業であれ、ここで移転を進めていくことが必要であろうと思います。その意味で、大企業を特に考えるということは考えておらないわけでございますが、先ほど申し上げましたように、中小企業の場合には大企業よりも移転についていろいろむずかしい事情があろうと思いますので、これらについては特に配慮を要するというふうに考えておるわけでございまして、われわれとしては大企業を特に優遇するという意図がないということを御理解いただきたいと存じます。
○樋上委員 移転計画の認定でありますが、その認定基準を述べていただきたいのです。
○本田政府委員 お答えいたします。 認定につきましては政令で定めるということに相なっておりますが、一応政令で定める際に考えられる事項といたしましては、移転促進地域にある工場の製造の事業の全部または相当部分が、設備を撤去のることによって廃止するということが一つ必要であると思います。 それから、誘導地域において新設または増設した工場で、製造の事業を開始または拡大するということが必要であろうと思います。そして旧工場の事業の廃止と新工場の事業の開始との間に、一定の期間内で行なうということが必要であろうと思います。 それから新工場の新設あるいは増設が農村地域工業導入促進法の農村地域であります場合には、その地点が特定の場合を除きまして、その法律の工業導入地区にあると計画的に企業導入できるような特定の地域を定めることになっておりますので、この地域にあるということが必要であると思います。 それから旧工場の事業の廃止にかかりますあと地あるいは建物が、再び工業の用に供せられないということが必要であろうと思います。 それから旧工場の事業の廃止に伴う労働者の移転できない場合の失業という問題が生じますが、この問題について雇用問題として大きな問題にならないということが必要であろうと思います。 それから新工場の新設または増設が地元との融和、調和という点で問題がないということが必要であろうと思いますので、これらの諸事項を一応認定の要件として政令で定める際に考慮いたしたいと思います。特に新工場が新増設されます場合の地元との調和の問題につきましては、われわれといたしましては認定を行なう際には計画書に添付しまして知事の意見書というものをつけてもらうということによりまして、地元との関係をはっきり確認できるようにいたしたいというふうに存じます。
○樋上委員 いまお話の出ましたこの移転先道府県知事の意見書の添付を義務づけるとあるのですが、これはどのようなことをいわれておるのか、この点もう少し詳しく……。
○本田政府委員 移転計画につきまして誘導地域の道県の知事がこれに対して同意するあるいは同意できないという旨の意見書を付してもらうということでございます。認定の際に同意の意見書があれば認定するということにいたしたいということでございます。
○樋上委員 今後それについて考えられることは、過密地域から移転する企業の場合、いわゆる公害の規制、地元の住民パワーの圧力などで公害規制によってやむなく移転する工場が増加してくると思うのですが、移転促進地域から追われて誘導地域からも拒否された場合などを考えると、この点はどういうぐあいに考えられますか。
○本田政府委員 お答えいたします。 工場の移転が行なわれるといたしましても、やはり公害を防止する体制を十分整備せずに公害をまき散らすという形で移転するわけにはまいらないと思いますし、その点につきましては、ただいま申し上げましたように知事の意見書によりましてそれらの点についての判断もしてもらうつもりでおりますが、この法律自身も、一条の目的で、環境の保全に配意しつつというふうにその趣旨をうたっておりますし、工業再配置計画につきましても環境保全に関する基本的方針を定めるというふうにいたしまして、公害の地方分散を行なうようなことのないようにいたすことを考えておるわけでございます。そこで御指摘のように、移転促進地域でも公害問題で移転を必要とするという状況で、しかも誘導地域ではそれができないということにつきましては、やはり公害防止上の対策が十分できていないか、対策ができてなお理解を得ていないかということであろうと思いますので、もし対策ができていない場合には、当然その対策を十分整備すべきだと思いますし、対策は十分整備されておるけれどもなかなか理解が得られないという際には、地元に対しまして十分説明をして理解を得た上で出ていくということにいたすべきであろうというふうに考えるわけでございます。
○樋上委員 最後に政務次官にお伺いするのですけれども、明らかに公害企業であると一般に考えられている企業の移転の場合、いわゆる近隣市町村の住民とのコンセンサスを私は十分にはかるべきであると思うのですが、この点はどうお考えになりますか。
○稻村(佐)政府委員 御指摘の点につきましては、これは午前中からいろいろ御意見がありましたように、公害を分散をするのじゃないかという御意見は当然あると思いますが、大臣もお答えいたしましたように、この点については十分配慮いたしまして、公害分散というのでなく、全く公害を抜きまして、地域住民の福祉向上のために役立つように当然努力しなければならぬ、こういうふうに考えております。
○樋上委員 終わります。
○小宮山委員長代理 伊藤君。
○伊藤(卯)委員 この工業再配置で非常に関係が深く起こってくると思います公害の問題をまず第一にお伺いします。 どうしてもこの公害の問題というのはやはり大きな国策として取り上げなければ解決のめどはついてこないのです。そこで国立公害研究というような権威あるものを設美するということが私一番重要な問題じゃないかと思うのです。国民が信頼できる権威を持った機構とするようなもの——当然、企業を興す場合にどういう原料を使ってどういう製品をつくるかという場合に、よって起こる公害の原因というのは、もう今日大体見当がつくわけです。そこで通産省としては、この工場を設立して施業許可をする場合に、公害防止のでき得る十分な設備装美ができておるかどうかということ等、十分点検をする必要があるのです。そこでこの公害の問題については、通産省が公害防止あるいは管理、監督、指導というか、そういうことを当然やらなければならぬのでありますから、したがって、そういう設備装置を十分していなければ施業許可を許さぬというぐらいの強硬処置をとられる必要があると私は思うのです。ところが今日政府ではほとんどそういうこと、特に通産省の場合責任をもってやらなければならなぬのだが、ほとんどこれはやられていないと極言してもいいと思う。したがって、この問題を解決をしておかないと、新しい地域に工業を移転する場合においても問題が起こってくる。だから、私はその点から、いま申しておりますような権威のある国立公害研究所を設美するということについて、これは大臣が相当決意をしてやればできることだと思います。たとえば、大工業地帯にいろいろ公害問題が起こっておる。ところが、その公害は、防止のできることを防止していないのです。たとえば、工場で使った悪水をそのまま川や海に放出しておる。これは、水槽をつくって何段階かでこれをこしていけば、当然ある程度の防止はできるのだけれども、そんなことをやっている工場はほとんどありません。それから、たとえば下水などの水も、そのまま流せばこれはやはり悪水としていろいろの問題が起こってきます。ところが、これを浄化すれば、工業用水として還元してりっぱな水資源として使えるということも明らかになっている。したがって、いま伺っておるこの国立公害研究所こそは、今後の日本の近代的な工業、複雑な工業を維持していくためにぜひ必要であると私は思うが、大臣、この点いかがですか。
○田中国務大臣 公害のない工業を発展せしめなければならないことは申すまでもありません。 この公害の排除ということについて、いま国立公害研究所のようなものをつくったらどうかということでございますが、まだそこまでは考えがまとまっておりません。公害防除ということに対して環境庁が設置されたわけでございますし、現時点においては、大気汚染防止法とか水質汚濁防止法というような法律に基づいて、府県が取り締まりを行なっておるわけでございます。 しかし、私が申し上げておりますように、これからいろいろな問題が起こりますので、新しい工場法というようなものが必要ではないかということは研究課題でございます。これは、戦前は工場法がございましたが、戦前の工場法というのは、申すまでもなく、いまは労働省へ移管されたような事項が主でございました。作業場の危害予防というようなものが主点でございましたが、やはり大気汚染防止法や水質汚濁防止法というような面だけではなく、電気事業法というようなものと同じような工場法というものが必要である、そのためにどういうふうにして立法するのかという問題はやはり検討しなければならないだろう。私は、去年通産省へ参りましてから、通商産業省が工場法を持っていないのはおかしいぞということから、いま話題を提供し、お互いが勉強しておるのでございます。 そういう意味で、工場法の必要性ということに対して勉強しなければいけないだろうということでございまして、いますぐ国立公害研究所というものが一体できるのか、必要なのか。そういうものよりも、やはり新しい製品というものを実用化する場合の試験とか、それから新しい製品が海外から入ってまいります。PCBのようにしてさっと入ってくる。高性能のものというのは必ず何か反作用があるわけです。だから、国際的にも共通な研究課題として研究できるような、情報交換できるようなシステムが何か必要でないかということは、十分考えられるわけでございます。
○伊藤(卯)委員 私の与えられた時間は四十分でございますから、その範囲内で質問をあげていきたいと思っております。 法案にも一番取り上げられておりますのは、何か太平洋地域に非常に密集してきたので、したがってこれを分散しなければならぬということが大きなねらいになっておるようです。ところが、この太平洋地域が大工場地帯になったということは、やはりそれに応じた地域的な、港として海岸地区として恵まれたものがあるわけなんです。御存じのように、日本には鉱業資源がない。あるのはセメント原料の石灰石ぐらいなものです。あと近代工業の原料というのは、あるいはカナダとかアメリカとか豪州とか、その他東南アジア地区あるいはアフリカ地区と、ほとんど海外から入れておる。したがって、その原料を輸入してつくった製品は、原料輸出国向けにほとんど大部分を出しておる。そういうところから、この太平洋地域の日本の近代工業というのが無限大に拡大をしてきておるわけです。これはやはり、日本の工業が経済性の上に成り立つという有利な条件がこの太平洋地域にあるからです。 でありますから、そういう点をやはり十分考えて、この誘導地域に新しく工業を移していくということについてもそういうことを十分考えないと、政府でどんなにこれを誘導し指示しても、経済性が伴わなければ行かないと思うのです。だから、そういう点からも十分検討されてあるかどうかということ等ちょっと不安な点がありますから、そういう点についてひとつ意見を聞かしてもらいたい。
○田中国務大臣 太平洋ベルト地帯に工業が集中したというのはそれなりの理由があるということは御指摘のとおりでございます。集中のメリットがあったからでございます。これは原材料の搬入と製品の搬出だけではなく、やはり東京、大阪、京都というような、長い歴史の上から見ましても政治の中心地であり、文化の中心地であり、ひいては産業の中心地になった。そのためには生産地と消費地が同一である、直結をしておるという経済上のメリットがあることでございますから、これは当然なことでございます。ただ、それを是認しておると、先ほど申し上げましたように八割五分も集まってしまって、それはもう成長のメリットというものは全部減殺されるというか相殺されてしまって、それでもなお足らなくなって生活環境が全く維持されないということになる。 先ほども申し上げたように、いま関東地方に関東大震災と同じ規模の地震が起これば東京の下町は全滅するという、答申の前段におけるレポートが明らかになっておるわけであります。何十万人というものでなくて、百万単位の人命の安全が保障されないということを知っておりながら、それを全然排除しないということは。政策がない、政治がないということになるわけでございますから、そういうことでは困る。そこの上に、いまある公害の問題、地価の問題、水が不足をする、住宅は幾ら建てても間に合わないということになるわけでありますので、そういう意味で、やはり政策的に誘導を行なう。ある場合においては、過密地帯においては禁止政策もあわせ行なう。これはやむを得ない措置だ。太政官布告で、北海道に政策を行なうために、九十年間で約三万人台だったものが五百二十万人になったということ、これはりっぱな政策の結果だと私は思います。しかも世界じゅうを見ますと日本は逆であります。これだけ一つ申し上げておきたいのですが、あたたかい地域、水のある地域、一次産品地帯というものは工業地帯にしないのが世界的な傾向なんです。アメリカでも一次産品地帯というのは南部諸州であって、日本の北海道よりもはるか北の五大湖周辺が工業地帯であって、これは百四十の国の中で、主要工業十カ国、それにもう十カ国加えた二十カ国は、すべてが北半球にあるということを考えてみても、ほんとうは北海道で米をつくるのじゃなくて、東北、北海道は工業の基地となるべきだった、こういうことなんですが、自然発生を是認して政策誘導しなかったところに、今日のような状態が起こったんだとも言い得るわけでございます。そういう意味で、やはり私は長期的な将来を展望すると、工業、二次産業比率の平準化、いわゆる政策誘導によって全国的な工業立地を求めて、均衡のとれた発展ということを推進せざるを得ない。これは水と土地と労働力の総合的な活用を考えてみてもこれ以外に方法はない、こういう結論に達しておるわけでございます。
○伊藤(卯)委員 いまからでもおそくないということばがありますが、今度出されてある工業再配置の問題は、これはそのよろしきを得るなら、一つの国策として価値がある、私はこう思っておるのです。というのは、現在、この密集地帯であります工業は、その大部分が老朽化していると極言してもいいのです。というのは、たとえば工場をつくった当時は、海岸線も自分のところで使用ができた、あるいは運河も使用ができた。そこに出入りする船はまあ一万トンからせいぜい二万トンといえば相当大きな船だとされておった。ところが、今日では船の場合を見ますと、もう十万トン、二十万トンの専用船が使われなければ内外の競争にうちかてないという状態が出てきておるのです。それで、その当時は非常に近代的な工場であったのだけれども、いまそれが老朽化してきておるという結果になっておるのは、申し上げるように近代工業が非常に変化が激しく、生成発展してきていますから、したがって、密集してくるに従って近代化ができないようにだんだん追い詰められてきてしまっておるところに、工場が老朽化してきておるのです。だから、そういう点をやはり認めなければならぬのです。そういう上に立ってこの再配置の問題というものを考えていくということは、やはり過去のそういうこと、たとえば二十年、三十年前は非常に優秀な近代工業であったけれども、現在はそれは老朽化しておる、その老朽化は何によって起こってきたか、そういうこともやはり十分検討の上に立って再配置の問題は考えないといかぬと私は思います。したがって、今後発展してくるものは、ほとんどやはり原料を外国から入れ、それから近代化学工業、そういうものがますます成長発展してくるわけですから、したがって、そういうものを十分予期して、この誘導地域に工業を伸ばしていくということは、そういう古い状態を見詰めて、そしてさらに誘導地域に近代工業をつくっていくということを考えないと、建設に成功していかないのじゃないかということ等、真剣に考えられるのですが、そういう点をも十分検討の上に立っておやりになっておるかどうか、そういう点、ひとつ大臣の所見を聞かしてください。
○田中国務大臣 いま御指摘になったところ、一つのポイントでございます。ちょうど百年たって工場の施設はスクラップ化しつつある。これはちょうど新しいものに切りかえなければならないという一つの段階を迎えております。もう一つは、相当程度の公害防除の投資を必要とする、こういうことであります。これをいまのところでもって、それだけの投資を行ない、新しい設備を行なって、一体、これから年率七%ないし一〇%というような伸び方ができるのかどうか。これは七%から七・五%でもって進めても、十五年というと三倍以上になるわけであります。一〇%でもってコンスタントに十五年というと四倍になるわけです。一体、全国平均がその四倍になるときは、東京、大阪、名古屋などというものはその倍になるということになると、八倍になるわけであります。一体いまの八倍の投資が、既存の都市というものを基地として投資が可能かどうかということを考えると、どうしてもやはり工業拠点は拡大しなければなりません。そこで、新幹線、高速道路の建設、それから港湾の整備、工業用水の整備、こういう問題にあわせて質のいい労働力ということを考えますと、やはりいままでの百年間の基地がそのまま基地として何倍かには拡大されない、こういうことでございます。明治初年に大阪を中心にしておった工業が東京を中心になり、それから名古屋になり、福岡が中心になってき、だんだんだんだんと拡大をせられてきたことと同じことだと私は思うのです。太平洋ベルト地帯に百年間投資をしたメリットが企業の集中ということに求心力になったわけでありますが、これからは、やはり政府や地方公共団体が先行投資を行ない、条件をそろえてやることによって、新しい工業の基地として大都市に集中するよりも、より大きなメリットを産業自体も得られるし、国民自体も成長のメリットを受け得るということで、新しい基地というものを造成してまいろうということでございます。ですから、いま一応の青写真はございますが、地域的な問題として相当厳密に組み立ててまいらなければならぬと思います。特に私が申し上げるのは、鹿島とかそれから水島とか、それから三重県の四日市とか大分湾とか、いろいろなものが集中的に行なわれましたが、これは必ずしも私は理想的なものではなかったと思います。そういう意味で、これからこの法律によう分散される工業の基地というものは、ほんとうにだれが考えても理想的なものだったといえるような、経済的にもメリットを追求できるような姿で施策を先行させるということを考えておるわけでございます。
○伊藤(卯)委員 いまの新しい地域に工場を移していくということについて、いまこの法案に示されてあるような政府の優遇処置あるいは金融融資の問題、あるいは税制上の免税措置の問題、あるいは自衛隊に対するその誘致努力をさせようという意味だろうと思うのですが、それぞれのやはり優遇措置等もあげられておるようですが、その程度の優遇措置ではたして移り得るだろうか。ということは、私が心配にたえないのは、指定されてそこへ工場が漸次移ってくるのだということが明らかになってくると、その土地が非常に暴騰してくるだろうということは必至です。もうその名前が発表されただけでも、その地域の土地の所有者というのはわが意を得たりと非常に喜ぶだろうことは、先日発表された日本の高額所得者というか長者番付というか、そういうものはほとんどその大部分が土地の売買です。だから、したがってそ工場がその地域に移転をしてくるということになれば、それだけで相当土地が値上がりしてくるのではないか。またこの移る工場、企業者もそれを一番心配するのではないかと思うのであります。そういう点についてのその土地の暴騰を押えるということについて十分対策をお持ちになっておられるかどうかお伺いいたします。
○田中国務大臣 このままにしておくと絶対量は足らないわけでございまして、そこに集中してまいりますから都会の土地がどんどんと値上がりをしておる。戦後物価の値上がりの中で土地が一番である。物価は昭和七年から十一年に比べても七百五十倍からどう計算しても千倍をこしていない。土地は一万倍をこしておるところもあるというのです。これは土地というものを先ほど申し上げたように、やはり局限したところに無制限に集中を許すところに地価が暴騰するわけであります。しかし全国の二%、全地域の二%を対象にしておるものを、一〇%にすれば供給するものは五倍になりますから、これは地価の値上がりはそれだけ緩慢になる。これが二〇%になれば需要と供給は十倍になるわけでありますから、これは当然地価は抑制されるということで、結局地価対策は国土を地下と地上に立体化するか、もしくは提供するものを大きくする以外に地価対策はないわけであります。そういう意味では局限されておる工業地帯を全国に広げようというのでありますから、その意味ではこうした政策を行なうことによって地価の抑制になる、こういうことになるわけでございます。 それからちょっと申し上げますと、この法律で抜けておりますものが一つございます。それは東京などでもって、なぜ東京のどまん中にあっても坪三十万円のところもあるし、坪三百万円のところもあるかというと、これは土地を制限しているからであります。これは住宅地域は軒高十メートルしか建たない。十メートルとすると三階しか建たない。十一メートルとなると四階建つということでありますが、皮肉にも十メートル制限をやっておりますから半地下構造でなければ三階しか建たないということです。三階しか建たないから三十万円なんで、これが二十メートルにまでなって七階まで建つと地価はとたんに坪当たり倍になって六十万円になるわけであります。これは地価公示価格を見ておりますとすぐわかるわけであります。三十一メートルまでで九階ないし十階まで建つという商業地区は百万円も二百万円も三百万円もするわけであります。これは全部使途によって制限を受けておれば、制限を受けておる状態によって価格はきまるわけでございますから、今度建築基準法や都市計画法と同じように、先ほど申し上げましたが、国土開発法の中に各都道府県は条例をもって地域を指定することができるという、やはり改正案がどうしても必要だと思います。そうすれば下北でもどこでも工場地帯として、県は、道はこれを指定をすれば、ちょうど多摩川の地域が緑地帯であって延べ一割しか建築が建たないということをもって、多摩川の両側は坪一万円か二万円であったということと同じように、やはり県条例で地域を指すれば、それ以外の用に供することができないという制限ができるように法制をすることによって、私は地価というものは非常に抑制されて理想的な土地の使用が可能である、そういう問題を次の段階において考慮いたしておるわけでございます。
○伊藤(卯)委員 大臣のその希望的観測というかあるいは行政的措置だけではいまの土地の値上がりを押えることはできないのです。憲法には公共のためならその私有財産を没収してもよろしいと書いてあるけれども、しかし無償ではいかぬ、有償でなければならぬとなっている。そうすると、有償となってくると、それを押える法律がない。だから新しい地域にそういう工業を移していくということになれば、やはり一番問題になるのは土地の問題だと思うから、土地の問題を押え得るようなものをはっきりしておかないと当然土地の暴騰の問題は起こってきますから、またこれが工場を移していく上に大きな障害になるから、そういう点について希望的観測でなくて強行措置としてこういうものをあわせてつくっておかなければ土地の収用はできないのだということについて、大臣、ひとつおやりにならぬとこれはなかなかできませんから、そういうことについてあなたの決意をひとつ伺いたい。
○田中国務大臣 先ほども申し述べましたように地価を押えるためには、都市計画地域内において住居専用、それから工場、緑地帯というようなことが決定できるように、都道府県知事が、また市町村長が土地の利用計画を決定をすることができるように法制の整備をいたしたいと存じます。
○伊藤(卯)委員 社会主義国であれば一つの国策は行政上から至上命令としてそれを断行していくことができます。しかし日本の現在の場合においては自由主義で、それから私企業も許され、これをまた尊重しておるのですから、したがって個人所有財産もそうです。だからそういう中において、この大国策ともいうべき工場再配置の新しい計画を道義心に訴えていったりあるいは何か説得で解決していこう、そういうことでは私はこれはできないと思うのです。やはりどうしても行政措置上でき得ないのですから、したがって——私は何も戦時中のような統制命令によってやれ、やらなければだめだということを言っているのではありませんが、しかしいま大臣のお考えになっておる程度では、この工場再配置の問題をスムーズに移していくということは難事業の難事業じゃないかと思う。であるから、やはりこれらに対して国は将来への大国策としてこれを遂行するためには、その障害になるものはかくしてこれを解決為していくということとあわせておやりにならぬと、私はこれは成功しないと思う。成功しないということになってくると、これはさっきから質問をされておりました——どうも通産大臣というより田中角榮大臣の一つの計画として何かやっておられるように受け取られてもしかたがないので、そこで私は、再配置が成功するなら、これを非常に喜んでおる一人でありますから、だけれども、それだけにどうも裏づけの問題というものが貧弱です。だからそういうことと十分あわせて処置せなければ、これはなかなか成功しないということと、私は十分ひとつ大臣が決意をされてやられないと、これは大臣、どうもつくられたけれども、思うようにいかぬであっちこっちつまずいておるということになると、どうも田中構想というものも結局しり抜けになったなというひやかしを受けますから、これはひとつ大いに注意をしておきたいと思いますから、大臣もう一回それについての決意をひとつ聞かしてください。
○田中国務大臣 これは先ほども岡田さんからも御質問がございましたが、実際工場の再配置ということでございますが、これは実際究極の目的は適正配置につながっていくわけであります。そういう意味でまず再配置を行なうということで、出ていくところを促進させるためには、まだ税制上の問題とかいろいろなこともありますし、あと地を自動的に買い上げなければならないという問題もありますし、また、移転するについても、圧縮記帳制度とかその他いろいろなまた問題が付加されなければならないと思います。同時に、新しい産業立地の場所は地価が上がらないようにしなければなりません。そのためには、地域指定ということが法律上、条例で行なわれるということになれば、地価は抑制されます。これは工場以外には使ってはならないという工場地域に指定し、しかも建蔽率は三〇%をこえてはならないということにすれば、地価は三分の一に下がるにきまっておるのです。それ以上に使うことができない法制になるわけでございますので、それはもう路線商業地域が百万円であり、住居地域が六十万円であり、住居専用地域が三十万円であり、緑地地帯が十万円以下であるということと同じことになるのでありますので、そういう法制を確かに完備しなければならないのですが、それをいまこの法律ですぐ完備して、すべてのものを網羅するということはなかなかむずかしい状態にございます。しかし私は、この法律が成立をすれば、いま御指摘であったような条項を整備することをするために、引き続いて努力を傾けてまいるつもりでございます。
○伊藤(卯)委員 もう二、三点重要な点を伺っておきたいと思ったのですけれども、どうも大臣も次の席からだいぶん引っぱられて、もう質問をやめてくれぬかということなんです。これは大体こんな切迫してきているのは、与党の議員諸君の出席が悪いからなので、これはわれわれの責任じゃない。せっかく田中通産大臣が非常な国策として出しておる重要な法案の審議に、そういう不熱心なことではだめです。これはひとつ田中大臣からも、重要な法案のときには大いに協力してやらなければだめだということを、野党ばかりに協力を求めず、与党のほうにひとつ苦言を呈しておいていただきたい。 それで一点だけ最後に質問してなにしたいのは、どうも日本には、御承知のように何でもかんでも法律が非常に多過ぎる。また日本の役所は法律をつくるのが非常に好きなんですね。そうすると今度は、法律をあまりつくって自縄自縛になっているという点が非常に多いと思う。法律があり過ぎるから、役所の間にセクショナリズムというものもまた出てきて、だんだん身動きがならなくなってきて、つくった法律をなかなか生かすことができないというのが弊害になっている。田中大臣は役人出身じゃなくて、われわれと同じように野武士みたいな存在だから、そういうことにはこだわられないだろうが、しかしあまり法律をたくさんつくっても、自縄自縛になったりあるいは役所間のセクショナリズムの争いになるようなことになったのでは、私は、この国策ともいうべき工業再配置のような重要な法案というものも、成立をしてもなかなか生かすというのは困難じゃないかと思う。だからそういう点、自縄自縛になったり役所間のセクショナリズムで動きがとれなくなるようなことのないようにやってもらいたい。これは私は最後にあなたに強く希望、要請をしておきますから、こういう点について、ひとつ最後にあなたの、私はそういうことをするようなことは絶対ないというようなことをお考えになっておるかどうか、そういうことをひとつお聞かせ願いたい。
○田中国務大臣 非常に通産省も慎重に検討し、しかも新しい日本の産業地図をかくためには、この法律が制定され、実効をあげなければならない、またそれが日本の国際競争力というものを長く温存をし、日本人の生活を向上させる唯一無二ともいうべき手段だ、こういう決意のもとに御審議をいただいておるわけでございます。この問題を片づけないで——伊藤さんともよく長いことお互い議論しておりますが、物価問題とか、それから過密の中からくる土地の値上がりの問題とか、投資効率がだんだんと低下をする問題とか、人間生活がどうも疎外されるような状態、社会環境の整備、こういう問題一つ一つ考えてみますと、やはり国土の総合的な開発、均衡ある開発というものを除いては考えられないということでございます。そういう意味で、全く慎重な配慮のもとに立案をしておるのでございますから、この法律制定のメリットというものが追求されなければならない、この法律が制定をされた結果、実効が上がるように、あらゆる角度から政策推進を行なわなければならないというかたい決意を持っております。私はもう、通産大臣に任命されたことはこの法律をつくるために任命されたのかとさえも思っておるわけでございますから、実効をあげるべく全力を傾ける決意を明らかにいたしておきます。
○伊藤(卯)委員 お手並み拝見ということで……。
○小宮山委員長代理 次回は、明後十九日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することといたします。 なお、明十八日は、午前十時から公害対策並びに環境保全特別委員会と連合審査会を開会する予定になっております。 本日は、これにて散会いたします。 午後五時十九分散会