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68回国会衆議院1972/04/07

商工委員会 第10号

発言数
79
登壇者
11
会派数
4
開催日
1972/04/07

会議録

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員長 これより会議を開きます。  鉱工業に関する件、通商に関する件及び中小企業に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。中村重光君。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 久良知公害保安局長にお尋ねしますが、佐世保市に海上自衛隊針尾弾薬庫が設置をされておると思うのですが、その設置の経過と、それから付近の状況等について御説明をいただきたいと思います。

久良知章悟通商産業省公害保安局長

○久良知政府委員 佐世保市にございます海上自衛隊の火薬庫についてのお尋ねでございますが、同火薬庫につきましては、防衛庁長官から通商産業大臣にあてまして、四十六年の三月二十四日に承認申請が提出されております。この申請は同年の三月三十一日に承認をされたわけでございます。火薬庫につきましては、火薬類取締法によりまして一般の場合には県知事が許可をするわけでございますが、自衛隊が設置する場合については、その設置の承認だけを通産大臣がするということになっておりまして、一般の場合には、できましたときに完成届けを出し、完成検査をするわけでございますが、承認以降の手続その他につきましては、これは自衛隊法により自衛隊が独自に行なうというたてまえになっておるわけでございます。  それから、同火薬庫は付近に採石場がございます。その採石場の中で、認可時におきましては稼行しておりました採石場と約二百メートル以上あったわけでございますが、そのほかに採石場のあとと申しますか、旧採石場が二つほどございまして、そちらのうちの一つにつきましては、百二十メートル強という距離でございます。申請当時におきましては、その旧採石場におきましても将来稼行の可能性があるということでございましたので、その百二十メートル強の離隔距離と申しますか、保安距離を基礎といたしまして、火薬の貯蔵量その他を決定して承認をいたしたわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 承認の申請があったのが四十六年三月四日ということでしたね。もし違っておればまたお答えのときでけっこうです。  そこで、弾薬庫設置について付近の採石場からの反対があったのではないかと思うのですが、その点いかがですか。

久良知章悟通商産業省公害保安局長

○久良知政府委員 申請のありましたのは、四十六年の三月二十四日でございます。  それから、その承認にあたりまして、付近の採石業者から反対があったのではないかというお尋ねでございますが、同年の一月十八日に採石場の事業者が福岡通産局へ参りまして、海上自衛隊との紛争についてのあっせん方の依頼があったわけでございます。その後、本省も含めまして数回意見の交換をいたしました。採石場と自衛隊との間の円満解決に努力をいたしたわけでございますが、その後この採石場と自衛隊相互の間の危害予防上の措置につきまして、防護さくを設けるというふうな、施設をつくることによりまして両者の間の同意が成立したということを同意書によって確認をいたしましたので、またそのほか、この自衛隊から出ております承認申請の内容そのものが許可基準に適合しておるということを確認をいたしました上で、承認をいたしたわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 申請があったのが四十六年三月二十四日、その前一月十八日に福岡通産局に、採石場というのはおそらく麻生組のことであろうと思うのですが、それが通産局へ来訪、円満解決に努力をした、こういうことなんですが、そこで同意書の確認並びにその火薬庫の設備等が許可基準に該当しているということを確認をしたから承認をしたということですが、承認の年月日はいつになっておりますか。

久良知章悟通商産業省公害保安局長

○久良知政府委員 四十六年の三月二十一日でございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 海上自衛隊が承認前に火薬庫の設置に着工しておるという事実はありませんか。

松崎鎮一郎防衛庁装備局武器需品課長

○松崎説明員 お答えいたします。  着工がなされておりまして、いまの先生おっしゃいました麻生組との調停をいろいろ努力しておった模様でございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 それでは久良知局長にお尋ねをいたしますが、いまのお答えは、私の聞き違いか知りませんが、承認を受ける前に着工しておった事実はないかということに対して、着工している、そこで麻生組との円満な解決のために努力をしておったというように私はいまのお答えから受け取ったわけですが、承認前に着工することについては、通産省としてはどのような見解を持っていらっしゃるのですか。

久良知章悟通商産業省公害保安局長

○久良知政府委員 火薬類取締法によりますと、火薬庫をつくります場合には、工事着手前に許可を得るたてまえになっておるわけでございます。したがいまして、この件につきましては手続上問題がなかったというわけにはいかないわけでございますが、申請の内容につきましては許可基準に合致しておりましたので承認をしたわけでございまして、防衛庁に対しましては、今後必ず工事着手前に承認を得るよう厳重に注意をいたしまして、同庁はこの趣旨を通達をもって徹底をしたというふうに聞いております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 防衛庁は、この火薬庫設置の工事着工前に通産省当局の承認を受けなければならないということは御存じになっておられたわけですか。

松崎鎮一郎防衛庁装備局武器需品課長

○松崎説明員 火薬庫として設置いたそうとする際には、通産大臣の承認が要ることは承知しております。それで、当然のことでございますが、着工時には通産省の審査といいますか、技術上の基準に適合するようにつくらなければいけませんので、その間のこともありますので、なるべく早く出すということは考えておるわけでございますが、ちょうど本件につきまして、たまたまそういった着工をしたというようなことがあるのはたいへん遺憾だと思いまして、それで実は、三月二十四日で通産省あてに申請を出しておりますが、その同じ日付の三月二十四日で三自衛隊の幕僚長あてに、こういうことは困るので、すみやかにそういう手続をとることという装備局長名で通達をいたしております。  なお、担当の課長と申しますか、私と、それから建設工事を担当いたしております経理局の課長がおりますが、その二人の連名で、業務連絡で、各自衛隊の幕僚監部の担当課長、部長あてに、もう少しこまかく工事の計画ができましたらすみやかに手続をとるようにということを、やはり昨年の三月、通産の承認がおります前でございますけれども、出してございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 通産省も防衛庁も、法に違反しておる行為であったということを事実関係をお認めになって、それぞれ通産省としては防衛庁に厳重に法を守ってもらいたいということを注意を促している。また防衛庁としても、現地に対してその点を十分注意をしたということは、いまのお答えから伺うことができたわけです。率直にお認めになりましたので、将来そのようなことが行なわれないということであれば私もあまり強く追及しようとは思いませんけれども、このことの及ぼしている影響というものはあまりにも大きいということ、それから現在は、委員会開会前に担当課長から、まだ防護壁が十分できていない、そこで火薬庫には火薬は入れてないのだということでございますから、危険というものはそういう限りではないのであろう、こう実は思っているわけですけれども、しかしこの火薬庫が設置をされたということによって、採石場を経営しているところの麻生組というのが経営不振の状態に追い込まれているというこの事実、それから今日に至るまでの防衛庁と当該採石業者との間にいろいろと話し合いがなされ、また取りきめも行なわれているわけですが、そのことが防衛庁において実行されていないということで非常な損失をこうむっておるということで、おそらくお調べになって御承知であろうと思うのですけれども、海上自衛隊針尾弾薬庫設置による採石業廃業並びに損失補償申請書というのが麻生組から海上自衛隊佐世保地方総監部総監谷川清澄氏あてに出されて、私はそのままの写しを持っているわけです。しかし事実関係をお認めになりましたけれども、どうもお答えの中身が事実と相違をしているのではないか、こう思いますから、私が指摘をいたしますから、そのこともお認めになるかどうか伺ってみたいと思います。  この火薬庫の設置が当該麻生組に明らかになりましたのは、NHKの佐世保放送局からの電話によってでありまして、それは十一月一日。十一月二日に佐世保の施設事務所に事実確認のために麻生組は出向いているわけです。そこで採石場の営業に支障がないように、従来通行しておったところは通行させるとか、区域を明確にさせるとか、鉄条網で囲いをして出入り口をつくって出入りさせるようにするといったような要求もなされ、それによって現地の施設事務所というのですか、あるいは総監部ということになるわけですか、ここではそうした希望に沿うように努力をする、善処するということを言っているわけですが、実際はそのとおり行なわれていない。それだけではなくて、実に私はけしからぬことだと思うのは、軍がやることに対しては、これは国同士だから通産大臣の承認なんということは要らないんだということを言い切っているということですね。だから自分の土地に何をつくろうともおまえらが干渉する必要はない。他人から干渉を受ける必要はない。実に自衛隊として高圧的な態度をもって臨んでおるということなんです。私は詳細に、本人からだけではなくて、私のほうの党に所属をいたしております現地の県会議員その他党の支部を通じましていろいろと調査をいたしたわけでありますが、どうも、久良知局長からお答えがありましたように両者の間はうまくいっておるということではないのではないか。ただいま私が指摘をいたしましたように、全く軍がやることはかってたるべし、おまえらは黙りなさい、そういうような態度で臨んでおるということを御調査になり、また両者の関係の円満解決に努力されたというならば、私がただいま指摘いたしましたような事実を御調査になったかどうか。その点はいかがでしょう。

久良知章悟通商産業省公害保安局長

○久良知政府委員 本件の認可にあたりまして、認可の時期に同意書が提出されたと申し上げたわけでございますが、同意書が提出されるまでの経緯につきましては、採石業者との間にいろいろ問題があったということは私どもも聞いておるわけでございますが、最終的には同意書を出されたということと、同意書を添付して私どものほうに承認の申請がありましたので、承認をいたしたわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 それから、その設置基準に該当しておるということをおっしゃいました。その前に旧採石場との距離の関係、これは保安距離であるところの百二十メートル以上ということであったというお答えもあったわけですが、ところが測量に立ち会っておりますのは総監部と通産局と当の被害を受けております麻生組と三者立ち会いのもとになされておるわけです。この採石場はA、B、Cの三つの地点に分かれている。立ち会い調査の結果はA地点が百二十八メートル、B地点が二百二十三メートル、C地点が百七十メートル。これは明らかに保安距離が不足をいたしておるということになりますが、これでも許可基準にこれは該当しておるというようにお認めになりますか。

久良知章悟通商産業省公害保安局長

○久良知政府委員 火薬庫につきましては、その火薬庫に事故がありました場合に近隣に対して加害を及ぼさないということから、特定の施設につきましては火薬の貯蔵量と見合いまして一定の保安距離をとらせるということになるわけでございます。したがいまして貯蔵量がきまればそれに応じて保安距離がきまるという場合と、それから一定以上の保安距離がとれないというときには火薬の貯蔵量というものを制限をすることになるわけでございますが、本件の場合には、一番短い保安距離、いま先生とおっしゃいました百二十八メートルというところに見合う量といたしまして火薬量を制限をいたしまして承認をいたしたわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 事実はそうではないでしょう。これは通産局だけではなくて、長崎県の県北振興局の商工課長とかあるいは係長とかが、保安距離が十分ではないということ、それから隣接地に対して、あとから来た者が前に仕事をしている者に一言の相談もなく、当然国がやるごとは干渉を受ける筋合いのものではないという形で火薬類取締法あるいは火薬類取締法によるところの火薬庫の設置、これの条件に違反してやっておるということはこれはけしからぬことだというので、県もこの問題については重大な関心を持って対処しておるという事実があるということです。  それから、いまあなたは、設備の問題あるいは貯蔵するところの火薬の量の問題等について制限をつけて認可をした、承認をした、こういうことを言われたわけですが、具体的にそれでは、私も実はいろいろな資料を持っているわけですが、具体的にどのような条件をおつけになりましたか。

久良知章悟通商産業省公害保安局長

○久良知政府委員 火薬庫の貯蔵量について制限をしたというわけでございますので、貯蔵量につきましては、これは防衛庁のほうから御答弁をいただくのが適当かと存じます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 防衛庁から答弁をすることが筋だというのではないでしょう。あなたのほうは承認を与えるのでしょう。承認もしないで工事に着工したという事実について厳重に注意を促したわけでしょう。そこで今度は、問題の円満な解決に労力をしておるようです。通産局のほうからは、どうしてもあなたは保安距離がなければこれに同意を与えないのかというようなことで説得これつとめているというやり方もやっておる。それが努力であるとすれば努力であると私は認めるにやぶさかではないわけです。ところが、全く法を無視して着工しておるというようなこの事実を十分お認めになりながら、これに対して厳重に注意を与えておりながら、その量というものがどの程度であるのかということについては、条件をつけて承認を与えた以上は、その条件の内容というものはあなたのほうから説明をされるのが当然ではありませんか。いまどの程度貯蔵されておるのかということについて私がお尋ねをしておるのであるならば、それは防衛庁がお答えになるのが筋でしょう。しかし許可条件について私がお尋ねをしておるのだから、当然あなたのほうがお答えになるのが筋ではありませんか。

松崎鎮一郎防衛庁装備局武器需品課長

○松崎説明員 ちょっと関連してお答えします。  初め通産省に話を持っていきましたときは、採石場の——実際その当時操業している採石場所といいますか、その辺を考えまして約二十トンぐらいの貯蔵をいたしたいという話をいたしたわけでございますが、その採石場の実際操業していないものでも、操業休止している地域も、やはり対象にすべきじゃないかというような話がありまして、その休止をしている地域と海上自衛隊の構築物との間には距離がはかられますので、その距離に相当しました三トンということで正式に申請をいたしました。で、事実上制限を受けたわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 そのことは、時間があれば私は調査をしている資料をもとにしてなおお尋ねをしていくことにいたします。  久良知局長にお尋ねをいたしますが、あなたは同意書によってこれを確認をした、それから設備の問題は基準に合致しておるということで、それを確認をして承認をすることにしたとおっしゃったわけですが、同意書はいつ提出をされておりますか。

久良知章悟通商産業省公害保安局長

○久良知政府委員 四十六年の三月三十一日付で防衛庁の装備局の武器需品課長から当局の工業保安課長あてにこの同意書の送付があったわけでございますが、この同意書の日付を見ますと、日付は三月三十一日付になっております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 同意書に麻生組がサインをしたのは二月の十七日、これは保安距離があればという条件でもってサインをしておる。ところが、十九日に先ほど申し上げました通産局とそれから防衛庁とそれから麻生組三者立ち合いの結果、C地点が百七十メートルにすぎなかった、したがって保安距離が不足をしておるということから、十七日にサインをしたいわゆる条件付でサインをしたこの同意書を返してもらいたいということで、本人が迫っている。そうして、この同意書は返している。その同意書を返した日にちも三月の十日です。次に同意書を提出したのは四月の十九日です。だからいまあなたがお答えになりましたような三月三十一日付で同意書が提出をされておるということは、これは事実に相違をする。しかもあなたが承認をしたのは、三月の二十四日の申請に対して三月三十一日に承認をしておるわけなんです。このときには同意書というのは存在をしていない。これは事実に相違するではありませんか。

松崎鎮一郎防衛庁装備局武器需品課長

○松崎説明員 お答えいたします。  麻生組の麻生武さんですかから、三月三十一日付で海上自衛隊佐世保地方総監あてに同意書が出ておる旨、海上自衛隊の幕僚監部から私のところに届けがございまして、それを通産省に提出いたしておるものでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 私の持っている資料は、これは日にちをあとでお見せをいたしますが、日にちを追って何月何日にはどういう話がなされた、詳しくこれに書いてあるわけです。しかもこれは日記によってこれを写してあります。その際に、だれが立ち会ったということまでも明らかになっている。十七日にサインをした同意書というものは、これは先ほど申し上げましたように保安距離がなかった等々でこれは返してもらった、それだけではないのです。その間に防衛庁、ここでは現地ですから総監部というわけですが、総監部の高圧的な態度というものは実にけしからぬですよ。この採石場が火薬を使わなければならないでしょう、火薬の実験をするわけですね。それに対しての約束というものがきちっとしてあるのです。立ち会って火薬の実験をしたところが、ころび石というんですか転石がなかった。そこで、これは第一回の実験と第二回の実験——八月二日には第二回の実験ということを第一回の際に約束をしているわけなんです。第一回のときにはそういうことで、実は転石がなかったというようなことですから、もちろん被害がなかった。そこで八月二日の実験をやってもけっこうなんだ、そのかわりこちらは責任は持ちませんよと言っているんですね。そしてこの同意書というものは返しているわけです。ところが三月三十一日、幕僚長が同意書をもらいなさいということの連絡をしているんです、あなたのほうの幕僚長が。だから、もらいなさいと言われたものだから、同意書を一たん返したんだけれども、これをもらわなければ、これは幕僚長の命に従わなければならないということでずいぶん努力をし、説得これつとめて、そうして完全な防護壁もやりましょう、これは土塁というんですが、これもやりましょう、それから爆破実験にも協力をいたしましょう、いろいろと麻生組を説得をしたものだから——麻生組もこのときは同意書の再提出はしていない。説得を受けたというにとどまっておるわけでして、同意書を再提出をしたのは四月の十九日なんです。その間の話し合いというものは、なるほど三十一日になされたという事実はあるわけです。ところが、その後再提出はしたんだけれども、爆破実験をやりました結果、先ほど申し上げましたとおり七月三十日に第一回の爆破実験をやったところが転石はなかった。そこで被害がなかった。第二回の八月二日おやりなさい、しかしおやりになるのはあなたがかってにおやりなさい、こちらは責任を持ちませんよというようなことであった。ところがその間にいろいろな約束がある。仕事ができなければ損失の補償もいたしましょうなんというような話し合いが実はなされているのです。ところが、そういうことも一切責任は持ちませんよというようなことになった。それで麻生組というのは、これは火薬庫ができたものだから、中に火薬が入っている入ってないというのは別なんですが、その施設ができたためにこの採石の営業を続ける上について非常な障害を来たすという結果になっている。そこで、先ほど私が申し上げますように、この補償請求書、話し合いのなされた、確認をされておった補償請求書の提出をしなければならぬという事態に追い込まれておるということですよ。これをあなた方は調査をされたかどうか知りませんけれども、この防衛庁がやるような設置について、通産省も先ほど久良知局長は、これはその前に着工しておったからけしからぬことだということできびしく注意はしたと言うけれども、そうして両者の間が円満に解決するように努力をしたとは言うんだけれども、話し合いはなされたけれども、現実には防衛庁はその約束をほごにしてしまった。泣くならかってに泣きなさい、倒産するならかってに倒産しなさい、こういうような態度というものは私は許されないと思う。私は日にちを追ってずっと申し上げたかったわけですけれども、それは時間の関係で実は言えないわけなんです。しかし大体私が申し上げたようなことはおわかりになるだろうと思う。このような状態に追い込まれた、防衛庁が火薬庫を設置をする前に営業をやっておりましたこのような業者に対して、どうその損失を補償してやろうというお考え方を持っておられますか。

蔭山昭二防衛庁経理局施設課長

○蔭山説明員 本件につきまして種々の経緯がございましたことは、先生の御指摘の御調査になりました結果、私どもも調査いたしました結果でもあまり相違ございません。ただ昨年の、先生御指摘になりました日にち以降におきまして、四十六年八月に防衛庁長官あてに麻生さんのほうから陳情書を受けております。同じく九月に——この陳情の内容と申しますのは、防護土塁の設置、これが先生御指摘の同意書の第一項にございます問題であります。第二項といたしましては、損失補償及び廃業補償ということについての陳情でございます。そのあと昨年の十二月二十七日に、この弾薬庫設置によります採石業廃業並びに損失補償申請書というのが佐世保総監のほうに出ておることも承知をいたしております。  この面の処理でございますが、私どもとしてもいろいろ努力は続けております。なおしかし努力が足りない、先ほどの問題、先生の御指摘のようなことがありましたら、私のほうもさっそく調査をいたしまして十分善処するようにいたしますが、現在私どもで考えております考え方は、この申請を受理いたしておりますが、覚え書きの同意書の第一項に書かれております完全な防護壁というものは、これは自衛隊のほうでやらなければならぬということで、実は来年度予算にこの関連の経費といたしまして針尾地区の防護施設をつくります経費の要求をお願いをしてございます。さらに両者が両立いたしますような、採石業をおやりになる側も安全の確保の義務がございますし、私のほうの弾薬庫、この面につきましても安全措置をやらなければならない、双方に義務がございますので、その面につきましてはなお十分、そういったいままでおくれております措置をいち早く実施をいたしまして、十分お話し合いのできるような状況に持っていきたい、こういう考えでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 いまの防衛庁の総監部との間の話し合いの際、損失補償という項目が申請書の中に入っている。一が完全な土塁の構築。二が、事故の場合海自が責任を持つ。三が、土塁ができるまで損失補償する。四が、以上ができない場合同意書は白紙にする。こういったようなことが、実は四月十九日にこの同意書に基づいて申請書が再提出される前に話し合いがされているのだから、提出をされているわけであります。ところがその前に、損失の補償の問題は、仕事ができないよりはしないんだから、完全に仕事ができるように防護壁を設けたりいろいろやるから、それだけは文書に書かないで、ひとつ口頭にしておいてくれないかということを総監部から本人に説明しているわけですよ。そういう事実もあるのですね。ところが、それじゃそれ以外のことをやっているのかといえば何一つやっていないということなんです。やっていないから、いま通産省としましては火薬庫に火薬を入れることをやめてくれということを言っているわけです。そういう関係もあって入れてないのだったら入れてないのだろうと私は思う。入れてないからそれじゃ仕事ができるかといったら仕事はできないというのです、そういういろんな設備がなされたから。いいですか。それだけじゃないですよ。私は、あまりにも国民不在というか、軍偏在というか、かわいそうだということよりもむしろ憤りを感ずる。いま主客転倒しているということです。当初は、海上自衛隊が火薬庫をつくるのに対しては当該麻生組の同意書が必要になったわけですよ。いまは麻生組がこの採石場を続けていく場合には、火薬使用許可というのを更新しなければならないのです。永久許可ではないのですよ。期限があるのです。続いて使う場合これは更新しなければならぬから申請書を出す。今度は逆に、麻生組が海上自衛隊の同意書を得なければならぬようになっているのですよ。こんなひどい話はないでしょう。踏まれてけられて、そうして海にたたき込まれてしまったということです。主客転倒してしまった。そうして今度は、完全な防護壁ができるまでは火薬の使用許可というものは当該麻生組に与えないのですよ。こういうことが現実に行なわれているじゃありませんか。これが放置されてよろしいのでしょうか。この事実に対して防衛庁、通産省どのようにお考えになりますか。国民不在、軍優先、これが現実にまかり通っている。どうします、この事実に対しては。

久良知章悟通商産業省公害保安局長

○久良知政府委員 採石業者が火薬を使いますときにはこの消費の許可を必要とするわけでございまして、私どもの手元の資料では、年間三号きりダイナマイト二百五十キロ、それから黒色火薬百キロという許可を出しておるということでございますが、先生おっしゃいますようにこの更新の必要もあるわけでございますので、最近の事情がどういうふうになっておるのかということにつきましては調査をいたしまして、また御報告申し上げたいと思います。

蔭山昭二防衛庁経理局施設課長

○蔭山説明員 先ほどの私のお答えの中で一カ所抜けておりましたので訂正いたします。  四十七年度完全な防護壁をつくるということでございますが、現在完全なものではございませんが、実は予算措置が間に合わずに、現在火薬こそ入れておりませんけれども、もし火薬を入れておればもう少し完全なという程度のものはつくっておるわけでございます。ただ、先生御指摘の採石業の方の、私のほうの弾薬庫との、いわば主客転倒の関係につきましては、どこまでもこの弾薬庫がむしろあとから設置されておるという事実を踏まえまして、十分採石業者の方とも話し合いを続ける、そういう考えでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 通産省、久良知局長に私は注意を喚起したいと思うのです。あなたは火薬庫の設置について麻生組との間に円満に解決をするように努力をされたものですよ。そして事実についてはずいぶん違うのです。同意書があったのだとか、あるいは設備基準がこれならばよろしいということで実は承認を与えた、こう言うわけです。ところが現実に、私が指摘をいたしましたように、いまも防衛庁のお答えで、問題があるということはあなたもおわかりになったでしょう。そのように主客転倒して国民が泣いておる。それで生活をしておった人たちなんですよ。従業員もたくさんいるのです。失職をしなければならぬような状態に追い込まれている。ならば、あなたのほうの承認をしたという結果がこのような事態を生んでいるのだから、その上に立ってあなたのほうは十分そうした業者が営業ができるように、できなければその生活の道が講じられるように努力をされるということが当然の責任ではないか。法律的な責任はないとしても、少なくとも私は道義的な責任というものはあろうと思う。それに対して、最近の事情は知らないから調査をいたしましょうというような程度のものであってはならぬ。少なくともどうあらねばならぬという決意はこの際あなたは表明される必要があると思うが、いかがですか。

久良知章悟通商産業省公害保安局長

○久良知政府委員 事実関係の解明につきまして多少不十分なところもありまして、先生の御満足のいく回答ができなかったわけでございますが、なお実情をよく調べまして、御趣旨に沿うように努力いたしたいと思います。

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員長 近江巳記夫君。

近江巳記夫公明党

○近江委員 私は、きょうは時間の関係もありますから、何点かにしぼってお聞きしたいと思います。  まず初めにお聞きしたいことは、円切り上げ後の輸出の情勢あるいは今後の見通しについて、ポイントを簡潔にひとつお聞きしたいと思います。

山下英明通商産業省通商局長

○山下政府委員 最近の輸出の状況を見てみますと、通関実績では一番新しい数字が二月でごい、ますが、二月の通関では、昨年一年間の輸出の激しい増勢は若干衰えてはきましたけれども、なお諸外国に対して前年同月に比べて高い増加率を示しております。ところが、通産省では別に先行指標としまして輸出認証統計及び信用状統計を日々見ておりますが、三月の輸出認証統計は前年同月に比べて二〇%弱の増加は示しましたけれども、・これは二月の増加率よりは落ちておりますし、さらに先行指標である信用状統計を見ますと、三月の増加率は最近初めて一〇%以下に落ちておりまして、この点では私どもが予想しておりました輸出増加傾向の鈍化というきざしがすでに見えておると考えております。  一般的には、前回にも申し上げておりますように、十二月二十日の円切り上げの効果は徐々に浸透しまして、半年とかねて言っておりましたが、ことしの六月ころからは輸出増勢は変わってくるものと、こう判断しております。

近江巳記夫公明党

○近江委員 それから国際収支、特に外貨準備の状況ですけれども、依然として累積してきておるということでありますが、この状況についてひとつお聞きしたいと思います。

山下英明通商産業省通商局長

○山下政府委員 外貨準備は御承知のように二月末で百六十億ドル強という有史以来初めての保有高になったわけでございますが、三月も増加を続けておりまして、三月末の正確な数字はまだ持ち合わせておりませんが、今後とも、先ほど申し上げましたように貿易収支における、つまり輸出増加に伴う黒字が外貨蓄積の原因になりますとともに、さらに短期の流入資金等、日本の景気の不況と日本の金利水準が国際的に高いというような様相に影響されまして、なお増加傾向は続くと判断いたしております。しかし先ほど申し上げましたように、ことしの六月以降にかけて貿易収支のほうが均衡してまいりますれば、一つの増加原因は解決していくと考えております。

近江巳記夫公明党

○近江委員 こういういろいろな背景からいきまして、依然として円の再切り上げの見方が強まっておるように私どもとるわけですけれども、この円の再切り上げについて当局としてはどういう判断をしておりますか。

山下英明通商産業省通商局長

○山下政府委員 十二月、円切り上げいたしまして、私どもは海外に対しても、切り上げの効果は一年ないし二年見てもらわなければ困るということを申してまいりましたし、諸外国でもその意見には同調しておったわけでございますが、その後三カ月たちまして、依然として通貨不安の情勢がおさまっていないということは事実でございます。現在、通産省はじめ大蔵省等経済諸官庁で十分な注意を払ってこの動向を見ておりますとともに、去年八月、ニクソン新政策の声明によって苦い経験をいたしておりますので、その経験に照らして、ことしじゅうにそういうような通貨不安が激しくなった場合には政府としてはどうしたらいいかということを、必要な場合には法律の改正もまた国会にお願いする覚悟で検討を続けております。見通しにつきましては私の立場でいま申し上げられるわけではございませんが、私としましては、年内には再切り上げはないようにしたい、こういう方針で研究しておる次第でございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 切り上げのそういう不安が激しくなっていった場合いろいろな対策を考えるということをおっしゃっているわけですが、そういう不安が高まらないようにやはり政府としては努力をしていく、これが大事じゃないかと思うのです。それで、輸出政策の上においてはどういうお考えを持っておられるのですか、ポイントをひとつ簡潔にお聞きしたいと思うのです。

山下英明通商産業省通商局長

○山下政府委員 これは去年の経験に照らしまして現在種々考えておりますが、一番私どもがやってほしいし、容易にやれるのではないかといって努力しておりますのが、個々の業界、特にある地域に対して、最近特に急増しておる品目の業界自身が業界内で話し合いまして、そしてたとえばその販売方針なり価格について、それぞれの企業が急増を防ぐような努力をしてもらう。場合によっては輸出入取引法によるカルテルを結んで共同行為としてやってもらう。さらに一方策として考えておりますのは、どうしてもそれが国外において市場撹乱の様相おびただしくなりましたときには、政府としてどういう規制措置ができるかという点まで含めて研究はしておりますけれども、輸入と違いまして、何といっても国際的、またガットの条項でも自由を原則として進めております輸出でありますので、政府の介入はよほどのときでない限りやるべきでない、こう考えております。

近江巳記夫公明党

○近江委員 それで、たまっていく外貨でありますけれども、この外貨はどういうように今後活用していくのですか。これはもとへ戻ったわけですけれども、先ほどいろいろ状況はお話しされたわけでございますが、急激なたまり方というのは、つまり先ほどおっしゃったそうした対策でまあ鈍るとは思いますけれども、しかしたまる一方である。それをやはり有効にいかに活用していくかということが一番大事な問題じゃないかと思うのです。その辺についてはどういうように考えておられますか。

山下英明通商産業省通商局長

○山下政府委員 私どもがいま考えております体系を順序を追って申し上げますれば、第一には、やはり現在御審議願っておりますような大型予算を実行して景気を回復すること、第二には、金利水準を国際的に調整することでございますが、こういう施策をやってまいりましても、御指摘のように、なお外貨がたまったものをどう活用するか、御質問の点はそこだと思います。  まず第一に、ごく最近政府部内で合意を見まして実施する方針でおりますのが、輸入ユーザンスの期間の延長でございます。これは、従来輸入貨物の引き取り資金について四カ月間のユーザンスを認めておりましたのを、銅、鉛、亜鉛等非鉄金属七品目に関しましては十二カ月に延ばして、その金融援助によって引き取りを促進しようという施策でございまして、これはさっそく実施に移したいと考えております。しかしこれは、私どもの計算では、年間にいたしまして三億ドル強外貨を使う程度でございますので、対策としてはごく一部でございます。現在さらにそれを進めまして、資源開発あるいは必要な場合には備蓄、あるいはIMF、世銀をはじめといたします国際機関への投融資、出資、あるいは外国の債券、特に五年超の債券の買い入れというものに活用していきたい、こういう点につきまして検討を重ねております。      ————◇—————

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員長 近江君の質疑中でありますが、お願いいたしまして、大臣がおいでになられましたので、この際、内閣提出、割賦販売法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。田中通商産業大臣。

田中榮一自由民主党

○田中国務大臣 割賦販売法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  近年における国民所得の向上を背景といたしまして、割賦販売その他の消費者信用の多様化と量的拡大は著しいものがありますが、反面これにつれて金融知識や法律知識に乏しい一般消費者が不当に不利益を受ける事例が多々見られるに至っておるのでございます。  このような状況にかんがみ、政府といたしましては、昨年八月から割賦販売審議会に消費者利益の増進策について審議をお願いし、本年一月に答申を得て以来、その趣旨に沿って慎重に検討いたしました結果、割賦販売等における一般消費者の利益を保護するため、割賦販売の規制を強化するとともに、消費者信用の多様化に即応した法制の整備をはかることとし、ここに、割賦販売法の一部を改正する法律案を提出することといたした次第でございます。  次に、この法律案の要旨を御説明申し上げたいと存じます。  第一は、割賦販売における規制の強化であります。  割賦販売業者が表示すべき事項に割賦販売手数料の実質年率を追加し、割賦販売の広告にも規制を及ぼすとともに、訪問販売等の場合に購入者が一定期間割賦販売契約の申し込みの撤回等をすることができることとするなど、各般の規制を拡充、強化しようとするものでございます。  第二は、前払い式割賦販売における前受け金保全措置の充実であります。  前払い式割賦販売につきましては、前受け金の保全をはかるため、従来から前受け金の三分の一を供託させることとしておったのでございますが、これを今回二分の一に引き上げるとともに、銀行等の金融機関または通商産業大臣の指定する機関との間で前受け業務保証金供託委託契約を締結することをもって供託にかえることができることとしようとするものでございます。  第三は、消費者信用の多様化に即応した法制の整備であります。  金融機関等と提携して、いわゆるローン販売を行なうローン提携販売業者について、割賦販売業者と同様、条件の表示や書面の交付の義務を課することとし、また、前払い金を分割受領して役務の提供や商品売買の取り次ぎ等を行なう「互助会」や「友の会」等について、前払い式割賦販売業者と同様に、許可を要することとするとともに前受け金保全措置を講じさせることといたした次第でございます。  以上がこの法律案の提案理由及びその要旨でございます。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同賜わりますようお願い申し上げる次第でございます。

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  本案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。      ————◇—————

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員長 引き続いて、通商に関する件について調査を進めます。  質疑を続行いたします。近江君。

近江巳記夫公明党

○近江委員 それから、例の第三回の国連貿易開発会議がいよいよ近々開かれるわけでありますが、この議題の予定、それから想定される中心的な議題、それに対する政府の態度、それについてひとつ簡潔に伺いたいと思います。

山下英明通商産業省通商局長

○山下政府委員 四月十三日からチリのサンチャゴで第三回目のUNCTADが長期間にわたって開かれますが、これは四年に一回、先進国及び後進国が一堂に会して会議を持たれるわけでございまして、私どもとしても、その成果を非常に重視しておるわけでございます。  今回は、発展途上国側は、まず第一に、前年末の通貨調整に関して強い意見を持っております上に、一九六〇年代の開発援助が、いろいろ努力したにもかかわらずなお不満であるという観点から、SDRの発行の際にその一部を援助に振り向けたいという意見を持っておりますとともに、政府の開発援助の量を増大し、条件を緩和してほしいという意見を持っておりますし、また昨年から実施しました一般特恵を改善してほしいという点についても強い要望を持っております。こういった点が主要議題になろうかと存じます。   〔委員長退席、進藤委員長代理着席〕  日本としましては、特に政府開発援助の強化——御承知のように援助量全体は、目標であります国民総生産の一%達成にほぼ近くなっておる現状でございますので、その内容を改善する意味で、政府関係の援助及びその条件等についてできるだけの改善をする用意をもって本会議で前向きの姿勢を打ち出していきたい、こう考えております。

近江巳記夫公明党

○近江委員 今回の会議には中国も参加するわけですが、中国は相当力を入れるのじゃないか、こういう観測がされているわけです。ただいま局長も、この会議には力を入れていきたい、そういう表明があったわけですが、中国のそういう態度を見ておりますと、非常にいろいろ期待をしておるということであります。そういうことで中国も参加するわけでありますし、わが国としてはこの会議を通じて中国とはどういう姿勢で接触をしていくか、この辺についてひとつお伺いしたいと思うのです。  それからまた、代表の問題等につきまして、田中大臣が出られるという予定でありましたが、変更になったということも聞いておりますし、それも、そういう中国との問題等で何か関係があって代表がかわられたのかどうか、その辺の事情についてひとつお伺いしたいと思うわけです。

山下英明通商産業省通商局長

○山下政府委員 私どもとしましては、中華人民共和国が今回初めてUNCTADに参加することを歓迎しておりまして、どういう具体的な方針で臨むかということについて、きわめて深い関心を持っております。御承知のように中華人民共和国はアジア・アフリカグループに属しておりますけれども、同時に、過去数年きわめて積極的にアフリカ等後進国に援助をみずからやってきた国でございまして、その政治姿勢も、発展途上国を第三勢力として、自分自身がその代表者としてやっていきたいというような意図を再三表明しておるわけでございます。しかしながら現在では、どなたが代表として来られるか、どういう趣旨の発言をされるか、まだ詳細を承知しておりません。田中通産大臣は、当初自分みずから出席するということで機関にも通知を出したわけでございますけれども、その際、ほかの委員会でも答弁しておられましたが、新聞等でいわれておりますように、みずから進んでサンチアゴで中国代表に会おうという計画を持っておるわけではございません。ただし、中国代表は会議の副議長になられる予定で本あるし、自然と先方で会った場合には話もすると思いますけれども、その接触の機会が直ちに日中国交正常化等に大きな影響を持つものとは自分は考えていないという趣旨の答弁をされておりました。その後事情がありまして、現在では愛知前外務大臣を政府代表ときめたわけでございまして、私どもとしては外山局長ほか通産省の事務当局がついてまいりまして、先ほど申しましたような議題について積極的に進めていきたい、こう考えております。

近江巳記夫公明党

○近江委員 それで事務当局としては、そういう代表団にいろいろなことを頼み、そういういろいろな要求もあろうかと思うのですが、そういう場合、中国とも接触する非常にいい機会でもあるわけですし、その点は事務局としてはどういう要望なり期待をしておるわけですか。これは局長の考えでいいと思います。

山下英明通商産業省通商局長

○山下政府委員 もとより発展途上国諸国が中華人民共和国に対して非常な期待を持っておることでもありますし、また日本はどうかといえば、先ほど御指摘のように、貿易収支が好転して外貨のたまっておるような現状で、そういう意味では日本の発展途上国に対する援助方針について、きわめてまた期待を持っておる状態でございますので、中国及び日本がUNCTADでどういう方針で出るかということは、この会議の一つの注目される点だろうと思います。そういう際に、特にアジア諸国、アジアの発展途上国のことを考えますと、中国の政策及び日本の政策がそれぞれ発展途上国援助の基本的な線を前に進めていくということで協調することは望ましいことだと考えておりますので、会議及びその周辺におきまして、政府職員が自然と接触する機会があれば、意見の交換をはじめとして、双方の施策を話し合うということは大事な機会ではないか、こう考えております。

近江巳記夫公明党

○近江委員 非常に抽象的でありますが、いずれにしても、非常にいいチャンスであると思いますし、大いに接触を深めて、今後のわが国の果たすべき役割りに大きな推進ができるようにひとつやっていただきたい、これをひとつ要望しておきます。  それから、北ベトナムの輸銀使用について、前にもお聞きしたことがあるのですが、最近政府は、前に北ベトナムに行きました三宅課長を通じて、和平前でも輸銀の使用を認めるというようなことを伝えたということを聞いておるわけでございますが、これについては通産省としてはどういう見解を持っておりますか。

山下英明通商産業省通商局長

○山下政府委員 前に田中大臣も言われましたように、北ベトナムからは大量の、千万ドル以上に及びます無煙炭を購入しておりますことであり、また先方が必要とする日本側からの機械その他の輸出の可能性は多々あるわけでございまして、そういう場合に、輸銀使用の具体的申請があれば、通産省としましては一般の原則に従って、ケース・バイ・ケースでございますけれども、輸銀をつけたらどうかということで検討してまいる方針でございます。ただ、そのとき、田中大臣も言われましたように、輸銀をある国に初めてつけますときには、通産省だけできめるわけにもいきませんので、大蔵省及び国際情勢の判断に関して外務省等と相談いたしまして、ケース・バイ・ケースできめていく、こういう方針でおります。

近江巳記夫公明党

○近江委員 それは、相談するのは政府がいつもやっておることでありまして、あなたとしては、前向きということはおかしいですが、とにかく積極的にこれをやっていきたい、こう思っているわけですか。

山下英明通商産業省通商局長

○山下政府委員 北ベトナムとの貿易は、南北ベトナムの紛争のために、むしろ自然発展すべき形よりも著しく抑制されてきておると思います。これが平和状況のもとでは、もっともっと、二倍にも三倍にも発展する。先ほど無煙炭のことを申し上げましたが、のみならず、あそこから雲南にかけましては相当鉱物資源のある地域でもございますし、先方が復興のために、すでに私どもも具体的に先方が要求している機械も承知しておりますけれども、需要がございますので、輸銀資金をつけることによって、そういう貿易がさらに自然に拡大するものであれば本来つけるべきである、こう考えております。

近江巳記夫公明党

○近江委員 それから中国との問題ですけれども、輸銀はケース・バイ・ケース、前向きにやるといいながら、そういう実際の問題になるとなかなか思わしくないというような状態になっているわけですが、三菱油化が中国と成約が確実であるという見通しがだいぶ出てきたそうでありますけれども、そしてエチレンプラントを輸出をする。こういう場合、輸銀の使用ということはやるわけですか。

山下英明通商産業省通商局長

○山下政府委員 近江先生御承知のように、現在中国から化学繊維関係の調査団が来ておりまして、これはビニロン繊維に関して日本のあるメーカーとの間の話を基礎として、それに関連して日本の合成繊維及びその原料である石油化学部門の各施設を見ていこうという趣旨で参ったわけでございます。現在私どもが聞いておりますのでは、単に合成繊維のみならず、さらにさかのぼりまして、ナフサ分解によるエチレンの製造設備、エチレンから酢酸ビニールをつくる設備等について視察をしておるようでございまして、いま三菱油化とおっしゃいましたと思いますが、その会社もそういう意味で当然調査の対象になっておると存じます。しかし、私どもが見ておりますのでは、今回の調査団は視察を主といたしまして、その結果によって商談を進める、その時期はもっとあとになるのではないか、こう考えております。

近江巳記夫公明党

○近江委員 この商談はあとになるといいますけれども、これは一部新聞でも報道されておるわけでありまして、この成約は確実である、こういう見通しが発表されておるわけです。ですから、そうなった場合、輸銀の使用をさせるのかということについてお聞きしておるわけです。

山下英明通商産業省通商局長

○山下政府委員 輸銀の使用を日本の当事者が申請してくる、しかも相手方の中国がそれをぜひ希望するという場合には、輸銀をつけるべきであるというのが通産省の方針でございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 それから円・元決済の問題でございますが、これはいつもいろいろと議題にあがっておるわけですが、中国とのこうした貿易もかなり拡大もしてきておりますし、当然やはりそういう時期に私は来ておるのじゃないか、こう思うのですけれども、これについてはどういう立場に立って推進しようとしておりますか。

山下英明通商産業省通商局長

○山下政府委員 国際的な通貨不安の事情もこれあり、円・元決済について先年来中国側と覚書貿易事務所との間で細目打ち合わせが続けられております。私どもとしては、その打ち合わせを尊重して、できるだけ実施の方向に協力していきたい、こう考えております。

近江巳記夫公明党

○近江委員 それではもう一度もとへ戻りたいと思うのですが、この輸出政策について先ほど何点かのそうしたお話があったわけでございますが、もう少し詳しくいろいろと問題点を提起して、それに対してどう考えておるか、もう少し中身をお聞きしたいと思うわけです。

山下英明通商産業省通商局長

○山下政府委員 まず、先ほどお話ししました第一の民間が自主的にどこまでできるかという点について二、三申し上げますと、二つ態様がございまして、たとえば自動車等、その製造業者及び輸出業者の数が比較的少なくて、たとえば十以内であって、しかも話し合いのまとまりやすい関係であります場合には、先方におけるディーラーのあり方とかあるいは新車の際における価格の引き上げとかそういうことを中心にしてやって秩序が維持できると思います。もう一つのグループは、数十にのぼる製造業者、メーカーがおりまして、その競争度合いが非常に激しい場合、この場合には全体として伸び率が激し過ぎるということが個々の企業にわかっておりましても、正式の共同行為によってある程度の強制力を持たして価格を引き上げる。ところが価格協定の場合には往々にしてその実行に無理がありますし、また先方との間でそれをくぐるような仕組みも多々行なわれますので、自然と数量規制のほうに移っていくというのが現状のようでございます。  そういったような個々の業界の実態に合わせまして輸出秩序維持の方策を進めるべきである、こう考えております。

近江巳記夫公明党

○近江委員 時間がありませんから、これで終わります。

進藤一馬自由民主党

○進藤委員長代理 川端文夫君。

川端文夫民社党

○川端委員 貿振局長と通産省のお願いした局長が来ていないようですが——貿振局長の代理を山下通商局長がやっていただけるそうですが、本来ならば、時間があれば、大蔵省の金融局長も来てもらってもう少しお尋ねしたいことがあったわけですが、きょう短い時間でありますから、ことさら大蔵省からの出席を求めなかったわけです。そういう意味において、大蔵省関係の問題にもわたると思いますけれども、それを含めてお答えできなければ、後日また御質問申し上げることで、お尋ねしたいと思います。  そこで、最近の傾向の中に、二月も輸出減少の傾向が明らかになっておりますし、今後の輸出の傾向としては鈍化の傾向にある、こういうことがいわれている一面から、はなはだ矛盾した見方が考えられるような一面が報道されているわけです。手持ちドルの関係からいえばあまり輸出がないほうがうれしいというような報道も一面になされるようにも見受けられるし、日本のように資源のない国家としては、やはり資源を海外から求めて加工いたして輸出しなければ生きていけない日本である。この関係に対して、政府からときどき発表されることばの中に、輸出をしていることが何か外貨だめのために、ドル蓄積のためによからぬことをしているという印象を与えるような、今日までの発表のしかたをときどき見受けるわけですが、貿易の問題に対して、輸出に対しての考え方をどういう考え方に立って今後指導されようとしているのか、この点をひとつお答え願いたいと思います。  特に私が言いたいことは、昨年の暮れに、予算編成時において、中小企業の問題に対して党からいろいろな申し入れをいたした当時においても、まだ中小企業は倒産があまりないじゃないか、つぶれていないのにそれまで心配しなくてもいいというような発言が大蔵省側に多いわけです。つぶれてから、倒産してからなわを持って救済に走ってみたって、これは当然どうにもならないことであるし、外貨の蓄積された今日に至るまでの日本の貿易行政に対して、産業政策に対してのあやまちがあったのではないかという反省の上に立って、不安な状態にある鈍化しようとしている輸出行政の中にどうあるべきか、ドルがたまることは困るであろうけれども、輸出しなければ生きていけない日本のあり方に対して、産業界のあり方に対してどう指導していくべきかという指導方針の確立がないように思えてならないのですが、それらの問題点に対してお答え願いたいと思うのです。

山下英明通商産業省通商局長

○山下政府委員 現在、輸出を従来のように政府が振興すべきなのか、あるいは輸出を抑制しなければならないのか、一つの日本経済の転機に臨みましてそこに混乱が生じておりますことは先生御指摘のとおりでございまして、その点私どもがどう考えておるか、一言で申し上げますと、過去十年間、一九六〇年代には、日本は世界のあらゆる国に対して、あらゆる品物で安くていいものであればどこにでも出すということで来たわけでございます。事実輸出振興策も多々実施してきたわけでございます。しかし、去年の十二月二十日に、日本の貿易収支があまりにも黒字が激し過ぎるということも一つの原因となりまして、先進諸国で通貨調整をやったわけでございまして、そのとき及びその後、わが国は諸外国に対しましても、日本は世界で例を見ない一六・八八%という円の切り上げをしまして世界経済に協調するわけであるけれども、これが実際の世界貿易の調整として効果をあらわすのには一年ないし二年はかかるから、そのつもりでいてほしいという意見を申し述べました。また、諸外国でもそういう点は了としたわけでございます。  ところが、実際には、その後一、二、三月と国際的な通貨不安の情勢は思ったほどおさまっておりませんし、特にヨーロッパの為替市場における激しい動きなどから、再び円の再切り上げもしくは世界の通貨再調整が必要ではあるまいかという憶測を生じております。これには私どもとしては、単に各国間の貿易収支のみならず、現在アメリカの手元から離れた数百億ドルにのぼるユーロダラーというものがある現状でございますので、投機的な要素も多々あると見てはおりますけれども、といって各国の貿易収支と無関係ではございませんので、そういう情勢に対処して日本の貿易政策をどうしたらいいかということも真剣に考えておるわけでございます。  一、二、三月の輸出実績を多少数字を入れて申し上げますと、現在通関実績でわかっておりますのは二月でございますが、この実績では、去年一年間の激しい日本の輸出の伸びから若干増加率は衰えてはきておりますけれども、依然として高い水準でございます。ただ、通産省は、さらに先行指標といたしまして輸出認証統計及び輸出信用状統計を日々見ておりまして、輸出認証統計で申し上げますと、これは三月の実績が手元に入っておりますが、二月に比べて著しく下がってまいりまして、三月の前年同月比の比率は二〇%以下でございます。また信用状のほうは、三月の信用状実績は前年同月に比べまして一〇%以下でございます。これは、最近月々の数字としましては相当に下がってきておる。私どもがかねがね言っておりますように、為替切り上げの影響がそろそろ出始めて、そして五月、六月ごろから輸出の平常化というような状態まで落ちてくるのではあるまいか、こう考えております。  ただ、さらに細目として、品物別あるいは地域別に見ますと、二月の通関実績で申せば、自動車の対ヨーロッパ向け輸出は前年同月よりも三倍になっておる。アメリカは八八%増というところまで落ちてきておりますが、EC六カ国で二倍、周辺のEFTAを入れまして三倍という、一カ月間ですがそういう情勢がある。またテレビあるいは電卓、陶磁器等におきましては、相当激しい増加率を示しております。こういう状態がそのまま続くと仮定すれば、ヨーロッパ側で対抗措置を考えざるを得ないという事態が今年中に起こらないとはいえませんので、私どもは相手国市場に激しい撹乱を起こさないように地域別、品物別に対策を立てまして、国際摩擦を最小限にしていくことによって日本の円の再切り上げを防ぎたい、こう考えております。  しかしながら、これは別の理由でございますけれども、現在造船とかプラントとか、前年同期に比べまして四割、五割の受注減になっておるという暗い面がありますし、御指摘の中小企業においては、地域によって現在の三百二円なり三百五円という為替平価では非常に受注契約のできにくい面ができております。前国会におきましてこのための救済法案を御承認いただいたわけでございますけれども、そういう施策とあわせて、輸出を振興したりあるいはそのための被害を救済したりする施策もあわせ考えていかなければならない、こう考えております。

川端文夫民社党

○川端委員 いまお話がありましたように、昨年の十二月の十九日に通貨調整を多国間調整でやったわけですが、その効果は一年ないし二年、期間としては必要であろうということを力説してまいった、こうおっしゃっておるわけですが、しかし日本の産業自体が、過去において信用膨張というか自転車操業的な企業が多かったという事情の中に、一年ないし二年の期間を猶予できない事情の企業もだんだん出てきておる。こういう実態をやはり考えなければならないし、さらに、これは取り消したようでありますが、先日日本に参ったアメリカのブルック下院議員は、六月十五日円再切り上げをアメリカで言ったのは、これはたとえばという話で言ったので根拠はないと取り消しておるようであるけれども、これはやはり日本の国内に大きな影響を与えておることは間違いない。同時にいま三百二円という三百八円に対して上下のリミット幅を認めておるわけでありますけれども、しかしながら、やはり現在行なわれている先物契約では二・五%じゃないのです。二百七十円ないし二百八十円、ものによっては二百五十円でなければ成約できないという実態が出てきておるわけでありまして、これらの問題に対処するにはどうしたらよいのか。一方においては外貨減らし、一方においては輸出振興をどのように調和しながら政策として確立していくかということに、もう少し国民に納得できる理解できる方法で方向を示す必要がある時期ではないかと思うのですが、いかがでしょう。現在三百二円なんかで輸出しているものは幾らもないはずです。大体二百八、九十円がいいほうであって、二百六、七十円というのが大体輸出相場になっていると私は聞いておるわけですが、これは違っていましょうか。

山下英明通商産業省通商局長

○山下政府委員 おっしゃいますように、機械を輸出契約する場合にはどうしても契約時から決済までが一年強、場合によっては二年から五年、船になりますと五年から八年、もっと大きなプラントになりますと十年ということになりまして、現在かりに十年のプラントの商談をいたしますときには、先方もとても三百八円ではできない。そこで二百八十円、二百七十円というものを相場にして商談を要求してまいります。そのために、現在造船業界では一月、二月、三月はほとんどといっていいですが、ほとんど船の商談ができておりません。幸いにして二年間の受注残を持っておるものですから工場の操業はできますが、商談はできておりません。大阪近辺の中小商社の雑貨、繊維等におきます商談は大体三百円から三百二円あたりでやっておると私どもは見ております。三カ月の先物になりますと、これは先生のおっしゃるように、現在の変動幅の中では持ちこたえられないものも出まして、二百九十円台も出ておるだろう、こういう状態だと思います。

川端文夫民社党

○川端委員 造船等の長期ものが二百五十円ないし六十円で相場を出して契約の折衝をいま始めておるということ、これも知っておるわけですけれども、これが一つの相場になって、先ほどから申し上げているように中小企業の輸出製品にまで大体それが一つの定額的な相場になっていきつつある。いま通商局長もおっしゃるように、三カ月先の雑貨ですら二百九十円できめざるを得ない。きめたほうはまだいいわけです。きめてくれないで、かけ引きに使っているのかどうか知らぬけれども、これからの注文に対して成約ができないという中小企業の雑貨その他の輸出製品が多くなってきつつあるというこの現実に対して私は心配している。これに対して通産省が確実な方針を出していないではないか。  そこで、逆な面から一つ申し上げますと、これも今度の通貨調整によって為替差損がどのくらい出ておるかという新聞記事が出ておるわけでありますが、外国為替資金特別会計では去年の十二月の二八・八八のあの円切り上げで合計一兆円ほどの為替差損が出ておる。さらに日本銀行のいろいろな外国債権や長期債権等考えると、日本銀行の持っておる六千億のこれらの在外資産の値下がりというか円切り上げによる差損も出てくるであろう、そうすると、これらを含めると、日本自体のこの通貨調整によって現に一兆あるいは二兆という大きな損害が為替差損だけでも出ておる。こういうことを考えると、それだけの損害を一時的に出すならば、その予算をもって施策を立てれば防げるのじゃないか、こういう感じがしてならないのだが、そういうことを考えたことございましょうか。

山下英明通商産業省通商局長

○山下政府委員 おっしゃいますとおりに去年の為替切り上げによりまして、政府自身が手持ち外貨の減価によって大損失をこうむったわけでございます。また、去年八月十五日のニクソン新政策の声明以来、一時的なフローティング、それから平価調整の期間を通じまして、私どもは通貨、外国為替管理及び貿易の諸面で非常に苦い経験をいたしましたので、ことしはかりに再度切り上げのような機運が世界的に出ましても、それを去年の苦い経験に照らして何とか切り抜けていけるように、現在通産、大蔵はじめ経済関係省でいろいろ対策を研究中でございます。場合によっては法律の改正もお願いしてやっていこうという現状でございますが、現在百六十億ドル以上たまりました外貨が、かりに再切り上げがあればまた何千億——かりに一割上がれば十六億ドルという、五千億円以上の損害をこうむるわけであります。したがいまして、私どもは大きくいって、第一は、現在お願いしておるような大型の予算を早く実行して景気を回復すること、第二には、日本の金利水準を国際的にならして、そして金利差による短資の流入等々外貨が不当に入ってくることを防ぐこと、そして三番には、たまってしまった外貨はできるだけこれを有効に使って、去年のような被害をこうむらないようにすること、こういう方針で、かつまた貿易面で輸出秩序の維持、その他やれることがあればやるということで、いま各省相談しておるところでございます。また、民間側が為替差損を負わないようにそのリスクを保険する方法もないだろうか、というような施策も考慮しております。

川端文夫民社党

○川端委員 現状分析に対しては、あなた方の見解は私は敬意をもって見さしていただくことにはやぶさかではございません。しかしながら、先の見通しになると、先ほど言いましたように、倒産が出てきてからあとから施策が追っかけるというような、どろぼうを見てなわをなうようなことをされたのでは——いま政府の手持ち外貨が円切り上げによって損失があった、為替差損が出たということは、何も佐藤さんのお金でもなければ、田中さんのお金でもなければ水田さんの私有財産でもないのです。国民の負担にかわっていくわけであるから、当然負担が転嫁されていくことを考えれば、それを先取りしてその対策を立てるべきじゃないか、こういうことを私は強く前々から言っておるわけでありまして、特に中小企業等の施策に対しては常に後手後手に回っている政府のやり方に対して、強い反省を求めたい、こういう考え方でおるわけです。  そこで、次にもう一つ聞いておきたいのですが、たまたま私が聞こうと思っておりましたこの公定歩合論争がいま新聞紙上をにぎわしております。日銀総裁は、現在においては公定歩合を引き下げる必要はないと言っているし、財界方面では、公定歩合をもう一ぺん下げるべきだ、もう現にユーロダラーが、あの円の切り上げの当時は四、五十億、あるいは六、七十億ドルはユーロダラーが海外に流出するのではないかと言われておったわけでありましたが、現に出ていかないじゃないですか。したがって、日本の金利は高いわけですから、ここらでやはりその面からも、せめてユーロダラーを流出せしめるような金利引き下げのための公定歩合引き下げに対して、通産省は大蔵省とどういう詰めをしているのか、どういう折衝をしているのか、お聞かせおきを願いたいと思います。

山下英明通商産業省通商局長

○山下政府委員 私どもは、先ほど申し上げましたように早く国際金利水準にならしてほしい。この具体的な方策でございますが、公定歩合は現在御承知の四・七五まで下げてきたわけですが、これ以上公定歩合をかりに引き下げたとしても、実効金利にはそう影響がなくて、かえって公定歩合と実効金利の差が開いてしまうのじゃないか。また、実効金利のほうは一月も下がり二月も下がり、ごくわずかずつではありますが、金利の下がりとしては相当急速に下がってきておる実情でございまして、そういう状態はほうっておいても、まだまだこれだけ金融が緩慢化しておれば自然と下がるのじゃないかというような御意見が財政当局、金融当局にありますが、私どもはかりにそういう事情でも、政府金融当局の意向を示す意味で、必要ならば公定歩合をまた下げたらいいじゃないかという意見を主張はしております。  ただ、またもう一つ金融財政当局が言われますのは、このまま月々実効金利が下がればどうしても預金金利の壁にぶつかってくる。現在銀行の一年定期ものが五・七五%でございましたか、そういう定期預金の預金金利にぶつかってくる。それはまた、同時に郵便貯金の金利にもぶつかってくる。そこでこれ以上、自然と金利が下がっていく分にはいいが、政策的に金利を下げるとすれば、預金金利をどうするかという根本問題にぶつからねばならない。この辺は金融の、それぞれもち屋はもち屋でございますので、私どもがそう口出しできる領域ではございませんが、私どもとしては、先ほど述べた国際的な不均衡是正、今後の日本の金融というものも、国内均衡のみならず内外均衡を考えていかなければならないという新しい時代に入ったのでありますから、預金金利も含めて再検討されたらどうかという意見を申し述べてございます。

川端文夫民社党

○川端委員 時間がなくなったのでこれ以上あなたとだけ質疑をするわけにはいかぬと思いますが、ただ言い得ることは、私は資料を持っておれますけれどもここでは言う時間がありませんが、都市銀行、大金融機関は不景気の中に大幅な利益を上げているということだけは間違いのない事実なんです。もう一つは、不景気の株高として証券会社がもうけている。したがって、この不景気の中で国民の犠牲の上に立って少数の者が利益を上げていることを見のがしてどこに政治があるかということを私は言いたいし、そういう意味において、もし通産省が大蔵省と四つに組んで戦うならば、われわれも野党とか与党とかを言わないでバックアップするのにやぶさかでない、こういう考え方を持っておるということを念頭に置いて、ひとつ御研究おきを願いたいと思うのです。  最後に一つ、せっかく見えているから鉱山石炭局長にちょっとお尋ねしたいのだが、これも新聞の記事の一部でありますが、先日も私質問でも言ったのだけれども、滝口会長が、メージャーと争ってまで直接買い取りの方法ははたして国の利益になるのかどうか、あまりせっかちにものを考えないほうがよろしい、というわれわれにお説教的な参考人としての御意見を述べられたことを覚えているわけです。まあそれはそれの一つの見方があるとしても、このきのうの新聞ですが、発言を読みます。「キミ、石油資源は尊いものだ。公害をぶんまいてまで自動車が安い?ガソリンを使うことはないぜ。ガソリンを値上げすればガソリン使用量が減るし、交通公害も減るよ。都会の空気もきれいになるさ。資源の節約にもなるし、そうすりゃOPECが値上げをしても打撃は少ないよ」こういう発言をされていることが新聞に載っているわけです。これは石油連盟の会長さんです。私どもは、いま法案として出されている石油公団法の一部改正の中において、資源の確保の問題も将来の安定確保も、大切であるけれども、日本の物価政策を考えた場合に、消費者の物価の問題、消費者価格の問題を十分考慮してもらいたい、考慮すべきだという立場でこの法案に取り組もうとしているんだが、値上げしたってどこが悪いかという態度で業界の指導者がこうおっしゃっていることに対して、何か政府がこれだけの多額の資金を使って公団法改正して資源確保をしようとするときに、それに協力できないという態度を示しておる業界に対して、どういうことができるのか、どういう規制ができるのか、ひとつお答えおきを願いたいと思うのです。

莊清通商産業省鉱山石炭局長

○莊政府委員 まず、日本はみずから石油を開発する必要があるのかないのかという点につきましてでございますが、従来いわゆる国際石油資本メージャーからわが国はほとんど全量を輸入しており、幸いにしてヨーロッパと違いましてペルシャ湾沿岸からのものが多かったせいもございまして、タンカーがとまったというふうな事態は実はなかったこと、これは事実でございます。ただ、現在OPECの長期的な戦略のもとで、国際的な石油に関しますいろいろな利害の対立というものが、これはもう争うことのできない現実になっておりまするし、また長期的に見ましても、一九四〇年代よりは五〇年代、五〇年よりは六〇年、六〇年よりは七〇年代というふうに、大体十年ごとに人類全体が使っておる石油の量というのは倍々で、常に二倍のぺースでふえてきておる。七〇年代におきましても、大方の人の御意見が六〇年代の倍になるということは、いまやもう通説になっております。しかも、資源の発見量もふえてはおりまするが、その倍々でいく消費量に比べまして、五〇年、六〇年の趨勢を見ますると、明らかにギャップが生じつつあるという現状、これは何人も否定することはできません。日本はアメリカに次いで第二の石油消費国でございまするし、みずからほとんどの石油を持っておらない。持っておらないということは別の表現で申しますると、世界全体の資源の増加に対して、消費はしたけれども積極的に参画をしておらないということでございます。これは非常に大きな目で見まして重大な問題であるという認識、これがわが国の石油のみならずその他の資源とも通ずる、これからのわが国としての基本的な認識であり、ここにすべて立って政策というものを考えるということが必要だと思います。そういう意味で、OPECの諸国もそういうわが国の姿勢に対してはある程度の共感を感じておるというふうなことが、向こうから来る人たちの口の端にものぼるということが現状でございます。したがいまして、わが国としてはメージャーとのいたずらなる反目、これをする必要はもちろんございません。現にメージャー系の製油所がわが国に能力の半分くらいあるわけでございますし、それぞれ重要な機能を営んでおりまするから、それも大切でございます。同時に車の両輪としての開発への努力ということは、わが国にとって今後国際社会の中でも要請されておる崇高な課題ではないかというふうに通産省は見ております。  そこで、滝口会長のお話というのをいま私この場で承りまして実は存じておりませんですが、OPECの価格の引き上げに伴いまして、相当な企業にとっては負担増が生じておるということは、実はまぎれもない事実でございますので、どうしても市況が非常に悪うございますので、なかなか実際はそうそう考えたとおりにいくとは私ども見ておりませんが、どうしても少しでも赤字を減らすことはやむを得ない、その点について、恐縮だが消費者の、国民各位の御理解を得つつやらしてもらいたい、これが私は真実だろうと思います。それをちょっと別の表現で、たまたま何かの機会におっしゃったことがあるのかどうか、私別に存じませんが、ほんとうの産業界全体の気持ちというものはそういうことであろうと存じます。値上げということは、なかなか現実の問題としては容易にできる次第のことではございません。これは一般向けのガソリンにいたしましても、あるいは産業向けの重油にいたしましても、原油の上がっておる割合には上がっておりません。それよりも非常に低い割合でしか——現在のところ上がる見通しが実勢としてございません。そういう過渡期として、日本の石油精製産業は非常に苦しい事情に実はございます。やはり大切なエネルギー産業でございますから、その点企業としての存立の基礎が危うくなっていくということは望ましいことではございませんけれども、全部直ちに値上げをするというだけが必ずしも解決でもない。産業界としても、やはり体質の改善なりその他いろいろ積極的な努力をなすべき課題というのは、つとに指摘をされておる点でもございます。開発に向かって努力をするということも、長期的には一つの解決の足しになろうかと思います。そういう総合的な立場で、やはり精製産業というものも国民の理解を得つつ総合的な努力をする、やむを得ない値上げもあろうと存じますが、そういう総合的な対処方針の中の一部分でなければならないだろう、私どもはそう考えております。業界の首脳に対しましても、いま申し上げましたような基本的な姿勢に立ちまして、通産省としては今後も十分指導をいたす所存でございます。

川端文夫民社党

○川端委員 質問を打ち切りますけれども、いま鉱山局長のお話の問題、前段の問題は昨年来、この商工委員会で二回にわたって——先日私、一般質問でも申し上げているように、商工委員会としては二回にわたって資源確保に対しての適切な政策をやれという決議まで行なっていることでありますから、私は問題はない。しかしながら私は、やはりこれだけ国費を使って資源探鉱を始める、あるいは蓄積をやらせるというこの国の方針が理解できない人々の手によって、これを自由主義経済だという形において、言いたいほうだいのことを言わしておっていいのかどうか。まあこの前の滝口会長らが参考人にお見えいただいたときも私は言ったのですが、おのずとここまでくれば日本の国益の立場から見て、自由主義経済というか自由競争の限界というものが理解されて、その協力がなければ国としてもやろうとしてもやりにくいんじゃないか、こういうことを言ったんだけれども、適切なお答えがなかったわけです。したがって、私は、いわゆる政策の先取りといいますか、いろいろな意味でやらなければならぬという日本の追い詰められたいきさつは十分理解しておっても、それが国民に還元されない姿において先取りをする政策を私どもはそのままうのみにできないときがある、できない場所がある、こういうことを強く考えながら審議さしていただいているわけです。  きょうは質問を打ち切りますけれども、この点は後日また法案の質疑の中で十分お尋ねいたしますけれども、十分考えて、単に資源がないからさがせばいい、そのために金が要るなら出せばいいといったって、先ほど言いましたように、その資金というものはだれのものでもない。国民のものであるから、当然国民に還元できる条件を整えないでそれらのことをやるだけではやはり片手落ちになるし、われわれの良心も許さぬという場があり得るということを強く申し上げて、質問を打ち切っておきたいと思います。

進藤一馬自由民主党

○進藤委員長代理 次回は、来たる十一日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十一分散会

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